衆議院

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第18号 平成18年6月9日(金曜日)

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平成十八年六月九日(金曜日)

    午前九時三十五分開議

 出席委員

   委員長 遠藤 乙彦君

   理事 小渕 優子君 理事 大前 繁雄君

   理事 小島 敏男君 理事 西村 明宏君

   理事 松浪健四郎君 理事 藤村  修君

   理事 牧  義夫君 理事 池坊 保子君

      阿部 俊子君    秋葉 賢也君

      飯島 夕雁君    浮島 敏男君

      小川 友一君    岡下 信子君

      加藤 紘一君    川条 志嘉君

      近藤 基彦君    坂本 剛二君

      篠田 陽介君    鈴木 俊一君

      鈴木 恒夫君    永岡 桂子君

      西本 勝子君    藤井 勇治君

      藤田 幹雄君    馬渡 龍治君

      宮下 一郎君   山本ともひろ君

      吉野 正芳君    奥村 展三君

      北橋 健治君    末松 義規君

      鈴木 克昌君    田中眞紀子君

      福田 昭夫君    松本 大輔君

      山口  壯君    笠  浩史君

      鷲尾英一郎君    西  博義君

      石井 郁子君    保坂 展人君

    …………………………………

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   厚生労働大臣政務官    岡田  広君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 辻   優君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            石川  明君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   政府参考人

   (文化庁次長)      加茂川幸夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中谷比呂樹君

   文部科学委員会専門員   井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     篠田 陽介君

  佐藤  錬君     宮下 一郎君

  福田 峰之君     浮島 敏男君

  末松 義規君     福田 昭夫君

  横山 北斗君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     福田 峰之君

  篠田 陽介君     藤井 勇治君

  宮下 一郎君     佐藤  錬君

  鈴木 克昌君     鷲尾英一郎君

  福田 昭夫君     末松 義規君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井 勇治君     井脇ノブ子君

  鷲尾英一郎君     横山 北斗君

    ―――――――――――――

五月二十四日

 視覚障害教育・職業教育を守ることに関する請願(西博義君紹介)(第二三二四号)

六月九日

 行き届いた教育を進めるための私学助成の大幅増額等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三三三二号)

 同(石井郁子君紹介)(第三三三三号)

 同(笠井亮君紹介)(第三三三四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三三三五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三三三六号)

 同(志位和夫君紹介)(第三三三七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三三八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三三三九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三三四〇号)

 私学助成の大幅増額、教育費の保護者負担軽減、教育条件の改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三三四一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三三四二号)

 同(志位和夫君紹介)(第三三四三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三三四四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)(参議院送付)

 文部科学行政の基本施策に関する件

 海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力の推進に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力の推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、かねてより各会派間で御協議いただいておりましたが、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 文化財の保護に係る知識、技術、経験等において、我が国は世界最高水準にあり、これまで我が国の教育機関等は、海外に存在する文化遺産の修復、保存等の活動を個々に行ってまいりました。

 本案は、海外の文化遺産であって、損傷し、衰退し、消滅し、もしくは破壊され、またはそれらのおそれのあるものの保護に係る国際的な協力の推進に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、これらの文化遺産の保護に係る国際的な協力を推進するものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、文化遺産国際協力は、文化遺産が存在する外国の政府及び関係機関の自主的な努力を支援することを旨として、我が国に蓄積された知識、技術、経験等を生かしてその保護に取り組むことにより、世界における多様な文化の発展に貢献するとともに、日本国民の異なる文化を尊重する心の涵養と国際相互理解の増進が図られるように行われるものとすること、

 第二に、国は、文化遺産国際協力の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有するものとし、また、文化遺産国際協力に係る大学その他の教育研究機関は、必要な人材の育成並びに研究及びその成果の普及に努めるものとすること、

 第三に、文部科学大臣及び外務大臣は、文化遺産国際協力を推進するため、その推進に関する基本的な方針を定めなければならないものとすること、

 第四に、国は、国、文化遺産国際協力に係る独立行政法人、教育研究機関、民間団体等の連携の強化に必要な施策を講ずるものとすること、

 第五に、国は、外国の政府もしくは関係機関または国際機関との情報の交換その他の必要かつ適切な施策を講ずるよう努めるとともに、文化遺産国際協力に関する国の内外の情報の収集、整理及び活用その他の必要な施策を講ずるものとすること

等であります。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 海外の文化遺産の保護に係る国際的な協力の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

遠藤委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

遠藤委員長 次に、内閣提出、参議院送付、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十三日火曜日午前九時、参考人として東京都立梅ヶ丘病院院長市川宏伸君、東京学芸大学教授・日本LD学会会長上野一彦君、DPI日本会議常任委員姜博久君及びNPO法人発達障害支援センターひまわり代表理事高原孝恵さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官辻優君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長大島寛君、生涯学習政策局長田中壮一郎君、初等中等教育局長銭谷眞美君、高等教育局長石川明君、スポーツ・青少年局長素川富司君、文化庁次長加茂川幸夫君、厚生労働省大臣官房審議官白石順一君及び社会・援護局障害保健福祉部長中谷比呂樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大前繁雄君。

大前委員 自由民主党の大前繁雄でございます。

 きょうは、トップバッターとして質問の機会を与えていただきましてありがとうございました。限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 最初に、今回の学校教育法等の一部改正によって特別支援学校となります肢体不自由養護学校の療育体制についてお聞きしたいと思います。

 私事にわたりまして大変恐縮でございますけれども、私の長男、ことし三十四歳になるんでございますけれども、難産による仮死産で、アテトーゼ型の脳性小児麻痺児として生まれました。アテトーゼ型というと、皆さん方、なじみのない言葉と思いますけれども、要するに不随意運動があるということなんですね。皆さん方が鏡を見ながらしらがをとられるとよくわかると思うんですけれども、反対の動きが起こるわけなんです。ですから首がふらふらしたり、自分でこう鏡を見ながらしらがをとってもらうとわかりますけれども、実に苦労するんですよね。私の子供を初め、こういうアテトーゼの子供たちは随分そういう苦労をしているわけなんです。

 ついでに脳性小児麻痺のことについてちょっとお話ししておきたいんですが、脳性小児麻痺といいますのは、ポリオ性小児麻痺に対比して使われる言葉でございまして、これは昭和三十年代ころ随分蔓延したんでございますけれども、ポリオウイルスによって足をやられるという、これがポリオ性の小児麻痺なんですけれども、脳性麻痺は、出産時の圧迫とか、酸素が十分に脳に行かないとか、あるいは風邪を引いて高熱が出て脳をやられる、要するに脳を起因として起こる麻痺のことを脳性麻痺と申すわけでございます。大人の脳梗塞なんかと同じで、できるだけ早くリハビリトレーニングを開始しなければならないと言われているわけでございます。

 そういうことで、私も、二歳から自分の長男を、西宮市立のわかば園という通園施設に通わせたんでございます。この子が学齢に達したころ、辛うじて歩けるようになりましたので、ぜひとも普通校を目指したいと思いまして、いろいろ運動したんでございますけれども、当時は市教委の就学適正委員会の指導が極めて強くて、最終的に断念をして、肢体不自由の養護学校に行くことに決めたわけでございます。

 養護学校に進むにしても、子供の将来にとって悔いを残さないように選択をしよう、ベストの選択をしようと思いまして、いろいろ調べて、当時、日本で一番よい肢体不自由養護学校と言われておりました東京の桐が丘養護学校を目指そうということで、会社に頼んで住所移転までして受験をしたんですけれども、あえなく、ちょっと障害が重過ぎたんでしょうね、入れてもらえなかったわけでございます。仕方なしにと言ったら語弊があるんですが、地元の西宮市立の養護学校に入学をしたわけでございます。

 入学をいたしまして一番困りましたのは、養護学校には、PT、理学療法士、OT、作業療法士、ST、言語訓練士ですね、こういった機能訓練を行う訓練士が一人もいなかったということなんですね。

 それまでの通園施設というのは、もう実に充実をいたしておりまして、療育という名が本当にふさわしいというぐらい充実をしていたんですね。療育の療については、母と子が母子で通園をして、PT、OT、STなどの訓練士からリハビリ指導を受けて、そして家庭でも帰ってきて訓練ができたわけなんですよ。育の方も、非常にいい保母さんに恵まれまして、障害児専門の保育を受けることができたわけでございます。

 ところが、養護学校に行きますと、当時、「養護・訓練」という言葉が言われておりまして、そういう言葉に象徴されるように、療育を標榜しているんでございますけれども、実態は九九%教育機関でございまして、リハビリ訓練というのは実にお粗末なものでございました。訓練の時間というのはあるにはあるんでございますけれども、それまで子供たちが通園施設で受けてきたPT、OTなどの訓練とは全く違った訓練方法を一般教員が習ってきて、週に一回程度、訓練のまねごとのようなことをしていたというのが実態であったわけなんですね。したがいまして、うちの子供たちは、養護学校に通学しながら、学校から帰るとまたもとの通園施設のリハビリ訓練の外来に通うという無駄というか、苦労をしておったわけでございます。

 私は、どうして養護学校にもPT、OTなどの訓練士を配属して十分な対応をしてくれないのかということを、当時、県会議員をいたしておりましたので、随分県会で取り上げたんですけれども、なかなからちが明かないんですよ。PT、OTの免状を持った教員か、さもなくば、逆に教員免状を持ったPT、OTなら受け入れるけれども、それ以外はだめだというわけなんですね。そんな人なかなかいないですよね。要するに、養護学校では訓練はない、リハビリはないということなんですよ。

 そこで、最初の質問でございますけれども、私の子供が学校を卒業して既に二十年近くたつわけでございますけれども、こういった肢体不自由養護学校の療育体制の実態は改善されたのかどうか、現状はどうなっているのか、この点について、まずお聞きしたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいまは、御経験に基づく貴重なお話をありがとうございました。

 肢体不自由養護学校では、障害に基づく種々の困難を改善、克服するための指導、自立活動というのが現在行われております。この自立活動の指導に当たりましては、教師間の協力や、必要に応じて専門家の指導助言を得て、適切な指導が行われることが重要であると考えております。

 このため、各学校におきましては、自立活動に精通した教員、自立活動教諭免許状や理学療法士等の免許を有する教員を中心に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門職員の配置と、協力するなどの工夫を行っているところでございます。

 しかしながら、こういう学校がふえつつはございますけれども、一方では、教員とただいま申し上げましたような専門的な職員の配置のバランスや協力体制がまだ十分でない学校があるのも事実であると認識をいたしております。

 文部科学省としては、今後とも、肢体不自由養護学校において教員の専門性を高めるとともに、各分野の専門家との連携協力を図って、適切な指導が充実するよう努める必要があると考えているところでございます。

大前委員 自立活動と言われますけれども、そういうのはポリオの障害児が中心を占めていた時代の発想であって、今のように、脳性麻痺を初めとして非常に重度化している、特に普通校にどんどんどんどん軽い障害児が行くような状況、そういう状況では、この自立活動というのを主に置くというのは全くピントが外れていると私は思うんですね。

 養護学校というのは、私の子供が在籍していたころは、教育の対象になるといったら語弊がございますけれども、国語や算数などの教科学習の対象になる児童生徒もそこそこいたんですよ。私の子供なんかも字も書けるようになっておりますしね。

 しかし最近、ここにおられる先生方も、よく招待されて養護学校の運動会とか学習発表会に行かれると思いますけれども、そういうところに行きましても、先生がみんな代役をしておる重度者ばかりで、教育機関というよりは、デイサービス的な福祉施設化しているというのが実態なんですね。

 ところが、職員体制は旧態依然、まあ文科省所管の学校だから当然と言えば当然でございますけれども、今言われたように、ほとんどが教員免状を持った一般教員で占めてこられているわけでございます。その数も半端なものじゃないんですよ。

 具体的に例を申し上げますと、私の長男が通っておった西宮養護学校で、この間この質問をするんで聞いたんですが、ことし五月一日現在、小学部、中学部、高等部、合わせて何人いるんだと言いましたら、六十名いると言われました。六十名の児童生徒がおるわけでございますけれども、教員はそれに対して何人いるんだと言いましたら、校長、教頭、一部非常勤の講師も合わせまして、全部で五十七名なんです。六十名の児童生徒数に対して五十七名の、ほとんど全部教員免状を持った先生ですね。これはほぼ生徒一人に先生一人の布陣でございますね。それ以外に、栄養士が一名、調理師が一名、事務員が四名、介助員八名、用務員二名。

 一見数字だけ見ると、ぜいたく過ぎるほど行き届いた指導体制のように見えるんですが、それが実態に即しているのかといったら、全く即していないんですね。障害の改善のために最も機能訓練が必要な六歳からの学齢期に、一般教員ばかりでリハビリ訓練をほとんどやらない今の養護学校は、余りにも障害児童生徒の実態を無視したものではないかと私は考えるわけでございます。何のためにこれほどたくさんの一般教員免状を持った先生ばかり配置しているのか、さっぱりわからぬわけですね。これを、この先生の数を思い切って半分ぐらいに減らして、PT、OTなどの訓練士をその分入れれば、すばらしい療育機関になると考える、これはどなたも同じように考えられると思うんですよ。

 ところが、そのためにはPT、OTの免許保有者を一般教員と同じように取り扱うようにしなければならぬわけですね。これが難しいんですね。なぜかといいますと、日本の学校というのは極めて閉鎖的で、教員免状を持っていない異分子のマンパワーを仲間に入れることを極端に嫌うわけでございますね。

 そこでお尋ねしたいのでございますけれども、今回の一部法改正で、養護学校は特別支援学校になります。また、教諭免許制度も変更されるわけでございますけれども、これを機に、ぜひPT、OTなどの訓練士を正規の教職員として採用、雇用できるように制度を整えるべきだと思うのでございますけれども、どのようにお考えか、お聞きしたいと思います。

小坂国務大臣 大前委員におかれましては、御自身の御家族の体験も踏まえて、今日の状況、問題意識をしっかりと御指摘をいただきまして、また御提言もいただきました。

 私は、聞いておりまして、そのとおりだと思いますね。先生の御指摘のとおりですよ。私は、今のままでは、せっかく特別支援学校というような衣がえをしても、何にも変わらないと言われてしまう。

 いい機会だと思います。教員以外の職員であります理学療法士や作業療法士、いわゆるPT、OTの専門職につきましては、それぞれの専門領域において、障害のある児童生徒に対して適切な訓練、助言、指導を行う能力を有しているわけですから、そういった方にちゃんと入っていただいてやることが非常に重要だ、私の認識はそういう点で共有できると思っております。

 そういう意味で、先ほど局長から説明をさせていただきましたように、今日は専門家と連携協力して障害のある児童生徒に対する教育の充実を図るための対応をとっているわけでございますけれども、これを機に校内組織や指導体制のあり方というものをしっかり見直したいと思いますし、免許状には特別免許があるわけですよね。

 私は、今回の規制改革の中で、特別免許というのは、そういった対象になる方に特別免許の申請をしていただいて、そしてそれを対象に特別免許を付与するという形にすれば、適切な方に教員免許を付与することができるようになると思いますから、今の療法士の皆さんに特別教員、特別免許状を差し上げて、そして自立活動教諭としての活動を行っていただくということは可能だと思います。

 これをいきなりどういうふうにするかということになると、幾つかの学校をモデルにして、そこでそういう形の特別免許で対応していただいて、実態がどのようになるか、具体例を積み上げて、そして次年度ぐらいからはこれが当たり前のような形になるような体制を少し整えたらいいんじゃないか、私はそのくらいに思っておりまして、早急に指示をしたい、このように思います。

 これを正規の職員とするということになりますと、それだけでは国庫負担の対象にならなくなるわけですね。ですが、特別教員としての免許を持っていただければ教員になりますから、そうなれば国庫負担の対象にもなる。それが仮にだめな場合でも、都道府県負担によりこれは実施することが可能でありますので、せっかく先生からそういった率直な御提言をいただいて、問題意識を把握することができましたので、私も、これについて前向きに対応させていただきたい、このように考えます。

大前委員 大臣から今大変前向きの御答弁をいただきまして、心強く思った次第でございます。先般、先行審議されました参議院の附帯決議でも、第三項で、特別支援学校の教員免許状のあり方についてもさらに検討を進めることと明記されておりますので、ぜひとも前向きに検討を進めていただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、教員の世界というのは大変排他的でございまして、難しい世界なんでございますけれども、自分たちの職域、特権を守ることより、障害児童生徒の立場に立つ行政を行っていただくよう、強く要望しておきたいと思います。

 次に、統合教育、いわゆるインクルージョンの問題についてお聞きしたいと思います。

 さきに私は、長男を普通校に入れることを断念し、最終的に地域の養護学校に行かせたと述べました。その主たる理由は、当時の普通校での障害児受け入れ意識が今と違って随分おくれていたということでございます。

 例えば、当時の西宮市のある小学校長は、その小学校に入学を希望した障害児の保護者に対して、米と小豆は一緒に炊けませんよと言われまして、今ならとても許されないような発言を行って拒否をされたわけなんですね。事ほどさように、難しい時代環境でしたから、こちらの方も、自分の子供を嫌がる先生や他の保護者がいる普通校に無理に入れて苦労するというふうな勇気がなかったと言われれば、それも事実でございます。

 そんなわけで、ことし三十四歳になります我が子は、養護学校を卒業して、近くの通所授産所に通っておるわけでございますけれども、冒頭申しましたとおり、アテトーゼ症で長時間の作業に耐えられませんので、大体毎日お昼過ぎには家に帰ってきて、テレビを見たりラジオに耳を傾ける生活をしているわけなんですね。そんな長男を見るたびに、私は、あのとき無理をしてでも普通校に入れていたら、友達もできて、もう少し豊かな人生を送れていただろうになと、後悔に似たような思いに駆られるわけでございます。

 そこで、この項に関する最初の質問でございますけれども、今、学校教育法施行令第五条の原則分離規定を撤廃すべきだという意見がございます。つまり、施行令第二十二条の三にございます障害のある子供は盲・聾・養護学校に就学すべきという原則分離規定を改めて、原則普通校入学、希望があれば養護学校へ行ってもいいことにするという考えでございます。

 私の子供は当時の基準で少し重い部類に属しておりましたので、養護学校に進まざるを得なかったのでございますけれども、これが仮に、施行令第五条の原則分離規定がなくて、障害児はみずから養護学校を希望する者以外原則普通校という規定だったといたしますと、恐らく私ども夫婦もちゅうちょなく長男を普通校に入れていたと思うわけでございます。

 私のような思いをさせないためにも、もうそろそろ国も考え方を改めるべき時期ではないかと思うんですが、いかがお考えか、お尋ねをしたいと思います。

小坂国務大臣 先生の御指摘は、これまた私としてもよく理解できるところでございます。

 しかし、まず前提として、障害のあるお子さんは、その障害の状態に応じまして、その可能性を最大限に引き出し伸ばすべく、自立し社会参加するための必要な力を培うために、一人一人のニーズに応じた適切な教育を適切な場で行うことが重要であるという認識を持っているわけでございますが、障害のあるお子さんの就学すべき学校の決定については、今御指摘がありましたように、一人一人のニーズを把握しながらも、御相談に乗りながら、原則分離規定の中で処理をされているというのが実情でございます。このことは、単純に機械的な作業をするのではなくて、もっと保護者の方のお気持ち、そしてお子さんの立場に立ったあり方というものをしっかり踏まえて相談に乗ることが必要だ、こういうふうに考えておるわけでございます。

 中央教育審議会の答申によりますと、昨年十二月、答申をいただきましたが、就学前及び就学後における教育的ニーズの一層の把握及び反映をする中で、児童生徒及び保護者に対する的確な説明及び情報の提供をする、こういうことが提言されておるところでございまして、そういった考え方も踏まえて、さらに児童生徒の障害の状態の把握に努め、保護者の御意見を聞きつつ、総合的な観点から判断するようにさせていきたい、このように思うところでございます。

 しかしながら、児童生徒の障害の状態にかかわらずに一律に通常の学校に就学させることは、現在の現場の状況からするとまだちょっと困難だという御意見が強いわけでございますので、今申し上げたような対応をさせていただきたい。そういう中で、今後とも保護者の御意見に十分に耳を傾けながら、今後の方向についてさらなる検討をしてまいりたい。

 世界の中でのインクルージョンの流れがあるということは私どもも理解しているところでございますので、何とぞ御理解を賜りたいと存じます。

大前委員 最後に少し述べられましたけれども、この施行令第五条の原則分離規定の撤廃運動を進めておられる団体の御意見を聞かせていただきますと、こういった統合教育主義、いわゆるインクルージョンの考え方が世界の潮流だと言われているわけでございますけれども、この点について、実際のところはどうなのか、外国、特に先進諸国の制度はどうなっているのか、わかっておられる範囲でお教え願いたいと思います。

銭谷政府参考人 障害を持つ児童生徒の教育につきましては、統合教育、インクルージョン教育を志向するということが国際社会の中で大きな流れになっていると認識をいたしております。

 ただ、各国によりまして障害の分類、対応の仕方が大きく異なっているわけでございますが、いずれの国においても障害のある子供のための特別な学校というものは制度上存在をしておりまして、障害の状態に応じた専門的な教育を実施していると承知をいたしております。

 また、これらの学校への就学に際しましては、各国とも保護者の意向を確認して、その反映を図っているというふうに承知をいたしているところでございます。

 各国の取り組み状況について、幾つかの国について申し上げますと、例えば、いわゆる特殊教育を受けている子供の全児童生徒数に占める割合ということになりますと、これは通常の学級で指導を受けている児童生徒も含めての割合でございますが、イギリスは二・九%、ドイツは五%、日本が一・七四%という割合になります。それから、このうち、特別な学校に在籍をして教育を受けている全児童生徒に対する児童生徒の割合でございますが、これは、イギリスが一・五七%、ドイツは四%、日本は〇・四八%という数字になります。

 なお、例えばアメリカの場合は、いわゆる特殊教育の範囲を非常に広くとらえておりますので、全児童に占める特殊教育を受けている児童生徒の割合は一二%というデータもございます。このうち、特別な学校に在籍をしている児童生徒の全児童生徒に占める割合ということになりますとアメリカは〇・六%、こういったデータを承知いたしているところでございます。

大前委員 データのとり方によっていろいろあると思いますけれども、参議院の審議でも答えておられたように、文部科学省が原則分離規定に踏み切れないのは、希望者全員に普通校入学を受け入れるには、施設設備や教職員の配置、資質、能力といった面で対応が難しいというのが理由だと思います。

 私も、一〇〇%医療対象の子供まで希望があれば受け入れるべきというほどにまで統合論者ではございません。できたら条件つきの原則統合といったような考えがまず第一歩としていいのではないかと思いますが、この点についてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。

小坂国務大臣 時間の関係もありますから結論だけ先に申し上げますが、先ほど申し上げたような事情もございます、委員の御指摘の条件つき原則統合と私の申し上げたことが近づくように努力をさせていただきたい、このように思います。

大前委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 では、時間もございませんので、最後に特別支援学校の姿について一、二お聞きしたいんです。

 特別支援学校というのは設置者の判断によって複数の障害種別を教育の対象とすることができる学校制度とされておるわけでございますけれども、なかなか具体的にイメージしにくいわけでございます。私の子供がおった西宮養護学校でもどういうふうに変わるのかと思ってもイメージしにくいのですけれども、必要に応じて、異なる障害の部門が大学の学部のように併存する、そういった解釈でいいのかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。

馳副大臣 委員御指摘のように、設置者の判断によっては必要に応じて障害ごとの部門を設けることも考えられるところであります。

大前委員 いずれにしても、設置者の判断というのは最優先されるということだと思います。

 それでもう一つ、盲・聾・養護学校のうちでも、盲学校、聾学校というのは今まで広域対象だったわけなんですね。広域対象の盲・聾・養護学校に地域の、地元の他の種別の障害児を受け入れるというのはさらにイメージが難しいわけでございますけれども、そういうことは具体的に可能性としてあるのかどうか、これについてお教え願いたいと思います。

銭谷政府参考人 盲・聾・養護学校の在籍者数はやや横ばいでございますので、余裕教室を活用して、教員を配置した上で他の障害種別の児童生徒を受け入れるといったようなことは考えられるところでございます。

大前委員 もう少し時間があるようでございますので、もう一つだけお聞きしたいと思います。

 LD、ADHD等の障害について聞きたいんですが、医学的な把握というのがはっきりまだできていないと言われておりますね。そういう段階で、LDとかADHD、高機能自閉症等の児童生徒をどのように定義づけて、判断基準はどのようにされるのか、お答え願いたいと思います。

銭谷政府参考人 平成十六年に、文部科学省が教育学、心理学、医学等の専門家の協力を得てガイドラインを示しておりまして、判断基準をある程度示しているわけでございますが、そういったものを活用していただきまして、専門家等の指導助言も得ながら、必要な特別な指導の内容、頻度等について判断をしていくということになろうかと思っております。

