衆議院

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第15号 平成16年4月23日(金曜日)

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平成十六年四月二十三日(金曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 池坊 保子君

   理事 青山  丘君 理事 伊藤信太郎君

   理事 遠藤 利明君 理事 渡海紀三朗君

   理事 平野 博文君 理事 牧  義夫君

   理事 斉藤 鉄夫君

      今津  寛君    宇野  治君

      江崎 鐵磨君    小渕 優子君

      奥野 信亮君    加藤 紘一君

      岸田 文雄君    近藤 基彦君

      鈴木 恒夫君    田村 憲久君

      西村 明宏君    西村 康稔君

      馳   浩君    古川 禎久君

      松島みどり君    山際大志郎君

      吉野 正芳君    加藤 尚彦君

      城井  崇君    楠田 大蔵君

      小林千代美君    古賀 一成君

      須藤  浩君    高井 美穂君

      津村 啓介君    鳩山由紀夫君

      肥田美代子君    牧野 聖修君

      笠  浩史君    富田 茂之君

      石井 郁子君    横光 克彦君

    …………………………………

   文部科学大臣       河村 建夫君

   文部科学副大臣      原田 義昭君

   文部科学大臣政務官    田村 憲久君

   文部科学大臣政務官    馳   浩君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          近藤 信司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            遠藤純一郎君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        田中壮一郎君

   文部科学委員会専門員   崎谷 康文君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     吉野 正芳君

  城内  実君     西村 康稔君

  松本 大輔君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  西村 康稔君     城内  実君

  吉野 正芳君     松島みどり君

  津村 啓介君     楠田 大蔵君

同日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     上川 陽子君

  楠田 大蔵君     松本 大輔君

    ―――――――――――――

四月二十三日

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八六号)


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     ――――◇―――――

池坊委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長近藤信司君、高等教育局長遠藤純一郎君及びスポーツ・青少年局長田中壮一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧野聖修君。

牧野委員 おはようございます。民主党の牧野聖修です。

 大臣初め当局の皆さんも、そして議員の皆さんも、与野党、連日本当に御苦労さんでございます。文科の委員会は、また皆さん非常に熱心な方々ばかりでございますので、委員会の日数も大変多いような感じがしますが、ぜひよろしくどうぞお願いいたします。

 大臣、私は、今でこそ、何かのいろいろな書類に、職業の欄には職業衆議院議員と書くんです。ところが、二十年近く前まで、市会議員と県会議員をやっていたときも、私の職業の欄には、八百屋、青果業と書いていたんです。昭和二十二年に満州からうちのおやじと私どもが引き揚げてまいりまして、静岡に帰ってきてから八百屋を始めたんですね。それで、私も、どういうわけか大学卒業と同時に八百屋をやらされまして、親子二代、八百屋をやってきました。県会議員が終わるまでずっとやっていました。

 小さいころから、市場へ行き、あるいは買い出しに行き、店番をし、配達をし、おやじをずっと手伝ってきた。私も、市会議員をやりながら、市場へ行き、配達をして、店番をして、間口三間、奥行き五間の小さな店を維持しながら今日まで来ているわけですが、国会議員になってからは、八百屋はいささか時間的にもできませんので、今は衆議院議員の仕事だけさせてもらっていますが。

 ですから、今度の栄養教諭のこの法案につきましては、小さいころからの思いがございましたので、きょうはそういう思いを込めて質問をさせていただきたい、こういうふうに思ったわけでございます。

 私の家は恵まれていたと思うんですが、昭和三十年ぐらいから、静岡市立の小学校一つと、国立になりますかね、静岡大学教育学部附属静岡小学校というのがありまして、その小学校の給食と、それから養護学校と聾唖学校の、四つの学校の給食のお手伝いを、八百屋という業者の一員としてお手伝いをさせていただいてきたんですね。当時、私の小さいころ、おやじを手伝って学校へ配達に行ったり、あるいはだんだん大きくなって、中学校、高校、大学、あるいは自分が実際店をやってからも、よく給食室も行きましたし、職員室も行って、栄養の先生と話をしたりしてきました。

 たまたま市会議員になったもので、市会議員をやりながら給食の業者をやっているのはよくはないと思ったものですから、それから給食の仕事はやめたんですけれども、当時の実感としては、調理員のおばさんたちも栄養士の先生も、子供たちのために一生懸命やっているなという実感がありました。まさか先生になっていないというのは、後ほど知ったわけですね。そのときは完全に僕らは、給食の栄養の先生、こういう気持ちでした。

 その皆さんが非常に熱心にやっておられますので、八百屋というのはどちらかというと荒くれが多いんですが、もうけは別として、大体、小学校の給食にかかわっている八百屋、業者は、どちらかというと一種の誇りを持って学校給食のお手伝いをさせていただいてきたというのが現実ですね。だから、センター方式になったときは、非常に残念で寂しく、子供たちがかわいそうかなという思いが当時はあったですね。

 栄養士の先生からしょっちゅう店に電話がかかってくるんですよ、今は何が一番おいしいんですかと。そして、限られた予算の中で、どれをたくさん栄養のあるものをおいしく食べさせることができるかというのを、それは本当に真剣でしたよ。だから、我々は、仕事の合間も、栄養士の先生に呼ばれると、いつも学校へ行っては、毎週の献立づくりとか、しかも、一番困るのは、限られた予算の中でできるだけたくさん食べていただくには、相場が的確に把握できないといけないんですね。

 静岡は、室蘭本線が凍結すると、ジャガイモとかタマネギの値段が倍に上がるんですね。ちょっと雨が降ると、需給に五%の変化を及ぼしますと、価格は倍違うんですよ。ですから、もし仮にキャベツとかレタスが、注文の量が五%そろわないとなりますと、価格は、その日の相場は倍になるんですね。だから、大変なことなんです、小学校に。

 ですから、時には、小学校に給食を納めている八百屋が、市場でいつも話し合いをするわけですよ。この天気でレンコンを納めろと言われても、あした納められない、そうした場合、給食で献立をつくっても、それは、例えば五倍ぐらいの値段のレンコンを納めなければならない、困ると。そうすると、八百屋がみんなで手を回して、農家のところを回って、雨の降っている中、レンコン畑へ入ってもらうんですね。子供たちにおいしいレンコンを安く食べてもらうには、農家の皆さんにも協力してもらわなければならない。そういうときに、八百屋はみんなで努力しましたね。

 それから、一遍に小学校の献立が一緒になりますと、その日の相場は上がるんですね。そうすると、町場でやっているレストランとか料理屋、そういったところの相場がぐっと高くなって店に並べられないという状況になりますので、市場では、きょうはみんな学校給食があるので、小さい店、レストランはこれはちょっと我慢してもらうかなんて冗談を言いながら、それは本当に学校給食のためにみんな誇りを持って協力していたなという思いがあります。

 我々業者が、一生懸命、本当にもうけを忘れて協力してきたのは、調理員のおばさんたちと、それから栄養士の先生ですね、この先生が実にまじめにやっていたという、その情熱に対して、我々もほだされたというのが事実なんですよ。ですから、私は、早くこの人方が、教諭といいますか先生として、そういうしっかりとした立場で栄養の指導等に当たってくれるといいなと本当にずっと思っていました。

 私が給食に業者として裏から関係したものから思い起こせば、四十年ぐらいたっているわけです。運動としては昭和二十五年から続いていると聞きましたね。しかも、自民党の中でも、総理大臣経験者の皆さんから、大臣経験者の皆さんから、自民党を挙げて、このことの制度を早く確立しなければいけないとずっと言ってきた。野党の方は野党の方で、いろんな陳情を受けながら、大勢の皆さんと話し合いをしながら、もう何十年前から、この制度を早く確立しなければいけないと言ってきた。ところが、五十年たって、私の感覚からは四十年たって、今になってこの制度が出てくるというのは、非常に残念ですね。

 大臣、なぜ今なんですか。これだけ総理経験者からみんなが入って、与党から野党、全党挙げてこの制度に対して取り組もうじゃないかとやってきて、今ですよ。大臣、なぜ今なのか、教えてください。

河村国務大臣 牧野先生が、この栄養教諭についての思い入れの深さ、そういう御職業を持っておられたということも今聞きまして、むべなるかなと思ったんですが、私は残念ながら大変田舎で、学校給食の恩恵に浴さなかった方でありますけれども、むしろ国会に出てきてみて、改めてこの重要性を感じたというのが偽らざる思いであります。おっしゃるように、この思い、学校栄養職員の皆さんが大変自覚を持って、バランスがとれた食事は大事だということをずっとそういう思いでやってこられた、その熱意というのは我々にも伝わってきたわけです。一言で言うならば、それまで機が熟さなかった、今回機が熟したということになると思います。

 しかし、確かに最近、特にここ十年といったらいいでしょうか、この飽食の時代と言われる中で、子供たちの食の乱れというのが非常に指摘をされてきて、改めて、食べることの重要性、それから学校給食に対する認識も変わりました。一時、学校給食は必要ないのではないかという議論があって、ある町では、学校給食をやめようとした町長さんもあらわれたりなんかしたのでありますが、しかし、これはまた、教育的観点からいっても、食育という観点からいっても、学校給食はやはりここでちゃんとやる必要があるという声が非常に高まってきたということだと思います。

 そういうことで、ただ、これは栄養教諭制度という新しい制度を設けることになりますものでありますから、こういう行革の時代であって、一方では、財政当局を初めとして、これはお役所側の方でありましょうが、新しい制度をつくるということについては非常に慎重論もあったわけですね、慎重論もあった。そういう中で、まさにこのことの重要性というのがだんだん認められてきて、そしてこの制度のあり方を本格的に議論しなきゃいかぬということになってきて、保健体育審議会あるいは中央教育審議会というところで本格的な議論になったわけでございます。その結果、ここに至ったということでございます。

 確かに、そういう意味では時間はかかりましたが、今国会でこれを成立させていただいて、これまでのおくれの分をひとつ取り返す思いで、この制度を確立し、そして学校栄養教諭制度を入れることによって、食の重要性、そして子供たちのこれからの未来にとって大きな役割を果たすように制度をきちっとしたものにしていかなければいかぬ、こういう思いで取り組んでおります。

牧野委員 大臣の答弁の趣旨はよくわかります。

 もう一点、このことについてもう一言だけいただきたいんですが、右肩上がりで財政が伸びてきている、そういうとき。それから、公害が発生して食の危機が叫ばれたのはもう三十年も前の話ですよ。この運動はもう五十年前から続いている。今は財政危機ですよ。義務教育の国庫負担制度すら崩壊の憂き目に立たされているときですよ。このとき、新制度の樹立ですね。僕はこれはいい法案だと思っていますよ。ただし、なぜ今なのか。財政が潤沢で伸びてくるときにその制度を全然やらずに、公害と食の危機はもう三十年から言われているときに、運動としては五十年前からやっている、それで、財政が一番厳しくなった、義務教育の国庫負担制度もつぶそうとしているときに、なぜ今なんですか。

河村国務大臣 実は、ちょうどこの時期に法案になりましたが、この問題を本格的にやらなきゃいけないというのは、町村大臣の当時、町村大臣が最初の大臣の当時に、保健体育審議会でこのことをきちっと明記され始めたということがございます。それから、私が中曽根大臣のときの総括政務次官のときに、文部科学省の方も腹を決めたということがございます。したがって、それからでも三年かかっておるわけでございます。

 それで、ちょうど今、まさに義務教育費国庫負担制度が取り上げられているときに重なったということでありますけれども、しかし流れとしては、これはもうほっておけない、やはり子供たちの未来を考えたときに、この食育というものの重要性といいますか、食文化を大事にしなきゃいかぬということは、そういうものを乗り越えていかなきゃいけない課題だという方向になったと思いますね。そして、与党だけじゃなく野党の皆さんもそういう思いで盛り上げていただいた、それがたまたまこの時期になった、私はそう思っております。

牧野委員 それでは大臣、大臣は、食が乱れて、食の危機が出てきて、今日のような大変な状況になってしまった一番大きな原因は何だとお考えですか。

河村国務大臣 一義的には、私は、やはり今のライフスタイルといいますか、そういうものが大きく影響しておる、こう思うわけです。

 これは一つは、やはり家庭教育の中にも大きな原因がある。結局、経済発展とともに、経済に巻き込まれて、父親も母親も外に出て働かなきゃならぬという状況の中で、一家の団らんとかそういうものがだんだん時間的に少なくなっていったというようなこと、そのためにできるだけ外食、あるいはよく言われるファストフードというんですか、そういうものに頼るような状況が出てきた、そのために正しい食事というものに対する意識が非常に希薄になってきた、こういうものから、今こういういろいろな問題が起きておるんだと思いますね。

 現実に、アメリカあたりでは、家庭の崩壊もふえておりまして、朝食にも学校給食を取り入れなきゃいけない地域があると伺っておりますが、そういう流れがある。日本もそういう流れの中であるものでありますから、そういうものにやはりもっと警鐘を乱打しなきゃいかぬという思いも根底にはあったと思います。

 食の乱れというのはまさに近年のライフスタイルのあらわれ、核家族化、いろいろな社会現象の中でこうした食の乱れということが現実問題としてあらわれてきた、このように私は思っております。

牧野委員 大臣の答弁の中にも若干のお気持ちは触れられていたかとは思いますけれども、この食の乱れ、食の危機は、家庭で子供に教えるだけではどうすることもできない、実は構造的な問題になっているんですよ。そのことも触れないで、この食の危機に対して日本人を守っていくというこの大きな命題を、学校の教育の現場で、しかもほんのわずかの方々に全部お願いをして、この食の危機を克服していく、その課題が全うできるというふうに考えること自体が無理ですね。私は無理だと思うんですよ。

 それで、食に関する指導体制の整備答申、平成十六年一月二十日、中央教育審議会、この答申の文面をさっと読ませてもらったんですが、「基本的な考え方 食に関する指導の充実の必要性」、二ページの真ん中辺からこういうふうに書いています。「外食や調理済み食品の利用の増大」、一行飛ばして、「食品の安全性に対する信頼が揺らいでいる中、食品の品質や安全性についても、正しい知識・情報に基づいて自ら判断できる能力が必要となってきている。」

 簡単に言うと、大気汚染で暑くなって、これから大変だから、暑くなる大気に負けないように丈夫な体をつくれと言っているのと一緒ですね。社会が不安になってきて、泥棒がいっぱい出てくるから、盗まれないように注意しろというのと一緒なんですよ。大気が暑くならないようにする、泥棒がふえないようにするというのが一番大切なことなんです。それに触れていない。

 続いて、食生活は子供の身体的発達のみならず、精神や社会性の発達など、心の成長にも大きな影響を及ぼすものであり、家族が一緒に食事をとるとか、社会環境の変化や、外食や調理済みの食品の利用の増加などの食品流通の変化等を背景にして、食生活のあり方も大きく変化し、とありますね。

 これは大臣、一番大きな原因は、企業の雇用の形態、企業の中身が大きく変わってきたから、こういうふうに家庭がそれに準じて崩壊をするような状況になったんです。

 この答申を見ていると、食の危機とか食の乱れ、これを克服するためには、家庭と学校と地域が協力して、しかも、教育という、給食という特化した現場を利用して克服していかなければいけないということにこの答申は終始している。企業の責任、企業の協力、そういったものが全く触れられていない。

 その点について、大臣、どう思いますか。

河村国務大臣 中央教育審議会はまさに教育改革の問題を議論するところでありますから、大きな要因としては、おっしゃるような問題があろうと思います。核家族化の進展、共働きの増加、社会環境の変化、こうした中には、確かにおっしゃるように、企業がパートをふやしていく、そういうようなことでどんどんそこへ吸収されるということの中で、家庭を構築していく上でそういうものが一家団らんの機会を失っていったということも当然あると思いますね。

