衆議院

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第6号 平成22年3月10日(水曜日)

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平成二十二年三月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君

   理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君

   理事 笠  浩史君 理事 坂本 哲志君

   理事 馳   浩君 理事 富田 茂之君

      石井登志郎君    石田 勝之君

      石田 芳弘君    江端 貴子君

      大谷  啓君    川口  浩君

      城井  崇君    熊谷 貞俊君

      後藤  斎君    佐藤ゆうこ君

      瑞慶覧長敏君    高井 美穂君

      高野  守君    橘  秀徳君

      中川 正春君    平山 泰朗君

      牧  義夫君    松本  龍君

      山尾志桜里君    湯原 俊二君

      横光 克彦君    横山 北斗君

      吉田 統彦君    遠藤 利明君

      北村 茂男君    塩谷  立君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      永岡 桂子君    古屋 圭司君

      松野 博一君    池坊 保子君

      宮本 岳志君    城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       川端 達夫君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   文部科学大臣政務官    後藤  斎君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   文部科学委員会専門員   芝  新一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     大谷  啓君

  城井  崇君     橘  秀徳君

  牧  義夫君     山尾志桜里君

同日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     江端 貴子君

  橘  秀徳君     城井  崇君

  山尾志桜里君     牧  義夫君

    ―――――――――――――

三月十日

 格差社会をなくし、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(平岡秀夫君紹介)(第三二三号)

 教育予算を大幅に増額し、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(梶原康弘君紹介)(第三二四号)

 教育格差をなくし、すべての子供たちに行き届いた教育に関する請願(伊東良孝君紹介)(第三二五号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第三三五号)

 同(大村秀章君紹介)(第三三九号)

 同(藤田一枝君紹介)(第三四五号)

 同(首藤信彦君紹介)(第三五五号)

 同(田中美絵子君紹介)(第三五六号)

 同(遠藤利明君紹介)(第三六〇号)

 同(梶山弘志君紹介)(第三六一号)

 同(近藤洋介君紹介)(第三六二号)

 同(額賀福志郎君紹介)(第三六三号)

 同(和嶋未希君紹介)(第三六四号)

 同(江藤拓君紹介)(第三九八号)

 同(高木義明君紹介)(第三九九号)

 同(吉泉秀男君紹介)(第四〇〇号)

 同(阿部知子君紹介)(第四一四号)

 同(北村茂男君紹介)(第四一五号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第四一六号)

 同(柚木道義君紹介)(第四一七号)

 同(小林千代美君紹介)(第四二六号)

 同(田嶋要君紹介)(第四二七号)

 同(渡部恒三君紹介)(第四二八号)

 同(笠浩史君紹介)(第四三七号)

 同(石原洋三郎君紹介)(第四六〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第四六一号)

 学費の公私格差をなくし、すべての子どもたちに行き届いた教育を進めることに関する請願(海江田万里君紹介)(第三三二号)

 同(松原仁君紹介)(第三三三号)

 同(吉田公一君紹介)(第三六五号)

 教育格差をなくし、行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(中谷元君紹介)(第三三四号)

 同(向山好一君紹介)(第三八八号)

 同(小野寺五典君紹介)(第四一三号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第四二四号)

 同(漆原良夫君紹介)(第四二五号)

 同(篠原孝君紹介)(第四五八号)

 同(高橋昭一君紹介)(第四五九号)

 私学助成を大幅増額し、すべての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(樋口俊一君紹介)(第三三六号)

 教育予算を大幅増額し、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(古賀敬章君紹介)(第三三七号)

 同(藤田一枝君紹介)(第三四六号)

 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(高木義明君紹介)(第三八七号)

 教育費の無償化、大幅な負担軽減を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三八九号)

 同(笠井亮君紹介)(第三九〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三九一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三九二号)

 同(志位和夫君紹介)(第三九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三九四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三九五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三九六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三九七号)

 教育格差をなくしすべての子供たちに行き届いた教育に関する請願(渡部恒三君紹介)(第四二三号)

 教育費の無償化を目指して、すべての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(篠原孝君紹介)(第四五七号)

 私学助成の拡充を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第四六二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長金森越哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田芳弘君。

石田(芳)委員 皆さん、おはようございます。民主党の石田芳弘です。

 きのう、高校授業料の無償化の議論を私聞いていまして、大変深い議論ができたなと思っております。

 きょう、私は、三点に絞って、高校授業料無償化とはちょっと離れますが、教育一般のことについて、一つ目は教育委員会制度、二つ目は全国統一テスト、それから三つ目は教員免許の更新についてをお尋ねしたいと思います。

 この三つの質問に共通する私の質問のキーワードは、政権交代です。いわゆるチェンジです。きょうの新聞を見ますと、核の密約が解明されてきた、こういうことで、政権交代によって外交、防衛には明らかなチェンジがあらわれています。私は、内政で非常に重要なテーマは教育だと思っておりまして、この教育というテーマで、民主党政権によってチェンジを期待したいと思っております。

 高校授業料無償化は、教育行政としては一つの非常に大きなチェンジだと思うんです。しかし、これからの課題は、この高校授業料無償化の財政的支援が原資となりまして、社会だとか地域全体で子育て、教育に取り組む仕組みづくりに結びつけていく、いわば次の課題は教育ガバナンスの改革であると思っています。その教育ガバナンスの非常に重要な切り口が教育委員会制度です。

 私は地方の自治体で教育行政を十二年間やってきましたけれども、教育委員会制度というのはなかなかわかりにくいところがあります。

 もう一遍確認しますと、教員の給与は、いわゆる義務教育国庫負担金制度で国と都道府県と折半していた。教員の任命権は都道府県の教育委員会にある。しかし、学校の設置者、管理者は市町村長であるということで、責任の所在が非常に不明確です。ですから、教育委員会の改革は絶えず議論されておるわけです。ところが、私は、一自治体の首長として、教育委員会というのを存分に使って自分の教育行政ができたと思うんです。

 教育委員会制度というのは、もう一度由来を考えてみますと、これは、戦後、戦前のいわゆる国家統制による軍国主義教育というものに対する反省から、アメリカ型のデモクラシーがもたらした、言ってみると、憲法九条の戦争の放棄に匹敵するような理想主義の制度がそもそも教育委員会には内蔵されておるんです。それから、国家権力が教育に手を突っ込まないといういわゆる地方分権、今で言う、民主党内閣の一丁目一番地と言われております地域主権を担保する、極めて明確なデモクラシーの意思表示がこの教育委員会には実はビルトインされておるんですね。

 そこで、繰り返しますが、私も自分の教育行政の実践として、この教育委員会を縦横に使って、地方でかなりのことがやれたわけです。

 ですから、ここで大臣にお尋ねしたいのは、民主党の教育政策の中には、教育委員会の廃止も含める見直し、あるいは学校理事会制度の創設だとか、教育委員会に対するいろいろな新しい切り口が盛り込まれておるわけですが、今後の教育委員会制度の改革の論点といいますか、そういうことを一度大臣に御確認したいわけです。よろしくお願いいたします。

川端国務大臣 おはようございます。お答えいたします。

 石田委員は、まさに地方の自治体の首長として、全国でも本当に特筆すべき教育における功績をいろいろとチャレンジングに実践されてきたということで、我々も大変敬意を表しているところでございます。

 今おっしゃいましたように、戦前は、基本的には教育は国がやるということのもとにずっとやられてきたということでありますが、まさに、戦後になりまして、いわゆる新しい日本のスタートという中でいろいろな改革が行われたというときに、教育改革においても、教育行政のまさに地方分権ということで、地方における教育に関する事務を主体的に執行する機関ということで教育委員会が設置をされた。今御指摘のように、私も、地方分権推進の非常に大きな一つの柱に地方の教育委員会が位置づけられていることは事実だというふうに思っております。

 したがいまして、そこでやはりいろいろときっちりとした立場を明確にしておかなければいけないということで、教育の政治的中立性の確保と、継続性、安定性の確保と、それから、多様な地域住民の意向の反映を図るということも含めて、原則五人の委員、一人でなくて五人ということで、首長からも基本的には独立している、任命は首長がされるわけですけれども、ということで、行政委員会の教育委員会制度というのは、このことを制度的に担保するという意味でも役割を果たすという位置づけをされているということは委員御指摘のとおりだと思います。

 ただ、そういう非常に理念高く制度を保障しているわけでありますけれども、実際の運営ということで現状で見ますと、よくある批判として、形骸化している、あるいは五人の委員ということの中で、ややもすると名誉職的な位置づけではないかという御意見も出たり、責任がどうもあいまいではないかというふうなことがいろいろ指摘をされております。

 したがいまして、民主党としては、そういう意味で、申し上げました、地方が責任を持ってその地域に応じた教育の実務を実行するということの機能をもっと強化して、地方分権を推進する中に教育も入れるべきだという理念は共有しつつも、制度的には、一つは学校の運営を、学校理事会ということでありましたが、マニフェストで申し上げますと、「公立小中学校は、保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家等が参画する「学校理事会」が運営する」ということで、保護者と学校と地域の信頼関係を高めて、一体的にそういうところが学校の運営に関与していくということが一番いい姿ではないか。

 したがいまして、そうなると、教育委員会の機能というのが、今、事実上役割がまた変わらざるを得ない。そういう意味で、教育委員会制度を教育全体を監視するという役目にむしろ変えていった方がいいのではないかということで、マニフェストとして書かせていただきました。

 そういう意味では、教育の政治的中立性の確保ということが一方大変求められておりますので、そういうことも留意しつつ、地域の総合力が一層発揮できるようにということで、いろいろな人の意見を聞きながら幅広くこれからも議論を進めてまいりたいというのが、今の基本的な立場でございます。

石田(芳)委員 今の大臣のお話で、これから教育委員会の改革というのは、私は教育ガバナンスという言葉を使いましたが、教育制度を通して町づくり、地域づくりの非常なキーになると思うんです、教育委員会は。

 私の私見を申し上げると、どうも、文科省から市町村の教育委員会へ、最近、通知通達行政は地方分権の中で相対的に非常に軽くなったわけですが、通達行政が多過ぎるんですね、いわゆる命令が。ですから、各市町村の教育委員会がそれこそ完璧な役人主導になってしまっておりまして、せっかく市民の代表である教育委員がほとんど発言しないというような、大臣は形骸化という言葉を使われましたが、まさしくその落とし穴にはまっておるような気がいたします。

 ですから、ぜひ教育委員会の改革を積極的に進めていただきたいと思います。これは要望です。

 それから、時間の関係で、二番目の全国統一テストの質問に移ります。

 実は、この質問を私がどうしてもしたいなと思いましたのは、前回のこの委員会で下村委員の御質問がありまして、全国統一テストをやった、悉皆でやったんだが、政権がかわって抽出にした、抽出にしたのにもかかわらず、抽出から外れたところから希望者が出て七割近くなったという御質問でした。

 結論から申し上げますと、私は、全国学力テストはもうやめるべきだという論者です。なぜかと申しますと、この全国統一テストの裏側にある教育観、学力観が、これは、民主党政権にチェンジしたことによる学力観と違うんですよ。この全国統一テストの学力観は、これは明らかに経済の新自由主義が裏側にあるんです。競争することによって学力を高めていこう、ランキングリストをつくって、相対的に自分は何番目にいる、だからもっと上へ行かなきゃいけない、追い抜かなきゃいけない、こういう競争主義の学力観なんですね。

 民主党の政治思想の中に、競争を排して平等主義といいますか、エリートをつくるよりも落ちこぼれをなくしていこうという思想があると私は思って、民主党政権に私も政治生命をかけて頑張ってきたわけです。ですから、きょうのキーワードはチェンジと言うからには、やはり、抽出もやめて、全国統一テストというものは廃止という方向に持っていくべきではないかと私は思っています。

 私は論語が座右の書でして、日本人というよりも、世界的に孔子というのは人類の教師だと言われている。政治家の教師でもありますね。孔子は、論語の中で君子と小人とに分けています。

 君子はこうあるべきだ、例えば、「君子の交わりは淡きこと水の如し」、「小人の交わりは甘きこと醴の如し」。醴というのは、べたべたする甘酒のことです。こういうように、あるべき姿を君子として、改めなきゃならない表現を小人としています。

 これは、加地さんという論語研究者、阪大の名誉教授ですが、この方は君子を教養人と訳しています。それから、小人を知識人と訳しています。全国統一テストの裏側にある学力観、教育観というのは、小人をつくることなんですよ、知識人をつくることなんですよ。

 ですから、私は、根本的にもう一度、何のために教育という人間の営みがあるのか、教育とはどういうことかという本源に帰ると、やはり全国統一テストの学力観を排していくべきだと思っています。

 ただ、下村先生の御質問の、なぜふえてきたんだ、こういうことですね。これは、私の実践の経験から言いますと、学力を数値で表したり、それから競争させることの方がこれはわかりやすいんです。競争の概念をいろいろ一般の方とやりとりするのはとても難しいです。

 全国統一テストというのは、基本はマル・ペケなんです。解答はマル・ペケなんです。あれは、私が言うまでもありませんが、教育者が集計するのではなくて、業者が集計するんですよ。集計しやすいためには、マル・ペケが集計しやすいんです。

 ですから、いわゆる数値による安易な、わかりやすい弊害が出てきた、なぜ希望校がふえたかということは。私から言わせれば、それ見たこっちゃないとこう思っています。だから、ああいうテストをやるから間違った学力観、教育観が蔓延したんだというふうに私はとらえています。

 ですから、大臣が今後この全国統一テストをどういう方向づけをしていかれるか、この間、下村先生の御質問に答えられて、私はちょっと速記録をもう一度確認したんですが、全国統一テストは一定の成果があった、こういうような御答弁もありますし、「子供たちの学力水準が那辺にあるのか、そして、それが少なくとも都道府県レベルでどういう状況にあるのか」を調べることが国の責任だとか国の役割だとかおっしゃっておられるんです。

 私は世界一学力のあるフィンランドの教育のあり方を私なりに研究したんですが、フィンランドは入試試験を行わない。それから、絶対に学力のランキングリストをつくらないと言っているんです。相対評価しないと言っているんです。そういう教育が実は世界一の学力がある国の教育になっているんです。

 ですから、大臣の御答弁の「都道府県レベルでどういう状況にある」、これはランキングの考え方だと思うんですが、そのランキングを国の責任だとか国の役割でつくるということはいかがなものかと私は思うんです。

 その辺もひっくるめまして、全国統一テストの見解をお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 学力テストに対して、実体験も含めて含蓄あるお話をいただきました。先日来の議論でもございます。

 私たちは、都道府県のランキングがどうあるかということを目的としてやるものではないと思っております。これは基本的にそう思っています。それと、先ほど来の部分で、問題も全部マル・バツの問題ではなくて、基礎的な問題と応用力を問う問題で、記述式も含めてあるということでございますが、そういう中で、国としては、やはり義務教育ですので、義務教育の機会均等と水準の確保というのが国の責務だというふうに、これはそう思っております。

 そういうときに、機会均等と同時に、教育レベルの水準を維持向上させるという世界的な部分での学力の程度もいろいろ言われる。これは競争じゃなくて、水準がどのぐらいにあるのか。それを把握して向上させる施策を打つことは、教育行政にとって大変必要な情報の一つだというふうに思っております。

 そういう中で、全国的な学力の状況を把握したい。それから、どういうところに得手不得手があるのかということ。それから、都道府県単位までと申し上げましたのは、都道府県によって何か特別の事情等々配慮すべきことを含めてのことがあるのかどうかも含めて、分析をするための情報として我々としてはこれは必要であるというふうに思っております。この県が一番で、あの県が五番で、この県が三十番ということを何か競うためにやるものではないということは、基本的にそう思っております。

 そういう中で、そういう状況の把握と分析を踏まえて教育あるいは教育施設の改善等々の施策を決めていくというのが本来の趣旨であろう、必要であろうということでありますので、したがいまして、今まで三年間悉皆でやった経過がありますので、これでの詳細な分析データを踏まえながら、いろいろな、こういうことにもっと力を入れないと不得手であるというのが全国的にある、地域的に余り差がないなというのも、やはりやった結果として出てきております。

 あるいは、そういう意味で、世界トップレベルの学力を目指そうということは国民の多くの願いでもありますので、いろいろな施策を今までやってきたことを踏まえながら、なお、その後どういう状況で推移していっているのかという水準の維持向上のために実態を把握をしたい。

 したがいまして、それは全部の部分の悉皆でやる必要はないという認識でございますので、最低限、統計学上、都道府県レベルの水準は大まかに把握できるという抽出でやろうというふうにさせていただきます。これでの学力の把握、検証で、これからの教育施策の充実に向けてのいろいろな施策への基礎とさせていただきたいということでございます。

 いろいろな関係者、都道府県も含めまして教育関係者の聞き取りの中でも、悉皆でなくて抽出でもいいけれども、そういう実情を把握して、教育課題を把握していろいろな施策に生かしてほしいという要望は地域においても強くあると私は思っておりまして、そういう部分で、いろいろな形での現状を聞きながら進めてまいりたい。

 その一環として、もっと科目をふやしてほしいとかいろいろな意見も出ているということで、先生の御意見もかなり本質的な部分の理念にかかわる問題だと思っておりますけれども、そのことにおいて、何か競争、競争ということをするということで成績を上げようということのもとにやっているのではなくて、実情を把握し分析し、これからの教育施策に生かすということを、国のレベルとして、そして、それをもとにしながら、都道府県あるいは各学校単位で、それぞれの役割でやっていただくというふうに位置づけております。

石田(芳)委員 大体了解しましたが、現場の教師たちは受験勉強には本当に辟易しているんですよ、詰め込み主義の、覚えて受験したら一年で忘れてしまうような。そういう教育に辟易していますから、大臣が今おっしゃるようなことを現場の教師たちに絶えずメッセージとして、競争じゃないよ、ランキングリストをつくるんじゃないよ、そういうことを絶えずやはり全国の現場の教師たちにメッセージを発していただきたいと思っています。

 それから、時間ですからもう一問、ちょっと急いで教員免許の更新のことについて御質問します。

 実は、教育というのは、そもそも親が子供に教えたものなんです。これが原型なんです。公教育というのは、親のかわりに、学校へ行って教員が親のかわりをするんです。ですから、教育というのは教員に始まり教員に終わるんです。教員が最も大事なんですよ。その教員をどういういい教員をつくっていくかということは、非常に重要なことだと思っています。

 そこで、教員こそ公教育の最大の資源だという観点から、教員免許の更新と、それから取得条件、今文科省が言われておりますが、きょう鈴木副大臣はお見えじゃないんですが、四プラスアルファという表現をされておられますね。そのアルファの部分を早くやはり見解を出していただきませんと、現場の教員たちが困っています。まことに困っています。この免許更新制と四プラスアルファの取得資格ですね。それからもう一つは、そのアルファのところの長期実習です。長期実習のところはワンセットだと思うんです。

 実は、現実の現場としては、長期実習を受け入れる受け皿が非常に厳しいです。これは、教員たちは、教育現場は忙しいですから、さらにまた実習生が来てその実習生の面倒を見るというのは、なかなかこれは厳しいです。ですから、今のように短期間ならまあまあいけるんですが、一年間だとか、四プラスアルファのアルファのところが長期実習の構想がありますね。そこのところはよく受け皿を兼ね合いを見ながら決めていっていただきたいと思います。

 民主党政権のビジョンの中に、学士プラス修士、修士の教員をふやすというふうな構想があるんですが、これも私の実践ですけれども、やはり教員の力をつけるのは授業なんですよ。だから、私は少人数授業に限ると思っています。授業を丁寧に丁寧にやることが、子供たちの学力が上がるし、教師力が上がっていくんです。高校無償化が先行しましたが、むしろ私は、教員の数をふやす、少人数授業を徹底していく、そういうことによって、教育の喜び、そもそも、教えるということが楽しみであり喜びなんですよ。「学んで時に之を習う、亦説ばしからずや。」孔子は弾むような喜びを論語の第一章で言っているわけですね。

 この教える喜びとか感動とかそういうものを取り戻すのは、やはり授業風景の中にしかないと私は思っています。余り研修だとか講習だとか、管理で教師力がつくものじゃないと私は思っていますが、ひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。

川端国務大臣 四プラスアルファのアルファの部分というのは、まさに教員が直面している問題が、教科が幅広く奥深くなっていくということと、児童生徒が多様化していろいろな社会状況の変化で問題も多い、きめ細かくやらなければならない、あるいは父兄に対しても、いろいろな父兄の問題、地域の問題もということで、教員が大変忙しくなってきているという現状があります。

 教員の原点として、一人一人に、できるだけ可能な限りきめ細かく教育するというのが大原則であることは先生がおっしゃるとおりであります。私たちはその部分では、何年かぶりに教員の実質増、四千二百人の定員増ということで、教員の数の充実は、これは無償化と同時に、非常に重点を置いて確保させていただきました。同時に、今は四十人学級というのが一応基準としてなっておりますので、これが本当にどうあるべきかということは、新たに検討に着手をさせていただくことになります。

 加えて、教員の免許のあり方とか、教員としてそれだけいろいろなことが求められているということで申し上げますと、教員になるときまでの勉強のあり方、それから、なるときの採用、どういう人を、どういう能力を採用するのか、それから、なった後どう研修するのかということを幅広にやる中で教員免許制度の抜本的な改正というのを今取り組んでいる中で、大学院制度を含めた四プラスアルファ、それから、もう既に先生になっている人が新たにスキルアップをして、別種の、上位の免許もということも含めて今検討をしております。

 そういう中で、教育実習が非常に大事である。これは、今は非常に短期間であるということや、大学においての教育自体が、実は、大学という意味で、教育現場に経験の多い人ばかりが教職の大学におられるということでは必ずしもありませんので、先生おっしゃるようなことで言うと、やはり現場を知っている人がいかにということ等を含めて、一方で、そんな長くいたら手間が大変よという御指摘のことと、長くいることによって、もうある種のサポーターみたいな戦力として位置づければいいのではないか。いろいろな議論があります。

 そういう部分で、先生の御意見も大変もっともなことばかりの御指摘であります。そういう教育力を喜びも含めてつける、研修は研修で新しい知識の習得も必要な部分はもちろんあると思います。幅広くこの一年で検討を精力的にやってまいりたいと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。

石田(芳)委員 もうきょうは時間ですので、このくらいにします。ありがとうございました。

田中委員長 次に、川口浩君。

川口(浩)委員 民主党の川口浩でございます。

 昨日の参考人の質疑で、現場にはいろいろな考え、いろいろな声があるんだなというのを十分と認識をさせられました。それを踏まえまして、私ども民主党、国民の生活が第一、何よりも現場の皆さんのお考え、お声をどのように政策として反映させていくかという視点に立って取り組んでいくことが大切なんだなと改めて思い知らされました。

 実は、昨日、ブラジル人学校の話がございましたが、きょうはまず最初に、朝鮮学校における高校の授業料無償化に対する件について御質問をさせていただきたいと思います。

 現在、朝鮮学校へは、自治体からの助成金、要するに国庫からの資金援助がないために、自治体ごとに助成を捻出している現状でございます。そのために、各地域間におきまして大変大きな格差が実は存在しております。最低のところでは年間六十六万円、最高のところでは二億五千七百五十七万円という現実になっております。

 神奈川の朝鮮学園の平成十八年のデータでございますが、学生生徒の納付金が一億一千六百十八万五百八十三円、寄附金が一億二千三百五十万千百五十四円、そこへ補助金が七千七百七十四万七千円となっておりまして、収入のほとんどを保護者が負担しているという現実でございます。この神奈川朝鮮学園の例に限らず、朝鮮学校のほとんどが似たような現状であると考えます。

 確かに、日本語を外国語扱いとして、学校生活のほとんどを母国語である朝鮮語で過ごしており、教育科目も、朝鮮史、朝鮮地理を学び、社会の中で日本と世界の歴史、地理、生活を学ぶにとどまっているようでございます。

 問題は、朝鮮学校を卒業した子供たちが、これで日本の社会になじんで、就職し、社会生活を営むことができるかどうかということではないでしょうか。

 在日韓国・朝鮮人の若者の多くは日本語に不自由がなく日常生活を営んでおりますが、朝鮮学校出身の子供さんたちの中には、日本語教育が不十分なため、専門用語の多い病院にかかったときに問診票を書くことができず、同胞の経営する病院へ行き、症状が重くなってから日本の大学病院などへ行くという場合も多々あると伺っております。

 もし、今回の高校無償化で私立高校並みの助成が国からなされていたらどうなるでしょうか。日本人教師の人材の確保、教材の確保のみならず、地域との交流など、朝鮮語で学生生活を送る以外は日本と同等の教育を受けることは可能なのではないでしょうか。

 朝鮮高校生の進路の状況は、二〇〇四年度の場合、朝鮮大学校を含む大学への進学率が六九%であり、最も多く進学する高等教育機関は朝鮮大学校であります。残りの三一%は、自営業を引き継ぐ、または一般企業への就職ですが、就職先は同胞企業が多く、日本企業への就職はごくわずかの現状です。また、平均年収も同世代の日本の高校卒業就職者と比べまして低い状況でございます。朝鮮学校、朝鮮大学校卒業後、母国に帰る方たちはほとんど皆無でございまして、日本社会で生活を営み、納税の義務を果たしております。

 そこで、朝鮮学校での教育カリキュラムを双方で議論いたし、卒業後、日本の大学への進学、日本企業への就職が困難ではない状況にした上で、無償化もしくは私立学校並みの助成が必要と考えております。

 朝鮮学校の取り扱いにはいろいろな御意見があると思いますが、現在学校に通われております生徒さんたちのことを最優先に考え、双方に歩み寄り、開かれた日本社会、そして、開かれた朝鮮学校のために柔軟な対応をできればと考えております。

 この件に関しまして大臣はどのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 朝鮮人学校に関して、実情のいろいろな問題を詳しく御披露をいただきました。

 大前提として、今言われました学力のレベルや就職、進学の実態等々社会への適応性とかいうのは、例えば、高等学校という日本の法律で決められた高等学校に関しては、一定の水準の維持確保ということを含めて、国や地方公共団体それぞれの持ち場に応じての対応をするという、管理監督も含めて行っているところでありますが、外国人学校も含めたいわゆる各種学校においては、一定の要件というのは、財政上の問題等や規模の問題を含めて要件を問われれば、あらゆる教育がある種自由に認められているという意味では、国がその中身に関して関与しているものではありません。

 したがいまして、今回、「省令で定める」の対象としては、基本的には、各種学校というのは、高等学校の課程に類する課程とみなせるという制度的担保がありませんので基本的には対象外としたいと思っているのですが、各種学校の中の外国人学校だけは、制度上、専修学校の高等課程になれないということで適用を除外されているので、なれないということの中で置かれているから、実質上、高等学校の課程に類する課程とみなせるかどうかを判断基準をしっかりつくって判断をすることを省令で決めたいというふうにしておりますので、今お問いの部分のいろいろな議論が、この委員会、あるいは御視察、あるいは参考人等々であったと思いますが、私の立場で言えば、客観的にこの学校が高等学校の課程に類する課程を有するというふうに判断するのに、どういう基準、方法でやるかということを今一生懸命検討しているということを御理解をいただきたいというふうに思っております。

川口(浩)委員 やはり、この日本が門戸を閉ざしているという印象を与えないように、ぜひとも柔軟な対応をよろしくお願いしたいと存じます。

 次に、私は歯科医師、介護支援専門員としてずっと現場で生きてきた人間なのでございますが、義務教育というのは、本来、この日本の主権者である国民一人一人を育てるというか、最低限のものを身につけてもらうというものではないかと考えています。そして、その先にある後期の高等教育の部分について、やはり職業とかなり密接な関係があるのではないかなと思いまして、質の高い歯科医師の養成ということについて若干お尋ねをさせていただきます。

 私立の歯科大学における六年間の学費の合計は実は三千万から六千万円でございまして、国公立は三百万円から六百万円となっております。現在の学生数は、私立が一万二千百二十一名に対し、国公立は四千三百四十二名でございます。そのそれぞれの生徒の数に応じまして、学校に対する助成ということで多額の税金が投入されております。

 ところで、現実、歯科医師国家試験の合格者は、二〇〇八年度、受験者数三千二百九十五名に対し合格者は二千二百六十九名、二〇〇九年度では、受験者数が三千五百三十一名に対し合格者数は二千三百八十三名となっており、合格率は六〇%台でございます。

 また、国家試験に受からないであろうと予測されたり現実に不合格となってしまった学生は、留年という形をとることが多くなりまして、私立大学に通っている学生さんの場合、年間五百万円前後の授業料を追加で払うことになってしまい、それに伴いまして、先ほど申した税金もまた投入されてしまうということになっております。

 いわゆる資格試験、確認試験と思われていた歯科医師国家試験の合格率の高かった時代というのは、過去の話になってしまいました。これは、厚生労働省と文部科学省の両省が、歯科医師数の過剰を踏まえて歯学部の定員削減を大学へ要請し、何よりも、歯科医師国家試験の合格基準の引き上げを方策として打ち出した結果が反映されたものと考えます。

 問題は、それによりまして歯学部志望者数が近年激減しておりまして、結果、私立大学においては、入学希望者のほぼ全員が合格、すなわち、正常な学力選抜が全く機能していない疑いが一部の学校に見受けられるということでございます。これでは歯科医師の質の低下につながり、質の高い高度な歯科医療を提供することができなくなります。ぜひ、早急な実態の調査と適正化に関する指導をお願いしたいと存じます。

 質の高い歯科医師の養成のためには、歯学部における適切な入学選抜と、歯学教育において適切な臨床能力を身につけさせるカリキュラムが必要と考えますが、文部科学大臣としては、このような現況を踏まえましてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。

川端国務大臣 高齢社会がどんどん進んでくる中で歯科というものの役割が、改めて、今までの例えば虫歯とかそういうふうなもの以外の部分で、高齢社会のいわゆる食を支えるときの大変大きな分野であるということは重々認識をしております。

 そういう意味では、質の高い歯科医師の養成というのは、当然ながらしっかりやらなければいけない。そのときに、お触れいただきました、適切な入学選抜と、質の高い、臨床を重視しながらの教育というのと両方が求められているという基本的な認識に立っております。

 そういう中で、今御指摘のように、結果として、入学定数が満たされないと学校経営が大変厳しくなるということで、入学定数を満たすためにということで、結局どんどんと合格させてしまうということでないと入学者が確保できないという事態に陥っている大学があることは現実でございます。同時に、そういうふうにすると、今度はまた、質の高さを求めるという教育に大変なコストというか手間もかかる、結果として歯学部での国家試験の合格率が悪くなる、そうすると、悪くなるとなかなかということで悪循環にややはまりつつあるのではないか。

 そういうことでありますので、従来から関係大学に、充足率が低いのであれば定数を減らした方がいいのではないかということの中で、徐々に志願者数は減少してまいりました。過去最大の部分ですが、昭和六十年度が定数としては国公私立で三千三百八十人でしたが、平成二十二年度の入学定員は二千六百十一名、二十三年度の入学定員の見込みは二千五百八十六人と、漸減をしてきております。

 そういう中で、昨年一月の歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の報告を機にいろいろ御提言をいただきましたので、大学にヒアリングを行うなど、個別の大学の抱える問題への対処を含めて働きかけを、最終的には大学の自治でございますから大学がお決めになることですが、いろいろな働きかけをやらせていただいております。

 また、臨床も大変大事だということで、臨床を強化した歯科医師の診療参加型臨床実習というものも充実を促進してまいります。ただ、やはり大学によって二千四百時間から四百三十二時間と物すごく差があることは現実であります。いろいろと実情が向上するように図ってまいりたいと思っております。

 さらに、入学定員の適正化と臨床教育の充実に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

川口(浩)委員 実は私には子供が三人おるのでございますが、だれ一人として親の職業の後を継ごうと言い出してくれた者がいないという悲しい現実がございまして、なぜこのような事態になってしまったのでしょうか。

 歯科医院の数はコンビニの一・六倍と言われまして、歯科医療機関の現場の声を聞きますと、実に大変疲労しているのが現状なんです。先ほど申し述べましたように、高い授業料を払ったとしても、どうもそれに見合うだけの収入が得られる職業とはなっていない現実がございます。

 今後、高齢化社会が進むにつれ、生涯を通じまして歯の喪失が少なくなり、高齢になっても多くの歯を残している人がふえていくことから、歯科医療の需要そのものはある程度ふえるのではないかと考えております。

 現在、新たな国家試験の合格者は年間二千三百名であるのに対し、リタイアする歯科医師は千二百から千三百名となっており、歯科医師全体の数としては緩やかな伸びとなっております。

 ただ、患者の高齢化と、口腔管理の徹底が全身的疾患の予防法だという観点で、歯科医療の現場をぜひ見直していかなければいけないのではないかと考えております。

 今後は、企業において行われております健康診断同様、歯科健康診断の必要性も十分感じております。また、高齢受診者の急激な需要の増大に伴い、訪問診療に取り組む歯科医院がふえてきてはおりますが、歯科余りと言われる中にあっては、この領域では、需要に対して全く供給が追いついていないという現実があります。要介護者の中においては、口からの食物摂取をすることができず、寝たきりを余儀なくされている方が多数いらっしゃるのが現実であります。

 歯、口腔は、命を支える食に不可欠な器官であります。近年の歯科医療の進展と相まって、歯の健康に関する国民の意識は高く、また、歯の健康状態は確実に向上していることから、歯、口腔を健康に保つことは、増加し続けております社会保障給付費の抑制の一環になるとも言われております。健全な口腔そして食生活を営むことは、国と社会の責任ではないかと考えています。

 こうした治療と健康を担う歯科医師を養成するため、確かな技術はもちろんのこと、命にかかわる医療であるとの認識のもとに、歯科医師の質の向上と人材確保に重点を置いた取り組みをしていく必要があるのではないかと考えておりますが、長浜副大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

長浜副大臣 お子様が歯科医院を継ぐ継がないというお話もありましたけれども、先生が政治を志されたのは、市からの要請で在宅患者の歯科診断を行ったときに、介護の厳しさ等々から役所が現場を知らな過ぎるというある種のお怒りと、それが志になって政治の分野に進まれたというお話も伺っております。歯科医であると同時に、県会議員としても、現場の中で、地方行政の中においても御発言をされてきたことをよく承知をしているところでございます。

 御指摘がありましたように、高齢化の進展に伴いまして、在宅歯科医療、特に口腔ケアの重要性が増していることは、先生の御指摘のとおりでございます。

 このため、平成二十年から、在宅歯科医療や口腔ケアに対応できる歯科医師や歯科衛生士を養成するための講習会を開催しているところでございます。また、この講習会を受講された歯科医師を対象として、在宅歯科診療を実施する医療機関に対して、ポータブルの在宅歯科医療機器の設備を整備するための補助事業も厚生労働省としては実施をしているところでございます。二十一年度の交付決定額は一億二千万を超えているところでございます。

 また、本年度からの、二十二年度からの新規事業としましては、歯科医師が病院や介護サービス事業者などとの連携を図るための窓口となる在宅歯科医療連携室の整備を進めることとしておりまして、これも二億七千万の予算を予定しているところでございます。

 今後とも、先生が御指摘をされました部分における医療と歯科医療との接点の問題、特に、高齢化社会に伴いますところの高齢者の方々の医療の問題を歯科の観点からもしっかりと検証してまいりたいと思っているところでございます。

川口(浩)委員 現実の問題として、窓口負担の問題等もありまして、中には、高齢者の適用年齢になるまで受診を控える人、それから、施設に入居されている方の中でも、御家族が負担増を理由に診察を拒否するケースも多々見受けられますし、労働安全衛生法による健診や、特定健診、特定保健指導でも、なぜか歯科の健診は除外されているという部分もあります。学校保健法や母子保健法と違っているのではないかという現場の声も多く聞いておりますので、その辺を含めまして、ぜひいい方向に改善されますように取り組んでいただきたいと思います。

