衆議院

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第5号 平成14年3月22日(金曜日)

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平成十四年三月二十二日(金曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 河村 建夫君
   理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君
   理事 田野瀬良太郎君 理事 増田 敏男君
   理事 平野 博文君 理事 山谷えり子君
      伊藤信太郎君    岩永 峯一君
      岡下 信子君    北村 誠吾君
      北村 直人君    近藤 基彦君
      高市 早苗君    谷垣 禎一君
      谷田 武彦君    中野  清君
      中本 太衛君    馳   浩君
      林田  彪君    松野 博一君
      松宮  勲君    森岡 正宏君
      大石 尚子君    鎌田さゆり君
      手塚 仁雄君    中津川博郷君
      中野 寛成君    藤村  修君
      牧  義夫君    牧野 聖修君
      山口  壯君    山元  勉君
      池坊 保子君    白保 台一君
      西  博義君    佐藤 公治君
      石井 郁子君    児玉 健次君
      中西 績介君    山内 惠子君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   文部科学副大臣      岸田 文雄君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 山本信一郎君
   政府参考人
   (防衛施設庁施設部長)  大古 和雄君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 原田 親仁君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長       
   )            工藤 智規君
   政府参考人
   (文部科学省科学技術・学
   術政策局長)       山元 孝二君
   政府参考人
   (文部科学省研究振興局長
   )            遠藤 昭雄君
   政府参考人
   (文部科学省研究開発局長
   )            今村  努君
   文部科学委員会専門員   高橋 徳光君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十二日
 辞任         補欠選任
  小渕 優子君     中本 太衛君
  杉山 憲夫君     北村 直人君
  二田 孝治君     北村 誠吾君
  山口  壯君     手塚 仁雄君
  池坊 保子君     白保 台一君
同日
 辞任         補欠選任
  北村 誠吾君     岩永 峯一君
  北村 直人君     杉山 憲夫君
  中本 太衛君     小渕 優子君
  手塚 仁雄君     山口  壯君
  白保 台一君     池坊 保子君
同日
 辞任         補欠選任
  岩永 峯一君     二田 孝治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――
河村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山本信一郎君、防衛施設庁施設部長大古和雄君、外務大臣官房審議官原田親仁君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、高等教育局長工藤智規君、科学技術・学術政策局長山元孝二君、研究振興局長遠藤昭雄君、研究開発局長今村努君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河村委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口壯君。
山口(壯)委員 民主党・無所属クラブの山口壯です。
 きょうは、大学の統合等について、そして沖縄高専の問題についてお聞きしたいと思うんですけれども、一番最初に、余り時間をとっても申しわけないと思うので、兵庫県に播磨科学公園都市というのがあるんです。今、大臣も所信の中で、ナノテクノロジーとか、あるいは産官学の枠組みの話をされていますので、ひとつ御質問にお答えいただければと思います。
 この兵庫県の播磨科学公園都市のSPring8というのは、放射光を利用して、新しい産業、あるいはナノテクノロジーを利用した新しい枠組みをつくっていける可能性のあるものなんですけれども、ただし、技術としては非常に高度なもので、「ネイチャー」の表紙を飾るような研究が出ている。他方、地元の企業にとっては雲の上の存在で、なかなか使ってみるのも難しいということがあるわけです。
 このSPring8について、より広範な企業が使えるようにするための具体的な取り組みを文部科学省としてどういうふうに考えておられるか、お答えいただけますでしょうか。
遠藤政府参考人 お答えいたします。
 大型放射光施設でございますSPring8、これは世界最高性能放射光施設、八GeVという能力を持っておりますが、平成九年の十月から、産学官や海外の研究者に広く開放しようということで、物質科学、生命科学、それから広範な分野での利用を現在図っているところでございます。
 ただ、先生御指摘のように最先端の施設でございますため、大学の研究者による利用と比較しますと、民間企業による利用というのはまだ十分とは言えません。今のところ、五%程度になっております。今後、さらに産業利用というものを拡大していきたいというふうに考えております。
 そこで、十二年には、共同で使う共用ビームラインというのがありますが、そこに産業用のビームラインを整備いたしました。それからさらに、同じ十二年度から、産業界の利用促進のためのコンサルティングを行うコーディネーターというものを配置いたしております。
 さらに、平成十三年度の補正予算におきまして、産業界の技術的な問題解決のために、試行的な利用の機会を与えるトライアルユースというものを実施いたしております。
 これは、ビームは施設側が提供するんですが、実験をする場合には装置をつけなきゃいけない。装置は自前で普通はするんですが、その装置についても施設側で助成をしましょうという内容でございまして、これまでSPring8を利用できなかった民間企業、こういった方々にも少しでも利用していただけるよう配慮をしたところでございます。
 今後とも、こうした産業利用振興のための施策というものはできるだけ充実させてまいりたい、このように考えております。
山口(壯)委員 今、遠藤局長がトライアルユースという枠組みのことを言及されたと思うんです。これは非常に大事な話で、これから、例えば中国がどんどん日本の経済を追い上げてきている、そうした場合に、日本がどういうふうに中国とともに経済のあり方を考えていくかという場合には、このナノテクノロジーというのが非常に大事なわけですね。したがって、このトライアルユースでもって、例えば放射光の研究の成果を企業もきっちり共有できるということを続けていただきたいと思うんです。
 先ほどの答弁で、十三年度の補正予算ということをおっしゃったわけですけれども、十四年度以降も続けるおつもりでしょうか。
遠藤政府参考人 このトライアルユースは、十三年度の一次補正で措置をしていただきまして、そのときにはもう十四年度の概算要求が締め切られておりまして、したがって、十四年度には入っておりません。
 ただ、この十三年度の補正の結果、評価をできるだけ早く十四年度に入りましたらさせていただきまして、その結果を、私どもとしては十五年度の予算に反映をさせていきたいというふうに考えております。
山口(壯)委員 ぜひとも前向きに検討していただいて、十五年度の中に入れていっていただきたいと思います。
 このSPring8というのを、新しい産業に創出する、そのためにどういう振興策があり得るのか。あるいは、今大臣の所信ということを私、申し上げましたけれども、知的クラスターの創成という新しい枠組みをこの十四年度から始められるわけですね。全国で六十億、周辺のもので二十六億という話もあります。
 今、この対象地域についてどういう検討状況になっているのか。特に、この播磨科学公園都市について、その中でどういう位置づけをされているのか、その辺はいかがでしょうか。
山元政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の知的クラスター創成事業でございますけれども、平成十四年度の新規事業といたしまして、大学などの公的研究機関、こういうものを核といたしまして、技術分野を特化し、研究機関とか、あるいは企業の研究開発能力の集積を図るものとして事業を進めたい、こう考えておるものでございます。
 本事業につきましては、昨年の六月から全国の三十地域、北は札幌地域、それから先生御指摘の播磨科学公園都市地域も含めまして、鹿児島地域まで三十地域を対象にいたしまして実現可能性調査を実施し、そして自治体の方で主体的に事業計画を策定していただいておるところでございます。
 そして、先般、各地域からこの事業構想の提案を受けまして、それ以来、私ども、外部有識者の助言とか、あるいはそれぞれの地域からのヒアリング、この際にはいろいろな有識者にも参加していただいて、ヒアリングを実施してきたところでございます。それらの結果等を踏まえまして、これらの地域からこれから十地域程度、こういうものを選定いたしまして、来年度より事業を展開したい、こういうふうに思ってございます。
 なお、そういう状況でございますので、個別指定についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
山口(壯)委員 その十地域に播磨科学公園都市が入るかどうかというのは今検討中だというお答えなんですけれども、この十地域に入らなくても、この三十地域を去年の六月から一生懸命育ててこられたわけで、日本のどこかにシリコンバレーをつくる、そういう予算ですね。ですから、せっかく三十地域を声をかけてされたわけですから、十地域に限ることなく、すそ野を広く持って、すそ野が広ければ広いほど山は高くなるわけですから、そういう意味では、この十地域に入らなくても、ほかの二十地域についても前向きの対応を考えていただきたいと思うんです。その点についてはいかがでしょうか。
山元政府参考人 お答えいたします。
 まさに私ども、三十地域、これはある意味で、全国の中から三十地域を選んだときにおきましてもいろいろな視点で選んだわけでございます。したがいまして、そこから出てきた構想というものは、非常にそれぞれ個性ある、いいものばかりだと私ども認識しております。
 そういう中で十地域を選ぶというわけでございますが、その残りの地域につきましても、知的クラスター事業としてやれるかどうかは別にいたしましても、これからの地域の科学技術振興、地域の経済発展のためにも非常に重要なもの、こう認識しておりますところでございますので、これからの地域科学技術のいろいろな手段、こういうものを使いながら支援していくことが非常に重要だな、こう思っておるところでございます。
山口(壯)委員 今、非常に前向きな答弁をいただいたので、私はぜひともそういう方向で、たとえ十地域に入らない地域についても、その実績が上がれば、いろいろとこれから継続される中で手厚い支援をしていっていただきたいと思います。
 この播磨科学公園都市については、私自身は以上ですので、もしも局長、よろしければ、どうぞ外してください。
 それでは、きょうの本題の大学の統合と、そして沖縄高専の話に移りたいと思います。
 私も先日、沖縄に行ってきました。現地の状況もしっかり見てきました。今お配りさせていただいたのがその写真です。一ページから十二ページまでありますけれども、全部公開の資料ですから、いろいろここから議論をさせていただきたいと思います。
 まず、一番左に書いていますけれども、辺野古と書いてヘノコと読むそうです。この辺野古に沖縄高専を建設する予定だということになっています。この辺野古というのは、人口でいえば千五百人。写真で、左側の三枚ですけれども、ほとんど人がいないんです。昔はもうちょっとお店もあったんだけれども、これは火曜日に撮った写真ですけれども、店はほとんど閉まっている。シャッターもおりている。なぜ、こうなのか。実は、この地域は一つしかものがないんです。何があるか。米軍のキャンプ・シュワブがあるんです。この辺野古というのは、米軍のキャンプ・シュワブの場所なんです。
 二ページ目をあけていただければ、これは名護市の地図です。ここにA、B、C、Dと書いています。このAというのが今回の沖縄高専の建設予定地です。これは一般の地図です。C、辺野古弾薬庫とあるんです。それからD、米軍演習場と書いてあるんです。そしてBというのが、例の海上ヘリポートをつくろうかというその候補地、大体この地区です。前後はありますけれども、この地区です。
 右端に距離の目安が書いてあります。A―B間というのが大体一・五キロ、A―C間というのも大体一・五キロ。要するに、弾薬庫から一・五キロの地区に建設を予定しようとしているわけです。演習場、この字だけから見ると二、三キロありますけれども、どうもこの学校の建設予定というのは演習場に隣接しているということが言えそうだということが、私、行ってみて初めてわかったんです。
 この写真の中には、キャンプ・シュワブとかは撮っていません。撮ろうとしても撮らせてくれないわけですから、それは撮っていません。だけれども、こういう地理的な状況にあるということを、まず委員の皆さんに御認識いただきたいと思うんです。
 今回の沖縄高専の問題については、純粋に教育的な見地あるいは観点から考えられたものかどうか。私は、それだけからいうと、必ずしもこの必要性というものについて必然的なものを感じないんです。あるいは百歩譲って、では、これを設置するということになった場合でも、この建設予定地としては余りに不適切なんじゃないか。弾薬庫の隣、演習場の隣、ヘリポートの隣。ヘリコプターというのは結構うるさいわけです。
 私、この資料の十二ページにつけています。一番最後を見ていただければ、これは今普天間の飛行場で待機しているヘリコプターです。一つはCH53E。尾翼の部分に人影がまばらに写っていますけれども、これは大型の輸送機です。それからCH46。似た形がバートルという格好で自衛隊も使っていますけれども、前の方に人影が見えます。これも大きな飛行機です。何十人か乗れるヘリコプターです。こういうヘリコプターがこれからバリバリ音を立てて動くわけです。そういうところに実はこの建設を予定されようとしているわけです。
 最初に、私は、そういうことも踏まえながら、高専を設置するということだけれども、高専の歴史的使命というのが果たして終わっているんじゃないのかという観点からちょっとまず議論をしたいと思うんです。どうでしょうか、最後に高専を設置したのは何年でしょうか。
工藤政府参考人 高等専門学校は、御承知のように、中学校卒業者レベルを対象にいたしまして、五年一貫制の専門的な教育を行う機関でございますが、最後に設置いたしましたのは、昭和四十九年に徳山、八代の両高専をつくったのが近年の最後でございます。
山口(壯)委員 一九七四年ですね。したがって、二十八年前に最後の高等専門学校ができている。要するに、二十八年間、何も高等専門学校を新設してこなかったんです。
 それでは、工藤局長、これから沖縄以外に高等専門学校を建設される予定はおありでしょうか。
工藤政府参考人 国公私含めまして、高等専門学校が置かれていない都道府県となりますと、沖縄も含めまして六県ございます。埼玉、神奈川、山梨、滋賀、佐賀と沖縄でございます。
 高専に限らずそうなんでございますけれども、ある学校を設置するとなりますと、そこに何か箱をつくればそれで終わりということではございませんで、教育環境の整備でございますとか、あるいは学生の通学のための地元の御協力でございますとか、種々の体制整備が必要でございまして、地元の御協力は欠かせないわけでございます。それと、各都道府県の御要望を受けながらこれまで配置を進めてきたわけでございますが、その後、残り六県の中で沖縄県以外はさして強い地元の御要望もお聞きしてございませんので、今のところは計画ございません。
山口(壯)委員 今工藤局長がおっしゃったように、二十八年間、この沖縄が話になるまでは、高等専門学校はつくってこなかったし、これからもその計画の予定はないということです。
 さて、この高等専門学校、実践的な中堅技術者を育成する機関として、この日本が戦後、経済が発展するに至っては非常に大きな役割を果たしてきたことはもちろん間違いないんです。そして、高専の卒業生の企業における評価は一般に非常に高いということも、私はよく承知しています。男子の卒業生で見ると、就職率は一〇〇%なんです。確かにこれは非常に評価が高い。
 他方、いろいろ問題も抱えるようになっている。例えば、卒業生の人からは、社会における認知度の低さ、ほかの、これは言ってみれば短大に相当するようなものですね、したがって、四年制の大学の人から比べると社会において認知度が低くなっている、あるいは企業内においてそういう大学の卒業生と比べると待遇面の格差があるという不満の声があるわけです。
 そしてまた、これは中学を卒業した人が行くわけですから、十五歳という非常に若い時点で自分の将来の進路を決定するということ、これも本当にそれでいいのかという話があろうかと思います。
 そして、これから少子化になる、しかもそれぞれが高学歴を志向しているということになってくると、果たして本当に高等専門学校というものを今の時代につくることがぴったり合っているのかということが心配になるわけです。
 ちなみに、この高等専門学校というのは、五年一貫の完成教育、要するに三年間と二年間で一応完成するということが目的ですけれども、最近、この高専を卒業した人がさらに進学しているんじゃないかと思うんです。工藤局長、もしも今資料を持っておられたら、その進学率についてどうでしょうか。
工藤政府参考人 今委員御指摘のように、社会の要請を受けてこれだけ整備し、かつしっかりした教育をしてございますので、大変評判は高いのでございます。
 そういう中で、高専五年間で行きどまりということではございませんで、五年たって卒業されて、就職率も大変よろしいのでございますけれども、さらに大学三年への編入学の制度もございまして、最近でいいますと、平成十二年度、つまり昨年の三月卒業者で見ますと、卒業者のうち約三五%が大学等にさらに進学しているという状況にございます。
山口(壯)委員 三分の一がさらに進学をされている。要するに、当初の高専の目的とは若干ずれているわけですね。しかも、これが今増加の一途をたどっているということだと思うんです。そういう問題もある。
