衆議院

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第16号 平成28年4月27日(水曜日)

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平成二十八年四月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮下 一郎君

   理事 うえの賢一郎君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 古川 禎久君

   理事 松本 洋平君 理事 木内 孝胤君

   理事 古川 元久君 理事 伊藤  渉君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      岩田 和親君    越智 隆雄君

      大岡 敏孝君    大野敬太郎君

      勝俣 孝明君    國場幸之助君

      助田 重義君    鈴木 隼人君

      田中 英之君    田野瀬太道君

      竹本 直一君    中山 展宏君

      根本 幸典君    野中  厚君

      福田 達夫君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      小川 淳也君    落合 貴之君

      玄葉光一郎君    鈴木 克昌君

      高井 崇志君    宮崎 岳志君

      鷲尾英一郎君    上田  勇君

      斉藤 鉄夫君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    丸山 穂高君

      小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       福岡 資麿君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   財務大臣政務官      大岡 敏孝君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      広瀬  直君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局次長)         川上 尚貴君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      松尾  勝君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田 昭典君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         樹下  尚君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  池田 唯一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          小野  尚君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    遠藤 俊英君

   政府参考人

   (金融庁公認会計士・監査審査会事務局長)     天谷 知子君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    福岡  徹君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    佐藤 慎一君

   政府参考人

   (国税庁次長)      星野 次彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中山 隆志君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     岩田 和親君

  助田 重義君     田中 英之君

  前原 誠司君     小川 淳也君

  宮崎 岳志君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     井上 貴博君

  田中 英之君     助田 重義君

  小川 淳也君     前原 誠司君

  高井 崇志君     宮崎 岳志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

宮下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、日本経済再生総合事務局次長広瀬直君、内閣府地方創生推進事務局次長川上尚貴君、公正取引委員会事務総局経済取引局長松尾勝君、審査局長山田昭典君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長樹下尚君、金融庁総務企画局長池田唯一君、総務企画局総括審議官小野尚君、監督局長遠藤俊英君、公認会計士・監査審査会事務局長天谷知子君、消費者庁審議官福岡徹君、法務省大臣官房審議官金子修君、財務省主税局長佐藤慎一君、国税庁次長星野次彦君、経済産業省大臣官房審議官中山隆志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。

高井委員 おはようございます。岡山から参りました高井崇志でございます。

 私は今、内閣委員会と総務委員会に所属しておりまして、もともと総務省でITの、ICTの仕事を専門にやってきたということで、国会議員になってからも、このITの分野を一生懸命取り組ませていただいております。

 そういう観点から、きょうは、情報通信技術の進展の環境変化に対応するための銀行法の改正、メーンのテーマはフィンテックだと認識しておりまして、この法案の改正を大変心待ちにしていた一人であります。

 フィンテックという言葉、どうですか皆さん、御存じですかね。実はけさ同僚議員に、きょうフィンテック法案の審議をやるんだと言ったら、何それと言われたので、まだまだ実は国会議員の中の認知度も低いのかなと思うわけでありますが、しかし、そういう私も、ICTを専門にしていながら、つい一年ちょっと前まではフィンテックという言葉は知りませんでした。

 初めて知って、説明を受けて、それから、このフィンテックというのは大変なことだ、金融のIT化というように表現されるけれども、そんな次元の問題じゃない、これはまさにICTの本丸だ、そういう認識をいたしまして、昨年、そしてことしも二回、超党派で国会議員の皆様に声をかけさせていただいて勉強会を開かせていただいたり、あるいは、我が党の、民進党の情報通信議員連盟の私は事務局長をしておりますが、そこでも、フィンテックのベンチャー企業の皆さん、あるいは政府からお越しをいただいて、いろいろなお話を聞いてきた。今は本当にこのフィンテックに対する期待は高まる。

 ただ、実は日本よりも世界の方が非常に進んでこのフィンテックへの期待というのを持っているんですが、日本はいま一つおくれているんじゃないか。悪く言う人は、もう周回おくれだと言うような方もいます。

 そういった中できょうこのフィンテック法案の審議を迎えるわけですが、まず最初に麻生金融担当大臣にお伺いいたしますが、大臣はこのフィンテックというものをどのように認識をしておられるのか、お尋ねいたします。

麻生国務大臣 IT、インフォメーションテクノロジー、ICT、インフォメーション・アンド・コミュニケーションズ・テクノロジーというものも、ついこの間までイットと呼んでいた人がいたんですから、それは随分変わるんですよ。だから驚く話じゃないのであって、では、我々は周回おくれになったかといったら、とんでもない、全然先頭を走っている国の一つですから。

 その種の話というのは、フィンテックというのは、いわゆるファイナンスとテクノロジーとをくっつけてフィンテックという造語ができ上がって久しくなるんだと思いますが、ICTとかITの技術を利用していわゆる金融という分野にこの技術が入ってきたことによって、金融関連のサービスというものは、これは物すごい勢いで、スピードといい量といい、物すごく大きく変わりましたし、範囲もすごく広がったんだと思いますので、これは明らかに金融の将来というものを考えたときには、極めて大きな影響を及ぼすのだと思っております。

 こうしたものへの対応というものに関しましては、我々金融庁といたしましても、これは全然御存じない方もいっぱいいらっしゃいますので、マウントゴックスの話はよく出ますけれども、利用者とかそれを使っておられる方々に対する利便、また、それをひっかけようとする不正、そういったものを含めまして、いろいろな観点からこのフィンテックの動きというものは見ておかないかぬという点と、銀行を使って送金したときの場合の手数料よりこっちは安いとか、いろいろな面もありますので、そういった意味では、どれくらい各国でこれをやっていくか、今は各国いろいろ国によって違いますので、そういったものをよく見ながら我々としてはこれをきちんとやっていかないと、マネロンの対象にこれを使われたりするという面は我々としては極めて大きな脅威になりますので、そういったものを考えると、極めて重要な問題だと認識をいたしております。

高井委員 麻生大臣は総務大臣も御経験をされてICTにも造詣が深く、実はこのフィンテックという言葉、私が知るより以前に我が党の大久保議員が国会で質問をしていて、そのときに大臣からもかなり前向きな、非常に重要だという御答弁をされていらっしゃいます。そういう意味では、かなり早くから注目をしていただいておるわけです。

 私は、このフィンテックをいろいろな人に説明するときに、あえてわかっていただくためにというか、どぎつく言うために、このフィンテックというのは、もう銀行がなくなるという話ですよと言っています。

 それはどういうことかというと、もちろん、インターネットでオンラインバンキングのようなものにどんどん置きかわっていく。中国なんかは、もう半分がアリババ集団という、そこに統合されているということもあります。

 あと、もっとわかりやすいのは、融資というのを銀行がやるわけです。これは人手を介して今一生懸命やるわけですけれども、それは、これからビッグデータの時代になれば、もうあらゆるものがデータ化される。その会社のデータというのも全てビッグデータ化されると、どこにお金を投資すれば幾らリターンがある、そして、この会社は成長する、この会社はお金を貸してはだめだということが、機械的に人工知能、AIでわかる時代が来る。そういう時代になると、もう銀行業務というのは全てIT企業に置きかわってしまう。

 そして、そのこと自体は、今まで、銀行という人手を介していくと、本来本当にお金があったら助かって成長した企業にはお金が行かない、一方で、そんなところに貸しちゃだめだというところにお金が回っていた。そういう非効率、悪循環が、このフィンテックが入ることによって全部効率的にお金が回るようになれば、ますます成長する企業は成長する、我が国の成長戦略にとっても非常に重要な柱なんだ、こういう説明をしています。

 これは私一人が言っているわけじゃなくて、当の金融機関の、例えばJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、我々のライバルはもうグーグルでありフェイスブックだ、そういう言い方をしていますし、我が国でも、みずほフィナンシャルグループの佐藤社長は、中国の先ほど言ったアリババ集団という会社は、金融ではなくて、データ処理によって世界を変えようとしているんだと。金融の中の変革ということではなくて、世界を変える、まさに社会経済構造そのものを変える大きな改革がこのフィンテックではないか、そんなふうに私は考えています。

 そういう意味では、このフィンテックをまさに成長戦略の柱に位置づけるべきだと私は考えていますが、残念ながら、今できている、昨年の六月につくられた日本再興戦略、いわゆる成長戦略にはフィンテックのフィの字も出てまいりませんが、この六月につくることになると思います。今はその準備作業中だと思いますが、このフィンテックという言葉を明確にして成長戦略の柱として位置づけるべきだと思いますが、政府のお考えはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 今、高井先生の言われたこのフィンテックの動きというのは、これは間違いなく世界的に大きな広まりを見せております。

 特に、この種の技術が使いこなせる先進国、また、中国の場合は、にせ札があれだけはやっている、はやっているという言い方はいかがですかな、にせ札があれだけ流通しているという実態に合わせれば、フィンテックに頼らざるを得ないんだという、これは中国人なら必ず言うせりふですから、そういった背景があるのであって、こちらは、日本の銀行券というか日銀券の信用というのはぬきんでて高いという状況にもありますので、そういった意味では、現金社会というのがまたかなり大きく通用している。いい悪いは別にしてそれが実態でもありますので、私どもとしては置かれている背景が違うんだとは思いますけれども、間違いなくこういったようなことは、世界的なものを考えてみた場合に、日本みたいな、にせ札の技術がほとんど通用しないほどの現金をつくれる技術を持っている国の方が少ないですから、そんな意味では、こういったものがどんどん世界的に広まっていくというのを考えておかねばならぬということで、これは金融審議会なんですが、フィンテックの展開を含めまして、いわゆるITの発展に伴って、それの対応についての検討を進めるという意味で、この法案でも、制度面に係る対応について必要な措置を盛り込ませていただいております。

 一月でしたか、これは産業競争力会議において決定した「成長戦略の進化のための今後の検討方針」の中でも、フィンテックに関しましては、ITを活用した金融サービスの高度化を図るべく、必要な施策を推進する旨を位置づけてはおります。

 いずれにいたしましても、こうしたことを踏まえて、フィンテックへの対応というものにつきましては、次期成長戦略というものの中に適切に反映して、この動きを日本の経済とか金融の健全な発展につなげていきたいと思っておりまして、つなげていかざるを得ないというところに来つつあるんだと思っておりますので、これでさらにいわゆる仮想通貨の話やらいろいろなものが出てまいりますので、今後ともこの問題に関しましては無関心ではいられぬ、そういう状況にあると思っております。

高井委員 金融担当大臣というより副総理として、成長戦略の柱に据えるという御答弁をいただきましたので、安心をいたしました。

 ぜひ六月のときには、本当にフィンテック業界の皆さん、固唾をのんで見守っている、この言葉が出てくるかということは非常に重要だと思います。また、フィンテックは世界との競争でありますので、世界からも日本が注目をされているわけでありますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 世界という面で見ると、今、中国は進んでいくのが当然だというお話がありましたが、中国以外でも、もともとはやはりアメリカ、イギリスがもう先行しております。例えば投資額なんかで比較すると、アメリカの金融機関が投資しているのは一千億円以上であります。しかし、我が国はまだ五十億円ぐらいですね。二十分の一、そのくらいの投資でありますし、世界全体で見ても、一兆四千億ぐらいの投資があると言われております。

 その中で、アメリカが先行している。アメリカはどちらかというと民間金融機関がどんどん先行している。それに対してイギリスが危機感を持って、イギリスのキャメロン首相は、みずからがフィンテック企業を引き連れて東南アジアに行って、これからはイギリスがフィンテックで世界をリードするんだという発言をされています。イギリスでは、ロンドンにそういったフィンテックの拠点を設けて、しっかり支援をしていく。

 あるいは、アジアでは香港。香港では、このフィンテックでアジアの中心は香港だということで、ここも、サイバーポートという空間に、二年間家賃を免除するというそういう措置をしている。ほかにもシンガポールは、今後五年間で百八十億円の予算をフィンテックに投資をしていく。それとシンガポールは、大臣クラスのチーフ・フィンテック・オフィサーという人を任命している。

 こういった国家的支援が次々世界各国で上がっているわけですけれども、我が国も、少なくともまずはアジアのハブを目指すべきでありますし、世界の中でも戦っていく、そういった国家的な支援を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今はいろいろ高井先生言っておられます。

 シンガポールの場合、金融以外には売るものがありませんから、金融に集中するのは当然なんですよ。大臣も今度新しいのにかわっていますけれども、これに関しては向こうもいろいろ聞いてくる話をするぐらいで、興味があるのは当然なので、ASEANとかいろいろな会議で会いますし、前の、シンガポールのこれを担当していた大臣が今はIMFだかあそこに出ましたので、ここのところよくG20なんかでも会いますけれども、このフィンテックに関しては、もうシンガポールはこれで生きていくんだからというのがはっきりしていますので、当然のこととしているんだと思います。

 日本の場合もこういったものに関しましては、技術というのは、ノウハウプラス物をつくれる技術と両方ありませんとこれは成り立ちませんので。そういった意味では、信頼関係、信用関係というのは金融の全て一番のもとのもとですから、その意味においては日本の信用というのは極めて高いし、通貨においては円に対する信頼も高いものですから、私どもとしては、これは十分にやらざるを得ないところと、また、我々のようにそれをよく見ながらやっていくというところと、少し立つスタンスの位置が違うとは思いますけれども、基本的には、金融の中におけるフィンテックの発展、進展というのは極めて注目をして見ておかないかぬところだと思っておりますし、これに今後仮想通貨というような問題が出てきますので、非常に大きな関心を寄せておかねばならぬ、それはそう思っております。

高井委員 今、シンガポール、大臣の御指摘もごもっともなところもありますが、実はそのシンガポールでも特区というのをやっている。それから、ロンドンもそういった考えでやっている。やはり都市に金融の拠点をつくっていこうということで、これはもうもちろんニューヨーク、ロンドン、そしてシンガポール、香港、こういったところがしのぎを削っていくわけでありますが、そういった中で私は、東京というのは非常にやはり魅力があるんだということをこの間知らされました。

 超党派のフィンテックのベンチャー企業の勉強会で、外国から来た方が、東京はすごい町ですよ、これだけ役所が、政府機関が集中をしていて、そして民間金融機関も集中をしていて、あるいはIT企業も集中をしていて、全てのものが東京にはそろっていて、もうあとは政府が支援をしてくれたら、一気にロンドンやニューヨーク、シティやウォール街を抜くような、そういう一大金融拠点がつくれますよ、そういうアドバイスをいただいて、なるほどなと思いました。

 きのう、国家戦略特区の法案の審議で、私、地方創生特委でもこの質問をさせていただいたんですが、まさにこの東京に、規制緩和、この後説明しますけれども、さまざまな規制がまだこのフィンテックには残っている、これを緩和していく。あるいは、税、財政の支援、こういった支援を、先ほど、香港は家賃を二年間無料にする。これは香港の自治体の支援のようですけれども、そういうことを組み合わせた特区というのが魅力があって、世界じゅうからフィンテック企業が集まる。あるいは、日本でこれからフィンテックを起業したいと思う方々が、そういう支援があるならぜひやってみようということで進むんじゃないか。

 東京では、舛添知事が国際金融センター構想というのをつくって、大手町を中心にそういう拠点をつくろうということがあるわけですが、ここはぜひ政府も東京都と一緒になって、世界の中心地である国際金融センター、特にこのフィンテックというもの、これから伸びていくこの分野に投資をして、少しおくれてしまっている国際金融センターとしての機能を、ニューヨークやロンドンに追いつき追い越す、そういうチャンスだと私は思うんですが、まさにこの東京をフィンテック特区として活用するというお考えはありませんか。

川上政府参考人 お答え申し上げます。

 規制の特例あるいは税財政措置を集中的に投入するということでございますと、今の既存の枠組みといたしましては、総合特区制度というものもございます。総合特区制度は、産業の国際競争力の強化等に関する地域の包括的、戦略的なチャレンジを、規制の特例措置あるいは税制、財政、金融の支援措置等により総合的に支援するものでございます。

