衆議院

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第7号 平成18年3月15日(水曜日)

会議録本文へ
平成十八年三月十五日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 遠藤 乙彦君

   理事 小渕 優子君 理事 大前 繁雄君

   理事 小島 敏男君 理事 西村 明宏君

   理事 松浪健四郎君 理事 藤村  修君

   理事 牧  義夫君 理事 池坊 保子君

      あかま二郎君    阿部 俊子君

      秋葉 賢也君    井脇ノブ子君

      飯島 夕雁君    小川 友一君

      近江屋信広君    岡下 信子君

      加藤 紘一君    川条 志嘉君

      近藤 基彦君    佐藤ゆかり君

      佐藤  錬君    鈴木 俊一君

      鈴木 恒夫君    関  芳弘君

      永岡 桂子君    西本 勝子君

      福田 峰之君    藤井 勇治君

      馬渡 龍治君    松野 博一君

      松本  純君    松本 文明君

      盛山 正仁君   山本ともひろ君

      吉野 正芳君    奥村 展三君

      北橋 健治君    末松 義規君

      田中眞紀子君    松原  仁君

      松本 大輔君    山口  壯君

      横山 北斗君    笠  浩史君

      西  博義君    石井 郁子君

      保坂 展人君

    …………………………………

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   総務副大臣        山崎  力君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   文部科学大臣政務官    有村 治子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            石川  明君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 鳥生  隆君

   文部科学委員会専門員   井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     松野 博一君

  飯島 夕雁君     松本 文明君

  加藤 紘一君     近江屋信広君

  坂本 剛二君     佐藤ゆかり君

  鈴木 恒夫君     松本  純君

  藤田 幹雄君     藤井 勇治君

  末松 義規君     松原  仁君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     加藤 紘一君

  佐藤ゆかり君     関  芳弘君

  藤井 勇治君     あかま二郎君

  松野 博一君     秋葉 賢也君

  松本  純君     鈴木 恒夫君

  松本 文明君     飯島 夕雁君

  松原  仁君     末松 義規君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     藤田 幹雄君

  関  芳弘君     盛山 正仁君

同日

 辞任         補欠選任

  盛山 正仁君     坂本 剛二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一六号)

 独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局公務員部長小笠原倫明君、自治財政局長瀧野欣彌君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長大島寛君、初等中等教育局長銭谷眞美君、高等教育局長石川明君、スポーツ・青少年局長素川富司君及び厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長鳥生隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部俊子さん。

阿部(俊)委員 おはようございます。自由民主党の阿部俊子でございます。

 本日は、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案に関しての質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、三位一体改革に関して質問をさせていただきます。

 昨年十一月に、国から地方への補助金削減、税源移譲、地方交付税の見直しで地方分権を進める国、地方、財政の三位一体改革が決着されました。一部には、今回の改革では地方の自由度拡大に結びつかない、義務的経費の補助率の引き下げばかりを対象としたものの指摘も見られるところでございます。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、そもそも三位一体改革とはどのようなものとお考えでしょうか。

小坂国務大臣 昨年の十一月に三位一体改革の決着がされたというふうにお話がございまして、そもそもということでございますが、三位一体改革というのは、ある意味では宗教的な教義の形、三つのものが一体として不可分であるといったような意味だと思うわけでございますが、国庫補助負担金の改革と、税源移譲と、そして地方交付税の改革を一体的に推進するということ、そして、歳入歳出両面において、地方の権限と責任を拡大して、そして地方が真に住民に必要な行政サービスを主体的かつ効率的に実施することができるようにする、そういう考え方であると認識をいたしております。

阿部(俊)委員 ありがとうございました。

 権限を拡大する、主体的、効率的なことを地方ができるという三位一体改革に関しては、私は、非常に時代の流れとしてはふさわしいものであるというふうに考えます。

 ただ、今回の義務教育費に関しましては、地方の自由度、裁量権が必ずしも拡大するものではないという点に関しまして、例えば、公共事業、施設整備費、運営費などにつながる補助金の方が地方の自由度が高く、創意工夫が最も働きやすいものだというふうに考えています。今回の改革では、わずかながらも、老人福祉施設など施設整備費が税源移譲されたことは一定の評価をするものでございますけれども、同時に、地方の自由度を高めるという本来の目的を達成するためには、かねてより懸案であった公共事業費、これを三位一体改革として先に移譲の対象とするべきであったのではないかという指摘もございます。

 これにつきまして、道州制でお忙しい中、大変申しわけございませんが、総務省の方のお考えをお聞きしたいというふうに思います。

瀧野政府参考人 今回の三位一体改革についてのお尋ねでございますが、今回の三位一体改革におきましては、四兆円を上回ります国庫補助金の改革と、それから約三兆円に上ります国から地方への税源移譲、さらには交付税の改革という三つを一体として改革するということでございます。そのうち、補助金の改革につきましては、全体として、国、地方の行政のスリム化も必要であるという中でスリム化をするものと、それから補助金の中身を見直して、交付金化して、その使い勝手をよくしていこうというものもございますが、そのほかは、引き続き地方が行わなければいけない事務に係るものについて税源移譲をしていこう、こういうことでございます。

 その際、今御指摘もございましたけれども、単純に補助率を引き下げているようなものもあるので全体として自由度が高まらないのではないかという御批判があることは我々も承知してございますけれども、今も御指摘ございましたとおり、保育所の運営費でありますとかあるいは施設整備費とか、地方がみずからの創意工夫と責任で政策を決められるような幅が拡大しておりますし、それから、何をおいても所得税から住民税への税源移譲という実財源の強化が行われているという意味では全体として評価できるのではないか、地方団体もそういうように評価しているわけでございます。

 その中で、今、特に公共事業についてどうかという御指摘でございますけれども、公共事業について、地方団体の方は改革を望んでおったわけでございますけれども、実際、公共事業については、その財源が国債によって行われる問題とか、あるいは非常に地域的な偏在が大きいとかいろいろな問題があり、今回は対象から外れているという状況にございます。

 しかしながら、こういった地方分権に向けた改革、終わりはないという認識のもとにあるわけでございまして、これまでの成果を踏まえまして、さらに国、地方を通じました行政改革を進めるという観点から、私ども、地方とも十分意見交換を行いながらさらに取り組みを行ってまいりたいというふうに考えております。

阿部(俊)委員 ありがとうございました。

 ぜひとも、地方分権という考え方から、さらなる取り組みの方を期待しております。

 次に、今回の三位一体の改革では、義務教育費国庫負担の割合が二分の一から三分の一といたしまして、約八千五百億円の税源移譲が行われましたが、教育は国の根幹であるという観点から、国が義務教育について責任を果たすということであれば、将来的には義務教育は全額国庫負担という揺り戻し、このことに関しても今後検討の余地があるというふうに考えていますが、これについて、文部科学大臣のお考えをお聞かせください。

小坂国務大臣 今回の三分の一への負担割合の変更というのは、昨年の中教審答申、そしてまた小泉内閣としての三位一体改革、この推進、そういった考え方の中で、関係の皆さんの御意見等々を踏まえて最終的に決断をしたところでございますが、これは、一昨年の政府・与党合意等を踏まえて、恒久的な措置というふうに考えております。

 そういった意味からは、恒久的なということを今までもこの委員会で答弁してまいりましたけれども、基本的には、政策とかあるいは制度というものは未来永劫変わらないということはないわけでございます。時代の流れ、そういった中で環境の変化、例えば、国と地方の関係においても、道州制の導入というようなことが行われれば、国の権限が道に移り、あるいは県の権限が道州に移るということもあると思いますから、そういった意味でいえば、未来永劫変わらないというものではない。

 また、今回の措置は、政府・与党として昨年十月の中教審答申をしっかり踏まえて行ったという私は考えでありますので、教職員の給与費の全額を国と地方の負担によって保障するんだ、この仕組みの枠組みはあくまでも堅持するということで結論を出しました。

 今委員の御指摘の全額国庫負担という考え方に、将来どうなんだということでありますが、自民党の文教部会あるいは文教制度調査会等の中にそういった御意見があるということは、私も承知をいたしております。

 私としては、まずはこの全額保障の仕組みのもとに、憲法の要請に基づく機会均等、水準確保、無償制といった義務教育の根幹を維持するという、国の責任をしっかり果たす中で、未来永劫ということはございませんけれども、昨年、一昨年と、ずうっと通じてやってまいりましたこの議論、この議論が教育現場の不安定な状況をもたらした、こう考えますので、今回の三分の一への変更がこれらの議論に決着をつけるということで結論として出されたものだという認識でおるわけでございます。

阿部(俊)委員 義務教育費が全額国庫負担にもし戻ったとしても、私は、教育の質の保証ができるわけではないというふうに考えています。国としての教育の質をどのように担保していくかという方法論の部分でもあると思いますが、やはり国の根幹の、特に教育力の部分はぜひ堅持していただきたいというふうに考えます。

 子供の安全、安心対策に関連して次に質問をしたいというふうに考えます。学校施設の耐震化の推進に関しまして質問をさせてください。

 公立学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす活動の場であるとともに、地震、津波など非常災害時には、地域住民の応急避難場所としての役割も果たすことができます。その安全性の確保は極めて重要でございますが、しかしながら、平成十七年四月に文部科学省において実施した公立学校施設の耐震改修状況調査結果によりますと、公立小中学校のうち耐震診断を実施した建物は、昭和五十六年以前の旧耐震基準で建てられた建物の五六・三%、これはおよそ四万七千棟にすぎず、また、耐震性が確認されている建物は、全体、これは十三万一千棟ございますが、そのうちの五一・八%、約六万八千棟にとどまっておりまして、十分に進められているとはいえない状況でございます。

 私の選挙区でございますところの岡山県では、財政難もございまして、公立小中学校施設の耐震診断実施率が平成十六年度で二一・二%、平成十七年度でも三五・六%で、全国的にも非常に低い値となっています。これは、岡山県が余り地震の心配がないということもありますが、やはり財政的な面が大きいかと考えています。

 これらの学校で耐震化が進んでいない理由としましては、耐震診断、耐震補強事業の予算措置が困難であるという財政上の理由が最も多く、その他、学校の統廃合を検討しているため、そもそも学校はほかの公共施設と比べて絶対量が多いなどの理由が挙げられておりますけれども、岡山県の場合も、いわゆる財政的な問題から、耐震診断をしても、その後の耐震補強のための予算措置が困難である、ですから、診断をしてその後の予算が出ないから、診断もしないということも聞かれております。

 そこで、今回の法案の目玉となっております義務教育諸学校施設費国庫負担等の一部改正では、文部科学大臣が施設整備基本方針を定めてくださって、耐震化の推進に重点を置くということでございますが、これによって、市町村等においては学校施設の耐震化にどのように取り組むことになるのでしょうか。予算の確保という点も含めて、この施設整備基本方針がどのような枠組みになっているのかをぜひ教えていただきたいと思います。

馳副大臣 二点御質問いただいたと思います。

 まず、市町村等の耐震化の進め方になりますが、文部科学大臣が定める施設整備の基本方針に基づいて、各市町村等に、施設整備計画を作成し提出をしていただくということになります。市町村等が交付金を受ける場合には、その計画に基づいて予算が配分されるということになりますので、市町村等においては、計画的に耐震化の施設整備がなされることになるというふうに承知をいたしております。

 もう一点ですが、では、予算化の問題が非常に問題で、どうするかということですが、まずは、小坂大臣と北側国土交通大臣の間で、耐震診断、これを実施することが重要という観点から、国土交通省所管の補助事業を活用するなどして、十八年のうちに、これを目途に公立小中学校の耐震診断を完了するように強く要請してまいりたいと思っております。

 そうは申しましても、平成十七年度の補正予算、平成十八年度予算をもってしても、まだ全体からいえば耐震化率は五八%を達成することでありまして、残りの四二%、大体五万六千三百三十二棟についてはまだまだということでありますから、まさしく、市町村の耐震化の施設整備計画、これを提出をいただいて、一日も早く一〇〇%になるように予算確保に努めていきたいと考えております。

阿部(俊)委員 ありがとうございます。

 やはり、計画だけを提出しても、予算が伴わないことにはどうしようもございませんので、早急に各市町村が計画を出してくださることを望みます。

 さらに、今般、事業所等でアスベスト被害が社会問題になっていることに関連いたしまして、子供たちの安全対策としてのアスベスト問題に関しましてお伺いいたします。

 昨年十一月、文部科学省が実施いたしました学校施設等における吹き付けアスベスト等の使用実態調査によりますと、アスベストの粉じんの飛散により暴露のおそれのある施設が七百七十一機関、これは全体の〇・六%でございますが、あったと報告されております。子供たちの安全を守るためには、飛散のおそれのあるアスベストが見つかった学校の施設については、除去等の早急な対応が不可欠であります。また、現在すぐに暴露のおそれはなくてもアスベストを使用している施設については、経年による劣化、損傷等で将来的に飛散する可能性がございまして、その対応が急務であるというふうに考えます。

 そこで、今回の調査結果を踏まえて、文部科学省として具体的にどのような対応を行われているのか、今後の方策も含めてお伺いいたします。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘ございましたように、文部科学省におきましては、昨年の七月の末から、子供たちの安全対策に万全を期すために、吹きつけアスベスト等の使用実態調査を実施してきたところでございます。

 御指摘ございましたように、全体、調査対象約十五万一千機関を調べた結果、調査完了は約十三万七千でございました。完了率九一%ということでございますが、そのうちの暴露のおそれのある部屋等を保有するものは、御指摘ございましたように七百七十一機関ということでございます。これらの機関につきましては、まず、学校等の設置者におきまして使用禁止にするなどの適切な措置が講じられている、このことをまず確認してございます。さらに、文部科学省におきましては、この結果を踏まえまして、学校等の設置者に対しましてアスベスト対策に関する留意事項を通知いたしました。それとともに、各種会議それから研修会等の場におきましてアスベスト対策の重要性についての周知徹底も図っているところでございます。

 また、本年、平成十七年度の補正予算におきましてアスベスト対策として七百四十五億円を確保しております。この予算も活用いたしまして、まずは暴露のおそれのある部屋などを優先、そのほか、先ほども申しました、まだおそれはないけれども現に吹きつけられているもの、こういったものについても可能な限り速やかに対策を行うこととしているところでございます。

阿部(俊)委員 ありがとうございました。

 教育の質を語るときに、安全、安心というのはその裏側にある非常に大切な部分だと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 続きまして、昨今、通学、帰宅途中の小学校の低学年児童をねらった凶悪な犯罪が横行しております。子供たちの安全を守るには、防犯ブザーの配布、子供の駆け込み場所の設置などのハード面の整備も必要でございますが、学校の教員、家庭、地域のボランティアなどがいかに連携をとり、子供の安全を図っていくかという、ソフト面の整備が不可欠であるというふうに考えます。

 これに関しましてどのように取り組んでいかれるおつもりか、今後の方針などについてお伺いいたします。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 地域全体、家庭も含めまして、子供たちの安全を守る、そのためのソフト面の整備が重要であるということは御指摘のとおりでございます。

 登下校時におきまして、地域の方々に学校安全ボランティアとして御協力いただき、声かけ活動などをしていただきまして、地域全体で子供を守る体制も重要でございますし、また、要注意箇所の把握などの、通学路を含めた地域の安全点検を保護者や地域の方々の御協力を得て行い、それを通学路安全マップ等に取りまとめて共通認識をする取り組みも重要だと思っています。

 私どもの方では、各教育委員会に対しまして、通知等でこのような取り組みを求めているところでありますが、さらに、その他の地域の参考となる事例につきましては、実践事例集を作成し、広く公開したり、さらに、十八年度予算案に経費を計上しておりますけれども、地域で子供を見守る全国ネットワークシステムの構築事業を活用いたしまして、すぐれた取り組みを全国で検索、閲覧できるようにするような取り組みも進めてまいりたいと考えているところでございます。

阿部(俊)委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、実践事例集の公開、ネットワークシステムの整備化をお急ぎいただきまして、努力をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、学級編制に関しまして質問をさせていただきます。

 現在、学校教育法におきましては、小中学校の学級編制が、児童生徒が四十名を超えるごとに教員一名を追加することとされております。現状では、小学校低学年で四十一道府県、中学校では二十七府県が、地域や学校など児童生徒の実態を考慮して、四十人以下の弾力的な学級編制を実施しております。

 子供の学習環境としては、一クラスは何人が望ましいかということに関しましては、国立教育政策研究所の調査によりますと、二十人以下の少人数学級は、それ以上の大きな規模の学級より理数系の成績がよく、教員から個別指導を受けた経験も多いという結果が出ているなど、多くの調査研究から、少人数編制の学習効果が明らかにされております。

 ただ、いろいろな問題で、全国平均が、子供たちが減っていることに伴いまして、一クラスが少なくなっていることなども考えますと、一律三十人学級とかいう考え方ではない方がいいかなというふうにも考えております。

 そこで、私といたしましては、現行の小中学校の一学級は四十人を超えないとする法定基準について、一学級は四十人を超えないとするが三十五人程度が望ましいというような、新しい切り口での少人数教育の推進を提案したいと考えますが、これについて文部科学省の考えをお伺いいたします。

銭谷政府参考人 今後の学級編制のあり方につきましては、学級編制の標準を全国一律に引き下げるという画一的な取り組みではなくて、地域や学校の実情に合わせた柔軟な取り組みを可能としつつ、これまで進めてきた少人数教育を一層充実させるということが効果的であると考えております。

 今お話のございました国立教育政策研究所の研究も、教科等に応じて二十人程度の少人数指導や習熟度別指導の実施、これが非常にいいのではないかということで、第七次の教職員定数改善計画がこういった考え方に基づいているわけでございますけれども、そのことを裏づけたものと考えております。

 私どもとしては、これまでも計画的な教職員定数の改善を図りながら、学級編制につきましても、地域の実情に応じた弾力的な運用を可能としてきたところでございます。この結果、お話にもございましたが、平成十七年度では、一部の学年で実施をしているものを含めまして、四十五道府県で四十人を下回る学級編制が行われているところでございます。

 先生の御提案もこういったことと同様の趣旨と考えられるわけでございますが、文科省としては、地域の実情に応じた弾力的な学級編制を含む少人数教育の推進ということで今後とも取り組んでまいりたいと思っております。

阿部(俊)委員 ありがとうございました。

 三十五人程度が望ましいということをぜひとも検討していただきたいとは思います。

 最後に、前回の予算委員会の文部科学分科会でも質問させていただきましたが、障害児教育について質問をさせていただきます。

 現在、障害を持つ子供は、政令である学校教育法施行令二十二条三において、盲・聾・養護学校に進学させるべきという表現で、心身の故障の程度を示しております。さらに、五条には、その者には原則として入学通知をしない、つまり、入学資格がないという趣旨のことが規定されております。これに対しまして、文部科学省では、認定就学制度を設けるなど、保護者が希望した場合、普通学級に通学できる仕組みを打ち出し、その取り組みが開始されたところでございます。

 すべての子供が、障害の有無にかかわらず、公平な教育の機会を受けることができるためには、障害のある児童生徒の就学指導及び就学措置に関しまして、就学指導の過程や就学先での教育の内容について保護者に情報提供が行われて、保護者が十分に子供の就学先を検討できるようにするとともに、保護者の意思を尊重して就学先の決定をすることが極めて重要であるというふうに考えています。そのためにどのように取り組んでいらっしゃるのか、お考えをお伺いいたします。

銭谷政府参考人 障害のある児童生徒の就学についてのお尋ねでございました。

 障害のある児童生徒の就学する学校につきましては、保護者や専門家の意見を聞きつつ、当該児童生徒の自立と社会参加のために適切な教育が行われるように総合的に判断されることが重要であると考えております。

 この就学指導のあり方については、昨年十二月の中央教育審議会の答申におきましても、第一に、児童生徒及び保護者に対する的確な説明及び情報提供、第二に、児童生徒及び保護者の意向の把握及び就学先の決定への反映等、こういった観点から、今後十分検討することが必要である旨、御提言をいただいているところでございます。

 文部科学省といたしましては、中教審の提言も踏まえまして、就学のあり方については、保護者の意見を十分に聞き、またその理解を得ながら、児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた適切な対応がなされるように取り進めてまいりたいと考えているところでございます。

阿部(俊)委員 ありがとうございました。

 今後とも、義務教育、障害児教育の充実に一層御努力をお願いしたいというふうに思います。

 教育は、日本の国力の根幹の大きな柱でございますので、国といたしましても、ぜひ、文部科学大臣を初めとして文部科学省の皆様にはしっかりと教育を守っていただきたいと思います。

 これで質問を終わります。本日はありがとうございました。

遠藤委員長 西村明宏君。

西村(明)委員 自民党の西村明宏でございます。

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案については、既に委員会におきまして充実した質疑が行われてきたところでございますけれども、自民党の締めくくりの質疑として、確認の意味を込めて総括的に質問いたしたいと思います。

 義務教育費国庫負担法は、義務教育について、義務教育無償の原則にのっとり、国民のすべてに対しその妥当な規模と内容を保障するため、国が必要な経費を負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上を図ることを目的とするものです。

 義務教育費国庫負担制度は、この法律に基づき運用されていますが、この制度の根幹とは何か、再確認させてください。

 また、今回、国庫負担率を二分の一から三分の一に変更することとなりますが、今回の措置でも義務教育費国庫負担制度の根幹はしっかりと維持されるのか、お伺いをします。

小坂国務大臣 御質問の義務教育費国庫負担制度、このことにつきましては、一昨年、昨年、大変な議論をしてまいりました。

 そういった中で、本来義務教育の根幹でございます教育の機会均等、水準の維持、そして無償制といったこの原則の中にあって、国庫負担制度というものが、地方公共団体の財政力の差にかかわらず、全国すべての地域において、すぐれた教職員を必要数確保して、そして、教育の機会均等と水準の維持向上を図るために極めて重要な制度だという認識を持っておりまして、この制度の根幹は、義務教育費の大半を占める教職員給与費について、国と地方の負担においてその全額を保障するということ、このことが根幹であると考えておりまして、今回の措置は、昨年十月の中教審答申を踏まえつつ、三位一体改革という小泉内閣の方針に従いまして、国の負担割合を改めたものであります。

