衆議院

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第12号 平成16年4月16日(金曜日)

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平成十六年四月十六日(金曜日)

    午前九時三十四分開議

 出席委員

   委員長 池坊 保子君

   理事 青山  丘君 理事 伊藤信太郎君

   理事 遠藤 利明君 理事 渡海紀三朗君

   理事 斉藤 鉄夫君

      今津  寛君    宇野  治君

      小渕 優子君    奥野 信亮君

      加藤 紘一君    上川 陽子君

      城内  実君    岸田 文雄君

      近藤 基彦君    鈴木 恒夫君

      田村 憲久君    西村 明宏君

      馳   浩君    古川 禎久君

      山際大志郎君    石井 郁子君

    …………………………………

   文部科学大臣       河村 建夫君

   文部科学大臣政務官    田村 憲久君

   文部科学大臣政務官    馳   浩君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            遠藤純一郎君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        田中壮一郎君

   文部科学委員会専門員   崎谷 康文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八六号)


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     ――――◇―――――

池坊委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合の所属委員の出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

池坊委員長 速記を起こしてください。

 民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合の出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君及びスポーツ・青少年局長田中壮一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木恒夫君。

鈴木(恒)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木恒夫でございます。

 二十分間時間をいただきまして、学校教育法の改正についての質問をさせていただきますが、質問に入ります前に、二つのことを申し上げたく存じます。

 一つは、もう申し上げるまでもありません。イラクにとらわれておりました三人の邦人が無傷で解放をされた、ほっとしているのは国民すべてであろうと思いまして、とりわけ、拉致された人質の家族の方々の心中を思いますと、御同慶の至りと申し上げるほかはありません。本当によかったと思います。

 それはそれとして、しかし、今度のこの邦人人質事件を見ておりますと、いろいろなことを考えさせられます。私は一九四一年、昭和十六年の生まれでございますけれども、少なくとも我々は子供のころに、私の家は特別だったのかもしれませんが、幾つかの、いつも親からきつい注意を受けておりまして、その一つの言葉が人様に迷惑だけはかけるな、これはもういまだに私の人生の指針の一つとして、おやじの言葉が残っております。

 これ以上のことは申し上げません。しかし、自由の裏側には責任がある、権利の主張の裏には義務がある、当たり前のことを我々は、本文部科学委員会でございますから、改めて委員の方々と一緒に教育の大事さということをもう一度かみしめたいと、テレビを見ながら考えているところであります。(発言する者あり)

 もう一つは、今やじがございましたけれども、残念ながら、この学校教育法の質疑に入りますのに、民主党、社会民主党のお姿が見えません。共産党の石井先生には敬意を表します。

 大事な法律でございまして、とりわけ、学校栄養士さんあるいは薬剤師を目指される方々にとっては、この法律はその人生にかかわるような大事なテーマでございまして、しかも、それぞれ五十年にわたって念願としてきたものが実現するかどうかという大切なときに、言いがかりとしか思えない理屈で委員会に出席を拒むというのは、国民から見ても理解に苦しむところであろう、これが普通の感覚であろうと思いまして、甚だ残念に思うところであります。

 以上、二つのことを申し上げて、質問に入らせていただきます。

 今申し上げましたとおりに、この学校栄養士の身分あるいは活動の場、地位、そうしたものをめぐる議論は、昭和二十九年の学校給食法施行以来の宿願でありました。ずっとこの運動を続けてきた田中信という女傑がおられますけれども、この田中信さんの述懐をひもときますと、その学校給食法ができたころ、学校栄養士なんというものは単純労務者扱いだったという言葉がございまして、給食のおばさんと生徒から親しまれる割には恵まれない存在であったから、これを一般教諭並みに何としてでも昇格させたいというのが、田中信さんを初めとする学校栄養士の方々の半世紀にわたる宿願であったわけであります。

 この法律がこの国会で成立すれば、来年の四月一日から学校栄養士の方々は栄養教諭という形でスタートできるわけでありまして、これも何としても今国会で実現させたいと思っているところであります。

 私は、さっきも申し上げましたとおり昭和十六年生まれで、小学校に入りましたのが昭和二十二年でございますから、我々が公明党の皆さんと一緒に今一生懸命議論をしております教育基本法の施行が昭和二十二年、言ってみれば、鈴木恒夫君は戦後教育の第一期生みたいなものでございまして、それだけ時代の流れ、五十余年を見ながら、今教育基本法の改正問題に取り組んでいる。

 きょうは斉藤先生着席されておりますが、一緒に議論をしておりますが、その教育基本法の、つまり教育の憲法たる教育基本法の改正問題は、これも決着をつけなければなりませんが、一方で私は、教育関連の個別法の整備、新しい法律もつくる、改正も図る、あるいはまた法律に限らず制度の整えもしなければならぬ、つまり、並行して我々の後に続く世代のための教育施策を進めなければならぬと考えている一人でございまして、そうした意味で、この学校教育法の改正もその一つだと高く評価をしているところであります。

 教育基本法の改正問題については、いろいろ議論があって、鈴木恒夫君を見ていて、ああ、あんな程度のものなら教育基本法はもっと直さないかぬとおっしゃるのか、あの程度ならば少しの改正でいいかとおっしゃるのか、そこは判断をお任せいたしますが、個別法の整備ということは、やはり当面の教育問題を解決する方法としてどんどん進めていかねばならない。この数年、教育関係の個別法の整備は物すごく進んでまいりましたから、この法律もぜひ実現したいと考えているところでございます。

 それで、本論に入りますときに、この学校栄養士の問題、私は河村大臣の後を継いで議連の幹事長をしておりますが、大臣もまた長らくこの問題に携わってきていらっしゃいましたので、格別の感懐をお持ちと思いますけれども、この法律によって大臣がねらっているもの、あるいは何を期待するか、総論的に、まず大臣の御所感を伺うことにいたしたいと思います。

