衆議院

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第3号 平成23年3月23日(水曜日)

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平成二十三年三月二十三日(水曜日)

    午前九時八分開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君

   理事 野木  実君 理事 松崎 哲久君

   理事 松宮  勲君 理事 下村 博文君

   理事 馳   浩君 理事 池坊 保子君

      石井登志郎君    磯谷香代子君

      大山 昌宏君    奥村 展三君

      金森  正君    川口  浩君

      城井  崇君    熊谷 貞俊君

      佐藤ゆうこ君    笹木 竜三君

      瑞慶覧長敏君    高野  守君

      竹田 光明君    中屋 大介君

      平山 泰朗君    村上 史好君

      室井 秀子君    本村賢太郎君

      森本 和義君    山崎  誠君

      山田 良司君    笠  浩史君

      和嶋 未希君    あべ 俊子君

      遠藤 利明君    河村 建夫君

      塩谷  立君   田野瀬良太郎君

      永岡 桂子君    古屋 圭司君

      松野 博一君    富田 茂之君

      宮本 岳志君    城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       高木 義明君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      辰野 裕一君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       合田 隆史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           篠田 幸昌君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     山崎  誠君

  大山 昌宏君     森本 和義君

  金森  正君     磯谷香代子君

  平山 泰朗君     竹田 光明君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     金森  正君

  竹田 光明君     平山 泰朗君

  森本 和義君     大山 昌宏君

  山崎  誠君     石井登志郎君

    ―――――――――――――

三月二十二日

 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

同月十日

 学校司書の法制化に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一五八号)

 同(村井宗明君紹介)(第一五九号)

 同(矢崎公二君紹介)(第一九五号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第二二〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二二二号)

 同(服部良一君紹介)(第二二四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二七二号)

 教育費の無償化など費用の大幅な軽減を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一六〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一六三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六四号)

 教育格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(大島理森君紹介)(第一六五号)

 同(野田国義君紹介)(第一六六号)

 同(村井宗明君紹介)(第一六七号)

 同(山本剛正君紹介)(第一六八号)

 同(今津寛君紹介)(第一九三号)

 同(工藤仁美君紹介)(第一九四号)

 同(田中康夫君紹介)(第二〇〇号)

 同(福井照君紹介)(第二〇一号)

 同(伊東良孝君紹介)(第二〇六号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第二〇八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二一四号)

 同(高橋昭一君紹介)(第二二三号)

 同(向山好一君紹介)(第二二六号)

 同(山本有二君紹介)(第二二七号)

 同(大山昌宏君紹介)(第二四五号)

 同(加藤勝信君紹介)(第二四六号)

 同(加藤紘一君紹介)(第二四七号)

 同(福田衣里子君紹介)(第二四八号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第二四九号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第二六六号)

 同(江渡聡徳君紹介)(第二六七号)

 同(小野寺五典君紹介)(第二六八号)

 同(梶原康弘君紹介)(第二六九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七〇号)

 同(森本和義君紹介)(第二七一号)

 同(大西健介君紹介)(第二九八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二九九号)

 同(吉田統彦君紹介)(第三〇〇号)

 国家予算に占める文化予算の割合を〇・一一%から〇・五%にふやすことに関する請願(河村建夫君紹介)(第一六九号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第二〇九号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第二一九号)

 学費の負担軽減、高等教育予算増額を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一七〇号)

 国の教育予算をふやし、教育費の無償化、父母負担軽減、教育条件の改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一三号)

 子供に行き届いた教育を進めることに関する請願(高橋英行君紹介)(第二一八号)

 教育格差をなくし行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(坂本哲志君紹介)(第二二八号)

 同(坂本哲志君紹介)(第三〇一号)

 教育格差をなくし子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二六五号)

同月十七日

 教育格差をなくし子どもに行き届いた教育に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三二二号)

 同(笠井亮君紹介)(第三二三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三二四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三二五号)

 同(志位和夫君紹介)(第三二六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三二七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三二八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三二九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三三〇号)

 教育格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(石原洋三郎君紹介)(第三三一号)

 同(遠藤利明君紹介)(第三三二号)

 同(石津政雄君紹介)(第三六二号)

 同(木村太郎君紹介)(第三六三号)

 同(斎藤やすのり君紹介)(第三六四号)

 同(渡辺喜美君紹介)(第三六五号)

 同(木内孝胤君紹介)(第四二一号)

 同(木村たけつか君紹介)(第四二二号)

 同(川島智太郎君紹介)(第四四〇号)

 同(吉泉秀男君紹介)(第四四一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四五六号)

 教育格差をなくし行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三三三号)

 学校司書の法制化に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三三四号)

 同(佐藤ゆうこ君紹介)(第三六六号)

 教育格差をなくし、すべての子供たちに行き届いた教育を進めることに関する請願(川島智太郎君紹介)(第四三九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 文部科学行政の基本施策に関する件(「平成二十三年東北地方太平洋沖地震」に関する文部科学省所管事項)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの平成二十三年東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波により、幾多のとうとい命が失われ、大勢の方々が避難生活を余儀なくされております。さらに、地震に伴う福島第一原子力発電所の事故により、避難を強いられている方々が多数に上っています。

 文部科学委員会といたしましても、政府と協力しながら、文部科学分野における対策と今後の復興に万全を期していく所存です。

 ここに、お亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立願います。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

田中委員長 黙祷を終わります。御着席ください。

     ――――◇―――――

田中委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房文教施設企画部長辰野裕一君、初等中等教育局長山中伸一君、科学技術・学術政策局長合田隆史君、厚生労働省大臣官房審議官篠田幸昌君及び資源エネルギー庁資源・燃料部長安藤久佳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、平成二十三年東北地方太平洋沖地震に関する文部科学省所管事項について、政府から説明を聴取いたします。鈴木文部科学副大臣。

鈴木(寛)副大臣 まず初めに、東北地方太平洋沖地震によりお亡くなりになられました多くの方々とその御遺族に深く哀悼の意を表しますとともに、被災地において厳しい避難生活を続けておられる多くの被災された皆様方に対し、心からお見舞いを申し上げます。

 また、被災地において災害への対応に当たっておられる学校の教職員を初めとした皆様方に心から敬意を表しますとともに、引き続き、政府一体となり、被害状況の把握に全力を尽くし、被災者の救援救助活動など、災害応急活動に全力で取り組んでまいります。

 去る三月十一日に発生いたしました東北地方太平洋沖地震に関し、被害情報と文部科学省の取り組みについて御報告いたします。

 今回の地震は、阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震の一千四百倍を超える規模であり、いまだ被害の全容は明らかでありませんが、既に阪神・淡路大震災を超える数の死傷者が確認をされているという状況にございます。報道等によれば、被害の多くの部分は津波によるものであること等が指摘をされております。

 文部科学省では、今回の地震発生後、大臣の指示のもとに、直ちに省内に非常災害対策本部と原子力災害対策支援本部を立ち上げ、まずは、被害状況の把握を初めとする緊急時対応に全力で取り組んでおります。

 地震、津波による被害状況について御報告いたします。

 今回の地震等による本日三月二十三日午前五時現在までの文部科学省関係の被害状況は、人的被害については、百四十六名の死亡のほか、一都十県で百八十九名の負傷が報告されております。また、物的被害については、校舎の倒壊、津波による流出、地盤沈下、外壁・天井の落下、ガラス破損など被害を受けた公立学校等の文教施設は、岩手、宮城、福島など一都一道一府二十一県で七千百十六施設との報告を受けております。

 こうした状況に対し、緊急的な対応として、学校施設や青少年教育施設等で被災者を受け入れるとともに、国公私立の全大学病院に対して災害派遣医療チームの派遣を要請し、二十三日現在、五十九大学から四百十二名が被災地に派遣され、活動しております。

 次に、児童生徒が教育を受ける機会を確保するため、被災地の児童生徒への教科書の無償給与の取り扱いや、被災による就学援助等を必要とする児童生徒等に対して学用品や学校給食費が支給されるよう、可能な限り速やかに弾力的な対応を行うなどを要請するとともに、大学等に対して、授業料等の徴収猶予、減免や、日本学生支援機構が行う緊急採用奨学金、応急採用奨学金制度の周知について、被災した学生等に配慮するよう通知いたしております。

 あわせて、学生生徒の卒業及び単位認定等の弾力的な取り扱いについても、適切な措置がとられるよう、各大学や教育委員会等に対して配慮をお願いしたところであります。

 また、被災した児童生徒等を受け入れた学校において臨時健康診断の実施や心のケアを含む健康相談を行うなどして、児童生徒等の心の健康問題に適切に取り組むよう各都道府県教育委員会等に対し配慮を要請することとあわせて、臨床心理士等を被災地に派遣しております。

 さらに、今回の地震の発生に際し、大学入試に関して、受験生の安全と受験機会の確保、入学手続期間の延長、入学金、授業料等の徴収猶予や減免等の柔軟な取り扱いについて、各大学に対し最大限の配慮をお願いしたところであります。

 これを受け各大学では、試験の期日変更や試験方法の変更を行ったり、予定どおり試験を実施しながら追試等を実施するなど、受験機会の確保のためにさまざまな措置を講じていただいたところであります。

 また、高校入試についても、被災地域の各都道府県教育委員会において、入試日程の延期等の措置が講じられております。

 昨今の厳しい就職状況を踏まえ、文部科学大臣及び厚生労働大臣の連名で、政府として学生生徒の就職を全力で支援すること、就職のことで困ったことがあれば学校やハローワークに相談してほしいという内容の学生生徒へのメッセージを出すとともに、主要経済団体等へ、入社時期、採用選考活動及び採用等に関して、災害により被害を受けた新卒者等への配慮を要請いたしました。

 以上のような取り組みとあわせて、文部科学省では、現地の状況を踏まえ、笠浩史文部科学大臣政務官が被害状況の把握及び今後の支援のあり方について岩手県を二十日に視察し、知事、教育長等と意見交換を行いました。

 また、二十一日には福島県の原子力災害対策センター等に職員を派遣するとともに、二十四日には宮城県教育委員会等に職員を派遣予定であり、実態の把握に努めております。

 文部科学省としては、引き続き、関係教育機関等との連携を密にし、的確な被害状況等の把握に努め、被災地への協力支援に万全を期してまいります。

 続きまして、福島第一原子力発電所における原子力災害への対応について御説明申し上げます。

 初めに、放射線モニタリングについてでございます。

 文部科学省としては、国民の安全や安心、政府の適切な対応に資するため、さまざまな手段を駆使して総合的な放射線モニタリング等を実施し、そのデータを集約、広く国民に公開しております。

 具体的には、福島県や日本原子力研究開発機構、日本分析センター、原子力安全技術センターや関係機関等と連携し、モニタリングカー十数台を用いて同発電所二十キロ以遠の放射線計測を実施し、一日四回公表するとともに、空気中の浮遊物、地表面、土壌のサンプル調査を実施しております。

 また、各都道府県に設置されているモニタリングポストを用いて一時間ごとに放射線を計測し、一日二回公表しているほか、各都道府県に依頼し、蛇口より摂取した水道水及び大気中から地上への降下物を収集し、含まれる放射線核種の分析調査を実施し、毎日一回、その結果を取りまとめ、公表しております。

 これらの結果については、日本語だけではなく、英語、中国語、韓国語に翻訳し国内外に公表するとともに、政府関係機関と情報共有を図っております。さらに、同発電所周辺の海域における放射線濃度の測定についても開始しております。

 次に、放射線被曝医療への対応について申し上げます。

 文部科学省では、避難住民等に対する、不安にこたえるとともに、防災業務従事者等が被曝した場合に備え、県や関係機関に対し、大学及び日本原子力研究開発機構等からの専門家の派遣、資機材の提供などの支援を行っております。また、放射線医学総合研究所では、防災業務従事者に対する除染や治療等を実施するとともに、緊急被曝医療体制の充実に努めております。

 さらに、文部科学省では、健康相談ホットラインを設置し、国民の健康に対する不安について相談に応ずるとともに、放射線影響に関する基礎知識や関係省庁及び各地方公共団体の取り組みなどをわかりやすく伝えることで、国民の不安の解消に資するよう努めております。

 以上、東北地方太平洋沖地震の被害状況と文部科学省の対応について御説明申し上げましたが、未曾有の大災害に際し、文部科学省のみならず、政府が一丸となって全力で事態の収拾を図るとともに、今後早急に復旧復興に取り組んでまいりますので、委員の皆様方におかれましても、御指導、御支援を賜りますようお願いを申し上げます。

田中委員長 以上で説明は終わりました。

 まず、理事会の合意に基づいて、私から質疑を行います。

 三月十一日の地震発生以来、政府関係者、職員の皆様の御努力に心から敬意を表したいと思います。

 質問は二つございます。

 まず一は、海水、大気、土壌などの汚染に関して、連日、政府発表では、そこから収穫される農作物や水質等に関して、人体に影響なしと述べられています。ただいま鈴木副大臣から検査状況等説明がございましたけれども、今現在のデータが出ているわけですが、将来にわたって、長いスパンで一体その安全はだれが担保するのでしょう。

 二つ目の質問ですけれども、防災服着用に関してでございます。

 昨日の本委員会の理事懇におきましても、本会議で認められたので委員会でも着用は許可という旨のことが了承されております。関係者、閣僚を初めとして、事務方の方、皆さんが緊急の事態が今後発生したときに即応するために防災服を着ておられるということは十二分に理解ができるところであります。国民の皆さんもあまねくそのように思っていると思います。

 しかし、私個人の経験を申し上げて恐縮ですけれども、阪神・淡路大震災のとき、それから地下鉄サリン事件のとき、大臣でありまして、防災服を着て、常に、現場にしょっちゅう泥だらけになるほど出動いたしました。それから、外務大臣のときにはナイン・イレブンがあったんですけれども、あのときも、某所に集まるときは常に防災服を着ておりました。

 それで、目的は十二分に承知した上でお尋ねするのでございますけれども、地震発生以来きょうで十二日も経過しておりますけれども、具体的に各閣僚の方々は担当現場へ足を運んでおられますか。今の鈴木副大臣の中で、笠政務官及び職員の方々が視察をされたと当委員会に関しても御発言がありました。大変ありがたいと思っておりますが、例えば高木文部科学大臣は具体的にどこに行かれたか、御意見を述べていただければと思います。

 以上二点です。

鈴木(寛)副大臣 海水、大気、土壌などの放射線の問題及びそれに伴う安全の確保についての御質問についてお答えを申し上げたいと思います。

 まず、海水、大気、土壌等がどのような汚染状況にあるのか、あるいはないのかということについての放射線のモニタリング、これについては、一義的に文部科学省が担当いたしております。

 そうしたモニタリングの数値、これは文部科学省からもとっておりますし、その他いろいろな関係省庁が、防衛省とか警察であるとかいろいろなところが、あるいは福島県等々がとっております。もちろん経済産業省もとっております。東京電力もとっておると思いますが、そうしたものを総合的に収集をして評価をいたしますのは、内閣府にございます原子力安全委員会でございます。

 原子力安全委員会は、五名の専門家によります常勤の委員によって構成をされております。それで、内閣府原子力安全委員会がその影響等々について総合的に評価し、また、その将来の予測等々に基づいて、必要な対策を内閣総理大臣等に助言をする。そして、内閣総理大臣が安全担保についての責任を有し、そして、内閣府の原子力安全委員会の助言等々に基づいて、必要な措置を関係行政機関に命令をする、このようなスキームになっているところでございます。

 以上でございます。

高木国務大臣 委員長からのお尋ねでございます。

 田中委員長は、お話にもありましたように、閣僚経験もされておりますし、長い間、与党の立場で、とりわけ災害復興に対しては多大なる貢献をされた方でございます。私が今さら言うまでもございませんで、今、私としては、国の緊急事態である、まさに国難である。当面、我々は、教育、科学、文化・スポーツ、こういった行政課題がこれからも着実に推進されるように、いっときも早くこの災害を終息をさせなきゃならぬ。しかし、同時に、今なお被災の中で子供たちが大変な目に遭っておる。こういうことについてもきちっと現状を把握することこそが何よりであろうと思っております。

 高木義明、いまだ現地には入っておりません。我々としましては、今、鈴木副大臣から話がありましたように、文部科学省としては、当面、原子力発電所の被害の状況を的確に把握をする、モニタリングを中心に行っております。そして、事実を正確に把握をし、そして早く国民に公表する。これが何よりの今私たちの大きな役割でございます。

 そういうもろもろの現地からの要請や、そして総合的な調整をするために私は今現地に行けない、こういう状況でございます。気持ちとしては、災害当初から、いち早く現地に飛びたい、このような思いもありましたけれども、笠政務官にかわっていただいて、ようやく岩手県を中心として視察をしたわけであります。

 なお、政府としましても、現地の対策本部はございます。文部科学省からもそれぞれ要員を配置をしておるところでございます。今後、落ちつけば、私もできれば現地の皆さん方とも直接お会いをしお見舞いをする中で、そして教育について激励もしなきゃならないと思っております。

 防災服を着ておるのは、もちろん、緊急事態、今このときでもひょっとして余震があっていかなるという事態になるかわからない、そういう事態だと私は受けとめておりまして、防災服を着て、現地で頑張っておる方々と認識を共有し情報を共有する、そして一体となってこの災害を乗り切る、こういう思いでございます。

 委員長を初め委員の皆さん方のいろいろな御識見もいただきながら、よりよい災害対策に努めてまいりたい、このように思っております。

 以上、お答えといたします。

田中委員長 ありがとうございました。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瑞慶覧長敏君。

瑞慶覧委員 民主党・無所属クラブの瑞慶覧長敏です。

 まずは、このたびの大震災によってお亡くなりになられた方に哀悼の念を表します。とともに、被災なさった皆様に心からのお見舞いを申し上げます。

 また、文部科学省の関係者はもちろんのこと、必死の思いで救援、救済活動に当たっておられる多くの関係者には心より敬意を表したいと思いますし、九日目で救済された方もおられます。あきらめずに、一人でもこれからも多くの方が救済されるように、私どももまた頑張ってまいりたいと思います。

 さて、御案内のとおり文部科学省は、福島原発事故によると見られる放射能汚染について各地で測定に当たっておられます。原発事故の実際について果たして本当のところが公表されているのかどうか、国民の方が少し不安になられているというそういう現実もあります。

 毎日新聞三月二十一日付の記事を私も読みましたが、原子力工学や放射線防護学が専門の立命館大学の安斎育郎特命教授が同紙のインタビューで答えておりますが、教授によると、私たちは原発の状況や放射線量などの情報は政府などの発表に頼らざるを得ない、事実と違ったらどうしようもないと答えております。私もそのとおりだと思います。実際に見えないもの、それからわからないものに恐怖を感じるわけでございます。だからこそ、隠すな、うそをつくな、意図的に過小評価するなという三原則があると思います。

 大臣は安斎教授のこの提起をどのように受けとめておられますか、お答えいただきたいと思います。

高木国務大臣 委員御指摘の災害対応として最も大事なのは、現地対応だろうと思っております。政府としては、現地の状況を的確に把握をする、そして最大の支援体制を整える、このことにあろうと思っております。

 同時に、被災の皆さん方または国民の災害の不安の解消についてもしっかり努めていかなきゃならぬ。その大きなものは、事実の正確な把握でございます。特にモニタリング等におきましては、予断を持たない、事を迅速に公表していく、そして評価をしていく、こういうことであろうかと思っております。

 そういう思いをいたし、さらに、我々は引き続きこの状況を見守りながら、一日も早い災害復興、復旧を目指していきたいと思っております。

瑞慶覧委員 大臣、ありがとうございます。ぜひとも、国民が本当に一日も早く安心、安全に思えるようなそういう活動をまた続けていただきたいと思います。

 二番目の質問に入ります。

 文部科学省は二十日、福島第一原発事故を受けて、十八日午前九時から二十四時間に降った都道府県の雨やちり、ほこりなどを調査いたしました。その結果、栃木と群馬で放射性沃素とセシウム、それから、東京、埼玉、千葉、山梨で放射性沃素を検出したと発表したと報じられております。

 それでは、この放射性沃素あるいはセシウムが一体どこから飛んできたのか。福島原発の本体の炉心のものなのか、あるいは、プールに保管されている使用済み燃料が破損して飛散した放射性物質なのか。その発生源をどのように見ているのか、御見解をお聞かせください。

合田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘にございましたように、福島第一原子力発電所の周辺地域におきまして文部科学省が実施をいたしました環境試料、これは例えば池の水といったようなものがございますけれども、それから土壌等の測定におきまして、現時点で、放射性の沃素131それからセシウム137といったようなものが主に検出をされております。

 これらの物質は、原子炉の中での核分裂に伴って発生をいたしますいわゆる核分裂生成物であるわけでございますけれども、今回、これらの物質がどこからどのような経緯で放出をされたのかということについては、詳細は今後の専門的な検証を待つ必要があるというふうに考えております。

 そういったようなことのためにも、文部科学省といたしましては、今回の事故におきましてどのような放射性物質がどのような範囲で拡散をしているのかといったような実態の把握に、引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

瑞慶覧委員 慎重を期すというのはわかるんですけれども、では、一体どこから飛んできたかというのは今の時点ではまだわからないということですか。福島の原発で今事故が起きているわけですね、日本で。それ以外にどこかその核分裂生成物が飛んでくるという可能性もあるのかどうかも含めて、もう一度お願いいたします。

合田政府参考人 お答えをいたします。

 今回各地で測定をされております放射性の沃素、セシウムといったようなものが、福島第一、あるいは第二も場合によっては含まれているかもしれませんですけれども、原子力発電所におきます一連の出来事に関連をして放出されているというふうには推定はされるわけでございますけれども、それが具体的にどのような経緯でどこから放出されていったかの詳細については、今のところまだ、今後の検証を待つ必要があるというふうに考えているということでございます。

瑞慶覧委員 なるべく早く検証していただいて、どこからどういうのが飛んできたかというのを、国民の方に明らかにするという作業をまた迅速に進めていただきたいと思います。ありがとうございます。

 三番目の質問に移らせていただきます。

 文部科学省で各地の放射線の測定など放射能の影響について調査なさっているわけですが、どこどこが何ミリシーベルトだとか、あるいは放射線の数値がいろいろ発表されていても、放射線それ自体が存在しているわけではありません。そしてまた、どういう放射性物質による放射線なのかを明らかにしないと、住民はかえって不安や恐怖感が増幅することになりかねません。

 実際、もう既に沖縄にもどんどん避難してきているんです。これはやはり、不安を持っている方、特に、宮古島に私も友人がいるんですけれども、小さい宿を経営していて、もう既に千葉県から三組の家族、子供も含めて、小学生もいるとおっしゃっていました、来ている。宿代は要らぬから、食事代だけは払ってくれということで泊めている。二十七日にもまたもっと来るということです。

 それから、ペットを連れて西へ西へと避難している方がいる。JALの方では、そのペットを運ぶおりも足りないので、運んだ後はすぐまた東に戻してくれという話もお聞きしております。

 ですから、包み隠さずその発生源を示す、そういったことは非常に大事だと思います。

 もう一つは、外国の大使館の方々が既に国外退避をしたという報道もなされていますが、外国の基準と日本の基準というのが少し違うのかなと。国民は果たしてどれを基準にして退避をすればいいのかというのが、いまいちはっきりしておりません。

 それから、福島第一原発二十キロ以内、そこら辺を少し詳しく状況を説明していただければと思います。

 つまり、第一の二十キロ以内はもう人がいない状況、しかし二十キロから三十キロ以内は屋内退避と言われておりますが、その基準が少しばらばら、あいまいかなと国民は感じていると思うんです。そこら辺をもう少し詳しく国外のものも含めて、日本で今それは何キロ以外だったら大丈夫なんだ、何キロ以内だったらこれはちょっと難しい、その基準を少し説明していただきたいと思います。

合田政府参考人 お答えをいたします。

 具体的に原子力事故が起こりました場合に、退避をするあるいは屋内退避をするといったようなことに関しましては、その時点で得られます客観的なデータに基づきまして、これは、モニタリングとかいろいろな調査は私ども文部科学省において責任を持って行うわけでございますけれども、それについての評価は原子力安全委員会が行うわけでございます。そういったようなところの助言に基づきまして政府として決定をするということでございますので、これは、全体としての総合的な判断ということになろうかというふうに思います。

 以上でございます。

瑞慶覧委員 今の答弁を聞いて、恐らく国民の皆さんは安心感というのが得られないかなと思います。

 二十キロから三十キロ以内に屋内退避されている方々がおりますけれども、そういう方々は、実際に外に出ていって活動するとかそういったことは今可能になっているんですか。そこをちょっとお願いいたします。

合田政府参考人 基本的には、二十キロ圏内の方は二十キロ圏外へ退避をしていただく、それで、二十キロ圏から三十キロ圏の方々は屋内に退避をしていただくということでございますので、それはもちろん必要最低限のことはあろうかというふうに思いますけれども、基本的には先ほど申し上げましたようなことで、二十キロ圏から三十キロ圏の方々は屋内にいていただくということだろうというふうに考えております。

瑞慶覧委員 ということは、三十キロが今のところ基準ということですね。

 三十キロ以外のところに関しては、生活に関して体に対する何ら影響はない、健康被害に対する影響はないというふうに考えてよろしいですか。もう一度お願いします。

合田政府参考人 お答えをいたします。

 私ども文部科学省として、その点につきまして責任を持ってお答えをできる立場にないわけでございますけれども、私どもがこれまでモニタリング等で得られておりますデータの範囲で申しますと、安全委員会の方では、直ちに人体に影響があるといったようなことではないというふうに評価をされているというふうに承知をしてございます。

瑞慶覧委員 先ほど、内閣府の中にある原子力安全委員会、そこの方が総理に助言をするということの説明がございました。ぜひそこは文部科学省も調整していただいて、国民に対する明確なメッセージというんですか、基準みたいなものを、もうちょっと明確に、国民が安心できるような形で早く出していただくことを希望いたします。

 次の質問に移ります。

 今回の事故によって、ベクレルそれからシーベルトという言葉が出てまいりました。私自身も初めて聞いたんですけれども、少しこれもわかりにくいかなと思っています。何とか一つに統合できないかなという感想を私は持っているんですけれども、何とか統合できないものでしょうか。

合田政府参考人 ベクレルとかシーベルトといった単位についての御質問でございますけれども、もう御案内のように、放射線に関します単位につきましては、放射能の強さをあらわしますベクレルという単位がございます。これとは別にシーベルトという単位がございますけれども、これは、放射線によりまして人体にどれだけの影響があるかをあらわす単位ということでございます。

 耳なれない単位でございますのでなかなか難しいなという印象を持たれるかもしれませんけれども、シーベルトは、そのように、人体にどれだけの影響があるかということをあらわす単位でございますので、実際の算出の際には、いろいろな仮定を置いて評価をして計算をするというプロセスがございます。

 したがいまして、現実には放射能の強さとして同じベクレル数であったとしても、具体的な条件によって人体に与える影響が異なってくるということでございますので、これは一応、ベクレル数、放射能の強さの程度をあらわす単位と人体への影響の程度をあらわす単位というものは別個に必要であろうかというふうに考えております。

 そういったような意味で、個別のサンプルについての放射能の強さをあらわす場合には、物理的な量であるベクレルを用いることとしているということでございます。

瑞慶覧委員 なかなか統合は難しいということを理解いたしました。

 それで一つお聞きしたいんですけれども、学校教育の中でこのベクレルあるいはシーベルトというのを実際にどうやって教えているのか、お聞かせください。

山中政府参考人 学校教育の中におきましても、放射線に関する知識ということで、子供の発達段階に応じますけれども、理科の教科などで教えているところでございます。

 例えば中学の理科では、人間が水力、火力、原子力などのエネルギーを得ていることとか、また、高校の理科の中で、原子力などを源とするエネルギーの特性とか利用といったところ、こういうことの中で放射能に関連する学習内容というものも、新しい学習指導要領の中では充実をしているということがございます。

 あるいは、文部科学省と資源エネルギー庁が一緒になって、小学生なんかを対象にしました「わくわく原子力ランド」というふうな教材もつくっておりますけれども、その中では、例えば最近の報道で、放射線とはといって、紙はアルファ線とかベータ線とかどういうものを通しませんとか、コンクリートになると中性子とかそういうものも通しませんとかいうことをよくやっておりますけれども、そういうふうなものも扱いまして、身近にある放射線というものについても知らせて、いろいろな形で我々の身近にもそういうものがある、必要以上に怖がらなくてもいいけれども、しっかりと知識を持って対応しましょうといったことについて、そういう副教材もつくっていただきまして、そういうものも活用しながら教育をしているというところでございます。

瑞慶覧委員 その中には、具体的にそのベクレルあるいはシーベルトという言葉は使われておられますか。

山中政府参考人 これはもう少し高学年の、高校生のための教材の方では、ベクレルとかグレイとかシーベルトといった単位がありますということで、ベクレルですと、ベクレルというのは放射物質が放射線を出す能力をあらわす単位ですということで、一ベクレルというのは「一秒間に一つの原子核が壊変することを表します。」といったこと、もう一つ、先ほどのシーベルトでございますけれども、これは、受けた放射線による人体への影響の度合いをあらわす単位ですということで、「放射線の人体への照射による将来の影響を表します。放射線を安全に管理するための指標として用いられ、通常の原子力施設や環境の放射線のレベルで使用することができます。」ということで、例えば、日本人の一人当たりの自然界からの放射線量、年間では一・四八ミリシーベルトというふうに表記がございます。

瑞慶覧委員 わかりました。高校生の副教材には入っていると。できたら中学校あるいは小学校六年ぐらいからそのシーベルトあるいはベクレルという言葉を、ふだんの理科の中、科学の中でも来年度からでも教えていった方がいいんじゃないかという提案だけはさせていただきます。

 次の質問に移らせていただきます。被災地、被災民への救護、救済、生活支援活動等についての質問です。

 実は、私の地元の沖縄県、南風原町というところがあるんですけれども、そこに沖縄県立南部医療センター・こども医療センターがあります。新聞報道だったんですけれども、宮城県内の小児病院へそこが医療器具や食料品などを送ったという報道がありました。要するに、病院が病院に医療の支援を今回行ったと。

 なぜそういうふうになったかというと、その宮城県内の小児医院は、何度かメールで宮城県の対策本部に、ヘリポートもこっちもあるんだからこういうものを届けてくれ、医療のものを届けてくれというメールも送ったんですけれども、なかなか二、三日しても返事がないということで、知り合い同士だったみたいで、沖縄県のこども医療センターがそれではということで、そこに働いている医療スタッフのお母さんが宮城県の近くにいたので、そのお母さんを通して医療器具を送ったということが報道にありました。

 ヘリポートがあるわけですから、ヘリをさっと動かせばそれで済んだんじゃないかなと、新聞記事を読んで素人ながらにこう私は思いました。そこら辺の事実関係とかというのは把握されているんでしょうか。

篠田政府参考人 お答えをいたします。

 確かに、被災直後、非常に混乱をいたしておったということがございます。また、その後の事情につきましても、地域によって差がございますので一律に申し上げるのもなかなか難しい点がございますけれども、御指摘のありました資材の発送先の小児病院、県立こども病院というところであるかというふうに存じておりますけれども、一時期、確かに電話が不通であるとか、あるいはガソリンが不足で医薬関係の卸業者さんが来られないとか、そういった状況があったようでございます。幸い、現在はほぼ毎日資材の関係の業者さんも来られるとか、そういったことで物資の方も充足をしつつあるというふうに聞いているところでございます。

 また、先生今おっしゃいました、南風原町の方から医療資材でありますとか医薬品の方をその宮城の方に送られたということでございますけれども、今申し上げましたように、交通状況その他改善をしておりますので、県立こども病院の方には既に無事に届いているかというふうにお考えいただければというふうに考えております。

 以上でございます。

瑞慶覧委員 ありがとうございます。

 こういった災害というのは本当は起きてはほしくないんですけれども、今後起きることも想定して、医療関係に関する緊急の態勢というんですか、病院同士あるいは医師会を含めて、あらかじめ何らかの形で組織というか、そういったものも協議していただければと思います。

 次の質問に移らせていただきます。被災地の児童生徒それから学生への就学支援について、先ほど鈴木副大臣からも詳しくございました。

 もう時間もありませんので、具体的な質問をさせていただきます。

 例えば、高校あるいは大学等に合格をされた方で通学の手段がなくなった場合、四月からになると思うんですけれども、高等教育ですので、ほかの大学に行くと、そこに専門教育がない。そういった場合、どういった支援を行えるのかどうか、お答えください。

