衆議院

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第7号 平成16年3月23日(火曜日)

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平成十六年三月二十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 池坊 保子君

   理事 青山  丘君 理事 伊藤信太郎君

   理事 遠藤 利明君 理事 渡海紀三朗君

   理事 川内 博史君 理事 平野 博文君

   理事 牧  義夫君 理事 斉藤 鉄夫君

      今津  寛君    宇野  治君

      江崎 鐵磨君    小渕 優子君

      奥野 信亮君    上川 陽子君

      城内  実君    岸田 文雄君

      倉田 雅年君    小西  理君

      近藤 基彦君    佐藤  勉君

      桜井 郁三君    鈴木 恒夫君

      田村 憲久君    西村 明宏君

      馳   浩君    古川 禎久君

      山際大志郎君    加藤 尚彦君

      城井  崇君    小林千代美君

      古賀 一成君    須藤  浩君

      高井 美穂君    土肥 隆一君

      鳩山由紀夫君    肥田美代子君

      牧野 聖修君    松本 大輔君

      笠  浩史君    富田 茂之君

      石井 郁子君    横光 克彦君

    …………………………………

   国務大臣         茂木 敏充君

   文部科学大臣政務官    田村 憲久君

   文部科学大臣政務官    馳   浩君

   政府参考人

   (日本学術会議事務局長) 吉田 正嗣君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            石川  明君

   参考人

   (日本学術会議会長)   黒川  清君

   文部科学委員会専門員   崎谷 康文君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     倉田 雅年君

  加藤 紘一君     佐藤  勉君

  鈴木 恒夫君     桜井 郁三君

  田村 憲久君     小西  理君

同日

 辞任         補欠選任

  倉田 雅年君     小渕 優子君

  小西  理君     田村 憲久君

  佐藤  勉君     加藤 紘一君

  桜井 郁三君     鈴木 恒夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本学術会議法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

池坊委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、日本学術会議法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本学術会議会長黒川清君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として日本学術会議事務局長吉田正嗣君及び文部科学省研究振興局長石川明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笠浩史君。

笠委員 おはようございます。

 黒川会長におかれましては、先週に引き続きまして本日も当委員会の方においでいただき、まことにありがとうございます。

 先週も、我が党の鳩山委員ほか、この学術会議に関しましての活発な質疑、議論というものが行われたわけでございますけれども、また私も本日トップバッターとしてしっかりと質問をさせていただきたいと思いますので、茂木大臣、黒川会長、よろしくお願いいたします。

 先週の議論の中でも、そもそも国民の多くが日本学術会議というものの存在を知らない、何をやっているのかがわからない、そうしたところが問題ではないか。先週、黒川会長が一生懸命に、今、学術会議はこうやって頑張っているんだというお話をされました。そもそも、そういうところからこの委員会でやらなければいけないということが問題ではないか。

 私自身、先週、ある民放のドラマで「白い巨塔」という、これが最終回を迎えて三二・一%というすばらしい視聴率で終えたわけですけれども、この山崎豊子さんの原作の中で、「続白い巨塔」の中で、これはドラマとはちょっと違うのですが、主人公の財前五郎教授が必死になって、最後、この学術会議の会員になるために、もうお金は配るわ、学会挙げてやっていくというので、私、実は、ああ、こういう学術会議というものがあるんだなということだけが、私もそれで知っているぐらいで、ほとんどどういう活動をしているのかがわからないというような状況でございました。

 それで、先般、黒川会長も、これまでの実績を一生懸命説明されている中で、PR不足であるというようなことを答弁の中でお述べになられました。その中でちょっと気になることがあったのですけれども、科学担当の記者に対してプレスリリースをするけれども、もっと社会部記者や政治部記者にもリリースをすればよかったというようなことをおっしゃったのですが、私、昨年の選挙で当選してきたのですが、それまで長くテレビ局で政治部の記者をやっておりました。しかし、これはプレスリリースするしないの問題じゃなくて、国民的に関心の大きいテーマであれば、黙っていても記者は取材するのです。ですから、どこに仮にプレスリリースをしたとしても、扱いというのは、これはやはり国民が関心があるのかどうか、それがニュースなのかどうか、そこでマスコミというものは取り上げるものではないかと考えているわけです。

 したがって、やはり今考えないといけないのは、ちょうどこの改正案を二月に政府が提出した、そのときの新聞を見ても、全国紙はほとんどべた記事といって数行書いてあるだけの、一部、会長のインタビューなんか掲載されていた新聞もございましたけれども、ほとんどがそういう扱いでしかないというところに根本的な問題があるのではないかと思っております。

 そこで、まず最初に、茂木大臣と黒川会長それぞれに、そもそも、なぜこんなにも歴史があって、そして優秀な科学者の方々が集まってさまざまな活動をなされているにもかかわらず、こんなに国民に認知をされていないのか、その最大の原因というものをどう考えられているのかということをお伺いさせていただきます。

茂木国務大臣 笠委員とは、今まで取材される側、する側という立場が、今度は質問する側と答弁という側に変わったわけでありますけれども、今後ともよろしくお願いいたします。

 「白い巨塔」の浪速大学の姿というのは、今の大学とは若干私はずれているところがあるのではないかな。ただ、ああいった姿を見ながら、やはり欧米の大学と比べて、私は、大学にしてもまだまだ、本当に優秀な人材がきちんと優秀な研究をして、そこに資金がつく、こういう形から見ると、いろいろ改善すべき点も多いんじゃないかな、そんなふうに考えております。

 それから、この日本学術会議、やはり一般の国民の皆さんから見て知られていない、これはまだ確かな姿なんだと思います。

 そこの中で、例えば、一般の社会に対するコミュニケーションについても、確かに科学部だけじゃなくて、政治部や社会部と。これは笠記者のような優秀な方だったら、非常にいい記事だったらどこであろうが取り上げるというところはあると思うのですけれども、一般的には、私は、そういう努力というか、今まで科学にしか目が向いてなかったのが、もう少し幅広く物を見る、こういうことも必要になって求められてくるのではないかなと思っております。

 要するに一言で言えば、本来果たすべき機能をさらに果たしていく、こういうことであって、機能といいますと、一つは、政府に対する政策提言の機能、それから二つ目に、科学者間の連絡調整機能、そして三つ目に、社会に対するコミュニケーションの機能。今回の改革では、本来学術会議が果たすべき機能をより果たしやすいような環境を整えた、こういうことでありまして、まさにこれは必要条件であって、十分条件の方は日本学術会議の方でこれからさらに努力をして果たしていただくということではないかなと考えております。

黒川参考人 御質問のところは先日申したとおりでありますけれども、例えば、毎月のようにプレスリリースをしておりまして、科学担当の記者が参ります。しかし、先日の御質問にありましたように、中国の遺棄化学兵器のようなものはもうちょっと戦略的にやるべきだったのではないかとは思っています。しかし、記者には、それぞれの報告書には非常に大事なものもあるので、それについてはさらにその担当した委員長に個別にアポイントメントをとって取材するようにと言っているにもかかわらず、した形跡がないというのが一つであります。それは繰り返し言っております。

 それから、新聞に出たときに、そういうような報告書を全体としてとるかどうかは新聞の編集長の問題でありまして、しょせんはサラリーマンなんじゃないのかということを私はしょっちゅう言っておりますけれども、その新聞の中でのそういうものについての判断基準が非常に甘いと私は思っています。そういうことが一つであります。

 それから、先日、日本からいろいろ科学ジャーナルを出すべきかというシンポジウムをやりまして、これは「サイエンス」の方に、多分先々週取材がありまして、それをちょっと取材して出してあります。ところが、日本のジャーナリストの方はそれを取材した形跡が余りないというのがもう一つであります。

 それから、去年、科学者の不正行為ということについて、いろいろな今国際的にも問題になっておりますので、それについても報告書を出したところですが、それもプレスリリースをいたしました。日本では朝日新聞がちょっと後で書いてくれましたけれども、もう一つ出してくれたのは、やはり「サイエンス」が日本の学術会議がそういうのを出しているよという報告を出してくれました。したがって、記者の方のやはり価値観の問題もあるのではないかと思います。

 それから、先日ここでヒアリングさせていただきましたが、あのときも実は「ネーチャー」の記者が取材に来ておりまして、恐らく今週の「ネーチャー」の記事にあのやりとり、茂木大臣と鳩山先生のやりとりなどについて私のところに幾つか質問が来ましたので、もちろん書いた内容は教えてくれませんけれども、こういうことを言ったのは正しいかというような話は言ってきましたので、そういう意味では広報戦略が非常に大事で、したといっても、今度は受ける方がそれについてどのぐらい価値があるかというのが大事なんじゃないかと思っております。

 そういう意味では、私は外国が長いせいもありますけれども、学というものの言葉が、十年前ぐらいまでは政産官のトライアングルと言われていたぐらいに、学は人材を提供するところとしか考えられなかったのではないかということをしょっちゅう書いておりますけれども、そのように認識しています。

笠委員 今、記者のとらえる側、受ける側の価値観、それがさまざまあるという中で、恐らくは今のマスメディアに対する若干の日ごろの不満も漏らされたのかなと受け取っているところでございますけれども、やはり基本的に考えないといけないことは、例えば記者というのも、何か起こったときに、日本学術会議がどう考えるんだろう、ここがどういう緊急提言を出すんだろうというような、国民的な関心が日ごろから高いものであれば、これはやはり取材をするわけです。

 そこのところ、まさにこれが根本的な問題になっていると思うんですけれども、常日ごろのいろいろインターネット等を通じた広報戦略、これは確かに大事であると思います。しかし、その本質的な部分についてこれからどうやっていくのかというところを考えなければ、一部興味のある、あるいは専門的な分野を担当している記者以外、マスコミ以外にはなかなか取り上げてもらえない。しかし、それがどうやったらこれから変わっていくのか、そういうふうなことを頭に置いて、これからちょっと前向きな質問をさせていただきたいと思うんです。

 私も、この二十一世紀を展望していく中で、まさに高度情報化社会がますます進んでいく、そして地球規模の、恐らくは日本だけではなかなか解決のできないようなテーマというものについて、また学者の方々が、アカデミーの方々がそれぞれ連携してどうやって対処をしていくのか、その存在というものが今まで以上に求められてくる時代であるのかなと考えているわけでございます。

 そこで、科学技術創造立国、日本にふさわしいアカデミーというものを今まさにこれから創設していかなければいけないのではないかと私は考えておるわけでございますけれども、今、学術会議をどうするか。これが改革してすばらしいものになれば一番いいでしょう。しかし、その枠にとらわれずに本当に広く国民に認知をされるようなアカデミーというものの創設、これが必要なのかどうか、それについて大臣並びに黒川会長に一言お伺いをいたします。

茂木国務大臣 科学技術創造立国を本当につくっていく意味で、委員御指摘のように、科学アカデミーのあり方、これが問われることになってくるんだと思います。そういった中で、御案内のとおり欧米のアカデミーと日本のアカデミー、違いもあるようであります。例えば栄誉機能であったりとか資源配分機能を持っていないとか、そういう起こりの違い等々もあります。ですから、そのまま欧米のアカデミーがいいんだ、だからそのとおりにしようというのも、なかなか現状を踏まえると成り立たない部分があるんじゃないかなと思っております。

