衆議院

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第8号 平成20年5月14日(水曜日)

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平成二十年五月十四日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 佐藤 茂樹君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小渕 優子君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 渡辺 具能君 理事 小宮山洋子君

   理事 牧  義夫君 理事 富田 茂之君

   理事 西  博義君

      阿部 俊子君    井脇ノブ子君

      飯島 夕雁君    江崎 鐵磨君

      小川 友一君    小野 次郎君

      岡下 信子君    加藤 紘一君

      近藤 基彦君    佐藤  錬君

      鈴木 恒夫君    中森ふくよ君

      原田 令嗣君    平口  洋君

      福田 峰之君    藤井 勇治君

      保坂  武君    馬渡 龍治君

      松野 博一君    若宮 健嗣君

      田島 一成君    高井 美穂君

      藤村  修君    松本 大輔君

      山口  壯君    笠  浩史君

      和田 隆志君    石井 郁子君

      保坂 展人君

    …………………………………

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   文部科学大臣政務官    原田 令嗣君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小野 正博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      舌津 一良君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          加茂川幸夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            清水  潔君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         磯田 文雄君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        樋口 修資君

   政府参考人

   (文化庁次長)      高塩  至君

   文部科学委員会専門員   佐久間和夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  楠田 大蔵君     和田 隆志君

五月十四日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     小野 次郎君

  二田 孝治君     藤井 勇治君

  山本ともひろ君    若宮 健嗣君

  日森 文尋君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     飯島 夕雁君

  藤井 勇治君     二田 孝治君

  若宮 健嗣君     山本ともひろ君

  保坂 展人君     日森 文尋君

同日

 理事西博義君同日理事辞任につき、その補欠として富田茂之君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月十四日

 社会教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)

四月二十四日

 すべての障害児に行き届いた教育の保障を求めることに関する請願(田島一成君紹介)(第二四四九号)

 行き届いた教育を求めることに関する請願(石川知裕君紹介)(第二四五〇号)

五月一日

 すべての障害児に行き届いた教育の保障を求めることに関する請願(田島一成君紹介)(第二五二三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二六〇二号)

 同(石井郁子君紹介)(第二六〇三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六〇四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六〇五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二六〇六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六〇七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六〇八号)

 同(田島一成君紹介)(第二六〇九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六一〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二六一一号)

同月九日

 すべての障害児に行き届いた教育の保障を求めることに関する請願(田島一成君紹介)(第二八四四号)

 著作権保護期間の延長反対に関する請願(田島一成君紹介)(第二九七四号)

 私立幼稚園教育の充実・発展に関する請願(小宮山洋子君紹介)(第三〇五八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任の件についてお諮りいたします。

 理事西博義君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事の辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に富田茂之君を指名いたします。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官小野正博君、文部科学省大臣官房総括審議官合田隆史君、大臣官房文教施設企画部長舌津一良君、生涯学習政策局長加茂川幸夫君、初等中等教育局長金森越哉君、高等教育局長清水潔君、高等教育局私学部長磯田文雄君、スポーツ・青少年局長樋口修資君及び文化庁次長高塩至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平口洋君。

平口委員 おはようございます。自由民主党の平口洋でございます。選挙区は広島第二区でございまして、広島県の西の方でございます。

 まず、質問を申し上げる前に、今月の初め、ミャンマーで大型サイクロンが参りまして、六万人近くの死者・行方不明者が出たという報道がございます。また、一昨日は中国の四川省で大変大きな地震があって、これも相当数の犠牲者が出ている災害というふうに聞いております。

 冒頭に当たりまして、これらの地域の被災者の皆様方に対して心からお見舞いを申し上げますとともに、日本政府としても、できる限りの災害復旧復興に支援をしていただきたい、このように思うものでございます。

 それでは、文部科学行政の基本的な問題について質問をさせていただきます。

 私は、この委員会で質問するのは初めてでございまして、また、いろいろと問題点が多岐にわたっているものですから、やや散漫な議論になるかもしれませんが、日ごろ考えておりますことを率直にお伺い申し上げたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。大臣にも御出席いただきまして、ありがとうございます。

 御案内のように、六十年ぶりに教育基本法が改正されて、昨年も、学校教育法を初めとして教育の分野の重要な法律改正がなされたわけでございます。この流れの中で、教育の指導要領というものも改訂をされているというふうな状況と承知いたしておりますけれども、この中でちょっと気になりますのは、国歌・国旗の問題でございます。

 私は、先般、地元の小学校の行事に出席をさせていただきました。来賓として呼んでいただいたんですけれども。その中で、子供たちが、校歌は張り切って大声で前を向いて歌っているんですけれども、国歌斉唱のところになると途端にみんな黙っちゃって、来賓だけが起立して歌っている、その様子を黙って子供たちがじろじろ見ているというふうなことがございまして、やや奇異な状況だなというふうな印象を受けたんですが、考えてみると、子供たちが歌わなかった理由は、多分教えられていないから歌っていないんだろう、歌いたくないから歌わないということではなくて、教える者が親も学校もないからそうじゃないかと私は思ったんです。

 今回の指導要領の改訂の中には、国歌君が代を歌えるようにすることというふうな規定も盛られているところでございますけれども、これについて、具体的にどのような指導方針で運用していかれるのか、お伺いしたいというふうに思います。

渡海国務大臣 おはようございます。

 委員が指摘ございました、冒頭のミャンマーまた中国の件、特に中国の件、まだ最終的な被害状況が明らかになっていないということでありますけれども、一番冒頭に飛び込んできた映像というのは、実は学校が崩壊をして、多くの子供たちが犠牲になったということであります。今、我が国でも耐震化というものを進めているわけでありますけれども、本当に私は瞬間的に、従来からも申し上げていますが、地方の御協力もお願いをして、一日も早く耐震化をなし遂げなければいけない、そんな思いにもなりました。

 これは、一日も早い救出、また復興を願うとともに、我々も、実は、私は兵庫県でございますから、私の家族は阪神・淡路大震災の神戸におりまして、被災者でございます。その体験からしても、地震の多いこの国において、これからも学校現場における防災という問題を、これまでもやってまいりましたが、より加速をさせてやっていかなきゃいけない。これは余計なお話でございまして、質問の答えではありませんが、そんな思いを持たせていただきました。

 指導要領について御質問をいただきました。

 指導要領、小学校は二十三年から、中学校は二十四年からということでございます。できるだけ前倒しできるものは、やれるものはやろうということでやるつもりでございますが、今回の改訂で学習指導要領は、君が代につきましては、従来は「いずれの学年においても指導すること。」という記述を、歌えるようにすることというふうに改訂をさせていただきました。

 従来からも解説書によってこのことをきっちりと書いておったわけでございますが、このことをより明快にして、今委員がおっしゃいましたようなことではなくて、これは国歌でございますから、日本の子供たちが国際社会で生きていく上でも大変大事なことだと思っております。各発達段階に応じてしっかりとそういう指導をしていくということをやっていただくために、そのような記述でより明快にしたというふうにお考えをいただきたいと思います。

 いずれにしても、これからも具体的な指導としては、これは細かいことは言いません、発達段階でいろいろと変えてありますけれども、適切なときにしっかりと、例えば卒業式とか入学式とか考えられると思いますけれども、子供たちが国歌を歌えるというふうに指導をするように、我々としても学校現場に指導してまいりたいと考えておるところでございます。

平口委員 どうもありがとうございました。

 日本の国歌君が代は、いろいろ議論もありますけれども、オリンピックで金メダルをとると君が代が流れるわけですし、また、アメリカでもイギリスでも、みんな主要行事のときには胸を張って大きい声で国歌を歌っていますから、日本の国も、日本の国を守り立てていくためには、日本人としてやはり日本の国歌というものをきちっと節目節目の行事で歌えるように、このような社会にする方向で御努力をいただきたい、このように思うものでございます。

 次に、校内暴力についてちょっと触れたいのですが、最近は、マスコミなんかでもさほど校内暴力のことを聞きませんけれども、私も長い行政の経験の中では、十年前、十五年前には大変この問題が大きくて、荒れる学校というのが非常に大きな課題として日本の社会に登場したように思うんですけれども、最近、校内暴力というのはどういうふうな状況なのか、お伺いしたいと思います。

金森政府参考人 校内暴力の最近の状況でございますけれども、平成十八年度における学校内の校内暴力の発生件数は、小学校で三千四百九十四件、中学校で二万七千五百四十件、高等学校で八千九百八十五件となっております。

 この平成十八年度の調査からは、調査対象に国立学校や私立学校も加えて調査いたしましたことから、公立学校間について前年度と比較をしてみますと、平成十八年度の公立の小中高等学校における学校内の暴力行為の発生件数は、合計で三万五千七百五十七件となっておりまして、前年度、平成十七年度と比較して、五千四百七十四件増加をいたしております。

 このように、平成十八年度に暴力行為の件数が増加した背景といたしましては、この平成十八年度の調査から、けがや外傷があるかないかといったことや、けがによる病院の診断書、被害者による警察への被害届の有無などにかかわらず、暴力行為があればすべて計上するよう明確化したことなど、調査方法などを見直すとともに、各学校において、児童生徒の問題行動に対して実態把握により一層努めたことなどが考えられるところでございます。

平口委員 依然として四万件弱の小中高の校内暴力の件数があるということで、減少もしていないというふうな御説明でございました。

 この点について、私はちょっと思い出しますのが、十二、三年前に秋田県で警察本部長をやっておりましたときに、ある地域の学校で、父兄の方から、子供が校内暴力に遭って困っている、場合によっては傷害も受けかねないような状況だから、ぜひとも警察の方で調べて、介入して押さえてほしいというふうな要請がありましたものですから、率直に学校の方に、刑法犯であれば警察の方で何とかするからということで介入しようとしたのですけれども、結果的には、学校長の方から、もう少し事態をうちの方で掌握してやりたいから警察は入らないでほしいというふうなことでございました。

 十二、三年前の記憶ですからちょっと記憶は定かではないのですけれども、やはり実際には相当な暴行あるいは傷害の実態があったように思います、やや残念な記憶があるんですけれども。学校の方も、刑法犯に当たるようなことであれば、やはり警察の方の力を十分信頼して、そして頼んで、校内暴力の根絶に向けて努力をするべきじゃないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

金森政府参考人 委員御指摘のように、特に校内での傷害事件を初め犯罪行為などにつきましては、児童生徒が安心して学べる環境を確保するため、学校だけで抱えることなく、警察などの関係機関と連携して、適切な措置を講じることが必要でございます。

 このため、具体的には、警察と学校が少年の非行防止に関して連携強化を図る目的から設置された学校警察連絡協議会や、教育委員会等と警察との間で協定等に基づいて児童生徒の一定の個人情報を連絡し合う学校警察連絡制度、また、学校、警察、児童相談所等の関係機関がチームを構成し、適切な役割分担のもとに連携して児童生徒へ指導、支援を行うサポートチームなど、警察を初めとする関係機関等との十分な連携を活用して対応することが重要であると考えております。

 今後とも、暴力行為等の問題行動への対応に当たりましては、学校や教育委員会が関係機関と連携を一層図るよう促してまいりたいと存じます。

平口委員 わかりました。学校協議会等で、日ごろから警察を初めとする関係機関とよく連絡をとりながらやっていきたいというふうな御説明でございましたので、ぜひともそういう方向でお願いしたいと思います。

 特に、最近、依然として児童生徒が犯罪に巻き込まれるケースが相次いでおりますものですから、やはり登下校時、あるいは帰宅して以降の子供の安全というふうなことも大事でございますので、ぜひとも今おっしゃったような方向で努力をしていただきたい、このように思います。

 次にお伺いしたいのは、例の学校教育法等の改正で、校長先生を中心とした学校の管理のシステムを少し充実させるような方向の改正があったと思います。

 私は、学校というのは、やはり学校長を中心に、生徒児童、そしてまた父兄が一体になって子供たちの教育の向上について努力していく場であろうというふうに思いますものですから、この改正方向は大変いいんじゃないかというふうに思います。

 その中で、特に副校長とかあるいは主幹教諭、あるいは指導教諭ですか、置かれたように思うんですけれども、これらの方々の役割、それと特に、現在教頭という制度もありますから、この教頭先生との関係、こういったようなことについて、どのように滑り出されるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。

金森政府参考人 学校教育法の改正で導入されました副校長や主幹教諭についてでございます。

 副校長は、校長から任された校務をみずからの権限で処理することを職務といたします。具体的には、例えば一定金額以下の学校予算の執行や教職員の休暇の承認など、定型的な業務の決裁でございますとか、高等学校の定時制、小中学校の分校など、一定のまとまりのある組織の日常的な運営を副校長がみずからの権限で行うことができることとなってございます。

 これに対して、教頭は校務を整理することにとどまり、副校長と教頭があわせて置かれた場合には、教頭は校長及び副校長を補佐する立場に立つことになります。

 また、主幹教諭でございますが、主幹教諭は校長や副校長、教頭を補佐する立場で、校長から任された校務の一部を取りまとめ、整理し、他の教諭に対して指示するとともに、児童生徒等の教育を担当することを職務といたします。具体的には、例えば教育計画の企画立案など教務に関することや、生徒指導上の課題に組織的に対応することなどが考えられるところでございます。

 これに対して、教頭は、校務の一部ではなく、校務の全般を整理する職であると位置づけられているところでございます。

平口委員 現実の学校運営、学校の規模等によっても違いがあるでしょうし、いろいろと難しい面があろうかと思いますけれども、ぜひともこの新しい制度のもとでいい学校運営ができるようにお願いをしたい、このように思います。

 次に、私はきょう質問するに先立って、実際に教育現場を預かっておられる校長とか、あるいは一般の教師の方々のお話を伺ったのですが、やはりどなたも共通しておっしゃっているのは、忙しいんだということであります。その忙しさのゆえに、生徒指導がいま一つ十分にできないことがある、こういうふうなことがございました。

 文科省の方からいただいた数字も、一月当たりの残業時間が、昭和四十一年、今から四十年前ですけれども、これは八時間だったのが、平成十八年には三十四時間というふうになって、二十六時間もふえているというような実態があるわけであります。もちろん、財政状況が厳しい折ですから、教員の増員ということもなかなか難しいとは思いますけれども、教師の忙しさからの解放という課題についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

金森政府参考人 平成十八年度に実施をいたしました教員勤務実態調査によりますと、先ほど委員から御紹介もございましたが、教員の一日の勤務時間は平均十一時間近くに及び、また、デスクワーク的な事務負担が大きいなどの結果が出ております。

 こうしたことを踏まえ、文部科学省におきましては、主幹教諭によるマネジメント機能の強化などを図るため、教職員定数の改善を行いますとともに、外部人材の活用や学校支援地域本部の創設など、子供と向き合う時間を確保するための施策に必要な経費を平成二十年度予算に計上しているところでございます。

 また、文部科学省が実施している調査の統合や年間調査計画の周知を行いますとともに、各教育委員会に対しましても、学校現場の負担軽減のために具体的な目標を立てて取り組みを進めるよう、通知や会議の場などで指導しているところでございます。

 今後とも、教育再生の取り組みを真に実効あるものとし、子供たちの学力の向上と規範意識の育成を図るため、教員が子供と向き合う時間を拡充することができるよう、学校現場で日々頑張っている教員を支援する体制の充実に努めてまいりたいと存じます。

平口委員 これに関連しまして、私も警察行政に携わったときに経験があるのですが、やはり都市化が進んで人口が増加しているところには教師も増員しなきゃいけないというふうな事情があります。一方で、過疎化が進んでいる、児童が減っているというところも、なかなか学校の先生は減少させられないというふうな事情もあろうかと思います。

 各都道府県それぞれ過疎問題なんかにも悩んでおられると思いますけれども、その過疎地域における教育の実行の一つのやり方として、現役の先生を確保することもさることながら、退職された教師の中でも、まだまだ健康で、そしてまた十分な経験やあるいは教養もあるというふうな方もたくさんいらっしゃると思いますものですから、そういう退職教師なんかをもう少し教育界全体でよく使って、例えば過疎地域における学校にそういう方々を派遣するような、既にある程度やっておられるかもしれませんけれども、そういう方向も大事なんじゃないかというふうに思いますが、この点についての所見を伺いたいと思います。

