衆議院

メインへスキップ



第5号 平成23年3月30日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十三年三月三十日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君

   理事 野木  実君 理事 松崎 哲久君

   理事 松宮  勲君 理事 下村 博文君

   理事 馳   浩君 理事 池坊 保子君

      石井登志郎君    大山 昌宏君

      奥村 展三君    金森  正君

      川口  浩君    城井  崇君

      熊谷 貞俊君    佐藤ゆうこ君

      笹木 竜三君    瑞慶覧長敏君

      高井 崇志君    高野  守君

      竹田 光明君    中屋 大介君

      平山 泰朗君    松岡 広隆君

      村上 史好君    室井 秀子君

      本村賢太郎君    山田 良司君

      笠  浩史君    和嶋 未希君

      あべ 俊子君    遠藤 利明君

      河村 建夫君    北村 茂男君

      塩谷  立君   田野瀬良太郎君

      永岡 桂子君    長島 忠美君

      古川 禎久君    松野 博一君

      富田 茂之君    宮本 岳志君

      城内  実君    土肥 隆一君

    …………………………………

   文部科学大臣       高木 義明君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      辰野 裕一君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          山中 伸一君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     松岡 広隆君

  河村 建夫君     長島 忠美君

  永岡 桂子君     北村 茂男君

  古屋 圭司君     古川 禎久君

同日

 辞任         補欠選任

  松岡 広隆君     高井 崇志君

  北村 茂男君     永岡 桂子君

  長島 忠美君     河村 建夫君

  古川 禎久君     古屋 圭司君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     竹田 光明君

同日

 辞任         補欠選任

  竹田 光明君     石井登志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房文教施設企画部長辰野裕一君及び初等中等教育局長山中伸一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井登志郎君。

石井(登)委員 おはようございます。民主党の石井登志郎でございます。

 早速質疑に入らせていただきたいと思いますが、大震災からきょうで二十日目ということでございます。大変な被害でございまして、文部科学省、大臣以下そのことに関しまして大変御尽力されておられることと思いますが、その中でまず関連をいたしまして、一点お伺いをしたいと思います。

 三月十四日に、早速、鈴木副大臣名で「平成二十三年東北地方太平洋沖地震における被災地域の児童生徒等の就学機会の確保等について」という通達をお出しいただいております。さまざま、被災をされた方々、その児童を円滑に受け入れるようにというようなことでございますが、これに基づいてしっかり指導をいただいていることと思います。

 ただ、その中で一つ確認をさせていただきたいことがございます。二つ目の項目に、「義務教育段階における教科書の取扱いについて」、「被災した義務教育諸学校の児童生徒が転入学した場合には、通常の転入学の場合と同様に、平成二十二年度用教科書を無償給与することができること。」というふうに書いてございます。

 そして、もうこの四月になれば平成二十三年度でございます。多くの方から指摘をいただいておるんですけれども、まず平成二十三年の時点でそこに住民票がなければ教科書がもらえないんじゃないかとか、もしくは、きょうの朝日新聞に「教科書五十万冊も被災」というようなことが書かれております。

 いずれにいたしましても、被災をした、そして被災地で避難を余儀なくされているお子さん方がそうした不安がなく学べるようにということを願いまして確認なんですが、こうした教科書の手配の状況、そして平成二十三年の教科書に関しても、この通知同様に無償給与することができるという理解でよろしいのか、このあたりにつきまして、お伺いをさせていただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 お答えを申し上げます。

 今御指摘もいただきましたように、三月十四日に私の名前で、教科書について、きちっと子供たちが教科書を使って、そして無償給与されるように弾力的に取り扱うように通知を出しているところでございます。

 したがいまして、今のことにつきましても、新しい年度の教科書につきましても、もとの学校に在籍したまま、事実上転入をしてこられた方も含めて、避難先の学校が受け入れられた場合には、通常の転入学の場合と同様に教科書を無償給与することができること、そして、前の学校で給与された教科書を滅失、毀損している場合に、当該教科書分とあわせて無償給与して差し支えないことということを通知いたしております。今後も、きちっと関係機関に周知を図ってまいりたいと考えております。

 その後に、少しネット等々でそれと違ったことが流れまして、したがいまして、これは再度確認をしなきゃいかぬということで、三月二十二日にQアンドAを出しました。そしてそれについて、一時的避難であっても教科書を給与することは可能かということで、今御指摘いただいた三月十四日の通知において可能なんだけれども、義務教育諸学校において被災した児童生徒を弾力的に受け入れた場合には教科書の無償給与が可能ですとQアンドAも改めて出しているところでございますので、ぜひ委員におかれましても、周知方、お願いを申し上げたいと思います。

石井(登)委員 ありがとうございます。ぜひ、不安を少しでも取り除けるように、また大臣以下、細かく目を配って指導のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、本改正案の質疑に移りたいと思います。

 三月十一日に大変大きな震災があった。もちろん、この三月十一日の前に本案は本院に提出をされて質疑が始まっていったわけでございます。ただ、これも先般の下村先生の質疑の中でありました、やはり状況、環境が大きく変わった。そして、ほかの法律案、ほかの委員会では、これは残念だけれども一遍旗をおろそうとか、もしくは旗を少し小さくしよう、そうした形で環境変化に応じた対応をしていることもございます。ただ、本案に関してはそのまま、地震の前と後と変わらずに審議をして、成立を今のところ図ろうとしているという私は理解でございます。

 その点に関しまして、震災が起きた、そしてこの改正案に関してはこのままいくかどうかということに関して検討されたかどうか、そして、されたのであれば、このままいくというふうに至った経緯、考え方についてお聞かせいただければと思います。

高木国務大臣 石井委員にお答えをいたします。

 石井委員も、過去、阪神・淡路大震災という大変な震災にも遭われて、いろいろな御苦労をされておることは承知をいたしております。

 今回の東北地方太平洋沖地震・津波、これはまさに、またある意味では阪神・淡路を上回る規模の甚大な災害でございます。まさに国難と言えるこの事態、私どもは、国民の力を総結集して一日も早い復興を遂げなきゃならぬ、このように思っております。そういう意味では、震災対応というのは、当然ながら適切に進めていくことが何より重要であります。

 御指摘のこの政策、この法案でありますけれども、私どもとしましては、ある意味では普遍性といいますか、やはり、教育は我が国にとって未来への投資だ、人づくりは国づくりだ、こういう先人たちのいろいろな御苦労、また御功績もある。その上で、我々日本として、これからも世界の中で信頼をされ、そしてそれなりの地位として活躍できるものは、やはり人材の育成だろう。そういう意味では、それぞれの各般にわたる課題もありますが、当面、義務教育の少人数学級の推進はどうしてもやっていかなきゃならないという思いでございます。

 特に、この四月から新学習指導要領も始まりますので、こういったときに機を合わせ、本来であれば義務教育全体で少人数学級、三十五人以下学級を目指しておりましたけれども、諸般の事情によりまして、少なくとも一年生だけでも三十五人以下学級を進めて、教員が一人一人の子供たちに向き合う時間を確保する、そのことが教育の質の向上につながる、こういう思いを改めて強くするところでございます。

 この点については、もう御案内のとおり、各学校現場からも、いじめ等の課題解決のためにもこれも一つ必要な手段であろう、こういう御意見もいただいておりますので、今回、公立小学校の一年について、四十人から三十五人に引き下げるという学級編制の標準の改正案をお願いしたところでございます。

 もちろん、今後、学校の状況などそれぞれの財政状況等も、もう当然、災害等のこともこれあり、勘案しなきゃなりませんけれども、私たちとしては、順次改定をしていって、この法案の趣旨を一日も早く実現していきたい、このように思っております。

 また、震災復興の支援のための教職員の定数措置については、今後、文部科学省として、このような教育条件の改善を図りつつ、子供たちのきめ細かい教育指導について必要な措置をとっていく、こういうことで取り組みを進めてまいりたいと思っております。

石井(登)委員 ありがとうございます。ぜひ、震災の方の対応も含めて、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、具体的な運用について一つ確認をさせていただきたいと思います。

 私の選挙区は、兵庫県の西宮市と芦屋市というところでございます。大変ありがたい話なんですけれども、全国、特に関西では随一の人口パンクエリアでございまして、一部小学校の校区では、集合住宅の建設の抑制を市が呼びかけているようなところです。冗談にしたらいけないんですが、名物がプレハブ教室だというぐらいの勢いのところでございますが、それに関連して、確認でございます。

 今回の改正案によって算定される額、これのいろいろ予算の案ですけれども、基本的に教員人件費だけでしょうかという点。そして、三十五人学級になって教室がふえる際に、教室のやりくりに経費がかかる可能性がある。その点についてはどう考えたらいいか。

 また、一部小学校では、幾らお金を用意されても、もうプレハブすら建てる場所がないという状況でありますが、こういう際にはどう対処すべきかという点について確認をさせていただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 平成二十三年度の予算におきましても、教室不足解消のための校舎などを新築または増築する事業ということで八百四億円計上しておりますが、その中で、新増築分ということで三百六十八億円を計上しているところでございます。地方公共団体が計画をつくり、そして申請をしていただいた場合には、それに対しておこたえをできる、こういった格好になっているところでございます。

石井(登)委員 もう一つ、関連してもう一回お尋ねしますが、一方で、これ以上幾らお金をいただいても教室が建てられないという場合もあろうと思います。確認でございますが、そういう場合には地方の判断で柔軟に対応をしてもよろしいという理解でよろしいでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 そのとおりでございます。地方でいろいろと御計画をいただいて進めていただくということでございます。

石井(登)委員 ありがとうございました。安心して地元に帰れるというところでございます。

 では、続きまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 これも、これまでの質疑で各党の委員が繰り返し質問をされてきたことでございます。昨年八月二十七日に文科省が発表した定数改善計画についてですけれども、二十三年に小学校一年、二年で三十五人学級にするということが書かれている。一方で、さまざまな経緯の中で、今回は、残念ながらといいますか、小学校一年のみが三十五人になる。もちろん、附則の中に、今後順次定数改善を目指すというような趣旨のことが書かれているわけでありますが、ただ、参考人の皆様方の御意見などもお伺いしていると、これはビジョンが立てられないというように私は理解をいたしました。要は、平成二十四年はどうなるんだろうかと。

 それに関しまして、大臣初め皆さん方は努力をされるというふうにお答えをいただいたわけでございますが、これはもちろん努力をしていただくということは前提でありますけれども、ぜひ来年の概算要求の前ぐらいまでに、文科省の案というのでなくて、財務省としっかりと握った案、二十四年はもう見送るとか、二十四年にはここまでやる、中学校三年まではもうこれは無理だけれども、財務省との握りで小学校六年生まではいついつまでにどうするとか、そうした明示をして、そして採用計画も、各地方がこれに沿って数年先まで立てられるような、そうしたものを文科省だけでない形で提示していただければいいんじゃないかな、それに向けて努力をしていただければと思いますが、その点に関しましてお考えをお聞かせいただければと思います。

鈴木(寛)副大臣 少人数学級を計画的に推進するという基本的な枠組み、考え方については変わりはございませんが、今御指摘の件については、きょうの御議論も踏まえて、政府全体の中でしっかりと検討をしてまいりたいと思います。

石井(登)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 そこで、大臣、結局、財政問題が大きな大きなポイントになると私は思います。三大臣合意の中で、昨年十二月十七日に高木大臣も合意をされて、「平成二十四年度以降の教職員定数の改善については、学校教育を取り巻く状況や国・地方の財政状況等を勘案しつつ、引き続き、来年以降の予算編成において検討する。」ということで、大臣も合意をされているところでございます。

 私も、国会に来させていただいて一年半、いつも文部科学の委員会や文部科学の党の部会にいますと、やはり教育は大切だ、予算をもっと頑張って教育に獲得しよう、そして日本も、GDP比率、OECD諸国に肩を並べるぐらいに頑張ろうというようなことを言うんですけれども、しかし、やはり大きな流れの中で、これは大きな財政の厳しい状況を目の前に苦労をしているというところだと思います。

 そこで、もちろん、これは所管外だというようなお答えでなく、やはり教育のために社会保障改革をするんだ、教育のために財政改革をするんだというようなことを、ぜひ文部科学省そして文部科学委員を挙げて、何か運動といいますかメッセージを出していくべきじゃないか。米百俵の精神というのがひところよく言われましたけれども、今その米がないんじゃないか。米百俵と言うけれども、米がなければその話の前提がないわけでありますから、そうした点で高木大臣の財政論、この点の御所見をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 昨年の予算編成のいわゆる大詰めのところに当たりまして、先ほど三大臣合意というのがありました。ぎりぎりの交渉の中で合意をさせていただきましたが、これまで以上にその厳しさを痛感した次第でございます。

 米百俵という言葉も出ましたけれども、やはり今、我が国が、大変厳しい状況に加えて、このような新たな事態に遭遇をしております。さらに、非常にその点については私も憂慮しておりますけれども、しかし、そういう困難を乗り越えて今日の日本を築いてこられた先人の思いを今新たにすれば、私たちは、この現実にきちっと向き合ってこれから国民の英知を結集すれば、また新しい希望の灯が見える、こういう思いでしなきゃなりません。

 そのためのやはり人づくり、教育というのは、財政ともそれはもちろんかかわり合いはありますけれども、特にこの委員会におかれては、教育に対する熱き情熱を抱いておられる先生方がほとんどでありますし、また思い入れも強い、ある意味では専門的な立場の皆さん方でございます。こういう一つの思いを政府全体のものにしなきゃならない、私としてはこのように思っておりまして、これからもそういう気持ちで取り組みを進めてまいりたいと思っております。

石井(登)委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃられた、まさにそのとおりで、教育が大切だというのが、この委員会だけでなくて、ぜひ政府全体の意識をより共有していただき、そして、これは私の個人的な意見ですけれども、社会保障の改革、そして財政再建等々が教育にもプラスに資するんだという認識をぜひ広めていくように、私も頑張っていきたいと思います。

 次の質問でございますが、これも大変多くの委員が質問していることでありますが、要は、この三十五人、そして小学校一、二年は三十人ということでありますけれども、こうなるとこの先は、やれ二十五人になるのか二十人になるのかというところで、果たしてどこまでいけばいいのかと。

 結局、教育の目的、目標を達成するためには、少人数であればすべてが達成されるというわけではもちろんありません。教育の目標という意味では、教育基本法の前文、ないし鈴木副大臣が中心になられた日本国教育基本法案の前文に書かれる「我々が目指す教育は、人間の尊厳と平和を重んじ、」というようなところになろうと思いますけれども、結局、教育、育てる人材、どういう人材を育てるのかということについて、これはそもそも論なんですけれども、単に少人数学級にすることが目的ではないんだということについての確認を改めてこの段階でお聞かせいただきたいと思います。

高木国務大臣 御説のとおり、少人数学級は目的ではないと思います。私は手段だと思っております。

 昔からよく言われておりますが、知育、徳育、体育、まさにバランスがとれた人間をつくっていく、今私たちとしては、いわゆる生きる力というものを一つの合い言葉にして、子供たちを育てていくということについて皆さん方の努力が続いておるわけでございます。

 特に、やはり基礎的な、基本的な知識、技術、これをまず習得させることが教育の主なテーマでありますし、そしてまたそれを活用していく。その活用というのは、考える力、いわゆる思考力とか判断力とか、あるいは他人と話をし、物事をまとめていくという、いわゆるコミュニケーション能力、こういうことも培っていく。

 何はさておいても、やはりみずからを律する自律心、そして社会の一構成員として、思いやり、助け合いの心をはぐくむ、このことも大事であります。そして何よりもその前提として、健康な心身、特に体づくりということも大事であります。そういうことを特に義務教育の初めからしっかり教え導く、そういう環境を整えていく。

 そして、私どもとしましては、世界の中でも誇れる、信頼される国際人をつくっていかなきゃならぬ、こういう思いでございます。

石井(登)委員 ありがとうございます。そうした大きなビジョンの中に今回の法律改正案があるということであろうと思います。

 そして、一つまた確認ですけれども、今回の定数改善に関して、幾つかの成果といいますか、今回の話に至るプロセスで、一部の県の学力調査のデータが、少人数を導入している県の結果がよかったということを幾度か御答弁いただいているように理解をしておりますが、その理解でよろしいでしょうか。

山中政府参考人 文部科学省として把握しておりますデータでは、他県に先駆けまして少人数学級を導入している秋田県とか山形県、こういうところでは、全国の学力・学習状況調査、この結果でも学力の面についての向上が見られる、あるいは大阪府とか山形県、こういうところでは、少人数学級の導入後、学力というだけでなくて、不登校や欠席率の低下といったところが見られるという成果が上がっているというところでございます。

石井(登)委員 ありがとうございます。

 そこでちょっと、学力調査という文脈で、多少外れるんですが、一点お伺いしたいんです。

 やはり、それなりの学力調査の一つの成果、もちろん不登校の話にも言及されましたけれども、今回の少人数学級があると。それと同じ文脈でいくと、私が大変力を自分で入れたいなと思っているのは日本人の英語力の問題でございますが、今の学力調査の中には、中学校での英語というのがございません。ただ、これから小学校五年、六年で外国語学習も始まる、一方で、日本人の英語力というのはいつまでたってもなかなか上がっていかないというようなところであろうと思います。

 やはり、その学力調査なり、文科省での認識が、政策の立案、そしてさまざまな施策に結びついていくんだと思いますが、私としては、中学校段階で学力調査の中に英語を新たに組み入れるべきではないかと考えますが、現状での御認識をお聞かせいただければと思います。