 ですから、今回の改革法におきましては、少なくとも、先ほど申し上げましたような、日本のアカデミーとして、学術会議として本来果たすべき三つの機能をしっかり果たせるように、こういうことでの改革案を提示させていただいておりますが、やはり私はこれで改革が終わるものじゃないと思っております。将来の理想的な姿としてやはりもう少し独立した機関に、ただ、幾つかの障害があるわけでありまして、そういったことも含めて十年以内に見直しを図っていく、こういうことも総合科学技術会議の提言の中には盛り込んでおる、このように承知をいたしております。

黒川参考人 どうもありがとうございます。

 実は、先生おっしゃるとおりでありまして、現在、先日も申し上げましたように、これから二十一世紀は地球的な規模の問題が山積しております。

 一つは人口問題です。六十三億人いて、そのうちの八割が開発途上国あるいは未開発国に住んでいるという状況があるということが一つ。それから二番目には、人口がふえていますので環境問題が方々で起こっておりますし、グローバルウオーミングも同じでありますけれども、そのような問題が二つ。三つ目は、情報時代と南北格差がありますので、ますます南北格差の、きのうのイスラエルの問題もそうですけれども、非常にこれが大きな問題になっていて、これは、一つの国の政治あるいは企業というレベルでは解決できない問題がたくさんあるのは当たり前というか、今までとは違ったあり方になっております。

 そこで、これは数年、先日も申し上げましたように、世界のアカデミーの、科学者のコミュニティーの連合体がどんどん今でき上がって、そこの機能を強化しようというのが動いております。その成果の一つが先日申し上げた国連での最初の私どものレポートでありまして、南北の格差をいかに少なくしようか、「インベンティング・ア・ベター・フューチャー」というのを出しておりまして、これは国連の方からも、いかにここに書いたことを少しでも実際の政策に提言してほしいという話が、またきのうもメールで来ておりましたけれども、これは日本の学術会議、あるいはアメリカのナショナルアカデミー、それとイギリスのロイヤルソサエティーなどが中心的な役割をしております。

 それからもう一つは、日本はアジアではどうかということを考えれば、当然、政治と企業だけでは解決できない問題がたくさん、環境問題があるわけで、我々が中心になってつくってきたアジア学術会議が今度また提言を出しますけれども、これは、アジアがこれから必ず成長してくるときに、環境問題、お互いの協調、それから、より環境を保全しながら成長していくのにはどうしたらいいかというテーマで五年間、今やっております。このようなことも、当然、総合科学技術会議がやる仕事ではなくて、日本の学のコミュニティーがまとまった形でやるべき仕事だということが非常に今認識されてきているということであります。

 そういう意味では、この間お示ししましたような「エネルギーと環境」のような科学者からの国際シンポジウム、毎年、これは四年続けてやっておりますけれども、そういう意味では、確かに外の枠組みからどんどんそういうふうに世界じゅうが変わってきて、世界じゅうのアカデミーが、実は個人の科学者の意見ではなくて科学者の意見総体としてどういう取り組みをしようかというのが、一つの国だけでは十分ではないということで今ネットワークができているところで、そういう意味では、学術会議の機能は非常に今注目されておりまして、かなりよく知られた存在になってきております。

 そういう意味では、国内にどのようにこれをしていくかというのが我々の責務でありまして、現在、今度、学術会議の会員、元会員すべてが一年に何回かそれぞれの地域の小学校、中学校の教育に参加するとか、社会のいわゆるコミュニティーサービスのような教育とかいろいろなことに参加しようという提言をして、企業のリーダーとも手を組んでそういうことをやっていきたいということを提言しようと思っておりますし、プログラムを今つくっている最中であります。

 そのほかにもう一つ、アメリカのナショナル・リサーチ・カウンシルというのはアメリカではアカデミーでありますけれども、それと今度共同プロジェクトを、国の二国間協議が今されているところですけれども、それと並行して、安全と安心についての幾つかのテーマを取り上げて共同研究して発表していこうというプログラムを現在今やっているところでありますので、そういう意味では、はるかにこれから学術会議の責任も重くなってくるし、科学者コミュニティー全体がどのようなアウトプットを国民に向けて発信するかという方策も、十分考えなくてはいけないと認識しております。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

笠委員 今大臣が、まさに先般の質疑の中でも出たわけですけれども、十年以内にまた一歩進めた形での、理想形に近い形というものがどういうものか、これを検討していくんだということを改めておっしゃったわけですけれども、この十年というのが非常にくせ者でありまして、大体この手のものが出るときには必ず、何の根拠かわかりませんけれども、十年とか五年とか。

 しかし、私は、今回これが第一弾の改革である、そこはそれでよしとして、せめて、十年後には独立した機関としてしっかりと位置づけをするんだというくらいの青写真というものは示した上で、そこへ向けて具体的にどういうふうな形で今後この組織のあり方を持っていくのか、検討していくのか。やはりそれくらいのものを今示していないと、私、今回学術会議というものを勉強しまして、何か常にその存在のあり方についてばかり一面でやっている。問われている。それは、やはり改革のたびに、ある種の不要論というものがどうしても常に一方で出てくる。そういう存在であること自体に問題があるわけですから、一歩やはり踏み込んだ形で、十年以内となっていますけれども、せめて来年くらいには、こういう形が政府としてもやはりアカデミーの位置づけとして理想的なんだという青写真くらいは示していかないといけないというようなお考えはないでしょうか。

茂木国務大臣 望ましい姿としては委員御指摘のとおりなんだと思っております。

 ただ、私は、次回の改革といいますか、最終的な姿を決定していただくのは、政府というよりむしろ、これから科学者の方々、そのコミュニティーの方々がより主体になってほしいなと。そして、これからまさに改革を進める中で、本当に理想とする姿、こういうものはどういうものか。これは政府が、言ってみると、押しつけると言うとあれですけれども、こういう姿にしなさいというのよりも、科学者みずからが自分たちのアカデミーをこういう方向に持っていく、その結果として独立した機関が生まれてくる、こういうことが望ましいのではないかなと思っております。

 もちろん、今、科学者コミュニティーに対する社会、国民の見方、それからまた認知度、そういう問題もあります。同時に、税制上の問題、寄附行為の問題等々もあるわけでありまして、そういった問題をクリアしていく必要があるわけでありますけれども、そういった中で改革を経ながら、科学者みずからが自分たちの理想形を定める、こういう姿に持っていければと思っております。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

笠委員 私、おっしゃるとおりだと思うんですよ。政府が一方的に押しつけるものではないと。

 ただ、例えば、今黒川会長を中心に学術会議の方々が、どういうふうな形があるべき姿なのかということを常日ごろ一生懸命に議論されている。しかし、先ほど、例えば欧米のアカデミーについては、日本の場合はそれぞれの機能というものが分散していて、例えば栄誉顕彰機能については学士院、助成機能というか援助機能というのは日本学術振興会、あるいは文部科学省にそのほかの審議会等々もあるわけです。こういったものをまとめてやったっていいんだ、枠を何もはめるわけじゃない、学術会議の前提にとらわれずにしっかりと考えてくれ、一大アカデミーを形成するんだ、やはりそういうぐらいの方針というものは示さないと、現場の方々も、どうしても一つの学術会議という枠の中でだけ考えると、これは限界があるのではないかと私は思っております。

 私自身は、なぜこれが、例えば学士院、そうしたものがそれぞれに分かれて独立をしている、これを一緒にした方が、やはり国民から見ても広く認知をされるような形のアカデミーといったものになるのではないかなと思っているわけですけれども、その点については大臣はどのようにお考えでしょうか。

茂木国務大臣 将来の姿を考えるに当たっては、私はゼロベースで考えていいのではないかなと思っておりまして、今三つの機関があるから、これは絶対残さなくてはいけない、そういう中でも、例えば学士院、それから学術会議、そういったものを必ずしも、全部残すという前提で考えるんだったら大きな改革はできない、そういうふうに思っております。

 現在、それぞれの機関が役割分担の中で機能を果たしているのは確かでありまして、今後はまず、今回の改革では、それぞれ三つの機関の連携を強化することによってきちんとした機能が果たせるようにしていきたい、こんなふうに考えております。繰り返しになりますが、将来の姿を考える上で、必ずしもこの三つを前提として検討しなければならない、こういうことではないと私は考えております。

笠委員 大変心強いお言葉をいただきました。大臣はやはり内閣府の大臣ですから、内閣府といえば、まさに政府のかなめでございます。

 ですから、これまでのやはり縦割り行政、いろいろとそういったものでの難しさもあると思います。けれども、リーダーシップを発揮されて、文部科学大臣等々関係省庁の大臣としっかりと話し合いをして、この日本のアカデミーというものを将来どういう方向に持っていくのか、何かそういうメッセージをぜひ出していただくべく努力をしていただきたい、そのようにお願いを申し上げたいと思います。

 さて、今回の法案、改正案について幾つか具体的にちょっとお伺いをしたいんですけれども、先ほど大臣が、学術会議は三つの機能があるんだと。その中でも、私は、社会全体に対してのコミュニケーション、この機能の部分が十分に発揮されるかどうかということが、この三つの機能すべて大事ではございますけれども、最大のポイントになるのかなと考えているわけでございます。

 こうしたことを念頭に、この改正案というもの、改正というものが果たして十分であるのかどうか、その点について幾つかお伺いをしたいんです。

 まずは、会員の選考の問題なんですけれども、これは今までのいろいろと学会を代表してとか、そういう、ともすると閉鎖的になりがちな会員選出というものを恐らく改めるために、今回、会員選考についての改正というものが、会員の方によって選出をされるというふうに改められるということなんです。

 今現在、これは平均年齢、会員の方が六十四歳ということで私お伺いをしているんですけれども、今回のこの選考基準の、選考のやり方の改定によって、まだやはり私は、若い方々が何でもっと会員の中におられないんだろうということを非常に感じるわけです、若手の優秀な、まさに最先端で研究をされ、日ごろ学問をされているような会員がふえていくような形にはつながっていくんでしょうか。

黒川参考人 これは、今度の改正によって、次の新しい学術会議が決めていくことではありますけれども、この五年間、各国のアカデミーに調査をしまして、どのような歴史があり、どのような過程で政府の政策とのかかわりがあるのか、社会とかかわりがあるのかということを随分勉強させていただきまして、シンポジウムを開き、報告書も出したところであります。

 そうしますと、やはりルネサンス以後のヨーロッパでは非常に長い歴史があり、それぞれの国の形がありということで、それぞれの機能、あり方も違うのは確かであります。しかし、先ほど申しましたように、現在、世界的に科学者コミュニティーの全体の総体の意見が非常に大事だという意識になって、ああいうふうに動き出したのはここ五、六年のことでありまして、それぞれの国のアカデミーの形、それから社会とのかかわりは、それぞれの歴史とそれを反映する社会構造を反映しているんだなということがよくわかったわけであります。

 そういうことからいうと、今度、会員も、連携会員というもうちょっと広い基盤ができますので、総合科学技術会議の答申にもありましたように、もっと若い会員もぜひ入れたらどうかという話は伺っております。

 これを反映するのには幾つかの問題があるわけではなくて、これから新しい人たちのことですが、選考のプロセスも非常に透明性が高くて、後からだれが見ても、百点満点とはいかなくても、これなら非常に納得できるというような形にしたいわけですし、さらに、アメリカ、イギリスもそうですけれども、若い人たちが、会員という形ではなくても、いろいろなメンバーシップでそこに求心力がある形になっているというのが非常に大事なことだと思います。

 したがって、そのような学術会員になると、若い科学者たちもいろいろな委員会に参加し、報告書の作成にかかわりというような形で、だんだん輝いていく一つの求心力のあるボディーになってくるのが望ましいと思っておりまして、もちろん、すばらしい人は会員に選ばれるべきでありますし、女性の問題もそうですけれども、そのような形になっていくというのは、学術会議が科学者コミュニティー全体をあらわすボディーとしての社会的責任だろうと強く認識しているところであります。

