衆議院

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第6号 平成19年3月28日(水曜日)

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平成十九年三月二十八日(水曜日)

    午前十時三十一分開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 鈴木 恒夫君 理事 田野瀬良太郎君

   理事 西村 明宏君 理事 平田 耕一君

   理事 松浪健四郎君 理事 藤村  修君

   理事 笠  浩史君 理事 伊藤  渉君

      阿部 俊子君    稲田 朋美君

      江崎 鐵磨君    小川 友一君

      小野 次郎君    小野寺五典君

      小渕 優子君    大塚 高司君

      加藤 紘一君    小島 敏男君

      佐藤  錬君    柴山 昌彦君

      鈴木 俊一君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    西本 勝子君

      馳   浩君    平口  洋君

      福田 峰之君    藤井 勇治君

      藤田 幹雄君   山本ともひろ君

      奥村 展三君    田島 一成君

      高井 美穂君    野田 佳彦君

      細野 豪志君    牧  義夫君

      松本 大輔君    横山 北斗君

      西  博義君    石井 郁子君

      保坂 展人君

    …………………………………

   文部科学大臣       伊吹 文明君

   経済産業副大臣      渡辺 博道君

   文部科学大臣政務官    小渕 優子君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        片山正一郎君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          加茂川幸夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       森口 泰孝君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤田 明博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院首席統括安全審査官)         平岡 英治君

   文部科学委員会専門員   井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     小野 次郎君

  井脇ノブ子君     大塚 高司君

  飯島 夕雁君     長島 忠美君

  鈴木 俊一君     小野寺五典君

  藤田 幹雄君     長崎幸太郎君

  二田 孝治君     藤井 勇治君

  馬渡 龍治君     稲田 朋美君

  松本 剛明君     細野 豪志君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     馬渡 龍治君

  小野 次郎君     秋葉 賢也君

  小野寺五典君     鈴木 俊一君

  大塚 高司君     井脇ノブ子君

  長崎幸太郎君     藤田 幹雄君

  長島 忠美君     飯島 夕雁君

  藤井 勇治君     二田 孝治君

  細野 豪志君     松本 剛明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府原子力安全委員会事務局長片山正一郎君、文部科学省生涯学習政策局長加茂川幸夫君、初等中等教育局長銭谷眞美君、科学技術・学術政策局長森口泰孝君、研究開発局長藤田明博君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院首席統括安全審査官平岡英治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田佳彦君。

野田(佳)委員 おはようございます。

 外はすばらしい好天に恵まれて、桜も開花をして、本来ならばさわやかな選挙運動の時期でありますけれども、国会の本分である質疑、しっかりとトップバッターを務めていきたいと思います。

 通告の順番で行きたいと思ったんですが、本当はこの法案質疑の後に、かねてより未履修問題をずっと質問してまいりまして随分と文科省にはお願いをしてまいりました。高等学校においてはいつから未履修が始まったのかとか、あるいは、中学校における未履修というか、必修科目の不適切な取り扱いとか、そういう御調査をいただいたので、その議論をじっくりやろうと思ったんですけれども、多分時間がなくなってしまうと思いますので、一点だけその関連でまず冒頭に質問しなければならないのは、例の二〇〇六年度の文部科学白書において、この未履修問題が当初記載をされていなかった。外部から指摘をされて、正誤表で対応しよう、そういう記事が出ておりましたけれども、これが文部科学省の未履修問題に対する認識なのかと、改めて私はがっかりしているところなんです。

 教育に関してはいろいろな問題が起こっておりますが、一番根本的な問題は、学力とは何なのかということであって、その根幹にかかわる具体的な問題が昨年から起こった未履修の問題だったと思うんです。それに対する深い認識があるならば、やはり六年度の文部科学白書にきちんと当初から記載をされているというのが筋だと思うんですが、この点については、まずは伊吹文科大臣にお尋ねをしたいと思います。

伊吹国務大臣 先生の御指摘はごもっともでございます。

 先生を初め多くの国会の先生方から、教育基本法の改正に際しまして、未履修の調査等の御要請がございました。そして、従来、文部科学白書というのは、事務局に伺いますと、前々年の十二月から前年の十一月までの一年間の出来事を記述するということを慣例としていた。これは役人的慣例ですね。

 未履修の問題は、教育基本法改正の中で、先生を初め大勢の方々から御質問があり、社会的な問題になりました。その後、国民新党からの御要請もあって、中学校の未履修についても調査をいたしました。これが出てきたのは、御承知のようにこの三月の初めでございます。そういうこともあって、必ずしも完全に把握していない状態で記述するのを事務局としてちゅうちょしたんだと私は理解しております。そして、前々年の十二月から前年の十一月までの間という役人的前例踏襲をしたということだと思います。

 しかし、先生がおっしゃっているような、国民的関心というよりも、教育の根幹にかかわる事柄の、失敗の事柄でございますから、外部からも御批判があったようですが、私からも、これはやはりその後の必要な事項は書き入れた方がいいということは指示をいたしまして、丁合いができておりましたものですから、まことにみっともない形ですが、追加の記載ということになりましたので、正式なものをつくりますときには、きちっとその点を考慮して、丁合い等に万全を期したいと思います。

 御指摘は、政治家として、当然のことだと思っております。

野田(佳)委員 閣議に報告をした後にこういう、ある意味、言葉は悪いんですが、ぶざまな形になったと思うんですよね。もう既に閣議に報告をしてあるわけですから、その白書をいただけませんかという、お願いをしたんですけれども、まだだれにも渡せないという話なんです。全体はもうできているわけですよね。正誤表を入れるだけの話だと思うんですが、それだけでも下さればいいのにと思っているんですが、いまだにいただいておりません。本当におかしな話だと思うんですけれども。

 文部科学省の感性というのが当委員会では何度も問題になっていますが、何でそんなちぐはぐな対応。しかもそういう、トラブルが起こった後の対応にも問題があると私は思いますが、これは大臣、御存じかどうかわかりませんが、いかがお感じになりますか。

伊吹国務大臣 先生の御指摘に、少し事実関係を申し上げたいと思いますが、閣議に報告をしてから正誤表で補正したというのは事実ではございません。

 実は文部科学白書というのは閣議そのものの了解をとるものではございませんので、閣議にはきちっとこういうものを出しました、内容はこうでございますということを私が口頭で報告をしたわけです。その際は、今おっしゃっている未履修のところの補正が行われてから後の閣議での報告でございますので、したがって、閣議報告をした後は、当然、先生の御要請があればお出しをしても私はいいものだと思っておりますが、何か事務局が閣議報告後に出しにくいようなことを申したんでしょうか。

野田(佳)委員 正誤表を整理しているので、まだどなたにもお渡しできないという御回答だったということです。

 その正誤表も見てみたいんですが、既にでき上がっている白書のその他の部分も拝見をしたいという思いがあったわけですからお願いをしたんですが、残念ながら出てこなかったということですので、これは速やかにお渡しをいただければというふうに思います。これは事務的なことですから、そんなことに細かくこだわって質疑をするつもりは全くありませんが。

 申し上げたいのは、先ほど申し上げたように、学力とは何かというところの、教育の根幹にかかわる現象として起こった問題で、それに対する認識が、過去の慣例でどうのというお話がありましたけれども、やはりこれは文科省の感性が相当に鈍感力に何となく侵されているのではないかと思わざるを得ません。そのことを厳しく大臣にお伝えをしておきたいと思うし、今大臣の方からはしっかりと御指導があったようでありますけれども、二度とこういうことのないように、ぜひしていただきたいと思います。そのことを要請させていただいて、法案の中身の質疑に入っていきたいと思います。

 法案の中身といいましても、法文を見る限り、主務大臣が、今回のイーターや幅広いアプローチ協定を実質的に担保して、国際約束を履行するために独立行政法人に対して要求ができる、それに対して独法の方は応諾義務があるという、これはある意味、当然といえば当然の法律でございまして、この法案そのものについて、法文そのものについて質問をするわけではなくて、その本体に当たるイーターであるとか幅広いアプローチ協定だとか、あるいはこの実施機関である独立行政法人について、詳しく質問をしていきたいと思います。

 ふだんはいつも伊吹大臣に御答弁をお願いしていますけれども、若干専門的なことにかかわることもありますので、どうしてもお話しになりたいというときには随時出番をつくっていただきたいと思いますが、基本的には政府参考人の皆さんに御答弁をいただいて結構でございます。

 まず、このイーターなんですけれども、これが、建設で十年、運転で二十年という大変遠大な事業であります。これにおける我が国の国際約束を履行する上での費用負担というのが一体どれぐらいになるのか、まずお尋ねをしたいと思います。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 イーターの事業、今先生お話しになられましたように、建設期間が十年、それから運転期間が二十年、さらに、運転終了後に、例えば、放射能に汚染をされました資機材をきれいにしたり、それから、廃止をするためのさまざまな措置をとる、そういった期間も含めまして、合計で三十五年間にわたる長期の事業でございます。

 この間、為替レートも大きく変動する可能性もございますし、また、各参加国は物的貢献、特に建設段階では物的貢献等がメーンになるというふうなことでございますので、総費用を現時点において確定的な数字として算出するのはなかなか難しいわけでございますが、仮に一ユーロ百五十一円ということで換算をした場合に、現時点では三十五年間の全体で約一兆七千億円になるということが見積もられているわけでございます。これは参加各国全部含めてのものでございます。そして、そのうちの日本の分担分でございますけれども、この前提に立ちまして換算をいたしますと、三十五年間全体で約一千八百億円が現時点で見込まれているところでございます。

