衆議院

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第16号 平成18年4月28日(金曜日)

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平成十八年四月二十八日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 遠藤 乙彦君

   理事 小渕 優子君 理事 大前 繁雄君

   理事 小島 敏男君 理事 西村 明宏君

   理事 松浪健四郎君 理事 藤村  修君

   理事 牧  義夫君 理事 池坊 保子君

      阿部 俊子君    秋葉 賢也君

      井脇ノブ子君    浮島 敏男君

      小川 友一君    大塚  拓君

      岡下 信子君    加藤 紘一君

      川条 志嘉君    近藤 基彦君

      佐藤  錬君    坂本 剛二君

      鈴木 馨祐君    鈴木 俊一君

      鈴木 恒夫君    土屋 正忠君

      永岡 桂子君    西本 勝子君

      福田 峰之君    藤田 幹雄君

      馬渡 龍治君    松本 文明君

      山本ともひろ君    吉野 正芳君

      奥村 展三君    菊田真紀子君

      郡  和子君    末松 義規君

      田名部匡代君    高井 美穂君

      寺田  学君    松本 大輔君

      山口  壯君    横山 北斗君

      笠  浩史君    西  博義君

      石井 郁子君    辻元 清美君

      保坂 展人君

    …………………………………

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幹雄君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   文部科学委員会専門員   井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     鈴木 馨祐君

  飯島 夕雁君     土屋 正忠君

  坂本 剛二君     松本 文明君

  馬渡 龍治君     大塚  拓君

  奥村 展三君     菊田真紀子君

  末松 義規君     郡  和子君

  田中眞紀子君     寺田  学君

  高井 美穂君     北橋 健治君

  山口  壯君     田名部匡代君

  保坂 展人君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     馬渡 龍治君

  鈴木 馨祐君     阿部 俊子君

  土屋 正忠君     浮島 敏男君

  松本 文明君     坂本 剛二君

  菊田真紀子君     奥村 展三君

  郡  和子君     末松 義規君

  田名部匡代君     山口  壯君

  寺田  学君     田中眞紀子君

  辻元 清美君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     飯島 夕雁君

    ―――――――――――――

四月二十八日

 視覚障害教育・職業教育を守ることに関する請願(牧義夫君紹介)(第一六八八号)

 行き届いた教育の実現に関する請願(西村智奈美君紹介)(第一七〇〇号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一七二三号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一七六六号)

 教育基本法の改正案反対に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一七六四号)

 私立専修・各種学校の教育・研究条件の改善と父母負担軽減に関する請願(吉井英勝君紹介)(第一七六五号)

 教育基本法の改悪に反対し、教育基本法を生かすことに関する請願(石井郁子君紹介)(第一七六七号)

 同(辻元清美君紹介)(第一七六八号)

 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(田中眞紀子君紹介)(第一八一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案(内閣提出第五八号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案及びこれに対する高井美穂君外一名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官林幹雄君、財務省大臣官房審議官佐々木豊成君、文部科学省初等中等教育局長銭谷眞美君及び厚生労働省大臣官房審議官白石順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渕優子さん。

小渕委員 おはようございます。自由民主党の小渕優子でございます。

 いわゆる認定こども園につきましては、これまでこの委員会で、長時間にわたりまして審議をしてまいりました。さまざまな御質問が出ましたので、多少重なることもあるかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 きょうは二十分という大変短い時間ですので、早速質問に移らせていただきます。

 まず、特別な支援を必要とする幼児に対する支援についてお伺いをしたいと思います。

 先日の委員会においても、池坊委員の方から、保育カウンセラーにつきましての質問がありました。中教審の答申を見ましても、先日の答弁をお伺いいたしましても、障害を持ったお子さんに対するケアの充実、あるいは専門的知識を持つ職員の重要性また必要性、そうした基盤の整備につきましては、今さら申し上げるまでもないことでございます。

 しかし、実際、現場を見てみますと、こうしたカウンセラーの派遣というものも十分とは言い切れない状況ですし、そうしたサポートチームが組まれているということでありますけれども、その規模もまだまだ小さいわけでありまして、正直、まだ手が回らない、ニーズにしっかりこたえ切れていないといった状況ではないかと思っています。

 馳副大臣におかれましては、発達障害者支援法の提出者のお一人でもありますけれども、この発達障害者支援法も、施行されてから一年が経過をいたしました。数年前にこの支援法を成立させるために勉強会をスタートさせた当時、そのときのことを考えますと、LD、ADHD、こうした発達障害というこの言葉自体がまだまだ一般的には認知をされていない。そうした状況の中で、そうしたお子さんに対するさまざまな誤解も多くあったわけであります。しかし、この支援法が成立し、また施行されて一年がたち、もちろんまだまだ課題もございます。それぞれ、地域によってその取り組みにばらつきがあるといったお話もありますし、これからまたいろいろ考えていかなければならないことも多いかと思うんですけれども、それにつきましても、この支援法ができましてから前に進んできたということは事実であると思います。

 私が申し上げるまでもありませんけれども、こうした障害を持つお子さんは、何よりも早期発見、早期支援が重要であります。そして、こうしたお子さんの周りの方々の理解、そして親御さんのケアというものも大変重要ではないかと思っています。

 私もこの支援法にかかわった一人でありますけれども、今回のこの就学前の子供たちの教育、保育の環境を考えるこうした法律が、障害児教育支援の充実の必要性をもう一度考え、さらなる促進の第一歩になってほしい、ぜひ背中を押していただきたい、そのように期待をしているわけであります。

 障害児対策、障害児に対する理解を深めるためにそうした啓蒙を図っていただきたいということと、障害児が、今後、園から排除されるようなことがないように、充実した支援体制の早期確立をお願いしたいと思っていますが、この発達障害者支援法の提出者でありました馳副大臣の大変前向きな御答弁をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

馳副大臣 三年前になりますが、野田聖子先生や小渕優子先生から御指導いただいて、当時、私は、改正児童虐待防止法を担当し、超党派で条文の詰めなどをしていた関係から、実は、児童虐待の原因の中には、対象として、発達障害児に対する保護者のいら立ちとか不安とか、そういったものもあるということの観点から支援法の成立に取り組ませていただいたのでありまして、二年前に法が成立し、昨年から支援が実行されているということは本当に喜ばしいことと思っております。この認定こども園においても、やはり発達障害児が通うことは当然想定をされているわけでありますし、基本的にそういったお子さんが排除されることのないように対応するのは当然のことというふうに考えております。

 しかしながら、では、そういうお子さんが認定こども園にお通いになるとき、それを支援する体制が組まれているのか。例えば、保育士さんや幼稚園の教諭が基本的に発達障害に関する認識を持っておられるのかということを考えると、養成の段階での研修を充実しなければいけないということもあります。また、今現在では、参議院の文教科学委員会の採決を終わったところでありますけれども、学校教育法の改正で、特別支援学校、ここはセンター的機能を持って、福祉、保育、健康、教育、こういった機関と連携をしながら特別支援の教育を展開する、センター的な機能を持つ。そういった中においては、当然、保育園とか認定こども園も含まれるものというふうに解釈をされております。そういった中で、認定こども園に通うお子さん方に対しても、こういったセンター的機能を利用して支援体制が組まれるもの、そして、それが促されるように支援していくのが文部科学省としての務めというふうに考えております。

 平成十五年から、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、また就労も含めて、こういった労働機関とも連携をしながら、発達障害児、発達障害者に対する支援を連携して進めていきましょうという事業も展開しておりまして、当然その中には認定こども園も含まれるものというふうに考えております。

 小渕委員御承知のように、なかなかぱっと見た感じではわかりませんが、集団の中で生活をするに当たって、これはちょっとこだわりが強過ぎるかなとか、コミュニケーション能力に不足しているなとか、ちょっと情緒的な障害があるのかな、これを放置しておいては、基本的にはこれは知的障害とは認められないんだけれども、ちょっと集団生活の中で十分な対応ができないというお子さんに対する支援というのは、放置しておくと、だんだんだんだん、まさしくその場の空気にそぐわない存在として、何となく敬遠されがちな形として、大学にも行き、就職までしてしまうと、最終的に就労にも支障を来すようになってしまいますから、総合的な支援がそういう幼児の段階から必要であるということの認識で取り組みたいと考えております。

小渕委員 副大臣、ありがとうございました。大変細かなところまで御説明をいただきました。今の御答弁の中にもあったんですけれども、やはりそうしたケアをする立場の人間をふやしていかなければいけないと私も大変思っております。

 ただ、カウンセラーということになりますと、先般も御答弁がありましたけれども、臨床心理士さんあるいは精神科医の方、専門家の方ということになってくるのでありますけれども、そういう方が多くふえて、サポート体制がしっかり組めればもちろんそれにこしたことはないのですけれども、いかにしても人材不足といった状況が否めないのではないかと思うわけであります。

 先ほどの御答弁の中にもありましたけれども、そうした専門的な方々と教職員の方々とがしっかり連携をし、また協力をし合う中で、教職員の方々の研修をさらに充実させていくことが何よりも必要ではないかと思っています。

 先日、この委員会でおおやた幼保園を視察させていただきました。最後に、私たちに期待することはどんなことでしょうかということをお聞きしたところ、園長先生がお話しするに、この園は何よりも人に支えられてやってくることができた、これからも人の力なくしては前には進まない、そうした意味においては、今後の人材育成あるいは研修制度の充実、そうしたものにしっかりと力を注いでいただきたい、そのようなお話がありました。

 ただ、現状を見ますと、教職員の皆さん方も、朝から晩まで小さいお子さんとずっと一緒に仕事をして、現実的に業務は大変忙しいわけであります。そうした中に、研修の時間をさらに生み出していくということは、これは大変困難なことであるということもこちらも理解をしているわけであります。

 しかし、今後、さまざまなお子さんに対応したり、あるいは多様化するニーズにこたえていったり、また質をしっかり確保していくために、向上させていくためにも、この研修制度の確立は本当に必要なことであると感じております。できるなら義務化をしていただきたいということも考えるわけでありますけれども、そのようなことに対しましてどう思われるのか、また、こうした研修をする場合、どのような研修システムのあり方を考えておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。

銭谷政府参考人 認定こども園における教育、保育の質の確保、向上を図る上で、適切な研修の機会の確保ということは大変重要だと認識をいたしております。

 現在、認定こども園における教育の質の確保、向上を図る上で、例えば研修時間の確保について、施設の方におきましてさまざまな工夫をしているわけでございますけれども、そういった工夫の紹介、普及を図るとともに、園外研修につきまして、幼稚園と保育所の関係者がともに参加する機会が得られるようにするなど、いろいろな研修の充実に努めてまいりたいと思っております。

 それから、認定こども園につきましては、保育士資格を有する方と幼稚園教諭免許を有する方、両方いらっしゃることになるかと思いますけれども、現在、幼稚園教諭と保育士資格について併有、両方持っている方もかなりの割合に上っております。ですから、大学における教員養成の課程におきまして、例えば発達障害でございますとか児童心理とかそういったことについて十分な養成ができるように、大学におけるそういった養成内容の改善ということも今後心がけていきたいというふうに思っております。

 また、幼稚園教諭につきましては、初任者研修、十年経験者研修といったような年次に応じました研修の機会があるわけでございますので、そういった機会の充実と、そういった際の、本当に今子供たちの状況を見て必要とされる研修内容の充実ということも今後心がけていきたいというふうに思っているところでございます。

小渕委員 ありがとうございました。

 この研修制度は大変望まれていることと思います。また、今御答弁にありましたように、大学の時点からそうしたさまざまなお子さんに対応できるカリキュラムを組んでいく、そのようなお話もありましたが、そうしたこともできるだけ早いうちに取り組んでいただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

 話はがらっと変わりますけれども、今回の認定こども園の認定制度は、基本的なところは国が指針を、基準をしっかり定めるということでありますけれども、都道府県、市町村のニーズに応じて、それぞれの地域における弾力的な基準というものを設けるということになっています。

 もう既にスタートしている幼保一体化の施設のうまく動いているところは、そうしたそれぞれの地域また自治体が協力連携をしてバックアップをしながら、お互い情報交換もし合いながら進めている、そういうところが現時点でうまくいっているところではないかと思います。

 今回、この法律が成立をいたしますと、施行はことしの秋というふうに聞いております。ことしの秋でありますので、正直、そんな時間のゆとりはないわけでありますけれども、実質の運用をする自治体において、現場が混乱することもなくスムーズにスタートをさせることが十分にできるのか、ちょっと心配になる部分もあるわけでありますけれども、現状で認識しておられる範囲で結構ですので、自治体がしっかり今後対応していけるのか、状況を教えていただきたいということ。

 もう一つ、やはり地域においては、正直、財政の面によって随分と違いがあるわけであります。国としてはしっかりとした指針を定めるということでありますので、質の面でそうした格差が出ないようにしていただくということでありますけれども、やはりこれだけ財政面で違ってくると、そうした格差を生まないかということも正直心配されるわけであります。地域によって、同じお子さんでも全然違う教育、保育を受ける、そんなようなことが決してないように、質の面で格差を生まないためにも、今後、実際の保育所あるいは幼稚園の現場はもちろんですけれども、自治体としっかり連携をして進めていくことが重要であると思っています。

 今後、国はしっかり自治体と連携し、どのような形で進めていかれるのか、また今後しっかりとしたチェックが働いていくのか、その点についてお答えいただきたいと思います。

小坂国務大臣 本法律案は、十月一日の施行に向けまして、成立させていただいた後の準備と、速やかに関係政令や省令を制定するとともに、認定基準に係る国の指針を策定することにいたしております。

 また、御指摘の都道府県においてのことでございますけれども、国の基準を参酌いたしまして、認定基準を条例で定めていただくことになるわけでございます。可能な限り十月一日までに策定していただきたいと考えておるわけでございますが、議会の開催日時も考慮しつつ、遅くとも秋の議会には制定していただけるように、本案の成立後は速やかな情報提供に努めてまいりたいと考えております。

 認定こども園制度の円滑な実施のために、施設との窓口となる都道府県や市町村といった地方公共団体や教育、保育関係者、また、広く国民の皆様に対しても制度の周知に努めてまいりたいと考えております。

 また、御指摘をいただきましたこども園の質に格差が生じてしまうんではないかという点でございますけれども、生涯にわたる人間形成の基礎を培う大切な幼児期に適切かつ質の高い教育、保育が提供されることは極めて重要でございますので、このために、認定こども園につきましては、必要な基本的な機能はこの法案の規定により確保されるようにすること、また、認定基準については、文部科学大臣と厚生労働大臣が質の確保の観点から指針を定めて、各都道府県においてこの指針を参酌して認定基準が定められること、また、各都道府県の認定基準につきましては条例で定めることとしておりまして、この条例の審議をいただく過程において、議会での、質の確保の観点からの十分な検討、議論がなされること、こういったことから一定の質が各自治体においても確保されるように制度設計をしておるところでございまして、そのようなことのないように、御指摘も踏まえまして注意をしてまいりたいと存じます。

小渕委員 ありがとうございました。

 地域においてはそうした認定こども園を待っているお子さん、親御さんも多くいるのではないかと思います。大変スムーズな形でこの園がスタートできるように、また自治体への働きかけもよろしくお願いしたいと思います。

 今、少子化社会となりまして、出生率というのは全く下げどまらない状況にあるわけであります。少子化対策というものがこれからの日本の最大の課題であり、何とか私たちはこの大変な課題をクリアしていかなければなりません。そうした中で、今回の認定こども園がその第一歩になれるように、また、地域や親、国、すべてが連携をすることによって、これからの子育て支援や少子化対策に向けてみんなが取り組むことができるように、また、この少子化社会を何とかいい形でクリアしていけるように、この法律が第一歩となるように、私は期待をしたいと思います。

 時間も参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

遠藤委員長 鈴木俊一君。

鈴木(俊)委員 おはようございます。

 今審議をいたしておりますこの法案も、もう最終盤を迎えまして、このまま順調に進めば本日質疑終局と、そういう段階を迎えたわけでありまして、私は、今までのこの委員会での質疑も踏まえまして、基本的な部分について、確認の意味も込めまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 幼稚園それから保育所というのはそれぞれ長い長い歴史がありまして、国民に定着をしている存在でございますし、また、幼児教育、保育に対するニーズというものも、地域によってそれぞれ異なっていると思います。私の地元は郡部であるわけでありますが、そういうところは、もう子供の数も大変少ないということで、幼稚園にしても保育所にしても大変非効率な運営がされている。一方、都市部に参りますと、待機児童というものがたくさんいて大変だ。こういうように地域の事情も大変異なるわけでございますので、国によって、一律に、頭越しに両者の一元化を進めるということになりますと、これは現場の混乱を招くおそれもありますし、まず第一の課題であります少子化対策に対応する上でもかえって弊害になるのではないか、そんなふうに思います。

 認定こども園につきましては、多様化する就学前の教育、保育に関するニーズに対応するための新たな選択肢として制度化というものが提案をされておりまして、加えて、子供の健やかな育ちを中心に置いて、利用者の視点から構想されているという点で、私は評価をできるものと考えております。

 国は、この法案を契機として、保育所それから幼稚園、これを今後すべて認定こども園に統合していこうというものではないと理解をするものでありますけれども、改めて、基本的な部分でありますこの点について、国の考え方をお聞きしたいと思います。

馳副大臣 鈴木委員おっしゃるように、全国の実情は、実はまちまちであります。幼児期の教育、保育、子育て支援機能を一体的に提供できる総合的な施設として都道府県知事に認定こども園を認定していただくというふうな、地域の実情に応じてこういう選択肢を提供し、利用者の視点に立った施設として活用いただくということの認識をいただきたいと思います。

 私もいろいろな資料を拝見しましたが、実は都道府県別の幼児教育の普及状況という五歳児を対象にした資料がありまして、保育所に在籍している子供が一番多い県が長野県、二番目が石川県、大臣、副大臣のところが来て、もしかしたら長野県や石川県は共働きの家庭が多いのかなというふうな、こういった見方もできると思いますし、鈴木委員の岩手県だと大体半々ぐらいですね、保育所に在籍しているのと幼稚園に在籍しているのと。

 こういう実態を踏まえた上で、利用者の立場に立って、この認定こども園を都道府県知事に認定をいただいて、教育と保育と子育て支援を一体的に提供する施設とする、こういう選択肢を提供するということに、我々文部科学省も厚生労働省も心を一つにして取り組んでいこうという考えに変わりはありません。

鈴木(俊)委員 認定こども園でありますけれども、これは幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型と四つの類型が示されているわけでありますけれども、地方裁量型につきましては、地方分権に配慮した類型とは思うのでありますけれども、この幼稚園機能、保育所機能はいずれも認可外のものであります。そういたしますと、その教育それから保育の質に若干不安が残るわけであります。また同様に、幼稚園型に新たにプラスされます保育所機能、それから保育所型に新たにプラスされます幼稚園機能も、これもまた地方裁量型と同じ認可外部分である。こういうことを考えますと、保育、教育の質が必ずしも十分確保されるとは限らないのじゃないかな、そういう疑念がございます。

 社会の宝であります子供たちに対する教育、保育の質、これは決して下げるべきではない、そう思うわけでありまして、国として支援し、推し進める保育、教育は一定の水準を確保すべきで、それは基本的に現在の保育所、幼稚園の水準である、そういうふうに思うわけでありますが、この点についてどうお考えになられているのか、お伺いしたいと思います。

銭谷政府参考人 認定こども園につきましては、地域の実情に応じて柔軟に対応できるように、幼稚園、保育所いずれの認可も有しない地方裁量型も含めまして、四つの類型を認めることとしているわけでございますが、国として支援をし推進すべき教育、保育の水準は、基本的に現在の幼稚園、保育所の水準であると考えております。

 このため、認定基準に関する国の指針におきましても、例えば、三歳から五歳児の職員配置については、幼稚園と同様に学級ごとに職員を配置しつつ、長時間利用する子供については、保育所と同様の職員を確保し、個別対応が可能な体制とする、教育保育の内容につきましては、幼稚園教育要領、保育所保育指針の目標が達成されるよう教育、保育を行うなど、幼稚園、保育所双方の水準を満たすことを基本として定めることといたしているところでございます。

白石政府参考人 文部科学省から御答弁いただいたとおりでございまして、厚生労働省としても同じような考え方を持っておりますし、それから、加えまして、教育、保育に関する国の財政措置は幼稚園、保育所の認可を受けた施設に対してのみ行うという考え方でございます。

鈴木(俊)委員 次に、運用上配慮すべきと思われる点について幾つかお尋ねをしたいと思います。

 一つは、行政事務の委任についてであります。

 保育所につきましては、政令市、中核市に事務がすべて委任されている一方で、幼稚園につきましては、政令市、中核市に事務は委任されておりません。今回の認定こども園の仕組みにおいても、現在の仕組みを前提としているために、せっかく一体化施設ができましても、政令市、中核市と都道府県の間で手続及び指導監督事務が複雑になってしまうのではないか、そんなふうに危惧をいたします。

 認定事務を初めといたしまして、政令市、中核市など、住民に近い自治体の意向に配慮した方がよいのではないか、そうすべきであると思いますが、いかがでしょうか。

銭谷政府参考人 認定こども園は幼児教育機能と保育機能の双方の機能を有するものでございまして、両者を適切に判断できるのは幼稚園、保育所双方の認可権限を有する都道府県であると考えられることから、認定につきましては都道府県知事が行うこととしているものでございます。

 ただし、保育行政において、政令市、中核市が保育所の認可も含めまして主体的な役割を担っていることを踏まえまして、都道府県知事が保育所等を認定こども園として認定する場合には、法律の十一条第一項の規定によりまして、政令市、中核市に協議すべきものとしているところでございます。

 また、都道府県による認定基準の策定に際しましては、政令市、中核市の意向に配慮するよう促してまいりたいと考えております。

鈴木(俊)委員 先ほど申し上げました認定こども園の四類型があるわけでございますが、そのうち幼保連携型につきましては、幼稚園と保育所の定員の合計が六十名に達する場合には、保育所部分が十名と小規模でも認可することとされております。そういう意味では、幼稚園側から幼保連携型に取り組みやすい工夫がなされているということでございますが、一方、保育所が幼保連携型に移行しようといたしましても、都道府県によって幼稚園の定員基準がまちまちになっているので、やりにくさがそこにあるのではないか、何か一方通行的なことになるのではないか、そんなふうにも思うわけでございます。

 そういうことを考えますと、やはり保育所にとっても幼保連携型に取り組みやすいように、都道府県で定められております幼稚園の認可定員について、弾力的な措置が講じられるように国として指導すべきであると思いますけれども、この点についてお伺いをいたします。

小坂国務大臣 鈴木委員の御指摘は、私はごもっともだと思うんですね。長野県のように保育所が多い地域においては、そういった要請が出てくることは十分考えられます。

 そういう中で、幼保連携型としての認定こども園に対する幼稚園の認可定員につきましては、最終的には各都道府県が認可権者としての判断をするという事項であるわけでございますけれども、過疎地域などにおいて、保育所と同様に十名でも認可できるようにするべきだ、そういうような必要もあるという場合も考えられるわけでございます。このため、こうした状況を踏まえて、保育所の認可定員引き下げとの均衡を確保する観点から、今御指摘のような点について早急に検討してまいりたい、このように考えます。

鈴木(俊)委員 この点については、ぜひ指導をしていただきますように重ねて申し上げておきます。

 それから次に、保育それから教育の質の確保についてお伺いいたしたいと思います。

 現在でも、もう多くの幼稚園で、既に長期滞在する子供に対する預かり保育というものが実施をされているわけでありますけれども、中には、例えば学生のアルバイトを雇ってただただ子供を単に遊ばせておくだけ、そういうところもあるように聞いております。長時間滞在する子供にとりましては、家庭にかわってそこで安心して情緒の安定した生活ができる、そういう環境をきちっと確保されることが必要であると思うわけでありますが、幼稚園型の認定こども園における保育でも一定の質の確保が必要ではないかという点をまず一点お伺いいたします。

 そして、その逆でありますけれども、保育所というのは養護と教育を行う場であるわけでありますけれども、中には教育の質が必ずしも十分ではない場合がありましたり、利用者側にも、依然として保育所では十分な教育が行われていない、そういう思いを生じさせている面もあると思います。そうした誤解を解くためにも、保育所における教育につきましても一定の質の確保をすることが必要ではないか。

 それとあわせて、関連するわけでありますが、現在通知で定められております保育所保育指針、これを幼稚園教育要領と同様に告示で位置づけるべきではないか、そんなふうに考えるわけでありますけれども、この点についてお考えをお尋ねしたいと思います。

銭谷政府参考人 私の方から、幼稚園型の認定こども園における保育の質の確保の問題につきまして、御説明を申し上げます。

 いわゆる幼稚園型の認定こども園では、幼稚園の教育時間終了後、その幼稚園に在籍をしている子供のうち、保育に欠ける子供に対する保育を行うことになるわけでございます。この場合、いわゆる長時間保育に係る職員配置や職員資格につきましては、原則として保育所と同様の質の確保を図ることといたしております。

 例えば、認定こども園の基本的な枠組みを定めました総合施設モデル事業評価委員会の最終まとめにおきましても、八時間程度利用する子供の保育を担当する者には保育士資格を求めることを原則とするといったようなことが言われているわけでございます。また、教育、保育、特に保育の内容に関しましても、利用時間の長短の違いや登園日数の違いを踏まえまして、一人一人に応じた保育の内容について工夫を行うことといったようなことも示されているところでございます。

 いわゆる幼稚園型を含めまして、認定こども園における長時間利用児に対する保育の質を確保するために、こうした提言を踏まえまして、国の指針を定めることとしてまいりたいと考えております。

白石政府参考人 保育所におきます教育についてお尋ねがございました。

 御案内のように、幼稚園は幼稚園の教育要領、保育所は保育所の保育指針でやっておられるわけでございますけれども、両省におきまして、従来から三歳以上のお子さんについて、要領、指針の中の目標、ねらい、指導事項などの内容の整合性というものを図っておりますが、なお一層保育現場において幼児教育を含む保育の質の向上を図るためにいろいろな努力をしてまいりたいと思っております。

 それから、法形式についてお尋ねがございました。

 おっしゃいますとおり、幼稚園教育要領は告示、片方で保育所保育指針は通知でございますが、同様の幼児教育を内容に含みながら位置づけが異なることで誤解を生じているという御指摘もございますので、今後の保育所保育指針の改訂に際しましては、何かよい知恵がないか、前向きに検討してまいりたいと考えております。