笠委員 いや、私、もちろん若ければいいというものではないと思いますけれども、やはりこれから非常に、今この科学の分野というものは、私は決して明るい方ではございませんけれども、もう本当にどんどん進んでいっている。

 もちろん、古い方々の長きにわたる研究における見識というものも一方で大事だと思うんですけれども、時代に即した提言というものをやっていくためには、やはり若い会員というものが一定数ぐらいいないと、連携会員という、先日もそういうお話がありましたけれども、確かにこれをどう機能させていくかということは重要なテーマではあると思います。やはり正会員の中にそういう集団がいて、また世代を超えた、世代間のコミュニケーションというものもありますから、やはり自分たちの仲間が、代表が会員になっているんだということで、また仲間の人たちも連携会員になっていくというような形にしないと、自覚というか、連携会員ということになってしまうと、ちょっとお客様的になってしまうんじゃないかなというような危惧をどうしても抱いてしまうわけです。

 それともう一点は、これはちょっと事務局の方で結構なんですが、現在、女性会員という方が何人おられて、あるいは外国人の会員、恐らくおられないのではないかと思いますけれども、それと民間の方、そういったものが会員の中にどれぐらいおられるのか、おわかりの範囲で教えていただければと思います。

吉田政府参考人 お答えをいたします。

 現在、女性会員でございますけれども、二百十名の会員の中に十三人いらっしゃいます。それから、民間の方ですが、ちょっと今すぐに手持ちの資料がございませんが、企業等の研究所にお勤めの方、そういった方、数名だったと思いますが、十名内外だったと思いますが、いらっしゃると思います。それから、外国人の方は会員にはいらっしゃいません。

 以上でございます。

笠委員 今、二百十名のうち女性会員が十三名、これは、今本当に政治の世界でも非常に問われているところでございますけれども、やはりもっと積極的に女性会員を、要するに連携会員ではなく会員として、これは政策的にしっかりとふやしていこう。

 あるいは、外国人の会員がゼロということですけれども、これは欧米の中には外国人会員がおられるアカデミーも数多くあるわけですけれども、今、例えば外国人の方で、日本ですばらしい研究をされているような方、またこれは視点が違ってくると思うんですね。国内でやっている方と外国から来て日本で研究をされている方。また、そういう方を会員に入れることによって、組織のあり方等についても、おかしいなとか、また研究そのものももちろんなんですけれども、プラスアルファ、新しい視点というものが入ってくるのではないか。

 あるいは、やはり民間で、私、この前ノーベル賞を受賞された田中さんなんか、まさに民間で研究をされた方ですけれども、ちょっと確認です、あの方は会員ではないですよね。やはりああいう方が会員になって、広告塔にもなりますよ、こういう顔ぶれの方々がやっているんだと。

 これもまさにこの学術会議のPR、PRだけにああいうすばらしい方を起用するというのは確かにいかがかなとは思う反面、国民が広く知っている方々、そして若くて頑張っておられる方々をやはり前面に押し出していくというような、これを努力目標というか、もう少し具体的に、例えば会長のイメージで、どれぐらい起用していきたいな、そういうところのイメージが具体的にありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

黒川参考人 ありがとうございます。

 実は、今事務局長が申し上げましたように、十七期という三年間では、二百十人のうち二人が女性の会員でした。その後、もっと女性の会員をふやさなくてはいけないのではないかということで、その選考のプロセスに、各学協会にそれをお願いしたところ、十八期は七人になりました。今回は十三人になりました。十年で一〇%にしようという目標は一応宣言しておりますけれども、今度、改革になりまして全体のベースが広がりますので、おっしゃるとおり、私どもは、やはり一〇%を超える女性の会員、そういう方たちをお迎えしたいとは思っております。その選考方法が今度恐らく変わりますので、その目標に達する方法としては、もうちょっとやりやすくなるのではないかと思っております。

 それは、先生がおっしゃったとおりに、先週の新聞に出ていたとおりですけれども、各国の議会を見ても、日本は、参議院で一三%ぐらいですか、衆議院が七%ぐらいですか、圧倒的に低いということが出ているのは、日本の社会構造をあらわしているんだろうと私は思っております。

 それから、外国人ですけれども、これは外国のアカデミーでもそうでありまして、例えば一番皆さんが知っているアメリカのアカデミーでも、アメリカの国籍がないとなれません。つまり、永住権がある人だからといってするわけではありませんので、これはある意味では国の形の問題だろうと思います。

 そのかわり、例えば外国人のメンバーという全く別枠を持っておりまして、それについて何人かの人を採用するということはあるわけで、私もたまたま、アメリカのアカデミーのインスティチュート・メディスンという、私は医学の分野ですけれども、外国人枠で数年前になりました。そういう別のカテゴリーでやっているというのが多くのアカデミーのやり方ではないか。

 これは勉強してみると、アカデミーとは何かというのと、国とは何かという問題に着くので、それはある程度歴史的な背景を考慮したいと思っておりまして、外国人もいろいろな格好で参加していただきたいと思っております。

笠委員 ちょっと二点お伺いしたいんです。

 では、例えば外国の方は、連携会員の中では起用をしていくのか、メンバーとして選んでいくのかどうか。

 それともう一点は、いろいろと考え方はあると思いますけれども、やはり私、どうしても世代にこだわりたいんですね。例えばシニアとジュニアと分けるのはいかがかとは思いますけれども、何かこう少し分けて、大きな枠組みの中で、もちろん総会等ではやるのにしても、日ごろ、そういう同じ世代の会員の人たちがいろいろな分野を超えてしっかりと話をしていくような機能というものを新たにつくってみてはどうかと提言をしてみたいわけですけれども、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 まず、連携会員に外国人をというお話のところについてお答えさせていただきます。

 連携会員、会員もそうでございますけれども、これは国家公務員でございます。外国人の方を国家公務員にすることについては非常にいろいろと制約があるということがございます。そういったことで、現在は、連携会員に外国人はいらっしゃらないということでございますが、この意見具申の中で、連携会員に外国人をというところもございます。

 ただ、ここで想定されておられます外国人といいますのは、世界的な評価を得られたような、非常に高名な学者ということを想定されているのではないかと思いますけれども、そういった方はむしろ、連携会員というよりは会員と同レベルといいますか、そういったクラスで御協力いただくというのが適当かなと思っておりまして、連携会員とはまた違った形で、先ほど会長からお話し申し上げましたように、協力連携をしていただこう、そういうふうに考えておるところでございます。

笠委員 今、やはり国家公務員だからと。それはそうでしょう。だから逆に独立したものにして、果たして今国家公務員の形にしていることでいいのかどうかというところ。だから、これはもうそれを前提に考えてはいけないんです。ふやすためにはどうすればいいか。

 例えば、外国人の会員の方々を、名誉会員でも連携会員でもいいんですけれども、やはり時々いろいろな見解を、その知恵もかりようというような形で、幅を広げていこうとするのかどうかというところが問題で、今の法律を前提にするとできないことは、変えればいいんです。だから、そこの枠をしっかりと超えて議論をしていかなければいけないと思っておるんです。

 先ほど、会員選出のやり方について透明性を図っていくことが大事だ、私もおっしゃるとおりだと思います。これは具体的にどのようなことを考えて、ちょっと具体的な部分を御説明いただければと思うんです、透明性を確保していく上での。

黒川参考人 これは、今、私どもではなくて、新しく会員になられた方々がもちろん考えることではありますけれども、しかし、急にそう言われてもなかなか難しいところがあると。

 そこで、ここ三年間かけて、先進国のアカデミーの選出の方法を、いろいろなことを考えてみますと、各国の歴史があるとはいえ、アメリカがやはりそういう意味では、新しい国をつくったという意味もありますけれども、非常に透明性も高く、大変参考になると思いました。

 したがって、私としては、そのような案も出して、このようなプロセスですと、具体的な名前が、だれが行ってだれが落ちたという話は必ずしも出ませんけれども、どのようなノミネーションのプロセスがあり、どのようなコミッティーで第一次選抜が行われ、どのようなプロセスで、従来の会員がその人の中からどういう人を選んでいったかというプロセスが極めて公正にやられていると思いますので、そういうようなことを参考にしつつ、ぜひ一つの案として、たたき台として出させていただきたいと思っております。

 それから、外国人会員ですけれども、これは国家公務員であるなしとかかわらず、アメリカのようなナショナルアカデミーはリンカーン大統領のときに、一八六三年に、全くプライベートのファウンデーションとしてつくられてはおりますけれども、アメリカの場合はあくまでも小さい政府、それについて学者のコミュニティーが社会に責任を持って物を申すということになっておりましたので、全く国の形態が違うとはいっても、それにもかかわらず、やはり永住権のある人でも会員になれないというようなことを自律的にやっているのは何かということも私は考えて、むしろ、外国人にしろ、もっと広いところの人たちが、会員ではなくても参加できるようにするのが正しい道ではないかと思っております。

 それから、なお会員の数ですけれども、アメリカのアカデミー、あるいはイギリスのロイヤルソサエティーのメンバーを見てみると、これはある意味では栄誉機関、すばらしい業績を上げた方が、それはもう年齢によって違うのは、これは大学、あるいは社会の構造のゆえにもよるわけですけれども、それにしても日本に比べれば、やはりかなりの数の人がいる。そういう人たちが社会に見える、科学者コミュニティーに見えているというところが違うわけで、そういう意味からいうと、ちょっと数が少ないなというので、連携会員のようなことを配慮できましたので、これを一体として機能的な求心力のあるものにしたいと思っております。

笠委員 今、黒川会長からいろいろお話ありましたけれども、どうしても、今回推薦制からそうやって選出をしていくというように変えても、会員が選べるとしても、この会員の方々が、私のイメージでは、やはり学会をそれぞれ代表して出てこられる方だから、その同士でも、派閥というんじゃないですけれども、この選び方を変えても、順送り的な人事ということになってしまいかねないか、そういう非常に危惧があるわけです。

 ですから、どうやって選んでいるのか、そして、だれもが納得できるような、その透明性の確保というものは非常に大事なことでありますし、重ねて申し上げますけれども、若い世代あるいは女性の会員の方々、女性の方が、もう魅力がなくてこんなものなりたくないという人が多いのであれば話は違ってくるわけですけれども、何か体制として閉鎖的な部分がそれぞれの協会なり学会の中にあるのではないかという気がしてならないので、そこあたりをしっかりとオープンにして新しい形の、連携会員も大事だとは思いますけれども、果たしてこの連携会員というものが十分に機能できるのかどうか、そこの点については、今後、会長がリーダーシップを発揮されて、次の方々がとおっしゃいますけれども、この改革の先鞭をつけられるわけですから、一つの道筋、方向性というものをまた示していただければと思っております。

 それと、事務局で結構なんですけれども、今、この学術会議のスタッフ、事務局というのは何人おられるのでしょうか。

吉田政府参考人 私ども日本学術会議の事務局でございますが、定員、現在六十一名でございます。

笠委員 この中でプロパーの方というのは恐らく今はおられないのかなと私は伺っているんですけれども、今回、任期を六年に、そのかわり一回限りというふうになったわけですね。確かに、同じ方がずっと長くやっている弊害というのはあるでしょう。しかし、やはりこの学問、この科学の世界というのは一つの継続性というものも大事なので、せめてこの事務局ぐらいにはしっかりと何人かこの学術会議としての、プロパーとして、やはり一つずっと継続性を持ってわかっている方がおられないとなかなか大変なんじゃないかなと思うわけでございますけれども、その点については、黒川会長、どのようにお考えでしょうか。

