衆議院

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第15号 平成22年5月28日(金曜日)

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平成二十二年五月二十八日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君

   理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君

   理事 笠  浩史君 理事 坂本 哲志君

   理事 馳   浩君 理事 富田 茂之君

      井戸まさえ君    石井登志郎君

      石田 勝之君    石田 芳弘君

      稲富 修二君    江端 貴子君

      川口  浩君    川島智太郎君

      城井  崇君    熊谷 貞俊君

      熊田 篤嗣君    後藤  斎君

      佐藤ゆうこ君    瑞慶覧長敏君

      空本 誠喜君    高井 美穂君

      高野  守君    中川 正春君

      平山 泰朗君    牧  義夫君

      松本  龍君    湯原 俊二君

      横光 克彦君    横山 北斗君

      吉田 統彦君    遠藤 利明君

      北村 茂男君    塩谷  立君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      永岡 桂子君    古屋 圭司君

      松野 博一君    池坊 保子君

      宮本 岳志君    城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       川端 達夫君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   文部科学大臣政務官    後藤  斎君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 平嶋 彰英君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   文部科学委員会専門員   芝  新一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     井戸まさえ君

  牧  義夫君     川島智太郎君

  湯原 俊二君     稲富 修二君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     熊田 篤嗣君

  稲富 修二君     湯原 俊二君

  川島智太郎君     空本 誠喜君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 篤嗣君     石井登志郎君

  空本 誠喜君     牧  義夫君

    ―――――――――――――

五月二十日

 教育費の無償化を目指して、すべての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(下条みつ君紹介)(第九五六号)

 同(矢崎公二君紹介)(第九五七号)

 同(羽田孜君紹介)(第九七四号)

 教育格差をなくし、すべての子供たちに行き届いた教育に関する請願(和嶋未希君紹介)(第九七三号)

 同(渡部恒三君紹介)(第一〇五三号)

 同(浅尾慶一郎君紹介)(第一〇六八号)

 同(勝又恒一郎君紹介)(第一〇六九号)

 子供たちに行き届いた教育に関する請願(郡和子君紹介)(第九八九号)

 教育格差をなくし、行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(郡和子君紹介)(第九九〇号)

 同(羽田孜君紹介)(第九九一号)

 私立幼稚園教育の充実と発展に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一〇〇三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 学校教育に関する実情調査のため、去る二十六日に十九名の委員が参加し、神奈川県立保土ケ谷養護学校及び独立行政法人国立特別支援教育総合研究所の視察を行いました。

 この際、参加委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 まず、神奈川県横浜市保土ケ谷区の神奈川県立保土ケ谷養護学校では、湯山校長から学校の概要についての説明を聴取し、学校施設や生徒の作品、授業の状況を視察した後、学校施設の耐震化やトイレの整備状況、教育内容への農業実習等の導入状況、障害者自立支援法制定による就職への影響、教員のメンタルヘルスへの対応、同校への受け入れの基準と保護者の意識等についての質疑応答を行いました。

 次に、神奈川県横須賀市の独立行政法人国立特別支援教育総合研究所では、小田理事長及び宍戸筑波大学附属久里浜特別支援学校長から研究所の概要及び同学校との相互協力の状況についての説明を聴取し、研究所の施設や研修の状況を視察した後、研究テーマの設定の方法、特別支援教育に対して国として第一に取り組むべき問題点、現場のニーズを踏まえた特別支援教育の課題等についての質疑応答を行いました。

 今回の視察に当たりまして御協力いただきました方々に深く御礼申し上げ、視察の御報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官平嶋彰英君及び文部科学省初等中等教育局長金森越哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田芳弘君。

石田(芳)委員 民主党の石田芳弘です。

 先般視察に行ったところは後の委員の質問にお願いいたしまして、私は、まずきょうは、教育の情報化ビジョン計画と、それから、文化行政の中で歌舞伎文化のあり方、この二点について御質問したいと思います。

 まず最初、教育の情報化ビジョン計画についてです。

 これは、論点としては、教育をコンピューターに依存することの危うさについてという論点で私は御質問したいと思っています。

 けさのマスコミの報道を見ましても、アイパッドの発売にすごいフィーバーが起きておるとか、あるいは電子書籍の普及が非常な勢いで検討されつつあるとか、ICT化の潮流はとめようがなく我々の身の前に押し寄せていると思うんですが、このことを教育と即結びつけるということについて、ちょっと慎重に議論をしたいなと思っています。

 まず、過日、四月二十二日に学校教育の情報化に関する懇談会というのが立ち上がったと聞いています。この懇談会の中身で私がちょっと気になるのは、デジタル教科書協議会というのもできまして、これはオフィシャルじゃないですよ、そのデジタル教科書の方たちがこの学校教育の情報化に関する懇談会に何かしら影響を与えているのじゃないかなと、これは邪推かもしれませんが、そういうような感じがするものですから、これは、御担当は鈴木副大臣だと思いますのであえて鈴木副大臣に、この懇談会の背景と今後の方向性ですか、懇談会で話し合われることについてお聞かせいただきたいと思います。鈴木副大臣、お願いいたします。

鈴木副大臣 お答えを申し上げます。

 委員今御指摘のように、四月に、私が主宰をいたしまして、学校教育の情報化に関する懇談会を立ち上げさせていただきました。

 実は、私は情報教育というものに約十五年ぐらい携わってきておりまして、研究、そして高校でも三年余り教壇に立たせていただきましたが、私の考え方は、いつも大学の講義などで言っているんですけれども、情報社会というのは情けに報いる社会をつくることだと。そういう中で、IT教育ではなくて情報教育、つまり、情報編集力教育の重要性ということを一貫して唱えてまいったところであります。

 情報というのは、まさに人と人とのコミュニケーション、対話の中から生まれるものでありまして、まさに人間が主体であります。今おっしゃったように、コンピューターに依存した、あるいはコンピューターに使われた教育というのは、あってはならないというふうに思っております。

 どんなテクノロジーでもそうでありますが、ICTも、その可能性とその限界、そしてもちろん危険というものを踏まえておりますので、そのことを十分踏まえていかなければなりません。

 したがいまして、文部省で設置をいたしましたこの学校教育の情報化に関する懇談会も、安西祐一郎慶応大学教授そして三宅なほみ東京大学教授に座長、副座長に御就任をいただきましたが、これはいずれも発達科学あるいは認知科学の我が国の第一人者に御就任をいただきまして、いわゆるコンピューター機器メーカーの方々にはお入りをいただいておりません。

 それと同時に、実はコミュニケーション教育推進会議というのも同時に立ち上げまして、これが車の両輪だと思っておりますが、まさに身体性というものを意識した教育というものの重要性、これは平田オリザ座長に御就任をいただいて、そして、演劇、ダンス、伝統芸能の方々に二百九十二校の学校に入っていただいて、まさに、身体表現、そしてもちろん言語というものをきちっと大事にしたそうした教育を、これを両輪で考えていきたいというのが文部省の考え方でございます。

 そういう中で、今委員から御指摘ございましたように、本格的なブロードバンドの普及というステージに入りまして、クラウドコンピューティングというものが急速に今普及をしつつあります。それから、加えまして、電子書籍と言われる新しいデジタル端末というものが普及をするというシチュエーションになりました。

 こういうステージのときにも、今申し上げたような基本的な考え方というものをしっかり見据えて、クラウドのいいところ、あるいは電子書籍のいいところ、あるいはその悪いところといいますか限界、これをきちっととらまえて教育現場に的確に利活用していくということが必要だと。

 今の理念をもう一回確認するとともに、こうした技術、新しいサービスというものを評価いたしますと、教員に対するサポートとしては、例えば、校務の情報化、あるいは学習カルテ、学習履歴をきちっと個別の児童生徒に把握をできるということがこれによって可能になっております。

 実は、委員のお一人でもあります愛知県教育委員会の玉置さんという方が小牧市でこの学習カルテを使われて、保護者にA4で二十ページぐらいの、それぞれの子供に対する「いいとこ見つけ」という取り組みを、グループウエアを使って学校の教職員がその子供のいいところを全部書いておく。そうすると、通知表に自動的にそれが全部差し込まれて、そして、子供は、担任だけじゃなくていろいろな先生から認めてもらったというコメントをフィードバックします。保護者も、学校がそれだけ自分の子供を見てくれているのかということで非常に安心をしていただけますし、それから、保護者も教職員も一体となって、それぞれの子供にカスタマイズした教育というものをプロセスを重要視しながらやっていく、こういう取り組み。こうしたことは促進をすることができる。

 それから、児童生徒に対しましては、動画とか三次元のコンピューターグラフィックスとか、アーカイブということが可能になってきます。

 例えば、委員の中にはNHKの方々に入っていただいていますけれども、NHKはすばらしいコンテンツを、例えば歴史のコンテンツだとか生命科学のコンテンツだとかを持っているわけでありますが、こうしたことを教師のきちっとしたデザインの中で必要に応じて使っていくということもできますし、あるいは、読売新聞の方にも入っていただいていますけども、近現代史というのは、読売新聞だけじゃありませんけれども、日本の歴史の伝統のある新聞社の持っておられるコンテンツというものを有効に活用していくということは、大変有効だと。

 ただ一方で、小学生の低学年、これは認知科学的にまだ結論は出ていませんけれども、小学生の低学年にいきなりデジタルのみというのは、これは慎重にあるべきだと。私個人もそのように思っております。

 まだ電子デバイスというものが発展途上でございますので、アイパッドにしましても、かたい二次元の素材でディスプレーとなっていますが、まだ紙あるいは鉛筆の持っているさまざまな可能性、特に記憶は、これも認知科学的に言いますと、目と耳と手と口と同時に使うということが記憶の定着ということには資するということは、これは科学的な知見として共有もされております。

 そういうこともきちっと踏まえながら、小学校の低学年、小学校の高学年、中学校、高校と、少なくともこの四段階ぐらいにきちっと分けて、どの部分にどういったアプローチで児童生徒に対してはやっていくのかということをきちっとこの中で議論をしていきたい。

 教員に対する校務情報のサポートあるいは学習履歴の管理、こういうところはもう少し強化をしていくといったあたりを今議論をさせていただいているというところでございます。

石田(芳)委員 今、鈴木副大臣のお答えを聞いて大変安心しました。まずデジタル教科書というイメージが先に来ちゃうものですから、何か、子供たちがみんなコンピューター相手に教育されるようなイメージが先行しちゃいまして大変心配していますが、今のお話で私はとても納得するところがありました。

 ただ、これから世間に向かっていろいろ心配点があるんですね。そのことについてちょっと個々に心配点を申し上げてみますので、それについてお答えいただきたいと思うんです。

 まず、デジタル教科書というのが最初に先行しちゃったものですから、紙の教科書はどうなるかという心配がありますね。

 それから二番目は、学習効果、例えばノートを美しくとる、成績のいい子はノートが美しいという知見もあるくらいでして、それから、漢字なんかは手書きをした方がいいということもありまして、デジタルにすると学習効果が果たしていいのか、こういう危惧もありますね。

 それから三番目は、これは医学の立場で子供たちの目に心配はないのか、障害はないのかということ。

 それから四番目には、教師が指導できるのかと。私は、教師の仕事は、知識を教えるよりも、むしろ人格の感化力が非常に重要だと思っていますけれどもね。そんなところがデジタルで心配のあるところ。

 それから、五番目、作家や執筆者の著作権問題、六番目、教科書の検定などが、若干この問題、この流れについて心配する向きです。

 先ほどの鈴木副大臣のお答えで私は氷解しましたが、でもちょっと心配する向きがありますので、もう一度、私の疑問点なんかにお答えいただけませんでしょうか。

鈴木副大臣 昨日も第四回の懇談会がありまして、まさに、今の点について非常にいい議論がなされております。これは生中継もされましたし、また、議事要旨も公開をもうすぐしてまいりますので詳細はそちらに譲りたいと思いますけれども、貴重な時間でございますので。

 紙の教科書を一切なくせ、こういう御議論も、主張をされる方は、委員の中にはいらっしゃいませんけれども世の中にはいらっしゃいます。この委員会での議論の中で紙の教科書をなくせという議論は、少なくとも、さっき申し上げましたように、小学校などは多分あり得ないというふうに思っております。

 それから、手書き、これは今タブレットPCとかではできるようになっているわけでありますが、次の技術開発のステージで申し上げますと、電子ペーパーというのが出てまいります。恐らくそのときになりますと、今行っているノートと鉛筆、こういう状況により近い状況になりますので、この議論はもう少し議論の動向を見据えながらということでありまして、まさに、手書きの持っている学習効果というのは極めて高いと先ほど御答弁申し上げたとおりでございますので、ここも、ノートがなくなるということもないというふうに思っております。

 健康への問題、それから何より大事なのは、やはり教師が、そうした機器をも含めてノートとPCをどういうふうにうまくそれぞれの特徴を使いながらあわせて使うかとか、あるいは、紙の教科書とデジタルのものとどういうふうに使いこなすか、そこがまさに教師の力量ということになりますし、また、それに対するコンテンツというものをどういうふうに選択をしていくのか、さらに、生徒ごとの学びの関心や学習の状況に応じてカスタマイズをしていくのかということで、これは教師は大変になります。

 でありますから、これもまた、今、教員の質のあり方について同時並行で議論を進めているところでございますが、これからの教員養成、それから、今ある方々の学び直しという中で、しかしまた、きちっときょうの御議論も踏まえてしっかり検討してまいりたいと思います。

石田(芳)委員 わかりました。

 最後に、私、ちょっと持論を主張したいんですが、そして質問ですよ、お答えいただきたいんですが、今回の教育のデジタル化というのは、私には総務省発みたいなふうにとれてしようがないんです、総務大臣の原口プランから何か文科省も乗っていったような。

 それで、今の鈴木副大臣のお答えはまことにわかりやすく明確ですが、やはり、教育は国の礎だとか教育が原点だとか言うなら、何か総務省の構想に教育界が乗っていくというような構想ではなくて、文科省から一番哲学みたいなものを発信して、国家の教育や文化の哲学みたいなものから、ほかの省がそうかと受けて国をつくるぐらいの、文科省がすべての行政の風上に立つべきだと私は思っております。

 何か、成長戦略のICT産業の成長エンジンに乗るようなイメージに見えてしようがないんですが、そこのところを、明確にひとつ違うぞという御発言をいただきたいと思っていますが。

鈴木副大臣 私は、もとよりそのようなつもりでやらせていただいております。

 実は、この問題も、昨年の九月に新しい政権が発足しましてから文部省ではきちっと議論し、また、記者会見等々では折に触れて御説明をし、そして概算要求もし、四月になりましたので、今回、この懇談会をつくらせていただいた。

 そういう意味ではこの問題についても川上に立ち続けてきたつもりでございますが、残念ながら、私がまだ無名で発信力がないためにそのような受けとられ方になっているかと思いますが、ただ、いずれにしてもこの考え方は、総務省にも原口大臣にも当初からきちっとお伝えをし続けてきております。

 教育の内容についてはもとより文部科学省がきちっとやるべきだということについては、これは原口大臣、総務省の皆さん方もきちっと御理解をいただいていて、ただ、それを実現するためのハードの環境あるいはネットワークの環境、この部分は、設置者であります地方自治体で一部地方交付税にお願いをしている部分もありますので、そういう意味で、両省連携をとりながらやっていこうと。

 つまり、そうしたデジタル化された教材が、電子黒板やPCや、あるいは携帯情報端末や、そういうところでストレスなく使えるようなそうしたネットワーク環境、コミュニケーション環境を総務省の方では整備をしていただく、その目標を掲げて頑張っていただいているということは、これは大変ありがたいことだというふうに思っておりまして、その中であとは、教師が子供に応じて教育学的あるいは発達学的観点から適切な対応ができるように、こういうことを今やっていきたいと思います。