 どうも長浜副大臣、ありがとうございました。

 それで最後に、今回、高校授業料の無償化ということは、実は、保護者そして学生一人一人、初めて目に見える形で四千億円近い多額の国費が支給をされると私は考えております。

 ということは、言い方は変かもしれませんが、その投資に見合う分だけの目に見える効果がやはり必要なのではないかなと思いますし、今回、一応このまま成立して制度として始まったとしても、やはり何年かのスパンでタイムリーに見直しをしていって、改善するべきところは改善していかないといけないのではないかなと考えておりますが、その辺における大臣の決意のほどをぜひお聞かせいただければ幸いでないかと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

    〔委員長退席、笠委員長代理着席〕

川端国務大臣 お答えいたします。

 今回の無償化の部分で本当に真摯に御議論をいただいているんですが、国民といいますか、こういう対象者の九八%が現実には高校に進学しているということで、そういうところで学び育った者が社会を支えている重要な構成員であるということで、その効果を社会全体が受けているわけですから、それを育てるのは社会全体で支えていこうという理念と、国際的に見ても、そういう高等学校レベルの教育は、基本的に教育の基盤となるある種のインフラとしてそういうものを公的に支えるという社会でありたいということが、今回この法案を提出させていただいた背景でございます。

 投資に対して効果がどうかということが直接的に目に見えて、物差しで評価するということはなかなか難しい問題ではあろうと思いますが、この環境を整備すると同時に、高校教育の充実の諸施策をあわせてもっといい教育ができるように取り組んでいくことは当然なことと考えております。スタートをさせていただくわけでございますから、まずはスタートを切らせていただいて、しっかりと進めることに全力を投入したいと考えております。

 いろいろな御意見は、またいろいろなことを伺いながらこれからの政策に生かしてまいりたいと思っております。

川口(浩)委員 ぜひこの事業が実りのあるものになることを国民一同期待しておりますので、悪いところは、ここはちょっとまずかったかなと素直に認めて、形を変えながらも、ぜひ国民の生活が第一という観点でこの制度をきちんと進めていただければ大変うれしいことと思います。

 どうもありがとうございました。

笠委員長代理 次に、塩谷立君。

塩谷委員 自由民主党の塩谷立でございます。

 川端文部大臣に初めて質問をさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。

 私は、常々、やらなければならない一つとして、高校教育の問題、目的、あるいはどういうところを到達点にするのか、そういったところが残念ながらなかなか明確になっていないということで、私としては、やり残してきたなという思いがあるわけでございます。

 平成十八年の十二月に教育基本法の改正をいたしました。この中には高校教育ということでは明記されておりません。その後、学校教育法の改正をいたしまして、そういう中で目的、目標については掲げてありますが、何か漠然とした状況の中で今の高校生を見ると、果たしてその目的が達成されているのかなというのは大変感じてきたところでございまして、そういう点をこれからしっかりと確立させて、高校教育というのは日本の教育の中でも一つの大きな根幹をなす部分だと思っておりますので、そういう点で、これからまたしっかりと議論をして、子供たちが明確な目標を持って勉学に励み、そして将来の日本を担う青年に育ってもらいたいという期待があるわけでございます。

 まず最初に、川端文部科学大臣としては、高校教育の目的、目標をどのように認識しているか、お伺いしたいと思います。

川端国務大臣 前大臣とこうして議論できることを大変光栄に思っております。同時に、委員におかれては、本当に政治生活の中でずっと教育行政、教育政策にかかわってこられました。

 私も、改めて大臣のときの二十一年二月三日の「新しい日本の教育 今こそ実行のとき!」、いわゆる塩谷プランというのを見させていただきました。長年の議論の経過を踏まえて、多岐にわたって教育をこうやろうという七つの事項ということでお書きになっている中にも、学校体系の中では、まず一番から高等学校学習指導要領の改訂、高校教育のあり方の検討、教育課程の一貫性の確保、高大接続等々、高校教育に対して非常に重大な関心と政策をお示しいただいております。

 我々としても、就任したときも申し上げましたけれども、基本的にこういう教育をよくしたいという思いは党派を超えて共通する大きな理念の一つでありますので、個々の具体的政策に若干の手法の差があっても思いは一緒であるという部分では、この塩谷先生のプランもまた最大限参考にさせていただきたい、過去の積み重ねというふうに認識をしております。

 そういう中で、高校教育でありますけれども、現実に九八%ぐらいの者が進学をしているという実態の中で、中を見ますと、高校にいる生徒の思いとして、大学等々さらに上に行くために勉強するということで行っている者と、高校を出て職につくための知識、技能を習得するという目的の者と、それから、中学校までのいろいろ学んだものをしっかりと身につけるということ、就職ということと関連するのかもしれませんが、そういうむしろ中学校までで学んだものをしっかりと定着させる必要がある子もいるということも現実だと思っています。

 そういう意味では、申し上げましたように、基本的にやはり社会を支える大きな人材として、いろいろ進路は別にして、しっかりとそこで社会人としての自覚と知識と、人によっては技能を含めた人間性の育成を図る大事な期間であると私は思っております。

 そういう中で、現実には、課程を踏まえ単位を取って卒業しているという外形的事態で見れば履修はしているんだけれども、果たしてしっかり修得できているのかどうかというのが今一番大きな課題と言えるんだというふうに思っています。

 そういう中では、その一番根底はやはり学習意欲と自覚をどう高めていくのかということが、いろいろな手法は別にして、根底にある問題の一つだというふうに思います。もう一つは、精神的、社会的な自立というものがやはり非常に脆弱になってきている。そこを強くたくましくということと、社会人たれということの部分で、勤労観、職業観あるいは社会的、職業的自立、それから人間としての自立、公共性を含めたものが非常に大きな課題としてあるんだというふうに認識をし、諸施策を進めてまいろうと思っているところでございます。

    〔笠委員長代理退席、委員長着席〕

塩谷委員 今大臣から、高校教育の目的、そして現状の問題点もあわせてお話しいただきました。

 おっしゃるとおり、高校教育というのは、私は、一口で言えば一人前の大人になって社会に認められるかということだと思っておりますが、現状ではなかなかそういうふうに至っていない。最近の高校生は勉強をしないとか、大学へ進んでもなかなか学力が備わっていないとか、あるいは社会規範の問題でも非常に大きな問題があったり、それは制度的にも、例えば高大の接続の問題とか、社会全体の規範意識をどう育てていくかとか、そういったいろいろな問題があると思っております。

 ただ、やはり全体の教育からいくと、単に大学への予備校的存在とか、それでは全く意味がないわけでして、やはり世界的にも今十八歳で選挙権を与えるというような話が出てきて、そして我が国でもそのためのアンケートをとっても、八割ぐらいがとんでもない、ノーという答えが返ってくるわけですね。

 ですから、やはり高校教育をどういうふうにこれからしていったらいいかということが、まず一番最初に検討を取り組まなきゃならない問題だと私は思っておりまして、そういう中で、今回、高校無償化の法案が提案されたわけでございますが、改めて、高校無償化の目的、そして高校教育をどうするかということについて、今申し上げましたような課題を克服する、あるいは改善するために具体的な議論がなされたのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 高校無償化の目的等々は、ここでも何度も申し上げて、今も、先ほども申し上げましたように、やはり一つは、この国が高等学校相当のレベルまで大きく社会が負担している国であるということは、私は非常に大事なこの国のあり方の基本にあるんだというふうに思っております。

 そういう中で、先ほど申し上げましたけれども、そういう人が育っていく、人材を育成するということが社会へ貢献しているという意味で、社会に還元されていくということで、社会全体で支えるという理念に基づいて行うと同時に、経済的負担を軽減できるということ。これはすべての意志のある高校生が教育費負担を基本的に心配することなく勉強に打ち込める環境をつくるということになっているというふうに思っております。

 授業料が大変だからという部分は、直接的な部分だけではなくて、例えばその援助のために、アルバイトをしている分はアルバイトを多少しなくても勉学に打ち込める環境であるということもあると思いますし、塩谷先生が大臣のときにお調べになって、親の収入と高校卒業後の進路というデータを出していただいております。親の所得に完全に比例して大学進学率は相関関係がある。そういう部分では、こういう教育負担を軽減することは全体的な底上げで負担を減らすということも、進学に効果があるんだろうというふうに思っております。

 そういう中で、高校の質の向上は、無償化と並行して当然行われるべきことであり、今までも行われてきたことだと思っておりますし、そのことに関してはいろいろな施策を、これはもうむしろ塩谷前大臣のときからの方向性を含めて我々も議論してまいりましたけれども、いわゆる新学習指導要領での、今までの課題を克服するための、言語能力を含めたコミュニケーション能力や、理科の教育の充実等々とか、あるいは公共性を高めるような活動とかいうことを議論されてまいりました。

 同時に、私たちとしては、これも先ほど議論がありましたけれども、教職員定数をふやすことによる支え、それから質の向上という意味での教員免許制度のあり方を抜本的に向上させていく取り組みを検討している。それから、本当に多様化していますので、そういう部分の成果もいろいろ現地で取り組んでいただいていることを検証しながら、これからも引き続き質の向上には精力的に取り組んでいきたいと思っております。

塩谷委員 改めて今回の無償化の目的をお伺いしたわけでございます。

 私が大臣のときに取り組んだことについても言及をいただきましたが、私も、昨年七月に、教育安心社会の実現に関する懇談会の報告ということで、特に教育費のあり方について一つの報告をさせていただきました。かねてから我が国の教育に対する公財政支出がOECD諸国の中で最低水準にあるということで、何とかやはり教育費を充実させたいということを、これは与野党問わず、そういう思いで取り組んできたわけでございます。

 同時に、昨年は、一昨年のリーマン・ショックから経済状況が極端に悪化して、そのために、教育費の中での家庭負担のあり方、これも考えなきゃならぬということで、重点的に、その点を含めて教育安心社会の実現に関する懇談会というのを立ち上げて、七月にまとめたわけでございます。

 その中で、当然ながら、根本的な理念として、子供は社会の宝、国の宝ということ、そして、教育をないがしろにすると社会が荒廃するというような基本的な理念に基づいて、一つは、教育に対する支援というのは人生前半の社会保障であり、機会均等をしっかりと確立するということ、それから二つ目には、将来への先行投資であって社会の活力増進の原動力になるという点で、その二つをあわせて、公財政支出による公的な負担が適当であるということ。この公財政支出については、国民一人一人、社会全体にとって発展の礎となる未来への先行投資であるということで位置づけてきたわけです。

 そして、その二つの観点をもとに、教育安心社会をどう築くかということについては、まずは教育の負担に対する安心、それから、やはり質に対する安心、この負担と質ということをあわせて検討しなければならない。

 今、質の点では、大臣もお話あったように、教員の質の向上とか、いろいろな教育力の向上、学習指導要領のこと、今お話ございましたそういった点、あるいは、現状でのいじめや不登校の問題とか大学の教育力、そして安心、安全な教育環境をつくるとか、さまざまな施策をして質の向上に努めなきゃならぬということで、我々としても検討していく項目として挙げているわけでございます。

 この二つの安心、つまり負担と質の安心、これをあわせて両面で、社会全体で整える環境を醸成していくことが必要であるということでありまして、ただ単に負担だけを考えて今回の無償化ということだけで済ませてはいけないのではないかということであって、むしろ四千億という大変膨大な予算を使うわけですから、こういうときにこそ高校教育の質の向上にしっかりと取り組んで、そこで無償化ということをあわせてやることがやはり本来の目的であろうと思っております。

 そういった点で、今回、無償化の議論をする中で、決定過程で、そういったいわゆる質の向上について、あわせてこれとこれを実行しよう、あるいは、今後の高校教育については一つのこういうあり方を目標として、その上で無償化に踏み切ろうというような議論があったのかどうか、そこら辺をちょっとお伺いしたいと思います。

鈴木副大臣 委員御指摘の負担と質、これは両方大事だというのは全くおっしゃるとおりでございまして、私どもも、この質の問題では、学習指導要領の手当てについては前大臣のときに大変精力的に取り組んでいただいておりますので、それをまさにきちっと生徒に習得させていくためには、やはり教員の質が非常に重要だというふうに思っております。

 そういう中で、マニフェストにおきましても、教員養成を抜本的に見直していきたいということを掲げさせていただきまして、そして、平成二十二年度におきましても、そのための調査費、そして調査体制を整えているところでございます。それから、あわせまして、そうした質の高い教員を増員していかなければいけないということで、まず教職員定数の改善ということで四千二百名の改善をさせていただいた。

 あわせまして、そうしたヒューマンと、ソフトは学習指導要領を充実させていただいておりますが、それをサポートする教科書あるいは教材のあり方、そして、そうしたものを実現していく、ICT環境などのハードも含めた全体の学校教育環境を整備していかなければいけない、こういう議論もさせていただいて、そのための学校教育、学校環境整備法なども野党時代には提出をさせていただいているわけでありますが、そうしたことを充実させてまいりたいという議論もあわせて行わせていただいているところでございまして、また引き続き御指導をいただければ大変ありがたく存じます。

塩谷委員 確かに、そういった今挙げていただいた項目については進められていると思っておりますが、やはり、それは何か今までの延長線上的な、我々もまだはっきりとした明確な答えも出ていないわけですが、だからこそ明確な高校教育のあり方というのをしっかりと議論して、それの明確な目標のもとに無償化ということが検討されるべきだと思っております。

 私どもも、今申し上げましたこの報告書で、やはり家計負担をどうするかということにおいて、先ほども大臣からお話があった、親の所得と子供の教育等の関係とか、あるいは家計負担軽減のために今現在行われている政策をどうするかということ。そういったことの中で、各学校段階において方向性を示して、幼児教育については無償化を提言して、あるいは義務教育については特に就学援助を充実させる、そして高校段階においては、その時点においては、当然いろいろな課題がある中で、現在として財政的な面から見ても大変厳しいものがあるということ。

 それから、高校については、国家、社会の形成者として必要な国民としての資質を育成するため教育内容の共通性の一定の程度が求められる義務教育と比較して、多様な能力、適性、関心、希望に応じた教育を行う性格が強い教育段階であることを考慮すると、高校段階で学習することに際して受益者としての負担を全く求めないこととすることが、高等学校に進学しない生徒との公平感の観点から見ても適当かどうかということは、根本的な問題として課題があるということ。さらには、現下の厳しい財政状況を踏まえて、高等学校の教育費全般を公財政支出にゆだね、無償化を図ることは現時点では必ずしも適当ではないと考えておるということ。また、教育を受ける機会を実質的に確保する観点からは、当面、低所得者を対象として重点的に支援することが適当であろうということをうたってきたわけでございます。

 そういう点では、私は今、現時点で考えなければならないのは、低所得者に対する格差の問題ですね。ここをどのように議論されてきたのか、その格差をどこまで縮める、あるいは、一番今重要な点は、やはり低所得者の人たちが授業料を払えず、あるいはその他の教育費に対して大変苦労しているという点を解消することがまず第一の問題ではないかと思っておりまして、こういった議論、今申し上げたいろいろな問題点等は既にこの委員会でも大分議論されてきましたが、果たしてそこら辺をどこまで議論されて今回の無償化の提案になったのか、その点はいかがでしょうか。

川端国務大臣 先般来の議論の延長になるというふうに思っておりますが、私たちとしては、基本的な理念は先ほど来申し上げているとおりでありますし、同時に、教育安心社会実現に関する懇談会の報告というのも、我々もこれも随分勉強させていただきました。ここの理念では、まさに低所得者に対しての手厚い対策を考える。いわゆる理念的に申し上げれば、ここの文章の中でも、家庭の経済的な事情にかかわらず、子供一人一人がひとしく教育を受ける機会の保障と教育の質の充実の両面が必要であろうと。

 先ほど私は教育のインフラと申し上げましたけれども、この部分では、基本的には、一番ベーシックな部分は社会全体が支えるというシステムを持っている国にしたいということが一つはありました。

 当然ながら、低所得者に対するということでは、今まで都道府県単位で行われている部分の措置に加えての部分で、何とか、授業料負担の多い私学の高校生に対しては、負担が公立よりは多いということで、支援がふえるようにという仕組みを議論する中で今回の制度になったということを御理解いただきたいと思っております。

塩谷委員 今回の一つの無償化の提案については、やはり本質的な問題は格差の是正ではないかと思っております。

 一律に全員に同じように与えるようになれば、格差は縮まらないわけでございますから、そこら辺を現状からあわせると、やはり特に公私の格差、これについては所得で上乗せ分があると思っておりますが、現実にはそれで救われるパーセンテージというのはかなり低いわけでございますし、また私学の各県での取り組みもかなりばらつきがあるということ。こういったことを考えると、やはり国が責任を持って、格差の是正に対して、今回の内容では非常に弱いのではないかなと思っております。

 私どもも、昨年、この報告書を踏まえて、私学に対する授業料以外、あるいは入学金とか修学旅行等を支援するための予算を提示したわけでございますが、残念ながらこれは思うように使われていないということと同時に、今回、特に授業料以外の経費に対する支援というのが非常に減額をされたりということで、この点がやはり非常に大きな課題になっていると思っております。

 特に、私学につきましては、今後、この無償化の後、例えば私学もどこまで経費負担を国が考えているのか。あるいは、一方で私学助成という問題、これはやはり、今まで長年、皆さん方の努力で毎年しっかりと我々も予算をとらせていただきましたが、本来の私学助成法から考えるとまだまだ低い水準にあります。

 そういった面で、私学に対する公私の格差、これについては将来的にどう考えているのか、その点をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 高校における私学が約三割で、重要な高等学校教育の一翼を担って御貢献いただいていることは大変ありがたいことであり、大事なことだと思っております。

 そういう中で、高校生の子供を持つ世帯というのは、先ほど先生の教育安心社会の実現に関する懇談会の報告の中でもデータが出ておりますけれども、授業料以外の教育費の負担が非常に高いということが一つあります。したがいまして、特に経済的に困難な者に対しては、そこの部分の支援も、負担を軽減するという意味では必要なことであるという認識は持っております。

 そういう意味で、今は、これはまさに塩谷当時大臣がおつくりいただきました高校生修学支援基金、これの弾力的な運用を含めて、地方においてもいろいろ、若干使い勝手が、もう少しこうしてほしいという要望もありますので、弾力的に図りたいと思いますと同時に、概算要求においては、私たちとしては要求をいたしましたが、最終的には予算案に入れることができませんでした。そういう意味では、必要性は十二分に承知をいたしておりますので、引き続き大変重要な課題として取り組んでまいりたいというふうに思います。

 同時に、私学助成に関してもお触れをいただきました。私学助成も、直接の国庫補助が四十億減額になったのでございますが、地方交付税措置としては、地方の自主性で使われる財源の手当てとはいえ百一億円増額をさせていただきまして、トータルとしては、これに見合いの地方への財源手当てとしては増額を図ったところであると同時に、国の財源措置を受ける生徒一人当たりの単価も増額をさせていただきました。

 今後ともに、私学助成を初めとした私学振興には、こういう厳しい中でお支えいただいている、少子化の中で御苦労いただいていることを踏まえて対応してまいりたいと思っております。

塩谷委員 公私の格差については、やはり今後しっかりと明確な方向性を出す。また、この無償化の法案の審議の中でもぜひ十分な議論を尽くしていかなきゃならぬと思っております。

 それから、ちょっと憲法との問題でございますが、憲法二十六条では、教育を受けさせる義務とともに義務教育の無償を規定しているわけでございますが、憲法は、国民に義務を負わせることで、国の責任として無償としているのだと思います。

 果たして、今回、高校教育の義務化ということはなしに無償化するということは、憲法の理念と矛盾するのではないかと思いますが、その点はいかがでございますか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のとおり、憲法二十六条は第一項で「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」第二項におきまして「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」ということで、義務教育を受けるについてその対価を徴収しないということであります。

 昭和三十九年の最高裁の判決においても、第二項の「「義務教育は、これを無償とする。」という意義は、国が義務教育を提供するにつき有償としないこと、換言すれば、子女の保護者に対しその子女に普通教育を受けさせるにつき、その対価を徴収しないことを定めたもの」という意味では、御指摘のとおり、子供にちゃんと教育を受けさせなさいという義務を負わせることにおいて対価は求めないということであることは、そうだというふうに思っておりますが、逆に、論理的な話でございますが、無償にしたから義務を負わねばならないという性格のものという解釈は成り立たないのではないかというふうに思っております。私たちは、高校教育の就学を義務化する目的でやっているものではありませんし、授業料を無償化したからといって義務化を強制するということにならないという意味で、憲法の理念に反しているとは思っておりません。

塩谷委員 この点も、私は大変大きな議論があるところだと思っております。

 義務化をする、しないということ、あるいは無償化をする、しないということ。これは、やはり現実的に無償化するということは大変な予算を伴うわけでありますから、やはりそこに、先ほど来申し上げましたように、高校教育としてのこうあるべきだということを明確にして、生徒にもそういう中で意欲を持って頑張ってもらいたいということで、したがって、やはり無償化するということは、大変に大きな一つの教育的な転換であろうと思いますので、そこを、単に授業料の無償化ということだけに終わらせない。

 そのためにも十分に議論して、せっかく公財政支出を高める、教育費を高めるという点では、私ども、こういう点では非常に歓迎する点があるわけですが、それを教育目的としてどうとらえていくかということが一番大事だと思っておりますので、その点を私は十分に議論して、そして、これだけの大きな問題は、やはり一年ぐらいかけてしっかりと議論して、時期的に見れば来年の四月施行に向けてぐらいの課題だと思っております。

 この委員会でも多くの課題が審議されてきました。格差の問題とか、それから専修学校、各種学校の線引きの問題とか、さまざまな課題が出ている。このままでこの法案をどうするかということの結論を出すということはまだ時期尚早であると思いますし、十分な議論をもって、そして将来の子供たちに禍根を残さないように、いい内容でぜひ結論を出していただきたいと思っておりますので、その点においてはこれからもしっかり十分に議論をしていくことが必要だと思っておりますので、我々としてもそういう点においては十分に協力したいと思っております。

 以上でございます。ありがとうございました。

田中委員長 次に、遠藤利明君。

遠藤(利)委員 自由民主党の遠藤利明です。

 先ほど石田委員から統一テストの話がございました。実は、学力調査の導入をしたときに、池坊副大臣と一緒に私も担当をしておりましたので、その当時、全国で犬山市だけはやらないと。かなり信念の強い人だなという反面、かなり変わった人だなという思いをしておったんですが、今話を聞いておりまして、大変熱い思いを感じました。いずれいろいろな話をさせていただきたいと思っておったんです。ただ、実は私たちも、序列化につながる形はさせたくないなと。ですから、統一テストのための受験勉強なんて、まさしく何をやっているんだという思いがいたします。

 ですから、中身の議論、基礎学力は大事ですね。しかし同時に、理解力も大事です。PISAのテストで日本人は理解力が少ないとよく言われますが、そうした分野を含めて、これを全国の生徒の皆さん方に、あるいは児童の皆さん方にまさに教育の中で理解をしてもらう、そしてそれを何年間かやっていくことによって、またその試験の中身も変えて、そして随時教育のレベル向上を図っていく。そういう意味では、私は、このテストというのは決して無駄ではない、むしろ有効だなと思っております。

 ただ、毎年必要があるか。実はこれは、私は余り、毎年やる必要はないと。PISAの結果もそうですが、何年に一回でいいんだと思います。同時に、ただ逆に、何年に一回でいいんですが、抽出ではなくてむしろ悉皆で何年かに一回やる方が正しいのではないだろうか。そして、その地域その地域の、あるいはその学校その学校の、レベルというよりも、どれだけ理解をしているか、そういうことをしっかり把握していく、こういうことが正しいのではないかなと。

 これはきょう質問することではなくて、先ほど石田委員の話を聞いておりましたので、改めてそんな思いをいたしましたし、同時に、実は先ほど鈴木副大臣から、四千数百人定員をふやしました、石田委員からも、教員の数が大事ですと。私も、自民党の頑張る学校応援団の団長ということで、定員をふやそう、そんな活動をずっとしてきたんですが、ただ、定員をふやすのは大事なんですが、それ以前に今大事なのは、教員の質の向上、あるいは優秀な先生をどうやって採用するか、あるいはどうやって優秀な先生を育成するか、この議論が余りなされていないのではないかなという気がしているんです。

 六年制の大学を導入、これも私は前から持論で頑張ってきたんですが、ただ、先ほど石田委員の話がありましたように、フィンランドの教育、実は、六年間でほとんどの方が免許を取るんですが、一年間ぐらい実質的にはインターンをやります。そうすると、その学校に行って、先輩の先生の授業を見ながら、同時に、その教室で少しおくれているそういう生徒さんを、そのインターンといいますか、まだ免許を持っていない実習生というんでしょうか、この方が教えていく。少人数学級と習熟学習をあわせ持ってうまくやっているんですよね。

 ですから、そういう意味では数も大事ですが、というのは、実は私たちのころ、多分皆さんもそうだと思いますが、四十人どころか五十五人学級とか、そういうことを平気であの当時しておりました。では、その当時の生徒はだめか。決してそうでなかったはずです。それはやはり、戦前の師範学校というのはまさにプロの教員をつくってきた。今師範学校を再生しろということは申し上げませんが、例えば旧制中学に入れる能力がありますよ、しかし残念ながら学資が足りない、自分のうちはそれだけ豊かでない。そうすると何をするか。だったら給料をくれる師範学校に行きましょうかと。文系も理系も関係なく師範学校に行って、そこで五年間、まさにプロの教師として学んできた。

 ですから、教師の質が高かったんです、基礎的な学力も。今学力が低いとは言いません。しかし、残念ながら、これだけ多くの課題を抱えているときに、今の例えば教育学部の教育は本当にこれでいいんでしょうか、ただ単に六年間にしただけでいいんでしょうか、そう考えると、教員の質の向上にまずもって取り組まなきゃならない。どんな学校でもそうですし、これは実は学校だけでなくて、今オリンピックをやっていますが、これはすぐ指導者の資質にかかわってきます。いい指導者がいれば成績が上がっていくんです。それと同じように、やはり教員を、どうやって質の向上、研修をしっかりしていくか、あるいはどうやっていい先生を採用するか、あるいはその源となる、先生になろうとする学生をどうやって教育するか。これは実はこの問題は一番大きな課題だと思いますし、いずれまたこの問題についてはしっかり議論をさせていただきたいと思います。

 今、オリンピックの話を申し上げました。私も先日、超党派の議員連盟を代表してバンクーバーに行って、選手団、関係者の皆さんを応援してまいりました。

 実は先日、「インビクタス」という映画に大変感激をいたしました。大臣はごらんになったかどうかわかりませんが、これは、ネルソン・マンデラという南アフリカの大統領、二十七年間、政治犯として牢獄につながれて、そして釈放された後に大統領になって、一番大きな課題は、人種の壁を越える。アフリカーナーというオランダ系の一番大きな中心となる人種、そしてイギリス系、そして黒人。そうしたときに、こうした皆さん方の融和を図る一番の方法はと。

 そこで、このネルソン・マンデラは、白人が支援をしているラグビーを、黒人はラグビーに対して協力的でなかったんです、白人のやることはだめだと。それをあえて自分が、皆さんの反対がありながら、ここでラグビーを支援して、そして一九九五年に、当時、九四年に大統領に就任したんですが、九五年にラグビーのワールドカップが南アフリカであって、そして劇的に優勝した。それがまさに南アフリカの人種間の壁を取り除いて、そして民主主義社会をつくった、そう言われております。そんな映画でありました。大変感激をして、涙をして見てまいりました。

 そのマンデラの言葉に、スポーツは世界を変える力があります、人々を鼓舞し、団結させる力があります、人種の壁を取り除くのは政治もかないませんと。恐らくこれだけの大きなスポーツの効用があります。

 しかし、残念ながら昨年の事業仕分けで、スポーツは効果が見えないから縮減したらどうですかと。大変残念な思いをいたしましたし、あすあすオリンピックに臨もう、あるいは世界選手権に臨もう、そうした選手、関係者の皆さんは大変残念がっておりましたし、萎縮をしておりました。

 この事業仕分け、もちろん川端大臣はスポーツ議員連盟の副会長もされておりましたし、大変造詣が深いのはよく承知しておりますが、こんな考え方は、大臣、どう思われますか。

川端国務大臣 ありがとうございます。

 マンデラの映画は、私、今のさわりの部分を含めた予告だけ見まして、見たいなと思っておりますが、まだ見ておりませんが、やはりスポーツの持つ力のすごさというのは改めて、ダイジェストというか予告というか、紹介の番組を見ただけでも、すごいことだと私も思いました。

 そういう中で、オリンピックにも大変、まさに超党派の代表として行っていただいて、励ましていただいてありがとうございました。

 オリンピックにおいても、私は常々、よくメディアの人とかが、メダルを幾つとるんですかとか、どうでしたかとよく言われるんですが、まずは日本の選手として選ばれたということである人たちは、その場で自分の最高の力を悔いなく発揮できるように頑張ってほしいということを申し上げ、願っておりましたが、それぞれ立派に頑張っていただいて、本当に大きな感動と夢と希望を与えてくれたことは大変ありがたいことだと思います。

 そういう中で、事業仕分けというああいう仕組みの中で、いろいろとフリーに仕分けをする人たちが意見を言われる中に、確かに、スポーツ予算というときのコメントということで、シートに書くというやり方で公開されています中に、「きわめて高いコストをかけてやっている。予算の大幅な削減は可能。」こういう記述があったことは事実であります。それぞれの委員のコメントですので、これにいいとか悪いとか言う立場ではございませんが、先ほど言いましたように、このことにということではなくてスポーツに関して、教育も同じなんですが、特にスポーツに関して、コストと対価みたいなものをはかるようなものでは基本的にはないことは御案内のとおりであります。

 ただ、逆に言えば、一方で、いわゆるスポーツイベントが地域の活性化とか観光とか経済効果を非常に大きくもたらすということで、いろいろな計算の一つでありますけれども、一九九八年の長野の冬季オリンピックでは、長野県の試算で大体四・七兆円の経済効果があったのではないかとか、二〇〇二年のワールドカップサッカー大会では、電通総研の試算で三・三兆円とか、そういう効果があることも間違いございません。

 そういう中で、私たちとしては、先ほど映画の話がありましたが、国民にとって、人格形成も含めて、体力向上、健康長寿だけではなくて、非常に大きな効果をもたらすものという位置づけをしておりますので、国民の理解を得ながら、スポーツ振興は引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 何か減ったような印象を世の中に与えてしまったのでございますが、例えば国際競技力の強化費も大幅に増額をいたしましたし、種目もふやしましたし、それからスポーツ予算総額もふやしているということで、これからもまた御理解、御支援をいただきながら、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

遠藤(利)委員 大臣は大変一生懸命でいらっしゃいますし、私たちもよく存じております。

 今大臣から、若干ふやしました、たしか二億円ぐらいふえたのかなという気がしましたが、実は、鈴木副大臣と一緒にスポーツ基本法の議論をずっとしてまいりました。若干まだ意見の違うところが少しあるかもしれませんが、大半は一致しているのかな。ただ、よく新聞、テレビ等に、自民党は選手強化が中心で、民主党の皆さん方は地域のコミュニティースポーツが大事だと。しかし、今回の予算を見ると、逆に地域スポーツは減っているんですよね。そして、強化スポーツはふえているんですよね。何か前と違ってきたのかなという気がしますが、そこは問いません。

 ただ、実は、もともとスポーツの予算というのは、文化と同じ程度だったんです。しかし、サッカーくじをやって、こっちでふえていきますからといって、こっちはふやさない。芸術予算は一千億、こちらは二百二十何億。ですから、サッカーくじで代替するから大丈夫じゃなくて、基本的に少ないんですよね。少ないから何とか穴埋めをしている、そういうのが私は実態ではないかと。

 もちろん、何でもかんでも、効果なんてないんだから勝手に使えということではないと思います。検証はしっかりする必要があるかと思いますが、もともと足りないんだということの認識だけはぜひ皆さんに覚えておいていただきたい、そう思っております。

 そこで、きょうは、その議論だけしているとなかなか進みませんから、今回オリンピックに行って、私は、せっかくですからということで、ちょうどスケートの三千メーターの穂積選手の活躍、翌日は長島選手と加藤条治選手の銀メダルそして銅メダルを見てまいりました。ちなみに、加藤選手は私のうちの近くなものですから、なおさら感激をして応援をしてきたわけでありますが、やはり、あそこで頑張って、日本人の応援団の皆さん方が旗を振って、まさに鼓舞するな、人をまとめる力があるなと改めて思ってきました。

 その中で、橋本団長といろいろな話をさせていただいたんですが、国母選手のことも大変心配をしておられました。しかし、私は橋本さんにお話し申し上げたんですが、橋本さん、あなたの判断は正しいですよ、二十一歳の国母さんです、そんな二十一歳で完全な人はいません、むしろ、本人の問題もあると思いますが、やはりそこは指導者やあるいは関係者の皆さんの責任が大きいんじゃないですか、むしろこういうところに堂々と出して、そして、それによって国母さんもいろいろな批判を受けたり、あるいは皆さんから指導を受けたりして成長していくんじゃないですか、まさにそれが教育じゃないでしょうか、こんな話を橋本さんにさせていただきました。

 結果的には八位でありましたが、しかし大変頑張って、帰りはきっちりした服装で帰ってきましたし、そういう意味で私は大変正しい判断ではなかったかなと。ただ、もうちょっと、正直言うと金メダルが欲しかったなという気がいたします。

 たしかパシュートで、あれは百分の一秒で十二センチ、ですから二十四センチぐらいですね。あれは五百メーターだと十六センチぐらいなんです、百分の一。そのぐらいのぎりぎりの差で、何とか金メダルが欲しかったかなという気がするんですが、今回五つ。

 実は私、四年前に副大臣のときに、スポーツに関する懇談会というのを文部科学省の中でつくらせてもらいました。それまで国の施策の中でスポーツというのは余り取り上げられなかった。同時に、やめてから自民党にスポーツ立国調査会というのをつくったんですが、これも、政党の中でスポーツに関する調査会やあるいはいろいろな研究会はなかったんです。やはりスポーツというのは国の責務としてやるべきだ、それを受けて、今、基本法の問題を議論させていただいておりますが、今回のオリンピックについての評価を改めて、参議院で大臣はされたようでありますが、お聞かせをいただきたい。

 同時に、時間もありますので、実は十二日からパラリンピックが始まります。これは通告しておりませんが、実は今はもう既にオリンピックとパラリンピックは一体なんです。ところが、日本では、オリンピックは文部科学省、そしてパラリンピックは厚生労働省。ところが、今、パラリンピックというのは弱者のためのスポーツじゃなくて、ハンディはありますが、コンペティション、競争なんです。もう一体の施策でいいんだろうと思います。その件もあわせて、簡単で結構ですが、御意見をいただきたいと思います。

川端国務大臣 スポーツに対して本当に熱い思いで今までも取り組んでいただいて、ありがたく思っております。

 私も、女子パシュートは準決勝、決勝と、かなり早朝からでありましたけれども、テレビで見ておりました。準決勝でドイツは、もう少しで負けそうな、転倒しながらゴールインして勝ったので、日本は勝てるのではないかと思って見ておったんですが、やはり勝負の世界、百分の二秒で二十四センチですか、ということであって、金メダルはかくも遠いものかと思いました。

 そういう中でありますが、やはり非常にみんな、いろいろな意味で、見ている人も感動とそれからある種の勉強、学んでいることが多いというふうに思います。

 そういう中で、国母選手のドレスコードの問題がありました。これは、下村先生にお問いをいただきまして、やはり日本のナショナルチームの一員としてオフィシャルに行動するときはしっかりと秩序ある行動をすることは定められたことで、極めて遺憾であると。そしてまた、後の問いのときにも、周りにもいろいろ指導者がいて、コーチもいてというときには、やはり適切な指導も必要であろうと。そして、残念ながら、一番初めの会見が、本当に反省しているんだろうかというふうな印象を国民の多くが受けたわけですから、そういうこともある種苦言を呈してまいりました。