鈴木(寛)副大臣 委員がグローバル人材の育成について大変御熱心に取り組んでいただいておりますことを、心から敬意を表したいと思います。

 お尋ねの、英語について学力調査を、こういうことでございますが、実は、学力調査については、省内に専門家会議を設置しまして、調査目的であるとか、教科、方式、頻度等々について議論をしてまいりました。むしろその中では、平成二十四年度から理科を、こういう御議論でございます。一方、英語については、いわゆる今の全国学力・学習状況調査とは異なる方式の学力調査を用いて調査をするというようなことが専門家会議で議論をされております。

 そこでは、もう委員もよく御承知のとおり、語学でありますから、聞くこと、話すこと、読むこと、書くこと、この四つの技能のバランスがとれていることが重要でありまして、筆記調査だけというところには問題があるのではないかということ。それから、今、中学校三年生の四月にやっているわけでありますが、ということになりますと中二までの語彙や構文、こういうことになります。

 そういう意味で、四月という時期が適切かどうか、こういう議論などなどございまして、そういう別の方法でということではございますが、大きな目的、方向については委員とも思いを共有していると思っておりますので、専門家会議の皆さんともそうした御議論を、あるいは、英語教育、外国語教育についての外国語能力の向上に関する検討会というのも別途開いておりますので、そちらとも協議を深めてまいりたいと思います。

石井(登)委員 ありがとうございます。

 検討を深めていただくということですから、私どもの方も党の方で頑張ってやっていきたいと思います。

 最後にお伺いをいたします。

 教育の政治主導についてお伺いしたいということでございますが、私もこの空間に来てまだ一年半で浅いものでございますから、ぜひ御指導いただきたいという意味での質問でございますが、中教審とはどういう存在と理解をするかということでございます。

 といいますのが、この委員会の質疑の中でも、各委員会、各所管でさまざまな審議会がありますけれども、中教審というのはいろいろある審議会の中でも大変存在感のあるものだなというのを私は感じるところでございます。一方で、与党の議員でこういうことを言っていますとブーメランのように返ってくるかなと思いながらも質問なんですが、この新しい政権と、そして中教審というある意味存在感のある審議会、政治主導のもとでこれをどういう存在というふうに理解をしておられるか、もしくは理解を我々はすべきかという点について、これは大変基本的ですが重要な話だと思いますので、お聞かせいただければと思います。

鈴木(寛)副大臣 今の点については、実は、政権交代の直後に中教審の皆様方とも議論をいたしたことがございます。

 これまでこういう整理でやってきておりますということを御紹介申し上げたいと思いますが、御案内のように、教育というのは、やはり政治からの一定程度の独立性、そして継続性、こういうことも重要であります。したがいまして、いわゆる教育内容等々にかかわることについては、中教審でこれまで御議論されてきたこと、それを尊重してまいりたい。

 中教審というのは、御案内のように、我が国の有数の有識者、関係者によって総合的、体系的に議論をされている場でありますから、そこでの御議論は尊重をしたいということでございます。中教審がお決めになった方向を実現するための、いわゆる教育の外的条件整備とよく言われることについては、これを政治主導で加速をしていく、そうした整理をいたしているところでございます。

 したがいまして、政権交代後も学習指導要領の内容については、中教審でお決めになったことを一切変えておりません。しかしながら、それをきちっとやっていくためのさまざまな、定数改善であるとかそうしたことについてはさらに重点的に資源配分をしていく。

 それから、加えまして、私どもは熟議というのをやっております。いわゆる熟議と中教審との関係は、問診という言い方をしておりますけれども、現場の方々がどういう課題を認識し、どういう思いを持っておるのか、やはりこれはもっと積極的に掘り起こして聞いていかなければいけない。

 そこで上がってきた課題について専門家集団である中教審の皆様方に御議論いただくということで、対面のいわゆるリアル熟議というものと、それから、しょっちゅう、地域を超えて、空間と時間を超えて顔を合わせるということがなかなか難しい部分もございますので、その部分はネットによる熟議といったことを、全国各地でもう既に百カ所を超える対面の熟議も行われておりますし、ネット上の熟議は二百万ページビューを超えております。

 そうしたことを中教審とも共有しながら、そしてもちろん私どもも共有しながら議論を深めているということでございます。そして、決められたことは我々政治主導でしっかり推進、実施、実現をしてまいる。

 こうした役割分担と連携でやらせていただいているということで御理解をいただきたいと思います。

石井(登)委員 ありがとうございました。終わります。

田中委員長 次に、高井美穂さん。

高井(美)委員 おはようございます。民主党の高井美穂です。

 東北関東大震災において被災された皆さんにお見舞いと、亡くなられた方にはお悔やみを申し上げたいとまず冒頭思います。

 そして、連日連夜、政務三役の皆さん初め政府総挙げで各省とも御尽力をいただいておりますことに本当に感謝を申し上げますとともに、我々も立法府としてできる限りのことをしていきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いを申し上げたいと思っています。

 早速質疑に入りますが、実は、けさのNHKのニュースでちらっと小耳に挟んだんですが、茨城県教育委員会が、被災児童の転出証明がきっちりそろわなくても就学を受け入れていくということを考えておられるようで、ニュースで報道になっておりました。こうした弾力的な措置も大変有効ではあろうかと思いますので、高くこの点評価したいと思いますし、いろいろと我々も考えていきたいと思っています。

 では、三十五人学級の質疑に入ります。

 教育関係者にとって長年の悲願とも言えるこの学級編制標準の引き下げが、実に三十年ぶりに当委員会で議論をされました。今まで、この委員会での質疑、災害関連の審議も入れて十時間にわたる審議と、それから三時間の参考人質疑、そして本日五時間の質疑ということで、大変充実した審議となると思います。

 今、この法案の成立をかたずをのんで見守っている多くの教育関係者とともに、いよいよ本日の当委員会の最後で、修正案の提出それから趣旨説明、討論、採決という形で与野党の合意を得て運びができたということでございますが、この御尽力に対して、野党の皆様初め、政府の皆様の御尽力に感謝をまず申し上げたいと思っています。

 ただ、残念なのは、三月中の年度内に成立をさせるということができず、教育関係の現場の方々に見通しが立たないとの心配をかけたということであります。政府・与党という最も責任ある立場から、このことを果たせなかったということはおわびしたいと思いますし、参考人としてお見えになった東京都教育委員会の松田次長からも、できるだけ政策決定を早くやって法案を通さないと、年度内ぎりぎりになって授業が成立するかどうか決まるのでは、先を見通した教育計画が立てられないという御指摘もありました。

 このたびは、この三月十一日に大震災という未曾有の大災害があって少し委員会が開けなかったという時間もありましたけれども、しかし、年度内成立を果たせなかったということは痛恨のきわみでありまして、私ども与党理事の責任は重いと思いますが、次に移る参議院の舞台で一刻も早い審議入りを期待し、成立を期待したいというふうに思っています。

 そこで、これから参議院の方へ舞台が移るわけでありますが、本法案は、二十三年度、四月一日施行というふうになっています。混乱を引き起こさないためにも、さかのぼって適用できるような修正が必要であるというふうに考えていますが、立法府の意思が示された場合、政府として、遡及して適用する等の万全の対策をしていただけますでしょうか。

山中政府参考人 今回の法律案におきましては、法律に定める公立の小学校一年生学級編制の標準を三十五人に引き下げるというふうな内容の改正案となっておりますが、法律の施行日は二十三年の四月一日というふうになっております。

 仮に本法案が年度内に成立しなかったという場合には、施行日が四月一日以降ということになる関係上、四月一日から遡及適用させるためには、法案の何らかの修正が必要になってくるんじゃないかと思います。

 そうなれば、それに対応してしっかりと行政として取り組むということになると思います。

高井(美)委員 ありがとうございます。現場の皆さんも安心するのではないかと思います。

 野党の皆さんから多くの、教育の本質にかかわる義務教育国庫負担金制度の予算のあり方を含め、大変ハイレベルな議論がこの委員会で展開されたと思っています。論点はほぼ煮詰まってきている。

 我々の民主党政権下での予算編成過程で、確かに、この国庫負担金をシーリングにかけたことに対して、問題だ、憲法二十六条の精神に背くという下村筆頭や馳理事の御意見ございました。この趣旨を私も理解できないわけではございませんが、しかし、結果として教員の定数は、二十二年度は前年度の五倍になる四千二百人の増ということに続き、今年度、二十三年度予算の中でも二千三百人増、予算そのもの自体は人事院勧告に伴う給与改定のこともあって縮減をされていますけれども、教員の数は二年連続で三百人の純増ということになっています。

 トータルでは、昨年から考えれば、民主党政権下では教育予算は大幅に伸びておりまして、二十二年度は対前年比三千百九億増の五・九%の伸び、それから二十三年度は、本予算では〇・九%のマイナスではありますが、補正を含めると対前年度千五百三十九億の増、二・八%の伸びというふうに、大きく伸びているわけであります。

 今年度予算は、初めて文科省予算が国土交通省予算を上回ったという大変画期的なことではないかと思いますし、文部科学省にとっても政権交代は、こういう具体的な数字の上からも大きく変わった、画期的なことであったということを感じているのではないかと思います。

 振り返ってみますと、馳理事も質疑の中でおっしゃっていましたが、二〇〇六年の、平成十八年の三位一体改革という名の改悪で国庫負担法を改正して、教職員給与の国の負担率を二分の一から三分の一にしたときには、さぞや自民党の文教族の関係者の皆様方は、不承不承というか、無念の思いでこのことを通されたんだろうなと質疑の中からも拝察をいたしました。当然、当時、我々民主党として反対をしましたけれども、当時の大臣の答弁からも、苦渋の選択だったということがにじみ出ておりました。

 そこで、民主党政権は、今申し上げたように、予算の伸びから見ても、人に投資する政権である、教育を最重要課題と考えている政権だということが明白でありますが、政務三役としてこのたびの予算をつくるに当たって、再三指摘があった、義務教育国庫負担金を政策コンテストにかけたという意図について、どういう意図があったのか、お答えをいただければと思います。

鈴木(寛)副大臣 二つのことを整理した方がいいというふうに思っていますが、政策コンテストというのは、各省庁が国民に開かれた形で要望、政策の必要性や効果などを説明した上で、外部の意見なども踏まえて政策の優先順位を行う、これが政策コンテストであります。

 民主党政権、あるいは民主党政権のみならず、教育現場が本当に待ち望んでいる少人数学級の実現による基礎定数の改善ということを、役所同士の予算編成、予算折衝だけではなくて、国民に開かれた形でそのことをきちっと御説明をするということ自体は、これはよかったと思っております。

 現に、そのことによって全国の皆様方からコメントが多数寄せられまして、この件で申し上げますと、九八%を超える皆さんが、ぜひこれをやれという方々が四万人、五万人というものが集まった。このことが政策実現の大きな後押しになったことは事実だったと思います。

 ですから、それはよかったわけでありますが、再三この委員会で御指摘をされておりますけれども、同じ組み替え基準の中でございましたいわゆる百分の九十のシーリング対象に義務教育国庫負担金が対象になったということについては、もう再三この委員会で御議論されていますように、大変に私どもとしても苦渋の事態であったということは、再三御答弁を申し上げているとおりでございます。

高井(美)委員 本当に、まさに三十年ぶりの定数改善の議論で国民の世論を喚起したということでも、そういう意味でも価値があったと思っています。

 確かに、元気な日本復活特別枠という予算査定のやり方の、事業内容の評価の観点というのが三つありまして、その観点の一が、政策のねらいが明確でなくてはならない、それから二が、元気な日本復活のために効果が見込まれなくてはならない、三に、政策手法の選択と集中が適切になされなくてはならないということがこの評価の観点であります。

 この評価の観点からしても、この法案の事業内容はすべてこれに当てはまるということで、過程にこだわるというよりも、結果として予算確保がきっちりできて国民の世論も喚起されたという意味では、政務三役の、財務省とも協議をしながら説得をし、この予算をきちっととっていただいたということは、本当に感謝と敬意を申し上げたいというふうに思っています。

 それで、修正可能な範囲に論点も煮詰まって近づいてきているわけでありますが、その修正のポイントの一つとして、このたびの法案に、再三委員の皆さんから御指摘ありましたとおり、震災対応の特別加配を加えること、それから、加配事由の追加として特別支援教育、専科教員を加えることということが出されておりました。

 特に、池坊先生を初めとして、被災児童へのさまざまな支援や配慮ということも多くおっしゃっておられましたけれども、震災対応の特別加配とこの二点の加配事由の追加について、政府の考えを教えていただきたいと思います。

山中政府参考人 今回の震災に対しても、震災復興支援のための教職員加配定数措置、これについては、可能な限り、その被災地あるいは引き受けられた教育委員会、そういうところの御要望に応じた形で対応できるように政府としても対応していきたいというふうに思っております。

 また、特別支援教育関係、従来も、通級指導でございますとかあるいは特別支援教育コーディネーター、こういうところの加配措置、また、理科の専科教員など、これにつきましても、基礎定数や加配定数というものも活用しながら対応してきたところでございますけれども、先日来この委員会において御議論がなされているようなそういう加配事由の拡充といった方向ができますれば、またそういうふうなものに従ってしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

高井(美)委員 前向きに取り組んでくださるという意味で、ありがとうございます。

 そして、今回の政府案と対案で出されておられた自民党案との最大の違いは、この基礎定数をふやすための学級編制の規模を、まずは小学校一年から三十五人とするということを入れるかどうかということであったと思います。もう大臣も副大臣も再三答弁をされておりますが、これがまさに最も大きい違いであり、法案の肝であると。

 予算の根拠の基礎となる部分、ここの肝であるから、この部分は、私どもは必ず三十五人という数をやはり入れなきゃいけないというふうに思っておりますし、それに加えては、加配定数をふやしていくこと、今御答弁あった加配事由の追加について、我々も政府も全く異論のないところであろうと思います。

 この間の各党マニフェストを見てみますと、自民党の総選挙でも、教員が子供と向き合う時間をふやすために四年以内に少人数学級を実現するということを公約しておられる。二十二年の参議院選挙でも、質の高い教育ときめ細かい指導を行うために教職員定数を改善するということを出しておられる。

 もちろん公明党の方も、参議院選挙マニフェストでは、少人数学級やチームティーチングの導入など、学校の実情に合った学級編制ができるようにする。

 共産党は、教職員定数を増員、正規化し、国の制度として三十人以下学級を実施する。

 社民党におかれても、二十人を目指して、当面は三十人以下学級の早期完全達成を図る。

 みんなの党においても、少人数、体験、個性重視の教育を実現。

 どの党も、各党、学級編制基準を引き下げるということを前向きにマニフェストに出されているということであります。

 そこで、仮に、小学校一年生の学級編制の標準を四十から三十五に引き下げるという、具体的なこの三条二項の条文が削除されたということになれば基礎定数をふやすことができなくなるという可能性があると思いますが、政府の認識はどうであるのか。

 そして、もちろん、各党が約束している少人数学級は加配教職員の活用でできなくはないですけれども、市町村が独自にやりたいと思っても、都道府県が文科省に申請をするわけですから、都道府県が少しちゅうちょをすれば、加配予算が来ない、申請が来ないということにもなります。独自負担を嫌う都道府県が万が一障害になるということがあってはいけませんけれども、この点、政府の認識はいかがでしょうか。

山中政府参考人 小学校一年生の国の学級編制基準を三十五人に引き下げる、これで四千人の基礎定数というのが、学級数の増加ということで増加することになる。これによって、基礎定数が確実に算定されることになると、計画的な教員の採用にも資するというふうに考えております。

 この法改正ができるまでは、このような形での基礎定数の措置というのを留保せざるを得ないという状況になるのではないかというふうに思っております。

 また、御指摘のように、加配定数、これは、それぞれの地域あるいは学校の状況、そういうものに対応して、学級数とか子供の数といった客観的なものだけではあらわれにくい、そういう諸課題に配慮した形での需要に対応していくというものでございますけれども、都道府県からの申請に基づいて、それをもとにしながら措置しているということでございます。

 このため、それぞれの市町村の意向も踏まえながらというものではありますけれども、都道府県としての申請の状況というものに左右されるという面があることも一方では事実でございます。

 文部科学省としては、今回は小学校一年生の学級編制の標準、これを三十五人に引き下げるということで、一方で、各都道府県における基礎定数、これを確実に措置するということをやりながら、また、加配措置というものもしっかりと措置していって、それぞれの都道府県あるいは市町村、学校の特性に応じた、それぞれの時代時代の諸課題に応じた形での先生の充実というものも図ってまいりたいというふうに考えております。

高井(美)委員 ありがとうございます。

 本法案が成立したら、小学校一年生に限定した三十五人学級がまずは実現をされますが、一年生から二年生になるときにクラスがえを実施することが必要になるということも出てくると指摘が再三ございました。

 そして、今回の法改正の趣旨を最大限に有効にするためには、やはり、一年生だけの措置ではなく、年次定数改善計画を立てて実行していくということが大事になろうと思います。それで、この附則第二項にある検討事項でございますけれども、学校現場はまさに期待をして待っている、審議の考えが進んでいくことを待っていると思います。

 この年次定数改善計画の見通しについて、現状で結構ですので、お考えを示していただければと思います。

鈴木(寛)副大臣 御指摘のとおり、二年生以降については、大変現場の期待が強いことを我々も承知をいたしておりますし、この委員会でも、その重要性について御議論を深めていただいたというふうに理解をいたしております。

 具体的には、この法案が成立後に、速やかに二年生以降の問題について順次改定について検討を着手し、そして、なるべく早い段階で結論を得るべく努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