 きょうの御指摘を踏まえて、さらに連携をきちっとしていきたいというふうに思っております。

石田(芳)委員 ありがとうございました。

 持ち時間の二十五分が来てしまいましたので、中川副大臣にはまことに申しわけありません。歌舞伎の文化のことでぜひ中川副大臣の持論をお聞かせいただきたいと思いました。また次の機会に譲ります。

 委員長、これで終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、瑞慶覧長敏君。

瑞慶覧委員 民主党の瑞慶覧長敏ヤイビーン。ユタシクウニゲーサビラ。沖縄の言葉です。よろしくお願いしますという意味ですので深い意味はございません。質問の機会をいただきまして、感謝申し上げます。

 さて、金星探査機「あかつき」の打ち上げがせんだって成功いたしました。科学技術に携わっている皆様方の努力が本当に報われた、おめでたいことだと思っております。私も、小学校三年か四年ごろにアポロが打ち上げられて、月を見ながら、あんなところに人が行っているのかなと不思議な気持ちで見ていました。今の子供たちは、金星を見ながらそういうことも考えているのかなと。しかし、わくわくすることはいいことだと思っております。

 本日は、三点、御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、アメラジアンの問題について川端大臣にお伺いしたいと思います。

 アメラジアンというのは、皆さん御存じだと思うんですけれども、アメリカンとそれからアジアンの合体語で、大体においては、お父さんがアメリカ人、それでお母さんがアジア人、そして、お父さんも大体軍人のお父さんですね。沖縄において非常に多いんですけれども、戦後六十五年間、米軍が占領そして駐留し続けておりますので、アメラジアンについてもさまざまな問題が起こっております。

 ただ、問題もあるんですけれども、私自身は、その問題を解決していけば非常に宝になるなという認識を持っています。というのは、二つの文化を持ち合わせておりますし、それから、英語と日本語という二つの言語を彼らは持っております。ですから、国際的な戦略を考えたときは、本当に大きな力になるなと思っております。

 川端大臣におかれまして、このアメラジアン問題についてどのような御認識をお持ちか、お聞かせください。

川端国務大臣 お答えいたします。

 いわゆるアメラジアン、特に沖縄においては、日本の女性とアメリカの軍人軍属との間にお子さんが生まれる。場合によっては、国籍も子供のときは二つある。その中で、いろいろな環境と御意思の中で、英語も日本語も学ばせたいということで、就学の機会を私たちとしてもしっかりと確保することは、当然のこととして大変大事なことだと思っております。

 そういう中で、ケースがいろいろあるんですが、日本の学校に来ておられるけれども、日本の言葉がやはりちょっと支えが要るというふうな、公立学校にアメラジアンの方を受け入れるという場合の部分では、日本語教育を特別に教えるという加配の措置をさせていただいている。同時に、公立高校に在籍しているけれども、専らはいわゆるNPOのアメラジアン・スクール・イン・オキナワ等の民間施設で勉強されて、日本語だけは日本の学校で行きたいな、そして、籍も日本の学校に置いておきたいというふうな方に関しても、沖縄県の教育委員会の御判断ということで、学籍がある者はそちらに行っていても出席扱いにする。ということでいうと卒業できるということですから、当然ながら、高校への受験資格も発生するということを弾力的に行えるようにということで、いろんな背景、事情で両方におられる方がしっかりと学ぶ機会を確保するということには、我々としてもいろいろな方策をとってまいりたいというふうに思っております。

 もう一つは、アメラジアン・スクール・イン・オキナワが一定の役割を果たしていただいているのも事実でありますので、そういう意味で、不登校への対応、あるいは、外国籍の児童生徒にどういうふうな対応をするのがどういう効果が出るのかというふうな研究課題を持っていただいて、委託研究をしていただいているということもございます。

 そういう部分では、アメラジアンの就学機会がしっかり確保できるように、沖縄県教育委員会とも連携しながら諸施策をとってまいりたいというふうに思っております。

瑞慶覧委員 ありがとうございます。

 続いて、高井政務官にお伺いいたします。

 今、大臣の方からもありましたが、アメラジアン・スクール・イン・オキナワというのがございます。これは一九九八年につくられたんですけれども、五人の普通のお母さん方がつくったんですね。いろいろな事情を抱えながら、悩みながら、このお母さん方は、自分たちの子供のために、公立学校にもなかなか行かせられない、いろいろな問題があって、インターナショナルスクールもあったんですけれども、そこでもいろいろな問題があって、それがきっかけでつくったんですけれども、いろいろな配慮を今させていただいていることには感謝申し上げます。

 そして、公立高校に行っているということの出席扱いにもなっているということですけれども、ただ、学校によっては、教育委員会の中では、出席扱いはするけれども卒業はさせないとか、そういったまだ誤った認識を持っている方もおられるかとお聞きします。そこら辺は、きちんと出席もして卒業もきちんとできるということはぜひ周知徹底をしていただきたいと思います。

 今、アメラジアンの子供たちは沖縄には三千人から四千人ぐらいいるというふうに言われております。そこで、文部科学省において、その国籍問題とか養育費問題とかいろいろな問題もあるんですけれども、アメラジアンの人数が果たしてどれぐらいなのか、把握する調査をこの間なさったことがあるのかどうか。そしてまたもう一点は、その子たちの中で、不就学児、つまり、どうも小学校にも中学校にも行っていないような子供たちもいるという報告も現地の方からはあるんですね。ですから、その不就学の子供たちの数、その実態などをどの程度把握なさっているのか、お願いいたします。

高井大臣政務官 お答えいたします。

 実は文部科学省として、国としては、この実数をきちんと把握できているわけではございません。

 沖縄県教委に確認をいたしましたところ、アメリカ人学校等に在籍している児童生徒数は平成二十一年度で三百三十五人、そのうち三十五人が重国籍者のアメラジアンというふうに聞いています。少し古い調査ではありますけれども、平成十一年度の公立小中学校に在籍する日本とアメリカの重国籍の児童生徒数は、二百二十二人であったと聞いております。

 そして、御指摘あった不就学の児童の数についてでございますが、これは、沖縄県教委も把握していないということで私どもも把握してございません。

 アメラジアンの状況調査については、沖縄県教育委員会とまさに連絡とり合って、また、先生の御指導も得ながら、適宜適切に把握できるように努めてまいりたいと思います。

瑞慶覧委員 子供たちのその数が把握できていないというのは、これは非常に大きな問題だと思います。ぜひとも、これは早目に本格的な調査、恐らくこれまでもそういう調査をやったということですけれども、十年前という調査。ですから、この調査をできるだけ早くやる。そして、スケジュールを本当に組んで、アメラジアンのお父さん、お母さん方、これは沖縄だけではないんですね、やはり神奈川、東京でもアメラジアンの子供たちはおられますし、全国的な感じでその調査を行っていただきたいと思います。

 そこら辺について詳細なことというのがもしわかりましたら、いつぐらいにやるとか、答えられる範囲でお願いしたいんですけれども。

高井大臣政務官 済みません、今御指摘あった件を踏まえて今後検討していきたいと思います。

瑞慶覧委員 ありがとうございます。しっかりとしたその把握をしていただきたいと思います。

 関連して、アメラジアン・スクールの学校教育制度上の問題と課題について、引き続き高井政務官にお伺いします。

 アメラジアン・スクールは一九九八年六月に宜野湾市に開設されました。多文化教育が行われています。英語を使った、日本語を使ったそういう教育が行われております。学校には今、二〇〇九年五月現在、幼稚園生から中学校課程まで八十二人の児童生徒が在籍しております。授業は全日制、それから、外国人の教員六人と日本人教員四人、そしてさらには数名の非常勤講師とボランティアによって、日本語と英語で授業を行っております。

 ところが、これが学校教育法上の学校に当たらないとして、行政の援助が十分に受けられない状況もございます。ただ、文部科学省の努力によって、以前と比べると改善されております。

 現在は、先ほどもありましたように、アメラジアン・スクールの子供たちは、公立学校に出席扱いという措置もとられております。そしてまた、教室の無料提供あるいは学校指導書の無償配付など、そういう支援もなされているようであります。しかし、まだまだ十分とは言えないという声がどうも上がってきているんですね。

 ですから、それ以外に文科としてアメラジアン・スクールに財政的な援助対策、私は講じるべきじゃないかと思っております。

 そこでお聞きしたいのは、果たして文部科学省として、こういう状況に置かれている中、さらなる財政的な援助がないかどうか、それをお伺いいたします。

高井大臣政務官 いわゆるアメラジアン・スクールの支援について、委員がさっき御指摘になりましたとおり、また、先ほど大臣からも御答弁ございましたとおり、日本語指導のための加配教員とか教科書の無償配付等は現実的にやっておりますが、本当に御指摘のとおり、機関助成としては、今文部科学省からは残念ながらございません。

 しかし、そのほかの支援の仕方として、平成十九年度から、不登校への対応とか外国籍の児童生徒への対応についての調査研究などを委託するという形でお願いをして、地域の公立小中学校との交流授業の実施とか、異文化を持つこの不登校児童の学習カリキュラムの構築などを行っているところでございます。

 まさに我々としても、アメラジアンの児童の皆さんの就学機会が確保されるように、沖縄県教委とも連絡をとり合って、やはり一番必要なさらなる支援が何かできないか、また状況把握をした上で検討していきたいと思います。

瑞慶覧委員 ありがとうございます。ぜひ、さらなる支援をお願いをいたします。

 重ねて、アメラジアン・スクール、最後の質問をしたいと思います。

 実態からして、アメラジアンは学校法人格を持たせてしかるべきではないかと私は思っています。例えば、構造改革特区制度を利用して学校扱いにするとか、そのような方法がとれないのかどうか。今現在、NPOになっていますよね。御所見をお聞かせください。

高井大臣政務官 NPO、特定非営利法人が学校教育法上の学校というふうになるためには、私立学校法に規定される学校法人を設立するということが必要であります。そして、学校の種類に応じて、文部科学大臣の定める設備と編制その他に関する設置基準に従って設置するということも必要になります。その学校設置に当たっては、都道府県知事の認可を受けること、小中学校については、学習指導要領に従って教育課程が編成されること、それから教員免許を有する者が授業を行うことという基準がございまして、この法令に基づききちんと要件を満たせば、学教法上の法人になれるということでございます。

 御指摘あった、この設置主体に対して、構造改革特区法というものに基づきまして、特定非営利活動法人のまま学校教育法上の学校を設置できる特例といたしまして、学校設置非営利法人による学校設置事業というものが認められておりますが、この認定を受けるためには、まず第一に、不登校児童生徒、それから学習障害、注意欠陥多動性障害などのある児童生徒を対象とした特別なニーズがあるという場合、それから二番目に、地方公共団体が、不登校児童生徒を対象とした特別なニーズに対応するということのために、当該法人の設置する学校による教育が必要であると認めた場合、この場合、特区計画を作成して、内閣総理大臣に申請してその認定を受けることができるというわけでございます。

 いずれにしても、どちらかの方法で、アメラジアン・スクールの方がまさに県教委と協力しながらこうしたいという申し出があるならば、当該法人の判断がまず第一でございますが、できるだけ私たちも前向きに対応していきたいと思います。

瑞慶覧委員 ぜひこの宝を伸ばせるように、国の宝になると思いますので、いろいろな知恵を絞っていただきたいと思います。

 もう一つの宝についてお伺いいたします。

 離島の子供たちについてですけれども、日本という国は島で非常にもっている、島があるからこそ日本は大きく発展もしてきているんだと私は思っています。沖縄県においてもたくさんの離島がございます。しかし、その離島の子たちは、高校進学のためにほとんどの子がその島を離れないといけないという現実もございます。

 離れたときに、寮が非常に整っておればその寮に入ればいいんですけれども、寮がない場合は、民間のアパートを借りたり、あるいは親戚の方のところにお世話になったりとか、そういう状態がずっと続いておりまして、沖縄県の場合は、寮をつくる場合、特別振興措置において国からの助成、それによって行われております。非常にありがたいことではございます。

 ただ、その寮の場所が那覇あたりにないんですね。北部の方それから中部の方にあるんですけども、それから、学校の中にも、当然寮が入って完備されているところもございます。

 お手元に資料をお配りしています。後でまたごらんになってください。これは沖縄タイムスのことしの三月五日のものですけれども、昔だったら親戚のところに子供一人をぽんと預けるということもできたんですけれども、今はなかなかそれも難しい。そうすると、お父さんだけ島に残して、お母さんとほかの子供たち、兄弟たちを抱えて島を出る。そういったことがあるというこの実態です。

 ですから、具体的に言いますと、那覇とかそのあたりに国の方が助成をして、島の子供たちが入れるような寮がつくれないものかと、私はそう思っております。それがひいては教育の格差の是正にも必ずつながりますし、教育を受ける権利もまた確立されると思っております。そこらの可能性を、これは政務官でよろしいですか、お願いいたします。

高井大臣政務官 高等学校寄宿舎の設置の必要性については、私どもも、沖縄県からのニーズを踏まえて、やはり適切に判断していくということが必要であるというふうに痛感をしておるところであります。確かに、本当に御家族の御負担たるや、精神的にもやはり負担も大きい上に経済的な負担も多いということになるだろうと思いますので、大事な支援の一つであると思っています。

 御指摘あったとおり、沖縄県の振興開発に配慮したということで特別措置が講じられておりまして、寄宿舎の新増改築に関する経費に対して三分の二という特別な補助をしておるところでございますが、現在、寄宿舎を有している県立の高等学校は十一校ということで、その整備に対して我々も支援をしてきましたけれども、これからも、御指摘を踏まえて、沖縄県からの申請があれば支援に努めていきたいと思っています。

瑞慶覧委員 ありがとうございます。

 時間です。最後、二十六日は養護学校の視察を私もさせていただきました。本当にお疲れさまでした。就職の件が一番やはり大きいということを係の方もおっしゃっておりました。厚生労働省の昨年六月の障害者雇用状況報告によりますと、都道府県の教育委員会のうち法定の雇用率二・〇%を達成しているのは、四十七機関のうちわずか六機関と言われています。ここはやはり国が姿勢を見せるべきだと思っております。

 ぜひとも、特に文部科学においてもどんどんそういう障害のある方々も雇用して、二%と言わずに、もっと四パー、六パーというその姿勢を文科がリードしていっていただきたいという思いを込めまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

田中委員長 次に、湯原俊二君。

湯原委員 おはようございます。民主党の湯原俊二でございます。

 時間の関係もありますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、一括交付金化について一問だけさせていただきたいと思います。

 先般の委員会でも、私、一括交付金化の問題について、地域主権と絡めて川端大臣に質問させていただいたわけでありますけれども、川端大臣はそのときに、一括交付金化については文部科学省内での補助金を統合して交付金化する旨の答弁をされている、こういうふうに理解をしております。一方、二十四日の地域主権戦略会議では、省庁横断型の交付金を来年度から段階的に導入する、来年度には社会資本整備など投資関連を、そして再来年度の二〇一二年度には義務教育や社会保障関連費などにも範囲を広げるとしております。この点について、今後の取り組みについて所見を求めたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 いわゆる地域主権確立ということで、可能な限り財源を地域の責任と判断にゆだねたいということでの地域主権の戦略会議が議論をされているということは、もう御案内のとおりだというふうに思います。そういう中で、いわゆるひもつきの補助金等々を整理統合して一括交付金化を行うということは、全体として取り組む大変重要なことと、基本的な立場は私たちも、当然ながら文部省もその立場に立って議論を一緒にしております。