野田(佳)委員 三十年以上先の遠大な計画で、現時点で一兆七千億円が総額として見込まれているということですが、当然これは、この種の長期プロジェクトというのは、だんだんだんだん年数を経るに従って、思っていた以上に事業費が膨らんでいくというのが常でありますから、現時点で総額一兆七千億、日本の負担分が一千八百億円。これは大変巨額な額になっていくだろうと思います。

 この一千八百億円、ことしの、平成十九年度の予算では、イーター関連でたしか五十四億か何か、予算計上があったと思いますが、この予算措置というのをどのように今後やっていくのか、お尋ねをしたいと思います。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 イーター計画につきましては、平成十四年の五月に、日本誘致を目指して参加をするんだという閣議決定がなされているわけでございますけれども、その際には、総合科学技術会議が決定をいたしました「国際熱核融合実験炉計画について」という文書の中で、ほかの科学技術上の重要政策に影響を及ぼすことがないよう、既存の施策の重点化、効率化を図り、原子力分野の予算の範囲内で確保することという考え方が示されてございまして、これを踏まえた上で閣議了解がされて、現在まで至ってきているところでございます。

 そのイーター予算の確保についてでございますけれども、我が国の財政状況は、先生よく御存じのとおり非常に厳しいわけでございますが、幸いにして、政府の研究開発投資につきましては、ほかの経費が抑制をされる中で、科学技術の重要性にかんがみ、必要な経費が着実に確保されてきているところでございます。

 また、イーター計画につきましては、第三期の科学技術基本計画におきます戦略重点科学技術というふうに位置づけられておりまして、重点的に資金投資をするというふうなことが位置づけられてございます。

 そういうような状況を踏まえまして、先ほど申し上げました総合科学技術会議の基本的な考え方も踏まえまして、必要な経費がきちんと確保されるよう、私ども、毎年度の予算編成の中で努力をさせていただくというふうなことでございます。

野田(佳)委員 総合科学技術会議のもとで、大枠そういう形の資金の確保をしていくということですが、ということは、第三期の科学技術基本計画、五年間で二十五兆円という大枠があると思います。その枠内で重点的にこれは配分されていくということだと理解をしますが、その一方で、今のお話の中で、原子力関係の予算の枠内というお言葉もあったように思います。

 ということは、このイーターであるとか幅広いアプローチの関連で予算がどんどんとふえていくということは、例えばそのほかの、高速増殖炉とかの、その他の原子力関連の予算はおのずと縮減をされていくというようなことになるんですか。そのしわ寄せというのはあるんでしょうか。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 原子力関係の予算、現時点で、一般会計、特別会計を合わせまして、十九年度で二千六百億円強だったかと思います。そういう予算が確保されているわけでございます。その中で、今年度、イーター関係、幅広いアプローチの協定関係も含めまして五十四億円でございます。

 今後、特にお金がかかると思われます建設期間につきまして、大体これから、マキシマム、最大で年間百数十億円程度というのがイーター関連で必要になるというふうなことが見込まれているわけでございますが、この二千六百億円という中で、せいぜい五%程度ということでございますので、私どもとしては何とかおさめ得るのではないかと思っておりますし、原子力予算についても、全体の科学技術予算の中で必要性を私どもとして訴えて、少しでもふやしていくようにと考えているところでございます。

野田(佳)委員 こうやってイーターに大きく踏み込む形になることによって、他の科学技術分野への例えば資金的な影響、あるいは同じ原子力の枠内の予算への影響ということを今ずっとお尋ねをしたかったわけですが、事核融合に関しても、これはいろいろなアプローチがこれまでされてきたように思うんです。

 私も核融合の専門家じゃありませんし、その一つ一つに詳しいわけではありませんけれども、今回イーターで採用されているトカマク型という、ドーナツ状の磁気のかごをつくって、その中にプラズマを閉じ込めるという。文章で見ればわかるんですが、イメージはよくわかりません。そのトカマク型に、今回、中心となってイーターが進むわけですね。

 ただ、日本は、特に旧文部省ですか、が力を入れていたヘリカル型というのもあって、これは核融合科学研究所でずっと研究をされて、大変高い成果を出してきたというものもあると聞きますし、そのほか、筑波大学のガンマ10のミラー型、それから大阪大学の激光12号のレーザー方式とか、いろいろな核融合エネルギーの研究は随分国内で蓄積があるし、世界的にもそれぞれ高いレベルにあると思うんです。

 その中で、今回、イーター協定に署名をして、そしてこの国内法が整備をされていくと、当然トカマク型が主流となっていって、ほかの形態のものはどうなっていくのかというのが私は心配なんです。せっかくこれまで蓄積があって、もしかするとほかの型が化ける可能性もあると思うんです。この辺のバランスというのはどういうふうに、例えば予算措置などでは考えられていくんでしょうか。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 我が国の核融合の研究開発につきましては、平成十七年の十月に内閣府の原子力委員会の核融合専門部会というところで、今後の核融合研究開発の推進方策というのが取りまとめられているところでございますが、私どもは、この推進方策に基づきまして、重点化を図りつつ推進をしてきているところでございます。

 具体的には、先ほど先生御説明いただきました、イーターに採用されますドーナツ型のコイルによりますトカマク方式、これは技術的に、世界的に見ても一番進んでいるということで、国際協力を活用して積極的に推進をするというふうな方針でございますけれども、その一方で、核融合エネルギーの選択肢を広げるという観点から、我が国独自のアイデアに基づきますヘリカル方式でございますとか、それから、全くこれらの磁場閉じ込めとは違う方式でございます大阪大学のレーザー方式についても、学術研究としてそれぞれの特色を生かしながら相互補完的に研究開発を進めるという大原則が打ち立てられているところでございます。

 私どもといたしましては、これらの成果が相まって、互いにいいアイデアとか研究成果を出して、それを互いに入れ込むことによって核融合炉の早期実現が図られるのではないかというふうに考えてございます。そういう意味で、予算の配分に当たりましても、以上述べました基本的な考え方に従いまして、各方式の研究レベルに沿って必要な予算措置を講じてきているところでございます。

野田(佳)委員 どこが本当に核融合のエースになるかわからないと私は思っていますので、それぞれバランスをよく見ながら、その辺の目配りはよくされた方がいいだろうと思います。

 とりあえず、イーター、トカマクという形で、国際協力のもとで核融合の実験炉をつくるということですが、実験炉をやって、建設で十年、運転で二十年で工学的な実証をすると。工学的な実証であって、発電の実証というのはまだその後になるわけで、その後、原型炉をつくったり実用炉をつくったりということで、実用化というのは、だからこのイーターで進んだって最低で三十数年、その後もまだ何十年かかかるという、さらにまた遠大な計画だと思うんですが、そもそもこの核融合のエネルギーが本当に地球全体で実用できる、夢のエネルギーと言われてきたこの核融合エネルギーが本当に人類が使えるというのはいつごろになるんでしょうか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 今先生お話しになられましたように、核融合は、将来のエネルギー源、人類究極のエネルギー源とも言われておるわけでございまして、将来のエネルギー源の有望な候補の一つであるということでございますが、先生御指摘のとおり、まさにイーターは実験炉ということで、発電をしませんで、核融合がエネルギーとしてきちっと安定的に取り出せるということを確認する、実証するという段階でございます。したがいまして、現時点において本格的な実用化が一体いつになるのかということを明確に自信を持って私が申し上げられるということではないんでございますけれども、各国の核融合の専門家の見解等を踏まえますと、今世紀後半以降には実用化できるのではないか、今世紀の後半から今世紀末ぐらいには実用化できるのではないかという期待を持っているところでございます。そういう目標を目指して、まずはイーターから着実に進めていきたいというふうなことで、各国、一生懸命これから取り組もうというところでございます。

野田(佳)委員 今世紀後半から末って。

 二十世紀の後半にいるんだったらこれはすごいなと思いますけれども、二十一世紀が始まったばかりですから、後半といっても二〇五〇年以降、末というと二一〇〇年。これには本当に何か気の遠くなるような、だれが責任持てるのかという遠大な計画で、本当に夢のバトンタッチをしていかなければいけないんだろうと思いますけれども、それぐらいかかるということ。

 でも、例えば、湯川秀樹先生が最初に核融合の何かチームをつくって勉強会を発足させというのが一九五〇年代の後半ぐらいからだったと思います。そのころから、この夢のエネルギーは実用化は三十年後だとか何十年後だとずっと言い続けてきました。一九六〇年代も三十年後だ、何十年後だと。一九七〇年代も、八〇年代も、九〇年代も言い続けてきて、もう半世紀になっていて、この半世紀たった今も、まだ、今度は二十一世紀末かもしれないというふうに言われてしまいますと、一体これまでの、随分その研究の投資はしてきたと思うんです。かなりの方が努力をされてきたんだろうと思いますが、そうなると、今のお話を聞くと、そもそも核融合が本当に実現可能なのかなと素朴に私は思ってしまいます。これは大臣、どうお感じになりますか。