高井(美)委員 では、教育基本法の第十七条に基づいて教育振興基本計画というものをつくるようになっていますが、この改定の際に、学級編制の標準の引き下げとまた教職員定数の改善について、できるだけ具体的な目標を入れるというお考えはございますでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 私どもとしてはそのような思いでやってまいりたいと思っておりますけれども、委員も御案内のとおり、今つくられております計画におきましては、「教職員配置の適正化」、こういうことが盛り込まれているところでございます。

 改定の際には、教職員定数の改善をどのように扱うかということについては、全体の改定方針ともあわせまして、そしてこの委員会での御議論も踏まえて、しっかりと検討をしてまいりたいというふうに考えております。

高井(美)委員 まさに、参考人で来られた小川先生からも、教育は継続性が大事なので、三十五人クラスを一年生でやったら、二年以上の学年でもできる限り同じような環境を続けていくべきという御意見がございました。

 まさにそのとおりで、文部科学省としてもそうしたかった、政務三役としてもそうしたかったと。本来はそうしたかったんだと思います。今年度予算で一、二年分やりたかった。しかし、残念なことに今回は一年だけということになりましたが、民主党として、我々としても全力で応援したいと思いますので、来年度に向けてぜひ御奮闘を期待をしております。

 最後の質問になりますけれども、震災対応の対策についてであります。

 学校をまさに拠点とした復興、地域振興のための補正予算等の検討を急ぎやらなくてはいけない。破損した校舎、施設の建設への補助や、疎開児童や家族の受け入れ体制の整備等、児童の心身のケアも含めて、急ぎ民主党の文部科学部会としてもやるべきことを検討して、最大限努力している最中であります。

 そうした話の中で、先日、震災・学校支援チーム、EARTHという、兵庫県教育委員会がつくった全国初の組織の取り組みを聞きました。これは、私も恥ずかしながら初めて知ったんですが、兵庫県教委が、阪神・淡路大震災に際して全国の教育関係者から応援を受けたということをきっかけに、防災や避難所運営などに関する専門知識や実践的対応能力を備えた防災教育の指導員の育成に取り組んだということだそうでございます。

 そうした経験に加えて、実際の被災地での活動の中で蓄積されたノウハウを分厚いハンドブックとして作成して体系化をしているということで、丁寧に読みますと、本当にこれはすごいと思いました。細やかであり、かつ、初動でまず何をするのか、児童の心のケアをどうするのか、それから、避難所の運営の仕方、ボランティアの受け入れ、加えて、平時にどういうことをしておくかということまで割と細やかに、本当に丁寧に書いてある。私も大変勉強になりましたし、これは参考になりました。ぜひこれを参考にしながら、学校の再開、復興に向けて広げていきたいというふうに思いました。

 かつ、何をするか、どうするかということを細かくフォーマットやチェックリストなどもさまざま添付してありまして、ぜひ教育関係者、特に、被災に遭われた方々も含め見ていただければと思いますし、実際に現地の方からは、この方々が応援に入っていただいて、すばらしい、ありがたい、また来ていただきたいという大変高い評価の声があるというふうに聞きました。

 実際に、平成十二年にできて以来、新潟の中越地震やスマトラ沖地震とか、全国とか世界の災害地区への応援も経験があるようであります。

 メンバーが現職の教員の皆さんであられるわけですので、自分の職場での仕事に加えてこうした活動というのはなかなか両立は難しいだろうと思います。そのため、ぜひこれを我々としては、交代の体制であったり、さまざまなバックアップ体制を考えていく必要があるというふうに感じました。

 学校を拠点とした復興や子供たちとともに進むための支援ということで、立法府としてできる限りの支援をしたいと思いますが、政府の方も、ぜひこれを参考に力をかしていただきたいと思います。一言だけ。

鈴木(寛)副大臣 おっしゃるとおりで、私ども文部科学省の職員が現地の関係者と震災直後からお話をさせていただく中で、このEARTHの派遣を望む声が最も強い声でございました。

 そうしたことも受けて、兵庫県御出身の国会議員等々も通じて、兵庫県に対して、EARTHのさらなる追加派遣というものも要請をさせていただいたということもございます。

 また、先般、私、岩手県に参りましたときにもこのEARTHのハンドブックを持参いたしまして、さらに関係者の方々に参考にしていただきたいということで持っていったということもございます。

 今まさに被災地におきましては、このEARTHを参考にしながら、さまざまな再建、復旧が進んでいるところでございます。

 このEARTHで書かれていることを実現するために我々も最大限の支援をしてまいりたいというふうに存じますが、加えまして申し上げたいことは、今回の災害は津波による影響というものが大変深刻であり、激甚であります。その要素も加えて加味をしていかなければいけない。それから、阪神・淡路大震災の一千四百倍、こういう規模の災害であったということもあわせて考慮をしながら、総合的に万全を期してまいりたいと思っております。

高井(美)委員 ありがとうございました。

 最後、一つ要望になりますが、今、公立小中学校の耐震化率は平成二十二年の四月現在で七三・三%、二十二年当初予算、それから予備費、補正、この二十三年度当初予算というのが執行されれば耐震化率は約八五%まで達成するということですが、まだ残すところ約一万八千六百棟の耐震化が必要であるということでございます。

 自治体からの要望も引き続き上がってきておりまして、ことし二月に文科省が翌年度の自治体の計画を調査したところ、六月調査のときから比べて約五百五十億円程度の追加要望があったというふうに聞いています。そのうち、耐震化関連は約三百四十億、もちろん、この被災地区の復興支援というのが真っ先ではありますけれども、ぜひ、この夏休みの間にこうした耐震化関係の工事の分だけでも進めたいという自治体の前向きな要望に対して、この点も含めて検討をお願いをしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 今回の災害でも、学校施設が子供の命を守っただけではなくて、今でも多くの施設が避難所として機能をしております。まさにこの学校施設の安全性の確保というのは、極めて重要であるということが再確認をされたわけであります。

 今御指摘のあったとおりでございまして、まずは予算の早期執行に努めていくということ、それから追加要望に関しましては、地方公共団体等のニーズを踏まえ、補正予算等あらゆる機会を通じて必要な予算の確保に努めてまいりたいと思っておりますので、委員会の皆様方におかれましても、御支援のほどお願いを申し上げたいと思います。

高井(美)委員 ありがとうございました。

 我々としても一生懸命頑張ってまいりたいと思います。

田中委員長 次に、松野博一君。

松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。

 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に関し、質問させていただきたいと思います。

 今までの審議の内容でありましたり、参考人の方々のお話をお聞きして疑問に思ったことや、確認をしたいことを質問させていただきたいというふうに思います。

 これまでの審議で、三十五人学級を実現するための概算要求の経過について多くの議論がなされました。私たち自由民主党の質問、主張としては、義務教育国庫負担金にシーリングをかけるべきではないという主張をさせていただきまして、高木文科大臣も、これはもう文科大臣としてもじくじたる思いであった、以後こういうことがないように全力で頑張るという趣旨の御答弁をいただいて、高木大臣の率直な御答弁を了といたしますし、評価をいたしますし、自民党としても応援をしていきたいというふうに思います。

 その上で、この問題は教育行政の基幹的な問題でありますから、別の視点から確認をさせていただきたいというふうに思いますが、概算要求の時点で、義務教育国庫負担金にはシーリングがかかりましたが、公立高校の無償化に関してはシーリング外となりました。

 私たち自民党は、現状の公立高校無償化のありように関しては問題があるというふうに認識をしております。それは、所得制限がかかっていないということもありますし、実態的に公私間格差を増長しているんじゃないかという思いもあります。しかし、民主党政権にとってこの公立高校無償化というのが大切に思っている政策であるということは理解をしております。

 しかし、やはり政策には優先順位というものがあって、公立高校の無償化ということと義務教育費の国庫負担金、これは今までも議論がありましたとおり、国の義務教育に関する義務につながる問題でありますし、文科省の基幹的な分野でありますし、国と地方の関係を考えれば、これはもう法律に基づいた地方との約束なんですね。

 私たちは、どう考えても公立高校の無償化よりも義務教育国庫負担金の方が優先されるべきものだというふうに考えておりますし、公立高校無償化は大事な政策だとお考えの民主党の文科委員の皆様方も、義務教育国庫負担金と比べれば、公立高校の無償化という問題は、義務教育でのきちっとした国の責任を果たした上でそれから行われるべきものだという認識は相当程度共有できるのではないかというふうに考えております。

 そこで、公立高校の無償化の方が義務教育の国庫負担金よりも優先度が高いと思われるような予算編成のあり方であったわけでありますけれども、その点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 義務教育の国庫負担などにつきまして、今後応援をしていただくという非常にありがたいお言葉もいただいております。これももとにしながら、これからも我々はその意味で頑張っていかねばならぬと思っております。

 いわゆる公立高校の無償化の点についてですけれども、これは私どものいわゆるマニフェスト、政権公約の主要な事項の一つでありまして、既に国会において議論がされ、恒久法として措置をされております。これは政府全体としても重要な政策であり、着実に実施をしていきたいということでございます。したがいまして、必要な財源を確保するために御指摘の取り扱いになったわけです。

 同時に、一方で、義務教育の国庫負担金につきましては、言われたとおりに、これをシーリングにかけておったではないかということについては、私もそのような思いをいたしまして、そういう中でもいわゆる元気な日本復活枠というところで概算要求をして、そして小学校一年の三十五人以下学級の必要な予算額を確保した、こういう経過もございます。

 文部科学省としては、いずれの施策も極めて重要であると思っております。義務教育のさらなる充実、同時に、九八%の高校の入学という実績がある中で、家庭の事情によらないで高校に通える、こういうことも非常に大事なことではないか、このように思っております。

松野(博)委員 民主党政権の立場としていずれも重要だというのは、大臣の御答弁としてはそうなると思いますが、しかし、予算編成の中で、これはどう見ても公立高校無償化の方を優先した形になっている、このことは私は明らかにおかしいというふうに主張せざるを得ません。

 本日、五十嵐財務副大臣にお越しをいただいております。お忙しいところありがとうございます。

 五十嵐副大臣にも同様の、公立高校無償化が義務教育費国庫負担金よりも優先されたような財務省の基準というのはおかしいのではないかという質問を通告しておりました。そのこともお答えいただきたいと思いますが、もう一点、高木大臣が、義務教育費国庫負担金にシーリングをかけるべきではないということに関して、菅内閣の構成員で一国の国務大臣が、じくじたる思いだと、来年度に向けてはそんなことがないように全力で頑張ると表明をされているわけであります。

 同じ閣内にある方として、今までの財務省の答弁は、概算要求基準というのはこれからつくるものだから予断を持って現状答えられないという答弁でありましたが、高木大臣の思いを酌んで五十嵐副大臣がどのような評価をされるのか、そのことについてもあわせて御答弁をいただきたいと思います。

五十嵐副大臣 お答えをいたします。

 松野先生には、教育行政にかねてより熱心に取り組まれて、心から尊敬を申し上げております。ありがとうございます。

 今お尋ねの件でございますが、結論から先に申し上げさせていただきますと、義務教育国庫負担金も公立高校の無償化も、双方とも極めて重要な施策だというふうに認識をしておりますし、甲乙をつけるという話ではないと思っております。

 その上で、概算要求、来年度予算のシーリングでございますけれども、これは、特定の経費について軽重をつけるというものではございません、もう釈迦に説法でございますけれども。三つ例外を設けさせていただきました。

 一つは、御存じのとおりでございますけれども、交付税ですね、地方交付税。これは歳入とリンクをしておりまして、積み上げて行うものではございませんので例外とさせていただきました。

 もう一つは、社会保障費。これにつきましては、毎年一兆円以上の増嵩が明らかに見込まれているものでございますので、これにシーリングをかけるというのは無理だということで外させていただきました。

 もう一点が、マニフェストに載せられたもので、これは高校の実質無償化だけには限りませんけれども、そのマニフェストの工程表に載せられた主要施策について、二十二年度予算において予算の組み替えにより財源を捻出したものについてはもう手当てがついているということで、対象外とさせていただいた。

 この三つが対象外であって、あとは結局、どの経費この経費というわけではなくて、各省のお考え方によって御検討くださいということでございまして、その結果としても、双方とも十分な予算が結果的には計上されたと認識をいたしておりますので、政府全体としても、決して義務教育費国庫負担金を軽視したということにはなっておらないと承知をいたしております。

 来年度のことにつきましては、来年度というか再来年度になりますが、二十四年度につきましては、まさにこれからこのやり方がいいのかどうかということも含めて検討させていただきたいと思っております。

松野(博)委員 形として、やはりこれはだれが見ても公立高校の無償化の方を優先させた形になっているというふうに思いますし、来年度のことということになりましたが、これも、私たちは高木大臣の答弁を応援していきますから、ぜひ財務省も、やはり国家全体、将来的に見通しての教育の重要性をかんがみて、予算に向けての施策を詰めていただきたいというふうに思います。

 もう一点、これは鈴木副大臣に通告していないんですが、先ほどの御答弁で、政策コンテスト、日本を元気にする復活枠にこの三十五人学級をかけたのは、各省庁間の議論を超えて広く国民からこの政策に関する重要性を問うという意味で、これは意味があったんだというお話をいただきました。そういう考え方もあるのかなと思いましたが、しかし一方で、文部科学省として、義務教育費の国庫負担金の重要性もお話しいただいております。

 それを考えると、筋からいえば、わかりやすさからいえば、四十人学級分の国庫負担金を要求して、そして、この政策コンテストにはプラス三十五人枠が可能な予算を要求するというのがわかりやすい要求の仕方ではないかと思います。これは質問通告していませんけれども、いかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 率直に申し上げれば、状況が許せば、委員の御指摘がよりベターであったというふうに個人的には思います。しかしながら、全体の組み替え基準の中で、先ほども御答弁を申し上げましたけれども、シーリングがその部分についてかかる、こういう状況下で、苦渋の選択の中であのような要求、要望の形になったということでございます。

 結果としては、八月末の段階で要求、要望を合わせますと八十九億円の増要求ができたということでございますので、そしてその後、国民の皆さんの圧倒的な御支持、そしてこのプロセスを通じて義務教育費国庫負担制度の重要性ということの認識が改めて深まったとは思いますけれども、今回の組み替え基準の枠内ではあのような対応をせざるを得なかったということでございます。

松野(博)委員 苦渋の選択ということでありますが、結果は結果としてそれぞれ評価があると思いますが、やはりこれはプロセス、議論のプロセスや予算要求のプロセスが重要だと思いますから、繰り返しになりますが、来年度からそういうことがないような前提を、これはもう与野党共通認識でありますから、つくっていきたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 民主党政権として、教育支出の増大というのを訴えられています。これはもう民主党政権だけではなくて、私たち自民党も長く、教育支出を増大していくべきだ、将来的、中長期的には先進諸国並みの対GDP比に近づけるべきだという主張をしています。これはもう共通の認識なんだろうというふうに思います。一方で、行財政改革については、国、地方を通じて進めるべきという立場、これも、民主党政権側も私たちも共通認識です。

 そこで、教員は地方公務員の四割を占めているわけであります。これは既に副大臣答弁にもありましたが、教員の質と数をふやしながら公務員の総人件費を削減していくという方程式は大変難しいというのは私もそう思います。しかし、現実問題として、この二つを解決する、より改善する方向に持っていく策を具体的に進めなければいけないお立場の文科大臣として、どう具体的なビジョンをお持ちなのかについて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

高木国務大臣 今回の小学校一年についての三十五人以下学級を進めるためには、これまでも申し上げておるように、四千人の教職員定数の措置をする必要があります。このうち千七百人については、これまでの加配定数を活用しておりますし、差し引き二千三百人の定数改善に必要な国庫負担金の予算額としては約五十億円となっております。

 一方、この義務教育国庫負担金の平成二十三年度の予算については、人事院勧告に伴ういわゆる給与改定での減、あるいは児童生徒数による減少、こういうことがありまして、自然の減を反映した結果、対前年度比としてはマイナス二百七十一億円となっております。

 このような中で、我々は可能な限り、追加の財政負担を伴わないように努力をしておりますし、必要な教職員の定数については、その中でできるだけ確保していくということでございます。

 公務員改革との関係で、具体的なビジョンということでございました。

 民主党のマニフェストは、いわゆる二〇〇九年のマニフェストでありますけれども、国家公務員の総人件費の二割削減をするということを明記しておりますし、またそういうことを訴えております。言わずと知れた行財政改革というのは、これはもう不断の取り組み、不断の努力が必要である、私もそのように思っております。

 同時に、このマニフェストにおいては、これまでの中央集権体制を地方主権体制というか、何でもかんでも中央に追随するようなことではなくて、やはりできるだけ地域で決められることは地域の自主性の中で行政運営をしていく、そういう意味での地方分権というのは、これはこれで私たちとしてもこれからも進めていかなきゃならぬと思っております。

 そういう中で、行政全体の全体的なコストを下げるということは、いろいろな不断の事務事業の見直しをしなきゃなりません。そういう中で、教員についても先ほど述べたような工夫をしながら、あるいは追加財政負担を伴わないような、そういういろいろな考え方をもとにして、できるだけ行政経費の削減分の幾分かを教育分野に充てる。未来への投資、これはまさに国づくりにとって必要な政策でございますから、そういう中で私たちは可能な限り努力をしていく、こういうことが今の私の考え方でございます。

松野(博)委員 今年度について言及されましたけれども、今年度は、自然減も含めて政府案としてつじつまが合っているということだと思います。

 しかし、政府の御提案の中でも、今後、中学校三年生まで拡大をするとか、専科教員、特別支援に関する教員の増員等も含めてお話をされているわけですから、今年度はつじつまが合っていても、将来的に数をふやしていきたいという思いは私たちも一緒ですけれども、そういった中で、この問題、では具体的に今自民党がどういう策を持っているんだと言われると、正直この問題は難しいなと思いますが、これは今後、検討をお互いにしていきたいというふうに思います。