 教育の部分で、いわゆる義務教育ということも含めまして、国として一定の水準をどう担保できるのかという国の責務と、財源の問題というのがどうあるべきかということで、今までの我々の議論としては、やはり教育分野ということでの大ぐくりに資する中で、地方の自主的な判断に任せるということで、ある程度財源規模は、これは教育に使ってくださいという規模は一定部分枠があるのではないか。これは、今までのいわゆる一般財源化する中での、地方財政措置としての交付税として教育分という勘定はするけれども、あとはお任せするというときに、いろいろな事象も起こっていることも事実ですので、やはり教育の水準の担保ということと、どうするのかというのは議論にあるんだろう。

 そして、今この推進会議においても、省庁横断的に共通的に地方の自治体に任せてしまっていいというたぐいのものと、やはり一定の基準、水準で検討をしなければならないという部分と、いろいろな種類があるというところまでの議論だというふうに思っていますので、そういう中で、教育の水準を国の責務としてしっかり果たせる中での財源の弾力化、地方への移譲というのをしっかり議論してまいりたいというふうに、今そういう状況にあることだけ御報告しておきます。

湯原委員 大臣、ありがとうございました。

 つまりは、一括交付金化するもので、教育の枠という国が責任を持ってやらなきゃいけない部分、これがこれから先、地域主権戦略会議等々の中で明確化、私は教育の分野もその部分はあると思いますし、また、例えば災害復旧とか、最低限、地域の自治体ではとても担えないようなとき、これも一つあると思います。これから、先ほど大臣おっしゃったように途中経過であろうと思いますので、ぜひその旨は議論を上げていただきたいと思います。

 さて、それでは、皆さんと一緒に視察に参りましたけれども、ひとつ特別支援教育について質問させていただきたいと思っています。

 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所、久里浜のところへ行ったわけでありますけれども、あの後、私、会館に帰ってまいりまして、幾つかの都道府県の教育委員会に電話をしまして、つまりは、あそこでも若干ありましたけれども、教育現場の研究課題、ニーズ、あるいは求めているものと、研究所が今行われていること、その状況はどうかなということでちょっと聞かせてもらったら、幾つかの県の教育委員会においては、やはり人材、あの久里浜の研究所では指導的役割の人を研修するというスタンスでありましたけれども、実際の現場では、それも必要なんだけれども、やはり教員の皆さんが、日々の現場での、お子さんを相手にする中でのスキルアップをしていくということを言っておられました。

 この点で、現場で生かされる研究、研修をいかに国立特別支援教育総合研究所で行っていくかが非常に大切であろうかなと思っております。この点について御所見をいただきたいと思います。

 近年、特別支援教育が必要な分野で、発達障害というものの認識が始まっております。この点について、あそこで研修を受けていらっしゃる先生方は、どちらかというと特別支援教育、発達障害も研究はされていますけれども、研修の分野ではまだまだ。特に発達障害児、生徒というのは、多くが特別支援教育学校ではなく一般校に通っていらっしゃる、在籍をされていることを考えますと、あそこでの研修は、特別支援教育の学校というより一般校の先生方にもぜひ研修を受けていただかなければいけないんじゃないかなというふうに思いますし、なおかつ、小中学校だけではなく、後で質問もさせてもらいますけれども、高校の先生方にもぜひ研修を受けていただかなければならないんじゃないか。

 そういう意味で、発達障害という認識は近年できてきて、そしてその分野での研究がされつつありますけれども、広める意味で、研修のあり方も見直しが必要ではないかなと思いますけれども、御所見をいただけたらと思います。

高井大臣政務官 委員の御指摘、本当にごもっともだと思いますし、視察が大変有意義に行われたんだなと思いながら、今お話を拝聴いたしました。

 研究について、各都道府県や関係団体を対象としたニーズ調査等を踏まえていろいろと開発をしているというふうにも聞いておりますけれども、また、その研修についても、成果を踏まえた上で、小中学校の教員等を含め、地方において指導的立場に立つ中核教員の専門性の向上のための研修を行っていて、インターネットによる講義配信もやっているというところでございます。

 発達障害のある児童生徒への対応として、それこそ議員立法で、国会の力でこの発達障害に関する法案ができてから、いろいろな教育関係者含め一般の方々にも理解が深まってきているというところではございますが、やはり、より専門的に、より深く理解をしていただくことが特に学校の先生にとっては必要でありまして、小中高、御指摘もあった高校の教員の先生方も、この発達障害についてより深い理解を深めてもらうために研修の機会の充実を図ることが必要だというふうに思っています。

 従来から、特別支援教育専門研修の一環として、情緒障害や言語障害、発達障害教育に係る専門研修を実施しておりますが、ごらんになったと思いますが、平成二十年度に発達障害教育情報センターを設置したということによりまして、さらにここから情報発信や講座配信をインターネットによってできるということになりました。

 こうした点、少しずつではありますが、前進をしておりますので、これからも一層の充実を図ってまいりたいと思っています。

湯原委員 ありがとうございました。

 ニーズを踏まえてということで、指導的役割の先生方の研修をまず第一にということ、あと、発達障害については、今御答弁ではインターネットでの配信をということをおっしゃっていました。あと、時間的なあれで一般の方への理解も進んできたのではないかということをおっしゃっておりまして、少しずつ前進ということであります。

 了解しますけれども、私一つ申し上げたいのは、先ほどの質問でも申し上げたとおり、やはり現場のニーズ、研究課題というものをいかにあそこの研究所でしていくか、そしてフィードバックしていくか、幅広く現場に落としていく、落とすという言葉は失礼かもしれませんけれども。そしてもう一つは、発達障害の問題でも見られるように、スピード感を持つということが、研究テーマが現場から上がってきて、それを十年後、十五年後ぐらいに落としていったのではどうしようもないのでありまして、その間子供たちは日々人生を送っているわけでありますから、現場との乖離がないように、そしてスピード感を持ってぜひ研究テーマを現場に移していただきたい、乖離がないようにしていただきたいなという要望を申し上げておきます。

 もう一つ、発達障害のある生徒のことを申し上げると、高校に通っている、あのときも馳委員の方から、研究所での質問で入試の問題を取り上げて質問されたわけでありますけれども、私は、文科省の高校における発達障害生徒に対する対応ですけれども、文科省の特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議、平成二十一年八月、昨年八月の高校ワーキンググループの報告で、この発達障害の問題において、高校における支援教育の推進、充実に積極的に取り組むことが必要とされております。

 そして、平成十七年に発達障害者支援法、この法律においても、国及び地方公共団体の責務として、高等学校に在籍する発達障害のある生徒に対しても、適切な教育的支援、支援体制の整備を講じるものとされております。

 しかしながら、現在では、そう法律には明文化されておりますけれども、特別支援教育の支援員の財政措置は、小中学校には完備されている状況でありますけれども、残念ながら高校では完全なものではないということがあると思います。

 高校段階における発達障害のある生徒に対する対応として、財政支援の今後についてお聞かせ願いたいと思います。

高井大臣政務官 御指摘のとおりだと思います。

 学校における日常生活の介助とか学習活動のサポートなど、障害のある児童生徒に必要な支援を幅広く行うための特別支援教育支援員の配置に係る経費については、平成十九年度から地方財政措置が開始をされております。

 しかし、高等学校については、現在、各自治体の自主財源によって公立学校への特別支援教育支援員の配置が行われておるというのが現状でございまして、それでも平成二十一年度は全国で十六都道府県、計二百十九人が配置、活用されております。しかし、県によって大変ばらつきもありますし、ボランティアの方々の力もかりたいということでございますので、先ほどお話があったワーキンググループの報告も踏まえた上で、もう少しいろいろ充実をしていくことができないか検討をしていきたいと思っています。

湯原委員 ありがとうございます。

 発達障害、近年、認識は、この十数年、二十年近くじゃないかなと思っていますけれども、文科省が出した発達障害等の困難のある生徒の中学校卒業後における進路に関する分析結果、概要でありますけれども、調査期間が平成二十一年三月時点でありますけれども、調査対象の一般の中学校三年生のうち、発達障害等困難のある生徒の割合は二・九%、出現率という言葉が的確かどうかは別にしても、二・九%おられます。そのうち七五・七%が高校に進学されている。掛けると、二・九%のお子さんが七五・七%高校に進学するということでありますと、高等学校に進学する発達障害児等困難のある生徒の高等学校進学者全体に対する割合は二・二%。つまり、二・二%の発達障害のあるお子さんが実際には高校に進学する、あるいは在籍する、こういう状況でありまして、すべての人がもちろん特別支援学校ではなくて、一般の学校にも行っておられるということで、先ほど申し上げたように、対応方が必要ではないかということを申し上げたわけであります。

 先ほどは財政的な支援を申し上げたんですけれども、次は、中の、カリキュラム等の学習内容等について質問したいと思います。

 小中学校では特別支援学級があって、発達障害のある児童に対しては、自閉症や情緒障害、特別支援学級に在籍をして、学習指導要領に規定のある特別の教育課程によって、進級、卒業を小中学校ではなされております。しかし、高校の学習指導要領にはそうした規定がないため、先ほどの財政措置も必要ですけれども、各年ごとの単位修得が困難として、この間もありましたけれども、入学しない、また入学しても続かない状況が見受けられております。発達障害のある生徒が学ぶためには、学習内容の変更や学習支援が必要です。

 そこで、高校においても、通級指導に類する実践など、単位認定の弾力化、高等学校におけるこうした弾力化、受け入れ体制、カリキュラムについても検討すべきと考えますけれども、御所見をお願いしたいと思います。

高井大臣政務官 御指摘ありがとうございます。

 学校教育法というものにおいては、高等学校において、障害のある生徒に対し、障害による学習上または生活上の困難を克服するための教育を行うということが明記をされております。

 これに基づいて、各学校において特別支援教育を推進しておるわけでございますが、高等学校の学習指導要領では、特別支援学級や通級による指導に係る特別の教育課程というものを編成するということは規定はされていないという現状ではございますが、しかし、御指摘のあったとおり、弾力的な教育課程の編成を行うことは現在でも可能ですし、それをできるだけニーズに応じて進めてまいりたいというふうに思います。

 御指摘があったワーキンググループの報告書の中でも、「現行制度の中で教育課程の弾力的な運用や指導の工夫により、各地域・学校の実態・ニーズに即し、通級による指導に類した種々の実践を進める必要がある。」というふうに、本当に委員がおっしゃるとおりの御提言がこの中でもなされておることを我々も承知しておりますので、この提言を踏まえて、また、発達障害の方は個々それぞれタイプも必要なことも多分違うだろうと思います。できるだけ個々に沿うように、ニーズにこたえることができるように、教育委員会とも連携しながら周知、努力をしていきたいと思います。

湯原委員 ありがとうございます。前向きということで理解をさせていただきます。

 先ほどスピード感ということを申し上げました。その当事者のお子さんであったときに、今はまだそうして対応、答弁では前向きでありますけれども、実際、現場としては、高校に入ったときには対応なされていないときに、その本人の一人のお子さんにとってみれば、人生の中の一つの一番大きな思春期の出来事であるし、その対応が早いか遅いかによって、一人の個人としてはその制度が受けられるか受けられないか。少しでも早く、スピード感を持っていただけたら、さっきの二・二%という数字を申し上げましたけれども、お子さんたちが少しでも受けていただけるのではないかなというふうに申し上げたいと思います。

 最後に、図書館の問題についてお伺いしたいと思います。

 私、この文科の委員会で最初に質問させていただいたときに、シチズンシップ教育と並んで図書館の質問をさせていただきました。

 時間の関係で二つだけ聞きたいんですけれども、一つが、近年、指定管理者制度あるいは市場化テスト等、民間に委託する傾向が図書館でも、自治体に見受けられると思います。冒頭、大臣に申し上げたように、地域主権という問題がありますので、国が一律にああせいこうせいと自治体にはできないと思いますけれども、私自身の思いを申し上げるならば、当然、図書館においても税金が使われる以上、コスト意識というものは必要であろうかと思います。

 ただ、あのときの質問でも私申し上げましたけども、図書館というものの位置づけとして、やはり図書館は、本来知る権利を保障するところ、あるいは所得の格差に関係なく図書館を利用して学ぶ権利も保障する、あるいは情報の拠点にもなっているものであります。

 こうしたことを考えると、私はあの質問でも申し上げたように、民主主義のまさにとりでではないかなというふうに申し上げたわけでありますけども、認識としては、当然、貸し本である建物ではないわけでありまして、図書館はそういうソフトも含めた非常に重要なものである。

 ところが、現在の流れの中では、指定管理者制度、市場化テストといって、ただ単に民間委託して、貸し本の建物に化する傾向があるのではないかという危惧を持っているのでありますけれども、地域主権の問題の中で、先ほど申し上げたように、なかなか国としてはああせいこうせいとは言えないのかもしれませんが、ただ一点、どのような感想をお持ちなのかだけはお聞きしたいなと思いますので、御所見をいただけたらと思います。

高井大臣政務官 本当に御指摘のとおりというか、図書館の重要性というのは本当に委員おっしゃるとおりだと思います。

 指定管理者制度の導入率は、公立図書館において今六・五%、つまり全国三千百四十のうち二百三館という現状になっておりますが、この問題点について、まさに現場からは、開館時間が延長されたなどという利用者のニーズに即した運営が推進されたという部分もあるのはあるんですけれども、その他、難点としては、指定期間が短期であるために長期的視点に立った運営が難しいといった点や、職員の研修機会の確保とか後継者の育成機会の確保などが、長期的なことができないために余計難しいといったことなど問題点が指摘されております。

 それで、我が文部科学省におきまして、二十一年度に指定管理者制度の導入状況について調査研究を行ったところですと、制度導入の際の留意点といたしまして、安定した運営が可能な指定期間を検討すべきということや、職員に対しても安定的な処遇を確保すること、それから、若手の人材養成も含め、長期的視点に立って育成を考える、それから、自治体が指定管理者の業務の履行状況について適切にモニタリングをすることなど、こういうことを指摘いたしまして、まさにおっしゃったとおり、指定管理を入れるかどうかは各設置者の判断ではございますけれども、こうしたことをぜひ踏まえて参考にしつつ、よく熟考していただいて、よりよい図書館サービスの充実のために私どもも頑張りたいと思いますし、各設置者の側でもぜひ努力をしていただきたいと思っています。

湯原委員 司書教諭等の話もありましたけれども、時間が来ましたので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 おはようございます。自由民主党の馳です。

 まず、北教組の違法献金事件その後についてお伺いをいたします。

 公職選挙法違反、政治資金規正法違反の罪で逮捕され、起訴された小林千代美代議士の選対幹部の事件の公判で、この起訴された二名の幹部は罪を認めているのでしょうか、また、団体として起訴された北教組は認めているのでしょうか。

川端国務大臣 裁判のことでありますので、詳細に責任を持って答える立場にはないんですけれども、報道を通じてのことで言えば、起訴された二名、それから団体としての北教組は起訴事実を認めたというふうに裁判で言われたと報道されているのを承知しております。

馳委員 文部科学大臣としての現段階での見解をお示しください。

川端国務大臣 起訴事実を認めたということは、やはり明確に法令に違反をしたと。教育にかかわる人たちがおられる団体であり、起訴された人は今はその団体の職員ということでありますが、もと教育の現場にかかわった人ということでありますので、そういう意味では、教育にかかわる団体と教育にかかわった経過のある人たちがこういうことを認めたということは、子供たちへの影響、教育現場への影響、そして地域住民、保護者を含めて心配を与えたということを含めて、あってはいけないことであり、極めて遺憾な事態であろうというふうに認識をしております。

馳委員 今後、どのように関係者の処分を文部科学省としてしますか。

川端国務大臣 この裁判の件に関しましては、今少し触れましたけれども、起訴された北教組役員は、一人は以前小学校教諭であったが、現在は当該団体職員であって教育公務員ではありません。そして、この団体自体は、文部省が管理、監督、指導する立場ではございません。そういう意味では、この件に関してどう処分するかということに関しては、関与できないということは御理解いただきたいと思います。

