衆議院

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第2号 平成22年2月24日(水曜日)

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平成二十二年二月二十四日(水曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君

   理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君

   理事 笠  浩史君 理事 富田 茂之君

      石井登志郎君    石田 勝之君

      石田 芳弘君    磯谷香代子君

      江端 貴子君    大山 昌宏君

      神山 洋介君    川口  浩君

      城井  崇君    後藤  斎君

      佐藤ゆうこ君    瑞慶覧長敏君

      高井 美穂君    高野  守君

      中川 正春君    浜本  宏君

      平山 泰朗君    牧  義夫君

      松本  龍君    湯原 俊二君

      横光 克彦君    横山 北斗君

      吉田 統彦君    池坊 保子君

      宮本 岳志君    城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       川端 達夫君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   文部科学大臣政務官    後藤  斎君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   文部科学委員会専門員   芝  新一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  城井  崇君     神山 洋介君

  熊谷 貞俊君     浜本  宏君

  牧  義夫君     大山 昌宏君

同日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     牧  義夫君

  神山 洋介君     城井  崇君

  浜本  宏君     磯谷香代子君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     熊谷 貞俊君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員に出席を要請いたしましたけれども、出席が得られておりません。

 再度理事をして出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度出席を要請いたさせましたが、自由民主党・改革クラブ所属委員の出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局長清水美智夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井登志郎君。

石井(登)委員 民主党の石井登志郎でございます。

 きょうは、また再度質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。短時間でありますので、先週、大臣から所信をお伺いいたしました大きな方向性についてお聞きをさせていただきたいと思います。

 まず、私は英語の教育についてお伺いしたいと思うんですが、大臣が所信の中で大きな目指す方向性をおっしゃっていただきました。同時に、年末、成長戦略で、二〇二〇年に六百五十兆円、三%、実質二%を上回る成長をするんだというようなことで閣議決定をされました。

 私は、日本はもうこれから人口が減っていく、その中で売り上げといいますかGDPを伸ばさなければいけないわけですから、外に行って物を売るとか、もしくは、外から、つまり海外からどんどん日本に来ていただくとか、そうしたことをしていかなければこの六百五十兆円というのは到底絵にかいたもちに終わってしまうんじゃないかと思います。実際、今七百万人の観光客にしてみても、二千五百万人、最終的には三千万人にしていこうというようなことでその計画の中にあったところでございます。

 そうした中で、英語力がこうした計画についても欠かせないということは言うまでもないわけでありますが、一方で、昨今の英語教育、私もかつては高校生であったわけですが、以前、私が高校で教育を受けていたときよりは、中学校、高校でも、例えばALTがふえたり、いろいろな面で改善改善が重ねてこられたところだと思います。

 ただ、先般の大学入試センター試験、今ここ手元にありますが、拝見いたしますと、そうした意味では、最終的なゴールがやはり大学受験というところから抜け出していないんじゃないかな、この国の英語教育は大学受験のためにやっているんだろうか、そのあたりについて、そうではないと思いますけれども、御見解をまずお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 今ちょうどオリンピックがやられておりまして、各国の選手同士が、当然日本の選手も一緒になって談笑しているというんですか、会話をしているのを見ると、ああ、この子たちは英語をしゃべっているんだなと。あるいは、コーチに専任の外国人コーチをつける選手もたくさんいます。そういう意味を含めて、少し前の時代から比べたら、若い人を中心にやはり非常に国際化しているし、英語の会話力も上達をしているんだというふうに思いますが、そういうことを含めて、かねてから日本の英語教育は、まさに先生御指摘のとおり、大学の試験のためにする、したがって、文法を含めて読み書きは非常に得意だけれども、会話力が非常に欠けているという指摘もされて久しいわけでございます。

 そういう意味で、国際化そしてグローバル化、そして何よりも、人的資源が日本の将来の経済発展も含めた活動の中心になるという意味でも、英語教育を中心とした外国語教育は非常に大事なものだという認識をしております。

 平成二十年に小中学校、二十一年に高等学校の学習指導要領が改正をされました。この中でも、英語に関しては、特にいわゆる聞く、話す、読む、書く、四つに関してそれぞれに重点的にしっかりと教育をしようということで、小学校では外国語活動を新たに導入をいたしました。週一こま、年間三十五単位時間。中学校では授業時間数を、今まで各学年週三こまから四こまにふやしました。高等学校では、英語を用いて授業を行うというふうなことを明示をいたしました。

 そういう意味で、小中高を通じて各学年に応じた外国語教育そして英語教育が実施される。とりわけ先生御指摘のように、コミュニケーション能力を英語を通じて強化するということに主体を置いて、これからなお一層一貫した、大学も含めて取り組んでまいりたいと思っております。

石井(登)委員 ありがとうございます。

 今、大臣からもおっしゃっていただきました。二十三年から小学校五年生、六年生で英語が必修化される。実際、もうほぼ九五%以上の学校で英語の授業が今は週に一回行われているというところで、私の地元である芦屋の宮川小学校、先週参りました。また、それだけではなくて、全国各地で特区制度を利用して、もう英語を小学校一年から独自のカリキュラムを使ってやっておるようなところも多々ございます。

 その一つとして、先週ですか、東京港区の青山小学校にも行ってまいりました。もちろん、さまざまなところに視察に行かれておると思いますので、委員の皆様方も、これは英語ですから、英語は本当に日本の未来にかかわるものです。港区は港区の予算で一億八千万円かけて、ちょうど青山小学校は、カリフォルニアから来たネーティブのスピーカーがおりました。芦屋は、これは特段特別な措置は国はしておりません。芦屋市が英語がしゃべれる日本人を、ほぼボランティアベースと言っておりましたから、一日三こま教えて恐らく数千円のこれは寸志ですね、寸志を払ってやっておるわけであります。

 これを考えますと、今のままいくと二十三年度以降、もちろん文科省としても、英語ノート、そしてそのDVDを配ってやっておるというふうに言うわけでありますが、各自治体にゆだねて、場合によっては、英語がしゃべれる日本人を連れてくるというふれ込みで何とかしのいでいるわけであります。これは私からいたしますと、どうせやるなら、もういっそのこと徹底的にやらなければ意味がないなと。小学校の五年生、六年生で今やっているこのカリキュラムというのは、例えばABCの習得にしてみても、今のままであると、中学校に入ってからというようなことであります。

 そうした一つ一つを考えながらいろいろお話を聞いていましたら、文科省から平成十五年、英語が使える日本人の育成のための行動計画というのが出されております、あの遠山さんが大臣だったころでありますが。これを読みますと、いいことが書いてあるんですね。結構いいことが書いてあります。そうした意味では、前の政権のすべてが悪いというわけではなくて、時にはいい研究もしている。ただ、それがなかなか実態とアウトプットに追いついていないわけでございます。

 その中で、私は今、港区の取り組みについて申し上げました。全国各地で自治体の決断によって前向きな取り組みが大いに進んでいるわけでありますが、こうした自治体の成果に対する御評価、そして、これから、もちろんこの英語が使える日本人育成のための行動計画からさらにバージョンアップして、それを現実の教育に落とし込んで、成長戦略につなげるためにぜひプロジェクトを組んで現実的な果実としてあらわれるように前向きに進めていただきたいと思いますが、そのあたりについて何か御計画があるか、もしくは御所見をお伺いしたいと思います。

鈴木副大臣 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、平成二十年の三月まで特区でいろいろな試みが行われております。それを受けまして二十年四月以降は、教育課程特例校というのが全国で行えるようになっております。この教育課程特例校の制度を使って、全国で、小学校低中学年からの英語教育の実施というテーマだけでも千四百四校の小学校で、英語に特化したさまざまな先進的な取り組みが行われているところでございます。

 それで、成果をということでございますが、いろいろ個別に見ますと非常に興味深いものがございますが、例えば石川県金沢市などは、小学校三年生以上で金沢市がつくられた小学校の英語の副読本を配られて、それから、これは小学校、中学校の連携が非常に重要だというふうに考えておりますけれども、金沢では六年生で中学校一年生の英語の教科書を前倒しで使用して、中一前期程度の内容、ABCとかそういうことを先取りしてやっている。

 こういうことも、もう既にやる気のある自治体においてはやられているということでございます。

 小学校段階、中学校段階、高等学校段階でいずれも英語教育は大事なわけでありますけれども、少しその目的とやり方というのはきちっときめ細かく考えていかなければいけないというふうに思っております。

 先行して行われております小学校段階の結果を見ますと、英語でのコミュニケーションが好きになったとか楽しくなったとか、そういうことをねらってやっていただいておりまして、先行校においては、おおむね、アンケート結果を見ても、そうした方向でなられていると思います。

 ただ、これがもっとこの対象が広がっていったときに、やはり英語嫌いをつくってしまっては何にもなりませんので、そこを十分留意していくということ。それから、高等学校段階では、将来どういうふうな仕事につくかということをかなり想定をしながらきめ細かくその設計をしてやっていかなければいけない。もちろん、コミュニケーションについては必修ということにはいたしておりますけれども、さらなる英語教育についてはそうしたことをやっていく。

 今は、総合科の高等学校等では相当程度英語に焦点を絞ったいい実践なども行われておりますので、そうしたものをきちっと展開をしていくということを考えてまいりたい、応援をしていきたいというふうに思っております。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 かくいう私、中学校、高校、大学とそれなりに勉強したわけでありますが、会社に入りましてシンガポールに電話をかけろといって通じなかったのに愕然としまして、会社をやめた後、二十八から二年間留学をいたしました。やっと今、恐らく通じる英語をしゃべれておるわけでありますが、その中で、そうした私の苦労をそうした意味では次世代に我々の責任でなるべくしないように。

 一方で、みんな論文を読む必要はありません。みんなセンター試験でそれなりの点をとる必要はありません。まさに、冒頭申し上げた成長戦略の中で、中年以上の人に声をかけても道を教えてくれないけれども、二〇二〇年になったら、若いのに話を聞いたら道ぐらい教えてくれた、そういうレベルに引き上げるんだということにするのであれば、すべてが今いい取り組みが大学受験に収れんをされていきますので、そのあたり、一緒に検討をしていいものをつくっていきたいと思います。

 次に移りたいと思いますが、ICTの教育に関して、これもお伺いをしたいと思います。

 私は、この年末年始にかけてシンガポールと韓国と、そして、ことしになってからも芦屋の宮川小学校、これは電子黒板が全部入っておるんですが、それから青山小学校、高輪台小学校と、あっちこっちと見てまいりました。その中で、海外に行って、シンガポールと韓国に行って、これはまずいな、我が国はこれをもっとしっかりやらなきゃまずいなというふうに思いました。

 ICTというのは本当にすばらしいものです。ある意味、何でもできてしまいます。しかし、何でもできてしまうからこそ、日本のICT政策というのが、何人に一台とかブロードバンドがつながったとか、そういう目的しかなかなか明確に見えてこなかったんじゃないか。学力を向上させるのかとか、もしくは、より深い議論をしたり熟慮をさせるためにICTを使うのかとか、そうしたことを目的を持ってツールを使わなきゃいけないなと。

 その中で、我が国のICT政策、もし単に反復学習をするためだけだったら、十五万円のパソコンは要りません。もっともっと安い機器で十分だろうというような考えもあるわけで、その目的、これは何なんだろうか。改めて、イロハのイでありますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

鈴木副大臣 お答え申し上げます。

 まさにICTというのはツールでありますから、これを使って教育の内容あるいは方法というものを改善していかなければいけないということでございます。

 それで、目的ということでございますが、ICTを使って授業あるいは学習というものをよりわかりやすく、あるいは効果的にしていくということ。それから二つ目は、教員の校務負担の軽減。これはそれぞれの児童生徒の学習履歴の管理というようなことも含むと思いますけれども、そうしたバックアップの機能。それから、児童生徒自体のいわゆるICTリテラシーの向上。社会に出ればもうICTなしでは生きていけない、こういう時代になっていますから、この光の部分、影の部分も含めて、ICTの可能性と限界といったものを高めていくということを目的にしているというふうに考えております。

石井(登)委員 ありがとうございました。今、さまざま目的をおっしゃっていただきました。

 ただ、そのICTというのはまさにツールであります。そうした意味では、例えば、先般、文部科学省の政策会議でも調査結果を見せていただきました。四十人学級、三十人学級、二十人学級、もしくは習熟度別の学習、これにおいてその到達度合いを比較しておったわけですけれども、その中に、例えば、ICTをどれだけ活用したらこれだけ学習成果が伸びたかというような比較もぜひしていただきたいと思います。

 というのは、一つのクラスで十五万円の機械が四十人いたら六百万円、四年間使えるといっても、割って百五十万円です。百五十万円使うんだったら、それならば、週に二回か三回か、もしくはパートタイムでやってくれるアシスタントのティーチャーを入れた方がいいんじゃないかとか、そうした総合的な比較の中で、これはICTを使わなきゃいけないんだというそういう強迫観念に駆られず、しかし最終的には、ああなるほど、こういう使い方をしたらより効果的で効率的だというようなことが最終的に私は実証されてくると思います。

 今のままだと、使わなきゃだめだ、そして、目的が明確化されないまま、現場がどうしようこうしようというようなことで現場の熱意にのみ支えられているような状況になろうと思いますので、そのことはぜひお願いをさせていただきたいと思います。

 時間がありませんので、次に、最後に一言、お伺いをいたします。

 デジタル化時代の著作権のあり方について、先般十一月にも質疑させていただいた際に、もともと、グーグルのアメリカでの訴訟に関して、私企業の問題だというようなことであるけれども、しかし前向きに取り組むと中川副大臣はおっしゃっていただきました。事実、前向きに取り組んでいただいているようでございまして、質問させていただいたことがそのまま前向きな形であらわれていることに、本当にありがたいなとやりがいを感じるところであります。

 そして、先々週、国会図書館の長尾館長のインタビュー記事と、そして中川副大臣の記事が同じ日に載ったわけであります。電子納本制度ということで、長尾館長は、そのときにこれを前向きに提唱したいということであります。