 一家団らんの機会が少なくなったとか、そういうことはありますが、そのさらに奥の企業云々の責任とかなんとかまでは触れていないといいますか、確かにおっしゃるように、この議論の中でそこまで、そのさらに次の背景までは述べておりませんが、我々政治家はやはりそういう大きな視点に立たなきゃいけませんから、牧野先生おっしゃるような指摘というのは、当然そういうものが前提にあるんだ、私はこう理解をしておるわけでございます。

 確かにそういう意味で、その中において、教育的見地から学校給食を中心とした食教育、あるいは安心、安全な、さっき私の答弁の中で漏れたと思うんですが、やはりこの時期になったというのは、一つは、食の安全という問題もどっと出てきたわけですね、あのBSE問題等々に端を発して。これは大変だという国民的な大きな声というのも、この時期にこの問題が強く歓迎されるというか、これは必要なことだという国民の声になっておると私は思います。

 しかし、それには、確かにおっしゃるように、経済的な変化とか社会の変化とかそういう大きな背景があるということ、この視点も当然なければいけない、私はそう思います。

牧野委員 学校教育を通じて子供に食の安全に対することを教育して、そして子供たちに、身を守りなさい、そしてだんだん大きくなっていったら、自分が親になったときにはやはり子供たちに、家庭を守るために今これから勉強していくことをもとにして安全な食生活をやりなさいよと。大臣、この方法では二十年間かかります。

 企業に協力を求め、企業の自覚を促し、営利だけの目的じゃなくて、本当に子供たちの健康とか栄養とかそういったものを真剣に、ただ売れればいい、ただおいしければいいということではなくして、企業にその責任を明確にして協力を求めたら、二年でできるんじゃないですか。私はそう思うんですけれども、どうですか。

河村国務大臣 私は、これはなかなか難しい問題だと思いますね。

 食の乱れというのが、相当な時間かかってきたことも事実でございますけれども、だから、これを取り戻す意味で、極めて不透明な部分があって、確かに企業が協力してくれることも大事だと思います。例えば、家庭生活というものをもっと重視するような仕組みをとってもらいたいし、育児休暇等についてもきちっととってくれる、やはりそういうことを求めることも私は必要だと思います。そういう社会体制をつくっていくということ。

 しかし、現実問題として、子供たちに望ましい食習慣をつけるということそのものは、直接的には家庭の父親や母親の自覚の問題がある、それから学校教育で、給食できちっとそういうものにしていく、そういうものが直接的にあって、その後ろにそういうことがやりやすい環境をつくる、それには企業の協力も要るんだということ、これは私は、大事な視点だ、そう思います。

牧野委員 大臣が私と認識を同じくしているということを答弁の中で言っていただけるので、それ以上の質問は遠慮させていただきますけれども、製造と加工と流通、流通の過程の中の加工、それから販売、販売直前の加工、あるいは残品に対する加工、そしてまたそれの販売、これはあくまでも企業側の責任ですよ。これが食というものをゆがめてきているほとんどの原因なんですよ。

 それで、いまだに、これだけ栄養とか教育の問題、環境の問題が出てきても、今、現に社会にいる人たちそして子供たちは、選択しているような錯覚は持っているんだけれども、実際には選択していない、与えられた中から選択しているんですね。現実はいまだにそうなんですよ。

 だから、私は、この栄養教諭の問題はいいことだと思っていますから賛成したいと思っていますので、その点については異を唱えるものじゃありませんけれども、それだけでは何の解決にもならないということを声高に言わせていただきたいと思います。

 ですから、この法案を新制度としてここで出す以上は、文部科学大臣として、厚生とか、あとのいろいろな、閣議でも、総理からすべての皆さんに、今言った国民運動といいますか、これは正直言って、閣議を挙げて、国を挙げて取り組むべき性格の問題だと思うんですよ。ですから、大臣、率先して、今言いましたように、本当の原因、根本的な原因を突き詰めていただいて変えていく、そのことにぜひとも御尽力をくださいまするように、よろしくお願い申し上げます。

 それで、薬学の方もありますので、時間がなくなっちゃったので、ちょっと要望だけさらっとさせてもらいたいんです。

 もう各委員の皆さんが本当に細かいところから質問をされておりますし、我が党では、肥田美代子先生等は専門家でございますし、御自分の立場でありますし、三井辨雄さんや大勢の皆さんからもいろいろと私も御指導いただいて質問の準備はしてきました。でも、大勢の皆さんがいい質問をされましたので、現時点では後の、次の方にお譲りをしたいと思います。

 私が大臣に一つだけお願いをしたいのは、お医者さんや歯医者さんと違って、私の感覚でいくと、薬剤師さんは地味だね、どっちかというと。地味で、みんなまじめな、地域では人望のある人が多い。それから、薬剤師さんになるにはそれだけの努力をしている。今度は六年かかるわけですね。

 ところが、いまだに、薬剤師の免許を持った人で、三十数%はその職についていない。地域では、昔は立派な薬屋さんだったんだけれども、最近はそれもままならず、日用雑貨を売って終わっているという薬剤師さんが本当にいるんですよ。それが、今度は六年も一生懸命勉強した人が、また、今は薬剤師さんも人気が高くて大学もどんどんふえそうでございますけれども、いずれまた、今の歯医者さんと同じような状況が来ないとも限らないんですね。

 そうすると、六年に期間を延ばして、それだけ一生懸命勉強し、研究してもらおうとしても、余ってしまってその才能を生かすことができないということになってしまったら大変残念なことですから、今いる薬剤師さんも、あるいは最近、静岡では、歯医者さんが夕方になるとガソリンスタンドでアルバイトをやっているという姿があるんです。その人は好きでガソリンスタンドでアルバイトをやっているんだよ、僕が知っている人で。でも、あれだけ勉強して資本をかけてやってきた人が、今、お客さんが来ないからといって、歯医者さんもガソリンスタンドでアルバイトをやっているんだよね。いや、笑い事じゃなくて。

 僕は、薬剤師さんも、六年間の勉強になっても、そういう単なるドラッグストアの横の方で小さなトイレットペーパーを売っているだけの薬剤師さんになったら、本当に日本にとって損失だと思っているんですよ。だから、絶対そういうことのないように、ぜひぜひ大切な社会にしてくださいまするように、要望としてお願いをいたします。

 それから最後に、時間が来ましたので、学校教育の中でぜひお願いしたいのは、栄養のことについて、あるいは食の危機の中から自分たちを守っていくということも勉強で教えていただきたいんですけれども、先進国家が、我々の持っている食生活がゆえに、どちらかというと低開発国といいますか、本当に厳しい、最貧状態にあるところの皆さんの貧困をさらに我々の食生活が助長させているという大きな原因になっているわけですね。

 穀物一つとりましても、十八億二千万トン生産している中の半分は、二割の人が先進国で消費している。その消費している半分の穀物の八割は家畜用に我々は使っているんですね。釈迦に説法で申しわけないけれども、一キロの牛肉を得るために八キロの穀物を消費しているわけですよ。一キロの豚肉をつくるためには四キロの穀物を消費している。一キロの鶏の肉を得るために二キロの穀物を消費しているわけですね。ところが、貧しい国々はその穀物を主食としているんですよ。

 にもかかわらず、六十三億いる、地球で生きている人類が六十三億ですが、そのうちの九億人は、あす命がわからないという飢餓状態に立っていますね。一日、国連の統計では三万六千人が餓死しているんです、毎日。しかも、その中で二万六千人の子供が毎日毎日餓死しているんですよ。そういう問題に我々日本が責任がないとは言えませんので、どうぞ大臣、教育の現場でそういうこともぜひお触れをいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

池坊委員長 笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。大臣、どうも御苦労さまです。

 私も、食育、給食のあり方、そういった点についてちょっと御質問をさせていただきたいと思うんです。

 私も、三十年ちょっと前、初めて給食を食べたわけですけれども、当時は、よく学校で何の時間が一番楽しいかと言われれば、私もそうですけれども、ほとんどの友達が給食の時間だと。学校の先生を囲んで非常に楽しいひととき、給食を食べに学校に行っていたような記憶があるんです。

 その中で、もともと給食というのは、貧しい、貧困な子供たちをどうしていくのかというような救済的な意味合いからスタートした制度であると理解をしているんですけれども、やはり、物が豊かになって、そしてどんどん時代が移り変わっていくに従って、給食の意義というのがかなり変わってきたんじゃないかと思うんですね。

 例えば、みんなで一緒に食事をする、そしてその中で、当然ながら、いただきますと感謝をしてしっかりと食事をする、そして、ごちそうさまでした、そういったことが当たり前の時代でした。やはり食べ物に対する感謝の気持ち、あるいはそれをきちんと自分の口にするまでにどれだけの方々が手間暇をかけられているのか、あるいはその食材についてどういう方々がつくり上げられているのか、そうしたことを含めて、年間、大体、今で百八十時間から百九十時間でしょうか、本当にこれは授業と言ってもいいくらいの大事な場であると思うんですね。

 それで、最初にお伺いをしたいんですけれども、大臣自身、給食の意義というもの、外国は選択制ですけれども、日本の場合は、小学校で給食が実施されているのは一〇〇%近い、これは数少ない、誇れる、物すごく大事にしていかないといけない制度であると私は理解をしているんですけれども、大臣、給食の意義というものについて、まずお考えをお聞かせいただければと思います。

河村国務大臣 ほとんど、今、笠先生から学校給食への思いを語っていただいた、その中に意義が含まれているように私も感じながらお聞きをしておったのでありますが、おっしゃるように、学校給食は、確かに義務化ではありませんけれども、公立では、小学校では一〇〇%近くまで、ほとんどの学校がやっている状況ですね。それから中学校、義務教育段階において、中学校が七割弱という状況下にあります。そういうことで、子供たちも今学校給食を楽しみにしている状況になって、本当に普及をしてきておるわけであります。

 ただ、これはしかし、学校の給食ですから、その中にはやはり教育的な意味というのも非常に含まれておる。特に、子供たちにバランスのとれた食事をさせる、とらせるということが非常に大事だということ。そして、食習慣をちゃんとつけさせるということ。そして、その中で、食事のマナーといいますか、ちゃんといただきますと言って、感謝の気持ちを込めて、その中には、食物をつくっている人たちへの思いとか、そしてきょうもちゃんと食事がとれますという思い、そういうものを込めた、そういうマナーをつけさせる。それからあと、食事が終わったら後片づけに参加をさせるとか、そういうことをきちっとさせる。そういうことで、協同、協調の精神もそういうところで身についていくだろうという期待がございます。そういう、特にしつけという面から、学校給食の意義というのは非常にあると思いますね。

 それから同時に、地産地消からも言われますけれども、地域の産物であるということ、これをできるだけ重視しようという今動きでありますが、その中に日本の伝統的な食文化というものもあるんだ、こういうことも学んでもらいたい、こう思っております。

 先ほど牧野先生とのやりとりの中でも申し上げたんですけれども、飽食の時代になってきて、食べることはもう大丈夫だからというような感じが一時、学校給食にもありました。学校給食をこの際廃止したらどうだという議論をする人もあったんですけれども、食の重要性を改めていろいろな方面から指摘されてみると、やはり学校給食においてその意義づけをちゃんとして、これもまた意義があるものだという国民的な意識というものが改めて起きてきた、こう思っております。

 まさに、学校給食を中心として、食に関する指導をさらに充実していくことがこれからの子供たちにとって非常に意義のあることだ、こういう認識のもとに今回の法案を出させていただいておる、こういうことでございます。

笠委員 そこで、今大臣がおっしゃった、今回この改正案を出されたという意義についてもあわせてお話があったわけですけれども、今、給食というものが、先般来の質疑の中でも出ていますけれども、自分の学校できちんと調理場を持ってやっているところから、あるいはセンター制、そして民間の委託といったところにまで、数々、それぞれ多様な形で運営をされているわけです。これは地方自治体の財政的な負担というものもございますから、なかなかすべての学校に、今、少子化の時代で、一番望ましいのは、私は、それぞれの学校で、見えるところできちんと調理がなされて、そして給食が行われるということがベストではないかとは思うんですけれども、実態としてそれは難しいという部分があるんでしょう。だからこそ、学校給食の安全性の確保をどうしていくのか、教育の現場であると同時に、やはり安全であるということが非常に重要だと思っているんです。

 例えば、ここ十年ぐらい、O157の事件というものもあったんですけれども、学校給食の場で、例えば食に関する事件というようなものがどれくらいあったのか。その点、事務方の方で教えていただきたいんですけれども。

田中政府参考人 ここ十年間の、学校給食を原因といたします食中毒発生についてお答えをさせていただきたいと思います。

 平成六年度から平成十五年度までの十年間におきまして、学校給食におきます食中毒の発生件数が百八件ございました。この食中毒にかかった児童生徒数が三万二千二百八十五人と報告されておるところでございます。特に、平成八年度には、O157によります食中毒にかかった児童生徒数が七千百七十八人おりまして、このうち五人の子供さんは亡くなられておるというような状況にあるわけでございます。その後は、年々、発生件数それから食中毒にかかられた児童生徒の数も減少傾向にあるという状況になっております。

笠委員 これは大変な人数ですね。中にも、亡くなられた方までもがいるということで。

 先ほど、O157で本当に残念ながら命を落とされた生徒さんまで出たという、これは大変な事件だったわけでございますけれども、このことを受けて、今減っていったと言っていますけれども、相変わらずなくなっていないわけですね。その再発防止に向けては、文科省としてはどういう取り組みをしてきたんでしょうか。

田中政府参考人 文部科学省におきましては、御指摘の平成八年のO157によります食中毒事件を契機といたしまして、学校給食衛生管理の基準というものを策定させていただきまして、食品の適正な温度の管理でございますとか、汚染作業区域と非汚染作業区域の明確な区分といったことをきちんと分けてやるようにという指導をしておるところでございます。

 それと同時に、学校給食施設につきましても、調理機器・器具から床に水を落とさない構造にするドライシステム化の推進を図るために、ドライシステム化推進事業といった施設設備面での改善事業にも努力をしているところでございますし、先ほど申し上げましたような基準の徹底と申しますか、きちんとマニュアルに沿った厳正な点検をしていただくというような観点から、学校栄養職員の方々等に対して研修も実施してきておるところでございます。

笠委員 そう驚くようなことはないですね。当たり前のことを当たり前に指導した。

 なぜ私が今こういうことを聞いているかといいますと、やはり今回、栄養教諭という制度が創設をされたときに、先般来指摘されていますけれども、非常にまた役割がふえていくんですね。そういうときに、一番大事な命にかかわる、まさに健康にかかわる問題、この問題をしっかりと今まで栄養士の方々が十分注意をされていた、そしてさまざま努力をされていた、そこに仕事が、負担がふえていくわけですね。そこで、果たしてこうしたことについて、行き届いた、さらに徹底をされたような対策というものがなされていくのかどうか、ちょっと私、非常に危惧をしているわけでございます。

 その点について、例えば、センター化とか民間委託というものが若干ふえていく状況に今後もなっていくと思うんです、子供たちが少なくなっている中で廃校に追い込まれるような時代ですから。やはり地方自治体は効率を求めていきますから。一方で、栄養教諭というものを一校に一人義務づけているわけでもない、そこは地方自治体の判断にゆだねているという中で、そうしたところで果たしてこの制度というものが本来の目的をきちんと達成していくことができるのかどうか。その環境づくりというものをもう少し具体的にビジョンを示してあげないと、これはなかなかわかりづらいなという気が私はしているんですけれども、その点、いかがでしょうか。

田中政府参考人 御指摘のように、学校給食の業務の運営に関しましては、臨時行政調査会等の指摘も踏まえまして、昭和六十年に文部科学省としては通知を出しまして、学校給食の質の低下を招くことのないように十分配慮しながら、パートタイム職員の活用でございますとか共同調理場方式の採用とあわせまして、調理業務の民間委託等の方法によりまして運営の合理化を推進するよう各都道府県を指導してきておるところでございます。