 橋本団長は、そういう中でありますが、やはり選手として送り込まれている以上、最大のパフォーマンスをすることで臨ませたいという一方、非常に批判を受けたということがある中で、個別にしっかりと国母選手とお話をされて、そして本人も自分の行動を反省して、しっかりとそういう対応をされたということには大変な御苦労があったと思うんですが、団長として、御自身もまさに何度もオリンピックに行かれた経験を生かして、選手の気持ちと、それから組織人としてのあり方の部分で、御苦労の中で本当によく頑張ってまとめていただいたということは、私も感謝をしておりますし、三月二日に帰ってこられて、早速に、夜遅くにでありましたけれども、文部科学省にもお訪ねをいただきまして、おねぎらいを申し上げたところであります。

 国母選手も、予選では非常にいい成績だったので、いい結果が出るかとかなり期待をしたのですが、やはりこれもまた、世界のトップレベルというのは予選のレベルと全く違うスコアが出るというのを改めて経験しましたが、彼自身にとっても今回の経験がいろいろな意味でスポーツマン、アスリートとしての成長に資してくれればなと願っております。

 そういう意味で、スポーツの重要さ、私もサッカーくじは一生懸命いろいろ疑念を呈せられる各種団体を説得しながら導入した経過もございますが、おっしゃるように、スポーツ予算が少ないからお手伝いしようという趣旨からスタートしているものであるというのは私も理解しておりますし、そういう中で、総合的な予算のあり方をこれからも引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 また、パラリンピックに関しては、私もよく、何か最近いろいろなテレビ等々で、オリンピックに比べてパラリンピック、委員もおっしゃるとおりのことであるし、こんなに頑張っているのに予算がえらい少ないやないかという報道の論調みたいのがあったときに、私にパラリンピックをもっとちゃんとしろという御指摘を何人かからいただきました。

 そういう意味では、いろいろな今までの経過等々あるということで、私も昔、経済産業大臣に、技能オリンピックが非常に停滞している、各国は大臣がみんな技能オリンピックに応援に行っているのに、日本の経産大臣は、中小企業の技能者等、日本の物づくりの根底にかかわる者を何で応援に行かないんだという質問をしましたら、あれは労働省だと言われたことがありまして、そういうやはり境目みたいなことがありますので、これはまた長妻大臣ともいろいろな場で意見交換をしてまいりたいと思っております。

遠藤(利)委員 パラリンピックについては、これは既にもう一体となっております。だからこそスポーツ庁が必要だと思いますので、ぜひまたこれについては御検討いただきたいと思います。

 時間もありませんので、実は、北教組の問題を少しお話し申し上げようと思ったんですが、先日の共同通信の世論調査、小林議員はやめるべき七五・四%、続けていい一二・二%。何か今回の国会はゼネコン、マザコン、日教組だとかいろいろ言われておりますし、労働組合の政治活動、これは大臣も御出身でありますが、人も物も金はすべて労働組合が握っていて、それが政治を動かしている、こんな報道も最近たびたびされております。何か労働組合に席巻されているんじゃないか、こんな意見も多くのマスコミをにぎわしております。

 もちろん、疑わしきは罰せずとか推定無罪とか、もういろいろなことでありますから、小林議員に直接の責任があるかどうかはわかりませんが、しかし道義的責任は十分あるだろう。そうしたときに、何かやめるやめないの議論のときに、どうも、参議院選挙に影響ないように、補欠選挙にならないように、その後ならやめてもいいなんていう話がいろいろ出てきている。こんなことでいいんだろうか。それは国民に対して責任を負うのであって、参議院選挙の勝ち負けについて判断するというのは言語道断ではないかな、そんな思いだけ申し上げさせていただきます。

 同時に、今回、政治と金の与党の協議会をつくって四月からスタートするということでありますが、これも私から見ると、悪いことをした人が、いや、法律が悪いからおれはやったんだ、もっと厳しくすればおれはやらなかった、何かそんなふうな感じさえするんですね。

 数日前の読売新聞にこんな記事が出ていましたが、ナックルというボール、ふわふわ横に揺れるのでキャッチャーがなかなかとれない、だったら技術を磨くよりもこのナックルを投げるのを禁止させたらどうだ、それが今回の民主党の提案じゃないか、こんなコラムも出ておりました。

 そこで一点だけ、簡単ですが、大臣。

 北教組の問題ですが、これは委員長が亡くなりまして、代行、この人たちが逮捕されました。教員の皆さんからお金を拠出してもらって、そして活動している、まさに教育の中心とならなきゃならない組織がこうした犯罪を犯した。これは捜査中でありますが、もし事実だとしたら、これは北海道の保護者の皆さん、教育関係者の皆さんからすると到底許されないことだと思うんです。信頼をなくすことだと思うんです。

 もちろん、大臣、権限がないのはわかりますが、例えば北教組を一回解散して、出直して、もう一回再開したらどうですか、道民の信頼を得て、再度その組織を結成したらどうですか、こんな考えはございませんか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 その前に、労働組合は労働組合としての、一般論としてですよ、北教組の話を言っているわけではございません、おまえも労働組合と言われたので。労働組合は、法に基づく中で一定の政治活動の自由が当然保障され、認められているものですから、その範囲内でやることは特段の問題があるとは思っていませんが、当然ながら、法に触れることはしてはいけないことは当たり前のことでございます。

 そういう中で、北教組の問題、捜査中でございますので事実関係はわかりませんし、もしもこうだったらということにも仮定ではお答えしにくいことでございますが、これも一般論として言えば、その団体は基本的には任意の団体でございまして、先生もう十分御承知のように、文部科学省が管理監督、指導している立場では全くありませんので、その部分で、解散して出直したらどうだと言うのは、まさに職務上許されることではないというのは御理解をいただけるというふうに思います。

 もとより、御指摘の背景にありますように、教育の現場にかかわる団体であることは間違いがありません。そして、重大な法令違反の疑いを受けて最高幹部が逮捕されているという事態を招いていることは、極めて遺憾であり、深刻な事態だと私は思っております。

 そういう意味では、教育現場においての政治的中立がしっかり確保されていることが大事であるということで、そういうことが脅かされ、あるいは教育現場でそういう法令違反が起こっていないかどうか、今、調査を命じているところでありますけれども、より道民の皆さんにとって、国民にとって信頼が回復できるような教育環境であるべきであることは当然のことでありますので、引き続き、私の立場でできることは最大限努力をしてやってまいりたいと思っております。

遠藤(利)委員 私も大臣が命令できるわけがないと思っておりますが、しかし、そのぐらいのことがなければ、私は、やはり一回解散して、それで改めて信を問うて活動するべきだ、そう思っておりますし、ぜひそんなことになるように期待をしております。

 時間もありませんので、最後に、今回の法案について、昨日の参考人質疑の中で、私学の関係の皆さん方から、何で自分たちだけは署名しなきゃならないんですかと。これは多分、議論の中で公立高校も署名の話があったはずなんです。ですから、これは法律の中身を変えるべき、文章を変えるべきだけの話ですから、無償法案そして支援でありますが、自署じゃなくて、そして実質的には在籍証明で十分足り得ると思うんです。そのことについてお伺いをしたい。

 それからもう一つは、世界各国で無償化が進んでいますといいますが、これでは日本の私立高校は無償化が進まないんです。むしろ、公立高校はゼロで、そして私立高校は有償でというと、ますます何かイメージ的には格差が広がるような感じさえするんです。ですから、だとすれば、世界的に無償化ですから日本もやるんですよというのなら、では日本で私立高校の無償化をこれからさらにどう進めていかれようとするのか、お伺いをしたいと思います。

 もう一点だけ。

 いろいろな教育の多様な考え方があると思うんですが、中高一貫校、これは私学なんか特色でもってやっていたんですが、最近、公立でもあります。公立、悪いとは言いません。しかし、公立でやるときに、実質的に選抜試験をやっているのはおかしいんじゃないかなと。それだったら、義務教育と連動ではおかしいんじゃないかなという気がします。ですから、多様な教育をやるのはいいんですが、ちょっとそこの問題について私は疑義を感じるんですが、時間がありませんので、簡単に三点についてお伺いしたいと思います。

 最後の件、一貫教育については通告しておりませんでしたので、もしそこはカットされるならカットされても結構です。

川端国務大臣 外国の公立学校が多くの国において無償であるという意味、現実そうだと思うんです。それで、私学に関しては、いわゆるラグビー校とかイートン校とかというふうな有名な学校等々をよく言われるんですが、千差万別であります。物すごく高い授業料のところもあります。そういう意味では、いわゆるパブリックの部分と私学ということに関して、かなり実情においては相当違いがあるというふうに思っております。

 それから、もう一つは何だったっけ……(遠藤(利)委員「申請」と呼ぶ)申請の方法ということですね。公立高校においては、国からの助成を含めてその事務の負担を軽減するという意味で不徴収ということの制度にさせていただきましたが、私立高校においては、授業料の設定を含めてが自主的にそれこそ認められているという幅がありますので、授業料を不徴収にするということはできない、幅がありますから。

 そうすると、やはり一定の額の支援をするということになりますので、そういう意味では、それぞれ何人この生徒が申請した人がいますということの部分の認定の手続は制度上必要であるという認識でこの制度をつくらせていただきましたが、その認定自体は都道府県が行うということで、それは、授業料を不徴収という制度にはできなくて、支援をするという制度にするときに伴う事務的な制度として必要最低限必要だと思ってやっているということだけ御理解をいただきたいと思います。

遠藤(利)委員 時間が参りましたので終わりにしますが、ただ、事務の煩雑化を避けるために公立高校は申請が要らない。だったら私立も、事務能力、煩雑を避けるために、申請をなくして在籍証明でいいんじゃないかと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、菅原一秀君。

菅原委員 自民党の菅原一秀でございます。

 今、日本という国を取り巻く閉塞感といいますか、いろいろなことを最近考えるわけであります。いかにこのデフレから脱却して、成長戦略をなし遂げて財政再建をしっかり具現化をする、そして、年金、医療、介護の社会保障というものをしっかり多くの国民に安心感を与える、そういう国政でなければならない。

 しかしながら、中長期的に見れば、やはりこの教育というものが極めて我が国には重要でありまして、国が進展するも衰退するも教育にかかっている、あるいは教育行政にかかっている、改めて私はこう感じております。

 そこで、まず大臣に基本的なことをお尋ねをしたいと思うんですが、去年のいわゆる流行語大賞、これは政権交代ということでありました。長くよどんだいろいろな政治のうみ、ひずみ、いろいろなことが国民がそうした選択をされたものである。しかしながら、この半年間を見れば、この国は一体どうなってしまうんだろう。まさに政治と金の問題、あるいは普天間の混迷する状況、そしてまた財源なきばらまき等々、いろいろなことが言われています。この議論はまた機会を別にしてやらなければいけないと思います。

 そこで、まだ三月でございますが、ことし、この流行語大賞、もう既に幾つか言葉が出ているんだそうです。その一番最たるものは何だか、大臣御存じでしょうか。

川端国務大臣 まだ三月でありますので、ちょっと存じ上げておりません。

菅原委員 今おっしゃった言葉にすごく似ているんですが、知らなかった、私は知りませんでしたという言葉が実は子供の間で非常に蔓延をしている。これはネットでも出ているんです。宿題をやってきたか、いや知らなかった。大人の世界で、二月十六日に始まった確定申告、総理が払っていないんだから我々が何で払う必要があるんだというような非常にモラルハザードが起きているということは極めてゆゆしき事態であって、しかも、それが子供の教育現場にまで波及をしているということは、非常にこれはゆゆしき事態だと思うんです。

 改めて、今般のトヨタ自動車、トヨタもやはり当然それ相応の責任があった。しかし、社長本人がアメリカの公聴会に行ってきちっと説明をして、その後、中国に行って新たなマーケットにおける打開を図ってきているわけでありまして、まさに、こういうときはきちっと堂々と説明責任を果たす、これをトヨタからある意味では学んだのかな。翻って、政治の世界は余りにも言葉が軽過ぎる、こういう批判が国民から本当に突きつけられているということは、私どもも大変じくじたる思いを持っているわけであります。

 まさにこの情操教育、あるいは幼児教育、道徳教育、子供のときにいわば基本中の基本、間違ったことをしたら、間違っていました、ごめんなさい、正していくという極めて基本的なことが教育の基本中の基本だと思うわけでございますが、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

川端国務大臣 今言われた教育の根幹の理念の一つとして、間違ったら謝ることというのは、大変大事な理念だというふうに私も思っております。

菅原委員 政治の世界でも一般社会でも、やはり誤ったことがあったらきちっと謝って、そしてまた正す。これは、政治、今の勢力を守る、守らない、そんなレベルの話じゃなくて、今後の日本の根幹にかかわることでありますから、これはきちっと再認識をしていただきたい。大変僣越でございますが、そう思います。

 早速、この無償化法案のことに入りたいと思います。

 まず、ここ数日、視察を含めれば四日でございますが、三日間しかまだ議論しておりません。まだまだこの制度設計等、議論が不足をしている、こういう印象を持つわけであります。

 特に、確たる財源がない。いろいろな工夫はされておりますが、四千億円ものお金を、国民の血税を使ってこの無償化をやろうとしている。このことに関しまして、もう御案内のとおり、去年の総選挙において民主党は、一般会計と特別会計を合わせて二百七兆、ここから約一割の無駄を削って二十兆出すんだ。あるいは、毎年四千七百の特殊法人、独立行政法人に二万二千人天下りをしている、国民の税金が十二兆六千億も投入されている、つまり、天下りをやめれば数兆円出てくるんだ。こういったことを盛んに言っておられたわけであります。

 そこで、子ども手当や、公立高校の無償化や、あるいは農業の所得補償、高速道路無料化、こういったことを掲げて選挙を戦ってこられたわけでございますが、実際には、事業仕分けなるもので出てきたものは六千七百七十億。それで、ことしの子ども手当一兆四千億円、この高校の無償化が約四千億円。これをどうやって賄っていくのか。

 十二月のいわゆるGDP成長率が年率でいうと四・六%上がった。これはある意味では前政権のもたらした果実だと思っておりますが、そういう状況があるにもかかわらず、日本の国債が下落をしている。これはやはり、八百数十兆の長期債務があって、さらにばらまきをやろうとしている、このことに、内外の投資家あるいはアメリカのSP社という会社が格付を今されてしまっている。そういう意味では、この財源というものをきちっと示していかなければならないのじゃないかな、こう思っております。

 そこで、幾つかのマニフェスト違反の一つ、これも議論ございましたが、いわゆる特定扶養控除の一部廃止の問題であります。

 去年の総選挙で、民主党は国民にこう説明をされておりました。扶養控除は所得税部分は廃止、しかし住民税については触れていない、そして一方で特定扶養控除も現状のままとする、こういう説明をしていたわけであります。ところが今回、十六歳から十八歳の高校生部分の縮減、これを政府税調でお決めになったわけであります。

 けさも民主党のホームページを見てまいりましたところ、ちょうど去年の八月三日、横浜市でこのマニフェストの説明会が行われておりましたが、そこには現財務大臣の菅大臣もおられました。そこで、当時の副政調会長であったと思いますが、特定扶養控除は現状のままいじらない、こういうふうにはっきりおっしゃっておりまして、また、きょうのホームページにもそれがそのまま記されております。

 国民からすれば、特にサラリーマンからすれば、特定扶養控除というのは、小中よりも高校、大学が一番お金がかかる、ここの部分の控除が廃止になるということは、まさに実質増税。それでこのサラリーマンの思い、怒りにもどんどん転じていようかと思いますが、こうした状況の中で、この一部廃止というのがマニフェスト違反に当たる、多くの方はそう思っていると思うんですが、大臣はどうとらえておりますか。

川端国務大臣 先般来このことが議論になっておりまして、マニフェストの文章としては、「特定扶養控除、老人扶養控除、障害者控除等は存続させる。」というのがマニフェスト上の表記でございます。

 現状のままという言葉がいろいろ説明のときに使われたことは事実でありますが、そのことの解釈には、おしかりを受けるかもしれませんが、若干の幅があるというふうに私は解釈しております。

 そういう中で、高校無償化の議論は、政府の税調においても、税調の要請として、私たち文部科学省としての要望としては、「国民が、その経済的事情を心配することなく、安心して子どもに適切な教育を受けさせることができる」よう、「扶養控除の見直しが行われる際には、現行の扶養控除や特定扶養控除が家庭の教育費負担の軽減に資している現状を踏まえ、より一層負担が軽減されるよう、税制上の配慮を行う」という要望をいたしました。

 これは税調だけの議論で扶養控除の云々ということではなくて、一方の政策である高校無償化との関連もあるので、一緒に議論をして、少なくとも教育費の負担軽減に資するようにしてほしいという税制要望をいたしました。これは、マニフェストの高校無償化と、それから扶養控除は存続させるということの趣旨を踏まえて行ったものでございます。

 そういう意味で、控除から手当への観点という配慮と、それから、高校無償化とあわせて一部この年代の部分だけは圧縮をするということでさせていただいたところであります。基本的にマニフェストは守れているものと認識をしております。

菅原委員 いろいろとおっしゃられましたけれども、けさのけさホームページに書いてあって、特定扶養控除は現状のまま維持をすると書いてある。それで、今おっしゃったのは、民主党内のあるいは政府税調内の議論であって、当然、政務三役が財務省なりに議論をする。それは、ある意味では相撲をとるというのは大事なことであろうかな、私も政務官の経験者でありますから、それは理解はできなくはない。しかし、私が今尋ねたのは、民主党のマニフェストと今回のこの縮減がそごがあるんじゃないですか。イエスかノーかを聞いているだけです。もう一度。

川端国務大臣 マニフェストの文章でいえば、特定扶養控除は存続させるという意味でありますので、圧縮はいたしましたが、十九歳以降の部分はそのまま、そして高校相当部分の年齢部分だけが圧縮して存続をさせているという意味で、マニフェスト違反には当たらないと認識をしております。

菅原委員 大臣は文部科学行政のトップですよ。現状のままというのは、高校生部分が廃止になって、何でこれが現状のままでマニフェスト違反に当たらないんですか。そういうことを教育行政のトップはやってはだめだ。その言葉はおかしい。これは全国でインターネットで聞いていますよ。小さな問題だけれども大きな問題ですよ。

 つまり、マニフェスト違反じゃないかどうかと聞いているんです。それを、マニフェスト違反に当たらない、その一部分を廃止したことは現状のまま。これはやはり現状じゃないでしょう。異常ですよ。これは多分同じ答弁だから、もったいないからまた議論は後にしますけれども、これはしっかり議論していきます。

 それで、言ってみればこれは詭弁であって、例えば、ひとり暮らしのおばあちゃんのところに空気清浄機を売りに来た人がいて、これは非常にスーパーより安いですよ。五万円が四万円です。ところが、入れたはいいけど、毎月点検に来て、点検費が三千円毎月かかって、結局高くなっちゃう。こういうマルチ商法と同じようなことを今民主党は言っているわけですよ。本当にこれはこの政権の体質をあらわしている。大臣だけじゃない。

 重ねて、この高校無償化の問題と特定扶養控除の高校部分の廃止の問題、先般、二月二十五日、衆議院の本会議において菅財務大臣は、高校無償化の財源は控除の廃止を財源として設計されるものではない、こう答弁をされているんです。一方で川端大臣は、今の答弁にも関連しますけれども、去年の十二月十五日の記者会見でも、特定扶養控除の高校生部分の廃止が財源ということにもなるとはっきりおっしゃっている。さらに、先般のこの委員会でも我が党の松野委員が質問をされておりましたが、控除から給付へという表現で、控除と給付がリンクしていることをはっきりおっしゃっているわけなんです。

 きょう、財務省からも副大臣おいでだと思いますが、まず、菅財務大臣のこの答弁、今も変わりありませんでしょうか。

野田副大臣 菅原委員の御質問にお答えをしたいと思います。

 御指摘のように、二月二十五日、衆議院の本会議において、公明党の西議員の御質問に対して、委員の御指摘のとおりの答弁を菅大臣はされました。これは今も変わりません。

 と申しますのは、今回の高校の無償化のみならず、農家の戸別所得補償あるいは子ども手当等々、民主党のマニフェストの主要事項、初年度実施に当たりましては、その財源は、去年の十月十五日に各府省から概算要求を出していただくその段階で一兆三千億円の歳出削減を行いました。加えて、去年の秋に行政刷新会議における事業仕分けで評価結果が出まして、それを踏まえた横断的な見直しでさらに一兆円の歳出削減を行いました。加えて、公益法人の基金の国庫返納等の税外収入も合わせて三兆三千億円の財源の確保をした上で、高校の授業の無償化も実現をするという運びであったということでございまして、特定の財源に頼ったということではありません。

菅原委員 野田副大臣、ここで結構でございますので、ありがとうございます。

 あわせて文科大臣、同様の問いをお願いします。

川端国務大臣 財務大臣の趣旨は、今野田副大臣からおっしゃったとおりです。

 私は、高校無償化実現のために、政策効果が共通する特定扶養控除等の整理が必要となり、特定扶養控除の縮減を検討することとなったとこれまで答弁をいたしております。これは、特定扶養控除の見直しが高校無償化に特定した財源であるという趣旨で申し上げたわけではございません。財務大臣の答弁とは矛盾していないと思っております。矛盾しないと認識しております。

 御指摘の、私の会見のことを引用されたんですが、正確には、要するに、授業料の無償化を支援するということであれば、当然リンクした部分として議論されるべきだとかねがね言ってきたので、いま一度議論をさせていただきたい。当然ながら、実行するときのマネーフローは別にして、財源ということにもなるというか、理屈の整合性はありますので、改めてもう一度、そのことを含めて税調としての議論をしていただきたいということで、財源であるということを申し上げたのではございませんし、理屈の整合性として、高校無償化ということで応援するのと特定扶養控除で応援しているというのの部分は理屈としては関連があるのであわせて議論をしていただきたいという趣旨で申し上げた中に財源というワードがあったことは事実でありますが、これは財源論としてやってくれということを申し上げたことはございません。

菅原委員 財務省と文部科学省がそれぞれ違う答弁をしております。整合性にこだわり過ぎて物事の本質を失っている。その一つの考え方として控除から給付という流れがあるとすれば、それはそれで一つの考えだから、堂々と言えばいいじゃないですか。それを、何だか閣内不一致という指摘を恐れるがために、しどろもどろなロジックになってしまっている。

 まず、国民との約束として、特定扶養控除はいじらない、現状のままだと言ったことにそごがある。これはもう完全に落第点ですよ、ある意味では。これは、我々が幾ら批判しても、結果的には次の参議院選挙でいろいろな結論が出るんだと思います。国民の判断だと思います。

 それで、この控除から給付へというこのリンクをしていること自体、今後さらに、特定扶養控除全廃、あるいは扶養控除も、来年はマニフェストに書いていない住民税部分もいわば廃止になるんではないか、いろいろなことが考えられます。

 いずれにしても、この閣内不一致の現状に対して改めて指摘をしておくとともに、あの去年の暮れの政府税調で、議事録を見ましたらば、きょうおいでの中川副大臣だと思いますが、高校の無償化を所得制限なく行うためには、特定扶養控除を縮減して調整できないか、こういう文科省を代表しての発言をされている。いわば今の大臣の答弁と副大臣の答弁、政務三役がばらばらだと思うんです。これは多分ただしても堂々めぐりになるので、これは指摘にして、次にいたしたいと思います。

 大事なことをもう一つ、地方公共団体への交付金の取り扱いについて。

 四月一日と言っているんでしょう、皆さんが目指しているのは。四月一日にこの施行を目指しているのに、あと二週間ちょっとしかない。ところが都道府県は、混乱や不安や、いろいろな政省令が決まっていない、こういった中で非常に困っているという問題。特にこの公立学校授業料不徴収交付金は、公立高校の授業料の相当額十一万八千八百円を基礎として政令で調整することとなっているわけでありますが、ところが東京なんかは、都立高校十二万二千四百円、その差額分をいわば負担をみずからしなければいけない。約三億九千万、こう言われておりますが、これは、東京都のある意味では経費縮減で穴埋めしなきゃいけないのかななんという、私も都議会出身でありますから、そういう不安の声が届いているわけであります。

 ただ、先般、馳委員の本会議での代表質問でも、この点に関して、大臣からは検討するというお答えがありました。この点について、その後、現状はどうなっているんでしょうか。

川端国務大臣 今回の、高校の授業料の公立高校における不徴収に関する仕組みとしては、今、都道府県が公立高校に対しての減免措置でみずからの財源で手当てをしていただいている部分と、生徒が払っている部分という二種類になっています。それの生徒が払っている部分を国が県に対して支援をするという仕組みになっておりまして、当然ながら、その算定基準は、平均的な部分で十一万八千円掛ける在籍人数ということになりますと、東京都と大阪府がそれを上回る授業料になっております。その分負担が多くなるということであります。各都道府県を調べましたところ、というところもあれば、それより安いところもあります。

 そういう意味で、現在、四月一日に向けてということでありますので、これは別のところでも御答弁申し上げたように、各都道府県に対していろいろと説明すると同時に、実情に関して御相談をさせていただく中で、激変緩和措置がどうにかしてとれないかということを含めて今回の配分に関しては、最終的に御要望を最大伺う中で地方交付金を算定するように、授業料の実際の入ってくる部分との勘案した算定をすることや、その差額の持ち出しが急激にならないようなことも含めて、それぞれの個別に御相談をさせていただく中で最終的に近々決めたいというのが現状でございます。

菅原委員 これはやはり、東京や大阪、極めて深刻な問題であって、結局はそれが生徒なりその家庭にと負担が及ぶことがないように、きっちりお願いをしたい。

 私立高校の問題について触れます。

 きのうの参考人質疑の議論でもございましたが、やはり都市部と地方、この平均授業料の額が公立よりもはるかに大きな差が出ております。例えば、東京は私立高校の平均授業料が四十一万円、大阪で五十六万、地方では二十万円台のところも非常に多い。全国的に授業料の差がない公立高校と違って、地域ごとにこの私立の授業料というのは大きい差があるという現実がある中で、私は、全国一律の額の就学支援金、これで本当に今回出されている法案の趣旨にかなっているんだろうか、そういう率直な思いを持つわけであります。公平性の観点からすれば、極めてこれは乏しい。

 例えばですが、都道府県ごとの平均授業料に応じて就学支援金の額を決めていただく、この方が実質的に公平性を確保できるはずなのではないかとこう思いますが、この点いかがでしょうか。

川端国務大臣 今、一部お触れいただきましたが、私立高校の平均の授業料は約三十五万五千円であります。一番安いところは十六万一千百九十六円、最高額は、これはちょっと特別な学校であるというふうに思いますが、百二十万円というところもございます。平均では、三十五万四千五百五円というのが全国平均でございます。

 私立学校は、というふうに授業料はまさに多様でありまして、地域で云々というよりも、学校で随分差があるということであります。すべての意志ある者の学びを国として公平に支援をするという観点でこれは全国一律一定の額という支援金制度にさせていただいたことは、こういう実態の中で都道府県別にあるいは学校別にということにすることよりは、一律が公平性を担保できるというふうに考えて行ったところであります。

 一方で、今御指摘の、平均的にいえば地方において差があるという実態が傾向的にある現状もございますので、それにおいては、授業料の実態を踏まえて、都道府県において、独自の授業料減免補助をそれにあわせて地方の判断で行っていただくことが望ましいと考えております。

菅原委員 これは、やはり実態に即してそうした手立てというのが必要だと思いますので、きちっとこれは検討していただきたい。

 時間がございませんので、私どもがマニフェストにも掲げてきました給付型奨学金、これは、すべての生徒の格差が固定化しない状況においてしっかり勉学に励んでいただく、こういったことで、我々はマニフェストの中で所得制限をきちっと設けて、低所得の家庭の子供たちに有効な教育の機会を与え、なおかつ負担を軽減するということで、この創設をいわば掲げてきたわけなんです。

 ところが今回、文科省の方から概算要求で百二十三億円を積んだわけですけれども、ところがゼロ回答だった。いわば無償化バーサス給付型奨学金というようなストーリーの中で、財務省が削ったんだか幹事長室が削ったんだかわからないけれども、こんなような結果になってしまった。まさにこれは、今いろいろと議論していたらば、財源の問題も不明確、例えば義務教育化するのかどうかという問題、これからいろいろなことを議論しなければいけない。そういうことが詰まっていないうちに四月一日先にありきのこういう流れというのは、やはり国家百年の教育の計に関して禍根を残す。私はこのことは強く申し上げておきたい。

 例えばこの給付金に関しても、全国三百三十万の家庭全部が経済的に困っているわけじゃないんですよ。そういう税金があるんだったらば、子育てやもっとほかの部分に回せとか、いろいろな声が聞こえてきている。やはり、無償化がいいのか給付型奨学金がいいのか、こういう議論もしなきゃだめ。高校の義務教育、この前もいろいろな議論がありました。無償化している学校の海外はほとんど義務教育ですよ。あるいは一年生、二年生までは無償化。義務教育のところにはそういう施策をしている国が多い。こんな議論もしなければいけない。

 年収二千万の子がたまたま公立に受かった。しかしながら、その公立にどうしても行きたかった年収三百五十万円の家庭の子供が公立を落ちちゃった。授業料五十万円のところに渋々行かざるを得なくなった。十一万八千円ずつ出したけれども、三百五十万だから、結果的に、五十万だったらば年間四十万近くの格差が広がる。こんな今の無償化のこの法案なんですよ。

 お金があるときであればいざ知らず、米百俵の議論を小泉さんがおっしゃっていました。長岡藩が友藩から米百俵をもらった。その米百俵をもらったから、藩の人たちは喜び勇んだ。しかし、これを売って学校を建てよう。まさにこの長岡藩、米百俵の魂、考え方、今こそこの日本に必要なのではないでしょうか。

 お金がないのに赤字国債を発行して子ども手当を出す、あるいはこの無償化を性急にやろうとしている。こういう姿勢というのは、国民から八〇%あった支持率が今や三七%、ツルは千年、カメは万年、ハトは一年と言われているけれども、こういう実態にやはりつながってきているのではないか。根本をよく考えて、今から一年かけて議論したっていいじゃないですか。

 私はこのことを最後に申し上げて、質問を終わります。

田中委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自民党の坂本哲志でございます。

 高校授業料の無償化問題に入ります前に、北教組の問題についてお伺いをいたします。

 大臣は、さきの我が党の下村博文委員の質問に答えられまして、教組との問題をこのように言われました。「都道府県、地方の教育委員会とそれから学校設置者が実務を行うという仕組みの中で、教職員団体がどうこうしたことに関しての直接の管理監督をしている立場ではありません。」文部科学省、そして都道府県、あるいは地域の教育委員会、その問題までであって、さらにその教組に対してまでは及ぶものでない、いわゆる教組と文部行政の分離論というようなことで、型どおりの答弁だったと私は思います。

 実際、違法献金で四人の方が逮捕されました。その四人のうち何人かが元教師であるというならば、それはもっと大きな問題をはらんでくると私は思います。四人の中で何人教師がおられたんですか。そしてそれは中学校ですか小学校ですか。

川端国務大臣 突然のお問いでございましたので失礼しました。

 三人が元教員、小学校か中学校かはちょっと今のところわかりません。

坂本委員 突然でありましたけれども、しかし、各教委に対していろいろな調査をするということを前々からおっしゃっております。逮捕された中に何人の元教師がいたのか、そして、その元教師がどういう小学校、どういう中学校の教師であったのか、これは大臣としてしっかりとやはり把握しておくべき問題であると思います。

 その教師には教え子もいたでしょう。そして保護者もいたでしょう。いろいろな形で教育現場に大変な不安あるいは不満、そして、北海道の教育に対するさまざまな思いを保護者の方にも持たせたわけでありますので、私はここをしっかりとやはり把握していただきたい。

 四人のうちの三人は元教師であります。そして、その教師の三人が、二〇〇八年、査定昇給制度に反対して、二十四年ぶりの一万二千五百人から成る北海道の教組ストライキをやっておりますけれども、その指導をしているところでもあります。

 そういうことで、ぜひもっと立ち入った形で、型どおりのものではなくて、これだけの大きな事件に発展しているわけですので、地元教育委員会、これは地教行法四十八条でしっかり大臣の方から管理監督できるというようなことが明記されておりますし、それを通してでも、やはり私は教組に対するさまざまな対応策をやってしかるべきであると思いますけれども、どうでしょうか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 型どおりという御指摘でありましたが、制度上の問題は制度上の問題として厳然としてございますので、それは、そういうことで直接の管理監督が及ばないということは御理解をいただきたいというふうに思いますし、これはそういうものということを今まで御答弁申し上げました。

 なお、加えて、先生御指摘のとおり、元教師であり、教職員で組織をされている団体という意味では、教育現場に非常に深いかかわりと影響を持っている団体であることは間違いがございません。その団体の最高責任者を含めて容疑を受け、逮捕という事態を招いたことは極めて遺憾なことであり、教育現場、父兄、地域含めての教育における影響を考えるときに、極めて深刻であることは、私もそのとおり思っております。

 そういう中で、先ほども申し上げましたけれども、私のできる範囲の部分で、最大限、教育現場において少なくとも政治の中立性が保たれないようなことが起こっていたのかどうかを調べることも含めて、適切に信頼回復できるように努力をしてまいりたいと思っております。

坂本委員 北海道教組、いろいろな経緯を調べれば調べるほど、やはり大変な組織であるということを改めて感じます。

 主任手当返還闘争で組合員から五十五億円を集めた。そして一九九一年には、その主任手当分の十八億円を北海道教委に持ち込んで、そして現ナマのままそこに積み上げて返還します、こういう野方図なといいますか、夜郎自大的な対応をずっとやってきた。

 そして二〇〇八年の一月には、先ほど言いましたストライキです。そして同年の十二月には、小林千代美議員に対して違法献金四百万円掛ける四、それが始まっているわけです。同じ年に、一方でストライキを指導しながら、一方で違法な大量の献金をやる。このこと一つ見ても、大変これはゆゆしき組織でありゆゆしき問題であるし、これは日本の将来の教育にとって何とかしなければならないやはり組織であると私は思います。

 先ほど、遠藤委員から北海道教組に対して、もう一回出直す、そういったこともありましたけれども、私は強くそのことに対しては、文部科学大臣として北海道教組に対してのさまざまな指導あるいは北海道教育の正常化への努力、これをぜひお願いを申し上げたいと思います。

 そしてもう一つ、去年の衆議院選挙の前に、これも型どおりでありますけれども、「教職員等の選挙運動の禁止等について」ということで、初等中等教育局長の通知が出ております。これは、選挙前になりますと必ず局長の通知というのが出てまいります。そして、教職員は選挙運動をしてはならないというようなことが通知として各教育委員会に流されるわけです。これまで何十回、あるいは何百回かもしれませんけれども、結局、それは全く守られていません。まさに形骸化した有名無実なものでありますけれども、これはこれまでの自民党も悪かった。これまでの文部科学大臣あるいは文部科学省の反省もありますけれども、同じことが形骸化して繰り返されているということに対してはどう考えられますか。

川端国務大臣 御指摘のように、文部科学省としては、教職員等の選挙運動の禁止について、衆議院議員総選挙、参議院議員通常選挙、統一地方選挙の際に、全国の教育委員会に対して、御指摘のように初等中等教育局長から通知を送って、服務規律の確保を図るように指導をいたしておりまして、長年そうやってまいりました。

 これが守られていないということの御表現でございましたが、先般来の同僚委員からのいろいろな書類提供や今回の事件を踏まえての指摘で、今、北海道教育委員会、札幌市教育委員会に対しては、そういう事実があるかどうかを詳細に調査するようにということを求めておりますけれども、そういう中で、引き続きこれからもしっかり守るようにという指導は行ってまいると同時に、現状がどうなっているのかをしっかり把握することにまずは努めておるところでございます。

