衆議院

メインへスキップ



第20号 平成13年6月20日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年六月二十日(水曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 高市 早苗君

   理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 高橋 一郎君

   理事 平野 博文君 理事 藤村  修君

   理事 西  博義君 理事 都築  譲君

      小渕 優子君    岡下 信子君

      河村 建夫君    北村 直人君

      坂本 剛二君    杉山 憲夫君

      砂田 圭佑君    谷垣 禎一君

      谷田 武彦君    谷本 龍哉君

      西川 京子君    馳   浩君

      林 省之介君    増田 敏男君

      松野 博一君    水野 賢一君

      森岡 正宏君    大石 尚子君

      鎌田さゆり君    葉山  峻君

      肥田美代子君    牧  義夫君

      松沢 成文君    山口  壯君

      山谷えり子君    山元  勉君

      池坊 保子君    斉藤 鉄夫君

      武山百合子君    石井 郁子君

      児玉 健次君    中西 績介君

      山内 惠子君    松浪健四郎君

    …………………………………

   文部科学大臣       遠山 敦子君

   文部科学副大臣      岸田 文雄君

   文部科学大臣政務官    池坊 保子君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長

   )            工藤 智規君

   文部科学委員会専門員   高橋 徳光君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     坂本 剛二君

  杉山 憲夫君     北村 直人君

  砂田 圭佑君     西川 京子君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 直人君     杉山 憲夫君

  坂本 剛二君     河村 建夫君

  西川 京子君     砂田 圭佑君

    ―――――――――――――

六月十八日

 教育改革関連六法案の廃案と教育基本法見直しの中止に関する請願(日森文尋君紹介)(第二八八七号)

同月二十日

 奉仕活動の強制、出席停止措置の拡大などを内容とする教育関連法案反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第二九九七号)

 同(小沢和秋君紹介)(第二九九八号)

 同(木島日出夫君紹介)(第二九九九号)

 同(児玉健次君紹介)(第三〇〇〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三〇〇一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三〇〇二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三〇〇三号)

 同(中林よし子君紹介)(第三〇〇四号)

 同(春名直章君紹介)(第三〇〇五号)

 同(藤木洋子君紹介)(第三〇〇六号)

 同(松本善明君紹介)(第三〇〇七号)

 同(山口富男君紹介)(第三〇〇八号)

 教育改革関連六法案の廃案と教育基本法見直しの中止に関する請願(中西績介君紹介)(第三〇〇九号)

 同(阿部知子君紹介)(第三〇六〇号)

 同(原陽子君紹介)(第三一〇四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)(参議院送付)

 文部科学行政の基本施策に関する件(大阪教育大学教育学部附属池田小学校事件について)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

高市委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局長工藤智規君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高市委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高市委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤村修君。

藤村委員 おはようございます。民主党の藤村修でございます。

 きょうは、国立学校設置法の一部改正ということで、その問題について、あるいは関連問題について、三十分間でありますが、質問をさせていただきます。

 まず最初に、国立大学の関係でこのところ、さらに富山大学、それから金沢大学における入試のミスが発覚をし、連日新聞報道でも言われております。私は、去る五月二十三日のときに、遠山文部科学大臣に対して、当時の、当時といってもそんなに昔ではありませんが、先月のあのときには山形大学工学部の入試のミスということで、これは大変大きな数であったり、過去に前例がないミスであったりしたことから、質問を一部差し入れてさせていただいたところでありました。

 あのときには、過去五年間ぐらいにさかのぼって、特に平成九年でしたか、あのときからの入試の多様化というのか、方法が相当変更されたということもあって、少なくとも国立大学において、過去にさかのぼってぜひ点検をしていただきたい、そういうお願いをしたところ、文部科学省も全国の国立大学に対してその指示をされて、そしてその点検をした結果として今回わかったのかどうか、そこはちょっとわからない部分もあるのですが、少なくとも、金沢大学については多分そうであったと思います。

 あの山形大学工学部のミス発覚、そしてその後の、最近の富山大学、金沢大学における入試の採点ミス等についての文部科学省としての現時点での公式な見解をまずお尋ね申し上げます。

遠山国務大臣 山形大学工学部に引き続きまして、富山大学、金沢大学においても入試の合否判定ミスが発覚いたしましたことは、極めて残念でありますし、あってはならないようなことがこれらの大学で起きたということは、まことに遺憾という言い方では、それだけでは済まないように思うほどでございます。

 大学入試というものは、受験生にとって、その後の一生を左右するというふうな影響力を持つものでありまして、大学としては、公明正大かつ厳正に、責任を持って、細心の注意を払いながら行うべきものだと考えております。

 今回、三大学の合否判定ミスが判明いたしました。山形大学工学部のケースをきっかけに再点検をしてもらって、その結果、富山大学、金沢大学についても出てまいったということで、そのこと自体は、これまで埋もれていたことが透明になったということで評価すべき点もありますけれども、そういうミスが判明したことによって、国立大学の入試に対する国民の信頼を大きく傷つけ、さらには、その当然合格しているべきであった学生にとって、入学が認められなかったことによる大きな影響を与えてきたということについても、私は、大学関係者はきちんと責任を感じて、できるだけのことはするべきと思っているわけでございます。

 また、今後このような事件の再発防止のために、原因の徹底的な究明を図る必要がありますとともに、関係者の処分はもとより、全国の大学に対しまして、再発の防止ということの徹底に今後とも万全を期してまいりたいと考えております。

藤村委員 点検をした結果、こうして九十二の大学からは問題がなかったという報告があり、残り三つが山形、富山、金沢であったというふうに聞いております。

 私は、富山大学のケースというのが、大変これは重要な問題というか、今大臣お答えになったように、本当に受験生の一人一人の気持ちを体していないというか、考えていないというか、言語道断の事態ではないか、そのように考えます。

 富山大学は、九九年三月には既にミスがわかっていたわけであります。それを二年間隠ぺいしてきていた。まず、隠ぺいの事実があるということですね。さらに、ことしの二月には大学の中では事実確認をしていたわけであります。

 ただ、そのときにちょうど、この四月からの学長の交代などの事態もあったようでありますが、少なくとも、先般の山形大学工学部ミス、これは大きな問題でありましたので、この時点で当然富山大学も説明をするべきであった。もちろん、それでも隠ぺいの責任は免れることではありませんが、するべきであったと考えますが、つい最近になって、富山大学でこういうことが起こった、それも何か投書によるものであったということのようであります。

 まだ、今から事態は徐々に解明されるのであろうと思いますし、文部科学省も事の重大性に対応して、早速に大学課長ほかお送りになって、きのうも多分事情聴取をして、きょうは帰ってきていらっしゃるのだと思いますが、一体何が富山大学にあったのか。何が問題だったのか。

 まだ、きのう一日調べてきて帰ってこられたばかりかもしれませんが、新聞報道では一部、例えば、担当の教授らは別のトラブルの処理に追われていたということなども発言をしていたり、前学長あるいは新学長の言を聞いていても、一人一人の人生がかかる入試ということに全然配慮がなかったのではないか。単なる大学内の、何かいわばいざこざで隠ぺいしてしまったような、なかったことにしましょうなどという、本当に言語道断の問題でありますが、一体これはどんな事情があったのか。その辺、今の範囲でお答えを願いたいと思います。

岸田副大臣 今先生から御指摘がありましたように、富山大学のケース、平成十一年三月に確認をされていたにもかかわらず、まず当時の入試責任者が適切な措置を講じなかった、それに加えて、事実を隠ぺいした、そういった意味で大変重大な事件であると認識しております。

 その後、ことしに入って匿名の投書があり、そして、先ほど御指摘がありました山形大学の事件後、文部科学省の方から全国の大学に対して再点検を指示したわけであります。その際に、事実を確認の上、文部科学省にようやく報告してきたということになったわけであります。これは、適切な措置を講じなかった、事実を隠ぺいした、こうした二重の意味で大学側の責任は大変重大であると考えております。

 そのため、こうした調査は、従来の入試ミスにおきましては大学側の自主的な調査にゆだねるケースがほとんどだったわけでありますが、今回のケースの重大性にかんがみまして、六月十八日から十九日にかけて、文部科学省より学生課長ら三名を直接派遣をし、関係者からの事実関係の確認、あるいはその早急な調査結果の取りまとめ、こういったことを指示したところであります。

 きのうまで現地で調査を行っておりましたので、これはいま一度整理をしなければいけないわけでありますが、現状、確認されていることといたしましては、この合否判定ミスの原因となったコンピュータープログラムについて、入試の判定方法の変更等が関係者にしっかりと伝わっていなかった等、チェック体制において問題があったということ、これだけは確認されているところであります。

 また、合否判定ミスが判明していながら公表がおくれた原因につきましては、関係者の意見に食い違いもあるようであります。このあたりもしっかりとその確認をしなければいけないということで、今、解明を急いでいるところであります。

 いずれにしましても、速やかに事件の全容を究明し、責任を明確化し、そして国民の信頼を回復できるよう、文部科学省としましても全力で取り組んでいかなければいけないと認識しておるところでございます。

藤村委員 きょうの朝刊などの報道で富山大学の前学長が答えているのは、「「学部自治」調査阻む」という見出しになっています。

 大学の自治という言葉はよく聞くのですが、学部自治などというのがあるのかどうか。私も実はちょっと、実態的にはあるということもよく聞いておりました。つまり大学が、どうも学部単位で、学部教授会がある意味では何でも決めてしまうというところに問題があって、そのことで、学長のリーダーシップの強化など、大学の組織の運営に対して法改正なども一部あったわけであります。いわばお家の事情で、あるいはお家騒動で、そして第三者の受験生たちが、ある意味では一生を左右する合否というところで判定がされた、それがミスであった。とんでもないことであります。

 私は、これは国家公務員法違反ではないかと言う人たちが出てきてもおかしくない、そのぐらいの、厳密な調査の上できちんとした処分、先ほど大臣は処分という言葉もお使いになりましたが、そのことをしていただかないと、今、来年また大学を受ける人たちの中に国立大学の入試に対する大変な不信というものがふつふつと起こっている。今回、山形大学のミスが発覚し、全国で調査をし、そして幾つかわかってきた。そこまではよかった。それに本当にきちんと厳正な対処をしていく、だからもう二度とこういうことはない、まさにそういう姿勢を、文部科学大臣以下文部科学省として態度を決めてとっていただきたい、このことは要望したいと思います。

 それに加えて、山形大学の発覚がいわゆる大学入試の情報開示という、これは前向きなことで、その意味では情報開示のおかげで山形大学のミスもわかったわけでありまして、このことは、ことしの四月からのいわゆる情報開示の流れを受けて、大学も国大協で決められて、そして情報開示をしていた。そのことは、私は前回の質問でも評価をしたのですが、ただ、どうもまだ全部の大学でそのことが行われていないということでありますので、これはむしろ、全部の大学できちんとやっていただきたいということもあわせて要望したいと思います。これについて、何かもしコメントがありましたらお願いを申し上げます。

岸田副大臣 まず、基本的には、入学者選抜そのものが各大学の自主的判断によって行われるものでありますから、その成績あるいは情報の開示、これも基本的には各大学の判断により決定されるものであります。

 しかし、国立大学協会におきまして、平成十一年六月に「国立大学の入試情報開示に関する基本的な考え方」、こうした考え方を取りまとめておりまして、それを踏まえつつ開示を行っているところであります。そして、調査によりますと、平成十三年度入試において、得点順位などの試験成績に係る個人情報を開示する大学は五十大学、検討中の大学は四十九大学となっております。

 これは国立大学の話でありますが、文部科学省としましては、国立大学のみならず、公立あるいは私立も含めまして、各大学のこうした情報開示の自主的な取り組みをしっかりと見守っていきたいと考えております。

藤村委員 ぜひとも、自分の試験の成績の結果を自分が請求すれば教えてくれるというのは余りに普通の、当たり前のことだと思いますので、これはむしろ強力に指導していただきたい、このように要望しておきます。

 さらに、今回明らかになったのは、結局は合否というのが、入試センターの試験も最終の合否にまさに一点刻みで関係しているということがよくわかったわけであります。例えば今の富山大学の場合は、富山大学として合否を判定するのに、九百点の満点で、そのうちの五百点が入試センター試験をそのまま、そのままというか一部加工して使うわけであります。

 私は、ここで新たな提案というか、既に大学審なども提案をされているのですが、入試センターの試験というものをどう取り扱うかについて、ぜひともこれは大学の入学に、十分な基礎的能力を持つというその判定、つまり資格試験的な取り扱いを推進するべきではないだろうか、こういう提案をしたいと思います。それは、既にもう昨年の大学審議会の「大学入試の改善について」という答申でも、そういう提案がされているわけであります。「素点による選抜だけでなく、一定の学力水準に達しているかどうかの判定に主として」このセンター試験を用いる、いわゆる資格試験的な取り扱いがもっと考えられてよい。私もこれに賛成であります。

 各大学が、それぞれ個性を持って、自分たちの大学に入っていただきたい方を入試で選抜するとなれば、そもそも基礎的には十分にその能力があるということは、入試センターの試験をうまく利用すればいい。しかし、それを最後の合否まで一点刻みの入試センターの成績を利用するというのは、もうぼちぼち考え直してもらいたい、このように考えるわけであります。

 つまり、大学入試センター試験の成績は合算せずに、個別の大学で、それぞれ個別の試験のところで、自分たちの大学にはこういう人に入ってもらいたいという判定をする、そういう提案をしたいと思うのですが、この点について文部科学省はどのようにお考えでしょうか。

岸田副大臣 近年、大学入学者選抜において、学力検査だけでなく、面接ですとか、小論文ですとか、あるいは推薦入学など、その多様化、個性化が進展していること、これはまずもって好ましい傾向だと考えております。そして、この大学入試センター試験の成績でありますが、ここにおきましても、各大学の判断、創意工夫によりまして、素点による利用のほか、傾斜配分方式を用いるなど、さまざまな工夫改善が行われている次第であります。