伊吹国務大臣 イーターといいますか、核融合の本格的な設備をつくって実験研究を始めるのは、これはおっしゃったように、とても大変な経費負担がかかりますからこそ一国ではできない。しかし、人類が将来生きていくためには、今の化石燃料に頼るということは、もう埋蔵量からいって限界がありますし、そうでなくても今、環境問題が大きく起こっております。

 水素、太陽エネルギー、その他いろいろなことがあります。ありますが、ここにも大きな可能性があるときは、やはり人類がおのおのの国益を、まあ、もし日本だけでこのエネルギーを開発してノウハウをとれば、世界を制覇できるぐらいの外交交渉力を持つことになると思いますけれども、なかなか一国でそれだけの負担はできない。しかし、人類の将来を考えれば、やはりチャレンジをしていかなければいけない部分で、先生の御質問も、決してそれを否定しておられるんじゃないと思うんですね。

 だから、国民がある程度納得をして負担できる、しかし自分たちが生きている間にはその成果が出てこないと思うものにもやはりチャレンジをしていかなければ、人類とか世界とか国家というものは永続をしていかないわけですから。そこのところの見きわめができるかどうかというのが、先生がおっしゃったように、やはりそれは感性の問題で。

 できない場合は、結果責任をとるときは、我々はもうみんな死んでしまっておりますからね。先生が今御質問になったようなこともきっと議事録に残り、今答弁したようなことも議事録に残り。

 しかし、やはり、きのうまでこうだったということが突然明くる日から全く違う展開をしているということは、科学技術の世界ではよくあることですから。研究開発というのは、成功しなければだめだということでやると、ほとんどのものは私はチャレンジできないと思います。

 御指摘の御趣旨のように、いろいろな化ける可能性のあるものへの経費の配分、そしてまたある程度の成功の見きわめ、こういうものは十分、今御注意があったことを踏まえて、私たちも取り組んでいきたいと思っております。

野田(佳)委員 まさに夢と志を持っての、期待は持ちながらの事業だというふうに思いますが、少なくとも、二十一世紀後半以降だと、私ももういないだろう。それこそ議事録で残っているかどうかという話で。メタボリックですし、睡眠時無呼吸ですから、まずいないと思うし、大体の人がいないと思うんです。だから、将来の子供や孫の世代のためにしっかりとしたエネルギーを確保するという志でいくという、その精神はわかるんです。

 一方で、なかなかこういう形で大きく実用化に向けての手ごたえがまだ、これから実験炉ですから、手ごたえがない状況ですから、やはりいろいろな御批判もこれまであったと思うんです。

 そこで、日本を代表する知の巨人みたいな人たちからも過去にこの批判がありました。お一人は、あのノーベル賞受賞者の小柴昌俊先生ですよね。あのころはたしか、イーターをフランスが誘致するのか日本が誘致するのかというその誘致合戦のときの議論で、日本への誘致に反対論という形で、たしか核融合炉自体が危険で無駄だというような論調で、御意見を出されていたというふうに思うんです。

 ちょっとそのころの経緯を見たんですが、実用化の保証はなく、投資が無駄になりかねないとか、燃料として使うトリチウムの危険性があるとか、実験を終えた後の放射性廃棄物による環境汚染の可能性があるというように、あのスーパーカミオカンデ、ニュートリノというので、核融合の専門家ではありませんが、やはり一つの専門分野の世界的権威からの警鐘がありました。これについては文部科学省としてはどういう反論をされるでしょうか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 小柴先生から以前、核融合炉は危険だというふうな御指摘がなされまして、特にその中で一番大きな御議論は、核融合反応を起こすわけでございますので、イーターの中でできた中性子に耐えられる素材が開発されていないんじゃないか、そういう意味で非常に危険ではないかというような論調が主であったかというふうに思っております。

 これにつきましては、これまでの工学設計活動を通じまして、ステンレス鋼がイーターの運転の際に発生する中性子の照射に十分耐えられるということは既に確認をされておりますし、それから核融合炉が危険で無駄だという全体の論調につきましても、核融合分野で非常に著名な京都大学の香山先生も、小柴先生の御指摘は当たらないということを強く御主張されたりしておって、核融合の専門家の間では必ずしも小柴先生のおっしゃられることは正しいというわけではないというふうに認識がされているところでございます。

野田(佳)委員 同様にやはり社会的な影響があったのは、おととしの立花隆さんの総合雑誌に発表した論文でございまして、これも当時のイーターを誘致するかどうかというときのさなかの論文ですけれども、その反対論旨というのは、核融合現象を暴走させず、人為的なコントロール下でエネルギーを取り出すには未解決の技術問題が山積をしているということ、それから、多分これが一番言いたかったんだろうと思うんですが、慎重な吟味なしでこれを進めるということは巨額な無駄な公共事業となる可能性があると。巨額な無駄な公共事業を科学技術の分野で言及するというのは、私はちょっと意外な感じがしたんですが、恐らく、巨費を投ずることによって、その成果があらわれるというよりも、そこにぶら下がっている研究者たちの雇用、そういう、何となく惰性でお金が使われていくのではないかという懸念を多分このイーター公共事業論として言われたんだろうと思います。

 こういう指摘、言ってみれば、科学技術公共事業論というのは、昨日植木等さんが亡くなられましたけれども、成果はわからないけれども、わかっちゃいるけどやめられないという、そういう惰性になりかねないという懸念を多分立花隆さんは言いたかったんだと思うんですが、これについての反論があれば教えてほしいと思います。

藤田政府参考人 立花隆さん自身、科学面でも非常に著名な評論家でございますので、私ども行政官が反論になるかどうかということはございますけれども、イーター計画につきましても、工学設計以前にも、大体十年ぐらいかけて慎重に、各国が参加をして、設計活動をやり、詰めるべき点を詰めて、今回七極でございますけれども、参加各国でいよいよ実験炉の建設に着手し得る段階に至ったということで、中身を全くきちんと詰めないでイーターができるかどうかというふうな判断をしたわけではございません。

 それからまた、イーター計画につきましては、先ほども大臣からもお話ございましたように、エネルギー問題、環境問題の解決に貢献する未来のエネルギーの実現に向けての重要なステップであるということでございまして、主要国が協力をすることによって資金負担の軽減、それから開発リスクの低減を図ろうというふうな形で進める計画でございますので、私どもとしては、無駄な公共事業とか効率無視の巨大計画ではないというふうに認識をしているところでございます。

野田(佳)委員 今なぜ小柴先生とか立花隆さんの批判みたいなことを今さら取り上げたのかというと、冒頭の御答弁にあったように、少なくとも、我が国はこの三十数年の間に最低限千八百億円の負担をしていくわけですよね。これだけの負担をしていくということは、だれが負担をするかというと国民が負担をしていくわけですから、しっかりと、イーターに参加をする意義と、それに参加するメリットと、いろいろ言われている批判については、やはりきちんと文科省として反論をその都度していくということが私は大事だと思うんです。そのことを申し上げたかったんですが、どうですか、大臣、いかがでしょうか。

伊吹国務大臣 反論ということが適切かどうかわかりませんが、これだけの国民負担を使うことの意義、それから、すぐに効果が出てくるものではないという、科学技術開発の持っている宿命のようなもの、しかし、今のエネルギー状況がどうなっているかということを考えると、そこへ挑戦せざるを得ない人類の置かれている立場、こういうものをやはりきちっきちっとお話をして納税者の理解を得ていくということは、先生の御指摘のとおりだと思います。

野田(佳)委員 これは政治家としての大臣にお伺いしたいんですが、このイーターの誘致で、最終的にはフランスのカダラッシュと青森県の六ケ所村が争う形となって、最後は日本がいろいろ、もろもろ提案をして準ホスト国になったという形になりました。これは名を捨てて実をとったという評価をする人もいるんですよね。ホスト国ではないけれども、やはり職員の派遣等はほかの参加極に比べれば二倍になったし、機構長のポストはとったりとか、いろいろと発注の仕事もとれるとか、名を捨てて実をとったという、そういうある種、まあよかったんじゃないのという解釈。特にさっきの公共事業論みたいな反対論の人は、フランスに行ってよかったんじゃないのという評価だと思うんです。

 でも一方で、小泉政権のときに、当時の担当大臣は中山先生だったでしょうか、大臣は違われましたけれども、外交交渉の中で結果的に敗北をしたという、その結果ですよね。これはどう総括をするのか。この誘致合戦において日本は結局は敗北をしたわけですから、現実に今、文科省のトップとして、主務大臣になられて、この過去の経緯に直接かかわってはいませんでしたけれども、その総括はどうされていますか。

伊吹国務大臣 これは当時の小泉内閣でもやはり、先生がおっしゃったように、難しい決断を迫られたと思いますね。

 政治家というのは常に厳しい決断を迫られて、下した決断について、結果的に批判を受ける。先生が御批判をしておられるという意味じゃないですよ。批判を受ける立場であるということは、もうこれは当然受け入れてやらなければいけない仕事だと私は思うんです。

 まず、当時は六カ国の枠組みが三対三になったということは御承知のとおりですね。そして、そのときに日本が強力にさらに誘致をしようとすると、結果的に今以上の財政負担を強いられたということは、これはもう間違いのない事実だと思います。ですから、国民にどこまで、この六カ国の枠組みの中で青森へイーターを持ってくるための国民負担をお願いできるのか、財政の状況その他も考えて、ぎりぎりの判断をしたんじゃないかと私は思います。

