衆議院

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第11号 平成27年5月15日(金曜日)

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平成二十七年五月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古川 禎久君

   理事 神田 憲次君 理事 土屋 正忠君

   理事 藤井比早之君 理事 御法川信英君

   理事 山田 美樹君 理事 鈴木 克昌君

   理事 丸山 穂高君 理事 伊藤  渉君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      岩田 和親君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    國場幸之助君

      柴山 昌彦君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    津島  淳君

      冨樫 博之君    中山 展宏君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      藤丸  敏君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      大島  敦君    玄葉光一郎君

      津村 啓介君    古川 元久君

      鷲尾英一郎君    伊東 信久君

      吉田 豊史君    岡本 三成君

      斉藤 鉄夫君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          黒木 理恵君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  池田 唯一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    森  信親君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      大森 泰人君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    河津  司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           松永  明君

   財務金融委員会専門員   関根  弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  竹本 直一君     堀内 詔子君

  根本 幸典君     冨樫 博之君

  藤丸  敏君     岩田 和親君

  前原 誠司君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     藤丸  敏君

  冨樫 博之君     根本 幸典君

  堀内 詔子君     竹本 直一君

  津村 啓介君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 金融商品取引法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――

古川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、金融商品取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府消費者委員会事務局長黒木理恵君、金融庁総務企画局長池田唯一君、監督局長森信親君、証券取引等監視委員会事務局長大森泰人君、消費者庁審議官河津司君、経済産業省大臣官房審議官松永明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 おはようございます。

 きょうは、金商法の審議ということでございまして、かなりプロ向けファンドに問題が起こり、それが著しい状況になって、対応が若干おくれているのではないかということも含めて、質問させていただきたいと思います。

 まずは、証券取引等監視委員会で検査をする中で、私も資料を拝見いたしまして、かなりいろいろな問題の類型化がなされているわけでございますけれども、プロ向けファンドの中で問題を起こしている者というのが、投資事業有限責任組合、いわゆるLPSであります。このLPSがかなり問題となっている適格機関投資家の中の大宗を占めているわけでありまして、なぜこのLPSに問題が集中しているのか、まずこの分析からしていただけたらなというふうに思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、証券取引等監視委員会の検査結果によりますと、検査で問題が認められたプロ向けファンドにおいては、適格機関投資家として、投資事業有限責任組合、LPSが出資しているものの割合が高くなっているところでございます。

 これらの中には、投資事業有限責任組合が比較的容易に設立可能であるということから、投資事業有限責任組合を設立し、それに少額の出資を行わせてプロ向けファンドの要件を形式的に満たし、一般投資家に対して詐欺的な勧誘を行っているというものが多く見られるということが指摘されているところでございます。

鷲尾委員 このLPSなんですけれども、もちろんLPSはLPSの趣旨があって設立が容易になっているわけでありますけれども、それが結果として、プロ向けファンドの主体となって悪さをする結果につながっているということです。

 では、設立の要件。私も調べましたけれども、LPSは結構、ガバナンスについてもいろいろな規定があるわけであります。そのガバナンスをどう見ているのかということも質問したいわけでありますけれども、このLPSの設立に当たっての要件を、きょうは経済産業省にも来ていただいていますので、お述べいただきたいと思います。

松永政府参考人 お答えいたします。

 投資事業有限責任組合は、ベンチャー企業や事業再生等に対する資金供給円滑化のために、民法上の組合の特例として創設された組合制度、こういうふうになっております。

 このため、民法や会社法に基づく各種の組織法制と同様に準則主義という形になっておりまして、各当事者が出資を行いまして、その上で、投資事業有限責任組合契約に関する法律の第三条第一項に規定します株式の取得などの投資事業の全部または一部を共同で行うことを約することによりまして、組合契約の効力を生じることとなっております。

鷲尾委員 設立に当たっての要件ということですが、実際にLPSをつくった後に、今は契約についてはおっしゃっていましたけれども、ガバナンス上いろいろなことをやらなきゃいけなくなっていますよね。そのことについてもちょっと述べていただきたいなと思ったんですけれども。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、民法、会社法に基づく各種の組織法制と同様に準則主義ということになっておりますので、経済産業大臣に特別な報告徴収ですとか立入検査といった監督権限はございません。

 一方、それまで活用されておりました民法上の組合におきましては、情報の開示が不十分、こういった制度的課題があったかと思います。したがいまして、投資事業有限責任組合の法律におきましては、第三者との取引を円滑に行うための登記制度でありますとか、公認会計士等の意見書を付した財務諸表の備え置きの義務、こういったところの規定を設けているところでございます。

鷲尾委員 そこなんですよ。LPSは設立が容易なんだけれども、しっかりと登記があるとか、あるいは財務諸表の外部監査等が求められているわけですよね。これはやはり、一つ、LPSの信用力の補完であるとは思っています。

 そこでなんですけれども、先ほど、経産大臣が報告を徴求したり検査監督をするような責任は負っていないという話をぽろっとされました。実際、こういう設立登記に当たっては、準則主義だから、基準に乗っておけば設立登記されてそれでおしまいだよという話なんですけれども、外部監査等が求められているということ、これはやはりLPSを見る中では大変大きな問題だと思います。

 ちなみに、今回、プロ向けファンドで問題がある適格機関投資家のLPSでは、日本ベンチャーキャピタル協会の調べによると、契約関係があやふやだったり、あるいは情報の開示がしっかりなされていない例が多くある、こういうことであります。実際、このLPSというのは所管の法律でいくと経産省でありますよね。今、準則主義、準則主義とおっしゃっているけれども、実際にこういった問題となる用途に使われる可能性があるわけですから、そこの監督状況というのを経産省にも問いたいと思うんです。いかがですか。

関大臣政務官 LPSのガバナンスを監督する責任はいかなるものか、こういう御質問でございます。

 まず、金商法におけます適格機関投資家等特例業務におけます行為の適正性についてでございますけれども、金商法に基づいて監督されるというのが大原則であると考えております。

 LPSにつきましては、先ほど政府参考人の方から説明があったわけでございますが、民法そして会社法に基づく各種の組織法制と同様に準則主義にのっとっているというのが原則でございますが、経済産業大臣の方が報告徴収したり、また立入検査等の監督権限は有していないわけでございますが、法律を所管する官庁としまして、やはり我々も積極的にある程度この動きというのは考えないといけないと思っておりまして、モデル契約というふうなものがございます。これはちょうど八十ページに及ぶものなんですが、投資事業有限責任組合モデル契約という、その内容をしっかりとつくり上げて、ホームページ等にも掲載いたしまして、こういうふうなきっちりとした管理そして責任関係にあるんだというのを明示しまして、金融庁とも連携をしっかりととりながら、LPS法が適切に運用されるように我々の方も取り組んでまいりたいと思います。

鷲尾委員 金融庁はこのプロ向けファンドでLPSが悪さをしているというのは認識していたわけですけれども、例えば、今、関政務官もおっしゃったとおり、金融庁と連携してという話がありましたが、金融庁から経産省に何かやりとりをするということはあったんですか。

森政府参考人 個別の事例についてはコメントを差し控えさせていただきます。

 また、LPSについては、委員御発言のとおり、金融庁は権限を有していないわけでございますが、ただ、LPSの持ち分の勧誘とか、LPSの財産を主として有価証券に投資して運用する場合には、そうした勧誘行為を行う者は金融商品取引法によって金融商品取引業の登録等が必要となっております。このため、金融庁は、LPSの持ち分の勧誘等を行う業者に対しては、金融商品取引法に基づく監督等を行っているところでございます。

鷲尾委員 大臣にこれまでのやりとりを踏まえてお聞きしたいんですけれども、やはりLPSというのは、いろいろ入り口はあると思いますよ、運用もかなりの金額に及んでいますから。入り口はさておき、そしてまたこれは経産省が所管する法律でもあるんだけれども、やはり金融庁としてしっかり監督をしていかなきゃいけないという中で、経産省とも連携しながら監督をしていかなきゃいけないというふうに思いますが、大臣からも一言所見をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 リミテッドパートナーシップと言われて、それが直ちに投資事業有限責任組合とわかる人はどれくらいいますかね。僕はほとんどわかる人はいないと思っていますよ、正直言って。この話を最初に伺ったときに僕は何やそれと聞いて、LPGなら知っているが、LPSなんて聞いたことがないと。そこからスタートして、それで、LPGと同じで経産省所管の法律ですと言うから、それを何で俺たちがやらないかぬのやという程度のものだった、僕は最初にこれを聞いたときのそういう記憶があるんです。

 いずれにしても、これは経済産業省所管の法律でやっておりますので、私どもがその法律に関して責任とか権限とかを有しているわけではないんですけれども、問題がいろいろごちゃごちゃ錯綜してくると責任のなすりつけ合いみたいなことになりかねませんので、そういった意味では、今後、経済産業省と連携を強めていかないかぬということになるだろうと思っております。

鷲尾委員 実際、問題を起こしているLPSは、何が問題かということも今までの調べでわかっているわけですから、そこは、今後の検査体制についてこれからちょっと質問しますけれども、そこでしっかりと手当てをしていただかないと困るなと思っております。

 ちなみに、このプロ向けファンドですけれども、LPS以外にも、適格機関投資家として証券会社や銀行も出資をしているわけですね。これは、一般投資家からしたら、証券会社や銀行が参加しているんだから大丈夫だろう、やはりそう思っちゃいますよね。

 私は資料で見ただけなんですけれども、実際、これはどういう問題があったのか。特にこういうことに対して金融庁はかなり厳しく取り扱うべきだと思うんですけれども、今どういう取り扱いになっているのか。あわせて質問したいと思います。

森政府参考人 私どもとしましても、こうした金融商品取引業者等が投資者保護上問題のあるプロ向けファンド届出者の適格機関投資家となることは問題であると認識しております。問題が生じたたびに、いろいろな検査監督等を通じて対応しております。

 具体的に申しますと、例えば警告書を発出しておるわけでございますけれども、そのうち届出者の適格機関投資家になっていた金融商品取引業者一者につきましては、届出者と実質的に一体となって法令違反行為等を行っていたことが認められたことから、登録取り消し処分を行っております。