金森政府参考人 公立学校における教育を円滑に実施いたしますためには、過疎地を含め、どの地域においても教員が適正に配置されることが必要でございます。このため、国は、義務標準法などによりまして各都道府県に置くべき教職員の総数の標準を定めますとともに、義務教育国庫負担金などにより所要の財源措置を行っているところでございます。

 このことにより、過疎地の学校におきましても必要な教員が確保されているところでございますが、一方、委員御指摘ございましたように、学校現場が抱えるさまざまな課題に柔軟に対応できるようにするためにも、退職教員や経験豊かな社会人など、多様な人材を活用することが重要でございます。

 文部科学省におきましては、子供と向き合う時間を拡充するため、平成二十年度より、退職教員や経験豊かな社会人等を学校に七千人配置する退職教員等外部人材活用事業を実施しているところでございます。このことにより、例えば、習熟度別少人数指導の充実や小学校高学年における専科教育の充実、小一プロブレムや不登校などの生活指導の充実などに退職教員などを幅広く活用していただきたいと考えているところでございます。

平口委員 ぜひともそういう方向でお願いをしたいと思います。

 次に、図書館の問題についてちょっと話題を移したいのですけれども、私は実は図書館というものに大変な思い入れがありまして、我が身を振り返っても、中学校、高等学校のときの勉強も、学校図書館のほか、各地にある公立の図書館も随分と利用をさせていただきました。

 それで、今でも、ちょっと時間があると、喫茶店に行ってコーヒー飲みながらメモするのもいいんですけれども、やはり図書館に行くと、きちっとした机といすとあって、新聞とかそういうものもそろっているものですからよく行くんですけれども、非常に残念なのは、図書館が開館している時間、これが非常に限定されていて、もうちょっと開いてほしいなというふうな気がいたします。

 具体的に幾つかの図書館の開館日を調べたのですけれども、図書整理日なんかも入れて、年間九十日ぐらい閉館されている日がある図書館があるんですね、もちろん定例休館日も含めてですけれども。九十日というと、三百六十五日の四分の一になります。調べた年には特にアスベストの除去工事とかいうのもあったというふうな要因もあろうかと思いますが、八十日、九十日図書館が休むというのはどうかな。

 それと、開館時間も、大体朝の九時ごろから、長いところで夜の七時、土日は五時というふうなことになっていまして、例えばサラリーマンは大体朝の九時から夕方の五時、六時まで働いていますから、ウイークデーはほとんどサラリーマンが図書館を利用できることはあり得ないということなのであります。

 私は、今から三十年余り前にアメリカ合衆国にいまして、図書館を利用させていただきました。学校図書館ですから学校サイドの事情が左右したと思うのですけれども、三百六十五日、中央図書館は休みという日は一日もなかった。あらゆる学部・学科に全部図書館、ライブラリーというものがありまして、日本の図書館ほど全然立派じゃないんですよ、部屋の一角にライブラリーというのをこしらえていて、そこに資料を収集したというふうなことなんですけれども。

 私の行っていた学校では、アメリカの学生は妻子持ちも多いものですから、家に帰ると子供がいて勉強できないというような理由もあるかもしれませんけれども、大体図書館は八時まであいていましたね。そのうち一階と二階は十時まであけていまして、さらに二階部分は午前二時まであけていました。二階の半分は午前四時まであけていました。これを三百六十五日やっているわけで、日本の図書館のあけ方とえらい違うなというふうに思いますが、この点について御見解をお伺いしたいと思います。

加茂川政府参考人 公立図書館についてでございますが、委員御指摘のように、公立図書館は住民の身近な存在でございまして、地域の生涯学習の拠点として重要な役割を果たしていると私ども認識をいたしております。

 そのためには、住民の多様な生活時間等に配慮した、御指摘のような開館の時間または開館日等の設定でありますとか、読書や学習活動に取り組みやすい館内づくりなど、利用者または住民の便宜に配慮して運営を図っていくこと、充実していくことが大変重要であると考えておるところでございます。

 ただ、図書館サービスの具体的な提供の方法につきましては、その設置者であります地方公共団体が第一義的な責任を有しておると考えておりまして、地方公共団体がその地域の実情に応じて図書館サービスの充実に努めるべきと私どもはまず考えるわけでございます。

 ただ、国といたしましては、それを前提としながらも、委員御指摘のようなサービスの充実は大変重要な課題と思っておりますので、国は、まず一つガイドラインを示しております。現在、公立図書館の運営に関する望ましい基準というものを告示しておりますが、この中では、開館日あるいは開館時間の設定に当たっては、地域の状況や住民の多様な生活時間等に配慮すること、また、必要な施設設備の確保に努めることなどを促しておるところでございます。

 さらに、現在、図書館法の改正案を本国会に提出させていただいておりますけれども、この中では、各図書館が運営の状況に関する評価を行いまして、運営の改善を図るために必要な措置を講じるよう努めること、あるいは、地域住民に対し図書館の運営の状況に関する情報の提供に努めることなどを定めることといたしておりまして、これらを通じまして、地域住民が利用しやすい図書館サービスの充実に積極的に地方が取り組めるような状況、環境づくりを期待しておるところでございます。

 以上でございます。

平口委員 この点についてはまだまだいろいろ言いたいこともあるんですけれども、時間も限られておりますので、ちょっと要望だけ申し上げたいと思います。

 今から先、団塊の世代も退職していきますし、ライフワークとしていろいろな事柄をさらに勉強したいという人もふえるだろうと思います。それと、日本は余り資源のない、人材が最高の資源だというような国ですから、やはりあらゆる機会を通じて、学生、学生でないを問わず、人々が勉強できる機会を提供するというのは社会全体として大変有用なことじゃないかというふうに思います。そういう意味で、町づくりの中で図書館というものをもっとしっかりと位置づけて、立派な図書館を、そしてまた、工事をしてもいいですけれども、図書を整理してもいいですが、必ず一部分はあけておくように、そのような運営をしていただくようにお願いをしたいと思います。

 次に、留学生のことについてお伺いをしたいんですが、総理の施政方針演説の中にも留学生三十万人計画というのがございまして、グローバル社会に対応していくということだというふうに思います。たしか、中曽根総理が以前、十万人の留学生を日本に呼ぶというふうなことがあって、これも二十一世紀初頭には達成したというふうに聞いておりますが、留学生を東南アジアとかアジア諸国などから受け入れることについての高等教育局長の方のお考えをお伺いしたいと思います。

清水政府参考人 留学生三十万人計画についてでございますが、日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界との間の人、物、金、情報の流れを拡大するグローバル戦略展開の一環と位置づけて、二〇二〇年を目途に三十万人を目指すこととして、現在、中央教育審議会においてその計画策定に向けた検討を続けているところでございます。

 中央教育審議会では、すぐれた留学生を地域や分野に留意しつつ戦略的に獲得していくという観点、目標に立ちまして、例えば、英語のみによる学位取得が可能となるなど大学のグローバル化の推進、二つ目には、奨学金制度、宿舎、留学情報提供など受け入れ体制等の整備の面、三番目に、留学生への就職支援、雇用の促進や地域、企業との交流促進など社会のグローバル化を図ることについて議論をしているところでございます。

 留学生三十万人計画の推進のためには、外交戦略や入国管理政策等との連携も必要でございます。そういう意味で、関係省庁や機関と連携しつつ、有機的、総合的な推進のための計画策定に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

平口委員 時間が来ましたので、最後の質問にしたいと思います。

 留学生の問題については、今の話は留学生の受け入れの方でありましたけれども、留学生として日本人が行く方の問題もあると思うんですね。私も二年ほど留学させていただいた経験があるんですが、今から三十年余り前なんですけれども、当時は、アメリカ合衆国の大学で日本の企業から行った学生というのはほとんどトップクラスでありましたけれども、最近また話をいろいろ聞くと、今はそういう学生がほとんどいなくなった、それと、アジアから来る学生も、日本が急激に減少して、中国とかシンガポールとかそういう国々に取ってかわられているというふうなことも聞いたことがあります。一面的な見方かもしれませんが、ある意味で当たっているかなというふうな気もいたしますものですから、日本人を留学生として出す方もぜひとも力を入れてもらいたいと思います。

 最後に、大臣にお伺いしたいんですが、教育というのは国家百年の大計でありまして、日本民族がこれから発展するも衰退するも、一つは教育のあり方いかんにかかわると言っても過言ではないわけであります。また、団塊の世代が退職期に達して、社会教育も改めて大事な課題になろうかと思います。これらを含めて、日本の教育の振興に向けての大臣の決意のほどをお伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 平口委員は私と同じ世代でございます。平口議員の方が大分若く見えるというふうな気もしますが、我々団塊の世代、最近、友達と集まりますと、これから先の人生をどうやって過ごすかという話になるわけでありますけれども、まだまだみんな元気でございますから、やはり地域社会で頑張っていく、また、それぞれの分野で今までの経験を生かしていくということをどのように活用していくかということは大変重要であろうというふうに思っております。

 先ほども僻地の先生のところでお話がありましたように、例えば非常勤講師としていろいろなことをやっていただくこともできましょうし、そういった意味で、いろいろな活躍の場を提供するということが一つ重要な課題であろうと思います。

 教育全般でいいますと、今、御案内のように振興計画を策定中でございまして、その振興計画の中で、日本の十年後の教育の姿というものを描きながら五年間の計画をつくるということでございます。いろいろな御議論もいただきながら、中教審の答申をたたき台にして、現在、最終案というものをまとめているわけであります。

 いずれにいたしましても、私は、一言で言えば、日本の国というのは、御案内のように資源のない国でありますから、唯一の資源と言われる人間資源というものをどのように今後とも政策的にやはり考えていくかというのが教育であるというふうに考えておりまして、これは、幼児教育から高等教育、今留学生の話も含めてお話があったわけでありますけれども、目的を持って、そして十年後の姿というものをしっかりと描いて、国としての戦略といいますか、そういった中でしっかりとした位置づけをしていかなきゃいけない。日本はやはり教育なくしては成り立たない国なんだということをしっかりと考えながら、これからの政策策定に当たっていきたいというふうに考えているところでございます。

平口委員 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

佐藤委員長 以上で平口洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠浩史君。

笠委員 おはようございます。民主党の笠浩史でございます。

 きょうは渡海大臣に、先般、委員会でも質問させていただきましたが、文教施設整備事業をめぐる汚職事件について特に集中して質問させていただきたいと思っております。

 まず、それに先立ちまして、冒頭、先ほどもお話がありましたように、今、中国の四川省を中心とした地域で大地震が発生をし、多くの方々が亡くなられ、また、今なお救出を待っているという状況がございます。心よりお見舞いを申し上げると同時に、政府のしっかりとした対応をお願い申し上げたいと思います。

 特に、実は私は数日、この発生以来のニュースを見ていて、四川省の都江堰と言われる地域の学校が全く崩壊してしまった映像が毎日のように伝えられ、そして、まだ今なお八百人から九百人ぐらいの生徒さんたちが本当に生き埋めになっているということで、その救出の非常に痛々しい様子が映像を通じても伝えられているわけでございます。

 通告していないんですけれども、先ほど、大臣が一日も早く耐震化というものをしなきゃならないという決意をお述べになられましたので、ちょっと冒頭お伺いをしておきたいんです。

 本当に他人事じゃないと思うんですよね。これは予算委員会のときにも大臣にちょっと質問させていただきましたけれども、たまたま日本の場合は、阪神・淡路の大地震についても、あるいは新潟、福岡といった最近の大きな地震が発生をしたときに、休日であったりあるいは時間帯が早朝であったり、夜であったりということで、子供たちが学校でまだ学んでいる時間帯じゃない、学校にいない時間帯に起こったということで、校舎の被害等々はあったものの、子供たちの犠牲というもの、学校におけるそういう犠牲というものは、幸いこれまで発生をしておりません。

 しかし、本当に今回ぐらいの規模の地震がまさにまだ授業が行われている時間帯に発生したときには、やはりいつ同じような被害が発生するかわからない。そういう意味では、私、本当にこれは急がなきゃならないと思うんですよ。

 大臣もそのことについては非常に熱心に取り組みたいんだとおっしゃっているけれども、特に、今回の中教審の答申の中で、教育振興基本計画の中でも、一万棟ですね、もうすぐにも、地震が発生をしたときに崩壊、倒壊の危険性があるというこの一万棟については、急がなきゃならぬと。

 ただ、それが、地方自治体にそういうことをお願いして、確かにそうです、それは国のお金で全部やるわけじゃありません。しかし、やはり今自治体間格差、耐震化がどれくらい進んでいるのかということについては、やはり財政力のある自治体はもう本当に一〇〇%近く進んでいる。一方で、まだ全然それを満たしていないところがあるわけですね。ただこれを地方の自治体にお願いしてお願いしてというのじゃなくて、もう何かやらなきゃいけないんじゃないかと私は思うんですね。

 ですから、この一万棟に加えて、まだ未診断のものもたしか九千近くあったと記憶しておりますけれども、八千五百くらいでしたか、そういったものについては、もうこれは本当に二年、三年で、必ず優先してやるんだというぐらいの決意をぜひ大臣にお述べいただきたいと思います。

渡海国務大臣 全く認識は同じでございまして、どういう工夫ができるかなということを随分と我々なりにも努力をしてまいりました。また、いろいろなことを考えてきたわけでありますが、どうしてもこの実施主体の問題というのがなかなか解けない。いろいろなメニューを提案いたしまして、その中で、例えばこういう方法がとれるじゃないかとか、私はPFI的と言っていますが、今お金がないんだったら、少し先送りしてでもとにかく着工するとか、いろいろなことも考えられます。

 ただ、これは実施時期も含めて、私の地元の話でございますから一向に構わないと思いますが、例えば、すぐやろうということでやろうとしたわけでありますけれども、これは、財政の問題というよりも、やはり夏休みとの関係とかいろいろな問題が非常に複雑に絡み合っておりまして、こういうことに対して何ができるかということを一つ一つ指導しながら実は今やっているという状況であります。

 ただ、これは一刻の猶予も許されないという思いで常に臨んでいかなきゃいけないと思っておりますから、さらなる努力を今後ともしていきたいというふうに思っているところでございます。

笠委員 私ども民主党も、もうずっと耐震化の促進の議員立法というものも提出しておりますし、これは本当に、恐らく各党も同じ思いだと思うんですね。ですから、そういう意味では、もちろんそういう夏休みの時期、いつの期間に工事をしていくのか、あるいはどの程度のことをやっていくのかというようなことでは、まさに住民の皆さんあるいは学校の現場、地域の方々の御協力、御理解もいただくというようなことは、大いに自治体にも協力をしていただかないといけないんですけれども、やはりお金ですね。教育予算をしっかりと国で確保して、これをある程度自治体の力に応じて国が責任を持ってやっていくよということじゃなければ、なかなか進まない部分については、やはり国としての責任を持っていくということは、私は大事なことであろうと思っております。

 そういう中で、ちょうど昨日も衆議院の本会議でこの十年間五十九兆円という道路整備のお金、あったんですけれども、福田総理を信じるならば、来年度からは一般財源化されるわけですから、これはとってくればいいんですよ。道路は、おくれたって人の命にはかかわりません。しかし、やはり子供たち、本当に地震が来たら、特に一万棟の部分については、もう起こってからでは本当に間に合いません。

 ですから、やはり、本当に痛ましいことが絶対に起こらない、それに備えていくということについては最優先で、私どもも取り組んでいきたいと思いますし、ぜひ大臣にもお願いを申し上げたいと思います。

 そして、今の件とも関連するんですけれども、今回の答申の中で、OECD諸国の中でも、教育への投資、この公財政支出の割合が、GDP比率で最低レベルにあるんだということが、これは我々も常々、教育基本法やそれに伴う三法案の審議の中でも主張をし、そして、せめて先進国の平均並みにはすべきじゃないか、そのことをやはりきちっと明記して、そして教育予算の確保に努めていくと。

 今回、残念ながら、答申の中では、そういった問題意識は述べられておりますけれども、数値目標の明記には至っておりません。これから今月末へ向けてこの計画を策定する中で、今文科省としては、今後十年間を通じて現在GDP比三・五%の教育への公財政支出を先進国平均の五%以上にするということを明記するんだと大臣もおっしゃっているようでございますけれども、このこと、必ずやっていただけますね。その決意と、財務省には負けないということをしっかりとお述べいただきたいと思います。