 もう一つは、例の国立大学の独立行政法人化の問題、これが今二〇〇三年をめどに話が進んでいるということであれば、この沖縄高専に一期生が入学するころには高専にも独立行政法人化の波が押し寄せているということが考えられるわけです。これについて、果たして大丈夫なんだろうかという気持ちもぬぐい去れない。これについてはいかがでしょうか。
工藤政府参考人 国立大学の法人化そのものにつきましては、大学の自律性を拡大して、よりそれぞれの大学の持ち味を生かした特色ある発展を願ってのものでございます。
 その場合に、これまでございます国立高専、国立の高等専門学校の法人格についてももちろん並行して対応が必要と考えてございまして、今回お願いいたします高専の設置が認められまして、それを国の行政機関のままで置くのか、あるいは法人格を付与して自律性を高めた運営をしていただくのかというのは別途また御審議を賜りたいと思ってございます。
山口(壯)委員 いろいろ問題があるということを今御指摘いただいたわけです。
 さらに議論を進めて、この高専というのは中学を卒業した人が入るわけですから、大体、高校に入学する時点で、普通の高校に行くのか、あるいは高等専門学校という選択をするのかということですけれども、ちなみに、今沖縄全県でどれだけ高校、入学する受け皿があるのか、これについてはいかがでしょうか。
工藤政府参考人 沖縄県内に、公立、私立の高等学校が六十六校ございますが、公立の高等学校六十二校の入学定員は一万八千四百四十人でございます。また、私立高等学校四校は、入学定員合計で千百六十人。合計、県内での高等学校の入学定員は一万九千六百名でございます。
 なお、沖縄県内の中学校を卒業した学生さんたちの高等学校への進学率は、最近のデータでは九二・七%となってございまして、全国平均が九六・九%の中で、残念ながら四十七都道府県中最低なのでございます。
 他方、県内の中学校三年生を対象にアンケートをいたしまして、この高等専門学校の準備が進んでいるけれども、仮にできたら進学を希望しますかという希望状況をとりましたところ、かなりの反応がございまして、そのアンケートデータをもとに推測しますと、九百人前後の志願者が一応潜在的に存在すると見込んでいるところでございます。
山口(壯)委員 今工藤局長お答えいただいたのは、私の配付資料でいけば、これは多分五ページ目に書いてある、六十二校、公立校について、一万八千四百四十という数字だと思うんです。それに私立を合わせて約二万というお答えですね。
 配付資料の六ページをあけていただければ、沖縄県内の国勢調査の数字があります。今局長が九二・七%というふうに言われたのは、多分、今でいけば、これは十二年度の国勢調査ですから、十五前後で、二万人あたりの人がこの受け皿、一万八千四百四十なり一万九千六百というところに九二・七%の率で大体行っているということだと思うんです。
 ところが、この国勢調査、ずっとさかのぼっていっていただければ、ゼロ歳、一歳、二歳、三歳と、もうわかっているわけですから、どれだけ沖縄の人口でもって高校進学者というものが推移するかということははっきりわかっている。これを見ていただくと、だんだん、一万九千から一万八千に落ち、一万七千に落ち、もう今、六歳ぐらいになってくると、一万六千にまで落ちていくわけです。したがって、国勢調査の観点からいえば、新しい学校をつくるということについて、人数の観点だけからいえば、もう余ってくるという状況にもなると思うんです。
 したがって、沖縄に高等専門学校をつくるというのは、確かに普通の高校じゃないでしょうけれども、そういう意味では、こういう観点からも、私は、本当につくらなきゃいけないのかどうかということについては非常に疑問を持っています。
 さて、議論をさらに進めますけれども、今局長が地元でニーズがあるというふうにおっしゃいましたけれども、私も現地に行って、こういう話知ってるというふうに聞いたら、ほとんどの人が知らないんですね。もちろん進学生が控えている家庭とそうじゃない家庭とあるかもしれませんけれども、本当に関心が高いのかどうか。教育的な観点からの関心なのか、あるいは名護市長が自分の市をこれから興していくためのそういう関心なのか。私については、そこは非常に不明快なものがあるんです。
 ちなみに、地元という場合、沖縄県が高専を欲しているのか、あるいは名護市が欲しているのか、それはどっちでしょうか。
工藤政府参考人 沖縄県の歴史と現況については先生の方がお詳しいかもしれませんが、残念ながら、さきの大戦での悲惨な歴史でございますとか、先ほど御指摘ありました米軍基地の問題でございますとか、そういう中で、沖縄県の、特に北部地域というのがなかなか、別に教育環境だけではなくて、全体的な振興が課題となっていると承知してございます。
 それを受けて、名護市だけではなくて、沖縄県の知事からも、現知事、前知事含めて、私ども政府の方に国立高専の設置について強い要請があったということでございまして、沖縄県の官民挙げての強い要請を受けて、私どもこれまで設置の準備を進めてきたところでございます。
山口(壯)委員 今必ずしも名護市長だけからじゃないというお答えですけれども、それでは、この名護市の辺野古、ここに建設するという必然性はないわけですね。私先ほども言いましたけれども、弾薬庫に隣接している、しかも演習場に隣接している、あえてそういうところに建設することの必然性というのは、もしも沖縄県全体がこのことを欲しているのであれば、あるいは譲っても、北部振興の対策として考えておられるのであれば、この辺野古の写真を見ていただければ、右上に建設予定地というのが書いてあります。これは南から写した写真ですけれども、道路の両側、トラックが見えますけれども、トラックの突き当たりがキャンプ・シュワブの弾薬庫のあるところです。こういうところにあえて、広い中であえてこの一点を特定しなきゃいけない理由というのはないと思うんです。なぜ辺野古というところになるのか、よくわからないんですね。どうでしょう、これは沖縄で、今おっしゃったように、例えば普天間の飛行場が移設になる、その場所が辺野古だ、ここに関係ある、こういうことじゃないんでしょうか。
岸田副大臣 国立高等専門学校の設置につきましては、まず、地元の協力が不可欠という観点から、従来から地元の要望を踏まえて決定する、その設置場所等につきましても決定するという方針でおります。
 そして、沖縄高専の設置場所につきましては、平成十一年九月、沖縄県知事から、沖縄県の均衡ある発展を図るためには北部地域の振興は重要課題であり、地域振興に極めて大きな役割を果たす国立高等専門学校を名護市辺野古地区に設置を求めるという旨の要望をいただいております。こうした県知事等の要望も受け、さらに創設準備委員会での協議を経て決定しているということであります。
 こうした地元の要望あるいは手続を踏んだ上で、この辺野古地区の決定をしているというのが経緯でございます。
山口(壯)委員 今、岸田副大臣、一生懸命勉強されて答えておられるから、それはもうよくわかるのです。今、地元の要望を踏まえてこれが決まっているということをおっしゃった。それは確かに半分そのとおりなんです。
 他方、私のお配りした配付資料、これは文部科学省の資料、そのままとっています。もう全然足りないんですけれども、そのままとっています。
 私がつけ足します。七ページ目を開いていただければ、「創設の経緯」というところの二番目に、平成九年の三月、橋本総理大臣が、当時の大田知事に向かって、「国立高専を名護市に設立することを積極的に検討したいので、知事におかれてもよろしくお願いしたい。」こうおっしゃっているんです。これは文部科学省の資料です。私の資料じゃないですよ。これだって、今の岸田副大臣のおっしゃった答弁の趣旨とは全く反対のことになりますね。
 ですから、私が申し上げたいのは、全く否定しているんじゃないんです。確かに地元にも要望はあるでしょう。他方、必ずしも地元の要望だけじゃない。むしろその必ずしもという部分が今大事な部分なんですね。ですから、そこは御答弁いただくときにはきっちり念頭に置かれて答弁いただきたいんです。
 さて、振興対策の一環じゃないのか、あるいは基地対策ということじゃないのかということです。
 私は、別に振興対策であってもいいと思いますよ。私も日米安保条約というのは最も大事だと思っていますし、ちなみに私の博士論文というのはこの日米安保条約について書いたのです。ですから、それは否定するものでもない。この振興対策ということの必要性もそれは認めます。
 他方、どこにつくるのかということを私は一生懸命今言っているんですね。弾薬庫の隣なのか、演習場の隣なのか、なぜ大きな北部地域があってそこなのかということを繰り返し言っているのです。地元の要望、地元がそういうところにつくってほしいと言うかなと。
 だけれども、当時の橋本総理は、「名護市に設立することを積極的に検討したい」、確かにこのときはまだ辺野古という地名は具体的には上がっていなかったでしょう。でも、それは、今から話しますけれども、普天間の移設という文脈の中でやられているわけですから、関係者の中ではこの辺野古というものが一つの大きな候補地としてあったはずです。したがって、この振興対策ということですけれども、これで振興対策になるんでしょうかという点があるのですね。
 ちなみに、今お配りさせていただいた配付資料の一番最初の写真で、マルチメディア館とかあるいは国際海洋環境情報センター、辺野古という非常に小さな地域にこういうのが建っている。何か今どきだから、私は、このマルチメディア館を見たら、ムネオハウスみたいだななんてつい思っちゃったのですけれども。だけれども、これは私、もしも振興対策になるのであれば、それはそれでいい。あるいは、つくった以上はそういうふうに持っていくのが役目でしょう。
 そして、この国際海洋環境情報センターというのは、文部科学省の所管の話だと思いますけれども、中の様子が、この一番右下の写真です。コンピューターを置いてあるだけなのです。アイマックが何台か置いてあった。デルのコンピューターも置いてあった。別にその値段が安くてもいいのです。
 でも、他方、これで果たして本当に地元の新しい産業創成というところまでいくのかなと非常に疑問なのです。要するに、箱物を幾つかつくっている。もう一つ箱物をつくろうかということで振興対策を考えておられるのであれば、我々は地元の沖縄の人の気持ちをもうちょっと考えた方がいいんじゃないでしょうかということを申し上げたいわけです。
 私は別に沖縄の選出の議員じゃないですけれども、この点についてはいかがでしょうか、遠山大臣。
工藤政府参考人 高等専門学校は、御承知のように、校地、校舎等で、箱はつくるのですけれども、単に建物というだけではございませんで、教育機関でございますので、そこですぐれた教育、人材養成が行われることを期待しているわけでございまして、しかも、こういう新しい学校をつくるに当たっての設置場所というのは、私どもの立場で地図を見ながらどこがいいというよりは、やはりそれぞれの地元をよく通暁していらっしゃる地元の関係者からの要望をお聞きしながら設置場所を決める必要がございます。
 その場合に、他方の要請としましては、学校の敷地としまして一定の広さが必要でございまして、今回の辺野古地区というのは、約十六ヘクタールでございますから、日比谷公園を一回り大きくしたぐらいの規模でございます。そういう規模を確保するためには、地元の方からの御推薦といいましょうか、強い御要請がございました辺野古地区について、創設準備委員会、多くの関係の方々での慎重な審議も経ながら、私ども地元の御要望を受けて決めたものでございまして、人口の集積だとかいろいろな御懸念があるのは存じ上げてございますけれども、そのアクセスの改善とかというのは地元の御協力も賜りながら、学生の教育に支障がないように、今後さらに地元と御一緒になりながら、その立ち上げ、発展のために努力してまいりたいと思ってございます。
山口(壯)委員 今、局長は、十五・七ヘクタールのことをおっしゃったのだと思いますけれども、確かにそれは、今も局長の御答弁の中に、文部省がこれを決めたんじゃないんだという気持ちがにじみ出ていると思うのです。
 ところで、どうですか、大臣、この辺野古の地区に高専の建設の予定地があるわけですけれども、その隣接したところに弾薬庫があるとかあるいは演習場があるとか、御存じでしたか。
遠山国務大臣 立地につきまして、委員御自身で現地においでになりまして今の質問につながっているわけでございまして、大変熱意を持ってこの問題について御研究いただいていることに敬意を表したいと思います。
 今までるる答弁いたしてまいりましたように、沖縄における高等教育の、特に理工系の人材を養成したいという強い要望があり、かつまた、どこに置くかにつきましては、現地において極めて熱心に検討された上で、私は今回の場所というのは決定されていると思っております。
 国立であります以上、国の責務は大変大きいわけでございまして、今着々と準備が進んでいる国立高等専門学校、沖縄におけるこの学校をきちんとした形で私どもとしては完成をさせ、そして理工系の高等教育機関が琉球大学以外にはないこの沖縄の地におきまして、県内の優秀な理工系志向の学生生徒にとって、新たにつくられる高等専門学校が、本当の意味でよい教育を行い、すぐれた人材を養成していく、そういう場所にしていかなくてはならないと私は思っているところでございます。
山口(壯)委員 大臣、今私、御存じでしたかと、お聞かせいただきたかったのです。したがって、この弾薬庫あるいは演習場が隣接していたことを御存じでしたか、これだけ答えてください。
遠山国務大臣 私自身は、残念ながら現地まで行ったことがございませんでした、今まで。
山口(壯)委員 御存じでしたか。別に行かなくても、聞いていればわかるのです。御存じでしたか。
遠山国務大臣 名護市でございますので、そういう環境にあるということは想定はできておりました。
山口(壯)委員 名護市というのも広いんです、五万六千人の人口がありますから。高校だって、普通校が一つ、それから農業高校、商業高校そして工業高校、さらに大学まであるんです。名桜大学というのがある。いっぱい敷地はあるんです。隣接したこの地域だ、この地区だということを大臣は御存じでしたか。
遠山国務大臣 その弾薬庫から一・五キロとか、そういうことについてまでは詳しくは存じておりませんでした。
山口(壯)委員 あるいは工藤局長、どうでしょうか。工藤局長は現地をごらんになったことはありますか。
工藤政府参考人 たびたび、ここだけが残念ながら機会がなくて私自身は行っていないんですが、担当課長と私どもの担当者は現地も視察してございまして、今のような事情はよく承知しておりました。
山口(壯)委員 これは、文部科学省としては、沖縄の振興対策という中で押しつけられたようなものだということであろうからそういうことになろうとは思うんですけれども、しかし、我々は、子供たちがここで勉強しようとしている、その勉強しようとしているところの近くに弾薬庫。
 これは、ちなみにどういう弾薬が隠されているのか、どうでしょうか。この辺野古弾薬庫について、どういう種類の弾薬が保管されているのか、これについてはどうでしょうか。きょうは外務省の原田審議官も来ておられると思うので。
原田政府参考人 お答えします。
 山口委員は日米安保に非常に通じておられるので御案内のとおりだと思いますけれども、米軍の弾薬庫の中に具体的にどのような弾薬が保管されているかということは、これは米軍の運用の問題にかかわることでございますので、政府としては承知しておりません。
山口(壯)委員 このキャンプ・シュワブの基地の中にいろいろな施設がもちろんありますけれども、例のニュークリア、バイオロジカル、ケミカル、要するにNBCですね、核、細菌、化学、NBC専用の催涙ガス施設というものもあると言われている。私もそれは現地で直接見ることができないわけだから、それは調べた限りでの話です。果たして、そういうものが基地の中で施設としてあるのであれば、一・五キロなんというのはもうすぐそこという話ですね。
 特に我々は、去年の九月十一日以降、テロということに対して非常に意識が高まっている。ある簡単なテロ集団がぼんと一発爆弾をここで爆発させれば、辺野古のこの寄宿舎に住んでいる子供たちは一瞬の間にいなくなってしまうということになるわけです。そういう意味では、この弾薬庫、撤去される予定はあるんでしょうか。
原田政府参考人 お答えします。
 辺野古の弾薬庫は、委員御案内のとおり、海兵隊が保管する沖縄での唯一の弾薬庫でございます。米軍にとっては、日米安保条約の目的達成のため行う訓練等に必要不可欠な施設・区域ということになっておりまして、現在、米側がこれを撤去するという計画があるとは承知しておりません。
山口(壯)委員 沖縄の弾薬がここに集まっているんですから、当然それは、撤去される予定はないはずです。今のお答えのとおりだと思います。要するに、そこに我々は沖縄の高等専門学校を建てようとしているんです。
 委員の皆さんの中で、どうですか、そのことを御存じだった人が一人もおられないんじゃないですか。あるいは、文部科学省からそういう説明を受けられましたか。受けられていないでしょう。それをあえて我々は知らないふりしてこれを決めていいのかというのが、私が今、きょう問いかけているポイントなんです。これは良心にもとる問題です。
 私は、国立大学の統合の話とか、全く問題ないと思う。短期大学について、それを改組することも全く問題ない。だけれども、この沖縄の高専の話は全く趣旨が違うんです。全く異なるものが同じ土俵で上がっているから困るんです。そういう意味で、私も非常にきのうから悩みましたよ。最終的に私は反対すべきかどうか、物すごく悩んだんですよ。
 たまたま私は無所属クラブという、民主党と会派を組んでいますから、民主党の同僚議員がどう判断されるか、私の議論をよく聞いてきょうは判断していただきたいと思うんですけれども、私はこのままだと私の良心にもとるから、沖縄振興対策は全く賛成、しかも高専を百歩譲ってつくってももちろん構わない、就職率一〇〇%、ただ、この場所につくるというのはいかがなものかということを私は今一生懸命お伝えしているんです。特に皆さんがそれを御存じなかったのであれば、今お伝えしているんだから、ぜひその判断をしていただきたいということを申し上げているわけです。
岸田副大臣 まず、現地、辺野古の住民の方々、現在においても、その周りの米軍施設の関係者と良好な関係を今続けて生活をされておられるわけであります。関係者と小学生との交流ですとか、軍属のボランティアとの交流とか、そういった中で現在、今も生活をされておられるわけでありまして、そういった状況の中で新たに高専を設置するわけであります。
 そして、その設置場所の選定につきまして、先ほど県知事の要望について申し上げましたが、その県知事の要望がなされる前に、その以前二年間もの間、名護市におきまして、名護市の公共施設建設場所選定委員会において議論が行われ、そして周辺地区の誘致促進期成会というものも結成され、招致活動が展開された。そういう歴史があり、その上で県知事のその要請がありということでありますので、そうした地元での設置場所決定におけるさまざまな活動もあったということ、こういったことも踏まえてこの今日の設置場所決定につながっているということ、ぜひ御理解いただきたいと存じます。