坂本委員 これは非常に大きな問題でありますので、私は、初等中等教育局長の通知というよりも、やはりもっとレベルを上げて、大臣通達ということでしっかりと各都道府県教委あるいはその他の教育機関に通達すべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。

川端国務大臣 今後とも、こうした選挙が行われる際には、事前に同趣旨の通知を発出して同様に周知徹底を図ってまいりたいと思いますが、その際の通知の名義の御指摘でありますが、文書決裁規則というのがございます。先般、これも、政権交代に伴いまして出状の名を大幅に見直したところでありますので、これを含めて、政務三役でそれぞれの所掌に応じた部分での対応を含めて、発信者名をどうするかを、今のような御指摘も踏まえながら検討してまいりたいというふうに思います。

坂本委員 もし小林千代美議員が十四日までに辞任されれば、四月中にも選挙があります。どちらにしても、後、参議院選挙がこの夏に控えております。それまでに、規則の改正そして通達者の変更、そういったものをやられますか。

川端国務大臣 規則の改正も行っておりますので、今までとは違う形で、政務三役の対応として、出す方向で現在整理をしております。(発言する者あり)

坂本委員 今、筆頭理事の方からもありましたので、大体いつぐらいまでにそれをやられますか。

川端国務大臣 今まで、先ほど申し上げましたように、衆議院の総選挙、参議院の通常選挙、それから統一地方選挙に対して書状を出しておりますが、それには間違いなく新しい対応のもとで出させていただくことにしております。

坂本委員 ぜひ新たな決意で、公明正大な、そして、本当に有権者が納得するような選挙が行われるような対応をとっていただきたいと思っております。

 自民党は、きょう、教育公務員特例法の改正案を議員提案として提出することにいたしました。これは、第十八条の第二項、これまでは教職員に対しては、違法行為があっても罰則規定がありませんでした。しかし、これに罰則規定をつけることにしました。国家公務員並みにするということであります。

 と同時に、第十八条の第一項は、「当分の間、」「国家公務員の例による。」というような、「当分の間、」を削除することにいたしました。これは、昨年も私たちが提案する予定でありましたけれども、選挙のために提案することができませんでした。北海道教組の実態、あるいは、そのほかのさまざまなところから出てくる選挙に対しての、あるいはその他いろいろなものに対しての違法状態に対する教職員の取り扱い、そういうことを考えた場合に、この第二項の罰則規定は、やはり私たちは国民の意思としてでも入れるべきだと思いますけれども、文部科学大臣、それには賛成されますか。

川端国務大臣 議員立法のお話は、予定をしておられるということ自体は伺っておりますが、中身をまだ詳細にコメントする立場にはございませんが、御指摘のように、十八条第一項で「当分の間、」「国家公務員の例による。」とされていますが、第二項の規定で国家公務員に適用される罰則が適用されないというふうになっていることは御指摘のとおりであります。

 とはいえ、罰則の適用はありませんが、任命権者による懲戒処分等いわゆる行政処分の対象には当然なっておりますし、今までもそういうことをされてまいりました。

 この条項のできてきた経緯は、昭和二十九年の教育公務員特例法改正の際に、当初の政府原案では国家公務員と同様の罰則が適用されておりましたけれども、国会の議論の中で、参議院において、教育界で起こったことはできるだけ教育界の内部、教育行政の手によってこれを匡正すべき等の理由から議員修正が行われたと承知をしております。その後、何度となくこういう議論が起こってきておりますけれども、現在まで改正が行われることなく今日に至るという長い経過を経てまいりました。

 このたび、北海道教職員組合の問題が発生し、公務員である教職員が政治的行為の制限に違反するなど、違法な行為を行ったか否かについて、今、北海道教育委員会、札幌市教育委員会に速やかに事実確認を行うよう指導を行っているところでございますが、先般来の国会の審議の中で、総理から、この教育公務員特例法第十八条第二項についての検討の指示がございました。

 今までの経緯を踏まえながら、教育の政治的中立性の確保をすることが最大の目的でありますので、この件についてはしっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。

 今現状は、そういう部分でこれに賛成か反対かということではなくて、我々も懸命に取り組んでいるということでございます。(発言する者あり)

田中委員長 不規則発言は慎んでください。

坂本委員 政治的中立性を保つために、ぜひこの第二項は私はつけ加えなければいけないというふうに思います。

 過去のさまざまな、この第二項が削られた、削除されたいきさつというのは、やはり各党各会派の妥協の産物であります。事ここに至って、これほど教育界あるいは教組を中心としてさまざまな違法状態というのがこれだけ噴出してくるならば、やはり私たちは、きちっと罰則を設けて、そしてその中で教育的中立性を保つという方向に持っていくべきだと思っておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、高校授業料の無償化の方に移ります。

 私はこれまで、この委員会での質疑、そして視察、さらには昨日の参考人の意見聴取、こういったものを聞きながら、今回の高校授業料の無償化あるいは就学支援制度について、やはりかなり生煮えである、そしていろいろな矛盾が噴出する、そして現場が混乱しているということをつくづく感じました。もっともっとこれを深く掘り下げながら、そして制度的にもしっかりしたものにしていかなければ、せっかくのやはり教育の大改革でありますので、全くこのことが別の方向に走ってしまうというふうに私は思います。

 きのうの参考人の意見聴取の中でも、相川さん、青森県の方でございました、全国のPTAの副会長。川端文部大臣に、これは社会政策ですか、教育政策ですかというふうに問いましたら、教育政策であるということをはっきり言われたと。であるならば、やはり単なる無償化ということではなくて、それが教育的にいかに効果が出てくるかということを、しっかりした制度をつくることの中で考えていかなければいけないと思っております。

 そういう中で、まず、公私間格差についてお伺いをいたします。

 私は、変だな、おかしいな、果たして公私間格差を本当に文部科学省あるいは大臣は考えられているのかなというふうに思いますのは、当初、年収が私立の場合五百万以下の方々に対して何らかの就学奨励対策をとるということでございました。それが、財源の問題でしょうか、三百五十万あるいは二百五十万ということになりました。

 農業の戸別所得補償、これは水田利活用自給力向上事業も含めて五千億丸々獲得したというふうに聞いております。子ども手当は、当初の予定された二万何千円かではできなかったから、二十二年度からは一万三千円でスタートするというようなことのようであります。

 この高校授業料の無償化の場合に、やはり、無償化にすることによっての教育の向上、そしてなおかつ、すべての意志ある者に対する教育対策ということであるならば、これは、私学への就学奨励、当初予定した年収五百万で頑張るべきだったというふうに私は思います。

 しかも、各都道府県の支援策を見ますと、年収五百万未満の家庭に支援をしている都道府県が二十あります。六百万でも十一あるんですよ。ですから、生活保護家庭あるいは準保護家庭ということではなくて、四百万、五百万、六百万というのが、いろいろな物入りも含めて一番厳しい家庭なんです。そのことについての、私学に通う世帯に対しての、家庭に対しての助成をもっと充実させるべきであるし、これは、これから来年、再来年、さらに幅を広げていかれる予定でしょうか。

川端国務大臣 概算要求で、五百万未満の世帯について支給できるように要求したことは事実でございます。

 一層厳しい経済状況の中で、トータルとして最終的には、いわゆる要保護世帯の一つの目安である二百五十万、それから準要保護世帯の三百五十万に対して手当てをするということになります。

 引き続き、いわゆる授業料以外の支援の議論も先ほどございました。こういうことも含め、これからの重要な施策であることは認識をしておりますので、これからもそういう認識のもとに進めてまいりたい、取り組んでまいりたいと思っております。

坂本委員 私は、今回の制度は、根本的に、高校の授業料は無償化する、そして私立の方は就学支援金として給付をする、その制度そのものにやはり非常に無理があるというふうに思います。ですから、これは私学だけでも、先ほど菅原一秀委員から出ましたけれども、私は、年収を通して、所得を見合いながら給付型奨学金を設けるというのが本来のあり方であるというふうに思います。

 それで、きのう、私立高校の連合会の会長さんの方からさまざまな御意見をいただきました。その中で二点いただきました。

 一つは、これまで私立は、進学面あるいはスポーツ面でいろいろな工夫をしてきた。中高一貫教育等々をやりながら教育の充実に努めてきた。あるいは学力の向上に努めてきた。しかし、今はそれをそのまま公立がまねをしたような形になって、公立も中高一貫教育になってくる。それに対抗するためには、さらにやはり私立高校というのは何らかの対応策をとっていかなければならない。公立高校の授業料は、これはそのままで、そして、公立高校はあとは進学に集中すればいい、あるいはスポーツに集中すればいいわけですけれども、私学は、やはりそのために必要な財源として授業料を上げなければなりません。こういうお互いの競争がエスカレートしてきますならば、ますます私立は授業料を引き上げなければならないようになりますし、公私間格差は広がってくるというふうに思っております。

 そういう事態にならないように、もし今の制度でやるならばどういうふうにしていくのか、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

川端国務大臣 何度も申し上げていますように、総額といいますか、制度的な公私への支援という意味では、十一万八千円相当分は一律に、そして、一部私学の低所得者に対しては上乗せをしてという意味では、私学に対してと公立に対しての支援の部分に、学校のレベルから見たときに、格差が拡大するとは、このこと自体は直接にはならないというふうに基本的には思っております。

 ただ、それと同時に、少子化時代の進展の中で私学の経営が非常に厳しい状況に置かれているという中でいろいろ工夫をされているというときに、今御指摘の中高一貫教育を公立もやり出したというふうな、よく言えば質の向上をめぐっての競争であるけれども、一方では、厳しい財政状況の中での御苦労をされていることは現実あるのは認識をいたしております。

 そういう意味では、この授業料の無償化あるいは支援ということではなくて、むしろ私学支援のあり方、先ほど、この前問でお触れになりましたが、授業料の低額所得者への支援というものをもっと拡大していくことを前向きに議論をしていくと同時に、私学への支援という部分の私学助成等々含めてもいろいろなことで今回も取り組んで、地方への財源手当てとして行いましたけれども、こういうことを含めて取り組むと同時に、今まであります修学支援基金の活用とか、あるいは都道府県における支援の拡充、これは地方自治体が行うものでありますが、そういうものへの期待とか含めて、総合的に私学の果たしている役割を踏まえながら、きめ細かく前向きに進めるように努力をしてまいりたいと思っております。

坂本委員 公私間格差の問題というのは、これから非常に心配な点が数多くございます。その都度その都度、ぜひチェックをしながらやっていただきたいというふうに思います。

 それから、きのうの参考人の方でやはり気になったことが、二百五十万、三百五十万の所得の方、これは学校にその所得証明書を持っていかなければならない。そのことによってみずからの家庭の所得が学校に知れる、あるいはほかの人たちに知れるということで、非常にやはり申し込みが少ない。東京の場合には、学校が知らなくていいように、あるいは生徒たちがそのことに対してタッチしなくていいように、各区の役所、自治体、そして東京都の教育委員会、こういったところですべて事務手続をするというふうにしたら、非常に申請者がふえたということであります。

 これはやはり各道府県にも適用をして、そして、私の家は二百五十万以下です、私の家は三百五十万以下ですというふうな証明書をわざわざ子供たちが学校に持っていかなくていいようにしなくてはいけないんじゃないでしょうか。

川端国務大臣 生徒が就学支援金の加算を申請する場合には、保護者等の所得を証明する書類を支給対象高等学校等の設置者を通じて都道府県知事に提出するという仕組みになっております。

 したがいまして、これは学校を通じてといたしましたのは、生徒の事務手続を簡便にする観点から、毎日通学している学校に出すのが一番便利であろうという趣旨でございまして、必ずしも学校設置者が、その中身である所得を証明する書類を確認しなければならないものではありません。

 支給額を加算するための要件の審査については、その中身を確認して審査するのは、都道府県知事の判断により都道府県がみずから行う、あるいは場合によっては、今お触れいただきましたけれども、都道府県から外部団体への委託により行うことも可能と考えておりますので、提出するという手間でいえば、生徒さんが学校へ持ってくるということが便利であろうと思いますが、そのまま中を見ずに都道府県に集めるということ、あるいは、都道府県がそれを審査するか外部に委託するかということは都道府県の判断に任せておりますので、柔軟な対応ができると思っております。

坂本委員 それは、その学校に通っているから便利だということだけではやはり済まない問題が数多くその中に含まれていると思います。やはり親だって、子供に対してそういうものは持たせたくない。

 ですから、東京都の事例等をやはり十分に精査して、そして制度改正、私は、ここはこれからでも十分やれる、またやっていかなければいけないと思っておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最後に、せんだって、独逸学園そして朝鮮学校、それぞれ視察をいたしました。私はその中で一番感じたことは、無償化の範囲をどこにするかということよりも、この朝鮮学校とドイツの学校を見ながら、やはり、国家のみずからの国民に対する教育への熱意、これは本当にどこもすごいなというふうに思いました。

 ドイツはまさにそうでありますし、これはやはりドイツの威信をかけてやっているんだと思います。十三人教育、十四人教育、屋内プール、そして広々とした校庭、あるいはさまざまな教育での工夫、やはり、ドイツ国家、そしてスイスもオーストリアもありましたけれども、ここはかつてのプロシア、そういう威信をかけての教育を日本でやっているというふうに思いました。朝鮮学校もそうであります。朝鮮学校も、まさに国家の威信をかけて、あるいは民族的なものをやっておられました。

 しかし、ドイツの保護者の方々、朝鮮学校の保護者の方々、あるいは先生たちに聞くと、とにかくこの無償化というのはありがたい、ここも一致していたわけです。どんなに所得が多かろうと、多分、ドイツ学校の所得は朝鮮学校の所得の二倍から三倍あると思いますけれども、どんなに多くあろうとも、負担が軽くなるにこしたことはないというようなことを言われます。

 ですから、無償化の問題と国家やあるいは社会が子供を育てようという問題は、本来は全く別の問題であります。しかし、それを別のままスタートさせたら何の効果も出ないということでありますので、国は、社会は、親はこれだけのことをやっている、子供たちはそれだけのことをしっかりと受けとめている、そういう論議の時間が必要であるし、まだそれは足りないというふうに私は思っております。

 大臣、その辺のところを最後に御答弁をお願いをいたしたいと思います。

川端国務大臣 幅広い議論がこの場でも展開されておりまして、大変有意義であるというふうに思いますが、私たちとしては、この四月一日からということでお約束した分に実施をしたいということでお願いをしていることでございます。幅広い意見を聞きながら、実施もしっかりとやるようなことで臨みたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思いますし、御意見は大変貴重なものとして承らせていただきました。

 ありがとうございます。

坂本委員 終わりますが、最後に一言。

 高校授業料の無償化は、日本にいれば、外国籍であろうと日本人であろうと高校の無償化の対象になるというふうなことであります。子ども手当は、日本に就労ビザさえあれば、外国にいる子供が二十人であろうと三十人であろうと、その子供に子ども手当が出ます。

 非常にやはり制度そのものに、それぞれに整合性を欠いております。ぜひ、鳩山総理あるいはその他の他大臣にこの文部科学委員会に来ていただいて、そしてその辺の整合性も含めてお話をお伺いしたいということは、委員長を通して理事会で申し入れているところでありますので、そこをぜひよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松野博一君。

松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。質問をさせていただきます。

 これまでの本会議、衆院予算委員会、文部科学委員会の中で、恒久財源でありますとか所得制限、公私間格差、給付型奨学金、地方や私立学校の対応等々を問題点として指摘させていただきましたけれども、どうも川端大臣と問題意識を共有することができません。ほとんど答弁というのは、いわばゼロ回答であったわけであります。

 これまでの審議に対する大臣の見解、感想をお聞きしたいというふうに思いますけれども、要は、私たちが指摘してきたこと、先ほど挙げた恒久財源や所得制限等々の問題でありますが、こういった指摘というのは、私たちの方に何か誤解があったり理解不足、また邪推であったり杞憂であったり、こういうことであって、四月一日からの施行に当たっては、短期的には現場の混乱であったり、中長期的には恒久財源の問題等々は生じないというふうな御認識をお持ちなんでしょうか。

川端国務大臣 今までの議論で、どちらが正しくてどちらが間違っているということではなくて、政策判断の選択の問題だということで議論をさせていただきましたし、御党、各同僚委員の議論の御指摘の部分でも、現状認識、あるいはこうあるべきという議論はそれなりの論拠があるということもたくさんあったというふうに思っております。

 そして、混乱なく将来ともにということかというのは、日が迫っておるということは事実でございますので、最大限、混乱がないように万全の対策をとってスタートさせたいと思っておりますし、財源については、来年度以降の予算編成においても、新経済成長戦略の策定も踏まえて、あるいは仕分けもまた新たにスタートいたしますので、トータルとしての万全を期してまいりたいと思っております。

松野(博)委員 私は、今のままスタートすると四月の時点で相当の現場の混乱があるのかなというふうに危惧をしております。ただ、高校生を持つ家庭の教育費の負担軽減ということに関しては、我が党も方向性は同じ方向を考えております。ですからこそ、慎重審議が必要だなというふうに考えておるんですが、それぞれ、今指摘をさせていただいた問題に関しての今までの大臣の御答弁をもう一度確認させていただきたいというふうに思います。

 前回、文部科学委員会で、私の、恒久的な財源が確保できるのかという質問に対して、大臣は、今もお話しいただきましたけれども、「全体の努力の中で、政府全体として必要な財源は今後とも確保されていくものと思っておりますし、政府全体として必要な財源はこの部分に関しては確保されると思っております。」と答弁をされました。

 前回、委員会にお呼びをした野田財務副大臣は、子ども手当等々も含めて、確かにハードルは高いのですが、ハードルを越えるべく、財源確保を目指して全力で頑張ってまいりますという答弁をいただきました。

 確保されると思っている、全力で頑張るということでありますが、要するに、現状においては恒久的な財源の見通しがないということではないかと考えます。恒久的な制度には恒久的な財源が必要なことは、もう自明のことであります。

 ことしの予算を見ても、税外収入をかき集めて、また国債を増発してやっと組んだということでありますが、来年、急速に景気が回復をして税収が十分にふえるというふうにもなかなか今のところ考えづらい状況でありますし、ことし組み込んだ税外収入が来年も同様に見通しが立っているということではないというふうに思います。

 それでは、仮に例えば今後財源が続かなくなった、少なくなったということになった場合、大臣は、増税などの国民負担をお願いしてもこの制度を続けるという意思であるのか、また、そういう事態になれば制度自体は縮小する、廃止をするということであるのか、どちらの方向性をお考えなんでしょうか。

川端国務大臣 仮定の御質問でありますので答えにくいのでありますが、この制度をスタートさせていただくということは、恒久的に制度をスタートするということで臨んでおるわけでありまして、財源に関しては、前回も申し上げましたように、確保することで予算は必ず編成していきたいというふうに思っております。

松野(博)委員 仮定のお話ということでありましたけれども、仮定というよりも、現状を考えると、そうなる可能性が相当高い状況ではないかというふうに思います。やはり、恒久財源なくして本当にスタートしてしまって、後で禍根を残すこと、これを一番心配しておりますが、このことに関しては同僚議員がまた後ほど質問をさせていただきます。

 前回、やはり委員会答弁におきまして、私の、なぜ給付型奨学金よりも高校無償化を優先させたのかという質問に対して、大臣は、「私たちとしては、経済的に厳しい人に支援をするという、いわゆる支援策の拡充という選択なのか、この国の形として、高等学校の教育は無償化を目指しているという」「選択、大きく、理念、政策的に言えばそういうこと」なのかということに関して、後者を我々は選択をしたと考えておりますという答弁をいただきました。

 要は、これは理念の違いだということなんだと思います。しかし、現在、目の前で起こっている事実、経済的側面から高校をやめざるを得ない生徒がいる、昨年の数字ですと二千二百人という数字が上がりましたけれども、これらの層に関しては今回の法案というのはメリットが少ないということは、教育長会議等々、現場の皆さんからも指摘があるところであります。

 こういった本当に今切迫して必要だという生徒がいるという現実を後回しにしても、国全体で高等学校の教育の無償化を目指すという理念を選んだということは、一体どういう理念なのかというのが私には理解しづらいところであります。

 前回も質問しましたけれども、やはり順番としては、今やめなければいけないという層に関してまず手当てをして、その後に高校無償化に関してじっくりと審議をし設計をしていくということが大事なのではないかと思いますが、もう一度大臣に、この理念を優先したというのはどういうことなのか、御説明をいただきたいと思います。

川端国務大臣 前回も、あるいはほかの場面でも申し上げていますけれども、高等学校で育って社会に行く人材は社会に大きく貢献をしていただいているという意味で、その恩恵は社会に還元されているという意味で、その負担は社会が負担すべきという理念のもとに、私たちはこの政策に取り組みました。

 また、すべての意志ある高校生が安心して勉学に取り組めるように環境をよりよく整備する、いわゆる教育インフラとしての制度は必要であるという、先ほど御紹介いただきました、前回申し上げたような理念に基づいておりますと同時に、世界各国において多くの国で批准をしております国際人権条約の人権A規約の中にも、そういう方向性を目指すということが述べられ、世界じゅうで日本とわずかな国だけがその批准を留保しているという状況に置かれているという意味で、国際社会の一員としての社会インフラとして、そういう国をちゃんとしたいという思いが非常に強くあることは御理解をいただきたいと思っております。

 同時に、今、経済的には弱い立場の人ということのお触れがございました。私たちも、この制度で、私学の低額所得者に対しては一定の上乗せの補助をするということの手当てをいたしました。

 なお、自民党を中心としては、もっと手当てをすべきだという御主張でございまして、その背景の部分は、我々としても一定の配慮をさらにする方が望ましいという認識には立っておりますので、引き続き、そういうことにはこれからも取り組んでまいりたいと思っております。

松野(博)委員 意志ある高校生、高校で学びたいという生徒たちすべてにその機会を担保するというのは、もちろん私もそうあるべきだというふうに思っておりますが、そのためには、先ほど申し上げた、まず目の前にある経済的な問題で高校をやめなければいけない生徒たちへの手だてを先行するというのが当然のことだというふうに思います。

 世界人権規約の趣旨は、もちろん私も賛成であります。そして、今留保しているのを将来の時点で留保を撤回するべく努力するということも賛成でありますが、私は、優先順位として、この人権規約の留保を撤回することよりも、今、日本の現実の高校生活が続けられないというところに厚く手当てをするべきだというふうに考えておりますが、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 先ほど申し上げたとおりの思いでございますと同時に、今回、基本的に、高校生に対して、公私を問わず十一万八千円余りの手当てをすると同時に、低額所得者にさらなる上乗せを、二百五十万以下から三百五十万以下にするということに伴いまして、かねがね都道府県でやっておりました授業料の減免に対する支援が、事実上、二百五十万以下に関しましては、今まで十二県が授業料減免、全額減免でありましたのが三十七に拡大するという意味でも一定の効果は上げているというふうに思っております。

 無償化と低額所得者の支援のどちらを優先するかということではなくて、いずれも格差を縮小するとともに、可能な限りの手当てをすることで臨んでいることは御理解をいただきたいと思っております。

松野(博)委員 私は、高校の無償化よりも、現時点においては低所得者層に関する給付を厚くするべきだというふうに考えております。

 次に、前回の委員会で、これも私の質問の、多くの国民が所得制限をつけるべきだという考えがある中、これは各種世論調査を引いたわけでありますが、所得制限をつける考え方はないかと質問させていただきました。

 大臣のお答えは、「私たちは、親の所得にかかわらずそういう環境がつくられる社会を目指すという制度として考えているということで、所得制限はもともと考えておりませんでした」、また、社会全体で子供を育てる、教育をするという理念ですというふうにお答えになっています。

 「親の所得にかかわらず」という部分は、低所得者に対しては私もそのとおりだというふうに思います。親の収入にかかわらず、どんな厳しい状況の中であっても、子供が高校で学ぶ機会というのは担保する制度をつくっていかなければいけないというふうに思っておりますが、高額所得者に対して幾ら高額所得者でも助成するんだというのは、そういう人たちはぜひ自助努力でやってほしいという国民の声とは違うのではないかというふうに考えておりますし、社会全体で子供を育てる、教育をするという理念と、高額所得者は自分の収入で子供を高校に行かせるということは矛盾しないのではないかというふうに考えておりますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 子ども手当も別のところで議論されているんですが、子ども手当に関して親の所得の制限をかけるべきだという議論は随分活発に幅広く行われたこと、あるいは世論もそういういろいろな議論があることは承知をしておりますが、高校無償化に関しては、ちょっとこれは私の情報収集不足かもしれませんが、これで所得制限が非常に大きなあれだったというのは、申しわけございませんが、私の認識としてはそう強く思っておりません。

 そういう中で、先ほど来の繰り返しになりますが、要するに、親の所得に関係なくというものであるということでこの制度はつくらせていただいたということの背景は先ほど申し上げたとおりでありますと同時に、別途、政策的に関連するということで先ほど来の議論がありましたけれども、これも政策趣旨としては、特定扶養控除は教育費の負担のかかる世帯に対しての配慮から設定されたという趣旨が、この制度の導入に伴って、それと相まって税制改正として検討され、見直されるということに伴って、結果としては、高額所得者に関しての便益と低所得者に対する便益においては結果的には差が出るという事態になっているということも御理解をいただきたいと思っております。

松野(博)委員 高校無償化に関しても所得制限をつけるべきだという議論は各種、各地で行われておりますし、データ等も七割前後の方々は、データによりますけれども、高校無償化を行うにしても所得制限はつけるべきではないかというふうにお答えになっていますので、そういうことももう一度、ぜひ大臣もその種の世論調査を確認していただいて、また今後の議論に臨んでいただきたいというふうに思います。

 この法案の趣旨でもあります、すべての意志ある高校生が安心して勉学に打ち込める社会をつくるということには、公私間格差の是正ということが必要なのは言うまでもないというふうに思います。

 すべての意志のある高校生が、今、九八%の生徒が高校で学ぶ、そのために必要な定員というのは、私立高校の定員を含めて成り立っているわけであります。そして、地方の現実として、学力の問題で公立、私立に選別されているという実情があります。試験に落ちたから有償だというのは、答えとしては試験という合理的基準があるんだということかもしれませんが、しかし、これはなかなか一般的には理解しづらい議論ではないかというふうに思います。

 そして、大臣は大ベテランの政治家でいらっしゃいますからこれは当然予想できることだと思いますが、この法案を進めると、恐らく地方議会の議員のところに公立の定数をふやしてくれという陳情が殺到するんだろうというふうに思います。地方の定員の問題、公私を入れた定員の問題というのは地方で議論がされるべきものだというふうに大臣もお話しになっていますけれども、地方としても、これはなかなか、地方で議論をしてくれと言われても、公立高校は授業料が不徴収になるという新しい現実が加わるわけでありますから、地方だけでそれが済む問題ではないというふうに思います。

 私は、教育分野ほど長い年月をかけて民営化の効果が実証されている分野というのは少ないのだろうというふうに思います。前回も申し上げましたけれども、特に普通高校の分野では私立高校の比率を高めていくことの方が、教育行政の地方の効率の上からもこれは必要なことではないかというふうに思います。

 この法案が今のままの形で通った場合、先ほど申し上げたとおり、公立学校の定員をふやせという圧力が強まります。そういったときに、将来にわたっての話になるかもしれませんが、大臣は、公立高校と私立高校のバランスをどのようにお考えになっているのか。

 私は、この法案が出たことによって、今の私立高校、公私間バランスが固定化をしてしまう、もしくは私立の定員減の方向にドライブがかかってしまうのではないかというふうに思います。

 そして、私学経営が特に地方において大変厳しくなった場合に、ことしはまだでありますけれども、一部、埼玉でそういう方向があるというふうなお話もきのう出ましたが、来年、再来年と重ねていくうちに地方の私学の経営というのは大変厳しい状況に追い込まれるのではないかというふうに私は思いますけれども、そういったときの対策、私立に対する救済策はどういうふうにお考えなのか、大臣に御所見をいただきたいと思います。

川端国務大臣 高校において私学が約三割を担っていただいている、そして大きな役割を果たしていただいているということは現実でありまして、私は非常にしっかりと仕事をしていただいているというふうに認識をしております。そういう中で、とはいえ、全般的に少子化の時代に入りまして昨今ずっとトータルして定員割れを起こしているという現実と、それから、そういう中で厳しい経営環境に置かれているという現実も承知をいたしております。

 そういう中で、今回の無償化に関しては、授業料という意味では私学への低額所得者の負担の軽減措置と、それから、今まで都道府県が行っていた私学への授業料減免措置のある一部分、一定基礎部分は国庫が、国が持つことによる上乗せ効果を含めて総額的には私学への授業料減免も含めた助成は多くなり、むしろ、公私間格差は額としては縮小するという事態になっていると思います。

 ただ、御指摘のとおり、非常に厳しい状況の中で、公立高校のニーズが強まるのではないかという懸念を持たれるという議論があることは理解をいたします。しかし、前も下村委員の御質問にお答えしたんですが、私学の割合も都道府県によって随分差もあります。果たしている役割もいろいろでありまして、これも議論ありましたが、必ずしも有名進学校だからということだけではなくて、非常に厳しい状況の中で高い私学に行かざるを得ない人という部分を抱えていただいていることも事実であります。

 そういう中でありますので、地方において地域差もある、役割もあるということで、それぞれの地域で御議論をいただきたいと前回も答弁をいたしました。各地域には、公私立高等学校協議会ということで、知事部局、教育委員会、及び学校法人の関係者、並びに、公私立の高等学校長及び中学校長等を構成員として、公私立の高等学校教育に係る諸問題を協議するため都道府県に設置される会議というのがございまして、公私協調の立場から、公私立高等学校の配置計画、入学定員等について協議が今行われております。そこの自主的な運営を含めての部分が第一義的に適切に対応されると思いますけれども、文部科学省としても、公私が協調して健全に高等学校教育が担えるように、私立でいえば私学助成のことも含めて、これからもしっかりと対応してまいりたいと思っております。

松野(博)委員 現実問題として、本年度の埼玉県の傾向として公立を目指す子供たちがふえているというような指摘もありましたし、私立の現場の先生方がこのことに関しては切実に不安を持っているということは事実であります。私は、大臣のお考えよりももっと地方の私立には厳しい状況が来るのではないかなというふうに考えております。この地方私立の経営に関して、何か具体的な施策が必要であろうというふうに思います。

 そして、法案の条文の中で一点ちょっと確認したいことがあるんですが、公立高校は原則不徴収とするという中でただし書きがあって、しかし、生徒間の負担の公平の観点からそうでないと認める場合は取ってもいいというようなことが書いてあるわけであります。

 きのうの参考人聴取で佐賀県の教育長の方から、ただし書きの部分に関しての判断というのは各県の自由裁量の部分が多いというふうに理解をしているという言葉があったかと思いますが、今文科省で想定されている、授業料を徴収することができる具体的な例を挙げていただけますか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 法案としては、不徴収とするということでは、基本的には生徒からは取らないという仕組みになっておりますが、御指摘のとおり、ただし、授業料を徴収しないことが生徒間の負担の公平の観点から相当でない特別の事由がある場合には例外的に徴収が認められる場合があるということであります。

 具体的にどうかということでしたが、具体的には、一つは留年、あるいは高校既卒者、既に高校を卒業している人の再入学等、高校の修業年限を超えて在学する場合。というのは、ほかの生徒に比べて長くいるというのが生徒間の負担の公平の観点から相当でない特別の事由の一つの例ではないか。もう一つは、設置者である地方公共団体の判断で特別の費用をかけて特別な学校を設置し、これらに在学する生徒に対して特に充実した教育を提供するというふうな場合など、公立高等学校の教育に要する経費に係る負担の公平の観点からは他の一般の生徒に比して多くの教育サービスを受けることになる者について、一律に不徴収とすることが必ずしも相当でないと認められる場合もあり得る。そのため、このような場合に限って、こうした生徒に応分の負担を求めるかどうかについて設置者の判断にゆだねることとしております。

 以上です。

松野(博)委員 自民党の政調会で、この不徴収実例として文科省の方から、例えば県立高校に他県から通っている、県境にある県立高校だと他県からの進学が可能でありますが、その場合とか、市立高校に他市から通っているというような場合もこの徴収ができるという例として挙げられたんですが、それはそういう理解でよろしいんですか。

川端国務大臣 これは市立高校の場合の例がありまして、このような場合に、現在、市内の生徒と市外の生徒に関して市が負担をしているんだから、そのことにおいて、市民に対してということの制度で高い授業料を徴収している例がございます。そういう場合には、それぞれの地方公共団体の判断において不徴収とせずに、その分だけの差額を徴収するということは制度的には可能と考えておりますが、実施するかどうかはその設置者の判断にゆだねるということでございます。

松野(博)委員 設置者の判断、県であったり市であったりという地方公共団体、教育委員会ですか、にゆだねるところだと思いますけれども、しかし、この法案の大前提というのは公立高校は不徴収だということが大前提なんだと思うんですね。そのときに、どこの市に住んでいるかとか、まあ、県のことに関してはお話がありませんでしたが、どこの県に住んでいるかということはこの法案の前提ではないんだろうというふうに思います。

 ですから、理屈からいえば、今まではそれぞれの県や市の判断で取っていたかもしれませんけれども、この法案ができればそれは取ってはならない部分になるのではないかなと思いますけれども、もう一度答弁をお願いします。

川端国務大臣 御指摘のとおり、理念というか精神としては不徴収です。ですから、制度としては不徴収とするということが原則としてなっております。

 「ただし、」ということで、まさにおっしゃるように、ただし書きのことでいえば、その設置者、例えば先ほど申し上げましたのは市でありますけれども、市が、市民トータルの意思も含めて、市民に対する学校としてということで今まで既に授業料に差をつけているから、どうしても、条例をつくってその部分を不徴収の適用対象から外したことをするということをしてはいけないというところまでは規制をしていないという組み立てになっているということを御理解いただきたいと思います。

松野(博)委員 いや、理解できないんですけれども、前提が国内の公立高校に通っていることに関しては不徴収だというのでありますから、それが、それぞれの市や県の判断で、公立高校に通っている生徒がその居住地によって徴収をされたりされなかったりというのは、それは市や県に判断をゆだねるべき問題ではなくて、法の根本的な精神、前提条件だというふうに思いますので、今の大臣の答弁は納得ができませんが、もう一度お願いします。

川端国務大臣 基本的には、基本的にというか、原則としては不徴収ということでありますので、いろいろな部分でも、何もしなければ、もうみんな平等に不徴収です。これが原則です。

 これが、ただしの部分で特別の事由に相当するかどうかということでありますが、それは、その部分を設置者である地方団体が条例として住民の意思を決めるかどうかということに一部ゆだねているということで、精神としては、そういう条件でない部分で不徴収というのが基本であるということを申し上げているわけでございます。

松野(博)委員 質問時間が終わりましたので、この質問は引き続きまたやりたいと思いますが、しかし、さっき申し上げたとおり、その部分は市とか県にゆだねるべき性質のものではない、それは法がきちんと規定をすべき範疇の問題だと思いますので、再度、次の機会にその話もお伺いしたいと思います。

 終わります。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。よろしくお願いします。

 まず、この発言を紹介いたします。きのう、三月九日火曜日、民主党の山岡国対委員長が午前中、ぶら下がりにこのようにお答えになりました。

 高校無償化法についても公明党で修正があるやに聞いている。私の立場としては、十分に協議して進めたいということだ。連立与党として協議して一致すればできるのではないか。修正云々にかかわらず、今週中には通したい。少なくとも委員会レベルは通したい。来週になってしまうと定例日がなくなってくる。本会議で緊急上程しなくてもいいが、今週中には委員会を終えたい。修正があるとしても、すぐに検討して対応したいと述べておられます。

 私は、この発言に二点、抗議を申し入れ、田中委員長から山岡国対委員長に対して指摘をしていただきたいと思います。

 一点目は、修正の問題です。これは、審議を通じて、こういう点はやはり修正した方がよいですねという場合には、私たち理事の間で持ち寄って検討すべき理事会事項でありまして、山岡国対委員長に指図をされて動くべきものではないと思っております。

