衆議院

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第8号 平成22年3月17日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十二年三月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君

   理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君

   理事 笠  浩史君 理事 坂本 哲志君

   理事 馳   浩君 理事 富田 茂之君

      石井登志郎君    石田 勝之君

      石田 芳弘君    江端 貴子君

      小野塚勝俊君    川口  浩君

      城井  崇君    熊谷 貞俊君

      後藤  斎君    佐藤ゆうこ君

      瑞慶覧長敏君    高井 美穂君

      高野  守君    中川 正春君

      平山 泰朗君    牧  義夫君

      松本  龍君    湯原 俊二君

      横光 克彦君    横山 北斗君

      吉田 統彦君    遠藤 利明君

      北村 茂男君    塩谷  立君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      永岡 桂子君    松野 博一君

      池坊 保子君    宮本 岳志君

      城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       川端 達夫君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   文部科学大臣政務官    後藤  斎君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            徳永  保君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       泉 紳一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           山田  亮君

   文部科学委員会専門員   芝  新一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  牧  義夫君     小野塚勝俊君

同日

 辞任         補欠選任

  小野塚勝俊君     牧  義夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長金森越哉君、高等教育局長徳永保君、科学技術・学術政策局長泉紳一郎君及び厚生労働省職業安定局次長山田亮君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤利明君。

遠藤(利)委員 おはようございます。自民党の遠藤利明です。

 先日の委員会、私は大変残念な思いをいたしました。公私間の格差あるいは地域間の格差、そして何よりも判断基準がまだ明確でない、こんな中で強行的な採決をされた、大変遺憾に思っております。

 こうした問題、やはり一つ一つの政策をお互いにこの場でしっかり議論しながら、国民の皆さんが納得できる、そんな形でぜひこれからの委員会審議も、また議事運営もしていただきたいと御要望をさせていただきたいと思います。

 さて、きょうは科学技術について幾つか質問をさせていただきます。

 文部科学委員会になって、昔は文教委員会と科学技術委員会があったんですが、一緒になってからなかなか科学技術の議論がこの委員会でされなくなってしまった。日本という国はまさに科学技術立国でありますが、その議論がこの委員会でなかなかされなくなってきた。場合によっては、きょうは科学技術をやりましょうか、そんな日があってもいいのかなと思いますし、きょうは、そんな意味で、少ない時間でありますが、科学技術について少し質問をさせていただきます。

 まず最初に、昨年の秋に事業仕分けがあって、次世代スーパーコンピューター、いわゆる通称スパコンと言っておりますが、世界で一番でなくても二番でよいのではないかと。大変驚愕をいたしました。

 どんな技術であれ、あるいは、まさに競争の激しいこうした科学技術の世界で、常にトップを目指していくことが世界をリードできる技術を持つ。しかし、最初から二番でいいなんというのは、大体そう思ったときには五十番か百番の世界になってしまいます。

 実は、先日もお話ししましたが、スポーツもそうですが、やはり一番を目指してようやく、金メダルというのはなかなか大変でも、二番、三番、あるいは入賞。しかし、最初から二番でいいですなどというのはあり得ないんです。それと同じように、科学技術も、最初から二番なんていったら、全部特許をとられちゃいますよ、相手にされませんよ、そういう感覚だと思うんです。

 スパコンは特許の問題ではありませんが、こうした一番でなくて二番でよいなんという感覚、大臣は、まさに大学院で、科学技術といいますか、研究した技術者として研さんをされたと思いますが、こうした考え方について、大臣、どう判断をされますか。まず、お伺いしたいと思います。

川端国務大臣 科学技術の分野に高い関心を持って御質問をいただき、ありがとうございます。

 オリンピックの例を出されましたけれども、参加することに意義はあるとは言え、やはり金メダルを目指すということがより高い技術を身につける最大のモチベーションだと私も思っています。銀メダルをとった浅田真央ちゃんが、悔しいと、だから次は絶対ソチで金メダルを目指すんだ、あるいは、銅メダルだった加藤選手が、絶対に次には人類初の三十三秒台を私は出すんだということは、やはり一番を目指すという高い目標を持っているからこそ進歩するという意味では、そのこと自体は大変大事だというふうに思っております。

 仕分けのときに、一番でなければいけないんですかと言われたということが随分話題になりました。趣旨としては、いろいろな思いがあったんだと思います。納税者の見方から見たときのある意味率直な質問をされたのかもしれませんが、一番を目指さなくてもいいということではなかったのではないかなというふうに私は思っておりますし、スパコンの件でいいますと、世界の科学技術の進歩の中で、計算を速くする、多方面にできるという道具をどれだけいいものを持っているかというのは、開発力に圧倒的差がつきます。

 そういう意味では、ツールとしての世界最高レベルのものを持つということはどうしても欠かすことができない。それはもうトップクラス、今、大体動作が一・七ペタぐらいのものが、目標は十ペタですから、数十倍の能力のものを世界の中で一番初めに持って、技術開発の競争力でリードしたいというのも一つあると思います。

 それから、やはり、一番になるということは金メダルですから、その技術力の背景にあるトータルの総合技術力の周辺技術の進歩と同時に、ビジネス的にも非常に大きな意味がある。

 ただ、一番を目指すという中で、本当に瞬間でもいいから一番ということにこだわるのか。そのレベルを目指していくということの結果は、例えば金メダルを目指したけれども結果は銀メダルだったというのはちょっと違いがあって、何が何でも、瞬間でも、一瞬だけでも金メダルをとろうという要素が少しあったのではないかという議論は確かにありました。

 そういう中で、もう一つの私たちの視点としては、一番いいものをと目指してやることでナンバーワンは引き続き目指すものの、それを使いやすくするということがツールとしての重要性ですから、日本でせっかくつくるものが、日本じゅうの多くの研究者が共有して使えるようなシステムをつくるという、世界に先駆けたオンリーワンシステムというものと、両方目指していこうというふうに今回やり方を変えましたけれども、いずれにしても、国民的議論になったことは非常にありがたいことでありましたし、私は、技術は常に、やる以上は目標は世界で一番を目指すことは当然だと思っております。

遠藤(利)委員 今、大臣から、納税者の立場からそういう思いもという話が出ましたが、発言されたのは国会議員でありますし、納税者の立場というよりも、仕分けをするわけですから、まさにプロとして発言をしなきゃならない。そんな意味では、大変軽率なのか、あるいはそういう思いがないのかわかりませんが、私は大変判断の違う発言だったのではないかなという思いをいたしました。

 同時に、今大臣から、そのレベルを維持するという話がございました。確かに、レベルを維持するというのは大事なんですが、しかし、それは最後におっしゃったように、世界一を目指したからこそレベルを維持できるわけでありますが、今回、平成二十二年度、二十三年度、合わせて百十億円削減しました。結果的に、平成二十三年十一月が当初の十ペタの目標達成時期だったわけでありますが、平成二十四年六月までに変更をした。

 結果的に、これはお互いに競争ですから、目指してもなれるかどうかわからないわけでありますが、もう既にアメリカは二十三年度中には十ペタを達成できる。そうすると、少なくとも当面はナンバーワンになるということはあり得ない、想定しない予算を組んだわけでありますが、今大臣は目指すとおっしゃいながら、もう既に現在の、今回百十億を削減した予算でもう目指さないというふうになったわけですが、それはどんな理由でそうした形の予算を編成されたわけでしょうか。

川端国務大臣 御承知のように、現在、世界最高レベルが約一・七ペタ。十ペタが一兆の一万倍という一京ですので、一・七ペタ、日本の分は百八十テラですから、それの十分の一ぐらいのもの、ツールとしてはまだそのものしか持っていない。

 そういう意味では、十ペタのレベルのものは、今あるものの約五十倍の能力のものを世界じゅうが競って開発をしている。そして、それを手に入れた人は、その道具を使って、いわゆる科学技術の商品開発、あるいは地球の気候分析含めてあらゆる分野で圧倒的な優位に立てる、そういうことでありますから、そのものを持つことには、最大の努力は引き続きやっていく。

 しかし、今までその予定だったんですが、どうもアメリカが、おっしゃるように、向こうの計画を前倒しして、日本の計画を抜くことを想定した加速をしたということのようであるから、日本はそれに負けずにもっと加速をしようという予算の積み増しをしました。

 しかし、それであっても、何カ月かだけ一位ということですぐ抜かれる可能性があるというときに、相当加速をするために巨額のお金をつぎ込んで、瞬間タッチ的に一位を目指すということにこだわり続けるという選択と、それは間違いなく手に入れるという、そのレベルは世界最高、少なくとも世界で一、二のレベルのものを確実に手に入れると同時に、それを本当に使い勝手よく、日本じゅうの人たちが有効に活用できるようなコンピューティングシステムをつくるということとセットにするのと、どちらがお金を使うのにいいだろうかという議論の中で、後者を選んだということであります。

 アメリカもそれを予定しているけれども、その予定が、金メダリスト候補が必ず金メダルをとるとは限りませんので、今でも一位を目指していることは間違いがないし、そういう状況であることを御理解いただきたいと思います。

遠藤(利)委員 大臣は目指したいとおっしゃいますから、どこかで再度チャレンジをしていただけるのかと思いますし、結局、圧倒的に今、科学技術の世界はまさにオンリーワン、すべて総取りになる可能性が強い、そういう技術社会ですから、なおさらその意味でも、やはりそういうことを目指すことが大事でありますし、そしてもう一つは、理屈だけではなくて感情もあるんだと思います。研究者の皆さん方が、おれたちは世界一のものをつくるんだよ、つくったんだよ、そういう自信だったり、それから、そういう皆さん方の気持ちが次の技術開発につながっていく。そういう意味でも、私はやはり改めて、きょうはこれ以上申し上げませんが、そうした思いでぜひ取り組んでいただきたいと思いますし、百十億といえば、高校無償化は四千億ぐらいありますけれども、所得制限だ何だかんだで、そうやってもっとつくれるんじゃないか。

 それからもう一つ、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築。今、使いやすいようにという話がありましたが、これは予算を見ても、全体としてそう大きな額じゃないんですね。ですから、そこはやはり物の考えようですから、まさにそうした頂を目指す、そんな気持ちでぜひこれから取り組んでいただきたいと思っております。

 さて、そういう中でもまた、平成二十二年度の科学技術の予算が減少している。とりわけ文部科学省の予算、平成二十一年度は二兆三千四百十三億円。そして、当然その後、補正予算が六千五百六十二億円、執行停止が二千百二十八億あったわけでありますが、しかし、今年度当初予算は、昨年度の当初予算よりマイナスの二兆三千二百三十六億円。

 大臣も所信の中で、「科学技術は、資源の乏しい我が国にとって、国家の将来がかかる重要な柱です。」そうおっしゃっておりますし、また、ここに、昨年十二月二十五日に出されました、ポスト第三期科学技術基本計画における重要政策、「我が国の中長期を展望した科学技術の総合戦略に向けて」、この中でも、「はじめに」という項目で、「科学技術無くして我が国の立国は無く、国を挙げて、科学技術の振興を強力に推し進めるとともに、それらを基盤とする国際競争力を確実に培っていかなければならない。」そしてまた、「おわりに」「二〇〇九年九月に発足した鳩山政権は、「科学技術の力で世界をリードする」」こんな書きぶりで、報告書といいますか、政策の概要が出ているわけでありますが、それにしては、スタートから科学技術の予算が減ってくる。どうも違うんじゃないかなという思いがいたしますが、大臣はどういう思いでこの減額予算に取り組まれたのか、お伺いしたいと思います。

川端国務大臣 鳩山内閣が九月十六日にスタートをいたしました。そのスタートからの基本方針として、今、先生御紹介いただいたように、まさに科学技術立国であり、科学技術をもって世界をリードするということと同時に、その後の成長戦略の基本構想においても、科学技術の基礎的な研究が成長戦略を支えるプラットホームであり、そして、その四つの柱の中の二つが環境、いわゆるグリーンイノベーションと、命、ライフイノベーションというこの二つのいわゆるイノベーションに位置づけをしたということで、当然ながら、科学技術がそのもとにあるという認識のもとにスタートいたしました。

 そういう中で、一番初めに内閣として行った部分が、予算編成と同時に第二次の今年度の補正予算でございます。そういう意味で、補正予算において、前倒しのことも含めて、例えば低炭素社会構築に向けた研究基盤ネットワーク、いわゆる地球環境を含めた低炭素社会に向けた研究基盤ネットワークの整備で百四十億円、あるいは地球環境観測の推進ということで五十一億円等々、合計三百一億円、科学技術の補正を組ませていただきました。

 そういう意味では、御指摘のように、確かに、二兆三千二百三十六億円というのは、二十一年度当初予算比百七十八億円減なんですけれども、鳩山内閣として取り組んだという前倒しも含めた二十一年度の第二次補正を含めますと、百二十三億円増になるわけであります。

 私の気持ちとしては、トータルとして、内閣スタートからすぐにその部分を着手してやり出したというふうに思っていますと同時に、やはり、環境とライフというものにウエートを置いためり張りのある予算、それから、これからのいろいろな仕分けや行政刷新の議論の中でも出てきておりますし、やりつつあります効率化の問題。有効にお金を使うということを含めて重点化と効率化を図る中で、より科学技術がしっかり推進できるように、これからも引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。

遠藤(利)委員 確かに、第二次補正予算で三百一億円計上されておりますが、実は、先ほど申し上げましたように、第一次補正予算、去年の五月でありますが、六千五百六十二億円を計上して、そして、鳩山政権ができて二千百二十八億円執行停止をした。

 この補正予算もいろいろ考え方がありますが、景気対策という意味合い。それを、鳩山内閣も一たん執行停止したけれどもまた景気対策を、そういう意味ですから、全体として三百一億あるから昨年より多いなというのは、どうも理屈には合わない、ぴんとこないんですね。

 ですから、そんな意味を含めて、どうも、文部科学省の予算、たしか平成十六、七年から一回、若干減った時期がありますが、しかし、国全体の科学技術関係費、開発費といいますか、二十七年ぶりぐらいに今年度予算は減額をしたのではないか。

 川端大臣は総合科学技術会議の担当大臣になるんだと思いますが、科学技術が世界をリードする、まさにそうした日本の科学技術が戦後の日本をつくってきた、そういう意味で、少し、民主党政権、ばらまきと言うと皆さんいろいろ違うと言いますが、現実に、子ども手当やあるいは高速道路の無料やそうした直接給付に重きをなして、もらった人は一瞬いいんだと思います、しかし、日本という国が、ここリーマン・ショック以来貿易黒字額あるいは経常収支は減っておりますが、それでも貿易収支で大体十兆円ぐらい、経常収支と合わせて年間二十兆円近い利益を生み出してきて、それが戦後日本の豊かな社会をつくってきている。それが、今投資を怠っていったら、まさに資源のない日本ですから、これから何年後、ましてやこれだけ赤字国債をどんどんふやされている民主党政権の皆さんですから、収入は出てこない、しかし借金はふえていく、こんな社会が来たら、我々は子供や孫に到底責任が持てないのかなと。

 そういう意味で、少なくとも、本来でしたら米百俵の精神でありますから、子ども手当やあるいはそうしたものについては少し我慢してもらっても、ここは科学技術にしっかり投資をしていこう。民主党政権になって成長戦略が全然ない。何かつけ焼き刃みたいなペーパーがありましたが。そうした思いで、しっかり大臣、ここは科学技術に対して、将来の日本ということを考えてぜひ御努力をいただきたいと思います。

 もう一点、同じように、産学官の連携事業、これは事業仕分けで廃止をされました。そのコメントを見ておりましたら、例えば、「基本的な政策の戦略を練り直すべき。クラスター、集積はこのレベルの事業規模では成果が生まれない。」とか「地方大学救済のためなら別途予算を要求すべき。」とか、地方の科学技術というのは単なる地域の振興策であって、そんなのは必要ないんだ、そのレベルでは全く意味がない、こんな発言もこの事業仕分けであるんですね。

 しかし、地方のそうした大学あるいは研究機関の開発でも世界を目指している分野というのはいっぱいあるので、そういう意味で、地域の大学が、どちらかというとこれまでは大学は独立独歩で地域とは関係なかった、しかしやはり地域の企業と、幾ら中小企業であっても世界を目指す企業はいっぱいあるわけですから、そうしたところと連携をしっかりやっていこうというのに、廃止というふうな形になってしまった、どうもそこら辺はかなり違うなという気が私はいたします。

 そこら辺について、結果的に産学官の連携事業は全部廃止したわけではありませんが、例えば、大学等産学官連携自立化促進プログラムなんていうと二十九億から二十六億ですよ、それからイノベーションシステム整備は百六十億から百四十億ですよと軒並み減額をされているんです。さっきの大臣の話でも、何かこれも違うのかな、そんな感じがするんですが、この産学官連携事業、何でこうやって減額をされたのか、お伺いしたいと思います。

川端国務大臣 今の問いの前に、内閣府特命担当、科学技術政策と兼務をさせていただいているということもありまして、科学技術の文部科学省における予算は、補正云々という議論はありますけれども、当初予算でいえば減額になったことは間違いございません。

 そういう中で、二十二年度の政府予算の中で科学技術に関係するものということでいいますと、科学技術振興費、これは一般会計の中、それから一般会計中のその他の科学技術関係費、それから特別会計中の科学技術関係費、これが科学技術予算の総項目に当たるというふうに思っております。

 そういう中でいいますと、文科省と農水省と総務省は減額になりました。一方で、防衛省と厚労省と経産省のこの費目に当たるものは増額で、トータルとしては、平成二十一年度当初予算が三兆五千四百四十四億に対して二十二年度予算は三兆五千七百二十三億ということで、二百七十九億、国の総予算の中の科学技術関係費という意味では増額しているということはぜひとも御理解をいただきたいと思っています。

 そして、産学官の連携でございますが、非常に成果を上げていただいているところ、御苦労いただいているところ、なかなかうまくいっていないところ、いろいろ濃淡があることは事実であります。

 したがいまして、仕分けのいろいろな議論もありましたが、産学官が地域において連携を強化して成果を得ていくことは地域振興等にも資すると同時に極めて大事な政策であるということは、一貫して今までもやってこられたことの認識は私も一緒の認識を持っております。そういう中で、新成長戦略においても産学官連携の活用については記述をし、これが経済の成長に大きく資するという認識を共有しているところでございます。

 そういう中で、仕分けについて、いろいろな実態の部分も含めてもっと効果的に見直すべきではないかという意見も出てまいりました。そういう意味で、今までの事業を新しく展開するということで、一つは、環境、エネルギー等の社会に優先度の高い技術課題について、これは大学でやることですけれども、いわゆる基礎研究段階から産と地域、産学が対話をして連携を深めて、基礎は大学、そして後の出口の方は民間、産ということを、基礎の研究が出てきた段階から連携をして発展をさせていくという。今まではどちらかというと、何かが出てきたときに、一緒にこれは産が協力しようかというふうなことが多かったんです。もっと進んで、基礎からしっかりやろうということでの知のプラットフォームということで、産学競争の場を構築しようというのが一つ。

 それからもう一つは、本当にこのことを事業をしようということは、当然ながら、新しく起業する、ベンチャーを起こすということを想定しながら大学もやらなければいけない。そこがどうしても、研究は研究、商売は商売という部分で、連携のより効果的なことを含めるには資金の問題も含めて取り組むべきだということで、研究成果を実用化につなぐための産学共同研究に総合的な支援ということで、ベンチャー設立に向けた研究支援、大学と企業の共同研究のマッチングファンド等の、成果の実用化に向けて総合的に研究を支援するということで、よりきめ細かく、より現実に即した、より効果が上がる形での産学官の連携を構築していくことに重きを置いた予算の仕組みにさせていただいたところでございます。

遠藤(利)委員 時間がありませんからこれ以上議論がなかなか進まないんですが、さっき数字があった、科学技術全体で三兆五千七百二十三億円にふえましたよというんですが、これはたまたま厚労省のいろいろな法人等が、今までは厚労省の予算だったのが今回は独法になって、トータルとして総合科学技術会議に、政府関係予算に入ってきた。それがおよそ七百億円ぐらいあるというんですが、実質的にはマイナスなんですね。数字上はふえているんですが、ただそれを独法の予算に入れちゃったというだけの話で。ですから、そこについては再度見ていただきたいと思っております。

 時間もありませんので、第四期になると思うんですが、新しい振興計画についてお伺いしたかったんですが、第四期の科学技術基本計画については後日お伺いすることにして、一つだけ。

 大臣、この所信の中でも、理科や数学の好きな子供をふやすと。どうするとふえるだろう、これはずっといろいろ我々も取り組んできたんですが、たまたま数年前に、副大臣をしておりましたときにオーストラリアに行きましたら、クエスタコンという大変ユニークな施設がありました。これは、日本が補助をして、そして子供たちが大変楽しみながら科学を理解できる。日本の未来館やいろいろな施設よりももっと気軽に楽しめる、そして理解できる。一つの建物からさらに全国に拠点があって、学校にトレーラーを持っていって、学校で見せてくれる。大変楽しい、我々大人でも楽しく、浮き浮きするような施設なんですね。こうした日本の施設というのは、少し専門化し過ぎて難しくなっちゃうんですね。もっと子供にわかりやすく、そういうふうな施設も必要でないかなということが一点。

 それからもう一つは、小学校で理科好きの子供をつくろうと昔から言うんですが、それで専科教員を入れようなんてしますけれども、なかなか難しいんですね。なぜか。実は、私は前から不思議に思っていたんですが、学校の先生を目指している人というのは大体文系の人なんですね。たまに理系の人もいますが、大半文系なんです。

 ちょっと調べてみましたら、小学校の先生で中学校の理科や算数の免許を持っている人というのは、全体で理科は六・九%、算数で五・八%。ですから、全体で一割ちょっとしか算数や理科の得意な先生がいないんです。その人が小学校で教えるわけですから。もちろん、取らなかったといっても中には十分できる人がいると思うんですが。特に女性の先生、理科は四・五%、算数は四・九%。

 我々が学校に、現場に行きますと、小学校の一年生、二年生、三年生というのは女性の先生が多いんですね。これが悪いというんじゃないんですが、理科や算数が得意でないというか余り得意でない、そういう先生方がやはり小学校の低学年。それが原体験になるはずなんです。ですから、もう少し小学校の低学年に理科あるいは算数を楽しく教えてくれる、そのためには、受験もそうでしょうし、大学の教員養成もそうした観点からぜひ考えていただきたいと思うんです。

 こういう小学校の、あるいは子供の理科あるいは算数をどうやってこれから好きにさせていくか、原点をつくっていくか、そんなことについて最後に大臣からお伺いして、質問を終わらせていただきたいと思います。

川端国務大臣 大変大事な御指摘で、子供が理科というか自然科学を、あるいは算数もそうなんですが、そういうことに、不思議だな、おもしろいな、楽しいな、びっくりしたなということから、どうしてなんだろうということが学びの原点だと思います。

 そういう意味では、先ほどの未来館のお話もありましたけれども、そういう立派な最先端のものが展示してあるところも大変大事な役割でありますが、おっしゃるように、幅広く、そういうことがあまねくいろいろなところでという部分では、もっともっと工夫もあり、我々としても、ハードからソフト、ヒューマンというのは、まさにそういう原点に立って、これからの子供の関心を引くような機会をふやしてまいりたいと思っていますのと同時に、先生においては、おっしゃるように、小学校の先生で理科や算数の免許を一緒に持っている人は六・九%ぐらいしかおられない。

 私、今、先生の御質問を聞きながら、十数年前に同じ趣旨の質問を委員会でしたことがありまして、小学校の先生になるというと、志望としては文系コースになって、できるだけ算数と理科に近づかないように選択科目を選びながら、受験科目も避けながら、最低の部分をやるということだという。調べたら、ちょっとしか勉強しなくてもなれるんですね。ということは、得手不得手の部分でいうと、余り得意でないという人が、理科っておもしろいでしょう、不思議でしょう、楽しいでしょうということを教えるのに余り得意でないのかなと。

 そういう部分では、いろいろな支援教員の配置とか、そういうことを含めてと同時に、やはり一生懸命勉強してそういうことがおもしろいなと思っている人も先生としてたくさんおられることも大変大事だと思っていますので、そういうことも、またいろいろな御示唆もいただきながら取り組んでまいりたいと思っております。

遠藤(利)委員 どうもありがとうございました。終わります。

田中委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 先般、私は北教組の問題を質問させていただきました。政治と金、そして選挙、あるいは選挙と金、そして労働組合と選挙、さらには労働組合とお金、こういったものが教育の中にいろいろな形で入り込んでくるならば、これは大変な日本の教育になっていく、そういう危惧を持っての質問でございました。

 その後、最近になりまして、これは教組とは違いますけれども、民主党の福岡三区の藤田一枝議員の資金管理団体が、自治労系の政治団体から七百万円の寄附を受け取り、政治資金報告書に記載していなかったという問題が新聞を通して明らかになりました。

 労働組合からの献金、そしてその額の多さに私たちは驚きます。北海道の小林千代美議員も、北教組から千六百万円の違法献金でありました。私たちの金銭感覚からすれば考えられないことでありますし、さきの選挙、民主党は、鳩山マネー、そして小沢マネー、そして労働組合マネー、この三つのマネーでやはり戦われたんだなということを改めて思い知らされるところであります。しかも、労働組合の官公労の場合には、そのほとんどが税金でありますので、これは国民にとっては納得のいかないところであります。これからやはり厳しく対処をしていかなければいけないというふうに思います。