山口(壯)委員 岸田副大臣がよく一生懸命されているというのはよくわかるんです。よくわかるんですけれども、答弁されるたびにポイントが、申しわけない、ずれているんです。それは本当ですよ。
 米軍と良好な関係を持っているという話、例えば私のお配りした資料の一ページ目を見ていただければ、写真がありますでしょう。その写真、辺野古の集落、私も、どれだけ寂れているかというところをこの写真で撮るのに本当に苦労したんです。もっと寂れているんです、本当は。この三枚目、もう人がいない、シャッターが閉まっている。昔は、米軍がもっといたときには良好な関係だったんです、だからスナックもあった。全部閉まっているんです、今は。見てないでしょう。だから、そういう意味では、米軍と良好な関係云々というのは、申しわけない、ずれているんです。
 しかも、この話が出てきたのは、いわゆる普天間プロセスです。普天間プロセスということは、例の、あれは九五年に少女暴行事件があって、そして九六年、SACOの、いわゆる沖縄の特別委員会、その最終報告書が出て、そして九七年にヘリポート案を提示して、そしてこの高専の案というのが浮上してくるんです。そういう経緯を踏まえたら、米軍と良好な関係があるからという答弁は、申しわけない、ちょっとずれているんです。
 そして、今、いろいろなポイントが出てきていますけれども、この弾薬庫の話、もう一丁は、学校ができたとしても、先ほどの資料で見ていただければ、Aというのが学校ができるところですけれども、Bにヘリコプターの基地が建設される予定のところがある、一・五キロ、うるさいわけです。十二ページに私がつけておきましたけれども、大型の輸送ヘリ、CH53とかCH46が飛び回るんです。うるさくて勉強できないんですよ。
 だから、そういうことも、やはり文部科学省、押しつけられたのはよくわかるんですけれども、建てる以上は、文部科学省が設置の認可主体なんですから、そこは責任を持って言うべきことは言っていくということでいかないと、私は責任のある対応だと思わないんです。そして、ここにおられる政治家の諸先輩が、やはりそこは、もしも指導すべきことがあればこの場で指導するのが今回のこの議論の趣旨なわけです。そういうことをぜひ踏まえていただきたいと思います。
 ちなみに、この海上ヘリポート、建設費は幾らぐらいかかるという話でしょうか。これは今急に聞いているから、もしも資料がなければ概略でもいいです。
大古政府参考人 お答えいたします。
 普天間の代替施設の建設費につきましては、第七回の普天間代替施設協議会のところで防衛庁の方から御報告しておりますけれども、いわゆる三工法・八案というのがございまして、藻場の保護だとかサンゴの保護とかを踏まえまして、一定の場所について仮に置いた上でそれぞれの案について建設費を見積もったという経緯がございます。この八案におきましては、低いもので千四百億円、それから高いもので一兆円という見積もりでございました。
山口(壯)委員 今、大古部長がおっしゃったとおりだと思います。私も、低いもので千四百億円、高いもので一兆円と聞いている。額がすごいのです。
 要するに、今回のこの辺野古に建てる高等専門学校が、土地取得で二十八億円、そして建物が百十、設備を入れて全部で百六十億円。なお、これも大変な額ですよ。他方、このヘリポートのための建設というのは、その十倍もしくは何十倍というお金がそこに来るわけです。これが構図なんですよ。
 だから、我々は、子供の方に立って物を考える委員会ですから、したがって、子供を中心に据えて物を考えるのかどうかということを、私はあえてもう一度指摘させていただきたいと思うんです。
 そして、大体、土地の収用とかいろいろな話になると生臭い話もいっぱいあるんですね。私も、この登記簿を全部見てきました。会社で買っているのは一つだけ。それは、琉球生コンクリートという会社だったですね。三千平米を買っている。別にそれは問題ないのです。ただし、琉球生コンクリートという会社は那覇にある会社なんです。那覇から名護まで高速バスで二時間かかるんですよ。そこからまたタクシーで二十分かかるんです。えらい遠いところのこの辺野古、あの一点をねらい撃ちしてどうやって買ったのかな、これも不思議でしようがないのです。今、ただ、建設の準備はまだ始まっていませんから大がかりな話というのは出てきてないかもしれませんけれども、他方、そういう話が隠されているんじゃないか。
 ちなみに、この琉球生コンクリートの政治献金先、どういうところへしているのかなと私も全部調べさせてもらいました。
 例えば、下地幹郎さんという人に、平成九年、十年、十一年と二十万円ずつ献金しているんですね。それから、十二年は企業献金が禁止されましたから、この二十万円は沖縄県の第一選挙区支部に献金されている。第一選挙区支部から下地さんあてに、この資金管理団体は新しい日本を創造する会と言うそうですけれども、九百二十万円支払われている。別にこれ自体問題ないのです。何にも問題ないのです。
 だけれども、我々は、つい最近いろいろなことがあったわけですから、そして子供がここで勉強しようとしているわけですから、変な話で、せっかく勉強しようとしている子供たちが気持ちよく勉強できなくなるようなことはしちゃいけませんよということは、今、私は遠山大臣にしっかりお答えをいただいておきたいと思うんです。どうですか、遠山大臣。
遠山国務大臣 当然ながら、私どもは、国立の非常に大事な高等専門学校を建てることでございますから、安全の面あるいはそこに学ぶ子供たちの快適さ、それから学習効果があるようなことについて、全力をもってこれは取り組んでいかなきゃならないと思っております。
 この土地に建てるということにつきましては、長い歴史があって、沖縄県の方から明確にこの地がふさわしいとして言ってまいったわけでございますので、私どもとしては、その地域に建てるということにおいて、全力を挙げて、今申し上げましたような子供たちの学習成果がきちっと上がり、また将来にとってすばらしい人材育成ができるような高等専門学校に育てていきたいということをここにお答えしておきたいと思います。
山口(壯)委員 私、遠山大臣と片思いなのか、必ずしも私の答弁にいつもきっちり答えていただけなくて、要するに、今、鈴木宗男さんの話とかいろいろありますからね。ですから、特定の政治家が変な絡み方をしないように、これから、例えば三月いっぱいで土地を収用されるわけで、その後造成の話とかで入札が行われるわけですから、そういうときにはきちっと、どこからつっつかれても大丈夫なように気をつけてくださいよということを申し上げている。それについていかがですか。短くお願いします。
遠山国務大臣 そういう土地に絡むあるいは建設に絡むいろいろな事業のことにつきましては、私どもとしては、これは実際にその任に当たるのが当省であるかどうか。
 いずれにいたしましても、御指摘のような件については、一切そのような疑義が将来起こることのないように全力を傾けたいと思います。
山口(壯)委員 私がこう申し上げているのは、例えば、これは私の配付させていただいた資料の七ページ目の真ん中の下の方に書いていますけれども、平成十一年の九月二十七日に、稲嶺県知事が有馬文部大臣に会われたとある。この日に、当時の沖縄開発庁長官だった野中広務官房長官にも会っておられるんです。大事な方を抜かしちゃだめなんですよ、これは。そっちが非常に大事だと私は思うんです。
 そして、この野中広務官房長官は、当時、沖縄開発庁の長官も兼任されていたのですけれども、この会合に同席されていた方は、あとどなたでしょうか。
山本政府参考人 お答えいたします。
 平成十一年の九月の二十七日に、野中官房長官が、確認しましたところ、官邸の官房長官室でお会いしておるわけでございます。だれが同席していたかということにつきましては、面会の記録が残っておりませんので、これは確認しましたけれども、わからないということでございましたけれども、そのときに知事に県サイドから県職員が随行しておりましたので、その職員に確認しましたところ、その他の方は御同席されていなかったという記憶のようでございました。
山口(壯)委員 私も、きょうこれは早朝にお聞きしたものですから、急なことで申しわけなかったと思うんです。そういう意味ではよく調べていただいたと思います。
 このときの官房長官が野中さん、副長官が鈴木宗男さんなわけですね。ですから、官邸で会われたとしたら、私は、その前の沖縄開発庁長官だったこの鈴木宗男さんが、そのとき官房副長官でおられるのであれば、当然同席されてしかるべきだ、私の感覚であればそうです。だけれども、それが、あえて同席されなかったと県の人が言っているのであれば、まあそうかも。だけれども、これは役所が本来記録を残しておくべき問題ですよね。大事な会合だったのですから、このときに辺野古の話が確定したのですよ、歴史の中で。だから、当然これは残っているはずなんですよ。それが残っていないということは本当におかしいのです。
 では、当時の野中さんは、沖縄開発庁の長官も兼務されていた。その政務次官が下地幹郎さんなわけです。私だったら、当然、自分のデプティーの政務次官を呼びますよね。それを呼ばずに会ったというのは、私にとっては非常に不自然だし、本当かなという気はするけれども、だけれども、今、遠山大臣が、これからのいろいろなプロセスの中で、入札のプロセスとかで公正にやる、そういうことで確約していただいたのだから、我々はそれを信じましょう。だけれども、そういう泥臭い話がここに絡まっているんだということは、これはちゃんとやはり皆さんが知っておいていただきたいと思うんです。
 私自身は、きょうは高等専門学校がどこにできるかという観点からこれは問題だということを申し上げました。そして、多分、ここにおられる委員のお一人残らず御存じなかったでしょう。それは、弾薬庫の隣にできるし、演習場に隣接している。弾薬庫がなくなる予定もないし、演習場がなくなる予定も聞いていない。こういう新しい事実を踏まえた上で、私はいろいろ判断していただきたいのです。こういう、我々が新しい事実を、あえて自分が沖縄に行かなきゃわからないということであれば、我々と文部科学省の信頼関係というものもかかわりますので、だから、そういう意味では、法律を上げるときにはきちっと全部説明していただきたいと思うんです。
 まだ、私、この経緯について、この資料に挙げてあるとおり、いろいろ指摘しなきゃいけないことがいっぱいあるんですけれども、これ、あと時間だからしようがない、今、同僚の牧野議員も控えておられるから余り時間を延ばせないけれども、だけれども、我々は、場所について、あえてそう知りつつこの法案を通していいものかどうかということは、みんなでよく考えていただきたいと思います。
 そして、我々が高専を今回設置することを認めるかどうかについては、このプロセスが、沖縄の九五年の少女暴行事件からずっと来て、そして普天間のプロセスと言われている一環である、そういうことも認識した上でやはり議論をしないと、純粋に教育の観点からの話じゃないということなんですね。それは、私は、さっき言ったように日米安保条約を大事だと思っていますから、その部分はそれでもいいんです。繰り返しますけれども、場所が悪過ぎるんです。余りにも私にとっては良心がとがめる場所なんです。
 ちなみに、それが普天間プロセスであるということは、私の配付資料の八ページにつけておきましたけれども、きょうは全部公開資料だけしかつけていませんが、これは平成十一年の十二月二十八日に出た閣議決定の文書ですね。「普天間飛行場の移設に係る政府方針」、これは、文部省の資料、先ほどの七ページのものだと、この部分は途中から書いていまして「「国立高等専門学校設置の確実な実現」を盛り込んだ「沖縄県北部地域の振興に関する方針」が閣議決定。」この部分しか出ていないんだけれども、本当は、もとはこの「普天間飛行場の移設に係る政府方針」なんです。
 八ページの次の九ページを見ていただいて、九ページの右側に2というのがありますね、「沖縄県北部地域の振興」、そこに「別紙2」というのがある。「別紙2」というのは、次のページ、十ページを開いていただいたら、ここに初めて出てくるんです、「沖縄県北部地域の振興に関する方針」というのが出てくる。そして、さらに一ページめくっていただいて十一ページまで来ると、そこに、この左側の2の(1)の一に「国立高等専門学校設置の確実な実現」と初めて出てくる。要するに、これは全部普天間のプロセスの中での話なんです。
 ですから、これを通そうとされる方が弾薬庫の隣だと知って通そうとされているのか、あるいは演習場の隣と知って通そうとされているのか、それであれば私はもうそれ以上言いません。だけれども、もしも御存じなかったのだったら、今、考えをもう一度詰める機会が、まだ採決までに時間があるんだから、ぜひそこは慎重に検討をいただきたいと思います。
 最後に、遠山大臣に一言お伺いして、私の質問を終わります。
遠山国務大臣 御存じのように、この沖縄における国立高等専門学校の設置につきましては、長い経緯もあり、そして国と沖縄県との間でのいろいろな検討のプロセスもあり、私は、この土地について、きょう御質疑の中で御懸念もお伺いいたしましたけれども、そういう御懸念といいますか、懸念すべきことがあるようなところに国立高等専門学校というものを新たに建てようというふうなことではないと考えております。
 この地における新たな学校の設置について、設置者である国としても責任を持って今後取り組んでいきたいと考えます。
山口(壯)委員 終わります。
河村委員長 次に、牧野聖修君。
牧野(聖)委員 民主党・無所属クラブの牧野聖修でございます。
 今、同僚の山口委員から非常に真剣な、熱心な質問が展開されたわけでございますが、私は、自分の質問に先立ちまして、一言、遠山大臣と文部科学当局に注文をつけておきたいと思います。
 現地まで行きましていろいろと調査をして、本来の教育のための高専というよりも地域振興策の一環としての高専という色彩が非常に強いし、そこには巷間うわさされているような疑獄事件ももしかしたら介在するのではないか、そういうきな臭いにおいも感じて帰ってきているわけであります。
 しかし、決定的なことは追及しないで、文部科学当局の今後の誠意ある態度によってこの沖縄高専の開設を成功に導いてほしいという思いは、去年のKSDのものつくり大学のときに、その大学に行って学ぶ学生たちが、自分たちの学びやがそういう疑獄事件の温床でできたということについて非常な残念な思いを持っているわけですね。ですから、そういう同じことを沖縄でさせてはいけない、教育行政の中でそういうことをさせてはいけないという深い配慮からかなり遠慮した質問であったなと私は横で聞いているわけでありますから、どうぞそのことは、山口委員の声にならないその部分をぜひとも真摯に受けとめてこれから対応していただくように、まずもって注文をつけたいと思いますので、お願いいたします。
 そこで、私は、議題となっております大学設置の一部改正のこの法律について質問させていただきますが、その前に二、三お尋ねしたいことがありますので、先にそちらの方を質問させてもらいます。
 私は一九六〇年代の半ばに大学生活を送りました。高校時代を経て、一年間浪人いたしまして、そして初めて大学に入りましたが、そのときに、大学の中で私が最初に耳にしたその言葉は、学の独立とか学問の自由とか学園の自治、そういう言葉を私は耳にしまして、その価値観のもとに非常に大学全体が熱い、そういう雰囲気に包まれている、そういうのを感動を持って感じたものでした。
 そのとき、学園の中では、産学官協同路線というのはどちらかというと余り受け入れたくないという雰囲気でして、いやしくも学問の府は、国家権力、公権力からはやはりそれに左右されない強いスタンスを持っている方がいいだろう、あるいは学問は一企業の利益のために堕落していくのはよくないのではないか、そういう気概がありまして、私はそれが非常にあのころの社会のエネルギーになっていたような感じがするんです。三十年たちまして、今日、文部科学省のいろいろな書類等を見ましても、いろいろな論調を耳にいたしましても、産学官協同路線を猫もしゃくしも、あたかも時代の趨勢のごとく、それが正義なようにその論調を進めているというのは、私はどちらかというと余りよくないんじゃないかなという感じがしているんです。
 古いやつだとお思いでしょうが、その点につきまして文部科学当局はどういうふうに考えているのか、いま一度説明をいただきたいと思います。
遠藤政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のように、かなり以前におきましては、我が国の大学においては産学連携については、いろいろな理由があると思いますが、必ずしも積極的ではなかったということはそのとおりだと思います。また、ついでに言いますと、企業の方も、研究開発は自前主義でやっておりまして、必ずしも大学側にコンタクトをとってこなかったという面があったと思います。それと、大学ではそもそも、言うまでもございませんが、研究者個人の自由な発想に基づいて、人文社会から自然科学まで広い範囲の、真理追求といいますか、研究活動が行われているわけでございます。
 ただ、産学官連携というのは、一部とはいいましてもその中の一つの役割を果たしておりまして、大学の持っております社会貢献という責務、これを果たしていくということも一つの重要な面ではないかというふうに思っておりますし、また最近では、大学の教官それから企業の方々も、お互いにかなり意識が変わってきておりまして、大学の自主性というものは十分尊重し、また守りながら、なおかつ産学官連携でできるだけ協力して新たな技術を開発していこう、そういう機運がかなり盛り上がってきていると私どもは考えております。
 科学技術・学術審議会産学官連携推進委員会というものが我が方にございますが、昨年七月に報告書を取りまとめております。そこで、大学の教育と研究に対する産学官連携の利点というものを幾つか挙げているわけです。三つほど申し上げますと、一つは、研究者が違った価値観に触れることにより独創的コンセプトが生まれるのではないか、あるいは二つ目には、民間の経営の発想によりまして研究開発の効率化や社会との連携というものが一層推進する、それから三つ目には、研究者が実社会の現場をいろいろ経験することによりましてその後の研究への刺激が期待されるというふうなことが報告をされているわけでございます。
 我々といたしましては、さっき申し上げましたように、両者の機運が盛り上がってきているということも受けまして、産学連携を進めるために必要な環境整備をできるだけしようということで、ここ数年、いろいろな制度改正等を進めてきておりますが、その場合にありましても、私ども文部科学省としては、大学の主体性、研究者の自主性というものを基本にしながら、企業に翻弄されるということは決してあってはいけないことなので、大学の主体性、自主性というものを基本としながら、そういった産学連携の取り組みやすい環境をつくっていきたい、このように考えております。
牧野(聖)委員 至極常識的な答弁をいただいたので、それはそのとおりだと思いますが、今、政財官癒着の構造によって世の中が非常にゆがめられているし、不公正な社会になってきている、政財官癒着の構造によって国民の富や税金がかすめ取られている、そういう弊害が大きな問題になっているわけですね。それと同じような位置関係にある産学官、この癒着になりますと、協力関係だけであれば、あるいは切磋琢磨する関係であればいいわけですが、これが癒着の構造になりますと大変なことになるわけです。薬害エイズの問題だとかあるいはサリドマイド、キノホルム等々の事件を思い出しますと、産学官協同で、いわゆる国民の健康と命をむしばんだという事例があるわけですよ。