鈴木(俊)委員 次に、給食についてお伺いをいたしますけれども、乳児期、幼児期から、食事の大切さ、これはもう言うまでもないわけであります。

 認定こども園におきましても、自園調理であれば、その時々の子供の体調というものも配慮できますし、また子供によってはアレルギーを持っている、そういうようなお子さんもいるわけでありますので、子供をしっかり見ながらきめ細かい対応も可能になると思います。それと同時に、自園調理でありますと、食事をつくっているところも子供たちが目の当たりにすることができるということで、食育の観点からもこれは有意義である、そんなふうに思います。

 認定こども園も、原則自園調理として、外部搬入は例外的、限定的に認めるものだと理解をいたしておりますが、外部搬入を認めるのはどういった場合なのか、その点を確認させていただきたいと思います。

白石政府参考人 御指摘のとおり、食事は子供さんの発育、発達に欠くことができない重要なものだということで、食育を通じた児童の健全育成という観点からも、調理室の設置が望ましい、自園調理ということが大原則であるというふうに考えております。

 その一方で、御指摘がありましたように、例外的、限定的なケースということはどのようなことだというお尋ねでございますけれども、認定こども園は、地域のニーズに柔軟に対応できるという観点から、既存施設からの移行が困難とならないような対応が求められるという点もございますが、まずは、離乳食への対応など特に配慮が必要な〇―二歳児につきましては、引き続き自園調理により対応するということにする一方で、三―五歳児につきましては、御指摘がありましたように、食物アレルギーとか、あるいは体調不良のお子さんというものへの適切な配慮であるとか、あるいは給食事業者にすべてをゆだねてしまうというのではなくて、施設が主体的にかかわることで食事の評価、改善についての知恵と工夫が働く仕組みを整備する、あるいは、当然のことですが、衛生面の対応、こういうふうなもの等々の一定の条件を付した上での給食の外部搬入を認めるというふうに考えております。

鈴木(俊)委員 次に、職員資格についてお尋ねをしたいと思います。

 幼稚園教諭免許、それと保育士資格、これの併有というものが大分進んでおられるそうでありまして、最近の若い職員の皆様の間では八割程度の方々が両方の資格をあわせ持っている、そういうふうに聞くわけであります。

 認定こども園におきましては、教育、保育の質の確保ということを考えますと、両方の資格を持っていることが望ましいということはもちろんでございますけれども、両方の資格を併有するというのは最近の傾向とお聞きしておりまして、相当の経験年数を有するベテランの先生方には片方の資格しか持っておられない、そういう方もおられるわけであります。片方の資格しかないということで認定こども園で働くことができないということであっては、せっかくの長年の経験、それを通じたさまざまな能力の高さがあると思うのでありますが、そうしたものが生かされないことになってしまいます。

 今までの質疑におきましても、また政府の説明でも、そういった硬直的な対応はとらないように配慮をするんだ、こういうことをおっしゃっているわけでありますけれども、認定こども園における職員の資格について、具体的にどういうような柔軟な対応を行おうと考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

銭谷政府参考人 認定こども園におけます職員の資格につきましては、本年三月の総合施設モデル事業評価委員会の最終まとめにおきまして、〇歳から二歳児につきましては「保育士資格を有する者が従事することが望ましい。」三歳から五歳児につきましては、幼稚園教諭と保育士の「両資格を併有することがより望ましいことはもちろんであるが、」「他方の資格のみを有する者を排除することのないよう配慮することが望ましい。」とされているところでございます。

 これを踏まえまして、三歳から五歳児につきましては、一方の資格しか有しない方を排除しないように、認定基準に関する国の指針におきまして、三歳から五歳児の教育、保育に従事する者は両方の資格を併有することが望ましいが、本人の能力等を判断の上、一方の資格のみを有する方も従事可能とするということを考えているところでございます。

鈴木(俊)委員 次に、総合施設モデル事業をなされたわけでありますけれども、その事業の評価を拝見いたしますと、異なった年齢の交流というものの評価、これが非常に高かった、こういうふうにお伺いをしております。

 現在、兄弟が減ってきている、そして地域においても子供同士のつながりが少なくなっている、そういう社会状況の中におきまして、認定こども園におきましては、学級制を硬直的に運用するのではなくて、異なった年齢交流を組み合わせる、そういうことをしながら、教育保育内容について、施設の創意工夫が尊重されなければならないのではないか、そういうふうに考えるわけでありますが、この点についてお伺いをさせていただきます。

銭谷政府参考人 お話のございました総合施設モデル事業評価委員会の最終まとめにおきましては、認定こども園における教育、保育の指導計画につきまして、「異年齢児とかかわる機会が減少していることを踏まえ、三―五歳児については、同一学年の幼児等での学級を単位とする集団活動とともに、低年齢児を含めた異年齢児による活動を施設それぞれの工夫で、発達の違いも配慮しつつ適切に組み合わせていくことが望ましい。」とされているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、認定こども園におきましては、学級を単位とする活動と異年齢児による活動を施設それぞれの工夫で適切に組み合わせて、子供が豊かな体験を得られるようにすることが重要であると考えているところでございます。

鈴木(俊)委員 今までの質疑も踏まえまして、基本的な部分について、確認の意味も込めて、幾つか質問をさせていただいてきたわけであります。

 いずれにいたしましても、認定こども園という新しい制度がこの法案が通ればスタートする、こういうことになるわけであります。そして、この委員会の質疑を通じましても、各先生からいろいろ御指摘がございました。これは、これからの幼児教育に対するいろいろな期待、それから少子化に対する対応、いろいろな今の状況において大変期待される制度である、そういうような評価をおおむね受けているのではないか、そういうふうに思っているわけであります。こうした新たな制度をスタートするときに、常に情報が十分に行き渡らない、それから関係者の方々も理解不足がある、そしてそれに伴いまして不安が生じる、そういうことが、これはもう新たな制度をスタートするときには必ずつきまとうわけであります。

 この認定こども園の問題につきましても、国におきましては、幼保連携推進室、こういうものを設けて、手続はすべてそこ一カ所に連絡すればよいことにするということでございますけれども、施設にとっての窓口となります地方自治体に対しまして、十分な周知徹底を図ること、これも必要であると思いますし、自治体においても、各種届け出等の申請手続や利用者や施設関係者からの照会、こういうものを何か内部でたらい回しをする、そういうことがないような事務の体制をしっかりと準備しなければ、この新たな制度というものは順調にスタートできないのではないか、そういうふうに思います。

 こういう点についてどのように地方自治体に対して指導を行っていくのか、そのことを文部科学省、厚生労働省両省にお尋ねをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

小坂国務大臣 鈴木委員には、これまでの審議を踏まえた上で総括的に御質問をいただいてまいりましたけれども、すべてを踏まえた上で、この制度をしっかりと定着させるには国民の皆さん初め関係者の理解が必要だという御指摘でございます。

 御指摘のとおり、認定こども園制度の円滑な実施のためには、窓口となる地方自治体に制度の内容を十分に理解していただく、そういうことが重要でございますとともに、この制度に関する十分な情報の提供というものに私どもは努めていかなければならない、こう考えております。

 文部科学省と厚生労働省間におきましては、幼保連携推進室というものをつくってしっかりと打ち合わせをやってまいりますが、同時に、今度、利用者や施設の立場に立った事務体制を整えることが重要でございまして、このために本法律において地方自治体の関係機関の連携協力義務を規定しているところでありまして、これに基づきまして、利用者向けのサービス窓口の一本化、また認定こども園の認定及び幼稚園、保育所の認可の申請窓口の一本化、そして補助金申請窓口の一本化などの事務の一体的な対応が図れるように促してまいりたいと存じます。

中野副大臣 鈴木委員には、今日まで保育所の問題につきましても多大な御貢献をいただきまして、また御指導いただいておりますことを、改めてこの場でお礼をしたいと思います。

 今、文部科学大臣から御答弁がございましたが、基本的にはすべて同じでございますが、あえて申し上げさせていただきますと、認定こども園制度の円滑な実施については、施設の窓口となる地方自治体に、制度の内容を十分に理解していただくことが不可欠でありまして、制度に関する的確な情報を速やかに提供して、万全の体制を整えてまいりたいと考えておるわけでございます。

 また、いわゆる窓口の一本化についてのいろいろな事例について大臣から具体的なお話がございましたけれども、そのとおりでございまして、利用者や施設の立場に立って窓口の一本化を図ることをしてまいりたいということについても、厚生労働省として万全を期したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

遠藤委員長 西博義君。

西委員 おはようございます。公明党の西博義でございます。

 引き続きまして、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案について、確認の意味で逐条的に御質問を申し上げます。若干細かいことにも触れさせていただきますが、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 また、先ほどからのそれぞれの委員の質問とダブるところもございますが、多くの委員がそういうところに問題点といいますか、危惧を抱いている、関心を抱いているということを含めて、あえてお許しを願いたいと思います。

 初めにまず、今回の法案の大きな要件、これは幼保一元化、幼稚園と保育所の一元化なんですが、もう一つの要件となっている子育て支援事業についてお伺いをしたいと思います。

 この法案を拝見しますと、第二条に子育て支援事業という内容があるんですが、法案の第三条で規定されている施設の認定要件の一つが子育て支援事業である、こういうふうになっております。法案の第十二条で、認定こども園である幼稚園が子育て支援事業を行うものとするというふうな規定がありますが、行うものとするということでございますが、認定こども園に子育て支援事業が義務づけられている、こういうふうなことだと確認をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

銭谷政府参考人 認定こども園におきましては、家庭や地域の教育力、子育て力を高める観点から、子育て支援を必須の機能、必ずやらなければならない機能といたしておりまして、子育て支援事業はすべての認定こども園で実施されるものでございます。

西委員 ともすると、幼稚園機能と保育所機能の一元化という、狭い範囲にとらえがちですが、そうではなくて、この新しく設立される認定こども園では子育て支援事業を必ず事業としてやっていく、こういう新しい形の施設が誕生するということに理解させていただきたいと思います。

 したがいまして、子育て支援事業につきましては、文部科学省令それから厚生労働省令で今後定められるというふうにされておりますが、その一つの例として、児童福祉法の第二十一条の二十七に子育て支援事業という規定がございます。十二種類の支援事業が羅列されております。これと対照していきますと、今回の法案では、これらの児童福祉法の事業のうちで、まず地域子育て支援センター事業、それから一時保育事業、それからファミリーサポート事業、この三つが明示をされております。そして、四つ目に明示されている事業、これがずっとかなり長い文章が続くんですが、この事業と、それから児童福祉法の十二種類以外に行う事業、これがどんなものであるかということを説明していただきたいと思います。また、児童福祉法の十二種類のうち、この法案では子育て支援事業として該当しないという事業についても、あわせて御説明をお願いしたいと思います。

白石政府参考人 御指摘いただきましたように、認定こども園におきます子育て支援事業につきましては、法案の第二条第六項において、若干引用が長くなりますが、地域の子供の養育に関し、保護者からの相談に応じ情報提供や助言を行う事業、それから家庭における養育が一時的に困難となった地域の子供に対する保育を行う事業、子供の養育に関する援助を受ける希望者と当該援助を行う希望者との連絡及び調整を行う事業、それから子供の養育に関する援助を行う民間団体や個人に対する情報提供、助言を行う事業というものが例示されております。

 具体的には、今御指摘がありましたように、児童福祉法に基づく子育て支援事業を踏まえ、地域子育て支援センターあるいは一時保育というようなものが想定されております。本法案の子育て支援事業の定義に該当するものであるならば、この児童福祉法に書いてありますものに限らず、もうちょっと広く、地域において自主的に取り組まれる事業も対象にするということで考えております。

 一方、御指摘ありましたように、この十二の中でも、預かり保育、それから特定保育、病後児保育、あるいは保育ママ、これらの事業自体は、実は子育て支援事業というよりは、教育、保育の提供、そちらの方に該当し得るというふうに考えられますので、それを除いたものがこの子育て支援事業というふうに御理解いただければと思います。

西委員 かなりはっきりと子育て支援事業の内容がわかったかと思います。

 続きまして、文部科学省の幼稚園における子育て支援事業実施状況、平成十六年の実績でございますが、その内容を拝見しますと、公立、私立の幼稚園の七七%が既に子育て支援事業を実施しているという結果が出ております。実施上の課題といたしましては、経費の確保が困難である、それから、教職員の負担が過大となっているというような回答が主な回答として寄せられております。

 先ほどからの子育て支援事業に対する財政支援としては、児童福祉法に規定されている事業を行うときは、既存の次世代育成支援対策交付金、それから保育対策等促進事業費補助金、こういうものの対象となって補助金がおりる。また、私学助成の観点からいきますと、私立幼稚園子育て支援事業補助というような財政支援がありますが、いずれも十分ではないという声であろうと思います。

 この部分につきましては、ぜひとも新たな事業として出発するに当たり拡充していただきたい、こういうふうに思っておりますが、文部科学大臣にぜひ御尽力をちょうだいいたしますようにお願いをしたいと思います。御意見をちょうだいしたいと思います。

小坂国務大臣 御指摘の点でございますけれども、今般の認定こども園の財政措置につきましては、子育て支援事業に対するものを含めまして、既存の幼稚園、保育所の補助事業を活用することといたしているわけでございまして、その点については、御指摘をいただいたとおりでございます。

 委員御指摘のとおり、今日、この認定こども園に対する子育て支援事業の需要というもの、すなわち要請も非常に多くなってきているわけでございます。そういったものを踏まえておりますので、幼稚園、保育所の子育て支援事業に対する予算につきましては、認定こども園の認定を受ける施設を含め、引き続き、近年の需要状況を踏まえた適切な予算の確保に努めてまいるということを基本にしまして、また委員の御指摘を踏まえて対応してまいりたい、このように考えております。

西委員 私も構造改革特区で申請をされて幼保一元化のモデル的な事業をされたところからいろいろお伺いをいたしましたが、一番の問題は、子育て支援事業を含めて、幼保一元化の運営をしていくに当たって、財政的にやはり大変無理があるという意見をちょうだいしております。ぜひとも大臣の御尽力をお願いしたいというふうに思います。

 財政支援についてもう一つ質問をしたいと思います。

 私立の幼保連携施設に対する財政上の特例に関連しては、私立幼稚園が、幼稚園型ではなくて、幼保連携型の認定こども園になりやすくするために、定員十人でも保育所の認可を受けられるようにするというふうになっております。例えば、保育所認可の定員要件は六十名以上というふうになっておりますが、幼稚園五十名で保育所十名ということで、合計六十名に達すれば定員の要件を満たすということで保育所の認可を行っていこう、こういう内容が今回明らかになっております。

 そういたしますと、今度は逆の立場に立って、私立の保育園が、保育園型ではなくて、幼保連携型の認定こども園になりやすくするための措置というのがあるのかどうかということを伺いたいと思います。

 参考になりますのは、平成十二年三月に学校法人が保育所を設置することができるようにしております。これに伴って、幼稚園と保育所の機会均等を図るために、社会福祉法人による幼稚園の設置について配慮するように地方自治体に通知をしておりますが、どうやら余りその実を上げていないというふうにも聞いております。

 今度こそ私立保育所に対する幼保連携型への誘導措置を、特に文部科学省におかれましては、ぜひともとっていただきたい、こういうふうに考えております。また、公立の施設についてはどういうふうに考えていったらいいのかということも、あわせて御答弁をお願いしたいと思います。

小坂国務大臣 委員御指摘のとおり、平成十二年に、保育所を設置する社会福祉法人による幼稚園の設置についての申請があった場合には適切に配慮するように、各都道府県に通知をしているところであります。これを受けた設置認可基準の改正等によりまして、現在約七割の都道府県におきまして、保育所を設置する社会福祉法人による幼稚園の設置が可能となっております。しかしながら、社会福祉法人からの申請は今のところ出ていない状況でありまして、これは社会福祉法人立の幼稚園が、私学助成及び施設整備費補助の対象外であることが原因と考えております。

 今般の法案におきまして、保育所を設置する社会福祉法人が幼稚園を併設し、認定こども園としての認定を受けた場合に、当該幼稚園部分について助成対象となるように、私立学校振興助成法の特例を規定しているわけでございます。

 先ほども類似の御質問があってお答え申し上げたのでございますが、特に過疎地域等において、保育所しかない、しかし保育にかけない、すなわち幼稚園に通うことが求められるお子さんが十名おられる、では、この人たちはどうしたらいいんだということになるわけですね。

 そういったことを踏まえまして、幼保連携型の認定こども園に関する幼稚園の認可定員について、やはりこれは最終的には各都道府県が認可権者として判断している事項ではありますけれども、過疎地域などにおいて、保育所と同様に、十名でも認可できるようにすることが必要となる場合もこれから出てくると考えられますので、このため、こうした状況を踏まえまして、また委員の御指摘を踏まえまして、保育所の認可定員引き下げとの均衡を図る観点から、前向きに、また早急に検討をしてまいりたい、このように考えております。

西委員 大変積極的な御答弁、ありがとうございます。各地各地にそれぞれの事情があります。幼稚園から保育所を拡充する、保育所から幼稚園を併設する、いろいろな事情がありますので、それぞれの条件に応じてうまく融合していけるような措置を、文部科学省の方でも、早急に、積極的に対応をお願いしたいと思います。

 続きまして、法案の第三条の認定、これを行うものは各都道府県だということになっております。先ほども同じ質問がございましたけれども、認定手続の窓口については一本化する、そして手続の簡素化を図るというふうにしておりますけれども、子育て支援事業についても一本化した窓口で対応してもらえるのかどうか。特に子育て支援事業の財政支援は、これは市町村が行うということになっておりまして、都道府県の窓口で申請の手続を行って、そしてそれを受理して市町村へ送るというようなことの便宜を自治体として図る考えはあるのかということを確認させていただきたいと思います。

 それから、認定こども園では、幼稚園関係、保育所関係、子育て支援関係の仕組み、予算を使うために、それぞれ三つの系統の書類作成が求められて、事務的に非常に錯綜している。先行のモデルケースの場合でも、役所内での担当がそれぞれ違うために、一人一人の子供に対する報告も、幼稚園部門と保育所部門を分けて出すような、これはまだ法律施行以前ですからそういうこともあったのかと思いますが、いずれにしても、管轄が複数にわたるということで、事務的には非常に錯綜しているという声が上がっております。幼稚園、保育所等には事務職員が少ないという現実もありますし、そういうことで、書類作成を幼稚園の教諭や保育士が直接行っているというふうにも聞きます。

 法案の第十一条で行うとする関係機関の連携協力によって、そうした手続、煩雑な事務処理の簡素化をぜひとも進めていただきたい。これが今回の幼保一元化の、一つの事務的な課題だと私は思っておりまして、ぜひ簡素な事務手続になるようにお願いをしたいと思います。

馳副大臣 三点御指摘がございましたので、それぞれお答えさせていただきます。

 確かに、子育て支援事業についても、事務の一元的な対応をするように、促してまいりたいと考えております。

 二点目ですが、子育て支援事業を含む財政措置については、私学助成に関する事務が都道府県であることを除いて、市町村が行うこととなっております。このために、幼保一体型の認定こども園の補助金の事務については、申請者の利便性を確保する観点から、都道府県と市町村の調整を踏まえつつ、市町村を経由しても補助金の申請や交付が可能とすることが適当と考えております。

 文部科学省としては、可能な限り、市町村で認定こども園に関する対応が可能となるよう、認定権限を有する都道府県と市町村の連携を促してまいりたいと考えております。

 三点目でございますが、これはやはり書類の様式を整える問題になってくると思います。

 先生御指摘の事務の簡素化ということは、最終的には、申請する書類が教育、保育、子育て支援と、ばらばらであっては大変煩雑になり、処理する方もこれは煩雑になりますから、基本的には、その書類の様式も含めて、作成の効率化を図るように促してまいりたいと考えております。

西委員 大変積極的な御答弁を賜りました。

 まさしく、教育機関は皆そうですが、ほとんどが現場で教育、保育にかかわっている人。その裏で事務をなさる人は、まことに少ない。そういう負担が、小学校、中学校も、含めてかかっている現状でございます。そんな意味で、できるだけの簡素化をお願いしたいということでございます。

 では、次に、この法案第三条の認定を受ける施設、つまり認定こども園ですが、は学校教育法上の幼稚園または児童福祉法の保育所の認可を受けているということが前提になって、今回の申請ということになるわけですが、その一方で、法案第三条二項では、保育所の認可を前提としない施設でも認定を受けられるということになっております。

 認可保育所ではない、例えば東京都の認証保育所、それから無認可保育所の場合、この場合には、それはあくまでも地方裁量型の認定こども園という形でしか認定されないということかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

銭谷政府参考人 本法律案におきましては、地方分権の要請も踏まえまして、認定の基準は都道府県が、国が定める指針を参酌しつつ、地域の実情に応じて、条例で定めるとともに、幼稚園、保育所のみならず、認可外保育施設も認定の対象とし、東京都の認証保育所など、現在地方単独事業の対象となっている施設も、地方裁量型として認定することが可能な仕組みといたしております。

 このように、御指摘の東京都の認証保育園を含めました認可外保育施設も、認定こども園としての認定を受けることができるわけでございますが、この場合には、認定こども園の四つの類型の中での位置づけとしては、地方裁量型ということになるわけでございます。

西委員 続いて、同じ認定こども園という名称を用いる施設でも、先ほどお話がありましたように、幼稚園や保育所として認可された認定こども園は、完全認定こども園といいますか、そういう園とそうでない認定こども園が存在をすることになります。

 法案の第六条では、都道府県知事が認定こども園に関して教育保育概要などを周知させるということになっておりますが、認可保育所をベースとした施設なのか、無認可保育所をベースとした施設なのか、こういう事実については、ぜひともはっきりと、保護者にわかるように周知事項に記入すべきではないか、それが保護者に対する情報開示といいますか、それになるのではないかというふうに思いますが、お答えをお願いしたいと思います。

銭谷政府参考人 認定こども園の認定は、就学前の子供に対する教育、保育の多様な機会を提供し、地域住民の利便性の向上を図るということがあるわけでございます。

 こうした目的を踏まえますと、認定こども園のサービスを地域の方々に幅広く提供するために、法案の第六条第一項におきまして、認定こども園についての情報を都道府県知事がサービス利用者に周知をしなければならないというふうにしているところでございます。認定こども園の類型といった情報も、あわせてその際周知すべきであると考えておりまして、その内容がしっかりと周知されるようにしてまいりたいというふうに考えております。

西委員 だんだん細かいことになってきますが、法案第六条二項の表示について、例えば、認定こども園ひまわり幼稚園、認定こども園ひまわり保育所、また、認定こども園ひまわりなど、認定こども園という名前がつけば、これは正しい今回の表示になるわけでございます。単に、こども園ひまわりなどという表示を用いることは正しくない表示ということになるのかどうか。

 また、法案第九条の名称の使用制限、つまり認定されていないところではこの名前を使うことができないということですが、幼保連携型ではない施設で、法律の施行前に既にこども園とかこども学園とかいうような名称を使って運営をしておられる施設等について、どういうふうにお考えになるのかということについてお尋ねをしたいと思います。

銭谷政府参考人 法案の第六条第二項におきまして、地域住民が、認定こども園である幼稚園、保育所等と、認定こども園でない幼稚園、保育所等を容易に区別できるように、認定こども園の設置者に対しまして認定こども園である旨の表示を行う義務を課すこととしているところでございます。

 この名称につきましては、法案の第九条の名称使用制限規定におきまして、法案に基づく認定を受けました施設以外の施設が、認定こども園という名称またはこれと紛らわしい名称を使用することを禁止いたしております。これは、認定に類する語と、こども園に類する語を組み合わせて使うことを制限しているものでございまして、単なるこども園という名称の使用は制限はしていないところでございます。したがって、認定を受けていない施設であっても、法律施行後において、こども園とかこども学園とかこういうことを称するということは禁止はされていないわけでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、認定こども園という、組み合わせて使うということ、紛らわしいようなことは禁止をされるということでございますので、例えば認定を受けていない施設が認定こども園を使うことはもちろん禁止されますし、紛らわしい、認証こども園とか公認こども園とか、そういう名称を使うということは制限されるわけでございます。

 また、認定を受けた施設につきましては、単にこども園と名乗るだけでは認定を受けたか否かの区別ができないために、こども園○○とかではなくて、認定こども園○○といったような表示をしていただく必要があると考えております。

西委員 大体わかったという感じでしょうか。認定ひまわりこども園とか、そんないろいろなパターンがあろうかと思いますが、どうなのか、また若干整理をしていただきたいと思います。

 続きまして、これも細かいことですが、法案の第十六条では、法案九条の、今申し上げました名称の使用制限の違反については三十万円以下の罰金ということになっております。学校教育法の九十二条では、この八十三条の二に規定されている幼稚園などの名称の使用制限違反という、これもあるんですが、これは十万円以下の罰金というふうになっております。その辺の違いといいますか、そのことについて御説明をいただきたいと思います。

銭谷政府参考人 認定こども園の名称使用制限に関しての罰金は、三十万円ということになっております。これは、近年、名称使用制限に関する罰則規定を新設する際には、経済情勢や刑事罰としての意義などに照らしまして、罰金額の上限を三十万円としている例が多いということによっているものでございます。

 なお、幼稚園につきましては、従来から、小学校、中学校、高等学校等と並びまして、学校の名称使用制限に関するところで罰金を科しているわけでございますけれども、これについては、他の学校種との並び等々ございまして、十万円とされていることについて特に今回変更は行っていないということでございます。

西委員 最後の質問になりますが、今回の法案の十条では、認定取り消しという事項があります。この認定取り消しの効果というのは、幼稚園型のこども園の場合は、学校教育法十三条に定めるような閉鎖命令というようなところまで及ぶのかどうか。それからまた、同様に、認定取り消しの効果は、児童福祉法第五十八条の保育所の認可の取り消しということにまで及ぶのかということについて、確認をさせていただきたいと思います。

銭谷政府参考人 本法案の十条一項におきましては、一定の事由に該当する場合には、都道府県知事は認定こども園の認定を取り消すことができることとしております。

 具体的には、認定こども園の認定を受けた施設が、都道府県が条例で定めた認定要件を満たさなくなった場合、あるいは認定こども園の設置者が毎年の運営状況を報告をせず、または虚偽の報告をした場合、不正な手段で認定を受けた場合など一定の事由に該当する場合には、都道府県知事は認定の取り消しを行うことができることとしているところでございます。