 多額の献金がいかに怖いか。それは、そのことで政治家の言動が封じられたり、また発言を強要されたりするようなことで政治や社会がゆがんでいくということであります。自民党の議員の方々も、このことで幾多の方が罪に問われ、そして政界を去っていかれました。

 これが公共事業や商品開発の一時的な補助金ということであれば、一過性のものとして次の対応策を考えればいいわけですけれども、いざ教育のことになりますと、教育の中に政治と金、そして権限というのが持ち込まれるようなことになりますと、これは国家を本当に危うくするということにつながってまいります。私たちとしては大変な危機感を持っているわけでありまして、芽は小さいうちに摘まなければいけませんけれども、もうかなり大きくなって摘み取れないようなところまで来ているのではないかという思いもいたします。

 金と権限、組織、これを教育分野で持っているのは、やはり労働組合としては日教組であります。その日教組を束ねるような役割の国会議員が輿石東参議院議員でございます。しかも、輿石参議院議員は民主党の参議院の会長もされておりますし、まさにミスター日教組が参議院の会長、民主党の会長であるということであります。このことが文部科学行政に大きな影響を及ぼしていきはしないか、そしていろいろな形でその影響が広がっていきはしないかということを危惧いたします。

 川端文部大臣に、この影響力について、そして、輿石東参議院議員に対してのいろいろなみずからの思い、考え、これをお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 教育は、まさに国家百年の計の根幹にかかわる問題でありまして、極めて重要な役割を担っていると同時に、国民の関心も非常に高いし、期待も大きいというふうに認識しておりまして、私の責任は極めて重いと思っております。

 そういう中で、教育は、政治的にいえば、中立であり、公正に行われるべきものであるということは当然のことであります。特に、学校の教育現場は児童生徒に対する教育の場であるということで、政治的中立は厳格に守られなければならないというふうに思っております。このことは、いつの時代においても普遍的に維持されなければならない理念であるというふうにも考えております。

 そういう中で、輿石議員のことについてお触れでありますけれども、いろいろな御発言が報道されていますが、直接真意を確かめたわけではありませんのでそのことに対してどうこうコメントする立場にはありませんけれども、教育行政の責めを負う立場としては、先ほど申しましたように、学校現場で子供たちがしっかりと教育を受けられる環境を整備するとともに、中身の充実を図り、間違っても政治的中立が侵されるようなことがあってはいけないということで、当該教育委員会とも連携を深めながらしっかりと指導し、行ってまいりたいということでございます。

坂本委員 どうこう言える立場にはないということ、それは当然だろうと思いますけれども、余りにもいろいろなものが具体的な形となって表に出過ぎる。そのことを、なぜここまで傍若無人過ぎるほどの問題が起きてくるんだということをつくづく感じます。

 先般は、神奈川県の相模原市で、輿石東議員の所有の自宅そして車庫、こういったものが農地転用しないで無断で使用されていたというような記事が載っておりました。調べてみますと、これは本当に二重、三重の罪であるというふうに私は思います。

 みずからの自宅は農振除外あるいは農地転用も受けておられますけれども、それ以外のところは議員の弟さんから譲り受けて、あるいは貸してもらって、そしてそのまま農振除外されていない農用地であります。優良な農用地であります。そして、その優良な農用地に、農転、農地転用もしないで車庫を建てたり、あるいはアスファルトにしている。しかも、念を入れて、その周辺を全部わからないように塀で覆っている。そしてさらには、再三再四の農業委員会やあるいは行政機関の警告、勧告、注意にも耳をかさないというようなことは、まさにみずからの権力をかさに着た行為でしかないということを断ぜざるを得ません。

 それ以外にも、いろいろなことで問題が余りにも多過ぎます。

 小沢民主党幹事長の公設第一秘書が逮捕された折には、悪いことをしているわけではないというふうに言われましたし、石川衆議院議員の逮捕そして小沢幹事長への強制捜査、この折も、検察と断固として闘うという小沢幹事長に呼応されておりますし、そして、いろいろな方から寄せられた検察と闘えというようなメールや手紙を公開して、検察を敵視するというような姿勢をとっておられます。

 これはまさに、今回の事件で北教組が談話を出しました、不当な組織弾圧であり、これと徹底して闘うということと全く一緒であります。こういう姿勢をとられている方が参議院の民主党の会長である、しかも教育行政に大きな影響を及ぼされる可能性がある。私は不安でなりません。

 それ以外にも、昨年、二〇〇九年一月の日教組の組合の会合で、教育の政治的中立はあり得ない、日教組とともに闘っていくというような発言をされておられます。公務員は全体の奉仕者であるということを定めました憲法第十五条に違反をいたしますし、教育や教員の政治的中立を定めました教育基本法あるいは教育公務員特例法、こういったものの趣旨を大きく逸脱するものであります。

 まだまだあるんです。

 もう御存じの、山梨県で展開されました県教組ぐるみの選挙違反、そしてその刑罰を受けた教員が教頭に昇格をするというような、こういった非常に温情主義な、あるいは一部で不透明な人事がまかり通っているのが現実でありますし、その頂点におられるのが輿石東参議院議員であります。教育界の腐敗、癒着、権力の横暴ということを見てとれますし、私は、全国を見た場合に、これは氷山の一角であるというふうに思います。

 教育からさまざまな事件、疑惑、こういったものが今後またさらに生まれてくる、そしてその源流が輿石東参議院会長である、民主党の参議院会長であるというふうに私は思います。

 この事態に対して、文部科学大臣、どう対処されていかれますか、あるいはどう予防されていかれますか。御意見をお聞かせください。

川端国務大臣 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、個々の発言あるいは今御指摘のような状況を詳細に知る立場にございませんのでそのことに直接にコメントすることはできませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、教育、特に学校現場において政治的な中立が脅かされることがあってはいけないという視点でこれからも一生懸命取り組んでまいると同時に、先般来の委員会でもいろいろな疑義を資料を含めて提示していただいたこともございます。

 そういうことに関しては、しっかりと現場の教育委員会に対して、事実関係を詳細に把握するようにと今要請をしているところであります。そういうことがあってはいけないし、あった場合には厳罰をして対処するとともに、ないようにこれからも最大限努めてまいりたいと思っております。

坂本委員 国民全体が大変危惧をしている問題でありますし、教育関係者は特に心配をしているところであります。どうか、厳しいチェックの中で、公平中立な、そして未来ある教育をつくるために御尽力をいただきたいと思っております。

 あと、参議院の方に呼ばれていらっしゃるそうですので、時間が来たらどうぞ御退室ください。

 続きまして、大臣の方針、所信あるいは地域主権というような問題についてお伺いをいたします。

 今回の川端大臣の所信を読ませていただきました。聞きもいたしました。前回の臨時国会における文科大臣のごあいさつも聞かせていただきましたし、読ませていただきました。しかし、どうも、政権がかわったというような時期の所信やあいさつにしては、それに臨む理念とか、あるいは将来の日本の教育をこうするという姿勢が見えないんです。

 私は、新しい政権、新しい時代になったときに当時の文部大臣がどういうあいさつをしているのかというのを調べてみました。

 昭和二十二年の戦後初の文部大臣は慶応大学の教授の高橋誠一郎さんでありました。この方は、経済学史あるいは重商主義の経済学、こういったものに非常に造詣が深くて、そして文化、あるいは浮世絵の収集家としても知られております。このときは大臣の所信というのはありませんで、質問に答えて大臣が所信を述べるということでありました。質問をしたのは東大学長でありました南原繁さんであります。答えたのが高橋文部大臣であります。

 高橋大臣は、そのとき明確に、これからの日本の教育というのは、教育の画一化と形式化を取り除くんだということを言っておられました。そして二つ目に、教育の地方分権を進めるんだということを言っておられました。さらには、教育の機会均等と自主性というものを国家がしっかりと保障するんだというような明確なメッセージを述べておられました。

 細川連立政権内閣のときは赤松良子文部大臣であります。この方も、これからは生涯学習社会の実現と、教育・学術・文化・スポーツを通した福祉文化社会づくりを目指すという、これからの国のあり方、これからの社会のあり方、これを明確に述べられております。

 そういう中で、今回の大臣の所信あるいは前回の大臣のあいさつ、どう読んでもその辺のメッセージが伝わってきません。伝わってこないだけならいいんですけれども、やはりこの文言はどうかなというふうに思うところが何カ所か見られます。

 私が一番不思議に思うのは地域主権であります。

 鳩山総理は、地域主権というのは民主党政権の、新政権の一丁目一番地だというふうに言われました。しかし、どうもこの地域主権というのはわかりません。主権というのは、その地域、その国家が持っている唯一の権力、権限であります。それを通してどうやって国づくりをしていくか、地域づくりをしていくかということでありますし、主権在民ということは、憲法に明確に明記されている、記述されている言葉であります。それに対しての地域主権、どういう概念なのか。

 今後、地域主権一括法というようなことが提案されるとも聞いておりますが、その一括法にも定義が当然必要でありましょう。あるいは、地域主権という場合に、いろいろなことで行政がこれからやっていくための定義というのはしっかりとしたものでなければダブルスタンダードになってしまう。子供たちが、先生、これは主権はどっちなんですか、地域なんですか、国民なんですかと素朴に聞いてくるかもしれません。地域主権の定義、これをお答えいただきたいと思います。

鈴木副大臣 お答えを申し上げます。

 おっしゃるとおり、鳩山政権におきましては、地域主権あるいは現場主権、教育においても地域主権、現場主権を大事にするということは、川端大臣のあいさつの中でも触れさせていただいているところでございます。

 これは、地方分権という言葉がございますけれども、中央省庁が、中央政府が持っている権限を地方にも分け与える、こういう考え方でございました。しかしながら、今先生もおっしゃいましたように、主権はまず在民にあるわけで、主権在民でございまして、そうした主権を持った国民一人一人が、まず現場あるいは地域でまさにみずから政治あるいは統治を行っていく。そうした、コミュニティーを大変大事にした、コミュニティーによる社会問題の諸解決という意味でのコミュニティーソリューション、こうしたことを鳩山政権は主張して、それを地域主権というふうに呼んでいるところでございます。

 中央集権からの分権と、まさにそこから一線を画して地域、基礎自治体、現場というものを大切にしていきたい、そういう思いでこのような言葉を使わせていただいているところでございます。

坂本委員 この主権という言葉は私は大事だと思います。不用意に乱発すべきではないと思います。

 国家主権や中央集権に対する言葉であるならば、それは地域の自主性とか地域の自律とかいうことで使うべきであります。私たちは、やはり権力あるいは権限、主権というのは一つしかない、その中で地域が、あるいは主権在民の中で皆さんたちが自律するために国の権限とそれから地方の権限をどう役割分担していくか、こういう発想に立たなければ、国そして地方あるいは地域、集落、こういったところのしっかりした国の枠組みというのはでき上がってまいりません。それは教育も一緒だろうと思います。

 私のゼミの先生は、組織論からアプローチする行政学が専門でございました。この前、退官されましたので、退官の記念講演がありました。教え子が私も含めて二百五十人ほど聞きに行きました。蝋山政道先生に師事された方でありますので、考え方、思想としては社会民主主義的な性格を持たれた考え方であります。その先生が、地域主権に対して、この言葉はおぞましいという言葉を使われました。

 私は、なるほどなというふうに思いました。主権というものをこういう形で、サービスとして、あるいはおもねる、へつらうような形で使うこと、それはおぞましい使い方であり、おぞましい政権であるというふうに私は思います。もっと謙虚に、もっと地道に、そしてもっと確実に地域と国あるいは地方と国の枠組みというものをしっかりつくっていかなければ、国家あるいは地域はばらばらになって迷走してしまうと私は思います。そういう中で、それが教育に持ち込まれた場合にどうなるかというようなことを考えますと、非常に不安がございます。

 先ほど、政治と金の問題がありました、あるいは北教組の問題がありました、日教組の問題があります、あるいはモンスターペアレンツ、さまざまな問題があります。そういう中で、地域主権という名のもとで民主党さんが提案されました改正地教行法、これは、教育委員会を廃止するんだ、そして自治体あるいは地方公共団体の長にその事務権限をゆだねる、そして各学校には理事会を設置してその理事会の中で運営をするというようなことが書かれております。

 今のままの形で、今のこういう教組も含めた非常に不安定な教育界の状態の中で、そういった学校理事会あるいは地域へのさまざまな形の権限移譲、そして各首長に絶対的な教育の権限を与えること、これができるのでしょうか。これをした場合に果たしてどういうことになると思われますか。そして、それを今後やっていかれますか。

鈴木副大臣 お答えを申し上げます。

 先ほどの地域主権のお話でございますが、今のお考えも大変大事なお考えだというふうに思いますし、まさにこのことが民主党政権とこれまでの政権の基本的な違いでございますので、こういう議論を深めていただきたいと思います。

 今閣議決定を既にしております内閣府設置法の改正案の中で、地域主権戦略会議、あるいはその中で地域主権改革というものを定義いたしておりますが、そこでは、日本国憲法の理念のもとに、これは今おっしゃいました主権在民などを指すんだと思いますが、住民に身近な行政は地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民がみずからの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革、このように定義をつけているところでございます。

 では、この地域主権あるいは現場主権の考え方を、民主党は日本国教育基本法案を作成する中で強く打ち出したところでございますが、むしろ、今委員からお話がございましたような状態に対応するためにも、地域主権、現場主権を進めていくことが必要だというふうに思っております。

 つまり、私たちが考えております学校理事会、もちろんこれは今後きちっと議論を深めて行っていくということはまずもって申し上げたいと思いますけれども、学校現場に、これは下村先生などとも御一緒にやらせていただいたことでございますが、コミュニティ・スクール法案の議論をさせていただきました。コミュニティースクールになりますと、あるいはそれの前段階で学校支援地域本部、これも今、コミュニティースクールは五百校、学校支援地域本部は二千四百校ございます。こうしたことが可能になったことによって、今、コミュニティースクールにおきましては、地域住民の皆さんあるいは保護者の皆さんが連日のように学校に入っていただいております。

 そして、コミュニティースクールにおいては、まさに学校の経営にも参画をしていただいて、人事についての意見具申権もそういう方々に持っていただいている。仮に、教員等において法にもとる行為等々があった場合には、速やかにそのことが学校の運営として問題にされ、そして議論をされ、そしてそのことが初期の段階で明らかになる、こういった効用も持ち合わせているところでございます。

 まさに、現場を上から管理するということになりますと、どうしても、二万、三万ある小学校、中学校の現場をつぶさに監督するということは事実上なかなか難しい。そういう状況の中で、いろいろ言われているような、法律にもとるかどうかは別問題といたしまして、問題のある行為が放置をされているというような、そうした風聞もあるところでございます。

 むしろ、今、放課後子ども教室は一万校でございますが、そうしたコミュニティーで学校をつくっていく、こういうことが行われているところには、まさに地域住民、本当に子供のことを愛していただいている地域住民あるいは保護者の方々が連日学校に入っていただくことで、非常に子供たちの未来を見据えた教育が実施されている。そうしたことをさらに進めていきたいと思っておりますし、このことは、昨年この委員会でも御議論をいただきました。そして、前政権において閣議決定もしていただいております教育振興基本計画の中でも、こうした地域主権あるいは現場主権の考え方に基づいた、コミュニティーで学校をつくっていくという考え方はオーソライズされているものというふうに考えておりまして、これを加速していきたい、そういう思いでございます。

坂本委員 今言われたコミュニティースクールとそれから学校理事会、私はやはり似て非なるものであるというふうに思います。

 ここで、民主党の中で出てきます地教行法の中の問題、これは非常にやはり、まだまだ生煮えのものがあるし、これから大いに議論をし、そしてチェックをしていかなければならない課題であると思っておりますので、ぜひこの問題についてはこれからも質問をさせていただきたいと思います。

 それから、不登校、あるいはいじめ、暴力行為、こういったものに対して対処するために、スクールカウンセラーというようなことをことしから重視されて、百三十億九千三百万の予算を組まれました。

 スクールカウンセラー、臨床心理士を中心にしてカウンセリング作業をするわけですが、これはこれで効果があるかもしれませんけれども、もう学校現場であるいは家庭現場でスクールカウンセラーだけでは間に合わない、そういう状態に来ております。そういう中でこれから求められるのは、スクールカウンセラーよりもスクールソーシャルワーカーであると思います。

 熊本県では、このスクールソーシャルワーカーというのを非常に重視いたしましてこれまでやってまいりました。スクールソーシャルワーカーというのは、やはり、精神保健福祉士あるいは社会福祉士、こういった資格に伴って、ソーシャルワークを三年以上経験した人であるという、型どおりのものではなくて、非常にベテランを採用いたしまして、そして、その中でさまざまな問題解決に当たってまいりました。

 ソーシャルワーカーの場合には、家庭にも行きますし、社会の中にも入っていきますし、まさに、カウンセリングの仕事ではなくて、みずからの足を使ってやはり児童の家庭に行く、生徒の家庭に行く、そこから解決を見出す、こういう作業でないとこれからの諸問題は改善できないというふうに思います。

 一つだけ具体的な事例を申し上げますと、保護者による虐待、育児放棄であった児童生徒について、学校に児童相談所への通告を促し、児童生徒を一時保護してもらった。その児童生徒は、衛生面も改善され、元気を取り戻し、保護施設から元気に登校するようになった。その後、家庭の経済的支援のために、社会資源、いわゆる生活保護や障害者年金等でありますけれども、この申請も同行して行った。家庭環境の改善を図るために、母親のカウンセリング等が必要であると感じており、必要に応じて今後も継続をしていく予定である。

 やはり、子供だけのカウンセリングではだめ、母親のカウンセリング、家庭の実態、あるいは周囲の目をどう改善していくかということが大事であります。

 しかし、これは自民党政権も問題あると思いますけれども、このソーシャルワーカーが、平成二十年度は全額国庫でありました、しかし、平成二十一年度になって三分の一になりました、今回も三分の一であります。私は、もっとこのスクールソーシャルワーカーを推進するために国庫を投入して、そしてこういった具体的な事例を数多くつくるべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

鈴木副大臣 おっしゃるとおりだと思っております。

 スクールカウンセラーも大事、スクールソーシャルワーカーも大事だというのが私どもの認識でございまして、委員御指摘のとおり、スクールカウンセラーはまさにカウンセリング手法で児童生徒の心のケアをやる、スクールソーシャルワーカーは、まさに社会福祉的な専門知識、技能、技術を用いて、子供を取り巻く環境全体に、今お触れいただきましたけれども、焦点を当てて問題解決を図っていくということでございます。

 これも御指摘いただきましたけれども、平成二十年度は九百四十四名いらっしゃったわけでありますが、平成二十一年度に五百七十三名に減ってしまっております。これは、委託費から補助費、補助金というスキーム変更ということが背景にあろうかと思いますが、大事だという問題意識は私どもも委員と全く共有をいたしております。

 平成二十二年度予算におきましては、学校・家庭・地域連携協力推進事業の予算、百三十一億の内数ではございますが、予算積算といたしましては千五十六名、五百七十三を千五十六名、倍増といいますか、九百四十四に戻していくというような予算計上をさせていただいているところでございまして、この点については引き続き御指導と御支援を賜って、スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーが相まって学校の学びを、子供たちを支援する、そのことに尽力をしてまいりたいというふうに思っております。

坂本委員 こういったきめ細かな対応策がこれから必要であると私は思いますので、二十二年度予算はこれでありましょうが、来年度、二十三年度の予算、政権がどうなっているかわかりませんけれども、ぜひ、このスクールソーシャルワーカー、充実をしていただきたいと思います。

 質問を終わります。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 まず、お伺いいたします。

 きょうは竹島の問題から入りたいと思いますが、鈴木副大臣、竹島は我が国固有の領土と理解をしておられますか。

鈴木副大臣 固有の領土であると認識をいたしております。

馳委員 現在、韓国が独島と呼び、不法占拠をしており、実効支配しているという現状を理解しておられますか。

鈴木副大臣 両国間にこの問題が生じている、認識に相違が生じているということについて理解をいたしております。今の事実についても承知をいたしております。

馳委員 韓国の教科書には、具体的に竹島についてどういう記述がありますか。

鈴木副大臣 韓国の教科書を和訳、日本語訳したものをかいつまんで申し上げますと、独島はと向こうは書いてあるわけでありますが、早くから我が国の領土として連綿と伝わってきたというような記述がございます。

馳委員 今お示しいただいた資料は、中学校の教科書ですか、高校の教科書ですか。

鈴木副大臣 これは、中学校の教科書の日本語訳を紹介しました。

馳委員 昨年十二月二十五日に高校の新学習指導要領の地理歴史解説書の竹島の記述について公表がなされました。

 その公表された経緯等についてお伺いしますが、まずその記述をするに当たって、教科書調査官の作成する原案に竹島という文言は記述をされていましたか。

鈴木副大臣 今お尋ねは学習指導要領の解説についてということだと思いますけれども、この解説は、学識経験者や教員あるいは各教科の専門家である作成協力者の協力を得ながら、文部科学省において作成をされているものでございます。

 文部科学省全体として作成、編集に当たっているということでございます。

馳委員 私が聞いたのは、教科書調査官の作成する原案に竹島という文言は記述されていたかどうかということでありますので、簡単にお答えいただければ結構です。

鈴木副大臣 これは、全体として取り組んでおりまして、何が原案でどうで、そういうことを申し上げるという性格のものではございません。最終的に発表させていただいたものが、文部科学省として最終的には大臣の御責任で取りまとめられて公表をさせていただいた、そういう性質のものだというふうに理解をしております。

馳委員 私は、政策形成プロセスのことをお聞きしているのであって、何度も言いますが、民主党は公開性ということを大変重要視してこられました。あなたは今、原案に竹島の文言が記述されていたかどうかを明らかにしませんでしたが、その明らかにしなかった理由は何かあるんですか。

鈴木副大臣 今、原案というお話をされましたけれども、私どもは、何がこの原案でどうで、そういうことではなくて、繰り返しになりますけれども、文部科学大臣の御責任のもとに文部省全体としてこの作成をさせていただいているわけでございます。

 この関連部分のプロセスといたしましては、文部科学大臣が、領土に関する国としての外務省の公式見解、あるいは指導要領の過去の経緯、中学校部分の表現、そして高校のほかの部分の書きぶり、そうしたものを比較する中で文案を大臣の責任において取りまとめ、そして政務三役の判断を経て、文部科学大臣が最終決定をした、そして公表に踏み切った、こういうことでございます。

馳委員 この解説書記述の決定がなされた政務三役会議の議事録の公開を求めます。

鈴木副大臣 そもそも文部科学省の政務三役会議の議事録は作成をいたしておりません。

馳委員 やはり、この政策はどのような意思決定がなされてきたのか、原案がどうであって、そして、先ほど鈴木さんおっしゃったように、外務省、あるいはほかの教科書の書きぶり、学習指導要領、中学校ではどうか、こういうことを総合的に勘案して、最終的に政務三役会議で決定をされた、このことが明らかになりました。

 したがって、その政務三役会議の議事録をとっていないということ自体が民主党らしくないとまず指摘をしますし、なぜ政策の決定プロセスを公開しようとしないのか、このことを改めてお聞きしたいと思います。

鈴木副大臣 これは、政務三役会議の議事録というのは、別にこの件だけではなくて、すべて政務三役会議の議事録というものはそもそもとっていないということでございます。ただ、もちろん、この問題は大変重要な問題でございますから、政務三役が随時いろいろな相談をさせていただいた、先ほど御紹介申し上げたとおりでございます。

 いわゆる決裁上のプロセスということで申し上げますと、これは、学習指導要領解説でございますので、文書決裁規則に基づきますと、担当局長の専決による事務処理ということになっております。ただし、解説における我が国の領土問題に関する記述は大変重要な課題でございますから、最終的には大臣の責任のもと、政務三役の議論を経て、大臣の最終的な判断によって決定をしたものでございます。そのことをきちっと文書決裁規則に基づいて決裁を終了いたしております。

馳委員 とすると、局長の専決処分ということなので、金森局長にお伺いしたいと思います。

 竹島の文言が、新しい学習指導要領に基づいてこの解説書がつくられるわけでありますけれども、この解説書に従って教科書も編集されますね。そして、学校の、高校の教員も指導していくことになりますね。大変重要な問題であるという認識を持っていますが、あなたはどのような情報に基づいて、指示に基づいて専決処分としてこれを決定したんですか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 竹島の解説の公表の際には、文書決裁規則に基づきまして、私の専決により事務処理が行われたわけでございますけれども、その重要性にかんがみ、最終的には文部科学大臣の御判断により決定したものでございます。その過程におきましては、先ほど副大臣が御答弁申し上げましたように、今の竹島についての確認でございますとか学習指導要領の記述ぶりでございますとか、そういった事柄について検討をいたしたところでございます。

馳委員 改めて金森局長にお伺いしますが、あなたが決裁する段階においてこの竹島という文言の記述はありましたか。

金森政府参考人 私が決裁いたしました段階におきましては、最終の高等学校学習指導要領の解説の案文を決裁したところでございます。

馳委員 最終のということを強調しておられましたが、最終のというのを私は聞いているのではなくて、あなたが決裁する段階において竹島という文言はありましたか、ありませんでしたか、このことを聞いているんですよ。

金森政府参考人 高等学校の学習指導要領解説の地理におきましては、「北方領土など我が国が当面する領土問題については、中学校における学習を踏まえ、我が国が正当に主張している立場に基づいて的確に扱い、領土問題について理解を深めさせることが必要である。」という文言でございましたので、この文言上には竹島という言葉は出てきておりません。