山中政府参考人 お答え申し上げます。

 それぞれの大学あるいは高校等の状況に応じまして、例えばその入学の時期を弾力的にするとか、あるいは、入学します場合に必要となる書類とかそういうものが失われたというふうなこともあろうかと思います。そういうようなときに、そういう必要となる書類についても弾力的な取り扱いをするとか、いろいろな形で文部科学省といたしましても、例えば公立学校に入学する場合のそういう必要な書類あるいは時期とか、そういうものについての弾力的な取り扱いをしていただくようにという通知は行って、それぞれの教育委員会でございますとか、私学でございますと知事さんの方から言っていただくことになりますけれども、そういう要請も行っているというところでございます。

瑞慶覧委員 将来ある子供たちがぜひとも今災難を乗り越えていけるような、そういった柔軟な態勢を整えていただきたいと思います。

 それともう一点、阪神・淡路大震災のときは教育復興担当教員というのが活用されたということでございますが、実際にそのときは、国の特例措置によって神戸、阪神間などの小中学校に加配で配置されたというふうになっております。担任を持たずに、震災の影響を受けた子供のケアを担当してきたと。そういった教育復興担当教員、それは今の時点でつくる、あるいはもうあるのかどうかというのをお聞きしたいと思います。

山中政府参考人 委員御指摘のとおり、阪神・淡路大震災あるいは中越沖地震等の際に、それぞれの地元の被災県からの御要望に応じまして、復興の支援をするための先生の加配というものを行ったところでございます。

 今回も、被災を受けた県の方から、できるだけそういう加配措置で子供たちの心のケアに当たったりとか、いろいろな形での支援をするために加配の教員を配置してほしいという要望が来ております。

 ただ、具体的にまだ何人こういう方が欲しいというところまで行っていないところでございますので、それぞれの県からの御要請に応じてできるだけ文部科学省といたしましても加配を弾力的に措置して、そういう被災の県の皆さん方の御要望にこたえられるように最大限努力したいというふうに思っております。

瑞慶覧委員 子供たちもそうですけれども、教員の方々も被災に遭われていると思います。教員の方々へのケアもまたよろしくお願いいたします。

 最後ですけれども、復興のことをまた今から考えていかなければなりません。文部科学省ですので、文化の力もぜひ私は生かしていただきたいと思います。

 沖縄も六十五年前、焼け野原、すべてほとんどもう焼き尽くされて、そこから沖縄の方々は復興したんですけれども、カンカラ三線というのがあります。カンカラというのは、沖縄の言葉で缶々のことをカンカラというんですけれども、缶々で三線をつくって、そしてパラシュートで包んで、弦もパラシュートを利用して、それで三線を弾く器用な人がいますので、それで歌を歌って踊って、元気になって復興をなし遂げる。東北、あるいは茨城県も被災に相当遭われています。学校の被災状況を見ると、七千百十六のうち茨城の方が千二百三十五と圧倒的に多いんですね。

 ですから、そこも含めて、復興においての文化の力、例えば一つの提案ですけれども、ライブハウスみたいなものをつくっていって、日本じゅうから、あるいは世界じゅうからミュージシャンを呼んで元気づける。民主党の中には喜納昌吉という世界的なミュージシャンもおりますので、活用しながらやっていただければと思います。

 一日でも早い復興を願いまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 鈴木文部科学副大臣から発言を求められております。鈴木副大臣。

鈴木(寛)副大臣 ありがとうございます。

 先ほどの安全確保について補足の答弁をさせていただきたいと思います。

 原子力安全委員会は、安全の確保について、「必要があると認めるときは、それぞれ、内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告することができる。」ということに、原子力安全委員会設置法において定められているということでございます。

 補足説明でございました。ありがとうございました。

田中委員長 次に、松野博一君。

松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。

 質問に先立ちまして、今回の大震災においてお亡くなりになられた方に心からの冥福をお祈り申し上げますとともに、被災をされた方々にお見舞いを申し上げる次第であります。

 また、各地において救援、復旧活動に取り組まれている方々に感謝を申し上げます。特に、福島の第一原発において、極めて困難な状況の中でまさに身を捨てて復旧に取り組んでいる皆さんに関して心からの敬意を表し、国民の期待にこたえてお働きをいただきたいというふうに思います。

 また、文科省においても、高木大臣を初め、副大臣、政務官、また職員の皆さんも、対策本部をつくって、昼夜を通して復旧復興活動に御尽力をいただいております。放射線のモニタリングの問題でありましたり、大学病院の運営は緊急かつ重要な課題でありますから、ぜひ御精励をいただいて、御活躍をいただきたいというふうに思います。

 質問に入らせていただきますが、今、被災地の皆さんは大変な御苦労をいただいております。さまざま、食料、物資等が不足する中、お互いに助け合って避難所での生活を多くの方々がされているわけでありますが、その中にあっても、教育の再興、学校の再開というのは大変重要なテーマであります。

 教育の機会を提供するといいますのは、国の責務であると同時に、被災地の皆さん方にとりましても、学校が再開をされたということが未来に向けての大きな希望につながるからだというふうに考えております。

 その上において、この大震災の中で文科省は、従来のさまざまな活動を超えて、新しい覚悟を持って取り組まなければいけないのかなというふうに思います。

 一つは、教育行政に関してでありますが、教育行政、文科省の立場は、標準、基準を示して、指導助言のもとに基礎自治体や県の教育委員会とともに教育行政を運営していくということでありますが、今回の大震災の状況によっては文科省が、教育行政の運営上も、また人的な面においても、直接的にその執行に携わらなければいけないということも起こり得るかもしれません。また、被災地が広範囲に及んでおりますから、教育行政を円滑に行うに当たっては、日本各地の、全国の教育委員会との調整をし、それが広範囲かつ長期間にわたっての活動、このことも新たな文科省の課題として上ってくるのかなというふうに思います。

 まず、現在、被災によって機能をしていない、もしくは機能が不完全な基礎自治体の教育委員会というのが幾つあるのか、またどういう状況にあるのかについてお答えをいただきたいと思いますし、その場合、基礎自治体の業務を県の教育委員会が機能を代行すること、これは法的、教育行政の執行上の問題や、人的にできるのかどうか、その場合、どういった調整が必要なのかどうかについてお答えをいただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 現在、文部科学省で把握をしている最中でございますけれども、現に笠浩史政務官が岩手県に参りました折にも、今委員からも御指摘がございました、教育長あるいは一部の教育委員の安否が不明である教育委員会がございます。また、教育委員会事務局職員の多くの安否がまだ確認をされていない、そうした地域もございます。十分に機能することができない市町村教育委員会がある、大変な問題であるということは、委員と問題意識を全く共有しているところでございます。

 法的、人的にそうした支援をできないかということでございますけれども、現行法制度上は、自治事務である基礎自治体教育委員会の事務を県の教育委員会が代行することはできませんが、地方自治法の規定によりまして、県から市町村に職員を派遣すること、これはできます。したがいまして、その規定に基づきまして、これは地方自治法二百五十二条の十七でございますけれども、そのことに基づきまして、県教育委員会の職員が市町村教育委員会の事務をサポートする、人的な支援を行うことは可能でございます。

 また、私も例えば達増知事とは連日直接に連絡をとり合って、そして事務方も一緒にフォローをしてくれておりますけれども、さらに、文部科学省の職員を、これは県の教育委員会に行くのがいいのかまた地元に行くのか、ここは地元のニーズを的確にお聞きしてやっていかなければいけませんが、そうしたことの可能性についても申し出をさせていただいております。

 それから、加えて、より重要になりますのは、全国の同程度の人口規模の教育委員会の事務局の職員の皆さんというのは、このような市町村教育委員会の事務というものに大変精通をされていらっしゃいますので、そうした方々がこうしたサポートに加わっていただけないかどうかについても、今、市町村教育委員会、県教育委員会、それぞれの関係者の皆様方と調整をしているところでございます。

松野(博)委員 現状、法的には難しいけれども、人的支援は地方自治法で可能だということでありますし、今、鈴木副大臣の方からお話をいただきました、当該県だけではなくて他の県の教育関係者の方に、被災に遭った基礎自治体の教育委員会が機能しない場合そこにサポートに入ってもらうというのも大事なことだろうというふうに思います。

 また、法的な問題に関しては、これもすぐどうこうと対応できないことは承知をしておりますが、今後の被害の状況でありましたり、当該地の基礎自治体や県の状況に応じてはまた一つの課題になってくるのかなというふうに思っておりますので、これはもう政府、野党を通じて議論をしなければというふうに思います。

 加えて、今、県と基礎自治体の教育委員会の関係について御説明をいただきましたが、基礎自治体や県の教育委員会自体も被災により機能が不完全であったり、他の案件もありますから、人的な面等々において国のサポートが欲しいといった場合、国による直接的な行政執行がどういった場合があるか、私も今具体的に頭の中でイメージがあるわけではありませんが、もしも国が直接的な行政執行が必要とされるといった場合、これは法的整備に対する検討がなされているかどうかについてお伺いいたします。

鈴木(寛)副大臣 まず、人的な支援については、今も申し上げましたけれども、文部科学省の職員を地元に派遣するということの可能性については、地元と相談をさせていただいているところでございます。

 法的に国が直接的に行政執行を行えるかどうか、こういう御質問でございますけれども、現行制度上は、教育委員会が処理する事務について国が代執行できる規定はございません、法律の現状だけ申し上げますと。

 国が地方公共団体にかわって事務を執行できる場合は、地方自治法第二百四十五条の八で、法定受託事務であって、都道府県知事または市町村長の事務の処理が違法、またはこれを怠っている場合であって、一定の手続を経た場合に限られると。一定の手続というのは例えば高等裁判所なども入った手続、こういうことなんですが、というのが現行制度でございます。

 ただ、現行制度は現行制度、今御説明申し上げたとおりでございますけれども、これから、被災状況あるいは教育委員会の対応のできるかできないかといったことがさらに明らかになってまいりますので、地元自治体のニーズあるいは関係者の御意見というものを十分に踏まえて、必要に応じて検討をきちっとしてまいりたいというふうに思っております。

松野(博)委員 これも第一義的には人的サポートということだと思いますが、今後またさまざまな、これも先ほどの県の場合と同様ですが、これだけの大震災でございますので、今までの通例で判断できないような問題が出てくると思います。そういう面においての、国が直接的な行政執行が可能かどうかの前に、それが本来人的サポートでカバーできればいいんですが、地方等からの要請の中においてそれが必要とされる場合があれば、またこれも議論をさせていただきたいというふうに思います。

 もう一点、冒頭申し上げました、今回広範囲に及ぶ震災の中で、被災地と、また今回は被災をされなかった地域を含めて、教育委員会また教育行政の全国的な協力関係を構築するということは極めて重要なことだと思います。このためには、まず、文科省の中で今どの部署がこれをやっているのかわかりませんが、専門的にここに文科省のスタミナを集中する必要があるんではないかなというふうに思います。

 専門の部署を設置する、またはプロジェクト化する等々の、全国のこういったものの調整をする部署、責任者を文科省の中に設置するべきだと思いますが、この件に関して御所見をお伺いしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 まずは今、緊急の対応というステージでございましたので、それは先ほど申し上げましたように、本部において対策を講じてまいりました。この次のステージとして、まさに委員御指摘の、学校をきちっと再建していく、全面的に県あるいは市町村を支援していく。

 そして、これは本当に未曾有の事態でございますから、きょうの委員の大変貴重な御指摘、御意見も踏まえて、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

松野(博)委員 続きまして、今回の地震に当たっての個別案件、個別案件といっても、モデルケースとして今後それぞれ転用可能なものだと思いますが、についてお伺いをしたいと思います。

 東京電力福島第一原発の事故で避難指示が出されました福島県の双葉町が、役所機能ごと埼玉県の加須市に、今後、県立の廃校を利用して、役場機能、また避難所とあわせて、小中学校の授業もそこで再開をする、再開をしたいという町長さんの意向が発表をされました。こういった場合、本来、福島県の双葉町の小中学校を埼玉県の加須市で新たにスタートするということになれば、その学校の整備や運営に対する予算でありましたり、教職員の確保等の問題ですね。これは所管が双葉町の教育委員会なのかなと思いますが、場所の問題もありますので、まず、所管がどこの地域の教育委員会の所管になるのか。

 また、こういったケースに関して、現状、文科省としての対応、どういう検討がされているのかについてお聞かせをいただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 地方自治法の二百四十四条の三というのがございまして、そこによりますと、「普通地方公共団体は、その区域外においても、また、関係普通地方公共団体との協議により、公の施設を設けることができる。」という規定がございますので、双葉町が、小学校、中学校というまさに公の施設を埼玉県内の地方公共団体の有する廃校施設を借り受けて設けるということは可能でございます。ですから、その場合は双葉町自身ということになります。

 そして、まさにこれは双葉町立の学校になります。よく海の家とかそういうのが区外とか県外にある、あのケースを想定していただければおわかりいただけるかと思います。したがって、双葉町立の小学校、中学校ということになりますので、その運営あるいは設備の経費については双葉町が負担をすることになりますし、それから教職員については、これは県費負担教職員になりますので、任命権の行使や教諭給与負担というのは福島県が行うということになります。

 いずれにしても、双葉町、それから廃校を有する埼玉県の地方公共団体と福島県が協議をするということになりますが、それについてきちっと、補正の対応等々も含めて、しっかり予算的なことも考えていかなきゃいけないと思っておりますけれども、そういうことでございます。

 さらに、避難先における小学校、中学校における個別の児童の受け入れについてもできる限り柔軟に行うように通知をさせていただいている、こういう状況でございます。

松野(博)委員 双葉町の教育委員会の所管だということでありますが、まずは現実的に今、双葉町で運営上の予算が確保できるのかどうか。また、教職員は福島県の所管ということでありますけれども、実際、その教職員が福島県から移動したり教壇に立てるような状況になっているかどうかという現実対応の問題がありますので、その辺は柔軟に、当該地域と双葉町の間で、文科省にさまざまな調整をしていただきたいというふうに思います。

 もう一点、新聞報道で気になる記事があったものですからそれもお聞きをしたいと思いますが、宮城県の災害対策本部の会議で、教育長さんが、災害復旧に関する国の補助制度では、被害を受けた校舎は災害以前の状況に戻すのが前提であって、要は同じ規模の、同じ様式を同じ場所に建てかえると国から三分の二の補助が受けられるという規定になっているけれども、現実問題として、今被災地は、津波被害があった地域は地盤沈下をしてしまっていたり、ライフラインの復旧もなかなかはかどっていない。また、学校を建てるに当たっても、最終的な再建をするためには、町の計画、都市計画の中に位置づけなければいけない等々の問題がある中で、もとある場所に同規模のという規定があると非常に難しい。復旧復興を目指す自治体としては、弾力的な運用を求めたいというような声があったというような報道が新聞にありました。

 確かに、被災地の方々のことを考えると、そうだろうなと。やはりこれだけの大規模な災害でありますから、従来の運用にとらわれずに柔軟な対応が必要なのではないかなと。

 加えて、今、激甚災害で三分の二の補助というのも、当該地域、当該県も大変な被害を受けている中において、この補助率のかさ上げ等も検討していかなければいけないのではないかというふうに思いますが、この件についてどういうような検討をされているかにつき、お答えをいただきたいと思います。

高木国務大臣 近くは阪神・淡路そして新潟中越地震、そして私も、みずから身近な長崎の大水害、雲仙・普賢岳の火砕流災害、こういった大きな災害では、今委員御指摘のとおりに、いわゆる原形復旧か改良復旧かという議論が必ずつきまとうものでございます。非常に大事な点ではありまして、公立学校の災害復旧事業については、法令に基づいて、被災した施設を原形に復旧することを基本とされております。

 しかしながら、原形に復旧することが困難な場合、全壊、半壊、特に太平洋の臨海地区で、津波というものがいつまた襲ってくるかわからない。したがって、同じところに同じようなものを建てることが果たして合理的かどうか、こういうことも考えなければいかぬ。また、地盤沈下の件もございます。そういう意味で、我々としては、このような柔軟な判断をしなきゃならぬと思っております。

 また、今回は、御承知のとおり災害の規模に合わせて激甚災害の指定がされておりまして、被害の大きさと設置者の財政状況を踏まえて、国庫負担率としては引き上げることとなっております。三分の二が最高九六・七%までというものになっておりますが、また地元負担というのも重要でございます。地元負担も交付税で措置をされるということになっていきますけれども、自治体からの要望を十分聞いて適切に対応していく、災害に対しては、これはもう大胆な発想を持たなきゃならぬ、私はそのように考えております。

松野(博)委員 高木大臣から力強い声明をいただきましたので、ぜひその方向で進めていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間の関係で質問を幾つか飛ばすことになりますが、今回学校を再開した場合、過去の阪神・淡路大震災の場合でも、各地から被災児童の受け入れやいろいろ問題がございますので、学級編制においても、四十人学級にこだわらず、四十五人や五十人の学級編制を対応として行ったり、教室不足から、午前と午後の二部授業制を行ったケースもあります。

 今緊急を要する事態でありますから、現場の判断において柔軟な対応、学級編制、授業形態等々が必要だと思いますが、こういったことに関して、より地域に自由度を与えるよう、地域のニーズを重視するような支援体制を文科省として組んでいただきたいというふうに思いますが、この件に関して御所見をお伺いしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 おっしゃるとおりでございまして、まさに状況に応じて、さまざまな形態に応じた柔軟な対応あるいは支援措置が求められる、私どももそのように考えております。

 義務標準法で定めます国の学級編制標準は、今回の震災、津波のように、やむを得ない場合には弾力的な学級編制が認められるということになっておりますので、そのことをしっかり現場にも周知していきたいというふうに思っておりますし、それから、被災地の学校や、被災地外であっても被災地の児童生徒を受け入れる学校、多様な授業形態をとる場合も含めて、教育課程編成上、今の御指摘のことも含めて弾力的な対応についても、これはきちっと周知をしてまいりたいというふうに思っております。

松野(博)委員 ありがとうございます。

 教育の復興、再開を考えたとき、やはり最も重要な要素は人、教職員であることは言うまでもありません。また、交通手段が今さまざま分断されていること等々、また自治体以外への避難もあり、なかなか勤務不可能な教職員が生じております。

 代替職員の確保というのを、これも緊急進めなければいけない課題であると思いますし、また、現場の先生から寄せられる声として、学校に駆けつけたいんだけれども、また生徒のところを安否を確認するのに個別に回りたいんだけれども、要はガソリンが手に入らないから動けないんですという要望が私どもの方にも伝わってきております。

 私は、やはり教職員の立場を考えたときに、むしろガソリンを優先的に教職員に配給してでも教職員の仕事を遂行してもらうべきだというふうに思いますが、これらの件に関して、文科省としての御所見をお伺いしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 被災をされました県の教育委員会におきましては、例えば今年度の退職予定者を一定期間継続して勤務できるようにするであるとか、あるいは、もちろん県内の人事異動を再検討するであるとか、異動予定の被災地の教職員に異動先と現任地との兼職、兼務発令を行って、引き続き被災地の学校においても勤務できるようにするなど、いろいろな工夫をしていただいているところでございます。

 文部科学省といたしましては、被災地の教育委員会の要望等も踏まえ、可能な限り最大限、教員の配置を講じていけるように、そうした現地の要望にこたえられるように検討を進めているところでございまして、最大限の対応をしてまいりたいと考えております。

 それから、ガソリンの件でございますけれども、今の時点、きょうの段階ということで申し上げますと、人命の救助や生活の維持のために必要不可欠なところへの供給ということ、あるいは被災地における移動手段確保のための供給というのが最優先されておりますけれども、今後、まさに学校再建というのは極めて重要な課題であると考えておりますので、今後の供給確保に向けて日夜関係省庁が協議をしながら進めているわけでありますけれども、この中で、教職員について、通勤に必要なガソリン等の確保についてはしっかりと伝えてまいりたいと思いますし、きちっと議論をして、教育がしっかり行われるように努力をしてまいりたいと思っております。

松野(博)委員 先ほど、復興加配については瑞慶覧委員の方からも御指摘があったとおりであります。

 被災した多くの児童がまだ県外等々に出ている状況の中で、人員、教職員の基準に基づいた配置というのがなかなか今難しいということは承知をしておりますが、方向的には、さまざまな事態に対応できる人員、また子供たちの心のケアの問題等々も含めて、災害復興に関しての加配というのはしっかりと取り組んでいただきたい、これは要望として述べさせていただきます。

 最後に、今回の震災において、公立学校も大変な被害を受けましたが、同時に、私立の学校も被害を受けております。私立の学校も、校舎だけじゃなくて、付随するさまざまな教育関連施設も多大な被害を受けているような状況でありますが、激甚災害の法律の中においては、私立学校、二分の一の補助ということになっております。今回の場合は、まさに特異な、大変な被害の中のことでありますから、私立の学校の再建、再開に向けても、従来の考え方を超えた特段の配慮が必要ではないかというふうに考えておりますけれども、この件について文科省の御所見を伺いたいと思います。

高木国務大臣 被災した私立学校施設の復旧についてでありますが、今回の災害が激甚災害に指定されておりますので、私立学校施設についての災害復旧費補助としては、復旧に要する工事費の二分の一の国庫補助を行うことができるとなっております。また、残りの経費については、日本私立学校振興・共済事業団による長期、低利の貸し付けの対象にもなっております。

 ただ、今御指摘にありましたように、最大限の配慮をしていくべきではないかという御指摘もございました。阪神・淡路大震災の復興支援では、私立学校施設の災害復旧費補助に加えて、特別に、教育研究活動の復旧や学費減免のための経常費補助などの予算措置がなされております。このようなことも例にございます。

 文部科学省といたしましては、今回の災害から一日も早く復興させ、そして、状況の的確な把握に努めることによって早く正常な学校教育活動の回復ができますように、御指摘の点について、適切に、迅速に、最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

松野(博)委員 時間が参りましたので質問を閉じますが、今、現状は、もう何よりも必要なことは人命救助であり、福島の第一原発等々の緊急対応が重要です。また、避難所で現実に御苦労されている方々へのさまざまな対策でありますけれども、これをしっかりと文科省としても対応いただいて、そして次の段階、ステップになったとき、先ほど瑞慶覧委員の中で、復興の大きな要素として文化をというお話もありましたが、私も、復興に向けた段階において、教育の復興というのが全体の復興の何よりも大きな推進力になるかと思いますので、文科省の皆様方の格段の御配慮、御精励を心からお願いして、質問を終えさせていただきます。

 以上です。

田中委員長 次に、永岡桂子さん。

永岡委員 自民党の永岡桂子でございます。よろしくお願いいたします。

 三月の十一日に起きました東北地方太平洋沖地震で亡くなられた皆様方に対し、心よりの哀悼の意を表したいと思います。また、被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げます。そして、現地で一生懸命復興に頑張っていらっしゃる方々には、本当に敬意を表したいと思っております。

 さて、今般の地震におきましては、茨城県、私が住んでおりますけれども、学校施設など文部科学関連の物的被害というのは一番茨城県の数が多く、千二百三十五件と報告されております。その中でお聞きしたいと思います。

 阪神・淡路大震災のときには、倒壊、倒れてしまって使えなくなりましたそういう校舎にかわって仮設の校舎を建設した場合には、これは国庫補助の対象となりました。しかしながら、避難所となってしまったために使えなくなった教室というのも実はあるんですね、これは壊れたわけじゃないんですけれども。これにつきまして、仮設の校舎については国庫補助の対象にならないという問題が実は起きました。

 結果的には、これは是正されまして国庫補助の対象になったんですけれども、今回の震災においてもこのような懸念はないか、お聞きいたしたいと思います。

辰野政府参考人 お答え申し上げます。

 学校施設の災害復旧事業等において、校舎の復旧に伴う応急仮設校舎の設置についても国庫補助の対象としているところでございます。

永岡委員 ありがとうございます。

 それから、倒れてしまって壊れた校舎の解体費用、こういうものも緊急時における仕事でもありますし、廃材運搬なども、交通網が遮断されておりまして、非常にその費用というものが国の基準を大きく上回る、自治体の負担が大きくなると考えられます。こうした点についても対応が求められていると思いますが、御意見を伺いたいと思います。

辰野政府参考人 地震等の災害等により建物が全壊、半壊した場合の撤去解体費用についても、これは国庫補助の対象としております。

 文部科学省といたしましては、引き続きこれらの被災状況の把握に努めるとともに、被災した施設の早期復旧に向けて、被災地への協力支援等に万全を期してまいりたいと考えております。

永岡委員 しっかりした対応、よろしくお願い申し上げます。

 さて、先ほどの松野委員からもお話がありました私立の学校についてでございますが、これは本当に、公立か私立かによりまして教育の復興に差はないわけでございますので、教育インフラの復興という点からも、今回の災害復興に関しては同様の条件で、これは要望でございます、最大の配慮をお願いしたいと思っております。

 それでは次に、疎開した子供たちのことについてお伺いしたいと思います。

 学校に通いますのには、住民票の住所があるところによって学校を指定するというのが原則になっていると思うんですけれども、今回の場合は緊急時でございますので、通常の転出とか転入とかいう、そういう作業というのは不可能であると思います。仮の避難先でありまして、住民票が動いていない場合、これは学籍簿を動かすことができないわけでございますので、こういうときに、阪神・淡路大震災の際には、移動先の自治体によって、手続にこだわって弾力的な運用が行われなかった、できなかった事例もあるようでございます。短期間に、また数カ所を移動する生徒さんやお子さん方も多くて、正確な住所を把握しづらかったということがあったということを伺っております。

 さらに、仮設住宅に入っている方というのが、被災者の方なんですけれども、大半が住民登録を移動していないということですね。そういう中で、今回の震災においては、津波などによりまして学籍簿自体が失われた学校も多いと思われます。そうした学校からこそ、本当に多くの児童生徒の方がほかの自治体に疎開しなければならないということが考えられるわけなんですけれども、大規模な災害のときにおきましては転出、転入というのが同時多発的に、広範囲において行われるわけでございますので、全国的に統一された手続が求められるのではないかと思いますが、文部科学省の御意見をお伺いしたいと思います。

山中政府参考人 委員御指摘のとおり、震災の際に被災した児童生徒、避難先の学校への受け入れを希望するという場合がございます。転入学を希望する場合あるいは一時的にそこに在籍する場合、そういうことも含めまして、書類の不備等を理由に受け入れができないといったことのないように、できるだけ弾力的な形で取り扱って速やかに希望する地域の学校に受け入れていただくよう、その旨につきまして三月十四日付で通知を副大臣名で出しまして、またその趣旨につきましては、文部科学省のホームページにも掲載いたしまして周知を図っているところでございます。

 この場合、生徒が転入学等、移転する場合に、もとの学籍をこちらに移して正式に転入学する場合と、それからもとの学校に在籍したままで事実上転入する場合というものがございまして、それをどちらにするかは、御家族、保護者の方の考え方でございますとか、さっき先生がおっしゃられましたように、集団で移転しているというような場合どうするのかというその辺の取り扱いがあるものでございますので、一律にこうするということを指導するというのはかなり困難な面がございます。

 いずれにしても、被災した子供を受け入れる学校におきましては、そういう在籍関係、転出先の学校の方にもう移ってくるという意思なのか、それとも、もとの学校にいてある一定の期間そこに在籍するということにするのか、その辺のところを明確にした上で必要な書類等についてはできるだけ弾力的にして、学校の方で速やかに受け入れられるようにそういうふうにしていただくよう、私どもとしても関係の教育委員会等に対してしっかりと指導していきたいというふうに思っております。

永岡委員 柔軟な対応が子供たちに及ぶことになりますように、よろしく御指導をお願い申し上げます。

 さて、次に移ります。

 今回は、原子力発電所の事故について、風評被害といいますか不安をあおることなどが随分と、正確かまた不正確な情報がいろいろと飛び交いまして、大変私たちに不安を呼び起こしているということがあります。その点、文部科学省では放射線のモニタリングについてホームページで公開を始めたというのは大変評価できると実は私は思っております。

 けれども、そのモニタリングの数、これがちょっと少ないのではないかなという気がいたします。放射能というのは地形によって、低くなっているところには蓄積しやすい場所とか、集積しやすい場所というのでしょうか、そういうのがあるというふうに伺っておりますので、もっともっと細かく観測の密度を上げていくということ、そしてそれを細かく国民に情報を開示していただきたいということがありますし、また、この原発、つまり福島県は大分幾つもその測定値が発表されているようですけれども、福島県の近県にもモニタリングカーを走らせるなど広範囲にその調査をしたらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

笹木副大臣 今、モニタリングのことについての御質問がありましたが、いろいろな手段で放射線のモニタリングを強化しているわけです。

 一つ目は、今お話もありました、モニタリングカーによる空間での放射線の線量率の調査、今十四台体制でやっておるんですね。文科省そして県、その他の機関を合わせてですが、これは、先ほどお話しましたように、一日四回公表をしております。福島県内において、第一原子力発電所から二十キロよりも離れた以遠の地点についてたくさんのポイントでやっております。定点の観測もしております。地図上でもその数値が時間の推移とともに変わっているのがわかるようになっております。

 それともう一つは、隣接県も含む全都道府県でモニタリングポストを用いた空間放射線量率の計測、これは一時間ごとの計測をやっておりますが、一日に二回公表をしております。

 さらに、同発電所の二十キロメートル以遠の空気中のダスト、地表面、土壌のサンプル調査の実施もしております。

 さらに、各都道府県で水道の蛇口水、そして大気中から地上への降下物を収集して、放射性の核種、沃素ですとかセシウムですとか、こうしたものの調査を実施して、これは一日一回公表をしているわけです。

 さらに、これは本日からですが、海域における調査、独立行政法人の海洋研究開発機構の白鳳丸、この結果は、分析をしてあすに公表もする予定でおります。

 現状を申しますと、この十四台体制でやることについても、かなり文部科学省から協力人員も派遣をしております。各都道府県で一時間ごとの測定、これも都道府県の方に非常にハードな作業になっている。いろいろな人員を割く、大変な状態ですから、そんな中でやっております。

 今のそういう現状はありますが、これもさらに強化をしたいということで、なるべく早いうちに数も含めて強化をしたい、そう思っています。

永岡委員 モニタリングカーが十四台というお答えでございましたが、驚くほど少ないので本当にびっくりしました。こういう非常時だからこそ、こういう機会に、もうちょっと余裕を持って予算をつけておいたらよかったなという気持ちがしないではないんですが、少しでも、一台でも二台でもふやす努力もしていただきたいと実は思っております。

 また、いろいろホームページで数値の公表をしていただいておりますけれども、情報の公開の際には、国民の健康に影響がなく安心であれば、ぜひそれを強調していただきたいと思うんです。

 これは例えばなんですけれども、十九日の枝野官房長官の記者会見などでも、あのときは農作物に沃素が入っている、セシウムが入っている、そういう会見だったと思うんです。農作物から基準を超える放射能物質が検出されたと発表されたわけなんですけれども、最後の方で、食べても大丈夫、安心、安全だということをおっしゃっていたんですね。けれども、テレビを見ていた人は、放射能が検出されたイコール危険という印象が強く残ってしまうんですね。

 そういう点からも、文部科学省もホームページのトップにでも、現在のところ健康に影響を与えるような放射能が空中から検出されていなければ、されていないとしっかりと強調してはどうかと思うのですが、それを伺いたいと思います。

合田政府参考人 お答えをいたします。

 御案内のように、モニタリングにつきましては政府内で役割分担をしておりまして、私ども文部科学省におきまして放射線データの収集と提供を行いまして、原子力安全委員会がモニタリング結果に対する評価を行うということになってございます。

 飲料水に含まれます放射性沃素あるいはセシウムといったような放射性物質の濃度に関しましては、原子力安全委員会の方で摂取制限の指標を定めております。それで、二十一日に採取をいたしました全国の水道水の調査結果を公表しているわけでございますけれども、この中では、すべて同指標を下回っているということがございましたので、その公表の際には、「基準を超えていない」という注釈をつけて公表してございます。

 一方で、水道水以外に、大気からの降下物、あるいは空気中の浮遊物、地表面あるいは土壌の放射線濃度等に関しましてはそういったような指標が定められておりませんので、今後原子力安全委員会の評価が示されるものにつきましては、同評価の周知に協力をするといったようなことなどの工夫をしてまいりたいというふうに思っております。

