衆議院

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第14号 平成22年5月14日(金曜日)

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平成二十二年五月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君

   理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君

   理事 笠  浩史君 理事 坂本 哲志君

   理事 馳   浩君 理事 富田 茂之君

      石井登志郎君    石田 勝之君

      石田 芳弘君    江端 貴子君

      川口  浩君    城井  崇君

      熊谷 貞俊君    後藤  斎君

      佐藤ゆうこ君    瑞慶覧長敏君

      菅川  洋君    高井 美穂君

      高野  守君    中川 正春君

      平山 泰朗君    松本  龍君

      湯原 俊二君    横光 克彦君

      横山 北斗君    吉田 統彦君

      遠藤 利明君    小野寺五典君

      北村 茂男君    塩谷  立君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      永岡 桂子君    松野 博一君

      池坊 保子君    宮本 岳志君

      城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       川端 達夫君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   文部科学大臣政務官    後藤  斎君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   文部科学委員会専門員   芝  新一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  牧  義夫君     菅川  洋君

  古屋 圭司君     小野寺五典君

同日

 辞任         補欠選任

  菅川  洋君     牧  義夫君

  小野寺五典君     古屋 圭司君

    ―――――――――――――

四月二十六日

 教育格差をなくし、行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(大島理森君紹介)(第八〇一号)

 同(矢崎公二君紹介)(第八〇二号)

 同(石山敬貴君紹介)(第九〇七号)

 高校の無償化と返済不要の奨学金の創設を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第八五〇号)

 無償教育の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八五一号)

 同(笠井亮君紹介)(第八五二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八五三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八五四号)

 同(志位和夫君紹介)(第八五五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八五六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八五七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八五八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八五九号)

 教育格差をなくし、すべての子供たちに行き届いた教育に関する請願(平岡秀夫君紹介)(第八七四号)

 同(志位和夫君紹介)(第九一五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九一六号)

 教育格差をなくし行き届いた教育に関する請願(宮本岳志君紹介)(第八八六号)

 私学助成の拡充を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第八八七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 文部科学行政の基本施策に関する件

 PTA・青少年教育団体共済法案起草の件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 きょうは、四十五分間、一般質疑という形でありますが、委員長提案のPTA共済法案の確認質疑をさせていただいた後、採決をすることになりまして、我々も、二年間かけてこの法案に取り組んできた一員として、まず田中委員長、また政府の皆さん、そして民主党の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。

 もとより、自民党、公明党、みんなの党ということで野党案として議員立法を提出しておりましたが、この確認質疑が始まったということの上で取り下げをさせていただくことにいたしますので、合意ができた委員会運営に改めてお礼を申し上げたいと思います。

 そこで、きょうは、政府で法案の担当をしておられた中川副大臣を中心にお伺いいたしますが、昨年の十一月十八日、当委員会で川端大臣も閣法で提出をしますという方針をお示しになられましたが、最終的にはこうやって委員長提案となりました。さはさりながら、国会の与野党の合意の上での委員長提案でありますからそれでいいんですが、閣法で準備をしていて、でも、委員長提案に政府としても合意をしたその理由は何なのかをまずお聞かせをいただきたいと思います。

中川副大臣 おはようございます。きょうもよろしくお願いをします。

 議員立法で今回委員長提案という形で提出をしていただくということに対して政府として答弁をしていくのはちょっと微妙な位置づけなのでありますが、これまでこういう形で御尽力をいただいて、当初のように議員立法ということでまとめていただいたこと、馳議員中心に関係議員の皆さんに、与野党あわせて、私からも心からお礼を申し上げたいというふうに思います。

 基本的には、平成十七年の保険業法の改正、これに端を発するわけでありますが、このときに行き過ぎてしまって、必要な共済事業すべてが成り立たなくなったというところから始まっているわけであります。

 基本的には、その保険業法の行き過ぎこれ自体を改正していくということが正しいあり方だったというふうに思うんですが、そのころ、私たちは野党という形でそれを主張したんですが、なかなかその保険業法の改正についてはその当時の与党の合意を得るに至らなかった。そこで、有志の皆さんが改めて立ち上がっていただいて、今回のような形、いわゆる文部省の中の制度共済ということで改めて定義をし直していこうということがその当時から始まってきたということであります。そのように認識をしております。