 ただ、先般来の委員会を含めて、委員やその他の委員の皆さんの御指摘やあるいは報道等々で、この件に関してではありませんが、いわゆる教育公務員として法律的に、政治的な中立をしっかり保つためにしてはいけないということに違反をしたようなことがあるのではないかということに関しては、現在調査をしておりますので、そういう法令違反に関しては厳正に対処されるべきものと思っておりますけれども、この裁判と直接的なことにおいては、先ほど申し上げたとおりでございます。

馳委員 当の小林千代美代議士は、捜査当局の事情聴取に対しても知らぬ存ぜぬの一点張りでありまして、今でも民主党にとどまり、代議士としてもその議席を置いておられます。したがって、政治的道義的な責任が問われる問題だと私は思っています。

 同じく民主党の先輩として、また文部科学大臣として、こういう現状にあるということについての見解をお示しください。

川端国務大臣 もとより政治家は、そういう政治的な行動において、法に触れるような疑いを向けられるようなことは基本的にはあってはいけないことだというふうに思いますし、この案件に関して小林千代美議員が事件に関与したということの報道は私は聞いておりませんけれども、いわゆる、前もお答えをいたしましたけれども、国会議員は、有権者、主権者たる国民の皆さんの審判を受けてこの身分にいるという、極めて重い責任を問われる立場にあることは事実でございます。

 そういう意味では、その身分は、逆に言えば、例えば国会でその人の職を免ずるということは極めて限定的なケースしか認めていないということは、国会議員の立場として非常に保障をしているということでもあります。そういう意味では、極めて重い、それだけに守られている立場だからこそ余計重い立場にいるということをしっかり御判断いただいて、身を処せられるのが御本人の判断だと思っております。

馳委員 野党時代の民主党が、このような事件が起こった際に指摘をしてきた対応と、現状は全く違うということをまず指摘しておきます。

 同時に、これは我々、選挙の洗礼を受ける候補者みんなに言えることだと思うんですけれども、選挙の実務に際して、選挙資金が足りているかどうか、どうなっているかということは、これはやはり一義的な責任を有していると私は思っています。事務所を構えて、広報やあるいは電話がけや集会や、いろいろな選挙活動がある中での、支えているのが資金でありまして、これを組合丸抱えでやっていたのではないかということが今回指摘されていたわけです。

 ところが、報道によると、小林千代美さんは一切知らなかったというふうにおっしゃっておられること自体が、やはり選挙を戦う候補者として私は認識が甘過ぎるし、それをそうですよねとなかなか信用することはできません。こういう中に置かれていての、やはり政治家としての道義的な責任が問われており、ましてや丸抱えした組合は教職員組合ですよ、事実を公判でお認めになっているんですよ。このことを踏まえた、私は、民主党みずからの、あるいは先輩としても、教育を所管する大臣としての見解が求められていると思っています。

 もう一つの実はこの事件の根源的な問題は、では、その違法献金の千六百万円はどこからやってきたのということなんですよ。ここのポイントを追及するには会計帳簿が必要です。ところが、過去六年分の会計帳簿がないということが事実として報道されています。私は、この問題こそ極めて遺憾だと思っています。

 大臣、北教組は大きな組織です。組合員が一万九千人もいます。会計帳簿が過去六年分もないということに対して、起訴された幹部は最高幹部ですよ、知りません、存じ上げませんという発言をしておられます。どう考えても、ここは恐らく追及されたくないんだろうなというふうに疑わざるを得ませんし、私どもは、この原資を解明することこそが教育の正常化に向けての一歩だというふうに思っています。川端大臣の見解を求めます。

川端国務大臣 馳委員の御主張の思いは私もそれなりに理解するところはありますが、文部科学大臣という立場で申し上げれば、公判中の問題でありますので、書類があったのか、なかったのか、どういう経過で、もともとないのか、あるのがどこかに行方不明になったのか、隠しているのかということ自体を、事実を把握する立場にありません。そういう意味では、このことに対してどう思うかということに対するコメントはできないというのは御理解をいただきたいというふうに思います。

 また、文部科学省という立場で、これも前からの議論でありますけれども、いわゆる直接的にその団体の会計帳簿等々を、例えば提出を求めたり調べたりというふうな管理をする団体ではありませんので、そのことに関しても、どうこうすることができない立場にあるということも御理解をいただきたいというふうに思います。

 ただ、いずれにいたしましても、こういう教育にかかわる団体あるいはその当事者が、こういう選挙にかかわる事件で立件をされ、当事者がそのことを認めているということ自体は、やはり極めて遺憾なことであることは先ほど申し上げたとおりでありますので、検察におかれて、裁判において、これからの進行をしっかり見守っていきたいと思っております。

馳委員 今回の事件は氷山の一角で、二つの問題がやはりあるんですね。つまり、組合が資金も人も丸抱えをしていた実態が明らかになったということが一つと、もう一つは、本来ならば中立を確保されなければいけない教育公務員が法律を守っていなかった。そして、北教組だけかもしれませんが、組合として二枚舌を使っているのではないかという疑いがあるということなんですね。

 この北教組の二枚舌の問題は四六協定にすべてかかわってまいりますので、私の後、下村委員が詳しく質問をさせていただきますので、その点は下村さんに譲りますが、この二つの問題をはらみながら、さて、文部科学大臣として、再発防止に取り組む姿勢が必要ではないか。そういう再発防止についてのお考えをお示しいただきたいと思います。

川端国務大臣 整理してお話をしたいと思うんですが、選挙の丸抱えであったかどうかということは、私の立場ではコメントのしようがございません。これは御理解いただきたい。

 そして、再発防止という、今立件をされ、公判で争われている部分に関しての再発防止云々というのは、先ほど来申し上げておりますように、所管という意味では、事実関係も正確に知る立場でない、管理監督する立場でないという意味では、これもコメントはできません。

 そして、これを契機にして、教育現場において、教職員の行動で政治的中立が守られていないのではないかという案件を馳委員含めてほかの委員からも、いろいろ具体、個別に御指摘をいただきました。そういう意味で、そういうことはあってはいけないという意味で、現在、北海道教育委員会、札幌市教育委員会を通じて、ぜひともに、そういう実態がどうなっているのかを調べてくださいという調査をまだお願いしている段階でございますので、それを踏まえて、事実関係や実態を把握する中で、そういうことが、あってはいけないことが起こっていれば厳正な対処をしたいと思いますし、いろいろ分析する中で、こういうことが起こらないためにはどうしたらいいのかという施策は、そういうときには考えてまいりたいと思っております。

馳委員 教職員の違法な政治活動、選挙活動の実態については、限られた事実関係ではありますが、私もこの委員会でお示しをし、今調査がされているという、大臣がお示しになったとおりであります。

 この調査はいつ終了し、いつまでにこの委員会に報告をされますか。

川端国務大臣 北海道教育委員会に調査を依頼した部分で、現在、今春の卒業式、入学式における国旗掲揚、国歌斉唱の実施状況という、この事件に直接関係ないですけれども、というのは五月十一日に報告を受けましたけれども、そのほかの、いわゆる委員が御指摘のいろいろな案件に関しては、道教委としての締め切りが二十四日ということで、各支局に聞き取り調査含めてお願いをされ、これは二十四日ですから今週の月曜日ですね、それをまとめた中で、集約し、分析し、それから場合によっては、これは個人が法令違反に当たるかどうかということですから、それを確認する等々をする予定で動いている段階であります。

 詳細に聞き取りますと、十四局のうち二十四日までに調査結果が出てきたのは一局だけで、あとがおくれているという報告を、先般、今週二十四日ということで、北海道教育委員会でそうなっているということを聞きましたので、早速に、すべての答えが出るのがどれぐらいかかるかということと同時に、今集約がおくれている理由、それから見通し等々を含めて、しっかりと我々のところへ中間的でいいから報告してくださいという要請を今週したところでございます。

馳委員 この通常国会中に中間報告だけでも我が委員会に報告することを求めますが、六月十六日が会期末でありますし、また、理事会協議事項ではありますが、六月九日にも一般質疑の予定をしております。それまでには必ず中間報告、つまり、なぜおくれているのか理由も含めて、そして、報告の上がってきた事案はどうだったのかということも含めて中間的な報告をすべきと思いますが、大臣、いかがですか。

川端国務大臣 今申し上げましたように、現時点で十四局のうち一局だけしかまだ来ていないという現状でありますので、中身に関してどこまで中間的とはいえ把握できるかは、実は、この報告を受けて、教育委員会として集計をし、確認をし、分析するということが、当然報告としてはあると思うんですが、そういう中で、現状こうなっていて、例えばおくれているところがこれぐらいあって、こういう理由で、これぐらいの見通しであるということを出すようにと今求めておりますので、できるだけ早くにこれは出させるようにということを督促してまいりたいと思います。

馳委員 そうなると、委員長に要求、お願いをしておかなければいけませんが、この国会中に、中間報告含めて、できる限りの調査の現状報告をさせて、委員会の質疑に資するように取り組むことを、これは担当の後藤政務官ですか、強く求めておきたいと思います。

 後藤政務官、答弁してください。

後藤大臣政務官 大臣がお答えをしたとおりの現状でございます。

 現場の対応もございますが、できるだけ誠意を持って、また、できるだけ可能な範囲で、先生方の御理解に資するような形での対応に努力してまいりたいというふうに考えております。

馳委員 先ほどの問題に戻りますが、私は選挙丸抱えということが問題だと言いましたし、大臣は管理監督する立場にないというふうにおっしゃいました。

 同じ問題意識は三月一日の予算委員会で私が指摘したそのものでありまして、これは要は、都道府県の人事委員会に交渉団体として登録をする要件に収支会計報告あるいはその監査の要件がないということが一つの問題ではないか、ここの指摘をしたんですよ。

 私は、本当は川端大臣に答弁を求める筋合いではないかもしれませんが、組合といいましても、民間の組合もあれば、こうした官公労もございますから、こういう官公労については、やはり要件として、地方公務員法の改正になろうかと思いますが、組合員に対してチェックオフの実態やカンパの実態も含めて収支会計報告を明確にすること、そこから本当に公明正大な組合活動というものが担保されるのではないんですか、こういう質問だったんですよね。

 あのとき鳩山総理は、検討するとおっしゃっていただきました。検討は進んでおりますか、内閣として。

川端国務大臣 あのときも、お答えは総務大臣も申し上げたと思うんですけれども、教育公務員に限らず、いわゆる交渉団体としての届け出とその条件、それからある種のペナルティーみたいなものは地方公務員法によって統一した仕組みで決められているので、いろいろな問題が、指摘のときには、全体として考えなければいけないという御答弁だったというふうに記憶をいたしております。

 加えて、労働組合という部分で言いますと、やはり、労働組合の労働組合法、その部分での組合活動の自由というものとのかかわりというのも大きな議論として今までからあったというふうに私の記憶では承知をしておりますので、そういう意味で幅広く議論されるべきものだと思いますが、具体的に何か、総務省等々が中心となってこういうことを検討しようというお声かけはいただいておりません。

馳委員 政府の足が遅いので、我々自由民主党としては、既に地方公務員法の改正についての案を持っておりますので、これは多くの皆さん方に必要性を訴えて賛同を求めていきたいと思っております。

 あのとき私はもう一つ言いましたね。教育公務員特例法第十八条、罰則の問題です。やはり罰則は必要なのではないんですかと。

 過去、山梨県の教職員組合の問題などで、訓告、戒告、この程度のことはありましたし、あるいは刑事罰で罰金三十万円という実例もございましたが、その罰則を受けた方はめでたく昨年の四月に教頭に昇任をされましたね。この人事のおかしさというものを私は指摘させていただいてまいりました。

 教育公務員特例法第十八条第二項、罰則はないんですね。違法な政治活動、ましてや選挙活動に動員をされたり、あるいはカンパをしたお金がこうして違法献金に使われたという事案が明らかになったとしても、罰則はないんですね。

 この不備について、やはり大臣としても心をかけて、まずは罰則規定を持ち、その上で聖職者としての教育公務員の役割を求めていく、そういう姿勢が必要なんじゃないんですか。

川端国務大臣 教育の現場でしっかりと子供たちを教えるために政治的中立を守らなければならないということは、何度も申し上げてきた大きな理念だというふうに思います。

 そういう中で、今お触れになりました山梨県教組のカンパ問題というのが、大量処分者を出したのがありました。そして今回は、いろいろなことで、そういうことに抵触しているのではないかという御指摘をいただきました。そういう意味で、今調査をしております。

 この法律の経過は、先生も当然御案内のとおりだと思いますが、参議院における議員修正の形でこういうことがつけ加えられて、その後いろいろな議論が行われた中で、各党各会派のいろいろな意見の中で、結局は合意に至らず現状のまま来ている。そのときの議論の論点等々も整理をさせていただきました。

 そういう中で、現状、今調査を北海道の場合させていただいておりますので、そういうことを踏まえて、先ほど、そういうことでの再発防止はどうするのかとおっしゃいましたけれども、現状でこういうことの違反というのがどういうふうに起こっているのか、起こりそうなのか、それを防止するのに過去の例から見てこういう罰則強化という手法がいいのか、国会の議論はまさにそういう議論であったと思いますが、そういうことを含めて、調査の結果もまだ随分おくれておりますけれども、そういうのも含めて慎重に検討していきたいというふうに考えているのが現状でございます。

馳委員 教育公務員の中立性を確保する法律というのがありますね。戦後、成立をしております。このいわゆる中確法に基づいて処罰を受けた教員というのはおりますか。

川端国務大臣 文部科学省として把握している限りでは、そのような例はございません。

馳委員 つまり、抜かずの宝刀になっているんですね。

 我々自由民主党が、現場がやりたい放題なんじゃないのかなという疑いを持たざるを得ない、まさしく今回の北海道五区の衆議院選挙の違法献金問題、また、選挙を指揮監督する立場にある者の公職選挙法違反によって連座制が今問われようともしている事案なんですよね。ということは、学校現場の管理運営にまでかかわる問題として、教育現場が、一部のですよ、一部の組合員の暴走によって管理運営がゆがめられているのではないか、それを実態を調査した上で、必要ならば是正をする、そういう姿勢が必要なのではないかということを指摘しているんですよ。それがいわゆる教育の現場の正常化であったり教員の資質向上の問題であったり、ここにすべてかかわってくるというふうな、そういう認識を持って今まで指摘をしてきたところなんですね。

 教育公務員特例法の罰則規定、あるいは中確法に基づく処罰、そんなのは入り口なんですよ。そういうことがそもそもあってはならないですよ。そして、私たち自由民主党の主張は、教員は聖職者ではありませんか。もちろん、労働者としての労働条件の改善、これは当然必要です。組合活動も大いにやっていただいて結構ですが、それによって教育現場の管理運営に著しい障害が生まれるようなことがあってはならないということを、不断の努力を文部科学省もしなければいけない、こういう指摘なんですよ。

 改めて、今後の再発防止策も含めて、大臣の見解を伺います。

川端国務大臣 先生が御指摘、御主張される部分は、基本的には私は同じだと思います。

 それで、いろいろなことが、教育の現場での中立が、法令違反を含めて、侵されているのではないかという疑いがある、そして、何とか再発防止策を打たねばならないのではないかという御主張だと思います。

 そういう疑いがあるという御指摘を受けて、疑いも含めて、本当にあってはいけないことであることは事実だと思いますので、その疑われているような事例について、真実かどうかということの今調査をしている。その調査を踏まえる中で、これはやはり罰則がいいのかどうかという長年の議論もありますので、まず実態調査を踏まえる中で、どういう対策が一番有効かということはしっかりと議論をしていきたいというふうに思っております。