 しかし、国と地方の負担により、義務教育の教職員給与費の全額を保障する仕組みはこの中で維持してまいりましたので、義務教育費国庫負担制度の根幹は維持されている、このように考えているところでございます。

西村(明)委員 全国知事会を初めとする地方六団体は、義務教育費国庫負担制度の税源移譲につながる改革案として、まず中学校分の負担金全額の移譲を行い、最終的には小学校分の負担金も含めて、義務教育費国庫負担制度の全廃を主張していました。

 政府・与党においては、こうした地方案と中教審答申を真摯に踏まえて検討した結果、小中学校の国庫負担率を三分の一とする決着となりましたけれども、地方が主張していた中学校分の税源移譲と今回の措置とはどのような違いがあるのでしょうか。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話がございましたように、全国知事会を初めとする地方六団体は、いずれ義務教育費国庫負担金の全額を廃止するということを前提に、平成十八年度までに、中学校分の教職員給与費に係る負担金約八千五百億円を税源移譲の対象とするということを主張していたわけでございます。

 この案は、中学校の教職員給与費について、国と地方の負担により全額を保障する制度、この義務教育費国庫負担制度の根幹を失わせるものであるというふうに考えられるわけでございます。

 中教審答申においては、同じ義務教育である小学校と中学校の教職員の取り扱いを分けることになり、合理性がなく、適当ではないと判断されたところでございます。

 一方、今回の措置は、国の負担割合を変更はいたしますが、地方六団体が主張しておりました中学校の教職員給与費の税源移譲とは異なりまして、国と地方の負担によりまして、小中学校を通じて義務教育の教職員給与費の全額を保障する仕組みでございまして、義務教育費国庫負担制度を堅持するというものでございます。

西村(明)委員 今回の措置によって、現行の国庫負担率を二分の一から三分の一に変更することとなりますが、現行の二分の一国庫負担率の制度と、今回の措置による三分の一国庫負担率との大きな違いは何でしょうか。

 また、都道府県負担分が二分の一から三分の二にふえることになりますけれども、これまでどおり地方財政措置がしっかりと行われ、教職員給与費の必要な予算が確保されるようになっているのか、お伺いいたします。

銭谷政府参考人 今回の負担率の改定は、国と地方の負担により義務教育の教職員給与費の全額を保障する仕組みを維持するという点においては現行制度と変わらないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、負担率の変更に伴いまして、教職員給与費における都道府県負担額が、現行の約二・五兆円から三・三兆円へと増加をいたします。また、地方交付税への依存度が高まるということにはなろうかと思っております。

 今回の措置に伴う地方財政措置としては、十八年度におきましては、所得譲与税として地方に税源移譲されるとともに、これに伴う不足分は地方交付税により措置されるものと承知をいたしているわけでございます。

 そこで、これまでどおり教職員給与費に必要な予算が各都道府県において確保されるかどうかということでございますけれども、文部科学省におきましては、各都道府県に対しまして、必要な教職員給与費を確実に予算措置していただきたい、いわゆる義務標準法を踏まえた適正な教職員配置を行っていただきたいということについて周知、指導をしてまいりました。その結果、来年度における、各都道府県における必要予算は確保される見込みでございます。

 今後とも、各都道府県における予算の措置状況について把握をしつつ、必要に応じて指導助言を行ってまいりたいと考えております。

西村(明)委員 公立学校施設は、子供の学びの場所であるだけでなく、地域の防災拠点でもあります。今国会において、地震防災対策特別措置法の改正が議員立法で提案されているところでございますが、現在、この法律において、校舎については国庫補助率が通常の三分の一から二分の一にかさ上げされています。

 今回の改正案では、学校の体育館の耐震補強についても現行の三分の一から二分の一へのかさ上げ措置を図ることとされていますが、かさ上げされる体育館を含め、公立学校施設の耐震補強に係るかさ上げ措置は、交付金化後もきちんと措置されることになるのでしょうか。

小坂国務大臣 御指摘のように、地震防災対策特別措置法におきまして、従来より、公立小中学校の木造以外の校舎の補強に係る経費につきましては、補助率のかさ上げ措置、すなわち、御指摘のように三分の一から二分の一を行ってきたところでございます。

 今国会では地震防災対策特別措置法の一部改正案が提出される予定でございますが、これによりまして、従来かさ上げがなされていなかった体育館の補強についても、校舎と同じく、応急避難場所等に使われることから、そういったことにもかんがみまして、補助率に相当する割合が二分一にかさ上げされる予定になるというふうに聞いております。また、同様に、校舎に係るかさ上げ措置についても五年間延長される予定というふうに聞いておりますが、今回の交付金化に当たっては、その算定に際しまして、これらの補助率のかさ上げ分を参酌するということになっております。

 そして、かさ上げ措置を行うことになっておりますので、今後とも学校施設の耐震化について最大限に努力してまいりますが、このような形で実質的な変更はない、維持されるということをまず申し上げておきたい。

 その中で、この交付金の適正な執行について、さらに申し上げますと、地方公共団体が交付金の交付を受けるに当たりましては、国が定める施設整備基本方針に沿いまして施設整備の計画を策定することが必要でございます。

 また、事業実施の客観性、透明性を確保するために、この施設整備計画をもとに、交付金により実施した事業の事後評価を国及び地方公共団体が行うことを検討いたしております。

 これらによりまして、地方公共団体における交付金を活用した効率的な施設整備が促進されるとともに、その使途についても適切な執行がなされるよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。

西村(明)委員 ありがとうございます。

 交付金化されることによって地方公共団体の自由が高まるのは非常によいことなのですが、一方で、不必要な予算の使われ方が生じる懸念があるということを思っておりましたけれども、この対策についても今大臣の方から非常にわかりやすく御説明いただきまして、大変ありがとうございました。

 今回の交付金の交付に当たりましては、文部科学大臣が示す基本方針によって耐震化に重点を置くというふうに聞いておりますけれども、他方で、地震が起きる可能性が高いと予知されて、そうした自治体は既に一生懸命努力して耐震化を進めているのでありますが、こうした地域が交付金の交付に当たって不利になるようなことがあってはならないと思いますけれども、いかがでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がございましたが、文部科学大臣が定める施設整備基本方針におきましては、耐震化に重点を置く予定でございます。この基本方針等に沿いまして、基本的には耐震化事業を優先しつつ、交付金の算定を行うというふうに考えておるわけです。基本方針等の詳細な内容については現在検討中でございますけれども、まずは現下の最大の課題である耐震化に重点を置きつつ、しかしながら、耐震化以外の施設整備上の課題、例えばバリアフリー化、こういったものもあるわけでございますが、こういったものについても配慮をする予定でございます。

 御指摘がございましたように、これまで一生懸命耐震化をやってきたところが、私どもは先行したけれども、それでは後の整備には今度は目も向けてくれないのかと、これでは問題があるだろうということもありますので、こういったことを配慮いたしまして、既に耐震化の進んでいる地方公共団体が抱えるそのほかの施設整備上の課題、こういったものについても対応できるものと考えているところでございます。

西村(明)委員 先般、自民党の文部科学部会で全国の小学校の視察を行いましたけれども、その中で、学校施設の中の廊下や壁、こうしたところに木材を多く利用している学校がございました。耐震化とか耐火、そうした意味においてはコンクリート、鉄筋づくりの方が強いのでしょうけれども、木材を非常に使っている学校の先生の話をお伺いしますと、木材というのは子供の心をいやす効果がある、そしてまた、今、キレやすいとか、暴れるといった問題がある中で、子供の心を落ちつかせる、そうした心理的な効果が木材にはあるのだというふうにおっしゃっておりました。

 子供たちが学び、そして生活するという学校施設におきましては、豊かな環境づくりというのを進める観点から、木材の利用というのが非常に有用だと考えますけれども、今回の交付金の対象にはなるのでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘がございましたように、木材は、やわらかな感触そして温かみ、こういったいい特徴があるわけで、こういったことから、豊かな教育環境づくりを進める上では大きな効果が期待できるというふうに認識しております。

 こういったことから、これまで文部科学省におきましても、木造校舎の整備ですとか、あるいは内装の木質化、こういったものに対して補助を行うなど、学校施設への木材利用を推進しているところでございます。

 今回の交付金化に当たりましても、従来から補助対象としてきた木材の利用、こういったものにつきましても、これに関する経費についても引き続き交付金の対象とすることを考えているところでございます。

西村(明)委員 近年の少子化によって、学校施設というものの中で空き教室が随分ふえてきているのですが、この空き教室の活用を図るべきだと思います。

 例えば、子供たちが図書を読むスペース、図書スペース、あるいは多目的教室、また、アメリカにおけるスクールポリスとまではいかなくても、PTAの方、そういった方が子供たちの安全のために学校の門に近いところとかそういった部屋に常駐したりとか、そうした形で子供たちの安全のために活動するための部屋、あるいは、地域のお年寄りにそういった教室に寄っていただいて、子供たちと交流をしたり、そしてお年寄りの知恵を子供たちに教えていただく、そういった交流のためのスペースなど、空き教室を活用したさまざまな整備、こうしたものは非常に重要だと思うのですけれども、学校教育の充実に資するようなそういった模様がえ、こういったものを行う際に必要な経費も交付金の対象となるのでしょうか。

大島政府参考人 御指摘がございましたいわゆる余裕教室の活用ということでございますけれども、少子化に伴って児童生徒の減少等が起きまして、それに伴い生じた余裕教室、これを例えば今御指摘があったPTAの部屋でございますとか、あるいは地域住民との交流の場となるような多目的スペースへの転用、こういったものがいろいろあるわけですが、こういった転用のために必要となる改修工事については、これまでも補助対象としてきたところでございます。

 今回の交付金化に当たりましても、このような従来からの補助対象としてきた余裕教室の活用に係る経費、これにつきましても引き続き交付金の対象としているところでございます。

西村(明)委員 それでは、義務教育に関連して質問いたしたいと思います。

 子供たちが自然とのかかわりを原体験として持って、そして心の涵養を図ることは何より重要だと思います。山で虫をとったり川で魚と遊んだり、そういった体験を持つということが大人になってからの大きな糧になる。今、カブトムシを飼うのに、山にとりに行くのではなくて、デパートに買いに行くのだと、そういった子供たちがふえております。また、カブトムシをさわるのが怖い。これはやはり、幼心のときに、非常に興味を持った多感なころに、そういった触れ合いがなかったせいじゃないかなと。

 既に文部科学省としても、豊かな体験活動推進事業というのを実行し、平成十七年度は、地域間交流事業、長期宿泊体験事業をそれぞれ九十四校が体験しました。ぜひこの事業を全国展開していただきたい、さらに推進していただきたいと思うところでございます。

 こうした山の重要性、小さな里山で子供たちが遊ぶ。そして、その森の中でセミをとったり、いろいろな幼い遊びをする。こういった体験をやっていくことが心の豊かな、精神的に豊かな大人になっていくのではないのかなと。ゲームがいい悪いという話ではございませんけれども、ゲームの世界で仮想の世界にはまってしまって、現実との区別がつかない、これが今一番大きな問題ではないのかなと思います。

 また、昔は、小刀で鉛筆を削ったり竹トンボをつくったりしましたけれども、確かに今危ないということで学校の購買部にも置いてないというふうに聞きますけれども、大きな犯罪につながるものに関してはよくない話ですけれども、鉛筆を削っていくことによって、そしてちょっと手を切ってみて、ナイフによって感じる痛み、これをみずから感じれば、人を刺したりすることがどんなに大変なことなのか、子供心にも理解していけるのではないのかなと思うところでございます。すべてを過保護にして守ってあげることが決して子供のためになるのではない、やはり子供の一人一人が自立して、そして大人になって、しっかりと物事の判断がついて、人の痛みがわかる、そして人の情をしっかりと受けとめられる、そういった子供に育てるというのがこの義務教育の一番大きな役割ではないかと思っているところでございます。

 その中で、都市と地域との交流を深めていく。地域の子供たちにとりましては、文化的な事業が非常におくれております。東京にいれば、国立博物館、美術館、そして、オペラだ、歌舞伎だ、いろいろなものを見る機会があります。しかし、地方にいると、なかなかそういうものを見る機会がない。そういった子供たちが、二泊三日とかではなくて、一週間二週間、できれば一カ月近くこっちに来て、そしていろいろな文化施設を見たり、オペラを見てみたり、そういった文化を味わう。

 そして、逆に、都市部にいる子供たちは、私の選挙区においても、東京都の小学校の子供たちが、田植えのときに来て田植えを一生懸命やる、そしてまた稲刈りのときに来る。こういった体験をすることによって、ふだん食べている御飯、お米の重要性、大事さ、これを初めて感じる。子供だったら、パンにジャムとバターをつけて甘いものを食べた方がおいしい。だけれども、自分たちでお米をつくって、そしてそれを食べると、非常においしい。今、野菜嫌いの子供も多いです。ただ、キュウリが嫌い、ピーマンが嫌いでも、自分が苗を植えてなったものというのは非常においしく感じます。

 こういった経験を子供たちにやらせてあげるということが、文部科学省としての、国としての大きな役割ではないのかなと感じるところでございまして、ぜひ、地方からは、東京で文化を味わう、東京から、都市部からは、地方へ行って自然環境を味わう。できれば、短い期間ではなくて、小学校の低学年のうちに長期の宿泊体験を全国でぜひやっていただきたい。そういった意味で、今後の取り組み方についてお伺いしたいと思います。

小坂国務大臣 私も西村委員と同感でございまして、自分の体験の中から得たものは非常に大きいと日々実感することがあります。

 そういった意味で、委員が御指摘のように、自然体験、社会体験あるいは文化体験、職場体験などの適切な機会を提供すること、そしてこの体験学習というものを今後とも推進していくということは、まずもって申し上げておきたいと思うわけでございます。

 埼玉県の和光市に理化学研究所の脳科学総合研究センターというのがございますが、過日、私もそこへ行ってお話を聞いてきたんです。今の脳科学の分野での研究成果の中には、例えば、私が注射を打たれて痛いと思いますね。そのときの脳波を初めとした脳の働きを調べておきます。そして、私が西村さんが注射を打たれているシーンを見たとしますと、自分が打たれたときに感じたのと同じ作用が、脳の中の働きが反復されているということが検証できる。

 すなわち、一回体験したことは、別の状況で相手が体験している、それを見たときに、同じように自分の中にその変化が起こるということが、相手を思いやるとか、それから、そういった体験についての過去の反省というものがよみがえってくるきっかけになる、こういうような作用が確認もされておりますから、そういった意味で、私は体験学習というのは非常に重要だと思っております。

 その意味で、御質問の部分でございますが、文部科学省で、平成十八年度予算におきましても、地域間の交流推進校を九十四校から百四十一校に、まだまだ数は少ないですけれども、拡充するとともに、長期宿泊体験推進校を九十四校から二百八十二校というふうに拡大をいたしまして、こういった指定校の実践の中からよい取り組みを収録した事例集を毎年作成、配付しておりますが、これをさらに強化いたしまして、各取り組みの成果を発表する全国六カ所で行うブロック交流会の開催等を通じまして、各教育委員会や学校に情報提供をして、これの普及拡大に努めていきたいと思っております。

 また、自然体験活動を初めとする体験活動が全国で実践できるように、この普及促進に省を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。

西村(明)委員 大変心強いお言葉をいただきまして、ありがとうございます。

 本当に、子供たちを育てるということが国家としての重要な役割だと思います。そして、何より、子供たちに心の豊かさ、それを伝えるのは文化だと思います。文明というものはいつか滅びるものでございますけれども、文化というものは、伝統というものは滅びない、これを伝えていくということが何より重要な話ではないのかなと思います。

 今の現生人類が、ネアンデルタール人といった、我々のようなクロマニョン人じゃない、原人と言われている人たちと何が違うかというと、おばあちゃんが存在したということらしいです。要するに、女性が生殖機能を終えたときに滅びていたのが古生人類なのですけれども、我々現生人類は、生まれて、そのおばあちゃんが子育てを手伝う、それによって人口がふえていった、そして、おばあちゃんが一生懸命に今まで培ってきたものを、言語能力を習得して伝えてきた、これが今の人類が繁栄しているもとだという話を聞いたことがありますけれども、こういった伝えていくことの重要性、これをぜひ文部科学省としても御認識いただきたいものだと思っているところでございます。

 最後に、第百五十九回国会において、私が代表質問させていただいた地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律により、国民の学校教育に対する要請が非常に多様化、高度化する中で、公立学校が国民の期待に十分こたえることができるよう、地域の住民、保護者が主体的に学校運営に参画する学校運営協議会を設置できるようになったのは御承知のとおりですけれども、この学校運営協議会が全国においてどのように機能し、いかなる効果が上がっているのか。

 その地域のPTAの皆さんが子供たちをこうしたい、地域の人たちが我が地域の子供たちはこういった心豊かな子供に育てたいということで参加できるような形をせっかくとっていただいたのですけれども、これがまだ動き始めてわずかでございますので、大きな目に見える形というのは上がっていないかもしれませんけれども、現在の状況と、そして今後どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいまお話ございましたように、学校運営協議会制度は、校長が作成する学校運営の基本方針を承認する権限、あるいは任命権者である教育委員会に人事に関する意見を言う権限といったような、一定の権限を持って地域住民や保護者の方が学校運営に参画する仕組みでございまして、地域に開かれた信頼される学校づくりを実現することを目的として平成十六年九月に導入をされたわけでございます。ことしの二月二十五日現在で、四十一校が指定をされております。

 この学校運営協議会を置く学校、すなわちコミュニティ・スクールにつきましては、例えば足立区の五反野小学校におきましては、学校運営協議会の意向を反映した教職員の配置が実現をしたり、学校運営協議会が中心となって地域、保護者、学校が一体となったあいさつ運動の展開が見られたり、あるいは、学校運営協議会の意向によりまして、毎朝十五分間を計算、漢字、音読に取り組むパワーアップタイムということで実施をしたりしているといったような成果が上がっております。

 もう一例申し上げますと、京都市の洛央小学校におきましては、学校運営協議会が中心となって、地域住民による通学路の安全確保のためのボランティア活動が実施をされているとか、教育支援ボランティアによる読書活動や英語活動等、子供たちの学習活動の支援といったことが行われておりまして、学校と地域が連携をして積極的な活動が行われているものと承知をいたしております。

 私どもといたしましては、地域住民や保護者の意向が学校運営に的確に反映をされて、地域と学校が一体となって子供の教育に取り組むという機能は、既に指定されたコミュニティ・スクールにおいては発揮をされているというふうに思っております。

 現在、これらの学校を含めまして、二百三十校を超える学校で学校運営協議会の設置が予定ないしは検討されているところでございますので、文部科学省としては、今後とも、コミュニティ・スクールのモデル事業の実施や全国フォーラムの開催などによりまして、この制度の一層の展開が図られるように積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。

西村(明)委員 今、子供たちを育てるのに、例えば子供が非行に走ると、親が悪いとか学校が悪いとか地域で無関心であるとか、それぞれ責任を押しつけ合っています。しかし、子供というのは、まず家庭があって、そして、地域が見守り、学校の先生が適切な指導を行う、この三位一体で行うことによって初めてすばらしい人間に育っていくものだと思いますので、ぜひとも、これに関して、総力を挙げて、学校、地域、そして家庭が一体となって、せっかくいい制度ができたのですから、ぜひこれを推し進めていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 長らくかかわってまいりましたこの法案も終局を迎え、安堵の思いと、そして、ちょっと残念な、複雑な気持ちで今ここに立っております。二分の一が三分の一になったことは、やはり私としては残念な思いがいたしますけれども、私は、好きな言葉に変毒為薬というのがございます。毒をもって薬にかえるのです。ですから、この法案が出されたことによって、今後、教育に対して新たなる気持ちで国も地方もかかわっていったらいいのだし、そうする必要があるのではないかというふうに思っております。

 少なくとも、昨年、日教組と保護者と学校長と、それから地方の団体の方々、各種団体の方々が、子供たちの教育を守っていこう、地域に格差がないようにということで一堂に集まりました、そして心を一つにした、そのようなことは画期的なことで、今までなかったと思います。つまり、これから教育分野において国は何をなすべきか、地方はそれを受けて何をするのか、役割分担を考える、ある意味では新たなる教育問題を考えるいい出発点になったのではないかというふうに私は思っております。

 小学校、中学校にお勤めの先生方ですら、自分たちが受ける給与が国から出ているなんて知らなかった、減額されなければいいと思っていたけれども、そんなことはないのだ、国と都道府県と市が支え合っているんだということを再認識したとおっしゃる方もございます。

 教育というのはいろいろな人たちがいろいろな意見を言いますけれども、真剣に考えている人というのは割と少ないんじゃないか。昨日、参考人の方をお招きしたときも、政治家も一般国民も教育への関心が希薄だとおっしゃいました。そういう意味では、今いろいろな問題提起があって、教育を考える一つのステップになったというふうに思っております。

 私の勉強会でお呼びいたしました犬山市長のお話の中で、犬山市では、独自の教育方針を打ち出し、特色ある教育をしている。また、二学期制を導入する。あるいは、学習指導要領がありますけれども、副読本は教育委員会や現場の先生方が中心になってつくっている。御自分たちがおつくりになる副読本ですから、やはりそれに対しては熱意があるし、教える方も一生懸命。先生方も、自分がつくった副読本があるわけですから、子供たちに熱心に教える。私はそれこそが地方の特色ではないかというふうに思いました。

 でも、同時に、学習指導要領があるからそれに伴う副読本がつくられるんですね。学習指導要領まで、では地域の特色を生かしておつくりなさいと言っては、これは無理だし、やはりおかしいのではないか。つまり、国が学習指導要領をつくり、それを受けてというところに意味がある。ここにも国と地方の役割分担というか、なすべきことがあるのではないかというふうに私は思っております。