 だから、勝ったか負けたかは別として、これから大切なことは、六カ国の枠組みを結果的に日本が半歩、先生のお言葉をかりて言えば譲ったということによって維持をしていったわけですから、国民が負担をしているお金が六カ国の枠組みの中で、先ほど来御心配があるように、無駄に使われないとか、そして進捗状況について我が国が積極的にイニシアチブをとれるとか、そういうことをこれからはしっかりとやっていくというような、未来志向で考えた方がいいんじゃないか。

 失敗、結果的に青森に持ってこれなかったのは、日本として六カ国の枠組みを崩したくないということと、これ以上の国民負担を求めてまで持ってくるべきかどうかという判断を当時の内閣はしたんだと、こういうふうに思いますが。

野田(佳)委員 そもそもレーガンさんとゴルバチョフさんの会談からスタートして、アメリカと旧ソ連といいますか、今のロシアの言い出しべというか、イニシアチブで始まって、今は最終的にフランスと日本が誘致を争ったように、このイーターについては日本と欧州がイニシアチブをとるような時代になりました。準ホスト国になったという結果は出ているわけでありますから、その立場の中で最大のメリットを享受できるような御努力をぜひしていただきたいと改めて要請をさせていただきたいと思います。

 先ほど後段の部分で大臣もお触れになりましたけれども、進捗状況を適切にチェックをしていくというお話がありました。例えば、イーター、三十数年の長期的なプロジェクトですから、二十年、三十年のプロジェクトをその都度適切に評価をするという、この方法論というのはなかなか難しいと思うんですけれども、このシステムというのは一体どうなっているんでしょうか。進捗状況を評価するシステムですね。これは政府参考人にお尋ねしたいと思います。

藤田政府参考人 イーター計画におきます進捗状況の評価でございますけれども、協定に基づきます仕組みは、これから申し上げるような形になっておるわけでございます。

 計画的、効率的にイーター計画が進められるように、二つの仕組みがございます。一つは、参加国の代表によりましてイーター計画の進捗状況についてチェックをするという仕組み、それから二番目が、専門家による評価のシステムということでございます。

 具体的には、最初の方は、イーター協定におきまして、参加国の代表から成ります理事会が、毎年度のイーター機構の予算それから年次計画を承認するとともに、毎年度毎年度どういう結果であったかというのを、年次報告を受けて採択をするという行為がなされるということでございます。さらに、専門家による評価のシステムといたしまして、各国からの推薦によります学術的な専門家を運営評価人という形で指定をいたしまして、イーター機構の運営について評価を行う。それから、お金の面につきましては、会計検査委員会という、さっきの運営評価人もそうでございますけれども、これも各国から独立をした形で会計検査を行う仕組み、これが実施されるということになってございます。

 そういったシステムを私どもとしても最大限ウオッチしながら、進捗状況を適切に評価をして、事業が計画的、効率的に進められるよう努力をしてまいりたいと思っております。

野田(佳)委員 この法案に関連して、今までイーター中心に御質問させていただきましたけれども、今度は目を転じて、国内実施機関である独立行政法人日本原子力研究開発機構についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 この独法は、そもそも特殊法人の整理合理化計画で日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合をされた組織です。

 当時、私も民主党の中で行政改革、規制改革の担当をしていまして、民主党としての特殊法人の整理合理化計画をつくった責任者でございました。道路関係四公団の民営化は政府と同じだったんですけれども、上下一体の民営化であるとか、七十七の特殊法人の改革案をつくった責任者なんです。そのときに、一番政府案と独自性が出せなくて困ったのはやはりこの研究開発型の特殊法人でありまして、宇宙の三機関であるとか、今回の独法である、日本原子力研究開発機構になりましたけれども旧原研と旧核燃サイクル機構の統合案、結局は同じ結論になってしまったという経験があります。したがって、この同じ結論を出した二つの法人が統合された後というのに私は大変注目をしてきたんです。

 平成十七年の十月一日に統合をされて、その後今日に至るわけですが、統合前と統合後、これは経費と人員というのはどの程度削減されたのか。当時の特殊法人の整理合理化計画ではやはり経営の合理化というのが一つの視点だったと思います、そのための統合でもあったと思うんですが、平成十七年の十月一日以降、経費、人員、どのような削減があったんでしょう。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 まず経費の方でございますけれども、原子力機構の平成十九年度の予算額、これは政府が支出をいたしますベースでございますが、千八百九十七億円でございます。統合前、平成十六年度につきましては千九百七十九億円ということでございまして、この差約四%の削減、八十二億円が減額になってございます。これは、先ほど先生がおっしゃられたとおり、業務運営の効率化、一般管理費のスリム化等を図った結果でございます。

 それから、人員につきましては、やはり平成十九年三月末、今時点でございますが四千二百五十三人、それから機構設立時でございます十七年十月が四千三百八十六人ということで、百三十三人の削減というふうになってございます。

 今後とも、中期目標、中期計画に従いまして、経費の合理化、人員の削減、計画的に進めてまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 統合前と後では、人員とか予算面においてこういう削減効果があったという今の御説明だと思うんですが、このたび、イーター、そして幅広いアプローチの国内実施機関になることによって、例えば業務がふえたり予算がふえたり人員がふえたりという、今までとは違った流れになるんでしょうか。これはどういうことになるでしょうか。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 原子力機構がイーター協定などに基づきまして国内機関とか実施機関に指定された場合には、この協定に基づきまして、イーターに用います機器の製作など、協定に定められた義務を負うことになります。ただし、国内機関等としての活動は、原子力機構がこれまで核融合研究開発を長年にわたって進めてきましたが、この核融合研究開発業務の範囲内でございまして、権限的には何か新たにつけ加わるということではございません。

 それから、予算につきましては、国内機関等としての活動に必要な予算については原子力機構に対する補助金として措置をすることにいたしておりますけれども、当然のことながら、めり張りをつけて、やめるべきところはやめ、伸ばすべきところは伸ばすということで、選択と集中を図ってまいりたいと思っております。

 それから、人員については、中期計画で定められました範囲内で、人員配置にやはりめり張りをつけまして所要の人数を確保するということで考えておりまして、機構全体として拡大を図るということではないというふうに考えております。

野田(佳)委員 旧原研と旧核燃機構、それぞれ、原研の方が基礎研究を中心にやってきて、核燃サイクル機構の方が実用化を目指す研究開発を行ってきて、そもそも文科省は、研究開発のベクトルが違うので統合するのは非現実的であるというお立場で、行革推進事務局などにはむしろ反対のお立場をとってきたと思うんです。

 そういう研究のベクトルの違う組織が統合して、今人員とかあるいはコストの部分では削減効果が出ているし、それを維持しながらイーター等の事業もやっていくというお話でありましたけれども、もともと、どちらかというと、水と油とまでは言いませんが、ベクトルが違うと思われていた組織を統合して、その統合の効果というのが、まだ一年半しか経過していませんが、何か具体的に出てきていれば教えていただきたいと思います。

藤田政府参考人 先生もおっしゃられたように、まだ一年半でございますから、目に見えたものということでは、先ほど申し上げました人員それからお金の話、それから、特に研究開発に関係しましては、両組織で基礎研究、応用開発というふうに分かれておりましたけれども、高速炉、FBRであるとか、それから別の、将来に向けた高速炉の研究開発、そういったものがおのおのの機関で行われていたわけでございますが、この高速炉に関して研究開発を行っていた部門を一つに集約いたしまして、両者の知恵を互いに持ち寄って研究開発をより効率的に実施できるような体制をつくり上げたところでございます。

 それからまた、両組織で機能が重複する施設がございます。例えばバックエンドでもっていろいろ、ホットな、放射性物質を使って実験をするための施設なんかについて、機能が重なっている施設については集約化を進めたり、徐々にやってきているところでございます。

 こういうような形で、事業を選択するとともに、限られた資源を両者から集中投入しまして、統合効果が最大限に発揮されるよう、今後とも引き続き努力をさせていただきたいと思っております。

野田(佳)委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、最後に、核融合の研究開発の拠点ですから、旧組織の職員同士の融合をしっかり図っていただきたいとお願いして、終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

桝屋委員長 次に、石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 イーター国際核融合エネルギー機構設立協定また日・欧州原子力共同体核融合エネルギー協定の締結に伴う独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案の審議でございますが、この法律案に関連して質問をさせていただきます。

 この法改正では、「主務大臣は、」独立行政法人日本原子力機構に対して、「必要な措置をとることを求めることができる。」としているところですが、この「必要な措置」とは具体的に何を指すのでしょうか。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 イーター協定、それから通称で、幅広いアプローチの協定と呼んでございますが、これらの協定に基づきまして、我が国は、必要な物品であるとか人員の提供などの貢献を行うというのがまず一つでございます。それから、協定の実施に係って出てまいります知的財産、特許権等でございますが、そういったものについて、協定上の規定に従って取り扱いを行うことであるとか、それから、イーター計画に関して使います物質だとか装置、技術を平和目的のみに使用することだとか、そういった、協定上さまざま、我が国が果たすべき義務があるわけでございます。