馳委員 実態調査の意味合いの重さが今の大臣の答弁によっても明らかになったと思いますし、この後、下村委員から北教組の問題について関連して質問させていただきますので、私は次の問題に移ります。

 高校無償化法案における朝鮮学校問題であります。

 あのとき私は、大臣にこういうふうに主張したと思います。民族教育の差別はだめですよ、外交がないからといって、国交がないからといって差別することもいけません、法律に基づいて日本の高校の教育課程に類する課程としてふさわしいという判断がなされれば、朝鮮高校にも支援金は出すべきだ、しかし現状はできないですよねというふうなことを申し上げて、できないんですね、確認しようがないんですから。では、あのとき私はこういうふうに言ったはずです。私だったら、朝鮮高校に出かけるか、あるいは管理責任を持っている、人事や財政の責任を持っている朝鮮総連に出かけていって、ふさわしいかどうか、その取り組みをしますよというふうな発言を私はしたと思っています。

 そこで大臣も、第三者機関という形で公平公正に審査をし、日本の高校の教育課程に類する課程かどうか審査をする、その上で私が最終的に判断をすると。これは非常に前向きな姿勢で、僕は川端大臣のそういう姿勢は評価します。

 そこで、審査の過程と審査の基準、これはやはり我々国民に対しても明らかにされなければ、大臣の思いというものが実現することはできないと私は思っています。まず、第三者機関、いつ発足をし、そして、審査の議事録を公開するということをお約束いただきたいと思います。

川端国務大臣 経過はもう先生御承知で、今私のかわりに言っていただいたとおりでございます。

 そういう意味で、直接学校や総連に行ってはいかがかという御意見もありますけれども、行っても何を判断するのかということがないと、判断のしようがございません。これは現実に行くという意味ではなくて。そういう意味で、高等学校の課程に類する課程として満たすべき基準は何なのか、その基準は何かということと、それから、それを確認する手続はどうしたら確認できるのか、そして、それを審査するのはどういう体制、どういう方法でするのかということをお決めいただきたいということで検討の場をつくろうということにさせていただきました。その出てきた基準と手続と審査体制、方法に基づいて審査を行って、そして、その結果で私の責任で告示をするという手順にしたいというふうに思っておりまして、そういう中で、二十六日に第一回の会合を開かせていただきました。そして、今申し上げたことを検討してくださいというお願いをいたしました。

 その中で、今、機関の中身を公表すべきではないかということでございます。

 それで、どういう委員を選んだかということを申し上げますと、一つは日本や海外の教育行政、教育制度に識見を有する者、もう一つは都道府県の高等学校行政に識見を有する者についていただきまして、合計六名でございます。

 委員名については、第一回、二十六日に会議を行いましたときに御議論をいただきまして、外部からの働きかけ等のない静ひつな環境のもとで、委員らの識見に基づいた自由闊達で専門的な審議を通じて公正中立に検討するということをしたいということになりまして、委員名は、会議の取りまとめを全部終わって諸活動が終わった段階で、お役を解かせていただくときに公表する、そして、審議過程も、その概略をその時点で公表させていただきたいということであります。

 これは、こういう取り扱いは、審議会等の整理合理化に関する基本計画、平成十一年四月二十七日閣議決定の中で、審議会等の公開は、「審議会等の委員の氏名等については、あらかじめ又は事後速やかに公表する。」若干省略しまして、「特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開する」、審査体制のことについてはそういう取り決めが閣議決定されておりますので、それに従って、しかし、お仕事を終えていただいたら、可能な限り、名前は当然公表すると同時に、審議の、論議の経過も要旨としては発表したいというふうに思っております。

    〔委員長退席、笠委員長代理着席〕

馳委員 大臣告示をする前に発表しますか、それとも後にしますか。つまり、事後ということは審議が終わってからということになりますが、それは大臣が朝鮮高校に出すか出さないかということを告示をする前ですか、後ですか。

川端国務大臣 まだそこまで詳細に確認を、先生方との議論はしておりませんが、ほぼ同時期ではないかというふうに私自身は思っております。

馳委員 審査をするときに、当然教育課程の内容に踏み込んで審査をすることになると思うのですが、それでよろしいですか。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、基準と手続、審査方法等のテーマについて御議論いただきたいという、先生の御指摘の部分は基準の中に含まれ得るのではないかということで、検討会議においては、高等学校の課程に類する課程として満たすべき基準、手続等を御論議いただくことをお願いしているところでありますが、教育内容を基準とするかどうかについてもそこで御議論をしていただきたいというふうに思っております。

馳委員 そこまで丸投げしていいのかなと。省令に従って審査をしていただくわけでありますから、教育内容についても審議事項としてお示しをするのが当然ではないですか、大臣。

川端国務大臣 一般論としての部分で、私たちが考えております基準の項目例としましては、組織編制、教員の質、教育課程、教育水準、施設設備、学校運営というものがあるというふうに思っております。

 そういう中で、これは、いわゆる制度的に、基準と同時に、それが手続上評価できるものとして出てくるというのが前提になりますので、今の各種学校の段階の正式な部分で言いますと、教育課程の中身を審査しているということは一切ございませんので、任意に出していただくとかそういうことは可能だと思うんですけれども、そういうことを含めて、どういう形でだったらそのことが確認できるのか、それの法的根拠がある、なし含めての部分での議論をここの場でしていただきたいというふうに思っております。

馳委員 わかりました。これは、恐らく夏ごろまでというスケジュール感だったと思いますので、臨時国会において、また確認をするための質問をさせていただきます。

 では次に、義務教育諸学校の教職員給与費国庫負担問題について質問をさせていただきますが、ちょっと時間のこともありますので、最初に結論から聞いていきますね。

 私は全額国庫負担にすべきだと思いますが、大臣の見解を伺います。

川端国務大臣 これも、二分の一から三分の一にという経過もありました。そして、都道府県における教育現場でのいろいろな現象も出ております。そして、財源の問題もあります。地方の自主性という、先ほどの御議論の地方分権あるいは地方主権というものでどうあるべきかという議論もあります。

 私は、国の責任としての教育水準の維持という部分で、とりわけこれは教員の数の確保の、給与に一番かかわりますから、その部分でしっかりとそれが担保されるということが一番望ましいというふうに思っていますので、どういう制度にしろ、国と地方でしっかりと教育水準を維持するための費用が確保されるということに一番の主力を置いていきたいというふうに思います。

 全部地方に渡してしまった方が、自主財源にしてしまった方がいいという議論も、我々野党のときの与党の中にもありましたし、二分の一から三分の一にするときも、これも結構けんけんがくがく、それぞれあった中でこういう流れがありましたけれども、私は、そういう意味で、そういう今までの経過を踏まえながら、教育水準の確保のための予算がしっかりと地方で確保できるということに最大の主眼を置いてまいりたいと思っております。

馳委員 では、全額国庫負担とした場合の必要な所要額は幾らなのか、これがまず一点目ですね。

 そして、全額国庫負担するとした場合のメリットを文部科学大臣にお伺いするのが二点目。

 三点目に、まさしく今大臣の御答弁にありましたが、小泉改革の三位一体改革の中で、当時自由民主党の中においても大いに議論がなされました。一般財源化をすることによって、地方の創意工夫、権限の拡大のためにも必要ではないか、こういうふうな議論がなされました。そこで、総務省からきょう来ていただいておりますが、一般財源化をした場合のメリットを総務省からお伺いしたいと思います。

 ちょっと三つ続けて済みませんが、お願いいたします。

川端国務大臣 初めに、予算でございますが、国庫負担で言いますと、現在、給料、諸手当で、国が一兆六千五百億、地方が三兆三千億円ですので、全部国としますと一兆六千五百億が四兆九千五百億円になる。そのほかに、退職金等々の費用も、これは今原則的に地方で全部見ておりますので、これらを合わせますと、現在の負担は、国が一兆六千五百億円、地方が四兆九千三百億円でございますので、合わせると総額で六兆五千八百億円。現行より約五兆円ふえるということでございます。

 それから、メリットといたしましては、これは、義務教育に必要な教職員の数を財源の心配なく、地域間格差なく配置することができるということの最も確実な財源保障を行うことになるというふうに思っています。そういう意味では、全額国庫負担で、国の責任で間違いなく一〇〇%保障した形で教員の数を担保できるということがメリットだというふうに思います。

 ただ、国と地方の財源のあり方は、当然別の角度を含めて、と同時に、地方の自主性というものも含めての議論があります。それはいろいろな議論があることは当然でありますし、我々としても検討課題であることは事実だと思いますが、一番のメリットは何かと言われれば、それにあるというふうに思っています。

平嶋政府参考人 ただいま馳先生からお尋ねありました、義務教育国庫負担金について全額一般財源化する際のメリットということでございましたが、これは今先生御指摘がありましたとおり、三位一体改革の議論の過程におきまして、地方六団体側から税源移譲して一般財源化すべきという御提案がありました。

 その際に、地方六団体側から提示された一般財源化のメリットといたしましては、一つは、まず地域の実情に応じた学校配置、弾力的な学級編制や教職員配置が可能となること。二つ目には、教職員給与に限らず、教育に関する財政資源を効果的に配分できるという点。三番目には、義務教育に関し地方公共団体が一貫して責任を持っているという点が住民に明確になるので、責任が明確になるという点。四番目に、創意工夫が可能となることにより各地域における教育論議が活性化する。それから最後に、交付申請、実績報告、検査などの事務に国、地方を通じて多くの労力や費用がかかっているけれども、一般財源化によってこういった事務の効率化を図ることができる。こういうことでメリットが提示されているわけでございます。

 ただ、この提案の背景には、地方六団体側も申しておりましたが、昭和六十年代以降に進められた、どちらかといいますと裁量の少ない経費に関し義務教育財源の一般財源化が行われて、その際には税源移譲がなかったということもありまして、税源移譲を伴う形で一般財源化することで義務教育財源を確保する方が確実であったというような背景もあったというように承知をしているところでございます。

 以上でございます。

馳委員 そうでしたよね。税源移譲をやった上で、義務教育に関する経費を丸ごと抱えた上で、一般財源化をしてほしいというメリットを当時も主張しておられました。

 大臣、今の総務省の見解に対して、何か反論はありますか。

川端国務大臣 さんざん議論もされてきたことでもありますし、馳委員も下村先生も、政府の側でもいろいろ御苦労、また御議論の中心におられたというふうに思います。

 そういう部分では、もう重々御承知をいただいている部分ですが、これは地方六団体の御議論、メリット、御要望を踏まえて中教審で御議論をいただいて、義務教育の構造改革という答申が出ております。そこの部分が、基本的には文科省もその立場に立つということで言いますと、地方六団体からの、一般財源化により児童生徒、保護者や教職員の自覚が高まり、教育の質が向上というのは、財源、費用の負担の問題ではない要素が強いのではないか、地方がどれだけ持つか持たないかというのと余り関係ないのではないかというのが中教審の御答申でした。

 それから、一般財源化しても教育費は適切に確保されるということが地方六団体でございましたが、これは、現実も含めて、このときの中教審の御議論は、国庫負担金は必ず予算措置されるということが決定されている上で担保されるけれども、一般財源化したときにはその分は保障がされないということではないかということでありました。

 それから、一般財源化により外部人材の活用等の裁量が増大するということでありましたが、これは、一般財源化とは別の問題としての、いわゆる総量における弾力運用等々の制度で、むしろ答申していることでできるので、財源とは別の問題ではないかということでありました。

 総じて、地方六団体がこういうメリットがあるとおっしゃった部分は、先ほどの税源等の一体移譲ということは別にしますと、中教審等の御意見は、必ずしもそうではない面もあるのではないかというのが、我々を含めた意見であるというふうに思っております。

馳委員 今、大臣に中教審の答申を引用していただいたことは極めて重要なんですね。

 その答申が出されたのはいつですか。

川端国務大臣 十七年の十月に出されております。

馳委員 平成十七年の十月なんですよ。実はこれは極めて大きな意味を持っていて、平成十八年に、文部科学省にとって戦後最大とも言える法改正がありましたよね。何ですか。

川端国務大臣 教育基本法関連法案の改正です。

馳委員 これは、まさしく同僚の下村委員も大変な八面六臂の大活躍をしていただき、党というか全国民を巻き込んだ議論で、ちょっと待てよと。三位一体の改革で財源論と教育論と議論したときに、義務教育にかかわる経費として安定的な財源を確保する責任はやはり国にあるのではないか。では、国に責任があるとしたら、まさしく義務教育についての国家としての理念、これを明確に打ち立てるべきであろうという、もちろん教育基本法改正の流れは別の流れもあったんですよ、いわゆる中曽根臨教審のころからあった話ですから。

 しかし、折しも、自由民主党の中においても、三位一体の議論がさらにこれに火をつけて、財源論で右往左往するよりも理念をやはりしっかり打ち立てましょうよと。恐らくこういう議論が当時の民主党にも飛び火をして、日本国教育基本法と。これはやはり日教組も反対があったようでありますが、取りまとめをされた。こういう教育界にとっての大きな流れにつながっていっているんですね。

 そこで、ちょっと具体的な話に戻り、私はきょう、文部科学省にも協力をいただいて資料を準備しましたので、ごらんいただきたいと思います。

 資料の一枚目は、「公立小・中学校の正規教員と非正規教員等の推移」について、私は総合的な観点で見たいということでお願いをして、つくってもらった資料です。

 平成十八年度、これは総額裁量制、またこの後、二分の一から三分の一へというふうに大きく文部科学省が揺れ動いた時代でありまして、その前後であります。

 こうして見てくると、二分の一から三分の一へ負担額が減ったということよりも、そもそも現場は、本採用が減って非常勤や臨時任用が拡大してきているという傾向にあるわけですね。これをもって恐らく教育の現場から、また保護者を含め地域の皆さんや総じて国民から、地域間格差を拡大する現実になっているんじゃないか、ここに歯どめをかけなければいけないのではないかという争論が巻き起こってきているのではないかと読み取れると私は思うんですよ。

 ちょっと足し算と引き算で私も見てみたんですが、平成十四年度から比べて、非常勤講師というのがおおよそ二千人ふえていますね、非常勤が二千人もふえています。臨時任用はおよそ一万人もふえています。臨時任用でも、産休、育休のかわりというのは三千人ほどふえています。そして、本採用の教員がマイナス一万六千人。大体行って来いで、差し引き、うまくいくんですが。

 私は、この傾向に歯どめをかけていくと同時に、学校運営の管理運営に責任を持つ校長であったりあるいは市町村の教育委員会に、やはりこういった教員人事についての権限をよりゆだねていく必要がある、しかし総枠は国家が責任を持たないと都道府県による格差が拡大するのではないかということを、どういう数字を見たらいいのかなと思ってお願いして、次のページを開いてください。

 各都道府県の「公立小・中学校の教員定数に占める正規教員の割合」。正規教員がブルー、臨時的教員がピンク、非常勤講師等が黄色。

 正規教員の割合が少ないワーストが沖縄県ですね。奈良県も少ないですね。広島県も少ないですね。何となく恥ずかしいんですが、石川県も少ないですね。

 それから、義務標準法に従って、一〇〇%が定員ということになりますが、定員を超えても、つまり独自財源として採用している都道府県もありますね。東京都、福井県も多いですね。鳥取県も多いですね。佐賀県も多いですね。香川県も多いですね。群馬県や福島県も多いですね。

 まさしくこれは、教育に取り組む知事あるいは教育長、あるいは政令市の場合には市長さん方のそういった意思というものがこういった数字にあらわれてくるんだと思いますが、そうはいっても、できれば本採用の教員の方が、生活の安定性を持って子供たちに向き合う学校の仕事につけると私は思います。

 ちなみに、大臣、非常勤講師の基本的な時給は幾らか御存じですか。

    〔笠委員長代理退席、委員長着席〕

川端国務大臣 それぞれ都道府県で差がありますので調査はしていませんが、時給じゃなくて月給の調査ではいけませんか。(馳委員「まあいいです」と呼ぶ)