 また、一方では、文部科学省が全国一斉に学力テストをやろうとしておりますが、犬山市はそれには参加をしないと。なぜならば、学力だけではないし、自分たちの、また別個の教育を今しているんだからということなんですね。

 文部科学省も、画一と受け身から自立と独創にと転換してきたと思います。そういう意味では、自立心のある子供たちをつくる、独創性のある子供をつくるというのは、私は二十一世紀に生きる人材養成に大変適しているというふうには思っておりますけれども、では、地方が、みんな学力テストしないよと言ったら、これは日本の学力はわからなくなってしまうわけで、だからこの辺の兼ね合いが、今後、文部科学省、これは一つの象徴ですけれども、いろいろなところでそれが出てくるのではないかと私は思っております。

 私は学力テストが全国レベルで二位だ三位だなんということに一喜一憂する必要はないと思うんですね。低学年では伸びなくたって、基礎、基本をしっかりと身につけていれば高等学校でその能力を伸ばすこともできますから、学力テストだけがすべてみたいなことは考える必要はないので、私は犬山市の方針も一理あるかなと片方で思いながら、片方で、では、みんながそうしたらどうなっていくのという危惧もあったりいたします。

 文部科学大臣には、これから国はどういうことをやるべきと考えていらっしゃるのか、そのお考えとともに、地方にどういうことをしてほしいと願っていらっしゃるのか。それから、あわせて、今の学力テスト、そういうことについてもお考えをお伺いしたいと存じます。

小坂国務大臣 池坊委員には、今日までの議論に対して、これを機会に国民及び教育現場の皆さんの理解が促進されればという前向きなお取り組みで今日まで来ておられることに感謝と敬意を表しながら、また広範にわたる問題点の御指摘、また御意見の表明がございましたので、若干お時間をいただきながら答弁をさせていただきたいと思っております。

 まずもって、今回の議論を通じて、教育現場の皆さんに、義務教育に携わる教職員の給与費というものはどういう構造で支給をされているかという現場の認識が高まったということは、それは御指摘のように前向きな評価としてとらえるべきだと思っておりますし、また、その中において、あくまでもこれは地方と国の負担において全額が保障されるということで、削られることがないんだということを現場の皆さんに認識を持っていただいたことも、これまたよかったことの一つだと思います。

 また、犬山市の例を引かれましたけれども、犬山市においていろいろな創意工夫を盛り込んだ取り組みが行われているということは、一つの事例であるのみならず、私どもが期待しているものも、地方の市町村、あるいは教育、学校の現場において、教育への取り組みの創意工夫というものが出てくることを期待いたしておりますし、そういう創意工夫が出るような枠組みを国として提供したい、こう思って、今回の改革もそういった一つの方向性を示してきているつもりなんでございます。

 また、犬山市において全国学力調査に参加をするかどうかというようなお話の御指摘もございましたが、この点については、今把握をいたしておりますのは、決して決めたということではなくて、様子を見させていただいているという状況だということのようでございますので、私どもとしては、全国学力調査というものが、私どもが今回の大きな教育改革の中で位置づけておりますPDCAサイクル、すなわちプラン・ドゥー・チェックそしてアクション、その中でのプランの部分はしっかり国が担当いたしますが、ドゥー、実行部隊は現場であられますから、現場の創意工夫をそこに盛り込んでいただいて、そしてチェックというのは、これはやはり国が、最初のプランが実施がされているかどうか、これを確認させていただくということ。

 その位置づけをしっかり把握して、それがもし最初のプランとずれているようであれば、それを今度は是正するため、あるいはさらに前向きに前進させるためのアクションをとっていくということでございますので、それぞれの教育現場において、自分たちがどのような位置づけになっているのか、また、自分たちがやってきたことがどのように前進をしているのか、あるいは停滞をしているのか、そういったことについての正しい認識を持っていただくことが必要でございまして、これは国の立場から行うものではなくて、現場の皆さんに対しても、自分たちが行ったことに対する自己評価といいますか、自分たちでこれを確認していただくための材料を提供するといった意味での効果は十分にあるものだと思っております。その意味で、この全国学力調査については、結果の公表の仕方というものを私どもは十分に配慮をしていかなきゃいかぬと思っております。

 すなわち、個別の個人あるいは学校あるいは市町村の位置づけを公表するのではなくて、まずもって大きなブロック単位でそれぞれの位置づけがどのようになっているのか。また、その中において、それぞれの市町村は、その県の中で一体自分はどういう位置づけになっているかということが把握できるように、都道府県のブロックあるいは市町村のうちの市の、政令指定都市を含めた、中核市、政令市、そういった大くくりのあり方、町村というくくりのあり方、あるいは過疎の町村というものもまた別につくる必要があるかもしれません。

 そういったそれぞれのレベルの段階で比較をして、そして、それぞれの都市部、大都市部ではどうなのか、あるいは地方都市ではどうなのかというような、大くくりでまず位置づけを見ていただくというようなことができるような配慮もしながら、こういったことを現場で十分御理解いただければ、自分たちの町村に対して直接的な位置づけをして公表されるようなものに参加はしたくないというような間違った理解のないように、十分にその意義とやり方、方法等を周知して取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。

 こういったことについての池坊委員の御理解も賜る中で、また御指導をいただきながら、適切な実施をし、また、この教育に対しての取り組みが各般にわたって前向きに、今後とも、これがまさにスタートラインとおっしゃいました、これから絶え間なく改革を進める、このサイクルの中にあるということをお互いに認識して頑張っていきたいと思っております。

池坊委員 大臣の大変心強い御見解を伺って、安心いたしました。

 よく、文部科学省はお金を出して口は出すなとおっしゃる方がありますが、私はそれは間違っていると思います。お金も出す、でも、しっかりと、介入ではなくて指導をすべきだと思います。これから地方に任せるならば、条件整備が整っていないところに対しては、きちんとこうすべきである、これが最善の方法だ、そういうことをしっかりと言える教育行政でなければならないというふうに私は思っております。

 今度は、ちょっと財源の問題になってまいりますけれども、今まで教育の地域間の格差は、三つの柱でございます標準法、人確法、そして義務教育費国庫負担法によって守られてきたと思います。でも、行革の中で、人確法、これは昭和四十九年二月にできたわけですから、もう三十年たっております。これは見直したらどうかと言われております。でも、私も見直すことも必要かなと思ったんですが、これから特別支援学級などができますと、教師の負担は大きくなってまいります。教師はいろいろなことを学ばなければならない、研修していかなければならない。その中で、優秀な人材を確保するためには、何か新しい仕組みが必要なのではないかというふうに考えるわけです。

 それとともに、標準法は四十名といっても、これは最低限ですから、標準法さえ確保されればいいというわけではございません。文部科学省は、四年連続いたしましてずっと減額の法案を出してまいりました。そして、最後のこの法案を入れましたら、一兆三千億だと思うんですね、減額が。これらの経過を見ておりますと、なし崩しに何か減額をしていくのではないかという危惧を私は抱いております。

 大臣は未来永劫続く法律というのはないんだからとおっしゃいましたけれども、それは言わずもがなのことで、未来永劫続く法律はございませんが、現大臣としてどのような御決意、もう人確法の見直しと言われているけれども、これに対しても新しい仕組みをきちんと考えるとか、そういうお考えがあるのか、私、十九分まででございますので、あともう一問したいと思いますので、どうぞよろしく、御答弁いただきたいと思います。

小坂国務大臣 問題が大きいんですが、しかし、端的に答えろということでございます。

 まずもって、御指摘のように、今日までの、有為な人材を確保するために、義務教育の枠組みの中で、義務標準法、人材確保法、義務教育費国庫負担法、この三法によってしっかりとした枠組みで維持されてきたということはそのとおりでございますし、人確法は、教員にすぐれた人材を確保し、もって義務教育の水準の維持向上を図ることを目的とするというこの目的と、そして、学校の抱える課題が多様化し複雑化している現在、すぐれた教員の確保は最重要の課題という認識を持っておることを申し上げ、そしてまた、今後とも、人材確保法の精神は大切にすべきものであると考えておりまして、昨年の十二月二十四日に閣議決定された行政改革の重要方針の中においては、この廃止を含めた見直しを行うとされたわけでございますけれども、私ども文部科学省としては、この人材確保法も含めて、教職員の給与のあり方について検討を行うこと、この一環の中で、あくまでも教育界にすぐれた人材を確保して、そして教育水準の維持向上を図るという観点から、十分に検討を行って、適切な対応をしていきたい。

 したがって、おっしゃるように、ナショナルスタンダードを明らかにして、しっかりとした人材が確保できる枠組みを整備して、水準の確保に努めてまいりたい。今日のような、このような仕組みを今後とも基本的には維持して頑張ってまいります、こう申し上げておきたいと思います。

池坊委員 限られた時間ですので、幾つかの質問を同時にしてしまうので、申しわけございません。

 話は違うのですが、小坂大臣は、スクールミーティングにいらしたことがおありでしょうか。私は前大臣にもぜひ現場を見てくださいとお願いいたしまして、さまざまな現場を見ていただきました。副大臣、政務官ともども、ぜひ現場を見ていただきたい。学校も、いろいろな学校もございます。ですから、そういうところを見ていただくことによって、未来を担う子供たちの義務教育の構造改革が生まれてくるのではないかというふうに思っております。子供たちに今何が必要なのか、どのような教育をすることがいいのか、学校教育の再生のためには何が欠けているのか、必要なのか、そういうこともおわかりいただけるのではないかと思います。

 ぜひスクールミーティングに行っていただきたい。そして、その中から、では何をどう返すことができるのか。見ていただくだけでなくて、やはり子供のもとに法律として返していただきたいというふうに思いますので、そのことのお考えをお伺いしたいと存じます。

小坂国務大臣 恐らく、池坊委員と私も同じようなことを地元ではしているんだと思うのでございますが、私は地元で、会合等を通じて皆さんに自分の国会での活動を報告するとともに、ぜひともこの機会にいろいろな皆さんの思っていることを聞かせてくださいと。すなわち、私どもが国会で活動するときに、党の部会やあるいは委員会で皆さんと同じように質問するときに、現実にあったことしか人を説得できません。したがって、委員会で質問をする等において、地元でこういう意見がありましたと言えるのは、それを聞いているから言えるのであって、聞いていないつくり話はできません。また、委員会や部会等においても、配付される資料に基づいて質問すれば、だれもが同じ質問になってしまって、問題点のえぐり出しができない。それはやはり、現場でそれぞれが、地域が違う中で現場体験を、違うものを持ってくるから議論が進むんだ、こういうことをして、ぜひとも聞かせてください、こう申し上げております。

 スクールミーティングにつきましては、十月の三十一日に就任をいたしまして、二週間後の十一月十八日にまず品川区の区立の学校を訪問いたしました。その後、十二月の頭に地元の学校を視察させていただきまして、自分の子供たちが通った学校等の当時の二十数年前と今日とどのように変化しているか、また、新たな取り組みをしている学校について見させていただき、また二週間後に幼稚園、これは足立区の幼稚園等を視察し、また、ことしの二月には、文京区の特別支援の取り組みをしている学校、あるいは聾学校、養護学校等の視察をし、また、次の計画も今も現実にスケジューリングしておりますが、さらにまた、タウンミーティングを通じて皆さんの意見を聞くという立場から、十一月の二十七日には、京都市で私たちが担う次代の文化力のタウンミーティング、そして二月には、ニート問題を考えるタウンミーティングを枚方の方で行いました。これは御存じのとおりでございます。また、この三月十九日には大垣市に行きまして、子どもの安全を考えるタウンミーティングをやってまいります。

 こういったスクールミーティング、タウンミーティングなどの機会を通じまして、直接幅広く国民の皆さんの声を聞き、文部科学省のホームページにおいてメールの意見や問い合わせ、また、自身のホームページにおけるメールや意見の収集等を通じて、国民の意見を反映した文部科学行政に努めてまいりたいと存じます。

池坊委員 これから教育においては、教育だけではもちろんございませんが、知事、市長のリーダーシップが問われると思います。よく、教育に熱心でない知事、市長ならば、四年後その人を選ばなければいいんだとおっしゃる方がございますが、子供は四年間待つことはできません。四年間は貴重な日々であるわけです。ですから、どうぞ、学校現場のみならず、私は、知事、市長にも教育がどれだけ大切だということを洗脳していただきたいというふうに思います。

 とともに、地域の方々、保護者の方々、教育委員会はもとよりですけれども、広範な方々に、小坂大臣がお出ましいただいて、教育の大切さを説いていただくならば、私は教育のための社会、そういう社会になっていくことができるのではないかというふうに思っております。これは副大臣、政務官にもぜひお願いしたいことでございますので、よろしくお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

遠藤委員長 牧義夫君。

牧委員 民主党の牧義夫でございます。

 今、池坊委員からも、いろいろな複雑な思いできょうの日を迎えたというお話がございました。私も全く同感でございます。この義務教育費国庫負担法、これについては、この数年にわたって法改正が繰り返され、いよいよ昨年からは給与本体ということで、昨年はその一部が税源移譲予定特例交付金ということで議論がなされました。

 その議論の中身というのが本当に中身のある議論だったのかどうなのか、私自身も内心じくじたる思いもあるわけで、初めに税源移譲ありきという中からスタートした話でありますから、もとより、これが本当に中身のある議論になりようがなかったのではないかなという感もございます。昨週水曜日から始まった議論においても、何か同じところを堂々めぐりするような感もございまして、また、義務教育の根幹とは何ぞやという、言葉の遊びと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、言葉の定義にこだわるような、そんな議論にもなってしまいがちな、そんな委員会でもございました。

 そういう中で、先週、私の質問で、強いてこの法改正によって積極的な意味というのはどんなところにあるんだろうかというお話をさせていただいたところ、大臣からも若干のプラス面でのお話もございましたけれども、残念ながら、昨日行われた参考人質疑においても、与党の先生方が推薦された参考人の方からも、実はこの法改正によって積極的な意義というのはほとんど見出せないという否定的な御意見が相次いだわけで、四人の参考人の、四人が四人とも今回の法改正には反対だというような意見も開陳されたわけであります。

 そういう中で、私は、これ以上、この議論において、今回の法改正によって、例えば教育現場のインセンティブが高まるだとか、学校の先生がやる気が起きるとか、あるいは学校の設置者である市町村のやり方がもっと活気に満ちたものになるんだというようなところは余り期待しない中で、きょうの質問はさせていただきたいなと思っております。というのは、どうしてもここだけは確認をしておかなければならない懸念の部分というのもまだ若干残っているわけで、その辺を中心に、私はきょう質問をさせていただきたいと思います。

 まず一つは、これもちょっと触れたかもしれませんけれども、市町村立学校職員給与負担法の改正も今回あわせ行われるわけですけれども、結局は、設置者が直接採用する教員の皆さんと、それから県費負担の教職員とが同じ学校で混在をするような形になるわけですけれども、これについては、既に平成十五年から、特区におけるテストケースというのも行われているということも伺っておりますけれども、まず、今回それを全国あまねく広げるということであれば、この平成十五年からの特区における実績の評価というものがもちろんあっての話だと思います。その評価について、まずお聞かせをいただきたいと思います。

小坂国務大臣 特区事業を行ったことによりまして、市町村費の負担教職員任用事業は、少人数教育の充実や、地域の特色を生かした教育活動の展開、こういったことによりまして、市町村のみずからの判断と責任を入れた創意工夫ある教育の充実ということを私どもは意図したわけでございますが、それなりの効果を上げているということがございます。

 一月の十日に、どのぐらいのところが実施しているかを把握してみたわけでございますが、市町村費の負担教職員任用事業を行っているところが三十一団体、二百二十人の任用教員数という形になっておりまして、具体的な取り組みの事例としては、ふるさと学習といったらよろしいんでしょうか、地域社会と密接した内容の授業、これを徳島県で行っている。あるいは、少人数学級の導入によるきめ細かな指導の充実を図っている、京都だとかあちこちありますが。不登校児童生徒のための支援、充実を行っている、あるいは英語学習の推進を行っている等々、大きく分けますとこういった事例もあるわけでございますが、この任用制度を活用して、独自の地域の要望をかなえたり、あるいはそれぞれの市町村における議会や首長さんたちの、住民から吸い上げた意見を反映した取り組みがなされている、このように理解をいたしております。

牧委員 今、大臣から御説明があったのは、特区におけるプラスの部分だと思うんですね。我々もやはりそういう部分というのは尊重しなければならないという意見は変わらないんですよ。やはり各地域の実情に応じた教育というのももちろんあるでしょうし、それぞれの地域に応じて、我がふるさとからこんな人間を輩出したいんだ、そういった地域の意向というのも十分反映された教育がなされてしかるべきだという意見については、全く同感であります。

 ただ、私がお聞きしたかったのは、その評価の中にもやはり懸念の部分というのはあったはずである。実際に、この内閣府から出た評価の紙を私も出していただいて見たんですけれども、要は、その規制所管官庁から懸念として示されているところとして三点もう出ているんですね。「特区事業における問題点の解消(条例の制定、研修の実施)、」二として、「都道府県から市町村への負担転嫁についての懸念への対応、」それから「市町村費負担教職員の人事上の取扱い(人事交流、研修参加等)についての懸念の三点が」「懸念として示されている」ということがはっきり書かれているんですね。

 ただ、この解決として、「基本的にその問題は、都道府県と市町村間で解決される問題である。このため、市町村費負担教職員を任用するかどうか、および、都道府県と市町村の間での教職員費用負担の分担については、地方公共団体の判断によるものとして、国としてもその判断を尊重すべきものと考えられる。このため、本特例については、全国展開を図るべきである。」このため図るべきであると、何か私は論理の飛躍としか思えないんですけれども。懸念があるけれども、後はもう都道府県と市町村で勝手にやらせればいいんだという話なわけですよね。

 では、これは文科省としては、この懸念について一定の、頭の中で消化されているんでしょうか。もうこう言われちゃったからこれは仕方ないということのようにしか私には受け取れないんですけれども、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 委員が御指摘になりましたこの評価でございますが、構造改革特区推進本部の評価委員会の評価意見でございますけれども、ここで示されたものは、それぞれの監督官庁、主管官庁の方から、例えば総務省のようなところから、こういったことが懸念されるという懸念の指摘がございました。

 それにつきましては、今読み上げられましたところにございますように、これは本来地方公共団体において、都道府県と市町村との間で協議をすることによって解決できる問題であるということから、それをちゃんとやってくださいということで、懸念は表明されて、それを評価、評価といいますか勘案した上で、これはやはり制度全体としての問題というよりは、市町村と都道府県で話し合っていただくことによって解決ができる。それを超えて、なおかつ、市町村がこういった制度を導入することによって、特区制度を拡大して全国化した方がよりメリットが大きいという判断でこれを実施に移したという、この評価意見の部分でございます。

 具体的に懸念されるのは、それでは、市費の負担教職員と県費の負担教職員の給与格差が出たらどうするんだ、こういったようなのが具体的な懸念だと思うわけでございますが、実質的には、例えば京都市の場合には、二十万七千幾らということで、これは京都府と市が同じ金額でございます。また、岐阜市と岐阜県との間の割合を見ますと、二十万台の給与で七千円の差ということになりますが、これは、言ってみれば、大卒初任給で比較した場合でございますけれども、全体的に押しなべますとほぼ同程度の給与というふうに認識をされるわけでございまして、これから特段の問題が生じているという認識にはございませんし、そのようなことはないと思っております。

 今後とも、都道府県と市町村において適切な調整が行われて、この事業が円滑に実施されますように、必要な指導、助言があれば必ず行ってまいりたいと存じます。

牧委員 そうしたら、ちょっと私なりの懸念を申し上げて、お答えをいただきたいと思うんですけれども、例えば、ある地方と別の地方との間の格差というものは、これによって生まれるか、生まれないか、いかがでしょうか。

銭谷政府参考人 今回の市町村費負担教職員任用制度の全国化ということは、あくまでも国が標準的な規模の教職員数を定め、その教職員給与費の全額を国と都道府県が負担するというこの基本的な制度を前提といたしておりまして、ナショナルスタンダードというものをきちんと国と都道府県の間において確保をした上で、いわばプラスアルファの、それぞれの市町村の実情に合わせた教員任用が可能となるようにするというものでございますので、いわばナショナルスタンダードを超えてローカルオプティマムの部分で、それぞれ地域実情に応じた差というものは今後あり得るかもしれませんけれども、ナショナルスタンダードそのものを下げるとか、それを満たさないとかといった意味での格差というものを地域間で生み出すというものではないと認識をいたしております。

牧委員 それでは、これは大臣にお答えいただきたいんですが、今、銭谷さんのお話でローカルオプティマム、その部分がどんどんどんどんこれはふえていって、全国どこへ行っても大体三十人以下学級になってしまったということになると、今度はそれがスタンダードになって、将来的に、ナショナルミニマムというかナショナルスタンダードがそういうふうになっていく方向性だというふうに、そうなれば私はいいと思うんですけれども、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。

小坂国務大臣 まさに、そこが競争原理導入あるいは自由裁量を拡大することによるメリットをどう評価するかという部分にかかわってくる問題だと思うんですね。

 要するに、ナショナルミニマムというものがあって、その上積み部分を、市町村の創意工夫等があって、それから今の任用制の導入によって、このレベルがミニマムよりも上に行く市町村ができる。それは、下に向かっての格差が生じれば問題でありますけれども、上に向かっての差が生じることは、これは創意工夫の中から生まれてくる努力の結果でありますから、これはやはり容認すべきだろうというのがこの基本的な考え方ですね。しかし、それが各市町村の中に伝わった中で、それはいいことだということで、皆さんがそれに追随をするというような方向になってくると、これは結果としてナショナルミニマムをそこのレベルまで引き上げる必要性が出てまいります。それが結果として引き上げられてくるならば、これはいい動きなんですね。

 ですから、もしそれが固定化してしまって、本来上がるべきものが上がらないというときに、これは本当に格差として認識されるべきものだと思うんですね。そこをやはり私どもは注視していかなきゃいかぬ。それがもし放任をされるようであれば、これは改革ではなくて、まさに格差社会をつくることになります。そこを私どもは注意していかなきゃいけない問題だ、そういう認識は持っております。