永岡委員 この判断基準がありますし、原子力安全委員会の方で大丈夫だというお墨つきをいただきましたらば、文科省が判断したわけではないとは思いますけれども、これは国民のためですので、国民のためにしっかりとした表示をはっきりとよろしくお願いしたいと思います。

 次に移ります。

 食品衛生法に基づきまして暫定基準を上回る放射性物質が検出されたことにより、原子力災害特別措置法に基づいて出荷を控えるよう総理から指示が実はもう出ております。二十一日の枝野官房長官の記者会見でも、東電及び政府による補償の意向が示されております。そうであれば早期に対応しなければいけないわけでして、被害者の方に安心してもらわなければいけないわけですから、その対応が重要になると思います。

 原子力損害の賠償に関する法律というのは文部科学省の所管になりますから、この件につきまして、内閣または文科省で検討あるいは調整が行われているか、確認させていただきます。

笹木副大臣 今、農作物の出荷制限されているものについてのお話があったわけですが、原子力発電所の事故による損害については、農作物の出荷制限されたものに限らずですが、事故との相当の因果関係が認められるものについては原子力損害賠償法に基づいた賠償が行われることになっております。お話しのとおり、これは担当は文部科学省がやっております。

 賠償責任は一義的には東京電力が負うことになるわけですが、東京電力がその賠償の責任をしっかりやれる、全うできるように政府としても調整もし、協力もするということです。万全を期す、そういう立場で今準備を進めております。

永岡委員 ぜひよろしく対応していただきたいと思います。

 今、副大臣の方から原子力の事故との相当な因果関係があるというお話がありました。そうしますと、この原発の事故があったおかげで基準値内の安全な、食べても大丈夫だよという農作物にもかかわらず風評被害で取引が拒否されたり、また不当に安く買いたたかれたりした場合の損害賠償も認めてはいかがでしょうか。お伺いいたします。

笹木副大臣 風評被害についてはなるべくそれが生じないように、農水省を初めとして、客観的な、そして正確な情報を国民に伝えることがまずは必要だと思っておりますが、風評被害が発生している場合には、これも先ほどお話ししましたように、相当の因果関係が認められる損害についても、風評被害についてもその判断で対応していくということになります。

 これも、しかし個々の被害者とのやりとりというのは原子力事業者である東京電力がやるわけですが、最終的には政府も連携協力をしてその責任を全うできるように、被害者がしっかりした補償を受けられる、このことを第一に対処していくということです。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 基準値に満たない、本当にちょっとしか体に影響がない、この基準値内にあるにもかかわらず、一生懸命丹精込めてつくられた作物が市場に出回ることができない、売れないということに大変農家の方々は苦しんでおります。補償のことも大変気にしておりますので、ぜひ対応のほど、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、学校の耐震化についてお伺いしたいと思います。

 実は三月の十一日、震災が起きる一時間前、自民党では文部科学部会といいまして、会議をしておりました。そのときに議論されていたものが、学校の耐震化を一刻も早く遂行する必要があるという話をしておりました。

 そのときに文部科学省の方から、ことしの二月の調査において、各地方自治体から、耐震化の強度の取り組みについて三百四十億円ほどの追加要望があるというお話がありました。平成二十三年度、来年度の予算の中では全く足りないんですね、これだけの追加の要望がありますと。今までこの文部科学委員会では、自治体が計画しています耐震化事業が不採択になるということがなかったんですよね。これについてお聞きしたいと思います。

 本当にこの耐震化は重要ですけれども、今回の震災がありましたので、これの震災対策には予備費というものが大量に、大きな金額が使われるとは思いますけれども、地震があったときに避難所になる学校施設の安全性というのも、今回、本当に国民の方々の不安も高まっておりますので、非常に重要だと思っております。

 ということで、補正予算などで必要な財源を確保したらいかがかと思います。耐震化の強度に対します工事の金額、これをお聞きしたいと思います。

笠大臣政務官 今委員御指摘のとおり、従来、六月に調査を行って、それに基づきましてさまざまな計画を立てているところでございますけれども、二月にも調査を行っております。そして、今御指摘あったように、約三百四十億円の耐震化事業の追加要望が出てまいりました。

 今回の東北地方太平洋沖地震でも、学校施設が子供の命を守るだけでなくて、今も多くの施設で避難所としても重要な機能を果たしております。その安全性の確保は極めて重要であるというふうに考えております。

 これまでも、これは政府としても、あるいは当委員会で各党、この公立学校耐震化をしっかり進めていこうというのは、本当に最大の課題として取り組んできたところでございますけれども、今、まずは平成二十三年度の予算案を早期に成立させ、耐震化率のさらに向上を図ることが大切だと考えております。

 御指摘のような追加要望分についても、やはりこれはしっかりと対応してまいらないといけないと思っております。引き続き、地方公共団体のニーズ等も踏まえつつ、必要な予算、今、補正予算でという一つの提案もありました、こうしたことも含めて、予備費あるいは補正予算、いかなる手段になるか、そこは十分検討しながらしっかりと対応していくことをお約束させていただきたいと思います。

永岡委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の大地震で、震災の現場なんですけれども、倒壊には至らなくても、ひどく強い揺れを受けております建物の強度というものが随分と失われてしまったんじゃないかなという不安も私は持っております。耐震性が随分と低くなってしまったということなんですけれども、そういうことが大変想定されますので、少なくとも北海道、東日本地域においては、耐震判断をまた改めて行う必要があるのじゃないかと思うのですが、ここについてもお考えをお聞きします。

辰野政府参考人 お答え申し上げます。

 地震により被災した建物につきましては、必要に応じて、余震による二次災害の防止、適切な復旧方法の選定のための安全点検というものを実施することとなりますが、耐震診断を改めて行うことは通常必要といたしません。この安全点検の中で耐震性というものを確認いたす。この安全点検の結果を踏まえまして、建てかえや補修の必要があると判断された場合には、災害復旧に要する経費について国庫負担の対象としていくということになっております。

永岡委員 耐震判断ではなくて安全点検、ひとつどうぞしっかりとよろしくお願い申し上げます。

 それでは、次に行きます。

 この東日本震災の復興につきましては、本当に多くの財源が必要になると思います。文部科学分野におきましても、学校施設の再建ですとか、また、被災しました児童生徒に対する緊急援助、奨学金など、最優先に取り組んで復興に臨んでいかなければならないと思っております。

 文部科学省が十八日に、四月の十九日に予定されておりました全国学力テストを八月以降に延期するということを各教育委員会に通知していらっしゃいます。九月以降の再開のめどは立っていないというお話も伺っておりますので、私は、残念ながら、来年度の全国学力テストの実施は不可能に近いんじゃないのかなと実はちょっと思っております。そうであれば、その予算を災害復興に充てるべきではないでしょうか。

 また、平成二十三年度の予算には、これは新規事業なんですよね、日本人若手英語教員の米国派遣事業などもあります。これはやったことないんですから、あえて来年度実行しなくてもいいのではないかと思います。

 そういう事業もまだ中にはあるかもしれませんし、また、高校の無償化などの見直し、こういうことも含めまして、文部科学省におきましては、予算の内容をもう一度精査して復興のための財源を確保すべきではないかと考えておりますが、御意見をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 この災害の状況を日々把握していくごとに、その大きさ、そして、まさにこれまでになかった非常な状況を私も感じます。ゆえに、これに対する災害復旧の経費というのも、ある意味では予想のつかないぐらいではないかなと思っております。そういう意味で、文部科学省としましては、補正予算などの準備を進めておりますが、まずは震災の復旧復興に向けて万全を尽くしていきたいと思っております。

 なお、補正予算の規模あるいは財源などについては、現在段階では明確な方針は示されておりませんが、今後、政府全体の方針、そして、災害は与野党超えた案件でございますし、与野党各党との御議論を踏まえて適切に対応しなければならない、そのように思っております。

永岡委員 大臣、文部科学関連の、これは本当に子供たちのことでございますので、どうぞ災害復興を一番に考えましてこれからも臨んでいただきたいと思います。

 ありがとうございます。

田中委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 三十分お時間をいただきましたので、何点か質問をさせていただきたいと思います。

 委員会の冒頭で委員長から大臣に、被災地に行ってきたかというお話がありました。私の地元千葉県も、余り報道されておりませんけれども、大変な被害をこうむりまして、浦安では四万世帯近くが断水、またガスが停止、すごい液状化の状況でした。

 旭市では、三陸沖と同じように津波に襲われまして、五百棟が全半壊、飯岡港という港では五十そう近くが打ち上げられたり沈んだり、大変な状況でした。山口代表と一緒に飯岡港を視察した際に、クレーンで沈没していた船を揚げていたんですけれども、陸に揚がった途端に船が真っ二つに割れてしまいまして、船主の方は、それを見て茫然とされていました。水を抜きながら重さを少なくして揚げてくるんですけれども、やはり中でどんなふうになっていたかわからないということで、今、飯岡の港の沖では、イカとかカタクチイワシとかシラスの最盛期になりつつあるんですね。出てとりたいけれども、港の中がどうなっているかわからないということで、船が出せない。一刻も早く支援をしてもらいたいという悲痛な叫びを聞いてまいりました。

 また、学校が避難所になっておりましたので行ってまいりましたけれども、いろいろこれまでの震災の経験を踏まえて、教室を地区ごとに割って、同じ地域の方が同じ教室に避難できるようにきちんと配慮されて、お子さんたちも、近所のおじちゃん、おばちゃんが一緒にいるから安心できるというような状況を見てまいりました。

 あったかいものが食べたいという言葉を何度も聞きましたし、本当になかなかそういう調理もできませんから、大変な思いの中で皆さん頑張られている。この文部科学委員会としても、しっかり議論して、きちんとした支援ができるようにしてまいりたいと思います。

 そういう中で、鈴木副大臣名で三月十四日に各都道府県教育委員会等にあてた通知を出していただいたようです。読ませていただきましたけれども、地震に被災した児童生徒の就学の機会を確保する観点からさまざまな通知をしていただきました。

 特に、被災した児童生徒の公立学校への受け入れについて、可能な限り弾力的に取り扱って速やかに受け入れろ、また、教科書についても、通常の転入学の場合と同様に、なくしてしまったお子さんにはきちんと無償で渡すようにというふうに具体的に通知をいただきましたし、入学料が払えないお子さんに対しても、各地方公共団体における入学料等の免除、減額に関する制度を踏まえてきちんと対応しろというような指示もしていただきました。

 特に就学援助についても触れていただきまして、学用品とか学校給食費等の支給について、通常の手続によることが困難と認められる場合においても、可能な限り速やかに弾力的な対応を行えという指示をしていただきました。

 本当に大事な指示を全部網羅していただいたと思うんですが、この通知が現場で本当にきちんとやっていただけるようにすることが大事だと思うんです。文部科学省はいつもこういう対応をすぐしていただいて通知を出していただくんですけれども、なかなかそれが現場でそのとおり理解されない。やはり、形式張った、法律にのっとった対応というようなことになってしまうと思いますので、せっかく十四日付でこういう通知を出していただいていますので、これを、現場で現実に動いていくようにもう一押し考えていただきたいと思うんですが、副大臣どうですか。

鈴木(寛)副大臣 御指摘いただきましたように、十一日でございますので、そして土日を挟んでおりました。事務的な連絡ということでは土日にも既に行いましたが、十四日に、公文書という形で改めて都道府県の教育委員会などに対しまして、今触れていただきました、被災した子供の公立学校への弾力的な受け入れ、教科書の無償給与や経済的支援、心のケアなどに対して、留意事項を出しました。

 ただ、全国の学校現場というものは大変数が多うございます。しかし、この問題はきちっとそれぞれのすべての学校現場に伝えていかなければいけないものでございます。きょうの委員の御指摘も踏まえて、さらにこの通知の徹底、それから、必要があれば、通知の追加ということについて繰り返し徹底をしてまいりたいと思います。

富田委員 ぜひお願いしたいと思います。

 その通知の一番最後に、七番目、「心のケアを含む健康相談等の充実について」とわざわざ触れていただいて、これは子供たちにとって本当に大事だと思うんです。今外に出せないけれども、震災を受けたお子さんたちというのは、深く心に傷を負っていると思います。こういった子供たちに対して心の健康問題に適切に取り組むよう配慮という指示を出していただいたのは本当にいいと思うんですが、これを具体的にやっていくとなると、相当の人員も必要になると思いますし、プロフェッショナルも必要になる。そういったところは、文部科学省としては今後どういうふうに取り組んでいくんだというふうに考えているんでしょうか。

高木国務大臣 富田委員にお答えいたします。

 私ども、テレビや新聞で報道される事実については、それに目をみはり、あるいは心を揺さぶられるということがあるんですが、テレビや新聞で報道されていない被災地、まだまだたくさんあられるし、さまざまな困難や苦しみがある、そういうふうに思っております。

 千葉県においても、紹介がございましたので、我々としてはそういう思いでこの災害をとらえていきたいと思っております。

 ただいま指摘がありましたいわゆる子供たちの心のケア、これは、教員の増員を含めて対応しなきゃなりません。

 今、我々が災害の一つの教訓でありますが、阪神・淡路大震災あるいは新潟中越沖地震の際には、一つには、被災に遭った児童生徒の学習進度のおくれ、これに対してどう対応していくのか、二つ目には、心のケアを必要とする児童生徒の対応についてどうするのか、あるいは家庭及び避難所における巡回指導、動けない皆さん方に対する巡回指導をどうしていくのか、こういうことについて、既存予算の範囲内で考えると同時に、それをむしろ超えたところ、加配定数の追加措置をこれらについては講じております。

 今回の災害についても同様の措置を講じる必要があろうかと思っております。既に、幾つかの被災地から加配定数の追加措置について強い要望が出されております。

 文部科学省としましては、可能な限り、被災地の必要な教職員が確保できるように最大限の対応を行ってまいる所存でございます。

富田委員 今、大臣から加配の理由も言っていただきました。先ほど、瑞慶覧委員の方から復興担当教員のお話がありましたけれども、そこの部分だと思うんですが、昨日の朝日新聞では、文科省が検討しているというような報道もありました。先ほど、山中局長の方からも御答弁がありまして、弾力的にやっていきたいという話ですけれども、阪神・淡路大震災のときに復興担当教員という形でこの制度が始まって、いろいろな問題があるんだと思うんです。阪神・淡路では十年続けたそうです。小学校一年生に入った子が中学校を卒業できるまでということでずっとやられて、その間にいろいろな問題点も浮き彫りになってきたというふうに聞いています。

 現実問題として、避難所になっている学校へ行きましたら、やはり校長先生が陣頭指揮をとっているわけです。先生方もそれぞれの教室を担当したりして、被災された方たちの面倒を見ている。今大臣が言われたように、いろいろなところに散らばってお子さんたちがいますから、そういったところを先生が巡回していく。そういうこともやらなきゃならない。もし学校が始まったときには学校の授業も担当しなきゃならない。心のケアのこともきちんと考えながらやられる。この担当している先生たちの負担というのは物すごいんだと思うんです。頑張って頑張って体を壊してしまう先生もいる。

 私は、ぜひ避難場所になっている学校を大臣、副大臣に現実見てきていただいて、先生方がどんな思いでやっているかというのを御自分の目で見て、どういうふうな形で加配したらいいのかというのを判断する際の参考にしてもらいたいと思うんですが、その点はどうでしょうか。

笠大臣政務官 本当に、今富田委員の御指摘、大事な点だろうと思います。

 私も、先ほど冒頭、鈴木副大臣からの御報告にもありましたように、二十日の日に岩手に入りまして、約八時間、現地におりました。その中で、陸前高田市の第一中学でございますか、この避難所と大槌の高等学校の避難所で、実際に校長先生が陣頭指揮をとっておられる、そういう皆様方の現状、さらには要望、そういったこともじかに承ってまいりました。

 さらにまた、今回は県知事からの強い要請で私も入って、県の教育長を初めとする関係者の皆さんとも一緒に現地の状況を見てきたわけでございますけれども、またさらに、宮城県あるいは福島県、まだそこには政務三役は入れておりませんけれども、大臣、副大臣、我々、役割分担をしながら適宜、今回本当に被災地が、私が見たのは本当にごくごくまだ一部で、一部の皆さんとお話をさせていただいただけなので、また随時現地とも相談をしながら、そうした今後の教育現場のやはり再興へ向けて、現場を見る、現場のお話を聞くということは大変大事だということ皆共有しておりますので、しっかり対応していきたいというふうに思っております。

富田委員 ぜひよろしくお願いします。

 きょうの午後の委員会で公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案の審議が始まる予定と聞いています。

 例えば、東北地方太平洋沖地震等に伴う教員定数の特別措置といった条文をこの改正案の中に設けてきちんとその加配教員の根拠条文を置いて、財源をきちんととれるように、法律上の根拠があるから財源が伴ってくるというような形もあると思いますので、午後、池坊委員の方からこの点質問があると思うんですが、こういったことも考えられたらどうかと思うんですが、大臣どうでしょうか。

高木国務大臣 いよいよきょうの午後から義務標準法の改正案についての審議をいただくわけでございます。

 今御指摘ありましたように、文部科学省としては、被災した学校あるいは都道府県、そして児童生徒を受け入れた学校あるいは都道府県、そういった要望を踏まえて加配定数を措置するなど、可能な限り迅速に、また、きめ細かい対応を私は求められていると思っております。

 委員御指摘の趣旨については、十分参酌をして対応していかなきゃならない、このような思いでございます。

富田委員 ぜひ、午後から始まる審議で充実した議論をしていただきたいというふうに思います。

 三月十一日付で、文部科学省の方から国公私立の全大学病院にDMATの派遣を要請したというふうに資料をいただきました。先ほど、鈴木副大臣の御説明の中でも、五十九大学、四百十二名ですか、が派遣されて現地でしっかりした活動をされたというふうに伺っております。

 実は、私の地元千葉県で、これも昨日の朝日新聞、千葉版なんですが、福島・いわきの介護老人施設、丸ごと鴨川到着という記事が載っておりました。鴨川に、亀田総合病院という拠点病院、かなりレベルの高い拠点病院があるんですが、その院長が中心になって、いわき市にある介護施設の入所者、職員の七十三人とセラピー犬二匹が、かんぽの宿のツーフロアを利用するという形で、医療を亀田病院がバックアップするということで丸ごと引き受けてきた。

 この施設は、被災して断水になってしまって暖房もきかないというようなことで、分散してどこかに引き受けてもらおうかというふうにやっていたようですが、やはり施設は一体として運営されていますから、こういったことが可能になれば、これから長期の復興に向けたときに、介護施設とかこういう病院施設というのは、そういったことも考えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんです。

 この質問をしようと思っていてけさ毎日新聞を見ましたら、一面に、こういうふうに「病院・避難所死亡相次ぐ」という形で、せっかく避難してきたのにそこで亡くなってしまう、また、病院が暖房がきかないので、その中で肺炎になって亡くなっていくというような記事が出ていました。これは、阪神・淡路大震災のときも、一週間ぐらいたつとだんだん避難所で死亡者が相次ぐというような状況が出ていたことを思い出したんです。

 こういうふうに病院とか介護施設を丸ごと引き受けられるというのは、私は大学病院が一番能力があると思うんです。だから、文科省の方でコーディネートされて、各大学病院の近くにこういう空き施設があったら引き受けられないかというようなことを考えたらどうかと思うんです。御提案なんですが、どうでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 今御紹介をいただきました鴨川の例は、亀田総合病院から実は私が御連絡をいただきまして、私の方から郵政の方の社長室に直接お電話をさせていただいて、そして、郵政の本社からかんぽの方に、かんぽ鴨川の全面利用ということについて御指示をいただきました。もちろん私、かんぽ鴨川の関係者、亀田病院を加えてかんぽの宿鴨川の支配人の方とも御要請を受けて、そして本社の方につながせていただいたわけでございまして、このようなニーズは大変あるなというふうに思っております。

 この件については、その後にさらに、鴨川市といわき市がそれをバックアップするということになっているわけであります。

 御指摘のこと、可能な限り可能性を追求していきたいと思っておりますが、これまでのところ、最大のボトルネックはやはり輸送でございまして、この間も、自衛隊、特に患者さんでございますから、その搬送が可能なヘリコプターは、ヘリコプターの中にICU機能を搭載したヘリコプターもございますけれども、それについても、福島の航空自衛隊の関係者とのコミュニケーションも私させていただいておりますが、搬送しなければいけない対象者というのは大変多うございます。

 その中で、緊急度等々も踏まえながら、さらにコミュニケーションをきちっととらせていただきながらやらせていただいているところでございますが、何せ、大変な状況の中で十分に対応できていない実態があることは事実でございます。ただ、今急速に高速道路等々が開通をいたしておりますので、陸路での搬送等々については、急速に今状況が改善いたしております。

 ただ、御指摘のとおり、まさにそうした公的な宿泊施設で、なるべくその近くに亀田総合病院のような大変立派なといいますか、高度の医療体制を持った、亀田総合病院は明らかに大学病院並み、あるいはそれ以上の機能を持っているすばらしい病院でございますけれども、ですから、御指摘のように、大学病院の近くにそういう公的な、あるいは、民間でも御協力いただけるようなところと連携をしながらマッチングをしていくということは大変これからも有効であるというふうに思っておりますので、きょうの御意見も踏まえて、さらにそのことに取り組んでまいりたいと思います。

富田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、大学生の就職問題についてお尋ねをしたいと思います。

 二月一日現在の平成二十二年度大学卒業予定者の就職内定率が七七・四%というふうに文科省、厚生労働省の方から発表がありました。二月一日時点で八割を切ったのは初めてだというような報道もされています。就職希望者のうち、就職が決まらない大学生が推計で九万人いることになる。これは大変な事態だと思うんです。

 それに加えて今回の大震災で、被災企業から内定取り消しがあるんじゃないかというような報道があわせてされています。内定を取り消してもいいんだろうというような問い合わせも幾つか来ているというような報道もあります。

 実際に、阪神・淡路大震災のときも前年度の四倍ぐらい内定取り消しがあったということで、阪神・淡路のときは、大阪の企業が一生懸命その人たちを就職させるというような形で引き取っていただいたようですが、今回は、東北地方全体が、太平洋側がみんな被災を受けているということで、仮に内定取り消し等があった場合にどうするんだというと、これは大変だと思うんです。

 この七七・四%の件も含めて、文部科学省としては今後どう対応しようとされているのか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。

高木国務大臣 今回の地震津波災害によって、新卒者の内定状況に影響が出ることが懸念をされております。私は、このような災害であればこそ、被災者の皆さん方にもやはり夢と希望を与えなきゃなりませんので、採用取り消しなんということは一切ないようにお願いをしたいと思っております。

 そのため、三月十四日には鈴木副大臣名で各大学長に、被災学生の内定取り消しなどについての状況把握をきめ細かく行って支援を行うように、文書で要請をしたところでございます。

 また、昨日、経済界の皆さん方に対しまして、私と厚生労働大臣との連名によって、まず、内定している者は可能な限り入社できるように配慮していただくこと、二つ目には、内定取り消し者を含む、震災の影響を受けた学生の積極的な採用をお願いをする、こういうことで文書で要請をさせていただきました。本来ならば私みずからが出向いていくところでございますが、こういう状況でございますので、文書でさせていただいたところでございます。

 さらに、求人情報協会などを通じまして、就職情報サイトなどを運営してる事業主に対しましても、震災の影響を受けた学生を積極的に採用する企業の特集なども組んでいただくようにお願いをしたところでございます。

 これからも、仕事というのが一番重要になってまいります。関係府省とも連携をして、一人でも多くの学生が就職できるように引き続き努力をしたいと思っております。

富田委員 ぜひよろしくお願いします。

 逆に、二十四年度入社の新卒採用選考時期について、大手企業の方で採用活動延期の動きがあるというような報道もされています。これは本当にいいことだと思うんです。

 これまでの例でやれば、三月末でエントリーシートを締め切って、四月から現実に面接が始まるというような状況のようですが、今の東北地方の学生たちは、エントリーシートをファクスで流すこともできない。入社を希望する段階から切られてしまうというようなことがないように、連休明けぐらいまで延ばしていただく多くの企業が出てきているようです。

 こういったこともぜひ文科省としてもバックアップしていくべきだと思うんですが、大臣、そこはどうですか。

高木国務大臣 委員が御指摘のとおり、二十四年度の入社の新卒者の採用選考活動に支障が生ずる可能性があって、既に幾つかの大手企業では、エントリーシートの締め切りをおくらせる対応を、柔軟な採用選考活動の動きがあるのを承知いたしております。

 したがいまして、先ほども述べましたように、雇用、労働担当の厚生労働省と連携をとりまして、平成二十四年度の入社予定の大学生等の採用選考活動に当たっては、被災した学生等からのエントリーシートの提出期限をおくらせるなど、柔軟に対応すること等の要請書を出しております。

 これからも、この点については十分念頭に置いて対応をしていきたいと思っております。

富田委員 最後に、永岡委員も質問されていましたが、学校の耐震化について質問したいと思います。

 先ほど、二月の調査で三百四十億円の追加分があったというふうに笠政務官の方からお話しありました。もともと、概算要求時には二千百九十二億の要求をされていて、九月の予備費で百六十億円、十一月の補正で千百七十七億円、今回の二十三年度当初予算で八百五億、これを足せば自治体の計画事業にほぼ対応できるんだというふうに説明を受けていました、合わせて二千百四十二億円、予算計上されるということで。加えて三百四十億円分、二月の調査で出てきた。

 これは去年も同じような状況で、去年はこの委員会で各党の意見をまとめて、予備費の積極活用も含めてきちんとやっていくべきだ、耐震化は大事だということでやりました。あのときも、ただ、予備費を出すのは国会が閉じてからだということで、そうなると夏休みの工事に間に合わなくなる。そういった意味で、総理からあらかじめ早い指示を出しておいていただいて、各自治体が準備できるように環境を整えた上で、最終的には、国会が閉じた後、野田財務大臣にかわった段階で予備費を出してもらいました。

 やはり、同じように今回もこれだけ三百四十億分プラスが出てきたということになると、何らかのことを考えて、夏休み中にきちんと工事ができるようにしなきゃいけないと思うんです。先ほど、補正も含めて検討するというお話でしたけれども、ただ、今回の震災を考えると、もう少し幅広に考えていかないと、文科省からいただいた事業ですと、今回の二十三年度予算案で千八百棟の耐震化に対応して、そのほかに学校施設環境改善交付金も創設するということですけれども、これでも小中学校の耐震化率は八五%までしか行かないんですよ。

 やはり学校が一番安全でないと、今回の震災を考えても、避難所になるわけですから、もう少し先を見通した耐震化、現実には自治体が工事するわけですから、予算をつけても消化できないというようなことがあっては困りますので、どういうふうにやっていくんだという全体像を見渡した上で、補正予算を二度組むなんていうふうに今政府・与党の中から話が出ていますから、そういった中に文部科学省としてもぜひこの予算組みを積極的にやっていっていただきたいと思うんですが、大臣の決意をお聞かせ願いたいと思います。

高木国務大臣 この問題は、これまでの衆議院、参議院の予算委員会などでも指摘をされておりまして、震災直前の参議院の決算委員会でも各党からそのような指摘もございました。まさに備えあれば憂いなし、こういうこともありますから、特に耐震の事業については、最重点課題として取り組まなきゃならぬと思っております。

 まず、平成二十三年度の予算の早期成立によりまして八五%の向上、そして、さらなるこれからのまた補正予算等もございます。地方公共団体の要望等も踏まえて、しっかり必要な予算確保に向けて努力をいたしてまいりたいと思いますので、どうぞひとつ、各党各会派の御理解、御協力もお願いをしたいと思っています。

富田委員 終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 去る三月十一日に発生した東日本大震災で犠牲となられた方々に対し、謹んで私からも哀悼の意を表するとともに、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 被災地では、季節外れとも言われる寒さと雪に見舞われておりまして、食料や燃料などの不足の解消と同時に、行方不明者の捜索も急がれております。被災者に対し一刻も早い生活再建のための支援が急務だということは言うまでもありません。また、学校教育や子供たちに深刻な困難をもたらしているということも議論されてきたとおりです。我が党としても全力で支援に当たることをまず申し上げて、質問に入ります。

 文部科学省は、きょう冒頭も説明のあった、この地震による被害情報を公表しておりますけれども、この中を見ましても、岩手県、宮城県、福島県の不明者については不明というふうになっているわけですね。

 私が伺ったところによりますと、宮城県では、既に授業の終わっていた小学校、卒業を祝う会を取りやめた中学校など、学校から離れた子供たちの情報が全くつかめていないということですね。岩手県では、海沿いの屋内プールにいた部員を助けに行った高校教員が行方不明になった。福島県では、高校入試の判定の会議中に被災をし、原発の影響もあり、子供たちのだれが行方不明かもわからない等々の声が寄せられております。

 それで、行方不明となっている児童生徒数と教職員数をどのように把握しているか、この三県について明らかにしていただきたいんです。また、行方不明者をどのように掌握しているのか、お聞かせいただけますか。

高木国務大臣 文部科学省関係の人的被害の状況については、都道府県教育委員会などからの報告をもとに情報を集約し、既に掲載をしておるところでございます。そのうち、行方不明者の項目が不明となっているのは、岩手県、宮城県、福島県からの公立学校における状況が不明であるとの報告を受けておるところでございます。

 文部科学省としましても、行方不明者の状況把握、これはかなり重要なテーマでございまして、各県の教育委員会に対し早急な状況の把握を依頼しているところでございます。午前中からの議論の中でも、人的なバックアップ体制、これはお互いに知恵を出し、あるいは助け合って、一人でも多くの方々の協力によってこの把握をしなければならないと思っております。

宮本委員 ニュースで児童生徒の死者、不明はこの三県で千百人を超えるというものも流れました。ただ、確認難航と。要するに、この千百人でとどまるものじゃなくて、まだまだわかっていないという状況があるわけですね。まずやるべき仕事は、やはり子供たちの安否、所在、置かれた状況がどうなっているかをつかむ必要があると思うんです。

 それで、同時に、自宅や住居を失った子供たち、それから自宅を失ってしまった教職員はどれだけいるのか。この資料に出てこないんですけれども、これはどうなっておりますか。

高木国務大臣 現在、被災の甚だしい県教育委員会においては、児童生徒や教職員の安否や学校施設の安全性の確認、さらには避難場所となっている学校において、避難した住民への対応等を行っておるところでありますが、御指摘のように、自宅あるいは住居を失った児童生徒や教職員の数については、残念ながら現時点では把握できておりません。

 しかしながら、こういう状況ですから、学習環境の回復状況を把握する上での必要性、あるいは文部科学省の支援策を講じる上での把握する必要性を勘案しながら、その時期について我々も検討していきたいと思っております。

宮本委員 ぜひ早急にそれもつかんでいただきたいと思うんですね。

 それで、依然として東北地方を中心にガソリン不足が深刻でありまして、岩手県盛岡市など内陸で比較的被害の少なかったところの教員から、支援やボランティアで沿岸各地に赴きたいという気持ちがあるものの、燃料不足で思うように行動できないという声が寄せられました。子供たちの安否確認に行きたいが、ガソリンがないために校区内を回り切れない、こういう声も寄せられております。

 きょうは経産省に来ていただいておりますけれども、こういう、燃料があればという声にどのようにお答えになりますか。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 日本全体の状況で申し上げますと、被災によりまして、日本全体の生産能力が約七割に一度落ちました。今順次回復をしておりまして、輸出を除きました国内需要をおおむね賄えるような状況には至っております。

 また、備蓄の大幅引き下げということで、民間備蓄義務を二十五日分引き下げさせていただきました。これは、生産能力の回復を現実の流通量に反映しようというものでございます。

 ただ、今先生御指摘のように、では本当に現場にガソリンが流通しているのか、あるいは末端のガソリンスタンドの供給拠点が強化されているかということでございます。十七日に海江田大臣の方から総合的な対策を発表させていただきまして、今、随時実施をさせていただいております。

 まず、タンクローリーが相当被災をいたしまして、輸送手段がないということでございます。三百台投入しようということで、今二百十五台を東北地域に投入させていただきました。また、西日本の製油所、これは大丈夫なものですから、こちらをフル稼働させる、あるいは輸出を抑制させる、緊急輸入を進めるということで最大限供給を図っておりますけれども、まだまだ足りない点がございます。

