衆議院

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第5号 平成13年11月28日(水曜日)

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平成十三年十一月二十八日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 高市 早苗君

   理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 高橋 一郎君

   理事 平野 博文君 理事 山谷えり子君

   理事 西  博義君 理事 都築  譲君

      小渕 優子君    河村 建夫君

      小西  理君    左藤  章君

      砂田 圭佑君    谷田 武彦君

      谷本 龍哉君    馳   浩君

      林 省之介君    増田 敏男君

      松島みどり君    松野 博一君

      水野 賢一君    森岡 正宏君

      山本 公一君    大石 尚子君

      鎌田さゆり君    中野 寛成君

      葉山  峻君    藤村  修君

      牧  義夫君    松野 頼久君

      山口  壯君    山元  勉君

      池坊 保子君    斉藤 鉄夫君

      武山百合子君    石井 郁子君

      児玉 健次君    中西 績介君

      山内 惠子君    松浪健四郎君

    …………………………………

   議員           河村 建夫君

   議員           小野 晋也君

   議員           中野 寛成君

   議員           肥田美代子君

   議員           西  博義君

   文部科学大臣       遠山 敦子君

   文部科学副大臣      岸田 文雄君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   財務大臣政務官      中野  清君

   文部科学大臣政務官    池坊 保子君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策

   局長)          近藤 信司君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育

   局長)          矢野 重典君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青

   少年局長)        遠藤純一郎君

   文部科学委員会専門員   高橋 徳光君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  岡下 信子君     小西  理君

  杉山 憲夫君     左藤  章君

  谷垣 禎一君     山本 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  小西  理君     松島みどり君

  左藤  章君     杉山 憲夫君

  山本 公一君     谷垣 禎一君

同日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     岡下 信子君

    ―――――――――――――

十一月二十七日

 子どもの読書活動の推進に関する法律案(河村建夫君外七名提出、衆法第一八号)

同月二十二日

 学生・父母の教育費負担軽減と私立大学・短期大学の教育・研究条件の充実に関する請願(石井郁子君紹介)(第六〇一号)

 私立大学・短大の教育・研究条件の改善、保護者・学生の学費負担軽減に関する請願(小沢和秋君紹介)(第六〇二号)

 小中高三十人学級実現、行き届いた教育に関する請願(瀬古由起子君紹介)(第六〇三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 子どもの読書活動の推進に関する法律案(河村建夫君外七名提出、衆法第一八号)




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     ――――◇―――――

高市委員長 これより会議を開きます。

 河村建夫君外七名提出、子どもの読書活動の推進に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。河村建夫君。

    ―――――――――――――

 子どもの読書活動の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河村(建)議員 ただいま議題となりました子どもの読書活動の推進に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 子供の読書活動は、子供が言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものであります。

 本法律案は、子供の読書活動の推進に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、子供の読書活動の推進に関する必要な事項を定めることにより、子供の読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進しようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、基本理念として、おおむね十八歳以下のすべての子供があらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備がなされなければならないものとすること。

 第二に、国は、基本理念にのっとり、子供の読書活動の推進に関する施策を総合的に策定し、実施する責務を有すること。また、地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、子供の読書活動の推進に関する施策を策定し、実施する責務を有すること。

 第三に、事業者は、基本理念にのっとり、子供の健やかな成長に資する書籍等の提供に努めるものとすること。

 第四に、父母その他の保護者は、子供の読書活動の機会の充実及び読書活動の習慣化に積極的な役割を果たすものとすること。

 第五に、国及び地方公共団体は、学校、図書館その他の関係機関及び民間団体との連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとすること。

 第六に、政府は、子供の読書活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、子供の読書活動の推進に関する基本的な計画を策定し、計画を策定したときは、これを国会に報告するとともに、公表しなければならないものとすること。また、地方公共団体は、当該地方公共団体における子供の読書活動の推進に関する施策についての計画を策定するよう努めなければならないものとし、計画を策定したときは、これを公表しなければならないものとすること。

 第七に、四月二十三日を子ども読書の日とすること。

 第八に、国及び地方公共団体は、子供の読書活動の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとすること等であります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようにお願い申し上げます。

高市委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高市委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、初等中等教育局長矢野重典君、スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高市委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高市委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。都築譲君。

都築委員 自由党の都築譲です。

 ただいま提案のありました子どもの読書活動の推進に関する法律案につきまして、提案者初め大臣、副大臣、政務官の皆様にそれぞれ質問をしていきたい、こんなふうに考えております。

 子供の読書を進めていくということは本当にすばらしいことである、こんなふうに思うわけでありまして、この法律をつくるに当たって、議連の皆様方の本当にたくさんの御尽力に心から敬意を表したい、こんなふうに思います。

 同時にまた、今まで、子供の読書を普及していこうあるいはまた広めていこうということで、政府や関係団体の皆さん方が取り組んでこられたそういった実績、経験、こういったものに対しても本当に敬意を表したい、こんなふうに思うわけであります。

 今の提案理由の中にもございましたように、子供の読書、この読書活動が、言葉を学んで、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かに、そしてまた人生をより深く生きる力を身につけていくということで、大変重要な意味を持った活動であるということは、私も全く否定するものではありません。

 しかし、これを法律にするということについては、実は何かぬぐい切れない違和感をずっと覚えておったわけでありまして、まず初めにお伺いをいたしたいのは、読書活動、今言われたような、言葉を覚え、あるいはまた知識を吸収し、あるいはまた先人の経験に学んでいく、本当に大切な活動であると思うのですが、実は読書そのものが、本を読むということそのものが、教育的な観点から、人間の向上を図っていく観点からというのではなくて、実は読むこと自体が喜びであり、読むこと自体が楽しみであり、そしてまた読むこと自体が本来人間の自由な活動なんじゃないのかな。そう思うと、そういったものを法律の中で書いてしまう、そして一生懸命やりましょうというふうに言うことが、何かぬぐい切れない違和感の原因にあるのだろう、私はこういうふうに思うわけであります。

 教育的な側面ばかりが、実は先ほどの提案理由の中でも御説明いただいておるわけでありますが、みんなが環境整備、本当に私も大切なことだと思います。後で聞きたいと思いますが、学校の図書館あるいはまた公立の図書館の設備を立派なものにして、蔵書の数をふやしていく、そしてまた、いろいろな、司書教諭とかそういった人たちが住民や子供たちの助けをする、こういったことは大変大切なことだろう、こう思うのでありますが、どうも、読書、読書、読書というふうな環境を整えていってしまうと、楽しみだと思っている子供たちにとっては、何か逃げ場がなくなってしまうのではないのか、そんな思いがしてしまうわけであります。

 だからこそ、読書活動にこういった基本理念といったものが本当に必要なんだろうか。もともと自由な、そもそも、いずれ長ずれば、学問の自由とか、あるいはまた思想、信条の自由とか、そういったものにつながっていく、逆に言えば、表現の自由のまた裏返しの観点から、そういった自由といったものが、吸収できる自由といったものが保障されなければいけないのじゃないのか。

 そういったものの基本理念といったものをこの法律の冒頭で書きあらわすということが、本当に実は、今申し上げたような、教育、教育、教育とイギリスの首相は言ったようでありますけれども、何か、読書、読書、読書、こう言われると、逃げていってしまいたくなるような思いが私はしてしまうのでありますが、そこら辺について、提案者の御見解を聞きたいと思います。

河村(建)議員 都築委員御指摘のとおり、私も、読書というのは、本来、みずから進んで、自分の意思で自由にやるべきものだし、そこに喜びを感じるものだ、全く同感でございます。

 しかし、今、現下の状況を考えているときに、子供たちの活字離れということが非常に指摘をされておりまして、この読書の効用が大きいがゆえに、やはりそのことに非常に心配をいたしたところにこの法案の根拠があるわけでございますが、都築委員も御指摘のように、読書をすることは本当にすばらしいことなんだ、いいことなんだ、こうおっしゃっておりますから、これの環境をどういうふうに整備していこうかというのは、やはり我々政治が、政治家といいますか、政治がやらなきゃいけない責務の一つであるというふうに考えたわけでございまして、御説明申し上げた提案理由にありましたように、すべての子供があらゆる機会、あらゆる場所において自主的に読書に親しめるように、またかつその読書に入っていけるような環境を整備するということでこの法律がございます。

 法律の体制からいっても、どういう理念でこの法律をつくったかという第一の理念としてやはり基本理念というのをうたって、それに基づいて各条が成り立っていくという法の整備の上からいっても、やはりきちっとした基本理念が必要であろう、このように考えて、第二条に設けておるようなわけでございます。

都築委員 ただ、世の中が物すごく実は大きく変わってまいりました。この法律案の中で言われている読書といったものは、どういったものを対象にしたものなのか。

 例えば、その具体的な、本もたくさん、いろいろなものが出ております。ハードカバーの本から雑誌から、さまざまなものがあるわけでありまして、そのほか、実はラジオなどを聞いておりますと、ラジオライブラリーとかいって、本当に、コーヒーでも飲みながらゆっくり聞くと、ああよかったと思うようなひとときも過ごすことができるわけであります。