牧委員 ぜひこれをうまくやっていただいて、今の大臣のお話がありましたように、ナショナルミニマムそのものを全体にかさ上げしていく、そういう方向性になっていけばいいなと私も思います。

 ただ、もう一つ、これはやはりナショナルミニマムを割ってしまうようなところが出るんじゃないかという懸念も、やはり私はまだ一抹の不安がございます。

 ちょっと確認をしたいんですけれども、先ほど銭谷局長のお話で、市町村費負担の教員の部分というのは、これはあくまでもオプションだというお話でしたけれども、法律的な裏づけにおいてオプションだと言い切れるのかどうなのか、そこを私はちょっと説明をいただきたいのですね。

 というのは、いわゆる標準法の第二条の三、この法律において教職員とは、校長及び教頭、教諭、養護教諭、助教諭、こうあるんですね。ここで書いている教諭というのは、これは別に県費負担の教諭ということは書いていないわけで、今度全国に市町村費負担の教職員がこれはできるということになったときに、その人間も標準法で言うところの教諭に当たるわけですよね。

 そうすると、こんなことはないでしょうけれども、私も近いところでちょっと例をとってみたんですけれども、例えば東京都ですと、三多摩の山奥もあれば、あるいは島嶼部というのもあるわけですね。こういうところに赴任する教諭というのは、割と新任の人たちがまず行かされる。それから、大体その教員のライフサイクルの中で三つぐらいのブロックを異動するうちに、あるいはもう一回行く人もいるけれども、行かない人の方が多いというような、大体そういう教員のライフサイクルなんだそうですけれども、希望者が例えば極端に少ないところですね。初任者はもう無理やりでも行かせるにしても、ベテランの人たちはもうああいうところへ行くのは嫌だということになったときに、県なり都から、お金は市に出してやるから、では現地で採用しろよ、そこで数だけ合わせろよという話にならないですか。ならないという法律的な裏づけはありますか。

銭谷政府参考人 今回の特区の全国化に当たりましては、法令上、都道府県が標準法定数分の給与費を負担するということをまず明確化したわけでございます。これは市町村立学校職員給与負担法の一条の中で、義務教育諸学校の標準法の第六条の規定に基づき都道府県が定める小中学校等の教職員定数等に基づいて配置される教職員、これは都道府県の負担とするということで、いわゆる義務標準法上の対象となっております教職員定数については、これは都道府県がきちんと負担をして、それ以外の教職員について市町村が任用できるというシステムにして、法令上、ナショナルスタンダードの維持の部分において負担転嫁されないという仕組みをつくったわけでございます。

 なお、標準法の六条に言うところの教職員定数というのは文字どおり国庫負担がされる教職員でございますので、そういう職員については、この市町村任用の職員の数からは除外をされるということを明定いたしまして、いわば標準法に基づく負担法対象外の教職員について市町村がプラスアルファで任用できるという法令上の仕掛けとしているわけでございます。

牧委員 ちょっと私、勉強不足なのかもしれないですけれども、この標準法というのは国庫負担法のためにあるんですか。

銭谷政府参考人 標準法は、公立の義務教育諸学校の教職員の定数あるいは学級編制の標準を決めるものでございますけれども、国庫負担法におきましては、こういう標準法上の教職員につきまして国庫負担をするという仕掛けになってございます。

牧委員 いや、だから、私の言っているのは、この独立した一つの法律の中で言っている教職員とはという規定があって、そこには別に県費負担の職員だという規定はないわけですよね。それで本当に担保されるんですかということだけ、そこだけちょっと私は気になったものですから、教えてください。

銭谷政府参考人 現在の仕掛けを言いますと、標準法においてそれぞれの県の教職員の標準的な定数が算定されまして、その算定された教職員定数については国庫負担法によりまして国庫負担をするということになっております。

 今度、市町村立学校の教職員給与負担法におきましては、市町村が任用する教職員については、今申し上げました標準法で算定をし、国庫負担をされる教職員以外の職員というものを任用できるというふうにしているわけでございます。

牧委員 いや、それはわかっているんですよ。私が言いたいのは、今おっしゃったのは国と都道府県とのお金のやりとりの算定の根拠がある、それが一つ。それともう一つは、実際の教員の配属というのは都道府県と市町村との間の話であって、そこら辺で、例えば、お金のやりとりはともかくとして、実際にそこに配属される教員が、山間僻地のある学校は、結果としてその地域の採用の人だけだった、そういう事態はこの法律では起こり得るんじゃないですかということを私は聞いているんです。

銭谷政府参考人 標準法と国庫負担法の考え方は、全国どの地域でも一定数の教職員を確保するためのまさに仕掛けでございますので、今先生がお話しされたようなことは起こり得ないというふうに思っております。

牧委員 いや、私の言っている意味を理解していないんじゃないですか。数は、それはもちろん標準法で担保されると思いますよ。ただ、私言っているのは、ある地域の学校の先生は、県費負担がほとんどいなくて、逆にそこの地域の出身の人だけで占められるような事態もあるいは考えられるんじゃないですかと。

銭谷政府参考人 県費負担教職員の任命権は県にございまして、現実に各学校がそこに存しておれば、各学校の学級数等に応じた教職員の配置を県は行わなければなりませんので、今先生が御心配のようなことはあり得ないというふうに思っていただいて結構でございます。

牧委員 これ以上同じことを繰り返してもしようがないので、ここでこの件についてはやめておきますけれども、教員の質、これはどっちが質が高いとか低いとかという話ではないと思うんですけれども、ここの標準法のところをもうちょっときちっと、ここにいう教職員というのをきちっとしておかないと、結果として、結果として私はどうなるか保証の限りではないということは申し上げておきたいと思いますし、今後の推移を私も見守っていきたいと思います。

 時間がございませんので次の質問に移りたいと思いますけれども、ちょっともうこの義務教の法案については、おおよそ議論も出尽くした感もございますし、これ以上余り不毛な議論は避けたいと思いますので、私どもとしては、やはり委員各位と全く同じ意見だと思います。最終的にはそれぞれの学校の教育環境が今よりよくなればいいということ、そして義務教育の果たすべき役割、しっかり国として責任を持ってこれを実行してほしいというその結論は、思いは一緒だと思います。

 そんな観点から、よりよい学校環境、教育環境の整備のために、これは教員の給与だけの議論をしてきましたけれども、やはりそれだけではないわけで、学校というのはいろいろな方がいて、それは教育的な見地から見ても、やはり私自身の経験を振り返っても、それなりの意味を果たしてきたんだなと今さらのように思うわけであります。

 例えば学校用務員さん。学校用務員さんの個人的な思い出を申し上げれば、私も小学校のときに、冬はコークスのストーブをたいておりました。用務員さんのところへ行って、バケツを持っていって、一緒にコークスを積んで、一緒に教室へ行って、古新聞を丸めて火をつけて、そういったような思い出もありますし、校庭の片隅のウサギ小屋に、私も当番で、ちょっと変わったえさをやってみようというときに、物すごいけんまくでしかられた思い出もございます。

 余り多くを語らない方でしたけれども、そこを二十四時間住み込みで守っておられた用務員さんの思い出というのは、先生とはまた違った意味で、一人の大人、一人の社会人がこうやって学校を四六時中守っているという気持ちは私の子供心にも焼きついてきたわけです。

 そういった意味での学校用務員さんというのはやはり私の頭の中にあるわけでありますけれども、その学校用務員の、特に最近は学校の安全についてのいろいろな議論がございます。いろいろな事件ももちろんあったわけで、そういう中での位置づけも含めて、学校用務員という役職の職責あるいは果たすべき責任について、まず大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

小坂国務大臣 牧委員のお話を聞きながら、何か自分の学生時代を思い出しました。確かに今ごろの時期はだるまストーブがありまして、コークスを、木で囲った大きなところに、リヤカーであけたようなコークスが山積みになっているところへ行って、バケツにあけてきて、教室へ一生懸命持って帰ってきて、じゅうのうというんでしょうか、スコップの小さいようなので一生懸命入れて、お弁当を温めた覚えがありますが、そういったとき、また学校の休み時間やいろいろなときに、また、特に放課後、用務員さんとの接触というのは多かったと思います。何か物が壊れたらすぐに連絡しに行って、そして処理をしてもらう。あるいは、そういったウサギや鳥を飼っている中で、そういったもののお世話について指導してもらう。また自分のおじいちゃんがいないときに、おじいちゃんにかわって昔話をしてくれる。あるいは、今の不登校になりそうな予備軍が用務員室へ行って話を聞いて、元気づけられてまた教室へ行くというようなこともあったと思います。

 そういった意味で、用務員さんが常駐していらっしゃって、そしてその学校の全体について、教職員では、教師の皆さんでは、教壇に立つ担任教員とは違った意味の教職員としての役割を果たしていただいたということは非常にあったと思います。

 かたい話で言えば、学校教育法の施行規則の第四十九条において、学校の環境整備その他の用務に従事するという役割を担っているわけでございますから、こういったかたい、法律的な部分はともかくとして、ソフトとしての、ソフトウエアとしての用務員さんの果たした役割は非常に大きかったと私も思います。ですから、そういうものが今でも維持され、またそういった昔我々が体験したような体験が今の子供たちに提供されるならば、それはそれで本当に望ましいなと思います。

 ただ、今の社会において、やはり効率化、分業制の中で、それぞれの職業がそれぞれのプロとして、清掃にかかわるあるいは安全確保に携わるという部分はありますので、そういったことも踏まえながら、学校全体の円滑な運営ということで、必要な職務をそれぞれが担当していただくという必要があると思うわけでございまして、昔とは若干役割は変わってきたかな、こういう認識を持っております。

牧委員 私の質問を先取りしてお答えいただいちゃったような感もございます。昔とは違う役割もあるのかなというお話でございましたけれども、ただ、私は昔のままでよければいいという部分はそれは残すべきだと思うわけでございますし、もう一つは、先ほども私申し上げたように、最近とみに学校の安全というものがクローズアップされている中で、いざというときに、やはりきちっと指揮系統というか、学校長の指揮命令系統の中で、用務員さんは用務員さんの役割を果たすということが当然あってしかるべきだと思うんですよね。

 そういう中で、最近、よく業務委託のような形で、さっき大臣が先回りして、いろいろ分業があってもいいんじゃないかというお話がありましたけれども、そういったものを業務委託するという事例もございます。これが果たして学校用務員と業務委託ということそのものがなじむのかなじまないのか、ちょっと手短にお答えいただきたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいま大臣からお話もございましたように、校舎等の清掃や環境整備など学校用務員が行う職務については、円滑な学校運営上重要であることは論をまたないところでございますが、児童生徒に対する教育指導そのものでない業務でもございますので、外部、民間企業等へのいわゆる外部委託というものを行うことは可能であると考えております。

 実際にそれをどうするのかということにつきましては、設置者である各地方公共団体におきまして、学校の規模、職員の配置の状況等を総合的に検討して判断すべきものと考えております。

牧委員 それはそれでいいんですけれども、では、例えば、これは文科じゃなくて厚労の方にお聞きしたいと思うんですけれども、実際に全国の事例を見ると、シルバー人材センターをかなり使っておられるようですね。

 ここに「業務委託契約書」がございます。少しマジックで消してありますけれども、これは本物です。この中身を見ると、最終的にはこの業務の内容が書いてございます。「校舎内外の見回りに関すること。」とかいろいろあるんですけれども、最後に、「その他学校長から指示された事項に関すること。」とあります。業務委託と、指揮命令系統に入るということは、これは法律上どうなんでしょうか。これはあり得る話なんですか。いいんですか。

鳥生政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、シルバー人材センターにおきまして、学校の用務員の行っていた業務を受託しているという事業が現在推進されております。シルバー人材センターでの学校用務の受注に際しましては、校舎内外の清掃、見回り、剪定など作業内容等が限定的、個別的になっているなど、事業の趣旨に沿ったものとなっていることが契約上担保される場合に限定して受注するように指導しているところでございます。

 したがいまして、指揮命令系統に沿った契約といったことにつきましては、私どもといたしましては、シルバー人材センターが契約を結ぶことのないように指導しているということでございます。

牧委員 これはちょっとおかしいんですね。シルバー人材センター事業そのものというのは、要するに、定年退職後等に、臨時的かつ短期的または軽易な就業を希望する高齢者に対して、日常生活に密着した仕事を提供しとあるんですよね。これは全然違うじゃないですか。しかも、やはり学校の安全とかいろいろ考えたときに、これは全くなじまない話だと思うんですけれども、しかも、その学校長の指揮命令系統の中に入るというのは、これは法律違反ですよ、はっきり言って。それを知っていてずっと放置してきたんですか。これからどうするんですか。

鳥生政府参考人 学校の用務の関係につきましては、先ほど申し上げましたように、指揮命令系統に入る中で契約を結ぶということは我々としても適切でないということで、これまでそういった契約を行わないように指導してまいったというところでございます。

牧委員 わかりました。では、厚労省としては、そこら辺の契約内容をきちっともう一回見直してください。

 それともう一つは、やはり学校の安全等を考慮した上で、この際、これは置くこともできるとかどうとかという話でしょうけれども、用務員の位置づけについて、もうちょっと具体的にはっきりと文科省としても位置づけをさせるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 その今日的役割を何か規定しろという御趣旨なんでしょうか。

 先ほど申し上げたように、用務員さんの職務の範囲というのは、学校の環境の整備等に従事するということで、かなり広範な部分を担当しているんですね。ですから、それを校長が具体的な指示等によってお願いをするわけでしょうけれども、学校の安全というところからすれば、このシルバーの人材センターの活用がどの範囲かというのは、契約の内容が包括的であっても実際に担当しているのは校庭の草取りをお願いしたりいろんなこと、バリエーションがあると思うんですね。そういう中でそれぞれ担当していただいている。

 そういう意味で、一概に否定はできないような気がいたしますが、用務員さんの必要性については、先ほど否定するものではないというふうに局長の答弁もあったように、私ども否定するものではないわけでございまして、学校現場での必要性に応じてその役割を担っていただくという範囲で、新たな規定ということは現状では考えておりませんが、何か具体的御指摘があれば。

牧委員 私が言いたかったのは、学校給食のことについてもお伺いしたかったんですけれども、きょうはもう時間切れになっちゃいましたので、また後日、改めてちょっとやりたいと思うんです。

 つまりは、ここへ来て、義務教の話あり、そしてまた全体の学校を取り巻く環境等について、私が見ていく限りにおいて、どうも文科省、どんどん外から外から外堀を埋められて、ちょっと総務省にも聞きたかったんですけれども、例えば用務員やら給食調理員等のこういった技能労務職について、どんどんどんどん合理化させる方向にあるんじゃないかというふうに思えてならないんですね、実際に交付税措置もそういうふうになっておりますし。

 だから、そこら辺の方向性というのがあって、とにかく文科はやられっ放しだという印象が私はあったものですから、きちっとそこら辺の教育を取り巻く環境そのものについて、給食についてもそうですよ。合理化、合理化でセンター方式、しかも大手がそれを受注して、東京でつくったものを高速道路で運んで、ただ温め直して食べさせるだけというのでは、これはファストフードと変わらないじゃないですか。大臣も、食育基本法に当たっては、お骨折りをされたということは私も議事録を読んで十分承知をしておりますけれども、そういったところをやはりきちっとやっていただきたいなと思います。

 総務省としては、これはそういう合理化の方向性なんでしょうか。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども総務省といたしましては、昨今の厳しい行財政状況を踏まえますと、地方公共団体においても徹底した行政改革を進める必要があると考えてございます。

 私どもの考え方は去年三月にお示ししました新地方行革指針の中に示されておるところでございますけれども、この中で、行革推進上の主要事項の一つといたしまして、地方公共団体に対しまして、総務事務あるいは定型的業務を含めました事務事業全般にわたりまして、民間委託等を推進する観点からの総点検を要請しているところでございます。

牧委員 わかりますよ。それで、給食調理員にしろ、あるいは用務員にしろ、結局そうやってアウトソーシングをする、どっちが鶏でどっちが卵かわからないんですけれども、アウトソーシングをする結果、資金需要が減っていく。そういう中で、結局交付税措置も減らされていくという方向性にあるわけですよね。

 ただ、これは今回の義務教育費国庫負担法の議論を契機に、私はやはりそういった教育を取り巻く環境についてもう一度きちっと見直すべきだと思います。どんどんどんどん合理化をされていくという、その合理化そのものに果たして教育現場がなじむのかどうなのか、そういった議論からもう一回しなければならないと私は思っております。

 きょうはちょっと時間が足りなかったものですから、次回また、もうちょっと掘り下げてここら辺のところをやりたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。

遠藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。奥村展三君。

奥村委員 民主党の奥村でございます。

 小坂大臣は、御家族、家系の四代にわたって国会議員をお務めになられて、国会開設以来ずっと政治家を続けておられる、そしてまた、海外でのいろいろな御経験もお持ちだということを仄聞いたしているわけですが、政治家あるいはそういう環境、私はやはり教育がしっかりしておったからだというように思うんです。

 今、多少景気はよくなったと一部の人はおっしゃっているかわかりませんが、もっと元気な日本をつくらないかぬ。そのためには、私は、前の中山大臣のときにも委員会で申し上げたんですが、文部科学省の職員さんがもっと元気になってくれと。何かいつも小さくなって、総務省にいじめられているのか、どこにいじめられているのか知りませんが、我々は一体となって子供の教育のために、一生懸命、スポーツも文化もやっているんですけれども、どうも元気がない、もっと元気を出してくださいよということを当時も言っておったんです。

 そんな思いをいたしますと、大臣に就任なされてまだわずかでございますが、本当に、日本の教育、どのようにお考えになっておるのか、まず聞かせてください。

小坂国務大臣 元気の塊のような奥村委員の御質問で、元気を出せと言われますと、本当に私も元気を出すという気になるわけでございますが。

 御指摘のように、私もいろいろな分野、いろいろな仕事を見て、また自分でも体験してまいりました。そういう中で、外国での生活及び外国を見て回る機会に大変恵まれた過去の仕事環境でございました。

 そういう中で、アメリカに駐在をし、またイギリスで駐在をし、ヨーロッパ、アフリカ、中近東が担当という地域の中を旅してまいりまして、外国から日本を見て、日本というのは物すごい活力のある国だなと思いました。そもそも、外国にいて、情報源が新聞と週刊誌ということに限られてみますと、目まぐるしく日本の状況というのは変わっているように見えるんですね。果たして、自分が日本に帰ったときには、浦島太郎になっているんじゃないかというぐらいに、バイタリティーあふれる国に見えました。

 その一方で、日本の生活というのは、我々の私生活も含めた生活自体は、あたかも自転車を必死にこいで、毎日朝から晩まで走り続けているという印象でありまして、海外の生活というのは、自然の中に家族で休日を楽しみ、また、子供を育てる環境も、非常にゆったりとした時の流れの中に身を置いて考えるような機会に恵まれたり、その意味では、自然豊かな中で、また近所とのつき合い、あるいは地域コミュニティーとのつき合いを通じて毎日の生活を送っている。

 そういう視点で見ると、やはり日本もいつか、経済発展を遂げた今日にあっては、自転車から一回おりて、自分の来た道を振り返り、そうして新たに、ゆっくり落ちついて自分の目標を定めて、そこに向かって、元気を出してまた自転車の上に乗っかって、今までのように必死にペダルをこぐのではなくて、ゆっくりと景色を見ながら、他の国との状況を比較しながら、進んでいく、そういう時代に変わっていかにゃいかぬだろうと、こう思っておりました。

 今、文部科学大臣という仕事を拝命いたしまして、皆さんの御質問の中で、いろいろ御指導いただく中で考えますことは、やはり元気が必要だなと。そうして、これからの高齢化社会、人は年をとることで老いることはないわけでして、精神的に老いるとこれは本当の年寄りになっちゃいますから、そうならない元気な社会づくりのために、教育の分野で、またスポーツの分野で、科学技術の分野で、あるいは文化芸術の分野で、皆さんがそれぞれに自分の生きがいを持って取り組んでいただき、新たな発明、発見の中で活力のある産業、そして、そういった産業の中で豊かな国づくりというものを推進できればこれが一番いいんだろう。

 そういうものに向かって、私自身、皆さんの先頭に立って、元気を出して、野党の皆さんの厳しい御指導もありますけれども、奥村委員御指摘のように、文部科学省は外から見て元気がないように見えるのであれば、なお一層訓令をして、みんなで元気出そう、元気出してみんなを引っ張っていこう、そういう役所になるように努力をいたしたいと存じます。

奥村委員 ぜひ、今お述べをいただいたように、元気を出して、ひとつ、リードしていただきたいというように思います。

 レーガン大統領もサッチャー首相も、経済を活性化、あるいは三つ子の借金と言われたアメリカも、やはり教育に力を入れて、そして経済を活性化していったという歴史があります。ぜひ、そういうような思いをいたしますと、小坂大臣のもとで、これは与党だとか野党だとかという問題ではなくて、教育というものは、やはり、みんなが力を合わせてやっていく問題だと私は常々思っておりますから、冒頭にそのことに触れてお聞きをしたわけであります。

 そこで、きょう、ちょっと順序を入れかえまして、申しわけありませんが、大変お忙しいところ、総務副大臣の山崎力先生、私は参議院時代から公私にわたりまして大変御指導賜ってまいりました。しかし、個人的にはすばらしい、いろいろな友情を持っているわけなんですが、私は代表質問でお聞きしたときに、竹中大臣に、今回のこの三分の一は暫定的なのかあるいは恒久的なのかということをお聞きしたんですが、もう一つそこにお答えをいただくことができませんでした。

 私は、やはり、そのときにも申し上げましたように、義務教育というのは将来に対する大きな投資である、そんな思いをいたしますと、ただこれは三位一体だとかそんなことだけで処理されてしまう問題ではないと思うんです、教育というものは。やはり、ほかのいろいろな施策の中で、地方分権だとか、あるいは三位一体だとか、いろいろなことはできるかもわからない。しかし、教育というのは国の根幹であると思うんです。国がある以上、やはり教育をしっかりして、そして人に投資をしていく。そういうことを考えますと、これは私はちょっと、今回の二分の一、制度は守られましたけれども、二分の一あるいは三分の一になってしまったということは非常に残念でなりません。