 一方、お尋ねのございました、学校の閉鎖命令や保育所の認可の取り消し事由につきましては、それぞれ学校教育法、これは十三条でございますが、それから児童福祉法五十八条に定められているところでございます。認定こども園の認定の取り消し事由は、これらの事由と必ずしも同一のものではなくて、また認定の取り消しの効果が直接に学校の閉鎖命令や保育所認可の取り消しに及ぶというものではございません。

西委員 時間が終わりました。

 新しい保育所、幼稚園の姿が、新しい類型として出てくるわけですが、実施に当たっては、先ほどから申し上げました内容について十分御勘案の上に、うまく出発ができますように、心からお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 郡和子さん。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 本委員会で質問の機会を与えていただきました。先輩、同僚議員の皆様方に感謝を申し上げます。

 私も子育てをしながら仕事を続けてきた女性の一人であります。私が子育てをしておりましたときはもうはるか昔になりましたけれども、綱渡りのような毎日で、大変厳しかったということを改めて思い出しております。それから随分月日はたちましたけれども、今の子育て環境、保育環境はどうかということを考えてみますと、内閣府の各国の調査がきょう発表になっておりましたけれども、日本は子供を生み育てにくい国であるという結果でございました。当時よりもさらに厳しくなっているというのが偽らざるところであろうと思っております。

 私たちの使命は、男性も女性も、仕事をして、子供を育て、また、さまざまな社会活動にも参加でき、そして何より、この国に生まれて育つ子供たちが、慈しまれ、そして守られて育っていく、そういう国をつくるべきだという観点から、この委員会で質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、今回提出されております政府案、保育ニーズが多様化するのに当たって、それに適切にまた柔軟に対応した新しい枠組みを示す、そしてまた、待機児童の解消に当たるということがその目的であろうというふうに思いますが、このところの答弁を見ておりましても、認定こども園が創設されるに当たって、そこで行われる保育でありますとか幼児教育がどういうものを目指しているのか、その姿がちっとも見えてまいりません。

 そこで、基本的なことからお伺いしたいと思います。小坂大臣、そして中野副大臣、よろしくお願いいたします。

 昨年の一月、中教審がまとめました「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について」、このサブタイトル「子どもの最善の利益のために」というふうに書いてございます。また、この三月にまとめられたばかりでございます「総合施設モデル事業の評価について(最終まとめ)」でも、総論のところに「「子どもの最善の利益」を第一に考え、」というふうに書いてございますが、この「子どもの最善の利益」とは何なのか、お答えください。

小坂国務大臣 子育てを経験された郡委員の御質問でございます、実感がこもっておるわけでございますが。

 まさに人間の生涯の、人間形成の、心そして頭脳、そういったものが形成される大切な時期であります幼児期に、適切な、かつ質の高い幼児教育、また保育の環境が与えられることは極めて重要なことであろうというふうに認識をいたしておりまして、このため、家庭、地域、幼稚園や保育所などが連携をして、それぞれの機能を十分に発揮して、そして子供の健やかな育ちを確保していくことが大切であります。

 こうした考えのもとに、幼稚園や保育所における教育、保育機能の充実、また家庭や地域社会の教育力、子育て力の向上、また働き方の見直しによる保育環境、幼児教育環境の改善等、社会全体で子供の育ちを支援していくことが極めて必要であり、かつ重要であるという認識でございまして、ただいま御指摘の「子どもの最善の利益」とはということでございますが、御指摘がありましたように、総合施設モデル事業評価委員会における最終取りまとめにおいて「子どもの視点に立ち、「子どもの最善の利益」を第一に考え、次代を担う子どもが人間として心豊かにたくましく生きる力を身に付けるための施設であるべき」とされているわけでございます。

 こうした考え方を踏まえて、就学前の子供の多様なニーズにこたえて、質の高い教育、保育が提供されるように今回の認定こども園の制度化を行ったところでございまして、「子どもの最善の利益」とは、すなわち、その子供が生涯を通じて、この時期に、幼児期に受けた教育、保育が適切であるということが、この子供の最大の利益につながることと考えております。

中野副大臣 ただいま文部科学大臣から御答弁がございましたけれども、大臣のおっしゃったことについては、厚生労働省も同じ感じでございますが、その中で、特に「子どもの最善の利益」についての基本的な考え方は、現行の児童福祉法の第一条におきましては、児童福祉の基本理念として、児童は心身ともに健やかに育成されるべきこと、児童は生活を保障され、愛護されるべきことということが規定されておりますけれども、その具体化を図ることが児童の最善の利益を図る、確保するものであるということをまず基本的には考えております。

 そのためには、やはり家庭、地域社会、保育所や幼稚園などの施設の三者が、それぞれの役割を果たすことが重要であると思いますし、また、厚生労働省といたしましては、保育所における教育、保育の充実とか、保護者が子育てにしっかりと向き合うための働き方の見直しだとか、親子がともに集う場の確保といった、地域の子育て支援の充実というようなことも、その具体化として考えておるわけでございます。

郡委員 ありがとうございます。

 今、中野副大臣から児童福祉法のお話がございました。この法案には、児童福祉法と学校教育法が含まれるというか、それに貫かれているというふうに考えていいのだろうというふうに私どもも理解いたします。

 そこでですけれども、児童福祉法の一条、二条、三条、先ほどちょっと御紹介がありました、それから学校教育法の七十七条と七十八条、この趣旨と理念が本当に貫かれているのかどうか、再度確認をさせていただきたいと思います。馳副大臣、お願いいたします。

馳副大臣 今般の認定こども園制度は、幼稚園や保育所等のうち、就学前の子供に教育、保育を一体的に提供する機能等を有する施設を認定するものであります。このため、この法案においては、認定の要件として、保育所等については、従来の保育に加えて、満三歳以上の子供に対し、学校教育法第七十七条の幼稚園の目的に基づき、第七十八条の幼稚園教育の目標が達成されるよう、保育を行うこととし、また、幼稚園については、従来の幼稚園教育に加えて、その教育時間の終了後に、児童福祉法第一条から第三条の児童福祉の理念を踏まえて、保育に欠ける幼児に対する保育を行うこととしております。

 加えて、認定こども園の認定基準についても、現行の幼稚園、保育所制度を踏まえ、教育、保育に関する国の指針を策定する予定としており、この点においても幼稚園教育及び児童福祉の理念を踏まえることとしております。

 したがって、今般の法案については、学校教育法及び児童福祉法の基本理念のもとに策定されているものと認識をいたしております。

郡委員 ありがとうございました。確認をさせていただきました。

 では、法案の詳しいところを伺わせていただきたいと思います。

 この法案は、認定こども園の条件として第三条が、また申請事項について第四条の第一項が規定されておりますけれども、その第三号、四号、保育に欠ける子とそうでない子の数を記載した書類を添付することというふうになっておりますけれども、この数というのは認定こども園各園が独自に定めてよいというふうに読み取れます。四月十四日の当委員会で白石審議官が、地域のニーズを踏まえたものとして認可される、多少の変動には柔軟に対応できる形だが、大きく変わった場合には認可の取り直しということになるというふうに御答弁されております。

 そこで、第三条第一項第二号は、認定の際に都道府県が需給バランスを考慮するということを意味するということですけれども、具体的にどのように需要を把握していかれるのか。そしてまた、毎年、そのニーズに応じて認定の取り直しをするということでしょうか、お答えいただきます。

白石政府参考人 今御指摘いただきましたように、認定こども園におきます、保育に欠けるお子さんと、それから欠けない子供さんの受け入れ枠につきましては、基本的には、今御指摘がありましたように、地域のニーズを踏まえて施設の判断で設定し、都道府県に事前に届け出る。ただし、保育所は、一義的には市町村が保育に欠ける子供に対する保育の実施義務を果たすための施設という位置づけでございますから、保育所型の認定こども園につきましては、地域の保育需要に照らして、こうした義務の履行に支障を来すことがないように、保育に欠けない子供の受け入れ数については、都道府県知事が適当と認める数にするというふうなことでございます。

 保育所型につきましては、認定について、今御指摘のように、有効期間を定めて、地域の保育需要に照らして、保育の実施義務に支障が生じるおそれがある場合を除いて有効期間を更新するというふうに書かれておりますが、これは、一応五年ぐらいを考えておりますけれども、その間におきまして、いろいろなことがあった場合には、例えば、その近隣の保育所への受け入れを考えることであるとか、あるいは、最低基準を守る範囲内において、保育所の受け入れのお子さんの数についてはある程度弾力的な対応ができるということを申し上げたわけでございます。

郡委員 それでは、実際の入園についてですけれども、例えば、保育所を希望するというお子さん、あるいは認定こども園を希望したいというお子さん、認定こども園の場合でも、保育所型を希望するというお子さん、幼稚園型を希望するというお子さん、大変ニーズは広がってまいります、複雑化してまいります。そして、さらに、料金設定もその園に任せられるということですから、この利用料についても大変複雑になってまいります。

 そしてまた、Aこども園がだめだったので、次、別のこども園を探してくれといったようなことがあった場合、その事務手続も大変煩雑なものになろうかと思いますけれども、そういったニーズがより複雑、多様化する中で、通常の幼稚園を除いて、これらのニーズをどういうふうに把握し、そしてまた需給バランスをとっていかれるのか、このところをお尋ねしたいと思います。馳副大臣にお願いいたします。

馳副大臣 まず、一応考え方を申し上げてから、具体的なことはまた厚生労働省の方から答弁をさせます。

 基本的に、需給バランスとか適正な配置割合ということが私は趣旨だと思いますが、基本的にはそういう概念ではないんですよね、概念としては。

 現状、幼稚園がございます、保育所もございます。そういった中で、今後、こういった新たな機能を持った制度、認定こども園という制度ができますと、これを周知徹底していくに当たって、内容についても、今先生御指摘ありましたとおり、お示しをしながら選んでいただくということになりますから、例えば、大都市ではこの程度の割合で認定こども園をつくりましょうとか、政令市、中核市、過疎地域ではこの程度にしましょうというふうな、そういう概念で割合を適正に配置する、こういう概念ではまずないということは御理解をいただきたいと思います。

 具体的な今後の基準等、どういうふうに判断して選んでいったらよいのかというふうな御指摘については、今厚生労働省の方から答弁をさせます。

白石政府参考人 認定こども園全体につきましては、今馳副大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、そのうちで、特に保育に欠けるお子さんに関しましてでございますけれども、認定こども園制度が創設されましても、引き続き、児童福祉法第二十四条に基づきまして、保育に欠けるお子さんに対して保育を実施する義務というのは市町村が有しておりますので、こうしたお子さんの保育所の利用状況につきましては、市町村が、情報を収集するとともに、適切な保育サービスを提供するということでございます。

 したがいまして、認定こども園の認定を受けました保育所につきましては、直接契約を導入することにいたしまして、利用希望者が多い場合の選考は施設が行うということでございますけれども、市町村が保育に欠けるお子さんと認定をしたお子さんにつきましては、人数の枠の中におさまったとか、おさまらない方が定員を超えてこれだけいるとかいうふうなことは、つまり選考の結果でございますけれども、市町村に届け出るということが義務づけられるわけでございます。

 この義務づけられた届け出を受けました市町村においては、そこの認定こども園の定員の枠を超えた形になります保育に欠けるお子さんにつきましては、他の認定こども園でない通常の保育所で受け入れるというふうなことにより、市町村全体としての保育の実施の責務を果たすということになるわけでございます。

郡委員 ですから、お話しのように、さまざまなケースがあって、それぞれで大変事務的な手続が煩雑になるであろうというふうに懸念しているということを申し上げたわけでございます。

 ところで、先日の御答弁の中で、大臣がこのようにおっしゃっておられます。十四日の御答弁でございましたけれども、窓口の一本化ということについて言及なさっております。「一本化してくださいよということは現場になるべく伝えるようにお願いをしておるんですね。」これは、本法案ではどこにも一本化ということは書いていないわけでございますけれども、認定こども園、幼稚園それから保育所、すべての担当の窓口を一本化するという意味でいらっしゃるのか、あるいはまた、幼稚園は従来のままで、そのほかを一本化するということでありましょうか。

 いずれにせよ、申請者あるいは利用者にとっては大変わかりにくいものであろうというふうに思います。また、市町村も大変負担もふえまして混乱をもたらすのではないかと大変危惧しておるところなんですけれども、この大臣答弁、徹底するというふうなことであるならば、これを通知になさるのか、あるいはまた、それは強制力というものを持つものなのかどうか、お尋ねしたいと思います。

小坂国務大臣 私、委員と同じように考えたんですよ。

 すなわち、制度的には、教育委員会に一本化するところ、それから福祉の関係の窓口の方に一本化するところ、それぞれの市町村の人員配置とかそういうものによって、それぞれの市町村、自治体の状況に応じて決めていくということになります。そうしますと、その地域の人は、役所に行って申請をしたときに、それはこちらに一本化していますという状況で、以降は全部それでわかっていくんですけれども。ただ、その広報をしっかりやらないといけないということもありますので、認定こども園制度を円滑に実施していくためには、利用者や施設の立場に立って窓口事務の一本化を図ることが重要だと私も考えております。

 そのために、法律案においても、地方自治体の関係機関間の連携協力義務を規定しているところでありまして、これは法律の十一条二項でございますけれども、これに基づいて、幼児期の教育、保育に関する保護者向けサービス窓口ということで一本化をしていただきたい、また、認定こども園の認定申請及び幼稚園、保育所の認可申請の受付窓口として一本化をしていただきたい、また、補助金申請窓口としても一本化していただきたいなど、事務の一元的な対応が図れるようにそれぞれ促してまいりたい、こう考えるわけでございます。

 それでは、これをどのようにやっていくかということでありますが、通知という形にすれば一番徹底されるわけでございますので、通知で出すような形を今後も考えてまいりたい、こう思っております。

 また、情報提供に関してましては、認定権者である都道府県知事が、インターネットの利用それから印刷物の配布その他適切な方法によりまして、認定施設に係る情報や提供される教育、保育の概要を周知する旨規定しているところでありまして、この六条一項の規定に基づいて、市町村においても同様に、市町村内の認定こども園についての情報を積極的に提供されるように促してまいりたいと考えているところでございます。

 また、苦情処理等も考えられます。この苦情処理につきましては、都道府県及び市町村の窓口において利用者等からの苦情に適切に対応して解決を図るように促してまいりたい。

 そのような際には、認定こども園についてのみならず、幼稚園、保育所の制度全体についての情報提供を行い、また苦情にも対応できるようにしっかりと促してまいりたいと考えておりまして、こういった広報等の徹底を通じまして、窓口の一本化が関係の皆さんに理解されるような体制に努めてまいりたいと存じます。

郡委員 ありがとうございます。

 事務的な手続を一つにしていく方向だということで、通知を考えたいというような御発言がありました。大変ありがたいと思うんですが、しかしまた、通知であれば強制力は持たないわけでして、この間の議論の中でも、市町村に対する負担というのがかなり大きくなるということがわかってまいりました。加えて、この認定こども園を創設することによって、例えば待機児童が多くいらっしゃる地域ではその利用料がはね上がってくる、あるいはまた、子供さんたちが少ないところではダンピングが進んでいく、そういったことを是正していくことも、これまた市町村の役目であろうと思います。

 そしてまた、多様なニーズをうまく振り分けていくということ、これも市町村の担当窓口だとしますと、この担当窓口の方というのは大変な能力をお持ちじゃないとなかなかできないことだろうと思います。鉄道のダイヤをつくるがごとく、そういう作業になるのではないかと思うんですけれども、ここをもう少し徹底して、負担を減らすような方向で何か考えられないものなのかということを重ねて申し上げたいと思います。これは、つまりは、保育の質というものを低下させることにつながりかねないという大変大きな危惧を持っているということを改めて申し上げておきます。

 次に、先ほども大臣、情報提供のことについてもちょっとお話がございましたけれども、情報というのを適切に利用者に伝えるということも重要な課題になってまいります。場合によっては、所得の低い保護者に対しては、認定こども園はちょっと料金が高いけれども、同じようなサービスメニューをそろえた保育所がありますよと。あるいはまた、反対に、所得の多い保護者に対しては、保育所よりもすばらしいサービスメニューをそろえた認定こども園というのがありますよといったような情報操作というのも、裏返してみると心配されるところでもございます。

 こういうようなことがないように、申請に際して園や市町村の適切な情報提供がされますように、ぜひ決まりをつくっていただきたいと思うわけであります。子供の生活を左右する重要な情報であるということにかんがみまして、この情報提供の方法、それからその中身、また最低限の要素というのを政省令などで定めていただくわけにはいかないかどうか。これは大臣に御答弁いただきます。よろしくお願いいたします。

銭谷政府参考人 認定こども園につきましては、都道府県知事の方で認定をした後に情報提供ということが義務づけられているわけでございます。この中では、認定に当たりまして、どういうところが認定になっているのか、その施設の名称や所在地、それから、そこで保育をする子供の数等々につきまして、インターネットあるいは印刷物の配布その他適切な方法によって情報提供しなきゃいけないということになっておりますけれども、さらに、知事が認定をする場合に、どういった事柄の周知を図っていくのか。その点につきましては、私どもも今後十分に検討いたしまして、政省令になるのか等も含めまして十分に検討して、できるだけ住民に情報が提供できるように努めてまいりたいと思っております。

小坂国務大臣 御指摘の情報提供に関しましては、認定権者である都道府県知事が、インターネットの利用、印刷物の配布その他適切な方法により、認定施設に係る情報や提供される教育、保育の概要を周知する旨規定しておるわけでございまして、これは六条の第一項。それから、そこで引いているものが、「第四条第一項各号に掲げる事項及び教育保育概要についてその周知を図るものとする。」というふうになっておりますので、今委員の御指摘のものは、ここで法律として担保されているというふうに考えております。

郡委員 ですから、先ほど申し上げましたように、さまざまな混乱が起きないように、しっかりとした仕組みをつくっておくべきではないかということを申し上げたのでございます。政省令でぜひお定めいただきたいと思います。いかがでしょうか。

小坂国務大臣 この法律で定めている事項が具体的にどのような取り扱いになるか、各都道府県の取り組みというものをしっかり見守りながら、必要に応じて対応してまいりたいと存じます。

郡委員 余り前向きな御回答ではないので、大変残念に思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 現在、保育所にも、また幼稚園にも行っていない子供たちというのが、今全国でどのぐらいいるのか、そしてその理由は何であるのか、それについてお尋ねをいたします。

白石政府参考人 平成十六年十月現在を基本として、ちょっと数字をお答えさせていただきたいと思います。

 就学前のお子さんは、おおむね七百五十万人ほどでございます。このうち、幼稚園には百七十五万人、保育所にはおよそ二百九万人のお子さんが入所しております。逆に、いずれにも入所していないお子さんというのは、〇―二歳児では二百八十五万人、三―五歳児については八十万人。そのうち、ちょっと細かい話になりますが、いわゆる年長さん、五歳児から就学前のお子さんに限りますれば六万人ということでございまして、このように、就学前のお子さんのうち、特に三歳以上のお子さんはその多くが幼稚園、保育所のいずれかを利用しておりますが、〇―二歳児につきましては、その保護者の多くが片方が就労しておらず、家庭において子育てされている状況になっているというふうに考えております。

郡委員 およそ三百五十万人ということでよろしいんでしょうか。

 それでは、馳副大臣にお尋ねしたいと思います。

 所得が低くて、しかも子育て力が不足しているという若い親御さんたちの世代なんですけれども、これは、親が家庭にいれば、保育に欠けない子というふうなくくりに入ります。ここの層で児童虐待などが起こっているということも統計的に出ております。そしてまた、大人の目が届かないところで、大変悲惨なことに、死に至るというケースも次々と出てきているわけでございます。

 児童福祉法の第二十四条で規定します第三十九条の第二項、「保育所は、」「特に必要があるときは、」というところで、監護すべき乳児、幼児、また、特に必要がある児童についてしっかりと見ていかなくちゃいけないというふうに規定されているわけですけれども、これを柔軟に拡大していただきたいというふうに思っています。多様なニーズにこたえるということで創設される認定こども園ですので、ぜひ受け入れていただきたいと思いますが、その際の保育料でございますけれども、所得が低いという層の、そしてまた保育に欠けないという条件がつくわけですが、その際の保育料の設定というのはどうなりますでしょうか。

馳副大臣 郡委員、非常に重要なところを御指摘いただいて本当にありがとうございます。

 私も、四年前に児童虐待防止法を改正するときに、たくさんの保護者、また児童虐待防止に関する団体、また、当時の厚生労働省の児童家庭局ですか、担当者、いろいろな話を聞いて、実は改正の非常に大きな論点だったのがここなんですよ。保育に欠けなくても、自宅で面倒を見ていても、実は、低所得者層の中で、そういうお子さんの中で、児童虐待の虐待を受けているお子さん方を分析したとき、やはり非常に多かったんですよ。何とか救ってあげるべきではないかと。児童福祉法でこういう規定があるから、改正児童虐待防止法でもその規定を何とか引っ張ってくることができないかということが本当に大きな論点であった。

 いろいろな親がいるんだと思いますけれども、子供にとっては親を選べないわけですから、そういう状況にある子供を虐待防止の観点から救ってあげられないかということで、保育所において、まさしく特別な支援を要する家庭のお子さんに対する支援、優先的に入所させてあげるようにしましょう、こういうふうな書きぶりにして、厚生労働省の方からもいろいろと、児童福祉法の規定に基づいて、児童虐待の虐待を受けているお子さんについて、わかりやすい言葉で言えば、ちゃんと入れてあげましょう、同時に保護者に対する支援もしましょうということを約束したことを今急に私も思い出しました。

 ですから、今般のことに関しても、これは就学前の教育、保育を一体的にやるということでありますから、認定こども園に関しても対応をするということは当然に考えております。ただ、〇から二歳児に関しては、長時間受け入れるということではなくて、いわゆる子育て支援事業という中での受け入れということになりますし、また、三歳から五歳児に関しましては優先して受け入れるということは当然のことであろうと私は思っております。

 また、では利用料はどうなるのかというのは、これは現行と同様に、低所得者の方に対しても利用料金は低額で利用できるように配慮されるのは当然というふうに考えております。

郡委員 児童虐待防止法のときにも大変御尽力いただきました馳副大臣ですから御答弁いただきましたけれども、子育て支援事業だけで間に合うのではないという、ぜひそういう観点で取り組んでいただきたいと思います。現行制度の中でも置き去りにされている子供たちが多いのだということ、その子供たちに光を当てるのが多様なニーズに対応するための本法案の目的の一つであろうかと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 次は、認定の条件になっております子育て支援ですけれども、その中身がよく見えてまいりません。今後決めていくというふうに説明をされていらっしゃいますけれども、本来、この法案が出たときに一緒に準備をされて、そしてこの議論の場に出てこなくちゃいけないものだというふうに思っております。

 保育所の場合、待機児童を受け入れるということに機能を強化いたしますと、この子育て支援事業をする余裕が果たしてあるのだろうか。また、そのための人件費などはどの程度補助されるものなのか。それから、費用負担が大きければ機会を失う子供も出てくるわけで、この子育て支援事業は無料で行うということが条件として設定できないものなのか。有料の場合ですと、現在でも、幼稚園の放課後を利用いたしまして有料の親子お絵かき教室であるとか親子英会話教室といったようなものもあるわけでございまして、それとどういうふうに違ってくるのか、この辺が全然見えてまいりません。ぜひお答えください。

白石政府参考人 まず、認定こども園の子育て支援に関する人件費の助成のお尋ねと、それから、有料か無料かというふうなお話だったと思います。

 認定こども園につきましては、地域の子育て支援が必須の機能であることは御指摘のとおりでございます。この子育て支援機能につきましては、例えば子育て相談や親子の集いの場を週三回以上開設するなど、保護者が利用したいと思ったときに利用可能な体制の確保というものが必要でございまして、こうした子育て支援につきましては、現在も、例えば保育所におきましては、地域子育て支援センターや一時保育に対する補助であるとか、あるいは幼稚園におきましては、子育て支援に対する私学助成等によりまして職員の配置に関する支援を行っておりまして、これらの助成の仕組みを今後も活用してまいりたいと考えております。

 それから、こういう、現在国がいろいろ財政措置を講じております子育て支援事業につきましては、基本的に、利用者に一定の御負担をお願いするということを前提にしておりまして、認定こども園におきます子育て支援についても同様のことになろうかというふうに考えております。

 それから、お絵かきの話がありましたので若干付言いたしますと、認定こども園におきます子育て支援につきましては、去る三月の評価委員会の報告書にもありますように、単に親の育児を肩がわりするための子育て支援ではなくて、親御さんへの支援を通じて親自身の子育て力の向上というふうなことを積極的に支援するという観点が大事でございますので、例えば英会話であるとか絵をかくというふうなことそのもの自体を使って子育て支援に役立てるというふうなことならばともかく、絵をかくこと自体で子育て支援かどうかということになると、ちょっと疑問とするケースもあるわけでございますので、それは、それぞれそのプログラムの概要を見ての判断ということになろうかと思います。

郡委員 そのプログラムを見てという御答弁でございましたけれども、その判定される方の基準はどこに持ってくるのか等々、非常にあいまいなままであるということが言えるわけでございます。

 本来、地域での子育て支援事業というのは自治体が責任を持ってやるべき仕事でございまして、そこで高い料金設定が出てくるような子育て支援事業が、この認定こども園の義務になっている子育て支援事業にならないように、やはりここも政令や省令やらでしっかりと定めるべきではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。

白石政府参考人 今、御指摘ありましたように、まさに子育て支援事業そのものは市町村が責任を持って行う事業でございます。自治事務ということでございますので、細かいところまで私どもの方で決めて規制するという形ではなくて、市町村の自主性、その地域での創意工夫というものにゆだねる部分が多かろうと思います。

 その上で、例えば地域子育て支援につきましても、交付金、使い勝手のよい補助金で、何でもこういうものでなければだめだというのではなくて、ある程度裁量が許されるような形での交付金というふうな形で、市町村を国の方から援助している形もとっておるわけでございますので、ただ、その場合に、余りに何でもありという、先ほど絵画教室の例が出たので、あえて私の方でも付言いたしましたが、何でもありということではないんだということにつきましては、基準であるとか、あるいは通知のような形で、参考になるような指針を示していくということになろうかと思います。