 その中で、御指摘の安全確保につきましては、外部委託の場合におきましても、この安全確保を業者にすべて任せるのではなくて、学校栄養職員等その学校の設置者が、食材の調達から保管、調理、配送といった一連の過程を日常的に厳正にチェックでき、そして必要に応じて業者に改善を命じ得るような体制をきちんと確保しておく必要がありますということを指導させていただいておるところでございます。

 御指摘のように、学校栄養職員が栄養教諭になることによりまして、この安全確保に関しましては、これをおろそかにすることのないように、やはり厳正な安全確保をしていく必要があるわけでございますけれども、そういう中にありましても、献立のコンピューター等を使った合理化等を図りまして、私どもといたしましては、ぜひ直接子供たちに食の指導に携われる時間を生み出していただきたいというふうに考えておるところでございます。

笠委員 私は、やはりそれだけのことをやらせることは物理的に無理だと思うんですよ。

 むしろ、これは栄養教諭をつくったから解決をされるということではなくて、本来、今、栄養教諭というものがなくても、しっかり学校を挙げて取り組んでおられるところもたくさんあるんですね。要するに、各担任の先生ですよ。給食を一緒に食べるのだって担任の先生ですし、一人一人の性格を一番わかっている、本来わかっている立場というのは担任の先生でしょう。そういう方々をどう指導していくのか。あともう一つは、当然家庭、親の教育、そういったところが、今回、制度の改正というものが行われているわけですけれども、そこのビジョンというか、どうやっていくんだというものが見えてこないところに非常に残念な部分が感じられるわけですね。

 その点について、大臣の御見解をちょっとお伺いいたしたいと思います。

河村国務大臣 これからいわゆる食育というものが学校の中にきちっと入ってくる、この認識を校長以下それぞれの担任を持つ先生方、学校全体がきちっと持っていただく必要があると思いますね。学校栄養教諭制度ができたからもうそれでいいんだということでは決してないと私も思います。

 ましてや、学校栄養職員の皆さんはそれだけの仕事がふえる、確かに忙しくなるわけでありますから、食のコーディネーターといいますか専門家として学校全体の企画をしていただく、その中心的役割を果たしていただかなきゃなりませんけれども、それについては、校長を初めとする皆さんがそれをきちっと一体となってやる仕組みをどうしてもつくっていく。このことは、この法案成立以降、実際実施に移していく段階で、きちっとした通達なり、そうしたいわゆる連絡会議などを持ちながら、そのことを周知徹底していかなきゃいかぬだろう、私もそう思っております。

笠委員 私も、今大臣もおっしゃったんですけれども、そのとおりにいけばいいんですけれども、やはり今、都道府県を含めて非常にお金のない中で、こういう制度ができても、それを実際に導入するのか、置くか置かないかというものはあくまでも設置者にゆだねられているわけですから。

 これは、ちょうど食に関する指導体制の整備答申が出た一月二十日の前後の読売新聞で、独自に各都道府県の教育委員会に今回の改正というものはどうだというような何か取材をしているんですけれども、その中で、十六都道府県の教委が、教諭新設というのは不要だ、現実、配置は困難だ、今でも学校栄養職員が教員と組んで授業を行ってやっている、あるいは、県の負担を考えると栄養教諭をふやしていくのは困難、あるいは、お年寄りに教えてもらい栄養職員が説明している、わざわざ制度化する意味がわからないと。これは言いわけかもしれませんけれども、こういった形でかなりの自治体が、実際にはなかなか、栄養教諭という制度が創設をされたとしても、それについては消極的、及び腰な態度を示しているというような記事が出ているんです。

 こうした制度を創設するに当たって、実際、各都道府県の教育委員会なりの意向というもの、実態というものを把握されておりますか。

田中政府参考人 各関係団体の意見の聴取でございますけれども、今回の栄養教諭制度の創設に当たりまして、中央教育審議会において審議が進められてきたわけでございますけれども、その中におきまして関係団体からの意見聴取をしておるところでございます。その中には全国都道府県教育長協議会も含まれておりまして、そういう中で栄養教諭に関してどのような御意見があるのかお伺いしながら、特に都道府県教育長協議会におかれましては、栄養教諭の免許制度の創設に当たってはこういうことについてさらに検討を深めてほしいというような要望も来たわけでございまして、そういうものも含めまして検討を進めたところでございます。

 なお、委員が御指摘なされました報道でございますけれども、これに関しましては、そこに名前の挙がっておられる県の教育委員会に、私どもといたしましても、これはどういうお考えなんでしょうかということでお問い合わせをしたわけでございますけれども、だれが答えたのかわからない、あるいは、違う窓口で答えたようであるというようなお話がございまして、各県教育委員会からは、少なくともこれらがそれらの県教育委員会の意見ではない、自分たちとしては肯定的な意味で答えたというような県もあったところでございます。

笠委員 それは当たり前ですよ。文科省が問い合わせをして、例えば、今私が話を伺って思ったのは、今、新聞に報道されたようなところに問い合わせをしたと言うけれども、それ以前に、記事が出たから聞いたと、文科省から問い合わせが来れば、さあ、だれがと。監督官庁ですから、それは当然ながらそう答えるでしょう。

 そうではなくて、この以前に、記事なんかが出る前から意見を聞いたと言っているけれども、その上で答申が出て、そしてその上でさらに報道でこういうことが、これは多分本音だと思いますよ。とってつけたような理由が、やはり、お金もかかるし、設置したくないところもあるわけですよ、置きたくないところが。トータルでふえていかないわけですから。そういう実態があるのに、本当にこの改正案というものが、私、いいんですよ、栄養教諭の創設自体に反対しているんじゃないんです。問題は、そういう制度をつくっても、それがしっかりとした機能をするかどうかというところが、その点を文科省としてどう考えているんだ、その部分についてどういう指導力を発揮していくんだというお考えを、ちょっと大臣の方から聞かせていただきたいと思います。

河村国務大臣 この辺になりますと、国の役割、地方分権、地方主権時代の地方の役割の問題、こういう問題が必ず出てくるんですね。文部科学省がどこまで指導するんだというような話になります。

 しかし、これはやはり子供の、場合によっては食の安全ということは命にもかかわる問題、まさに子供を育てる上で非常に大事なことだし、これは子供だけじゃない、大人社会だって食べることがいかに重要かというのはみんな認識しておられます。

 そのことと、やはり財源の問題もあります。こういうことが現実に表に出てくると、義務教育費国庫負担制度のあり方もきちっと方針を出さないと、地方に全部任せる、そういう気持ちは我々なきにしもあらずだけれども、こういう問題が出るわけですね、財源はやはりちゃんと伴っていかなきゃいかぬということがございますから。その辺が今の三位一体論の中でもはっきりしないということもあって、地方は不安に思っておられる点がそういうところへ本音として出てきたと思います。

 しかし、私は、根底的には、食の安全はどうかと言われたら、いや、それはちゃんとやっていますからいいと言い切れるべきものなのか、もっとこれを強めましょうということに対して、いや、うちはいいですと本当に言えるものなのか。これは、担当者の思いと、財政当局、恐らく財務担当の辺に行くとこういうことが出るかもしれぬけれども、しかし、実際に学校給食を直接担当している皆さんはこのことについて理解があると私は思います。

 私は、今回法案を通していただきましたら、衆議院、参議院でこれだけ熱心な議論をいただいた、全部と言わないまでも、主な議論の抜粋なんかでもつくって、こういう議論を経てこうなっているんだということを担当者の皆さんに理解をいただく努力は当然我々しなきゃいかぬと思いますね。この重要性というものを、そしてそれをきちっと位置づけてもらいたいということは、徹底しなきゃいかぬ課題だと思いますね。

 そんな中で、各県はどういう取り組みをしているか。もしそれが十分でないところに対しては指摘するぐらいのことは我々中央の教育センターとしての役割ではないか、こう思っておりますので、おっしゃる点については、このことを徹底するように最大努力するべきだ、こういうふうに思います。

笠委員 やはり私は、今大臣が御指摘された、確かに地方にどこまで任せるのか、国がどこまで口を出すのか、本来的には、口は出さない、金を出す、これが基本精神だと思うんですね。ただ、ただ単なる、金だけ出すといっても、もちろんそれは、お金を出すからにはしっかりとした結果を出してもらわないといけないという、トータルな教育行政、ここの監督をしていく役割が当然ながら文科省にあるわけでしょうから。

 これは地方でも一緒だと思うんですね。地方にも財政当局がある、そしてやはり教育をしっかりとやっていきたいという、まさに国の構造と同じだと思うんですよ。それは大臣が財務省とどこまでかけ合って、もうたくさんむだ遣いしているんですから、いいんですよ、かけるべきところには。やはりどれだけお金をかけられるかというのが大臣の力量でもあるわけで。

 この給食の面一つとっても、例えば、昭和六十年でしたか、「学校給食業務の運営の合理化について」という、文部省体育局長から各都道府県教育委員会教育長あてということで、先ほどのパートタイム職員の活用とか共同調理場方式の採用とか民間委託の実施とか、給食の本来のあるべき姿とは違って、総務省や臨調あたりからの、とにかく合理化しよう、社会全体を合理化していこうという流れの中で、そこに、嫌々かもしれないけれども従わざるを得なかったというところで、ともすると、教育の面、この義務教育という大事なものがおろそかになってきた。ほかのものとやはり全然違うと私は思うんですね。そうしたところで、文部省、文科省というものは果たしてこれまで何をやってきたんだ、そういう不信が非常にあるわけでございます。

 先ほど大臣、牧野委員の指摘に対して、おくれを取り戻すとおっしゃったわけですけれども、であるならば、来年度の予算の話なんかもまたかかわってくる話でございますので、せっかく学校の食育あるいは食の安全、こうしたものを充実させていくというのであれば、そういうまた一段と踏み込んだ大臣なりのリーダーシップ、とってくればいいですよ、財務省からお金を。ちょっとそれぐらいの御決意をぜひ。

 それで、理想型でいえば、各学校に一人、こうした栄養教諭というものを配置したいのか、置いてもらいたいのか、そこあたりのお考えを聞かせていただけますか。

河村国務大臣 せっかくこの学校栄養教諭制度を今回お諮りし、成立させていただくお願いをしておるわけでございますが、それについては、これまでの議論をお聞きいたしましても、大方の皆さんが、これはしっかりやろう、応援します、野党の皆さんもそうおっしゃる問題でありますから、これは全会一致の形の中で進めていかなきゃならぬ。そうすると、食育をきちっと位置づけるという大事な課題でもありますから、これはやはり、国もそのことを、政府を挙げて体制をとっていくべきだと思います。

 おっしゃるように、本来必置すべきものが、残念ながら必置にはなっていないということであります。学校給食そのものが義務化でないというスタートもございました。それから、地方の役割分担ということもあって、ある程度地方にゆだねなきゃいけないものもありますから、これを強制的にできないという部分もございますけれども、この制度をつくっていく以上は、これは本来必置すべきものなんだという基本的な意識を持って進めていく必要がありますから、今後、まだ十分でない学校栄養教諭をどうやって育てていくか、ふやしていくかということにも本気で取り組まなきゃなりません。

 私は、先ほど牧野議員からも、各関係省庁にも協力をいただかなきゃならぬ、企業にとっても、一家団らんができるように食生活の大事さというものをもっと意識してもらわなきゃ、企業だって必要なんだというような話がありました。こういうことも含めて、この法案が成立いたしましたら、閣議なり閣僚懇談会なりできちっとこの意義というものをもう一度私から総理にも直接言いまして、改めて国を挙げての体制がとれるように、当然、閣僚会議等には財務大臣も出ておられますから、改めて我々は強い決意でこれはやるよという意思表示をしなきゃいかぬ、このように今心に決めておるわけであります。

笠委員 今大臣がおっしゃったように、給食そのものが、本来、義務的なものではないと。けれども、それが小学校においては一〇〇%近い実施をされているということは、やはり給食というのが大事なんだという一つの国民の合意があるんですね。だから今これだけの普及をしているということですから、その給食の場というものが、教育的にも、あるいは食というものをさらに具体的に学んでいく場としてもこれ以上の場はないので、しっかりと充実をさせていただきたい。

 それで、ちょっと時間があれなんですけれども、一つ、今回、栄養職員を教師、教諭にするというに当たって、これは栄養教諭に限らないことなんですけれども、まさしく今、教師の質をどう高めていくのか。やはり教えることというのは必ずしも食に関する知識があることとはまた違うと思うんです。今現在の栄養士の方が教諭になるときに、管理栄養士で十単位、そして栄養士で八単位の修得で免許が取得できるというようなことになっているんですけれども、この十単位、八単位というものの具体的な、どういうことを教師としての資格、要件、能力を身につけるために教えようとしているのか、あるいは学んでもらおうと思っておられるのか、ちょっと簡単にわかりやすく御説明いただけますか。

田中政府参考人 学校栄養職員の方々は、栄養に関しては高い専門性を持っておられるわけでございますけれども、教育に関する資質ということで、例えば、子供の発達状況、日々の子供の行動というようなものに関する理解、あるいは教育の意義あるいは教育の今日的課題に対する理解、また子供の心理と申しますか、教育的配慮を持って子供に接する接し方といったような中身、それと同時に、栄養に関する内容を教えるに当たってどういうふうに教えればいいのかというようなことで、一種免許状にあっては十単位、それから二種免許状にあっては八単位の単位を修得していただこうと考えておるところでございます。

笠委員 ちょっと時間がなくなりましたので要望しておきますけれども、やはりこれは研修もしっかりと義務づけるぐらいでやっていただきたい。もちろん、最初、なるに当たっての研修もあるでしょう、十年ぐらいの研修もあるでしょう。こうしたこともしっかりと取り組んでいただいて、やはり教える立場としての質というものの確保にぜひ努めていただきたいということを申し上げたいと思います。

 最後に、もう時間が来ましたので終わりますけれども、この制度は、制度ができたから充実をするということではありません。あくまでもこの制度が生かされるような環境づくりを、しっかりと指導力を持って、大臣、その指導力を発揮されることを切にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

池坊委員長 高井美穂君。

高井委員 民主党の高井美穂です。

 引き続いて、きょうは、学校栄養職員の件に関して、そして学校給食について大臣にお伺いしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

 早速ではございますが、学校栄養教諭について、栄養職員と学校栄養教諭とで仕事の中身、待遇が具体的にどのように変わってくるのか、お教え願いたいと思います。

田中政府参考人 学校栄養職員の方々は学校給食に関します、給食の献立の作成でございますとか衛生管理といった学校給食の管理、これを担当するわけでございますけれども、栄養教諭はこれに加えまして、食に関する指導に当たっていただくということでございます。

 また、栄養教諭に関しましては教育公務員ということで位置づけさせていただいておりますので、例えば、他の教員と同じように、その職務を遂行するために常に研究と修養に努めなければならないといった、栄養教諭に関しては研修の、常に自分がやらなければならないという義務がかかってまいりますし、また、栄養教諭になるためには栄養教諭免許状を取得しなければならない。

 それから、これは教員でございますので、例えば採用に当たりましても、一般の職員は競争試験によって採用されるわけでございますけれども、教員につきましては、教育公務員特例法によりまして選考によって採用されるというようなことがございまして、そういうような身分の違いが生じてくることとなっております。

    〔委員長退席、青山委員長代理着席〕

高井委員 学校栄養教諭になれば人確法は適用されるというふうに考えてよろしいんですね。ということは、具体的に、待遇というか給与の面においてもやはり少々差が出るというふうに考えてよろしいんですか。確認をお願いします。

田中政府参考人 給与につきましても、教育公務員となりますことから教育職給料表が適用される、それと同時に、義務教育等教員特別手当でございますとか教職調整額が基本的に適用になるということで、若干給与が上がるということが想定されるところでございます。