大前委員 もう一つお聞きします。

 最近、行政改革のあらしが吹き荒れておるわけでございますけれども、教育予算も例外ではないわけなんですね。平成十八年度スタート予定だった第八次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画が見送りになるなど大変厳しい情勢下にあるわけでございますけれども、特別支援教育を推進するための教職員配置の方針を最後にお聞きしたいと思います。

小坂国務大臣 特別支援教育の充実を図るために今後とも計画的に取り組んでいく必要があると考えておりまして、十九年度以降の予算編成過程において検討してまいりたいと存じます。

大前委員 ありがとうございました。終わります。

遠藤委員長 松浪健四郎君。

松浪(健四郎)委員 おはようございます。自由民主党の松浪健四郎でございます。

 一九六四年の東京オリンピック、レスリングのフリースタイル、バンタム級の決勝戦は、日本の上武洋次郎選手とトルコのフセイン・アクバッシュ選手との間で争われました。うれしいことにと言っていいのかどうかわかりませんけれども、上武選手の活躍で金メダルを獲得したわけでありますけれども、この一戦は、多くの日本人だけにとどまらず、世界の人々にも感動を与えた一戦でありました。

 と申しますのは、フセイン・アクバッシュ選手は強度の小児麻痺、いわゆるポリオの選手であったんです。真っすぐ歩くことのできない大きな障害、ハンディを持たれたこの選手が、パラリンピックではなくてオリンピックで決勝戦まで進まれ、そして銀メダルを獲得されました。しかも、このフセイン・アクバッシュ選手は、一九六三年の世界選手権では実にチャンピオンになられたわけであります。これだけのハンディを持った方が、最も体力を必要とするレスリングという過激なスポーツで活躍をされた。このことは、どんなハンディを持とうとも、努力し、わざを磨けば世界の頂点に立てるんだということで、我々に勇気を与えてくれたわけであります。

 私はこの感動を忘れることはありませんけれども、馳副大臣も同じレスラーであります。レスリングという競技と、そしてハンディキャップを持った人とのことについてどのように思われているか、まずお尋ねしたいと思います。

馳副大臣 私も十五歳でレスリングを始めたときに、最初に先輩や指導者から習ったのが、このトルコのアクバッシュ選手の事実であります。いわゆる細い足をむしろ見せ足にしながら、戦略を立てて勝ち抜く。当然そのために、過酷な減量も必要ですし、身体的な厳しいトレーニングも必要である。その困難にうちかって、そういう状況でありながらも世界チャンピオンに上り詰めたということは、レスラーを志す我々若い少年ばかりではなく、多くの人に感動とそれから勇気を与えたものである。

 そういうことを考えると、障害をお持ちの皆さん方が、いかにみずからの能力を発揮し、そして人生を生き抜くかという一つのモデルとなるような姿であったと思い、私もいまだに鮮明に覚えているところであります。

松浪(健四郎)委員 そこでお尋ねするわけですけれども、今回の法案によりまして、盲・聾・養護学校につきましては障害の種別を撤廃する、いいことだと私は思っています。そこで特別支援学校に一本化するということで、十分に理解できるわけでありますけれども、それでは、小中学校についてはどのように変わっていくのか、そのことについてお尋ねしたいと思います。

馳副大臣 小中学校では、特殊学級による指導、それから通常の学級に在籍したまま特別の指導を受ける通級による指導、それから通常学級での担任やチームティーチング等による個別の指導が行われることになります。

 今回の法改正では、小中学校等における取り組みの一層の推進を図るため、学校教育法第七十五条第一項を新設し、障害による学習上または生活上の困難を克服するため、小中学校等における特別支援教育を明確に位置づけることとしております。

 今後、すべての学校において、学校全体の課題としてLD、ADHDを含む障害のある児童生徒に対する教育的支援に一層取り組まれるものと考えております。

松浪(健四郎)委員 そういうふうにきちんとやっていただければありがたいし、加えて、我々はもしかしたならばハンディキャップを持たれている児童生徒に対して偏見を持ってはいないか、その偏見が一人一人の子供たちの個性や才能、能力、手腕、これらを殺してはいないか、こういう思いもあります。そういう意味では、種別を廃止するということは非常にいいことだし、そして、新しい形での教育、これが期待されるのではないのか、こういうふうに思います。

 そこでお尋ねいたしますけれども、学習障害、いわゆるLD、そしてADHD、注意欠陥多動性障害等の児童生徒を含め、障害のある児童生徒等に対して学校全体として特別支援教育を推進するということでございますけれども、LD、ADHDの児童生徒につきましては、ことしより制度が見直されまして特別な指導の対象になったとお聞きしております。この制度の見直しの内容はどのようなものであるのか、お尋ねしたいと思います。

馳副大臣 委員御指摘のとおりに、平成十八年度予算においては、教職員配置を見直した上で、LD等への対応について二百八十二人の定数改善を図ったところであります。しかしながら、教職員の定数のあり方については、財務省との大変な激しいやりとりもございまして、平成十九年度以降の予算編成過程においては現在検討中であります。

 私も娘が公立の小学校へ行っておりまして、一年生のころから同じクラスに数名のLD、ADHDのお子さんがいらっしゃいます。一年生のときには保護者がついてこられておりました。二年生になってから加配がなされました。恐らく、全国の小学校において似たような状況にあろうと思います。現場がこういった新しい課題に対応し切れない、教員の人的配置が必要であるという声は高まっておりますので、それを十分に受けとめた上で財務省との交渉に取り組んでまいりたいと考えております。

銭谷政府参考人 ただいま副大臣から、LD、ADHD児の指導に係る教職員配置について御説明をさせていただきました。私の方から若干補足をさせていただきまして、この三月の省令改正等の内容について御説明をさせていただきたく存じます。

 LD、ADHDの子供たちは通常の学級に在籍をしているわけでございますけれども、この三月に学校教育法施行規則の一部改正を行いまして、LD及びADHDの児童生徒につきましては、いわゆる通級による指導の新たな対象にしたところでございます。

 通級と申しますのは、小中学校の通常の学級に在籍をしている比較的軽度の障害のある児童生徒を対象に、その障害の状態に応じまして特別な指導を行う形態でございます。

 また、あわせまして通級に関する文部省告示の一部改正を行いまして、児童生徒の障害に応じたより適切な教育を実施する観点から、通級による指導の指導時間数の弾力化というものを図ったところでございます。

松浪(健四郎)委員 私の娘が通園しておりました幼稚園にも、これは、重度の身体障害者の児童を受け入れておりました。キリスト教系の幼稚園であったということも影響しておるかもわかりませんけれども、小さいときから相互の理解を深めていく、そして、手を差し伸べて、みんなで協力して、みんなと一緒に楽しく学ぶんだ、こういうことを経験させるということがいかにとうといかということを、私自身、親として学んだ経験がございます。そして、そのようなことが全国的にいろいろな学校で進んでいけばいいなというような思いを持っておりますけれども、LD、ADHD等の児童生徒は、通常の学級に約六%程度在籍しておる、その可能性があると聞いておりますけれども、かなりの人的支援が必要ではないのか、こういうふうに思います。

 先般、イギリスに視察に行ってまいりました。通常の小学校でございましたけれども、ハンディキャップをお持ちの児童生徒もたくさんおられました。そこでは、地域のボランティアの皆さん方が、授業をアシスタントとして手伝っておられました。私は、施設も立派であったし、そして、こういう温かい環境の中で教育を推進していくということは大切だなというような実感を持って帰国したわけでありますけれども、とにかく人的支援が必要であろう、こういうふうに思いました。

 LD、ADHDの児童生徒への支援に向けた今後の条件整備、これは十分に検討しなきゃいけない、こういうふうに思うわけでございますけれども、その検討状況はどういうふうになっているのか、お尋ねしたいと思います。

馳副大臣 当然、定数改善の中で、より求めていきたいということは先ほども申し上げたところでありますが、基本的に、やはりすべての教職員が、LD、ADHDの児童生徒がいる、その症状に応じて、状況に応じて対応できる資質を向上させることが必要でありますから、そういった研修プログラムを充実させ、研修を充実させるということが、まず一つございます。また、今先生おっしゃったように、保護者の協力であったり、そういったことを理解する方々、まさしくNPO団体が、学校の教育現場で協力いただけるような、市町村の場合には、設置者の判断によって補助的な対応をしていただく、こういった取り組みによって、その当事者もそうですけれども、保護者もそうですし、教職員もそうですし、取り組む方々すべてが理解をし合えるような人的体制を整える必要があるというふうに考えております。

松浪(健四郎)委員 もう四十年も昔の話になりますけれども、私は、イースタンミシガンという大学の教育学部体育学科に留学をいたしました。この大学には、ハンディキャップスクールがございまして、我々体育学科の専攻学生は、必須科目として、このハンディキャップスクールの子供たちに体育実技を教えなければならないということになっておりまして、私は、重度の障害児にマット運動を教える、また、同じ重度の身体障害児に水泳を教えるということを半年間経験したことがございます。アメリカでは、これら身体障害者がスポーツをする、そのための設備等、いろいろな補助道具、これが発達しておりまして、どんなに体が不自由であろうとも、一般の児童生徒と同じように運動させ、そして、体を動かす喜びを与えるというようなことに大変熱心でありましたし、研究も進んでおった、こういうふうに思いますが、私は、マット運動で自分が前転運動ができる、そうしたときのうれしさ、障害を持たれた子供たちのこの感動、感激を目の当たりにして、本当に、いろいろなことをみんなと一緒にやるということは大切なんだな、こういうふうに思いました。また、水泳の授業でも、なかなかみずからでは泳ぐことはできないけれども、多くの人たちの支えがあれば、体を浮かせて泳ぐことができる、そして、その大きな喜びを、障害を持たれた子供たちにも与えることができるということを経験したことがございます。

 そこでお尋ねをしたいわけですけれども、先ほども、馳副大臣から、多くの人たちの協力を得たい、学校の設置者がどういうふうに考えるかはともかくとして、たくさんの皆さんの協力が必要だと、これは当然であろう、こう思うわけですけれども、学校全体で障害のある児童生徒を支援するという観点からは、障害のある児童生徒の指導を直接に担当する教員だけでは対応することはできないのではないのか、こう思います。そして、障害のある児童生徒につきましては、学校全体で支援していくことが重要であると考えますけれども、本当に支援体制の整備ができるんだろうか、こういう疑念を持っておりますけれども、その整備状況についてお尋ねしたいと思います。

馳副大臣 平成十五年度から、特別支援教育体制推進事業を、全都道府県に委嘱して推進しているところであります。具体的には、校内委員会を設置して、LD、ADHD等の児童生徒の実態を把握したり、具体的な支援策の検討を行うこと、医療、福祉等の関係機関や保護者との連絡調整を担うコーディネーター的な役割を担う教員を指名すること、外部の医師や、LD、ADHD等の専門家による巡回指導等の支援を受けられる仕組みづくりを行うこと、障害のある児童生徒等の担任と特別支援教育コーディネーターとが連携し、保護者の意見を十分に聞きながら、個別の教育支援計画の策定を行うことなどの校内支援体制の整備を進めているところでありますが、平成十七年九月一日現在の調査によれば、例えば、校内委員会の設置は八七・八%、コーディネーターの指名が七七・九%、巡回相談員の活用が五一・四%、個別の教育支援計画の作成が一三・四%と考えますと、まだまだ十分に浸透しておらず、低調であると言わざるを得ません。

 文部科学省としては、こういう状況を踏まえて、引き続き、小中学校等における特別支援教育体制の整備、充実に努めてまいりたいと考えております。

松浪(健四郎)委員 今副大臣からお聞きした数字では、十分整備されておるというふうには思われませんので、文部科学省におかれましては、十分な支援体制をとられるように、これからも鋭意努力していただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。

 それで、小中学校におきましては、学校全体で特別支援教育に取り組むとしても、それでも限界があると私は考えております。特別支援学校におきましては、新たにセンター的機能を発揮することが、努力義務として果たされると認識しておりますけれども、一体、そのセンター的機能というのはどのような趣旨によって成り立っているのか、御説明いただきたいと思います。

馳副大臣 具体的には、小中学校等への支援機能、これは、小中学校における研修の際の講師となることや、指導方法の助言であります。それから、保護者への支援機能、これは、就学前の子供についての保護者の相談対応であります。さらに、地域の関係機関との連絡調整機能、これは、福祉、医療、労働などの関係機関との連携協力、こういったことをセンター的機能として想定をし、推進していこうとしております。

松浪(健四郎)委員 保護をして、そして可能な限り自立できるように、障害を持たれた児童生徒たちにも大きな愛情を与えながら、多くの人たちが温かく見守って育てて、そして立派に成長してもらいたい。このことと同時に、センター支援機能が働いて、冒頭申し上げましたように、障害を持たれた子供たちも立派な才能や能力、これらを有しておるわけですから、これを引き出して、そして活躍できるような、そういう指導にまで高めるような機能を持っていただければありがたい、こういうふうに思っております。

 いずれにいたしましても、身体障害者に対して、または身体障害児に対して、我々一般の社会の人たちが偏見を持っているとしたならば、そして、保護するというだけの考えではなくて、相互の理解を深めながら、ハンディを持たれた人たち、この人たちの能力が開花するように、開花できるように、必死になって協力しなければならない。このことを肝に銘じていただきたい、切にお願いする次第であります。

 次に、特別支援学級のセンター的機能につきましては、昨年の第八次定数改善計画案に盛り込まれたものと認識しておりますけれども、結局は見送られたんですね。センター的機能を十分に発揮できるためには、今後の定数改善の方向性をどのように考えているのか。これをきちんとやらないと、せっかくこの法律を改正したとしても効果が上がらないのではないのか、こういう思いを持っておりますけれども、定数改善の方向性についてお尋ねしたいと思います。

馳副大臣 これは先ほどから申し上げておりますように、センター的機能の役割を重視するということを考えれば、特別支援教育のコーディネーター的な役割をする人がいていただくことが必要になってくるわけです。

 特別支援学校、また通常の小中学校、また福祉医療機関との連携、保護者への対応、個別の指導計画の作成などなど、やはり通常の教員だけでは対応できないような学校内外のコーディネートをするような人材が求められているわけでありまして、この法律を通していただければ、その趣旨に沿って、より必要とされる人材はどこか、こういうことを勘案して、とりわけ特別支援教育のコーディネーター、この要求については一層取り組んでまいりたいと思っておりますし、先生方にも御協力いただきたいと思っております。

松浪(健四郎)委員 先ほど私は、四十年前、イースタンミシガンで経験をした重度の身体障害児、生徒に体育実技を指導したお話をさせていただきましたけれども、なるほど、体育実技について、またその指導方法について、知識はございましたけれども、私は、実はその教員免許を持っておったわけではございません。しかし、数回、数時間教えておるうちに、おおむね、身体障害者の気持ちと、そしてどのようにして教えていかなければならないかということは、スポーツや体育に関する専門的知識を持っていたがゆえに、私はそれほど難しくなかった、こういうふうに思います。

 そこで、今回は、思い切ったといいますか、あるいはそうではないんだということであるのかはともかくとして、障害がある子供の教育につきましては、障害によって大きく対応が異なりますが、その障害の状態に応じた対応が必要である、こう考えますけれども、今般、特別支援学校の教員の免許状につきましては、盲・聾・養護学校を障害種別を超えた特別支援学校とすることにあわせ、種別を撤廃する。このことでございますけれども、障害種別ごとの専門性は果たして担保されるのかどうか、これをお尋ねしたいと思います。

銭谷政府参考人 特別支援学校の教員免許状におきましては、第一には、幅広い障害に関する総合性、第二に、障害種ごとの教育の専門性、この双方を担保するものとして設計をしたいというふうに考えているところでございます。

 すなわち、まず第一の点につきましては、免許状の取得に必要な単位数を現行の盲・聾・養護学校の教員免許状取得の場合よりも増加をさせることなどによりまして、重複障害やLD等を含む幅広い障害についての知識、理解を得ることとしております。

 第二の専門性の点につきましては、従前の盲・聾・養護学校の教員免許状取得の場合と同程度の専門性を確保するということを可能にいたしております。加えて、免許状の授与を受けようとする方の専門科目の単位の修得状況に応じまして、特別支援学校の五つの障害種別の教育領域のうち、担当できる教育領域を定めまして免許状を授与することにいたしております。この担当できる教育領域は、その後、さらに講習等によりましてそれをふやしていく、最終的には五つの障害種別を担当できるように持っていこうというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、従来と同程度の障害種別ごとの教育の専門性を確保するとともに、重複障害、LD等に対するこれまで以上に総合的な対応が可能になる免許制度にするということでございます。

松浪(健四郎)委員 大前先生の御質問の中にもございましたけれども、専門性があると他の人たちを排除してしまうというか、バリアをつくってしまって入れようとしない、これが専門的な面での短所であるかもしれない。けれども、専門的な知識、これもなければ困る、言うまでもございませんけれども。

 これからはその折り合いをどうしていくのかということが求められるんだろう、こう思いますけれども、小中学校における特別支援教育の推進に当たりましては学校全体で推進するという観点から、すべての教員が特別支援教育に関する知識を身につけるために、養成課程の改善や現職研修の充実を図らなければならない、私はこう思いますけれども、その見解についていかがでしょうか。

馳副大臣 松浪委員冒頭おっしゃったとおり、専門性のある教職員がいるとその小中学校はどうなるか。私は、実態を一度、文京区の駒本小学校がモデル的に取り組んでおりますので、視察をしてまいりました。若い先生方が、キャリアのある専門性を持った教職員から、接し方、教育プログラムの設計のあり方等を学んで、より充実した能力を校内において日常身につけることができるというプラスがあるということを知りました。

 それで、今お尋ねの件ですが、二つの段階を考えておりまして、教員養成段階と現職の教員に対する研修のあり方、この二点でございます。

 教員の養成段階においては、小中学校等の免許状を取得する際の障害に関する知識、技能の修得に関して、平成十年に、障害のある児童等の心身の発達や学習の過程に係る内容の必修化を措置したところであります。平成十七年の発達障害者支援法の施行に際し、文部科学省よりすべての国公私立大学等に対し、小中学校等の教員養成課程において、発達障害に関する内容も含めて取り扱うよう通知したところであります。

 現職の教員に関しては、国立特殊教育総合研究所において、各都道府県の指導的立場の教員を対象とした専門的な研修を実施しております。全都道府県に特別支援教育体制推進事業を委嘱し、この中で特別支援教育コーディネーターの養成研修を推進しております。また、初任者研修や十年経験者研修などの中で特別支援教育を取り上げるように指導しております。

 今後とも、養成の段階においても研修の段階においても、より一層理解が求められると思いますので、研修また養成段階でのカリキュラム編成に取り組んでいきたいと考えております。

松浪(健四郎)委員 この学校教育法の一部を改正する法律案、これに基づいて、文部科学省は、一層、ハンディキャップを持たれている児童生徒の保護者の皆さん方が納得できる、満足できる方法で、さらに立派な教育を推進していただきたい。そのためには、十分な予算的措置、これも講じなければならない、このように思います。

 これらのことをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 私ども公明党は、勉強会を重ねながら、四月の段階で、特別支援教育の実施に当たっての要望を文部科学大臣にお手渡しいたしました。五つの項目、そして二十四の数々のことが書かれております。視察に行けば行くほど、たくさんの問題を解決しなければならない、この二十四の要望をすべて満たしてくださったならば、きっといい特別支援教育ができるのではないかと思いますが、きょうはすべてを質問するわけにいきませんので、幾つかのことを質問させていただきたいと思います。

 現在、障害を持ったお子様は、重複化、多様化してまいりました。ユネスコのサラマンカ宣言、あるいはまた国連で検討されております障害者権利条約の修正議長草案で明示されておりますインクルーシブ教育、このような国際的な動向の中にあって、この特別支援教育が今まで定義されておりません。位置づけがあいまいであった中にあって、学校教育体系の中できちんと理念を位置づけたことは、私は大きな前進であるというふうには感じております。

 しかしながら、私は、この法案を手にしてすぐ思いましたのは、教育現場でこれをしていくことが果たしてできるのかしら、難しいのじゃないのという率直な疑問です。人、物、お金がないと言われてしまうのではないかと思うわけです。

 まずお伺いしたいのは、教職員配置の充実です。端的に言って、今の教員の人数で特別支援教育が果たしてできるでしょうか。今の対象児童生徒数は全体の一・五%です。義務教育段階では約一・八%。これに対して、LD、ADHDなどの児童の在籍率は六・三%なんです。今後、これは減ることはございません。ふえていくばかりだと思います。

 御存じのように、第八次義務教育諸学校教職員定数改善計画は見送られ、単年度予算として、特別支援充実ということで二百八十二名加配されました。来年度、この法案を推進するために、教職員の配置についてはどうお考えでいらっしゃいますか。

馳副大臣 全国の小中学校の現場で今どういった現象が起きているのかという声が、続々と文部科学省の方にも現場から伝えられております。委員御指摘のとおりに、LD、ADHD、また昨年から施行されました発達障害者支援法に基づいて、特別な配慮を必要とする児童生徒に対する教育の充実が求められているわけでありますから、まさしく今の体制で十分かと問われれば十分とは思っておりません。

 そういった中で、第八次の定数改善が平成十八年度は見送られたわけでありますが、こういった実態を踏まえ、また今回この法律を通していただいて、より一層特別支援教育の充実を図っていくということを考えれば、より専門性の高い、障害種別ではなくて障害を超えて対応することのできる教職員、能力のある教職員が養成されて、現場に配置されて、対応していただくことが求められていることは言うまでもありませんので、平成十九年度の予算編成に当たっては、まずはこの法案の成立をお願いしながらも、同時に、概算要求に当たって、特別支援教育に対する人材の養成と配置についての要請を力強く求めていかなければならないと考えております。

池坊委員 先ほど大前委員の質問に対して、大変大臣が前向きの答弁をなさいました。教員だけでなく、専門性を有する臨床心理士などもともに仲間に入って指導したらいいと思うというお考えでした。私も全くそうで、専門性を有するだけでなくて、私は、介助の人も一緒に入れてほしいなというふうに考えるのです。

 なぜかといいますと、保護者の中には、例えば登下校に介助の人があれば子供をもっとスムーズに通わせることができる、あるいは日常生活の中で、トイレに行くときなどの手をかす人が欲しいんだということもございます。それとともに、専門性を有している人でも、なかなかこれは実際には幼稚園や小中学校には入りづらいんですね。

 私の知人のお嬢様も、日常生活の中で、臨床心理士の指導を毎日受けていて、自閉症が治まり、日常生活に支障を来さないようになりました。その人の見守る中で、一緒に幼稚園に行きたい、でも、それは規則にはないんだということで、その子供はそこの先生がいるということで安心して仲間と溶け込むことができるんですね。子供たちはさまざまな自分なりの原因を持っております。

 ですから、私は、財政的な措置とともに、もっと学校側が柔軟性を持って仲間として受け入れるという体制も必要なのではないかと思いますが、この点に対してはどのようにお考えでしょうか。

馳副大臣 認定就学制度の活用を含めた総合的な判断に基づいて、小中学校に就学しているさまざまな障害の程度に応じた児童生徒がいる。このお子さん方にいかに対応していくか。現在は、介助員の問題とかは地方財政措置はされていない。そして、各自治体の判断によって介助員等配置されている。とすれば、どう考えても、財政力が豊かな市町村はできるけれども、そうでないところは十分に対応できないという格差が生じることも考えられるわけでありまして、本日、大前委員の指摘に対して小坂大臣が非常に前向きに御答弁いただいておりますが、今の池坊委員の御指摘も同様の御指摘でありますので、今後、どういうような形で対応していくことができるのか、国庫負担という形でできないけれども、どういう支援、専門性を持った方々が現場で対応していくことができるのか、こういうことを含めて検討する必要のある課題だと考えております。

池坊委員 たしか三年前だったと思います。地方交付税で、いきいき何でしたっけね、特別講師などを雇うことができるような、それが出ました。そのときに、介助員の方もこれはお願いするような交付税の措置もあったんですね。それは自由に使っていいということでありましたので、これからもそういうのを活用したらどうかと思います。

 障害のある児童生徒に充実した教育を行っていくためには、学校にのみゆだねるのではなく、NPOや関係団体の取り組みが私は必要なのでないかと思います。

 私も、中野にある民間教育機関のステップアップアカデミーというところに視察に行ってまいりました。さまざまな障害を持ったお子様方が、でも生き生きと、学校が大好きと言って埼玉や千葉や遠いところからも通っていらっしゃるんです。

 朝、みんなで朝礼をするんですね。自閉症のお子様は本来みんなで大声を張り上げるのが苦手なんですが、一人のお子様は耳をふさぎながらもそこにいるんですね。本当はそれは嫌なんだけれども、でも学校が好きだし仲間が好きだし先生が好きだからそういうところにもいるんだ。授業は反復で本当に厳しいんですね。大変難しい授業を受けておりました。私も体験してまいりましたけれども、なかなかできないものもありました。