郡委員 それは、指針で示していくということでございましたですね、今の答弁は。

白石政府参考人 基準として示す中に入るものもありますし、解釈あるいは疑義照会に対してお答えするという形のもの、さまざまな形があろうかと思います。

郡委員 わかりました。私自身はなかなかすっきりいたしませんけれども、次にまた大きな心配事がありますので、お尋ねをさせていただきます。実は、保育料、利用料のことなんですけれども、利用料の未払いの場合について伺いたいと思います。

 認定こども園では、厚生労働省側からは、こども園の判断になるが、その場合は保育所で市町村が受け入れることになるというふうに御答弁されております。これをそのまま解釈いたしますと、認定こども園では、料金未払いであれば、これは退園することを余儀なくされるというふうなことだと思うのですけれども、確認をさせていただきたいと思います。

 未納で追い出された場合、せっかくつくられる、「子どもの最善の」ということをうたっていながら、これでは子供をほうり出すということにつながります。その辺のところをぜひお答えいただきたいと思います。この法律は関知しないということでしょうか。

白石政府参考人 前に御答弁申し上げたことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、一般の保育所におきましては、今、御案内のように、市町村と利用者の契約で利用されるわけでございますので、利用者が市町村への利用料を滞納したということで、施設側が出ていってくださいというふうなことにはならないということでございます。

 その一方で、認定こども園の認定を受けました保育所におきましては、今お話ありましたように、利用者が施設と直接の契約をするわけでございます。施設が定める利用料を施設に支払うということでございますので、利用料徴収の責任と未払いの危険というものは、市町村ではなく施設が負うことになるわけでございますので、利用料の滞納ということを理由に施設が利用者に退所願うということは、それはあり得るということを御答弁申し上げてございます。

 ただし、これも繰り返しになりますけれども、市町村には保育の実施責任があるということでございますので、こうした場合でも認定こども園ではない一般の保育所に入所させるなどの適切な措置を講ずることになるわけでございます。

 また、認定こども園の認定を受けました保育所の利用料でございますけれども、そのコスト、保育サービスの提供に要した費用を勘案する一方で、保護者の家計に与える影響を考慮して定めるわけでございますので、最初から低所得者への利用に配慮した料金設定になることが求められておりますし、また、急な事情変更、例えば災害等で急に資産が滅失したようなケースに関しましては、保育料そのものに関しまして特段の配慮ができるというシステムもございますので、理念的な話であれば御退所願うことができるということはある一方で、しかし、それに対する配慮はあるということでございます。

郡委員 ですから、認定こども園で料金の未納があった場合は、そのお子さんは退園を余儀なくされるということですね。これは、お金次第だということを国が認めるということであろうかと思います。

 同じ園の中で、あの子はお金がないから追い出されたんだとというようなことが、それこそ教育の現場で、保育の現場で、子供たちに世の中お金次第だということを植えつけることにならないかどうか、大変心配でございます。

 また、児童福祉法にうたわれております、児童が心身ともに健やかに生まれ、かつ、育成されるよう努めなければならなく、すべての児童は、ひとしくその生活を保護され、愛護されなければならない。この理念というのは、やはりこの認定こども園の法律の中には入っていないということだ、そういうふうに思わざるを得ません。(白石政府参考人「委員長」と呼ぶ)いや、結構です、結構です。まだまだ伺いたいことがあります。私は、やはりこれは大変冷たい法律だなというふうに、この点、特に認識いたしました。

 続いて、給食室のことについてお尋ねをしたいと思います。

遠藤委員長 ちょっと、今の件で答弁を求められておりますので。

郡委員 私は、質問ということではございません、私の考えを申し述べただけでございます。

 重ねて質問させていただきます。給食室の規制緩和について質問をさせていただきます。

 十四日の委員会で、大臣は調理室についても、設置が望ましいが外部搬入を認めると、評価委員会の最終まとめの考え方を指針の中に盛り込むというふうに御答弁なさっていますし、銭谷局長もまた、調理室の設置などについては特例を設けるというふうに御発言なさっています。そして白石審議官は、調理室の設置に外部搬入を認める場合は三歳以上とするのが適当だというふうに御答弁なさっています。給食室を設けるんだという保育所のこれまでの基準要件が緩和されるということになるわけですけれども、この件につきましては大変に批判が多うございます。

 これまでもさまざまに議論がされているわけですけれども、私も改めて質問をさせていただきたいと思います。この給食についてですけれども、食育基本法の精神は生かされているのでしょうか、お答えください。

白石政府参考人 認定こども園におきます食事、子供の発育、発達に欠くことができない重要な要素であることは御指摘のとおりでございます。食育を通じました子供さんの健全育成の観点からも、調理室の設置は望ましいと考えております。その一方で、認定こども園につきましては、地域のニーズに柔軟に対応できるというふうなことも必要でございますので、既存施設からの移行が困難とならないような対応が求められているという、また別の要請もございます。

 その別の要請もございますけれども、離乳食への対応というふうなことで、特に配慮が必要な〇―二歳児につきましては、引き続き自園、自分の園での調理により対応することが必要だというふうな一方で、一定の条件を付した上で外部搬入を認める場合もあるということは評価委員会の方でも御指摘をいただいておりますが、その中身といたしまして、私どもは、三―五歳につきましても、基本的には自園調理が基本でございますけれども、食物アレルギーのお子さんであるとか、あるいは体調不良のお子さんへの対応であるとか、あるいは主体的に園の方がかかわることであるとか、これは先ほども御答弁申し上げましたが、衛生面とか、当然のことでございますが、そういう一定の条件を付した上での給食の外部搬入については、あり得るものだというふうに考えております。

郡委員 総合施設モデル事業の評価委員会の最終まとめの中にもございます。「一部の施設については子どもの年齢に応じた給食の提供等の面できめ細やかな対応が行われていない状況も懸念されており、」「食育を推進する観点から、調理室についてはその設置が望ましい。」というふうに、これは三月三十一日に出たものですけれども、この一部の施設についてきめ細やかな対応が行われていない状況もあると。詳しく御報告ください。

白石政府参考人 昨年度に実施いたしました総合施設モデル事業におきまして、全国三十五カ所のモデル実施をいたしましたが、そのうち八カ所におきまして給食の外部搬入というところがあったわけでございます。これらのモデル事業実施施設に対しましては、書面調査と実地の調査を行いましたが、給食の外部搬入を実施した施設の一部におきまして、刻み方であるとか、あるいは乳幼児にはちょっと塩分が強過ぎるのではないかというふうなこと、あるいは食物アレルギー児への対応が十分とは言えないというふうな状況のあるところがあったということでございます。そこで、この総合施設モデル事業の評価委員会におきましては、最終まとめをまとめた中で、調理室についてはその設置が望ましいけれども、仮に外部搬入をとることを認める場合でも、調理機能、栄養面、衛生面、個々の子供の年齢、発達、健康状態に応じた対応等につき、一定の条件をつけるというふうなことでございます。

 詳しくということでお答え申し上げますと、小学校の給食の量を減らしただけのようなものに見えたところがあったり、あるいは刻み方が大きかったり、先ほど申し上げました塩分の話であったりというふうなことで、ちょっとどうかなというふうなところがあったというふうに承知しております。

郡委員 確かに、私もこれを読ませていただきましたけれども、外部搬入なので細かい対応が十分にできていない、〇―二歳児に対応できるような食事ではないといったようなことも随分と挙げられているわけでございます。

 食育基本法に位置づけられました基本計画というのがことしの三月にできたばかりでございます。食育基本計画、この中に、平成十六年三月に作成、公表された保育所における食育に関する指針を参考に、組織的、発展的な食育の計画の策定等が推進されるよう支援を行うというふうに書いてございました。

 私、ちょっとわからなかったものですから、その十六年の三月の指針というものは何だろうと思って、調べました。そういたしましたらば、ございました。「食育における保育所の食事の位置づけ」という、しっかりまとまったものでございます。

  子どもは、毎日の保育所での食事を通して、食事をつくる人を身近に感じ、つくられた食事をおいしく、楽しく食べ、それが「生きる」ことにつながっていく。それを実感できる環境を構成することが望ましい。たとえ、保育所という集団の場であっても、家庭での食の営みとかけ離れないように、食事をつくる場と食べる場をつなげ、子どもに生産者や食事をつくる人の顔が見えるように工夫することが「食育の目標」を達成するために大切である。

というふうに、しっかりと書かれてございます。

 そこで、副大臣、保育園は生活の場であると思います。この指針を尊重し食育基本計画に合わせるのであれば、これは給食室は必置であるべきというふうに思いますけれども、いかがでございましょう。

中野副大臣 今の御質問にお答えしたいと思います。

 保育所におきましては調理室は必置でございます。

 この法案におきましての今の委員の問題につきましては、特に幼稚園に保育所が併設される場合に、十人以上ということになってきますと、そこに相当な施設をやることが果たして適当かどうかという観点も一面ではある。その中で、今審議官が御答弁したような、そういう条件というものは当然なければいけないわけでございますから、その点も御理解願いたいと思います。

 ですから、保育所においては、調理室をつくるというのは、これは当然のことでございますから今までやっておりますし、その意味で、認定こども園でも、保育所に併設においてはこれからもずっとやってあるということはもう当たり前のことで、御理解願いたいと思います。

郡委員 ですから、認定こども園の保育所機能を持ったところですよ、そこについて申し上げているわけですけれども、そこが一定基準で緩和されるということは、この食育基本法についても、一方では必要だよと言っていながら、全くこれは整合性がとれていないのではありませんか。

 通知も出ています、通知も。重ねて申し上げましょう。乳幼児の一日の生活時間の大半を過ごす保育所は、保育所における食事の意味は大きい。空腹を満たすだけでなく、人間関係の信頼関係の基盤をつくる営みでもあり、豊かな食体験を通じて食を営む力の基盤を培う食育を実践していくことが重要である。こういうふうに通知も出ているんですけれども。

小坂国務大臣 郡委員の御指摘は、畳みかけるようにおっしゃるので、なかなか難しいんでございますが。

 例えば、先ほどの利用料滞納にしても、これは市町村においては保育の実施責任がありますので、その市町村の担当者は、引き続き認定こども園で保育を続けられるようにしてもらえないかと。どうしてもそこで拒否されれば、どこか別の、一般の保育所に入所させる責任があるわけでございますから探すわけですけれども、当然交渉して、そういうような形で、保護者の立場で市町村の担当者も交渉していくことになりますので、大変冷たい法律だというふうにおっしゃったけれども、冷たくならないようにみんなで協力していくというのが基本姿勢だと思います。

 同じように、食事につきましても、幼児に冷たい食事をさせたくないというのは、幼稚園の教諭であっても保育士であっても同じような考え方を持っておりますから、外部からの調達にしても、それは今おっしゃった食育の基本計画の中にある、実施計画の中にあるものは、それぞれに理想的な形として我々はこれから推進をしなきゃいけないものでございます。

 そういった精神は保育現場の皆さんもお持ちでございますし、そういった努力を期待しながら、ただ現実に、預かってほしいという方がいらっしゃって、その方をどういう形で、待機でなくて、現実的に対応するかという、そのニーズとのバランスを考えて、一部緩和を行ってでも、そういった方に保育の環境を提供していきたいというのが、認定こども園のそれぞれの状況に応じた対応ということでございますので、その辺に対しての御理解をいただきながら、努力ということをしないというわけではないということもあわせて御理解を賜りたい、このようにお願いをいたします。

郡委員 さらなる危惧についてお尋ねしたいと思います。

 総合施設におきましては、職員の配置というのをより手厚くしなくちゃいけないんじゃないかということであります。

 幼稚園や保育所などに、どういう事故があるかというようなことを調べました。文科省は、幼稚園を含む学校における事故数については、これは報告を求めていないのでその数を把握していないということで、ちっとも教えてくださいませんでした。厚労省は、保育所の、認可保育施設も含むということですけれども、死亡事故件数を伝えてくださいました。

 しかしこれは、調べればすぐわかることであります。国会の調査室に調べてもらいました。独立行政法人日本スポーツ振興センターというところ、保険の給付によって数を調べたものでございます。

 一年間、平成十六年度の数ですけれども、幼稚園では四万九千六十二件の事故が、そしてまた保育所では六万三千六百三十一件の事故が発生しております。この中でも、死亡事故というのもあります。

 さらに、新聞をいろいろと繰ってみましたけれども、遊具に園児が宙づり、首にロープ絡まる。四歳の園児ですけれども、これは二十人の子供たちに対して二人の保育士さんしかいらっしゃいません。それから、大雪、屋根から落ちてきて六歳死亡。三十七人に対して二人。それからまた、一歳児、押し入れで遊び重体。これは、一歳という、とても手のかかる子供たちのところに、保育士さんが八人をたった一人で見ているという状況です。また、死の隠れんぼ、本棚で熱中症になってしまった、こういうこともございました。これも職員の配置が大変薄いところです。

 認定こども園、小坂大臣もお子さんをお育てになっていらっしゃるでしょうから、もちろん馳副大臣もそうでありましょう、子供たちがどういうような状況になるのか。傍らに乳幼児がいて、そこに、そういう気がなくても、馬乗りになってしまったり、あるいは抱っこしようとして落としてしまうようなこともあり得るわけで、ここに対しての配置というのをしっかりとしなくちゃいけないというのは、家庭の中でさえあることであります。人件費の上乗せ配置への補助などを検討してこそ、このこども園というのが成り立つのではないかと思います。危険防止の観点からも、ぜひ御検討いただきたいと思います。

小坂国務大臣 今般の制度は、幼稚園や保育所が就学前の子供に対して教育、保育を一体的に提供する機能に着目して認定するものでございます。

 認定こども園の教育、保育の水準につきましては、幼稚園及び保育所における教育、保育の水準と同等とすることを基本としておりまして、人員配置についても、こうした考えのもとで、国の指針に盛り込む方向でございます。

 国の財政措置は、既存の幼稚園、保育所の予算を活用して対応することとしておりまして、また、幼稚園と保育所が一体的に設置される幼保連携型に関しましては、その幼稚園、保育所の設置者が学校法人、社会福祉法人のいずれであっても、特例的に経常費及び施設整備費を助成する措置を講ずることとしたところでございまして、こうした考え方によって、この幼稚園及び保育所の予算については、認定こども園の認定を受ける施設も含め、これらのニーズの状況を踏まえた適切な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

郡委員 また、これは幼稚園が認定こども園となった場合なんですけれども、そもそも幼稚園の職員の方々というのは、夏休みなどの休暇が魅力で教諭になったんだというようなことも聞くわけですけれども、預かり保育ということもふえてまいりましたし、これまでよりも勤務時間がかなり長くなって残業がふえているというのは現状でもかなり全国的に広がっているところであります。

 こども園になる場合の課題が多いということを先日奥村委員も質問されましたけれども、こども園にする場合には、少なくとも、職員との話し合いや労使協定など、変更ですとか再確認などの必要があろうかと思うんですが、職員が少なく、組合もほとんどない職場、働く者の権利や環境を守っている厚生労働省の副大臣にお尋ねしますけれども、認定申請の条件として、職員との同意や話し合いなどを前提にするよう指導をすべきではないかと思われますが、いかがでございましょうか。

中野副大臣 認定こども園におきましては、例えば異なる年齢の保育の問題とか、それからまた低年齢の、例えば一歳から二歳の保育とかというような、教育、保育の質の確保、向上の面でさまざまな工夫や配慮をする必要があるということは当然だと考えております。このためには、子供の教育、保育の担当者の間で密接な連携協力を図らなければならない、これが重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 今年三月の総合施設モデル事業評価委員会の最終まとめでも御案内のとおり、第一に、職員間の意思疎通を円滑にするための会議や研修を開催すること、また、研修の内容を幼稚園教諭と保育士の相互理解につながるような内容にすることなど、職員の理解を深めていく取り組みを促してまいりたいと考えております。

 よろしくお願いします。

郡委員 伺いたいことはもっとたくさんあったんですけれども、時間が参りました。

 冒頭、大臣、副大臣にお尋ねいたしました「子どもの最善の利益」ということを第一に考えるということであれば、子供は親を選ぶことはできないわけでありますし、そのすべての子供たちに対して、愛護するための最善の環境整備ということを第一に考えていただいて制度をつくらなくちゃいけないんだということだと思います。ぜひとも、そしてまた厚生労働省には、セーフティーネットそしてナショナルミニマム、この二つの組み合わせで制度をつくっていくんだという姿勢で取り組んでいただきたいと思います。

 私は、この法案は、残念ながら、危惧をするところがたくさんあるということを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

遠藤委員長 田名部匡代さん。

田名部委員 民主党、田名部匡代でございます。

 今、子育てを終えた郡議員から御質問があったわけでございまして、やはり子育てを経験した人の御発言というものは本当に重みがあるな、そのように思いました。残念ながら、私、まだ子育てをしておりません。ですが、これからしっかりと子供を産み育てられるように、ぜひそういう、安心して産み育てられるような環境のために、きょうは心を込めて御質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、根本的なことをお伺いしたいと思います。

 子育て支援とか少子化対策として一体何をすべきなのか、そして就学前の子供の教育そして保育についてどうあるべきだとお考えなのか。大臣そして中野副大臣、お答え願います。

小坂国務大臣 基本的な御質問でございますけれども、委員はまだ子育てをしていないとおっしゃいました。委員が、子供っていいな、欲しいなと思って、そのときに子育てって楽しいんだと思ってもらえるような環境が恐らく理想なんだと思うんですね。

 ただ、現実はまだそうなっておりません。その原因は何があるのかといえば、働き方の問題が一つあります。それから、今の子育ての支援環境というものが、それぞれ地域によって、やはり整っていない地域もあります。それから、人生そのものを左右するような非常にセンシティブな時期に、充実した幼児教育の環境、保育環境というものを提供するということが必要でありますけれども、それぞれに理想に近づいてはいると思うんですが、それが十分に確信できるかどうかという問題がございます。こういったものが不安となって、そして少子化へつながっているというようなことがあると思うんですね。

 私は、子育て支援というのは、そういった不安を一つ一つ丁寧に取り除いていくことだと思いますので、そういったことを目指して、現状として待機児童がいるように、共稼ぎをしなければ生活がやっていけない、しかし、その子供を預かってくれるところが近くにない、そういう環境であれば、何とかそこを補う方法を現実的に考えたいという中から、こういった制度をつくったりしながら、子育て支援の充実を図ってまいりたい、少しでも前進をさせたい、そういう思いで取り組んでまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、池坊委員長代理着席〕

中野副大臣 田名部委員の、子育て支援、少子化対策に関する見解はどうだという御質問についてお答えをしたいと思います。

 厚生労働省といたしましては、少子化への対応については、これまでもさまざまな角度から各般の施策を進めてきたわけでございますが、残念ながら少子化の流れを変えるには至っていないと思っております。

 この原因といたしましては、長時間労働の風潮が根強いなど、働き方の見直しに関する取り組みが進んでいないということ、また、待機児童がまだ多数存在するなど、子育て支援サービスがどこでも十分に行き渡っていない、また、若者が社会的、経済的に自立し家庭を築くことが難しい状況になっているということが考えられると思います。

 こうした状況を踏まえまして、平成十六年末に子ども・子育て応援プランを策定いたしまして、平成十七年度から、若者の自立、働き方の見直し、地域の子育て支援の各般にわたっての具体的な目標を掲げまして、施策を総合的に進めておるところでございます。

 特に、少子化対策につきましては、本年六月を目途に取りまとめることになっております少子化社会対策推進会議の議論の結果を踏まえつつ、少子化の流れを変え、明るい未来の展望が開けるように努力してまいりたい、こういう気持ちが基本的な考えになります。

馳副大臣 子育て支援、また少子化対策について、私も、副大臣としてという立場も含めて申し上げさせていただくならば、子育てをする喜びをたくさんの子供たちに理解していただくという意味では、文部科学省の役割は本当に私は重いと思いますね。

 損か得かで考えたら、自分の時間をとられたり、またお金もかかりますし、またほかのお子さんに迷惑をかけないだろうかとか、田名部さんのように、娘が選挙に出るとなれば、お父さんも大変不安でしょうし、私、お父さんにお会いするたびに、お嬢さんのことを話題にするんですが、本当にうれしそうに。負担がかかっても、うれしいんですよ。親というのはそういうものなんですね。

 私も、けさ、朝起きて、走って、子供の御飯をつくっていたら、女房が、あなた、そんなことしないでいいから、国会へ行きなさいと言うけれども、子供の御飯をつくる喜びというのは何物にもかえがたい喜びです。そういう子育てをする喜び、それを、お母さんとかお父さんという概念ではなくて、みんなで支える。また、職場においても、子育てをしている若いお父さん、お母さんをみんなで支えてやろうという機運を持つ。そして我々国会議員とすれば、役所の立場からすれば、いかに予算配分をその方向に向けていくかという、そういうシステムづくりになると思います。

 子供を育てることは、子供にも育てられる、大人としての責任である、こういった思いを持ちながら諸般の課題に取り組んでいくべきだなと、私はそう考えております。

田名部委員 大臣、そして両副大臣のお話をお伺いしていますと、子供を産み育てるということは楽しいのかなと、そういう気持ちにもさせられました。しかし、子供を産まないという選択もあり、また産みたくても産めないという女性もたくさんいらっしゃる、そういったことも含めて考えていかなければならないというふうに思います。

 小坂大臣がおっしゃったように、不安を取り除くということも大きな役割だと思います。そして、地域間の格差というか、預けるところがない地域もあるんだと。まさに、私は青森県の出身でありますけれども、近隣の町村に行きますと、公立の保育園がもう維持できないというような状況にあります。ですから、そういった苦しい町や村で頑張っている公立保育園にも、ぜひ国も目を向けて、支援を考えていただきたいなと、そのように思います。

 お三方のお話を聞いて、何となく、子育てに明るい兆しが見えるのかなと一瞬思われるわけですが、しかし、これまでもいろいろな取り組みを政府はしてきました。私もそのすべてを否定するつもりはございません。しかしながら、各省がそれぞれに、いろいろな事業だとか政策を立ち上げて行っているということが必ずしも有効ではない、そういうふうに思います。

 特に、先ほど来、皆様おっしゃっておられましたように、子育て支援や少子化対策、そして教育や保育の問題ということに本当に本気で取り組もうとするのであれば、子供を取り巻く環境の全体を把握して、総合的な判断をしていく必要がある、そのように思っています。育児休業のこと、また就業形態のこと、そして再就職支援だとか女性の賃金問題、労働環境の改善、そういったことをすべて含めて、同時に推し進めていかないと、子供にとっても、そして親にとってもよりよい環境はつくられないのではないか、そのように思います。また、最優先に、子供の視点に立って、子供のためになることを考えていかなければなりません。

 ただ、今回の政府の法案の中身を見ても、どうも国を挙げて子供のことに取り組んでいこうという姿勢が私には感じられないわけであります。あくまでも各省それぞれの権限といいますか、ことは守りながら、親のニーズとして幼保一体化のような施設も求められているから、とりあえずそういう施設をつくっておこうかなと、形だけそういうものをつくったとしか思えないわけであります。

 もう何度も言われてきたことかもしれませんけれども、各省縦割りの取り組みでは、子供に関しての施策というもの全体を把握できないと思います。本当に国が子供のことを考えた支援をしようとするなら、また、子供や子育て中の親御さんを社会全体で育てる、守っていく、そういう体制をつくるつもりがあるのであれば、国の体制そのものも変わっていかなければならない、そのように思っています。

 やはり、民主党がいつも言っているとおり、子ども家庭省、そういうものをつくり、一つの省で子供のための総合的な政策に取り組んで、また十分な予算を確保していくことが必要なのではないか、そう思うわけですが、大臣、今申し上げたように、この子ども家庭省、国を挙げて子供の教育や子育て環境を整備する、そして少子化対策に取り組んでいくということについてどうお考えでしょうか。

小坂国務大臣 大変に政治全般について問題意識を持っての田名部委員の御質問でございます。

 子育て支援や少子化対策というのは、教育、保育、働き方の見直しなど、各般の施策についてまさに政府を挙げて取り組むべき必要があるわけでございます。その点においては御指摘のとおりでございます。

 しかし、私ども文部科学省における家庭教育支援などの子育て支援や少子化対策に資する施策というのは、学校教育、社会教育など幅広い教育施策との間で密接な関係があるわけでございまして、関係施策の連携を図って実施することが必要でございます。それは、すなわち、幼児期における幼児教育、そして生涯教育、こういったものが、子供と家庭という一つのくくりだけではなく、この取り組みにおいても、また福祉の面との連携、あるいは経済産業の今経済産業省が行っている分野との連携、いろいろなものが常に出てまいります。

 したがって、一つの省庁に所管を一元化するというのではなくて、各省庁が密接に連携をしてこれらの関連する分野も含めてきめ細かく対応していくことが適当であると私どもは考えております。

 まさに省庁縦割りの弊害ということがよく言われますけれども、私は役人自身が、そして政治家がこの省庁の縦割りの、業務の縦割りという意識ではなくて、自分の仕事をその目標に向かって進めるという意識を持つならば、省庁の壁というのはお互いの連携によって取り払うことができると思うんですけれども、省益とか自分の局益とかというような形で、視野を狭く持ってしまう可能性、どうしても人間のさがとしてあるわけですので、自分たちが努めてそういう意識を持たせるような、そういった省庁のあり方、それをまた政治家として指導をし、またそういった日常の日々の取り組みにおいても政治家がそういった意見を述べながら政治主導でこれを改善していくことが必要かと考えております。

 なお、子ども・子育てにつきましては、全閣僚が参加している少子化社会対策会議を通じまして総合的に推進をいたしているところでございまして、子ども家庭省という御提案ではございますが、私は連携という方向で当面対応させていただきたいと考えているところでございます。

田名部委員 それぞれの省庁で一生懸命子供のことに関して取り組んでいらっしゃるというのは私も理解をさせていただいております。

 ただ、各省でいろいろな政策を立ち上げて、そこに予算をつけて、でも中身を見てみると、実際同じような政策であったり支援策であったりというようなことがあると思うんです。そこに予算がばらばらについていることは私はもったいないんじゃないか、無駄だと思うわけです。それならば、しっかりとした予算を確保して、ばらばらではなくて、同じような支援策を一緒に取り組んでいくという方がずっと効率的ではないか。予算の面だけではなくて、人員の問題にしても、その方が有効なのではないか、そのように思うわけであります。こういったことを機会に、子供のことをどういう形で体制づくりをしていくのか、支援していくことが望ましいのかということをぜひお考えいただきたいな、そのように思っております。