渡海国務大臣 事実を申し上げますと、そのことを実は明言をしたことはまだありません。ありませんが、今そういう方向で検討をいたしております。

 私は、先ほども申し上げましたように、この問題を考えるときに、実は、議員からもいろいろなアドバイスもいただき、御叱咤、激励もいただきました。要は、GDP比という考え方というのは、いろいろな分析の仕方があろうかと思いますが、そういうこと以前に、国家として、要はGDPという一つの国力をどういう政策選択に向けていくのかという、例えば租税と負担率の問題があったとしても、それはGDPからくるものでありますから、基本的には国力の中で何に力を注いでいくか、この政策選択だと思っております。

 そういう考え方に従って、要するに国力の五%というのは、一つの考え方としては、やはり日本が人的資源を有効活用することによって、科学技術力ということも言われておりますが、科学技術だって人間がいなければ支えられないわけでありますから、そのことを考えれば、十年後にはそういう国家にならなければいけない、そういう思いで我々はこの問題に取り組んでいく。中身はいろいろあります。ありますが、基本はそういうことで今作業を進めさせていただいている。

 私は、この主張をしっかりとこれからもしていきたいということをお答えしておきたいというふうに思っております。

笠委員 しっかりとその点については取り組んでいただきたいと思います。

 次に、本題の文教施設整備事業をめぐる汚職事件、私は、先般四月九日の当委員会の中でも取り上げさせていただき、文科省としても今回の事態を受けて四月七日に調査チームを設置し、さまざま、職員及びOB、あるいは国立大学法人関係者にも調査を進めているということを伺っております。

 きょうは、その中から幾つか、まず、今の現在の状況について確認をさせていただきたいと思います。

 倉重容疑者とつき合いがあった文教施設企画部職員並びにOBの省内調査の状況について、施設部内の職員について、何人の方がゴルフあるいは会食といったことで倉重容疑者との個人的なつき合いがあったのかをまず明確にお答えいただきたいと思います。

合田政府参考人 今お話ございましたように、私ども、文部科学大臣の直轄のもとに調査チームを発足させまして、調査を進めております。文教施設企画部の課長補佐級以上三十二名全員につきましてヒアリングを行いまして、その中には倉重容疑者と面識のある者がおり、この中にはゴルフや会食の際に倉重容疑者と一緒になったことがあるとする者もいるということでございます。しかし、一方で、必ずしも明確な記憶でない者もいるということで、さらに詳しい事情について、今引き続き調査を継続しているところでございます。

 そういったような状況でございますので、断定的には申し上げられないわけでございますけれども、これまでの聞き取りの範囲内では、四名ないし五名であるという状況でございます。

 これらの状況につきましては、警察による捜査に支障を及ぼすおそれもあると考えられますことから、現時点ではこれ以上詳しく申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。恐縮でございます。

笠委員 私、だれがということを聞くつもりはありません。今、四名から五名ということを、これは恐らく初めてきょう明らかにされたことだと思うんですが、この方が、ちょっと確認です、これはゴルフをやった方ですか、会食をされた方ですか。そこだけ教えてください。

合田政府参考人 ゴルフ、会食を含めて四、五名ということでございます。

笠委員 では、聞き方を変えたいと思いますけれども、この後恐らく、文科省の方では、時期を待って、この調査が済み次第、不適切な行為とみなされる方については人事院の方に、国家公務員の倫理規程に反する方についてはその委員会の方に上げられるんだと思うんですけれども、この国家公務員の倫理規程に反する疑いがあるという方が四、五名ということでよろしいわけですか。

合田政府参考人 先ほど申し上げましたようなことで現在調査中でございますが、この調査に当たりましては、人事院に設置されております国家公務員倫理審査会とも相談をしながら調査をしているところでございます。調査の結果、国家公務員倫理法上の問題が確認された場合には、これは厳正に対処をするということになるというふうに思っております。

笠委員 この四、五名の人が、三十二人調べた中で、今、どういう状況の会食だったのかゴルフだったのか、そこらあたりの詳細は、捜査の支障もあるということで、捜査中ということで述べられないということですけれども、もう一つ。

 これは、御本人がおっしゃっている方々でしょうから、もう一人いたじゃないか、今回うそをついていたじゃないかとか、そのことを私は後でとやかく言うつもりはありません。あくまでもこれは、今の調査の途中状況ということで私も認識をいたしたいと思いますので。

 その上で、これは、倉重容疑者から要するに便宜供与を受けた、そうした代金、一部例えば会費を払ったかもしれないけれども、それ以上に何らかの形で便宜供与を受けたんだ、ごちそうになったんだ、あるいはゴルフの接待にあずかったんだというようなケースということでよろしいですか。

合田政府参考人 この具体的な態様につきましては、さまざまなケースがあり得るということでございまして、それぞれ、過去の記憶を手繰りながら私どものヒアリングに応じてもらっているという状況でございますので、その辺、詳細は引き続き調査の上、対処をしてまいりたいというふうに考えてございます。

笠委員 ここだけはお答えいただきたいんですが、接待を受けていた人もいるということですね。

合田政府参考人 その可能性はあるというふうに考えてございます。

笠委員 可能性があるというよりも、恐らく、四、五人という方々は、何らかの形でのそういうふうな接待を受けていたということで理解をいたしたいと思います。

 次に、OBについても、過去二十年程度で部長、技術参事官経験者を調査したということでありますけれども、同じ質問をさせていただきたいと思います。

 この中でも何人かの方が、やはりゴルフの接待なり、あるいはこうした会食の席をともにし、ごちそうになっていたというケースがあるということですね。

合田政府参考人 私ども、文教施設部、文教施設企画部長OB及び技術参事官OB、これらの者十一名につきまして、さかのぼりまして聞き取り調査をいたしております。その中に倉重容疑者と面識のある者がおり、この中にはゴルフや会食の際に倉重容疑者と一緒になったことがあるとする者がおります。必ずしも明確な記憶でない者もいるという状況でございますので、さらに詳しい状況について、引き続き調査をしているところでございます。

笠委員 お一人だけ具体的にお伺いをしたいと思います。

 歴代の部長経験者の中で、今回の大島容疑者の前の部長をされておった萩原久和さんという方がおられますね。この方は、倉重容疑者とゴルフ、会食といったようなつき合いがあったんでしょうか。

合田政府参考人 現在、警察による捜査が進められており、また、調査チームといたしましても調査中でございますので、個々の者に関する調査結果について明確にお答えすることは差し控えたいというふうに存じますけれども、現在までのところ、萩原元文教施設企画部長については、倉重容疑者と面識はあったものの、ゴルフや会食等をともにしたことはない、そういったような意味で、特別な関係があったことは確認をされておりません。

笠委員 面識はあったけれども、今現在の聞き取りの中では、そういう、特に懇意にしていたとか、あるいは不適切と見られるようなつき合いはなかったということで、今のところ文科省の調査チームとしてはそのように認識しているということですね。それでよろしいですか。

合田政府参考人 私どものこれまでの聞き取りの範囲では、そういったようなことは私どもとしては確認をできていないということでございます。

笠委員 もう一点、具体的にお伺いをいたしたいと思います。

 大学関係者の方も、これはかなり大学側にいろいろと依頼してということもあるでしょうから、まだ途中ということでございましたけれども、その中でもやはりゴルフや会食を倉重氏とした者がいるという報告を私この前受けました。

 その中で、この倉重容疑者が出入りをしていた大学、東北大学にも出入りをしていたでしょうか。

合田政府参考人 私ども、国立大学法人に対する調査も行っておりまして、東北大学についても調査を行っております。

 その範囲で申し上げますと、国立大学等の職員の中に、倉重容疑者と面識があり、または来訪を受けたとする者がいるわけでございますけれども、これにつきましても明確なお答えは差し控えたいと存じますけれども、これまでの調査では、東北大学につきましても倉重容疑者の訪問があったということを私ども聞いてございます。

笠委員 今お伺いした中で、私がなぜ、東北大学、そしてあえて萩原さんという前の部長さんのことをちょっと具体名を出してお伺いしたかというと、きょうこの後、同僚議員の方からもさまざままた質問があるかと思いますけれども、やはり今回の問題が文教施設企画部の非常に組織的なものであったのか、そういう体質がずっとあるのか、それとも、本当に個人的な一部の人の不適切な許されない行為によってこういう事件が発生をしてしまったのかというところが今後一番のポイントになってくるわけです。

 その中で、この萩原さん、実は現役中に東北大学の施設部長もやられているわけですね。そして、平成十七年の三月にみずから辞職をされた後に、平成十七年の四月から十九年の三月三十一日まで二年間にわたって、東北大学の副学長、しかも施設・キャンパス整備計画担当ということで、またそこに再就職をされている。その後一年間、非常勤として施設マネジメントアドバイザーという形で東北大学に残られて、現在は民間企業の保険会社の顧問をやって、あと、NPO等々でこの施設関係の協会もまた立ち上げられているようなんです。

 まずお伺いしたいんですけれども、このように、国立大学法人に文教施設企画部の部長経験者なり部経験者が天下るあるいは再就職をする、学長なりあるいは理事であったりというような、そういう立場で天下ることというのはほかにも例があるんでしょうか。

合田政府参考人 文教施設企画部経験者が国立大学に再就職をしたという例は、この萩原元部長が東北大学副学長及び施設マネジメントアドバイザーに就任をしたというケース以外には例はございません。

 国立大学法人の施設系部課長に就任をしている者はおりますけれども、これは全員現役出向という形で行ってございまして、再就職をしたという例はないということでございます。

笠委員 極めて異例なんですよね。やはり、だから逆に言うと、この後、東北大学の件を幾つかまたお伺いしますけれども、ひょっとしたら、事実関係だけでも、今現在、萩原さんは面識はあった、しかしそれ以上の関係かどうかはわからない、そして一方で倉重容疑者は東北大学には出入りをし、そこの大学関係者と、先ほどあったように、会食なりゴルフなり、そこはわかりませんけれども、そういうかなり深いつき合いをしていた関係者もいるという中で、実は今回一番大きな問題は、文教施設にかかわる、とりわけ国立大学法人のさまざまな施設の整備にかかわる事業について、何らかの形でこの施設企画部経験者が、倉重なる人物、あるいはそういう人物がほかにもいるのか、そういう中で、早目に情報を流したりとか、あるいはいろいろな形での便宜を図って癒着の構造があるんじゃないか。これを徹底的に明らかにし、再発防止をしていくということが大事だと私は思うんです。

 今、ほかには例はないということでしたけれども、東北大学の副学長ですよね。普通、学長人事あるいは副学長人事、もちろん今は大学法人ですから昔とは違うとはいえ、出向も含めてかなりの人事交流も文科省とあるわけです、こうした施設整備にかかわらず、さまざまな分野で。そういう中で、これは文科省に対しては相談等々があったのか、あるいは文科省として、こういう副学長として東北大学に行くことをどなたか相談を受けて、例えば力添えをするとか口添えをするとかいうことがあったのか、その点についてお答えをいただけるでしょうか。

合田政府参考人 国立大学との交流人事あるいは出向人事といったようなことにつきまして、各大学の方から御相談があるということは間々ございますけれども、この萩原元文教施設企画部長の東北大学副学長及び施設マネジメントアドバイザーへの就任につきましては、東北大学と萩原氏が話し合って決められたことでございまして、文部科学省としてはその経緯については承知をしておらなかったわけでございます。

 東北大学に確認をいたしましたところ、副学長への就任につきましては、東北大学がキャンパス移転を控え、土地の購入及びマスタープランを策定すべき時期にあったことから、これらを担当する適任者を探していた、そこで、東北大学施設部長の経験があり、全国の国立大学のキャンパス移転についての豊富な識見を有する萩原氏を適任と判断した、そういうことで、大学として施設・キャンパス整備計画担当の副学長として就任をしてもらうことにしたということであったということでございました。

 それから、施設マネジメントアドバイザーへの就任につきましては、土地の購入及びマスタープランの策定等を担当するということで副学長に就任したわけでございますけれども、そういったような土地の購入、マスタープランの策定等が完了したということもあり、キャンパス移転のめどが立ったということ、それから、学長が交代をして新体制に移行するに当たりまして、他の多くの課題に対応するための副学長を置く必要が生じた、そういったようなことで、萩原氏と直接話し合いの結果、萩原氏が副学長を辞することになった。辞することになったんですけれども、キャンパス移転や施設面での萩原氏の豊富な識見をもとに引き続きアドバイスをしてもらうことが東北大学にとって有意義である、さらには、副学長辞職後、萩原氏が無職となってしまうといったようなこと等を考慮して、引き続き、非常勤ではございますけれども、施設マネジメントアドバイザーという形で就任をしてもらうこととしたということでございました。

笠委員 今、詳細な説明がございましたけれども、要は、文科省としては関与はしていない、そして、萩原さん自身が個人として東北大学との関係の中でこういった再就職を決めて辞職をしたという理解でいいと思うんです。

 そこで、一つは、文教施設企画部、この整備事業についていろいろな策定をし、そして具体的な工事等々のことについて限られた知り得る方々の部署というのが、今までは人事交流もなくて非常に閉鎖的だった。これはこの前、今後ひとつそこらあたりをどのように工夫していくかということはこれからの課題であるというような趣旨のこともおっしゃいました。

 もう一つ大事なことは、実は国立大学法人の方に、出向で施設部系統の仕事をされている方が大体二百名ぐらいおられるらしいですね、課長以上というか。そういう中で、各大学法人の部長さんが二十八名、課長さんに当たる方が三十七名ぐらいいて、二百名中六十五名が全員文科省、こちらから出向しているわけですね、文教施設部経験者の方がほとんど、中心だと思うんです。

 ちょっとこれから考えなきゃいけないのは、最終的には各大学が入札を行って落札する事業者を決めていくという流れになるわけですから、これは、大臣、今後、少しケース・バイ・ケースもあるかもしれないけれども、やはり見直していく。先ほどの萩原さんだけじゃなく、大体、これまでの部長経験者の方々のいろいろな経歴を、出していただいたものを拝見すると、もう外に出るときというのは大学ぐらいなんですよね。それで、その仕事をして、また戻ってくる。そこもやはり私は考えていかなきゃならないと思うんですが、それについての渡海大臣の認識をちょっとお伺いいたしたいと思います。

渡海国務大臣 国立大学時代、これは、ある意味、組織の中の人事交流という形でいろいろな人事交流が行われていたということは事実であろうと思います。それが、法人化することによって新たな形になったという段階で、これからそういった人事というものをどうやって考えていくかということは、この前山口委員からも御指摘をいただいた点もございます。

 早速、今、どういうあり方がいいのか、これは大学側の関係者も入って、きっちりとしたルールをやはりつくる必要があるだろうと。基本的には法人側の要請によって今行われているということはしっかりと確認はさせていただきました。いただきましたけれども、それだけで、例えば今御指摘をいただいているような疑義が晴れるだろうかと、外形的に見て。そのことは、やはり十分に留意をして、しっかりとしたルールをつくらなきゃいけないというふうに思っております。

 これは、従来の国立大学というものに特定するものなのか、それとも、今、公務員改革ということで全般的にいろいろな議論が行われておりますが、そういったことも含めて、私は、そのルールというものがきっちりと確立されるべきだ、言われるような疑義が起こるようなことは避けなきゃいけないというふうに考えているところでございまして、今、公務員改革の議論は国会でも行われております。この新たな法律、我々は閣議で決定をさせていただいて、出させていただいておるわけでありますけれども、これの議論、それから、これはプログラム法でございますから、具体的にまた肉づけをしていくという作業がございますから、そういった議論の中で、しっかりとこれから、これはもう与野党問わず議論をしていただく必要があろうかというふうに思っております。

笠委員 とりわけ大臣は、こうした技術の方の分野に非常に明るい方でございますからおわかりのとおり、国立大学法人の中で、理工系なりの優秀な先生方なんというのは、人材もたくさんおるわけですよね。だから、時にそういった、何かよっぽどの事情があって、大きな、これからいろいろな移転事業を行うんだとかいうときにそういう人材がということも、それはあるかもしれないけれども、ないでしょうけれども、今後、あと学長とか、こういう副学長とか、あるいは理事で、一つの決定権を持っているような立場に、ずっと施設整備にかかわる、その予算にかかわってきた方が再就職なり天下るということは、少なくともまずそのことはやはり望ましくないと私は思います。そして、今おっしゃったような出向、人事交流のあり方についても、ぜひ、これについては抜本的に、今後、再発防止の一環としても、やはり検討していただきたいと思います。