 この間、鈴木先生も参考人質疑のときに、残念な思いをしているとおっしゃいましたが、まさしく、これは与野党みんながそんな思いをしていると思うんですよ。だから、地方分権だ、あるいは、今後道州制の話も出てくるかわかりません、しかし、それが出てきたとしても、外交や防衛や教育や社会保障というのはしっかりと国の根幹として守り続けて、ベースをつくっていかないかぬのだと思うんですよ。

 それを、同じようなことで、三位一体の、地方分権のというようなことでおやりになったというのは、私はこれはちょっとおかしいと思いますし、そこらを、これは省庁でいろいろ議論をなされて、副大臣もそれをオーケーされているかもわかりませんが、政治家山崎先生として、政治判断としてこのことを、本当に正しいのかどうか、このことが本当に恒久的な、なということじゃなくて、恒久的にというしっかりとしたものに基本的に考えていただきたい、考えを直していただきたい、進めていただきたいと私は思うんですが、いかがでしょうか。

山崎副大臣 最初の御指摘にありましたように、今までのおつき合いはおつき合いとして、副大臣としての立場での答弁にならざるを得ないことを、まずおわびしなければいけないと思いますが、その意味におきまして、この義務教育費国庫負担金の制度につきまして、恒久的か否かという議論、確かに承っております。

 ただ、ここで思い出していただければと思うのは、まず、一昨年の政府・与党合意において八千五百億の減額というものが暫定措置として行われたという意味において、今回の、昨年十一月の政府・与党合意はどうなんだ、こういう意味での恒久的という言葉の使い方であろうというふうに我々思っております。

 そういう意味におきまして、御案内のとおり、三位一体の改革の議論ございました。その中身について、今ここで云々ということは申し上げませんが、少なくとも、地方自治体、地方六団体と申しますか、そういった中の要望も踏まえた上での政治的な決着であったというふうに、政府・与党合意であったというふうに私どもは理解しているところでございます。

 そういう意味におきまして、三位一体の改革というのは、ここ何年間か、三年間にわたって行われてきた改革が、税源移譲につきまして、所得譲与税でやってきたものを、今度、所得税から住民税という形で来年度切りかえる、その最終年度においてああいう決着を見たということは、明らかに暫定措置ではないということでございまして、成果の一つの区切りがそこでできたんだろうというふうに私どもは解釈しておるところでございます。

 そして、その中におきまして、同じ政府・与党合意の中で、義務教育費国庫負担金制度を堅持するという一文も入っております。ただ、その一方で、与党において、義務教育や高等学校教育等のあり方、国、都道府県、市町村の役割については引き続き検討すると同時併記されているわけでございまして、また、それに加えて、地方分権に向けた改革に終わりはないという立場で今後とも地方の自立と責任を確立するための取り組みを行っていこうともされているところであります。

 そういった点を総合的に考えれば、この問題というのを、義務教育制度というものだけではなくて、先ほどもお触れになりましたけれども、都道府県制度から道州制へという議論も始まっているところでございますから、内政全般にわたる議論がそこには必要でございまして、そういった中での財政負担のあり方というもの、国や地方の役割分担をどうするかということも含めた中で、この議論というのは、義務教育制度というものが議論の対象から外れることはない。やはりその中では議論されるべきであろうという意味で、委員御指摘の点について、暫定措置ではなくて恒久的措置というものが意味を持ってくるのではないかなというふうに思っております。

奥村委員 外国の話ですけれども、イギリスなんかはこの四月一日から国が全額責任を持つというように制度をつくっていかれますね。

 内政的ないろんなこともわかるんですけれども、私は、やはり教育というものは、先ほどから何回も言いますように、本当に国の根幹でありますから、当然国が責任を持って、憲法二十六条にもしっかりうたわれているわけですから、そこを総務省の方もしっかりとまた御理解していただいて、やはり恒久的なものにしていただかないと。

 定率減税のあのときが時々話が出ますのは、私もあのとき参議院におりましたけれども、あのときも小渕総理が、これは恒久的なとおっしゃったんです、はっきり。だから、景気がよくなるまで住民税だとか法人税だとかしっかり見直して、その上でまた考えるということで、恒久的なものだとおっしゃったから、我々も、よし、それでこれは景気がよくなるぞという思いをしていたんですが、これもまたいろいろな税制の改革で踏みにじられてしまう。だから、私は、やはり教育という流れの中にこれをしっかりと、今副大臣おっしゃったように、恒久的なものにしていけるように、ぜひ総務省にもこれは強く要望をしておきたいというように思います。

 特に、私は一番こういう問題で、きのうも参考人、そして連日いろいろな委員会でこの質疑をさせてもらっていますが、子供中心に、子供は宝ですから、これをやはり大切に考えた教育をしていく。次代を担ってくれるんですから、ここらを考えると、こんな財政論の話で、数合わせのような形で、三分の一にしてしまうというようなことがあってはならないと思うんです。もっともっと大きな夢を持って歩んでくれる、そういう人たちに、大きな気持ちで、国家としてしてあげるというのが大事だと思いますので、よろしく重ねて要望しておきたいと思います。

 お忙しいところ、どうもありがとうございました。

 そこで、戻りまして、小坂大臣にまたお伺いを申し上げたいというように思います。

 今申し上げました、財政的にもそうですし、やはり教育のビジョン、国で、国として日本の国の教育はこういうふうにやるんだというビジョンをしっかり持つことが大変大事だと思うんです。

 小泉政権は米百俵の精神をよく出されまして、最近は一向に聞こえません。いろいろ唱えておられましたけれども、どうも腰が引けている。教育になったら、全然あの人はわかってないのかなというような思いを私はしているんですけれども。本当に、財政的にも、そして国という一つの基盤を考えたら、教育のビジョンをしっかり打ち出して。国全体のビジョンも、あの人、一遍も出したことないんですよね。

 だから、小泉総理として米百俵とおっしゃったその精神はしっかり小坂大臣にも、イエスマンだけじゃなくて、教育の土台づくり、教育の引き締め、こういうものをやはりやっていただきたいというように私は思うんです。この精神は生かされていないと私は思っているんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

小坂国務大臣 委員御指摘のように、資源のない我が国において人材こそ最大の資源だ、こういう認識は持っておりますし、また小泉総理が述べられた米百俵の精神、小林虎三郎の故事に基づくこの精神は小泉内閣発足とともにこの内閣の理念となっておりまして、私自身も、その意味において、教育において人材育成にしっかり取り組んでいく。大変財政的には厳しい折だけれども、その中で必要な予算はしっかりと確保して取り組んでいくという姿勢でやっておるわけでございます。

 義務教育においては、国の責任を確実に果たしつつ、学校や地方の創意工夫を生かした教育現場の意見も尊重した教育が実現されるべき、こう考えておりまして、今、そういった意味での構造改革を進めるその道筋にあると思っているわけでございます。

 すなわち、国が義務教育の目標設定や確実な財源保障などの基盤を整備した上で教育現場の権限と責任を拡大する分権改革を推進する。そして、教育の結果を検証するシステムを国がしっかりと構築することによって、それによって得られた検証の中で、是正すべきものについては、しっかりそれのアクションをとっていく。また、より進めるべきものについても、これのアクションをとっていくということで、PDCA、プラン・ドゥー・チェック・アクションというサイクルを導入することが今回の改革の中での一つの特徴であろうと私も思っておりまして、そのように皆さんにお願いをしているところでございます。

 今後とも義務教育費の国庫負担制度を堅持するという、今、総務副大臣の方からもありました。そういったことが内閣としても確認をされておりまして、義務教育に対する国の責任をしっかり果たせるように取り組んでまいりたいと存じます。

奥村委員 中教審のいろいろな議論の中でも出ておったようですが、そして結論の方で言われておるんですが、国にとって教育とは何か。「教育を巡る様々な課題を克服し、国家戦略として世界最高水準の義務教育の実現に取り組むことは、我々の社会全体に課せられた次世代への責任である。」これは答申でうたわれているわけですね。

 そういうことを考えますと、さっきお帰りになりましたけれども、知事会でいろいろ云々とありましたけれども、やはり一般財源化したり、いろいろなことを考えますと、四十都道府県で財源が不足してくるとか言われていますね。教育に財源が不足するとかいうようなばかげた話もないと私は思うんですよ。湯水のごとくどんどんどんどん教育につぎ込むのではなくて、せめても最低限そういうものをしっかりと確保できるようなことを今後も進めていただきたいし、文科省としてもしっかりとやっていただきたいというように思っております。

 そういうようなことを考えますと、今大臣がおっしゃったように、本当に国を挙げて教育ビジョンを、ベースをつくって、これからもしっかり推し進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 今、加藤紘一先生がおいでにならないのですが、実は今もお話をしておったのですが、今月の最初だったと思うんです。東京駅の丸の内のロビーで、実は山形県の鶴岡市の中学生が修学旅行で、あのフロアで郷土民芸をやってくれていました。私、ちょうど着いたものですからじっとそこで見ていると、太鼓と、もう一つ別の、踊りをやっておられた。

 義務教育の中学校二年生の子が修学旅行に来て、そして、あそこでずっと先輩がこれを引き継いでやってこられた。実は我々がことしで最後なんです、もう来年からこの場所を貸してもらえないかもわからないんですというような話を生徒がしておられました。頑張ってやというて僕は言ってたんですが。ああして、自分たちの郷土の誇り、そして思い出に、あのようなところで、堂々と乗降客のところでやっておられて、もう私は胸を打たれて、思わず頑張れって言ったんですけれども、そういうようなことも、義務教育の中で、本当に純真にやってくれて、頑張ってくれる子供たちに大きな夢を与えてやっていただきたいことを重ねて申し上げておきたいというように思います。

 次にですが、子供たちの生きる力、そして、私このごろ、命というものを何とおろそかにしてしまった世の中になってしまったなと。これは老いも若きも、子供たちも、みんなそうなんです。本当に簡単に命を奪ってしまう、そんな世相になってきている。これこそ本当に国を滅ぼしてしまうのではないかなという思いをいたします。そういうことを考えますと、教育も大事ですし、社会のいろいろな問題というものもあるわけなんですが、特に私は就学前の教育というものにもやはりつながっていくと思うんです。

 私はたまたま幼稚園を経営いたしておりますが、子供たちをお預かりしているんですけれども、本当にその家庭のこと、あるいは、プライバシーの問題にまで入り込んではいけないけれども、ある意味ではしっかりとそれを把握しないと子供たちを育ててもいけない。職員たちには常に愛を持って、心を持って頑張れよということは言っていますけれども。そういうようなことでいろいろと努力はしているんですが、ずっと、命の大切さ、あるいは生きる力というものも生をうけたときにしっかりと教え込んでいく、そういうことがやはり大事ではないかなと、それがやはり人生を全うしていく一つの大きな根につながっていくというように思いますが、大臣はどのように思われますか。お伺いをいたしたいと思います。

小坂国務大臣 御指摘のとおり、幼児期において、命の大切さ、他人を思いやる心、こういったものが育つような環境を提供することが必要でありますし、また、教育的な分野においても、そのことを目標として掲げていくことが必要だと思っております。

 幼児期は人間形成の基礎が培われる重要な時期でもあります。この時期に命の大切さや他人を思いやる心、規範意識などの芽生えを培い、生きる力をはぐくんでいくことは極めて重要であり、このために、幼稚園教育要領においても、生きる力の基礎の育成ということを目標に掲げているところでございます。具体的には、身近な動植物に接して、命の大切さに気づき、いたわったり、大切にしたりする活動を通じて、命の大切さについての指導に努めていただくということを指導しておるわけでございます。

 そういう中で、今後、幼稚園あるいは厚生労働省の保育所等の場においても、このようなことを頑張っていきたいと思っております。

奥村委員 ぜひそうしたことをしっかりと実現できるように努力をいただきたいというように思います。

 今、最後の方におっしゃいました、幼稚園、保育所の一元化、一体化ですか、そういうお話が出ているようでありますが、これも現場にとってみれば大変なことであって、職員の資格から施設から、いろいろ変えていかなければならない。認定こども園と言われるようなものが今モデル的にいろいろとやっておられるわけなんですが、それもやはり、子供にしっかりと目を当てていく、子供を中心に考えていく。組織だとか資格だとかいうことで決めつけてしまうと、結局、現場が混乱してしまって、子供たちが本当に伸び伸びと遊んでくれない、あるいは勉強してくれないというような状況になると思うんです。そこらをまた、これは厚生労働省ともしっかりと連携をとりながら、縦割り行政のそういうことを一つにしていこうと思えば相当なエネルギーが必要だと思うんです。そういうことも担当の方々にもよく大臣の方からも御指示をいただいて、本当にすばらしい就学前の子供たちを育て上げていくような体制を整えていただきたいということを要望しておきたいというように思います。

 次に、いろいろとアスベストの問題だとか耐震だとか、いろいろな問題が出ているわけなんですが、実は、あす、災害対策の特別委員会で地防法、地震の五年間延長の法律ができるんですが、審議をして可決する方向になっているんですが、私も筆頭理事をさせてもらって、その方にも今精力を注いできたんですけれども。これは、きょうまでは三分の一であった補助金を今度は二分の一にしていこう、そして、屋内体育館も、これは避難場所になるところですから、ここもしっかりと充実をしていこうということで、いろいろその法律の中に取り込んでもおりますし。民主党としては、参議院の方で、公立学校だけの耐震の、地震の防御に対する法律を出してはあるんです。

 そういうことを考えますと、やはり子供たちの安全、安心、そうした環境をつくっていくということも、これは大変大事なことでありますし、特に馳副大臣はこの安全というものに大変な力を注いでおられるようですけれども、これも、小坂大臣が、年内に全部耐震の調査をやります、国交省とともにやりますという断言をなされていますし、本当に学校の安全というもの、そういうものに対しても、子供たちが安心して勉強ができる環境をつくるためにも、どういうように進められようとするのか、お伺いをいたしたいと思います。

馳副大臣 登下校の通学路の問題、学校内における安全の問題と、もう一つは施設の耐震化の問題と二つに分けて御答弁申し上げたいんですが。

 実践的な防犯教室の開催とか、通学路等の安全マップをつくるとか、地域の方々に学校ボランティアに参加していただく。また、その指導的な役割として、平成十七年まではまだ九百人だったんですが、十八年度予算で全部で二千四百人、スクールガードリーダーという形でやっていただく。

 これは二つの効果があるんですね。一つには、実践的にというからには、こういう場合には大声を出して我が身を守りましょう、地域の一一〇番の家に駆け込みましょう、こういうこともあるんですが、そればかりやると、だれを見ても、知らない人は不審者と植えつけかねないんですね。私も、近所でおはようと近所の子供に声をかけても、すごすごすごと。私が怖いのか、知らないおじさんが嫌なのか。これではやはり困るんですよ。何が必要かというと、地域には皆さんを守ってくださる方が、保護者も含め、いますよと。これは学校安全ボランティア、スクールガードリーダーの役割ではないかと思います。大人には私たちを守ってくれる人もいるんだと。これも教育的な効果のあるところであります。

 また、施設のことですが、本当に小坂大臣と北側国土交通大臣のおかげで、平成十八年中に耐震診断は全部終えよう、お互いの補助金を合体させてやってしまおうと。その上で、今後は、文部科学大臣が施設整備基本方針、そして基本計画をつくり、それに基づいて市町村等が施設整備の計画を作成して、それを提出していただいて、今後地方交付税交付金の予算要望をするときに、それに基づいて計画的に、インセンティブを働かせて耐震化の施設整備をしていただこう、こういうふうな仕組みに改めたところでありますので、今後とも、必要な予算確保も含めて、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

奥村委員 先月の二十三日に、民主党、我が党は参議院におきまして学校安全対策基本法案を提出させていただいているところであります。これをしっかりと議論をして、これが実現できるように我々も努力もいたしたいし、各先生方の御協力もいただきたいというように思います。

 今、地域ボランティアのお話をなされましたけれども、二千何人とかおっしゃいましたが、確かにそれも大事なことだと思うんですが、もちろん教育というのは家庭が基本であって、学校があって、そして地域がある。地域もあるんですが、そこに職場というものを忘れてはならないと思うんです。

 ということは、地域ボランティアと今おっしゃいましたけれども、確かに、ボランティアにおいでいただいていろいろな情報交換ができると思うんです。郵便局の配達をされている人、銀行の集金をなされたり回っておられる方、農協もそうなんです。そして、一番大事なのは、やはり地域におられる消防団の人なんですよ、消防団員の人。これは、子供がみんな小さいんです、まだ小学校に行くとか保育園とか幼稚園、その方々が消防団員になっている、若い人たちが多いんです。

 学校でサイレンが三つなら三つ鳴った、このときは何かが起きたんだということを周知徹底しておけば、消防団の人も駆けつける、郵便局も銀行さんも、あるいは農協さんも、そういう集金に回っている人も、何が起きたんだろう、その人は常に同じところを回っておられるんですから、不審な車があったり不審な人がおったら、おかしいぞと。やはりそういう方々、職場の人たちとの連携もこれは必要なんですよ。

 そういう地域ボランティアの人も必要かもわかりませんが、やはり、家庭があり、学校があり、地域があり、そして職場の人たちの協力を一体化していかなければ、登下校の問題だとか、学校に不審者が入ってきた場合に、何が起きたのかと。地域の、近所の人にも、サイレンが二つ鳴ればこういうことなんですよ、サイレンが三つ鳴ればこういうことなんですよと周知徹底をしておく、それが一番大事なんですよ。そうじゃなかったら、学校の先生だけでそんなもの処置はできない、うろたえてできないと思うんですよ。

 ですから、そういうこともやはり徹底して推し進めていただきたいし、今馳副大臣がおっしゃったように、我々は先月、こういう法案を参議院の方に出しておりますので、ぜひこれを有効に進めていただくことをまずお願いをしておきたいというように思います。

 それでは、時間もありませんので、次に移りたいというように思います。

 これはやはり、さっきから総務副大臣も来ていただいて、財政的ないろいろな問題がありますが、それぞれの市町村に、三千二百幾らあった市町村が合併して今度は千幾らになって、半分近くになってしまうんですけれども、そうなると、合併で財政的にもいろいろ、きょうまではよかったけれども、合併してある意味では負担がふえるところも出てくるし、ある意味ではアンバランスが出てくるところがあるんです。そうすると、やはり地域に格差が相当出てくるのではないかな、イコールその格差が教育に結びついていけば大変なことになるわけですね。

 ですから、こういう問題について、やはり地域の特色を引き出していくような教育が、先ほど言いましたように、いろいろな郷土芸能だとか文化だとか、もっともっとそういうものをしっかりと義務教育の中や教育の中に取り込んで進めていくということが一番大事ではないかなというように私は思います。先ほど来いろいろ申し上げておりますように、財政的な裏打ちをしっかりとすることは国として当然のことでありますが、まずこのことについて、特色ある教育を推し進めるべきであると思いますが、大臣の御意向をお伺いいたしたいというように思います。

小坂国務大臣 今奥村委員から、家庭、学校、地域、そして職場が一体となって子供たちの安全を守り、また教育環境を整備していくということをおっしゃっていただきました。まずその点については、職場の役割というのはおっしゃるとおり本当に大きいですね。

 職業教育ということを考えて、今、五日間の中学校におけるキャリア・スタート・ウイークというような形で職場体験教育をやっていますけれども、これも職場との連携ですよね。

 行く生徒は、一日目は緊張して、二日目はその仕事を一生懸命学ぼうとする。そして、三日目になると少しずつなれてくる。四日目になると、仕事全体を見直して、今度、自分の将来はどうしよう、この仕事というのは難しいな、いろいろなことを考える。悩んだあげく、五日目になってみると、何となく仕事というのは何かわかってきたような気がする、そして、何かすごく楽しい、自分が褒められたりすることも出てきた、そういう中ですごく充実感を味わう。そういうところまでいくと、ああ、自分の将来はやはり仕事をやってみよう、仕事をお父さんたちみたいに頑張るんだという気になってくる。

 職場の人にしてみれば、その子供たちに刺激されて、教えるにはもう一回自分の仕事を手順から見直さにゃいかぬなと。また、フレッシュな気持ちで、その若々しさ、はつらつとした、その生徒たちのはきはきした態度に、おお、自分もなれがあったな、ここでもう一回踏ん張るかと、こういうことになってくる。ちょっと余計な時間を費やしてしまって恐縮でございますが。私は、奥村委員が御指摘になった職場の役割というのは、そういう意味で非常に共感を覚えました。

 さて、そういったものも含めながら、地方の創意工夫を生かして、どう取り組んでいくかということでございますが、今回、特区で行っておりました市町村の任用による教員という制度を全国に拡大をしていく、そういう中で、地方独自のスタイルとしてふるさと教育をもっと徹底したい。地域の郷土文化や芸能について学んでみたり、そういうものに取り組むような、あるいはそういうことを指導してくださる人たちを入れたり、少人数教育にそれで対応してみようとか、あるいは特別支援の部分でも、もう少し幅広く、いろいろなことをやってみたい。

 地方の自治体のニーズとそこの市町村民の意見を吸い上げた中で独特の取り組みがなされるというのは、教育としては大変ありがたいことでございますし、そういったものによって、基本的には、国の最低限の教育レベル、ナショナルスタンダードといいますかナショナルミニマムが守られて、その上積みとしていろいろなことが行われて、そのよさが認識されて、さらにミニマムのレベルが向上してくるというような、いいサイクルになれるように、私としては努力をしてまいりたい、こんなふうに考えております。