 小学校で、普通の教諭が三十五万四千四百円、助教諭が二十一万三千円、講師が二十二万六千円ということでありますが、平均二十二万円ということで、正規の先生の平均が三十五万円ということから比べると、二十二万円程度ということになっております。

馳委員 私もちょっと質問する前に文科省の担当者に教えていただきましたが、一時間教えて大体二千七百円ぐらいだそうですね。

 これはこま数にもよると思うんですが、平均的なこま数はどの程度か御存じですか。

川端国務大臣 先ほどの二十二万円というのは、助教諭、講師の給与で、まさに非常勤講師というのは、平均的に言うと非常に時間が短いということで、今先生がおっしゃったように、約二千六百五十円で週十二時間、月四週ということでいいますと、月十二万七千円になるということでございます。

馳委員 非常勤講師はアルバイトをしてもいいんですか。

川端国務大臣 可能であります。

馳委員 非常勤講師は学校のかけ持ちをしてもよいんですか。

川端国務大臣 可能であります。

馳委員 では、もとの私のこの資料に戻っていただければいいと思うんですけれども、最初の資料ですね。

 非常勤講師の割合がふえている、そして本採用が減っている、臨時任用もふえているという現状を考えると、私はやはり政策的に判断をすべき段階に来ているんじゃないかな。つまり、二分の一から三分の一に削減した、でも、残り三分の二は交付税措置がされているわけですよ。交付税措置された分が本当にすべて教員給与として使われているのかどうか、こういうことを考えると、末端の非常勤の先生方の処遇は極めて悪化をしているというふうな指摘をせざるを得ないんですね。

 その上で、四枚目の資料をごらんいただきたいと思います。「義務教育費国庫負担金の交付状況」、下の「近年の交付状況」。国庫負担率を二分の一から三分の一に引き下げて以降、何と毎年のように、国庫負担額の限度額まで教員給与として使い切っていなくて国庫に戻しているんですね。やはりこういう結果になるから、全額国庫負担で、安定的な義務教育にかかわる経費としての教員給与というのはまずここで確保しなければいけないんじゃないんですか。

 国から渡します、後は義務標準法に従って、総額裁量制のもとでやってください。でも、非常勤講師、臨任は採用せざるを得ませんよね、組み合わせがありますから。でも、最低限の非常勤講師や臨任の先生方の処遇について歯どめをかけるようにしておかないと、アルバイトのかけ持ち、学校のかけ持ち、月給が十万円に満たない学校の先生が同じ職員室の中にいるんですよ。職員室の中に来たり来なかったり、生徒が質問に来てもいなかったり、その非常勤の先生方の対応、私も担当しました。本当に気の毒に思いましたね。

 やはり教育というのは学校現場ではチームワークで行われるものでありますから、こういうところの、特に小中学校、義務教育における教職員給与の問題点を洗いざらい検討することによって処遇の改善をすることからやっていかないと、きょう僕はここまで行きませんが、教員の資質向上の議論にまでつながっていかないんじゃないかという心配を持っております。大臣の見解を伺います。

川端国務大臣 今起こっている現象は、詳細に先生御指摘をいただいたとおりでございます。財源を確保して、そしてその一定の財源の中で教員数を確保する。しかし、先ほど先生が言われたように、非常勤講師の先生方も、ある意味では、科目によっては必要な部分もあるということの組み合わせで、総額裁量制によって弾力的運用で教員の数をふやすことができるという趣旨でこのことがやられたと思います。

 一方で、地方の自主性の中で、教育は大事だからそれぞれ財政の中ではしっかりと担保されるはずであったというのが、結果を見ますと、先生御指摘のこの都道府県別の数字も、都道府県によって差があると同時に、一番上が、もうほとんど一〇〇%前後なんですね。

 ということでいうと、トータルとして安い人件費に回した部分は余ってしまっているということに結果としてなるということで、これはやはり教員の質と数の両面から極めて大きな問題であるという認識は私たちも持っておりますし、いろいろな議論がありましたが、事業仕分けのときにも、義務教育の国庫負担金については、全額国庫負担すべきという意見も含めて、国と地方のあり方の抜本的な整理、見直しという取りまとめが出ております。

 そういうことで、我々としても、しっかりと前向きに議論をしてまいりたいと思っております。

馳委員 全額国庫負担にすべきであるという主張とともに、きょうは至りませんでしたが、教員の資質向上の問題について、また、現場にできる限りの権限をおろしていくという問題についても、総合的にまた時間をいただいて質問したいと思いますので、きょうのところはこれで終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、下村博文君。

下村委員 自民党の下村博文です。

 まず冒頭、大臣にお聞きします。

 きょう、普天間移設問題で閣議が行われるそうですけれども、いつごろ行われますか。

川端国務大臣 けさは、金曜日で定例の閣議は八時半前後から始まりましたが、その議題はありませんでした。

 それ以外の閣議の連絡は今のところ私としては事務的には受け取っておりませんので、わかりません。

下村委員 これから行われると思いますが、その中で鳩山総理が、閣議決定、閣議了解、首相発言、どれにするか、いまだに決まっていないということがけさのマスコミ報道に出ておりますけれども、これはまさに今の鳩山総理そのものの無責任さ、そして、その場その場で言い繕ってきたということのあらわれだというふうに思うんですね。

 一体、この八カ月は何だったのか。結果的には沖縄県民の気持ちを本当にもてあそんだだけである。最初は期待に期待を持たせた結果、もともとの政府案であった案にほぼそのとおりに終結する。県外移設ということが実際はできなかった。公約を守れなかった。これはまさに、沖縄県民の怒りの火に油を注いでいるだけでなく、日米関係も今は最悪の状況になっているというふうに思うんですね。

 これは沖縄問題だけではありませんが、まさに総理としての資質も能力も、あるいは志もあるとは思えない。この八カ月間の鳩山総理のこの普天間問題について川端文科大臣はどんなふうに思っておられますか。

川端国務大臣 我が国の安全保障上、日米同盟が基軸であり、その中で米軍基地のプレゼンスというのは非常に大きな役割を果たしているというふうに私はかねがね認識をしておりますし、これは鳩山内閣もそうだと思います。

 そういう中で、その負担が沖縄に過重にかかっていると同時に、普天間基地においては、周辺住民含めての負担が危険も含めて非常に多いということの中で、これを軽減、可能ならば除去するということでいろいろな努力が今までからも行われてきたことは事実だというふうに思います。

 そういう中で、現在、鳩山内閣、鳩山総理を中心として、抑止力を守る中で日米同盟を堅持しつつ、沖縄県民の理解と協力、それから周辺の理解を得ながら負担軽減をしていこうという思いで取り組みをされていることは、一生懸命やっておられるというふうに思います。

 ただ、経過をたどったときに、先生御指摘のような批判がいろいろあることは私も承知をしております。

 鳩山内閣の一員としては、鳩山総理が最大限努力されるのを支えてまいりたいと思っております。

下村委員 大臣、もうそんな状況じゃないわけですよ。きょう、閣議決定だか了解だか首相発言だかわかりませんが、それをやるということですから、今さらそんな状況ではあり得ないわけでありますね。

 それから、きのうも全国知事会を開催して、一体何を鳩山総理は知事の方々にこの時期にお願いを求めたのか。政府側が何の提案もないのに、沖縄の負担軽減をほかの都道府県で持ってくれということであっても、今さらこの時期にそれに対する対応が出てくるはずがないわけであって、なぜこんな時期に全国知事会を開催したのか。まさに統治能力のなさというのを国民にあらわにするという、本当に愚行するとしか思えないわけでございまして、これはぜひ川端文科大臣に、総理に対して進言していただきたいと思うんです。

 みずから早目にやめて責任をとってもらう、我々としては遅かれ早かれ内閣不信任案をもう出さざるを得ないというふうに思いますが、その前に、鳩山総理みずからこれは責任をとってやめていただくということが政治家として正しい出処進退ではないかと思いますが、いかがですか。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、鳩山内閣の一員として鳩山総理をしっかり支えてまいりたいと思っております。

下村委員 同様のことを、小林議員についてもちょっと川端大臣にお聞きしたいと思います。これは同じ答弁はちょっと許されないのではないかと思います、文科大臣としての責任として。

 それというのも、この北教組事件で小林氏の陣営幹部と北教組委員長代理が、今月の十八、十九日の公判で起訴内容をはっきり認めたわけです。また、既に別の陣営幹部が公職選挙法違反に問われ、有罪判決を受けて控訴中で、六月一日に札幌高裁で判決が言い渡される予定ですが、これはもう判決が確定するのは間違いないわけですね。ですから、連座制が適用される。その場合に、小林千代美議員は、みずから辞職をしなくても議員を失職するということは明らかなわけです。

 このような公職選挙法違反にかかわらず、今回のような北教組事件、これは陣営幹部がもう認めているわけですから、このことについてやはり小林議員は、すぐ責任をとるということが問われるのではないかというふうに思うんですね。

 新聞報道によると小林千代美議員は、国会の会期末前に辞職すれば衆議院北海道五区補選は夏の参議院選と同日になるが、民主党内には準備ができていないなどとして慎重論が多い、このため、国会閉会後に辞職し、補選をおくらせる方向で調整している。こういう党利党略ではなくて、まさに、みずから責任をとってやめるということこそが今問われているのではないかというふうに思います。

 その辺、先ほど馳議員からも同様の質問が出ておりましたが、これについては、北教組関係の監督官庁、関連省庁でもあります文科大臣として、この小林議員の辞職について明確にお答えしていただきたいと思います。

川端国務大臣 馳委員への御答弁と若干重複するかもしれませんが、教育にかかわる団体という意味での北教組とその役員ということでの元教員であった、現在は違いますがという人が、報道によりますと、裁判の過程で法令違反の容疑事実を認めたということは、教育現場にかかわる関係者にこういう不祥事を出したことは極めて遺憾であるというふうに認識しているところは当然でございます。

 なお、この件及びそれに付随して、この現場において政治的中立が侵されているのではないかという委員各位の御指摘に関しては、真摯に問題として受けとめ、現在、北海道教育委員会において調査をしていただいているところでございますが、また同時に、報道によりますと、政治資金規正法違反の案件に関しては、検察の捜査でも小林議員の関与を認められなかったという報道もされていることも事実でございます。

 そういう中での、専らは、道義的な責任をどう思っているのかということに関しての私のコメントをお問いだというふうに思いますが、先ほど申し上げましたように、国会議員は、主権者たる国民によって選ばれて、その権利は厳重にその立場を守られている立場であるだけに、大変極めて責任が重い。そういう意味では、報道において選挙の時期云々というのは私の承知するところではございませんが、小林議員においてその責任の重さをしっかり自覚して、みずからが出処進退を判断されるべきだと思っております。

下村委員 特にこの事件は、御党民主党において、平成二十一年の衆議院選挙マニフェストの中で、企業・団体献金の禁止、これを掲げて民主党は圧勝したわけですね、こういうことも掲げて。その陰でこのような違法行為が行われているということは、民主党に投票した有権者の期待を裏切るこれは悪質な事件だというふうに思います。

 ですから、小林千代美議員が直接かかわっている、かかわっていないにかかわらず、これはまさに小林千代美選挙そのものであるわけですから、当事者としての責任を強く求めるし、また、辞任を要求したいと思います。

 同様に、鳩山総理の元秘書が起訴された偽装献金事件、そして小沢一郎幹事長の資金管理団体の事件、相次ぐ政治と金の問題、結果的にこれに対して自浄作用が働いていない。それが今の政治不信をさらに増長させているということがあるわけでございまして、ぜひ川端大臣、民主党に所属されているわけですから、そういう中で、文科大臣としてもその見識として自浄作用を発揮していただきたいというふうに思います。

 それから次に、北海道の教育調査の問題に移ります。

 先ほど、二十四日締め切りについては、十四局のうち一つしかまだ回答が来ていないということでございます。十四日締め切りについてはどうなったのか。それから、きょうは二十八日ですね、きょう国会で当然これについての質問がされるであろうということは文科省の方でもわかっているはずでありまして、先ほどの答弁では納得できません。

 十四局のうち一局しか来ていない。なぜ来ていないのか、なぜその回収がおくれているのか。その内容について、それから、十四日の件も含めて詳しく御説明をしていただきたいと思います。

川端国務大臣 十四日というのは、北海道教育委員会の調査票の提出期限のうち、道立学校及び市町村教育委員会から各政策局への提出期限が十四日、その局から道教委への提出期限が五月二十四日ということであります。

 その意味で、二十四日、今週の月曜日になるということで、連絡をとり合って状況確認をしておりましたが、トータルとしては千九百四十三校、四万五千人に及ぶということ、数が多いということと、それから、ちょうど四月は新学期スタートでありました、三月は卒業ということの意味でのいわゆる極めて忙しい時期であるということ、そして、丁寧にやるためにはそれぞれが個々面談をして調査をしようということもありました。そういう意味で手間取っておくれているという部分もあれば、その他、協力が十分に理解を得るのに手間取っているということもあるようでございます。

 それで、改めて、それぞれの局がどういう状況でどうなっているのかをもっと詳細、具体に、中間的でいいからすぐに報告するようにと、この二十四日を受けて今指示をしているところでございます。

下村委員 これは、五月の連休前の前回の質問でも申し上げましたが、ぜひ、道教委それから札幌教委が今行っていることに対して、文部科学省としてはしごを外すようなことをしないでほしいと思うんですね。

 文部科学省が国会で自民党の要求によって調査をすることになった。文部科学省としても、そのとおりだということで道教委、札幌教委に依頼しているという中、文科省が強力なバックアップをしなければ、なかなかそれは実態的にちゃんとした調査が出てくるのかどうか、あるいは期日までに出てくるのかどうか。実際に一つしか出ていないわけです。その辺は、札幌もそれから北海道教委も、これは、ある意味では大変教育委員会としては腹をくくって現場で相当苦労されていることだと思いますよ。そういう部分について果たして文科省として理解しているのか、承知しているのか。その辺がその答弁ではちょっとわからないですね。

 きょうを受けてじゃなくて、その二十四日を受けて、きょうまでの間にどんな対応、フォローアップを文科省としてしていたのか、していなかったのか、お答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 二十四日の状況では、これは、二十四日に文科省に報告するという日ではなくて、二十四日に道教委が全部集めるという日でございました。それで、それから集計、分析、重要案件については確認ということをするという段階が次道教委であって、その後、我々に正式な最終報告に来るという段階だと思いますが、二十四日は、そういう意味では、道教委に各教育局から集まるというのが二十四日で、どういう状況かと問い合わせたところ、一局しかないということでございました。

 締め切りまではもう少しあるという予想もあったのかもしれませんが、最終的には一局しかなかったということで、先ほど申し上げたように、それでは、どういう状況でどうなっているのか、見通しはどうなのかということを含めて改めてしっかり調査して、報告、連絡をしてくださいということが今やっているところであります。

 そして、これは、先ほど来の議論にありましたように、本当に現場で何が起こっていたのか、いるのかということをしっかり事実上把握して、教育がゆがみなきように行われなければいけないという思いで私としても指示をしたところでありますので、前回のときも先生からはしごを外さないでねということは御指摘受けましたけれども、私は全くそんなことは思っておりません。しっかりやっていただきたいし、我々はそれを注視してまいりたいと思っております。

下村委員 それでは、道教委それから北教組の本論に入る前に、川端文科大臣の事務所費問題について先にお聞きしたいというふうに思います。

 これは川端大臣、今までも何度か川端大臣の事務所費の架空計上疑惑について、我が党の会計帳簿それから領収書などの証拠開示の請求に対して、適正に処理しているから問題ないという答弁を繰り返しされておられまして、実際に会計帳簿や領収書を出されていないわけですね。