河村国務大臣 鈴木先生から、学校栄養教諭制度創設へ向けての歴史的な課題、そして今日の状況をお踏まえいただいて、総括をしていただいたわけでございます。

 私も同じような思いで今先生のお話を聞かせていただきましたが、やはり今の子供たちを心身ともに健全に育て上げていく、はぐくんでいく、いろいろな角度からとらえ方はあると思うわけでございますが、総理からも、知徳体プラス食育を重視した人間力向上の教育改革、こう言われておりますから、そういう面から考えてみても、この食の問題を真正面から教育の中で取り上げていくということは非常に意義のあることだ、こう私は思っております。

 まずは、児童生徒にきちっとした食生活の食習慣をつけさせていく。そのことは、ひいては大人になってからの生活習慣病と言われるものに対する予防にもなっていくわけでございます。そういう健康という面からも大きな効果があります。

 また同時に、学校栄養士の皆さんが学校栄養教諭として教壇に立っていただく、そして給食をきちっと管理しながら、それを教育の中にきちっと位置づけていただく、これを教材として活用していただく、その役割を担っていただけるということ、これはまさに、学校給食の管理とともに食の指導が一体としてできるということでございまして、この期待は非常に大きいものがございます。

 また同時に、家庭における食、食事をしながらの一家団らん、これが持つ教育的な効果というものはやはり非常に大きい。また、そういうものが今非常に薄れつつある。そういうこともぜひ学校栄養教諭として、保護者の皆さんとの懇談といいますか、保護者の皆さんと一緒になってそのことを考えていただく、先頭に立って考えていただく、やはり食のプロとしてまずコーディネートしていただく、その役割を大いに期待いたしておるわけでございます。

 文部科学省としても、国側としても、この問題に取り組んでいかなければなりませんし、今後、これから栄養教諭になっていただく、その待遇の問題等々もございます。財政的な裏づけも確保していかなければいけない。そういう面からも一層先生方の、鈴木先生を初め皆さんの御支援もお願いしたい、このように思っておるわけであります。

鈴木(恒)委員 ありがとうございました。

 もう申し上げるまでもありませんが、子供にとって、どんな教師に出会うかというのは幼少期の非常に大きなポイントだと私は思っております。いい先生に出会えるかどうか。今度、学校栄養士の方々は、免許の取得までにいろいろな御努力をいただかなければならぬわけでありますが、いずれにしても先生、一言で言えば一般教諭と同じ先生になるわけであります。

 私は、横浜市立の大綱小学校という学校で学んだんですけれども、もうみんな還暦を過ぎましたが、恩師がまだ御健在でございまして、つい最近、同窓会をやりました。小学校のころの女生徒に豪傑がいまして、これが横浜市立の工業高校の教師をずっとやっていた。その子が参りました。同じ学校にずっと三十年勤めていたというわけですから、偉いものだと、それだけでも褒めたんですが、この教師はもう大変な教師でございまして、茶髪の子が言うことを聞かない、その言うことを聞かない子供を正座させてバリカンで頭を刈り取っちゃったという逸話のあるような、まあ今でいえばもう本当に体罰なんでしょうが、そんなことをやって、名物教師、女の先生なんです。しかし、その女の教師が、その子が卒業式のときに、両親と一緒に自分に抱きついて離れない、今日卒業できるのは先生のおかげだと言って泣き崩れたという話をついこの間もしておりました。我々の恩師はそれを聞いて、そういう先生を育てた私が偉いのよ、こう言って、みんなで笑い転げたんですけれども、つまり、よい教諭に出会うかどうかというのは大変大事なポイント。

 そこで、一万人を超える栄養教諭の方々が誕生するわけでありますが、ただ、残念なことに、全公立の小中学校、私立も含めて、給食をやっていない学校もある。あるいは、一万人しかいないわけですから配備計画がなかなか難しかろう。文部科学省の頭の中に、栄養教諭が誕生した後どのような配備計画を持っているのか。義務教育費の国庫負担の問題なんかと絡んで、きょうはこの議論はいたしませんが、さまざまな予算措置の問題も含めて、大臣の所感を、総論としてこれも伺っておかなければなりません。お願いします。

河村国務大臣 非常に大事な視点でございまして、せっかく学校栄養教諭となるわけでありますから、本来、全学校にきちっと必置される、これが望ましいと私は思っておるわけでございますが、御指摘のように、一万五百七十名の学校栄養士の皆さんがいらっしゃる。しかし、学校は全体で小中でも三万五千あるわけでございます。

 そういうことで、今学校給食現場は単独校と共同調理場がございます。学校栄養士の皆さんは大変忙しいのでありますが、単独校の場合には一人が二つ持っていただく、それから共同の場合には一人で四・五校平均持つというような形で活躍していただいております。

 そういうことからしますと、そのような形で当面はやっていかなきゃなりませんが、今後どのような配置をしていくか。これは、一つは地方の自治体がきちっとこれに対応していただく。地方の主権といいますか、地方の裁量の問題もございますし、学校給食そのものが今必置条件になっておらない、義務になっていない面、神奈川県も、たしか中学校の学校給食というのはほとんどまだ現実になっていないという現状がございます。

 これをどういうふうに進めていくかということも考えながら、学校栄養教諭、この制度を生むということ、この法律の趣旨あるいは食の指導の重要性、それを十分ひとつ地方公共団体に御理解を求めながら、学校栄養士の配置の推進を行ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。

鈴木(恒)委員 栄養士の方々は、これまで給食の場で、子供たちと本当に、ある意味では非常に気持ちの通った関係を保ってきていらっしゃいますから、私は、今度のこの教諭という一般教員並みの待遇のスタートによって、先生方がプライドを持ち、そして子供たちに食育の面を通して本当に生きた教育をしてくださることを期待しているわけであります。