 この総合特区の一つといたしまして、現在、東京都におきましては、外国企業のアジア地域の業務統括、研究開発拠点の誘致を目指すアジアヘッドクォーター特区というものを指定してございまして、平成二十三年十二月の特区指定後、平成二十七年末までに四十社の誘致を実現しているところでございます。

 したがいまして、議員御提案の規制緩和と税財政措置を組み合わせたフィンテック特区の設置ということにつきまして、この総合特区の仕組みとして一般的に申し上げますと、特区の指定区域の拡大あるいは金融関係の規制緩和が東京都から提案された場合には、金融庁等関係機関とよく連携をして対応してまいるということになろうかと思ってございます。

 以上でございます。

高井委員 今、内閣府が答弁いただいたんですが、きのうの質問のレクも、内閣府が答弁するのか金融庁が答弁するのかというところが議論になったんですが、内閣府は特区全体を所管していますけれども、ぜひここは、金融庁、そして特に大臣が、舛添知事を説得するというかその気にさせるということが大事で、実は、フィンテックベンチャーの集まりのFinTech協会というところがあって、舛添知事とも話をして、舛添知事も一定の理解はしていただいているようですが、世界のニューヨーク、ロンドンと戦っていく、そこまでの決意を持ってやっているとはまだまだ思えませんので、ぜひここは、政府、金融庁から舛添都知事に対しても強く働きかけていただきたいと思います。

 それでは、今度は経済産業省に伺いたいと思いますが、このフィンテックは、冒頭申し上げましたとおり、私は、ITを使った社会構造の変革だ、金融業のIT化というそういう狭い次元の話じゃないと思っていまして、そういう意味では、経済産業省、あるいは総務省、それからIT戦略本部、こういったところがもっともっと中心になってやるべきだと思いますが、その中でも経済産業省はかなり前向きに取り組んでいただいていて、去年からことしにかけて非常に有意義な研究会を開催して、このことは私は大変評価をしております。

 この経済産業省の研究会でどういった点が課題として浮き彫りになり、そして、その課題を経済産業省としては今後どうやって克服していくのか。お考えをお聞かせください。

中山政府参考人 お答え申し上げます。

 フィンテックは、中小企業の経営高度化や生産性向上、資金調達の円滑化等にも資するものでございまして、経済それから社会に大きなインパクトを及ぼす動きだと私ども認識しております。

 かかる認識のもと、御指摘ございましたとおり、経済産業省では昨年十月にFinTech研究会を立ち上げました。これまで、八十名を超える国内外のベンチャー企業、金融機関、有識者の方々に御参加をいただきまして、内外のさまざまな具体的な取り組みをもとに議論を深めてきたところでございます。

 御質問の点につきましては、研究会の中では、データの利活用に向けたデジタル化のさらなる推進で、あるいは、新たな技術やサービスに対応した環境整備を図っていくことが重要ではないか、こういったことが課題として指摘されているところでございます。

 引き続き、金融庁を初めとします関係省庁と連携いたしまして、フィンテック時代に対応するための具体的な取り組みを図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

高井委員 ぜひ経済産業省が、もうフィンテックはうちが所管だというくらいの気構えでやっていただくと、金融庁も頑張っていただくでしょうし、政府全体として取り組みが進むんじゃないかなと思いますので、これからも経済産業省、頑張っていただきたいと思います。

 このフィンテックは、実はいろいろな省庁にまたがるんですね。規制が、後から質問しますけれども、警察にもかかわる。あるいは総務省にもかかわるところがありますかね。あと、消費者庁にかかわる法律もある。あと法務省、民法、商法なんかともかかわってくる。

 こういったいろいろな規制が、それぞれの省庁のところに一々説明に行かなきゃいけないというのが、このフィンテックベンチャー、ベンチャーですから、銀行のように役所との対応がなれているところならいいんですが、ベンチャー企業はなかなかそういう対応ができなくて、非常にやはりそこが一つの悩みになっています。

 私は、これは各省庁を全部まとめるような組織、フィンテックの省庁横断的な組織が必要なんじゃないかと。それを金融庁にやってくださいというのはやはり無理があるので、どこかなと考えたときに、やはりIT総合戦略本部、その事務局を内閣官房のIT総合戦略室が担っておられますけれども、今のところ、ちょっと資料などを拝見すると、IT総合戦略室がこのフィンテックに取り組んでいるという形跡が余り見られないんですが、これは何かもう既に取り組んでいるのか、あるいは、今後このIT総合戦略室が総合調整機能を担うべきだと考えますけれども、いかがでしょう。

向井政府参考人 お答えいたします。

 フィンテックは、金融分野に大きく変革をもたらす新しいサービスと認識しております。

 御承知のとおり、フィンテックに限らず、昨今のIT化の進展というのは物すごく急速に進んでいる。その国際的な動きについていくために、我が国もいろいろなことをしないといけない。

 その中で、いわゆる金融に関連するような分野の部分についてはフィンテックというふうに称されているのかなと。そのための手段として、ビッグデータ解析でありますとか、さらには、IoTによりましてリアルタイムにデータが収集されるとか、あるいはさらに、人工知能による解析とかという、そういうITによる手段というのが幾つか出てくるんだろうなと。

 そういう中で、IT戦略におきましては、これまでその手段の方を捉えた、ビッグデータ利活用による新事業、サービスを促進すべく、起業家精神を創発するIT関連施策パッケージというのを取りまとめてきておりますけれども、これだけフィンテックというものがやはり世界的にも重要になってくるということを踏まえまして、金融庁、経産省などと連携をとりながら、IT総合戦略室としましても、フィンテックというふうな分野に焦点を当てたようなものを検討する必要があると考えております。

高井委員 今申し上げましたとおり、本当に金融庁だけではできない、いろいろな省庁にまたがる規制というのがあります。やはりここの総合調整というのは、私はIT総合戦略室が得意とする分野だろうと思いますので、ぜひこれは、いろいろ分科会とかワーキングチームとか、農業とか医療とか、今は十ぐらい何かありますけれども、それの一つに当然位置づけるべきだと私は思いますので、御検討いただきたいと思います。

 それでは、今度は金融庁の中の話をお聞きします。金融庁、今は信用制度参事官室というところで佐藤参事官以下、大変一生懸命やっていただいているのはよく承知しているんですが、しかし、フィンテック業界からすると、これだけ重要な位置づけ、世界と戦っていくときに、やはり明確に一つの課なり、フィンテックというものが明確に位置づけられた組織というのがあるべきじゃないか。そしてまた、課の名称とかいうよりも、人ですね、このフィンテック、特にITに詳しい人材を金融庁の中にしっかり配置をしてほしいという要望が出ています。

 なかなかすぐには育成できないということであれば、まさにフィンテックベンチャーが今どんどん出ていますから、そういった民間企業と人事交流をする。そして、受け入れるという方もそうですけれども、例えば金融庁の方も民間に出ていく。

 それはどこに行くかというと、FINOLABというのが今できました。これは、FINOVATORSという、金融革新同友会という組織が、さまざまな、フィンテックを応援する弁護士さんとか、あるいは金融機関の方とか、コンサル会社の方とか、そういった方が中心になって、スタートアップする企業を支援して創業、成長しやすい環境をつくる。エコシステムとこの業界で呼んでいますけれども、このエコシステムをつくっていくFINOLABというのが東京大手町にできています。

 ただ、これは民間の出資でございまして、実はイギリスなんかにも似たような、イノベートファイナンスという有名なこういう組織がイギリスにはありまして、これは財務大臣が承認をした業界団体で、ロンドン市が初期費用なんかは出している。

 このあたりも国の支援の差があらわれているなと思うわけでありますが、このFINOLABというのがせっかく日本に民間主導でできましたので、そこに例えば金融庁が出向していく。なかなか団体に直接無理でも、一旦民間企業に出向してそこから行くという手もあると思いますが、こういった人事交流を金融庁でしていくというお考えはないでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁におきましては、これまでも、金融機関のシステム管理体制の整備状況の検証などの行政課題に適切に対応していくために、適切な課、室の配置、あるいはICT人材の育成の方策として、国内のIT大学院への留学や、民間企業やNISC、内閣サイバーセキュリティセンターなどへの職員派遣等を行ってきているところでございます。

 また、加えまして、最先端の専門的な知識経験が求められる業務に関しましては、外部からの人材登用を積極的に進めてまいりました。

 さらに、近年におきましては、先生先ほどから御指摘のとおり、このフィンテックの動きが進みまして、従来見られなかったような多様な金融サービスの提供が行われるようになる一方で、サイバー攻撃が金融システム全体に対する最大の脅威の一つとなるなど、金融庁が金融行政を適切に行っていくために、ICT人材の育成、活用が一層重要になっているところと考えております。

 このため、ICT分野を担当する職員に、より実践的な知識、スキルを取得させるために、御指摘のとおり、民間企業等への派遣をさらに推進し、民間の実務経験を積ませますとともに、さまざまな研修機会を提供することによりまして、人材育成制度の見直し、充実を図るとともに、外部人材の適切な登用を図ることを通じまして、ICT人材の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

 まさに御指摘のとおり、今、私どもの金融庁の職員、特にICT分野を担当する職員がより実践的な知識、スキルを取得して、それを行政に生かしていくことが重要と考えておりますので、そのためには、御指摘のとおり、民間企業におきまして経験を積むことが極めて有益と考えております。

 ただ、個別の民間企業への派遣につきましては、職員をその企業に派遣いたしまして私どもとして取得させたい知識やスキルや実務経験に関する私ども金融庁のニーズと、実際に受け入れていただく企業側の受け入れ体制がうまく合致するかどうかによるため、確たることは申し上げられませんが、今後とも、ICTに関する民間企業への派遣を一層推進することを通じまして、金融庁の職員のさらなる質の向上に努めてまいりたいと存じます。

高井委員 官民交流をどんどん進めていただいているというのは承知していまして、私も役所出身ですから、余り金融庁が銀行とかに行く、あるいは大企業に行くよりも、こういうフィンテックベンチャーとか、あるいは、先ほど申し上げたFINOLABなんかに行くことは、金融庁職員のスキル向上にもなるし、また、その受け入れる側も非常に喜ぶと思うんです。現にそういう要望を私のところにはいただいていますから、ぜひこれは前向きに御検討いただきたいなと思います。

 今、フィンテック・エコシステムという話をしました。スタートアップ企業を支援し、企業を創業しやすい環境をつくることをそう言っています。

 これは大臣、通告させていただいているのでお聞きしますが、イギリスは、今申し上げましたように、イノベートファイナンスというのが財務大臣の承認の業界団体としてできて支援している。あるいはオーストラリアでも、このフィンテック・エコシステムというのを非常に強く後押ししている。政府がこういったフィンテック・エコシステムを応援をしているということなんですが、先ほど申し上げましたように、FINOVATORSというのは民間企業だけで今運営をされている機関でありますが、こういったエコシステムを政府として支援していこうというお考えはありますでしょうか。

麻生国務大臣 今の、ファイナンシャルイノベーションラボラトリー、略してFINOLABとたしか言ったと記憶しますけれども、こういったものが一つ出てきているという形になりつつあるんだと思っていますが、まだ基本的には日本の場合、欧米に比べて、オーストラリア等々を含めましても、フィンテックに関するベンチャーというものは、これはベンチャーキャピタルの率とか数とかいうものが、これはまだ必ずしも実現していないというように見えますけれども、いろいろ日本の強みを生かして今後フィンテックというもののベンチャーというものをいわゆる海外の展開を図っていくためには、これは口だけで言っても始まらぬので、要は人ですから、技術を担える人材、それから、ビジネスとしてそのテクノロジーだけあったってどうしようもないので、そのテクノロジーを使える幅の広い人材というものを集積し訓練しということをやって、こういった人たちと連携しながら、いわゆるフィンテックのベンチャーというものの登場とか広がりとか成長とかいうのを少々手間暇かけてやっていかないかぬところだと思っておりますので、金融庁としても、こういった新しい技術の進歩というものに関しましては、他所からの、外部の有識者というものの知見なり、これまでの経験なり、そういった新しい分野の技術といったものを活用して、環境の整備というものを図っていく必要があるんだろうと思っております。

高井委員 ぜひこの民間の取り組みに政府としても御支援をいただきたいとお願いをいたします。

 それでは、今度は、先ほど投資額のお話をちょっとしましたけれども、日本の金融機関のフィンテックへの投資額は大体五十億ぐらいだそうです。これはアクセンチュアが調べたのかな。大体、世界でランキングすると、アクセンチュアの調べでは十位。トップのアメリカは一千億以上、二十倍以上の投資である。世界じゅうを見ても、先ほど言った一兆四千億という巨大な投資が行われている。

 そして、個々の金融機関を見ても、シティ、ドイツ銀行、バークレイズ、こういった世界のメガバンクは、一行で数十億円の投資をしている。しかし、我が国の金融機関、三大メガバンクは、恐らくその十分の一以下だろうということであります。

 私は、金融機関に、フィンテックというかICTに対する投資、これをぜひやってもらいたいと思うんですが、これは民間金融機関が考えることだと言われてしまえばもうそれまでですが、やはりフィンテックを国家戦略として、成長戦略としてやっていこうという立場からは、金融機関に対して、ICT投資、フィンテック投資をもっと促していくべきじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 日本とそれから海外の銀行が、ICT投資、金額としてどの程度かというのはちょっと手元にはございませんけれども、私の手元にあります調査でございますが、まず、日本の銀行のシステム関連経費につきましては、公益財団法人の金融情報システムセンター、ここがアンケートをとっております。それによりますと、平成二十六年は、維持、運用、安全対策のためのシステム投資が八割、新規開発が二割を占めているという状況でございました。

 これに比較するような形で、アメリカの民間調査機関がとっている調査によりますと、平成二十六年、アメリカの銀行のIT予算の優先投資分野におきましては、メンテナンスを中心としたいわゆる維持への投資が四割、一方、サービスの高度化や利便性向上に向けた変化への投資が六割を占めているということでございました。

 なかなか単純な比較は難しいのでございますけれども、アメリカの銀行のIT投資が、今後の展開も含めて戦略的に進められているという傾向がうかがえるのではないかなというふうに考えております。

 翻りまして、我が国金融機関におきましても、顧客利便性でありますとか収益力等を高める観点から、経営戦略上重要な領域に適時適切なIT投資を行うということで、将来のビジネスモデルを見据えた中長期的なIT戦略が必要であるというふうに考えております。

 金融庁といたしましては、引き続き、そうした観点からIT投資の動向につきましてモニタリングしていきたいというふうに考えております。

高井委員 それでは、金融機関のIT投資と加えて、今度は、金融機関のシステムをつくっているITベンダーが消極的なんじゃないかと。金融機関は少し前向きにこのフィンテックというのを捉えて、やはり世界と競争するためにはやっていかなきゃいかぬと思っても、実際システムをつくるITベンダーが消極的だと言われています。

 これは通告の段階で、どこが答えるんだ、ITベンダーを所管している省はどこだみたいなことで、金融機関ならば金融庁監督局が答えられるんでしょうけれども、ITベンダーにどうやって投資を促すのかというのは、答えは難しいかもしれませんが、しかし、さはさりながら、政府全体とすればこれは非常に大事なことだと思うんですが、このITベンダーに対してフィンテックの投資を促していく、そういうことはできないでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 IT技術の進展を取り込んで、利用者利便の高い金融サービスを提供していくためには、先生御指摘のとおり、銀行のみならず、銀行以外の者も含めた多様なプレーヤーが参加する中で、競争的に、あるいは連携をしながら、イノベーションが進められていくということが重要だと考えております。

 このため、今回提案させていただいております法案でも、金融機関とフィンテック企業の一層の連携強化を可能とするために、銀行などによる金融関連IT企業等への出資の容易化等の措置を講じるための措置を盛り込ませていただいているところでございますが、さらに今後も、利用者が連携し、また、折に競争しながらそれぞれが積極的にイノベーションを進めていく、そういう環境整備には、金融庁としても、関係機関と連携しながら全力を挙げてまいりたいと考えております。