 また、視覚障害の方たちは大変な努力で点字の本を読んでいく、またそういったものを支える方たちもたくさんいらっしゃる。あるいはまた、最近では、双方向の通信が可能になってきて、インターネットという形でさまざまな情報がやりとりされるだけではなくて、書籍あるいはまた出版、こういったものもそういった電子媒体を通じて交換されるような状況になってきておるわけです。

 そうすると、本という古典的なものにだけ限定してお考えになっておられるのか、そこら辺のところはいかがでしょうか。

肥田議員 読書の対象についてのお尋ねでございますけれども、都築委員がおっしゃるように、やはり本や絵本はもちろんのことでございますけれども、読書に関するメディア、要するに、ラジオライブラリーでございますとか点字図書、それからインターネットを利用した読書、すべてここに対象として入るものと私は考えております。

都築委員 そうすると、そういうことであれば、ぜひまたそういう、本当に幅広い、今の世の中の変化を踏まえた上での対応もまた法律案を施行していく上で御配慮いただきたい、こんなふうに思うわけであります。

 またもとのテーマに戻って、なぜ本当に読書なのかということでありまして、先ほど提案者の河村委員のお話でありますと、結局、活字離れということが言われておるということでございます。

 そしてまた、実際にいろいろな調査を見ますと、そういったものを裏づけるような資料も出ております。学校読書調査といったものが、毎年、何か学校図書館協議会の方で行われているようでございますけれども、例えば、一カ月の平均書籍読書量の推移とか、あるいはまた一カ月間に本を一冊も読まなかった児童生徒の割合とか、たくさんのこういった統計がとられておるわけであります。

 ただ、こういったものを見ますと、そんなに実は変わっていないんじゃないのかなという気がします。特に大きく変わったかなと言えるのは、例えば、一九七〇年代初めと九〇年代後半から二〇〇〇年までに向けての調査で、高校生の読書量の推移といったものを過去三十年間統計をとっておりますけれども、例えば平均読書量の推移ということで、高校生全体では、これは平均一・七四冊といったものが一・一四冊に、七一年―七五年の時点から九六年―二〇〇〇年までの間に減少してきている。逆に、一冊も読んだことのない書籍不読率の推移といったものが、これは高校生では三七・九二%から六四・八八%に増加をしている、こういう統計数字が出ております。

 ただ、小学校、中学校は、私の見るところ、そんなに変わっていないんではないのかな、こういう気がするわけで、高校の問題は、実はこの間、猛烈な勢いで高校の進学率が上昇していったことも背景にあるんじゃないのかということを考えますと、少し割り引いてもいいんではないのかな、こんな気がいたします。

 逆に、全体を見ますと、小学校、中学校、高校を見まして、やはりこの間、テレビが普及し、あるいはまたビデオやゲームや、あるいはまたインターネットや、さらに漫画とか、さまざまな媒体がどんどんふえていったことを思うと、こういった、書籍を読むということは、よくこれだけしのいできているなというのが実際の私の感想であり、それについて、学校の関係者あるいはまた地域の関係者、さまざまな皆さんの努力もやはりあったんではないのかな、こんなふうに思うわけであります。

 だからこそ、そういったいろいろな媒体の中で、実はこれからもまたもっともっと多様化していくことを考えたら、読書だけということでやるんではなくて、もっと、そういった多様な媒体の中で、それぞれのものを自分で取捨選択をしながら生き抜いていく力というものを子供たちが身につけていく上で、何も読書だけこんなに一生懸命、積極的な環境をつくりましょうなんということをやっていくということが果たしてどうなのかなというふうな気がするんですが、そこら辺はいかがですか。提案者の方に聞きます。

肥田議員 都築委員がおっしゃるとおりでございまして、読書が子供たちの生活のすべてでないことはもう明らかでございますし、これだけやっていれば、ではすばらしい子供になるかというと、そういうことでもございません。

 ただ、私、今とても気になっておりますのは、この十数年でございますけれども、子供の言葉離れということが言われておりまして、実はその現象として、子供たちがキレるという現象があるんですね。どうしてキレるのかなというふうにいろいろとみんなで考えたところ、やはりあの一瞬というのは、言葉を失った心の空白、そういう状況が生まれているようなんですね。ですから、言葉を失う、要するに、活字離れが子供たちから言葉を失っていった、そうして今、子供たちが言葉で人間と人間のコミュニケーションをとれなくなっている、そういう状態にあるのかなと私は思うわけです。

 先ほどおっしゃいましたように、それほど本を読んでなくはないんじゃないかという御指摘もございますけれども、やはり今、子供たちの現象を考えますと、文部省の方々も心の教育が大事だというふうにさらに思っていらっしゃる、そこに私はいろいろな意味が込められていると思います。

 私はこの間、去年でございますか、おととしになるかもしれませんけれども、美智子皇后様が実はIBBYの世界大会で基調講演をなさいました。あのときにすばらしいことをおっしゃったんですけれども、人は自分と周囲との間に橋をかける、自分と自分との中にも橋をかける、その橋をかける一番大きな手助けをしてくれるのが子供時代の読書であったとおっしゃいまして、私は、そのことがしみじみとしみるわけでございます。

 ですから、なぜ今読書かとおっしゃいます。私も、いろいろなメディアがございますから、読書だけと言うつもりはございません。ただ、今、読書であるという気持ちでもございます。

 ですから、二〇〇〇年、子ども読書年、国会決議をすべての党の皆さんでしていただきました。そして、その読書年の決議を受けて今回の法律に進んできたわけでございますけれども、やはりこの法案が、子供たちの読書、読めということではなくて、先ほど河村委員からもございましたけれども、子供たちが、読みたい子は読めるような環境をつくりたい、読みたくない子はそれは仕方がないし、それは自由ですと、しかし、読みたい人々については環境整備をしたいという思いでございます。

都築委員 大変おっしゃる趣旨はわかるんでありますが、ただ、反証を挙げて大変恐縮ですが、例えば、活字といったものがそんなに普及していなかった、むしろ書籍というのが物すごく高価な江戸時代とかそれ以前の時代に、では子供たちはみんなキレたかといったら、そうじゃないと思うんですね。

 確かに、いろいろなこと、キレる問題、活字離れ、言葉を失うということがあるかもしれませんが、やはりコミュニケーションのあり方として、まず親子の関係、兄弟の関係あるいは子供同士の関係、そういったものが実は失われつつあるんではないか。逆に、だから、読書も私は大切だと思いますけれども、読書がそういった言葉を覚え、そしてまた自立の心を育てるんだったらいいけれども、一人黙々と読書に励んで孤立化していくケースだって実はあるわけです。

 だから、先人の言葉は本当にすばらしいと思うけれども、逆にそういった言葉ばかりになれてしまって、周りの普通の子供たちの発想がまるでばかげて見えておかしくなってしまうということだってあるわけですから、いろいろなことをやっていただくことは大変結構なんですが、余りわあっと一色になってしまうことは私は大変心配だなという思いを申し上げておきますが、基本的には私どもは賛成でありますから、余り深くは追及いたしません。

 では、続いて、この法律によって、先ほどからいろいろお話がございます、環境整備をしていくんだと。ただ、私自身は、やはり法律というものは、本当に具体的な権利義務関係とか施策といったものを取り上げて、政府にこういったものを実際に実行していってもらう、あるいはまた国民の間でこういったことをやってください、やってはいけません、こういうふうな話とか、そういったものが法律だろう、こう思うんですが、本当に何を実現したいのか、提案者の方にまずお聞きをし、そういったものを踏まえて、文部科学省の方から具体的にどういうふうにするのか。

 私は、今提案者の皆さん方が、自民、公明、保守の三党とそれから野党の民主党の皆さんがおれば、実際何でもできる。学校図書館の蔵書数だって二倍にするという、予算を二倍にするんだと決定していただければ、それだけの数がいるわけですから、圧倒的に多数なんですから、すぐ実行できる。図書館の面積も三倍ぐらいにするんだという決定ぐらい私は皆さんでやってもらった方が、ここで法律を審議しているよりもよっぽどか早道じゃないか、こんな気がするんですが、いかがでしょうか。

河村(建)議員 都築委員御指摘のように、この法案は、具体的な数値を挙げるあるいは整備計画を立てて、そこまでうたっていないことは事実でございますし、またそういう内容になっておりません。

 おっしゃるように、確かに、蔵書を一遍に二倍にするんだといって法律で決めれば、それは実現不可能とは思いません。法律でやったことがそのとおりということに、これは何年計画とかいろいろなことになるかと思いますが、私は、財源の確保ということが、一遍に、一律に全国そういうふうにするという考え方に立つと、これはやはり地域も実情がいろいろありまして、かなり進んでいるところとそうでないところがございます。できるだけ、この法律をつくることによって、できていないところはそれに近づける努力をしていただくし、進んでいるところはまさにさらに倍増にするような計画にしていただく、そのようなことが適当であるというふうに考えて、そうした整備を期待してこの法律をつくってあるんだということが一つ。

 それから、子供の読書活動をしっかり環境整備をする、それは今おっしゃるように、その図書を倍増するとかいう、そういうハードといいますか、そういうものも確かに必要だし、図書館ももっと整備をしなきゃいけない地域もたくさんあるわけでございますが、当然これはこれでやるとしても、さらに、こうした一つの法律をつくり運動を展開していくことによって、ソフト面といいましょうか、いろいろな機関同士の連携とか、あるいはNPOなんかでこういうことを進めておられる方の連携であるとか、そういうことが進んでいく、いわゆる読書活動を推進するためのマンパワーも生まれてくるんではないか。