 やはり愛情を持って、学校が大好きというふうにしていくことが必要なんだと思いますけれども、既にこのような民間のNPO活動、そしてまた、小さなところ、大きなところ、やっているところがございますので、ぜひ各学校も連携を図っていただいて、このノウハウを学校側が取り入れる、こういうことも必要なのではないかと思っております。

 もちろん、財政措置もこういう民間関係団体にしていただきたいと思いますが、財政措置だけでなく行政の内容というのも必要だと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

馳副大臣 財政措置もそうですし、やはり行政側の意識改革もそうですし、体制としてそういったシステムを整えていくという姿勢も必要であるというふうに考えております。

 現状、報告申し上げます。

 文部科学省では、関係機関が連携した総合的な支援体制の整備を図るため、幼稚園、小中学校及び高等学校を対象とした特別支援教育体制整備事業を全都道府県に委嘱して推進しているところであります。本事業の中で、各都道府県や地域レベルにおいて、関係機関のネットワークを構築するための組織として特別支援連携協議会の設置を促進しているところであり、この組織へのNPO等の参画についても促しており、今十県においてNPOが参画しておりますが、まだ十分ではございません。

 また、平成十八年度においては、NPO等に対し、障害のある子供一人一人の教育的ニーズに応じた適切な支援のあり方についての実践研究を委嘱することとしておりまして、予算額としては八百万円です、大変少ないと思っております。

 今、委員の御指摘もございましたが、こういう取り組みを通じてNPO等々関係団体との連携を図りながら、障害のある児童生徒に対する適切な支援体制の整備により一層努めてまいりたいと考えております。

池坊委員 障害のある子供については、教員の分野のみならず、福祉、医療、労働などの各方面からの総合的な支援が必要であると思います。一人の人間の一生なのですから、生まれたその日から一生を終えるまで、つまり、乳幼児から就労、そしてその後まで、一貫したスキームが必要だと私は思っております。

 特に、平成十六年に改正された障害者基本法第一条は、障害者基本法の目的を規定しており、その中に、障害者の自立と社会参加という文言が、たしか三回だったと思います、出てきております。つまり、保護者にとっては、学校に入れただけじゃだめなんですね。社会参加できる就労に結びつかないと、これは安心できないと思います。

 就労と結びつけるためには、文科だけの力では限りがあると思います。やはり厚生労働省、関係部局との連携を図りながら、職業別体験とか、就労のための個別指導、卒業後も継続した就労支援ということを努めていかないとだめだというふうに考えておりますけれども、いかがお考えでしょうか。

小坂国務大臣 委員が御指摘のように、保護者にとりましても、障害のあるお子さんの将来というのは非常に心配なものでございます。そういった面からも、障害のある生徒の職業的な自立を促進するためには、社会の変化や生徒の障害の状況に応じた職業教育の充実や進路指導の改善を図る必要があると認識をいたしております。

 御指摘のように、文部科学省が厚生労働省と連携することが重要であります。私ども、各都道府県に特別支援連携協議会を設けていただいておりまして、地域の労働関係機関や企業等と連携を図りつつ、養護学校等の卒業後の受け入れ体制についての取り組みを進めているところでございまして、さらに、厚生労働省とも連携を深める中で、これらの活用方策について推進をしてまいりたいと存じますし、また、養護学校等の生徒の職場実習の受け入れの協力や就労枠の拡大につきましては、既に本年に入りましてからも数回にわたり、東京、関西それぞれの経済団体に対して呼びかけを行っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、厚生労働省も含む関係省庁との連携によりまして、障害のある子供たちの職業的自立を促進するための施策の充実を図ってまいりたいと存じます。

池坊委員 教員の研修と確保そして強化についてお伺いしたいと思うんです。

 現在でも精神疾患で休職している先生というのは十年前と比較して三倍になっております。教員は、もう忙しいんだ、さまざまな問題を解決しなければならないんだと、今、臨床心理士、スクールカウンセラーは大体すべての中学校に行き渡るような配置が行われていると思いますけれども、スクールカウンセラーのお世話になっているのは生徒よりもむしろ先生の方が多いと言われているのが現状でございます。

 今までは、LD、ADHD児童、軽度発達障害者の児童生徒への教育というのは、余り専門的にはなされていなかったのではないかと思います。研修の中で、こういう子供たちの理解、そしてどう対処したらいいか、対応、そういうことは余りされていなかったので、今先生方は、どうしたらいいんだとパニックになりつつある方もいらっしゃるんですね。

 私、ADHDセミナー体験というのをいたしまして、いつもADHD、LDのお子様方の指導をしていらっしゃる方々と、どういうふうにそうなるのか、それからどんな場面で、子供はどういう状況になってそういう行動を起こすのか、そういう疑似体験をいたしまして、私、一歩近づいた気がしたんですね。例えば、右手でいつも字を書いていらっしゃる方が、左手で字を書いて、漢字を書いて、何十回も書くというのは、パニックになりますね、いらいらしますでしょう。ADHDのお子様方は、授業の中にあって、国語ですと、大体同じ字を何回も書かせるわけですね。ですから、それを左手で書いているのと同じ状態になるので、パニックを起こして、落ちつかなくて動き回ったりするとか、いろいろなことがあるんですね。

 研修も、私は、ただ机の上で勉強したらいいというものではないと思うんです。やはり疑似体験というか、子供たちと触れ合ってこそ初めて教育というのができるのではないかというふうに思っております。

 今後、どのような研修をしていかれるおつもりなのか。そしてその研修の中には、私は、今既に教員の人もきっと研修期間を設けるんだと思いますが、今、大学生で教員の免許を取りたい人たちにも、こうしたカリキュラムが組まれているのでしょうか、それから組まれるおつもりでいらっしゃるのかどうか。そして、そのときの実習の中には、ぜひこういう子供たちと触れ合う実習もしていただきたいと思いますので、要望も込めて、大臣の御所見を伺いたいと思います。

銭谷政府参考人 小中学校の教員が特別支援教育あるいは軽度発達障害につきまして十分な理解を持つということが今後ますます必要になってくると思っております。

 現在、まず、教員に対する研修といたしましては、各学校あるいは教育委員会における指導的な立場に立たれる校長先生初め先生方に対する研修として、国立特殊教育総合研究所あるいは教員研修センターにおいて研修を実施いたしております。

 それから、県段階におきましては、初任者研修や十年経験者研修という法定研修におきましてほとんどすべての教育委員会で特別支援教育を取り上げて研修を実施いたしております。その研修内容等につきまして、文部科学省もいろいろなアドバイスを申し上げているという状況にございます。

 研修につきましては、こういった観点から、さらに充実を図っていきたいというふうに思っております。

 それから、教員養成段階でも、小中学校の免許状を取得する際には、平成十年に制度改正を行いまして、必ず障害のある児童等の心身の発達や学習の課程に係る内容を学習するということを必修化しているところでございます。また、平成十七年の発達障害者支援法の施行に際しまして、文部科学省よりすべての国公私立大学に対しまして、小中学校等の教員養成課程において発達障害に関する内容も含めて取り扱うように通知をしているところでございます。

 教員養成段階におけるこういった内容の充実にも取り組んでまいりたいと思っております。

池坊委員 自立支援法の中に書かれておりますように、今後の障害者施設は地域における支援が必須になってくると思います。ですから、障害のある子供についても同じだと思うんですね。地方公共団体によって、その首長の取り上げ方によって、大変に充実した施設もできればそれによって放置される子供たちもいるのではないかという危惧も私は一方で持っております。

 私の住んでおります京都は教育に大変熱心でございますので、さまざまな教育改革もいたしておりますし、予算も計上しております。京都市民は民度が高いのか、それを容認し、そして受け入れ、積極的に協力をいたしております。ちなみに、既に平成十六年四月から、養護学校七校を全国初の総合養護学校として開校いたしました。従来の障害別の枠を超えた、子供たち一人一人にとって最も適切な内容、方法、形態で教育を保障できる学校システムを取り入れております。また、総合育成支援教育相談センターとして、地域の幼稚園、小学校、中学校、高等学校等に在籍する障害のある子供への教えも同時に行っております。

 やはり自宅通学が基本だということで、スクールバスも子供に合った六種類のシートの整備を図り、子供たちがより快適、安全に通学できる環境づくりとか、給食の面でも子供たち一人一人の障害に応じた養護学校独自の献立というのも作成しております。また、LD等の子供たちは普通学級での指導を基本として、医師、心理学、教育学の専門家と連携をとりながら子供の指導をサポートしているんです。

 このような積極的な取り組みを既にしているところもございますので、大臣にはこういう積極的な取り組みをぜひ全国に発信していっていただきたいと思うんです。

 今、文部科学省がこういう学校教育法一部改正によって新しいスキームをつくろうといっても、現状は、では、どういうふうにしてつくったらいいのかというノウハウがまずわからないと思うんですね。いつも見ておりますと、その辺の発信を、もっともっと積極的に全国に散らばっているいいものを発信していただけたらなと思いますので、その点についての大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

小坂国務大臣 委員の御指摘は本当にそのとおりですね。

 今回の法改正によりまして、特別支援学校の設置につきましては個々の学校が具体的にどのような障害種別を対象とするか、これは設置者にゆだねられておりますから、その設置者が適切に判断できるように、地方公共団体の裁量の余地を拡大した分だけ今度は情報を的確に提供しないといかぬと思います。

 そんな意味で、今委員が御指摘になりました京都の総合養護学校は、言ってみれば、それぞれがこれからの特別支援学校を先取りしたような積極的な取り組みでございますし、これらの養護学校につきましては、研究開発学校として指定もさせていただいたわけでございます。ですので、今御指摘をいただきましたように、特別支援学校創設後の学校運営に有用な取り組みがこの中には種々あると思いますので、この京都の取り組みを含めまして、文部科学省として、今後とも積極的に調査をするとともに、積極的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

池坊委員 今のことに関連して、今度、センター機能、窓口がすべての事柄の相談に乗るというようなセンター的機能を持つことになるわけです。そうすると、これは大変なんですね。それと、先ほど申しましたように、何か議事録には、各地域で実態に応じた計画立案を講ずるよう指導に努めるという御答弁でございましたが、指導に努めるだけではやはり地域格差が出てくると思います。

 人員、財政の確保、それからどういうビジョンをつくっていくのかというこの責任者というのも必要になってくると思うんですね。ですから、これは評価というのをぜひ、評価というと行き過ぎかもしれませんが、実態調査をなさって発表なさる、それぐらいの積極的な姿勢を示していただけたらなというふうに私は思っております。

 それから、現実の教員についてまたお伺いしたいと思います。

 現在の盲・聾・養護学校の教師の免許保有量というのは、昨年の五月一日現在で五八・三%でございます。これでは専門性を有している教員が配置されているとはとても言えないのではないかと思うんです。このごろは手話が第一次的ではありますけれども、やはり点字の人たちも多いわけですが、点字ができない盲学校の校長先生もたくさんいらっしゃるんですね。盲学校で点字ができなくてどういう指導をするのか、運営管理だけでいいのか。私は、やはり校長先生みずからが手話や点字ができるようであってほしいと思っております。現状を見ますと、最後の部署が養護学校の校長ですとおっしゃる方も多いんですね。この制度は絶対やめていただきたいというふうに思っております。

 免許保有率が低い原因である教育職員免許法附則十六の、当分の間、盲・聾・養護学校の教員は特殊教育免許の保有を要しない、この廃止について、この法改正の中には示されておりません。本来、この法改正をなさるときにこの廃止もしていただきたかったと私は思っておりますが、この経過措置についてお伺いしたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいまお話のございました教育職員免許法附則第十六項につきましては、昨年十二月の中教審答申におきましても、「新たな特別支援学校教諭免許状の普及状況等を見極めた上で、当該免許状の保有率向上のための方策とともに、時限を設けて廃止することが適当」と提言をされているところでございます。

 ただ、今回の法改正におきましてはいろいろ検討したわけでございますが、免許の保有率は、年々増加はしておりますけれども、いまだ五八%にとどまっておりまして、まずは適切な方策を講じまして保有率を大幅に向上させる必要があること、それから、特別支援学校教諭免許状の取得、普及の状況を十分見きわめる必要があることから、今回はこの規定の廃止は行わないということにしたものでございます。

 今後は、まずは免許状の保有率向上のため、都道府県教育委員会に対しまして、新たな免許状の取得を促進するための認定講習の機会の拡充等を促すとともに、これを受けた免許状の普及状況等を踏まえながら、免許状不保有の特例措置につきまして見直しを検討してまいりたいと考えているところでございます。

池坊委員 この特別支援教育のための免許状というのは、既に今いらっしゃる先生が研修を受けながらそれを取得なさるのだと思いますが、いつからこれをやっていらっしゃるおつもりか、それから、いつごろからすべての免許を持たなければ特別支援学校で教員として授業を行うことができないというシステムになさっていくおつもりか、将来的な展望をちょっとお伺いしたいと思います。

銭谷政府参考人 附則第十六項の廃止につきましては、現実的な対応の可能性を考慮いたしますと、特別支援学校の教員の免許状保有率が大体八割程度となったときに時限を設けて廃止をするための見通しが得られるのかなというふうに考えております。

 それがいつかというのは、これから免許状取得を促進してまいりますので、可能な限り速やかな時期に行いたいということでございます。最近の取得の伸び率は年間大体三ポイント程度の伸びでございます。

池坊委員 すべての子供たちが生まれてきてよかったと思えるような日本、社会をつくっていくのは大人の責務ですので、ぜひ一緒に頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

遠藤委員長 松本大輔君。

松本(大)委員 民主党の松本大輔です。

 大臣は、先般、ベストファーザー賞を受賞されたそうで、まことにおめでとうございます。

 ここから先が重要な話なんです。ベストファーザー賞を受賞されたからこそ、この機会にぜひともお伺いしておきたいことがございまして、それは、今回の法案とは直接は関係ないんですが、大臣、またかとお思いになられるかもしれませんが、高等教育の無償化、漸進的無償化条項のお話でございます。

 現在、これは国連人権規約十三条2の(c)というものですけれども、留保をしているのは、締約国百五十三カ国のうちの、日本、マダガスカル、ルワンダの三カ国のみ、非常に不名誉な三カ国の一角を占めておるわけですけれども、これについて国連から、今月末を期限として、勧告に対して回答するようにという指示が出ているところであります。大臣にお伺いする前に、きょうは外務省の方にお越しいただいておりますので、今月末に出される予定の報告の内容、この高等教育の無償化条項について端的にお答えください。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のございましたA規約の報告書でございますけれども、これにつきましては、今おっしゃられましたように、委員会からの最終見解というもので、ことしの六月三十日までに出すことを要請するという形になってございます。現在、政府部内で検討中でございます。

 残念でございますが、六月三十日の期限よりはおくれざるを得ないと思っておりますが、重要な報告書でございますので、関係省庁と十分御相談させていただいて、きっちりとした内容にさせていただいて提出したいと思っております。

 以上でございます。

松本(大)委員 検討中である、期限を超えるわけにはいかない、おくれないようにきちんとした内容を取りまとめるということなんですが、私はその報告の内容について求めたわけですけれども、御答弁がない。いまだに検討中である。しかしながら、これは今月末にはもう回答しなきゃいけないわけで、本来であれば、その回答はどういうものであるかを、会期末がもう迫っているとも言われている中で、やはり明らかにしなきゃいけないと私は思いますが、それは決めるのは文科省だというような答弁が返ってきそうなので、外務省の方は結構でございますので、では何かありますか、どうぞ。

辻政府参考人 先ほど御答弁申し上げたときに、もし私の言葉が足りなければと思いまして、補足させていただきます。

 委員御指摘のように、最終報告書につきましては六月三十日までに出すようにという要請を受けております。他方、現在作業中でございまして、六月三十日の期限につきましては、申しわけないんですが、おくれざるを得ないと思っておりますが、いずれにしましても、重要な内容でございますので、無償教育のみならず、関係します省庁と相談をして出させていただく、こういうことでやりたいと思っています。

松本(大)委員 改めて御答弁をいただくのは非常に無駄だったなという気がしております。

 結局、内容については何もおっしゃられていない。期限は守ります、しっかりやります、検討中です、こういうことを繰り返されるばかりでありました。

 そこで、日本で最もすてきなお父さん五人のうちの一人に選ばれた大臣に、ベストファーザーとして恥ずかしくない御答弁を、この六月末の勧告に対してどのようにお答えなされる予定なのか、大臣の御見解をお願いします。

小坂国務大臣 委員が御指摘なさっております国際人権規約の回答期限が迫っていることは承知をいたしております。

 また、その検討中の内容についてはおいおい明らかにさせていただくことになると思いますが、もうたびたび答弁させていただいておりますように、高等教育無償化の御提案につきましては、高等学校を卒業後に社会人として働いている、税金を納めていらっしゃる、そういう方がいる一方で、無償化というための財源措置をどのように賄うかという問題もあわせてあることから、これを留保するということで今日までやってきているわけでございまして、これを現在の状況で直ちに転換するという状況にないということを申し上げ、しかしながら、奨学金事業や私学助成等を通じた支援を強化し、努めている結果、我が国の高等教育機関への進学率は先進国の中でも高い水準に達しておりまして、今後とも教育を受ける機会の確保については適切な施策を講じてまいりたいと存じますので、御理解を賜りたいと存じます。

松本(大)委員 外務省の方は御退席いただいて結構です。

 今の大臣の御答弁なんですけれども、高校卒業後に働いていらっしゃる方との公平性という話は、選択権が平等に用意されているのであれば、つまり経済力によらず、財政力によらず、本人の資力によらず、どっちの道も選べるということであれば、私はそれは不公平とは言わないというふうに思いますし、それから、財源の問題は後で触れたいと思いますけれども、奨学金等によって高い進学率が実現できているという今お話だったんですが、これは国連の勧告のパラ十一というところには、「締約国が前述の条項で保障された権利をかなりの程度実現しているという理由に基づいて、留保を撤回する意図がないことに特に懸念を表明する。」と言われておりまして、まさに今の大臣のような御答弁をされることを特に懸念されているんですね。五年前にもう出されている。それなのに全く同じ御答弁というのは非常にいかがなものかなと思います。

 奨学金というのは、結果的には、御本人が後で返すということでいえば、公か私かといえば、私の負担になっているわけでありまして、それで結果的にどうなっているかといえば、日本の高等教育に関する家計の負担率は非常に高いものとなっているということは既にほかの委員も御指摘をされているとおりであります。日本は、何と六割近くにも達しておりまして、北欧は五%未満、英独仏あたりは一〇%から二〇%ぐらいというのに比べて、日本だけ突出して高い数字になっている。一人当たりの支出を比べてみても、スウェーデンが例えば一万八千九百ドル、ドイツは一万四ドル、日本は四千九百ドルということで、OECD平均の七千五百二十三ドルも大きく下回っている。ですから、財源の問題あるとおっしゃいましたけれども、日本として、こういう教育にお金を費やさないということで、大臣が所信のときにおっしゃった教育立国とか、果たして言えるのか、その名前が泣いてしまうんじゃないかなというふうに私は思います。

 一体、この公の支出を減らすことによって、結局どこにしわ寄せが行っているのか、あるいは高い進学率とおっしゃいましたけれども、それは国の努力で達成されているのかということをちょっと検証してみたいと思いますけれども、私は、これは国が努力したから高い進学率が達成できているのではなくて、厳しい家計に、つめに火をともすような思いをして家計を切り詰めて、お子さんを大学に通わせている。まさにこれは家計の努力なんですね。国が教育費を惜しむと、家計にツケが回るということでありますから、今のような高い進学率が達成できているのだからいいというのは、私は議論のすりかえだと思います。それでは、例えば随意契約であるとか官製談合とか、そういう無駄遣いは放置しておいて、つめに火をともして家計を切り詰めている家庭の努力をわかろうともしないということであれば、これは何か、言ってみれば、放蕩癖のある、浪費癖のあるだめ亭主のようなものでありまして、これではやはりベストファーザーとは言えないんではないかなと私は思います。

 家計の負担が高いことが、ここにとどまる話ならともかく、大臣もよく御存じのとおり、つい最近も一・二五という数字が紹介をされておりました。少子化の影響に、高い教育費負担、子育て負担があることは、これは紛れもない事実であります。国立社会保障・人口問題研究所のアンケートでも、二十未満、二十五歳から二十九、二十九から三十四、それぞれの奥さんがいらっしゃる世帯で、七割から八割は、教育費が高いから理想とする子供の数を持てないんだ、こういうお答えをされているわけであります。

 国がこういった形で教育予算を惜しんでいることによって、少子化に対して拍車がかかっているんだと。これでは、一体何のために少子化担当大臣というものを設置しているのか。整合性がとれていないじゃないかという批判を免れないものと考えますが、大臣はいかがお考えですか。

小坂国務大臣 委員のお気持ちもわかりますし、できることならというのは常に思うことでございますが、しかし、今日、幼児教育の無償化ということも議論をされております。また、この国際人権規約に基づいて高等教育の無償化ということも言われているわけでございまして、やはり、いずれも財政負担の大きな問題が発生をいたしますことから、国民的な議論もしっかり踏まえていく必要があると思っております。

 そういった中で、先ほど申し上げたように、高校卒業後、選択肢があるからいいんだという御意見は、それはそれなりに受けとめますけれども、しかし、経済的な理由で、どうしても、今すぐ家庭に、家計にお金を入れなきゃいけないから働きに出るという方もいらっしゃるわけです。そういう方は税負担をされながら、一方では高等教育が無償化という形になって、公平感という問題からすると、やはり不満に思われる方も出てくるだろうと思います。

 そういった意味で申し上げたわけでございまして、それは、いずれ世の中の大勢の変化の中で国民の意見も変わるかと思いますけれども、現状においては、これは留保せざるを得ないんではないか、こう思っているところでございますが、回答期限までまだ間もあります。そういう中で、また外務省とも協議しながら、どのような回答を作成するかということについては、今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。

松本(大)委員 経済的理由で、高校を卒業して働いて家計にお金を入れざるを得ないということをおっしゃいましたけれども、一方で、何度も我が党から、格差は拡大しつつあると、ここでは百歩譲ってそれが小泉改革に起因するものじゃないとしても、生活保護世帯は五年前に比べて七十五万世帯から百四万世帯に増加した。就学援助を受けている生徒さんも百万人から百三十三万人に増加した。貯蓄ゼロ世帯も比率が一二%から二四%に増加している。家計が厳しくなっている世帯、多いじゃないか、ふえているじゃないか。

 こういう形で、まさに今おっしゃったような、生活が苦しくなっている世帯がふえていることに対してどう思うのかということについては、一方で、いや、格差は拡大していないんだ、こういうふうに答弁されておきながら、教育費にもっとお金をつぎ込むべきではないかというお話をすると、いやいや、家庭に、すぐにお金を振り込まなきゃいけない、働きにいかなきゃいけない家庭があるんだからしようがないじゃないかと言うのは、私は余りにも無責任な御答弁ではないかというふうに思います。

 教育に財源をつけるということとあわせて、では一体全体、こういう生活に困窮している世帯に対して、格差を是正するような措置をあわせてやはり打っていかないといけないんじゃないかなと思います。それとは別個に、やはりこの高等教育の無償化の話というのは、やはりメッセージ性を持つ政策として、ぜひとも今月末までに見直しを行っていただきたいなということを申し上げておきます。

 拡大教科書の話ですね、通告の二番目に移りたいと思います。

 今回の学教法の改正に伴って、私も、地元を中心に、養護学校、盲学校、聾学校、それから発達障害支援センター、療育医療センター、こういったところを視察させていただきました。きょうは、その経験を踏まえて、生かしながら質疑を進めさせていただきたいと思います。

 まず、拡大教科書については、実は大臣の先日の御答弁、デジタルデータの提供を前向きに検討されるという御答弁については、「私の名前でもう一度、この委員会で積極的に答弁したということで、再度担当の方から教科書協会に対して依頼を出すということで、これを積極的にやってもらえるように私も努力したいと思います。」と、非常に前向きな御答弁をいただいて、これについて、非常に評価をされるお声が、私どもの方にも、あれには勇気づけられたという形でメールをちょうだいしました。

 その中に、ただ、もう一声欲しいんだ、そこまで前向きな御答弁をいただいたことは評価するので、もう一声二声欲しいんだというお声を寄せていただいておりますので、きょうはその点についてちょっとお伺いしたいと思います。

 デジタルデータの提供もさることながら、拡大教科書のニーズが高まっていって、ボランティアの方の製作負担というのが、もう供給能力をオーバーしちゃっているという問題がありまして、こんな中で、ボランティアという形ではなくて、中小の出版会社が拡大教科書の出版を請け負っている、こういう例が幾つかあるわけなんですが、そして、この中小の出版会社としても種類をふやしていきたいという要望もあるわけなんですが、実はそこに障壁があるというお声が寄せられております。