 こういった、今申し上げました義務につきましては、協定におきます国内機関ないしは実施機関が協定上の規定に従った活動をきちっと果たしていくことが国際約束を履行する上で必要であるということで、今回の法改正の中での「必要な措置」ということで、今申し上げましたような貢献であるとか知的財産の取り扱いだとか、そういった、もろもろ協定上やらなければならないことについて、主務大臣が機構に対して、適時適切にきちっとやりなさいよという指示とか要請をすることができるというふうなことでございます。

石井(郁)委員 そういうことだろうというふうには理解できます。

 もう一つ、「機構は、主務大臣から」「求めがあったときは、その求めに応じなければならない。」ものとするというかなり厳しい書きぶりになっていまして、これは拒否できない内容というふうに受けとめるわけですけれども、その問題なんですが、これまでも、原子力開発機構は、JT60など高度な核融合研究を行ってきておりました。またイーター機構に積極的に参加もしてきました。ですから、その「必要な措置」ということによって、これまでの原子力開発機構や現場の研究者の取り組んできたこと、自主性というものが損なわれることがあってはならないと思うんですが、そうならないのかどうかという問題はいかがですか。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 独立行政法人に関します一般法でございます独立行政法人通則法、これで一般の独立行政法人の運営がなされているわけでございますが、その内容を超えます事項について規定を設ける場合には改めて立法府の御了解を得て個別法を改正するというふうなことが我が国の立法制度で定められているところでございます。

 今回、国際法上我が国に課せられました責任をきちんと果たすために、国際約束の履行の確保という目的に限って原子力機構に対する主務大臣の関与を規定するということがどうしても必要でございますので、この規定についての追加をお願いしているところでございます。

 ちなみに、本件の規定というのは、独立行政法人宇宙航空研究開発機構法でも同様の規定がなされておりまして、この規定をもって独法の自主性が何か損なわれるということではないというふうに私どもは認識をしているところでございます。

石井(郁)委員 法文上にかかわっては以上の点を確認させていただいたわけでございます。

 もう一つは、先ほどの質問もありましたけれども、核融合研究について、日本国内の大学ではいろいろ行われているわけですね。現在、イーター以外の方式でも研究が進められている。この点は、調査室からいただいた資料集にも、日本の核融合研究のネットワークというのは、各大学、相当数参画をしておられるということがよくわかるわけですね。

 それで、イーターが始まりますと、こうした大学また核融合科学の研究所などで行われているレーザー型とかヘリカル型あるいはミラー型等の核融合研究経費も含めて、イーターに重点配分されるのではないかという懸念が出てくるわけですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 ただいまの石井先生の御質問は、先ほどの野田先生の御質問とも相通ずるものでございますけれども、先ほども御説明をさせていただきましたように、原子力委員会の核融合専門部会の報告書の方針の中で、トカマク型は国際協力で一番進んでいるので積極的にやるんだけれども、核融合エネルギーの選択肢を広げる観点から、ヘリカル方式だとかレーザー方式についても、学術研究として、それぞれの特色を生かしながら相互補完的に研究開発を進めるんだというふうに方針が決められているところでございます。

 私どもといたしましては、この方針に従いまして、おのおのの方式に、その研究レベルに応じて必要な予算措置を講じていきたいというふうに考えているところでございます。

石井(郁)委員 本当にそれぞれの歴史があり、また経過もあると思いますけれども、予算的にもいろいろな研究を充実させていくということについてはぜひ御配慮をいただきたいというふうに思います。

 それで、イーターの日本誘致問題ということをめぐっては、これも先ほどもありましたけれども、ノーベル物理学賞受賞の小柴先生、それと文部科学事務次官の結城さんとの間での有名な論争、これは毎日新聞紙上でございましたけれども、それを思い出すわけでございます。

 二年前の二〇〇五年の五月二日付だったと思いますが、この中で、小柴氏は、中性子の影響は未解決だということで、フランスが誘致するなら結構だと言って、結城事務次官は、日本誘致を強調されていたわけでございます。結果はフランスということになったわけですけれども。

 ちょっと、その紙上論争にかかわって一つ確かめておきたいんですけれども、小柴先生は、「最大の欠陥は、中性子による影響だ。」ということを述べておられました。「想定される核融合反応で出てくる、エネルギーの高い中性子をどうすればいいか解決されていない。 このエネルギーは、原発の約十四倍に相当する。中性子は反応炉の壁をぼろぼろにする。耐えられる素材は開発されていない。ひんぱんに交換すれば放射性廃棄物が大量に生じる。」ということだったと思いますが、この「中性子の問題が解決しない限り、実用化は不可能だ。」ということまでも述べておられましたので、中性子に耐えられる素材というのは今どのような状況になっているのか、開発されたのかどうかという点はいかがですか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 先ほども野田先生からの御質問の中で御説明をさせていただいたところでございますけれども、確かに小柴先生、中性子に耐えられる素材が開発されていないというふうな御意見だったわけでございますけれども、イーターに関しましては、これまでの工学設計活動を経まして、ステンレス鋼がイーターの運転の際に発生する中性子の照射に十分耐えられるということが既に確認をされているところでございます。

 小柴先生の御議論につきましては、結城次官だけでなくて、核融合の専門家でございます京都大学の香山先生からも、小柴先生の主張は必ずしも正しくないというふうな御指摘もされているところでございまして、私どもとしては、イーターに関します材料については、十分耐えられる、中性子に耐えられるものができているというふうに確信をしているところでございます。

石井(郁)委員 しかし、そう言いますけれども、私はすごく詳しいわけじゃありませんけれども、やはり、研究が諸外国と比べて一歩進んでいるという状況で、必要な中性子照射量の二割程度しか材料試験というのは進んでいないんじゃないかというふうにも聞いているところでございます。

 私は、もう一点、小柴先生の、トリチウムの危険性という問題でもちょっとお聞きをしたいんですけれども、これは、小柴先生と元米国の物理学会プラズマ部会長である長谷川晃氏との連名で嘆願書が出されていたと思いますが、そこでは、イーターで行われるトリチウムを燃料とする核融合炉は、安全性と環境汚染性から見て極めて危険なものがあるということだったと思うんですね。核融合炉では数キログラムオーダーのトリチウムを使用することになる、その安全取り扱い、安全封じ込め、環境への放出低減が重要であるというふうにしていたと思うんですが、このトリチウムの安全性と環境汚染に対する取り組みというのは現在どういう状況になっているんでしょうか。

 私自身も全然、専門的にはよくわからないところがありますし、あくまでも国民的な立場から見て、安全性という問題で、わかりやすくちょっと簡潔に御説明いただければと思います。

森口政府参考人 今先生御指摘のございましたトリチウムでございますけれども、これはいわゆる放射性同位元素の一つでございます。

 このトリチウムにつきましては、一般的には、放射線障害防止法というのがございまして、この放射線障害防止法の第三条等に基づきまして、使用施設が安全基準に適合していること、これ等を審査いたしまして、また定期検査などによりまして、安全が確保されているということをしっかりと確認しているという状況にございます。

 今回のイーターにつきましては、これは日本国内ではないわけでございますが、将来、仮に核融合炉の法規制ということが必要になった場合につきましては、これはイーターの運転の、今後十年で建設をし、また二十年運転するということでございますが、そういった進捗状況、あるいは国内の研究開発状況等を踏まえまして、具体的にどういう規制が必要かということについては長期的に検討してまいりたい、そのように思っているところでございます。

石井(郁)委員 くれぐれも安全性あるいは環境汚染に問題がないように、問題が生じないようにやはり進めていただきたいということを強く申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、この法案と少し離れますけれども、この間、一連に出てきております原子力発電所の問題、臨界事故隠し、制御棒等の脱落事故隠しという問題で質問をさせていただきます。

 これは、我が国の原子力行政とその安全性が揺らいでいる、大変重大な問題だというふうに考えておりまして、ぜひ質問させていただきたいと思っております。

 最初は北陸電力の志賀原子力発電所のところがわかったわけですけれども、この間に原子力安全・保安院に報告された、本来なら届けなければならない臨界事故隠しあるいは制御棒の脱落事故について、これはずっと一連あったと思いますので、電力会社名、原子力発電所名、事故の内容等についてまず御報告いただけますか。

平岡政府参考人 御説明申し上げたいと思います。

 一連の電力会社における改ざんの問題でございますけれども、昨年の秋でございますが、電力会社でデータ改ざんが相次いだということがございまして、これを受けまして、昨年の十一月三十日に、原子力安全・保安院は、全電力会社に対して、過去の問題の洗い出しということを指示いたしております。

 事業者におきましては、この指示を受けた調査を進めておりまして、今先生御指摘のございました北陸電力の方からは、志賀原子力発電所の一号機において、平成十一年に、定期検査期間中に、三本の制御棒が部分的に引き抜けて、原子炉が臨界状態になった事故が発生していたこと、そしてそれを報告していなかったということが報告されました。

 その後、各電力会社において調査を進めておりましたところ、関連の事例といたしまして、昭和五十三年から平成十二年の間に合計七件の制御棒の引き抜け事象が発生していたということが明らかになっております。

 このうち、昭和五十三年十一月、これは東京電力の福島第一原子力発電所三号機でございますが、ここでは五本の制御棒が引き抜けまして、原子炉が臨界に達していた可能性があるということでございまして、過去、かなり古い話でございまして、現在調査を進めております。