 そういった中にあって、今先生から御指摘がありました大学審議会の答申におきましても、いわゆる資格試験的な取り扱いについても提言されております。

 文部科学省としての考え方でありますが、こうした答申等も踏まえつつ、この資格試験的利用を初め、大学入試センター試験の多様な利用方法の工夫により、受験生の能力、適性等の多面的な判定を促し、大学入学者選抜の多様化、個性化が一層促進されるよう、各大学における入学選抜の工夫改善の取り組みをぜひ促していきたいと思っております。

 そしてなお、申すまでもなく、こうした多様な利用が行われるに当たって、ミス等が生じないように格段の注意の喚起も加えていかなければいけないと思っております。

藤村委員 これは、大学審が相当長年の研究の成果として、大学入試の改善については答申をいただいているものですから、これはぜひ十分に尊重して、特にまず国立大学においては、来年から本当に取り入れていただきたい、こんな要望をしておきたいと思います。

 そこで、今回の国立学校設置法一部改正の部分で、七条の廃止ということがございました。講座、学科目設置とその種類について省令事項としている七条について、これをなくす、各大学でそれぞれ決めなさい、こういうことだろうと思います。

 このことは、今議論をされています独立行政法人化ということとの関連でいうと、ある意味で、独立行政法人となればまさに独立した法人でありますから、そんなことは一々法律や政令や省令で言われることなくやれるわけであります。そうすると、今これを変えるということと、一方で独立行政法人化が検討されているわけですから、おおむねその方向で、平成十六年ぐらいからはと言っている中では、今変えて、平成十六年ぐらいまでの、独立行政法人になる前、あるいは大学法人と言うのかもしれませんが、それまでの残りの期間の措置、そういうふうにとらえてよろしいのでしょうか。

岸田副大臣 今回の改正でありますが、その考え方、要は、現行の設置形態を前提としつつ、国立大学の組織編制について柔軟かつ弾力的なものとするものであります。

 それに対しまして、国立大学の法人化の検討というのは、国立大学に独立した法人格を付与するということで、従来以上にみずからの権限と責任において大学運営を行うことができるようにするため、具体的な調査検討を進めるというものであります。

 ですから、今回の改正は、現行の設置形態を前提としつつ、組織編制について柔軟かつ弾力的な対応をするものであるということ、そして、大学の法人化は、みずからの権限、責任で大学運営を行うことができるようにするというさまざまな調査研究が行われているということ、この点につきまして違いがあると思っております。

藤村委員 今聞いたのは、要は、そういうことが決まればそこまでの話で、ある意味では残りわずかな期間の大学改革の最後の仕上げ、それはそれで、形態が変わればもう変わってしまうわけですから、そういうことですねということなんですけれども。

岸田副大臣 法人化の議論が進んでそういったことが決まれば、先生がおっしゃるような形になると思います。

藤村委員 そこで、独立行政法人という問題が検討されているという中で、つい先般も、国大協の中のそういう検討チームも、法人形態など一定の報告をされた。ちょうどその時期に、一方、文部科学省の方では、今度は全く違った新たな、国立大学あるいは公私立まで含んだ、トップ三十大学などという言い方もありましたが、方針を提示された。だから、ちょっと混乱しているんじゃないかと思うのですね。

 そのことの発端というのは、私が六月五日に、これも差し入れて一部だけ質問をさせていただいた、小泉首相の、あれは参議院においてですか、国立大学民営化論のようなお話、そこからの流れではないかと思うのですが、現時点で正確にお伺いしたいのは、小泉首相は、大学の、特に国立大学の民営化を視野に置いて国立大学の改革あるいは法人化を検討するように、そういう指示があるのですか。

遠山国務大臣 今の御指摘のことは、先般の質疑における総理の発言にかかわることだと思いますけれども、その際、国立大学の法人化の問題に関しまして、改革のためのいろいろな可能性を検討すべきであり、国立大学でも、法人化に際して民営化できるところは民営化するという視点が大事であるというふうに述べられたわけでございます。

 文部科学省といたしましても、そのような視点に立って、大学改革の一環として国立大学の法人化を今検討しているわけでございますが、その際に、いろいろな可能性を検討することが重要と考えているところであります。我々の法人化についての検討に際して、さきの発言の趣旨も考えながら、これからの法人化に際してのいろいろな可能性を検討するという立場で考えているところでございます。

 他方、我が国の国立大学が持っている学術研究面での役割の大きさ、あるいは地域における人材養成の重要性というふうなことを考えますときに、初めに民営化ありきということではなくて、民間的な発想による経営手法の導入という視点で運営面の活性化を図ることが重要と考えているところでございます。

 その他の考え方も含めて、先般、経済財政諮問会議で国立大学のあり方について方針を披瀝し、広く御理解をいただいているところでございます。

藤村委員 ちょっと注意しないといけないと思う点があります。

 経済財政諮問会議に報告をされた、こういうことであります。それは一般的に、他の分野で言いますと、例えばむだな公共事業をやめようとか見直そうとかということ、そのことと、国立大学の改革で、今回は、民間的発想の経営手法導入とか、あるいは再編統合を大胆に進める、それから第三者評価による競争原理の導入、トップ三十大学の問題という中で、むだな公共事業を省くなど、どっちかといえば、今、財政が厳しいという中で、むだを省く議論の中にこの国立大学の議論をそのまま持ち込んでいいのだろうか。

 先般いただきました経済財政諮問会議への報告の「「大学(国立大学)の構造改革の方針」等について」ということで、これは官房長と高等教育局長名の添付書類がついておりますが、この中に、「具体的な改革を大胆に進めてまいりたい」とおっしゃっております。これは文部科学省の意思と受けとめますが、それはすなわち、小泉首相の、ある意味ではさっき大臣のお答えになった、そういうことを視野に置いてということではあろうと思うのです。

 トップダウン方式というのも時に必要であります。しかし、この際、この国立大学問題は、今既に国大協の設置形態検討特別委員会や、あるいは国大協その他にも委員会をつくったり、あるいは国大関係者ら相当多数を巻き込んでのお話でございます。となれば、まず、その当事者である国大協あるいは国大協関係者らとそれなりの意見調整はされているという前提でこの構造改革の方針は出されたのでありましょうか。

岸田副大臣 今回の方針は、大学改革を担当する文部科学省の責任におきまして、大学、特に国立大学の構造改革の方針を、大学関係者はもとより、国民一般あるいは社会に対して表明したものであります。

 今先生から御指摘がありました、その作業の中での関係者との調整の話でありますが、経済財政諮問会議の検討作業が進む中で、今回、改めて国立大学協会など関係者と事前の調整などは行ってはおりません。ただ、その方針作成に当たっては、関係者から従来さまざまな御意見もいただいております、また報告書もいただいておるわけでありますが、こういったものも十分考慮した上、整理したつもりであります。

 こうした従来の積み重ねをしっかり踏まえた上で、文部科学省の責任としてこの方針を作成したわけでありますが、今後、具体的な作業、改革を進めるに当たっては、さらに関係者の御意見を十分に承って、参考にしていかなければいけない、これは当然のことだと思っております。

藤村委員 今副大臣の最後の方のお話ですが、当然のことなんですが、これは当然大きく法改正にもつながるわけですから、どういう手順、手続を今後実行していくかということについて、きちんと、ちょっとこの委員会の場で表明しておいていただきたい。

 つまり、先般の教育三法についても、国民会議がひょいと出てきた、それを文部科学省がプランとしてつくって法改正という、やや拙速な手続過程であったと私どもは相当批判をしたわけであります。

 今度の国立大学の問題も、これはちょっと手続を明らかにしておいていただいて、今後どういう手続をもってどういう期間で、相当早くやろうと高等教育局長なんかもおっしゃっているようですが、早くやることは賛成ですし、この改革の中身は私も別に反対しているわけではない。これは議論を今からでもしなければいけないけれども、どういう手続をもってこれを達成しようとするのか、そこを明らかにしておいていただきたいと思います。

岸田副大臣 今後の進め方についての手続、考え方でありますが、まず、国立大学の大胆な再編統合を進める、この点につきましては、既に幾つかの検討途上の大学もあります。来年度から、可能なものについては一つでも二つでも実施してまいりたいと思っています。また、今後、各大学からの意見も踏まえつつ、さらに具体化を図り、その結果として、国立大学の数の大幅な削減を目指すこととしたいと考えております。

 そして、次に、民間的発想の経営手法の導入という部分につきましては、現在、我が文部科学省におきまして、調査検討会議を置いて法人化の具体的なあり方について検討しておるところでありますが、ことし秋には中間まとめを、そして今年度中には最終報告を出したいと考えております。この報告を踏まえまして、できるだけ早期に新しい法人に移行したいと考えております。

 それから、第三者評価による競争原理の導入という部分につきましては、大学評価・学位授与機構を活用した第三者評価システムを、昨年度から段階実施を経て、平成十五年度から国立大学に本格的に導入する予定であります。

 そして、方針にあります国公私トップ三十の育成という部分でありますが、これは、具体的な対応を目指して、来年度概算要求の上でも必要な措置を検討していきたいと思っております。大体、こうした方針のもとに、関係者の意見も十分お伺いしながら、大胆かつスピーディーに改革を進めていきたいと考えておるところでございます。

藤村委員 財政再建でどれを切り捨てていって、そしていわば経費を削減するという発想で取り組んでいただくと――そもそも日本の高等教育に対する投資というのは少ないというのはこの前も指摘したとおりでありますし、それはもう認識が十分あると思います。トップ三十、私は賛成であります。つまり、本当に重点的な、必要なところに大きく投資をして、それをやはり世界に冠たる日本の高等教育に育てていく、そういう発想は必要であります。

 それともう一つは、小泉首相の言う民営化の部分。国大協会長は、今回の方針には民営化という言葉は一言もないと言って安心しているようでありますが、私は、例えば教員養成系など、大学の再編統合で、地方移管等ということですから、当然民営化も視野に入れてというのは、さっき大臣もお答えになった、そのこともあると思います。

 しかし、その中で、やはり高等教育に対する投資というものは、くれぐれも、これは削減するというような発想は頭から当然外していただいて、必要なところに十分な投資、大胆な投資をする。大胆な改革でありますから、そのくらいのことを考えながら、時間も来ましたので、要望をして、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

高市委員長 肥田美代子君。

肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の国立学校設置法改正案では、医学、医療の高度化、専門化に十分に対応し得る専門的知識、技術、豊かな識見を持った医療技術者を育てるために大学医学部に統合するということでございますが、年限延長でその目的は達せられると考えていいですか。――今回の法改正はすばらしい医療技術者を育てるためということだけれども、こういうふうに年限延長したことによってその目的が達せられると考えていいですかという質問です。

遠山国務大臣 これまでも医療短期大学部の四年制の医学部保健学科への転換を幾つか図ってまいりましたけれども、これは、近年の医療の高度化とか人口の高齢化の進展に伴って、専門的知識、技術であるとか、あるいは豊かな人間性とか、的確な判断力を有する資質の高い看護婦等の医療技術者を養成する、そういうニーズがありますけれども、それにこたえるということで、おおむね良好な評価を得ているところでありまして、今回の改正をお願いしておりますが、これによって、今の二つの医療短期大学部については、さらにあるべき人材を養成するという方向に行くというふうに考えております。

肥田委員 この人材育成の趣旨を薬学教育に当てはめて、これから大臣に所見をお伺いしたいと思うのです。

 病院等における医療事故、医療過誤が後を絶ちません。特に、薬剤に関する問題が半分以上を占めているわけですね。薬の専門家である薬剤師をもっともっと臨床の現場に活用すべきじゃないかと私は思うのですけれども、またそういう指摘も多いのですが、大臣は、薬剤師の任務をどのようにお考えか、そこのところをお話しください。

遠山国務大臣 薬剤師は専門職でありまして、医療の大事な部分を担う、大変重要な役割を果たしていると思っております。薬剤師の方の力をいろいろな場面で得ていくことによって日本の医療というものが充実していくということは、もう言うまでもないと思っております。

肥田委員 そこで、現在の日本の薬剤師教育、薬学教育が、医療従事者としての質的向上に十分対応できているかどうかという問題なんです。

 まず、日本と欧米の国々との薬剤師教育の違いといいますのは、日本では、薬の合成とか製造とかの分野に重きを置いておりますが、欧米等では、薬物療法学とか薬剤学に重点を置いているのですね。全く違ってきているわけです。

 しかし、今求められているのは、やはりきちんと患者さんに薬の説明ができ、そして服薬指導ができる、そういう薬剤師だと思うのです。今、医薬分業が四割、四〇%に進んでおります。医療を中心として、社会の様子が変わってきているわけですね。ところが、依然として薬学教育だけはそのままの形に置かれているというふうに私は思うのです。

 まずお尋ねしたいのは、EU諸国とかアメリカ、アジア諸国の薬学教育の年限はどうなっておりますか。

遠山国務大臣 薬学教育の期間に関しましては、国によって、多様な形態で行われております。

 EU諸国につきましては、五年制もしくは四年の学部教育と一年の卒後実習ということになっておりますし、アメリカにおきましては、六年制の一貫教育と聞いております。また、アジア諸国におきましては、四年制または五年制もしくは四年の学部教育と一定期間の卒後実習といったシステムで行われていると承知しております。

肥田委員 大体五年、六年が多いというふうに私も理解しております。

 次の質問に移ります。

 文部科学省は、医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議を設置しました。今回、その報告書がまとめられたと聞いておりますけれども、その趣旨及び内容について御説明ください。