 これにあわせて、先ほど石井議員の方から教育財源の確保というお話をいただいて、見識のある御意見だなと思って拝聴しておりましたが、具体的に考えていくと、今、菅内閣において税と社会保障の一体改革を進めるんだということになっております。消費税が、今の論調ですと社会保障の目的税化しつつあるんではないかというふうに感じるわけですが、教育予算をしっかりと確保していくためには、私はこの消費税の議論の中に教育を大きな目的の一つとして位置づけるということが重要だと思います。

 そこで、菅内閣の一員である高木大臣に、ぜひこの議論の中で、社会保障が重要なことは言うまでもありませんが、教育も、この税とさまざまな支出の一体改革の中で大きな柱だということを位置づけろという御主張を閣内でしっかりとしていただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 菅内閣においては、社会保障と税の一体改革というのを大きく打ち出しております。これはこれで非常に重要なテーマでございます。

 しかし、今御指摘のように、私どもとしては、切れ目なく全世代を対象とした社会保障、未来への投資としての社会保障、これが重要であろうと考えております。

 したがいまして、少子高齢化が進む中でありながら持続可能な社会保障をしていくためには、現役世代が元気であることが必要であろうと思っております。したがいまして、いわゆる医療、年金、介護などにとどまらず、やはり子育て、人づくり、こういう教育も当然その中の一つの重要なテーマとしていくべきだ、私はこのような思いでおります。

 特に、所得の格差が教育格差につながる、そしてそれが固定化をしていく、こういう社会はよくありません。また、懸念もされておりますので、我々としては、所得にかかわらず共通のスタートラインに立てる、そういうことを保障していかなければなりませんし、一人一人が知識、能力を向上させる、そういう活力ある福祉社会、そのためにも、御指摘の点については私もそのように思っております。

松野(博)委員 ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 時間の関係で幾つか質問を飛ばして、きょう一番私が主張したいことに移らせていただきたいと思いますが、今までの議論の中で、基礎定数と加配定数のあり方というのが一つポイントだったのであろうというふうに思います。

 そして、これはなかなか議論がかみ合わないところがあって、その議論がかみ合わない理由はなぜかというと、これは答弁の中にもありましたけれども、基礎定数と加配定数の定義の問題なんだろうと思うんですね。やはり、加配定数というのは、基礎定数があって、それに加えるものが加配定数でありますから、加配定数を基礎定数に織り込むというのは、言葉からいって矛盾するところは矛盾するんだろうと思います。

 しかし、議論の本質は、現在加配定数によって大部分が賄われている、例えば専科の先生方であったり、特別支援教育に対する先生方であったり、生活指導であったり、そういった方々が加配のままでいる。今、もう加配教員が六万人を超えて、かつ非正規の教員が一五%になっている。これは、別に現政権だけの責任じゃなくて、むしろ私たちが政権を長くやっていたものですから、私たちのころからの積み上げなので、私たちにも放置をしてきた責任があります。

 そこで、私は考えるに当たって、基礎定数の考え方、算定基準というのをもうそろそろ変える時期が来ているんじゃないかというふうに思います。

 現在の基礎定数の計算式というのは、学級数に係数を掛けて出すわけでありますが、一方で、先ほど申し上げたとおり、専科の教員であったり特別支援であったりさまざま、今現状の教育目的として社会的に重要だと認知をされている、そして今加配でその部分をやってもらわなければ学校が回らないということを考えると、基礎定数の考え方を、学級数掛ける係数に加えて、今加配によって賄われているさまざまな重要な教育目的に対する教職員を基礎定数の中に入れ込む新しい基礎定数の考え方と算定方式というのが必要ではないかというふうに思います。

 そして、これは中教審からの答申また地方からの要望にあったとおり、やはり地方としては、教育現場としては、安定的に、そして予測性があって、かつ自由度が高い教員を多く配置したいんだ、この要望も組み入れて具体的に解決をしていくためには、今御提言申し上げた新しい基礎定数の算定方式に切りかえる必要があるのではないかというふうに考えておりますが、文科大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 今御指摘の点については、重要なテーマだと私も認識をしております。

 現在、加配定数の役割の重要性については私も十分認識をしておりまして、基礎定数とあわせて都道府県教育委員会においてはそれぞれ有効に活用されておる、私はそのように認識しております。

 一方、中教審、御指摘のとおりでございますが、昨年七月の中教審の提言でも、計画的、安定的な教職員配置を行う上で支障があるため、相当程度を基礎定数に組み入れる必要がある、こういう指摘も確かにございます。こういうことを受けまして検討を進める必要があろう、このように考えております。

 いずれにいたしましても、現場のニーズを踏まえながら必要な加配定数も確保しなきゃならぬ、努めてまいりたいと思っております。

松野(博)委員 私どもも、それで加配定数が必要なくなるかといえば、加配定数は必要だと思っているんです。そのときの、時期時期の必要な課題に関して対応するには基礎定数だけでは対応できませんから加配定数も必要ですが、さっき言ったことの繰り返しになりますけれども、今加配で行われている部分の教育目的に必要な人員は、これは共通認識として、現状の学校運営には必要欠かざるものだということがもうできているわけでありますから、それは早く基礎定数として地域の自由度が高い教員の配置ができるように、これは早急にぜひ対応していただきたいというふうに思います。

 今後、早急に対応していただきたいという要望をした上で、現状も、政府案の中は、これは標準とするという表現の中で、相当程度現場の自由度を認めているんだという書きぶりになったんだということでありますが、しかし、現実問題として、基礎自治体の教育委員会の方や現場の先生の意見を聞くと、とはいえ、県の教育委員会がやはり機械的に決めているんです、基礎自治体の教育委員会や教育現場の自由度はそんなに高くないんですという御意見を多くいただきます。

 ですから、早急に基礎定数の方法を変えるにしても、今の政府案の書きぶりの中にもっと明確に、現場の自由度、基礎自治体の教育委員会の学級編制、教師の配置等々の自由度をしっかりと認めるんだというふうに明確な記述を加えることが必要ではないかというふうに考えておりますが、お考えをお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 これまでもかなりの御議論があっておりまして、基礎定数をまずしっかり確保する、このことが人事の安定性あるいは計画性につながるわけであります。

 ただ、しかし同時に、一方で現場の柔軟な対応というメリットは一つはあります。御指摘の点についても、私たちとしては重要な課題として検討を進めてまいりたいと思います。

松野(博)委員 質問時間が終了いたしましたので、これで質問を閉じますが、最後に一つだけ、これは要望であります。

 今の予算、きのう成立をしました。しかし、この予算の中で、今回の大震災の災害に対応する復興加配が十分に対応できるかといえばできない、このことも共通認識だというふうに思いますので、一刻も早く相当規模の補正予算を組んでいただいて、この大災害に対応することができるように御努力をいただきますよう最後に要望申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、下村博文君。

下村委員 自民党の下村博文でございます。

 今回、自民党は、この三十五人以下学級、小学校一年生を対象にする法案について、二つの大きな理由で反対をいたしました。

 一つはその出自の問題でございまして、今まで何度か議論がされましたが、義務教育国庫負担金についてマイナスシーリングにかけた、そのことに対して、復活枠を別につくって、これによって予算を何とか確保したというその手法の仕方、これは、本来、義務教育国庫負担金に対してこのような施策をとるべきではないという予算編成のあり方の点が一つ。ですから、こういうことも含めて予算案には反対をいたしました。そういう経緯でこの法律案ができている。

 この法律案についても、非常に硬直的である。既に小学校一年生については九二・九%が実際は三十五人以下学級になっているという中、名目的に予算を確保するためにやっている。実態上はほとんどのところでクリアをしているわけでございます。

 我々は、実質上二千三百人の教員の増ということであれば、もちろん、自治体やあるいは学校において小学校一年生の三十五人以下学級を優先するということについては否定はしませんが、しかしそれ以上に、学校現場において、例えば特別支援教育についてもっと力を入れたい、あるいは専科教員、これはどこでもそうかもしれませんが、都市における理科教員、これから理科の必要性が我が国において大変重要だと思います。過疎においては例えば音楽の先生がいない、こういうようなニーズに対応すべきである。さらに、今回の地震対策として、震災復興教員、こういう部分にこそ柔軟に対応すべきだということであったわけでございまして、これに関係して、義務標準法、それから地方教育行政法、そしてさらに、我々は、都道府県から区市町村の教育委員会あるいは学校現場に権限を移譲するという意味で、場所によってはやみ専従等で組合がこれを悪用するという問題がありますから、これをそうさせないように、国家公務員並みの罰則規定を設けることによって担保するということで、三つの法律案を考えておりました。

 ただ、今回、これは、民主党そして公明党、国会における他の会派の大変な御協力を得て、特に公明党の池坊理事の協力を得て、我々の法案を、特に義務教育標準法とそれから地方教育行政法については入れるという修正案について、全会派の一致を得るということが昨日できましたので、我々は改めて修正案を提出して、そして、きょう終局に向かって議論していく、こういう状況でございます。

 その中で、先ほど高木大臣が民主党の石井委員の質問に対して、これは修正案がまだ出ていないからお答えにならなかったのか、あるいは修正案をまだよく見ておられないのか、どちらなのかよくわかりませんが、議事録に残すために、この修正案についての確認については高木大臣の方からお答えをいただきたいと思います。

 ポイントだけ私の方で申し上げますので、これについては高木大臣の方からお答えをしていただきたいと思います。我々と同じ見解であるということであればそれで結構なわけですけれども、今回の修正案は、かなり多岐にわたって我々は、対案としてつくった中の部分を修正案として入れさせていただきました。

 その中の一つが、お手元に資料が配付されていると思いますからごらんになっていただきたいと思いますが、きょう午後に出す修正案でございますけれども、資料として事前にお配りをさせていただいております。

 この四条の中の学級編制に当たっての考慮事項ですね。これは、市町村教育委員会がその設置する義務教育諸学校の学級編制を行うに当たって、当該学校の児童または生徒の実態を考慮することを明記することということでございます。

 これは、先ほどのように、三十五人学級において、三十六人、七人、四十人以下学級で三十五人から四十人以内の学級においても柔軟に対応できるという意味での学級編制に当たっての考慮事項というのがその意味でありますが、それについては、大臣もそういう理解ということでよろしいですね。

高木国務大臣 御指摘の第四条に関し修正を行うということによって、三十五人以下学級の推進についてより一層明確となるという考えはありますが、これは、立法府においてさまざまな御論議があれば、その結果に従ってまいりたいと思っております。

下村委員 端的な答弁ではないんですが。鈴木副大臣でも結構ですけれども、先ほどの私の質問に対していかがですか。

鈴木(寛)副大臣 今御議論があった方向がより法律上明確になると思いますので、各学校現場において、この法律を読めばそのことが明快に理解できるという修正案だというふうに理解をいたしますし、修正は二本出るというふうに聞いておりますが、共産党の分と自民党、公明党、民主党がお出しになるというふうに、今配付がございました案文においてはそのことが徹底されるというふうに承知をいたしておりますし、そのような修正が行われました場合には、我々もきちっとそれに従ってやってまいりたいと思っております。

下村委員 修正案は、政務三役はまだごらんになっていないということですか。

鈴木(寛)副大臣 修正案は見ております。

下村委員 第四条はそういう趣旨ですから、学級編制の考慮事項ですね、よく理解をしておいていただきたいと思います。

 それから、第七条の二項それから十五条関係の修正のところです。

 これは、加配措置に係る必要かつ十分な教職員の確保をする必要がある。それから加配措置については、今までもそれぞれのいろいろな項目で加配をしておりますけれども、さらに新たに、専門的な知識または技能に係る教科等に関し専門的な指導が行われる、こういう部分を、加配教員としてさらに事由を追加いたします。

 それからもう一つは、「障害のある児童又は生徒に対する特別の指導が行われていることその他」、「障害のある児童又は生徒に対する指導体制の整備を行うことについて特別の配慮を必要とする事情」。

 こういうことで、加配そのものについても必要かつ十分なものになるように、特に、学校を設置する地方公共団体の教育委員会の意向を踏まえて努力をするという、教職員の確保、それからもう一つが、加配措置に係る事由を拡大するということを修正案に入れています。

 これについて大臣の認識をお聞きしたいと思います。

高木国務大臣 御指摘の加配事由の拡充の法制化については、立法府においてさまざまな御議論がなされれば、その結果に従ってまいりたいと思っております。

下村委員 それから次が四十一条の二項、これは地方教育行政の方の改正案のところでありますが、ごらんになっていただきたいと思います。

 これは県費負担教職員の定数設定の際の勘案事項でありますけれども、政府案については、これは委員会で何度も指摘を申し上げましたが、事後届け出ということであります。事実上、これだけでは、学校設置の市町村の、あるいは学校現場の事情について十分な対応がなかなかなされない。市町村教育委員会の意見を十分に尊重することを義務づけをする、また、そういうことについて明記をするということでの勘案事項でございます。

 これによって、市町村の教育委員会が、より現実的な学校現場の対応ができるようにするということを法律上明記をしたということでございます。これもよろしいですね。

鈴木(寛)副大臣 法律上そのことを明確にしていただく修正がなされれば、それは大変現場にとっても、明快に伝わりますので、大変望ましいことだというふうに考えております。

下村委員 次に附則関係のところでありますが、これは、我が党の案をそのまま入れていただいていることに感謝申し上げたいと思います。

 この中で附則の三でありますが、「政府は、前項の措置を講ずるに当たっては、これに必要な安定した財源の確保に努めるものとする。」ということでありまして、その心は、マイナスシーリングには来年度以降はするな、こういう意味でもございます。そして、午後、各党の協議が調えば、附帯事項のところにも、来年度以降、義務教育国庫負担金はマイナスシーリングの対象にしないようにということも入れたいというふうに思っております。

 これについてまず財務省からお聞きしたいと思います。これについては、財務省の方で守っていただけるということでよろしいんでしょうか。

五十嵐副大臣 お答えいたします。

 先ほど松野委員の御質問にもございましたけれども、前年どおりのやり方がいいのかどうかも含めて、ただいま、そういうやり方をとるかどうかも含めて検討中でございますので、現時点では、予断を持って答えられないということでございます。

下村委員 副大臣、二つ申し上げますので、帰ったら、これははっきりと財務省の中で検討していただきたいと思うんです。

 これは財務省だけの問題ではありませんが、先ほど、義務教育国庫負担金について、組み替え基準の中でそういうふうにしたという話がございましたね。我々は、その組み替え基準というのは今の民主党政府が考えられたことですが、これについて基本的には反対なわけです。

 いわゆる四Kそのものも、これは高校無償化それから子ども手当、この四Kそのものも、これは今の段階ではストップをして、そして災害対策の復興資金にかえるべきだということを全体としてもそもそも主張もしているわけで、そういう予算の組み替え等も我が党は主張しているわけですが、そもそも、マニフェストを最優先して、それ以外についてはマイナスにするというその組み替え基準、これについては、やはりもう一度検討してもらう必要があると思うんです。

 その中の一つとして出ているのが義務教育国庫負担の問題でございまして、これは今までも議論になっているんですが、副大臣も御承知のように、三分の一、国が持っているわけです。しかし、残りの三分の二については、これはマイナスシーリングになっていないわけですよ、今の組み替え基準の中では。これ自体もアンバランスですけれども、そもそも、今の民主党政権が組み替え基準をどうつくるかは、それは皆さんの判断でしょうけれども、しかし、少なくともこの文部科学委員会においては、与野党を問わず、この組み替え基準に義務教育国庫負担金は入れるな、マイナスシーリングの対象にするなというのは、これは御党の議員の方々も皆さん賛同されていることなわけなんですね。

 ですから、この新たな組み替え基準については、これはぜひ来年度以降考え直すことを要望したいと思いますが、いかがですか。

五十嵐副大臣 先生方の御議論についてはよく承りましたので真摯に受けとめてまいりたいと思いますが、具体的にはまだお答えができる段階にはございません。

下村委員 高木大臣、もともと政府の案の中に、附則の二項の中に、「国及び地方の財政の状況その他の事情を勘案しつつ、」云々というのがあるんですね。我々は、立法の立場でこの「国及び地方の財政の状況」というのを外しました、今回の修正案の中で。つまり、国及び地方の財政の状況にかかわらず、これはやはり義務教育国庫負担金については国がきちっと責任を持つべきだ、それこそ憲法の中できちっと言っている国のこれは義務であるということで、当初の政府案のところのこの部分を外したということでございます。

 なおかつ、今申し上げた三項というのは、これはまさに、皆さんがもともと講じようとしている小学校二年生から六年生、それからさらに中学生までかかわる学級編制の標準を達成するための予算措置でもあるわけです。これも我々はそういうふうに入れているわけでございまして、これについて高木大臣としてはどのように考えられますか。

高木国務大臣 私どもは、今回のこの少人数学級の推進に当たっても、御承知のとおり、児童生徒数の減少に伴う定数の自然減、あるいは定年退職者の増加に伴う給与の減、こういうことが見込まれておりますので、こういうものの財源を活用しながら、できるだけ追加の財政負担を伴わないように努力をしておるところでございます。

 今の御指摘の附則の件でございますが、安定的な財源の確保について法律に明記することは少人数学級推進の重要なこれは要因でありますから、これは、今後の立法府における審議の結果に従ってまいりたいと思っております。