 だから、私は、あえてそんなに文部省が率先してやらなくても、大学というもののいわゆる独立性と、そして企業のイノベーションと、そして公正を守る官、それがお互いに、緊張状態といいますか、均衡ある中で連携していけばそれでいいのじゃないか。あえてあちらこちらの論文の中にそれを殊さら取り上げて訴えるほどのことでもないだろうというふうに、私は個人的には感じているのですけれども、どうでしょうか。
遠藤政府参考人 今の我が国の経済を考えますと、それから、さらに将来それを発展させていくということを考えますと、やはり新しい知、創造的な知というものが非常に大事になってくる。そうすると、やはり大学の役割というものが経済界からも強く期待されてくる。これはもう現実に起こっているわけでございまして、それに対して、大学も可能な範囲で主体性を持ちながらこたえていくということも大変重要なことだと思っております。
 ただ、その場合に、先生が御指摘のように、癒着ということは、これは決してあってはならないことであると思います。社会の疑惑を招くことのないように、個々の教官の倫理意識とかあるいは透明性の確保という点は、これは十分過ぎるほどに担保していく必要があるのではないか。
 例えば、歳入歳出予算にきちっと外部資金は計上するとか、あるいは審査機関の審査を徹底するとか、それから兼業をやる場合には適正な手続をとるとか、そういった一つ一つの行動をきちんとやっていくことが必要だと思いますし、あるいは、利益相反といいますか、いろいろなことをやっていきますとどうしても利益相反するようなことがありますので、そういったことについても、私ども、ルールをつくって現場の研究者の皆さんに示して、矛盾が起きないような方途を講じていきたいというふうに考えておりますが、先生の御指摘は、十分注意してやらなければいけない点だというふうに思っております。
牧野(聖)委員 ぜひそういうふうに注意してやってほしいのですが、最後に一言、この点についてつけ加えさせていただきます。
 後ほど、時間があれば遠山大臣に遠山プランの中身について質問をさせていただきたいと思いますので、そちらにお譲りしますが、トップ三十、いわゆる能力主義といいますか実績主義といいますか、第三者の評価によって教育資金を重点配分するというふうな方向に来ますと、目的と手段とがあるときに逆転いたしまして、非常に私の懸念しているような状況、資金をいただくためにそういう状況になり得る可能性があるのですよ。だから、前もって言っておきます。そのことはぜひ注意して、慎重に進めていただきたいと思います。また時間があればそのことに触れます。
 そこで、山梨大学と山梨医科大学の統合について、質問に先に移らせていただきます。
 両大学の統合、特段、問題はないと私も考えておりますが、自主的な話し合いでこうなったのか、文部省の強力な指導のもとになったのか、このことだけまずお答えください。
岸田副大臣 山梨大学及び山梨医科大学の統合の検討に当たりましては、両大学の運営諮問会議の御意見を伺いつつ進めましたし、また、地元自治体の意見も適宜伺ってきております。関係者からは、教養教育の充実とか、工学と医学の密接な関係を築くことにより遠隔医療の充実をしてもらいたい等々の要望もいただいております。こうした要望等も踏まえながら、統合に向けて手続が進んできたというふうに認識しております。
牧野(聖)委員 地元の要望に基づいて、地元の自主性に基づいてそういう結論が出てきたという答弁ですので、私も、それならそれでいいかなという感じがするわけですが、平成十五年度の統合を目途に検討しているところ、あるいは今協議を進めている大学等々を調べてみますと、香川大学と香川医科大学ですね、宮崎大学と宮崎医科大学、大分大学と大分医科大学、佐賀大学と佐賀医科大学、富山大学と富山医科大学、福井大学と福井医科大学、静岡大学と浜松医科大学、滋賀大学と滋賀医科大学、島根大学と島根医科大学、高知大学と高知医科大学、みんな同じような状況なんですね。
 独立法人になって、自主性を尊重して独自の大学運営をやっていけというのに、余りにも機械的に、事務的にすべてが進んでいるという懸念を私は禁じ得ないのです。その点についてどうですか。
工藤政府参考人 これまでいろいろな経緯がございまして、国立大学、今日では、四年制大学でいいますと九十九校に至ってございますけれども、私ども、大学側と御相談しながら進めております再編統合といいますのは、単に数を減らすとかどうとかいうことではございませんで、それぞれがこれまでもいろいろな、教育面、研究面あるいは産学連携も含めた社会貢献等の上で大きな実績を持っているわけでございますけれども、これからの二十年、三十年、さらにもっと長い視野でそれぞれの果たすべき役割に思いをいたしますときに、今のままで本当にそれぞれの大学の持ち味が生かしていけるだろうか。もう少し御検討いただいて、いわば一足す一が三にも四にもなるように、そういうパワーアップのために再編統合の御検討をお願いしている中でございます、今御指摘ありましたようなことがすべてではございませんし、まだそれで成案を得ているわけでもございませんので、来年以降さらに国会でも御審議を賜りますけれども、いろいろな御検討が各大学で行われているという状況なのでございます。
 その中でたまたま成案を得られましたのが、今回御提案を申し上げている二件なのでございますので、御理解を賜りたいと思います。
牧野(聖)委員 言っていることとやっていることが若干違うのですよね。文部科学省からもらいました遠山プラン、大学(国立大学)の構造改革の方針という、いただきましたペーパーの第一のところに、「国立大学の数の大幅な削減を目指す」と。しかも、自主的な話し合いでできないようであるならば「スクラップ・アンド・ビルドで活性化」を図ると書いてあるじゃないですか。これは、トップダウン方式で大学の統廃合をやろうとしているのでしょう。どこに自主性を生かすような話が載っているのですか。もう一度答弁してください。
工藤政府参考人 昨年六月にまとめましたその大学の構造改革の方針、再編統合、それから新しい法人化、それから第三者評価による競争原理でのすぐれた拠点の整備でありますけれども、いずれも、言葉は違いますし、言い方はちょっと別でございますけれども、これまで大学審議会等で指摘されていることを別の観点から整理して発したものでございます。
 その場合に、確かにスクラップ・アンド・ビルドとか国立大の数の削減でございますとかということをうたってございますけれども、その手順について申し上げているわけではございませんで、こういう方向での国立大学の改革を進めてまいりたいということを申し上げたわけでございます。
 その後の国立大学関係者への御説明なども含めまして、先ほど御答弁申し上げたように、そもそも私ども、大学の自主性を尊重しながら、しかも大学だけではございませんで、特に再編統合等となりますと、地元の関係者あるいは学生、教職員等々、幅広い関係者の御意見も承りながら、より建設的な成案を得るように努力してまいりたいと思ってございます。
牧野(聖)委員 大学統合という教育の場の構造改革、そういう美名のもとに、橋本行革内閣以降のいわゆる行革路線に文部当局が、大学の統合と独立法人化、そしてその後に来る非公務員制ということ等を考えますと、何か数字の面で行革に帳じりを合わせるようなことが強引に進められているというふうな心配、懸念を持ちますので、絶対そういうことがないように、ぜひ、聖域なき構造改革と言いますけれども、私は聖域は当然世の中にあるものだと思っているのですよ。その中には、教育というのは一つの聖域に入るのではないかと思っていますから、決して、今巷間言われているような、私が持っているような懸念のないような進め方をしてほしいと思います。
 それで、皆さんのところにも行っているかもしれませんが、実は私の手元に、山梨県の教育関係者からのいろいろな要望書等が来ておりまして、それを読んでみますと、こういうことが最後の方にありますね。教員養成課程の存続、現職教員の研修期間の必要性、司書、養護、情報、福祉教員の養成、臨床心理士の資格取得課程等の必要性を非常に訴えると。そういうものの必要性を訴える要望が私どもの手元に来ておりますが、このことについての当局の考え方はどうなんでしょうか。
工藤政府参考人 今お話のありました各県におきます教員養成大学・学部、いわば旧教育学部と申し上げさせていただきますが、学校現場ですぐれた教員を養成し確保するというのは大変大事なことでございまして、その中の中核的な役割をこれまで果たしてきたわけなんでございますが、残念ながら、大変環境が厳しいのでございます。
 一つには、せっかく教職を志望しながらもなかなか、少子化の影響もありまして教壇に立つ就職率が大変厳しい状況にある、あるいは各大学での養成の体制も今のようなことを反映いたしましてだんだん小規模化してきてございます、入学定員が百人以下の教育学部が約三分の一という状況でございます、等々の問題点に照らしたときに、しかも、かつこれからの教員養成機能をもっと充実しなきゃいけないという中で、それぞれの都道府県に小規模な教育学部をこのまま存置しただけでいいだろうか。何となく教育学部の先生方も元気が出ない状況の中で、その重要性を考えますと、もう少しパワーアップするために再編統合を考えませんかというのが、今の教員養成大学・学部の再編統合の検討状況でございます。
 具体の中身につきましては、それぞれの大学の御事情、地域の御事情、あるいは御要望等も十分承りながら、これからの検討の中で成案を得るべく私どもも大学側と相談してまいりたいと思います。
牧野(聖)委員 地元の皆さん等の要望にこたえながらという言葉が数回出てきましたので、それはそれでよしということで受けとめます。
 ところで、私は静岡市なんですよ。それで、静岡大学があるんですね。地元のことで大変恐縮なんですが、問題の非常にわかりやすい例になりますので、それを出して説明させていただきたいと思います。
 三日ほど前、三月十九日、静岡市議会におきまして、静岡大学教育学部の定員の規模を縮小することなく引き続き四百人の定員を確保することを強く要望するという、全会一致で静岡市議会で国に対しての意見書が採択されたのですね。
 その前段としては、静岡大学の周辺地域の自治会、町内会、それから商店街、下宿組合、いろいろな関係の皆さんが何回か集まりました。地域で五百六十人も教育学部の生徒さんが減るということになりますと、大変な、地域に対してのダメージが大きいわけですね。そのことに危機感を持って、何回かみんなで話し合って、静岡市議会に行って、静岡市議会もそれを受けて意見書を採択した。そして、そのときの総務部長の答弁ですと、県知事や県の方にも要請、お願いをしてその問題を解決していこうというふうになったそうです。
 実はこれは静岡大学周辺だけの問題じゃなくして、私がきょうここで質問に立つということになりましたら、各地域の教養課程を持っているところの大勢の議員の皆さん、大勢の皆さんからその必要性を力強く訴えてくれという要望をいただきましたので、あえて申し上げさせていただきますが、そのような地方議会での意見書等々が出てきている状況について、今後どういうふうに対応されるのか、もう一度お答えをいただきたい。
 それから、言わないでおこうかなと思ったんですが、遠山大臣は、私と同じ静岡高等学校の先輩なんですよ。ともに静岡市で生活したことがあるわけでして、そこに今静岡大学という問題が、しかも師範のときからの伝統ある教育学部が風前のともしびに立たされているという危機感を、みんなが持っている。議会も持っている。その点について、あわせて答弁をいただきたいと思います。
工藤政府参考人 先生の地元の、栄光ある歴史の教育学部を殊さらどうこうするという話じゃございませんで、今御指摘ありましたように、静岡大学の教育学部というのは、入学定員が四百人ございますけれども、そのうち教員養成の課程は二百六十人でございます。
 ただ、全体の、先ほど申した全国的な少子化等の影響による教員就職率というのが、まさに静岡大学でも大変悪うございまして、三四・一%という状況でございます。せっかく教職を志しながら三分の二の学生さんたちは教壇に立てないという状況は、他の教育学部と同様なのでございます。
 地元の御要望、それぞれの地域で、ぜひ自分のところに残してほしいというお声があちこちありますのはよく承知してございますが、そういいますと、先ほど申したように、今までの体制そのままで本当にいいんでしょうかということがございまして、今、各大学とも頭を悩ませているところなのでございます。
 ただ、そうはいいましても、別にこれまでの歴史、伝統をないがしろにするというわけではございませんで、かつ、仮に関係者の御理解を賜って教員養成の課程がない大学が生じたといたしましても、そこにサテライトでございますとか、あるいは遠隔教育でございますとか、いろいろな形での教育サービスという手法なども考えながらやらなきゃいけないことじゃないかと思いますが、具体の検討はまだ、各大学の検討中の段階でございますので、その御検討を待ってから具体的な対応を考えてまいりたいと思ってございます。
牧野(聖)委員 人材大国、文化大国、教育大国、何かそんなことを、今度文部科学省は標榜しているような感じですよね。人材大国をやるという前提は、しっかりとした教師をたくさん育てて社会に出すということじゃないですか。我々は三十人以下学級を提唱していますよ。そのことを実現したり、不登校児の家庭の中まで入っていったいわゆる教育サービス、そんなものを考えたり、新しい時代へのいろいろなことを考える。あるいは、そこで生まれ育った生徒が、そこの教育学部を出て、教職を取って、自分の地元の育ったところの先生になっていく。そういうことが本当に血の通った教育につながっていくんですよ。
 そういったことを考えると、ただ単に数が少ないから、活力がないから、それで統廃合しますというのは、余りにも芸がなさ過ぎる。僕は、工夫がないと思うよ。それで人材大国なんて、笑わせるなという感じですよ。大臣、どうですか、これは。大臣の、あなたの答弁が欲しい。
遠山国務大臣 新しい世紀に入りまして、日本が今後本当に経済的にも社会的にもしっかりした形で存続していくというためには、日本の知の継承、創造の拠点である大学というものを本当の意味で力強くしていかなくてはならないと思いますし、今おっしゃった人材養成、特に、すぐれた人材、リーダーたちを養成していく大学のあり方というのが日本の将来を決めると思います。
 そのようなことから、二十世紀の後半において日本を成功に導いてきたその体制だけで今後日本が成り立っていくかというと、私は大きな危機感を持っております。それは、私のみならず、経済界、政界、そして国民の皆さんも同時に持っていると思いますが、そういう中で、一体大学がどうあったらいいか。これは、単に従来のものを存続していく、もちろん地元の意見も大事でございますけれども、従来のままだけでいくというだけでは、私は、国立大学というのは国民のトータルとしての期待にこたえられないのではないかと思います。
 そのようなことから、昨年の六月のあの大学の構造改革の方針というのを出させていただいて、これまでの大学改革の歩みを加速していく、そして、本当の意味で日本の将来を担うような人材を養成し、また研究についても創造的な研究をしていただくというふうなことに、脱皮していただくといいますか、そのことのために、今、誠心誠意、担当及びそれぞれの大学で真剣に取り組んでいただいていると思っております。
 その大きな目標というものに向かって、それぞれの大学での取り組みというものをもちろん重視しながら、今おっしゃったような人材養成に本当にこたえ得るような教員養成のシステムであるのかどうか、これは本当に大事なことだと思っておりまして、その角度で、私としては、これからの将来像の決定に向けて力を注いでいきたいと思います。
 この場で、地元であるとか、あるいはその地域の要望ということだけを強調して私としては答える立場にございませんので、大きな目標についてお答えさせていただきました。
牧野(聖)委員 私も、あなたが静高を出たから何とかしてくれるなんて、甘いことは考えていませんよ。質問の中の潤滑油の感じで言っただけですからね。まじめにこれから文部行政の先頭に立ってほしいと思います。
 もう時間が来たから最後に要望を言いますけれども、この前から遠山文部大臣の答弁を私はこちらでずっと聞いていて、いいことを言うんだけれども魂に響いてこない。非常にきつい言い方をするけれども、それは、あなたは優秀な行政官であるけれども、教育者としての視点がまだ少ないという感じがするんですよ。その点、よく考えてこれからやってほしいと思います。
 きょうはこれでやめますけれども、機会があったら、教育というものを競争原理に突入させて、金をえさに競争させていい実績を上げさせる、拝金主義もここまで至れりかという感じを私は持ったんですね。これは非常に、もっと知恵はあるだろうという感じがしました。優秀な遠山大臣でしょうから、ぜひ教育というものをしっかり見詰めて教育改革の先頭に立っていただくことを心から切望いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
河村委員長 次に、佐藤公治君。
佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。
 本日、この委員会では初めての質問でございまして、多少失礼がありましたらお許しを願えればありがたく、お願いを申し上げたいと思います。
 私がこのたびの国立学校設置法の一部を改正する法律案をこうやって委員会において議論させていただく中で、過去のいろいろな経緯、経過をいろいろと読ませていただきました。その中で一つ、本当に基本的なことのすり合わせからまずお願いをしたいと思いますが、我が国の高等教育の基本理念、将来像、ビジョン、方向性というものを今までの間にお示しになったことが、大臣、ありますでしょうか。
遠山国務大臣 一国の高等教育のあり方につきましては、もちろん法体系の中に大学のあり方等が明示されておりますけれども、私は、二十一世紀に向けて大学像はどうあったらいいかということについて、既に答申がなされました大学審議会、当時の大学審議会でございますけれども、あの答申は一つの方向性を示していると思っております。
 これからの大学は、しっかりした国際競争力を持ちながら魅力ある大学であること、そして、大学としてはより個性化し、多様化をし、そして教育研究について高度化を図り、また大学の運営については活性化を図っていくという一連の大学改革をさらに進めるとともに、個性輝く魅力ある大学をつくっていくということにおいて、私は、これからの大学像ということはその中に明確に述べられていると思っております。
佐藤(公)委員 その基本理念というか方向性というものが大学審議会の方で出されているということでございますけれども、では、もう一回確認だけさせていただけば、その将来の方向性、青写真、ビジョンというのは、どういう立場でだれがそれをあらわしていることになるのでしょうか。