 もう一点の採決については、これこそまさしく審議を通じて論点を明らかにし、それに対して文部科学省が、あるいは政府として真摯な答弁をいただいた上で、納得の上で、与野党協議の上で採決がなされるべきものだと私は思っていますし、現実、今のところは、現場の理事会も円滑に進められて、きょうの質疑をしているところであります。

 田中委員長から山岡国対委員長に、この旨、委員会において発言があったということを抗議をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

田中委員長 その件につきましては、また理事会でもう一度入念によく話をしてからにいたします。

 質問を続行してください。馳浩君。

馳委員 委員長、理事会では確かに協議をいたします。理事懇談会でも協議をいたします。この発言について委員長は、私の頭越しにこんなことを言うなんてと思いませんか。

田中委員長 ここは私に対する質問の場ではありませんが、拳々服膺いたしまして、後ほどお返事いたします。

馳委員 笑顔の委員長は、本音はけしからぬと思っているということを私が拳々服膺いたしまして、次の質問に移ります。

 さて、今まで視察、委員会質疑、参考人との質疑、またきょうも含めて、私は今から申し上げます十二のポイントが委員会質疑の中で出されたなというふうに思っております。

 まず、こういうポイントだということを申し上げます。一、理念なし。二、省令なし。三、条例なし。四、在外日本人に支給なし。五、公私間格差の解消策なし。六、恒久財源論なし。七、準備期間なし。八、所得制限なし。九、東京、大阪などの上乗せ分についての具体策提示なし。十番目、鳩山総理、中井大臣、岡田大臣の出席なし。十一番目、北教組事件への対応策なし。十二番目、達友会の問題についての具体的な説明なし。

 北教組と達友会の問題については、これは私は高校無償化法案をやっておりますので、今貴重な時間でありますから、ここでは質疑の対象とはいたしませんが、教育問題として大きな課題であるということは現場の理事会においてもそういう受けとめ方をしていただいているというふうに理解をしております。

 そこで、私もこんなことを指摘ばかりしていても時間がもったいないので、一つ一つよい答弁がもらえるように、理解を私ができますように、不平、不満、不信感が払拭されますように、また質問を続けさせていただきます。

 法案第二条第一項第五号、「高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるもの」、この基準について改めて大臣に質問をいたします。

 この省令を定めるに当たって、大臣は、普遍的、客観的な基準で判断すべきと何度も答弁をしておられます。改めて伺います。民族教育を差別しますか。

川端国務大臣 「高等学校に類する課程を置くもの」ということを客観的に判断する基準、物差しにするということを繰り返し申し上げておりますし、そのとおりでございますので、民族教育をしている、していないは判断の基準ではございません。

馳委員 当然、私はそうだと思います。しかし、下村委員からの質疑にもありましたように、朝鮮学校においての歴史教育の中には、ここは反日教育というものも含まれてくるわけでありますよね。それが私たちはよい、悪いというふうな指摘をしているのではありません。やはり私たちの税金を使うということに当たって、こういうことについての考慮というものはなされなければならないんではないですかという下村委員の指摘であったと思います。

 この反日教育をしている、そういう学校の生徒に支援金を拠出する、こういうことについても考慮はしませんか。

川端国務大臣 何教育をしているかということに関して、客観的に高等課程に類する課程を有するかどうかという判断の基準ということに民族教育は入れるつもりはないということを申し上げました。同時に、その中身において、今御指摘の教育が行われている、行われていないということを制度的に知る立場にもございませんので、そういうことは判断することにはならないというふうに思っております。

馳委員 教育にはもとより自由性というものがありますから、そうはいうものの税金を使うんだよなというところが、これはやはり政治の場で議論される問題だと私は思っている、このことを私は申し上げたいんですね。

 そして、今大臣おっしゃったように、そのことを確認するすべがありません。前回私も指摘しましたが、確認するすべがないのならば確認できるようにしたらよいのではないか。あるいは、実際には一条校になろうと思えば朝鮮学校もなることのできる要件はそろえているんですが、朝鮮総連の指導あるいは朝鮮学校の判断によって一条校にはなっていないという現状、このことについてやはり大臣の見解をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 その学校というか教育施設、教育機関が一条校を目指すか目指さないかも、これはまたその学校の自由でございます。

 そういう意味で、高等学校に類する課程というのを客観的に判断する、制度的に担保されているという意味で、一条校にはならなかったけれども義務教育卒業者に対する教育を行うという、高等学校に類する課程とみなされる専修学校の高等課程はみなそうという方向で今議論をしておりますが、各種学校は千差万別の機関でありますので一応対象にしないという前提で議論をしているときに、外国人学校だけは制度的に専修学校になれないと書いてあるから、それを改めてどういう基準にしようかということであります。

 高等学校になる、ならないはその学校の意思でありますので、もちろん、理屈的に言えば、どうしても欲しいと思われる教育機関は、まず高等学校になったらもらえますよというのは事実です。それで、専修学校の高等課程ということで認可を受けてください、そうしたらもらえますよという方向で今議論していますから。

 というのも一つの道、進路としてありますが、各種学校の外国人学校だけは高等学校になったらいかがですかという以外の専修学校高等課程はなれないから、その部分で何らかの客観的な判断基準を考えたい。それはどういう項目をどういう方法でやるのかということが、いろいろな議論、今回も含めて出ておりますので、それを含めて最終的には判断をしてまいりたいと思っているところでございます。

馳委員 では、核心に触れたいと思いますが、朝鮮学校は「高等学校の課程に類する課程を置くもの」として文部科学省はそれを判断する、確認することを行うことができますか。

川端国務大臣 現時点で担保されている制度で直ちに行うということはできない環境にあります。

馳委員 今の答弁、極めて重要な答弁ですね。現状では確認するすべがない。では、どうするんですかということが、やはり私は、省令を決めるに当たっての大きなポイントになってくるということを今指摘しているんですね。

 では、外交上の問題があります。中井大臣が心配をされ、川端大臣にも進言をされた問題です。拉致、ミサイル、核、こういった外交上の問題を考慮して、省令に含めるかどうかの判断基準としますか。

川端国務大臣 文部科学省といたしましては、各種学校の対象範囲の議論については、先ほどありましたような民族教育の有無という観点とか、外交上の配慮という観点、国交があるかないかという観点で判断するものではないということで、あくまで高等学校の課程に類する課程ということでの位置づけを制度上どう担保するか。

 今のところありませんというのは、今はっきり決まっている制度として、専修学校高等科というふうに制度上明確に位置づけられているという制度としての部分はないので、ほかの方法を使って客観的にどう判断できるかを検討しているということでございまして、今お問い合わせの部分でいえば、民族教育の有無とか、外交上の配慮という観点や、あるいは国交の有無という観点でこれを判断するというものではないということでございます。

馳委員 やはり、そうすると、私が先ほど指摘したように、「高等学校の課程に類する課程を置くもの」という、この部分を確認できるかどうかということが私は大きな分かれ道になるのではないかと思っているんです。

 私の本音はもう前回申し上げました。民族差別だめよ、外交上の差別、国交あるなしで判断せず、教育を所管する大臣として、今、既に積算根拠の中にも朝鮮学校を入れております、こういった教育上の配慮の観点から判断すべきである、こういうふうに私は明確に私の本音を申し上げてまいりました。

 しかし、大臣がおっしゃったように、客観的、普遍的な基準が必要であることは言うまでもないんですよ、省令ですから。その客観的、普遍的な基準が幾ら申し上げてもこの委員会において示されないから、私たちは審議が深まらないし、省令は法律が制定された後に決めるということにはなっておりますが、この高校無償化法案が目指している方向について判断できない、だから採決に応じることができないですよ、そのことをずっと申し上げているんですよ。

 この問題、引き続き言いますよ。

 鳩山総理は、社民党の阿部さんの質問に答えて、朝鮮学校の生徒に会うとおっしゃいました。私は、本音を言えば、この段階では会わない方がいいなと思っています。しかし、総理は会うとおっしゃいました。川端大臣はお会いになりますか。

川端国務大臣 先ほど来御指摘のように、客観的に高等学校に類する課程を何を基準にするのか、それをどう判定するのかということは、国民にもわかりやすくするためには本当に大変難しい問題であることは事実でありまして、基準を示していないというおしかりでございますが、本当にこういう議論を踏まえながらいろいろな角度で検討してまいりたいというふうに思っているし、日もないということで、一生懸命やっていることだけは御理解いただきたいんですが、それを踏まえてのお問いでございますが、今申し上げましたように、対象を決める際には客観性を確保したいという思いでございます。

 そういう意味では、教育活動の実際行われている実態がどうかということではないということで、制度的に高等学校の課程に類するとみなせるかどうかというときに、実際に行われている実態がどうかというのとは性格を異にするものでありますので、私としては、例えば各種の学校を視察することは、教育行政を推進するという立場では極めて有意義なことであると思いますが、この判断に際して見ることは今のところ考えておりません。

馳委員 私は、大臣の判断は妥当だと思います。文部科学省令で基準を示し、朝鮮学校が入るか入らないかというのは法令に従い大臣が判断すればよいことなんです。そののりを越えて、鳩山総理が今この段階でお会いするということ、これは慎むべきである、このように私は思っています。

 そして、改めて申し上げます。朝鮮学校が省令の基準に入るのか入らないのか、現状において北朝鮮あるいは朝鮮総連に確認をすることができるのか。あなたは先ほど確認できないとおっしゃいました。この現状においてどうやって判断するんですか。

 だから私は、政府見解を統一して出すべきではありませんかということを理事会においてもずっと申し上げてきているんですよ。これがない以上は、残念ながら、私たちは採決に応じることはできません。そのことは、これは恐らく大臣も、私が無理難題を言っているのではないということは御理解いただけると思っているんです。いかがですか。

川端国務大臣 現時点においては、先般来申し上げているように、客観的な判断基準を省令で決めたい。そして、その一つは、専修学校の高等課程に類するもの。それで、各種学校は基本的には対象としないけれども、その中で専修学校になれない位置づけにある外国人学校に関してだけは、例外的に、それが高等課程に類する課程を有しているかどうかを制度的に判断できる方法を現在検討して、それに合致するものは認めたいということで、先ほどの繰り返しになりますが、何をもってどうするのかということを今、大変技術的にも難しい問題も含んでいることは事実でございますけれども、客観的な判断基準と判断方法について検討しながら、整理を進めているところでございます。

 これが今時点の政府見解というか、我々の立場でございますので、これ以上は今の時点では御答弁ができません。

馳委員 残念ながら、そこに具体性がないんですね。

 では、私が具体的にどうしたらいいかということを提案しましょう。

 朝鮮学校の校長や教職員に直接会って、教科書を精査し、これは在日向けに編集しているということを私は伺いましたが、日本の高等学校の課程に類する課程ということを判断するのかどうか。また、年間通じた授業計画などを、あるいは保護者からも話を聞いて、日本の高校の課程に類する課程と判断するのかどうか、その場を持つかどうか。

 あるいは、先般も申し上げましたが、朝鮮学校の人事、財務、こういったことについては朝鮮総連が権限を持っております。私は、先般の視察においてそのことを確認させていただきました。では、朝鮮総連とこのことを文部科学省は話し合いをすることはしますか。できますか。

 そして、当然、朝鮮総連は本国の指示にその行動が縛られていることは言うまでもありません。では、朝鮮総連が本国と話し合いをして、日本の高等学校の教育課程に類する課程として同等のものであるというふうなことの言質をとって、そのことを確認して、では、やはりちゃんと高校の課程に類する課程として認めて出しましょうかと判断すれば、そういうことを、そういう作業をあなた方がするのであるならば、そういう答弁をここでするのであるならば、私はこれ以上追及する必要はないんですよ。

 今私が申し上げたのは、私だったらそういうことをしますよ。そこまで朝鮮学校の皆さん方も心配しているし、また拉致問題にかかわる方々も心配しているし、そして、国交のあるなしということを考えると、中華学校の問題まで出てくるんですね。その関係者も心配しておられるんです。

 だから、このことについて明確な具体性のある政府見解が委員会に示されなければ、採決に応じることは私たちはできません。私は無理難題を吹っかけているつもりはないんですよ。わからないから、基準が示されていないから、具体性がないから、この審議で明らかにしていただきたいと言っているんです。いかがですか。

川端国務大臣 御提言も含めて、御示唆ありがとうございます。

 朝鮮総連という個別の名前が出ましたけれども、文部科学省が直接的にお願いするルートはないというのが現状であるというのは御理解いただけると思います。

 そういう意味で、今、それと教科書の中身とかいろいろお触れをいただきましたが、どういう項目を、要するに、外形的に言えば、授業時間数とか何年間とか単位数とかいうのは、外形的な項目として、どういう項目をどういう方法で確認して中身を認定するのかということの基準と確認方法が、いろいろな議論が出ております。

 ここでも、今の御提案を含めてということで、今もう迫っておりまして、ぎりぎり基準を検討しているところでございまして、今ここではっきりと申し上げることはできませんが、採決日程云々というのは、基本的にはまた理事会等々で御議論いただくことになると思いますが、我々としては、いろいろな委員会の御要望に対しては、今の委員の御指摘にも今すぐには御答弁できませんが、いろいろな部分で最大限誠意を持って対応してまいりたいと思っております。

馳委員 残念ながら、まだ私たちの指摘に答えてはおられません。私だったらこうするということを言いました。

 大臣は、朝鮮学校の校長に会いますか。また、朝鮮総連の、朝鮮学校に対して権限を持っている方々に会いますか。

川端国務大臣 申し上げましたように、実態としてここの現場がどうなっているかということで判断するのではなくて、制度的にどう担保できるのかということを判断しようとして、今、基準、確認方法を議論しているところでありますので、当事者あるいは関係団体と会うことは予定をしておりません。

馳委員 そうなんですね。大臣は、心の中では会って確認したいなと思っても、それが許される環境にはないし、権限もないし、会うことはできないんですよ。

 だから私は、大臣お一人の答弁だけでは納得できないから、岡田外務大臣、中井拉致担当大臣、鳩山総理、私たちの審議が始まる前からあれこれとおっしゃっておられました。その発言に私たちの委員会質疑が振り回されたということもあります。委員会の現場に出てきていただいて議論をさせていただきたい、こういうふうに私は真っ当な要求をしていると思っているんですね。

 委員長、改めて、鳩山総理、岡田外務大臣、中井拉致担当大臣の出席をこの文部科学委員会に求めるものでありますが、いかがでしょうか。

田中委員長 先日来の理事懇でこの話はずっと出ておりますので、改めて検討したいと思います。

馳委員 この検討の決着がつかない限りは、委員長職権において委員会を立てたり採決を決定することのないように、私は委員長にお願いを申し上げたいと思いますが、委員長、いかがですか。

田中委員長 聞こえました。(発言する者あり)いや、答えていますよ。(発言する者あり)理解しております。

馳委員 次の質問に入らせていただきます。

 第三条第一項、「ただし、授業料を徴収しないことが公立高等学校における教育に要する経費に係る生徒間の負担の公平の観点から相当でないと認められる特別の事由がある場合は、この限りでない。」。

 特別の事由とは、例えばどういう場合でしょうか。公立高校の留年者を想定しておられるのでしょうか。

川端国務大臣 先ほどもこの御議論がございました。

 基本的には不徴収とするということで、徴収はしないというのが大原則であることは御理解いただいていると思います。その中で地方公共団体に対しては原則として不徴収を義務づけております。

 「ただし、」ということで、特別の事由ということでありますが、設置者である地方公共団体の判断で、特別の費用をかけて特別な学校を創設し、これらに在学する生徒に対して特に充実した教育を提供するという場合、あるいは留年や高校既卒者の再入学等、修業年限を超えて在学する場合ということで、公立高校の教育に要する経費に係る負担の公平の観点から、他の一般の生徒に比べて多くの教育サービスを受けることになる者について一律に不徴収とすることが必ずしも相当でないと認められるということで、このような場合に限っては、生徒に応分の負担を求めるかどうかについて設置者の判断にゆだねることとしているところでございます。

馳委員 設置者の判断にゆだねるとやはり都道府県の格差は起きてしまうなという心配をまず申し上げて、この限りではないとは、つまり有償化、授業料を徴収できるということの判断でよろしいですか。

川端国務大臣 原則は不徴収でありますが、「この限りでない。」ということは、授業料を徴収できるということを意味していることは事実でございます。

馳委員 そして、授業料を徴収する場合は条例が必要ですか。

川端国務大臣 地方公共団体において、特別の事由があると判断される特定の者から授業料を徴収しようとする場合には、基本的には条例を法施行前に改正し、授業料徴収の対象となる生徒やその額等について条例上明確にすることが必要と考えております。

 各都道府県において、特別の事由があると判断される特定の者から授業料を徴収するかどうかも含めて検討しているところと聞いておりまして、文部科学省としては、地方公共団体において適切に対応していただくように、引き続き適切に情報提供をしてまいりたいと思っております。

馳委員 法律の施行日は平成二十二年四月一日です。この三月議会で条例成立が間に合わない場合はどうするんでしょうか。

 法律では第三条で、公立高校は「授業料を徴収しないものとする。」とあり、つまり無償化です。したがって、条例で有償化する場合は、条例ができるまで授業料を徴収できないはずです。その間の授業料の負担はだれがするのでしょうか。学校が立てかえるのでしょうか。自治体が立てかえるのでしょうか。国が補てんするのでしょうか。

川端国務大臣 留年者に対しては、三年を超えて留年している人を地方自治体が不徴収から外すということにすれば徴収することになります。一年生、二年生から留年した分は、三十六カ月という幅の中ですので、徴収の対象から外れるというふうに思います。

 現在、都道府県で条例改正を準備していただいているところもありますが、地方議会は通例、六月、九月、十二月、二月と、今大体二月議会が行われておりまして、そういう部分では準備をしていただいているところもございますが、どうしても間に合わないときに、もう不徴収とするということであればそのままで何もしなくていいんですが、徴収をしようというときには、普通地方公共団体の長において議会の議決をすべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるときは、長の専決処分で条例改正ができるが、これは地方自治法第百七十九条第一項であります。二月議会閉会後であっても、法案が成立後の三月末に長の専決による条例改正を、行うかどうかはもちろん自治体の判断でございます、行わなければその分は不徴収で徴収せずにその分だけは地方の負担にするのか、専決ということで、もちろん後での承認は議会に要りますけれども、ということにするのかは地方の判断にゆだねる。もちろん、もともと全部そういうことはしないということも含めて、地方自治体の判断で行うこととしております。

馳委員 きのうの参考人質疑で、佐賀県の川崎教育長がこういうふうに述べられました。高井政務官は聞いておられたと思います。

 これにより、超過負担が生じた場合には、国の方針で導入するので、国の責任において補てんしてもらいたい。随分謙虚な、もらいたいとおっしゃるので、本音はどうですかと聞いたら、国の責任において補てんすべきと結構強い口調でおっしゃいました。これがやはり地方の声なんですね。

 私は、まず、今申し上げたように、条例が間に合わなかった分、六月議会でやるとしても四月、五月の分は間に合わない、この分をどうするかという部分と、条例でやはり負担すべき部分というのは、数々のメニューを川崎教育長もおっしゃっていました。国の制度でやるんだから、国の制度でやる以上は、その分は、超過の分は負担すべきだ、こういう声があったんですよ。この声にはどうおこたえになりますか、川端大臣。

川端国務大臣 この地方の部分で、一律に不徴収にすることが著しく不公平であるという特別の事由があるときは、条例も含めて設置者の判断でできるということになっておりますけれども、地方公共団体に国から交付する交付金の算定にかかわる問題でございます。

 この部分では、これも政令で決めることになっておりますけれども、これに対しては、留年あるいは高校既卒者、既卒者というのは高卒からまた入ってくるという方、たまにおられますということで、これに関しては、修業年限を超えて在学する場合は他の一般の生徒に比して多くの支援を受けることになるということで、負担の公平の観点から算定の対象外とするということを前提に今最終の詰めを行っております。

 そういう部分でありますが、いろいろなお声があるということや、実態がどれぐらいの額の負担、中退者等々でということもいろいろ、きのうの委員会の御議論もありますのも大事な意見であるというふうに思いますので、そういうことを踏まえながら、今のところは算定の対象外という前提で進んではおりますけれども、実際どれぐらい見込まれるのかということもまた議論はしてまいりたいと思っております。

馳委員 そうなんですよ。私も何度も条文を読んで、負担の公平性の観点から文部科学省は負担しなくていいことになっているんですよ。でも、現場は、そうはいってもと、そういうことなんです。そうはいっても、きのうの佐賀県の川崎教育長は、知事にも話をし、議会にも根回しをし、この超過負担分のところについては面倒を見ようじゃないかという判断をされたんです。したがって、自主的な判断ですから、佐賀県がこの負担をすればいいだけの話なんですよ。そういう意外と冷たい法案の仕組みになっているんですよ。おっしゃるとおりなんです。大臣の言うとおりなんです。

 だけれども、ここが教育論なんですね。この超過負担の部分というものの議論をするのは、高校無償化法案が提出をされ、検討するに当たって、教育論として必要ではないかと。退学といっても、怠けて退学するばかりではなくて、やはり経済的な問題とかあらゆる問題で退学せざるを得ないという事情もあるじゃないですか。そういうことを踏まえると、私たち佐賀県はこういう判断をしました。そもそものこの議論は、政府、国が方針として決めて、法律として決めてやろうとしている。であるならば、交付税の算定基準、やはりここがポイントになってくると思うんですね。

 私がここで大臣に期待する答弁は、そういう現場の声にもこたえられるように努力をしますと言ってほしいんですよ。大臣、いかがですか。

川端国務大臣 制度上の問題でいえばというのはもう御理解いただいているのですね、公平の観点でそういう制度にしていると。そのときに地方の実情にはいろいろあるというのはそのとおりだというふうに思いますし、聞かせていただいておった我々も大変ありがたいことだと思っています。

 そういう意味で、全体のバランスと同時に、こういう制度があるからということで何か無制限にいろいろなことが幾らでも、公費の支出が拡大していくということがあってはまたこれも問題であるということでありますので、そういう実態の声を聞かせていただく中で、先ほど申し上げましたように、事実上どれぐらいの負担になるのかということもあると思いますので、政令の決定に際してはいろいろな声を総合的に聞かせていただくのにも耳を傾けながら、最大限取り組ませていただくということで検討させていただきたいと思っております。

馳委員 そうすると、私はまたちょっと意地悪なことを言わざるを得ないんですね。交付税の算定基準が示されない限りは採決には応じませんと。何か野党みたいなことを言っているんですけれども、野党なんですよね。

 これはそういうことなんですよ。私も何回も条文を読んでみて、これを放置したままだと結局都道府県によって負担の差が出てしまうんだろうなと。そして、これは地方分権の議論ともかかわるんですよね。都道府県の教育委員会も知事さんも議会も、何とかしてやりたいと思っているんですよ。だけれども、財政的な問題もあるなと。であるならば、国が明確な基準を示してくれたら、国の基準ですからこれに従って配慮をしています、こういうふうな論法が成り立つわけですよね。多分、地方議会を経験されている皆さんだったら、私が言っている議論というのは何となく理解していただけると思うんですよ。

 したがって、改めて大臣にもう一声の答弁を求めたいと思いますが、参考人の意見も踏まえて前向きに検討します、この程度ぐらい言わないと、でないと私、また、算定基準を示されない限りは暴れますよなんとつい言いたくなってしまうんですよ。大臣、いかがですか。

川端国務大臣 口下手なもので、表現力が不足していたかと反省をいたしております。

 先ほど来申し上げておりますように、地方の生の声は大変重いというふうに思っております。そういう方々がお困りにならないようにという切なる声は真正面から受けとめて、最大限前向きに検討させていただきたいと思います。

馳委員 今できる限りの答弁をいただいたと思っておりますが、ただ、この問題については、本当に算定基準の数字が出てくるまで都道府県の皆さんは心配をしておられるということを肝に銘じておいていただきたいということなんですね。この議論は恐らく野田財務副大臣の胸にも深く響いたのではないかなと思いますので、余り財政が難しいから無理なことを言うなと鈴木副大臣をいじめないようにお願いしますよ。

 次の論点に入りますが、厚生労働省の細川副大臣にも来ていただいておりますので、けさ、鳩山総理が厚生労働委員会の答弁で極めて重要な答弁をされました。平成二十三年度からの子ども手当については見直しも検討するというふうにおっしゃったんですよ。ニュースに流れております。したがって、私は今から公平性の観点からこの問題を質問いたします。

 第四条第一項で「日本国内に住所を有する者」に限定することに私は違和感を感じております。子ども手当は就労ビザがあれば定住外国人の本国に残してきた子供にも支払われるとなっております。しかし、高校無償化の支援金は在外日本人には支給されません。ちなみに子ども手当も、保護者が、親が海外にいる場合にはその子供には出されませんよね。うなずいておられます。そのとおりですよね。政府の方針として、定住外国人なら海外に残してきた子供の分も支払われる。しかし、高校無償化法案だと海外にいる在外日本人には支払われないんですよ。そういうふうに法律の条文に最初から書いてあるんですよね。ここの矛盾を私は前回も指摘させていただきました。教育基本法第四条、もう何度も言いません、すべて国民は、ひとしく、その能力に応じて教育を受ける機会を与えられなければならない、この理念と相反するのではないんですか。

 改めて、この見解と、そして鳩山総理のように、けさ厚生労働委員会に出席をして総理は発言されました。子ども手当については、平成二十二年度はいたし方ないけれども、平成二十三年度は見直しをしなきゃいかぬなというふうにおっしゃいました。大臣、在外日本人には支給されない、この論点について検討の対象とすべきではありませんか。いかがでしょうか。

川端国務大臣 子ども手当との比較で御指摘をいただきました。

 この法律は、いわゆる一定年齢に達した者の、義務教育を終了した者の個人のあらゆる学習活動を支援するという性格ではございません。学習をいろいろする、みんなするんだと思いますが、その中で、一定の公の関与のもとに教育活動を行う教育施設で、高等学校あるいは高等学校の課程に類するとみなされるものが制度的に担保されているものの学びについて支援をするという、子供が公の関与のもとに高等学校の課程に類する課程で学んでいるものを支援するという制度であります。したがって、この前からも議論がありますけれども、海外での教育施設は公の関与が及びませんので、対象としておりません。ということで、生徒を受給権者としております。

 無償化法、いわゆる今回私たちが出した法案は子供を受給権者としておりますが、子ども手当は親を受給権者としていまして、親が子供を育てるということを応援するということでありますので、親に受給資格がある。そうすると、親御さんは年齢に応じた子供が何人いるかということでありますので、制度が対象を、子供に着目するか親に着目するか、それから対象の部分が、公の関与のある教育施設で高等学校に類するものということなのか、あまねく子供なのかという違いでこういうことができたのだというふうに思っておりまして、制度的に国の政策として何か矛盾するようなものではないと私は思っております。

馳委員 いやいや、教育基本法の理念に照らし合わせると矛盾していませんか、こういうふうな指摘を私はしているんですよ。

 各種学校で外国人の子供にも支給されようとしています。在外にいる日本人には支給されません。その基準は今大臣がおっしゃったとおりです。私も何度も聞いています。しかし、教育基本法の理念からして、同じ日本人なのに何で在外にいる人には支給にならないんですか、こういうことなんですよ。

川端国務大臣 教育基本法はもう御案内のとおりでありますが、すべての国民が能力に応じて教育を受ける権利をひとしく与えられなければならないということでございます。今回の授業料に関する法律は国内に住所を有する者ということでありますが、これは先ほど申し上げましたように、この法案は、個人が教育を受ける権利はみんな持っているのは当然の前提としながら、日本国内での公の関与のある教育施設で高等学校及びそれに類する課程を有するもので学ぶものを応援するという制度でありますので、矛盾しているというふうには考えていないということでございます。

馳委員 制度上は矛盾していないんですよ。しかし、教育基本法の理念に照らし合わせると、これは今後検討する課題ではないですかということを実は私は言いたいんですよ。さっきから言っているのはそういうことなんですよ。

 大臣、もう一度。

川端国務大臣 先ほど来議論がありますように、どの部分が高等学校に類する課程かということを制度上担保するということを大前提とした議論をしております。そのときに、海外の学校に関しては、まさに公の関与がなく、制度上も全く担保されないということで、今のところ、それを今後の検討課題ということは想定をいたしておりません。

馳委員 この問題はさらに深く追及しなければ、理念の問題であるということを申し上げます。

 細川副大臣にせっかく来ていただきました。けさ、厚生労働委員会にも出席しておられたと思います。鳩山総理は、やはり、日本にいる外国人の海外の子供にまで支給する、しかし、親が海外にいる場合にはその子供には支給しない、こういう問題点を我が党の大村さんから指摘を受けて、やはり見直しの検討はしなきゃいかぬ、ただし、平成二十二年はこの制度としてやらせていただくが、平成二十三年度については見直しというのは必要だなというふうに答弁されたと、実はニュースでもう出ているんですね。

 その場におられたと思いますから、この経緯を少し紹介をいただきたいと思いますし、また、副大臣としてのこの問題についての見解もお伺いしたいと思います。

細川副大臣 お答えいたしますが、実は、私はその委員会には別の用事で出ておりませんでしたので、今お聞きをして初めて知ったようなことでありますから、私からそのことについてお答えするのは控えます。

 しかし、外国人の海外にいる、外国にいる子供に対して子ども手当が支給されるというようなことも含めまして、二十三年度の子ども手当につきましてはいろいろな観点から検討はし直す、こういうようなことで総理も言われたのではないかというふうに思っております。

馳委員 さて、野田副大臣にお伺いいたします。

 概算要求で文部科学省は四千五百億円と出し、あなたに査定をされて予算が三千九百三十三億円に減額となりました。差し引き、およそ六百億円であります。

 冷たいんじゃないんですか。この減額の理由というのは、こういうところが減額になりましたということは既に私たちも委員会で大臣から伺っておりますが、あなた、何でこんな、四千五百億円で出したところを、多分、授業料負担軽減分とか私学の負担軽減分とか地方交付税の分とか、この分だと思います。あなたによって事業仕分けされたんですよ、この額が。何でですか。

 ここは、私は文部科学委員会を代表して、六百億円も削るなんて冷たいじゃないですか、その理由は何なんですかと改めてお伺いしたいと思います。もし、これは財政上の問題ですと言ったら、私はさらに追及いたします。

野田副大臣 馳委員に謹んでお答えをいたします。

 別に、冷たいという理由じゃございませんで、減額した理由は二つでございます。

 大きく言うと、一つは、もう委員は御承知だと思いますが、公立高校については、概算要求時に想定されていた就学支援金を支給する方式から、授業料を不徴収として、従来の授業料収入相当分を国が負担する方式に変更することになりました。この方式の変更によって、授業料減免相当分を含めて、現に地方公共団体に措置されている学校運営費が維持される見込みになったということで、三百十億円の削減ができた。公立高校部分についてはそういうことであります。

 それから、私立高校等に在籍する生徒のうち低所得者世帯に対する増額支給について、要求時は年収五百万未満の世帯について支給できるよう要求がございましたけれども、これは義務教育段階における就学奨励の基準等も参考に、年収二百五十万未満の世帯には二倍額、そして年収二百五十から三百五十万円未満の世帯には一・五倍額を支給することとしまして、そのことによって二百五十億円の削減ができた。

 公立高校の方の方式の変更と、それから私立高校の要は低所得者の年収の区分のところの整理によって、約五百数十億浮いて、さらに事務費で五億円を削減したということでございます。

馳委員 だったら、今度は大臣に聞かざるを得ないんですね。制度変更によって公立高校の三百十億円部分を要求した方が悪いんですよ。こういうのをとらぬタヌキの皮算用というんですね。何でこの三百十億円を要求したんですか。それは、この三百十億円分でほかに何か使っちゃおうかなというふうに考えていたんですか。だって、必要だから概算要求に三百十億円を入れたんでしょう。

 私は今、野田副大臣がおっしゃったことはもっともだなと思いました。ただ、見解が一つ違うのは、私学の方はもうちょっと低所得者の負担軽減策を考えてよ。これは今後の課題ですし、今議論もしていますから、これは申し上げておきますし、理解いただけると思います。

 文部科学省の方が概算要求のときにこの三百十億円をした方がおかしいんじゃないんですかと私は野田さんの答弁を聞いて思いましたが、大臣、いかがですか。

川端国務大臣 これは、現に授業料というのがただ生徒の人数掛ける十一万八千円、公立高校ということであれば、今、都道府県の立場で三百十億円減免をしていただいているから、残りの部分をということで国が手当てをするということに今度なりました。

 私たちが当初思っていたのは、生徒の人数掛ける全部の部分を、全部地方ということではなくて、国が全部見るという仕組みとして我々は要求をいたしましたが、そうすると、全部もらうという部分で、不徴収ということとかの議論の前に、同じように私学も公立も含めて代理受給をしてということも含めてやっていたんですが、財務省との折衝の中で、今副大臣御答弁のように、今既にそういう手当てをしているから残った分だけを手当てするということにして、出しどころとしては地方と国とに分けることになるけれども、地方に新たな負担を求めるわけではないからそういうことにしようということになったので、仕組みを変えたことによる資金の移動ということになったのが事実でございます。

馳委員 ということは、概算要求をしたときと実際に財務省から査定をされた段階とで、仕組みを変えたということでいいんですか。

川端国務大臣 支援するスキームといいますか負担のスキームといいますか、スキームはそこで変更はされました。

馳委員 その負担のスキームの議論がやはり透明ではありませんよね、議論の過程というものが。私は、そこをむしろ突っ込まなきゃいけないなと思っているんですよ。

 この三百十億円は来年は概算要求にはのせませんよね。

川端国務大臣 今の制度を続けるという意味では、のせることは考えておりません。

馳委員 そうなると、なぜシステムを変更したかという過程の議論というのは、残念ながら私たちには見えてこないんですね。このことは私は今質問したいんですが、ちょっときょうは時間がないので、もう一点だけ別のことをお伺いして私の質問を終わります。

 実は、特定扶養控除上乗せ分の見直しのことですね。ここも野田副大臣と中川副大臣の両方に聞きたいんです。

 最初に、申し入れをしたのは中川副大臣というふうに、十二月、報道されていました。その確認をします。

 そして、申し入れをしたのは、事前に野田副大臣からは、もっと財源を何とかしろと言われてやったのか。つまり、野田副大臣から、財源が足りないから、おまえのところだから、文部科学省だからもっと出せと。そこで探した結果、十六歳から十八歳の上乗せ分の特定扶養控除、ここの部分を見直して、制度をやめるんじゃないんだけれども、上乗せ分だけちょっと献上するような感じで、あわてて中川副大臣が野田副大臣のところに上乗せ分を献上していったのか。

 この議論というのは報道でしか私たちは知らないものですから、野田副大臣がぎりぎり詰めたのか、それとも中川副大臣みずからが差し出したのか、明らかにしていただきたいと思います。

 まず中川副大臣から答弁を求め、次に野田副大臣お願いします。

中川副大臣 お答えします。

 もともと、税制調査会の議論、これはマニフェストにも実は相当する方向性なんですが、控除から手当へ構造を変えていこうという議論がありまして、実は、税制調査会が始まる冒頭にも、この特定扶養控除についても、あるいは一般の扶養控除についてもそれぞれ見直していくというような議論が出ました。

 それはどういうことにつながるかというと、例えば二百五十万の所得の人がこの特定扶養控除を、これは控除額が今現状、所得税が六十三万円、住民税が四十五万円なんですが、これでいくと七万六千五百円の税額控除の対象になります。ところが、この税率というのが累進性を持っているものですから、所得が上っていけばいくほど、例えば八百万になると二〇%の税率でありますので、税額自体が控除額が十七万一千円になります。それから、二千万までいきますと二十五万二千円になっていきます。