高井委員 これを金融庁に答えてもらうのはなかなか酷だと思うんですよね。

 ただ、大事なことだと思うので、きょうは成長戦略をつくる広瀬次長も来ておられますし、あるいは、IT総合戦略の責任者の向井審議官も来ておられます。あと経済産業省の審議官。総務省は来ていないんですけれども、このあたりが、どこが所掌というよりも、みんなで一緒になってこのITベンダーにも、いやいや、やはりこれからフィンテックだよ、フィンテックというのはただの金融だけの話じゃないんだ、日本社会全体を変えるような大きな投資なんだということをぜひ政府としてメッセージを出すことによってITベンダーも気づいていくということだと思いますので、ぜひ、これは本当に成長戦略あたりにしっかり明記していただいたらいかがと思いますが、もうこれはこれ以上聞きませんが、お願いをしておきたいと思います。

 それでは今度は、金融機関が今IT投資をしてフィンテックをやっていくとクラウドを活用したいと思うと思うんですが、ところが、このクラウドというのはサーバーの所在地が明かされていないんですね、それはセキュリティーの観点上。ところが、金融機関には委託先を監査する義務というのがかかっているそうでありまして、つまり、所在地が不明なサービスというのは、世界の多くのクラウドの有名なというか、しっかりしたサービスはサーバーの所在地を明かしていないんですが、こういったものが使えないという問題が生じています。

 今後、先ほど言ったように、ビッグデータを活用して金融を大きく変えていこうというのがこのフィンテックですから、私は、この規制というのはフィンテックの今後の障害になるんじゃないかと考えますけれども、改善するお考えはありますでしょうか。

遠藤政府参考人 高井委員御指摘のクラウドについての規制でございますけれども、金融機関におきましては、クラウドコンピューティングの利用において、取り扱う業務のリスクに応じた適切な委託先管理を実施することが必要であるというふうに考えております。

 この委託先管理の適切性を担保するために、金融情報システムセンター、FISCという機関でございますけれども、金融庁の監督指針における外部委託先管理に関する着眼点というものを踏まえまして、金融機関の情報システムの安全性確保のための業界自主基準というものを作成しております。その中で、クラウドコンピューティングの利用において適切なリスク管理を行うこととされているところでございます。

 ただ、この業界自主基準というのは、先生御指摘のように、やはり環境変化に応じて改訂されなければいけないものだというふうに考えておりまして、実際、クラウドコンピューティングの利用に係るリスク管理に関する項目というのは、平成二十五年に新設されて、平成二十七年にその内容が拡充されたという経緯を持っております。

 引き続き、この情報システムの安全性確保の観点を踏まえるほか、まさに世の中の流れ、ビッグデータ解析を含めた技術の進歩に応じてこの自主基準というのは適時に改訂されるものだというふうに認識しております。

 金融庁としても、今後、この改訂に係る議論に参画してまいりたいというふうに考えております。

高井委員 きょうは、実はたくさんフィンテック企業さんから、いろいろな規制があるのでこれを何とかしてくれという要望をいただいていて、これからちょっと細かい質問に入るんですが、ちょっとその前に、一つ飛ばしたんですけれども、地方創生という観点で、もうちょっと大きな観点から一つ質問しておきたいんです。

 私は、このフィンテックというのは、改めて申し上げると二つの大きな意味があると思っていて、一つは、やはり金融業が世界に負けないための戦略であるということ、そしてもう一つは、金融にまつわる日本の諸問題をフィンテックを通じて解決しようということだと思っています。

 この日本の諸問題、金融にまつわる問題というのは、例えば、リーマン・ショック以降、金融から切り離された人たち、中低所得層とか中小零細企業とか地方、あるいは貧困の方々、こういった方々にお金が回っていかない。つまり、先行投資して教育とかの機会があれば立ち直れるのに、そういったところにお金が回らないことによって日本の貧困はますます深まっていく。あるいは地方創生がなかなかうまくいかない、お金が融資されない。

 こういう問題を解決する非常に大きな手段だと私は思っているんですが、そういう観点で、この地方創生という観点で、地域通貨とか、あるいはクラウドファンディング、こういったものを活用すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

池田政府参考人 フィンテックという動きについて考えていきます際に、地方創生との関係という点も極めて重要な論点であると私どもも認識をしております。

 この関連では、投資型クラウドファンディングにつきまして、昨年五月に、金融商品取引法改正に基づきまして制度整備をさせていただきました。こうしたものを地方創生に向けた取り組みにおいても活用していくということに努めていく必要があると考えております。

 このため、金融庁では、地方公共団体や地域金融機関等の関係者が設立しております「ふるさと投資」連絡会議とも連携しながら、投資型クラウドファンディング制度の周知、普及などに努めてきたところでありまして、今後ともそうした取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

高井委員 これも金融庁が答えるのは酷だと思うんです。地方創生の観点や、あるいは貧困層を救うという意味では、一億総活躍プランなんかにも位置づけたらいいんじゃないかと思いますので、ぜひ、このフィンテックというのはそういう役割も担うんだということをお考えいただきたいと思います。

 それともう一つ大きな話で、これは大臣に通告させていただいておりますが、今回の仮想通貨の話、余りしていませんけれども、この取引に消費税がかかるということで、これは、前回、自民党の秋元議員からも質問があったと思うんですが、これを非課税にしている国は結構多いんじゃないかと思いますが、先進国の中で非課税にしている国というのをもし把握できていたら教えていただきたいのと、我が国もぜひ非課税にするべきだと私は考えますが、改めて大臣のお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 マウントゴックスという話でスタートが何となくイメージが悪くなっちゃっているのが残念なところではあろうかと思いますけれども、ビットコインというようないわゆる仮想通貨と言われるものについては、現行の消費税法からいきますと、これは、非課税として限定列挙されております支払い手段というものは、御存じのように法定通貨とか小切手とか、そういったような物品切手に該当しませんので、課税対象になるということになるんだと思っております。

 他方、国際的にどうかと言われるのであれば、EUなどにおいては非課税とされております一方、オーストラリアとか先ほど言われましたシンガポールでは課税ということになっているのが現実で、これはさまざまな取り扱いが地域によって違うと思っております。

 また、この支払い手段、いわゆる法定通貨とか小切手等々の比較で見ると、これらと同等の資格を有するかという問題であるので、有するというのであれば非課税ということで、仮想通貨であるか否かを個別にどのように判断するかといったことを検討するというような問題意識というものは有しております。

 仮想通貨の消費税法の取り扱いについては、今申し上げましたように、国際的な課税上の取り扱いの状況が各国によって違うところや、他の非課税品目との比較とか、また、仮想通貨の取引実態、今は交換所は日本に幾つありますか。二十ないだろう。調べたことないの。何だ、こういうことが好きなら調べていなきゃ。すぐ出るよ、こんなもの。二十ぐらいだと思うんですね、私の記憶では。などを踏まえながら、税制改正のプロセスにおいてこれは検討されていかなきゃいかぬところだと思っておりますので、これはもうちょっと、これがどの程度波及していくか、普及していくか、また、国際的なものを見ながら検討させていかなきゃいかぬものだと思っております。

高井委員 ありがとうございます。

 それでは、あと十分切ってしまいましたので、以下、もう事務方で結構でございますので、実はいろいろ改善してほしいという話を、あと十問ぐらい残っているんですけれども、順次聞いてまいりますので、できるだけ簡潔にお答えいただけたらと思います。

 まず、これは警察だと思いますが、犯罪収益移転防止法、この本人確認手続が今はインターネットではできない、インターネットで取引しても郵便でしか確認はできないということになっているんですが、これをインターネットで本人確認できるようにするというお考えはありませんか。

樹下政府参考人 お答えいたします。

 インターネット等を通じた取引におきましては、店頭での対面取引と比べまして、他人に成り済ました者が取引を行うなどのリスクが高いと考えられますことから、犯罪収益移転防止法では、このような場合には、本人確認書類等の送付を受けることに加えまして、転送不要郵便等で顧客の住居を確実に確認することなどにより、本人特定事項等を確認することとしております。

 なお、電子署名法または公的個人認証法に規定する電子証明書による確認方法を利用すれば、インターネット上で本人特定事項等の確認を完結することは可能でございます。

 本人特定事項等の確認方法につきましては、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策の観点から現行の確認方法の水準を確保していく必要があるというふうに考えておりますけれども、いずれにせよ、国際的な規制動向や顧客の利便性、事業者の意見等も踏まえつつ、関係省庁とよく相談してまいりたいと考えております。

高井委員 それでは、今度は海外への送金なんですけれども、今、百万円以上は調書を提出しなきゃいけないということで、マイナンバーもあわせて記載するんですが、百万円以下は調書の提出は要らないんですね。なのにマイナンバーだけは記載をしなきゃいけないということで、特に、海外でマイナンバーの通知を受けていない方々が海外との送金ができないということが問題になっていますが、百万円以下の海外送金でマイナンバーの記載を不要にするということはできないんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のお尋ねは、国外送金法の調書法に係るものでございます。

 制度の概要を申し上げますと、不透明な国外送金ということをチェックするということで、国外送金の痕跡が確実に残るということにするために、それで、国税当局がそれを事後的に把握できるということが重要だということでこの法律が成り立っておりまして、そのために、的確な本人確認と小口送金の防止をするという二つの観点から、制度といたしましては、国外送金に係ります送金者などに対しまして、送金額の水準にかかわらず、マイナンバーが記載された告知書を金融機関へ提出することが義務づけられているというところでございます。

 御指摘の、送金額が百万円以下の場合にマイナンバーの告知を不要にするというお話でございますけれども、こういうことでございましたら、この制度が実質的に尻抜けになるということで実効性が損なわれてしまうということで、適当ではないと考えております。

 いずれにしましても、現在、パナマ文書など取り沙汰されている中で、不透明な国外送金チェックのために、本制度におきます本人確認をきちんと行っていく、マイナンバーを活用しながらきちんと行っていくということが重要であるという点は御理解をいただきたいと思っております。

高井委員 それでは今度は、LINEの問題でちょっと話題になりましたけれども、前払い式支払い手段、この定義が曖昧で、LINEなどのゲームのアイテムにまで拡大解釈をされています。これは、事業者の創意工夫を生かすためにはこの資金決済法の適用はすべきではないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

遠藤政府参考人 御指摘のLINEの問題でございますけれども、資金決済法上、前払い式支払い手段に該当するかどうかは、三つの要件から見るということになっております。

 一つは、金額または数量が記載、記録されているものであること。価値の保存というふうに言っております。それから二つは、金額、数量に応ずる対価を得て発行される証票、番号、記号その他の符号であること。対価の発行ということでございます。それから三つ目が、商品、サービスの代価の弁済等に使用されるものである。いわゆる権利の行使でございます。

 これらの三要件というのは、個別具体的に判断されるものでございます。

 ゲーム内のアイテムにつきましても、この当該アイテムのゲーム内での位置づけなどに鑑みれば、価値を保存し、対価を得て発行され、かつ、当該アイテムを使用することによってさまざまなサービスを受けることができるものであれば、これは、先ほどの資金決済法上の基準に従って、前払い式支払い手段に該当する場合もあり得るというふうに考える次第でございます。

 いずれにせよ金融庁といたしましては、前払い式支払い手段の利用における安全性の確保及び利便性の向上という資金決済法の趣旨にのっとり、引き続き適切な監督に努めてまいりたいというふうに考えております。

高井委員 次に、フィンテック企業と銀行業が、協業、一緒に仕事をする場合に、今、FISCという、金融機関が守るべきセキュリティーの基準では厳し過ぎるんじゃないか、これよりもう一段緩やかな基準が必要ではないかと考えますが、これを、新しい場を設けて、そういったFISC以外の基準を設けるという考えはありますか。

池田政府参考人 御指摘のとおり、いわゆるオープンイノベーションと呼ばれます金融機関とIT関連企業との連携、協働を進めていく際には、利用者の安心、安全の観点、他方、イノベーションの促進の観点も踏まえながら、フィンテックをも視野に入れた、金融分野の情報セキュリティーのあり方について検討を行っていくことが重要だと考えております。

 このため、FISCを初めとしまして、また、金融機関、フィンテック関連事業者等も参加する形で検討の場を設け、技術上の進展に対応した情報セキュリティーのスタンダードのあり方を検討し、そのスタンダードを構築していくことが重要だと考えております。

 金融庁としましても、関係者においてしっかりとした検討が進められていくよう促してまいりたいというふうに考えております。

高井委員 続いて、金融機関が情報を持っていますが、この金融インフラ、これを今金融機関が独占している。これをAPIとして外部のベンチャー企業などに開放して、多様なサービスが提供されるようにする。これはEUなんかでは既に二〇一八年からやるということが決まっているようでありますが、こういったことを我が国においても行っていく考えはありますか。

池田政府参考人 御指摘は、オープンAPIと呼ばれます銀行システムの接続仕様を外部に公表いたしまして、ITベンチャー企業等がこれを利用して新しいサービスの設計、提供を可能とするというものであると承知しております。

 我が国においても、ITベンチャー企業等がオープンAPIを利用し、利便性の高い、多様な金融サービスを提供する環境を整備することが必要であるという考え方が、昨年十二月に公表されました私どもの金融審議会の報告書でも提言されているところでございまして、今後、銀行界を中心に、オープンAPIのあり方を検討するための作業部会等を設置して、平成二十八年度中を目途に報告を取りまとめる、その旨が報告書に記載されているところでございます。

 金融庁としましても、利用者の安心、安全の観点も踏まえつつ、オープンAPIが適切な形で進められていくよう対応してまいりたいというふうに考えております。

高井委員 時間が来てしまいました。あと五、六問残ってしまいましたけれども、フィンテックは本当に重要でありますので、まさに国を挙げて省庁横断的にぜひ進めていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮下委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民進党の鷲尾でございます。

 五十分時間をいただいておりますので、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今回の銀行法の改正で、先ほど高井委員も質問されておりましたけれども、フィンテック企業に金融機関が出資をすることができるということになります。

 それに関連してなんですけれども、日本の銀行、商業間の出資規制につきまして、日本、アメリカ、それからヨーロッパを比較しますと、随分と違いがございます。

 今回もちろん改正をするということになりますけれども、現行の日本のこの規制の理由、大きく言えば、例えば日本ですと、一般事業会社は銀行を一〇〇%出資して持つことが可能なんですけれども、金融機関の方はそれができない。アメリカの方ですと、両方が制限されています。ヨーロッパですと両方が緩くなっているわけですけれども、日本の現行規制が今こういう状況であるという理由につきまして御説明いただきたいと思います。

牧島大臣政務官 鷲尾委員の御質問に対してお答えをさせていただきます。

 欧州では、いわゆるユニバーサルバンキング制が採用されておりまして、一定の条件のもと、事業会社の株式を一〇〇%保有することが幅広く容認されていると承知しております。

 一方、米国では、銀行グループには他業禁止の規制が課されておりますが、銀行グループが出資できる企業の範囲は、日本に比べて柔軟に定められております。この結果、フィンテックなどのサービスを提供するIT企業については、幅広い出資が行われていると承知しています。

 日本でも、米国と同様、金融グループには他業禁止の規制が課されていますが、従来、その行い得る業務は法令上限定的に列挙されており、現行の枠組みでは、御指摘ございましたとおり、米国と異なり、金融関連IT企業等へ出資を行うことは困難を伴う場合が少なくないと指摘されています。

 日本において金融グループにこのような他業禁止規制が課される趣旨というものがございますが、これは、本業専念による効率性の発揮、他業リスクの回避による健全性の確保、利益相反の防止、優越的地位の濫用の防止にあるとされています。

 本法案では、金融グループによるIT企業等への出資を当局による認可を前提に許容していくこととしており、個別の認可に際しては、こうした他業禁止の趣旨が損なわれないよう、適切な確認をすることとしております。

    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕

鷲尾委員 フィンテックについてはということでありますけれども、一般の事業会社と金融機関とのもちろん特殊性も一方であって、今御趣旨を述べられたとおりだと思うんですが、今後の方向性として、他国の制度と比較をしながら、今申し上げたような銀行、金融機関が事業会社に出資をしていくその範囲というんでしょうか、これは今後どういう形になっていくか。フィンテックだからそれでいいんだよ、そういうおつもりなのか、あるいは、もう少し検討を進めていくというおつもりなのか。それについてもコメントをいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融グループの健全性を確保していく上で、他業禁止規制があること自体はそれなりの意味を有しているというふうに考えておりますので、この規制自体を何か大きく見直すということを考えていることではございません。

