衆議院

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第14号 平成16年4月21日(水曜日)

会議録本文へ
平成十六年四月二十一日(水曜日)

    午前十一時十一分開議

 出席委員

   委員長 池坊 保子君

   理事 青山  丘君 理事 伊藤信太郎君

   理事 遠藤 利明君 理事 渡海紀三朗君

   理事 平野 博文君 理事 牧  義夫君

   理事 斉藤 鉄夫君

      今津  寛君    宇野  治君

      江崎 鐵磨君    小野寺五典君

      小渕 優子君    奥野 信亮君

      加藤 紘一君    木村  勉君

      城内  実君    近藤 基彦君

      鈴木 恒夫君    田村 憲久君

      谷本 龍哉君    西村 明宏君

      馳   浩君    早川 忠孝君

      古川 禎久君    宮下 一郎君

      山際大志郎君    安住  淳君

      加藤 尚彦君    城井  崇君

      小林千代美君    須藤  浩君

      田島 一成君    高井 美穂君

      土肥 隆一君    中野  譲君

      鳩山由紀夫君    肥田美代子君

      牧野 聖修君    笠  浩史君

      富田 茂之君    石井 郁子君

      横光 克彦君

    …………………………………

   文部科学大臣       河村 建夫君

   文部科学副大臣      稲葉 大和君

   文部科学副大臣      原田 義昭君

   文部科学大臣政務官    田村 憲久君

   文部科学大臣政務官    馳   浩君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 吉田 英法君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           高部 正男君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 大前  忠君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         玉井日出夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          近藤 信司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            遠藤純一郎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         加茂川幸夫君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        田中壮一郎君

   文部科学委員会専門員   崎谷 康文君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     谷本 龍哉君

  岸田 文雄君     宮下 一郎君

  牧野 聖修君     田島 一成君

  松本 大輔君     中野  譲君

同日

 辞任         補欠選任

  谷本 龍哉君     早川 忠孝君

  宮下 一郎君     小野寺五典君

  田島 一成君     牧野 聖修君

  中野  譲君     安住  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     岸田 文雄君

  早川 忠孝君     木村  勉君

  安住  淳君     松本 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  木村  勉君     上川 陽子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八六号)


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     ――――◇―――――

池坊委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官吉田英法君、総務省自治行政局選挙部長高部正男君、財務省大臣官房審議官大前忠君、文部科学省総括審議官玉井日出夫君、初等中等教育局長近藤信司君、高等教育局長遠藤純一郎君、高等教育局私学部長加茂川幸夫君及びスポーツ・青少年局長田中壮一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧義夫君。

牧委員 おはようございます。民主党の牧義夫でございます。

 学校教育法の一部を改正する法律案について質疑を行いたいと思いますけれども、大臣が参議院の関係でおくれていらっしゃるということで、まず大臣がいない中で質問できる範囲について質問を進めさせていただきたいと思います。

 今回の法改正で、薬剤師になるための要件、修業年限を六カ年とする、これは当然のことだと思います。医療の現場においてそれなりの実績を重ねながら、しっかりと薬学についての知識を身につけて、そして現場で活躍していただきたい、そんな観点からの法改正であると思います。

 そもそも、実際、薬剤師の皆さんのお話を聞くと、今回の六カ年に修業年限を変えるという話、遅きに失したんじゃないかというようなお話も聞かれます。極端な言い方をすると、四十年来の悲願だったというようなお話まで聞こえてくるわけですけれども、文科省として、なぜここまで時間がかかったのか、ある意味では、これは行政の不作為だと言われても仕方がない部分も私はあると思います。この間の事情について、まずお聞かせいただきたいと思います。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 薬学教育の修業年限の延長につきましては、昭和四十六年の日本薬剤師会教育委員会の中間答申以来、各種の団体、委員会などいろいろな会合において議論が行われてきた、こういう長い経緯があるわけでございます。

 文部科学省におきましても、平成五年より、大学関係者、薬剤師会代表者等から成る調査研究協力者会議を設けまして検討を行ったわけでございますが、平成八年の三月にその最終まとめが出ました。その中では、病院等での実務実習の充実に当たって実習施設の確保や指導体制等の構築に困難が多いというようなこと、修業年限が延長された場合の薬学部入学希望者への影響を十分見きわめる必要があることなどの事情から、修業年限につきましては継続して検討すべき課題である、現行制度の枠内で薬学教育を改善する方策がその時点では現実的である、こういう結論になったわけでございます。

 同時に、この最終まとめにおきまして、医療薬学教育の充実のため、関係の行政機関、関係団体等を構成者とする協議の場の設置が提言をされました。これを受けまして、文部科学省、厚生労働省、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、私立薬科大学協会、国公立大学薬学部長会議の関係者から成ります薬剤師養成問題懇談会、これが平成八年に設けられまして協議が行われてきたという事情がございます。

 この懇談会において検討が行われている間、薬剤師の役割につきまして、例えば平成八年の薬剤師法改正におきまして、薬剤師の業務に処方せん調剤時における患者等に対する情報提供の義務が追加されたというようなこと、あるいは、平成九年の医療法改正におきまして、薬剤師に対しまして、医師等と同様にインフォームド・コンセントに関する努力義務が課せられた、平成十四年の薬剤師法改正におきまして、薬剤師に対し、医薬品との関連が疑われる副作用などで生命に重篤な影響があると思われる場合には厚生労働大臣に報告するということが義務づけられたということ、それから、医薬分業の率が、平成八年度で約二〇%であったわけでございますが、平成十四年度には約五〇%になった、こういうことなどがございまして、薬剤師が医療現場においてこれまで以上に積極的な役割を果たすことが制度的にも社会的にも求められるようになったということがございます。

 こういうことを背景といたしまして、懇談会におきまして、平成十四年一月に、急速に変化している薬剤師養成に対する社会的ニーズに適切に対応する、そういう観点から、薬剤師養成のための教育期間を六年とする方向についておおむね合意を得たということでございます。そして、引き続き、大学教育につきましては文部科学省において、そして国家試験の受験資格につきましては厚生労働省で具体的に検討する、こういうことになったわけでございます。

 これを受けまして、平成十四年の十月に文部科学省におきまして、薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議において調査研究を行うとともに、平成十五年十一月に中央教育審議会におきましても御議論をいただき、今回の薬学教育の改善充実の方向が取りまとめられ、そして法案の提出に至ったという事情がございます。

牧委員 大臣がいないですからしようがないんですけれども、私はなぜおくれたかということを言っているのであって、経過説明は読めばわかるわけですから。

 ただ、医療の現場における薬剤師の役割というものが、もう既に前から変わってきているわけで、それなりの対応をもっと早くすべきだったんじゃないかなということを私は申し上げたかったわけであります。

 そして、実際の医療の現場の声を聞いて、今回の法改正については、時間も十分ありますので、細かいお話はまたほかの委員からも質問があろうかと思います。今度、制度的に、例えば四カ年の課程もそのまま残しているというようなことも非常に複雑にしている、そういった問題等もこれからまた後で指摘があろうかと思いますけれども、私は、別の観点から、これはちょっと聞き逃せないなと思った点がありますので、ここだけちょっと文科省の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 そもそも薬剤師の任務というものは、薬剤師法第一条に書かれておりますけれども、調剤をするに当たって、医師から患者への処方せんの交付、処方せんの内容のチェックをして、医薬品の調製をして、服薬指導、そして薬剤の交付、こういう流れになっているわけです。

 これはあくまでも医師が処方したものについて薬剤師が調剤をするという流れには変わりがないんですけれども、医師の処方についての疑義があった場合の疑義照会等の状況調査というものを見ると、例えば、平成十四年度、総処方せん枚数が推計で約五億八千万枚、そのうち千二百六十万枚から千三百八十万枚の処方せんについて薬剤師の方が疑義を抱いている、実際に疑義照会をして、そのうち疑義照会による処方内容等の変更の割合というのが六十数%あるわけですね。

 これで私ちょっと不安になったものですから、実際に大学の医学部における薬剤の教育の実態について資料を取り寄せて、カリキュラムの時間割り等を拝見したんですけれども、何分素人が見てもどれだけ勉強すれば十分なのかというのが正直よくわからないんですが、ざっと見た感じ、やはり全体から見ると少ないなという感じがいたします。

 この辺のところを医学部の教育の中で改めていくのか、あるいは、これはちょっと文科省の管轄と違うのかもしれませんけれども、医療の現場におけるこういった流れというものをもう一回見直して、例えば、お医者さんが特定の薬剤をこれをどういうふうに投与せよというところまで処方しないで、こういう症状ですからこういったものに効く薬が必要ですよ、あとは薬剤師の皆さんが判断して、具体的な薬剤を薬剤師の方に処方してもらったらどうですかというようなふうに制度を変えてしまうか、どっちかだと私は思うんですけれども、大学における医学教育の見地からはどうなんでしょうか。ちょっとそこをお聞かせいただきたいと思います。

遠藤政府参考人 医学部は六年の教育ということで、教養も含め専門の教育を行うということでございまして、ここではやはり医学、医療の基礎、基本をやるということになるんだろうと思います。その後、臨床研修、今度義務化になりましたけれども二年間、それから内科とか外科とか各専門に分かれて学びながらやっていく、こういうことなんだろうと思います。

 その意味で、六年間の学部教育での基礎、基本の中での教育でございますけれども、これは、医薬品というのはやはり治療上必須であるということでございますので、これまでも、医薬品についての基礎的知識や具体の症例を通しての医薬品の安全性や副作用等に関する教育がなされてきたということでございまして、医科大学、医学部では薬理学に関する授業科目が設けられているということでございます。

 そして、平成十三年の三月に、国公私立大学の医学部の関係者の協力を得て、医学教育モデル・コア・カリキュラム、こういうものをまとめてございますけれども、その中でも、薬物の投与方法を列挙し、それぞれの薬物動態を学ぶこと、あるいは薬物の相互作用や服薬の基本、処方せんの書き方など、診療に必要な薬物治療の基本、薬理作用、副作用を学ぶということが挙げられておるわけでございます。こういったモデル・コア・カリキュラムを踏まえた医学教育の充実に各大学において取り組んでいるということであろうと思いますし、私どもとしてもそういう医薬品の適正使用等に関する教育の充実を各大学等に対しまして促してまいりたい、こう考えております。

牧委員 とにかく、充実により努めていただきたいと思います。

 これは実際にあったお話として薬剤師の方から聞いたんですけれども、例えば、胃を切除した人に胃酸を抑える薬を処方したり、おばあちゃんにバイアグラを処方したり、そういうお医者さんが実際にいるというお話ですから、本当にあった話としてあるんですから、そこら辺のところはしっかりと、医学部における薬学教育、もう一度この機会に見直していただきますようにお願いをしておきたいと思います。

 さて、栄養教諭の方に話を移したいと思いますけれども、そもそも、今回、学校栄養職員を栄養教諭にする、新しい身分を創設するわけでありますけれども、私、その関連でちょっと、文科省が前に作成した「食に関する指導」というこの冊子を見ておりまして、これは改めて申し上げるまでもなく、特別非常勤講師制度というのがあるんですね、ここにも書かれておりますけれども、学校栄養職員、こういう人が特別非常勤講師の制度でもって教壇に立って、子供たちに食事について、栄養について教えることができる、こういう制度がもう既にあったわけであります。そういう中で、あえて今回こういう新たな職員の制度を創設するわけ、本当の必要性についてまずお聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 栄養教諭制度の創設についてのお尋ねでございますけれども、学校栄養職員は、学校給食の栄養に関する専門事項をつかさどる職員として学校給食の管理に当たっておるところでございますけれども、近年、学校におきましても食に関する指導の必要性が高まっておる中で、栄養に関する高い専門性を持っておる学校栄養職員の食に関する指導への参画が求められておるところでございます。

 現在、御指摘のように、多くの学校栄養職員が特別非常勤講師制度あるいはチームティーチングなどによって食に関する指導に携わっているところでございますけれども、教育職員としては位置づけておらないところでございまして、地域や学校ごとにその活用の度合いが違っておる、あるいは教育面の資質が制度的に担保をされていないことから個々の学校栄養職員の能力に大きく依存する面があるといったような問題点が指摘されておるわけでございまして、栄養教諭制度は、このような問題点を克服し、食に関する指導をより効果的なものとしていくための指導体制の整備方策として位置づけられておるものでございます。

 教育面での資質、すなわち、児童生徒の成長、発達やあるいは児童生徒の心理を理解しながら教育的配慮を持った接し方等の能力もあわせて身につけてもらうことによりまして、栄養教諭が教育職員として責任を持って食に関する指導に当たってもらえるようにしようとするものでございます。

牧委員 今の御答弁ではちょっとよくわからないんですけれども、教育に当たる者としての資質が制度的に担保されていなかったから今回制度化するというお話ですね。だけれども、そうすると、この特別非常勤講師の制度というのは、これは制度的に教育をする資質が担保されていない人を教壇に立たせるという制度なんですか、今のお話からすると。

田中政府参考人 特別非常勤講師制度につきましては、それぞれの分野におきまして非常にすぐれた資質を持っておられる方につきまして、教員免許を持たなくても非常勤講師として学校に採用して教育に当たっていただくという制度でございますので、それぞれの職員の方々の知識、能力を勘案して特別非常勤講師を任命するという制度になっておるところでございます。

牧委員 ですから、それなりの能力が認められて教壇に立つわけですから、別に栄養教諭じゃなくても、特別非常勤講師でもこういうことができるわけです。

 だから、私は、それをなぜこういう制度を創設しなきゃいけないのかということをお聞かせいただいているのであって、ちょっと回答になっていないと思うんです。別にこんなところ目くじらを立ててもしようがないのであれですけれども、食育といった手前、やはりこういうこともひとつやっておかないと文科省としては顔が立たないということであれば、そうおっしゃっていただければいいわけで、もう既にこういう制度があって、文科省も食に関する指導については前から一生懸命こうやってやっているんですから、それを胸を張って言っていただければいいわけで、何も横並びで、ここで食育だからというので何か取ってつけたようにこんなことしなくても、私は、今まで立派にやってきたんだと、ぜひ胸を張って文科省も言っていただければ、それでよしだと思うんですよ。

 大臣がいないので、この辺にしておきます。副大臣、何かあれば、今の件でおっしゃっていただければ。

原田副大臣 今の件でございますけれども、もちろん、従来から食の問題については私ども文科省としてもしっかり取り上げてきたつもりではございます。しかし、後でまた議論になろうかと思いますけれども、食の乱れ、食生活を健全にする、こういう時代の要請もございまして、今回新たにこの問題を正面から取り上げた、こういうことだと思っております。

牧委員 副大臣から今せっかくおっしゃっていただいたので、質問をさせていただきたいと思います。

 今、食の乱れというお話がございました。今回のこの法案の提案理由の説明の中にも、最初のところで「近年、児童生徒の食生活の乱れを背景として、」とありますけれども、この乱れというのは、一体何をもって乱れと言っているんでしょうか。

原田副大臣 御指摘のように、この学校教育法等の一部改正法案の提案理由説明の中で、「食生活の乱れを背景として、」こういうくだりを大臣から説明したところでございます。

 近年の食生活を取り巻く社会環境の変化などに伴って、子供の偏った栄養摂取などを、私ども、食生活の乱れというふうに概念しておるわけでありますけれども、肥満傾向の増大、さらには過度の痩身といいますか不必要にダイエットをする、こういうことが見られるところでございまして、将来的な生活習慣病の若年化などが心配されておるところであります。

 数字といいますか、私どもが持っておりますデータでも、少し古いデータでありますけれども、朝食をほとんど食べないとか週に二、三回以上食べないとする子供たちが、平成十二年の調査では、小学校では男女とも一六%、中学校では男子一九%、女子二〇%、大変多い割合になっておるわけでございます。

 また、子供たちだけで食事をとる、最近、孤食という言葉が熟しておりますけれども、これも、昭和五十七年の数字では二二%であったのが、平成五年には三一%。少し古いデータでありますけれども、そういうのが大変、決して食生活が健全でないというふうに私ども考えておるわけであります。

 その結果ということが言えようかと思いますけれども、肥満傾向児も増加しておりまして、昭和五十七年には七%が肥満傾向であったのが、平成十四年には一〇・九%、この割合も五割増しということになっております。

 こういうことを踏まえて、私たちは食生活の乱れと認識しておるところでございます。

牧委員 もう一つ、今のことに関連して、「食生活の乱れを背景として、児童生徒が望ましい食習慣を身に付けることができるよう、」この望ましい食習慣というのはどういうものを言うんでしょうか。

原田副大臣 当然のことながら、ただいま申し上げましたような問題点から、将来に向かってどういうことをやるべきかということになるわけでございます。

 提案理由の中にも、「児童生徒が望ましい食習慣を身に付けることができるよう、家庭だけでなく、学校においても食に関する指導」というふうな説明をさせていただいたところでございます。

 そういう観点から、子供のころから正しい食事のとり方や望ましい食習慣を身につけるための、また食事を通じてみずからの健康管理ができるように、こういうことを目指しておるところであります。

 具体的には、学校給食を初め関連教科や特別活動等を通じまして、食品の種類や働きを理解し、バランスのとれた食事を規則正しくとるというようなことや、安全や衛生に留意して食事をとる、さらには、これも大事なことでありますけれども、食事のマナーを身につけ、また食事というのは気持ちよく会食することが生活にとって大切なんだ、こういうことを児童生活の日々の実践の中で理解を促し、習慣化を図るということにしておるところでございます。

 あわせまして、食料の生産、流通、消費などの食料事情とか、自然と勤労に対する感謝の気持ち、伝統的な食事や食材を通じた郷土に対する理解、こういうものも含めまして、それぞれの食生活、食慣習の健全な育成に努めていきたい、こう考えているところであります。

牧委員 わかりました。

 栄養学的なことだけじゃなくて、食事のマナーだとか、あるいは自然の恵みがどうやって自分の口に入るまでたどってくるのか、そこら辺に思いをいたすということにも、やはりこれは教育ですから、しっかりやっていただきたいと思います。

 ただ、ちょっと、中教審の資料なんかででも、さっき副大臣のお話にもありましたけれども、朝食のお話、「児童生徒の食生活を取巻く状況」という報告書、中教審の資料がございますけれども、ここでも、朝食の欠食だとか孤食だとか、そういう話が取り上げられています。

 これは、どうして朝食ばかり取り上げるんですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 朝食をしっかり食べることは、一日を気持ちよくスタートできるとともに、勉強や運動に自分の力を思い切り発揮できることにつながるものでございまして、望ましい食習慣や生活のリズムを形成する上での第一歩であると考えておるところでございます。

 一方、実態といたしましては、先ほども副大臣の方からお話がございましたが、朝食をほとんど食べない、または週に二、三回以上食べないとする者が、平成十二年調査で、小学校では男女とも一六%、中学校では男子一九%、女子二〇%という状況にあるわけでございまして、きちんと朝食をとることを食に関する指導の中で重要な課題として受けとめているところでございます。

牧委員 今の御答弁が精いっぱいだと思いますけれども、やはり、せっかく食育という新しい言葉までつくったわけですから、もうちょっと幅広く、そして奥深く、副大臣のお話にもあったような勉強を文科省の皆さんもしていただきたいなとお願いする次第でございます。

 大臣がお見えになりましたので、話を一たんこの法案からちょっと外れて、大変恐縮なのでございますけれども、二つの事柄について確認をせよということであります。この文科の委員の中でも、民主党の中でも一番温厚な私に、おまえ、やれという筆頭理事の配慮でありますので、その辺をよろしくしんしゃくしていただいて、誠実に御答弁をいただければと思います。

 ほかでもない、歯科医師会の診療報酬改定にかかわる中医協に対する工作、これは既に逮捕者も出ておりますけれども、まだこの事件は終わったわけではないわけであります。政界に対する工作も含めて、まだ捜査がこれから進展をするものと、こちらなりに理解をしておりますけれども、せっかくこういう委員会ですので、しっかりと確認をさせていただいて、そして議事録にも残させていただきたい、そういう観点から、きょうは、大臣、副大臣、政務官、すべての皆様方に確認だけ、まずさせていただきたいと思います。

 日歯連からの過去及び現在における政治献金について、ありやなしや、大臣から順番にお願いいたします。

河村国務大臣 調査いたしましたところ、私はございません。

稲葉副大臣 そういう事実はございません。

原田副大臣 いただいておりません。

馳大臣政務官 調査いたしましたところ、平成十四年十一月二十七日、はせ浩連合後援会に対しまして百万円の御寄附をいただいております。

田村大臣政務官 昨日御質問いただきまして、調べさせていただきましたけれども、そのような事実は今のところ確認いたしておりません。

牧委員 これは必ずしも御本人が確認できるかどうかわからないんですけれども、過去においてパーティー券の購入があったかどうか、おわかりになる範囲でお答えいただければと思います。

河村国務大臣 献金のことであったものですから急遽調査させましたが、そういうものはないという報告ですが、はっきりパーティー券ということで調査をいたしておりませんので、その点、私も未確認でございます。

稲葉副大臣 調べさせましたところ、そういう事実はありません。

原田副大臣 パーティー券につきましては、一、二枚ぐらいは過去にあったのではないかと思っておりますけれども、それはパーティーとして、全体として計上しておるところでありまして、確認はできません。

馳大臣政務官 政治資金を集めるという目的でパーティーを開いたことはございません。

田村大臣政務官 私も当選以来パーティーやっておりませんので、そういう事実はないと思います。

牧委員 ありがとうございました。

 それでは、もう一つ、これも番外編でございますけれども、ただ、今はちょっと個人的なお話をお聞かせいただいて恐縮なんですけれども、今度、こちらはちょっと文科省にもかかわりのあるお話でございます。

 もう既に報道もされておりますけれども、自由民主党安倍幹事長の公職選挙法違反の疑惑についてでございます。御存じない方もいらっしゃるかもしれませんけれども、去る十一月の総選挙における安倍晋三候補者のいわゆる公選はがき、この公選はがきの表に推薦人の名前が四名出ております。その中に京都大学教授中西輝政という名前がございますけれども、昨年十一月の時点ですと、京都大学というのは国立大学でありますから、国立大学の教授というのは国家公務員でございます。(発言する者あり)まあいいじゃないかという声もございますけれども、形式的にこれはいろいろ問題があろうかと思います。

 この公選はがき表面に、「あべさんを推せんします。 京都大学教授・評論家 中西」と記載がされておりますけれども、まず、この事実関係について、事実関係を確認されているかどうか、文科省として。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年十一月の衆議院選挙における安倍自民党幹事長の選挙運動用通常はがきの推薦人に京都大学の中西教授の名前があったことにつきましては、本年三月四日に、外部から私どもに対しての問い合わせがございまして、同日、文部科学省から京都大学に対し事実関係の調査を依頼したところでございます。

 これを受けまして、京都大学においては、三月五日、本件事実調査についての調査会を設置し、関係者から事情聴取を行ったところでございます。調査会としては、中西教授本人及び安倍議員の秘書から事情聴取を行うとともに、三回の審議を行ったところでございます。

 その結果、中西教授本人は、自身の職、氏名が推薦はがきに掲載されていることを全く承知していなかったとの結論を得たため、京都大学では特段の措置を講じなかったものと承知をしております。文部科学省としては、本件について、京都大学の判断により適切な対処がなされたものと考えているところでございます。

牧委員 もう一つ玉井さんに聞きたいと思うんですけれども、ということは、三月五日に報告を受けて、京都大学に調査を、文科省が指示をしたわけですよね。

玉井政府参考人 先ほどお答え申し上げましたとおり、本年三月四日に私どもから京都大学に依頼をし、そして京都大学では三月五日に調査会を設けて、そこからいろいろ調査を行ったということでございます。

牧委員 ということは、この報告を受けた時点で、やはりこれはまずいんじゃないかという認識を持ったわけですね。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 外部からの問い合わせがございまして、この問題についてということでございましたので、まずは事実関係を調査する必要があるということで、京都大学にお聞きをしたということでございます。

牧委員 まずは事実関係、これは非常に正しいと思います。ただ、その裏には、恐らく、これはひょっとすると法に触れるかもしれないという認識があったからこそ事実確認をしたんだと思います。

 これはちょっと選挙関係の法令に詳しい方にお話を聞きたいんですけれども、この中西先生が承知していなかった場合、その場合、これは公選法二百三十五条により虚偽事実公表罪が適用されると思うんですけれども、間違いないですか。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 公職選挙法第二百三十五条第一項、御指摘ございました条項は、当選を得または得させる目的をもって公職の候補者等の身分、職業、経歴等に関し虚偽の事項を公にした者は、二年以下の禁錮または三十万円以下の罰金に処するというふうに規定されているところでございます。

 これが、具体の事案がこの条項に触れるかどうかにつきましては、具体的な事実に照らして判断されるべきものでありまして、私ども具体的な事実関係を承知いたしておりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、なお、一般論として一点だけ指摘させていただきたいと思いますが、過去の判例によりまして、本罪が成立するためには、行為者において、行為の当時、公表事項が虚偽の事項であることを認識していたことを必要とする、かような判例がありまして、私どももかように解釈しているところでございます。

牧委員 あわせて確認をしたいと思います。

 もし中西先生が承知していた場合、この場合は中西氏は、公職選挙法百三十六条の二第一項により、公務員等の地位利用選挙運動の禁止に違反するということで間違いないですか。