黒川参考人 それは、おっしゃるところも正しいところがあると思います。しかし、今、次に考えていることは、今大体ローテーションは二、三年になりますので、長い人がいることも大事ですけれども、長ければいいというものではないわけで、その辺をどうするのかというのが一つ。

 それから、もう一つは、ナショナルアカデミーなんかを見ていてもそうですけれども、結構科学者のバックグラウンドがある人が、やはり三十とか三十五歳になってそういう仕事にシフトしてくる、つまり、もっと政策とか事務機能を持っている人が参加しますので、むしろそういうキャリアパスも必要なのではないだろうかと思っております。

 これは一にかかって雇用の問題でありまして、社会制度の問題ですけれども、今ポスドク一万人計画とか、その後、若くして大学あるいは研究所で五年ぐらいしたら、実は科学技術政策とかそういうところをやりたいという人に道が開かれていないというところにも問題があるわけで、ぜひそういうようなネットワークをつくって、次の世代のそういう方たちも育っていく一つのメカニズムになればということも考えております。

笠委員 先ほどからお伺いしていて、大変会長の答弁というかお話というのは、非常に模範的な、今の枠組みの中でのどうあるべきかというところにいくわけですけれども、私はやはり独立的に、あるいは中立的にもたせるために、将来そういう形を考えれば、本当にそれでベストなのか。会長はもっとベストな形で、例えば金が足りない、お金が足りないんだったら、これぐらいかけてこういうスタッフを充実させたいんだというようなことを余りあきらめられずに、最初からあきらめて、今を前提で御自身でもう枠を決めてしまって、その中でどうやっていくかということは、非常に役所にとってはいいことだと思うんですけれども、そうじゃなくて、問題はやはり広く国民に認知をされる、アカデミーとして開かれた、そしてそういう位置づけのものに権威をつけていく、そして広く信頼されるということが最大の課題でありますから、ぜひそういう思い切った発言をしていただいて、思い切った提言をされ、大臣が多少困るぐらいの、最近は学術会議は勝手に走り過ぎだとおしかりを受けるぐらいの形で、現場を代表して預かっている立場でおられますから、お願いをいたしたいと思います。

 そこで、もう一点お伺いしたいのは、やはり国民に広く認知をされるためには、例えば喫緊の課題について、時にどういうふうな形で緊急的な提言をやっていくかということが非常に問われているんじゃないか。もちろんすべての、私、例えば食と安全に関して最近出されている、昨年ですか、あの提言も読ませていただきました。非常にいろいろな昨今の問題を分析され、どうあるべきかという長期的な文章としては非常にいいんですけれども、例えば今、鳥インフルエンザの問題が起こっている、あるいは先般、SARSなんという、ああいう大きな世界的なアジアを中心とした問題が起こった。

 そういうときに、まずはメッセージを、学術会議としてはこうあるべきだというようなものを、役所のいろいろな諮問機関とかが出すのではなくて、学術会議としてそういったメッセージを送っていくというようなことがなぜ行われないのかな、私は、そのことが非常に国民に認知をされない要因の一つではないかと考えているわけです。

 今後、大きな、国民的に非常に不安の大きいような問題が起こってきた、あるいは国内だけではありません、国際的にも大きな問題が起こったときに、瞬時にやはり学術会議としての意見、提言というものを緊急に発表されていくようなお考えというのはあるんでしょうか。

黒川参考人 おっしゃるとおりだと思います。私はこういう人間だからそうかもしれませんが、確かに、昭和二十四年にできてから総会主義というのがずっと規則になっておりまして、それで機動性が非常に悪かったということがあります。しかし、この総会主義が二十一年前の改革で、その学協会から推薦されるというふうになったにもかかわらず、それも続いておりました。

 しかし、ここに来て、もっと機動性のあるもの、あるいは国際対応が非常に大事だということが出てきましたので、これについては今事務方とも、会員とも考えておりまして、ここ三、四年はかなり総会主義を抜けてきて、執行部にかなり委託するというような格好で出ているのが多くなっておりますので、これはおっしゃるとおり、もう少し考えて、機動性を持ったメッセージの発表の仕方、それから発表先、それから、すべての報告書は先生方に頼んでおりますけれども、これはだれに読んでもらいたいのか、つまりターゲットオーディエンスはだれなのか、その人たちにわかるような言葉で書いてください、二番目には、そのターゲットオーディエンスにはどうやって届くかということも考えた上で報告書を出してくださいというふうに言っておりますので、かなり私どもの機能については皆さんの意識が変わってきたと思っておりますので、先生のおっしゃるとおりに、私どももさらに対応したいと思っております。

笠委員 今、まさにインターネットがこれだけ普及した時代ですから、何も集まって顔を合わせなくても、緊急なときにはテレビ会議だってできるわけです。そういう、何か日ごろから瞬時に、緊急時にどういう形で機動的に提言をするかというような、これはまさに内部でできることだと思いますので、やはり会長、それが大事なんです、マスコミに扱われるためには。タイミングがあるんです。やはりいろいろとBSEの問題とかが起こって、何年かして何か忘れたころに提言を出されても、これは幾らいいものであっても、扱いというものはどうしても小さくなる。

 でも、今回のような、例えば鳥インフルエンザみたいな事件が起こったときに、学術会議がしっかりとした提言を出して、ああ、これはいいじゃないか、例えばそういうものがあれば、我々政治の側に身を置く人間も、こういう提言を政府に対してやっているじゃないか、このとおりにやればいいじゃないかと言えるようなものをぜひ出していただきたいというようなことを期待するわけでございます。

 これはちょっと事務局の方にお伺いします。それで、実際に最近幾つかの、先般も議論ありました、最近の提言の中で、それを踏まえて具体的な政策が講じられたというようなケースというものがあれば、最近のもの、この五、六年、そういうことがあるのかどうか、まあ十年ぐらいです、あれば、ぜひちょっと紹介していただければと思うんです。

吉田政府参考人 日本学術会議の提言は非常にたくさん出ておりまして、その中のすべてを網羅して、これが実現した、これは実現しなかったというふうなチェックをなかなかできないところがございますけれども、最近の例といたしましては、平成九年に「計算機科学研究の推進について」という提言をいたしまして、これをもとに文部省に国立情報学研究所が設置されたとか、あるいは、平成八年に「脳科学研究の推進について」という提言をいたしまして、理化学研究所に脳科学研究センターが設置されたといったような事例がございます。

 そのほか、私どもの提言を参考に各省でいろいろ施策を講じておられると思いますけれども、すべてこれを網羅的に把握しているわけではない点は御容赦を願いたいんですが、そういった例があるということでございます。

笠委員 これが問題なんです。要するに、把握できていない。

 しかし、やはり一番最高の科学者の集まりということを先般おっしゃいました。最高の英知がそこに結集をされている。やはりそこで出てきた提言というものは、当然ながら、政府も重く受けとめて、しっかりとそれに沿った形で、これは長期的な問題というものも多々あると思うんですけれども、何か過去の提言とそれによる実績というものを見ていると、箱物を結局つくっているだけで、最近の実績というものが、例えば何かが起こりました、それに対してこうすべきというものが瞬時にきちっと、これが政策として反映されたとやはり胸を張って言えるようなものが年に一つ、二つはないと、これもまた非常にわかりにくさの一つというか、今後のこれが一番の恐らくは課題になっていくし、こういったことを反映させるために、今度、内閣府の方に移されるというような形で、総合科学技術会議と両輪としてやっていくという一番の目的でないかと私は思っております。

 ここでちょっと茂木大臣にお伺いしたいんですけれども、今後、学術会議がさまざまな提言を、恐らく、いろいろ今までとは違った形で積極的にメッセージを送ってこられると思うんですけれども、そうしたものをどのように今までとは違った形で活用し、内閣府にせっかく置くわけだから、ここがこれからは変わるんだというような、具体的な取り組みについて、ちょっとお考えを伺わせていただければと思います。

茂木国務大臣 今回の改革によりまして学術会議が内閣府の方に移管をされるということでありまして、より全体的な政策についての窓口として受けられる機能にはなってきていると私は考えておりまして、これまで以上に積極的に提案をしていただきたい。そして、いい提案については我々も積極的に取り入れ、それを政策として具体化していきたい、こんなふうに考えておるところであります。

 また、そういった政策提言機能だけではなくて、社会に対するコミュニケーションということでも、委員、食の安全の問題とか、今鳥インフルエンザの問題を出されましたけれども、まさにこういう分野というのは客観性とか中立性とか専門性が必要で、国民の皆さんから見ると、何を食べたら安心なんだろうか、これは大丈夫なんだろうか、それがわからないところで専門の科学者の方々が本当に時宜を得てそういう発言をしてくれるという機能は、今後さらに強化をしてほしい、こんなふうに考えております。

笠委員 まさしく今、本当に食の安全、何を食べていいか、国民が非常に不安に思っている。そして、民間の方々も含めて、さまざまいろいろな提言なりを出されている中で、これはすべてが同じような提言じゃないんですね。何を信じていいのか、そこにこたえていくことがまさしく政府の役割である。そのためにも、学術会議として時宜を得たきちっとした提言、長期的な視点に立ったものと同時に、やはり学術会議が発表するものは信用に足るものだというような信頼というものをどう得ていくかということが課題になっていくわけでございます。

 私、ここにやはりこだわりたいんですけれども、具体的に、その緊急的な、今までとは違った対応をするために、これからどういうふうな組織的な、これは内部の改革の問題になると思うんですけれども、イメージ、具体的にどういうふうな形で今までとは違ってやっていくんだというようなものが検討されているものがあれば、ぜひちょっとお聞かせいただきたいのでございます。

吉田政府参考人 先ほど会長から御答弁いたしましたように、これまでの総会主義を改めて、機動的に意思決定をしていって提言をするということが一つございます。それから、今回の改革で連携会員という制度を設けますけれども、これは二千三百名ほどを予定しておりますけれども、非常にさまざまな分野の方々が参加していただくということを考えておりますので、いろいろな緊急な課題が発生したときにもかなり対応がしやすくなるのではないか、そういうふうに考えております。

 総合科学技術会議の意見具申でも、研究課題への対応等のために連携会員を設けるというようなことが書いてございますが、これから学術会議といたしましても、そういったところの改革の成果を生かして、どういうふうに先生御指摘のようなことをやっていけるかどうか、考えていきたいと思っております。

笠委員 もう一点は、連携会員と先般から言われているんですけれども、今予定されているのが二千三百名ですか。やはり、これがどう機能していくのかなというところが非常に見えないんですね。正会員と言っていいのかどうかわかりません、会員の方が二百十名。しかし、それがまたいろいろな委員会等に分かれて、いろいろなテーマについて研究もされているということのようでございますけれども、連携会員というのは、ある程度やはり部門部門によって何人ぐらいずつとか、そういうふうに何か数で割り振っていくようなイメージで集められるということなんですか。

黒川参考人 この連携会員の位置づけですけれども、これは今回の法案の中に出ているわけで、実際、先ほどから言っていますように、実は大改革のときに、欧米諸国のアカデミーの歴史と機能と政府の政策提案に、あるいは社会とのかかわりにどのようなことをしているかというのが歴史的には違うと申しましたけれども、明らかにアメリカやイギリスの人口割にしても日本は少な過ぎる、そういうことで、いわゆる研連というような、研究連絡委員会のような一段下のポジションではなくて、仲間としてやはりそのぐらいの数がいるということが非常に大事なんじゃないかというのが一つです。