 しかし、議員会館で発生した費用を、資金管理団体でなく、有志の団体達友会になぜ負担させたのか。達友会の事務所費が架空計上なため、つじつま合わせのために東京の事務所費を達友会が負担というふうに説明を変えたのではないかとしか我々には見えないわけでありますけれども、これについての明確な説明がないと思っています。会計帳簿や領収書などの証拠開示がない限り、国民の目には、川端大臣の発言についての信憑性を検証する手段がないわけです。

 そこで、我々のスタッフが、川端大臣の地元滋賀県の事務所を実際に見に行きました。川端大臣の事務所は、労働組合ゼンセン会館のビルに、お手元の資料にあります、写真に撮ってまいりました、同居されているんですね。ゼンセン会館には、民主党滋賀県第一区総支部のプレハブづくりのような建物が隣接して、隣にありました。この民主党滋賀県第一区総支部を訪れてみると、電気は消えており、窓のブラインドも閉じている。実際に日常的に使用されているようには見えない。達友会と同じく、事務所としての実体があるようには見えない。

 これは、お手元の資料は白黒ですからちょっとわかりづらいんですけれども、もう一枚、「民主党滋賀県第一区総支部」とありますが、これはもうほとんど閉鎖状態であって、老朽化していると言うとちょっと失礼ですけれども、とても人が出入りしているような形跡が全く見えない。形だけの、あるいはかなり前は使われておられたのかもしれませんが、少なくともこの最近一年二年は使われているように見えないというのが、現場に行ったスタッフの感想であります。

 それで、川端大臣の地元での実際の事務所業務はゼンセン会館に同居した事務所で行われており、ゼンセン会館で光熱費なども負担しているのではないか。つまり、民主党滋賀県第一区総支部、実際これは四百五十万円の事務所費が計上されているんですけれども、事務所としての実体は乏しいのに、なぜそのような事務所費が生じているのか。これは見た目ではわからない。これについてはいかがですか。

川端国務大臣 恥ずかしいような事務所を写していただいて、恐縮でございます。

 見た目に使っていない。去年の九月ぐらいまでは毎日人がおりました。これは、私の衆議院の前任者の西田八郎先生に特にお願いをしてそこにいていただくようにということでありましたが、年末にお亡くなりになりましたので、その部分に関しての残務整理はまだちょっと紛れてできておりませんから、いつ行かれたのか知りませんが、今、その状況でありますが、それ以外の機能は、これはプレハブですので居住性がいいものではありませんので、機材の置き場と資料の置き場、倉庫になっております。

 そして、御案内のとおり経年変化をしてきましたので、隣のゼンセン会館の二階に仕切られた三つの部屋があります、そのうちの一つの部屋をお借りしまして、また間仕切りをしまして総支部と私の資金管理団体とに分けまして、そこで事務を行う事務所機能を有しておりますので、隣の建物に関しては、日常的には会議とか打ち合わせ等々で人数が多いときはスペースがありますので行いますが、昼間に電気は最近は余りついていないというふうに思っております。

 そういう中で、ゼンセン会館の建物を一定空間借りるのと、このプレハブの地面を借りております。それと駐車のスペースも何台分か借りているということでありますと同時に、水道光熱費に関しては、この建物はメーターが一個しかありませんので、応分のということで、家賃と駐車場代とそれから水道光熱費合わせて契約書を当初から結びまして、所定の金額を支払いをしているところでございます。

 もし来ていただくならば、一声いただければ、こういう事務所であるというのを見ていただけたのになというふうに思っております。

 以上でございます。

下村委員 そもそも我々の立場から見ると、こういう労働組合関係、ゼンセン会館に川端大臣の事務所が同居しているということ自体が異様にしかとれないわけでございますけれども、そこに隣接してプレハブの選挙区総支部が置いてある。これも形だけとしか思えないわけでありまして、これについては、改めて会計帳簿、領収書などの証拠開示を求めたいと思います。

 それはなぜかというと、この程度の金額であっても、過去の閣僚のやはり事務所費問題でこれはやめているんですよ、閣僚が同程度の額で。それだけやはり政治家にとっては、これは本当に責任問題なんですね。ですから、やましいところがないということであれば、特に、文部科学行政の長として教育行政に対する国民の信頼ということがやはり問われるわけでありますから、この会計帳簿、領収書などの証拠開示を当委員会へ出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 個別具体の過去の例を詳細に承知しているわけではありませんが、一カ所しか事務所がなくて、それは議員会館であるという御主張に対して、極めて高額な水道光熱費が発生したということは説明がつくのか、つかないのかという議論があったことはあります。

 それから、ここだけの事務所でございますということが、実はそこは全く事務所に使っていませんということで事務所費が計上されるのは、そこでの家賃等々は不自然ではないかというふうな指摘で問題になったことがあることも承知をしております。

 そして、事務所として全く実体がないけれども、事務所費が計上されていたのではないかということでの問題になったこともあります。

 私の場合は、事務所はあります。そして、費用も発生をいたしております。そういう意味で、ここがこれだけ矛盾しているということではなくて、ではないかということで資料を出せということであれば、理事会等でお決めいただければ出すのはやぶさかではございませんが、前も、これは我々のいろいろな反省も含めてでございますが、例えば当委員会において、所管の大臣に対して、一部報道で異常に高い事務所費があるから公開しろという議論がありました。そのときも、私はこの場にはおりませんでしたが、そういう場合のときに、政治家のお金の出入りに関しては、入りの制限規制、そして出の透明化、そして使途、政治活動としての自由というもの、三者を担保するために政治資金規正法があり、いろいろな案件が起こったときにはその都度法律が改正をされ、そのルールのもとにみんなが従うということでやってきて、私はその法律に厳密に従ってやってきているつもりでございます。

 そういう中で、先般来の事務所費の議論の中で、事務所費がいわゆるブラックボックスになっているということはいかがなものかという議論の中で法改正がされ、すべての帳票を、団体によっては一万円ではなくて一円以上を保存する、と同時に、求めがあれば公開しなければならないという法改正がされて今動いていると思います。

 そういう意味では、今、求めがあれば自動的に法律に基づいて公開されますが、そういう意味で、ほかの議員も含めて、何かあったら全部出せという法体系になっていないという意味で、私はここでお決めいただければ出しますが、あるいは、個人的に一回見せろとおっしゃるのであれば幾らでも私はお見せをいたしますが、公にするということ自体、同僚議員を含めての問題として、法律で担保された範囲で行うのが妥当であるということで申し上げているところでございます。

下村委員 相当すりかえていますね。

 私は別にほかの国会議員すべてに求めているわけではないんですよ。川端達夫さんという方が文科大臣だから求めているんです。文科大臣としての、閣僚としての責任として求めているんです。一国会議員として求めているわけではありません。

 これは、我々のスタッフが行った中で、この第一区総支部は実態的には使われていない、使われているようにはとても思えない。にもかかわらず事務所費が計上されているのは、これはやはりおかしいんじゃないか。金額的にも大した額じゃないわけですね。

 ですから、これについて一々理事会協議で云々ということではなくて、これについて会計帳簿や領収書をやましいところがなければ素直に出していただいても全然問題ないことだと思うのですが、それでも一般論として反論されるというのは、これは何かやましいことがあって出せないとしか思えませんけれども、いかがですか。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、事務所の機能は、ここは去年の秋までは、だからそういう意味では毎日電気がついて、人もいました。ところが、その私の大先輩の先生がお亡くなりになったので、今はあいていません。

 しかし、事務所機能は、この場所と隣の建物のワンスペースを確保して事務所機能を持っておりますので、その分の費用発生と、ここには、選挙にいろいろ要る機材とかいうものが倉庫としての保管をしておりますので、電気がついていなかったら使っていないということではなくて、使用しているという機能でございまして、この家賃も含めて正当にお支払いをしているということであります。その分のことは、まさにルールに基づいてやっております。

 ですから、何か、どう考えてもおまえの説明が理屈に合わないということで文科大臣としてそれでいいのかということであれば、皆さんの御同意も得て私は出しますけれども、前回も、だから私は例に出すのは余り好まなかったのですが、この委員会でも、その当時の大臣に、事務所費の額が異常に多いからおかしいのではないかということがここで論点になりました。そのときにも、多いからとかいうことでおかしいのではないかということで出すことは、ルール上それは違うのではないかという議論があったことは私も記憶に残っております。

下村委員 いや、きちっと大臣は答えていないですよ。別に多いとか少ないとかいう話をしているんじゃないんですよ。我々が見たところで言うと、使われていないのではないか。それが使われているということであれば、それを出せば済む話じゃないですか。

 いや、それは自分の言葉を信じるとか信じないじゃなくて、実際、かつて野党であった民主党の同様な追及によって、過去、我が党の閣僚が事務所費問題で辞任をしたこともあるんですよ。それだけ重要なことなんです。

 だから、大した金額じゃないかもしれませんけれども、口頭でわかれば話すということじゃなくて、実際に会計帳簿や領収書を証拠開示をすれば済む話であれば、それは出してもらったらそれで済む。いいじゃないですか、問題がなければ。どうですか。

川端国務大臣 だから、事務所として使っていないという御疑念をお持ちですから、どうぞ見に来てください、それは事務所はあけていますから。こういうことで使っているという実態の中で家賃も払っております。

 それを払っている書類を出せと言われたら書類はありますけれども、そうしたら、どういう理由かは別にしてこれは何かおかしいのではないかと言ったら書類を出せということになるというのは、一方で、政治団体の政治活動の自由というのは現に確保するという意味で、いろいろな部分を公表する一定のルールを設けて、それにみんな従うことで担保しようということとの部分で私がそういうことをするということがほかにいいのでしょうかということを申し上げているのであって、すりかえているわけではございません。

下村委員 これは納得できないですね。

 しかし、これは委員長、川端大臣の滋賀第一総支部、ここの会計帳簿と領収書の提出を過去五年間求めることについて、理事会で協議をお願いしたいと思います。

田中委員長 ただいまの提案につきましては、理事会で検討いたします。

下村委員 それでは、北教組の問題に移ります。

 先ほど、道教委の問題、それから、札幌委のはしごを外さないでほしいという話を申し上げましたが、それというのも、文部科学省がこの問題についてきちっとフォローアップしなければ、これは正しい調査結果が出ないのではないかということを我々は半分危惧している部分があります。

 それは、これまで北海道教育委員会と北教組の間には、不正常な関係、はっきり言えば癒着があったということが、今までも国会とか道議会で指摘をされ、したことがありました。その代表例が、道教委が北教組との間で教職員の勤務の扱いについて締結した四六協定である。

 この協定書には、長期休業中の帰省の場合は自宅研修、ですから休業じゃなくなっちゃうわけですね。こういう扱いをするなどの、法令の趣旨を損なう内容のものが含まれている。日教組や北教組は、教師は労働者との立場であり、四六協定の内容も、いかにして教員が楽をするかという内容に尽きており、子供たちのためによい教育環境を整えようという意識は全く感じられない。

 こういう中で、道教委が、我が党が二月十八日に行った現地調査の際に、この四六協定については、平成二十年十二月二十七日以降、効力のないものとして取り扱うと北教組に通告をした、明確に道教委としては四六協定はもう効力はないということで通告した、こういうふうに聞いていたわけであります。

 それ以外、この四六協定にも、道教委や地教委などと教職員団体との間で、教職員の休暇承認、修学旅行の回復措置や教研集会への参加などについての確認書などが交わされており、その中に、法令に照らし不適切な内容を含む確認書などがあることが明らかになっているわけですけれども、しかし、今申し上げたように、四六協定は効力のないものとして扱うと北教組に通告し、また、不適切な確認書などについても平成十五年五月ですべて是正が図られており、その後、この種の新たな確認書などの締結は行っていないと説明している。

 しかし、昨年の北教組の大会資料を分析したところ、北教組が道教委との交渉の結果、各種の見解や確認、回答などを引き出し、実態的に協定書や確認書の破棄が無効化され、見解や確認、回答などがあらゆる場面で新たな裏協定化している事実が判明した。

 まず、北教組は大会資料の中で、平成二十年十二月の道教委との交渉の結果、協定書にかかわる道教委見解を示させたとしている。ですから、この協定書から道教委見解に変わっただけなんですね。なおかつ、この道教委見解というのは、ほぼ四六協定と同一内容である。道教委は、四六協定を無効と通告しながら、新たに同様の内容の見解を北教組に示したことになる。

 それで、お手元に資料があります。お手元の資料は、これは自民党の政調会で作成した、四六協定と、その後、実際破棄したと言っていたわけですが、道教委と北教組との話し合いの中で、この「協定書」にかかわる「道教委見解」というのは、これは北教組の方の書いている見解ですが、これを読むと、ほとんど四六協定と変わっていないんですね。

 例えば、1の「通常の勤務日における勤務の扱いは次のとおりとする。 (1)通常の勤務日において、教職員が授業の準備、整理、研修および生活指導に関する業務を行う場合は、勤務時間内であっても校長の承認を得て学校外において処理することができる。」これは、その後の道教委見解でも同様のことがやはり記されております。

 同じように二枚目をごらんになっていただきたいと思うんですが、例えば、四六協定のところの3ですね。「学校行事は、原則として日曜・休日には実施しない。」「やむを得ずに行う場合には、代休措置を講ずるものとする。」これに対して、(7)のところで、「「やむを得ず週休日や休日に学校行事を行う場合」は、時間外勤務を命ずる場合と同様、教職員の意向を十分に尊重し合意を得るよう努めなければならない」。今、親たちの、保護者たちのことを考えれば、休みの日に学校行事をするというのは常識であるというふうに思うんですが、北海道ではその常識がいまだに常識になってないというので改めて驚きましたけれども、こういう実態があるわけですね。

 それから、四六協定の4のところですけれども、「教職員には原則として時間外勤務を命じないものとする。但し、やむを得ず時間外勤務を行なう場合は、次の業務に従事する場合で、臨時又は緊急にやむを得ない必要があるときに限るものとする。」ということで、その後の(8)に対応すると思いますが、道教委見解もほとんど変わっていないということです。

 また、その下の四六協定6のところですね。「前記3、4、5について」云々、「教職員の意向を十分尊重しなければならない。」同じように、見解のところの(10)ですが、「教育職員の意向を十分尊重し、合意を得るよう努めなければならない」ということで、この時間外勤務についても、あるいは修学旅行等、宿泊を伴うそういう場合にも、教職員の十分な意向、合意を得てやらなければならないということが書いてあるわけです。

 それから最後、三ページ目ですが、四六協定の11、「勤務条件にかかわるものは、すべて交渉事項とし、」それが、(14)のところ、道教委見解ですが、「「勤務条件に関する事項は、交渉事項であること」「いわゆる管理運営事項であっても、勤務条件の維持改善のために十分話し合っていくこと」。」ということですね。

 実質的には四六協定を破棄したといっても、北教組の見解によれば、この道教委見解、何ら変わらないということになるわけですが、これについて文科省としてどのように把握され、また理解されているか、お聞きしたいと思います。

川端国務大臣 四六協定が存在したことは事実でありまして、その中身は、ここの、添付していただきました資料の左側に書いてあるのはそういうことでございます。そして、これを平成二十年十二月二十六日に全面廃止を通告して、二十七日以降、効力のないものとしたというのも事実でございます。

 その後、北教組の見解というのが出されました。これを詳細に検証しました。

 そのところ、まず一点は、この見解は、北海道教育委員会と北海道教組がいろいろ交渉をやりとりしたことは事実でありますが、その結論として、こういうことを確認されたものではないということが一つ。要するに、北教組の独自の資料であるということでありました。