遠山国務大臣 どういう立場でということでは、私は、日本の大学についてこのようにあってほしいという国民の期待を背景にしながら、やはり専門家たちが、これからの日本の大学が、教育研究とともに社会貢献をしていく、そういう存在としてどうあってもらったらいいかということが盛り込まれていると思います。
 そして、論じられたのは審議会の場でございますけれども、そこでは、私は、委員諸氏の英知を結集した形で一つの方向性が示されたものと考えているところでございます。
佐藤(公)委員 私がお伺いをしているのは、確かに大学審議会答申、いろいろなところで意見聴取というものがあって一つの方向性、青写真というものが出てくる、それを受けてその方向性、今お話ししたようなことは、文部科学省として、大臣として、内閣として、そのあるべき姿ということをお出しになられたのかということなんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
遠山国務大臣 そういうこれまでのさまざまな議論、答申あるいは報告などをベースにしながら、これからの日本の大学はどうあったらいいかということについて、昨年の六月に大学の構造改革の方針ということで出させていただきましたけれども、これは、プロセスにおきましても、内閣総理大臣の承認も得て、そして、これは内閣の関連する会議体においても了承されて進んでいるところでございますが、そのプロセスでありますよりも、私ども、高等教育行政を担当する者として、これからの日本の大学の力強い発展を期待するために、あそこで示しました三つの方針というのは、それぞれ重要な意味を持つのではないかと思っております。
 もちろん、あそこでは非常に端的なメッセージとして出しておりますので、それ以外にもいろいろな方策を展開しながら、それぞれの大学が自主性を持って自律的に、大学の改革といいますか、高度化、活性化に向けて努力をしてもらいたいというのが私どものスタンスでございます。
佐藤(公)委員 済みません、私が理解不足なのかもしれませんが、今の御説明でちょっとよくわかりにくい部分があるんですが、やはり文部科学省として、大臣として、内閣としてきちんと、こういう方向性で高等教育をやっていくんだということをお示しになったということでよろしいんでしょうか。
遠山国務大臣 今までの政策を総合して、私どもとしては、大学の改革の方向性あるいは構造改革の方向性について明確に私どもの考え方を述べたというふうに考えております。
佐藤(公)委員 では、大臣、高等教育の将来性のビジョン、青写真に関して、マスコミ報道、いろいろなものをごらんになったと思います。どれをとっても言えることは、将来の青写真が明確になっていない、将来像が見えない、そしてビジョンがわからない、こういうことばかりがマスコミで報じられているのが非常に多いように思いますが、こういう記事はたくさんごらんになりましたでしょうか。
遠山国務大臣 そういうメディアの報道があることも確かでございます。ただ、私どもが散見いたしますいろいろな書物あるいは雑誌、専門的な雑誌等におきましては、やはり日本の大学というのはこれから大きく改革をしてしっかりした枠組みのもとに発展していかなければならない、そのことについてはどうあったらいいかということについてのかなり深まった議論が、私は今起こりつつあると思っております。
 それから、ビジョンの点について、確かにそれがないとかという議論もたまに散見されるところでございます。しかし、二十一世紀の大学像はどうあったらいいかということについては、これは私は、先ほど申しましたような答申等におきましてかなり明瞭に書かれていると思います。そこでは、大学のこれからのあり方では、いろいろな性格を持った、あるいは特色を持った大学というものをつくっていかなくてはならない、あの中にはいろいろな大学の、教養大学的であるとか研究大学的であるとか、幾つかの種別についても論じられておりますし。
 私は、グランドデザインとかビジョンとかという場合に、国がこれからさらにあれ以上なものを示して、そしてリードしていくというのも一つの方式かと思います。また、そういうことについて努力もしてみたいとは思いますけれども、これまでの蓄積において、私は、そういう面についてはかなり明確になっているのではないかと思います、私どもの説明が十分でないという点もあるのかもしれませんけれども。
 特に、平成十年の答申の中に示されております「二十一世紀の大学像と今後の改革方策について」ということが、今日の私どもの大学政策のベースになっていると思います。と同時に、九〇年代から、先ほど申しましたような大学の個性化、高度化、活性化に向けてのさまざまな指標あるいは目標といったようなものが、それぞれの大学の取り組みの指針になってきていると思っております。
佐藤(公)委員 済みません、だんだんだんだん僕もわからなくなってきちゃったんですけれども、では、一体全体なぜ――先ほどもおっしゃられました、たまにということをおっしゃいましたけれども、たまにじゃないです、もう至るところの雑誌、ほとんど出ている。新聞の掲載にもそういう形で出ているのが多い。グランドデザインがない、未来像がない、理念がまるっきりない、理念がない、理念見えず、将来像見えぬ、こういうことがたくさん出ているわけでございますけれども、なぜこのような食い違いが起こるのかということなんです。
 大臣が一生懸命、努力不足、努力をしてみたいと。してみたいということは、まだしていないのかなというふうにも思うんですけれども、なぜこのようなことが言われなきゃいけないのか。本当にきちんと将来的なビジョンを明確にしているのであれば、それがいいか悪いかという議論が掲載、または意見が掲載されるべきなのに、何にも見えない、わからないということであれば、議論の余地がないようにも思える部分がありますが、この辺のあたり、大臣、どう思われますでしょうか。
遠山国務大臣 そこのところは、どういう論拠に基づいてあるなしということをとらえておられるのかよくわからない面が、私の方こそ御質問に対して思うところでございます。
 大学のあり方といいますか、本来あるべき機能というのは余りにも明確でございますね。すぐれた教育を行うこと、また先端的な研究ないし継続的な研究の中から創造的な研究成果を上げていくこと、それらを通じて社会的にも貢献していくこと。それについてそれぞれの大学が取り組んでいく、ほうはいとして、日本の六百七十を超える四年制の大学がしっかりやってくだされば、グランドデザインとかなんとかというのは、私は、もう当然あるなしということで議論されている段階ではないのではないかというのが個人的な感想でございますが。にもかかわらず、大きなグランドデザインということになりますと、私は、もうこれからは、それぞれの大学の位置づけ、役割というものがかなり明確になっていくのではないか。
 そして、限られた資源の中で、国が、日本の将来をかけて、すぐれた人材なり創造的な研究というものをやってもらう、あるいは産学官連携などを通じて実際日本の社会に貢献してもらう、そういう可能性のある大学については資源の配分についても重点をもって取り組んでいくというのは、これは国際的な趨勢でもあります。近隣の諸国においてはもっと明確に、重点大学を決めて、もうそこだけに投入していくぐらいにしているということは、つまり、一国の将来を決めるのは人間である、すぐれた人材がないとどうしようもない、そういう信念のもとに行われていると思います。それは先進国においても、ヨーロッパの各国、それからアメリカにおいても、重点的にすぐれた大学を育成していく。と同時に、もちろん、市民一般の教養を高めるということから、教養的な教育をやってくださる大学についても大事であるわけでございます。
 そういったトータルの大学のあり方についてのビジョンというのはある程度明確でございますし、私どもも、さらに、そのことについて不足というような御意見も散見いたしますので、そういうことも含めて今議論を開始しているところでございますけれども、私は、全く何もないとか、ビジョンがないのに何か改革を要請しているとかという御批判は、私にとってはなかなか納得できがたい御意見でございます。
佐藤(公)委員 今さら何でこんな基本的なことを聞くんだということもお思いになるかもしれませんが、聞きたいこと、細かいことがたくさんあるんです。だけれども、これ全部細かいことを聞いて考えていくに際して、先ほど大臣もおっしゃったように、やはり最も大事な問題、ここをきちんとしていけば、このDNAを受けて各法律のまた細かいところが決まっていくことになる。ここが今のようにかみ合わないような状態の中で物事を進めていくのはいかがなものかというのを、非常に感じる部分があるんです。
 副大臣、済みません、今のお話を全部聞かれて、総括としてお答えを願えればありがたいと思いますが、いかがでしょうか。
岸田副大臣 私が総括をするのはどうも、いかがかなとは思いますが、今聞いておりまして、理念としては、今大臣から申し上げたとおりだと思います。
 そうした考え方のもとに、活力ある、あるいは国際競争力に富んだ大学をつくっていこうということで、昨年六月、大学の構造改革の方針というものを打ち出して、そして、そのより具体的な手法として、国立大学の再編統合ですとか、あるいは民間的発想の経営手法を導入するとか、あるいは第三者評価による競争原理を導入するとか、具体的な手法についても明らかにした次第であります。
 ですから、こうした理念とより具体的な手法、これが相まって、その進む方向性、御理解いただけるように我々一層努力しなければいけないと思っております。
佐藤(公)委員 今まで、この議論は、過去にもこの委員会でもたくさんしてきているんです。してきていますけれども、なぜこういうふうになっちゃうのかなと。議論はたくさんあるんですけれども、まさに大臣が言ったように、そう言っている場合じゃない、もうやらなきゃいけない、ここに踏み込まなきゃいけない。その意味で行動を起こされているんだと思いますが、やはり、その大もとになることがきちんとかみ合わない。
 よく私ども、皆さん方でもあると思います、会議や何かをしていて、いつまでたっても平行線、でも、最後に大もと、その言葉一つ一つの思い、定義をお互いがすり合わせをしたらば、何だそうだったのか、おまえがそういう思いで、またそういう定義で言葉を使っているんだったら、それはわかる、こういうことの平行線という会議がよくあると思います。
 そういうものをあえて望んで政府の方はやられているんであればこれは別ですけれども、やはり、こういう部分を一つ一つかみ砕いて、お互いがすり合わせをし、きちんと議論をしていただけたらと思います。
 こういう中で、私としては、やはり財政的な帳じり合わせの部分での一つの方向性ということも考えられる部分もあり得る、こういうことであっては、これは公共事業、前の委員会でも質疑がありましたが、橋をつくる、道路をつくる、それを削減する、そういう問題じゃないと思います。やはり、教育というのは別問題。そこには、基本理念、青写真、方向性、日本のあるべき姿が存在をしなきゃいけない、それぐらい重たいことです。だから、同じように考えてやることは間違いですので、それは重々含んでいただけたらありがたいと思います。
 そういう中で言えることは、大学、高等教育の中で、今、縦軸における高等教育という分野で議論をしている部分がありますが、これを横軸で切っていくと、中央、都市、大きな大学、そして地方、小さな大学、こういう切り方ができる部分があります。こういう部分で、やはり、大きい大学というか都市部の大学また高等教育と、地方における高等教育の役目、役割分担というものが、縦軸とは違う横軸というものが一つあり得ると思います。
 わかりにくいかもしれませんけれども、地方には、地域の情勢、コミュニティーカレッジ等々のいろいろな意味合い、要素がある。そういう部分から、地方における高等教育の役割、今ある国立大学の役割というものはどういうふうにお考えになられておりますでしょうか。
岸田副大臣 地方における国立大学の役割ですが、まず、大学教育の機会均等の実現という役割もありますが、それ以外にも、例えば、各地域におきます知の拠点として、地域産業界の発展を支えるとか、あるいは住民にとっても、生涯学習のニーズ、こうしたニーズに対応してくれる拠点というような意味合いもあると思います。こうした産業あるいは社会の発展の上でも重要な役割を果たしている、これが地方の国立大学の役割だと認識しております。
佐藤(公)委員 やはり縦軸ではなくて横軸における役割というのも、いろいろともっと議論を重ねて考えてやっていかなくてはいけないと思いますが、高等教育、大学における自主性を尊重するということは、これはありがたいこと、これは必要なことです。
 でも、自主性、自由にというのは、日本の文部科学省、政府の、国の一つの方向性の許容範囲の中の自由であって、自主性であって、やはりここをきちんと明確にした上での投げ方にしていかなきゃいけないと思います。この辺のラインをきちんと決めていくこと、ここが基本理念であり、やはり青写真であり、将来像ということだと私は思います。
 では、次に、地方だけではなくて、附属校というのが国立にはございます。附属高等学校、附属中学校、附属小学校、こういうものの役割と、そして今後の方向性。国立大学協会においても、これは真に必要と認めた場合には存続を考えていくと、真に必要と認めた場合という言い方をしておりますけれども、この辺のあたりを含めて、附属校の役割、そして今後の方向性をお答え願えればありがたいかと思います。
工藤政府参考人 国立大学に置かれております附属学校につきましては、いろいろな経緯がございますけれども、現在、いろいろな校種を含めて二百五十九校に至ってございます。これは、特に教員養成大学の場合は、教育実習のため、あるいは実践的な教育研究のためということもございます。さらには、戦前の師範学校時代からの経緯を引きずって、地域におけるいわば実験校という言葉がいいのか、中核的な教育実践の場として、公立学校の先生方とも交流しながら子供たちの教育に当たっているのが状況でございます。
 ただ、御承知のように、それぞれの学校ごとに見た場合には、いろいろな環境の変化等もございます。一部に、かなり受験のエリート校化していると言われるような側面もないではないとかいうことも含めて、それぞれがいろいろな問題を抱えているわけでございます。
 先ほどの御質問にも御答弁申し上げましたように、教員養成大学・学部につきましては、もっとパワーアップするために、大学の枠を超えた再編統合を御検討いただいている最中なんでございますけれども、その検討の中で、附属学校の取り扱いにつきましても、大学の存続上必要なものについては、もちろん今後とも教育研究の充実を図ってまいらなければいけませんけれども、地元との関係なども含めて、その存否が場合によっては見直される場合もあり得るということを私ども考えてございまして、具体にどこがどうというわけではございませんけれども、それぞれの大学での検討状況、それから地元等関係者との御調整の結果でさらに御相談してまいりたいと思ってございます。
佐藤(公)委員 やはり附属校に関してはそれこそ、私も実は附属校の出身でございますけれども、そういう部分からすると、昔、私たちの時代は、言い方は大変失礼な言い方です、モルモットと言われていました。生徒はモルモットだと。でも、僕は、これはいい意味だと思っています。教育にとって、私たちが試される、そしていい結果が出ていけば、それが全国に伝わる、またその地域で使っていく、これは僕はいいことだと思います。そういう本来の活用の仕方というものをやはり考えてやっていく。まさに、おっしゃられたように、受験校というかエリート校、その偏差値的な部分だけが突出しちゃっている。本来の附属校という活用の仕方、このやり方に問題があったのではないか。
 そして、あと、私も母校や何かの話をいろいろといろいろなところから聞くと、やはり予算の問題がたくさんあると思います。予算がやはり、大学からもらうに際して非常に少ない。この予算組みの問題に関して、非常に細々とやっている悲しい状況があります。
 こういうことに関しても、大臣、副大臣、十分目を向けて、ただ単純に切ったりなくすのではなくて、今より一層教育が大事なときに、そういった試し、試すというと失礼な言い方かもしれませんが、本来の活用をしながら、それには予算も十分考え、投入しながらやっていくことを私はお願いしたいと思います。
 そういう中で、今回の国立大学の統廃合の関係でも言えることなんですけれども、やはり、内部的な議論が非常に多いように思います。内部的な議論。しかし、私が思うのは、いろいろなものを見させていただく中、もしかしてあったらごめんなさい、私の見ている範囲ではございません、学生や、また附属校における父兄や、地域の方々の意見とか考え方をより一層入れた形、またどういう形で取り入れていくのか、また反映をしていくのか。各大学、皆さんにお任せをするとは言うものの、国としてはその辺のあたりをどう考えているのか、お答え願えればありがたいかと思います。
工藤政府参考人 十二世紀にヨーロッパでいわば大学と言われるものが初めて発足したころは、教会の設立だったり、いわば世俗から離れたところで師弟関係が結ばれたという歴史などもございますが、今や、国公私を問わず、確かに学問の自由あるいは教育研究の自主性というのはございますけれども、大学といえども社会から全く離れた存在ではあり得ないわけでございます。
 国立大学はそれぞれの地域でいろいろな役割を担ってきてございますけれども、大学の構成員である教職員だけではなくて、これから進学しようとしている子供たちあるいはその保護者の方々、さらには地域の方々も含めて、それぞれの大学の機能、つまり教育研究、それらに基づきます社会貢献のあり方について、やはり地域の方々、多くの関係者の方々の御理解を得、かつ、国立でございますからかなりの部分を国費で支えているということから、広く国民の御理解を賜るような努力が必要でございます。
 これまでも十分してきたつもりでございますけれども、必ずしも十分でない面があれば、お互い反省しながら、大学ともども、私どもも含めて今後いろいろな形で、今、再編統合でございますとか、法人化でございますとか、いろいろな課題があるわけでございますが、それぞれにつきましていろいろな関係者の御意見も賜りながら、できるだけ多くのサポートを得られるように努力してまいりたいと思います。
佐藤(公)委員 ぜひ、その辺も、すべてがすべてそれに従う必要はないと思いますが、やはり意見としてはいろいろなことを聞いていただく、そういう機会がきちんとあってもいいかと思います。
 そういうことでございますが、今、私の方でもこの統廃合に関しての話をさせていただいておりますけれども、ちょっと話を外れさせていただければありがたいと思います。
 私、ADHD、注意欠陥多動性障害というものに非常に興味を持っております。これに関して、担当部局の方いらっしゃいましたら、ADHD、きょう、委員会の皆さん方、知らない方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単にどういうことかお答え願えればありがたいと思います。御説明をお願いします。