高井委員 私は、実はちょっと勘違いをしておりまして、先般の質疑の中で我が党の田島議員が、ある自民党の議員がメールで、無理なく栄養教諭になれるというようなことを書いてあったというふうに紹介をしていましたけれども、私も実はそのようにある意味で受けとめておりまして、この法案をよくよく読んでみると、栄養職員全員が栄養教諭になれるわけではないですね。資格は取れても、先般の小林議員の質問へのお答えから考えると、栄養教諭の資格、講習を受けて資格ができても、採用されるかどうかは都道府県において判断されて、義務標準法によって教員定数は決まっているので、ある意味で国庫負担の額はその枠の中で出されるということでよろしいですね。

田中政府参考人 給与費につきましては、県費負担教職員の場合は都道府県が二分の一、それから国が二分の一、基本的に申し上げますとそういう負担になっておりますので、若干給与費がふえるとすれば、そのふえる給与費を国と都道府県が二分の一ずつ負担するということになっております。

高井委員 ということは、新しく栄養教諭を増員しようとすると、県の判断で、その定数内で、総額裁量制を適用して、現職の先生の間で調整をしながら、浮かせたお金の分で雇うという選択肢ももちろんあるであろうというふうに認識しています。つまり逆に言えば、資格を持っていても、栄養教諭になれる人、つまり、なって採用になる人と採用にならない人と同じ職場でそのまま混在するというようなことも可能性としてはあるんですね。

田中政府参考人 私どもといたしましては、学校栄養職員の多くの方々が、単位を修得していただくことによりまして栄養教諭免許状を取得していただきまして、そして栄養教諭に円滑に移行していただくということが大事だというふうに考えておりますので、都道府県教育委員会に対しましても、そういう趣旨の理解を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 ただ、委員御指摘のように、市町村費の学校栄養職員について若干御説明をさせていただきますと、市町村費の学校栄養職員につきましては、これは一般の教員につきましては、小中学校におきます教員につきましては、その給与費はすべて都道府県の負担にする、したがいまして、その任用に当たりましては都道府県教育委員会が行うとなっておるところでございます。ただ、学校栄養職員につきましては、従来は市町村が採用しておったわけでございますけれども、昭和四十九年に学校栄養職員を県費負担職員として位置づけ、さらに、いわゆる標準法と言っておりますけれども、標準法の中にも位置づけ、それで学校栄養職員の量的な充実も図ってきておるところでございます。

 昭和四十九年に学校栄養職員を県費負担職員にするときに、市町村が雇っておられた栄養士さんが全員学校栄養職員になったわけではございませんで、都道府県が指定した人たちが県費負担の学校栄養職員になったわけでございまして、今でも市町村費の学校栄養職員の方々はいらっしゃるわけでございます。

 したがいまして、市町村費の学校栄養職員の方々は、研修を受けることによって栄養教諭の免許状は取得することができるわけでございますけれども、この人たちが栄養教諭になろうと思えば、都道府県教育委員会が採用するというか任用していただく必要があるということでございます。

高井委員 趣旨としては、やはりできるだけ栄養教諭になってほしいという思いでこの法をつくられただろうと思うんですけれども、ただ、必置という条件にしなかった理由としては、やはり県の方でも、国の方でも国庫負担分も財政状況が厳しいだろうということで、できるだけ、努力義務、こういう規定にしたんでしょうか。

田中政府参考人 御指摘のように、学校給食に関しましては、小学校はほぼ一〇〇%に近い実施状況になっておりますけれども、中学校で申し上げれば約七割の学校で学校給食が行われておる。

 そういう中で、学校栄養職員の配置に関しましても、順次、定数改善計画の中でその増員を図ってきておるところでございますけれども、大まかに申し上げますと三万一千校ぐらい学校給食をやっている学校があるわけでございますけれども、そこに配置されておる学校栄養職員は約一万人でございます。こういう配置状況にある。

 そして、基本的には地方公共団体の自主性を尊重するというふうな観点から、必置とはせずに「置くことができる。」というふうに学校教育法に位置づけさせていただいておるところでございます。

高井委員 食育の大事さという観点からすれば、本当に、すべての学校に一人ずつ栄養教諭がいてもいいくらいだろう、大事な問題なので、だからこそ余計にそうあっていいだろうというふうに私は思っていたんです。

 その中で、そうした今御質問したような懸念がいろいろ出てきて、今、ずっと増員を図っておられるというお答えがありましたけれども、現実的にずっとふえているんでしょうか。この間の採用の、栄養教諭ではなくて栄養職員の数で結構でございます。

田中政府参考人 今、ちょっと資料を取り寄せておりますけれども、学校栄養職員の数はふえてきております。

高井委員 小林議員へのお答えの中で、現実的に今一万五百十八人栄養職員がおられて、千百五十三人が市町村で雇われているというお答えがございまして、先ほどのお答えの中から推測するに、このうちの何割の人が本当に栄養教諭になれるかどうかというのは大変疑問があるなというふうに、私はこの間質問を考える中で感じておりました。

 特に、栄養教諭にこの中の何割の人がなれるかわかりませんが、なった方の仕事として、先ほどお答えありましたけれども、いろんな、たくさん仕事がある。現場でも教えなきゃいけない、また、献立をつくる、いろんな今までやってきた仕事もそのまま続けなきゃいけない。そうしたら、数が限られた学校栄養職員が、いろんなところに回る、いろんなところに教えに行く。その仕事が、せっかく栄養教諭になったのに教えることに専念できなくて、大変過重負担になって、かえって混乱するんじゃないかというような心配があるんですが、その点、いかがでしょうか。

田中政府参考人 まず、学校栄養職員の数を御報告申し上げますが、昭和五十八年で申し上げますと小中学校に八千六百五十五人配置されておったわけでございますけれども、平成十四年現在では一万五百十八人ということで、ふえておるところでございます。

 また、御指摘のように栄養教諭に関しましては、給食の管理とそれから食に関する指導を一体的に行うところでございます。

 その中で、単独調理場方式でやっておる学校につきまして言えば二校に一人の割合、それから共同調理場方式の場合は四・五校に一人の割合で学校栄養職員が今配置されておるわけでございますので、これらの栄養教諭制度が創設された後も、一人の栄養教諭が複数の学校を指導していただくということが想定されるわけでございます。

 私どもといたしましては、そういう学校給食の管理において合理化できるところは合理化して、できるだけ指導の時間を生み出すことによって、それぞれの学校での直接児童に対する指導に当たっていただきたいと考えております。

 それと同時に、これまでは各学校におきまして、給食の時間は学級担任の先生が、また家庭科の時間は家庭科の先生が、それから保健体育の時間は保健体育の先生が、それぞれ食に関する指導に当たってきたわけでございますけれども、これから食に関する指導の充実を図ってまいります上では、各学校におきまして、年間の学校全体の食に関する指導の計画というものをつくって、これをつくる段階で栄養教諭がまずかかわってつくっていただく。そういう中で、栄養教諭や学級担任、家庭科の先生等が有機的に連携をしながら食に関する指導に当たることによって、食に関する指導の充実を図っていただくことが大切だと考えておる次第でございます。

    〔青山委員長代理退席、委員長着席〕

高井委員 今、昭和五十八年から現在にわたっては数がふえているというふうなことの御回答がありましたけれども、やはりコンスタントにずっとふえていると考えてよろしいんでしょうか。

 もう一つの御質問は、四・五校に一人で今までの栄養職員が配置されていたと。何人なれるかわかりませんけれども、もし仮に、半分しか今の栄養職員が栄養教諭になれなかったとすると、では、八校に一人というふうに、単純に考えるとそうなるんですよね、指導をしなければならない範囲が。この認識でよろしいでしょうか。

田中政府参考人 学校栄養職員から栄養教諭の移行期にありましては、したがいまして、単独調理場方式でいえば、この学校に配置されておられる学校栄養職員の先生方は栄養教諭の免許状を取られて栄養教諭になられた、こちらの学校の学校栄養職員の先生方はまだ単位の修得が間に合っていないので少しおくれるというようなことで、混在することはあろうと思っております。私どもといたしましては、できるだけ多くの先生が速やかに栄養教諭に移行していただくことが大切だろうというふうに考えておるところでございます。

高井委員 恐らく、多分、全員は、なれない人が出るのではないかという懸念は、やはりお答えからもなかなか消えません。

 そして、現実的に、私はこの法案が出てきたときに、本当にうれしく思いました。文部科学省としても、本当に栄養食教育というのをちゃんと前向きに取り入れて進めていこう、食の場を授業の中に設けてちゃんと進めていこう、本当にうれしいことで、今までも御努力をされてきたというお返事でございましたけれども、現実的に食の乱れがここまでデータとして明らかになっている、子供の体力低下も言われています。食生活が乱れていると先ほど大臣の御答弁でもございましたけれども、本当に懸念がある。つまり、今まで取り組んできたことが十分に効果が出ていないという中で、栄養職員をちゃんと栄養教諭にして、もっともっと食育をやっていこうじゃないかという趣旨の法案であっただろうというふうに考えています。

 ただ、それなのに、現実的に数が、全員なれなくて、本当に現場での講習が十分にできていかないんじゃないかという懸念の方が今ますますふえてきまして、できるだけ必置の体制、必置基準にしていただきたいという思いが私の中で消えません。

 現実的に財政の問題等いろいろあるんでしょうけれども、文部科学省として、できるだけ必置を目指す、できるだけ十分な食育、教育を与えることができるようにするという指導をするというふうに、できればそういう思いを教えていただきたいんです。

河村国務大臣 御指摘のとおり、本来、特に小学校はもう九割、一〇〇%近いんですから、それぞれの学校に教諭がおられるというのが望ましい形だと思います。

 しかし、現実には、養護教諭にしても兼任の体制をとっておりまして、こういう例もあるものでありますから、なかなか一遍にいきませんけれども、それに向けて、今、第七次の定数改善で、これは全体で九百六十二人ということですか、この五年間でそれしかふえない状況下、これを認めてもらったという状況がございます。

 次の計画を立てるときに、必置するにはどうしたらいいかということを想定しながら増員計画を立てて要請をしていかなければいかぬ、このように努力していかなければいかぬ、こういうふうに思います。

高井委員 前向きなお答えをちょうだいしてうれしく思います。

 もう一つお聞きしたいのは、養護教諭は必置だというふうに認識しているんですが、学校栄養職員も本当に必置に、やはりこの法案を出す段階では、どうしてもできないでしょうか。

田中政府参考人 まず、養護教諭の必置の問題でございますけれども、非常に小規模な学校については養護教諭を置かないことができるという附則がございますので、置かないこともできることになっておるところでございます。

 それから、ただいま申し上げましたように、学校栄養職員を栄養教諭に移行するに当たりまして、今回の法律案では、各都道府県の教育委員会の判断によってその配置を決めるということで、学校教育法上は、置くことができる職員にさせていただいておるところでございます。

高井委員 実は私も、必置にするという言葉を入れたら、逆に今度は学校現場の方が、もうお金のやりくりに困って非常に切り詰めたようになるんじゃないか、そういう心配もあって、どうしても必置にしろというふうに言えないんです。むしろ、この法案を進めて、本当に学校栄養職員を必置にしたいのであれば、ぜひともお金をつけることを一緒に考えて前に進めていただきたい、いずれ必置に進むであろうことを期待したいというふうに考えています。

 田島議員、小林議員の質問にもありましたので詳しくは申し上げませんが、学校給食の現状、実施はやはり努力義務であって、学校給食の未実施校や、学校給食実施校の栄養職員の未配置校が現実にある中で、文科省としてもいろいろと前向きに努力をしていただきたいと思っています。

 次に、学校給食についてのお話に移りたいと思います。

 私も、母親として子供を育てている身分でもありますけれども、もちろんこうして仕事もしておりますので、実家の田舎の方で、両親、ひいばあちゃん等に囲まれて、一緒に子育てを手伝ってもらってやっているんですけれども、大臣が一番最初の牧野議員の御質問の中で御答弁をなさった、食生活を激変させた大きな原因の一つに家庭があるというふうにおっしゃいました。生活の乱れ等、確かにその要因は否めないと思っています。ただ、私はやはり、この学校給食の場での、本当に子供の健康を考えて、前向きに伝統食を取り入れて食教育をしようという姿勢が今までのところ余りなかったのではないか。

 私がそう思う、懸念する原因の一つとして、子供たちの給食の献立を見てみると、もともと、給食のスタートからずっとしばらくは、やはりパンと洋食中心の料理であったというふうに、パンとミルクが中心の給食であった。田んぼの中を学校に通って、学校に着いたら給食でパンを食べるというのは、当時、子供のときは疑問にも思わなかったんですが、今から考えればとてもおかしいというふうに思います。私も、ずっと学校給食を食べてきた身分ですが、学校の中で給食の時間が一番楽しかったんですけれども、決して給食が大好きだったというふうには、今振り返っても思えません。

 そういう中で、政府として、食生活を激変させた、つまり伝統日本食、家で食べていた日本食、御飯とおみそ汁というふうな生活から、学校に給食でパンと洋食のおかずを取り入れることによって、やはり食生活を転換させた一つの要因ではあったのではないかと思うんですが、どのように思われますでしょうか。

河村国務大臣 学校給食は、最初パンからスタートした歴史がございまして、調べられたらおわかりのとおりでありますが、あの戦後の大変なとき、食料難、アメリカの方からむしろ物資が入ってきたというスタートがございます。そういうスタートで、だんだん米飯給食が大切だという方向へ転換をしつつ、しかし、今、平均してまだ週三回までいっていないと思いますが、米飯給食ということも非常に進めてまいりまして、そのバランスを少しとっております。

 もちろん、最近は米からパンもつくれるようになったようでありまして、先般、閣僚懇談会で、米でできたパンも食べてみたりしたのであります。そういう動きの中にありますが、しかし、日本の伝統的な和食、このよさ、これが日本の長寿社会をつくり上げてきているんだと言っても過言でないような状況にございます。そういうことの重要さというのはやはりちゃんと食育の中で位置づけていきながら、しかし、いろんなバラエティーに富んだ食事の中にパン食も入ってくるし、もちろん、地産地消という中にはパンの業界の皆さんも頑張っておられる現状もあります。

 そういうものであります。しかし、御指摘のように、日本の本来からの米を中心とした和食の姿、これはやはり伝統的な文化食として、食育の中で、また学校給食の中でも重視しながら、バランスをとった食事をとっていく、こういう姿勢で臨むべきであろう、このように思っています。

高井委員 大臣が、バラエティーに富んだ食事というふうにおっしゃいましたけれども、むしろ今、日本の社会では、世間にある方がバラエティーに富んだ食事が横行しておりまして、伝統食の方が数少なくなっているというふうに思っています。だからこそ、学校給食の現場では、数少ないそういう伝統食を教える機会であってほしいと。

 私は、食教育のかぎは、やはりその食材とでもいうべき学校給食であろうというふうに思っています。だからこそ、学校給食を充実させたい。もし、家庭が乱れていて朝御飯が食べられない、夜御飯もみんなばらばらで十分に食べられない、ただ、家庭教育にまで本当に政治家が一人一人踏み込んで、政府が踏み込んで、これを指導するというのは、本当に難しいことであろうと思っています。だからこそ、政治ができるのは学校給食をよくすること、そういうふうに思って、私は学校給食の問題にずっとこの間、一番は、子供の健康のために伝統食を取り入れてほしいという思いで、取り組んでまいりました。

 学校給食導入の経緯は最初はパンだったというお話が出ましたので、一番最初のときから導入の経過を教えていただければと思います。

田中政府参考人 学校給食の導入の経緯でございますけれども、戦前、明治二十二年に、山形県の鶴岡市で一番初めに学校給食が行われた、これが学校給食の始まりとされておるところでございます。