 昨年が子ども読書年ということで全国に展開をしていただいた。その結果、そういうことを随分、運動をなされることによっていろいろな団体がいろいろなことで動かれて、それぞれの地域、各県において活動が進んでまいりました。そういうことをその限りにせずにこれからも続けていくための担保としても、行政に注文をつけていきたい、こういう意味があってこの法律をつくったものでございまして、この読書活動推進法案そのものは非常に基本的な方針、方向を定めたものでございます。また、それによって各地方の計画が成り立っていけば、それによってさらに環境の整備は進む、このことを大いに期待をしてあるわけであります。

池坊大臣政務官 この法律案は、子供の読書活動の推進に関し、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、基本計画の策定、子ども読書の日の設定などを定めることによって、子供の読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進しようとするものです。ですから、この法律に基づいて、関連施策を着実に実施することによって、学校、家庭、地域を通じて子供が自主的に読書活動を行うことができるよう、そのための環境の整備が推進されると思います。

 今までも、朝礼の時間に十分間読書をすることによって、荒れた学級がおさまったとか、あるいは保健室しか行けなかった子供が教室に入れるというような事例がたくさん出ております。また、そのときには感想文を書かせないという前提がございます。そのような努力によって、先ほど委員がおっしゃいましたように、小中学校において五割前後の子供が本を読むということになっているのではないかと思っております。

 それから、今有害環境がたくさんございますので、本は一人では出会えませんので、環境整備というものが大切になってくるのではないかと思っております。

 そして、図書館の蔵書を、では二倍や三倍にしたらどうなのか、そのことの方が有効ではないかというふうな御趣旨でございましたけれども、これは、あくまでも子供の読書活動を推進する環境を整備していくための基本的な方針、方向を定めるものでございますから、このような公立図書館の具体的な蔵書数や面積については、各地方自治体がそれぞれの事情に応じて整備をしていくものだというふうに考えております。

 国はそれに対して、公立図書館の図書購入費について地方交付税措置の拡充を図ったり、また図書館の設備、整備に対し補助を行うなどして、地方公共団体の自主的な努力を支援しているというところでございます。

 そして、この第十一条で、子供の読書活動を推進するための必要な財政上の措置に努めることも規定しておりますので、これによって地方公共団体における子供の読書環境の整備が促進される、大変有効なものと思っております。

都築委員 たくさん言っていただいたんですが、今、国の財政措置のお話やなんか出ましたが、例えば、では財務省から中野政務官に来ていただいていますので、まず来年度要求、これで何百億円この法律ができたらふえるのかなと思ったら、どうも文部科学省の予算は二千二百万円だ、こういうような話のようでございまして、まだほかの費目ももちろんあるんでしょうけれども、まず財政当局のお考えをちょっと聞きたいと思います。

中野大臣政務官 財務省の大臣政務官の中野でございます。都築委員の御質問にお答えをしたいと思います。

 平成十四年度の予算につきましては、現在編成作業を行っておるところでございます。そういうわけでございますから、現段階におきましては、この子供の読書関連の要求に対しましてどのぐらいの予算額を計上するかということについては、今はまだ不確定でございますので申し上げることはできませんけれども、御承知のとおりの厳しい財政事情を踏まえながらも、必要な予算につきましては、この子供の読書を推進する、そういう趣旨に向かいまして適切に措置をしてまいりたい、そういう決意でございます。よろしくどうぞ。

都築委員 ありがとうございました。ぜひ本当にそういった趣旨を生かしていただきたい。

 あわせて、総務省から山名政務官にもお越しをいただいておりますので、ちょっと質問の順番が変わりますが、学校図書館図書整備経費として九三年度からずっと地方交付税措置が講じられてまいりました。平成十三年度は百八億円、こういうことであります。だから、この法律を踏まえて、今文部科学省の池坊政務官が言われたような形で、地方交付税措置のまた拡充を求めていきたい、こういうふうなお話がございました。具体的に本当にどう対応されるのか。

 それからもう一つ、私は、総務省のお立場、地方自治体のいろいろなものを調整されるという立場からぜひお尋ねをしたいのは、文部科学省の課長さんの方から都道府県の教育長あてに、図書整備費通知文ということで、百八億円整備されているけれども、実は、地方交付税ですから、みんな一般財源になっちゃいますから、自治体の動向によってはそれが全部図書の方に充てられないんだ、だからもっとしっかりと議会や何かに働きかけろ、こんな話があります。

 ただ、私が知るところ、自治体自身も、また独自の、図書館整備とか図書の増冊とかいうことを努力されておられますので、そこら辺のところ、自治体の方として本当にどういうふうに取り組んでいかれるのか。

 教育関係だったら、もう文部科学省の方からずっと一括で都道府県教育委員会、市町村の教育委員会まで行ってしまうという発想とは違うところで、また総務省のお立場がもっと住民の福利の観点からもあるんではないのかな、こんな気もいたします。

 ちょっと余分なお話ですが、まず最初のお話から聞かせていただければと思います。

山名大臣政務官 ただいま都築先生からお話がございましたように、学校図書館の図書整備経費といたしまして、平成十三年度、全国ベースで百八億円、普通交付税措置を講じているところでございます。お話にございましたように、この制度は平成五年から始めまして、当初五カ年計画で進めてまいりました。五年で切れたわけですけれども、その後も大体百億円ベースでずっと交付税措置をやってまいりました。

 今、先ほどからもお話でございましたように、今回のこの法案の趣旨の重さ、これもしっかり踏まえまして、また、各地方公共団体のいわゆる整備状況あるいは文部科学省の皆さんの御意見も伺いながら、この交付税措置の額についても十分おこたえできるような形で検討をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

 それから、二つ目の件につきましては、当然、各地方公共団体の自立性といいますか、自主性、地方分権ということも相まって、それぞれの各地方公共団体のお考えというものがこれから主体的にどのような方向に向いていくのかということが極めて重要なテーマでもあるかと思っております。

 したがって、この学校図書の整備等につきましても、基本的には各地方公共団体あるいは教育委員会等でお考えを進めていくこと、これが地方分権のまた趣旨にもかなうことではないか、その上に立って、私ども総務省としてもいろいろな形でのバックアップができるのではないか、こういうふうに考えているところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

都築委員 ぜひ、そういうことで自治体のしっかりした取り組みをお願いしたいと思います。

 私自身、どうもまだまだ役所の中の縦割りといった問題がいろいろあって、それを超えていくのがやはり政治だろう、こう思うわけです。教育のことは教育行政の関係者にずっとそのままいけばそれで済むのかといったら、子供たちは一般人ですし、その親も一般の人たちですし、市長さんも一般の人たちがなるわけで、一般の人たちのいろいろな声を政策に反映していくというのがやはり政治家、政党の役割で、であるからこそこういった提案がなされているのかなということをつくづく思うわけであります。

 それで、時間がもうなくなってまいりましたが、最後、ちょっと幾つかまた、つくり過ぎてしまったんですが、子ども読書活動推進基本計画、こういったものについて、具体的にこの法律に基づいてどういった形になるのか。

 私自身は、先ほど来申し上げてまいりましたように、本来の自由とか、あるいはまた喜び、楽しみといったものが、何かわあわあと一本調子になっていかないように、ぜひそこら辺の配慮もまたお願いをしたいし、それから、現に、今までできておりました読書活動の推進に関する取り組みが文部科学省の方から先般告示で出されているというふうに承知をしております。そういったものがもっと本当に普及するような形で、その法律の趣旨といったものが正しく生かされるようにお願いをしたいと思いますが、提案者、それから文部科学大臣の御決意をちょっと聞かせていただければと思います。

 時間が切れましたので、手短に。済みません。

小野議員 都築委員のおっしゃられるとおり、読書活動というものについては、長期的な考え方、また、単に本を読むというだけでなくて、その指導だとかいろいろなものを含めた総合的な考え方だとか、こういうものを具現化していくということがこれから必要になるわけでありまして、そのためにこそ、今回の法律の眼目でありますところのこの基本計画の策定という問題が極めて大事な問題だと考えている次第であります。

 この内容を簡単にだけ触れさせていただきますけれども、学校に関しましては、学校図書館の充実ですとか、学校での読書活動推進のための諸方策について決定を見るようなものを考えております。また、地域、家庭に関しましては、地域において子供の読書活動を推進するための諸方策について検討すべきものと考えております。

 また、先ほど河村委員からも触れましたけれども、関係機関、民間団体との連携強化に関してもこの計画の中で触れていくというような形で、国といたしまして、この基本計画の中に読書推進のための基本的事項をおさめたい。

 また、地方自治体においては、これは都道府県と市町村両方があるわけでありますが、この国の基本的な考え方というのを参考にしていただきながら、それぞれの自主的判断のもとに、地域性また子供たちの状況を見ながら、最も好ましい計画をつくっていただきたい、こういうふうに考えている次第であります。