 その上で、政権交代があって、私たちもその必要性を感じておりましたので、この議員立法の趣旨を踏まえて、閣法で今回はやっていこうというような準備を進めてまいりました。

 ところが一方で、基本的な保険業法、いわゆるこれは金融庁の管轄でありますが、保険業法も実は政権交代ということを踏まえて見直していこうという機運がありまして、今、その検討に入ってきました。それだけに、こちらも閣法、向こうも閣法でそれぞれ角突き合わすといいますか、違った形態で同じものを担当していく、見直していくということについては、これは一つの矛盾が生じてくる可能性があるということでありますので、一つ時間的な経緯を考えていくと、早くやる方がいい。

 そんな中で、せっかく議員立法で準備をしていただいたものでありますから、もう一回議員立法に戻していただいて、合意した部分について、委員長提案で速やかに制度共済という形でまずこれを仕上げてしまうということを考えていく、そのように決断をしていただいたんだと思うんです。これは、与野党の理事の皆さんが話し合いをして、議員立法で行こうというふうに判断をしていただいたんだというふうに私は理解をしております。

 その判断を是として、この法案をまず先行して制度共済として成立させていくということに至った、そういうことで私は解釈をさせていただいて、準備を私たちのサイドでもさせていただいたということであります。

馳委員 一応確認の意味で二つだけ聞くのは、というのは、制度共済ですから、所管庁として文部科学省が、全国統一の団体の場合には例えば子供会、都道府県の場合にはPTAと、これは文部科学省として責任を持って制度共済をして対応していくことに金融庁との間に合意が得られましたよねという点をまず確認するためにお伺いします。

 二点目として、これは昨年、要望団体から心配事として、もし政府提出法案だとこの点がちょっとどうなるかわからないので不安で要望しますよといった五ポイント、ありましたよね。準備金の問題、監査人の資格の問題、組合員制度の問題、区分経理をして安全教育等ができるかという問題、罰則の問題、こういう問題については、最終的にこの議員立法については、政府としても、文部科学省としてもこれでよしと合意を得られたということでよろしいでしょうか。中川副大臣、お願いします。

中川副大臣 金融庁との協議というのは当然やりました。金融庁の方はこれから本格的な協議といいますか中身に入っていくわけでありますが、とりあえずのところ、猶予期間といいますか、現状共済が走っているこのPTAと子供会だけではなくて、ほかの共済事業も含めて、現状走っているそれぞれの共済について、しばらくの間そのままでよろしいよ、事業を継続することができるということを暫定的に法案として提出をしたい、まずこれが第一歩です。

 その上で、私たちが制度共済として組み立てたこの制度を参考にしながら、もう一回、保険業法そのものを見直していくという過程に入っていくんだということ、そのように理解をしておりまして、そういう意味で、今回、この制度共済、私たち文科省の傘下で執行していく部分については金融庁も理解をしているということであります。

 それから、さきの臨時国会で馳議員から御発言のありました五つの提案事項についても、関係団体からの要望もそれに加えて踏まえつつ、共済契約者等の保護の観点から、どのような制度が望ましいかということを検討してきました。

 その結果、共済制度特有の技術的な側面も多いことから、ちょっと時間がかかりましたけれども、最終的には、それぞれを組み込んだ形で整理をさせていただいたということであります。

馳委員 昨年の通常国会、まだ我々自由民主党が与党であったとき、我が党の江崎洋一郎さん、私はたまたま文部科学部会の部会長をしておったものですから、この議員立法に携わらさせていただいて、随分本会議場で中川正春先生の議席にお伺いをしてコメツキバッタのようにお願いをしたものでありますが、保険業法の改正という問題がありましたから、それは中川先生の立場もごもっともだなと私は思っていたんですよ。

 最終的に、民主党が政権交代をされて、金融庁との間でも内々調整をされて、その調整はついた。また、団体の要望している部分について、懸念のある部分もクリアをすることができた。それがまとまったのがこの委員長提案、議員立法の趣旨でありますから、そういう意味で言えば、法案のつくり方としては、確かにちょっと時間はかかり過ぎたのかなとは思いますが、僕は、国会の役割を十分果たした、委員長提案の法案としての評価はすべきだというふうに思っています。