 ただ、本日御議論がありますように、金融グループと金融関連IT企業等との連携強化というようなコンテクストの中で、出資について柔軟にする余地がないか、それを、当局による認可ということを前提に解決を図ろうとしたのが今回の法律の趣旨でございます。

 いずれにしても、他業禁止の趣旨は損なわれないように運用していく、また、制度として他業禁止という制度というものは引き続き存置するということを考えているところでございます。

鷲尾委員 それでは、今回、出資の容易化という形で、今、その趣旨を守りつつ認めていくということであります。これは監督指針に基づきまして個別に判断していくということをお聞きしておりますけれども、その認可においては、個別であるとは思いますけれども、実際にその判断の指針というのは、透明性なり予見可能性というのが求められてくると思いますが、具体的にどういうものを今想定されておられますか。

池田政府参考人 今回の改正案では、銀行業の高度化、利用者利便の向上に資すると見込まれる業務を行う企業に対する出資について、当局の認可を前提に五%を超える出資を可能とするとしているわけですけれども、その際、認可におきましては、銀行業との親近性の程度に留意しつつ、他業禁止の趣旨等に照らしまして、まずは、そのグループの財務の健全性に悪影響を与えないか、銀行本体へのリスク波及の程度が高くないと見込まれるかどうか、優越的地位の濫用や利益相反の弊害のおそれがないか、さらに、出資がグループの金融サービスの向上に資する適正なものと見込まれるか、こういったことについて確認していくことを考えているところでございます。

 いずれにしましても、こうしたことについては、法律を成立させていただきましたならば、その後の実施に当たって、例えば内閣府令等で明確化することを検討してまいりたいというふうに考えております。

    〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

鷲尾委員 わかりました。

 それでは、次の質問なんですけれども、今回の銀行法の改正によりまして、グループ内での資金融通、これを容易に行えることができるようになるわけであります。グループ内の資金融通ということで、従来ですと、アームズ・レングス・ルールというのがあって、そういう基本的な原則にのっとりながら資金融通を行っていくという形になるわけですけれども、今度は、それにかわるものといいましょうか、実際、そういう金融業界からの要望もこれあり、資金融通が容易になってくる。

 であるならば、そのルールにつきまして明確なものがあった方がよいだろうというふうに思われるわけでありまして、その点、どのようにお考えか、お聞きしたいと思います。

福岡副大臣 先生御承知のとおり、アームズ・レングス・ルールは、グループ内で取引を行う場合に、グループ外の同一の信用を持つ者との間で取引を行う場合の条件よりも有利な条件での取引を行うことを禁止するものでございます。

 その趣旨につきましては、銀行がグループ内の関係者の利益を図ることで、銀行の健全性を損ない、預金者等の利益が害されることを防止するというところにあります。

 この法案につきましては、当局の個別の承認のもと、一定のグループ内の資金融通につきまして、アームズ・レングス・ルールの適用を除外することを許容することとさせていただいておりますが、承認に当たりましては、申請を行う各銀行においてこれにかわる明確な取引ルールが存在しているかどうかについて確認する必要があるというふうに考えております。

 どのような社内ルールを定めるかにつきましては、一義的には、申請を行う銀行において判断されるべきものというふうに考えておりますが、当局といたしましては、グループ内の収益、リスク管理等が恣意的になることにより銀行の健全性が損なわれることのないよう、社内ルールの具体的内容について聴取し、精査をしていきたいというふうに考えております。

鷲尾委員 もうちょっと具体的に言っていただきたかったんですが、個社にもかかわることでありますので、そこはぜひ適切に監督指導を行っていただきたいというふうに思うわけであります。

 それでは、続いての質問ですけれども、今度は仮想通貨について質問させていただきたいと思います。

 今回の法改正では、マネロン・テロ資金供与対策とか利用者の信頼の確保を目的といたしまして改正案が提出されているわけですけれども、もちろん極めて重要な問題ですが、私がきょう質問させていただくのは、利用者の信頼の確保という点から質問させていただきたいというふうに思います。

 今回の法改正案ですけれども、インターネット上で電子的に取引される仮想通貨について規制を及ぼすということでありますが、まず、仮想通貨の現状につきまして、どのような取引がされているか、取引規模がどんなものであるか、あるいは、取引に参加している利用者がどういう目的で取引に参加されているのかということの当局の認識をお答えいただきたいと思います。

池田政府参考人 仮想通貨の取引等に関します公的な統計は存在していないというのが実際でございます。

 こうした中で、民間の調査情報等によりますと、例えば、仮想通貨の取引の多くを占めると言われておりますビットコインにつきましては、本年三月の平均で、一日当たり、世界の主要な交換業者において合計で二千二百四十億円程度、それから、日本国内の交換業者において合計で十二億円程度、ビットコインと法定通貨の交換が行われているというふうにされているところでございます。

 こうした取引がどういう目的のために行われているかということについても、必ずしも正確な統計等は存在しないところでございますが、送金等の手段に用いるということのほか、取引価値を保存するというような趣旨での保存、さまざまな保有の動機により保有がされているものと考えております。

 また、仮想通貨の時価総額につきましては、これも民間の調査情報によるものですが、本年三月末の時点で、仮想通貨の時価総額は全体で九千五百億円程度、うちビットコインが七千二百億円程度とされているところでございます。

鷲尾委員 これから規制をしていくということでありますので、もうちょっと自信を持って答えていただきたいなというふうに思うんです。

 大体私が持っている情報とも平仄が合っているところがございますけれども、大分、現時点では投機目的もあるようでございます。なかなか決済手段としての利用というのは我が国では広がっていないということも聞いておりまして、その認識を精緻化していただきまして規制に当たっていただきたいというふうに思うわけであります。

 今ほど局長の答弁でもありましたが、仮想通貨の中では約九割がビットコインということでございます。このビットコインにつきましては、御承知のように、平成二十六年の二月に、交換所である株式会社マウントゴックスが取引を停止して破綻するという事件が起こりました。

 このマウントゴックス社につきましては、当初からビットコインの消失でありますとか預金残高の不足が報じられておりまして、その後、破産手続が進められていますけれども、昨年八月に代表者が業務上横領で逮捕されるという事態に至っております。

 今回の法改正の背景にこのマウントゴックス社の事件もあると思いますけれども、このマウントゴックス社について、このビットコインにつきまして顧客にどのようなサービスを提供してきたかというところで、実際、預かり金やビットコインの流出の実態につきましてどんな状況かということについてお聞かせをいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 マウントゴックス社が利用者から預かった金銭やビットコインを流出させていたその実態ということについては、今御指摘の司法上の手続の中で今後詳細が明らかにされていくものと考えておりまして、現時点で必ずしも詳細を承知しているわけではございませんが、御指摘のとおり、破綻に至る以前から債務超過に陥っていた、それから、顧客の資産と代表者あるいは会社の資産とが混同されていたというような点が、破産手続の過程で示されている資料等で報告されているところでございます。

鷲尾委員 もうちょっと詳しく調べておいていただきたいなというふうに思うんですけれども、質問も通告をしておりますので。一応、昨年の九月の時点で、預かり金約八十二億円に対して破産財団として約十二億円、顧客から預かったビットコインが約七十五万ビットコインに対しまして管財人が管理するのが約二十万ビットコイン、そういう実態がありますので、しっかり調べていただきたいなというふうに思うんです。

 事業者自身が資金流用ですとか、あるいは、さまざまな形でのさまざまな理由でのそういう流出のリスクにつきまして、この法改正においてどのような対応になっているのかということについてお聞かせをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、池田参考人の方から申し上げておりますけれども、いわゆる仮想通貨と法定通貨というものを交換するのをもってなりわいとしているという業者が、言われましたように、一昨年、破綻をして、その代表者が顧客の資金を着服した、横領したなどの容疑、嫌疑によって逮捕ということになったところであります。マウントゴックスというので一躍有名になりましたが、これは渋谷にあった会社だと記憶しますけれども。

 私どもは、今回この法案を提出させていただくに当たりましては、こういった問題が発生していることに加えまして、いわゆる仮想通貨を利用する人たちの預けた財産、ビットコインを含む、現預金も含めまして、そういったものと自分たちの持っている会社等の財産というものをきちんと分別管理する義務というものを課すとともに、これは当然のこととして、適正な管理や、会社をやりますときには、財務諸表、比較貸借対照表、財産目録等々そういったものをきちっとした正確性を担保するために、公認会計士の外部監査というものを受ける義務を課しております。

 また、業務の適正かつ確実な遂行、また、法令を遵守してもらうということのために、内部管理の体制というものをきちんと整備してもらいますよということもあわせて求めております。

 こういった規制に基づきます外部監査とか、当局によります監査、監督、検査等々を通じて業者によります不正行為というものを防止することによって、問題の早期発見やら、消費者、利用者に対する被害というものを最小限に食いとめたいと思っておりますので、とにかくこれをきちんと、どういった方向でこれが今後発展していくものなのか、発展せず衰退するものなのか、よくまだ見きわめられる段階ではありませんので、いずれにしても、この問題はきちんと注視をしてまいりたいと考えております。

鷲尾委員 大臣から御答弁いただいたとおりだと思うんですが、大分これは時価総額もふえていまして、これからもっとふえていくんじゃないか、そのような実態があると思いますので、おっしゃった分別管理というのは非常に大事だと思っています。

 現行の金融法制で、分別管理の方法につきまして、供託で行う、信託で行う、顧客資産と自己資産を区別して管理するだけのものがあるわけですね。この供託、信託というのは、顧客資産を当該業者の外部に保管管理をするものですから、相応の実効性が期待できるんですけれども、区分管理ということになりますと、基本的に区別をするという程度のものなので、実効性というのが本当に分別されているかどうかという判断がなかなかつきにくいということがあります。

 特に、法定通貨と仮想通貨、仮想の部分がありますから、実際、分別管理の具体的方法、内閣府令で定めるということになっていますけれども、どのような管理方法を想定されているでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 分別管理の具体的な方法につきましては、御指摘のとおり、内閣府令で定めることになりますが、例えば、利用者の金銭につきましては、信託、供託や会社財産を管理する銀行口座とは別の銀行口座への預金というような形で別個に管理することが考えられようかと思います。

 また、利用者の仮想通貨につきましては、これは現状において供託とか信託というものはなかなか難しいというのがございますので、会社の仮想通貨を管理するウオレットとは別のウオレットにおいて、利用者ごとの保有量が帳簿により直ちに判別できる状態で管理していただくということを求めることを予定しているところでございます。

 また、こうした財産の分別管理の状況あるいは会社の全体の財務諸表については、公認会計士または監査法人による外部監査を義務づけるということで、正確性をそうした形によっても担保しようと考えているところでございます。

鷲尾委員 その外部監査ですけれども、どれぐらいの期間ごとに実施を求めていくというおつもりですか。

池田政府参考人 監査につきましては、基本的に毎年、一年に一回の監査ということを考えているところでございます。

鷲尾委員 公認会計士の分別管理に対する監査ですけれども、これは、もちろん今も分別管理の監査の実績もありますし、当然、単なる会社側の区分管理に加える規制としてはふさわしいものだというふうに思うんです。

 今、一年に一回ということでありますけれども、実際に、先ほど申し上げたように、仮想通貨というのはこれからどれだけ取引規模が広がっていくのか、あるいは、仮想通貨をどう管理していくかというその技術自体も発展途上にあるというふうに思っておりまして、その中で、顧客側の仮想通貨は、原則というか、区分管理せざるを得ないというか、もうそれしかないわけでありますから、それをどう分別するか。実効ある分別管理を実現するための手法というのもそれと同時にやはり開発されなければいけないし、事業者とのやりとりの中でそこはうまく仕組んでいかなきゃいけないというふうに思います。

 ですから、制度の具体化に当たっては、そういった点もぜひ御注目をいただいて御検討いただかないと、結局、一応法には規制しているよといいながら、実際の現場では、これをどうやって監査するんだよ、こういう話にもなりかねませんから、ぜひそういう点もお含みをいただきたいというふうに思うわけです。

 ところで、今回の改正案ですけれども、先ほど来の答弁にもありましたとおり、交換業者につきましては、仮想通貨交換業者として登録制の規制対象になっております。

 仮想通貨に関する事業者としては、交換にかかわる業務を行わずに、仮想通貨を預かって保管のみを行う、そういう業務も考えられますけれども、その点、今回規制の対象になるのでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法律案におきましては、御指摘の仮想通貨の保管のみを行う業者については、規制の対象とはしていないところでございます。

 これは、少なくとも現段階におきましては、国内で広くサービスを展開する国内業者が存在するものではなく、仮想通貨の保管は仮想通貨と法定通貨の交換などとあわせて提供されることが多いというのが現実であるということでございます。

 それから、法定通貨との交換等を伴いませんことから、相対的にマネロン、テロ資金供与のリスクは低いものと考えられると考えております。

 また、交換業者を通じて仮想通貨と法定通貨との交換を行う場合のように、仮想通貨の性質や手数料などを十分に説明されずに購入させられるですとか、支払い対価に相当する仮想通貨や法定通貨が後で引き渡されないなど、そうした売買の場面で一般的に想定する損害発生リスクはこうした保管については存在しないと考えられること、こうしたことを踏まえまして、今回の法律案では規制の対象としていないところでございます。

 ただし、先ほど監査についてございましたが、仮想通貨につきましては、監査の分野に限らず、その利用の広がりやサービスの発展に応じた適切な規制を行っていくことが重要だと考えておりまして、今後とも、サービス実態を十分に注視して対応していきたいというふうに考えております。

鷲尾委員 局長に御答弁いただいたとおりでありまして、サービスの実態がこれからどう発展していくのかというところがまだわからない、未知数のところも多うございますので、そこは今回は規制の対象とならないというふうに聞きましたけれども、そういうサービスがまた出てきた暁には、規制対象外ということになりますと流用のリスク等々ありますので、その点、注意喚起をしておきたいというふうに思います。

 次に、ビットコインにつきましてですけれども、日銀の黒田総裁が一昨年の記者会見で、経済実態から見てビットコインをどう捉えるかという前置きの中で、次のように述べているんです。

 通貨とは、誰もがそれを一般的に受け取るということ、その前提として、価値がある程度安定しており、決済の安全性が保証されていることが不可欠だと思います。現在のビットコインの状況をみると、価値が非常に大きく変動するうえ、広く一般的な支払いに用いられてはいないようですので、経済的にみると、現時点では、通貨に必要とされる、一般受容性、価値の安定、決済手段としての安全性といった性質を備えているとは言えないように思います。

黒田総裁はこういうふうに述べているんですけれども、当局はどのように認識をされているのか、お考えを伺いたいと思います。

牧島大臣政務官 今、鷲尾委員から御指摘ございました平成二十六年三月の日銀総裁定例記者会見についての御発言については、承知をしているところでございます。

 本法案では、現時点で仮想通貨が通貨と同等の性質を有しないということを前提としつつ、支払い決済手段としての機能を事実として有することがあることに鑑みて、仮想通貨と法定通貨の交換業者について一定の規制を設けることとしています。

鷲尾委員 当局も認識しているということですから、さっきの黒田総裁の発言の中で、価値の安定性というのを指摘されているんですよ。最近においても、ビットコインというのは、法定通貨との交換レート、これが大きく変動しているんですね。例えば二〇一五年の一年間、ドルとの交換レートで見て、最高額、最低額、どれぐらい変動しているか、お示ししていただけますか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 ビットコインの価格の変動でございますが、最近の変動で申しますと、二〇一三年の終わり、十二月五日、この日に一千百五十一ドルというピークをつけておりますが、その後、例えば二〇一五年の上期あたりですと、二百ドル程度で取引をされていたというふうに承知をしております。