高部政府参考人 御指摘ございました公選法百三十六条の二の規定でございますが、公務員の地位利用による選挙運動の禁止の規定でございますが、地位を利用してということにつきましては、公務員等としての地位にあるがために、特に選挙運動等を効果的に行い得るような影響力または便益を利用する意味というふうに考えておりまして、職務上の地位と選挙運動等の行為が結びついている場合を言うもの、これが一般的な解釈でございます。

 ただいま具体の事案について御指摘ございましたけれども、これについても、私どもとしてそれがこの条項に当たるかどうかというようなお答えはいたしかねるところでございますが、これもまた一般論として若干申し上げさせていただきますと、これまでの解釈といたしまして、推薦状等に単に肩書を通常の方法で記載しただけでは地位利用には当たらない。具体的に当たるかどうかはいろいろな事実関係を確認した上での判断になろうかと思いますが、一般論としてただいま申し上げたような考え方で解釈しているところでございます。

牧委員 そうすると、文科省としては、中西先生が承知していた場合、これは公選法上問題がある、そういう危惧を抱いたからこそ事実確認をされたんだと思うのですけれども、今、選挙部長のお話では事実関係を確認していないのでということでありましたけれども、文科省としては事実関係を確認されたわけです。最初に申し上げたように、中西先生が承知していなかった場合であるという認定をしたというさっきの答弁だと思うのですけれども、もう一度確認したいと思います。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどもお答え申し上げましたけれども、外部からのお問い合わせがあり、私どもとしては、まずは事実関係を把握する必要があるということで京都大学に調査を依頼したわけでございまして、京都大学では、調査会を設け、そして事情聴取も行いながら、きちんとした調査を行われました。その結果、先ほど申したとおり、中西教授本人は、自身の職、氏名が推薦はがきに掲載されていたことを全く承知していなかったという結論を得たわけでございまして、京都大学ではそういう意味で特段の措置を講じなかったというふうに私どもは承知をし、報告を受けております。

 したがって、文部科学省といたしましては、本件について、京都大学の判断につきまして、適切な対処がなされたというふうに考えているわけであります。

牧委員 それでは、ここで選挙部長にもう一度確認をします。

 今のお話を聞かれて、これは結局、御本人が承知をしていなかった場合である、公職選挙法二百三十五条、虚偽事実の公表だということに今の答弁でなると思うのですけれども、どうなんでしょうか。

高部政府参考人 先ほど申し上げましたように、個別の具体の事案について私どもがこの条項に当たるかどうかということは、私ども、具体的な事実関係を確定してそれを個別条項に当てはめるということを担当いたしておりませんので、お答えいたしかねるところでございますけれども、この二百三十五条の規定というのは虚偽の事項を公表したということで、先ほど申し上げましたように、この条項の中では、当選を得または得させる目的をもってとか、一定の事項についてとかというようなことが規定されておりますので、個別にそれらに当たるかどうか、あるいは、先ほどこれも触れましたけれども、行為者において、行為の当時、虚偽であったかどうかということを認識していたかどうかといったようなことを総合的に勘案して、個別具体の事案についてはしかるべきところで御判断される問題だろうというふうに思っております。

牧委員 本人が虚偽であったかどうかを認識していたかどうか、それも当然争点になると思いますけれども、安倍幹事長自身は、事務所が中西氏の妻に申し入れ、了解されたものと思っていた、こういうふうに発言をしているわけです。これは本人に確認していないということを知っていたということになりませんか。

高部政府参考人 ただいまの御指摘は、極めて個別具体の事案について、それをどういうふうに認定するかということでもございますので、私どもとしてお答えは差し控えたいと存じます。

牧委員 わかりました。

 これ以上話してもらちが明かないので、ちょっと目先を変えさせていただきたいと思いますけれども、もし中西先生が承知していた場合、これは公務員等の地位利用に当たるかどうか。これもはっきりはおっしゃいませんでしたけれども、私は、国立大学の教授がこの候補者を推薦しますよというのは、これは社会的に見ても大変大きな信用を得られるものと社会通念上考えて当然だと思います。

 私だって、候補者の立場として、京都大学の教授が推薦してくれたら、これはありがたいなと思うわけでありまして、この地位利用に当たるか当たらないかというのはもう明白だと思いますけれども、もしそうだとしたら、これは地位利用に当たると思うか思わないか、大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。

河村国務大臣 これは文部科学省の所管の話ではございませんで、総務省、旧自治省で判断されることでありますので、私の方からそれについてどうこうというお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

牧委員 大臣がおっしゃるとおりだと思います。これは総務省の所管であって、文科省の所管ではないわけでありますけれども、ただ、私が聞いているのは、国立大学の先生というのはそれだけ社会的な信用がある人じゃありませんかということだけです。

河村国務大臣 選挙においてどの程度その地位利用になるかということは、私もその辺の判断は難しいところですが、一概的にそれは国立大学の先生が推したというふうにとらえるか、あるいは、今見ますと評論家とも書いてあるので、そういう視点だったのかなと思いますけれども、まあ、それが地位利用になるかどうかは別として、有名な方に推薦していただくということは、我々としてはそれはありがたいことだと、さっき牧さんが言っておられた。私も、知名度のある方に応援してもらいたいというふうには思うわけですね。

牧委員 わかりました。

 今回、さっき玉井審議官のお話にありましたように、本人が承知していなかったということがはっきりしているわけですから、この話はこれ以上突っ込みませんけれども、ただ、逆に、これは本人は承知していなかったという側から質問させていただくと、今度は、そうすると中西先生は、これは承知していたということになると、場合によっては二年以下の禁錮または三十万の罰金なんという公選法二百三十九の二が適用される可能性もあるわけで、本人が承知していなかったということがはっきりしたのでこれはいいのですけれども、場合によってはそういう汚名を着せられる可能性もあったわけです。

 そうじゃなかったからよかったわけで、私、もしそうだったら大臣はどういう処分をされるんですかというような質問をするつもりでおりましたけれども、そういう事実関係がなかったという明確なお答えをいただいたので、逆に大臣にお聞きしたいのは、そうすると、今度、中西先生というのは被害者になるわけですね。場合によってはそういう汚名を着せられる可能性もあったわけで、今回、それが全く本人は承知していなかったということで、これは被害者であるということがはっきりしたわけですけれども、文部科学大臣として、そういう国立大学教授の名前を勝手に使われた立場の文部科学大臣としての所見をお聞かせいただきたいと思います。

河村国務大臣 先ほど玉井審議官の方から御答弁申し上げましたように、京都大学において調査会を置いて事情聴取もやった結果、政治的な行為と全く故意ではなかったということがはっきりしたわけでございまして、推薦はがきも承知していなかった、全く御存じなかったということでございまして、そういうことであると、そうした過失もない、責任はないものと判断されたというふうに私は承知をいたしております。

牧委員 中西教授には故意も過失もないという判断は正しいと思います。

 私がお聞きをしているのは、これはこの委員会の所管ではないお話ですけれども、ただ、今回、そういうことで中西先生が被害者であるということであれば、教育行政のトップにおられる文部科学大臣としてはどうするんですか。その質問なわけであります。

河村国務大臣 安倍幹事長の方も記者会見で、迷惑かけた、こうおっしゃっておるようでありますが、これは加害者、被害者というような関係になるのかどうなのか、私どもとしてもちょっと判断しかねる問題でありますが。

牧委員 自民党の幹事長だからとかどうとかという話ではなくて、私は、文部科学大臣に、教育行政のトップとして、国立大学の教授の名前をそういうふうに選挙目当てで利用されたということについて文部科学大臣としてどうお思いになるのか、そこだけお聞かせいただきたいんです。

 安倍幹事長をどうしろこうしろというお話は、それこそ越権行為ですから私は何も申し上げません。ただ、事実関係が今はっきりして、中西先生の名前が勝手に使われたということについて文部科学大臣としてどう思われるのか、そこだけお聞かせいただきたいと思うんです。

河村国務大臣 これは、地方公務員であれ国家公務員であれ、公務員としての立場があること、これはお互いに承知の上でなければいけないと思いますし、公務員には選挙において地位利用という問題、これはやはりきちっとしておりますから、そういう観点に立って行動されるものだ、私はそういうふうに思います。

牧委員 ちょっと今のは答弁になっていないと思います。地位利用をしなかったわけですから、中西先生は。ただ名前を勝手に使われたんでしょう。そのことについて文部科学大臣としてどう思われるのか、それだけです。

河村国務大臣 これは、今勝手に使ったと、結果的にそうなったということなんでしょうが、私はやはり、国家公務員あるいは地方公務員であれ、その立場というものをわきまえて対応していただくしかないわけでありまして、そのことをどう私が、それを裁く裁かないという立場に私はないんだと思います。

牧委員 いや、私が聞いているのはそうじゃなくて、中西先生は、国家公務員としての立場をしっかりわきまえておられたからこそ、今回の話は承知していなかったわけでしょう。名前が勝手に使われたわけですよ。承知していなかったという事実確認をされたんでしょう。だから、それについてどう思うかということを私聞いているだけであって。

玉井政府参考人 若干事実関係にかかわりますので、お答えをさせていただきたいと思います。

 京都大学が判断した内容をもう少しお話をさせていただきますと、京都大学は、中西教授本人及び安倍議員の秘書から事情聴取を行うとともに、三回の審議を行ったわけですが、その中で、議員秘書から、選挙運動用通常はがきの推薦人になることの依頼が電話でなされ、その電話には中西教授の夫人が応対をされたということでございました、そのことが教授本人には伝えられていなかった、それから議員秘書から中西教授本人に再度の確認がなされていなかった、こういうことから京都大学では、中西教授自身は自分の職、氏名が安倍議員の選挙運動用通常はがきに掲載されていることを全く知らなかったというふうに京都大学は判断をし、そして中西教授に対して特段の措置を講じなかったものと聞いて私どもは承知しているわけでございまして、そういう京都大学における判断、これにつきまして、文部科学省としては適切に対処されているというふうに考えているわけでございます。

牧委員 これは適切な判断だとは私は思えません。

 審議官は選挙をやられないのでわからないと思います。大臣も委員の皆さんも選挙をやられるのでよくわかると思いますけれども、選挙はがきは限られたスペースで、本当はいろいろな人の推薦人の名前を載せたいんですよ。そういう中で精査をして、ごく限られたスペースにこの人はという人を絞り込んで入れるわけで、そんな奥さんに確認して生半可に決めるものじゃないわけだし、決めて印刷して校正して投函するまでにそれ相当の時間があるわけで、本人が認識していなかったけれども奥さんに確認をして、それで後で、本人まで行っていなかったから、何かよくわからない、うやむやにしちゃおうというような、それが私は適切な調査結果、判断であるとはとても思えないわけで、夫婦は別人格でありますし、例えば事前のポスターを町へ張りに行って、奥さんの了解をもらって張ったけれども、だんながうちへ帰ってきて外せと言われたからポスターをはがしに来てくださいなんという電話もいっぱい入るわけですよ。委員の皆さんも選挙をやってこられているからわかると思いますけれども。

 そんなことで、公選はがきの推薦人の名前が出た後あいまいにするのは、私はちょっと納得できないわけでありますけれども、大臣、どう思われますか。

河村国務大臣 私も、選挙のときどういうふうにするかというのは、ある程度絞り込めば後はほとんど任せっきりになりますので、だから、知名度の高い人をということは当然我々考えていくわけであります。

 これは、京都大学が事実関係をきちっとお調べになった結果、教授はそのことを承知されなかったということで、特段の、知らなかったということで処理をされたということですから、それを我々は報告を受けた。京都大学の意思としてそういうふうにされたということでありますから、それはそれで、いろいろ御指摘いただいたような点もありますが、これを勝手に使われたか使われないか、いろいろなこと、これは、あとは当事者である中西教授がどうお考えになるかということになってくるんじゃないかな、そういうふうに思います。

牧委員 中西教授がどう思われるかと、それ、お話はされていますか、ませんか。

河村国務大臣 そこまで私どもはいたしておりません。

牧委員 いずれにしても、事実関係からして名前を勝手に使われたということは、ここで、この委員会においてはっきりさせるべきだと思いますし、これは、京都大学の中西教授の名誉のためにも、本当はここで大臣が、それは大変遺憾であるというふうに私は言っていただきたかったなと思いますけれども、最後に何かおっしゃりたいことがあればお願いいたしたいと思います。

河村国務大臣 先ほど来申し上げましたように、国家公務員あるいは地方公務員は、国家公務員法にのっとって行動していただくということが非常に極めて大事なことだ、私はそう思っております。

牧委員 納得できる御答弁をいただけなくて大変残念でございますけれども、まだ午後も質疑がいっぱいありますので、ちょうど時間ではございませんけれども、中途半端になってしまいました。

 私も、本当は食育についてまだたくさんお聞きしなければならないことがあったんですけれども、どうしてもこの点だけは確認だけはさせていただかなければならないと思っておりますし、また、今回の公選法違反疑惑については、これは総務省からも専門家に来ていただいておりますけれども、これは別に、中西先生が、私は名前を勝手に使われたんだというような被害届を出したりするような親告罪ではないというふうに私は判断しておりますので、総務省の皆さんも、事実関係について認識がないと先ほど答弁でおっしゃいましたけれども、ぜひこの委員会を通じてはっきりとそこら辺のところを御認識いただければありがたいと思います。

 余計なお話になりましたけれども、質問を終わらせていただきたいと思います。

池坊委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

池坊委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。安住淳君。

安住委員 文部科学委員会に来て質問するのは、私、四年ぶりでございまして、文教委員会と当時言っていましたけれども、それ以来でございますから、どうぞ御容赦ください。

 本来であれば、教育制度や教育基本法の大きな曲がりどきでございますから、そういう質問をしたかったんですけれども、きょうはちょっと別の角度から、私の地元といいますか、仙台市に本拠地を置きます私立大学をめぐる疑惑についてちょっと質問させていただきます。

 委員長初め皆さんにあらかじめ申し上げておきますが、私は、与えられた時間は二十分ですけれども、会派の了解を得ておりますので、オーバーして質問する場合もありますが、それは会派として調整をいたしますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。

 きょうは、加茂川私学部長にもおいでをいただきましたし、高等教育局の遠藤局長もおいででございますけれども、事務当局には基本的な事実関係について答弁をしていただきますので、参考人として呼んでおります。

 さて、河村大臣、御苦労さまです。実は私がきょう質問するのは、東北文化学園大学というところの問題なんですね。

 この大学は、平成九年の九月に実は大学の申請を出しまして、平成十年の十二月に認可を受けて、現在三学部五学科の大学でございます。医療関係の学部等々がある新設の私立大学ということになるわけですが、実は、ことしに入ってから、この東北文化学園大学というところでは不祥事が相次いでおります。前理事長と言われる堀田正一郎という男が脱税の疑いで告発をされ、さらに、今回、実は地元の新聞紙で連日大きく取り上げられているんですが、この大学は、大学の認可を得る際、申請書類の一部を偽造していた疑いが出てきたというふうな紙面が躍っています。つけ加えておきますが、この大学には文部省のOBが二人ほどいます。天下りをしているということです。仙台市役所のOBもおります。

 財産目録の、大学の設置のそもそものことについてまず伺います。

 私学部長、大学を設置するときは、どういう手続を経てこれをやるんですか。ちょっとわかりやすく簡単に説明してください。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 既設の学校法人が大学等を設置いたします場合には、大学等の設置認可及び学校法人の寄附行為の変更の認可が必要でございます。その際、学校法人の財産に関しましては、寄附行為の変更の認可申請に基づきまして審査を行っておるものでございます。

 その際、寄附行為の変更の認可申請につきましては、一定の様式等に基づく書類の提出を求めております。すなわち、学校法人の寄附行為等の認可申請に係る書類の様式等、文部省の告示で定めておりますが、これにおいて定める書類の提出を求めておるものでございます。

 具体に財産に関して申しますと、何点かございますが、大学等の設置計画を記載した書類、財源の調達方法及びその時期を記載した書類、そして公認会計士の監査の結果を記載した書類、財産目録等でございます。これらの書類に基づきまして、設置に必要な財源を申請時において保有しているかどうか、すなわち全額自己財源として収納しているかどうかを確認した上で、財政計画の妥当性、審査基準等の適合性等について審査を行うというのが一般的な手続になるわけでございます。

安住委員 そのとおりですね。そのとおりだと私が言わなくたって、私学部長が言っているんだからそのとおりだと思いますけれども。

 実は、この大学に合わせて、今の適用基準に沿って言うと、確認しますよ、この大学は、当時の申請者は堀田正一郎、学校法人東北文化学園大学、設置場所、仙台市青葉区国見六丁目というところ、そして、開設時期は平成十一年四月一日。今話のあったこの文書なんですけれども、これは平成九年九月に実は寄附行為変更認可を文部省の方に申請をこの大学は出して、同年十月、大学設置・学校法人審議会への諮問にかけられている、そして審査を経て十年十二月に認可を受けているということでいいですね。ちょっとこれだけ確認。

加茂川政府参考人 御指摘のとおりでございます。

安住委員 そこでなんです。大学をつくるときは、私、きのう事務当局にお話を伺ったんですが、つまり、大きく言うと、わかりやすく言えば、二つのルートから審査をする。

 一つは教育関係である。つまり、学校の中身、学校の先生がどうだとか教育カリキュラムがどうかとか、こういうことが一つ。もう一つが、今部長が言った、法人のいわば体制ですね。人事とか、それから財産なんですよ、やっぱり。学校運営というのはお金がかかりますから。この財産がどうなっているかということについての書類を上げてもらうというのがルールになっているんですね。それを見た上で、認可をするかどうかを審議会が決めて許可を出すということですよね、大臣。

 今回、この大学はどうしたかというと、自分のところの財産目録の書類を偽装していたということなんです、疑いがあるということなんです。

 新聞だけで確認をしますと、この財産には、皆さん、二つあるんです。二つとは何かといいますと、一つが現物の財産です。つまり、OA機器とか、そういう医療関係の機器とか、ここの学校でいえば。そういう現物の財産と現金財産です。この二つを加味してトータルなんですが、この大学は、財源の申請書類では、六十九億円の財源があって、自己資金が二十一億、寄附金が四十八億なんです。それと現物寄附と言われているのが十六億と言われているんです。そうですね。これは書類だけ見ると、確認しますけれども、間違いない。

 今新聞で取り上げられているのは何かというと、この現物の財産目録として出したものの十六億円のうち、何と七億円弱が架空のものだったというんですよ。申請書類に書いてある財産目録というのは、実際にはなかったものを書類として偽造した疑いがあるということです。私学部長さん、この疑惑は御存じですよね。いかがですか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 昨日、すなわち四月二十日付の地方紙に、委員御指摘の学校法人東北文化学園大学が、平成十一年度からの大学開設に向けて、おっしゃいましたような、平成九年九月に文部科学省に提出した設置認可申請書に添付されていた書類のうち、宮城県内のある法人が、計数億円規模の医療機器等を寄附したことを示す書類について、当該法人の理事が寄附の事実を否定しているとの記事が掲載されたことは承知をいたしております。

 そして、その記事の中で、委員御指摘のような偽装でありますとか疑惑といった取り上げ方がなされておる、そのことも承知をいたしております。

安住委員 皆さん、これは大変な話ですよね。だって、現実にこの学校はもう既に学生をとって授業をやっているわけですよ。そうですね。なおかつ、後から言いますけれども、ことしの六月には、福島の郡山市、そこに薬学部をつくろうというので、申請書を六月に出すというんですよ。ところが、六月に申請を出すのに、もう起工式をやっているんだね、この大学。まあ、民間企業でいったら、もうどんどん拡大路線をいって資金繰りをやっているという話になるんだと思うんだけれども……(発言する者あり)何か病院も買うという話で、ちょっとやじは静かにしてください、私が質問――まあ自民党の応援もわかりますけれども、まず私の話を聞いてから。

 つまり、私は、これは大きな問題だと思っているのは、大臣、普通だと、これは事実関係を確認するのは簡単なんですよ。なぜか。私は、一々疑惑が出たからといって新聞を取り上げて質問するようなことは余りしないんですよ。ただ、今回なぜこのことをしているかというと、この地元の河北新報社の記事を見て私がおやと思ったのは、大学側もこの事実関係について否定するコメントを出していないんですよ。

 さらに、実は、架空書類をつくったと言われている法人や企業は、架空の書類をつくったのを手伝ったことを認めているんですよ。大学が出す申請書類の、この架空の書類をつくったことを、皆さん、書いた方が認めているんですから、私は、これはびっくりしているんですよ。ですから、私はきのう、実は文部科学省に、深夜になって申しわけなかったけれども、きょうまでに事実関係を確認してくれと言ったんですよ。

 だって皆さん、どうですか。取材に対して、寄附をしたとされる、さっき言った四億七千万、さらに、きょうになってプラス二億二千万だっていうんだね、記事を見ると。だから、約七億弱でしょう。七億弱の申請書類を事実上偽装した、偽装した疑いがこの大学は持たれているんですよ。なおかつ、ここに、偽装をした会社の名前は申請書類に全部載っているから、文部省はわかるんですよ。私も一部ちょっと見せてもらいましたけれども、確認すればわかる話なんだから。大学関係者と架空の、偽装したと言われる、まあ手伝いましたといいますか、コメントを出しているところ、簡単にこれは調べることができるので、きょうの一時までに調べて、事実関係がはっきりしたら、これは詐欺ですから、何らかの対応をしないといけないんじゃないですかと言ったんですよ。いかがですか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 事実の確認について、委員から御指摘のあったとおりのお話があったわけでございますが、私どもとしましても、この報道、すなわち偽装または疑惑といったとらえ方の報道の事実関係の確認が最重要だと思っておりまして、万一これが報道のとおりでありますと、看過できない重大事だと私も認識をしておりますので、調査が何より大切だ、こう思っております。

 そこで、報道のあった日、すなわち昨日でございますが、即昨日中に学校法人の責任者に対しまして事実関係の速やかな調査と報告を求めたところでございます。しかし、即答はしていただけませんで、現時点でいいますと、いわゆる報告はまだ受け取ってはおりません。

 といいますのは、学校側の説明としましては、調べているんだけれども、当時の事情を知る役職員がいない、現に、理事長がこの二月に交代をしておりまして、前理事長に直接事情を確認して、裏づけ調査を行った上で責任ある報告を速やかに行いたいというのが法人側の説明でございました。

 とりあえずは、学校法人の調査を待って、その報告に不十分な点があれば、再度私どもも必要な指示を強く行いたいと思っておるのでございます。

 それから、現物寄附について申し上げますと、私どもの先ほど申しました審査手続の中で、学校法人から、申請者から出ます書類の中では、現物寄附については寄附の申込書、それから、寄附者が法人の場合には、その意思決定の手続である法人内における議決書等も提出されておりまして、形式上はその書類等は完備しておるということもございますので、その事実関係について法人側に確認を求めるのがまず第一かと私どもは考えておるのでございます。

安住委員 いいですか、皆さん、私はきのう、ちゃんと正規の書類を見させてもらったからこれは言いますけれども、確かに申請書類に不備は多分ないんですよ、書面上は。ということは、どういうことですか。公認会計士が判こまで押しているんですよ。これは仙台市にあるセンチュリー監査法人というところですよ。そこの二人の公認会計士が、現物寄附の詐欺だったことに対して、間違いないという判こを押しているんですよ。それを、文部科学省に申請書類を出しているから、今の答弁になるんですよ。つまり、手続上瑕疵がないという話でしょう。

 しかし、もしこれが事実だとしたら、この監査法人はだれかと結託して何かやっていたという話にだってなるんだから、あなた方、だまされた当事者として見れば、これは何らかの告訴か告発をしないといけないんじゃないですか。そんなのんびり報告を待っているという話じゃないですよ、これ。いかがですか、部長。

加茂川政府参考人 委員御指摘のように、公正、厳正であるべき監査法人または公認会計士の監査に大きな手違いがあったということであれば、私どもも看過できませんので、厳正に対処しなければ、必要な調査等も強力に行わなければならないと思っておりますが、決してその調査等に後ろ向きになっているのではなくて、まず、基本的な事実の確認を学校法人にきのう求め、今報告を待っているという時点だということを御理解いただきたいと思います。

安住委員 これ、文部省は、今の話だけだと何かだまされた側のような雰囲気を持っているけれども、違うところもあるんですよ。違うところがあるというのは、つまり、私に言わせていただければ、大臣、ではチェックはどうしていたんだという話になるわけですよ。チェックはどうしていたんですか。

 つまり、これは、我が国の青少年を育てる高等教育機関として大学を認定するというのは、大臣、えらい大変な話なんじゃないですか。違いますか。いわば、高等教育局長なんというのは、その判こを押すだけの重みのある人だと私は思うんですけれども。それはいかがですか。その認識をまず聞きましょう。

河村国務大臣 安住委員がおっしゃるとおり、これは学校法人が、この場合は私立大学ですが、私立大学としてのきちっとした基準にのっとっているかどうか、これはきちっと厳正に審査するものであって、公的な役割が非常に大きいという視点からやるわけですね。できるだけ私学の経営については、建学の精神でしっかりやれということですけれども、前段についてはきちっとやろうということは、これまでもそういう形でやってきております。