 そこで、技術的なことなんでちょっとだけお伺いしておきますが、条文を副大臣もごらんいただいて、十ページの第十二条、「資産の運用方法の制限」というところを読みます。

 共済団体は、共済会計に属する資産については、文部科学省令で定める方法以外の方法で運用してはならない。

省令というと、また私はここで、基本的事項というものはきちんと示されなければなりませんよとこう言わざるを得ないんですが、資産の運用について省令でどの程度の基本的事項を定めていて、あんなことにもこんなことにも要は使っちゃいけませんよということなんですよね。これは、共済と言われる公共的な共済制度の信頼関係を確保するためにも必要な部分だと思うんですよ。

 資産の運用方法の制限、文部科学省令で定める基本的な事項とはどういうことなのか、もし例示があれば言っていただければありがたいと思います。

中川副大臣 資産の運用については、国会でのこの審議、それから他の類似制度の状況、こういうことを踏まえて今後検討することになっておりますけれども、ただ、この法案が、資金を着実に確保した上で事業を実施するということが目的であるということ、その趣旨を踏まえていけば、例えば、金融機関への貯金であるとか、あるいは国債の取得等のいわゆる安全資産による運用というものに限定していくということが想定されていくんだろうというふうに思っております。

馳委員 これで終わりますが、我が文部科学委員会において、与野党お互いに合意の上で国民の要望するこういった制度について合意を得られて、きょう成立を見ることができる、本当によかったと思いますし、今後ともまた政府の御指導も引き続きお願いを申し上げるということで、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、池坊保子さん。

池坊委員 皆様、おはようございます。公明党の池坊保子です。

 私は、このPTA共済事業に関しましては、公明党の部会長をしておりましたときから、各方面から、保険業法が改正されて今宙に浮いているPTA共済事業があるから、早くこれをしっかりと文部科学省の指導のもとで認知されたいという要望を伺っておりましたし、また、その事情、それぞれの地域によっても随分ばらつきもあることも知っておりまして、案じながらも、きょう委員長提案で提出されましたことを大変うれしく思っております。

 実は私が思いますのに、これは、独立行政法人日本スポーツ振興センターが災害共済給付制度というのをしておりますよね。でも、これでは足りない部分を学校関係者とか保護者の方々のお力をかりながら補てんしていくということではないかと思うんです。そういう意味では、もうちょっとしっかりとこの日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度が完備していたらこういう必要もないのになという思いも私の中にはございます。

 本来、鳩山政権は命を大切にする。前も申し上げましたけれども、文部科学省予算の中でそういうきらきらと光るような、命を大切にする予算があるかというと、そんなことが全然ないということを私は残念に思っております。

 今回、委員長の御配慮によって、夏休みに耐震工事が行われ、五千棟、二千七百七十五億つくことになりましたことは私は大変うれしいと思っておりますが、本来的には、これはずっと主張いたしておりましたにもかかわらず、二十二年度の予算は、一千三十二億、二千二百棟しか認められなかった。つまり、命を守るということで言うならば、学校耐震は一番の命を守ることではないですかと申し上げたいんですね。これは、予備費というのは、御存じのように申し上げるまでもなく、本来予算で不備なところを補うものですから、ぜひこういうことがないように、結果的には子供たちも喜び、保護者たちも、地域住民が喜んでおりますけれども、予算に計上するようなものであっていただきたい。

 このPTA共済事業も、やはり命を守るということではないかというふうに思っております。

 先ほど申し上げました日本スポーツ振興センターの災害共済事業というのは、学校におりますとき、それから登下校だけですから、これは、例えば地域支援学校クラブですか、あのときは、教室を使っても、そこで事故が起きたときにはなされないわけですね。

 私はちょっと個別なこと、具体的なことを伺いたいと思っておりますけれども、例えば、まず掛金の問題なんです。掛金というのは、それぞれの地域によって違ってくるのでこれはばらつきが出てくるんではないかと思いますけれども、それに対して文部科学省はどんなふうに指導なさるのか。

 例えば日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度ですと、これは全国一律です。幼稚園二百七十円、保育所三百五十円、義務教育諸学校は九百二十円、全日制、昼間の学校は千八百四十円、高等専門学校は千八百八十円。沖縄は諸般の事情から半額になっております。御存じのように、要保護児童というのは生活保護法によって医療などが担保されておりますので、これに入るのは四十円となっております。準要保護というのは、制度上の明記はございませんけれども、学校設置者、つまり各自治体の判断で要保護児童に準ずるような掛金ということになっております。