奥村委員 ありがとうございました。

 大臣は、冒頭に申し上げましたが、四代続いた政治家でございますが、私ごとですが、中学生の体験学習を毎年受け入れているんですが、去年で私も四代目、百年の事業を継いでおります。本当に、褒めてあげると、おじさん、こんなおもしろいことないねとか言って気張ってやってくれるんですよ。そして、こっちもやはり、たまに帰ったときですから、一緒に汗かいて、そういう子供たちと楽しくいろいろな話をしながら、頑張れよと言って励ましながら頑張っているところでございます。

 今おっしゃったことも大変大事ですし、きのう参考人の先生の中で、あいさつということをやかましく言われました。鈴木先生もきのうはここであいさつを気張ってやられました。私の地元の県立高校なんですが、昭和五十八年に開校した学校なんですけれども、甲西高校というんですが、ここは、当時の、校長さんもそうですが、指導の先生方も、要するに、地域と一番密着、連携がとれるのはやはりあいさつからだということで、今も、二十一年目の卒業式をこの間迎えたんですが、地域の人から、やはり礼儀正しい、あそこの学校へやりたいんだというおじいちゃんやおばあちゃんの思いもあったり、そういうことをして、本当に地域に根差した高校がそうして芽生えております。やはり、あいさつとか、常にそういう地域との連携というのは、私は、義務教育もそうですが、高等教育、中等教育にも非常に大事であるというような思いをいたしました。

 もう時間がありませんので、初等中等教育局長の銭谷さんにお伺いをしたいんですが、民間校長というのが、はやりなのかどうかわかりませんけれども、各都道府県でやっておられますね。だから、そういう問題の現状についてまずぜひお伺いしたいのと、これは私が参議院のときに衆議院で可決をいただいたわけですが、平成九年の六月三日に、学校図書館法の一部を改正する法律案ということで改正になりまして、十二学級以上のところには学校図書館司書を設置する、置くことができるということで法律が変わったわけなんですが、もう時間がありませんので、この現状もあわせて御答弁をいただきたいというように思います。

銭谷政府参考人 二点お尋ねがございました。

 まず、民間人の校長の任用の状況でございますけれども、これは平成十二年に資格要件が緩和をされたわけでございますが、これまでに延べで百名の方が民間人校長として小中高等学校に任用されております。現時点では九十二名の方が任用されている状況にございます。これは年々、数はふえつつございます。

 それから、二つ目のお尋ねで、学校図書館の司書教諭の問題でございますけれども、平成十五年から、全国の十二学級以上の小中学校及び高校に司書教諭が配置をされるということになったわけでございます。現時点での司書教諭の配置の状況でございますけれども、小学校で十二学級以上の学校は九九・六%、中学校で九八・九%、高等学校で九五・七%となっておりまして、十二学級以上の学校における司書教諭の配置はおおむね進んできているというふうに認識いたしております。

奥村委員 ありがとうございました。

 ぜひ着実に設置をいただけるようにお願いをいたしたいと思います。

 大臣、冒頭に申し上げましたように、元気な日本、元気な文部科学省になるために、ひとつ大臣も、みずから、より以上元気を出して、教育の根幹を実現するようにお願いをしておきたいと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 藤村修君。

藤村委員 民主党の藤村修でございます。

 議題となっております義務教育費国庫負担法一部改正、私が民主党最後の質問バッターとなりますので、先週も質問をさせていただきましたが、おさらいを兼ねて、質問の漏れの部分も補いながら、法案審査、我が党としては終了させていただきたいと思っております。

 まず、今回の法改正がおおむね、きのうの参考人の御意見も含めて、いわゆる国庫負担部分が二分の一から三分の一ということに対して非常に、ほぼ参考人の方もこれは懸念を示され、あるいはこの委員のメンバーの中も、大半がやはりそれはねと。そして、その結果としては、文科大臣が苦渋の選択で枠は守った、こういう言い方で、何となく、ではそれを了承するか否かです。これはこの後の賛否にかかわる話ではございます。

 ただ、そのことに少し議論が傾いておりまして、ほかに、実は割に重要な市町村立学校職員給与負担法の一部改正と、それから義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部改正という大きな柱がまだ二本ありますので、まず最初に、それらからちょっと、確認事項等、質問をしていきたいと思います。細部にわたる部分が一部ありますので、大臣でなくても、そこは少し確認の意味で事務的に答えていただいても結構かと存じます。

 午前中に、牧委員もこの市町村立学校職員給与負担法の一部改正について問いました。構造改革特区でやってきたと、数も大臣から示されましたが、このときに、たしか評価のことも大臣からお答えをいただきましたが、ちょっと別の評価もございまして、これは市町村教育委員会連合会というところがアンケートを十六年四月に実施しています。まさに市町村の教育委員会の皆さんがそれぞれアンケート調査をやったと。

 ここで、結果として、いろいろな懸念が、先ほどの評価委員会からの報告以外にもございますが、例えば、教職員の身分保障、昇任、昇格制度の確立が必要だ、つまり、特区でやったものだから、余り大きな枠がなかった、あるいは、学校内で任命権や勤務条件の異なる教員が混在することになり、人事管理上の混乱が生じる、あるいは、市町村の財政力等により教育水準に格差が生じる、市町村費負担教職員を任用するための財政的支援が必要、都道府県教育委員会が定める今後の学級編制基準が不明などなど、大分たくさんの懸念が示されています。

 すなわち当の本人たちの、市町村教育委員会の皆さんが相当不安を持って、しかし、この法改正が成れば四月一日からやるわけですよね。基本的に市町村の採用の先生を今後むしろふやしていくというか、我々民主党の考え方は、国の教育にかかるお金を市町村に交付するという基本的な考え方を持っていますので結構だと思うんですが、しかし、この四月一日から全国展開するからには、これらの点を踏まえて、やはりきちっと彼らの不安をなくすための枠組みをつくってあげないといけないんじゃないかなと思いますので、課題の部分ですね。いい部分はもう午前中に聞きましたので、課題の部分の認識をもう一回問いたいと思います。

馳副大臣 まさしく藤村先生が御指摘いただいたとおりで、都道府県の任用する教職員の給与については都道府県の条例だ。市町村が市町村費で任用する教職員の場合には、市町村で条例をしっかりと定めていただかないと困る。それで、まだ条例を定めていない市町村があるようですから、それは当然督励して、十八年中に条例を定めていただかなきゃだめだと指導しておりますけれども、この課題のところ、まさしく条例によって市町村費負担の教員の任用については確保する、こういう安心感というものを制度として整備してあげることは、基本的な課題への対応として必要だと考えています

藤村委員 四月一日からスタートし、それから条例を決めるわけで、最初の混乱が生じるので、そこは素早くやっていただくようにお願いいたします。

 次に、市町村費負担教員と、それから今日までのいわゆる県費負担教員。ここで、大臣は午前中の答弁で京都と岐阜を挙げられましたが、余り給与の差はありませんという向きの答弁でありました。本当にそうなんでしょうか。まだ疑問を持っているわけであります。

 そこで、まず人材確保法、それから義務標準法、これは県費の人たちには当然きちっとかかるけれども、そうすると、では人確法とか給特法というのがありますね。これについて、市町村の人たち、教員、教職員にかかるのかどうかということと、それから、給与の差は本当にないんでしょうかと。たしか三十一団体二百二十人ですよね、実績があるわけですから。全部調べましたか。本当にないですか。

銭谷政府参考人 まず二点お尋ねがございました、最初の人材確保法、給特法の適用の問題でございます。これらの二つの法律は、いずれも教育職員の職務の特殊性に対応したものでございまして、これらの適用に当たりましては、任命権者の違いにより区分されるものではないわけでございまして、市町村費教職員についても県費負担教職員と異なるところはございませんので、それぞれ人確法、給特法の適用ということはあるということでございます。

 それから、二つ目の、これまでの特区で市町村費負担教員を任用している場合、県費負担教職員と比べて給与に差はないのかというお話でございました。これにつきましては、実は特区で任用されている方の数は今のところ二百十人ほどいるわけでございますけれども、まだ、いわゆる任期つきの常勤雇用の人もいるわけでございますが、いわゆる非常勤的な雇用の人もいるわけでございまして、比較は単純にはできないわけでございますが、いわゆる常勤の人について比較をしてみますと、現実に採用されている人についてはそれほど差がないというのは、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。

 ただ、先ほど副大臣から答弁もありましたように、きちんと教職員のための給与条例というのが定まっていなくて、とりあえずこういう給与を当てはめたとか、そういうケースもありますので、私どもとして、きちんと条例を定めて任用するように今指導しているところでございます。

藤村委員 常勤で、実は特区の場合は、正規は二人しかいなかった、それから期限つき一年が二十四人であったということで、比較ができない。ですから、四月からいきなりというか、全国展開でありますから、なかなか慎重に多分地方はやると思いますので、しかし今の条例制定など、本当にその環境整備を、これは文科省が急いで指示し、指導し、言っていただかないと困ることになる、このことだけ申し添えます。

 大臣は、先ほど来、午前中からもそうですが、この市町村費の教員については、義務標準法で、国は国庫負担法でまさにナショナルスタンダードを設けて、その上に県費で、県担というものですね、単独で加配があったり、さらに加えて、市町村はそこに特色ある教育をするためにと、常にプラスの部分だけおっしゃるんですね。

 でも、これはちょっと局長にすっと聞いた方がいいと思いますが、義務標準法を満たしていない県は全国でありませんか。

銭谷政府参考人 義務標準法で算定をいたしました教員につきまして、各県の算定された数を満たしていない県は、現時点では一県あったと思います。ただし、その県も九九・数%の充足率でございまして、たまたまうまく採用がいかなかったとかそういう事情でございますので、基本的に義務標準法というのは各県とも満たしている状況にございます。

藤村委員 現時点でとおっしゃいましたので、ちょっと前の時点で多分数県あったこともあるということですよね。

 つまり、大臣、ナショナルスタンダードが守られていない、今は一県ある、九九・何%とおっしゃった、これは多分、五月一日の時点での云々という、若干の計算の部分もあるんでしょうが。しかし、何か小坂大臣は、スタンダードの上にこうして、そしてさらに市町村費という、光の部分のお話ばかりされるので、それはいいことだと何となく思いがちでありますが、いや実はそのスタンダードも守られていないところも現時点で一県あるという答弁でありました。

 つまり、これは都道府県単位で、それぞれ財政の事情によって、なかなかきついところが多いわけです。加えて、今回、全体の枠としては、特に地方交付税についても削減です。総枠、パイは縮小です。ということは、標準法すら満たせないところもまだ出てくる可能性はゼロではない。こういうことをぜひきちっと議論をしていただきたいと思うんです。

 それで、今回、市町村費教職員、条例がまだないということで、やや今暫定的にいろいろやっている。今後のこととして、初任者研修とか、いわゆる教員としてのきちっとした研修はどういうふうに考えているんでしょうか。

銭谷政府参考人 教育公務員につきましては、絶えず研修に努めることが要請をされるわけでございます。

 基本的には、公立学校の教員の任命権者が、教育公務員特例法に基づきまして、法定研修である初任者研修や十年経験者研修の実施義務のほか、体系的な教員研修実施の努力義務が課されているわけでございます。したがいまして、市町村費負担教員につきましては、その任命権者である市町村教育委員会がこれらの教員研修の実施に係る責任を果たすということになります。

 ただ、初任者研修を初めとする教員研修の実施方法につきましては、各任命権者が判断するわけでございますけれども、市町村教育委員会において市町村費負担の教員に対して研修を実施する際には、例えば都道府県教育委員会との共催による教員研修の実施でございますとか都道府県教育委員会の主催する研修への参加など、都道府県教育委員会との連携協力による教員研修の実施ということは考えられるところでございます。

藤村委員 すなわち、市町村の先生は、都道府県採用の先生たちの研修に相乗りさせていただいたり、あるいは共同で研修会をしたりということであり、そして、市町村の責任でとおっしゃったのは、すなわち費用については市町村費でやる、こういうことですね。今うんとおっしゃっているので、そうだと思います。

 ですから、これは市町村にとっては、ただ一人の先生を確保するだけでなしに、そういう研修から、社会保険から何から、つまり相当の負担を覚悟して、しかし、うちはどうしても一人、二人、市町村費で雇いたい、雇える、そこはいいと思うんです。

 でも、先ほどの例で、義務標準法でも、まさにナショナルスタンダードというのかミニマムというのか、そこですら都道府県単位でも数県、過去は守られていなかったところもあったように、それはお金のあるところはある程度できる。では、ないところは、非常にこれは難しいどころか、逆に言うと、特に都道府県できついところは、中の市町村が何とかやりたい、元気を出してやりたいといって、二人、市町村費、やりますね。そうすると、都道府県できょうまで相当無理をしながら加配をした、これは県単独ですよね、そこへ出していた一人を引き揚げてしまう、こんなことが起きないでしょうか。このことを、起きないという確認をしたいんですけれども。

銭谷政府参考人 先ほど標準法の定数を満たしていない県が一県あると申し上げましたけれども、それ以外の県は標準法の定数を満たしているわけでございまして、全国的に見ますと、一〇一・四%ぐらいの、標準法の定数に比べての教員配置の状況になっているわけでございます。したがいまして、ほとんどの県というか、一県を除くすべての県は標準法の定数はきちんと確保しているという、まず大前提がございます。

 そういうことを前提とした上で、お話のございました、県が単独で、県の事情に応じて給与を負担している教員もいるわけでございます。これを県費単独の教職員というふうにいいますと、これは、その県がその県の事情に応じて、例えば少人数教育等の必要性ということに基づいて措置をしているわけでございますので、その県の必要性が変わらない限り、基本的には引き続き同様の措置がなされていくというふうに思っております。

 その上にさらに、市町村が、また地域的な実情とか、先ほどからお話のありますふるさと学習を一生懸命やりたいとか、いろいろな事情で、まさにナショナルスタンダード、それからその県のスタンダードに加えて、当該市町村の実情に合わせて独自に任用できることを、全国的にその可能性を広げたということでございますので、あくまでもこの市町村費教職員の任用はプラスアルファというふうに考えておりますので、このことによって県単独措置分の引き揚げ事例ということは、これまでもございませんでした。特区の場合もございませんでしたし、今後も考えにくいというふうに思っている次第でございます。

藤村委員 委員会で答弁いただいておりますので、これは議事録に残り、また全国の市町村教育委員会、都道府県教育委員会できちっと読んでいただかないといけないと思います。

 次に、義務教育諸学校施設費国庫負担法等の一部改正の件に移ります。今回の法改正の中の三つ目の大きな柱ということであります。

 今回は、今までのいわゆる国庫の補助金、なかなか、ちょっと今までが複雑であったようには思います。例えば、新築、増築それから改築については負担金であった。それから、耐震補強、大規模改造あるいは屋外教育環境整備事業等々は補助金であった。これを改め、新築、増築のみ負担金、その他の耐震補強ほかは、大規模改造も含めて、これは交付金という新たな制度を創設された、こういう法改正だと思いますが、この新たな制度創設について、かつ、これは設置者単位で配られますので、この変更の大きな意味というものを教えてください。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の交付金化についての意味でございますけれども、まず現行制度でございますが、今先生御指摘ございましたけれども、現行、事業単位で補助金を交付している、こういう制度でございまして、このため、設置者である地方公共団体内における事業間の経費の流用は不可能、こうなっているわけであります。その点から、効率的な執行が困難であるといったような問題の指摘がこれまでもなされていたところでございます。

 そうしますと、今回の交付金化に当たりまして、一つは、地方公共団体が作成する、今回施設整備計画をまとめますが、その施設整備計画の範囲内で自由な事業選択が可能になるということが一つございます。また、地方公共団体における事業間の経費流用も可能になるといったことから、地方の裁量を高め、効率的な執行に資することが挙げられるというふうに考えております。これによりまして、従来よりも地方公共団体による計画的、効率的な公立学校等の施設整備が進むものと考えております。

 また、もう一つ御指摘ございました負担金対象事業、これにつきましても、こういった新増築につきましても、地方の裁量を高めるために、設置者内における経費の流用が可能となるよう運用の改善を図ることとしているところでございます。

藤村委員 今まで補助金でやっていた例えば耐震補強、これは二分の一でしたよね、それから大規模改造、これも二分の一でしたか、その他幾つかの事業が三分の一。これは、一本化して安全・安心な学校づくり交付金としたときに、これは補助率はどうなるんでしょうか。

大島政府参考人 交付金は、細かく使途を特定して交付する現行の補助金とは異なりまして、設置者であります地方公共団体に対しまして一括して交付することによって、施設整備計画の範囲内で自由な事業選択が可能となるものということでありますから、個々の事業に対する国庫補助率、こういう考え方はなくなるわけであります。

 しかしながら、今回の交付金化に当たりまして、交付金の総額については、施設整備計画に記載された事業費全体に対して一定の交付割合で算定するということではなく、それぞれの事業における従来の補助率をもとに算定をするということを考えているところでございます。

藤村委員 ということは、いわゆる整備計画に基づいて、耐震が一〇〇あったら、それについては国庫の交付金は今度は五〇だという計算を地方側はできる、そういうことですね。

 そこで、義務教育費国庫負担の例の三分の一、二分の一の話と同じで、残りの部分なんですよ。だから、交付金は交付金で手当てをいたします、国ですと。しかし、補助率三分の一の部分は残り三分の二ありますし、耐震なんかで二分の一の場合は残り二分の一ある。これは、残りがいわゆる地方交付税の中の財政需要の中に計算上組み込まれる。その際に、今日まで非常に複雑な組み込み方といいますか、起債を地方が設けてできるとか、さらにはその起債の七五%は償還の必要がない、あるいは事業によっては全然起債も認めないようなのもたしかありましたが、これらは一体、今後どういうふうになるんでしょうか。これは総務省扱いですよね。

瀧野政府参考人 今回の交付金化に伴います地方財政措置についてのお尋ねでございます。

 従来は、御指摘がございましたけれども、例えば改築の建てかえ事業でございますと事業費が非常に多額になるということもございまして、補助金の裏負担につきまして、九〇%地方債を充てる、その三分の二を事業費補正により後年度交付税で措置するとか、あるいは、大規模改造事業の場合には、逆に事業規模が比較的小規模でございますので、地方負担の七五%に地方債を充てて、元利償還金につきましての事業費補正は特に手当てしないとか、いろいろな形がございました。

 今回、公立小中学校の施設整備費に係ります交付金につきまして、先ほど御説明がございましたけれども、改築あるいは大規模改造等のメニューを一本化するけれども、その中で、交付金の算定に当たっては、基本的に従来の補助金の区分を残したままで現行の補助率を用いて計算していく、こういうような方向であるというふうに伺っておるわけでございます。

 我々といたしましては、そういう文部科学省の対応を踏まえまして、市町村の施設整備に支障を来さないように、地方財政措置につきましては、基本的には今までの水準と比較して不利にならないように地財措置を講じてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

藤村委員 ということは、文科省の先ほどの答弁で、補助率は今までどおりだ、交付金として、全体の補助率ではなしに、その事業に着目して二分の一であったり三分の一であったりする。そうすると、今度は地方交付税手当てもそれに見合う事業ごとに、七五%の起債を認めたりあるいは元利償還費に将来充てなくていい措置もあったりするのも今までどおりだ、今うんうんとうなずいていらっしゃるのでそうだということだと思います。

 そうすると、一体これは何を変更したのか、この法改正は一体何なのかということを、大臣は、これはちょっと意味がわかりますかしらね。細かい話になっておりましたが、大臣、副大臣、一体これは、名前が変わっただけではないでしょうか。

 それから、何か、事業ごとではないけれども、だから流用が可能だというふうにおっしゃったけれども、でも、計画に基づいてやるので、結局それに対しては補助率は一緒だし、裏手当ての交付税手当ても一緒だとなれば、単に名前が変わっただけではないですかと聞きたいんですが、いかがでしょう。

小坂国務大臣 これは藤村委員、もう御専門であられるし、よく御存じの上での御質問と思うわけです。

 事業間の経費流用が可能になるということは、事業それぞれの進みぐあいというのは、いざ地方の事業を実施する段階になるとそれぞれの権利者の調整とかそういうものが出てきて、速度が入れかわってまいります。それを国の方で全部握っていますと、地方の事情がそう変わっても対応できない。しかしこれを一括して、ポットが大きくなりますと、パイが大きくなれば、その中での調整をすることによって、最終的な仕上げの年度は一つ目標どおりに仕上げるにしても、途中のスピードの違いを調整できるという大きなメリットがある。私は、少なくともこれは大きなものだと思いますし、そういった意味で交付金化をしたことのメリットは少なからずある、こう考えております。

藤村委員 そのことは認めます。今までは事業ごとで、それが年度で基本的には完了し、余ったら返せと。今度は、翌年度の計画に基づいて、余った部分をまたそっちの別な事業に使える。その部分は確かに認めますが、でも、そんなことは案外当たり前のことで、今までそうでなかった方が不思議な話ですよ。

 今、パイが云々と、大臣の答えがございました。私はこのパイの話を一番したいわけです。

 もう、この表、ちょっと遠くからですが、見えないでしょうが、でもわかりますね。棒グラフが、これは昭和五十五年、公立学校施設整備費予算額の推移。こういう棒グラフで、これは五十五年、こうなっていますね。パイが云々と言うときはパイが右肩上がり。こんなにパイが右肩下がりになると、これはパイが云々という話ではありません。

 例えば昭和五十五年度、その施設整備費には予算が五千九百二十九億円。一遍下がってちょっと取り戻したのが平成五年。この平成五年が二千八百六十億円。平成五年は年度途中の補正を入れずにのことであります。これは沖縄も入っております。平成五年がピークで、その後の平成においては明らかにこうしてずっと下がってきて、何とこの四月以降の平成十八年度、これは予算案額ですが、千百三十七億円。だからこれは、教育に金をかけるんだという話とこの一見したこの表と、余りに矛盾が大き過ぎませんでしょうか。

 先週の私の質問で、先週は概要の質疑をしたんですが、そのときに小坂大臣は、教育は国家百年の大計の中で云々と大議論をされて、そしてそのために、義務教育にかかる費用というものは、今後充実することこそあれ削ることはあってはならないと述べていらっしゃるわけですが、これは、今後と言うまでもなく、まず十八年度は減っていますからね、今後の話としては。これは、小坂大臣、どういうふうにお答えになりましょうか。