 こういう形で構造があるものですから、これをやはり、再配分ということからいくと逆再配分になっているので、そこのところを控除をやめて、そして手当、あるいは所得控除じゃなくて税額控除そのものに構造を変えていこう、こういう議論がありました。今回の税制調査会の論調もその中で始まっておりました。これが入り口です。

 しかし、入り口の部分では、特定扶養控除については、やはりマニフェストにもでき得る限り制度として持続していくということの方が我々としては望ましいという思いもありましたので、そこのところの調整をどうするか、そういう意識の中で税制調査会の議論が始まって、最終的に、一つのメニューとして、あるいは一つの制度として組み立てるときには、その二つが整合性を持って、実質的には低所得者にプラスになっていくわけでありますが、所得の高い人たちについてはそのプラス金額というのが低くなっていくという結果ですが、その意味での制度設計はしなければいけないということを私が税制調査会の中で提案させていただいたということであります。

野田副大臣 詳細は今文科の副大臣からお答えになったとおりでありますが、もともと税制調査会が始まった当初から、控除から手当という中で、特に私どもの政務官の方から、年少扶養控除だけではなくて、特定扶養控除の圧縮とか成年扶養控除の問題提起までしていました。ただ、これは、後半に至って余り議論が進まずに立ち消えになりつつあった中で、文科省の方から、高校無償化とはセットではありませんけれども、政策目的の方向性は似ているという中での政策の整理で御提案があったというふうに私は承知をしております。

馳委員 もう質疑時間が終わりましたので、すてきな言葉で言えばやりくり上手で、ちょっとうがった見方で言えばつじつま合わせの財源あさり、こういうふうな指摘をしたいと思います。

 なぜかというと、先ほど野田副大臣が答弁の方でおっしゃっておられたと思いますが、積立金も取り崩して持ってきてマニフェストの財源としたというふうにもおっしゃいましたが、積立金は来年もありますか。そういうことを考えると、恒久政策には恒久財源論という、やはり財源論をしっかりしながら取り組んでいかなければいけないんじゃないんですか。

 いよいよ審議はクライマックスに入ってきたところでありますので、委員長には、くれぐれも職権を濫用し、採決を強行しないようにお願いを申し上げて、私のきょうの質疑は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 今の馳委員と中川副大臣のやりとりを聞いていて、質問の順番を変えようと思いました。

 中川さん、はっきり言ってうそをついている。政府税調の議事録を全部見ました。経過を見ると、今言ったような経過にはなっていませんでしたと私は理解しました。中川さんは、いや、そういうことだったんだと言うんだろうけれども。やはり今の特定扶養控除の縮減のところは、外から見ているとよくわかりません。中川さんは最初抵抗していましたよね。古本政務官が冒頭から特定扶養控除の話を出したときに、いや、おかしい、マニフェストにそういうふうに書いていない。渡辺総務副大臣も、そんなことをやったらだまし討ちじゃないかと最初言っていますよね。

 せっかく高校を実質無償化しようということで民主党時代からいろいろ法案を考えられて、ちょっと形は変わりましたけれども、連立政権になってこういう法律案を出してきたのに、今、馳委員が最後に言いましたけれども、恒久的な財源がきちんとしていない。特定扶養控除を縮減しても、国税で一千億、地方税で三百五十億ですか、これはそのまま財源にはストレートに行っていないんだと午前中大臣もおっしゃっていました。この三千九百三十三億の財源は一体何なんだと国民はだれもが思っているんです。でも、無償化になるのはうれしい。

 そういうときに、なぜこの特定扶養控除を縮減したのかというのが、やはり政府側からきちんと国民に説明する必要があると思うんですよ。

 きょう、ちょっと新聞を持ってきたんですけれども、昨年十二月二十四日の朝日新聞の夕刊で、「高校無償化恩恵目減り」と大きく書いてある。「一一年以降 税の優遇措置見直しで」ということで、

  国の予算編成が大詰めを迎え、民主党のマニフェストの目玉だった「高校無償化」の内容が固まった。公立の授業料(年十二万円程度)を国が負担するもので、それ自体は来年度から実施される。ただし、「その財源に」とセットで持ち出されたのが、高校生がいる世帯への税の優遇措置の縮小。二〇一一年以降段階的に適用され、差し引きすると各家庭への実質的な支援はぐっと目減りする。「腑に落ちない」という声も上がってきそうだ。

これが国民の声だと思うんです。

 先週の委員会で民主党の佐藤さんだったと思いますけれども、高校無償化と特定扶養控除見直しの影響試算例、文科省が出しているこの資料を席上配付されて、公立高校も私立高校も、どの収入額の皆さんも全部プラスになっている、いいことだというふうにおっしゃったんだけれども、これは違うんだと思う。

 公立高校は、十一万八千八百円、授業料として払わなくてよくなるわけですね、不徴収。ところが、この表を見ると、どこもプラス十一万八千八百円になっていない。二百五十万円以下の世帯でプラス九万四千三百円、二千五百万円の世帯ではプラス六千八百円。要するに、十一万八千八百円の効果がそのまま出ていないんですよ。また、私立高校の方も、二百五十万円以下は二倍になるわけですから、それがプラス二十一万三千百円しかいっていない。三百五十万円以下でもプラス十五万三千七百円。

 この表を一生懸命文科省は工夫してつくったんだろうけれども、全部プラスになるからいいという形でやっているけれども、実際は、現実に出ていくお金がそのまま効果を果たしていないということをみずから認めている資料になっている。

 これは、やはりこういうことをきちんと国民に説明した上で、高校無償化法案というのはこういう中身なんですよというのを私は言わなきゃいけないんだと思うんです。

 午前中も、自民党の菅原一秀先生の方からもこの点に指摘がありました。私も横で聞いていて、本当にそのとおりだなと思うんです。

 川端大臣は、これは自民党の馳先生が本会議で特定扶養控除の見直しについて質問したことに対して、こんなふうに答えていました。

  特定扶養控除については、文部科学省は、高校実質無償化政策と相まって、トータルとしてより一層教育費負担が軽減されるよう、税制上の配慮を行う旨、要望していたところであります。したがって、特定扶養控除と政策効果が共通する高校の無償化の実現のために、その縮減を提案いたしました。

  この案は、マニフェストの趣旨に沿って、ほとんどの家庭において便益が増となるようになっており、平成二十二年度税制改正大綱で決定されているところであります。また、十九歳から二十三歳未満の特定扶養親族に係る控除の上乗せ分については、文部科学省より存続を提案し、大綱で決定されているところであります。

この部分もおかしいんだけれども、

  以上により、教育費の負担軽減に資するよう配慮するという当初の要望内容と矛盾するものではなく、マニフェストは守られているものと認識しております。

こういうふうに馳委員の質問に答えられました。これも私はちょっと強弁だと思うんです。

 馳さんが指摘したように、民主党は、民主党政策集インデックス二〇〇九というんですか、ここにもこんなふうにきちんと書いてありますよ。「人的控除については、「控除から手当へ」転換を進めます。子育てを社会全体で支える観点から、「配偶者控除」「扶養控除(一般。」その後に、「高校生・大学生等を対象とする特定扶養控除、老人扶養控除は含まない。)」明確にここに書いてある。「は「子ども手当」へ転換します。また、その際は、年金生活者の負担増とならないよう、年金課税の見直しも行います。」高校生、大学生を対象とする特定扶養控除は「含まない」と書いてある。見直しの対象としないと明確に書いてある。

 それで、二十二年度の文部科学省税制改正要望事項、これは本会議で馳先生が指摘しましたけれども、この見開きの方の大きなところの教育費負担軽減のところにも、「家庭の教育費負担の軽減に資する特定扶養控除の維持」、「維持」と書いてある。縮減とは書いていない。その具体的な中身を説明しているペーパーを見ると、「扶養控除の見直しが行われる際には、現行の扶養控除や特定扶養控除が家庭の教育費負担の軽減に資している現状を踏まえ、より一層負担が軽減されるよう、税制上の配慮を行う。」「より一層負担が軽減されるよう、」と書いてある。先ほど示したように、あの試算例で逆になっている。全く逆になっている。

 これは大臣、あの本会議での答弁は、訂正されるのが馳委員に対して失礼がなかったことになるんじゃないですかね。マニフェストへ違反したとはなかなかそれは政府側としては言えないでしょうけれども、やはり、ちょっといろいろあってこういうふうに変えたんですよというのが素直な見解じゃないですか。どうですか。

川端国務大臣 先ほど来、あるいはきょう以外のこともいろいろな議論があっていることは事実でありますし、経過は中川副大臣が申し上げたとおりであります。

 それぞれの文章の解釈の部分で我々としては答弁をしておりまして、富田委員から言われれば、御指摘の部分があると思います。より一層負担の軽減がされるようというのは、要するに我々の主張としては、トータルの、高校生を中心とした部分の教育政策の負担が軽減されるという意味で、この税制、特定扶養控除は、できた当初から、こういう世代の教育費の負担の軽減を図るという目的でやられているという趣旨があります。

 そういう面で、高校の実質無償化に伴う今回の一連の政策を実施する中での負担軽減と両々相まつ形での整合性の中で、トータルとしてはより一層負担が軽減されるということができるようにきちっとやっていただきたい、これだけの議論で扶養控除の議論が進んでいかないようにという思いも込めて書かせていただき、そして議論もしてきたつもりでございます。

 いろいろな御批判があることは承知しておりますが、我々としては、精いっぱいマニフェストを守る中でやってきているということで進めておるところでございます。

富田委員 精いっぱいマニフェストの中でやっているんじゃなくて、マニフェストをはみ出しているんですよ。やはりそこは認めないと、国民から見たら、うそついたという形になってしまいますよ。

 高校無償化の法案というのは、やはり高校生を抱える親御さんにとってはうれしい法案だと思います。私の周りにも、公立高校にことし入れるお母さんが本当に無償になるんですかと聞きに来ますから、やはり家計が大変な皆さんにとっては、そういうところは本当に希望していると思うんですけれども、ただ、特定扶養控除が縮減されるというのは、これはお母さん方はわからないんですよ。お母さんたちは知らない。知るすべもない。お父さんは、自分の給料が減って、あれっと思うんですよ。お母さんに、何であなたの給料減ったのよとこれは後で怒られるんだ。だから、お母さんだけ喜ばせてもだめなんですよ、やはり夫婦で子育てしていくわけですから。こういう、なぜ縮減したのかという経過をきちんと明らかにする必要があると私は思います。

 先ほどお話ししたように、政府税調の議事録を全部めくってみました。やはり中川さんは良識があるから、最初はきちんと抵抗しているんです。十一月十七日の第八回の政府税調ではこんなふうに言っていましたよ。総選挙で、高校生以上にはお金がかかるから特定扶養控除には手をつけないと説明してきた、その辺の議論なしに出てきたのは問題だと鋭く指摘している。これはこのとおりだなと思いました。それでも古本政務官は、いや、若干の圧縮があってもいいんじゃないかとまだ抵抗しているわけですよね。

 十一月二十三日の読売新聞がこのあたりの経過をきちんと解説していました。「財務三役らが控除見直しにこだわるのは、不況の影響で落ち込んだ税収を穴埋めして公約事業の財源を確保したいためだ。」「所得税で一般の扶養控除を廃止すれば約八千億円が浮き、特定扶養控除を仮に全廃すれば約五千億円が確保できる。配偶者控除廃止による約六千億円が当てにできない以上、特定扶養控除の縮小には持ち込みたいという思惑がちらつく。」もう十一月二十三日の時点で読売新聞に見抜かれちゃっているんですよ。このとおりですよね、配偶者控除はやらないとしたんだから。ではどこかから持ってこなきゃならないということで、特定扶養控除にねらいをつけたわけでしょう。

 もっとおかしいのは、これは財務省と文科省がどういう話をしていたのか、中川さんの答弁次第でまた追及しますけれども、実は、十二月四日に中川副大臣の方から税調で縮小論の提案があった。その後、実は十二月八日の政府税調の企画委員会、財務、総務の政務三役らで構成するらしいですね。ここで、「特定扶養控除の縮小を見送り、来年度も現行制度を維持することで一致」、こういうふうに報道されている。十二月八日に特定扶養控除の縮減を見送りますと財務、総務の三役が一致したのに、また中川さんがその後の政府税調でもう一回提案し直している。

 これはちょっと中川さんらしくないよ。やはり、もう少しここをしっかり踏ん張るのが中川副大臣の役目じゃないですか。どうですか。

    〔委員長退席、笠委員長代理着席〕

中川副大臣 ありがとうございます。私もしっかり頑張ったんですが、結果として現在のような状況になったということなんですが、一つ御理解をいただきたいのは、こんな形で税制調査会の中身が全部オープンになりましてこうした議論の俎上にのってくるということ自体が、その論議の過程というのを国民にも見ていただこう、そして一緒に参加をしていただこうというその新しい流れだということで一つは御理解をいただきたいということ。

 それからもう一つは、三役で維持することに決めたという報道がありましたが、あれは間違いです。また野田副大臣にもこれは証言いただけると思うんですが、私たちもこれはしめたとあのとき思ったんですが、そういうことではなかったということでありまして、あの報道自体が間違いだということであります。

 その結果、差し引きして、十一万八千円という一つの定額が確かに家庭の方から見れば満額渡るわけではない、結果として調整部分があるということでありますが、しかし、さっき大臣の御答弁にもあったように、トータルでいけば、これまでの制度とはずっと改善されている。これまでの制度というのは、所得の高い人ほど有利な制度だったんです。それをひっくり返して、所得の低いところへ向いてしっかり積み上げができているということでありますから、そこのところもあわせて、御党の主張も結果的には組み込んでいますので、ぜひ賛成をいただきたいというふうに思います。

富田委員 今のはちょっと論理のすりかえで、オープンになったというのは本当にいいことです。議事録が全部見られますので、こういう委員会の審議の中で、あのときこうと言っていたじゃないか、やはりいいかげんなことを言えなくなるなといういいあれだと思うんですけれども。

 中川副大臣は正直だから、この税調の中で、財務省といろいろ交渉している中で所得制限をつけろという話が出てきて、それでは鳩山内閣として考えている高校無償化のスキームは違ってしまう、そういったところを何とか維持するためにというところでこういう提案をしていったんだということを正直に言われているんですよ。そこは正直だと思うんだけれども、なぜ特定扶養控除の縮減分に飛びつくのかなというところがよく理解できない。

 これ、トータルとしてと言われているけれども、最後の税調で問題点を中川さんが御自分で指摘しているじゃないですか。約一万六千人、高校に行っていないお子さんがこの特定扶養控除の対象になっている。御自分で言われていますよね。この法案はこの人たちへの手当てを何にもしていないんですよ。この法案ですべきものじゃないのかもしれないけれども、実際にされていない。

 それで、特定扶養控除の地方税分がカットされると、国民健康保険料とか介護保険料にはね返ってきますよね。ここの部分も、これは財務省の主税局で考える話なのかもしれない、厚生労働省と協議も要るだろうし、そういうことはあるけれども、そういうことを考えたらこの特定扶養控除の縮減に飛びつくべきじゃなかったと私は思うんだけれども、その点どうですか。

中川副大臣 御指摘のとおり、実質、特定扶養控除が削られた分で影響が出てきて、それが高等学校の無償化でカバーできない部分ができてくるということ、これは税制調査会で私も取り上げましたし、そういう議論になりました。そこについては、しかし私たちの文部科学省の法案ではどうすることもできない部分でありますので、私も、そこは課題として残っているというふうに思っています。

 その上で、さっき申し上げたように、この特定扶養控除というのは、以前からの私たちの党の一つの基本方針として、控除から手当へ向いて構造を変えていくという流れ、これについては政策の優先順位の中でも非常に高いものでありましたので、今回、そうした議論の中で私も、折衷案といいますか、折衷案というよりも、やるんだったら、こんな形で実質的にそれぞれにメリットのある新しい体系がつくれるような調整をする。具体的には、全部なくすんじゃなくて、二十五万の普通の扶養控除の上乗せ分だけを削るというところで折り合いをつけながら全体の調整をしていきたいということ、そんな主張をしてきたということであります。

富田委員 今のも、中川さんが大変だったのはわかるんだけれども、控除から手当へというのは、民主党はずっと野党時代も言われていて、それは一つの考え方だというふうに理解しています。でも、扶養控除と配偶者控除の国税分を廃止しますと言っていたじゃないですか、選挙のときも。扶養控除の地方税分には手をつけませんと言っていましたよね。委員長も言っていた。民主党の候補者はみんな言っていましたよ。でも、そんなのはおかしいな、国税と地方税を別に分けてできるわけないと私は街頭で批判していたんだけれども。

 選挙前に言っていたことと選挙後が変わったのなら、なぜ変わったのか、ぎりぎり調整してこうなりましたじゃなくて、やはり、選挙前に我々は控除から手当へ、ここの部分を削って幾ら出てくるからこれを何にしますというのがマニフェストじゃないんですか。選挙が終わって政権をとったら、やはり大変だったことがわかってこうなっちゃいましたというのでは、それは国民に対する説明にならないと思うんですよ。

 だからやはり、もともとの二十二年度の税制改正要望に書いてあるところからずれてきているんだから、ここは政権をとってみて初めてわかる部分もあるし、これまでの野党時代に言っていた政策でそごがあった部分もあるとそれはもう素直に認めて、ここがわかりましたので今後こうしていきますと。

 今度は、では配偶者控除も財源にするんですかと我が党の西議員が代表質問で聞いたら、菅さんは、そんなのは二十三年度の話だからまだわからぬ。これでは国民は、どういうふうに今後恒久的な財源をつくっていってくれるのか全く理解できませんよ。

 ここは、中川さんなんだから、財務省との交渉の中で大変だったけれども、今回は申しわけなかった、今後、反省して二度とこういうことをしませんと言ったらどうですか。

中川副大臣 これは何回も同じことを繰り返すことになるんですが、マニフェストの段階でも、さっき申し上げたように、私たちの党としては税制の構造もしっかり変えていくんだという方向が一つあって、もう一方でこの特定扶養控除の話もあって、調整すればこんな形になるんですけれども、これが一見相矛盾するような形のもので選挙があったということでありますから、それを調整していく過程の中で、何回も言うようですけれども、実質的にはマニフェストを実現できるような形でそれぞれに無償化を図ったということ、ここだと思っております。

富田委員 ちょっとこればかりやっているわけにいかないので、野田副大臣、この件での質問通告をしていなかったんですが、先ほど、中川さんが、一万六千人、約一・四%ぐらいの高校に行っていない子たちへの対応が必要になってくると。これを、議事録を見ましたら、現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討していくというふうに注意書きで書いた、それは感謝しますというふうに中川さんが言っているところが出ていたんです。

 これは結局、最終的に財務省の方で来年度、再来年度の税制改正なりまた予算の中で考えていくようになるんだと思うんですけれども、議事録を見ましたら、主税局長が来年度以降考えますとしか言っていないので、このあたりはどんなふうになっていくんですかね。ちょっと通告なしで申しわけないんですが。

野田副大臣 富田委員におかれましては私の前任の財務副大臣でございまして、御指摘をいただけて恐縮でございますが、今の御質問の趣旨は、一万六千人、要は、すべてに光が当たっていない部分をどうするのかというお話だというふうに思いますが、これは、二十三年において現行よりも負担増となる家計について適切な対応を検討すると税制改正大綱の中で閣議決定されていますので、それを踏まえてしっかり対応していきたいというふうに思います。

富田委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 では、通告の一番最初に戻って、高校授業料無償化の根拠についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 この法案の審議が始まってずっと大臣からは、この法案の趣旨は、家庭の状況にかかわらず、すべての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、公立高校の授業料を無償化するとともに高等学校等就学支援金を創設して、家庭の教育費負担を軽減するものだというふうに何度も御答弁いただいています。

 我が党の西議員が、二月二十五日の本会議でこんなふうに大臣に尋ねました。

  高校の授業料無償化の導入の根拠について伺います。

  文部科学省の平成二十年度問題行動調査によると、中退の理由は、高校生活に熱意がない、授業に興味がわかないといった、学校生活・学業不適応を理由に挙げる生徒が三九%を占めたのに対して、経済的理由と答えたのは三・三%であります。また、授業料の減免と私立高校生の中退抑止の関係について、普通科の生徒には効果がないとの結果も報告されております。

  こうした調査や報告からは、一律に支援すべき根拠が見出せません。どうして一律支援とする内容とするに至ったのか伺いたい。また、その根拠となるような他の調査や研究があるならば、ぜひ示していただきたい。

 なぜ一律支援に至ったのかというのが一点と、その根拠となるような調査や研究があるのかこれを示してもらいたい、この二点を我が党の西議員が尋ねたんですが、大臣は、残念ながらこんな答弁でした。

 本法案の趣旨といたしましては、家庭の状況にかかわらず、すべての意志のある高校生が安心して勉学に打ち込める社会を構築することであります。

  対象となる高校生やその保護者に対して本制度の意義を高校を通じて周知することにより、高校生が、みずからの学びが社会に支えられていることの自覚を醸成し、国家、社会の形成者としての形成を目指して学習意欲の維持向上を図ることとしております。

  また、経済的理由以外の理由で中退を考えている生徒についても、高校に在学を続けることに伴う費用負担が軽減されることによって中退を思いとどまることや、仮に中退しても、再度入学することを経済的に支援することができるものと考えております。

 今聞いていただいてわかるように、西さんの二つの具体的な質問に全く答えていないので、ぜひ答えてください。

川端国務大臣 お答えいたします。

 一律にするというのは、先ほど来何回も申し上げておりますけれども、九八%以上が高校に進学をし、その育った子供たちが社会に貢献している恩恵を社会全体が受け取っているという意味で社会全体で支えるということ、あるいは、国際的に見て、国際人権A規約を含めて、そういう教育の大きなインフラとして経済状態にかかわらず支援をするということを、我々としてはそういう国であるということを目指して、一律、財政的な前提をしないということでございます。

 そういう中で、中退の実態にはお触れをいただきました。それで、確かに経済的理由というのは非常に中退の理由としては少ない。七万人弱の中で二千数百名ということでございますが、その中退の理由を詳細に既に調査されている部分で言いますと、一番多いのが、学校生活、学業への不適応、これが約四〇%、それから進路変更が三三%、それから多い順番で言いますと、学業不振が七%。言いますと、約八割が学校生活、学業に不適応で、学業が不振で進路を変更するということは、要するに、高校にマッチしていないという実情があります。

 そういう意味で、対策としては、中学校の進路指導とか高校への入学の選抜の改善、学力がきちんと確保されるという意味でのことや、単位制あるいは総合学科制等々、いろいろな取り組みが今までやられてきました。それは引き続きしっかりやらなければいけませんが、今回、専修学校の高等課程も私たちとしては無償化の対象にしようと思っております。そういう意味では、多様な学びの中に、高校以外に高校に類するものとして位置づけられる道も、授業料の負担が軽減された中で道が開ける、あるいは、ここが合わない、学業、学校が合わない、学校生活・学業不適応というときに転校をする等々に関しての学費の心配は軽減されるという意味も含めて、これは単に、そこの経済的負担が、じかに学費が払えないから中退する人以外の中退者の原因、八割に上る人が、その学校に合っていない、あるいは、高校をやめてもう仕事をしようという人への幅広い選択にも応援できる仕組みに包含されて効果を発揮できるものと思っております。

 本会議の答弁は、その日のぎりぎりにいただいての国会日程があったことで私自身も答弁にちょっと申しわけなかったという思いがあることは、申しわけなかったと思って反省をいたしております。

富田委員 大臣の人柄が出た答弁だと思うんですけれども、やはり、一律支援の根拠としては私は薄いんだと思うんです。いろいろな学びの可能性があるところに最終的につながっていくんだというのは本当におっしゃるとおりだと思うんですが、なぜ今回、公立高校はもう授業料不徴収、私立には就学支援金を出して一律に支援するんだというここの根拠としては、なかなかすとんと落ちてこないんです。

 これは具体的なこういう調査研究というのもないとなると、もともと野党民主党時代になぜこういう法案を考えたのかな、なぜ高校が実質無償化なのかな、義務教育課程を実質無償化という方が先じゃないのか。まあ、幼児教育無償化というのも民主党のマニフェストには五歳児のところにうたっていますけれども、もっとやるべきことがあるんじゃないか。それを乗り越えても優先課題として高校無償化に取り組むんだという何か社会的な裏づけになる立法事実が本当にあるのかな、そこを疑問に思ったので、西さんは多分代表質問でこういう質問をされたんだと思うんですね。

 今までの委員会の質疑を聞いていても、高校無償化が最優先課題なんだということを裏づけるような社会的事実は私は存在しないと思うんですが、大臣、そこだけどうですか。

川端国務大臣 それぞれの段階、義務教育も含めて、大変大事な役割を担っていることは事実でございます。

 義務教育に関しては、教員の資質の充実と数の充実ということで、予算においては何年ぶりかに実質増四千二百人という教員増ということを手当てをさせていただいて、教育の向上という優先課題の一つにはそういう施策を講じたつもりでございます。

 高校に関しては、先ほど来何度も議論が出ていますけれども、やはり、高校レベルの教育が基本的に社会が支えられている国であるという、教育インフラの前提としての部分の施策をとることによって国際人権A規約をクリアでき得る国となるということが大変大事なことであると考え、何度かの選挙も含めてマニフェストで提示をし、参議院で法律を出し御審議もいただいたという経過の中でございますので、ぜひともに御理解をいただきたいと思います。

富田委員 今のをちょっとうがって見ちゃうと、国際人権A規約の留保条項を外すために何か高校実質無償化の方が逆に出てきたみたいに、そういうふうに聞こえなくもない。

 また、大臣は、実はこの西さんの代表質問に対する答弁で、低中所得者層への重点的な支援をすべきだという問いに対してこんなふうに答えられました。

  本施策は、高等学校等は、その進学率が約九八%に達し、国民的な教育機関となっており、その教育の効果は広く社会に還元されているものであることから、その教育費について社会全体で負担していく方向で諸施策を進めていくべきであることを踏まえて導入すること

としたと。この考え方はそのとおりだと思う。

 ただ、こう言われるなら、なぜ高等学校の私立だけを支援するんですか。小中学校の私立はなぜ支援しないんですか。国民的な教育機関、教育の効果が広く社会に還元、これはもう全く小中学校の私立の学校の方も同じだと思うんですね。

 こういうふうに民主党が考え方を決めたのなら、高校無償化だけじゃなくて、小中学校の私立学校にまず援助するという論法になるのが自然じゃないですか。その点どうですか。

川端国務大臣 お答えいたしますが、その前に、これは先ほど塩谷委員のときにお触れいただいた教育安心社会の実現に関する懇談会の冊子でございます、報告書でございますが、私は、この中に貴重な提言とデータがたくさんあるというので御紹介もいたしました。ここでもやはり教育の負担費というものは、小学校、中学校の負担に比べて高校の負担が世帯的には一九%、二七%と非常に高いという現実があるということも、高校への家計負担という意味では大変大事な政策判断の一つであることは御理解いただきたいと思います。

 それと加えて、今、小中学校への私学の応援もしっかりすべきであるということでございます。義務教育段階におきましては、これはまた建前論というか、法の整理の理屈で言いますと、義務教育でありますから、すべて国が責任を持って、公が責任を持ってその年代の子供は教育をしなければならないし、費用は取ってはいけないということになっております。

 そういう意味で、望む者はすべて受け入れるという体制が整っている中で、諸般の事情がある中で、経済的に困った状況であっても行かざるを得ない人がおられるのは承知をいたしておりますが、制度的には、無償でない私立学校への就学というのは、一つの選択の意思があるというのが前提になっております。

 そういう意味で、その段階を手厚く無償に向けていろいろ手当てをするということは、義務教育の位置づけ、国のすべての子供が望む人は無償で公が責任を持つというところとの対比においては、制度上、そこに手厚くするということの想定をしていないわけでありますが、一方、今申し上げましたように、高等学校教育においては世帯の負担が大変高いのと同時に、ここで育った者が公に貢献しているという成果を得ているということで今回の対象とさせていただきました。

 一方で、私学の義務教育段階においては、教育費の負担を軽減するということで、私立小中学校への経費助成に関する国庫補助、一般補助、授業料減免補助等と同時に、経済的な理由により就学困難な者に対しては、これは公立学校の生徒と一緒でありますけれども、市町村による援助を行っているということで、経済的な背景を含めての部分と私立学校への支援は、一定はさせていただいているという制度になっていることを御理解いただきたいと思います。

富田委員 今ある制度という意味では理解できますけれども、やはり、現状どうなのか。確かに、高校生を持つ親御さんの経済的負担の方が大きいのは事実です。これは、去年のこの委員会で鈴木副大臣の方から、大ざっぱな数字だけれどもということで、高校生は月五十万、幼児教育の方が二十五万ぐらいだという御答弁もありました。

 ただ、文科省の〇八年度の子どもの学習費調査によると、保護者が負担する年間学校費用は、公立で小学校十万円、中学校十七万円、増加傾向にある。

 こういうことを考えると、高校無償化よりも、義務教育、私はまず私立の話をしたけれども、私立じゃない公立の義務教育の完全無償化だって最優先課題になりませんか。親御さんの負担は、小中学校の親御さんも大変ですよ。ここの部分を全く考えないで高校の無償化が大事なんだというのは、ちょっと違うんじゃないかな。そちらの方にも文科省の予算をシフトしていきますよというのが車の両輪のもう一つとしてあるべき姿じゃないかなと思うんですが、その点どうですかね。

川端国務大臣 公立の小中学校の議論でございますが、今も経済的に大変な世帯に対しては一定の支援がされております。市町村がこれを行っているわけですけれども、これの二分の一の補助をしておりますけれども、補助の対象費目を平成二十二年度からは、今まで入っていなかったクラブ活動費、生徒会費、PTA会費等については、要保護及び準要保護世帯に対しては費目を拡大して拡充をしようということでしておりますけれども、御指摘のとおり、非常に厳しい経済状況の中で負担がふえているというデータが出ていることは事実でありますので、引き続き、重要な課題として取り組んでまいりたいと思います。

富田委員 きのうの参考人質疑で、千葉大学の名誉教授の三輪先生がいろいろお話をされていました。憲法二十六条の解釈論から始まって、今は、憲法二十六条の義務教育は無償とするというのは授業料無償説が通説で、最高裁判例もその立場に立っていますけれども、授業料以外のことをどうするかというのは、最高裁判例でも立法政策の問題だと言っていますよ。

 今回、民主党連立政権がこの高校無償化に一歩踏み出したということは、立法政策を大転換したんだというふうに私には思えるんですけれども、それだとしたら、今までの、授業料が無償だから義務教育は無償とするという憲法の規定は守られているんだじゃなくて、もう一歩、やはり義務教育の実質無償化、あるいは、私立であってもできる限り国として支援してその実質無償化に近づくように、そういうところに一歩ぐっと踏み出したのが今回の民主党の立法政策ではないんですか。

 私はそう理解しているので、やはり義務教育課程の完全無償化に向けていろいろなことをやるべきだし、義務教育課程の私立に対しても、今までどおりでいいんじゃなくて、そこからもう一歩踏み出した、本当に親御さんの経済的負担を楽にしていくんだというような考え方に立ってやるのが民主党連立政権の政策だと思うんですが、違うんですか。

川端国務大臣 御答弁する前に、先ほど、準要保護を申し上げました。要保護だけの話であります。失礼しました。訂正させていただきます。

 今言われましたことは、基本的な姿勢、理念は私は全く同感であります。いろいろな財政上の問題等々の困難は、財源も含めて議論すべき、克服すべき課題はたくさんありますけれども、やはり教育は、あらゆる段階においてしっかり充実して人を育てていくということは国の根幹にかかわることであります。私たちは、高校の実質無償化ということで今回法案を提案をさせていただきましたけれども、当然ながら、義務教育段階、高等教育段階、そしてそれぞれに対する国公私の学校、それぞれの立場がありますけれども、それぞれがしっかり学びの場として活躍できるために、文部科学行政としてできる限りの前進を図るという姿勢で我々これから取り組んでまいりたいというふうに思いますので、また御指導をお願い申し上げたいと思います。

富田委員 ぜひここは、これから中長期の問題になると思いますので、与野党かかわらず、一緒に取り組んでいきたいというように思います。

 今回の無償化法案、ちょっと席上に資料を四枚配らせていただきましたが、一枚目の資料一の「私立高校の無償化(施策パッケージ)」、これを文科省から最初に説明していただいたときに、いや、いろいろ考えているな、これだけできたらすごいなと正直最初見たときに思いました。でも、今はもう全然思っていません。全くがっかり、絵にかいたもちそのまま。

 いろいろな手当てができるようになっているんです。特に、家計が大変な二百五十万以下の世帯また三百五十万以下の世帯にいろいろな援助ができるように図と財源は書いてあるんですが、実際こうなっていないですよね。だから、今回のこのスキームは問題なんじゃないかなと思うんですね。

 この委員会でもずっと取り上げられてきましたけれども、地方が単独でやっていた授業料減免、このペーパーでも「平成二十年度実績約二百九十億円」と書いてあります。でも、予算委員会で私が大臣に聞いたら、これはもう二百六十三億、確かに都道府県が縮減してしまっているという御答弁がありました。

 ここももう減っているし、もう一つ、一番このパッケージで問題だなと思うのは、「入学一時金減免補助」の下に「「高校生修学支援基金」の対象事業とするよう検討」と書いてある。「検討」と書いてある。このパッケージを説明されたときは、もうこれはやりますみたいに我が党でたしか文科省の方は説明した。それで、私は予算委員会で、ここの部分、実施要領を変えて、授業料だけじゃなくて、ほかにいろいろ学校納付金でかかるものを入れたり、あるいは、できれば入学金も対象とするようどうしたらいいですかと言ったら、大臣は検討しますで、まだずっと検討して、この法案がもし今後成立して四月一日から施行されたら、このパッケージの中の一番ど真ん中の部分がどんと抜け落ちてしまうじゃないですか。

 こういうのでは、せっかく三千九百三十三億円の大きな予算をとったのに、一番大変なところがどんと抜け落ちる可能性があるんじゃないかな。

 大臣のいろいろな答弁、またいろいろな資料を見ても、各都道府県、授業料減免の予算を減額しました。共産党の宮本さんが何度も質問していましたけれども、プラスになっているのは十一でしたか、三十三減額だと。

 私も委員会で千葉が減額になっているという質問をしたんですが、その後、千葉県の学事課長といろいろ話してみました。この資料の実は三枚目、四枚目に千葉県の資料をつけさせていただきました。三枚目、カラーでありますけれども、現行の方は、授業料減免が全部黄色で、これは単独事業でやっているんです。授業料平均二十七万五千円のところを二百五十万以下の世帯書いてありますので、ここまでしかやっていないのかなと思っていたら、千葉県で例えば私立で四十万の学校があったとして、その親御さんが二百五十万以下の収入だったら、ここまで全部面倒を見ているようです。こういう図にはそれを書けないんです。全額、十分の十補助している、それが資料の四の二番目の「補助額」というところに、「授業料減免額の十分の十」というふうにちゃんと数字として出てくるんですね。

 だから、各都道府県が全部これをやっていてくれれば、今回のスキームで、資料三の下の方、「就学支援金」が下支えをして、その上、黄色の「授業料減免」、ちゃんとここも今までどおりやりますというふうに各都道府県がなっていればいいんですけれども、どうもそうじゃないんじゃないかなと。

 新聞記事で、各県やはり増額しているところ結構あるというふうにありました。都道府県によっての対応が違う。私立の平均の授業料が安い地域は上乗せできるし、施設整備費とか入学金にも使ってもいいというふうに都道府県単独でやっているところも出てきている。だから、これは都道府県格差がすごくついてしまっていると思うんです。

 ここの部分を文科省の方できちんと調査して、これを成立させて四月一日にスタートさせると言うんですから、今まで全額減免してもらっていた子が自己負担がふえるなんということがまさかないだろうな。そこが出てくることが心配だから、各委員はそこの部分を質問するんですよ。