 今回のPTA共済法案においては、このような要保護、準要保護というのはどのような設定を考えていらっしゃるのか、あるいは指導をそういうことになさるのか、あるいはもう丸ごと地域に任せてしまうおつもりなのか、その辺をちょっと伺いたいと思います。

中川副大臣 これから政省令を設定していく、考えていく上で、いろいろな要素を加味していかなければならないというふうに思っておりますけれども、この現在の法案は、これまでの共済事業の実態を踏まえた上でそれが継続できていくような、そういう前提でセットしております。

 なものですから、掛金の額というものについては、これ以上はだめだというその最高額を決めていくということ、これは掛金だけじゃなくて、共済金の最高額であるとか、あるいは総額の額であるとか、そういう形でコントロールをしていくということになっていくと思います。

池坊委員 掛金の上限額を決めていただくということに私はちょっとほっとしております。

 さまざまな学校の現場の声を聞きますと、大臣や副大臣にとってはこれぐらいの少額とお思いになるのかもしれませんけれども、三人の子供を持っている親、今度子ども手当が出されますけれども、そういう親たちにとっては、ああまたなのという思いもありますことと、これは入らなくてもいいんですよね、強制ではないということ、そうすると、これも何かちょっと地域によっての差というのが出てきてしまうのじゃないか。

 このこと自体は私は大変にいいことだと思っておりますし、特にPTAというのは、今なかなか活発な活動をしていなくて、PTAをなくしているところもございますよね。役員になるのが大変だとか、あるいは共働きの夫婦がふえておりますから、保護者の中でPTAのいろいろな行事に行かなければいけないのが負担だと。私なんかは、大変だと思いながら、それは一つの与えられた責任じゃないかと思って役員などもしてまいりましたけれども、そういう傾向になっております中にあって、PTAに任せるということに、地域的なばらつき、つまり格差が生まれてくるのではないかと思うんです。

 例えば、掛金に伴った補償ですけれども、今の独立行政法人の日本スポーツ振興センターが運営しております災害共済給付制度では、きっちりと当然のごとくに災害の範囲と給付金額の種類が分けられております。例えば、学校の管理下で起きた負傷は医療費の四〇%、学校の管理下で起きた負傷で残った障害は、その程度に応じ、八十二万から三千七百七十万円、学校の管理下において発生した事件また運動などに起因する死亡の場合は、二千八百万円を支給するとなっております。

 PTA共済では、例えばこの給付金などをどのように支給したらいいのかとか、どういう範囲を定めるのか。もう既にやっていらっしゃるところもあるんですけれども、それを一度ちょっとごらんいただいてひな形のようなものをおつくりいただかないと、これはいろいろなばらつきができて、本当に子供たちのためになるのかなというふうに懸念しておりますので、これにも細やかな配慮をいただけたらというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 基本は、先ほど先生例示された部分で言うと、それぞれPTAですのでそれぞれのPTA単位で自主的にお考えいただくというのが基本的な考え方で、全国一律の制度ではないというのは御案内のとおりでございます。

 そういう中で、実態で見ますと、今までやってきた部分でいいますと、掛金も、年掛金が三十一円から千六百三十九円まで幅があります。これは相当な幅ですね。そういう意味では、給付の中身も含めて相当違う。

 それから、多分先ほど少しお触れになりましたけれども、いわゆる所得の低い世帯に対しての負担の軽減処置も、例えば、熊本県のPTA災害見舞金安全会では、小中学校の通常掛金が五百円を、要保護家庭の小中学生については百円、準要保護家庭の小中学生については二百円というふうに減額して、これも実は千差万別でございます。それは、それぞれの地域事情、そういう世帯の占める比率、実態等々の部分と、その共済の財布の事情にもよるんだというふうに思います。

 そういう意味では、掛金と給付の内容とこういう減免を含めてはそれぞれにお任せをするしかないわけなんですけれども、実態としてほかのところはこういうふうになっているという参考事例は、御参考いただけるという意味ではいろいろ皆さんに情報提供はしてまいりたいと思います。基本はそれぞれ独自に御判断いただくことになりますが、とはいえ、よそはどうなのかということも大変大事なことだと思います。