 それは、補償金を支払うことで使用許諾を得るという形になっておりまして、写真とか挿絵とか文章についての著作権を一体だれが持っているのか、何人に対して払わなきゃいけないんだ、連絡先はどうなんだ、振り込み先はどうなんだ、こういう情報を入手するのが非常に困難である、これが参入障壁となっている、こういうお声であります。それで、いただいたメールの御提案としては、補償金の支払いを代行していただけないか、教科書の、もとの、原本の出版会社に代行していただけないかとか、その上で、拡大教科書の出版会社はそこから下請をする形で、実際のレイアウト編集であるとか製本、印刷、こういったことを請け負いたいということをおっしゃっているわけなんですけれども、民民の関係じゃないかというふうにおっしゃるのかもしれませんが、前回の前向きな答弁も民民の関係の中で依頼をするというお話でありましたので、ぜひこの件についても、大臣から前向きな御答弁をお願いしたいと思います。

小坂国務大臣 この件に関しましては、私も参議院の審議を通じて、また従来から与党の委員からの御指摘もあったわけでございますが、参議院の御質疑の機会に、少し前向きに取り組む必要があるという私の気持ちをあらわさせていただきまして、言うだけでなくちゃんと実施をしなきゃいかぬということを現場に指示をいたしました。

 各都道府県教育委員会の教科書事務担当者を集めた教科書事務連絡協議会というのが開かれました。これは、四月の二十八日に開いたのでございますが、拡大教科書相談窓口の設置をそこで要望いたしました。また、引き続き、文科省のホームページに新たに拡大教科書の項目を立てまして、拡大教科書の無償給与実施に係る通知と実施要領等を掲載させていただきました。これは、五月一日からさせていただきました。

 また、教科書協会の検定専門委員会にワーキンググループを設置していただきまして、自社版の拡大教科書の発行に係る課題、問題点等の洗い出しを検討するように要請いたしました。これは五月末でございますが、またさらに、デジタルデータの提供について検討している教科書協会著作権専門委員会に対して、担当官を派遣しまして、五月三十一日の開催の際に、全国拡大教科書製作協議会からの拡大教科書の製作と制度の改善についてのヒアリングを実施していただきました。

 さらには、拡大教科書を発行してる全ボランティア団体、八十六団体あるわけでございますが、拡大教科書の製作と制度の改善に関するアンケートを五月二十四日に実施させていただいたところでございまして、これらの調査を踏まえて、さらなる改善方策について検討を進めさせていただいておるところでございます。

 また、ただいま御指摘のありました、出版社以外の出版社に対してボランティア団体が依頼をして発行する、こういうことは実際に行われているようでございます。ボランティア団体が拡大教科書を発行する場合、直接発行される場合には、原著作者に対する著作権の使用に係る補償金の支払いは不要であるわけでありますけれども、一方、営利企業である出版社が拡大教科書を発行する場合には、原著作者からの著作権使用許諾を得る必要はないわけですけれども、掲載のための補償金は支払う必要がある、こういうことになっておるわけでございまして、それは御指摘のとおりでございます。

 現在、そういった出版社からの実情を伺いながら、各教科書発行社が、著作権者の一覧表を提出することについて、これは、必要に応じて教科書協会に検討を要請してまいりたいと考えておりますので、そういった実情が生じたときに直接的にまた担当させていただきたい。

 なお、最後の御指摘の部分、教科書の補償金の振り込みなどの手続を教科書発行社に代行させることはできないのか、こういう形でございますが、これは、御指摘のとおり、民民の関係でございますし、また同時に、本来、著作権を使用する出版社がこれを行うことが権利者との間の契約という観点から必要でございまして、これを代行という形でここに第三者を介入させることは、やはりこれはちょっと無理があるということで、現状では無理だということをお答えせざるを得ない、こう思っております。

松本(大)委員 私が思っていた以上に前向きな御答弁というか、誠意ある御対応をいただいているようで非常にうれしく思っております。

 今代行というのはなかなか難しいということだったんですが、例えば、では、その著作権者が何人いて、その連絡先がどこでとか、そういう一覧表を教科書会社が拡大教科書出版社に対して開示をする、そうすると補償金の支払いがより簡便になるというふうに思うんですが、そのような協力要請をしていただけるということは可能でしょうか。

小坂国務大臣 そのことについては、具体的にそういう事例があって、こういう出版社に対してこういうことは要請できるか、こういう際に検討させていただきたいと考えております。

松本(大)委員 既に、相談窓口を設けられて、さらに、課題の洗い出しまで行われていて、ボランティア団体からアンケートも集められるということで、その中でひょっとしたら出てくるのかもしれないんですが、あえて、どういうお声が寄せられているかを事前にお伝えしておきたいと思うんですね。

 先ほどはレイアウト編集とか印刷とか製本のお話だったんですが、発送段階にもやはり問題があるというお声がありました。それは、原本を三カ所の配送センターに教科書会社から送っている、その三カ所の配送センターでボランティアの方が拡大教科書の製作者、製作を担当されるボランティアの方にまた改めて発送し直しているんだ、この発送負荷が年間何千冊にも及んでいて、もうボランティアで担当するにはぱんぱんの状態になっている、ついては、なぜダイレクトに原本を拡大教科書の作成ボランティアの方に送っていただけないのか。この配送ルート、発送ルートの見直しをぜひ検討していただきたい、こういうお声が一点寄せられております。

 それから、大臣に今さら申し上げるのも釈迦に説法ですけれども、やはり、憲法二十六条、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」あるいは、今回与党案、教育基本法の改正案ですけれども、特に障害者の教育を特出しされて、「十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。」というふうにおっしゃっていらっしゃいますので、この拡大教科書がすべての方に行き渡る、しかもボランティアに過大な負担を与えない範囲内でということは、私は「十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。」とされている政府案の御趣旨にも沿っているものだと思いますので、今おっしゃっていただいたような課題の洗い出し、ボランティア団体とのアンケート聴取、こういったことを通じて、ぜひ誠意ある御回答をいただけるようにお願いをしておきたいと思います。

 通告の三番目に移りたいと思います。

 免許法の附則十六項の廃止の時期についてなんですが、先ほど池坊委員からもお話ありましたけれども、現状、盲・聾・養護学校の免許保有率は五八・三%である、こういうことでありました。それでは、いつまでにこの附則十六項を廃止するんだということについては、大体七割から八割を達成した時点でという銭谷さんの御答弁が先ほどあったわけなんですが、年間三ポイントずつ改善するということは、これは、あと四年後に七割に到達する、したがって四年後には七割、八割を達成する、こういう御理解でいらっしゃるということでしょうか。

銭谷政府参考人 いつ撤廃をするのかという件につきまして、参議院での審議の際に、私の方から七、八割ぐらいかなということを申し上げたのは事実でございます。本日は八割程度というふうに申し上げたわけでございますけれども、とにかく、現在の保有率が、今先生からお話がございましたように、五八・三%でございます。最近の二年間の推移としては大体三ポイントぐらい保有率は増加をしている。

 そういう状況の中で、私ども、とにかく今度の特別支援教育の教諭免許状の保有率を引き上げていくということにまず最大限努力をしなければいけないというふうに思っております。そのための講習の機会を拡大するとか、そういった措置をしっかりとやっていかなければならないと思っております。

 なお、廃止の時期でございますが、七、八割と言ったり八割と言ったり、ちょっとふらついているようで大変恐縮なんでございますけれども、おおむねその程度の保有率に達した際には廃止の目安ということになろうかと思いますけれども、その場合でも、時限を設けて廃止するということになるわけでございます。なお、その廃止の具体的な目安というのは、今のような伸び率、もっと保有率の伸び率がアップをいたしますれば、もっと早い時期にということもできるわけでございますけれども、とにかく、私どもとしては、できるだけ速やかにそういう時期が来るように免許の保有率の引き上げということについて努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。

松本(大)委員 参議院で七、八割とおっしゃって、衆議院では八割とおっしゃったことについては、ちょっとおやっというふうに思わないところもありませんけれども。

 では、半分をとれば七五%なわけでありまして、五八%から、七五から五八を引けば一七、三ポイントずつであれば五、六年後には達成、こういうことになるわけですね。

 先ほど、上昇率、改善率がアップしていけばという話もあったんですが、それは、上振れは大いに結構な話で、問題は、やはり計画を立てるということだと思うんですね。

 私、教育基本法の特別委員会でも、やはり、検証不在の体制が、ゆとり教育をめぐる迷走とか学力問題をめぐる迷走を引き起こしたんだ、検証なくして、これまでの方針、決定、対応を百八十度変える、両者に矛盾はないと言い張る、これはやはりよろしくないんじゃないかということを申し上げたんですが、やはり、検証を行っていくためには、大臣のお好きなPDCAのPですね、まず計画を立てなきゃいけないんですよ。検証のCの前に、まずPがなければしようがないわけであります。

 だとすれば、やはり、五年なら五年、六年なら六年という形で、まずは、いつまでに八割といいますか、七割から八割を達成するんだという計画を立てられて、銭谷さんがこの間、七割から八割程度保有率が高まってきたというときに時限を切るということですから、その七割から八割を達成して、さらに何年後かにまた時限を設けるということだと思うんですね。

 したがって、まず、七割から八割、何年までに達成して、では、時限はどこに設けるのか、これはやはり計画がない限り検証はできないという観点から、はっきりとお答えをいただきたいと思います。

銭谷政府参考人 私ども、現職教員に対する免許法認定講習の受講の機会の状況、それから、新規に免許を取得されて採用される方の見通し、こういったものを踏まえながら、今後の廃止に向けての見通しについて、いろいろ試算はしているわけでございますけれども、まだ確たるものになっていないのは事実でございますので、今後、その点につきましては、よく検討して、今お話しの趣旨に沿ったような形で努力をしていきたいというふうに思っております。

松本(大)委員 先ほど池坊委員から、盲学校で点字が読めない校長先生がいらっしゃるというお話もありましたけれども、参議院の答弁で、校長先生の保有率は五割というような数字がたしかあったと思うんですね。

 養護学校といいますか、特別支援学校になり得る学校については、障害ゆえに、自分が受けている教育サービスの現状について、保護者に報告したくても報告できないという形もあるわけで、だとすれば、やはり、周りの人が気づかなきゃいけないし、クレームがなくても、あらかじめベストなサービスというのは提供していかなきゃいけないと思うんですね。

 そのためには、現場の方の専門性を高めていくということはやはり喫緊の課題だと思いますから、検討をしてとかおっしゃらずに、いつ計画を立てるかは検討しなくていいですよ、そんなもの。今すぐ計画を立てられて、いつまでかについて検討してください。ぜひ、期限を区切って後から検証可能な形にしていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。

 次に、実は、免許の保有状況については、参議院の質疑でも、地域間でばらつきがあるよという指摘が行われておりました。ちょっと読みづらいかもしれません、ごめんなさい。お手元の資料の二なんですけれども、これは四十七都道府県の免許状保有状況なんですが、最低は京都で三八・七%、最も高いのは秋田で八三・九%。先生方は御自身の都道府県がどうなっているかにぜひ御注目をいただきたいと思いますが、大臣の御地元であらせられる長野県は三八・九%ということで、京都に次いでブービーなんですね。やはり地域格差がこれだけ激しく開いている、しかも、経年変化で見ても、ほとんどその序列が変わっていないというのは大いに問題があると思いますが、大臣、このばらつきは何に起因するものとお考えですか。

銭谷政府参考人 今、先生から都道府県別の免許保有状況の推移の表を見せていただきましたけれども、私、秋田の出身でございますけれども、幸い、一番高いということでございました。

 これは、県によって、盲・聾・養護学校の教員につきまして、採用の仕方とか人事のあり方がいろいろ区々でございます。

 例えば、小中高の先生と一緒に採用して、三年なら三年の間に、いわゆる盲・聾・養護学校の教員免許状を取らせるといったようなことをやっている県があったり、あるいは、最初から、できるだけ免許状保有者を採用するようにしている県があったり、いろいろございますけれども、基本的には、盲・聾・養護学校の教員について、免許状を保有している人をどういうふうに配置をしていくかという教育委員会の姿勢ということもかかわってきているのではないかと思っておりますので、こういったデータなども私ども見ながら、先ほど来申し上げております保有の割合の引き上げということにきちんと対応していかなければいけないと、今この表を見て思った次第でございます。

小坂国務大臣 我が県を見ると低いので、困ったなと思いますが、これは、今局長の言った答弁のとおり、各都道府県によって、特殊学校教員の採用の基準が違うということがそのまま反映してきて、このようになってきているということでございますから、さらに格差といいますか、ばらつきを平準化させるのにどういうふうに指示を出していったらいいのか、これは具体的な方法を何か考えにゃいかぬと思いますね。

 このままではいつまでたっても五八・三、これは平均で五八・三ですから、数字を見ると五七・八で、この表との数字は食い違いが出ますけれども、これは私立学校を入れているから数字が食い違うんだと思いますから。

 いずれにしても、これを上昇させるには、まずばらつきの低いところを上げていかないと、いつまでたっても上がりませんので、そういうところに対しては個別に改善を促していかなきゃいけないのかな、こういうふうに今認識を持ったところでございますので、これについては、もう少し事務方と協議をさせていただいて、対応策を考えさせていただきたいと思います。

松本(大)委員 改善を促す上では、期限が切られないと、ずるずると先延ばしになってしまうということがあろうかと思いますので、冒頭の質問に戻りますけれども、いつまでに全国平均で七割から八割、達成するのか、そして、達成率の悪い県については、いつまでにどのぐらいの水準に改善しなさいというふうにするのか、やはりきっちりと期限を設けて、それから、大臣おっしゃったように、改善を促していただきたいなというふうに思います。

 銭谷さん、秋田御出身ということで、例えば、では、なぜ秋田がうまくいっているのかとか、うまくいっているその事例を情報収集して、紹介して普及していくというのは、これはまさに文部科学省の仕事、できることだと思いますから、そういった好事例、モデル事業の普及に努めていただいて、ぜひ保有率の上昇を図っていただきたいなとお願いをしておきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 行革推進法が特別支援教育に与える影響についてお伺いしたいというふうに思っております。

 今回の法案では、重度・重複化ということがかなり強調されておるわけですけれども、私は、それもそうですが、最大の変化と言ってもいいものは、児童生徒数の増加ではないかなというふうに思っております。

 お手元の資料の一ですけれども、盲・聾・養護学校の在学者、特殊学級在籍者、通級対象児童の生徒数は、この九年間の間に四割近くも増加をしているんですね。その間に、同じ年齢の児童生徒数は、一番下になりますけれども、千二百六十八万人から一千八十九万人ということで、一四%減少している。この間に、先ほど申し上げたような特別支援教育を受けている児童生徒数は四割増しになっている、六万四千七百人もふえている、こういうことであります。

 時間の関係もありますので原因の方は飛ばしますけれども、行革推進法上、自然減を上回る教職員の削減ということが言われているわけなんですが、全学齢児童生徒数では減っている、自然減じゃないかということで教職員数が減らされてしまえば、同じ期間の間に四割増しにもなっている、この先どのぐらい伸びるかは別ですけれども、この特別支援教育を受けていらっしゃる児童生徒さんが割を食うことになるのではないか、養護学校あるいは特殊学級、今そう呼ばれているところでありますけれども、あるいは通級対象児童生徒、こういったところがしわ寄せを食うのではないかというふうに懸念を抱くわけなんですが、この点についてはいかがでしょう。

小坂国務大臣 今回の行革推進法の内容に従って私ども対応していくわけでございますけれども、ただ、この法律の実際の運用に際して私どもが行ってまいりたいと思っておりますのは、義務教育の実施に当たっての根幹であります標準法対象の教職員数の純減については、基本的には児童生徒の減少に伴う自然減によることといたしておりまして、教育条件を悪化させないように取り組む考えであります。

 したがいまして、特別支援学校の人員配置につきましても、現行の教育水準を維持するという方針のもとに、標準法に基づいて、これまでと同様に児童生徒の増減に応じた必要定数を算定するということになります。したがって、増加する分には増員の対象となるわけでございますので、特別支援学校における円滑な教育活動は引き続き担保されている、このように考えているところでございます。

松本(大)委員 資料三をごらんいただきたいと思うんですが、実際には、特殊教育諸学校の定数を実数が割り込んでいるケースがあります。長野県はマイナス二百十三ということでありまして、充足率は九割に満たない、こういうことであります。ですから、標準法で確保されているじゃないか、都道府県はやりますよ、こういうことなんですが、現実問題、実数は定数を割り込んでいるというケースがあるわけです。

 しかも、今期、国庫負担法が改正されて、補助率が引き下げられました。しかも今、交付金改革の話に話が進められている。その国庫負担法改正のときに私は大臣にも御質問しましたけれども、恒久的措置であると。的という言葉は定率減税と一緒ですね。つまり、見直しの可能性を示唆されたわけですね。一般財源化であったり、あるいはさらなる補助率の引き下げというのも否定されていない、排除されていないという御趣旨だと思います。

 ですので、標準法があるからというのは実態上も既に乖離をしているし、これから行革推進法で、あくまで児童生徒の総枠として教員の総人数が決められるわけですから、この実態のような形でしわ寄せが特殊教育諸学校に寄せられる可能性も否定できないし、兵糧攻めに遭った自治体は、しっかりしろと言うけれども、ないそでは振れないよ、こういうことにならないように、ぜひしっかりと予算も確保していただきたいですし、恒久的措置とかおっしゃらずに、負担率を戻すとかあるいは拡充するとか、そういったことをおっしゃっていただきたいんですが、大臣、いかがですか。

銭谷政府参考人 特殊教育諸学校の小中高等部の標準法上の定数と実数に、県によって差があるという資料を今お示しいただいたわけでございます。全体ならしますと一〇〇・四%ということで、定数を上回る配置がなされているわけでございますが、二十四県が充足をし、二十三県が未充足と。

 この背景には、一つには、小中学部では、児童生徒数の変動が激しいということがございまして、年度当初、標準法定数を実配置数が上回ることがないように、抑制ぎみに行っているということがちょっと考えられるわけでございます。それから高等部は、最近、非常に子供の数が急増しておりますので、教職員配置が十分にまだ行われていないという高等部の固有の事情もあるわけでございます。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、標準法に基づいてきちんと公立特殊教育諸学校について教職員が、実数、配置されるように、各都道府県に対しては指導してまいりたいと思っております。

 また、国庫負担法が、負担率が二分の一から三分の一になったわけでございますけれども、平成十八年度の予算状況について見ますと、各県とも、標準法の教職員数が確保できるような予算措置をことしは行っていただいておりますので、引き続き来年度以降も所要の財政措置が行われるように、これまた私ども、きちんと実情も調べ、各県に対して指導もしていきたいというふうに思っております。

松本(大)委員 まず、今年度は大丈夫だという話は、行革推進法上、今後五年間で削減する、こういうお話でありますから、今後のことについて担保はされていない。同じく、国庫負担法の改正、さらなる補助率の引き下げあるいは一般財源化についても含みを残されているという意味では、今後のことについてはやはり担保されていないということであります。

 指導していくとおっしゃいますけれども、幾らちゃんとしろと指導されたって、お金がないじゃないですか、つけてもらっていないじゃないですか、兵糧攻めにしておいてそれはないでしょうというのがひょっとしたら現場の方々の御意見かもしれませんので、そこはやはりしっかりと財源を確保していただきたいと思います。

 私、盲学校に視察に行って、私の名前を点字で、点筆で打っていただいたんですけれども、これは、目をつむってこういうふうにやっても、正直申し上げて、どうしてこれがわかるのかというようなものでありまして、前にも、筑波技術大学というところに視察に行って、学長の方にお伺いをしたら、これはマンツーマンで指導していく必要があるんだ、それぐらい大変なことなんだという話をおっしゃっていました。

 あるいは、肢体不自由の児童生徒さんがいらっしゃる養護学校にお伺いをしましたときに、毎年お一人ぐらい、突然死をなさる方がいらっしゃる、容態が急変するんだ、酸素ボンベも常備をされている、こういうことでありますから、人員の削減はまさに命にかかわる問題なんだ、こういうことをしっかりと特別支援教育においては御認識いただいて、そこに思いをいたしていただいて、ぜひともしっかりと人員の確保を図っていただきたい。予算をとっていただきたい。これは大臣にも強くお願いを申し上げたいと思います。

 きょうは、厚生労働省といいますか、政務官にもお越しをいただいておりますので、最後は厚労省に対する御質問をしてみたいと思います。

 通告の五番ではなくて六番をやりたいと思いますけれども、小児向けのPT、OTの確保のお話であります。

 私、肢体不自由の養護学校それから療育医療センターというところを視察しました。朝の時間は、自立活動という形で、硬直した体をもみほぐす、伸ばす、こういう授業、訓練、トレーニングを行っていらっしゃるわけです。

 ただ、問題なのは、なかなか確保が難しい。小児向けの、小児をやっていらっしゃるPT、OTさんというのはそもそも少ないんだということが一つ。

 あとは、現場の保護者の方からは、余りにも個人差が激しいと。ある先生に習っていても全く変わらない、先生をかえると短時間のうちにお座りができるようになったとか、あるいは、先生によっては約束の時間におくれてやってきても平然としている、家でできるようなリハビリしかやってもらえないんだ、こういう先生もいれば、目に見える変化をもたらしてくれる先生もいるということで、親にとって子供の身体能力が伸びることは大きな希望です、本来獲得できるはずの機能を獲得できるかできないかで、当然障害者のその後の人生の選択肢は大きく変わってきます、こういった切実なお訴えを私も何件もちょうだいしました。

 そこで、ぜひ厚労省と文科省にお伺いしたいと思いますが、まず、厚労省に対しては、このPT、OTの養成、試験、資格の取得に際して、ぜひ小児向けのプログラムということを履修させるようにしていただきたい。彼らの主たる現場としてこういう療育の分野、あるいは肢体不自由養護学校という分野があるんだ、皆さんが死活的に重要な役割を負っているんだという講座をぜひとも設けていただきたい。それで、すぐれた実践をそこで紹介するようなプログラムを設けていただきたい。

 そして、文科省については、現在このPT、OTの予算というものは国庫負担対象になる職員には含まれていないというふうに伺いましたけれども、であるならば、ぜひとも別途の枠組みでこのPT、OTを肢体不自由養護学校に配置するような、そういった財政措置というものを御検討いただきたい、このように思います。

 ある意味では、現場の先生がそれを担当されるより、専門性にたけたそういう方を職員として、国庫負担の枠には入らないかもしれないけれども、そういう専門性の高い方を現場に配置することによって、親御さんに希望を持っていただきながら子育てに当たっていただくということは、御本人のためにも、親御さんのためにもなることだと思いますので、それぞれ両省から御答弁をいただいて、私の質問を終わります。

岡田大臣政務官 お答えをいたします。

 理学療法士、作業療法士につきましては、小児から年配の方まで幅広い年齢層の方に対してリハビリテーションの専門職として御活躍いただいているところであります。

 このようにさまざまな場面で活躍されている理学療法士、作業療法士の質を確保することは大変重要だと考えております。理学療法士、作業療法士の国家試験において小児関係の問題を出題しており、例えば、作業療法士の国家試験においては、作業療法において対応すべき主要な障害の一つとして発達障害を位置づけており、また、養成課程においても、基礎分野から専門分野に至るまで幅広い知識、技術を身につけるための教育を行うことを義務づけるなど、質の確保を図っているところであります。

 以上です。

小坂国務大臣 本日一番目の大前委員の御質問のときにも答弁させていただいたわけでございますが、その際答弁申しましたのは、PT、OT等の訓練士を正規職員として入れることは大変重要だという御指摘をいただく中で、私も考えまして、現在、今御指摘がありましたように、PT、OTの訓練士を学校教育法の二十八条二項に規定されるその他の必要な職員として採用した場合には、都道府県の負担になるという状況でございます。

 したがって、先ほどの特殊の教科免許の取得割合の上昇ということともあわせながら考えますと、教員になればこれは国庫負担の対象になるわけですから、特別免許状の柔軟な運用といいますか採用試験のあり方の改善という形によりまして、こういった方々に特別免許で対応していただくような形を考えれば、かなり改善されるのではないかと思います。そのためのモデル事業を早急にスタートさせたいと思いますし、それを踏まえて具体的なやり方についても検討させたいと思いますので、今回はその程度の答弁で、今後の課題として受けとめさせていただきたいと思います。

松本(大)委員 免許制度の弾力化については早急にお取り組みをいただきたいと思います。

 それから、厚労省については、質の確保を図るという養成課程もさることながら、やはり現状、もう既に取られている方の間に質のばらつきがあるわけですから、好事例を御紹介する研修会等を設ける、こういった形で、既に取られている方のレベルアップをぜひ主導権を発揮して取り組んでいただきたい、このように申し上げて、質問を終わります。

遠藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十九分開議

遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 この法案の審議に当たりまして、私は、障害があって、普通の小学校に入りたいという金井康治君という少年のことを思い出すんですね。彼は、もう既に若くして亡くなってしまったんですが、小学校に入りたいということで、当時はなかなか入れてもらえないということで大変な問題になって、たしか校門まで行って、校門でテントを張ってボランティアの人たちに教えてもらうみたいなことをしていたなと。そのときに、学校の中での統合教育、今日インクルージョンと言われる流れ、やはり時代が少しずつ動いて、世界の世論、大きく動いてきたなということを実感しながら、質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の特別支援教育に係るこの法案の審議、参議院で先にされましたけれども、附帯決議にも「インクルージョンの理念を踏まえ、」という言葉がございます。また、きょう前半の質疑などでも、インクルージョンという言葉が頻繁に出てきたと思います。この流れをどういう理念としてとらえられているのかということを、大臣と、そして副大臣にも、それぞれ基本姿勢を伺いたいと思います。