下村委員 ちょっと頼りない答弁ですね。財務大臣だったらまだそれは評価しますよ、私は。でも、文科大臣としてそういう姿勢では、本当に大丈夫なのかなと。予算の獲得のために先頭に立って教育費については頑張るお立場の方が、そういう答弁ではちょっと頼りないなという感じがしますよ。

 率直のところ、これについては、昨夜、何か高木大臣が政府側を、財務省に対してなのか官邸に対してなのかわかりませんが、説得している最中なので、先ほどの削ったところですけれども、「国及び地方の財政の状況」、これがもし削るということについて認められないようなことがある、あるいは何かはっきりしないと言うんだったら、きょうはわかるまでは法案審議できませんというふうに申し上げたぐらいなんですよ。

 だから、こういうところこそ、逆に立法がそういうふうにバックアップしているわけですから、では、文部科学省としてしっかり頑張るということこそ答弁すべきことではないんですか。

高木国務大臣 これまでの議論を通じましても、義務教育の国庫負担堅持、これについてはいささかの揺るぎはございません。今委員の御指摘のことを十分腹に据えて、まさに先頭に立って、教育費の確保についてはこれまで以上に取り組んでまいりたいと思っております。

下村委員 答弁については揺るぎがないんですけれども、ただ、行動については正直言って疑心暗鬼なんですよ。(発言する者あり)本当にするのかなということでございまして、今、横からそういう話がありましたので、財務省にもこの件についてお聞きをしたいと思います。

五十嵐副大臣 余り余計なことを言うなと言われているんですが、国、地方の財政が厳しいことは先生も御承知のとおりだと思います。財務省としては、勘案をしないというわけにはいかないというふうに思います。

 ただ、この修正案については、各党御努力をされて、真摯なお気持ちで、しかも与野党がかなりの点で一致ができているということでございますので、それを受けとめて政府部内で鋭意詰めの作業をさせていただいているということでございますので、真剣に受けとめてまいります。

下村委員 かなりではなくて、ここは全会一致なんですよ。それから、今作業を本当にしているんですか。していないでしょう、これからじゃないですか。

 私が提案したのは、先ほどおっしゃった組み替え基準そのものを変えてほしい、その中に義務教育国庫負担金についてはマイナスシーリングの対象にすべきではないですが、そのことについて帰って検討してくださいということを申し上げたんですが、すぐに検討しているんですか。

五十嵐副大臣 私が申し上げたのは、修正案の案文について政府部内で詰めの確認作業を行っているということでございます。

 来年度のシーリングについては、先ほど申し上げましたとおり、これからそのシーリングのあり方も含めて検討をしていく、もう既に今そういう内々の検討は始めているということでございます。

下村委員 いや、本当に修正案について既に財務省で検討しているとは思えませんが、検討しているのであれば、この文言をそのまま素直に財務省としては受けとめていただきたいと思います。

 次に、四のところでありますけれども、

  公立の義務教育諸学校の学級編制並びに教職員の任免等及び定数の在り方については、この法律の施行後、この法律の施行状況等を勘案し、教育上の諸課題に適切に対応するため、きめ細かな指導の一層の充実等を図る観点から、その全般に関し検討が加えられ、その結果に基づいて所要の措置が講じられるものとする。

その心は、先ほど松野委員が言われたことであります。なかなか法律の中へストレートに書けないものですから、こういう表現になっております。

 つまり、今までずっと議論をされておりましたが、学級編制を基礎とする基礎定数のあり方ではもう限界があるのではないかと。我々は、加配だけでなく、もう一度新たな基準を設けることによって、より安定的な、我々自身も少人数教育をすることについてはこれは当然賛同しているわけでありまして、より成果、効果の上がるやり方については、今までのような義務教育における標準法そのものを、基準を見直すことが必要ではないかというのが一点あります。

 それからもう一つは、ここに書いてあるその心というのは、そもそも、都道府県教育委員会と市町村の教育委員会の役割分担というのを義務教育の中でもう一度見直すときに来ているのではないかということであります。

 これは既に、内閣府の中の地方行政推進検討委員会ですか、そういうところで、県費負担教員を市町村の教育委員会に移譲するべきという議論、それから、中教審の中でもされていますね。それから、そもそもこれは、教育再生会議の中でも、地方分権の一つとして議論されていることであります。

 私自身は、先ほどの教育公務員特例法案等がきちっと担保されれば、できるだけ都道府県教育委員会の権限を、設置教育委員会、つまり市町村教育委員会に義務教育については権限を移譲していった方が活性化につながるというふうに思います。

 ただ、これは、都市部においてはそのことが言えるかもしれませんが、過疎においては、逆に教員の応募がなくなるというような問題も指摘されていますから、どのようなことをしていくのか。

 それからもう一つは、市町村教育委員会が余りにも小さ過ぎて対応できないということも出てくるでしょうから、市町村教育委員会の広域化、これを再編することによって受け皿をどうつくるかという、そういう地方分権の中でのあり方が教育の中でも出てくる。

 それがこの四の中に入っているということでございまして、硬直した制度のもとではなくて、新たな制度のもとで考えるべきだということをこの四の中に入れ込んだわけでございまして、その心の部分について、これは政務三役どなたでも結構ですが、見解をお述べいただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 極めて大事な御指摘であり御主張であると思いますし、今のようなことをイメージしてこの条項というのを入れていただくということは、これまでの教育行政あるいは教育財政、制度をまさに刷新をしていくということに向けて画期的な第一歩になると私も思います。

 個人的には、今、下村委員おっしゃった、設置者と人事権者を一緒にして、これは中教審でも言われておりますけれども、そして、その結果、小さいところについては共同化をしていくということで、広域化をしていくという方向については私も共有する部分は極めて大きいものもございます。これを機に、そうした議論をさらに関係者とも深めてまいりたい。

 大変貴重な御議論の提供をいただいたことを大変感謝いたしたいと思います。

下村委員 前向きな答弁、ありがとうございます。四番はそういう意味でございますので、ぜひ文科省の方でも対応していただきたいと思います。

 それから、五番については、これも、我が党が他党の協力をいただいて、ぜひということで入れていただいた附則でございます。本則の中に実際はこれは書いて法律としてはあるんですが、これは、地方の自治体の都道府県教育委員会や市町村の教育委員会の方々にはっきりわかっていただきたいということで、あえて五のところに附則として書かせていただきました。

 これはくどくどとちょっと読みませんが、この義務教育における定数の標準法においては、障害のある児童とか生徒、特別支援教育の対象、それからもう一つは、専門教科の教員の対象、それから、今回の東北地方太平洋沖地震に係る教職員の特例措置、こういうことについて、「基準によらないこととした特段の事情がある場合においては、都道府県の教育委員会は、教職員定数に関し、教育上特別の配慮をすることができる。」ということを入れていただきました。

 これは、例えば四十七都道府県の中で東京都においても、きょう三月三十日、本来は四月一日、あさってですけれども、国会で法律が通るかどうかわからないということで、まだ小学校一年生の三十五人学級に対する編制として準備はしておりません。

 しかし、四千人の都道府県配置の中では九百人近くの定数がこれによって決まってくるということの中で、一年生の三十五人以下学級のクラスの要員ということではなくて、この「教育上特別の配慮」という項目を使うことによって、場合によっては、ほかの被災を受けた県に教職員を出向させることができる、あるいは、もちろん東京都の中においても、特別支援教育とかそれから専門教員に回すことができるというのがこの五の意味でございまして、この意味については文科省の方でも共有をしてもらうということであれば、しっかりとこれについても都道府県や区市町村の教育委員会に伝えていただきたいと思いますが、いかがですか。

鈴木(寛)副大臣 しっかり伝えていきたいと思います。きちっと法律上このような形で明確に位置づけていただくことになれば、現場、関係教育委員会は、解釈といいますか、解釈じゃなくて条文そのものでありますから、それが明示的に意思、意図、意味というものが伝わるというふうに思います。

 きょうの今のやりとりも含めてしっかりと伝えてまいりたいと思いますし、現場は大変にこの条文によって、機動的な、かつ本当のニーズに沿った対応が可能になるというふうに存じます。

下村委員 それから六のところですけれども、これは大切なので、今どう対応するかということですので、ちょっと読みます。

  平成二十三年東北地方太平洋沖地震により被害を受けた地域に所在する公立の義務教育諸学校(当該地震後に、被災した児童又は生徒が転学した公立の義務教育諸学校を含む。)において、被災した児童又は生徒に関し、学習に対する支援を行うこと、心身の健康の回復のための特別の指導を行うこと等が喫緊の課題になっている事情に鑑み、国及び当該学校が所在する都道府県の教育委員会は、当該学校の教職員の定数に関し、当該事情に迅速かつ的確に対応するため必要な特別の措置を講ずるものとする。

 これは、この法律案が通った後、四千人が四十七都道府県にあらかじめ定まった数で配置されるということになるわけでありますが、先ほど申し上げたように、例えば、出向でほかの都道府県から被災のあった都道府県に先生を応援で回してもらうとか、あとは、逆に東京なんかもそうですが、被災地からこちらの方に疎開をされてくる、あるいは引っ越しをされてくるということで、ある地域エリアによっては急激に子供がふえるという部分等もあります。

 このことについて、国があらかじめ都道府県に対して、この法律ができたということでできるだけ協力支援体制を依頼することによって、もちろん、これは補正予算でさらに予算をふやすということは当然ですよね、それ以前の段階として、今すぐ、実際あと一週間もたったら学校が始まるわけですから、これについてはぜひ都道府県に対して働きかけて、柔軟な対応をしてもらうように新たにお願いしたいと思うんですが、文科省としていかがですか。

鈴木(寛)副大臣 その点については、先般来の国会の御議論をいただいて、そのような話し合いを都道府県教育委員会にいたしているところでございますが、今回のこうした条文がございますと、都道府県教育委員会、あるいは該当する市町村も含めて、に大変強い、明確なメッセージになると思いますので、これを踏まえてさらにそのことをしっかりやっていきたいと思います。

 加えまして、今委員御指摘いただいたことに加えて、この条文は大変に被災地の関係者にとって大きな大きな励ましになる条文だと思います。国権の最高機関であります国会において、しかも、最高法規であります法律の中でこのような条文が入りまして、国会の総意として、さらに、この震災対策に対して国家の意思として教職員定数をきちっと措置をしていくんだ、この四千人に限らず、四千人を超えてと今お触れになりましたけれども、これについてはしっかりと柱を立ててやっていくということを明確にしていただける条文でありますので、こうした御議論があったということを被災地の皆様方に私どももお伝えをし、国家として、子供たち、児童生徒の教育、学びについては万全を期すということをしっかりと伝えてまいりたいと思います。

下村委員 ぜひ、的確な、また迅速な対応をお願いしたいと思います。また、これからさらに補正予算等について、文部科学省として、現場に対する対応、政府全体として先んじてやるようなものをどんどん出していただきたいと思うんです。

 きょう朝、自民党は、「東日本巨大地震・津波災害対策に関する第一次緊急提言」というのをつくりました。これは第一次ですので、これから二次、三次と緊急提言をつくってまいりますが、その中で、「児童・生徒の就学支援」について具体的に五項目提案をしております。今ちょっと読み上げますので、これについては文科省と財務省から見解をお聞きしたいと思いますので、ちょっとメモしていただきたいと思います。

 まず一つは、「長期の避難生活が続く子供たちへの就学支援及び健康管理等学校生活の円滑化を進める必要があるため児童・生徒の就学支援立法を講じる。」これは国会の方のことにはなりますが、児童生徒の就学支援立法を考えています。

 それから二つ目に、「被災地域からの移転先で学校再開した際の、教育インフラ整備などに対する補助を講じる。」

 それから三つ目が、「被災地における児童・生徒に対する心のケアや学習支援などのための教職員の増員、避難した児童・生徒を受け入れる自治体における、教職員の増員に対する必要な措置を講じる。」先ほどの附則のところにも書いたわけですが、被災した場所と、それから、被災はしていなかったけれども受け入れた方の自治体について、両方に教職員の増員に対する必要な措置を講じる。先ほど既に法律の中に入れ込んではいます。

 それから四が、「私立学校に対する激甚災害指定における、公立か私立かによって、教育の復興に格差が生じないよう特別な措置を講じる。」私学に対して、これはなかなか公立学校とは違って、破壊されてしまったりすると、これは私立幼稚園からも相当要望が来ていますが、大変なことでありまして、こういうことについてやはり国がしっかり対応しないと、地方自治体レベルではもう不可能なことだと思います。

 それから五が、「専門・各種学校、短期大学、大学の授業料等の減免措置を講じる。」

 とりあえず以上の五点を、「児童・生徒の就学支援」ということで、けさ、第一次緊急提言として取りまとめました。全分野網羅されていますので、これは改めて自民党としても政府に提言をいたします。

 とりあえず文科関係に限定して今ちょっと申し上げましたが、このことについて、文部科学省として、それから財務省としての取り組みについての見解をお聞きしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 私どもも被災地の状況あるいは被災地からの声を伺っておりますが、今御指摘のありました五点は、いずれも緊急かつ極めて重要なニーズだというふうに思います。

 大変に貴重な御提案でありますし、この御提案の実現が、被災地の皆様方に対して強い強い応援の、そして支援のメッセージにもなりますので、きょう、このような委員会の場でこうした御提言をいただいたことも、大変にそのこと自体が励みにもなると思いますし、私どもとして、これを真摯に受けて、何とか実現できるように最大限全力を尽くしてまいりたいと思いますので、御支援と御指導のほど、お願いを申し上げたいと思います。

五十嵐副大臣 大変重要かつ的確な御指摘が多いというふうにまず感じさせていただいております。持ち帰って、どこまで具体化できるかを検討させていただきたいと思います。

下村委員 これは与野党ありませんから、財務省も。それから、予算について限度があるといっても、これは震災復興のための新たな国債なり別枠で対応しながらやっていって、国家の危機ですから、ある意味ではもう制限を設けないで、こういうときに緊縮財政をするようだったら本当に日本はつぶれますよ。これはしっかりと対応していただきたいと思います。どこまで財源的にできるかじゃなくて、本当に求めている部分があれば幾らでも出すという姿勢が、今国に対して国民が求めていることだというふうに思います。

 それでは次に移りますが、財務省はもう結構です。

 我々は、三つの法律案を出した中で、残念ながら、教育公務員特例法案は今回は国会の中で民主党の合意が得られなかったので、これは一事不再議になってしまいますので、衆議院では提出をしないで参議院の方で提出をして、そこで改めて議論をしてもらいたいと思っております。

 ただ、先ほど、鈴木副大臣の答弁にもありましたし、あるいは我々も共通している部分だと思うんですが、我々は、できるだけ現場に近いところに権限を移譲した方が教育の活性化においては絶対プラスだと思うんです。

 これは、義務教育について、学校現場があり、区市町村の教育委員会があり、都道府県の教育委員会があり、それから文部科学省がある。こういう四重構造そのものが、護送船団方式的なもたれ合いの中で思い切った改革が進まない、あるいは現場の声に的確に対応できていない。こういう組織の問題。一人一人の教師は優秀だと思いますよ。みんな努力しています。しかし、組織全体が大きな時代変化の中で対応できていないという部分があると思いますから、権限も含めてできるだけ現場に移譲することによって、しかし、義務教育ですから、お金については国がきちっと責任を持ちますよ、こういう切り分けをしていくということがこれからさらに求められていると思うんです。

 ただ、残念ながら、民主党とそれから我々の違いは、これは、我々の場合は、その教育現場をやはり正常化させないと心配である。

 学級編制を現場に任せ、事後届け出でよい、それからさらに、今回の修正案のように、より柔軟に区市町村の教育委員会に任せるということは、一方でリスクを伴います。それは、すべての都道府県ではありませんが、例えば北海道のようなところは、結果的に、北教組による違法な校長交渉などによって、教職員の負担を軽減するだけの、あるいは、組合員に実際やみ専従を可能とさせてしまうような学級編制になってしまう可能性というのはあるんです。

 ですから、今回の法律改正というのは我々にとっても一方で大変にリスクがあることでありまして、だからこそ、新たなそのリスクを回避するための法律の担保というのは必要であるというふうに思うんです。

 具体的に、平成十四年には北海道小樽市で、加配された小中学校の二十校中十九校が、指導方法の工夫、改善のための指導を全く行っていなかったことが判明した。つまり、しっかりした目的を持った加配定数であったにもかかわらず、それが単に教員の負担軽減のために活用されたという、明らかに加配の趣旨に反することがあって、結果的に義務教育国庫負担金が減額されているということがあるというふうに聞いておりますが、これは事実ですか。

山中政府参考人 平成十四年二月でございますけれども、北海道小樽市内の小中学校において、少人数指導のための加配定数、これが目的外に使用されたということが明らかになりまして、それで、文部科学省が調査を求めたところでございます。

 この結果、委員御指摘のとおり、平成五年から十三年、ここで加配されていました小中学校延べ八十三人の加配定数というのが、加配の趣旨に反しまして、少人数指導を行っている時間数が少ないといった、教員の負担の軽減に充てられたといったようなことが判明したところでございます。

 さらに、文部科学省としては、小樽市以外の北海道内の市町村についても調査を求めましたところ、その結果、延べ三十人の加配定数が目的外に充てられたといったようなことが判明したところでございます。

 これを受けまして、文部科学省として、延べ百十三人分の加配定数、これを引き揚げまして、約二億六千万、この義務教育国庫負担金を返還させるということにさせるとともに、再発防止、これについて強く指導したというところでございます。

下村委員 この事件が起きたということは、結果的には、北教組それから道教委、この間の不正常な関係、だからこそこのような問題、事件が出てきたのではないかと思いますが、これについてはいかがですか。