 それともう一つ、PTAの参加の問題ですけれども、忙しくて行けないということで参加できないという方もおられます。それと、PTAは大事だと思うけれども、それはだれかがやってくれたらいい、私はやりたくない。それから、PTAの活動は意味があるのかな。大体三つに分かれるんだというふうに思います。

 私たちは、基本的には、地域の皆さんと一緒に、保護者も含めてしっかり学校を支えるという一環としてPTAは大変大事だと思っております。

 そういう意味では、参加しやすいように、一部の役員になったら大変な目に遭って、負担が多くて、それ以外の人はサービスだけ享受するということではなくてという工夫も含めて、事例も含め、できるだけ多くの人が参加できるようなPTA活動の充実と、それから、そういうまたこれも事例の紹介をしていくことに今努力をしているところでございます。

池坊委員 PTA活動においては、川端大臣がおっしゃるように、せっかく文部科学省が学校地域支援クラブというのもつくっておりますから、PTA活動が盛んなところはそういうような、例えば杉並の和田中のように積極的なこういう活動も行っているので、やはり、コアになってPTA活動が行われるようであってほしいというふうには私も思っております。

 それから、いいPTA活動が行われているところは無理難題を言う親たちも少なくなっているのが現状でございますので、やはり、地域、学校、保護者の連携というのが非常に大切だと再認識いたしております。

 大臣がおっしゃるように、掛金なんですけれども、何百円という単位のところは心配はありませんけれども、本当に二千円近いようなお金を取っているところもございます。そして、積立金が今何十億でしたっけ、あるところがございますよね。そういうのを見ますときに、これでいいのかなという思いもいたしております。

 それともう一つ、認可審査基準の要件の中で、準備金の額が一千万以上と書いてございますね。これは、附則の中で七年間は五百万円でいいんだという。確かに、調べてみますと、一千万以上今既に持っているところも少ない。だけれども、何にもなしで掛金だけ取って、では事故の補てんができるかというと、これはできないのではないか、破綻していくのではないかという心配もございます。

 それで、破綻したときにはやはりいろいろな問題が起こってきて、それは文科の行政指導が悪かったなどということになってしまうと思いますので、この辺、地域の主体性に任せるとしても、私はやはりこうした指導というのが必要ではないかと思います。

 例えば、民主党がお出しになった政策集のインデックス二〇〇九の中にも、「営利を目的とせず、保険会社が扱いにくい特定リスクに対応した保険や低廉なリスク移転手段などを提供し、一定の社会的意義を有する小規模・短期の「自主共済」については、規制の厳しい保険業法上の「保険業」とは区別します。」というふうに書いてございまして、いろいろな規制もあるんだろうからというふうな安心もございますけれども、その辺のことはどのようにお考えかをちょっと伺いたいと存じます。

川端国務大臣 御指摘のように、一般の保険業法の条件に当てはめると全部だめになるということがもともとこの議論の発端でありまして、そういう意味で、外れになる部分を何とかといういろいろな議論の中で、今回、委員長提案ということにまとめられて出されたことは、そういうことではいけないという趣旨を反映していただいたという意味で我々としても高く評価するところでございます。

 そういう中で、とはいえ、先生御指摘のように、やはり給付をするという以上、一定の財産はないとこれは成り立たないという意味で、七年間という猶予ということでの一千万という基準を考えているという項立てになっていると思います。

 現実には、今あるPTA安全互助会で二十一年度期首の積立金額について聞き取り調査をした結果であります。すべてではありませんが、ゼロ円から五百万円未満が小中学校五団体、高等学校四団体、五百万から一千万円未満が小中高校ともゼロ、一千万円以上云々がありまして、御指摘のように、十億円以上というのが小中学校で一団体、高等学校で四団体というまで、まさにピンからキリまであるという実態。

 それで、国がそれに何か融資するとかいうことは、なかなか難しいということで今当面は考えておりませんが、猶予期間の中でいろいろ工夫していただきたい。例えばいろいろ寄附を募るとか、小さい団体はどうしても財政規模が小さくなりますから、小中高で合わせるとか、いろいろな工夫をすること等々で御準備をいただくということが可能ではないかということで、御相談があれば、いろいろなそれこそほかのところの御参考ありますが、何とか最低限この部分だけはやむを得ない基準としてあるのではないかと思っております。