矢野政府参考人 ADHD児でございますが、この子供は、物事に集中できない、じっと座っていられない、あるいは順番が待てずに衝動的に発言や行動をする、こういう子供でございます。ADHD、注意欠陥多動性障害児でございますが、この原因が医学的にも究明されていないという問題があるわけでございます。
佐藤(公)委員 私も、このADHDのサマーキャンプや何かに行ったり、こういう子供さんたちを見てきております。こういう中で思うことは、お母さん方がもう疲れ果てているんです。御両親が疲れ果てている。子供が落ちつきがない、動き回る。学校では、しつけが悪い、しつけが悪いと言われる。親は一生懸命しつけをしても、子供が言うことを聞いてくれない。そういう中で、悩みに悩んで、本当に一家で自殺をしようかと考えた方々もいるというふうに聞いております。
 こういう部分、まさにしつけだけの問題じゃなくて、医学的にきちんと検証されていない部分がある、因果関係がわからないんですが。今は何となく、何かやはり機能障害があるのではないかということぐらいにしかわからない。でも、ADHDに関しては、アメリカを含めヨーロッパでもかなり研究が進んでいる。ただし、言葉はあったとしても、日本では現場には全くと言っていいほど認識が少ない、すぐ親のしつけのことと。しつけが悪くて、家庭が悪くて子供が悪くなってしまう、これは当然たくさんあります。でも、その中の幾つかには、一生懸命やっても、子供の一つの機能障害的な部分でそれができないというケースがある。
 学校の先生や何かにも、その話をしても、そんなのあったんですか、何か聞いたことありますねという答えが、現場レベルで割と返ってくるんです。校長先生にも聞いたらば、そんなのもありましたねという話も出てくる。これでどうやって教育というものをやっていくのか。本当に私は、この辺を文部科学省としてかなりもう少し突っ込んで、やはり予算もつけ、研究もし、それを徹底させていただければありがたいかと思います。
 そして、私が言いたいことは、これは、学校、先生方だけではなくて、やはり医療機関との連携が必要なんです。家族と先生、そしてやはり病院の先生方との、ドクターとの間での話し合い、こういう場が、今現状なかなか地方ではございません。こういうものに対して、厚生労働省だけではございません、文部科学省としても、どういう対応をしてきているのか、また今後どういう対応を考えているのか、お答えくださいませ。
矢野政府参考人 ADHD児の対応につきましては、御指摘のように幾つかの課題があるわけでございますが、その一つは、その実態が十分に明らかになっていない、そういう問題がございます。さらには、ADHDと判断するその判断の基準、さらにはその指導方法も、明らかになって確立されてはいないという課題がございます。そしてさらに、先ほど御指摘ございましたように、この問題につきましては、医療機関との連携を図らなきゃならない、そういう課題があるわけでございます。
 このため、昨年の一月に出されました二十一世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議の報告では、こういうふうに指摘をされているところでございます。すなわち、ADHD児や学習障害児等についての全国的な実態を把握し、また判断基準や指導方法の確立を図るとともに、幅広い理解啓発に努めることという提言がなされたわけでございまして、私どもといたしましては、この報告を踏まえまして、本年度からADHDの全国的な実態調査に着手をいたしました。
 あわせて、専門家によりますADHD児への教育的対応のあり方について、調査研究協力者会議を設置して検討を開始したところでございまして、本年秋ごろをめどにその報告を取りまとめる予定でございます。
 今後、その報告を踏まえまして必要な施策を講ずることによりまして、ADHD児に対する指導の充実に努めてまいりたいと考えておりますが、御指摘のとおり、私ども、率直に申し上げまして、この問題に対する対応は非常におくれておると思っています。そういう状況の中でございますので、鋭意、今申し上げたような調査研究を通じて、ADHDに対する指導の充実が図られるように努力してまいりたいと考えております。
佐藤(公)委員 大変前向きな答弁、ありがとうございます。これは、だれを責めるわけではございませんが、御両親にしてみれば、政府の対応が後手後手に回っているということで、本当にかなりつらい思いをしているのが事実でございます。今の一連の話を、大臣、また副大臣、聞かれたと思って、それでおわかりになったと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
遠山国務大臣 今の答弁のとおりでございまして、私どもとしては、この問題も非常に重要な問題の一つとして取り組んでいきたいと考えます。
佐藤(公)委員 もう時間もあとわずかしかございませんが、最後になりますか、沖縄高専の件で山口委員からもいろいろと、先々の不安、今までの経緯、経過、いろいろなことが不透明な部分が何かあるのではないかというような御指摘があったかと思いますが、私も、やはり同じように感じます。これに関して、今後、この巨額な建築費、こういったものが政官業という癒着の中で変に使われるのではないか、そんな心配をしていたのは事実でございます。
 そういう中で、今、国会、そして社会全体で鈴木宗男議員のことがいろいろと話題を呼んでいるわけでございます。副大臣、同じ自由民主党としまして、この鈴木宗男議員の、先般二十日の日もそうでございますが、議運におきまして議員辞職勧告決議案に関して否決をされたというよりも、正確に言えば、握りつぶされたというのが正しい表現に思います。
 こういうことに関して、鈴木宗男議員の議員辞職勧告、こういったことを含めて、この疑惑に対すること、もっとも、副大臣は加藤紘一議員と親しかった、また尊敬をしてというよりも、やはり指導を多く受けられたと思いますが、加藤議員が離党されたこともございます、こういったことを受けて、どのように副大臣はお考えになり、お思いになられているのか、御答弁を願えたらありがたいと思います。
岸田副大臣 私も、一人の議員としましてこの一連の出来事を見ておりますときに、まず一つは、政と官との関係、政と官とのあり方、これにつきまして、政の立場からどうあるべきなのか、これは随分考えさせられるところであります。
 そして、もう一つの見方としまして、政治家としてすぐれた政策、見識、これは絶えず磨き、そしてそれを提言していかなければいけないと思っておりますが、その根底にあるのは、何よりも政治家そのものの信頼性だということを改めて痛感しております。
 政治家の信頼性というものの重要性を改めて痛感する、再認識するとともに、ぜひこの信頼性確保に向けて、私も政治家の一人として努力しなければいけませんし、我々政治家一同、一層の努力を積み重ねていかなければいけない、それがあってこそ日本の政治というものが前進していくものだなということを感じております。そのために努力したいと思っております。
佐藤(公)委員 副大臣、今お答えをいただきましたけれども、鈴木宗男議員の議員辞職に関してはいかが思われますか。
岸田副大臣 辞職勧告決議案の取り扱いにつきましては、議院運営委員会、担当の部署におきまして慎重に検討され、結論を出されたものと認識しております。ちょっと私の立場からそれについてどうこうというのは、申し上げるのは適当ではないと存じます。
佐藤(公)委員 私は、岸田先生、同じ広島県ということで、いろいろとおつき合いもさせていただいています。岸田先生の本心は、やはりこういう方々はいなくなってもらいたい、そういう思いかなというふうに私は推測をいたします。
 そういう部分、いろいろと言いたいこともあるんですけれども、もう時間でございますので、あとはまた次の文部科学委員会で議論をさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
河村委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十分開議
河村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。児玉健次君。
児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 この改正案では、四つの国立大学で三年制の医療技術短期大学部を医学部に統合する、四年制の課程で医療技術者の育成を進めることが提起されています。
 これまでこの一連の努力は何年かけて行われてきたか、そして、もしこの改正案が成立するとすれば、医学部への統合がいまだなされていない大学は幾つ残っているか、お答えいただきたい。
遠山国務大臣 医療技術短期大学部の四年制学科への改組・転換の動きは、一番最初に行われましたのが平成八年三月、失礼しました、今のは廃止された時期ですね。四年制学科への転換が最初に着手されましたのは平成五年度のことでございまして、それ以降、逐次各大学で準備の整ったところから転換してまいっているところでございます。
 今回の法律でお認めいただきますと、あと残りが四大学ということでございまして、北海道大学、東北大学、京都大学、熊本大学があと残っております。
児玉委員 そうしますと、これまで十年を経過してきたと。
 それから、患者の立場に立って、しかも高い専門的技能を持って治療に当たる看護婦さん、看護師さんの養成というのは国民的な希望ですが、それぞれの地域には看護婦養成についての地域的な事情がありますから、残っている四つの大学でも、学内と地域での合意が成立したら、諸準備が整ったところから順次統合が進んでいく、このように考えますが、どうですか。
遠山国務大臣 御指摘のとおりでございまして、この医療技術短期大学部を四年制の学科へ移行いたしますには、大事な要素が、一つは教員の確保のことでございます。同時に、もちろん国の財政状況のこともございますけれども、それぞれの大学で準備が十分できたという段階で四年制学科への転換を図っているところでございまして、残りの四校につきましても、その諸般の事情を勘案しながら引き続きこれに取り組んでいく予定でございます。
児玉委員 そのように進めていただきたいと思います。
 そこで、国立学校設置法という法律についてですが、厚生省や通産省なども随分たくさんの研究所を持っています。その省庁に属する諸機関は、それぞれの設置法で一括されているのが通例だと思います。
 戦後、新しい教育改革が進められる。一九四九年に、国立学校設置法は、大学における自治を尊重するという見地から文部省設置法とは別個の法律として成立した、私はそのように承知しておりますが、それでいいですか。
遠山国務大臣 もう委員御存じと思いますけれども、国立学校設置法は、国立学校の設置の根拠並びにその組織及び運営に関する基本的事項について定めているものでございます。
 国立学校が文部科学省の、当時の文部省でございますけれども、設置法とは別の法律によって設置された趣旨といいますのは、戦前は、それぞれの高等教育機関制度が個別の勅令によって根拠が与えられていたという経緯がございます。また、一般的な行政機関であります文部省、今の文部科学省でございますが、本省から一定の距離を置きながら全体として規定するということが適当という判断もあって国立学校設置法が制定されたと理解しているところでございます。
 申すまでもなく、大学におきます教育研究が多様でかつ独創的な発想のもとで活発に行われていきますためには、学問の自由あるいは大学の自治というものは不可欠なものであります。そのことから、特に人事等の取り扱いにつきましては、別に教育公務員特例法が定められているところでございます。
 なお、大学人みずからが大学の社会的責務の重要性を自覚しながら、時代や社会の変化、国民のニーズを的確に受けとめて、その期待にこたえる努力ももちろん必要と考えているところでございます。
児玉委員 今出てきた学問の自由、そして大学の自治の問題ですが、憲法二十三条では、「学問の自由は、これを保障する。」と明記されています。
 学問の自由は、もちろん広くすべての国民に対して保障されなければなりませんが、大学が、学校教育法五十二条で明らかなように、学術の中心でもあることから、大学における学問の自由を保障することがとりわけ重要である、大学における学問の自由を支えるのが大学の自治である。これは最高裁の大法廷判決、一九六三年の五月二十三日に明記されていることです。
 それで、学問の自由、大学の自治の保障は、戦前の高等教育に対する痛切な反省から出発している、私はそのように考えます。と同時に、滝川幸辰事件など、ああいった事件で、大学にあって、学問の自由を守って、文字どおり懸命な努力をなさった先達の努力も踏まえた上で、学問の自由と大学の自治の保障が強調されている。
 御承知のように、戦前の大学にあっては、帝国大学令の一節ですが、国家の須要に応ずる学術技芸の研究を目的、こういうふうにはっきりされていて、強度の官僚統制を受けていた。それであってはならないというのが、憲法二十三条の規定だと思います。
 このことについて、大臣はどのように認識されているか、伺います。
遠山国務大臣 今御指摘のように、大学の自治は憲法二十三条によって保障された学問の自由の精神に由来するものでございまして、大学の自主性を尊重するために歴史的に積み上げられてきた制度、慣行であると考えております。これは何も国立大学に限ったことでございませんで、国公私立を通じて、大学における自律性、自主性、その上にこそすぐれた研究、教育が行われていくということはまさにそのとおりでございまして、そのようなことを前提にいろいろな制度は成り立っていると思うところでございます。
 そして、大学におきます教育研究が、多様かつ独創的な発想のもとで活発に行われますには、こうした学問の自由でありますとか大学の自治というのは不可欠でありますが、同時に、社会のニーズといいますか、大学の社会的な責任の重要性にかんがみて、大学人みずからが、いろいろなその時代の動きあるいは社会の変化、国民のニーズなどを十分に把握して、そのような制度の長所、伝統を生かした上で活発な教育研究活動を行って、我が国及び国際社会に積極的に貢献していくということもまことに重要な役割であると考えております。
児玉委員 今遠山大臣がおっしゃった社会的な責任の重さ、そのことがまた翻って、学問の自由と学園の自治の重要性を喚起していますね。
 私は最近、一九九七年の十一月十一日にユネスコの第二十六回総会で採択された勧告を読む機会がありました。この中でこう言っていますね。学問の自由を掘り崩しかねない性質のよくない政治的圧力によって学術の社会が傷つきやすいことに関心を表明し、ユネスコは関心を表明し、教育及び教育研究への権利は高等教育機関での学問の自由と自治の雰囲気の中でのみ十分に享受することができる。これは、歴史的、伝統的にそのことが重要であるだけでなく、二十世紀の末から二十一世紀にかけて、世界的な見地からしても、高等教育機関での学問の自由と自治の雰囲気、その中で学問が発展することが重要だというふうに指摘していることを、私は、今改めて強調したいと思います。
 そこで、現在の時点において、学問の自由と大学の自治のあり方が鋭く問われている幾つかの問題の中の一つ、それに教員養成大学をめぐる経過、そして現状があると私は思います。教員養成大学の自主的な改革は、教育に対する広い、父母、国民の皆さんの強い期待にこたえる形で進められなければなりません。私は、その点で幾つかの問題を具体的にお聞きしたい。
 まず、いわゆる新課程の問題です、新課程。
 文部省が、一九八六年のことですが、国立の教員養成大学・学部の今後の整備に関する調査研究会議を立ち上げられた。その調査研究会議が八六年の七月二十九日に出した報告、「国立の教員養成大学・学部の今後の整備の方向について」を一読しましたが、その中にこういう具体的な提起があります。「教員養成学部の中に、教員以外の職業分野へも進出することを想定した課程等」、これがいわゆる現在の新課程になっていますね。
 そして、その中身を非常に具体的に提起しています。情報、日本語教員、カウンセラー、社会教育の指導者、福祉関係者などの養成課程、教養、国際関係、地域研究関係等の課程等。これを設置する方向が必要だと報告が提起して、それを受けてわずか半月後に、八月十二日、当時の文部省の大崎高等教育局長がこれを通知で教員養成系大学に発した。これが契機になって新課程が全国の大学・学部で一斉に始まり、そしてこれを加速させたのが、そして拡大させたのが、一九九七年に始まる教員養成系の学生定員五千人の削減でした。これらの経過を見れば、新課程は、文字どおり文部省の主導によって設置されて今日に至っている。
 そこで、私は大臣に伺いたいんですが、国立大学協会に教員養成特別委員会、こういう部会があります。拝見すると、東京学芸大学の学長さんが委員長を務めていらっしゃって、宮城教育大学や東京外語、お茶の水、その他多くの大学関係者がそこに入っている。この国立大学教員養成特別委員会が、昨年の十二月二十六日、もう年末ぎりぎりの十二月二十六日に、文部科学省に対して「「今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方について」に対する意見」というのを提出されています。その中でこう述べていらっしゃる。新課程、そこに学ぶ学生たちの専門志向や満足度は高く、学んだ結果身についた力の自己評価も高いことからも、この新課程の重要性、価値が明らかとなっている、こう評価されています。この評価について、遠山大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
遠山国務大臣 新課程につきましては、今お話しのように、昭和五十年代後半からの教員就職率の低下の現状を踏まえて、昭和六十一年に我が省に、有識者による国立の教員養成大学・学部の今後の整備に関する調査研究会議を設けて、検討いただいて、その報告において、教員養成課程の入学定員の一部を振りかえて他学部等の組織を充実することや、教員養成学部の中に……(児玉委員「経過はもうわかっています」と呼ぶ)よろしいですか。
 そういう経過のもとに置かれまして、その後新課程は整備されてまいっているわけでございますけれども、その後、教員の就職率が一層低下したこともありまして、現在では、教員養成学部の入学定員の約四割を占めるに至っているわけでございます。
 したがいまして、教員養成学部の中に置かれている新課程そのものは、それなりの、今の在り方懇談会の中で述べられたような役割を果たしてまいっていると思います。
 他方で、教員養成学部の専門学部としての目的との関連で、なかなか難しい問題を提起していることも確かでございます。
児玉委員 私がお聞きしているのは、経過やその他でなくて、この教員養成特別委員会が述べている、新課程で学ぶ学生たちに対する評価、そこでの教育内容に対する評価です。
 この特別委員会の方々は、こうも言っている。新課程は設置以降その政策的位置づけに一貫性が感じられない、必要な教員定数や施設設備の整備も不十分なまま今日に至っている。これは個々の大学の責任ではありません、それを設置させた文部科学省の責任だと、私は率直に言いましょう。
 そういう困難の中で新課程に学ぶ学生たちの満足度、そして、そこで学んだ結果身についた力の自己評価も高い、こう述べている点です。この評価について、大臣はどうお考えか。