安住委員 つまり、私が言いたいのは、きのうも事情を確認しました。久保課長さんにも来てもらいましたからね。私、あえて説明しますと、来てもらって出してもらった書類は、公認会計士の判こも何もついているから事実だと認定せざるを得ないというのが、いわば文部省のコメントなんですよ。では、その後どうしたかと聞いたんです。その後何かしたのかと言ったらば、直接文部省としてはこの認可を出す直前に仙台市に行って、大学側のヒアリング等は聞きましたということでした。そうですね、部長。ちょっと確認しましょう。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 大学の設置認可に当たりまして、今先生御指摘の財産面のチェックについてでございますが、先ほど申しました関係する審議会、大学設置・学校法人審議会において審査を行うわけでございます。書類審査だけではなくて、面接審査、あるいは、必要によって実地審査、現地に行って行う審査でございますが、行っておるところでございまして、今回の大学の件につきましても、認可前に実際に現地に赴きましてこのような審査を行って、書類審査だけではなくて現物の確認もいたしておるところでございます。

安住委員 現物の確認をしておいてこれだけだまされたという話になったら、これはえらい話ですよ。

 いいですか。ちょっと皆さん、今もう一回事実関係を確認します。認可の入り口のところで虚偽の書類を作成してこの認可を受けたとすれば、大臣、この大学の認可を取り消さざるを得ないんじゃないですか、いかがします、これ。

 実は、宮城県では大きな問題になっているんですよ。なぜかというと、小野寺委員もいるし伊藤委員もいるか、西村さんもいるけれども、宮城県の国会議員は意外といますね、ここ文教委員会というのは。この学校が地元の公立の病院を買収するみたいな話も新聞で出ているんですよね。今、自治体が契約を延期しているんですよ。

 しかし、失礼な言い方をすると、こんないかがわしいことをもしやっていたら、これはどうなるんですか。大学としての資格はないんじゃないですか。いかがですか、文部大臣。

河村国務大臣 もちろん、今御指摘のようなことが現実にあってはならぬことですから、これは今きちっとした事実関係を求めておりますが、今回の件で、仮に申請書類に重大な過失がある、虚偽があるということになれば、これは許可行為にかかわる問題ですから、厳正に対処しなければいかぬ、私もそう思いますよ。

安住委員 厳正に対処というのの厳正という意味は、どういう意味ですか。

 私、学生がいることはわかっているんですよ。学生は非常に、罪はないけれども、しかし、これをそのままにしておくわけにはいかぬですよ。

河村国務大臣 これは、御案内のように私学助成も出ております。補助金の返還の問題、あるいは、これは認可の問題にもかかわってくる問題だろうと思いますが、そういうことも当然考えなければいけない課題だ、こういうふうに思います。

安住委員 済みません。ちょっと話がだんだん煮詰まってきたところで時間なんですけれども、少し延長させてもらいますので、会派の皆さん、御了承ください。

 実は、今私学助成の話が出ましたので一応申し上げておきますけれども、この大学には平成十一年、短大運営当時、八百六十万、平成十二年から五千五百万、八千八百万、平成十四年度で八千二百万円と相次いで私学助成金が投入されております。

 それだけではございません。昨日、仙台の藤井黎市長が記者会見をいたしまして、その中でこう言っているんです。仙台市は九億四千万円、この大学にもう既に出しております。なぜ出したか。補助金は文部省が開学の許可を出したことを前提に交付するんだから、出さざるを得ないと言っているんですよ。認可以前の疑惑や問題についてはこれから明らかになるからそのとき考えると。つまり、仙台市民の税金も、あなた方が許可したことでどんとこの大学に行っているということですよ。それだけ許可を出すということは大変なことなんですね。文部省が認めた大学ですものね。

 しかし、今言ったように、実は現物だけでないんですよ。私、今これから言おうと思っていますけれども。

 何と、皆さん、この大学は、現金、さっき言いましたけれども、六十九億持っているという申請を出しているんですよ、大学運営に。ところが、この寄附金四十八億のうち二十三億円を一つの団体が寄附しているんです。二十三億円ですよ。これ、そうですね、部長。ちょっととりあえずこれを確認します。

 それから、文部科学大臣には、仙台市の今のコメント、どう思いますか。やはり重いんじゃないですか。地元の自治体がそこまでお金を出しているのは、大臣のところで判こを押したからだということですよ。その重みについて、ちょっとコメントを下さい。

加茂川政府参考人 東北文化学園大学への現金寄附についてのお尋ねでございます。

 最多額のものが二十三億円、一件確かに含まれております。

河村国務大臣 最近、地方自治体の活性化のために私学を誘致したい、それで市も県も補助金を出す、それで認可を求める、こういうケースは非常に大きくなっています。町づくりの観点から、大学町をつくりたいと。私は、そういう視点もあって、市も協力をといいますか、誘致だという思いもあったんじゃないんでしょうか。

 ただ、我々の方は、既定の手続にのっとってあれば、もちろん厳正にやりますけれども、一々疑ってかかるようなものではありません。これは学校法人ですから、善意に基づいて出されるものをきちっと審査するという形をとっております。

 最近、きょうは、実は参議院の委員会では鈴木寛さんの質問の中では、私学のあり方、むしろ厳し過ぎるんじゃないかと。要件は易しくして事後チェックであるという話もきょうは本会議で質問があったんです。(安住委員「おれは聞いていないから」と呼ぶ)聞いていないかもしれぬけれども、あったんです。

 だから、これは相反する話ですけれども、こういう例もありますから、我々としては厳格にやらなければいかぬ、こう思います。

安住委員 私、これは多分、常軌を逸している話なんですね。きのうちょっと聞いたら、過去、銀行ごとうそをついて申請を出したこともあるというのもあるらしいんですよ、私立大学で。つまり、お金があるように見せかけて認可をとった。しかし、随分昔の例だという話だったね。

 だから、こんなことを今どきやるというのは極めて異常な話なんですよ、異常な話。だけれども、これをもし見過ごしていたら、大学をこれからつくる権威というのがなくなりますよ。これはちゃんとやってもらわないといけない。

 なぜか。これはここからなんですよ。今からの話。

 私学部長は、チェックが大変だとか、大学側に一義的に話を聞くとか、関係者のことはちょっと時間がかかると言ったよね、今。大臣、聞いたでしょう。本当でしょうか。

 なぜ、本当でしょうかと私が言うかというと、二十三億円をこの大学に寄附していたのは菅野愛生会といって、前の前のこの学校の経営者、四億七千万円の架空の寄附をして書類をつくったのもこの学校の関係者、事情なんてすぐ聞けるじゃないですか。何を言っているんですか。

 大臣、どうですか、私の話を聞いて。私、今おとなしく聞いていたけれども、電話をかければすぐわかるんですよ、こんなこと。前の前の理事長だもの。だめですよ、そんな答弁で。質疑なんかできませんよ。ちゃんと調べてくださいよ。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 委員の御指摘は、直接寄附者に対して所轄庁である文部科学省が、または私学行政の担当者が事実を確認してはどうかという御指摘ではないかと思いますが、私ども、今確認を求めておりますのは、学校法人として、申請し認可を受けた学校法人として、認可手続の際の書類の事実関係についてまず確認を求めておるわけでございまして、その点で不備な点があれば、委員御指摘のような、所轄庁として学校法人以外にも事実確認をするということは必要な場合が出てくるかと思いますけれども、現時点では、何よりその寄附を求め、必要な書類を作成した学校法人が一番事情を知っておるわけでございますから、その事実確認をまずすることが第一段階ではないかと思っておるわけでございます。

安住委員 私が怒るのは当たり前でしょう、大臣。

 学校に聞くのが一義だと言うけれども、普通の会社では、自分のところが詐欺に遭ったら、そんなこと社員に言いませんよ。あなた方は役所だからそんなことを言っているんですよ。そうでしょう。大臣が調べろと言えば、すぐ調べられますよ。私は思いますよ。朝、仙台に行って事情を聞いてくれば簡単に事実関係がわかるじゃないですか。わかった時点で、本当にそういう書類が詐欺だったら、何らかの、刑事告発をするなり、また大学の申請を取り消しするなりやるのが国民に対するあなた方の責任じゃないですかと言っているんですよ。大臣、いかがですか。

河村国務大臣 私学助成も出ていることでありますから、これは税金も入っている大学ですから、きちっと厳正に対応しなければいかぬ、私もそう思います。

安住委員 大臣、では、この場で、その関係者を含めて早急に調査をして、事実関係を明らかにしてください。期日は少し待ってあげてもいいですけれども、今週中には必ず私に報告してください。大臣、やってくださいよ、簡単なんだから。

河村国務大臣 期日についてはともかく、早急に対応させていただきます。

安住委員 関係者から事情を聞いてください、関係者から。理事長、前理事長、ちゃんと事情を聞けばわかる話ですよ、大臣。みんな名前が挙がっているんだから。まして、普通の会社もあるけれども、今言ったように、多額の架空の寄附をしているのは、この学校のもとの運営者なんだから。簡単にわかりますよ、大臣。そして、しかるべき措置をしてください。もう一回答弁してください。

河村国務大臣 基本的には、これが現物がないのにしちゃった架空かどうか、これが一番大きな問題ですから、この点をはっきりさせるべきであろう、私もそう思います。(安住委員「そこがもしはっきりしたらどうしますか」と呼ぶ)これは、今までの認可基準に照らし合わせて、認可基準に合わないということであれば、そのときに、のっとって対応しなければいけないことだと思いますね。

加茂川政府参考人 補足の説明をさせていただきます。

 先生先ほど、現金がないのにあるかのようにして申請をした過去の例を御指摘になりましたけれども、いわゆる見せ金でございます。ないのに現金があり、自己資金であるかのようにして、認可があった後すぐ引き揚げてしまう、残らないわけでございます。

 今回の場合の現物寄附が、本当に見せ金のように、本当は実体がないのに、認可申請時点だけあるように偽装して、その後なくなっているというのであれば、同様に重大な違反になるわけでございますが、今回の場合は、その見せ金に相当するような偽装であったのかどうかの事実確認をまずする必要があると思うんです。

 先ほど申しましたように、認可申請手続での実地調査では物が確認されておりますので、そういった事実確認をまず学校法人にしていただいた上で、大臣も申し上げましたが、その事実が大きく違っているのであれば、重大な意思のもとに、対応も厳しくする必要がある、こう思うのでございます。

安住委員 ですから、部長、ちょっとそこにいて。これがもし偽装だとしたら、詐欺で訴えないといけないんじゃないですか。告発するでしょう、当然。

加茂川政府参考人 万一のことでございますけれども、先生御指摘のような事実、その報道されている多くが事実とすれば、いろいろその書類作成についても刑事上の問題は出てまいりますでしょうし、私どもも関係方面と協議しながら、どういう手だてができるのかも当然検討の範囲におさめておきたいと思います。

安住委員 見てください。ふだんは対立している自民党からも、やれやれというやじが飛ぶぐらい、この大学は悪いんですよ。

 私、ちょっと引いた話で言うと、これは続きはまた後日やるけれども、大臣、どうですか。私はこう思っているんですよ。なるほどね、許可は出した、認可を出して大学をスタートさせた、そこまではいいですよ。その後の財務内容のチェック等については、実は余り熱心に文部科学省はやっていないんじゃないですか。そこの認識があるから、今いろいろやっているんでしょう。

 だけれども、河村さんは一番もう文部科学行政に明るい方だからあれですけれども、大学によってはとんでもない財務内容のところがあるんじゃないですか。ちょっと会計士も含めて、会計のありようを根本的にチェックする何らかの工夫はやはり必要ですよ。いかがですか。

河村国務大臣 私も、安住先生御指摘のように、ただ、これまでどちらかというと、文部科学省は設置のときはわあわあうるさいことを言うが、後はほったらかしじゃないかという意見もあるんです、一方では。その経営のノウハウとかいろいろなことをもっと支援すべきじゃないかと。ましてや、借金で学校をつくれないのか、半分ぐらいいいじゃないかとか、そういう話もあるんです。特区では、条件が厳し過ぎるから借地でもいいですよ、あるいは校舎は借りたものでもいいですよというところまで来ているんですね。一方ではそういう声もあるんです。

 しかし、今おっしゃったようなこういうのが出ますから、やはり事前にはきちっと対応しなきゃいかぬが、それからのことについては、今回の法案においても、もっと公開しろということを言っております。やはり公的な役割が大きいんだから、それを内で包んでしまうものだからそういう問題が起きますから、これは今回の改正できちっとやるという方向を出したわけであります。

安住委員 だから、ここの前の理事長というのは脱税で、さっき小野寺議員も言ったけれども、ことし、脱税でやられているんですよ。本当にこれは大学の教育者の風上にも置けないね、脱税でやられているんですから。

 委員長、この前の理事長、堀田正一郎というんですけれども、参考人として呼んでいただくことをここで正式に提案しますから、理事会で取り扱い、よろしくお願いします。

池坊委員長 理事会で協議をして、決定するかどうかを決めさせていただきます。

安住委員 ところで、この東北文化学園大学は、ことしの六月に郡山市に、こういうことをやっているにもかかわらず、薬学部をつくりたいということで、六月に申請書類を出すと言われていますけれども、事実ですか。

加茂川政府参考人 薬学部の認可申請手続については、まだ申請書類が提出されておりません。ただ、事務的に相談を一部受けているという段階でございます。

安住委員 おかしいですよね。私なんかはよくわからないんだけれども、申請を出したら、多分認められるんでしょうね、ほとんど。何で起工式をやっているんですか、申請も出さないうちから。おかしいでしょう、これ。起工式をやって、市長まで神棚に手を合わせて祈ったというんですよ。おかしくないですか。どういうことですか。文部省、裏でいろいろ助言しているんじゃないの。文部省の担保もなくて、こんなことをしますか、普通。どう思いますか。

加茂川政府参考人 おっしゃられました起工式について、事実確認、私ども何もできておりませんけれども、認可申請がなされておりません。もちろん、認可もなされておらないわけでございまして、それを前提にした取り組みが申請者と予定されるものの段階で進むということについては、基本的にはコメントできませんけれども、認可を前提としていろいろな社会的な不審を招く、一般の方々から疑惑を招くことは決して好ましいことではない、こう思っておるわけでございます。

安住委員 大臣、あと、そろそろさすがにちょっと食い込むと申しわけないけれども、これは六月に申請を出して、そのまますんなりなんて話にならないでしょうね。幾ら何でもそんなことをやったら、私は、高等教育局全体の問題になっちゃうと思いますよ。もとの母体の学校法人としてこんないいかげんな、ずぶずぶのことをやっておいて、薬学部の申請を出したら、書面上はちゃんと整っているから認可を出しますなんて話にならないでしょうね。

河村国務大臣 これは認可の場合には、寄附行為変更の認可になってくるわけですが、これにはちゃんと、大学等の管理運営の適正を期しがたいと認められる事実がないことということになっていますから、事実があるということになれば、これはもう論外ですね。

 これは厳正にやっていますよ。だって、現にロースクールだって四校ほど不許可にしました。あれなんかも、学校をつくってどうしてくれるんだと言ったって、それはだめだと言ってちゃんとやったんですから、同じことですよ、それは。

安住委員 そこの部分は信用しましょう。

 これで終わりますけれども、やはりどこかに、言い方は失礼だけれども、許認可を持っている役所と、いわゆる業界という位置づけの大学との関係に、ずぶずぶの関係があったとしか私は言わざるを得ないんですよ。

 実は、この大学には、さっきも言いましたけれども、副学長は文部省出身者、そしてもう一人文部省の人間が行っているんですよ。逆に言ったら、いい方に導くんだったらまだしも、これは悪いことをするのを手伝っていたら論外だからね。悪いことをするのを手伝っていたら。そういううわさも出ているの、大臣。これは某参議院議員をやった人だとも言われているの。そんなことまで怪文書だって出ているの、薬学部をつくるときに手伝ってやったとか。こんなことをもし文部省がやっていたら、学校教育の責任者としてはあなた方は不適格。しっかりと対応してください。

 個別のことについては改めて伺いますけれども、今、三十五分ほど、委員でもないのにお邪魔をしまして、させていただいて、委員長もどういうふうな感想を持たれたか聞きたいぐらいですけれども、大臣、私のこの問題提起に対して、どうぞひとつ責任ある対応をお願い申し上げまして私の質問を終わりますので、最後に一言だけ、よろしくお願いします。

河村国務大臣 きちっとした対応、厳正な対応をさせていただきます。

安住委員 よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

池坊委員長 田島一成君。

田島(一)委員 引き続き安住議員にやっていただきたいぐらいの熱のこもった質問の後でございますが、私、本日の案件になっております学校教育法の一部改正の部分で、栄養教諭の関係について、大臣初め皆さんに御質問させていただきたいと思います。

 食育の重要性という点につきましては、私も何ら異論を唱えるものではございません。望ましい食生活を形成するということの重要性を踏まえた上で、今回創設されようとしている栄養教諭が、実効性高く、また成果を上げるものということを非常に期待はするものなんですけれども、この法案の中身を読めば読むほど、その責任の重さ、負担の重さを危惧せずにはいられません。そういったことも踏まえまして、質問させていただきたいと思っております。

 冒頭、まず最初に、現在、各自治体で進んでおります市町村合併につきまして、それに伴う教育委員会の合併という点で、こちら文部科学省の方もいろいろとお骨折りをいただいていることというふうに思いますが、教育委員会の合併につきまして、今聞き及んでいる問題点ないし課題につきまして、お示しをいただけませんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 先生、今御指摘になりましたように、市町村合併、平成十六年一月現在で、約七割の市町村で合併に向けた協議、検討が行われている、そういうふうに承知をいたしております。

 この市町村合併に伴う教育行政上の課題といたしまして、例えば、市町村ごとに異なっている社会教育施設等の使用料など、こういった各種利用料をどうやって調整していくかとか、各地域に応じて、いろいろな特色ある教育あるいは行政サービスがそれぞれの市町村で行われているときに、市町村合併に伴ってそれをどういうふうに取り扱っていくのかとか、いろいろな課題があると市町村の教育委員会から聞いているわけでございます。

 私ども文部科学省といたしましては、市町村合併支援プランとして、学校の統廃合があった場合に、教職員定数の激変の緩和でありますとか、あるいは学校施設、給食施設の整備等の支援措置を行っているところでございますし、都道府県の教育長協議会と協力をいたしまして、教育委員会のための市町村合併マニュアル、こういうものを作成、配付することによりまして、合併によるいろいろな事務が円滑に行われるよう教育委員会に対して必要な支援を行っている、こういう状況でございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 まだまだ数多くいろいろな課題があろう中、ピックアップしていただきましたけれども、激変緩和対策という中でもかなりウエートを占めるかなと思います定数関係、これが実は今回の法案にも随分影響してくるのではないかなというふうに思っております。

 本法案で、今回、栄養教諭の設置、配置につきまして、義務なのかなと思いきや、残念ながら設置者の判断にゆだねるというふうになっています。せっかく食育を進めようというにもかかわらず、残念ながら義務ではない。努力目標みたいな形で、非常に扱いがあいまいになってくる。つまり、定数が、余裕があれば設けられますけれども、余裕がないところについては別に設置しなくてもいいですよと言わんばかりの、そんな扱いになっているように私ども判断するんです。

 一方で食育の徹底を図っていこうと言いながら、決してそれは義務規定としてうたわれているものではない。何か矛盾するような気がするんですけれども、どのようにお考えですか。

田中政府参考人 栄養教諭の配置につきましては、学校給食の実施状況あるいは現在配置されております学校栄養職員の配置状況、さらには地方分権の趣旨等にかんがみまして、地方公共団体が地域の実情等に応じて判断することとしておるところでございます。しかし、先生御指摘のように、食に関する指導の充実は大変重要な課題でございまして、栄養教諭が直接配置されていない学校におきましても積極的な取り組みがなされることが求められるところでございます。

 このために、一つには、各都道府県におきまして、学校栄養職員から栄養教諭への移行を円滑に行っていただくと同時に、栄養教諭未配置校につきましても、近隣の学校の栄養教諭が出向いて指導する、あるいは地域の人材を活用する、さらには、他の教職員の食に関する理解の向上などを図って、いろいろな工夫をしていただきまして、食に関する指導の充実が図られますよう、各都道府県教育委員会あるいは市町村教育委員会の理解や取り組みを促してまいりたいと考えておるところでございます。

田島(一)委員 今答弁で、地域の人材を活用するということをいみじくもおっしゃいましたけれども、地域の人材を活用するのと今回のこの法改正とどんな関係があるんですか。地域の人材の方に、おっしゃるようないわゆる栄養教諭になってもらう、そんな意味ですか。ちょっと誤解を招くような答弁をされたように思うんですけれども、もう少しわかりやすく言うてください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、まずは、栄養教諭制度が発足いたしますれば、任命権者でございます各教育委員会におきまして、学校栄養職員の栄養教諭への円滑な移行を図っていただくことが大変重要であろうと考えておるところでございます。

 そして、その栄養教諭が配置されていない学校におきましては、今申し上げましたように、地域に食に関するすぐれた人材がいれば、栄養教諭になっていただくわけではございませんけれども、食に関する指導において地域の人材を特別非常勤講師なりあるいは補助者として活用していただくということも工夫していただきたいという意味で申し上げたところでございます。

田島(一)委員 何のための今回の法改正ですか、これ。それだったら、最初から地域の方をどんどん非常勤で入れていけば、それだけで済んでしまうことじゃないんですか。おっしゃっていることと今回法案として出してきておられることが全然マッチしていないんですね。

 私たちは、食育をどんどん進めるべきだという前提に今立たせてもらっていますけれども、食育を推進するためにどれだけ寄与しているかといったら、おっしゃっていることは全く矛盾ばかりしているような気がいたします。また後で、その辺は追及させていただきます。

 では、実際に栄養職の方を教諭化して、どれだけ今日の学校教育の中でカリキュラムとしてつくることができるのか。ただでさえ、ゆとり教育の流れの中で時間割りが非常にタイトになってきているという現場の声、恐らく大臣もお聞きになっていらっしゃると思います。ただでさえ授業時間が減っている中で、さらに食育という時間を栄養教諭がその中に割り込んで果たして持っていくことができるのかどうか。ましてや、先ほどおっしゃった、地域の方にでもなってもらってやっていくということが、果たして今のこのカリキュラムの中でできるのかどうか。

 この辺に対して非常な疑問を持つんですけれども、教科として確立することができるかどうか、その辺について御答弁いただけないでしょうか。

河村国務大臣 これは、御指摘の点、私も最初のスタート時点で危惧している点でありまして、しかし、食育の重要性は皆さんお認めになるわけでありますから、これをどういうふうに入れていくかというのは、それぞれ工夫をしていただかなければならぬだろうと思います。確かに、おっしゃるように、授業時間もかなりタイトですから、この中にどう入れていくか。これは校長のリーダーシップのもとで、どう割り振るかということも考えていただかなければなりません。

 それから、今、総合学習の時間というのがございまして、これも、うまくやっているところ、やっていないところ、いろいろ苦労されているようでありますが、この中にきちっと位置づけることもできるでしょうし、いろいろな特別活動、それから父兄の方々への食の教育の問題、これなんかもしっかりやってもらわなければいけません。

 学校現場というのは、教諭がやはり中心でありますから、今までのように、学校栄養士として非常勤講師的なことはできますが、これでは十分な教育ができないということがあって、やはりこれは学校栄養教諭として資格を持つことによって学校における位置づけがきちっとできて、そして、食の専門家として、学校と父兄、学校と地域、そういうものがきちっと結びつけられる役割を果たせる、こう思っております。

 確かに、厳しい時間の中でこれをどういうふうにするか、年間計画等もお立てをいただきながら、それから、関連教科もございます、家庭科の授業等もございます、こういうことの連携もしっかり研究していただく、このような取り組みが必要でございます。

 栄養教諭は、そういう企画立案的なこと、それから一方では、学校給食の管理という問題もございます。これと相まった上で、今回の法律を出して栄養教諭制度をつくる、この趣旨を十分生かすようにお願いをしたい、こう思っております。

田島(一)委員 一番最後に学校給食ということについて答弁で触れていただきましたけれども、完全学校給食の実施率に目を転じますと、中学校においては七割にいっていない状況ですね。このことは皆さん御承知のことだと思いますが、私どもも学校給食の時間ないし学校給食という生きた教材が今回の食育に果たす役割というのは一定大きいと思うんですけれども、残念ながら生きた教材を使えない学校が四割近くあるということを考えたとき、これは完全給食の実施率にも大きく食育を推進することが影響してくると思うんです。

 この完全給食の実施について、まだまだ文科の方からの対応策としては弱いように私は思うんですけれども、推進についてどれぐらいのことを考えていらっしゃるのか、教えてください。

田中政府参考人 学校給食についての実施率でございますけれども、ミルクだけの給食を除きました学校給食の実施率につきましては、中学校で申し上げますと、先生御指摘のように、実施率が六八・八%になっておるわけでございます。十年前の平成四年では六二・九%であったわけでございますけれども、ここ十年間で約六%上昇しているところでございまして、私どもといたしましては、学校給食法の趣旨にのっとりまして、中学校におきましても学校給食の実施が進むように今後とも努力してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 学校完全給食の実施がどんどんふえているということは非常にいいことだなと思います。

 ただ、その一方で、自校式と共同調理場方式を見比べたとき、共同調理場、いわゆる給食センターでやられているケースが非常に多いわけですね。いわゆる学校で子供たちの食べている様子を見ないでつくっている、そんな給食の方が、私の手元にある資料で、小学校五〇%、中学校に至っては六六%と自校式をはるかに超えているんですね。