小坂国務大臣 国際社会において、ノーマライゼーション、インクルージョンという概念が大きな流れになっていることは私も理解をいたしているつもりでございます。

 障害児の皆さんの教育について、我が国がどのような形でこれに対応するか。私は、我が国が目指すべき社会は、障害の有無にかかわらず、だれもが相互に人格と個性を尊重し合え、そして支え合う共生社会の実現だと思っているわけでございます。

 障害のある子供は、その障害の状態に応じて、それぞれの可能性を最大限に伸ばして自立し、社会参加ができるような、そういう必要な力を培うために、一人一人のニーズに応じた適切な教育を適切な場で行うことが重要であるという認識も持っているわけでございます。

 共生社会実現のために教育関係者に課せられた役割は極めて大きなものがあると思いますが、今後とも、特別支援教育の充実に全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。

馳副大臣 義務教育に求められている役割は何なのかという観点も、私は、このインクルージョン教育であったり障害児への教育の支援という観点から考えられるべきであると思います。

 つまり、ざっと網をかけて、国がああすべきだこうすべきだ、これは制度論としてありますが、個々の障害の程度に応じて、また、それを受け入れられる体制になっているかどうかも含めて、同時に、やはり義務教育の場において求められることは、いかに集団活動を通じて教育的な効果を発揮するかということもございますから、やはり他の児童、保護者の理解も求められるところでありますから、そういった総合的な観点から、望むべくは、社会的な理解がより深まるということが私は望ましいと考えています。

保坂(展)委員 午前中の質疑でもサラマンカ宣言について指摘があったことと思います。このインクルージョンが国際的な趨勢になってきたということには、このサラマンカ宣言が大きな役割を果たしたのじゃないかというふうに思います。

 小坂大臣に伺っていきたいのですけれども、このサラマンカ宣言の中に、すべての子供は教育への権利を有しており、満足のいく水準の学習を達成し、維持する機会を与えられなければならない、そして、特別な教育ニーズを有する人々は、そのニーズに見合った教育を行えるような子供中心の普通学校にアクセスしなければならない、こういったことがうたわれております。

 また、インクルーシブな方向性を持つ学校こそが、差別的な態度と闘い、喜んで受け入れられる地域をつくり、インクルーシブな社会を建設し、万人のための教育を達成する最も効果的な手段である、さらに、こうした学校は大多数の子供たちに対して効果的な教育を提供し、効率性を上げて、結局のところ、教育システム全体の経費節約をもたらすものである、こうあるわけですけれども、すべての子供たちに普通学級、普通学校へのアクセスということをうたったこの宣言について、大臣の受けとめ方をお願いしたいと思います。

小坂国務大臣 御指摘の、一九九四年六月のスペイン、サラマンカで開催されました特別なニーズ教育に関する世界会議、ここにおいて採択をされました、いわゆるサラマンカ宣言の概要を、今コアの部分を述べていただきました。

 この考え方は大変すばらしい考え方だと私も思います。きょう、最初に大前委員の御質問もありまして、委員もそのようなことを障害者の関係者としてのお立場からお述べになりました。それは実感がこもっておって、我々の心を打つものであったと思っておりますし、できるだけそういったインクルーシブ、サラマンカ宣言にあるような考え方を日本においても普及するような環境になることに努めてまいりたい、こう思うわけでございます。

 現状、いろいろな問題はありますけれども、サラマンカ宣言についてどういう考え方かといえば、私はそのように思っておるところでございます。

保坂(展)委員 今の点について、今度は初中局長に伺いたいと思います。

 今大臣が答弁いただいたように、この宣言に基づいて、また、この宣言は、すべての政府に対して訴え、実施を迫るとして、法律ないし教育政策の問題として、別の方法で行わざるを得ないというやむにやまれぬ理由がない限り、普通学校にすべての子供を在籍させるインクルーシブな教育の原則を採用すること、こううたわれております。

 文科省、局長、お願いします、どういうふうに受けとめて実施を考えているのか。

銭谷政府参考人 障害児の教育につきまして、ノーマライゼーション、インクルージョンが国際社会の中で大きな流れとなっていることは私どもも認識をいたしております。今後目指すべき社会というのは、やはり障害のあるなしにかかわらず、だれもが相互に人格と個性を尊重し合える共生社会であるというふうに考えております。

 ただ、そういった中で、それぞれ各国においていろいろな理想の実現に向けての工夫ということをやっているのも事実だろうと思います。我が国においても、そういう大きな流れの中で、現状を踏まえて、一人一人のニーズに応じた特別支援教育というものを充実していくということが必要ではないか、こういうふうに思っております。

保坂(展)委員 次に、この学校教育法の改正がインクルージョンの実現にどういうふうに作用していくのか、位置づけられていくのかという点について聞きたいと思います。

 私は、この点で、二月の二十四日に、小坂大臣にほぼ同様のことを聞かせていただいています。そのときに、大臣からは、一律に何か法律で決めて、すべてを一律的に処理してしまうということではなくて、それぞれの状況に応じてというふうにお答えをいただきました。今、文科省の局長答弁もそういう線だと思います。私も、養護学校や障害児学級での教育を受けたいという人やそのお子さんまで、全部普通学級にとにかく入るべきだというふうに思ってはおりません。

 ただ、現状は、午前中から指摘があるように、養護学校に行くべき子供たちの中から普通学級に行ってもいい子供たちを認定就学者という形で、いわば、そういう道もありますよというふうな制度になっていると思うんですね。ここを少なくとも平らにというか、どちらかをニーズによって選びなさい、選んでいいんですよ、選ぶ権利があるんですよというふうに近づけていくべきではないかというふうに思うのですが、大臣のお考えをお願いします。

小坂国務大臣 考え方としては、認定とそれからインクルーシブとの間が大きな段差になっているとすれば、そこをもう少し段差を低くして、そしてできるだけなだらかなスロープでつないでいく、こういう感覚で徐々に近づけていくということが必要だ、こう考えておりますし、今御指摘がありましたように、それぞれの保護者の御希望というものもありますから、その御希望をしっかり踏まえて、それを重視して就学先を決めるというのが基本的な考え方でありますから、そういう形で両者が近づくような考え方で努力をしたい、こう思っております。

保坂(展)委員 なだらかなスロープというふうにおっしゃいましたけれども、その段差がやがてフラットな、いわば選択ができるというふうになっていくことを大臣もお考えになっているというふうに受けとめました。

 文科省の方にこの点について伺いたいんですが、現在の認定就学制度は、原則統合ではなくて、先ほど申し上げたように、まず、これまでの養護学校に行くようにという子供さんの中から例外的にこれを認めていくという制度ではないかというふうに思います。これも、しかし、認められるだけ前進だと私は思っているんですね。

 かつて、二〇〇一年ごろ、文部省の中で、普通学級に障害のある子を受け入れていると「違法」状態になるという、これは起案段階の資料が存在したということで、これは経緯は細かくは聞きませんから、聞いておいてください。これは起案段階で、実際上、随分親の方たちが心配しまして、今受け入れられている、障害のあるお子さんが通っている普通学級でも、これは何か、世界の趨勢とは逆に、出て行きなさいなんということになっては大変だという問題が議論されました。

 今回の改正の七十五条で、これは普通学級に障害のある子の在籍が法的に認められたということになるのであれば、現行の就学手続、あるいは学校教育法施行令等の改正がやはり課題になるんじゃないかというふうに思うんですね。この点について局長の見解を聞きたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話がございましたように、今回の法律改正では、小学校、中学校等におきます特別支援教育の実施について、七十五条の一項で明示的な規定を設けまして、すべての学校における学校全体としての特別支援教育の一層の取り組みを促すこととしているわけでございます。このことによりまして、いわゆる小中学校での特別支援教育の充実を私ども図っていきたいと思っております。

 なお、就学につきましては、現在、就学先の学校の決定に当たりましては、保護者や専門家の意見をよく聞きながら、一人一人の教育的ニーズに合った教育を行うという観点から、総合的に判断をするということになっているわけでございますが、今後とも、保護者や専門家の意見というものをよく聞くということの徹底を図っていきたいと思っております。

 特に、昨年十二月の中央教育審議会の答申におきましても、今後の就学指導につきましては、ただいま申し上げましたような点を踏まえつつ、さらに検討するようにという提言もいただいているところでございますので、こういった保護者の方々の御意見というものをよく聞くということが実際行われますように、私ども考えていきたいというふうに思っております。

保坂(展)委員 次に、普通学級にいる障害を持つ子が、あるいはその親がどんな思いを持っているのかということについて大臣に伺っていきたいと思います。

 日本の現在の体制は、まだインクルージョンに全面的に踏み切ったとは言えない状態なんですが、それでも、先ほど金井康治君という少年の話をしましたけれども、七九年に養護学校の義務化という制度が発足し、そういう中で、個々の子供さんや親たちが普通学級で何とかうちの子を学ばせたいということで、並大抵ではない苦労をされてきたというふうに思います。その子供たちや親こそがこの制度の問題、制度のひずみの問題、現在の課題をよく知っている当事者なんだろうというふうに思います。

 そういう当事者の方から届いた声をちょっと紹介をしたいと思うんですが、先日、東横インの問題で大臣に感想を求めました。工事で全部取り払ってしまった、障害者用の駐車場あるいは客室ですか、これについて大臣は、そういう行為を行った人の中に、障害者と対応することが不要だ、そういう面倒なことは断ればいいんだという発想が裏にあるように感じます、これは大変な差別だと思うというふうにおっしゃって、私もこれは同感です。

 これを知ったその当事者の保護者が、この障害者を障害児に、そしてホテルを学校にかえれば、校長先生が似たような表現をされていたという声を届けてくれました。例えば、学校が障害を持つ子と対応するのが何かおっくうだとか、面倒だとか、非常に手間がかかるというような発想があったらやはりいけないんだろうというふうに思います。また、入学させたけれども、きのう届いた声では、親に、教室にずっといてください、何かあったら困るからということで、お母さんがずっといるそうなんですが、教室の子供たちの中に親が一人授業の間ずっといるというのもなかなかつらい体験だということもお話しされていました。

 小坂大臣には、こういう当事者の声、当事者の思い、それから親御さんの気持ちをもっと直截に聞いていただきたい。そこから、いろいろな専門家、教育の専門家や障害児教育の専門家がいますけれども、みずからそういう普通学級に入れて苦労されている方の声も聞いていただけたらと思います。では、副大臣、よろしいですか。

馳副大臣 今の御指摘、私、二点ほどこういうことを思います。

 認定就学制度をとるに当たっての現場のあり方と、それから保護者が疎外感を持たないように我が子の教育に取り組むということを配慮する必要があるな、この二点を思います。

 というのは、小学校の場合は通学区域はもう同じ町内か近所の人なんですよね。そういった場合に、認定就学制度として受け入れることが許された、学校に行ける、しかしながら、やはり障害の重さ、軽さ、程度によっては付き添わざるを得ない。そういったときに求められるのは、まずその市町村の教育委員会、教育長の姿勢、学校長の対応、担任の先生の理解、資質、能力、そして、認定就学制度でこういう障害のあるお子さんが同じ教室にいるということに対するほかのお子さんや保護者の皆さんの理解、これをつなぐやはり一つの心がないと、幾ら、加配しますよ、保護者の方が来てもいいですよ、NPO団体の方、物をわかっていらっしゃる方がちゃんとついていればいいでしょう、そういうものじゃないだろうと私は思いますよ。

 そういう意味でいえば、特に保護者の方がついておられることは、それぞれの学校において、クラスの中において、担任の先生がうまく調整役を果たしながら、やはりほかの保護者の皆さんやほかの子供たちに受け入れられるべきものだな、私はそういうふうな認識を持っておりますし、そうあることを強く望んでもおります。

保坂(展)委員 大変いい答弁をいただきました。

 小坂大臣にも、今の点、簡単で結構ですから、当事者の親の声、あるいはお子さんの声、ぜひ聞いていただきたいと思います。いかがでしょう。

小坂国務大臣 私も、手をつなぐ親の会の皆さんとか、いろいろな方々との交流もありまして、聞く機会もございますけれども、今後ともそういった生の声を聞いて、きょうの大前委員のお話のように、生の声というのは説得力があるものだと思いますから、耳を傾けてまいりたいと存じます。

保坂(展)委員 次に、文部科学省、局長の方にお聞きしたいと思いますが、現在、普通学級に既に通っている障害のある子に対する対応ですね、施策について伺います。

 先ほどの七十五条によって、障害のある子が普通学級にいることが法的に認められるようになりましたね。しかし、どのようにしているのか、今副大臣と大臣とやりとりさせていただきましたけれども、その普通学級の中で、どういうふうに過ごしているのかというところが問題なんだろうと思います。

 参議院の審議の中では、子供への対応として、拡大教科書というような配付が紹介されたようですけれども、障害のある子が普通学級で学んでいくための支援ですね、これは全部その親に、努力してくださいということで負担をさせるだけではなくて、教員の加配もそうでしょう、それから予算的な裏づけもそうでしょう、このあたりをどう考えていらっしゃるのか。お願いします。

銭谷政府参考人 現在、小中学校に学ぶ障害のある子供につきましては、特別支援学級に在籍をする場合のほか、通常の普通学級に在籍をして、通級による指導を受けている児童生徒、それから、通常学級でずっと学んで、担任やチームティーチングによる個別の配慮が行われている児童生徒と、さまざまなあり方があるわけでございます。

 先ほど申し上げましたように、今回の法律改正で、小中学校等における特別支援教育の実施についての明示的な規定が設けられたわけでございますので、まずはすべての学校において、学校全体として、障害のある児童生徒に対する指導のあり方について共通理解を図っていただくということが必要ではないかと思っております。現在、そのために、文部科学省として、いわば各小中学校における特別支援教育のコーディネーターとなるような方についていろいろな研修の機会を設けて、学校内での共通理解を図るための研修を行っているわけでございます。

 加えて、実は、ことしの三月に、義務教育諸学校における学校評価のガイドラインというものを文部科学省として策定をして、お示しをしているわけでございますけれども、その評価項目の例示として、特別支援教育の推進ということを掲げておりまして、各学校において、例えば校内の支援体制がどう整備をされているか、交流あるいは共同学習の実施状況はどうであるか、個別の指導計画や教育支援計画の作成状況はどうであるか、医療、福祉等の関係機関との連携状況はどうであるかといったようなことについて、それぞれの学校で自己評価をしていただくということを期待を申し上げているわけでございまして、こういったことを各学校でやっていただきたいなというふうに思っているわけでございます。

保坂(展)委員 この点に関して、特別支援学級の方に行く子供たちも当然出てくると思うんですが、これを、原則普通学級に籍を置いて、特別支援学級にも必要のある場合は行く、こういうふうに主軸を変えられないだろうかというふうに思うんですが、局長、いかがですか、この点について。

銭谷政府参考人 現在のシステムといたしましては、特別支援学級に在籍をするか通常学級に在籍をして通級するかというシステムということになるわけでございます。ただ、特別支援学級と通常学級との交流、あるいは共同学習といったようなことも、今後十分検討して実施をしていただきたいというふうに思っております。

 なお、ずっとここのところ議論をしてまいりました特別支援教室という考え方があるわけでございますけれども、これにつきましては、今後、その導入に向けて、引き続き、文部科学省としては検討をしていきたい。今回の法改正の中ではそこまで至らなかったわけでございますけども、これは大きな課題として、特別支援教室ということについては、私どもとして引き続き検討していきたいというふうに思っております。

保坂(展)委員 今ちょっと、私のお話しした、原則、普通学級に籍を置いてということが、それも検討課題になっているのかどうかという点、ちょっと確認させていただきたいと思うんですが、いかがですか。

銭谷政府参考人 ちょっと説明をさせていただきますと、現在の特殊学級、特別支援学級は、いわば固定式の学級なわけでございます。これにはこれの一つの機能的なよさというのもあるわけでございまして、今回も特別支援学級という名称でこういう固定式の学級というのは維持をしていくわけでございます。

 ただ、一方で、特別支援教室という発想がございまして、これは、児童生徒が、籍は通常の学級に在籍した上で、一人一人の障害に応じて必要な時間のみ特別な指導を行う、そういう教室の構想でございます。もちろん、その子供の状況、あるいは指導の必要性ということによりまして、特別支援教室で指導を受ける時間の長短というものはいろいろあると思いますけれども、通常学級に籍を置いて、特別の指導を特別支援教室という形で受けるという構想がございます。それについては引き続き検討していくということでございます。

保坂(展)委員 馳副大臣に伺いたいんですね。

 今の局長とのやりとりを伺っていくと、やはり特別支援学級は固定した学級だ、今特別支援教室については検討されるという話、学級は学級であるわけですね。先ほどのサラマンカ宣言にもあるように、なるべく近づけていくんだ、なるべくフラットな、相互に行き来ができる教育体制にしていくというためには、原則普通学級に籍を置いて、実際には特別支援教室で学んでいるという姿も非常に理念に沿うものなんじゃないかというふうに思うんですが、馳副大臣、どういうふうに考えますか。

馳副大臣 それこそまさしく、障害の程度に応じた現場の判断、保護者にも十分説明をし、また学校がどういう体制をとることができるか、教室等の問題、いわゆる施設整備等の問題も含めた最終的な判断になろうと私は思います。

保坂(展)委員 この辺は、先ほどの宣言に沿って、原則に立ち返って、大きな転換をしてはどうかということを申し上げたいわけでございます。引き続き、また聞かせていただきます。

 時間でありますので、終わります。

遠藤委員長 末松義規君。

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 きょう、いろいろと議論を聞かせていただいた中で、やはりこの法律案の大きなポイントの一つに就学先をどうしますか、そういうときに保護者の方々あるいは学生本人とそれから学校側との間でずれがあった場合に、そこのところをきちんとした対応ができているのかどうか、それが気にかかるところでありますけれども、この就学の認定、就学を決定するに当たってどういうふうな手続でやられているか、まず一般的なところからお伺いをいたします。

銭谷政府参考人 手続でございますので、私の方から御説明をさせていただきます。

 まず、市町村の教育委員会は、次年度から義務教育を受ける者につきまして、十月の末までに学齢簿を作成いたします。その学齢簿に基づきまして、市町村教育委員会は、原則十一月の末までに就学時の健康診断というものを実施いたします。就学時の健康診断の結果を踏まえまして、いわば就学先について教育委員会と親との間でいろいろな就学手続が行われるということになるわけでございます。

 まず、市町村の教育委員会が、障害のある児童生徒につきまして専門家の意見や保護者の意見を聴取した上で、この児童生徒は盲・聾・養護学校に就学すべきである、就学した方がいい、こう判断するという場合が一つございます。そうなったときには、県の教育委員会の方に対しまして、市町村教育委員会から盲・聾・養護学校への就学を適当とするという旨を通知いたしまして、県の教育委員会の方から就学をする盲・聾・養護学校の入学期日について保護者の方に通知が行くということになります。

 それから、もう一つのケースでございますけれども、市町村の教育委員会は、障害のある児童生徒が就学基準に該当する場合、専門的な知識を有する方や保護者の意見を聴取した上で、当該児童生徒が盲・聾・養護学校に就学した方がいいという当初の判断はありますけれども、小中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める場合には、小中学校への入学ということを保護者に通知するというケースがございます。これがいわゆる認定就学と呼ばれているものでございます。

 それから、三つ目のケースといたしましては、通常の小学校または中学校への就学ということでございまして、これは、障害のある児童生徒が就学基準に該当しない場合に、市町村教育委員会は小学校または中学校への入学期日を保護者の方に通知する。その場合は、小学校または中学校におきまして、通常の学級に在籍をした上で通級による指導を受けることとするのか、あるいは特殊学級に在籍をすることとするのか、あるいは単に通常の学級に在籍するか、こういったことにつきましては、校長先生の方で判断をするということになるわけでございます。

末松委員 今認定就学という言葉も出てきましたし、また、特別支援学校という話、これは改正案なんでしょうけれども。その場合、市の教育委員会と保護者でという話がありましたね、最終的にそれを決定するんだと。市の教育委員会は、どういうふうな手続でそれを決定するんですか。

銭谷政府参考人 まず、健康診断の結果を見まして、市の教育委員会は、そのお子さんが盲・聾・養護学校への就学に該当する程度の障害をお持ちかどうかということを判断いたしまして、そうして、市の教育委員会は、ちょっと平たい言葉で言いますと、あなたのお子さんは養護学校就学ということも考えられるがどうだろうかということで保護者の方に意見を聞くとか、あるいは、それに先立って、このお子さんは養護学校の就学に該当する障害の程度だけれどもどうだろうかということを専門家の方に、これが、通常、就学指導委員会と呼ばれておりますけれども、そちらに、市の教育委員会が聞いて、その御意見とか、それから親の意見とか、そういうのも聞きまして、最終的に、総合的に市の教育委員会が判断をしていくということになるわけでございます。

末松委員 そうすると、専門家の意見が非常に重要なことになると思うんですけれども、その今おっしゃられた就学指導委員会というのは、これは定数とか、あるいはどういう人が適当なメンバーなんだとか、そういったことは、実際に文部科学省の方で何か通達とか通知とかで指示があるんですか。それとも県とか市の方で、これは市町村になるのかな、実態的にみんな決めているということなんですか。

銭谷政府参考人 平成十四年の五月二十七日の初等中等教育局長通知というのがございまして、その中では、「市町村の教育委員会は、障害のある児童生徒の就学に関して、学校の校長との連絡が重要であるとともにその障害に応じた教育内容等について保護者の意見を聴いた上で就学先について総合的な見地から判断することが大切であること。具体的には、就学指導委員会において保護者の意見表明の機会を設ける等の方法が考えられること。」こういう通知のくだりがございまして、この就学指導委員会というのは、学校教育法の施行令の第十八条の二の規定に基づきまして、専門家の意見を聞くための方法として、通常、専門家の方が集まって就学指導委員会という形で設けられているというものでございます。

 実態でございますけれども、ほとんどの市町村にこの就学指導委員会というものが設置をされております。就学指導委員会の構成等につきましては、これは、市町村によって区々でございますけれども、文部省が行った調査によりますと、平均の構成人員は約十五名程度でございます。構成員は大体教員とか教員のOB、それから福祉関係の専門職の方、それから医師、お医者さんですね、それから教育行政の関係者、あるいは福祉行政の関係者、あるいは大学関係者、保護者の方、こういったような方で構成をされているというところが多いように思っております。

末松委員 その中で、文科省の方から実際に例として島根県の松江市の例と私の選挙区でもある東京都の小平市の例、就学指導委員会の方々、実際にどういう方々なんだということを、資料が上がってきたわけでございます。

 例えば、松江市の場合は、二十一名いて、医者が二人、教授が二名、あと小学校の校長さんとか、あと小中学校の先生ですね、教員の方、あるいは、盲学校、聾学校、それから養護学校の先生の方とか保健師とか、そういった方々が合わせていて、その中に一人だけ障害児の保護者代表の方というのがおられるんですね。年齢的には平均が四十七歳ぐらいということで、保護者の代表というと大体若い方になりますね、二十代とか、そういった方がほとんどおられないケースなんですね。

 小平の方を見ますと、これは、構成員が六十四名と非常に多いんですけれども、医者が二人、大学教授が二人、あと校長さんが十一名ですか、教諭、これは先生が三十九名、約四十名近くやっておられる。年齢的には、二十代から六十代と書いていますけれども、こういうのを見ると、やはり、若い人がほとんどいなくて、中年から熟年の方が多いという話になるんですね。

 小平市の場合は保護者の代表の方はおられません。そこで、こういった方々が専門家で、これはこうあるべきだというふうな形になりますと、そうなると、実際の審議の中で、保護者の代表の方々、松江市の方は一名ですけれどもおられるんですけれども、そういった保護者の代表の方が、実際の専門家の意見だといった場合に、もう結論を多分持ってくると思うんですね。そして、その結論でもって、市の教育委員会と保護者の間で話し合いをするという話であります。

 こういう審議の過程でも、保護者の代表の方、一名だけじゃなくて、複数、大体二、三名ぐらいいてもいいような気が私はするんですが、その点について、どういうふうに思われているのか、御意見をお伺いしたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいま先生から、松江市と小平市の就学指導委員会の構成メンバーについてのお話がございました。

 私ども、子供の就学に際しましては、市町村の教育委員会において、よく専門家の意見と保護者の方の意向を聞いて、総合的に市町村教育委員会で判断してください、こういうことを申し上げているわけでございます。