 先ほど郡議員の発言の中にもありました、私もけさの毎日新聞の記事を読みました。内閣府が調査した少子化社会に関する国際意識調査、これは既に子供を持つ男女のうち、子供をふやしたいと答えた人は、日本では残念ながら四三%でありました。調査国中、最も低い比率であります。また、ふやしたくないと回答した人の半数以上が子育てや教育にお金がかかり過ぎると金銭的理由を挙げております。

 日本で子供をふやしたいと考える比率が他国と比べて低い、その背景には、やはり、保育サービスが充実していない、税制上の優遇措置が図られていない、子育てへの金銭的支援もまだまだ不十分であるということを、また内閣府も指摘しているところであります。

 やはり、こういったことを考えても、今申し上げたように、我が党が掲げる子ども家庭省のような、そういった取り組みが必要じゃないかなというふうに改めて思うわけであります。

 今回の認定こども園のことを、私、質問するに当たりまして、いろいろとお話を伺ったり、自分なりに勉強いたしました。しかし、何度考えても、どういう方向性で進んでいこうとしているのか、どういうものをつくりたいのかということが私には伝わってこないんです。一元化に向けた取り組みではない、そう言うし、これまでの幼稚園とか保育園の担ってきた役割をさらに発展させた内容とも思えません。逆に、幼保既存施設の基準を切り下げ、全体の水準を低下させた内容になっているのではないか。一体この新たな施設というのは何なんだろうというふうに、これは純粋に疑問に思ったわけです。

 そこで、そもそも論になってしまうかもしれませんが、政府の考えるこの認定こども園の果たす役割、つまり、何のために認定こども園を創設しようとしたのか、そのメリットは何なのかということをお伺いできますでしょうか。

馳副大臣 利用する側にとってのメリットという観点と、それからもう一つは、いわゆるサービスを提供する施設側にとってのメリットという、この両面から申し上げたいと思います。

 まず、利用者にとってということで四点申し上げます。保護者が就労を中断あるいは再開しても、子供が施設をかわることなく一貫した教育、保育を受けることが可能となる。二つ目が、認定こども園において保育に欠ける子供も欠けない子供も受け入れることにより、子供の健やかな育ちにとって大切な集団活動や異年齢交流の機会が確保される。三点目は、既存の幼稚園を認定こども園として活用することにより、待機児童の解消が図られる。四点目は、認定こども園においては子育て支援が必須の機能とされており、在宅の子育て家庭への支援を含む地域の子育て支援が充実をする。

 次に、施設側にとってのメリットも六点ほど申し上げたいと思います。一つ目は、認定こども園の名称は認定を受けた施設のみ使用できることとすることにより、教育、保育機能及び子育て支援機能が確保された施設である旨を地域住民に対して示すことができる。二つ目は、幼稚園と保育所とが一体的に設置されている施設について、学校法人が単独で運営する場合でも、保育所の運営費補助に加え、新たに施設整備費が補助されることとなり、また、こうした施設を社会福祉法人が単独で運営する場合でも、幼稚園の運営費及び施設整備費が補助されることとなる。三点目として、幼稚園型にとっては、子育て支援の充実や適切な基準のもとにおける長時間保育の実施を地域住民に対して示すことができるというメリットがある。四点目として、保育所型にとっては、直接契約となることでより多様な保育サービスを提供できるようになる。五点目、認定こども園として幼稚園と保育所とが一体的に設置される場合には、幼稚園または保育所の認可定員の引き下げ等の基準の弾力化を図ることとしており、幼稚園、保育所の双方の認可を有するこうした一体化施設の運営を行いやすくなる。六点目として、少子化が進行している地域の施設においても適切な規模の子供集団の確保が容易になり、子供の育ちの場が確保されるとともに、運営の効率化を図ることができる。

 こういうふうに政府としては考えておりまして、先生御指摘のように、こういったメリットをしっかり周知して、そして選んでいただくときの判断材料としてこういった内容を、情報を提供していくことが重要であると考えております。

田名部委員 たくさんのメリットをお聞かせいただきました。

 そんなにいい施設であれば、これはやはりそういう施設を、幼保一元化してすべてそういう施設にすればいいのではないかな、そう思いますが、中野副大臣、どう思いますか。

中野副大臣 ただいま馳副大臣の方からメリットについてお話ございましたが、今般の認定こども園制度というものは、幼児期の多様な教育、保育ニーズに対応する、そのことを今申し上げたわけですけれども、制度を一元化して一律な対応を求めるのでなくて、地域の実情に応じた対応が可能となるように、利用者の新たな選択肢を、保育園というものと幼稚園とに加えて提供するものであります。

 ですから、今回の法案によって保育所、幼稚園、認定こども園が相まって、地域の実情に応じた就学前の教育、保育機能の充実が一層図られるということを私どもは期待してこの制度を提案したわけでございますので、よろしくお願いします。

田名部委員 一元化への第一歩だというんであれば理解はできるんですけれども、その選択肢がふえたと今おっしゃいましたけれども、これまでも、先ほど申し上げたように、いろいろな事業を立ち上げてきたわけであります。例えば、ファミリー・サポート・センター、保育ママ、そういった親のニーズに合わせて支援ができるようなことを立ち上げ、そしてそこに予算をつける。そして、また新たに、一元化ではないけれども選択肢の一つとして認定こども園というものができた。これ、大変私はわかりにくい。

 先ほども言ったように、これでよりいいものになっているんだったらいいけれども、水準を下げた新たな施設となっているわけであります。どうも、この認定こども園を創設する理念というのはどこにあるのかわからない。何となく、それぞれ関係者の顔も立て、そこにかかわる政治家の顔も立て、何だか中途半端なものになってしまっているんじゃないかなというふうに思います。

 そうであれば、そんな中途半端なものをつくらないで、今ある保育園だとか幼稚園だとか、さっき言ったファミリー・サポート・センター、保育ママ、いろいろなことをやっているわけですから、そこをもっともっと充実させてもよかったのではないか、そう思いますが、小坂大臣、どう思われますか。

馳副大臣 これはやはり、政府として考えるメリットは、利用者側からとそれから施設の側と先ほど申し上げましたけれども、全国見渡してみると、幼稚園に通っておられる、保育所に通っておられる、保育所の方が多い地域とか、幼稚園の方が多い地域とか、非常に千差万別なんですね。そう考えると、現状いらっしゃる、乳幼児を抱えておられる若いお父さん、お母さん方のニーズにこたえていくためには、こういった認定こども園という機能をもってまず現場での対応を進めていくことが重要であるという、正直言って現場に即した対応としてこういう制度を設けさせていただき、こういった機能によって現状ある幼稚園、保育所をより活用していただきたいという、ここが私どもの考えるところでありまして、一気に幼保一元化という、よく言われる話ではございますけれども、現実に即した対応として認定こども園制度が必要だという認識で進めさせていただきたいというふうに考えております。

    〔池坊委員長代理退席、委員長着席〕

田名部委員 今回の法案の「目的」に、「小学校就学前の子どもに対する教育及び保育並びに保護者に対する子育て支援の総合的な提供を推進する」というふうに書いてあります。この一文から見ても、総合的な提供、総合的な対策で行うべきだなというふうに思うわけですけれども、この法案で総合的な支援というものが本当に提供できるのだろうかというふうに思っております。

 例えば待機児童の問題であります。まず、今、待機児童は何人いるか、お答え願えますか。

白石政府参考人 平成十七年四月一日現在の数字が直近の数字でございますが、待機児童数は二万三千三百三十八人でございます。

田名部委員 認定こども園ができたことによってどのぐらい待機児童が減るという予測をされているのでしょうか。

白石政府参考人 待機児童ゼロ作戦、さまざまな手段、方法を用いて今努力しているところでございますが、平成十四年度から十七年四月までの間にゼロ作戦を進めたわけでございますけれども、今お示しした数字は、減少した形で今二万三千人となっておるわけでございます。

 これをさらに進めるためにということで、十七年度補正予算、平成十八年度当初予算の合計で四百十五億円を確保いたしました施設整備費による重点的な施設整備、それから待機児童五十人以上の市町村を中心にしまして、十九年度までに集中的な受け入れ児童数の拡大ということに今取り組ませていただいておりますが、これに加えまして、今回の法律によります幼保連携型の認定こども園となる場合には、保育所の認可定員であるとか、施設設備基準の特例を設けるということもしておるわけでございまして、学校法人立にも参入する機会があるということでございます。こういう特例を活用することによりまして、今申し上げましたいろいろな施設整備費その他と相まちまして、待機児童ゼロ作戦は待機児童解消に資するものというふうに考えております。

田名部委員 どのぐらいの待機児童が減るかという質問をしたわけでありますけれども。

 いろいろな計画を立てて、すばらしい計画が掲げられても、それが、実際、どういう結果になっているのかという検証をきちんとしなければならない、そして、立てた計画に対して目標を持たなければならないと思うんですね。

 総合的な支援というのであれば、これだけ待機児童の問題が言われているわけですから、やはり、待機児童を新たな施設によってどのぐらい減らそうとしているのか、そういう数値目標を掲げるべきじゃないか。でなければ、本当にそれがよかったのか、総合的な支援になっているのかというのはわからないのではないか、そのように思うわけであります。

 そもそも、待機児童の数え方、その定義というのはおかしいんじゃないか、そう私は思っているわけです。国民の目に見える数字が減っていればいい、そういうものではなくて、実際、待機児童数をちゃんと把握した上でどういう対策をするべきなのかというのを考えるのが我々の仕事であって、そういう上辺だけのごまかしをしてはいけない、そう思っているわけであります。本当に預けられなくて困っている親が救われなければ意味がないわけですから、ぜひそういったことを考えていただきたい。

 待機児童数の新定義によれば、入所可能な保育所があるにもかかわらず特定の保育所を希望していると待機児童に数えない。しかし、上にお兄ちゃんとかお姉ちゃんがいて、一つの施設に預かっている、やはり妹さんや弟さんは同じところに行きたいと思うんじゃないか。また、働く親が自分の職場の近くに預けたい、そういった理由で預けたいのに預けられないのであれば、これは待機児童と言えるんじゃないかというふうに私は思うわけであります。

 また、認可保育所を希望していてそこに入れず認可外保育や保育ママに預けていると、これもまた待機児童にならない。ただ、やむなく高い料金を払って認可外保育園に預けている親もいるし、逆に、認可外とはいえ、補助金も出ない中、本当にいい保育をしている認可外の保育園もあるわけであります。私からするとやはりこういった人たちは待機児童なんじゃないかなというふうに思うんです。

 そういう人たちを待機児童として数えると、決して待機児童は減っていません。待機児童ゼロ作戦、タイトルはいいんですけれども、減るどころかふえちゃっている、本当に預けたくて預けられない人を数えたらふえちゃっているわけです。ですから、掲げた対策、その政策に関して、実際、どういう内容になっているのか、やはり、調査をして、検証して、その計画を見直すということをしないといけないんだ、そのように思っています。ぜひ、このごまかしの数字じゃない、実数をもとにどういう対策が必要なのかということを考えていただきたいな、そのように思っております。

 次の質問に移らせていただきます。縦割り行政の弊害、先ほど大臣もおっしゃっておられましたが、そういうことが今回の認定こども園に関してもいろいろな部分に出てきているんじゃないかなというふうに思うわけです。例えば、事務手続の問題、会計処理の問題、こういったことも、政府が縦割りでやっているばかりに、やる側の施設が、これは大変な手続、時間もとられるんじゃないか、面倒な処理をしなきゃいけないんじゃないかと、そう思うわけですが、この辺はどうなっているのか、お答えいただけますか。

銭谷政府参考人 まず、御指摘の会計処理でございますけれども、幼稚園と保育所とが一体的に設置をされます幼保の連携施設におきましては、幼稚園と保育所とで経理を区分することになります。学校法人会計基準及び社会福祉法人会計基準では、異なる経理区分の間で共通する経費については、個々の品目ごとではなくて、例えば給食費、光熱水費などの支出科目ごとに人数案分する等の取り扱いが認められているところでございます。このように、経理の区分は必要ではございますが、こうした取り扱いを周知することなど、認定こども園の設置者に過重な負担が生じることのないように、私どもも努めてまいりたいと思っております。

 それから、事務手続等につきましては、補助金事務等につきましても、申請窓口の一本化の促進に取り組むとともに、申請手続等につきましても、見直すべきものは見直し、あるいは書類の共通化等を図りまして、事務の簡素化に努めてまいりたいと思っております。

田名部委員 これは、決まれば十月から実施をされるわけでありますけれども、こういった事務手続、会計の問題、そういったことを各自治体でそれぞれの施設にちゃんと説明できるようになっているんでしょうか。私、自治体に話を聞いたんですけれども、自治体の方も困っておられました、どういうふうにしたらいいのか、窓口もどうするのかと。これは、窓口も一本化に現在なっていないと思うんですけれども、どういう対応の仕方をされるんでしょうか。

銭谷政府参考人 今回、法案をお認めいただきまして成立をいたしましたら、必要な政令、省令を整備し、さらに認定こども園の認定基準の基となります指針というものをつくっていくわけでございます。

 そういったこととあわせまして、認定こども園の内容等につきまして、私ども、都道府県、市町村に対して周知、広報活動をしっかりやっていかなければならないと思っております。その場合、事務手続につきまして、都道府県、市町村におきましても、認定こども園の担当の統一的な窓口を設けるように、まず促していくということをしっかりやっていきたいと思っております。

 それから、いろいろな申請書類につきましても、可能な限り、申請書類、添付図面等の共用化を図るということで、文部科学、厚生労働両省の間で、その点、努力をしていきたいと思っております。

 なお、国におきましても、文部科学省、厚生労働省両省が連携をいたしまして、幼保連携推進室を設置いたしまして、事務窓口の一本化を図りまして、認定こども園の事務事業がスムーズに進みますように努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。

田名部委員 子供の教育、保育に関して新たなものをこうやって考えているわけですから、私、何でこんなに急いでいるのかなというふうに思うわけです。もっともっと時間をかけて、各自治体でもちゃんとした議論をして条例が定められるようにしなきゃいけないのに、今決めて、はい十月からといっても、自治体の準備もされていない、そしてその細かい中身がどうなるかも全くわかっていないわけであります。

 去年、厚生労働省で議論された障害者自立支援法なんかもそうでありましたけれども、何でこんな大事な問題を、こんなに急いでいるのかということが全くわからないんですが、小坂大臣、何かお急ぎの理由があればお答え願えますでしょうか。

小坂国務大臣 今回の認定こども園の制度の検討につきましては、平成十五年六月に、経済財政の運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三におきまして、就学前の教育、保育を一体としてとらえた一貫した総合施設の設置の検討ということで閣議決定されたことを受けまして、文部科学省と厚生労働省において検討を開始したわけでございます。

 その後、平成十六年五月には、中央教育審議会幼児教育部会と、それから社会保障制度審議会の児童部会の合同の検討会を設けまして、教育関係者、保育関係者、そして学識経験者等の幅広い観点からの検討を含めて、同年の十二月に審議のまとめを取りまとめていただいたところでございます。

 委員の御指摘の部分で、さっき副大臣からも答弁させていただきましたように、ベストを考えて、ベストのものを設置しようとすると経費も当然かかってきますから、高福祉・高負担という考え方で対応していった方がいいのか、それとも、現実的なレベルの福祉と教育を提供しながら、そして負担を現状でミニマイズするにはどうしたらいいかというのがやはり課題なんだと思うんですね。

 今回の対応というのは、そういう意味では、教育と保育ということの両方の役割をしっかり踏まえながら、それぞれの地域においてそれぞれニーズが違うという現実も踏まえた上で、認定こども園制度という形で、幼稚園と保育園の機能をそれぞれ兼ね備えたものを地域のニーズに合わせた形で設置できるような枠組みをつくったわけでありまして、一体とした場合に、まず現状を全部変えていかなければならないということになります。まず幼稚園教諭免許制度、また保育士の制度も全部変えていかなきゃいけないことになります。そういった中で、今すぐに一元化という形で、それを提案される民主党さんの考え方と基本的にその辺が違っているんだと思うのでございます。

 私どもは、一元化というような形ではなくて、こういった機能に着目をして、そしてそれぞれの地域に合わせる形でやった方が、現実的、かつそれぞれの地域のニーズに適合すると考えて、それぞれの有識者の御意見も踏まえた上で、このような形、またモデル事業を踏まえた上での結論として、このような提案をさせていただいているところでございます。

田名部委員 今大臣の方から、高福祉・高負担ということがありました。私は、今の日本の社会を見渡したときに、高負担・低福祉になってはいないだろうかというふうに思うわけです。

 私は、何もすべての人にいろいろな手を差し伸べて助けてあげてほしいとは思っておりません。自分で頑張れる人にはやはり頑張ってもらわなきゃいけない、しかしながら、苦しい人には、きちんと国が目を向けて支えてあげなきゃいけない。そういったことを考えても、今の国のやり方というのが、余りにも大事なことを早急に決め過ぎたり、逆に地方にだけ押しつけたりということが起こっていないだろうかというふうに思っているわけであります。

 時間がなくなってきたので、次の質問に移りたいと思いますが、これもまた郡議員の方からもありましたし、これまでの質疑の中にもあったかと思います。

 まず、食育ということについてどうお考えか、大臣、そして副大臣にお伺いしたいと思います。

馳副大臣 食育基本法について、大臣が提案者としておられます。専門的に、またお話を伺っていただきたいと思います。

 我々文部科学省としては、「早寝早起き朝ごはん」、基本的な生活習慣としての食育の重要性と、それから、地域における食とのかかわりということを考えると、幼稚園教育とか学校教育においても、体験学習を通して、地産地消というものも理解しなきゃいけないし。加えて、これは保護者という観点からすると、乳幼児を抱えているときに、食に関する知識とか、こういったものをやはりしっかり持っていただきたいと思いますよ。朝御飯にしても晩御飯にしても、レンジでチンとか、お金を子供に与えて、食べて来なさいと、そういう親も多いですよね。

 統計によりますと、小学生で朝御飯を食べさせてもらっていないお子さんも、どうも三割近く、四割近くいるようです。こういったことは、やはりどうなんでしょう。私の子供のころからすれば考えられないことですが、こういう実態を踏まえて、食育というものには本当に体系的に取り組んでいかなきゃいけない問題だというふうに私は考えております。

中野副大臣 厚生労働省として食育についての見解を申したいと思います。

 子供の食育につきましては、健全な食習慣の定着を図るとともに、食を通じた家族形成や豊かな人間性の形成を図るために重要な課題であると考えておるわけでございますが、特に平成十六年十二月に策定いたしました子ども・子育て応援プランにおきましても、子供の健康の確保、増進の観点からも食育の推進を目標に掲げているところでございます。

 また、食育基本法に基づきまして、平成十八年三月に策定されました食育推進基本計画におきましても、乳幼児に対する栄養指導の充実や保育所等における食育の推進が盛り込まれたところでございます。

 厚生労働省といたしましては、平成十六年二月に作成、公表いたしました「楽しく食べる子どもに 食からはじまる健やかガイド」の普及啓発を進めるとともに、同年三月に作成、公表いたしました保育所における食育に関する指針を参考にいたしまして、保育所においても食育を推進するなど、就学前の子供の食育の推進を図っているところでございまして、今後も努力を続けてまいりたい、これが基本的な考えであります。

小坂国務大臣 食育の御質問をいただくと、またとうとうとしゃべっちゃいそうで、時間があれですから、もう既に副大臣から答弁していただきました。

 食育の重要性は、もう皆さん認識をしていただいていると思っております。ただ、認識を十分にしていただいているのは、国会議員を初めとした、周りにいらっしゃる方でして、国民の皆さんに理解をしていただくにはまだまだだと思っております。

 従来は、食について我々が考える必要もなし、また人に指示をされる必要もなかったわけでございます。しかしながら、近時、食の安全ということが言われるようになって、今まで人間が食べるものに余り害のものはなかったわけでございます。長い間の生活習慣の中で、安全なものと安全でないものをちゃんと食べ分けてきましたから。しかしながら、O157だとか、あるいは添加食品だとか農薬だとか、いろいろな害が指摘されるようになってまいりましたし、また、食習慣の乱れが生活習慣の乱れとなってまいりまして、それがまた体に与える影響というものが指摘をされてまいりました。

 朝食をとらない子供の学力というものが朝食をとる子供に劣るということは、実験的にも証明をされておるわけでございまして、そういった観点から、規則正しい生活リズムをつくること、また、食というものを通じて地域文化が今日成り立っているということ、そういった観点からも、食育を通じて健全な体とそして生活のリズムというものをしっかり体得していくことが、健康で心優しく、たくましい日本人を育成することにつながる、そして、伝統文化と、それから、農業に対する正しい知識を通じて地域の文化の維持発展にもつながっていく。

 そういった非常に幅広い観点から食育を推進しておるわけでございますが、その一番もとになる幼児期の生活習慣を一番身につけやすい時期に、しっかりとした食育を施していくことが、幼児の教育面からも保育面からも大変重要なことだ、このように認識をいたしております。

田名部委員 今のお話を伺って、それではやはり、幼稚園型こども園にも調理室は義務づけるべきではないかというふうに思いました。

 おっしゃっておられたように、食育基本法、「子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である。」と、この食育基本法に書いてあるわけです。さらには、「子どもの教育、保育等を行う者にあっては、教育、保育等における食育の重要性を十分自覚し、積極的に子どもの食育の推進に関する活動に取り組むこととなるよう、行われなければならない。」これは皆さんがお決めになったことであります。

 調理室の義務づけが必要だ、そう思われませんか。

馳副大臣 基本的には、国が指針を定めて、都道府県が条例を定めることによって、基本的な教育と保育を提供できる体制の中で認定こども園を都道府県において認定をいただくということになっております。

 委員御指摘の、幼稚園型、そして保育機能を定めたところには義務づけが必要でないかという御指摘は、私はよく理解できるところでありますが、基本的には、現状を踏まえた上で、施設に関しては、提供できるようなことを踏まえて、また食育という観点からも、その重要性も踏まえて国の指針をつくり、そして都道府県に条例をつくっていただくということになります。

 こういうことをまたぜひ現場の方にも御理解を求めるように、努力をしてまいりたいと思います。

田名部委員 このことはとても重要なことでありまして、努力ではなくて、やはり国できちんとした方針を決めて義務づけていくことが私は大事だと思っております。

 郡議員に対しての小坂大臣の答弁の中にも、それは必要だと思うけれども、預かってほしいというニーズもあるのだからというお言葉がありました。私は、冒頭申し上げましたように、何よりも、施設よりも親よりも、子供の視点に立って、子供のために何がいいのかということを最優先に考えていかなければならない、そのように思っております。そして、新たな施設であるならば、やはり両者のいいものはしっかり取り入れて、いいものをつくっていかなければならない、そのように思っているわけであります。

 食育基本法を成立させて、食は大事だ、そう言っているわけです。しかし一方では、調理室は努力はしてほしいと。積極的にやると言っているんですから、だれかどこかで公約は守らなくてもいいという発言がありましたけれども、そういう姿勢ではなくて、やはりきっちりと積極的に、子供たちにとっていいと思うことは国が責任を持ってやっていただきたいな、そのように思います。

 大事なことは食だけではなくて、近年、子供が巻き込まれる犯罪の件数が大変増加をしてきたわけであります。新たに創設される認定こども園、その危機管理とか安全対策というものがしっかり行われるようになっているのでしょうか。お答えください。

銭谷政府参考人 総合施設のモデル事業の評価委員会によります最終まとめにおきましても、管理運営等につきまして、きちんと認定こども園としての長を置いた上で、一体的な管理運営を行って、子供の立場に立って安全管理をしっかり行うということが言われているわけでございます。

 現在、幼稚園も保育所も、子供たちの安全、安心な環境づくりということにはそれぞれ大変な配慮を払っているわけでございますけれども、認定こども園におきましての子供たちの安全、安心な場としての管理につきましては、私どもも、十分に配慮が行き届くように、指針等において示していきたいと考えております。

田名部委員 こういったことも含めて、私は、何度も申し上げているように、やはり時間をかけて子供たちのための議論を重ねていくべきだというふうに思っています。

 次の質問に移らせていただきます。

 保護者の就労の有無を問わず、〇歳から就学前の子供を受け入れるとなっておりますけれども、これは、定員を超えて入園の希望があった場合、選考基準というものをやはりきちんと国の方で定めるべきではないか、その必要があるのではないかと思うわけであります。つまり、公正な方法で選考をしてもらわなきゃならない。ですから、国でこういった基準をきちんと設けていくということが大事じゃないかなというふうに思うんですけれども、その点、どうお考えでしょうか。

白石政府参考人 認定こども園の定員を超えた場合の話でございます。直接契約ということでございますので、定員を超えた者までの入所ということはなかなか難しいわけでございますが、そうすると、どういう形で公正な選考が行われるかということになるわけでございます。

 そこには、障害をお持ちのお子さんとか、あるいは低所得者の世帯のお子さんを含めての話でございますけれども、保育に欠けるお子さんに関しまして、認定こども園の認定を受けました保育所においては、適切に利用が確保されるようにということで、仮に利用の希望者の方が多い場合にはどういう選考方法をとるかということにつきましては、あらかじめ公表した公正な方法で選考するということは法律上の義務でございます。

 また、付言すれば、利用料につきましても、施設が決定する際には家計に与える影響を考慮して定めるということと、市町村への届け出を義務づけ、不適切な利用料については変更を命じることができるというふうな形でございます。

 そういうふうな形ではありながら、先ほども御答弁申し上げましたように、利用の希望者が多いような場合に、どうしてもそこでは全部入所がし切れないというふうなことがございます。こういうときにおきましては、保育に欠けるお子さんにつきましては、繰り返しになりますが、児童福祉法二十四条に基づきまして、保育の実施責任を行う当該地域の自治体におきまして、そのほかの一般の保育所などにおきます適切な保護ということになろうかと思います。