 ただ、幾つか明るい兆しもございまして、東北エリアの太平洋側の非常に大きな油槽所でございます塩釜の油槽所というのがございます。こちらに、一昨日から、小型ではございますけれどもタンカーが着岸できるようになりました。日々二千キロリットル入れております。今後、さらにこれが拡大をしていく。これによりまして、岩手方面等々への供給が可能になる。また、鉄道出荷も増加をさせていただいております。

 また、ガソリンスタンドの状況、まだ大変厳しい状況でございますけれども、緊急重点ガソリンスタンドということで、重点的にガソリンを供給するスタンドを指定させていただきまして、今先生がおっしゃるような、非常に緊急性の高い皆さん方にガソリンが行き渡るように万全を期していきたいと思っています。まだまだ不十分でございますが、全力を挙げていく所存でございます。

宮本委員 やはり、ガソリンスタンドまできちっと行き渡るように、途中でとまってしまっているという状況がありますから、すべて末端まで行き届くように対策をとっていただきたいというふうに思います。

 それで、避難所の様子が日々報じられております。幾つか紹介したいんですけれども、津波で壊滅的な被害を受けた岩手県大槌町の大槌高校では、避難所にいる四十名ほどの高校生が水くみや掃除、物資運びを率先して行っております。岩手県釜石市では、避難所の高校生が、今は助け合うときだからと、男子生徒が朝六時に近くを流れる川へトイレに流す水をくみに行き、女子生徒はおにぎりやみそ汁をつくっております。福島県相馬市では、避難所で中学生が新生徒会をつくって、毎朝避難所のトイレ掃除をし、小さい子やお年寄りと一緒に折り紙をしていると伝えられておりますし、岩手県釜石市の別の避難所では、中学生が小学生に勉強を教える勉強会を始めておりまして、避難所で勉強が再開できるようにと、学校から百冊近い本を持ち込んで生徒らに本を貸し出す教員の記事も紹介されておりました。

 子供たちと教職員の避難所での生活の状況をしっかりと把握をして、そして、生活物資はもちろんですけれども、ノート、筆記用具といった学用品、本なども確保し、急いで届ける必要があると思うんですね。先ほど、学用品を届けるように指示したという説明もありましたけれども、必要なものを必要なところにしっかり届ける、この点の対応はどうなっておりますか。

高木国務大臣 まさに生活物資とともに、子供たちにとって、児童生徒にとって学用品、本などは今必要になっております。特に、四月中旬から、学校再開に向けて必要になるものであります。

 したがいまして、私どもも、被災地においてそれぞれの自治体の要望にこたえて、全日本文具協会あるいは日本書籍出版協会などの関係業界団体に働きかけをして、要望にこたえられるように取り組んでまいりたいと思っております。

宮本委員 資料によりますと、五百四十五校の公立学校が避難所になっている。他の国立、私立も合わせれば五百六十八校、学校が避難所になっているんですね。教職員が避難所の運営に携わっているというところが多いんですよ、さっき校長先生を先頭にという話がありましたけれども。

 宮城県では海沿いの学校の多くが避難所になっておりまして、一日三交代で教職員が中心になって支援活動に当たっております。福島県の県立高校ではほとんどが避難所になっており、八時から十八時までと十八時から翌朝八時までと、二交代制で教職員が避難所の運営に携わっていると伺いました。まさに、今学校に設けられた避難所は、教職員による寸暇を惜しむ奮闘によって、努力によって成り立っております。

 避難所で支援に当たっている教職員からは、子供たちの安否や状況確認の把握に専念させてほしい、それもやる必要があるのと、避難所の運営に非常に追われているという声も寄せられているんですけれども、これの一刻も早い解決が求められると思いますけれども、いかがでしょうか。

高木国務大臣 委員から、それぞれの避難所において、先ほどは生徒などの事例、そして今は教職員の皆さん方の事例、まさに心を打たれるところがたくさんございまして、そういう真摯な対応には心から敬意を表し、感謝をしたいと思っております。

 被災した県の教育委員会では、県内の被災地域以外の教職員を応援隊として派遣しております。また、今年度退職予定であった者を一定期間継続して勤務できるようにすることとしたところもございます。

 こういった取り組みについて、教職員の負担軽減について我々としては支援をしてまいりたいと思っておりますし、今後、仮設住宅などの設営が進んでいきますと、震災復興が進むにつれて、教職員が一日も早く本来の学業に専念できるよう、文部科学省としては、スクールカウンセラーの派遣あるいはそれぞれ専門家の派遣を含めて、教職員の負担軽減について最大の努力をしていかなきゃならぬと思っております。

宮本委員 先ほども、今大臣からもスクールカウンセラーという話がありましたし、臨床心理士の派遣、特に心のケアということも出されました。現実に臨床心理士はどれだけ派遣されていて、今後どういう派遣計画があるか、教えていただけますか。

高木国務大臣 被災した児童生徒の心のケアのための臨床心理士の派遣についてでありますが、派遣予定人員としては、宮城県に三十四人、福島県に二十二人、茨城県に五人、そして愛知県、これは被災児童を受け入れたところでございますが五人、仙台市に七十八人、百四十四人に上っております。

宮本委員 本当に子供たちの心のケアというのは大事ですから、しっかりとやはり現場の要望にこたえて、派遣に万全を期していただきたいと思うんです。

 それで、避難所が被災地から近隣諸県に拡大をしております。本格的な生活再建を始めるためにも、一刻も早く、家や家族を失った子供の行き先の確保について、文部科学省としても全力を挙げるべきだと思います。

 それで、阪神・淡路大震災時の対応も踏まえて、災害救助法の適用による学用品や教科書の支給、就学援助の速やかな認定、奨学金の給付、貸与など、子供たちの学習教育活動に対する支援措置が急務だと思います。文書も出していただいているようですけれども、これについて、どうなっておりますでしょうか。

高木国務大臣 今回の災害によって必要となった学用品については、これも先ほども申し上げましたように、災害救助法に基づいて、必要な費用については都道府県が支弁をし、そしてその一部を国が補助するということにされております。

 小中学校に対する就学援助については、被災地において就学困難な児童生徒が相当数増加することが予想されておりますから、可能な限り弾力的な対応を都道府県教育委員会に通知しておるところでございます。

 高校生の奨学金については、各都道府県に措置されておりますいわゆる基金、この活用を含めて、都道府県が実施する緊急採用制度の弾力的な運用をもって図るように通知をしたところでございます。

宮本委員 全国規模のことですので、周知徹底させて、支障のないようにしていただきたいと思います。また、被災した高校生について、教科書を無償で提供することや、制服や教材費などについても無償とするような対策も検討する必要があるということを申し上げたいと思います。

 それで、四月からいよいよ新学期が始まるわけでありまして、被災地に入っている同僚議員から聞きますと、避難所生活を送っている被災者からは、新学期が始まったら避難所となっている学校から追い出されてしまうのじゃないか、こういう不安の声、あるいは、新学期になって学校を始められるのかという、今度は就学に関する心配、両方が出されていると聞いております。

 避難所から先の生活場所として、一部の自治体では仮設住宅の建設が始まる。一時的な被災者の県外移住なども検討されておりますけれども、県内にとどまっている被災者の多くは、四月になっても避難所にとどまらざるを得なくなります。新学期が始まれば、いよいよ学校では教育活動の場としてこういう活動が始まるわけでありまして、新学期の開始までには、被災者への生活支援に当たる要員は別にきちっと配置をして、学校の教職員については、学校の再建と授業の再開に専念する体制を整えるべきだと思うんですね。

 この点の対応は万全でしょうか。

高木国務大臣 被災した児童生徒の受け入れについては、三月十四日付で、可能な限り弾力的な取り扱いをし、速やかに受け入れる、これについて通知を発出し、そしてまた周知をしたところでございます。文部科学省としては、各都道府県教育委員会における転入学、この弾力的な受け入れ、そして、被災地教育委員会を初めとした関係者に広く周知を図っておるところでございます。もちろん、教員、あるいは加配ということも考慮に入れなきゃならぬと思っております。

 また、被害が広範囲にわたっておりまして、まさに被災に遭った学校をその場所で復旧し、教育活動を再開するところもあれば、あるいは、被害に遭った多くは、県内のほかのところや県外に転校する方も、さまざまなケースが考えられます。したがいまして、そういうところについても、まさに非常時の災害でございますから、弾力的に、また適切な指導が行われるように我々としても取り組みを進めてまいりたいと思っています。

宮本委員 先ほども議論があったようですけれども、三宅島の噴火のときには、三宅島の学校そのものが東京都内に引っ越した形で運営されたと思うんですね。今、原発事故から避難されている地域では、それこそ地域丸ごとが埼玉県あたりに避難されている。そういった際に、双葉町でしょうか、双葉町の方々が、その地元の学校に子供たちが入るんじゃなくて、埼玉県で町立の学校を再開するということは可能だと先ほどお話があったと思います。ここは、その地元の方々の希望をしっかり生かしてということになるんでしょうか。

高木国務大臣 先ほども鈴木副大臣が答弁をいたしておりますが、今御指摘のとおり、私たちは柔軟に対応していきたいと思っております。

宮本委員 今回の震災ですけれども、年度末に起きたということもあって、年度を越えて子供たちを継続的に支援できるような措置を特別に講ずる必要があると思うんです。

 被災地の教職員からは、二〇一一年度の教職員の人事異動を必要最小限にしてほしい、教員の人事異動の内示を急がず、被災地の学校では人事異動すべきではないという声が私のもとに届けられております。親を失った子供のところを担任が訪ねて、抱き合って喜んだという光景も報じられております。被災地の子供たちにとって、この一年を一緒に過ごした担任や教員が何よりの心の支えになっていると。これは、安否確認一つとっても、子供の顔も知らない新任の教師ではおぼつかない、これはだれが考えてもわかることだと思います。

 人事は、各教育委員会の権限であることはもちろんわかっているんです。わかってはおるんですけれども、やはり今回の震災の被害の深刻さを考えるならば、被災地においてはこれまでの教員と子供との結びつきを安易に断ち切らない柔軟な対応が求められていると私は思うんですけれども、文部科学省としてはどのようにお考えでしょうか。

高木国務大臣 被災した主な県の教育委員会においては、これは福島県、岩手県においては、一部の人事異動の時期を延期するということが工夫をされております。また、福島県の、これは管理職のみでありますが、宮城県においても、今年度の退職予定者を一定期間継続して勤務できるようにする。また、これは宮城県でありますが、異動予定の被災地の教職員に、異動先と現任地の兼務発令を行う、引き続き被災地の学校においても勤務できるようにする、こういう配慮も考えられております。また、岩手県においては、県内の人事異動を再検討する。そういう、それぞれの県の実態に応じた、工夫された対応がなされております。

 我々としましても、引き続きこういったことを、ある意味では全面的に支援をし、学校教育が早く正常に運営できるように取り組んでいきたいと思っております。

宮本委員 今、兼務発令をしたという話もありましたけれども、期日を見ると、四月の何日という、随分、これはやはり短いんですよね。やはり相当、今回の震災でいえば、子供たちの関係というのは一定の期間かかると思いますから、それが子供たちに一番よい形で進められるように、文科省としてもしっかりと御配慮いただきたいというふうに思います。

 それで、被害情報、今度は建物ですけれども、地震や津波で被害を受けた学校は、公立学校で四千六百二十六と、九割以上は小学校、中学校、高校、特別支援学校ということであります。私立の学校は千百二十五、これは半分程度が幼稚園ということでありますけれども、こういう学校の教育活動の再開に向けた対策が必要なんですね。

 とりわけ、専門家の協力も得て安全確認をきちっと行うということが必要ですし、それから、私立の学校関係者からは、この壊滅的な被害を受けている学校は、手厚い財政支援がなければもう学校そのものが再開できないと悲鳴のような声が届けられております。学校再開に向けて緊急の財政措置を講じる必要があると思うんですけれども、どのような対策を検討されておられますか。

高木国務大臣 私立学校については、今回、激甚災害に指定をされたこともありまして、私立学校施設災害復旧補助として二分の一の国庫補助を行うことができると。また、残りの経費については、日本私立学校振興・共済事業団による長期、低利の融資、貸し付けの対象になる、こういう制度の中で対応しなきゃならぬと思っています。

 ただ、午前中も、午前中というか先ほども議論の中にございましたように、阪神・淡路大震災の例もございます。これについては、私立学校の施設災害の復旧の補助に加えて、特別に教育研究活動の復旧や学費減免のための経常費の補助の予算措置を行ったということも経験としては持っております。

 したがって、こういうものも含めながら、一刻も早い学校の教育活動ができますように、状況の把握を的確にした上で我々としても迅速な対応を進めていきたい、このような決意を持っております。

宮本委員 ぜひ、ありとあらゆる制度を使って、公立に限らず私学もしっかりと教育活動を再開できるように支援をお願いしたいというふうに思っております。

 もう時間が来ましたので最後の質問にしたいんですが、今春卒業予定の大学生の就職問題、先ほども議論がありました、内定率が七七%、なかなか深刻な状況ですね。この間、当委員会で、あるいは予算委員会でも学生の就職問題を私も取り上げてまいりました。そして、文科大臣初め三大臣連名で経済団体に追加採用を求めていただく文書も発出していただいたわけです。しかし、この状況ですね。

 その上、震災が起こって、被災を理由とする内定取り消しも懸念される。青森公立大では二名が岩手県内のホテルなどから内定を取り消されたと報道されました。震災を理由とする内定取り消しがさらに広がる懸念がありますけれども、これに対してどういう対策をおとりになりますか。

高木国務大臣 この震災の厳しさ、こういう中で、内定の取り消しという懸念がされております。宮本委員も、これまでも学生等の就職問題についてはいろいろ御議論いただきました。私どもも、このような新卒者の雇用に係る問題が発生しないようにしていくことが大事だと思っております。

 そのために、昨日、三月二十二日でございますが、大学と連携をいたしまして、学生生徒の就職を支援する立場である私と雇用対策を担当する厚生労働大臣の連名をもちまして、主要な経済団体に対しまして、震災を受けた被災者の学生生徒に対する支援のメッセージを発出しておりますし、関係省庁と連携をとりながら、産業、企業側にも格段の努力をお願いしたいし、そして願わくば、被災した学生生徒、これに負けないように希望を持って粘り強く頑張っていただきたい。

 特に、この災害の起きた時期は年度末そして年度初めという学校教育にとっても大変重要な時期であるだけに、私どもはその点については十分肝に銘じてしっかりした対応をしていかなきゃならぬ、このように思っております。

宮本委員 文書も読ませていただきました。内定取り消しをしないように呼びかけることや被災学生の入社予定日の柔軟な取り扱いなど、確かに大事なことなんですね。しかし、今や会社ごと壊滅状態という企業もあるわけでして、やはり、この国難というべき事態にあって、かねてから私が申し上げているように、こういうときこそ大企業がその社会的責任をしっかり果たして、体力のある大企業がそういう学生たちを大いに積極的に追加採用する、これが大事だと思います。

 ぜひ、そういうことを強く経済界にも求めていただくということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。高木文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高木国務大臣 このたび政府から提出いたしました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 少子高齢化やグローバル化が急速に進展する中、知識基盤社会の到来を迎えた現代にあって、学校教育に託された国民の期待はますます高くなっております。我が国が世界最高水準の教育力を目指し、新学習指導要領の円滑な実施や、いじめ等の教育上の課題に適切に対応し、教員が子供と向き合う時間の確保を図ることにより質の高い教育を実現するためには、少人数学級を推進するとともに、市町村の主体的な取り組みによる学校教育の充実を促進することが必要であります。

 この法律案は、公立の義務教育諸学校の学級規模及び教職員の配置の適正化を図るため、公立の小学校の第一学年に係る学級編制の標準を改めるとともに、市町村の設置する義務教育諸学校の学級編制に関する都道府県教育委員会の関与の見直しを行う等の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、公立の小学校の第一学年の児童で編制する学級に係る一学級の児童の数の標準を四十人から三十五人に引き下げることとしております。

 また、政府は、義務教育水準の維持向上を図ることが重要であることにかんがみ、公立の義務教育諸学校における教育の状況、国及び地方の財政の状況その他の事情を勘案しつつ、これらの学校の学級規模及び教職員の配置の適正化に関し、公立の小学校の第二学年から第六学年まで及び中学校に係る学級編制の標準を順次改定することその他の措置を講ずることについて検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずることとしております。

 第二に、都道府県教育委員会が定める公立の義務教育諸学校の学級編制の基準について、これらの学校の設置者が学級編制を行う際に従わなければならないとされている点を緩和し、標準としての基準とすることとしております。また、市町村立義務教育諸学校の学級編制についての市町村教育委員会から都道府県教育委員会への同意を要する協議の義務づけを廃止し、事後の届け出制とすることとしております。

 第三に、各都道府県ごとの公立の義務教育諸学校に置くべき教職員定数の標準となる数に関して、その算定基礎となる学級数を、実学級数から、都道府県教育委員会が定める学級編制の基準により算定した学級数に改めることとしております。

 以上が、法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いをいたします。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十五日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長山中伸一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。

下村委員 自民党の下村博文です。

 私も、このたびの東北地方太平洋沖地震でお亡くなりになりました方々に対して心より御冥福をお祈り申し上げ、また、被災に遭いました方々に対してお見舞いを申し上げたいと存じます。

 きょうは、与党の御協力をいただいて、午前中、東北地方太平洋沖地震に関する集中審議ができたことを感謝申し上げたいと思います。

 これは、先週は国会が事実上休会をしておりました。今週から始まった中で、国民の方々の不安は本当に極度に達している中で、国会でしっかりその不安等どう審議をされているのか、また、どう文部科学省、政府が対応しているのかということを明らかにしていくということは、これは国会としての責務であるというふうに思いますが、残念ながら、関係委員会はかなりあるはずにもかかわらず、きょう時点で文部科学委員会とそれから農水委員会ですか、程度しかやっていないということはいかがなものかと思いますが、それだけ文部科学委員会の与党の皆様方の見識に高く評価と感謝を申し上げたいと思います。

 そして、文部科学省の職員の皆さんも、二十四時間体制で、危機管理センターを設けてそれぞれ災害対策、また、福島原発のその後のフォローアップ体制、国立病院の医療チームをつくっておられるということで、私も文科省の現場を見させていただきましたが、本当に職員の皆さんがよく頑張っておられるというふうに思います。

 それで、午前中冒頭、鈴木副大臣から、文科省の職員も現地に派遣をしているということはおっしゃっておられましたが、具体的にどこに何人ぐらい派遣をされているのか、ちょっとまず冒頭、お聞きしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 冒頭、委員におかれましても文部科学省を御視察、御激励いただきまして、ありがとうございました。

 お答え申し上げます。

 宮城県現地対策本部に文部科学省職員二名、岩手県の対策本部に二名、福島県に二名、それから応急危険度判定で宮城県に六名、それから、モニタリングで福島県に文部科学省職員六名を含む、関係機関と合わせますと三十四名、被曝医療関係で文部省職員二名を含む、関係機関と合わせまして五十六名の職員が行っております。

 加えまして、岩手県には、繰り返しになりますけれども、三月二十日、笠政務官ほか二名の職員が、岩手県庁、陸前高田市立第一中学校、釜石市役所、県立大槌高等学校などを訪問をいたしました。

 福島県については、三月二十一日に倉持研究振興局長を含めて三名の職員が、県立福島高等学校、福島県教育委員会、福島県災害対策本部、原子力災害対策センターを訪問をいたしました。

 そして宮城県につきましては、明日でございますけれども、金森文部科学審議官を初め三名の職員が、教育委員会や避難場所となっている学校を訪問する予定でございます。

下村委員 今は常時何人ぐらい、岩手、宮城、福島県それぞれに行かれているんですか。

鈴木(寛)副大臣 対策本部にはおおむね一名ずつ、それから、応急危険度判定は要請があったときに随時ということでございますから、宮城のチームは帰ってまいりました。モニタリングとそれから被曝医療関係は今随時交代制でやっておりますという状況でございます。モニタリングの程度等々によって伸縮する、こういう状況でございます。ほぼ同程度の水準だと。

下村委員 冒頭、委員長が質問されておられましたが、義務教育は地方分権とはいえ、やはり、こういうときには現地が要請をできるような状況でない現場も相当あると思うんです。ですから、常時一人は行っているということでありますが、全面的に、これは要請がなくても文部科学省として行って、特にこの年度末の中で、午前中もいろいろな議論がございましたが、四月から本当に新学期がスタートできるのか、そもそも、学校、校舎それから教師等々十分でない中でどうするかというのは、それぞれの県の教育委員会や市町村の教育委員会を超えた大災害になっているわけでありますから、これはもう自己完結型で、迷惑をかけないような形で文部科学省が積極的に支援体制をつくるべきだというふうに思うんです。

 そして同時に、これは笠政務官が行かれたということでありますが、少なくとも政務三役は現場に行って、そしてしっかりと現場の声を聞きながら対応する、あるいは官邸にそれを伝えるということは、本当に必要なことだと思うんです。

 そもそも、総理は私は行くべきじゃないと思うんですよ、総理というのは災害対策の責任者ですから。官邸に災害センターがあるわけですから、総理はしっかりと官邸にいて、まさに高木大臣等各大臣が現場に行って状況を把握して、そして危機対応するという組織立った連携がとてもできているようには思えない。

 総理がパフォーマンスのような形で行くというのは、結果的には現場に迷惑をかけることになるわけでありますから、ぜひこれは高木大臣、落ちついたらということじゃなくて、現場を見ながらしっかりとこれは把握して、文部科学省が依頼されなくてもどうフォローアップをするかということを考えていく必要が私もあると思いますが、高木大臣に対して改めてお聞きしたいと思います。

高木国務大臣 まさにこの災害は、これまでも阪神・淡路あるいは新潟中越地震など、地震としての大きな災害がございました。これもそうなんですけれども、それ以上に、大きな津波というものが加わりました。あるいはまた、原子力発電所もこのような事態になりました。そういう意味では、大変な事態、特に御指摘のとおり、災害はまさに現地が勝負でございます。現地の機能の回復がなされていない現状があります。

 したがって、私どもも、災害派遣については、少なくとも自己完結型ということを大事にしながらやっていかなきゃならぬと思っております。

 私もその意味で、我が災害対策本部が招集をされますので、それにも参加をし、そして、各省庁との情報共有あるいは事実確認等もありますので、こういったことも努めてまいりました。

 言われましたように、モニタリングの充実や、あるいは、大学病院あたりの医療関係あるいは大学の知見の総力を結集して、この災害対応に当たるということについての指揮もしなきゃなりません。

 きょう現在に至っておりますが、私としても、できるだけこれから機会をとらえて現場の実情をしっかりみずからが把握をして、長期化を念頭に置きながら、一番大事なやはり町の元気あるいは国の元気は、子供たち、特に、あすを担う児童生徒、学生などの勉強の場というのは何としても確保しなきゃなりませんので、そういう観点から、災害はとにかく大胆な発想を持って、これまでのことにとらわれずに、そういう思いで取り組んでまいりたい、このように思っております。

下村委員 私はあしなが育英会というところの副会長をしておりまして、手前みそなんですが、きょうの日経新聞に出ておりますので、ちょっと御紹介をしたいと思うんです。

 民間団体のあしなが育英会も、自己完結型で、きょう、阪神大震災の遺児支援に携わったスタッフら六人が仙台市などに派遣をされて、各避難所で親を亡くした子供の現状や必要な支援策の調査に乗り出すということで出発をいたしました。

 これは、一九九五年の阪神大震災で、自治体による情報収集がおくれ、被災後の生活状況も含め、今もなお正確な実態は明らかでないという状況があるんですね。あしなが育英会は、今の自治体の現場の状況を待っていたらこれはとてもフォローアップは難しいということで、この支援策を検討するために被災地にスタッフをきょう派遣をしているわけなんです。

 具体的に、今回、東日本大震災の遺児が生まれたとしたら、もう既に何人も、あるいはかなり出ているという情報がありますが、奨学金の特例制度を新しく今回のためにもつくる。今回の地震で保護者が死亡、行方不明となるか著しい後遺障害を負った場合を対象に、未就学児に十万円、小中学生に二十万円、高校生に三十万円、大学、専門学校、大学院生に四十万円、返済不要の特別一時金として支給することも決めているんですね。

 また、阪神大震災での経験を生かしまして、非常に心のケアが必要だということで、仙台地区に東北レインボーハウスのような建物を建てて、今後長期にわたって遺児の心のケアをしていこうということも計画をしています。つまり、一民間団体でもこのような形で動き出している。

 実際にかなりのNGOが独自の活動をこの地震対策でされていたり支援をしているという状況の中、文部科学省も、これから補正予算等の中で、今の義務教育における位置づけということではなくて、つまり、奨学金も実際は都道府県単位だということも先ほど答弁の中でおっしゃっていましたが、国として独自にやる非常事態なんです。今までの法律上の中の延長線上ではなくて、そういう遺児だけではありませんけれども、子供たちに対してどんなバックアップをするかということについては、これは積極的に文部科学省が、この補正予算を含めて支援体制をきちっとつくる、早目につくる。

 それが、国民の皆さんにとって精神的な意味でも安心、安全につながるというふうに思いますし、この補正予算については、ぜひ急いで、なおかつ文部科学省としても積極的な対応、今までの延長線上でない中、ある意味では法改正を伴う部分もたくさんあると思います、今の奨学金もそうだと思いますが。これをぜひ進めていただきたいと思いますが、これについてはいかがでしょうか。

高木国務大臣 災害の対応、今、あしなが育英会の御紹介もございまして、まさに官民総ぐるみで対応しなきゃならないと思っております。特に、民間の皆さん方のそのような自主的、自発的な取り組みについては、心から敬意を表したいと思っております。

 今後の課題について、まず、経済的な負担を軽減するという意味での、教育、学習にかかわる、就学にかかわる奨学金初めさまざまなものがございますし、あるいは人的、物的の被災に対する手だて、こういうのもあります。現行法でできるもの、あるいはできないもの、予算措置でできるもの、いろいろあるわけでございますが、まさに、対応できないものが多々あるのではないかと十分想定されます。

 補正予算の話も出ておりますが、抜かりないように、特に、教育関係の諸経費の計上に当たっては速やかにその準備に取り組んでまいりたいと、このように思っております。

 いずれにしても、災害の中で未来を担う人材の育成、これの重要性については、この補正予算の議論の中でもしっかり訴えていきたいと思っております。

下村委員 我々も、補正予算については、提案をして取りまとめて既に出しておりますけれども、追加でいろいろと要請をしていきたいと思いますので、これは、与野党の垣根を越えてどう一致結束して協力するかということが問われていると思いますから、我々も全面的に御協力したいと思いますし、ぜひしっかりと文部科学省としても、補正予算について準備をしながら対応していただきたいと思います。

 それでは本題の義務標準法改正案に入りますが、副大臣、政務官の方で私の答弁がない方は退室されても結構ですから、今、この大震災あるいは原発事故、この問題等で文科省もかかわっている部分もありますから、役所に戻っていただいても結構ですから、遠慮なくどうぞ。

 私は、この義務標準法改正のまず前提条件というのをきちっと整理しておく必要があると思いますので、これについて文科省とそれから財務省にお聞きしたいというふうに思います。

 今回のこの改正法案の成り立ち、これは極めて異常な経緯に基づくということを指摘せざるを得ません。概算要求の段階で民主党政権は、マニフェスト関連施策である高校授業料無償化などを除き、義務教育費国庫負担金にも例外なく一〇%削減のシーリングをかけました。

 言うまでもなく義務教育は、国民として必要な基礎的資質を培うものであり、憲法上の国民の権利、義務にかかわるものであって、国は、地方公共団体とともに義務教育に係る費用を無償にし、国民の教育を受ける権利を保障する義務を負っているわけです。そのために、国は、義務教育に必要な経費のうち最も重要な教職員の給与費について、三分の一を国庫負担しているわけです。これにより、義務教育に対する国の責任を果たすと同時に、全国すべての学校に必要な教職員を確保し、都道府県間における教職員の配置基準や給与水準の不均衡をなくし、教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られているわけでありまして、この義務教育費国庫負担制度は憲法上の国の責任であって、自公政権時代でもシーリングをかける対象になったことは、当然一度もなかったわけです。

 文部科学省も、平成二十二年度の政策評価においても、当然、「義務教育費国庫負担制度による財源保障は、他の事業と比しても優先して実施すべきものである。」ということで、これは二十二年の概算要求においては確保していたんです。ところが、平成二十三年度の新規・拡充事業評価からは、この義務教育費国庫負担金に係る優先性の観点の項目がなくなりました。

 すなわち、三十五人以下学級を平成二十三年度より始めようとしており、義務教育費国庫負担金の増額が必要になるのにもかかわらず、その財源保障については、なぜか他の事業と比しても優先して実施すべき位置づけではなくなってしまって、このマイナスシーリングを結果的に許したということになるわけです。

 平成二十二年度の義務教育費国庫負担金に一〇%削減シーリングを行った金額は一兆四千三百四十四億円、現行制度の四十人学級のままで平成二十三年度予算で概算要求したであろう金額は一兆五千六百十六億円と試算されます。すなわち、必要な金額に一千二百七十二億円も足らなかったわけです。

 まず、この事実を踏まえ、なぜ民主党政権は、必要な予算が確保できないことが明白でありながら義務教育費国庫負担金に一〇%ものシーリングをかけたのか。まず財務省にお聞きします。

尾立大臣政務官 下村委員にお答えをいたします。

 まず、平成二十三年度予算案につきましては、概算要求組み替え基準に基づきまして、基礎的財政収支対象経費を約七十一兆円以下としつつ、要求段階で、年金、医療等や地方交付税交付金等を除いた幅広い経費について御指摘のように一〇%の削減シーリング、逆に言いますと、九割の要求に絞り込んだところでございます。

 これは、各府省をまたいだ予算を確保する予算の組み替えを行うということを目的としたものでございまして、ここで捻出をした財源を活用しつつ、社会保障の自然増、一・三兆円でございますし、また、元気な日本復活特別枠等の施策に約二兆一千億円使用したところでございます。

 その結果、こういった枠組みのもとで、義務教育の国庫負担金につきましては一兆五千六百六十六億円が今年度は計上されたということでございます。

下村委員 財務政務官、義務教育の先生は、先ほど申し上げたように、三分の一が国庫負担金ですね。残りの三分の二は都道府県が負担しているわけです。地方交付金は減らさなかったわけですよね、今のお話ですと。義務教育費国庫負担金を減らした、マイナス一〇%。おかしいんじゃないですか。学校の先生で地方交付金分は減らさない、義務教育の国庫負担金だけマイナス一〇%減らす。アンバランスじゃないんですか。どうしてこんなことをするわけですか。

尾立大臣政務官 委員にお答えをいたします。

 御指摘のように、地方交付税につきましては、給与職員分の三分の二の負担というのが含まれております。その中で、この国庫負担を伴う義務教育費の給与費については、その全体が地財計画の歳出として給与関係費に計上された上で三分の一が国庫負担ということになっておりますけれども、一方、地方交付税は、この三分の二、その他の財源も含めて一般財源として手当てをして地方の方でお支払いをいただいております。

 そういう形で、確かに地方交付税の一部に教職員分の経費が入っておりますけれども、そこは、総務省と文科省の方でそごがないように議論をして予算を計上したということでございます。

下村委員 いや、そごがないようにって、何がそごがないのかわからないんですが。

 政務官、民主党は公務員についても二割削減と言っていますよね、二割削減。これは人数を減らすのか、それとも財源を二割削減するのかというのはともかくとしても、二割削減。ですから、同じマイナスシーリングを義務教育費国庫負担金でかけるのであれば、これは、三分の二を持っている地方負担分、これもマイナスシーリングを少なくとも一〇%していって、その先に二割削減ということもあるわけですから、両方マイナス一〇%、削減しなければおかしいんじゃないですか。

尾立大臣政務官 今回、二十三年度の組み替え基準におきましては、地方交付税の金額は、国税収入や地方税収の見込み、さらに国庫補助金等に係る地方負担額を踏まえ、予算編成過程で金額を決定することとしておるものでございます。

 したがいまして、これらが確定していない段階で提出される要求はあくまでも仮置きの計数にすぎないということで、要求額の上限を設ける概算要求額の対象とはしなかったところでございます。