 それから、その他につきましては、そうした法令違反行為は認められませんでしたが、別途検査等においてその業者に法令違反行為等が認められたことから登録取り消し処分を行ったり、出資について厳格なデューデリジェンスやファンドの適切な管理を行うこと等について監督を通じて指導、改善させるといった対応を行っておるところでございます。

鷲尾委員 今の金融機関の話ですけれども、引き続きというか、今回の法律の改正もありますから、さらに厳格に指導していただきたいなというふうに思いますし、こういう信用ある人たちが入ると一般の投資家も本当に誤解をしてしまいますので、そのリスクも踏まえた指導をお願いしたいと思います。

 今のプロ向けファンドの相談件数とか、金融庁も調べていただいていますけれども、きのうお話しする中で教えていただいたら、プロ向けファンドのうちの約二割が問題のあるプロ向けファンドだというふうに聞いております。二割ですから、物すごい数です。とても普通の状況ではないと思います。この二割まで至ってしまったというのは、やはりこれまでいろいろな投資詐欺含めて問題が寄せられている中でちょっと放置が過ぎたんじゃないか、対応が遅過ぎたんじゃないか、こう思うわけであります。

 この対処が遅過ぎたということに対して、大臣、どうお考えになっているか、コメントをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 鷲尾先生、これまでも、プロ向けファンドの届け出というものについては、投資家保護の上から問題がある情報、その種の情報を得た場合には、これは報告徴求命令等によって速やかに、いわゆる届出者、届け出る人の業務等を確認してきたところではあります。また、必要に応じて届出者に対して立入検査等々を実施して、その結果、法令違反が認められたという場合には、警告書を出して、裁判所への禁止または停止命令というものの申し立てなどを結構それなりにやってきたところではあると思っておりますが、今のように現行法の枠組みのもとでは、最大限、検査もしくは監督上の対応に努めてきたところで、これは限度ですからね。

 ですから、いずれにしろ、投資家保護という点から、投資家被害が発生している実態を考えたときに、この法案に盛り込んだように、総合的な対応を講じていく必要があると考えておりますので、金融庁としても、これがそういう法案になりましたら、形としてはきちんとしてやっていく、そういったことをやりやすくなってくるだろうなとは思っております。

鷲尾委員 今、大臣が、それなりにやってきたという発言があって、今の枠組みではそれなりにやってきただろうと。

 ところが、今の枠組みで見ますと、プロ向けファンドの状況を確認するために特に必要があると認めるときには、その必要の限度において立入検査等をするんです。でも、必要の限度じゃないですよね、ただできる限りやっているだけで。必要と認めるというところとできる限りとでは、全然私は話が違うと思うんですよ。

 だから、私は、もっと問題というのは大きくて、そこまで本当にちゃんと検査に入れているのか、予防的なものも含めて、問題がこれだけ顕在する前にしっかりと検査に入れていたかというと、甚だ疑問なんですね。そういう意味では、必要があると認めるとき、その限度においてというのはちょっといかがなものかな。実際これは変わりますので、そういう意味ではいい改正だというふうに思っております。

 これは、ちょっと時間もないのではしょりますけれども、恐らくは、当初、この制度自体をかなり安易に運用しようと。実際、運用の残高がどんとふえましたから、それはそれで効果はあったんでしょうけれども、ただ、この検査体制というのは私はいかがなものかと思っているわけであります。

 そこで、最後に質問をしたいと思いますけれども、こういう検査体制ではとてもとても今後はいけないだろう。法律を改正した上で、実際に質的に量的に検査体制をどういうふうにしていくのか。これは、経済産業省との連携も含めて、大臣からしっかりとコメントをいただきたいと思うわけであります。

麻生国務大臣 今回の法改正をさせていただくことによりまして、問題のあるプロ向けファンドに対しましては、業務改善・停止・廃止命令といった監督上の処分が導入されるということになります。

 したがいまして、これを踏まえて、法施行後速やかにこうした対応を適切に行うことができるようになるには、こういった仕事が新たにふえるということになりますと少々人数が足らぬ、そうすると機構の定員要求をせないかぬことになるだろうなと思うんですけれども、体制整備を図るとともに、これはよほど効率的、効果的にやることを考えていかないと、法律が変わることによってそういった問題を起こす業者が減れば逆に人数は要らないことになりますので、そういった意味では、我々としては、きちんとした対応ができるように監督を行っていきたい、経産省と一緒にきちんとそこのところを詰めさせていただきたいと思っております。

鷲尾委員 時間になりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、本改正案の目的についてお伺いいたします。

 大臣は、趣旨説明において、適格機関投資家等特例業務に関する特例制度をめぐる昨今の状況を踏まえ、成長資金の円滑な供給を確保しつつ、投資者の保護を図るため、業務を行う者に対し、さまざまな規制強化を行う、こう説明をいたしました。

 プロ向けファンドを利用した消費者被害が高齢者を中心に増加していることが本改正案の背景にあると思うんですけれども、このような被害を根絶することが本改正の目的と理解していいのか。具体的に、本改正の目的を大臣から御説明いただきたいと思います。

麻生国務大臣 宮本先生から御指摘のあったとおり、プロ向けファンドにおきましては、ファンドの販売を行う業者が、今言われましたように、高齢者とか素人の、大金持ちじゃない、小金持ちぐらいかな、投資者に被害を与えるケースが増加しているというのが実態。したがって、ファンドへの信頼というものを確保しておかないと、今、八百九十兆に及ぶ個人金融資産のうちの現預金、現預金だけで八百九十兆あると言われていますが、こういったものが成長資金に、貯金から投資へというような形で円滑に回っていくためにも、投資者被害というものを考えるとこれがまたとまることになりますので、そういったものを防止していく必要があろうと思いますので、所要の措置を講ずるべくこの法案を提出させていただいたというのが背景であります。

宮本(岳)委員 昨年の当委員会で、我が党の佐々木憲昭議員の質問に対して麻生大臣は、「プロ向けのファンドということなんですが、現実はプロ向けじゃないというのが一番話を込み入らせているというか、被害を大きくしている」と述べられました。

 まさにそのとおりでありまして、プロ向けファンドを利用した詐欺的投資被害の特徴は、プロ投資家を対象とする仕組みであるにもかかわらず、一名以上のプロがいれば、四十九名以下ならプロ以外の者にもプロ向けファンドの販売、投資運用ができるという特例を利用し、一般消費者に被害を拡大させたという点であります。

 二〇〇七年に証券取引法が改正され金融商品取引法が成立したときからこの制度は設けられております。プロ向けファンドなのにどうして一般投資家にも販売できるようにしたのか、その理由をお答えいただけますか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がありましたように、プロ向けファンドにつきましては、金融商品取引法の制定に伴いまして新たに規制がかけられることとなったところでありますけれども、この際、プロ向けファンドは基本的にプロ投資家を対象とするファンドではありますが、当該ファンドと関係の深い一般投資家なども出資している場合があるというファンド業務の実態を踏まえ、そうした方が少人数にとどまる場合においてはプロ向けファンドとして簡素な規制をするということで、ファンドを通じた成長資金の円滑な供給を阻害しないということが配慮されたということであると理解をしております。

宮本(岳)委員 金融審議会ワーキングチームに提出された金融庁の資料を見ますと、当時の議論は、プロ投資家を対象とするファンドについては、一般投資家を念頭に置いた規制を相当程度簡素化し、金融イノベーションを阻害するような過剰な規制とならないように配慮するとしながらも、当該プロ投資家と関係の深い一般投資家で、ファンド運営会社の役員等も出資しているような場合も多いとの実態を踏まえ、プロ投資家以外の者が少数にとどまる場合には、プロ向けファンドとしてプロ投資家のみを対象とするファンドと同等の扱いとすると、今答弁のあった、そういう抜け道をつくったことが語られております。

 当該プロ投資家と関係の深い一般投資家というんですけれども、幾ら関係が深いとはいえ、アマチュアの一般投資家である人、プロ投資家同様の投資判断能力がない投資家にリスクの高い金融商品がプロ向けの方法で販売されるということは当然想定できるわけですね。

 ですから、これは、うがった言い方をすれば、当初から、リスクマネーの供給のためには多少被害があっても仕方がない、こう金融庁は考えていたのではないかと私は思うんですが、大臣、そういう嫌いはございませんか。

麻生国務大臣 基本的に、この役所はそういった発想のない役所ですな。私らに言わせたら、投資というものはある程度リスクのあるものだと思っているんですが、絶対ないようにしようというように考えるのが役人かしら、この人たちの言うことを聞いていたら金は全然動かなくなるなと思って聞いていました。

宮本(岳)委員 大臣、被害の実態を少ししっかり見据えて議論をしたいと思うんですね。

 内閣府の消費者委員会は、二〇一三年八月にまとめた詐欺的投資勧誘に関する消費者問題についての調査報告において、プロ向けファンドを利用した詐欺的投資勧誘被害の存在を報告し、とりわけ高齢消費者被害への対策の必要性を指摘して、翌二〇一四年四月二十二日の適格機関投資家等特例業務についての提言というものを行いました。

 消費者委員会にきょうは来ていただいておりますから聞きますけれども、プロ向けファンドを利用した詐欺的投資勧誘とこれによる深刻な被害が後を絶たないと指摘しておりますけれども、提言を行った背景について述べていただけますか。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者委員会は、御指摘のとおり、平成二十六年四月二十二日に、先ほど御指摘の提言を取りまとめ、公表したところでございます。

 この提言を公表した背景でございますけれども、適格機関投資家等特例業務が本来プロ向けの制度であるにもかかわらず、現行の規定では、四十九名以下であれば投資経験の乏しい一般投資家も出資することが認められているため、適格機関投資家等特例業務を悪用した詐欺的投資勧誘による深刻な被害が後を絶たない状況があるということでございます。

 このため、消費者委員会としましては、適格機関投資家等特例業務における出資者の範囲について、少なくとも億単位の余剰資金を持って投資性の金融取引を年単位で継続的に行っている投資家という要件を満たすべきことと、それから悪質業者の排除のための取り組みを徹底すべきことを提言したものでございます。

宮本(岳)委員 二〇一三年の十二月に国民生活センターは、「投資経験の乏しい者に「プロ向けファンド」を販売する業者にご注意!」を公表し、その被害の特徴をまとめて注意喚起を促すとともに、金融庁等に対策を要望しておられます。