 これは本来もう少しきちんと時間をとって、文科省の方でこういうスキームつくると各都道府県は単独事業の中でここにきちんと上乗せしてくれますか、今までどおりの補助は大丈夫ですかというのを確認した上で法案をつくっていくのが私は工程表のあるべき姿だったと思うんだけれども、とにかく四月一日からやらなきゃならないということで、各都道府県がどういうふうな対応をしているかがわからないままスタートせざるを得ない。ここがもし抜け落ちたらどうするのか。

 各都道府県も今は県議会で予算の審議をしていますよね。その中にどういうふうにしてくるのかが簡単には出てこないと思うんですけれども、各都道府県の議決がどうなるかもわかりませんから、それをきちんと調査した上で、この二百五十万以下の世帯または三百五十万以下の世帯のお子さんたちが今までより何か負担増になるようなそんなもしスキームだとしたら、こんな法案に絶対賛成できないですよ。そこはどうですか、大臣。

    〔笠委員長代理退席、委員長着席〕

川端国務大臣 制度として今まで都道府県が独自の判断で減免をしていただいた部分に、下支えとして一定額が国庫から補助されるということであります。私たちの期待としては、それでやっていた分は全部上乗せをしていただきたいという、これは期待という言葉で使わせていただきましたが、今までやっていただいた分が二百九十億が二百六十三億ということで、トータル減額になっているという数字は事実でございますが、今、全都道府県に確認を既にいたしております。条例でありまして、議会の議決を得るということは当然ありますが、予定としては、今、各都道府県がやっている制度が、今回のことによってその世帯の子供の手当が減ることはもちろん一切ありません。

 そして、年収二百五十万以下では、もともと私立高校で既に全額免除が十三県でありますけれども、今回新たに二十四全額免除ということで、三十七の県が全額免除ということに、十三から三十七にふえる。三百五十万以下では、四県が全額免除であったのが十二県にふえる。五百万程度までの分は一県であったのが二県にふえるということでありまして、基本的には、全額免除もふえることは間違いございません。

 ただ、おっしゃるように、それぞれ差があることは事実であります。これは、今までの減免制度自体のベースが実は相当その地域に応じたということと、正直申し上げて、財政力で差があったことは事実だというふうに思います。

 そういう部分では、今回のことによって間違いなく上乗せはされるということは間違いないから、前より悪くなることはありませんし、かなりよくなる、全額免除されるという部分も一定の所得に関してはふえることは事実でありますが、いずれにしても実態は、一定の額は聞き取りをしながら進めております。

 それと、実施ができましたら、その事情は、もちろん詳細にまたこれからも調べてまいりたいと思っております。

富田委員 上乗せされる、しかも全額免除のところがふえるというのはこの制度のプラスになる部分だと思いますけれども、やはり、できれば全額免除が全都道府県できちんとやっていただけるようにというのが、本来、この三千九百三十三億の使い道だと思うんですね。そこをきちんと調査されて、県の事業ですから指導というわけにもいかないんでしょうけれども、大臣は期待という言葉をずっと使われていましたが、期待を超えてちゃんとやってもらえるようにぜひ調整をしてもらいたいと思いますし、きちんと調査も怠りなくやっていただきたいと思います。

 私、予算委員会のときにも大臣に質問したんですが、塩谷大臣のときにつくった高等学校授業料減免事業等の支援臨時特例交付金、四百八十六億、二十一年度末で五十一億しか使われていなかった。都道府県の担当者に伺っても、二分の一自分たちの負担がある以上、なかなかやはり出しにくいよと。三年間の基金で四百八十六億で、一年目で五十一億しか使われていないわけですから、三年間の基金ですからいたずらに全部出しちゃうというわけにいかないと思うんですけれども、もう少しやはりこの実施要領のところを検討していただいて、使い勝手がよくなるようにやるべきじゃないですか。全額やった方がいいけれども、二分の一を三分の二国の負担でいいとか、いろいろやり方はあると思うんです。

 もう一つ、最初に資料の一で示した入学料検討、この検討をいつまでにやるんですか。ここはもう検討じゃなくて、いつまでにやるということをやはり大臣が御答弁すべきだと思うんですけれども、この実施要領の改定と、この入学金検討というのをいつまでにやるのか、ちょっと御答弁いただきたいと思います。

川端国務大臣 支援基金については、御指摘のとおり地元からさまざまに、もう少し弾力的に、あるいは二分の一の問題を含めて要望がいっぱい出ていることは承知をいたしております。そのために、なかなか使いにくいということで実態が上がっていないことも事実でございます。

 これは、制度上今まで各都道府県でやっていただいた制度の枠を、こういう経済状態だからと超えた分を応援するということなので、制度自体の基礎があるわけではありませんので、それぞれの制度になっているということがあります。

 ただ、そういう中で授業料減免についても、補助制度を拡充するということで二分の一補助ということになっているんですが、そういう趣旨からいうと、法律に基づいたことではなくて、補正予算でこういう基金をつくって、地方に交付して地方の制度を応援するという仕組みでありますので、地方がやる制度を応援するときに二分の一を超えたら、これは地方の制度を応援するという趣旨ではないだろうという整理で、今まで二分の一が限度でなってきたという経過がございます。

 ただ、今回は、今回といいますか、授業料と同等、施設整備費等の減免にも適用できるということでありますし、奨学金に関しても、都道府県の制度にもよりますけれども、基金としての使い勝手は奨学金に関してはかなり幅広であるんですが、受け皿の地方の制度がそれに対応していないということも一つは背景にあります。

 一番課題として残っているのが、入学金等への支援ができないかということであります。二十二年度の入学者からということでいうと、もう本当に迫ってまいります。検討しているばかり申し上げているんですが、これは内閣全体の調整が必要でございますので、それも含めて、今、申しわけございませんが、まさに検討しているということでございます。

 できるだけ早くに結論を出したいと思っているんですが、結論を出すというよりは、実現するということに一生懸命取り組んでまいるということが正しい言い方だというふうに思います。結論だけで言いますと、なかなか厳しいハードルが現在ありますから、何とか乗り越えられるように最大限努力をしてまいりたいと思っております。

富田委員 野田副大臣、ちょっとまた質問通告外で申しわけないんだけれども、今の川端大臣の話を聞いていて、財務省がかなりブレーキになっているんじゃないかなと。基金から出していく仕組みを少し変えなきゃいけない。基金として積んでいるわけで、こういうところを、ブレーキにならないと答弁してくれませんか。

野田副大臣 富田委員にお答えします。

 何かずっときょうこの委員会でヒール役みたいなんですが、とんでもございません。よく大臣とも、あるいは副大臣とも胸襟を開いて議論をしていきたいというふうに思っています。自然体でいきたいと思います。

富田委員 野田さんも優しいから、必ず川端大臣の応援をしてくれると信じていますので。

 大臣、私は千葉県の方に聞きましたら、この授業料減免の事業費は、今回は就学支援金が来たので額としては下げたけれども、現場の方に聞いたら、今やはり親御さんの収入が落ちてきている、今まで対象じゃなかったお子さんたちが三百五十万以下とか二百五十万以下にどんどん来る可能性があるので、そこはもう完全に手当てするんだというふうにやはり県で頑張っているんですね。予算がないじゃないと言ったら、これはもう補正覚悟でちゃんとやりますというようにやはり頑張っている都道府県もいますので、そういったところはしっかり支援していただきたいと思うし、授業料減免事業だけじゃなくて、私立高校の入学金軽減事業補助なんかは千葉もプラスしていますし、私立高校の生徒の奨学金の貸付事業の予算も倍増しているんです。やはりそれぞれの地域でいろいろ考えてやっていただいているので、これは本当に大事なことだなと思いますので、一生懸命頑張っている都道府県はしっかり支援をしていただきたいというふうに思います。

 この関係で高井政務官にちょっとお伺いしたいんですが、二月九日付で、「経済的理由により修学困難な高等学校等生徒への支援について」という通知を政務官名で出されましたよね。私も文科委員会、予算委員会ではずっとこの件を聞いています。これは毎年のようにやられていると思うんですが、これまでは多分局長とか部長級の名前で出ていたんだと思うんです。それを政務官レベルまで上げたということは私は高く評価しますし、二十一年度の一次補正の塩谷大臣のときにつくった交付金もきちんと活用するように、また、卒業時期を控えて、授業料の滞納があって卒業できないというお子さんたちもこれまで出てきていましたので、その分をきちんとこういうふうに通知していただいたのは本当にいいことだと思うので、この通知の趣旨が徹底されるように、ぜひ各都道府県の担当と緊密に連絡をとって、親御さんの大変な状況だということで子供が卒業できないとか学業を途中でやめることのないように、政務官からもぜひ働きかけをしていただきたいと思いますが、どうですか。

高井大臣政務官 ありがとうございます。

 いろいろな方々から、こうした、学費が払えなくて卒業証書がもらえないという大変な状況、ここでつまずくような目に遭うことは大変だということで、いろいろな方から御要望もあり、御党のお力もおかりしまして、御指摘のとおり、二月九日付通知で、生徒とその保護者に対する各種支援施策の十分な周知と、各高等学校等におけるきめ細かい対応をしていただけるように配慮をすることということで、都道府県にお願いを私の名前でいたしました。

 その後、厚生労働省の方におきましても、高校生の授業料滞納に係る生活福祉資金貸付事業というものの対応についても通知をあわせて発していただきまして、二月十五日付の事務連絡で文部科学省からも、この厚生労働省の生活福祉資金貸付事業についても、文科省から各都道府県の私立学校の主管課に対して周知をさらに行ったところであります。

 さらに、委員も御指摘いただいた、卒業に必要な授業料以外の費用もこの生活福祉資金の貸し付けの対象となり得るということの周知や、各学校におけるきめ細かい柔軟な対応を行うということについて、事務連絡によって都道府県の私立学校主管課に対して重ねてお願いしたところでございます。

 私どもといたしましても、設置者である学校の判断が大事ですが、やはり、できるだけ柔軟で、かつ生徒に配慮した対応をしていただけるように重ねてお願いをしてまいるつもりですので、どうかまた御支援の方をよろしくお願いしたいと思います。

富田委員 そこの点は本当によろしくお願いいたします。

 次に、学校の耐震化について質問します。

 これはもう予算委員会でも質問させてもらいましたし、二十二年度の麻生内閣のときの概算要求で、地方の要望枠を活用、また、地方自治体の事業計画を踏まえて耐震化数五千棟を要求しましたが、政権がかわって、十月の概算要求では二千百棟に減りました。その後、行政刷新会議の事業仕分けの結果、耐震化に特化すべきだということで、予算を重点化して予算額を少しふやし、耐震化数も二千二百棟にふやされましたけれども、もともとの要望である五千棟から見ると、二千八百棟が残る形になってしまいます。

 予算委員会で、それまで総理や菅大臣が参議院の予算委員会等で地域活性化の予備費から出すことも可能だという御答弁をされていましたので、その点の確認を求めました。そうしましたら、中井担当大臣が真っ先に手を挙げられて、私がやるということで、文科大臣じゃなくて中井さんが出てきてリーダーシップをとるみたいな話になっちゃったんです。

 ちょっと心配なんですけれども、大臣も最終的に答弁していただきましたのでそこはいいと思うんですが、大臣も、もともとは二十一年度の補正で予定していたものが、耐震診断が間に合わなかったとか、地方のいろいろな事情で最終的にそれが上がってくるのが六月になる。ただ、六月までにやはり事業計画がきちんとしてその予算の裏づけがないと、八月の工事というのはできませんよね。そういう意味で、せっかく予備費の活用とかそういう話が予算委員会等で出てきているのに、今後の具体的なスケジュールの中でそれが本当に実現していくのかなというのが非常に心配であります。

 そういった意味で、きょう、ちょっと野田財務副大臣に来ていただいて、この予備費をどう使っていくんだというところを確認をしていきたいんですが、今申し上げたように、総理も、予備費が活用できる、菅財務大臣も活用できるというふうに答弁されていますし、中井大臣や川端大臣もここは積極的にやるんだという御答弁をいただいています。

 そこで、予備費というのはもともとどういう性格のものなのか、ちょっと財務省としての見解を教えていただければ。

野田副大臣 富田委員にお答えいたします。

 予備費の基本的な性格はどういうことかというお尋ねだというふうに理解をしていますけれども、これはもう委員御承知のとおり、憲法八十七条第一項におきまして、「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。」これがまさに性格そのものだというふうに思います。

富田委員 今のは、例年予定されている通常の予備費が憲法八十七条に規定されているのでそこの御説明だと思うんですが、通常予定されている予備費と、今回、経済危機対応・地域活性化予備費ということで一兆円積まれていますよね。これはそれぞれやはり趣旨とか目的に違いが出てくるんだと思うんですが、そこはどうなんでしょうか。

野田副大臣 今申し上げた予備費はいわゆる一般的な予備費で、平成二十二年度予算でも三兆五千億を計上させていただいております。

 それとは別に今回新たにつくった枠が、経済危機対応・地域活性化予備費として、これは一兆円の額を計上させていただいていますけれども、これはあくまで経済危機対応、地域活性化ということで、景気の二番底などというのはあってはならないというふうに思っていますけれども、厳しい雇用情勢も続いておりますので、緊急に景気対策や経済活性化策とか、あるいは地域活性化策が必要なときにこういうお金を使っていけるように枠を設けているということでございます。

富田委員 今、野田さん、通常の予備費を三兆五千億と言ったけれども、三千五百億……(野田副大臣「三千五百億です」と呼ぶ)そうですね。

 通常とは違う経済危機対応だということでちょっと性格がそこの部分は違うんだと思うんですが、この予備費を実際に使うときにだれが判断するのか、また、どういう基準に基づいて判断するのか。一応、予備費全体として、この憲法八十七条の「予見し難い」というのがかぶってくるわけですよ。そういったものも含めてどういうふうに現実には支出されるんですか。

野田副大臣 御指摘ありがとうございました。予備費、三千五百億円でございました。

 ただいまのお尋ねでございますが、どういうときにこの予備費を使うのか、経済危機対応・地域活性化予備費でありますが。予見しがたい経済情勢の悪化等に対応する、よほど危機的な状況になったとき、あるいは年度内に経費の不足が見込まれる、それから即効性がある、これらのことを総合的に勘案をして予備費を使うという判断をしていくことになると思いますが、手続的にはこれは従来の予備費と同じでございまして、まず、各省各庁の長が理由、金額及び積算の基礎を明らかにした調書を作製して財務大臣に送付をいたします。そして、それを受けて財務大臣が当該要求を調査の上に予備費使用書を作製して、閣議決定を経る、こういう手続を踏むことになります。

富田委員 今の御説明だと、川端大臣の方で、残りの二千八百棟分についてやはり必要なんだと、六月までいろいろな情報が来ると思いますが、それを集めた上で財務省の方に申し出をするようになると思うんです。

 先ほど野田さん、二番底の危機とかそういうのを具体例に言われましたけれども、本当にもう大変なんだというのがなくても、地域活性化というような名目もありますから、耐震化工事というのは、やはりタイミングを逃したら終わりだと思うんです。やはり夏休みしかできませんから、予算委員会でも指摘させていただきましたけれども、六月までに事業計画が出てこないともう来年になっちゃう。

 では、その間に地震があったらどうするんだという話で、命を大切にということを施政方針で二十四回も言われた鳩山総理ですから、ここはぜひ川端大臣の方から財務省とよく調整して、予算が成立したら六月まで待っていないで、もう速やかに財務省と調整して予備費を、二千八百棟分の千七百億程度ですか、きちんと要求してもらいたいと思うんですが、川端大臣、どうですか。

川端国務大臣 ずっとこの問題について、子供たちの学校の安全のためにと適切な御指導いただいていることをまずは感謝申し上げたいと思います。

 総理からはこれまでに、今お触れいただきましたけれども、公立学校施設の耐震化について、平成二十二年度予算の効率的、効果的執行に努めることはもとより、その執行状況を踏まえながら、一兆円の予備費を含む二兆円の景気対策枠の活用も視野に入れて進めたい旨御答弁をさせていただいたところでございます。

 今まで、それと過去においても、当初予算では耐震化の予算は大体同じような額、一千億前後来て、補正で上積みを大幅にされたというふうな経過を大体たどってまいりました。そういう中でありますけれども、先般来、夏休みに間に合うようにと。

 それで、昨年で見ますと、当初予算の部分は成立が三月二十七日で、それから地元の要望を踏まえた部分の内定が五月二十九日で、七月までに契約できたのが六四%弱でした。麻生内閣の一次補正が五月二十九日に通りまして、約二カ月、七月二十二日に内定で、実際に夏休みまでに契約できたのは七%であります。そういう意味では、この期間が非常に生命線になっているということはもう御指摘のとおりであります。

 ただ、私たちとしては、今予算の審議をいただいているところでございますので、予算が通って、効率的に、迅速に、有効に執行するということに総力を挙げて、これは夏休み中に間に合わせたいと思っておりますが、その中で、今おっしゃったように、その後を見越して、経済危機対応・地域活性化予備費というものがあるというときに、そういう趣旨に合うことに入るのではないかという観点から、我々としては、そういうことを総理が視野に入れてとお触れいただいたことも念頭に置きながら、あらゆる機会を通じて、予算確保と実施のニーズの実行に対応できるよう、いろいろな形で努力をしてまいりたいと思っております。

富田委員 予算成立後の話ですけれども、今のように文科省から出てきたら、野田副大臣、ぜひ対応をよろしくお願いしたいんですが、実は、野田副大臣の地元船橋の小中学校の耐震化率、御存じですか。ああ、うなずいていらっしゃる。三七・三%で、千葉県の、全五十六市町村ありますが、最下位だそうですので、ぜひ地元のためにも、こういう文科省から来たときの対応をよろしくお願いしたいんですが、その点どうですか。

野田副大臣 選挙区事情はともかくとして、気持ちはよくわかっております。顔色を見て御判断いただきたいと思います。

富田委員 この関係で中川副大臣、先週、全国市長会の要望を受けられましたよね。市長会のその要望書を見たんですが、やはり首長さんたちは、本当にこれは大変だというふうに考えているんだと思うんです。

 緊急要請ということでやられたようですけれども、ちょっと紹介させてもらいます。

  一昨年発生した中国四川大地震では、学校施設が倒壊・崩壊し、多数の児童生徒等の尊い命が奪われた。その悲惨な災害を教訓として、政府は、地方公共団体に対し公立学校施設の耐震診断の実施と診断結果の公表を義務付け、耐震化事業に係る補助率の引上げ措置等を講じ、学校施設耐震化に積極的に取り組んできたところである。

これは、私も文部科学委員会の理事として各党と共同提案させてもらいました。本当に大事な法案だったと思います。

  また、五千人の犠牲者が出た阪神・淡路大震災から十五年が経過した本年早々、ハイチ大地震が発生し二十万人を超える犠牲者が出たとされているが、その多くは建物の倒壊・崩壊によるものであり、とりわけ、学校施設については、その半数が全壊したと報じられている。

  さらに今般、チリにおいても巨大地震が発生し、多くの死者、被害が出ている模様である。

  こうした地震災害の可能性は、我が国において、刻一刻と確実に高まっており、そのため、学校施設の耐震化は、決して先送りすることが許されない喫緊の重要課題である。

というふうに言われて、

  地方公共団体が平成二十二年度に予定しているこれらの事業が円滑に実施できるよう、所要額を年度開始後速やかに確保するよう、下記のとおり強く要請する。

として、

 一、追加財政措置の対象事業

   耐震化事業のみならず、安全性の確保の観点から老朽化が著しい施設の整備や増改築事業など教育環境の改善に資する事業についても対象とすること。

 二、追加財政措置の規模

   平成二十二年度に地方公共団体が計画している公立学校施設整備事業が円滑に実施できる額を確保すること。

 三、追加財政措置の時期

   多くの自治体が夏休みに工事を予定しているため、これに間に合うよう年度開始後速やかに措置すること。

というふうに副大臣に要望されたようです。

 ぜひこの要望を受けとめて、大臣と共同して財務省の方に積極的に働きかけてこの要望にこたえるようにしていただきたいと思いますが、どうですか。

中川副大臣 私も、各地方自治体がこの問題に対して速やかにその対応を進めていきたいという状況、しっかり把握をさせていただきました。

 先ほど大臣からお話しのありましたように、当初予算の分で見れば、去年よりもことしの方が増額ということになっているんですが、補正予算がこれまでの政権の中で大きく取られて、その補正予算でカバーしてきたというところがあるというこれも現実でありますので、これからの議論の中でその対応というのを考えて、特に、速やかにその予算配分をして夏休みに間に合うようにということについては、最大の努力をしていかなければならないというふうに思っています。

富田委員 よろしくお願いします。

 あと残り時間がもう少しですので、朝鮮中高級学校の視察をしたときのお話をちょっとさせていただきたいと思います。

 委員長にお取り計らいいただいて、委員会で視察しました。そのときに、現場でこういうお話を聞きました。

 校長先生が、御自分たちで教科書をつくっているというふうにお話があったので、どんな教科書ですかという委員からの質問に対してこんなふうに校長先生が言われました。教科書は、北でも南でもなく、在日のための教科書だ。特に、大学受験の関係もあるので、日本の教科書を最大限参考にしているというふうに言われました。

 教科内容がわからないとかいろいろな御批判があるようですけれども、ここの部分は、在日のための教科書だというこの校長の答弁に、私はすごいなというふうにその場でいて感じたんですが、北でも南でもない、何か色分けしないでくれというその校長の思いが伝わってきました。

 お母さん方も大勢見えていましたので、私の方から、地元の公立の学校あるいは地元の私立の学校ではなくて、なぜ朝鮮学校の方に子供さんを遠くから通わせているんですかというふうに質問しましたら、自分も自分の親もここの卒業生だ、民族の歴史、伝統、文化を子供たちに伝えたい、でも、これを教えてくれる場所はこの朝鮮学校しかないんだというふうにお母さんが話されていました。やはり、日本の中で暮らされていてそういう思いを強くされているんだな。このお母さんたちが、自分たちの学校には支援金が出ないんだということに対しては、それは幾ら何でもないんじゃないかなというふうに思われているのは、もっともだと思うんです。

 三月三日に視察に行かせていただいたんですが、その次の日、三月四日、池坊委員と一緒に、朝鮮学校に通っていらっしゃるお母さんや高校二年生の男子生徒、女子生徒一人ずつ、議員会館にわざわざ来てくれたので、懇談会を持ちました。その中であるお母さんが、朝鮮学校に通う高校一年生のお子さんと小学生の子供がいると。今回、民主党連立政権の政策で、小学生の子供には子ども手当が出る。でも、もし今報道されているように朝鮮学校に行っているうちの高校生の子には就学支援金がもらえないというのは、なぜ兄弟で一緒に同じ日本に住んでいるのにこういうふうに差別されるんだ。これはやはり、親子でも兄弟でもどうしても納得がいかないということを話をされていました。

 この三つの話は、ずっといろいろ視察とか面談している中で、やはりこういう気持ちを我々政治家が大切にしなきゃいけないんじゃないかなというふうに、特にこの三点は感じました。

 客観的な基準を大臣の方で決めるというふうにおっしゃっていただいていますので、こういう方に直接会えないでしょうけれども、やはり、そういう思いを持った親御さん、子供さんが一生懸命頑張っている。それで、視察した感覚として、非常に明るかったです。

 新聞報道にもあるように、肖像が二人、各学級にありました。これだけはかなり私自身も違和感を感じました。それも素直にお話ししましたら、小中学校では、いろいろPTAの皆さんと話して外したんだと言われているんです。だったら高校も外せばいいじゃないかと言ったら、やはり、民族として国の創設者というか、そういう方を大事にするというのを一つの教えとしてこういうふうにしているんだ。それはそれとして一つの説明かなと思いました。

 何か言われているようにオープンじゃないというようなことは全くありませんでしたので、ぜひそういったところを考慮して客観的な基準を大臣に決めていただきたいと思うんですが、最後にその点、どうでしょうか。

川端国務大臣 貴重なお話をありがとうございました。

 北だから南だからということでないという学校であると。私たちも、北だから南だからということを判定するつもりはありません。そして、民族教育は、おっしゃるように、民族の誇りと伝統と文化を教えることは、それこそ民族固有の誇りにかかわる非常に大事なことでありますから、それをしっかりやられることにおいては大事なことだと思いますし、先ほど馳委員のときにも御議論がありましたけれども、それをやっているから、やっていないからとか、中身がどうかということも、判断するつもりも全くありません。

 そして、言われるように、小学校の子ども手当が出るのに高校生はどうなのということでありますが、先ほど申し上げましたように、これは、日本に住む親に着目をして、子供を育てているということに対して手当てを出すという子ども手当の制度と、子供が高等学校ないしは高等学校に類する学校に行っているかどうかを判定するという部分の仕組みが違うということは、子供さんにはなかなか理屈として御理解いただけないんだと思いますが、そういう中で、まさに本当に実態がどうかということを超えて、行ったら大体一緒やったよということで判断できないから、どうして客観的なことを担保できるかということを今本当に悩みながら議論しておるのでありますが、そういう実態にあることはお聞かせいただいてよくわかったことは感謝を申し上げたいと思いますし、一生懸命やってまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

富田委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、予定していた質問、十項目のうち六までしかできませんでした。引き続き充実した審議を期待しておりますので。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 昨日の参考人質疑で出された現場の声、学識経験者の御意見も踏まえ、きょうは全般にわたって質問をいたしたいと思います。

 まず、私学への就学支援金について。

 前回、三月五日の質疑で、私が、概算要求時には年収五百万円未満の世帯について支給できるように要求していたものを、二百五十万円以下を二倍に、二百五十万から三百五十万は一・五倍にと切り下げた、これで予算は幾ら削減になったのか、こうお尋ねしたら、川端大臣は、二百六十億円という答弁だったと思います。これは間違いないですね。

川端国務大臣 そのとおりでございます。

宮本委員 私は、この高校授業料の原則無償化の予算、概算要求で四千五百億円から本予算三千九百億円余りへ約六百億円削減したのだと思っておりました。二言目には厳しい財政状況のもと、こうおっしゃいますから、それ相当の予算削減だったのだろうといわば善意で解釈をしておりました。

 ところが、先ほどやりとりがあったように、公立分を就学支援金から不徴収にしたことによって三百十億減った。私立の五百万から三百五十万にあるいは二百五十万へと減らした分は、わずか二百六十億円だということであります。大臣はこの額は小さい方がよいと思われたのかもわかりませんけれども、私の受けとめは逆なんです。

 昨日の参考人質疑でも、日本私立中学高等学校連合会会長の吉田晋参考人は、私立高校生で一番苦しい世帯は年収三百五十万から五百万の世帯だ、こうお話がありました。現場の声は、二百五十万円未満と五百万円未満、無償では大違いだ、こういう声であります。わずか二百六十億円、これくらいの額が何とかならないのかと思うのは私ばかりではないと思います。大臣、そうは思いませんか。

川端国務大臣 二百六十億円が多いか少ないかといえば、大変多い数だというふうに思っております。

 そういう思いを持っておられる方がたくさんおられることはよくわかりますし、私たちも、そこまで可能であれば手当てをさせていただきたいということの概算要求でございましたが、トータルの予算編成の中でかなわないことになりましたので、その部分では私たちが求めていた概算要求からは差がある予算編成になったことは、引き続きこれからの大きな政策、重点で取り組まなければならない課題の一つが残っているというふうに認識をしております。

宮本委員 厳しい財政状況ということを理由にして、そもそも無償化に一切踏み出そうとしなかったのがこれまでの自公政権でありました。厳しい財政状況を理由にするならば、いわば今回のこの政策自身が厳しい財政状況のもとでどうなのかという議論が出てくるわけであります。そこを一歩踏み出したところに現政権の前進面があると私たちは評価しているわけであります。

 事業規模四千億円に比べて二百六十億円。私は、これはわずかと表現したいと思うんですね。大体、毎年三百二十億円という政党助成金を我が党以外の政党が山分けしておられる。この三百二十億円があればすぐにでも五百万円未満の御家庭にまで広げることができるわけでありますから、私たちに言わせれば、こういうものはすぐにやめて五百万円までやるべきだと私どもは申し上げたいと思うんですね。

 やはり五百万円以下というところまで広げる、それでこそ、さすが政権交代をしただけのことはある、前の政権は厳しい財政を理由になかなか我々の声にこたえてくれなかったが、今度の政権はやはりちゃんとこたえてくれるなという話になるんだと思うんですけれども、大臣はそのようにお感じになりませんか。

川端国務大臣 熱い思いで応援していただいて、心強く思います。

 まず、トータルの判断でございますが、私たちは、高校無償化に大きく踏み込んだと同時に、私学に対しても一定の応援をするということまでは踏み込めたんですが、なお一層の部分に大きなまだ目標が残っているというふうには認識をしております。

宮本委員 では次に、留年した場合の就学支援金の支給についてお尋ねをしたいと思います。

 この法案で、就学支援金の支給対象は三十六カ月、それを超えた者に対しては支給しないというふうになっております。なぜ、留年した子供の家庭には支給しない、こうなっているんですか。

川端国務大臣 これは先ほども議論がありましたけれども、公立学校に学ぶ生徒を支援するという部分では、負担の公平さの観点からは、一定年限、すなわち三年間、三十六カ月が高校の年限でありますので、その分に関して支援をするということで、留年あるいは一度もう既に高校を卒業している人ということに関しては、公教育の受けるサービスがほかの生徒に関して負担が異なるということになるので不徴収を原則としているけれども、特別の事情として負担を求めるかどうかは設置者の判断にゆだねるという、ただしという条項の適用をすることにしております。

 一方で、それをしたときに、例えば不徴収のままにしたときの負担は、私たちは、国からの財政手当ての算定基準に入れるかどうかというのが、地方の分を国が負担するのか地方が負担するのかという問題になるというふうに思います。これに関しては今最終的な制度の、政令の精査をしておりますけれども、他の一般の制度に比して多くの支援を受けることになるために、負担の公平の観点から公金算定の対象外とすることを検討しております。

 先ほど来、きのうの意見陳述、委員会でもしていただきまして、馳委員からもお問いがございました。今もございましたが、そういう地方の要請が強くあることはしっかり受けとめて、前向きに検討してまいりたいと思います。

宮本委員 今は実は私学の支援金を聞いたんですが、公立についてお答えがありました。(川端国務大臣「失礼しました」と呼ぶ)

 公立高校を三年間というものを今お答えになりましたけれども、きのう参考人質問でも私は問うたんですけれども、定時制高校で、もとから四年間という課程になっているものについては、四年間不徴収という制度になっていると思うんですね。この三十六月、つまり三年間と決めたものだというわけでもないと思うんです、制度設計上は。そうですね。間違いないですね。

川端国務大臣 そのとおりです。

宮本委員 にもかかわらず、三年を超えたら、留年した場合にはその分のお金を取る、こういうところに何とも胸の痛む状況がある。

 昨日の参考人質疑で、佐賀県の公立高校の場合は、今お話があったように、留年しても不徴収にする、こういうお話がありました。本人にその責がないもの、例えば病気とか不登校とか経済的理由によるものを不徴収にして、高校を卒業した人であっても、社会人として資質を高め、職業的自立に必要な場合は不徴収にするという、理由を聞いて本当に納得のいくものでありました。

 なぜこの佐賀県のような制度設計に国自身がしなかったんですか。

川端国務大臣 病気とかの部分で長期に休まれた部分等々、あるいは場合によっては諸般の事情で休学された部分はこの三十六カ月に参入しないということを前提としておりますので、その部分は、その期間があってもそこは対象というか、あとの部分に、おくれた部分に関して影響はないという制度になっているということでございまして、トータルとしては原則は不徴収。そして、それぞれに特別の事情で、特段のことで、この人たちからはやはり負担の公平性の観点から別段に徴収しようということが制度上できるという仕組みでありますので、それはそれぞれの地方自治体においての判断もあろうかということで現行の仕組みにさせていただいたのが私たちの考え方でございます。

宮本委員 留年という制度は、そもそも制度上は、決められた教育課程を修得しなかったために、修学年限を延ばしてでも教育内容を修得させる、これが制度の趣旨であると思います。実は私も、全日制普通科の高校の出身でありますけれども、留年をして四年間公立高校に通った本人でありますから、その理由は病気や不登校、経済的理由など、それぞれ理由が、さまざまな事情があると思います。そういう子供たちをどう救うのかということが今問われていると思うんですね。

 そこで、ちょっと具体的に事例を聞くんですけれども、例えば私立の高校に入学して一年間通った、ところが、どうしてもその学校に合わないといって中退をし、また別の私立高校に再入学した、その場合の残り二年間の就学支援金は支給されると思うんですが、三年目では授業料を全額払う、支援金の方はそういうふうになりますね。

川端国務大臣 一年行って、また新たに入り直されたというケースということでありますが、これは一応、前の学校の一年と後の学校の二年ということが計算の基本になります。

宮本委員 逆に、公立高校に一年間通った、その公立高校に合わなくて中退をして、別の私立高校に再入学をした、この場合はどのようになりますか。

鈴木副大臣 基本的な考え方は、私立トータルで三十六月ということをベースにしております。もちろん、中退をして新たに入学という事例を今お示しでございますけれども、これは、この制度ができ上がりますと、我々、そのことを目指しておりますけれども、公立、私立問わず、いわゆる転学ですね、転入学、こうしたものが促進をしてほしい、あるいはされるような制度にも資するということでこういうことをやっておりますので、今の個別のお話について言えば、三十六カ月トータルというところで整理をしておりますけれども、基本的には、むしろ転入学を促進してほしいと思いますし、そういうことを応援していきたいというふうに考えております。

宮本委員 問いに答えてくださいよ。

 公立高校に一年間通った、合わなかった、公立高校をやめて私立高校に入り直したら、一体支援金は何年間出ますかと聞いているんです。

鈴木副大臣 三十六月もらえます。

宮本委員 公立から私立にかわった場合は、三十六月、三年間丸々出るわけですね。最初に私学に一年通った場合は二十四カ月でとまる、こういう制度設計なんですよ。余りにもこれはちょっと不整合、不合理なんじゃないですか。

鈴木副大臣 これは、さまざまな議論をいたしました。もちろん、いろいろな御意見があることは我々も承知をいたしておりますけれども、公正というものを、だれとだれの公正をどういうふうにとっていくかという考え方の中で、とりあえずこのような決め方をさせていただいているところでございます。

宮本委員 公正という議論をそんなふうにやると、例えば、なぜそんな大金持ちの家でも無償にするのかとか、高校に行っていない子供はどうなるのかとか、そういう話が出てくるわけですよ。

 私は、この制度はそうじゃないと。大臣が趣旨説明でもお話しになったように、やはり高等学校修了までの費用は社会全体で負担しようと、まさにこの法律は社会政策ではなく教育政策だ、こういう立場でつくられた法律だというのであれば、私は、ここでこういう制度設計にするのは、やはりそろばん勘定が先立ってしまっているということを指摘せざるを得ないんですね。

 生き方を模索している青年が別の学校を選択することは当然あり得ることです。入った学校でそのまますくすくといく子もそれはいるでしょうけれども、そうでない事例も多いわけですよ。その場合に修学保障するのは当たり前なんです。本来、一たんやめて別の学校に入った場合でも、卒業まで社会が責任を持つ、こう言ってこそ、皆さん方の立法趣旨は生かされるわけですよ。ところが、そうなっていない。

 私は本当にここが残念だと思うんですけれども、大臣、そんなふうにお考えになりませんか。いや、大臣ですよ、これは政治論ですから。

川端国務大臣 大きく言えば、高校の部分を、いつ、幾つになって、どんな経歴でも、行けば高校の学びを保障するというのも、一つの考え方としてはあると思います。突き詰めた理念として、非常に広義にとらえれば、我々が考えている部分はそういう理念ではないのかという御指摘の考え方は、突き詰めた議論としてはあり得ると思います。

 ただ、最終的には、政策の執行におけるいろいろな判断の中の制度設計でございますので、今回は、そういう就学時のほかの生徒との負担の公平ということで一定の整理をさせていただいたということで、理念としてのお気持ちは理解をいたします。