 ただし、地方交付税の要求については、この組み替え基準、同じ組み替え基準でございますが、に基づいて、さらに中期財政フレームとの整合性に留意しながら、教職員給与の地方負担分を含む地方歳出について、国の歳出削減と歩調を合わせながら、基調を同じくしながら決定をしていったところでございますので、先ほど申し上げましたように、地方交付税の歳出の中に占める義務教育国庫負担金、さらに、文科省の直接の経費でございます国庫負担金三分の一、これはそごがないように調整をされているということでございます。

下村委員 全然答弁になっていませんけれども、予算委員会じゃありませんから、とめません。

 文科大臣、今の話のように、教職員の給与の三分の二は実際はマイナスシーリングをかけていないわけですよ。今回、三分の一の国庫負担金だけマイナス一〇%シーリングをかけているんですよ。なぜこれを文部科学省として認めたんですか。そもそも、これは憲法上の疑義もあることであって、絶対文部科学省として譲れない一線だったのではないかと私は思うんですが、なぜ認めたんですか。

高木国務大臣 義務教育国庫負担、これは一〇%カットすべきではないと今でも思っておりますが、政府の予算編成の基本方針、一部の経費を除き前年度予算の一〇%を縮減する、なお、元気な日本を復活させるための施策に予算の重点配分を行う仕組みとして元気な日本復活特別枠による要望ができる、こういう二つの大きな課題がございました。

 我々としては、政府の全体的な予算編成方針に基づいて、私も文部科学省の従来の主張を続ける中で、結果的にはこのような形になった、そういうふうな認識でございます。

下村委員 これはやはり認めてはいけない一線だと思いますよ、文部科学省として。今、元気な日本復活特別枠というのがあるから結果的には減額しなくて済むということをみずからおっしゃっていましたが、これはトリックですからね、国民から見たら。こういうのを認めていたら、それは信用しなくなりますよ。ですから、元気な日本復活特別枠があって、要望されて結果的にはマイナスシーリングにならないんだから一元的にしてもいいのではないかということだとすると、私は、文部科学省としてのアイデンティティーそのものがもうなくなってしまっているんじゃないかと思うんですね。

 こういうときにこそ文部科学大臣は、それはまさに政策官庁のトップとしてこれは腹をくくって、これについて認めないということを行動すべきことであったというふうに私は思います。

 今おっしゃったように、結果的に文部科学省は、実態としては削減できないにもかかわらず、一たん義務教育費国庫負担金を形式的に削減した上で、従来と同じ内容は認められないために、新たに政策として小学校一、二年生の三十五人学級を打ち出して、必要な義務的経費を含めて、これを元気な日本特別復活枠ということで改めて要望したわけですね。

 これは、憲法上の国民の権利にかかわる義務教育費国庫負担金を政策コンテストにかけたという、国の責任、まさに文科省の責任を放棄した予算要求の手法であって、この一点だけでも私は文科大臣は辞任に値すると思いますよ。それぐらいこれは大切なことだと思うんです。

 さらに、本来、元気な日本復活特別枠の対象はマニフェストや新成長戦略に資する事業に重点化されることが予定されており、当初から、既存予算の削減及び重点配分という趣旨に反するとの批判を受けていたため、特別枠での要望が認められない可能性があった。実際、小学校二年生については要望が認められなかったわけです。

 今まで民主党は、昨年の参議院選挙のマニフェストで、「少人数学級を推進するとともに、学校現場での柔軟な学級編制、教職員配置を可能にします。」ということをうたっていたわけです。さらに昨年の八月末には、少人数学級を進めるための新・公立義務教育諸学校教職員定数改善計画、これを決定されたわけです。つまり、民主党政権が真に少人数学級の推進が必要であると考えていれば、マニフェストの政策なのですから、高校授業料無償化法案と同じく、財務省にシーリングの対象外とさせて、小学校二年生分も含めて必要な予算を確保することこそ、それこそ政治主導で可能であったのではないか。また、それこそ高木文科大臣の大臣としての仕事であったはずではないかと私は思うわけであります。

 なぜ、この高校授業料無償化と同様に少人数学級についてもシーリングの対象外とさせなかったのか、そうした要請を財務大臣になぜ行わなかったのか、文科大臣にお聞きしたいと思います。

高木国務大臣 二十三年度の概算要求については、平成二十二年の七月二十七日に閣議決定をされております。この点につきましては、先ほど申し上げましたように、一部の経費を除いて、新年度予算の一〇%縮減を方針として打ち出しております。その一方で、先ほどもありましたように、元気な日本復活特別枠で要望ができる、こういうことになったわけであります。

 委員御指摘の、国の責任として義務教育国庫負担についてはそういうことをすべきではないし、これまでもそうだった、こういう指摘に対して、私はそれは謙虚に受けとめ、まさに、我々は財務省ともかなり粘り強くやりましたが、結果的にそういうことにならなかった。これについては、率直に力不足と思っております。

 しかし、これからもさらに予算編成も続くわけでございますので、まさに原点に返って、我々としてはそういう腹構えで強い取り組みをしなきゃならない、このようなことを今思っております。

下村委員 財務大臣政務官にお聞きしますが、もともと文部科学省からは、一年生だけでなく、一、二年生に対しての三十五人学級で要望をしていたはずなんです。これは、学校現場は、小学校の一年生から二年生の進級に関しては、人間関係形成力がまだ未熟だし、集団の維持が望ましいということから、クラスがえはすべきではないということで、実際に九〇%近い、全国の学校を調査すると、クラスがえしていないというデータもあるんです。

 しかし、ここで一年生だけをことし予算として認める。来年以降は確約はできませんよね。そうすると、二年生になってからクラスがえを行わなければならない。こういう学校、クラスも出てくることはあり得るわけです。なぜ小学校二年生分の要望を認めなかったのか、お聞きしたいと思います。

尾立大臣政務官 お答えをいたします。

 少人数学級の推進については、今、高木大臣からお話しございましたように、昨年末、具体的には十二月十七日でございますが、大臣間で合意がなされております。その一つは、「小学校一年生の三十五人以下学級を実現する。」二つは、「具体的には、三百人の純増を含む二千三百人の定数改善を行うとともに、加配定数の一部を活用する。」三つ目が、「平成二十四年度以降の教職員定数の改善については、学校教育を取り巻く状況や国・地方の財政状況等を勘案しつつ、引き続き、来年以降の予算編成において検討する。」ということでございました。

 これに基づいて、平成二十三年度予算につきましては、歳出全般にかかわる見直しを行いつつ、義務教育費国庫負担金について、二千三百人の定数改善につなげ、必要な経費として五十億円を計上したところでございます。

 これは、小学校一年生については、委員御指摘のように、幼児教育との接続の問題や、なれない集団生活の中で学習に集中できない、また、教員の話が聞けずに授業が成立しないなど学級がうまく機能しない状況、いわゆる小一プロブレムというものの特殊な事情が存在することから、三十五人学級化を今回は実践することといたしました。

 お尋ねの二年生以上についてでございますが、これは、今申し上げました大臣合意に基づきまして、来年以降の予算編成過程で、一つは学級規模と教育成果の相関性、二つとして後年度負担の問題や公務員人件費改革との整合性、さらには国と地方の役割分担などを議論しながら、引き続き検討をしてまいりたいと思っております。

下村委員 今の答弁は、来年以降なかなかすんなりいくかどうかは難しいですよ、そういう答弁ですよね。

 そもそも、最終的に元気な日本復活特別枠で計上された二千八十五億円、その全額が三十五人以下学級を実現するための教職員の増員に支出されるものではなく、実は、現行の四十人学級に係る小学校一、二年生の教職員九万三千人についての義務的経費である二千三十五億円が特別枠の九八%を占めている。つまり、このことから、文部科学省が真に必要だったのは、現行の四十人学級に係る小学校一、二年生の教職員の給与費であって、小学校一、二年生における三十五人以下学級は、その予算を獲得するための方便、前総理が方便という言い方をしていましたが、まさにこれこそ方便だ。これは明らかですね。

 これについて文科大臣、いかがですか。

高木国務大臣 この少人数学級については、文部科学省としては、既に昨年の二月以来、教育関係団体からのヒアリングを行っておりますし、少人数学級の推進についての検討をずっと進めてまいりました。そして昨年の三月には、中央教育審議会初等中等教育分科会において審議が始まりました。そして、昨年七月二十六日に、小中学校の学級編制の標準を引き下げることなどを求める提言をいただいたところでございました。したがって、平成二十三年度の概算要求の組み替え基準については、七月二十七日の閣議決定でございます、その中で、先ほどから御指摘をいただいておりますが、義務教育国庫負担金についても一〇%削減の対象となりました。

 しかし、文部科学省では、中央教育審議会などの答申も踏まえて、何としても小学校一、二年の三十五人以下学級を実現をしたい、そういう要望を、いわゆる元気な日本復活特別枠で要望したところでございました。

 三十五人学級の検討については、組み替え基準の閣議決定の前から準備を進めておりましたことであり、私どもとしては、そのような御指摘には当たらない、こういうふうに考えております。いわゆる方便にすぎないのではないかという御指摘についてでございます。

下村委員 苦しい答弁で、完全な方便だということだけ指摘します。

 なぜ義務教育費国庫負担金にまでこのマイナスシーリング一〇%をかける事態になったのか。そもそものその原因というのは、高校授業料無償化を一〇〇%実現するために犠牲になったわけです。

 いわゆるばらまき四Kについて、我が党が恒久財源がなく廃止を求めたことに対して、財務大臣やあるいは国家戦略担当大臣が安定財源や恒久財源を確保していると述べていますが、実際、特定扶養控除の高校生の上乗せ部分を廃止して、事業仕分けで学校耐震化や道徳教育など教育振興基本計画の施策の予算を軒並み削減をして、無理やり高校授業料無償化の財源を捻出した。それでも足りなくて、ついに義務教育費国庫負担金にまでマイナスシーリングをかける事態になったんです。

 その意味するところは、民主党政権がマニフェストを実現したと無理やり言わんがために、憲法上の国民の権利である義務教育よりも、そうではない高校授業料無償化の財源確保を優先したということにこれはほかならないわけです。

 しかし、こういう中で今いわゆる四Kの予算の組み替えも提案しているところでありますけれども、高校授業料無償化、これは一たん廃止して、特にこのような震災復興、その財源に充てるべきではないかと我々は提案もするところでありますけれども、まず、財務省は、この高校授業料無償化、これを廃止して震災復興財源に充当すべきではないかということについてどうお考えですか。

尾立大臣政務官 高校無償化を廃止して震災復興財源に充てるべきではないかという御質問でございますが、二十三年度予算におきましては、予備費、経済予備費、一兆一千六百億円、具体的には、予備費が三千五百億円、経済予備費が八千百億円のほか、自衛隊活動費、特別交付税など直接、間接に被害対策に資する経費が多く計上されておりますので、現在のところ、この予備費を使って対応に当たることを考えております。

下村委員 いや、財務大臣政務官ですからちょっと認識をしっかり持ってもらいたいんですけれども、それで足りますか。そもそも、阪神・淡路大震災のときでも補正予算等で三兆円を超えているんですよ。民主党の中でさえ、今回のこの対策として十兆円はかかるだろうということが言われている中、今のような答弁じゃとてもそれは話にならないでしょう。

尾立大臣政務官 まず今申し上げましたものは、二十三年度予算及び関連法案の早期の成立をお願いして被害対策にも万全を期させていただきたいという思いでございますが、それと並行して、今、関係省庁等におきまして被害の実態把握を進めております。そこで必要になってきましたならば、補正予算等によりこの被害対策に万全を期していきたい。これは、政府を挙げてそのように考えております。

 その際には、御指摘の財源問題につきましては、与野党間で御議論をしていただけるものだと思っております。

下村委員 いや、ですから私は端的に財務省にお聞きしているんですよ。高校授業料無償化、これは四Kの中の一つですね。この財源を震災復興財源に充当すべきではないかというふうに具体的に申し上げているんです。これに対して財務省としてどう考えますかということをお聞きしているんです。

尾立大臣政務官 下村委員の問題意識、御指摘はよくわかっておりますが、まず、補正予算の概要もまだでき上がっておりません。そういう意味で、その補正予算をまた与野党の先生方の御協力のもとつくられるものと思いますけれども、その際に、与野党の中でこの財源問題の一つとして取り上げていただければと思っております。

下村委員 文科大臣にもお聞きしますが、今の震災復興対策の財源問題だけでなく、最初申し上げたように、本来憲法で保障すべき義務教育費国庫負担金までマイナス一〇%、削減されている。それから、我々が非常に重要視すべきだと思っている、例えば道徳教育とかほかの部分も削減されている。高校授業料無償化だけ聖域なんですね。

 この際、このような経済状況、それから、今のような我が国の国難の中で、そういうフレームをもう外すべきときに来ているんじゃないですか。高校授業料無償化だけを聖域にするというのを外すべきではないか。

 それどころか、今も財務省の方も、与野党間でそれは協議の検討課題の一つとしてということを言われていましたが、もう文科省からも思い切ってこの高校授業料無償化については、廃止でなかったら停止して、財源については復興財源等ほかに回すというようなときに来ているんじゃないかと思いますが、文科大臣いかがですか。

高木国務大臣 災害の復興財源は、これはもうはかり知れないほどのものであろうと、これは推察をいたします。その中で、過去の事例を考えてみても、当然、補正予算というのが極めて重要な段階になってくると思っております。

 高校無償化については、既にこれは恒久法として成立をしておりまして、都道府県等においても条例も措置されておりますし、中学生もそうでしょうし、今の通っている高校生もそうです、保護者においても、既に、無償化というこれを前提に進学あるいは目標を決めておられますし、あるいは家庭の生活設計、こういったものもされておる、私はそのように思っております。

 したがって、この際高校無償化を廃止するということは大きな混乱を起こすものだと、そのように認識をしております。

 また、被災地においての就学機会の確保というのが、これまた重要な課題でございます。被災地においては、ただでさえ大変な教育費の負担でございます。そういう中にあって、私どもとしましては、修学に意欲ある生徒が少なくとも高校には安心して通える、こういう高校無償化の大きな政策的意義に立ってみれば、私は、高校無償化というのは必要であり、今日の現状を考えてみても適切な施策であろうと、このように考えております。

下村委員 来年度の予算について今の菅政権が続いていることは一〇〇%ないと私は確信はしていますけれども、高木大臣が文科大臣をやっていることはあるかもしれませんのであえてお聞きしますけれども、高木大臣、高校授業料無償化のために、では、来年度も政府方針で義務教育国庫負担はマイナスシーリング一〇%をかける、これを政府が決めたら、大臣としてそれはそのとおり従うんですか。

高木国務大臣 仮定の話でございますけれども、私としては、義務教育の国庫負担は国が措置をすることは当然だとこのように思っておりますので、予算編成の基本方針についてはそのような姿勢を堅持すべきものであると、このように考えております。

下村委員 全くできていなかったわけですよ。今までできていないのに何でできるのかと不思議でならないわけですが、我々は、こういう経緯のもとに編成された平成二十三年度予算案について当然ながら反対したわけです。その予算を執行するための義務標準法改正案については、いわば毒樹の果実のような存在として正当性を認めるべきではないと考えています。ただし、憲法上の規定により、予算が成立するということはもう明らかですから、三十五人以下学級の実現のための教職員の定数増の予算についてもあわせて成立するということになるわけです。

 そうであれば、我が党は、同じ教職員、つまり、四千人をふやすとしても、小学校一年生の三十五人以下学級に限定される必要はなく、学校現場の実情に応じて少人数指導を充実をし、特別支援教育や指導困難児への対応、専科教員配置などに活用できるようにすべきであると考えておりまして、既に自民党内で議論を重ね、きょうはポンチ絵をつくってまいりましたが、このような案を我々としては考えました。お手元に配付されていると思いますので、ごらんになっていただきたいと思います。

 我々は、今回の同じ四千人の教職員を使うということについて三つの法律改正を考えております。せっかくですから、大臣、ぜひごらんになってください。

 まず一つは、義務標準法関係のことであります。

 学校教育上の諸課題に適切に対応するためには、地域や学校の実情に合わせた柔軟な取り組みを可能としつつ、少人数指導、専門指導等を一層充実させる必要がある。また、少人数学級が既に多くの学校で実現されている現状、九二・九%、少子化に伴う今後の社会変化等を踏まえ、これらの実情に対応するため、教職員定数の改善及びその効率的な配置を図る必要がある。

 また、教育の地方分権の前提条件として、その受け皿となる学校現場や市町村教育委員会の改革が必須であるという観点から、我々は、今回についてまず一として、加配措置による必要かつ十分な教職員数の確保、同じ四千人をこのような形で現場のニーズに即し対応するということを提案します。

 また、その二の加配事由の拡充ですが、従来の、右にあるような加配事由だけでなく、特別支援学校、特別支援学級での特別指導ができるための加配教員を明示する。それから、小学校の専科教員、これは理科専科、逆に、過疎の学校では例えば音楽の先生が欲しいとか、そういう専科教員です。

 それからさらに三で、東北地方太平洋沖地震に係る特別措置、被災児童生徒の学習支援、心のケア等を行うために教職員定数に係る特別措置を実施する。これは、この四千人だけで十分だとはもちろん我々も思っていません。プラスして、この地震に係る特別措置は、これは被災地の県だけでなく、あるいは周辺だけでなく、場合によっては疎開をする、東京へ出てくる、あるいは、場合によっては関西まで行くということの中での対応も必要になってくることについての措置を図る必要がある。

 これは、施行日が四月一日から、そして三については公布の日からというのを提案していきたいと思っております。

 二枚目を見ていただきたいと思うんですが、これは地教行法の改正であります。

 一が、市町村立学校の教職員の定数は都道府県の条例で定める。それから二が、市町村別の学校の種類ごとの定数は市町村教育委員会の意見を聞いて都道府県教育委員会が定めるということで、都道府県が主導的な地位になっています。

 これを事後届け出制にするというのが政府案でありますが、都道府県の教育委員会に聞きましたら、事後届け出制であっても、県費負担の教職員については勝手な変更は認めない。もし先生をほかに配置するということであれば、それは県費負担でなく、市町村で独自に採用した教職員であればそれは自由だけれども、県費負担については、事後届け出であっても、結果的にやはりルールにのっとった形でなければ認めないというのを、この今回の政府の法律案でもそういうふうにしか読めないということだったんですね。

 ですから我々は、教職員の適正な配置のためには、市町村や学校現場の実情が実質的に反映される必要として、さらにこの条文については、一で定数設定の際の勘案事項の明記をする。当該市町村における児童または生徒の実態、当該市町村が設置する学校の学級編制に係る事情等、つまり、学校ごとの個別事情も勘案対象にするということを法律の中でより詳しく書き込む。

 それから二でありますけれども、都道府県教育委員会はあらかじめ市町村教育委員会の意見を聞き、これを十分に尊重、こういう改正文言を入れることによって、市町村あるいは学校現場の実情が実質的に反映されるような形が法律によって担保されることになるというふうに考えております。

 そして、施行期日はことしの四月一日にしております。

 それから三枚目が、教育公務員特例法の一部改正案であります。

 学校における教育の正常化が行われていれば、先ほどの地教行法についてもそのままでいいわけですけれども、現実問題としては、都道府県のすべてとは言いません、一部のところにおいて、この教育公務員特例法の改正をしなければ十分に教育の正常化が担保できないというところがあります。

 それで、現行法における教育公務員の政治的行為の制限というのが、一から十八まであります。一、政治的目的での影響力行使を初め十七までが人事院規則である。十八の政治的目的での寄附金の要求等が国家公務員法でありまして、国家公務員は同じ内容でも罰則規定があるわけですが、教育公務員の職務と責任の特殊性から、罰則規定は設けないということになっているわけであります。そのかわり、この違反については、教育行政の手による懲戒処分がある、あるいは教職員や教職員団体の反省、自粛を求めていたわけですが、実際は、この政治的行為の制限違反事例は枚挙にいとまがありません。

 平成十六年は山梨県教員による政治団体加入カードを配布等、昨年は北教組による不正資金提供等があった中で、違反行為に対してより厳格な対処が必要であるということから、我々は、本改正案の概要、これは昨年の国会から出されている、継続審議になっているものでありますが、これをぜひ今国会で提案をしたいと。

 罰則規定を設けるということです。三年以下の懲役または百万円以下の罰金、つまり、国家公務員並みの法律にするということです。国家公務員は既にこの罰則規定、それから二の恒久措置化、暫定措置とされていた政治的行為の制限を恒久措置化、それから、施行期日は公布の日から起算して二十日を経過した日から施行、こういうものをあわせてこれから提案をしていきたい。

 準備をしておりますので、これも一緒にぜひ議論の俎上の中で検討をしていただきたい。問題提起をさせていただきたいと思います。

 以上を踏まえて、そもそも論で、なぜこの四月一日、もうすぐなわけですが、この法律を急ぐ必要があるのかということ中での整合性について、時系列的にちょっと確認をしていきたいと思います。

 まず、都道府県の教職員採用試験の日程はそもそもいつごろなのか。その結果発表は大体いつか。採用人員を確定するのはいつごろなのか、都道府県の教職員ですね。これについてお聞きしたいと思います。

山中政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県の教職員の採用試験の日程等でございますけれども、今年度、都道府県、政令指定都市の教育委員会で実施されました公立学校の教員採用選考試験の日程、大体一次試験が七月、二次試験が八月から九月にかけて行われまして、最終合格者の発表は大体九月から十月というところで行われているところでございます。

 また、採用人数の確定時期、これは調査は行っておりませんけれども、合格者に対して採用内定を行っていくわけでございますけれども、その時期につきましては、大体十月までに四十八県市、それ以降、十一月から三月までに十八県市において採用内定が行われているというのが実態でございます。

下村委員 今回の三十五人学級の概算要求締め切りは昨年の八月末でした。それも、一年生、二年生での三十五人学級の要求だったわけですね。

 それで、都道府県教委の現場には、この一、二年生の三十五人学級を実現することを前提に教職員人事配置をするように指導していたのかどうか、お聞きしたいと思います。

山中政府参考人 文部科学省におきましては、昨年の八月二十七日、ここで、三十五人以下学級の実現、これを柱とする新教職員定数改善計画案、これを公表いたしまして、その初年度分として、小学校一、二年生の三十五人以下学級の実現に必要な経費、これを平成二十三年度の概算要求に盛り込んだところでございます。

 この際、概算要求がこういうものであるという内容について、各都道府県の教育委員会にこういう内容で概算要求していますよということは周知したところでございますけれども、ただ、都道府県教育委員会に、小学校一、二年生、この三十五人学級を前提とした教職員人事配置をするように指導したということはございません。

下村委員 予算編成が最終決定したのはいつでした。

山中政府参考人 昨年の十二月二十四日の臨時閣議におきまして、平成二十三年度の政府予算案が決定されたところでございます。

下村委員 昨年十二月二十四日が決定日、そして、最終決定は一年生だけの三十五人学級となったわけですね。先ほどの御報告のように、最終決定をしたところが十月末というのが四十八県市あったということで今報告があったわけです。

 これでは、都道府県が責任を持って市町村に教職員人事を配置する必要があることを考えると、準備不足であったといいますか、こういう中で実際に配置したとしても、結果的には、二年生まで採用して準備したところはどうなるのかということで、余りにも無責任といいますか、地方自治体のそのような手順を考えない政策決定を今しつつあるとしか思えないわけであります。

 準備不足というのは明らかであるというふうに思いますが、いかがですか。

山中政府参考人 今回の教職員定数に関しましては、学級編制の標準を引き下げる、こういうことで臨んでおりまして、学級編制の標準を引き下げる法改正を実施するためには、これに伴う教職員の増員、これを財政的に措置する必要があって、この裏づけとなる予算案がないと法案も提出することができない、こういうことでございます。

 こういうことから、本法律案は、改正法の実施に必要な経費が計上された予算案が閣議決定されました後の通常国会、これに提出し審議をお願いしているというところでございます。

下村委員 二年生も三十五人学級を実現するのではないかということで準備をしていた都道府県というのは、どれぐらいあったと思われますか。

山中政府参考人 各都道府県におきましては政府の予算案がどういう形で固まってくるのかということを注視していたと思いますけれども、各都道府県においては、平成二十二年、昨年末の政府予算案の閣議決定、これを踏まえて、各都道府県において必要な定数条例の改正などの作業に具体的に入っていったんだと思っております。

 八月の概算要求、ここでは小学校一、二年生の三十五人以下学級でしたけれども、これから十二月末の政府予算案の決定まで、この間におきましても、それぞれの都道府県においては内部において種々いろんな検討は行っていたというふうに思いますけれども、実質的に、各都道府県に必要な定数条例の改正、どういうふうにするのか、必要なのかどうか、そういった点については、政府において予算案が閣議決定された後に具体的に取り組まれたというふうに思っております。

下村委員 都道府県での採用試験が終わり、初めて翌年の人事が始まるということですね。三十五人学級が一年生だけに限定されたのは採用試験よりもはるかに後のことなんです。

 ちぐはぐなスケジュール観となったこれは、今の御答弁だと、財務省の責任ですかね。二年生の三十五人学級を認めなかった財務省の責任なのか、文科省の責任なのか。これはどこの責任なんですか。

鈴木(寛)副大臣 委員御承知の上でお聞きになっているんだと思いますけれども、ことしに限らず、毎年度、八月の末の段階で、定数改善、減の場合もありますけれども、定数をふやす、ふやさないという概算要求が文部科学省から財務省に提出をされます。そして、それが十二月末の予算において予算案として定数が何人改善されるのかどうかというのは確定をされます。そして、定数の改善を含んだ予算案というのが国会において三月末までに決まっていく。こういう手順は毎年変わりません。一、二年生についても全く同じ手順でございます。

 そういう中で、確かに、昨年から大幅な定数改善を行っておりますので、期待感を持たせたということで、その期待にこたえられなかったということはございますけれども、数が固まっていくプロセスというのは例年と同じプロセスでございまして、その状況、状況でその都度の状況を都道府県教育委員会に私ども説明をし、そして、都道府県教育委員会において適切な採用活動そして人事を行っていただいているというふうに理解をいたしております。

下村委員 もともと役人出身だからそうなのかもしれませんけれども、典型的な役人答弁ですね。政治家としてそんな答弁は通用しませんよ。一、二年生の問題で言っているんですからね。文科省としては、一、二年生で三十五人学級を進めるということをしていた中で結果的には一年生だけになったというのは、全然状況が例年と違うじゃないですか。それを、例年、毎年やっていることで、その程度のことを地方自治体は判断して対応しなければいけないと言うこと自体が、これは政治家の答弁としてはいかがなものかと私はもう率直に思います。

 次に移りますが、そもそも文部科学省は、三十五人学級を現場に定着させるスケジュール観、これは急ぎ過ぎているのではないか。そのことによる問題点が今回多々あるのではないか。この制度設計にはもっと時間をかけて、人事を担当する現場に、つまり都道府県に対して余裕期間を与えるべきではないか。そもそもこの法律案だって、あとわずかな期間しかないわけです。

 このスケジュール観そのものが問題ではないかというふうに思いますが、いかがですか。

鈴木(寛)副大臣 これは、先ほど大臣も御答弁申し上げましたが、昨年の二月以来、この学級編制及び教職員定数の改善については、教育関係団体、有識者からのヒアリングや国民からの意見募集を行い、幅広い意見を踏まえて検討を進めてまいりました。

 そして、昨年三月からは、中教審の初中等教育分科会において審議を行い、そして七月に、小中学校の学級編制の標準を引き下げること、あるいは、柔軟な学級編制を可能とする仕組みにすることという御提言をいただいて、そして、それに基づき、御承知のような概算要求、要望を行わせていただきました。

 したがいまして、十分に時間をかけて取り組んできたと思いますし、また、委員も御承知のように、昨年の十月二十六日には教育二十三団体から、「多くの保護者の願いである少人数学級の実現に向けた教職員定数の計画的な改善に直ちに着手するとともに、」という御要望もいただいておりまして、そうした現場関係者の御要望に極力速やかにこたえてまいりたいということで、予算編成そして法律の提出に臨んだということを御理解を賜ればと思います。

下村委員 鈴木副大臣、そういう答弁が官僚答弁だと言っているんですよ。

 高木文科大臣にお聞きしますけれども、きょうはもう三月の二十三日ですよね。ようやくきょうからこの衆議院で法案審議が始まったばかりなわけです。施行期日は四月一日、十日もないわけです。なおかつ、衆議院と参議院での両方での可決が必要である。衆議院だけ急いでも、では、参議院で本当に三月三十一日までに可決できるような状況にあるのか。

 そもそも、こういう重要法案ですから、十分な審議時間をきちっととる必要があると思うんです。我々も、ある意味では非常時ではありますから、これはこの法案の準備と関係ないんですけれども、こういうふうな大震災、こういう非常時ですから、登壇物もこれは外しました。この委員会から付託するということを決めました。我々も協力はしています。足を引っ張るつもりはさらさらありません。

 しかし、この参議院がねじれている中で、特に高木大臣は国会対策に精通をされていて、高木大臣が議院運営委員会の筆頭野党理事のときに私も相当高木大臣に御指導いただいたこともありましたけれども、こういう中で可能なのかどうかということについて、高木大臣いかがですか。

高木国務大臣 確かに、下村委員御指摘のとおり、本日この委員会で趣旨説明ができて、そして審議入りしたということは、野党の皆さん方の格段の御理解と御協力だと思っております。改めてお礼を申し上げたいと思っております。

 ただでさえ衆参のねじれ状況ですから、私どもが提出を予定した法案はそう簡単に通るものではない。ましてや、今回の通常国会冒頭から大変な案件がございましたし、そういう中で我々は、予算関連法案でありましたから審議入りもできるだけ早く、こういうお願いも国会の中ではしていただいたと承知をいたしておりますけれども、現実的に本日になりました。

 年度末というのはもう限られておりまして、先週も、例の地震によって、災害によって、このようなことで議論ができなかった。これはやむを得ないことと思っております。

 限られた時間ではございますけれども、大所高所から、特に、これまでも長い間この少人数学級については議論をされてきたテーマでもございます。いじめ問題あるいはまた不登校問題、たびたび大きな社会問題にもなった経過もございます。これまでも、時の文部大臣以下政府の皆さん方も必死になって取り組まれて、何とか教育をしっかりしたいということの中でいろいろ議論があった経過でございます。

 今回、公立小中学校において教師が一人一人にきちっと目が届くように、そしてきめ細かい対応ができるように、こういう主張の関係者の皆さん方の声も多くございます。下村委員も十分に御理解もいただいておるものだと思っております。

 そういう中で、いろいろ立場があり、そしてまた各政党、各会派、それぞれの政策がございます。ただいま下村筆頭からは、いわゆる対案というものについての御説明もいただきました。

 大変限られた厳しい日程でございますが、議論を尽くしていけば、先に希望の光は見えてくるのではないか、こういう思いで今この場に立たせていただいておりますので、どうぞひとつ充実した御議論をいただいて、速やかにこの問題が解決をし、そして成立をさせていただければと、このように思っております。

 もちろん、与野党の議論そしてまた協議、これは重要なことでございますので、皆さん方におかれても、ひとつどうぞ御尽力いただきたいと思っております。

下村委員 時間ですので終わりますが、東日本大震災や福島原発の事故もあり、また、現在も非常に不安定な中、この三十五人学級をそう急ぐ必要はないのではないかというふうに私は思いますが、我々も案を出させていただいていますから、しっかりと熟議をしながらよりよいものをぜひ目指していただきたいと思います。お願いをして終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳です。よろしくお願いいたします。

 私も、大震災の被災者にお見舞いを申し上げますとともに、犠牲となられた方々に心から哀悼の意を表したいと思います。

 早速、法案審議に入ります。

 三十五人学級法案を前提とした平成二十三年度予算案は、既に衆議院で成立をしています。憲法の規定で、遅くとも三月三十一日には成立します。この法律が年度内に成立をしなくても、一年生の三十五人学級に必要な教職員定数の給与は確保できているのではありませんか。

山中政府参考人 今回の法改正によりまして、小学校一年生の三十五人以下学級、これを内容としているところでございます。それに必要な定数四千人、定数改善分二千三百人を含む四千人の教職員定数、これを児童数に応じた基礎定数化するということを内容としているところでございます。

 政府といたしましては、こういう内容の法案を現在提出して国会において御審議いただいているという立場でございますので、予算が成立した場合であっても、この法案に対します国会の考え方、意思が示されない状況の中では、教職員定数四千人分相当分の八十七億円、この予算執行というのは留保せざるを得ないのではないかというふうに思っております。