高市委員長 遠山大臣、質疑時間終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。

遠山国務大臣 今回、子供の読書を推進するための法律案の提案をいただきまして、私としては大変すばらしいことだと提案者に敬意を表したいと思います。

 そして、基本計画につきましても、法律の趣旨及びきょうの御議論を十分に勘案しながら、しっかりと策定していきたいと思います。

都築委員 ありがとうございました。終わります。

高市委員長 児玉健次君。

児玉委員 日本共産党の児玉健次です。

 今、子供の読書離れは非常に深刻だと私は思います。学校図書館の皆さんが、この四十七年間、毎年五月の一カ月に君は何冊本を読んだか、この二〇〇一年の五月でいえば、小学生が六・二冊、そして中学生が二・一冊、高校生が一・一冊、四十七年間続く調査というのは大したものだと思います。そのころ私が何冊読んでいたかということを思い出しもしているんですが、長ずるに及んで本から離れていく、これは深刻さにさらに深刻さを加えているんじゃないか、こうも考えます。

 現在問われているのは、子供が自由に、そして自主的に、自発的に書物に親しむ権利を十分に保障するための条件の整備ではないか、こう考えます。本来、読書は自由で自主的で自発的な行為でなければなりません。日本で何がそれを阻んでいるのか、そのことについて提案者の皆さんから端的にお聞かせいただきたいと思います。

西議員 児玉先生にお答え申し上げます。

 先ほど具体的な例を挙げて申されましたけれども、現代の子供の読書離れ、私も先生の気持ちと全く同感でございます。ゆゆしき事態だという認識をしております。

 先生もデータを挙げられましたが、同じく毎年毎日新聞が行っている調査でございますが、全国学校図書館協議会の協力で行った結果、一カ月に一冊も本を読んだことのない人、こういう問いに対して、小学校で一一%、中学校で四四%、高校生では六七%が一冊も読んだことがない、こういう結果が出ております。小学校では若干の改善が見られているようですが、少し長期的に見ますと、高校、中学生ともに大幅な増加傾向が見られるということは大変なことだというふうに認識しております。

 この原因といたしましては、いろいろな原因があると思うんですが、一つには、情報メディアが多様になったことによって読書になかなか目が向かない。それから、受験勉強、また部活などで忙しくてなかなか本を読む機会がない。また、もう一つの大きな原因としては、私どもがなかなか本を読む経験をしていないものですから、子供たちが、その親の読書体験の不足によって習慣づけられていないということも大きな原因として挙げられてくるのではないか、私はこう思っております。

 幸いにして、衆参両院で九九年、決議を皆でいたしまして、また昨年は子ども読書年ということで、全国的にいろいろ自発的な活動が行われております。学校でも朝十分間の読書運動、また地域社会では読み聞かせ運動、さまざまな場を通してそういう活動が展開しておりますが、小学生の読書の傾向が若干増加したというのは、そこら辺にもあるのかなというふうに分析をしているところでございます。

 そういう意味で、この法律案は、すべての子供があらゆる機会とあらゆる場所を通じて自主的に読書活動を行うことができるように環境整備をするというところに大きな意味がございまして、このことによって子供の読書活動がさらに推進されていくもの、こういうふうに考えております。

児玉委員 小学生で書物に親しめば、中学生になったときもっと読むようになるはずだし、それで喜びを感ずれば高校でさらに読むようになります。それが全く逆に、しかも数字がかなりドラスチックに減っています。

 それで、国連の子ども権利委員会は、一九九八年の六月に、日本政府の国連に対する初回報告に対する最終所見で次のように言いました。日本における高度に競争的な教育制度によるストレスのため子供が発達のゆがみ、わざわざこれはディベロプメンタルディスオーダーと、これにさらされていること、及び、その結果、余暇、身体的活動及び休息が欠如していることを懸念する、こういうふうに述べています。本当にこの懸念は重要だと思います。

 日本の子供をめぐる諸問題を考えるとき、さまざまな困難を生み出している基本的な背景というか、基本的な原因として、ここに指摘されたような問題に私たちは直面しなきゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

河村(建)議員 委員御指摘のように高度な競争社会というふうにとらえた指摘があるということでございますが、確かに、教育上の問題として過激な入試競争が非常に大きな課題になって、これに対するいろいろな施策が今とられ、ゆとりある教育のあり方等々も今問われておりますし、学習指導要領等ではそういうものを少し、もっと幅広くとらえて、総合的な学習の時間等で幅広い学習をするような形をとったりして、私は、そうしたものの中にこの読書活動というものをしっかり組み入れていくことが、まさに今子供たちにいろいろなストレスを与えている、そういうものから解き放たれることになるのではないかという期待もいたしております。

 確かに、委員御指摘のように、本当はだんだん読書がふえていかなきゃいけないのに現実に減っているということは、これは非常にゆゆしい問題だし、我々大人自身を考えても非常に読書量が少ないということは、これはもう本当に内心じくじたるものがありますが、この転換をどういうふうに図っていくかということは、私も、やはり二十一世紀の日本にとって大事な御指摘であると考え、またこの法律がそれの一助になればと、このように期待をしているところでございます。

児玉委員 ゆとりの教育が進む中でも、やはり読書量が残念ながら減ってきている。そういう中で、先ほど私が冒頭に言った、子供が本を読む、これを権利としてとらえて、それを保障する条件をどうやって整備していくか。今さまざまな法律があります。公立図書館の設置、学校図書館の充実、そして司書の皆さんの問題、それぞれを規定している現行の法律をさらに改正し充実させていく、この分野の努力について提案者がどんなお考えか伺いたいと思います。

西議員 お答え申し上げます。

 この法律を受けて、今後、すべての子供があらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動が行えるように環境整備していくために、さまざまな施策が講じられていくこととなります。

 まず、基本的な枠組みとしましては、子ども読書推進基本計画を国が定める、こういうことになっております。この基本計画を策定して、それをもとに、具体的な読書活動の推進のための取り組みが行われる上で子供の読書活動に重要な役割を果たす公立図書館、先ほど先生おっしゃいました公立図書館や学校図書館の充実、さらには司書教諭の配置等についても、必要な措置が今後講じられていくということになると考えております。

 次に、さらに地方においても同様に、この法律の九条に挙げておりますが、都道府県子ども読書推進計画、さらには、市町村子ども読書推進計画をそれぞれ策定するように努めるもの、こういうふうに条文として挙げておりまして、それぞれの地域の実情に合わせて、また今の現状を十分把握した上で、公立図書館、さらには学校図書館の充実を図るための具体的な施策が講じられることを私どもも期待しているところでございます。

児玉委員 現行法に命を吹き込んで、そして実効あらしめるということが今共通の課題として迫られていると思うんです。とりわけ、図書館、そこで司書のお仕事をなさる方に人を得たら、どのくらい子供たちが生き生きと読書活動にみずから喜びを持って参加するようになるか。

 その図書館について、これはもうよく知られている問題ですが、ユネスコの文化統計年鑑一九九九年版でつくってみると、サミットに参加している八つの国で、人口当たりの図書館数は、平均五千八百六十八人に一つ図書館があります。日本も含めての平均です。ところが、日本だけを取り出してみるとどうかというと、四万八千四百十八人に図書館が一つしかない。サミット八カ国の、日本を含めた平均の十分の一というレベルですね。

 これはやはり慄然とするような状況であって、そこのところをどうやって押し上げていくか、この点の努力はぜひ国民的な規模で進めなきゃいけないと考えているんですが、いかがでしょうか。

西議員 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるように、全体的には国として、公立の図書館を初めとする図書館の率は大変低いというふうに認識をしております。とはいえ、今、こういう機運の中で、毎年地方に約七十ぐらいの図書館ができつつあるというふうに聞いておりまして、これではなかなか追いつかないという側面はあることは当然でございますが、この整備についてもこの基本計画の中で具体化していけるように努力をしていかなければならない、こういうふうに思っております。

児玉委員 そこで、法案の中身に即して何点かお聞きをしたいんですが、第五条に「事業者」という言葉が入っています。そして、そこで、「書籍等の提供」という言葉もあります。事業者とはどのような存在を考えていらっしゃるのか、そして、書籍等の提供、これはどのような行為を予想なさっているのか、お聞きします。

肥田議員 事業者といいますと、出版業者、それから流通業者、書店経営者など、子供の読書活動に関係する事業者というふうに規定をしたい、規定というか、目標にしたいと思っております。

 あともう一つ、済みません、その後に……

高市委員長 いいですか、私から。

 書籍等の提供とはどのような行為を想定しているのか。五条の文章です。

肥田議員 書籍等の提供。はい。

 提供といいますと、要するに、例えば出版界の皆さんにこのことについて伺いましたところ、こういう規定は大変励みになると。ですから、大会声明というので書いているんですけれども、自分たち出版人は、出版倫理綱領の理念と精神を生き生きとよみがえらせ、出版の自由と責任とは何かをみずからに深く問うてまいります、こう、私どもの第五条に大きな賛同をちょうだいしていることもつけ加えさせていただきたいと思います。