山中政府参考人 北海道におきましても、これまで長い間、学校の管理運営が適正に行われていないという実態等があり、文部科学省では、北海道教育委員会に対しまして、学校の管理運営を適正にするようにという指導というものを長い間行ってきたところでございます。

 ただ、昨年に勤務実態調査を行ったところですけれども、この中でも、勤務時間中に組合活動が行われているといった教職員の違法な活動というものがまだあるという実態が明らかになって、現在においても、まだまだ依然として克服すべき課題が多いというふうに考えております。

 道教育委員会、札幌市教育委員会、こういうところでしっかりと毅然とした態度で臨んでほしい、臨んでいくようにという指導をしているところでございますけれども、このような指導をしっかりと文部科学省としても続けていきたいというふうに考えております。

下村委員 ですから、今回、この法律改正によって逆にこのようなことがさらに起きやすくなるという可能性は、一方でやはりあるんです。

 昨年の小林千代美前衆議院議員の違法献金事件を受けて北海道教育委員会が行った勤務実態調査の結果、勤務時間中の組合活動や選挙活動などの実態が明らかになり、今、会計検査院が調査に入っているということでございまして、これは高木大臣にお聞きしたいと思うんですが、高木大臣も組合の出身であると思いますが、同じ組合といっても、雲泥の差といいますか、ちょっと考えられないことだと思うんですよ、この北教組の問題。ですよね。

 私は、先ほど申し上げましたように、教育現場に裁量権をできるだけ移譲するということは正しい方向性だと思っているんです。ただ、それは教育の正常化が前提である。そのことによって、北教組等の組合が自分の都合のいいような形での教師の加配等を要求することによって、結果的にそれが不正になるということはあってはならないわけであります。

 そういう意味で、教育現場の正常化を図るためには、教育公務員特例法というのは、つまり国家公務員並みの罰則規定にするということであって、特別、学校の先生だけ強いペナルティーを設けるという話ではないんです。国家公務員と同じような罰則規定を設けることによってそのような違法が抑止することができるのではないかということで、決して、無理難題、それから、そもそも組合つぶしでも何でもないわけでありまして、国家公務員の方々から見たら、何で自分たちと同じ条件にしないんだ、逆に、学校の先生こそ何か過剰に優遇されているのではないかというのが、文科省の職員からしたら当然の発想ではないかと私は思うんです。

 高木文科大臣としては、この教育公務員特例法について、改正案としてこれから参議院で出しますから答弁もこれから出てくると思いますが、どんなふうにお考えになっておられますか。

高木国務大臣 今のお話を聞いておりまして、まさに、特に教職員の影響力を考えますと、まず、法秩序を守るということは極めて当然のことでありまして、私どもとしまして、改めて国会で、議員の御指摘するようなことがないように、まずは北海道教育委員会、札幌市教育委員会、毅然とした態度で臨んでいただく、このようなことを申し上げておきたい。

 教育公務員特例法の改正が必要だ、こういうことでございます。これは、議員も御指摘のとおり、教育公務員の政治的行為の罰則に関する規定については、昭和二十九年の教育公務員特例法改正の国会審議の過程で、議院の修正を受けて現行の規定になったものであると私は承知をしております。

 これはお話にもありますけれども、昨年の三月十日に、御党とみんなの党から、教育公務員の政治的行為の制限規範に罰則を適用する議員立法が提出をされておりますことは私も承知をしております。

 これは、過去の経緯やこれまでの議論など十分踏まえた上、これまでの経過もあり、私どもとしましては慎重に対応してまいりたいと、このように思っております。

下村委員 この法律案が通った後、特に北海道だけではありませんが、北海道について、教育委員会に、結果的にこのような組合の不正の温床となるような対応を区市町村の教育委員会で厳格にすることによって防ぐようにということについては、改めて文部科学省からも、この法律の改正と同時にぜひ通達を出していただきたいと思います。

 次に、土曜授業の復活について提案を申し上げたいと思うんです。

 自民党は、参議院選挙の公約でこの「土曜授業の復活」というのを掲げております。これは、いよいよ新学習指導要領の全面実施に伴って授業時間数がふえてまいります。今まで以上に週の日程が厳しくなってくる。また一方で、児童生徒及び教員の負担が増大するという中、これから、教育相談や学校行事のための準備とか、それから児童・生徒会活動のための時間の確保が困難になる。これらの有効手段もあるし、既に土曜授業をしているところもありますが、つまり、週五日ではなくて、もう週六日ということも考えていくべきだと私は思います。

 昨年二月十六日の毎日新聞によると、インターネット調査で、土曜事業について九割が「実施すべきだ」と回答がありました。「毎週実施すべきだ」は四七%が賛成したと。理由は、「現行の授業数では足りないから」が七五%を占めております。

 もう一度、こういう国難の中で日本が復興するためには、それはもう人、人材力だと思うんです。この中で、かつて日本は世界でトップレベルの学力あるいは教育力があったと思います。しかし残念ながら、それがPISAの結果等を見ても、かつてのような、直近の調査ではやや勢いが、戻ってきたとは言えませんけれども、下がらなくはなりましたが、それもわかりません。

 これからのことを考えると、やはり質と量を両方高めていくということは必要でありまして、そういう意味で、子供を持っている親御さんたちに聞いても、この土曜授業の復活というのは、本当に、九割以上の方々がどんなところに行っても賛同します。

 そういう意味では、私は、文部科学省がこれから、これはつまり週五日から六日にするという意味ですけれども、この土曜授業の復活というのも考えるときに来ているというふうに思いますが、いかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 これは委員もよく御承知のとおり、それこそ中教審において平成二十年の一月にも、週五日制を維持することが適当である、その理由は、社会全体の週休二日制の導入とともに長い時間をかけて段階的に導入されたものであること、あるいは、国際的にも、学力調査で好成績のフィンランドを初めほとんどの国々で学校の週五日制が導入されていること等を理由に、このような週五日制を「維持することが適当である」、こういう答申もいただいているわけでございまして、この答申は私どもとしては尊重してまいりたいと思っております。

 ただ、同時に、単に週五日を週六日にするということではなくて、土曜日を、真に生きる力を身につけるための中身の濃い時間あるいは中身の濃い日に、教職員のみならず、地域社会、家庭一体となった時間あるいは曜日にしていくべきである、こういう御主張については私も認識を共有するところでございまして、これまでも運動会などは土曜日に行われておりますけれども、開かれた学校づくりの観点から、保護者や地域住民の協力を得た授業や総合的な学習の時間の体験活動など、いわゆる時間割りにとらわれない、土曜日を活用した授業を行うことは可能でありまして、そして、私になりましても、そういうことをやりたいという自治体の問い合わせについては今のような趣旨を明確にお話をし、そして、それぞれの地元の御判断で行えるようになっているわけであります。

 きょうの御議論も踏まえて、延長ではない土曜日のありようということについてはぜひ御議論を深めていただきたいと思いますし、また、私どももその点を一緒に検討させていただきたいというふうに思っております。

下村委員 時間が参りましたので終了いたしますが、今、中教審という話が出ましたけれども、三・一一でもう変わったと思うんです。アメリカでも、九・一一のとき、その前と後でアメリカ人の意識がすごく変わったという話が当時ありました。今回の大震災、津波、それから原発、今でも進行中ですけれども、いつどうなるかわからないという中、明らかにこの三・一一以前の国民の意識とこれからの意識はもう変わっていますよ。

 その中で、政治が時代のタイムリーに合わせて、今までの政策がこうだからじゃなくて、三・一一の後を、これから日本をどうしていくのかという中で、今までの既成概念にとらわれないあり方をしっかりと考えていかなければ、これは国が国民のニーズに対応できない、政治が対応できない、こういうときに今我々は直面していると思いますから、今までの延長線上での議論じゃなくて、新たな発想の中でどう取り組むかということが大切ではないかということを申し上げて、私の質問時間を終わります。

 ありがとうございます。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 おはようございます。午前中、残り三十分、よろしくお願いいたします。

 私は、きょうは九十分いただいております。私が準備しております質問が最後まで行くかどうかわかりませんので、まず、結論の方から先に言いたいと思います。

 自由民主党は、当初、以下の三点で政府案に反対しておりました。

 一つは、定数改善計画の見通しが立っていないという一点目。二点目は、少人数教育は加配定数を活用しながら現実的にやってきているではないかというのが二点目。三点目は、やはりシーリングをかけてはならない。こういう主張を展開してきたつもりであります。

 これに対していろいろ質疑をさせていただく中で、まず、定数改善計画の見通しが立っていないというのは、これは要は対財務省に対する考え方でありまして、附則のところの国と地方の財政状況、この文言だけはやはりどうしても容認できない、落としなさい、こういう主張に対して、特にこれは公明党の強い御主張もありましたし、我々も当初からそういうふうに自公の間で議論しておりました。これは、国会の議論を踏まえて対応するという高木大臣の明確な答弁もございましたので、この点はむしろ定数改善計画の今後の課題として引き継がれていくものとして同じく責任を共有すべきだな、こういうふうに私は思っています。

 二点目の、少人数教育は加配定数で現実的にやっている。いわゆる少人数学級と少人数指導、この組み合わせを義務標準法さらに国庫負担法の総額裁量制の中で、とりあえず、私はここを一〇〇%とは言いません、とりあえず少人数教育は現実的に進められてきている。ただ、私も、きょうこの後の質疑の中で、この総額裁量制が現場において本当に有効に使われてきているのか、この議論はさせていただきたいと思います。

 三点目の、シーリングをかけてはならない、この主張に対しては、これも高木大臣の方から、質疑の中で、決意のほどは明確にされたものであります。したがって、きょう、また尾立政務官に来ていただきました。もう文部科学委員会にはなくてはならない存在になって、真摯に答弁をいただいておりますが、そうはいうものの、やはり国会の意思として、今回の修正案を踏まえた上で平成二十四年度の概算要求に心して臨んでいただきたい。

 とりわけ、定数改善計画は早急に見直しに入らざるを得ません。昨年のものとはスタート地点からつまずいておりますから。しかし、この定数改善計画が着実に実施されていくような努力をすることは財務省としても真摯に取り組むべきである、こういうふうに私も思います。

 要は、やはり行革推進法が一つのネックになっていると私はいまだに思うんですよ。児童生徒の自然減以上に公務員の人件費を減らしていく、したがって教員の人件費も減らしていく。特に公務員の中における教職員の割合がでかいものですから、そこに目をつけるという財務省の考え方について私は否定するものではありませんが、ここはやはり文科省としての議論にもなると思いますが、私は当初から、額よりも数だと。そして、よりよい義務教育を推進するための質の向上を目指していく、その姿勢はやはり必要なのではないかな。

 私は、日教組の皆さんであろうと教職員の皆さんであろうと、国家財政の将来に不安を与えるようなことは望んでいないと思うんです。それを考えたら、やはり額よりも数という視点は持っておかなければいけないのではないか、こういうふうな議論の末、千里の道も一歩からということで、今回、一年生の三十五人、四千人、八十七億円について容認する姿勢に転じたということでありまして、こういうことも冒頭申し上げた上で質問に入っていきたいと思います。

 まず、三月二十五日の答弁で尾立政務官は、義務教育職員給与費について、全体が地財計画の中で歳出として計上され、その三分の一が国庫支出であり、残りの三分の二が地方交付税交付金等に含まれる中で処理されている、地財計画と義務教育費の総額とはベースが同じだ、国庫負担のベースもすべて同じだと発言をされました。間違いありませんね。

尾立大臣政務官 御答弁申し上げます。

 義務教育職員給与費につきましては、今委員が御指摘をされたとおり、前回の私の発言のとおりでございます。

馳委員 では、どうして、ベースが同じなのに国庫負担にシーリングをかけて、地方交付金にはシーリングをかけなかったのですか。予算要求のあり方としておかしいのではありませんか。

尾立大臣政務官 前回の委員会でも説明をさせていただきましたが、二十三年度予算の概算要求組み替え基準におきましては、地方交付税の金額は、委員御指摘のとおり、地財計画が固まった段階で最終的には決定されることになっております。そして、この地財計画というのは、歳入歳出両方ございますが、歳入面におきましても、地方交付税を初め国庫支出金や地方債、地方税等々、非常に予算編成過程を通じて、基本的には十二月末までですが、変動する要素がたくさんございます。

 そういう意味で、これらが確定しない中では、地方交付税交付金の概算要求、これは八月末でございますので、あくまでも仮置きの数字ということで要望をいただいておるところでございます。

 ただ、この要望の枠が無制限なのかというと、そうではございませんで、これまた中期財政フレームの中、また予算要求の基準の中で、地方における歳出についても国の歳出の取り組みと歩調、基調を合わせる、こういうことで歳出の削減の努力に努めるというようなことが書いてございます。

 ただ、こういった決め方が特殊なのかという御質問もございますけれども、実はずっと過去から交付税交付金の決定過程においてはこのような仕組みをとっておりまして、いつの時代でも交付税にシーリングをかけるということはなかったということでございます。

馳委員 つまり、国庫負担金の三分の一の額が最終的に決まるのに合わせて地方交付税の三分の二負担の部分の額も決まってくる、こういう理解でよろしいですね。

尾立大臣政務官 はい、そのとおりでございます。

馳委員 さらに、尾立政務官は、国庫負担金は現場で全部使われていると思っていますかという私の質問に、はい、適切に使用されているものと承知していると答弁されました。ところが、全部使われてはおらず、二十二の県から国庫に返納されていると私は発言をしました。

 文部科学省に事実関係をお伺いいたします。

 平成二十一年度で、何県から、総額幾ら国庫に返納されていますか。

山中政府参考人 義務教育費の国庫負担金の交付、国からの交付でございますけれども、これは限度額というのが一つありまして、都道府県ごとの省令とその単価に基づいて、これ掛ける義務標準法に基づく標準定数、これか、あるいは実給与支出額の三分の一、この少ない方、小さい方を限度として国庫負担をするというふうなことになっております。

 平成二十一年度の決算におきまして、教職員の給与の実支出額が義務教育費国庫負担法の最高限度より低い、小さいところは二十一道府県でございまして、この二十一道府県の実支出額と最高限度額、最高限度額、低い額ですけれども、その差が約百二十六億円ということになっております。

馳委員 尾立政務官、この件を確認していただけましたか。

尾立大臣政務官 今文部科学省から答弁がございましたとおり、二十一年度には二十一道府県におきまして、実支出額が国庫負担限度額、最高額を下回っていると承知しております。

馳委員 三分の一国庫負担分からそれだけ国庫返納されたのですが、残り三分の二、地方負担のそれに見合う部分はどうなったのでしょうか。教員給与以外の他の項目に使われたということですか。

山中政府参考人 教員給与費の地方負担分は、これは使途に制限がない一般財源として措置されているものでございまして、このうち実際に教員給与費として支出された額以外の交付税の部分でございますけれども、これがどのように支出されたのかということについては特定が困難でございまして、文部科学省としては承知していないというところでございます。

馳委員 尾立政務官、百二十六億円が国庫に返納されていると。この三分の二の部分はすぐ計算がつきますね、二百五十二億円ですよ。この二百五十二億円がどうなったのと聞いたら、これは文部科学省は把握していないと今答弁しましたよね。おかしいなと思いませんか。

尾立大臣政務官 今文部科学省からもお話がございましたように、この三分の二の給与費につきましては、交付税ということで、地方の一般財源になっております。そういう意味で使い道を特定するのは難しい、私もそのように思います。

馳委員 私はそういうことを聞いているんじゃないんですよ。教員給与費としての三分の二負担としてなっているんですよ。でも、百二十六億円が国庫に返納されてきているんだけれども、二百五十二億円は返納されていないんですよ。何に使ったのと聞いたら、確定していないんです、特定していないんです。今あなたのおっしゃったとおり、交付金ですから何に使われているかわからないんです。

 そもそも、あなたはさっき私の質問に、ベースは決まっていると言ったじゃないですか。そのベースと違うところに使われているんですよ。だから、おかしいと思いませんかと私は聞いているんです。いかがですか。

尾立大臣政務官 義務教育費国庫負担制度におきましては、もう御承知のとおり、義務教育諸学校の教職員給与に関しまして、三分の一を国が負担し、地方負担分については三分の二、地財計画の中で勘案することになっております。

 ただ、この制度は、国が支払いを保障する国庫負担限度額まで義務教育国庫負担金が使われていない事実が今あるという御指摘、これは事実だと思います。ただ、実際にどれだけ使うかということについては、各自治体が実際の給与費また人数等、総額裁量制の中でお決めになるものだと承知をしております。

馳委員 私の質問に答えていないですよね。おかしいと思いませんかと聞いているんですよ。

 では、国庫へ百二十六億円も返納されているのなら、まあ丸々とはいかないでしょうけれども、この分をもう来年から減額にしちゃおうかな、そういう誘惑に駆られたりしますか。

尾立大臣政務官 財務省といたしましては、この義務教育費国庫負担制度、これに基づいて対応しておりますので、その中での返納ということは制度としてもちろん認められておることでございますので、この制度に基づいて適切に運営されていると承知しております。

馳委員 さらに、ここを突っ込んでいきたいと思います。

 三月二十五日、山中局長はこのように答弁されました。「その最高限度額のところまでそれぞれの県の教員給与費の総額というものを確保できていないという県がある」と。

 最高限度額とは、具体的にどういう意味ですか。もうちょっとわかりやすく、私にも理解できるように説明してください。

山中政府参考人 義務教育費国庫負担ということで、小中学校、義務教育諸学校等の先生方の給与を国がその三分の一を負担するということになっているわけでございますけれども、都道府県によっていろいろな給与水準が違ったりいたします。それで、非常に高い給与を払っている都道府県がある場合、それはそれで、それぞれの都道府県の御判断によりまして、優秀な先生を確保したいというところがあると思いますけれども、ほかの県との均衡等もございます。