 もちろん、いろいろな利害関係者がありますから、これは一言でなかなかお立場上言いにくいと思いますけれども、しかし、検討はしなければいけない問題です。検討状況並びに御決意等あれば、中川副大臣、お聞かせいただきたいと思います。

中川副大臣 基本的には、私の立場からいえば、この電子納本制度について、この時代背景からいってぜひ積極的に制度化をしていくことを考えていくべきであろうというふうに思っています。しかし、一義的には国会図書館が中心になってこの議論を進めていただくということでありますので、ぜひ協力をしていきたいというふうに思っています。

 そのときに、二つのポイントがあるんだろうと思うんです。

 一つは、いわゆる文化的資産という意味で書籍をアーカイブ化していく、電子化していくというその部分があると思います。既に国会図書館はその事業を始めておりまして、著作権のいわゆる保護期間を満了したものを中心に、もう現在の時点で三千五百六十五万点のうちに約十五万点が電子化が進みました。済んでおります。二十一年度の補正予算で百二十七億円がつきまして、これで九十万冊ということでありますが、それを追加して、これは破格の予算なんですが、それを積み重ねております。

 それで、こういうことが直接出版社から電子納本されるということになると、ここの分の経費というのが非常に大きく節減をされるということにもなってきますし、そういう意味でも一つは大切だというふうに思います。

 それからもう一つは、これをではいかに活用をしていくかということですね。そのときには、実は、特に出版社への経済的な影響であるとか、あるいは、グーグルの問題が出ましたけれども、海外からのそうした新しいビジネスモデルが入ってきたときに、日本の今の体制、著作権の整理というのが私は大前提になっていくんだろうというふうに思っております。

 そういう問題意識の中で、現在、文部科学省と総務省、それから経済産業省、各関係副大臣が中心になりまして、この出版物のデジタル化の推進あるいは利活用について大局的な見地から議論に入っております。それでまた、関係者や専門家の話、特に国立国会図書館の役割についても、この中でしっかりと位置づけた上で制度化をしていきたい、それで著作権の整理をしていきたいというふうに思っております。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 とにかくこの問題は、今おっしゃられたとおり、省庁を複数またがっております。国会図書館も深くかかわっておりますから、政治主導でぐいぐい引き続き進めていただいて、私どもも研究を進めていきたいと思います。

 時間が参りましたので以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。

田中委員長 次に、城井崇君。

城井委員 民主党の城井崇でございます。

 石井議員に引き続き、大臣所信に対して質問をさせていただきたいと思います。本日も質問の機会をいただきましたことを、まずお礼を申し上げたいと思います。

 本日は、大きくは、科学技術にかかわる部分と、そして留学生にかかわる部分との二つを、短時間でありますが質問させていただきたいと思っています。

 まず、科学技術振興についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 大臣所信におきましては、科学技術は、資源の乏しい我が国にとって、国家の将来がかかる重要な柱である、また、新成長戦略においても「成長を支えるプラットフォーム」という大きな位置づけをなされております。

 この科学技術に関しては、特に予算の面から見ましたときには、限られた科学技術の予算をいかに思い切って投資していくか、また、その裏表になりますけれども、いかに効率的に配分をしていくかということが極めて大事だと思っています。

 先端科学技術の開発自体に関しては、その重要性は論をまたないというふうに思うわけでありますが、ただ、肝心どころの政府の研究開発投資は、これまでの間見た場合には、横ばいないしは微増で推移をしてきたものの、他国に比べると見劣りをするばかりではなく、むしろ差が開く状況が続いてまいりました。国際競争力を失いかねない状況であります。

 しかし、そうした中で、この新しい政権になりましてから、せんだっての新成長戦略の中でも、二〇二〇年までに官民の研究開発投資をGDP比四%以上ということで、極めて野心的な、大きな投資目標を数字で明示したということは、私はぜひここは高く評価をさせていただきたいというふうに思っています。この新政権にかわったことを我が国にとってチャンスと心得て、実現にぜひ力を尽くしてまいりたい、私自身も協力したいというふうに思っているところであります。

 しかし、その一方で、旧政権下の科学技術予算に関しては、その使われ方の状況を見てまいりますと、特定の研究者に集中し過ぎた非効率な予算配分があったのではないかという現場の指摘。あるいは、年度末に近くなればなるほど、予算の使い切りのために、使わないような実験器具すら買ってしまうような状況が続いてきた、そうした無駄遣いが続いてきたというのが、やはりこれも現場の素直な声でありました。そうしたさまざまな問題点の指摘を踏まえながら、先ほどの野心的な目標に見合う現場の改革が必要だというふうに思っています。

 さきの行政刷新会議における事業仕分けでも、こうした非効率な予算の配分を見直すべきという意見が出たところ等も踏まえながら、もちろん現場によって状況は違うわけでありますが、そうした部分を踏まえて、この科学技術の予算のあり方、大きな視点から見たときの今後の改善を含めての御所見、御見解をお伺いできればと思います。お願いいたします。

川端国務大臣 科学技術に深い理解をしていただいて、評価していただいて、ありがとうございます。

 御指摘のように、新たな経済成長戦略の中でも、いわゆるグリーンイノベーションとライフイノベーションを大きな柱の中の、四本柱の二本柱に据えまして、それを支えるプラットフォームとしての研究開発という位置づけをしていただきました。

 そういう中で、大事な財源、税金を使って研究開発するときに、より効率的、効果的にやらなければいけないというのは当然のことでございまして、かねてから、特定の研究者に過度に研究費が集中しているのではないか、あるいは、同じ研究者が同じ研究課題でいろいろなチャンネルからもらっているのではないかというふうな指摘もございました。

 そういうことを受けて、平成二十年一月から、競争的資金を受けている研究者の交付件数や交付額を確認できる業務支援システム、府省共通研究開発管理システム、e―Rad、エレクトロニック・リサーチ・アドミニストレーションというシステムということで、何とかのテーマ、あるいは何とか先生ということを検索しますと、そこにどういうテーマでどういう研究開発資金が行っているかというのが全部検索できるようなシステムが既に立ち上がりました。

 そういう意味で、いろいろな研究費の配分をつかさどっている担当者は、検索することによって、事業に応募してきた研究者が現在どういうところでどういう資金をもらっているのかが全部わかるようなことになりますので、確認をしながら重複を避けるということで、研究費の不合理な重複あるいは過度の集中の排除等の研究費の効率的な配分に向けた審査を行う、審査段階でこれでチェックをするということで、最大限そういうことが起こらないようにということをしております。

 さらに、研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドラインを策定しておりまして、このガイドラインの中で、御指摘の年度末の予算の未執行が、これも検索でわかりますので、わかったときには無理なことをしないようにという指導と、返還あるいは翌年に繰り越せる資金もございます。

 ここの部分が実は、また別の意味で問題になりましたプール金問題とか、今の、年度末に一気に不必要なものまで使ってしまうケースもあれば、何か使ったことにしてプールするというふうな不祥事を生んだこともございます。

 そういうことのないように、年度末での未執行状況を適切に把握して、返還、翌年度に繰り越しとかの指導を今行っているところでありまして、今後とも、柔軟な対応を織りまぜながら、適切、効果的な資金が配分され、執行されるように、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。

城井委員 ありがとうございました。

 人材育成にかかわる研究費の部分は、後ほどの質問で一問触れさせていただければと思っています。

 今の御答弁の中で、人材ごとの検索が可能になったというのは前進だと思っておりますが、せっかく準備した道具もやはり運用段階が大事だというふうに思っておりますので、その点は少しお手間をおかけしますけれども、目を皿のようにして見ていただくというところからまた御報告をいただければ、引き続き御努力をお願いできればというふうに思います。

 続いてお伺いさせていただきたいと思います。

 次に、その科学技術予算の投資の中で相当に大きな部分を占めている投資、具体的には、来年度の予算の項目で申しますと、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ、かまずに読めました。なかなか長い名前ですので難しいなというふうに思いますが、いわゆる世に言う次世代スパコンをいかに活用、整備していくかという話であります。ありがたいことに、世間の注目をかなりいただいているということであります。

 最近、新たな方針が出されたことを伺っております。簡単に言うと、世界一よりは利用促進重視というふうに私自身は受けとめました。事業仕分けですとか、あるいはその後行われた総合科学技術会議などの議論を踏まえて来年度予算に盛り込まれたものというふうに承知いたしております。

 ただ、今回のこの話は、国民に対する説明責任はかなり強く求められているというふうに思っておりますので、その点を踏まえて後ほどの御答弁をいただければと思いますが、幾つか課題があると思っておりまして、提案を含めて御指摘申し上げます。

 一つは、来年度を含めて、その以降に幾らかかるかがまだ示されていないという点であります。

 来年度予算はもちろん書いているわけでありますが、例えば基本設計の予算というところがあったりします。ただ、御説明を伺いますと、例えばネットワークをつくる、あるいはストレージの整備をやりましょうとか、クラウドではないという説明ではありましたが、そうやって、ある意味で全国の力を結集してという形でもしやっていく場合に、その基本的なインフラをつくるだけでも結構なお金がかかるんじゃないかと。専門家の指摘を幾つか伺っておりましたら、それだけでも数十億円はいくんじゃないのという指摘があります。その点で、あらかじめ見積もりをしっかりやっておくべきだというふうに思うわけであります。

 また、これまでのスパコンの議論は、どうやら実際にかかわっていた現場の方々も踏まえて異論もある中で進めてきた状況があった。ならば、変更のこの機会に、これまでの世界一を目指すという、ある意味で力ずくの、ハード中心にということだけではなくて、むしろ、今回の利用促進重視というところも踏まえるならば、ハードとソフトと両方踏まえた協調設計というところを今回のこの機会にしっかり盛り込んでいくべきなのではないか。

 あるいは、仮に世界一を目指さないとした場合に、それでも世界一を目指すというところに込めた思いというのが本当はあったはずで、どこを言っているかというと、世界一のスパコンで研究を進めることで、その進めた研究の応用技術の成果が信頼をかち取る、あるいは世界と競っていくときに位置を占めていける、そういう部分もあるんじゃないかというように思うものですから、そういう世界一の部分を仮に横に置くようなイメージになっているのであれば、その辺をどういうふうにとらえているかということも含めて、今後の次世代スパコンの整備、活用ということを踏まえた部分を、こういう前向きな部分をとらえてやっていこうとしているんだというところを、委員や国民の皆様を含めて、ぜひ御説明いただければというふうに思いますが、御見解をお伺いいたします。

後藤大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 城井先生、本当に、事業仕分けの際、そしてそれ以降の、いろいろな角度から、科学技術を未来への投資ということで、地元でも、また国会の中でも多様な御発言をいただいていることを、まず冒頭、心から御礼申し上げたいと思います。

 今御指摘がありましたように、次世代スパコン、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラということで、確かに非常にわかりにくい言葉になっていて、これからどうなるのよというふうな御指摘も正直いただきます。

 ただ、城井先生が幾つか御提案をいただいた予算の部分でいえば、確かに、新しいネットワークを仕組んでいけば、そこで予算がかかることは当然であります。

 ただ、いろいろな意味で、先生がおっしゃった部分の世界一を別に目指す、目指さないということは、これからも世界最高水準の技術を目指すということは当然大前提の中で、ただ、その設計の時期、ハードの完成の時期を若干おくらせるということで百億強の予算圧縮にとりあえず昨年末努めたということで、今回の平成二十二年度の予算の中に、予算の圧縮の中で御提案をさせていただいているということであります。

 いずれにしましても、現在、確かに、供給主体、要するにつくる方、開発主体の部分が多かった前政権の中での次世代スパコンを、先生も十分御案内のとおり、利用者主体にしていこうと。そして、開発主体だと、非常に、それを使っていく人が多分二千人程度しかいないだろうというものを、利用者という視点ですとたくさんの方が使えますから、そういう部分で、二万人以上の方がまず完成した以降使うだろうということでこれからも対応していきますし、その利用と開発という、それを調整するためにコンソーシアムという考え方を編み出したというか進化をさせたものでありますので、でき得れば三月上旬くらいからそのスピードを加速し、コンソーシアムの成立も夏までに目指して、二十二年度末には本来の一つの方向性がきちっと、議員の先生方はもちろん、国民の皆さん方に十分理解をして、やはり日本はスパコンについても新しい形で世界最高水準を目指しているんだなという力強いメッセージが、事業仕分けや総合科学技術会議、いろいろな国民の皆さん方からも御提案をいただいた統合した形で、先ほど大臣も御答弁をさせていただいたように、科学技術立国の大きな下支えをする研究インフラだということを、きちっとした形で、私自身、大臣も含めて、国民の皆さん方にできるだけわかりやすい形で、これからも、いわゆる次世代スパコンの必要性について、また予算のあり方についてもきちっと御説明をしてまいりたいというふうに思っております。

城井委員 ありがとうございました。引き続き前向きな取り組みをというふうに思います。

 もう一つだけ御提案を申し上げておくならば、今の計画は、平成二十四年の六月でスパコンができ上がるはずであります。そういたしますと、その時点でもう既に世界一からはかなりかけ離れた状況になるというふうに予想がされる中で、次の次の計画をこの二年で組んでいく必要があるというふうに思っております。その点は内閣全体での議論が必要だと思いますので、宿題としてお持ち帰りいただければと思います。

 続いて、科学技術人材の育成について質問をさせていただきたいと思います。幾つか課題があると思っています。

 一つは、大学以降の人材の最終的なゴールであります。特に、大学院の人材、あるいは大学院修了以降のいわゆるポスドクと言われる方々もおられます。そうした方々の出口、人材育成のゴールを今までも示してほしいということでさまざまな場で申し上げてきておりますけれども、なかなか難しいのはわかりますけれども、この点、新成長戦略では若干盛り込まれがあったというふうに思っています。この点をぜひはっきり示してほしいというのが一つ。