池坊委員 どちらにいたしましても、子供と保護者の立場に立って円滑なPTA共済事業が図られますことを願っております。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 PTA・青少年教育団体共済法案、これについて質問いたします。

 行政庁の監督を受けない自主共済を禁じた改正保険業法、二〇〇六年四月の施行に伴って、県レベルで存在する高校のPTA共済などが廃業、縮小を余儀なくされる、こういう事態になっております。

 PTA共済も、一昨年三月末までに法人化して組織を少額短期保険業者に移行するよう求められてまいりました。しかし、多くの団体は移行せず、四月以降、保護者から掛金を集めることが不可能になっておりました。愛知県の高校向けPTA共済では、十一億円の積立金を持っていましたけれども、積立金がなくなるまで見舞金の給付を続けると言っておられます。他の団体も、PTAの運営費に充てるなど、少なくないPTA団体が共済事業の縮小や廃業の方向をとっております。

 今回の法改正によって、PTAなどの共済事業の内容を明確にし、PTA共済事業を存続するとともに、これまでの業務内容範囲の拡大、また枠を子供会など青少年教育団体まで広げるということについては、賛成できるものだと考えております。まず、そのことを明らかにした上で、質問をしたいと思います。

 これまで自主共済として活動してきた団体の中にはスポーツ関連団体もございました。ところが、今回の法案では、スポーツ関連団体への共済事業は対象外となっております。なぜ対象外にしたのか。とりわけこれは馳議員にも聞きたいところでありますけれども、それもできないようでありますので、文部科学省としてスポーツ関連団体の自主共済活動をどの程度把握しておられるのか、この点、まずお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 現在、スポーツ団体独自の自主共済を実施している、まず文部科学省所管の特殊民法法人は七法人、財団法人日本ゲートボール連合、日本卓球協会、スポーツ安全協会、日本ラグビーフットボール協会、日本オートスポーツセンター、日本モーターサイクルスポーツ協会、それから社団法人の日本プロゴルフ協会。日本プロ野球選手会は既に共済事業を廃止しておりますので、今申し上げた七団体。加えて、今申し上げたのは財団法人、社団法人でありますが、そうではなくて任意団体である全日本アマチュア野球連盟、日本勤労者山岳連盟、これだけが実施していると承知をいたしております。

宮本委員 私の名前、岳志のタケというのは山岳の「岳」という字を使うんですけれども、私の父親は山男でありました。登山もスポーツの大切な一分野でありますけれども、スポーツ関係団体の一つである日本勤労者山岳連盟の遭難対策基金についてきょうはお伺いしたいと思うんです。

 勤労者山岳連盟、いわゆる労山でありますけれども、一九七三年から自主共済を初めて、三十年以上継続し、現在二万人を超える人が参加をしております。掛金は一口千円で、登山に応じて十口までで、捜索救助は三百倍、十年継続の場合は四百倍で、四百万円の給付を行っております。

 遭難対策基金の対象は、捜索救助、死亡見舞金などで、家を出てから家に帰るまでを対象としております。海外の場合も同じ率で、保険会社の場合、ヒマラヤ登山の場合などは十万円の保険金が必要なんですけれども、労山の場合は一万円で済みます。

 遭難対策費用として、最大一千万円以上支出する場合も過去にあると言われております。それは冬山で埋没事故が起きた場合、人海戦術で捜索するわけですけれども、民間ヘリなども頼まなくてはならないからなんですね。北アルプスや谷川岳の難しい岩場での事故などの場合、技術の高い民間ヘリをチャーターすると、待っている時間も含めて、一時間五十万円かかると言われております。捜索は半年かかる場合もある。手弁当といえども、捜索に当たる人に何千円の日当も出さなければならない。このような遭難事故は年間五件から六件起きているというふうに報告をされております。