 戦後は、学校給食が、大変食料事情の困難な状況の中で、経済困窮と食料不足から児童生徒を救済するという観点で、日本政府の強い要望と、それからアメリカ等から援助物資、これが小麦粉だったわけでございますけれども、この小麦粉の提供を受けて学校給食が始まるわけでございまして、実際には、昭和二十二年一月から、都市部の児童を対象として学校給食が開始されたところでございます。したがいまして、その当時は、まさに栄養補てんということが学校給食の重要な役割だったところでございます。

 その後、昭和二十九年に学校給食法が施行されまして、その中で、学校給食の持つ教育的意義というものが掲げられたわけでございまして、現在、学校教育の一環として学校給食が行われているという状況にあります。

 また、パンにつきましては、昭和二十九年の学校給食当時、パンを主食としておったわけでございますけれども、昭和五十一年から米飯給食が導入されてきておりまして、文部科学省といたしましても米飯給食の普及に努めてきたところでございまして、平成十四年五月現在では、週五日間のうち二・九回が米飯給食になっておるというような状況になっておるところでございます。

高井委員 今お聞きしましたとおり、当初は、食料の困窮から、アメリカからの脱脂粉乳等の援助を受けて戦後の学校給食は始まったという回答でございました。

 私が聞いておりますところでは、二十一年から始まって、二十九年の学校給食法が制定されたときに、ちょうどアメリカでは余剰農産物処理法という法案が通ったというふうに聞いています。アメリカでは当時小麦が大豊作で、小麦を余剰農産物で外国で処理したい、そういう法案が通ったというふうに聞いていまして、外国の市場を探しているときに日本もちょうどタイミングがぴったりと合ったと。当時、本当に貧しかったと思います。それで、その余剰処理法の法案を受け入れて、農産物を外国から受け入れて給食を推進したという経過があるだろうというふうに思っています。

 というのは、NHKのドキュメンタリーで、「食卓のかげの星条旗」というようなドキュメンタリーがございました。つまり、昭和二十九年の余剰農産物処理法が通った後に、アメリカは日本にやってきて、私が調べたところだと、当時何か全国二万カ所にキッチンカーがアメリカから回ってきて小麦を使った食事の展開を勧めた、パンはおいしい、パンを食べると高血圧が防げる、ジャムやマーガリンは使ってもパン自体は体にいいんだというキャンペーンを張ったというようなことがそのドキュメンタリーの中には入っておりました。

 もちろん、それは完全に否定するところではないと思いますけれども、ただ、学校給食でパンを進めた背景には、やはりアメリカの大きな戦略があったというふうに考えています。つまり、小麦を食べる、パンを幼少のころから食べ始めると一生食べてくれる、アメリカにも親しみを持ってくれるし、パンの味になれてくれて、きっとずっとパンを食べ続けてくれるだろうというような大きな戦略があったのではないかと思います。

 結果としてかどうかはわかりませんが、現実的に日本の主食はどんどん減っている、米の消費量がこの間格段に減って、脂質をとっている量の増加、畜産物、肉を食べている量の増加、現実的に昭和の半ばごろよりもずっと今の方がふえているというデータが農水省の方から上がっています。

 だから、一概に、今申し上げたことは単なる懸念ではなかったというふうに考えていますが、どうお思いになられるでしょうか。

田中政府参考人 委員の御指摘につきましては、私ども、つまびらかにしておらないところでございますけれども、私どもといたしましては、戦後の大変食料事情の厳しい中で学校給食がスタートして、そういう中では学校給食が子供の健康や体力向上のために一定の役割を果たしてきたというふうに考えておりますし、今日またこういう食生活の乱れといった中で、子供たちに学校給食を出すことは、子供が、自分のバランスのとれた食事をどうするのか、あるいは安全な食品を選ぶというのはどういうことなのか、そういうことをまさに生きた教材として学べる場になっているというふうに考えておるところでございます。

高井委員 私も、その当時の導入の経過というのは否定するものではない、学校給食によって我々は助かった部分もたくさんありますし、決してそれが間違っていたというふうに全部を言っているわけではないんですが、やはり伝統食を本当にもっと早くから、日本の国策としても子供の健康のためにも、早く取り入れるべきだったというふうに考えております。

 その意味で言えば、農水省が、米飯給食を始めた学校に対してたしか支援を、補助金をかつてつけていたというふうに聞いています。米の消費拡大をするという運動を文科省より農水省が取り組んでおられたと。私が残念に思うのは、今回の法案でもそうですが、文科省が子供の健康のためにというよりも、農水省が自給率アップのためにというような目的の方がすごく強く出て、こうした伝統食に変えようとか、食育は大事だというような思いが出てきたのではないかというふうに思っているんです。

 ぜひとも、文科省としても、できればもっと主体的に学校給食の方に取り組んでいただきたいと思っていますし、政府が、米の消費拡大運動を進めながら、一九九九年ですか、補助金を何かもうやめた、今現在は給食の現場への補助金は打ち切っているというふうなことを聞いておりますが、これはどうしてでしょうか、進める上で。

河村国務大臣 まさにそのとおりでして、私も当時、文教関係の政策を進める議員として非常に残念に思いました。かなりやりとりしたんです。

 農水省はまことに矛盾しておりまして、米の消費拡大というなら、小さいときから米を食べさせるというので、せっかく二百億余りの補助金を持っていながら、財政上非常に困ったということで切ったんですね。そんなことをすると、今度は米よりもパンの方が安ければ地方自治体はそれはそっちへ行きますよということを随分言ったのでありますが、結果的にそうなりました。これについては、さらに、米飯をやる市町村に対しては交付税等の措置で対応するんだということではありました。

 しかし、毎年、米飯給食の回数は、少しずつでありますが、ふえつつありますので、今二・九回ですか、これをぜひ三回以上にして、米を中心とした学校給食にする。そして、もちろん食料自給率も上げるということが必要だろうと思います。

 今回の食育基本法についても、ややもするとそっちの方から来ている嫌いがありますね。私は、それはそれでも、食育を重視するという観点からいいんですけれども、農林関係議員から言わせると、食育は栄養教育だ、こう盛んに言っています。

 しかし、それだけではなくて、食育は全体で考える課題ですから、今後、食育基本法の法案についてもそういう形でまとめ上げ、大体できているそうでありますが、我々の趣旨としては、やはり食育ということを重視しながら、その中で地産地消も含めて考えていく、こういうことで臨みたいと思っております。

高井委員 思いが一緒で安心をいたしました。

 ただ、農水省が米の消費拡大運動のためにテレビ広告を、私も拝見したことがあるんですが、たしか四十六億円か何かかけて打ったというふうに、二年ぐらい前ですか、ちょっとお聞きしまして、それだけのお金があるのであれば学校給食に補助金を出すことを検討していただきたいなというのが本当に率直な感想だったんです。

 だからこそまた、文部大臣の方からも、本当に米の消費拡大が、自給率アップが必要であるならば、学校給食を真剣に考えてほしいという働きかけをぜひ農水省の方にもしていただきたいというふうに思いますが、お願いできますでしょうか。

河村国務大臣 この主張は、文部科学省としてはこれからも続けていかなければなりませんし、もっと進めるならば、ただ、全体から見ると、学校給食は七百万、八百万トンの中の十万トンぐらいでありますから。しかし、将来を考えたとき効果がありますから、これは絶えず文部科学省としては農林省に対して、補助金をもとへ戻す用意はないかということは言い続ける必要があろう、そう思います。

高井委員 ありがとうございます。

 まさに今おっしゃった、将来を考えたという点で、人間の味覚形成がされるのは胎児期から小学校期までというふうに言われておりまして、その時期にやはりお米を食べる、お米がおいしい、おみそ汁がおいしいという伝統の味を覚えた子供というのは、必ず将来もずっと食べ続ける。もちろん、途中でいろいろな味を覚えるだろうと思いますけれども、現実的には、多分そのときの味覚形成によって米の消費が促されるというのは間違いないと思います。

 先日、参考人の先生も、予防医療のためにも、成人病予防のためにも医療費拡大防止のためにも伝統食が体にいい、幼少のころから大事な味を覚えさせてほしいというような意見があったと思いますが、まさに私もそのとおりだというふうに考えておりまして、ぜひとも御支援の方をお願いしたいというふうに思っています。

 話はちょっと変わりますが、おとといの新聞によりますと、二十一日に閣僚の皆様が学校給食を食べられたというのが載っておりましたけれども、感想はいかがでしょうか。残さずに皆さん食べられたでしょうか。

河村国務大臣 これは私の方が提唱いたしましたが、川口外務大臣も、学校給食もいいわねということをつぶやかれまして、私もそうだと思って取り上げました。近くの麹町小学校の学校給食を持ってきていただいたのでありますが、大変好評でありまして、小泉総理も、こういう食事をふだんからとっていれば病気になることはないのじゃないか、こう言っておられました。

 値段も、今学校給食は平均二百三十円だそうですが、あの日の給食はたしか二百七十円ぐらいだったそうです。ただ、あれは我々閣僚が食べるからといって特別つくったものではなくて、その日に麹町小学校で子供たちが食べるものを一緒に食べたわけです。たまたまその日は麦も入っておりまして、麦御飯だったんです。ただ、ちょっと麦の量が少ないじゃないかという意見がございましたが、根菜類が入っておったりとか、バランスがとれておりましたし、大変好評であったわけであります。

 今、飽食の時代と言われる、またカロリーオーバーと言われる時代、肥満の問題等も出ておりますので、学校給食の中で、家でもそういうバランスのとれた食事をすることの大事さをしっかり学んでもらう。一回だけの学校給食でありましたけれども、大変意義があったように思っております。

高井委員 メニューは和食だったんでしょうか、洋食だったんでしょうか。そう申し上げるのも、米飯給食を私がなるべく勧めたいと思うのは、やはり和食の御飯にすると、カロリーベースでいくと自給率がぐっと上がる。それに比べて、御飯、おみそ汁、お浸し、魚というふうなので考えれば、一食の中の自給率を考えれば七九%、これは農水省のパンフレットに書いているデータなんですけれども、出ています。片や洋食、パン、オムレツ、サラダ、紅茶にすると、カロリーはふえるんですが、その中での食料自給率はたった二三%、そういうふうなデータになっておりまして、できるだけ伝統の、伝統というか和食を中心に学校給食に取り入れたい、健康のためにもいいしという思いがありますが、この間閣僚の皆様が召し上がったのは和食が中心だったんでしょうか。

河村国務大臣 ここへ書類を持っていないので明確ではありませんが、カロリーがたしか六百六十カロリーぐらいだったと思います。そして、御飯で、少しその日は麦が入っておりましたから麦御飯ですけれども、麦御飯という割にはちょっと白かったように思いますが、麦が入っておりました。いつもこれを食べるのかということでしたが、そうではなくて、週に一回とか二週間に一回は麦が入ってくるんだという。だから、ベースは和食でした、たしか豚肉も入っておったと思いますけれども。それで、ゴボウとかそういう根菜類も入っておりまして、そういうことで和食ベースでありました。

高井委員 私が学校給食で今心配しているのは、和食か洋食かわからないメニューがよく出されているというふうに思います。ちょっと一例を挙げてみますと、ある日はチリバーガー、コーンシチュー、果物、ミルク、ある日はサンマのかば焼きどん、煮浸し、豚汁、ある日はジャージャーめん、パンケーキ、果物、ある日はピーナッツ揚げパン、マーボー豆腐、茎ワカメ。何か実際にこういう給食がとられているところがありまして、今聞かれただけでも、ここはどこの国の、洋物の給食を目指して、これは洋食だ、これは和食だ、これは中華だというふうな区分ができないぐらい混在していると思います。

 逆に、我々大人の感覚で考えると、こういうセットでは食べないだろうなというような献立が時々あるような気がいたしまして、いみじくも大臣が最初おっしゃったバラエティーに富んだ給食というのは決して、無国籍というか全部ごちゃまぜの給食であってはいけないというふうに思います。きょうは和食の日はちゃんと和食の日ということで、本当はそういう組み合わせのお献立も考えながら給食のメニューを組んでいただきたいなというふうに思っています。

 現実的に、この間召し上がったお食事のメニューは多分それなりによかったんだろうと思いますけれども、しばらく、例えばこういう学校のを一週間ぐらい食べ続けたらどういうふうに思われるのかなと。大人の感覚で言えば、御飯とミルクと、一緒に飲まれる方もこの中にもおいでになるかもしれませんが、私はどうも合わなくて嫌なんです。だから、最後まで全部残さず召し上がりましたかというようなことをお聞きしたんです。

 実は、なぜそういう献立になっているかというものの背景には、やはり栄養所要量という基準にとらわれ過ぎて、献立のバランスというよりも、むしろ、この栄養素、この栄養素、この栄養素、この栄養素を何カロリー満たさなきゃいけないというようなやはり栄養士さんの思いもすごくあって、こういうふうな不思議な献立になっているのではないかと思います。この栄養所要量に関して、多分、規定があるのではないかと思いますが、文科省の方から少し教えていただけますでしょうか。

田中政府参考人 学校給食におきます栄養所要量の基準でございますけれども、これは昭和二十九年に学校給食法ができましたときに、当時文部省におきまして、厚生省が定めておりました一日当たりの栄養所要量の基準、厚生省のこの基準は食事摂取基準と呼ばれておるそうでございますけれども、この厚生省が策定しております一日当たりの栄養所要量の基準をもとにいたしまして、学校給食一食当たりの栄養所要量の基準をつくっておるところでございます。

 ただ、この基準につきましては、児童生徒一人一回当たりの全国的な平均値を示したものであって、その適用に当たりましては、個々の児童生徒の健康及び生活活動等の実態、あるいは地域や学校の実情に十分配慮して弾力的に運用してほしいというようなこともあわせて示しておるところでございます。

 また、これまでは、この基準の中に学校給食の標準食品構成表というものを示しておったわけでございます。一回当たり米が何グラムでイースト菌が何グラムで食塩が何グラムというような書き方をしておりまして、委員御指摘になられましたのは、多分この一回当たりの食品構成表、これを余りに、一回一回それに全部当てはまらなければならないんだというふうに受けとめられますと、委員がおっしゃられたような、御飯とパンが一緒にあるというようなメニューになったりしかねないわけでございまして、この栄養所要量の基準に関しましては、去年の五月に改定をしたところでございますけれども、その改定に当たりまして、これまで示しておりました標準食品構成表につきましては、これはもう削除させていただいたということにしておるところでございます。

 委員御指摘のように、学校給食の献立は多様な食品を組み合わせながらも、地域の伝統食なのか、あるいは外国の、きょうはタイのメニューをつくってみましょうとか、そういうことで工夫していただくことが大切だと考えておるところでございます。

高井委員 ありがとうございました。

 実は、私の知人の栄養士さんが、この栄養所要量の件、栄養摂取量と言うんですか、基準表、これについて少し文科省の方にお問い合わせしたときに、たしかそういう御回答だったと。

 学校給食に牛乳を出しても出さなくてもよい、必ず出せというような指導ではないというふうに、絶対出さなければいけない食品は特に決まっていないというか縛りはないというふうなお答えで、完全給食と副食給食、ミルク給食という給食の区分はあくまでも区分を示したもので、内容を厳しく決めるものではないんだ、学校給食の栄養所要量については一カ月、一年、あるいはまたトータルでその所要量を満たしていればいい、食品構成上の規則はない、そういうふうな御回答だったと聞いていまして、この認識で間違いないですね。

田中政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

 それから、牛乳につきましては、やはり今の子供たちがカルシウム不足であるということがございまして、私どもとしましては、できるだけ牛乳を取り入れていただけるように御指導を申し上げておるところでございます。

高井委員 ありがとうございます。今の回答からすると、カルシウムを、もし牛乳じゃなくて充当できるのであれば、それでもいいということだろうというふうに思います。

 せっかくいい給食をつくるのに、現場の栄養士さんに任せて、地産地消で地元でとれるものを地元に入れるとか、今どんどん現場ではそういう動きが進んでおりますので、やはり余り基準に縛られていると栄養士さんの方もなかなか献立が立てづらいんじゃないかという思いで御質問をさせていただいたんですが、厳しい厳しい規則ではないということで、大変私も安心をいたしました。