高市委員長 肥田委員にお伺いいたします。

 工藤局長に御答弁いただいてよろしいでしょうか。

 工藤局長。

工藤政府参考人 医学、歯学の関係の協力者会議でございますが、大きく二つの観点がございまして、一つは、三年次からの学士編入の推進ということでございます。もう一つは、医学、歯学のカリキュラムの改革ということでございまして、国公私の大学の関係者が大変精力的に取り組んでいただきまして、例えばモデル・コア・カリキュラムを作成して、少なくともミニマムエッセンシャルズとして医療人にこれだけのことは身につけさせようじゃないかということで、各大学が真剣に取り組むようなことも含めて、大変すばらしい報告をいただいたと思っております。

肥田委員 それで、この調査研究協力者会議の報告については今後どのように具体化していかれるのか、その日程的なことも含めてお願いします。

工藤政府参考人 この検討に当たりましては、国公私の各大学の関係の方々にお加わりいただいているのでございますが、既に各大学にフィードバックいたしまして御参考に供していただくようにしてございます。

 また、ここで御提案いただいておりました例えばモデル・コア・カリキュラム、これについては大変多くの大学からの賛同を得てございますし、それから、あわせて一定の、医療人として必要な知識、技術、技能を修めたことを検証するための試験問題についても、みんなでつくろうじゃないかということで、それについても各大学、ほとんど全国公私立の大学の参加意向が寄せられているところでございまして、私どももそういう各大学の御努力をバックアップしてまいりたいと思っております。

肥田委員 ところで、文部科学省は薬学教育についても、平成六年に薬学教育の改善に関する調査研究協力者会議というのを設置されて、検討されてまいりました。

 その報告書の概要を見ますと、薬学教育についても、さっき質問させていただきました、医学、歯学教育のあり方の協力者会議とほぼ同じような趣旨が出ております。その後、この報告書の内容が具体化されてきたはずなんですけれども、各大学におけるカリキュラムの改善状況はどうなっているか、御紹介いただきたいと思います。

岸田副大臣 先生の御指摘ありました平成八年の薬学教育の改善に関する調査研究協力者会議の最終報告でございますが、この中での提言を踏まえまして、各大学薬学部においては、コミュニケーション論や医薬品情報学などの臨床教育の導入が進められるとともに、病院薬剤部や薬局における実務実習の充実が進められております。

 その結果、国公私立大学四十六大学では、すべての大学で病院薬剤部や薬局での実務実習が実施され、そのうち、国公立大学では平成十三年度において十三大学が、また私立大学におきましては、平成十年度の状況でありますが、十八大学が、この報告で奨励されております一カ月間の実務実習、これを実施しているところでございます。

 また、大学院修士課程における医療薬学専攻の量的、質的整備については、平成十三年度現在、すべての国立大学において医療薬学系の専攻を設置しており、公私立大学におきましても十五大学において設置しているところでございます。

肥田委員 この報告書の中で、厚生省と文部省と意見が少し分かれていたんですね。厚生省の場合は、実務を入れて六年が必要だとおっしゃった。しかし、文部省では、学部四年で大幅に改善して、それでもだめなら年限の延長をしますとおっしゃっていたはずです。

 この委員会は古賀委員会と言われておりますけれども、古賀委員会の報告が出てからもう既に、五年が経過しているわけです。それで、今おっしゃったように、カリキュラムの改善もしていらっしゃると。

 しかし、今まだ、私立大学の方では大学のカリキュラムの内容が本当に四年で済むのかどうかということを一生懸命検討していらっしゃるようですが、このカリキュラムの改善が、もし検討の結果、四年ではとてもじゃないけれども消化し切れませんよという結論が出たときには、文部科学省は薬学教育六年に踏み込まれますか。これは大臣にお願いします。

遠山国務大臣 薬学教育のカリキュラムの見直しに当たりましては、質の高い薬剤師あるいは新しい医薬品の創造者の人材の養成を目指していかなくてはならないと思っておりますが、それには、基礎的な教育と臨床教育との統合型の編制でありますとか、あるいは医療人としての素養に関する教育内容を充実していくこと、さらには知識の詰め込みではなく問題解決型学習の展開というようなことが大切であろうかと思いまして、また、そういうふうな観点に配慮して検討が進められていくことを期待しているわけでございます。

 修業年限のあり方につきましては、関係者間で意見の違いがまだあるところでありますが、国公私を通じて大学院修士課程の整備が進んでおります。その活用によって、実質的に六年間の養成がなされている部分もあるところであります。

 薬学六年制問題、長く議論はされておりますが、その問題につきましては、今後におけるカリキュラムの検討状況、先ほど申したような観点からの検討が十分行われているかどうかというような状況なども踏まえながら、卒前の教育と卒後教育のあり方も整理しながら考えていく必要があると考えております。

肥田委員 もう五年過ぎているんですね。ですから、今大臣がおっしゃるのは、私は、五年前ならわかるんですけれども、五年過ぎてまだそういうことをおっしゃっているのかなと。

 私も、この件に関してはきょうで八回目の質問でございます。スッポンのお美代と言われていまして、しつこい、しつこいと嫌がられているわけでございますけれども、これはやはり、何としてももうこの辺で文部科学省がきちっとした態度をとられないと、これからまた五年、十年と延ばされますと、医療過誤、そして病院での薬剤の間違いなんかで被害を受けるのは国民、患者なんですよ。

 ですから、今もう既に私学を初め各大学でカリキュラムが積み上げられている。そして、もし四年間で消化できませんよ、実習と講義を含めて四年間で消化できないですよという結論が出た場合には、文部科学省は決断をされるんですか。それとも、また五年延ばされますか。

遠山国務大臣 この問題については、なかなか一刀両断に結論を出していけないからこそ五年間の議論が続いていると思います。したがいまして、カリキュラムの問題、それから私学関係者のこの問題についての取り組みの状況、またこれの期間延長に関する理解なり準備なりの状況というのを踏まえた上で結論を出さざるを得ない分野だと思っております。

 いずれにしましても、関係者間のコンセンサスが非常に大事なことだと考えておりまして、そういう状況を見ながら、あと五年延ばすのかと言われるとその辺はあれでございますけれども、やはりそういう状況を見ながら、やるべきことはやっていくという姿勢で臨みたいと思っております。

肥田委員 各関係団体のそういう調整も本当に必要なんですね。それで六者懇というのができたと思うのですけれども、この六者懇は平成十一年に、文部科学省、厚生労働省、日本薬剤師会、病院薬剤師会、国公立の大学薬学部、私立薬科大学の代表で構成されております。薬剤師養成問題懇談会、六者懇が設置されたわけですが、ここで薬学教育の年限延長を懇談しているわけですね。

 文部科学省はこの六者懇にどのような方針で臨んでおられますか。

遠山国務大臣 薬剤師養成問題懇談会、いわゆる六者懇、今御指摘のように、文部科学省だけではなくて、厚生労働省、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、これに国公立大学薬学部長会議、それから日本私立薬科大学協会の関係者を加えて、幅広く問題を検討してもらっているところでございますが、一つは、病院等での実務実習充実方策がどうあったらいいか、それから大学院修士課程の充実方策がどうあったらいいか、さらには生涯研修の充実方策はどうかというようなことで検討を進めてきてもらっていると承知しております。

 現在もこの懇談会におきましては、これまでの議論を踏まえながら、実務実習の充実を含めて、臨床薬学教育の充実を図るための具体的な教育内容について検討が進められていると聞いております。今後、その具体的教育内容に関します大学関係者の作業状況も踏まえながら、できるだけ早い機会に薬剤師養成の充実のための方策がまとまることを期待しているところでございます。

 この懇談会におきます検討が取りまとめられました際には、厚生労働省とも連携をとりながら、必要に応じて審議会等の関係者の意見もいただきながら、その実施に努めてまいりたい、そういうスタンスで臨んでおります。

肥田委員 そうしますと、平成十三年の六月六日に出されました論点整理メモは、これはどういう扱いになりますか。最終報告ですか。

工藤政府参考人 ことしの五月に御指摘のような論点整理メモが出されてございますが、まだこれをもとに検討途上でございまして、これで結論がまとまったということではございません。(肥田委員「済みません、もう一度。結論が出たんですか」と呼ぶ)これをもとに検討しているところでございまして、これが結論ということではございません。

肥田委員 そうしますと、今大臣がおっしゃいました、取りまとめが出たらということと、どういう関連性がありますか。取りまとめは、論点整理メモではなくて、もう一度出るんですか。

工藤政府参考人 いずれにしましても、薬学六年制問題については、先生御承知のように、関係者間で必ずしもそのコンセンサスがとれていないというのが大きな問題でございまして、この六者懇などを通じまして、私ども、できるだけ意見の集約を見ればなと期待しながら臨んでいるわけでございます。

 この論点整理メモというのも、議論のプロセスの一つとして出てきているわけでございまして、この方向で必ずしもまだ関係者がまとまっていくということではございませんので、今後の議論、できるだけ早く意見の集約を見るように、私どもも汗をかきながらこの六者懇の議論を詰めてまいりたいと思っているところでございます。

肥田委員 この懇談会の性格ですけれども、これは決定権はありますか。

工藤政府参考人 御存じのように、これは審議会でもございませんで、いわば関係者間で自主的に集まっている会でございますので、決定権はございません。

 ただ、事柄の性格上、こういう関係者間のコンセンサスづくりが非常に重要であるということで、私どもも誠意を持って臨んでいるところでございます。

肥田委員 先ほどからたびたび、関係者間のコンセンサスという話が出てくるのですけれども、それで、私も、どこでそのコンセンサスができないのかなと思い、ちょっとこの議事録を読ませてほしいとお願いしたのですが、全く出てこない。これは非公開なんですか。

工藤政府参考人 済みません、関係者間の内々の、いわば本音ベースでいろいろ御懇談させていただく会のようでございまして、議事録もしっかりしたものがつくられていないとか、公開していないとかということで、御理解いただきたいと思います。

肥田委員 そうしますと、四者懇から六者懇、合わせますともう五年間になるんですね。それで、まだ懇談をしていらっしゃる。この懇談会には決定権がない、先ほど出された論点整理メモも最終のものではないと。そうすると、いつまで懇談されているのかなと、私なんか途方に暮れるのですけれどもね。

 ですから、本当に文部科学省がその気ならば、いつまでにこの結論を出します、そしてこの懇談会についてはもう少しきちっとした検討委員会なりなんなりの性格をつけ加える。ただただ懇談をさせているというのでは私は話がおさまらないと思うのですが、どうですか、もう一度お願いします。

工藤政府参考人 おっしゃるように、大変長い議論を積み重ねて今日に至っているわけでございますし、私どもも、いたずらに議論を先延ばしというつもりは全くございませんで、そろそろ、余りにもかみ合わない議論であれば、私どもがリードしながらでもまとめていかなきゃいけないかなという問題意識は持っているわけでございます。

 ただ、他方で、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、国公私を通じまして大学院の修士課程レベルの整理もかなり進んできてございます。薬学教育の高度化という面では、六年一貫ではございませんけれども、学部と大学院を通じて六年制での教育体制も、そういう意味では部分的には進んでいる部分もないわけじゃないということが他方でございます。

 ただ、それをもって六年一貫問題が解決したというわけではございませんけれども、そういう実態の努力もしながら、かつ、この問題についてもそろそろ議論の集約を早い機会に見たいものであるということで、私どもも努力してまいりたいと思います。

肥田委員 では、そろそろと今おっしゃってくださいましたけれども、そろそろは一年ぐらいと見ていいのですか、それとも半年ぐらいですか。

工藤政府参考人 大臣、副大臣の御指導も得ながら、そんな長くはない範囲でできるだけ早い機会にと思ってございます。少なくとも何年もということではないことだけは御理解いただきたいと思います。

肥田委員 医療法が改正されまして、医師とか歯科医師の免許取得後の臨床研修が必修化されました。そして、今回の国立大学設置法では、薬剤師を除く医療従事者の教育改革に着手することになります。こうなりますと、薬剤師を除く医療従事者の質的向上は着実に進展しつつあるのですね。薬剤師養成教育だけは六年も七年も長々と協議、検討が続いているわけですよ。

 申し上げると、コンセンサスができていないとおっしゃるのですけれども、これはやはり、文部科学省がどうするかという意思がきちんとないんじゃないかと思うのですよ。薬剤師だけそうやってほうっておこうというのならば、それはそれでまた一つの方向だと思います。しかし、もしも、薬剤師も医療従事者として、先ほど大臣がおっしゃいましたように、大切な立場があるというふうに文部科学省が理解されるのならば、これはもう少しきちんと、もう少し速いテンポで、こんなにゆるゆるしないでやっていただきたいと思うのですけれども、薬剤師とほかの医療従事者との改革のテンポの差はどこから来ているというふうに私が理解したらいいんでしょうか。

工藤政府参考人 これまで、医療関係の教育研究組織としましては、医学部のほかに、歯学部それから獣医関係の学部あるいは看護系の学部等、いろいろな分野があるわけでございます。近いところでいいますと、獣医学部について以前四年制だったのを六年制にというのがございました。いろいろな職種の中で、医、歯、獣医については既に六年制でございますが、御指摘の薬学の分野、それから看護学の分野については、まだ四年制がメーンでございます。

 その違いはどうかとなりますと、一概に言えませんし、先生もそれなりのお考えはあるだろうと思いますけれども、私の感想を申し上げれば、要は、臨床面に医、歯の部分はかなり近いといいましょうか、実際の現場で臨床が密接な中身を持っているわけでございますが、薬学関係について、今、臨床的な側面の教育が必要だとされているものの、実際に手術したりという臨床部分からは、看護も含めて、若干、医、歯に比べると距離があるのかなということがあろうかと思います。

 そうはいいましても、先ほど来、御質問あるいは御答弁申し上げていますように、同じ医療法の現場にあって、臨床的な側面での薬学教育の重要性というものが指摘されているわけでございますので、今後、誠意を持って取り組んでまいりたいと思っております。