 その発表資料で、「自宅への突然の訪問や電話により、投資経験が乏しく積極的に契約を望んでいない高齢者等に対してハイリスクで複雑なプロ向けファンドが販売されている」、こう指摘をしております。

 相談の具体例を見ましても、突然の電話で、認知症ぎみの高齢者、八十歳代女性にプロ向けファンドを勧める、判断力が不十分な高齢者、七十歳代女性に必ずもうかると言って電話勧誘する、リスクを理解しない高齢者、七十歳代男性にプロ向けファンドへ出資させるなど、被害者の実情は、とても一般投資家と言えず、先ほど大臣もお話しになった高齢の消費者なんですね。

 消費者委員会に聞きますけれども、被害者の多くはハイリスクの投資の知識もない高齢者だと思うんですけれども、そうですね。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 国民生活センターの報告にもありますように、多くは高齢者の方で、投資経験のない方に被害が出ていたというふうに承知をしてございます。

宮本(岳)委員 今回の法改正案の概要を見ますと、投資の素人にも販売が可能なことから、投資家に被害を与えるケースが急増と書かれております。ちょっと違和感を覚えるんですけれども、金融庁はこのような高齢者の被害者を投資家というふうに見ておられるわけですか。大臣、いかがですか。

池田政府参考人 金融商品取引法の枠組みで申せば、投資家ないし投資者ということになろうかと考えております。

宮本(岳)委員 とても投資家と言えないような普通の高齢者がプロ向けファンドに巻き込まれているのが実態なんです。

 国民生活センターによれば、相談事案の契約当事者の年代別割合というものは、八十歳以上が二三・八%、七十歳代が三七・九%と、五割以上が七十歳以上の高齢者であります。しかも、多くのケースで強引な勧誘や虚偽の説明により金融商品を買わされていることから、高齢者をターゲットとした詐欺そのものだと言わなければなりません。一般的な投資家がだまされたというようなものでは決してないわけですね。

 結局、プロ向けファンドといいながら、一般消費者にもリスクの高い商品を販売できる抜け道を最初からつくったことが、今回の高齢者の投資被害を起こした原因だと思うんです。

 では、今回の改正案でどうなるのか。販売可能な投資家の対象範囲については、法律でなく政省令で制限することとなっております。プロ投資家、いわゆる適格機関投資家以外の対象について、どのような内容になっておりますか。

池田政府参考人 御指摘のとおり、プロ向けファンドの出資者の範囲については政令、内閣府令で具体的に定めることとされておりますけれども、本来プロ向けファンドは、プロ向けの制度であることを踏まえまして、投資の素人である一般の個人は対象外とする。

 一方で、ファンドと関係の深い出資者という者もいるプロ向けファンドの実態を踏まえて、投資判断能力を有すると認められる一定の投資家及びプロ向けファンド届出者と密接に関連する者、こういった者に限って、個人については投資が可能な枠組みを政令、内閣府令で規定するということを考えているところでございます。

宮本(岳)委員 ですから、販売可能な投資家の対象範囲でありますけれども、今お話にあったように、投資判断能力のある者というのは、プロ投資家以外の対象についてどのような内容を想定しているか、お答えいただけますか。

池田政府参考人 出資者の範囲は、具体的に申しますと、政府、自治体、あるいは上場会社、純資産または資本金が五千万円以上の法人、あるいは投資性金融資産を一億円以上保有する個人、それからプロ向けファンド届出者及びその親会社、子会社等の役員など、さらにベンチャーファンドにつきましては、一定のガバナンスが確保されることなどを前提に、上場会社の役員、元役員などにも出資を認めるなどの形で規定することを考えているところでございます。

宮本(岳)委員 つまり、一般投資家は原則不可となるものの、富裕層個人投資家及びファンド運営業者の役職員が対象者として残されました。ここで言う富裕層個人投資家というのはどのような定義になっておりますか。

池田政府参考人 その点につきましては、金融審議会での議論を取りまとめました報告書におきまして、投資性金融資産を一億円以上保有する者という者をプロ向けファンドに投資できる個人の範囲にするということの考え方が示されておりまして、これに沿った手当てをしたいと考えております。

宮本(岳)委員 投資性金融資産を一億円以上保有しているというだけで、プロ投資家と同様の投資知識や経験があると果たして言えるのかということなんですね。例えば、都心に居住していた人が土地を売り、とりあえず公社債などの形で保有する、こういう場合には一億円をすぐに超えます。投資経験もないまま、親から株式等を相続するということもあるでしょう。そもそも、投資性金融資産とは何なのか、なぜ一億円以上なのか、これがまず第一点です。

 それから、被害の実態で明らかなように、被害者の大半が高齢者ですから、現役時代には投資経験が豊富な方でも、複雑な新しい金融商品が次々出てきますから、それについては知識が乏しかったり、あるいは認知症を患われるという可能性もあります。多くの資産を保有していても、プロ向けファンドへの投資の適合性が認められない者というのは当然あり得るわけです。このような個人への販売の適正をどのように担保するのか。

 先ほどの第一点目を含めて、この二点、お答えいただけますでしょうか。

池田政府参考人 この投資性金融資産などの規定につきましては、御指摘のような御指摘もあろうかと思いますが、他方、この点についてはある程度外形的に明確に定めませんと、なかなか執行ができないという問題もございます。

 また、今回の法制では、政令、内閣府令によりまして投資者の範囲を限定するということとあわせまして、プロ向けファンドの勧誘に関しましても、いわゆる金融商品取引法上の適合性の原則というものを導入させていただくことを提案させていただいているところでございます。

 したがいまして、顧客が仮に出資者としての要件を形式的に満たすことになったといたしましても、当該顧客の知識、経験、財産の状況それから契約締結の目的等に照らしまして、そうした方を勧誘することが不適当と認められる場合はそうした勧誘は行ってはならないということをあわせて今回の法律で規定させていただくことを考えているところでございます。

宮本(岳)委員 しかし、業規制やあるいは行為規制で被害は回復しないわけですよ。過去の被害からも実効性は疑わしいと言わざるを得ません。

 そこで、高齢者の被害を防止するにはやはり勧誘規制を行うことが重要だと思います。自宅への突然の訪問や電話により、投資経験が乏しく積極的に契約を望んでいない高齢者等に対してハイリスクで複雑なプロ向けファンドが販売されているという先ほどの被害実態を見れば、勧誘の方法に規制をかけることが重要であると私は思うんですね。

 そこで聞きますけれども、本改正でどのような勧誘の規制が行われるんですか。

池田政府参考人 繰り返しの御答弁になりますけれども、今回の法改正におきましては、プロ向けファンドの販売、勧誘につきましていわゆる金商法上の適合性の原則を適用する、それを通じまして、その販売、勧誘に当たりましては、顧客の知識、経験、財産の状況及び投資の目的等を勘案し、適切な勧誘を求めるという規定の導入を御提案させていただいているところでございます。

宮本(岳)委員 では、ずばり、勧誘規制は行われるんですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの、現在の法律のもとでは、プロ向けファンドに係ります行為規制といたしましては、虚偽の説明をしてはいけない、あるいは損失補填をしてはいけない、こういう行為規制しか存在しておりませんでしたが、今回の法改正におきましては、今申し上げました適合性の原則の導入、それから出資に伴うリスクについての説明義務の導入、そうした、現在、金融商品取引法におけます登録業者、金融商品取引業者について適用されております規制と同様のものを規定させていただくことを御提案させていただいております。

宮本(岳)委員 なかなか話が進みませんね。

 昨年成立したクラウドファンディングの場合には電話、訪問販売は禁止、こうなっているわけですね。しかし、クラウドファンディングよりさらにリスクの高いプロ向けファンドで、一般の個人への販売の道を依然として残しながらも、電話、訪問販売の禁止等々の勧誘規制というのは入っているんですか。

池田政府参考人 金融商品取引法では、業務の態様などからして、適合性の原則を守ることがおよそ期待されないというような場合にはいわゆる不招請勧誘の禁止等の規定が設けられているケースがございますけれども、今回の法改正案では、そうしたことではなく、適合性原則という原則的なルールの適用ということで対応を図っていくことを御提案させていただいているところでございます。

宮本(岳)委員 ずっと議論してきて、冒頭でも確認したように、大臣も、プロ向けといいながらプロでない人たちに売っているというところが一つの問題点だと、こういう議論から始まった。

 今回は、そうしたら、その実態を踏まえてプロ以外には一切売らないというふうにするかというと、幾つかの条件を設けるだけで、一般投資家に販売する道を残している。そうなれば当然不招請勧誘の禁止を盛り込むべきだと私は思うけれども、それは設けない、依然としてプロ向けの販売を前提としたルールでいくんだと。これはちょっと不十分なんじゃないかと私は思いますけれども、大臣、そう思われませんか。

麻生国務大臣 不招請勧誘の禁止というのは、難しい言葉ですけれども、その気でもないやつにいろいろ勧誘するという話なんですけれども、金融商品取引法上、業務の態様などがいろいろありまして、適合性の原則を守ることがおよそ期待されないという人たちを含めて、いろいろ限定的な場合だけに限ってこれは設けられてきたところなんです。

 そうした中で、プロ向けファンドに関して、適合性の範囲を超えて直ちに不招請勧誘の禁止ということになりますと、これをやってもまだこういうのがどんどん続いているというならちょっと考えないかぬことになるのかもしれませんけれども、ファンドの円滑な組成とか組み立てに与える影響なんかがありますし、またこれまでの行為規制との間の整合性の問題もあろうと思いますので、それを直ちにこの不招請勧誘のところまでいくのはちょっと、いま少し慎重な態度が必要じゃないかなと今のところ思っております。

宮本(岳)委員 一般の消費者がプロ向けファンドの被害に巻き込まれないようにするためには、言葉どおり対象をプロ投資家に限定することが一番だと思うんですね。仮に限定的に認めるとしても、厳格な行為規制が必要であります。適合性の原則などは具体的な規制を示さなければなりませんし、何よりも、そのような人たちが無用に勧誘されないように不招請勧誘の禁止も盛り込むべきであると私は思います。

 次に、参入規制について聞きたい。

 プロ向けファンドは届け出のみで始められるために、他の運用、販売業と比べ、安易に始めることができます。現在、金融庁は、金融商品取引法違反行為等が認められたプロ向けファンド届出者に対しては警告書を出し、問題業者としてウエブサイトで公表しております。最近の資料では、届出業者は何者で、うち問題業者は何者ありますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年三月末時点におけるプロ向けファンドの届出者は三千百二十三業者でございますが、このうち、警告書を発出した届出者、報告命令に応じない届出者、連絡がとれない届出者等、問題のある届出者として金融庁ウエブサイトにおいて公表した者は六百三業者となっております。