鷲尾委員 二〇一三年で一千ドルまで行っているのが二〇一五年で二百ドル程度まで。済みません、通告のとき二〇一五年と言っていなかったものですから、二〇一五年でも二百ドルから五百ドルぐらいまで幅があるんです。

 これだけ変動が多いというのは、これは、先ほどの総裁の言を引くまでもなく、経済的観点から見ても、やはり通貨と評価できるものにはなっていないんじゃないかなというところも確認をしたいというふうに思うのですが、いかがですか。

麻生国務大臣 先生、これこそが一番の問題ですよ、私どもから見ていて。

 今、金というものの相場というものも、考えてみれば、そうですね、七九年、ソ連のアフガニスタン侵攻以前、数百ドル、二百五十ドルぐらい。それが、侵攻が始まった途端に一挙に千ドルぐらいつけましたから。あれもどうだと言われれば、金という、長い歴史を持っている、価値観がそこそこ定着しておりますものですら、二百数十ドルがいきなりぼんと一千ドルになっておりますから、それはもうむちゃくちゃな話といえばむちゃくちゃで。あのときは随分いろいろなところで、韓国なんかで、ドルに対するあれがごとっと行ったものですから、ウォンのためにみんな金を供出したみたいな形のことまでやってあの場をしのいだという例が韓国でも見られましたけれども。

 そういう意味では、金というものですらそうなりますので、まだそれほど定着していない仮想通貨と言われるこれの上下幅というものに対して信頼性があるかと言われると、それは物すごく疑問性があるというところが、多分、総裁が大丈夫かと言われるのは、私はそこが一番大きいかなと前からそう思っておりました。

鷲尾委員 それでは、いま一つ別の観点からのリスクについてお聞きしたいと思います。

 ビットコインにつきましては、過去、ハッカーによりまして交換業者のサーバーに攻撃が仕掛けられましてビットコインが盗まれるという事件があったと聞いております。

 このサイバー攻撃によるビットコインの盗取事例において、当局としてどのように把握をされているのか、お聞かせください。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 仮想通貨と法定通貨の交換業者がサイバー攻撃により利用者の財産を消失した事案として申しますと、例えば、一昨年の十二月に、イギリスの交換業者がサイバー攻撃を受けまして、利用者から預託を受けたビットコインの一部を消失したということを公表しているというものがございます。

 この際の消失したビットコインは約九・五億円程度で、同社は利用者から預託を受けたビットコインの大部分をオフラインで管理していたということで、結果として、被害は利用者財産のごく一部であったというふうに公表されておりますが、現にそうしたサイバー攻撃により利用者の財産が消失する事案が生じているということは御指摘のとおりだというふうに考えております。

鷲尾委員 御指摘のとおり、国際機関の報告等でもサイバー攻撃によって仮想通貨が失われるリスクが指摘されておりますけれども、今回の法改正ではこの問題につきましてどう対応しているかということについても御指摘をいただきたいというふうに思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案では、まず、仮想通貨と法定通貨の交換業者に対しまして、業務の適正、確実な遂行や利用者保護の観点から、システムの安全管理に関する措置を講ずるということを考えております。

 具体的な措置の内容につきましては、今後内閣府令や監督指針などにおいて規定する予定でございますが、例えば、システムリスク管理に係る基本方針の策定、責任者の配置、定期的な内部監査など、システムに係る安全管理体制の構築を求める、それから、システム障害などの緊急時における対応計画、いわゆるコンティンジェンシープランの策定を求める、それから、システム障害発生時の当局への報告を求めるといったことを考えているところでございます。

鷲尾委員 ビットコインなどの仮想通貨は、実体が電子データということもありますので、サイバー攻撃の対象になりやすい面があるということであります。今おっしゃったとおり、内閣府令の中ではできるだけ実効性のある規律を定めていただきたいということを求めておきたいと思います。

 また、他方、サイバー攻撃につきましては、攻撃側の技術が日々刻々と高度化をするものでありますし、これを完全に防ぐというのはなかなか難しいとも言われているわけでありまして、銀行等の金融機関については、歴史的に見ても伝統があるものですから、こうした攻撃に対応するために重厚なインフラと体制を整えているものだと思いますけれども、仮想通貨交換業者がとり得る対応には、こういう伝統ある金融機関とはまた違う、限界があるんじゃないかということも否定できません。

 ですので、利用者に対しても、こういうリスクもあるんだよということを当局からも周知する必要があるんじゃないかということもあわせてしておきたいというふうに思います。

 そのビットコインや仮想通貨でありますけれども、さまざまな国際機関が報告書を公表しておりまして、この報告書の中では、仮想通貨が用いているブロックチェーンの将来性について指摘するものもあります。

 仮想通貨のリスクについても同時に指摘がなされているわけでありますが、どのようなリスクが指摘をされているのかということを一度当局からも御紹介を願えませんでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきましては、例えば国際決済銀行、BISが昨年十一月に公表しましたレポートでは、仮想通貨につきまして、マネーロンダリング、テロ資金供与に悪用されるリスクということのほか、仮想通貨と法定通貨の交換業者や仮想通貨の仕組み自体の安全性ということに関してリスクがある。それから、御指摘のありました仮想通貨の価格変動に伴う損失リスクなどもあるという指摘がされているところでございまして、御指摘のとおり、仮想通貨の仕組みの安全性については一定の指摘がございまして、それが将来の利用の障害となるのかどうか、これについてはさまざまな意見があるところだというふうに承知をしております。

鷲尾委員 さまざまな報告書の中には、消費者が仮想通貨を購入する際には十分にその特徴を把握した上で、なくしてしまうと取り返しがつかないほどの本当のお金は使わないようにするべきである、そういう旨の注意喚起も行われているところであります。ビットコイン等の仮想通貨というのは、先ほど来申し上げておるとおりでありまして、利用するときにはその特性やリスクを十分認識する必要もあるだろうと。

 改正法の六十三条の十で、利用者の保護に関する措置として、内閣府令の定めるところによって情報提供等を行うべきというふうにしているわけでありますけれども、海外の議論も踏まえて、仮想通貨のリスクについて利用者に十分な注意喚起が行われるべきだというふうに考えております。

 当局として、内閣府令にそのような定めを置くことを当然予定されていると思いますけれども、いかがでしょうか。

牧島大臣政務官 御指摘いただきましたとおり、仮想通貨と法定通貨の交換業者の利用に伴うリスクについて、注意喚起を行うことは重要であると考えております。

 この観点から、本法案においては、仮想通貨の購入等に伴うリスクについて、仮想通貨と法定通貨の交換業者に対し説明義務を課すこととしています。

 具体的な内容は内閣府令で定めることになりますが、例えば、仮想通貨の安全性に関するリスクや価格変動に伴う損失リスク等がある旨の利用者への説明を課すことを考えております。

鷲尾委員 金融審議会のワーキンググループでの議論が行われた際にも、ビットコインの利用者というところでは、比較的リテラシーの高い利用者を想定されていたようであります。

 そういう意味では、少なくとも現時点においては、この改正法自体が利用者層をある程度想定したものであることは指摘をしておきたいというふうに思いますし、間違っても、リスク認識が十分でない個人に利用が広がっていってしまうと、かなり悲惨な事例も出てきかねないというところがあるわけでありますので、適切な利用層が適切な情報を得て選択できる、そういった規制の枠組みというのが必要になると思います。

 この点、いかがお考えか、お聞きしたいと思います。

牧島大臣政務官 御指摘いただきましたとおり、仮想通貨と法定通貨の交換に際し、業者から利用者に対して、取引判断に必要な正確な情報が提供されることが重要であるというふうに考えております。

 こうしたことから、本法案においては、仮想通貨と法定通貨の交換業者に対して、利用者への説明、情報提供義務を課すこととしています。

 具体的な内容は内閣府令で定めることになりますが、例えば、仮想通貨は法定通貨ではない、法定通貨に基礎づけられておらず、価値が購入対価を下回るおそれがある、電子的に記録され、その移転はインターネット上で行われるため消失のおそれなどもあることなど、説明や、仮想通貨交換業者の商号及び登録番号や手数料などの契約内容についての情報提供の義務を課すことを考えております。

鷲尾委員 ぜひ今後も、発展途上の技術であるということも踏まえ、さまざまな視点からの規制を常に考えていっていただきたいなというふうに思いまして、仮想通貨についての質問は以上とさせていただきたいと思います。

 最後に、時間が少しございますので、今、仮想通貨の規制の中でも紹介がありました公認会計士の監査につきまして、残り時間を使って若干質問させていただきたいと思います。

 大分多く質問通告してしまっていますので、通告してきょう質問できなかった分は、後の委員会でしっかり質問させていただきますので、その点は御容赦いただきたいというふうに思います。

 まず、東芝の問題に端を発しまして、監査法人も、最大手の新日本監査法人が課徴金の納付命令まで受けた事態に陥っております。

 世界的な監査業務の趨勢につきまして、当局の認識をお聞かせいただきたいと思いますが、いわゆる二項業務でありますとか日本の会計基準あるいは監査基準の問題、こういった点につきまして、今、当局としてどのような把握をされているかということをお聞かせいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、海外の大手監査法人におきましては、収益に占めます非監査業務の割合が高く、監査業務の経営上の重要性が低下する、こうしたことが監査の質の低下につながるのではないかという、いわゆる二項問題というものがある、そういう議論があると承知をしております。

 我が国の監査法人におきましては、海外と比較しますと非監査業務の割合は高くないところが少なくないと考えられますが、今後とも、状況を注視していきたいと考えております。

 また、国際会計基準等会計基準をめぐる問題につきましては、国際会計基準について世界の多くの国で適用が進む中、我が国においても、国際会計基準の任意適用企業の拡大促進等の取り組みを進めさせていただいているところでございます。

 企業及び投資家の活動の国際化に伴いまして、会計・監査分野の国際化も急速に進んでおりまして、我が国としては、こうした国際的な趨勢を適切に踏まえながら、我が国企業の財務情報に関する国際的な信頼性の確保ということにしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに考えているところでございます。

鷲尾委員 国際的には、もともと日本は日本で監査水準のレベルも高いと思いますし、会計基準も適切に設定されていると思いますから、どっちが優劣という話をするつもりはありませんけれども、国際的に資本市場がグローバル化する中で、外の見た目も取り入れながら我が国の会計基準なり監査基準なりをつくっていかなきゃいけないというところでは、かなり水準としてレベルが合ってきたというところなんだろうと思います。

 局長が指摘したいわゆる非監査業務につきまして、監査法人自体、欧米でいきますと会計事務所ですけれども、随分と報酬の割合が高くて、それが監査の質に影響を与えているという指摘がありました。

 この点につきまして、我が国の監査という部分については、ぜひちょっとここは大臣から御答弁いただきたいなというふうに思うんですけれども、我が国の監査というところでいきますと、非監査業務は割合としてはそんなに高くない、しかし、例えば監査時間でありますとか決算までの時間が余りにも足りない、それで監査時間が足りないということによって監査の質が担保されていないんじゃないかという問題もあるわけです。

 こういうことが、実は東芝の監査の実態に対しても、ある意味、一部分影響を与えているんじゃないか。

 つまり、時間がない中で監査証明をしなきゃいけない、こういう現場もある。欧米ではたっぷり時間をとっているんだけれども、日本では全然時間をとっていない、それが実は監査の質にかかわっているんじゃないか、欧米とはまた別の問題で監査の質に今、日本独自の問題があるんじゃないかというふうに思っていまして、大臣、どう思われますか。そういう実態もあるんです。

麻生国務大臣 日本の監査時間が諸外国に比べて短いという指摘は、これは前々からありますことは承知をしております。

 昨年適用開始をさせていただきましたコーポレートガバナンス・コードにおいても、取締役や監査役に対して、高品質な監査というものを可能にするには十分な監査時間の確保を求めるなどの対応というものを要請してきたところなんですが、適正な会計監査のためには、監査計画というもの自体が監査上のリスクというものに応じて設定をされておりますので、十分な監査時間が確保されるということは極めて重要であるということはもう御指摘のとおりであって、今後とも、この状況はきちんと注意をしてまいりたいと思っております。

鷲尾委員 時間がなくなったので、最後にこれだけコメントさせてください。

 大臣、これはやはり決算の日程の問題なんですね。株主総会の日程に追い立てられて、監査証明どうするという話になっちゃうんです。ですから、監査計画を立てて幾ら効率的にやっても、いざ手を動かさなきゃいけないという状況になると、会社の締めを待ってからになりますから、そこから株主総会までのこの日程の問題なんです。

 今、日本は、株主総会が物すごく集中していますから、そっちの会社側の問題もやはり考えないとならないんじゃないかということを御指摘申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

宮下委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、仮想通貨についてお伺いいたします。

 マウントゴックスのような詐欺事件が起こっていながら、仮想通貨について法的規制もなく、いわば野放しの状態であることを考えれば、本法案で通貨交換業者の登録制が導入されることは、適正な規制への第一歩として評価できると思っております。

 しかし、既に始まっている仮想通貨の活用形態を調べると、商品先物やさまざまな金融商品を利用した過去の金融被害と同じ手口が見受けられ、過去の経験を反映した仮想通貨の規制ルールとは言いがたい面もあると思うんですね。

 本日は、法案に従って、本法案の規制について質問したいと思います。

 まずお聞きしますけれども、本法案で初めて仮想通貨について法律上の定義が与えられます。仮想通貨は、電子マネーのような通貨なのか、金融商品なのか。仮想通貨とは何か。その定義と、現在広く決済に利用されている手段との違いを簡単に説明していただけますか。

麻生国務大臣 この法案におきまして、仮想通貨というものは、いわゆるマネーロンダリングとかテロ資金供与の対策のために国際基準というものをつくらねばいかぬということで、多国間の枠組みでありますファイナンシャル・アクション・タスク・フォース、FATFというものの定義というのがございますので、それを踏まえて、不特定の者に対して対価の弁済に使用でき、かつ、不特定の者を相手方として法定通貨と相互に交換できる、二、電子的に記録され、移転ができる、三、法定通貨または法定通貨建ての資産ではないとの性質を有する財産的価値と定義をいたしております。

 したがいまして、プリペイドカードなどの前払い式の支払い手段とか、その他、企業が発行しますポイントカードなどにつきましては、例えば、それらを使用可能な店舗というものが特定の範囲に限られておりますので、不特定の者に対して対価の弁済に使用できないものであるならば、これは基本的には仮想通貨には該当しない、そういうように定義をされております。

宮本(岳)委員 現在、仮想通貨を利用した既存のデリバティブを模倣したハイリスク・ハイリターンのサービスがふえております。

 大手取引所のビットバンクが昨年七月に始めたビットコインFXは、複数の通貨での売買で差益を得る外国為替証拠金取引、いわゆるFXの手法をまねて、円などの通貨とビットコインを売買しております。また、ビットコインを証拠金として、その最大二十倍まで運用できるレバレッジまであるわけです。既に、月間取引額は四十億円を超えると言われております。

 仮想通貨を使った証拠金取引と金商法で規制されるFX取引と、取引の形態や利益を得る方法など、消費者にとってリスクに違いがあるのかどうかを確認したいと思うんです。

 金融庁は、ホームページにおきまして、「いわゆる外国為替証拠金取引について」、こういうものを掲載しておられます。そこには五つのリスクについて書かれてあるわけです。

 一つ目が、相場変動リスクというものであります。「外国為替証拠金取引は、外国為替相場や金利が自分の想定と逆の方向に動いた場合には、短期間のうちに差し入れた保証金以上の損失が発生する可能性があります。」こう書かれてあります。

 仮想通貨の取引に相場変動リスクはあるのか、その理由も含めて、金融庁、御説明いただけますか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のFX取引のような仮想通貨を使ったデリバティブ取引というものがどのような取引なのかということを、必ずしも詳細を把握しているところではございませんので、完全に正確にお答えすることは困難でありますが、現在、業者が提供していますホームページなどを見ますと、その業者自身が価格変動リスクがあるという説明をしているところでございますので、そういうふうに認識をされているんだろうというふうに考えております。