 つまり、それだけいると、いわゆる科学者と言われている人の中の四百人に一人ぐらいがその会員という形ですと、そういう人たちが学会の中にいるということが見えるということが非常に大事なんじゃないかということが一つです。

 それからもう一つは、新しくなったときに、この方たちと、いわゆる会員と言われる二百十人の人たちの位置づけですけれども、この人たちはお互いに同僚である、そのために機能を増強するんだというような意識と、それから、機能を内蔵するような改革になればと思っておりまして、恐らく、そのような目標で新しい会員たちも動かしていくだろうと思っております。

 ですから、連携会員というのは、会員と違うというわけではなくて、むしろ一体となったボディーであるというふうになれば、欧米のような機能がもっと発揮できるようになってくると思いますし、それが求心力になって若い人たちやなんかがいろいろな参加する機会がふえてくるということを期待しているところであります。

笠委員 ぜひ、この連携会員というもの、会員を一気にふやすことは、恐らく今の組織を前提とした中ではなかなかできないのではないかと思いますけれども、連携会員というものをきちんと新たにつくるわけでございますから、これが十分な機能を発揮して、そして若い世代の方々、そうした意見も取り入れられるように、こういうふうに人数が多いと、ともすると、何かやはり名前だけでとりあえず出している。二千三百人いても、そういう方々がどういうふうな形で現実に何か起こったときに機能するのか、あるいは、瞬時に幅広く意見を吸い上げる、スピーディーな形でフルに活用ができるのかどうか、その点、非常に難しいところではないかと思っております。

 そろそろちょっと時間があれなんですけれども、今回、このような質問の場を与えていただいたということで、私、実は先週、たまたまちょっと選挙区の方で若い方々とゆっくりと話をする機会がございました。そのときに、その中に大学院あるいは講師で研究をされている方々が数人おられたわけで、学術会議というのを今度私は質問するんだけれども知っていますかと言ったら、知っているんですね、さすがにそういう人たちは。でも、名誉職的なものでしょうというような認識なんですよ。

 やはりこれは、国民が当然その認知が足りないと同時に、今から若い方々、一生懸命それぞれの分野でこの国のために、あるいは世界のために、地球のために、しっかりと自分たちも取り組んでいきたいんだという意欲を持って今学ばれている方々がたくさんおられると思うんです。そういう方々が、いずれは自分も学術会議の会員になって、そしてもう一つ上のステップでそういう自分たちの研究の成果を実際に生かしていきたいんだとやはり思えるような組織に、そういうアカデミーでないと、何のためのアカデミーなのかと私は本当に思っております。

 それで、最後に大臣にお伺いをいたしたいんですけれども、先ほども言ったように、内閣府、本当に各省庁縦割りの行政がまだ根強く残っている中で、まさに調整機能も持った内閣のかなめですから、このアカデミーをどうしていくのかというのも、今まさにいろいろな分野で時代の節目を迎えております。

 私は、時に壊してつくる勇気というものも大事なのではないか、ぜひそういう観点に立って今後のアカデミーというものを、広く国民に認知され、そして信頼されるアカデミーをどうやってつくっていくのか、前提にとらわれず、そのために大臣がどういう政治力を発揮していこうとされているのか、その点を最後にお伺いさせていただきたいと思います。

池坊委員長 発言者の質疑時間は既に終了しております。大臣、よろしくお願いいたします。

茂木国務大臣 まず、会員の年齢構成でありますけれども、これはまさに学術会議の方でお決めいただくことでありますけれども、例えば、ノーベル賞の受賞者にしても、研究の根幹というのは、三十ぐらいにやっている研究でとっているんですね、とっている年齢は別にしても。そういったことを考えると、老、壮、青のバランス、こういったものはやはり一つの科学コミュニティーの中でも必要ではないかなと思っております。

 私は、黒川会長、ふだんいろいろな議論をするんですけれども、大変改革意欲に富んだ方だ、これだけ科学者の中でも改革を思い切ってやろう、こういう人は少ないなと思っておりまして、ふだんはEメールでやりとりしているんです、二人の間は。これからさらに、この改革を機に、意見交換を進めながらしっかりした改革を支援してまいりたいと思っております。

笠委員 終わらせていただきます。ありがとうございました。

池坊委員長 牧野聖修君。

牧野委員 民主党の牧野聖修です。

 茂木大臣初め関係の皆様方に質問をさせていただきたいと思います。

 文部科学委員会、非常にレベル高く、情熱あふれる皆さんの真剣な議論が、ここ数回、常任委員会を開くたびに行われておりまして、本当にいいことだな、こういうふうに思っています。

 今回のこの法案の審議につきましても、実に立派な、高い見地からの議論をされておりまして、本当に私も同じ一委員として、大変誇らしく思っているわけであります。民主党といたしましては最後のバッターになりましたので、既にすばらしい質問をされ、本質的な議論が進んできておりますので、残された問題について、重複をできるだけ避けて御質問をさせていただきたい、こういうふうに思うわけです。

 最初に、そもそも論で大変恐縮なんですけれども、今回の法改正で、日本学術会議の所管が総務省から内閣府へと移ることになるわけですね。であるならば、何で総務省か内閣府の方で真剣に審議しないで、我々文部科学の委員会の方でその審議をするのか、そのところがまだ私としては整理されていないものですから、まことに恐縮ですが、その点のことについて、大臣からお答えをいただきたいと思います。

茂木国務大臣 法案の付託先につきましては、まさに院においてお決めをいただくことでありますので、決められた委員会におきまして真剣に議論させていただきたい、お答えをさせていただきたいと思っております。

牧野委員 大臣はそういう立場の答弁をされるかと思いますけれども、委員会における所管については、衆議院規則の九十二条、日本学術会議の所管に関する事項は文部科学委員会の所管になっていると書かれておりますね。

 そして、別に内閣府は、内閣府設置法第四条の四号において、科学技術の総合的かつ計画的な振興を図るための基本的な政策に関する事項、及び四条の五号で、科学技術に関する予算、人材その他の科学技術の振興に必要な資源の配分の方法に関する事項を行うとされておりまして、内閣府の方のあらゆるパンフレット等を見ますと、一段と高い見地からの調整、立案を行うこととされております、こういうふうに書いてあるわけです。

 したがいまして、法案だけ付託されましても、その担当大臣になる茂木大臣が我々に審議をお願いして、受けてくれるわけでありますが、であるならば、大臣としての科学技術振興政策に対する御自分の姿勢等、あるいは科学技術創造立国についてのイメージについて、やはり我々審議している委員会の皆さんに一応お話をするのが筋ではないかな、こういうふうに思うんですけれども、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 科学技術創造立国の実現、これは我が国にとりましても大変大きな課題だ、こんなふうに考えております。

 この問題につきましては、さまざまな省庁にまたがる問題でありますし、当然、国としての大きな方向を示し総合的な調整を図っていく、こういうことが大変重要だと考えておりまして、内閣府におきましては、そういった基本方向を示し、また各省庁にまたがります施策についての総合調整を図っていく、こういう機能を一層果たしてまいりたい、こんなふうに考えている次第であります。

 今、国といたしましては、例えば、予算的にも制限がありますから、重要な分野の重点化等々も図ってまいりたい、こんな観点から、一つはライフサイエンス、二つ目に情報通信、三つ目に環境関連の技術、四つ目にナノテク・材料、こういう重点分野を定めながら、毎年の予算編成におきましても、各省での予算編成はございますが、総合科学技術会議を中心に、国としてどういうプロジェクトが重要なんだ、こういう観点から三百ぐらいの重要プロジェクトを選び出しまして、その優先順位をつけ、それがしっかりと予算に反映させられるような、いわゆるS、A、B、C、そういう呼び方をしておりますが、そういったことも進めております。

 また、今、科学技術基本計画の中で、例えば、第二期計画では予算全体をどうしていくか、また競争的資金、これは基礎研究を図っていく上でも極めて重要でありますので、これにつきまして倍増していく、そういった縦にまたがる問題、それから横ぐしを刺していかなくちゃならない問題、そういうことにつきましても、しっかり施策の方、フォローをさせていただいている、このように思っております。

牧野委員 文科の常任委員会の皆さんの心の中に、私と同じ思いがあると思うんですよ。国会議員になって、文教政策もさることでありますが、科学技術に対して自分は一生懸命勉強してその発展のために寄与したい、そういう思いでこの文部科学委員会に求めて入ってきて、その審査をしたいという議員も大勢いるわけです。

 ところが、内閣府の方は、調整機能、政策立案、そういうことをうたっておられますけれども、各省庁でやっていることよりも、あるいは我々が審議していることよりも一段高い見地から物事をしたい、こう思っているわけですよね。その一段高いということはどういうことなのかを私は教えてほしいんですよ。もう一言、御答弁お願いします。

茂木国務大臣 もちろん、どちらが高いとか低いということではないと思っております。ただ、全体的な国の方向を示す、こういうことになってきますと内閣全体の話でありますから、内閣としてそういった、これは科学技術だけじゃないんだと思います、外交についてもそうだと思いますし、そういう大きな方向性を示すのが総理大臣、そして内閣の仕事であり、そのもとで各省庁の施策が進められる。

 ただ、進めていく上では、特に科学技術であったりとか、そういった分野はさまざまな省庁にまたがる施策がありますから、それの連携等々も必要でありまして、そういった連携、調整につきましても、内閣府としてそういった機能を果たしてまいりたいと考えております。

牧野委員 内閣府の委員会では、科学技術のことについての議論はなされるんですか、なされないんですか。

茂木国務大臣 内閣府の委員会におきましても、総合科学技術会議の問題等々ございますので、審議はされる、このように私は理解をしております。

 ただ、もちろん、この文部科学委員会におきましてもさまざまな皆さんからの御意見を賜りたい、そしてまた、そういった御質問に対しては率直にお答えをさせていただきたい、このように考えておりまして、先生おっしゃるように、単に文教ということではなくて、広く科学技術に興味を持っていらっしゃる方がこの委員会に所属していただいている、そのことを私は大変頼もしく思っております。

牧野委員 内閣府のある前から、我が文部科学委員会は文部省を中心に議論を進めてきて、その中に科学技術創造立国という国是ともいうべきビジョン、政策の中心になる姿が明確に出されたんですよ。だから、その後から来た内閣府に設置されていく、そういう学術会議の審議をされる場が、我々の一段と高いところで審議をされるんだということを公然と言われていると、委員としては釈然としないんですよ。

 であるならば、真剣にそちらでも議論を、私の聞くところによると余り内閣府では科学技術の細かいことについての議論がなされているようには聞いていないんですけれども、時間をかけて本当にやっているのかどうかというのを聞きたいし、もしやっておられないならば、あるいは両方でやられるならば、大臣は両方の委員会にも出て、やはりそれは審査にこたえていかなければいけない、私はこういうふうに思うんですね。

 だから、私が言いたいのは、権限と責任が明確になっていない、よくわからない。その点、もう一度大臣、お答えをお願いします。

茂木国務大臣 もちろん、私が所管する事項がございましたら、どの委員会にも出席をさせていただいて、お答えもさせていただきたいと思いますし、そういった意味では、この文部科学委員会との関係も深まってくるのかな、こういう感じも持っているところであります。