 さて、もう一方で、薬剤師養成の問題がこの学校教育法のポイントでございます。これも先ほど申し上げましたように、昭和二十九年以来の一種の懸案事項、医療の高度化あるいは臨床の必要性、それから薬剤師が直接治療にコミットメントしていくという必要性。一方で、薬害の問題も、安全の問題も大きくクローズアップされてきておりますから、薬剤師さんが六年間の修業年限を義務づけられるというのは、私は、薬剤師会も病院薬剤師会も賛成されておりますので、幾つかの障害があったのを、文部科学省、厚生労働省が乗り越えて今日に至ったのに敬意を表します。

 この薬剤師さん、これから大学の薬学部というものもどんどん増設傾向にある、希望者もふえている。特に女性の希望者が非常に多いというようなことを聞いておりますと、一説には平成十八年度で需給のバランスが逆転するという話もございますから、この薬剤師の六年の研修の間の、とりわけ実務実習の場をどのようにして確保していくか。これが非常に大きな、薬剤師さん希望の方々から見ると、どこでできるんだろう、うちの大学には附属病院もないのにと言う方も、実際薬学志望の方からも聞いてございますので、一つの安心材料として、薬剤師志望の方々に明確な指針を大臣からお示しをいただきたい。その御答弁をいただいて、時間が参りますので質問を終わります。

河村国務大臣 このたび、薬学部修業年限六年、その中で薬剤師は六年という形をとろうという法案を出させていただいたゆえん、今御指摘ありましたように、医療がこのように高度になってきたということ、それから医薬分業が非常に進んできたこと、そしてやはり医薬品の安全使用の観点から、あるいは最適な薬物療法等々、国民の薬剤師に対する期待も非常に大きくなってきております。これにきちっとこたえ得るかどうか。

 今日の高度医療の中でということを考えますと、いわゆる薬学教育というものももっと高めていかなければいかぬ、こういうことで、特に基礎的な知識をもっと高めよう、あるいは患者とのコミュニケーション能力、問題発見、問題解決型能力、こういったものをふやすためにはもっともっと薬剤師の研修が必要であろう、それからもっと長期の実務実習も必要である、世界の潮流から見ても日本の薬剤師の現状、教育の現状は少しおくれているんじゃないかという指摘もございました。そういう点で、プラス二年ということを考えていたわけでございます。

 そのためには、今鈴木先生御指摘のように、まさにこれからの研修の受け入れ、これは病院、薬局、それから一般の医療現場等々がこれに協力をいただかなければなりませんので、そういう意味で、薬剤師養成の今日の視点を周知徹底させていただいて、この受け入れについても十分協議をいただきながら今日まで来ております。

 現場、いわゆる医療現場との調整の中でも、六年制になって研修が延びるということについても十分受け入れ可能である、大きい薬局もそれにちゃんと対応いたします、こういうことでございます。これからもその点に十分注意を払いながら、特に薬剤師会あるいは病院薬剤師会、これを中心に複数の病院とかグループ化して学生を受け入れるシステムをつくっていただく、それから地区の薬剤師あるいは大学等の実務実習の受け入れ、これの調整機関を今設けつつございます。

 そういうところできちっと受けとめていただいて、この六年制の充実、その意義というものを果たしてまいりたい、こう思っております。厚生労働省側との十分な連携のもとに、この薬剤師教育の六年制というものをきちっとまとめ上げていきたいし、意味のあるものにしていきたい、このように思っておるわけであります。

鈴木(恒)委員 ありがとうございました。

 以上、質問を終わります。

池坊委員長 斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。時間が十分ですので、早速質問に入らせていただきます。

 まず最初に、栄養教諭関係ですけれども、食育の重要性については、改めてここで私が申し上げるまでもないことだと思います。そういう意味で、今回の制度改正が、真の意味で食育、子供たちへの食育の充実につながるようにしていかなければならない、その責任が文部科学省にはあると思います。その観点から質問させていただきます。

 まず、現在学校栄養職員という制度があるわけですが、今回栄養教諭という制度にする。今までと何が違うのか、どこが違うのか、今までに何かふぐあいがあったからこういう制度にするのかという、今までとの相違点について、端的に明らかにしていただきたいと思います。

 そして、現在、国公私立合わせて一万二千人強の栄養職員の方がいらっしゃるわけですが、栄養教諭に移行する人は推計で何人ぐらい見込まれるのかということについてもお伺いをいたします。

 その場合、身分、処遇が変わってくるわけですので、財政上の負担が出てくると思います。その財政上の負担というのは、当然ふえるんだと思うんですが、どの程度ふえることが見込まれているか。また、教諭制度ですので、公立の小中の方については義務教育費国庫負担制度の対象になるわけですけれども、この国庫負担制度堅持の考え方とあわせて、財政的なバックアップ、このことについてもお伺いをする次第でございます。

 それから、国庫負担制度という言葉が出てまいりました。ちょっと話が外れますけれども、きのう知事会でかなり革新的な意見も出てきたというふうに聞いておりますので、その最新情報も、この国庫負担制度にあわせて、もしあれば教えていただきたいと思います。

河村国務大臣 食育を重視してこれから人間力向上の教育改革を進めようという一つの大きな方針のもとで、いよいよ学校栄養教諭制度を入れる、こういうことになってまいりました。

 この点で、今までの学校栄養士の皆さん方もそれなりに学校現場にも入っていただいて栄養指導等もやっていただいておるわけでありますが、何せ学校現場ではやはり教諭というものが中心でやっておる、あくまでも補佐でしかないということで、なかなか十分な栄養教育というものができなかった、食教育ができなかったという面がございました。そういう面が、先ほど鈴木先生の御指摘にありましたように、あの田中信さんを中心として、何としても学校教育の中できちっと位置づけをしたいという思い、これを実現しようということになってきておるわけでございます。