肥田委員 まさに、私は、薬剤師を臨床に使わないからこうやって医薬品の事故が起こると思うんです。ですから、今おっしゃったのはちょっと私は合点がいきません。

 それで、もう時間も来ましたから、大臣にもう一度お願いをしたいと思います。

 今まで、むだな時間が過ぎたとは申し上げません。しかし、やはり文部科学省がリードをとって、薬学教育について、この国は医療の中に、そして臨床の最先端として薬剤師を使うのだという覚悟をしてほしいと思うのです。看護婦さんに薬の過誤の責任を負わせちゃいけないと思うのです。ですから、薬剤師が、やはりよその国と同じように、きちんとしっかりとした役目を果たせるような、そういう教育をなるべく早く、それこそ六年制の問題が起こってもう随分長くなります、六年の年限にしましょう、それを視野に入れて審議をしましょうとおっしゃってからでも七年たちます。ですから、こんなことを繰り返し、繰り返ししているうちに、幾らでも国立病院等の薬剤過誤、医療過誤が起きてまいります。ですから、今はもう決心のしどきだと思います。

 そういう意味で、文部科学省の中で本当にベテランで活躍していらっしゃった大臣に、このことについてしっかりとした御決意を、私はこの場でお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

遠山国務大臣 今聞いておりましたら、いろいろ経緯もあり、経緯があるということは、非常に難しい問題を抱えているなというふうに思います。

 これからの人材養成ということで、特に高等教育機関が担うプロフェッショナル、プロの人材をどう育成していくかということは、日本の大学にとって大変重要な課題だと思っております。単に薬学だけではなくて、医学の関係なり、今新たにローヤーの話も出てきておりまして、プロフェッショナルというのを、それぞれの分野において本当に望まれる資質を持った人材をどう育成していくかという幅広い観点とも絡めながら、こういう問題については、今るる答弁したような経緯がありますので、そう単純に、えいやっといかない部分もあろうかと思いますけれども、そういう角度での真剣な、誠意を持った検討というのを続けてまいるべきときだと思っております。

肥田委員 私がこの件について十回目の質問をしないうちに、ぜひ結論を出していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

高市委員長 武山百合子君。

武山委員 自由党の武山百合子です。

 早速、きょうは大学教育について抜本的な改革ということで、質問をしたいと思います。

 まず、国民は今教育に対して、もう本当にこのままではだめだと思っておるのが現状で、国民全体がよくわかっているというのが今の教育の現状であろうと思います。

 それで、まず、抜本的な改革ということで、二十一世紀教育新生プランの中でいろいろと改革の流れが一つできているかなと思っておりますけれども、これは制度的な改革、それぞれ形から変えていくということに大分この中はなっておりますけれども、本質の部分で、やはり抜本改革という意味で欠けているというふうに私は感じておるものですから、きょうは中身の議論をしたいと思います。

 まず第一点、大学の九月入学ということで、どの辺まで議論が進んでいるか御説明いただきたいと思います。

岸田副大臣 大学の入学時期につきましては、従来、四月入学が原則だったところ、各大学の判断により、学期の区分により、つまり秋期からでも入学できるようになっているところであります。そして、これにより秋期入学を実施している大学も増加してまいりまして、平成十一年度で国公私全体で三十七大学、五千四百三人となっております。

 大学のみすべて九月入学にするという議論につきましては、メリットとして、国際交流上の便宜ですとか、高校教育の完結ですとか、丁寧な大学入試の実施といったメリットが挙げられておりますが、一方で、デメリットとしまして、教育年限の長期化、あるいはそれに伴う教育費の負担の増大、あるいは移行期間中の授業料収入の減少、こういったところが指摘されているところであります。

 いずれにしましても、これは大学のみでこうした入学制というものを考えるというのは現実的に難しいわけであります。何よりも国民の理解が不可欠であるということから、国民あるいは大学、さらには企業、こういった関係者に調査を実施するなど、社会的合意形成に向けて努力をしていきたいと考えております。

武山委員 大学だけではなく、教育全般にわたって一つの方向性としてやはり夏休みが十分とれる。デメリットの部分で、授業料の収入だとか今るるありましたけれども、国民全体の中で夏休みを十分、学校に中間で出席するとか、宿題があるとか、いわゆる縛りがかかっている生活から、暑い中、十分家族で過ごす、それから学校のことを考えなくて過ごす、好きなことをすることに過ごす、家族旅行をするとか、地域で何かするとか、やはりいろいろ、よい意味のメリットの部分を中心に物事は進めていくべきだと思います。

 デメリットももちろん考えなければいけませんけれども、物事を大きく変えるときというのは、あれもこれも調整していたら絶対に進んでいかないんです。それが、今までの文部科学省の行政の部分、お役人的な発想から出てきたほとんどが閣法と言われる法律なんです。それに国民が本当にもうどうにかしてくれよというのが今の日本の教育の現場、それから父兄が思っている現場なわけです。

 私は、以前にこれは質問したことがありますけれども、小学校からもちろん導入した方がいいとは思いますけれども、今すぐできないということで、大学からということで町村文部大臣が答えた経緯があるために、私は大学というふうに今質問しましたけれども、根本的には、社会全体の大きな流れをどうつくっていくか、教育という一つの流れの方でどうつくっていくかということが一つのポイントです。

 週休二日制になり、社会はそうなっていますけれども、学校教育の中ではまだなっていない。それから、企業もなかなか、十分夏休みに休みをとって家族で過ごすということが、大分進んでおりますけれども、まだまだという点もある。ですから、企業も学校教育も、そして社会もそういう流れを一つつくっていくというのが、やはり大きな抜本改革につながると思います。

 それから、三十七大学ということで、平成十一年、十二年の二年間における、いわゆる九月入学を始めた大学という意味ですね。平成十一年、平成十二年、二年間のうちの三十七大学ということに解釈してもよろしいのでしょうか。

岸田副大臣 先ほど申し上げましたのは、十一年度に秋期入学を実施した大学、三十七大学と申し上げております。

武山委員 そうしましたら、十二年度はどうだったのでしょうか。ことしは平成十三年度ですよね。

岸田副大臣 済みません、十二年度の数字はまだ調査中でございます。

武山委員 そういう意味でも、一つの政策をやっていく過程でやはりスピード、もうとっくに、三月で一つのカレンダーイヤーというのは終わっているわけですので、そういうものをスピードを持ってやっていただきたいと思います。議論にならないわけですね。一年以上も前の議論をしなければいけないというのは、やはり議論にならないというところは指摘しておきたいと思います。

 私は、もちろん、そういう流れの中でだんだん社会的合意形成というものはできてくるんだと思いますけれども、でも、国民の意識を待っていたら、それは無理だと思います。それこそ十年、二十年とかかると思います。そこで、お役所がつくる、お役所が積み上げの中でするその意見も大事ですけれども、そこで大臣が決める。大臣がどうそこで判断するか、それが一番、最も国民が期待している部分なわけですね。

 そこに対して私は、官僚出身から大臣になったというのは、議院内閣制の中では非常に不満を持っている。今までの遠山大臣の意見を聞いていますと、ほとんど一歩も出ないような、守りの答えがほとんどなんですね。ですから、そういう意味で、私は民間の出身だとおっしゃいながら、言っている内容はほとんど役所の答弁というふうに、国民も、私ももちろん見ておりますので、そういう意味では、議院内閣制の中から出なかったということで非常に残念と思っている一人でございます。どうか副大臣が助けて、国民の代表である議院内閣制の中の国会から選ばれているわけですから、今のようなことがないように早速状況を調べていただいて、これは本当に、十二年の数なんというのは調べればすぐ出ることでありまして、先日の入試のコンピューターのトラブルもすぐ出てくるわけですから、それは常に意識を持って、そこはチェック機能を果たしていただきたいと思います。

 次に移りますけれども、大学の九月入学のお話を聞いた後、大学のカリキュラムですね、中身の問題でちょっとお聞きしたいと思います。

 まず、一番勉強したいときにどうしても、皆さん、日本の学生はアルバイトをしたり、入学試験に大変な難関を突破しなければいけないということで、その後の卒業が非常に簡単だと思うのです。ですから、勉強しないと卒業できないというシステム、内容はどういう議論をされているのか、その辺をお聞きしたいと思います。

岸田副大臣 我が国におきましては、大学において、入学者選抜の厳しさに比べて、進級、卒業が比較的容易であるという指摘がなされております。今後、大学において教育評価をより充実させ、その責任を果たしていくこと、これが重要であるということは当然のことであります。

 ですから、学生教育成果に責任を果たす必要があるということから、カリキュラム改革ですとか、シラバスの作成ですとか、あるいは少人数指導等を通じた教育内容、方法の工夫改善、こういったものを図るですとか、あるいは学生による授業評価の実施とか、いわゆるファカルティーディベロプメントというのでしょうか、授業内容、方法の改善のための大学としての組織的な取り組み、こういったものを通じて教員の意識改革、教授能力の向上、こんなものに取り組んでいるところであります。

 しかし、その一方、そうした取り組みが成果を上げるために、進級、卒業に対して適切な評価を実施しなければいけない、そういった考え方もできるわけであります。学生の成績評価のあり方、これ自体を見直して、そして一定水準を上回る学生しか卒業しないようなシステム、GPA制度というような制度の導入、こうした具体例も今見えてきているわけであります。こうしたさまざまな取り組みによって、国際的にも競争力のある大学、こういったものがつくられていかなければいけないと考えております。

武山委員 中身の取り組みの状況を聞きましたけれども、先ほど肥田議員が質問されていたように、ただその中身を議論しているだけでは全然だめだと思うんですね。ある期間を決めて、やはりその中で意見の集約というものを当然、私が言うまでもなく、することだと思うんですね。ところが、常に意見の言いっ放しで終わっているということで、その後、では、どういうふうにして集約して一歩前進するかというところが非常に見えてこないんですね。それでお話は、やっている、やっている、やっている。すなわち、進んでいます、話の内容は進む。それではもう国民は納得いかないわけですよ。

 その中で、方向性としてどのように入学試験を、もっと面接をして、それから今までの高校生活の成績と、いろいろな活動はどんなものをやったかとか、いわゆる内申書、成績、それから今までのいろいろなその人の経歴、そういうものと、面接とそれから学力ということで、総合的な評価をして入学させようという機運にはほとんどなっていると思いますけれども、その中身がまだ受験一辺倒で、その大学に受かるためにはその日の試験で決められるというところがポイントだと思うんですよ。

 もちろん、欧米でも試験で決めますけれども、その試験が一生に一度の試験というよりも、日ごろの高校生活の中でどんなことをやったか、どんなクラブ活動をしてきたか、どんな成績をとったか、どういう社会活動をしてきたかとか、総合的に欧米では入学のハードルを決めているわけですね。

 そういうところが今のお話ですとほとんど見えてこない。

 それから、そういうことを決めている人自身の意識が変わっていないと、今までの意識の中でそういう議論がされていましたら、ほとんど結論は今までと同じだと思うんですね。ですから、そういうカリキュラムの編成の中にあって、大学の中でどんな人たちがどう議論しているか。その議論している人の資質、それから人の意識、その中でかかわっている人の意識が同じ意識だったら、ほとんど変わらない。抜本的な構造改革を教育の分野でしていくという方向が出ているわけですから、そこにはやはり、前向きで、そしてみずみずしい発想でダイナミックなことが言える、やれる、そういう人が入ってこない限りは、ほとんど構造的な改革といいましたら閣法で、今までの法律の中でちょっといじっていく、半歩、一歩という前進だと思うんですね。今、国民が期待している教育の問題は、半歩や一歩を期待しているのじゃないんですね。十歩も五十歩も百歩も期待しているわけですよ。ですから、その中で議論する人の意識が変わらない以上は、なかなかそこは突破できないと思いますけれども、そこはどう思いますでしょうか。

岸田副大臣 先生御指摘のように、今、現代社会、世の中自体が大きく変わっていく中にあって、大学におけるさまざまな制度、仕組み、こういったものに対する意識も変わらなければいけない、おっしゃるとおりだと思います。

 ですから、関係者自体も、しっかりその辺を認識して対応しなければいけないわけでありますが、ただ、関係者だけの議論では限界があるというふうに思います。ですから、外部の関係者との交流ですとか、さらには第三者の評価ですとか、こうした外部の目、こういったものをしっかりと導入することによって、新しい発想を取り入れる、あるいは改めるべきところは改める、こうした活力につなげていかなければいけないというふうに考えます。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

武山委員 副大臣の今のお答えを聞いても、全く以前の答えとほとんど同じ答えで、私、何が改革だというふうに言いたくなるのがもう本当に実情なんですね。何しろ同じ答弁は絶対しないように、やはり本当に構造的な改革をどう進めるかということにおいては道筋をきちっと説明して、それでいつまでにやるとか、そういう道筋、青写真を細かく説明していただかないと、やはりいらいらして、納得いかないわけですよ。社会はそれでどんどん、教育の現場でも、それから社会の中でも教育をもとにいろいろな問題が波及して、大きな問題となっているわけですよね。ですから、それをぜひ国民の声として肝に銘じていただきたいと思います。

 それから、大学教育の中で、留学の単位のことでちょっとお聞きしたいと思います。例えば日本の学生が海外に留学するときには休学しなければできない、それから、あちらで取った単位がこちらの日本の大学でいわゆる履修したというふうにとられていない部分があるんですね。その辺はどういうふうな議論になっておりますでしょうか。

岸田副大臣 国際的な大学間の交流と協力を促進し大学教育の充実を図ること、これは重大な課題であります。ですから、学生が国内外の他の大学において修得した単位を大学の定めるところにより自大学の単位としてみなし得る単位互換制度、この活用を今図っているところであります。この活用によりまして、平成十年度、国内外で一万二千余の学生が交流をしております。

 この単位互換制度により自大学の単位として認められる単位数は、従来三十単位が上限とされていたところでありますが、学生の選択の幅を広げ、交流を一層進める、こういった見地から、平成十一年三月の大学設置基準の改定により、その上限を六十単位に拡大したところであります。さらに、本年三月の同基準の改正により、外国の大学がインターネット等により提供する授業を我が国において履修する場合にも単位互換制度が適用される、こういったこととなっております。