 そしてもう一つは、その育成段階での研究補助のあり方。先ほど大臣からも、プール問題という一言がございました。私はこのことはかなり重たいと思っております。なぜそういうふうになっているかといえば、一つは、支給方法が今の現場自体とは少しずれているからではないか。特に、これから二月、三月、四月、五月とちょうど年度がわりの時期で、研究費の部分では端境期に入ります。そうすると、研究費が足りない時期に入ったときに、その間、次年度の研究費補助が来るまでの夏あたりまでの間にどうやってしのぐのかという手だてがない。企業でしたら金融機関と相談かもしれません。研究者はどうするか、この点の答えがないわけであります。現場からはその悲鳴がもう既に上がっております。

 そうした部分も踏まえて、今後の科学技術人材の育成について一言御見解をいただければと思います。

後藤大臣政務官 先ほど城井先生が御提案をいただいたいわゆる次々世代のスパコン、これについても、当然のことながら、あらゆる国、あらゆる機関が速さも含めて世界一を目指しております。そういう中で、我が国としても、その努力は当然のことながら怠らないような形で対応していきたいというふうに思っております。

 先生からの、先ほど大臣がお答えしたように、いわゆる研究費の流れについては、先生御心配のように、確かに、ある意味では公共事業もそうですけれども、年度初めというのが非常に予算がなくてちゃんとしたものができないということ、これも過去、前政権も含めていろいろな工夫をしてまいりました。

 いわゆる科研費については、新規が大体二万五千件、継続が二万五千件、大体五万件が科研費の採択になります。応募が大体新規だけでも十万件という、この膨大な作業を四月一日から即執行できるには、まず、当然のことながら予算をきちっと国会で御承認いただくという大前提はありますが、やはりその準備の段階をできるだけ早目にしていこうということで、現在でもその十万件をどう絞り込むかということは対応しております。

 したがって、できるだけ現場の研究者の皆さん方に御不安や御心配がないようにという努力はしている大前提で、年度内に予算が成立すれば四月一日に内示の交付というものがスピーディーにできるような形はとっています。

 ただし、科研費の中でも大型の研究対象がございます。そこについては、書類審査だけではなくヒアリングも含めてやっているので、五月、ゴールデンウイーク明けくらいに内示をせざるを得ないという、ヒアリングが書面審査にプラスになるということで、城井先生おっしゃる部分でいえば、その部分をもっとちゃんとしろということですが、そこにはやはり大きな税を投入するということでヒアリングのプラスの作業が要るということで、ぜひ御理解を賜りたい。

 いずれにしても、現場の研究者の皆さん方に御不安やおくれているなという意識がないように、これからも予算と国会のいろいろな御議論の前提の中でできる限りの努力をしてまいりたいというふうに思っています。

 いわゆるポスドク問題も、私もこの五カ月間、ポスドクというのが、当初スタートしたときの意味合いから、非常に何かお荷物みたいな形のような感じが実はありました。

 ただ、これも、有用な人材ということで、先ほど大臣もお触れになられましたいわゆる新成長戦略の基本方針の中にも、知恵と人材にあふれる国の実現に向けて理工系博士課程修了者の完全雇用を目指すということがうたわれておりますし、今この具体化ということで、各種の、いろいろテニュアトラック制度の導入や、イノベーションを創出する若手研究人材、総予算は昨年度より二十二年度はかなり伸ばした中で対応しております。

 いずれにしても、ポスドク問題の解消は、職を得る機会ということで、産業界も含めて対応しなければいけない部分もたくさんあると思いますので、これからも文科省としても積極的に努力をしてまいりたいというふうに思います。

田中委員長 ちょっと時間が過ぎておりますけれども、文部科学大臣から御発言をということでしたので、ちょっとどうぞ。

川端国務大臣 済みません。さっきe―Radの略称の正確名を間違えておりましたので。済みません、貴重な時間に。

 エレクトロニック・リサーチ・アンド・ディベロップメントの頭文字でe―Radということです。申しわけございませんでした。

田中委員長 では、最後に城井委員、どうぞ。

城井委員 ありがとうございました。

 先ほどの御答弁の中での現在の努力については率直に評価をし、一つだけ提案を申し上げるならば、当該年度分の支給の一部の前倒しなんかの支給方法の改善というのを、検討をぜひお願いしたいというふうに思っております。

 以上で終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、首藤信彦君。

首藤委員 民主党の首藤信彦です。

 きょうは大臣所信について質問させていただきます。

 この大臣所信、日本のこれからの文部科学行政についての全体的な方向性というものを網羅的に書いてあるわけでございますが、私はちょっと奇異に思うところがございました。それは、ここで教材のデジタル化あるいはICTの役割などと言及があるわけですけれども、各国で今、教育、教養の中核的な役割を担って非常にイノベーションのコアとなっている図書館について、この記述がないわけでございます。

 現実に、それならば、日本ではもう図書館は充実していていいのかといいますと、図書館の数や蔵書というのは確かにふえているわけですけれども、実際の図書館機能は停滞と衰退を続けて、教育、教養のセンターとしての役割はだんだんと問題を抱えるようになってきております。また、図書館の専任スタッフも減少して、さらに、一番重要な専門職員である図書館司書が現在では約半数が非常勤だということで、これではもう図書館になっていないという現実があるわけであります。

 また、文教予算として各自治体につけられた予算も極めて流用が多いと言われておりまして、二月二十日付の日経新聞によりますと、国が自治体に普通交付税として提供した約二百億円のうち四十億円程度がほかの経費に流用されている、約二割が流用されているという記述がございました。驚いたことに、その同じ記述は、二〇〇八年、二年前にもあるわけなんですね。

 では、この二年間、文部科学省は一体どういう改善を行ったのか。そもそも、なぜ今世界の教育機関が必死で取り組んでいる図書館の問題がこの所信に落ちているのか。そして、日本の文部科学省は、どんな努力をこれまで傾注し、どんな基本戦略を持っているのか。その点について御質問したいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 子供にとって読書も大変大事な大事なことでありまして、図書館の充実は、先生御指摘のとおり、大変必要だという基本認識を持っておりまして、国会においても、国会決議で読書を推進するようにという決議もいただいております。

 そういう中で、ことしは国民読書年でもありまして、その充実に努めていくことが大事だということは基本的に当然のこととして認識をしておりますが、ことしは、この予算においては、図書館を活用して、効果的な学習活動というのは、活用の中身としてはもっとどういうものがあるのかということをいま一度整理、検討すべきではないか。同時に、学校の先生においても、図書館を活用するということがどういう効果をもたらすのか、どういう方法があるのかということで、授業のサポートも含めて、あり方などを、学校図書館の有効活用を図ることを調査研究するということに別途予算を組ませていただきました。

 そういう中で、学校図書の充実というのが基本中の基本でありますので、図書整備費が五カ年計画で毎年二百億円ずつ、五カ年で一千億、単年度二百億、地方財政措置を講じているところでありますが、先生御指摘のように、一部報道にもありましたけれども、例えば平成二十一年度で、地方交付税の図書購入費ということでの基準財政需要として財政措置をしたところ、二百十四億円手当てをいたしましたが、実際に市町村の教育委員会を通じて購入した図書費が百六十四億円、七六・八%というのが実態でございます。

 これは実は平成十九年度から五カ年に入りまして、それまでの分は大体百三十億円でした。百三十億円の地方財政措置に対して、大体百五十億から百五十数億円図書を買っていただいていたんですが、平成十九年度から二百億に財政措置を増額したんですが、図書費は七十億ふえたけれども、図書の購入費はほとんどふえなかった。これは多分、この時期の地方財政の非常に厳しい状況が背景になって、せっかく乗せた分がそこに回らなかった。総額の図書費はふえているんですが、地方財政措置をした分からいえば大幅に減ったというのが実情であります。

 そういう意味では、せっかく組んだ、最終的には地方財政でありますので、一番最終は地方の自主的な判断によるわけでございますけれども、文部科学省としては、しっかりとやるように、充実していただくように、引き続き要請をしてまいりたいというふうに思います。

 と同時に、今の学校司書の問題を含めて、図書館司書の研修、あるいは、社会教育による地域の教育力強化等々を含めまして、図書館の世界が学校に限らず充実していくように、特に学校に関してはしっかり充実していくように取り組んでまいりたいと思いますので、またいろいろな御提言を含めていただければありがたいと思います。

首藤委員 文部科学大臣、分析は結構でございます。やはり責任者でございますから、またそれだけの権限をお持ちなので、ぜひこの状況を大幅に改善していただきたいと思うんです。

 今、日本の子供たちの学力が問題になってきて、それがいつも評価されるのはPISAですよね。PISAで評価されると、PISAの一番上にいるのはいつもフィンランドですよ。フィンランドは、教育改革の中核にこの図書館の改革というのを非常に位置づけておりまして、実は、私はフィンランドに視察に行ったんですけれども、よく図書館が中央駅、例えばヘルシンキでも中央駅に附属しているんです。学校で借りた、いろいろなところで借りた本を、故郷に帰るときに中央駅へ立ち寄って、中央駅からぽんとそこへ返すことができるという仕組みになっている。

 そして、そこでは、今やはりフィンランドでも若い男性というのが図書館に行かない、そういう状況の中で、若者、そして若い学生、そうした者を引きつけようということで、単に本だけではなくて、従来の本だけではなくて、例えば日本の漫画なんかも物すごいシリーズであるわけです。それからさらに、本だけではなくて、さまざまな情報や、あるいはまた音楽もそこで演奏したりして、そこでそれを自分でCDに焼くこともできる。そういうような複合的な文化施設になっているわけです。

 ですから、そのように今一生懸命学力を上げるためにやっておりまして、そこには、まさに老若男女、本当にいろいろな人たちが、地域の人も若者も学生も、みんな行って、お互いに交流して、そこでそういう人たちが話し合う場所もある。そして、場合によっては、みんなが本を読んでいる真ん中でヘビメタのロックも生演奏したりする。本当にいろいろな形で努力して、そういう図書館をやっているんです。

 今、高校に関しては、例えばスーパーハイスクールみたいなものがあるわけでございますけれども、例えば、先ほど文部科学大臣がおっしゃったような努力の中で、そうしたおもしろい、新しい、革新的な試みが何かあるんでしたらぜひ披瀝していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 今の先進的な図書館を、私は残念ながらそこまでのものは見たことはないんですけれども、読書、私もほとんど活字中毒ではないかというぐらいに本が好きで、しょっちゅう読んでおりますけれども、PISAの調査を含めて、日本の子供が特に活字離れをしているという傾向が出ていることは明らかでございます。

 そして、一部の学校でいろいろな取り組みを重点的にしていただいている中で、毎朝読書をしよう、あるいは声を出して音読をしようというふうな取り組みの中で、著しい効果があらわれてきているという成果も報告をされております。

 そういう意味で、先生御指摘の読書と図書館の充実が、非常に教育的にも、それから社会的にも大きな効果があることは間違いないという認識の中で、具体的にどう取り組むかは、まさにいろいろな知見を含めまして大胆に我々も取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひともの御指導をいただきたいと思います。

首藤委員 大臣、ありがとうございました。

 大臣は所信の中で子供の命について触れておられます。これは、民主党の新政権になりまして、鳩山首相が命の大切さを国会で最初に演説されたわけでございますけれども、文部科学省も大臣所信の中でこれに触れております。

 しかし、子供の命という点に関しましては、子供を預かっている中核機関である学校で現実には子供の命が奪われている。それが現実ではありませんか。

 ですから、所信で述べられている、例えば不登校児の悩みを受けとめる、スクールカウンセラーを配置する、いじめ電話相談、これはこういうことが所信で書かれているわけですが、そんなものはもう既にずっとやっておられるわけですよね。ですから、一体、新しい政権になって、子供の命を守るために、子供を預かっている教育機関がどのように命を守るためにやるか、どのようなタイムスパンでやるのか、そういう新しい取り組みについて教えていただきたいのですが。

川端国務大臣 御指摘のように、まだまだ痛ましい出来事が多発をしているということであります。システム的には、先般、各省庁、各団体、NPOも含めた団体で、子供の命を守るネットワークということで構築をしました。

 私もいろいろと今までの事例も含めて検証したんですが、システム的、制度的、そしてやるべきことのガイドライン的に言えば、考えられることが全部できているんです。実際、機能しない。例えばこの前の、これは親の虐待でありまして、直接いじめの問題ではなかったんですが、不幸な事件がありました。そういう部分でも、結局、システムとして、連絡する、相談する、あるいは対処するということが書類上は書いてあるけれども、実際はそういうふうになっていない。これはどこに原因があるのかということが一番深刻であり、難しい問題だというふうに私も問題意識として持っております。

 先般来、その部分で、例えば、ちょっと学校とは関係ありませんが、学校というかいじめの問題でみずから命を絶ったみたいなことがあると、どうして相談してくれなかったみたいな話がしょっちゅう出るんですけれども、そういうメッセージを出しているのをどうして受けとめられなかったのか、どうして気がつかなかったのかという、こちら側にむしろ問題があるんだろうということの中で、大変長年にわたっての大きな課題でありますだけに、命を守るというのは、鳩山内閣の中で、一番は私は子供の立場に立った感性の問題だというふうに思っております。

 それがうまく機能できるように、実は、そうはいっても、いっぱいあって、先生もそれにかかり切れないという部分では、カウンセラーの配置、専門的にということも効果はあるんですけれども、個々に言うとやはり抜け穴がいっぱいあるということは、一番大きな問題として、私は就任のときの所信でも申し上げました。この問題にはまさに最大の努力をして取り組んでまいりたいと思っております。

首藤委員 大臣、ありがとうございました。その御覚悟、よくわかりました。

 もう一つ、私はこの議論の中で欠けていることは、一体子供たちが本当に命ということをどれだけ認識しているかだと思うんですね。いじめの被害者も加害者も、まるでロールプレーゲームのように、あるときは被害者、あるときは加害者になっている。子供たち自身が本当に自分たちの命をどれだけ認識しているかというところですが、本来であればそういうことも実は教育しなければいけない。

 ところが、日本の中でどれだけ命の大切さの教育をされているかというと、必ずしもそれはされていなくて、例えば道徳であるとか社会道徳であるとかいう話があって、命とはそもそも何ぞやということを子供に考えさせる、こういうような授業が余り行われていないんじゃないかなと思うんですね。