児玉委員 その倫理綱領は、非常に厳格に、歴史的にも十分批判にたえるものだと私は思います。その倫理綱領の問題があるからなおさら言うんですが、「事業者は、その事業活動を行うに当たっては、」云々と言って、「子どもの読書活動が推進されるよう、子どもの健やかな成長に資する書籍等の提供に努めるものとする。」提供に努めるものとする。提案者の皆さんは、この提供に努めるという行為はどんな行為を予想なさっているのか、その点をお伺いしています。

肥田議員 失礼いたしました。

 例えば出版業者の場合は、そういう子供たちの健やかな成長に資するすばらしい本をつくっていく。それから流通業者でございますけれども、これが大変、今やはり子供の本を、どうしても売れないものですから、たくさん流通に乗せないということがあるんですね。ですから、どんどん乗せてほしいという思いでございます。それから書店の方でございますけれども、先生の御存じのとおり、本屋さんに行きますと、子供の本のコーナーがだんだん狭くなっております。ですから、やはり子供の本をもっと目立つところに、そしてもっと十分に、子供の選択にたえられる、そういうスペースをつくってほしいという思いでございます。

児玉委員 そこで、提供される書籍等の問題について、同じくこの第五条で、「子どもの健やかな成長に資する書籍等」というふうに限定があります。言葉のとおり、健やかな成長に異議を唱える人は一人もおりません。健やかに成長してもらいたいとだれしも願います。

 しかし、どのような著作が子供の健やかな成長に資するものであるかどうか、これはすぐれて評価を伴います。だれがどのようにして評価するのか、その点お尋ねします。

肥田議員 これを評価いたしますのは、国、地方公共団体などではございませんでして、やはり、あくまでも事業者の方々が自分たちの責任でもって判断をしていただきたいという趣旨でございます。

児玉委員 例えばバイオリンの奏者がどのような音楽性を持っているかというものを、国家が評価することはできませんね。言ってみれば、すぐれたバイオリニストが集まって、そして審査員としてバイオリンコンクールの評価を行います。それは確立したシステムだと思うんです。

 今、お話では、国や地方公共団体がすぐそれにコミットするわけではないというふうに私はお伺いしたんですが、では、だれがそれをすることになるのか。そして、その問題について、国が推進の主体になるこの法律の中に盛り込まれているのはなぜだろうか。その点をお聞きしたいと思います。

肥田議員 このことにつきましては、実は私どもも随分悩みました。事業者の自由な意思をくくりはしないかということで悩んだわけでございますけれども、やはり、今いろいろな出版の状況を見ておりますと、この程度の言葉で事業者の皆さんの自主的な努力を促すということはいいのではないか、私たちはそう判断いたしましたし、それが事業者の自主的な、自分たちが厳しい倫理綱領を持っている人たちが判断する、それにゆだねたいと思うのですけれども。

児玉委員 この点はやはり肝心なことですから私は率直に述べたいんですが、毎週、全国紙、幾つかの新聞に、特定の書店でこの何日の間に何冊本が買われたか、売れたかというリストが出ていますね。非常に参考になりますが、しかし、あれは評価を伴っていません。強いて言えば、これほどの人が読んだという、そのことが数字になってあらわされていて、そのことについて私はあれこれ言うつもりはないんです。

 それから、よく読書人などが、良書を十選とか百選というふうに述べることがありますね。これは、先ほどのバイオリンコンクールにおける傑出したバイオリニストが審査員として参加することに非常に近いです。

 しかし、それらとは、やはりこの五条で言われている問題について言えば、肥田先生は大変悩んだと今お話しになったけれども、それは悩むに値することだと思うんですね。それほどのことではないかと私はあえて申したいのですが、いかがでしょうか。

肥田議員 結果的には悩んでこの五条に書かせていただいたということは、事業者の皆様がこの規定はあるべきだというふうにまでおっしゃっていただいたからでございます。

児玉委員 では、その問題は問題として残るという点は指摘しておきます。

 次に、第六条ですが、「父母その他の保護者は、子どもの読書活動の機会の充実及び読書活動の習慣化に積極的な役割を果たすものとする。」これは学校教育や家庭教育とどんなかかわりを持つのだろうかというのが一つ。

 そして、法律において努力義務、多少かたい言葉ですが、努力義務も何段階かありまして、努めなければならないというのは相当きついものですね。努めるものとするというのはそれより幾らかマイルドなもので、これは「努めるものとする。」となっていますが、しかし努力義務であることに変わりがありません。そういう形で盛り込む性質のものだろうかと、法案を拝見して、率直に私はそのように感じたのですが、いかがでしょうか。

中野(寛)議員 お答えいたします。

 この同趣旨の御質問、実は都築委員の御質問の通告の中にございました、私答弁の機会を逸しましたが。まとめてお答えいたしたいという気がいたします。

 今、児玉委員からおっしゃられましたように、ある意味では言わずもがなのことなのかもしれません。しかし、現在の社会情勢や家庭環境等を見ますときに、やはりこれは、国にしろ地方自治体にしろ、そして学校や家庭にしろ、当然なすべきことをその社会情勢の変化によってやはりあえて触れなければ、すなわちあえて触れることによって努力するということが必要だと思われるときがあると思うのです。この読書活動推進法そのものが、ある意味では全体としてそのような性格を持っているのではないかというふうにも私は受けとめておりますので、今の、努力義務とおっしゃいましたけれども、それはまさに努める義務であって、それによって特定のことを強制されるというものでは当然ないものというふうに解釈すべきだと思います。

 また、読書というようなものは人によって強制されるものではもちろんないわけで、どんな社会的にすばらしいことでも、児玉先生が好きな読書の場合は薦められればお喜びになると思いますし、私が読書しろと言われれば苦痛に感じるかもしれませんし、また人によってそれぞれの価値観も違います。ただ、我々は、社会的な環境を整備し、子供たちにその場を提供しておく、常にそういう場を用意しておくという努力を心がけるものだと思います。

 特に今は、家庭教育、そして学校も初等教育、または幼児教育の段階での習慣化というのは、大変重要な意味を持っていると思います。

 社会的に今、よく学校崩壊とか社会崩壊が言われます。企業が悪い、大学が悪いのは企業が悪いからだと。いやいや、企業に言わせれば、大学の方が悪い。大学が悪いと言われた大学関係者が、いやいや、もう高校のときから悪いんだと。高校の関係者に聞いたら、いや中学が悪いからだ。中学の関係者に聞いたら、小学校が悪い。小学校に聞いたら、家庭が悪い。子供に聞いたら、生まれたこの私が悪いのか、こういうふうに言わざるを得なかったということなんですが、そのくらいに、いわゆる教育とか読書とか生活習慣の基本を、家庭教育または幼児教育など初等教育の場に期待をするという意味を込めてこのような条文になっていることを御理解いただければと思います。

児玉委員 中野先生の表現に予算委員会以来久しぶりに接しました。その議論は、また続けてぜひやりたいです。

 第八条、政府が策定するとされる子ども読書活動推進基本計画。先ほど、西先生のお言葉にもありました。文化芸術振興基本法のときはどうだったかなと思って、見たら、この際は、基本計画ではなく、「文化芸術の振興に関する基本的な方針」となっていました。この場合、それが基本計画という形に固められている。その点、私はやはり、拝見していて、お聞きしなきゃいけないなと思ったのが一つです。

 もう一つは、その、国が作成する基本計画について、都道府県、市町村が策定する場合に、国の基本計画を基本とするというふうにわざわざ枠がはまっている。この二つのことについてお聞きをしたいと思います。

河村(建)議員 今、文化芸術基本法といいますか、振興法のことをお触れになりました。私も、それとの比較において、特に固めたというような意識でこの法案をつくったつもりはありませんで、意味としては、基本的な大枠をやはり定めるんだ、こういうことを計画という言葉にあらわしたというふうに考えていただいて結構だと思っております。

 やはり基本計画を立てることというのは、今後具体的に読書計画を進めていく上で、私は、法治国家としては基本方針、基本計画というものに基づいて、まず国が基本計画を持ち、各地方自治体がそれにのっとった形で方針を立てていくだろうと。また、それによって、この法律ができたから単発的にちょっとやるというんじゃなくて、やはりある程度の方針に基づいて、ある意味では長期計画的なもので環境整備を図ってもらいたい、こういう意図もあって、この大枠を定めるという意味でこういうふうになっておるわけでございます。

児玉委員 私が申しますのは、例えば学校図書館法、そして図書館法、それらでは、書籍についての評価にかかわるようなことについては極めて注意深く書いていますね。そして、何しろ著作の問題というのは、憲法二十一条の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」そこのところが非常に厳しいんで、肥田先生のおっしゃった倫理綱領、倫理規程も、そこが軸になっていますからね。

 そういう場合に、国が提起する基本計画、どうしても私はそのことを結びつけざるを得ないんですよ。そして、しかもそれが、政府が策定して公表するものとする。次に、都道府県が出す場合に国のものを基本とする。市町村が出すときは国と都道府県のものを基本とするというふうに、段階的に枠がはまっていますからね。ここのところは、準備をなさった方々の善意というのは私はわかるんですが、法律は一回できてしまうと自分の意思で走り出しますから、その点であえてお伺いしたいんです。