 そういう意味で、これまでは学校給食に関与しながら食教育の中に入っていただきましたが、まだ教育というところまでいっていなかった。これをいよいよ食教育という考え方でいくならば、学校栄養教諭として教壇に立って指導していただく。そのことはまた、改めて保護者に対しても、家庭の教育における食のあり方についてもきちっとした指導ができるということで、この効果が非常に大きいということでございますし、これまでも栄養職員という身分はあったわけでありますが、それを一段教諭の形できちっと位置づけをするという形になってくる点、そして食教育を真正面から取り組んでいただける、この点が大きな違いだ、こういうふうに思います。

 それから、身分が上がりますというか、教諭になることによってそれに対する手当等々は出てまいりますので、この試算についてはどのような試算になるのか、大体の数字はこうなるのではないかという話はございますけれども、今財政当局と詰めの段階でございまして、今ここで私の方から、はっきり幾ら出せば大丈夫だということは言えないといいますか、まだ明確に打ち出しておりません。

 しかし、三けた台に上るような大きな数字、百億とか二百億とかそんな金額ではなくて、せいぜい二けた台の数字でいけるんじゃないか、財政当局にも御理解いただけるんじゃないか、こういうふうに思っております。これは、やる以上はきちっとした対応はするということでございます。

 同時に、栄養教諭ということでございまして、教諭、養護教諭、事務職員、これはともに学校の基幹的職員でございますから、これまでの教育費国庫負担法による給与費の二分の一負担、この制度を堅持していくというのが、文部科学省、我々の強い方針でございます。皆さん方からの御指摘でございます。

 このことは、これからもきちっと対応していきたいと思っておりまして、知事会においても、私が得たところでは、この問題はやはり教育の根幹にかかわる大きな問題だから、もちろん地方の裁量性の問題もある、それから総額裁量制という問題も出てきた、この問題を踏まえてやはり対応すべきであって、まず、義務教育費国庫負担制度、これを義務教育の根幹を崩していいということにならないのではないか。また、これだけ多様な意見があるものを、まず義務教育費から一般財源化するということについて異議ありという声が非常に強かったというふうに伺っております。

斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。

 次に、薬学部六年制の問題について質問させていただきます。

 まず、現在、四年制の薬学部卒業生が卒業した場合の進路状況はどのようになっているのかということと、それに関連いたしまして、これからの日本の一つの大きな競争力を持つ柱が、知識集約型産業である医薬品産業だと言われております。その国際競争力を強化していくというのは、ある意味で、日本の科学技術戦略、また国家的要請である、このように考えます。

 そういう意味では、いろいろな、多様な分野に進むことが期待されているこの薬学教育について基本的にどのようにお考えになっているかということが第一点と、それから、今回、ある意味で二本立てになるわけです。六年制、それから四年制でなおかつその後の修士二年行く、こういうコースも可能になってくるわけで、六年間勉強するのに二つのコースがある、このような形になります。そのときに、薬剤師の国家試験受験資格、一体どっちがどうなんだろうかという疑問の声も聞こえてくるわけでございまして、このことについて、はっきりとした御答弁をいただきたいと思います。

河村国務大臣 薬学部卒業生の進路でございます。

 薬剤師として薬局、病院等へ行かれる方、約四割と言われております。それから大学院に行かれる方が三割弱、さらに製薬、医薬品販売、そうした方へ行かれる、この方が二割弱、こういう報告でございますし、また大学院に進んだ方々の中にも、見ると、さらに薬剤師として就職する方が五割弱おられる、そのほか創薬等々に行かれる方が三割、あとはその他ということでございます。

 そういう感じでございまして、今回、薬学教育を六年制にするについては、全部六年制の一本コースか二本立てかというさまざまな議論があったわけでございます。しかし、現実に薬学教育が、薬剤師の養成だけではなくて多様な進路があるということが明確になってきておりますので、その方々のことも考えながら、四年制の学部も残しておこうということに今日なったわけでございまして、改めて薬剤師コースに行かれる方はまたその勉強をしていただければいいんじゃないか、こういうことになったわけでございます。

 そういう意味で、いわゆる創薬と言われておりますが、製薬企業、それから大学で研究開発に臨む方もおられる。そういう方々も含め、また今日の医薬情報担当者、化学あるいは食品産業、多様な知識を、薬学の基礎知識を持っていかれる、そういう人材を広く輩出していこうというのが、今回、薬剤師のコース六年制、そして四年からまた大学院のコース、これも残しておく、こういう形になったものであります。

斉藤(鉄)委員 大臣、もう一つ、薬剤師の国家試験受験資格はどうなるかということについての……。

遠藤政府参考人 御指摘の点、今厚生労働省の方で薬剤師法の改正案を国会に提出しておりまして、その中では、薬剤師の国家試験の受験資格、これは一義的には六年制の学部の卒業生に対して出す、こういうことでございますけれども、ただ、四年の学部へ入学して、その後薬学の修士課程を修了した人、六年という方もいらっしゃるわけでございます。

 この方については、新しい制度に移行するということもございまして、平成十八年度の法律施行の後、一定期間、平成二十九年度の入学者まででございますけれども、そういった四年制の学部に入学し、その後薬学の修士課程を修了した人であって、実務実習を含む医療薬学に関する履修を行うなど、一定の条件を満たす場合には個別に薬剤師国家試験の受験資格を認定する、こういう整理をして今法案を出しているというふうに理解しております。

斉藤(鉄)委員 よくわかりました。

 この創薬産業は、今アメリカに最も大きく差をつけられている研究開発分野と言われております。その差を縮めるべく、ぜひ御努力をいただきたいと思います。終わります。

池坊委員長 石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 きょうは法案の栄養教諭の問題でお聞きをいたします。

 学校教育法の第二十八条の二で、「小学校には、」「栄養教諭その他必要な職員を置くことができる。」として、都道府県の判断で置くことができるようになりました。これは、置くも置かないも都道府県の判断になるのでしょうか。なぜ必置ということにしなかったのでしょうか。