 例えば、フランスの公立高校、公立高校だけじゃなくて中学校でもそうですけれども、よく哲学の授業がありまして、そこで、フランスの公立学校の哲学の教科書というのは日本でも何種類も翻訳されています。読めば驚くような話で、人間はなぜ人間を食べちゃいけないのか、なぜ同性愛があるのか、なぜ自殺してはいけないのか、人間の根幹に向かってそういう問いかけがなされて、それが毎週のようにクラスの中でディスカッションが行われて、そして命の大切さを子供たち自身が自覚するという教育になっているわけです。

 なぜ日本で、そうした命の大切さを教える、そういう根本的な教育がなされていないのか。この点に関しては、文部科学省としてはいかがなものでしょうか。

川端国務大臣 先ほど来、私、この立場に立って本当に感じるのは、例えば今のお問いに対して言えば、学習指導要領で言えば、小学校の低学年から、命の大切さを教えることを含めて全部、例えば小学校の低学年、一学年、二学年では「生きることを喜び、生命を大切にする心をもつ。」第三、第四学年は「生命の尊さを感じ取り、生命あるものを大切にする。」五、六年は「生命がかけがえのないものであることを知り、自他の生命を尊重する。」等々を、繰り返し、学年に応じて、理解力に応じて教えることと、それから自分の命と人の命も大事にしなさいということ、要するにやるべきことは全部あると思うんですね。問題は、まさにソフトの問題を御指摘されているんだと思います。

 そして、それぞれ、これは学校だけでなくて、地域も家庭も含めた問題でありますだけに、道徳の時間においては、この命のことは先般の学習指導要領の改訂を含めて非常に重きを置いて政策としてとらえたことは間違いがございません。これからの問題は、やるべきことは大体わかっているのをいかにしっかりと子供の心に刻まれるように教えられるかにかかっているんだというふうに思っておりますので、その部分は、まさに先進的な事例も含めて、これも本当にしっかり積極的に取り組みたいと思っております。

首藤委員 大臣、ありがとうございました。

 そして、もう一つ、大臣所信の中で、やはり総理大臣の新しいイニシアチブを受けまして、新しい公共と教育という分野で触れておられるわけですが、現在の社会システムというのは、政府だけじゃなくて企業、そして市民社会も重要な役割を果たすということはもう明らかなわけでございます。

 新しい公共の活動を支えるために企業などの寄附が必要だという主張も、この所信の中に書いてございます。しかし、それは企業の努力や税制優遇だけではなくて、そもそも本来政府が担うべきだということで税金を集めているわけですから、その責任を持っている業務を市民社会組織、いわゆるCSOというんですが、NGO、NPO、その他市民組織を全部いって市民社会組織というんですが、それに依存する場合、その活動の権威、根拠となる行政権の委譲を、要するに、ここをあなたたちに任せるんですよ、あなたたちが主体的にやるんですよという行政権の委譲と、そしてまた、それはボランティアで、何か好きな人が趣味でやっているのではございませんから、やはり当然コストがかかるわけで、そうしたものに対して、単に税制で個人が寄附しやすいというのではなくて、どういう形でそこに資源を流していくのか。

 それは、例えばアメリカでもそうですけれども、アメリカは伝統的に民間が流すということになりまして、しかし、その総額も非常に大きなものがあります。例えば海外での活動をしているNGOには、USAID、アメリカの国営の最大の援助機関、国家の援助機関でございますが、日本でいえばJICAみたいなものですけれども、そこの約四〇%はNGO経由でお金を流すようにしている。そうすると、NGOというものがやはりそれなりに責任を持って活動できるわけですね。それからまた、アメリカでは、いわゆるNPOがGDPの一八%、一七%というぐらい大きな存在となっている。

 やはり基本的には、政府が握っている権限と資源を市民社会組織に流していかなければ新しい公共というのはできないわけですが、具体的に文部科学行政において本当にそんなことができるのか、どこまで御覚悟を持って考えておられるのか、所信に引き続いて披瀝していただきたいと思います。

川端国務大臣 非常に大事な御指摘でありまして、鳩山内閣、新しい公共ということで先般円卓会議が立ち上がりました。まさにそこの部分では、先生御指摘のように、まず権限をどこまで持てるのか、それから財源をどうするのか。財源の問題でいいますと、まさに寄附税制ということがよく議論になるんですが、おっしゃるように、公的資金をNPOやNGO等々に投入できるのかどうかということを含めた、全体の部分で非常に大きな議論は円卓会議を中心にしてたたいていこうという経過になっております。

 そういう中で、私たちは、教育の現場においては、学校それから管理者、教師、生徒児童、PTA、これが学校のいわゆる直接関係者でありますけれども、トータルとして教育というのを考えるときには地域の力を生かさないと、PTAとして親はかかわるけれども、子供が卒業したら、地域の人間であるけれども教育にかかわれない何か垣根があるということで、地域を巻き込んだ形での学校のシステムの、運営のあり方含めてをやらないといい学校にならないということで、地域が学校を育てていくんだということで、コミュニティースクールとか運営協議会方式とか、いろいろな形で今トライをしている。先週も総理が視察にも行っていただきました。

 そういう形で、実質上学校運営は、私たちの理念としては地域の力、これは地域という言葉は非常に概念が広くて、本当に住んでいる人だけじゃなくて、NGOもNPOも、全部そういうものも入った形で、総合的に学校というものは国民のみんなのものとしてあるんだという意識の中でやっていこうと。

 その運営を、いろいろな運営協議会の方式等々を含めて、コミュニティースクール等々、今まで実践をやってきました。そういう中から、新しい公共の部分では、こういうところはやはりこういう仕組みをもっと導入しなければいけないということも実践として出てくるというふうに整理もされてくると思っていますので、円卓会議は円卓会議として大きな議論をしていただくということで、我々としては、地域を生かした教育のあり方の中から出てきた部分を新しい公共の位置づけの中で取り組んでまいりたいと思っております。

首藤委員 時間ですので終わります。大臣、どうもありがとうございました。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員に出席を要請いたしましたが、出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 きょうは、初めて、川端大臣初めとして、副大臣、政務三役に質問できますことを大変うれしく思っております。今まさにオリンピックは、フィギュアスケートの浅田真央ちゃんが滑り終えたところで、次は金妍児さん、もう皆様、本当はこの委員会よりもテレビを見たいなと思っていらっしゃるのかもしれませんが、こうして民主党の方々、共産党も出席があるということを大変うれしく思っております。

 私は青少年特別委員会の委員長をしておりますから、委員長は余り質問には立たないようですけれども、この文部科学委員会には深い思い入れがございますので、ぜひきょうは質問をしたいと今立っております。

 昨年の八月に新政権が誕生いたしました。それは、国民の多くの負託を受けた。その負託は何だったんだろうか。それは、改革をしてほしい、二十一世紀にふさわしい新しい出発をしてほしい、国民の多くがそう願ったんだと思います。

 自民党の長い一党支配、私たち公明党も、十年間、自民党と連立を組んでやってまいりましたけれども、もちろんたくさんのよかったこともあれば、でも、長い文化と歴史の中には、やはり、しがらみだとか、どうしても断ち切ることができない人間関係とか利権とか、あるいはまた、知らない間に視点を大きく持つことができなくなったとか、そしてまた、おりのようなものも沈殿していったのではないか。今、全くそうしたものをすべて払拭して真っ白な出発点に立ってほしい、その国民の願いだと思います。

 ですから、その願いが大きければ大きいほど、それがなされなかったことの失望とか落胆がこれから来るのではないか。そういう意味では、まさしく、大変厳しくも意義ある立場に今立っていらっしゃるのではないかと思います。

 私は、二十一世紀、やはり日本は変わらなければいけないと思います。政治や行政が一番古いんじゃないか、本当は一番真っ先に進んで歩んでいく、リーダーシップを出すのが私は政治であり行政でなければならないというふうに思っております。

 でも、何を改革し何を残していくのか。それは、その人の人生観、価値観、そして、そのものにかける理念、さまざまな要素が私は必要とされると思っております。

 私は、いつもアメリカの神学者のラインホルト・ニーバーのニーバーの祈りという言葉を大事にしております。

 神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ。

 変えることのできないものについては、それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。

 そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、峻別する知恵を与えたまえ。

 勇気も知恵も冷静さも洞察力も判断力も改革には必要です。それがなければ本当の意味の改革などできないと思います。

 文部科学大臣は所信の中で、「個々人の潜在能力を高め、さまざまな分野で活躍する多様で重厚な人材層をはぐくむことが、我が国の成長と発展の土台となると考えます。また、その実現のため、現在、国際的に見て低い水準にある教育への投資をしっかりと確保し、ヒューマン、ソフト、ハードのあらゆる面において学校の教育力を高めていかなければならない」とおっしゃいました。

 大臣は、教育、文化、スポーツ、科学技術、この大切な私たちの人間力、教育力、その土台になるこの文部科学に対してどのような理念を持っていらっしゃるのでしょうか。そして、同時にまた、何を改革し何を残そうと思っていらっしゃるかを伺いたいと存じます。

川端国務大臣 長らくというか、ずっと教育、文化、スポーツ、科学技術、この分野において中心的に活躍していただいている池坊先生に御質問いただいて、大変光栄でございます。ありがとうございます。

 非常に根源的な、大事なお問いをいただきました。私も、先般の選挙は、やはり、よしあしというよりも、長く同じ立場でやるとどうしてもいろいろな弊害が出てくるという部分で、大転換をするために一度変わってほしいという国民の大きな願いがああいう選挙結果をもたらして、私たちをこの責任ある立場につけていただいたと思います。

 御指摘のように、その分は期待が大きければその責任ははるかに重いという意味では、それが、せっかく期待したのになと言われないように頑張らなければいけないというふうに思っています。

 その中で、変えることと変えられないことという御指摘がありました。私は、何事をやるにも、どちらから物を見るかということが非常に大事である。そして、行政の立場、執行する立場でやはりしっかり物事をやらないと規律が保てないということも、あるいは効率的、効果的にやれないということは非常に大事なことだと思っていますが、そのことが、長年やった中で、ある種のサービスを提供する者と受ける者ということでは、受ける側、いわゆる国民目線という言葉でよく言われますが、そちら側からの部分がやはり弱かったのではないか。

 そういう意味では、例えば、政権がかわったなという御評価をいただいた一番わかりやすい部分は、税金の使い道、使い方をどうするんだということが、俗に言う事業仕分けということで、いろいろなパフォーマンスを含めて一躍脚光を浴びたんですが、実は、今までは、八月に概算要求を、例えば二五%増しとか、一定の方向でとにかくやりたいことを全部言おうというところが八月に終わりまして、十二月の下旬に財務省原案が出てくるまで、国民から見たら何もわからないということがずっと続いてきた中で原案が内示され、一日、二日復活折衝があって政府原案が決まるというときには、執行側の思いはいっぱいあったし議論もあったでしょうが、国民は置き去りにされてきた。そこの切り口はやはり大転換をしようというのは、一つ現象的にあらわれたことだと思うんです。

 ただ先生、教育というのは、あるいは文化芸術、スポーツ、科学技術というのは、何か投資をしたらすぐに成果が得られるとか利益が得られるというふうな短期的なものではありません。そして、非常に長期的であると同時に、国の根幹の方向を左右するものであります。教育は国家百年の計ともよく言われます。そういう部分で私は、変えるものと変えられないものというよりは、軽々に変えてはいけない部類に多くの部分が文科省の仕事にはあるというふうに思っています。

 予算の執行のやり方とか仕組みとかを変えることは大胆に、国民目線、例えば教育でいえば、学ぶ側とか親の立場を重視するという、先生の都合、学校の都合というよりもそちらにウエートを置くとか地域に力を置くとかいうことは、仕組みとしてはありますけれども、およそ国民の審判を受けてこの議席を持っている議員で教育はどうでもいいと思っている人は一人もいないし、そして、この国でいい教育が子供たちにしっかりされて、いい子供が育ってくれるようにと願っている人が全員であります。

 その中で、いろいろな議論を踏まえてベストをと思ってやってこられたもの、大事な部分は継続しながら、やり方に関しての工夫は国民目線に立って変えるという方向で、これは、教育だけじゃなくて文化も芸術もそうだと思いますが、特に文化芸術に関しては、長い長い日本の歴史に基づいて成り立っているわけですから、それを何か改革するということではないというふうに思っております。

池坊委員 今、大臣が事業仕分けに対して、教育、文化芸術すべてにおいて私たちが直面しております問題は短期的に効率だけを求めてはいけないのだ、中期的、長期的にとおっしゃったことに私はちょっと安心いたしました。

 花は、表面はきれいですけれども、その下に根がなければ美しい花を咲かすことができないように、全く教育というのは、この根っこの部分を私たち国がつかさどっていかなければいけないのだと思います。効率的なことは何も国がしなくていいんですよ。民間に任せたらいい。効率がすぐに上がらない、経費がすぐに返ってこない、だけれども大切なものというのが必ず幾つかあるはずであって、それを私たち国がしていかなければいけないんだと思います。

 私はよく例に出してお話をするんですけれども、第二次世界大戦中の一九四二年の一月、ナチス・ドイツは、ベルリン郊外のヴァンゼーでヴァンゼー会議というのを開きました。短時間の会議で、当時、全ヨーロッパ・ロシア地域に居住していたユダヤ人の完全な抹殺が公式に決議されたんです。この日を境に、ホロコースト、ユダヤ人の大虐殺が本格的に行われたわけです。

 それで、私が問題にしたいのは、その会議にいた十五人のうちの八人は博士号を持っていたんです。つまり、エリートだからいいわけじゃないのです。知識があればいいわけではないのです。知識を土台にし、いかに社会貢献できるか、人類の幸せのために寄与することができるか、そういう力を養わなければいけない。それをこの文部科学委員会が、国が、政府が担っているのではないかというふうに私は思っております。