 次に、先般、ちょっと時間がなくてその一部しか取り上げることができなかったんですが、今回の問題で一つあるのは、社団法人の文教施設協会、倉重なる容疑者が、この文教施設協会というのは、柳川覚治さんというかつての参議院議員で、私直接全然存じ上げませんけれども、いろいろ伺うところによると、文部省出身で、文部省、今の文科省に対して大変力があった、いろいろな影響力があったと。この方の秘書という名刺を持って、秘書という肩書でもって、この倉重さんというのが非常にいろいろなところで暗躍をされているという構図が浮き彫りになっています。

 その中でも、この柳川さんが長く会長を務められているこの文教施設協会、たくさんの会社が、年間四万円の会費であるとか二万円の会費であるとか、正会員、賛助会員になっているわけですが、この前私、指摘したんですけれども、この協会自体の仕事すべてを否定するつもりはありません。しかしながら、これは、耐震化のいろいろな問題についての調査等々もやっている。たしかプロパーの職員の方が八人か九人ぐらいですか、それぐらいの中でやっておられるんですけれども、そこにも常々、常任の役員として、この文教施設企画部から専務理事なり常務理事なりの立場で天下りをずっと続けられてきた。今現在もお一人、勝山さんという専務理事が文教施設部長の経験者でいるわけです。

 この文教施設協会に百社以上の会員企業があるわけですけれども、いろいろ、過去五年間にわたって、とりあえず一千万円以上の施設整備にかかわる資料を先般要求をし、出していただきました。相当数の会員企業がやはり受注しているわけですよ、整備にかかわる。それは、かなりの大手のゼネコンさんも含めて学校施設に携わっている企業が会員になっていますから、それは当たり前じゃないかと言われればそうかもしれないけれども、やはりこの協会のあり方として、会費を取って会員にして、そしてその収益で協会を運営していくというやり方自体は改めて、その研究がいいものであるならばそれは税金を使って、そんなに大した金額じゃないですよ、だから、何か、例えば独立行政法人なりの一環の研究部署に持っていくのか、それはさまざまなやり方があると思います。

 そういったことで、この協会のあり方自体、私は見直していただきたいし、そして同時に、この前、もうこれからは、行く人、今はなかなか行き手がいないんだと大臣はおっしゃっていたけれども、もう必ずここには天下りはさせないということを改めて約束をしていただきたいと思います。

渡海国務大臣 協会のあり方について、これは協会がどういうふうに残されるのかということも含めて、今検討させております、させるというのはおかしいですね、これは、していただいております。

 私は、一番の問題は、やはりここに委託契約というものが流れていて、税金が使われていて、ある仕事が行われている、このことと、いわゆる天下りと言われておりますそういう形に関連があるということが、やはりあってはいけないということであろうというふうに思っております。それゆえ、この事業そのものは、果たして文部科学省から出ているこの事業が適切なのかどうかということについては、きっちりと今見直しておりますし、必要なものはやるけれども、必要でないものはやめろという指示も出しております。

 それから、今後、天下りというふうな形で、ここの協会、協会がどういう形になるかという姿を見ないとちょっとこれは断言はできないというふうに今申し上げざるを得ないと思いますが、基本的に今のような形である限りにおいては、そういうことは、天下りというような形に見える、そういう人事というものは行わないということを申し上げたい。まあ、人事と言うのが正しいんですかね、やめられた後の話でありますと、こちらがあっせんするわけではありませんから、これは一概に言えませんが、そういう形は、私は起こり得ないというふうに思っております。

笠委員 それと、これはこの協会関係のことでちょっと確認したいんですが、文教施設協会に、大島容疑者の奥さんが一時、何年か勤務していたということが一部報道で伝えられておりますけれども、このことは事実なのかどうかお答えいただけますか。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 文教施設協会に確認いたしましたところ、大島氏の妻は、平成六年の四月一日から平成九年の三月三十一日までは臨時職員として、また平成九年四月一日から平成十六年三月三十一日までは、いわゆる正式な事務職員として勤務していたというふうに聞いております。

 また、その就職の際のことでございますけれども、それ以前に大島氏の妻が勤務していた国立大学におきまして、本人が当該文教施設協会の求人情報を聞いたということが就職するきっかけになったというふうに聞いておるところでございます。

笠委員 今の最後の、本人はそう言っているのか、文教施設協会がうそついているのかよくわかりませんけれども、求職情報で自分でというのは考えられないですよね。

 恐らく、まず、倉重さんというのがここを舞台にしてやっていて、しかも現役のときですよ、まだ大島さんがまさに施設企画部にいたときに、自分の身内を、妻を、先ほどあった委託事業を含めて、この文科省の所管の法人に就職をさせて、そして給料をもらっていたなんということはあってはならない。そういうのが、内部からいろいろと、中傷というか、おかしいんじゃないかという声もあってやめられたとも伺っておりますけれども。だから、それぐらいある特定のところとはつながっているわけですよ。

 そして、あわせて、この文教施設協会、この会員企業に文部科学省の施設企画部経験者で、正会員の企業に二十三名、賛助会員企業に三名、二十六名の、正会員企業の中では複数属している方がおられますから、二十五社にもこの施設部経験者の方々が天下っているという実態。

 これは先般出していただきましたけれども、いろいろと建築関係中心に、今、平成十三年以来七年間で三十九社ぐらいに、文教施設企画部経験者がいろいろな建設関係等々の企業に天下っている。その中で、二十五社が実は文教施設協会の会員企業であるというのは、この事実一つをとっても、やはり、何か便宜供与を図ってもらうための、あるいはそこに一つのただならぬ関係があるんじゃないかというようなことは、みんな疑いを持つはずですよ。

 ですから、こうした会員企業に、天下るということは、それをどこまで禁止するのかというのは難しい。しかしながら、やはりこの会員制度、会費を取ってということは絶対やめなければならない、私はそのように思います。

 そして、先ほどの今回出していただいた五年間の資料、またこれは改めてすべてを精査して出していきたいと思うんですけれども、私が東北大学というものに先ほど少しこだわったのは、また改めて同僚議員なりが今後東北大学の件については集中して質問させていただく機会があろうかと思いますけれども、この五年間の契約件数というもの、工事件数そして契約金額というものを調べてみると、例えば平成十九年だと百十七億ぐらい、延べ七十三件の工事件数で発注しているわけですね。

 それで、その中で受注企業、この百十七億の契約金額の中の八十二億余り、つまりは七〇%ぐらいがこの会員企業、施設協会の会員企業で占められているわけですよ、金額ベースでいっても。件数でいっても七十三件中二十三件です。そういう傾向がずっと平成十五年から、六六%あるいは八〇%、六〇%、五〇%を超える、あるいは今回、今申し上げましたように七〇%というふうに、東北大学が発注をする工事の、事業の中に占める文教施設協会の会員企業の受注割合が非常に高い。そして、しかもそこには、文教施設企画部の部長経験者が異例な形で副学長として行っている。私は、やはりこれは非常に疑わしい。

 ですから、ぜひ東北大学の件は、私どもも調査をいたしますけれども、やはりこれは文科省としても、しっかりと何が行われていたのかということを調べていただきたいし、また、この件についてはしっかりと追及をしていきたいと思います。

 大臣、今のことを考えても、改めてだけれども、まず、今の会員企業なりへの、これは倉重さんが随分天下りを世話していたというような話もあります、そういうところにはこれから天下りをさせない。あるいは、それが法的に難しいのであれば、この制度そのものを変えていく。この会員制を、先ほど申し上げたように、会員を募って、会費を払わせて、それで運営をしていくというその仕組み自体を変えさせる、この点を改めてもう一度お伺いいたしたいと思います。

渡海国務大臣 前後いたしますが、仕組みに問題があれば変えるのは当然であります。

 ただ、私は、天下りの問題を一くくりで簡単に言うわけにはなかなかいかないと思うんです。私は、これは官僚の皆さんを守るとかそういうことではなくて、公務員制度全体の中でしっかりとしたルールをつくろうということで今議論をしている最中であります。これは個人の責任で申し上げますが、公務員の皆さんの人生設計を考えたときに、ただ単に、例えばやめて民間企業へ就職するということだけをもって、これはいけないというふうにくくるのはなかなか難しい。

 ですから、笠議員がおっしゃるように、例えばある会があって、その会に所属をしていることによって、この場合は公共事業と言うのが正しいんでしょうね、独法といえども税金が出ているわけですから、運営費交付金の中からやられる。こういった事業そのものがそういった癒着構造の中から生み出されるということであれば、これは組織の問題としてしっかりとそういうことが起こらないようにしなければいけないということであろうと思います。

 そして、先ほどの天下りの問題でございますが、これは、従来からも、もちろんこのことによって、いろいろとルールを守ってやっていてもいろいろな事件が起こったということを反省すれば、まだ改革をしなきゃいけないということで、公務員法を今考えているところでありますし、これは、従来からいいますと人事院の承認制度とか公益法人の問題とか、こういったもので今行われているわけなんですよね。ですから、正直、やはり構造的な問題というものを天下りという側面だけではなかなかとらえられないというふうに私は考えております。

 その上に立って、制度上、これは天下りの制度というよりもむしろ公益法人の制度、そして今言われた会費を取って、しかもこれは公益法人として認定されているわけですから、所管官庁として今のやり方がいいかということは、今回の公益法人法で、この法人が十二月以降どういう形になられるかということも含めてしっかりと、我々は監督責任があるのであろうというふうに思っております。

笠委員 時間が参りましたので、この後同僚の田島議員に引き続きこれに関連した質問をお願いしたいと思います。

 私は、また引き続きこの問題は取り上げていきますけれども、やはり、教育の予算、それじゃなくても足りない、使うところはたくさんあるんです。ですから、少なくとも教育にかかわる公共事業について、何か一定の人たちの利益のためにそれが適正に執行されない、あるいは癒着が行われるということについては絶対に許すわけにはいかないと思いますし、そのことは皆さん同じ考えでしょうから、再発防止へ向けて、またさらに、捜査の方は捜査で、調査を、特に国立大学の法人の今の発注を含めたこの契約のあり方等々についても、文科省としてもしっかりと今後対応していただけるようにお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

佐藤委員長 これにて笠浩史君の質疑は終了いたしました。

 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 笠委員に引き続きまして、同じように、今回の文部科学省の汚職事件についてお尋ねをしていきたいと思っております。

 あってはならないこと、そう大臣もお考えのことは、前回の答弁等でもお聞きをいたしました。本当に残念でなりません。文部科学省という神聖なる省の中でこうしたことが恒常的に行われていた。こんなことが二度と起こらないように考えていただきたいというふうにも思いますが、振り返りますと、直近で、平成十七年に防衛施設庁の入札業者選定における癒着事件が起こったことは大変記憶に新しいところであります。あのときになぜ文科省の中ではこうした問題が起こらないかどうか点検がされなかったのだろうか、そんなふうにも思うと大変残念でなりません。

 まず冒頭、この防衛施設庁の癒着事件を受けて、当時文部科学省では何らかの対応をされていたのかどうか、この事実関係をお聞かせいただきたいと思います。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省といたしまして、防衛施設庁等の公共事業をめぐります談合事件を受けまして、文部科学省発注者綱紀保持委員会を設置し、公共調達に係る法令の遵守及び綱紀の保持を図ることとしたところでございます。また同様に、文部科学省関係機関に対しましても説明会を行い、綱紀保持等を要請したところでございます。

 あわせまして、公共工事の入札契約の適正化を促進するという観点から文部科学省が講じました取り組みは、次のようなものがございます。

 まず、一般競争入札の拡大でございます。これは、平成十七年までは七・三億円以上が一般競争入札の対象でありましたが、平成十八年度には二億円以上、それから平成十九年度には一億円以上のものについて一般競争入札を行う。

 それから、総合評価方式の拡大を行っております。それから、指名停止期間の延長とか違約金割合の加算などを行っております。

 また、政府全体として公共調達の競争性、透明性の確保を行う観点から、国立大学法人等に対しまして、これまで随意契約を行ってきた工事につきましても、可能な限り随意契約を行わないように、いわゆる競争入札を導入するよう指導してきたところでございます。

 以上でございます。

田島(一)委員 委員会を設置する、また一般競争の比率を高めていくなどなど、対策をとられたということでありますが、その背景、当時の文教施設企画部長は紛れもなく逮捕された大島容疑者でございます。いろいろとやったというふうに御報告いただいたんですけれども、全然中身の信憑性といいますか、実効性が本当にあったのかどうか。この大島容疑者の逮捕を受けて、本当に非常に軽々しくしか聞こえてはまいりません。その指揮をとらなければならない当の本人が、こうして今回汚職事件の重要人として逮捕されているわけですから、結局、あの防衛施設庁の入札業者選定癒着事件の教訓は生かされなかったとしか受けとめられません。まことに残念であります。

 この際、今回文科省におけるこの汚職事件だけではなく、あの当時の防衛施設庁の教訓が生かされなかったということを考えると、大変根の深さを考えれば、改めて、例えば真相解明を徹底して行うに当たっても、第三者委員会を設置するなど、新たな姿勢、体制で取り組まなければならないというふうに私は考えるわけであります。

 大臣、前向きな姿勢で真相解明に取り組みたいという御答弁でしたけれども、この第三者委員会の設置も含めて、どのような姿勢、体制で臨んでいらっしゃるのか、またこれからどう臨もうとお考えなのか、御答弁をお願いいたします。

渡海国務大臣 これは弁解ではありません。正直に申し上げます。

 この事件の構造というのは少し特殊な構造だと思うんですね。要するに、情報提供というものが直接受注につながったのかということについて、これは警察でも捜査をされているんだと思うんですが、私も設計の仕事をやっておりましたので、当初、どういう構造か、いまだにちょっとよくわからないところが正直あります。

 今、施設部長の方からお答えさせていただいたように、例えば入札という行為にかかわる不正が起こらないように、よく言われる談合行為とか、予定価格がわかってしまって非常に上の方に張りつくとか、そういったことを避けるという、あの防衛省の問題というのはやはり基本的にはそういうことでありますから、水増し請求がなされていたとか、そういうことに対して、そういう防止策というのはちゃんとやれてきたんだろうというふうに思います。

 ただ、田島委員が指摘になったのは、その指揮官がこういうことをやっていたからそれがちゃんとやれていなかったんじゃないかということであろうと思うんですが、これは入札率を見ていただいたら非常に低いわけでございますし、受注にどうつながったのかということは、これは何とも申し上げられませんけれども、そういう意味での防止策というのは得られてきたということは一応御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、今回我々は、この事件が起こりましたときに、まず、きょうお答えをさせていただいている合田総括審議官、これはライン外ということで、通常の仕事に入ってもらったら困るわけですから、私の直属で、とにかく指示下で動いていただくということで、指名をいたしましてこの聞き取り調査というのをやっていただいたわけでございます。

 第三者という話でありますけれども、今まさに第三者たる司直の手によって実は捜査が行われているわけでございます。我々の方が実はお答えに限界があるのは、なかなか確定ができない。それは例えば、聞き取り調査の対象に対して聞くんですけれども、少し記憶があいまいということもありますが、それを確定するために、例えば被疑者との間の整合性といいますか、これも今確認できないわけですね。ですから、一定限限界があるということでどうしてもああいうお答えになるということもどうか御理解をいただきたいと思います。確定した段階ではしっかりと我々も皆さんに報告もいたしますし、何も隠しているわけではないのでありまして、その点は御理解をいただきたいと思います。

 また、当然、それに基づいて何らかの処分が必要であるかどうか、このことについても実は、遅かれ早かれこれは必要になってまいります。しかしこれは、今、国家公務員倫理審査会というのは、ある意味調査権もあるわけでございますし、第三者委員会とは言えないかもしれませんけれども、そういった機能も持っておるわけでございますから、それに加えて第三者委員会をつくるという必要が本当にあるのか。ここのところは、今御指摘ではございますけれども、我々は、これは司直が本当に厳しく今取り調べをしておるわけでございますから、そこにおいてかなり第三者委員会以上の捜査をやっているわけですから、いずれ明らかになってくるものであろうというふうに思っております。