田名部委員 私も、やはり施設の良識というものを信じたい、きちんとした公平な選考の仕方がされると信じたいわけでありますけれども、本当にそうだろうかという疑問もあるわけであります。

 例えば、こども園もやはり赤字を出すわけにはいかないわけでありまして、そのときに、低所得者、もしかして保育料をこの家庭では払えなくなるんじゃないかという不安があった場合、本当にその施設が受け入れてくれるのだろうか、それだけではなくて、先ほど御答弁にもありました、障害者の皆さんも、きちんとした、公平なもとで受け入れてもらえるのだろうか、そういう不安はあるわけであります。

 例えば、その基準を国は設けただけではなくて、そういう人たちが排除をされていないということをきちんと確認していかなければ、実態はどうなっているかわからないわけですよね。そういったことについてはどうお考えですか。

馳副大臣 委員御指摘のところは、まさしくおっしゃるとおりですね。そういう低所得者の方、障害をお持ちの方が利用を申請するに当たって、まず基本的に入り口で排除されないような仕組みということと、そして、利用者が、希望の手を挙げる人が多ければ、やはり抽せんなのか、あるいは優先順位なのか、そういったことも公表して、周知の事実の中で選ばれていくんだということ、また、実際に認定こども園に入った後に所得が低くなってしまうという事態も想定されるわけですから、そういった事態にも十分対応していけるようにということの配慮もあってしかるべきと考えております。

 そういったことを含めての国の指針に基づいて、各都道府県で条例として決めていただいて、運営に入っていただく。それは、施設の設置者が経営ばかり考えて、高所得者ばかりしか受け付けませんということになったら、それこそ言語道断ですよ。まさしく入り口の部分というものは公平な形、透明性を持って運営されるようにスタートすることが重要である、こういう考え方は我々文部科学省も厚生労働省も持っておりますので、委員御懸念のことは十分に踏まえて対処したいと考えます。

田名部委員 御答弁にもあったように、やはりそうならないように国がしっかりと基準を定めていかなければ、その人たちが排除されていないという確信はないわけであります。そういう実態を調べたことはないと思いますけれども、役所の担当の方、どうですか。

白石政府参考人 御答弁申し上げましたように、児童福祉法の二十四条によりまして、保育に欠けるお子さんについては、その当該自治体が責任を持つわけでございます。

 それで、例えば、今、保育に欠けるお子さんの中で、所得に関しましては、その所得に応じた保育料というものの設定が原則でございますし、また、生活保護世帯に対しては減免ということもございます。また、障害をお持ちのお子さんということについては特別な配慮ということが特に求められておりまして、それは認定こども園たる保育所についても変わることはございません。

田名部委員 それは、保育園ではそうかもしれません。保育に欠ける子、それは市町村が責任を持って今までやってきたわけであります。しかし、新たに創設される認定こども園に関しては、一体どうなんでしょうか。例えば、認可の保育園を希望したけれども、そこに入れなかった、そして新たにできたこども園を希望した、そういったときに、きちんと受け入れられる体制を今までのようにつくってあげなかったら、今申し上げているように、その人たちが排除をされないという、そうはならないんじゃないでしょうか。

 やはり、本当に困っている人とか苦しんでいる人たちが世の中から、社会から排除をされない仕組みは、最低限国が責任を持ってつくっていくべきだと思いますけれども、中野副大臣、いかがでしょうか。

中野副大臣 きょうの委員の御質問の中の流れとか考え方というものについては、私、同感でございまして、そういう意味で、特に保育に欠ける子に対する措置というものは法律にも明記されておりますし、また、その問題も含めまして、これから委員の懸念については、ないように全力でつくりたいと思いますので、御理解願いたいと思います。

田名部委員 同じことを小坂大臣にもお伺いしたいと思います。

 やはり、認定こども園でもそういった基準をきっちり設けて、国が責任を持って、低所得者だとか障害者が排除をされない、そういう仕組みをつくっていくべきではないでしょうか。

馳副大臣 この御質疑は、私も答えさせていただいたように、また、児童福祉法第二十四条で基本的には保護される仕組みというのはございますし、また、認定こども園は、別に適正に配置をして認定こども園をつくっていただくという概念のものではなくて、設置者の判断によって各都道府県において認定をしていただくということであります。そして、認定こども園に手を挙げていきたいとなった場合には、先ほど申し上げたような透明性の中で選定されるわけであります。こういったことはぜひ御理解をいただきたいと思っております。

 同時に、先ほど申し上げたように、低所得者や障害者が入り口で排除されることのないようにということは十分に配慮して国も指針をつくり、そして都道府県にも条例を制定していただきたいと考えております。

田名部委員 これまでも、保育料が滞納されて登園停止になるということもありました。公平性から見ると確かに払わない方が悪いというのもわからないではないですけれども、しかし、払いたい、払おうという努力はしているけれども、払えない、働きに出なきゃいけない、子供を預かってもらわなきゃいけないという家庭もあるわけですから、その払えない親というか低所得者、そういった人たちが排除されない、そしてそういったところで子供の教育格差が生まれてこないような、そういう仕組みをやはりつくるべきであります。

 最後に申し上げますけれども、認定こども園でそういった障害者だとか低所得者の人たちへの基準をきちんと設けない限り、新たな施設ができたとしても、その人たちにとっては、新たな施設を希望しても排除されるかもしれない可能性がある限り、選択肢がふえたことにはならないわけであります。そういう人たちは、これまでと同じように、保育園しか選択肢がないということになるわけであります。ですから、新たな施設を今こうして議論しているわけですから、だれもがそういったところに望んで入れるような、そしてすばらしい教育がされるように、いいものをつくっていただきたい、そういう方向に向けていい議論をこの後もしていただきたい、そのように思います。

 質問の時間が終了いたしました。どうもありがとうございました。

遠藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十六分開議

遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 先日の質疑に、少し再質問という形で厚生労働省の方に伺いたいんですけれども、今回の認定こども園の幼稚園型あるいは地方裁量型におきまして、認可外、こういうことで保育所ができてくる。他方で、保育所の運営経費が一般財源化されたことによって、専ら経済的な理由で現状の認可保育所、こちらへの予算が自治体で減額されてしまうんじゃないかということを危惧しております。それに対して、やすきにつくような形での認定ということにはならないような基準を設けていきたいというふうにお答えになっているんですが、これは具体的にどういう内容なんでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 認定こども園は就学前の教育、保育を一体的に提供する施設ということで、認定基準についてのお尋ねでございますけれども、例えば職員配置につきましては、〇歳から二歳のお子さんにつきましては保育所と同様の職員配置、具体的には、〇歳児につきましてはいわゆる三対一、一―二歳児につきましては六対一。また、三歳から五歳のお子さんに関しましては、学級を単位といたしまして、学級ごとに職員を配置しつつ、長時間利用のお子さんにつきましては、保育所と同様の職員を確保し、個別対応が可能な体制とする。具体的には、三十五人以下で構成される学級を単位といたしまして、一学級に担任一人を配置するとともに、長時間利用のお子さんにつきましては、三歳児に関してはいわゆる二十対一、四歳―五歳児については三十対一という基準により算定した職員の数を確保するというふうなことを考えておりまして、幼稚園、保育所双方の基準を満たすものを基本として定めるというふうに考えております。

保坂(展)委員 今示していただいた基準は、幼稚園型で、例えば十人の保育という場合でも当てはまるんでしょうか。

白石政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

保坂(展)委員 次に、国の財政措置からは先ほどの緩い方に傾斜していくというようなことにならないような、インセンティブを与えないような形をとっていく、こういうことですが、これは具体的にどういうことですか。

白石政府参考人 質の確保という観点から、保育に関する国の財政措置は保育所、それから幼稚園につきましては幼稚園、それぞれの認可を受けた施設に対して行うということで、国の財政措置は今の基準以上のものとして、それぞれ認可を受けているものに対して補助をするということをすることによりまして、いわゆる地方裁量型の認定こども園として認可を受けていない施設に、一方的に活用がシフトすることがないようにというふうに配慮いたしたいと考えております。

保坂(展)委員 次に、直接契約の問題で、待機児童が存在する市町村で保育ニーズの高い子供のこども園の方の入所が図られる、ここにいわば不平等が出てこないかということについて、可能な限り期間的に統一をしていくという答弁だったんですが、これは現実問題として可能なんでしょうか。

白石政府参考人 前回の御答弁で、保育所の入所時期でお答えしていましたが、御指摘を受けまして調べてみましたら、途中で入所時期と入所の決定時期とをちょっとまぜて御答弁して、大変失礼いたしました。

 認定こども園の認定を受けました保育所の利用につきましては、御案内のとおり直接契約ということでございますので、一般の幼稚園と同様に、秋口、秋口といいますか十、十一月ごろに翌年四月に入所するお子さんを決定することが多いわけでございます。そうしますと、通常の認可保育所というのは大体年が明けてからが多いわけでございまして、こうした時期のずれについてのお尋ねであるかと思いますが、仮に十、十一月ごろに認可保育所である認定こども園の入所の決定がなされれば、それは可能かということでございますが、それはそういう形に通常なっていくだろうというふうに思っております。

 ただ、御懸念のように、そういうふうにいたしますと、逆に早くに埋まってしまって、ほかの園が仮に年明けだとすると、何か、先に決まったところと決まらないところというふうなことがいろいろ起きてしまうこともありますし、また、前回御答弁申し上げましたように、年度末になって転勤等に伴って急な需要が発生したりというふうなことへの対応もございますので、一般の保育所も含めましてどうかということであれば、大体前の年の秋から翌年の年度末までにかけて段階的に入所が決まるようにということを、入所決定の時期をそういうふうに段階的に、全部一つの時期に固まらないようにということで各自治体にお願いをしたいと思っております。

保坂(展)委員 また、直接契約に関係してなんですが、障害を持つ子ないし虐待を受けた子、こういう子供たちを受け入れていくためには、受け入れなければならないと思いますが、注意深く、大変人手もかけて対応しなければならない、こういうことだと思いますけれども、専ら経済的な理由でこういうことを認定こども園の園長さんが、趣旨はそうしたいんだけれども経済的にということで、ありていに言えば拒んでしまう、こういうことは考えられないでしょうか。

白石政府参考人 障害をお持ちのお子さんとそれから虐待のお子さんということで例示を挙げられてのお尋ねがございました。

 まず、障害をお持ちのお子さんの受け入れにつきましては、職員の配置、施設の構造、設備などに照らしまして、おっしゃいますとおり、お子さんの処遇の観点から適切な実施がなされるべきものであるということなので、なかなか一律の基準を定めることは難しいわけでございますけれども、その一方で、例えば保育所におきましては、この十年間で受け入れのお子さんの数、施設の数とも六割ほどふえるというふうなことで、着実な受け入れが図られておりまして、また、幼稚園の方でも、障害のあるお子さんが二人以上在籍している園を対象とした私学助成の特別補助等が行われているというふうにも承知しておりまして、こういうふうな形で受け入れが認定こども園を含めまして行われるように努力をしていきたいと思っております。

 また一方、児童虐待の観点でございますけれども、虐待防止の観点から、児童福祉法の規定によりまして、保育の実施が必要である旨の報告または通知を受けたお子さんのいる御家庭であるとか、あるいは、市町村域に設置されました児童虐待防止ネットワークなどにおきまして、児童虐待防止の観点から保育の実施が特に必要であると考えられるお子さんのいる家庭などにつきましては、優先的に保育所入所を取り扱うということにしております。

 また、児童虐待防止の観点から保育の実施が必要である児童につきましては、児童相談所長や福祉事務所長が、児童福祉法に基づき市町村長に報告、通知を適切に行いますよう、都道府県または市町村より周知するというふうな形で引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

保坂(展)委員 直接契約で、そういう意味では、認定こども園の事情によって保育料が決まってくるわけでございます。その場合に、大変低い料金でお預かりします、あるいは教育します、こういうケースだと、今の局長の答弁どおりにいかなくなるという心配はないのかということなんですが、重ねてお聞きしたいんですが。

白石政府参考人 認定こども園の利用料は直接その施設がお決めになるわけでございますけれども、内容につきましてはチェックが入るわけでございまして、そのようなことがないように、私どもも基準その他で訴えてまいりたいと考えております。

保坂(展)委員 この辺はちょっと心配だということを申し上げておきたいと思います。

 では、私のもとに、これは、知的障害をお持ちのお子さんとともに統合保育をやっている園長先生からお手紙が来まして、ちょっと御紹介をし、文科省としてこういう声をどういうふうにお聞きになるのかということについて、お答えいただけたらと思います。

 ここは、三十年ほど歴史があって、認可されていないんですね。認可を受けていないので、世田谷区の場合だと、認可を受けていると私立幼稚園でも六千五百円補助があるんですが、この場合はないということが非常にネックになっているというお話なんです。

  バリアフリーがこんなに叫ばれているのに、障害を持って生まれた子、親にも子にも責任はないし大きな重荷を負っている方々なのに、いわゆる健常児とともに生活する場がほとんどない。私たちは、統合保育を三十年続けてきた実体験から、統合保育がいかに両者を豊かに育てるのかを声を大にして申し上げたい。

  健常児は、気配りができ、優しく手伝う子になり、また、ハンディを持つ子は、周りの健常な子からたくさん言葉をかけられ、発声、発語、単語、小文と言語が発達していきます。また、模倣することによってルールを知り、落ちつきが出てきて、集中力が積み重なっていく、友達の認知や環境の認識が広がり、社会性が大幅に広がっていき、いろいろな能力が花開いていきます。

  にもかかわらず、現実は、この自由に両者が統合して保育を受けることはなかなか困難で、理解がある健常児の親がこの小さな輪の中に入ろうとしても、補助金が出ないことにつまずいて参加することができないのが現実である。

  今幼稚園と保育園を統合する方向づけがなされていますが、本来幼児の教育とは分割されてなされるべきものではなく、幼稚園でもない、保育園でもない、家庭の延長のような環境で、個々を大切に受け入れて、手の中に入れるほどの人数を数人の大人たちが育てるのが、広がった形の教育が一番ふさわしいのではないかと思います。

こういうお手紙なんですね。

 私も何回かここへ行っているんですけれども、十七、八人ですか、そのくらいの人数でずっとやられているということで、なかなか大規模になると難しいと。ですから、認可という条件はクリアできないわけですね。いわゆる規制緩和でも、こういう目線で基準をもう一回見直したり、あるいは、障害がある子、ない子が統合してともに育つような部分での規制というか、そういうものを緩和していく方向での施策がないのかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。副大臣、お願いします。

馳副大臣 基本的には、認可するに当たっての人数とか施設規模、これは安定的な経営とか継続性を考えたら必要ということで、認可外には助成をすることはできないということはまず基本的な姿勢としてはあるんです。また、資料はいただきたいと思いますが、そういう施設を経営しておられる設置者の心にはやはり深く私も賛同いたしますし、本当に感謝申し上げることだと思います。

 正直申し上げて、本当に、一般のというか、普通の幼稚園、保育園等で障害児が受け入れられやすい体制を全国的に整えることがやはり一つの大事なことではないかなというふうに考えております。まさしく、申請しようと思って入り口のところで突っぱねられるような状況が一件でも少なくなるように、基本的に、できる限り受け入れられる体制を整えていくという姿勢を、我々文部科学省としても、厚生労働省としても、また今後認定こども園という形においても、持てるようにまた努力するようにいたします。

保坂(展)委員 ぜひ考えていただきたいと思いますし、その子供たちがなかなか社会に出られないということもあって、クッキーをつくって、大変それが評判になって、霞が関の官庁でも販売をしていたりするそうです。一度、委員の先生方にも食べていただいて、また、そういった施設の現状、幼稚園の現状にもまず目をやっていただきたいというふうに思います。

 大臣に伺っていきます。

 先日見学した幼保連携型に近い足立区の幼保園、これは、なかなかこういうものはふやしていけないんだというような、ふやしていきたくてもなかなかいけないんだということだと思いますけれども、やはり認定こども園を考えていくにつけて、幼保連携型というものをふやしていくということであれば、もろ手を挙げて賛成していきたいというふうに思うんですけれども、その四類型ということの中に一つ、一番上ではありますけれども、幼保連携型とあります。

 国として、先日の足立区の施設のような、そういうものをなるべくふやしていこう、そういうことをやはり目指された方がわかりやすいんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 足立区の幼保園はまさに理想という感じで、これだけすばらしいものができればいいなという感じでございます。

 ただ、過疎地域があり、また都市部があり、町村の地域がありということで、地域、条件はそれぞれ異なっておりますし、過疎化の状況等、少子化の状況等変わっておりますから、それぞれの地域ニーズに合った形の選択ができるようにということで考えた類型でございますので、そういう意味で、どれが理想ということではなくて、現実としてのものに合ったものを選択していただくということを私どもとしてはお勧めしたい、こう思っておるわけです。

保坂(展)委員 先日、大臣とのやりとりの中で、いわゆる地方における地方裁量型で格差が広がるんじゃないかというようなことに対して、認定こども園としてこの法律によってまず確保して、その後に、国が一定の指針を職員配置や施設整備の点などについて出していかれるんだとお答えになっていらっしゃるんですが、私たちとしては、地方裁量型というのは始まってみないとわからないというのはちょっと不安がありまして、一定の指針というのはどういう内容なのかということをもう少し踏み込んで明らかにしてもらえないでしょうか。

小坂国務大臣 この間も申し上げましたが、本年三月の総合施設モデル事業評価委員会による最終まとめを踏まえた上でこの認定基準に関する国の指針というものを定めるわけでございます。

 具体的にというお話でございます。

 今後策定する国の指針において規定する項目といたしましては、職員配置、それから職員の資格、施設の整備、それから教育保育の内容、そして保育者の資質の向上、そして子育て支援、また管理運営などでございます。

 これらを示すわけでございますが、具体的に申し上げると、例えば最初の職員配置でございますけれども、この職員配置につきましては、〇から二歳児については保育所と同様の職員配置、三歳から五歳児については学級単位で職員配置、そして長時間利用児に対しては個別の対応、こういったことが考えられます。

 また、職員資格という点につきましては、〇から二歳児については保育士資格の保有者、また、三歳から五歳児については、幼稚園教諭免許と保育士資格の併有者が最も望ましいわけでございますが、片方の資格のみの者についても、本人の能力等を踏まえて従事可能というふうにしておく。

 また、施設の整備でございますけれども、例えば調理室につきましては、設置が望ましい、しかし、子供の状況、状態に応じた対応が可能である等の条件のもとに外部搬入を認める。外部搬入を認めるというのは、すなわち、〇―二というのは外部ではちょっと不適切だろうということも踏まえながら、そういった基準の中で、三―五歳児であれば外部搬入でも対応可能かなと。

 こういった状況をしっかり個別に判断した上で、その状況で、では、うちはこういう形でやっていこうということで申請をしていただく。それを、今度は都道府県において、国の指針を参酌して、一定の質を確保するという意味でこの認定基準を定めていただいて、それに照らして合っていれば認定をする、こういう状況になるということでございます。

 これから最終的に詰めてまいりますが、そういった、今申し上げたような形のことを考えているということを御理解いただきたいと思っております。

保坂(展)委員 私たちは、幼保の一元化というのが制度として新たにつくられるということ、そのことにせっかく直面しているのであれば、一定の質というよりすばらしい質にしていただきたいという思いで審議させていただきました。やや不安が残ると。この制度そのものは、どうなるかわからないという面を大変持っているわけで、そこでちょっと懸念を持っているということを表明して終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 高井美穂さん。

高井委員 民主党の高井美穂です。民主党としては最後の質疑者になります。どうぞよろしくお願いをいたします。

 先ほど来から多くの懸念の問題等も出されましたので、通告した部分以外で重複した部分はカットをさせていただきたいと思いますが、最後の質疑ですので、私自身も確認したいことをきちんと大臣や副大臣、関係者の皆さんからお伺いして、この法案に対して、この法案の方向性自身は賛成ですので、そのつもりで、できるだけよくするという意味で一生懸命質疑させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 実は、先ほどの田名部議員の質問の中で、小坂文部大臣が、民主党案のように今すぐに一元化とはいかないというふうな御答弁がございました。これはちょっと修正案に対して誤解があるのではないかと思って、少し説明を兼ねて、もう一度御確認をさせていただきたいと思います。

 私たちの案自身も、今すぐに一元化というのではございません。最初に説明しました修正案の趣旨説明の部分をよく読んでいただくとわかるんですが、多様な需要に適切に、柔軟に対応できるように、この認定こども園に係る制度に対しては、大変賛成をするところもあると。ただ、その後、縦割りの弊害が取り除かれていないことや財政支援等が不十分ではないか、新たな財政支援はないので十分ではないということを踏まえた上で、民主党の考え方としては、将来、幼稚園、保育所を一体化することにより、就学前の希望するすべての子供に質のよい居場所を提供することを目指しているということでございまして、この次にあるとおり、やり方として、内閣府に担当部局を置いて、まず制度の方から一元化をする方向をとりながら、三年以内のうちに、徐々に、現状を踏まえた上で、一元化の方向に結論として持っていきたいと。

 最終的に、一つの形として、こども園という名前かどうかはわかりませんけれども、子供が、居場所のいい施設として、縦割りではなく、子供のための施設として一つの形に収れんするということを私たちは目指しているのでありまして、今すぐにやるということを提案している修正案でもございません。この点を確認させていただきたいというふうに思っています。

 それを踏まえた上で、大臣もこの間、小宮山議員の質問の中でしたか、なるべく制度としては簡素な制度の方がいいというふうな御答弁もございましたし、馳副大臣も重ねて、でき得ることならば窓口等も一本化の方向にやっていきたいということが本日の御答弁の中でも何回も出てまいりました。

 そこで、お伺いをいたします。この政府案は最終的には一本化という方向を目指しているのでしょうか。

銭谷政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、この認定こども園の制度は、幼児教育に係りますそれぞれの地域における多様な事情それから多様なニーズ、こういうものにこたえるべく、一つの選択肢をふやして、総合的に幼児教育、保育の機会を提供する、そういう機能を持ったものを認定こども園として認定していこうというものでございまして、いわば保育所の機能の拡張、幼稚園の機能の拡張、あるいは幼稚園と保育所が一体的に運営するような、そういうものを認定こども園として認定していくというものでございまして、まずはこの認定こども園制度をこれから運用いたしまして、幼児教育、保育の充実をまず図っていくという段階のものと認識をいたしております。

高井委員 済みません、大臣にも御答弁をお願いします。

小坂国務大臣 おっしゃっていることは私なりに理解はしているつもりなんですが、そして私も、直ちにというのは、すぐに、将来ではなくてあしたからという意味ではないということも理解はしているつもりでございます。

 ただ、認定こども園は幼稚園、保育所では対応困難な地域の多様なニーズに対応するということで、先ほどもちょっと申し上げたんですが、過疎の地域あり、少子化が非常に進んでいる地域あり、また、保育園があって幼稚園がない、周りをずっと見ても幼稚園が全然ない地域というのもありますし、すぐ近くに、隣の村には幼稚園があってそこでも受け入れてくれるような体制がもしとれるならいろいろあるというのもあるんでしょうけれども、これを統合してしまった場合に、それではそういう柔軟性が持てるのかというと、統合して一本化したような形では、一定の基準を設けますので、そういったそれぞれの多様な地域のニーズには、今度は逆に、一本化して基準をつくったために対応しにくく、また、それに全部対応するとすると一体どういう形のものになるのか、形が逆に見えにくくなるということになりますので、やはり機能的に、幼稚園の幼児教育を中心にしたもの、あるいは保育という環境を提供するためのニーズに対応したもの、それに新たに加えるという形で認定こども園という認定要件を定める方が適当ではないかという考え方でございます。これは、ある意味ではもう考え方の違いにもなってしまうのかもしれません。

 また、その幼稚園と保育行政を内閣府に一元化するという形にしますと、小学校以上の教育行政というものも当然子供の教育環境の中にはあるわけでございますし、地域の子育て支援ということを考えますと、この分野の福祉行政というものは単に幼稚園、保育所のカバーする部分だけではないという部分も出てまいります。また、働き方の見直しというのは労働行政でございますが、これを、内閣府にこれも一緒にすると、今度は、労働行政のほかのこういった保育所と幼稚園とこども園あるいは子ども家庭省に該当しないような部分は、では結局また別の縦割りで残るということになって、非常に組織としては複雑になってしまうということもあります。

 むしろ、そういうことではなく、今回のような連携を中心とし、子供、子育て全体は全閣僚による少子化社会対策会議や官房長官主宰の少子化社会対策推進会議というような形の総合的な対応の方がよろしいんではないかということでございます。

 また、新たな補助制度を設けるという形でなくて、幼稚園型あるいは保育所型の機能拡張の部分はいわゆる認可外に当たるものでありまして、補助対象とする場合には慎重であるべきというような意見もあります。こういったものを総合的に勘案して今回認定こども園という提案でございますので、御理解を賜りたいと思っております。

高井委員 大臣、私も私なりに理解をしているつもりでございます。だからこそ申し上げるんですが、現場は、ほぼ、幼稚園の方も保育所の方も、教育と保育とをはっきりと分けてやっていないんだということを前回の質疑の中でも御答弁をいただきました。本当にそのとおりだと思います。

 だからこそ、省の中で分けていることによって、ほかのところの連携が難しくなるというのもわかるんですが、そういう考えはもういっそのこと取っ払って、だからこそ、ぼんと子ども家庭省にしちゃって、子供、家庭にかかわるすべての部分をそこに統一する、そして少子化対策もそこでやる、そういうふうに思い切って発想の転換が必要なときなのではないかなと。そういう意味も込めて、私どもも提案させていただきました。

 すぐに一元化というわけにはいかないんだ、現実に即した対応に応じて、徐々に、いい形で統合していきたいというようなお気持ちはすごくすごくよくわかっておりますので、それに向けて、途中までの過程の中で混乱が生じないように、重ねて、以下の質問で確認もしていきたいというふうに思っています。

 先ほど一本化して基準をつくるということは形が見えにくいというふうな御答弁が大臣からもございましたけれども、ナショナルミニマムとして、幼稚園のいいところ、保育園のいいところ、基準も全部ひっくるめて、いい形で、国がこれだけ、幼児保育、就学前の子供の保育というか就学前の子供に対する援助というのをすべて、ここまでは国がやるんだという基準を例えばつくり直すというのがいいのではないか。これはたしか、村山参考人でございましたか、参考人質疑でいただいた資料の中でも入っておりました。そういう意見も後々に、もう少し、御提案も兼ねて、申し上げていきたいというふうに思うんです。