宮本(岳)委員 三千百二十三者のうち六百三者といえば約二割、これが問題業者なんですね。しかも、政府の資料によれば三百五十六者は連絡すらとれない、こういう状況であります。とてもまともな市場とは言えません。

 証券取引等監視委員会も、件数は少ないんですけれども、毎年届出業者の検査を行っております。二〇一四年度の検査でも、三十一者の特例業務届出者について検査を行い、うち十七者で問題が発覚しております。つまり、五五%、半分以上の業者で適格機関投資家等特例業務の要件を満たさないまま勧誘または運用する事案、成功報酬や配当金などについて実際とは異なる記載がされた勧誘資料で勧誘する事案、ファンド出資金の流用の事案等の問題が発覚したということであります。

 二割でも問題でありますけれども、全業者を対象に行えばもっと多くの業者に問題が発見される可能性があるのではないかと私は思いますけれども、大臣はそう思われませんか。

麻生国務大臣 このプロ向けファンドの届出者に対する検査というのは証券取引等監視委員会が実施しておるというのが実態でありまして、監督部局からの情報、外部から寄せられる情報等々を積極的に利用して、リスクの高い先から選定して、いろいろな意味で実効性のある検査を実施しているものだと私どもは聞いております。

 一方、こうした検査は、人的資源が極めて限られておりますので、そういった意味では、実態に応じた数からいえばなかなかそれに合わせられているところがないのではないか。したがって、監視委員会の方からは、制度の整備を受けて、機構の定員要求というものが今後行われることになるだろう。私ども、金融庁というより財務大臣といたしましては、これはまた別の金が要求されることになるなという感じがしないでもありませんよ、正直なところ。

 ですけれども、こういう体制整備を固めないと物理的な話で無理なことが出てくるだろうと思いますので、効率的とか効果的とかいうことはやるにしても、定員やら何やら、ある程度の機構改革というものをきちんとやっていかないと、この法律ができても、その整備がやれる、法律どおりに実行せしめるための絶対的な人数をある程度確保する必要があるんじゃないかなという感じはしております。

 動き始めたらみんなが自粛して意外ときちんと動く、それほど殊勝な人ばかりいるとは思わぬけれども、そういうことも期待できないわけじゃないとは思いますけれども、ある程度人数の確保が要るだろうかなという感じはしております。

宮本(岳)委員 悪質業者に目星をつけて調査に入っているから五割を超えているんだという御答弁です。もちろん、私は全体の五割以上だとは言いませんよ。しかし、二割という最初の数よりも多いことは想定されるわけですね。

 結局、悪質な業者は、プロ向けファンドを悪用、乱用して高齢者等から資金を集めた後、連絡がとれなくなったり破綻をするという者が少なくなくて、投資者の被害回復を図ることが非常に困難だという場合が多いわけですよ。老後の生活資金を失う被害も珍しくありません。

 それで、時間が参りましたから私は終わりますけれども、この間、私は大臣と、NISA、あるいはGPIF、厚生年金基金のAIJ問題など、投資について当委員会でも何度も議論してまいりました。

 成長戦略として、リスクマネーを供給するためには何でもするというのが安倍内閣の姿勢であると言わざるを得ません。貯蓄から投資へとの政策目標のために減税や規制緩和を行ってきたわけですけれども、これは全く成功しておりません。今回の改正内容でも明らかなように、悪質業者が潜り込むすきが残されているんです。結局、安心して投資できない市場だから、日本の市場では投資が広がらないのではないか、こう言わざるを得ません。

 本法案は、不十分ではありますけれども、消費者団体等の要請に応じて規制強化を進める内容でもあり、我が党も賛成いたしますが、金融市場を活性化させたいのであれば、安心して信頼できる金融市場をつくることが最も近道であるということを指摘して、本日の質問を終わりたいと思います。

古川委員長 午前十一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時開議

古川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。丸山穂高君。

丸山委員 維新の党の丸山穂高でございます。

 私からも、引き続きまして、今回の金商法の改正につきまして質疑させていただければと思います。

 まず、具体的な数字についてお伺いしたいんですけれども、これまで独立行政法人国民生活センターにいわゆるプロ向けファンドに関する相談が種々寄せられているという話、しかもそれが増加してきているという話を伺っております。ただ一方で、金融庁さんと話をしていても、二〇一三年の途中までのデータは集まっているけれども、それ以降がわからないというお話があります。

 その点につきまして、まず一つは、具体的なきちんとした数字を伺いたいんですけれども、一三年以降の相談件数については把握されているのかどうかが一つ。そしてもう一つは、金融庁さんが公開している問題リスト、いわゆる問題リスト掲載業者、この数の最新の数値についても具体的にお伺いしたいと思います。お願いします。

河津政府参考人 御質問のうちの件数の件につきまして回答させていただきます。

 全国の消費生活センターに寄せられました消費生活相談に関する情報につきましては、国民生活センターが管理運営をしております、PIO―NETと呼んでおりますが、データベースに登録されているところでございます。

 このPIO―NETにおきましては、相談を受け付けました相談員が、その相談の内容から判断いたしましてキーワードを設定して、そのキーワードに基づいて分類、集計するという仕組みをとっております。

 いわゆるプロ向けファンドに関する相談は、このキーワードの中では、ファンド型投資商品というものの中に含まれているというふうに考えられるわけでございますけれども、この中からプロ向けファンドということで特定したものを抽出するためには、届出業者の名前と照合する、あるいは名前がまたいろいろ複雑で難しいというようなこともございますし、名前がよくわからないというようなこともございますと、今度は中身を一つ一つ見るというような作業も必要となるということで、時間がかかるものですから、大変恐縮でございますが、この場でお答えをすることが難しいというところでございます。

 したがいまして、この場でお答えすることはできませんけれども、若干の日数は要するところでございますが、これは重要なデータであると私ども考えておりますので、金融庁に御協力もいただいて、速やかに集計をしたいというふうに考えておるところでございます。

丸山委員 それはオープンにしていただけるということでよろしいんですよね。うなずいていただきましたので、きちんとオープンにしていただきたいと思います。

 金融庁さん、どうですか。

森政府参考人 お答えいたします。

 直近の数字が平成二十七年三月末時点でございますが、この時点におきましてプロ向けファンドの届出者は三千百二十三業者でございます。このうち、警告書を発出した届出者、報告命令に応じない届出者、連絡がとれない届出者など、問題のある届出者として金融庁ウエブサイトにおいて公表した者が六百三業者となっております。

丸山委員 六百三業者ということで、先ほど鷲尾委員の方からかなり大きな数字だという話がありましたけれども、一方で、その中でも立検までできているのは二十件ぐらいだという話も聞いております。

 一つ懸念しているのは、今回、相談等があって把握できて、そして確認という作業までできているのは氷山の一角にすぎない可能性がかなりあるんじゃないかなというふうに考えているんですけれども、このあたり、金融庁さんの認識はどうなっていらっしゃいますか。

森政府参考人 金融庁といたしましては、相談があって、投資者保護上問題があるという可能性がある場合は、実態把握を行って、必要に応じ検査を実施するなどの対応をとっておりますけれども、具体的な数字を把握しているものではございませんが、連絡がとれない届出者には既に事実上廃業している者もあると考えられますし、相談等が寄せられた届出者につきましては、限られた人員の中で最大限の対応に努めてきたところでございます。

丸山委員 役所としては最大限の対応をするとおっしゃるしかないかなというところはありますけれども、一方で、連絡しても、六百件当たり三百五十件近く連絡がとれないという状況は極めて悪質ですし、限界があるなというのをすごくデータから見て感じるので、現場の皆さんはよりそうお感じになっていらっしゃると思います。

 そういった意味で、もう少し詳しくお伺いしたいんですけれども、今、かなり被害が拡大をしています。こうした中で、これまでどういう対策をとられてきて、その実効性についてどうお考えで、だからこそ今回の法改正につながっているんだと思うんですけれども、このあたりをもう少し詳しくお伺いしたいんです。

大森政府参考人 お答えいたします。

 プロ向けファンドについて、金商法違反行為あるいはファンド資産の流用といった投資家保護上の問題が認められた場合には、金融庁、財務局あるいは私ども監視委員会において、警告書の発出やウエブサイトでの公表、警察当局等の関係機関への情報提供を行うほか、特に、監視委員会では、緊急の必要性があれば、裁判所への違法行為の禁止、停止命令の申し立てを実施してきたところでございます。

 ただ、制度上の限界があるというのは我々も感じておることでございまして、今回の法改正により、問題のあるプロ向けファンドに対する業務改善命令、停止命令、廃止命令といった監督上の処分が導入されることになりますので、法施行後は速やかにこうした対応を適切に行えるよう体制整備を図り、適確に執行してまいりたいと存じます。

丸山委員 大臣、先ほど来、機構・定員の話をされているので、少しお伺いしたいんです。

 大臣の御発言を聞くと、財務大臣として、金融担当大臣としても、両者を兼ねられているので、今回の件、基本的には、被害の拡大をきちんととめていくために機構・定員の要求をせざるを得ないかなと思っていらっしゃるという御発言。ただ一方で、今回の法が施行されて、それに伴って被害が減った現状があるのであれば、そこは考えなければならないという条件をおっしゃっております。

 基本的に、例えば来年度の機構・定員をしようと思ったら、法施行の前にある程度要求をしていかなきゃいけないと思いますが、時系列で考えて、今の大臣の御発言を私の中で整理して捉えると、まずは、今回の法改正がもし通ったのであれば、きちんと機構・定員の拡大の充実を図っていく、一方で、法が施行されて、その経緯の中で少し被害が減ってくれば、機構・定員については少し、予算の問題もありますので、抑えていく可能性があるという認識でよろしいんでしょうか。大臣、もしよろしければ伺います。

麻生国務大臣 丸山先生、正直申し上げて、話は、届出制にするか、登録制にするか。御存じのように、ヨーロッパの方は登録制、アメリカの方は届出制とか、いろいろ国によってこの種の話は違うんですが。