 そしてまた、別の動きとしまして、アジア太平洋大学交流機構というものがあります。アジア太平洋地域における大学間の交流に基づく学生交流の促進を目的として発足した組織でありますが、この機構による単位互換方式の施行への参加、そしてその普及の推進、こういった動きがあるわけですが、文部科学省としましても、ぜひこの動きを支援していきたいと思います。一対一の交流だけではなくして、こうした機構、面の面でもこうした動きが促進されるよう促していきたい、そのように考えております。

武山委員 そうしますと、国内の他大学で授業を受けた単位は、自分の単位としてもとの大学へ戻って取れるというふうな認識でよろしいんですね。

 それから、海外に留学した場合は、例えば日本の大学生が三年生、二年生で海外の、アメリカのコロンビア大学なりハーバードなりに留学を一年、二年した場合は、その期間、単位として加算されるんでしょうか。それはもうなっているんでしょうか。

岸田副大臣 先ほど御説明しました上限の、三十単位から六十単位に拡大したということでありますが、大体、三十単位というのは一年分ですから、六十単位、二年分をこうした制度を利用することによって自分の大学の単位として認められる、こういった制度の仕組みになっております。

武山委員 それを聞いて安心いたしました。

 それで、もちろんその単位は卒業の単位の中に加算されて、それで卒業できるというふうな仕組み、これはいつからなったんですか、制度的には。

岸田副大臣 三十単位というのがスタートをしたのは昭和四十七年だそうであります。そして、六十単位になったのが平成十一年ということでございます。

武山委員 こういうことを知らない人がほとんどなんですね、現実的には。ですから、そういう意味で、高等学校、大学へのきちっとした、いわゆるお知らせというか、啓蒙というか、説明というか、そういうものもぜひ同時に進行していただきたいと思います。みんな、留学したら休学しなきゃいけないとか、そういう発想で聞いているものですから、それはやはり国民的な、新聞に載せるとか、そういうお知らせが足りないんじゃないかと思いますので、ぜひそれは説明の部分で啓蒙していただきたいと思います。

 そうしましたら、次に、インターンシップも関連がありますので、お話ししたいと思います。

 ようやく日本の大学も少しずつインターンシップ制度というものを取り入れ始めたと聞いておりますけれども、それも欧米では大学のいわゆる履修科目の一つに入っておるわけですけれども、それは日本の大学は取り入れていますでしょうか。また、取り入れようとしていますでしょうか。

岸田副大臣 インターンシップというものは、まず基本的な考え方として、大きな意義を有するものであり、この積極的な推進を図ることは重要だと考えております。

 そして、現在の状況でありますが、大学においてインターンシップに取り組む学校は年々増加しておりまして、平成十一年度にインターンシップを授業科目と位置づけて実施した大学、これが全体の約三〇%という状況でございます。

 文部科学省におきましても、インターンシップ推進のための全国フォーラムの開催ですとか、ガイドブックの作成、配付あるいはインターンシップを実施する大学に対する財政的支援、こうした措置を講じてきているところであります。引き続きまして推進に努力をしていきたいと考えております。

武山委員 これも指摘しておきたいと思いますけれども、平成十一年度のことですので、これも十二年度分もぜひ早急に調べていただきたいと思います。

 それから、中身の件ですけれども、どんなものがあるのか。それから、期間としてはどのくらいを目安として、例えばアメリカの大学なんかですと、十週間が一つの単位になっているんですね。いわゆるセメスターになっているわけです。それで、十週間で一つのインターンシップというふうになっているわけですね。留学なんかも、十週間単位で留学制度というものがアメリカなんかはできているわけです。例えば、アメリカの大学の二年生、三年生で日本の慶応大学に十週間を留学する。一つのセメスターが十週間になっているわけです。

 ですから、そういう意味で、インターンシップは期間がどのくらいか、それをちょっとお聞きしたい。

岸田副大臣 実施期間としましては、一週間、二週間が最も多いようであります。大学では、五六・五%が一週間から二週間、三八・七%が二週間から一カ月となっております。

 ただ、個別の例を見ていきますと、長期のインターンシップの例としまして、四カ月から五カ月という例もあるという報告を受けております。

武山委員 今じゃなくて結構ですので、その例の細かいもの、長期でいわゆるインターンシップ制を導入している学校、それから短期ではどのような大学がやっているか、それからどんな職種に行っているのか、それをいわゆる授業科目として履修できたということがきちっと単位として行われているのか、それはまた後でで結構ですから、いただきたいと思います。

 先ほど、一つ聞くのをちょっと忘れましたけれども、いわゆる大学間の交流の中で、授業を他の大学へ行ってとって、それが単位となるということですけれども、それでは、その中で、もし自分が他の大学へ編入したいとき、簡単に編入というか他の大学に、例えば一、二年の教養はある大学でとって、三年、四年の専門課程は自分の大学よりもその専門課程が充実しているこっちの方がいい、あるいは、自分はこういう専門課程をとりたくてこの大学に入ったけれども、でも、この大学に入ってみたらやはりこの大学は自分とは合わない、いろいろな意味で大所高所から。ですから、二年間なり一年間なり、期間は限定しませんけれども、入ってみたけれども他のこちらの大学に移りたい、そういう大学間のいわゆる編入というか、大学をかえるということはどういうふうな状態になっていますでしょうか。

岸田副大臣 そういった対応は、法律上、制度としては可能な状況にはあります。ただ、具体的にどうするかは、やはり大学それぞれの判断に任せられているという状況であります。ですから、具体的にそれが認められるかどうかは、ちょっと一概には言えないかと思います。

武山委員 そうしますと、それは大学の自主性に任せているという意味に判断してよろしいんでしょうか。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

岸田副大臣 そのとおりでございます。

武山委員 それでは、そこはわかりました。

 それから、外国人教員の採用と語学教育のことをちょっと聞きたいと思いますけれども、やはり日本は資源がない国ですので、貿易立国ですので、語学教育というものは非常に大事だと思います。

 それで、外国人の教員の採用で、基本的に、いわゆる国同士の約束事で、英語を中心に、世界じゅうから高校に語学の教師として来ておりますね。そういうプログラムを国が行って、各市町村の高校に来ていると思うんです、主に県立高校に。語学の何かプログラムがあったと思うのです。それは聞いておるんですけれども、大体学校で一人いるかいないか。それから、地域によって、人口に応じて県立高校はあるわけですけれども、県立高校が三校すぐそばにあっても一校しかないとかという意味で、外国人のいわゆる教員の採用の基本的な認識というのはどうなっているんでしょうか。

岸田副大臣 先生から御指摘いただきましたのは、JETプログラムというプログラムのことだと思います。高校以下の語学教員の充実ということだと思います。こうしたプログラムの意義、大変大きいものがあると思っております。ぜひこれからも、しっかりと促進するためにどうあるべきなのかということで努力していきたいと考えております。

武山委員 それは国が予算化してやるわけですけれども、それは、恐らく一校に一人いるかいないかだと思うんですね。

 今、外国から日本に定住している人、それから短期で来られている人、物すごく外国人が多いわけですね。そういう方々がある一定の試験を通って学校の先生として採用されるような枠、もっとも、国同士で決めてもいいんですけれども、それはもちろんどういう方法でもいいんですけれども、そういう方々を採用するのが一番近道だと思うんです。言葉は、自分の母国語を持っている人がみんな外国人なわけですから、日本では。その方々を、多種多様な語学を、やはり日本はこれから教育の中で取り入れていくべきだと思います。

 前のお答えですと、JETプログラムはこれからやっていきたいということですけれども、一つだけでは、それを行き渡らせるのに画一的な発想でしかないと思うんです。教育はやはり教育委員会が、ほとんど県それから市町村の教育委員会で、いろいろな自分の町の教育方針、それから、どんなふうにどんな先生をどう雇っていくかというのも話し合われているわけですよね。ですから、地方分権の中で、各市町村でそういう門戸を少しずつ開いていく。

 例えば、アメリカなんかでは日常的に小中学校で行われているんですけれども、私にも、日本語をクラスに来て教えてくださいと。簡単な数を数えるとか、首都の名前を言うとか、もちろん初歩的な段階でですけれども、そういう形では免許も要らないし、いわゆるボランティア活動で、生徒の親が来るという発想なんです、アメリカでは。アメリカではほとんどもう、移民の国ですから外国人だらけなんですね、アメリカ人になっているわけですけれども。そうしますと、それぞれ多種多様な民族が移住しているものですから、非常に語学は、その場で簡単なあいさつとか、そういうのは日常的に、すなわち国際的な視点で、あいさつなんというのはいろいろな言い回しがあるということをみんなわかるわけですよ。

 ところが、日本の場合は、画一的に今までしてきたものですから、そういう意味で、やはり地域でもっと門戸を開いて、語学の教師を採用という前に、そういう言葉があると。小学校、中学校段階で遊びを通して、専門的じゃなくて初歩的な、それで、中学、高校になりましたらやはり専門的になりますので、きちっとした外国人の教員としての採用の門戸を開くという方向性も大事ではなかろうかと思いますけれども、その辺の所感はどうでしょうか。

岸田副大臣 この国会では、まず教育委員会の活性化ということで法案も御審議をお願いしているところでありますが、地方分権の動きの中で教育委員会が活性化するその活性化のあり方ですが、いろいろな形の活性化があります。その中の一つとしまして、語学教育においても、教育委員会の独自の判断で工夫をして、こうしたJETプログラム等さまざまな制度を使うということ、これは当然あるべき姿だと思います。

 ぜひそういった動きを促すように、また、支援することがあればどういった支援が考えられるのか、努力していきたいと思います。

武山委員 どうもありがとうございました。

高市委員長 児玉健次君。

児玉委員 日本共産党の児玉健次です。

 国立学校設置法の一部改正案に対して、私たちは賛成いたします。

 この機会に、徳島大学、長崎大学を含む国立大学病院が抱えている問題について、幾らか質問をします。

 国立大学病院における最近の重大医療事故、平成十二年、文部省からこれを示していただいて、八件の事故がそこには示されていますけれども、昨年二月の京都大学病院における事例、十月の長崎大学病院の事例、それぞれ概略を工藤参考人から明らかにしていただきたい。

工藤政府参考人 昨今、大学病院において重大な医療事故が重ねて発生して、御心配をおかけしておりますことを大変残念に思っているところでございます。

 今御指摘のありました京都大学の附属病院における事故は、平成十二年二月二十八日から翌三月一日にかけてのことでございましたけれども、看護職員が、入院されておられました患者さんに、人工呼吸器の加湿のために、本来蒸留水を注入すべきところを、過って七〇%濃度のエタノールを入れたために、患者さんがエタノール中毒になりまして亡くなられたものでございます。

 この事故につきましては、エタノールの容器と蒸留水の容器の外観が極めて似通っていたということ、それから外観が似通っていた容器を病棟の倉庫に一緒に保管していたということなど、幾つか反省する点があったところでございます。

 次に、長崎大学の附属病院の事故は、平成十二年三月にあった事故でございますけれども、糖尿病の患者さんに対しまして、胃腸薬でございますアルサルミンという薬剤を投与すべきところ、過って抗がん剤であるアルケランという薬剤を処方してしまったものでございます。以後、十月になるまで七カ月間にわたって誤投与を続けてしまったものでございまして、これによって抗がん剤の副作用を来しまして、患者さんは一時白血病や血小板が極端に減少するような危険な状態になってしまいました。その後、幸いにして治療がうまくいきまして、回復いたしまして、既に同病院を退院されてございます。

 この事故につきましても、医薬品の名前自体が片仮名で紛らわしいものであったということ、かつ今コンピューターで検索するシステムを各病院導入しているのでございますが、医薬品の頭の二文字で検索いたしますと、どうも、違った名前がたくさん出てきて、間違いやすいということでございました。

 それから、主治医が、糖尿病の患者さんだったものですから、血糖値の動向にだけかなり注意が行っておりまして、血液検査のデータの異常値を見過ごしてしまったということもございまして、こういう点の反省も含めて、私ども今後二度とこのようなことがないように、病院ともども努力しているところでございます。

児玉委員 今の二つのケース、遠山大臣、お聞きになったと思うのですね。それで、こういった事故をどうやって防止するか。

 国立大学病院というのは、すべてが特定機能病院として、高度でそして困難な医療を担当されている。ことしの三月に、国立大学医学部附属病院長会議、医療事故防止方策の策定に関する作業部会、そこが「医療事故防止のための安全管理体制の確立に向けて」、こういう提言を発表された。私は、いただいて、ゆっくり読みました。なかなか御苦労の跡がうかがわれる、それが私の感想です。

 人間であればだれでもエラーを犯す、このことを前提にして、そして大学病院という巨大で複雑な組織の中で医療事故をどうやって防止するか、そのことが検討されていますね。この中の中心的な部分の一つに、「新しい患者・医療従事者関係の構築」という部分がある。そこで、患者中心の医療が提起されています。これは非常に重要な提起だと考えるのですが、遠山大臣のお考えを伺いたいと思います。

遠山国務大臣 確かに国立大学附属病院の場合は、非常に複雑な病症でありますとか、あるいは高度の技術を駆使しないと治療できないようないろいろな難しい症例を扱っているということもございますけれども、しかし、さはさりながら、やはり医療に当たる人は基本的に患者の立場に立って医療に当たるということが非常に大事だと思っておりまして、今回のこの提言の中に、そういう角度の、大変大事な、基本的なことが指摘されているということを、私は大変評価いたしております。