遠山国務大臣 教員養成学部の中に新課程が整備されるにつきましては、あくまでも各大学におけるそれぞれの検討結果に基づいて対応してまいったわけでございます。
 その中での、新課程のこれまでの果たしてきた役割でありますとか、あるいはそのメリット、あるいは問題点につきましては、この懇談会の中で述べられているとおりだと思います。
児玉委員 この特別委員会で述べていることについてはどうなんですか。
遠山国務大臣 そこで述べられている内容について、基本的には私はそのとおりであると考えます。
児玉委員 私もそう思います。
 そして、それをさらに踏まえて、教員養成特別委員会は新課程についてこうも言っている。大学・学部の機関としての判断や多くの担当教員の判断も、学校教育以外の分野における教育指導者養成、学際的分野、領域の専攻や、地域における生涯学習の拠点として発展させていくことを、教員養成系の方たちでつくっている、そしてその他の大学の方も加わっている教員養成特別委員会は、そのようにすることを文部科学省に対して要望として出していますね。この要望に対して、大臣はどのように受けとめていらっしゃいますか。
遠山国務大臣 懇談会の意見では、再編統合を含めた今後の教員養成学部のあり方についていろいろ示唆をされているわけでございます。
 教員養成特別委員会における議論の内容につきましても、私は、トータルとしてその方向性というのは、現在の教員養成学部の持っている問題点、あるいはこれから行くべき方向性についてを含めて、示唆のある内容であると考えます。
児玉委員 どうも議論がすれ違いますね。
 何しろこの「今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方について」は、昨年の十一月二十二日、大臣も御承知のように、これは文部科学省の一局長のもとでの懇談会が出した報告です。この出した報告が金科玉条であってはならないというのは、今、全国の論議の中で多くの方がその方向で議論をしている。今大臣はいみじくも示唆だと言われたけれども、まさにそれはせいぜいサジェストの程度でしょう。私が言いたいのは、現にこの教員養成系大学で教育の専門家として献身されている方たちの要望をどう受けとめるかの問題なんです。
 そこで、この特別委員会はこう言っている。各大学・学部や地域の実情に応じて、存置充実などの方向性も含め多様な可能性を閉ざしてはならない、そして各大学・学部での議論を積み重ねていく必要があると。この提起に答えるべきじゃありませんか。私は、懇談会の報告書のことを議論しているのではないから、そこははっきり踏まえてください。
遠山国務大臣 国大協の中での御議論を踏まえた上で、在り方懇談会における議論がなされたと思っております。委員構成の中におきましても、各国立大学の意見を反映し得る委員が懇談会の中の委員にもなっておられまして、私としましては、その双方の意見を集約した形の在り方懇の内容というのは、私どものこれからの政策の上で重要な内容を示唆してくれていると思っております。
児玉委員 今あなたがおっしゃったことは重要な問題を含んでいますよ。これが出たのは、去年の十一月二十二日です。十一月二十二日にこれが出て、そして、在り方懇の中にメンバーの重複があるにせよ、出されたこの報告書の内容を検討の上出されたのが、十二月二十六日のこの意見書ですよ。先後関係は逆ではない。これが出されて、その中身を踏まえて国立大学協会教員養成特別委員会の意見が出ているんですから。そこを文部科学大臣はひっくり返してとらえるようでは、事態は全くとんでもないことになりますよ。どうです。
遠山国務大臣 教員養成特別委員会の委員長であります東京学芸大学学長は、懇談会の方の委員でもありまして、この委員会の意見等につきましては懇談会の場で随時紹介されて、報告書をまとめるに当たっては、これらの意見を十分踏まえたものであると考えます。
児玉委員 まだ同じことを繰り返して言っているけれども、岡本靖正東京学芸大学学長は国立大学協会教員養成特別委員会の委員長です。その委員長が、この懇談会の報告書が十一月二十二日に出された後、その内容を検討の上で、十二月二十六日に、新課程についてはそれぞれの大学の「存置充実などの方向性も含め多様な可能性を閉ざすことなく、各大学・学部での議論を積み重ねていく必要がある。」こう述べているんですよ。そこのところを、大臣、しっかり受けとめる必要があるじゃありませんか。どうですか。
遠山国務大臣 こういった議論の起きます背景には、国立の教員養成大学・学部が直面する大きな課題があるということは明確だと思うわけでございます。
 その課題としましては、非常に深刻な近年の少子化の影響を受けて教員養成の卒業生である人の教員就職率が非常に低下していること、あるいは、各教員養成大学・学部が非常に小規模化しまして、教員組織に余裕がなくなって新たないろいろな教育課題に積極的に取り組むことが困難となっていることでありますとか、あるいは、教員養成を目的としないいわゆる新課程の増加によって教員養成学部の専門学部としての性格があいまいになっていることなど、教員養成学部自体が本当に力量ある教員を養成する上で十分な対応ができていないのではないかということから、さまざまな議論をしていただいた上で、再編統合も含めた組織体の充実について提言されているところでございます。
 もちろん、この方向性をもとにして、それぞれの地域での意見でありますとか、教育委員会等関係者の意見も含めて、もちろんそれぞれの大学の関係者の意見も十分に聞きながら、これから共同作業で進めていくというのが私どものスタンスでございます。
児玉委員 そこのところを私は特別に文部科学省としては重視していただきたいと強く求めます。
 それでは、懇談会報告書、初めてこれに触れたいと思うんです。初めてこれに触れたいんだけれども、その十三ページをちょっと、大臣、あけてください。その頭のところに、読んでいて、あれっということが書いてあります。
 教員養成のあり方としてアカデミシャンズという言葉が出てき、エデュケーショニストという言葉が出てきて、その対立があると。難しい言葉で、エデュケーショニストというのを私は手持ちの辞書で引いてみましたら、こう書いてありましたね。普通軽蔑的に教育屋のことを指すと書いてあるんです。政治屋というのがあります。政治家と違って政治屋。エデュケーショニストというのは軽蔑的に教育屋のことを指すそうで、そのことを使ってこういうふうに書かれたのかどうか、私は大いに興味がありますが、要は、ここで、この報告書がアカデミシャン、それとエデュケーショニストの対立に殊さら触れて、そして、あたかもそれが両立しないものであるかのように言う。
 教科の内容を学問的に十分深めることは、なぜ教員としての知識、技能を備えることと対置されなければならないのか。教科の内容を学問的に深めることは、必ず、子供の発達段階に応じて興味、関心を引き出すことに直結しますね。そして、こういう言い方というのは、結局、文部科学省の一部の方がよく口にされる言葉、特化した教員養成という主張、狭い意味での教育実践の偏重と学問の軽視、ひいては閉鎖的な教員養成につながりはしないか、そのことを私は危惧するものです。いかがですか。
遠山国務大臣 このアカデミシャンズとエデュケーショニストとの対立ということが確かに書かれておりますけれども、こういう考えは、特にこの起草者がつくった言葉ではなくて、戦前からも言われていることのようでございます。そして、エデュケーショニストにつきましては、わざわざ括弧をして「(教員としての特別な知識・技能を備えることこそが優れた教員の第一条件と考える人達)」というふうに書いてございまして、今の御疑問に対しては、このペーパーでは答えているのではないかと思います。
 そういった対立があることによって、教員養成学部独特の課題についても、その共通認識あるいは共通の目標を持って努力をするという点において、やや問題もあったのではないか、そのことが教員養成カリキュラムの共通の目的性を欠いて、ややもすると、学生に対する教員教育が教員個々人の裁量にゆだねられているのではないかとの批判につながっているということでございます。今のお話の導入は、そこでの懸念を説明するために用いられたものだと思っているわけでございまして、必ずしも、この書き方自体のことでありますより、やはりそういういろいろな経緯を持った中で、いかに教員養成学部をしっかりした中身としてこれから発展させていくかということに力点が置かれている内容であると私は考えております。
児玉委員 単なる紹介であって、文部科学省としてはこの方向でやろうとしているのではないというのであれば、それは当然のことですよ。
 私がそのことについてあえて言うのは、戦前にあって、師範学校が視野の狭い教師を育てる、教員を育てる、そして教育を国家目的に隷属させていく、そのことが日本の不幸にもつながったわけです。戦後、教育の民主的改革で教員を大学教育全体の中で開放的に育てていく、この原則が今こそ重要である、その点を私は強調したいと思います。
 そこで、最後に、この教員養成特別委員会の文部科学省に対する意見書を繰り返し読ませていただいて、私は次のように考えました。これまで、日本の教育、とりわけ初中等教育にあって、全県に設置されてきた教員養成大学は、文字どおり巨大な支え柱だったと思います。そして、今、団塊世代の教職員がもう幾ばくもなく退職の時期を迎えます。そして、全国的に三十人学級以下の取り組みが、力強く、しかも幅広い広がりを見せています。そういうときだからこそ、教員養成大学が各県に存在している、そのことの重要性はますます重くなるだろう、こう考えます。
 それで、この特別委員会の諸先生たちが、文部科学省に対して次の二点を要望されています。
 その一つ、教員養成系大学の再編統合を機械的に進めてはならない。そして二つ目、再編統合や大学・学部の縮小が、それ自体目的化され、一律に決定されてはならない。私は、これらの諸先生の今後の日本教育に対する使命感が、この二つの要望を出させていると思います。文部科学省はこの要望に対して真剣にこたえていただきたい。どうですか。
遠山国務大臣 私どもも、恐らくこの委員の方々と思いは全く同じでございまして、今、本当の意味で日本の将来の教育を支えてくれる教員を、しっかりした、内実ともに実力を持った人を育てていくにはどうあったらいいかということを根底に置いているわけでございまして、単に機械的に統合再編をするとか、あるいは、これまでのいろいろな努力についての実績でありますとか、地元の意見でありますとか、そういうものについてももちろん重視をしながら、大きな目的に向かって一緒にあるべき方向を探していこうというのが、私どもの考え方でございます。
児玉委員 先ほども大臣のお言葉の中で、共同作業を進めるという言葉がありましたね。私は、一つやはり強く求めておきたいんですが、ある教員養成系大学の予算の面だとか、教官の定員配置の面だとか、時にはその大学の存置も含めて、文部科学省がその大学の生殺与奪の権を握っておいて、そして文部科学省が許容する範囲の中でどうぞ論議を進めてください、こういうものであれば、それはとても共同作業とは言えませんから、そういうことがあってはならないということを強調して、質問を終わります。
 ありがとうございました。
河村委員長 次に、中西績介君。
中西委員 私は、平成十三年六月に文部大臣の大学の構造改革の方針、その1の中に「大学の再編・統合を大胆に進める。」ということになっています。私は、この大胆に進めるということは、メリット、デメリットがあって判断をしたと思うんですけれども、事前のそうした論議が尽くされておると思うんですけれども、この点についてメリットは何なのか。
 そして、特に「国立大学の数の大幅な削減を目指す」ということが指摘されておりますけれども、この点について、今まで単科大学の特性というものが相当重要視されたし、そのことを私たちは認めてきたわけであります。それは、地方に国立大学があるということを含めて、非常に大きな影響があるということも含めて考えておったものですから、こうした点とのかかわり等についてお答えをいただきたいと思います。
遠山国務大臣 日本が人材大国、科学技術創造立国を目指すということは国民の総意であろうかと思いますけれども、その中で国立大学の役割は極めて大きい。これは国費を投入しているわけでございまして、その国立大学自体がどのようになっていくかということは、日本の将来を左右するのに非常に大きな影響があるわけでございます。
 そのようなことから、国立大学が国際競争力のある大学として活性化していく必要があるわけでございます。そうした課題にこたえるために、国立大学に期待されている役割を一層果たす必要がありまして、それぞれの大学の実績を踏まえながら、各大学・学部の枠にとらわれないで、より足腰の強い教育研究基盤をしっかりしたものに展開していく必要があると認識したわけでございます。
 そこで、再編統合ということを第一の方針として取り上げておりますが、それはそれぞれの国立大学の個性と特色を生かした発展、いわばパワーアップにつながるものとして推進しているわけでございまして、単なる数合わせで数を減らしていくということを目標にしているわけではございません。
 具体的に申しますと、教育研究等の高度化、豊富化、あるいは新たな学問分野、学問領域への展開でありますとか、地域貢献、社会貢献機能の充実強化、あるいは人材の流動性などを可能とするような、また、各大学にとって実りのある再編統合でなければならないというのは当然だと思います。
 今御指摘のように、単科大学はずっと、むしろそれぞれの特色を生かしながら設置してきたではないかというお話でございまして、それはまことにそのとおりでございますが、今申しましたように、再編統合というのは大学数の削減自体を目的とするものではなくて、単科大学につきましても、分野の特色あるいは各大学の特徴等に応じて実情が異なっているものでございまして、学際領域への研究の展開、あるいは新分野の開拓、教養教育の充実などメリットが大きいというところから、統合の方向を目指すことが適切であればこれは統合していく、いろいろの検討の末に、引き続き単科大学として特定分野の教育研究を深めるという特色をより生かす道を選択するという場合であれば、それもその一つの方途であるということでございまして、一律に統合を進めるということではございません。
 ただ、その判断の基本には、日本の国立大学の教育研究基盤をしっかりさせて、国際競争力を持つ魅力ある大学にしていくという一点においては、その目標を見誤らないようにしていく必要があると考えているところでございます。
中西委員 その点で、今、世界の国際的な流れというのは、国際的には、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスを初めとし、中国はもちろんでありますけれども、公教育強化の方向に動いておるということを見落としておるのではないかということを特に私は強調したいと思うんです。
 特に、人材あるいは産業育成だとか、地方の文化、教育、社会などなどすべて、活力を与えているのが各県における国立大学の現状ではないか、だからこそ、各県の皆さん、地方の皆さんは、私立を含んで地方に大学をということを要求し、そのことが大きく拡大をされてきたという経過がありますね。このことが否定をされることにつながりかねないと私は思うんです。地方の活性化がない中で国が活力があるなどということは到底言えないわけでありますから、この国力の源泉的な役割を果たしておるというのがやはり地方の皆さんの認識ではないのか、こう考えます。
 ですから、これを、小泉総理だとか、いろいろなところでは、地方と民間にということを言っていますよね。ところが、地方の財政はどうなっているかといいますと、御存じのとおり、分権化が非常におくれておる。財政面については、何一つ手がけていないと言っても過言ではないくらいに国が全部財政を握った上で、そして地方分権ということを言葉では言っておるけれども、財政的裏づけは何もされていないんです。
 そういう中で、今、地方あるいは民間という、民営化という、こういうことが先走っていきますと、むしろ世界の流れに逆行する日本の大学の状況、こういうものが出てくるんではないかと私は思うんですね。今のお答えをお聞きしておってそう感じるんです。この点についてどうお答えいただくか、これが一つ。
 それから二つ目に、この方針の中におきまして、先ほども大臣のお言葉の中にございましたけれども、活力に富み国際競争力のある大学ということを言っておるようでありますけれども、では、国際的には日本の大学はどのような位置づけにあるのか、これを具体的に明らかにしてください。
 それに加えて、その際、国立大学の教員組織、定数、あるいは研究費、施設費、国際比較してどうなっておるかということを明らかにした上で、環境そのものが整っていない中で指摘をすることはできないと思うんですね。
 この前の、昨年のここでも私は申し上げましたけれども、施設がどうなっておるのか、あるいは定数がどうなっておるかということ等については、ここでは詳しく申し上げる時間がございませんから、きょうは省かせていただきますけれども、こうしたことが全部完備され、環境が整備された中で、今ここが足りないじゃないかと言うならまだ話はわかるのだけれども、そういうところは抜きにして、ただ国際競争力が弱いという、この言い方では、抽象的な中身では、私は納得しかねるわけであります。
 したがって、そうしたものを全面的に展開をされた中でどうなのかという総合的な判断をされておると思いますから、この点について御教示いただければと思います。以上です。
工藤政府参考人 初めに、昨年六月のいわゆる構造改革方針で、私どもがメッセージを発しましたことについてのお尋ねでございますけれども、これが我が国の高等教育政策のすべてではございませんし、先生から御指摘ありますように、かねてから、国公私を通じまして、我が国の高等教育に対する公財政支出の充実、欧米諸国と比べてかなり課題があるというのは十分承知しておりまして、その充実が必要であり、そのための努力も私ども微力ながら続けているというのが前提にございます。
 それらのほかの事柄と別にしまして、私どもこういうメッセージを発しましたのは、これまで何回にもわたります大学審議会等の御提言も受けて、例えばそのメッセージで申しますと、平成十年十月の大学審議会の答申では、競争的環境の中で個性輝く大学づくりのために頑張っていきましょうということでございましたし、平成十一年六月の学術審議会の答申では、知的存在感のある国づくりへの貢献のために、大学をもっと政府としても充実しなきゃいけませんし、大学自身の努力を促しているところでございます。
 そういう中で、いろいろ御提言いただいた言葉を別の言葉でちょっと整理し直して三つの事項でメッセージを発したわけでございまして、例えば今、再編統合などでいいますと、大学の数を減らすということが目的ではございませんで、財政事情が非常に困難な中で、それぞれの大学がもっとパワーアップして元気になるために、一つの手段として考えませんかということなのでございます。
 お尋ねのありました、では国際比較で教員数あるいは施設費等々、種々の指標がどうかというのは、なかなか一律には比較できない部分がございますけれども、トータルの公財政支出という観点からしますと、先生も既に御承知のように、欧米諸国に比べて、半分あるいは半分以下というような点もございまして、財政的な充実は大きな課題だと承知してございます。その前提でのいろいろな施策の一環として御理解賜ればと思います。