河村(建)議員 児玉委員御指摘の点は確かに、国が言ったんだからということで無理やりにというわけには、私は、特に読書活動についてはそういうものではないと思いますが、ただ、かなり地域性がございますので、それぞれの地域に、この法律でそれぞれの県あるいは市町村の自主性に任せようということでありまして、基本精神、大枠だけは方針は立てるけれども、あとは、地域の整備状況がそれぞれ違いますから、図書館一つにしても違いますし、それから、それぞれの市の教育委員会、学校の教育の中でもいろいろな形がとられておりますし、図書館活動も違いましょう。

 それからさらに、都築委員のときにも申し上げたんでありますが、ハード面だけじゃなくて、もっとソフト面の連携というのも、各種団体の連携ということもございます。NPOの活動というのもございます。そういうものがいろいろ組み合わさって柔軟な対応ができるようなものでなければいけない、こう思っておりますので、一たん法律ができるとそれがどんどんおりて強制力を発揮する、そのようなことをこの法律では期待をいたしておりません。

児玉委員 私は、最後に、やはりこの法律に対する私の基本的な見地を申し上げたいと思うんです。

 子どもの権利条約は、その三十一条でこのように言っています。「締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める。」明らかに権利としてつかまえているんですね。

 ここでは、子供が自由に、自主的に、自発的に読書することを、その他の文化的な営みともあわせて明確に権利としてとらえている。ところが、今度提起されているこの法律では、子供の読書活動を国が法律により推進することが主題になっている。この違いは、残念ながらあると思います。

 また、どのような書籍が子供の健やかな成長に資するか。法案第五条の「事業者」の部分ですが、どの書籍が子供の健やかな成長に資するか、または否か。資さないか。これは本質的に著作に対する評価を伴うものであって、それを法律に盛り込むことについては極めて慎重でなければならない、こう考えます。

 そのような見地から、この法律案には、何と表現していいか悩むんですが、賛成しかねる、反対であるということを表明して、私の質問を終わります。

高市委員長 中西績介君。

中西委員 私は、時間が三十分と制限されておりますので、大変多くの問題を指摘しながら確認していきたいと思っておりましたけれども、十分果たせ得ない思いますので、お答えの方も簡単に、明瞭にひとつお願いをしたいと思っています。

 先ほどからの論議の過程にも何回かございましたけれども、私はこの法律案を、私の選挙区の中に今全国で読書率一、二位を争っておる町立の図書館があるんですが、その町立の図書館を十二年間にわたって育ててきた町長、今やめておりますけれども、その人にこれをお見せしたんです。そうしたところが、こういう答えが返ってきたんです。

 第一条、二条について、目的や理念について反対する立場にはありませんが、今ごろなぜこの要綱なのか、疑問なきを得ません。第三条、四条については、子供の読書活動を推進する立場で国なり自治体の責任を言うなら、既存の図書館なり学校図書館の実態なり現状をどう理解しているのでしょうか。町村の図書館設置率は三七・二%です、学校図書館の現状や司書のいない中での子供への読書指導をどう認識しておられるでしょうか。そして、第十一条関係について、国の財政措置をうたうならば、町村図書館設立の補助金や学校図書室、図書館の整備充実こそが本来の国のやるべき責務ではないでしょうかと。こういう、今ごろ何でこれを言わなくちゃならぬかという答えが返ってきました。

 そこで私は、先ほどもちょっと出ましたけれども、この学校図書館法の中に、第三条に設置者の義務、四条に運営、五条に司書教諭、六条に設置者の任務、七条に国の責務、十三条に国の負担ということがちゃんと列挙されていますよね。こういうこと、さらにまた図書館法における、これは申し上げませんけれども、こういうものがあるのに、今なおこのような法律案を提出するその理由が、私たちに理解できるようにお話しいただけませんか、河村さん。

河村(建)議員 中西先生も、そうはおっしゃいましたが、今なぜとおっしゃいましたが、子供たちが読書をしっかりすることが有益であるということには御異存ないというふうに思っておるわけでございます。

 なぜ今このときにということでございますが、現下の状況では、先ほど来の議論の中にもございましたが、やはり子供たちの図書離れといいますか、そういうことの非常な心配があるわけでございます。

 そこで、御案内のように、昨年を子ども読書年ということで、これを決議いたしまして、そして、このことに基づいて文部科学省にも予算を要求し、それで全国に展開をしてみましたところ、なかなか活発な取り組みがされまして、読み聞かせ運動を初めとして民間団体等々が全国展開をされました。

 特に、私の地元山口県では、三百六十五日のうち百七十四日間がどこかでこの問題に皆さんが取り組んでおられる、それによって各種団体の連携が生まれたり、あるいはそのための人たちが集まってきてマンパワーが生まれたりというような効果もあったわけでございます。

 そういうものをやはり単発で終わらすべきではないし、これを担保してさらに進める必要があるというふうに我々判断もしたわけでございまして、これは、子どもの未来を考える議員連盟、議員連盟の中でそういうことを取り上げながらこの法案をつくっていったわけでございます。

 確かに、御指摘のように学校図書館の整備でまだまだ、図書館を見たら、表は本だけれども裏は虫食っていたという図書館がまだたくさんあるという指摘も受けておりますから、そういうことについても、私は、文部科学省ももっと本気になってこの問題にやはり取り組むべきときだし、司書教諭についても、やっと平成十五年から十二学級以上の学校には置くわけでありますが、これも、まだ兼務という状態であります。こういう整備もしていく必要がある。

 私は、そういうものを推し進めていく上で、この法律をつくることによって、これを一つのきっかけにして進めていく、我々もその責任を感じるということでやってまいりたい、こういう含みも込めてこの法律案を提出したようなわけであります。

中西委員 今、提案者の方から、昨年の子ども読書年の国会決議、それ以降における動き等でということも含めて、ただ、後半に申されたところをお聞きいたしますと、問題が那辺にあるかということがだんだん明らかになってくると思うんですね。

 ですから、きょうは文科大臣、おいでになっておられますので、提出者が今のような答弁をしなくてはならないその原因、それから責任、これはどこにあるとお考えなのか、お答えください。

遠山国務大臣 子供にとっての読書活動の重要性は、もうるる提案者からの御説明もあり、この法律そのものの精神に流れているものだと思っております。そのことは子供の成長にとって大変大事であって、学校、家庭、地域を通じてその推進を図ることは極めて重要と考えております。

 この法律案は、国、地方公共団体、事業者、保護者が子供の読書活動に関してそれぞれ果たすべき役割について規定し、国、地方公共団体に総合的、計画的な環境整備を義務づけたものであると思います。

 その意味で、子どもの読書年を契機に、読書活動を推進して、先ほど来ずっと御議論いただいておりますその理念を実現するための取り組みを進めていこう、そういう中身であると理解をしております。

中西委員 私は、私の質問には全く答えていないと思うんですがね。なぜこのような提案をしなくてはならなくなったのか、その原因と責任はどこにあるんですかと聞いているんですから。

 ちゃんとこれに至る、先ほどから申し上げておりますように、学校図書館法だとか図書館法というものを確実に遂行し、先ほど私が申し上げた、設置義務から司書教諭から運営から設置者の任務から、国の責務、国の負担というものを、ちゃんとこれを押さえて行政が責任ある施行をやっておれば、何にもこれまで出す必要は私はなかったと思うから聞きよるんですよ。いまだにそういう感覚でおられるから問題があるんです。

 だから、行政が非常にサボっておったから議員立法でやらざるを得ない、こう私は受け取りたいのだが、河村提案者、どうでしょう。

河村(建)議員 提案者といたしましては、今中西委員が御指摘のような点も十分承知の上で、これを少しでも進めていかなきゃいかぬという思いが強く込められていることは事実でございますし、司書教諭の問題一つにしても、やっとあそこまで行ったわけでありますが、まだ少人数学級、学校では全く司書教諭がおりません。それから、地方へ参りますと、これは専任にしてもらいたいという強い声もございます。これは当然に相当な財政措置を伴うことでもございます。

 そういうことも含めて、総合的にそういうものを解決していかなきゃならぬわけでありますが、この法案をつくるその趣旨に至ったものは、今中西委員御指摘のようなさまざまな問題をもっと加速的に進めていきたいという強い願いがこの法案に込められておるわけでございますから、我々議会サイドといたしましては、当然、政府、行政に対してこれを進めるべく、我々も努力いたしますが、ある意味では叱咤激励もしていかなきゃいかぬ立場に立つ、責任ある立場に立つ、こういうことであろうと思います。

中西委員 それで、大臣がお答えになったようなことではむしろ、これを推進するに当たって行政側はまた邪魔になるですよ。

 推進するに当たって何といったって、行政側はこのことをちゃんと理解をした上で、むしろ応援団ができたといって一生懸命やるんだったらいいけれども、指摘をされたら今度は感情的になって逆に寝込んでしまうなんということになったら、これはつくらぬ方がよかったということになるんですよ。

 ですから、ここら辺をちゃんとやっておかないと、これを提案するに当たっての、今これを提案なさっている方は与党の皆さんですから、まあ野党もおられますけれども、この点は本当にそこがうまくいかないと、逆に大きな、我々はこれに賛成した、ところが逆に、行政側はむしろ感情的になって、こんなこと我々は今まで努力してきたのだなどと言ったんじゃ、これはもうどうすることもできませんから、これが本当に推進役になるような役割を果たす、そういうことにならないと、ここで私たちが論議を幾らしたってむだだと私は思うんです。