 そういう意味ではちょっと残念に思いましたのが、大臣も御存じのように、ことしは国民読書年です。二年前に、超党派の活字文化議員連盟の働きかけにより、二〇一〇年を国民が読書に親しむ年とする決議が衆議院、参議院両院で全会一致で採択されました。決議では、文字、活字は人類が生み出した文明の根源をなす崇高な資産とし、これを受け継ぎ、発展させて心豊かな国民生活を実現させることをうたっております。これを受けて、読書活動推進のフォーラムや若者に良書を贈る運動などが各地でさまざまに展開してまいりました。

 私は、政治家になりましてからずっと党の子ども読書プロジェクトチームの座長として、子供たちに少しでも多くの本を読ませてあげたい、広めたい。ITが盛んになればなるほど、私は本を読むことが必要と思います。それは、公平さとか、人間は何のために生きているのかとか、あるいはまた価値観だとか、それから予測の能力、今の子供は予測の能力がないんですよ。だから、いろいろと広い視野に立って、洞察力あるいは観察力とともに想像力というのが必要だと思います。自分一人が不幸なんじゃない、ちょっとそばを見回せば貧困や飢餓で苦しんでいる同世代の子供たちもいるんだ。そういうことは、テレビゲームをしていたのでは培うことはできない。

 私は読書が大切だというふうに思っておりますので、この地味な努力の中で、朝の十分間の読書、ブックスタート、読み聞かせというのをやってまいりました。朝の読書、これは何だと最初言われました。朝は朝礼するに決まっているよ。でも、地味な努力の中で、全国の小中高で今二万六千四百二十一校が実践しております。

 また、ブックスタートは、御存じのようにイギリスのバーミンガムで始まったもので、乳幼児健診のときに、保護者に、母子手帳と一緒に絵本の入ったブックスタート・パックを説明の言葉とともに渡すのです。日本では、千七百八十三の全自治体のうちの七百二十三の自治体が実施するようになってまいりました。

 こうした努力のもとで、平成十三年には議員立法として子どもの読書活動の推進に関する法律ができ、平成十七年には同じく議員立法で文字・活字文化振興法ができ、今日を迎えました。

 でも、私が残念に思いましたことは、事業仕分けであっさりと、ただあれは六十七万だったかもしれません。読み聞かせのためのそういう方々の交通費です。それがあっさりと、こんなもの要らないわよと言って切られました。地味な努力の中でやっている。私は激しく憤り、そして日本を憂えました。

 それで、仕分け人のコメントには次のようなものがありました。「国は基本的方針を示す仕事だけ。個別プロジェクトは地方が実施する。」「霞ヶ関の思い込みによる無駄な取り組み。地方に任せる方が遥かに意味ある取り組みになる。」「学校でやればよいことで、効果の明確でないことに国費を使う必要はない。」「この程度の事業は地方が実施している。国がわざわざ実施する必要はない。」この程度の事業とは私は思わないんですね。私は、教育を支えていくのは一人一人の草の根の意識の問題、行動力の問題ではないかというふうに考えております。

 来年度予算では、子どもの読書活動の推進事業は、概算要求の二億一千二百万が四千九百万にまで削られました。民間の読書活動などを支援している子どもゆめ基金は、基金の九九%を占める政府出資金百億が国庫に返納されました。国庫に返納されて一体何に使われるのか、それは国庫に返納されなければいけなかったのかと私は思っております。

 地方がやればいいということは本当なんですよ。でも、現状を余りにもおわかりになっていない。地方がどれだけ経済的疲弊の中でこのような読書だとか学校図書とかそういう細やかなところにお金を注がないかということは、平成二十一年度の年間一学校当たりの図書予算措置額、一位は愛知県で八十三万です。二位が東京都で八十万です。最下位の青森県は二十六万円。徳島県は二十九万円。つまり、これだけ地方によって格差が出ているのです。

 このような現状を大臣はどうお考えでいらっしゃいますか。こういう運動こそが、こういう地味な一人一人に支えられている運動、こういうことにこそ本当は力を注ぐべきである。私の考えは間違っていないと思いますが、いかがでございますか。

川端国務大臣 ありがとうございます。基本的認識は私もほとんど一緒でございます。

 それで、読書の大切さは、朝の十分間読書運動を含めて、幅広くその教育効果、学力だけではなくて、いろいろな規律の問題を含めて効果が出ていることも事実でございますし、国会決議で、参議院では特にそのこともお触れいただいた決議もいただいていることも承知しております。

 そういう中で、先ほど触れましたけれども、事業仕分けでも読書の意義を否定しておられる議論ではない。ただ、国がどこまでか地方の自主的なものに任せていいのではないかという議論が多かったということと、基金のあり方として、いろいろな基金が実はあるんですけれども、この基金も含めて、果実をもって運営するというほどの果実は実は出ないという仕組みの中で、中身をどうしようか、中身をどういうふうに事業をするかということと、基金として置いておくお金を、果実としての部分をどう見るかというのは切り離した議論がされたというふうに私は承知しております。

 そういう中で、先生お触れをいただきました子どもの読書普及啓発事業が一億数千万円ありました。この中でモデル事業としてやるというのが約一億円、四千万強がいわゆる啓発運動ということであります。国としてやるという意味では、啓発運動の予算だけを残しましたので、一億円ほど減額になりました。だから、国として、みんなが頑張って読書しましょうという啓発、啓蒙運動は国の責任でやりますが、実施は地元でやってくださいと。そのために、子ども基金の国の拠出分の約百億円は返納して民間だけの数千万円の基金としては残しましたけれども、実際の事業としての二十三億円の事業は、基本的に全部継続をさせていただきました。

 そういう面では、子どもゆめ基金という名前での基金は、もとのお金は減りましたけれども、事業としては前年を継続してやれるだけのことを担保して、なおかつ、モデル事業でお手本にするというと、十カ所ぐらいだけやって全国にどれだけ広がるのかというよりは、むしろ幅広にできるような仕組みの方がいいというふうなことを含めて、いろいろな民間団体がやられる部分を今までどおり幅広に応援していくという仕組みに変えさせていただきました。

 そういう部分では、効率を図ることは仕分けでの御指摘でもありますからそういう工夫はいたしましたけれども、読書の大切さをしっかり踏まえて、各事業、今までせっかく苦労して育てていただいた事業がこの予算措置の変更に伴って芽を摘むようなことだけはあってはいけないというふうに認識をいたしておりますので、またいろいろと御指導いただきたいと思います。

池坊委員 先ほど、改革すべきものと、でも、教育分野においては継続していくものが多いのだとおっしゃいました。私は、内容を見直しつつも、ぜひいいものはその精神は継続していっていただきたいと思います。

 継続していってほしいもの、たくさんございます。私が政治家になる前に向かい合っておりました日本の伝統文化である、私は生け花ですけれども、これは、本当に長い歴史の中、古いものをそのまま受け継いできたのではないのです。それぞれの時代に生きた人々の価値と意義をしっかりと受けとめ、そして、変化を遂げながら今日まで生き続けてくることができたのです。ですから、私はそういうふうにしていただきたい。見直すことはぜひ必要と思います。

 この際、私が見直していただきたいことの一つに審議会があるんです。ではあなたは、政務官になったり、あるいは一年十一カ月も副大臣でいながらそれを見直さなかったのかと言われそうなんですが、組織にいらっしゃる大臣、おわかりいただけると思います。一人の人間が幾ら孤軍奮闘いたしましてもなかなか変えられないものがございます。

 でも、今は新政権です。今いろいろなことを改革していかなければ、あるいは廃止するとか見直すとかそういうことをしていかなければ、時期を逸したらもうそのままずるずると継続していってしまう。そういうことを私はぜひ見直していただきたいと思うんですね。

 それで、その中の一つに私は審議会というのがございます。審議会というのは、今までたくさんございましたのが省庁の再編によって八つになり、それから分科会三十二に分かれました。それで、この構成メンバー、並びにここのOBがいらっしゃるのかどうか、どういう人選をしていらっしゃるか、ちょっと大臣にお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 現在、文部科学省において法令に基づいた審議会等としては、各政策分野ごとに十一設置されています。分科会を入れますと三十二になるのは御指摘のとおりであります。

 それで、分科会等の下部組織を除いたメーンの十一の審議会の合計の委員数は二百四十四名、そのうち、いわゆる官僚OBは十一名、そのうち文科省出身者は六名です。常勤委員は三名で、官僚出身者一名、文科省出身者がそのうちの一名で、非常勤の委員が二百四十一名、官僚出身者十名、文科省が五名ということであります。

 それぞれ専門分野ということで、中教審とか文化審議会とかいろいろそれぞれの専門分野の委員でございますので、人選に当たっては、その専門性で厳正に選んでいると同時に、できるだけ文科省のOBが入らないように、そういう立場でない人に審議していただくのが本来の趣旨だと思って選んでおられたと思いますし、ちょうど一斉に任期がかわるわけではありませんので、一部任期が来てかえさせていただいたところもありますが、見直しつつやっていきたい。

 同時に、先生が御指摘のように、この際だったら一気に大胆にできるではないかという御指摘も、そういう部分もあると思います。そういう中で、一応法令に基づいて設置をされているという背景でありますので、と同時に、一般論でありますけれども、よく言われた議論として、審議会の答申があったからということで何か正当化し、にしきの御旗みたいにやるということがあるのではないかとよく言われました。

 そういう意味で、政治家が責任を持つということと同時に、極めて専門的、大所高所的、中長期的な問題はやはり審議会で専門家がじっくり御議論をいただくということが必要なものもありますし、やはり、緊急を要してやらなければいけないもの等いろいろな分野がありますので、審議会の役目も大事にしながら、ほかのいわゆる、先ほど国民目線と申し上げましたけれども、幅広い意見が聞けるように、審議会の専門家の議論に加えて、現場との対話、あるいは、例えば事業仕分けのときはネット上でメールで御意見を賜りたいと言ったら、十数万件来ました。そういうふうな各界各層の意見を審議会以外にも聞けるようなことも考えながら取り組んでまいりたいというふうに思っておりますし、また個々に何か御指摘がありましたら、お聞かせいただければありがたいと思います。

池坊委員 ぜひ大臣、余り出席をしていらっしゃらないように私はお見受けいたしますが、中教審もずっと開かれていなくて、この間一月二十二日に初めて御出席になったと思います。二百四十四名の人間の三十二の分科会ですから、とてもそれは御出席になることができないと思いますが、今はパブリックコメントというのがございますから、もし国民のいろいろな意見を聞きたかったら、それを利用することもできると思います。

 今おっしゃるように審議会とは、中央省庁が設置する、有識者や利害関係者で構成する行政機関と言われております。国家行政組織法や内閣府設置法が法的根拠となっておりますが、別にこれが必要でなかったら、それがあるからといってそれを機能させることはないと思います。現実に、余り機能していないのではないか。悉皆に今度学力調査をするなんというのもまだ中教審にはかかっていないように思いますし、ある意味で、中教審というのは役所が主導して役所の隠れみのだとも言われておりますし、それから、業界の利害調整の場とも言われております。

 これから政治家主導とおっしゃるならば、政治家が、政務三役の方々が責任を持ってこれからなさるべきですから、要らないもの、中教審がこう言いましたから、何とかがこう言いましたからというのは今まではすごく多いんですね。そういうことだけはやめていただき、本当に機能するものにしていただきたいと思います。

 鈴木副大臣は深くうなずいていらっしゃいますので、コメントがあったら、ぜひ決意のほどを語っていただきたいと思います。

鈴木副大臣 突然の御指名でございますが、もうおっしゃるように、本当にいろいろな現場の意見を一生懸命聞きたいと思って頑張っておりますので、引き続きの御支援をいただきたいと思います。

池坊委員 私ちょっと調べましたら、海外でタスクフォース方式というのをやっていまして、大臣が、数人から多くても十人程度の専門家を集め、期限を定め検討を依頼し、その成果を政策提言として提出する、こういうのなんかがいいんじゃないか。

 ただ、それがちゃんとホームページなどで情報公開されませんと、私的諮問機関のようになって、何だかわけがわからないうちにやっているわということになると思うので、やはり透明性を図ることが大切ではありますけれども、こういうようなこともぜひ、副大臣はお若いんですから、私よりも悔しいけれどもはるかにお若く、これからの日本の教育をしょって立っていらっしゃるんだと思いますから、こういういろいろないい方式があったら、それを取り入れて変革していただきたい。今まであるからそれはそのまま引き継ぐというのはやめていただきたいと思うんですね。

 それとともに、今改革していただきたいことの一つに、見直していただきたいことの一つに、いっぱいいろいろな規則がありますね。この規制緩和というのをぜひしていただきたい、緩和すればすべていいということではありませんけれども。これは、ちょっと時間がかかりますので私はあさっての分科会でも取り上げたいと思っております。本当にがんじがらめに、前は、大学をつくる、学校をつくるんだったらトラック一杯分の書類が必要だった。ところが今はそういうことはなくなりましたが、まだまだ私ども一般の人間から見たら、学校をつくるなんということは本当に大変なことである。それは、内容よりも細かい規制がいっぱいあるんですよ。ですから、文部科学省の天下りの方に助けていただいた方ができやすいということにも結果的にはなっていくんですね。

 例えば御存じですか、二〇〇五年に、天井の高さが三メートルを二・七メートルでもいいというふうに言われました。これは埼玉県の草加市で、三メートルを二・七メートルにするとこれは一・五%の総工費削減になるんだといって特区で申請をいたしまして、これは小泉総理のときでしたけれども、そんなふうになったんですね。

 これを調べてみましたら、明治十五年の文部省示諭というところで、三メートルにいたしましょう。昭和二十五年に建築基準法、同施行令において、国民の生命、健康及び財産の保護を図るための最低基準、これは、一般の建物の天井の高さは二・一メートル、特例として、床面積が五十平方メートルを超える小学校、中学校、高等学校は三メートル以上でなければならない。

 こんなこと、学校を信頼して学校に任せたらいいんですよ。ぎゃあぎゃあ私どもが言いまして、ようやっと二・七メートルでもよくなりました。こういうことが山ほどあるんです。