田島(一)委員 内なる改革を進めていくかどうか、その姿勢を私は問うたつもりでありました。

 包み隠さず、できるだけ情報はオープンにしていく、そう大臣も今お答えはいただきましたけれども、私どもも、この一点を取り上げて、それをいつまでも根に持ちたいとか、そういう思いでは全くございません。やはり再発防止に努めるということから、今この事件を通して見え隠れする文部科学省の病巣をしっかりとえぐり出す覚悟があるかどうか、それを社会に、世間にきちっと広くお示しをする姿勢があるかどうかということが、私は第三者委員会を設置するかどうかだと思うんですね。

 捜査の進展は、もちろん今進んでいるわけですから、それが確定しないとその実態がわからない、これは今の事件性からすると当然のことだと思いますが、文科省のその病巣をえぐるという問題からすると、第三者委員会を設置し、みずから襟を正していくという姿勢を大臣みずからが先頭を切って示していただくかどうかという点で、私は大臣にすごく期待をして質問させていただいたんですが、いかがでしょうか。

渡海国務大臣 少し誤解もありました。

 そういう意味では、今再発防止をどういうふうにするかということは、調査の結果を待って、その調査を踏まえた上で最終的な第三者の判断はいただくということを考えております。

田島(一)委員 先ほどの答弁でもお答えの中に引用された、国家公務員制度改革基本法案が先ごろ衆議院に提出をされたところであります。この内容は、1種試験を廃止すること等が盛り込まれておりまして、一見キャリア制度が廃止されるように映っているわけでありますが、残念ながら、新たに総合職試験なるものを設けて、幹部候補育成課程と結びつけて、結局キャリア制度を温存していると言わざるを得ません。

 幹部職員の人事管理については、従前どおり文部科学省が大きく関与していくものだというふうに考えているわけですが、改めて大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 この制度そのものにつきましては、いろいろ我々も、閣内でも議論をさせていただいた経緯は御存じのとおりでございます。

 職員の採用に関しては、これは私の理解でございますが、新たな制度という中で、今プログラム法として設計されておりますのは、基本的には、採用の形態としては、形の上では人事庁が一括して採用するという形になるというふうに承知をいたしております。

 ただ、職員の採用段階でさまざまな希望等も聞いた上で、例えばいろいろな面接等もあるわけでございますから、そういった意味では、例えば文部行政をやりたいという方が文部科学省へ来て面接をやるということは当然あるわけでございますし、この中にはキャリアの方もいっぱいいらっしゃるわけでありますけれども、試験は今でも、外交官は別か、例えば1種なら1種で人事院がやっているわけですね、それで人事院の面接がある、それで霞が関を回られてというのが今の形でありますが、基本的には大きく変わらないと思います。

 今は採用の話でありますから、人事の話は深くはいたしませんが、主に人事庁が果たす役割は、適格性審査といいますか、そういったことをやるというふうに承知をいたしております。詳細につきましては、これからまだ具体的な、プログラム法をさまざまな法律に落としていく段階で制度設計をするということであろうというふうに承知をいたしております。

 変化があるとするならば、日の丸官僚をつくるためにと渡辺大臣はおっしゃっておりますが、人事庁という新たなところが、適格性審査といいますか、そういった意味での審査をするという部分が違うのではないかな、そんなふうに考えております。

田島(一)委員 今回の法案の審議にも大きくかかわってくるんですけれども、今、この霞が関の中でも相当世代間競争と申しますか、相当なあつれきが出てきているやに私も聞き及んでおります。四十代半ばを過ぎたキャリア官僚は今回の天下り規制はぎりぎり逃げられるかもしれない、しかしながら、若い官僚の多くはもう天下り先の確保に奔走している、そして、霞が関の改革は一切放置している幹部官僚に対して怒りとあきれてしまっているような状況というような、こんな世代間の亀裂が広がっているやのうわさも飛び交っております。

 その一方で、今回の法案を通じてキャリア制度が廃止されますと言ったところで、残念なことに幹部になれる方ばかりではありません。今後、例えば文部科学省に残ることをよしとしないという人たちにあっては、これまでと変わりなく、みずから再就職先を確保しておきたいということに結局なってしまうんじゃないかと私は考えるわけであります。

 これから先、今回のこの事件ももちろん踏まえて、文部科学省の退職者の再就職先であるとか、それから再就職先のあり方についてもう一度改めて検討していく覚悟がおありかどうか、大臣の御所見をぜひ聞かせていただきたいと思います。

渡海国務大臣 委員の御指摘でございますが、これは文部科学省がということではないと思うんですね。公務員制度というのは、やはり公務員の皆さんの全般の問題であります。

 やはりこれは制度設計として、上の方と下の方が今例えば亀裂が入っているとまさに田島委員おっしゃったわけですね、そういうことがあってはいけないわけでありますし、私は幹部の皆さんには、この公務員制度改革というのは皆さんには余り関係ないかもしれない、だけれども、将来、皆さんの部下、今いるスタッフがどうすればやりがいを持てるのか、どうすれば生きがいを持てるのかという話を聞かせてくれということをよく申し上げているわけなんですね。

 そういうことを考えたときに、生涯設計というものをどういうように考えられるようにしてあげるのかということを考えることも、やはりいい人材に来ていただく、そしていい仕事をしていただく、それで、先ほどから御指摘をいただいているようなことが起こらないためにも必要なことなんですよ。そういった総合的な視点でやはり物を見なきゃいけないということで、私は常に議論をさせていただいておる。

 天下りだからいけない、天下りという言葉は余りよくないと思いますが、再就職をするときに、いわゆる利益関係があり、癒着があり、そこに、これはおたくの長妻議員がよくおっしゃっているじゃないですか、税金が流れて、そしてそれが無駄遣いの温床につながっているというような、この構造的な問題をしっかりと断ち切ることが大事であって、国家公務員というものを、幹部であるからといって一くくりでくくって、これこれこうでしょう、これはすべてやめましょうというふうに単純に言い切って本当にいいものかというのは、私は必ずしもそうは思っておりません。制度上の改革をしっかりとやっていく、また、やはりルールをしっかりとつくっていくということが大事であって、まさにそのことを今御議論いただいている。

 今どうするかというのは、現行のルールがありますから、その中でしっかりやる。私がこの地位にいる以上、文部科学省から変な天下りはさせないという責任は私にあると思います。これはあると思いますが、やはり公務員改革という意味で考えますと、少し長くなりましたが、そういうこと全体を大いに、これは与党も野党もありませんよ、議論をしていただいて、その中で、やはりいい官僚が、これは民主党は政権をとろうとおっしゃっているんですから、そのときにはやはり働いてもらわなきゃいけないんですから、その方々がしっかりと働いていただけるような、政治主導というのは、政治が何でも決めればいいという、それだけの話じゃないんですね。スタッフもやりがいを持ち、いいアイデアを出すスタッフをそろえるということも非常に大事なわけでありますから、そういうことを考えていただいて、少ししゃべり過ぎましたが、全体像をやはり描いていくというのが大事だと思います。

 しかし、それ以前に、制度上問題のあるところはやはり変えていかなきゃいけない、これが私の基本的な考え方でございます。

田島(一)委員 幹部職員の人事管理というのは、やはり従来どおり省が大きく関与していかなければならない問題です。もちろん公務員制度改革という法案の審議は審議として、これは民主党からもしっかりと問いただしていきたいと思っておりますけれども、やはり大臣が、もうそれこそいつまでいらっしゃるかもわからない話ですよね、あと何十年もこの文科省をずっと背負っていくわけではありませんから。やはりそういった点では、再就職先のあり方、再就職のあり方というものについて、大臣の、今回のこの事件も踏まえながらの再検討の姿勢ということを私はやはり確認をさせていただきたかったところであります。

 何しろ、今回のこの事件をきっかけに、まじめに頑張っている職員が、同じような、とばっちりで世間から白い目で見られているということに対しては、本当に心も痛めております。まじめに頑張る人のためにも、私は一生懸命今回、この事件の究明のために問いただしていきたいというふうにも思っていますので、どうぞ御理解をいただいて、答弁を続けていただきたいと思います。

 さて、今回の事件の問題について、戻らせていただきたいと思います。

 大島容疑者が文教施設企画部長としていらっしゃったのは平成十七年四月から十九年の三月三十一日、その後就任されたのが、国立沼津高等専門学校、沼津高専の校長であります。高専の校長に実は歴代の文教施設部長も随分就任をされていまして、大島容疑者の前の萩原さんを除いて、その前の小田島さん、早野さん、吉澤さん、勝山さんと、みんなこれは高専の校長についていらっしゃるんですね。

 では、実際に今高専が五十五ありますけれども、お伺いをしたところ、宮城高専と仙台電波高専の校長は今兼務ということですから、実質いらっしゃる校長は五十四名であります。もちろん、五十四名ですが、一名、この大島容疑者が逮捕されたことによって校長はもうおりていらっしゃるわけですから、五十三名だったというふうに聞いているわけですが、この五十三名はどういうところから皆さん校長になっていらっしゃるのかなという点に私は非常に関心を持ったわけです。

 普通、公立学校等々においてもそうですが、やはり現場の先生方がきちっとその学校のマネジメント、トップにおつきになられるのが一番スマートな、美しいスタイルだろうというふうに私は考えるわけでありますが、では、実際に国立高等専門学校の教員から校長に登用されているケースはこの五十三名の中で何人いらっしゃるのか、改めて参考人の方から数字を示していただけませんでしょうか。

合田政府参考人 今先生からお話がございましたように、高専五十五校のうち一校が兼務になっておりますので、五十四名ということでございます。それで、沼津高専につきましては、十二日付で大島の後任が就任をしておりまして、今現在五十四名になってございます。

 その五十四名のうち、高専教員出身者は八名という状況になってございます。

田島(一)委員 私が美しいと称した、いわゆる国立高専の教員から校長に登用されている人数が八名、それも一名は大島容疑者の後任ということで上がっているわけですから、それを除くと七名なわけですよね、五月の十二日とおっしゃいましたか、それ以前は。

 つまり、パーセンテージでいっても、わずか一三%程度が高専の教員から校長に就任している。残る八〇%以上は、行政職員であるとか大学教員だとか、いわゆる高専以外から結局校長に就任をされているわけですね。もちろん、大学教員からなられているケースで、専門領域や専門知識等々で必要だという理由もありましょう。しかし、実際に、平成二十年度の高専の校長の一覧を手元にいただきました。その前にどんな仕事についていらっしゃったのか。その前のいろいろな経歴ももちろん参考にしなければならないのかもしれませんが、どう考えても国立高等専門学校の校長としてふさわしい経歴かどうか疑問に思う肩書の方々も大変たくさんいらっしゃるわけであります。

 もちろん、歴史的に見たとしても、先ほど申し上げた歴代文教施設企画部長が、定席のようにして退任後の就任先として国立高専の校長があてがわれていたわけでありますけれども、こうしたことを受けて、やはり相も変わらず、今後、歴代の文教施設部長と同じように、企画部長が高専の校長に退任後つかれることになってしまうのかどうか、私はその点について大変疑問に思うわけであります。

 今回の逮捕劇は、それこそ沼津高専の教員、生徒はもちろんのこと、高専の関係者に対しても大変大きな影響を与えたのではないかというふうに考えるわけでありますが、この点について、もし今のところ考えていらっしゃることがありましたらぜひ聞かせていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

渡海国務大臣 今回の件につきまして、生徒の皆さん、大変ショックを受けられたと思います。もちろん教授の皆さんも大変ショックを受けられたということだろうと思います。そのことは本当に残念なことであるというふうに思います。

 今先生が御指摘の件というのは、確かに、これを見ますと、私も前から、これは何でこんなに多いんだということをよく話をしていたんですが、大学の先生がまず圧倒的に多い。それから、行政職といいますか、これは施設部長も含めてが十三、四人、そして、プロパーといいますか、下から上がってこられた、教授から上がってこられた先生が現時点で八人ということでございます。

 ただ、一つ申し上げたいのは、独立行政法人化したのは十六年だと思いますが、このときには一名しかいらっしゃらなかったんですね。現在八名。これは確実に、今のシステムというのは、高専機構自身が人材をリクルートしてその中から選ぶということで実はやらせております。そこにおいて、要は押しつけがあるかないかということがやはり一番大きな問題になってくるというふうに考えておりまして、そういうことを見ますと、人事交流という形で行われていたいわゆる国立高専時代、国立大学時代、それに比べると随分形は変わってきているということは御理解をいただきたいと思います。

 今後とも、これはやはり高専の校長というのは多少特殊でございまして、いわゆる中等教育の、後期中等教育である高校の要素、それから、いわゆる大学の低学年といいますか、そういった要素も持っておりますし、学校全体のマネジメントということもやらなきゃいけないということを考えますと、どういう人材がいいかということを考えていかなきゃいけないだろうと思いますが、やはり基本的には、教授の先生方が、おれは将来ここの学長になるという志を持って頑張っていただいたらなれるということも大事なことでございますから、そのことも視野に入れて的確な人選が行われるように、高専機構がこれは自主的にやっていることでありますけれども、あらゆる機会を通じて、そういった視野を持つようにということは、我々の方からもしっかりとしたメッセージを送っていきたいというふうに思います。

田島(一)委員 平成十五年から国立高専の機構長が任命をするということになっておることは、私も承知をしております。ただ、本当に押しつけではないのかどうかということも、今回の歴代の文教施設部長の例えばここ十年間で見ても、六人中五人が高専の校長に座っていらっしゃる。それ自体がどうも押しつけではないかなと私たちは疑問を持たざるを得なかったわけであります。いわゆる国立高専機構の方にメッセージを送っていくというふうに大臣今御答弁をいただきましたけれども、果たしてそのメッセージを送る一方で、このような定席の天下りのようにしたポストが今後も温存されていくことをやはり最低限避けなければならないというふうに私も考えております。

 前職の区分という資料もお願いをしてちょうだいいたしました。高専の教員は、今お示しいただいたとおり五十四人中わずか八人でありますが、行政職員はそれを上回る十四人、比率にして二五%、四人に一人は行政職員についていらっしゃった方が国立高専の校長になっていらっしゃいます。大学教員について、専門性があってどうしてもその方でなければならないのだろうというふうに理解をしたとしても、行政職員が高専教員から上がってこられる方よりも多く校長についていらっしゃるということは、やはりどう考えても私は押しつけの人事ではないかというふうに思うわけであります。

 国立高専機構の独自性、各高専のカラーというものを尊重していく上でも、行政職員の校長先生の人数並びに割合を極力ゼロに近づけていく努力をやはりきちっとお示しいただきたいと思うんです。

 かつては一人しかいなかったという数字もお示しいただき、一名から八名までふえたということは、これは確かに八倍ですよね、大きいと思います。でも、果たして、八名にまでふえたからということで満足していいことなのかどうなのか。そこで学ぶ生徒たち、学生たち、そして、同じように、研究を重ね、教育に当たっていらっしゃる教員のモラールにもやはり大きく影響してきている部分でありますから、その独自性、独立性を考えるのであるならば、行政職員の比率というのはやはり極力ゼロにしていくことが大切ではないかというふうに私は思うんですが、もう一度改めてその姿勢、メッセージではない、それ以上のもののお答えをぜひ期待したいと思います。

渡海国務大臣 田島委員、おっしゃる意味はよくわかっているつもりなんです。私は、押しつけはやらないとはっきり申し上げているわけでありますし、ぎりぎり詰めました、正直。これは押しつけていないな、こうじゃないなと。なぜこうなんだということも。

 これはやはり、高専側も、ある意味マネジメントの能力というかそういうものについて非常に期待されているところがありまして、これは、会社と学校は違いますから一概には言えませんけれども、例えば、会社の社長で、メーカーで、技術系からなられていく、最近は多いんですね。私も技術系ですから偉そうに言うんですけれども、多いんです。昔はいなかったんです。大手メーカーの社長はみんなどちらかというと文科系だった。ところが、最近はそれじゃもたないといって技術系が実は入ってきた。これは、あえてメーカーは言いませんが、大手のメーカー、ほとんど、特に例えば重工業系は最近は技術屋さんですよね。