 これで果たして食育を本当に推進することができるのかどうか、どのようにお考えですか。

田中政府参考人 学校給食の実施に関しましては、臨時行政調査会等の指摘を踏まえまして、学校給食の質の低下を招くことのないように十分配慮しつつ、そういう中で、パートタイム職員の活用でございますとか共同調理場方式の採用、あるいは調理業務の民間委託等の方法によりまして、運営の合理化を推進するよう各都道府県の教育委員会を指導してきておるところでございます。

 一方で、御指摘のように、単独調理場方式の方が学校行事との関連で献立に工夫ができるとか、今御指摘いただきましたように、子供の顔を見ながら食事をつくることができるといった細かい対応が可能であるとして食の指導に有効であるという声があることも承知しておるところでございます。

 学校給食の実施方式につきましては、地域の学校の立地状況あるいは児童生徒の状況、各自治体の行財政の状況等、さまざまなことに配慮しながら、各学校や地域の実情に応じて、各学校の設置者が適切に判断すべきものと考えておるところでございます。

 なお、文部科学省におきましては、この単独調理方式と共同調理方式のいずれの方式であっても、合理化の推進に努めるとともに、学校給食が学校教育活動の一環として実施されていることにかんがみまして、食に関する指導の充実や衛生管理の徹底を図ることが重要であると考えておるところでございまして、今後とも児童生徒にとって安全でおいしく楽しい学校給食が実施できるように指導してまいりたいと考えておるところでございます。

田島(一)委員 いつも答弁というのはきれいにおまとめいただくんですけれども、答えに余りなってないんですね。では、自校式とセンター式の違いをどう乗り越えて食育を進めていくのか、そのあたり、なかなか答えになってないでしょうね。思いませんか。

 実は、そのことにも起因するんですけれども、今回、先ほどおっしゃった、現管理栄養士並びに栄養士の方にいわゆる栄養教諭にそのまま移行していただこうという措置がとられていますね。管理栄養士については、勤務経験三年プラス大学での十単位取得で栄養教諭一種の免許状がもらえる。栄養士については、勤務経験三年プラス八単位取得で栄養教諭二種の免許を受けられる。これは附則の第十八項に載っています。

 これは、新規に、これから大学を出た方もしくは栄養教諭を目指そうという人と比較してみると、もちろん新しい方については勤務経験三年というのがないわけですから、では、それに相応するものがどれだけ必要かというと、栄養教育に関する科目が四単位プラス教職に関する科目が十八単位、しかも管理栄養士の資格を持たなければいけない、そうしないと例えば栄養教諭の一種の免許は取れないということになっているわけです。単純に単位数だけで見ると、十二単位余分に取らなければいけないわけですね。

 ということは、勤務経験三年がどれぐらいの重みを持っているのか、この辺をちょっと知りたいんですけれども、例えば栄養士の三年、管理栄養士の三年、これは、在職年数を単位に換算すると一年が大体何単位というふうにみなしていらっしゃるのか、教えていただけるでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 在職年数三年で十五単位程度と換算をいたしておりますので、一年にして五単位程度と御理解をいただけたらと思います。

田島(一)委員 一年五単位の三年で十五単位、一般の学生はそれに相応するものを大学で一年通して勉強していく、というわけで取るわけです。

 確かに、現場の栄養士ないし管理栄養士さんに栄養教諭として頑張っていただきたい、そんな思いはわかりますが、果たして、今申し上げた現場の管理栄養士さんないし栄養士さんが教諭としての教科もしくは指導に関しての実績をこの三年間で積んできたというふうに言えるのか、十五単位に見合うだけの教諭としての資質を高めてきたというふうに言えるかどうか、この辺、私はすごく疑問を持ちます。

 先ほど給食の話を申し上げました。自校式であるならば、まだ子供と接点を持つ機会も多いでしょう。しかし、センター方式の給食であった場合、子供が食べている姿は見られない、子供が残してきたものを見て、実際に動いている子供たちと接点はほとんどない、そんな話、私も現場で聞いておりますよ。にもかかわらず、教職に関する科目は免除、栄養教育に関する科目も二単位免除。本当に同じように教諭として食育の推進をすることができるのかどうか。どうお考えですか。

河村国務大臣 これまで学校栄養士の皆さん方は、共同式もあります、個別式もありますが、本当に現場を知っておられる。それと即比較しますと、今から新規の人にそれだけやらそうとしたら、それはどこか現場へ二年ぐらい実習に出さなければいけないことになるわけです。これは、今の大学の一般の教諭についてもこの問題がこれから課題になってきそうでありますが。

 そういう意味で、当然、教諭の資格を取るために、今後実習も入ってまいりますので現場にもちゃんと行って、これはそんな長期間ではないでしょうけれども、今までの一般の教諭が取るように研修をやっていきます。そういう意味できちっとした、しかし、さらに今度は新しい知識をしっかり蓄えて、先生としての資格を持って臨んでいただくというので、今までの栄養士の皆さんはそこまで考えてなくて、その違いはあると思います。そういう意味で、新しい方々にはそれなりの勉強をしていただいて教諭になっていただく、こう考えております。

田島(一)委員 どうせ教諭になるんだったら、私も、一生懸命やはり勉強して、現場で子供と対峙してしっかりと指導できる、そういう先生になってほしいと思うんですね。

 ところが、三年間給食担当の栄養士、管理栄養士をしていれば、子供を教えた経験のない人でも簡単になれてしまうみたいな、そんな扱いになっているんですね。果たしてこれでいいのかどうか。

 それだったら、今までも、現場の教諭と共同で、チームティーチングで教えているとか、中には特別非常勤講師として指導しているとかいうのを、非常に少ない数字ですけれども、現にもうやっているわけですよ。わざわざ教諭にまでしてやらなければいけないという焦りはないはずだと思うんですけれども、何かこの辺が、進めなければいけない、だけれども、現場としては早くさせなければいけない、現在の管理栄養士さん、栄養士さんに早く教諭という資格を与えたいという思いばかりが先行してしまって、その場しのぎのような感じがいたしますが、いかがお考えでしょうか。

河村国務大臣 見方によっては、この短期間を思えばそういうことですが、実は、学校栄養士になられた皆さん方は、もう二十年以上前から、やはり学校に、現場に出てみて食育をやろうとしたときに、こう言ってはあれですが、その学校現場を見たときに、やはり教諭でないと発言力が弱いという思いを持っておられる方が随分おられて、やはり教諭としてきちっとした位置づけをしたい、食育をしたい、そういう思いはずっと願いとしてあった。我々もそれを受けとめながら、どういうふうにしていったらこれは導入できるかということは考えながら来たわけであります。

 そうすると、食の安全とか、BSE問題も起きて、いろいろ見ると、もっと食の安全とか、そういうことをきちっとやる必要があるということになりました。そういう面では、まだ一遍に全部配置もできない。それから、学校給食そのものが義務でないという面もあります。だから、今までの一般の教諭を得るのとは、ちょっとそういう面では、十分でないと言われればそうですけれども、今これを導入することによってそれを整備していくという方向で、食育の重要性というものがきちっとその中で位置づけられていく、こういう我々も願いを持っておりますし、期待も持っている、こういうことであります。

田島(一)委員 そこの問題は、多分、現場の学校の校長先生が発言の機会を与えるか与えぬかというところに私は大きな原因があると思いますね。そういう意味では、栄養教諭をつくればそれで事済んでしまうという思いではないということだけは共通認識として持っていたいと思います。

 ところで、実は今回の質問をするに当たって、情報収集いろいろとしておりまして、ホームページでちょっと検索したら、おもしろいものが出てきたんです。

 「栄養教諭ついに実現!」、自民党の某衆議院議員さんのホームページでありました。内容を一部紹介します。

  我々が強力に推進していました栄養教諭がついに実現することになりました。

  現在の学校栄養職員から栄養教諭に無理なく移行出来ることになったのです。

  管理栄養士の方は三年の勤務経験があれば、十単位修得すれば、栄養教諭一種免許状が受けられます。

  栄養士の方は、同じく三年の勤務経験で、八単位修得すれば、栄養教諭二種免許状が受けられます。

中略で、最後。

  学校栄養職員の皆様、おめでとうございます。

これは恐らく、類推するに、ことしの二月五日のメールでお出しになっていらっしゃるものだと思うんですね。自民党の中に栄養士議員連盟というのがあるようでございますけれども、非常に誤解を招くような、責任の重さというものを全く感じない、無理なく移行できるというような非常に誤解を招く発言まで衆議院議員の方のホームページに載っているんですね。

 だれでもこうやって簡単になれますよ、今の栄養士さんとか管理栄養士さんでも、三年の経験があれば、十単位取得できれば栄養教諭になれるんですよ、そういう軽いものなんでしょうか。

 最後に、こんなおもしろいことがあります。「十単位又は八単位の修得は先ず最初は十七年の夏休みを利用して取得されることになりましょう。」、大きなお世話ですよね。何でここまで二月の段階で御存じなのか。自民党は与党さんだからわかるのかもしれないのですけれども。

 今回のこの栄養士並びに管理栄養士さんを栄養教諭として扱うということは、我々は、非常に教育現場の中でも大きな意味を持つ、食育の推進という点では、移行していただく方々にもそれ相応の自覚と責任を持っていただかなければならないというふうに思っております。にもかかわらず、こんな軽々しい発言をされている議員さんがいるということは非常に遺憾に思いますが、大臣、いかがお考えですか。

池坊委員長 質疑者の質疑時間は既に終了いたしておりますので、河村文部大臣、どうぞ簡潔にお願いいたします。

河村国務大臣 それは軽々しくではなくて、栄養教諭の皆さんの思いというものを知っておられる方がそうおっしゃったと思います。

 しかし、栄養教諭の役割というのは非常に大きい、この認識はきちっと持って対応していただかなければならぬ、そんな軽々しいものでないということは私も全く同感であります。

田島(一)委員 これで終わります。ありがとうございました。

池坊委員長 肥田美代子君。

肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。よろしくお願いします。

 学校教育法の改正案に関連いたしまして、質問いたします。

 御承知のように、医薬分業率はおよそ五〇%に達しております。明治七年の医制条文には、医師たる者はみずから薬をひさぐことを禁ず、医師は処方せんを病家に付与すると記されておりますけれども、これは、医師と薬剤師とが役割を分担して、それぞれの責任を分かち合おうというものでございました。明治初期、既にこの医薬分業が提起されたことに、私は驚きを感じております。

 それが時代の変遷の中でないがしろにされまして、およそ百三十年間、このことが氷漬けにされておりました。いかに長い道のりであったか、また、先人たちの努力がいかに困難に満ちたものであったか、私はつくづく思いをはせているところでございます。

 今、町のあちこちには調剤薬局が急増いたしております。薬剤師の需要不足が指摘されてもおります。しかし、需要だけでなくて、薬剤師の質の向上も大きな課題となっております。医薬品の日進月歩と医薬分業の進展は、薬剤師が専門職としてその力量を高めなければ、我が国の医療のレベルアップができないというところに来ております。

 医師と歯科医師の養成は学部六年制でございますけれども、やはり同じように薬学教育を六年制に延長するということは、これはもう医学と医療の変化、そして、国民のニーズに対応しようという立法府と行政府の意思を反映したものと私は受けとめております。

 そこで、これは大臣にお尋ねしたいんですが、ある学者がこんなことをおっしゃっていらっしゃいます。

 日本の薬学教育は、例えばパイロットの養成所で操縦の仕方を教えないで、航空機の構造や空気力学ばかりを教えているようなものだ。もちろん科学も工学の知識も必要だけれども、それだけをもって飛行の安全を確保できるなんてことは到底考えられない。そんな不思議なパイロットの養成所が、そういうものが日本の薬剤師教育の実態なんだ。相当厳しい話でございますけれども、こうおっしゃっていらっしゃいます。

 もちろん、そういう不十分な教育の中で、多くの薬剤師は、一生懸命現場でみずからの研さんを積んでまいりました。私は、そのことは高く評価するのでありますけれども、今回、薬学教育六年制を導入されたこの意義について、お尋ねしたいと思います。

河村国務大臣 肥田先生、その道の専門家でいらっしゃいますから、まさに薬学といいますか、そういうものの重要性、今日的な役割、これが大きく変化して、今の現状に合わなくなっているということ。特に、医薬分業が非常に進んできた。これはヨーロッパ等々ではもう古くから欧州諸国、進んでおった。これが十分日本で確立しなかったという点、こういう点がこれまで問題化されてきて、私もこのお話を伺ったときに、現在の医療技術の高度化、また今の医薬分業、医薬品の安全性の問題、最適な薬物療法、いかにあるべきか。それから、患者への適切な医薬指導等も十分であるかどうか。こういうさまざまな医療現場においての医療の担い手としての薬剤師の役割、これが非常に重要になってきたという認識を私も持っております。

 高度な専門性あるいは高い倫理観、あるいは医療人としての知識、教養、そういうものが薬剤師にこれから求められていくわけでありますから、こういう点で、今の薬学教育をどういうふうにしていくか見直す、六年制に向けてどういうふうにしていくかということを、中央教育審議会でも幅広く御審議いただいたところでございます。

 この中で、大学における薬学教育においては、薬学に関する基礎的な知識はもちろんでありますけれども、これまで以上に医薬品の効能、効果、副作用等、医薬品を人体に適正に使用するための知識、あるいは患者とのコミュニケーション能力、あるいは問題発見、課題解決型の能力、それから医療現場で通用する実践力を身につけることが重要だと。

 まさに今御指摘があったように、パイロットで、理論だけでなくて操縦術をここで学べということ、そのためにもさらに医療薬学系の科目の充実をさせると同時に、病院や薬局における実務実習を長期化しなければいかぬ、これは六カ月程度ということを言っておりますが、そうしたもので教育内容の充実を図っていこうということ。

 それから、さらに、先ほど医薬分業の欧米の進み方を申し上げましたが、諸外国における薬剤師養成のための薬学教育の実施状況、これは、大体もう五年あるいは六年という方向、こういうことを踏まえますと、薬剤師養成のための薬学教育については、現行の四年間では十分でないということがもう明らかだ、私はこう思っておるわけでございます。

 そういう意味で、修業年限を六年とすることが適当であるということで、御提言をもとにして今回の改正案ができたわけでございまして、これによって我が国の医療を担う高い資質を有する薬剤師が生まれていく、このように確信をいたしております。

肥田委員 大臣の意気込みはよくわかりました。ただ、今回の法改正までに相当長い年月がかかってしまいました。

 ちょっと申し上げてみたいと思いますが、昭和四十二年、もう三十七年前でありますけれども、薬学教育協議会、または薬剤師国家試験の審議会が、薬剤師が医療担当者としてその職務を遂行する上で相当の支障があるという認識から、薬学教育の改善について提案をされております。これが三十七年前です。しかし、この提案は、まさに氷詰めにされてしまいまして、その解凍作業が始まったのが平成六年、厚生省の薬剤師養成問題検討委員会が、薬学教育は六年制にする、そういうことを提唱したことから新たな歩みを始めました。

 平成八年には、薬学教育の改善に関する調査研究協力者会議や、薬剤師養成問題懇談会もスタートいたしました。平成十一年には、関係団体と省庁で構成された六者懇談会も立ち上がり、平成十四年には、日本薬学会が薬学教育モデルのコアカリキュラムを公表するところまでこぎつけたわけでございます。

 そして、平成十四年、薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議が発足し、平成十六年二月に、「薬剤師養成のための薬学教育は六年間の学部教育を基本とする」と盛り込んだ最終報告がまとめられ、薬学教育制度は歴史的な転換を遂げることになりました。

 その間、自民党にも、そして民主党の中にも、それぞれ検討チーム、または研究チームが設置されたことも記憶に新しいところでございます。

 しかし、当時の厚生省が提唱してからでも十年、薬学教育協議会の提唱から数えますと、驚くべきことに三十七年という年月がかかっておりますが、なぜこれほど長い時間が必要だったと思われますか。この難産の理由を教えてください。

河村国務大臣 今、肥田委員から経緯についてお話がございました。確かに、早くからこの問題は指摘されておった課題だと私も承知しております。

 平成五年、六年、そのあたりから具体的な話し合いが始まったわけでございます。結果、今の医療の現場、病院等での実務実習の充実の問題、あるいは実習施設の確保あるいは指導者体制、この構築がなかなかできないという議論、さらに、修業年限が延長される場合に、薬学部入学希望者への影響がどういうふうになるだろうかということが、十分な検討が必要だという意見、こういうものがやはりこの協議を少しずつ引っ張ってきたのではないか、こう私は思っております。現行制度の枠の中で薬学教育を改善する方が今の時点では現実的だという意見の方がまさったといいますか、強かった段階が続いたと思いますね。

 今の六者懇、この六者懇ができたことによって急速に具体化してきたわけでございますが、文部科学省、厚生労働省、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、それから私立薬科大学協会、国公立大学薬学部長会議のこの懇談会、これで平成八年から本格的な協議が行われてきたということ、そういう点で、先ほど申し上げたような理由がこの協議を長引かせたということがありますが、もう現実に、ここに至りまして、薬剤師養成に社会的ニーズが非常に高まってきたということからすれば、これはもう今、そうゆっくりしている段階ではない、世界的な潮流にもある。

 私も副大臣当時から、この問題について、もうこれは急がなければいかぬという思いになりまして、これは厚生省側の意見もありますが、やはり文部省側が、養成する大学側の意見というものも早急に取りまとめなければいかぬということであったわけでございます。そして合意ができたということでございまして、養成側の文部科学省側、それから、国家試験がございますから、この資格について厚生労働省側、これが具体的になって今日になったということでございまして、確かに遅きに失したと言われればそうかもしれませんが、一つの大きな時代の流れがこれをつくり上げたと思っております。

 若干、文部省側の修業年限の問題等々、それから大学側の意向等、これも見きわめなければいけないということもあって時間がかかったわけでございますが、ここに至りましたものでありますから、この法案を成立させていただいて、立派な薬学教育というものをこの際きちっと打ち立てていく、これまでのおくれを取り戻すような意気込みでやっていただきたい、このように思っています。

肥田委員 この議論の長さ、そして経過を十数年来見てまいりましたけれども、やはり同床異夢だったのかなと。もう少し、それぞれがそれぞれの立場をはかりながらまとめることに努力なさればよかったのになと、今でも思いますけれども、これからの教訓にしたいと思います。

 それでは、次に参りますが、私の体験からも言えるんですけれども、薬学教育では、生物学とか有機化学、それから無機化学、薬剤学とか、そういうものは、要するに薬の物質的な性質をいろいろ教えてくれますけれども、病気とか、それから患者の生死について実地に教わることがございませんでした。要するに、薬の専門家は育っても、医療の担い手、そういうものを育てる薬剤師の教育になっていなかったわけでございます。そこで、先ほど大臣にもお答えいただきましたけれども、この六年制の導入で教育が具体的にどう変わるか、少しお答えいただきたいと思います。

原田副大臣 薬学教育が今回延長されるということについては、大臣からも、その歴史も踏まえて御説明があったところであります。

 直接には、平成八年の薬剤師法改正によって、薬剤師の業務に処方せん調剤時における患者等に対する情報提供の義務が追加されるとか、平成九年の医療法改正においてインフォームド・コンセントに関する努力義務が課せられる。平成十四年の薬事法改正において、薬剤師に対し、医薬品との関連が疑われる副作用などで生命に重篤な影響があると思われる場合には、厚生労働大臣に報告を義務づけられる、さらには、医薬分業率が、平成八年度の二〇%から十四年度には五〇%になった。既に大臣からそういうことも含めて御説明いただきました。

 こういうことを含めまして、薬剤師がこれらの役割を適切に果たしていくためには、これまで以上に医薬品の効能、効果、副作用等、医薬品を人体に適正に使用するための知識や、患者とのコミュニケーション能力、問題発見、問題解決型の能力などを育成することが必要である。

 そういう意味では、具体的には、今先生も御指摘いただきましたけれども、医療薬学系の科目の充実と長期の実務実習の実施を中心に教育内容の実施を図る、こういうふうに考えておるところであります。

肥田委員 今御答弁いただきましたが、まさに質的な転換が期待されているわけでございます。

 今回の学校教育法の改正で、私は大変腹立たしい思いをしているというふうに申し上げたいんですが、薬学教育に二つの教育課程を認めてしまいました。中央教育審議会では、修業年限を四年から六年に延長することが適当であるとしているのにもかかわらず、薬学に関する研究とか製薬企業における研究開発、医療情報提供など、多様な分野に進む人材育成を理由に、四年間の学部それから学科の存置も認める、そう結論づけていらっしゃいます。

 これほどもう長い長い時間をかけて、そして、先ほど大臣もおっしゃったように、G8などには随分おくれをとった薬学教育でございますけれども、まさにG8の中で薬学教育で二つのコースを認めている国なんてないんです。

 そういう複雑な二つのコースをつくらなければならなかったこと、これにはいろいろな事情があろうかと思いますけれども、ここで私がお尋ねしたいのは、この四年制をつくった理由ですね。それが、多様な分野に進む人材にとって四年制が必要だというふうに言われているわけでございます、研究者等に。しかし、考えてみたら、十分な臨床教育を受けた六年制を出た人が研究者としてふさわしくないなんて言えないと私は思うんですよね。ですから、何かこれは、どういうふうに私は理解したらいいのかわからないんですが、この辺、ちょっと整理してみてください。

河村国務大臣 この点は、議論、確かにあったところですよね。私も、全部六年制ということでスタートできないか、答申等も踏まえて。しかし、関係者の皆さん方のいろいろな意見を、広範な意見を聞かなければいけません、新しい制度でございますから。

 そうした中で、六年制の薬剤師についてはまず六年制の学部を基本とする、このことについては全く異論がなかったわけでございます。

 ただ、薬学部卒業生の進路状況の中で、卒業後、いわゆる薬剤師として病院、薬局、診療所、この方々が約四割、それから大学院に進学する方が三割、残る方々が製薬企業あるいは医薬品販売業ということになっていく。そうすると、薬学教育というのが単なる薬剤師の養成だけじゃなくて多様な人材を養成しているということ、まさに歯科と医科のこれはやはり違いがそこにある、こう考えざるを得ない面があるわけでございます。

 そういうことで、今回導入に当たっては、まず四年制も認めていこうということになったわけでございまして、この四年制学部から今度大学院へ進んで製薬企業や大学で研究するそういう方々、それから企業の医薬情報担当、営業担当、医薬品の販売、そういう方々、あるいは化学、食品産業の技術者、商品開発、広報担当者、こういう多様な人材が生まれてくるということで、このことを期待して、今回、四年制も必要である、こういう考え方に立ったわけでございます。

 ただ、これは今後、こういう形で導入していった段階で、医薬全体を考えたときにどういう方向にいくのか。私は、流れとしてはやはり六年制の方向へいくのではないか、こう思っておりますが、当面、今、新規導入する場合に、こういう人材養成も必要ではないかという御意見も踏まえて、今回こういう形になっておるというものであります。

肥田委員 多分大臣もわかりながら、ちょっと苦しいお話をしていただいていると思います。

 それで、恐らく四年制を存置することを要求した方々の意向がここに盛り込まれてしまったという結果でございましょうけれども、例えば薬学研究、薬をつくる人たち、そういう人たちだって、医療の現場を知らないではろくな薬をつくれないんですよね。どのように薬がその人の体に効いていくかということをきちっと体験しないで、ベンゼン核だけをさわっていたところで、いい薬がつくれるわけがない。ですから、私は、そういうことを強く頑固に要求された方々の発想が逆転しているように思っております。

 それで、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、やはりそれぞれ文科省、厚労省、それから大学側、薬剤師会もありましょう、それぞれの主張の調整の結果だと思います。しかし、薬学を志す高校生にとってもこれは大変わかりづらい制度なんですね。説明もなかなかに難しいということを申し上げておきたいと思います。このことについては答弁、結構です。

 それから、医学とか歯学教育が昭和二十九年以降、修業年限が六年制になっております。それから獣医学が昭和五十八年以降、修業年限は六年になっております。この三つの学部にはいずれも四年制コースがございません。これはなぜでしょう。医学研究とかそれから行政とか、広い分野に行かれる医学生もそれから歯学生も獣医学生もいると思うんですが、多様な分野に進む人材の養成は必要ないという理解で六年だけになったんでしょうか。

原田副大臣 今度の六年制を導入するに当たりまして、御指摘のように医師、歯科医師につきましては戦後すぐ、また昭和二十九年に法律上、六年制がきちっと制定されたわけでありますし、また、獣医学につきましても昭和五十九年に法律上の整備がされたところであります。

 この三分野につきましては、事実上、そこで学んだ学生が、医師においては九割、歯科医師においては八割、また獣医師においても八七%、こういうふうに、ほとんどすべてがその専門業種に当たる、こういうことになっておりますが、先ほど大臣からも説明ありましたけれども、薬学につきましては薬剤師以外の分野に進む方が約半分おるというような観点から、併設といいますか、六年のコースとそして四年のコースというのができたというふうに私どもは理解しておるところであります。

肥田委員 薬学部に行って薬剤師の免許を取らない人というのはどのぐらいの割合ですか。

遠藤政府参考人 医師国家試験に合格している人が大体八割でございますから、二割が免許を取っていない、大ざっぱに言って、そういう感じだと思います。(肥田委員「薬剤師免許は」と呼ぶ)薬剤師の国家試験に合格している人が八割ということでございますので、合格しないと免許が取れないということから考えますと、二割ぐらいだろう、こう思っております。