 そうした意味で、河村さんはかつて文科省におったわけですから、行政の側にも立った方ですから、そのことを十分御認識なさっておられると思いますので、ここは、これより以上もう私は深くは申し上げませんけれども、この点だけはひとつ、これから後、野党は別にいたしましても、特に与党の皆さんは本当に必死になってやらぬと意味がない、私はそう言わざるを得ぬと思いますね。その点ひとつ御理解ください。よろしいですか。

 そこで、読書の基本理念を法律で定めることではなくて、子供たちに読書環境を具体的に保障するというのがこの基本だとかなんとかいうこと、先ほどから問題になっておりましたけれども、このことをどうするかということになると思います。

 先ほども出ておりましたように、公立図書館の設立パーセントなども非常に低いし、そして、先ほども言われておりましたけれども、サミット参加国中最低の国である、こういうことが明らかにされ、指摘をされてきています。

 したがって、本来、子供たちの読書活動を支援する施策を集中的、総合的に講ずるということがこの法案の最も重要な課題ではないか、こう私は理解をしながら、これをそのように無理をして読みながら今やっておるのですが、その点からいたしまして、本法案におきましては、第二条、環境の整備推進が特に強調されておりますけれども、時間がありませんので、この整備充実の問題だとか、それから司書教諭配置、専任の配置の問題だとか、あるいはメディアセンターとしての役割の問題だとか、たくさんありますが、ここでは一応司書教諭一つを取り上げてみたいと思うのです。

 今河村さんの方から言われましたように、これは一昨々年でしたか、学校図書館法の改正がなされまして、充て職でやるようになります。これは二年後になりますね。平成十五年ですから二年後と思いますが、これの今の現状と、もう一つは、この配置をいつごろまでに終わらせるという具体性をこの法律はこの中に持っておるのか、この点についてお答えください。

高市委員長 政府側ですか。提案者ですか。

中西委員 政府側じゃなしに提案者です。専任の司書教諭の配置をいつごろまでに終了させるのか。

西議員 ただいま中西先生、大変力強い御支援の言葉をちょうだいして感激しておりますが、お尋ねの専任のというお話でございました。

 もともと司書教諭、教諭の併任をしているという現状から、すぐに専任で司書教諭を置くということにつきましては、財政的な問題もございますので、すぐにというわけにはいかないというふうに理解をしております。先ほど河村先生からお話がありましたように、平成十五年以降に大規模校から順次整備をしていくという方向で進んでいくものと私どもは考えております。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

中西委員 ちょっとそれだと、私たちはこれは問題だと思いますね。

 ですから、このことが重要視されるというのは、構造化された知的教育、あるいは金太郎あめづくりの教育ということでなくて、主体的に物を考え判断する教育をどうこれから構築をしていくかということが大変重要でありますから、充て職の場合には、教諭は授業を持っておって充てられるのですよ。そうしますと、図書館の運営だとか利用だとか、今度は指導だとかいうことになってくると、実際には不可能に近いですよ。やれば、経験してみたらわかるんです。

 ですから、私が一番文科省の担当の皆さんに言いたいのは何かというと、現場のそういう経験をしていない人たちが、頭の中で考えて、何か配置しておけばやるだろうなどという甘い考え方の中でやっておられるのじゃないかと思いますから、一番心配するところはそこなんですよ。

 ですから、少なくとも充て職でなくて専任の司書教諭をいつまでに配置をするのか、ここをやはり強調して目指す、このことがなければ、私は、今度こうして新しく出されるけれども、内容的に余り意味がなくなってくるね。

 学校図書館だけでいいますならば、少なくとも財政措置とこの司書教諭なり、こういうふうなものが具体化されていくことによってうんと変わってくると思いますね。ですから、そこをどういうふうにお考えになっておられるかということ。

 なぜ私はそのことを言うかというと、先ほど言った三番目のメディアセンターとしての役割、これからの学校教育の中においては、情報化の核にならなくちゃならぬのはこの図書館なんですよ。そして、情報環境の変容と新しい学校図書館のあり方というものをどのようにしていくかということを追求していかないと、学校図書館が今の時期に合ったそういう体制にはなり得ぬと私は思います。

 ですから、少なくとも、コンピューター配置とかインターネットの情報基盤などなどを含めまして、全体的なものを含めて、子供にそういう興味を持たせ本を読ませていく、こういうことにならぬと、先ほど申し上げた町立の図書館の場合には、そういうものをやはりある程度完備をしてずっとやっているものですから、子供たちがたくさん行く。そして、その町の場合には、公民館の大きいのをつくって、それを半分は図書館にしておるんですよ。そして、それを回してやっておる、地域に図書館をと、そういうことまで考えてやっているから、うんと利用率も高いし、子供たちの読書熱も非常に強い、こういう結果があらわれていますよ。

 ですから、そのときに、その指導なりなんなりができる専任の人がいないと、それはだめだと僕は言うんです。

 これはただ単に――総合学科なんかをやるときだって、また同じようなことが出てくるんですよ。総合学科なんかやるときには、特に私たちはこれから注意をしなくちゃならぬと思いますけれども、そういうところでこうした問題を、図書あるいはそういういろいろな器具、情報というものを利用しながらどのようにしてうまくやっていくかということがなくちゃならぬと思うのです。そのときの図書館であるということになれば、必然的に兼任、充て職ではどうすることもできぬというのが私の主張です。

 ですから、このことをどのように目指すかということをもう一度、河村さんでもどなたでも結構ですから、言ってください。

河村(建)議員 中西委員が言われること、私も気持ちの上では全く同感でございまして、学校現場においてもそれは、併任の場合にはとても片手間でできないという部分もあろうと思います。

 しかし、これは参議院が発議をされたことでありますが、当分の間置かなくていいという法律があったわけであります。これをまず壁を崩すということが第一に行われまして、十二学級以上の、どっちかというと中規模以上の学校にまず置くところから第一歩が始まったわけであります。

 今要求されておりますのは、まさに中西委員が御指摘のように、それは専任でなければいかぬということと、いや、十二学級だけじゃなくてもっと全学校に置くべきだという要求も一方では来ているわけであります。この問題にも我々は次の段階として取り組んでいかなきゃなりません。

 ただ、併任の場合については、今後、定数改善の問題という大きな、人員の問題でありますから財政措置という難しい問題に今から直面をすると思いますから、当面、司書教諭を十五年から配置をする場合に、その司書教諭併任の人については、その仕事が、任務が少しでも達成できやすいような職務、担任の問題とかそういうことを配慮するとか、それは教育現場で十分配慮できることではないかと思います。当然、図書館の司書として任命を受けた人はそういう研修も受けてきているわけでありますから、その職務をやりたいということがありましょうから、それは当然現場において配慮をすることはできると私は思います。

 そういうことでまずは当面、課題として取り組む、そして、その専任化を目指して、いついつまでにこれが可能なのかということについては、これから我々としても本気で取り組んでいく課題だ、このように思っております。

中西委員 今のお答えは、本当に現場を知らぬ人の答えです。現場におったら、そんな簡単なことができるわけがないんですよ。授業をしていて、これまで兼任してやれというのは、やるなと言うのと等しいですよ。もうよほど熱心な人がおって、しかし、子供たちを夜まで置くわけにいかぬでしょう。昼間でしょう。学校におる間なんですよ。ということになってくれば、必然的にそうなるじゃないですか。

 そこが、あなたたちの中に、だから河村さんはまだ文部何とかをやっておるときと変わらぬと断ぜざるを得ないわけです。結局、文科省の官僚の皆さんから洗脳されておると私は思うんですよ。そうとしか受け取れぬもの、これ。本当にまじめに考えてくださいよ。私は、それをしないとだめだということです。そうしないと、さっき言うように、図書館の位置づけが非常に低下します。やはり活動の中心になるぐらいの気概でやらないとだめだから、そこに専任を置きなさいと言っているわけですから、それを目指してこのようにやりたいと思いますぐらい言わなきゃ、私は、きょうのこれはだめだなあ。

 それからもう一つ、もう時間がありませんから。

 三条、四条の問題にかかわるわけですが、国、地方公共団体の責務、並びに八条、九条の子ども読書活動推進計画の策定等を実施することによって、先ほどから論議がありましたように、私は、危惧されることが出てまいります。それは、画一化と子供の自主的読書活動意欲の抑制など、いろいろな問題がやりようによってそこにはまた出てくる可能性がある。

 例えば、これはこの前聞いたんですけれども、一斉読書感想文コンクールなどは、お母さんなどというのは物すごく専門家になって、全部それをあれしているんだそうですよ。そうだったら、これは意味がないですね。子供たちのためじゃないんですよ。それから、課題図書選定のあり方についても、それから強制的な行政指導の再来をこのことによって招きはしないかということを、私は一番懸念しています。

 ですから、少なくとも、さっきもちょっと出ましたけれども、計画を策定するということになりますと、高度で競争的な教育制度のストレスにさらされている日本の子供たちと国連子どもの権利委員会が勧告をしておるように、またぞろ枠の中にそうして追い込んでいく、このことが一番懸念をされますが、それはないと断言できますか。どなたかお答えいただけますか。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