 そういうことを考えても、やはり向こうの求めている人材がそこにあれば、これは押しつけはあってはいけないですけれども、これからもそういう人事は行われるということは私はあってもいいと思います。

 ただ、やはり、中から上がってこられる、それは教授が意欲を持っていただくという意味では非常に大事なことでありますから、そういった視点を大事にするということを高専機構そのものに考えていただきたいということは、これは私の、文部科学大臣のメッセージとして、意見として言いたいということを申し上げているのであって、押しつけということは私の力でやめさせることは可能であります、しかし、向こう側がやはり望んで選びたいと言っているものを外形で縛るというのは、これはいかがなものでしょうか。独立行政法人になって自主的にやろうとされているわけですから、その辺のところは少しやはり柔軟に考えていただいたらいかがかなというふうに考えております。

田島(一)委員 先ほども申し上げたように、行政職員で、きちっと専門性であるとか見識をお持ちで、本当に今高専が抱えている課題を解決するにはどうしても必要だと先方からやはりおっしゃっている部分に対して、とめる必要はないと私も思います。しかし、当たり前のようにして何人か受け入れなければならないみたいなことが、我々の知らないところでそれが恒常化しているんだとするならば、やはりこれは大きな問題だということで御指摘をいたしました。おかしなことはやはりきちっとつぶしていく、正していく、これがやはりトップに立たれる大臣の明確な示していただくべき姿勢だと思うんですね。

 もちろん、行政職員の校長が二五%いるからといって、その方々すべてが押しつけだったかどうか、今の段階ではそれもわかりません。しかし、そういうことがやはり二度とないようにしていただきたいということからの質問でありましたので、この点についてはもうこれで一たん終わらせていただきたいというふうに思います。

 さて、高専校長に文教施設部長が、おやめになられてからつかれたケースは、過去十年の中でも六人中五人だというふうに先ほどもお示しいたしましたが、唯一の例外が、先ほど笠委員も御指摘をされました萩原久和氏、大島容疑者の前の文教施設企画部長でありました。この点については、私も実は笠委員とほぼ同じ質問の通告もさせていただいておりましたけれども、重複する点については割愛をさせていただきながら、加えて、いろいろな、なぜ萩原さんにこだわっているのかの説明等も踏まえて、少し述べさせていただきたいと思います。

 今回の文科省の汚職事件をめぐって、大島容疑者が倉重容疑者から現金約二百二十万円を受け取ったということで、再逮捕もされたところであります。警視庁の方が発表した情報によりますと、受け取った現金は、平成十六年の四月と平成十七年の四月、計二回受け取っているというふうになっておりますが、平成十六年、十七年、その当時の文教施設企画部長はだれだったのかということを改めてひもといてみますと、平成十七年四月は、ちょうどこの容疑者である大島寛容疑者が文教施設企画部長に就任をしたときであり、就任祝いか何かで受け取ったのかもしれないなということが実は想像できるわけでありますが、その前の年、平成十六年の四月、大島容疑者は、当時文教施設企画部の技術参事官でありました。では、その当時の企画部長はだれだったのかといえば、萩原久和氏であります。

 萩原久和氏が部長であり、その部長の目をかいくぐって倉重容疑者から現金を受け取っていたのかどうか、まだこのあたりは明らかになっておりませんが、当時の部長が全く知らなかったのかどうか、この点については大変疑わしき部分が多いなと私も感じますし、もちろん、総括でお調べいただいている合田さんの方でも聞き取り調査をおやりになられて、ゴルフや食事はしたことはないけれども面識はあるということを先ほど答弁でお示しいただいたところでもあります。食事やゴルフをしたら罪は重い、疑わしい、食事やゴルフさえしなければ大丈夫だとはなかなかこれも言いがたい状況でございますね。実際に、これは想像ですよ、大変失礼な言い方ですが、裏では萩原氏がしっかりと熟知をし、その先頭で大島容疑者が倉重容疑者とつながっていたというような疑わしき構造も、当時の上下関係等々からすると、推察して余りある事実でございます。

 また、萩原さんだけが他の、この十年間の歴代部長の高専校長に就任しているのではなく、なぜか東北大の副学長に行っていらっしゃるというのも、これまた大変特殊な事例だというふうに私も受けとめました。施設・キャンパス整備計画の担当を任されての副学長ではありますが、歴代部長の再就任先の歴史を塗りかえるこの事実。

 そして、東北大学副学長に就任をされる前、萩原さんは文教施設企画部長としていらっしゃったわけでありますが、今回逮捕をされて容疑もかかっております五洋建設の受注実績等々も、過去五年間、文科省の方から調べてお示しをいただきましたが、ちょうど平成十六年、平成十六年といいますと萩原さんが文教施設企画部長だった当時でありますが、その当時にしっかりと五洋建設が、東北大学の青葉山一、工学系総合研究棟の新営その他工事という十四億の工事を受注しております。

 特定のJVでありますから五洋建設以外にもあるわけでありますけれども、しっかりとこのような受注契約もあり、そして、その翌年四月からは東北大学の副学長についていらっしゃる。余りにも結びつきやすい、我々素人であったとしても、なぜこれだけ東北大学に絡むような事件が今回の汚職事件を通して浮き彫りになってくるんだろうかと疑問を持たざるを得ません。

 先ほど合田審議官の方から、東北大学の方にも聞き取り調査をやったというふうにありましたが、どのような内容についてお尋ねになられたのか、そしてまたどのような回答が出てきたのか、お示しできる範囲でお答えいただけないでしょうか。

合田政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、詳細は控えさせていただきたいと存じますけれども、聞き取りをいたしましたのは、倉重容疑者の出入りに関しまして、倉重容疑者が施設関係部署に出入りをしていたかどうか、出入りをしていたといったような場合には、その時期でございますとか態様といったようなことについて聞き取りをいたしております。その中で、倉重容疑者の出入りがあったという回答があったということでございます。

田島(一)委員 倉重容疑者の出入り等々について尋ねたということは、つまり、今回の事件をもとにした聞き取り調査ということで、それ以外の文科省での汚職事件に発展するかもしれないというような点についてはお尋ねになられているのかどうか、調査をされているのかどうか、お答えください。

合田政府参考人 私どもの役割の範囲が、今回の事件の事実関係の確認及び再発防止策の検討ということでございますので、その事実関係の確認及び再発防止策を検討するために必要な事実関係について調査を行っているということでございます。

田島(一)委員 私が先ほどから申し上げたように、逮捕された大島容疑者だけではなく、その前の施設企画部長である萩原さん自体も、大島さん以上に大変疑わしい事実がいっぱい浮き彫りになってきているわけでありますが、副学長にまで就任をされた萩原氏について、東北大学サイドに何か調査を依頼されたり聞き取りされたことはありますか。もしなければ、今後その点についても調べようという気持ちはおありかどうか、お聞かせください。

合田政府参考人 先ほど申し上げましたようなことでございますので、特に萩原元部長に特定をした形で調査を実施しているわけではございませんけれども、今回の事件の調査を進めていく中で、必要な範囲で調査を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

田島(一)委員 もう既に答弁があったかもしれませんが、私、聞き漏らしたので、改めてちょっとお伺いしたいんですが、これまで、文科省を退職された部局長以上の職員の方々で、国立大学の学長だとか副学長に天下り、就任されたケースというのはたしかほかにないというふうに聞いたと思うんですが、もう一度改めて聞かせていただきたいと思います。

 国立大学の学長や副学長に就任されているケースは何人あるのか、そのうち、この萩原さんと同じように、施設マネジメントアドバイザー、施設・キャンパス整備計画等々を担当するケースというのは何人いらっしゃるのか、お示しをいただきたいと思います。

合田政府参考人 平成二十年五月一日現在で申し上げますと、文部科学省で局長を経験して学長に就任をしている者が一名、それから、旧文部省の審議官で副学長に就任している者が一名。局長、審議官、部長を離職した者で今現在学長、副学長をしている者はこの二名でございます。(田島(一)委員「計画担当は」と呼ぶ)

 施設部長経験者で、今現在学長、副学長に就任している者はおりません。

 それから、先ほど申し上げましたが、萩原元部長のような形で副学長にその後就任をしているというケースは、これは、平成十六年に国立大学が法人化になりまして、国立大学の組織機構が改まりまして、理事という、副学長等が各大学に一般的に広く置かれるようになった、そういったような事情もあろうかというふうに思いますけれども、それまではそういうケースはなかったということでございます。

田島(一)委員 同じような事件が二度と起こらないように、再発を防止するために、歴代の文教施設企画部長も含め、技術系のこうした官僚の皆さんが退任後どのようなポストにおつきになられるのか、それによってまた新たな、大学と文科省、また政官業の癒着に発展をしていくことはないだろうかと予防線を張るためにも、調べていくことは一定の意義があるのではないかというふうに私は思っております。

 今お示しいただいた方々の個人名まで聞くつもりもありませんし、学校名まで聞くつもりもありません。ただ、どのような目的で、どのような趣旨を持って御就任をされているのか等々については、また改めて私どもも調べていきたいと思いますし、同じような事件が二度と起こらないためにという前提でぜひ御協力をいただきたい、そのことだけお願いをしておきたいと思います。

 時間も参りましたが、最後に、今回のこの事件を見ますと、長年の文教施設企画部における恒常的な事犯として私は受けとめさせていただきました。退任後の就職先についてもしかりです。そしてまた、今話があったような事件の背景との密接なつながり等々についても、過去にいろいろとありながら、それが生かされてこなかった。ましてや、平成十七年の防衛施設庁の事件も、一定の目に見える形での対策、対応をされたようでありますが、その当時に同じような事件がやはりもうスタートをしていたという点では、もう一度仕切り直しをして大改革をしていかないと、文部科学省も立ち直れないのではないかとさえ私は思っています。

 その背景は一体何が原因なんだろうかということを改めて私自身考えさせていただきましたが、やはりその大きな理由は、文科省の中での人事管理の二本立てが大きな問題ではないかというふうに考えました。

 文官と技官という、抽象的な例えかもしれませんけれども、文科省にとどまらない、他の省庁でもよくあるケースでありますが、文官と技官との対立が、結果的に、お互いの人事管理には口を挟まない、不祥事があったとしても、それはおたくできちっとやってくださいよというような常識がこれまで蔓延していたのではないか、そのことによって問題がここまで大きく広がってきたのではないかと私は考えるわけであります。

 こうした文官と技官の人事管理が別建てになっていること、また、お互いの人事には口出しをしない、介入しないというおかしなこの制度をやはり改めていかないと、もうどうしようもないと思うんですが、大臣、その点について、相当いろいろな情報もお聞きだと思いますが、そのことも踏まえて、ぜひお答えをいただきたいと思います。

渡海国務大臣 以前、硬直的な人事といいますか、施設部が旧文部省ではかなり特殊な存在、要するに技術屋さんの集団という形はあったことは事実であります。しかし、やはりそれではいけないということで、特に、今、御案内のように科学技術庁が一緒になりましたから、技官というのはいっぱいいるんですね、文部科学省の中には。それも含めて、人事交流というのは非常に流動化をいたしております。

 私が親しくしていた皆さんが、あなた今こんなところにいるのか、あなたは科学技術庁だったと思ったのに、今高等教育をやっているのか、こういうことも今起こっているわけでありまして、そういった意味も含めて、全体でやはり人事が固定化しないでしっかりやるということは、今回のことが起こったことの一つの反省でもあろうというふうに思います。これは組織に起因する部分。

 あと、個人の倫理というものをもっと徹底したいというふうに思っておりますし、それから、やはり制度の問題ですね。今回の問題はまだちょっとよくわからない。冒頭申し上げましたが、要は、情報を流すということです。例えば、あそこが今度建て直すよということがどれほど役に立つのかというのは、私も、業界とは言いませんが、設計事務所にいまして、それが本当にどの程度役に立つのかなというのは正直よくわからないところはあるんですが、そういうことが全体の、一つの中で、例えば施設協会を通じて談合的体質がもしあったとするならば、それは断固、制度の問題として改革をしていかなきゃいけないことでありますから、そういった観点も含め、今は人事の御質問でございますが、人事が大いに今後流動化して、固定化しないということが大事であろうというふうに考えております。

田島(一)委員 事前の情報がどれほど役に立つかどうかわからないと今大臣はおっしゃいましたけれども、やはりその情報が役に立つから多くの業者がこの文教施設協会に群がってきているわけで、倉重容疑者にお金を払って情報を手に入れていたんでしょう。でなければ、あり得るはずがない事件がこうして起こったわけですね。疑問に思われる、これはもう大臣個人のお考えだというふうに思いますが、しかし、実際に起こった事件の背景には、そういった文教施設協会のあり方等々も含めた、メスを入れなければならない問題点がやはり出てきたわけであります。

 事件は事件として、文科省は文科省として、それぞれの立場でこれからもまだまだやらなければいけないことがたくさんあるわけですから、どうぞその点については、もう一度襟を正し、省一体となって、人事の壁もしっかりと取り払っていけるような、独立王国のような形で文教施設企画部を独立させてしまうようなことのないような、ぜひきめの細かい施策を心からお願いを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。

佐藤委員長 以上で田島一成君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 元文部科学省の文教施設企画部長であった大島寛氏が、四月二十四日、再逮捕されました。文科省にとって重大な不祥事であります。

 この件で、先日、理事会で文科省から説明がございました。それによれば、「国立大学法人等が発注する文教施設の整備事業について、有利便宜な取り計らいを受けた謝礼及び以後も同様に有利便宜な取り計らいを受けたい趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、平成十六年四月上旬ころ及び同十七年四月上旬ころ、数度にわたり、合計現金数百万円の供与を受け、もって自己の職務に関して賄賂を収受したものである。」ということでした。これは警視庁からの情報ということで説明がございました。

 それで、警察庁にまずお聞きします。

 一つは、有利便宜な取り計らいとは具体的にどのような取り計らいを受けたのか。二つ目には、数度にわたって現金の供与を受け取ったということですが、何回、いつ受け取ったんですか。三つ目には、合計数百万円というが、これは合計二百二十万円でいいのかどうか。それから最後に、自宅で受け取ったのかどうか、受け取り場所について。この四点について御報告いただきたい。

小野政府参考人 お答えを申し上げたいと思います。

 議員お尋ねの件は、文部科学省の前の文教施設企画部長を四月二十四日に再逮捕しております。その件についてのお尋ねだと思います。

 この件につきましては、まずどういう便宜かということでございますが、国立大学等の施設整備予定事業の一覧表を提供するということで有利便宜な取り計らいをした。その謝礼として、自宅等におきまして、平成十六年四月上旬ころ現金百万円、平成十七年四月上旬ころ現金百万円、平成十七年同じく四月上旬ころ現金二十万円の計三回、合計いたしますと二百二十万円の賄賂を収受したというふうに御理解いただきたいと思います。

石井(郁)委員 今の御答弁のとおり、大島容疑者は、文教施設企画部技術参事官であった平成十六年の四月上旬、そして文教施設企画部長であった平成十七年の四月上旬に二回、そして平成十八年の四月上旬と、ペンタビルダーズ顧問であった倉重裕一氏から毎年、これは十六、十七、十八、賄賂を受け取っていたということになりますね。平成十八年の受け取り場所というのはさいたま市の自宅ということですから、自宅に招いて現金を受け取るというのは極めて悪質だと言わなければなりません。報道によれば、そのほかにもゴルフ接待も受けております。

 ペンタビルダーズの親会社であり倉重容疑者が勤めていた五洋建設は、平成十五年にも東北大学、金沢大学、京都大学の三大学、十六億五千二百二十五万円の工事を受注しています。これらの情報は大体半年前に渡されているというふうに言われているわけですが、当然これらの工事についても大島容疑者は賄賂を受け取っていたのではないか。いかがですか。また、十五年にも賄賂を受け取っていたのではないか。こうしたことを視野に入れて捜査をしているのかどうか、これも警察庁に伺いたいと思います。

小野政府参考人 私ども、捜査いたしました事実につきましては、先ほど四月四日に逮捕した件と、四月二十四日に再逮捕した件でございます。それ以外についてはどうかということにつきましては、まことに申しわけございませんが、個別具体的なそういうものに関しましては、捜査をしているか否かを含めまして、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