肥田委員 先ほど大臣からも副大臣からもございましたけれども、研究それから大学に行っている人は、薬大を卒業した人の五割あるんですか、本当に。

遠藤政府参考人 大学院に進学しているのが三割、学部から大学院への進学が三割ということでございます。

 大学院に進学して修士課程に行った人の中でも、薬局、病院で薬剤師になっているという方が、その中で、修士課程卒業者の三割ぐらいいるということがございます。

 したがいまして、三割大学院に行きますけれども、いわゆる研究者なり技術者としてやっている方が、丸々三割ということじゃないとは思います。

肥田委員 もうちょっと正確な数が欲しいんですけれども、研究者とか、それからその他に行っている人は、本当に何割ですか。

遠藤政府参考人 それぞれの学部の課程、修士の課程、博士の課程を出た人がどこへ行ったかということで統計をとっておりますので、そういう観点でいきますと、修士を出られた方の二割が博士課程に進学をしております。それから、博士課程を出た方は、基本的には技術者、研究者と思いますけれども、この中でストレートに教育職についている方が一四%。それから、製薬会社で技術者、開発者ということで、研究者として製薬会社に行かれている方が三割。それから、恐らく、そのまま研究を続けて、オーバードクターといいますか、ポスドク的な形で研究を続けている方、この統計上、その他が、半分ぐらいがそうだとなっていますけれども、大体そういう方がほとんどじゃないか、こう思っております。

肥田委員 私は、多分、四年制の薬学部を出て、それで、その他の方に行ったのは一五%から二〇%ぐらいだというふうに思っているんですが、先ほどの五割というのは、少し数が違うように思っております。

 後で確かめたいと思いますけれども、薬学四年制存置の説明の中に、薬学研究が世界的に高い評価を得ている、そういうことが挙げられております。私、大変結構なことだと思っております。

 これを逆説的に申し上げるならば、四年制教育がそれほど高い評価を受けているならば、六年制のみで行われている我が国の医学とか歯学研究は、世界的に見て高い評価を受けていないというふうに断じていいんですか。

原田副大臣 今先生が御指摘なのは、十六年二月十八日の中央教育審議会の答申の中身だろうと思います。

 これは、確かに読み方によっては、いや、そう書いております、「特に薬学研究においては世界的にも高い評価を得ている。」と。ですから、これを裏返せば、日本の歯科、医科はそうではないのかというふうに、今先生、読む可能性があるかどうか言われたわけですけれども、私は、これはやはり日本の医科、歯科はしっかりと国際的な評価をいただいている、こういうように思っております。

 あわせて、先ほどから言われますように、医科、歯科と対比して、薬学は、少なくとも四年制の学科をしっかりやって、かつ、そこの分野に進学ないし研究に進む方が約半分ぐらいおる、それぐらいきちっとした教育を既にして、与えておる、こういうことだろうと思います。なるがゆえに、四年制の学科をそのままなくして、全部六年制を導入するにはまだ議論がある、こういうことではないかと思っております。

肥田委員 全く私は今のお答えには同意できませんけれども、このことばかりやっていてもしようがありませんので、次に参りたいと思います。

 中教審答申には、多様な薬学生の進路を考慮し、制度に柔軟性を持たせるために、学生が六年制学部・学科と四年制学部・学科の双方の課程の間で進路変更することができるよう、適切な方策を講じると書いておりますけれども、具体的にはどんな方策をお考えでいらっしゃいますか。

遠藤政府参考人 六年制学部あるいは四年制学部に入った場合に、やはり四年制に入ったけれども薬剤師になりたい、あるいは、六年制に行ったけれども、六年じゃなくて四年で、また違う進路に行きたいという方が当然出てくるだろう、こう思っております。

 したがいまして、例えば四年制の学部に入学したけれども、ぜひやはり薬剤師を志望したいというような場合につきましては、六年制の学部・学科に転学部あるいは転学科をするということ、さらには、四年制学部を卒業した後に六年制の学部・学科に編入学する、これも制度的にそういうことは可能なわけでございます。そういうことになろうか、こう思います。また、六年制の学部に入学したけれども、いや、四年で出たい、卒業証書をもらって学士になりたいというような場合には、その間、四年制の方に転学部、転学科する、こういうことだろうと思います。

 制度上、そういうことは自由にできるということになっておりますけれども、やはりそれぞれの大学でそういう進路変更者の受け入れをきちんとやってほしい、こう考えておりますので、そういう進路変更が円滑に行われるよう、各大学に対し働きかけを行ってまいりたい、こう思っております。

肥田委員 六年制の学生が四年制に移行する場合に、ちょっと私も心配事が一つあるんですけれども、国家試験の合格率を上げたいというのが薬科大学の思いでございますので、とてもじゃないけれども国家試験に通らないよというような学生になると、その学生に、もう六年制から四年制に移りなさいよ、そうしたらそこで卒業できるからというようなことを勧めたりはしないかと心配しておりますので、そこのところはまた、ぜひチェックをしていただきたいと思います。

 それから、答申は、六年制学部の卒業の要件に、六年以上在学し、百八十六単位以上を取得しなければ、早期卒業は認めないというふうに述べております。その理由として、専門的な人材を養成するという教育上の必要性があるとし、他方では、六年制学部・学科に四年以上在学し、優秀な成績で修得したと認める者は、飛び入学の制度を認めることが適当であるとしております。

 新しい制度を柔軟に運用しようとするものだとは思いますけれども、それでは、存置される四年制学部も、早期卒業は認めない、それから飛び入学の制度は認めるということになりますか。

遠藤政府参考人 現在の四年制学部につきましては、これは、卒業して薬剤師国家試験を受けるということもございまして、国家資格の取得に直結した教育が行われておるということで、早期卒業ということは認められていないということでございます。

 ただ、今度新しく、国家試験に直結するのは六年制の学部になりますから、直結しない四年制の学部についての取り扱いはどうなるかということにつきましては、これはこれから大学設置基準等の改正が必要でございますので、中教審で御審議をいただくことではございますけれども、国家資格取得に直結した課程ではなくなるということから、一般の学部と同様の取り扱いになるだろう、こういうふうに考えておるところでございます。

肥田委員 ただいまの進路問題と深くかかわる経過措置でございますけれども、薬剤師法の改正案では、学校教育法案が施行される予定の平成十八年度から平成二十九年度まで十二年間に、薬学の課程を修めて卒業した者あるいは薬学の修士、博士課程を修了した者は、薬剤師国家試験を受けることができると定めておりますが、進路の選択を決める高校二年生、その子たちが、事実上、薬学卒業生を、五回その背中を見ることになります。

 こんなに長い経過措置が本当に必要なのかなと私は思うんですけれども、これから状況の推移を見て、この経過期間を短縮するという柔軟な対応はおとりにならないのでしょうか。

遠藤政府参考人 御指摘の薬剤師の試験の受験資格、これは現在、厚生労働省の方から薬剤師法の改正ということで国会の方に今提出されて、その内容として、御指摘のように平成十八年度の法施行後十二年間について経過措置が設けられた、こういうことでございます。

 これを短くというお話でございますけれども、今後の推移を見ながら、厚生労働省の方でこれは御検討なさる問題だろう、こう考えております。

肥田委員 これはちょっと大臣に念押しさせていただきたいんですが、この十二年間の間に、またひょっとしていろいろな方が物を言い出して、四年制がまたまたずっと未来永劫続くというようなことは決してありませんね。経過措置として理解していいですね。

河村国務大臣 私も、今回の法案を出すに当たって、そういう認識でおります。

肥田委員 念のために伺っておきますが、学部・学科の名称なんですが、四年制学部の方と、それから六年制学部の方は、薬学と薬科学に分かれますか。

遠藤政府参考人 この二月に出されました中教審答申におきましては、学部・学科の名称ということではなくて学位ですね、学士(何がし、何々)というところの、その学位の名称につきまして、六年制の学部・学科を卒業した者に対して授与する学位の名称は、学士(薬学)と。それから、四年制の学部・学科を卒業した人に対して授与する学位、これと区別するために異なる適切な名称、例えば学士(薬科学)、科学という方が前面に出てくるということで、学士(薬科学)などとする必要がある、こういう提言をされてございます。

 したがいまして、こういった各大学において学部・学科の名称を検討する際には、学位についても中教審の答申の考え方も踏まえる必要がある、そういうことで学部・学科の名称も決まっていくだろう、こう思っております。

 なお、学位の名称につきましても、今、例えばという話がありましたけれども、今後、やはり日本薬学会、あるいは大学の薬学関係者間の合意のもとに決められていくということが望ましいと考えておりまして、私ども文部科学省といたしましては、関係者間で速やかに合意が得られるよう、何らかの形で薬学関係者間の意見を聞き、検討する場を持ちたい、こう考えておる次第でございます。

肥田委員 次に、この教育改革の根幹でございます実務実習についてお尋ねしたいと思います。

 現在、日本の実務実習は、期間も短くて、見学レベルかなというところでございますけれども、アメリカの場合は、最終学年で十一カ月の臨床実習が用意されております。これは、例えば小児科専門、小児科のところに行ったり、循環器の専門のところに行ったりしながら、教員の指導を受けるわけでございます。教員が一人に二人の学生がついている。本当に個人的な臨床実習が行われているわけでございますが、アメリカの実務実習を見ますと、医療の担い手としての薬剤師を育てるという意気込みが感じられるわけですね。

 文部科学省は、六年制学部の実現に当たって、どのような実務実習をしようと意気込んでいらっしゃるか、その辺をお聞きしたいと思います。

原田副大臣 今回の六年制の導入の基本は、先ほども申し上げましたけれども、医療薬学系の科目の充実と長期の実務実習の実施、これを中心にこの二年延長の中身にしようということでございます。

 今先生から御指摘いただきましたように、諸外国のいろいろな動き等も踏まえまして、昨年の十二月に、実務実習モデル・コアカリキュラムというものを策定したところでございます。調査研究協力者会議においてこれはできました。この策定に当たりましては、今後、実務実習において習得すべき内容は何か、それを十分に学生に履修させるために必要となる各種資源や時間数は何かというような観点から精査をしたところであります。

 結論的には、実務実習の内容は、学内における実務実習、事前学習、さらに薬局実習、病院実習、この三つで構成をすることといたしまして、その期間はおおむね二十四週間程度、すなわち六カ月程度を要するというような結論に達したところでございます。

肥田委員 その実務実習モデル・コアカリキュラムが消化できるように、六カ月で足りるかどうかというのは問題なんですが、ただ、文科省が大学に丸投げしますと、この実務実習はひょっとしたら、またそれぞれ短縮されてしまうのではないかという危惧を持ちますが、この六カ月の内訳はどういうふうな実習内容になりますか。

遠藤政府参考人 ただいま副大臣から申し上げましたように、事前の学習、これが一カ月、それから薬局と病院実習、それぞれ重点の置き方によって二カ月、三カ月で実習するということで提言をいただいておるところでございます。

肥田委員 このところで私お願いしたいのは、病院に行って薬剤師の卵がただ見学するのではなくて、本当に医療チームと一緒になって動けるようなシステムをぜひつくっていただきたいと思うんですよ。それはやはり文部科学省の意思として、そういうことをきちっと伝えてほしいと思うんですけれども、いかがですか。

遠藤政府参考人 今時間の関係で、恐らく先生御存じだと思うので、中身を省略して期間だけ言いましたけれども、薬局実務実習、あるいは病院実務実習、それぞれここまでやるんだというのがカリキュラムに書いてございまして、そのやり方についても方略という形で、ただ単に説明、見学だけじゃなくて、きちんとそのチームの中に入って実習するんだ、それは何時間ぐらいやった方がいいよということまで全部書いてございますので、ぜひ各大学、それをやっていただきたい、こう私ども思っております。

肥田委員 期待しております。

 ただ、薬科大学とか薬学部で病院を持っていない、要するに実習のための施設を持っていないところがたくさんございます。そういう実習の実施場所として、大学とは関係ないところで、地域薬局とか、それから病院を利用することになります。現実の問題としてやむを得ないことではありますけれども、臨床を体験するような、今申し上げた参加型の実習にするためには、指導員の資質も本当に高めなければいけないし、医療機関が協力をしてくださることが大事なんです。ですから、文科省としては、所管の大学病院に対して協力するように指導なさいますか。

遠藤政府参考人 病院実習の場として、やはり大学病院というのは非常に大きな場だ、こう考えておりますし、もちろん、その薬学部と同じ大学の中で医学部があって病院があるというところは当然円滑にいくんだろうと思いますけれども、そうじゃないような場合についても、そこはやはりお互い協力しながらそういう場を設けるということで私どもの方も指導していきたい、こう思っております。

肥田委員 それから、医療機関が大変なんですね。この受け入れを文科省の御指導どおりやっていくと、またこれも大変な話になるわけでございます。答えづらいでしょうけれども、経済的な支援についてはお考えですね。

遠藤政府参考人 現在、実務実習、大体二週間から一カ月、最近やっと一カ月になりましたけれども、実務実習に対する経費でございますけれども、今現実、調べてみますといろいろでございまして、実習先に大学がまとめて払う場合もございますし、学生が自分で払うという場合もございます。あるいは両者まざったような形もございますし、あるいは自分の大学ですとただでやってもらっている、同じ大学の病院の場合は。いろいろな形があるようでございます。

 したがいまして、今後、実務実習が円滑に行われるというためには、やはり受け入れ施設に対して、私どもの方から協力をお願いするとともに、今後、経費負担のあり方について、基本的にはやはり大学でということになると思いますけれども、そういう研究も行ってまいりたい、こう思っております。

肥田委員 薬学生の実務実習が適正に行われるためには、実習指導者の養成と認定、それから実習施設の認定も必要になってまいりますが、職能団体とか関係機関による協議もこれから本当に必要になってくると認識しておりますけれども、文科省としては、これにどういうふうにかかわっていらっしゃいますか。

遠藤政府参考人 御指摘のように、指導者それから施設、これはもうこれがないとできませんので、大変重要な問題で、この確保等が非常に成否を分けるというふうに私どもも思っております。

 今の現状で申しますと、大学関係者あるいは団体におきまして、実習指導者の養成、実習施設の質の確保のため、自主的な取り組みが行われておるわけでございまして、実習指導者の養成につきましては、日本薬学会におきまして、平成十三年の七月以降、大学教員と病院、薬局薬剤師を対象に、教育指導者のためのワークショップ、これも現在まで九回もやっております。

 また、実習施設の質の確保という点で申しますと、日本薬剤師会におきまして、実習の受け入れ薬局あるいは実習指導薬剤師につきまして、一定の認定要件、例えば実習指導薬剤師の場合でいいますと、薬局での実務経験が三年以上で実務実習テキストに関する研修を受けていることというような基準を定めているということで今行われている、こう承知をしてございます。

 この実務実習は、やはり大学教育の一環として、大学が自分の学生をどう教育するか、こういう一環で行われるということでございますので、どういう施設でどういう実習を行うかということは、もちろんコアカリキュラム等々もございますけれども、やはり各大学の判断、こう思っておるわけでございます。

 私ども文部科学省といたしましては、今後、厚生労働省とも連携をしながら、大学、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、それぞれの関係者と協議の場を設けまして、関係者が実務実習の円滑な導入に向けて受け入れ体制づくりや指導体制づくりにおいて取り組むべき事項につきまして、連携して検討を図っていきたい、こう思っております。

肥田委員 大臣にお尋ねをしておきます。

 この実務実習を実施していくについての必要な予算措置と万全の支援体制をぜひとっていただきたいと思いますが、期待していいですね。

河村国務大臣 実務実習をやる場合の支援措置、これはやはり大切だ、こう思っております。調査研究協力者会議においても、モデル・コアカリキュラムを策定されておりまして、制度改正後、各大学でこれを踏まえて実習するということになりますと、実習も非常に、質的にも量的にも格段に充実させる必要がありますので、この指導体制づくりというのが必要になってくるわけでございます。

 そこで、実際の実習指導を行う大学教員も、実習の事前指導というのがあります。それから、施設での実習責任者との事前事後の意見交換、あるいは実習期間中にも実習施設を訪問して指導を行う、こういうことも必要になってくるわけでして、日本薬学会におきましても、教育指導者のワークショップというものを開催しておりまして、大学教員等を対象に実務学習内容と指導法についての研修が実施されておるところでございます。

 文部科学省といたしましても、今後、必要に応じて、日本薬学会と連携をした研修会の開催など取り組みを進めてまいりたい、こう思っておりますし、また、実習を指導できる教員の増員についても、実務実習の拡充に伴って各大学において今後検討していただけるものだ、このように思っておるところであります。

肥田委員 ぜひ大学任せにしないで、文科省もきちっとした対応をしていただきたいと思っております。

 質の高い薬剤師を養成するためには、今大臣もおっしゃいましたけれども、医療現場や薬物療法に精通した質の高い指導教官が必要となります。今までは、ややもすると、薬学部で臨床経験のない教授なんかが指導教官でいらっしゃったことが、ある意味では、この薬学教育をこうやって時代に合わないものにしてしまった一つの要因かなと思っております。

 それで、この指導教員の増員も必要ですし、それからもう一つ、施設の問題なんですが、六年制の導入で一学年の学生数がふえますよね。人員が一・五倍になるはずでございますが、校舎の増設とか教職員の増員が必要になった場合には、文科省の方ではどう対応してくださいますか。

遠藤政府参考人 御指摘のように、四年が六年になるわけですから、学生の数、総定員、やはり一・五倍になるということでございますので、これからこの法律が通りましたら、その辺のいわば設置基準的なものを固めていくことになろうかと思いますが、基本的にはそれぞれの大学で対応していただくということになろうかと思います。

 ただ、例えば、私学でそれに伴って教員が充実をするということになりますと、私ども経常費助成をしておりますけれども、その算定の基礎の中にその充実分も入ってくるのだろう、こういうふうに思っております。

肥田委員 ということは、運営交付金がふえる可能性があるということでいいんですか。

遠藤政府参考人 私、私学の場合を申しまして、国立大学法人、今度、この四月から運営交付金ということでございます。国立大学の教員数につきまして、国立大学がこれから六年制になるか四年のままでいくか、あるいは併用するかという、これから恐らく検討が行われると思いますけれども、仮に基準的に教員が足りないということになりますと、これは増員しなくてはならないということになってくると思います。そういう際には、ちょっと予算の仕組みがこれまでと違いますので、一概には言えませんけれども、それなりの対応が必要になってくるだろうと思います。

肥田委員 修業年限が延長されるに伴いまして、どういうふうな内容で教育が本当に実効的に行われているかという検証が大変必要になると思いますが、その検証と適正な評価を行う第三者評価の導入を提言されております。

 この評価システム、このことにつきまして、きのう、薬学教育協議会の井村先生が参考人として来てくださいましたので、こういう第三者評価機関については、先生の組織なんかはとても適当じゃないかというふうに申し上げたら、大変積極的に、私もそう思っているんですよ、そのために法人化もいたしましたという積極的なお答えをいただいたんですが、そういうこともお考えになる範疇にありますか。

遠藤政府参考人 中教審の答申の中で、薬学教育における第三者評価を行うことによって、社会からの要請にこたえる薬剤師養成のための質の高い教育が行われていることを確認していく必要がある。そして、その実施に当たっては、薬学教育の関係者や職能団体、企業の関係者のみならず、薬学関係以外の方々の参画も得ながら、実施に向けた体制整備が必要であって、その組織、評価の基準、方法等について十分検討を進めるべきである、こういう提言がなされたということでございます。

 私どもとしましては、この答申を踏まえまして、今後、薬学分野における第三者評価機関の形成、そして公正かつ的確なる評価の実施のあり方につきまして、これも文部科学省だけで決める、こういうことではなくて、薬学関係者と協議をしながら、どれが一番いいのかということでやっていきたい、こう思っております。

肥田委員 現行の四年制学部の教育を受けて薬剤師になった人がこれまでうんといるわけでございますけれども、その移行に伴う必要な支援がこれまた考えられなければいけないんですが、各大学において継続教育または生涯学習の機会を設けることを望み、学術団体や職能団体の取り組みについても期待するというふうに答申ではなっております。

 実習に来て薬学生を教えるのは四年制を出た薬剤師なんです。ですから、現職の薬剤師の卒後教育というのが大変必要になってきますけれども、この継続教育、それから、生涯学習に取り組むための支援もお考えでいらっしゃいますか。

原田副大臣 御指摘のように、四年制卒業の現在の薬剤師に対する卒後研修というのは、これも非常に大切でございます。医薬品、医療技術に携わる人々が、日々進化する技術にきちっとついていく、そのためには不断の学習を続ける努力が必要でございます。

 薬剤師につきましては既に薬学部、薬科大学の役割の一つで、卒後の研修を行っておるわけでございまして、現在、七割以上の大学において卒業生や現職の薬剤師を対象とした卒後研修の機会が設けられております。

 また、日本薬剤師会におきましても、それぞれの都道府県の薬剤師会を指導しながら、生涯学習の機会という形で提供されている、こういうふうに承知しておるところであります。

 文科省といたしましても、当然のことながら、厚生労働省また日本薬剤師会等の関係団体と協力して、その学習機会の提供等を働きかけてまいりたい、こういうように思っております。

肥田委員 昨日の井村参考人の御意見の中に、教育改革の根幹である実務実習について、私は二つの懸念を持っていますとおっしゃったんですね。一つの懸念は、薬学部の増設ラッシュです。既存の大学の経営権を守るということではなくて、教育改革の障害となるとおっしゃるんですね。しかし、法的には書類をそろえれば認定、許可しなければならない。しかし、せめてこの改革が進行している間、そしてこれがきちんとある姿になるまでは、暫定的に増設ラッシュを抑えていただけないだろうかということでございましたが、大臣はどう考えられますか。

河村国務大臣 確かに、御指摘のように、現在、医学部、歯学部、獣医学部の学部の新設は認めていない、抑制しておりますが、薬学部の新設については、今日許可、認定をいたしておるわけでございます。

 これまでも、自由な競争環境の整備を図るという総合規制改革会議の方の提言もございまして、平成十五年四月から、これまでの原則抑制、この方針を変えたわけでございます。その結果、医師、歯科医師等の五分野を除くものについて設置認可審査ができるということになっています。特に、薬学部の新設については、申請者の判断を尊重するということになっておりますので、申請があった場合には、これを大学設置・学校法人審議会に諮問をして、大学設置基準等の法令に基づく専門的審査が行われまして、基準等で適合とする、合致されたとき、その答申を踏まえて認可をする、こうなっておるわけでございます。

 薬剤師の需給に関して、平成十四年九月の、厚生労働省で薬剤師問題検討会というのがございます。これは医薬食品局長が招集する検討会でございますが、平成十四年六月から平成十五年十月まで、この中で、早ければ平成十八年度以降に薬剤師の供給過剰問題が発生するとの報告がございます。これはあるものの、現時点で、厚生労働省側においては、薬剤師の需給問題について、その対応策がまだ示されておらない状況でございます。

 そういう観点から、現在の医師、歯科医師、獣医師等の養成については、所管官庁の方針がございますから、文部科学省としては新増設の抑制をやっておりますが、薬剤師が供給過多になる、この対応はまだ、厚生労働行政の中で幅広い観点から検討される課題である、こうなっておりまして、今の現状では、対応策の一つとしては、薬学部の新増設について抑制をするということは、現行の設置認可の取り扱いでやっておる限りにおいては、そういうことは現時点では取り得ない状況にある、こういうことであります。

肥田委員 では、最後に一つだけ質問したいんですが、医学部、歯学部、獣医学部に新設を認めず、薬学部だけに新設を認める理由がありますか。

河村国務大臣 これは、先ほど一部答弁申し上げたと思います。薬学部の設置において、申請者の判断が尊重される、申請があった場合に審議会に諮問をされてと、こういうことになっていることを今申し上げました。

 これは、先ほど申し上げました医師、歯科医師、獣医師あるいは船舶、教員養成もそうでありますが、所管省庁の定員抑制の方針に基づいて文部科学省でも検討をやった、当時文部省でありますが。そして、新増設はしない、こうなりました。

 今後、薬学部については、大学設置・学校法人審議会による審査の中で、現在でも実務実習の受け入れ先が十分に確保されている、こういう観点から、教育課程等も行われているわけでございますので、これは所管省庁の意見も踏まえながら今後の検討をしていかなければならぬわけでありますから、今その方針が出ていないということになりますと、薬学部が抑制状況に今現時点ではならないということになるわけであります。

肥田委員 終わります。ありがとうございます。

池坊委員長 加藤尚彦君。

加藤(尚)委員 民主党の加藤尚彦でございます。

 学校教育法一部改正の中で、栄養教諭に関する質問をするんですけれども、同時に、小泉総理及び河村大臣の所信の中で、食育というテーマが強く出されていました。それに関連しての質問をしたいというふうに思っています。

 まず、栄養教諭に関しての質問ですけれども、これは長い歴史で、私も、一九七八年から九一年、横浜の市会議員当時、栄養士さんたちとのおつき合いが大変深かったんです。その方々が、横浜ですから、横浜とか神奈川県の中学校給食について熱心に運動を起こしながら、同時に、将来、栄養教諭ということで一人一校という物すごいテーマの中で運動をされたのに耳を傾けながら、学校給食の重要性について認識を深めながら、注目をしながら国会議員になろうとした経緯があるんです。

 ところが、随分長く落っこっちゃったものだから、このたびの栄養教諭の法案、しかも河村大臣時代ということですから、なおさら意味深いというふうに思っている一人なんです。