 これは始まったばかりのところもあって、ある程度、善意の第三者を対象にして、悪意の第三者ばかりを相手に法律をつくるわけではなくて、役人をやっていたんだからおわかりでしょうけれども、善意の第三者という前提で法律をつくりますので、それをやらせていただくんですが、結果として悪意の第三者は数が存在するわけですから、それによって被害が出る。

 その被害というものをひとつおいて、傍ら、こちら側の方は、巨額の預貯金、加えて現預金というものの額の比率の大きさ等々を考えて、これが成長資金に回っていくような形に誘導していくというのをやらないと、日本の経済構造を考える意味でということやいろいろな大前提を置いて考えますと、こういったもののファンドが新しくできていくことを妨げることのないようにしておかないかぬというところと、なかなかバランスが最も政治として難しいところだと思っております。

 少なくともこの法律が施行されるということによって、先ほどの三割を超えるとか二割とかいろいろ表現はありますが、そういったような業者の実態がどのように変わっていくかというのはちょっと見ないとよくわからぬところだとは思いますが、依然としてということなのであれば、それをきっちり実行せしめるだけの人数がいないじゃないかというように見られたら、これは間違いなく、法律は変われども今までと余り変わらないということになるのであれば、人数をふやしてきちっと対応するということまでいかないかぬというところで、ちょっと今の段階でどうするということを申し上げる段階にはありませんけれども、いろいろなことに柔軟に対応できるように我々としては考えておかねばならぬと思っております。

丸山委員 大臣、これまでの御発言である程度、機構・定員の話もされまして、現状としては対応が難しいというお話を踏まえた上で検討していくということはおっしゃっておりますので、現場の皆さんの話を聞いていてもかなり厳しい状況と伺っておりますので、前向きに。

 我が党は基本的に民間でできることは民間でという形で、余り公務員の数をふやすのはどうかという意見も多いんですけれども、一方で、今回の件に関しましては、本当に被害を受けていらっしゃる方の把握すら難しいという現状、そしてそれを取り締まるのはより難しいので、そういった意味で、大臣のその辺の検討の話、ぜひともよろしくお願いしていきたいというふうに考えているところなんです。

 一方で、細かい部分につきまして、少し法案の中身を伺っていきたいと思います。

 一つ、数字の話ですが、出資者の範囲に係る見直しが今回行われております。法人については、純資産または資本金の額が五千万円以上の法人は今回の出資者の範囲にいけるという形の改正だというふうに伺っております。今回、五千万円とした理由というのはどういったものなんでしょうか。この規定について何か根拠があってのことでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 プロ向けファンドに投資できる出資者の範囲につきましては、今後、政令、内閣府令で規定することを考えておりますけれども、金融審議会でこの問題を議論いたしました。その報告書におきましては、御指摘のとおり、法人については、純資産または資本金の額が五千万円以上である法人をプロ向けファンドに投資できる法人とすべきであるという考え方を整理させていただいております。

 これにつきましては、現在の金融商品取引法のもとでは、例えば特定投資家制度といったような制度がございますが、そうした制度のもとでは、法人については全てプロの投資家である特定投資家になることが選択できるというような制度もございますけれども、今回は、その中でも特に一定以上の規模を有する法人に限定してプロ向けファンドの出資者の範囲に含めることが適当という考え方に沿って、先ほどのような整理をさせていただいております。

 そして、その際の法人の一定以上の規模という点については、一つには中小企業基本法における中小企業の定義ですとか、あるいは今現在健全に運営されているファンドへの出資の実態などを勘案しまして、今言及のございました純資産や資本金額が五千万円以上という水準を考え方として整理させていただいたということでございます。

丸山委員 話が前後するんですが、麻生大臣の方に後ろから御説明いただいて、機構・定員の話。先ほど大臣がお答えいただいたのは、恐らく私が質問通告で大臣にさせていただいた要はバランスの問題のお話を兼ねてお話しされたと思うんですけれども、機構・定員の部分をもう少し詳しくお伺いしたいんです。

 今般の改正を受けて、恐らく体制の充実が要るだろうという話を麻生大臣はされております。それに伴って、休憩前の鷲尾議員そして宮本議員の質問に対しての御答弁では、機構・定員の拡充を金融担当大臣としては考えている、一方で財務大臣としては予算の関係でどうかと思うところもあるというお話がありました。

 法施行に関して、これはできる限り早く施行していく、恐らく年内か、もしくは、いっても年が明けてすぐだと思うんですけれども、この関係で考えたら、施行したらやはりきっちり、監督業務の充実というのはなるべく早目に図っていかなきゃいけないと思うんです。そうすると、機構・定員の要求も、予算の話ですから、前倒しになっていくということで、かなり早目の御決断をしなきゃいけないというふうに思います。そういった意味で、法施行の後の数字を見てからでは若干遅いんじゃないかというのが私の認識でございまして、麻生大臣、どうお考えかというのを、もし先ほど以上にあれば。

麻生国務大臣 予算やら概算やら、苦労した経験者じゃないとなかなか今みたいなせりふは言えぬのだと思いますが、今おっしゃっている点は確かに、十分考えておかないかぬ点だと思います。ただ、これは概算として我々が考えておかないかぬところなので、あらかじめそういったものを考えてやるというのが一つ。

 もう一点は、実際問題、こういうのが出て厳しくなるぞということになって、一罰百戒じゃないけれども、話題の業者のところにいきなりばさっと入ってきただけで、それだけで効果はある程度出てきますからね。だから、それは、手口まで全部しゃべる必要は全くないと思いますので、いろいろなやり方があると思っております。

丸山委員 やり方どうこうは難しいところだと思いますけれども、確かに、ニュース性だとか、そういった意味で、うまいやり方はあると思います。やはり悪い業者に対してはおかしいだろうと言っていくのが社会の要請だと思いますので、そのあたりは監督官庁さんとしてしっかりやっていただきたいと思います。

 そして、時間もなくなってまいりましたので、細かい数字について再度お伺いしたいところがあります。

 休憩前に宮本委員よりお話もありましたけれども、守らなきゃいけない一番大きなところは個人投資家の方々の部分だと思いますので、国民生活センターに寄せられた相談も、やはりそういったところの方々を守りたいというのが今回の改正の趣旨ということだと思います。

 出資者の範囲の見直しについて、投資性金融資産の一億円以上というところで、これもまたきっちり数字を切った割には、先ほどの役所の方の御答弁だと、どこかで決め打ちをしなければいけないみたいな御発言もあって、若干わかりにくい部分があります。投資性金融資産一億円となると、全資産でいえばもっともっとお持ちの方なんだ、かなりのお金持ちの方かなという気もするんですが、このあたりにした根拠というのをもう一回きちんと御説明いただけますでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 この点につきましては、まず、投資性金融資産、これは不動産ですとか預貯金といったものは除かれるということになりますけれども、そうした投資性金融資産に係る取引を継続的に行い、かつ、その残高が高額となっている者については、金融取引に係る適切なリスク管理を行うことが期待できると認められるだろうという考え方が一つ。

 それから、この水準に関連しましては、例えばアメリカにも適格投資家という制度、アクレディテッドインベスターという制度がございますが、この基準におきましても住宅を除く純資産が百万ドル超の者となっている。そうしたファンドにおける各国の規制等も勘案しまして、投資性金融資産を一億円以上持っている個人ということが適当という考え方が整理されたところでございます。

丸山委員 御答弁でも、適合性の原則の話、四十条のお話がありましたけれども、業者側が個人投資家の資産の確認をどうしていくのか、きちんとそれがそういった条件に当てはまっているかどうかというのを確認できるのかどうかというのは非常に大事なところで、言い方が変ですけれども、ちゃんとそうした制限をして今回規制をするわけですから、規制の枠内できちんとやっているかどうかというのを、集める悪徳業者側にきちんと手続をとらせるのかどうかというのは非常に大事な観点だと思うんです。この辺の、利用者の資産の確認というのは、業者側はどういった手続をとらなきゃいけないんですか。

池田政府参考人 先ほど申し上げましたように、投資家の範囲については、今後、政令、内閣府令で規定することを考えておりますが、これまでの金融商品取引法の既存の制度であります例えば特定投資家制度等におきましては、このような投資性金融資産の金額の確認方法につきまして取引の状況その他の事情から合理的に判断することとされておりまして、同様の規定を検討することによりまして、関係業者において取引の状況その他の事情からそうした金融資産の額にあるのかどうかということを合理的に判断するということを明確に求めていくことを考えているところでございます。

丸山委員 もう時間が来たので終わりますけれども、ここの部分の資産を確認させる方法というのは非常に大事になってきます。ここが薄ければかなり詐欺等がより起こりやすくなってくると思いますので、きちんと政省令を定めていただけますよう、現場でもやっていただけますようお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 維新の党の伊東信久でございます。

 金融商品取引法というのは毎年のように改正されておりますけれども、本改正案は、いわゆるプロ向けファンドの制度に対してより厳しい規制を設けるということだと理解しております。

 私自身もこのプロ向けファンドに関してはちょっと苦々しく思っているところがございまして、というのは、私の経営している医療法人にも営業の電話が実際何度かかかってきます。受付の子が、つながなくてもいいんですけれども、プロ向けファンド、それは伊東先生喜ぶわということでつないでしまって、営業電話に対応したことが何回かありました。本当に今はむちゃくちゃでございまして、お医者さんだけに特別に御案内しますとか、絶対出てくるのが、ここだけの話という言葉なんですね。絶対にもうかりますまで言います。最後には、僕の言うことを信じてくださいと。選挙かと思うんですけれどもね。

 今にして思えば、金融商品取引法や金融商品販売法で禁じられている勧誘をしておりました。もちろん、今はそういう対応はしませんけれども。ただ、勧誘の電話というのは非常に上手でして、うちの医療法人に欲しいくらいの営業マンだと思います。かなり粘りますね。

    〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕

 麻生大臣とは、たしかこの財務金融委員会で前に、ジュニアNISAに関連して、コミックの「インベスターZ」という話、高校生が学校を挙げて投資をするコミックについてお話もさせていただいたことがあったんですけれども、プロ向けファンドのコミックはないかと調べたら、あったんですね。「クロサギ」という漫画で、厳密には「新クロサギ」という漫画、コミックでプロ向けファンドについて描かれておりました。その回は、御興味のある方は五巻から六巻を読んでいただいたらいいんですけれども、環境ファンドに関してなんですね。