 実は、先ほどの統一ということの話の中で、文科省の方からも厚労省の方からもお聞きしましたけれども、平成十六年以降は、もう頻繁に行き来をして、ほぼ一体化に近い感じでやりとりを、連携をすごくとれていると。ああ、そうですか、では省は、場所はどこにあるんですか、近いんですかと言ったら、いや、地下鉄二つ乗って行っていますということだったので、いや、それだったら、その時間も削減して仕事ができますから、近くに、一つの窓口にして一緒に置いた方が便利ではないかというふうに思いましたけれども、先ほど来の御答弁のとおり、ある程度のことは承知しておりますので、でき得る限り窓口は一本化を目指すということをもう一度確認をさせていただきたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話ございましたように、文部科学省と厚生労働省、近年連携をさらに密にいたしておりまして、例えば担当課長も、文部科学省と厚生労働省で人事交流を行って、それぞれ、文部科学省の者が今厚生労働省の課長、厚生労働省の者が今文部科学省の担当課長ということで、連携を深めるようにして取り組みを進めております。

 また、この認定こども園の制度設計に当たりましても、文部科学省と厚生労働省のそれぞれの審議会が合同で検討を行いまして、また共通の実施要綱のもとで総合施設のモデル事業を実施するなど、連携して検討を進めてきたところでございます。

 今後、この法案をお認めいただきました後も、幼保連携推進室のようなものをつくりまして、協力してその後の政省令の策定、指針の策定、そして都道府県、市町村に対する情報の提供といったようなことを心がけてまいりたいと思っております。

 なお、実際、これから認定こども園に係りますいろいろな事務が生じてくるわけでございますけれども、これも繰り返しになって恐縮でございますが、今回の法案にも、都道府県、市町村における連携協力義務というものを規定させていただいているわけでございます。認定こども園の認定窓口とかあるいは認可窓口の一本化とか、あるいは補助金の申請窓口の一本化、認定こども園としてのいろいろな書類等の幼稚園、保育所との共用化とか、そういったようなことを促しまして、事務の簡素化についても取り進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

高井委員 ありがとうございます。

 ぜひ事務の簡素化に御努力をいただけますよう、重ねてお願いをいたします。

 実は、先般、池坊委員からも質疑の中で御指摘があったんですが、縦割りの一つの典型なこととして、重ねてお伺いしたいんですけれども、送迎バスと給食が、幼稚園と保育所で同じことをやっているにもかかわらず、課税か非課税かで分かれている。どういう事情があって無理なのか。財務省の政府参考人の方、お見えになられていたら、お願いをいたします。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、消費税の全体の仕組みでございますけれども、消費税は消費一般に広く公平に負担をいただくという税でございますので、原則としてすべての財貨・サービスの国内販売、提供などをその対象としているということでございますけれども、福祉、教育等の一定のサービスにつきましては、社会政策的な配慮から極めて例外的に非課税とされているというのが基本的な枠組みでございます。

 そういう基本的な枠組みのもとで、幼稚園それから保育所というものがどういう課税関係になるかということでございますけれども、幼稚園は、学校教育法第一条に規定する学校という位置づけがなされておりますので、その教育に係る授業料等につきましては非課税の対象となっておりますけれども、送迎バス代や給食費については、ほかの学校教育法第一条の学校と同様に課税とされているということでございます。教育につきましては、授業料などを中心として、教育の対価として支払われるものについて非課税というふうに限定されているということでございます。

 他方、保育所でございますけれども、保育に欠ける乳幼児を預かることを目的とするということでございまして、社会福祉法上の第二種社会福祉事業に該当し非課税というふうに消費税法上されておりまして、送迎バス代や給食費等も、社会福祉事業の一環として提供されるということでございますので、非課税ということになっております。

 このように、幼稚園と保育所では、教育、福祉として、それぞれ社会的役割あるいは法令上、行政上の位置づけがなされておりますので、消費税の課税関係もそれらに従いまして異なる取り扱いになっているということでございます。

高井委員 お聞きしても、今の説明でああそのとおりだと思う方は多分おられないんじゃないかと思います、だって、実質同じことをやっているんですから。保護者の側から見ても何でだろうというふうな思いはあると思います。大臣だってそう思われますよね。

 それこそおっしゃるとおりで、学校教育に係る役務の提供については、社会政策的配慮により一定の条件のもと非課税と規定されているわけですから、これを切り離して、子供としての施設の方に持っていけば多分非課税になりますよ。そういう意味でも、縦割りのままである限り無理だというふうに思います。

 消費税法も、例外を設けないというのも規定としてわかるんですが、現状、実質としてやっていることが同じになってきているわけですから、非課税となる理由は十分にあると思いますので、大臣、ぜひ御尽力をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

小坂国務大臣 過日、池坊委員の御質問にもあったということを引いてお話をいただきました。

 その際に答弁した議事録を見ておったわけでございますが、私どもの立場としては、引き続き、同じように非課税扱いとしてほしいということを要望して、何とか聞き入れられるよう努力はしておりますが、ぜひとも与党の皆さんの力強い御支援をいただいて、そういった中で検討を進めたい、こう言っているんですね。

 今、高井委員からも御質問をいただきまして、与党のみならず野党の皆さんからも要望をいただいておりまして、確かに、実態的に似たようなことをやっているではないか、そこに認定こども園という一つの相互乗り入れ制度をつくったわけですから、やはり努力は必要だなと思っているんですよ。

 今、財務省の答弁がありまして、確かに、消費税というのは国民に広く公平に負担を求める税であって、医療、福祉、教育等の極めて例外的なものに限り非課税としていることでございます。それはそれとして、その教育の中に入る部分としてこれが入るんではないかという議論は引き続き努力をしてまいりたい、皆さんの気持ちを受けとめて、私なりの努力をしてまいりたい、こう思います。

高井委員 ありがとうございます。

 精いっぱい前向きな御答弁をちょうだいいたしまして、私たちももちろん努力したいと思いますが、何分縦割りでさえなければできるようなこと、実質同じなのに縦割りであるがゆえに分かれていることというのは、やはりこの件だけでもなく、さまざまなところで直面していると思います。つまり、それは時代に合わなくなってきているということだと思いますので、制度をできるだけ柔軟に、合わせて変えられるように私どもも勉強していきたいと思いますし、どうぞよろしくお願いをいたします。

 先日視察した足立区のおおやた保育園の方では、教育長さんからのお話で、条例をつくって窓口を一本化したという話がございました。いただいた資料の中に、この幼保園の特徴として、一番上に条例の一本化というのが挙げられておりました。ちょっと紹介させていただきますと、幼稚園機能と保育園機能をあわせ持つ一つの施設であることを鮮明にするため、幼稚園条例、保育所条例の改正、別々の改正ではなく、幼保園条例に一本化した。条例の主体は区長であるが、一歳から三歳までの保育所部分の入退所決定及び保育料決定徴収以外の事務と管理運営、組織及び育成の実施等ほとんどの事務を教育委員会に事務分担として委任している。一括して委任しているということでございました。

 私が一つ質問として、メリットはございますかということをお尋ねしたら、効率的にできるので、事務負担が楽になったという御回答がございまして、ああしかるべしと。だから、先般の小宮山議員の質問に答えて、銭谷政府参考人の方が、できるだけ事務の軽減を図るという御答弁もございましたし、本日もできるだけ合理化を図っていくというような御答弁もございました。

 実際に、やはり両方制度がある以上、両方出すと絶対書類が減るわけではないと思うし、事務も減るわけではないと思うのです、やる上では。だから、できるだけその窓口を一本化していくということを、私が重ねて申し上げたいのは、やはり現場の事務負担や現場の混乱をできるだけ少なくしたいという思いからでございますので、今後、先々また御尽力を賜りたいと思います。

 現実的には、県庁やその他のところで窓口が一本化をしているところがあるというふうにも、まだ数は少ないですけれども聞いております。そういう中で、都庁にしても、こども家庭部という部を設けておられると。徳島でしたら、県庁の中にこども未来課という課があり、高知などでは、教育委員会の中に幼保支援課というふうに窓口を一本化してあるそうであります。

 そういう意味では、国だけがまだ子供にかかわる、子供と名のつく部署、課がまだちゃんとできていないというのは残念でございまして、現場の方が、現実に対応しておられる方の方が先に進んで、国の方がおくれているという形になってはどうかと思いますので、ぜひとも、またこれも御検討をお願いしたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話がございましたように、都道府県や市町村では、幼稚園、保育所にかかわる行政窓口の一本化ということに踏み切って、そういう対応をしている県や市町村がございます。例えば、教育委員会の方で幼稚園も保育所も担当するとか、あるいは知事部局の方ですべてやるとか、いろいろなやり方はあろうかと思います。

 私ども、今回、認定こども園の制度化をするわけでございますけれども、実はこの認定を受けるということにつきましても、認定を受ける施設にとりましてはまた多少の事務が出てくるわけでございまして、できるだけそういった事務も簡素化して認定を受けられるように工夫する必要があるだろうと思っています。

 いずれにしても、施設側、あるいは利用者の側から見ましても、こういう幼児教育について、まずどこへ相談に行けばいいんだ、あるいは書類等はまずどこへ出せばいいんだということが非常にわかりやすくなっているということ、そして、実際、たらい回しではなくて、そこへ行くといろいろな事務が取り進められるということが大事でございますので、今後、いろいろな窓口の一元化、そしていろいろな書類の簡素化ということにつきまして、私ども努力をしてまいりたいというふうに思っております。

高井委員 ありがとうございます。

 認定こども園では、今度、子育て支援機能というのが拡充されるということが大きな目玉の一つでもあるというふうに思います。それで、この第二条六項に基づいて、条文の中では二条六項に子育て支援事業をちゃんと明記しておられまして、そして、その後の三条の一項三号に、保護者の要請に応じ適切に提供されるというふうなことを書かれておりますが、逆に、この子育て支援事業がきちんとできなければ認定されないということでよろしいんですよね。つまりは、場所の確保であったり、人の確保であったり、そういうのがきちんとできるかどうかを確認してでなければ認定されないということでよろしいんでしょうか。

銭谷政府参考人 認定こども園の認定の要件の一つとして、子育て支援事業を行うということがございますので、子育て支援事業はいわば認定こども園の必須の機能であるというふうに考えております。

高井委員 重ねてお伺いしたいんですけれども、この条文の三条の一項一号、「当該教育のための時間の終了後、」というところがあるんですが、三条の一項の一号の中に、幼稚園型のこども園の中では、教育の時間というのは一応九時から十四時までだ、それで、その後は保育の時間というふうな形で、制度上は分かれて認定されるわけだと思うんですが、つまり、この法律の中では、教育のための時間の終了後に、当該幼稚園に在籍している子供のうち児童福祉法に規定する幼児に該当する者に対する保育を行うことというふうになっておりますが、これは時間の終了後だけでなくても、前の部分ももちろん含んでいいのかどうか、確認をさせていただきたいのです。

銭谷政府参考人 認定こども園の幼稚園型の場合の認定の要件としては、いわゆる四時間の教育時間の後に、トータルすると八時間程度の保育という活動があるというのがまず要件になっております。それで、例えば朝に少しほかの人より早く子供さんを預かるといったようなことはもちろん可能なわけでございまして、子供の登園時刻につきましては、認定要件には反映をさせてはいないわけでございますけれども、認定こども園である幼稚園が保育に欠ける子供を受け入れるに当たって、朝の登園時間の違いに対する対応が当然に必要になってくるというふうに考えております。

高井委員 この第三条に書かれている部分というのは最低要件としてきちんと満たさなくてはならないというふうにお聞きしたので、これ以上のサービスを提供するのはオーケーだということをお聞きしました。

 ただ、やはり問題なのは、できるだけいいサービスを提供したくても、やはり経営がうまくいかなければ、いいサービスをなかなか提供できない。やはり朝の早朝保育もして、また夜も延長保育をするとなると、その分、また人が一人要るわけですよね。それにもかかわらず、新たな財政措置がないということになると、保育料を上げるようになるのか。となると、私は困ると思いますし、そういう面で、多分、いよいよこのこども園が認定されて走り始めてから、また困るところも、さまざまな問題も起きる可能性もなきにしもあらずだと思います。ぜひとも、目配りの方をお願いしたいというふうに思っています。

 それで、この子育て支援事業自体に予算はつくのでしょうか。幼稚園型のこども園ができた場合に、子育て支援事業において予算がつくのかどうか、教えていただけますか。

銭谷政府参考人 幼稚園型の認定こども園における子育て支援のための活動としては、未就園児の親子登園ということがまず考えられるわけでございますし、それ以外に、絵本の読み聞かせや読書運動、園庭、園舎の開放、子育て講座、講演会などの開催、教育の専門家による子育て相談など、いろいろな支援の体制が考えられるわけでございます。

 このため、私立の幼稚園につきましては、私学助成におきまして、教育機能または施設を広く地域に開放することを推進する幼稚園に対しまして助成を行う都道府県に対して、国がその一部を補助する、幼稚園の子育て支援活動の推進事業というものを行っております。当然、認定こども園になりました幼稚園型の私学に対してもこれは適用されるわけでございますけれども、この幼稚園の子育て支援活動の推進事業につきましては、平成十八年度予算におきましては、対前年度二億六千万円増の五億四千万円を確保しているところでございます。

 こういった私学助成を通じまして、幼稚園における子育て支援の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

高井委員 ありがとうございます。

 まさに、子育て支援の事業というのはニーズがあるところだと思うんです。大臣がやはりおっしゃっておられるように、多様なニーズにこたえてと。この部分は特にニーズが多かったんではないかと思いますが、それとともに、現状の幼稚園や保育園関係者からも、逆に今度は不満や不安の声というのが聞こえてきておりますので、その部分もできるだけ払拭するように、この質疑の中でもう少し突っ込んで確認をしたいと思うのです。

 今回の法案によって、教育、保育に係るハード面、ソフト面の質が既存の幼稚園や保育園より下がるんではないかということを懸念する声が、不安の声の一番大きいものです。これは多分、多くの先生方の質疑の中でも、質の担保、基準の確保という声が何度も質問の中でございまして、御答弁も何度かされております。

 それを踏まえた上で、先々週の共産党の石井委員の質問に答えて、銭谷政府参考人の方が、国の指針をしんしゃくして都道府県が条例で定めるというふうな御答弁もあり、その後、必ずそのとおりにしなければいけないというものではないわけなので、多少の地域的な基準のあり方というものの変化はあると考えているというふうな御答弁がありました。つまりは、国の一応の最低の基準と言われるものから下がった基準のものでも認定こども園として認定されることが全くないとは言えないということだと思います。小坂大臣が、先ほどの質疑の中でも、しっかりと国のガイドラインに沿った形で都道府県に指導していくというお話もございましたし、何度も何度も、とりわけそういう基準が下がるようなことは絶対にさせないという馳副大臣からの御答弁もございました。

 もう一度だけ確認をさせてください。とりわけ職員配置や職員の資格、施設の整備等において、現状より低いガイドラインをつくるということは絶対にあり得ませんね。

銭谷政府参考人 二点御説明させていただきたいと存じます。

 まず第一点でございますけれども、認定こども園につきましては、四つの類型、要するに、いかなる類型でありましても、認定こども園として必要な基本的機能はこの法案の規定に基づき確保され、さらに都道府県が定める認定基準の指針を国が示すこととしており、これにより一定の質の確保が図られるものであり、加えて、都道府県が条例で認定基準を定める際に、都道府県議会の審議の過程で、質の確保の観点から十分な検討がなされるものと考えております。したがいまして、そこで提供される教育、保育につきましては、一定の質が確保されるものであるというふうに考えております。

 それから二点目でございますけれども、文部科学大臣と厚生労働大臣が協議して定める国の指針において、どういうことを今考えているかということでございますが、お話のございました認定こども園における職員の配置につきましては、〇歳から二歳の子供については、保育所と同様の職員配置とすることといたしております。また、三歳から五歳の子供については、学級を単位とし、学級ごとに職員を配置しつつ、長時間利用児については、保育所と同様の職員を確保し、個別対応が可能な体制とすることとしております。

 こういうことから、現在の幼稚園、保育所に係る水準から低めるといったようなことは私ども考えていないわけでございます。

高井委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いをいたします。

 このこども園の認定を都道府県に任せることによってまた格差が生じないかというのも、現場からの一つの大きな懸念の声でございます。最低基準以下を認定する施設が出てきて基準が下がらないかという件に関しては、先ほど来から重ねての御答弁をいただきましたので、それとはまた別に、いい保育を与えられるところはすごくいい、都道府県に任せると格差が生じないかという懸念もございます。

 今まで認可をとるために一生懸命頑張ってきて、きちんとできるだけやってきた保育園や幼稚園からの声がこういう懸念の背景には多いのですが、基準が低い園が、国が認定した施設、新しい施設だという、こども園というブランドを掲げて、教育、保育のサービスを新しく提供することで全体の質が下がっていくようになっては大変だ、それを懸念しているという声が私のところにも何名かから届けられました。それはできるだけないというお話で、さっきの大臣の答弁でも、銭谷政府参考人の御答弁でもあったとおりだというふうに確認しております。

 設置基準自身を都道府県に任せるわけですから、設置基準自体も都道府県において差が生じることもないのか、ないとは言えないのかもしれませんけれども、あるのかないのか、それも御答弁願えますでしょうか。

銭谷政府参考人 いわゆる認定基準は都道府県が定めるわけでございますけれども、国の示す指針を参酌して定めていただくわけでございます。また、基準を定める際には、先ほど申し上げましたように、都道府県の議会の審議を経て、条例で定めるということになるわけでございますので、一定の質は確保されるということは申し上げてよろしいかと存じます。

 ただ、もちろんこれはそれぞれの地域の事情等があることも確かでございますので、どの県も全く同じ基準になるかというと、それはそういうことではないわけでございますけれども、少なくとも国の基準を参酌し、条例で、議会の議決を経て定める認定基準でございますので、教育、保育について一定の質が確保されるものであるということは申し上げることができるかと思います。

高井委員 ありがとうございます。

 保育事情は地域によってさまざまに違いますし、分権の観点からも、できるだけ地域のニーズを酌み上げて、地域に任せてやっていくということはもちろん大事なことというふうに思っています。それと同時に、国がきちんとしたナショナルミニマムを同時進行で提示することが必要だと思っておりまして、大臣の御答弁でも、国の基準を統一したものをつくるのはなかなか難しいというふうなお話もございましたが、これを機に新たなナショナルミニマムとして、教育、保育を、いいところをすべて包括したいい施設づくりのために、できるだけ基準を設けるという方向はいかがでしょうか。

馳副大臣 御指摘の点もよく踏まえて対応したいと考えています。

 各都道府県が、今後法律を成立させていただいた後にどういうふうな基準を条例でつくってくるかということのために、国として指針をつくるわけでありますから、その指針をつくるに当たっての参考にさせていただきたいと思います。

高井委員 ありがとうございます。

 最低基準を改善するという方向で検討していただけたらと思います。そうするには、教育、保育の理念をまず一体化させるという整合性を図って、それから制度を一体化していき、どの施設を利用しても、どの子供も同じように生活が保障されるという方向になっていくように、ぜひ検討していただけたらというふうに思っています。

 それで、先ほど来から、児童虐待の子供が排除されないかという問題とか、外国人の子供たちも排除されないかという問題等も何回も質疑の中に出てきておりますが、もう一度確認をさせていただきたいと思います。

 先ほど御答弁で、馳副大臣が、大変に児童虐待の問題に御理解が深い、長く取り組んでおられることもよくお聞きしておりますし、私もそのとおりだというふうに感じました。

 そして、児童虐待の実態というのは、保護者が働いていないケースというのも多い、多いというわけではございませんが、保育に欠けないケースもあるというふうなものを聞きました。そういう点からも、子育て支援機能というのが、虐待の子供たちを救うためにも、一つ役に立つというか助けになればいいと私自身も感じますし、その点から、東京都の福祉保健局というところが調査した児童虐待の実態のケースで少し紹介をさせていただきたいというふうに思っています。

 今、私も実は子育て世代というか、下の子が十カ月で上の子が三歳九カ月になりましたので、まさに子育て真っ最中のところでございますが、こうして仕事をしながら子育てができているのも、うちは大家族で、家には両親も、またひいばあちゃんもおり、夫も地元の方におり、助け合いながら、何とかかんとか子育てをやっております。おかげで、私も仕事ができる喜びを感じ、また子育てができる喜びを感じながらできているわけでございますが、実際に今子育てをしている若い夫婦の方々、大変に行き詰まっている家庭が多いというふうに聞きました。

 それで、特に、馳副大臣は御承知だと思いますが、児童虐待をしてしまうケースの事例をよく調査してまいりますと、実際に児童虐待をする虐待者のうち六三%が実の母親、自分が腹を痛めて産んだ子供を虐待してしまう。二二%が実の父親である。その六三%が母親であるうちの、その中でも家事専念、つまり無職並びに家事をしている母親という、虐待をする人が四七%。四七%といっても、調査ができた中での四七%で、実際に就業しているかどうかもわからない人が一三%あるので、その中でも四七%となると、わかった中での六割以上は、専業主婦とは言わないですけれども、子供と近く、一緒にずっといる人が虐待をしてしまうという実態がございます。

 そういう上でも、家で子供と一緒にいる時間の長い保護者のリスクが高いんだというふうなことをこの東京都の調査の中には書いておりますが、実際に、これは平成十五年度の調査で、相談件数が二千四百八十一件の中の分析調査の結果でございますから、全部とは言わないですけれども、恐らくこういう事実はあるんだろうというふうに思います。

 子育て状況が非常にせっぱ詰まっている。それは、先般の参考人質疑の中で村山先生がお持ちした資料の中にも、大変に今子育て支援状況が危機にあるという話が載っておりまして、事実私も、近い世代ながら、いろいろなことを感じております。同じように感じることがあります。

 八三%以上の父親が母親の育児疲れを理解していて、そのうちの一四・三%が母親が育児ノイローゼじゃないかということまで父親の側として懸念をしているというデータもございますから、総合的にさまざまな面でこういう家庭にも手を伸ばせる施策の一つとして、やはり幼稚園施設が子育て支援機能をあわせ持つというのはいいことだというふうには思います。実際に、馳副大臣の御答弁の中にありましたが、〇―二歳児はできるだけ家で、やはり保育に欠けない子は見た方がいいというようなお話もありましたけれども、こういう虐待等があることを理解した上での発言だとは思いますが、ぜひとも〇―二歳児の保育に欠けない子供たちに対しても、今後先々の幼稚園型のこども園における支援等もぜひ検討していただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

馳副大臣 この問題、私、語りを入れてちょっと答弁させていただきたいと思うんですよね。

 児童虐待で、被害者であるお子さんが亡くなる八割近くは〇歳から二歳児なんですよ。そして、今高井委員おっしゃったように、いわゆる手を上げてしまうのは、六割以上は実のお母さんなんですね。こういう実態を考えると、あるいは、保育に欠けない子供、つまり専業主婦等で常時子供を見ていられて、愛情を持って接する、よりよく育てていこうというのはいいんですが、その反面、やはり愛情の裏返しで、近所にお友達もおらず、仲間もおらず、育児ノイローゼじゃない、ついかっとなってとか、やはりストレスがたまってとか、相談に乗ってほしいにもかかわらず、夫がなかなか現実問題家にいないということからエスカレートしてしまうという事例というのは本当に多いんですよ。

 児童養護施設に預かっていただいているお子さんも、随分虐待案件のお子さんが、もう六割、七割近くなってきて、児童相談所における相談は、これはまた半数以上が虐待案件なんですね。こういったことを踏まえると、まさしく高井委員おっしゃったように、この認定こども園、教育と保育と子育て支援機能を充実しますと言っておりますけれども、〇歳から二歳児の、保育に欠ける子供も欠けない子供も含めて、子育て支援事業というものを充実していく必要があるんです。

 さらに踏み込んでちょっと答弁申し上げますけれども、実は、こども園もそう、幼稚園、保育所でもそう、さあ、いらしてください、子育て支援の相談にも乗ります、研修会、シンポジウムもやります、いろいろ支援もしましょうと言っていて、これは私、言葉は悪いかもしれませんが、そういうところにいらっしゃる御家庭は、逆に余り虐待についてそんなに実は心配ない御家庭も多いんです。というのは、虐待防止法をつくっている段階の一番心配事だったのは、そういう福祉、保健、医療、教育の面から手を差し伸べようといっても、立ち入り拒否ですよね、いわゆる介入拒否、こういう御家庭が実は深刻な虐待の案件を抱えているということが多いんですよ。

 そういうことがあったものですから、ぜひ行政にも立入調査権限を持たせてあげよう、周囲の状況からして、これは困難な事案であれば、警察の援助も求めよう、そして、虐待に関してはネットワークをつくって、一元的に現場である市町村が対応しよう、こういうふうな法律の仕組みをつくって、同時に、国や地方公共団体が行う施策に関しては、保育所も幼稚園も学校も、いわゆる福祉、医療、教育を含めて、施策に協力をするように努めることという努力義務まで課したんですよね。

 こういった総合的な施策が法律、制度として進んできましたけれども、実際に現場で対応していくのは、こういった認定こども園とか実際の保育所や幼稚園の仕事になってくると思います。ぜひ、地域で子育てをできる環境づくり、この基地としても認定こども園の役割は私は多くなると思いますし、そういう認識を持って、我々行政の方も予算配分もし、職員や施設の充実にも努めていかなければいけませんし、現場の職員の方々にもそういった点をお願いしたいというふうに考えております。

 以上です。

高井委員 ありがとうございます。大変に力強いというか、深い御理解の御答弁を賜りましたことを大変私も感謝をいたしたいというふうに思います。

 どなたかの質疑の中で、保育所や、やはりこういう子育て支援機能を充実すればするほど、家庭育児、家庭教育を放棄するんじゃないかというような御発言もございます。それは、その部分もゼロとは私も言いません。しかしながら、もっと根深いのは、放棄どころか、ネグレクトという形で家で放置されている子供がいて、その子が不幸になるくらいなら、公的な場所へ引っ張り出してきてでも、一人の人間として幸せな、行政の側から助けられる人が助けてあげられるようなサービスを提供してあげたい、その方がいいんだというふうにすら感じるところでありまして、例えば給食の件に関しても、やはり家庭で御飯を食べさせてくるのが基本だと思います。しかしながら、家庭で御飯を食べさせられる家というのはちゃんとした、そういう虐待が起こらないような家であって、虐待をするような家では多分御飯すら食べさせてこないんだろうと思います。