宮本(岳)委員 正確に把握しているわけではないが、業者自身がそう言っているからそうなのだろうと考えているという御答弁でありました。

 あわせまして、あとの四つですね。その他、金利変動リスク、流動性リスク、システムリスク、信用リスク、この四つが挙げられているわけでありますけれども、仮想通貨を使った取引ではこのようなリスクは発生するのかどうか、その理由についてもあわせて、金融庁、お答えいただけますか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し述べました業者のホームページなどでは、先ほど申しました価格変動リスク以外にも、御指摘の、流動性リスク、信用リスク、システムリスク、そうしたものの存在が説明されているところでございます。また、他の業者におきましては、こうしたことに加えて、金利変動リスクの存在についても記載されている業者もございます。

 それぞれの商品にどういう差があるのか、取引の詳細を必ずしも把握しておりませんので正確にお答えすることは困難ですが、そうした説明がされているという状況でございます。

宮本(岳)委員 基本的にはあるという御答弁だったと思うんですね。

 仮想通貨は通貨ではないけれども、外国為替証拠金取引のような通貨を利用した金融商品と同等のリスクを監督官庁である金融庁は認識をしておられます。

 ならば、なぜ今回、FX業者と同等の規制を導入しなかったのか、その理由について御答弁いただけますか。

麻生国務大臣 御審議をいただいております法案におきましては、資金の決済面から、仮想通貨と法定通貨の交換業者に対しまして登録制というものを導入させていただいております。これは基本的には、マネロン対策とかテロ資金供与規制及び利用者の保護のための規制というものを課すこととしております。これは、実際に投資家に被害が生じました例のマウントゴックスの破綻を踏まえますと、こうした規制の導入がいわゆるFATFなどで国際的に合意されたということにつきましてその対応を図るものであります。

 これに加えまして、いわゆるFX業者に対するものと同様の規制、例えば、先ほど言われましたレバレッジをかけたというレバレッジの規制などを課すべきかにつきましては、これは仮想通貨の既存の有価証券との類似性の程度、また、仮想通貨を用いました取引の実態やトラブルの状況、また、何らかの規制を導入するということになりました場合は、具体的にどのような類似とか内容の規制がふさわしいのかなどなど、多種多様な論点をちょっと整理をしてみないといかぬという段階にまだあるんだと思います。

 したがいまして、このため、今回の法案では、全部整理するまで待っているほど時間がないのかなという感じがしますので、早急な対応を図るということにしつつ、宮本先生御指摘のように、仮想通貨を用いた取引についても、この実態というものを今後よく注意をしながら、法案というものをさらに柔軟に対応させなきゃいかぬということになり得る可能性はあろうと思います。

宮本(岳)委員 週刊東洋経済、二〇一六年四月九日号によれば、マウントゴックス以外にも仮想通貨によるトラブルが生じております。

 金を担保とする仮想通貨、XNFというもので、二〇一四年一月に売り出されたこの仮想通貨は、発行会社は米国の企業でありまして、一時は価格が当初の二十倍近くに上がりましたけれども、七月には、日本で購入した顧客が換金できない事態となっております。ある代理店がウエブ上で公表している資料では、約二億円が日本からXNFの購入代金として送金されたとされております。XNFの発行会社の代表者は現在、消息不明ということなんですね。

 すぐにでも対応すべき問題は、このレバレッジ規制だと。一九九八年の外為法の改正により、外国為替取引が自由化されて始まったFXでは、詐欺事件の続発と規制強化のイタチごっこをしてきた歴史があります。

 金融庁は、顧客保護、業者のリスク管理、過当投機の観点から問題があると、二〇一〇年八月からFXにレバレッジ規制をかけました。レバレッジに上限を設けた理由、そして、その背景について御説明いただきたいと思います。

麻生国務大臣 個人顧客というものを相手にいたしますいわゆるFX取引、外国為替証拠金取引につきましては、これは、売買できる金額の上限というか限度を証拠金として、証拠金一〇〇に対して二十五倍にまで制限をするという、レバレッジ規制というものを二十二年八月から導入させていただいておるところです。

 規制の導入される前には、わずかな証拠金で多額の取引というものを顧客に勧誘する、勧めるということも行われておりまして、高いレバレッジの取引が多数見られたところでありますけれども、極めて高いレバレッジのフォーリンエクスチェンジ取引につきましては、為替がちょっと動いただけで顧客は膨大な損害をこうむるおそれがありますので、こういった業者のリスク管理の観点からもこれは問題があるということなどを踏まえまして規制が導入されたというのがその経緯であります。

宮本(岳)委員 現在、仮想通貨の取引にはそのレバレッジの規制はないわけですね。ネット上で自由に取引が行われております。ビットバンクのホームページを見ていただきますと、「ビットバンクトレード 世界最高レベルの取引量と信頼性 国内唯一追証なしのビットコインFX、ビットバンクトレードは二十倍レバレッジのビットコインFX取引を提供しています。土日にできる・登録から最短三十分で取引開始・二十四時間三百六十五日投資可能、という特徴を持つ先進的なトレードサービスです。」と、二十倍のレバレッジがうたわれております。シンプルFXというものは、五百倍のレバレッジでFXができると書かれてあります。FXのような詐欺事件が発生する可能性は極めて高いと言わなければなりません。

 そういう事件が発生することは想定していないのか、それとも、大規模な事件が発生するまでは放置しておくということなのか。いかがですか。

麻生国務大臣 これは宮本先生、先ほども申し上げましたとおり、この仮想通貨を用いた取引というのを法令上どのように規制するかということにつきましては、仮想通貨と既存のいわゆる有価証券等々との類似性の程度とか、また、仮に仮想通貨を用いた取引につきましても、何らかの規制を導入する場合には、具体的にどのような類型があるかとか、また、内容の規制がふさわしいかといったことなど、これはいろいろな論点というものをもう少し整理してみる必要と、その時間も要るんだと思っております。

 したがいまして、今回の法案では、実際に投資家に被害の生じましたマウントゴックス社の破綻というものを踏まえまして、早急に仮想通貨と法定通貨との交換業者に対する登録制と、マネロンとテロ資金供与規制を導入するということにしつつ、宮本先生の言われましたように、仮想通貨を用いた取引というものを法令上どのように規制するのかということにつきましては、これは今しばらく時間をいただいて、今後とも、継続して検討させていただきます。

宮本(岳)委員 過去の例を考えれば、FX取引相当の規制をかけなければ、仮想通貨を利用した詐欺事件が起こる可能性は高いと思います。

 消費者団体のフォスター・フォーラムの永沢裕美子さんは、「消費者被害を防ぐためにレバレッジ上限を共通化するなど業界一丸で取り組むべきではないか」とおっしゃっております。

 事件が起こって被害者が発生するのを待っているわけにいきませんから、大臣も御検討いただけるということでありますから、早急にレバレッジ規制についても御検討をお願いしたいと思っております。

 次に、仮想通貨の取引で得た利益に対する課税について。先ほど来、議論もされておりました。

 税大ジャーナル二〇一四年五月号に、大阪国税不服審判所次席国税審判官の土屋雅一さんが「ビットコインと税務」という論文を発表しておられます。論文では、二〇一四年当時、米国会計検査院、GAOが、ビットコインを含む仮想通貨に係る税務コンプライアンスのリスクについて取りまとめた報告書を公表いたしました。

 二〇一四年三月二十五日に、米国の内国歳入庁、IRSは、ビットコインを初めとする仮想通貨を用いた取引に現行の租税法がいかに適用されるかについて、十六問のよくある質問に回答する形式で解説したガイダンスを公表したようであります。

 これは政府参考人でいいんですけれども、その後、国内向けの解説資料などを公表しているかどうか、お答えいただけますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 米国の内国歳入庁が、仮想通貨の課税上の取り扱いにつきまして、ガイダンスの形式で二〇一四年三月二十五日に公表したということは承知しております。

 その後、内国歳入庁が仮想通貨についての解説資料等をさらに公表したとは承知しておりません。

宮本(岳)委員 そうですか。

 次に、欧州を聞きますけれども、欧州では、二〇一五年十月二十二日に、EUの司法裁判所が、ビットコインは通貨等の支払い手段と同様の機能を有するものであり、VAT、付加価値税ですけれども、これを課すべきではないとの判決を下して、欧州各国でもその方向で国内法が整備されていると聞いております。

 現在、日本についてはどうかといいますと、これは参議院の質問主意書に対する答弁書、あるいは、二〇一五年五月十九日の参議院財政金融委員会における質疑で財務省の見解が述べられております。しかし、仮想通貨に関する課税上の対応についてまとまったものはまだ公表されておりません。

 本法案で規制されると、仮想通貨の利用が一層拡大していく、この可能性がございます。課税上の扱いについても、財務省で、きちんとした見解もしくは解説書などをはっきり出すべきではないかと私は思うんですが、財務大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 これは、今般のこの法案で定義いたします仮想通貨の一つでありますいわゆるビットコインというものの課税上の取り扱いにつきましては、これまで国会でいろいろ議論が行われておりましたが、一般論としては、ビットコインの譲渡は、消費税法上、資産の譲渡などに該当し、消費税の課税の対象となる。また、ビットコインの譲渡によりまして利益が生じた場合は、所得税または法人税の課税の対象となるという旨を説明させていただいております。

 いずれにしろ、仮想通貨の課税関係については個々の事実関係に基づいて判断されるものでありますから、まずは、仮想通貨の取扱業者からの照会などに対して国税庁において適切に対応していくことが基本となるものだと考えてはおります。

 なお、お尋ねの、先ほどありました解説書といったものが必要になるかどうかにつきましては、これは、仮想通貨の取り扱い実態なども踏まえて、今後必要になってくるかどうかにつきましては、必要に応じて検討していくことになることもあり得るとは思っております。

宮本(岳)委員 仮想通貨は、通貨のように決済に使われたり、FXのように投資対象として売買されたりするわけでして、しかし同時に、通貨でもなく、有価証券でもない、こういうことでありますから、一般の国民には課税関係が極めてわかりにくいことになると思うんですね。

 昨年の参議院の財政金融委員会の答弁をもう一遍なぞりますけれども、麻生財務大臣は、ビットコインは法定通貨ではない、「課税上の取扱いについて一般論として申し上げさせていただければ、ビットコインの譲渡というものは、これは消費税法上の資産の譲渡等に該当するということになろうと思いますので、消費税の課税の対象となります。また、ビットコインの譲渡により、キャピタルゲイン、いわゆる譲渡利益が出た場合は、当然のこととして所得税または法人税課税の対象となります。」こう述べておられます。

 本法案によって、この見解に変更はございませんね。

麻生国務大臣 今の御質問は、民主党の、ずらっとおられませんけれども……(宮本(岳)委員「衆議院ですから」と呼ぶ)右代表一人ね。この法案は、大久保先生の質問に対して、仮想通貨を支払い手段、いわゆる法定通貨とか小切手などや、物品切手に位置づけるものではないということから、さきに述べた見解に変更はございません。

 いずれにいたしましても、仮想通貨の課税上の取り扱いにつきましては、仮想通貨の取引実態などを踏まえながら、税制改正のプロセスにおいて検討をさらにされるべきものだと考えております。

宮本(岳)委員 仮想通貨そのものの取引に消費税は課税されるということでありますから、先ほど取り上げた仮想通貨を利用するFXのような取引を行った場合でも、仮想通貨と円との売買ごとに消費税がかかることになるのではないか、こう思うんですね。

 それで、個人のトレーダーのケースを考えますと、仮想通貨を購入するときに消費税を払い、仮想通貨で円を買う際には消費税を取り、最終的に消費税課税業者として納税しなければならないということになるんでしょうか。これは事務方でいいです。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税は、事業者が国内において行う資産の譲渡等に対して課税されるものでありまして、ビットコインのような仮想通貨の譲渡も消費税の課税対象になります。

 そのため、消費税の課税事業者である個人のトレーダーが仮想通貨を購入する行為、これは課税仕入れということになりますし、逆に、仮想通貨で円を買うという行為は仮想通貨の販売になりますので、課税売り上げということになります。

 したがって、他の取引とあわせて、課税売り上げに係る消費税額から課税仕入れに係る消費税額を差し引いた額を納税するということになります。

宮本(岳)委員 そうなりますと、次に、トレーダーは、国内の個人や取引所と売買するだけじゃないですね。国内のトレーダーが国内の個人や取引所と売買する場合と海外の相手と仮想通貨の売買をするケースとで、消費税の課税は変わるんですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税は、国内において事業者が行った資産の譲渡等に課されることとされておりまして、仮想通貨の売買が国内において行われたか否かの判定は、その譲渡を行う者の当該譲渡に係る事務所等の所在地が国内であるかどうかにより行うこととなります。

 したがって、仮想通貨の譲渡を行う者の当該譲渡に係る事業所等の所在地が、国内にあれば課税取引、国外にあれば課税取引に該当しないということになります。

 具体的に整理して申し上げると、国内の事業者が行う仮想通貨の譲渡、売る行為につきましては、相手の事務所の所在地が国内であっても国外であっても課税取引となりますし、国内の事業者が行う仮想通貨の譲り受け、買うという行為につきましては、相手の事業所の所在地が国内であれば課税取引となる一方、その所在地が国外であれば課税取引に該当しないということになります。

宮本(岳)委員 仮想通貨の特徴の一つは、クロスボーダーでの決済や送金などの取引が容易に行われるということにあります。

 消費税法は、国内における資産の譲渡、貸し付け、役務の提供について消費税を課すとしているため、クロスボーダーの取引への課税が非常に複雑になることが予想されます。これは消費税がかかるのか、かからないのかというような混乱が後から生じないように、早く周知徹底していただく必要があるということもぜひ申し上げておきたいと思います。

 次に、銀行法の規制緩和について質問をいたします。

 本法案の一つの柱が、金融グループによる金融関連IT企業への出資を容易にすることにある。この場合の金融グループというのは、銀行持ち株会社を中心とするグループ、あるいは、銀行とその子会社で構成されるグループのことでありますけれども、その金融グループが、IT技術の革新に対応するため、事業会社に出資する際の規制を緩和するということでございます。

 この規制緩和を考える場合、大きな問題が私は二つあると思うんです。

 一つは、他業禁止規定にかかわる問題であります。

 銀行には、預金業務、貸付業務といった銀行本来の業務以外の業務を行うことが厳しく制限をされております。言うまでもなく、国民の預金を取り扱って貸し付けをするという経済のかなめをなす活動がリスクにさらされれば、経済全体の不安定化につながるためなんですね。この他業禁止規定の緩和がどのような影響をもたらすのかという問題を考えなければなりません。

 もう一つは、独占禁止法に基づく規制であります。

 きょうは、こちらの独占禁止法、独禁法に基づく規制について質問したいと思います。

 独禁法十一条では、銀行による一般の事業会社の株式保有については、五%以上の保有を禁止しております。なぜ禁止しているのか。この規制を緩和するとどのような弊害がもたらされるおそれがあるのか。公正取引委員会にお答えいただけますか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 独占禁止法第十一条第一項は、銀行に対し、他の国内の会社の議決権を五%を超えて取得または保有することを原則として禁止しております。

 このような規制が設けられている趣旨につきましては、豊富な資金力を有し、かつ、融資を通じて他の会社に大きな影響力を有している銀行が事業会社の株式を保有した場合には、企業支配の可能性はさらに高まるものと考えられ、また、銀行が特定の事業会社と結びついた場合には、融資条件について差別的な取り扱いが行われたり、出資による結びつきのある事業会社の取り扱う商品の購入を取引先に対しまして要請する等の不公正な取引が行われる素地が形成されることとなるためでございます。独占禁止法第十一条は、このような弊害を防止するために設けられているものでございます。

 したがいまして、同規制を緩和した場合には、今申し上げたような弊害が生じる可能性が大きくなるものというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 そういう弊害が大きくなると今御答弁がありました。

 以上のような弊害を招く危険が現にあるわけでして、今回の改正で、銀行や銀行持ち株会社の出資できる対象は大きく広がります。

 つまり、現行制度では、出資先は、金融関連業務あるいは従属業務を行っている企業に限定されております。リース業、サービサー業など、金融業に近い業務、銀行規則、内閣府令に具体的に列挙されているそういう業務に限定をされております。新たな業務に出資する場合は、内閣府令の改正が必要というのがこれまでの法令の扱いでありました。