小坂国務大臣 もし疑問が残れば担当の方から答弁させますが、基本的には、事業量というのは、事業がなされれば必要がなくなるので減ってくる。すなわち、課題があるうちは事業量は多いですけれども、課題が一つ一つ解決されていくと右肩下がりに事業量そのものも減っていくということも一つあります。それから、十七年、十八年の単年度の比較で見ると、これはもう御存じのとおり、一般財源化したことによって補助金の改革の中でその部分が右肩下がりという形になりますから、いわゆる額として減る、こういうことになっていることが、全体として右肩下がりになっている一つの傾向値をあらわしている。

 これは、とらえ方はいろいろですから、御主張になりたいところもわかっておりますけれども、この表をそのまま読んでどうかと言われれば、申し上げるならば、事業のそれぞれを実行して、例えば耐震化が減れば事業費は減るわけですから、実施されたものが一つ一つ減っていった。課題を新たに生み出せば、それは右肩上がりになりたいところですが、そういう傾向がこの表にあらわれている、こう考えたわけでございます。

藤村委員 今小坂大臣の中でちょっと理解が違うんじゃないかと思うのは、義務教育の国庫負担の二分の一から三分の一、これは、率が減っているので下がっていいんです……(小坂国務大臣「違う、違う、それじゃない」と呼ぶ)いや、下がっていいんです。ただ、施設整備費は、別に何か補助率を下げたとかそういうことではないんですから、施設整備費の総額というのは下がっちゃいけないですよ、下がっちゃいけないです。

 でも、予算では、平成十七年度の当初予算が千三百二十七億円ですが、十八年度の当初予算、今審議されていますが、千百三十七億円、明らかに下がっています。これは、下がる理由は、では、もう事業がなくなってきたからというふうにお答えになるんですか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、全体としての予算額が落ちてきているという背景の中には、もともと公立学校の施設整備というのは、急増に対する新増築対応といったものでありますとか、あるいは老朽化した木造校舎の改築、こういった需要に対応するという整備が中心にまずなされてきたという経緯がございます。そういった中で、そういったさまざまな整備事業というのは、時代の変遷とともに減少してきた事業量というのもありますので、そういったことを映し出すような形で、こういったふうに予算は全体としては減少の傾向に来たということがございます。

 それから最近の、ことし落ちた中の十七年予算から次、十八に対していこうという過程においては、三位一体の改革に伴う百七十億円の税源移譲対象事業、こういったもの等もございまして、それに対する減少といったようなこともあるわけでございます。

藤村委員 ですから、小坂大臣、今後充実することこそあれ、削ることはあってはならないとの先週のこれは御答弁です、私の質問に対して。このことは、大臣、来年度予算を編成される立場かどうかちょっと私はわかりませんが、減ることはあってはならないということですね、削ることはあってはならないと。これは議事録に残りますので、大臣答弁でありますからね、きつく守っていただきたいとお願いを申し上げます。

 もう一つ、施設整備の関係で、小中学校の改築事業で、離島地域とか、今回の法律で細かくずっと後、ついているのが多分それだと思うんですが、離島地域などのかさ上げ補助。三分の一とか二分の一でなしに十分の五・五というかさ上げ事業がありました、あるいは豪雪地帯とか沖縄とかの特殊事情を持つ地域。この配慮というのは今後変わらずやられるという理解でよろしいですね。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の離島や豪雪地帯などの特定地域におけるかさ上げということでございますけれども、この件につきましては、交付金化に当たりましても、引き続き、特定地域の特殊事情を勘案いたしまして、従来講じられてきた補助率のかさ上げ、これに相当することを交付金の算定に際して参酌するということで、引き続き特定地域に対する配慮を維持するということを考えているところでございます。

藤村委員 法案審査ということで、できるだけ細かくしてきたんですが、もう五分ぐらいですので。

 私、先週ちょっと表をお見せして基本的な問題をお問い合わせしましたら、小坂大臣も、考える方向は一緒だとおっしゃったんです。すなわち、義務教育にかかる総費用というのはおおむね十兆円だと。その中で、国が三兆円、都道府県が四兆円、市町村が三兆円、三対四対三。私は、この中の比率の変動というのは、法改正等で今後もあり得ると思うし、あっていいと思うんです。しかし、その総枠というか、これはまさに公が、いずれも税金ですからね、きちっと枠を確保して支出するんだ、そういうことを我々は担保したいと思っているんです。

 そこで、我々の方は、この前ちょっとだけ説明しましたが、国及び地方公共団体の責務、義務教育環境の整備に関する法律案を今策定中であります。その考え方は、国の責務として、国はすべての国民が良質な義務教育を受けることができるようにということで、必要な法制上そして財政上、その他の措置を講じるという理念を設ける。それから、地方公共団体については、主体的に義務教育環境の整備の内容を決定し、これを実施する責務を有し、そして、常に現場の状況を踏まえて創意工夫を行い、高い水準の義務教育環境の整備を行わねばならない。さらに、設置者ですね。市町村は義務教育諸学校に係る教育環境の整備のため、みずからも必要な財源を確保しなければならない、通称、財源確保法というふうに言っておりますが。

 つまり、今後、義務教育を本当にきちっと守り、あるいはさらに、小坂大臣の先週の答弁ではありませんが、充実させるというならば、この大枠で十兆円、子供が減る分とか幾つかの変動要因があろうとも、しかし、この枠は、この枠だって決してOECDのを比較したら多いとは言われていないんですから、この枠はきちっと守っていく。これが、私は将来に向けて義務教育に対する今の大臣のやはり答弁にしていただきたいと思っています。先週もほぼ、おおむねのそういう答弁をいただいておりますので、きょうは我が党の一番最後の質問者でございますので、そういう答弁をいただいた上で終わりたいと思っております。

小坂国務大臣 前提を設けなければ一言ですぱっと言いたいところですが、やはり私は、決して財務省の人間ではないので、そういった意味の財源的な話を余り細かくする必要はないんだと思うんです。しかし、やはりどの時代も、一つ予算というものがあって、その中での政策実施という大きな制約があるわけでございます。したがって、財源としてのものをどこに求めるかということも常に関係してまいります。

 ただ、考え方として、委員がおっしゃった、現在、十兆円の内訳はいろいろ、施設だとかあるいは運営費だとか、あるいは人件費、退職手当とか給与費とかいろいろな形であるけれども、そのプロポーションは、中である程度は変化しながらも、あるいは負担をする国、地方の役割は変わっても、全体的にはこの総枠は維持すべきだ、こういう前提を合意しようというお話でございます。

 少子化の進行、そういう観点から今日的課題として私どもが求められたのは、少子化の中で、義務教育を受ける生徒数の減に対応して、予算というのは本来変化すべきだという一方の要請があり、その中で私どもは必死になって、さはさりながら、少子化で人数が減っても、基本的に費用としてかかる部分はあるわけだから、例えば学校を、建物そのものをそれによって順次小さくすることはできませんので、その基本的な維持費等、かかるものはかかる。だから必死にそれを守ってきているわけですが、ただ、では、すべて数の減ったことを無視して何かができるかといえばそうでもない。

 そういったところで、それは財政の担当の、言ってみれば財務省ですが、そういった部門との各段階における折衝ですから、そういう中で実現されてくるわけですが、考え方としてやはり、米百俵の精神ということを、私もそれは正しいと思っておりますから、そういった考え方で、私の力の及ぶ範囲で全力を尽くしていくということはとりあえず委員との間で合意をしておきたい、こう思っております。

藤村委員 この法案が審査されて、三日がかりでありましたが、これはもう与野党多分関係なく、二分の一から三分の一、ここはまずかったなということであろうと、何となくの暗黙の了解がありそうなものですから、ぜひとも、この後に採決があれば、造反有理でございますので、我が方は反対したいと思います。

 以上で終わります。

遠藤委員長 石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 きょうは、私、学校耐震化の問題と、創設される義務教育諸学校施設費国庫負担の交付金制度の問題で質問をいたします。

 まず耐震化ですが、文部科学省が昨年四月一日現在で公表した公立学校施設の耐震改修状況調査がございますが、全国の小中学校は十三万棟、耐震性が確認されている建物が全体の五一・八%です、六万七千七百五十二棟しかありません。耐震性の確保されていない建物が六万三千百一棟です。四八・二%残されています。とりわけ、耐震診断を必要とする一九八一年以前の建物八万三千六百六十三棟のうち、改修等の対策がとられた建物が二万五百六十二棟。それから、耐震化の前提となる耐震診断も、八万三千六百六十三棟のうちの半分程度でしかありません。

 深刻なおくれだと言わざるを得ないわけですが、なぜここまで耐震対策がおくれてきたのか、お答えください。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました、耐震化それから耐震診断が十分に進んでいない理由ということでございますけれども、都道府県教育委員会を通じまして、設置者であります市町村に対して昨年一月にアンケート調査をやってございます。

 これは複数回答でいただいておりますが、これによりますと、当該地方公共団体における財政上の理由を挙げる市町村が最も多い回答でございました。このほかには、そもそも学校施設が他の公共施設に比べると絶対量が多いんだということ、それから学校の統廃合計画を検討している、こういった理由を挙げているところでございます。

石井(郁)委員 やはりここでも地方は大変財政事情が悪い、それを考えるとおくれてきたということですね。学校の数が多いといっても、そういう学校をきちんと診断するというのは、これはもう行政の真っ先にやらなきゃいけないことですから、数が多いというのは理由にならないと私は思いますが、そういう答えが出されているというのはわかりました。

 今回、安全・安心な学校づくり交付金という形で交付金化されるわけですね。内閣府分も含めて五百四十九億円と聞いております。〇六年度予算案ですね。私は大変極めて少ないと思うんですが、これで学校の耐震化がどのくらい進むでしょうか。

大島政府参考人 今御指摘ございましたように、平成十八年度予算案において、地方の裁量を高めて効率的な執行に資するために、耐震関連事業を中心に一部交付金化、安全・安心な学校づくり交付金という名前でございますが、これを図っているところであります。

 また、迅速な整備促進の観点ということから、建てかえ方式から耐震補強改修方式に重点を移す、こういったことも考えておるわけでございまして、そういったことで効率的な耐震化の推進に努めることとしているところであります。

 これらのことをやることによりまして、その交付金を含む十八年度の公立学校施設整備予算案におきまして、公立学校施設の耐震化ですが、全体で二・八%進捗すると見込んでいるところでございます。平成十七年度補正予算等もございまして、これらをすべて合わせて、十八年度の予算までで全体としては耐震化率は五八・〇%になるものと見込んでいるところでございます。

石井(郁)委員 二・八%、わずかに伸びるということですから、極めて足りないというか少ないと言わざるを得ないわけですが、本当にこの問題は急がなきゃいけない問題だというふうに私は思います。

 一つ伺いたいんですが、先ほど申し上げた公立学校施設の耐震改修状況調査、これから見ますと、特殊教育諸学校、いわゆる盲・聾・養護学校、こういうところの耐震化率、耐震診断率というのが非常にアンバランスがあるんですよ。

 ある県では、一〇〇%いっているところもございます。しかし一方では、数%台。ちょっと例を挙げますと、栃木県では五・四%です、富山県で七・九%、徳島県に至っては一・五%だというところなんですね。私、余りにもこれはばらつきが大きいんじゃないかというふうに思うんですね。ちょっと格差が著し過ぎる。だから、耐震補強最優先で養護学校校舎の診断は後回しという県のお話も聞いております。

 そこで、こういう盲・聾・養護学校と小中学校を含めて、こんなに地方間にばらつきがあるわけですから、これをどのように是正していくんでしょうか、お聞かせください。

大島政府参考人 公立学校の耐震化の進捗状況には地域間によって大きな差があるということは御指摘のとおりでございます。

 特に、公立の特殊教育諸学校施設の耐震化の進捗にはさらに大きな差があるという状況になっています。全体としては、小中学校ですと全国平均は耐震化率五一・八パーですが、特殊教育全体としては全国平均は七一・五ということで、割と全体としては高い。しかしながら、先ほど先生は診断の方を御指摘されましたけれども、耐震化率ということでいいましても、最高は確かに福井県の一〇〇パーから、低いところですと愛媛県の三一・八というふうに、耐震化そのものもすごく大きな差が出ている、こういう状況になっているわけです。

 こういった地域間の差というのはどういうところからくるかということで、我々、現場の担当課といったところからもいろいろ聞いて検討しておるわけですが、一つは、やはり大規模な地震が発生することに対する切迫性の認識、これが地域によって結構差があるといったことがありまして、関係地方公共団体における耐震化の取り組みの違いというものになってあらわれているんじゃないかと見ているわけです。

 そうはいいながらも、先生御指摘のように、学校施設の安全性は全国どこでもきちんと確保する、これはまさしくそのとおりでございまして、文部科学省といたしましても、全国的な学校施設の耐震化に積極的に取り組んでいるところであります。

 今回の法案では、この交付金の交付のために、国は学校施設の整備のための基本方針を定めることとしているわけでありまして、この施設整備基本方針においては耐震化に重点を置くということをしているわけであります。これを受けて、地方公共団体においては施設整備計画を策定することになるわけですから、このことによって、地方公共団体における耐震化の取り組みは一層促進されるというふうに考えているところであります。

 さらに、今後、耐震化のおくれている地域に対しましては、個別に指導を行うというようなことも考えているところでございまして、耐震化の推進に努めてまいりたいと存じます。

石井(郁)委員 私、文科省からいただいたこの一覧というか資料、各県ごとの耐震診断実施率というのがございまして、本当にひどい差だなというふうにびっくりしたところなんです。だから、平均で計算すると、一〇〇%があるわけですから、一方で一けた台があっても、そのほか、八割のところもあるし、また七割台のところもございますから七割というふうになるんでしょうけれども、余りにもちょっと大きなアンバランスじゃないかなと思いました。

 今御答弁したのを伺って、残念ながら、なぜこういうことが生まれるかについては、地震の切迫性がないんじゃないかと。私、文科省はそんなふうにやはり言っちゃだめだと思うんですよ。最初に、やはり財政事情からおくれているんだという話があったじゃないですか。そして、私、ある県の話もしましたけれども、やはり小中の耐震補強を最優先するので養護学校校舎の診断は後回しになっているんだと。こういう考え方がどうかというのもありますけれども、やはり財政事情が根本にあるんだ、そういう前提がはっきりしていると思うんですね。

 そういう点で、私は、やはりこれを地方任せにしちゃだめだというふうに思うんですよ。地方の責任にするわけにいかないじゃないですか。国としても、耐震診断も含めた耐震化事業が進むようなやはり財政措置が求められているし、必要じゃないのかということなんですね。そのことを強調しておきたいと思います。

 同時に、これも議論になっておりますけれども、学校は避難所だと、これは阪神・淡路大震災の大きな教訓でした。だから、避難所としての機能を果たせる、そういう設備上の改修ということも今急がれているわけですね。

 そこで、実態はどうかといいますと、学校施設の多くがそういう避難所としての機能を想定してつくられていません。まだまだそういう機能になっていない。停電時の対応、救援物資の備蓄スペース確保、出入り口などの段差の解消、トイレの洋式化云々といったバリアフリー化等々がありますけれども、そういう設備上の改修というのも必要だと思いますが、この点は文科省はいかがお考えでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘がございましたように、学校施設は地域住民の応急避難所としても重要な役割を担っているわけでございまして、この安全性を高めて防災機能を強化することは重要なことと認識しているところでございます。このため、耐震化の推進はもちろんでございますが、避難場所として位置づけられた学校施設につきまして、今御指摘のあったようなバリアフリー化を推進する、あるいは、必要に応じて備蓄倉庫や非常電源等の防災機能の整備充実を図るということが必要であると考えておるところでございまして、学校施設整備指針におきましても、必要な機能について整備することを求めております。

 なお、公立学校施設におきましては、バリアフリー化や備蓄倉庫、それから自家発電設備の設置等に係る経費についても国庫補助の対象としているところでございまして、この件につきましては、今回の交付金化に当たっても、このような従来から補助対象としてきたものについては引き続き交付金の対象とすることとしております。

 今後とも、防災機能の強化充実が図れるよう適切に対応してまいりたいと存じます。

石井(郁)委員 私、こういう報道を目にいたしましたのでちょっと御紹介しますけれども、中越地震の際、避難所として機能しない、そういう施設が少なくなかったと。

 これは長岡市のある学校なんですが、二〇〇三年に開校したばかりなんですよ。新しい学校ですよ。ところが中越地震では、体育館の窓ガラスが落下した、危険なため体育館は使用できない、被災者は校舎で避難生活を送った、しかし、窓ガラスや壁板が非構造材のために、原則として耐震化助成の対象外だったというところがあったと。これは、割れても飛び散らない合わせガラスというのが必要なんだそうですけれども、それにすると、普通ガラスの価格の約六倍だというんですね。だから、今すぐガラスだけをかえるのはなかなか難しい、これは小千谷の市教委の皆さんの見解ですけれども、長岡市は被災後の情報不足に対応するため、避難所となる全施設に電話やテレビの配線を備えるほか、トイレも含めて体育館のバリアフリー化を目指している。これはことしの二月の新聞報道だったんですね。

 だから、新設でもこういう状態だ、本当に避難所としての機能を備えるような施設にさらにつくりかえなきゃいけないという新たな補強を必要とするわけですね。ここでは、建物の耐震化だけでは不十分だ、いわゆる施設設備の面で災害にも備えなきゃいけないということですよね。

 こういう施設整備面での予算措置というのは、今後どのようにしていくおつもりですか。

大島政府参考人 今後、これから交付金化を図るということで御説明申し上げているわけでございますけれども、交付金化を図るに際しましては、国として施設整備の基本方針を示すということを考えているところでございまして、これは、公立学校等の施設整備を地方公共団体が実施するに当たっての指針として示すという考えでございます。地方公共団体は、これを踏まえて施設整備計画をつくるわけであります。

 そのときに、今申し上げたような施設整備の基本方針の中には、例えば耐震性の確保を図ること、あるいは今言ったようなバリアフリー化といったような教育環境の向上を図ること、こういったものを明記するということを現在検討しているところでございまして、こういったことにより、新たな交付金化を活用してそういったものの整備が進められるというふうに考えているところでございます。

石井(郁)委員 計画を盛り込めとか計画をつくれというようなことはいろいろおっしゃるけれども、予算措置をどうするのかというお答えがないんですよね。

 地方の実情についてもう少し御紹介しますと、東南海・南海地震で大きな被害が予想されている和歌山県がございますね。二〇〇三年度からの耐震診断計画の策定を求めているが、厳しい財政事情から思うように進まないのが現状だ、これもことしの一月のある新聞です。耐震調査は済んでいるものの、補強工事が年に一、二校のため、全部終了するのは六十年以上かかる、これは千葉県の話です。市町村の財政難が深刻です、具体的な計画や改修工事が進まない、耐震工事実施のため大規模改修が先送りされる、これは高知県の情報でございます。私は、こうして見ますと、抜本的な予算をつけなければ、本当にこの耐震化補強工事、改修は進まないじゃないかというふうに思うんですね。

 これは、大臣にその点でのまた御決意をぜひお聞かせいただきたいと思うんですけれども、藤村委員の方からも、今、施設整備費、一九八〇年には五千七百十三億あったのに、どんどんさらに下がって、十八年度では千三十九億円ですから、ピーク時の五分の一なんですよ。先ほど私は答弁もお聞きしまして、事業量が減少したという話があったと思うんですが、今お聞きのように、とんでもないでしょう。地方はやりたくてもやれないと言っているじゃないですか。それなのにどんどん減少する一方だ、どうするんですか。

 耐震化と避難所の機能を備えるような施設整備と同時に、老朽化という問題も依然としてございます。施設整備のための予算を今の実態に見合う形で確保するということが今どうしても必要だと思いますが、ぜひ小坂大臣の御決意を伺いたいと思います。

小坂国務大臣 私も、潤沢に予算をとって理想的なものをつくるというような、そういうことが許されればどんどんどんどんやりたいと思いますが、やはり現実は国の財政状況が極めて厳しい中で対応していかないかぬということであります。したがって優先順位をつけて、そして、それぞれの地域の中での要望の強いものから実施していかざるを得ない。そういうところに、新たな要請としての耐震化というようなものも最近は加わってきているわけでございますし、アスベストの問題がまたさらに加わってきた。学校安全の問題も加わってきた。そういうことで、やりたいことはどんどんふえるのに、予算あるいは財政状況が急激に改善するという状況ではないわけですから、そこは委員も御理解の上で、決意を聞いていらっしゃるということだと思います。

 決意としては、先ほども藤村委員の方にも申し上げましたけれども、委員の御質問のポイントというのは、私どもなりに今までも努力したところとも一致している部分もございます。そういう意味で、子供たちの安全、安心な学校環境を守るためにも、そしてまた地域の災害が発生したときの避難場所等の役割も担えるように、そういった意味で、今委員の御指摘のあったようなことについても、私ももう一度、トイレをちゃんと洋式にしてあるのかとかそういう細かい配慮が一体どこまで現場に到達しているか、そういったことは、スクールミーティングやいろいろなものを通じながら、自分の目で確認しながら、そしてまた具体的な指示も出してまいりたいと存じます。

 そういう意味で、今後とも、極めて財政事情が厳しい中ではありますけれども、耐震予算関連の確保を初めとして、こういったプライオリティーをつけてしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

石井(郁)委員 繰り返しませんけれども、本当に地方の財政は厳しい、やりたくてもやれないという中で、文科省の御答弁が、とにかくそれは地方の責任だ、地方でやってくれというようなことでは困る、やはり国として責任をきちんと持ってほしいということを私は申し上げているわけでございます。

 ちょっと一分だけありますので、最後の一つですけれども、交付金化ということについて、地方公共団体も基本計画をつくるだとか、いろいろ目標を設定するだとか、いろいろ書かれておりますよね。これは、基本方針と計画とこの交付金の交付というのはどういう関係でつかんだらよろしいのかということだけお答えいただきたいと思います。