 このほかの六件、発生順に申し上げますと、東京電力の福島第一の五号機、二号機、それから東北電力女川一号機、中部電力浜岡三号機、東京電力福島第二三号機、柏崎刈羽一号機の六つの事例がございます。これは制御棒の引き抜けということが同様の形であったわけでございますが、臨界には至っていないということでございまして、法令報告の対象とはならない事象でございましたが、こういった情報の共有という観点から、電力会社が公表をしたものでございます。

石井(郁)委員 本当に驚くような一連の事故が起きていることが今の御説明でもわかるというふうに思います。

 それで、今の話にもありましたが、北陸電力の志賀原子力発電所の一号機の事態というのは一九九九年六月十八日ですけれども、これは定期検査中に制御棒が三本抜けて、原子炉が起動、臨界に達した、通常の出力の一%未満まで出力が上昇した、自動停止装置も作動しない、手動操作で制御棒を挿入した、約十五分後に停止。だから、十五分間も臨界状態が続いている、その間、原子炉を覆う格納容器とか圧力容器の上ぶたはあけられたままだということですから、まさに原子炉が暴走しかねない、暴走に発展しかねない大事故だというふうに思うんですね。

 それで、問題は、事故の報告は所長まで届いたけれども、所長は国へは報告をしない、運転日誌にも事故は記載されていないというふうに聞いています。事故隠しということでは余りにも悪質だというふうに思うんですが、保安院長も現場を調査されたようですけれども、事故の重大性の認識とともに、なぜこのような隠ぺいが続いたのか、調査された内容と、これらの対応について、いかがですか、報告していただきたい。

平岡政府参考人 御説明申し上げます。

 北陸電力が、平成十一年の臨界の事故につきまして、引き継ぎ日誌の虚偽記載を行って事故の記録を残していない、また事故報告を国にしていない、さらには原因究明、再発防止対策について十分に取り組んでいないということは明らかになっておりまして、これは、原子力安全・保安院として重大な問題だと受けとめております。

 原子力安全・保安院としましては、北陸電力に、現在、法律に基づきます報告徴収をかけまして、事実関係、原因究明、再発防止の報告を求めているところでございます。

 また、原子力安全・保安院は、原子力発電所及び本店に対する保安検査というものを開始しております。北陸電力が実施している調査等の取り組み状況についての検査を行っておりまして、これらを踏まえまして、きちんとした対応をとっていきたいと考えております。

石井(郁)委員 志賀原発の一号機の臨界事故が起きたのは、二号機増設の是非が問題になって、同電力が地元自治体の了承を得る直前だったんですね。これは、一九九九年の四月には国が増設を認可している。臨界事故が起きた一カ月半後の八月三日に、石川県、志賀町、富来町が二号機の増設を事前了承しているんです。もしこの臨界事故が明らかになっていたら、県や町はすんなり了承することもなく、私は、この時点で二号機増設計画はストップしていたのではないかと思わざるを得ません。

 臨界事故の四日前の、一号機の非常用ディーゼル発電機のひび割れが見つかったことは公表しているんですね。こちらの事故は公表しながら、重大な事故については隠している。極めて何か意図的な、あるいは政治的ではないのかと言わなければなりません。

 このような会社に原発を運転することを任せる、あるいは資格があるのかということが本当に問われる問題だと思うんですが、先ほど保安院からも、厳正な対応をしたいという御答弁もありましたけれども、徹底した調査、さらに厳正な対処をすべきだと思いますが、この点はいかがですか。

平岡政府参考人 御指摘のような経緯でございますが、北陸電力のこの事故があったときの直前の、平成十一年六月十四日に非常用ディーゼル発電機のトラブルが発生しており、これについての報告を我々は受けております。また、平成十一年の八月三日には、志賀二号機の増設について地元自治体の事前了解を得るといった経緯があったということは、私どもも承知をいたしておるところでございます。

 現在、北陸電力に対して、事実関係、それからこのような事態になっていることについての根本的な原因ということについて徹底的に究明するよう指示をしておりまして、これの報告が三月三十日に、今週末でございますが、提出されるというふうに承知しております。この中で、根本的な原因の究明というものが行われると考えております。

 これをきちんと保安院としても評価していくということで、厳正に対処していきたいと考えております。

石井(郁)委員 この経過、なぜこういうことが起きたのかというこの件に関してももっといろいろ確かめなきゃいけないことはあるんですけれども、三十日に報告書が出されるということですから、ある面で、それをしっかり見てまた対応を考えていきたいというふうに思うんです。

 こうした隠ぺいという、原発ですから本当に重大な影響をもたらす、こういう問題について、やはり、住民に知らせない、国民には知らせない、そしてこういうことが隠されていっているということは大変重大だというふうに思うんですが、本当に随分、一連のことが起きています。

 浜岡原発の三号機でも、制御棒が三本抜けた状態になって、警報が鳴ったという報告も聞いている。また、東北電力の女川原発一号機では、これは八八年ですけれども、制御棒二本が抜け落ちる事故が起きている。三号機では、定期検査中の二〇〇三年の三月十九日に五本の制御棒が押し上げられる事故が起きている。だから、当然報告されるべきものが、これまでは全く報告されない、ずっと隠ぺいされてきているという問題ですね。東京電力の福島第二原発三号機は、九三年六月十五日、定期検査中に制御棒が二本引き抜かれる。先ほど、一連、いろいろ御説明ありましたけれども、柏崎刈羽一号機でも、二〇〇〇年の四月七日の定期検査中に二本の制御棒が引き抜かれるという事故が起きているんですね。

 最も重大なのが、東京電力の福島第一原発三号機です。これは七八年の十一月ですけれども、定期検査中に制御棒五本が脱落して臨界に達する、その臨界状態は七時間半続いたという可能性もあるということなんです。これが引き継ぎ日誌には掲載されていない、詳しい記録も残っていないということですね。

 だから、今ようやくこれらの重大な事故が白日のもとにというか、出てきたわけですけれども、三十年近く、いわばずっと隠され続けてきたという問題なんですね。本当に信じられないことですけれども、こういうような事態になっているということについての現在の保安院の御見解あるいは原子力安全委員会の見解をまずお聞きしたいと思います。

平岡政府参考人 原子力の利用に当たりましては、安全の確保は何よりも重要なことでございます。今回のデータの改ざんあるいは隠ぺいという問題は、こうした原子力安全に対する信頼を著しく損ねるということでございまして、過去のことではございますが、元来あってはならないことというのが原子力安全・保安院としての認識でございます。

 今回、一連の不正が出てきております総点検は、大臣の方から、この際、事実を隠さず、徹底的に洗い出すようにという指示をして、現在のような状況になっているものでございます。

 このねらいでございますが、やはり、過去、もしこういった不正があるのであれば、それは清算をするということが一つ、それから、不正を許さない仕組みをつくり上げること、そして、事故、トラブルの情報というのは共有をすることが必要である、また、これらを通じて電力会社の体質を改善するということをねらいといたしまして、総点検というのを今実施しております。

 今月末にこれら全電力会社からの報告が提出されることになっておりますので、この総点検の結果をよく踏まえまして、再発防止に努めるよう、厳格な対応をしていきたいと考えております。

片山政府参考人 御説明を申し上げます。

 原子力安全委員会におきましては、一連の原子力施設の不正の問題については、原子力安全・保安院より報告を受け、必要な審議を行っているところでございます。

 北陸電力株式会社による臨界に係る事故の隠ぺい等、これにつきましては、三月十九日の原子力安全委員会の定例会議におきまして、原子力安全・保安院から報告を受けるとともに、原子力安全委員会としての見解を示しているところでございます。

 原子力安全委員会といたしましては、電気事業者による一連のデータ改ざん等の不正の中でも、北陸電力による臨界に係る事故の隠ぺいは、定期検査中の機能確認試験の準備のときに原子炉で臨界状態が発生し、それが一定時間持続したという、極めて重要な事象であるということと同時に、事故の原因を究明し、それに対応した対策を講じ、そこから得られた教訓を広く共有する、こういう安全確保の基本からも逸脱するものであることから、まことに遺憾だというふうに考えております。

 臨界に係る事故が発生した際の事実関係や発生原因について解明し、その意味あるいはその重要度を詳細に評価する必要があり、原子力安全・保安院において徹底的な事実関係、発生原因の究明を行って、十分な再発防止対策が講じられるべきだと考えております。

 また、原子力安全委員会としても、引き続き原子力安全・保安院からの報告を受けつつも、みずから検討を進め、本件課題に取り組んでまいる所存でございます。

石井(郁)委員 原子力発電という極めて重要な問題で、三十年にわたってこういう事故が繰り返されてきている。その事故の原因究明あるいは今後の対策の共有などがされてこない、対応した対策についての教訓が共有されない。だから、やはり事故がオープンにならなければ共有されないわけですね。

 こういう体質、日本の電力会社の体質それ自身は問題なんですけれども、しかし、やはり問われているのは電力会社だけではないと思うんですね。国の原子力安全行政というのが機能していないということじゃないんでしょうか。

 今、志賀原発、極めて重大な臨界事故ですけれども、中性子の計測記録、中央制御室の警報の記録はあった、記録はあった。警報が鳴っていたというわけですが、定期検査に行った検査官がなぜそれを見抜けないんでしょうか。これはどうしても、こんな検査だったら何のための検査かと言わざるを得ないわけですが、そういう、やはり国の原発行政のあり方、これが問題ではないのでしょうか。これを一点、ちょっと短くお答えください。