田中政府参考人 栄養教諭を必置としなかったことの理由についてのお尋ねでございますけれども、栄養教諭制度は、現に学校給食を実施している学校等に配置されております学校栄養職員に、栄養に関するその専門性に加えまして、教育に関する資質をあわせて身につけてもらいまして、栄養教諭として児童の栄養に関する指導と管理を一体的に行ってもらおうとするものでございます。

 したがいまして、栄養教諭の配置につきましては、本年一月に提出されました中央教育審議会答申において指摘されておりますように、地方の自主性を尊重するという地方分権の趣旨や学校給食の実施そのものが義務とはされていないこと等を踏まえまして、地方公共団体が地域の実情に応じてその配置を判断することとし、学校教育法上、「置くことができる。」というふうに規定しておるところでございます。

石井(郁)委員 私は、やはりそれではおかしいと思うんですね。

 といいますのは、今国会でも小泉首相の施政方針演説で、「心身の健康に重要な食生活の大切さを教える食育を推進し、子供の体力向上に努めます。」と食育の重要性を述べておられたわけです。

 また、河村大臣も、小泉メールマガジンに寄稿された「大臣のほんねとーく」を読ませていただきました、二〇〇三年の十一月二十日だったと思いますけれども。

 我が国では、昔から知育、体育、徳育が教育の基本と言われてきた。今それらに加えて注目されているのは食育です。このたびの大臣就任に当たっても、小泉総理から、食育を含めた人間力向上のための教育改革をさらに進めてほしいと御指示を受けました。

 文部科学省も、これまで学校給食の実施を初め、教材の作成やシンポジウムなどを通じて食に関する指導に取り組んでまいりましたが、今後、その主役として期待されるのが、新たに創設される栄養教諭です。

 栄養教諭のことを大変評価をされると、意義をこのように書かれていたと思うんですね。私は、これは本当にこのとおりだというふうに思っています。

 ですから、今後主役となるべき栄養教諭ということでありまして、それが、置くも置かないも都道府県の判断だと。任意設置ということになりますと、何か極めて、実際のところは寂しい話になっていく。一体、国は、大きなことを言うけれども、何をしてくれるのかという話になっていくわけですね。

 ですから、設置をやはり義務づけるぐらいのことはすべきではなかったんでしょうか。二十八条の一に、「小学校には、校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。」というふうにしているんですけれども、栄養教諭を養護教諭の後になぜ入れることができなかったのか、私は入れてしかるべきではなかったのか、これほど大きく意義づけをされているわけですから。今、政府参考人からのお話もありましたけれども、ひとつ大臣の御所見を伺いたいと思います。

河村国務大臣 今石井先生御指摘の点、私もせっかく学校栄養教諭、制度をするのですから、これは全学校に行き届くようにという思いでスタートしたことも事実でございます。

 ただ、学校現場は地方でございますから、地方の意見あるいは地方の教育委員会等々の意見も今回十分聴取をした中で、この学校給食そのものが、これは義務になってないのだということが一つございました。実施そのものをやらない現場もあるという現状がございます。これから始めなければいけないという現状もございます。

 それも踏まえて、まずは地方のそうした主体性を重んじてもらいたいという強い要請も受けて、我々としてはこの食教育というものを重視するという観点から、できるだけ学校栄養教諭に、現実に、今学校栄養教諭そのものも一万五百七十人ばかりしかいらっしゃらない、学校は三万五千あるというこのギャップもございます。この穴をどうやって埋めるかという大きな課題も出てまいりますから、それを埋めるのを待っていることになりますと、いつまでたっても学校栄養教諭制度もできませんので、スタートしたわけでございます。

 そういう意味で、これから学校栄養教諭をふやす方向、そして現実に、まだ中学校等で学校給食をやっていない現場もございますから、そういうところに学校給食に取り組んでいただくことも促進をしなければいかぬ。現実に、私の知っているところでは、今までなかった中学校がまた学校給食を始められる学校も出てまいりました、今回のこの制度になって。

 それは、やはりこれから我々としてもしっかり促進をしていきたいと思いますが、必置ということになりますと、現実にこのギャップが大き過ぎるものでありますから、それを待っているとスタートできないということもあって、今回はこういう法律にいたしました。我々の気持ちとしては、あまねく学校栄養教諭が教壇でそれぞれやっていただく。当面は、今学校栄養職員の皆さんが受け持っておられるその分野で、そのテリトリーの中で学校栄養教諭としてかけ持ちの形でも、不足の分は補っていただきながら頑張っていただきたい、こういうことで臨むことにしたわけでございます。

石井(郁)委員 給食は義務となっていないなどということを今さら余り文科省が言うのは、私はいかがかと思うんですね。実際、もう小学校では実施率というのは九六%ですよ。中学校でも七二・六%ですよ。七割方ですよ、まあ地域的にアンバランスはあったとしても。だから、小学校の場合、ほとんど実施している、そう考えていい。

 今、私申し上げましたのは、実施していないところはさらにもちろん実施してほしいと思いますけれども、小泉首相が食育ということを掲げた、そして大臣も、義務教育でもこの食育を掲げるということだったら、これは全国的に実施の保障を図るし、そして教育の機会均等という立場から、食の指導があまねくできるようなそういう体制をつくるということは、これは文科省がやらなければいけない。それをやらないでただ食育ということを口だけでおっしゃるんだったら、非常にその認識を私は疑わざるを得ないということまで申し上げなければならないと思うわけですね。

 中教審も指摘していることなんですけれども、社会生活の変化や行動の変化で子供の生活が変わっている、食環境が変わってきているという問題があると思います。体を動かさないで済むとか、至るところにコンビニ、飲食店があって、好きなものを好きなときに好きなだけ食べられる、今そういう食環境というか食生活になっているわけですね。だから、食の管理もできないという面も、実態もございます。そのことがやはり精神面にもあらわれて、集中力がないとか、いろいろ無気力や、根気がないとか、疲れやすいだとか切れやすいというような、そういう状況も生み出しているかというふうに思います。これは体の面にもあらわれていまして、かめないとか低体温、姿勢が悪い、朝からあくびするとか立ちくらみ、それからアレルギーの増加等々があるかと思います。