馳委員 そもそも中学校の解説書にはどのような記述となっていますか。これは鈴木副大臣にお伺いします。

鈴木副大臣 お答えを申し上げます。

 中学校の学習指導要領解説社会編の地理分野では、前段から見ると、「北方領土は我が国の固有の領土であるが、現在ロシア連邦によって不法に占拠されているため、その返還を求めていることなどについて、的確に扱う必要がある。また、我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ、北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である。」と記述をしております。

馳委員 ここには日韓の領有権の主張の違いが書いてあるだけであって、竹島は我が国固有の領土ということは具体的には記述をしてありません。

 では、我が国の中学生は、竹島が固有の領土であるということをどうやって学ぶんですか。

鈴木副大臣 今も申し上げましたように、中学校の解説におきましては、北方領土については、我が国の固有の領土であること、不法に占拠されていることが明記をされております。竹島についても、「北方領土と同様に」という記述がございまして、「同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせる」というふうに記述をされております。

 したがいまして、中学校において、北方領土と同様に竹島についても我が国の固有の領土であること、不法に占拠されていることについて指導が適切になされるものと考えております。

馳委員 つっついてきてだんだんだんだん明らかになってくるようなもので、中学校の解説書を読めば、北方領土と同様に竹島は我が国固有の領土であり、韓国によって不法に占拠されているということがわかりますから、そのとおりに中学校において教えている、そういうふうに理解してよろしいですか。

鈴木副大臣 北方領土と同様に竹島についても我が国の固有の領土であること、不法に占拠されていることが適切に指導をなされております。

馳委員 となると、同様に、高校においても、竹島は我が国固有の領土であり、そして韓国によって不法占拠されており、また実効支配されているということを教えることになるわけですね。

 しかし、やはり中学校と高等学校、まさしく中学校で習ったことをより深く、より広く、よりわかりやすくというか、理解をさせるために高校の学習指導要領があり、その解説書があるというふうに考えるのが妥当だと思うんですよ。にもかかわらず、高校において解説書の記述が後退したような印象を受けざるを得ません。

 このことについては、社会問題として大変報道もされているところでありますから私はきょうこうやって追及しているところでありますが、高校での記述が中学校の解説書の記述よりも後退したというふうな印象を私は受けておりますけれども、そうではないというふうに鈴木副大臣は記者会見で述べておられます。これを大綱化という言葉を使って、学習指導要領の大綱化という基準で説明を記者会見においてされました。私は、それはちょっと見解が違います。領土問題について明確に教えるということは、大綱化と何ら関係のある問題ではありません。

 したがって、ここは外交的な配慮が働いたのかな、李明博政権を刺激しないために近隣諸国条項に配慮したのかなという、これは私のうがった見方なのかもしれませんが、この間の経緯について鈴木副大臣から改めてわかりやすく説明をしていただきたいと思います。

鈴木副大臣 御指摘のように、中学校での指導については先ほどのことでございます。

 それで、高校においては、竹島も含めた我が国の領土問題について、中学校における学習を踏まえ、さらに理解を深めさせるという発展的な指導をするということを書いておりまして、それが適切になされるものだというふうに考えておりますので、後退はしていない、こういうことでございます。

 大綱化と申し上げましたのは、別に領土問題についての大綱化の話ではなくて、そもそも高校の解説書というのは大綱的に書いています、例えば税についての扱いとか、そういう中の説明でお話を申し上げたとおりでございます。

 近隣条項の件でございますが、地理のAとかBとかという高校の教科書でございますが、現在も、地理Aにおきましては八点中六点、地理Bについては六点中五点、竹島についての記述がなされてございまして、もちろん、教科書というのは民間が創意工夫を生かして著作、編集を行うものでありますけれども、そのような取り上げられ方がされております。

 それで、今お尋ねの教科用図書検定基準のいわゆる近隣諸国条項でございますけれども、これは、近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮を求める、こういう規定でございますが、今回の御議論になっております我が国の領土問題とは関係がないというふうに承知をいたしているところでございます。

馳委員 その答弁は、さっきの発言とちょっと違うんですね。外務省や学習指導要領や中学校での書きぶり、ほかの項目の書きぶりを参考にして、あなたは先ほどこういうふうにおっしゃいました。

 では、この領土問題について、竹島の記述については外務省とどのように協議をしたんですか。そして、そのときには、竹島は我が国固有の領土である、韓国が実効支配をし不法占拠している、このことについての協議はしなかったんですか。

鈴木副大臣 先ほど外務省のと申し上げたのは、外務省のホームページにも掲げてございますが、日本国政府の領土問題についての我が国の立場というものを確認した。この確認はホームページでもできるわけであります。

 今お尋ねの、外務大臣と協議をしたかというお尋ねでございますが、具体的内容については調整、協議は行っておりません。文部科学大臣が解説の記述内容について御連絡は申し上げましたというのが事実関係でございます。

馳委員 もう一回おさらいして今の話を言うと、高校の新しい学習指導要領に基づく地理歴史、A、Bの教科書の解説書、この記述については、中学校を参考にしましょうね、こうなっているんですよ。中学校を見ると、領有権のお互いの主張の違いがありますね、こういうふうになっているんです。では竹島はどこの国の領土であるかということは、鈴木さんが今おっしゃったように、外務省のホームページを見ればわかるんですよ。

 こんなまだるっこしいことをしなくても、明確に、高校の解説書においても中学校の解説書においても、竹島は我が国固有の領土であり、韓国が不法占拠をしております、領有権の主張がお互いにあります、こういうふうに教えればそれで済むことなんですよ。何にも難しいことを私は指摘しているわけじゃないんですよ。

 まだるっこしいですね。高校の解説書を読んだら、中学校を見てね、中学校の方を見たら、領有権の主張の違いしか書いていなくて、ではどこの国のものなんだというのは、外務省のホームページを見ればわかるんですよ、これで終わりです。こういう書き方でよいのですかということを私は指摘しているのであって、鈴木さんが今いろいろ指摘いただいたことは、この政策立案のプロセスについて改めてこの国会の場で明らかにしていただいたものではありますが、残念ながら、教科書調査官が竹島という記述を書いたかどうかということを明言されませんでした。自由民主党で担当の文部科学省の官僚の方をお呼びしたときに、言葉を濁しました。だから、私はきょう追及したんですよ。

 大変残念なことです。政務三役が最終決定をするという姿は私は否定するものではありませんが、だったらば、どういう理由で決定をしたのかということをやはり明らかにし、こういう国会の場において議論の俎上にのせてその妥当性を問う、そういう謙虚な姿勢が必要なのではないかということを実は先ほど我が党の坂本議員も指摘したところであります。

 この問題の最後にしますから、改めて、やはり近隣諸国条項について私は大きな問題があるというふうに思っておりますが、今度とも、韓国あるいは中国との間で、この教科書の記述問題について、いろいろ外交上の問題に発展する可能性があります。一昨年は、中学校の解説書の記述について、我が国の大使が召還されるというふうな事態にも発展したんですよ。

 したがって、ここは文部科学省として譲ってはならない。教科書ですから、検定という制度はあります、国定ではありませんからね。当然、全国の中学生、高校生に我が国の態度、立場を理解してもらうための必要な学習指導要領であり、解説書である、その観点に立ってのやはり政策の決定プロセスがないといけないのじゃないのかなと私は思って今質問してまいりましたが、この問題についての最後に鈴木副大臣の見解をお求めしたいと思います。

鈴木副大臣 教科書調査官は教科書検定に当たってさまざまな調査をいたしておりますので、先ほど来申し上げておりますように、文部科学大臣の責任のもと、文部科学省全体で解説の原案は作成をさせていただいたということでございます。

 それから、今、馳委員に御質問をいただいて、私の方から詳しく御説明をさせていただく機会をお与えいただいて大変ありがたかったわけでありますが、このことは、既に会見等々でも時間をかけて御説明をさせていただいております。教科書作成者においても、この理解をきちっと十分にしていただいた上で教科書作成に当たっていただいておりますので、きょう御議論させていただいたことをまたきちっと共有されるものというふうに考えております。

馳委員 次に、北教組の問題に入りたいと思います。

 皆さん、資料をまずごらんいただきたいと思います。提出資料の一でありまして、これは、私が調査に参りましたときに、北海道教職員組合の組合員から提出をいただいた資料であります。「文書連絡:三学期の六」「※重要!!」とあります。そして、日付を見てください。「二〇一〇年三月四日(木)」であります。

 参考までに、私が予算委員会で組合員から提出いただいた資料をもとに鳩山総理に質問したのが三月一日でありますので、そのことを念頭に置いて、この文書の異常さというものを御理解いただきたいと思います。

 読みます。「なお、いま自民党は、○○支部とりわけ○○支会に対して、手に入れた「FAX送信票」「支部『日の丸・君が代』方針案」を”物証”として示しながら、国会での馳浩、義家らによる追及、」この文言で、学校の先生なら、できれば馳浩君とか義家さんとか、敬称略ということが私はちょっと学校の先生らしくないな、こういうふうに思いました。そして、その次の行に「組合員全体に対する悪辣な組織破壊攻撃に対して、」こういうふうにあります。私は悪らつな男なんでしょうか。

 この資料を提出いただいたのは組合員なんです。そして、三月一日に馳さんがテレビ入りの国会で指摘をしていただいたと。ここがポイントですね。違法な組合の活動、違法な組合の政治活動、違法な組合の選挙活動に疑問を感じ、組織的に指示がおりてくる、こういう現状に対して問題点を持ち、私に資料を提供してくださったんです。

 何度も言いますが、教職員組合の政治活動は憲法上も認められているんですよ。私は一度もそのことを攻撃したことはありません。つまり、この組合員の方がおっしゃっているのは、違法な組合活動、違法な政治活動、違法な選挙活動を、これでいいんだろうかという意味で内部資料を私に提供いただき、きょうも二十枚以上提出しておりますから、このことについて一つずつ指摘をしていきたいと思っているんですね。

 ちなみに、ちょっとこれはもうお笑いになるんですよ。資料の下の方を読みますよ。「当面の対応について」のところ、聞いてください。

  支会からの連絡は、基本的に郵送及び電話で行います。FAX送信はしません。メールでの送信を希望する場合は、ご一報ください。その都度相談します。

  当面、分会からの報告は、FAXを使用して送信しても構いません。送信する際は「周囲の状況」を十分考慮してお願いします。受信するこちらの体制は従来と変わらず大丈夫ですのでご心配なく。

これは鈴木さん、このわずか四行余りの中にいろいろな組合幹部の思いが込められているなということを私は読み取りました。

 つまり、馳がファクスで物証として質問したからファクスのやりとりはだめよということを、これはファクス送信なんですよ、もともとは。そんなことを、ファクスを使ってまた仲間の各学校に連絡しているんですよ。皆さん、周囲の状況をよく見ながら、見つからないようにして送信してくださいと。いいですか、ここがポイント、受信をするこちら側は従来と変わらずどうぞと言っているんですよ。こういうのをカエルの面に小便と言うんですよ。私はこれは容認できないですよ。私のことを呼び捨てにするのはまだいいとしても、受信するこちらの体制は従来と変わりませんと言っているんですよ。

 ちなみに、このファクスの後に出た口頭による指令はこういう指令なんですよ。私、それも当事者から伺いました。馳がまたファクスを使うかもしれないから、当分ファクスはやめようぜという連絡が、北教組の本部、そして地域の支部、そして地域の支会、そして分会におろされているんですよ。

 といいながら、私はまたファクスをもとに今指摘をさせていただいており、まずこの資料ナンバー一について、私が今までちょっと説明してきましたが、このことを踏まえての答弁を、まあ感想ですね、それを鈴木副大臣に求め、その後、私はまた午後三十分、次の資料についての質問をいたしますので、鈴木副大臣、お願いいたします。

鈴木副大臣 資料一の位置づけ、詳細というものが不明ではありますが、先般来国会で御議論になり、文部科学省といたしましては、そうした御議論を踏まえて、公務員である教職員が政治的行為の制限に反するなど違法な行為をやっているならば、それは大変問題である、したがって、行っていたか否かについて、北海道教育委員会や札幌市教育委員会にその都度速やかな事実確認を行うように、速やかに指導を行ってきたところでございます。

 この文書の詳細は存じませんけれども、仮に、これを読みますと、そうした教育委員会による事実確認を妨げる意図を持ってこのようなものがあるとするならば、大変遺憾であると言わざるを得ないというふうに私は感想を持っております。

 いずれにいたしましても、文部科学省としては、事実関係に基づきまして、仮に公務員である教職員に違法な活動があれば、これは教育委員会と連携をいたし、法令にのっとり毅然と対処してまいりたいというふうに思っております。

馳委員 毅然と対処をする、その方法が実は北海道教育委員会も今頭を悩めているんですね。そのことはまた午後の私の指摘をもとに皆さんと協議をしたいと思います。

 終わります。

田中委員長 次に、下村博文君。

下村委員 きのうは衆議院の本会議で、高校無償化法案、そして子ども手当が強行採決をされまして、我々は審議が十二分に全くされていないというふうに思っておりますし、非常に残念なことだと思います。

 その後、四時から新宿駅頭で街頭演説をいたしました。我が党の総裁と馳浩筆頭、それから、この文科委員会では菅原一秀議員も一緒に、高校無償化法案、子ども手当等について街頭で訴えましたが、動員もしていないのに千人ぐらいの人が立ちどまって聞いているんですね。私は本当に驚きました。選挙のときはそういうターミナル駅で街頭演説をすることは何度もありますけれども、このようなときにそんなにたくさんの人が立ちどまって、動員もしないのに聞いている。それだけ、国民の皆様方がこの高校無償化法案や子ども手当に対して大変な関心、そして疑問を持っておられるんだなと改めて私は感じました。

 特に、恒久財源がない中でこのような恒久政策を行うわけでありますし、また高校無償化法案についても、なぜそれを行うのかということについての理念、成果、効果、目的等が、残念ながらいまだにはっきりしていないという部分がございます。

 ただ、もう法案は法案で通ってしまいましたので、また蒸し返して何度も何度もするつもりはありませんが、しかし、国民の皆さんに関係ある部分については、よりこれからの創意工夫というのは考えられるわけだというふうに思いますし、そういう努力をぜひしていただきたいというふうに思います。

 きょうは、私は一枚の資料を配付させていただきました。これは、各都道府県における高校奨学金事業の公益法人等との併用可否。公益法人というのは、つまり日本学生支援機構の奨学金事業でございます。

 私はあしなが育英会という会の副会長をしておりまして、あしなが育英会で昨年の九月に調査をしました。あしなが育英会ですから、遺児家庭、これは交通遺児だけでなく、災害遺児とか病気遺児とか、最近は自殺遺児が多いんですね。とにかくそういう遺児の子供たちに高校、大学進学の夢をということで、民間団体ですが応援をしている育英会であります。この会で調べましたら、ほとんど九割が母子家庭でありますけれども、平均年収が百七十万ぐらいなんですね。ですから、生活保護家庭以下の家庭です。実際にその中で生活保護を受けている家庭は一〇%もありません。

 ですから、生活保護家庭以下の年収しかないわけですけれども、とにかく自分たちで、できるだけ公的な部分には頼らないで自力で生活をしていこう、平均すると母親と一・五人ぐらいの子供というのが家庭における家族像でありますけれども、自力でとにかく生きていこう、生活していこうと。国民の九割はみんなそう思っているわけで、できるだけ国や自治体の世話にならないような、本来、日本人が持っている自立心というのを多くの方は実際持っておられるわけです。しかし、平均年収が百七十万ですから、これは高校進学することも大変なわけですね。

 今回の高校無償化法案の中で、我々は、低所得者層に対するもっと厚い手当てをすべきであるということを申し上げてまいりました。今回、無償化になるわけですが、これは公立高校の授業料の無償化ですから、十一万八千八百円。しかし、御承知のように、実際、それの倍ぐらいは教育費がかかるわけですね。公立高校は、全部合わせると、今まで三十六、七万はトータルの教育費が授業料も含めてかかっていたわけですし、私立高校ではさらに、授業料と教育費を合わせると七十八万ぐらいの費用負担があるわけです。

 今回の無償化法案においては、公立高校は十一万八千八百円、私立高校は、二百五十万以下がその倍、それから二百五十万から三百五十万までの間は一・五倍の、授業料について相当額を事実上給付する、こういう形を私学に対してとっているわけですが、しかし、それでも実際は足らないわけです。足らない中で、いかに今申し上げたような奨学金、これも給付型の奨学金というのを我々も訴えておりましたが、残念ながら通りませんでした。

 実際、この四月一日から通う高校生たちは、いろいろな奨学金を借りなければ進学することができないということの中で、本来は日本学生支援機構は国の機構だったわけですが、それが都道府県に移ったことによって、お手元に配付のように、ほかの奨学金との併用ができなくなってしまった。端的に言うと、日本学生支援機構と例えばあしなが育英会との奨学金の併用はできなくなってしまった。さらに、ほかの奨学金の併用もできなくなる。こういう都道府県が十六都県、いまだにあるんですね。そのことによって、先ほどのように、相当年収が低い家庭の中で日本学生支援機構だけの奨学金を、なおかつこれは給付じゃないわけですから返すわけですけれども、貸与されても、とても進学できないという厳しい現実があるんです。

 このことについては、昨年の秋以降、文部科学省からぜひ各都道府県に対して併用ができるように働きかけをしてほしいという要請をしてまいりました。これは給付ではなくて実際に貸与ですから、きちっとそれは自己責任として返すということは当然の話です。その前提で、なぜこの十六都県がいまだに併用を認めていないのか、余りにも現実を把握していないのではないか、こういうふうに思います。

 今回の高校無償化法案が通った後を受けて、ぜひ文部科学省としても、新たに、これについてはもう一度、都道府県に対して聞き取り調査をしながら対応していただきたいと思いますが、まず、これについての御意見をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 先生が、あしなが育英基金を初め、本当にそういう分野で実践を含めて活動していただいていることに改めて敬意を表したいというふうに思います。

 また、今回のいわゆる高校実質無償化という表現も含めて、世間の受けとめの中で、そういう育英基金に対しての協力が、無償化になったからもういいのではないかという声があるというふうな、勘違いといいますか、ということも聞いておりまして、こういうことを含めて、冒頭おっしゃいましたように、我々が周知していくことをもっともっとやらなければいけないことを改めて感じております。

 今お問いの件でありますけれども、おっしゃるように、日本学生支援機構が実施してきました高校の奨学金制度は、平成十七年度の入学者から順次都道府県に移管をされて、従来から都道府県でやってきたことを含めて、今、全都道府県において奨学金制度が実施されているところでありますが、それぞれの独自の運営ということに任されて都道府県でやっているわけです。

 おっしゃいましたように、たくさん借りれば当然ながらたくさん返さなければいけない、返済の負担が過度になってはいけないということで、都道府県によっては、制限を加えて、一緒に借りられないというふうに禁止をしているところがあるのは承知をしております。二十二年一月、ことしの初めの時点では、併用してもいいというのが二十九、併用不可が十八でありました。これで前年に比べて二つ減ったんですけれども、さらに、この四月からということでは二自治体が併用可とすることで、四月一日から十六になると承知をしております。

 そういう部分で、基本的にはそれぞれの都道府県が実情に応じて判断することとはいえ、御指摘のように、やはりいろいろな状況の中で可能な限り応援できるということがあるべきだと私は思っております。そういう意味で、都道府県がこういう仕組みでこういうことをやっていますということの実情の紹介も含めて、各都道府県、特にやっておられない都道府県に対しての情報提供を含めて、しっかりと、困った子供たちが一人でもいろいろな奨学金で救えるようにという趣旨が生かされるようにということを含めて、改めて指導を徹底してまいりたいと思っております。

下村委員 今御指摘のように、岡山県と愛媛県は、ことし、平成二十二年度から併用可とする予定ということで、これは文部科学省に働きかけてもらってそうなったんですね。つまり、昨年秋からこれについてはお願いをしておりました。

 実際に、文部科学省を通じて都道府県で併用していないところについて聞きますと、今の大臣のような答弁ではなくて、文部科学省の方の報告によると、特定の人に集中されたら困る、できるだけ多くの方々に奨学金を貸したいんだということを都道府県で言っている、つまり、それだけ奨学金の資金が足らないんだ、こういうことなんだそうです。それはすべての県で言っているわけではありませんから、事実関係がどうかということは改めて文部科学省としてもぜひ把握をしていただきたいと思うんです。

 ただ、そもそも、これが日本育英会、国であったら、このようなことはやはりなかったと思うんですね。これが都道府県に移ったことによって、このようなアンバランスが生まれた。これはそれぞれの都道府県の財源の部分もあるのかもしれませんが、しかし、そういうニーズが本当に切実な問題としてそれぞれの地域であることは間違いないし、また、これによって高校進学さえできないということであったらそれはかわいそうな話だし、それから、二つ、三つ奨学金を借りたら返せなくなるというようなことが事実関係としてあるのかどうかというデータは、私は聞いたことがありません。

 私も、高校、大学と二つの奨学金を借りて、当時は日本育英会というのは半分給付という奨学金があったんですね、それがあったからこそ、私自身は交通遺児だったんですけれども、高校、大学と進学することができたんです。ですから、これは今、私の子供のときから比べれば後退しているんですね。さらに、併用ができないということですから余計後退しているんですよ。

 これは、自己責任で、借りたお金を返すのは当然なわけですから、その前提で、それでも両方借りないと進学できないという家庭があって、その人たちが結果的には生活保護にどんどん移っていくということがあってはならないわけだし、できるだけまず自分で努力してもらうということを国民の皆さんにお願いをしながら、また、そういう姿勢を文科省としても示すということは大変重要なことだというふうに思います。

 私はそれほど難しいことではないと思いますので、この高校無償化法案が四月からスタートするのであれば、ぜひこれはできるだけ早目に、併用が可能となるように、文科省として責任を持って働きかけていただきたいと思います。いかがですか。

川端国務大臣 大変重要な御指摘をありがとうございます。

 御指摘のように、地域によっては、額が限られているので、希望が多いからできるだけ多くの人にということのためにこういう配慮をせざるを得ないということを言っておられるところもあります。そういう意味では、いずれにしても、基本的な財源の問題が一番ネックになっているということがあります。

 同時に、御指摘のように、いわゆる俗に言われる三位一体改革の中での税源移譲に伴う形でこれは地方に移管されたということで、地方の自主性を生かすという部分の趣旨は大事なんですけれども、財源の問題と、こういうきめ細かな制度上の部分では地方が実際にお困りになっているという実情があると思います。

 御指摘の点は極めて重大な問題であり、私たちは附帯決議で、そういう低所得者に対する支援をしっかりするようにという御決議もいただいております。給付型奨学金に関しては、概算要求いたしましたが現在のところかなっていないという状況も踏まえながらでありますが、御趣旨を真っ正面から受けとめて対応してまいりたいというふうに思います。

下村委員 まさに志、意欲、そして能力を持って高校、大学に進学しようとしている子供たちのために、ぜひ、そういうスタートラインに立てるような施策について積極的に対応していただきたいというふうに思います。

 それから、高校無償化法案で、その理念、成果、効果、目的が明らかにされていない。いまだに私はされていないというふうに思っておりますが、今まで、学力の問題について、では具体的にどう学力を高めるのかということを御指摘、質問しましたが、これも明確な答えがなかったと思います。

 しかし、きょうは、同時に大臣は、公共心を高める、道徳心を高める、これもあわせて必要なことだ、こういうふうに答弁の中でおっしゃっていたというふうに思うんですね。川端大臣の考える公共心を高めるための教育を具体的にどうされようとしているのか。例えば、具体的に言うと道徳教育ですね。道徳教育についてこれからさらにどうされようとしているのか、お聞きしたいと思います。

川端国務大臣 かねがね、いろいろな調査を含めまして、公共心が低くなってきたということはいろいろな調査でよく言われることでありまして、調査だけではなくて、俗に言う社会的な現象としてもいろいろな部分でそういう指摘がされていることは現実だというふうに思います。そういう中で、そのことを何とかしなければならないということは、恐らく下村先生も一生懸命そう思っておられると思うんですが、私もそういう認識は共有しているというふうに思います。

 そして、具体的な部分でいいますと、いわゆる平成二十年三月の学習指導要領の改訂も、前政権下ではありますが、その精神に沿って、まさにそういう思いの中で、指導の重点を明確化するということでかなり個々具体に学習指導要領に書き込まれております。そういう意味では、そういう教材の活用も含めて、いろいろな実践教育、あるいは社会参加等々をいろいろな機会にとらえるというメニューは着実にしっかりこなしていきたいというふうに思っております。

 そういう中で、恐らく先生の御指摘は心のノートのことも持っておられるのかもしれませんが、心のノートは、私もずっと見させていただきまして、非常に工夫をしてよくできたものであろうというふうに思いました。それぞれに、非常に有効に活用しておられるところもあるし、余りうまく活用できていないところもあると思いますが、私は、それを一歩進めて、よりいいものにしていくということを考えたい。

 そして、拡大教科書の問題もありましたけれども、トータルとして、いろいろなICT化という流れも活用する中で、例えば教材に関しても、心のノートをもっとうまく活用できる方法ということの一つとしては、今回電子化をさせていただくんですけれども、感動したこと、心に残ったことを書きましょうというページがあります。これは、一ページあるのを、ウエブ化していきますと何枚でもそれを印刷して使える。あるいは、地域のこういう人がいるんですよという教材も使える。