平岡政府参考人 御指摘の点でございますが、原子力発電施設の安全を確保するには、まずは事業者がきちんとした管理をするということが大切なわけでございますけれども、国はこれらの事業者の活動をしっかりとチェックするという責務があると承知しております。

 国におきましては、平成十四年に東京電力の不正問題というのがございました、その際に、検査制度につきまして大幅に改正をいたしまして、強化をしております。これにおきましては、事業者の点検結果を確認するだけではなく、事業者が安全に関する経営方針あるいは業務プロセスといった品質保証をどのようにやっているかということについても、原子力安全・保安院として検査をしていくというような形で対応しておりまして、事業者の不正を抑制するような仕組みを導入していただいておるところでございます。

 今月末に全電力会社から総点検の結果が出てまいります。私ども、これで、電力会社に対しましての体質改善というのは指導してまいるわけでございますが、同時に、現在の、平成十五年から実施しております検査制度の実効性というものも検証しまして、必要な対応をとってまいりたいと考えております。

石井(郁)委員 時間が来ているんですけれども、この機会に大臣にも一言、御見解を伺いたいと思います。

 これは対岸の火事の話ではないと思うんですね。日本原子力開発機構の「ふげん」でも、原子炉補助建屋のコンクリート壁の強度、サンプル三十四個中二十五カ所が設計基準を下回っているということを聞いております。日本の原発行政のあり方の根本が問われる事態だというふうに思うんですね。

 この点で、私どもはかねがね、アメリカではエネルギー省と独立した原子力規制委員会があって、これは日本の十倍近い職員で原子力行政を担っています。だから、原発の推進の経済産業省から独立した規制機関をつくらなければ、やはりきちんとチェックができないというふうに思うんですが、これは、そういうことも含めて、臨界隠しあるいは制御棒の脱落事故がこうして相次いだわけですから、ぜひ文科大臣としての御見解を最後に伺って、終わります。

伊吹国務大臣 核エネルギーというのは、環境問題あるいは将来のエネルギー資源を考えれば、これはやはりどうしても使いこなさなければいけないエネルギーだと思います。しかし、同時に、国民の中には根強い、核に対する心配、アレルギーというものがありますから、事故が起こったり失敗をしたときには、先生が御指摘のように、やはり包み隠さずそのことを明らかにして、原因究明をして、そして国民に安心感を与えていく、これはもう原点だと思います。

 我が省が所管をいたしております、研究あるいは実験その他の、大学あるいは研究機関が持っております原子炉についても、過去に、今経産省がやっているのと同じように、痛い目に遭った例はたくさんあるんですね。やはり、その失敗の積み重ねの上で、かなり私は行き届いたチェックは行われていると思いますが、しかし、民間電力会社にあのようなことがございましたので、さらに念を入れて、きちっともう一度所管をしているものについての点検を指示してございます。

 なお、原子力開発機構が持っております、御指摘の、実際発電をしております原子炉につきましては、これは当然、私どもが所管しているというより、原子力安全・保安院が所管しておられるわけですから、御調査をしていただく場合にはいつでも全面的に協力をさせるというつもりでございます。

石井(郁)委員 以上で終わります。

桝屋委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 原子力研究開発機構がイーターの実施機関になる。先ほど来予算の話がありますが、予算総額、これはどのくらいになるのかという点と、長期にわたる運営の中で、参加国が財政負担を中止したり撤退した場合、これは総額の割合は、日本政府の負担額は当然上がると思うんですが、その辺についてお願いします。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 イーターの計画につきましては、先ほども申し上げましたが、三十五年にわたる長期の事業でございますので、その間に為替レートが大きく変わる可能性等もございまして、現時点で確定的なことは申し上げられませんが、仮に、現時点での見込み額として、一ユーロが百五十一円というふうな前提で換算をした場合には、三十五年間のプロジェクト全体の経費として約一・七兆円、一兆七千億円。日本の分担は、物納も含めまして、全体で、三十五年間で約一千八百億円と見込まれているということでございます。

 それから、協定上の話でございますけれども、参加国は、イーター計画の最も重要でございます、つくり上げなければ実験ができませんので、建設期間でございます最初の十年間については協定から脱退できないというふうな仕組みになってございます。したがって、建設費については現在の参加国において必ず支払われるというふうなことになっております。

 一方、協定上は、運転段階となります十年目以降につきましては参加国の脱退は可能なことになっています。その場合の、運転などにかかわる経費は、どうしてもやはり残った参加国間で分担をせざるを得ないということになっているところでございますけれども、イーター計画自体が、人類究極のエネルギー源と言われる核融合エネルギーの実現のために世界の英知を結集して取り組むということでございますので、そういう趣旨にかんがみて、我が国としても、現在の協力の枠組みができる限り維持できるように努力をしていきたいというふうに考えております。

保坂(展)委員 今の試算で、三十五年で日本の分担、試算値で千八百億円という話でした。

 一方で、日本に、幅広いアプローチ施設として、国内九百二十億円規模の施設が建設をされる、こうあります。この国内施設は先ほどの千八百億円の中に入っているのか、また別なのか、この点と、建設費、維持経費等がどのくらいなのか、どのくらいの稼働を予定しているのか、最終的に幾らこっちの方はかかるのか、この点について答えていただきたいと思います。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 核融合の将来への幅広いアプローチと呼んでおります協力プログラムにつきましては、イーター協定とは別に、日本と欧州との間の協定を締結して行うものでございますので、その経費については、イーター計画それ自体には含まれておらないものでございます。

 幅広いアプローチにつきましては、当面、十年間で九百二十億円規模の事業を日本と欧州が半分ずつ分担をして実施するということになっておりまして、我が国の分担は、十年間で四百六十億円程度の貢献をするということになります。半分の貢献で日本に施設をつくるというふうなことになっているわけでございます。

 それから、実施機関につきましては、今も申し上げましたとおり、当面十年間というふうになっているわけでございますが、幅広いアプローチの協定上は、十年後も、日本または欧州いずれかがやめようというふうな意図を示さない限り、言ってみれば、自動的に引き続き効力を有するというふうな仕組みになっているところでございます。

 幅広いアプローチにつきましては、サテライト・トカマクでございますとか遠隔実験センターなど、イーター計画と連携したり、またはそれを支える、支援する機能を有する施設も含まれておりますので、我が国といたしましては、日欧協力のもと、できる限り長期間この施設を活用したいというふうに考えております。

 なお、十一年目以降の経費でございますけれども、まだ現在の概算では不確定要素も多いわけでございますけれども、施設の運転維持に要する経費といたしまして、原子力機構が現在見積もっているところでは、毎年数十億円程度というふうに見込んでおるところでございます。この分担につきましては、今後、日本と欧州との間できちっと調整を図っていくということでございます。

保坂(展)委員 この機構の改正案は、この協定と対になって提案されているというふうに理解をしています。とすると、この日本国内の三カ所の施設において、いわゆる国連機関のような扱いになるんじゃないかというふうにとらえているんですね。例えば、裁判権からの免除であるとか税の免除、あるいは入国、出国の際のさまざまな措置などが適用される、こういうふうに見ているんです。

 原子力保安院に聞きますけれども、例えば、六ケ所村に建設をされる材料照射施設であるとか工学実証的な施設に対しては、検査の対象、規制の対象にはなるんでしょうか。

平岡政府参考人 御説明申し上げます。

 イーターに関するそういった試験施設の安全規制につきましては、これは原子力安全・保安院の担当となるものではございませんで、文部科学省の方の安全規制の担当になると理解しております。

保坂(展)委員 これは確認のために聞いただけで、そうすると、こういった機関であっても、想定外の事故や汚染ということを一応考えておかなければならないだろうという場合に、例えば、その被害を受けた住民はだれにその損害賠償請求をすればいいのか。これは文部科学省なのか、日本政府なのか、ちょっとそのあたりを整理していただきたいと思います。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 幅広いアプローチで建設をいたします、例えば国際核融合エネルギー研究センターであるとかサテライト・トカマクであるとかの研究施設につきましては、今この法案、審議していただいてお認めいただければ、日本の実施機関となります原子力機構の施設として整備をするというふうなことでございます。

 先ほども原子力安全・保安院から御説明がございましたように、このセンターでは少量の放射性同位元素を取り扱いますので、放射線障害防止法の安全規制を受けるということで、文部科学省の規制のもとできちっと管理がされるということでございます。

 先生御指摘の、万が一の場合でございますが、安全確保が大前提でございますので万が一にも変なことがあってはいけないわけでございますが、万一事故や汚染が生じた場合の損害賠償請求については、原子力機構が対応をするということになっております。

保坂(展)委員 そうすると、イーター計画の本体のフランスでさらにこれは大きな規模で行われるわけですから、そこで万が一の何か事故や汚染などが起きた場合は、参加国がそのリスクも負うということになりますか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 イーターの本体、これはフランスのカダラッシュにつくられるわけでございますが、イーター機構と呼ばれる、イーターを実際に運営する主体が設けられることになっておりまして、安全規制につきましては、これはフランスの安全規制にきちっと従うということになっています。したがって、万が一の場合には、このイーター機構が責任を一義的には負うということになります。