 先ほど来、私の答弁、なかなか舌足らずのところもあるかもしれないんですが、決して上下とか、そういう関係だと思っているわけではございません。ただ、大きな方向性を出すのは内閣一体、内閣全体として出すものではないかな、こういうふうに考え、そこの中で個々にかかわる施策については省庁を中心に進める、そして、それが複数の省庁にかかわる問題につきましては総合調整的な役割も果たしてまいりたい、こんなふうに考えているところであります。

牧野委員 この問題、いつまでも議論していてもらちが明きませんので、大臣にお願いいたしますが、我々、文部科学常任委員会に籍を置いている者は、科学技術の振興については本当に熱心に取り組んでやってきておりますので、これからさらに大臣、できるだけ御出席をいただいて、我々もより高い見地からの高度な審議ができるように努めていきたいと思いますので、その節は必ず御出席くださいますようにお願いをして、次の質問に移りたいと思います。

 高邁な理想を掲げて、学者の国会としてスタートした日本学術会議が、いろいろな理由の中で停滞してしまった。その理由は幾つか先日来の審議の中で明らかにされてきましたけれども、私は、一つだけ明らかにされていないのは、この高邁な理想を掲げてスタートした日本学術会議が停滞した理由の中に、政治の側といいますか、行政側の責任があったのではないかと思うんですが、そのことについて何ら弁明されておりませんので、その点について、お考えがあるなら御答弁いただきたいと思います。

吉田政府参考人 これまでの日本学術会議の活動が、なかなか国民の目に見えない、あるいは活用されていないんじゃないかといういろいろな御意見があることは確かでございます。

 今回、改革をすることによりまして、大臣がおっしゃいましたような三つの機能、政策提言機能、科学者間の連絡調整機能、それから社会とのコミュニケーション機能、こういったものを一層発揮していきまして、学術会議の本来果たすべき役割、科学者のコミュニティーの代表機関としての役割を一層充実していこうと考えております。

 そういったことによりまして、行政との関係におきましても、学術会議との連携がより一層密接になると考えておりますし、より活用していただける、そういうふうに考えているところでございます。

牧野委員 これからはそういう気持ちで改革をしてやっていきたいという、その意向はわかりますよ。でも、五十年近い間営々として、日本学術会議は設置をされて、それなりの理想を掲げて、それなりの責任を与えられて、準公務員的な立場で交通費も日当も出てやってきて、それでこれだけ停滞をしてきた。しかも、国民にはほとんど知られない、そういうことも言われている。

 それは、半分は行政の責任じゃないですか。その自分たちの責任を棚に上げて、これからこうしますということだけでもって、この法案の審議ができますか。五十年間、行政側にも反省することがあるだろうと私は言っているんですよ。その弁をここではっきり言わなければ、後の審議、改革もできないじゃないですか。答弁お願いします。

茂木国務大臣 もちろん反省すべき点はある、こういうふうに私は考えております。

 委員の方から、日本学術会議と行政との関係について、こういう御質問がありましたけれども、では、例えば学術会議の側から逆に見て、何の成果も上げてこなかったかといいますと、私はそんなことはないと思いますし、その点につきましては、これまでの答弁の中でも御説明を申し上げましたけれども、例えば南極地域観測の開始であったりとか、国立公文書館の設置などの勧告、要望、それが具体化される、そういったことで政府における施策の策定に一定の貢献をしてきた、こういうふうに考えております。

 ただ、今回の改革の一つのポイントになっているところでもありますけれども、個別学術研究団体の利害を反映した陳情的な提言、こういうものも多くて、提言が必ずしも政府にとって尊重されない場合も多かった、こういうふうに考えております。

 それは、逆に、今度は行政の側からすると、いい提言についてはもらって、それを幾つかやってきましたよ、しかし個別陳情的な提言についてはなかなか取り入れられなかったということだったら、行政の側ももっと学術会議に対して、今政府として欲しい科学アカデミーからの提言というのはこういう種類のものなんだ、こういうことを率直に学術会議側に対して話をする、そういうことがあってしかるべきだったのではないかなと考えております。

牧野委員 先日、本を読んでおりましたら、その辺の一つの事例といいますか、そういうのにぶつかったものですから、メモを持ってきて、ちょっと読みながら質問させてもらいたいと思うんです。

 一九六五年のときに、学術会議が第一号答申という中の追加答申で、科学技術基本法の制定についてというものを提出した。そして、科学技術基本法の要綱を掲げて、国の責務としての科学技術政策、行政を明示しようとした。その中には、自然科学だけでなく、人文・社会科学の分野も含んだ調和ある科学の発展、世界平和の確立への寄与、研究者の自主の尊重、研究成果の発表の自由など、科学技術のあり方について平和と民主主義を基調とする理念にまで踏み込んで書かれている、そういう答申が出された。

 その答申が、三十年間行政側に無視されたんですよ。三十年間行政側に無視されたんですよ。やっと三十年たった一九九五年になって、議員立法の科学技術基本法、そういったもので結実していくことになったんですけれども、学術会議側で出した答申が三十年間無視された、そういう事実があるのです。そのときは、人文科学の分野がそれ以後取り除かれて、今度新しくまた加えていこう、そういう流れになっているのです。

 これは、学者の方の哲学とか思想とか信条とか、そういうことにまつわる案件について行政側は排除したのです。企業の発展とか企業の利益とか景気の動向のために即利用できるようなものについては受けて立つけれども、天下国家を論ずるような生意気なことはやめてくれ、それよりも、すぐ産業界に役立つようなものだったら受ける、その姿勢がありありじゃないですか。だから停滞したんでしょう。違いますか。そのことについて答弁してください。

茂木国務大臣 それは、委員御指摘の一九六〇年代の提言につきまして、私、手元にありませんので、専門的なことはまた事務局の方でお答えをさせていただきたいと思うんです。

 恐らく、一九六〇年代といいますと、日本はまさに工業化社会、高度成長が始まる段階でありまして、科学技術基本法、そういう発想が社会全体には欠落している面というのはあったのではないかな、そういった中で日本学術会議がそういう提言をされたということでありましたら、非常に先見性があるものではないかな、こういうふうに私は考えております。

 ただ、やはりその段階で、工業に役立つ技術とか日本が欧米先進国にキャッチアップするために何を資源配分等々で考えていかなきゃならないか、これが、国だけではなくて企業、それから経済界、社会全体の潮流である中で、なかなか結実しなかった面というのもあるのではないかな、先生の今のお話を聞きましたら、私はそういった感想を持たせていただきました。

牧野委員 大臣の素直な答弁をいただいて、私も文部科学常任委員会の一員としては留飲を下げるという感じもしますし、新しい動きには期待をさせてもらいたい、こういうふうに思うわけなんです。

 最近の我が国の趨勢、どちらかというと、科学技術とかいろいろな問題は産学官協同路線で力強く進んでいこう、そういう考え方がありありなんですよ。それで、総合科学技術会議、そちらの方のメンバー、総理大臣を先頭に産業界の代表も入ってきている。どちらかというと、経済優先のスタンスが濃厚になってくるのではないかなという感じが私はしているんですよ。それは、産学官協同体制を強めていこうという感じですからね。

 ところが、学術会議の方は、どちらかというと純学問的な立場ですね。そうすると、近視眼的にはそういう経済成長とは矛盾するような提言も当然出てくるだろう。それは、長期的には国家国民、ひいては人類、地球規模的な福祉、利益に大きくつながる、でも、短期的にはそれは産業界の要請にはこたえられないという状況は当然想定できる。

 そうすると、日本学術会議のあり方について総合科学技術会議の方で研究をして、学術会議のあり方を答申して、それに基づいて内閣府の方に今度は引っ張り込んでやるということになれば、車の両輪なんというのは言葉だけで、主従の関係に見えるのはだれが見ても明らかじゃないですか。これは、トップダウン方式で、短期的な産業界の要請にはこたえられるけれども、長期的な地球規模のそういう大きな福祉には若干問題があるというのはよくわかるんですよ。そういうことについてはどういうふうに考えられますか。

吉田政府参考人 私ども日本学術会議としましても、意見具申にありますような社会とのコミュニケーション機能、これが非常に重要であろうと思います。この社会という中には、当然のことながら、学界、国民、それから産業界、そういった広いものを含んでおるわけでございまして、学術会議と産業界との連携、こういったものは非常に重要な課題だというふうに考えておるところでございます。

 もちろん、総合科学技術会議で行っておられます産学官の事業、サミットでありますとか推進会議とか、そういったものにも学術会議は参画いたしますが、また日本学術会議独自の立場として、例えば地域において、その地域の経済界の方あるいは地方公共団体の方と意見交換をする、科学技術の観点からその地域の経済発展、そういったものを考えていく、そういう活動もいたしております。

 単に、産業界との経済優先、そういった観点だけじゃなくて科学の観点から、我が国あるいは人類の今後のためにそういったコミュニケーションが必要だと考えておりますので、これからもそういった活動を進めてまいりたいと考えております。

茂木国務大臣 一点だけ簡単に、もし総合科学技術会議につきまして十分な御説明ができていないといけないと思いまして。

 総合科学技術会議、これは、小泉総理を議長といたしまして、福田官房長官また私を含め六名の閣僚の議員がございます。それから、有識者議員、関係機関の長として八名の方に参加をしていただいておりますけれども、そこの中で産業界の代表の方というのは二名であります。残りの六名の方につきましては、例えば自然科学であったりとか、そういった分野別の非常に見識の高い方でありまして、私も週一回、この有識者八名の方と議論をさせていただいておりますけれども、基礎的な問題から応用まで含めて、大変幅広い視点で日本の科学技術について御議論をいただいている、またお考えをいただいている、そのように思っております。

牧野委員 メンバーは二人しかいない、そうかもしれませんけれども、政治そのものが産業界に牛耳られて引っ張られてきているのは事実じゃないですか。だから、私はそのことを恐れているんですよ。

 小泉総理初め政治家も立派な方が入っておられますけれども、その本質はどこにあるか、今の日本の流れはどこにあるかということを考えると、学問が独立して、中長期的に世界人類あるいは国家国民の役に立てるような仕組みの中に入っていない。どちらかというと、政治主導の、その主従の関係の従の、下位に置かれて、これからまた十年間そういう立場に置いていかれるのかなということは、世界にとって好ましくない、その状態は。だから、十年間モラトリアムの状況に置いておくというのはよくないから、早急にやはり次なるステージを考えるべきだ、こう思っています。

 それで、私は、大型店の問題についていろいろ対策をしあるいは闘争をしたときに、いろいろな学者の皆さんにその力をかりに行ったことがあるんですよ、小さな小売商人としてですね。そのときに、学者は力にならなかった。それから、商工会議所とかいろいろな役員も、いつの日にか同じ小売商人を裏切る立場になっていった。

 その経過をずっと見ていますと、やはりどの世界も同じで、小さなお金を与えられて準公務員的な立場にさせられて、本来、小売商業者とか弱い者に立つべき人がだんだん準公務員的な立場に引っ張られていって、行政側の方に引きずり込まれた一番最後の手段は栄典なんですよ。叙勲とか知事表彰とか市長表彰だとか、そういうのを使われて、みんな転ぶんですよ。本当ですよ。組合長さん、学者の先生、あなたも、いずれもう市長表彰、県知事表彰、それから叙勲が近くなっているから、余り過激なことは言わないでね、政府や行政府を責めるようなことを言うと、我々は叙勲とかそういう栄典について推薦できなくなりますよと。この方法は、国民を支配する常套手段なんですよ。

 今度のこの法案を見ていると、図らずも、学者の国会をもう一度政治権力の下に引きずり込もうという魂胆ありありですよ。だから、その点、茂木大臣、真剣に考えられて対応され、あなたの考え方で、そういう危機的状況が来ないように、当初言われたようなそういう新しいステージ、理想に向かって、この学術会議のありようが改革されるように心から期待をいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