 しかし、今回の改正によって、銀行が出資できる業務範囲は、当該銀行の利用者の利便の向上に資する業務またはこれに資すると見込まれる業務を営む会社にまで広がるということになります。内閣府令を改正して業務をつけ加えるのではなくて、出資する企業ごとに金融庁が個別に認可する仕組みとなります。

 銀行の利用者利便の向上に資する業務というのは、非常に包括的でありまして、幾らでも広げられる上に、内閣府令の改正も必要なくなるわけです。

 このように、業務範囲は現行制度から飛躍的に広がると考えられるわけですけれども、先ほど公正取引委員会から御答弁あったように、独禁法にかかわる弊害が起こる可能性が高まるのではないかと思うんですが、どうこれを規制しようとされるのか、金融庁にお答えいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案は、あくまで、ITイノベーションなどの成果を取り込みながら、利用者利便の高い金融サービスを提供していくことが重要だ、そういう観点から、御指摘のとおり、銀行業の高度化、利用者利便の向上に資すると見込まれる業務を行う企業を対象に、当局による認可を前提に出資を可能とするというものでございます。

 したがいまして、その対象は、銀行業の高度化、利用者利便の向上に資すると見込まれる業務という限定があり、または、当局による認可を前提にしているということで、銀行による産業支配を招くような広範な出資を許容しようとするものではございません。

 さらに、当該出資に係る認可に際しましては、銀行が当該企業を子会社とすることにより優越的地位の濫用といったもののおそれがないかといったことについてはしっかりと確認することとし、そうしたことを通じて、御指摘の独禁法にかかわる弊害が高まるということにならないような運用をしていくものと考えております。

宮本(岳)委員 いろいろおっしゃいましたけれども、そもそも、これほど大がかりな規制緩和をする必要があるのかということなんです。

 まず、金融庁からは、フィンテック企業の側、特にフィンテックベンチャー企業の側から正式に要請があるわけではない、こう聞いております。金融審議会でも、メガバンクの担当者が参加し、規制緩和の必要性を説いておりますけれども、要求しているのは金融業界だけではないでしょうか。

 しかも、フィンテックは、今やブームとなっておりまして、投資額も急激に伸びて、関係者からは、ITバブルのときと似たような状況ではないかといった懸念の声まで出るありさまであります。

 経産省の審議会に提出された資料を見ますと、日本でもフィンテック企業の資金調達は倍々ゲームで伸びております。また、大手ベンチャーキャピタルのSBIインベストメントが運営するフィンテックファンドには、横浜銀行の二十億円等、多数の銀行の出資を含めて三百億円を目標としていると言われております。つまり、銀行は、現行法のもとででも、ベンチャーファンドを通じれば事業会社に出資できるんですね。

 また、銀行がフィンテック企業と連携協力していく方法は出資だけじゃありません。業務提携という方法もあります。滋賀銀行とフィンテック企業のマネーフォワードは先月に業務提携を行い、フィンテック分野での新たなサービス、新技術の共同開発に合意をいたしました。既に銀行とフィンテック企業の業務提携も始まっているわけですね。

 リスクマネーは既に十分に供給されている。さらに、イノベーションのための銀行とフィンテック企業の連携も既に始まっている。この上、なぜ銀行の出資規制の緩和が必要なのか、はっきりと御答弁いただけますか。

池田政府参考人 お答えを申し上げます。

 金融グループとそれ以外のフィンテック企業などが連携をして、相互にそれぞれの持っているノウハウを共有しながら、イノベーションにより新しい金融サービスを提供していくということは極めて重要なことであり、このことの意義は、金融グループのみならず、フィンテック企業などの金融機関以外の方からも、そうしたものの重要性についての指摘はあるものと考えております。

 金融グループと金融関連IT企業との連携の仕方については、先生御指摘のとおり、さまざまな方法があるとは考えますが、両者の間の連携を進めていく上では、出資を行って関係を強化するということも重要な選択肢の一つであり、現に欧米では、金融機関による金融関連企業への出資が活発に行われ、両者が連携したイノベーションというものがいろいろ行われているということでございます。

 そういうことでございまして、金融とITの融合が進む中、利用者保護あるいは不正の防止、そうした観点には留意しながらも、ITイノベーションの成果を金融の分野に生かしながら、利用者利便の高い金融サービスを提供していく、そういう課題に対応するべく、今回、こうした出資の緩和ということを提案させていただいているところでございます。

宮本(岳)委員 余り聞いてもよく理解できないんですね。フィンテック企業は既に資金には困っていないんです。それから、業務提携は既に始まっているんです。

 欧米をおっしゃいましたけれども、アメリカでは、少なくとも法制度上は、出資対象を日本の今回の改正ほど広げてはおりません。金融業務の範囲内に限定をしております。

 海外の事情に詳しいエコノミストの意見を一つ紹介したい。

 野村資本市場研究所の淵田康之氏は、先月に公表された「フィンテックの意義と日本の課題」という論文の中で次のように述べております。少し長いですけれども、引用したいと思います。

 日本のフィンテック振興策では、米英とは異質な議論も目立つ。冒頭述べたように、フィンテックのキーワードの一つはディスラプション、破壊であり、米英は、フィンテックが既存の金融業を破壊する点に意義を見出し、期待しているのである。ところが、我が国では、既存の金融業者、特に銀行の観点からフィンテックが語られることが多く、銀行がフィンテックをいかに取り込むかという論評が目立つ。

 既存の銀行によるフィンテックへの出資を促進することと、フィンテックに既存の金融を破壊するようなイノベーションの実現を期待することは、ベクトルを異にする。

 既存の金融を革新する点にフィンテックの意義がある。変革を主導するはずのフィンテックを、既存の金融業の傘下に置くのが良策なのであろうか。

 こう述べているんですね。

 要するに、フィンテック企業が出資規制緩和によって銀行の影響のもとに入ってしまったら、生み出されつつある革新的なイノベーションの芽を摘み取ってしまうのではないか、金融の世界を大きく変える技術進歩が抑え込まれてしまうのではないかという御意見なんです。まあその正否はともかくですよ。

 フィンテック分野に今必要なのは、私は、バブルが起きないような環境整備であるとか、企業間の公正な競争の確保であるとか、国民から見て、本当に役立つような、金融の技術進歩が進められるような環境の整備ということであろうと思うんです。

 別に、銀行業界に肩入れをして、フィンテック業界を金融業界の傘下に入れるというふうなことを進めることではないように思いますけれども、これは大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 今、アメリカの例を、学者だか誰かの例を引かれましたけれども、銀行業務の破壊であるという発想からして、我々とは全然違うと思っておりますので。

 あの国では、例えば航空業を自由化したときには、パンアメリカンをぶっ潰し、TWAをぶっ潰し、いろいろなことをやったような国ですから、こっちもあれをやりますかと言われたら、それはなかなか乗ってこられぬと思いますね。

 だから、そういった意味では背景がかなり違うんだと思いますが、いわゆるITとか、インフォメーションテクノロジーというものを背景にした金融を活用したサービスというものは、いわゆるファイナンシャルテクノロジー、略してフィンテックという名前の造語ができてきたというのは、従来なかったような高度化されたもの、すごいスピードの高いもの、そういった利便性というものから見れば、質の高い金融サービスの提供をもたらし得るという状況になりましたものですから、金融というものの姿を、ビットコインに見られるように、いろいろな形で将来的な姿を大きく変化させる可能性があるという状況になりつつあることはもう確かなんだ、私どももそう思っております。

 こうした中にあって、今回の我々の出させていただいた法案の内容というのは、こういったフィンテックの動きとか、また利用者保護、また、不正の防止等々の観点というものを十分に考えながら、利用者の利便性とか高い金融サービスというものにつきまして、それをきちんと提供していくというようなことで我々がある程度やっていかないと、法律が今の現状に追いついていっていないということになっているのではないかということでありまして、銀行業界に肩入れしていく必要が今あるような状況に銀行はないと思っております。

 いずれにいたしましても、金融を取り巻く環境が変化していきます中で、これは銀行だけに頼らず、多様ないろいろな人の、プレーヤーというか参加する人が、銀行に限りませんけれども、産業のイノベーションとかいろいろな表現が使われていますけれども、さらなる生産性の向上に向けた取り組みを図っていくことこそが重要なのであって、それは銀行業界、金融業界においてもその例外ではないということだと思っております。

 したがいまして、引き続き、公正な取引、公正な競争のもとに、いわゆる国民の金融というものに対する技術の進歩というものがどんどんなされておりますので、それに合わせまして、私どもとしては、必要な環境整備というのを整えていくことによって、もって安全であり、そして信用、そういったようなものをきちんと高めておき、日本の金融力というものを国際的な中においても決して見劣りすることのないよう、おくれることのないようにしていきたいと思っております。

宮本(岳)委員 いや、私、別に、銀行を破壊するということを言ったつもりはないんですね。こういう関連の論文を読みますと、デジタルディスラプションというのはよく出てくる言葉ですよ。

 それで、このフィンテック業界は既に資金に困っていない、そういうファンドもいっぱいできて。だから、そういう中で、わざわざ銀行の出資を可能にしなければこの業界がやっていけないということはないのじゃないかということを申し上げたわけです。

 それで、銀行が出資をした件で、さまざまな問題というのをこの間、現に引き起こしてまいりました。銀行は、金融仲介機能という本来の社会的責任を負い、そのために大きな社会的影響力を持っております。

 しかし、これまでの銀行のあり方を振り返ると、残念ながら、その力を企業のために使うのではなく、みずからの利益のために行使し、とりわけ中小企業を抑圧してきたような事例がいっぱいありました。

 公正取引委員会に聞きますけれども、三井住友銀行は、融資先の企業に対し、金利スワップというリスクの高い金融商品を押しつけ販売をして、二〇〇五年末に公取の処分を受けております。この事件の概要と公取の対応を簡潔に御説明いただけますか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、三井住友銀行に対する件と申しますのは、同行が、その取引上の地位が自行に対して劣っている融資先の事業者に対しまして、融資に係る手続を進める過程において、金利スワップを購入することが融資を行うことの条件である旨を明示することなどによりまして、金利スワップの購入を余儀なくさせていたという事案でございます。

 公正取引委員会は、このような行為が優越的地位の濫用に該当し、独占禁止法の規定に違反するものとしまして、平成十七年の十二月二日、三井住友銀行に対して、その行為を取りやめて今後同様の行為を行わないこと、その旨を融資取引先関係にある事業者に周知すること、また、独占禁止法遵守の観点から、金利スワップの取り扱いに関する内部規定を整備することなどを勧告いたしました。

 同行がこの勧告を応諾いたしましたため、同年十二月二十六日、勧告と同趣旨の審決、すなわち行政処分を行ったところでございます。

宮本(岳)委員 そういう中小企業に大変大きな被害をもたらした事件を引き起こしたんですね。この件では、金融庁も三井住友に一部業務停止の処分をいたしました。

 これだけの被害があり、重い処分を受けたにもかかわらず、その処分を受けているさなかにも、ハイリスク商品を中小企業に押しつけ販売し、大問題になったのが、みずほ銀行を中心に多数の銀行が販売していた通貨オプション、為替デリバティブの問題であります。

 この事件の概要についても、簡潔に、金融庁、御説明いただけますか。

遠藤政府参考人 御指摘の件は、銀行が主に中小企業向けに販売いたしました為替デリバティブ取引契約におきまして、リーマン・ショック後の歴史的な円高によって、特に平成十六年から十九年度までの契約に関して、損失をこうむった等の多数の苦情相談が寄せられた問題であるというふうに承知しております。

 この問題に関しましては、金融庁といたしましては、平成二十二年四月、監督指針を改正し、発生し得る損失について顧客の説明を徹底すること、契約締結後の適切なフォローアップなどを行うように金融機関に求めるとともに、金融機関におきましても、苦情等の解決に向けて丁寧な相談体制、あるいは、平成二十二年十月に開始されました金融機関自身による裁判外紛争解決制度を活用し、迅速かつ円滑な解決に向けた取り組みを進めてきたところでございます。

 金融庁といたしまして、苦情相談の発生状況などについて、三メガバンクなど主要行に定期的な報告を求めるなどのフォローアップを継続しているところでございます。

 足元の苦情相談件数はほぼなくなっている、僅少で推移しているということでございます。

 今後とも、その動向について注視していく予定でございます。

宮本(岳)委員 この通貨オプションの事件では多数の銀行がかかわりましたけれども、多数の被害者を出したみずほ銀行含め、処分された銀行は一件もないんです。

 これらの事件が示すのは、日本の銀行には法令遵守の姿勢が弱く、とりわけ中小企業との関係では抑圧的な関係にあるということであります。

 こういう体質が払拭されたとは到底考えられず、こういう状況のもとで、銀行の出資規制を緩和し、独禁法上のリスクを高めるような改正は行うべきではないということを申し上げて、私の質問を終わります。

宮下委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。

 きのうも質疑させていただきましたが、きょうもでございまして、毎回毎回申しわけないなと思いながら、しかして我が会派は一人でございまして、そういう意味でもしっかりと役目は果たしていきたいと思いますので、きょうも、残り二十五分間、よろしくお願い申し上げます。

 きょうは銀行法の一部を改正する法律案についてということでございます。多少通告の関係で重なるところもありますけれども、そこは御容赦いただきたいというふうに思います。

 まず、今回の法改正で、金融グループの経営方針の策定、そして、その経営方針の実施の確保についてしっかりやりなさいよと明文化されているところです。

 その意図についてまずお伺いしたいんですけれども、何かといいますと、現行上ももう既にこういったものは、金融グループ、各社自主的に大体やっていらっしゃるというふうに思うんです。学校とか子供さんやったら、それはこういう方針を立てなさいね、そしてそれをきちんとやりましょうねというんやったらわかるんですけれども、こんな法律にまで、もう既にやっているような策定をしろというのは、ちょっと金融庁さん、大きなお世話ちゃいますかというふうに民間の方からしたら思われるところかなと。

 特に、法律ですから、やってはだめだというネガティブリストで出していくというんやったらわかるんですけれども、そうじゃなくて、やりましょうねという形でやることは、逆に、民間の自由度を阻害する方向性にもつながるんじゃないかなというふうにもとられかねないと思うんですけれども、ここをどうお考えになっているかということ。そして、現行の金融グループにおいて逆に策定していないところが多いからとか、そういうのがあるからやってほしいという意図なのか。その辺も含めて、金融庁はどのような見解でこれをつくられましたか。

福岡副大臣 委員御指摘のとおり、既にそういった取り組みがなされているということは承知をしております。

 一方で、近年の金融グループの経営形態につきましては、その多様化が進展しておりまして、各金融グループはグループ一体として業務を展開する流れにあります。

 こうした中、グループの頂点に位置する持ち株会社には、従来にも増して、より実効的な経営管理機能を発揮することが期待されているわけでございますが、現行法では、持ち株会社には子会社の経営管理を行うことができる旨が規定されているのみで、経営管理として求められる機能そのものについては定められていないという状況でございます。

 もっとも、これまでも監督指針等においては、持ち株会社にグループ全体の経営管理の体制構築に責任ある役割の発揮を求めておりまして、各金融グループにおいては、これに基づいてグループとしての経営方針の策定等が行われているというふうに承知をしておりますが、法制度としてはこれに十分応えたものとはこれまでなっていなかったというようなことがございました。

 そのため、この法律案では、金融グループの経営管理のあるべき形態については、先生がおっしゃいましたように、グループごとにまちまちであるということは前提としつつも、グループとしての経営管理を十分に実効的なものとするため、銀行持ち株会社が果たすべき機能を明確化することとさせていただいたものでございます。

丸山委員 直接的にはお答えになっているような気はしなかったんですが、しかし、現行では監督指針にはある、それを明確化するために法文としたということなんですけれども、とはいえ、現行法でも既にもうほとんどのグループは、そういう指針に基づいて、そして、そもそもみずからそういった経営の方針を立てられていると思うので、それをわざわざ法文化した意味はないかなというのが、正直な、見ていたところです。