 読んだ当時というのは、まだ私は先ほどの医療法人の理事をやっていて、政治の世界に入る前でしたので、こんな詐欺もあるんだなと思っていたんですけれども、現実の世界においてもこのようなだましや詐欺が横行していることに驚きを覚えました。前述の営業マンのような電話営業に高齢者が対応すると、だまされて購入するのも確かにうなずけます。そういった観点から考えると、やはりちょっと本改正案の規制強化は甘いように感じます。

 一方で、経営者の立場からしますと、ベンチャー企業がいかに資金集めに苦労しているかというのも十分理解しております。また、うちの医療法人への電話なんですけれども、事業意欲のある若者が、伊東先生、僕の事業に出資してくださいというお願いもやはり来ます。彼らの苦労を目の当たりにしているので、ベンチャー企業、特に二十代後半から三十代にかけての若者のベンチャー企業の貴重な資金集めの方法に歯どめをかけてしまうような規制というのは、ベンチャー育成の観点からすると反対です。

 ただ、今回の改正案では引き続き届出制を採用し、業者を事前に審査する登録制に変更しないと理解しております。確かに、登録制にするとファンド運営業者の訴える新規参入のハードルが高くなるということは理解していますし、ベンチャー企業育成の足かせになってもいけません。

 通常、業者がファンドの持ち分を取り扱う場合、第二種金融商品取引業としての登録が必要となりますけれども、プロ向けファンドはプロ向けであることから届け出でよいと、販売、勧誘規制が大幅に緩和されるのが現状であります。現実に、詐欺にだまされた高齢者の方から、お国のお墨つき、このお墨つきという言葉にやはり弱いようで、これを得ているので信用してという声が多々ありまして、また、勧誘の電話で金融庁に届け出をしていると、この届け出をしているという言葉も、金融庁公認の事業であるかのように説明し、相手を信用させているようだとも聞いています。

 財金調査室が用意してくれた本改正案の資料をよくよく読んで、非常にシンプルですけれども、投資家保護の観点とベンチャー育成という観点の二つの観点からバランスよく考えなければならないので、財務省及び麻生大臣の御苦労というのはよく理解しているんです。

 五分たったのでここらで質問させていただくんですけれども、本改正案において登録ではなく届け出を継続した趣旨について、いま一度、大臣に御説明いただきたいんです。

    〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 登録制、届出制、先ほど御質問があっていましたけれども、ヨーロッパは登録制にしてあるんですね。アメリカの場合も、ベンチャーキャピタル用のファンドだけが届出制になっていまして、あとのは登録制になっている。たしかアメリカはそうなっていると記憶をします。

 そこで、今回の設計をする、設計というのは、登録制にするかあれにするかというのをいろいろ考えたときも、ファンドを通じた成長資金の円滑な供給というものを考えていくに当たっては、これは投資をする人の気持ちを阻害することにならないようにということで、被害の防止と育成という両立を図っていくことが一番大事なところだと思っておりました。

 仮に登録制に移しちゃうと、これは逆に登録審査というのに必ず時間を要することになりますので、ファンドの迅速な立ち上げというのは極めて難しくなるということだろうというのが非常に大きい。したがって、実務に影響を与えるということは確かだろうと思いますので、今度の金融審議会での議論などを踏まえまして、今般の改正では届け出ということにさせていただいております。

 届出制は維持しますけれども、しかし、届出者に係る要件の導入というので、行為規制は確認しますよとか、問題業者ということがはっきりした場合は行政が介入しますよとか、そういったところはきちんとさせていただくことになって、これでどれぐらい効果があるかというところが先ほど丸山さんだったかの御質問にあっておられたところで、これでどれぐらい効果があるかというところが一番私どもの見るところであります。

 効果があれば、それはそれでもう言うことはないんですが、なかなか難しいということになって、どんどんまたふえていくということになれば、それはさらに別のことを、規制をもっと厳しくするとか、人をもっとふやすとか、そういったようなことをやらないかぬということになりますので、ちょっとしばらくこれでどれぐらいの反応が出てくるかというのを見た上で、その上で判断をさせていただきたいと思っております。

伊東(信)委員 麻生大臣、ありがとうございます。きちんと確認をしていただけるということで。

 ちょっと話はかわるんですけれども、成長産業となる医療の世界でも、再生医療の認可に関して、届出制と登録制の分類に関してかなり盛んなる議論もされていますので、届出制と登録制のバランスというのは本当に非常に大事なことだと認識しております。その後の確認の重要性というのは、大臣が今御答弁していただいたと認識しております。

 先ほどの我が党の丸山議員の最後の質問にありましたように、ここでやはりポイントとなるのは、投資性金融資産一億円以上という話に私も持っていきたいと思っておりまして、現行のプロ向けファンドに対する規制では、投資に関する知識に乏しい高齢者に悪質なファンド業者の勧誘による被害が続出しておる、これを先ほどから強調しておるんです。

 国民生活センターの調べで、プロ向けファンドの契約者の九割が六十歳以上、販売購入形態は勧誘電話が六割、これに出てしまったのが私なんですけれども、訪問勧誘が三割ということですね。なけなしの老後資金で投資を行い、だまされた御年配者も後を絶たないわけです。現在もその事態は起きていると理解しているんですけれども。

 昨年五月のパブリックコメントに、出資者の範囲を投資判断能力を有する一定の投資家及び特例業者と密接に関連する者に限定するために、適格機関投資家以外の枠に富裕層個人、定義は投資性金融資産を一億円以上保有する個人投資家とあります。丸山議員の質問では、一億円と決めた理由と、業者側がそれを確認できるのかという話がございましたけれども、投資性金融資産一億円以上の定義を再確認したいので、政府参考人の方からお答えください。

池田政府参考人 投資性金融資産の定義というお尋ねでございます。

 これにつきましては、今後、政令、内閣府令等で定めていくことになりますが、具体的には、有価証券、それからデリバティブ取引に係る権利、デリバティブ預金、外貨預金、変額保険、外貨建て保険等、こうしたものが投資性金融資産として定義できるのではないかと考えております。

 逆に申しますと、通常の預貯金でありますとか不動産とかは投資性金融資産には含まれないというふうに考えているところでございます。

伊東(信)委員 丸山議員も最後のところで意見というかお願いとして言っていたことなんですけれども、実際に業者側がきちっと、投資性金融資産を一億円以上個人が持っていると。例えば、私は持っていませんが、伊東がちゃんと一億円以上持っているのか、そういうのを業者側がきちんと確認したのか、それをどのように調べるのか。先ほど丸山議員には制限の枠でできるのかというところのお答えをいただかなかったんですけれども、きちっと業者側が確認できているのかというのを政府としてはどのように確認するのか、もう一度お答えください。

池田政府参考人 金融商品取引法のもとの制度でいいますと、例えば従来から金融商品取引業者につきましては適合性の原則といった原則が定められておりますが、そうしたものを遵守するために、金融商品取引業者では、顧客の財産の状況等を顧客の申告ですとかあるいは預かり資産の状況により把握しまして、これに基づいて投資性金融資産の保有状況を判断しているのが一般であるというふうに考えております。

 プロ向けファンドの販売時における顧客の資産状況の確認方法につきましては、一方では、この点についても健全に営業しているプロ向けファンドの実務に支障が生じないよう配意をしていく必要があるものと考えますけれども、同時に、販売の相手が認められる投資家に該当するか否かの確認が確実に行われることとなるような手当てについて、必要があれば、監督指針に確認のあり方について何らかの規定を定めることも含めて、今後具体的に検討していきたいというふうに考えているところでございます。

伊東(信)委員 恐らく、私の医師仲間にもだまされた人がいると思うんですけれども、多分、恥ずかしくて言っていないだけだと思うんですね。国民生活センターの調査の話を先ほどしましたけれども、相談された人はやはりだまされた人のごく一部だと思うんですね、老後の余剰資金が潤沢でない人だと推察されるんですけれども。

 本改正案のベストとしましては、ベンチャー企業の資金集めに不都合が生じることなく、老後の余剰資金が潤沢でない御年配の被害を防ぐということになると思うんですけれども、登録制を採用するのではなく、届け出を継続される場合、だまされてしまう御年配者を一人でも救う方法としましては、富裕層個人の定義をしっかりさせて、投資性金融資産を一億円以上持っていなければファンドに参加できなくするということだと思うんです。

 投資性金融資産一億円以上の富裕層個人は政令で規定すると聞いていますけれども、本改正案の最大の肝は老後資金に余裕のない年配者から詐取する可能性を少しでも低くすることだと考えているので、きっちりと法制化した方がいいと思うんです。いま一度、いま一度という言葉を使いますけれども、麻生大臣、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お尋ねは、現在、政令等に委任される形に現行法はなっておりますが、それを法律で規定するということも検討してはどうかという御趣旨かと受けとめました。

 出資者の具体的な範囲については、今回の法改正案といいますか、現行法において既に政令等に委任がなされているところでありますが、こういう形となっておりますのは、その時々の経済、金融の状況ですとかファンド等をめぐる取引の状況などに即して、一定の投資判断能力を有すると認める者の具体的な内容を適時に機動的に定め、ファンドの健全な運営に配慮しつつ、同時に投資者保護を適確に図っていくという考えに基づき、政令に委任する規定になっているものと理解をしております。

 御指摘にありましたように、こうしたものを法律に規定するということにした場合には、先ほど申し上げましたような考え方に照らしたときには、投資者保護の確保に向けた機動的な対応を困難にするおそれがないかということに留意される必要があると考えているところでございます。

 したがいまして、今回のこの制度の見直しにおきましても、出資者の具体的範囲については、政令、内閣府令において定めるという現行の規定を維持させていただいているということでございます。

伊東(信)委員 通告においても麻生大臣にもこういったことに対しての御意見をお伺いしたかったんですけれども、大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 政令と法律のところは、隣の丸山さんなんかの方が詳しいところなんだと思いますが、これは法律でしちゃうと、今言われるからわかるんだろうけれども、こういうのをたびたび開いてやらない限りは変えられないんですよ、一回決めちゃうと。何かごちゃごちゃ言いたそうな人がいっぱいいるでしょうが。そういう人がいるわけですよ。だから、一回決めたらなかなかできない。