池坊委員長 石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 御提出の日本学術会議法の一部改正案について、幾つか質問させていただきます。

 日本学術会議は一九四九年の一月に発足いたしまして、今日では七十六万人の科学者の内外に対する代表機関ということになっておりまして、人類福祉への貢献、学術の進歩のために大事な役割を果たしてこられたと思います。果たしているとも思っております。

 今回の法改正は、この日本学術会議法に規定された学術会議の使命、設立の目的、職務と権限に基づいて、その役割を一層充実発展させるためのものというふうに考えてよろしいかどうか。特に、日本学術会議の独立性、代表性が強められることはあっても弱められることはないという理解でよいかどうかということを、まず茂木大臣にお伺いいたします。

茂木国務大臣 日本学術会議の目的、そして独立性の問題につきまして御質問いただいたわけでありますが、日本学術会議は、日本学術会議法に定められておりますように、我が国の科学者の内外に対する代表機関としての目的を達成することが使命でありまして、今回の改革はこの本来の役割を高めるために行うものでありまして、本来持っている崇高な目的は決して失われるものではない、こんなふうに考えております。

 同時に、この学術会議の独立性についてでありますが、委員も御案内のとおり、第三条におきまして、「日本学術会議は、独立して左の職務を行う。」こういうことで、「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。」「科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。」こういう形でありまして、所轄がかわることによりましてこの日本学術会議に与えられた独立性に影響が出る、こういうことではないと理解しております。

石井(郁)委員 今御答弁いただきましたように、今回の法改正で日本学術会議を内閣府のもとに置くということになったわけでございますけれども、その理由として、やはり日本学術会議が内閣の重要施策への科学者の立場からの助言機能を強めるべきだということがあるかと思うんですけれども、今、御答弁では、学術会議法のそもそもの理念とか設立の目的とか権限、機能というものは変わらない、またそれらの役割を一層発展させるべきだということがあったんですけれども、お話のように、日本学術会議の独立して職務を行うという独立性ですね、この独立性という問題と所轄がかわるという問題、これは両立いたしますか。いかがでしょうか、大臣。

茂木国務大臣 これまでも両立したと思っておりまして、所轄が全くなかったところから所轄ができるわけではありませんから、その部分につきまして、連携と独立性、これが相反するものではないと考えておりますし、その点につきましてはさらに注意深くフォローしてまいりたいと思っております。

石井(郁)委員 そこで、もう少し独立性という問題で伺いたいと思うんですけれども、日本学術会議は、その時々の政府の政策選択とはかかわりの薄いあるいは無関係であるかのような地道な研究部門についてもその学術上の存在価値を認めている、あるいはその立場からの政策を政府に求めるということは大変重要だということが含まれると思うんですね。

 例えば、日本学術会議は二〇〇一年の四月二十六日に声明を発しておられまして、「二十一世紀における人文・社会科学の役割とその重要性」ということがございました。先ほども政府の科学技術基本法の関係でちょっと質疑がございましたけれども、政府の科学技術基本計画がやはり人文・社会科学を除外しているわけですね。私は、そういう中では、この二〇〇一年の四月の提言というのは大変重要な意味を持っているというふうに思うわけでございます。

 そういう形で、日本学術会議は、やはり学術的な見識に基づいて政策的な助言というのをその都度都度してきていらっしゃるということがあると思うんですね。だから、これは、まさに独立して職務を行う学術会議だからこそできる、可能であるというふうに思いますけれども、その点、いかがでございますか。

茂木国務大臣 私は、これからの時代というのは、まさにいろいろな研究をするに当たっても、融合分野、こういうのが重要になってきまして、例えば、理学は理学、医学は医学、生物学は生物学、こういう範疇では切れないような学問というのがふえてくると思います。そういった中におきまして、人文科学系の重要性というのは、そういう学問の融合という意味からも非常に重要ではないかなと思っております。

 また、日本学術会議が政府に対してさまざまな提言を行う。これは必ずしも、政府が関心を持っていることに対して諮問をして何とかという形よりも、日本学術会議として独自の、また専門性を持った立場で、こういうことが重要なんですよ、こういう観点から御提言をいただくというのが望ましい姿だ、こんなふうに考えております。

 ただ、そういった提言をしていただいた部分もありますけれども、同時に、個別の研究団体の陳情的な提言もあったのではないかな、こういう反省も踏まえて、今回の改革に取り組みをさせていただいた次第であります。

石井(郁)委員 日本学術会議が、科学者、学術の専門家としてそういう専門的な見地からいろいろな提言を行う、ボトムアップの役割を持って日本学術会議がこれまでいろいろ活動されてきたということがあると思いますし、そういう役割というのはこれからも一層重要だというふうに私も考えているところでございます。

 さて、法改正の中で出ている問題で具体的に伺いたいことがございまして、その一つが、会員推薦方法を大きく変更することでございます。

 会員を科学者の業績に基づいて選考する方法として、その趣旨というのは理解もできるわけですけれども、今質問いたしましたように、やはり独立性との関係で、これはどういうふうになるのかなということがありまして、伺うわけであります。独立性と代表性に特徴づけられる日本学術会議の機能がございますので、それが保障されるのかどうかという問題を尋ねたいと思ったわけでございます。

 法改正後の第一回目の会員の選出は、附則第四条によりまして、候補者の選考、推薦を会員候補者の選考委員会が行うということになってございます。その委員を日本学術会議会長が任命されるわけですね。その際に、総合科学技術会議の有識者議員のうちから議長が指名する方、また日本学士院院長とも協議を行うということになっております。なぜ、こうした協議というのを入れたのでしょうか。その考えをお聞かせいただきたいと思います。

 このことは、やはり日本学術会議が独立して職務を行うという日本学術会議法の、先ほど大臣も御説明いただきましたけれども、第三条にある独立して職務を行うということと両立するのかどうかということを伺いたいと思っております。これは大臣とそちら、両方。

吉田政府参考人 今回の改正で、初回の会員選考の方法につきましては、先生のおっしゃいましたように、会員候補者選考委員会を設けまして会員の選考を行うわけでございますが、その選考委員会の委員は学術会議の会長が任命いたしますけれども、おっしゃいましたように、この人選に当たりましては、科学技術に関しましてすぐれた識見を有する科学者が議員となっておられまして、また日本学術会議のあり方について検討をなされ、その結果を取りまとめられました総合科学技術会議の有識者議員のうちふさわしい方、それからもう一つは、学術上功績が顕著な方を優遇するための機関であり、学術上功績顕著な科学者が会員となっておられます日本学士院の院長、このお二人と協議をし、それぞれの意見を聞きまして選考を行います。これは、この人選の客観性、公平性を確保するという観点から行うものであります。

 また、独立性の問題は、これは先ほどお話がありましたように、学術会議が職務を行うに当たりまして独立して行うということでございまして、会員の選考の方法の協議とはまたちょっと違った趣旨であろうかと思います。

 いずれにしましても、独立性は法律上規定されておるものでございますし、また選考に当たっての協議は、この人選の客観性、公平性を確保するという観点から必要であるというふうに考えておるところでございます。

石井(郁)委員 これは大変大事なことでございますので、私は大臣にもぜひ御答弁いただきたいと思いますが、何か今の答弁ですと、独立性というのは職務上であって、この選考とは別だということをちょっと聞いたように思いまして、そこは少し違うというか、重大だというふうに思うのですね。選考そのものにやはり日本学術会議の独立性というものが保障されないと、おかしなことになりませんか。

 だから、私はなぜ協議ということが入るのかと。客観性、公平性ということは言われましたけれども、要するに、日本学術会議の独立性という問題とこういう選考のあり方というのが両立するのかどうか、これはぜひ大臣から御答弁ください。

茂木国務大臣 独立性の問題と、客観性、公平性の問題はちょっと議論を分けてさせていただきたいと思うのですけれども、では最終的にだれが決めるか、この委員会の委員の選考にいたしましても日本学術会議会長の責任において委員を任命するということでありますから、そういった意味では、選考におきましても学術会議の独立性は担保されている、こういうふうに考えております。

 一方で、今回の措置、まさに会員の選び方が変わっていく過渡的な段階でありますから、そこの中でどういった暫定的な措置といいますか経過措置として、全体的な客観性、公平性を確保するか、こういうことから、総合科学技術会議の有識者議員の中でふさわしい方、そしてまた日本学士院の院長とも協議をさせて、その委員を決めさせていただくということであります。

 もう一度申し上げますけれども、その協議がうまく調うようにいい調整が図られることを私としても期待をいたしておりますけれども、最終的に決めるのはあくまで学術会議の長である、このように考えております。

石井(郁)委員 少し立ち入っても、やはりこの点はただしておかなければいけないと思いますので、これは黒川会長にも伺いたいと思います。

 今お話しのように、今回の法改正というのは総合科学技術会議の意見具申を受けてのものでございます。そういうことの中で、この協議、総合科学技術会議の有識者議員のうちから、それから日本学士院院長と、三者の協議ということが入ったわけでございますけれども、その総合科学技術会議の意向とか、政策目的に沿う立場からの委員が任命されたら、やはり独立しての活動というのは弱まるのではないのかと当然考えられるわけでございまして、そうならないような選考委員を任命するということはできるのかどうか、その点、率直に伺います。

黒川参考人 今のとおりでありまして、具申では、日本学術会議の会長が、総合科学技術会議の有識者議員のうち議長に指名された者と日本学士院の院長と協議して任命することとなっておるというふうであります。

 そこで、私としては、最終的には任命するという責任が伴いますので、そのプロセスは、どういうプールの人たちからどういうプロセスで上がってきて、協議といっても、もうこの人たちだよというわけではなくて、最終的には、協議をしたそのプロセスが後でも検証できるようにしておいて、私が任命させていただくという形にしたいと思っております。

石井(郁)委員 重ねて大臣にもお伺いいたしますけれども、協議ということになっておりますが、今お話しのように、後でもちゃんと検証できるというようなことがございましたけれども、やはり、総合科学技術会議からと、それから学士院の院長と日本学術会議会長との間で意見が異なるという場合は当然考えられるわけですから、そういう場合に、会長というのはやはり会長なりに、そういう拘束されずに、会長のみずからの意見に基づいて人選ができるというふうに考えてよろしいですね。

茂木国務大臣 このプロセスに関しまして、私は協議が三者の間でうまく調う、そういうことをもちろん強く期待しておりますが、最終的に決めるのは黒川会長である、このように考えております。

石井(郁)委員 それでは次に、代表性との関係で伺いたいと思っています。

 新しい会員の選考、推薦について、現行のような登録学術研究団体を基礎にした候補者推薦の手続というのは法文から削除されるわけですね。しかし、現在の任命制、一九八三年以降ですけれども、やはり歴代の会員が学協会との結びつきを強めている、学術研究の現場の意見を聞くことで学術会議の代表性を保持しようと努力してきたのではないかと考えられるわけです。こういう努力というのは、今後も代表性というものを保持する上では必要なことだ、あるいは不可欠であるというふうにも考えられるわけですけれども、この点は会長に伺いたいと思います。

黒川参考人 これについては、学術会議ができた昭和二十四年から、先日の改正の昭和五十八年の議事録も読ませていただきましたけれども、その途中の日本の学のあり方、国の変革ということも調べてみますと、私としては、学協会の推薦ということは昭和五十八年に行われたことであります、それと、時代の背景を見てみると、代表性というのが学協会からでなくてはならないということは必ずしも必要ではないのではないかと私は個人的に思っております。