馳委員 この法律が年度内に成立をしないで困ることについて、ちょっと詳しくお聞きをしておきたいと思います。

 今、山中局長も、基礎定数が確保できないので、四千人分ですか、留保せざるを得ないというふうな可能性について言及をされました。

 文部科学省は、法案が不成立になった際は、採用の内示を受けている教職員が常勤ではなくなる可能性があるともコメントをしておられます。しかし、内閣提出法案については、その成立、不成立の責任を負うのはひとえに内閣であり、国会の意思により法案が成立していない以上、たとえ常勤予定の教職員が非常勤になったとしても、その責任を負うべきは内閣、文部科学省であると思いますが、そのことについての確認をさせていただきます。

鈴木(寛)副大臣 すべての法律は立法府の御判断によるというのは、これはもう大前提でありまして、私どもも、また都道府県教育委員会関係者も、そのことは十分に了知しているところでございます。

 政府としては、法案を国会に提出いたしております。本日、このように御審議いただいていることを大変にありがたく思っております。いろいろな議論を深めていただいて、この四千人分、八十七億円の予算が執行できる状況にぜひ御議論をしていただければと、こういうことをお願いする立場でございます。

馳委員 現行制度である四十人学級の部分の教職員については、予算が成立すれば現行法により義務教育費国庫負担金が保障されるので、何らの影響を及ぼすものではありません。影響を与えるのは、小学校一年生で三十五人以下学級を実現するための法改正により教職員の基礎定数がふえる部分であり、この四千人分、八十七億円の予算執行について、法案の成立、不成立が未確定の間は予算の執行を留保する可能性があると思います。

 法案が年度内に不成立となった際は、この四千人分、八十七億円の予算執行についてどうなるのか。これは、まあ、この段階ですから、ちょっと現実的にお互いに考えておかなければいけないと私は思います。何も私は、文部科学省にすべての責任があったりとか、国会が超特急でやらないからいけないとか、そういうふうな言い方をしているのではなくて、もしということも考えた検討もしておかないと、きょうのこの議論は議事録に残りますので、都道府県の人事担当者がやはり注目をしているという観点で申し上げております。

 改めてお聞きしますが、例えば今後の予算執行が凍結されるようなことになるのか、特に、このうち基礎定数に振りかえられる予定であった千七百人の加配定数についてはどうなるのかをお伺いしたいと思います。

山中政府参考人 今回の改正案におきましては、公立小学校の一年生の学級編制を三十五人に引き下げるということを内容としております。この標準の引き下げに伴って必要となるのが四千人分の教職員定数でございます。

 仮にこの法案が年度内に成立しなかった場合、小学校一年生の三十五人以下学級の四千人分、その千七百のところも含めまして、この四千人についての予算、八十七億円の予算執行というのは留保せざるを得ないというふうに考えております。

馳委員 法案に対する国会の意思が示されていない、つまり法案が成立をしていない場合、でも、まだ廃案となるとかそういうふうな状況ではありませんから、いわゆる最悪でも審議中ということだと私は思っているんですよ。四千人分、八十七億円の予算執行について留保せざるを得ない、これは極めて重いというか重要な答弁だと思います。

 そこで、国会の意思として法案が成立していない状況において、審議中ということを前提にして、四千人分、八十七億円の予算については、予算の範囲内で措置するという加配定数の制度、これに振りかえて執行するということを決定すれば、予算の範囲内で問題なく人事を行えると思いますが、こういうことは制度的に可能であるのか、全く不可能なのか。たらればの話で申しわけないんですけれども、文科省としてのお考えをお示しください。

山中政府参考人 これは、今こういう小学校一年生三十五人以下学級に引き下げる、そのために四千人の教職員定数が必要だということで、そういう内容の法案を提出して予算とともに御審議していただいているところでございまして、その法案を御審議していただいているという状況でございますので、その間、この四千人分相当分の八十七億円の予算執行、これはやはり留保せざるを得ないのじゃないかというふうに思っております。

馳委員 わかりました。それは文部科学省の立場であると思います。今後やはり与野党で話し合いをして国会の意思が示された場合のことについては、委員長、これはまさしく国会の責任であるのではないかなということを改めて申し添えておきます。

 次の質問に移りますが、基礎定数を確保することを重要視するよりも、現場の意見を尊重して、人事配置のできる加配定数を確保することを優先した方が教育の地方分権にふさわしいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 もう委員よく御存じのとおりでありますが、定数には基本的に基礎定数と加配定数とあるわけでございますが、加配定数の場合は、毎年々、各都道府県教育委員会の申請に基づき、そして文部科学省がこの査定をする、こういったことになっておりますので、現場からは、この安定的な定数改善というものを、基礎定数を確保していくことによってできるんだと。

 それから、加配の場合は、その手続、あるいはその加配定数を決めていくプロセスの透明性、あるいは予測性といったことについて、これは中教審の御議論でもそうした懸念というものが指摘をされておりまして、もちろん、基礎定数も加配定数も両方大事な定数でありますが、このたびは、基礎定数をもう少しふやしてほしい、こういう現場の強い声に基づいてこのような対応をさせていただいたということでございます。

 そして、基礎定数の使い方は、委員も御存じのとおり、かなり弾力化をしておりますので、そこは各現場あるいは都道府県教委の御判断でやっていただければというふうに思います。恐らく、きょうのというか今回の論点は、基礎定数をふやすのか、それとも加配定数なのか。それぞれに特徴というのがあって、それをどういういいバランスにしていくかということだと思いますが、特に、私どもの承知している二月からのヒアリングで申し上げると、基礎定数をふやしてほしいという声が現場の声ではないかなというふうに考えて、このような要求をさせていただいているところでございます。

馳委員 正規で常勤の教職員を十分に確保することが望ましいことに私も異論を挟みません。教職員が自分の生活の不安を抱えていては、安心して教育現場に臨むことはできません。

 しかし、既に義務教育費国庫負担制度では総額裁量制を採用し、人事は都道府県で弾力的に柔軟に行うようになっています。さらに、小中学校の設置者である市町村教委や学校現場の多種多様な要求や教育事情に配慮すべきでもあります。現場の現実的な人事にこたえるには、予算の範囲内での加配定数の安定的な確保という考え方も必要であるとは思いませんか。

鈴木(寛)副大臣 加配定数の安定的な確保ということをどうやってやるのかという知恵が私どもは持ち合わせておりません。加配というのは、先ほど申し上げましたように、基礎定数ではございませんで加配定数でありますから、毎年々まさに変動をするわけであります。

 でありますから、ちょっと繰り返しで恐縮でございますが、昨年の七月の中教審の提言において、「加配定数の都道府県への配分数は毎年度各県からの申請を基に国において調整して決定されるため、計画的・安定的な教職員配置を行う上で支障があるとの指摘や配分の客観性・透明性を高める必要があるとの指摘がなされている。また、学校現場からは、加配定数の申請事務手続きの簡素化や活用目的を限定しない教職員配置を求める声が多い。」との御提言がありまして、加配というのはまさに、そもそもそういうものでありますから、それが安定的に確保されるということは制度論として自己矛盾であるというふうに私どもは理解しておりますし、これまでの理解はそういう理解だったと思います。

馳委員 今後、児童生徒数は減少の一途をたどりますし、残念ながら学級数も、四十人学級という現行制度においても学級数も減ります。それから教職員、今後年配の大量退職で、教員一人当たりの単価も減ることになります。したがって、加配定数への振りかえによって現場の多種多様な要望にこたえていくということも現実的ではありませんか。そして、義務教国庫負担制度では総額裁量制を措置しておるという現状を考えると、この考え方も一つ現実的なのではありませんかと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、結局、加配というのは各県が判断するわけです。もちろん、その判断のポイントというのは、二つ大きくあると思います。一つは財政状況だと思います。それから、その都道府県教育委員会の教員定数増にかける意思ということ。それから、もちろん四十七都道府県でそれぞれの教育の現状というのは違いますから、当然そのニーズ。そういう意味では三つあると思いますが、その三つを総合的に勘案してやっていくということであります。繰り返しではありますが、これはやはり極めて不安定であるということで、先ほど申し上げましたような御指摘がある。

 現に今行われている少人数学級も、加配定数及び都道府県独自の財政措置によって実現をされています。まさに今やっている少人数学級を加配定数によってやるのではなくて基礎定数によってやりたい、そのことによって、さらに一〇〇%四十七都道府県の学校現場で行えるということを今回要望し、そして法律でお願いをしております。

 加えて、基礎定数をきちっと四千人ふやした上で、なおさらにさまざまなニーズ、学校のニーズ、現場のニーズというのは多様化していますから、それに応じて加配をきちっと確保していく。毎年々の予算編成の中で加配定数もしっかり確保するという御指摘の部分は、教育行政を預かる者としては私も全く同じ認識でございます。

馳委員 今回の法律で小学校一年生だけの三十五人学級を実現してその分の基礎定数を確保すると、他の学年の少人数学級に影響を与えることはありますか。

山中政府参考人 今回の小学校一年生の三十五人以下学級の実施に伴いまして、四千人ですけれども、これをどういう形で確保するかという中で、加配定数を千七百人、これを小一の少人数相当分ということで振りかえて、あと子供の数が減るということに伴う先生の減が二千人ありますから、これを減らさないで二千人をしっかり確保する、プラス三百人という、千七百足す二千足す三百の、これで四千人を確保しているという状況でございます。

馳委員 他の学年に影響を与えることはありますかという、答弁を期待したんですが。鈴木副大臣、どうぞ。

鈴木(寛)副大臣 他の学年の少人数学級においては、影響を与えることはございません。

馳委員 平成二十二年度現在の加配定数は何名ですか。

 そして、この加配定数の制度を始めたのはいつで、当時は何人から始めましたか。それがわかれば、どうぞ。

山中政府参考人 平成二十二年度予算の加配定数は六万五百五人でございます。

 加配が始まりましたのは昭和四十四年でございますけれども、今そのときの数字がございませんで、ちょっとまた探してみます。

鈴木(寛)副大臣 昭和四十四年からでございまして、そのときは児童生徒支援の加配をやっておりまして、それと研修の定数加配をやっております。四十四年から四十八年の合計ということで、累計でもありますが、千七百八十七名でございます。

馳委員 加配がふえてきているというのは事実ですね。そして、その加配がふえてきているのを現場では有効に活用しているということも事実ですね。いかがですか。

鈴木(寛)副大臣 千七百八十七名だったものが、今御答弁申し上げましたように六万近くになってきているわけでありますから、ふえていることは事実でございます。

 そして、当初は、先ほど申し上げましたように、児童生徒支援と研修ということで始まったわけでありますが、一々申し上げませんけれども、八項目ぐらいの目的といいますか、そういうことに対応した加配になっておりまして、それは現場のニーズにこたえて有効に活用されていることは事実でございます。

馳委員 済みません、これもわかればで結構ですが、この六万人近い加配でどの程度常勤の教員がいるのか。そして、臨時任用もあるでしょう、非常勤ということもあるでしょう、その割合というのは把握しておられますか。

 つまり、最初千七百八十七だったものが現在六万になってきているという、この四十年余りでここまでふえてきているということは、やはり現場にとっては有効に使っているということなんです。でも、これはむしろ財務政務官に私は聞いていてほしいんですが、本来ならば教職員というのは、正規職員で生活の不安がない、六十歳まではちゃんと働けますよといって職員室にいることが望ましいことは言うまでもありません。けれども、現場の多様なニーズもあり、国と地方の財政事情もあるから、加配でうまいことやってきたわけですよ。

 本来ならば、そういう意味でいえば、先ほどから何度も鈴木副大臣がおっしゃっているように、基礎定数をしっかり確保しながら、また加配も活用するけれども、加配も常勤であることが望ましいことに変わりはないんですね。この現状を、私は、財務省が平成二十四年度、来年度の概算要求から始まって予算編成に至る過程においてしっかりと踏まえてほしいという意味も込めて申し上げているんですね。

 山中局長どうでしょうか、六万人のうち常勤はどの程度おられますか。

山中政府参考人 加配定数というのはあくまでも、文部科学省の方で各県に定数を配分する際に、これは基礎定数、そしてこれは加配ということで配分するものでございまして、そこの定数を使いましてどういう形で、先生御指摘のように、加配を活用してどういう形で使っていくかというのは、それぞれの都道府県の方の教育委員会が任命権者でございますので、県内の事情あるいはその県内の市町村の状況、そういうものを見て判断しているところでございます。

 ただ、先生御指摘のとおり、では、トータルとしての先生の中で公立の小中学校の先生が平成二十二年だと、パーセンテージで申しますと、トータルの先生の中で一五・六%、十万九千人の方が非正規教員と言われます臨時的任用、常勤の講師の方ですとか、あるいは非常勤講師の方になっているという状況がトータルの実数としてはございます。

 これが加配かどうかというのは、それぞれの県の方での活用の仕方ということでございます。

馳委員 これはやはり大臣に私はあえてお願いしたいですね。

 加配がふえてきたというのは事実ですね。私はそれは否定しませんし、いいと思います。ただ、加配で配分して現場で使われている、常勤でどの程度で非常勤はどの程度で、臨時任用、これはやむを得ない事態でありますけれども、そういった実数を把握した上で、今から言うことを私はぜひ政務三役で考えてほしいんですよ。

 教職員が指導しやすい環境という言い方で教育現場を語ることもあります。子供一人一人が学びやすい環境はどうあるべきかという見方もあると思います。そして、また違った次元かと思いますが、学力の向上、体力の向上などを指導しやすい現場づくりというのがあると思います。三点目の、これは恐らく教員の質の問題になってくると思います。

 きょうは、今、教職員の数の問題、基礎定数と加配定数の関係性で議論しておりますけれども、そういう議論をぜひしていただくためにも、実数といったものを加配についてもやはり把握しておくべきだと思うんですけれども、大臣の方に。では、どうぞ。

鈴木(寛)副大臣 委員御指摘のとおりといいますか御存じのとおり、基礎定数と加配定数、あと一部独自の、市町村独自財源というのがありますが、大枠は基礎定数プラス加配定数で総定数が決まります。その総定数が決まりますれば、そこには、どの分でということはもう色がつきません。総定数が決まった中で、今度は、任期なしといいますか、ずっと定年までの任用教員とそれから任期つき任用教員、あと非常勤講師とかありますけれども。その総定数、基礎定数プラス加配定数の枠の中で、今度は任期つきとパーマネント、これを決めていくわけです。したがって、それが、どこがどう対応しているかということは、対応関係は一対一の対応にはなっておりません。

 ただ、結局、基礎定数を超えてパーマネントを採用した場合には、その差分は、これは県で埋めなきゃいけないといいますか、県が負担しなきゃいけないことになりますから、県の採用方針としては、いわゆるパーマネントな任用というのは基礎定数の枠内といいますか数の内の中でとどめて、そして、それ以外は任期つき任用教員によってやっていくということに、総体としては採用方針にそういう影響を与える、こういうことでございます。

 したがいまして、基礎定数がふえますと、まさにパーマネントを安心して任用することができる。それが減ってしまいますと、結局、任期つきに振りかえていかなければいけないとか、あるいは、そこからこの枠が出てきますから、余裕が少なくなってきますと、あらかじめ予定をしていた任期つき任用教員の採用調整を行わないといけない。しかしそれは、採用調整をした場合には採用不安につながりますから、短期的には、任用不安を回避するためには、県単独で予算措置を講じなければいけない。ですから、加配定数と基礎定数と別の、まさに独自財源で予算措置を講ずることになります。そうしますと、十二月の二十五日の予算編成のときには予定していなかった県の予算の負担増ということで、県財政に極めて大きな影響を与えてしまう、こういう構造でございます。

 もちろん、今の御指摘を受けて、さらにこの採用の実態がどうなっているのかとか任用の実態、あるいはそういうことの詳細についてきちっと把握せよ、こういう御趣旨についてはその趣旨を体してやっていきたいと思いますが、一対一関係では把握できないという構造については委員はもうよく御存じでございますが、委員会の場でございますので、あえて御説明を申し上げました。

    〔委員長退席、松宮委員長代理着席〕

馳委員 それはそれでいいと思います。だからその上で大臣にお願いしたいのは、都道府県が自分たちの自腹を切ってでも配置した後の実態を踏まえて、加配でどの程度常勤あるいは期限つきの臨時任用と非常勤とを採用しているのかということを常にやはり踏まえた上で、政策を考える根拠の数字にしたらいいんじゃないんですかということなので、これは御理解いただいていると思います。

 そこで、いよいよ財務省にちょっと針のむしろに座っていただきたいと思いますが。

 財務省は、平成二十四年度以降の三十五人学級実現化に向けての検討基準を四つ、先般の委員会で示しました。一つ、学習成果とどのくらい関係があるのかという相関性の問題。二つ目、財政上の後年度負担に耐えられるのかという問題。三つ目、公務員人件費二割削減マニフェストとの整合性。四つ目、もう既に地方の自主的な措置で三十五人学級が相当普及しているが、その国と地方の役割分担。これは吉田政務官がおっしゃったのですが、きょうは違う政務官が来ておられますが、改めて問います。間違いありませんね。

尾立大臣政務官 お答えいたします。

 来年以降の予算編成において義務教育費の国庫負担金のあり方を議論する際の論点としては、今委員おっしゃった四つの点、これは御指摘のとおり、先般の委員会で吉田政務官から申し上げた四つの論点でございますが、おっしゃるとおりでございます。

馳委員 まず、学習成果と三十五人学級について伺います。

 一クラスの人数が少ない方が学習成果が上がると言えますか。これは文科省に聞いた方がいいですね。

山中政府参考人 学習成果というのはいろいろな意味合いがあろうかと思いますけれども、少人数学級、これは平成十三年、義務教育の標準法の改正によりまして各県で、今までは、国が決めますとそれと違う標準を県で独自につくるということはできない、こういうことでしたけれども、これをやめまして、弾力的な運用が認められたというかそれをオーケーということになりまして、多くの自治体で取り組みが進められております。

 現在、多くの都道府県で、何らかの形で少人数学級が実施されているという実態がございます。これはまさに、少人数学級に対する現場、先生方、あるいは校長先生、あるいは教育委員会、そして子供たち、保護者、このニーズが非常に高い。それにこたえて、やはり実態的にどんどん進んでいったんだというふうに思っております。

 学力と学級規模の関係につきましては、早くから少人数学級を導入しております秋田県や山形県、こういうところで、国がやっています全国学力・学習状況調査、こういう結果が学力の向上を示すといった一定の成果があらわれております。

 また、学力というのは、これを支える体力であり、あるいは、知力だけでなくて徳育といったそういう面、総体的な力だというふうに思いますけれども、秋田や山形、大阪、こういうところでは、生徒指導の面でも、不登校の子供の率が減る、あるいは欠席する子供の率が減るといった成果というものがあらわれているところでございます。

 子供の総体としての力、これが学習成果を支える大きなもとになると思いますけれども、そういうものがこの少人数学級によってしっかりと支えられているという状況も見られるところでございます。

馳委員 今の指摘は、私の質問とちょっと微妙にずれているんですよね。

 私は、学習成果と三十五人学級についてという言い方をしたんですね。今の山中局長がおっしゃったところは、分母となる全国平均の一学級は多分二十八人でしたね。そうですよね。それを一つの根拠にしながらの話をされているので、少人数学級という言い方をされましたけれども、三十五人ということでの私の指摘とはちょっと微妙にずれているんじゃないんですかということなんですよ。それは別に、何かひっかけ問題しているような話なのでこれ以上は言いませんけれどもね。

 つまり、本当に三十五人学級じゃないと学力の問題とか生徒指導の問題にこたえられないんですかということ。これは、ある意味でいえば、もしかしたら今後財務省が文部科学省に対してぎりぎりと詰めてくるときの根拠になるような話かもしれないので、ちゃんと答えられるようにしておいてほしいんですね、むしろ。

 そこで、次の質問をしますが、一クラスの生活人数は保ちながらも、算数や理科や英語など、習熟度別の少人数指導ということで十分対応できると考えていますか。

山中政府参考人 平成三年に四十人学級、これが完成して以降、その定数改善計画というものも二回立てられまして、この際はクラスサイズ、学級規模ではなくて、加配措置で議員御指摘のように、例えば小学校の主要三科目で二十人ぐらいの習熟度別の指導ができるような、そういう形での先生の、加配教員の数をふやすといった形で、それによってクラスを教科によっては二つに分けたりするという、それによってきめ細かな指導を行う、これにより学力を上げる、あるいは子供たちの勉強する意欲を向上させるという、こういう成果が上がってきたということはそのとおりだと思っております。

 一方で、各都道府県、こういういろいろな形で工夫してきました国の加配定数、こういうものも活用しながら少人数学級がほとんどの都道府県で導入されて、現在、小学校一年生では三十六の都道府県において三十五人以下学級というのが実施されているということでございます。各学校、都道府県においては少人数学級が加配定数も活用しながら進められてきたというのは、現場ではやはり少人数学級の効果というものが非常にいろいろな面で身にしみてといいますか感じられた、そういう効果が認められてきたことの反映ではないかというふうに思っております。

 ただ、これは先ほどから副大臣の方からも申し上げていますように、三十五人以下学級ということで基礎定数化することによって安定的に、計画的に教員の採用も可能になりますし、それでしっかりと土台といいますか基礎的な定数というものを押さえた上で、今のいろいろな世の中の課題、子供たちの実態に対応した形での教育を充実するための加配定数、これもしっかりと確保し充実する必要があるのじゃないかというふうに思っております。

馳委員 今の山中局長の言い方からすると、やはり小学校一年生の基礎定数を三十五人で確保すれば、実際にはさっき鈴木さんがおっしゃったように、現場は基礎定数と加配の定数をうまくあわせて割り振りしているんだから、ほかの学年の少人数指導にも有効に使っていくことができるようになるというふうに聞けるんですが、さっきはほかの学年の少人数学級に影響を与えることはありませんとおっしゃったので、どうなんでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 マイナスの影響を与えることはございません。プラスの影響を与える可能性はございます。

馳委員 さっきその答弁をしてほしかったんですね。

 次に、財務省に確認をいたします。

 そもそも、学習成果とはどういう意味ですか。学力向上の意味ですか、それとも児童生徒が学習しやすい環境のことですか、それとも教師が指導しやすい環境のことですか。お答えください。

尾立大臣政務官 お答えをいたします。

 学習の成果とはどういう意味かということでございますが、学習の成果をより効果的なものにするためには、児童生徒が学習しやすい環境をつくることや教員が授業等に集中できる環境をつくることはまず必要であると考えております。そのため、教員が子供一人一人と向き合う時間を確保していくということ、さらに子供たちの個性に応じたきめ細かで質の高い教育が実現できるということが大事なのかと思っております。

馳委員 ここの学習成果という言葉の重みについて十分高木大臣から指導をいただくように野田財務大臣に言っておいてくださいよ、わかりましたね。

 次に、財政上の後年度負担に耐えられるのかという点について伺います。

 文部科学省と財務省はそれぞれ、三十五人学級を中学校三年生まで実施するとして、その後年度負担に耐えられると考えていますか。少子化で児童生徒数の減、学級数が減ること、四十代、五十代の教職員が続々と退職するということを考えると、純粋増はそんなにふえずに何とか耐えられるような気もしますが、いかがですか。文部科学省には、昨年策定したはずの新定数改善計画の数字を詳しく示しながら答弁をお願いしたいと思います。

 まず、財務省から先にお願いします。

尾立大臣政務官 お答えをいたします。

 昨年末の大臣間合意におきまして、「平成二十四年度以降の教職員定数の改善については、学校教育を取り巻く状況や国・地方の財政状況等を勘案しつつ、引き続き、来年以降の予算編成において検討する。」とされたところでございます。

 委員御指摘のように、児童生徒数の減少に伴う自然減や、定年退職者の増加に伴う、いわゆる新陳代謝等に伴う給与単価の減も想定されることは事実かと思いますが、一方で、現下の厳しい財政事情がございます。したがいまして、今後の教職員定数の改善に当たっては、後年度負担の問題を含め、先ほど委員からもお話ございました、また吉田政務官からお話し申し上げました四点の論点について議論を深めていくことが大切だと思っております。

鈴木(寛)副大臣 ことしの一年生の三十五人をやるための、その部分だけの単年度での予算は五十億円なんですね。それで、ことしは、今も委員も御指摘いただきましたように、自然減であるとか人勧であるとかそうしたことを踏まえまして、全体でマイナスの二百七十一億円ということになります。ですから、三十五人をやらなければマイナスの三百二十一億円余りであったものが、これをやることによってマイナス二百七十一億円ということになりました。

 したがいまして、昨年八月に提言していただいた定数改善計画で申し上げると、自然減であるとか、あるいは定年退職者の増加に伴う平均年齢の低下で給与の平均単価が下がりますから、そうした財源を活用することによって、財政負担は重くならない中で基礎定数改善ということを進められるというふうに見込んでいるところでございます。

馳委員 尾立さん、聞いていましたか、今の鈴木副大臣のを。よく聞いておいていただきたいと思います。

 次に、公務員人件費二割削減という民主党マニフェストとの整合性についての見解を文部科学省と財務省に伺います。

鈴木(寛)副大臣 公務員人件費というのは、民主党のマニフェストでは国家公務員総人件費二割削減ということでありますから、これは単価と人員との見合いはということであります。御案内のように、教職員は地方公務員でございますから、このマニフェストの直接のターゲットには入らないわけではありますけれども、しかし、今の国、地方とも財政状況が厳しい中で教員についても、その精神としては、人件費を抑えながら、しかし、なお大変大事な教育でありますから、教員の質と数の拡充によって学校教育力を上げていく、この連立方程式をしっかり解いていくということだと思います。

尾立大臣政務官 お答えをいたします。

 民主党のマニフェストにおいては、今、副大臣申し上げましたとおり、国家公務員の手当、退職金などの水準、そして定員の見直しなどにより国家公務員の総人件費を二割削減すると明記されておるところでございますが、一方、地方公務員については特別な言及がされていないというところでございます。

 ただ、一般論といたしまして、国、地方を通じて厳しい財政状況でございますので、国、地方とも不断の行政改革が求められております。その中で、教職員の地方公務員の中に占める割合というのは約四割でございますので、これまた大きな事実だと思っております。

 したがいまして、今後、党の方での議論がまず先行することになろうかと思いますが、国家公務員総人件費の二割削減というものと公務員人件費のあり方、この整合性をどうとっていくかということが議論をされ、そして政府においても議論を深めてまいりたいと思っております。

    〔松宮委員長代理退席、委員長着席〕

馳委員 地方公務員の人件費というのは、多分人勧に基づいて国家公務員に準じるというふうな流れになっていましたよね。そう考えると、私は地方公務員が無傷でいいとは思っていないし、皆さんもそう思っていないと思います。私の考え方は、額よりも数、額よりも質。こういうことを考えると、涙をのんでお互いに五%か四%ぐらいずつ下げるけれども、やはり数を、質を確保しようじゃないか、そういう打ち出し方をする方が自治労の諸君や日教組の皆さんに対してもむしろ誠実な対応ができると思いますので、私はこの考え方をぜひ踏まえていただきたいと思っています。

 次に、国と地方の役割分担についての見解を文部科学省と財務省に伺います。

 私の先ほどからの主張ですけれども、加配定数を安定的に確保し、学校現場や市町村教委の要望を尊重するように融通をきかせて、その上で地方の総額裁量制の工夫に任せた方が少人数学級よりも少人数指導の実施を責任を持ってやっていただけるような気もいたしますが、いかがですか。

鈴木(寛)副大臣 先ほどもやりとりをさせていただきましたけれども、小一の少人数学級については基礎定数で、そのことによって小二以降の加配による少人数学級あるいは少人数指導というものが充実をする、そうした環境を国はつくる。その中で、各都道府県あるいは市区町村、今回自民党の先ほど御紹介いただいた御提案も、そして私どもも、書きぶりに少し法技術的な違いはありますけれども、市町村あるいは学校現場のニーズというもの、声というものをもう一歩踏み込んでもっと尊重していこうということにおいては全く方向性を共有しております。私どもが一歩ぐらいで、自民党が一・二歩ぐらいかもしれませんけれども、そこは御趣旨、方向においては全く同じ思いでございます。

尾立大臣政務官 委員御案内のとおり、今回の法案で御審議いただいている小学校一年生の三十五人学級というものは、先ほども申し上げましたように、幼児教育と初等教育のギャップを埋める、いわゆる小一プロブレムの解消を第一の目的としており、したがいまして、学級編制の標準そのものを全国的に引き下げ、教育条件の改善を確実なものにするのが適当と考え、予算措置をしたものでございます。

 ただ、委員御指摘の加配措置や総額裁量制の中での地方での自主的な取り組みというものはこれまた大事なものでございまして、それを否定するものではございませんが、先ほど御答弁させていただきましたように、小学校二年生以上の少人数学級制についての議論はさまざまな御意見をいただいておりますので、今後議論を深めてまいりたいと思っております。

馳委員 財務省は、平成二十四年度も一〇%シーリングをかけるかどうかについては、一つ、予算編成の基本理念、一つ、経費の性格、一つ、中期財政フレームと整合的な概算要求枠として設けたいと先般の委員会で答弁をされました。

 私は、負担金という性格上、憲法第二十六条の精神から考えても、明確にシーリングの対象外にすべき予算だと思います。文部科学省と財務省にシーリングの対象とすべきかどうかについての見解を改めて伺います。

尾立大臣政務官 お答えいたします。

 来年、二十四年度予算につきましては、まず、財政運営戦略に基づきまして、予算編成の基本理念や経費の性格にも留意しながら、さらに中期財政フレームというのを定めさせていただいておりますので、ここと整合性をとる形で各省庁別の概算要求枠を設定していくことになろうかと思います。その具体的な内容について、例えば、ことしでいえば一〇%シーリングというものをかけたいきさつがございますが、こういうことについてはその中で改めて議論することになっていこうかと思います。

鈴木(寛)副大臣 先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、概算要求当時おりました者として少し補足をさせていただきます。

 今回、もちろん文部科学省としては大変苦渋の基準であったことは間違いございません。ただ、その際に、七月二十七日の閣議決定でございましたが、その組み替え基準の理解といたしまして、シーリングとあわせて元気な日本復活特別枠が同じ基準の中で盛り込まれている。そして、その元気な日本特別枠は、まさにマニフェストの実現、それから人材育成に資する事業という、その中でより重要視する四項目のうちの二項目にこの少人数学級が明確に該当するということは確認をいたし、そういう中で、要求、要望ということで増額、小一、小二についての三十五人要求が可能であるという確認の中で、この基準について、当時の川端文部科学大臣は閣議メンバーの一員として御了解をされたというふうに私は承知をいたしております。

 したがいまして、シーリングだけの内容を含んだ基準ではなかったということだけ補足を申し上げて、大きな方針については、先ほど大臣から御説明を申し上げたとおりだというふうに思います。

馳委員 ことしの経緯を聞いたのではないんですよ。平成二十四年度に向けて、そもそもこの義務教育費国庫負担金、負担金という性格上も、これは絶対にシーリングにかけてはいけないとここで宣言してほしかったんです。

 経緯はわかりました。けれども、尾立政務官もぜひ御理解いただきたいのは、これは負担金なんですよね。そして、憲法第二十六条に基づく無償化に向けての国の責任の最後の一里塚みたいなものですよ。ここをシーリングにかけてはいけないんです。そして、文部科学省には、シーリングにかけるべきではないという前提のもとで、やはり、そのスタート地点を、平成二十四年度の概算に向けての姿勢を私は示してほしかったんですね。だから、大臣に答弁してほしかったんですよ。大臣、いかがですか。

高木国務大臣 鈴木副大臣からも述べられておりますように、また馳委員、教職に立たれた経験もあり、非常に詳しい立場からの御意見でございますが、私どもとしましては、再来年度においても概算要求について、義務教育国庫負担についてはシーリングにかけるべきではない、こういう姿勢を堅持したいと思っております。

馳委員 そういうことなんですよ。私は、やはりその姿勢を保った上で、同時に内閣の一員でもありますから、政府の財政の厳しさに対して正直に向き合うという姿勢も持ってほしいんですよ。私は、文部科学省として一番忘れてはいけない部分というのはやはり譲ってはいけないということを申し上げたいと思っております。

 次に行きます。

 三十五人以下学級実施に伴い必要となる教職員定数四千人について伺いますが、この四千人の都道府県への配分は現時点で決まっていますか。

山中政府参考人 この四千人の増加教員分でございますけれども、これは、各都道府県の平成二十三年度の公立小学校一年生の在籍児童数の見込み、それから現行の四十人学級を三十五人学級とした場合どれだけ学級がふえるか、こういうことに基づきまして各都道府県ごとの内訳というのを算定しているところでございます。