 もちろん、一般論として申し上げるわけでございますが、警察は、刑事事件として取り上げるべきものがありますれば、法と証拠に基づきまして厳正に対処してまいるというふうに考えております。

石井(郁)委員 警察庁としてはそういうお立場かなというふうに思いますけれども、この国立大学の施設発注をめぐる汚職事件について、文科省にも調査チームが設置されました。これは四月七日ですから、一カ月以上たつわけですね。大臣は、四月十五日の記者会見におきまして、次のように述べていらっしゃいます。現在、五洋建設及びペンタビルダーズ株式会社が工事を受注した国立大学法人等について、その過程に問題がなかったか等についても調査していまして、今週半ばくらいには一定の状況が把握できると思っています。これは会見でございます。

 もう五月半ばでございます。五洋建設、ペンタビルダーズの受注した工事に問題があったのかなかったのか、また、平成十五年度の五洋建設の工事でも便宜を図っていたのではないか、このことは御報告いただけますか。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省におきまして、このたびの事件を受けまして、五洋建設及びペンタビルダーズ社が過去五年間に施設整備工事を受注した国立大学法人等につきまして、入札契約方法、契約金額、それから落札率等の入札契約の状況を個々に調査を行ったところでございます。

 その結果でございますが、まず一つ目として、落札率につきまして、競争入札を実施したものにつきましては、全般的に必ずしも高くない。具体的に申し上げますと、ペンタビルダーズ社の受注事業の平均の落札率は八二・三%でございます。それから、五洋建設の平均の落札率は九二・二%でございます。

 二つ目としましては、指名競争を行ったものにつきまして、指名理由があるわけでございますけれども、これは工事規模あるいは工事の内容に即して業者の等級あるいは地理的条件等から選定しており、その点において特に異常というようなことはうかがえなかったということ。

 それから、三つ目でございますけれども、随意契約を行ったものにつきましては、随意契約には理由が必要なわけでございますけれども、一つには継続工事、専門用語で言うと後工事という理由が一つあります。それから、特殊な改修工事であったというようなことで、それぞれ合理的な理由があるというようなこと。

 以上のようなことから判断する限りにおきましては、おのおのの工事において不正があったというふうにはなかなか断言しづらいということでございます。

 しかしながら、業者の不正な行為につきましては、入札契約の状況だけから判断するというのはなかなか難しいことでございますので、引き続き捜査当局の捜査の推移を注視してまいりたいと考えておるところでございます。

石井(郁)委員 本当にどんな調査をしているのかということが疑わしいわけですけれども。

 大島容疑者は、文教施設企画部の技術参事官時代にも賄賂が渡っていたわけでしょう。ですから、そうなると、その上司である大島容疑者の前の部長とのかかわりも疑われるわけでありまして、これはさきの委員からも質問がございました。OBについても八名調査をしていると記者会見で述べていらしたわけですね。

 そこで、再度伺いますが、大島容疑者の前任者も調査の対象にしているということでよろしいのかどうか。また、事情聴取を行っているのかどうか。また、行っているのならばその内容もお聞かせいただきたいと思います。

合田政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたが、文教施設部長、文教施設企画部長OB及び文教施設部の技術参事官OBにつきまして聞き取り調査をやってございます。今お話しになった八名の後、さらに三名を加えまして、十一名から聞き取り調査をしてございます。

 その聞き取り調査は、倉重容疑者との面識の程度や、あるいはゴルフ、会食の有無等について行っているということでございまして、この中には大島前部長の前任者でございます文教施設企画部長も含まれてございます。その結果、ゴルフ、会食等で一緒になったことがあるという者がいたという結果が得られております。

石井(郁)委員 私、この問題はやはり非常に重要なことを含んでいるというので聞いているわけでございまして、大島容疑者一人の問題なのかどうかということが問われているわけですね。歴代このようなことが文教施設部を中心に行われてきたんじゃないかということで、構造的なものかどうかを知る手がかりとして解明されなきゃいけないというふうに考えております。

 大臣の記者会見にまた戻りますけれども、この四月十五日の会見では、またOBについては、文教施設部長または文教施設企画部長及び技術参事官のOBを聞き取りの範囲として行ったわけですが、その中に倉重容疑者と面識のある方がいる、今御答弁あったわけですが、その中には、先ほど同様、ゴルフや会合の際に倉重容疑者と一緒になったことがあるとする者も若干いたわけです、さらに詳しい事情について引き続き調査をするということを述べていらっしゃるわけですね。

 具体的にOBでゴルフ接待を受けていた人はどなたなのか、また飲食などの接待を受けた方々はどなたか、金品を受け取った人がいたのかどうかということについても、やはりきちんと調査結果を御報告いただきたいと思います。

合田政府参考人 御指摘の点につきましては、先ほど申し上げましたように、ゴルフや会合の際に倉重容疑者と一緒になったことがあるとする者もいるということでございますけれども、必ずしも明確な記憶でない者もいるということでございまして、さらに詳しい事情について引き続き調査を行っているところでございます。

 現時点では、まだ捜査が継続している最中でもあるということで、これ以上の詳細については差し控えたいと存じますけれども、いずれきちんとした形で御報告をさせていただきたいと存じております。

石井(郁)委員 これまで、審議官級以上で三十二人、文教施設企画部以外の課長以上が七十四人、文教施設企画部の課長補佐級以上に聞き取りをしたその対象者三十二名ということなんですね。そのうち、倉重容疑者からゴルフの接待を受けていた者、金品の授受を受けていた者、それぞれ何人だったか、個別名はあれとしても、それぞれ何人いたのかということぐらいは私は報告していただきたい、またできるんじゃないかというふうに思います。何しろ調査チームを立ち上げてから一カ月以上たっているんですから、これはもう早いうちにこういう調査は済ませるべきことではありませんか。

合田政府参考人 文教施設企画部の課長補佐級以上の聞き取りの中で、ゴルフあるいは会合の際に倉重容疑者と一緒になったことがあるとする者の数等につきましては、現在調査中でございますので断定的なことは申し上げられませんけれども、これまでの聞き取りの範囲内では四、五人ということでございます。

 ただ、これ以上のことにつきましては、警察による捜査に支障を及ぼすおそれもあると考えられますことから、現時点ではこれ以上詳しく申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じております。よろしくお願いいたします。

石井(郁)委員 私は、ゴルフ接待を受けた人は何人か、金品の授受を受けた方は何人なのかということはもう当然把握されているんじゃないかというふうに思って質問したわけでございまして、調査中ということで答弁をされないというのは、私は極めて遺憾だというふうに思うんですね。もう一カ月以上たっているわけですから、これは基本的な事実の確認ということでありまして、やはりこれでは調査をしているのかどうかも疑われると言わざるを得ません。その点、どうなんですか、本当に。

渡海国務大臣 今、チームリーダーが四、五人と申し上げましたのは、実は、そうはいいましても、記憶に頼った部分もあるわけなんですね。それを確定するためには、別の事実、例えば被疑者から話を聞いて、整合性があってというような形をとらない限り、それ以上なかなか進みようがないというのは、これは、そういう事情もあるということは御理解をいただきたい。我々は捜査機関ではありませんから、すべてを確定するときに、ある程度全体の事実を把握した上で、そして、例えば複数の人の証言によってやるとか、そういうことをするにも、一方の方は今逮捕されているわけですから、その辺の限界があるのだということを御理解いただきたい。

 四、五人と言っておりますのは、それは、記憶が定かじゃないというのは、本当に現実にあるんですよ、あるんです。先生、同じような世代ですから、例えば三、四年前のことで、あのときにいたかなというのは、これは日常茶飯事、あると思うんです。私はあります、少なくとも。ですから、そういうことも含めてそういうお答えをさせていただいている。

 そして、具体的な中身等については、今捜査中でもございますから、我々の方としては、できるだけ出せるものは出しておりますので、そこは御理解をいただきたい。要するに、時間がたったからといって、あるところ以上はなかなか進んでいない、そういう意味では。そこはやはり御理解をいただかないと。

 ただ、我々は何も隠すつもりもありませんし、今、口裏合わせをしているつもりはありませんし、しっかりとその後の事実をつかんで、そして、近い将来にはその確定したものをこういうことでしたということはお出しできるということを申し上げているということを御理解いただきたいというふうに思います。

石井(郁)委員 国家公務員の倫理法によれば、第六条では、贈与等があれば届け出が決められていますね。ですから、金品の授受を受けたとか贈与を受けたとかということについては、国家公務員はやはり非常に厳しく対処しなきゃいけない話でありまして、私は、決してあらゆる記憶のうちの一つで済まないんだと思うんですよ。あいまいな記憶にされては困るわけですよ。

 そういう意味で、文科省内できちっとした調査をされる、そして報告されるということを急ぐべきだと思うんですね。それが、何か記憶があいまいですなんてことで終わらされたら、それはまさに疑惑隠しをしているんじゃないかと言わざるを得ませんよ。

 だから、もう本当に、そういう問題だということを私はちょっと厳しく指摘させていただきたいと思います。ぜひ早くその事実関係、事実を調査チームとして明らかにすべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 次の問題なんですけれども、倉重容疑者は、文教施設協会の会長であった故柳川覚治氏の秘書として、工事の配分などとともに天下りのあっせんをしていたという報道があるわけですね。

 先日、これは文部科学省から私のところにいただいたんですけれども、文教施設部関係者が文教施設協会に八名、そして文教施設協会の会員団体には二十名、賛助団体に三名、計三十一名が天下りをしていたという資料をいただきました。

 まず、これで間違いがないかどうか、確認をさせていただきます。

合田政府参考人 私どもで把握をしております限りでは、平成十三年から平成十九年までの間に文教施設企画部経験者のうち文教施設協会の会員企業に再就職した者は二十六名というふうに把握をしております。

石井(郁)委員 何か私がいただいた資料では三十一名なんですが、人数が少なくなっておりますけれども、その真偽は後でただすといたしまして、しかし、私どもの調べによりますと、もう三十一名をはるかに超えた天下りをしているんですね。

 実態をちょっと申し上げたいと思うんです。

 これは、文施OB会の会員名簿というものですね。文施というのは、ちょっと普通使わない略語、文教施設部の文施なんですね。OBの会員名簿です。平成十六年度のものなんですけれども、この中には、例えば企業、株式会社教育施設研究所というのがあって、その取締役社長新田悟というふうにあります。それは、その中に括弧して文施OB会会員ということをちゃんと書いてあります。

 つまり、文教施設協会の会員団体、賛助団体、専門団体ということで照合していきますと、このような数字になります。会員団体百二十八企業中、天下りしているのは七十四企業で七十四名以上ですね。賛助団体二十九企業中、天下りしている企業は十一企業で十二名。専門団体への天下りはゼロなんですが、八十五企業八十六名以上に全体として上るわけなんです。わかっただけでもこれだけです。先ほどの文教施設協会に天下った方八名を加えますと、何と九十四名に上るわけですね。これは膨大な数の天下りではないでしょうか。

 これはこの名簿で明らかでありますし、これが事実なのではありませんか。もう一度答弁してください。

合田政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、私どもで把握をしている限りでは、平成十三年から平成十九年までの間に文教施設部ないし文教施設企画部経験者のうち文教施設協会の会員企業に再就職した者は、二十六名である。私どもが把握しているのはそこまででございます。

石井(郁)委員 これは、今問答してもしようがありませんから、きちんと精査をしていただきたいというふうに思います。

 さらに、一昨日、これはようやくなんですが、文科省から、文教施設協会の会員団体及び賛助会員団体、専門団体が受注した本省及び国立文教施設、国立大学と高等専門学校、その契約状況、それから一千万円以上についての資料などをいただきました。

 私は五年分ぜひ作業上欲しかったんですけれども、十九年度分と十八年度分しか出されませんでしたが、それを見ても、平成十九年度、文教施設協会の会員企業及び賛助企業が受注した件数というのは三百三十八件です。額にしますと千三百三十三億七千二百万円の受注なんですね。これは、金額でいいますと全体の五一%を占めています。そのうち文部科学省からの天下りした企業の受注は二百六十五件、件数で七八・四%に上っています。

 また平成十八年度では、文教施設協会会員企業及び賛助企業が受注しているのは三百二件、九百十三億六千五十万円です。金額でいうと五四・九%と、半数以上を占めているわけです。そのうち二百四十七件が文部科学省からの天下り企業に集中しているわけですね。これも件数でいうと八一・七%です。だから、異常に高いと言わなければなりません。

 だから、結局、文科省から天下りしている企業にいわば集中しているわけです。まさにこの文施OB会会員企業に集中しているということではありませんか。これは、文教施設費が天下り官僚にいわば牛耳られている、支配されているということになっています。

 こういう実態について、これはぜひ大臣の御所見を伺いたいと思います。いかがですか。

舌津政府参考人 計数的なことでございますけれども、先生がお持ちの数字とちょっと違うかもしれませんが、文教施設協会会員企業による本省及び国立大学施設関係の受注実績でございますけれども、過去二年間の一千万円以上の工事の受注実績は、十八年度が三百二件、八百六十二億強、それから平成十九年度が三百三十八件で、千三百十三億弱ということでございます。

 これは合計で六百四十件で、二千百七十四億円余りでございまして、これらの二年間の、いわゆる文部科学省と国立大学全体の件数を分母にして、いわゆる会員企業が受注した件数の割合は約一九・三%でございます。金額割合でいえば、先ほどの五一・一%でございますけれども、件数の割に受注金額の方が多いのは、会員企業というのが、いわゆる大型工事を受注する上位企業といいますか、そういうような企業がほとんど、ほとんどではないですけれども多いわけで、合計をすると金額の方がどうしても大きくなるということでございます。

石井(郁)委員 大臣に後で総括的に伺いたいと思いますので、ちょっと時間の関係で先へ進みますが、今の御答弁を聞いても、これは受注の金額の高さがやはり問題なんですから、これだけの、五割を超す金額で特定の企業が受注している。ここがやはり大問題なので、全体の分母からして比率が少ない、そんな話では決してないと思うんです。

 それはおいておきまして、やはり問題は、こういう天下った元官僚が営業の先頭に立っているという問題なんです。それで、大学に工事の発注依頼をやはり行っているわけですよ。各大学に工事の発注依頼を行っていると。

 私、ここに一枚、あいさつ状を持ってまいりました。ある大学に、天下った方のあいさつ状なんです、ここに来ましたというあいさつ状。それから、ここには名刺の束なんですが、これだけの名刺が大学に配られている。これは、企業の役職名がついた、天下った官僚の名刺です。

 このあいさつ状は、ちょっと個人名は○○として言いますけれども、前国立大学法人○○国立大学施設部長何々氏を弊社理事・常勤顧問として迎えて社業の拡充発展を図ることにいたしました。この方が来たことが社業の拡充発展になると。これはその会社の社長名で出されて、そして、それとあわせて一枚のあいさつに、その就任した方が、私はこのたび○○大学を退職してこの会社に入社いたしましたというあいさつ状なんですよ。こういうものになっているんです、構造として。

 それから、この名刺なんですけれども、これは、ある大学の施設部の関係者が一連のこの間の文科省の汚職問題で義憤を感じて私どものところに寄せていただいたものです。集めたらこれだけのものになりましたと。これは一、二年の間です。これは、新年のあいさつ、季節のあいさつなど足しげく訪れて、発注を迫っているわけです、我が社に下さいということを。これは、数えたらざっと五百枚なんですね。その中には、今問題となっている五洋建設の営業部長の名刺が節目節目にありまして、これは五枚にも上っております。

 どうでしょうか。こういう結果が、五洋建設、そのほかのさきの受注実績につながっていくわけですよ。だから、文教施設部から文部科学省の施設関係を受注する関連企業に天下るようなことはやはり行ってはならないんじゃありませんか。やはり癒着関係構造をつくってしまうわけですから、そういう意味で、私は、この問題で、さきの質問とあわせて、ぜひ大臣の御答弁をいただきたいと思います。

渡海国務大臣 先ほどの数字につきましては、ちょっと私も勉強させてください、まだ十分に確信を持ってお答えをする自信がございませんから。一般的に、例えば、いろいろな営業がなされるわけでございまして、そのことがどういうふうに受注に結びつくのか、またどういうふうに有利に働くのかということについても、少し分析をしなければいけないと思っております。