 しかし、現行法でもあるので大して現行法と変わらないといえば変わらないんですが、法文にすることで、やはりそこにある意味の縛りつけというか、自由さが消えるところでもあるのかなというのが正直思うところなので、そういった意味で、だめだというわけじゃなくて、その辺はしっかり金融庁さんの方も、ある程度民間のことは民間に任せていくという発想は持っていただきたいというのは思うところでございます。

 とはいえ、今回のフィンテックを初め、金融関連がITに関連してイノベーションが起きていく過程がどうなっていくかというのが見えません。そうした中で、でも、その自由度を高めるために今回の法改正をされるというのが背景の趣旨だと思いますので、それは我が党としても非常に歓迎すべきだというふうに考えています。

 そうした中でお伺いしていきたいんですが、今回の法改正で、金融関連IT企業等への出資に関して、いわゆる五%ルールの例外を認めるということでございます。我々は賛成なんですが、しかしデメリットの部分も、多くの方、これまでの議論でも出てきていますけれども、まず、このデメリットについて政府としてどう捉えられているのか。そして、それを政府としてどう克服していく、対策していこうとお考えなのか。お答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 今回の改正案では、いわゆる金融グループは、金融関連のIT関連企業との連携を強化して、ITのイノベーション等々の成果を戦略的に取り込んでいきながら、いろいろな勢いで急激にITというものが進化していっていますので、そういったものと一緒になって金融関連も業務展開をやっていくことができるように、金融関連のIT企業への出資が五%ということではなくて、もっとということで出資を可能にすることとしております。

 他方、銀行に課せられております他業禁止というこの趣旨に鑑みますと、これは、本業であります銀行というもの、これは金貸しが資本ですから、その銀行業遂行にこれは悪影響を及ぼすんじゃないかといった点などは、これは注意をする必要があることはもうはっきりしておりますので、デメリットというのは、昔は特に今と違って、金がない時代に銀行に金が集中していた、そういった時期というのはかなり長い時期、日本の場合はありますので、そういった中で銀行による支配というものが非常にはっきりしていた時代がありましたので、そういった時代が一時期あって、デフレーションになってまた少し変わってきて、誰も金を借りない時代というのが長く続いて、銀行が青息吐息みたいな時代が九七年、九八年、ずっと続いた時代がありました。

 そういう時代からやっと今は変わってきて、傍ら、世界の中ではこの金融というものの国際性というのは非常に高まってきて、各国いろいろな形での金融に対する依存というのが非常な勢いで重なり合ってきているというような状況になってきていますので、我々としては、こういったような新しい時代に合わせて金融がどういったようなところにより必要とされていくかというようなことに関しましては、さらに金融としては、ただただじっと来る人を待っているというような時代から、自分からいろいろというようなことになってきつつあるのが今の流れだと思っております。

 そういった中にあって、今回の改正によって、新しい仕事を見つけ、それを育ててというようなことになっていく。これが行き過ぎますと寡占ということになりますので、そこらのところのあれをよく見ておかなきゃいかぬので、デメリットというのは、行き過ぎるとそういったことになり得るというのが大きなデメリットということになろうと思いますので、当局の認可を前提とするということにしておりますのは、そういったデメリットに対応するためにそういったルールをつけておるというように御理解いただければと存じます。

丸山委員 今大臣がおっしゃったように、いわゆるインフォメーションテクノロジー、ITによってあらゆる分野が今変わっていますね。製造業も、電気自動車で恐らく自動車業界というのはあっと驚く時間軸で多分変わっていくんだろうと思いますし、もう既に物流なんかも、アマゾンみたいな形で販売の部分も変わっている。次に金融の部分も、恐らくこれも想像だにしないようなサービスが出てきたりするんだろうなというふうに、今聞いていて思ったところです。

 しっかり日本としても、どの分野もいつもイノベーションは遅いというふうに言われるところなので、何か新しく生み出すよりは、それを改良するとか、その部分は強いと言われますけれども、そういった意味で、イノベーション、一歩おくれがちだと言われる中で、これはやるべきだというふうに今強く感じました。

 その中で、少し細かいところなんですが、お伺いしていきたいと思います。

 一方で、今回の改正だけじゃなくて、これまでもいろいろな、特に消費者側の苦情が発生しているような事例もあると思います。特にプリペイドカード利用についての、今回、苦情の処理体制をしっかりしろと整備の明文化、これもされているところです。

 最初の質問と一緒で、明文化していくという中でも、現行でも金融庁のガイドラインに、指針に定められていると思うんですけれども、これの意図もお伺いできますでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 プリペイドカード発行者におけます苦情処理体制につきましては、昨年八月に消費者委員会の方から、電子マネーを利用した取引における悪質な加盟店による消費者の被害の発生、拡大防止等を図るため、制度整備に向けた措置を講ずること等を内容とする建議が出されました。

 この建議の中で、苦情処理につきまして、先生御指摘のとおり、金融庁のガイドライン上では、従来から、プリペイドカード発行者に対する監督に当たっての着眼点というものは示されておりましたが、現実には、プリペイドカード発行者が紛争解決に非協力的である場合もあるということが指摘されておりまして、苦情処理をより徹底されるよう、法令上の整備をするということが要請されたところでございます。

 これを踏まえまして、今回の法案におきましては、苦情処理体制を整備する必要があるということを法令上明確にさせていただいたというものでございます。

丸山委員 ちなみに、これの数字をお伺いしたいんですけれども、この被害の件数とか被害額とかの数字、経年的にもしわかるデータがありましたらお伺いしたいんですけれども。

福岡政府参考人 消費者庁でございます。

 今御質問ありました消費生活相談でございますが、全国各自治体にあります消費生活相談の窓口では各種の相談を受け付けております。

 その中には、問い合わせや、潜在的なトラブルについての情報提供のようなものから、被害があったと疑われる相談など、幅広いものがございます。

 このような消費生活相談のうち、御指摘のプリペイドカードに関する消費生活相談の件数等でございますけれども、推移を申し上げますと、平成二十三年度三千三百八十九件、二十四年度三千六百六十四件、二十五年度三千三百四十一件、二十六年度五千九百九十四件、二十七年度一万四百九十六件となっており、増加の傾向にありまして、特に二十七年度には、前年度比で大幅な増加となっているところでございます。

丸山委員 今、数字を伺って、急激にふえているなというのが感じるところですが、これは、ふえた原因みたいなものは何か消費者庁の方でわかっていらっしゃるものがもしあれば。わからなければそれは構いません。

福岡政府参考人 十分に分析ができているわけではございませんですけれども、今申し上げましたプリペイドカードに関する相談のうち、いわゆる電子マネーに係る相談の件数がふえているというところでございます。

 そういった面で、電子マネーが普及していることがその問題の一端にあるんだろうというふうに認識してございます。

丸山委員 そういった意味でこの法案、大事だというふうに思うんです。

 今回の法改正で、つまり、業者側が非協力的だ、だからこそ、今回、ガイドラインだったものをちゃんと法に明文化するという先ほどのお答えがありました。非常に大事だというふうに感じるんですけれども、しかし、今回、この義務の違反に対して罰則が入っていないと思うんです。

 この、罰則を設けなかった理由というのはどういったところにあるんでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法律案におきましては、御指摘のとおり、苦情処理体制の整備義務違反に対する直接の罰則規定は設けていないところでありますけれども、プリペイドカード発行者の業務の運営に関してプリペイドカード利用者を害する事実があると認められる場合は、プリペイドカード発行者に対しまして業務改善を命ずることができるとされております。

 そして、この業務改善命令に従わない、反したという場合には、罰則を科し、また、登録を取り消すことができるということとされているところでございます。

 したがいまして、直接の罰則規定がございませんが、こうした規定に基づきます権限によります監督等を通じまして、プリペイドカード発行者に対する適切な体制の確保を求めてまいりたいと考えているところでございます。

丸山委員 これはしっかりやっていただかないと、法改正しても、この数がふえるというのをとめていかないといけないと思いますので、これはしっかりと金融庁さん、お願いいたしたいと思います。

 次に、もう時間もなくなってきましたが、仮想通貨について今回取り上げられているので、この定義についてお伺いしたいんです。

 この定義と、そして、いろいろなポイントなりカード類、要は仮想通貨と思われるようなものが世にあふれております。今から挙げるようなものがその仮想通貨に当てはまるかどうかもお伺いしたいんです。

 例えば、ポイントをためるもので、具体的にはTポイントだとかANAマイルみたいな形で、多店舗でためられて、かつ、それが使えるようなポイントはどうなのか。

 あとは、例えばスーパーとか美容院でポイントカードみたいな、その店舗だけでたまっていって使えるような、同一の店舗や同一企業内で、グループ内でためることができるようなポイントはどうなのか。

 あと、さっき少しありました電子マネーという意味では、交通系のICではSuicaみたいなのがあると思います。

 また一方で、仮想空間で、ゲーム内だけで利用可能な通貨みたいなのもあると思うんですけれども、こういったものも入るのかどうか。

 このあたりの定義を明確にお伺いしたいのと、そして、これはやはり具体的に、明示的に例示して、この法が施行された場合にはどういうものが仮想通貨に当たるんですかというのを開示する必要が私はあると思うんですけれども、このあたり、どのような対応を考えられているのか。金融庁、お願いいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におけます仮想通貨の定義でございますが、これは、マネーロンダリング・テロ資金供与対策の国際基準づくりを行っておりますFATF、金融活動作業部会の定義を踏まえまして定義をさせていただいております。

 具体的には、不特定の者に対して代価の弁済に使用でき、かつ、不特定の者を相手方として法定通貨と相互に交換できる、また二番目に、電子的に記録され移転できる、三番目に、法定通貨または法定通貨建ての資産ではない、こうした性質を有する財産的価値というふうに定義をさせていただいております。

 仮想通貨の定義に特定の取引が該当するかどうかは、個別の商品、サービスごとに具体的に判断されるべきものでありますが、一般論で申し上げれば、ただいまお尋ねのありましたポイントですとか電子マネーですとかゲーム内で利用可能な通貨につきまして、例えば、それらを使用可能な店舗が発行者との契約や利用者への表示等で示されている、そして、そうしたものの交換を行う不特定の者が存在しないという通常の形態のものであるということでありますと、基本的には、仮想通貨には該当しないものと考えられるかと考えております。

 また、先生から、こうしたものをわかりやすく示していく必要があるのではないかという点につきましては、先ほど申しましたように、最終的な仮想通貨への該当性は、個別の商品、サービスごとに判断していく必要があると考えておりますが、一方で、円滑に新しいルールを施行していくという観点からは、こうしたさまざまな決済手段の法令への該当性について周知を図っていくことは極めて重要だと考えておりまして、今後、関係事業者への説明等を通じて十分な周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 これはぜひちゃんと周知をやっていただきたいと思います。

 今回の法案が、可能性を広げるためにも定義していくというところだと思いますが、一方で、定義の仕方もしくは金融庁の対応次第ではこの可能性を閉めてしまう、閉じてしまうようなものになりかねませんので、業者側もこれは注視していると思いますし、金融庁はしっかりやっていただきたいんです。

 もう一つ、仮想通貨の方の定義は今お伺いしましたけれども、交換業者、これを扱うような業者の定義についてお伺いをしたいんです。

 その中で、交換は行わず保管だけやるような業者さんも出てくると思うんですけれども、これも含めて、この定義としてどのように捉えられているのか、お願いします。

池田政府参考人 本法案におきまして仮想通貨交換業というものの定義ですが、これは、一つには仮想通貨と法定通貨の交換、それから仮想通貨と他の仮想通貨との交換、それから仮想通貨と法定通貨の交換等の媒介、取り次ぎ、代理、そして、これらに関して利用者の金銭または仮想通貨を管理することと定義をさせていただいております。そして、こうした業を行うための登録を受けた者が仮想通貨交換業者と定義されているところでございます。

 ただいまのような定義でございますので、御指摘のように、仮想通貨の保管のみを行っているという場合については、今回の規制の対象にはしていないということでございます。

丸山委員 登録制でございますね、申請が必要だと思いますので。このあたりの定義はしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思いますが、今回の、交換業者、登録制で申請するときに、最低資本金の要件がどれぐらいになるのかという議論があると思います。金融庁としては今どのようにお考えでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 仮想通貨交換業を行うに当たりましては、セキュリティー対策を講じたシステム構築など最低限の初期投資などが必要になりますので、一定程度の資本が必要である。したがって、最低資本金の要件を設けるということが必要かと考えております。

 この最低資本金の要件として具体的な金額については、今後、内閣府令で規定していくことを考えておりますが、例えば、仮想通貨交換業者と業務が類似すると考えられます資金移動業者に対しましては、現在、事業開始時に最低一千万円の供託を求めているということに鑑みまして、これと同水準の資本金を求めることが考えられるかと考えております。

 また、最低資本金が当初ございましても、その後の累積損失の発生により事業者が債務超過に陥るおそれというものもございますので、例えば、純資産額がマイナスでないといった純資産要件をあわせて設けることが必要かと考えているところでございます。

丸山委員 非常に重要なところで、特に、変動するものでございますから見ていくのも大変だとは思うんですけれども、しっかり見ていくことが重要だと思いますので、これもしっかりよろしくお願いしたいと思います。

 いずれにしても、議論すると時間が足りなくなるぐらい、いろいろな不安な点、まだ見えないところがある今回の改正ですけれども、しかし、現状に追いついていないという大臣のお答えがありましたけれども、まさしくそのとおりで、あらゆるテクノロジーが出てくる中で、この金融もそれに漏れず、しっかりとイノベーションを起こしていくために前に進めなきゃいけないというところは我々維新の会としても一致していますし、ぜひやっていかなければいけないと思います。

 その中で、規制官庁である金融庁さんの役割というのは非常に重要で、今答弁にあったように、万単位での苦情が出ているものをしっかりと消費者目線でも見ていかなきゃいけない。しかし一方で、イノベーションを起こすために、企業側にもしっかりとバックアップできるような法体制をつくっていかなきゃいけない。非常にバランスのとれた運用が求められている。

 大事な大事な分野だと考えておりますので、今後の委員会質疑でもこの点を確認していくことをお約束申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

宮下委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

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宮下委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党を代表して、銀行法等一部改正案に対し、反対討論を行います。

 本法案は、銀行業界の要望に基づき、銀行あるいは銀行持ち株会社による事業会社への出資制限、他業禁止規定を大幅に緩和し、金融関連IT企業のフィンテック企業に出資できるようにするものです。

 そもそも、預金者保護と金融安定化のために、銀行と銀行持ち株会社の出資先の業務範囲には制限がありました。自民党政府は一貫してその制限を緩和してきましたが、今回は、金融関連業務の範囲という枠も取り払い、銀行のサービス向上に役立つ業務及びそれが見込まれる業務へと投資できる業務範囲を大きく広げ、銀行経営のリスクを質的に大きく高めることになりかねず、本法案は容認できません。

 また、本法案は、金融グループ内の効率化と機能強化のために、グループ傘下の銀行間の資金融通を容易化する等の改正を行います。これにより、金融グループに参加する銀行のそれ以外の銀行に対する優位性が一層高まり、再編に参加しない銀行との格差が一層進むことになります。

 地方銀行再編など金融機関の統合再編は、自主的な経営判断で行われるべきです。行政にはそのような環境整備が求められるのであり、再編を上から促進する措置はとるべきではないことを表明して、反対討論を終わります。

宮下委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮下委員長 これより採決に入ります。

 情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮下委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

宮下委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、うえの賢一郎君外三名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党及びおおさか維新の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。古川元久君。

古川(元)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 近年における仮想通貨交換業者に関する破綻事例の実態等を踏まえ、利用者保護等の観点から、実効性のある検査及び監督体制を整備すること。

   その際、優秀な人材の確保と職員の専門性の向上を図るとともに、必要な定員の確保及び機構の整備に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

宮下委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮下委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえて配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

宮下委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

宮下委員長 次回は、来る五月十日火曜日午後一時三十分理事会、午後一時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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