 あるいは、今回、前大臣の御尽力を含めて、各教室にデジタルテレビをずっと置くようにしました。そうすると、これは当然ながらデジタル端子がついておりまして、教室のテレビの大画面でみんなが一緒にその画面を見るということにも活用できるという意味で、幅広くそういう教材は発展的にうまく使えるようにという工夫をさせていただきました。

 私は、トータルとして言うと、やはり、そういう学校の教育も教材もそうですけれども、一番大事なのは現実の社会とのつながりをしっかり持つこと、そこでの体験が一番、道徳、公共心については学びの場として大事だと思っております。そういうことを含めて、今までのメニューにより強化をして取り組んでいこうというふうに思っているところでございます。

下村委員 今御指摘の心のノート、それから道徳教育総合支援事業、こういうものが廃止になったり、二十二年度の予算で二十一年度に比べて半減、半分に減っているんですね。半分に予算が減っている中で、本当に道徳教育に力を入れるということができるのかなというふうに思うわけであります。

 先ほど馳委員から出ておりました北教組ですけれども、北教組は道徳教育についてどう考えているか。北教組は、各学校に配付した「改悪学習指導要領に対峙するために」と題した資料、冊子になっているんですけれども、この中で、道徳教育を国家道徳と決めつけ、国家による支配的なイデオロギー、感性、精神で国の方針政策を受け入れさせようとする、学校教育を通じて強制的に行うとして、徹底的に排除しようとしているんですね。ですから、道徳教育について、それを典型的な事例として反対闘争を繰り広げている、こういう実態があるわけです。

 この北教組がどこかの単なる左翼イデオロギー集団であれば、国会でそんな問題にしなくても、それでも我々は問題だと思っていますが、ぜひ文科省の方でも考えていただきたいと思うのは、これが皆さんの民主党の強力な支持母体なわけですよ、北海道において。実際に、小林千代美議員の選挙違反はこの北教組の幹部がかかわって、そして逮捕されている。こういう状況の中で、やはり皆さんの民主党の政策が陰に陽に相当影響されているということを言わざるを得ないというふうに思いますね。

 日教組も、この改訂学習指導要領について、「教育基本法等の「改正」をもとに伝統・文化、公共の精神、規範意識等が、学習指導要領に具体的な形として示され、拘束する方向へと強化された」「教育内容が「価値の一元化」「国家主義」的なものへと公教育を根本から変えるものであってはならない。」などとして批判しているわけですね。

 私たちが目指している道徳教育は、別に、価値の一元化とか国家主義的な視点から推し進めようなんということは全く考えていないわけでありますけれども、文科大臣として、日教組のこのような視点での批判についてどのようにお考えになっておられますか。

川端国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、道徳教育は、公共心、そして、日本人として、あるいは人間として社会の中で生きていくための基本のことを教えるという部分で極めて大事なものであるという認識に立っておりますし、そのことで教育指導要領でも明記をされた部分を、しっかりと教育現場で実施されていかなければならないというふうに思っております。

 日教組が労働組合という独立した組織としてそれぞれの主義主張を言われることは、基本的には御自由ではあろうかと思いますが、今言われた中身の見解に関しては、私としては意見は異にしておるということでございます。

 少なくとも、教育現場においては、しっかりと教育指導要領に基づいた道徳教育が実践されるようにしていくのが私の務めであるというふうに思っておりますし、万が一にもそういうことがいろいろな状況で阻害されることがあってはいけないし、そういうことがないように、これからもしっかりと調査も指導も含めてやってまいりたいと思っております。

下村委員 今の大臣の答弁は、大臣の答弁としては当然のことだというふうに思います。

 日教組が教育関係団体であることは事実ですが、しかし、この改訂学習指導要領における公共の精神とか規範意識については、これは非常に問題であると我々は思っているところでありますし、また、大臣もそのような見識は持っておられるのではないかと思うんですね。だからこそ、過去、文部科学省に対して毎年日教組から出席依頼があったのにもかかわらず、出ていなかったわけです。

 ところが、五十九年ぶりに、ことしの一月の二十三日に開催された日教組の第五十九次教育研究全国集会に、文部科学省より高井美穂大臣政務官が出席しました。文部科学省で政務を行う国会議員が教育研究全国集会に出席するのは、昭和二十六年、当時の政務次官が出席して以来、五十九年ぶりのことであります。

 このことについて、馳議員が二回にわたって質問主意書を出しております。高井政務官の日教組の教研集会への出席については、日教組から文部科学大臣に対し出席を求める依頼があったため、文部科学大臣の判断により、日程のほか、各文部科学副大臣及び各文部科学大臣政務官が担当する職務の範囲を勘案し、高井政務官が出席することとしたとの答弁がこの質問主意書の中でありました。

 担当する職務の範囲を勘案して高井政務官の出席を決めたということですけれども、高井政務官の担当するどの職務に照らして日教組の教研集会への出席がふさわしいと決定したのか、お聞きします。

高井大臣政務官 私は、主に、大臣、鈴木副大臣のもとに教育とスポーツを担当し、中川副大臣、後藤政務官が科学技術、文化ということで、大きく担当を二つに分けておりまして、その部分の教育ということで私が出席をしたということだと思います。

下村委員 まあ、言われたから出席したということですね。高井さんを責めてもしようがないので、これは私は川端文科大臣の見識の問題だと思うんですが。

 同じく馳議員の質問主意書への回答の中で、これまでの日教組から文科大臣に対する教育研究全国集会への出席依頼については、その時々の文科大臣の判断により、文科大臣等は出席しなかったものであるとしている。出席依頼はあったけれども、実際は文科大臣の判断で出席していなかった。しかし、今回は五十九年ぶりに政務官が出席したわけですね。

 これは、川端文科大臣が最終的にはそのように指示したということになると思うんですね。高井政務官が自分で手を挙げて出席したのではないと思います。なぜ、川端大臣がこの日教組の教研集会に高井政務官を出席させたのか、五十九年ぶりに。その理由をお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 教育にかかわる関係者及び関係団体というのは広範にわたっていることは御案内のとおりでございます。そういう中の一つとして、いろいろな御意見があれば、一緒に伺うときも個別に伺うこともあるということはかねがね申してまいりました。

 そういう中で、先般、教研集会の全体集会があるので私に来てほしいという御案内をいただきました。

 過去を調べましたところ、教育研究全国集会には各文部科学大臣メッセージを送っておられるということでございます。加えまして、これは教研集会だけではなかったんですが、平成十三年一月には、教育研究全国集会開催に先立って、前日に開催されるレセプションが、これは東京であったんだと思いますが、行われました。新春の集いを兼ねた前夜祭みたいなレセプションには、当時の町村文部科学大臣が出席されてごあいさつされているというふうな対応をしているということでございます。

 私自身は日程も含めて調整がつきませんでしたが、高井大臣政務官に対して、今までメッセージを出すということの対応であったけれども、今回は日程が合うならば行くようにということで私が判断をいたしました。

 私も、ほかにも、例えば教育費の負担の軽減を求める教育者の集会とか、いろいろな団体の会議がありますが、そういうものには、教育関係の部分では、御案内をいただければ、可能であればいろいろな形で対応したいと思っております。

下村委員 特に教研集会分科会とか特別分科会というのは、特に人権教育や平和教育などの分野で、これまでの文部科学行政とは非常に異なる、日教組の左翼イデオロギーが強くあらわれた内容のものが多々あります。

 高井政務官は、この教研集会分科会などには出席、参加されましたか。

高井大臣政務官 冒頭のごあいさつだけで、それ以外は全く出席しておりません。

下村委員 川端大臣、政権がどうなっているかわかりませんが、この日教組の教育研究全国集会、また案内があれば、大臣かどなたか出席をされるんですか。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、いろいろな教育関係の団体からいろいろな御案内をいただくことに対して、そのときの日程等々を踏まえて、メッセージ対応等、だれか代理出席するかを含めて、その都度判断をしてまいりたいと思っております。

下村委員 他の教員組合と別に差別するわけではない、しかし、出席するかどうかはその都度判断するということを言われましたが、まさに今の民主党政権そのものだというふうに思うんですね。

 北教組の問題に端を発して、我々は教育公務員改正法案を今出しております。決して学校の先生だけを何かターゲットにしているということではなくて、改正案というのは、つまり、ほかの公務員と同じような罰則規定を設けてくださいというだけの話ですから。今まで学校の先生にはそれがなかったわけで、それだけ、見識、良識を持っておられる先生方にそんな罰則規定を設けるのは、それは失礼だろう、自浄作用の中でみずから法にのっとってきちっと対応するのではないかと。

 大臣、こういうふうな教育公務員改正法案を我が党としては先週出しているところなわけです。当然、これについて日教組は反対しています。国会でこのような法案が出ている中で大臣が出ていくというのは、私はいかがなものかというふうに思いますが、いかがですか。

川端国務大臣 先ほど来の教研集会は一月の問題であって、今の話……(下村委員「今後の話」と呼ぶ)今後の話ですね。

 今後の話は、そういう意味で、申し上げましたように、いろいろな団体から来たときに日程を含めてその都度判断するというときには、当然ながら、行政の責任ある立場として、その部分に直接的な利害が生じるような部分に関しては、基本的に判断の一つとしてあることは当然だというふうに思っております。出欠に関して、いろいろな諸般の事情を判断することはあり得ることであると思っております。

下村委員 今後、日教組と文部科学省の政務三役がどんなスタンスでどのように対応されるのか、我々としては注視していきたいと思っております。

 それから、高校無償化法案の中で、中途退学の話を申し上げたことがございました。実際に、経済的な理由で学校をやめざるを得ない子供というのは二千数百人で、七万人近くの中途退学者はそれ以外の理由でやめているわけです。この子たちに対してどうこれから対応していくかということが問われているのであろうと思いますが、その中の大きな一つの問題として、いじめの問題等、それから暴力行為等の問題もかなり深刻な問題としてあります。

 最近のニュースでも愛子様の問題が出ておりまして、非常に心痛むことでありまして、学習院という私立の小学校においてもそのようなことが顕在化しているということは、我が国の教育における深刻さを相当物語っていることであるし、我々は、このような子供たちのいじめ等、あるいは暴力行為について、看過できないことであるというふうに思います。

 文部科学省が、平成二十年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査、この結果を発表いたしました。

 この調査を見ますと、暴力行為の発生件数が約六万件と三年連続で増加しており、小中学校においては過去最高の件数を更新しているというショッキングな数字が出ております。小学校では、前年度から千二百七十件増加して六千四百八十四件、中学校では、前年度から五千九百五十一件増加して四万二千七百五十四件、急激に伸びているんですね。

 急激にこんなに暴力行為の発生件数がふえているというのは、文部科学省としてどんな要因であるというふうに分析をされておりますか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 ちょうど先週ですか、この委員会の審議が終わった後、先生と一緒に帰るときに臨時ニュースが入って、本当に胸の痛む思いを共有いたしました。先生おっしゃるように、本当に全国の、学習院までという表現をされましたけれども、そういう事態がどこでも起こっているということは極めて深刻な問題だというふうに思っております。

 御指摘のように、急増をいたしております。そして、非常に総括的な分析でいいますと、自分の感情をコントロールできない子供がふえてきている、あるいは、先ほど来お話ありました生徒児童の規範意識の低下、あるいは、すぐに手が出るという行動、ということは、いわゆるコミュニケーション能力がやはり落ちてきている等々の原因が基本にあるんだというふうに思っております。

 同時に、調査が、三年、十八年、十九年、二十年とこんなに伸びているんですけれども、調査をしっかり徹底的に、少しでもあったら報告しなさいということで、より顕在化した状況にあるというのもあると思います。ただ、それが伸びている背景そのままかどうかわかりませんが、レベルがどんと上がったことを含めて、私たちとしては、小さなことでもすべて報告するようにということでの周知徹底が図られてきて、教育現場もそのことの受けとめが、これは大変なことだからしっかりやらなければいけないからすぐに連絡しようというふうになってきたことも、多分、数字が大きくなる背景の一つにはあると思います。

 同時に、調査してまいりますと、同じ学校での発生が多いというのは、どうも同じ子供が何度もやるということもあって、結果的には、いろいろな手だてがその児童生徒の再発を防止できていないという状況もある。

 そういう意味では、学校現場が、意識として、学校全体で小さなことでも取り上げて取り組もうという環境にはだんだんなってきているけれども、まだ有効な手だてを打ち切れていないというのが、現状、正しい状況であろうというふうに私は思います。

下村委員 暴力行為は急激にふえているんですが、しかし、同じこの文科省の調査によると、いじめの認知件数は逆に減っているんです。約八万五千件と、前年度が十万一千件ですから、一年で一万六千件減少しているんですね。これはどういうことなのか。

 先月も、二月の十五日ですが、東京都清瀬市の市立の中学二年生の女子生徒がいじめをほのめかす遺書を残して自殺するなど、いまだにいじめをめぐる痛ましい事件が実際はあるわけですね。

 都道府県によっても認知件数にはかなりの差がありまして、都道府県によって、一番少ないところは年間で九十件、しかし、一番多いところは九千六百九十九件。これを見ますと、必ずしも人口比例ではないんですね。それから、千人当たりの認知件数でも、少ないところは〇・八件ですが、一番多いところは三十二・七件。こんなに差があるんです。

 そもそも、統計として実態をあらわしているデータなのか。いじめが本当に対前年度比一万六千件減少していると言えるのか。実は学校がいじめを認知していないだけではないか。つまり、いじめの実態が実際隠ぺいされていて、もっと、ある意味では悪質、深刻化、水面下に入っている部分もあるのではないかとも思わざるを得ないんです。

 暴力行為は一方で物すごくふえている、いじめの認知件数は減っている、これについてどうお考えになりますか。

川端国務大臣 御指摘のように、いろいろな痛ましい事件が起こる報道の状況で胸が痛いわけですが、そういうことと数字がどうも合わないなという印象だと。

 それで、過去ずっとこれは調査をしてきているんですが、何か社会的に非常に大きな問題になって徹底的に調べようというと、物すごく高く出ます。そして、だんだん減ってくる。また何かあるとどんと上がってという、この繰り返しがどうも過去の、例えば昭和六十年度で合計で約十六万件というのが、その次の年になると五万八千件ぐらいになりというふうに、何かあると急に上がって、下がる。今回も、平成十八年度で非常に高く出まして、そこからまた落ちている。その前の年からいうと、こんなに上がっている。

 やはり、いじめ問題が大変深刻な問題だからみんなで取り組もうと、文科省も熱心に、そして地方自治体も頑張りましょうといって、しっかり小さいことからでも全部芽を明るみに出して取り組みましょうということをお願いするとずっと出てくるんですが、先ほど言われました人口に比例していないという部分でいうと、そこの都道府県を中心とした取り組みの調査方法にやはり問題があるのではないかと、私は基本的にこの問題を見出してから分析をするように指示をしております。

 これは、極端に言えば、何かいじめはありませんかと言ったら、ありませんと言ったらないということになるし、こういうことはないか、ああいうことはないかということをきめ細かくやれば、やはり芽としては潜在化しているものを顕在化できる。そういう意味では、先ほど申し上げましたように、暴力の部分がふえているというのは、少しでもいろいろなことがあれば言ってください、出しましょうということをここ二、三年取り組んでいることと、ちょうど逆になっている可能性があると私は思います。

 そういう意味では、やはり、よりきめ細かく熱心に取り組んで、本当に教育現場の最先端、最前線までが、絶対いじめをなくそう、そしてその芽を見つけようという姿勢で取り組まないとできない話ですので、この部分がいみじくも私はある部分調査に出ているのではないかということを踏まえて、これからも細かく取り組むように指示をしてまいりたいと思っております。

下村委員 私も、都道府県でこんなに極端に違うというのは、やはり調査方法に問題があるというふうに思います。

 過去には、北教組が道教委のいじめ実態調査に対し、組織的に非協力的だったという事例があるんですね。別に教職員組合だけの問題ではなくて、そこにおける教育委員会の問題もあるというふうに思いますが、しかし、過去の事例のように、現在においても、この調査に当たって、教職員組合などによる調査への非協力や実態の隠ぺいが行われているのかいないのか、その辺の文科省の認識はどうですか。

川端国務大臣 過去に、そういう協力するなということをやっているということで、北海道の場合は、北海道教育委員会の独自の調査に対しての事例だったというふうに思いますが、そういう報道がされて、教育現場で先生が非協力で、校長先生やあるいは地域の父兄等に応援をしてもらったという報道があったことは承知をいたしております。

 現在、国がそういうことでの調査を行っていることに関して、特段、そういう困っている事態の報告を受け、把握をしていることはありませんが、調査結果を得るということに主体があるという調査のやり方であったので、この調査をするに関して何か困ったことや、もっとこうしてほしいとか、こういうことがあったかどうかということまで積極的に調査をしておりませんでした。

 そういう意味で、やはり、今言われたように、調査方法も本当にいいのかどうかということの中に、こういう客観的にきちっと調査できる体制、環境にあるのかどうかも含めて、しっかりと調べて対応するように指示をしているところでございます。

下村委員 本来行うべきは暴力行為やいじめの根絶にあるわけですから、調査に正確を期すというのは当然ですけれども、同時に、この調査の結果をどのような暴力行為やいじめ防止に結びつけるのかがこれからの課題だと思います。時間の関係で、これだけでも相当時間がかかってしまいますので、改めて具体策についてぜひ検討していただきたいと思います。

 ちょっと時間の関係で、子ども手当について、これは文科大臣の立場からぜひお聞きしたいんです。学校給食費との関係なんですが、私は地元で本当に多くの方々から、学校給食費について、払えるのに払わない親が非常に最近ふえていると。道徳教育、モラルの問題があると思うんですね。

 私の選挙区は東京の板橋なんですが、板橋の区の幹部の人から、学校給食費については、子ども手当を支給するのであればぜひそこから天引きしてほしいという要請を受けております。

 それから、PTAの方々から、これは特殊な事例だとは思いますが、ある小学校で、やはり学校給食費を払えるのに払わない親がいて、学校側が最終的には校長先生がみずから乗り出していって給食費の請求をしたけれども、どうしても払ってくれない、結果的に、その校長先生が自腹でかわりに生徒の給食費を払ったという事例が二つあると。PTAとして見ていて、こんなことを校長先生に強いること自体、これはかわいそうなことだし、許されるべきことなのかということがPTAの役員の人たちから出ておりました。

 この給食費問題というのは、子ども手当問題が出てから本当にいろいろなところでいろいろな方から御指摘があるんですね。

 事実、これは文科省で調べたデータだと思いますが、二年ぐらい前でしょうか、全国で十万人近くの家庭において学校給食費を支払っていない、こういう数字も出ております。

 この子ども手当は厚労省の所管ですけれども、学校給食費という視点から、国が支給するわけですから、そういう組み合わせをすることによって、地方自治体に対しても、あるいは学校に対しても、そういうフォローアップをするということは十分考えるべきことだと思いますが、文科大臣として、このことについてはどんなふうなお考えを持っておられますか。

川端国務大臣 給食は、施設の設備費と人件費は学校の設置者が負担、そして食材費は保護者が負担という分担で行われております。

 一部の保護者の中に、先生御指摘のように、現在、これはちょっと古いんですが、平成十七年度の学校給食費の未納状況ということで、未納の保護者がいた学校というのが全体の四三・六%、二校に一校はだれかそういう人がいる学校ということであります。そして、未納の件数は九万八千九百九十三件で、全体の児童生徒でいいますと一%でございます。未納の総額は二十二億円。そして、一%ではありますが、このことの対応に、今、校長先生が自腹のお話がありましたが、先生の対応が大変時間と苦労をかけていることが起こっています。

 そういう意味で、政府においても、この子ども手当で子育てを応援するときに、その中の給食費、そこへ充当するということの、趣旨はそれで充当していただいていいんですが、制度的なことができないかということのいろいろな議論があります。そして、今、私たちとしては、そういうことが円滑になるような工夫をできないかという相談もさせていただいておりますが、すぐに、これは手当として個人に支給するものでありますので、学校が強制的に天引きするということができないことになっています。

 今、予算が通り、法案が成立したらという前提でありますけれども、学校の設置者、要するに教育委員会に対して文部科学省から、子ども手当が支給されるのは恐らく個人の口座に振り込まれるということなので、協力ベースでありますが、父兄に呼びかけて、給食費はその口座から自動振り込みしていただくという方法もあるとか、いろいろな方法を例示しながら、そういうことが工夫できるような、解消に向かえるようなことをとりあえずは今回のこととして対応して、制度的には、二十三年から本格的な部分をやるというのはこれからの議論でありまして、そういう中では、文部科学省として、これに充当できる仕組みがないかどうか、全く給食をやっていないところもありますけれども、そういうことはこれからも私としては取り組んでいきたいと思っております。

下村委員 取り組むといっても、具体的にどう取り組むかというのは今の答弁でわからなかったんですが、調査は文科省が、〇五年の給食費の滞納、二十二億円で約十万人と。恐らくこれよりはふえているのではないかという気もいたします。子ども手当も政府として取り組まれるわけでありますから、これは文科大臣として厚労大臣にぜひ申し入れをしていただきながら、現場の方々のそういう意味での意見がより反映されるような制度設計を改めて考えていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

田中委員長 次に、永岡桂子君。

永岡委員 自由民主党の永岡桂子でございます。

 きょうは、大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 実は、私、大変心配しております。文部科学の分野だけではなくて、民主党の政策には、もしかすると近い将来、憲法上の問題から訴訟が起きるかもしれないなと実は感じているからなんですね。私の持つ疑問というのは、恐らく、少なからず日本人が持っても不思議ではない疑問である、そういう可能性があると実は思っております。

 例えば、今回の高校の無償化法案、これは日本に子供が住んでいなければ出ません。海外にある日本の学校に通っている子供には支援金は出ないことになっていますね。そして、この委員会の所管ではないんですけれども、子ども手当。本当に昨日は両方とも衆議院の本会議を通過しちゃってちょっと驚いているんですけれども、余りに通過するのが早くて。子ども手当は、日本に住んでいる外国人の子供にも出ますね。親が日本に住んでいれば、日本に住んでいない外国人の子供にも子ども手当は支給されるとなっています。けれども、日本人でありながら、それも日本に住んでいるのに、日本の子供であるにもかかわらず支給されない、手当がいただけない、そういう子供も出てくるわけですね。

 恐らく、制度が施行されると、憲法の十四条、法のもとの平等に違反するとして訴訟が起きるのではないかと私は考えるわけなんですけれども、文部科学行政を含めまして、民主党の施策が憲法に違反するという判断が例えば最高裁などで出た場合、どういうような形でその責任を大臣は負うのか、お伺いしたいと思います。

川端国務大臣 今のところ、私たちは、いろいろな政策を行う際に、当然ながら憲法のもとに行っていて、違憲なことはないということで行っておりますので、そういう事態は起こらないと思っておりますが。万一に違憲判決が出たらというお問いには、基本的にはそういうことは全く想定していないとしかお答えのしようがございません。

永岡委員 そう来るとは思っていたんですけれども。これは仮定の話なのでそういうお答えになるかとは思うんですけれども、合憲か違憲かというのは、裁判所で司法が判断するわけですね。政治主導といいましても、決して国会が、つまり私たちこの国会議員が合憲かどうかを判断するものではないということですね。いかがですか。

川端国務大臣 立法府の国会は、まさに法律をつくる権限を唯一与えられたところであると承知をいたしておりますし、同時に、最高裁判所は、その立法が合憲か違憲かを判断する権限を有している唯一のところだと承知をいたしております。

永岡委員 そういうお答えで結構でございます。そのことを指摘させていただきたいと思っております。

 それでは、憲法二十六条、国民の義務ということについてです。これは教育が記されております。国民の三大義務として、三十条には納税、二十七条には勤労ですね、これが記されているわけなんですけれども、教育は、受ける権利があると同時に、国家に対する義務でもあるわけです。教育の対象となるのは日本国民であるということになります。その内容については、当然のことながら、日本という国家の存立を前提としているということになります。つまり、外国の方は対象となってはいませんね。

 この高校の無償化なんですけれども、一条校は当然無償化の対象になるとは思うんです。でも、各種学校のくくりになりますと、これは外国人が対象となる学校、つまり、いわゆる外国人学校というんですか、そういうのは国が支援金を出すのはちょっとばかりおかしいのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 一つは、この制度は学校に出す制度ではありませんので、特に、今御指摘の各種学校の外国人学校等を含めた私立学校に関しての支援金は、子供に出すということを前提としておりますので、外国の学校に出すという制度でないということは御理解いただきたいと思います。

 その前提の中で、憲法二十六条は国民を対象にしております。国民というのは日本国民であります。そういう意味では、すべての国民は教育を受ける権利を有すると定めている国民は、日本国民であります。

 ただ、外国人に対してのそういう支援を行ってはいけないという趣旨ではありません。日本の国民は権利を有しているということで制度の適用を受けるときに、それが外国人まで広げて、日本に居住する外国人に広げて適用することを制約しているものではないというのが憲法の解釈だというふうに思っておりますので、このことが憲法二十六条に反するというふうには思っておりません。

永岡委員 わかりました。二十六条の範囲プラスアルファで、外国人の子供にもその教育の支援金を与えるということでよろしいわけですね。

川端国務大臣 二十六条に基づいて行うものではなくて、これは政策上行うものでありますが、例えばある一定の条件のもとでの外国人学校に行く子供に適用することは二十六条には違反しないということを申し上げたわけでございます。