 専門家の意見を聞く場としての就学指導委員会の構成メンバーについて、細かい指示は私どもとしてはしていないわけでございますが、当然、子供の教育あるいは福祉、子供の育ち、あるいは医学的な観点、あるいは子供の気持ちがよくわかるとか、いろいろな観点の専門家の方が必要だと思っておりますので、市町村教育委員会において、幅広く、子供にかかわるさまざまな専門家の方が委員として加わっていただくということが望ましいのではないかというふうに考えているところでございます。

末松委員 私が聞いているのは、保護者の方のお気持ちそのものが実際に反映される場というのは、教育委員会との話し合い、それと同時に、この就学指導委員会の場でも、そういった保護者の方々と話し合うような、委員のメンバーも私も二、三名いた方が望ましいのかなと個人的には思うわけですけれども、そういった保護者の方々と話す機会はあるんですか。

銭谷政府参考人 先ほど読み上げました、平成十四年五月の初等中等教育局長通知でも、「就学指導委員会において保護者の意見表明の機会を設ける等の方法が考えられる」ということは通知をいたしておりまして、私ども、就学指導に当たりましては、障害のあるお子さんをお持ちの保護者の方の意見、意向を就学指導委員会あるいは教育委員会が十分に聞くということが非常に大事だと思いますし、また、保護者の方に対して情報の提供に努めるということも非常に大事だと思っております。

 また、就学指導委員会のメンバーの中に保護者の方が入っているということも、これも必要なことではないか、必ずというわけではございませんけれども、そういう方が入っていることは必要なことではないかというふうに思っております。

末松委員 先ほどのプロセスの一環で、就学時の健康診断で、このデータが、本人とか保護者が知らない間に、多分、ほかの機関に流出して、気がついたときには特別支援学校に行くようなレールが敷かれているというふうなことが、私のところに報告として上がってきているんですけれども、そういったデータの管理というのは、実際にどうやっているんですか。これは基本的にはプライバシーですよね。本人と保護者が全く同意も与えない。これが全く知らない間に、何かそちらの方にやって流出しているというのは、そこは多分午前中の審議でもあったのかもしれませんけれども、そこを、改めて私の方に教えていただけますか。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 就学時の健康診断、これは、入学予定者の心身の状態を的確に把握し、保健上必要な勧告や助言を行うとともに、適正な就学を図るということを目的としているものでございまして、その診断の結果につきましては、入学前の治療を勧告し、また、保健上必要な助言を行うとともに、正式に決定いたしました入学する学校に送付し、送付を受けた学校では、入学後の保健指導に役立てるということでございますので、当該市町村の教育委員会、そして、一月の末までに学校は決定するわけでございますので、正式に決定した後、入学後の事後の指導に充てていただくということで、学校長に送付するという性格のものでございます。

末松委員 だから、本人と保護者には一応きちんと、そのデータですね、例えば僕がさっき言った就学指導委員会とかに諮る場合に、そういった形でデータを渡すよというような同意は求めているんですか、求めていないんですか。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的に、就学時の健康診断につきましては、事後措置といたしまして、保護者に対して診断の結果というものを通知するということになっておりまして、そのときに、このような治療といいますか、入学前までにすることが必要だというような指導もあわせて行っておるところでございます。

 その際、どのような形でこの診断票といいますか結果が使われるかということについても、これは保護者に説明すべき性格のものだと思っております。

末松委員 事実を聞いているんですよ。すべきものというのは、実際、求めているんですね。そして同意を得ているんですね。そこだけ答えていただければいいんです。

素川政府参考人 就学指導委員会の基礎的なデータとして使うということは、制度上予定されておりますので、その旨につきましては、当然、説明すべきものだと思っています。

 実際行っているかどうかの実態調査につきましては、私どもしておりませんけれども、そういうふうな制度の使い方のものであるということでございますので、就学指導委員会等の参考資料といいますか、そういうことになるということについては、当然、説明すべきものであると思っております。

末松委員 では、そういったものが、同意を得ていなくて、実はすべきものというのはそちらの解釈なんですけれども。ただ、保護者がそれを知らないケースというのはありますよね。そこは、きちんと通知はするんですか、実際にこういうことで使われますよということを。それを知らされずに、そもそも制度がそういうふうな制度になっているから、当然データも回されるんだよと言われたら、それは保護者が悪いような言い方をされることになってしまうんですよ。しっかりとそこは通知しているんですか。

素川政府参考人 この就学時健康診断の結果の扱いにつきましては、どのような形で使われるべきかということにつきましては都道府県の教育委員会に通知しているところでございます。

 流用といいますか、本来予定していないところに情報が流れているのではないかというようなお話がありましたけれども、私どもの方で昨日少し調べてみましたところ、実は、就学時健康診断の結果を学校が正式に決定する前に学区の小学校に通知していたという事例がございまして、それは正式な決定の前に学校に送っていたということでございました。

末松委員 ちょっと、答弁、外さないでくださいよ。

 そういった特別の支援をされる方々のデータが就学指導委員会に行くときに、しっかりそこは、そういうことがありますよということをきちんと保護者に通知しているのかと私は聞いているんですよ。あなたが言ったのは、県の教育委員会に行ったとか学校に行ったとか答弁しているけれども、私の求めている答えと違うんです。そこを、ポイントを外さないで言ってください。またそれが違う答弁だったら、こっちは怒りますよ。

素川政府参考人 文部省から直接保護者に対してそのような情報提供をしているということではございませんで、都道府県の教育委員会等に、就学時健康診断の意義、そして、その結果についてこのように使われるべきものである、また、結果については保護者に知らせるべきであるというような指導をしているところでございます。

末松委員 では、知らせるべきだ、通知義務があるということを文部省がしっかりと言っているということでいいですね。もしそれが通知していないということであれば、文部省のその指導に従っていないということでよろしいですね。

素川政府参考人 就学指導委員会について、個別にそのデータについて提供をすべきだということは、通知の中でそこまで詳細には言っているわけではございません。就学時健康診断の意義、そしてその結果の取り扱いについてはこのような制度になっているということを指導しているところでございます。

末松委員 そんなに難しいことを聞いているわけじゃないんですよ。

 つまり、保護者の方が私のところに来て非常に苦情を言っておられたのは、健康診断のときの結果はすべてざっと流れて、すべて予定のレールみたいな形でいって、それで、ちょっとそこは保護者の思いと違う場合で、あなたはこうですよと、もう確定的な言い方をされるケースが多い、それはないだろうと。

 だから、プライバシーということも含めて考えるならば、そういったことで、きちんとここは、就学指導委員会に行くときには、行きますよということの通知は少なくともしっかりとして、本人あるいは保護者の同意がしっかりとされているという状況が確保されているべきでしょうということなんですよ。

 最後の答弁のところで、ちょっと何かあやふやなんだよな。

 つまり、これはイエスかノーかでお答えください。就学指導委員会にそういった情報が流れるということを保護者が把握されていて、そして、それは仕方がありません、いいですよという同意だけ得られる状況には、文部省としてやることが義務だと思っていますよね。そこのところはイエスかノーかでお答えください。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 就学時の健康診断の結果につきまして、適切な情報の提供と結果の情報提供ということが行われますように指導するということは必要なことだというふうに考えております。

末松委員 答弁になっていないな。

 委員長、ちょっと、きちんと答えるように指導してくださいよ。どんどん抽象的な言い方になってきて、何かわからなくなってきたな。

遠藤委員長 局長、質問者の問いに明確に答えてください。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 保護者に対しまして、市町村の教育委員会から、就学時の健康診断を行うに当たっての通知を出すように、そしてまた、結果につきましては、その事後措置のために適切な指導を行うようにということでございます。その中で健康診断の意義を述べているわけでございますけれども、具体的に、就学指導委員会に出す、そのときには同意を与えるというようなところまでいっているわけではございません。

 この点につきましても、今後指導するべき性格のものと思っております。

末松委員 だから、それはしっかりと指導してくださいよ。これでもうかなり時間が消費されちゃったじゃないですか。

 では、次に申し上げます。

 今、特別支援学校へ入学を希望しなくて、通常学級で学ぶことを希望するような障害者の方々、生徒がおられるわけですね。その大半は、現状では認定就学制度を経ることなく入学しているわけでありますけれども、今入学している生徒は、今後、この法案の改正によって扱いはどう変わっていくんですか。

銭谷政府参考人 今回の法案で、七十五条の一項で、小学校、中学校等における特別支援教育をしっかりやるということが明示的に規定をされたわけでございますので、今までももちろんそうだったと思いますけれども、小学校、中学校に就学をしている認定就学のお子さんについては、これまでと同様あるいはさらに充実をした指導が行われるようにならなければならないと思っております。

末松委員 そうしたら、私の理解としては、通常の学級で学習をしていくということでいいということですか。

銭谷政府参考人 子供が在籍をしている小学校、中学校において、認定就学の子供に対して、そのニーズに応じた教育をしっかりと行う必要があるということを申し上げたわけでして、その教育のやり方としては、先ほど来申し上げておりますように、特殊学級に在籍をする場合もありますし、通常学級に在籍をして通級という指導を受ける場合もありますし、通常の学級に在籍をして一定の配慮のもとでの教育を受けるというケース、これは学校の中で、指導の仕方としてはいろいろあるということでございます。

末松委員 では、例えば、自分の子供を通常の学級にやりたい、そういったときに、やはり、受け入れそのものを拒否する場合とか、あるいは、特別支援教育の方に行けといって、そこでいろいろな指導が行われて、事実上、そういった形で行かされるケースもあるということですね。

銭谷政府参考人 若干、誤解のないように申し上げておきますと、認定就学のお子さんは、いわゆる盲学校、聾学校、養護学校という、今までの呼び方は特殊教育諸学校、これからは特別支援学校というふうに呼ぶわけでございますけれども、そこへ在学するわけではなくて、認定就学のお子さんは、普通の小学校、中学校に在籍をするわけでございます。その普通の小学校、中学校で学ぶ。

 普通の小学校、中学校には、いわゆる通常の学級と、それから、特別支援学級という、障害を持ったお子さんがそこに籍を置いて学ぶ学級と、二つあるということでございまして、その特別支援学級に在籍をして学ぶか、通常の学級に在籍をして学ぶか、これは校長先生の判断で最終的には決まるということでございます。

 ただし、その場合でも、ちょうど就学に際してと同様に、保護者の方の意向とか、あるいは校長先生もいろいろ専門家の方の御意見を聞いたりしながら、その子に最も適した、その子の教育的ニーズに最も適した教育というものを考えていくということになるわけでございます。

末松委員 この場合は校長先生が決めるんですね。そのときは就学指導委員会とか教育委員会の関与は全くございませんか。

銭谷政府参考人 小学校、中学校の校長先生が決めるということになります。それは、その学校の中でどういう教育をしていくかということでございますから、学校の最高責任者である校長先生が決める。もちろん、校長先生が一人でぱっぱっと決めるということではなくて、当然いろいろな先生方の御意見を聞いたり専門家の意見を聞いたりしながら、先ほど来しつこいようでございますけれども、その子に合った教育をする、そういう観点から決めていくということになります。

末松委員 そういった特別支援を必要とする児童が通常学級で学ぼうとする場合、これはまた私どもに寄せられた苦情の話なんですけれども、入学時に、先ほどもちょっと出ていましたよね、親御さんへの恒常的な付き添いとか、そういったものは何か慣例化している、実態として。それは今、保坂先生もおっしゃられていたことだと思いますけれども。

 確かに、親が常時いられない場合もありますねというのは、十分にそれは考えられるわけでありますから、そういったことが慣例として行われているということは、そういった実態は御存じですか。

銭谷政府参考人 障害のある児童生徒が認定就学ということで小学校や中学校に就学をするという場合に、市町村の教育委員会や学校が保護者による介助を求めるケースがあるというのは、私ども聞いたことがございます。

 一般論として申し上げれば、各教育委員会や学校において、自分のところの施設設備とか人の配置の状況、あるいは保護者の方の御意見や要望等をいろいろ勘案して、そういうふうにお願いをしているということが考えられるわけでございます。

 ただ、これは私の考えでございますけれども、子供の障害の状態をよく理解している保護者の方が、例えば常時付き添っていないといろいろ命にかかわるとか、そういうケースもあるかもしれませんけれども、小中学校を就学先ということで決定した場合に、受け入れる小中学校において、その子の健康とか安全とかを含めてさまざまな支援を行うということは、これは当然必要なことだと私は思っております。

 ただ、市町村の財政事情などで、やむを得ない場合も市町村によっては今まであったのかなということも考えられるわけでございます。と申しますのは、ちょっと長くなって大変恐縮でございますけれども、盲・聾・養護学校については、介助員につきまして地方財政措置がなされているわけでございます。小学校、中学校の場合は、介助員などの配置について地方財政措置がなされていないという事情もございまして、これは今後、介助員等についての措置は、私ども、一つの課題であるというふうに認識はいたしております。

末松委員 確かに、その介助員という方がちょっとおられればいいという話、それも金目の対応が必要だという話は、私もお伺いをしております。

 通常の学級で認定就学といった場合、本当にそこまでケアが必要な児童さんであれば、ひょっとしたら、それは医学的あるいは専門的見地から、特別支援学校の方が適切な教育が受けられるということなのかもしれません。私も、そこを強硬に主張しているわけではありませんけれども、できるだけそこは現地で余り保護者の方が負担にならないような、そういった措置をしっかりと文部省の方でもとっていくということは私は重要だと思うんです。

 今までの議論をちょっとお聞きになって、急に大臣に振るとあれかもしれませんが、大臣、何かそこは保護者との関係でどうなのか。

 副大臣、非常に熱心な顔をされて聞いておられますから、では、どうぞ。

馳副大臣 地方交付税措置がされていない、しかれども、結果として認定就学制度で小学校、中学校にそういう障害のあるお子さんが行かれているときにやはり介助員が必要であるとなったときに、今現在は国の制度として補助制度はないわけですよね。ここがひょっとして一番のポイントであろうというふうに思っております。

 初中局長も答弁しておりましたように、これは今後の検討課題として必要になってくると思います。というのは、認定就学者として通常の小学校、中学校に通うことを認めたお子さんの、障害の程度はどうあれ、その学習の機会をきっちりと把握して支援するのは当然のことになるわけでありますから、それが自治体の財政力によってまさしく格差があるということがあってはおかしいわけでありますから、義務教育という段階ということを考えると、いかにこういったところの支援を財政的にすることができるかということが私は大きな課題だ、そういう認識を持っております。

末松委員 今お金の話が出てきたので感じるんですが、この特別支援学校で、盲学校、聾学校、養護学校が統合されることになるんです。これは当然、今まであった盲学校とかいろいろなところを利用するのだろうと思うんです。これは総合的に全部やっていくから、当然、盲学校だけの施設ではなくて、やはりいろいろな形の施設の費用、改築ということも当然頭になければおかしいんだろうと思うんですね。そういったことについてはきっちりとした対応がなされているんでしょうか。

 ちょっと資料で見ますと、何か特別な対応そのものは余り念頭にないような資料をいただいたことは、ちょっと私には、改築費用とか本当に必要なんだろうと思うんですけれども、余り見られないんですけれども、そこはどうなんでしょうか。

大島政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘ございましたように、これまで盲・聾・養護学校の施設の整備、これにつきましては、この件に関しては、従来より障害種別ごと、障害種ごとに必要となる用途、内容に応じた整備についても国庫補助の対象として行ってきたというわけでありますが、今御指摘ありましたように、各特別支援学校、こういうことになった場合に、おっしゃるように、それぞれの、今度新しい障害が生じたことによって、何らかの施設の整備の必要性が生じるということは十分考えられることだろうと思っております。

 その際、各特別支援学校における教育の対象となり得る障害種別について、これは具体にはどのような障害種別を対象とする特別支援学校とするかについては、まずは設置者の判断によるものでございますが、その結果、今おっしゃったような改修などの施設の整備が必要である、こうされれば、これを設置者からの申請に応じまして、所要の経費について、従来の取り扱いを踏まえつつ、適切に国庫補助を行う方向で検討してまいりたいと存じます。

末松委員 適切にという言葉はいい言葉ですね。何でも通じちゃうんですね、適切にやるという話であれば。

 そこは本当に、必要になるんだったらそこは重要なんでしょうから、それだけ総合的にこれを、学校のコンセプトを変えるということであれば、また、実際には、施行されたけれども、行っているのはみんな同じようなところに同じように行っているということがないように、そこはきちんとしてくださいね。

 今度は教員の話なんですけれども。

 今まで、新卒の教員の人に対しては、これは特別支援学校ということで幅広い教育というのをするのかなと。つまり、何か、五割ぐらい障害の重複化があるがゆえにこういった特別支援教育あるいは支援学校をつくるというコンセプトになったという話なんですけれども、それはそういう形で教員に対しても、その幅広い教育が行われる予定になっているんですか。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話ございましたように、今回の特別支援学校の創設の趣旨の一つに、児童生徒の障害の重複化等への対応ということがあるわけでございます。

 そこで、これからの特別支援学校の教員免許状につきましては、重複障害を含めまして、幅広い障害について必ず学んでいただくということにすることといたしております。例えば、重複障害とかLD等について必ず学んだ上で教員免許を取得していただく。もちろん、教員の方はそれぞれまた専門の領域というのもございますので、その領域についても専門科目として学んでいただく、そういう免許制度を考えております。

末松委員 現職の教員の人はどうなんですか。盲学校の方は、盲学校の専門は学んでいるけれども、例えば聾学校の関係の教育は学んでいないところがあるかもしれません。そういったことはどういうふうな形で解決していくんですか。

銭谷政府参考人 従来、従来といいますか、現在の盲・聾・養護学校の教員免許状につきましては、これは特別支援学校の教員免許状ということになるわけでございます。ただ、現在の免許状保有者につきましては、重複障害とかLD、ADHD等を含む幅広い障害についての知識、理解に相当する部分が不足をしているという面もございます。

 これに対応するために、現在の免許状保有者に対しましては、研修の機会の設定等の取り組みが重要であると考えておりまして、文部科学省といたしましても、都道府県等における研修等の取り組みに対しまして、これを促し、支援を行っていきたいというふうに考えております。

末松委員 ちょっとテーマを変えまして、最後になりますのですが、音楽教育について、これは大臣にお伺いをしたいと思います。

 どうも何か、義務教育において、文科省の内部の議論の中で、音楽教育を、特に小学校、中学校ですか、これを選択制にしていくんだというような動きがあるやに聞いているんですけれども、そういうことはまずないですよね。ちょっとそこについて、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

小坂国務大臣 中央教育審議会における学習指導要領の見直しの議論の中で、一部の委員から、中学校における音楽や美術などについて、一部選択制にしてはどうかという意見があったということはそのようでございます。しかしながら、一方、豊かな感性や創造力、表現力をはぐくむために音楽教育は重要との意見も並行してあったということでございます。

 私は、音楽というのは、やはり潤いを人生に与えますし、周りの人々にとっても明るさをもたらすものであって、自分のストレスを解消する上でも音楽というのはどこででも口ずさむことができて、やはりそういう意味で、音楽の素養というものは、声楽だけじゃなくて楽器を使った音楽でも、あらゆるものがやはり感性を育てるうちに非常に重要だと思いますから、私は、これは選択制にしないで、中学校においてはやはり必須としてこれからもやってもらいたいという私としての希望を持っております。

末松委員 今の大臣の答弁、はっきりとそういう形で、大臣自身は、これは選択制ではなくて、しっかりと感性を磨く上で重要だというお話をいただきました。

 まさしく今教育基本法の議論がされておりますけれども、本当にそういった日本人のアイデンティティーとか伝統文化、そして教養という意味で、そういう感性というのは極めて重要ですよね。特に、また、そうです、宗教的な感性、これも本当に重要でしょう。そういった音から入るというのは国を超えて非常に重要なことでありますし、私が外交官のときに、やはり日本の童謡を一つ歌ってみろというふうなことで、それを覚えていてよかったなというような経験も持っています。国際的になればなるほど、日本人なら日本人の持っているものをしっかりと出していく、ここが国際人としての資格がまた問われるところでもありましょう。

 というお話をした上で、教育に事務的に携わっておられる事務方の方からも、今の大臣のお話を聞いてどういうふうに受けとめておられるか、それについてお話を聞きたいと思います。

銭谷政府参考人 経緯は先ほど大臣からお話し申し上げたとおりでございます。それから、方向性でございますけれども、私も大臣の考え方に全く賛成をいたしております。

末松委員 非常にこれを心配する向きもございまして、いろいろな形で運動しておられる方もおられるようでございますけれども、ぜひこういった感性的なものをしっかりと磨いていって、そして感性から日本というものを主張し、そして新しいものをクリエートしていく、そういうことを、特に今、一般的な話になれば、左脳というロジックよりも右脳という感性、そういったものがこれからの時代極めて重要になるということを私の方でも改めて主張させていただきまして、質問時間が終わりましたので、この辺で終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

遠藤委員長 笠浩史君。

笠委員 どうもお疲れさまでございます。民主党の笠浩史でございます。

 きょうは、この学教法の改正、そして、特別支援学校、この教育をどうしていくのかというようなテーマで審議が始まっておるわけですが、きょう、委員会の冒頭で、私も民主党の取りまとめの責任者として、また本院の自民党の鈴木委員らと、海外の文化遺産をしっかりと守っていこう、そして、その修復へ向けて日本として国際協力をしていくんだというようなことが全会一致で可決され、先ほどの本会議で、委員長の提案で、衆議院でもまた全会一致で可決されたということを大変喜ばしく思っております。

 そういう日でございますので、最初に幾つか、しばらく教育基本法の審議で文部科学委員会の方も開かれておりませんでしたので、これからそういう振興に責任者として当たっていく文化庁をめぐる問題で二つほど、この際聞かせていただきたいと思います。

 一点は、実は私、昨年のこの委員会でも、夏に、七月でしたか、質問させていただいたんですけれども、高松塚古墳の問題なんですね。あれが残念ながらカビなどの損傷で、石室を解体してそして保存をするというような、非常にこれは残念な結果になっているわけですね。

 そうした中で、先般四月に、この高松塚古墳壁画が〇二年の一月に文化庁の担当者らがカビの除去作業中に機材に接触して、それを転倒させ、傷つけられるというような事故が実は発生していたんだと。しかも、その後に、これは三月ごろになるんでしょうか、その修復作業を行っていたということが明らかになったわけですね。

 なぜこの間、公表をしてこなかったのか。まさに文化遺産というもの、しかも国宝でございます、これは国民の財産でございますので、本来こういうことがあっちゃならないんですけれども、やはり人がやることなので、ミスというものは私はあると思うんです。昨年の議論の中でも、石室の解体という決定に当たって、文化庁の情報公開というものが全くなされていないということで、随分私もこの委員会でやらせていただきました。にもかかわらず、今回もそういうことを公表していなかったと。

 私は、昨年ああいう問題になったんだから、その後、本当にいろいろなことがあったんじゃないかということを、調査会を含めて調べたと思うんですね。だったら、マスコミに出てくる前にわかったはずなんですよ、それは。

 それをなぜまた四月になって突然発表をされるのかということが非常に信じられない思いであるわけでございますけれども、そういうことであるなら、やはり文化庁の体質が隠ぺい体質なんじゃないかという、国民の不安あるいは疑問というものがあると、せっかくこの国会でいい法律をつくっても……。

 まさにこれから外務省と一緒に、文化庁が率先して海外の遺跡、遺産などについてもしっかりと文化財保護の先頭に立っていただかないといけないわけですね。だから、どういうことでこういうふうな公表がおくれることになってしまったのかということを、まずちょっとお答えをいただきたいと思います。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 平成十四年一月のいわゆる壁画毀損事故についての情報公開が不十分であったと御指摘でありますが、これにつきまして、当時なぜ、きちんと公表すべきであったにもかかわらず、その原因等に究明が進んで、公表するに至っていなかったのかにつきましては、現在、調査委員会で調査中でございまして、私どもその調査結果を待っているところでございます。

 ただ、一部調査が進んできておりまして、ブリーフィング、マスコミ等に公表されたところによりますと、この事故が起きた前年に、取り合い部における崩落どめ工事のカビ対策が不十分なために外部にカビが発生をいたしました。それをきっかけとして内部にカビが大発生をいたしまして、このカビの除去対策、防止対策に大変追われておった、そういう背景の中でこの事故が起きたということは少なくともわかっておるわけでございますが、その詳細、なぜきちんと整理をして公表しなかったかについては、なお調査が今進められておるところでございまして、この報告書は今月の中下旬にまとまると聞いておりますけれども、その際に明らかになるんだろうと考えておる、期待をしておるわけでございます。

 また、情報公開について、昨年八月でございましたが、委員から御指摘を受けたわけでございまして、私どもこれまで、高松塚古墳壁画について申しますと、情報公開が十分ではなかった、説明責任がきちんと果たされてこなかったという反省の上に立って、きちんと改めてまいりたいと申し上げたわけでございます。

 それについて申し上げますと、例えばその後につきましても、関係する検討会議を、公開を引き続き行うことでありますとか、いろいろな、石室を取り出してこれから緊急の対策をするための準備を進めておりますが、その準備状況につきましても広くマスコミの公開に応じてきておりますし、何よりことしの一月に地元の説明会を行ったわけでございますが、そういった努力をして情報公開には努めてきておりますことも御理解いただきたいと思っております。