中西委員 その点だけで、ちょっと論議させてください。
 今言われましたけれども、私は、衆議院調査局文部科学調査室の二月に出しました資料によって言っておるのですよ。
 これを見ますと、例えば四十九ページに、大学(国立大学)の構造改革の方針、平成十三年六月、文部科学省となっていますね。そして、大学の構造改革の方針の中に、「活力に富み国際競争力のある国公私立大学づくりの一環として」と。ですから、これがあったから私は最初に、では国際的にどうなのか比較したものを全部出してくれ、こう言ったのです。
 そして、この中の一点目の、「国立大学の再編・統合を大胆に進める。」という中の大ざっぱに分けた大項目の中に、二番目に「国立大学の数の大幅な削減を目指す」、こう書いてあるから、スクラップ・アンド・ビルドで活性化をすると書いてあるから私は聞いているんです。何も、私がつくって言ったことじゃない。こうしたちゃんと調査室の、これをうそと言うのならいいですよ、ここにはちゃんと出ているから私はお聞きしておるのだから、それに正確に答えてください。
工藤政府参考人 ごらんいただいております資料は、まさにそのとおりでございます。
 ただ、これは短い文章の中でかいつまんで整理したペーパーでございまして、この前提にございます公財政支出の充実を初めとする諸施策の課題、多々あるわけでございまして、そういうこと、さらには、ここで指摘してございます三つの事項につきましても、これまでかねがね大学審議会等関係の審議会でも御議論いただいたことを別の形で再整理して、メッセージとして発したということでありますということを御説明申し上げた次第でございます。
中西委員 国際的な比較を出してください。
工藤政府参考人 大学の教育面の比較というのは、なかなか難しいのでございますけれども、少なくとも、いろいろな評価がございます。
 例えば、先生も御存じのように、スイスの民間の機関が行っておりますIMDの調査によりますと、それぞれの国の大学がそれぞれの国の国際競争力、産業競争力にどれぐらい寄与しているかというそれぞれの自国人に対するアンケートによりますと、なかなか日本のアンケート回答者は日本の大学を評価してくださらないこともありまして、一番下位であるとかいうことがございます。
 ただ、それはかなり主観的な評価でございますので、もっと日本の大学が頑張れというメッセージとも受けとめなきゃいけないし、日本の大学でいろいろ、産学連携等でなお講じなきゃいけない課題があるということは私ども承知しているわけでございます。
 また、他方で、大学の教育面での評価というよりも位置づけを考えますと、あの大学へ行きたいねという求心力というか、吸引力というのがどれぐらいあるかというのも一つの物差しなのではないかと思います。そうしますと、どこの国からというのは別にしまして、近年、日本の大学にも大変外国の留学生の方がふえているという状況も一つの参考になろうかと思いますが、一律には比較できないのですけれども、欧米諸国に伍しながら、日本の大学もそれぞれに頑張っているのかなと思っているところでございます。
 また、研究面につきましては、幾つかの評価の指標がございますが、単にノーベル賞だけではございませんで、分野によりましては日本の大学あるいは研究者も相当に頑張っているという指標があるわけでございますが、トータルで、じゃ、どこがどう順位づけというわけには必ずしもいかない部分がございます。
 昨年六月のこのメッセージは、そういう教育面、研究面あるいは技術移転等の社会貢献も含めた大学の機能について、せっかくそれぞれの大学で頑張っている面とまだ課題がある部分はございますけれども、少なくとも、多くの国民の方々に支持され、さらに学生とか研究者、教職員にも元気が出るような形でもっと活性化を図りたい、そういう意味でのメッセージでございまして、個々に順番づけしてどうのこうのというわけではございませんで、いずれにしましても、それぞれの大学の持ち味を生かしながら、教育面、研究面等々、それぞれの機能でもっと日本の大学が生き生きしたものになりますように願ってのものでございます。
中西委員 よくわからないのですね。
 ですから、例えば、その大学の学生数、学部、いろいろあるでしょうから、そこにおける定数がどのようになっているかというのは、これは比較できると思うんですよね、やろうと思えば。やらないだけじゃないのですか。そしてさらに、研究費なり、そのために今度は施設が必要ですから、施設はどのようになっておる、そういうようなものも含みまして、例えば旧帝国大学の場合、見ていただくとわかるように、第一、研究室でできるというところはもうなくなっちゃっているんじゃないですか。研究室からみんな出ちゃって、廊下でやり、廊下が足りなくなってプレハブを建ててやるというようなところまでいっていると思うんだよな。
 ですから、そういうことが国際的に環境としてどういう位置づけにされておるかということを見ていかないと、ただ単に国際競争力ということだけを取り上げて、これにたえ得る、特にこの中の一番最後にあるように、本当に驚くのですけれども、例えば国公私トップ三十を世界最高水準に育成するという、こういうところがだっとあるわけですよ。そのためには何をしなくちゃならぬかということを先に言わなくちゃだめだと僕は言っているんですね。それなしに要求することが私はどだい無理だというんです。
 ですから、かつて有馬元文部大臣が東大におられる時分に、理学部の教授がどういう状況にあるかというものを学校で評価していますよね。外国の有名な学者の皆さんを連ねて、学内と両方でそうした結果が、半数以上の理学部の教授は国際的に一流だということがはっきりしたということを言ったじゃないですか。そのことを知らぬとは言わせませんよ。
 だのに、じゃ、世界的な体制まで持ち上がっているかというと、まだまだ足りないということを言う人もいます。ただ、理学系統だとかいろいろなところについては、世界で比肩して、だめだという見方はされていないということを言われていますけれどもね。
 ですから、そうした点をもうちょっと、審議をした例えば、これをやったところは大学審議会ですか、ということになれば、大学審議会の皆さんが何を素材にしてどのように審議したかというのを出してください。そうしなきゃ、私たちは、今ここでこうすることがより正しいなどということは、審議会の諸君が言ったからといって私は納得できぬ。その中身をちゃんと出していただいて、諸外国と比べて、例えば悪い環境の中でこれだけやっているというならまだしも、そういうことが全くわからずにトップレベル三十を持っていくなどという、こんな簡単に、ただ数さえ出せばその場逃れができるなどという大学改革などということは絶対やってはいけないと私は言うんですね。
 大体、日本のやり方というのはみんなそうですよ。省庁の改編問題についても、先に数が決まっているんですよ、これで私たちは大論議したのですから。そうでなくて、省庁というのは大体何なのかということから始めていかぬと数が決まるわけないじゃないかと言うけれども、時間がないと言って省庁の数を先に決めて、箱を決めてしまったでしょう。それが今やられている省庁改革じゃないですか。行政改革の根本的な誤りはそこにあるんです。
 ですから、やはりこうした問題を本当に私たちの納得できる、今の大学が置かれておる環境は世界のどこら辺に今位置づけられておる、そういう中で皆さんが努力してやった結果が、今あなたが言われるように、何を基準にして評価するかというものをみんなに公開をしてもらって、それによってこうしてやりましたというものを出してもらわぬとだめですよ。
 そうしないと、私たちがやはり本当にまともに論議しようとしたって、ここはなぜ私はこのことをやかましく言うかというと、このことによって予算が決まるんですね。そして、今度追及すると、少ない予算の中でやるからこの程度で我慢してくれ、こうなるんですよ。ですから、予算がないのだから日本の大学のレベルというのはこれだけしか行けませんということを言わなきゃいかぬ、むしろ逆に。そして、人材養成、世界に引けをとらない日本の大学教育なんだ、こういうふうに持っていかなきゃ、僕は基盤の置き方が非常にあいまいだと言うんです。それによって、言葉は盛んに、さっきも大臣の答弁の中にもありましたように、じゃ、本当にそうなっていっておるか。
 だから、私たちから見ると、単科大学をつくったときのあれからし、それから地方の要求からすると、そこに大学が欲しい、そのことによって地方を活性化するという意欲がみんなあるのですよね。
 ですから、例えば、我々が調査に行ったときに、福島なら福島に行きます。そうすると、福島大学の、行政を中心にして、地方の公務員を育成するための大学の大きな改革を今していますと、それならわかるのです。そうすると、それは物すごい目標を持ってやっているというのがわかるのです。
 ところが、そういうものが本当に今各大学から出てきているかどうか。こういうこともあわせて我々、総合的な判断をしていかないと、これで簡単に、今あなたが、それは簡単に文書をあらわしたから誤解だと言わんばかりのことを工藤局長は言われましたけれども、参考人言われましたけれども、しかし、少なくとも、わかりやすくするために書かれたのがこれです、特徴的なものをね。ということになりますと、ここいらを私たちが理解するということになれば、その裏づけになるものをちゃんと出してくださいと。それは今出せますか。出せなければ、これは後になってでも結構だけれども、そのときまた改めて討論をしなくてはなりません。
遠山国務大臣 中西委員の御心配の件、本当によく理解できますが、実は、日本の大学の国際的競争力を増そうということは、これは大学人の心ある方々の一致した考えでございまして、そういう考えの背後には、それぞれの点についての国際的な比較が十分なされた上での目標であると思います。
 国際比較という話でございますが、いろいろな視点があると思います。先ほどIMDというスイスの研究所の結果をちょっと報告してくれましたけれども、そのほかにも、大学の国際競争力という場合にいろいろな要素があると私は思います。
 一つは、委員もおっしゃいましたけれども、それぞれの国のGDPに対する高等教育への公財政支出の割合の点がございます。これで言えば、例えばアメリカは一・〇七%であるのに日本は〇・四三%。その他の国々は時間の関係で言いませんけれども、そうしたバックもあります。
 それから、研究費の面ではどうかということにつきましては、科学研究費は最近かなりふえてまいっておりますけれども、その他のいろいろな各省庁が持っている経費がうまく使えるかどうか等も含めて、研究費の面。
 それから人材の面。日本の、五〇%に近い進学率を持っている国が抱えている国の大学、特に国立大学においての教員の学生に対する比率の問題、職員の問題、さまざまにございます。
 それからキャンパスの問題、研究室の広さの問題、設備の問題。そういったそれぞれのところで、それぞれの責任者が十分に現状の問題点について認識をした上で、このままではだめだということで、今、新しく目標にして、国際的な競争力を持つ大学をということでなっているということは御認識をいただきたいと思います。
 そのほかに、大学のシステムの問題、教員の、例えば、任期制がとられているか、昇任の方法はどうであるのか、外国人の教員の比率はどうであるのか、さまざまございます。
 それらについてここで詳細に国際比較をするだけのいとまはございませんけれども、それぞれの専門家が知恵を絞って、今どういう方向に日本の大学を持っていこうとしているかについては論議をした上での今日の政策につながっているということだけは御理解をいただきたいと思っております。
中西委員 だから、私たちは素人ですから、素人がわかるそうした資料なりなんなりをそろえて、こうしたときには、例えば少なくとも調査室がこうした資料を私たちに示していただけるなら、そうした問題、数字的なものから全部出していただくといいのですよ。
 今、日本の例えば地方大学、それから国立、旧帝大あたりの状況と、他国々の、国公立を強化しようと目指しておる国々と対比していただいて、そうしたことがやはり完備しないと、今言うように、今の中で何をすべきかということだけに終わって、日本の大学を改革するなどということにならぬですよ、それは。そこが問題だということを私は指摘しておりますので、このことでとうとう時間が来てしまいよるのですけれども、これで私はここでは打ちどめにしますけれども、そうした問題について、将来ちゃんと私たちが納得できる資料というものを整えて、素人が見てわかる資料ですよ、それを示していただきたいというのを要望して、この件をここできょうは打ち切ります。
 二つ目ですが、一つは、先ほどちょっと地方分権、もう途中全部すっ飛ばしまして山梨大学の問題で、名称問題ですね。
 地元は、三学部の総合大学、山梨総合大学ということを要求したらしいけれども、文部省は、いや山梨大学だ、こう言ったというわけですね。ですから、今盛んに、大学の自主的判断にゆだねるようにという姿勢が必要だということを言われておるときに、文科省の姿勢が今端的に、逆に問われておるのではないかということを私は危惧します。
 このこと一つとって、例として挙げていきますけれども、この点は、何で山梨総合大学ではいけないのか、この点を明らかにしてください。
 それから、もう時間がありませんからもう一つだけ。
 大事なところですが、さっき民主党の方が討論されておりました問題として、沖縄高等専門学校設置予定地の問題が論議されていました。この点で、大田知事時代からこの問題については、沖縄高等専門学校を設置してほしいという要求はずっと絶えずやられておりました。しかし、結果的には、さっきの方の討論の過程の中でも明らかになっておりますように、これを見てもわかるように、私たちは先般、基地反対のための、辺野古に行って、具体的な調査をしてまいりました。三日間にわたって、二回にわたって私たちは行きましたけれども、その際に、辺野古のヘリポートの基地のあるその地域の、飛行機の飛び立つその先には保養地がいっぱいあって、あそこの収入源になっているところなのですよ。それで、しかも自然を壊さなくてはならぬということが行われるところなのです。ですから、私たち、これは反対と言っているのですね。
 ところが、反対をしておるこういうものとセットにして、この問題を今度は辺野古にと、こういうことが行われたのではないかと危惧されるようなこの辺野古の高等専門学校、このあり方については、私たちは先ほどの方と同様に疑問を持っておるし、問題があるということをここで提起しなくてはならぬと思っています。これは質問要旨の中に入っていませんでしたけれども、先ほどあの討論を聞いておりまして、特にそのことを感じました。
 この点についてどうお答えになるのか、それによって私たちの態度を決定したいと思います。
 以上です。
岸田副大臣 まず、山梨大学、新しい大学の名称についてでありますが、名称につきましては、両大学におきましてさまざまな可能性が検討されたと承知しております。そして名称につきましても、山梨総合大学という例を挙げられましたが、それ以外にも、甲州大学ですとか甲斐大学ですとか、さまざまな案が出たと聞いております。
 そして、名称につきましては、国立大学の名称は原則として都道府県名を用いることとしていること、また、新大学は教育人間科学部、医学部、工学部により構成されておりますので、総合大学という名称とすることはどうかというような議論も行われ、また将来的に見た場合も、山梨県に立地する国立大学として適切な名称とする必要があるがどうだろうかというような議論が行われ、そして両大学において議論が行われ、そして両大学とも相談した上で山梨大学という名称にしたものでございます。
 それから、二つ目の御質問でありますが、沖縄高専、こうした場所に立地されることにつきましては、地元の要望、県としましても、県知事から正式に辺野古地区をという要請があったわけでありますが、その前段階、地元におきまして、名護市におきましても、選定委員会等において二年間も議論を行い、そして熟考されてきたというふうに聞いております。そして、二年間の熟考の上に立って誘致促進期成会等も結成され、そうした動きの中で、県としても国に要望し、そして現在の場所に決定したということでありますので、まず、基本はその地元の要望というものがあったというふうに認識しております。
中西委員 私は、山梨のその問題につきましても、大学同士で話をして決めたということは聞いておりません。文部省の指導の中でこれが変更され、総合大学がなくなって山梨大学になった、こういうふうに聞いたものですから私は指摘をしたということが一つ。
 それから、二つ目の問題ですが、辺野古問題については、先ほどからいろいろございますけれども、少なくとも、私たちが基地問題を考えるときに、辺野古にこうした高等専門学校をつくることがいかがなものかというのがあるんです。基地問題に私たちは反対していますから、これらが全部片づいて、そうしたことでないという条件の中でやるならまた別です。
 ですから、私たちは、沖縄にこの高等専門学校を設置してほしいという要求は随分前から出されておりますから、このことについて私は反対しているわけじゃありません。辺野古という特定の地域にされることについて私たちは納得できかねるということを申し上げておりますので、その点で御理解をいただきたいと存じます。
 以上です。
河村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、国立学校設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
河村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、鈴木恒夫君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。平野博文君。
平野委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一 沖縄高等専門学校の設置予定地は、米軍基地(弾薬庫、演習地)に隣接しているのみならず、海上ヘリポートの建設予定候補地に隣接していることもあり、教育環境に影響が及ぶことが懸念される面もないとはいえないが、沖縄県という特殊事情も勘案すると、学校建設及び運営については学生の安全を第一に、万全の配慮をしつつ計画を進めること。
以上であります。
 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 以上です。
河村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。遠山文部科学大臣。
遠山国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
河村委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
河村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十五分散会


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