 次に、食材の件について少し伺いたいんですけれども、学校給食で使われているパンは、日本は小麦の自給率が少々低いので、やはり輸入小麦が中心になっているだろうというふうに思います。

 食の安全性ということが最近言われていますけれども、輸入小麦について、ポストハーベストの問題とか、いろいろそういう検査とかはきちんとなさっていたりするんでしょうか。あえて言えば、もし全部国内産のものにすれば、こういう心配もできるだけ減っていくのであろうし、そういう意味で、米飯給食を進めてほしいなという思いもあるんです。

 パンになると、食品添加物のショートニング、乳化剤、保存料などいろんな添加物も入っているだろうと思います。私もケーキをつくるのが好きだったので、よくそういうのを確認したりするんですけれども、そういう食品添加物等の確認においても、ある種の基準があったり、いろいろ調べておられたりするのでしょうか。

田中政府参考人 まず、学校給食用パンでございますけれども、学校給食用のパンの原材料である小麦粉につきましては、主としてアメリカやカナダ産の小麦粉が使用されておるというふうに認識しております。この小麦につきましては、すべて食糧庁が輸入しておるものを使っておって、食糧庁においては、輸入に当たり、食品衛生法等に基づき必要な検査を行っているところでありまして、安全性の確保がなされているものと承知しておるところでございます。

 また、国内産の小麦につきましては、外国産に比べましてグルテンの量が少なく粘りがないために、パンの適性が劣るというような問題があるそうでございますけれども、近年では、学校給食用の食材に地産地消を図るという観点から、地場産の小麦を活用した学校給食パンを供給している県もあると承知しておりますし、また、米粉パン、これを導入しておる県もあるというふうに聞いておるところでございます。

 また、食品の選定あるいは納入と申しましょうか、そういう点に当たりましては、各学校におきましても、食品衛生法等にのっとり、安全なものの確保に努めておるところでございます。

高井委員 ありがとうございます。安全にいろいろやはり気を使ってやっていただけているのはとてもありがたいと思います。

 米粉パンの件が出ました。米を原料にしたパンを今つくっておられるという話を私もいろんなところでお聞きしているんです。もちろんそれ自体はいいと思うんですが、私が問題だと思うのは、パンと一緒に食べるおかずというものが、どうしてもやはりパンである以上油物が中心になってしまうのではないか。パンにみそ汁とかパンに煮物というのは、多分余り食べられないだろうなと思います。まあ食べる方もおいでになるかもしれませんが。

 私は、やはり田舎の徳島県の本当に五千人ぐらいの町で生まれたもので、老人が多い家だったので、朝晩、大体は本当に和食が中心でした。ベーコンとか油っこいものの味を覚え、初めて食べたのは実は学校給食だったんです。甘いものも余り家では食べさせてくれなかったので、私の時代が時代だったのかもしれませんが、おやつといえば、お芋とか、お芋を切って干したものとか、ジャガイモであったりとかカキであったり、本当に庭になっている果物であったり、そういうものだったんです。

 やはりパンに、どうしても油物が中心になってしまう。そうしたら、やはりカロリーをとり過ぎてしまう。かつてはやはり栄養所要量が少なくて、子供たちの健康状態を考えて、カロリーの高いものを、栄養価の高いものをという目的で取り入れた部分もあったかもしれませんが、今現状、データとして見てみると、子供はむしろ成人病予備軍が多いということがある中で、やはりできるだけ本当にカロリーの低い、御飯に和食という方が適切ではないかというふうに思っています。そういうことも考えていただければというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

田中政府参考人 文部科学省におきましては、食に関する指導のために、小学生、中学生に対しまして、食生活学習教材というようなものを作成させていただきまして、全員に配っておるところでございますけれども、その中におきましても、「昔から食べてきた食品を大切にしましょう」、それから「お米は豊かな自然からつくり出される日本食の中心です」、そして、今委員からも御指摘がございましたように、「ごはん自身には、特別な味はありません。これが主食としてのごはんの特徴です。いろいろなおかずによくあうので、おいしく食べることができます。おかずだけでなく、ごはんをしっかり食べて、健康で元気な体をつくりましょう。」こういうような記述もあるところでございまして、私どもといたしましても、米飯給食の推進、それから地産地消、それからこういう和食の学校給食への積極的な導入といったことも推進しておるところでございます。

高井委員 ありがとうございます。

 実際に、幾つか完全に米飯給食を導入したところも全国にあるようでございまして、一つだけ御紹介したいと思います。

 南国市の教育長さんが完全米飯給食にしたということで、実際に食育の面に一生懸命力を入れている方です。その方がおっしゃっておられるのは、やはり地元の野菜を使って、地元でとれたものを食べる。実際に、棚田に苗を植えて刈り取るという授業があるそうなんです。田植えと刈り取りという一日だけの作業なんですけれども、子供たちは大変喜んで、自分が刈り取ったお米が本当に炊きたての御飯として食べられて非常に喜んでいる。親からも感謝されたというようなお話を聞いておりまして、食育、食の大切さ、感謝の心を覚えるには、やはり実際につくっている人を知って、つくっている姿を思い浮かべることができて初めて感謝の気持ちがあらわれる。これは教育長の御発言なんですけれども、本当に田植えと稲刈りというたった一日ごとの体験ですけれども、それから知る農の苦労、米一粒の重さというのを体験を通じてわかる、大変こういう重い御発言を聞いたことがありまして、これこそ食育だなというふうに思います。

 また、文科省としても、いろんな全国で取り組まれている食育の事例をまた御検討して、本当に子供たちが、食べ物を大事に、健康になるような食事を目指すという方針で頑張っていただきたいなと思います。

 時間が大分なくなってまいりましたけれども、改めてもう一度だけ、米飯給食のよさとして私が思っていることを再度申し上げたいと思います。

 まず、健康にいい、子供たちの健康にいい。カロリーが低い。私も実は一年アメリカにいたことがあるんですが、アメリカの方が日本より先に成人病のことや肥満のことがたくさん問題になっていました。私が一年いたのはシアトルだったんですが、ちょうどホームステイをしていたところのお母さんがエアロビクスの先生で、栄養に大変詳しい人だった。日本食はいいんだってね、体にいいんだってねと言って、みそ汁つくってほしいとか御飯を食べてみたいというような要望があって、つくってあげて、そうしたら、和食に対していろんな意味で理解を示してくれて、結構ずっと食べ続けて、今も時々食べているというようなことをおっしゃっていました。かえって日本よりもアメリカの方で和食に対する評価が高いというのも、とても不思議な感じがした経験がございます。

 いろんなそういった意味で、成人病の予防や医療費の抑制のためにも伝統の食はいい。それから、やはり二番目として、味覚の形成期に伝統食をちゃんと食べさせることによって一生味を覚える。それがひいては、三番目に、食料自給率の向上につながり、地産地消を促すことになる、大変大きな効果があるというふうに思います。

 そしてもう一つは、先ほど輸入小麦の問題でも申し上げましたけれども、いろんな意味で食の安全性、輸入品の農薬の問題等、最近では狂牛病のことが問題になっておりましたけれども、そういう面でも、できれば国内産のものが安全性からいうといい。

 最後に、今まで申し上げていなかったんですが、もう一つ私が利点があると思うのは、環境に対する負担が軽いということではないかというふうに思っています。というのは、やはり油物にすると洗剤をたくさん使わないと落ちない。多分皆さん御経験があるだろうと思いますが、油物は本当に洗っても洗っても洗剤と石けんをたくさん使わないと落ちない。ただ、和食、みそ汁、御飯だと本当に何もつけなくてもスポンジで洗えば簡単に落ちる。洗剤の使用量もここ二十年間ぐらいでしたか、百倍近い量でふえているという中で、環境の問題も大変社会に大きく影響を及ぼしているというふうに思います。

 食生活の乱れというか、子供の体の変化には、生活の背景、環境の問題等いろいろな複合の要因で影響が出ていると思いますので、環境の点からも、私はぜひ米飯給食の方向性で進めていただきたいなというふうに思います。

 こんないいことばかりですので、ぜひとも農水省とタイアップしながら学校給食を変えていくように、前向きに取り組んでいただければありがたいなと思いますが、いかがでしょうか。

河村国務大臣 高井議員の今の御指摘、学校給食の中できちっとした日本の伝統食、和食、そういうものを位置づけながら、そして、フランスあたりでは味覚教育というのも入っているそうでありますが、そういうものをもっと重視していく。

 そういう方向で、学校給食を食育という視点できちっと教育の中に位置づけながら、子供たちの健康、そして、これは大人になってからの食習慣といいますか、生活習慣病、そういう観点からも、学校給食の効用性というのは非常に高いものでありますから、今回のこの学校栄養教諭制度導入に当たって、改めて学校給食の持つ意義というもの、そういうものを日本全国あまねく徹底いたしながら、そして日本の教育の中における食育というものの位置づけをきちっとしていきたい、このように考えております。

高井委員 ありがとうございました。

 私も先般、食育基本法の素案ができているのを、議員立法で自民党の先生方がつくられているということをこの間教えていただいたんですけれども、この法案、目を通して、すばらしい、いい法案だなと私も思っています。

 学校給食もこの方針に従って変えていってほしいと思いますし、国の国策として本当に食育、子供の健康を取り上げる法案ができた。もちろん、自給率のことが背景にはあるんでしょうけれども、大変私はうれしく思っていまして、いろいろな意味で協力をしていい法案にできるようにさらに、私のような微力ではございますけれども、一緒になって協力していきたいなというふうに思っていますので、今後ともまたよろしくお願いします。

 本当にきょうはありがとうございました。

池坊委員長 横光克彦君。

横光委員 社会民主党の横光克彦でございます。

 この学校教育法の改正案、これまで随分質疑を積み重ねてまいりました。そういった中で重複する部分もあろうかと思いますが、確認という意味で御理解をいただきたいと思います。

 近年、社会環境の変化、あるいはまた家庭環境の変化、これに伴って食生活の乱れというのが非常に深刻になってきております。このことは、これまでの質疑の中でも、そしてまた先般の参考人の意見陳述でも説明されました。特に、成長期にある子供たちにとって、健全な食生活、これはまさに健康な心身をはぐくむために欠かせないものでございます。

 ところが、子供の体力が低下傾向が続いておるんですね。体は大きくなるんですが、体力は落ちている。体力向上のためには適切な運動と十分な休養、睡眠、そして調和のとれた食事、この健康三原則の徹底による生活習慣の改善が不可欠であるわけでございます。大人の場合は、食生活の乱れとかあるいは生活習慣の乱れとか改善、こういった問題は、今はやりの言葉で言えば自己責任ということが大きく問われる問題であろうかと思いますが、子供たちにとっては、こういった問題は自己責任を負わせるわけにはまいりません。非常にそこで重要になってくるのが、食や生活改善においての指導ですね。

 子供の体力向上や心身の健康の保持増進を図るためには、家庭はもちろんでございますが、やはり学校においても食に関する指導を充実して、そして子供に望ましい食習慣を身につけることが喫緊の課題であるということは申すまでもないと思っております。

 小泉総理も、昨年九月の所信表明演説、またことし一月の施政方針演説、ここにおいて、心身の健康に重要な食生活の大切さを教える食育の推進、これを述べておられます。また、政府が閣議決定いたしました昨年六月の経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三において、食育の充実、そしてまた食育の全国的な展開、これが盛り込まれております、閣議決定で。全国的な展開。

 河村大臣は大臣就任の際に、小泉総理から、これまでの教育の知育、徳育そして体育、これに加えて食育を重視した人間力向上の教育改革に努めるようにというような指示があったとお聞きいたしておりますが、具体的にはどのような指示だったのか、お聞かせいただきたいと思います。

河村国務大臣 横光先生御指摘のように、私、昨年九月二十二日に就任の際に、総理からの指示書がございまして、その冒頭に、これまでの知徳体プラス食育を重視した人間力向上の教育改革に努められたし、こうなっておったわけでございまして、それに食育の個々の問題が書いてあったわけじゃございませんが、その後の総理の所信表明あるいは国会での予算委員会等々における答弁等を見ても、これからの子供たちを考えたときに、食育というのは非常に重視する必要があるという観点でございます。

 ちょうど時を同じくして栄養教諭制度の創設というときを迎えたわけでございまして、まさに総理の指示、それがまさにそういう点にきちっと出てきたということでございまして、これからも、栄養教諭制度の創設を初めとして、大臣といたしましても食育の推進にさらに力を入れていかなければいかぬ、このように思っているわけであります。

横光委員 これまでも、学校栄養職員あるいは教職員の努力によって、学校現場において食教育は行われてきました。しかし、今お話しのように、総理のお考え、そしてまた閣議決定、そして大臣の御意思、そういったものの中から、直接給食にかかわり専門的な対応ができるいわゆる今回の栄養教諭制度という法案が上程されたんだと私は思っております。

 この法案の目的はこれまで随分と説明をされました。この法案の創設によって、では学校教育においてどのような効果が期待されるのか、そのあたりをお尋ねいたしたいと思います。

池坊委員長 大臣の御答弁の前に、委員の定数が足りません。このまま委員会を続行いたしますが、理事の皆様方は、委員の呼び込みをお願いしたいと思います。

 原田文部科学副大臣。

原田副大臣 もう既に先生、問題点の指摘、また方向についてもあるいはお話しになったような気がいたしますけれども、今度の法案、また栄養教諭制度の創設に当たりましては、まずは近年の社会変化等により子供の食生活の乱れということが発端でございます。欠食、偏食また孤食というようなことも言われますし、またそのことが、例えば肥満傾向の増大といいますか、大変な深刻な事態になっておるわけであります。それだけに、この事態を何とかしなければいけない。今回の栄養教諭制度の創設も、それに対応する対策というふうに考えておるところであります。

 栄養教諭制度の創設に当たりましては、一つは、栄養の管理、学校給食を中心として栄養管理をさらに高度化するということと、あわせて、栄養に関するいろいろな事象を教育の面でもしっかり向上させるんだ、その両方の資質、要素をあわせ持つ教職員を今回つくるんだという意味でこの制度を設け、学校における食に関する指導の一層の充実を図ろうとするところでございます。

 そういう観点からしますと、学校給食の管理という面でもちろんさらに強化しなければいけませんし、また、食に関する教育指導をもちろん強化する、それを一体的に行うということが可能になるわけであります。

 高い専門性に基づく関連教科、特別活動等での指導や個別的な相談、指導が充実するというようなことやら、学校給食を生きた教材として活用して、児童生徒に望ましい食慣習を身につけさせるというようなことも可能となろうかと思います。

 さらに、こういう形でしっかりした位置づけができますと、社会との関係、また家庭との関係、学校との関係、こういうものを総合的に高めていく、こういうことでございまして、家庭への普及啓発の役割を担ったり、さらには地域社会との連携の調整役をこの学校職員が果たす、また果たすことを期待されておる、こういうことになろうかと思います。

横光委員 しかし、随分多くのことを効果が期待されるということでございますが、問題は、本当に効果的で、責任ある指導が可能になるかどうかだと思うんです。おっしゃることはもちろん当たり前のことであり、それは十分その目的を達成しなきゃならないわけですが、問題は、今言われた多くの課題を、今度の新たな学校教諭が誕生して、そういったことを十分に責任ある指導で可能になるかどうかということがこれからの課題だと思うんですね。

 そういった意味で、学校栄養職員が教諭免状を取得した場合、これまでもお話ございましたが、併存という形になりますね。すべての栄養職員が教諭になるわけでもないという状況が続くでしょうし、そうした場合、併存という形になると、これまでと違った状況が現場で生まれてしまいます。