 このような遭難対策基金について、やはりこれは安心、安全な登山の普及上必要不可欠だと私は思いますけれども、大臣、この点の認識は同じでございましょうか。

川端国務大臣 あってはいけないことですが、遭難が現には起こり、その費用に相当な負担がかかるということはよく言われることで、承知をしております。そして、労山遭難対策基金、詳細は把握しておりませんけれども、会員の皆さんが登山活動中に事故により多大な経済負担をこうむった際の救済制度として、今先生お触れになりましたように、加盟団体や会員からの拠出金で運営されていることは承知をしております。

 一般的に登山活動は大変危険を伴うということでありますので、その場合の個人の経済的負担の軽減を図るという必要で、労山以外にも登山活動に関する団体、例えば日本山岳協会等においても同様の共済事業を実施している例があると承知していますので、そういう必要性があるということの実態にあることはそのとおりだと思っております。

宮本委員 最近はフリークライミングが流行しているわけですけれども、これの死亡事故も年間十件程度起きております。こうした死亡事故に対しても基金の対象としていると聞いております。

 労山のやっていることはそれだけではないんですね。基金を使って安全対策講習会や自前の救助隊へ装備や訓練費用として年間千五百万円支出しているとも聞きました。また、スキー場の従業員や電力会社の保線要員、山スキーヤー、スノーボーダーを対象に雪崩対策や訓練も行っているとお聞きもいたしました。これも年間五百万円の予算を組んでいるようです。

 また、三十万円をかけて、リボルトと申しまして、だれでも使う岩登りの練習場となっている岩場の安全確保のためにボルトを打ち直す整備作業への補助を独自に行っているともお伺いしているわけです。こうした活動が基金で自主的に行われているわけですね。

 私はこれをお伺いして、このリボルト、岩場の安全を確保するためのボルトの打ち直しなどへの補助金の支出というふうなことは、本来はこれは文部科学省が補助金を出してこういう場所の安全確保に資するべきだと思うんですけれども、この点、大臣どうお考えでしょうか。

川端国務大臣 広くスポーツの振興を図ることは、私たちとしてやらなければならない施策の重要な一つだと思っております。同時に、今先生御指摘の視点というのは特に安全ということでありますが、それも含めてスポーツ振興に関してはしっかりといろいろな形で応援をしてきているというふうに思います。

 それで、今御指摘の意味で言いますと、直接の予算ではないんですが、いわゆるスポーツ振興くじというのがございます。この助成においては、法人格を有する団体が実施するスポーツ教室、大会等のうち、一定の要件を満たすものに対して支援をしており、その中で、それをやるという意味でのスポーツ用具の購入に対する経費についても助成の対象としております。

 そういう意味では、個々具体のお話でございましたから即答できませんけれども、趣旨からすると、そういう対象の枠に検討の余地があるのではないかというふうにも思います。

 文部科学省としては、これまで今御指摘の連盟から具体的に何かのお申し出があったことはありませんので検討したことはないんですが、もしもあれでしたら、一度相談があればお話をお伺いしたいというふうに思います。

宮本委員 ありがとうございます。

 スポーツ団体の振興という点では国会内にも超党派の議連がつくられておりまして、私もスポーツ議連というものに加えていただいて他会派の先生方と一緒に鋭意努力をしているところでありますので、ぜひさまざまな団体からの声にお耳を傾けていただきたいと思っております。

 さて、二〇〇六年の改正保険業法の施行に伴って、労山として少額短期保険への移行ということも検討されたようです。しかし、そういたしますと一口三千円になってしまう、移行は無理という結論になったとお伺いをいたしました。現在は経過的な措置で対応しておられるようですけれども、継続的な運営は困難だということでありました。

 こうした自主共済が存続できなくなるということは、スポーツ登山の普及と安全対策にとって大きな障害でありますし、社会的損失は大きいというふうに思いますけれども、これは存続できるように、当委員会でどうこうできるかどうかは別として、その方向で政府としては努力すべきだと私は考えますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 今お触れいただきましたように、いわゆる労山が労山遭難対策基金について保険業法の適用除外を求めておられるということは承知をいたしております。そして今、政府の動きといたしましては、金融庁において、一定の要件に該当する団体について、当分の間共済事業を継続することを可能とする法案が国会に提出されたところと伺っております。

 そういう意味で、これまで今御指摘の団体等々から具体的に、所管は金融庁でありますけれどもスポーツという意味では文科省でありますので、こういう部分はどうなんだろうというお問い合わせがあったとは承知をしておりませんが、お問い合わせがあれば可能かどうかまたお話をさせていただきたいと思います。