永岡委員 わかりました。

 では、この二十六条の続きなんですけれども、教育を受ける権利があるという対象が、今大臣もお話しいただきましたように、国民という認識でございますね。自国民でない者つまり外国の方が、この高校無償化法案に対しての支援金が欲しいと要求されるというのはおかしいとはお思いになりませんか。

川端国務大臣 今回の制度は、高等学校及び高等学校の課程に類する課程を有するところに通う子供で日本国に居住する者ということにしておりますので、その対象の人たちを支給対象としているというときに、今、私たちがその高等学校の課程に類するものとして、いわゆる高等学校以外で、制度上、客観的にそういうふうにみなせるものということで、一つは専修学校の高等課程を想定いたして各種学校は想定をしていないけれども、各種学校の中で、専修学校になれないという位置づけである外国人学校だけは例外的に高等学校に類する課程とみなせるものはみなしたい、その判断基準と方法を今検討しているところという状況であります。

 その中で、そういう学校に行っている人が、私たちもその対象に入れるのではないかという御意見があること自体は、おかしいとかおかしくないではなくて、そういう御意見があるんだということだと思いますし、そういう御意見があるからとかないからとかいうことで判断するものではない判断をしてまいりたいと思っております。

永岡委員 そうですね。今大臣のおっしゃったとおりだと思います。

 簡単に言えば、支援金をいただけるかどうかわからない方たちが、大臣または文部科学省の方に言ってくる意見、お願いというものは、それに大臣または文部科学省の判断は影響されないということでよろしいのでしょうか。

川端国務大臣 制度上、客観的に判断できる基準ということで今検討している、そのことと同時に、この国会でのいろいろな御意見も踏まえて、そのことの範囲内で決める仕組みを今考えております。そういう意味で、先般こういうことで御要望はいただきました、それは御意見として御要望はいただきますけれども、そのことが判断基準ということではなくて、あくまでも客観的に判断できる基準と方法を決めたいということでございます。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 では次に、きのう大臣の方に通告しております、昭和五十一年五月二十一日に最高裁で判決の出ました旭川学力テスト事件、この判例について大臣にちょっと、知っているということを前提といたしまして質問させていただきたいと思います。

 教育の本質についての最高裁の見解が示されている結構有名な判例だというふうに私も聞いているんですけれども、最近の北教組は、また別の問題、つまり、先ほどから委員会でも出ていますけれども、小林千代美議員に対する北教組の違法献金問題でも結構有名になっております。

 旭川学力テスト事件のことなんですけれども、この件では、中学校の全国学力テストに反対していた北教組の役員が、テスト当日、テストを実施しようとしていたところ、このテストを中止しようとして学校に侵入したということです。テストの実施を何しろ阻止しなければいけないということで、北教組の役員の方は、校長に暴行をした、そして公務執行妨害、建物の建造物侵入罪、あと暴行罪で起訴された事件となっています。

 公務執行妨害の前提となります全国学力調査の適法性、これが争われたわけなんですけれども、結果、最高裁の判断として、学力調査は合憲となったわけですね。判例では、教育というものは、子供が自由かつ独立した人格として成長することを妨げるような国家的介入、例えば誤った知識や一方的な観念を子供に植えつけるような、そういう内容の教育を施すことを強制することは許されないとなっています。

 大臣、朝鮮学校はこの基準を満たすと考えていらっしゃいますか。

川端国務大臣 御指摘のように、この旭川学力テストをめぐる最高裁判決は、教育の世界で極めて重い判決の一つだというふうに思っています。

 そういう中で、国が教育内容について決定する権能を持っているんだということを一つは認めた、したがって国は必要かつ相当と認められる範囲において教育内容についてこれを決定する権能を有する、これは一つの大きな柱です。しかし一方で、教育内容に対する国家的介入についてはできるだけ抑制的であることが要請され、例えば、誤った知識や一方的な観念を子供に植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは許されない、これは、憲法の二十六条、十三条の規定も引用しながらという判決でございます。

 そういう部分では、私たちも、国に重い責任がある権能を与えられていると同時に、強制やそういうことを押しつけるようなことがあってはいけないということをいつもみずから律しなければいけないということの根幹をなす判決だと思っています。

 そういう中で、今、朝鮮人学校のことをお問いでございました。朝鮮人学校は、各種学校として届けられております。そして、都道府県が認可をするという制度上の位置づけでございます。そういう意味で、各種学校として満たすべき要因としては、一定の修業年限、教員数、校舎面積等が定められておりまして、教育内容に関する定めはございません。

 文部科学省として、教育内容を調査したり把握する権限がありませんので、その実態が、中身がどうあっているかというのを把握していない位置づけであるということでございますので、この判例云々ということに言及することができない位置づけでございます。

永岡委員 大臣おっしゃるとおりだと思います。

 大臣初め文部科学省、つまり国は、朝鮮学校の教育内容にはこれは関知することができないというふうにはなっておりますね。

 わからない、今現時点でわかっていないということになりますと、北朝鮮が朝鮮学校に対して国家的な介入をしているかしていないかというのがわからないわけですね。そういうことになりますと、きちんとした確証がない限り、無償化というのは実施するべきではない、実施できないときっちりと言った方がよろしいんじゃないのかと思いますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 高等学校の課程に類する課程かどうかということを客観的に判断する基準と方法を検討しているということを繰り返し申し上げてまいりました。

 しかし一方で、その判断の中に、前から議論がありましたように、例えば民族教育をしているかどうかとか、あるいは外交上の配慮とか、そういうふうなものは、少なくとも今検討している客観的判断基準の項目には該当しないということで検討をいたしておりますので、そういう意味では、ここにどういう影響力を与えている勢力があるのかとかいうことに関して、今この判断の物差しの対象とはしていないことだけ申し上げたいと思います。

永岡委員 次に、高校の無償化法案の二条、これも同じところなんですけれども、省令についてちょっとお聞きしたいと思うんです。

 先週の金曜日、この委員会で我が党の下村委員が、省令で定めるものの判断基準は何かという質問をいたしました。そのときは、大臣、はっきりしなかったんですね、なかなかはっきりしていただけなかった。強行採決の直前に二つ程度挙げただけだったと私は考えております。いまだにわからないわけです。不透明なわけなんですよ。

 川端大臣はこうおっしゃっていました。「制度的に申し上げれば法律が通った後に省令は決めるものでありますので、」ここが重要です、「ぜひとも法律を通していただきたいということでございます」とか、あとは、「法律成立後、省令で私の責任において判断するもの」であるとか答弁していらっしゃいます。委員会審議というのは、省令で定めるものに関して、これは全く委員会で明らかにしなくてもいいのであるかのごとくのお答えであったと実は私は考えているんです。

 法律の省令を決めるということは、これは本当は大臣の専権事項じゃないでしょうか。それが、省令の内容については何だか具体的ではなかったり、基準を示されなかったり、法律をただ通してくださいとか、そういうお答えでは国会軽視も甚だしいと実は考えます。いかがですか。

川端国務大臣 法律の体系として、高等課程に類する専修学校、各種学校の基準は、ちょっと正確ではありませんが、基準はこれを省令で定めるという法律になっているという、提案の法律であることと、そういうことに従えば、実際の省令は、法律が通った後に文部省令として私の責任において出すものになるという事実を申し上げたわけでございまして、そして、そのことにおいてのまさに省令にゆだねた中身は、このものが高等学校の課程に類するかどうかというものの基準を示すということになっている。それに関していろいろな御議論があるので、ここの国会の審議の場もしっかり踏まえた形で最終的には決めたい。

 そして、先般来の御質問の中でも、いわゆる一条校として認められた部分の要件と、専修学校の高等課程として届け出、認可をされる要件と、各種学校の外国人学校で求められる要件にいろいろな違いがあるということをどう整理するかという論点と、それから、高校に類する課程というのは在学している課程を問うものでありますから、直接的にダイレクトな評価と一緒ではありませんが、高校を卒業した者に対して大学入学資格というのが与えられているという状況での一つの物差しがあるということも判断の一つとして参考にはしている。

 それともう一つは、これもたびたび指摘されております、外交ルートがないという意味で、そういう者に対してどういう形で確認できるのかできないのか、方法があるのかないのか、そこの部分を含めて基準と方法に関して最終的な議論をしているところであると申し上げましたので、国会軽視をするつもりはさらさらございません。

永岡委員 まだ精査中ということでございますね、省令について。これはまだ決まっていないということですね。

 高校無償化の法律案には省令で定めると書いてあるわけですけれども、本当にどうして、こんな大切なことを、どういう方たちが対象になるかということをはっきりしないで採決ができたのか。何と無責任なのか。

 私ははっきり言って、今まで与党の時代に公明党の方たちと連立を組んでいました、その方をしても、また共産党の方も、法律案に省令で定めるものの内容がわかっていないのに採決を求める、また賛成してしまう、ちょっと常識では考えられないと思うんです。それについて何か言いわけでも言っていただきたいと思うんです、大臣。よろしくお願いします。

川端国務大臣 言いわけではなく、説明をさせていただきたいと思います。

 これは繰り返しになりますが、専修学校、各種学校の中で、高等学校の課程に類する課程であるものを定めるために、このことは技術的、専門的な事項であるということで、省令に委任することという法体系に提案させていただきました。

 このような例は、例えば教育分野で申し上げますと、学校教育法においては、高等学校を含む各種学校段階ごとに教育の目的や目標を規定いたしておりますけれども、教科に関する事項については省令に委任しており、この委任を受けた省令、学校教育法施行規則において各教科の構成や年間標準授業時間数を規定しておりまして、さらに、この教育課程については、学校教育法施行規則の委任を受けた大臣告示、学習指導要領において規定をされております。

 また、学校設置基準についても、学校教育法の委任を受けて文部科学省令において各学校段階ごとの設置基準を定めているところでありまして、専修学校、各種学校の具体的な要件を定める専修学校設置基準や各種学校規程も文部科学省令で定めております。

 そういう意味で、これは法制局とも協議した結果、法令上のバランスからこういう法体系にさせていただきました。極めて珍しくやるわけではないことは御理解をいただきたいと思います。

永岡委員 なかなか理解できることではありませんし、理解しろと言われてもちょっと不可能かと思います。

 結局、省令の中身を精査して審議を深めていくことがこの委員会の役割だと思っております。国民に、とてもではないけれども、これは言いわけができないなと実は思っております。白紙委任状と言ってもいいのではないかと思っております。本当に法律の基本的事項ではないのかと思っておりますので、強く指摘させていただきたいと思っております。

 では次に、大臣、マスコミ報道によりますと、先週の十二日、鳩山総理が、この委員会が終わった後に首相官邸で記者会見をしました。このときに、朝鮮学校を除外するかどうか第三者機関で判断していくという考えを示したとなっております。

 大臣、第三者機関というのは設置するんでしょうか。お伺いいたします。

川端国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、最終的に、どういう基準、どういう評価方法にするのかを、国会の御議論を踏まえながら検討し、詰めの段階に入っておりますけれども、報道で総理がそういうことを言われたということを私も直接確認をしたわけではございませんが、各種学校の認可を受けているもので、客観的に我が国の高等学校の課程に類する課程であることが認められるものとして一定の要件を満たすものについて支給するということを考えていると申し上げてきました。

 そういう意味で、これは中身、基準をどういう方法でするかという検討を今私の責任のもとにやっておりまして、総理の御発言については、客観的、制度的に判断することができる判断基準、判断方法について御自身の意見を述べられたのではないか。決定しているわけではございません。

永岡委員 では、大臣、鳩山総理は勝手に第三者に判断をお願いするとおっしゃったというお話でよろしいわけですね。(発言する者あり)そう、思いつきで。

川端国務大臣 評価機関という言い方が正しいかどうかはわかりません、しかし、政府あるいは当然文科省が中心となるわけですけれども、客観的に評価ができるようなシステムというか、それを恒常的につくるかというのはまた別です、客観的な基準というものを決めていくような何らかのシステムが必要ではないかという、まさに意見を述べられたんだと承知をしております。

永岡委員 では、鳩山総理の記者会見というのは無視をなさって、大臣は、先ほど私に答えていただきましたように、対象は省令で定めるものと言っているわけなので、自分が、つまり川端大臣が判断基準を明らかにするということでよろしいんですか。

川端国務大臣 この法案について総理と意見交換をさせていただいたときに、この項目については文部科学大臣の責任において決めるようにという御指示をいただいておりますので、そうさせていただくつもりでございます。

永岡委員 それでは大臣、どうぞ鳩山総理にぜひお願いしていただきたいと思います。お願いじゃなくて、命令ですね。

 第三者に判断をゆだねると言ったのは、マスコミに載っていまして、私もテレビで見たんですよ。それで、おっと、そうだったのかと実は思ったわけです。ですから、全国民の方が、テレビを見ている人はわかっているわけですよ。ところが、今の大臣の答弁ですと、私が判断しますと。私というのは大臣ですね。

 ここのところ、これはもう私も大分なれましたけれども、鳩山内閣の本当に政策の不一致、どちらを信用していいかわからないというものの一端であるなと実は思います。総理大臣も判断できなければ、大臣も判断できない、本当にこれでは、政治主導と言われる、ずっと民主党さんは政治主導と言っていらっしゃいました、政治主導が泣きます。本当に、どうぞどなたにも責任転嫁をしないで、では大臣の御判断でお願いしたいと思っております。

 ぜひ、私が申し上げましたとおり、マスコミに向かって、総理大臣のマスコミ対応、ぜひ謝って、ごめんなさい、私が言ったことは間違っていました、第三者機関には頼みません、そういうことをお話しするように言っていただきたいと思います。

川端国務大臣 先ほど申し上げておりますように、総理は、客観的なシステムが要ると。第三者機関という言葉は御自身はお使いになっていないと思います、この発言録を見ましても。ですが、そういう問いに対して、そういう何らかのシステムが必要ではないかということの感想を言われたので、第三者機関をつくってやるんだということまで言われたわけではないという意味でございます。

 そして同時に、最終的に私が判断して決めるというのは、これは、省令を決め、そして最終的には、この学校を入れるという判断基準を決め告示をするのは、私の責任のもとでやらせていただくことでございます。

永岡委員 ありがとうございます。

 もう時間なので、これ以上質問できませんけれども、大臣、どうぞ鳩山総理に、軽々しく適当な意見は言わないように、ぜひ御忠告をお願い申し上げまして、質問を終わります。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、学校給食の問題について質問したいと思います。

 まず冒頭、私、新聞の記事で読んだんですけれども、北海道北部の北るもい漁協の皆さんが、スナガレイというカレイを東京の学校給食に使ってもらおうと努力をされて、それで東京の子供たちの人気メニューになったという記事を読んだんです。

 このスナガレイというのは、最大で三十センチほどのカレイのようでありますけれども、小型のものは輸送コストが高いということで市場には余り出回らない。北るもい漁協の天塩支部というところで、昨年十トンの水揚げがあったんだけれども、二トン在庫を抱えたそうです。

 そこで、漁協は、この魚を東京の学校給食でぜひ使ってもらおうと関係者と話し合って、まず魚のサンプルを東京の小学校に輸送して、さらに、学校の栄養士さんたちを天塩町にお招きして、漁場見学などを行ったそうです。衛生管理上不可欠な、給食前日に食材を到着させる、この基準をクリアさせる、そして輸送上の問題も検証作業を重ねた上で、ついに昨年九月に栄養士さんからゴーサインが出た。

 その後も、漁協は、理事さんを先頭に東京の小学校を訪問して、シャケの解体をしたりちゃんちゃん焼きの実演とか、PRに努めた。子供たちは、初めての体験に目を輝かせて、魚がとれるところからすべて見てみたい、こういう声が出るなど、食への関心を高めている、そういう記事でありました。

 ことしから給食でスナガレイが出されるようになったんですけれども、その東京の小学校の副校長さんは、子供たちに骨のある魚を丸ごと一匹食べさせたいと思って探していたんだ、こう言っておられます。二度揚げをして、太い骨しか残らないように調理法も工夫して、今では子供たちが家で親に魚の食べ方を教えられるようになった、こういう記事でありました。

 まず、大臣に、こういう食育の重要性について、しっかり御答弁をいただきたいと思います。

川端国務大臣 いいお話を聞かせていただきました。まさに、食べるだけではなくて、それが教育につながるということのお手本のような例でございます。

 私も、先日ふるさとに帰ったときに母校にちょっと寄ったんです、先生も何かこの前近江八幡に行っていただいたようですけれども。北海道と姉妹都市、韓国と姉妹都市、アメリカと姉妹都市と、姉妹都市が三つあるんですが、そうしたら、年に一回か二回、その町の料理という特別食メニューというのがありまして、北海道のは海産物をいろいろ取り入れた給食メニューとか、韓国はキムチを何か利用した料理とか、子供も非常に関心があって、そのことを通じてまたその町のことを話をしたりというふうなことに使っているというのを伺いました。

 今先生が言われたのは、まさに食の、お魚のことを含めて、大変そういうもので創意工夫をして、子供たちの勉強以外での最大の関心事の一つが給食メニューかもしれませんので、利用して、非常にいいことだというふうに思います。

宮本委員 大臣からも前向きの答弁をいただきましたが、そもそも、食育基本法に基づく国の食育推進基本計画では、学校給食において都道府県単位での地場産物を使用する割合の増加ということも定められておるんですね。そして、スナガレイの例でもわかりますように、そういった食材の提供が調理法の工夫や安全管理と一体であるということは言うまでもないことであります。

 ところが、一方で、その子供たちの大切な食と食育にかかわる給食調理の現場が今大変な状況になりつつあるということを指摘しなければなりません。

 まず、これは事実をお伺いします。

 一九八五年の文部省通知「学校給食業務の運営の合理化について」、この通知が出たのをきっかけに、給食調理員の非常勤化あるいは調理業務の民間委託がどんどん進んでおります。

 そこで、まず現状、単独調理場方式の学校で調理業務を外部委託している自治体数はどれだけか、学校数はどのぐらいあるか、お答えいただけますか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 学校給食の調理業務を外部委託している自治体数というのは実は把握ができておりませんで、調理業務を外部委託している小学校、中学校、これは公立でありまして、単独調理場方式及び共同調理場方式については、平成二十年五月現在で七千六百十校、これは全体の二五・五%でございます。

宮本委員 中学校の方もわかるでしょうか。

川端国務大臣 失礼しました。小中合計でございます。全体で、給食実施校数、小中合わせて二万九千八百十二校中七千六百十校。経時的に見ますと、十八年が二一・三%、十九年が二二・七、二十年が二五・五ということで、少しずつ増加をしております。

宮本委員 都道府県別の学校数、これは実はわかっておられると事前に聞きました。ぜひ、小中別、都道府県別で、私の方へ後から資料でお届けいただきたいと思うんです。

 そこで、きょうは厚生労働省に来ていただいておりますので、厚生労働省にお伺いをいたします。

 この間、業務委託に伴う請負契約をめぐっては、偽装請負という事態が頻発して、その是正に努めてこられました。そういうもとで、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準、三十七号告示というものが出され、疑義応答集というものが出されております。

 その七で、発注者が作業工程に関して作業の順序や労働者の配置など指示していいか、発注者が作成した作業指示書を示して作業を行わせてよいかとの問いに、どのように答えが書かれてありますか。

山田政府参考人 偽装請負の基準についてのお尋ねでございます。

 適正な請負であるためには、請負事業主が、一つは、業務の遂行に関する労働者への指示その他の管理をみずから行っていること、第二に、請け負った業務を自己の業務として相手方から独立して処理していることが必要であるというふうになっております。これらに反して、発注者が請負事業主の労働者を指揮命令した場合には、いわゆる偽装請負に該当するということでございます。

 その具体的な判断に当たっては、大臣告示によりまして、労働者派遣事業と請負の区分基準に示しているほか、さらに具体的な解釈については疑義応答集として示しているところでございます。

宮本委員 発注者が請負業務の作業工程に関して仕事の順序、方法などの指示を行ったり、あるいは労働者の配置、労働者一人一人への仕事の割りつけなどを行えば偽装請負になる、これは口頭に限らず文書でも同じだというのが厚生労働省の解釈であります。

 ところが、民間委託された学校給食調理の現場では、こういう事実上の偽装請負という事態が常態化をしております。

 皆さんのお手元に、鳩ケ谷市の調理業務委託校の調理工程表というものをおつけいたしました。これは公文書公開決定通知に基づいて公開された公文書であります。ここには、がんもどきの含め煮ですけれども、四十リットルのがんもどきの煮汁づくりの指示書、必要な指示が書かれてあるわけですけれども、その下に、材料の量にばらつきがあった場合を想定して、あらかじめ五十から六十リットルの煮汁をつくる場合の調味料の量も、手書きで後から記入されてあります。その場で臨機応変にこういうふうに対応しなければならない給食調理の現場では、これは当然起こり得ることなんですね。栄養士や給食調理員の方にお話を伺うと、毎日子供たちに最もよい状態で給食を届けるためには、これら詳細な指示文書、文書を使った栄養士や調理員との打ち合わせは不可欠だということでありました。

 そこで、厚生労働省にもう一度聞きます。これはあくまで一般論でありますけれども、請負契約による調理業務委託校において、現場で発注者からこうした具体的な指示があり、それに基づく打ち合わせが行われ、調理員らが発注者の指示どおりに調理を行っているという場合、これは適正な請負と判断されるでしょうか。

山田政府参考人 いずれにしましても、そこら辺の基準、判断につきましては、個別の状況を詳しく調べた上でということになると思いますけれども。これを先ほど見せていただきましたけれども、こういった作業工程というものを示した上で、給食のところで働いていらっしゃる方、何人が、どういう役割分担で、どういう順番でこなしていくか、そういったところの請負事業主の裁量というものがどの程度あるのかといったところも、恐らく、その判断をするときの重要なポイントになるのではないかというふうに考えております。

宮本委員 私が聞いたのは、現場で発注者から具体的な指示をして、それに基づく打ち合わせが行われ、調理員らがその指示どおりに、発注者の指示どおりに調理を行っている場合は、適正な請負とみなせるかと聞いたんです。いかがですか。

山田政府参考人 一般論でお答えいたしますけれども、そういうことが実際に行われているとすれば、それは問題があるのではないかというふうに思います。

宮本委員 問題があるんですよ、それは。

 おいしくて、安心、安全な給食を提供しようと個々具体のことを発注者から現場で指示すればするほど、調理業務の委託が、実は偽装請負という違法状態に近づいていく。

 鳩ケ谷市では、学校給食調理業務の請負が、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準、先ほどの労働省告示第三十七号に違反するとして、二〇〇九年七月に、埼玉労働局から、実態調査も踏まえた是正指導が入りました。

 しかし、是正指導を受けて鳩ケ谷市は何をしたか。受託事業者との契約書から、学校給食の水準維持向上のための請負事務事業者に対する研修の義務を削除、調理員や業務責任者などの調理員としての経験年数や資格要件、これも削除、調理員の健康診断から細菌検査の結果報告義務も削除、受託事業者による調理業務完了報告に対する学校長の検査確認規定さえも削除、さらに、調理員や施設整備の衛生管理や調理作業を詳細に定めた鳩ケ谷市学校給食調理業務作業基準をも削除して、衛生管理や調理などを受託事業者任せにしてしまいました。

 鳩ケ谷市のやり方は、学校給食の普及や充実、衛生管理に努めるべき自治体として、子供たちや保護者に対する責任放棄だと言わざるを得ないと私は思いますけれども、これは文部科学大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 個別の部分が偽装請負かどうかということに関しては、先ほどの厚生労働省が所管でありますので、そのことだというふうに思います。

 ただ、今御指摘の鳩ケ谷市の事実経過で申し上げますと、いわゆる労働法制上の問題で、御指摘のように、昨年七月に埼玉労働局から指導票による改善措置が求められたことを受けて、変更契約を行って、九月七日付で埼玉労働局長に改善状況を報告したという報告を受けているんですけれども、その埼玉の労働局長からの指導票として、措置の必要性で、いわゆる労働省告示第三十七号に照らしてこういう措置をしなさいという中にもう今御指摘の部分の幾つかは含まれている、要するに、行政の指導、措置命令の中で、本来、請け負っている人はみずからの責任においてこういうことをしなさいと。逆に言うと、校長先生がそういうことにかかわることがむしろ偽装請負、請負の趣旨に反するからという中身もあるんです。

 そういう意味で、これは、労働法制上の措置という問題は、まさしく法令遵守してしっかりやらなければいけないという問題は、そのとおりの御指摘だと思います。

 一方で、給食をよりよいものにしていこうという趣旨は、私はそのとおりだと思います。それは、どういう契約、自前でやるか請負をさすかにかかわらず、本来しっかりやるべきものだというふうに私は思っております。

宮本委員 はしなくも、僕は今の議論というのはそれを示していると思うんですけれども、労働省は、そういうやり方でやったら偽装請負になりますよ、労働法制上偽装請負にならないためには現場で事細かに指示しないでくださいね、発注者があれこれと現場で指示したら偽装請負になりますよ、こう言われたと。

 そうしたら、本来、学校給食というのは現場であれこれと発注者と打ち合わす必要があるものなんだから、私は、当然のことながら、請負という形、つまり、民間委託という形がなかなか実情にそぐわないと考えて、その請負契約そのものを見直すべきだと思うんだが、ここでやられたことは、それだったら、もうもとからそういうことはやめましょうと。つまり、何から何まで、基準を請負業者に任せてしまいましょうということをやられたと。これは余りにもひどいというふうに思うわけですよ。