 どうぞ大臣、こういうことを一度見直していただきたいと思いますが、いかがでございますか。もちろんお忙しいことは十二分にわかっておりますが、こういう細かいことは、現実に当事者にとっては大変な問題なんです。

川端国務大臣 規制緩和という言葉がよく使われますが、基本的に、いわゆる経済的規制は一定のルールと監視機構のもとに可能な限り緩和をする、社会的な規制は、人権や格差というものを解消というふうな観点から社会的規制は一定あるべきだというのが、総論としてそういうものだと思うんですね。

 そういうときに、今の多分天井の高さでいうと、安全とかいうことでお決めになったんだと思うんですが、建築技術の進歩とかいうことでいうと、時代の変化で基準が変わるということもあると思うんです。そういう意味では、いろいろな時代の変化に伴って、個人の権利や安全の確保等々の社会的規制といえども、一定の時代の変化によっては不断に見直さなければならないものはたくさんあると思います。

 そういう中で、実はこれが経済活力も奪っているのではないかという指摘もかねがねされています。ただ、一方で、小泉改革路線というのは非常に市場原理というものに重きを置いて、社会的規制が要るのではないかというところまで大胆に踏み込んでやって、逆に格差を生んだという指摘もあります。

 そういうことの中で、鳩山内閣としては、枝野大臣が担当になりました行政刷新会議のもとに規制・制度改革分科会というのを設置いたしました。そして、六月をめどに対処方針をまとめようと。

 同時に、先ほど先生も御指摘していただきましたけれども、国民の声を聞くということでハトミミ・ドットコムというのを今つくっておるんですけれども、ここでも、公共サービス、あるいは規制、制度に関すること、あるいは予算に関すること等を国民の皆様もどんどん言ってくださいと公募もすることになりました。

 そういう意味で、文科省としても先生御指摘のようなことはいろいろあって、緩めたら、慎重論としては、それだと個々の安全が保てないとかいう話等必ず摩擦はあるんですけれども、時代とともにこういうものも、国民を守るという観点を損なわないという大前提に立ちながら、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

池坊委員 今大切なことは、政治家主導で政治家がやっていらっしゃるので、文部科学省はより規制を厳しくして監視を強めているのではないかというような感じが私にはしております。

 例えば、細かい規制にちょっとうっかりミスで外れてしまった。それで、うっかりミスはすべていけないんだと言ったら、ほかの方々だって罰せられなければならない方はたくさんいらっしゃいますでしょう。たくさんはいなくても、少数いらっしゃる。うっかりミスであってもペナルティーがすごいんですね。例えば学校なんかだったら、もう存続できないようなペナルティーを科したりする。そういうことを私は考えるべきであると思っておりますので、また細かいことなどはぜひお考えいただきたく、ともに協議していきたいというふうに思っております。

 私はこれから、もう時間もなくなりましたが、今度出されます高校無償化法案について幾つか質問をしたいと思っております。

 これは、民主党が前政権で鈴木副大臣がお出しになりましたときにも私は質問をさせていただきました。基本的には、高校生が学ぶことに支援することは私はいいことだというふうには思っておりますけれども、もうちょっと丁寧な、きめ細やかな政策にしていただければよかったなというふうに思うんです。

 それは、別に私が野党だからそのように申し上げるわけではありません。私は野党だとかそういうことを考えたことはありません。いつも私の目標にあるのは、これから歩んでいく子供たちがいかに心豊かにほほ笑みを持って学ぶことができるのか、そのような環境整備をしていきたい。そして、その子供たちが二十一世紀を担ったときに、国際社会の中でみんなから信頼や尊敬を集めることができるようなそういう社会人になってほしい。そういうことに手を貸していくのが、私たち先を歩んでいる人間の使命と責任ではないかと私はいつも思っております。

 かつて、児童虐待防止法は超党派でこれを成立さすことができました。私はそのことをすごく誇りに思っております。超党派でみんなが英知を出し合いながらこの問題も審議して、よりよいもの、最善な法律をつくっていくことができたらいいんじゃないか。もう時間は迫っておりますが、まだ一カ月ございますので、私どものいろいろな意見も取り入れていただき、もし間に合わなくても、次のときには絶対にこれを生かしていただきたいというふうに私は考えております。

 私が二点大変に不満足に思いますし、これからしてほしいと思いますことは、所得制限を設けることです。もう一点は、給付型奨学金制度をぜひ創設していただきたいというふうに思うんです。

 本法案のような、授業料の負担軽減のために一律に授業料を徴収しない、あるいは支援金の支給を行うということは、私は基本的には五つの問題があるというふうに思っております。

 つまり一点は、支援の必要のない者に支援することはばらまきになっていくのではないか。公平というのは、すべての人に同じ金額を上げることが私は公平というふうには考えません。一万円の価値も、大臣と私と、あるいはほかの人とは価値が違うのです。一万円なければ生活できない、御飯も食べられない、そういう人もいます。一万円で温泉に行こうかなという人もある。だから、必ずしもすべての人を同じ扱いにすることが公平でないことは、言うまでもないと思います。環境が違う、それに伴って学力も経済力もすべてが違っているのです。

 二番目には、一律の授業料を取らない、就学支援金の支給、これ自体は私はいいとは思いますけれども、九八%の人が高校に行っているんだから、高校に行くのが当たり前だ。もともと意欲がない、あるいは、ほかの分野で私はもっと自立していきたい、もっとほかの分野で自分の能力を出したい、そういうような多様な選択肢を阻むのではないか。そしてそれは、結果的に中退とか不登校児を多くしてしまうのではないかというふうに思っております。

 三点目には、高所得者がやはり授業料相当額の支援を受ける、ではこれは、支援を受けなくたって本来的にはそう困らない方々は何に使うかといったら、塾の費用に使う。そうすると、学力格差の拡大を起こしてしまうのではないかというふうに思います。

 それから、現に地方公共団体による授業料の減免措置を受けている低所得者の方々については、この本案の無償化施策というのは新たな恩恵はもたらさないんですね。それで、そのことも考えていただきたいと思う。

 それに伴いまして五つ目には、授業料のほかに入学金、修学旅行費など、授業料以外の教育費こそ低所得者層にとってはかなりの負担になっております。これに対する手当てが本法案にはございません。これをぜひ何らかの形で補完するべきというふうに考えております。

 これらの考えのもとに、私は幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 今、多くの外国人の子供たちが、深い関心と不安と危惧の中に揺れ動いております。大臣にぜひ伺いたいと思います。

 総理はたびたび命が大切だとおっしゃいました。当然ながら、命というのはすべての人たちの命だと思います。鳩山総理は第百七十四回通常国会の所信で、「すべての意志ある若者が教育を受けられるよう、高校の実質無償化を開始します。」とおっしゃいました。法案説明のときにも、すべての意志ある高校生が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、公立高校の授業料を無償化するとともに、就学支援金を創設して、家庭の教育費負担を軽減すると言っていらっしゃいます。

 すべての意志ある高校生が勉学をするということは、日本に住んでいるすべての高校生、民族にかかわりなくすべての高校生を指すのでしょうか。これは省令で決めると言っていらっしゃいますが、政治家主導と言われておりますので、ぜひこれは一カ月の間で、大変大切な問題だと思います。言うまでもなく、中華学校、台湾学校、朝鮮学校、インターナショナルスクールなど、こういう学校すべてが無償化されるのでしょうか。

 これは私の意見ですが、大人たちのさまざまな事情があるとしても、二十一世紀を担う子供たちに罪はないと思います。子供たちは環境を選ぶことができません。必然的に、その環境の中で生きて勉強していくのです。ですから私は、大人の事情でこういうことの中に差別があってはならない、すべての子供たちを救済するようなそういう法律であってほしいと思っておりますので、それについて伺いたいと思いますことが一つと、各種学校というのはどこで線引きをなさるおつもりなんでしょうか。都道府県から認可を受けた高校は今百二十四校、五千八名がおります。この人たちすべてに支援するのでしょうか。

 また、認可を受けていない、ブラジル人学校だけではありませんけれども、どうなさるおつもりか。この認可を受けていない子供の方が結構多いんですね。例えば、東海三県の認可校というのは十二校なんです。これは全体の三分の一と言われております。三分の二の学校には支援が行かないのでしょうか。

 それから、高校というのは、御存じのように都道府県が認可いたします。各県で認可の基準というのが違うんですね。だから、国がやると言っても、地域によって教育格差が生まれてくると思います。漏れる人、漏れない人、これは天と地ほどの違いがあると思いますので、この二点について、大臣、明確にお答えいただきたいと思います。

 各種学校はどうなのか、どういう線引きなのか、そして、すべての高校にふさわしい子供たちにはすべて支援をするのかをお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 今度提出しております、近々御審議いただく予定になっている法律では、国立や私立の高等学校、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部、高等専門学校の第一学年から第三学年、ここまではもうはっきりと規定どおり。それに加えて先生御質問の部分は、専修学校及び各種学校のうち、文部省令で定めるものについて、高等学校等就学支援金を支給するというふうに法律で書かせていただいております。

 これは、各種学校を含めた部分については、高等学校の課程に類する課程として文部科学省令で定めるもの、したがいまして、初めのお問いの、すべての日本にいる高校生に支給するのかと言われますと、そのとおりであります。

 そして、その高等学校としてはっきり法律で決められている基準に合うものというのは、高等学校という基準というのは、中学校等を卒業した者を対象として、修業年限が三年以上で、卒業に際して七十四単位、総授業時間数二千五百九十時間以上の修得が要件で、おっしゃるように、都道府県、場合によっては国立も含めて認可をしているものが高等学校でございます。

 したがいまして、それに対して専修学校というのは、中学卒業以上というのは資格にあるのですが、一年以上で八百時間教育を受ける者の生徒が四十人以上いるということを条件として、高等課程、専門課程、一般課程と三つあります。この中の高等課程が、中学校等を卒業したという部分、一定の中学校卒業要件という部分では、高校に該当するというスクリーニングの対象になるというふうに思っております。

 ところが、実際に専修学校の高等課程を見ますと、三年制以外に一年制とか二年制とか、あるいは、医療、服飾、家政、文化、教養、工学、多様な分野もあります。そういうものを、たとえ一年であっても高校の一年に相当するのかどうかというのを判断基準にしたい。

 そして、各種学校の設置要件は、多分、自動車学校とかも含めて全部各種学校でありますので、一定の何時間とかいう修業年限は、多くは一年以上でありますが、三カ月以上一年未満というところもあるとか、授業時間数がどれぐらいあるのかということで、高校にそのまま当てはまるかどうかというのもいろいろな基準で議論があります。

 専修学校の高等過程というのが、大体中学校卒業で、授業時間数も高校に類する分野として視野に入るという認識は持っておりますが、各種学校自体はもう実はさまざまでありますので、これが高等学校の教育課程と判断できるかどうかというのは、どういう基準でするかというのを今検討しておりますが、その中で、各種学校の中で御指摘の外国人学校は、専修学校になりたくてもなれないという各種学校であります。

 したがいまして、その中身は、三年制のほか二年制、四年制、あるいは独自の単位制、それから、例えば母国に非常にリンクした学校ですと、母国の教育制度をそのまま持ち込んでいるという外国人学校もあります。

 したがいまして、多様な実態の中で、一つは、高等学校の課程に類する課程というものにどのような基準を設定して、授業時間数なのか年限なのかということを含めてどのような評価項目で一つは判断するのかということと、もう一つは、そういう基準に該当するかどうかを判断するときに何をもって判断をするのかということを、今詳細に検討をしている過程にあります。

 したがいまして、省令は四月一日実施ということで、法案審議の上でもいろいろな御意見もあると思いますが、法律が決まった後で省令は決めることになっておりますが、実際の選定に関して、現場に迷惑をかけないように最大限の努力をする中で取り決めてまいりたいというふうに思います。

 国会でのいろいろな御議論もあると思いますが、先ほどのお問いで申し上げますと、高校と認定を文部科学省が省令でしたものに関してはすべて対象とするということで、認定をどうするかということに関しては、個別の評価基準の問題と、その評価基準を満たしているかどうかをどうチェックするかというこの二つを今検討しております。国会の審議も踏まえながら決めていきたいと思っております。

池坊委員 今大臣がおっしゃいましたけれども、文部科学省が認定する、高校に類する、これは大変に難しいと思うんですね。

 それならば、インターナショナルスクール、中華学校、韓国学校、朝鮮学校、すべての実態調査をしていただきたいと私は思います。ぜひそこにいらっしゃって、どういう授業をしているかというのも見ていただきたいと思います。風評はいけないと思います。実際にごらんになって、本当に日本の高校に類する勉強をしているのかどうか、していても認定されないところがございますし、母国だけの授業をしていると今大臣がおっしゃったけれども、本当にそうなのかどうかというのは見なければわかりません。ですから、ぜひ私は調査をしていただきたいと思います。

 なぜならば、これは、積み残された子供たちには非常に大きな禍根を残します。どういう学校を認定し、どういう学校を認定しないのか、今は詰めていらっしゃると思いますけれども、これは、大臣並びに、鈴木副大臣は前からこの法案を提出していらっしゃる、だから長い思い入れも経過もおありになると思いますが、私はあくまでも、大人の事情にかかわりなく、すべての子供が救済されなければいけないと思っております。

 それからもう一点、では大臣、手を挙げていただいておりますので、後で伺います。

 それとともに、例えばブラジル学校ですと、高校に行き着くまでに、小学校、中学校で経済的理由でもう通えない子供が多いんです。私はこの間浜松のムンド・デ・アレグリア校を初めとして三校を視察に参りました。今、大変な経済状態の中で苦労をいたしておりますので、その辺はどうなさるおつもりかということも私は考えていただきたいと思います。

 大臣、次の質問をちょっと続けて、その後で一緒にお答えいただけたらと思います。

 先ほども申し上げましたように、現行制度でも、低所得家庭の中には公立学校授業料の免除、軽減を受けている家庭がございます。これらの家庭には今回の学校授業料無償化による恩恵はありません。しかし、学校生活を営む上で、授業以外にもさまざまな費用がかかります。例えば修学旅行費、学用品の購入、入学金などです。