 それで、たくさんありますのであれですが、例えば、今引用していただいた三ページの一番最後で、十四番ですか、「協定書の交渉権にかかわることについては、管理運営事項と勤務条件は密接に関連するものであることから、「勤務条件に関する事項は、交渉事項であること」「いわゆる管理運営事項であっても、勤務条件の維持改善のために十分話し合っていくこと」。」こういうふうにかぎ括弧で書いてありますが、このかぎ括弧の文章は発言としてあるんですが、前後左右、左右とは変ですね、を全部省略して経過で言いますと、後で記録に残りますからちょっとだけ申しわけないが読ませていただきますが、教育委員会から、勤務条件は交渉事項ですので、勤務条件と管理運営事項が密接に関連する場合も想定されるが、その場合、管理運営事項そのものは交渉の対象とはできないが、勤務条件に関する部分については交渉となるものであると、まあ当たり前のことを言った。

 北教組は、管理運営事項であっても、勤務条件に関する部分については交渉の対象とするのはわかったが、そちらが言ういわゆる管理運営事項であっても、校長が職員の勤務条件の維持改善のために所属職員と十分話し合っていくことは極めて重要であると考えるが、どうか。

 教育委員会は、学校運営上、所属職員の希望や意見を聞くことが大切であることから、校長が職員の勤務条件の維持改善のために望ましいと判断するときは分会で話し合うことができるものである。なお、その際、話し合いであっても、その秩序を確保する観点から、地公法第五十五条の定めに準じた手続によるものである。

 いわゆる交渉事項であることをはっきり手続としてとってから話し合いましょうということを言って、結論としては、「「勤務条件に関する事項は、交渉事項であること」「いわゆる管理運営事項であっても、勤務条件の維持改善のために十分話し合っていくこと」。」というふうにつまんだ文章だけで、こういう管理事項であっても勤務条件に関するものだけですよとか、話し合いをするといっても、これはきちっと手続を踏んだものとしてやらなければいけませんよという部分は全部抜いてしまうということで、先ほど、馳委員から何枚舌とかいう話がありました。

 何か、海外研修やスクーリング等についてというのもありましたけれども、研修の目的、内容が明確であり、当然、研修の項目と居場所を届け出ることにより直ちに承認されるべきであると北教組が言ったときに、校外研修については、教育公務員特例法第二十二条第二項の規定により、教員は、授業に支障のない限り、校長の承認を得て、勤務場所を離れて研修を行うことができるとされているが、具体の処理に当たっては、道立学校職員については北海道立学校職員服務規程、県費負担教職員については、それぞれの市町村、教育委員会の規程に定める手続をとることになると答えたところ、この見解という文書が後で出たときには、「海外研修やスクーリング等の場合についても、教特法の規定が適用されることは変わりないこと。」と言うて、何か「変わりないこと」を強調して前と一緒みたいなことを言うというふうに、たちがよくないと思います。

 ということで、もう少し詳細にすると同時に、道教委としてしっかりと意見を出すように指導したいというふうに思っています。

下村委員 そうしますと、この道教委見解は何らかの法的な効力は存在しないということでしょうか。

川端国務大臣 これは、両者が合意して出したものではない。道教組が議論の部分を自分の判断で出しただけのものであるということです。

下村委員 それではもう一度発言していただきたいと思うんですが、道教委がこの北教組の道教委見解について、これは認められないし、法的な効果も存在しない、はっきりと道教委としての見解を北教組に対して明確にこの道教委見解について発言をする、これを大臣の方から指導していただくということでよろしいですね。

川端国務大臣 御指摘の点については、きのう道教委に確認を改めてして、今のことも詳細がわかったんですが、四六協定廃止後、道教委としてそれと同様の道教委の見解などを示した事実はないというのが一つ。

 そして、中身に関してどういう表現かというのは、いろいろ細かくあると思いますので、そのことを含めて、道教委が説明した内容の中から北教組が独自に作成したもので、道教委の説明が正確に記載されておらず、道教委の説明とは異なる内容となっているという報告でございましたので、もう少し精査をして、そして、道教委として何らかの意思を示す、誤解があるといけないという部分を含めては見解を示すということを要請をしたいと私は思っています。

下村委員 ぜひお願いします。

 その要請と一緒に、具体的に要請をしていただきたいことがあります。

 これは、北教組大会資料に、四六協定と重なる内容以外にも、ありとあらゆる場面で、三十項目を超える具体的な道教委見解が存在をしているんですね。特に、査定昇給について、道教委との交渉の結果示せたとする極めて多くの見解や確認がこの北教組の中に存在をしております。

 時間がないので、一つの象徴的なことを例えば申し上げますと、まず一、すべての教職員が連携、協働して教育活動に取り組んでいるという教育の特殊性を踏まえる、二、すべての教職員が上位区分の対象となり得る、三、特定の教職員のみが特定の成績区分に連続して適用されないなどの道教委との諸確認があるんだ。だから、この見解や確認によれば、教員の間で評価が結果的には差別があってはならない。

 結果的に評価がたらい回しされて、教員評価がすべて有名無実化して、結果論としては全く同列になっている。これはもう実態です。私は、これは実際に北海道の教師何人かにも確認しました。ですから、こういう評価が全くされていない。しかし北教組は、道教委との話し合いの中で、見解、確認によって合法的にしているんだということなんですね。

 この見解や確認の違法性というのはそもそもあると思いますけども、文部科学省はこの事実を把握していたのかどうか、それで、今後道教委に対してこのことについてどういう指導をされるか、お聞きしたいと思います。

川端国務大臣 事実を把握いたしております。そして、今先生が言われたように、みんなで教育をやっているんだ、そしてみんなひとしく評価を受けなければならないということは、だれも異存のないことだと思うんですね、ここまでは。だから同じ評価を順番につけなければならないというのは、どこかで論理が飛躍しているとだれでも思うと思います。

 その中で、勤勉手当の支給に係る勤務評定の判定を北海道教育委員会がするときに、教育委員会が北教組との話し合いの中で、特定の教職員のみが特定の成績区分に連続して適用させることなく、すべての教職員を対象として公平公正な判定が行われるよう市町村教育委員会に周知してまいりたいという説明を行ったと。これは、何かよくできる先生ということでこの人ばかり評価するのではなくて、みんな先生いるんだから、公平公正に頑張っている先生に評価しなさいよという趣旨で言われた。

 ということを書いたら、このことの趣旨は、道教委は、判定期間ごとに、予断を持たず、すべての教職員を対象として公正公平に評定、判定を行うという趣旨である、私が申し上げたことは大体皆さんそう御理解されると思うんですが、ところが北教組は、特定の教職員のみを特定の成績区分に連続して適用させることなくの部分を、上位区分を連続して適用させない、よく頑張った人がこの中で一人いたのをというときに、毎年同じ人だったらそれはだめだということを言っているんだからみんなに回せ、こういう話になったということでありますので、こういう主張をされると、先ほどと一緒ですが、誤解を招くので、実はこの五月十一日までに手引書にそういう表現を書いたので、これは削除しました。

 それと同時に、制度の趣旨を徹底するために、五月十一日付で北海道の教職員給与課長から各道立学校長に対して、「「特定の教職員のみが特定の成績区分に連続して適用することなく」との表現は」云々、「制度本来の趣旨が十分伝わらず、誤解を招きかねないことから、これを廃します。」「今後、評定にあたっては、運用指針に基づき定めた要綱により、判定期間ごとに、予断を持たず、しっかりとした根拠を持ち、また、他職員との比較ではなく、判定対象者が判定期間にどれだけ頑張ったかという観点から、評定を行うよう留意願います。」ということで、事実上、こういう高教組の見解は違いますということを、改めて誤解のないようにというのを出しました。

 個別には御指摘の部分はこういう対処をしましたけれども、ほかもこういう案件が先ほどの御指摘だとあり得るので、これは精査をして対処していただくように、道教委と連携をとってまいりたいと思っております。

下村委員 教育の正常化、それから、現場で頑張っている先生が評価される、それをぜひ担保していただきたいと思います。

 それから、先ほど、二十四日締めで十四局のうち一局しか上がってこなかった。これが私は関連していないことを祈るわけですけども、今、民主党、これは北海道民主党かもしれませんが、民主党と連合が組合活動実態調査の中止要請というのをしているんですね。これは、道教委の組合活動実態調査について、民主党、あるいは北海道民主党というふうに言ってもいいのかもしれませんが、道教委に対し、教育現場への管理強化は慎むべきだなどと慎重な対応をとるように申し入れ、北教組が加盟する連合北海道は、調査撤回を求める要請書を教育長あてに提出している。

 そもそも、今回の小林千代美議員の事件の当事者なんですね、この民主党。それから連合北海道も、まさにその連座制の問題は当事者なわけです。そういう人たちの反省の念とか自浄作用が全くないのではないかとしか思えないわけでありますけれども、これらの不当な圧力に屈することなく、調査の目的、そして調査結果に応じた改善が図られるよう文部科学省としてもしっかり対応していただきたいと思うんですが、まずその前に、北海道民主党は調査に反対だということですけれども、民主党本部はどうなのか。これは、民主党の川端大臣にお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 民主党北海道連がそういう御趣旨の意見をお持ちで、文書を発せられたということは承知をいたしております。私が承知しておるのは、私の手元に送ってまいりましたので、来ました。ただ、民主党本部からそういう書状が来たということはございません。

 そういう意味で、いろいろな事象に関してそれぞれの組織が、団体がいろいろな意見をお持ちであるということはそれぞれの御判断でございますので、そういう受けとめの一つというふうには理解をいたしますし、事実関係としては、そういう文書が発せられたというのは事実でございますが、私としては、この委員会で一貫して申し上げておりますように、教育がしっかりとされる中でこの調査は大変重要な意味を持っていると思っておりますので、しっかりとやってまいりたいと思っております。

下村委員 民主党本体が、民主党本部といいますか、当然反対でないからこそこれが進められているというふうに思っておりますので、ぜひ、これからも有効な結果が出るようにお願いをしたいと思います。

 それから、教職員団体を含めた職員団体の政治資金の問題ですけれども、今回の北教組の事件のように、職員団体の資金が違法な政治活動や選挙運動の原資となっている可能性が高いため、職員団体の政治活動が国民の監視と批判のもとに置かれる必要があるというふうに我々は考えています。

 また、現行法のもとでは、例えば北海道の組合員が主任手当のプール金の使途などを組合員に公開させようとしても、有効な法的な手段がない状態です。

 こういうことから、自民党は、政調会長直属の、地方公務員による職域団体(労働組合)の活動の透明性を確保するためのワーキングチームを設置し、法改正を前提に今検討に入っているところです。

 鳩山総理は、三月十八日の参議院の予算委員会において、自民党の義家議員の子ども救援カンパの実態や資金の流れに関する質問に対し、「文科省を通じて調査をする必要があろうかとは思っております。」こういうふうに答弁されているんですね。その場には当然川端大臣も同席をされていたわけですけれども、この子ども救援カンパの実態、資金の流れ、これについて鳩山総理から具体的な指示があったのかどうか、また、あったとしたら今どのような調査をされているのか、お聞きしたいと思います。

川端国務大臣 三月十八日の義家委員の質問の場には、私もその後ろに同席をいたしております。経過を含めて、こういうカンパであったのにこんなふうにお金が使われているみたいだという御指摘の中で、総理としては、文科省を通じて調査を実施をする必要があろうかとは思っておりますという思いを述べられたというふうに受けとめておりまして、具体には指示はございませんでしたが、私としても、これはどうなっているのかということで、日教組と連合の資金の流れを調査する権限はございません、そういう意味では直接的にどうなっているという問い合わせをしたり調査する権限はありませんが、どうなんだろうということでホームページを調べましたところ、ホームページでは、日教組においては、カンパの趣旨、集まったお金、そして、あしなが育英基金と連合の基金にこういうふうに出したというのが載っております。そして、連合はトブ太カンパというのがあって、こういう趣旨でやるんだということで、こういうところに支出しているとホームページ上に公開をされております。

 一定のお金の使途はこれでわかるのではないかということを私自身は認識しておりまして、後日、総理と別のところでお会いしたときに、総理もホームページは、秘書官だと思いますが、こういうことになっておりますよということで、よくわかったとおっしゃっておりました。

 経過は以上です。

下村委員 いや、ホームページをごらんになったというのはいいんですけれども、その後、文科省としてどういう問題意識を持ったのかということが今はお答えになっていないですね。

 それから、ついでに時間がないのでお聞きしますけれども、同様のことが教育公務員特例法についても、鳩山総理は三月一日の衆議院予算委員会において、馳議員の教育公務員特例法の改正に関する質問に対して、川端大臣に検討を指示しているんですね。

 また、三月三日の参議院予算委員会においても、義家議員の、参議院選までに法改正も含め教員の違法な活動に対して明確な方針を打ち出してほしい、こういう質問に対して、参議院選までに何ができるかということも検討させていただきたいというふうに鳩山総理はきちっと答弁しているんですよ。

 それで、川端大臣、この鳩山総理の指示を受けて、現在の教育公務員特例法などに関する検討状況、スケジュールをお聞きするわけですが、先ほど馳議員が質問されていましたが、何をしているか、何を検討しているか、先ほどの答弁において全くわかりませんでした。参議院選挙ももう迫っているわけでして、具体的に決まっていることは何なのかということについて具体的に話をしていただきたい。

 これは、既に我々は、教育公務員特例法について三月十日に衆議院に改正案をもう提出しているわけです。ですから、具体的な対応について答弁をお願いしたいと思います。

川端国務大臣 先ほど馳議員のときに詳しくお答えをいたしましたとおり、目的は教育の中立性の確保をどうして維持していくのかということに尽きるわけでありますので、そういう部分では、現にどういうことが起こっているのか、起こりそうなのか、起こったのかということをしっかり調べて、それに対する対処法として法律がどうあるべきかということの対応と過去の議論等を踏まえて対応すべきであるというふうに思って、慎重に検討しているところでございます。

下村委員 同様に我々が問題にしている問題として、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法というのがあります。

 これについても、北教組の事件に関して我が党が現地調査をした際には、現場の教員は驚くほど法律に対しての知識がなく、選挙運動についても、違法であるとの認識がないとの証言が多々ありました。

 当然ながら、違法な選挙活動を教職員に行わせる側、北教組、日教組は、法律に関する研修などを行っているわけではないわけです。法律に関する知識がなければ、例えば選挙運動についても、規範に直面することがなく、許されていると思う。そういう可能性があるわけでありまして、この教育公務員特例法や今申し上げた中確法その他、教職員が職務上身につけておかなければならない法規範の知識について文科省や各教育委員会はどのような研修、周知徹底を図っているのか、最後にお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 教職員が児童生徒の規範たる立場にあることにかんがみれば、法令に違反する行為を行うことはあってはならないことであり、法令を遵守し、服務規律の確保を図るために教職員が法令を十分に理解することは先生御指摘のとおりであり、それが不十分であるという御指摘は現実にあり得ることだというふうに思っております。

 そういう意味で、各教育委員会において、初任者研修等において、教育公務員特例法等の教育関係法令はしっかり研修の中で取り上げて教育をしております。

 また、独立法人教員研修センターが行っております教職員等中央研修において、校長、教頭、中堅教員等を対象に、教育公務員特例法等の教育関連法規についての演習、これは、実際にこういうことが起こったらどうしますかという事例も含めた部分での演習も取り入れております。年間約二千名が受講しているこの研修でもやっております。

 そのほかも含めて、今までのは都道府県の教育委員会と教員研修センターが行っているものでありますが、文部科学省としても、各教職員が研修等の機会を通じて関係法令を理解し、法令に違反しないよう、法令遵守、服務規律の確保について、機会をとらえて各教育委員会、校長に対して指導を行ってまいりたいと思います。

下村委員 途中ですが、時間が参りましたので、また後日とさせていただきたいと思います。

 終わります。

田中委員長 次回は、来る六月二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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