 例えば、身分の違いが出てくる、あるいは処遇の違いが出てくる、職務内容の相違点が出てくる。これは出てくると思う。今までと違う形になるわけで、片一方は職員、片一方は先生ですから、それが同じところでこれからも共同で働いていくわけですから、身分、処遇の違いというのはお聞きするまでもないんですが、学校栄養職員と栄養教諭の職務内容の相違点についてお尋ねをいたします。

田中政府参考人 学校栄養職員と栄養教諭との職務の違いでございますけれども、学校栄養職員は、学校給食におきます栄養に関する専門事項をつかさどる職員といたしまして、学校給食の栄養管理、衛生管理といった給食管理業務を担うわけでございますけれども、栄養教諭は、この学校給食の管理に加えまして、食に関する指導をその職務とするところでございます。

横光委員 そうなりますと、やはり栄養教諭の場合は、かなりこれまで以上の職務が加わるということですね。先ほど副大臣が申されたようなことを一手に担わなきゃいけないわけですね。

 例えばこれを一人で、栄養教諭が中心となってこれらの課題に取り組む、あるいは行うことが本当に可能なんでしょうか。私は、今度は不可能に近いぐらいかなり大きな負担になるんじゃないかという気がしておるわけです。両者の、職員と教諭の役割分担をやはりこれから現場で明確にしなければならないだろう、そしてまた、処遇上の差別等が行われないように検討する必要があろうかと思いますが、この点はどのようにお考えですか。

田中政府参考人 御指摘のように、これから栄養教諭制度ができましても、栄養教諭になるためには一定の単位を修得して栄養教諭免許状を取得する必要があるわけでございますので、取得するためには一定の期間がかかろうと思いますし、そういう意味からは、栄養教諭と学校栄養職員が併存するということが考えられるわけでございます。ただ、その同じ職員が同じ職場で働くということはそんなに多くはないのではないかと私どもは考えておるところでございます。

 ただ、大きな共同調理場なんかにおきまして複数の学校栄養職員が配置されておった。その中で、片一方の栄養職員さんは栄養教諭になられたけれども、もう一方の学校栄養職員の方は、自分は余り子供に指導することは得意じゃない、自分は今までどおり、学校栄養職員として精いっぱい働いていきたいというような場合もあろうかと思うわけでございます。そういう場合には、委員御指摘のように、学校給食の管理の面につきましては学校栄養職員の方がかなり受け持つことによりまして、栄養教諭の方は食に関する指導により多くの時間が割けるというようなことも考えられるのではなかろうかと思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、そういう学校栄養職員と栄養教諭がいがみ合うことのないように、それぞれお互いの職務を尊重しながらやっていくことが大事だろうと思っております。

横光委員 これからのことでございますが、私は、そこのところを大変、これまで本当にともに同じ思いでやっていたのが、ちょっと身分が違ってくる、処遇も違ってくるということが現実に起きた場合、現場で起きる必要のないいざこざが起きてしまう可能性も高いわけです。これは、私はある意味では避けがたいと思いますので、それを最小限にとどめる指導というのが、検討というのが必要であろうと。制度はできたが、そのために不協和音が起きたのじゃ何にもならないわけですから、そのあたりのこれからの御配慮をよろしくお願い申し上げます。

 また、学校給食の実施、これは設置者でございます市町村等の努力義務でございます。また、栄養教諭の配置も各都道府県の判断にゆだねられることになっておりますね。今度の改正でも、この栄養教諭はいわゆる必置にはなっておりません。現状においても、いまだ市町村の厳しい財政事情によって、学校給食の実施が行われていない学校、あるいは学校給食は行われているが学校栄養職員の配置がなされていない学校等があるわけでございます。

 政府は、先ほど申しましたように、食育の全国展開の推進を閣議決定しているにもかかわらず、このような地域間格差やあるいは学校間格差が現実にある。そして、このことがひいては児童生徒が食に関する正しい知識等を身につける機会の格差につながっていく。これは当然つながっていくわけです。こういった格差をどのように解消していくおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 委員御指摘のように、学校給食をやっていない学校、また栄養教諭制度が創設されても学校栄養職員がまだ栄養教諭に移行していない、いろいろな場合が想定されるわけでございますけれども、どの学校におきましても、やはり食に関する指導は充実して取り組んでいただく必要があるというふうに私ども考えておるところでございまして、文部科学省といたしましても、児童生徒用の食生活学習教材でございますとか、指導者用の資料等を配付いたしまして、各学校における食に関する指導の取り組みを促進しておるところでございます。

 また、私どもといたしましては、本年度、一般の教員の方々に対しまして、食に関する指導の重要性でございますとか食に関する指導の内容、こういうものに関するパンフレットを作成させていただきまして、配らせていただくことによって、食に関する指導の取り組みの充実に資したいというふうに考えておるところでございます。

横光委員 学校栄養職員が、現在、日常の学校給食の栄養管理、そしてまた衛生管理、さらには物資の管理等を担いながら、今言われたように、学校給食が行われていない学校あるいは栄養職員の未配置校で、食に関する指導を行っているわけですね。これが栄養教諭の場合も、同様に複数校を担当する兼務体制になるわけですか。

田中政府参考人 委員御指摘のように、現在、学校栄養職員におきましては、単独校方式の場合、二校に一人、共同調理方式の場合には四・五校に一人といった配置の割合になっておるわけでございますので、これらの学校栄養職員が栄養教諭に移行したといたしましても、一人の栄養教諭が複数の学校を兼務するということはあろうというふうに思うわけでございます。

 これらの学校栄養教諭につきましては、従来の学校給食の衛生管理、これらにつきまして十分充実していただくというか、それに関して手を抜くことのないようにしていただくことは大切なことでございますけれども、同時に、献立のデータベース化、物資管理の情報化、あるいは調理員の方々の衛生管理の知識の向上を図るといったような中で、学校給食の管理における効率化を図っていただきまして、できるだけ食の指導のために必要な時間を確保していただきたいというふうに考えておるところでございます。

横光委員 先ほど説明ございましたように、学校教諭になりますと、給食に加えていわゆる食の指導という新たな仕事も加わるということで、私は非常に、先ほど申しましたが、過重負担とならないような形をとらなければ、なかなかこの栄養教諭の希望者が、その後のことを考えますと、やはりいろいろ支障を引き起こすんじゃないかという気がいたしております。

 要するに、過重負担とならないためには、仕事の量といいますか、いわゆるパイは同じなわけですから、だから、その中の個々の負担を削るには、栄養職員や栄養教諭の定員増という道しかないと思うんですが、このあたりはどのようにお考えですか。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 食に関する指導の充実を目的とする今回のこの栄養教諭制度創設の趣旨にかんがみますならば、一人でも多くの栄養教諭の配置が進むことは望ましいと考えておるわけでありますけれども、昨今の社会情勢のもとで大幅な定員増を図るということはなかなか難しい状況にあろうかと思っております。

 いずれにいたしましても、栄養教諭、学校栄養職員の定数につきましては、現在第七次の定数改善計画、平成十三年度から平成十七年度までの五カ年計画でございますが、これに基づきまして九百六十二人の改善増を図ることにいたしておるわけでございます。

 私どもといたしましては、まずはこの計画の着実な推進に努めてまいりたい、かように考えております。

横光委員 これまでその答弁は何度もお聞きいたしました。

 現状の子供の食をめぐる状況について文科省が憂慮されていることはよくわかります。そのための法整備だと思うわけでございますが、残念ながら、その理念と危機感みたいなものが改正案にはなかなか出てきていない、何ゆえかというような思いが私はするわけです。

 それはやはり文科省が、みずから財政論議をして、教育論議を結局放棄してしまうかのような状況に私は受け取れるわけですよ。やはり財政論は財政論で別に抜きにして、教育論的に本当に文科省が望ましいと、どのように考えておるのかということです。つまり、この法案をより実効性あるものにするためにはどのような配置が望ましいのか、これは財政論を抜きにして、教育論議的に一番望ましい姿をお聞かせください。

河村国務大臣 学校における食育の問題を預かる文部科学大臣といたしましては、おっしゃるように、財政論、これをまず抜きにして、教育的見地といいますかそういうものでこの食育を考える。それは、食に関する高い専門性を持つ人材をいかにたくさん確保するかということ、これがまず第一でありますから、当然御指摘のように、今回の制度導入に当たっては、栄養教諭を全学校にきちっと配置する、これがまず私は理想の形だし、それを望ましいと考えるのは私も当然だ、こう思っておるわけでございます。

 理想を言えばまさにそうなるわけでございます。ただ、学校給食制度そのものが義務化でスタートしなかったという経緯もございまして、現実に必置までいかなかったという現状はありますが、しかし、今皆さんに御指摘をいただいていますように、児童生徒をめぐる食の状況、食の乱れ、これをこれ以上放置するわけにいかない。まずこの学校栄養教諭制度を立ち上げることによって、我々、そのことを社会に強く訴える手段だし、教育の中でこのことをきちっと位置づけていく、そういう意味で、まずこの制度を立ち上げることを最優先に考えたということでございます。

 先ほど局長も答弁申し上げましたように、この学校栄養職員の定数改善も、平成十七年度まで千人近い改善を行うわけでございますが、まずこのことをきちっとやった上で次を考えていかなきゃいかぬ、こう思っておるわけでございます。今後、必置を我々理想に掲げながら、定数改善を求めていきたい、こう思っておりまして、これからの栄養教諭増員の世論形成も含めて、また横光先生からも力強い御支援を賜りたい、このように思っておるわけでございます。

横光委員 大変誠実な御答弁だと私は思っております。やはり教育論議的に言えば、今大臣がおっしゃられたように、すべての学校に配置するというのが理想であるということでございます。それが大前提であるとまず思うんですね、ナショナルミニマムという観点から大前提だと思う。それをまず文科省ははっきりと確認をして、そしてその次に私はやはり財政論議の問題であるという思いがしたわけで、今こういった質問したんです。

 文科省のあるべき配置の姿というのはよくわかりました。では、これからその理想に向けて、目的に向けてどのように増員していくのかというのが次の課題であろうと思います。現時点では無理でありますが、今後どのように増員していくのか。

 確かに、今七次の改善計画をまず全うする、その後のということでございますが、私、この機会均等あるいは実効性を図るという意味から、栄養教諭の配置が各都道府県の判断に任されてしまうということがどうも整合性がないなという気がしてならないんですね。県の判断で任用、配置をするとなりますと、やはりいろいろな問題が起きてくる。片一方ではそういった法律ができる、システムができる、しかし、実際にはそれは実効性がないというようなことがこれから恐らく起きるでしょう。極端なことを言うと、開かれた道が事実上全然人が通らないというような道になりかねない、そういう気もするわけですね。

 そうしますと、この制度を実効性のあるものにするためには、やはり各都道府県の理解、働きかけ、これが非常に重要になってくる。このあたりはどのような対応をとられているんですか、今度の法律が成立するという上で。

田中政府参考人 御指摘のように、栄養教諭の配置につきましては、地方公共団体が地域の実情等に応じて判断することとしておるところでございますけれども、食に関する指導の充実を目的とする栄養教諭制度の創設の趣旨にかんがみれば、栄養教諭の配置が進むことが大変望ましいことでございます。

 私どもといたしましても、栄養教諭制度の意義や食に関する指導の重要性等につきまして、積極的に都道府県の教育委員会等の理解を促してまいりたいというふうに考えております。

横光委員 やはりこの法律の趣旨、これを相当周知徹底させる必要がある。何のためなのか、だれのための法律なのかということを考えれば、やはり将来を担う子供たちのためということになるわけですから、そういったことを考えれば、やはり都道府県に対して非常にある意味では、周知徹底をさらに強く働きかけていかなければこの問題は解消しない。現在、いろいろなアンケートでも、都道府県によっては、この法律ができても腰を引いている県が実際あるわけですね。要するに、仏つくって魂入らずというようなことになりかねないので、ここは文科省が必要性というものを口を酸っぱく、周知徹底させる必要があろうかと。そして、次の八次、九次の改善計画に向けて努力をしていくべきだ。ここは、今度は財政論議になって、財務省との闘いになろうかと思いますが、これはやはり本委員会も積極的にサポートしていかなきゃならない問題であろうと思っております。

 これから始まるわけですが、栄養職員が栄養教諭になろうという思いを持つかどうかもここにかかっているような気がするわけですね。そういった意味で、非常に重要なポイントだと私は思っております。

 次に、今回、栄養職員の栄養教諭への道が制度として開かれるわけですが、この任用がえやあるいは栄養教諭の免許の取得、これは極力速やかに行われる必要があろうかと思っております。これまでの委員会で文科省から、認定講習を実施するという言葉をお聞きいたしまして、これは大変評価できることだと思っております。

 しかし、もう一つの点、いわゆる教育実習の実施ということをおっしゃいました。一単位一週間、教育実習の実施ということをおっしゃいましたが、この教育実習は、指導はだれがやるんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 栄養教諭が学校現場に配置されるまでの間は、栄養教育実習につきましては、学校あるいは共同調理場におきまして、教育委員会の指導主事でありますとか、家庭科あるいは保健科等の教科担当の先生方が連携協力をして指導に当たる、こういうことが中心になると考えておるところでございます。

横光委員 それはしかし、私は余り現実的でないような気がしますね。現在、現職の学校栄養職員は、先生と同じように教壇に立ってやっておるんですよ。非常勤講師として子供たちの前に立つなど、子供とかかわっておるんですよ。現在も、ある意味では十分に教育実習をやっているわけなんですね。しかも、これは一週間かける、一単位とらなきゃならないと。では、この一週間は業務はどのようにされるんですか、この一週間の業務は。

近藤政府参考人 少し御説明をさせていただきますが、栄養教諭は学校におきまして児童生徒に対し食の指導を行うということから、栄養教諭の免許状授与に当たりましては、ほかの教員と同様に、学校現場における子供たちとの直接的な触れ合いを通じまして、大学で学んだ知識や理論を実際の教育に生かすなどの実践的な能力を身につける必要がある……(横光委員「いや、一週間の業務はどうするんですかということ」と呼ぶ)そういうことで考えておるわけでございますけれども、私ども、今先生が御指摘になりましたように、学校栄養職員が特別非常勤講師として食に関する指導を行った実務経験がある、こういったような場合には、そういったことを考慮いたしまして、栄養教育実習をほかの教職に関する科目の単位の修得でかえることができる、そういったところは十分配慮してまいりたいかと思っております。

横光委員 一週間の業務のことはお答えになりませんでしたが、これはやはり指示書をつくって、結局調理師の方につくってもらうわけです。これは一日か二日なら現在だってありますし、さほど問題ない。一週間その実習のために穴をあけるとなると、食の安全等を含めて、いろいろな問題が起きますよ。これが一つ。

 それから、今言われた、学校給食に携わったことのない栄養士さん、これであるならば、当然、教員免許を取るための教育実習、これは必要だと私は思っております。しかし、現職者、今言われたように現職が、もう実際子供たちとかかわったり、あるいは教壇に立ったりしている人たちがさらに教育実習をやるというのは、先ほどの一週間の穴をあける問題とか、屋上屋を重ねることになるのではないかとか、二度手間になるのではないか、そういったことを考えれば、実績はカウントされるべきである。

 もう一度お聞かせいただきたいんですが、現職の方たちへの緩和は、今説明されましたが、もう一度お聞かせください。実習、必要であるのかないのか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 一つには、そういった現実の業務に支障が生じないように、夏休み等の長期休業期間を活用いたしまして教育実習を一週間程度行う、こういうことを考えておるわけでございますし、今先生御指摘になりましたように、特別非常勤講師として食に関する指導を行った経験がある方には、ほかの教職に関する科目、座学でございますけれども、この単位修得で代替ができる。それからまた、学校栄養職員が、家庭科でありますとか保健体育科、あるいは養護教諭等他の教員免許状を有しておる場合には、その栄養教育実習を含めまして、教職に関する科目、八単位ございますが、その単位修得を不要とする、こういうふうにして考えておるところでございます。