 そういう意味で、最高限度額ということで都道府県ごとの文部科学省令等に基づく給与単価というものを決めて、それで義務標準法に基づく標準定数というものを決めて、これは標準的に、どこの都道府県でも、最高限度としてはその額の三分の一まで国が負担しようというのがこの最高限度額でございます。

 ただ、都道府県によっては非常に厳しい財政状況だということで、それよりも給与が低いというところを設定しているようなところもあろうかと思います。そういう場合に、ではそこのところの最高限度額より低くしたらそこまで国がまた負担するのかということになりますと、低くすればするほどほかのところの、義務教育費国庫負担として負担しているにもかかわらず違うところの部分になってしまうのはそれもおかしかろうということで、最高限度額よりも低い給与実支出額の都道府県については、その実支出額のところの三分の一を国が負担しようという仕組みになっているところでございます。

 それで、最高限度額というのは、そこまでの給与の負担については国がその三分の一を負担しようというそこの最高の限度ということでございますけれども、具体的には、毎年の五月一日現在、ここで、義務標準法で定める教職員定数でございますとか、あるいは文部科学省令で定める給与月額とそこの標準的なところ、そこを掛け合わせて、ここまでは国がその三分の一を負担しましょうということで決めている額ということでございます。

馳委員 都道府県によってこの最高限度額が違うというのはちょっとわかりづらい議論なんですね。これは大臣に率直に今聞いていただいていたように、その中で国庫負担三分の一の方もベースとして決まっている。そうしたら、ベースに合わせて三分の二分を全額使えばいいんじゃないかなというふうに思いませんか、大臣。本当にここはわかりづらいんですよ。

 そうすると、さらに私が本音で言いたいところは、三分の一国庫負担になっているからこういうことが起こるのかな、全額国庫負担の方がやはりいいのかなと。そして、渡して、渡した分をみんなで、さあ国庫へ返納しないでねと。つまり、都道府県の条例で教員給与とか定数とかが決まっているはずですから、そうすると、渡した分はその中でちゃんと使ってよと。ましてや、三分の二は教職員給与費以外に使われていることを文科省は特定していないと山中局長も答弁されましたよ。どう考えても、制度の趣旨的に見てもおかしいなと私は思って、ちょっとここを確認したいと思って聞いているんですね。

 大臣、どう思われますか。

高木国務大臣 私も国庫負担については堅持をしていかなきゃならぬという立場は同じでございますけれども、これまで二分の一から三分の一になった経過、これについてもそれなりの背景と理由があると思っております。この点についても少し検証しなきゃなりませんけれども、御指摘のとおり、私もそのように思っております。

馳委員 ここはやはり今後の課題だなと思うんですね。

 何度も言いますが、尾立政務官、ベースが決まっていて、三分の一は国庫負担だ、三分の二は地方交付税、これをあわせて現場で使っていただいている。ただし、都道府県は当然、条例、そして定数も決め金額も決めている。都道府県によっては、給与費にちょっとばらつきがありますので、最高限度額までは全部使えていないということになっているんですが、どうもこれは教育委員会と都道府県の財政当局との駆け引きの材料に使われているような気がしないでもないんですよ、私は。

 そもそも、大臣、国の責任なんだから、義務教育の条件整備、質の問題はまたいろいろとありますけれども、条件整備の問題ということを考えると、ここはやはり国が保障した分はちゃんと現場で使ってもらわなきゃね、こういう政策の意思は必要なのではないかと私は思うんですが、これは考え方の問題だと思いますので、尾立政務官、財務省の方と文科省の方と、両方から見解としてお伺いしたいと思います。

尾立大臣政務官 義務教育費の国庫負担制度につきましては、これまでの歴史的な変遷もございますし、現状も御指摘いただいたとおりでございます。

 それで、きょう委員がお出しになっていただいている石川県の算定状況を見ますと、定数が実数より少ないということにもかかわらず、実支出額が最高限度額よりも低いという現状を見ますと、いわゆる人数掛ける単価のところの積算が実態とずれているのではないかな、そのような問題意識を改めて勉強させていただきました。

鈴木(寛)副大臣 先ほどから、三分の二の部分はどういうことなのか、こういう御議論が行われているわけでありますが、三分の二の部分は、これは基準財政需要額に算定をされているわけであります。基準財政需要額と基準財政収入でもって地方交付税というのは算定をされるわけでありますから、東京などの場合は地方交付税はないわけですけれども、いずれにしても、地方交付税の算定の根拠の重要な要素である基準財政需要に位置づけられているにもかかわらず、その分が、これは全額ではありませんけれども、それを根拠に措置された地方交付税がその目的以外に使われているのではないか、こういう御指摘だと思います。

 もちろん、地方交付税と地方の自主財源が相まって、それぞれの地方自治体によって、その使途については地方自治の趣旨に基づいて行われる、こういうことでありますけれども、その両方のロジックの中で今のような御議論が行われているんだと思います。

 それで、私どもとしては、今地方一括交付金の議論がなされておりますけれども、文部科学省の部内においては、教育目的に使途を限定した教育一括交付金というアイデアについて勉強をし、また本年度、関係大臣の担当参与の議論の中で、文部科学省ヒアリングなどの席でもこうしたアイデアについては御説明などもしているところでございます。

 教育一括交付金ということになりますれば、その使い方は総額裁量制的にいろいろな、地方の教育にとって必要な人、そして施設、物、教材、ソフトという、そこの弾力性というのは地方の現場に合わせたというフレキシビリティーを確保しながら、しかし、教育という目的で措置されたものはやはり教育の目的に使うという観点から、今、馳委員の御指摘の目的に沿ったアイデアであるというふうに私も思っております。

 ただ、これもまさに地方財政制度、地方自治制度全般にかかわる大変大きな御議論でもございますので、これは国会においてもさらに御議論を深めていただきたいと思いますし、私どもも、そうした御指導、御鞭撻の中でこうした知恵をさらに磨いていきたいし、さらに世の中の御理解と御支援を賜るべく頑張ってまいりたいと思っております。

馳委員 午前中の質疑、そろそろ締めくくらなきゃいけないんですが、もう一回しつこく言いますよ。

 義務教育費国庫負担金、交付税三分の二、合わせて、いずれにしても義務教育の教職員の給与費なんですよ。措置がされている以上は、やはりこれは満額給与費として使われた方が望ましいと思いませんか。ここから議論がスタートしているんですね。

 それで私は、こういう現状を見るにつけ、これは自民党の反省もあって、国庫負担金を二分の一、最終的には全額国庫負担として確保した上で、鈴木さんおっしゃったように教育一括交付金として渡し、後の責任は、それは都道府県の責任ですよと。そうすると、あとは都道府県議会で議員さんと知事がちょうちょうはっしとやってくださればいいんだから、責任は持っていただけるわけですね。国としては、恐らく義務教育の成果を一定程度の役割で評価をすることができるツールを持っていればそれでいいんだろうな、こういう議論になっていくんですね。

 何度でも言いますけれども、三分の二のうち、国庫へ返納された額の三分の二に見合う部分は教員給与費に使われていないんですよ。このことはもう明らかに今なりましたね。

 これはやはりおかしいなと思いませんかということを、改めて尾立さんと、鈴木さんでもいいですね、文科省の方に、制度どおりやっていてこうなっているんだろうなと思うけれども、そもそも、そのために使われているお金がそれ以外のことに使われている現状については、これはおかしいな、何とかしないといけないんじゃないかというふうに思いませんかということを聞いて、午前の私の質問を終わります。

尾立大臣政務官 馳委員より、非常に深い論点を御指摘いただいたものだと思っております。

 義務教育費国庫負担制度の今後のあり方につきましては、この委員会での御議論や、また鈴木文科副大臣が発言しましたように、政府内でもいろいろと検討を重ねて、よりよい教育のために使われるような制度となるべく検討してまいりたいと思っております。

鈴木(寛)副大臣 制度がそういう制度だということなのではありますけれども、私どもは、文部科学省予算も大変厳しい中で、義務教育国庫負担金、これは国費分のことを申し上げているわけでありますが、確保をさせていただいているわけであります。その確保させていただいた教職員給与の義務教育国庫負担分が返納されるということは、国会あるいは国民の皆様方の御理解を得て確保させていただいた予算がそういう形で返納をされる、返還をされるということは残念であるというのは、私どもはそう思います。

 したがいまして、確保した教職員給与費がぜひ有効に活用されるようにということが望ましいなというふうに思っています。それに伴って、いろいろな制度論については、かなり大きな御議論でもありますので、引き続き国会等においても御議論を深めていただければというふうに思いますし、私どもも勉強をしてまいりたいと思っております。

馳委員 終わります。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。馳浩君。

馳委員 ちょっと震災関係で一つだけお願いしたいと思うんですが、実は、仙台には朝鮮学校がございます。被災状況を確認しておられますか。報告は入っていますかね。

山中政府参考人 仙台の朝鮮学校につきましては、各種学校でございますので、各種学校としてどういうふうな被害状況になっているのかというところの状況は、県の方で把握しているというふうに思っております。

馳委員 実は、仙台の朝鮮学校は、食堂は何とか動いているので、そこで炊き出しをして、いわゆる在日の皆さん方が近所に御飯を配ったりしておられるんですが、ところが学校校舎が半壊をして使えなくなっているという状況です。ちなみに、東京・十条の朝鮮学校も、体育館、屋根が落ちて使えない状況になっているんだそうですね。

 端的に言えば、本国にお願いして何とかしろ、こう言わざるを得ないですが、でも、しかし、生活をしておられる皆さんは、また朝鮮学校の児童生徒も、学校生活、授業ができないという状況です。それを考えると、各種学校として宮城県が状況を判断しているとは思いますが、子供たちに授業をすることができるような環境についての相談に乗るということについても、私は検討していくべきだと思います。

 全国の朝鮮学校というのは、耐震基準、それから補助金というのは多分ないはずですよね。まずそれを確認したいと思いますが、どうですか。

辰野政府参考人 耐震基準については確認いたしますけれども、ただ、阪神・淡路大震災のときにも、これは専修学校、各種学校に対する施設整備の一環としてそれらに対応したと思います。そのあたりのところをベースに、また検討していくということになろうかと思います。

馳委員 これは、朝鮮高校の無償化のときにいろいろな議論はしましたが、現実に各種学校として都道府県で認定をした上で教育活動が行われているということについての配慮、これは必要だということを申し上げて、本題の質問に入りたいと思います。

 総額裁量制の議論について入りたいと思いますが、この制度はいつから始まりましたか。

山中政府参考人 義務教育費国庫負担金の総額裁量制でございますから、平成十六年に導入したというものでございます。

馳委員 平成十六年に総額裁量制をスタートした背景、そして制度の趣旨を教えてください。

山中政府参考人 この総額裁量制でございますけれども、当時、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三という、平成十五年六月の閣議決定がございますけれども、義務教育に関する地方の自由度を大幅に拡大する観点、こういう観点から、平成十六年度に義務教育費国庫負担制度の改革、例えば定額化とか交付金化のための具体的措置を講ずるべく、所要の検討を進める、こういうことを踏まえて、平成十六年から新たに導入したものでございます。

 この総額裁量制、教職員の給与費の原則三分の一、十六年当時は二分の一でございましたけれども、これを国庫負担することを前提とした上で、国が定める最高限度額の範囲内で、教職員の配置ですとか教職員の給与水準についての都道府県の裁量を拡大する、例えば、給与を若干下げて、それによって教員の数をふやすといった、そういう弾力的な扱いというものを認めていこうというものでございます。

馳委員 まさしく、額よりも数ということなんですが、ここで我々、与野党を通じてやはり問題意識を持たなきゃいけないのが、正規の教員を確保できなくなってきているんじゃないかという、ここの論点はどうしてもしなきゃいけないと思うんですよ。

 そこで、次の質問に入りますが、基礎定数と加配定数を合わせた総定数、総額を、都道府県の裁量で、条例で決めた定数に当てはめた上で教職員の人事を行っている、こういう理解でよろしいでしょうか。

山中政府参考人 各都道府県の教育委員会では、義務標準法で定めました基礎定数、それから加配がございますが、これが国の方で負担しているもの、三分の一負担しているものでございますけれども、この教職員定数の総数、これにさらに県で単独に定数措置をしているといった、そういうものもあると思います。そういうものも加えた条例定数というものをそれぞれの県で決めて、その範囲内で、それぞれの都道府県教育委員会内で教職員を任用して配置しているということだと思っております。

馳委員 同じようなことをちょっともう一度聞きますね。義務標準法で国が定めた基礎定数と加配定数を枠組みとした上で、都道府県の条例で定数を決め、工夫をして、つまり総額裁量制という制度のもとで教員数をふやしている、そういう理解でよろしいですか。

山中政府参考人 これはそれぞれの都道府県によっていろいろなやり方があろうかと思いますけれども、まず、国の方で国庫負担しております基礎定数、それから加配というものを基本にしながら、先生がおっしゃったような形で、若干給与を下げて、それで定数をふやすとか、その枠内で。あるいは、それぞれの都道府県で、うちはもっと教員を雇おうという形で、プラスで県単独の措置といいますか、そういう負担でやられているというふうな形、いろいろな形があろうかと思いますが、工夫されているというふうに思っております。

馳委員 平成二十三年度には、小学校三十五人以下学級法案が成立すれば、小学校一年生分の基礎定数が四千人、八十七億円確保されます。

 この数字について伺いますが、これは、単純に一年生三十五人以下学級とした場合の、機械的に出てきた数字です。都道府県の現場においては、四千人分、八十七億円分プラスその他の義務定数分と加配定数分、さらに今おっしゃった都道府県の県費負担分含めて、これを総額裁量制でいかように、どう自由に使おうとも可能である、こういうふうに理解してよろしいですか。

山中政府参考人 先生御指摘のように、平成二十三年度の予算案でございますと、小学校一年生三十五人以下学級ということでございますので、ここのところについて四千人分、八十七億がございます。それ以外に、小学校二年から六年、中学校とか、そこの義務教育諸学校のところがございますので、そこのところの経費、それから加配の額、それからそれぞれの都道府県というようなところが独自に負担している分もあるかと思いますが、そういう中で配分をしていくということでございます。

 ただ、いかようにも使えるということになりますと、それは先ほど副大臣の方から申し上げたような、教育一括交付金的なものになればそういう世界になろうかと思いますけれども、現在は標準法というもので一学級の学級編制の基準というものが決まっておりますので、それを基準にして学級編制をしていただくということ。

 また加配の場合は、その加配の目的がございますので、そういう目的で申請していただいて、その加配の目的の中で使っていただくということになります。

 ただ、加配の目的というものも、今まで少し細分化していたものを大きくまとめ、大くくり化をいたしまして、各県で使える弾力性というものを高めようということはやってきておりますけれども、加配の目的に沿った形で加配も活用していただく、そういうことになろうかと思います。

馳委員 先般の質疑で、鈴木副大臣は、基礎定数を確保したらそれは自由に使えるというふうに答弁されたと思うんですが、私はその趣旨も踏まえて、いわゆる基礎定数分、加配定数分、都道府県の独自に負担した分をあわせて、つまり、目的に沿って自由に使えるという、私の説明がちょっとわかりづらかったかもしれませんが、そういう意味での、現場は条例による定数を定めて自由に使える、裁量が与えられているという認識でよろしいですか、こういうふうに申し上げたつもりなんですけれども、それでいいんですよね。

鈴木(寛)副大臣 基本的にはそういうことですが、繰り返しになりますけれども、加配というのは目的が決まっていますから、その目的を逸脱しない限りにおいて自由に使える。それから、いわゆる学級編制基準というのは、四十人を超える改悪になるような使い方は認められないというのは当然でございますので、それは学級編制基準を遵守している限りにおいて自由に使えるということでございます。

 今回、四十人以下を三十五人以下にしましたけれども、そこは標準という形にしておりますので、そこは、例えばいろいろな事情で三十六とか三十七になるというのは別に学級編制基準を逸脱したことになりませんので、ただ、四十を超えるのはだめだというようなことの中で、そういう意味で自由に基礎定数については使える、こういうことでございます。

馳委員 私の問題意識は、さっきから言っているように、自由に使えるんだけれども、非常勤や臨時任用を自由にたくさんふやしていいというふうな、それはちょっと意味が違いますよね、やはりできるだけ正規の教員がいて、来年の生活の不安もないように、つまり、臨時任用、非常勤の皆さん方にとってみれば、正規の教員と比べれば処遇が違うわけですから、そこはやはり、自由には使えるんだけれども、より正規の身分として、そういう処遇として使われた方がよいという認識は文部科学省も持っておられますよね、こういう趣旨で聞きたかったんです。いかがですか。

山中政府参考人 この委員会の中でも、基礎定数化ということを図ることによって計画的に予測を持って人事ができるようになる、そういうことの趣旨も含まれているんだという議論が行われてきたところでございます。

 それぞれ県によって、例えば臨時的任用でございますと、産休の先生、それから育休の先生、病休の先生とかそういう教員の場合の数が割と多いところでございますけれども、そういう人のために臨時的任用が行われるといったような事情等もございますので、ある一定の割合の臨時的任用、いわゆる非正規雇用というようなところはあるわけでございますけれども、基本的に、常勤的な雇用で安定して先生方がその職務に専念できるというふうなことはいいかと思います。