 もう一点、なぜ十四年一月の事故についてこれまでもう一回すべての資料を点検して公表しなかったのか、マスコミに取り上げられる前に自分から公表できなかったのかということを、もう一度考えを整理してみましたら、私どもこういう認識をいたしておるのでございます。

 すなわち、マスコミに取り上げられることになりましたこの毀損事故は、いわゆる作業点検日誌に記載されておったわけでございます。この作業点検日誌は、この古墳壁画の保存管理の情報を細かく記述したものでございますが、いわゆる情報公開請求、開示請求といった形で、それまで数回私どもは開示、公開をしてきたことがございました。ですから、認識としましては、既に公開をしておる資料であったという認識を持ったわけでございます。

 ただ、この中に、事件、事故、オープンになっていない事故が含まれておりまして、今思ってみますと、重大事故であるにかかわらず何できちんとした課レベルでの共通認識を持って対応しなかったのかという反省はございますけれども、そういう認識であってこういう状況に立ち至っておりますことも御理解いただければと思うわけでございます。

笠委員 今、マスコミに公表されたところによりますととか、随分他人事な物言いだなと思うんですけれども。だから、本当に文化庁が率先してやらなきゃいけないんですよ。

 それで、一点、ちょっと事実関係を確認しますけれども、昨日、私、文化庁の方から事情を聞きました。そしたら、今おっしゃった日誌ですか、東京文化財研究所の日誌ですよね、そこに書いてあったので、文化庁としては把握できていなかったんだという説明を私は受けたんですけれども、当時、しかし、実はこの所長であった渡邊さん、この方がちゃんとインタビューの中でも、当時の文化庁の担当課長と文化財部長まではきちんと報告が上がっていた、報告をしているというようなこともおっしゃっているんですけれども、当時報告は受けていなかったんですか。どうなんですか、受けていたんですか、この事故のことについて。それもイエスかノーでお答えください。

加茂川政府参考人 この毀損事故についてどこまで報告がどのようになされていたかの詳細については、繰り返しで恐縮でございますけれども、調査委員会で今事実関係を調査中でございます。

 ただ、これまでの調査で明らかになったところによれば、課内に、課長レベルまできちんとした報告が上がっていたということは確認をできておるわけでございます。

笠委員 何というのかな、私、去年の議論のときにも思ったんですけれども、もう四月から一カ月以上たっているわけですよ。そういう事実関係なんて、該当者がいるんですから、聞けばすぐわかるじゃないですか。私は、この問題を取り上げたら、それぐらいは確認を、きちっと事実関係ぐらいは当然ながら次長が把握をされているという前提でこの審議に臨んでおりますので。何も細かいことを聞いているわけじゃないですよ。一番核心の部分なんですよ。報告がきちっと上がっていたのかどうか。では、なぜそれが、当時の上まで上がっていなかったのか。

 その後の、どうやってそれを修復するのかということまで文化庁の方に相談をしているわけでしょう。では、だれがどういう形でその判断をしたのかということについて把握ができていないということは、これはやはりおかしいですよ、全く。こういうことが、だから体質だというんですよ、個人の問題ではなくて。

 しかも、個人的に、この所長さんであった渡邊さんという方が、この方も今回、責任を大変感じられていて、高松塚古墳の石室解体の検討会、その座長ですか、これをやめられたんですよね、みずから申し出られて。

 そういう中で、私はあと二つだけちょっとお伺いします。これから本当の再発防止へ向けてどうやって取り組んでいこうとお考えなのか。これは調査会がやる話じゃないですから。そして文化庁としての責任、再びこういう形で問題を隠していたという、不信感を招いてしまったということに対する、また国民の財産に対して、遺産に対して傷をつけてしまったということについての責任をどのように考えられているのか、あるいはどうやってとるのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。

加茂川政府参考人 この毀損事故を教訓としまして、私どもがどういう改善策を講じていくべきか、また見直しを図っていくべきかにつきましては、繰り返しで恐縮でございますが、その調査委員会の報告書を待って子細に検討したいと思っておりますが、現時点で申し上げられますことは、何より私どもがその情報公開についてまだまだ至らない点があった、不十分であったということを重く受けとめておりまして、その再発防止に向けては情報公開を徹底して図ることがまず第一の課題なんだろうと思っております。どういったレベルで、どういった詳しい手続を経ながらということも検討していきたいと思っております。

 それに加えて、再発防止策、あるいは、先生、文化庁としての責任ということもおっしゃられましたけれども、これは今調査委員会が事実関係につきまして整理をしておられますので、私どもに厳しい結果になるかもしれませんけれども、それをきちんと受けとめた上で、第二、第三の改善策、対応策について真摯に検討してまいりたいと思っております。

笠委員 大臣、社会保険庁と同じことになりますよ。このまま、こんなこと。

 もう一つ、文化庁にはこの後聞きますけれども、こういう体質をしっかりと指導していくということはやはり大臣のリーダーシップにかかっていると思うんです。こうした再発防止、あるいはだれかしらが責任をとるというような、一つのけじめのつけ方ということも大事だと思うんですけれども、いかがか、ちょっとお答えください。

小坂国務大臣 御指摘のように、今回の高松塚の一連の問題に関しましては、やはり、文化財保護のプロとしての文化庁に国民の皆さんが期待をしている、その期待に対して、適切に行われていないのではないかという疑念を招いたということは、非常に大きな問題だと私は思っております。今後多くの文化財、国民の文化遺産である文化財を保護していく立場の文化庁が信頼を失ったときには、これは大変なことでございますから、今回のこの一件をまずは徹底的に調査して、その病巣がどこにあるのか、それをしっかり把握したい、そう思って、この問題発生以来、徹底した情報公開をしなさい、それから調査委員会についても、意見を述べる人が意見を述べやすい環境はつくりつつも、その結果は、聴取したことについては明確に全部これを公表していきなさいという、情報公開の指導をしてまいりました。

 この調査会の報告も、大体今月の末ぐらいまでには取りまとめをさせたいと思っております。この取りまとめをしたところで、明らかになった事実に基づいて、責任の所在が明らかになり、その責任を認識することができましたら、その責任はしっかりとってもらう。その責任体制を明確にした上で、必要な処分があれば、それは処分をさせていただくということで、この病巣を断ち切ってまいりたい、このように思っております。

笠委員 私も、今大変安心をいたしました。大臣が同じような思いで、そうやってしっかりと指導に当たるということで、期待しております。

 それで、もう一点、今大変世間をというか、社会的にも大きな問題になっているんですけれども、芸術選奨の文部科学大臣賞をめぐる和田義彦さんという方の、ひょっとしたら盗作だったんじゃないかというような疑惑が大きな問題になって、しかも、この芸術選奨というのは大変な権威のある賞だと私は思っておりましたけれども、今、その権威すら非常に危うい状況になってきているわけでございます。きょうはその事実関係を確認させていただきたいんです。

 小坂大臣が、たしか一日の記者会見ですか、その中で、迅速に調査をするということを発言されておりますけれども、現在のその調査状況。一枚の紙にまとめていただいたこの経緯の部分についてはいいんですけれども、この調査を具体的にだれがどうやって調べているのかということ。そしてまた、一カ月とかからずに、なるべく早く発表したいということを大臣の方ではおっしゃっていましたけれども、この調査結果を国民に発表できる見通しというのはいつぐらいになるかということをあわせてお答えいただければと思います。

小坂国務大臣 この問題については、一日の日に一部の記者の方が私のところへ来まして、一カ月ぐらいかかるということだけれども、そういう状況で進んでいるんでしょうかと、こういうお問い合わせがあったものですから、私は、そんなに長くかけるつもりはない、こういった問題は迅速に対応しないと信頼をさらに失うことになる、そういうふうに申し上げたところ、それが記事になりまして、また、翌日の記者会見、二日の記者会見で、そのことについて同じような質問がございまして、述べたところでございます。

 それは、すなわち、今回の一件は、非常に作品同士が似ておるわけですね。これは素人目にも、時系列的に見ると、以前の作品を後に発表された方が模写したのではないかと思われる疑いが非常に強いわけですね。そういったことから、こういった問題を放置することはよくないと私は思いましたものですから、迅速にこの調査を進めるようにということで直ちに指示を出しました。

 実は、記者に問われる前にもうその指示は出しておるわけでございまして、その時点で、関係の方々からの意見を聞くようにという指示とあわせて、第三者の芸術選奨の審査会のメンバー以外の、いわゆる美術界における有識者の方の意見も第三者意見として聴取をするようにという指示も出しておりました。それをあわせて迅速に対応するべきだと思っておりまして、最終的には、五日の日に芸術選奨審査会を開催するように指示を、指示というよりもお願いをした結果として、審査会の方で五日に開くということを決めていただきました。したがいまして、それに間に合うように関係者の、両氏のそれぞれ弁明書と、それから意見書といいますか、意見を述べられたことに対するサインを取得して、そして審査会の資料として提出できる態勢を整えたわけでございます。

 五日の日に審査会が開かれまして、和田氏の作品にスーギ氏の作品の盗作と見られてもやむを得ない多くの作品があると判断をされて、そして和田氏の画家としての独創性、いわゆるオリジナリティー及びモラルに重大な疑問を抱かざるを得ないということで、この審査会は、芸術選奨文部科学大臣賞の取り消しをすべきだという結論を出していただきました。私は、その審査の結果を重く受けとめまして、その結果に従いまして芸術選奨の文部科学大臣賞取り消しという手続を行ったわけでございます。したがいまして、五日の日にその手続は私は行っておりまして、それをもって発表と同様にその調査結果は御理解賜りたい。そのように芸術選奨の中でどういうふうに審査会としての結論を出されたかというのは審査会の方で発表されましたものですから、その後、文化庁の担当課も発表、記者会見に応じておりますので、その後、私の結論も発表させていただきました。

 それに基づいて行政手続法の手続に従って、いわゆる行政手続として賞の授与を取り消すわけですので、それに従った手続を今進行させていただいたところでございます。

笠委員 大臣、一つだけ確認。

 では、大臣が発表されている調査結果は、この結果をもって、その後の発表をもって終わりだということでよろしいんですか。

小坂国務大臣 行政手続法の手続に従いますと、もし当事者から不服審査申し立てがあれば、それに応じるということになりますが、期間内にそれがなければ、これで確定するということになる、こう了解をいたしております。

笠委員 ちょっと文化庁の方にお伺いしたい。

 これもやはり再発防止というか、こういうことは当然初めてのケースですよね。大臣も、みずからが出された大臣の賞ですからね。

 これも二、三、ちょっと確認したいのは、この和田さんという方がマスコミなどには盗作ではないと相変わらず述べていられるわけですね。文化庁としては、当然ながら、五日の決定を受けて、審査会がこの賞を取り消すということを文書で発送したということなんですけれども、ということは、文化庁としては盗作だということの判断の上に立っての結論ということでよろしいでしょうか。

加茂川政府参考人 ただいまの大臣のお話にもあったわけでございますが、六月五日に開催されました臨時の選考審査会において、本件の経緯でありますとか、双方からの意見の申し出、聴取事項、あるいは第三者的立場にある美術専門家の見解など、こういった文化庁としての調査結果を説明して御審議を願ったわけでございます。

 その結果、おおむね三点の結論が出たわけでございます。大臣の答弁と重なる部分がございます。

 第一点は、和田氏への贈賞、賞を贈る主な理由となった和田義彦展出品作品等について、イタリア人画家、スーギ氏でございますが、スーギ氏の作品と構図、色彩、モチーフなど基本的な点で一致していると判断できること、これが第一点でございます。

 それから二点目は、和田氏が、構図は似ているけれども、空間、マチエール、材質が違うなどと主張したわけでございますが、この主張については合理的で説得力のあるものとは判断できないというのが二点目でございます。

 そして三点目、まとめの部分になりますが、これらスーギ氏の作品の盗作と見られてもやむを得ない作品群の存在は、和田氏の画家としての独創性及びモラルに重大な疑問を抱かざるを得ず、同氏の作歴及びその評価について見直さざるを得ない、この三点の結論でございます。

 すなわち、盗作か否かについては、申し上げますと、結論部分に見られましたように、盗作と見られてもやむを得ないというのがこの審査会の結論でございまして、私ども文化庁としましても、この審査結果、判断を尊重したということになるわけでございます。

笠委員 四日の日に、当事者の和田さんという方が、みずから賞を返上したいというような意向を文化庁の方に伝えてきたということでございますけれども、私、このようなケースで、なぜこの選考委員会はその選考の過程においてこういうことがチェックできなかったのか、あるいはどうしてこういうふうな形になったのかと、そこの方が実は非常に大事だと思っているんですね。それを見抜くことができなかった。

 なかなかこれは難しいと思うんですよ。推薦委員とか選考審査員の方というのは、顔ぶれを見ましても、本当にそれなりの方々が並んでいるんですけれども、そうした方々に判断材料というものはそんなに提供されるわけではございませんから、だから、事前にこうした盗作疑惑というようなことが、今までは性善説の上に立って、そんなことはあり得ないというような前提でやっていたとは思うんですが、やはりあってはならないことなんですね、二度と。ですから、そういう意味で、再発防止に向けて、これからどういう形でこの審査のあり方、選考のあり方というものを見直していかれるのか、今文化庁として検討されていることを説明していただけるでしょうか。

小坂国務大臣 御指摘のように、私もこの選考過程というのは非常に重要だと思っておりますし、選考のあり方というものに対しての再検討を加えるべきだと思っております。

 したがいまして、今回、和田氏の方から返上というお申し出もございました。しかしながら、初めてのことでありますが、このような権威あるものがうやむやになってはならないと思いましたものですから、審査会を開いてしっかりとした結論を、手続的にしっかりと踏まえて、結論を出していただく。

 それとともに、そういった結論を得るとともに、ここの授賞に至った経緯の方も再度調査をして、その中で手続的に補完すべきものがあればそういった手続をさらに加えること、それから、人選面においてもバランスをしっかりととることと、それから、情報収集面においてより広い知見を求める方法がないだろうかという視点から、選考のあり方というものについて、文化庁に再度それをしっかりと検証するように今指示を出しておりまして、それによって得た結論に基づいて新たな選考方式を策定させたい、このように考えているところでございます。

笠委員 この芸術選奨という権威ある賞が、今回の一件でその権威が損なわれ、まさに安っぽいものになっていかないように、担当の大臣でございますから、やはり新たな審査のあり方。

 今小坂大臣もおっしゃったんですけれども、この手の、芸術とか文化とかというものにかかわる選考というのはやはり難しいんですよね。一般の人ではなかなかできないし。それがゆえに、非常に閉鎖的な中での選考が、もう限られた人たちの中で選ばれていくようなことが、往々にしてありがちでもありますので。

 もちろん専門家というものが加わらなければ、なかなかそのよしあしというものはわかりませんし、それは素人では判断はつかないわけでございます。やはりその経緯の中においてしっかりと、二度とこういうことが起こらないように、透明性のある体制というものを、また来年ということになるでしょうから、ぜひ早急に取りまとめをお願い申し上げて、小坂大臣の任期中に遅くとも出していただけるように、お願いを申し上げたいと思います。

 それでは、きょうの学校教育法の改正案についての質問に移らせていただきたいと思います。

 きょうも午前中から、あるいはこれまでにも参議院の中でも、さまざまな質疑が行われてまいりました。その中で問題点というものが大体明らかになってきたと思うんです。

 今回の法改正で、確かに盲・聾・養護学校が特別支援学校になります、あるいは、障害を抱える子供たちやその保護者にとって、これが非常に適切な、いろいろなニーズにこたえる形での教育支援が受けられるんだというようなことがうたわれているんですけれども、具体的に実際どのようにその効果が、保護者や子供たちにとって、学ぶ環境がよくなるのか、その点を少し簡潔に、わかりやすく、これなんだということをまず冒頭にお伺いしたいと思います。

小坂国務大臣 現行の盲・聾・養護学校の制度は、基本的に障害の種別ごとの学校制度であるわけでございます。これらの学校に在籍する児童生徒の半数弱が重複障害、具体的に言いますと四三%という統計もございますが、重複の障害をお持ちだということでございます。

 こうした状況を踏まえまして、今回の改正におきましては、児童生徒の障害の重複化に適切に対応することができるように、障害種別の盲・聾・養護学校の制度を弾力化して、特別支援学校という制度に組みがえをする、組みがえというよりは、制度へ移行する、創設と言った方がよろしいかもしれません。

 地域のニーズに応じた特別支援学校を設置することを可能としたことによりまして、お住まいの地域にあるそれぞれの障害者に対する学校が特別支援学校ということになって、設置者の判断によって一つの学校に多様な専門性を有する教員が配置されることになって、重複障害のある児童生徒に対する適切な対応がし得るようになるだろうということを期待をいたしているところでございます。

 また、一つの学校において多様な障害種別を教育の対象とすることが可能になることから、障害のある児童生徒の皆さんがより身近な特別支援学校に就学することが可能になる。一県一つしかないような今までの学校の種別であっても、今度は特別支援学校で、他の障害種別にも対応してくれることによって、より近くの学校に通うようなことも可能になってくるという、利便性の向上も期待できる、このようなことを私どもとしては制度設計の上で期待をいたしているところでございます。

笠委員 今大臣から話がありましたけれども、そういう考え方、目標というものは、その期待するものというのはよくわかるんですけれども、障害を抱えたお子さんとか、あるいはそのお父さん、お母さんたち、保護者の皆さんからすれば、一体全体どういうふうに使い勝手がよくなるんだ、あるいは今までよりも非常に使いやすくなるんだ、あるいはもっといい環境になるんだということがやはりいま一つよく見えてこないんですね。

 ただ、もちろんこれは国としてはあくまでも、今まさに大臣がおっしゃったように、期待をしておるということで、これはある意味では、これから都道府県ないし市町村、いろいろな地方自治体のもとに、この制度を活用して、どういうふうに現実に進められていくのかということによるところがやはり大変大きいと思うんですね。

 ただ、後ほどまた具体的にも聞かせていただきますけれども、ちょっと確認なんですけれども、国としては今回はもうこういう制度、枠組み、環境をつくったよ、あとは地方でしっかりやってくださいと、国の役割というのはもうそこまでなのか。あるいは、それがプラス、実際にどういうふうな形で、来年からですから、それから一年たって、三年たって、五年たってということで、もちろん評価をしていくということはあるかもしれませんけれども、ある意味では、地方の自治体がどのようにしっかりとやっていくのかを、あとは見守るしかないということなのか。それとも、いや、こういう部分は国としてしっかりと関与するんだ、例えばお金も使ってやるんだというようなことなのか。その点を、国の責任という部分を、具体的な部分、ぜひ御説明をいただければと思います。

銭谷政府参考人 特別支援学校の制度は来年度からスタートすることを法案では予定しているわけでございますが、私どもといたしましては、まず特別支援学校の制度の趣旨についてしっかりと各都道府県、市町村、そして保護者の方々に御理解をいただく、そういうことを行わなければならないと思っております。

 それから、二つ目には、今、実は、各都道府県でも、こういった特別支援学校の動きを見ながら、それぞれの都道府県内における特別支援学校についての配置等につきまして、今いろいろな計画を立てたり準備をしたりしておりますので、各都道府県における特別支援学校の配置につきまして、本当にその制度がねらっております重複障害の方にも非常に有用であって、かつ、非常に利便性も高まった、そういう学校配置になるかどうかについてしっかりと見きわめつつ、また、非常に好ましい事例の紹介ということをやっていきたいと思っております。

 それから、三点目には、特別支援学校につきまして、きちんと教職員が配置をされ、学校運営がなされますように、今後引き続き、教職員の配置等、定数措置についてしっかり検討していく必要があるというふうに思っております。

 なお、加えまして、今回の法律改正につきましては、いわゆる小中学校における特別支援教育の充実といったような内容も入っているわけでございますので、この点につきましても、小中学校における特別支援教育の充実の体制整備に対する指導及び必要な教職員の配置等々、あるいは具体的な実践事例の紹介、こういったことに力を注いでいきたい、またそうすることが私どもの責任であると思っております。

笠委員 もう一つ、個別の話に入る前に、これもきょう議論になっておりましたけれども、改めて確認をしておきたいことがございます。

 当然ながら、今からの社会は、共生できる社会、これが目指すべき社会になっていくと思うんです。そういう中で、審議の中でもたびたび、インクルーシブ教育を進めていくことがやはり重要なんだと。これは国際的な常識にもなっているわけですね。また、規約の中でもそういったものが明記されておるわけでございますけれども。

 今回の法律の改正が、障害のある子供たち一人一人にとって最適な教育的支援を行うためだということは、これは皆さん本当にそのとおりだと思うんですが、その方向性としては、分離・別学教育ではなくて、インクルーシブ教育を進めていくということで、そういう理念のもとでつくられたものだと私は認識をしておるんですが、そのために必要なこと、必要な理念というものは、大臣にとって何が一番大事なんだというようなところを、最初にまずお話をちょっとしていただければと思います。

小坂国務大臣 きょうは、御指摘のように、たびたびこのインクルージョン、インクルーシブ、この教育の概念について、サラマンカ宣言等を引かれまして御指摘をいただいております。

 私どもも、障害者の教育については、このインクルージョン、インクルーシブと言われるような一つの国際的な流れを踏まえて進めていくことが、一つの方向性として私ども認識をしなきゃいけないことだと思っております。

 各国においては、特別な学校を設置することを含めて、一人一人のニーズに応じた教育を実施していると承知をいたしているわけでございますけれども、我が国におきましては、障害のある者と障害のない者が交流や共同学習を進めつつ、一人一人のニーズに合った教育の実現を、さらにまた充実を図っていくことが必要、こう考えているところでございまして、現在の施設整備、教員配置、保護者の意識や意向及び高い専門性と経験を持った特殊教育諸学校の存在等を勘案すれば、現時点ではすべての子供を小中学校に就学させるという、そういった環境にはまだ至っていないという認識も一方にはあるところでございまして、文部科学省としては、交流及び共同学習をさらに進めるとともに、保護者や専門家の意見をよく聞きつつ、一人一人の教育ニーズに合った特別支援教育が行われるように進めていく、これが基本的な考え方でございます。

 しかし、これに加えて、私はさらに、特別支援学校において、このPTやOTのこういった専門的な知識をお持ちの方の力をより取り入れやすい環境づくりというものもあわせて進めたいと思っておりますし、また、今回、この特別支援学校は、地域の特別支援教育のセンターとしての役割を担うということもこの役割の中に入れております。これは、すなわち、この小中学校等への支援機能ということで、より小中学校が受け入れやすい環境をつくっていくということで、これも一つはインクルーシブの考え方に沿った流れをつくっていくことができるんではないか、このようにも考えているところでございます。

笠委員 実はことしの四月に、私の地元で、神奈川県立の麻生養護学校というのが開校したんですね。先週末にこの学校の授業参観と記念式典、開校記念式典がございまして、私も出席してまいりました。本当にびっくりするぐらいにすばらしい施設で、子供たちも小学生から高校生までおられて、肢体不自由の方、知的障害を抱える生徒さんたちが一緒に学んでいるんですが、本当に生き生きとされていたんですね。一年通じて使える室内温水プールがあったり、あるいは、八段階でしたか、深さまで調節できるという、恐らく全国でも余り例のないような施設が県立校としてできたんです。

 ただ、この施設もそうなんですけれども、やはり校長先生が、今大臣もおっしゃったような、もうこれからは学校を地域に開いていくんだと。これまではどちらかというと地域に支えられることだけが養護学校だったんだけれども、むしろ、これからは貢献をしていくことが逆に大事なんだということで、週に一回、地域にしっかりと貢献をしていこうとか、もうとにかく、極力自分たちも一緒になってその地域社会に入っていくんだというようなことで、まさにそのことこそがインクルージョンなのかなということを考えたわけなんです。学校の玄関にも、もう既に地域支援センターという看板までしっかりとかけて、そういう取り組みをやっているんですね。

 神奈川は割とそういった取り組みをこれまで早くから進めてきているという状況だと思うんです。先ほど京都の例などもございましたけれども。やれるところというのは、もうかなり進んで、地域も加わって、いろいろなことがうまくいっていると思うんです。

 ただ、私が先ほど申し上げた国の責任という意味では、都道府県ごとにその体力も違えば、先ほど来都道府県別のいろいろなデータが出る中での一つの格差というものが生まれてきている部分、そこに対しては、やはり国が責任をしっかりと持っていかないといけないんじゃないか。ちょうど並行して行われておりました教育基本法の特別委員会でも、普通教育、義務教育を含めたところの、国の最終的な責任ということを、私ども民主党案の中では、教育について最終的な責任は国が負うんだということを明記したわけでございます。

 例えば、障害者の方々への支援、こうした教育環境を整えていくということについて、一点だけ、国としてそういった格差是正などへ向けての、やれるところはもちろんしっかりとそのままやってください、しかし、なかなかそうでないところに対しては、やはり支援をしていきましょうという中で、具体的に今回のこの法改正に伴って何か財政的な国の支援というものがあるのかどうか、その点について、あれば御説明をいただければと思います。