 それはなぜかというと、先進国のアカデミーその他を見て、そこの会員になられる方を見てみますと、学協会から選ばれてくるというのは、むしろ日本に極めて特異的な事情であって、それは昭和五十八年のことを考えてみると、だれが見てもこのような人が会員になるのはふさわしいというのは、その学協会という話は、もちろん大事な組織でありますけれども、必ずしもそこに縛られなくても幾つかのやり方はあると思っております。

石井(郁)委員 会長がそこまでおっしゃられるというのは、ちょっと私は意外なんですけれども。

 というのは、今回、この法改正に当たっても、日本学術会議として、日本学術会議の在り方に関する委員会を設置されまして、二度にわたってずっとしてこられたというふうに聞いております。その委員会が平成十四年四月にまとめた報告「日本学術会議の在り方について」という中では、「会員候補者は学協会をベースに選出することが考えられる。」ということで、決して否定はしていないわけでしょう。そのことがありまして今回の選考方法にもなっているわけです。

 また、日本学術会議編集協力の「学術の動向」、その中にも、二〇〇二年の一月号に当時の吉川会長の論文「新世紀の日本学術会議」というのがございますけれども、そこでも、会員選出にも何らかの形で学協会の意図が入るようにすることによって学協会を基盤とする代表性を確保すると。代表性ということをどう確保するのか、そこはやはり一定配慮しなきゃいけないということがずっとあったと思うんですね。

 ですから、こういう考え方というのは、最初の会員の選考においても、またその後の会員の選考においても貫かれるのかどうか、生かされるのかどうかということはぜひ会長に伺っておきたいと思います。

黒川参考人 おっしゃるとおりでありまして、学協会とのつながりをどのように強化していくかというのは非常に大事な問題でありまして、その選考だけではなくて、ふだんの活動も通じて学協会との活動を非常に密にしていくとともに、大部分の方は学協会からのつながりあるいは推薦ということになると思いますけれども、そうじゃないところにも科学者のコミュニティーの人たちは幾らでもいるのではないかというところにも一応広がった、透明性の高いシステムにしたいということであります。

石井(郁)委員 先ほどの質問でちょっと出ましたけれども、女性会員なんですね。この問題で一、二伺っておきます。

 会員の人選及び連携会員の選考に当たっては、私は、男女共同参画というのは内閣挙げて取り組んでいる方向でございますし、特に女性の科学者の地位向上、この分野の配慮というのは必要だと思うんです。

 それで、一応会員数を伺っておきますが、十七期、十八期、十九期の女性会員数、研究連絡委員の女性委員の比率、ちょっと簡単に御説明ください。

吉田政府参考人 学術会議の会員の中で女性会員が何人いるかというお話ですが、第十七期につきましては二人ということでございます。十八期は七人、現在の十九期は十三人ということで、先ほどお話にありましたように、期を経るに従って増加しております。

 また、研究連絡委員会の委員でございますが、こちらは、今比率とおっしゃいましたので比率で申しますと、十七期は五・二%でございます。十八期は六・七%、十九期は七・〇%でございます。

 以上でございます。

石井(郁)委員 十七期の二名というのは驚くような数字ですが、それから見ると、急激な増加ぶりというふうに言っていいのか、比較的増加している傾向がうかがえるわけですけれども、しかしまだまだ少ない。これは世界に行って比較すると本当に圧倒的に少ないということは、いろいろ学術会議の方でも取り組んでおられることで明らかであります。

 これは、平成十二年の六月に、百三十二回の総会名で「日本学術会議における男女共同参画の推進について」という声明も採択されております。これは黒川会長自身もちょっとお書きになっていらっしゃることもございますからよく承知のとおりでありますけれども、その声明の中には、項目として、日本学術会議の自己改革に関する重点項目の一つ、女性会員比率を今後十年間で一〇%まで高める、そういう目標値が設定されている。それから、研究連絡委員会の女性委員の比率を高めるようさらに努力するということがございます。

 それで伺うわけですが、法改正後の学術会議の会員の人選及び連携会員の選考に当たってこれが当然配慮される、女性の会員や連携会員の増加が図られるということを期待するわけですけれども、会長としての御見解を伺っておきたいと思います。

黒川参考人 私も、前の計画のとおり、その十年以内に一〇%ということを考えておりまして、実際に十七期は二百十人のうち二人、十八期は七人、今回は十三人になってきたということは、会員、広い科学者コミュニティーの意識を反映していると思います。

 さらに、研究連絡委員会も、なるべく女性の科学者を推薦してほしいということも出しておりまして、五%から七%まで上がってきたということでありまして、これがやはり、先ほど申し上げましたように、日本全体の社会構造ということをあらわしているとはいえ、学術のところではいろいろな意味で比較的自由度が高い人たちが多いわけなので、ぜひその目標は達していくように努力していきたいと思っております。

石井(郁)委員 会員の選考について、先ほども協議のところではプロセスは透明にというお話もありましたけれども、これに関連して再度伺っておきたいんです。

 最初の会員を選考する選考委員会、あるいはその後もずっとそうですけれども、情報公開と公正な選考を保障するということがやはり代表性を保障する上では不可欠だというふうに思います。業績ベースで選考するときには、どうしても選考する側の主観というのが入らざるを得ないわけですけれども、科学者としての見識に基づくふさわしい選考かどうか、あるいはどの分野の学協会から見ても納得のいくものであるということが望ましいと思うんですね。

 だから、そういうことを保障するためには最低限の透明性というのが必要になってくる。選考基準の公開、選考過程と選考結果の公開がなされるべきだと思いますが、その点ではいかがでございましょうか、会長にお願いします。

黒川参考人 選考のプロセスについてはできるだけ透明なプロセスにして、また会員の募集あるいは候補者のノミネーションもそのようにしたいと思いますが、基本的には新しい会員が決めることですけれども、今までの調査がありますので、参考として資料はつくっておきたいと思っております。

 そのほかに、もちろん、最終的に選ばれた候補は、毎年のように、毎年あるいは三年ごとに公表いたしますけれども、そのとき選ばれなかった方について公表するのは必ずしも適切ではないかなと思っております。

石井(郁)委員 ぜひそのような方向でお願いをしたいと思います。

 あと、大変大きな問題かと思うんですが、これは一問で終わらざるを得ないんですけれども、日本学術会議の独立性ということを私は質問してまいりました。代表性という問題についてもいろいろあると思います。そういうあり方について政府の政策決定にかかわる総合科学技術会議が検討をしてきた。これは、今回まさに意見具申として出されましたように、政府の総合科学技術会議が日本学術会議の独立性を云々してきたという問題があるわけで、私はこれは極めておかしいというふうに思うんですね。

 それは、総合科学技術会議が昨年二月に提出した意見具申では、今回の改革後十年以内に新たに日本学術会議のあり方を検討するための体制を整備する、上記のような評価、検討も客観的に行う、その結果を踏まえてあり方の検討を行うと。だから、やはり総合科学技術会議の方がいろいろ物を申しているという関係になっているわけでしょう。今後の検討方向までもこのようにやれという中で、今こういう日本学術会議の問題が出されているということなんですね。

 私は、独立性ということからいっても、こういうやり方というのは極めておかしい。だから、この検討というのは、総合科学技術会議のような政府機関でトップダウンで行うというようなことはやはりやめるべきだということを私は強く主張したいと思います。

 もちろん私たちも、学術会議そのものがずっとこのままでいいということにはならない点は多々あると思いますから、もしいろいろ検討する場合でも、日本学術会議が主体となって、また科学者の間で、また国民にも開かれた検討を行っていくということがやはり望ましいのではないか。それが国の機関として発展することを、また堅持するということも求めていきたいというふうに思います。

 この点で、大臣に最後に御答弁いただければと思います。

茂木国務大臣 内部の改革を進める場合、当然その内部の意見も貴重でありますけれども、なかなか内部だけでは大胆な改革が出ない、こういうケースも私はあるんだと思っております。

 今回の改革につきましては、委員御指摘のとおり、総合科学技術会議によって進められたものでありますけれども、その過程におきましては、学術会議自身の意見も十分配慮した内容になっている、こんなふうに考えております。

 ただ、今後を考えますと、まさにこれから改革を進めるのは学術会議本体でありますから、次回の改革におきましては、より学術会議の側が中心になって改革の検討をしていただく、こういうのが望ましい姿だと私は思っております。

石井(郁)委員 なかなか、今の御答弁は私も大変、受けとめたいと思っておりまして、ぜひ日本学術会議の今後の方向を、本当に学術会議が主体的に、そして、本当に国民にとって必要な改革を、国民から見て必要な改革の方向に踏み出すように、見ていきたいと思っております。

 ちょっと時間がありますので、最後に、予算の問題なんですけれども、日本学術会議の来年度予算というのは十五億六千二百万円ということで、これも今回の質疑の中でいろいろ話題になっておりましたように、欧米諸国の科学アカデミーなどを見ますと、本当に予算規模が少な過ぎるという問題がございます。

 これはアメリカの全米科学アカデミーだと、連邦政府から受けている補助金などは日本円で百十三億円です。イギリスの王立協会などでは国費が四十四億、ドイツの研究協会だと千百五十億円等とありまして、日本の数倍の規模で公費が投入されているということがあると思うんですね。

 なぜこんなふうに日本の学術会議とは差があるのか。また、今言われたように、今後、日本学術会議の発展と充実ということを考えた場合に、やはり予算というのは必要ではないのかというふうに思いますが、これは学術会議の事務局長としてはどのようにお考えか、最後に伺っておきます。

吉田政府参考人 学術会議の予算につきまして、ただいま外国のアカデミーとの比較もございました。

 確かに、アカデミーによっていろいろ予算規模が違います。ただ、それぞれ、設立形態あるいはそれぞれのアカデミーがやっておられる事業内容が異なっておりますので、簡単には比較できないと思いますけれども、先生がおっしゃいましたように、予算が少ないじゃないか、そういう評価もあり得ると思います。また、今般の改革によりまして、学術会議の機能を一層発揮していくということが求められております。そういった意味では、事務局としましては、必要な予算につきましては最大限努力をしていきたいと思っております。

石井(郁)委員 時間が参りました。以上で終わります。

池坊委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、日本学術会議法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池坊委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、青山丘君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。川内博史君。

川内委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    日本学術会議法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 政府及び日本学術会議は、日本学術会議が我が国の科学者の内外に対する代表機関として独立性を保ち、十分にその機能を発揮することができるよう努めること。

 二 日本学術会議は、科学と社会の関わりの増大している状況に鑑み、時宜を得た提言や国民に分かりやすい形での情報発信等、効果的・機動的な活動を行い、社会との交流の機会の充実に努めること。

 三 日本学術会議及びその委任を受けた幹事会等が職務を行うに際しては、多様な学問分野における学術動向について十分に配慮するとともに、公正性・中立性の確保に留意するよう努めること。

 四 法改正後の日本学術会議会員の選出に当たっては、今回の法改正の趣旨に鑑み、学問の動向に柔軟に対応する等のため、女性会員等多様な人材を確保するよう努めること。

 五 今後の日本学術会議の設置形態の在り方に関する検討は、今回の法改正後の日本学術会議の活動状況の適切な評価に基づき、できる限り速やかに開始すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

池坊委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池坊委員長 起立総員。よって、本案に対して附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。茂木内閣府特命担当大臣。

茂木国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、十分にその趣旨を尊重し、努力をしてまいります。

    ―――――――――――――

池坊委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

池坊委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時六分散会


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