 そういうところならば、例えば保育所で朝御飯を出すというのも、どうしても足りない部分を補ってあげるという意味で、少しは前向きに考えていただいてもいいんじゃないかというふうに感じておりまして、できるだけ家庭でやれと押しつけるよりも、できるだけ選択肢を多く提示して、家庭で見たい人は見られる、でも公的施設の力を借りたい人は借りられるという選択肢を提示するという面でも、このこども園の法案自体はその新しい選択肢として一つ評価をしている部分がございますので、ぜひとも充実の方をお願いしたいと思います。

 このこども園の子育て支援に対する需要というんですか、こういうのはやはりわかった上での盛り込みだとも思うんですが、子育て支援事業ができるかどうか、その地区にニーズがどれぐらいあるかをこども園になろうとする施設がどの程度把握しているのかというのは、私は少し心配でございます。

 つまり、こども園になるためには、先ほど御答弁いただいたとおり、子育て支援がちゃんとできるという基準を満たさなくてはならない。そうなると、こども園になるために準備をしなきゃいけないだろうというふうに思います。お金が要するにかかることですよね。そういうことに対するヒアリングというか、ニーズは御承知なのかどうか教えていただきたいのと、いわゆる子育て支援として、つどいの広場とかファミリー・サポート・センターとかが現実的にやっています。私も助けられたことがありますけれども、そういうのと中身は同じだというふうに考えてよろしいんでしょうか。

白石政府参考人 その地域地域という形ではございませんけれども、私ども政府全体でまとめさせていただきました子ども・子育て応援プランの中で、平成二十一年度の目標としては、地域子育て支援センターは全国で四千四百をつくりたいな、お願いしたいなというふうに考えておりまして、今現在では二千七百八十六の地域子育て支援センターがあるわけでございます。

 こういう需要といいますのは保育所の待機児童ゼロ作戦とちょっと似ているところがございまして、やれば、ああ、そういうものがあるのかということで、逆に需要がふえるということもありますが、需要がふえるということはある意味喜ばしいことでもございますので、地域地域それぞれに、いろいろな地域の声をよくお酌み取りになって、市町村ともども、この認定を受けた園の方で協力をしてやっていただければと思っておりますし、また、それに対する補助というものは、先ほど文部科学省の方から御答弁ございましたけれども、厚生労働省の方といたしましても、地域子育て支援センターへの助成等々は、いわゆるソフト交付金という形で対応させていただければというふうに思っております。

高井委員 ありがとうございます。

 恐らく、子育て支援機能が充実すればするほど、またこども園でも併設をして持つようにできるところもふえてくるだろうというふうに期待をしたいですし、それに潜在的に育児にストレスを感じている方のところに先んじて手を差し伸べる、少しそれで話を聞く場を、お互いに情報交換するだけでちょっと楽になるとか虐待が解消される、潜在的に虐待する要因があるような方を減らしていくという意味でも、ぜひ子育て支援の機能を充実させていっていただきたいというふうに思います。カウンセラーとかさまざまなことも検討中であろうかとは思いますけれども、ぜひとも重ねてお願いしたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたので、最後の質問に入りたいと思いますけれども、先ほど出た待機児童のお話なんでございますが、例えば保育の整備計画などというのを作成することを考えていただけないでしょうか。つまり、待機児童というのは、きょうも御答弁ありましたけれども、数が約二万四千人いるという話でございました。現実的にニーズがそこにある。二万四千人が入れないと言っている。それは統計のとり方もあるでしょうけれども、実は潜在的な待機児童を含めると、恐らく三万、四万になるんではないか。

 さっき田名部議員の質問の中でも言っておられましたけれども、実は私も一度そういう相談を受けたことがありまして、上の子と下の子と保育園が大変離れている、行って行って、二人送ってから会社に行くとなると大分おくれてしまうし、また帰りも大変だ、もうくたびれてしまって仕事をやめるなんという相談もあって、何とかしてくれないかと言われても、やはり入るところがなければ、だれか追い出して入るわけにいきませんので、現実的に難しいということがございます。

 私もよくよく考えれば、なぜここまで待機児童の問題に苦しまなくてはいけないのか。つまり、少子化対策ということが言われて、多くの人が取り組んでおります。少子化の問題は問題じゃないという人は今世の中にはほとんどいないんではないかと思いますが、それにもかかわらず、やはり待機児童の問題に対して、少子化対策の中の一環としても取り組んでいただきたいし、本当に保育政策の中の一つとしてももっと充実をしていただきたいというふうに考えております。実際に二・四万人が待機児童であるならば、例えば五年計画で六十人定員の保育所を八十カ所一年につくる、そうしたら五年間で四百カ所、これで二・四万人が解消できる、計算上はこういうふうになります。

 村山参考人の資料の中には、保育所整備計画を策定すれば、五万人待機児童がいると想定しても、例えば五年程度で六十人が入れる保育所を百八十カ所つくれば、五万人でも待機児童は吸収できるんだ、それには財源は約二百億程度でできるんではないか。私はどのように試算したかはちょっとお伺いしていないので、ここで御紹介するのも大変申しわけないんですけれども、この計算からすると、では百億ぐらいあれば、たとえ半分の八十カ所でも一年間につくっていけるんではないかというふうに考えますが、子供のために百億ぐらいの予算を何とか捻出してできないだろうかなというふうに思います。いかがでしょうか。

白石政府参考人 待機児童ゼロ作戦に関しましては、平成十四年度から三年間で、実は受け入れの児童数ということでいえば、十五万人を上回る増加を図ったところでございまして、それで待機児童のお子さんの数は確かに減ってはいるんですが、まだ万のオーダーでいらっしゃるというふうな実態でございます。これは、先ほど申し上げましたように、そういうものがあるならば利用したいというふうなニーズというものが、整備をすればするほどそこに出てくるという現実もございますので、なかなか追いつけない。ここについては、私どもも一生懸命、引き続き頑張らなければいけないというふうに考えております。

 予算の規模で申しますれば、実は保育所の施設整備の実施計画上は、平成十四年度で百九十一億円、十五年度二百六十七億円、十六年度三百三億円、十七年度二百八十七億円、それに合わせまして、先ほど御答弁、御質問にお答えした形でありますが、十七年度の補正予算と今年度の当初予算を合わせた四百十五億円、こういう形で、施設整備費というものはかなり厚生労働省としても重点的に予算の確保を図っておるわけでございますが、それをまたこれからも頑張っていかなければならないということでございます。

 また、そういう保育所ということのほかに、先ほど御答弁で申し上げましたように、いろいろな形で子育て支援、保育に欠けるという形ではないけれども、いろいろな方がいらっしゃいます。ファミリー・サポート・センター、その他の、先ほど申し上げましたようないわゆるソフト交付金であるとか、あるいは地域子育て支援センター事業に対するいろいろな特別会計からの補助であるとか、いろいろなこともあわせまして、引き続き頑張ってまいりたいと考えております。

高井委員 ありがとうございます。

 おっしゃったように、ニーズがどんどん出てくる。産業と言ってはいけないのかもしれませんけれども、この教育、保育関連サービスを、例えばマーケットとしても非常に需要が多い、ニーズがある、それなのに、なぜ政府がこの産業を本当に育てようという観点でやっていかないのか、私はある意味で不思議でありまして、これは雇用も生み出せます。働きたい、子供と接して仕事をしたいという人もたくさんいる、私の周りではいますし、多分いるだろうというふうに思います。一つの大事な育成しなきゃいけない産業として投資もし、また民の力も借り、公の力も官の力も借りながら、一つの産業としての観点を持って、一緒に広げていけば、子供政策だからお金のことを言っちゃいけないというよりも、やはりマーケットとして成長させる、いいサービスを与える、子供に対して投資をするという観点からも、ぜひ検討していただきたいというふうに思っております。

 もう時間が参りましたので最後にさせていただきますけれども、私も今三十四歳です。二十代、三十代というのは、少ない給料で仕事も忙しく、子供は小さい、しかも両親もいる、介護もひょっとしたらある人もいるという、一番、割と社会の中で重いというか、いろいろな見えないことも、稚拙な部分もあり、もがいている立場の人間がその世代は多いんではないかと思います。ぜひとも、先輩諸氏からも、いろいろな意味で御指導も賜りたいと思っていますし、また、そういう若い人の苦しさ、子育てにおける苦しい事情というのをぜひ理解していただいて、さまざまな家族政策の支援という観点もぜひ取り入れてやっていただきたいなというふうに思っています。

 そうはいいながらも、私も、やはり子育てはすばらしい、子供から得られるものは非常にかけがえのないものがたくさんあると感じています。一人でも多くの人にこの喜びを感じてほしいと思うと同時に、落選中は夫と二人でマンションで過ごしていたもので、そのときにはさすがにいらいらしたことも実はありました。やはり子育てというのは大変だなと思いながら、両親と一緒に住むようになって解放された部分もあり、そういう意味では、さまざまな子育ての仕方が世の中にはあって、いろいろな人が助けてくれるんだ、だから子供を産みたいんだと前向きに思えるように、文部科学委員会でも、ひいては厚生労働委員会でも、一緒に考えていっていただきたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 長くなりました。どうもきょうはありがとうございました。

遠藤委員長 石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。最後の質問になりました。よろしくお願いします。

 私も待機児問題で一問伺いたいと思っております。

 実情を紹介したいのでございますけれども、大阪市の場合です。政令都市、中核市の中では最も待機児が多いという都市でございます。二〇〇五年四月現在で、入所児童数は三万九千九百三人ですけれども、従来の定義によりまして千七百九十二人の待機児なんですね。今お話しのように、地方自治体は次世代育成行動計画を立てています。大阪市もこのように述べています。保育所の新設や増改築、駅前分園の設置などにより、入所枠の拡大に努める。一応、政府とか行政、市町村はそういうことを掲げてはいる。しかし、その中身は、二〇〇五年度から二〇一〇年度までにふやす入所児童数は五百二十八人なんですよ。これではもう到底追いつかない。だから、自治体がそういう待機児を解消するということに、これではまじめに取り組んでいるとは言えないということだと言わざるを得ないわけです。

 こういう中で、認定こども園が今回創設される。この認定こども園の創設というので、待機児の解消というのはどのように期待しているのか、大分質問がありましたけれども、改めて御見解を伺いたいと思います。

中野副大臣 待機児童の問題につきまして、今高井さんに審議官が答弁いたしましたが、改めて私の方から申したいと思いますけれども、平成十四年から待機児童ゼロ作戦を進めておりまして、十六年までの三年間で十五万六千人の受け入れ児童数の増加を図ったところでございます。そして、平成十七年四月の待機児童数は二年間連続で減少をしておりまして、約二万三千人となってございます。

石井(郁)委員 今の質問にはちょっとお答えになっていないように思うんですが、認定こども園の創設が待機児の解消にどういうふうにかかわるんですか、待機児の解消ということをどんなふうに期待しているんですかということです。

中野副大臣 今回の法律によるところの幼保連携型の認定こども園になった場合には、保育所の認可の定員とか施設設備基準の特例を設けるなどいたしまして、幼稚園が低年齢児保育に取り組むことになりますと、待機児童の解消に資するものと期待をいたしております。

 今、認定こども園の方はそうでございますし、先ほど御答弁いたしましたけれども、十七年度補正予算と十八年度予算で約四百十五億円を確保いたしまして、これで施設整備費に重点的に取り組むということと一緒に、例えば待機児童が多いところ、少なくとも五十人以上の、待機児童が多い都市、市町村を中心にいたしまして、平成十九年度までに集中的に児童の受け入れ数を拡大したい、そういう決意でございます。

石井(郁)委員 政府として待機児問題を解決するというためにきちんと取り組むということだと思うんですね。そういう点では、今本当におっしゃっていただいた方向で大いに努力していただきたいんですけれども、公立、公的な保育制度、保育所を国の責任でやはりきちんと整備していく、計画的に整備していくということがぜひ大事だというふうに思います。そのための財政措置も、きちんとやはり今後とも措置をしっかり確保していくということを申し上げておきたいというふうに思います。

 それとも関連いたしまして、今、認可保育所、とりわけ公立保育所では、地方自治体の財政難ということがありまして、新たな子育て支援の実施を理由にして民間委託とか民営化というのが進んでいますよね。二〇〇一年度から二〇〇五年度までの累計で、私どもの聞いたところでも、民間への業務委託が三百九十八件、民間への公有施設の貸与が百九十件というのがありまして、今、民間委託になったところで、保育士さんが足りないとか、あるいは営業上困難になるとかいうことでストップをするとか、いろいろな事件が全国あちこちで起きています。

 きょうはそのこと自身には触れませんけれども、定員を超えて待機児童を受け入れているという公立保育所もございますし、また、そういうところでは本当に運営費が厳しい。これは保育所の運営費が一般財源化されましたよね。そのことによって、市町村の財源だけではやはり保育所を運営していけないというところが出てきているわけです。それでも民間委託をする、業務委託をするということが起きて、そこで大変なトラブルや、あるいは閉鎖とかということが起きています。

 こういう実態をどのように把握していらっしゃるのかということと、やはりこの問題は大変深刻ではないか、その認識をお持ちかどうかについて、大臣の御認識を伺いたいと思います。

中野副大臣 今委員が御指摘のように、公立の保育所の民営化や民間委託につきましては、既に数多くの実績があるということは御承知だと思います。また、保育につきましても、公立民立を問わず、職員の配置や施設設備を定めた最低基準というものができておりますから、基本的な保育の質は担保されているというふうに考えておりますし、また、それを維持したいと思っております。

 また、今、市町村の財政の話がございましたけれども、市町村としては、公営民営を問わず、保育の実施責任があるわけでございまして、どのような形態でやっていくかということについては各市町村の適切な判断というものがあると思いますので、その点で我々も期待をしているわけでございます。

石井(郁)委員 待機児童問題からお話しいたしましたけれども、一方では本当にそのニーズがある、しかし民間委託をしたためにその保育所がクローズ、閉鎖になってしまった、これではどうしようもないわけでしょう。だから、やはり公立として市町村が措置する責任があるわけですから、本当に市町村が保育所をきちんと運営していく、また財政的な措置もきちんととっていく。このことがなかったら、やはり待機児童問題、解決しないというふうに思うんですね。

 きょうは時間もありませんけれども、今、本当に各地で深刻な事例が起きています。私も、神戸の事件、大阪にも大東市、そのほかでも裁判にまで訴えているような事例になっている、その裁判も闘いながら、勝利もしているんですけれども、というようなことになりまして、ぜひこういう深刻な実態にも目を向けて、きちんとやはり市町村の財政措置、国としても抜本的に図っていただきたいというふうに申し上げたいと思います。

 それで、きょう、民主党の修正案について一問お伺いをいたしたいと思います。

 修正案の附則の第三条に「幼稚園及び保育所の間において、教育及び保育の内容並びに施設の設備及び運営に関する基準、幼稚園の教諭と保育士の資格の内容等ができる限り統一的なものとなるよう、必要な措置を講ずる」というのがございます。できる限り統一的なものとして措置をするというのはどういう内容を考えていらっしゃるのか、お聞かせください。

高井委員 御質問、ありがとうございます。

 私たちの民主党案では、最終的に幼保別々の機能を持った施設が子供のための施設として一つの類型となることを目標、理想としています。そして、それは今までの幼保の存在を否定するものではなくて、教育、保育双方の必要なところすべてを包括する理念と基準でもって子供のための施設として存在するようにしたいというふうに考えています。

 それを前提にしまして、内閣府に担当の部局を置いて、補助金の出入りも統一するということから始めて、三年間のうちにすり合わせをしながら、統一した基準や資格をつくることを進めたいというふうに考えております。

 具体的に申し上げますと、施設の整備、運営に関する基準では、双方のより厳しい方の基準に合わせる、つまり〇―二歳を預かる施設では、例えば調理室の設置等も入れていきたいというふうには考えています。

 しかしながら、そのためにはやはり財政支援措置が当然必要となってきますので、でき得ることならば、子ども家庭省並びに子供担当部局などの設置によって、総合的に新たな支援を検討しているところであります。

 例えば、資格におきましても、現状では、新規卒業者では八割が併有しているというふうに聞いておりますが、さらに研修等の充実も図って、両資格の統一を目指しつつ、片方の資格を有する者のみを排除することのないように統一していきたいというふうに考えています。

 国が就学前のすべての子供に質のよい居場所を提供するために、新しいナショナルミニマムとしての基準をつくり直すという観点から、このように附則にはできるだけ統一的なものという書き方で入れさせていただきました。

石井(郁)委員 どうもありがとうございました。

 私も、やはり幼稚園、保育園の一元化ということは大事だと思っているんですね。そのためにも、一番やはりやらなきゃいけないのが、それぞれ基準が違う、そこのところを低い方に合わせてはだめなんで、しかも現状ではなくてもっとこれをいいものにするということを考えますと、政治の課題として大変な努力が要るなと思うんですけれども、やはりそれなくして一元化をしてもうまくいかないだろうというふうに思っておりまして、お聞かせいただきました。

 次に、幼稚園にかかわって、きょうは残り質問をいたします。

 認定こども園においては、三歳児から五歳児の共通時間ということについて、学級を単位というふうにされていますけれども、これは政府の方にお聞きするんですが、具体的に一学級何人にするんでしょうか。

銭谷政府参考人 認定こども園における一学級の編制でございますが、これは幼稚園設置基準と同様、三十五人以下というふうに考えております。

石井(郁)委員 小学校でも今や三十人前後のクラス、少人数学級と言われている時代ですよね。国会でも、義務教育のところは、学級の定数は大変話題になったというか問題にしてきたところですけれども、幼稚園のところが何で三十五人以下なんだ。三十五人なんだということはやはり一度きちっと議論しなきゃいけないかなというふうに私は思うんですが、なぜ三十五人のままなんですか、これは。

銭谷政府参考人 幼稚園は、御案内のように、学級単位で教育活動を行っているわけでございますけれども、子供たちにいわば環境を設定いたしまして、子供たちがいろいろと活動をする中で子供たちに対する指導を行うという、ある意味で集団的な活動ということが要請をされているわけでございまして、現実には、これまでのいろいろな経験にかんがみまして、従来から三十五人を上限とした基準で運用をしてきているところでございます。

 なお、実態を申し上げますと、現在は、大体一学級当たりの園児数の平均は、三歳から五歳児を通じまして約二十五人でございます。一方、園児数の一学級の平均が三十人を超える学級というのが全体の約二割ぐらいございます。

石井(郁)委員 そういう実態ならなおのこと、やはり思い切って、国の基準としてもきちんと下げるという方がいいんじゃないかというふうに思いますよね。小学校の低学年で学級崩壊ということが大変ずっと話題というか問題になりましたけれども、やはり就学前のところの問題が引きずっているんじゃないかということも言われていますから、やはり就学前のところの定数というのは非常に大事だ、どういう規模で生活をするのか、まさに生活の単位でもあるけれども、それは大事だというふうに思うんですね。

 これはある幼稚園の教諭の方にお聞きしたんですけれども、そこは、年長で三十五人で三クラスだ、年中組というのがありますね、やはり三十五人で三クラス、年少は二十五人で四クラス、合計三百十人という大規模な園だと思うんですけれども、そういうところだということです。

 それから、これも一つ幼稚園の大きな問題なんですけれども、幼稚園の教諭は比較的若いんですよ。勤務年限が非常に短くて、本当に若い人だ。これはどうも安く雇っているからだという話もあるわけで、しかも女性だから安い賃金でという問題も一つ私はあると思っています。その幼稚園で、十二人中七人の方が一年から五年ぐらいの経験しかない。ころころ変わるんですよね。子供にとってもこれは大変だということがあります。ですから、やはり幼稚園の学級定数というのは、保育園に合わせて、私は少なくとも改善すべきだというふうに思います。

 ちなみに、ちょっと諸外国の例なんですが、イギリスの場合、三歳から五歳児を預かる保育学校というのが、今の幼稚園の話ですけれども、二十人の子供に対して職員は二人配置する、これは国の基準としてやっていることなんですね。それから、保育所では、一グループ二十六人を超えてはならない、八人の子供に対して一人の職員だ。フランスでは子供八人に一人です。スウェーデンでは子供五人に一人の職員です。これがみんなやはり公務員の資格を持って、専門的な資格を持って、国として配置しているというふうになっておりますから、それと比べても、余りにも日本の幼稚園あるいは保育園の配置基準というのはやはりおくれているんじゃないかということをこの機に申し上げさせていただきたいと思います。

 さて、もう一つの問題が、幼稚園に通わせている親にとっての保育料の負担の問題なんですね。

 これは、もう皆さん、けさの新聞でやはりそうかということで改めて思いまして、これは毎日ですけれども、育児や教育にお金がかかるから子供はもっとというふうには思わないと。これは内閣府の五カ国調査で、少子化社会に関する国際意識調査で、日本はやはり最低だ。だから、いかに教育費が高いか、これが少子化にも影響しているということで、きょうの新聞報道がございました。

 これは文科省の調査でも、入園料と保育料を合わせて、全国平均は、私立幼稚園の場合、年額二十八万五千円です。公立幼稚園の場合は七万七千円なんですよ。四倍の差がついている。だんだんとこの差は親にとって大変負担になっている。だから、一人は行けても、二人目、三人目になるととても同じ私立の幼稚園には通わせられないということですね。幼稚園に通う子供の約八割は私立の幼稚園です。ですから、今、親の負担、若い世代の負担が大変重くなっているということが言えるかと思います。

 さて、それで、文科省として、幼稚園の就園奨励事業というのを実施しておりまして補助金を出していますが、国は三分の一です。市町村が三分の二の負担です。市町村では、これを実施しているところが決して一〇〇%じゃないんですよ。だから、この調査は、文科省と内閣府でちょっと数字が違うんですけれども、まだそれをやっていないところも非常に存在しているということでございます。

 私は、この法案でも、幼稚園は幼稚園として、保育園は保育園としての役割、機能はそれなりにまた果たしていくという制度でございますから、幼稚園の果たしている今の役割を考えますと、国が負担率を引き上げるなどの拡充、あるいは市町村にもっと支援をするということが必要ではないのかというふうに思いますが、この点はぜひ大臣の御決意を含めて伺いたいと思います。

小坂国務大臣 新聞に確かにそのように書いてございますが、実際には、あの新聞の中で、読んで、もう一つ掘り下げて、それは感覚として教育費が高いのでという理由になっていますが、では、実際に教育費は幾ら対幾らになるかという比較も出していうと、もう少し違ってくるような状況もあるかとは思いますけれども、そういうような指摘があるのは事実だと思います。

 幼稚園と保育所では、提供されるサービスや保育の時間が異なっておりますし、また、保育料設定の考え方も異なっているわけでございますので、必ずしも幼稚園の保育料が保育所に比べて高いとは一概には言えない部分がありますが、幼稚園においては、幼稚園に通う園児の保育料負担の軽減を目的とした、今御指摘の就園奨励事業を実施する地方公共団体に対して、国はその所要経費の、三分の一と御指摘をいただきましたけれども、一部を幼稚園就園奨励費補助金という形で補助をしているわけですね。この幼稚園就園奨励費補助事業につきましては、これまで、補助単価の増額や、それから第二子以降に対しては優遇措置条件をつくって緩和を行っているわけでございます。

 御指摘のような状況を踏まえて、文部科学省としては、今後とも必要な予算の確保に努めて、緩和に努力をしたい、このように思います。

石井(郁)委員 時間が参りました。終わります。

遠藤委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 この際、高井美穂君外一名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。小坂文部科学大臣。

小坂国務大臣 衆議院議員高井美穂君外一名提出の就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。石井郁子さん。

石井(郁)委員 私は、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案に反対の討論を行います。

 第一に、認定こども園の施設設備や職員配置、教育保育内容などを、都道府県が国の基準を参酌し条例で定める点です。

 幼稚園や保育所の現行基準などを基本に、総合施設モデル事業評価委員会の最終まとめに従ってつくる国の基準も何ら法的拘束力がありません。しかも、その基準を都道府県が参酌するもので、国の基準以下で条例が制定される可能性もあり、現状の保育環境や水準の低下、地方ごとの格差を招くものと言わなければなりません。

 次に、直接契約制を導入し、施設ごとに保育料が自由に設定される点です。

 幼稚園や保育所の保育料負担が家計を圧迫していることは、内閣府の調査などでも明らかです。保育料の自由設定によって、高額の負担を強いる施設も出てきかねません。本来どの子にも平等に保障されるべき就学前の教育、保育が、親の収入によってランクづけされてしまいます。また、認定こども園と親との直接契約は、滞納、未払いを理由に子供が退所という事例も生じかねず、また保育を必要としている子供たちが、保育を受けられなくなる事態になりかねません。

 ほかにも、子育て支援を行える施設や専門家の配置を行えるようにする財政的支援が全くない点、多様な類型を認めるとして無認可幼稚園や無認可保育所を認定するというダブルスタンダードを認める点などの問題があります。

 以上の点から、国や自治体が負っている公的保育制度を崩すことに道を開くことになりかねず、本法案に反対するものです。

 なお、民主党提案の修正案については、残念ながら賛同しかねます。

 終わります。

遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、高井美穂君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、小島敏男君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。高井美穂さん。

高井委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たって、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 認定こども園が、子ども及び保護者の視点に立ち、親の就労の有無にかかわりなく教育、保育及び子育て支援を実施できるよう態勢の整備に十分配慮し、財政支援等の充実に努めること。

 二 保護者が多様な施設を適切に選択できるように、認定こども園の情報公開、適切な評価の実施のための措置を講ずるよう努めること。

 三 幼稚園と保育所の連携を一層強化するとともに、幼保連携型の認定こども園における事務の手続きを一元化するよう適切な措置を講ずること。

 四 認定こども園の教育、保育及び子育て支援の質の向上に資するため、職員の研修に積極的な支援を行うこと。

 五 子育てに不安のある保護者をはじめ、子どもを持つすべての家庭の支援が必要とされていることにかんがみ、認定こども園における子育て支援の充実に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

遠藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小坂文部科学大臣。

小坂国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

遠藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十七分散会


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