 実は、日本の栄養協議会の全国支部があって、そのシンボル的な人とか中心になっている人とか、あるいは神奈川県とか横浜で中心になっている人たちをたくさん知っているんです。古い友人ですから。その中で、河村大臣が政務次官とか副大臣とか、このたび大臣でこの法案を出されたんですけれども、歓迎ムードで、これでいけるぞ、やっとここまで来たという相当な声があったんです。

 とはいえ、先ほど同僚議員が、自民党の一部議員のホームページじゃありませんけれども、手柄顔をしちゃいけないんです、これは。一部の政党が、一部の国会議員が。これは国民を挙げての願いだったんですから。

 そういうことで、その意味で、私も民主党の国会議員ですけれども、このことに長い間関心を持ちながら、同時に、待ちに待ったということです。

 過日も、参考人として来られた香川学長、先生ですけれども、その方もここにきのう座って、もう喜びいっぱいで、よくぞ栄養教諭の問題について法案を提案してくれた、何としてでも実現してもらって、もちろん足らざることはたくさんある、でもスタートしよう、スタートしてもらいたいという強い希望があったんです。

 河村大臣も、この協議会について、食育の問題について長い歴史を持っていらっしゃるわけですから、この際改めて、この法案を出した、しかし、所信の中にも、知育、徳育、体育、そして食育を重点としてという、若干そこがトーンダウンしているところがあるんですよ。だから、それは法案の中にいろいろな問題があるから、よくよく承知しているからだというふうに認識しながらでありますけれども、ここに至っての所感をちょっと聞かせてください。

    〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕

河村国務大臣 いみじくも、加藤先生もこの問題の重要性に早くからお気づきになっておられたし、また、学校栄養協議会の皆さんともいろいろな交流を持っておられたから、歴史的にも御案内のとおりでございます。

 食育の重要性というのはかねてから言われておったわけでありますが、私は、個人的には、子供四人のうち二人がアトピー性皮膚炎になってみて、やはり口から入れるものが体に及ぼす影響は非常に大きい。これをやはり教育の中できちっと位置づけて、早く子供のときからそういう食習慣をつけていくことが、大人になってからのまさに生活習慣病を防ぐことにもつながるであろう、それから、やはり食べることによる、まさに一家団らんあるいは家庭教育の問題、そういう問題もここに生まれてくる、そういう非常に広範なその効果が期待できる。

 しかも、食育基本法等々は、教育だけじゃなくて、むしろ地産地消問題とか農業、一次産業からもうんと強い声があって、安心、安全な日本の食料を位置づけようというねらいもあると聞いておりますが、こういう広範なねらいがここにある、こう思っております。

 ここまでこぎつけるに当たって、多くの皆さん方がいろいろな面から御努力をいただいて今日に至ったものでありまして、いろいろ確かに、今までも御指摘のように、なかなか先生の数が足らない、先生になってもらってもというような問題もまだ含んでおりまして、問題点はあるのでありますけれども、何としても、まずこれをスタートさせることによって、まさに食育が教育の中にきちっと位置づけられていく大きな意義がある、こう私も思っておるわけであります。

加藤(尚)委員 近藤初等教育局長、いましたか。

 突然で悪いんですけれども、今、大臣の所感が述べられたわけです、決意も述べられたわけですけれども、文科省の中で、やはり各都道府県の教育長とかあるいは教育委員会も、すごく悩みながらこの問題を受けとめようとしているんです。

 ですから、後でまた詳しく聞いてもいいんですけれども、初等中等教育局長として、この食育あるいは栄養教諭という問題について、やはり相当な決意と決心が必要だと思うんですよ。できたら御答弁ください。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 教育委員会の関係者の方々の中からいろいろな意見があることも承知をいたしておりますし、食育が大事である、私もかつて学校給食担当の課長をさせていただいた経験もございます。しっかりと私ども、取り組んでまいりたいと思っております。

    〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕

加藤(尚)委員 私も、少なくともこの質問に際して、幾つかの都道府県の教育委員会とかあるいは市町村の教育委員会とかに足を運んで、いろいろな議論をしながら、やはり意気込みを、本気なのかどうかということについては疑問を呈したところも何カ所かあったものだから、それであえて御答弁をいただいたんです。

 大臣の御説明にも、配置問題というのがあったわけです。釈迦に説法ですけれども、この栄養教諭については、日本の栄養協議会の団体の方で相当な資料もいただいているんですけれども、いわば半世紀もかけて今日ここまで来たという思いの中で、ですから、いつか栄養教諭になる、いつか先生になるんだということで、その切磋琢磨はそれは涙ぐましいものがあるというふうに受けとめているんです。

 その意味で、この配置、一人一校というもともとの、昭和三十六年以来ということですから、長い間の栄養士さんたちのグループの思い、これはどういうふうに説明して、どう受けとめたらいいのか。

 大臣じゃなくても結構なんですけれども、やはり一人一校という、これはだれもが遠慮しながら、きのうの香川先生も、お金がかかることだからと言いましたけれども、子供を育てるのにお金は関係ない。マハティール、前のマレーシアの首相じゃないけれども、国家予算の二五%を投入して、誇り高く、我が国は子供のためなら惜しげもないというふうに言っているぐらい、未来のマレーシアという国は子供が支えるんだという意気込みがあるんですけれども、お金の問題で難しいんだということで一人一校は難しいという議論は、ちょっと聞くことが難しいと思うんですけれども、大臣、よろしいですか。

河村国務大臣 この問題は、一つは、残念ながらといいますか、義務教育段階において、小中学校の学校給食は義務化になっていなかったというスタートがございます。そういう点で、これが義務化されておれば当然それぞれあったのでありますが、そういうスタートを切ったということが一点ございます。

 そういうことと同時にやはり地方分権、地方にこれは任される問題だ、したがって地方によっては、神奈川県のように中学校がまだやっていないというところもございます。現実にやっているところもある。やはりこれはそれぞれの地方の委員会が持っている姿勢でございますから、これを義務化してというわけにいかなかったという点。

 それから、現実に、そういうことでありますから、学校栄養士の皆さんが今一万人余りしかいらっしゃらない。したがって、今、共同式では四・五校に一人当たる、それから個別のものでも二つで一人というふうなこういう格好になっていますから、まず当面そのことで、学校給食現場については、そこで栄養教諭が原則として生まれるだろう。しかし、現実に学校給食を持っていないところには、これは出向いていってでも教育していただくということで当面はやっていくわけであります。

 しかし、この重要性が次第に認識されていくに従って、私は、学校給食をやっていないところも、学校給食をやろう、実は、私の山口県でも、新聞を見ておりますと、中学校でやり始めたところが出始めてまいりました。

 今、全国的にもそういう傾向になっておりますから、早くどんどんその流れができていって、そして、財政は非常に厳しいものでありますから、この制度をつくるについても、実を言うと、財政当局はかなり抵抗があるんです。文部科学省の方の財政担当も、恐る恐る、今、予算が幾ら要るなんということは公に言うとというようなことを心配しながら言っている段階であります。

 しかし、これはやはり食育としてきちっと位置づけて、総理みずから食育の重要性を語っておる以上は、おっしゃるように、このことについてはもう思い切って予算をつけていく、そして学校栄養士、栄養教諭をきちっとふやしていく、この努力といいますか、その方向づけというのはやはりきちっと位置づけていかなければいかぬだろう。これは、我々が一義的に大いに努力しなければいけないことでありますが、世論の皆さんのそういうような大きな声もこの際しっかり受けとめさせていただく、勢いをつけていきたい、そういう面で、加藤先生の絶大な御支援もお願いしたい、こう思っているわけであります。

加藤(尚)委員 残念ながら神奈川県はということなんですけれども、私も努力する決意を物すごく今強めているところなんです。

 小中なんですけれども、やはり思春期の中で、高等学校というのは意外に大事だと思うんですよ。高等学校で栄養学といいますか、もちろん給食はありませんけれども、ここで学ぶことが、次の、例えば女性であればお母さんになる直近の人たちだし、あるいは、当然のことだけれども、高等学校で学んだことが、将来、管理栄養士にとか栄養士にとかという道を開くことになるんです。

 公立高校に限りませんけれども、高等学校での教育というのは考えていらっしゃるんでしょうか。

田中政府参考人 高等学校における食育についてでございますけれども、高等学校におきましても、御指摘のように学校給食は行われておりませんけれども、家庭科や保健体育あるいは公民科等におきまして、食に関する内容が取り扱われているところでございます。

 また、去る一月に出されました中央教育審議会の答申におきましても、食に関する指導については幼児期や高等学校段階においても重要であり、各発達段階に応じた適切な指導が行われることを望むものであるという指摘がなされておるところでございまして、私どもといたしましても、この趣旨の徹底を今後とも図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

加藤(尚)委員 配置問題で大変大きな問題があります。横浜市の場合は一人で二つということなんですけれども、全国平均ではという大臣の御説明があったんですけれども、それでも、幹部の栄養士さんだけじゃなくて末端の栄養士さんも、教諭への道が開かれたならば私たちは地域にだって高等学校にだってということを言っております。それが時間外であろうとなかろうと、食という問題、要するに人間形成の中でどれだけ重要かということを嫌というほど知ってきた、よって時間を惜しまずやるんだという意気込みを言っていらっしゃる方が多かったんです。

 その意味で、現職の栄養士さん、それで将来、資格のある人、これから資格を取る人が栄養教諭になっていって、当然高等学校へもということなんですけれども、これは何も、多分横浜、神奈川県だけではないかもしれない、全国的にもそういうことを協議会の方に御指導してもらえればというふうに思います。

 委員長、引き続きお願いいたします。

 都道府県の方をさっき触れたんですけれども、例えば幾つかの都道府県で、受け入れたい、受け入れようという環境、空気と、ちょっとまだ受けとめられないなという最大の理由を突き進めていくと、やはり都道府県では負担の問題なんです。それは要するに、負担がどれぐらいかかってしまうんだろうと。

 これは幾つかの都道府県で試算を勝手に私どもでしてみたんですけれども、小さい府県、大きい府県あるんですけれども、一億から五億ぐらい程度の負担で済むんです。つまり、給与を、栄養士さんから栄養教諭になると大体百万から百二十万ぐらい給料が上がるということになるらしいんですけれども、そのデータが間違っていたら指摘してほしいんですけれども、そのことで当然県費負担がある。それを受け切れないから、例えば来年四月からということなんだけれども、間に合わないかもしれないというようなことを言っているところもあるんです。

 その意味で、市町村も含めてだけれども、平成十四年に中教審の答申が出て、がりがりがりっとここまで来たんですけれども、実際に都道府県対策とか市町村対策とか、どの程度この数年間にやってきたかを教えてください。

田中政府参考人 都道府県におきまして給与負担がふえることを心配しておられるというお話でございますけれども、栄養教諭制度の検討に当たりましては、中央教育審議会における審議の中におきましても、全国都道府県教育長協議会を含みます関係団体から意見をいろいろ聴取してきたところでございまして、その中では、全国都道府県教育長協議会から特段、給与負担についての意見は出されていないところでございます。

 そういう各種団体の意見も踏まえまして、中央教育審議会の中で鋭意検討をされた中で、地方公共団体の自主性を最大限に尊重するということから、配置につきましては地方公共団体が地域の実情等に応じて判断することといたしております。

 また一方で、給与等の処遇につきましては、教育職員として位置づけているところでございますので、他の教員と同様、その職務と責任の特殊性にかんがみまして教育職俸給表が適用され、教職調整額等の手当も支給することを基本として、具体的には都道府県が条例により定めることとさせていただいておるところでございまして、この趣旨につきましては、今後とも各都道府県教育委員会等に対しまして徹底を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

加藤(尚)委員 若干、僕のリサーチと違うお答えであるような気がするんですけれども、当然負担が伴ってくる、そのことで、来年四月からということですから、例えば四十七都道府県のうちに、もう既に文科省の方で、栄養教諭化について、この都市とこの都市とこの都市はそっくりそのまま受け入れてくれますよという情報はお持ちですか。

田中政府参考人 学校栄養職員が栄養教諭に移行をいたしますためには教職経験三年を条件といたしまして、さらに、教職に関する科目等を、一種の免許状の場合には十単位、それから二種免許状の場合には八単位取得する必要があるわけでございますので、そういう単位を取得しなければなりません。

 このためには、各都道府県教育委員会におきまして、長期休業中等においてその単位を学校栄養士の方々が取れるように単位付与講習会、こういうものを実施していただく必要がございますので、今後、そういうものについて各都道府県に対する取り組みを働きかけてまいりたいというふうに考えておるところでございまして、現時点におきまして、来年、十七年度四月から何人ぐらい移行するかということについては、まだ十分把握はできておらないところでございます。

加藤(尚)委員 いや、僕が言うのは都道府県ですから、個人じゃなくて。個人の移行については、必要なものは全部身につけていこうということなんですけれども、大多数が。大多数と言ってもいいと思うんです。都道府県として栄養教諭化について、いわばこの機会だ、やっと来たということで、すぐ受け入れようという都道府県はありますかと聞いているんです。

田中政府参考人 栄養教諭制度の導入に関しましては、これは法律をお認めいただければ、私どもといたしましては、すべての県におきまして学校栄養職員が円滑に栄養教諭に移行できるように取り組んでいただきたいというふうに考えておるところでございまして、すべての都道府県の教育委員会に対して働きかけていこうと思っておるところでございます。

加藤(尚)委員 まとめて言えば、この問題でいうと、国庫負担にしろ県費負担にしろ、そんなに巨額ではないんです。だから、少なくとも、ある時限でいいんですけれども、増加分について全部国で面倒を見ましょう、それぐらいのことはあってもしかるべきだと思うんです。

 しかも、それはきのうきょうじゃなくて歴史があるから、先ほど申し上げたように、昭和三十六年以来、営々としてこの問題について検討してきたわけですから、その意味で、大臣、時限で例えば三年とか五年とか、各都道府県がそろうまで持ちましょうということを言うと、物すごいスピードで広がっていくような気がするんですけれども、いかがでしょうか。

田中政府参考人 制度について御説明をさせていただきたいと思いますが、今回の栄養教諭につきましては、従来の学校栄養職員やあるいは養護教諭と同様に県費負担職員として位置づけさせていただいておるところでございますし、また、その給与費の二分の一について国庫負担させていただくという制度で法案をお願いしておるところでございます。

加藤(尚)委員 それは理解した上で申し上げているんですけれども、整うまで――では大臣にやはりお答えをお願い申し上げたいと思います。

河村国務大臣 加藤先生の御指摘は、私も理解はできるのであります。そういうことによって地方が安心して取り組めるということ。ただ、これは財政の支援のあり方の根幹にかかわってくる問題でもありまして、義務教育費国庫負担制度については二分の一をという形で通ってきておりますので、例外的な措置が予算的に可能かどうか。私は、今の予算のあり方から見ると非常に難しいのではないかなと思いますね。

 ということは、その分をどこかほかの予算とどう調整をとるのか、この分だけ国庫から負担を持ってきてというわけにはちょっといかないだろうと思います。特にこの点が、やはり非常に、確かに地方自治体にとっては必置を拒む原因にもなっておる大きな原因でもあります。

 それから、財政当局が、これによって財政負担増が出るということにかなり大きな抵抗もあったという経緯もございまして、我々としては、そこまでしてでも早くしたいという気持ちは私もあるのでありますが、現行の予算の組み方ではなかなか難しいのではないか、このように思います。

加藤(尚)委員 後の質問で財政当局も呼んでいますから、財政当局がいるところでの議論は、余りこれ以上進められないんですけれども、何といったって教育予算だから、遠慮する必要はないと総理も言っているんだからということで、河村大臣らしく、強い姿勢を望んでおきたいというふうに思います。

 委員長、引き続き質問に入ってまいります。

 過日、外務委員会で、私も外務委員の一人なんですけれども、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約というのを、法案が通りまして、条約締結していくわけですけれども、きょうも御迷惑でも皆さんにたばこ関係の資料をお配り申し上げさせていただきました。

 そのことに入る前に、無煙たばこ、これが今や駅とか、全部の駅とは言わない、幾つかの駅、小田急線なんかもその対象になるんですけれども、あるいは無料配布。つまり、要するにガムたばこですよ。だれがこんなことを認めたのか、財務省かどうか、私は聞きたいんです。

 例えば今、日歯連で大変な大きな問題になっているけれども、それは別として、口腔外科学会でも物すごい重要視している。口腔外科学会だけではなくてあらゆる、つまり子供たちの生命とか、あるいは子供たちの健康とか、例えば成人の健康を守ろうという人たちにとっては驚嘆すべきことが起きたというふうに思うんです。私もそう思っている一人なんです。

 これは、日本人というのは熱しやすく冷めやすいという一方、右倣え的なところがあるから、そうすると、ガムというのは驚くべきスピードで僕は広がっていくような気がします。できれば、国会の中でも本気で取り組んでもらって、冗談じゃないと。しかもスウェーデン製のガムなんです、おまけに。

 健康とか保健にえらい熱心なスウェーデンのものを取り入れて試験的にやっている、しかも販売まで入っちゃっている事実、大臣、御存じですか。

河村国務大臣 いや、私は今、ガムでそこまでの話というのは初めて聞きました。

加藤(尚)委員 これは許されないことなんだけれども。

 財務省に聞くんですけれども、この許可関係。無料配布とかあるいはもう既に駅で試作的に売っているという事実、これはわずか、小田急線とかごく一部の、例えばキヨスクみたいなところでやっているみたいなんだけれども、恐るべきスピードですから、それによる健康被害というのは間違いなく想像を絶しますから。だから一日も早く退治しなきゃいけないというふうに私は思っていますけれども、財務省、この事実は知っていますか。

大前政府参考人 先生御指摘のいわゆるガムたばこ、スウェーデンのたばこ製造会社から輸入されますかみたばこでございますけれども、これにつきましては、葉たばこの成分を原料の一部としておりまして、したがいまして、たばこ事業法上のたばこに該当するものでございます。

 この点を踏まえまして、輸入会社からの申請を受けまして、平成十五年、昨年の九月十一日付でたばこ事業法第三十三条に基づきます小売定価の認可を行ったところでございます。

加藤(尚)委員 悪いけれども、これはだめですよ。そんな簡単なものじゃないんだから。たばこだったら目に見えるけれども、かみたばこにしろ、ガムじゃ見えないですよ。これは低年齢化することは間違いないんです。間違いないんだと。だから、そのことを恐怖心に思わなきゃ。先ほどの大学の認可の問題じゃないけれども、そろっていれば何でも受け入れるんじゃどうしようもないんですよ。

 このガムたばこは恐るべき結果を生むというふうに想像してください。そして、それは専門的にいろいろ研究してください。その上でなら僕も理解しますよ。今の段階で何が悪いんですかと言われても、私も手元に何もない。でも、少なくとも、口腔外科学会を初めとして、医学会もそうだし、どこもかしこも、たばこの健康被害について論じているあらゆる団体が、これはないよと強く言っております。その意味で、今後どうするんですか。

大前政府参考人 今後についての御質問でございますけれども、それに先立ちまして、認可に当たりまして私どもが配慮した点について申し上げることをお許しいただきたいと思います。

 認可に際しましては、未成年者対策上、問題が生じることがないよう、ガムではなくたばこ製品である旨の注意表示をすること、そして、小売店で対面販売することとし、自動販売機では販売しないことなどの指導を行っておりまして、そのように取り扱われているものと承知しております。

 先ほどの答弁の中で、たばこ事業法上たばこに該当するというふうに申しました。たばこ事業法上の認可につきましては、これは小売定価に係るものでございまして、健康問題など価格以外の理由で認可を行わない、あるいは取り消しを行う、そういったことはできないものであることを御理解いただければありがたいと存じます。

加藤(尚)委員 とても理解できないんだけれども、たばこガムというのは、スウェーデンで生産されて、どこか日本の商社か何かが間に入って申請したと思うんですけれども、このたばこガムについて世界の状況はどうでしょうか。把握していたら。

大前政府参考人 通常、たばことして取り扱っております紙巻きたばこ、パイプたばこ、それから刻みたばこ、そういったたばこのほかに、いわゆるかぎたばことか、かみたばこといったたばこがございまして、外国におきましては、かぎたばこ、かみたばこ、かなり使われているように聞いております。我が国におきましても、一般的なかぎたばこ、かみたばこ、これまでにも認可の例がございます。

 たまたま今先生が問題にされておりますいわゆるガムたばこ、キャンデーの形をしたかみたばこでございますけれども、これにつきましては、今のところ外国で売られている例はないというふうに承知しております。

加藤(尚)委員 これは、広く大きく食育という中で、健全な食べ物と悪い食べ物があるということから当然関連づけて質問しているんですけれども、非常に弱腰だなと。事の重大さがおわかりいただけないのは残念だけれども。これから国民運動が起こりますよ、これは間違いなく。その場合、慌てても始まりませんよ。よって、既に積極的に、本当だったら試作品であろうと一部販売にしろ、する前にやはりリサーチをきちっとして、これからきょうの本論の一つに入るんですけれども、青少年犯罪という問題なんです。

 これはやはり昔から言われているんですけれども、青少年犯罪、少年院がどこもかしこも満杯で、それこそ補導し切れないというのが実感なんです。警察庁も言っているし、各都道府県の警察の一部、私の知っている範囲内で聞いてみたんだけれども、余りにも多過ぎてこれ以上補導できませんよと。

 例えば、一つ二つ例を申し上げますと、やはり酒、たばこということになります。その酒、たばこについての補導の方向なんですけれども、飲酒については、平成六年が二万八千五百二十一人、そして平成十五年では三万六千二百九十一名、つまり約十年の間に約一万人ふえていますね。青少年のたばこについて、平成六年の三十二万五百人から平成十五年度では五十四万人ということです。ですから、お酒にしろたばこにしろ、特にたばこについては青少年の補導の中で異常に伸びている。これは氷山の一角なんです。

 単純に計算すると、財務省の方、済みませんけれども、文科省の資料はいただいているんですけれども、たばこというのは年間何本生産しているんですか。何本という言い方でいいのかどうか知らない、多分、数千億だと思うんだけれども。

大前政府参考人 今手元に正確な数字はございませんが、日本国内で販売されておりますたばこの数量、おおむね三千億本と承知しております。

加藤(尚)委員 聞けば、三千億本というような物すごい想像を絶する本数なんだけれども、そのうち、今申し上げましたように、補導されて、はっきりわかっている人が平成十五年で五十四万人。恐らくその十倍はいるだろう、補導を免れている子供たちが。単純に計算しても、三千億本で、青少年がたばこを吸う、いろいろ陰で、あるいは自動販売機で買ったり、コンビニで買ったり、インターネットで買ったり、いろいろな方法で買っているという事実があるんです。

 ちなみに、青少年の喫煙については一一%と言われているんです。子供が生産されるたばこの一一%を消費していると言っている。そうすると、三千億本というのは金額でいうと、例えば、JTじゃないけれども、日本たばこ産業でどれぐらいの総売り上げですか。

大前政府参考人 日本たばこ産業のたばこ事業に係る売り上げでございますが、おおむね二兆六千億円程度と承知しております。

加藤(尚)委員 二兆六千億、その他いろいろな販売方法があるわけですから、合わせると年間四兆円を超すというふうに僕は理解していたんだけれども、割と低目の数字をおっしゃったけれども、そのうちの一一%というと四千億以上ということです。青少年がたばこの消費に四千億以上も使っている。

 だから、財務省としては、子供が吸ってくれるということは、財務省のときに申し上げたけれども、えらい財源になっているという異常事態なんだ。青少年の不良化というのは、基本的にたばこ、酒から入るんですよ。自分で買えるうちはいいけれども、買えなくなると友達から借りる、友達から借りられないとゆする、たかる、そういうふうに、不良化の最大の要因は、昔からですけれども、酒、たばこからなんですよ。

 その意味で、酒、たばこ、子供たちを守るために、この委員会は何としてでも子供を守ろうとするということで議論するわけですから、これからも。その意味でいうと、青少年の不良化の原因の酒、たばこをどうしたら絶やせるか、そのことに対して、もとである財務省の見解をお聞かせください。

大前政府参考人 私どもといたしましても、未成年者の喫煙を防止するために必要な対策を講じていくことがまず何としても必要であるというふうに考えております。

 私どもの努力の一端を申しますと、平成十三年の十二月十二日に未成年者喫煙禁止法の改正が行われました。これを受けまして、警察庁、厚生労働省とも御相談した上で、たばこ販売業者に対しまして、未成年者の喫煙防止に向けて必要な対応を行うように指導するための通達を発出したところでございます。

加藤(尚)委員 大臣、酒、たばこは絶対まずいんですよ、子供たちにとって。わかっている、こんなものは。でも、これはもうきのう、きょうじゃなくて、歴史もありますから、子供が興味持って親の目をかすめて酒を飲む、あるいはたばこを吸う、あるいは、かえってそれが子供の仲間の中でステータスというふうに言われるぐらいなグループもあることも知っているんです。

 大臣、この酒、たばこについて、日本の子供たちの異常事態なんです。もう異常に使用量がふえているんですけれども、大臣として、これはどうやって取り締まっていったらいいのかという考え方を述べていただければと思います。大臣にお願いします。

河村国務大臣 私も全く同感でありまして、酒、たばこ、青少年不良化防止の観点からもこのことをきちっとするということは大事だと思います。特に、未成年段階でこれをしないという態度、これはいいこと、悪いこと、けじめといいますか、そういうものの中できちっとしていかなければならぬということでこれまでも指導しているわけでありますが、現実にそういう問題が出てきている。