 入学金の学校納付金は、平均は公立学校で二十四万円、私立高校で四十四万円です。これらの出費が低所得世帯にとっては大きな負担となっております。生活保護世帯に対しては、平成十七年度から高校就学費用として入学金や入学準備金などが給付されるようになりました。でも、入学金は公立学校相当額に限られると言われておりますから、必ずしも十分ではないと思います。

 私は、低所得世帯には授業料以外の費用を支援することが必要ではないかと思っております。平成二十一年度、前の政権で、第一次補正予算で高校生修学支援基金として四百八十五億七千万を計上しております。これは各都道府県に三カ年分の基金を設置いたしました。これは、家計の急変などの理由で修学が困難になった高校生の授業料減免や、奨学金を利用した分の緊急支援としての交付金です。

 二月九日に高井政務官の名前で各知事と教育長あてに、改めて、制度の周知徹底を図る旨の通知をお出しになりましたね。私もそれは拝見いたしましたけれども、この修学支援金を、授業料の減免や奨学金だけでなくて、低所得世帯に入学金、修学旅行費、学用品の購入、あるいは、今は給付型ではございませんので、給付型奨学金に使うことができないかどうかをぜひ御検討いただきたいと思います。

 今のこの四百八十五億七千万というのは、御存じのように、国が半分出して、都道府県が半分出すんですね。だから都道府県がなかなか手を挙げないので、これはまだ使い切っておりません。たくさん残っておりますので、これは、都道府県じゃなくて、やはり国が全額あるいは七割面倒を見ることが必要かと思いますが、その辺についてどのように考えていらっしゃるか。ぜひ私はこれを変更してほしいというふうに願っております。

川端国務大臣 今のお問いにお答えする前に、ちょっと誤解があるといけませんので。

 母国のと申し上げたのは、中身がどういう教育をしているかという意味ではなくて、各国によって必ずしも日本のように六・三・三制になっているということに限りませんので、そういう年数が違う教育課程の中で教育をしているという学校もありますので、そういう意味で、どういう部分が高校に充当するのかということを制度的にしっかりと担保しなければいけないということを申し上げたのであって、この国の教育をしているから云々ということは全く関係がありません。

 それと、ブラジル人学校の特に高校までの部分は、いろいろな実態があるのは先生も御視察いただいて御承知だと思いますが、そういう中で今文部科学省としては、地域の義務教育の小中学校で受け入れる体制を最大限配慮して、言葉も通じるようにということで今やっておりまして、個々のブラジル人学校が経営基盤を含めて大変な状況にあることは承知をしておりますが、これは、実情を踏まえて自治体ともいろいろ連携をしていきたいと思っています。

 そして、今の修学支援基金の問題でありますけれども、それぞれの都道府県でいろいろやっていただいている中で、急激な経済、景気の悪化に伴って、もともと予定していたのが超えて対象となる人がふえた場合を想定して基金をつくっていただきました。

 これが二分の一になった部分というのは、多分、その当時の与党の御議論としても、今それぞれ都道府県がやっている分に上乗せ、はみ出しの部分を手当てをする基金ということでいうと、今やっているところというものの制度に濃淡があります。自前でやっているところとやっていないところがあるということで、やっていないところも含めて上乗せするということに関しては、それぞれの自治体の判断でやられる部分に援助するという部分の地方自治体の公平感から、二分の一国庫負担という制度になったと私は想像しております。

 ただ、実態として、なかなかそれがあるから使い勝手が悪いという現状もそうであります。それと同時に、貸与型ではなくて給付型奨学金に使えないかということの議論もいっぱい出ていることも事実でありますが、制度上は奨学金制度に充当できるということでありますので、貸与型、給付型という文言はないのですけれども、実態を把握する中で、我々としても何らかの形で給付型という検討もかねてからしておりますが、当面は、この基金をできるだけ活用していただくということで周知徹底するということに今力を注いでいるところであることを御理解いただきたいと思います。

池坊委員 もう時間がなくなりましたので、たくさん本当は伺いたいことがあるのですが、最後にちょっと鈴木副大臣、こういう現状を御存じだと思います。

 つまり、九八%の人間が、三百六十六万人かもしれませんが、高校に進学しております。でも、必ずしも彼らたちは、勉強が楽しい、勉強がしたい、そう思って高校に進学しているかというと、そうではない。何となく、行くのが今の風潮だから行こうという子供たちもいるのです。

 なぜならば、具体的には、平成二十年度は年間六万六千人を超す生徒が中途退学をいたしました。その原因を見ると、学校生活・学業不適応というのが四〇%なんですね。また、中途退学者のうち、もともと高校生活に熱意がない、授業に興味がわかないという生徒の割合は二〇%になっております。その数は約一万四千人にも上っております。経済的な理由で中退した生徒の数は二千二百人です。ですから、その六倍もの子供たちが、学校生活になじめないとか学校生活がつまらないんだ、そう言ってやめているんです。

 この二千二百人の子供たちにとっては、確かにこの法律は大変いい法律であると思います。だけれども、それ以外の子供たちに対して、ではどういう手だてがあるのか。つまり、財政的支援だけでは高校生活を充実することはできません。子供たちがより豊かに青春である高校生活をすることはできない。ほかにいろいろな要素があるのではないかと私は危惧しているわけです。

 ちなみに、不登校児は五万二千九百七十七人ですね。不登校児と中退者を合わせましたら十二万人です。全体の約四%ではないか。これは私はゆゆしき問題だと思います。

 文部科学省はこういうことにも環境整備をしっかりとしていかなければ私はいけないと思いますが、そういうことについてのお考えを私は伺って、残念ながら時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきますが、ぜひ最後にそのことについて伺いたいと思います。

鈴木副大臣 まさに非常に重要な問題だというふうに思っております。

 実は先般も私は、NPO法人カタリバというのがやっている、まさに、なぜ高校で学ぶのか、その意義を大学生のボランティアが高校生たちと語るそういう現場にも行ってまいりましたし、実は私の教え子がそれをやっているということもありまして、それをずっと応援してまいりました。こういうことを、NPO、そして当然学校、そして卒業生、地域の方々あるいは産業界の方々がやはりきめ細かくやっていくということが大事だと思います。

 それからもう一つ、今回、就学支援金の制度によって中退を防ぐ、あるいは解決する方法の一つに、これは全部ではありませんが、やはり転校をしやすくする。要するに、今は転入学というのが公立を除くと非常に難しくなっております。ある学校では十分なじめなかったかもしれないけれども、別の高校ではもう一回新しい学びの機会、チャンス、御縁というものを見出すという可能性もございます。

 こういうことには今回の制度はプラスになっているということでございますが、きょうの御指摘も踏まえて、さらにいろいろな知恵、汗をかいてまいりたいと思いますので、よろしく御指導をお願い申し上げます。

池坊委員 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、緊急を要する問題をお尋ねしたいと思います。

 この間、中学・高校生を卒業クライシスから救えという集会が持たれるなど、経済的理由によって卒業ができないという事態を何としてもなくしたいという動きが広がってまいりました。

 二月の十一日に、全日本教職員組合などによる授業料・教育費緊急ホットラインというものが行われました。受け付け開始時間を待たずに電話が鳴り続けて、相談件数は一日で百二十八件に上ったと聞いております。相談内容を見せていただきますと、切実かつ緊急を要するものばかりでありました。

 例えば、母子家庭、長女の授業料六十万円を三月一日までに支払わなくてはならない、母は昨年六月に入院、生活保護を受けている、社会福祉協議会にも相談に行った、国の教育ローンを申請した、今は利子だけ払っている、長女の学費を何とかしたいという大阪からの相談。三月一日といえば、あともうわずかであります。

 また、大阪の私立高校二年の息子を持つ母親だが、収入が少なく三学期分の授業料十八万五千円を払えるめどが立たない、三月十五日までに払えと言われている、夫は派遣労働者だが、一昨年秋から十二月ごろまで事故に遭い休職、昨年一月末に復帰できたが、契約期間はこの三月末までしかない、自分はまだ一歳の子供がいるので働けず、月収は二十万円程度、どうしたらよいか、こういう相談もございました。大変深刻であります。

 学ぶ意欲のある生徒がこういった経済的な理由によって修学を断念することがないように、特に卒業を控えたこの時期に経済的理由によって卒業できない、そういう生徒が一人も出ないように全力を挙げるべきだと私は思いますけれども、文部科学大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のような生々しい大変深刻な問題を聞かせていただきました。

 先ほどのときの議論にもありましたけれども、高校生の修学支援基金を最大限活用すると同時に、授業料の減免も含めて、せっかくここまで勉強してこられた方が、単に、単にと言ったら失礼かもしれませんが、授業料が払えないということで卒業できないとかいうことになっては大変なことでありますので、そういう部分で、今ある制度が実はそんなに周知されていないという側面もありますので、制度の周知徹底を高井政務官名で先般も発出をいたしましたし、各都道府県に対しても教育委員会に対して、私としてはこういう事態に対してあらゆる手だてでしっかりと対応して、この問題で生徒が大変な目に遭わないようにという指導を行っているところでございます。

宮本委員 高井政務官がお出しになった九日付の文書も読ませていただきました。

 ただ、この高校生修学支援基金でありますけれども、先ほども議論がありましたように、授業料減免措置に係る補助事業あるいは奨学金事業に対する基金でありまして、その対象も、授業料と同等とみなすことができる納付金、こういうものについても、減免補助も算定の対象とするという点では、私はなかなか積極的な側面を持つ制度だと思っております。

 しかしながら、補助単価の増額を行ったり、あるいは補助要件の新設をする、先ほど議論がありましたね。そういうふうにしますと、これまでの、例えば生活保護世帯や非課税世帯を減免の対象としてきたものを、年収三百五十万まで広げるなどということをやれば、自治体は基金からの取り崩し分の二分の一を負担しなければならない。この負担がなかなか重いということで二の足を踏むわけでありまして、昨年七月に、高等学校授業料減免事業等支援臨時特例交付金の取り扱いに関する要望というものが二十三道府県から出されております。

 それによると、都道府県の状況によっては、授業料減免事業による補助単価の増額または補助要件の新設を行って交付金を基金から取り崩さなければ、平成二十三年度末の時点で多くの交付金を残余額として国庫に返納しなければならないことが予測されますと述べ、よって、都道府県負担をなくする等の同実施要綱の見直しをしていただきたい、これが県からの強い要望でありました。

 せっかくの基金が国庫に返納されるということになったら元も子もないわけでありますから、文部科学省として財務当局に、二分の一負担をなくしてほしい、こういう要求を出してきたと思うので、そういうことをきちっと財務当局に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 二十三道府県からそういう強い要望もいただいております。

 そして、私たちも、そういう中でこの制度を最大限活用して、二分の一になったのは、先ほども申し上げましたけれども、今やっている制度から急激にふえて、予定を超えた部分に手当てをするというもともとの制度でありますが、そのことで言いますと、既に自前でと言うとあれですが、それぞれやっておられる部分にもいろいろな仕組みが都道府県独自でありますので、そこの分の公平感からいって、全額補助が難しいという議論が根強くありまして、我々としては拡充したいという思いの中で、引き続き制度の拡充を目指しては関係当局ともいろいろと協議は重ねてまいりたいと思いますが、今の時点では今の制度でありますので、これを周知徹底することを最大限努力してまいりますが、これからも引き続きそういう支援を行えるように努力をしてまいります。

宮本委員 実は、こういう県の要望にこたえて、前政権も一たびこの二分の一というのは外してという決断を最初の概算要求でされた。そして、新しい政権になってからも、概算要求では二分の一を外すという形で要求されておったと思うんですね。それは間違いないですね。

川端国務大臣 概算要求において、現在の高校生修学支援基金に追加するものとして、高校実質無償化とあわせて、給付型奨学金事業に関する経費として高校奨学金事業等の充実改善に百二十三億円計上したことは事実でございまして、厳しい財政状況の中で計上が見送られたという経過でございます。前政権においても同様であったと承知しております。

宮本委員 ぜひ、これは引き続き財務当局に強く求めていただきたいと思います。

 それで、結局その後、高井政務官がせっかく九日に出していただいたんですが、十二日に厚生労働省が、「高校生の授業料滞納に係る生活福祉資金の取扱について」という通知を出されました。きょうは厚生労働省にも来ていただいております。この通知では、教育支援資金について、高等学校の授業料をやむを得ない事情により滞納したときまで遡及して貸し付けることを可能にするものでありました。結局、修学支援基金だけでは対応できなかったと言わざるを得ないと思います。

 ただ、その厚生労働省の生活福祉資金というものも、緊急対応の点ではまだ問題が残っております。熊本県では、社会福祉協議会に問い合わせたところ、授業料減免制度を受けている場合や、県の奨学金を受けている場合もこの制度は使えないという返事だったと。授業料減免制度や奨学金を受けていながら授業料を滞納する生徒もやはり多いわけですから、卒業を間近にした緊急の事態でありまして、このような制度を受けていても貸し付けできるようにすべきだと考えます。

 もう一つ。こちらの制度の方は、言葉上は授業料となっておるわけでして、授業料と同等の施設整備費などについてもきちっと貸し付けの対象にすべきだと考えております。

 厚生労働省、この点についてお答えいただきたいと思います。

清水政府参考人 御指摘のとおり、二月十二日に、やむを得ない事情によりまして授業料を滞納しているということで高校を卒業できないという事態が生じませぬよう、社会福祉協議会が行っております生活福祉資金貸付事業におきまして、授業料の既往の滞納分につきまして貸し付けをすることとしたところでございます。

 今御指摘の授業料以外の費用でございますが、学校に直接支払わなければならない費用でありまして、それを支払わなければ卒業できないといったような経費につきましては、貸し付けの対象といたします。この旨、昨日、貸し付けを行う都道府県社協に通知がされているところでございます。

 いずれにいたしましても、学費、授業料の滞納によりまして高校を卒業できないといった事態が生じないよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