中野(寛)議員 ただいまの御質問の冒頭に、先生から、司書の問題について前向きな答弁がないとこの法案はだめだなあと一言言われたので、大変気がかりでございますので、ちょっと付言させていただきたいと思います。

 先ほど来大変率直におっしゃられたこと、私は同感するところが多い。むしろ、今日まで国、地方公共団体等々の読書に対する取り組みというのが必ずしも十分でなかった、これは行政だけではなくて、我々も、一般社会もいろいろなところがやはりその責任を負わなければいけないことだと思います。それを積極的に進めるためにこそこの法律というのが必要なわけで、本来はこういう法律が要らない社会の方が健全ではあると思います。しかし、今はこういうことをも加味しながら努力していく必要があるというふうに考えており、司書の問題も、財政上の問題やいろいろの問題がありますが、一気呵成に行けない。この法案に盛り込みたいけれども、まだそこまではいかない。

 しかし、この法律案が成立させられることによって、その中西さんが指摘された方向に向かって、図書館の充実や必要な制度についても一歩ずつ前進をしていく、そのてこになるのではないかという期待も込めて、私どももこの共同提案に参加をいたしているということを御理解いただければというふうに思います。

 それから、この法律の第二条「基本理念」のところにございますように、子供たちの自主的な読書活動を推進するその環境整備をすることが最大の目的でございますので、これがきっかけになって行政の干渉や画一性などが生まれ、また意欲の喪失などにつながるということになれば、この法律の目的と全く相反することでございますので、この法律の基本理念、精神に基づいて、今中西委員御指摘のような危惧の念が生まれないように、我々も監視をしていきたいと思いますし、そしてまた、そのようなことがないように行政にも強く要請もしていきたいというふうに思っております。

中西委員 このことは、党の名前は言いませんけれども、日教組などを敵視するところがあるんですね。そして、三十年前からこのことを強く要求し続けてきても、それは全部排除されてきた歴史的な経過があるんですよ。

 ですから、今このようにして皆さんが一生懸命これをつくろうというこの熱意に対しては、私は敬意を表するわけですけれども、今までの過程、何十年という過程があるということをお忘れのないようにしていただかないと、そこが何か悪いことをしているみたいなとらえ方をしたのでは、私は、今これを出す人たちのお気持ちが果たして那辺にあるだろうかと疑わざるを得なくなるわけですから、そういうことをやはり評価しながら、これから後、一緒にそれをどうつくっていくかということにならないといけないんじゃないかなと。

 私たちもかつてそのことをずっと要求し続けてきたわけでありますけれども、顧みられなかったのが現在こうなっているわけですから、ここをやはりお互いに共通理解なり同じ立場に立つということになってもらわないと、これをつくるに当たって、私たちが討論に参加してこれにどうするかという態度を決めるときに、私たちは非常に迷わなくちゃならぬということになるから、そのことを言っているんです。そのことをひとつ理解してください。

 それから、時間がもうございませんので、あとまだあるんだけれども、このことだけは言っておきたいと思います。

 四月の二十三日、読書の日を設定しますが、十条に、「ふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。」とあります。従来からの文科省なりの姿勢からいたしますと、半強制的なものを感ずるわけであります。これをつくった提案されておる皆さんはそうでないと思いますけれども、今度これを託される行政側が、これを法律として後ろ盾にしながら行政措置をしていくと、またぞろ読書イベントだとか集会だとか、そういうようなものをやることによって事が済むというような、だから、表に見えるような何かがあればいいというような格好になっちゃうんですよ。私がさっき申し上げましたように、現場を知らないということが一番恐ろしいというのは、そこなんですね。

 ですから、こうしたことを、提出者あるいは文科省の皆さんが、絶対にそうなるのではなくて、むしろこれを機会にして、どのように読書というものを本当に自由に、そして皆さんが熱心にされる体制をどうつくり上げていくかということを本格的にこれから考える、私も含めて、これを一つの機会にしていくということにしていかなくちゃならぬのじゃないか、こう思うわけでありますが、この点は大体同じ立場に立てると思いますから、もうお答えはいただかなくてよろしいと思います。

 最後に、財政上の措置。十一条に「努めるものとする。」とありますけれども、これがさっきから、都築さんにいたしましても、その他の皆さんからもそれぞれ指摘がされましたが、この点がやはり一番問題ですね。これは、さっきも河村さんが財政的問題ということを言われておりました。ということになると、結局、ここがどうなるかによって決まるんでしょう。

 ところが、私はきょうは文科省の皆さんに、時間があればまだほかにお聞きしたいところがたくさんあったけれども、お聞きするのをやめたのは、文科大臣から一番最初にああいう答弁をいただいたから、もうどうせあとはそんな答弁だろうと思ってもうお聞きをしなかったのです。ですから、ここをどのようにしていくかということ、決意と、そしてこれからあと私たちが、あなたたち提案者の皆さんの言動を信頼できるかにかかるわけですから、ここをひとつお答えいただいて、終わります。

河村(建)議員 中西委員おっしゃるとおりで、我々も、この法案のところで、最後のところで、この問題をどこまで書き込むかということでいろいろ苦労したわけでございます。

 財政当局はすぐに、こういう法律を議員立法でつくりますと、まずここのところ、強い抵抗がいつもあるものでございます。しかし、この読書活動を推進する上においては、やはり財政的な裏づけがなければ、いろいろな問題の解決はいたしません。当面、しかし確かに文部科学省も読書活動推進の予算を持っておるわけでございますから、これをいかにこれからふやしていくかということになると思います。

 この法案を今回成立させていただきましたら、それぞれの御指摘のあった点を踏まえてそれぞれの項目について、今後、基本計画を立てればそれに伴う予算措置というのが当然私は必要になってくると思います、それを我々は注意深く見守りたいし、積極的に推し進めていかなきゃなりませんし、当然、文科省だけじゃなくて、財政当局が異論を言うならば、それに向かってもきちっとした対応をしなきゃいかぬ。我々の、今度はまさに法律をつくった者の責務にかかってくる問題だ、このように思っております。

 一方で、地方自治体におきましても、できるだけ経費を使わないように使わないようにという、今それぞれの首長さん方は、緊急を要しないものはできるだけ後回しにという傾向がございます。その一例が、先ほど来お話のあるような地方交付税の扱いの問題でございまして、これも、地方交付税には色がついておりませんから、この分は学校図書の整備に使いなさいと、最初の起案のときにはそういうふうに、国の方ではちゃんと根拠をつくって、計算をして、地方へ全部配賦しておりながら、それが使われないという現状がございます。

 しかし、今度、これはこの第一条によって歯どめがかけられる、私はこう思っておりますので、これもできるならば、今文科省と総務省との間で協議されておると思うのでありますが、できるだけ長期計画でやってもらいませんと、単年単年で立てますと、予算を執行する側の立てる方は、その予算がつくかつかないかわからないということもあって、なかなか当初予算に組まない傾向があります。最初に組まないと、後からできてきてもそのまま流れてしまうという傾向がございますから、やはり本計画、この法律とともに、計画も五年ぐらいの長期計画にしていただいて、図書館、学校図書の整備等については長期的に毎年きちっとやるものとしてやっていただくとか、こういうことも一つの方法として考えるわけでございます。

 中西委員御指摘の点、我々提案者側はもちろん、法案が通りましたら、賛同をいただいた各政党の議員の皆さん、またこの文部科学委員会に所属される皆さん、打って一丸となって、これからの読書環境の整備について一緒に御努力を願いたい。逆にお願いも申し上げて、私どもの決意の表明にしたいと思います。

中西委員 わかりました。ただ、やはり主体的にもうちょっとやってもらわないと……

高市委員長 中西委員に申し上げます。

 質疑時間、五分以上オーバーいたしておりますので、終了をお願いいたします。

中西委員 私は十分じゃないと思いますよ。むしろ、地方自治体が今みんな、弱いここを全部削りよるんですよ。

高市委員長 中西委員、質疑時間終了いたしておりますので、よろしくお願いいたします。

中西委員 その点だけはちゃんとしてください。

高市委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高市委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。

 河村建夫君外七名提出、子どもの読書活動の推進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高市委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高市委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、平野博文君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。平野博文君。

平野委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    子どもの読書活動の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。

 一 本法は、子どもの自主的な読書活動が推進されるよう必要な施策を講じて環境を整備していくものであり、行政が不当に干渉することのないようにすること。

 二 民意を反映し、子ども読書活動推進基本計画を速やかに策定し、子どもの読書活動の推進に関する施策の確立とその具体化に努めること。

 三 子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において、本と親しみ、本を楽しむことができる環境づくりのため、学校図書館、公共図書館等の整備充実に努めること。

 四 学校図書館、公共図書館等が図書を購入するに当たっては、その自主性を尊重すること。

 五 子どもの健やかな成長に資する書籍等については、事業者がそれぞれの自主的判断に基づき提供に努めるようにすること。

 六 国及び地方公共団体が実施する子ども読書の日の趣旨にふさわしい事業への子どもの参加については、その自主性を尊重すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

高市委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高市委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。遠山文部科学大臣。

遠山国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配慮してまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

高市委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高市委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高市委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十八分散会




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