 こういう問題をなくしていくには、いろいろなことが考えられないといけないと思いますけれども、個々の医療従事者がどういう気持ちで患者に当たるか、単に傷の部分だけを見て、これを高度の治療技術で治すというだけではなくて、患者自体のことを考えていただくことが大事ですし、また患者の側も、偉い先生、自分たちの思いも及ばない、大変高度の治療を受けているということで遠慮し過ぎることはなくて、やはり疑問なことを聞いたり、そして患者自身が、みずからの体についても考えながら、いろいろなそういう意識も持っていく、その両方が大事だと思っております。いわゆるお任せ医療ということではなくて、自分自身の疾病についてでございますので、これを理解したり、主体的に医療に参加するということが大事だと思っております。

 いずれにいたしましても、ここで指摘される、一人一人の患者のことを大事にできる医療体制の整備というものが、国立大学附属病院のみならず、すべての病院について大事だということは言えると思います。

児玉委員 大臣の今のお考えに私も同感しますし、そして、この中で特に強調されているのは、医師であろうと看護婦であろうと、患者との間の関係が、人間として対等でなければならぬ、そこのところのつながりが強い、それが医療事故を防止していく上での肝心な点だ、こういう指摘は本当に説得力あると思うのです。

 済みませんが、資料を配ってください。

 この作業部会の提言の中で、医療行政に対する要望という箇所がありまして、百四十五ページですけれども、そこでこういう指摘がありますね。「我が国の医療機関における医療従事者の人員体制は、先進諸国の中でも格段に手薄であり、このような状況において、安全管理に対して国際的な水準に照らした十全の配慮を行うことは容易ではない。」こう述べて、若干省略しますけれども、同様の事情は、公私立の大学病院でも同じと聞いている、こういう部分があります。

 そこで、私は、きょう、この機会に、特に国立大学病院の人員配置の体制の実情を真っすぐ見る必要があると思うので、今資料を配っていただきました。皆さんにちょっと手にとっていただきたいのです。

 第一表は、これは日本看護協会調査研究報告、なかなか分厚なものですけれども、四十二の国立大学のうち三十九が参加していますから、状況を大体カバーしていると思うのです。一番新しい数字で作成をしたわけですが、第一表は、一般病床、看護職員、看護婦、看護士ですね、看護要員、これは看護補助者も含む、一人当たりが担当する入院患者数です。第二表は、一般病床、入院患者百人当たり看護要員数。百人の患者に対して何人がそこで働いているか、医療に従事しているか、その数値を経年で示したものです。

 いろいろ指標がありますけれども、なぜ私が一般病床と、そして特に看護婦、看護士に絞ったかというと、昨年十一月に、日本病院会が非常に注目すべき調査を発表しました。医療事故対策に関する活動状況調査集計結果報告、六百八の病院が参加した。国立も、二十二の病院がこれに加わっています。

 その中で、アクシデント、事故に関しての報告の提出者の実に八二・六%が看護婦なのですね。ちなみに、医師は五・九%、薬剤師は四・〇%ですから、看護婦が圧倒的な数字ですね。それから、医療事故、アクシデントが発生した場所はどこかというアンケートに対して、七二%を病棟が占めているのです。いうところの一般病床が占めているのです。外来でもなければ手術室でもないのですね。病棟がもう圧倒的である。そういうことから、一般病床と看護婦に絞って議論を展開したいと思います。

 第一表を大臣に見ていただきたいのですが、看護職員一人当たりの入院患者数、国立大学病院というのは、言うまでもなく特定機能病院です。一人当たり二・一三人を担当している。上の方の欄で、市町村立を見てください。この中には、もちろん大都市の大型の市立病院、特定機能病院の指定を受けているところも若干はありますけれども、それはもう本当に例外的なところです。市町村立病院で看護婦さんは一・八二人の患者を担当すればいいんだけれども、特定機能病院である国立大学病院では二・一三人を抱えなきゃいけない。これは明らかに国立病院の定員配置の立ちおくれを示している、こういうふうに直言せざるを得ませんね。

 同じ公立で、都道府県立を見てください。この中には、かなり大型で特定機能病院の指定を受けているところが幾らかありますけれども、ここでは看護婦さんは一人当たり一・六九人の患者を担当すればいいので、国立大学病院の二・一三、これは都道府県立の一・三倍の患者を担当しなきゃいけない、こういう数値になっています。

 次に、第二表を見てください。

 ちょっと私は注意を喚起したいんですけれども、ここで入院患者百人当たりの看護要員が何人と、五十人、六十人と出てきています。ちなみに、アメリカではどうか。百人の入院患者に対してアメリカの看護職員は百九十七人です。それに比べて圧倒的に立ちおくれている。ドイツは九十三人です。

 さて、そのおくれている日本の中での相対的な地位ですけれども、八七年から九九年にかけてです。入院患者百人当たり、都道府県立と市町村立は、一番右の数字を見ていただくと、八七年から九九年の間に、都道府県立で十一・二人、百人当たりの看護婦さんがふえています。市町村立は十三・七三人です。そして、どちらかといえば相対的によかった私立大学でも八・七四人ふえています。ところが、この十二年間で国立大学病院は二・八〇しかふえていない。ここのところにまた状況の非常に厳しい実態がある。

 このあたりをつかんでいらっしゃると思うんですが、工藤参考人、なぜこうなっているのか。いかがでしょうか。

工藤政府参考人 諸外国との比較、あるいは国内でのいろいろな病院との比較ということでございますが、私ども考えますに、国立大学附属病院の場合に、外来が他の病院に比べて、同じ大学病院でも私立大学に比べて外来がそんなに大きな規模でない中で、外来と病棟の区別なく看護要員をカウントされているとか、若干の数字の取り方はあるのですが、ただ、いずれにしましても、大学の附属病院、かなりマンパワーが少ない中で、随分関係の皆様が頑張っていただいているという事情は十分認識しているつもりでございます。

 私どもも、命を預かる病院の場でございますので、医療体制の整備に力を尽くしているつもりなのでございますが、何分、今、御案内のような行財政事情の中で、定員の増強というのは、同じ国家公務員の中で増減、めり張りをつけてやっているところでございますけれども、トータルとしてなかなか思うように増員ができないでいるという状況でございます。

 そういう中ではございますが、国立学校全体としまして、昨年とことしを比べてみますと、定員はトータルで五百九人の減でございます。その中で、私ども、できるだけ病院の充実をと思いまして、リスクマネジメント担当の看護婦長さんの配置だとか、実員で五十一人の定員増、さらには、それだけでは追いつきませんので、ことし非常勤看護職員約八百人の増員を図りまして、増強を図っているところでございます。

 まだまだ十分ではないと思いますけれども、今後とも最大限の努力を重ねてまいりたいと思っております。

児玉委員 十分でないということはよく工藤さん御承知だし、この後どういう努力をするか、その点はまた触れたいと思うのです。

 この病院長会議の皆さんがつくられた医療事故防止のための提言の中で、随所に確かにそうだなというふうに思う場所がありますけれども、その中で、医師の役割に関連したところで、受け持ち体制の空洞化、この患者に対して本当に責任を負うドクターはだれか、そのドクターがいわゆる研修医ではなくて一定の蓄積を持った指導的な医師でなければならない、ところが、それが固定していないということについて非常に鋭い指摘があります。そして、医師の絶対数の不足、そして医師が夜間勤務についているときどんな状態かということについても、なかなかリアルな指摘がある。私は、その立場で看護婦を見たらどうなるかという点を考えてみたいと思うのです。

 先日、私はある国立大学病院に伺いました。そこでは、今工藤さんがおっしゃった、去年ふえた八百人弱の八時間パートの方たちが立派に働いていらっしゃって、大きな戦力になっていますね。しかし、まだまだはるかに立ちおくれているのです。それで、その大学では、六十床の病床、そこに二対一の看護体制であれば、簡単に言えば三十人の看護婦がいるわけですが、三十人の看護婦の中の五名が、先月五月に関していえば外来で勤務をしているのですね。全部一カ月続けてというわけじゃありません。人によっては四日、別の人は二週間連続外来で勤務して、それが終わるとまた病棟に帰って、夜勤を含む体制に組み込まれる。四十人の病床でも四人。何が生まれているかという問題なんです。

 これは大臣も御理解をいただけると思うんだけれども、今、特定機能病院の入院患者の入院日数は以前に比べてはるかに圧縮されています。可能な限り二週間、三週間で退院、そういう急ピッチのローテーションがされています。病棟の看護婦さんは一生懸命頑張って患者を掌握している。その人が外来に回されて、二週間外来で勤めて病棟に帰ったら、ほとんどの患者が入れかわってしまっている。ある看護婦さんは、パニックになったと言いますね、知らない患者ばかりだと。

 こういうふうな看護婦の病棟と外来の一元化、これは文部科学省の指導や通知によって行われているのかどうか、その点、工藤さんに明らかにしていただきたいと思います。

工藤政府参考人 大学の附属病院で、限られた看護要員のローテーション、病棟と外来とでどう分担するかというのがあるわけでございますが、それぞれ私ども、通知で特に強制とか指示しているわけではございませんで、各大学病院の御判断で行っているところでございます。

 ただ、病棟と外来を、おっしゃるような御指摘で、一部ローテーションして運用している例があるというのは承知してございます。

 それは、一つには、御承知のように、夜間勤務体制、月八回二人体制、いわゆる二・八を維持するということから、外来の看護体制を維持しながらも、特定の職員だけ余り夜勤を集中させないようにという工夫ということからすれば、やむを得ない面もあるわけでございますし、他方で、大体そういうローテーションをやっていらっしゃるところは二週間から半月ぐらいのローテーションが多いようでございますが、病棟で入院していらっしゃった患者さんが、退院されてから、今度は外来でまたその看護婦さんに出会っていただくというプラスの効果もあるようなことも聞いてございまして、別によしあしそれぞれあるのでございましょうけれども、引き続き、要は厳しい看護体制の中でのやりくりでございますので、私ども、何はともあれマンパワーの増強は今後とも努めていかなければいけない課題だと思ってございます。

児玉委員 文部科学省の指導や指示によるものではないということが明らかにされました。

 そこで、看護婦さんの勤務の状態ですが、同僚の議員の皆さんも、さっきの長崎大学病院のケースをどうお聞きになっただろうか。アルサルミンとアルケラン、アルという最初の片仮名は同じです。そこで薬を検索していくとき、そこまで入って、そこから先で間違って入力ミスをして、七カ月放置されたわけですね。

 私が伺った病院の看護婦さんが、その長崎病院の事故のことを御存じではないのだけれども、こもごもおっしゃるのは、患者のことをよく知っていないと今も不安でしようがないと。コンピューターが中心で、コンピューターの、ペーパーレスですからディスプレーで見るのですね。ディスプレーでいろいろデータを見るときに、患者の顔と患者の状態がわからなかったら、ミスがもう一切チェックできない。そこで、どんなことが起きているかというと、引き継ぎ前に看護婦さんたちが一時間程度早出をするのです。深夜零時から零時三十分が引き継ぎのとき、午後十一時にはもうおいでになっている。そういうことが常態化しています。

 それから、高度機能病院、特定機能病院ですから、非常に困難な手術がある。肝臓や心臓の手術など十数時間、私が行ったところでは去年二十四時間の手術があった、こうもおっしゃっている。そういうところで、看護婦さんたちがチームに編成されて、医師とともに懸命の治療をなさっていますね。こういうときの看護婦に対する超過勤務手当は保証されているかどうか。工藤さん、いかがですか。

工藤政府参考人 手術というのは、なかなか予定しても思うようにいかないといいますか、思ったような予定時間に終わらないで長くなるというのは、間々あることのようでございます。その場合の超過勤務手当というのは、少なくとも、予算の限度はございますけれども、可能な限りお払いするような仕組みになっているわけでございます。

 それは病院だけではなくて、私どもの役所全体もそうでございますけれども、なかなか、日によっていろいろ業務が重なったり、あるいは繁忙をきわめる中で、思うように今一〇〇%超過勤務手当が出されているかどうかとなりますと、若干問題なしとしないのでございますけれども、できるだけ業務の軽減化も努めながらも、超過勤務手当の有効な活用について、私どもも各病院について指導してまいりたいと思っております。

児玉委員 この点は重ねて求めたいのですが、有効な勤務というけれども、もう手術が始まっていたら一般の職場とは違う状態になるというのはよくおわかりでしょう。看護婦さんたちの勤務も大体そういう性質のものです。これに対しては、法律に従っての超過勤務の手当を最大限文部科学省としては保証していただきたい、強くこれは求めておきます。

 それからもう一つ、関連してなんですが、先ほどの八時間勤務の方々が七百七十三名、今新しく仕事についていらっしゃいます。これらの方々について、その病院で定員増または欠員が生じたときなどには、本人の希望によって定員内職員として採用されるべきだと思うのです。現場でもそのことを熱望されている。この点、どうですか。

工藤政府参考人 正規の定員がなかなか思うようにとれませんので、非常勤の看護職員を増強させていただいているわけでございますが、今、国立大学病院全体で看護職員の離職者が、年間を通じますと千四、五百人いらっしゃいます。

 今、非常勤の看護婦さんについては、数からしますと十分間に合うわけでございますが、いずれにしても、その御本人の御希望もございましょうし、採用する側の御都合もございましょうので、それぞれがマッチいたしますと、十分定員内で採用される可能性はあると思っております。

児玉委員 工藤さん、この点ですが、やはり正職員になるという可能性をつかんだときに、その病院が本当に求めていらっしゃるような人材が集まってきますね。そして、同じ苦労をしている職場の中でも、その人、この方が我々と同じ正職員になる、この期待というのは強いのです。この点は理解なさるでしょう。ぜひその点では、文部科学省は適切な対応をしていただきたい。いかがですか。

工藤政府参考人 採用は、いずれにしてもその採用希望者と採用権者とのマッチングでございまして、数の上では、先ほど申しましたように、全国トータルでいいますと十分採用の余地はございます。そのあたりは、御本人の御希望、資質と、各大学病院での御都合なり定員のあきぐあい、それぞれの病院で違う部分がありますので、兼ね合いで十分期待が持てることではないかと思っております。