宮本委員 卒業できないという事態を、それこそ省庁の枠を超えて何としても救おうという以上、施設整備費などについても貸し付けを行うことは当然のことでありまして、ぜひその旨徹底をしていただきたいと思います。

 それで、卒業式を間近に控えて、多くの学校では三月の一日に卒業式が挙行されるわけです。各学校では、滞納者に対して、二月末時点で授業料を納めなさい、こういう指導がされております。ところが、この生活福祉資金というのは、採用まで審査に約一カ月かかると伺っております。採用されたとしても、三月の末ということになりますと、既に卒業式は終わっているということになりますね。

 ですから、ここは、一つは厚生労働省に、審査手続を急ぐということをお願いしたい。同時に、文部科学省は、この手続を行っている高校生に対して、納付時期を延長して、ちゃんと生徒を卒業させるという手だてをとらなければ、結局、入るまでは卒業させないということになれば、卒業式に出席できない、卒業証書をもらえないという事態が繰り返されることになります。これは厚生労働省と文部科学省、両方に御答弁をいただきたいと思います。

清水政府参考人 生活福祉資金、貸し付けでございますので、審査が必要でございます。このためには一定の時間を要するということはやむを得ないところではございます。

 しかしながら、今回の取り扱いにおきましては、卒業時期が間近に迫っております。したがいまして、二月十二日に出しました通知におきましても、「卒業の時期が間近に迫っており、資金の必要時期に間に合うよう迅速な貸付決定にご配慮いただきたい。」旨、明記してあるところでございます。私どもとしましては、この趣旨が生かされるようにしてまいりたいと考えてございます。

高井大臣政務官 文部科学省としても、まさに厚生労働省と連携をして、この間、山井政務官と連絡をとりながら、できるだけ早く対応できるようにということでやってまいりました。

 宮本委員のおっしゃる趣旨もよく理解できるつもりでございますが、この制度をよく周知徹底して、また弾力的に、できるだけ家庭の状況やそういったことに配慮をした上でできるように、私どもとしても全力を尽くしたいと思ってはおりますが、納付期限の延長等はまさに学校等が判断する問題でもありますので、うちとしてはできるだけバックアップはしていきたいと思いますが、その点は御理解をいただければと思っています。

宮本委員 いや、それはその子の立場に立てば到底理解しようのないことでありまして、やはり文部科学省の方でも相談窓口を設けるなどもしていただきたいし、少なくとも経済的理由で卒業証書を受け取れなかったというような子供が生まれないように、これは最後に文部科学大臣、もう一度、本当にそういう子供たちを救うという御決意をはっきりとお述べいただきたいと思います。

川端国務大臣 御指摘の事態、目的というか趣旨は、卒業を間近に控えた、せっかくここまで勉強してきた子供たちが経済的理由で卒業できないというふうなことの起こらないように、とり得る万全の対策をとって臨んでいきたいと思っております。

宮本委員 次に、教職員定数問題についてお伺いをいたします。

 さきの予算委員会でも、川端大臣に私は質問させていただきました。大臣からも、平成二十三年度以降の学級編制のあり方、あるいは教職員定数の改善のあり方について本格的に議論を始めていること、そして、八月の概算要求までに文部科学省としての一定の結論を取りまとめていきたいとの答弁もいただきました。

 学級編制の標準を下げ、教職員定数を増員する上でこれまで障害になってきたのが、教職員数の純減を定めていた行革推進法五十五条でありました。しかし、この規定はことし四月一日をもって終わります。それ以降はこの行革推進法に縛られないはずでありますけれども、まず御確認をお願いいたします。

川端国務大臣 御指摘のように、行革推進法第五十五条第三項は、公立学校の教職員その他の職員の総数について、平成十七年四月一日と平成二十二年四月一日を比較して、児童生徒の減少に伴う自然減以上の純減を行うことが求められているということでございまして、平成二十二年四月一日との比較までしか言及をしておりません。

 したがいまして、先般は廃止法案を提出いたしましたが、今日、この日時まで至りましたので、平成二十三年度以降の教職員数は行政改革推進法では規定されていないということを前提にして、学級編制のあり方について、先般もお答えいたしましたけれども、本格的な議論を立ち上げたところでございます。

宮本委員 今、産育休、病休などの代替教員が配置されずに、学校教育に穴があくというような深刻な事態が引き起こされております。そもそも、正規教員のかわりに臨時や非常勤の講師を日常的にふやし過ぎているために、臨時、非常勤講師の本来の出番ともいうべき急な休職者、退職者の欠員補充ができない、全部出払っていてできない、こういう笑い話のような、しかし決して笑えない深刻な実態があります。

 広島県では、病休、介護休暇のかわりの講師が一カ月以上もいない事態が、二〇〇七年度で二十八件、二〇〇八年度で二十七件もあったといいます。人が足りなくて他の先生方がカバーするが、かわりがいないので休めず、健康を害する事例も枚挙にいとまがありません。

 この大もとには、正規教員一人を非常勤で三人四人と定数を振りかえる、いわゆる定数崩しが許容され、さらには、総額裁量制の導入が臨時、非常勤の教職員を増大させてきたことがあります。今や、どこの学校でも一割は臨時、非常勤の講師が教育を担っており、学校によっては三割、特別支援学校では四割を占めるところもあるという話も聞きました。

 非常勤、臨時の講師が教職員全体の何割を現に占めているのか、その中で義務教育費国庫負担金の対象となっている臨時、非常勤の教職員は何人で、全体の何割を占めているのか、御答弁願いたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 公立の小中学校の教員は、平成二十一年五月一日現在で約六十六万五千人となっています。そのうち、臨時的任用教員及び非常勤講師のいわゆる非正規教員の数は約七万人でありますので、六十六万五千人に対して七万人、約一割強ということでございます。

 また、この七万人のうち、義務教育費国庫負担制度の対象となっているのは約五万八千人でございます。

宮本委員 今の学校現場が、不安定雇用そして低賃金の臨時、非常勤の教職員によって一割以上も担われている、支えられている、こういう現状を直視してその労働条件の改善を図ることは、行き届いた教育を実現する上で、緊急かつ重要な課題だと言わざるを得ません。行革推進法の縛りがなくなるわけですから、今こそ、学級編制の標準の引き下げや教職員定数の増員は、総額裁量制をやめて、基本的には正規職員で増員すべきだと私は思いますけれども、文部科学大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 先生御指摘の問題意識の根底には、教員の数がきちっと充足されていないのではないかというのが基本にあると思います。そういう意味でも、行革推進法の縛りもなくなりましたので、それも含めて、我々としては、いわゆる純減をしなければならないということではなくて、教員の質の向上と数の確保こそ教育充実の一番大きな要素であるという認識のもとに、今回の予算では四千二百人の教職員定数のプラスという改善を盛り込みました。同時に、先ほど申し上げましたような学級編制のあり方にも踏み込んで議論をするということで、八月の概算要求までにまとめたいと思っております。

 ただ、それぞれの教員配置の基本的な、どういう構成にするかということは、それぞれの臨時の教員あるいは非常勤講師の役割も含めて、いろいろな幅があります。そういう意味で、必ずしもというか、総額裁量制があるからトータルコストの中で非常勤がふえたというふうに一概に言えるものではないとは思っていますが、幅広く、要するに財源からいくのではなくて、本来、教育の中身をどうするかということで議論するという姿勢を持っていきたいと思っております。

宮本委員 臨時や非常勤の先生が必要になる事態ということを決して私たちは否定していないわけでありまして、先ほど、笑い話のようだが笑えない深刻な事態と言ったように、むしろ正規がやるべきところを非常勤や臨時で全部埋め尽くすものですから、本当に必要なときにもういないという事態が生まれている。これはもう本当に本末転倒した話ですので、やはりきちっと正規の先生方をふやしていくという方向で御努力をいただきたいと思うんです。

 次に、最後のテーマですが、教員免許更新制についてお伺いをいたします。

 制度が始まって、講習を受けた教員からは、大学のキャンパスに入って新鮮な気持ちになったなどの感想も確かに聞かれます。しかし、経済的な負担もし、わざわざ時間もとって、無理をして受講するに値するかといった声も多いんですね。また、自分の知識として役立ったが授業などに還元できる内容ではなかった、日ごろの研修や研究会で聞いていることも多く、わざわざ更新講習として受けなくてもいいのではと感じた、自分自身で民間の研究団体等が開催する研究会を選び、学ぶ方が有意義であると思うなど、現場には役立たない、既に研修で聞いているという声もやはり多いんです。

 教職員団体がとったアンケートでも、この制度はやめるべきだという声が圧倒的であります。全教が更新講習受講者千二百四十七人に行ったアンケート結果によると、この制度で教育はよくならないとする教員が六七・六%、今後はどうすべきかとの問いには、廃止すべきと答えた人が七五・六%。日教組の受講教員へのアンケート調査では、雑誌「世界」に紹介されたものによると、更新制度の継続が必要だと思わないという人が四百六十四人中三百八十二人、実に八二・三%に達しております。

 新政権は、昨年十月二十一日に「教員免許更新制等の今後の在り方について」という文書を発出されました。その中では、教員免許制度の抜本的な見直しに着手するということを明らかにされました。

 改めて大臣に確認をいたしますけれども、現状の教員免許制度見直しの必要性は現政権はお認めになるわけですね。

川端国務大臣 現行の教員免許制度を見直して、より質の高い先生をつくりたい、したがって、先生の養成課程、採用過程それから実務、実習過程各般において教員の質を高める方策を総合的に検討する中で、免許のあり方についても抜本的改正を加えたいと思っております。

宮本委員 見直しは当然のことだと思います。

 ところが、抜本的に見直し、新たな教員免許制度への移行を目指すとしながら、もう一方で、法律改正が行われるまでの間は現行制度が有効だともしておられるわけですね。それで、このままでは混乱が生じかねないということを私は率直に訴えざるを得ないんです。

 現在の制度でいきますと、二〇一〇年度末、つまり来年三月末以降、毎年三月末までに三十五歳、四十五歳、五十五歳に達する先生方には、更新講習を修了するよう定められております。最も近い来年三月末までに対象となる人たちは、文部科学省のまとめで八万五千四百八十七人というふうになっております。この八万五千四百八十七人のうち、既に講習を済ました方々が何人おられるのか、どれぐらいまだ残っているのか、おわかりでしょうか。

川端国務大臣 済みません。ちょっと今手元に数字がございません。

宮本委員 これ、実は通告していなかったので、多分準備されておらないんだと思いますが、恐らく相当数がまだ修了されておらないと思うんですね。それで、本当にこの方々を来年三月末までに終えることができるのか、このことが危惧されているわけです。そして、既にもうこの夏の講習を取りやめますという大学も幾つか出てきているんです。政権がかわって見直しだというので、もうこの夏はやめようというところも出てきている。

 混乱を避けるためには、やはり、政府自身が見直す必要を認めているような制度は直ちに廃止をして、その上で、大臣おっしゃったような真によりよい免許制度を検討するというのが私は筋だと思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 言葉の使い方で誤解があるといけませんので、私たちは免許制度を抜本的に見直したい、その中で、その目的は教員の質の向上を図りたいということでございます。

 そういう意味で、現在行われている免許更新制に伴う講習というのがあります。これは現行の法律でそういう規定になっております。したがいまして、それは引き続き続けていく中で、我々が教員の質を高めるというときに、どういうふうな課程を経た人に免許を与えるような制度にするのかという中に包含をしていきたいということでありまして、認識として、今の免許更新制はよくないからやめるという前提に立って議論をしているわけではありません。その部分だけは誤解のないようにしていただきたい。

 そして、免許更新制自体は、不適格教員を排除する目的でやられているものではなく、教員の質の向上、高めるために一定年限のときに研修をされているという目的というふうに、何度かの国会議論を経て正式にそういう確認がされているものでありますので、評価は、先生言われたような評価もあれば、文部科学省が行いました評価では、受けてよかったという評価が高いとか、いろいろな見方、受けとめ方があることは事実でありますが、少なくとも、教員の質の向上に一定の研修が必要であるという認識は共通をしておりますので、そういう部分で、免許制度の更新をこれから議論する中で、現在おられる先生の質の向上、あるいは教員養成課程における質の向上というものをどうしていくかの中でトータルとして考えたいということでありますので、その議論をするときに、まずこれはやめてからというふうには思っておりません。

宮本委員 教員の質の向上とおっしゃるわけだけれども、紹介したように、全教も日教組も、教職員団体で現に受講された先生方が、これで教育の質はよくならないというふうに答えておられるわけなんですね。だから、もっと現場の先生方の声を聞いていただけば、私は直ちにこの更新制というものはやはりやめた上で新しい制度設計を考えるのが筋だというふうに思います。

 しかも、そのことは私だけが、あるいは共産党だけが言っているわけじゃないんですよ。この間、都道府県教育委員長、教育長協議会が昨年十二月に特別要望というものを文部科学省に出しておられます。「新しい制度への移行を前提としながらも現行制度を継続実施することは、受講者である教員、免許管理者である都道府県教育委員会、講習開設者である大学等に大きな混乱を招くとともに、錯誤による免許状失効者が生じる懸念などさまざまな問題が発生することが考えられる。」として、「教員免許制度の抜本的な見直しに当たり、その検討期間中における免許更新制度の凍結等、国において混乱を防ぐための必要な措置をとること。」を求めているわけです。これはなかなか道理のある主張だと思います。

 混乱を避けるためには、少なくとも、来年三月までに講習を受けられなかったために免許状が失効するといった事態を生まないように何らかの適切な措置を講じるべきだと私は思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

川端国務大臣 錯誤によってそういう事態が生じるということは大変な事態を招きますので、これは各教育委員会に対しても、それからホームページ上も含めて、しっかりと制度がありますから受講するようにということは周知徹底を図っているところであり、引き続き、そういう混乱、錯誤が起こらないように取り組んでまいります。

宮本委員 ぜひとも御検討いただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 では、本日は、この際、休憩といたします。

    午後二時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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