 ですから、子供を取り巻くこうした重大な変化に対応するために食育ということを言われたのではないかと私は理解するわけでございますが、そうすると、そういう中で栄養教諭制度の創設の必要性ということが御認識され、強調されたのではないかと思うのですが、その点はいかがでございますか。これは大臣に伺いたい。

河村国務大臣 石井委員御指摘の点について、私も今の子供たちの現実を見ているときに、まさに食習慣が非常に乱れてきたということ、朝、食事をしない子供たちが、十二年の統計を見ても小学校で一六%、中学校でも二〇%というような、非常に大きな課題になってきている。それから、子供たちの体力そのものも落ちつつあるというような現状もございます。そして、今御指摘のようなアレルギーの問題等々もあって、これは教育現場でも、このことに注目をしてきちっと対応しなければいかぬ。と同時に、そのことは家庭に対しても学校側が発信できるようにしなければいかぬ。そういう意味で、今回の栄養教諭制度というものに踏み切ったわけでございます。

 そういうことで、御指摘の点、あまねくということが今回できなかったということは私も残念でございますが、しかし、この制度創設の意義というものが、これによってはっきり位置づけられたという意味で第一歩を踏み出した、こう思っております。

 今御指摘いただいた点も踏まえながら、今後食教育というものを学校栄養教諭制度の中でもっと高めてまいりたいし、同時に、学校現場においても教諭という位置づけが出てまいりますから、これには養護教諭もいらっしゃる、あるいは家庭科の先生もいらっしゃる、そういう方々と一体になって、今の子供たちの心身ともに健全なはぐくみというものに取り組んでいただけるのではないか、このように思っておるわけでございます。

石井(郁)委員 子供を取り巻く食の状況というか実態、その問題にちょっと触れておりますので、もう少し述べさせていただきます。

 これは、全国市町村教育委員会連合会が今の子供の状況を発表しておりますけれども、八点ほどあります。嫌いなものは食べないという偏食。肥満ややせ過ぎ、ダイエットと称する誤った食事制限。それから、朝食をとらない。今大臣もおっしゃいました、食事を一人でとることが多い、孤食と言われている問題。栄養のバランスに欠ける家庭の献立がある。間食や夜食などによって食事の時刻や回数などが乱れる、不規則な食事がある。それから、はしとか食器の正しい扱いなど、食事の作法が身についていない、マナーの問題。食アレルギーなど子供の個別的体質の増加など。それから、食に対する全般的な指導とともに、今、個別的な対応ということも非常に重要になっていることが強調されておるわけです。

 大臣に、こうした現状もどのようにとらえていらっしゃるのか、お聞きしたいと思うわけです。

 この点、学校栄養職員は、このように言われています。うちの学校は、みずから食に向かい合える、人間らしく生きられる子を育てろということを目標に頑張っている、義務教育として行われているのだからこそ、どの子にも同じ喜びを感じてもらえるように一人一人を大切にしたい、食のつまずきがあったり、食物アレルギーで除去食の必要な子だとか、糖尿病で制限食が必要な子にも、同じように食べる喜びを味わえるように配慮すべきだ、それで除去食もしていると。

 本当に、その親、子供にとっては切実な、やはり食ですからね、この除去食ということも随分といろいろな学校でも取り組みはしておられるようですけれども、このようにして、やはり一人一人の子の健康状態に合った、その子のいわば発達に合った食の指導ということが、それこそが今、大変必要にもなってきているのではないかというふうに私は考えますが、大臣の御認識はいかがでしょうか。

河村国務大臣 石井先生の御指摘は、これからの非常に大事な点だと私も思います。

 おっしゃるように、今、子供たちの、肥満傾向もそうでございますし、子供にも今は糖尿病が出てきているというような現状、そういうことを思いますと、やはり食生活、あるいは将来的ないわゆる生活習慣病にどう対応するか。これが若年化している、こういう懸念が本当にあるわけでございますので、そういう意味で、食教育といいますか、そういうものの重要性は非常に高いものがあると思います。

 私自身も、私事でございますが、四人の子供のうち二人がアトピー性皮膚炎になりまして、学校給食との兼ね合いがあって、自分で弁当を持っていくというようなこともやりました。最近は学校側もサービスしてくれて、アレルギー体質の子供にもまさに除去食をつくってくれて、そこまでサービスを求めるのか、こうも思ったりしたものでありますが、こういう対応もある。

 そういう現状でありますだけに、学校栄養職員の皆さんが学校栄養教諭としてきちっと対応していただけるということは、非常に大きな朗報になるのではないか、私はこう思っておりますので、そういう意味で、今回、第一歩を踏み出させていただくことは大変意義のあることだ、こういうふうに思っておるわけでございます。

 特に、御指摘のように、食物アレルギーの問題も、これは大きな課題になってきております。間違いない、これは考えなければいけません。それから偏食、孤食の問題もございます。それから食事での作法の問題、これも非常に乱れてきておる。まさにしつけの第一歩がそこにあるというようなことを考えますと、食教育の重要性というのは本当にこれから、子供たちにとっても高まってきたし、おっしゃるように、それをできるだけきめ細かに指導していくことが大事になってきた、こう思っております。そういう意味で、今回の学校栄養教諭制度の導入に対して、私どもも期待をしながら、これがきちっと機能するように最大努力をしていかなければいかぬ、このように思っております。

石井(郁)委員 栄養教諭の果たす役割とかこの制度の創設ということが、本当に今、現状に求められている問題だということは共通の認識になっているかというふうに思うんです。その点は中教審も言っておりまして、こうした児童生徒への個別相談とともに、保護者などに対する助言、親子料理教室の開催、地域などの食に関する行事への参画というようなことを挙げているんですね。