横光委員 しつこいようですが、本当に、教育実習というもの、新しく免許を取る方には必要でございますが、現在もう実習をやっているような人たち、これから恐らくこういう方たちは、栄養教諭になった後は実習を指導する立場になると私は思うんですね。そういう人たちに今度、教育実習をする、これは余りよくない。今言われたような特例的な措置は、ぜひ考えていただきたいと思っております。

 また、認定講習を受講するに当たっての環境と条件の整備が必要だと私は考えております。現在、学校栄養職員は、職務命令であるならば出張という形で処理できますが、それがなければ有給休暇ということになるわけでございます。

 そういった意味で、現在の学校栄養職員には研修というものが認められておりませんね。いわゆる教特法の枠内に、特例として、認定講習を受ける場合は研修とする、このようないわゆる緩和措置は必要ではないのでしょうか。いかがですか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 先生今御指摘になったことでございますが、学校栄養職員につきましては、教育公務員特例法上の教員として位置づけられていないわけでございまして、学校栄養職員が、この教育公務員特例法第二十二条に基づきます職務専念義務免除による研修扱い、これは制度上も難しいと考えておるわけでございますが、確かに、学校栄養職員が栄養教諭に円滑に移行できるということは大事なことでございまして、認定講習を円滑に受講できるように、これも教育委員会の判断ではございますが、いわゆる職務研修等するなどの、教育委員会におきまして適切に対応していただきたいと考えております。

横光委員 よくわかりました。受講、認定講習がスムーズにいくという意味では、今のような知恵を、それぞれの教育委員会に何らかの形を図るように御指導いただきたいと思っております。

 また、子供たちの食の教育というのは、本来であるならば、やはり何といっても家庭であろうと思うんですね。赤ちゃんから、はいはいして、保育園へ行って、幼稚園へ行く、このあたりはほとんど食の中心は家庭だと思うんですね。そしてまた、学校に行きますと、ここに学校給食というのが加わる。ですから、家庭の食の子供たちに対する知識、あり方、あるいは教育、それから学校での同じような問題、それぞれ大事だと思う。それぞれ大事だと思いますが、これが別々であるよりは、そこで連携を図ればさらに相乗効果が高まると思っております。

 そういった意味で、家庭での指導にどのような対応、いわゆる働きかけがとれるのか、また、学校と家庭との連携はどのように、法整備ができた後、図っていこうとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

原田副大臣 委員が御指摘のとおり、むしろ家庭での食事、教育のあり方が何よりも大事でございます。

 こういう数字でいいかどうかわかりませんけれども、人間三百六十五日、三回ずつ食べますから、一年間に約千百回食事するわけですけれども、学校での給食は多くても大体二百回、二百日です。ということは、千百回のうち九百回はやはり家庭での食事ということになりますから、これはもう何をおいても、まず家庭での生活、教育、また食事が大事かということを見てとれるわけであります。

 ところが、再三議論されますように、現実問題としては、家庭での食事または食生活がいろいろな意味で乱れておる、また心配になってきておる、再三お話が出ているとおりでありますから、そういう意味では、学校がそういう状況の中でどういう役割を演じられるか、また期待されているか、私は、ここに今回の栄養教諭の制度の問題、また意義もあるのではないか、そう思っているわけであります。

 そういう意味で、先ほどから議論されますように、栄養教諭にはもちろん学校の中での大事な仕事があると同時に、また家庭や社会に対してもいろいろな仕事、期待があるわけでありまして、まず、給食便りなどを中心に、日々の給食の内容、その栄養価等、さらには季節の食材の紹介等々をしっかりと家庭に提供する。また親子料理教室などを開催して、地域社会と、また家庭と連携をしながら食生活の健全な育成というものを進めていく。こういうときに、やはり学校における栄養教諭が、大きなまた権威といいますかリーダーシップを持ってこういう活動をできるのではないか、そういうふうに思っているところであります。

 今回、こういう法案の議論を通じまして、栄養教諭制度が世の中で知れ渡ることによって、恐らく地域また家庭からの期待もますます大きくなる、また栄養教諭の側の意識もそれに対応しようというような意味でさらに高くなるのではないか、こう期待するところであります。

横光委員 今お話ございましたように、栄養教諭になりますと、要するにさまざまな仕事がふえる中で、家庭との連携あるいは個別の問題、アレルギーあるいは子供の個別指導、保護者に対する栄養相談、こういったものもある意味では現行の学校栄養職員の仕事になってくるわけでございます。

 ところが、子供の家庭の実態を一番把握しているのは栄養職員でも何でもないんですね。子供の家庭の実態を一番把握しているのは学級担任でございますし、教科担任でございます。ですから、これは栄養職員だけの仕事じゃなくて、今のお話のように、もちろん新たな栄養教諭が先頭に立っていくわけですが、しかし、そこはやはり学校全体がサポートしていかなければならない。家庭との連携になると、これはもう学級担任や教科担任の協力を得ていくしかない。

 そういった意味で、もちろん校長さんを初め全職員が食に関する問題について認識と理解を深めて、そしてより効果的な指導を円滑に実施できる体制を、家庭と学校との連携をするためにはそういった体制整備が必要ではなかろうかと私は思っております。これは意見でございます。

 そして、現在の学校の指導要領の教科における食に関する指導、これは小学校では家庭、体育、特別活動、そして中学校では技術・家庭、保健体育、特別活動、ここで取り扱っておりますよね。ところが、栄養教諭が食に関する指導を行う場合、食育が教科として位置づけられておりませんね。となりますと、どのようにして学校の中で新たな学校栄養教諭は指導時間を確保していくことになるのか、そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 ただいま委員御指摘のように、食に関する指導につきましては、例えばこれまでも学校給食は学級担任が主として指導しておりますし、家庭科については家庭科の先生が、また保健体育については保健体育の先生が今まで指導しておるわけでございますけれども、これから栄養教諭制度ができて、栄養教諭が配置されますと、その学校におきましては年間の食に関する指導計画というのを栄養教諭も参画した形でぜひつくっていただきまして、そういう中で栄養教諭がそれぞれの教科やあるいは学校給食の中でどういうふうにかかわっていくのかあらかじめ決めた上で、そういう各教科の先生方、あるいは学級担任、それから栄養教諭、この人たちが有機的に食に関する指導に携わっていくことが非常に重要だろうと思っておるところでございます。

横光委員 現在、家庭科、体育が食に関する指導をやっているというのが現状でもあろうかと思うんです。例えば、中教審の報告に意見陳述している家庭科教育学会会長の牧野カツコ様という方の意見がございますが、これは「栄養教諭が創設されたとしても、栄養教諭はその専門性を発揮しつつも、食教育の指導における補完的な役割を担うことになると考えます。」、つまり、これまで自分たちがやっている部分はしっかりと家庭あるいは体育でやるんだ、補完的なというような趣旨のお考えもあるんですが、そういった考えではないんですね、文科省のこの栄養教諭のあり方というのは。お聞かせいただきたい。

田中政府参考人 栄養教諭に関しましては、まさにいろいろな食に関する課題を抱える子供に対して個別指導する。それから二つ目には、給食の時間でございますとか家庭科の時間、保健体育の時間、そういう時間も教科担任の先生あるいは学級担任の先生と協力してその指導に携わる。さらには、学校の中でそれらのそれぞれの、今まで教科や特別活動の中で行われておりました食に関する指導を、その学校全体の取り組みとして年間指導計画といったようなものを策定することに栄養教諭が積極的に参画していただきまして、栄養教諭が中心となってそういうものをつくることによりまして、別々の教科でそれぞれやっていたものを、学校給食をそれぞれの教科の中で生きた教材として使うようにいたしまして、有機的な連携を図っていくことが大変重要だろうと思っております。

横光委員 最初の方で、学校栄養職員と栄養教諭の問題が、現場で不協和音が起きないかということを言いましたが、今度は、これまでの家庭科の先生とか、体育の先生とか、今度の新しい栄養教諭の先生とかが学校現場の中で不協和音が起きないように、今の説明のようにしっかりと総合的な計画を立ててやっていただきたい。せっかくつくった制度が、また学校で、極端なことを言うと、仕事のとり合いのようなことになると、これは大変なことになりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 栄養教諭の件はこれで終わりまして、薬剤師の方でちょっとお尋ねをいたしたいと思っております。

 薬剤師の数、平成十四年末現在で約二十三万人、そして毎年九千人近くが薬剤師の国家試験に合格しておるとお聞きしております。薬学部を卒業した者のうち、薬局や病院、診療所に就職して薬剤師として働く割合は約四〇%、一般販売業を含めても約四五%、大学院修了後に就職した者を含めても約五〇%。ということは、これはどういうことですか。卒業生の半分程度は薬剤師として働いていないという現状にあるわけですね。

 そして、そういった現状であるにもかかわらず、薬学部の学生数が増加しているという状況がある。一方で、厚労省の公表で、薬剤師の需給予測は、早ければ平成十八年にも需要は頭打ちとなって、以後、供給が過剰な状態が続くんではないかと予測しておるんですね。

 このような状況の中で、現在の薬学部を持つ大学がどのように四年制から六年制へ再編されていく見込みなのか。また、新たに薬学部を設置する大学の動向あるいは設置認可について、文科省はどのように対応していかれる方針なのか。現状をしっかりと、私が今説明した現状の上で、お聞かせいただきたいと思います。

遠藤政府参考人 一点目、この法改正ができまして、六年制ということになった場合の現在の薬科大学、薬学部、六年制にどう変わっていくのか、こういう質問だと思いますけれども、この点については、現在御審議をいただいております本法案の成立、その後の大学設置基準の改正等を待って、各大学で本格的に検討を進めるということになろうかと思います。

 現時点まで、私ども、大学関係者、先生のところどうですかというような感触を聞いております限りにおきましては、大多数の大学が六年制に移行する、こういうようでございまして、一部の大学が六年制と四年制のコースを併置する、こういうような感触と受けとめております。

 それから、新しく薬学部の設置を検討している大学の状況はどうか、こういうことでございます。平成十七年度、来年の四月に薬学部を開設するためには、本年の六月の末あるいは九月の末までに設置認可の申請を行う必要があるということでございまして、これまで、私どもの方に事前に、事務的にこれはどうしたらいいだろうかといったようなことでの事前相談に訪れた大学は八大学ございます。

 それから、需給の問題等も含め、文部科学省としての設置認可、どう対応するのか、こういうお尋ねだと思います。大学や学部等の設置や入学定員増に係る認可申請、これは一般論でございますが、国による規制を可能な限り緩和し、自由な競争環境の整備を図る、こういう総合規制改革会議の提言等を踏まえまして、平成十五年四月から、従来の原則抑制の方針を撤廃しまして、認可申請を受理した上で審査をするということにしてございます。

 薬学部の新設につきましても、申請があった場合には、大学設置・学校法人審議会に諮問いたしまして、法令等に基づく専門的な審査を行いまして、基準等に適合する、こう判断されたときには、その答申を踏まえ、認可をするということとしておるわけでございます。

横光委員 今回の法案は、薬剤師の皆様方の質の向上を図るという趣旨もございます。ところが、今お話がございましたが、薬剤師会など四団体は、薬剤師の質が落ちることや、あるいは実習の受け入れ先が不足することを理由に、新設大学の抑制を文科省に申し入れていると思うんですね。

 この法案は薬剤師の質を上げるための法案でもある、ところが、現場では、これ以上大学がふえると薬剤師の質が落ちるという現場の声がある。こういった声が現実にもある。それで、卒業するけれども、半分は薬剤師の仕事につかない、そして、いずれはもう供給過剰になるであろうという厚労省の予測もある。

 そういった中で、自由競争、緩和して自由な競争というのはよくわかります。それはわかりますよ。しかし、何でもかんでも認可していって、結局大変な状況にならないのか。現場の、例えば薬剤師会四団体の危惧はどうなるのか。この法律によって質が上がるというけれども、逆に下がるんじゃないか。いろいろな問題が出てくるわけでございます。

 もう一つお聞きしたいんですが、薬剤師としての業務につく者の割合は伸びておるんですが、その数は、有資格者全体の約六割、新卒者の約五割で、ほとんどが薬局薬剤師なんですね。調剤薬局等薬剤師を義務的に配置している、いわゆるドラッグストアで就業する人がふえているということを聞いております。その一方、医療チームの一員として高度な知識と技能を要求される薬剤師、いわゆる病院薬剤師、こうした職につくのは全体の約二割という状況であるという報告も受けているんです。

 先ほども言いました、このような状況と、いわゆるこの法案の質の高い薬剤師の養成を目的とする今回の改正との整合性がどうもつかないような気がするんですが、せっかくいい、質の高い薬剤師をつくろうとする法案が、現実では、ドラッグストア等は高報酬ですからどうしてもそっちに行く、病院なんかの質の高い、専門的な知識技能を必要とする薬剤師を目指すのは少ないという逆の方向があると聞いておりますが、これは現実はそのとおりなんでしょうか、どうでしょうか。

河村国務大臣 前段の方で、薬剤師の需給の問題もちょっとお触れになりました。

 厚生労働省側の薬剤師問題検討会というのがございまして、平成十四年六月から昨年の十五年十月まで、平成十八年度あたりに一つの供給過剰問題が発生するであろう、こういう認識が出されておるわけでございますが、今後の具体的な対応がまだ出てきておりませんので、文部科学省としても、認可の問題については、この状況を見守りながら、現行制度の中で許認可を今検討している、こういう段階になっておるところでございます。

 また、あわせて、今どんどん数がふえつつある状況の中で、果たして今回の六年制というのが医療人としての高い資質を備えた薬剤師の養成につながっていくんだろうかという疑問を述べられたと思います。

 これがまさに今回、逆に言いますと、最近の医療技術がこれだけ高度化になってきた、それから医薬分業が非常に進んできた、この中で、高い資質の薬剤師が求められるということも現実にございます。日本においてはその点が諸外国に比べても、諸外国はほとんど五年制か六年制を持っている。

 私は以前、スポーツ選手として、参議院で頑張っている橋本聖子先生が、外国でちょっとけがをしたような場合に、医師と並んで薬剤師が必ずそばに立っていると言うんですね。日本ではないことだということを言われまして、やはり薬剤師の非常に高度な位置づけというものを感じたというお話もいただきまして、ああそうかと、私は、それは非常に目からうろこのような感じがいたしました。そういう意味で、これからも薬剤師の役割というものが非常に求められておりますね。そういう意味で、今回、これらの役割というのは、病院で勤務する薬剤師だけではなくて薬局におられる薬剤師の皆さんも、そういう知識を持っておられなければいかぬ。

 それからまた、大学における薬学教育においても、医薬品の効能、効果、あるいは副作用、いわゆる人体に医薬品がどのような影響をするかということもきちっと持っていただいて、そしてまさにインフォームド・コンセントといいますか、情報公開をきちっとして、その薬がどういう形になっているか。最近は、薬をもらいますと、薬の効能等も非常に細かく出てくるようになりました。そういうことを、やはり薬剤師の方々が患者とのコミュニケーション能力を持って存在するということが必要になってきた、私はこう思っております。

 まさに、今回の学校教育法の改正によって、このような社会的要請にこたえて、我が国の医療を担う高い資質を有する薬剤師を養成するんだ、こういう理念のもとに今回の法案が出ておる、こういうことでございます。

横光委員 先般の参考人で、栄養教諭の件で香川参考人、そして薬剤師の六年制の件では井村参考人、それぞれ今回の法案は大歓迎である、念願の法案であったということで、大変歓迎されております。

 ですから、冒頭言われましたこの目的、そしてこのことによっていかに有効性を発揮するかということを考えた場合、本当にこれからスタートするわけですが、よりそれぞれの目的にかなう、実効性のある形となるように念願をして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

池坊委員長 次回は、来る四月二十七日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十三分散会


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