宮本委員 そもそも、この問題は制度の根本を問うものだと思います。

 大臣は、改めて言いますけれども、法案の趣旨説明で、高等学校等は、その進学率が約九八%に達し、国民的な教育機関になっており、その効果が広く社会に還元されていることから、高等学校等の教育に係る費用について社会全体で負担していくことが要請されている、こうお述べになって、この法案を出したのだと説明をされました。

 ですから、ここに公平性とかそろばん勘定というものを持ち込めば、やはりこういう不合理なことが起こってしまうわけですよ。一人一人の子供に即して何カ月分の支援を受けたかをわざわざ掌握して、そしてどこかで切るというようなことは、かえってコストがかさむんです。昨日の佐賀県の教育長も、留年しても不徴収とした方が事務経費も当然安くなる、こうおっしゃっていましたよ。だから、そういうことをむしろしない方が、やはりこの制度もシンプルになるわけであります。

 改めて聞きますけれども、大臣、この制度は教育を受ける権利を保障するための制度なのか、それとも、単に父母の経済的負担を軽減するための制度なのか。つまり、社会政策なのか教育政策なのか。教育政策だと思うんですが、間違いないですね。

川端国務大臣 基本的には、高校の部分の、先ほど御紹介いただきましたように、社会全体が負担するという教育政策として制度を理念的に構築し、あわせて、当然ながら、いろいろな部分での施策としての効果は各般に及ぶことは事実でございます。

宮本委員 そうであるならば、やはり佐賀県のような方向で国の制度設計も改善していくべきだということを申し上げたいと思います。

 あわせて、これは馳議員も先ほどおっしゃったことでありますけれども、昨日、佐賀県のこの教育長さんは、これにより超過負担が生じた場合には、国の責任において補てんしてもらいたい、こういうふうにおっしゃっておりました。この声にはこたえる必要があると思いますが、改めて大臣の見解をお尋ねいたします。

川端国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、地元の実情に応じた生のお声としての切実な要望があることは受けとめて、前向きに検討してまいりたいと思っております。

宮本委員 次に、高校無償化の財源として特定扶養控除の十八歳以下の上乗せ分を廃止する問題をお尋ねしたいと思います。

 先日の質疑で、文部科学省が行った試算をもとに、まるで影響がないかのような議論が行われておりました。これはとんでもない話だときょうは言わなければなりません、先ほど富田議員もそういうふうにおっしゃっておりましたけれども。

 多くの家庭で、所得税、住民税合わせて三万円以上の増税になる、文部科学省の試算は全日制高校に通う家庭を対象にしたもので、定時制、通信制、特別支援学校の高等部、こういうところに通う場合などが対象になっておりません。

 川端大臣は本会議の質疑で、私の「通常の授業料よりも低い定時制、通信制や特別支援学校に子供を通わせている家庭や、そもそも高校に通っていない子供を持つ家庭では、増税による負担増だけが残ります。」この問いに、「御指摘のように、授業料徴収額が低廉な学校種や高校に通っていない子供を持つ家庭においては、高校の実質無償化による便益より、特定扶養控除の縮減による負担が大きくなることはあり得るものと認識をしております。」と、この問題点は既にお認めになりました。

 そこで、個別に問題を聞いていきたいんです。

 そもそも、高校に通っていないし就労もしていない子供を持つ家庭は、増税による負担増だけになります。特定扶養控除の上乗せ部分を廃止する十六歳から十八歳の子供で、高校などの学校に通っていない、就労もしていない人は何人いるのか。この世帯ではほとんどが増税による負担増になると思うが、この人数についてお答えいただけますか。

川端国務大臣 御指摘のとおり、特定扶養控除の対象となる十六歳から十八歳までの者で、高校に通学せず就労もしていないものについては、特定扶養控除の見直しに伴い多くの世帯で負担増となるものと認識していますが、正確な全体数は把握できておりません。

 平成二十一年度学校基本調査速報では、高校等に進学していない者は一万六千人、平成二十年度、生徒指導上の諸問題の現状という数字では、高校の中退者というのは六万六千人でありまして、高校に進学していない者というのは、一学年の人数、要するに一学年で一万六千人ぐらい進学していないという数字でありますので、全体でどれぐらいかという数字ではありません。場合によっては、その何倍かするということなのかもしれません。中退しているということでは、そういう状況であります。

 それから、特別支援学校の高等部については、約五万人の生徒がおりまして、ほとんどの公立学校においては授業料不徴収としていて、徴収している学校においても授業料が低廉であることから、特定扶養控除の見直しに伴い、多くの世帯で負担増となるものと認識をしておりますが、全体数ということでは、今申し上げた約五万人生徒がいるということで、実際にどの人が負担増になるかというところまでは把握できておりません。

 また、公立の定時制高校については約十一万人、通信制高等学校については約九万人の生徒がおりまして、これらの学校種については授業料が低廉であることから、特定扶養控除の見直しに伴って、多くの世帯で負担増となるものと認識しています。

 数字的には、まずは以上でございます。

宮本委員 全部を答えていただきまして、ありがとうございます。順々に聞こうと思っておったんですけれども。

 一万六千人、これは一年分の人数であって、毎年毎年これだけの方が進学しない、また中退者が六万六千人出ておるということですから、これだけでも相当な人数に上ると思うんですね。

 あわせて、今お答えがあったように、特別支援学校に通う子供は五万一千五百人というふうに出ております。そのほとんどは公立の学校でありまして、東京都は低廉な授業料を取っておるようですが、東京都を除く道府県では既に不徴収という状況であります。

 国立の特別支援学校を調べてみましたら、年額四千八百円ということですから、これはもう本当に低廉な額になっております。

 こういう御家庭は、今御答弁あったとおり、負担増だけが残ると想定されるわけですね。

 そして、その次に、公立の定時制、通信制高校に通う子供、これが十九万人余り、先ほど十一万人と九万人とお答えになったでしょうか、足し合わせれば二十万人になるということでありまして、授業料は、公立の定時制で年額三万二千四百円、通信制の高校、年額六千二百四十円、これも授業料不徴収となっても、プラスになるのは三万円とか六千円ですから、増税の影響をもろに受けるということになるわけですね。

 これは相当な数が増税の影響を受ける、つまり、これまでの議論でいうと、高校に行っていない子供を持つ家庭、働いていない子供を持つ家庭、ごく例外的な、ごく特殊な家庭というイメージで論じられてきたけれども、そうではない、これは相当数に上るというふうに認識すべきだと思いますけれども、その認識はおありですか。

川端国務大臣 今申し上げましたように、今回の制度で、むしろ便益が下回るというんですか、そういう世帯が、先ほど言いましたものは少ない数字ではないことは事実でございます。

 ただ、この特定扶養控除の見直しの影響は、国税は平成二十三年度分から、地方税で平成二十四年度分からでありますので、今すぐ、例えば皆さんの御理解を得て四月一日から実施したとしても、二十二年度においては直接的にまだ影響はなくて、二十三年度に国税、二十四年度から地方税という若干のタイムラグがございますので、そういう意味で、先ほど答弁をほかからいたしましたけれども、十二月に閣議決定された税制改正大綱で、「現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討します。」ということで書かせていただいた部分は、こういう数があることを念頭に置いての閣議決定だと理解をいたしております。

宮本委員 なるほど、実施は来年、再来年ということになるんですね。だから、今回決めて、要するに、参議院選挙までに高校の無償化の方は始まる、しかし、増税の方は参議院選挙の後になる、こういうことになるわけですね。

 しかし、来年度、再来年度で国税、地方税を上げるというところまでは、これはもう決まっているわけですよ。これから決めようというんじゃない、もう決まったわけですよ。上がることは、時期は先ではあるけれども、決まっているわけなんですね。それだけに、来年までに何とかするというけれども、何をするのかが明らかにならなければ、これは本当に、だれも納得いかないと各会派から意見が出るのは当然のことだと思うんですね。

 そこで、私が特に指摘したいのは、定時制の高校においては、既に授業料の減免率も全日制に比べて高いんです。それでも授業料が払えない滞納者も多い。授業料の不徴収で、授業料が払えないという問題は解決されるでしょうけれども、授業料以外の負担が多く、経済的に困難で学業をあきらめざるを得ない子供たちが多いんですね。そういう子供たちの家庭に増税の負担増のみが押しかぶさるというような結果になっては大問題だというふうに思うんですけれども、それは大臣、おわかりになっていただけますね。

川端国務大臣 まさにおっしゃるとおりのことでありまして、そういうことが当然想定をされるということがあるから、税制改正大綱においても、その記述を、もう繰り返しませんけれども、「適切な対応を検討します。」という文言が明定をされて、閣議決定をされているわけです。

 したがいまして、実際にそういう家計に影響が出るのが二十三年末でありますので、あと一年半、もう少しありますか、ということまでに、文部科学省の立場でこうこうするという直接のことが今申し上げられませんけれども、趣旨はこういうことを、無償化をやることによって、それに関連する政策判断も含めて、特定扶養控除の圧縮が行われたら高校へ行っている人たちが大変な目に遭ったということは起こしてはならないという認識のもとにやっていることだけは、はっきり申し上げておきたいと思います。

宮本委員 この前の審議でも、高校無償化と特定扶養控除見直しの影響試算例という文科省の資料が配られておりましたけれども、こういう資料を出して、全日制の高校に通う家庭への影響だけを試算して、負担減になるというような議論をやられたら困るんですよね。同年代で学校に通えず、就労もしていない子供を持つ家庭、特別支援学校に通う子供を持つ家庭、定時制、通信制に通う子供を持つ家庭など、こういう家庭への影響こそ深刻なんですから。

 先ほど、人数はそれぞれ出ましたけれども、しかし一体それがどれだけの数になるかというのは実はつかんでいないという話もありました。まず、こういうところをしっかりつかんで、他の例も試算をして影響を明らかにすべきではないですか。そういうことを直ちにやるべきじゃないですか。いかがですか。

川端国務大臣 実態の正確な数字等々を把握することは、世帯の収入等々を含めてなかなか難しい問題がありますけれども、こういう事態が生じるということが想定をされている部分の御指摘はありますので、そのことに関しては、いろいろな方法で実態把握と、それから、これからの対応を含めて講じてまいりたいと思っております。

宮本委員 ところで、増税は私立高校に通う子供を持つ家庭にも影響する、こういう認識はございますか、大臣。

川端国務大臣 既に授業料を全額減免されておられるものについては、特定扶養控除の見直しに伴って、その分だけ便益が益ではなくなるという事態が生じるということになることは認識をいたしております。

宮本委員 そのとおりなんですよね。既に先ほどの文科省がお示しになった資料でも、四県で既に年収三百五十万円以下の家庭で全額免除を実施しているわけですね。これらの御家庭は、新たに授業料の就学支援金による全額免除を受けても、今全額免除なわけですから、何らプラスにはなりません。そうなると、この所得層では、就学支援金の制度が始まっても便益は何もなく、ただただ三万一千円の増税だけになる、特定扶養控除の縮減による増税だけが残る、こういうことになります。

 先日の質疑で鈴木副大臣は、愛知県の例を出して、年収三百四十万円から六百万円以下の家庭では、授業料減免の支援として、今年度二十万五千二百円から来年度二十二万九千二百円に、年収六百万から八百三十万円以下の家庭では、支援額が今年度十四万六千四百円から来年度は十七万四百円になると説明し、「愛知県におきましても、私立高校生への支援が現在より充実をいたします。」と力説をされました。

 この計算では、年収三百四十万円から八百三十万円の全世帯で、いずれも二万四千円のプラスになります。実は、この所得層の特定扶養控除の見直しによる増税額は、三万一千円から六万二千円と試算されております。これでは、せっかく二万四千円プラスになっても、実は特定扶養控除の見直しによる増税額の方が上回る結果になるのではありませんか。いかがですか。

川端国務大臣 先ほどと仕組み的には同じことが、逆に愛知県のように非常に広範に手厚く今まで減免をしていただいていたということが、一部は高校の実質無償化による便益よりも、特に所得の高い人まで応援をしようという制度をとればとるほど、特定扶養控除の圧縮による便益の減というんですかに伴って、こういうことがあり得るというふうに、それも認識をしております。

宮本委員 ですから、この前の、鈴木副大臣の答弁を聞いて安心をいたしましたと言ったのは間違いでありまして、とても安心できるような話ではないんです。

 私はこの問題、地方が努力をして支援を広げても、国が増税をするから結果として負担増になる、これは国の責任で解決をしなければならないというふうに思います。

 このように、増税による負担増は、決して例外的少数ではないんですよ。多くの家庭に影響を及ぼすことは明らかなんです。高校などの学校に通っていない一万六千人、毎年一万六千人、そして中退者六万六千人、そして特別支援学校に通う約五万人、定時制、通信制高校に通う十九万六千人、そして私学に子供を通わせる少なくない御家庭でも負担増になる、これは重大な問題だと思いますね。

 この間の答弁は、「現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討します。」こういう税制改革大綱の文章を繰り返し読み上げていただくだけなんですけれども、もうこの答弁ではだれも納得できない、増税だけ決まっているわけですから。

 この適切な対応とは一体何なのか、どのように担保するのか、この中身を具体的に川端大臣にお答えいただきたい。お願いいたします。

    〔委員長退席、笠委員長代理着席〕

川端国務大臣 申し上げているように、二十三年末がリミットでございますので、先ほど言われました、実態も調べろという御指摘でありましたが、実態もなかなか掌握するのが難しいという部分であると同時に、考え方として、いわゆる基本的な、その世帯に対して授業料がかかることに対して国及び地方の支援として応援してもらう分を便益と考えて、それに控除の圧縮に伴って増税される部分という差を見るのか、今受けている便益に対してマイナスになるのかということの議論も、論点としては必ずこういう税の問題は出てくることだとは思います。

 そういうことを踏まえながらでありますが、高校に進学していない人、それから中退者、それから定時制、通信制などの学費の比較的低廉なところに行っている人、それから特別支援学校の高等部に通う生徒は、明らかに制度としてそういうことになるということはもう、低所得者に対しては想定をされております。

 そして、同時に、今言われた人たちの部分がどういうふうな実態であり、どういう考え方を整理するかということがこれからの議論になるというふうに思っておりまして、そういう部分を含めて、まさに先ほどからの、二十三年末までということでありますので、またいろいろな情報を踏まえて判断をしていきたいというふうに思っております。

宮本委員 いや、判断をするというだけではさっぱりわからぬわけでありまして、先ほど中川副大臣も、文部科学省だけではどうにもできない問題だ、こういう御答弁もありました。なるほど、これは川端大臣に幾ら聞いても、税制をどうするかという話はお答えようがないと思うんですね。

 だからこそ、私どもも、本委員会に鳩山総理に出ていただいて、鳩山内閣として、目玉と言われるこの政策によってこんなふぐあいが生じている、しっかりどういう対策をとるのかということを答弁していただかなきゃならないと思っております。

 私どもも鳩山首相の本委員会への出席を求めたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

笠委員長代理 ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

宮本委員 次に、昨日の参考人質疑でも大きな論点となりました、授業料以外の学校教育費の負担の問題で問いたいと思います。

 本会議でも触れましたけれども、文部科学省が調査した子供の学習費調査でも、公立高等学校の学校教育費は年間三十五万六千九百三十七円、授業料部分がたとえ無償化されてもなお二十四万円ほどの負担が残ります。私立高校の場合は、学校教育費は年間七十八万二千九百五十三円と出ておりますから、就学支援金が支給されても六十六万円もの負担が残ります。

 昨日の参考人質疑でも、今後、残る部分への支援をお願いしたいとの声が続出しておりました。

 これらの負担を軽減するためにどのようにするお考えか、お聞かせいただけますか。

川端国務大臣 御指摘のように、経済的理由によって修学困難な高校生がたくさんいることは現実にあります。

 そういう中で、すべての都道府県において高等学校の奨学金事業を実施していただいているのは御案内のとおりでございまして、高校無償化後の経済的理由により修学困難な者の通学費など授業料以外の負担については、引き続き、この高校奨学金の部分は当然制度としては残りますのでやっていただくと同時に、先ほど来議論にありました修学支援基金が授業料のほかに施設整備費の減免にも活用できるということで、これをできるだけ活用してほしい、使い勝手が悪いという御指摘がありましたけれどもできるだけ使ってほしいということと同時に、我々も弾力的な運用ができるように取り組みをしてまいりたいというふうに思います。

 同時に、やはり、基本的に子供に対しての授業料の負担が減るという意味では、トータルの教育費の中でその部分が軽減されるという意味では、一定の軽減がされることは効果はあることは間違いないんですが、さらにもっとということは、ベースからいうと、一段階進んだときにもっとありますよという位置づけのときに、いろいろな今までの諸制度の活用を十分にできるように、あるいは使い勝手がいいようにということと同時に、私たちもやはり給付型奨学金制度というのを念頭にいろいろ議論を今までやってまいりました。これが大変重要な課題だと認識をいたしておりますので、今後ともに、経済的理由により修学困難な高校生に対する支援の充実、そういうことを視野にして議論をして取り組んでまいりたいと思っております。

宮本委員 給付制奨学金の制度というものを視野に入れて検討する、頑張りたいという御答弁は評価したいと思います。

 昨日も参考人が述べておられましたけれども、通学費の負担も非常に大きい、小中学校と違い、身近に通える範囲に高校があるわけではなくて、統廃合の影響もあって遠距離通学となっているという話でありました。

 日本高等学校教職員組合が行った二〇〇九年の修学保障のための調査では、通学費が年間五万円以上かかるところがほとんどで、長野県などでは六十八万円もかかるという例が報告されております。通学費が払えなくて学校をやめたというような例もございます。昨日の参考人質疑では、青森県の場合、下宿させるということもあるという話が出されておりました。通学費への補助も具体的に検討すべきだと思います。

 それで、今お触れになった給付制の奨学金でありますけれども、今年度の概算要求でもひとまずは給付制の奨学金ということを皆さん方もされたわけですね、結局予算に実りませんでしたけれども。そういう点では、来年目指して、これはまさか、ことし概算要求で要求したものが来年はもう概算要求でも要求しなくなるというようなことは恐らくなかろうと理解しておりますが、そういう方向で御努力いただけますね。

川端国務大臣 まだ来年度の概算要求はまさにこれからの議論でございますが、私たちがことし要求をしたことは事実でございますし、この委員会の議論も、そういう給付型奨学金の事業が大変重要で必要な状況にあるという御議論があることもしっかり認識をしておりますので、そういうことを基本にしてこれから取り組んでまいりたいと思っております。

宮本委員 時間ももうなくなってきましたので、最後に私学助成についてお尋ねをいたします。

 公私間格差の問題をこの間取り上げてまいりましたけれども、この公私間格差の解消を進める上で、私学助成も充実をさせなければなりません。私学助成を充実させて私学の授業料そのものを軽減するということが大事だと思います。昨日の参考人質疑でも、そうでないと就学支援金が措置されてもその分授業料値上げをする学校も出るという話でありました。経常費補助を増額して対応しないとそのようなことになりかねないと思いますけれども、大臣、私学助成増額への御決意をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 我が国の高校生の約三割は私学に通っている、そういう意味では高校教育の重要な一翼を私学が担っていただいているということは現実だというふうに思いますし、それは我々としても評価をいたしておるところであります。

 そういう意味で、私学助成は、そういう役割を担っていただいている私学の教育条件の維持向上、私学経営の健全性の向上に重要なものであって、仕組みは、私学助成は都道府県でございますが、大変重要であるというふうに思っております。

 国においても、平成二十二年度予算案においては、私立高校等に対する私学助成は、国庫補助は前年より四十億減額いたしましたけれども、地方交付税措置、使い道は地方に任されているとはいえ、その分の相当分として百一億円増額ということで、合わせて、私学助成相当分の国庫からの地方への支出は四十億マイナス、プラス百一億ということで、増額をさせていただきました。国の財源としては拡充をするということで対処したと同時に、財源措置においても生徒一人当たりの単価についても増額をいたしました。

 そういう意味で、私学が大変大きな役割を果たしているという役割にかんがみて、私学助成を初めとする私学振興には、少子化の時代ということで大変厳しい経営環境にあることも承知をいたしておりますので、引き続き私学振興に取り組んでまいりたいと思っております。

宮本委員 国庫補助金を四十億円削減するというのはひどいと思うんですね。今地方交付税の措置と合わせればという話がありましたけれども、国庫補助金で減額というのは十六年ぶりですからね。これは、こういうときに私学助成が国庫補助分で減っているというのは、本当に父母にも不安と懸念を広げるものだと言わざるを得ません。

 それで、高校以下の私学助成は、一九七五年の制度創設以来既に三十五年が経過をしております。毎年多くの私学関係者、教職員、父母の粘り強い運動もございまして、助成額は少しずつであるが拡充をされてまいりました。近年は他の教育予算が自公政権のもとで削減をされるという状況がありましたけれども、その中でも助成額を維持してきた分野であります。

 私学助成は本来経常費の二分の一をというのが皆さんの切実な願いなんです。しかし、現実は、私学助成部分で経常費に占める割合はわずか五・四%、地方交付税措置を合わせても三二・五%でしかありません。まだまだ距離があるんですね。やはり目指す方向として経常費の二分の一助成を実現するのが当然の課題だと私は考えますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

川端国務大臣 先ほど来お答え申し上げておりますように、私立高校の果たしていただいている役割は大変重要であるということにかんがみて、都道府県を通じてでありますが、国は私学助成を行って、都道府県に対する財源の措置を行っているところでありまして、これはトータルとしては増額をさせていただいたというのは先ほど申し上げたとおりでありますが、御指摘のように、三分の一程度になっておるのが実態でございます。

 関係者の期待としては二分の一という強い御要望があることも、長年の経過も承知をいたしております。そして、私学の建学の精神、自主的な部分と公のかかわり方という部分で二分の一が一つのリミットということの議論でもありますが、長年の経過の中でふえていない。できるだけ何とか手当てをしたいということはありますが、トータルの財政事情の中でこういう経過をたどっておりますので、私学助成の充実を図るとともに、私学関係税制の充実等々の側面的支援というんですか、こういうことも総合的な支援策を通じて行ってまいりたいというふうに思っておりますので、引き続き私学の振興に努めてまいりたいと思っております。

宮本委員 きょうは私学の就学支援金問題から留年問題、特定扶養控除、給付制奨学金、私学助成に至るまで全面的にお伺いをしてまいりました。

 世界の多くの国々で高校教育の無償化に向かう中で、我が党は一貫して高校教育の無償化を求めてきましたけれども、今回の法案は一歩前進であり、基本的には賛成であります。だが、きょう指摘したとおり、留年した場合にどうなるのか、特定扶養控除の廃止によって広く負担増が押しつけられるのではないか、あるいは公私間格差が広がるのではないか等々、まだまだ多くの国民の不安や懸念は決して払拭されていないことも事実だと思います。国民が心から歓迎できるよりよい制度にするために、一層徹底した審議を求めて私の質問を終わります。

笠委員長代理 次に、城内実君。

城内委員 城内実でございます。

 昨日の参考人質疑に続きまして、無所属であるにもかかわらず、二十分も私に対しまして時間をいただきましたことをきょう御列席の委員の皆様に心から御礼申し上げます。(発言する者あり)はい、頑張ります。

 まず、いわゆる高校無償化法案という本題に入る前に、川端大臣に、バンクーバー・オリンピックの結果ですが、スポーツ振興担当大臣として、私は日本選手団全員よく頑張ったと思うんですが、結果は銀メダル三、銅メダル二で、合計五個。それに対して、ロシアが金メダル三、銀メダル五、銅メダル七で、合計十五個とったにもかかわらず、大問題になって、責任者がやめるやめない、そういうことだったようですが、やはりスポーツ振興というのは官から民じゃなくて、国を挙げて国費をふんだんに使って、何といってもこれが日本国民の元気のもとですから、そういった観点で、ぜひこの点について大臣の御所見をまず伺いたいと思います。

川端国務大臣 オリンピックが終わりまして、残念ながら百分の二秒で金メダルに届かなかった、金メダルとはかくも遠いものかと改めて思いましたけれども、選手の諸君はみずからの力を最高にパフォーマンスしてくれたということで、それぞれの思いとしては悔しさを込めて次を目指すという頼もしい意欲も含めて、多くの感動を国民に与えてくれたと思いますし、大きく言えば経済的にも大変大きな貢献をしている、そしてスポーツを通じての、諸外国との国民の意識の、要するに国際親善も含めて大きな効果があり、そして日本人としての誇りも醸成するということでは大変大事なものだと考えております。

 そういう意味で、厳しい経済状況であっても積極的に支援するという施策をずっととってきたというふうに思っておりますし、一部報道等で仕分けで何かスポーツ予算はカットしたのではないかという誤解が広まっておるのでございますが、スポーツ関連予算は過去最高額を確保し、とりわけ国際競技力関連予算、要するにオリンピックを通じた国際的な競技の部分ということでいえば二十七億円、二割増の百六十三億円の国際競技力強化ということで、これは単にそのスポーツのメーンアスリートの競技を強化するということ以外に、お医者さんとか栄養士とか用具とか、そういうことまで幅広く総合力を発揮するようなチーム「ニッポン」マルチ・サポート事業、これは去年の六倍、一気に六倍くっつけるということを含めて、これからも今まで以上にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

城内委員 大臣のお言葉、本当にありがとうございます。引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 これはお答えいただかなくて結構ですが、また機会があれば質問したいと思うんですが、うわさで日本選手に不利なルール改正がいろいろな競技で行われているということも指摘されております。これはうわさというか、そういう指摘があるということなんですが、この点についてもまた機会があれば質問させていただきたいというふうに思います。

 それでは二つ目の質問ですが、先般札幌地検が北海道選出の小林千代美議員に任意聴取を要請したという報道がありましたが、この事件についての大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 検察当局が小林千代美議員に任意の事情聴取とかいう報道があったことは承知していますけれども、この事情聴取の件と事件の中身に関しては、検察当局のことでありますので、直接コメントする立場にはありませんが、少なくとも教育にかかわる団体が逮捕者を出したということ、そしてその逮捕者の中には元教員が、元ですが含まれているということを含めて、教育現場に関係するところで容疑を受け、逮捕者まで出したということ自体は極めて遺憾なことであり、あってはいけないことだということでありますし、教育現場に不安と混乱、そして心配等々を与えていることは極めて深刻な問題だというふうに思っております。

 私たちとしても、直接この団体を管理監督するという立場ではございませんが、いろいろ報道されているところで、教育現場において問題がなかったのかどうか、そういう疑念も呈せられておりますので、北海道教育委員会、札幌市教育委員会にいろいろ報道されたことの事実関係の有無を含めて調査するように要請をしているところであります。

城内委員 私は、これは非常に残念な事件だと思っております。というのは、私も小林千代美議員と同じく四年間頑張って、苦節四年で当選させていただきましたけれども、これで連座制で失職するということは、私も小林議員の立場に立つと非常に胸が張り裂けるような気持ちなんですね。

 私は、やはり悪いのは北教組じゃないかと。と申しますのは、このずさんな裏金というか、一部報道では、北教組が三十年間、主任手当の返上という形で、私、外務省におりまして、プール金事件というのがありましたけれども、外務省もびっくりのプール金五十五億円というのは何なのかなという感じがします。これは、もちろん国民の税金で使われた給料の一部をプールしてみたいな話ですから、ちょっといかがなものかなと。

 今、大臣は直接の管理監督をしている立場ではないと北教組についてはおっしゃっておりますが、今、民主党政権は政治主導ということをおっしゃっているわけですから、よもや日教組の下部組織である北教組が支援団体だから物が言えないというんじゃなくて、やはりここは政治主導ということで、強く教育行政のトップとして指導していただきたいなと私は思います。こういう悲劇的な事件が二度と起こらないようにしていただきたい。

 同時に、私も一期自民党議員でありましたので関係があるんですが、今はないと私は信じておりますが、自民党が与党時代にゼネコンから裏金をもらってという話もありましたね。あれだって、公共事業という国民の血税で裏金をもらって、それを後援会活動、選挙活動、そしてまた労組丸抱えという言い方がありますけれども、それは自民党だって企業、団体丸抱えで選挙をしているようなこともある。私から言うと、どちらも反省していただきたいなと。では、おまえは何だと言われたらあれですけれども。

 いずれにしても、そういったものをお互い見直して、もちろん参議院選挙の場合は企業、団体が中心になるというのはもう仕方がないと思いますが、これはぜひそういった観点で、私も一時期自民党におりましたし、民主党にいたらそういう団体の支援を受ける可能性も高いわけですから、そういう意味で、ぜひ、今だから言えることだから言っているんですけれども、その点をよく考えていただきたいなというふうに思っております。

 もう一点、本件について申し上げたいことがあります。

 北教組が、竹島の領有権問題について、北教組の機関紙で、我が国あるいは島根県が竹島の領有権を求める行為は、日本の侵略、植民地支配を正当化する不当極まりないものであると強く非難して、それが韓国の朝鮮日報にその旨のやりとりが記載されたということが言われておりますが、これが事実だとしたら、どこの国の団体なのかなという感じがいたします。

 さらに、北教組は、国旗の掲揚、国歌の斉唱を強制することに反対する取り組みということでマニュアルをつくって、学習指導要領に反するようなことをやっているということですが、これについて、ぜひここでこそ教育行政のトップである大臣が声を大にして指導していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 前段、まさに政治とお金の部分に関して、委員ならではの立場での分析をいただいて、なるほどなというふうに思いましたが、いずれにしても、こういうことが本当にあってはいけないというのは残念であると同時に、二度と起こしてはいけないという立場で、厳しく現実を調査し、適切に対処し、教育現場がしっかり守られるように、信頼が回復されるように取り組んでまいりたいと思います。

 そういう中で、今御指摘がありましたが、竹島は、歴史的事実に照らして、かつ国際法上も明らかに我が国の固有の領土である、これは我々の一貫した日本政府の姿勢でございます。

 そういうところで、学習指導要領でも、領土問題については、我が国が正当に主張している立場において指導要領に書かれ、学校教育現場において適切に教育されるようにというのが文部省の基本的な一貫した方針でございます。

 そういう中で、今御指摘の部分は、要するに、北教組が自分たちの組織の職場討議資料という形でそういうことの資料をつくられたというふうに承知をいたしておりまして、何かかた苦しい建前論みたいになるかもしれませんが、それぞれの任意のこういう団体がその中で何を配り、何をやられようと、基本的にそれを私の立場でどうこうと言う立場ではありません。

 ただ、これが教育現場に持ち込まれることは許してはいけないことであることは間違いございません。

 そういう意味で、北教組に対しては、北海道教育委員会としては、新しい中学校指導要領で竹島が明記されましたし、この後は高校においてもまたそういう解説が出ますから、それの周知徹底を図っておりますと同時に、今私たちが確認しているところでは、学校においての指導状況で、道内すべての学校で今御指摘のような中身を教育現場として行われたという事実は把握をいたしておりません。

 また、国旗・国歌に関しましても、これも指導要領で、しっかりととうとぶ姿勢と、それから式典等においての掲揚や君が代を歌えるようにということを指導要領で指示しておりまして、ほぼ九九から一〇〇%、式典においての国旗の掲揚と国歌が流れているということは事実でありますが、実態において適切にしっかりやられるようにというのは引き続きしっかりと地元の教育委員会で徹底されるように、我々としては連携をとってまいりたいと思っております。

    〔笠委員長代理退席、委員長着席〕

城内委員 ありがとうございます。

 教育現場に持ち込まないという今大臣のお言葉をいただきましたので、ぜひお願いしたいと思います。やはり政治的中立性というのは、教育現場、まさに子供や親の観点から大事だと思いますので、その点はぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 次に、ちょっと飛びまして、朝鮮高級学校を就学支援金の対象、適用除外するかしないかについて質問させていただきたいと思います。これが最後の質問になります。

 私は、基本的には、きのうの参考人質疑でも申し上げましたように、ドイツで十年暮らして、幼少時もおりまして、大学もドイツの大学に留学しておりましたが、ヨーロッパなどは、外国人であるとかないとか関係なしに分け隔てなく教育をする機会を与えてくれるんですね。これは非常にいいことだと私は思います。したがって、外国人学校についても、一定の要件を満たすのであれば当然適用すべきだと思っております。

 また、私は、朝鮮学校だから個別でねらい撃ちにするべきではないと思いますが、しかし、では、朝鮮高級学校、いわゆる高校ですね、そこでどのような教育が行われているのかというと、やはりそこはしっかり調べていただきたいなと思います。

 ちなみに、私の手元にある「正論」という雑誌の一九九二年四月号、そこに、朝鮮学校で金日成科目というのがあって、これはいわゆる道徳の科目なんでしょうか、金日成主席様の個人崇拝を繰り返し繰り返し述べている。そしてまた、南の韓国に対する南朝鮮革命をせよみたいなことを子供たちに教えておりまして、そして、刑務所に送られて処刑する直前に金日成万歳というようなのが国語の教材に使われている。これは十八年前のことですから今はもうそんなことはしていないということとは私は思えないんですね。余り変わっていないと思います。

 そもそも、これは民族によって差別するというんじゃなくて、教えている中身が、逆に言うと、何か金日成を崇拝する人じゃない人は人ではないと逆に差別の助長をしていますし、個人崇拝を強制しているという意味で、憲法が保障する思想、信条の自由に反する教育を行っているという意味で、さらに、多様な価値観も認めない。ここまで来ると、私は、別に民族教育はやってもいいけれども、限度を超えているんじゃないかなと。

 これは、国民一般の感情として、国民の税金を使っている、それをそんな教育に使われたらいかがなものか。例えば破壊活動防止法だって、あれは極力使っちゃいけない、伝家の宝刀だ、しかし、オウム真理教とかああいう団体に限って、何十年に一回というんでしょうか、そういうこともあってもいいんじゃないかと思うんですね。基本的にはやらないけれども。

 もう時間がありませんので、これもぜひよくお調べになっていただいて、やはり政治主導というキーワードを使っていらっしゃるんですから、公安調査庁の人が暇で暇でしようがないといううわさも聞いておりますので、ぜひそういうことで大臣の前向きな取り組みをお願いしたいと思います。

川端国務大臣 今回のいわゆる無償化法案の中で、高等学校以外の専修学校、各種学校に関しては、専修学校に関しては高等課程のもの、それから各種学校は基本的には高校の課程に類する課程とみなせないけれども、外国人学校は専修学校になれないという部分で例外的に認めるということで、先生おっしゃいましたように、それの一定の要件を、どういう項目をどういう方法で判断するのかということを、今、省令で定めるべく、皆さんの意見を聞きながら議論をしているんですが、冒頭お触れになりましたように、朝鮮学校だからという仕切りをするつもりはありません。

 同時に、制度上、客観的に評価できる仕組みということをぜひともにつくりたい、整理をしたいということでありますので、今おっしゃいました実態の話、あるいは国民の感情の問題、あるいは外交上の配慮等々を客観的判断に組み込むということは前提としていないことは、制度上の問題ということではぜひとも御理解をいただきたい。

 中身の実態に関してのいろいろな、この前御視察に行かれたいろいろなこともきょうはお聞かせをいただきました。今の「正論」に載った記事もお触れいただいた。いろいろな議論があることも、我々は教育を担当する立場として、教育の実態のいろいろな部分ということでの参考にはなりますが、今回のことに関しての物差しとしては想定していないことは御理解をいただきたいと思います。

城内委員 もちろん、国際人権規約等もありますので、特定の民族だけを何か不当に差別するような印象を諸外国に与えるということは外交上も非常にまずいわけですから、やはりきちんと調査して、こうこうこういう理由で教育内容が余りにも常軌を逸しているからという、何かそういった基準を設けていただいて、これは別に朝鮮高級学校だけではなくて、ほかにもそういう学校があれば適用除外にしても問題ないと思いますので、ぜひその点をよろしくお願い申し上げます。

 以上をもちまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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