馳委員 四千人のうちの千七百人は加配定数からの振りかえ活用ですが、それによって東京都は加配定数が減って困ると自民党の文部科学部会で証言しております。

 紹介します。東京都は、少人数指導の有効性にかんがみ、小学校第一学年のみならず、全学年において少人数学級への転用を全く行っていないにもかかわらず、九十六人の加配定数が削減された。小学校一年生の三十五人以下学級による増員効果は限定的である。一方、加配定数はおおむね一校に一人の配置であるため、削減された学校では少人数指導が不可能となる。

 この不満にどうお答えになりますか。

山中政府参考人 文部科学省といたしましては、今の四千人でございますけれども、予算編成に当たりまして、厳しい財政状況ということも考慮して、小学校一年生の三十五人学級に必要な四千人、このうち千七百人については小学校一年における少人数学級相当分ということで、これを振りかえるということで各県に今検討していただいているところでございます。ですから、二千三百人分の定員増のための予算、これを盛り込んでいるということでございます。

 従来から小学校一年生について少人数学級を実施しているところと、それから実施していないところがございます。これは、もしその千七百人の振りかえ分というものを、今まで少人数学級をやってきたところだけ、ここは小学校一年で少人数をやってきたから、では、そこはもう減らしてしまうということになりますと、今まで一生懸命、小学校一年生あるいは二年生とか、少人数学級に取り組んできたところほど、そこのところの減る数が大きくなってしまうということがございます。

 そうなりますと、例えば先ほど先生の御指摘にもございましたけれども、小学校一年生を三十五人以下学級、国がこれを基礎定数でやろうということによって、今までは国の加配定数とか自分のところで単独で措置してやっていたところが、では、これを小学校三年の方に振り向けようというところも出てきております。

 これがどんどんやっていると、そこの加配定数がどんどんとられてしまうということになってしまうと、それぞれの都道府県で少人数学級を進めて教育条件をよくしていこうという意欲的な取り組みがそがれてしまうということにもなりかねないということも考慮いたしまして、具体的に千七百人の振りかえをどういうふうな形でやっていくのかということについては、東京都は全国の中でもこの少人数指導というのは余り取り組んでいないというところでございますので、そういうところについては、そういうことも配慮しながらこの千七百人について割り振りを今考えているというところでございます。

馳委員 九十六人の加配定数を減らされるといって文句言ったんですよ、自民党の部会で。配慮していないじゃないですか。どういうふうに配慮するんですか、東京都に対して。

山中政府参考人 例えば東京都について申し上げますと、先ほどの増加教員が四千人、これは全国でございますけれども、このうち東京都については、全体の八・七%である三百四十八人というのをこの四千人のうち措置するということを考えております。ただ、それからまたさらに千七百人を振りかえますので、その減の分が引かれるという形になります。

 ただ、これは小学校一年生三十五人学級にするというための四千人、その中に入っています千七百人の振りかえ分だけでございますけれども、さらにほかにも、東京都についてのほかの加配定数というものもございますので、トータルとして考えれば、東京都についても教職員定数措置全体は増加するということになっているものと考えております。

馳委員 何か、もごもごおっしゃっているので、余り言っている意味がよくわからなかったんですよ。

 つまり、東京都は全学年で少人数指導をやってきたと。(発言する者あり)やっていないんだよな。改めて議事録を精査した上で、ここら辺は、また金曜日に質問し直したいと思います。

 九十六人の加配定数が削減されるとおっしゃっておりましたが、山中局長は、今、三百四十八人が割り振られるので、その中で対応してもらえるのではないかということをおっしゃったわけですね。それでいいんでしょうか。

山中政府参考人 東京都についても、プラスの面とそれからマイナスの面があります。

 千七百というのは、振りかえになるものですからマイナスになってくるんですけれども、まずプラスとして四千人分、この中では、三百四十八がプラスとして東京都の方に割り振られているというところでございます。

 あと、今まで行っていた加配のところの千七百、これがどういう形で落ちついていくかというのがマイナスの方の数になると思います。これは小学校一年生の四千人分の世界の話ですけれども、これ以外にも、五万九千人ぐらいの加配定数が全国的にありますので、これを、児童生徒加配ですとか通級ですとか養護教諭ですとか、そういうトータルの、ほかの加配をどういう形で東京都の御要望に応じて全国を見ながら割り振っていくか、これもある。そのトータルで考えていく必要があるということでございます。

 先ほど申し上げましたが、東京都の場合、少人数学級を余りやってこなかったので、そこを使っていなかったにもかかわらずそれが削られるというのはおかしいのではないか、こういう御指摘だと思います。そうなると、一生懸命少人数学級を取り組んできたところ、これが多く減らされて、では、そんなことだったら、将来も、今度小学校一年ができるようになったのでこれを小学校三年に回そうとか、中学校一年に回してさらに充実しようという道府県の意欲をそぐことになってしまうんではないかということを御指摘したところでございます。

馳委員 東京都は、少人数学級はやっていないけれども少人数指導はやってきた、その分を減らされるというふうな言い方だったんですね。この点は、委員長や両理事の配慮で、多分金曜日の参考人として東京都の教育長がお見えになると思いますので、改めてお聞きした上で、またその午後の質疑でも対応させていただきたいと思います。

 さて、東京都は、以下のような証言もしています。財務省からの少人数学級二重取り批判を受け、文科省は、振りかえる加配定数の千七百人について、小学校第一学年における少人数学級への転用数相当と当初説明していた。その後文科省は、当初の説明を翻して、全国一律の削減率を全都道府県に適用することに方針転換したと。

 この東京都教育長の証言は事実かどうかを財務省と文部科学省にそれぞれ伺います。

尾立大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の東京都の証言につきましては、私どもとしては承知をしておりません。

山中政府参考人 文部科学省といたしましては、先ほども申し上げたところでございますけれども、予算編成に当たって非常に厳しい財政状況だということで、小学校一年生三十五人以下学級、これを実現するために必要な四千人、この定数をどう確保するかということをいろいろと考えたところでございます。そのために、現在小学校一年生の少人数のために使われている千七百人、これを相当分と考えまして、これを加配から振りかえていくことにしよう、それで千七百確保して、それから子供の数が減ることに伴う先生が減りますけれども、これを減らさないで二千人は維持しよう、プラス、昨年度に比べると純増三百人、こういう純増を確保して、合わせて四千人という定数を確保したということでございます。

 では、この小学校一年生の千七百人、少人数相当分というふうに考えているところでございますけれども、これを具体にそれぞれの都道府県にどういう形で振りかえ分を割り振っていくかということになりますと、先ほど御説明いたしましたように、今まで一生懸命少人数学級を進めてきたところ、ではここは少人数をやっているから加配を減らしてしまうよ、あるいは今後、一年生が国の基礎定数でできたから、では小学校二年をやろうというふうにやろうとしたところ、いや、これをもしやって来年この小学校二年が基礎定数化されたら、そこで使った加配はもうとられちゃうのということになってしまうと、やはりそれぞれの都道府県で、少人数学級を進めていこうという形で一生懸命教育条件を整備していこうというふうに前向きに取り組んでいる都道府県の方がかえってその加配がどんどん減らされてしまうということになりかねないということがございます。

 そういうことも考慮して、今回、千七百のところの振りかえ分についての、都道府県へのどういうふうな割り振りにするかということを考えているということでございます。

馳委員 ということは、千七百人の全都道府県の割り振りは、全国一律で割り振ったということなんですか、今の局長の説明を受けとめると。つまり、千七百の数字を出してきたのは、一年生相当分の少人数学級をやっているところだ。でも、これを割り振る、つまり加配から基礎定数に割り振るわけですから、その割り振るときの割り当てというのは全都道府県に一律に割り当てたというふうに今局長はおっしゃったのでしょうか。それを確認しておかないと、どっちみち教育長はあさっていらっしゃるんだからそのときに確認しますから。

 大体、文科省と東京都のコミュニケーションの問題ですよ、これは。ちょっと答弁してください。

山中政府参考人 まだ最終的な確定というのはこれからといいますか、まだ予算をこうやってやっている時期でございますけれども、内々ということでやっているのは、千七百人につきましても、少人数を積極的に取り組んでいるところが大きく減って、やっていないところは減らないということではなくて、やはりこの千七百人の振りかえ分についても、それぞれの都道府県で大体均等な形で割り振るということを前提に考えているということでございます。そういう面で東京都の方から、そういう、小学校一年生に少人数学級、三十五人以下学級とかやっていないのにそれが減らされるというのはおかしいんじゃないかというふうな声が上がっているのではないかというふうに思います。

馳委員 いや、だから、というのは、東京はやっていないから、一律に割り振ったので九十六人加配定数が削減されることになるんですよということでいいんですね。

山中政府参考人 加配定数につきましては、各県の御要望なんかを聞きながらまだ調整しているところですので、最終的に固まった数字ということではないんですけれども、そういうことで千七百人についても、四千人を大体割り振りましたような、同じような形で千七百人の振りかえ分についても割り振りをお願いしているというところでございます。

馳委員 さっきから何度も、最終的に確定した数字じゃありませんがという言い方をしますが、今週中に人事というのは大体新聞発表をされるんですよ。校長、教頭から始まって、各教員が、来週あたりかな、決まっていないはずないじゃないですか。

 だから、全国一律の一定の削減率をかけたことについての、多分東京都教育委員会としてのやはり不満だと思うんですよ。それはあると思うんですよ。だから、その不満にちゃんと現場で、そうだけれどもやはりこれは義務教育なんだから、今までやっていなくてそういったところだけ、加配だけ残しておくよというわけにはいかないんだから、それは頼むよとか、コミュニケーションの問題じゃないんですか。

 当然、今度教育長いらっしゃいますので、改めて私も問い直したいと思いますけれども、これは財務省には関係のない話ですよね。私は、この問題については、文科省としてやはり丁寧に対応してあげるべきではないかなと思いますよ。

 では、次の質問に移りますけれども、さらに東京都は、以下のように証言をされました。

 法案が成立しない場合、小学校第一学年の三十五人以下学級が実施されない一方で、加配定数の削減のみが行われることは極めて不合理である、この場合には加配定数の削減も中止すべきである、つまり、九十六人を戻してほしいという主張でありました。

 この意見にはどうお答えになりますか。

鈴木(寛)副大臣 したがって私どもとしては、この法案を提出し、その成立をお願いしているということでございます。

馳委員 さらに東京都の証言を紹介しますと、法案が三月末までに成立しない場合、四月当初の学級編制は現行法に基づき行わざるを得ない、現在でも先行き不透明なため、区市町村と学校には当惑が広がっていると。

 この証言は、三月三日時点での発言であります。文部科学省の見解を伺います。

山中政府参考人 現在、東京都を含めまして各都道府県の教育委員会におきましては、平成二十三年度の政府の予算案、それからこの義務標準法改正案、こういうものを提出されたというふうなことを受けまして、必要な教職員の確保など、既に小学校一年で三十五人以下学級を実施している都道府県、これも含めまして、小学校一年生の三十五人以下学級の実現に向けたその定数条例の議会への提出等、鋭意準備を進めているところでございます。

 また、多くの道府県におきましては、本法案が三月末に仮に成立しない場合であっても、それぞれの道府県において、小学校一年生の三十五人以下学級の実現に向けた準備を進めているというふうに今の時点では伺っているところでございます。

馳委員 では、最後の質問にいたします。

 さらに東京都の証言を紹介します。

 教員採用選考は前年度の秋に合格発表せざるを得ないことから、今回のように前年度末に事業化の成否が判明する状況はそもそも好ましくない、東京都、区市町村、学校のいずれも、教員配置や教育課程の編成など、それぞれの教育施策や学校運営計画を立案する段階では国の方針が決定しておらず、先を見通した教育施策や学校運営計画を立案できないと大層御立腹でありましたし、私もそう思いました。

 文部科学省としての見解を伺いたいと思います。

山中政府参考人 この法案を御審議いただきまして、大臣の方からの提案理由にございましたように、早期に成立させていただければ大変ありがたいというところでございますけれども、国の予算、これは複数年度予算ではなく単年度予算として編成されておりまして、これに関連する法律案、これは予算案を出されている国会に予算に関連する法律案として提出させていただいている、そういう状況がございます。

 この予算案が提出された通常国会に、予算に関連する法案としてぜひ御審議をお願いしていくということだと思っております。

馳委員 終わります。

田中委員長 次に、池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 質問に先立ち、今回の東北地方太平洋沖地震で亡くなられた方々とその御遺族に対し、心から哀悼の意を表したいと思います。

 それとともに、すべての被災者の皆様方に、今なお苦しい生活をしていらっしゃると思います。私どもは、国としてまた政治家として、それぞれができる精いっぱいのことをしてまいりたいと今強く思っているところでございます。

 私は、この未曾有の国難に際しても、ああ日本人ってすばらしいなと思い、感激したり涙したことがございます。ブログにも書きましたけれども、大臣、副大臣、政務官、ごらんになったでしょうか。被災地の小学生、中学生、高校生が、自分たちも苦しい、つらい生活を強いられている。でも、その中にあって、炊き出しを手伝ったり荷物を片づけたり、もしかしたら、その中には安否がわからない身内を抱えている子供たちもいると思います。でも、その子たちが生き生きと明るい笑顔でおみそ汁を手渡している。私はそこに日本のすばらしい希望の光を見た思いがいたします。この子供たちがいる限り日本の未来は大丈夫だ、そして、きっとすばらしい復興を遂げることができると私は思ったのです。

 そして二つ目には、原発の事故で、自分だって怖いはずです。でも、国民のために自分の命を賭して与えられた業務をただ黙々とやられていた方々、その責任感、使命感、私たちはそういう方々に支えられて今日があるということを心からその方々に感謝するとともに、私は本当に敬服いたしました。大臣や副大臣がもしそういう現場にいらっしゃったならば、どうぞ、心から感謝と敬意をあらわしていただきたいと思います。

 外国のニュースなどでも、日本人は本当にいい民族だ、冷静で沈着で、そして、不自由な中にあっても、一杯の温かいおみおつけにありがとうございますという感謝の心をあらわしている。私は、それを見たときに、日本人のDNA、これこそが、この日本に生きている一人一人の生きる力、人間力、教育力ではないかと思います。私の両親たちがあの敗戦の中から今日の繁栄を遂げてくれた、それを思うときに、必ず復興できるんだ、そういうふうに思っております。

 そういうことを考えますと、この委員会は極めて重要な意義と価値を持っている委員会だと私は思います。そういう意味では、みんな一人一人が真摯に審議をし合わなければいけないのだと思います。

 先ほど、ちょっとこの被災のことで、現場にぜひ行ってほしいという委員からの声がございました。私も同じ思いでございます。ただ、その中で、大臣が自己完結とおっしゃいましたことを私は大変に重要なことだと思っております。なぜならば、閣僚がいらっしゃれば現場の人は受け入れに大変なんです。ですから、私は総理がそんなにいらっしゃる必要はないと思うんです。だって、総理は全部をごらんになることはできないんですよ。ぜひ総理に、私は一国民として思いを大臣にお伝えしたいので、閣僚としておっしゃっていただきたいんです。

 例えば東電で三時間いらっしゃる。叱咤激励なさるんでしょうけれども、その間の三時間、東電では業務に支障を来すのです。そして、受け入れのために、本当は現場でいろいろなことをしたいのに、その準備にすごい時間を労するんです。そういうことの想像力もぜひ持っていただきたいと思います。

 おいでいただいて激励していただくこと、私だって子供たちをぎゅっと抱き締めたい、その思いは今だってあります。親を亡くした子供たちが抱き締められたらどんなにほっとするか、その思いはあります。でも、その現場のこともいろいろとぜひ想像力を働かせていただきたいというふうに思います。

 それからちょっと一点、スクールカウンセラーのことで。今、百四十四人のスクールカウンセラーを配置していらっしゃると思います。細かいことをさっき大臣がおっしゃいました、どこの県に何人かと。新潟中越地震のときはスクールカウンセラー百四十二人をすぐ配置したんですね。そのことを思うと、もうちょっと潤沢に、十分にケアをしてほしいということを思わずにはいられません。支援体制も、冷静に組織立った支援体制をぜひやっていただきたいということを私は心からお願いしたいと思います。

 それでは、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねしたいと思います。

 先日の一般質疑でも私は幾つかの各論に入って質問させていただきましたので、もしかしたら重複するところも多々あると思いますが、きょう改めて、法案が出てまいりましたので、ちょっと重なる部分もあることを承知の上で、これは政府・与党が出していらっしゃる極めて重要な法案だと思いますので、と同時に、私たち公明党にとっても、現場の人たちとともに連携しております点において極めて重要な法案ですので、きっちりと私は質疑をしていきたいと思っております。

 公明党は、教育こそが子供の幸せの原点であるという考え方のもとに、子供の個性、能力、創造性、思いやりの心をはぐくむための施策をこれまで一貫して推進してまいりました。教師が真摯に子供と向き合い、子供一人一人に対しきめ細やかな対応をすることができる少人数学級の推進もその一つでございました。

 このような、公明党が政権を担っていた時代からの取り組みや地方自治体での独自の取り組みにより、皆様も御存じのように、現在、三十五人学級については、小学校一年生では約九三%、小学校全学年でも約八八%と、既にほとんどの学校現場では実現されております。

 公明党は、この数字を一〇〇%、つまりすべての学年で三十五人学級が実現されるよう、また、活力ある教育環境の整備を促進するという観点から、昨年の参議院選挙の際にも三つの政策を挙げました。

 先回の委員会でも私は述べさせていただきましたけれども、一つ目は、「子どもたちの学力向上を図るため、教員が子ども一人ひとりに向き合う環境をつくります。そのために教職員等の増員や資質の向上に取り組みます。」二つ目は、「少人数学級やチームティーチングの導入など学校の実情にあった学級編成ができるようにします。」三つ目は、「将来のわが国を支える人材を育成するために、子どもの理科離れ対策に取り組みます。実験や観察に必要な設備などを充実させるとともに、外部人材を活用した魅力ある授業の実施など理科教育を充実します。」でございます。

 ですから、そういう意味では、政府が提出された本改正案、三十五人学級や市町村教育委員会などによる学級編制の自主性という方向性をこれは示すものと認識しておりますから、私たち公明党が目指す教育の方向性と同じであるとは考えます。その意味では一定の評価はできるというふうに考えております。

 ですけれども、目指す方向が同じでも、内容がもしそこで欠けている点があったならば、私はそれは正していただきたいというふうに思うのです。

 本改正案は、その内容において十分なものになっているとは言えないと私は思っております。

 例えば、本改正案では単に小学校一年生のみの三十五人学級の実現にとどまっておりますし、また、市町村教育委員会の学級編制に関しての自主性についても、これを十分に裏づけるだけの法律上の担保に欠けております。私はやはり、法律というのは何よりも基礎になるものだと思っておりますから、しっかりと法律に担保すべきというふうに思うのです。

 そして、このような、私が今指摘いたしました、まだほかにございますけれども、これから指摘したいような不備、これは決して看過できるものではございません。

 ですから、このままの原案では私はいいですよというふうに賛成できかねるという思いはいたしますけれども、さきの質問のときにも鈴木副大臣は、どうか立法府の方でよりよいものがあるならば、そのよりよいものをどうぞ審議なさって、そしてお出しくださいとおっしゃったことに対して、私は、やはり現場の人たち、あるいはこれから育ち行く子供たちのためにも、いいものをつくっていけたらなというふうに思っております。

 子供一人一人に対するきめ細やかな教育の実現につながり、そして子供の教育に資するものになるのかどうか、そのことについてこれから私は質問していきたいと思っております。

 前も申し上げました。私どもは、いつも学校現場を大切に、そして三千人の地方議員との連携というものを大切にしておりますので、三十五人学級の実現のためのよりよい現場からの発信ということで、公明党としての私は意見を述べさせていただきたいと思います。

 まずその一つ目に、被災した子供への対応です。

 先ほど、私どもの富田委員からも質問があり、そして大臣もお答えいただきましたけれども、今回の東北地方太平洋沖地震により著しい被害を受けた地域の公立の小中学校においては、子供の学習に対する支援を行うことや心のケアを行うことが、現在、私どもが果たさなければならない義務ではないかと思っております。このような課題に対して、国としてしっかりとした対応を示していくことが重要であると私は思っております。

 対応策としては、例えばこれに専従で対応する加配教員、これは加配ということが今回も出ておりますから、配置することなどが考えられると思います。そして特に、その被災地の児童並びに学校だけでなく、児童は、ほかの沖縄だとか関西とかに移住もいたします。その子供たち、受け入れの学校、そうしたことにも加配の教員の手だてがあったならばというふうに思っておりますが、それに対しての大臣のしっかりとした御見解をお伺いしたいと思います。大臣にお伺いいたします。

高木国務大臣 このたびの災害は、まさに国難と言えるほど非常なものでございました。今なお家族と離れ離れになって、あるいはまた肉親を失ってまさに途方に暮れておる子供たち、あるいは一方で、頑張らなきゃならぬと元気を出して、ボランティアあるいは皆さん方のお世話をしておる生徒たちの姿をいろいろテレビ報道などで見るにつけて、本当に心打たれる、また心いたたまれぬ気持ちがいたします。

 御指摘の点について、そういう子供たち、児童生徒、学生が、我が国の将来を担う人材として、この災害を乗り越えてしっかり社会人として成長するために、今、当面我々は、早く正常な学習環境が整えられるように、午前中の議論もございましたが、現行の法律で対応できるもの、いや、そうではないもの、また、予算措置でできるものとできないもの、そういうものも多々出てくると思っております。もちろん、補正予算の議論も出ております。我々としては、この災害対応、むしろこれまでのことにとらわれない、ある意味では大胆な発想も必要ではないかと私自身思っております。

 そういう中で、しっかり災害の復旧復興、そして、とりわけ教育、文化・スポーツ、科学の面における環境整備についてしっかりとしたものを打ち立てていきたい、そして皆さん方に希望を与えなければならぬ、それが我々の当然の責務だと思っております。

池坊委員 これはぜひ加配の中にこうしたことを入れる必要があると私は考えております。

 それから、この法案に至るまでの政府・与党の運営のあり方について、ちょっと私は大臣に伺いたいと思うんです。

 きょうは三月二十三日でございますよね。新年度まで残りわずかしかございません。それで、学級編制の標準の変更という学校運営の根幹に関する本改正案の審議を初めて行うというこの政府のやり方、もちろん大震災という事情があったにしても、余りに私は、地方公共団体や学校現場の実情を無視し、また、いたずらに混乱させるものではないかというふうに考えております。

 教育委員会の方々、学校現場の教職員の方々は、本改正案が成立するのかどうか、やきもきしながら見守っているはずです。このような、地方公共団体や学校現場の方々に迷惑をかけるようなやり方は、私は運営上やるべきではないというふうに思っています。

 このやり方はやはり現場を尊重していないということになるのではありませんかということを、大臣、私も限られた時間でございますので、ちょっと的確にお考えを伺いたいと思います。

高木国務大臣 この少人数学級につきましては、昨年以来、中央教育審議会の提言など、また、多くの学校関係者の皆さん方の要望も踏まえて、私どもとしては、ぜひ少人数学級の実現を果たしたいということで議論をしてまいりました。そして、予算編成時期においては、残念でございますが、小学校一年ということになりました。

 当然にして、予算の裏づけとなる、根拠となる法律案についても同時に提出をさせていただきました。もちろん、ねじれ国会という厳しい現状の中でこれを通していくためには、与野党の枠を超えた、まさに熟議と言われる議論の中で最良の結論を求めるということが私たちの大きな仕事でございますけれども、そういう時期に、またこの災害ということも重なりました。

 特に、年度末あるいは年度初め、そういう意味では、卒業式や入学式を間近にしたこの折に、現場としては非常に大変なことでございましょうけれども、ひとえに、子供たちのことを考えると、何とか御協力いただきながら議論もしていただければと、このように思っております。

池坊委員 私はいつもこの委員会で申しております。法律をつくること、でも、現場の人たちがそれをどのようにして受けとめるのか。混乱を招いたり、それからやきもきしたり、そういうことがないような法律であるべきではないかと私は思っておりますので、これからもどうぞそれは心していただけたらというふうに思います。

 それで、三十五人学級の導入です。何かしつこく申し上げるようですけれども、今、九三%で小学校はもう三十五人学級、小学校一年生はやっております。民主党はこれをマニフェストに掲げていらっしゃいます。でも、私ども公明党が政権を担っていた時代からそれは取り組んでまいりました。そして、地方自治体の皆様の真摯な取り組みがあるんです。国は七一%ですか、あとの二〇%は、地方自治体が自分たちが率先してやっているということをどうぞ御認識いただきたいと思うんです。

 そのような状況の中で、小学校一年生についてだけ三十五人学級とする本改正案を提出なさった。それはどういう御意思だったのか。それからまた、小学校一年生だけを三十五人学級にすれば、二年生に進級するときにはどうするんでしょうか。クラスがえが必要になるかと思います。現実的な障害が生じることもあるのではないかと思いますので、あわせて、大臣の御見解を、あるいは副大臣の御見解を伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 法案の中では、予算編成過程上の中で、先ほど来御議論になっておりますように、なかなか厳しい財政状況でございましたので、全学年について明確な形で法案に位置づけることはできませんでしたが、小学校二年生から六年生そして中学校について、順次その改定ということについて検討するということは附則の中で盛り込ませていただいたところでございまして、方向性としては、小二以降についても手当てをしていく、こういうことでございます。

 ただ、予算上の観点、理由から、現在お出ししているような法文になっているということでございます。

池坊委員 私は、先ほども申し上げましたように、一〇〇%になることが好ましいというふうに考えております。ですから、今九三%、では七%はもう切り捨てていいのか。教育はそういうものではないと思います。

 すべての人がなってほしいというのは私の希望であります。ですけれども、一年生だけやったらいいということではありませんよということは、再度、私たちの努力で一年生までできたんだから、では、それをさらにどうなさるおつもりかということはぜひ御努力いただいて、本来的なら提出していただきたかったなという思いがございます。

 本改正案ではその附則で、「公立の小学校の第二学年から第六学年まで及び中学校に係る学級編制の標準を順次に改定すること」と、「その他の措置を講ずることについて検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。」と規定されておりますが、今申し上げたような中長期的な見通しについては、具体的に一切示されておりません。少人数学級など、教員が子供一人一人に向き合う環境が必要とされているのは何も小学校一年生ではございませんということは、先回も今も口を酸っぱくして申し上げているところでございます。

 学級編制の標準の順次改定を実現するための、現段階において政府が考えているタイムスケジュールはどのようなものなのか、明確に御提示願いたいと思います。あわせて、その実現に必要となる予算の額、また、その財源をどのように確保なさるおつもりなのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 昨年の八月に御提言をいただきました。そこでは来年度は小一、小二ということでございましたが、それが小一ということになりました。なので、その計画をそのまま実行するということになっておりませんので、これは改めてその方針を立て直さなければいけませんけれども、まさに、速やかに全学年にわたっての三十五人以下学級を実現するそのための計画をまたつくり直していかなければならないということでございます。

 何年でやるかということについては、もう一度その議論をし、そして、結論を得てやってまいるということでございます。

 それから、では幾らぐらいかかるのかということでございますけれども、小学校、中学校全学年で三十五人以下学級を実施した場合には、四万人の教職員定数の改善が必要になります。これは今の前提ということでございますが、約九百億円ということになります。

 では、その九百億円の財源はどういうふうに確保するのかということでございますけれども、これは、児童生徒数の減少に伴う定数のいわゆる自然減、それから、この十年で今の教職員集団の三分の一が定年退職になります。そのかわりに比較的若い世代の教員が、中途もありますけれども入ってまいりますから、平均年齢が下がります。そうなりますと平均給与も下がります。

 これらの自然減と平均給与水準が下がっていくということを勘案しますと、現状よりは追加的な財政投入ということはない形で何とかできないだろうかということで、この少人数学級の推進とそして厳しい財政状況、この二つの課題を、まさに連立方程式ということをさっき申し上げましたけれども、それを解いていく、こういうことだと思います。

池坊委員 公明党といたしましては、文部科学省の一〇%のシーリングなんかを見ておりますと、何かいつも財務省に押し切られているのじゃないか、もっとしっかり確保するべきことは確保しなければ、何をこの日本の未来のために考えていらっしゃるのですかというふうな気持ちになっておりますので、少なくとも、本改正案の附則に安定した財源の確保に努めるという文言を加えて、安定的な財源の確保を担保することを明記すべきであるというふうに考えておりますが、大臣、一言、これに対してはどのようにお考えですか。

高木国務大臣 池坊委員の御指摘のとおりに、この少人数学級の実現については、公明党としても、義務教育、小学校、中学校まですべてを目標にしておるということは十分承知をいたしております。私どももそのようなことを当然目指しておりますが、残念ながら、昨年末の予算編成の最終的な場面では、小学校一年のみにとどまった結果もございます。

 しかし、再来年度に向けてもしっかりこのことが定着できるような、そういう強い気持ちを持って取り組みを進めてまいる覚悟でございます。

池坊委員 文部科学省はいつも財務省に何か押し切られているという感じがございますから、こういうとき、法律をこういうふうにしっかり書くと、何か財務省はそれは待ってくれとかやめてくれとか言うこともあるかと思いますが、それはしっかりとお書きになっていただきたい。私ならば書くというふうに申し上げたいと思います。

 それから次に、必要かつ十分な数の加配教員の確保です。

 政府からの説明によると、小学校一年生の三十五人学級を実現するために、既に地方自治体で少人数学級に使われている加配定数千七百人程度を基礎定数に振りかえるということでございます。しかしながら、加配教員を削減することで、加配教員が担ってきました通級指導、少人数指導、習熟度別指導などがおろそかになるのではないかと私は懸念するんです。そういう意味では、私は加配定数の削減は避けるべきであると思っております。

 そこで、こうした教育の充実を一層図るために、加配教員については、必要かつ十分な数を確保すべきという趣旨の規定を本改正案にも加えるべきと考えております。大臣いかがですか。

高木国務大臣 私どもとしましては、安定性、確実性の見地からも、法律で担保できる基礎定数をまずはしっかり確保するということが一つ。同時に、加配定数というのも、それぞれ地域の事情にかんがみて制度として今日までやってまいりました。そういう意味では、それぞれの地域の実情に合ったという柔軟性というのは高く評価をしていいのではないかと思っております。したがいまして、こういう役割を果たしておるものを我々はやはり引き続き確保していかなきゃならぬと思っております。

 特に、少人数指導あるいは習熟度別の指導など、指導の工夫の改善、あるいは発達障害のある児童生徒への通級指導、こういったことについての加配措置について、これは来年度予算においてもしっかり確保していく。加配措置につきましては、今後とも、教育上の必要性を見きわめながら進めてまいりたいと思っております。

 御提案については、十分私たちも頭の中に置かなきゃならないと思っております。

池坊委員 今、前向きな御答弁をいただきましたが、私はやはり、しっかりと政令で、あるいは法律でしっかりと担保しなければいけないというふうに考えております。

 学校現場では、子供たちのさまざまな個性に柔軟に対応する教育の充実が今まさに求められております。その中で、加配教員が配置されている条件は義務標準法に明記されたものに限られているわけですが、政府は、ここに明記されている条件だけで十分とお考えでしょうか。

 例えば、特別支援学級や、主に聴覚障害者である児童生徒が通う特別支援学校以外の特別支援学校でその児童生徒に特別な指導が行われている場合、あるいは、小学校において専科教員が必要とされる場合などでも加配教員の配置を認めるべきだと私は考えております。

 例えば小学校において専科教員がいるということは、先ほど理科教育などで私申し上げましたように、子供たちが理科を好きになる大きな条件でもあるんですね。だから、専門性を有する教員が必要であると思いますし、また、特別支援学級、みんな心配しておりますが、この三十五人学級にする、だけれども、特別支援学級がそのしわ寄せで片隅に追いやられてしまうのではないか、そういうことがないようにというような声が聞こえてまいりますので、それについて大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 この加配措置につきまして、特別支援教育関係では、平成二十三年度予算案において、小中学校などにおける通級指導実施のための加配定数を四千三百四十人、特別支援学校における特別支援教育コーディネーターを四百一人計上しております。また、小学校における理科の専門的指導については、これに直接対応する加配措置はありませんが、基礎定数や加配定数の活用によって、特に、高学年における理科専門教員の配置が取り組まれております。