 そこで、大臣に聞くんですけれども、二〇〇八年に学校給食法を改正いたしました。第八条で学校給食実施基準というものを定める、第九条では学校給食衛生管理基準というものが定められました。その趣旨は、学校給食の適切な実施のために必要な事項について維持されることが望ましい基準を定めて、学校給食を実施する義務教育諸学校の設置者は当該基準に照らして適切な学校給食の実施に努めると、第八条でも定められているわけですね。

 つまり、設置者は、そういうことをきちっと管理し、指示し、学校給食の安全も充実も安心も守っていかなきゃならないわけだけれども、偽装請負になる可能性があるからといって、労働当局の指導に従ったかどうか知りませんけれども、ありとあらゆる基準を取っ払ったというのでは、全くこの法改正の趣旨に反するのではありませんか。いかがですか。

川端国務大臣 学校給食法の改正自体、私は、非常にいい方向に進路を示し、しっかりやるということを決めたものだというふうに理解をしておりまして、基本的には、この法の趣旨に基づいて学校給食をやるということが学校関係者に課せられた使命だというふうに思っております。

 そういう中で、一方、先ほど合理化という言葉を使われましたけれども、いわゆる行政改革の中で、より効率的、効果的な行政執行という観点からいろいろな施策が取り入れられていることは事実であります。

 しかし、少なくとも、同時並行的に行われているとはいえ、学校給食の本来の目的、果たすべき役割を損ねてまで合理化をするというのは本末転倒であることは言うまでもないことでありまして、先ほど御指摘のような、労働法制もしっかり守りながら趣旨もしっかり生かすようにということが学校管理者にとって求められていることであり、そういうことで、逆にならないようには周知と実態把握、そして、食育の推進と安全管理がなお一層進められるように、我々としては指導してまいりたいと思っております。

宮本委員 冒頭、私が北海道の例で紹介したような食育の推進という点でも、栄養教諭や教員の方々の努力にこの民間委託というのが水を差していると言わざるを得ない状況があります。

 鳩ケ谷市内の小学校では、給食調理員さんらも交えて、嫌いな野菜を好きになってもらえるような授業をやろうじゃないかと、先生方も一緒になって取り組んできたというんですね。子供たちに好きな野菜、嫌いな野菜を挙げてもらって、グラフをつくる。嫌いな野菜の上位には、やはりピーマン、ゴーヤー、ニンジンが挙がるそうです。担任とも協力をして、学校栄養職員や給食調理員さんが、それぞれの野菜の特徴や給食で出すときの調理の工夫、あるいは調理員さんの苦労なども話して、給食では一口サイズの一つでもいいから食べてみようなどと子供たちの前で話をする、放課後、子供たちは話を聞いた感想を手紙にして、学校栄養職員らに担任を通じて渡す、こういう取り組みをやっておられるそうです。

 子供たちはその話を真剣に受けとめ、嫌いな野菜にもいいところがあるのがわかった、今まで残していたけれども食べてみようと思ったなどの感想が出されているそうです。小学校高学年にもなりますと、給食室で教室から残飯が入った食缶を一緒に片づけたりしながら、給食委員の子供たちと、どうすれば残菜を少なくできるかを話し合う話し合いの場も持っていると伺いました。こうした経験を経た子供たちがやがて中学校に進み、職場体験として学校給食の現場に行きたいと希望する子もいるといううれしい話もお伺いした次第です。まさに改正学校給食法第一条、児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たす学校給食の普及充実及び学校における食育の推進という目的そのものだと思うんですね。

 しかし、こうしたことが行えるのは、やはり正規の給食調理員や栄養士がいるところであって、調理業務が民間委託されているところでは、調理業務だけを行う調理員にはそうした協力を頼むこともできず苦慮している、そういう話も聞きました。

 ですから、給食調理業務を民間委託したのでは、こういった改正学校給食法の目的は達せられないのではないかと私は思うんですけれども、大臣、そのようにはお考えになりませんか。

川端国務大臣 今お話しの部分は、非常に大事なというか、いいことをやっていただいている、食育の見本みたいなことであります。好き嫌いということに端を発しているけれども、物は大切にしなければいけないし、栄養は偏ってはいけないしという健康の問題や、自然の恵みに感謝をするということや、多様な価値観、いろいろなことにまさにつながっていくということで食育というのが重視をされることだ、私も、そのとおりだ、そして実践していただいていることは大変ありがたいというふうに思います。

 先ほど来申し上げていますように、そういうことを実施していくという食育の基本理念に基づいて給食をやっていただくことと、経済的、効率的に行うということは両立でき得るものであるということの中で、しかし、後者が優先してはいけない、こういう位置づけだと思います。

 ですから、必ずしも、そういうふうに外部委託をすれば非常にそうきめ細かくできないというものでは、そう決めつけるものではないと思います。それぞれの教育現場において、今みたいな役に立つ教育の事例、これは栄養士の配置問題にもかかわってくるわけでございますが、そういう問題を含めて、それぞれに工夫を凝らして、いい食育になるようにやっていただきたいと思っております。

宮本委員 実は、この同じ問題が、二月の二十四日、衆議院総務委員会で我が党の塩川議員によって取り上げられました。行革推進法のもとで、学校給食の現場で民間委託が進んでいる実態を塩川議員がただしたところ、行革推進法は、公共サービスがどうあるべきかとか、一人一人の子供たちの育ちとはどうあるべきか、食育とはどうあるべきかという観点よりも、まさに削るための観点でできている、今さらながら今の時代に合わない条文だと思います、本当に、小さい子供たちの命を守るという観点からもやはり私たちはしっかりと議論を前に進めてまいりたいと、原口総務大臣は答弁をされました。

 一人一人の子供たちの育ちとはどうあるべきか、食育とはどうあるべきかという点では、一番責任を持つべきは、私は川端文科大臣だと思うんですね。原口大臣もこう答弁されているときに、私は、もう一歩進んで、やはり、まさに削るための観点でやってきたのは間違いであって、一人一人の子供たちの育ちとはどうあるべきか、あるいは食育とはどうあるべきかという観点でしっかりと前に進むべきだという御答弁をいただけると思うんですけれども、いかがでしょうか。

川端国務大臣 行革推進法が食育に関して直接的に言及しているものではないというふうに思いますが。

 先ほど来私は申し上げておりますように、やはり食育が大事であるということをしっかりやることが私の責務であると同時に、より効率的、効果的に行政を執行するという考え方も、それは間違っているわけではないというふうに思いますが、間違っても反対にならないようにという優先順位でいえば、間違いなく、効率化を求めるために食育が犠牲を強いられるということがあってはならないということは大原則でありますので、その意味では、原口大臣が言われた趣旨は、私は全く違うものではございませんし、食育に関して、二十年の法も含めて、しっかりとその精神が生かされるように、給食現場において、学校現場においてその趣旨が徹底されるように、我々としてはしっかりと推進してまいりたいと思っております。

宮本委員 これはやはり矛盾するものなんですよ、大臣。このような異常事態を生み出した元凶にあるのは、冒頭申し上げた一九八五年の文部省通知なんです。「学校給食業務の運営の合理化について」という通知なんですね。この通知を受けて、自治体では、コスト削減を優先するために調理業務を民間委託してきたわけですよ。

 しかし、実際に給食調理の業務を民間に委託してみると、限りなく偽装請負に近くなってしまうんですよ。だって、安心、安全をしっかり保って、作業工程も調理の手順も何もかもちゃんと発注者で責任を持って調理を進めようと思えば、これはおのずから偽装請負の危険が出てくるわけですよ。ですから、偽装請負を回避しようと思えば、先ほど見た鳩ケ谷のように、今度は丸々受託業者にすべて任せてしまうか、あるいは、私が指摘したように、調理業務の民間委託をやめて直接安全に責任を持つか、どちらかしかないんですよ。これをどうにかバランスをとってというのに無理があるんですよ。

 学校給食法において、まさに給食の充実や普及、あるいは食育の推進ということも掲げられた。そして、先ほど言ったように、原口大臣もおっしゃっているように、いかにも古い、こういうただ単に効率一辺倒で削るというだけではもう古いんだ、合わないんだという認識になっているわけですから、ここは八五年の学校給食業務の運営の合理化通知というものを撤回すべきだと私は思いますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

川端国務大臣 先ほど来の繰り返しになりますけれども、給食をしっかりやるという、その実態を担保する中で、法令にはもちろん違反してはいけないし、しかし、そうかといって、幾らでもお金が使えるという状況でもないという中で、それぞれに工夫しながら努力をしていただいているんだというふうに思います。

 言葉としてというか、合理化はしなくていいということまでの判断はしかねますけれども、より実態を確保するために、先ほど申し上げましたように、間違っても順序が逆になるようなことは避けなければいけないというのは当然でありますので、そういうことの実態も踏まえながら指導もしてまいりたいと思っております。

宮本委員 私は、改めてここで方向を転換すべきだと思います。

 それで、どんどん学校給食調理員が減らされてきた背景には、行革推進法というものがあったわけです。先ほどの議論も、塩川議員と原口大臣との間で、総務委員会でやられました。

 一方、私が二月の二十四日に本委員会で川端大臣の所信に対して質問したのに対して、川端大臣は、行革推進法第五十五条三項は平成十七年四月一日と二十二年四月一日を比較して削減を行うことが求められているということでございまして、平成二十二年四月一日との比較までしか言及していないという旨を答弁されました。

 つまり、この規定はことし四月一日をもって終わるというふうに私は理解します。そうなってきたら、改めて四月以降は、給食調理員を減らすべきではなく、改正学校給食法の趣旨も踏まえて、しっかり給食調理員をふやしていくという立場に立つべきだと思うんですけれども、最後に大臣の御決意を伺って、質問を終わります。

川端国務大臣 先般の答弁で、解釈として、まさに平成二十二年の四月一日までの減らすべき目標ということであることは、私が申し上げたとおりの認識でございます。

 そういう中で、先ほど来申し上げておりますように、食育をしっかり実行するようにという趣旨の中で、学校給食の実施に当たっては、具体的にどのような方法で運営してその質の確保をしていくのかということは、各学校、地域の実情もあると思います、それに応じて、学校の設置者がまさにその精神を生かして適切に判断されるべき事項であるというふうに思います。二十三年以降の調理員の数についても、それぞれの設置者が判断していくことになるというふうに思っていますけれども、文部科学省としては、今までの議論もありましたような趣旨で食育の大切さを徹底していくと同時に、それを確保すること、しっかりやることを踏まえて対応するように、引き続き指導してまいりたいと思っております。

宮本委員 時間ですので、終わります。

田中委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 お時間を四十分いただきましたので、何点か質問させていただきます。

 小林千代美議員の件がこの委員会でも何度も取り上げられました。私は千葉県なんですが、けさ、千葉の地元紙に「小林議員が辞職の意向」というふうに一面にぼんと載っていて、見てびっくりしたんです。冒頭、こんなふうに書いてありました。「民主党の小林千代美衆院議員が、北海道教職員組合側による陣営に対する不正資金提供事件の責任を取り、議員辞職する意向を党関係者に伝えていることが十六日、分かった。党関係者が明らかにした。 小林氏はこの日、国会内で記者団に辞職を否定したが、近く執行部と調整に入る。」事件に絡んで逮捕され二十二日に拘置期限を迎える北教組委員長代理ら四人の処分を待って最終判断するというふうな記事が出ていました。

 御自分で四人の方たちの処分を見て判断するというのは、それはそれでいいと思うんですが、ちょっとごまかしがあるんじゃないかなというふうに私はこの記事を読んでいて思いました。

 北海道教職員組合の不正献金事件だけがこの委員会で結構取り上げられますが、実は、小林議員は、選対委員長代行を務めた前連合札幌会長の方が昨年の十月十五日、公職選挙法違反容疑で逮捕されて、このときに北教組本部から押収物があって、その中に今回の事件に関する資料があったんだというふうに報道では伝えられています。

 この選対委員長代行を務めた方は、二月十二日、札幌地裁の判決では、懲役二年、執行猶予五年の有罪判決を受けられて、今控訴中だ。この裁判では、電話かけを依頼して、それが事前運動に当たるか、また、この方が組織的選挙運動管理者に当たるかなどが争点になった。禁錮以上の刑が確定すれば、これを受けて小林議員の連座の有無を判断する行政訴訟が手続的にはスタートするわけですね。

 百日裁判の原則がありますので、この選対委員長代理の方が仮に控訴審、最高裁と争ったとしても、年内には刑が確定してくるだろう。無罪推定の原則はありますけれども、今の流れの中ではそういうふうになっていく。当然、行政訴訟が起こされれば、当選無効だというふうになってきて、今度は議員報酬の返還の問題が出てくる。これを避けるために事前にやめるんじゃないかというような報道がされている。

 仮にこんなことがあったら、やはり我々国会議員が相当ばかにされているんじゃないかな。今まで自浄作用を示してくれというふうに我々野党の方から与党民主党の皆さんに言ってきましたけれども、なかなかこの点、御本人も政倫審に申し出るわけでもないし、予算委員会でも参考人、証人の要求がありましたけれども、与党は一切応じてこなかった。やはり二十二日に処分が決まるということを受けて政府・与党の方としても考えていかなきゃいけないことが随分あるんじゃないかなというふうに、私はこの小林さんの記事を見て思いました。

 公職選挙法違反事件の判決文をちょっと取り寄せてみたんです。私も、弁護士出身で、刑事事件は随分これまで扱った経験がありますけれども、事実認定の中に裏金という言葉が五回も出てくるんです。普通、こんな判決文を刑事の裁判官は書かないですよ。裏金なんというのは法廷に出てくる言葉じゃないから。それが五回も出てきて、量刑理由の中にこんな文言がありました。

 本件は組織的な犯行である。

 公示前から選挙運動をすることを依頼して、その報酬としての金銭供与を約したものである。捜査が及びつつあることを察知したため実際には支払っていないものの、それらの約束に基づいて支払われるはずであった報酬額は、総額二百六十一万円余りと高額に上るのであって、その規模は大きい。公職選挙法は、選挙の公明かつ適正な実施を確保する観点から、選挙運動に関して種々の規制を加える中で、選挙運動者への報酬の供与については特に厳格に規制しているが、これは、候補者の資金力によって投票結果が歪められることを防ぐためであると解されるところ、被告人は、労働組合活動の中で裏金として貯えられた資金の力を利用して、選挙運動者への金銭供与約束を大規模に行ったのであるから、その犯行態様は悪質なものである。

 事実認定の中で、平成十五年ごろから、昨年の夏の衆議院選挙だけではなくて、各種選挙で同じことをしていたという認定をして、常習的な犯行でもある、また、証拠隠滅行為も行ったということで、いろいろ検討してもやはり有罪だというふうになっているんですね。

 本来なら、この事件の件で、少なくとも小林議員はきちんとした事情説明なりをされて、みずから潔く職を辞するべきだと思うんですが、そういうことをされないで、裏金事件の方で処分が出る段階になって判断されるというのは、同じ議院に身を置く者としていかがなものかというふうに私は思います。この点、大臣等にお聞きしても答弁が出ないと思いますので。

 この件をまずきっかけに今回の北海道教職員組合の事件が出てきた、逮捕者がまた三月一日に四人出たわけですね。翌日の三月二日の各紙社説はやはり厳しかったですよ。民主党の皆さんに非常に嫌だなと思うような厳しい文句が出ていました。

 「違法献金の実態を洗い出せ」とか、毎日新聞の社説ですけれども、「民主の体質が問われる」「民主党はまず、事件について事実関係の究明に早急に着手すべきだ。鳩山首相や小沢幹事長の事件では党で事実解明する動きがほとんどみられず批判を浴びた。支持組織である労組との癒着が疑われる今回のケースでそれは許されまい。」民主党の皆さんに本当にここをよくわかっていただきたいと思うんです。

 大臣は、この委員会でこの件に関して質問があったときに、教育委員会を通して事実関係をきちんと調査するというふうにおっしゃっていました。やはり文部科学省や北海道教育委員会がきちんと厳正な調査をして、実態がどうだったのかというのは刑事事件とは別に調べなきゃいけないし、仮にも教職員組合となれ合いとか癒着が疑われるようでは、やはり文部科学行政への信頼がなくなりますので、大臣がきちんと調査していただくというふうに約束していただいたのは大変結構だと思うんです。

 二十二日に勾留期限が来る、それが終わってからだというふうになるかもしれませんが、現在の調査状況とか、先週の委員会等で大臣が言われていた調査はいつまでに完了して、また、その調査結果について公表なりあるいは当委員会への報告等についてどう考えているのか、大臣のお考えを聞きたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 この委員会でも、またほかの委員会も含めて、同僚各委員からいろいろな資料提供もいただきました。それを受けて、二月十六日に、北海道教育委員会と札幌市教育委員会には、公務員である教職員が政治的行為の制限に違反する等の違法な行為を行っていたか否かについて、翌十七日には、今後報道される違反の疑いのある事項についても適宜確認するようにということで調査要請をいたしましたのを皮切りに、三月二日は馳議員のファクス関連、三月三日は参議院の予算委員会の義家議員の提出資料、三月九日はまた三月五日の馳議員の提出資料関連、それから、今後速やかに、また卒業式での国旗・国歌の掲揚問題についてということで、逐次、御指摘のある部分は、あるいは報道があった部分は調査を要請いたしております。

 加えて、三月九日には、北海道教育委員会が、四六協定破棄に関する道教委と北教組の交渉の状況、及び報道にある北教組の道教委見解等に関する、道教委の見解についてという報道が載りましたので、またこれも問い合わせをいたしました。

 今、教職員団体が逮捕者を出して大混乱の状況にあるということの中で、道議会もございます。そして、調査は、その関係者が仕事があったのかなかったのか、勤務していたのか、それから具体的にどうだったのか、特定をして個別に調査するというので、正確を期さなければいけないので結構手間取ってもいます。ですから、いつまでにというのは、できるだけ早くという要請しかできておりませんが、一生懸命対応していただいていると思います。

 そして、その状況の中で、こういう調査では不十分だということであれば改めて再調査を要請するなり、あるいは直接的に文部科学省も調査するということも、過去にはそういう事例もありましたが、今回は、まず第一段階としては、とにかく徹底的に調査をしてほしいというお願いでありまして、そういう状況の報告はまた、当然内々にするものではないと思っておりますので、しかるべく対応をさせていただきたいと思っております。

    〔委員長退席、奥村委員長代理着席〕

富田委員 ぜひきちんと公表していただきたいと思いますし、何か問題が起こるたびにきちんと大臣の方で対応していただいたようなので、大変結構な話だというように思います。

 三月十四日の日に枝野行政刷新大臣が、小林千代美さんの事件について、埼玉の方でこんなふうに話されたという記事がありました。ちょっと唖然とする話だ、そのことに対するけじめ、整理はしっかりつけてもらわないといけないと。これは国会外で話されたようですが、やはり、連立政権の大臣の一人として、みずからの党でこういう問題が起きたときに、大臣でもこういったきちんとした発言をしていただけるのは本当に結構だと思うんですね。

 支援団体と議員との関係という意味でここをきちんとしろという枝野さんの話だと思うんですが、もう一つ、三月十三日付の朝日新聞の投稿欄にこんな記事が載っていました。「組合の特定政党支援やめて」と題して、六十三歳の地方公務員の方が投稿されていました。

  四十三年間の公務員生活も最後の月になりました。私は自分たちの労働条件を守り拡充するために必要だと思って、決して少なくない組合費を納め続けてきました。しかしながらその一部は、組合が支持する政党や候補者のために使われてきました。

  候補者たちは様々な場面で組合員の前に登場し、選挙が近づけば、組合の機関紙は彼らの宣伝の場になります。彼らを支持していない私は、そのたびに苦々しい思いをしてきました。今回の北海道教職員組合による民主党候補陣営への違法献金事件では組合が調べられ、幹部も逮捕されました。失礼とは思いますが、当然の報いだと思います。

  組合員はさまざまな考えを持っているのに、特定政党や候補者を押し付けることに問題があると思います。また、組合員から集めた組合費を、特定政党などのために使う団体献金にも問題があります。どちらももう、やめてほしいです。

 四十三年間、地道に地方自治体で働いてこられた方の本当の思いだと思うんですね。これをやはりきちんと受けとめていただきたいと思うし、枝野さんの考え方とか投稿された方の思いを大臣はどんなふうに感じられますか。

川端国務大臣 小林議員の問題に関しては、いろいろな状況の中で、御自身が連座に問われ得る立場にあるということと、御自身が、詳細はわかりませんけれども、そこに政治資金規正法違反に基づく多額のお金が流れたという容疑で関係者が逮捕されたということは極めて深刻な問題であると思います。

 文科省としての立場でいえば、先ほど来申し上げているような対応をしておるところでありますし、教育現場の混乱と不安と戸惑いに関しては、極めて遺憾なことだし、深刻なことだと受けとめております。

 ただ、国会議員の身分に関しては、まさに国民に選ばれた立場ということは逆に大変な重い責任を負っているんですけれども、それだけに、そのことが外部的にその身分を脅かすことに関しては極めて高いハードルを設けているのは御案内のとおりでございますので、このことに関しては、まさに本人が置かれている状況の中で厳しくみずからを律して行動するべきものだという考え方で、私自身は、その出処進退についてコメントは差し控えております。いろいろな思いがございますが、御了承いただきたいと思います。

 また、労働組合あるいは職員団体の政治行動についての記事にお触れいただきました。そういういろいろな団体が政治行動を行うこと、あるいはそういう方針を決めること自体は、その団体の政治行動の自由ということで逆に言えば保障されていることでありますが、その加盟する人たちがそこに対してまた個人の思想、信条、政治行動は自由が保障されているわけでありますから、一定の組織のルールとはいえ、個人の信条に関してまで踏み込むことはできないものだというふうに思います。

 そこの兼ね合いの問題といろいろな経過もあるんだと思いますが、基本的には、個人の政治的な信条というのは最大限守られるべきものである。しかし一方で、組織、団体としての政治行動の自由は保障されているということでありますので、そういう御意見があることも今承って、それはお気持ちは察するところでございます。

富田委員 確かに、大臣がおっしゃるように政治団体の活動の自由等もありますので、おっしゃるとおりだと思うんです。大臣らしい御答弁をいただいたなというふうに思います。

 その関連というわけじゃないんですが、お手元に資料1から2―1、2―2、3―1、3―2を配付させていただきました。

 資料1は、アピール21という政治団体の設立の趣旨が書かれた紙であります。一番下に、出典として「「アピール21」ホームページ (平成二十一年十一月四日現在)」と書いてあるんですが、実はこれは、去年の十一月四日、私は予算委員会で原口総務大臣にこの関係で質問をしました。設立趣旨のこの文章を予算委員会で読み上げたんですね。非常に正直な設立趣旨だなと。労働組合では直接資金提供ができなくなったから、政治団体をつくって、それを通して出すんですよと正直に書いてあるんですね、読んでいただければわかるんですが。

 でも、これは、当時問題になった西松建設事件と全く構造が一緒じゃないか、ダミーを通して献金すればいいんだという。

 企業・団体献金を禁止しましょうという大きな流れがあります。民主党の皆さんも、野党時代にそういう法案を出されました。今回、民主党連立政権になってその法案はまだ出てきませんけれども、企業・団体献金を禁止しようという大きな流れの中で、では、団体の一つである労働組合が政治団体をつくれば、政治団体を通せばどんなふうにでも、企業・団体献金を禁止しても献金できちゃうじゃないかということで、この資料1を私は予算委員会で取り上げさせていただいたんですね。

 今、アピール21のホームページにこの文章はありません。なぜか消されちゃいました。非常に丁寧にアピール21のホームページを見てみたんですが、また丁寧にいろいろな形で書きかえていました。「アピール21について」というふうになって、「なぜ、労働組合が政治活動を行なうのか」「政治団体を設立した理由は」「アピール21の目的は」「名称の由来は」「体制は」、入会及び活動について、いろいろ細かく書き直して、私が指摘したような問題を指摘されないように随分工夫された。さすがITに詳しい団体だなという、きちんと書きかえられていました。

 書きかえたということは、私が予算委員会でこれはおかしいんじゃないのと言ったのが少し胸にずきんときたのかなと思うんですが、やはり企業・団体献金の禁止を議論するときに、こういう、ある意味、迂回献金みたくなるようなものをどう規制していくかというのは大変難しい問題だと思うんですね。

 このアピール21が新しく書きかえたホームページの中でも、組合活動の自由、そして政治団体の自由というのをきちんと書かれて、法律にのっとってやるんですというふうに丁寧に書かれているので、それはそのとおりだし、また、会員の入会の自由もあるんだ、強制的入会じゃないんだというようなこともきちんと書かれていました。

 私は、予算委員会で質疑させていただいてよかったなと思うんですが、やはりこういう問題が残っているということを各党とも理解した上で、今後、企業・団体献金の禁止の議論をしていかなきゃいけないと思うんです。

 この関係でちょっと調べていましたら、鈴木副大臣の寛政会という収支報告書、資料2―1はアピール21の収支報告書ですが、2―2の一番下の方、下から二つ目に、寛政会に十九年三月一日付で三百万の寄附の記載がありました。資料3―1は鈴木副大臣の資金管理団体ですが、3―2に、やはり十九年三月一日に三百万、寄附の入金があるんですね。でも、寄附者の氏名がフォーラム21と書いてあるんです。