 そうすると、こういったようなプロ向けファンドが出てきて、まだよたよたしながら今でき上がりつつあるところだと、ある程度機動的に、これはぱっと変えないかぬとか、間違った、これはだめだ、どうしても、これをやっても登録制にしなければもう無理とか、いろいろな判断が多分今後は出てくるんだと思うんですね。状況を見ないと、しばらく動かしてみないとわかりませんけれども、そのときに機動的にやらないと、被害が大きくなるといよいよ話がさらに、細かいきちっとしたものをつくり上げちゃうと今度はファンドの方が動かないということになりかねぬというのを考えて、登録制じゃなくて届出制にしてみたり、法律じゃなくて政令にしたりしているというのはそういう背景と御理解いただければ幸いであります。

伊東(信)委員 先ほどから申し上げていますように、投資家保護の観点とベンチャー育成という観点と、二つの観点から考えなければいけません。

 ただ、本改正案によって、お孫さんのためにためていた資金や老後資金をだまし取られてしまうことがなくなるように切にお願いいたしまして、時間となりましたので、私の質疑を終わらせていただきます。

古川委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 最後になりました。民主党の鈴木です。

 私も、金商法の改正案について、私の立場で、重なる部分もありますけれども、お尋ねをしてまいりたいと思います。

 平成十八年の金商法制定の際に根っこの法律はできておるわけですけれども、温故知新という言葉がありますが、古きをたずね新しきを知るということではありませんけれども、何でそんなことをいきなり言い出したかというと、実は、この平成十八年のときに、私は、財務金融委員会で当時の証券取引法の一部改正のときに四回ほど質問をしておりますし、それから本会議でも二回ほどこの問題を取り上げているんですね。内心じくじたる思いと言うと大変大げさですけれども、多くの被害者が出ておるということであります。あのときにもっと、より慎重に、そして本当にいろいろ考えて法律を決めておけば、多くの被害者を被害に遭わせずに済んだのではないのかなという思いがあります。

 これは、一委員である、平の委員の私がそんな責任を感ずることはないことかもしれませんけれども、やはり大臣初め役所の皆さんは、一本の法律の陰に、人生を狂わせたり、本当に大変な思いをされる方も出てくるわけでありますので、そういうことを前提に、今回の改正についてもきちっとした議論をしていく必要があるのではないかな、このように思っておるわけであります。

 当時、この金商法ができる前は、いわゆる事業型ファンドを包括的に監督する法律というのはなかったんですね。そのため、当時の証券取引法等の規制が及ばない匿名組合形態など、そういった形を悪用したファンドが相次いでおったわけですね。これはやはり何とかしなきゃならないということで、今回のもととなる金商法を制定していったということであります。

 ファンドについて、集団投資スキームという定義を設けて、業として人様からお金を集め事業を行う、こういうことで投資を集めるというのを当局への登録制のもとできちんと監督することになったというふうに私は理解をしておるんですが、その考え方でいいんでしょうか。ちょっと確認をしたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、金融商品取引法の施行以前には、いわゆるファンドについて、行政による横断的な監督はなされておりませんでした。また、個別の法律により必ずしも十分に監督されていないファンドも存在していて、御指摘にありましたように、匿名組合形式の事業型ファンドなどに関して被害事例も見られたところであります。

 これを受けまして、金融商品取引法では、そうした規制のすき間を埋めて投資者保護ルールの徹底を図るという観点から、新たに、ファンドに関します包括的な定義規定を設けて有価証券に指定をする、そしてその自己募集ですとか財産の自己運用を金融商品取引業と位置づけて、原則登録制として各種行為規制を適用することとした、先生御指摘のとおりでございます。

鈴木(克)委員 今回問題になっているプロ向けファンドについては、登録制ではなくて届出制であるということであります。

 その理由を考えていきますと、この呼び名が与える印象から、このファンドに出資する人は全員プロだから規制が緩いんだなというふうに思うのが一般的、普通ではないのかなというふうに思うんです。しかし、これは、先ほど来から議論がありましたように、また皆さん御案内のように、一人のプロである機関投資家が出資者に含まれておれば、四十九人以内であれば素人の投資家が出資してもよい、こういうことになっておるわけですね。

 そこで、この法制定のベースとなった金融審議会の報告をちょっと読み上げさせていただくと、一般投資家、アマを対象とするファンドについては利用者保護の観点から十分な規制を課す一方、専ら特定投資家のみを対象とするファンドについては、一般投資家を念頭に置いた規制を相当程度簡素化し、金融イノベーションを阻害するような過剰な規制とならないよう、十分な配慮が必要と考えられると。

 恐らくこの報告が今回のベースになっておるというふうに思うんですが、この特定投資家というのが金商法上のプロの投資家に相当するというふうに思うわけであります。

 プロ向けファンドが、制度上、一般投資家からもお金を集め、それを運用することができるのに、登録制ではなく届出制とされ、行為規制も他の金融商品取引業者に比べて相当簡素なものとされたのはこの金融審議会の報告というのがもとであったというふうに理解をしておるわけですが、そういう理解でいいかどうか、これが一つ。

 それから、専ら特定投資家のみを対象とするファンドが、なぜ立法段階で適格機関投資家とそれ以外の者を対象とすることになったのか、そして最終的に適格機関投資家と、少数とはいえ特段制限のない一般投資家と決定をされたのか、その当時の経緯を、温故知新ではありませんけれども、少し金融庁から確認しておきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、その金融審議会報告の議論を踏まえて金融商品取引法の制定が行われたわけでございますが、その制定に当たりましては、一般投資家を対象とする集団投資スキームの販売、勧誘または投資運用を行う業者については登録を義務づける、一方で、プロ投資家を対象とする集団投資スキームの取扱業者については、金融イノベーションを阻害するような規制とならないよう配意するという基本的な考え方に立って法律の制定を行ったところであります。

 そして、その法律の制定作業を進める際に、基本的に、プロの投資家である適格機関投資家が出資者となるファンドでありましても、当該ファンドと関係の深い一般投資家、例えばファンド運営会社の役員などの方も出資している場合が多いという実態があることを踏まえまして、そうした適格機関投資家以外の者が少人数にとどまる場合には、プロ向けファンドとして、プロ投資家のみを対象とするファンドと同等に扱って、簡素な規制とするということとされたものであります。

鈴木(克)委員 くどいようですけれども、少し昔の話をさせていただきたいんですが、二つの点で申し上げます。

 一つは、二〇〇六年、十八年ですね、四月二十五日に、私は当委員会で当時の証券取引法の一部を改正する法律案について質問をして、今のような状況を少し指摘したんですが、そのときに三國谷政府参考人が、

  御指摘のとおり、これによりまして、本来一般投資家であるべき方が特定投資家と扱われまして、不測の事態とかあるいは損害をこうむることのないよう、さまざまな要件手続を定めているところでございます。

  先ほど申し上げましたとおり、手続的にも相当厳格な要件を定めておりますし、それから実質要件につきましても、これは個人投資家の保護に欠けることのないように、いろいろな御指摘をいただきまして、私どもも、そういった点につきましても検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

  いずれにいたしましても、やはり基本的には、アメリカにおきましては、自衛力認定投資家とかいろいろ、一定財産というものを条件としているわけでございますが、日本におきましても、そういった要件につきましては実質要件もしっかりと定めてまいりたいと考えているところでございます。

  なお、一般投資家が特定投資家になった場合には、その期間は一年でございまして、一年ごとにその辺もチェック、更新される仕組みになっておりまして、利用者保護の徹底には十分配慮した仕組みとしてまいりたいと考えているところでございます。

 もう一つが、実は自民党の中川雅治委員が、参議院なんですけれども、十八年の五月二十三日にこういうことを質問されておるんですね。

 いわゆるプロ向けファンドを取り扱う業者につきましては、登録ではなく届出で足りることとし、必要最低限の規制以外の規制は適用除外としているわけであります。

  このように制度は整備されるわけでありまして、大変結構なことでありますが、問題は各業者が運営する個々のファンドの実態を把握できるのか、つまり、これは一般投資家を対象とするファンドなのか、プロ向けのファンドなのか、その辺の区別をはっきりさせることはできるのか、そしてその実態を当局はきちんと把握できるのか、そういった点についてお伺いしたいと思います。そうでなければ、これはプロ向けだとして規制を逃れることができてしまうわけであります。

それに対して与謝野大臣が答えられておるわけです。

 要は、何が申し上げたいかというと、与党の中からもこういう心配が出ておったということでありますし、私は、このことについてやはり当局は甘く考えていたのではないか、また、そもそも一般投資家を出資対象に含めるべきではなかったのではないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 現行の制度のもとでもこれまで問題業者の実態把握等に取り組んで監督上の対応に努めてきたところではありますが、現行法上の取り締まりは今言われたような問題があるんです。

 そうした中で、我々としては、投資家に被害を与えるケースがふえてきているという現状を見た場合においては、状況を踏まえて対応しないと、ファンドというものに対する信頼がなくなるということは我々の最も避けねばならぬところでもありますので、少なくとも今後も成長資金というものを円滑に供給していくために我々としてはどう対応するかということで、今御指摘にあったようなところを考えて、今回、我々としては、その反省に基づいて、出資者の範囲の見直しとかいうのを含めて総合的な対応を行おうとして、行政上の処分とかいったものも併用させていただいて、よりよいものに育てていきたいと思っておるというように御理解いただければと存じます。

鈴木(克)委員 前の話はともかくとして、話を進めさせていただきたいというふうに思っていますが、かなり他の議員からもございました。私は、このプロ向けファンドをめぐる金融庁の対応について、少し質問していきたいと思うんですね。

 国民生活センターへの、先ほども出ていましたけれども、ファンドをめぐる苦情や相談が急増したというのは、平成二十一年度は百五十四件というふうに聞いているんですが、二十二年度は八百三十六件ということであります。金商法の施行からわずか二、三年のうちに、トラブルの温床になっておったわけですね。

 このような状況に危機感を持った国民生活センターが消費者向けに最初に注意喚起を行ったのは、二十三年の二月なんですね。実は、今回のこの改正案の提出まで四年余りを要しておるわけですね。

 何でこんなに時間がかかったのか。この間、金融庁が何も策を講じなかったとは言いませんけれども、苦情、相談、被害が減少していないということは、やはりこの間の対応に問題があったのか、効果がなかったのかということになると思うんですね。