 それで、小学校では体育の教科書に喫煙や飲酒の害がきちっと指摘されています。また、中学校の保健体育の教科書でも、この影響はどういう影響がある、酒に手を出さない、たばこに手を出さない、これはどういうふうにして、具体的な方法はどうかといったら、ロールプレーイングなんかもやりながら、健康は自分で守れ、自分の責任だ、これこそまさに自己責任、ちゃんとやってもらわなければいかぬということは指導をやっているわけであります。

 と同時に、やはりそれを教える教師の方々も、このことの認識をきちっと持ってもらわなければならぬ。児童生徒向けの教材もつくるということで、このような御案内の教材も持っておるわけですね。「君たちの未来のために」ということで、これは高校生用の喫煙防止教育、これは喫煙の方でありますが、こういうあらゆる手だてを持っております。現実に昔から、何か大人にあこがれるといいますか、たばこを吸うと一人前になったような気がするので、我々の時代から隠れて吸うやつがたくさんおったことを私も承知しております。

 しかし、その結果がどうであるということはやはりきちっと教えて、後は自己責任でしょうけれども、そのことを知らないままの人たちがいるということは残念なことですから、きちっと教えていく。これはこれからもさらに強めていく必要があるなと私も感じております。

加藤(尚)委員 せっかく大臣がおっしゃったから、文科省で出されている高校生向けというか、こっちはどっち向けかわかりませんけれども、これはなかなかいいんですよ。本当によく見れば見るほど。これは、たばこを吸っている人たちには耳が痛いし、目が痛いしということになるんだけれども、これはどの程度配られましたか。

田中政府参考人 御指摘のパンフレットにつきましては、平成十五年度につくりまして、ことしの一月に配付したものでございます。中学校、高等学校の一年生全員に配付したところでございまして、それぞれ百四十万部ずつ配付したところでございます。

加藤(尚)委員 予算もあるかもしれないけれども、小学校から。これは小学校から。

 都道府県なんかでは、青少年条例を各都道府県つくって、いろいろな苦労をしているんですよ。予算も使って、人も使って、いかに子供を守ろう、あるいは酒やたばこから、不良雑誌から守ろうということで、結構努力しているんです。ただし、今議論している酒、たばこについては、これは法律だから手が出せませんよということで、これは警察任せということで、やはり残念がっていました。いずれにしても、たばこの害、あるいは飲酒の害について、都道府県は熱心なんです。

 ですから、これは小中高向けに、全生徒あてに配っているようでありますけれども、文科省の方でもせっかくこれは何とか予算取りして、やはり小学校からですよ。小学校でもよく読めますよ、これだったら。大丈夫。難しい表現があったらちょっと変えればいいんだから。いかがでしょうか。

田中政府参考人 小学校におきましても、現に先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、喫煙、飲酒について、そういうことをしないようにということで教育に取り組んでおるところでございますけれども、パンフレットの配付につきましても、今後真剣に考えていきたいと思っております。

加藤(尚)委員 努力していただきたいと思います。

 それからまた、財務省に移りますけれども、いわゆるたばこ規制の枠組み条約の関連ではありませんけれども、財務省、それにのっとって、そして、恐らく関係機関にいろいろと要望とか通達とか出したと思うんですけれども、そういう事実はありますか。

大前政府参考人 私どもの最近の取り組みを申しますと、一つは、たばこのパッケージにたばこの健康への影響につきまして具体的に書き込むための注意表示を定めるための省令の改正を行いました。

 また、たばこ広告につきまして、そのあり方を見直すために、従来財務省が出しておりました広告に関する指針を改正しました。そうした例がございます。

加藤(尚)委員 財務省は財務省なりに関係局と努力している事実は知っております。しかし、先ほどのガムたばこじゃないけれども、姿勢が弱いんですよ。やはり税収、税源ということ。

 税源で一つだけ議論しておきたいと思うんですけれども、文部省から出されている資料の中で、高校生に配った方です。財務省への税収は二兆円ちょっとだというふうに書かれております。しかし、たばこによる健康被害、これはたばこによって火事になったりとか、あるいはたばこによってがんになったりとか病気になったりとかという社会費用が七兆三千億だというわけですよ。だから、国の予算の中からそれだけ出ている。二兆円の税収が減っても七兆円助かるということであれば、差し引き五兆だということが書いてあるんです。

 これを見たらだれもが、税収を恐れないで、むしろたばこの被害、特に青少年の一一%という喫煙については、あるいは、飲酒については具体的なデータがないから何とも言えませんけれども、やはり同じようなデータが出ると思います。

 いかにして子供たちを喫煙、飲酒から守るかということになりますと、今おっしゃったこの指針の中身も、実は見て知っているんですけれども、やはり弱い。すごく弱い。この要望、通達について、思い切ってもっと厳しく、あるいは生産者も零細農家とか、あるいは田舎へ行けばおばあちゃん一人でたばこを売っているとか、いろいろなことがあるのは承知しているんです。全部めちゃめちゃに厳しくすれば、生活権があると。

 ところが、JTという巨大な大会社は、もうたばこが将来、巨大産業として成り立たないなということから、次から次へと、持っている土地を利用したり、いろいろな知恵を絞って新しい展開をいたしております。そういうことを、あれだけの大きな会社なんだから、あれだけ大きな会社で、大きな知恵を持っているわけだから、零細農家とか零細の販売店とか、そういうこともひっくるめて、お互いに生きられるような創意工夫は是が非でも必要なんです。

 その意味で、財務省が、JTも含めて、販売店に対してやはり一つの見識を持って、決意を持って、使命感を持たなくてはいけないと思いますけれども、いかがでしょうか。

大前政府参考人 私ども、たばこ産業、製造、販売、それから葉たばこなど、たばこ産業の全体について所管する立場でございますけれども、単にたばこ産業だけが発展すればよいという立場ではございませんで、むしろ、日本の社会の中で、たばこ産業が社会との調和の中で健全に発展していくことを願っている立場でございます。

 そういう立場から、パッケージ上の注意表示、それからたばこ広告のあり方、あるいは未成年者への販売のあり方、そういったことについて必要な指導を行ってきているというふうに考えております。

加藤(尚)委員 きょう委員の先生方に各国のたばこの広告についてお配りして――いなくなったからいいけれども、平野先生、非常に私、指導を受けているんですよ。親しくて、我々のリーダーだけれども、ヘビースモーカーなんですよ。だから、きょうは言いにくいなと思ったら、今いらっしゃらないからよかったなと。――ああ、いらっしゃる。(発言する者あり)こちらにも筆頭理事がいらっしゃったけれども。

 このたばこ広告なんだけれども、僕は吸わないから持っていないんだけれども、やはりマナーとか、吸い過ぎに注意しましょうという広告表示なんです、日本のたばこは。マナー論をちょっとだけ議論したいんですけれども、つまり、たばこに書いてあるマナー、吸い過ぎに注意しましょうと言うけれども、財務省は御指導の中で、マナーというのをどういうふうに考えていらっしゃって、どういうふうに説明されるんですか。

大前政府参考人 社会の中でたばこが幅広く受け入れられるためには、たばこを吸われる方のマナーが極めて重要であると思っております。

 そうしたことを受けまして、たばこのメーカーあるいは販売店、それぞれの立場で喫煙者にマナーの改善を呼びかけるための取り組みを行っております。私ども、監督する立場としては、そうしたさまざまな努力を見守っているということでございます。

加藤(尚)委員 日本もこれから各国と条約を締結するわけですから、その意味で、たばこの広告について、やはり変換しなくちゃいけない、大きく変換しなくちゃいかぬけれども、そういう御指導はされるつもりですか。

大前政府参考人 先生、今御質問は、たばこのパッケージに付します注意表示の件でございましょうか。

 この注意表示の件につきまして申し上げますと、まず経緯でございますけれども、たばこ事業等分科会という審議会がございますが、その下に医師や心理学者などの有識者から成るワーキンググループを設置しまして、そこでの審議において形成されたコンセンサスに基づきまして、最近の医学的知見はもとより、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約、諸外国の動向、健康増進法や未成年者喫煙禁止法の趣旨などを総合勘案して作成したものでございまして、その過程におきまして、厚生労働省とも十分に協議したものでございます。

 具体的には、たばこのパッケージの主要面の三〇%以上の面積を割いて注意表示を行うこと、たばこを吸われる方にとっての直接の健康の害に関する表示四つとそれ以外の喫煙の影響に関する表示四つ、この八つをローテーションの形で表示すること、そうしたことを求めているものでございます。

 注意表示の内容につきましては、わかりやすい表現とすべきであり、威嚇的な文言や表現はかえって喫煙者の反発を招き、適切ではないなどのワーキンググループでの意見を踏まえながら、あわせて、見る人に自分自身の問題として受けとめていただけるような表現となるよう配慮しつつ作成したものでございまして、御理解を賜れればありがたいと思います。

加藤(尚)委員 理解しようと努力するんだけれども、なかなか理解までいかないんです。

 そこで、この問題は青少年の不良化防止ということからきょうは議論しました。そしてその中で、指針の中に、あるいは通達の中に自動販売機のことが書かれています。自動販売機を撤去する。お酒の方は本当に目立たなくなった。ただし、目立たなくなったけれども、コンビニとか、一方では飲み屋さん、これに結構若い青少年が行っているという事実もあるんですよ。だから、少し裏もあるんです。裏もあることを知っているけれども、少なくとも自動販売機については、お酒については激減しています。最近、都内とか横浜で見ることが少ない、地方ではわかりませんけれども。

 たばこは依然として、いろいろ工夫があっても、時間制限したりいろいろなことを工夫するふりはしたとしても、やはり自由に買っています、子供たちは間違いなく。コンビニでも自由に買っている。

 だって、実際に警察で子供を補導する件数なんというのは、コンビニも一緒なんですけれども、ほとんどないに等しいから。年間百人とか二百人程度じゃ、やらないのと同じなんです。つまり、やり切れないということですよ。補導し切れない。つまり、あそこもここも全部満杯だからということもありますけれども、たばこや酒程度じゃとても補導し切れないという思いが出始めてしまった、危険なんです、物すごく。諸悪の根源だから。

 その意味で、自動販売機の問題について、たばこについては百万件近い、そんなにないか、七十万件近いかな、お酒については四万とか五万とか言っていました。でも、この撤去についてやはり財務省としても本気で取り組む時期に来たんじゃないかなと思います。自動販売機、そしてコンビニのお酒、たばこ、これを青少年の子供たちが自分のお金で、そして自分で買うという行為をいかにとめられるか。自動販売機がないのが一番手っ取り早い。コンビニでは別なやはり御指導が必要だというふうに思いますけれども、コンビニの件と自動販売機の件についてお答えをお願いします。

大前政府参考人 自動販売機の関係でございますけれども、全国に現在六十万台余りが設置されております。

 この自動販売機、たばこの販売業者の多くが零細な業者でございますけれども、この販売業者にとっては重要な販売手段となっていること、これは否めないところでございます。また、未成年者による自動販売機へのアクセスが厳格に防止される場合には、それによって未成年者への販売を規制しようとする目的を達成できることから、我が国において、自動販売機を禁止するまでの必要はないと考えております。これは、平成十四年に私どものたばこ事業等分科会におきましてたばこ分野の各般の問題について御議論し、整理していただいた際の一つの方向でございます。

 ただ、未成年者喫煙防止の観点から、十分な管理監督が期しがたいと認められるたばこ自動販売機につきましては、撤去または設置場所の変更とたばこ自動販売機の適正な管理の徹底を要請しているところでございます。こうした取り組みによりまして、未成年者喫煙問題に適切に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 今、先生の御質問の中で、コンビニエンスストアにおけるたばこ販売についても答弁せよというお話がございました。

 これにつきましては、コンビニエンスストアという一つの商店の形態がある、ただ、そのコンビニエンスストアという事業形態に着目して、たばこ事業法上、他の販売店と区別して規制を行う、そうしたことは難しい、コンビニエンスストアについて、許可に当たって特別の運用を行うことは困難であるというふうに考えておりまして、御理解をいただきたいと思います。

加藤(尚)委員 大人はいいんですよ。だから、もう諸悪の根源だと言っているんだから、青少年不良化の。それが大人になるとどうなるかということです。大人になったら急に立派な大人になるという人もいる、若いときはたばこ、酒を飲んでも、急に立派になった人もたくさんいる。だけれども、その中で、もっと悪い社会の存在になるという例もたくさんある。それは数字の上では議論しませんけれども。

 いずれにしても、確かに零細な人が多いんです、自動販売機。そして、自動販売機で年間二兆円近い売り上げがある。今の数字でいうと、六十万機ということだから、一機平均して三百万の売り上げが年間あるということだから、零細企業にとってはもう大変な売り上げですよ。生活そのものですよ。それは知っているんです。知っているからこそ、JTがあれだけ巨大会社だから、どんどん関連事業を大きくしていきながら、たばこについて、世界の常識だから、特に子供の喫煙については絶対だめだから、そういう要するに決意と決心が国政になくちゃ、やはりそういうふうに強く思います。

 その意味で、財務省も、いろいろな意見がある、そしていろいろな知恵も入る、そしてその中で判断し切れないことはたくさんある。ところで、審議官はたばこを吸うの。吸わない。まあ、吸ってもいいんだけれども、吸わないということなんです。いずれにしても、青少年はだめだという、いかに青少年の喫煙を規制するか、抑えるか、やめにさせるか、このことは真剣勝負なんです。

 だから、実際の、財務省だけじゃないことは知っています、厚労省もあるいは警察庁も。特に、きょうの場合は文科委員会ですから、大臣に、時間もないですから、大臣が今の議論の中で、自動販売機、いきなり廃止なんということを、希望はしても言っているわけではないんです。徐々に考えなきゃと。子供がコンビニの前でたむろして酒を飲んで、たばこを吸っている。もうたくさん見かける。注意する人もいない、警察もお手上げ状態という実態の中で、やはり子供を大切に守り育てるという一番根本省としたら文科省ですから、大臣に先ほどもお聞きしましたけれども、最後にもう一度、財務省とのやりとりを聞きながら、やはり文科省としての姿勢もお聞かせください。

河村国務大臣 青少年の健全育成という視点からも、また子供たちの健康を守るという視点からも、この酒、たばこをいかに防ぐかということ、これは教育も極めて力を入れなければいけませんが、同時に、大人社会がそのことにもっと気づいて積極的にやっていただく、その仕組みをもっと構築する必要があるのではないか、このように思います。

加藤(尚)委員 終わります。ありがとうございました。

池坊委員長 小林千代美君。

小林(千)委員 民主党の小林千代美です。

 きょうも最後の時間になりましたけれども、民主党のラストバッターを務めさせていただきますので、これから一時間、よろしくお願いをしたいと思います。委員に引き続き、私も主に今回の栄養教諭制度の創設についてお伺いをさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 今回の学校教育法の一部改正の中で、この栄養教諭創設につきましては、本当に改正の法案の文章としてはとても短い内容ですね。二十八条のところに、栄養教諭を置くことができる、その栄養教諭は、児童の栄養の指導及び管理をつかさどる。あと、附属していろいろなところの法文が変わってきますけれども、具体的にはここのところが大きな今回の法改正の内容になっているわけでございます。

 今回、そのもとにありました中教審のこの答申という中身は、本当に文句を言うことができないほどすばらしい内容のものだと思います。特に、今の子供たちの置かれている食の環境ですとか、あるいは子供たちの食生活が大変乱れていることがある、子供たちの中でも、肥満ですとかあるいは行き過ぎたダイエット志向ですとか、あるいは成人病の予備軍まで、子供が今置かれている状態で、その子供たちに対してこういった学校の中で食に関する指導を行っていくというのは大変有意義な内容だと私も思いましたけれども、それにしては、この法案の内容が、具体的に出てきた法律案を見てみますと、簡単に一文で書かれているわけでございます。

 この法の趣旨から照らし合わせまして、今回創設される栄養教諭といった方々が具体的にこれからどのような業務を負うことになるのか。今、実際に栄養職員という方は必置ではありませんけれども存在をしているわけでございまして、その方々が栄養教諭に移行するということになり、どのような業務を担うことになるのか、御説明いただきたいと思います。

田中政府参考人 栄養教諭の職務についてのお尋ねでございますけれども、栄養教諭は、学校給食の管理と児童生徒に対する食に関する指導、これを一体的に行うことをその職務としておるところでございまして、給食の時間を中心といたしまして関連教科や特別活動の時間などに、学校給食を生きた教材として有効に活用しつつ、より効果的な食に関する指導が展開されることを期待するものであります。

 また、肥満傾向あるいは食物アレルギーといった課題を持つ児童生徒への個別の相談指導、さらには食の指導に係る学校全体の指導計画の作成など、学校全体での取り組みに企画立案の段階から積極的に携わりまして、教職員間の連携、調整を図るとともに、さらには家庭や地域への啓発活動を推進するなど、学校内外での調整役、コーディネーターとしての役割を期待しているところでございます。

小林(千)委員 今御答弁いただいた内容を伺いますと、すばらしい、責任ある職務を新しく担っていただけるのではないかなというような気もするわけでございますけれども、実際に今、栄養職員という方が既にいらっしゃる。それから、この法案が通れば、栄養教諭という方も存在をすることになる。移行期間を通じて、移行に伴いまして、栄養教諭と栄養職員という方が多分混在をすることになるのではないかと思いますけれども、そういった場合に、食に関する指導というのはどのように学校ごとで習うんでしょうか。

田中政府参考人 栄養教諭の配置につきましては、学校給食の実施状況や地方分権の趣旨等にかんがみまして、地方団体が地域の実情等に応じて判断することとしている。また、学校栄養職員の中には、やはりなかなか子供に対する指導に自信がないということで、栄養教諭への移行をされない方もひょっとしたらおられるかもわかりません。そういうことがございますので、私どもといたしましては、この栄養教諭制度が発足した時点で、各都道府県教育委員会にも働きかけまして、学校栄養職員の円滑な栄養教諭への移行を進めたいと考えております。

 その間、栄養教諭が配置されない学校におきましては、中教審の答申でも指摘されておるところでございますけれども、当該学校に置かれている学校栄養職員の方を引き続き有効に活用する、あるいは近隣の学校の栄養教諭が出向いて指導を行う、それから、地域の人材の活用というのは、地域の農家の方でございますとか流通に携わる方々、こういう方々に対して、どういう形でそういうことをやっているかというようなことを話していただく、あるいは子供たちがそういう農家や流通業者のところに行ってそういう体験をすることによって食に関する知識や体験を得るというような形で、地域の人材の活用、あるいはその他の教職員の食に関する理解の向上など、さまざまな工夫をしていただくことが大切だというふうに考えておるところでございます。

小林(千)委員 先ほど民主党の田島委員も質問をいたしましたけれども、せっかくこういった新しい制度ができて、栄養教諭という方々が存在できることになるわけなんですから。

 もちろん、趣旨としてわかります。例えば、子供たちが近隣の農家に行って食べ物がどんなふうにできるのかということを学ぶですとか、どういった流通過程を通して食べ物が自分の口の中に入るのかということを勉強するのは、それは確かに重要なことだとは思いますけれども、先日参考人でいらっしゃっていただきました女子栄養大の香川先生の方から、資料まで用意をしていただきました。今の学校現場には食の専門家はいない、家庭科の先生が小学校に配置をされていることもまれである、学校の現場のそういった食に関する指導の状況が今不十分である中で、栄養教諭という職の創設については大変望ましいというふうに参考人として意見をおっしゃっていただいたわけですから、この栄養教諭の人たちを実際の学校現場でもっと活用していただかなければいけないのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

田中政府参考人 御指摘いただきましたように、やはり栄養教諭制度を創設させていただきまして、栄養教諭が各学校におきまして、なかなか現在のところ、学校栄養職員は、単独校調理方式の場合に二校に約一人、それから共同調理場の場合でございますと四・五校に一人でございますので、これらの学校栄養職員がすべて栄養教諭に移行したといたしましても、なかなか、その人たちが一つの学校に行って食の指導に当たれる具体的な時間というのは限られたものがあるとは思いますけれども、その中で有効に活用していくことが非常に大切だろうというふうに考えておるところでございます。

小林(千)委員 今具体的に、今現在栄養職員の方がどのように各学校に配置されているかということをおっしゃっていただきました。

 それで、伺いたいんですけれども、今、栄養職員の方が配置をされているのは、自校方式の場合二校に一人、センター方式の場合だと四・五校に一人の換算ですか。私、実は地元でもいろいろと伺ったんですけれども、そうやって、今、栄養職員の方は、国庫負担二分の一、つまり国が人件費を二分の一負担されていて、残りの二分の一を都道府県が出している、現場ではいわゆる県費の栄養職員さんというふうに呼んでいるそうです、県費の栄養職員さんという方がいる。それとは別に、各市町村で独自で、食の安全性あるいは子供たちに対する食に対する指導というものを今もう既に一生懸命取り組んでいる市町村も少なからずあるわけでございまして、それは市町村費、単費の職員さんというふうに呼んでいらっしゃるようです。

 いただいた資料ですと、学校栄養職員の配置状況というものが、小学校、中学校、共同調理場合わせて一万五百十八人という数字を文科省の方からいただいておりますが、この数字というものは、いわゆる県費だけなんでしょうか、単費の方も入っているんでしょうか。

田中政府参考人 ただいまの学校栄養職員の数の中には、市町村費負担の学校栄養職員も千五百四十三人入っておるところでございます。

小林(千)委員 そうすると、既にこの表の中に、小中学校、そして共同調理場の中の数字に含まれているわけですね。

 ということは、今回のこの栄養職員から栄養教諭への移行については、単費の、市町村費の栄養職員も対象になるという考え方で間違いないでしょうか、御確認したいんですが。

田中政府参考人 学校栄養職員の方につきましては、昭和四十九年度から新たに県費負担教職員となったところでございますけれども、そのときに、経過措置によりまして、当分の間は、学校給食の実施に必要な知識または経験の程度を勘案し当該都道府県の教育委員会が指定した者を県費負担とし、それ以外の者については市町村費負担としているところでございます。

 今回の栄養教諭につきましては、教育職員免許法に新たに栄養教諭免許状を設けることによりまして、一定の資質、能力を制度的に担保することとなりますことから、教諭や養護教諭と同様、栄養教諭はすべて県費負担教職員として位置づけておるところでございますので、市町村費負担の栄養教諭というものは制度上想定していないところでございます。

小林(千)委員 ちょっと今の答弁を不思議に思ったんですけれども、学校給食の現状、平成十四年五月現在、これは文科省の方からヒアリングのときにいただいた資料で、その資料の中には、学校栄養職員の配置状況の中に、数がトータルで一万五百十八人、この中に市町村費の職員の方も入っているけれども、今回の制度上は含まれていないということなんですか。

田中政府参考人 今回の栄養教諭制度につきましては、これはすべて県費負担教職員として位置づけておるところでございますので、市町村費負担の栄養教諭というものは想定していないところでございます。

小林(千)委員 答えがわかりづらいんですけれども、もう一度説明していただきたいんですが、それは、栄養教諭になったらば県費になるということですけれども、栄養教諭に単費の方はなれるんですか。つまり、今回の法改正で、研修を受けて、なれるんでしょうか。

田中政府参考人 ただいまの御質問につきましては、市町村費の学校栄養職員の方につきましては、栄養教諭の免許を取得した上で、都道府県の教育委員会が栄養教諭として任用されて初めて栄養教諭になれることになっております。

小林(千)委員 ということは、単費の、市町村費の今の栄養職員の方も、このいただいた表にある、単位を修得する研修は受けることができるということですね。

田中政府参考人 学校栄養職員の方々が栄養教諭に移行しますためには、一定の経験年数に加えて、所定の単位、一種免許状の場合は十単位、二種免許状の場合は八単位を修得していただき、栄養教諭免許状を取得する必要があるわけでございまして、この単位を修得いたしますためには、やはり長期休業中等に集中的に修得する必要があることから、私どもといたしましては、各都道府県教育委員会において単位修得のための認定講習会を開催していただきたいと考えておりまして、その講習自体を市町村費の学校栄養職員につきましても受けられるように、私どもといたしましては、各都道府県の教育委員会の理解を促してまいりたいと考えておるところでございます。

小林(千)委員 ちゃんと答えていただきたいんです。

 先ほどの民主党の委員の質問の中で引用されておりましたけれども、ある議員さんがホームページの中で、学校栄養職員の皆さんおめでとうございますと言ったんでしょう。それは栄養職員の皆さん喜びますよ。

 実際に、今、現場でいわゆる県費の栄養職員さんと単費の栄養職員さんが一緒に机を並べて仕事をしていらっしゃるんです。やっている仕事の内容も多分変わらないと思います。なのに、あなたは単位を受けられる講習が受けられて、あなたは講習を受けられませんということになるんですか。それからまた、一緒に講習は受けられたとしても、免許状を取れたとしても、あなたは教員になれます、あなたは単費だからなれませんということになるんでしょうか。

田中政府参考人 お答えさせていただきます。

 学校栄養職員につきましては、都道府県費の負担であろうと市町村費の負担であろうと、免許を取得することはできます。その講習会に参加することもできます。

 ただ、栄養教諭として任用するのは都道府県の教育委員会でございますので、市町村費の学校栄養職員が栄養教諭になるためには、都道府県の教育委員会に任用していただかなければならないということになっておるところでございます。