銭谷政府参考人 障害のある子供の教育に係る国の財政的な支援ということについてのお尋ねでございますけれども、教育の機会均等という観点、教育水準の維持といった観点から、国としては必要な財政措置を講じていかなければならないと考えております。

 具体的には、教職員配置及び給与費等の国庫負担ということが一つございます。それから、障害の種類に応じました学校施設費の国庫負担ということがございます。三点目には、就学奨励費、これは特別支援学校に就学をする子供たちに対する奨励費でございますけれども、この就学奨励費の援助といった財政措置を行っているところでございます。

 この点につきましては、今後も引き続きしっかりと実施をしてまいりたいと思っております。

笠委員 私が聞いたのは、それじゃなくて、今回の法改正に伴って、来年の四月から始まるわけですけれども、新たに追加的な国としての予算措置、財政支援があるのかどうかということです。

銭谷政府参考人 制度的に新たな財政的援助ということは今は特に考えておりませんけれども、ただいま申し上げました教職員の配置などにつきまして、総人件費改革の中ではございますが、必要な教職員配置ができるようによく今後検討してまいりたいと思っておりますし、また、就学奨励費等につきましても、今後、どういう工夫ができるのかを含めまして、いろいろと考えてまいりたいと思っております。

笠委員 もちろん、私は、この法案の中でそういう財政的な措置が盛り込まれていないということはわかっているんです。

 要するに、これからいろいろな形で、地域の特別支援教育センターですか、そういった機能をいろいろと持たせるであるとか、さまざま掲げられていることは非常にいいことだと思うんですよ、一つ一つ。しかし、本当にこれは大丈夫なのかなと。

 掲げる目標は高いにこしたことはないんでしょうけれども、工夫してそういったものを稼働させていく、そして地域で進めていくための仕組みというものも、本来だったらそういう財政措置を伴うようなことも含めてあっていいんじゃないかなということで、今の局長の御答弁の中で、今後人的な配置のこととかも含めて、かなり、これまでの参議院、そしてきょう始まった委員会の中でも前向きに検討するようなことが多々あるようでございますので、そういったところは、しっかりと来年度の予算も含めて、財政支援、予算措置も含めてやはり取り組んでいただきたいなと思うわけです。

 それで、重複するかもしれませんけれども、私も、きょうも大分議論になっております、教職員の確保とその資質の向上、より専門性の高い方々をどうやってふやしていくのかということ、それと、施設の整備というものが、まずはやはり国としてやらなきゃいかぬ、実際にやろうと思えばできることだと思うので、ちょっと二、三確認させていただくんですが。

 きょう午前中に、特殊教育の盲・聾・養護学校における免許の保有率が、昨年で約五八%であった。将来的には、参議院では七割、八割だったのが、きょうの午前中で八割になって、私が聞くと九割になったらいけないので聞きませんけれども、そういう目安になったときに廃止をするんだということをおっしゃったんです。先ほど我が党の松本委員もその点を尋ねておりますけれども、やはり、どのくらいまでにという期間を切った明確な目標をしっかりと掲げて、そして、そこに向けてきちんとした指導もする、あるいは国としてもきちんと配置をしていくというようなことをやっていかなければ、何か自然発生的に期待して期待してだけではもう待っていられないんですよね、実際に障害を抱えられているお子さんたち、保護者の皆さんは。

 それで、そのためには、やはり具体的に、では現在免許を持っていない方に、研修の充実などを図って、免許取得をしやすい環境を整えていくということももちろん必要ですし、既にそういう取り組みも進んでおります。ただ、あわせて、やはり、これから新たに教員になっていく方に、ぜひともこの特別支援学校で自分は働きたい、自分はそこで子供たちを教えていきたい、子供たちのために頑張っていきたいというような、学生さんたちにあるいはこれから学生になっていく人たちに、そういう意識を持っていただくことが非常に大事なんじゃないかと思うんです。

 現状、普通の小学校、中学校などの教員を志望される方と、これまでの養護学校などを志望される方との間では、やはり希望される人数が全然違うんですよね。だから、そこあたりをどうすればもっともっと多くの、これから教員になっていかれる方がみんなその免許を持ち、あるいは働きたいんだと思われるような形になっていくことができるのか、そこあたりの何か具体的な施策、検討されていることがあれば、お答えいただければと思います。

馳副大臣 参議院における大臣の答弁もございましたが、やはり今後五年間とか三年間とか、ある程度の年限を区切って計画的に教員の養成を計画していく、これは私は一つの重要な政策の誘導策というふうに考えております。その数字的なことは当然今後大臣のもとで詰められると思いますけれども、今回この法案を成立させていただければ、特別支援学校また特別支援学級という形で、新たな障害児に対する教育の体裁が整うわけですから、受け入れる体制とともに、そしてその障害児教育を提供する体制を整えていく、それは計画的な方策をもってやっていくというのは、これは文部科学省としての筋と思います。

 ですから、インセンティブという言葉は余り使うと失礼かもしれませんが、障害児教育に関与することが教員を目指す者にとっての一つのステータスであり、やりがいであると、こういった意識改革というものは必要であろうというふうにこれは考えております。

 数字をちょっと見てみましたら、毎年小中学校、高等学校、教員免許の取得者が十六万人。その中で、盲・聾・養護学校の教員免許の取得者は約八千人。二十分の一という数字なんですね。当然その実態を調べると、やはり一般の小中高等学校の教員の採用者数よりも盲・聾・養護学校の採用者数の方がはるかに少ない、そして、養成機関も少ないということから、こういう実態になっているんだろうというふうに考えられます。

 それを考えると、委員も御指摘いただきましたように、今後、特別支援学校、特別支援教育あるいはコーディネーター、こういった職種があり、それに対応する役割が非常に教職員を目指す者にとっての一つのやりがいのある仕事である、こういう認識を持って、養成の段階とか、それから、現職教員の皆さんに認定講習を通じ、ぜひとも資格を取っていただきたい、こういうふうに進めていくのが文部科学省としての姿勢であろうというふうに考えております。

笠委員 まだまだ聞きたいことがあったんですけれども、時間が参りましたので終わらせていただきますが、一言だけ。

 今免許をしっかりと取っていただくことも大事なんですけれども、特別支援学校の教員の方のみならず、小学校や中学校あるいは幼稚園、高校、すべての、今現に教壇に立たれている方、あるいはこれから先生になる方々の研修ということも含めて、障害を抱えた皆さん、そしてその保護者の方々を温かく包み込んでいく共生社会の実現へ向けて、ぜひとも積極的な取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

遠藤委員長 石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 本日の最後の質疑でございますので、どうかよろしくお願いいたします。

 今回の特別支援教育につきましては、LD、ADHD、高機能自閉症児などに教育上特別の支援が必要だと法律上明記されるわけでございまして、私も大変評価できると考えております。

 二〇〇二年に文科省は、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒の全国実態調査というのを行っておりますが、それによりますと、通常学級に在籍する子供の約六%にそうした支援を必要としている子供がいる可能性があるというふうに出ているところであります。ことし四月から、既に学校教育法施行規則の改正ということが行われておりますし、また、今回の法改正でも、そうした子供たちへの支援がさらに充実していくということが期待されているわけであります。

 そこで、きょうは通級による指導ということで伺いたいと思っております。

 今申し上げましたように、既に四月で実施されているわけですが、この施行規則の改正で通級指導の対象が拡大されましたけれども、これはどのような内容でしょうか。

銭谷政府参考人 この三月に学校教育法施行規則の一部を改正いたしまして、LD及びADHDの児童生徒について、通級による指導の新たな対象にしたということでございます。

 それからもう一点、通級による指導につきまして、指導時間等の弾力化を図りまして、これは、通級に関する文部省告示の一部改正でございますけれども、これまで週一回以上としていた通級の時間を、月一単位時間程度でも指導上の効果が期待できる場合があることから、指導時間数の下限の標準を月一時間程度までとしたところでございます。

 なお、加えまして、LD、ADHD児を通級の対象にすることと同時に、現行、情緒障害者と規定をしております通級の対象者につきまして、情緒障害者と自閉症者と、それぞれ対象を分けたという改正を行っております。

石井(郁)委員 それで、通級指導というのがどんな形で行われていて、実際にどういう効果を上げているのか、その現状について少し説明いただきたいのと、どのくらいの子供たちが通級指導を受けているのか、教室の実態等々を少しお知らせください。

馳副大臣 まず、数字の実態の方から申し上げたいと思います。

 平成十八年の五月一日現在における各小中学校の通級による指導の実施状況調査によると、対象児童生徒数は、小学校で三万七千百三十四人、中学校で千六百四人、計三万八千七百三十八人となっております。教室数は、小学校で二千三百二十三教室、中学校で百四十七教室、合計で二千四百七十教室となっています。担当の教員数は、小学校で二千七百六十五人、中学校で二百一人、盲・聾・養護学校で七十七人、計三千四十三人となっておりまして、教員一人当たりの対象児童生徒数は、小学校で約十三・五人、中学校で八人、全体で約十二・八人、こういう数字になっております。

 内容に関して、ちょっと細かいですが申し上げますが、個別指導として、一対一の人間関係づくり、個々のニーズに応じた学習指導、生活指導、小集団の指導として、ソーシャルタイム、コミュニケーションの学習、運動、動作の学習、リズム、音楽、ロールプレー、劇学習等などの指導が行われております。

 私も、実際に現場に視察に行ってまいりましたけれども、やはりもちはもち屋だなと思いましたのは、指導力のある先生になりますと、小集団でも大体六人ぐらいで、LDのお子さん、ADHDのお子さんもいらっしゃいましたが、それぞれの特性に応じた集団指導、その後に必ず一対一のマンツーマンの指導をして、組み合わせてやっていらっしゃる。

 聞きますと、週に一回でも、この通級指導をすることによって、はるかに情緒が安定してくる、非常にこだわりが強かったんだけれども、自分自身を見詰め直して、できなかったことができるようになっていく、そういう姿を見ておりました。

 同時に、チームを組んで取り組んでおりますので、力のある教員に若手の教員が指導方法を学び、同時に保護者への接し方等のいわゆる経験も学びながら、教師としての能力を膨らませていくことができる。つまり、若手の教員に対する研修の役割も果たしている。なるほどなと思って、こういう通級指導が今般の法改正でも認められる、法律上明示されることになりますから、全国で展開されていくことが望ましいなというふうに思っております。

石井(郁)委員 どうもありがとうございました。

 通常の学級にいながら、やはり、特別に、指導があれば手当てができるということで、週一回とか二回とか、そういう形で、今、マンツーマン等々で指導を受けているということなんだと思うんですが、大変効果が期待されるということだと思うんですね。

 しかし、今お示しいただいた数字というのは、小中合わせても二千四百七十教室ですよ。学校全体は日本全国に三万数千あるんじゃないでしょうか。子供の数も、先ほど小学校で三万七千幾らというふうに言われましたけれども、この数字というのは、本当に求めている、必要とする子供たちをくくっているのかどうか。必要とする、通級指導を受けたいと思っている子供たちが、これで把握されているというふうに考えられますか。

馳副大臣 発達障害児に関して言えば、平成十四年の調査等からも、大体六・三%、十六人に一人、一クラスに一人か二人ぐらい、ちょっとそういう傾向のお子さんがいらっしゃるかなということを考えると、通級の指導をする教室、それを担当する教職員の数がとても少ないと私は言わざるを得ないと思います。

石井(郁)委員 これは中教審の答申で資料がございましたけれども、最初の平成五年度で一万一千九百六十三人なんですが、一番新しい先ほどの数字だと、平成十六年度で三万四千七百十七、約三倍なんですよね、グラフで見ると非常によくわかりますけれども。ですから、やはりすごく要求はあるんだ、しかし、条件がない、環境がない、そのために、数字としてはこの程度になっているというふうにやはり見るべきだと思うんですね。

 だから、通級の教室、そういう体制があれば、私は、通う子供たちはもっとふえるだろうということをひとつ、馳副大臣と認識が一緒かなというふうに思いますけれども、確認したいと思うんですね。

 さてそこで、現状、実際どうなのかということで、これは私も聞いてまいりまして、そうすると、通級指導の場が、はっきり言ってやはり足りない。これは、大阪府下では八十の教室ですよ、大阪府下で八十というのは少ないと思いますけれども。通級指導教室に通う子供が、二〇〇六年の五月一日現在、大阪全体で千二百八十四人だということなんですね。二〇〇一年度と比較しても、教室数というのは五つふえたけれども、児童数は一・七倍だということでございます。

 これは、ある学校の通級指導教室ですけれども、〇五年度の五月の開始時は、自校の生徒は九人だ、他校の生徒が十三人。この通級教室というのは、あるA小学校にあるけれども、幾つかよその学校からも通ってくるということなんですね。むしろ他校の方が多いということになっているんです。二十二人でスタートしましたが、〇六年の二月に四十九人なんですよ。もう毎月毎月、自分の学校からもふえるけれども、よその学校からも来られるということになっているというんですね。そういうふうにして、やはり他校からもたくさん見えるという状況になっている。教員の負担というのは言うまでもなく大変だ。ここでは、この四十九人は実はお一人の担当だという話なんですよ。だから、大変な状況なんですね。

 伺いたいのは、こういう現状をどう見ていらっしゃるのかという問題が第一点ですが、今回の法改正で通級指導の対象を拡大したわけでしょう、まさにLD、ADHDに拡大したと。しかし、その数というのは、この皆さんの試算を見ても約六%という形ですから、六十数万人ということになっていますね。では、一体すべての学校でこの通級指導というのは行えるのかどうか、その点はどのようにお考えですか。

馳副大臣 最初からすべてを受けとめて、特別支援学級としての障害児への教育、活動を支援していくというのはなかなか難しいというのは、私もやはり認識しております。

 けれども、この制度を今回つくらせていただいて、今後支援していきますということにあわせて、受け入れ体制、教員の資質向上というのは並行してやっていかなければならない課題だと思っておりますので、これこそ、こういうところで言うのはなんですが、財務省にしっかりと現場の認識をいただいて、教職員の配置、また、教職員も当然そうですが、いろいろ介助いただく方、NPO団体の方、協力し合いながら受け入れ体制を整えていくということの理解を深めていかなければならないというふうに私は考えております。

 最初からすべて応じるということはなかなか難しいという認識は持っておりながら、できるだけ一〇〇%を目指して努力していく必要があると思っています。

石井(郁)委員 しかし、今回こういう法改正を行うということの動機としては、LD、つまり学習困難児というのはもうどの学校にもある、どの教室にも子供はいる、こういう前提があったからでしょう。だったら、その体制をどうつくるかということは当然含んで考えなきゃいけないというふうに思うんですね。現状で、通級指導の学校の数というのはもう圧倒的に足りない。先ほどの教室の数でわずか二千四百七十ですから、到底足りない。それをどうするのかという問題は、政府としては当然考えなきゃいけないというふうに私は思うんですね。

 それで、これは、東京で、ある情緒障害児の通級指導教室に通っている子供の親の手記をいただきましたので御紹介したいと思うんですが、このように書いていらっしゃいました。

 通級指導というのは、学力向上以上に、精神面での安定という意味ではとても大切だ。四十人学級の在籍学級において、対人関係が苦手で学力の低い子供は、主体的に力を発揮し、周囲に認められる場面が少ない。自己嫌悪に陥る場合が多々ある。通級指導学級の個別指導においては、いっぱい丸をもらえる、また褒めてもらえる、認めてもらえる、やればできるという自信を回復して戻ってくる、そうした意欲が我が子の成長の原動力だ。しかしながら、何の支援もなく在籍学級で過ごしていたならば、自己嫌悪のまま、意欲をなくしていったと思います。我が子の成長を顧みて、個々のニーズに合った指導を今後とも継続し、さらに充実していただくことを切に望みます。

 通級指導教室に行った親は、目の前でぐんぐん子供たちが変わっていく様子を見ていますから、こういう実感を本当にお持ちだというふうに思うんですね。

 そこで、早速ですけれども、この点で、結局、来年度、このLDの対応としては二百八十二人の増員にとどまったわけでしょう。それで、この体制の整備というものを政府としてどのようにやっていくのか。これも先ほど来も出ていますけれども、どういう計画性とまた御決意で取り組まれるのか。これはぜひ大臣にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 副大臣からも答弁させていただきましたように、特別支援教育の充実に向けてはこれからしっかり取り組んでいきたいと思っておりますので、十九年度の予算申請の段階で、計画性を踏まえた定員の配置について要求をしっかりやってまいりたい、このように考えております。

石井(郁)委員 制度は整えた、新しい制度をつくりましたけれども、実際は伴いませんでは困るわけですから、先ほど、実際に馳副大臣からは、現状、とにかく取り組んでみてというお話もありましたけれども、スタートの時点でもう明らかに足りない、どうするのかという問題ですから、制度ができたけれども実際は使えないじゃ困るわけでして、本当に緊急に、これは子供はいっときも待てませんので、来年ぜひ抜本的な取り組みを強く求めておきたいと私は思います。

 それで、先ほど来も出ておりますけれども、関連して、担当の教員の専門性の問題なんですね。教員はとにかくふやしてほしいという要求はありますけれども、どういう専門性を持ってふやすか、あるいは、学校全体でそういう教員をサポートする体制をどうつくるか等々の問題があるかと思うんです。

 この点も私は伺いたいのですが、通級指導では、学習困難それから多動性そして高機能自閉症児まで含めてということになると、きめ細かく指導しようと思えば、やはり障害種ごとの配置も考えなきゃいけないのじゃないか。そういう点は何か考えられているんでしょうか。

馳副大臣 これは、まず、この法案を通していただけるという期待は持っておるわけですが、来年から施行するということになりますと、今後、教員の養成もそうですが、まず研修の方の充実というのはやはり早急にせざるを得ないと思っております。横須賀にあります国立特殊教育総合研究所で、基幹的な養護教諭とか指導主事とか校長、教頭の指導をする、各都道府県の研修において理解を求めるための講習をどんどんふやす、そういった形。また、現在でも実際に理解を持っておられる先生方はいますから、先ほど申し上げたように、その中核的な教員が若手あるいはまだまだ理解の薄い教職員に対して現場で指導していく。これはあらゆる方策を通じて、来年から法を施行するに当たっての早急な研修体制の充実というのはもう待ったなしの課題だというふうに考えております。

 石井委員、いろいろ制度は御存じかと思いますけれども、法案をこうして審議いただいて、こういう課題も多くございますので、一日も早くそういった取り組みをしていかなければいけないと考えています。

石井(郁)委員 本当にそれが必要だというふうに思うんですね。今、私たちがこうして取り組んでいる分野というのは、子供にあらわれている問題、医学的にも、社会的な背景も、非常に新しい分野ですよね。しかも、子供の発達は一人一人が違う、さまざまな問題をはらんでいる、簡単に症状を決めかねるという問題もあるかと思います。だから、なおのこと、本当に専門性が必要だというふうに思いますので、ぜひしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 さて、関連しまして、きょうはもう一点、自閉症の子供の問題について伺いたいと思っています。

 最初に御説明いただきましたけれども、学校教育法の施行規則の改正では、自閉症が通級指導の対象ということに加えられました。これはどのような経過でそうなったのでしょうか。

銭谷政府参考人 自閉症者につきましては、これまで、選択性緘黙等とともに、学校教育法施行規則七十三条の二十一第二号の情緒障害者の分類の中で通級による指導の対象としてきたところでございます。

 今回、これら選択性緘黙等の子供と自閉症の子供、双方の障害の原因や指導法が異なるということに着目をいたしまして、情緒障害者の分類を整理して、自閉症者を独立の号として規定するということにしたものでございます。

石井(郁)委員 私のところにもそういう各関係者からの要望もいろいろいただきまして、日本自閉症協会とか日本発達障害ネットワークの皆さんからは、法令の中で自閉症と高機能自閉症を明確に位置づけてほしいということが要望としてありました。そういう意味では一歩前進だというふうに私は見ております。

 これまで、要するに情緒障害という一くくりで見ていたというのは大変無理があったと思いますし、私は本当に遅きに失したという気もありますし、自閉症についても、もう二十年、三十年ぐらい前から社会的には言われていながら、なかなかきちっとそれを指導の対象としてケアしてこなかったという問題としては、本当に大事な一歩だなというふうに感じております。

 そこで、では、その自閉症の子供を担当する教職員の確保だとか、そういう観点がおありなんでしょうか。あるいは、通級指導をどのようにこの分野でも充実させていくのかというようなことはいかがですか。

馳副大臣 私も数年前から発達障害児の問題についてずっと勉強会へ入っておりました。また、今回いろいろな方々から御指導いただいて、この三月に施行規則を改正して、自閉症児、広汎性発達障害、高機能自閉症児。原因が違うんだから情緒障害でも一緒にしないでくれよということでのこういったすみ分けができて、まず、この制度として今後進めていくことが整ったのはよいことだと思っていますが、よく考えると、現在、小中学校の現場に高機能自閉症、自閉症はどの程度実態としていて、これまでどのような取り組みがなされてきたかということについては、必ずしもすべてがすべて明らかではないということもあるわけですよね。

 それを踏まえると、当然、今後施行規則改正に当たってどういうふうな指導が必要なのか。同じ情緒障害でも、心の問題なのか、脳機能障害という一つの医学的な課題なのか。こういうことを踏まえた指導方法、教育プログラムがとられなければならないと私は思っておりますので、これは当然、今後専門家の皆さんにも議論いただきながら、より効果的な自閉症の方への対応の仕方、指導の仕方というものがより一層充実されていかなければいけないと考えています。

石井(郁)委員 今、副大臣の御答弁ですけれども、国立特殊教育研究所の全国調査というのがありまして、かなり実態はつかまれているんじゃないでしょうか。

 例えば、アンケート調査の結果で、自閉症の幼児児童生徒の在籍のない学校も含めて推計すると、全国の盲・聾・養護学校なんですが、自閉症の診断のある幼児児童生徒の割合は全体の約一五%だ、自閉症の疑いのある幼児児童生徒を含めると約二五%。

 ですから、かなり実態もつかみつつ、今こういう取り組みをしているというふうに思うんですが、筑波大附属久里浜養護学校では、〇四年度から自閉症に特化した取り組みが行われているというのは御存じかと思うんですね。

 ですから、今後、大臣今御答弁ありましたけれども、もっとスピーディーにというか、自閉症の子供に対する指導方法の確立、あるいは専門のそういう教員の配置等々、どのように取り組みを進めていくのかということについて、もう少し踏み込んだ御答弁をいただければと思いますが。

馳副大臣 今石井委員おっしゃったように、盲・聾・養護学校における把握というのはなされているんですが、高機能自閉症ということになると、実は今現在も通常の学級にもそういうお子さんがいらっしゃる。そういうことの十分な、専門家が診断をして判断してこの程度いらっしゃるんじゃないかと。東海地方で調べた数値を私いただきました。二%ぐらいじゃないかという報告もいただいております。それを考えると、全国的に判断した上での対応、そこがやはり教員養成と教員配置の問題にも絡んでくるし、研修の問題にも絡んでくると私は思っております。

 当然、今現在、国立特殊研の方でそういった全国の実態を把握した上での教員の研修体制等を整えていくべきということを伺っておりますので、まさしく石井委員御指摘のとおり、法案をこうやって審議いただいておりますけれども、一刻も早く対応していくべき課題と思っております。

石井(郁)委員 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。

 もう時間でやめてもいいんですけれども、時間がもうちょっとあるので、一点だけ伺っておきます。

 特別支援学校に今度なるわけですよね。それで、二種以上というか複合的な障害種の子供たちが在籍される、重複学級ということになるわけでして、重複といっても、やはり主障害が知的障害であったり、聴覚障害であったり、あるいは肢体不自由であったり、いろいろあるかと思うんですね。何が主で何が従かということがあるかと思いますけれども、その重複学級の編制、障害が重複にあるそのお子さんたちの学級編制という場合の考え方なんですが、どういうふうに考えているのか。

 私は、主障害を中心にしてというか、そういう学級編制にした方がいいのじゃないかと思いますが、ちょっとそのお考えを伺っておきたいと思います。

銭谷政府参考人 特別支援学校の教職員定数につきましては、現行と同様に標準法に基づいて算定された教職員定数をもとに、各都道府県において各学校の実情に応じた教職員配置が行えるようにしております。

 お尋ねの重複障害を持つ児童生徒の学級は、児童生徒の主たる障害に着目をし、三人を上限として編制することにより、手厚く教職員配置を行っている現行の算定方式は維持することとしております。

石井(郁)委員 審議に協力するという意味で、きょうはもうこれで終わりたいと思います。

 通級指導に大変特化して質問をいたしましたけれども、これからのニーズというのは本当に切実なものがありますし、もっと広範にやはりこたえていかなきゃいけないというふうに思いますので、安定した教員の配置等々あるいは設備等々も含めてぜひ取り組んでいただきたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

遠藤委員長 次回は、来る十三日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十六分散会


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