 ですから、学校栄養教諭の制度の創設というだけじゃなくて、本当に地域にも出て行くとか保護者にもということにもなりますと、私は、これは最初に戻りますが、早急に全校に配置する、このことがやはり重要ではないかというふうに思うんです。だから、個別指導も大事だし、全校にも配置しなければいけない、いろいろと地域にもまた出ていかなければいけないという問題として、本当に役割というのは一層大きくなっていくわけですが、この点は、私だけで言っているんじゃないんですね。

 中央教育審議会に寄せられた団体の意見、その中には、栄養教諭は全校に配置すべきだ、こういう意見も出しているはずだというふうに思います。

 これは伺います。こういう要望を出した団体名を挙げてください。

田中政府参考人 栄養教諭の全校配置に関する団体からの意見についてのお尋ねでございますけれども、中央教育審議会におきまして関係団体からの意見聴取を行った際に、指定都市教育委員教育長協議会、全日本中学校長会、日本教職員組合、日本私立大学団体連合会、全日本教職員組合、日本私立短期大学協会及び全国栄養士養成施設協会、これら七団体から、栄養教諭あるいは、まずは学校栄養職員の全校配置の要望が出されたところでございます。

石井(郁)委員 最初の話に戻るようですけれども、非常にいろいろな事情から、そうしたいがなかなかできないという大臣の御発言もありましたけれども、重ねて、これほどの広範な関係の団体から、やはり全校配置をすべきだという御要望が出ているわけです。また、栄養教諭の配置をふやす場合、現行の教職員定数を減ずることがないようにすべきだという意見も出されているわけでございます。

 私は、やはりその声にこたえるべきだと思うし、なぜそういうふうに踏み出せないのか。もう少しお聞かせください。

河村国務大臣 教員の確保については、定数改善計画をもって臨んでおるわけでございます。現在、第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画というのが、平成十三年度から十七年度まで行っておりまして、これによって、学校栄養教諭のためのいわゆる学校栄養士の確保が九百六十二人の改善、約千人しか認められていないという現状がございます。

 これを今度、新しい計画の中でどうやって飛躍的に伸ばしていくかということは、我々も大いに頑張らなければいけない視点でございまして、なかなか、今日の経済事情の中からいって、財政当局の相当な抵抗もあると覚悟しなければならぬわけでございますが、しかし、必要なことは必要なんでありますから、我々はそのことを踏まえながら、今回栄養教諭制度に踏み切った以上、できるだけあまねく学校栄養教諭の指導が行き届くような形をとっていく。

 どのような計画をもって立てていくか、我々も内部でも十分検討しながら、この大きな課題に取り組んでまいりたい、このように考えております。

石井(郁)委員 実態の方をもう少し伺っておきますが、学校栄養職員の今の配置状況、これは小学校で何%、中学校で何%、数字もお示しください。

田中政府参考人 小中学校の学校栄養職員の配置状況についてのお尋ねでございますけれども、学校栄養職員の配置状況につきましては、平成十四年五月現在でございますけれども、単独実施校におきまして、小学校一万一千二百四十七校に五千三百六十三人、また中学校二千四百五十七校に千二百七十九人の学校栄養職員が配置されておるところでございます。

 したがいまして、その配置率は、小学校では二・一校当たりに一人、中学校では一・九校当たりに一人というふうになっておるところでございます。

 また、共同調理場方式の場合は、共同調理場二千七百八十三場に対しまして三千七百二十八人が配置されておるところでございますが、この共同調理場からの受配校が一万六千七百二十七校あるわけでございまして、学校栄養職員一人当たりの受配校を見ますと四・五校となっておるような状況でございます。

石井(郁)委員 本当に重ねて申し上げますけれども、せっかく内閣として、また大臣もみずから、食育の重要性を本当に掲げていらっしゃるわけですから、今後、この配置率をどのように上げていくのか。そしていろいろな定数が厳しいと言われますけれども、今後、文科省としてどういう計画をもって臨むのか。ぜひその計画をつくられるのかどうか。

 それで、私どもも、本当に今すぐ全校配置をと、そういうことはできないとは思いますよ。だけれども、計画はやはり立ててほしい。どういう見通しを持って本当にこれに取り組まれるのかということがあります。それがなければ、これは食育食育と申しましても、もう絵にかいたもちにしかならないということになりますから、ぜひこの際、栄養教諭というのになるわけですから、栄養教諭の全校配置計画、それをどういう計画のもとで進められるか、大臣のひとつ御決意を伺いたいと思います。

河村国務大臣 先ほど、私、一部申し上げたと思うのでありますが、今、第七次定数改善計画を持っております。これが十七年度で終わるわけでございますから、十八年度から新しい定数改善計画を持たなければならぬ。

 その中で、この学校栄養教諭をどのように確保していくかということ、これは財源を伴う大きな課題でございますので、真剣に我々も検討いたしながらこの計画を立てていかなければならぬ、現時点では今そう思っております。石井先生御指摘の点は我々も十分踏まえながら、できるだけこの学校栄養教諭制度というものが充実するようにという思いで取り組んでまいりたい、このように思っております。

石井(郁)委員 次の問題なんですけれども、先ほど来、中学校給食の実施率がまだ少ないという話がありました。そこで、中学校給食の実施率を伺いたいことと、それから調理方式、共同調理場方式なのか、単独調理方式、自校方式と言われる方式なのかということも一つの問題、食の指導に関する意味でも大変重要な問題だというふうに思っておりますので、その実施率をお示しください。

田中政府参考人 中学校におきます学校給食の実施率等のお尋ねでございますけれども、中学校における学校給食の実施率は、平成十四年五月現在で八二・一%。内訳を申し上げますと、完全給食をやっておるのが六八・三%、補食給食が〇・五%、そして、ミルクだけの給食が一三・三%というふうになっておるところでございます。