 文部科学省としましても、加配措置を含めて教職員の配置適正化については、今後、教育上の必要性を見きわめて、十分その点については検討してまいりたいと思っております。

池坊委員 教職員定数の算定に関する特例の中にぜひ私は、特別支援学級並びに専門性を有する教育、いろいろな教育の状態をかんがみて、そういうことも入れていただけたらというふうに思います。

 それでは次に、質の高い教職員の育成及び確保についてお伺いしたいと思います。

 先回も申し上げましたように、教職員の数だけ充実させていたらいいというものではありません。子供一人一人の個性を大切にした、きめ細やかな教育をしていくには、まず、教員の質の問題、内容があるのではないかと思います。質の高い教職員の育成と確保が同時に求められていきます。いい先生と出会ったとき、子供たちは本当に目覚め、そして自分の目標を持つことができます。その逆も言えるのです。

 質の高い教職員の育成と確保について、例えば研修制度を拡充させる、教職員、退職教員などを再雇用する、外部人材を積極的に活用するといったさまざまな方策が私は柔軟的に考えられるのではないかと思っております。

 政府としては、今後そのような柔軟的な取り組みを考えていらっしゃるのかどうか、それをちょっと伺いたいと思います。

山中政府参考人 委員御指摘のとおり、質の高い教職員の育成、確保、そのためには、数の確保だけではなくて、研修を重視する、あるいは外部の人材、これをしっかりと活用する、そういう取り組みが非常に重要であるというふうに思っております。

 現在、中教審の中でも、教員養成の修士レベル化、そういった教員養成課程の教育をしっかりとやるんだということ、あるいは専門免許状制度、これをつくって、現職の先生方が意欲を持って研修に励み資質向上に努めていく、そういう環境をつくっていく、あるいは外部人材活用のために、柔軟な免許制度のあり方、そういうふうな、御指摘のような観点からの検討を進めているところでございます。

 このような中教審の審議内容も踏まえつつ、制度が変わらなくてもすぐに取り組めるところは取り組んでいくという積極的な姿勢で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

池坊委員 随分前、数カ月前になると思いますけれども、教員の質の問題について、研修制度のあり方について私質問したときに、鈴木副大臣が、研修制度はもう一度抜本的に何か考えて、より充実したものにしたいというふうにお答えになったと記憶しております。

 三十五人学級ということをお出しになりましたけれども、同時に、教員の質、それから、子供たちの本当に内容を上げるためにはどうしたらいいか、そういうソフトの部分、教育というのは、教員の数もさることながら、本当はそのソフトの部分が私は大切というふうに考えておりますので、私もたくさんの思いがございますので、ぜひそういうことに対してきめ細やかな政策をともに打ち出していけたらと思いますので、政府もしっかりと対応していただきたいと思います。

 学級編制の弾力化についてお伺いしたいと思います。

 今般の法改正を行わなくても、総額裁量制のもとで市町村教育委員会がある程度弾力的な学級編制を行うことは法律上可能ではないかと考えております。

 では、実際に都道府県教育委員会が定めた学級編制の基準と異なる学級編制を行っている市町村はどのぐらいあるか、大臣、御存じでいらっしゃいますか。ちょっと教えていただきたいと思います。

高木国務大臣 平成二十二年度では六十四市町村で、県の学級編制基準を下回る独自の少人数学級が実施されております。

 今回の法改正においては、市町村教育委員会が地域の事情あるいは学校の状況に応じて弾力的に学級編制を実施できるようにするために、都道府県教育委員会が定める学級編制の基準を標準としての基準とすることにしております。

 また、市町村教育委員会が学級編制を行う際の都道府県教育委員会への同意を要する協議を廃止をして、事後の届け出制とすることにしております。

池坊委員 今の大臣の御答弁を伺っていると、都道府県教育委員会が定めた学級編制の基準と異なる学級編制を行っている市町村は極めて少ないということだと思いますが、それでよろしいのですか。そうでございますでしょう。多いんですか。

高木国務大臣 六十四市町村でございまして、全市町村からすると少ないと思っております。

池坊委員 つまり私が申し上げたいことは、今おっしゃるように六十四しかないということは、たとえ都道府県教育委員会が定めた基準を従うべき基準から標準とする法改正を行ったところで、十分な効果は期待し得ないのではないかと私は考えているんです。

 ですから、私は市町村が主となるべきであるというふうに考えておりますので、実態を考慮して、勘案して定めるべきというようなもの、一言が必要だというふうに考えておりますが、大臣はいかがでしょうか。

高木国務大臣 したがって、今まではそういうことが法的に根拠としてなかったわけでございます。今回そのようなことを法律としてしっかり書けば、私はこの六十四の市町村はかなりふえてくるのではないかと、このように思っております。

池坊委員 つまり、市町村教育委員会がその設置する公立の義務教育諸学校の学級編制を行うに当たって、当該学校の児童または生徒の実態などを考慮することを明記するべきだというふうに私は考えておりますが、いかがでいらっしゃいますか。

鈴木(寛)副大臣 立法府での御議論ということだと思いますけれども、そうしたことが法律上明記されれば、より現場の市町村は、私どものやろうとしていること、あるいは委員の目指していることは同じだと思いますが、そのことが法律を読んだだけでより明確に市町村などに理解をされるというふうなことにはプラスではないかなと思います。

池坊委員 そうなんです。私が申し上げているのは、多分お互いに三十五人学級ということで目指す方向が一緒でも、それが使い勝手が悪いと、その目指している頂点は一緒でも、現実には現場の人たちが使えない。それじゃ意味がない。だから、やはり使い勝手がいいように、より現場の人、特に市町村の教育委員会とか学校現場が、ああいいね、ああ、これは子供たちと向かい合うときにこうしたい、ああしたいとかいう学級編制の弾力化を自主的に持てるようにしたい。そういう方法がもう私は必要であるというふうに思うんです。

 ですから、きめ細やかな政策でそういうようなこともきっちりと担保したら、やはり現場の人たちが困らないのじゃないか。ざっくりしておりますと、現場はどうしていいかわからないで右往左往する、あるいはそのままで改善がされないということをたびたび見ておりますので、ぜひ私はそうしていただきたいというふうに思います。

 それから、事後届け出制への変更などなんですけれども、政府は、市町村教育委員会による学級編制の弾力化の法的な担保として、先ほど申し上げましたように、都道府県の教育委員会の定めた基準を従うべき基準から標準とした、事前協議を事後届け出に変更したということを言っていらっしゃいます。

 私何度も申し上げますが、しかしながら、都道府県教育委員会が教職員の定数を配分する権限を持っている以上、市町村教育委員会が学級編制を行うに当たって都道府県教育委員会の顔色をうかがうというのが現実なんです。だから、今般の法改正によっても結局余り変化がないのではないですかと。現場が余り変わらないような法改正であってはならない。やはり、現場が変わるようでなくてはならないと思うんです。

 教職員定数の配分に関する大きな枠組みは変えないまでも、都道府県教育委員会は、弾力的な学級編制を行ったあるいは地域特有の事情があるなどといった市町村教育委員会の意見を聞いて、これを十分に尊重して教職員定数の配分を決定するということを法的に担保すべきではないか。

 私は、やはり法律に担保されているというのは大きいと思うんですよ。ですから、それが基礎になるというのが私の根本的な考え方でございますので、それについては大臣はどう考えていらっしゃいますでしょうか。

高木国務大臣 今回、私どもはそのようなことを法律として担保しようとしております。ただ、同時に、教育委員会に周知徹底を図ることも重要でございます。

 その上で、よりしっかりした法的な担保をとるべきだという御意見があることは承知をしておりますが、これについては、これからの御議論の中でそれぞれ協議されるものではないかと、このように思っております。

池坊委員 大臣がおっしゃるように、周知徹底は極めて重要だと思います。それこそ、過疎にあっても離村にあっても、学校現場が周知徹底というのは私は必要だと思います。けれども、その周知徹底をするべきもとになるのは何かと申し上げたならば、それはやはり法律なんです。基礎になるものにしっかりと書かれていなくて周知徹底してもそれは周知徹底にはならないというふうに思いますから、私は、法律をしっかりと書くべきというふうに申し上げているのです。

 それで、三十五人学級についてどうしてこういうふうになったのか、一年生、二年生。これは、平成二十三年度予算案の予算編成の大詰めを迎えた平成二十二年十二月十七日に、玄葉国家戦略担当大臣、野田財務大臣、そして高木文部科学大臣の三大臣によって、義務教育費国庫負担金についての合意がなされましたよね。そのことによって、平成二十三年度予算案と本法律案においては、三十五人学級について小学校の一年生のみ実施しようということが決められたわけです。

 その結果、八月の概算要求において、文部科学省が策定した新教職員定数改善計画の中で挙げられた小学校二学年の学級編制に係る標準の引き下げについても、見送られました。「平成二十四年度以降の教職員定数の改善については、学校教育を取り巻く状況や国・地方の財政状況等を勘案しつつ、引き続き、来年以降の予算編成において検討する。」となっております。

 この「検討する。」私、前も申し上げたかもしれません。本当に検討ぐらいわけわからないものはない。大概、検討と言うときには、なされないことが多いときに検討というのが使われるのではないかと思います。

 言うまでもなく、先ほども申し上げましたように、日本人というのはすばらしいDNAを持っている。それはDNAだけでなくて、人間力、教育力、生きる力、それらすべては、やはり日本人の先達の人々が、自分は御飯は食べなくても子供にだけは教育をさせたいとそう願った。それが、学制が明治三年ですか四年ですか、しかれる前から、それぞれの場において寺子屋だとか藩校だとか、それぞれの環境において教育にだけは力を注いできた。そのDNAが今も生きているから、今日も、このような未曾有の国難に遭っても、日本は必ず復興を遂げることもできると信じられる核が私はあるんではないかと思うんです。

 それなのに、これはどうなっちゃったんですかというのが私の心配事でもございます。

 この合意にございます平成二十四年度以降の教職員定数の改善を、来年以降の予算編成においてはどのような理念のもとで検討していこうと考えていらっしゃいますか。大臣並びに副大臣にお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 災害の状況下での日本人のすばらしさについて御紹介もございました。私も同感でありまして、今日、我が国が世界の中で一定の存在感を示し、そして信頼をされる、これは、先人の教育にかける熱い思い、このたまものだと私も思っておりますし、また、現在、我々がこのような立場におる状況の中で、そういったことにこたえて、まさに人づくりは国づくりだ、そのような中で、厳しい財政状況にかかわらず、二十年後、三十年後の我が国を支える人材の育成についてはやはりしっかりした財政措置を図る、こういう思いを私は今でもしております。

 昨年の暮れの三大臣の会合におきましては、ある意味ではじくじたる思いでございましたけれども、再来年度、平成二十四年度の予算の編成においては、願わくばそういうものが貫けるような、そういう思いをしております。

鈴木(寛)副大臣 ただいまの大臣の御意思を私も一生懸命支えながら、実現に全力を挙げてまいりたいと思います。

池坊委員 さっき私、DNAと申し上げましたけれども、それは形成されていくんですよ。少なくとも先達の人々、あるいは受け継がれてきた、努力をしてきた。だから今日があるので、放置したらいいものはなくなっていくんですから、ここでしっかりと教育に対しては私たちは心を一つにして、財務省も強いでしょうけれども、そうではないということを言い張っていただきたいと思います。

 義務教育における国と地方の役割についてちょっと伺いたいと思います。

 平成十八年に教育基本法が改正されましたが、第五条で「国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。」と規定されております。

 本法律案においては、「市町村の設置する義務教育諸学校の学級編制に関する都道府県教育委員会の関与の見直しを行う」として、学校の設置者が学級編制を行う際に従うべき基準から標準としての基準にするとし、さらに、市町村教育委員会から都道府県教育委員会への同意を要する協議の義務づけから事後の届け出制、さっきもずっと質疑してまいりました、ということになってまいりました。

 このような規定とすることによって学級編制の権限を基礎自治体に移譲することとなり、市町村費で教員を任用するなどして、より多くの市町村で少人数学級を進めることができるようになりますね。

 しかし、一方では、市町村費で教員を任用し、少人数学級を実施することのできる市町村は財政的に豊かなところに限られることが予想され、学級編制に関する市町村の取り組みには市町村の財政力によって差が生じるおそれがあるのではないかというふうに私は懸念するんです。

 国全体として義務教育水準の維持向上も求められる中、市町村の財政力によって地域の差が出ることに関しては、文部科学省としてどう考えるのか、長期的に見てどういう影響が起きるのか、そして、そのことに対してどのような対処をしていこうと考えていらっしゃるのか。

 つまり、七%残っていましたね、三十五人学級ができていない。できていないということは、市町村の財政力がなかったということでもあると思うんです。だから、そういう人たちも今回の法律ですべてできるようにしましょうということだと思います。

 私は、学級編制その他のことにおいて市町村が自由に自主性を持って取り組むことを大変に好ましいと思っておりますが、そこで大きな格差が生まれないようにすることも必要ではないかというふうに考えておりますので、それに関して文部科学省が何か考えていることがあるか、副大臣、お願いいたします。

鈴木(寛)副大臣 まず、市町村の格差の前に、都道府県の財政力の格差がございます。それによって、財政力の充実していない県においては、加配を手を挙げるのかどうかということをやはり考慮せざるを得ません。もちろん、多くの県において、それでもやろうという非常に意志強く頑張っていただいている県知事あるいは県議会の皆様方には私は大変敬意を表するわけでありますけれども、まずその問題がございます。

 したがいまして、都道府県の裁量によって左右されてしまう加配定数ではなくて、まさに国がきちっと一律に措置する基礎定数化することによって九三%が一〇〇%になります、こういうことであります。

 そして、前段お話しのございました市町村の弾力性というところは、もちろん、御指摘のように、市町村の独自財源による独自定数というものもございます。しかし、それの効果よりも、県からもらったと言うとおかしいんですけれども、市町村に配分した定数の範囲の中で、市町村の中に学校も幾つもあります、学校ごとの実態あるいはその市町村の実態に応じて、その定数の使い方を、市町村が現場のニーズに応じて独自にやれる幅というものを今回大いにふやしていこうという話が大きいということです。

 もちろん、御指摘のありましたように、加えて、独自の財源の問題がございますけれども、これはだから、基礎定数でもって定数を確保して、それを市町村に渡してその運用の話ということでございます。

 いずれも大事な観点だとは思っておりますけれども、そういうことでございます。

池坊委員 極めて重要というか、大切な問題であると思います。市町村が弾力性を持って自由に自主的に運用できるように、だけれども、そこにおいて、都道府県において格差を生まないような配慮を国としてもやるべきではないか。そのやった後で、でも自由に使えるようにするべきではないかというふうに私も思っております。

 この少人数学級や少人数指導の重要性というのは、先ほども申し上げましたように、私ども公明党が一貫して主張して今日を迎えてまいりました。私ども公明党は、このことに対してはたくさんの意見もございますし、また勉強も研究も積み重ねてまいりました。本改正案がその方向性が私どもが考える教育のあり方と同じということであれば、これをよりよいものにしていく、そのためのきめ細やかな制度設計をしていくことが大切になるのではないかと考えております。

 政府が提示された本改正案について立法府の場において私どもの意見が反映できるかどうか、行政府にも考えていただき、子供の幸せをともに考えていけるようでありたいというふうに考えております。

 私は、何度も申し上げるようですが、制度設計というのはきめ細やかにするべきだと思います。その制度設計をきめ細やかにできるかどうかということが、この法案の魂を入れるという部分で一つ大切なことであるということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 義務教育標準法の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 今回の義務教育標準法の改正は、一九八〇年以来実に三十一年ぶりに、これまでの四十人学級から小学校一年生に限って三十五人に引き下げるものであります。我が国も少人数学級にやっと向かう、これは本当に感慨深いものがございます。残念ながら、その一歩が極めて小さいものであり、国民の願いや教育現場の願い、世界の流れからほど遠いものである、このことは言わなくてはなりません。その意味で幾つか質問をしたいと思うんです。

 世界では早くから少人数学級が実施されております。そこでまず、世界の少人数学級の現状をお伺いしたい。中央教育審議会の提言で資料として紹介されたもので、ひとつ世界の少人数学級の現状を述べていただけますか。

高木国務大臣 世界の少人数学級の現状ということでございます。

 平成二十二年七月の中教審の提言において、学級規模の諸外国との比較についてでございます。まず一番目には、一学級当たりの児童生徒数は、OECD平均が二十人程度であるのに対して我が国は三十人前後であること、二つ目には、三十一人以上の学級に在籍する児童生徒は、イングランドで一割程度であるのに対し、日本の小学校で五割以上、中学校では八割以上であることから、我が国の学級規模は国際的に見て依然として大きいということを指摘されております。

宮本委員 こういう国際比較の図表が中教審の提言についておりまして、アメリカ・ケンタッキー州の場合、一年から第三学年二十四人、四学年二十八人、イギリス一学年三十人、あるいはドイツ二十四人というように紹介をされているわけですね。

 それで、アメリカの場合は各州で違いがありまして、カリフォルニア州では、小学校第三学年まで、二十人以下のクラス編制になっております。カナダのオンタリオ州では、小学校一年生から三年生まで、一クラスの生徒数を二十人としております。世界の流れは、二十人台から少なくとも三十人以下というのが、大体、諸外国の今や常識になりつつある。

 先ほども大臣は、このテーマは長い間議論されてきたというふうに答弁でおっしゃいましたけれども、私はこの法案審議に当たって、三十一年前、八〇年の改定当時の会議録をもう一度ざっと読んでみました。

 その中で、私どもの大先輩である山原健二郎議員は、「日本の文部省としては四十人とおっしゃる気持ちはわかりますけれども、」このとき四十人に下げるときですから、「わかりますけれども、四十人は適正な規模ではないということは国際的な通念だ」と指摘をして、そして、次のように述べているんですね。WCOTP、これは世界教職員団体総連合の略称ですけれども、この総会においてウィルヘルム・イーバートという会長が言っているのですが、「四十名の群と、二十名の集団の間には雲泥の差がある。この相違はゆきとどいた教育と、名前も認定できないほど多数に対する教育、参加することにだけ意義を認める教育の相違である。群(四十人)の中でまわりの子どもに話しかける子どもは授業を妨げ懲罰を受けるが、適切な大きさの集団(二十人)の中でまわりに話しかける子どもは相互に影響し合い、はげまされる。」という話を紹介して、さらなる少人数学級を目指すべきだとこのときにも主張しています。

 そして、当時、世界の趨勢は、西ドイツ二十人前後、イギリスが三十人前後、ソビエトが二十五人、スウェーデン二十人から三十人という話をこの中でも紹介しております。当時でさえ、世界は、一学級の学級規模は二十人台に向かおうという時代だったわけですね。

 我が国では、その後、ここでイーバートが言う、集団ではなく群れと呼ばれる四十人学級が三十一年も続いてきたわけです。こういう状況のもとで教職員は悪戦苦闘してきたことになります。

 その結果、一学級当たり児童生徒はどういう状況になったか。OECDの参加国中、非常に低くなっているわけですけれども、改めて、OECD参加国中、一学級当たりの子供の数は何位になっているか、そしてOECDの平均は何人か、お答えいただけますか。

高木国務大臣 我が国の一学級当たりの児童生徒数は、二〇〇八年において、小学校で二十八・〇人、中学校で三十三・〇人であります。OECD参加三十二カ国中、小学校では三番目、中学校では二番目に多いという状況です。

 我が国においては、平成三年に四十人学級が完成して以降、いわゆる加配措置によって、主として少人数指導あるいは習熟度別指導などが行われておりまして、そういう意味ではきめ細かい指導を学校の取り組みとしております。

 文部科学省としては、さまざまな学校教育上の諸課題に対応して質の高い教育をするためには、昨年の七月の中教審の提言も踏まえ、今回、三十五人学級の制度化によって、学習指導の基盤である学級の規模そのものの縮小を図ることにした。また、少人数指導のための教職員の定数、いわゆる加配措置でございますが、引き続き措置をするということになっております。

宮本委員 述べたように、小学校で第三位、三番目に子供の数が多いと。韓国、チリ、日本の順になっておりますね。

 それで、今大臣が述べられた中央教育審議会初等中等教育分科会が、昨年七月の提言で、学級規模の諸外国との比較について述べております。この中教審の提言でどのように述べておりますか。

高木国務大臣 少人数学級の推進については、児童生徒の一人一人に目が届く、よりきめ細かな指導に一定の効果を上げている、こういう御指摘もございます。

宮本委員 そこではなくて、諸外国と学級規模を比較した場合、どのような指摘がされておりますか。もう一度ちょっと。

高木国務大臣 中教審の提言では、三十五人以下に学級の規模そのものを縮小する、少人数指導等の教職員定数については引き続き措置をする、こういうことを私たちとしては対応しておるところであります。

宮本委員 中教審の提言でも、我が国が諸外国と比べて極めて少人数学級がおくれているという指摘がされているわけですね。

 それで、国の責任で三十人以下学級など少人数学級の実施を求める請願署名というものも、毎年、これはもうたくさんの、党派を超えた議員が紹介議員となって国会に届けられてきました。二十二年間で、この累計は四億筆を上回ったと。二十二年分ですよ、二十二年分を足し合わせると四億筆を上回った。国民の声、教育現場の声は、少人数学級を何としてもという願いが圧倒的ですね。

 しかし、これは三十一年間おくれたわけですけれども、まず、基本的なことを聞きますが、なぜこのように少人数学級に踏み出すのがおくれたんですか。

高木国務大臣 これにはいろいろな理由があるかと思っておりますけれども、やはり大きくは財政的な理由ではないかと思っております。

宮本委員 絶えず財政的な理由というのは出てくるわけですけれどもね。

 実は、この三十一年前の会議録を読んでも、同じことを、全く同じ、財政的な理由だと。財政的な理由を理由にしていたら進まないんだという議論がやられております。

 それで、国の実施がこのようにおくれたために、地方自治体で少人数学級の取り組みが既に始まっております。一九九八年に長野県小海町で三十五人以下学級が始まり、二〇〇一年度から都道府県レベルでの少人数学級の実施が可能となり、秋田県、山形県で少人数学級が始まり、全都道府県で何らかの形で少人数学級が実施されて、今や、ないのは国の制度だけということになりました。

 このような少人数学級の実施によって少人数学級の教育効果は確かに生まれてきている、先日予算委員会でもそのことをお伺いして、大臣にも御答弁いただきましたが、改めて、少人数学級の教育的効果についてお答えいただけますか。

高木国務大臣 現在、すべての都道府県において何らかの形で少人数学級というのは取り組まれており、児童生徒、保護者、学校現場からも一定の評価を得ているものと私は思っております。

 文部科学省として把握しておるデータでは、他の県に先駆けて少人数学級を導入している秋田県や山形県においては、全国学力・学習状況調査の結果において学力の向上が見られる。一定の成果があらわれているものだと思っております。また、大阪府や山形県では、少人数学級の導入後に不登校やあるいは欠席率の低下というデータが見られた。

 したがいまして、我々としましても、一人一人に目が届く、よりきめ細かな指導ができる、そういう一定の効果はある、このように思っています。

宮本委員 秋田県、山形県でそういう効果があらわれたと。

 ところで、秋田、山形の少人数学級の学級規模は一クラス何人になっておりますか。

高木国務大臣 秋田県では、小学校一、二年生及び中学校一年生において、学年二学級以上の学校で三十人程度学級を実施しております。また山形県では、小学校の全学年、中学校の一、二年生において、児童生徒が六十七人以上、学年が二学級以上の学校で、市町村教育委員会からの要望に基づき、二十一人から三十三人学級を実施しております。

 なお、公立小中学校のいずれかの学校で三十人学級を実施しているのが十三県、そして三十一人から三十四人学級を実施しているのが五県、合わせて十八県となっております。

宮本委員 その効果が上がっている山形県、秋田県では、三十人程度の学級、三十人学級なんですよね。今、十三県が三十人学級を実施しているという話もございました。ですから、三十五人ではなくて三十人学級というものの効果が、これらの調査結果からも、実態からもはっきりと示されているというふうに思うんです。

 日本でも、学級規模が生徒の家庭学習の取り組みの変化に与える影響という調査が行われておりまして、三十三名を超える学級規模の学校の生徒においては変化が余り見られなかったが、三十三人以下学級の学校の生徒は家庭学習によく取り組むようになったという結果。また、三十七名以上や三十七人から三十三名の学級と比べると、三十三人以下学級の学校では、学年全体として生徒が先生方に何でも話せるような雰囲気があるなどの結果が明らかになっております。これは、たしかそういう調査結果が紹介されていると思うんですね。

 そういう意味では、なぜその三十人学級というところをターゲットにしないのか、これはいかがですか。

高木国務大臣 我々としては、長い間、多くの現場の皆さん方の理解と協力の中で今日があるわけでありますけれども、いじめあるいは不登校など、また子供を取り巻く大変な教育環境からして、やはり少人数学級がどうしても必要だという熱い思いがあり、長年の念願でございましたが、私たちとしては、教育は国づくりである、そういう理念の中で、今回、何とかその第一歩を踏み出そう、新たな一歩を踏み出そう、こういうことで、できれば小学校、中学校、やりたいのはやまやまですけれども、いろいろな事情がありまして、最終的には、まずは小学校一年からということになったわけであります。

 これからも私たちは適時適切に予算の確保を目指して取り組んでいかなきゃならぬと思っています。

宮本委員 ちなみに紹介していただきたいんですが、今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する有識者ヒアリングというものをおやりになったときに国立教育政策研究所の山森氏が紹介した内容ですけれども、アメリカのテネシー州で行われたスター計画という調査研究結果がありますけれども、このテネシー州スター計画の研究内容と結果について少し紹介をしていただけますか。

高木国務大臣 御指摘のスター計画というのは、一九八五年から一九八九年の五年間にわたって、幼稚園から小学校第三学年の四年間について、米国のテネシー州において、学級規模が児童生徒に与える影響について実験的研究を行ったものであります。

 この研究では、まず一つは、小規模学級、これは十三人から十七名でありますが、小規模学級の方が、通常規模学級、これは二十二から二十七名でございますが、よりも学力調査の結果がよい。二つには、児童が小学校三年まで少人数学級に在籍することが、以降の学年における成績向上に寄与しておる。三つ目は、小規模学級では、児童が議論する時間を多く持つことができ、また、授業態度が悪い児童に対しても即時に対応できるという利点がある。四つ目には、小規模学級の方が児童が互いに助け合うような雰囲気があり、児童同士のまとまりが強い。

 こういう成果がこの教授によって説明されております。

宮本委員 冒頭に紹介したウィルヘルム・イーバートの指摘を裏づける調査結果が出ているこのスター計画というのは、米国教育史上最も重要な実験の一つであるというふうに評価をされている実験なんですね。

 ですから、小規模学級の効果というものは国際的にももう既に明確でありますし、そして、これらの諸外国では、小規模学級といった場合には、まさに二十人とか二十人以下とかというところがターゲットになっているというのがやはり世界の今常識なんですよ。

 それで、日本国内の声はどうだったかということも確認しておきたいと思います。

 昨年三月から四月にかけて、文部科学省は「今後の学級編制及び教職員定数の在り方に関する国民からの意見募集」を行いました。この中で、小中学校の学級規模に関する意見のうち、望ましい学級規模として最も多く挙げられたものは何人から何人の規模で、それは何%でありましたか。

高木国務大臣 文部科学省が平成二十二年に行った「今後の学級編制及び教職員定数の在り方に関する国民からの意見募集」においては、小中学校の望ましい学級規模として最も多く挙げられたのは二十六人から三十人であり、その意見は、学級規模に関する意見のうち六一%を占めております。

 また、望ましい学級規模として三十一人から三十五人を挙げたのは全体の五%、こういう結果でございます。

宮本委員 国民の声も圧倒的に三十人以下というのがこの調査でも出ているわけで、三十五人というのは五%にとどまっているわけですね。

 これは、同じく教職員からもとっております。教職員の声を見ますと、二十六人から三十人が七四%、そして、三十一から三十五人は三%ということですから、もう圧倒的多数はやはり三十人以下という水準。これが教師も、そして父母も一番望む学級規模だということは明らかなんですね。それが今回、三十五人にとどまった。

 これはもちろん、財政的事情と、先ほども財政のことが出てきましたけれども、しかし、文部科学省ですから、子供たちの教育にとって少人数学級、例えば三十五人の次には三十人というふうに進めていくことが当然望ましい、この認識は、大臣、共有できるでしょうか。

高木国務大臣 どの程度が一番理想かというのは、いろいろ議論があるところでございます。

 私どもとしましては、OECD主要国に負けない地位を目指すべきだと思っておりますし、まずはできるところから、第一歩として、今回御提案を申し上げた三十五人以下学級を着実に進めていこう、こういう決意でございます。

宮本委員 先ほど他の議員からも随分議論がありまして、私も次回の委員会ではそのことも直接取り上げようと思うんです。

 文科省の打ち出した最初の方向は、たしか八年計画というものが出されて、そして小学校一、二年生については三十人ということが目指されて、もちろん、今も別にそれは変えておられないというか、三大臣合意ではそのことは確認されなかったけれども、その方向を目指していかれるということでしょうから、少なくとも、小学校一年生、二年生については三十人学級にやがてしていくことが望ましい、こういうふうにお考えになってのことだと思うんですけれども、それはそれでよろしいですか。

高木国務大臣 この件については、昨年の二月以来、学級編制、教職員の定数のあり方については、専門家の皆さん方やあるいは有識者からのヒアリングをしておりまして、この標準は三十人または五十人に見直すべきだ、こういう意見が大勢を占めておりました。また、中央教育審議会における審議は、昨年七月に現行の四十人から引き下げ等を内容とする提言をいただきました。

 私どもとしましては、この提言、意見を踏まえて、昨年、二十二年の八月二十七日に新しい教職員定数改善計画の案を公表したところでございます。平成二十八年度まで六年間で小学校、中学校全学年を三十五人以下学級、さらに、平成二十九年、三十年度の二年間で小学校一、二年生を三十人以下学級とする、こういう内容を盛り込んだところであります。

宮本委員 という方向が望ましいとお考えになっているわけですね。

高木国務大臣 失礼をいたしました。

 三十人または三十五人に見直すべき、こういうことでございますので、訂正をいたします。

宮本委員 だから、小学校一年生、二年生を三十人に引き下げるという計画を昨年八月に出されたということは、三十人学級にすることが望ましいとお考えになったことに違いはないですねと聞いているんです。

高木国務大臣 それはそうでございます。

宮本委員 三十一年前の会議録を読んでみると、このときの議論というのは、本当に今の議論をほうふつとさせる議論が交わされております。

 そもそも、学級定数の改善計画というのは、まず第二次定数改善、これで五十人から四十五人に引き下げたんですね。この五十人から四十五人に引き下げたのは五年計画で、五カ年計画でやっているんですよ。五カ年計画、五カ年計画ということでやってきていて、このときに四十五人に引き下げられてから五カ年計画がぴたりととまりまして、そして山原健二郎議員が盛んに口にしておられるのは、十一年、間があいた、四十五人のままだった、十一年かかってやっと四十人学級に踏み出す、こういう義務標準法改正にこぎつけた、遅きに失した、こういうやりとりがやられています。そのときも政府側の答弁は、財政的な状況があってそう簡単にいかない、まずは四十五人から、まずは順々に可能な学年から、一つ一つやらせてくれ、こればかりがやりとりされております。

 しかし、今回、十一年どころか三十一年、遅きに失するどころか、全くこの三十一年間変えられなかったものがやっと今回一歩踏み出す。私たちは、それは結構なことだと思っておりますけれども、しかし小学校一年生だけでありますし、そして三十五人ということでいえば、諸外国はこのとき既に二十人台に突入しようとしていたわけですから、おくれたるや、格段のおくれがあるわけですよ。だから、同じように進んでいたのではおくれたままなので、我々は、やはりこのおくれを取り戻して追いつくためには一気に進める必要があるということを申し上げてきました。

 我が党は、この問題で、六年計画で小学校も中学校も大体世界の常識である三十人学級にするべきだということを政策提言としても発表してまいりましたし、本委員会でもそういう趣旨の修正案を準備しておりますけれども、またその内容等々については次回の審議に譲るとして、きょうはここで質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次回は、来る二十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


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