 これは多分アピール21からの献金、住所とかそういうのを見ると同じですから、間違いじゃないかと思うんです。あるいは、アピール21というのがここに出るのが嫌でフォーラム21にしたのかなと勘ぐりたくもなるんですが、鈴木副大臣の御性格からいって、そんなことはない、単なる担当者の記載ミスだと思うんですが、そこはどうですか。

鈴木副大臣 御指摘のように、私が代表を務めております寛政会にアピール21から今御指摘の三百万円の寄附をいただいているところでございます。

富田委員 だから3―2の資料を見てもらいたいんだけれども、フォーラム21と書いてあるんですよ。これは間違いなんじゃないですか。

鈴木副大臣 確認をいたしますが、実態としてはアピール21でございます。

    〔奥村委員長代理退席、笠委員長代理着席〕

富田委員 わかりました。確認して、訂正していただければと思います。

 このアピール21は民主党の議員の皆さんに物すごい寄附をしている。これは去年の予算委員会でも指摘させてもらいましたけれども、ちょっとけた違いなのでびっくりしちゃうんです。だから、鈴木副大臣、アピール21なんという名前が出るのが嫌でフォーラム21と書いたのかなと思うんですが。

 きょうは資料として配付していませんけれども、アピール21の二十一年の収支報告を見ますと、こんなのが書いてありました。民主党千葉県第一区総支部、平成二十年十月三日、一千万。民主党北海道第一区総支部、十月二十一日、五百万。これは多分衆議院議長の総支部だと思います。民主党東京第十八区総支部、五百万。これは菅財務大臣ですね。私が質問した原口大臣の総支部にも五百万。枝野さんの総支部に四百万。仙谷さんの総支部に四百万。松野さんの総支部に二百万。だから、鈴木副大臣は、松野さんよりは評価が高くて、仙谷さんや枝野さんよりはちょっと低かったということなのかなと思うんです。

 やはりこれは、金額的に見ても、去年の予算委員会のときも原口さんは、こんなお金をもらっても、私は寄附を受けたということによって自分の政治行動は左右されませんと言っていましたが、一般の国民から見たら、これだけお金をもらっていたら、何かそれに従ってやるんじゃないのというふうに疑われると思うんですね。こういった金額の多さというのも、やはり我々議員の間でこれが適正なのかどうかというのも議論していく必要があるんじゃないかなと私は思います。

 文部科学委員会の所管ではありませんので、この件に関してはもうこれ以上言いませんので、各党でこういった議論をぜひ進めていきたいというふうに思います。

 次に、児童虐待の防止について質問をしたいと思います。

 私の後、池坊議員の方からも児童虐待を今後どうしていったらいいかという質問があると思いますが、私は、江戸川区で起きた岡本海渡君という小学校一年生の死亡事件、この報道を最初に見たときは本当にびっくりしました。学校の方でもう去年の秋からかなりいろいろなことを掌握していながら、結局この子の命を守れなかった。何でこんなことになるんだろうと、ちょっと報道しかわかりませんでしたので。

 今回、江戸川区と江戸川区の教育委員会が「岡本海渡さん死亡事件検証報告」というのを出されて、副題で「児童虐待死ゼロをめざして」と書いてありました。中を全部読ませていただきましたけれども、非常によく現場を調査されて、事実経過もかなり丹念に拾い上げて、どこに問題があったのか、そこもきちんと、「問題点・課題と対応策」というような形でかなり細かくまとめられていました。

 特に、子ども家庭支援センター、そして学校、それ以外の組織がどうあったかというようなところを丁寧に拾われて、これまでいろいろこういう検証報告というのが出てきましたけれども、やはりこの子の命を亡くしてしまったということに対して、江戸川区の関係者の皆さんが、本当に大変なことをしてしまったということで、必死になってやられた思いが本当に文章から切々と伝わってきます。

 この中で、子ども家庭支援センターがせっかくできているのに、歯医者さんからあざがあるよという情報があって、そのほかに顔にあざがあった、また複数のあざがあった、本人が虐待について訴えていた、そういったことがあったのに、ハイリスク家庭というふうに子ども家庭支援センターの方も認識しなかった。この子は、お母さんが再婚したことによってほかの地域から江戸川区に移ってきたのに、前住所地の関係機関に全く情報収集していなかった。これは、児童虐待があると必ず問題になることをまた繰り返してしまった、そういう指摘もされていました。

 学校の問題点も、状況把握の甘さ、経過の情報提供の不足、かなり厳しくこの報告書では指摘されていました。担任の方がだめだったんじゃないかとこういうときにすぐ言われるんですが、担任の二十八歳の男性教諭は本当に一生懸命頑張っていたと思います。よく家庭訪問もされていたし、一生懸命やってきたけれども、ただ就学前状況や家庭環境までは把握できなかった。結果として学校だけで抱え込んでしまって、トータルのケアができない、そういう問題があるというふうに指摘されています。

 また、もっときちんと通告すべきだったんじゃないのか、そういったところも甘さが指摘されています。こういう指摘が本当にそのとおりだなと思ったんですね。みんなで見ていこうの合意だけで、危機感がなかった。見守っていくんだというような形になってしまって、そして一番の問題は、民生委員、児童委員への情報提供がされていなかったという点を厳しく指摘していました。

 最終的に、この報告書では、子供の命は自分が守るんだという使命感を持って教師が子供や保護者の理解を深めるという点が今後のやるべき点だというのと、情報の共有化を行えるように組織的な校内体制の再構築を図るべきだというふうに指摘していました。本当にこのとおりだと思うんですけれども、何でこんなことが毎回毎回繰り返されてしまうのか。

 池坊さんともさっき話していたんですが、実はちょうど十年前、二〇〇〇年の予算が通った後、四月、五月と、私、たまたま当時、青少年問題特別委員会の委員長をさせていただいていましたので、各党の理事さんたちと、児童虐待防止法をつくろうということで一挙にいろいろな話し合いを各党で持ちました。

 ただ、私は公明党、そして自民党の皆さん、民主党の皆さん、社民党の皆さん、それぞれの児童虐待防止法の案があったんですね。委員長として、とてもこれはまとめられないな、各党の考え方が違って、法律は必要だというのはわかっていたんですけれども、それぞれの思いが違ってなかなかまとめられないと思ったんです。

 実は、当時、二〇〇〇年の四月二十二日に、児童相談センターとか現場を委員の皆さん全員で見に行きました。現場の子供たちを養護している教員の先生とかケア担当の方たちから、今変えてもらわなかったら本当に毎日子供が亡くなっていくんだという声を各党の委員が聞いて、当時、六月に解散だと言われていましたので、ここでやらなければもう絶対できなくなってしまうということで、各党の考え、譲るべきところは譲って、一挙に児童虐待防止法ができていきました。

 このときに一番議論していたのは、親はしつけだと言う、そうじゃなくて虐待なんだというふうに、どういうふうに見つけていくか。そういった中で、やはり学校の先生とかお医者さんとか、子供に一番接触する機会の多い人たちがきちんと児童相談所に通告してくれないと虐待があるんだというのはわからないんだというところから議論が始まったんですね。

 今回の江戸川区の事件は、その一番最初、根っこの根っこ、学校の先生が自分のクラスの生徒にそういう虐待があったということを認知していながら、結局その子の命がなくなってしまった。その通告義務の大切さと、あと、チームを組んで子供の命をどうやって守っていくんだというところがすぽんと落ちちゃったのが今回の事件なんだろうなというふうに、報告書を見ていて思いました。

 たまたま、この質問をしようと思ってきのういろいろ資料を集めていましたら、鈴木副大臣が日本教育新聞の一面にぼんとお顔が出ていてびっくりしたんですが、やはりこの江戸川区の事件からどういう教訓を得ていくかということが大事だと。目黒区の例がここに出ていたんですけれども、目黒区は、主任児童委員にすぐ通告する、この方が全責任をまず持って、その上で、だれがどういうことを担当するかというのを決めていくんだと。やはりだれかが責任を持ってその子を面倒見ないと、学校の先生に全部見ろというのは無理だと思うんですね。

 今回も、この事件があったら厚生労働省の方は児童虐待、児童の安全を守るための通知というのをすぐ出したようなんですが、文部科学省として、現場の教員の皆さんに、虐待についてどう対応すべきなのか、虐待があったときに教員としてどういう動きをすべきなのかというのをもう一回ここできちんとしないとまた同じことが起きると思うんですけれども、今、文科省として今後どういうふうに対応を考えていらっしゃるのか、大臣からお聞かせ願えればと思います。

    〔笠委員長代理退席、委員長着席〕

川端国務大臣 特に、この江戸川区で起きた岡本海渡さんの件は、この報道に接したときから、今こういうふうに議論になることも含めて、話題になるたびに本当に胸の痛い思いでございます。

 そういう部分で、今先生るる御指摘のように、歯医者さんからの通報から始まって、いわゆる医療機関からの異状というのは、歯医者さんで顔がはれているとか、あとは病院であざがあるとかいろいろなケース、やけどの跡があるとかいうふうなことが、医療機関としての一つの役割としてあります。

 それから、児童相談所そして学校、それぞれに、仕組みの解説のものを読みますと、全部が連携をしてというので線で引いて連携連携と書いてあって、実はそこがほとんど切れているということ。

 同時に、学校の先生も一生懸命やられるけれども、親御さんのところへ行くと、いや、しつけであるし、ちょっと今はおなかが痛いから休んでいるだけですみたいなことを言われたときにということで、せっかく児童虐待防止法の中である種の公権力も含めて発揮できるようにということだけれどもというときに、そこの壁を破るにはやはり専門的な見地の立場の人がしっかりと指導するという、いわゆるソーシャルワーカーの仕組みも含めていろいろなことは考えられているけれども、実は有機的に機能していなくて、判断が極めて甘い状況であったということは深刻な反省としてあります。

 そういう意味で、これはすぐに私と長妻さんのところで相談をして、両省で一緒に声明を出そうというところから、これの原因の究明を江戸川区でやっていただくのと並行して、それぞれの立場で取り組めることを共同でやろうということからスタートをさせていただきました。

 御指摘のようなことで、今度この報告も出ましたので、改めて各現場に対して、子供を守るためのいろいろな仕組みの徹底と同時に、子供の立場で何が起こっているかということに対する感性の問題がやはり一番あるのかなというふうに思いますので、また、今の御指摘も踏まえながらしっかりと徹底してまいりたいというふうに思っております。

富田委員 子供の命にかかわることですので、ぜひ大臣のリーダーシップで、現場の教員の方たちが通告義務をまず自分は負っているんだと、それをきちんと認識していただくような指導体制も必要だと思いますし、一人で抱え込まないで、今大臣がおっしゃったように、専門家がきちんとバックアップできるような本当の連携体制を、これは厚生労働省だけに任せないで、児童虐待というとすぐ厚生労働省の所管だで終わっちゃうんですね、やはり文科省が一番かかわってくる部分が多いと思いますので、ぜひ、学校が絡む部分については大臣のリーダーシップをよろしくお願いしたいと思います。

 残り五分になりましたので、最後に、法曹養成制度、法科大学院の問題について何点か確認をしておきたいと思います。

 法曹養成制度に関する検討ワーキングチームというのが法務省と文科省との間でできて、これは二月五日のペーパーをいただいたんですが、実際には三月の一日に最初の会合が開かれたんですかね、報道によるとそういうふうになっています。

 こんな報道がありました。司法改革の理念どおりに進まず、法科大学院を中心に見直しが焦点になっている法曹養成制度、関係者の利害対立で方向性が出せない現状を解消しようと、法務省と文部科学省の副大臣をトップにした見直しチームがようやく発足した、政治主導を演出しようとしたものの、主役の一人は欠席、権限や時間も限られており、解決への道筋がつけられるのか不安を感じさせるスタートとなったと。

 欠席と指摘されたのは鈴木副大臣なんですが、予算委員会の審議がこの日急に入りましたから、私は背景がよくわかるんですが、報道する側から見ると、こういうふうに書く方が多分おもしろいんだろうなと。

 ただ、両副大臣で検討していくというときに、これまでも、法科大学院のレベルが低いんだというのが法務省、法曹界の大まかな見解、逆に、文科省あるいは法科大学院の方から見ると、改革の理念に沿った司法試験になっていないんじゃないかと。やはり両方とも、言い分はそれぞれある意味正しいと思うんですね。

 ただ、このままやっていては解決の糸口は出てこないわけで、今後、せっかく両副大臣をトップにしてワーキングチームをつくるわけですから、この中でどんな議論をどんな方向に文部科学省としては持っていこうとされているのか、鈴木副大臣の考えをちょっと教えていただきたいと思います。

鈴木副大臣 お答えを申し上げます。

 おっしゃるとおり、私は国会の方に参りまして、代理として高井政務官にこちらの会議には出席をしていただいたところでございます。

 委員おっしゃるとおり、今、悪循環になっていると思います。結局、新司法試験の合格率が当初の予想に比べますと低迷をいたしましたことで、法科大学院そのものへの志願者が減少をしております。このまま悪循環が続きますとそもそもこの道を選ぶ人自体が減ってしまうという事態を、まさに関係省庁が協力して好循環に変えていきたいというふうに思っております。

 そのためには、まず志願者数をふやしていく。こういう順番にするために同時に手を打っていかなきゃいけないわけでありますが、優秀な受験者、志願者、入学者をちゃんと確保する、そして法科大学院での教育を充実させる、ここは文部科学省がきちっと力を入れていかなければいけないと思っております。

 その上で、新司法試験合格状況をやはり改善していかなければならない。ここは、いわゆる分母と分子という言い方をしておりますけれども、分母の質と数については文部科学省がきちっとコミットするけれども、合格者数についてはそうした条件整備を前提にやはり一定確保していただきたい、このように思っております。

 その結果、それを修了された、そして合格された方々が法曹として立派に活躍していただく。その活躍の場も、いわゆる裁判実務のみならず、企業においても、あるいは、例えば霞が関の省庁あるいは地方の自治体、まだまだ法曹に活躍していただくべき場はいっぱいあると思います。

 こうした好循環をつくれるように、今言った段階を一つ一つチェックしながら、かつ同時にやることによって好循環になると思っておりますので、関係機関がまずそのことを共通し、まさにともに協力して改善に取り組んでいくよう、ワーキンググループで御議論を深めてまいりたいというふうに考えているところでございますので、よろしく御指導と御支援のほどをお願い申し上げます。(発言する者あり)

富田委員 今、つくり過ぎだという議場外からの意見がありましたけれども、私もちょっとそういう感じはあるなと思うんですね。

 弁護士会の現場でどういうことが起きているかというと、女性の合格者がふえました。でも、裁判官、検察官の採用がふえませんので、当然、弁護士になろうとする。ところが、弁護士事務所の就職口がもうないんですよ。私の法律事務所にも、去年の秋、女性の合格者が一人採用してくれないかと来たんですけれども、お給料の話をしたら、年収三百万円台でも法律事務所に勤める子がいっぱいいると言うんですね。これはちょっと信じられない話で、法科大学院を奨学金で仮に出たとすると六百万とか七百万奨学金を返さなきゃならない子が、年収三百万からスタートしたら大変な話で、それだけやはり就職口に困るような状況に今実際に現場はなってしまっている。

 今、副大臣が言われたように、霞が関とかいろいろなところもやはり開拓していかなきゃいけないし、私は、日本弁護士政治連盟の方に、政策秘書の道がありますよというのを四年ぐらい前に若手を集めて話しました。ことし何か急にばあっと来ていただいたようです。兼職されちゃ困るんですけれども、やはり政策秘書としてきちんと働く場とかもあると思います。

 そういったことを、やはり文科省、法務省しっかり連携して、就職口、出口まで含めてやっていかないとなかなか解決しない問題だと思いますので、現場の声をしっかり吸い上げていただいて、副大臣にもぜひこのワーキングチームでいい方向に持っていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 富田委員に引き続いて、私は児童虐待の問題を、川端文部科学大臣並びに、きょうは厚生労働省から山井政務官にも来ていただいておりますので、質問させていただきたいと思います。

 私は、現在、青少年問題の特別委員長をしておりますので、十五日に十八名の委員とともに熊本県の、いわゆる赤ちゃんポストと言われておりますが、正式名「こうのとりのゆりかご」へ。

 これは、どうしてつくられたかといいますと、熊本県で児童虐待によって死亡する子供が数名いて、それを助けてあげることができない自責の念に駆られた慈恵病院の病院長が、親が養育できない子供の受け皿になりたい、その思いでおつくりになりました。これに関しましては、また私は改めて質問を厚労の方でさせていただきたいと思いますけれども。この視察を通して、物理的、経済的、精神的に子供を育てられない保護者の支援のあり方、また子供たちの受け皿づくり、国会議員が果たすべき必要な法整備も含め、さまざまなことに関して私どもが抜け落ちているなと思いますことを私は感じましたので、これをまた改めて審議を重ねていきたいと思っております。

 私はきょうは、今ございました江戸川区の子供たち、これは学校が深くかかわりながら死亡させてしまった、このことを取り上げたいと思います。

 なぜ児童虐待が起きるのか、どんな保護者が虐待をするのか、どうしたら虐待をなくすことができるのか。なくすことができなくても、虐待を減らすことによって、あるいは未然に防ぐことによって、守れる命が限りなくたくさんあるのではないかと思います。

 私は、この問題は、学校、教師のかかわり方に問題というか足りないところがあったのではないかと。つまり、この事例においては、学校側は決して無関心ではなかったんです。校長、副校長、担任が不審に思い、何度も保護者の家を訪問しております。保護者にも会って、保護者は虐待を認めているんですね。それを受けて、校長、副校長、担任もほっとして、また、本格的に見守りが必要だったと思いながら、心にとめていても、仕組み、子どもセンターに言うとか児相に言うとかいうことがなかったんだと思います。

 男の子が亡くなるまでには三つの重要な情報があったと思います。一つ目は、歯医者さんから、男の子の左ほほと太ももにあざがある。この太ももにあざがあるなどということは、本来的には虐待以外余りないのですね。でも、保健室においての健康診断は着衣のままの健康診断でした。ここにも一つ問題があったんじゃないかと私は思います。それから二つ目は、男児のたび重なる学校欠席です。そして三つ目は、二十二歳の母親、連れ子である七歳の男の子、そして三十一歳の養父という家庭環境が存在しております。

 母親の年齢から推定すれば、十五歳で妊娠、出産、二十一歳で養父と男児の養子縁組、このような親子、男女が家庭関係を築くことの難しさは容易に想像できたと思うんですね。やはり周りの人の支援が必要だったのだと思います。

 多分、学校側は、歯医者さんから、左ほほがはれている、太ももにあざがある、それは異常であるという通告を受けたときに、おかしいと考えていたのだと思います。ですが、子供は、一度SOSを発信して、それが受けとめてもらえなかったときには落胆をして、二度ともうSOSは発信しないのです。そういうような事態。そして、担任の先生は、保護者のところに行った、男同士の約束だ、もう虐待はしないよと保護者に言われて帰るんですね。

 でも、虐待というのは繰り返し行われる、そういう知識があったら手だてがあったのではないか。つまり、私が申し上げたいのは、教師の方に虐待に対するほんのわずかな、初歩的な知識があったら、こういうことは起こらなかったと思います。

 それから、今度は仕組みです。

 大臣は二十分になったら退席なさらなきゃならない。私は大臣の答弁を伺いたかったんですが。では、鈴木副大臣、しっかりと、しっかりというよりは簡潔に正確に御答弁ください。残念ですけれども、では御退室ください。

 この仕組みですね。つまり、先ほども富田委員がおっしゃったように、自分たち一人で抱え込んじゃいけないんですよ。いじめの問題も同じです。学校の先生は、放課後の子供のあり方、家庭生活まで踏み込まなければならないような状態になってきたんだと思います。児童相談所では今、四万二千六百件の相談があるということは、子供たちがたくさんの問題にかかわっているのですね。その当事者になっているのです。

 鈴木副大臣に伺いたいと思います。初歩的な研修すら、数年前は一度あったとかいうふうに聞いていますが、研修がなかったのではないか。そして、今後こういう研修をぜひ進めていただきたいと思います。ちょっと時間がございません。簡潔にお答えいただきたいと思います。

鈴木副大臣 お答えを申し上げます。

 これまでも研修がなかったわけではございませんで、例えば独立行政法人教員研修センターにおいては、生徒指導主事や養護教諭を対象とする研修の中で、児童虐待防止が講義内容として取り上げられております。

 それから、平成二十一年の五月には、学校等におきます児童虐待防止のための取り組みのために、児童虐待防止に係る制度改正等の内容を盛り込んだ教職員用の研修教材「児童虐待防止と学校」というものを作成し、各教育委員会に配付をいたしておりますし、さまざまな機会をとらえまして、関係者への、例えば早期発見、早期対応が大事であるとか、あるいは、今お話がありましたように、児童相談所に連絡、相談をするように、そういう通知は出してはおりますけれども、このことは徹底に徹底を重ねて、やり過ぎるということはございませんので、今回通知も出しましたけれども、さらに強化、徹底をしてまいりたいというふうに考えております。

池坊委員 副大臣、通知だけじゃだめなんですよ。つまり、通知だけだと、たくさんの通知が来ますから見て終わってしまうんです。せめて一時間でいいです、何かテープをおつくりになって、こういうことが虐待なんだということ、つまり、虐待というのはどういう状態で虐待なのかということすらわからないと思います。その知識を、絶対にさせていただきたいと思いますが、いかがですか、させていただけるかどうか。

鈴木副大臣 テープはもうCD―ROMをつくっています。それはもう配ってあります。さっき通知と申し上げましたのは、配ってあるので、それをもう一回ちゃんと見るようにという指導をしろという通知を出したということでございます。

池坊委員 配ってあったにもかかわらず、みんながしっかりと見ていなかったということで、それは残念に思いますから、再度見てほしいと思います。

 山井政務官に伺いたいと思います。

 山井政務官、同じ京都で、「なぜ国会は福祉を後回しするのか? 熱血!国会議員ふん戦記」というのをいただいて読みました。悩んでいる子供、苦しんでいる人たちの手助けをしたい、だから政治家になったんだ、私も同じ思いです。これは大変共感いたしました。

 虐待というと、先ほどもお話があったように、厚労問題となりますが、違うんですね。学校との連携が必要なんです。ところが、この連携が私はちょっと抜け落ちていたのではないかと思います。

 二十二年一月二十九日の閣議後の記者会見において、山井政務官は、今回の事件に関してはどこが悪いかということを今言ってもある意味仕方がないわけで、今後どこが問題であったかということを検証していく。検証していただくのは結構ですが、私は、どこが悪かったかという深い反省に立って、それを土台にして次なる手を打っていただきたいと思うのですが、その次なる連携の手を教えていただきたいと思います。

山井大臣政務官 御質問、ありがとうございます。

 先ほど池坊委員の御質問の中で、江戸川区の事件に関しては、先生の問題、そしてもう一つは仕組みの問題ということを御指摘されておりました。まさに私たちもそのとおりだと思っております。

 先日、高井政務官を中心とします児童虐待防止のための連携強化に関する検討会議を厚生労働省と文科省で行いまして、その中で、今回の江戸川区の事件でも、問題は、秋の段階で虐待のおそれがあると、先ほどの歯医者さんでわかったことも含めて児童相談所が情報をキャッチしていたにもかかわらず、年末に長期に欠席があったにもかかわらず、その長期欠席であったという情報が児童相談所や地方自治体に行っていなかったがゆえにそのまま放置されてしまったというのが、まさに池坊委員がおっしゃる反省すべき点だと思います。

 そういう反省点を踏まえまして、一度児相や地方自治体が虐待のおそれがあるという情報を把握した子供のその後の出席状況、欠席状況を、定期的に学校が児相や地方自治体に報告するということにしてはどうかということで現在検討を進めているところでございます。

池坊委員 学校だけが抱え込まないという点において、学校と地域の連携が必要です。それから、学校と子ども家庭センター、児童相談所の連携が必要なんだと思います。そして、その役割を果たすのに、私は、スクールソーシャルワーカーという存在が極めて重要ではないかと思っております。学校の先生には相談できない、学校の先生はつい詰問しちゃう、上からの視点になる。悩みを共有し合う、ともに解決するということにはならないんですね。

 副大臣には、時間がございませんので、スクールソーシャルワーカーがどのような役割を果たし、今後これを補強することが必要かと思いますけれども、それについてどう考えていらっしゃるのか。それから、山井政務官には、ソーシャルワーカーというのは絶対に必要で、今高齢者のために広域センターでは配置をしていらっしゃいますが、子供のためにも私は必要であって、社会福祉士の免許を持ったこれは、市町村に絶対一人は置くべきであるというふうに考えておりますので、それについて、それぞれ御答弁いただきたい。

鈴木副大臣 スクールソーシャルワーカーと申しますのは、社会福祉等の専門的な知識、技術を用いて、問題行動等の背景にある子供を取り巻く環境に焦点を当てて問題解決を図る役割の外部専門家でありまして、小中高、教育委員会に非常勤職員として配置をされておりますが、午前中の質疑でもありましたように、それが五百七十三名に今減ってしまっております。

 平成二十二年度予算におきましては、千五十六名になるべく、今、学校・家庭・地域の連携協力推進事業の中で取り組んでいきたいと考えているところでございます。

山井大臣政務官 池坊委員にお答えを申し上げます。

 スクールソーシャルワーカーを初め、このような子供の貧困そして子供の虐待から子供を守る専門職というのは非常にこれから重要になってくると思います。

 子供を守れるのは、やはり専門職の人が必要だと思っておりますので、児童相談所における児童福祉司の専門的な研修を含め、そのような人材の確保に努めてまいりたいと思います。