児玉委員 そこで最後に、最初の問題に返りたいのです。

 大臣に申し上げたいのですけれども、この国立大学病院の医療従事者の人員体制の深刻さ、この深刻な事態の中で、先ほど、昨年は八件の重大な医療事故がありましたが、ことしは、お聞きしているところでは、こういう事態は今のところ発生していない。このとき、この提言で、世界的なそして国内的にも今大きな流れになっている、事故が起きたときに、だれが起こしたかではなく、なぜ起きたのか、事故が起きた背景をみんなで探求していく、そのことで重なるエラーを防止していく、この道筋が提起されているという点にも私は非常に共感をしました。

 そういう中で、現場の努力というのは本当に涙ぐましいものがありますね。さっきの、外来から病棟に回ったら、もうすぐ病棟を回って一人一人の患者さんに会って、そしてそのデータを確かめて、約半月のブランクを取り返そうというので大変な苦労をなさっている。文部科学省としては、国立大学病院の医療従事者の疲労の蓄積、特に集中力が切れるような状態をつくってはならないと思うのですね。

 その面で、さっきのこの資料をもう一回手にとっていただきたいのですが、第二表を見ていただくとわかるのですけれども、八七年の段階では国立大学病院は、私立大学を除けば大体同じ水準にありました。その後、他の医療機関が懸命の努力をしていく中で、なぜ今国立大学病院が一番劣位にあるかというと、九五年から九九年にかけての増員で取り残されてしまっているのですね。さっきの工藤参考人のお話のように、今年度若干の前進がありましたけれども、それを数値に入れたからといって、大きな変化には決してなりません。

 私は、大臣に最後に求めたいのだけれども、このような現状を放置することはできないと思う。文部科学省として、可能なあらゆる努力を尽くすべきではないか、また尽くしていただきたいと思います。遠山大臣の抱負を伺いたいと思います。

遠山国務大臣 国立大学病院の重要性というのは、もう言うまでもありません。そこにおける医療が患者にとって望ましい内容で実施されるということは、大変重要なことであります。

 それで、もちろん日本の、いろいろなことを調べてきますと、教育についても医療についても、あらゆる場面で非常に人的な投入が少ない、そういう国であります。それはもう外国と比べたり、私も外国に住んでいたこともあって、その意味で、日本人は一人一人が優秀なのかもしれませんけれども、非常に少ない人数でやっているという現実がございますし、もちろん財政上の制約もあります。

 しかし、人間の命を預かる医療の場面でございますので、人員体制の整備については、事故防止の観点からも極めて重要な課題と思っておりまして、平成十三年度においては、これまでにないような方法で、看護職員について格段の措置を講じたところでございますけれども、御指摘の病院長会議の報告も受けながら、今後とも、各国立大学病院において、医療事故の防止あるいは医療の安全性の向上のために必要な体制整備が図られるように、適切な対応に努力していきたいと考えております。

児玉委員 最善を尽くしていただきたいという希望を述べて、終わります。

高市委員長 中西績介君。

中西委員 本法律案を提出する経緯については、詳しくは申し上げませんけれども、いずれにしても、今回具体的に出されております二点について質問を申し上げたいと思います。

 徳島大学、長崎大学に関連する質問をいたしたいと思います。

 医療専門職の養成が緊急な課題になっておるということは、これはもう衆目一致するところです。看護婦等医療技術者の養成に関して、平成四年十二月、基本的な指針が告示され、七年の六月には、看護教育のあり方について、平成九年二月には、二十一世紀医学・医療懇談会第二次報告と次々に出されてまいりました。このことは十分御承知のとおりであります。これによって、看護系大学の学部・学科等の改組・転換が行われてまいりましたけれども、平成五年の大阪大学の保健学科の設置から九年目で、徳島、長崎を加えて十五校になります。国立のみでも八校はまだ残るわけであります。

 そこで、徳島大学、百四十人定員を、最終的には、転科することによって百二十四、長崎大学は百二十を百六人となりますけれども、時代の要請にこたえることに果たしてなるだろうかということを懸念いたします。この点についてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

 私は、これでは十分ではないということで、真にこたえるためにはこのような遅々たるものではだめだと思いますので、改めて新しい計画なりなんなりをお教えいただきたいと思います。

工藤政府参考人 今回、二短期大学の三年制の課程を四年制に転換することに伴いまして、今御指摘ありましたように、徳島大学については入学定員が百四十人から百二十四人に、長崎大学は百二十人から百六人になるわけでございますが、これは、見かけ減少したように見えますけれども、実は、この差の十六人と十四人については、三年次からの編入学定員として設定を予定してございまして、他の短大等卒業者が四年制の課程を受けられるように間口を広げているところでございまして、量的な充実、資質の高い看護要員の養成という意味で、量的には減少していないところでございます。

 なお、まだ八校残っている中で、抜本的に進めるというお話でございますが、私どもも気持ちは同じでございまして、それぞれの大学の準備状況、あるいは行財政事情がある中ではございますが、できるだけ早く残りの学校につきましても転換等を進めてまいりたいと思っているところでございます。

中西委員 私は、百四十を百二十四にし、十六減ったからということだけではありません。むしろ、これを増員してでも拡大をすることによって、こうした今まで三回にわたって示されておる内容に対してどうこたえ、国民の期待にこたえるかということが、推進されなくちゃならぬのに、逆に、もらったものにはそういう注はついていないのですね。ですから、私たちが見る限りでは、こういう数になるんです。

 しかし、私はこの数にこだわっているわけじゃありません。少なくなるということが問題なので、むしろ増員をさせなくちゃならぬということを私は指摘したいと思っておりますから、このことを申し上げておるわけであります。

 新しいそうしたお考えがまだないようであるということをここで確認した上で、次に入りたいと思いますが、七条関係について、組織再編の弾力化、この問題についてお聞きをしたいと思います。

 大学審議会の平成十年十月の答申で、国立大学の講座、学科目の編制を柔軟化する必要性の指摘がされました。同時にまた、平成十一年六月の学術審議会答申でも、研究組織等の編成を一層柔軟にと指摘をされています。したがってこの法案の改正を提案したと思うわけでありますけれども、私は、専任教員の数と配置の問題、さらにまた研究関係費の問題、施設がどのように満たされておるかという、こういうことによって柔軟にできるということになるのではないかと思うのです。この点、どうなっておるのか。

 結局、現状の中でやれというのか、それとも、対応するための新たな措置なりなんなりがやられて、すべてが整って、環境まで整った中でこうした改革が進んでいっておるかどうかということをお聞きしたいと思うのです。

岸田副大臣 今回の改正によりまして、国立大学の教員組織編制の弾力化を図るとともに、この改正をより実効あるものとするため、大学全体として新たな予算あるいは定員措置を必要としない場合には、各大学が、予算要求の手続を経ず、年度途中でも講座等の新設、改廃を自主的に決定できるようにすることとしているわけであります。

 もちろん、教員定員あるいは研究費、施設等の充実、これは重要な課題でありますが、今回の措置、今回のような弾力化を図ることによって、限られた財源の中においても、各国立大学の主体性のもとに、より効果的な教育研究活動を展開することが可能になると考えております。

中西委員 私は、本当に残念なんですね。その範囲の中でどのように動かし、やるかという、この前から論議しておる定数改善の問題と全く同じですよ。少なくとも、ここに答申されておるその中身というのは、その柔軟性をということは、本当に自由にそして活発にそうした研究なりなんなりがなされなくてはならぬわけですから。

 ところが、今度は、皆さんが発表して、これは後でまた聞きますけれども、国立大学の構造改革、こういう問題等を新たにしていますね。こういうことは盛んにやるけれども、では中身はちゃんと備わってやられておるかどうかということが問われるべきじゃないかと私は思うのです。

 ですから、例えば、この前から研究関係費などについてちょっと話をしますと、基幹経費、学生当たり積算校費、あるいは教官当たり積算校費、これを包括的に弾力的に使うことができるようになったからなどという詭弁を使うのです。

 私は、こういうようなことで、何かむだ遣いをするという感覚、小さい政府がいいと言いさえすれば人員をどんどん削減するじゃないですか。なぜ私はこのことを言うかというと、国家公務員の総定員表を見た場合に、三十数年、もう四十年近く前に決めたもの、すき間があるのですよ。質的に、量的に物すごく拡大されておるのに、すき間が、それをまた五%削減するとやるじゃないですか。人を少なくすれば行政がうまくいくなどという、あるいは教育がうまくいくなどというこの感覚をなくしてもらわないと絶対だめです。これに反論ができるのだったら、やってもらいたいと思うのですよ。

 ですから、あなたたちは、例えばこの専任教員の問題だって、教授、助教授、助手という一つのあれがありますね。そうしますと、その下に現業的な多くの職員が必要なんですよ。削られるから、そこを全部削っていって、教授がお茶酌みから全部しなきゃならぬような状況だってあるじゃないですか。施設だって、機械が大きくなればその部屋から追い出されて廊下に行き、廊下から追い出されて別のプレハブに住んでおるという状況をあなたは知っていますか。

 こういうことで、学術研究だとかそういうことが十分なされる、そして、こういう講座、学科目の編制を柔軟化することによって活性化するなどというこの発想をやめてほしい。僕はそれを思うからこそ、このことをやわらかく聞いたけれども、それはあなたたちの中にはない。これでは、日本のこうした教育、科学あるいは文化、芸術、すべてがおくれることは当然です。その責任を今度はだれかに押しつけていくわけでしょう、この前から言っているように。行政の本当の姿勢というものをもう一度あなたたちは考え直してもらわないと、先ほどからもう再三にわたって同じような答弁が出てくるし、みんな不満じゃないですか。これではどうすることもできません。

 ですから、この点を本格的に考えるということにならないとだめですから、この点は大臣に、そういう方向性についてどのように考えるのか、お答えいただきたいと思うのですよ、決意でいいですから。

遠山国務大臣 私自身も、本当に教育関係、学術研究関係、特にその人員それから研究費、そういったことへの投入が、率直に申しまして十分ではないと思っております。

 御議論がいつも出てまいっておりますように、今日本の将来を考えますと、こういう分野、文化も含めて、一番基盤的なところで大事なことについて投入していくことが未来に対する投資ということで大変重要だと考えております。予算委員会での御論議のときにもそういうふうにお答えいたしました。

 そういう姿勢ないし意欲は持っているところでございますが、現実のいろいろな制約の中で、しかし最大限やれるべきことはやっていくというのが私どもの使命でありまして、そういう姿勢で今後とも取り組みたいということを申し上げたいと思います。

中西委員 私は、意欲と勇気を持ってもらわないと、大蔵がどうだろうかとか、各省庁がどうだろうとかというような目配りをしながら予算をとろうなんということは、これは到底できません。このことは一番よく御存じだと思うのですよ。

 ですから、バイパスでなしに、本当に真っ正面からこれをぶっつけて、教育論議はやはり徹底していただきたいと私は思うのですね。それなしにこうした問題の解決にはならぬ、私はこう思います。ですから、口だけあるいは制度だけでごまかすようなやり方はやめてほしいということを最後に申し上げまして、次に進みます。

 看護婦等の養成についてお聞きします。

 近年の医学、医療の急速な進歩、人口の高齢化、保健医療を取り巻く環境変化に伴って、看護に対するニーズは極めて複雑化あるいは多様化してきています。これに対応し得る、資質の高い看護職の養成というものは強く、しかも緊急な課題として求められておると思います。

 そこで、看護系大学、短期大学設置状況は、平成四年、基本的指針が出されて以降、どのようになったのですか。これをお聞かせください。

工藤政府参考人 御質疑いただいておりますように、国立につきましては、三年制の短大を四年制にという転換を進めてきているわけでございますが、国公私通じて申し上げますと、平成三年の段階で看護系の四年制大学、十一校でございましたけれども、十三年度にはそれが九十一校になってございます。

 他方、短期大学は、平成三年には六十二校だったものが平成十三年度には五十八校、若干減ってございます。これは短期大学から四年制への転換等があったわけでございますが、いずれにしましても、短大、大学を含めまして、国公私通じて、看護系の資質の高い職員の養成については、おかげさまで量的な拡大を見ているところでございます。

中西委員 数の上では一応の前進はあったかやに聞こえますけれども、看護学教育の、学問分野としての看護学は、人間のケアを中心に追求する人間学あるいは人間科学であり、医学、保健学、福祉学、心理学、社会学、哲学その他の領域の知識や理論を必要とする学際的な特徴を持っておることは御存じのとおりであります。

 近年の複雑多様化に伴って、医学とは異なる独自の学問領域として発展することが求められているけれども、各大学、短期大学において、従来のような枠組みにとらわれず、柔軟な発想でそれぞれの理念と目的を適切に反映させた多様な教育課程を編成することは推奨さるべきと思いますけれども、いかがでしょう。また、現在いかにこうした点が推進をされておるのか、この点、お答えください。

岸田副大臣 看護婦等医療技術者の育成には、単に専門知識のみでなく、豊かな人間性の涵養が極めて重要だと考えております。こうしたことから、各大学においては、四年制への転換に際しまして、教養教育を重視するとともに、保健、医療、福祉全般にわたる、多様で幅の広い授業科目を履修できるカリキュラムの編成、こうしたものに努めているところであります。

 例えば、今回設置をお願いしております徳島大学医学部保健学科看護学専攻においては、短期大学部と比較いたしまして、卒業要件となる教養教育の単位数が十八単位から二十六単位、八単位増加すること、あるいは総単位数に占める選択科目の割合が八七%と約一・九倍に増加しております。こうした選択の幅を広げるというようなこと。

 さらには、社会のニーズに対応できる人材育成のため、教養教育科目では、哲学、社会学、心理学以外に、例えば医療と倫理という科目、さらには看護と社会という科目、こうした科目を開設し、また、専門教育科目では、人間関係論、チーム医療論など、こうしたものを新たに開設するなど充実を図っているところであります。