宮本委員 ありがとうございます。

 また、多くの医師が参加をしている、今度はお医者さんのことを言うんですが、地域医療に継続的に貢献できるように保険医休業保障共済制度というものがございます。

 保険医休業保障共済制度とは、開業保険医みずからが倒れた場合、その間も診療を継続するための代診医などの手当て、休診した場合の従業員の給与等の保障をする仕組みであります。この休業保障制度は四十年の歴史を持ち、四万五千人の会員が加入しております。万一の傷病による公的な保障がほとんどない中で、政府の保険医行政を支える上でも貢献していると思うんですね。

 ところが、保険業法の改正によってこの保険医休業保障共済制度も存続が難しくなっている。実際、入りたいという希望者は年間二千人ぐらいいるにもかかわらず、この四年間、新しい加入を受け付けていないと聞きました。医師不足の中、開業しようと思っても不安だという声が広がっております。

 保険医の中には学校医の方もいらっしゃる、学校歯科医をしておられる先生もいらっしゃいます。子供たちの健康や安全、地域医療の継続のために、こうした保険医の休業保障制度は必要だと思うんですね。この点についても、ちょっと大臣の見解をお聞かせいただけますでしょうか。

川端国務大臣 全国保険医団体連合会で会員の傷害または疾病による休業時の生活安定に寄与することを目的として実施する休業保障制度について、今御指摘の、平成十七年に業法改正ということがありましたので、平成十八年四月以前の契約を団体においてやっておられるというふうに承知をしております。

 先ほど申し上げましたように、金融庁において、平成十七年の保険業法の改正によって継続することができなくなった共済事業について、金融庁における検討で一定の要件に該当する団体について、当分の間共済事業を継続することを可能とする法案が提出されたところと承知をいたしておりまして、この団体部分は直接私の所掌とするところではございませんが、その法律に対して一定の要件に該当し当分の間継続できるかどうかということを含めては、所管のところで御相談をいただければというふうに思います。

宮本委員 二月十九日の財務金融委員会で我が党の佐々木憲昭議員がこうした自主共済全体の存続を求めて質問したところ、亀井大臣は、そうした方々の共済事業がきちっと継続できるように、直ちに今国会できっちりとした法案を出すように今懸命に作業中と答えておりましたけれども、先ほど大臣が御指摘のように、保険業法改正案も既に国会に提出をされたと聞いております。

 当委員会で準備されているPTA共済法案は、スポーツ団体などその他の自主共済を対象にしていないという点で不十分さを指摘せざるを得ないものであります。しかし、まずPTA、青少年教育団体の共済事業だけでも継続させることには一定の意義があり、提案されるならば我が党も賛成でございます。しかし、同時に、まじめな自主共済すべてが従来どおり運営できるように、一刻も早く条件整備を図ることを強く求めて、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、PTA・青少年教育団体共済法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 PTA及び青少年教育団体が実施する共済事業については、平成十八年四月の改正保険業法施行後、従前の事業の継続が困難となっている団体が見られるところであります。

 本案は、このような状況を踏まえ、PTA及び青少年教育団体の相互扶助の精神に基づき、その主催する活動における災害等についてこれらの団体による共済制度を確立し、もって青少年の健全な育成と福祉の増進に資することを目的とするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、PTA及び青少年教育団体は、一般社団法人等を設立し、行政庁の認可を受けて、共済事業を行うことができることとすること、

 第二に、PTAが行うことができる共済事業は、PTAが主催する活動における幼児、児童、生徒もしくは学生、保護者及び教職員の災害、学校の管理下における児童生徒等の災害のほか、学校の管理下以外における児童生徒の災害を対象とすること、

 第三に、青少年教育団体が行うことができる共済事業は、これらの団体が主催する活動における青少年及び保護者等の災害を対象とすること、

 第四に、行政庁は、共済事業の健全かつ適切な運営を確保し、共済契約者の保護を図るため必要があると認めるときは、共済団体に対し、業務または会計の状況に関し報告または資料の提出を求め、立入検査を行うことができることとし、業務の改善等の監督上必要な命令をすることができることとすること

等であります。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 PTA・青少年教育団体共済法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田中委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十九分散会


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