池坊委員 新政権においては、命を大切、命を大切とおっしゃいます。これは言葉だけじゃ命を大切に守っていくことはできないんです。命を大切にするために、厚労省は厚労省にあって、文部科学省は文部科学省の中にあって、どんな具体的な施策をしていくかによって初めて命を守ることができるのではないかと思います。

 この学校を支える中で、手助けとしてスクールカウンセラーというのもございます。これは公明党がずっと言い続けてまいりました。これとともに、私は、メンタルフレンドの活用というのを、副大臣、ぜひ、新政権になったということは、今まで目に入らなかったあるいは小さかったことを大きく確かなものにしていくという視点がなければだめだと思うんですね。

 この視点は絶対に必要だと思いますが、例えば、メンタルフレンドを活用しておりますのは、埼玉県の新座市とか、奈良県の大和郡山市、これは構造改革特区の認可を受けてやったんですね。認可を受けなくたってできるんじゃないか、あるいは宮城県と横浜市などがやっています。国はこのメンタルフレンドというのの活用をしておりませんね。都道府県が独自に、これはいい、つまり現場をよく知っているからこういう取り組みができるのであって、私は、本来ならば国がこのようないいモデルを受けとめて発信するという立場にあるのではないかというふうに思っております。

 メンタルフレンドは、割と、大学生とか臨床心理士を勉強したりとか、あるいは次に子供たちとかかわりたい人たちがこのメンタルフレンドになっておりますので、子供たちにとってはより近い存在、お兄さん、お姉さんという感じで、不登校の子供、これは統計も出ておりますね、どれだけの不登校の子供たちの再生に役立ったかというのも出ておりますけれども、これの活用をぜひしていただきたいと思いますが、副大臣、いかがでございますか。

鈴木副大臣 私も、多くの大学生や若者をいろいろなところにボランティアとして派遣をし、結果として、メンタルフレンド的に、いじめられている実態や虐待されている実態を事前に発見し事前に防止するという経験もございます。

 平成十九年の二月に、文部科学省の国立教育政策研究所がいろいろな事例を公表する中でメンタルフレンドの紹介もしておりますが、先般私は福井県に行ってまいりましたけれども、福井県は全域で、福井大学教育学部と福井県教育委員会が取り組んでそうした問題に対応しております。

 いずれにしても、非常に有効だと私は思っております。ほかの人たちには言えないけれどもメンタルフレンドには言えるというシチュエーションが大いにあり得ます。本当に近い斜めの存在として、本当に子供たちの心の支えになるケースを私もいっぱい見てきておりますので、きょうの御指導も踏まえて、一生懸命取り組んでまいりたいと思います。

池坊委員 厚労の山井政務官にもお願いしたいんですが、メンタルフレンドというと、ああ子供たちだけとお思いでしょうが、これからは子供だけの分野あるいは高齢者だけの分野ということではないのです。連携が必要だと思います。先ほど申し上げたように、ソーシャルワーカーもそうですね。メンタルフレンドだってそうなんです。若い人が高齢者のところに行くことによって、高齢者が希望をもう一度持ったり、それから生きがいを持つということになりますので、これはぜひ連携をしながら取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それとともに、しっかりとした位置づけも必要だと思うんですね。スクールカウンセラーも、メンタルフレンドも、スクールソーシャルワーカーも、これは非常勤ですね。ですから、一人の人間が何校か持ってちょこっと顔出しする、にもかかわらず救われている子供たちが多いということは、それだけ必要とされているということなんだと思いますので、ぜひ、副大臣、これは、位置づけ、もうちょっとふやすとか、新政権になって予算が減ったなんて悲しいとお思いになりませんか、残念だと皆様はお思いになりませんか。コンクリートから人というなら、こういうことこそふやさなければいけなかったんですよ。

 ぜひ副大臣の御決意でこういうことを広げていただきたい、それこそが新政権が掲げる命を守るということではないかと思いますので、最後に御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

鈴木副大臣 ソーシャルワーカーについては、先ほど御答弁申し上げましたように、五百七十三を千五十六にしましたが、これでは全く足らないと思っておりますので、きょうの御議論も踏まえて、スクールソーシャルワーカーとカウンセラーとメンタルフレンドと、さまざまな、多様な人たちがチームで連携して守っていくという体制を頑張ってつくってまいりたいと思いますので、よろしく御指導、御支援のほどお願い申し上げます。

池坊委員 山井政務官、それでは御決意。それで私は終わります。

田中委員長 質問外じゃないですか。挙手をしてから、こちらが指名してから発言をしてください。

山井大臣政務官 家族のきずな、地域のきずなというのがますます薄れていっている時代であります。そういうときに、やはり子供を守れるのは大人しかないわけですから、しっかりとした専門職をふやして子供たちを守っていかねばならないと思っております。文部科学省としっかり連携してまいります。

田中委員長 池坊保子君、もう発言時間は過ぎていますので、あと一言。

池坊委員 質疑時間が終了したという紙が今参りましたので。私はせっかちなので、すぐ、手も挙げずに、委員長の指名も受けませんで、失礼いたしました。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 午前中に引き続いて、きょう提出をいたしました資料に基づいて、文部科学省の見解、今後の対応を求めたいと思います。

 最初に、私の方から提案を申し上げておきますよ。

 北海道教職員組合の組合員の方、また、現職の校長先生、教頭先生からお話を伺ってきた調査の結果を今私はこれから申し上げますが、ではどうしたらよいのかというのは、これはなかなか難しい問題なんですよ。私が幾ら国会でこうして資料をもとに指摘をしても、先ほどのファクスにあったように、開き直ったファクスをまた組織として流しているんですね。先ほど大臣も、指摘や報道にあった部分については、どのように調査をし対応するか、そしてまた鈴木副大臣も大変遺憾に思うということで、今後の対応を検討されておられました。

 私は、今から申し上げる三つのことはやっていかなきゃいけないなというふうに思っているんですよ。

 一つは、こうやって、いただいた資料をもとに国会で事実関係を明らかにして、これは違法な組合活動なんですよ、違法な組合の政治活動なんですよ、そして違法な選挙活動なんですよということを常に指摘し続けていかなければいけないと思っています。

 二つ目は、大臣みずからが、あるいは副大臣が北海道に視察に行かれることを私は提案いたします。

 三つ目は、私たち衆議院の文部科学委員会が与野党そろって現地視察をし、教職員組合の幹部の皆さんや教育委員会の皆さんに、こういう事実関係があるんですよ、これを放置しておくことはできないんですよ、こういう観点で、現場の皆さんに正常化をしていただきたい、これはやはり申し入れる必要があると思っているんですよ。

 なぜかというと、地教行法が改正となって、地方分権という観点からも、幾ら文部科学省といえども、命にかかわる問題とか明確な法令違反でない限りは勧告とか指導はできないんですね。ということは、今回明らかになった、私は今から資料に基づいてはっきり言いますけれども、違法な活動ということについては、これはまさしく是正をされなければいけないんですよということをやはり態度をもって指導し、示していかなければならないと思っているんですよ。

 実は、私は、今こうやって申し上げていることは最後に言おうと思ったんですが、時間の関係もありますので、何か答えを最初に求めるような感じではありますけれども、鈴木副大臣、やはりまさしくこれこそが政治主導のあり方として、北海道の教育の正常化、もっと具体的に言うと、北海道の教職員組合の皆さん方が正当な組合活動ができるように、そして、日常の業務を横に置いておいて組合活動が指導されないように、これは当たり前の話を私は言っているんですよ、そのために何らかの行動を起こすべき段階にもう入っている。

 組合員の皆さんは本当に涙ながらにおっしゃいましたよ。残念ながら私たちは自民党を応援していません、政権交代してよかったと思います、だけれども、こんなことをさせられる筋合いはない、もっと真っ当な組合活動をさせてほしいと。私は、この声にこたえてあげたいなと本当に思いました。

 まず、鈴木副大臣の御決意を伺いたいと思います。

鈴木副大臣 公務員である教職員が違法なことをやっているという実態があるとすれば、そのことについては、やはりきちっと調査をし、きちっと毅然と対応していかなきゃいけないということは全くおっしゃるとおりだというふうに思っております。そういう観点から、これまで国会で御質問をいただいた、あるいは御資料の提供をいただいた件については、北海道教育委員会や札幌市の教育委員会にその都度、事実確認を行うように指導をさせていただいているところでございます。

 今、北海道教育委員会、札幌市教育委員会においても、大変現場ではきちっと頑張っていただいていると思っておりますし、今報告を待っているところでございます。その報告を待って次のことは考えていきたいと思っておりますが、まずは現地で十分な調査が行われることを期待いたしておりますし、仮にそれを妨害するようなことがあるとすれば、それは、先ほども御答弁申し上げましたように、大変遺憾なことであるというふうに考えているところでございます。

馳委員 今の答弁は、今までの自民党政権で対応してきたことと全く同じ答弁なんですね。

 私は、鈴木副大臣に期待いたします。大臣が行く前に、まずはやはりあなたが、現状を踏まえてまずは行くべきなんですよ。あなたがまず行くということが、あなたを支えている文部科学省の職員ばかりではなく、北海道の教育委員会の皆さんも、やはりのどから手が出るほどそういう行動を待っているんですよ。幾ら北海道の道議会でやったって、残念ながら、そんなこともありましたねということで終わっちゃうんですね。

 あなた自身がまず行かれることを私は求めます。どうしますか。

鈴木副大臣 今、馳委員からの御提言といいますか御指導を受けとめて、まずきちっと、札幌市あるいは北海道の教育委員会と連携しながら対処してまいりたいと思います。

馳委員 鈴木副大臣も、私が言っている趣旨は理解をしていただけたと思いますので、田中委員長、改めて私は、文部科学委員会として、与野党そろって視察に行き、北海道教育委員会、北海道教職員組合の皆さんと意見交換をする、そういう段階に入っていると思いますが、委員長、いかがですか。

田中委員長 ただいまの御提案につきましては、しっかりと理事会で相談をいたしましょう。

 御発言を続けてください。

馳委員 では、早速ですが、きょう提示いたしました資料二をごらんいただきたいと思います。第十六回分会長会議、二〇一〇年三月二日、於○○小学校。

 小学校で組合の会議を開いてよろしいんですか。

鈴木副大臣 会議自体は、庁舎管理者であります教育委員会や校長が、その権限により、分会長会議などの職員団体の活動を行うためのスペースを使用することを許可を出した場合には可能であるというふうに理解をいたしております。

馳委員 それが勤務時間内であった場合にはいかがですか。

鈴木副大臣 勤務時間内の場合は、そもそもそうした会議を行えないと理解しております。

馳委員 行えるんです、年休をとっていれば。要は、そういうことなんですよ。ところが、年休をとらないで勤務時間内にやっているんですよ。

 日付を見てください。三月二日ですよ。私が予算委員会で鳩山総理に指摘をしたのが三月一日なんですよ。全く懲りていないということがわかりますね。

 では、内容に入りましょう。

 「人事闘争の現段階と当面の取り組み」。この人事闘争について、関係者からこういう証言をいただいてきましたので、鈴木副大臣、ちょっと聞いていてくださいね。こういう証言なんです。人事闘争とは何かということです。

 人事異動について、具体的に言います。道教委から稚内への異動命令が出るも、嫌だと当人が拒否。新採用五年目の者です。最初の異動について拒否をしたんです。そうしたら、このことを道教委の幹部に報告をしました。名前もわかっていますけれども言いません。道教委の幹部から、不当人事と指摘があり、何とか現場で本人の意見を聞いて対処せよという指導があったそうです。そして、この対応をさせられた校長は、極めてあり得ない話だと思って憤慨をしたんですが、道教委の幹部から個別のこんな問題についての指摘があって、善処せざるを得なかったそうであります。

 こんなことを放置しておいていいんですか。

鈴木副大臣 御指摘の事実関係を我々は詳細に把握しておりませんので、コメントは差し控えたいと思います。

馳委員 では、どんどん行きますよ。

 組合人事、これをいわゆる人事闘争というんだそうです。いまだにありますと。組合幹部の分会統制がとれるように配置をするし、それに教育委員会が協力していると。教育委員会の強制力はゼロ、いまだに組合が介入をし、人事は理解と納得だという一言で、すべて介入をしてくるのが人事闘争なんだそうですよ。

 これでいいかと何度も念押しをして、その人事の異動の内定、内部調整で嫌だと言ったら、組合と教育委員会が調整に入って、善処されると。さらに、希望の範囲内にもかかわらず、断固拒否をし、具体的な学校を拒否するどころか、希望学校まで指定をしてくる、これが現状です。そして、この人事拒否は常態化していて、組合に入っていようといなかろうと、意に沿わなければ組合を使う、これが現状だそうであります。

 さらに衝撃的な証言をいただきました。学閥が物を言うんだそうです。日高、後志、小樽、網走、この管内が、組合人事が強くて異動が少ない。この校長先生はおっしゃいましたよ、類は友を呼ぶと。

 私も、そんな権限はもちろん私自身はないんですが、ではどうしたらいいとあなたは思いますかとお伺いしましたら、やはり校長のリーダーシップが確立できるように教育委員会もバックアップをしてほしい、こういうお答えで、なるほどなと思いました。

 もちろん、校長の強い姿勢を支えてほしい、つまり、学校の管理運営事項についての校長のリーダーシップを支えてほしい。それがないと、後でまた資料を出しますけれども、校長交渉が始まるんですよ。私も、その文書を見て目まいがしました。こんなことに校長が赴任早々、一年じゅうかかわらなければならないのかと思うと、その文書を読んだだけで、私は本当に気が変になりそうです。

 人事について私は今申し上げましたが、このナンバー二の資料にある人事闘争というのは、そういうことであるんですよ。まず、このことの実態をお伝えしておきます。

 ナンバー二の資料のさらに驚くべきところは、下の方をごらんください。(4)と書いてあります。「「○○後援会事務所」開設作業 二月二十八日」、ずらずらっとありまして、「選対事務局から依頼をうけて、○○小、○○小、○○小、○○中から三名づつお手伝いをお願いしました。有り難うございました。」こうあるんですね。わかりますよね。動員のことですよ。お願いをしました。来てもらったんですね。「有り難うございました。」とあります。

 動員については、その下の2のところにもこうありますね。「都合がつく方がおりましたら、代表一名参加・出席してください。各分会員にとりあえずお知らせください。(強制動員ではありません)」と、わざわざこういうふうに書いてあって、強制動員ではありませんと言いながら要請をし、それに応じたかどうかが全部記録に残って、それが評価につながっているんですよ。

 したがって、一たん組合員になってしまうと、こうやって、したかしなかったか、動員のそれを記録に残されて、評価をされて、それが実はその当該教員の今後の人事や、あるいは驚くべきことに、教育委員会にその教員が入った場合の昇進にまでかかわってくるんです。複数の校長、教頭、組合員からの証言でありました。これが実態です。

 これが、さて、文部科学省の調査でここまで把握をし、表に出てくるかどうかということを私は心配しているので、あえてこの場でこういうことを申し上げているんです。この選挙、これは公職選挙の候補者のことです、当事者に迷惑がかかってはいけないので、私は黒丸でつぶしました。

 今の私の指摘に対して、見解をお願いいたします。

鈴木副大臣 今御指摘をいただきました証言については、事実関係は必ずしも定かではございませんし、私どもが詳細を把握しているわけではございませんけれども、教職員人事というものは、そもそも教育委員会の権限と責任で行われるべきものだと理解をいたしております。仮に教職員人事に関し職員団体と調整を行うということがあるとすれば、それは不適切だと理解をいたしております。教育委員会は、任命権者として人事の公正性に疑念を抱かれることがないように、みずからきちっと律していただきたいと思いますし、外部からの関与に関しては毅然と対処をすべきものだというふうに考えております。

 それから、(4)についての件でございます。

 これも、御提示をいただいた資料の事実関係は明らかではございませんけれども、一般論で申し上げますと、公務員たる教職員につきましては、教育公務員特例法や公職選挙法に基づき、勤務時間の内外を問わず、選挙運動等の政治的行為が制限をされておりますので、仮に公務員たる教職員が違法な行為を行ったことが事実ということであれば、法令にのっとり、各教育委員会と協力して毅然と対処してまいるということが私どもの理解でございます。

馳委員 おっしゃるとおりなんですね。ところが、それが巧妙に行われている実態は申し上げたとおりですが。

 資料三もごらんいただきたいと思います。これは、すべて読んでいると時間がかかるので読みません。これは、分会、つまり小学校、中学校単位で、管理職である校長や教頭と、いわゆる組合員であろうとなかろうと、これは組合員を対象にしているんですが、交渉の指示書なんですよ。こういうやりとり、校長がこう言ったらこう答えなさい、このやりとりを詳細に指示する文書であります。これは時間のあるときにお読みください。

 資料四をごらんいただきたいと思います。同じく分会長会議の資料の方なんですが、ここで私が指摘したいことは、現場で何をやっているんだ、そういう趣旨です。

 太字で「三月五日(金)まで」「取り組めなかった場合のみ報告」。下の方には「締め切り 三月八日(月)まで(必着!) 検討期間が短くすみませんが。」こうありますが、こういうことなんですよ。三月二日に分会長会議をやって、いろいろな指示、指令をするわけですよ。それに対して、報告、連絡、相談、いわゆるホウレンソウと言いますね、これをちゃんとよこしなさいよという指示書なんですよ。三月二日にやって、三月五日までや三月八日まで、中三日か四日しかなくて、答えを文書にしてよこせという。こうやって組織として現場は、トップの指令が末端まで行き渡るようなことを行っているんですよ。この文書は先々週の話ですよ。

 そして、恐らく今週もこういう文書が流れています。なぜか。私は既にもう報告はもらっておりますが、先週、今週、来週と小中学校の卒業式があるからです。どうだったかということを把握するために、こういう指示書がファクスで流されて、流されたファクスによって、また分会長会議があって、分会長会議で指示したことが浸透したかどうかの報告をまた文書で出せ、この繰り返しなんですよ、一年じゅう。

 私がけさ質問したこのファクスについては既に報道機関においても報道されておりまして、報道機関が明らかにしておりますので私も言っていいと思います。これは日高管内のことです。

 日高というのは北海道九区です。北海道九区選出の国会議員をだれか御存じですか、鈴木副大臣。

鈴木副大臣 済みません、北海道九区は鳩山由紀夫衆議院議員でございます。

馳委員 北海道九区、鳩山由紀夫総理大臣のまさしくおひざ元で、日常的に行われている組合員の違法な活動の一端なんですよ。

 だから、私は、この今回の資料を提出いただいた組合員が、総理のおひざ元で何でこんなことをさせられなければいけないのか、何度も言いますけれども、まともな組合活動をさせてほしい、要はそういうことなんですよ。これが国会で取り上げて問題になっておりますし、文科省から北海道教育委員会を通じて現場の実態調査も今されようとしておりますが、さて、どこまで事実関係の把握をし、事実関係を把握した上で是正をすることができるか。当然、明確になった違法な活動をしていた者は、それは訓告や戒告などがなされると思います。でも、私が本当に求めているのは、そんなことではありません。組合員にまともな活動をさせてあげなさいよと私は鳩山総理に言いたいですね。

 これはもう非常事態ではなくて常態なんですよ、常時こんなことが行われているんですよ。だから、こういう状況にあっては、まずはやはり鈴木副大臣、川端大臣が行くにはまた次の段階があるかもしれませんが、あなた自身がやはり北海道に入らないと。こういうことがずっと行われてきて、これからも行われようとしている。私の指摘に対して「悪辣な組織破壊攻撃」という指摘まで文書で流している、ファクスで。全く懲りていないことを私は指摘しているんですね。いかがですか。

鈴木副大臣 今、北海道教育委員会において精力的に事実関係の把握はしていただいております、詳細お尋ねがあれば例も申し上げますが。

 これは、違法な事実関係が確認をされれば、当然、法令に基づいて適切な措置というものがなされなければならないことは言うまでもありません。これまでも北海道教育委員会においては、そうした法令に基づいて、違法な事実が確認された者については適切な処分が行われてきたというふうに理解をしておりますので、仮に今後そうした事実関係が明らかになった場合は、これまでと同様きちっと法令に基づく適切な措置がなされるものと期待しておりますし、そのことを指導してまいりたいというふうに思います。

馳委員 提出資料五をごらんいただきたいと思います。これは「第二十二回 参議院議員選挙闘争のとりくみについて」でありまして、この二をごらんいただきたいと思います。政権交代の誇るべき成果をずらずらと並べてあります。読みますね。

  教育分野では、1高校の授業料無償化と高校等就学支援金を創設する、2「主幹教諭」に関わる加配の増員の見送り、教職員定数四千二百名の改善を行う、3「教員免許更新制」の廃止をめざし、関連予算を概算要求よりも減額する、4「全国学力調査」「全国運動能力等調査」は抽出調査とし減額する、5「心のノート」の配布を中止し(web掲載化)、道徳教育関連事業を減額するなど、これまでの要求が一定程度反映される結果となりました。

と誇っているんですね。その上で、参議院選挙、比例代表、そして北海道選挙区、応援することを決定しました、頑張りましょう。これを組合員に流しているんですね。

 そして、ナンバー六の(一)、(二)をごらんください。この資料は、「子どもの内心の自由を大切に!」という資料ですが、これは、組合員一人に五枚ずつ配られて、関係者に配るようにという指示があった文書であります。これも皆さん、ごらんいただきたいと思います。もう時間がないので内容には踏み込みません、きょうは。

 提出資料七から十一は、その実態を非組合員の方が「学校運営研究」という明治図書の雑誌に投稿されたものでありまして、著者はもちろん仮名で提供しておられた内容です。

 資料十二をごらんください。これが、その北海道教職員組合の活動を支える組合費の内訳であります。二〇〇七年のものであります。組合費について、本部組合費、支部組合費、支会組合費、地区連合費、平和運動フォーラム会費、スクラム共済、期末手当からの組合費、組織強化基金、その他、おおよそ九千円から一万円、毎月口座で引き落としをされて、ろうきんに入っているわけであります。

 そして、提出資料十三をごらんいただきたいと思います。これはまさしく、恐るべし指示書であります。日付は二〇一〇年二月二十七日、北教組○○支部支部長の名前で、「指示」とあります。これはまさしく、北海道教育委員会と北教組の癒着を証明する文書です。指示書であります。これについての見解も、これはまた改めてのときに私は指摘をすることにいたします。

 資料ナンバー十五をごらんください。私は、これは許せないと思って、ここを指摘してきょうはもう終わらざるを得ませんが、「二〇〇七年度「特別支援教育」に対する北教組○○支部方針と具体的とりくみ」、これがいまだに行われておるそうであります。

 資料ナンバー十六をごらんください。いいですか。「文科省型「特別支援教育」を実態化させないために」「わたしたちのとりくみ」とあって、右の括弧に囲まれた欄をごらんください。特別支援教育、文部科学省としても随分進んでまいりましたが、北海道ではこういうことなんですよ。

 校内委員会の設置については、「発達障害に特化した委員会は設置しない」「既存の校内組織で実態化の排除」とありますね。次に、特別支援教育コーディネーターの指名については、「基本的には反対だが、指名が避けられない場合は組合員が複数で参画し、実態化を排除。教頭もコーディネーターとさせ、渉外的な仕事をさせる。」

 その下に行きます。専門家チームについては、「管理職以外の教員は参画させないのが基本。一般教員の参画を求めてくる場合には、明確に交渉事項とさせ、支部と連携。」こういったことが交渉事項になっているんですね。

 さらにその下に行きますと、「「特別支援教室」は? 設置には反対。ただし、すべての子どもたちを対象に、すべての教員が対応しながら設置される「支援の場」は否定しない。」「「チェックシート」等は? 「チェックシート」や「実態把握シート」などを使って発達障がいに特化した「洗い出し」を行うことには大きな問題があり、反対。」

 ここまで、もう時間でありますので、きょうのところは終わりますが、こうやって、文部科学省として特別支援教育について取り組みましょうということが形骸化をされ、そして交渉事項にまでされて、実態化を阻止されている文書です。鈴木副大臣、政務三役で、幾ら一生懸命頑張って文部科学省全体として取り組んでも、北海道に、道教育委員会から指令が行っても、道教委と北教組の癒着もあれば、そして現場では実態の形骸化がある。

 本当に仕事をしていいんですか、どうですかというのが私に対する組合員の問いかけですよ。文部科学省が言うように仕事をしていいんですか、しなくていいんですか、ここまで言わせるような組合活動は問題ありますよというのが、きょうのここまでの私の指摘でありまして、鈴木副大臣の見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

鈴木副大臣 きょう、いろいろな証言あるいは資料の御披瀝、御提供がありました。もちろん、それぞれについて事実のほどは把握をいたしかねますけれども、一貫して申し上げていますように、法律、法令、あるいは学習指導要領、そうしたものにのっとって、厳正かつ公正に文部科学行政を進めてまいりたいというふうに思っております。そのことを、道教委、市教委に一義的にはやっていただかなければいけないわけでありますけれども、法令やルールを守って現場の教員の皆さんが日々の教育活動をやっていただくというのは当然のことでございますので、そうした当然の実態になるべく、私どもも、きょうの御議論も踏まえて適切に毅然と対処してまいりたいというふうに思います。

馳委員 終わります。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四分散会


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