小林(千)委員 では、単費の栄養職員さんが研修を受けて免許状を取った、その栄養教諭の免許を持った方は、都道府県の意向による、あとは都道府県任せだ、その方の任用については。免許を持ちながら、せっかく試験を受けてその能力を持っているのに、その能力を県の意向により生かすことができないことになってしまうこともあり得るんでしょうか。

田中政府参考人 都道府県の教育委員会が学校栄養職員を任用するに当たりましては、それぞれ都道府県におきまして教職員の定数を決めまして、その定数の範囲内で学校栄養職員を現に採用されておるところでございますので、そういう定数の中で今回も栄養教諭を、学校栄養職員から栄養教諭になっていくわけでございますので、都道府県の教育委員会として、現にいる学校栄養職員とは別に新たに栄養教諭を採用するという考えがあるところにおきましては採用が可能になるということでございます。

小林(千)委員 各都道府県任せということですね。市町村はどうするんですか。設置者任せということになるんでしょうか。

田中政府参考人 市町村費学校栄養職員というのは、市町村が今採用されておられるわけでございますので、その採用形態というか任用形態自身は、栄養教諭免許状を取得したからといって変わるものではないと考えておるところでございます。

小林(千)委員 このそもそもの最初の理念といったものはどこへ行ってしまったんだろうかというふうに思います。ここでとまっていると先に行くことができませんので、また後からも追及していきたいと思いますけれども。

 今、実際に給食未実施校というところもあるわけです。小学校だと約一%ぐらい、九百校ほどというふうに伺いました。中学校だと、実施校が六八・八%、三十何%は給食がない学校なわけですね。

 給食が実施をされていない学校の中で、昨日の参考人の香川さんも、学校給食は食の教育の場として最適であるというふうに意見をおっしゃっていただいたわけなんですけれども、その給食未実施校において、食に関する指導というものはどのようにされるのでしょうか。

田中政府参考人 食に関する指導におきまして、学校給食というのは生きた教材として大変有効であるというふうに考えておるところでございます。したがいまして、学校給食法におきましても、義務教育諸学校の設置者は学校給食を実施されるように努めなければならないというふうに規定されておるところでございまして、御指摘のように、まだ中学校段階におきましては完全給食については七割弱しか実施されておらないところでございますので、私どもといたしましては、今後とも、この趣旨にのっとりまして、その普及に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

 それと同時に、食に関する指導は、学校給食を実施していない学校におきましても適切になされる必要があると考えておるところでございまして、家庭科や保健体育科など関連教科あるいは特別活動等におきまして、食事の時間等も含めまして学校教育の中で取り組んでいただきたいというふうに考えておるところでございます。

 文部省といたしましても、児童生徒用の食生活学習教材や指導者用資料の作成、配付、これはすべての学校に、あるいはすべての子供たちに配付しておるところでございます。こういうことで学校における食に関する指導の取り組みを促進しているところでございますし、また、本年度は、新たに一般の教員用の食に関する啓発パンフレットをつくりまして、教員一人一人がそういう食の重要性を十分認識していただいて、食の指導を充実していただけるようにしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

小林(千)委員 先ほども言いましたように、もちろん一般の教員の方々も食の指導にかかわってもらうことは大変有効なことだと思いますけれども、わざわざこの栄養教諭という制度をつくる、しかも、学校栄養職員に教員の要素を加えて、食の専門家という方を各学校に配置するということがこの食育の目的だとするならば、もちろん、そういった現状の学校の教員の方々にそういった指導をしていただくことは大切なことなのかもしれないですけれども、食育の目的のためこの栄養教諭制度を今回創設されるわけですよね。ですから、そこだけに頼り切ってはいけないと思うんですが。

田中政府参考人 食に関する指導に関しましては、従来から、学校給食の時間あるいは家庭科の時間、保健体育の時間、こういうそれぞれの時間を通じまして、それぞれ学級担任あるいは家庭科の先生、保健体育の先生、そういう方……(小林(千)委員「わかりました、それが足りないからやるんでしょう」と呼ぶ)そうでございます。そういう学級担任や家庭科の先生たちが従来から取り組んできておるところでございまして、そういう中で、食に関する重要性が高まる中で、私どもといたしましては、学校栄養職員に教育に関する資質も身につけていただいて、さらに有効に活用していただきたいというのが今回の制度創設の趣旨でございますので、これを有効に使っていきたいというふうに考えておるところでございます。

小林(千)委員 どうも、長く答弁いただいているんですけれども、論点がかみ合っていないような気がしてしようがないと思っております。

 給食の未実施校だからこそ、給食という最適な素材が、材料がないからこそ、栄養教諭の果たすべき役割は私はかえって大きいと思うんです。今給食が行われていない学校ということは、そこには栄養職員は現在は配置をされていないわけですね。ですから、そういうところにこそ栄養教諭の方を配置して、十分な食に関する指導というものを給食がなくてもできるようにシステムを使うべきだと思うんですが、今、配置をされていないところに栄養教諭を新しく配置するといった方向性も含んでいるんでしょうか。

田中政府参考人 栄養教諭は、食に関する指導と学校給食の管理を一体として担うこととしておるところでございまして、基本的には学校給食を実施している学校に配置されるものと考えておるところでございます。

 しかしながら、学校給食をしていない学校につきましても、制度上は、学校設置者の判断、公立の小中学校でいえば都道府県教育委員会の判断によって栄養教諭を配置することも可能でございます。

小林(千)委員 もう長くなりますから、意見として言わせていただきますけれども、栄養教諭が配置される学校、配置されない学校、そして給食が行われている学校、行われていない学校、その学校ごとによりこういった教育の差というものが出てこないように、少なくとも、義務教育のそもそもの理念として、日本全国どこの学校に通っても最低の教育というものは保障されるのが義務教育、憲法で保障されている義務教育の理念でしょうから、この理念というものが失われないような食に関する指導というものもしていただきたい、これは意見として申し上げさせていただきます。

 次の質問に移らせていただきます。

 給食実施校の中でも、自校方式といいまして、自分の学校の中で給食をつくっているところと、センター方式、市の中で何カ所分かの学校をまとめて給食をつくっているところとがあるわけなんですけれども、それぞれに配置をされている今の栄養職員さんの方々が教諭の免許を取ったとして、役割がかなり違うような気がするんですけれども、それぞれの栄養教諭の業務の内容はどのようになるのでしょうか。

田中政府参考人 栄養教諭につきましては、食に関する指導と学校給食の管理を一体的に行うということでございますので、これは単独校調理方式の学校であれ共同調理場方式の学校であれ、どちらにいたしましても、栄養教諭は食に関する指導と給食の管理、この両方に当たっていただくことになると考えておるところでございます。

小林(千)委員 実際の現場の状況を見てみますと、なかなか両者一遍に語れるような状況にはないのではないかなというふうに思います。例えば自校方式、自分の学校の中でその学校の子供たちの給食をつくっているということであれば、もちろん目が届きやすい、人数も一校分ですから少ないということも考えられるかもしれません。

 実は、私は今回、この件を質問するに当たりまして、私の地元の状況をちょっと調べさせていただきました。私は北海道選出の衆議院議員なんですけれども、選挙区で千歳市というところがあります。ここは、人口が十万弱、九万六千人ぐらいのところです。その中で学校は、小学校が十八校、二百二十学級、中学校が十校、八十七学級あります。その中で、給食はセンター方式をとっておりまして、千歳市内で給食センターは一カ所なんですね。一カ所で、小学校、中学校合わせて二十八校分の子供たち九千六百人分の給食をつくっています。

 その中で、今、栄養職員さんは三人です。三人で九千六百人分なんです。この中で、これからこの三人の皆さんがもし栄養教諭の免許を取ったとして、どうやって学校のそれぞれのクラスを回れるんだろうか。教育の指導、ましてや個別指導、カウンセリング、あるいは家庭への助言を、三人で九千六百人分、どのようにできるんでしょうか。

田中政府参考人 学校栄養職員の配置の状況は、全国平均で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、単独校方式の場合ですと二校に一人、共同調理場方式の場合ですと四・五校に一人となっておるわけでございます。これにいたしましても、単独校の場合と共同調理場方式の場合では、一人の栄養教諭が指導しなければならない学校の数には差があるわけでございますけれども、やはりそれぞれの実情の中で食の指導に当たっていただくことが大切だろうというふうに考えておるところでございます。

 食に関する指導に関しましては、やはり学校給食をいかに食の指導の中でうまく位置づけて、学校全体として一貫性のある、それから年間継続的な指導を行うかということが非常に大事だろうと思っておるわけでございます。

 そういう各学校における年間の食に関する指導計画、これに関して、それぞれの学校で、校長のリーダーシップのもとに栄養教諭や家庭科の先生や学級担任の先生等が一緒になって立案しまして、そういう指導計画をつくって、いついつの給食はこういう行事食にするとか、こういう外国のメニューをつくるとか、ではそれを給食の時間にどのように教えるのか、あるいは家庭科や社会科の時間でそれをどのように位置づけて教えるのか、総合学習の中でどのように取り扱っていくのか、こういうことを年間きちんと決めて、それを栄養教諭だけが行うのではなくて、学級担任や家庭科の先生、社会科の先生、あるいは総合的学習に取り組む先生方がそういう年間的な指導計画をきちんとつくって、それに基づいて食の指導を充実していただくことが大変重要だろうと考えておるところでございます。

小林(千)委員 それに加えて、個別指導もやるんですよね。家庭への助言というのもするんですよね。さっきの千歳市でいったら、九千六百人分を三人で、どういうふうにやるんですか。

田中政府参考人 御指摘いただきました、大変大きな規模の共同調理場であるわけでございまして、そういう非常に大きな共同調理場におきまして、なかなか個別指導に当たるということは難しい面もあるかとは思いますけれども、それはまた……(小林(千)委員「やるんでしょう」と呼ぶ)はい。共同調理場におきまして、あるいはその子供たちに来ていただいて相談を受けるとか、いろいろ工夫をしていただくことが大切だろうと思っております。

小林(千)委員 どうも、現実に市内の子供たちがこぞって給食センター、つくっているところに行って個別指導を受ける、家庭への助言をするというのが、具体的にどのようにできるのか、さっぱり見えないんですけれども。

田中政府参考人 家庭への指導で申し上げますと、やはり給食便り等を使っていただきまして、あるいはアレルギーを持っておられるような子供さんに関しましては、それぞれのアレルギーに対応した献立といったようなものを給食便りに載せていただきますとか、あるいは親子料理教室というようなものを共同調理場で実施していただきまして、そういう中で御家庭の方々、保護者の方々にも来ていただいて、そういう方に対して親子料理教室を通じて食の大切さというものを啓発していただくことも大事なことであろうと思っておる次第でございます。

小林(千)委員 どうもこのそもそもの理念というものがどこかへいってしまっているのではないかと危惧します。北海道だけが特別なんじゃありません、今、例で申し上げましたけれども。別に北海道は面積が広いからこうなっているわけじゃない。例として北海道を出しましたけれども、全国のどこの都道府県、市町村でも同じような状態になっていると私は思います。全国どこでも起こり得ることだと思いますので、ぜひ、しっかりと念頭に置いて、本当にこの理念というものを実現させるためにはどうしたらいいかというものをお考えいただきたいと思います。

 そして、もう一つ私が心配している、実はこれが一番心配なんですけれども、給食の安全性の問題です。

 小学生、中学生をお持ちの皆さんあるいは子供さんを持っていた皆さん、子供たちが学校に行ってお昼御飯を食べてくる。食中毒も起こさずに安心して給食を食べさせられる。その中では、食中毒を起こさせないために、やはり今の栄養職員さんあるいは給食調理員の方々の大きな努力があったために、こうして学校給食の中での集団食中毒というものは、今まで余り大きな事件はなかったのではないかなというふうに思っております。

 実は、私は、議員になる前までは食品メーカーに勤めておりまして、コンビニエンスストアにも弁当をつくって卸しておりましたので、食品の衛生という問題は大変難しいということを肌で見知っております。食中毒一つでも出したら、小さい会社だったら倒産してしまいます。

 何千人という子供たちが集団食中毒になってしまうかもしれない。しかも、自校方式で、自分の学校の中で目に見えるところで給食がつくられていれば、配送距離だって、例えば一階から三階までに上がるようなものでしょう。給食ができてから食べるまでの時間というのもそんなにかからないのかもしれない。しかしながら、今、自校方式からセンター方式というものに、この間、切りかわっていった。センター方式となったら、食中毒の起こる可能性というものは、残念ながらふえてしまうと私は思います。というのも、自校方式よりも多くの食材を扱わなければいけない。できたものをトラックに載せて配送しなければいけませんので、その間の衛生管理という問題もあります。時間がかかるという点も問題です。そして学校に着いてから給食の時間まで、どこに安全に保管をしておくかという問題もあります。

 こういった問題をすべてくぐり抜けて、何とか学校の中での集団食中毒というものがこの間起こらずに済んだ。多少はあったかもしれませんけれども、大きな問題にならずに済んだ。この背景には、やはり現場の方々の努力があっただろうというふうに私は思います。

 今の栄養職員さんが任されている仕事というものは、献立の作成や栄養の管理だけではなくて、そういった給食に使われる食材の管理、衛生管理、もし食中毒が起こったら大変だから、つくった給食は七十二時間保管しておかなきゃいけないんですね、そういった衛生管理もしなければいけない。まないたはきれいにしなければいけない。給食指導も、今、実際にしている。そしてさまざまな給食運営に関する事務作業というものにも当たっていらっしゃる。こういった努力により、今、集団食中毒というものが余り起こらないで済んでいる。しかし、今度はそれに食の教育指導、食に関する指導というものが加わり、個別指導、カウンセリングまで行う。家庭への助言や地域社会との連携や調整役を果たさなければいけない。しかも、三人で、さっき言った九千六百人分。

 こういった新しい業務が加わることにより、従来守られてきた給食の安全性というものが損なわれるおそれはないんでしょうか。それが一番心配ですが、いかがでしょうか。

田中政府参考人 お答えさせていただきます。

 安全、安心な学校給食を提供する上で、衛生管理は極めて重要であり、委員御指摘のように、現在、学校栄養職員や調理員の方々が一生懸命頑張ってくれていることによりましてこれが確保されているというふうに考えておるところでございます。

 給食管理業務の根幹をなします栄養管理や衛生管理についてはおろそかにすることなくきちんとやっていただきながら、同時に、献立のデータベース化あるいはコンピューターによる物資管理といったような情報化の進展、あるいは調理員の衛生管理等の知識の向上を図るといったことによりまして、給食管理の一層の効率化を図っていただきまして、食に関する指導のために必要な時間を確保できるよう工夫していくことが大切であると考えております。

小林(千)委員 これは、私、大変重要な問題だと思います。これによって、例えば、今まで行われてきた業務が忙し過ぎて手が回らないですとかといったようなことが決してないように徹底をしていただきたく、強く申し上げさせていただきたいと思います。

 それで、この件で、私も、北海道の地元で働いている現場の栄養職員の方々にいろいろとお話を伺いまして、声をいただきましたので、一つ御紹介をしたいと思います。

 学校給食に携わる栄養職員の間で、今回提案の栄養教諭制度創設の中身を検討、論議してみましたけれども、この栄養教諭制度の目的を達成するためには、単独調理方式の場合でも、食教育、指導に携わる栄養教諭と、今までどおり栄養士の業務を担う職員の、少なくとも二名以上の栄養職員が必要になってきます。ましてや、共同調理場方式では、複数の学校を抱えているため、単独調理方式以上に栄養職員を大幅にふやし配置していくことが必要になってきます。

 学校給食の現場では、どこの現場でも、O157事件以降、食の安全、衛生において従前以上に厳しい徹底管理を図ってきており、これに伴い栄養職員や調理員の業務も過密、過重になっているのが現状です。栄養職員も、調理員の補助業務、周辺業務を実際に担っているというのが現状です。

 このような現状から、栄養教諭を含め、栄養職員の大幅増がなければ、単独調理方式でも、共同調理方式でも、現場対応はかなり難しいと言わざるを得ませんというような声をいただいております。

 今回のこの法の趣旨を実現させるための大幅な人員増あるいは定数改善というものは、見込まれているのでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 栄養教諭の標準定数でございますが、栄養教諭が学校栄養職員から移行するということを基本とする特殊な事情を考慮いたしまして、栄養教諭及び学校栄養職員についての定数として算定することといたしまして、その数の算定に当たりましては、現行義務標準法の学校栄養職員に係る標準定数の算定方法を、今回、踏襲することにしたわけでございます。

 この学校栄養職員の定数でございますが、これまでも数次にわたる定数改善計画によって漸次改善を図ってきたところでございまして、現在、平成十三年度から第七次の定数改善計画が進行しておるわけでございます。これは十七年度までの定数改善計画でございますが、九百六十二人の改善増を図ることにいたしておるわけでありまして、厳しい財政状況の中ではありますけれども、私どもは、まずはこの計画の着実な推進に努めてまいりたいと考えておりますし、十八年度以降の問題がその次の課題として起こってくるわけでございます。

 今後の定数改善につきましては、一つにはこの栄養教諭制度に対する社会的な評価あるいは栄養教諭への移行の状況、それから義務教育諸学校の教職員定数の全体のあり方を今後私ども考えていかなければならないわけでございまして、そういったさまざまな観点を踏まえながら、将来的な検討課題にさせていただきたい、かように考えております。

小林(千)委員 先日の参考人にいらっしゃった香川先生の言葉をまた引用させていただきますけれども、今回、こうやって食の指導ということに取り組むことにより、もしこのままで子供たちが成人病予備軍ですとか肥満ですとか、そういった今の子供たちの食の置かれている状況がそのまま続けば、将来的には医療費は国家予算を超える百兆円を超すだろうということをおっしゃってくださっておりました。それを削減するために今回の栄養教諭制度の創設、そして子供たちに対する食の指導というものは大切なことなんだということをおっしゃっていただいております。

 百兆円を考えてみれば、大いにこれは定数改善、人員増というものも考えていくべき、考慮すべきことではないんでしょうか。

河村国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 先ほどの加藤先生のときのたばこの害も、肺がんや何かで何兆円、十兆円も医療費がかかる、二兆円の税収とどっちだという理論、全く同じような考え方でございますけれども、今回のこの栄養教諭制度をつくることによって、改めてそのことの重要性というものの認識は高まる。

 学校現場では、やはり栄養教諭でないと、栄養職員の皆様方は心の中でそういうことを非常に思っておられた。しかし、なかなかそれが発言の機会もないし、栄養職員のために、PTAを集めて親にも話したい、なかなか機会がつくれない、こういうことが随分あったんですね。

 これが第一歩でございまして、今これをつくることによって、今小林委員も御指摘のような問題が出てきますので、これは我々の方も、財政当局に対してもこの重要性を訴えながら、確保していく手だてをつくっていかなきゃなりませんし、中学校では学校給食がないところもありますから、そういうものも、これはやはりすべきだということで、全国的にもだんだん中学校で今学校給食を取り入れるところも出てまいりました。

 これは、すべからく首長さん、市長さんや町長さんの姿勢、あるいは教育長さんの姿勢にかかってまいりますけれども、このことが非常に重要だということをこれから強く訴えることができる。それによって、今いろいろ御指摘がございました点を踏まえながら、やはり今の学校栄養職員の皆さんも、チームティーチングとかあるいは特別非常勤制度で既に入っておられまして、そして非常に意欲を持って今取り組んでおられます、張り切っておられる。

 そういうことを考えますと、確かに、今までの学校給食管理と、それからまた教諭の仕事、このバランスをとりながらやっていかなきゃいけませんから、大変忙しくなる部分があると思いますね。しかし、やはりこれはやるべきことだ、こう思っておられますから、必ずその期待にこたえていただけると思いますし、それをやはり少しでも人員をふやしながら応援をしていっていただいて、願わくば、まさに日本の義務教育の一つの大きなねらいであります全国津々浦々に食の教育が行き届くようにということをさらに進めていく、まず今国会通していただくことをその突破口にいたしたい、私そう思っておりまして、我々も努力しなきゃいけませんし、その重要性を訴える、この文部科学委員会の先生方にも強烈なひとつ国民に対するアピールあるいは財政当局に向けても強い御支援もいただきたい、このように思っておるところであります。

小林(千)委員 すばらしい答弁を大臣からいただいたと思いましたし、財政確保といった点につきましては、この理念を考えて、趣旨を考えてやはり十分に確保されるべきだ。その財政確保の点につきましては、私たち民主党議員も当然協力をいたしますので、大臣にエールを送りたいと思います。本当にこの法の趣旨というものが実現をされるための法案であってほしいというふうに願います。

 何か最後にまとめていただいたような感じになってしまったんですけれども、もう一つ確認をさせていただきたいと思います。

 食育基本法案というものが今ちらちらと上がっております。私たち民主党の議員も、先日自民党の方からお話を聞かせていただく機会がありました。

 その中で、この基本法案の第二十条に、「学校、保育所等における食育の推進」といった項目があります。その中で、国及び地方公共団体の役割として、「食育の指導にふさわしい教職員の設置」、略しますが、「食育に関する指導体制の整備」「その他必要な施策を講ずるものとする。」というふうに、この中の二十条に書いております。

 今回の学校教育法、栄養教諭制度の創設とどのような関係にあるんでしょうか。

河村国務大臣 食育基本法をお進めいただいている皆さん方、どちらかというと、食の学校教育の中の視点もさることながら、いわゆる日本の食料の、安全、安心な食料確保、あるいは地産地消の視点、そういう方からずっと入ってきた点があります。これはこれで、今のを読んでいただいても、この我々が考えている学校栄養教諭制度を中心とした食教育を進める上で、この基本法というものが大きな支えになって、一つの基本線になってきて、これと相まって食教育を進めることになるであろうと思って、我々も早くその基本法ができますことを望んでおるわけであります。

小林(千)委員 この食育基本法案の中でも、栄養教諭の果たすべき役割というものは私も大変大きいのではないかなというふうに考えているところでございます。

 では、具体的な質問を二、三させていただきたいんですけれども、今回、栄養職員から栄養教諭になるに当たりまして、三年の在職年数と、それに加えて単位を修得する。一種免許の場合は十単位、二種免許の場合は八単位ということになり、それでそれぞれ一種免許、二種免許状をもらうことになるということなんですけれども、こういった研修の中で教育実習というものは行われるんでしょうか。

 といいますのも、今学校の先生というものは、小学校も中学校も高校の先生も、教諭と名前のつく方は教育実習をされていらっしゃいますね、教養課程の中で。やっていないのは大学の先生だけなんですけれども。栄養教諭と名前がつくからには、研修、あるいは免許状取得の要件の中に教育実習というものは入っているんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 学校栄養職員が栄養教諭の免許状を取得する場合には、今先生が御指摘になりましたように、大学や都道府県の教育委員会が行う講習等によりまして、一種免許状については十単位、二種免許状については八単位を修得することとしておりまして、この中で栄養教育実習、一単位程度を含める予定で私ども考えております。

小林(千)委員 教育実習一単位、何週間になるんでしょうか。実際に現場に行って行うということになるんですね。

 そうすると、それを引き受ける側はどこになるんでしょうか。自校方式の学校の調理場でしょうか、それともセンター方式の調理場なんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 一単位ということになりますと、一週間ということで、学校なり、共同調理場ということもあり得ると思っております。

小林(千)委員 だれが教えるんですか。今、栄養教諭という方は実際にはいらっしゃらないわけで、どなたが具体的に指導に当たるのでしょうか。

近藤政府参考人 確かに栄養教諭がまだ置かれていないわけでございまして、当面は教育委員会の指導主事の先生でありますとか、あるいは学校の家庭、保健等の教科担当教諭で、これまでそういった食に関する指導と申しましょうか、そういったことにかかわってこられている先生方、そういった方々の御指導を受けるというようなことが考えられるわけでございます。

小林(千)委員 当面はそういった方々が指導に当たる。ということは、当面を過ぎて、栄養教諭という方が実際に生まれてきてそれなりに経験を積んだら、今度はその人たちが後輩の指導に当たるわけなんでしょうか。

近藤政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。

小林(千)委員 そうすると、先ほどの栄養教諭の仕事の中に、教育実習生の指導というものも入ってくることになるんですね。

近藤政府参考人 そういうことが想定をされるわけでございます。

小林(千)委員 今の栄養職員の方が栄養教諭の免許を取って、実際にその現場で、この業務、今申し上げた、献立作成、栄養管理、食材管理、衛生管理、給食指導、事務処理、それに加えて教育指導、個別指導に家庭への助言プラス教育実習生の引き受け、これは実際にできるんでしょうか、これだけの業務。

田中政府参考人 栄養教諭につきましては、食に関する指導並びに給食の管理を大きな任務として一体的に扱うわけでございますので、委員御指摘のように、その中にはいろいろな任務が含まれておるわけでございますけれども、それを円滑にこなしていただくことが大切だろうと思っておるところでございます。

小林(千)委員 今のところ人員増も考えていない、定数改善というものも考えていないという中で、この法の趣旨というものがどれだけ本当に現場の中で実現をされるのかということは、私は残念ながら大きな疑問を今のところ抱かざるを得ません。先ほど大臣の方から総括の御答弁をいただきましたけれども、本当に、大臣がおっしゃったような、食に関する指導、そして将来的には日本の医療費が減っていくというような効果を引き出す子供への投資として、この新しい法案というものが実際的に機能をしていってほしいと私も願うわけでございます。

 またあしたですか、引き続き質問をさせていただくことになりますけれども、今のところまだまだ問題があるのではないかなということを最後に指摘申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

池坊委員長 次回は、来る二十三日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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