保坂(展)委員 そのイーター機構自体に参加をしている国々が結果として負うのではないかというふうに思いますが、この点は非常に大きな問題だろうというふうに思います。

 次に、ちょっと志賀原発の問題に入りたいんですけれども、さきの地震、能登半島沖の地震なんですが、これがマグニチュード六・九だった。震源地から三十キロぐらいのところに志賀原発があるということでした。

 これについてなんですけれども、今回の地震を受けて、陸地だけではなくて、想定以上の地震が起きたということで、海底などにも断層の調査、範囲やその精度を広げて徹底するべきではないかと思いますが、そのあたりの検討はされているんでしょうか。

渡辺(博)副大臣 御説明をさせていただきます。

 本日八時八分に震度五弱の地震もまた発生したわけでありますが、この問題につきましても、志賀原発を初め関係の原子力発電所についての報告を受けましたが、異常なしということで、まず報告をさせていただきたいと思います。

 今委員の御指摘の中にありましたけれども、志賀原子力発電所の耐震設計、この問題につきましては、その周辺の活断層や過去の地震などの詳細な調査を実施し、幅広くさまざまな地震を考慮して、十分余裕のある耐震基準として、四百九十ガルという基準値震度が設定されているわけであります。今回の志賀原子力発電所で観測された水平方向の最大加速度は二百二十ガルであり、現段階では耐震安全性に問題があるとは考えておりません。

 また、今回の能登半島地震によって志賀原子力発電所においては大きな地震動が観測されたため、北陸電力は、念のため、今回の地震について詳細な評価を今行っているところであります。この結果、北陸電力は、耐震安全性のより一層の向上を目的に、昨年九月に改定された耐震設計審査指針に照らした志賀原子力発電所の耐震安全性の評価を実施しております。今後、今回の地震により新たな知見が得られれば、この評価に反映されるものと承知をしております。

 当省といたしましても、今後、これらの結果について報告を受け、厳正にその内容を確認してまいりたいと思います。

保坂(展)委員 北陸電力が一生懸命やると言っても、今北陸電力の常務の方が、当時所長代理で隠ぺいのための緊急会合に出席をしていたなどの報道もあって、どうもやはり、まずいことは隠すということが体質化しているというふうに思います。

 副大臣に今言っていただいたんですが、例えば、北陸電力のプレスリリースでも、放圧装置に異常があったとか水銀灯が落下したとかコンクリートのひび割れがあったとか、いろいろ出されております。これはぜひ画像を、動画なり写真で公開をしていただきたい。こうなっているんだ、隠し立てはありませんよ、何なら見に来てください、こうやっていただきたいんですが、いかがですか。

渡辺(博)副大臣 今回の問題は大変重要な問題だというふうに認識をしております。したがいまして、甘利大臣のもとに、今月末までに、もうあした、あさってでありますけれども、報告を受けることになっております。その報告を受けた後、厳正に対応してまいりたいと思っております。

保坂(展)委員 その厳正に対応というのは、写真なども直ちに公開をするというふうに受けとめていいんでしょうか。一言お願いします。

渡辺(博)副大臣 この問題につきましては厳正に対応させていただくということで、これは、具体的な内容につきましては、報告を見ませんとわかりません。したがって、その報告に基づいて対応させていただきたいと思います。

保坂(展)委員 これはちょっと、大したことじゃないんだというプレスリリースが出ているので、写真ぐらいは出してもらわないと困るんですね。でなければ、この隠ぺい体質から抜けるとかそういうことはあり得ないということを指摘しておきます。ぜひ求めたいと思います。

 この問題に続いて、前回、いわゆる保安院が検査対象にしているのは、文科省管轄の、例えば「もんじゅ」であるとか「ふげん」であるとか東海村とありますけれども、それはすべてですねということに対して、そうだという答弁を保安院からもいただいたし、甘利大臣がいろいろ徹底的にやれということで新たに電力会社のことが出てきたので、大臣からもやれという指示をされたというふうに聞いているんです。

 ちょっと政府参考人に聞きますが、その指示に基づいて、保安院と連携して、保安院が各電力系の施設に対して調査をかけたことと同じレベルでやられているのかどうか、その指示をいつころ受けて、どのようなぐあいになっているのか、お願いします。

森口政府参考人 文部科学省が安全規制を行っております試験研究炉それから臨界実験装置を対象といたしまして、原子炉等の自動停止に係る報告漏れの有無に関して調査を行うよう原子力機構に既に指示をしておりまして、現在、原子力機構において調査を行っているというところでございます。

保坂(展)委員 ちょっとわからないんですが、保安院が電力系については当然やるんだということで、例えば昨年の十一月三十日の総点検の、これは発表されているものの中にも書いてあるんですが、「一般電気事業者等」というふうに書いてあるんですね、それに対して総点検をかけるんだと。これを読んでみても、今回の原子力機構などの施設の点検を同時にかけるとは読めないんですね。この時点では文科省管轄の原子力機構などの施設に対しての総点検はしていないけれども、文科大臣からの指示があったのでこれから連携してやる、こういうことですか。

伊吹国務大臣 保坂先生、整理してお答えをした方がいいと思いますが、先ほど石井先生からも御質問があったように、文部科学省は原子力開発機構の所管官庁であることは確かです。と同時に、大学、研究所を初め多くの研究型のいわゆる試験研究炉を所管しております。ここでおかしなことがあるかないかは、過去に随分失敗をしているんですよ。その失敗の積み重ねの上できちっとやっていると思いますが、念のために、さらに報告漏れその他がないかということを、まず我々が直接所管しているところにはしっかりと聞き取れということを私は指示しております。

 それから同時に、原子力研究開発機構の、今御指摘のあった「ふげん」、「もんじゅ」、それから東海の再処理の施設、これは法令上は保安院の所管になっているわけです。しかし、自主的な調査を当然原子力開発機構は行っているだろうから、そこのところの結果についてはまず報告を求めなさい、ちょうど電力会社に報告を求めたのと同じように、やや越権行為かもわかりませんが、機構そのものを所管しておりますから、求めなさいということは指示をして、自主的な、今に至るまでの調査の結果については近々報告が来ると思います。

 そして、我々としては、原子力保安院が「ふげん」、「もんじゅ」、東海再処理施設等について法令上の調査をなさる場合には、全面的にこれは協力をしてやっていけばいいじゃないかということを指示したということです。

保坂(展)委員 先ほど、十一月三十日の保安院のプレスリリースには「電気事業者等」としか書いていなくて、これだと電力系だけなのかなと思うんですが、今回の志賀原発一号機、先ほど来問題になっている九九年の臨界事故の件についての通知については、電力系の社長の名前の一番最後に原子力開発機構の理事長の名前もあって、これは三月十五日ですからこうなっているのかな。

 きょう、副大臣においでいただいたのも、どうもこのあたりが、確かに規制対象だと法律には書いてあるんですね、ただ、保安院に聞いても、ちょっと一歩引いているような感じもあり、そこが空白ゾーンになってしまっては非常にまずいんじゃないかという問題意識を持ってやっておりますので、ぜひ電力系でやったようなレベルの調査を早急に遂げてほしいという点、いかがですか。もう一度、文科大臣。

伊吹国務大臣 私の所管しているところでは私の指示に従ってきちっと仕事をすることは当然であります。

保坂(展)委員 時間が参りましたので終わります。

桝屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。保坂展人君。

保坂(展)委員 社会民主党・市民連合を代表して、独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 社民党は、日本原子力研究所と核燃サイクル開発機構との統合により設立された原子力機構の発足時に、エネルギー戦略の方向性が違うのではないか、プルトニウム利用のあり方が問題になっているにもかかわらず核燃サイクル計画をなお主要な任務としていることを厳しく批判してきた経過があります。

 核融合発電は地球環境問題を解決するものという位置づけで、しかし、実用化は今後果てしなく時間がかかる、未来への投資だというふうに説明をされています。しかし、この核融合発電の五十年先の投資よりも、地球温暖化がハイテンポで進行して地球環境に重大な影響を与えつつあることを見れば、先進国は、今すぐにいわゆる温室効果ガス排出の厳しい規制に取りかからなければならないし、また、もう少し実効性のある地球温暖化対策に予算を投入するべきではないかと思います。

 イーター計画は、イーターは、燃料としてトリチウムを使い、核融合炉は従来の原子炉と違う危険もあると言われています。

 平成十五年三月、小柴先生、長谷川先生の小泉総理あての嘆願書には、「燃料として装置の中に貯えられる約二キログラムのトリチウムはわずか一ミリグラムで致死量とされる猛毒で二百万人の殺傷能力があります。これが酸素と結合して重水となって流れ出すと、周囲に極めて危険な状態を生み出します。ちなみにこのトリチウムのもつ放射線量はチェルノブイリ原子炉の事故の時のそれに匹敵するものです。」という指摘もあります。

 高速の中性子の照射、何億度という高温、強大な磁気エネルギーの制御は極めて難しく、炉の急激な破壊に結びつく可能性もあります。

 また、今の質疑の中で、イーター本体あるいは国内施設の事故のリスクや財政上の見通しなどがはかられていない、巨額な投資とリスク負担、両方に今踏み切るべきではないという立場を明らかにして、私の反対討論といたします。

桝屋委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

桝屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

桝屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十二分散会


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