 また、調理方式でございますけれども、共同調理場方式の割合が六六・四%で、単独調理場方式が三三・六%というふうになっておるところでございます。

石井(郁)委員 私は、これから後はこのようにして非常に全体に、その学校での自校方式的な単独調理場方式というのは、このように比率が下がっているんですね。それは、大変私は問題を感じておりますので、そのことで伺っていきたいと思います。

 栄養職員の配置のことにまた戻りますけれども、現在、栄養職員の方々は、例えば、一人で四・五校を見ることになっているという数字も出されましたけれども、そういう形で、子供たちへの食の指導、また栄養管理も行っているということがあります。

 それで、現場では、伺ってみますと、やはり小学校では主に学校の単独調理場方式があって、中学校では共同調理場方式が多いということがありまして、子供たちは、やはりいまだに小学校の給食の方の味が忘れられないという声もあります。それから、卒業しますと、本当に中学校では何か人をばかにしたような内容のものしか食べられなかったとか、大きくなってもあの給食のことは本当に忘れられないという声などもあるわけです。

 それで、共同調理場方式にかかわっている栄養士さんの方から伺いますと、やはりいろいろ問題点があると。一つは、調理している姿や様子、状況が子供たちに伝わらない。だから、子供たちがどのようにつくられた給食なのかわからない。ただ食べるだけだと。どんなに色鮮やかにおいしく仕上げても、保温食缶に入れて一時間から二時間たたないと食べてもらえない。だから、色鮮やかなホウレンソウの色も変わってしまうというようなことで、調理時間を短くしなければいけないので冷凍食品に頼りがちだったとか等々、いろいろ問題があって、本当に栄養士の方としてやりたいような食の指導、栄養指導ということが非常にやはり制約を受けているということだろうと思うんですね。しかも、その食の指導が小中高、二人で八校を受け持ってやらなければいけないというようなことなどがございます。

 ここで、大臣にまた伺いますが、私はやはり共同調理場方式よりも、食の指導にとっては自校方式の方がいろいろすぐれている面があるんじゃないかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

河村国務大臣 この問題、私も地元でいろいろな方々からいろいろな御意見を伺いまして、おっしゃるように単独調理方式の方が学校そのものできめ細かいことができるし、また、子供たちにお昼の時間になると食事のにおいがしてくる、その生きた感覚が共同調理方式はできないからということ、このことも私はよく承知しております。

 学校給食の業務の運営をどうするかというのは、これはなかなか大きな課題でもありまして、臨時行政調査会等からも指摘がございまして、学校給食の質の低下を招いてはならぬけれども、その中でパートタイム職員を活用するとか、あわせて、共同調理方式を採用して、民間委託等もしたらどうだというような指摘も随分来ておりまして、こういうことの意見も踏まえて学校給食の合理化ということも進めてきたわけでございます。そういう点で、各都道府県委員会もこれに対応していく形の中で共同調理方式というのもできてきたわけでございます。

 この問題については、どういうふうに学校給食を実施するかということについては、これはやはり地方自治体、それぞれの設置者、各学校、それから地域の状況、そういうものに応じてやっていただく。小学校と中学校がすぐそばにあって、地理的にもこれなら一緒にやった方が合理的、それが何で別々にやるんだということもございます。そういう地域の実情も踏まえた上で対応していただこうということで、今日になっておるわけでございます。

 いずれにしても、学校教育活動の一環でございますから、食に関する指導が充実されて、衛生管理が徹底しなきゃなりません。O157事件等、ああいうこともございました。子供たちにとって、児童生徒にとって、やはり安心で、おいしくて、そして楽しい学校給食、これを第一義に考えながら各都道府県がこれに対応していただくことを、我々としてはそういう思いで文部科学省としての指導方針を持っておるわけでございます。

石井(郁)委員 給食の問題は、実際のところは都道府県や市町村の設置者のところでの御判断になるわけで、そういう部分があるかと思います。しかし、文科省が、実はこれは一九八五年に、「学校給食業務の運営の合理化について」、こういう通達を出されて以降、共同調理場方式が進んだということがあるでしょう。私は、そういう意味での国の責任をやはりきちっと見ていただきたいという意味で申し上げているんですが、もう時間ですけれども、一つ例を申し上げます。

 高崎市なんですけれども、ここはなかなかいいお話がありました。臨海学校で僕たちの学校の特色はということを紹介し合ったときに、臨海学校に参加した四校からの出席者全員が、学校給食がおいしいと言ったと。校長先生方も他市との交流の後、高崎市に戻ってくると、高崎市に戻ってよかったと言う。なぜか。学校給食がおいしく食べられたんだと。やはり私は、食べ物というのは本当に大事だと思っているわけです。

 高崎市の給食は大変特色があってすばらしいと実感すると。なぜでしょうか。一つは、やはり自校方式を貫いている。ここは、小学校三十二校、中学校十六校、幼稚園四園、養護学校一校、五十三校園があるそうですが、そこにすべて栄養士さんがいるということですね。それから、できるだけ地場産のものを使おうということで、五十三校園中四十二校園が積極的に地場産の野菜等を活用している。そして、そういう中で地域の方との交流、生産者と子供たちとの交流がいろいろ進む。それが教材、授業にも生かされるという話がいろいろありまして、本当に生きた食の教育、まさに生きた教育が学校給食を介して行われているということがあるんですね。

 この例を申し上げましたように、私はやはり、文科省が一九八五年の臨調行革で、効率化の観点で共同調理場方式を導入してきたわけですから、推奨してきたわけですから、もうそろそろ見直してもいいのではないか。今、財政上厳しいということもあるかもしれませんが、やはり教育の観点から見直しをするということについても御判断をしていいのではないかということでございます。時間が来ましたので、これは私の主張ということで終わりにしたいと思います。

 以上です。質問を終わります。

池坊委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時三十九分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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