 国民生活センターの調査では、先ほども出ましたけれども、プロ向けファンドへの出資勧誘に対して支払ってしまった金額が一千万以上、二千万以上というケースも少なくありません。また、契約の当事者は、七十歳代が最も多くて全体の四割を占めている、八十歳以上も二割強、全体では六十歳以上が九割弱を占めているということの結果が出ておるわけですね。金融庁の対応がおくれている間に、高齢者の貴重な老後の生活資金が奪われてきたと言っても過言ではないと思います。

 さらに、金融審議会のワーキンググループの場でも、日弁連から、プロ向けファンドの悪用による被害回復は現実として非常に厳しい、そして、回収の見込みが立たないだけではなくて、弁護士のところに相談に行っても実際に弁護士への委任に至らないケースが極めて多いという実態が報告されています。

 ここで、このようにプロ向けファンドの悪用事案については被害回復が困難であるという実情について当局ではどの程度把握をされているのか、また、実際に当局が検査などで把握した問題業者の実態についてもあわせ御説明をいただきたいと思います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、プロ向けファンドの届出三千百二十三業者中、悪用業者として警告を発した先が六十七、またその外延として、何がしかの問題のある届出者が六百三業者と監督局長から御答弁申し上げました。

 私ども証券取引等監視委員会におけるプロ向けファンドに対する検査におきましては、出資金を流用したり、あるいは使途不明になっている、また顧客の出資をずさんに管理している、さらには勧誘自体が詐欺的に行われている、また顧客に対する虚偽告知が行われている、こういった金商法違反事例、あるいは一般投資家に被害が生じている悪質な事例が多数認められているところでございまして、こういった被害の実態も踏まえて、投資家保護の改善を図っていくために今回の見直しをお願いしているところでございます。

鈴木(克)委員 もちろん、だから改正をということはわかりますけれども、それまでにやるべきことはあったんじゃないですか、本当にそれで誤りはなかったんですかということを伺いたいわけですね。

 大臣、ぜひひとつ、そういうことで、被害に遭った人の具体的な被害回復、例えば捜査当局との密接な連携を図って迅速な対応を図るということはもちろんですけれども、金融庁としても、もっとできることが何かあるのではないのかということであります。さらに、海外関連のファンドによる投資被害についても適切な実態把握と対応が急務というふうに考えるんですが、ここはやはり大臣の御見解を伺っておきたいと思います。

麻生国務大臣 プロ向けファンドをめぐる問題というのは、投資詐偽ですかね、そういった被害というものを防止するためにさまざまな情報交換をしていかないかぬところなので、警察当局等々関係機関との連携をやって対応に努めてきたところでありますけれども、今回の改正をやりますと、行政処分等々、かなり介入できることになりますので、しっかりとした対応がそれなりに、今までに比べればはるかにできる、そういう対応をしてまいりたいと思っております。

 また、海外の話というのも、これまた怪しげなものは海外にいっぱいありますので、そういったものを含めまして、海外当局とよく連携をしつつ、投資者保護の観点から、適切に対応するように努めてまいりたいと思います。

 でも、鈴木さん、今どき、金利がないこの時代に金利が五%とか六%というのは何か怪しいなと思う感性がないと、なかなか大変ですよ。僕は本当に、つくづく欲の皮が突っ張っているんじゃないかと。

 この間、あるひっかかった人、私も知っている人がいましたので、五、六人で言ったんですけれども、おまえ、それだけ銭を持って、まだやろうとするからひっかかるんじゃないかと言ってみんなでおちょくったんです。ちょっとその話の書類を見ましたけれども、こんなうまい話が世の中にあるわけないだろうがというような話がいっぱい書いてあるんです。あれをやはり信じちゃうんだろうね、確かに過剰広告のきわみみたいなことになってはいましたけれども。

 私はつくづく、みんなである程度、ちょっとうまい話には裏があるという常識ぐらいは持っておいてもらわぬと、なかなか、欲をかくとえらいことになるなという例はいっぱいある。もちろんだましたやつが悪いに決まっていますけれども、そういった感じが正直、ひっかかった人と会いましたものですから、ちょっとそんな気がしました。

鈴木(克)委員 大臣がおっしゃった最後の問題は、なぜわからないかということはあるのかもしれませんけれども、現実にだまされて被害に遭った人は救済をしていくとか、そういうことが二度と起こらないような体制をつくっていくというのが政府や行政、役所の使命だと私は思いますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 そこで、今おっしゃいましたように、改善・停止・廃止命令を出せるようになる、それから罰則の引き上げ等の措置も講ずることができる。もちろん、この法律を一刻も早く通すことが大事だというのはわかっておるわけですが、ただ、その実務を担う、これもかなり出ましたけれども、財務局の一層の体制の整備、強化を図る必要があるというふうに私は思うんですね。相手がなかなか一筋縄ではいかない集団というか人たちでありますし、それに対してはやはり財務省としてもそれなりの覚悟を持って、絶対に許さないということでいくには体制を整備、強化する必要があるというふうに私は思うのでありますが、その辺のお考え方、先ほどから何人かから出ておりますけれども、もう一度きちっとお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 鈴木先生、財務省というか財務局におきましても、金融庁とは別に、金融庁からの事務委任というのを受けて、プロ向けファンド業者というものの監督とか立入検査などの事務を行っているところですが、このプロ向けファンド業者につきましては、今、鈴木先生から御指摘のあったとおり、効率的、効果的、実効性のある検査監督というのを行うことができるように、金融庁とか先ほどの証券取引等監視委員会などなどだけではなくて、財務局においてもきちんとした体制の整備とか情報の交換とか、そういったものについて今後とも強化を図り、もって被害者というものの絶対額を減らすべく大いに努力をしていかねばならぬと思っております。

鈴木(克)委員 先ほど来からの質疑でも明らかにされたように、三千を超えるプロ向けファンドの届け出の人に対処していくということは非常に大変な業務だというふうに思います。

 例えば、今回導入する欠格事由への該当の有無とか、記載事項及び添付書類に虚偽がないかどうか調べるとか、そういったことを今の陣容ではやはりなかなかやれないんじゃないかなというふうに私は思いますので、そのところをぜひお願いしておきたいというふうに思います。

 そして、もう一問ぐらいできると思いますので進めさせていただきますけれども、昨年四月の証券取引等監視委員会の建議及び消費者委員会の提言を受けて金融庁がとった対応というのは、プロ向けファンドに出資可能な一般投資家の範囲を制限するという、政令及び内閣府令の改正案で発表しました。

 しかし、幾ら悪徳業者による被害が出ているからといって、余り範囲を狭められてしまっては、先ほどの大臣のお話のように、ファンドが理解されていかないということもあるわけであります。また、独立系ベンチャーキャピタルの有志の抵抗もあると思います。

 そこで、今回はそういった意見をこの法改正に盛り込むことができなかったわけでありますけれども、その後、金融審議会のワーキンググループにおいて、プロ向けファンドに出資可能な一般投資家の範囲についても再度仕切り直して議論をして、ベンチャーキャピタル側の評価を得た上で一定の結論が得られた、このように理解をしておるわけでありますが、最終的な内容は、改正法が通った後、やはり政令や内閣府令で定められるということになると思うんですね。

 そこで、具体的に、政令や内閣府令によってプロ向けファンドに出資可能な投資家の範囲をどのように限定するのか、ぜひひとつこの場で明らかにしていただきたいと思います。

池田政府参考人 ただいま御指摘のありました金融審議会で報告書が取りまとめられておりますけれども、こちらの方で、プロ向けファンドの出資者の範囲については、まず、投資の素人である一般の個人は対象外とする、同時に、ファンドと関係の深い投資家も出資しているというような実態も踏まえて、投資判断能力を有すると認められる一定の投資家とプロ向けファンド届出者と密接に関連する者に限定するという考え方が示されております。

 さらに、具体的な出資者の範囲につきましては、政府、自治体、それから上場会社、あるいは純資産または資本金が五千万円以上の法人、さらに投資性金融資産一億円以上の個人、またプロ向けファンド届出者及びその親会社、子会社等の役員等、さらにベンチャーファンドについては、一定のガバナンスが確保されることなどを前提に、上場会社の役員、元役員等にも出資を認めるといった形で規定するという考え方が示されております。

 今後、政令、内閣府令で出資者の範囲を定めることになりますけれども、その際には、この金融審議会の報告の内容に沿って策定作業を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(克)委員 これで最後にさせていただきますが、他の委員からもありましたけれども、私は、本来は登録制にしていくというのが筋ではないのかなというふうに思っております。他のいろいろな、例えばプロ向け投資運用業も登録制でありますし、それから先ほど出たクラウドファンディングも登録制であるわけですね。

 したがって、私は、審議会の議論というのは議論として、登録制というのをやはり私どもは考えていく必要があるのではないのかな、このことを意見として述べさせていただきたいと思います。

 それで、ちょっと法案とは関係ないんですけれども、委員長にぜひお願いをしたいのは、私ども今、当委員会としてももちろんそうです、国会としてもやはりしっかり議論をしていかなければいけないのはAIIBのことです。私はやはり参考人質疑を含めてきちっとこの委員会で議論すべきだというふうに思っていますので、委員長の方でぜひお取り扱いいただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

古川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 金融商品取引法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、土屋正忠君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。丸山穂高君。

丸山委員 維新の党の丸山穂高です。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    金融商品取引法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 いわゆるプロ向けファンドをめぐる投資者被害を抑止するため、一般の個人に被害が生じないよう販売可能な投資者の範囲を適切に限定するとともに、本法による規制の実効性ある運用が図られるよう、引き続き投資者に対する注意喚起や理解啓発に努めるなど、投資者保護に万全を期すこと。

 一 プロ向けファンド制度の運用に当たっては、ファンドがリスクマネー供給に果たす役割の重要性に鑑み、ファンドに対する投資者の信頼を確保しつつ、創業・起業期や新興期等の段階にある企業に対して、円滑かつ適切な成長資金の供給が行われるよう、配意すること。

 一 プロ向けファンドをめぐる法令違反行為などの実態も踏まえ、投資者・利用者保護を適切に図るため、実効性のある検査及び監督を行うことができるよう、一層の体制の整備・強化を図ること。また、海外の業者や海外での運用等についても法執行の充実を図ること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)

古川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古川委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえて配慮してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

古川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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