 大学教育を通じて、今後とも豊かな人間性を兼ね備えた看護婦等の養成に努めていかなければいけないと考えています。

中西委員 確かに、そうした点ではある程度充実をされたという今の報告でございますけれども、ただ問題は、もう一つ私がそれとかかわってあると思いますのは、教員養成、そういう看護職員などを養成するために必要な教員養成の現状はどうなっておるのか。

 特に私がこのことについて指摘をしたいと思いますのは、現在、大学においては看護に関する課程がやはり少ないと私は聞いています。これは間違いなく指摘をしているだろう。それから、看護教員養成ができない状況だということを聞いています。これらについてどうなっておるのか、これが一つ。

 それからもう一つは、厚生労働省任せじゃないかということが言われています。本格的に取り組むといたしますならば、こういう厚生労働省に任せるということでなくて、やはり教育機関は文部科学省が責任を持ってやるくらいのことをやっていただかないとだめだと私は思います。

 その理由を申し上げます。

 実際に看護職員などを国立病院などでどのように配置をしておるか、こういう問題について、先ほど児玉委員からもありましたけれども、これとはまた別の角度から見てみますと、例えば、百床当たりの医師と看護職員数の国際比較がある。これは厚生省医療施設調査・病院報告になっていますけれども、九八年の十月の報告です。

 これを見ますと、医師数は、もう時間がありませんから諸外国の国名は申し上げませんけれども、大体外国は日本に比べて三倍、医師の数があります、百床に対してですね。それから、看護職員の場合は二倍います。

 それから、今度は日本国内における病院の状況を見てみますと、百床当たり職員数比較は国立病院が最低であります。看護職員が三十七・五、それから職員総数が七十・四です。国立大学が五十五・四、それから職員総数は百三十四・二というように、国公立だって高いし、日赤だって国立病院よりもはるかに高い。医療法人だって、平均しますとすべて高いんです。一番少ないのが国立病院です。しかも、夜勤体制を見ますと、国立は二人です。他は半数以上は三人です。

 こういう考え方を持って、利益を上げるためにということで人命軽視、いろいろな医療ミス、こういうようなものを含めてやられたのではたまったものではありません。このようにして強制をし、しかもどんどん減していく、こういう考え方の厚生労働省で、教員として雇った人たちが、果たしてちゃんと私たちが目指すような、あるいは文部科学省が目指すような教育体制をしいておるかどうか。教員が足りない、そして厚生労働省は養成をやっておるという、これが相当数あるという、こういう状況を考えたときにどうお考えなんですか。この点について明らかにしてほしいと思います。

工藤政府参考人 看護教育に当たる教員養成という観点につきましては、それが大学院レベルでどう配置するかということが大事でございまして、大学院レベルの整備は近年どんどん進んでございまして、例えば平成三年度には、国公私合わせて修士課程は五校、博士課程は二校しかございませんでした。平成十三年度、今日では、修士課程四十四校、博士課程十五校となってございまして、年々、こういう指導的な教員の養成の仕組みが整ってきているというのは御理解いただけるのではないかと思います。

 ただ、現実には、確かにある程度シニアなそういう経験のある方々が全国的に少のうございますので、各大学の教員の確保に随分困難を来しているのは事実でございますが、年々、その体制は整っているのは御理解いただけると思います。

 それから、厚生労働省との関係でのお話がございました。私ども、厚生労働省所管の国立病院と違いまして、大学附属病院という形で、学生の実習などもあわせて行いながらの高度医療機関としての整備を進めているわけでございますが、残念ながら、思うように人的整備が進まないということは課題として受けとめているわけでございます。

 他方で、看護職員の体制につきましては、先生御存じのように、正看と准看といいますか、いろいろな職種養成の仕組みの中での一元化というのはまだ大きな課題となってございまして、それは厚生労働省の方でさらに検討してございますが、少なくとも私どもの方では、高度の医療技術者の養成ということで、これまでの短大を四年制に転換する施策を、あと残り八校についてできるだけ早い機会に進めてまいりたい、それによって全国的なニーズにおこたえしたいということで努力してまいりたいと思っております。

中西委員 ですから、やはりさっきからずっと続いたお答えと同じような流れになっておりますけれども、少なくとも本格的に人間中心の社会をどうするかということをこれからつくり上げていく二十一世紀でありますから、この種問題について諸外国と比較をしてみても、余りにも恥ずかしいくらいにこれが劣っておるということはどうしても私はうなずけない。改革、改善というのはそういうところを変えていくんではないかと私は思っています。

 ですから、先ほど言われておりますように、金がないからということを理由にいたしまして、そして、しかも大学が自主的にやることだということによってそういうところに手をかけないということになってまいりますと、これは未来永劫できないということを意味するわけでありますから、こうした点について本当にみんなが驚くような大改革をやるべきではないか、意識の改革から始めなくちゃならぬと思います。

 その点をひとつ十分理解をしていただくということを前提にして、きょうはもう時間がありませんから終えますけれども、この点は本当に、これから後の教育問題も含めて、大変重要な課題ですから、また後日に宿題を残しておきたいと思います。

 時間がありませんで、大変残念ですけれども、もう一点だけ私はぜひ聞いておこうと思いましたのは、平成十三年六月十一日付のもので、こういう資料をいただきました。国立大学の構造改革方針がこうして示されております。活力に富み国際競争力のある国公私立大学づくりにということで、国立大学の再編統合を大胆に進める、スクラップ・アンド・ビルドで活性化する。二つ目に、国立大学に民間的発想の経営手法を導入する、そして新しい国立大学法人に早期移行する。三番目に、大学に第三者評価による競争原理を導入する、そのことによって国公私立トップ三十を世界最高水準に育成するとまとめられておるようであります。

 内容的にはたくさんありますけれども、簡単に申し上げますとこういうことで集約されるんじゃないかと思いますけれども、大変な内容をこれは含んでおると私は思います。これはだれがどこで作成したのか。

 それともう一つだけ聞いて、これはもう言いませんけれども、独立行政法人化はどう進められておるのか。

 この二つについてお答えください。

高市委員長 中西委員の質疑時間は終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。

遠山国務大臣 今の構造改革の方針は、これからの日本を担う大学のあり方について、国公私立を通じて本当に力のある大学に育ってもらいたいということで、これまでの諸般のいろいろな審議、御議論というのを踏まえた上で、方針としてまとめたところでございます。

 また、今後の法人化の問題につきましては、平成十一年それから昨年の閣議決定におきまして、平成十三年度中に専門的な調査検討の結果を整理して平成十五年までに結論を得るということになっておりまして、本年秋までに中間報告を調査検討会議、これは有識者によって開催しておりますが、そこから得まして、平成十三年度中に最終報告を取りまとめる予定であります。

中西委員 終わりますが、先ほどだれがどこで作成したかということについてはお答えありませんので、これはまた後日に回します。

 終わります。

高市委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高市委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、国立学校設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高市委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高市委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

高市委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、大阪教育大学教育学部附属池田小学校事件について、政府から報告を聴取いたします。岸田文部科学副大臣。

岸田副大臣 文部科学省から、大阪教育大学教育学部附属池田小学校の事件について、御報告申し上げます。

 六月八日に発生したこの事件は、八名の児童のとうとい命が奪われ、多くの負傷者が出るという、何とも痛ましく、決して許されない出来事であり、深い悲しみと心からの憤りを覚えます。ここに改めて、亡くなられた児童の皆様の御冥福をお祈り申し上げ、御遺族の方に心よりお悔やみ申し上げるとともに、被害に遭われた方々に対し心よりお見舞いを申し上げ、一日も早い御回復をお祈りいたします。

 委員の皆様は既に御承知のところでありますが、最初に、この事件の概要について御報告申し上げます。

 事件は、平成十三年六月八日金曜日午前十時十五分ごろ、大阪教育大学教育学部附属池田小学校に刃物を持った男が侵入し、児童や教師を殺傷したものであります。最終的には、副校長と教師の二名で男を取り押さえ、教師からの通報を受けた警察が十時二十五分ごろ男を逮捕いたしました。

 この事件で被害を受けたのは、一、二年生の児童二十一名、教師二名で、そのうち児童八名が亡くなられました。当初、児童八名、教師一名、計九名が入院しておりましたが、先週水曜日十三日に二名の児童が退院いたしまして、現在は、児童六名、教師一名、計七名が入院中という状況であります。

 次に、事件に対する文部科学省としての対応の経緯について申し上げます。

 事件が発生した直後、文部科学大臣の指示により、担当職員を現地に派遣し情報収集に当たらせるとともに、私を本部長、池坊大臣政務官を副本部長とする事件対策本部を設置いたしました。

 その対策本部の第一回会合において、まず第一に、被害に遭われた児童や先生方への対応に万全を期すこと、あわせてショックを受けているであろう児童等の心のケアの体制を至急整えること、そして三番目として、学校の安全管理の徹底を図ること、こうした三つを柱といたしまして緊急に対応することを決定するとともに、池坊大臣政務官ほか文部科学省職員四名を現地に向かわせ、学校、病院等を訪問し、被害者等への弔問、見舞いを行うとともに、現地での対応を指導いたしました。

 さらに、翌六月九日には、私ほか文部科学省職員四名が現地に出向き、池田小学校において行われた保護者説明会で文部科学省の対応について説明するとともに、保護者、カウンセラー等から要望を直接聴取いたしました。また、現地での対応指導も行ったところであります。

 なお、亡くなられた児童の葬儀は、六月十日、十一日両日に行われ、文部科学省や大学の代表者も参列をいたしました。

 以上のような大事件が発生した池田小学校への対応を行うとともに、全国の各学校等に対して、安全管理の徹底を図るよう指導したところであります。

 まず、事件発生当日、文部科学大臣談話を緊急に発表し、全国の各学校及び教育委員会等に対し、学校の安全管理を緊急に再点検するよう呼びかけました。また、六月十日には、全国の学校の緊急再点検の状況報告及び学校の安全管理の見直しについて、意見提出等を教育委員会等に要請いたしました。さらに、六月十一日には、各学校で事件再発防止等のため適切な対策を講ずるよう、都道府県教育委員会等に緊急に通知を発出するとともに、六月十三日には、文部科学省の衛星通信ネットワーク、エル・ネットを通じて、遠山文部科学大臣が、教育委員会や保護者に対して、直接児童の安全管理の徹底を図るよう呼びかけたところであります。

 以上のような文部科学省の対応を受けて、池田小学校及び全国の各学校においては、次のような対応が進められているところであります。

 まず、池田小学校における対応といたしまして、何といっても被害に遭われた児童や保護者、さらには教員に対する心のケアが最重要であるとの観点から、事件発生直後に、大阪教育大学を中心として、大阪大学、大阪府、兵庫県、厚生労働省などの協力を得て、メンタルケア支援チームを結成いたしました。現在は五十五名体制となっております。

 このメンタルケア支援チームが中心となり、六月九日開催の保護者説明会においては、心のケアの重要性や留意事項について説明、指導を行うとともに、具体的な児童等の状況に応じて適切に対応できるよう、二十四時間体制のメンタルサポートホットラインを設置しております。

 そして、六月十一日から六月十六日までの間、教員とカウンセラーが一組となり、全児童の家庭訪問を実施し、必要なカウンセリングを行ったところであります。

 今後とも、引き続き関係者の心のケアに万全を期していかなければならないと考えております。

 次に、今後の大きな課題といたしまして、いつどのような形で学校を再開していくかということでありますが、児童の心の動揺に最大限配慮しつつ、保護者の意向も十分踏まえて学校において検討してきたところであります。

 当面、六月二十五日から七月六日の間、準備期間として、通常の授業ではなく、自由参加により、児童の心のケアを中心とした、児童の実態に応じた内容の行事を段階的に実施し、児童を学校生活に徐々になじませていき、そして今後、近隣の旧大学敷地内に仮設校舎の建設を行い、八月下旬から新しく授業を再開できるよう、種々の準備を進めていく予定と聞いております。

 また、安全管理の強化としまして、池田小学校においては、当面、警備員三名を配置し、安全管理の強化を図ったところであります。

 文部科学省としましては、今後とも、池田小学校の今回の事件への対応について、全面的に支援していく考えであります。

 そして、全国の各学校の安全管理についてでありますが、この事件の発生を受けて、全国の学校に対して安全管理の再点検を行うよう要請したところでありますが、この再点検の現在までの状況は、国立及び公立学校ではすべて実施をされているところであり、私立学校でもほとんどの学校で実施済みとなっておりますが、なおごく一部、これから実施するという学校もありますので、引き続き速やかに実施するよう要請をしているところであります。

 今後は、都道府県教育委員会等からの意見も聴取した上で、幅広い観点から検討を行い、学校における安全管理の対策について必要な見直しを行ってまいりたいと考えております。

 今回の事件を契機に、開かれた学校づくりに関してもさまざまな意見をいただいておりますが、我が省といたしましては、児童生徒の安全に最大限の配慮をしながら、引き続き開かれた学校づくりを進めてまいる必要があると考えております。

 なお、昨日、東京都杉並区の幼稚園で、不審者による教員に対する傷害事件が発生いたしましたが、同園では安全管理の再点検を行っており、これにより園内への侵入は防ぐことができました。

 今後、二度とこのような事件を発生させないために、文部科学省としては、学校の安全管理の一層の徹底に全力を挙げて取り組んでいく所存でありますが、このような事件の再発防止のために、学校のみでなく、社会全体で取り組みが不可欠だと考えております。子供たちが健やかに育っていくためにも、我が国社会が秩序ある安全な社会となるよう、政府全体として対策が必要であると考えていることを最後につけ加えさせていただきたいと存じます。

 以上、今回の事件に対する文部科学省の対応状況を説明いたしましたが、今後とも委員の皆様の御理解と御支援を賜りますようお願いを申し上げまして、報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

高市委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、来る二十二日金曜日午前九時十分から、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高市委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十二日金曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.