 ただ、言えますことは、一番大切なことは、大学が発注するときに、透明性の高い適正な発注が行われるということが大事でございます。これは一般競争入札でございますから、営業をやっていればそれでとれるということではないと思いますので、そういうことがちゃんと担保されているか、また公平に、変な力が働いて物が行われていないか、公平に発注する一つの方法が実は随意契約をやめて一般競争入札をやるという方法であろうとは思いますけれども、そういったあたりについても、今の発注のあり方に問題がないかという問題意識を持って再度点検をしてみたいというふうに考えております。

石井(郁)委員 時間が来ましたので、もうまとめます。

 先ほど来、調査についても何か進展が見られないという点でいえば、私は、今回の事件は本当に文科省として真剣に受けとめているのかということで、厳しく指摘をしなきゃいけないというふうに思います。文教施設費、まさに税金を官僚は密室の中で支配してきたんですよ。そして、参議院の私設秘書という方がそういう官僚とやはり癒着を強める、また企業に天下った官僚がいわば個人的にというか私腹も肥やすというような構造になっているわけですね。国立大学機関、そして文科省からの出向、そして企業に天下り、一連のこういう問題についてもやはりきちんと透明にすべきだというふうに思いますし、こういう今の事態というのは絶対許すわけにいきませんので、今後とも引き続き追及をするということを申し上げて、質問を終わります。

 以上です。

渡海国務大臣 石井先生、御説明を申し上げているのですよ。真剣にやっていないという言葉だけは取り消していただきたいと思います。

 我々、今まだ現在の段階では限界があるんです。それは確認のしようがない事実があるわけですから、そこのところはやはり御理解をいただきたい。真剣にやっておりますので、そう御理解をいただきたいと思います。

佐藤委員長 以上で石井郁子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社会民主党の保坂展人です。

 きょうは、渡海大臣に、三月十九日のこの委員会で、中国・昆明で二年前に日体大の水泳部員だった宮嶋武広さんの、当時二十でしたが、トレーニング中に亡くなってしまったということについて、さらにちょっとお聞きをしていきたいと思います。

 このやりとりでは、文科省の樋口局長からは、全日本千五百メートルの自由形で二位と立派な成績を残されて、将来の北京オリンピック出場が期待されていたというふうに故人の紹介がなされ、大臣からも、大変有望な選手が亡くなったということを残念に思いますというお話をいただきました。

 きょうは、傍聴席にその宮嶋選手のお父様がおいでになっているということでございます。ぜひ、悲劇が再び繰り返されないように、大臣にも受けとめていただきたいというふうに思います。

 まず、文科省に伺います。

 これは、学校法人としての日本体育大学から、事故の後に、御遺族に補償あるいは見舞金などを支払った事実はあるのかどうか。

磯田政府参考人 保護者会より日本体育大学学友会に見舞金が支払われまして、その見舞金によりまして、御両親の渡航費用等九百五十三万三千円が支払われ、差額四十六万七千円が学友会から保護者会に返還されているというのが支払われている金額の状況でございます。これは、今申し上げましたように、学友会が支払ったものでございます。

保坂(展)委員 学友会というのは、保護者会からのお金をそのまま使って支払ったということであります。ですから、いわば保護者会からのお金は出たと。

 きょう資料でお配りをしていますけれども、これは保護者会の会計の書類ですが、確かに、ちょっと印をつけたところに、一千万という支出がなされています。しかし、右側の予算を見ると、そもそもこの保護者会では弔慰金は予算額五十万円ほどで、一千万円支払われるというのは非常に異例なことである。そして、その費用は、今私学部長が答弁されたように、いわゆる実費精算に使われた。葬儀の費用が約六百万円、それから中国の昆明に御両親とともに行く、そして遺体を搬送してくる、そういう費用と、見舞金が百万円だったという事実であります。

 そうなると、もう一つ、資料の二ページ目をめくっていただくと、これは保険のパンフレットが出てまいります。これは学生教育研究災害傷害保険、略称学研災といって、左側の下には文科省の村田学生支援課長のあいさつ文、これはことしの三月ですから新しいものですね。二百万人以上の大学生や短大生がいわば文科省のお墨つきで大学ごと、丸ごと入っているという、団体保険の形をとっています。これらは、右側の図にあるように、日本国際教育支援協会、ここが丸ごと扱う形になっていて、日体大の宮嶋選手の場合にも、これには当然入っていたということであります。

 さて、もう一ページめくっていただくと、これは、文科省にお願いをして、この国際教育支援協会から、二〇〇五年と二〇〇六年の二年間の学生さんの亡くなったケースに対する支払い実績というものを出していただきました。列車事故などで亡くなっていたり、交通事故も多いんですが、この中で、二〇〇五年の六番は、部の課外活動先のキャンプ場にある海で遊泳中に溺死。十二番、部の練習中、休憩しようと誤って濠に転落し死亡。十八番、部活動合宿先の宿泊施設の階段上部から転落死。右側にも、二〇〇六年、二番、サークル活動の練習場所に向かう途中、建物から落雪により死亡。九番、部活動中、川で溺死など、部活動中の死亡に対して支払いがされております。

 ただ、金額は六百万だったり一千万だったりするんですが、どうもAコースとBコースが存在をしていて、それぞれ満額は一千万と六百万だというふうに、保険のフレームがそういうふうになっているそうです。

 そこで文科省に伺いますが、この国際教育支援協会が提出をされた学生の死亡事例による保険給付、これは満額されているのかどうか、お願いします。

磯田政府参考人 委員御指摘の三枚目の資料の六番、十二番、十八番、それから右側の二番、九番につきましては、それぞれ規定どおりの金額が支払われているということでございます。

保坂(展)委員 ところが、宮嶋選手の場合は、Aコース、一千万円満額のものに入っていたんですが、結果として三百万円しか支払われていない。

 しかも、また不思議なことに、この問題、文科委員会で三月にやりまして、その後、二度ほど法務委員会でも取り上げております。その法務委員会の一回目のやりとりでは、文科省の方は、日体大から聞いたこととして、大学との折衝の結果、御両親に対して、保険金ではなく、ここが重要なんですが、三百万円の支払いがあった、こういうふうに答えているんですね。また保険会社も御両親に対して、いや、その保険は、この場合病死扱いなので、解剖されていなかったり、そういうことで原因究明ができないということで病死という扱いなので保険は出ませんよと。ただし、日本体育大学の学生課長さんが熱心に、そこを何とかという交渉で、では、これはぎりぎり三百万円を保険ではなくてお見舞金として出しましょうというふうに御遺族に説明してきたんですね。ですから、つい最近までは、この三百万円というのが保険会社から振り込まれたけれども、これは保険金ではなくてお見舞金なんだという理解を御遺族もされていたし、日本体育大学もそういうふうに文科省に説明をしているから、法務委員会ではそういうふうに答弁したんです。

 ところが、その後、保険法という法律が百年ぶりの改正ということで法務委員会にかかりまして、こういうことで保険会社はお気持ちで保険金じゃないものを払えるのかなと聞いたら、当然、やはり払えないという答えが返ってくるわけですね。では何だったんですかと言ったら、今度、文科省の説明は、先週の答弁は間違いでした、三百万円はやはり保険金でございましたと。何でそんなこと、百八十度変わるんだと言ったら、日本体育大学が勘違いしていたと。こういうことというのはあり得るんですか。どうですか。

磯田政府参考人 委員御指摘のとおり、委員から、この三百万円の支払いの具体的な経緯について確認をするようにというお話がございましたので、改めて、大学の事務担当者も含めて、手続について詳細に調べましたところ、保険会社から支払われたものは保険金として支払われたということが明らかになったわけでございます。

保坂(展)委員 渡海大臣にちょっと感想というか所感を求めたいんですけれども、今の点です。つまり、保険はゼロであると。しかし、何とかそこを、出ませんかという交渉を大学側が熱心にして、いやいや、このぐらいならということで三百万円を支払ったという説明と、事実は違っていたわけです。これは保険金だったと。保険金だったとすれば、先ほど確認したように、満額は一千万なんです。三百万円しか出ていないわけです。この二年間の学生死亡事例では、満額じゃない支払いはないんです。全然違うんですね、事実の見方が。

 これだけ重要なことについてやはり説明がいいかげんであるということは、極めて、この遺族に対して、学生、しかも北京オリンピックの出場も期待をされていたという選手に対して、事後措置としてどうだろうか。大臣、ちょっと感想をお願いします。

渡海国務大臣 この保険の制度そのものについて、再度、もう一度ちょっと、ちゃんと検討させてください、正直。

 大体、スポーツ施設というのは基本的に、施設としてさまざまな保険が掛かっているんですね。そういったことで、今回、海外の場合は適用の除外になってしまうというふうな説明も我々受けておりましたので、今保坂委員がおっしゃっているのは少し違うと思いますので、少しそこのところはきっちりと、この事実関係というものを再度我々も確認をさせていただきたいというふうに思います。その上できっちりとお答えをさせていただく。これは人間の命の問題でございますから、そういういいかげんなお答えはできないと思いますので、少し調査をさせていただきたいと思います。

保坂(展)委員 ぜひ調査をしていただきたいと思います。

 そこで、今回、中国・昆明での強化トレーニングに当たっていたのは、コーチの方が指導に当たっていたんですね。私たちの調査によれば、このコーチの方の上には監督がいて、その上には水泳部長さんという、これはお二人とも大学の教職員であります。

 たとえ海外であっても、大学の教職員の方がトレーニングについていった場合には、万が一指導中に起きた事故で選手が死亡したなどの事例には、一応、一事故一人当たり一億円という最高額の保険が掛けられている。しかし、このコーチの方の場合は入っていなかったというふうに聞いているんです。そして、指導者保険というようなものが事実ありまして、これはリスクをカバーするために必要なんだろうというふうに思います。

 そこで聞きますけれども、この日本体育大学の場合、例えば水泳部の監督の方はこういう指導者保険に入っていたのか、コーチの方は入っていたのか、事実をお答えいただきたいと思います。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、日体協の公認スポーツ指導者を対象といたしました総合保険につきましては、指導者自身が負傷したり、あるいはスポーツの指導中に他人にけがをさせたり等したことによりまして他人から法律上の損害賠償責任を受けた場合の負担を保障する制度があるわけでございます。

 残念ながらお亡くなりになられました宮嶋君のコーチに当たっておられました方が当該保険に加入していたかどうかにつきましては、現在日体大の方に確認をさせていただいておりまして、申しわけございませんが、現段階では確認がとれていないということで御了承いただきたいと思います。(保坂(展)委員「監督はどうですか」と呼ぶ)これもちょっと確認がとれておりませんので。

 これは、対象はあくまでも日体協の公認スポーツ指導者ということでございますので、ここの点も確認をしながら、後日お答えをさせていただきたいと思っております。

保坂(展)委員 渡海大臣にもぜひ理解をしていただきたいんですが、この質問に先立って文科省とのいろいろ事実確認の場があったんですが、日本体育大学としては、この指導者保険、つまり、みずから指導したときに起きた事故に対する損害賠償責任などが問われたときに出される保険、これについては個人単位なので、入ったり入っていなかったりしていると。僕はそういうことはないと思いますよ。一応、大学ですから教職員はすべからく同じ保険に入っているんじゃないかと思いますが、しかしそういう答えだったんです。ましてコーチさんになると、やはり入っていないという事実もあるそうなんですね。

 ただし、これは、大学の水泳部に入って、オリンピックを目指して、オリンピックのメダルの四分の一は日体大がとっているんですね、それだけの学校ですから、選手や選手の親から見れば、だれが引率していくのか、先生であれば一応保険もついている、コーチであれば保険がないからたくさん入っておこうなんて、そんな扱いはあってはならないと思います。そして、大学の先生に、指導者保険に入っている方もいたり入っていない方もいたりなんてこともあり得ないだろうと思います。

 ですから、ハードな、強化訓練ですからリスクもあるわけです。それについては万全の、いざというときに機能する保険によるカバーというのも、どの形でいってもなされるようにするべきではないかと思いますが、いかがでしょう。

渡海国務大臣 前途ある若者が命を失う、大変残念な事故だったと思います。

 今回の委員の御指摘が、いわゆる今回の事件に関してという意識で私も考えておりましたから、さまざまな制度についてどうのこうのということについて少し調査をさせてくれということを今申し上げたわけでありますけれども、一般論で申し上げれば、いわゆる大学における、しかも大学における運動、体育という分野において、基本的に、安全ということについて、保険制度も含めてしっかりと対応するということは、大学の責任においてやるべきであるというふうには考えております。

保坂(展)委員 まさに一般論で渡海大臣にもう一問聞きたいんですが、今回は、標高が二千メートル、中国の高地であります、そこで水泳の練習をする。体をならしていくのにちょっと時間をとったりするようですけれども、しかし、そこで、余り行われてこなかった潜水、五十メートルの潜水をして、また浮上して泳いでまた潜る、こういうトレーニングをされたそうです。

 水泳についていろいろ指導に当たっていた方に聞くと、むしろ強い選手、記録を出す選手というのは危ないんだという話を聞きました。つまり、それだけ無理をして、我慢強くて頑張るということで記録も出していくので、だから、酸素が薄いところにもってきて潜水という形で、果たしてそれはトレーニングとしてどうなんですかということは、個別、この日体大の宮嶋さんのケースで問われるべきことですが、高地トレーニングについてのガイドライン、これは日本水泳連盟が現在作成中だというふうに聞いているんですね。早く出してほしい、それはこういうことを繰り返さないためにも。四月中に出るというふうに聞いていたんですが、まだ時間がかかっている。五月十一日に理事会があって、これでもまとまらなかった。次の理事会は十一月だというんですね。

 これはなるべく早く出していただくように、素案を下さいということで文科省にちょっと照会をかけたんですが、まだまとまっていないのでお出しできないということなんです。こういうことを繰り返さないために、早くガイドラインを出すように大臣からもしっかり言っていただきたいと思うんです。

渡海国務大臣 そのように努力をさせていただきます。

 相手のあることですから、今、早く出させますということを、私の部下だったらそういうふうに命令するんですが、そのようにいかないですけれども、努力をさせていただきます。

保坂(展)委員 法務委員会の方で、鳩山法務大臣は、前文部大臣経験者ということもありまして、自分は個別の事情に精通していないので断言はできないけれども、高地トレーニングというのは、潜水のトレーニングをしておられた、大学の監督責任は、現場を見ていないからわかりませんが、少なくとも北京オリンピックの有望な選手候補として体力抜群だったということであれば、私は裁判官でも医者でもないけれども、社会通念上、これは間違いなく事故だと考えます、こういうふうにおっしゃっているんですね。

 渡海大臣はどう思われますか。

渡海国務大臣 先ほどから保坂委員の話を聞いておりまして、たしか、要は運動能力の高い選手だからむしろ危ないと言われましたね。そういうことがあるのかないのか。とするならば、これは練習の方法にむしろ問題があったというふうに言うべきでしょうし、体力がある選手であれば、本来、逆に言うと耐えられるというふうにも考えられますし、鳩山大臣のような考えもありましょうし、今即座にこう思うと言うことはなかなか難しいんですね。

 それは何でかといいますと、今、保坂委員がまさに、体力がある、そういう選手だからこそむしろこういうところでは危ないんだとおっしゃった。そういうことがあるのかなと思った瞬間に、実は、むしろ指導する側にやはりそういう知識というものが欠けていたのではないかなという印象を持ったものですから、その印象を率直に答えさせていただきたいというふうに思います。

保坂(展)委員 このケース、もう亡くなった命は戻らないわけですけれども、日本の代表としてオリンピックを初めとした国際大会に出していこう、そういう選手の練習にはやはりリスクはつきまとうと思います。高地トレーニングだったらなおさらである。そういうときに、起きてはならない事故が起きたときにみんなが支え合って次の選手たちが頑張っていく、そういうスポーツのあり方にぜひしていかなければならないと思うんですね。

 そういう意味で、ガイドラインも早く出していただきたいし、御両親と大学が裁判で係争するというような不幸な事態は一日も早く私は終わらせていただきたいという思いを込めて、また取り上げていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

佐藤委員長 これにて保坂展人君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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