大島政府参考人 簡単に関係を申し上げます。

 まず、国、文部科学大臣でございますが、公立学校の施設整備を地方公共団体が実施するに当たっての指針として、まず施設整備の基本方針を定めます。さらに、それに基づいて、今度は交付金の交付に関連する事項等、これについて施設整備基本計画として定めます。

 地方自治体でございますが、地方自治体は、これら施設整備の基本方針等を踏まえて、交付金の交付を受けようとする地方公共団体が施設整備計画を定めるということになります。具体に申しますと、施設整備計画においては、施設整備計画の目標あるいは目標を達成するために必要な事業に関する事項、計画期間、こういったものをそこに記載することを予定しているところでございます。

石井(郁)委員 以上で終わります。

遠藤委員長 保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 法案に先立って、二点ほどお聞きしたいと思います。

 これは、特区で株式会社立大学として認可されたLEC大学がございますが、関係者に先日お会いしまして、専任の助教授の給与が月五万円、パート扱い、あるいは、学生さんも、専門科目はビデオで講義を見て、先生に質問するときに使うカードは六枚目から有料になるとか、学生に渡されるシラバス、ここに記載されている先生と実際に講義をされている方が、ちょっと相違があったり等々、話がございました。

 文部科学省の方はどういうふうに実態をつかんでいるでしょうか。

石川政府参考人 LEC東京リーガルマインド大学についてのお尋ねでございます。

 ただいま委員の方からお話ございましたように、LEC東京リーガルマインド大学につきましては、構造改革特区制度のもとで平成十六年四月に開学をいたしたものでございます。

 これにつきましては、ただいまお話ございましたように、その後、開校時にも私ども幾つか留意事項を付しておりますけれども、その後も何点か問題点が目につくところがございまして、例えば、ただいま御指摘いただきましたように、専門科目が資格試験予備校の教育と事実上同一化されている、正規学生と予備校生が混在をしている、あるいは正規学生が十分な学習相談を受けられなくて、ビデオ授業等による一方向の知識詰め込み型の学習になってしまうようなおそれがあるというようなことがございます。

 また、さらに、教学面の重要事項が教授会等の審議に付されているかどうか疑問があるとか、あるいは研究室とか図書室などの教育研究環境でございますけれども、これも当初から必ずしも十分ではないのではないかということで、充実をせよという留意事項を付してございますけれども、こういったものが必ずしも十分に改善をされていないといったような状況があるところでございます。

 私どもといたしましては、大学につきましては、設置者が株式会社であるかどうか、あるいは学校法人であるかどうかということを問わずに、教育研究面の法令、基準といったようなものはひとしく遵守することが必要でございますので、たび重なる私どもの指導にもかかわらず、こういった面について必ずしも十分な改善が行われていないということについては、大変遺憾に思っているところでございます。

保坂(展)委員 文科省から答弁があったように、いろいろ問題があるようでございます。これについては引き続き関心を持っていきたいと思いますので、よくない点は厳しく指導をしていただきたいというふうに思います。

 続いて、養護教諭の現場から上がってきている声について、これは結核健康診断ですね。これは、現在、小中学校の全児童生徒に問診票を配付して行っているそうです。この中身は地域の保健所で行われている中身と非常に似ていて、プライバシーにかかわる項目があるんじゃないか、こういうふうに言われています。

 そもそも、結核予防法では小中学校での結核健康診断は廃止になっていて、この必要があるのかという点が一点でございます。

 もう一点は、小学校一年生、中学校一年生で実施されている心電図検査、これも、実際には、この検査で発見される子供、これはもう既に心臓疾患がある子供がピックアップされる。この子供たちにとっては精神的な負担も大きいという声があるんですが、この二点、見直す心づもりはございませんか。

銭谷政府参考人 二点、お尋ねがございました。

 まず、結核検診でございますけれども、我が国におきましては、近年、若年層の結核の罹患率は低下しているものの、国全体としては依然として一定の流行が続いている状況であると認識をしております。児童生徒が万一結核に罹患した場合は、健康上だけでなく教育上も重大な影響があることや学校における集団感染の可能性を考えれば、学校として引き続き対策に取り組む必要があると考えております。

 また、健康診断の方法としては、平成十五年度から、一律のツベルクリン反応とBCG再接種というこれまでの方法をやめまして、小学校及び中学校においては問診等によってさらに検査を必要とする児童生徒を絞り込み、医療機関等においてさらに検査を行うということとしております。この方法は、児童生徒に一律にツベルクリン反応とBCG再接種を行うといった負担をかけることもなく、定期健康診断の際の問診という簡便な方法で対象者を絞り込むことができますので、適切な措置であると考えております。

 それから、二つ目の心電図検査についてでございますが、児童生徒の中には、生まれながらに、あるいは生後新たに心臓疾患を有することになった者が存在しております。これらの児童生徒が学校において安全に、しかも健康な生活を行うためには、心臓検診が必要であると思っております。

 学校の健康診断では、心疾患を有すると思われる児童生徒を発見し、その程度を踏まえた指導を行うという観点から、問診や医師による触診とともに心電図による検査が行われております。学校の健康診断で疾患が疑われるとされた児童生徒等につきましては、医療機関等で二次検診を受けることとなるわけでございますが、その際、医療機関等では、学校での健康診断時の心電図や調査票、学校医などの所見なども考慮に入れながら、専門的な検査を行うことになります。

 このように児童生徒が安全にかつ健康に学校生活を送るためには、学校の健康診断において、心電図検査を含め心臓検診を行うことが必要であると考えているところでございます。

保坂(展)委員 必要だからやっているというのはわかったんですが、その際に、配慮を欠かすべきではないということを指摘したわけです。この議論も引き続きしていきたいと思います。

 本案に入りまして、先ほど藤村議員の方から出ておりましたけれども、市町村費負担教職員、これが導入をされるということですね。導入をされると、実は、財政力のあるなしで市町村間の格差が、やはり現実の問題として出てしまうんじゃないかという点についてはどうでしょうか。

銭谷政府参考人 この市町村費負担教職員制度につきましては、国が標準的な規模の教職員数を定めまして、その給与費を国、都道府県が負担をするという基本的な制度を前提とした上で、市町村が実情に合わせて独自に教職員を任用することを可能とするものでございます。

 したがいまして、いわゆるナショナルスタンダードの確保ということは標準法に基づく県費負担教職員の配置によりまして達成をされているわけでございますので、実情に応じて市町村が配置をプラスアルファでしたということによりまして、マイナスの意味での格差ということは生じないわけでございます。

 また、これまで特区で実施をしております市町村を見ましても、財政力にかかわらず、その市町村の必要に応じて配置をしているという状況がございます。

保坂(展)委員 大臣に、今の点も踏まえて伺います。

 市町村費の負担の教職員と県の従前の職員が、制度上、両方一緒に同じ学校に存在する、こういうことになります。その両者の間の差という問題もあり、それから今度は、今局長が答弁した市町村費職員を多くとれる市町村とそうでない自治体の差も出てくるというようなことは、今、プラスアルファという答弁があったんですが、それは、今プラスアルファとして出発しても、だんだんそのプラスアルファが肥大化して、従来の県費職員との数の差もなくなってくるというような事態は予想できないですか。そのあたりで、公平な勤務条件、そして自治体間の差がないような施策が求められると思いますが、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 基本的には都道府県、市町村の間で調整を図っていただくというのが基本でございます。それに対して、国としては助言指導を行っていくという立場で今後ともやっていきたいと思うわけでございます。

 ただ、先ほどから申し上げておりますように、委員も御心配の部分でもあろうと思いますけれども、そういった状況が固定化してしまうとか、あるいは、ナショナルミニマムを設定してあるわけですけれども、それを下回る方向に行くような変化が見られる。あるいは、努力によって達成される上積み部分、これはやはり評価すべきものでありまして、それを一概に否定するべきものではありませんし、また、それが刺激となって他の市町村にいい影響を与えるという部分は、むしろ助長する必要がある。そして、その助長していく中で、本当にいいものが現場から上がってくれば、ナショナルミニマムそのものをやはり改定していくということに影響を与えてくれる。

 そういう流れになってくれることが理想でありますけれども、逆の場合もあるだろう、逆の場合の懸念はないのかということであれば、それは私ども、今後とも現状を注目しながら指導助言を行ってまいりたい、こういうことでございます。

保坂(展)委員 施設整備費についても一点伺います。

 参考人質疑で、財政のお話を随分我々も勉強いたしました。施設整備費について、補助金の五〇%が税源移譲されて、その埋め合わせに地方債の起債ということも充てられてくるだろうと思います。五十兆に及ぶ地方債のいわば償還ラッシュがこれから始まるという話も参考人からありました。

 公立学校の施設費で、今回廃止、税源移譲対象になった百七十億円の内容及びこれらが廃止、税源移譲されたことによって市町村の事業に何か支障が出てくるということの心配はないんでしょうか。

大島政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回、公立学校施設整備費で税源移譲に結びつく改革の対象となりましたものは百七十億円でございますけれども、この対象事業は、一つは、経年による老朽化等を理由とする改築事業でございます。それからもう一つ、都道府県立の定時制、通信制高等学校における新増築、改築事業といった、ほか幾つかございますが、こういったものが主な内容でございます。これらの事業につきましては、地方の自主性にゆだねることによって、その実情に応じて創意工夫を凝らした教育環境づくりの推進が期待できる事業という観点から、それから、都道府県の財政規模等から計画的整備が可能であろうと思われる事業、こういったものを対象としたものでございます。

 これら廃止、減額するに際して、先生からも御指摘がございましたが、五割の割合で税源移譲を行うものとされたところでございます。

 また、これら国庫補助負担金額に伴う地方財政措置につきましてですが、税源移譲に結びつく改革の対象となる百七十億円の全額を地方財政計画に計上するとともに、地方財政措置についても配慮がなされることから、廃止、税源移譲後も特段の支障は生じないものと考えているところでございます。

保坂(展)委員 質問としてもだんだん最後になってきましたので、小坂大臣に、本当に総括的に。

 我々も、この法案、最終的には反対ということにしますけれども、ただ、これまでの議論で、与野党とも共通認識で、議論の土台というのはこの審議の中で出てきたんじゃないかというふうに思います。

 というのは、やはり十年、二十年という教育費における、何としてもこれは国が義務的にきちっと確保しなければいけない、財政上の見通しを立てる。これは財務省や総務省にお任せではなくて、文科省みずから、教育にはこれだけしっかりかかるんだ、かかるからこうしようということをぜひ主体性を持って打ち出していただきたい、そのことが非常に強く求められると思います。

 そしてまた、その裏づけとして、例えば教員の人件費、これは上下の幅があると思いますけれども、おおむねこうであるというようなことであるとか、子供の人口推計もありますということも含めて、財政の議論としてもきちっと今後出していただきたいという点において、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 まず、保坂委員にお願いしたいのは、これから採決があるというときに、ぜひとも御理解を賜って、賛成をしていただきたい。それが共通の基盤づくりの第一歩だと思うわけでございます。

 教育は人なりと言われますように、教育の成否は資質、能力を備えた教職員による充実した教育の実施でありますし、そういった意味では、教員の給与費をしっかり守っていくということが必要でございまして、それの長期的な算定をいたしておりますが、その中におきましては、将来推計によりますと、人件費全体で平成二十六年度にピークが来るというふうに言われておるわけでございます。今後増加の傾向というのがあるわけでございますので、長期的に安定して確保していくことが不可欠でありまして、そのためにも、今後とも、国と地方の負担による全額を保障するこの国庫負担制度を堅持して、義務教育の根幹であります機会均等、そして水準の維持と無償制というものをしっかりと守ってまいりたいと存じます。

 そういった意味で、議論を通じて御理解は大分進んだと思いますので、ぜひともこの法案に対して野党の皆様の御理解を賜りますように、そして、その共通の理解のもとに、今後のこういった環境に、一致して、私どもも、文部科学省としての将来展望に従った財政の需要額については、今後とも財政当局と毎年の折衝を通じ、また長期的な話し合いの中で実現に努めてまいりますが、御支援のほど、心からよろしくお願い申し上げて、私の決意とさせていただきます。

保坂(展)委員 馳副大臣にも伺います。

 義務教育国庫負担金が不本意ながら三分の一に減額をされました。しかし、これは三分の一残ったという部分で、いわゆる補助金と負担金は違う。補助金は、まさに国が決めた事業に対して、自治体が国の裁量で出しているというお金である。負担金は、まさに義務的な経費としてしっかり出すことが義務づけられているという意味で、この三分の一をてこにして、これは後退させないという決意、そして、これからの見通しについて簡潔にお述べいただきたいと思います。

馳副大臣 小坂大臣も、苦渋の決断で三分の一という決断を下されたと思っております。教員給与費の三分の一を国が保障するという意味で、財源保障機能は守った、根幹を維持した、これは評価していただきたいと思います。

 しかしながら、今後、国と地方のいわゆる第二期改革という話もありますし、地方交付税交付金の改革、見直しというのは、言葉じりをとらえるとあれですけれども、どう考えても削減という方向しかうかがえないのであって、このときに、教員の給与費が、あそことここでは随分開きがあるとか、ほかの公務員と比べても随分下がったな、こういうことがあってはならないのではないかというこの問題意識は、私はぜひ与野党とも、また文部科学省としても認識を持って、注目をして、しっかりと守るべきものは守ってあげなければいけないのではないか、それこそが教育の機会均等であり、水準の維持向上であり、無償制の確保ということであろうと認識しております。

保坂(展)委員 これまでの答弁を聞いていまして、やはり、総務省ないし財政当局の方の教育の見方というのは、教育も一つのパーツであると。そして、いわゆる三位一体の中で、本来は後回しにすべき、公共事業などがむしろ私は優先ではないかと思いますが、そちらの方は余り手がつかないで、この義務教育国庫負担金みたいなところに、確かにまとまってありますから、そこに目が行ってこういうことになった。それを長期的に打ち返す展望をぜひ打ち出していただければ、なるほど、こういうプランかということで賛成できたかもしれないなと残念に思いながら、終わります。

遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。小渕優子さん。

小渕委員 自由民主党の小渕優子でございます。

 私は、自由民主党、公明党を代表して、政府提出法案につきまして、賛成の立場から討論させていただきます。

 資源の少ない我が国にとって、人材育成は国家の存立基盤であります。特に、義務教育の成否は我が国の将来を左右するほど重要なものであります。また、日本国民であるならば、どこに住んでいようと、一定水準の義務教育を受ける権利が憲法によって保障されております。このような意義を有する義務教育について、国民の教育を受ける権利を保障し、その充実を努める最終的な責任は国にあるものと考えます。

 一方、国から地方へ、地方でできることは地方にという地方分権の大きな流れの中で、三位一体の改革を進めることも重要な国政の課題であります。

 今回の政府提出法案につきましては、義務教育の根幹である教育の機会均等、水準確保、無償制を保障するために不可欠な制度である義務教育費国庫負担制度を堅持する方針のもと、三位一体改革を進めるものであります。この措置とあわせまして、小・中・盲・聾学校の国庫負担制度と養護学校の国庫負担制度との統合により、総額裁量制の一層の改善を図るものであります。また、市町村による教職員の任用を可能とするとともに、公立学校等の施設整備に係る交付金を創設するなど、教育現場の創意工夫を促す制度改革を同時に行うものであります。

 したがいまして、こうした内容は、国が財源措置を含めた義務教育の全国的な基盤整備を行った上で、市町村の権限と責任の拡大により、地方の創意工夫による義務教育の水準の維持向上を図るものであると考えられます。

 なお、義務教育費国庫負担制度の取り扱いにつきましては、国民全体を巻き込んだ議論の末、義務教育費国庫負担制度は堅持するという政府・与党の方針が初めて明らかにされました。制度の存廃をめぐるこれまでの議論で、保護者を初めとして多くの国民が不安に思ったのも事実であります。しかしながら、今回の決着で、皆が安心して教育に取り組むことができるのではないかと考えます。

 以上のことから、与党といたしましては、政府提出法案に基づき、より有効適切な施策が実施されることを確信いたしまして、これに賛成するものであります。

 以上であります。

遠藤委員長 奥村展三君。

奥村委員 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議論してまいりました法案に反対の立場から討論を行います。

 義務教育費国庫負担法が五十年を超える歴史の中で大変大きな役割を果たしてきたことを理解した上で、この基本的な考え方や、日本の義務教育のあるべき姿について、本委員会について議論を行ってまいりました。この観点から今回の政府提出法案を見てみますとき、以下のような問題点があると認識しております。

 第一に、政府が何の理念もなく、単なる財政のつじつま合わせのために義務教育費の国庫負担割合を三分の一に引き下げたことであります。

 政府案は、義務教育費国庫負担金を八千五百億円減額するというものであります。提案理由の中には義務教育の充実を目指すとありますが、国庫負担割合の引き下げがなぜ義務教育の充実を目指す活動の一環なのか、全く理解できません。国会審議においても、文部科学省は、実際に教育環境を整備し、現状をしっかりと守っていく担保は必ずしもないと答弁されているではありませんか。これでは到底、義務教育の充実どころの話ではありません。

 第二に、学校設置者及び現場への権限移譲が不十分だということであります。従来、国が学習内容、都道府県が人事権、市町村が学校管理権と設置権というように、ばらばらに権限を有してきたことが教育の無責任体質を生んでいると考えます。しかし、そうした権限、責任体制の見直しに手をつけない政府案には到底賛同できるものではありません。

 そして第三に、政府案によって、都道府県費負担の教職員と市町村費負担の教職員が同じ学校現場に併存することになり、人事のあり方など、現場を混乱させるような中身であるという点であります。

 法案では、今日まで特区で行ってきた裁量権の拡大を全国展開するとしていますが、市町村の財政力には歴然とした差があり、義務教育における地域間の格差を助長するものだと言えるのではないでしょうか。

 以上、本法律案の問題点を述べましたが、結局、国庫負担割合を引き下げたものの、現場に権限を移譲しない、安易な数字のつじつま合わせのために将来に大きな禍根を残しかねません。我々は、次代を担う子供たちのことを考えたとき、政府案を認めることはできません。心ある議員の皆さんの良識と判断を心から願って、反対討論といたします。

遠藤委員長 石井郁子さん。

石井(郁)委員 私は、日本共産党を代表して、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案に反対の討論を行います。

 反対の最大の理由は、憲法、教育基本法に定められた教育の機会均等、水準維持、無償制の確保という義務教育の根幹を保障する義務教育費国庫負担制度の負担率を二分の一から三分の一に引き下げるからであります。

 中教審答申も、「義務教育制度の根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持するためには、」「現行の負担率二分の一の国庫負担制度は優れた保障方法であり、今後も維持されるべきである。」としていましたが、それを無視して、政府・与党合意によって強引に削減を押しつけるものです。

 文部科学省の試算によって、負担率の削減は、所得譲与税で税源移譲しても三十九道府県で不足分が生じ、地方に大きな格差をもたらすことが明らかとなりました。不足分は地方交付税で措置するといっても、交付税そのものが大幅に減額されている今、地方に困難をもたらすことは言うまでもありません。これまで地方の努力で措置されてきた少人数学級すら危うくし、標準法上必要な教職員数を下回ることも懸念されます。

 施設設備の交付金化は、地方公共団体にとって複雑な申請業務を簡素化することなど、賛成できますが、交付金額が絶対的に少ないため、耐震補強を困難にしています。公立文教施設整備費がピーク時の五分の一という現状を改め、抜本的予算の増額を求めるものです。

 義務教育費国庫負担制度を現行の二分の一に早期に戻すことを要求し、反対討論とします。

遠藤委員長 保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案に対して反対討論をいたします。

 社会民主党・市民連合を代表して、同法律案に反対の立場から討論を行います。

 今回の法案の中心は、いわゆる三位一体改革の一環として、二〇〇六年度から、義務教育費の国庫負担率を二分の一から三分の一に引き下げることなどを定めるものです。

 義務教育費国庫負担制度は、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図る上で今なお重大な役割を果たしております。それを専ら国の税財政改革の観点から削減するというのは、義務教育の根幹を崩すことにつながりかねず、断じて認めるわけにはまいりません。

 当初、国庫負担制度そのものの廃止が検討されていたことからすれば、負担率の引き下げにとどまったことは救いとも言えますが、今後も制度が存続する保証にはなり得ません。本法案が、さらなる負担率の引き下げや制度廃止に進む第一歩となりかねず、社民党としては強く反対するものであります。

 市町村費負担教職員の全国展開は、将来において、教育の地域間格差、同一学校における待遇格差を増長するおそれがあります。

 財政的な裏づけのない数字合わせの地方分権で教育がよくなることはありません。地域による格差を許すことは義務教育の衰退につながることが明らかであり、今、義務教育費国庫負担制度を壊すべきではないことを強く訴えて、本法案に対する反対の討論といたします。(拍手)

遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

遠藤委員長 次に、内閣提出、独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小坂文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小坂国務大臣 このたび、政府から提出をいたしました独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 政府においては、これまで小さくて効率的な政府の実現を図る観点から、行政改革を積極的に推進してきたところであります。この一環として、平成十七年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人について、独立行政法人通則法第三十五条に基づく検討を行い、組織・業務全般の見直しについての結論を得たところであります。

 この法律案は、こうした政府の方針を受け、独立行政法人に係る改革を推進するため、平成十七年度末に中期目標期間が終了する文部科学省所管の独立行政法人について、一括して所要の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について、御説明いたします。

 第一に、役職員の身分が公務員である文部科学省所管の十二の独立行政法人について、その身分を非公務員へ移行するため、関係規定を整備するものであります。

 第二に、独立行政法人国立青年の家、独立行政法人国立少年自然の家及び独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターの三法人を発展的に統合し、その名称を独立行政法人国立青少年教育振興機構とするものであります。

 第三に、独立行政法人国立美術館及び独立行政法人国立博物館に対して、国から土地建物等の現物出資を行うことができるよう、追加出資の規定を整備するものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いを申し上げます。

遠藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十四分散会


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