 それは、それぞれの都道府県の方で、任命権者で、状況も違ったりとか、それぞれの学校が置かれている状況とか、どういう教科の先生が今要るとか足りているとか、ここは応募が非常に少なくて足りないとか、やはりいろいろな状況があると思いますので、それぞれの県が市町村の状況に応じてやっているところだと思いますけれども、その点については工夫していただければというふうに思っております。

馳委員 そうすると、僕の本音をはっきり言いますよ。要は、できれば退職教員を活用して非常勤講師とか臨時的任用をした方が、いわゆる二十代から五十代までの方々を正規の方でより採用してあげることができるんじゃないんですかね、これが私の本音ですよ。これは副大臣に聞いた方がいいかもしれません。いかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 将来あるいは現在の教員集団を支える二十代から六十歳までの教員というのは、やはりより安定的に身分が確保された形で教職員をやっていただくということが望ましいと思います。

 さらに、では非常勤をどういうところで埋めていくのかということですが、もちろん、退職教員、これは大変望ましいオプションの一つだと思います、経験もあるし。ただ、それで賄える県もあるかとは思いますが、必ずしもそうでないところもありますので、そこは地域地域の事情で対応していただければいいんではないかと。

 今、これもさきの委員会でも御議論がありましたけれども、プールしているいわゆる産休の教職員がなかなか補充できないということもございます。そうしたところもございますので、そこはあらゆる手段とチャネルでもって補充教員を集めて確保していくということが非常に強く求められている都道府県もあるということも、あわせ御理解もいただきたいと思います。

馳委員 次の質問に入りますが、二十五日の質疑で、私は、地財計画に入っている三分の二の部分が三分の一に見合っていない、少なく渡されていると指摘しましたが、その認識でよろしいですか。

山中政府参考人 教員給与費、義務教育の国庫負担ですけれども、地方財政計画の中では、最高限度額、これをもとにして積算しております国庫負担金予算額、これは三分の一負担しますので、あと三分の二は、ですから、国庫負担金予算額の二倍、これが地方財政計画の中には教職員給与費の地方負担分として計上されております。

馳委員 では、ちょっと具体的にお聞きしますが、実際に平成二十二年度において国庫負担金三分の一は幾らですか。それに見合った地方交付金三分の二の分は幾らでしたか。

山中政府参考人 平成二十二年度の義務教育費国庫負担金の予算額でございますけれども、これは一兆五千九百三十八億円でございました。これに対応する、地方財政計画で最高限度額をもとに積算している国庫負担金予算額の二倍、三兆一千八百七十五億円が教職員給与費の地方負担分ということで計上されているということでございます。

馳委員 済みません、すぐに計算できないんですが、これはまさしく三分の二の実数ということでよろしいですか。

山中政府参考人 地方財政計画の方に積算されているのは、国の負担額の掛ける二倍ということで三兆一千八百七十五億円、これが計上されているということでございます。

馳委員 では、計上されているということですから、決算の方でむしろ聞いた方がいいんですかね。平成二十一年度の決算は、数字はわかりますか。

山中政府参考人 決算というのはちょっとすぐにないのでございますが、参考になる数字といたしまして、例えば平成二十二年度の義務教育費国庫負担金、これはまだ決算前で確定していないんですけれども、平成二十二年度執行の最終交付段階、この段階で実支出額が最高限度額を下回るというところは十八道府県で、差額が百二十四億円ということでございました。ですから、最高限度額にまで達しているところ、超えているところはそこまでで終わりますけれども、それに満たないところ、下回るところが十八あって、その差額が百二十四億円であったということでございます。

馳委員 結局、また最高限度額の議論になってしまうということですね。この話は、これ以上突っ込んでも同じやりとりになるのかなと思いますね。

 これは午前中やった議論だと思いますが、教職員給与費として三分の一国庫負担、三分の二はそれにあわせてというのであるならば、それが本当に丸々、満額教員給与費に使われる、これがやはり望ましいと改めて私は思います。十八道府県ですか、百二十四億円、決算ベースでも使われていない、こういう数字でもありますし、これが満額丸々使われるような考え方というものを今後やはり模索していくべきではないかなと改めて指摘をしたいと思います。

 では、次の質問に行きますが、総額裁量制の実態についていよいよ伺いますが、義務標準法で定めた定数よりもどのくらい多くの教員数を現場で確保しているのでしょうか。

山中政府参考人 これは今あります平成二十一年五月一日現在の数字でございますけれども、義務標準法で定めます教員定数、全国の計で五十八万七千六十二人となっているのに対しまして、実際の換算しました教員数は全国で五十九万四千九百十六人ということになっており、定数に比べて実際上の換算した教員数は七千八百五十四人多く配置されているという状況になっております。

馳委員 それだけ都道府県の工夫、総額裁量制のもとで、あるいは自己負担のもとで七千八百五十四人多く採用されているというふうな認識でいいわけですよね。でも、いわゆる義務標準法で定めた定数よりもここまで七千八百五十四人分多く給与費は使っている、こういう認識でよろしいですか。それとも、義務標準法で定めた定数をうまく総額裁量制で配分しているということでいいんですか。

山中政府参考人 この数字は、義務標準法で定めたところの数字を使って、うまく活用して七千八百五十四人多く配置している、工夫してやっているということでございます。

馳委員 では、具体的にということで、ほかの県を使うと失礼ですので、地元の石川県の総額裁量制についての資料をごらんいただきたいと思います。

 石川県はこうなっています。さっといきますね。「一、総額裁量制後の国庫負担金の算定状況推移」を見てください。平成二十一年度、二億四千四百万円が国庫に返納されております。最高限度額との差額です。どうしてこれは使われなかったのでしょうか。

山中政府参考人 石川県におきまして、例えば平成二十一年度については、義務教育費国庫負担金が、実支出額が最高限度額を下回ってマイナスと黒三角が立っているわけでございますけれども、これは、石川県において管理職手当を一〇%削減するといった県独自の給与の抑制措置を講じている、そういうふうなことによって、実支出額の方が最高限度額として計算した額よりも低くなっているということではないかと思っております。

馳委員 地方交付金で三分の二負担すべき四億八千八百万円はどこに使われたのでしょうか。

山中政府参考人 この地方負担分というのは地方交付税の方で積算されておりますけれども、その使途は限定されておりませんので、一般財源ということでございますから、地方負担の方で、積算されたものの中で実際に教員給与費として支出されなかった部分、これがどこに行ったかというところは特定が困難でございまして、把握していないというところでございます。

馳委員 実は私、この質問をするに当たって、おととい、送別会中であった教職員課の熊谷さんという方に電話をして、どうなっているのと聞いたら、実はそういうことなんです、最高限度額まで使われず国庫に返納しています。では三分の二はどうしているのと言ったら、さあと。それは、では教育委員会の責任じゃなくて財政当局の判断ですよねと言ったら、そうなんですよというやりとりでした。

 さらに、何か言いたいことはあると聞いたら、実は石川県でも特別支援学級で学ぶ子供たちの数は右肩上がりでふえているんだけれども、それに対応する教員を配置し得ていないと。馳さんおっしゃるように、国庫負担金あるいは三分の二負担分がこういう状況になっているとするならば、できるだけ特別支援教育、特別支援学級の人数に、教員の配置により工夫して使えればいいんですけれどもねと。

 こういうふうなおっしゃり方をしておられましたので、ここはやはり、基礎定数の算定は基本的には学級数という話でありましたが、特別支援学級の学級数も基礎定数の配分の基準の中に入っているわけですから、もうちょっと何かできるんじゃないんだろうかなと、私は、その電話のやりとりだけでしたからそれ以上詳しいことは聞けなかったのですが、思いました。

 何度も言うようですが、国庫に返納されるという状況を踏まえて、残り三分の二が何かほかの用途に使われているというふうなことを考えると、もうちょっとやりくりができそうなものなんだがなと思ったのですが、私のこの素朴な疑問にどのようにお答えいただけるでしょうか、山中局長。

山中政府参考人 まず、特別支援学級でございますけれども、特別支援学級につきましては、義務標準法の中で学級編制の基準は八人に一人先生という形で、これが基礎定数になって、そしてまたいろいろな計算になってくるわけです。

 これを基礎とした数に基づいて基礎的な教職員定数というのが国庫負担されているということで、あと、特別支援教育の中で、通級指導でございますとか、いろいろな子供たちの特別なニーズに対応するための加配というふうなこともありますので、そういうものの中でいろいろな障害のある特別な支援が必要な子供たちへの対応はやってきている、そういう形での数になって、まず基礎定数で特別支援学級については措置しているということでございますけれども、そういうものを踏まえながらそれぞれの都道府県で配置されておられるというふうには思っております。

馳委員 こういう点も私も改めてお聞きしたいと思います。

 関連して、文部科学省の資料を拝見して、平成二十三年度、中学校では千七学級、特別支援学校では三百十一学級も学級数がふえることになっています。小学校の特別支援学級では六百ほどあったと思います。ふえるんですね。

 児童生徒の入る学級数分、クラス、つまり施設の手当てはこれに対応できているのでしょうか。千七足す三百十一プラス小学校の特別支援学級数分の六百、合わせて二千ほどですね。二千ほど特別支援学級の学級数が、ふえているというか、必要なはずなんですけれども、それに施設としては足りているのかどうか、お聞きしたいと思います。

辰野政府参考人 御指摘の必要な教室数の確保につきましては、公立学校施設整備費負担金等によって措置しているところでございます。平成二十三年度予算におきましても、これらの全国的な教室整備のニーズの事業量調査を行っておりまして、必要な予算を計上しているところであります。

 したがいまして、地方公共団体の計画申請には応じられるものとなっておるところでございます。

馳委員 では、私の心配は要らない、二千学級、ちゃんと現場は対応できているというふうに断言してよろしいですね。うなずいておられますので、理解をいたします。

 では、次に行きます。

 もとの資料に戻ります。「二、義務標準法に基づく定数と実数の比較推移」をごらんください。平成二十一年度の実数五千九百五十四人に非常勤講師や臨時任用教員の人数は含まれているのでしょうか。

山中政府参考人 義務標準法上、教員定数ですけれども、法令に従いまして、常勤の教員の勤務時間数に応じた形で非常勤の数に換算するということができることになっております。こういう換算を行ってみますと、石川県の平成二十一年度の公立小中学校の教員数五千九百五十四人ですけれども、この中には非常勤講師が、常勤換算で五十二人分相当が含まれているというものになっております。

馳委員 臨時的任用が五百五十一人ということなんですね。そうなんですよ。五千九百五十四の内訳を言うと、正規職員が五千三百五十一、臨時的任用が五百五十一、非常勤講師、これは換算数ですから、換算数ということはさらに多いのかなというふうな気もしますけれども、五十二、こういうふうになっているんですね。これで間違いないですね。

山中政府参考人 平成二十一年度の公立義務教育諸学校の教員のこの五千九百五十四人のうち、いわゆる正規教員が五千三百五十一、臨時的任用は五百五十一、非常勤講師は、これは常勤換算していますので、先生御指摘のように、人数としてはもっと多くなりますけれども、換算すると五十二人分相当ということになっております。

馳委員 正規職員が減る傾向にあって、臨時的任用や非常勤講師換算、この人数がふえる傾向にあるということは容易に指摘できるんですが、私の認識でよろしいですか。

山中政府参考人 例えば石川県の小中学校の教員数等の実数の推移でございますが、平成十六年に正規が五千五百四十三人であったものが、二十一年に五千三百五十一人と減っております。総体の教員数は、五千九百六十七から五千九百五十四と若干の差でございますので、臨時的任用と非常勤講師の換算分は、臨時的任用が、平成十六年の三百九十三が二十一年で五百五十一、非常勤講師換算分が、平成十六年度で三十一が平成二十一年度で五十二というふうにふえているという状況があります。

馳委員 という数字が好ましくないと思いませんか。

鈴木(寛)副大臣 好ましくないというか、そうならざるを得ないんだと思うんですね。今委員からお示しをいただいた資料でも、結局、基礎定数が五千四百ですから、しかもこの五千四百が右下がり傾向にありますから、どうしても、常勤の職員というのはその枠内に抑えなきゃいけない。そして、さらにこれが、ほっておきますと下がっていきますから、そういう意味では、来年も再来年もその枠内に抑えていこうという中で、こういった対応を余儀なくされているんだというふうに私は理解をしております。

馳委員 そこで、次の質問に行きます。

 「三、教職員定数算定状況」をごらんください。加配定数は五百五十人、九%です。基礎定数も加配定数もふやす方向に持っていくべきだと私は思いますが、現実は、児童生徒数減と学級数減とで、加配定数に振りかえられているのではないかと思われます。

 私の認識は間違っているでしょうか。

山中政府参考人 基礎定数は、子供の数、それに基づく学級数ということに基づいておりますので、子供の数が減っていくと自然に基礎定数は減っていくということになります。このため、例えば今回の、小学一年生の学級編制を三十五人にするといったような、そういう基準が変わらないと、子供の数が減れば自然に減っていくということになります。

 近年、子供の数の減少に伴いまして、先生の自然減というのが生じ、大幅な財政負担の増を行えないという厳しい財政状況の中で、こういうふうな自然減というふうなことも財源にしながら、主として加配定数の拡充を行ってきたという経緯があることは事実でございます。基礎定数を充実しながら加配定数も拡充する、こういうふうな形でございます。

馳委員 ここで鈴木副大臣にちょっとお伺いしますけれども、基礎定数が減少傾向にあるから非正規教員や非常勤講師がふえ続けているのでしょうか。それとも、それだけが原因ではなくて、総額裁量制という制度によって非正規教員や非常勤講師がふえる傾向にあるのでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 基礎定数が減少傾向にあるので、その枠の中で抑えなきゃいけないので正規教員の枠が減っていくということは言えると思います。

 それで、では今度、いい教育を行うために、例えば昨年度も、国全体としては四千二百人の加配定数増というのをやりました。それに対して、意志ある、そして教育上のニーズを感じている都道府県においては、加配定数を手を挙げられて申請されて、そしてその申請に基づき、その四千二百人の加配の中から我々は配っているわけです。

 それの使い方として、いろいろニーズは高まる、そしてそれに対して対応しなきゃいけない、しかし正規教員はなかなかふやせないということになると、そこは非正規教員で埋めていかないといけないということでありまして、かつまた、そのことが総額裁量制の導入によって可能になってきているというのが今の状況だと思います。

馳委員 私と同じ認識なんですね。

 重要なことは、基礎定数と加配定数を活用するときに、より正規教員を配置するという決意が文部科学省も都道府県もともに重要なのではないでしょうかということなんです。僕は、実はここを、尾立政務官にもこの議論を聞いておいてほしかったところなんですね。

 だから、基礎定数を四十から三十五にすることですべて事足れりではないということなんです。これは一つの要因として、まさしく必要ではあるでしょう。けれども、安定的に教員の身分を確保してあげるということも、これは教育条件として本当に必要なことであると思います。そのための工夫が必要ではないかということを、けさ来、松野委員も下村委員も私も主張しているところであります。

 この後、ちょっと肩の力を抜いて聞いていただくとして、例えば、この加配の算定方式を学校単位へ変更するという考え方、これは私も、教育基本法を改正したときに項目として立てたんですけれどもね。

 学校の役割は何だろうか、そして教育の役割は何だろうか。家庭と地域と学校と相まって教育の効果を高めていくべきであると。そうすると、学校の持つマネジメント能力というのが、家庭に対しても、地域に対してもより重要視されてくる時代になったということを、あの教育基本法の改正でも認識をされたのではないかというふうに思うんです。

 そうすると、けさ松野さんもおっしゃっておられましたけれども、基礎定数の算定についての考え方、私は今、加配の部分で言いまして、加配の部分で、学校単位で一括で渡すという考え方、そしてマネジメント能力を高める。

 ちょっと細かい話になるんですけれども、この間、委員長のもとで横浜の方に視察に行ってきました。外国人児童生徒に対する日本語指導の算定基準は十人に一人なんですよ。ただし、それは三人までなんですね、上限が三人。資料を私も見て、そのとき話を聞いたんです。そこの学校には、三十人以上、四十人、五十人、六十人といたら、でも三人までしか加配の基準がないから、三人で日本語指導の対応をするんです。

 でも、教育ということを考えたら、多分、その外国人児童生徒には親もいるでしょう。親の日本語指導や、行政とをつなぐ生活の指導、いろいろ考えたときに、地域のよりどころはやはり学校じゃないですか。まさに今般の震災のときに拠点ともなっています。コミュニティーの中核ともなっています。そこに、やはりマネジメントを含めた人の手当てをするという考え方が必要になってくるのではないんでしょうか。私は、これは今、加配の算定のあり方としての一つの提案というふうな形、考え方として申し上げているんですね。

 僕はやはり、今後、これは特に財務省にも聞いておいてほしいんですね。公立小学校は、そこに通ってくる子供たちの教育のためにだけあるのではなく、そこで働く教職員のためにだけあるのではなく、地域の拠点としての役割や、非常時の避難場所としての役割や、生涯教育や生涯スポーツの役割や、そういったものを踏まえているからこそ、それに対する施設の手当てや、人の手当てというものを充実していかなければいけないのではないんだろうか、こういう考え方を私は今申し上げているんです。

 文部科学省と財務省、これは、今回の法律は法律として、きょうはもう決着しますけれども、私は、今後の考え方としてちょっと提案を申し上げているつもりなんですよ。お考えがありましたら、両省からお聞かせいただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 まず、マネジメント機能の強化が重要だと私も思います。

 それで、例えば副校長、教頭の複数配置、これは基礎定数なんですね。それから主幹、これは加配定数なんですね。こういったのが実態でありまして、したがって、私どもは、今回も副校長、教頭の複数配置分の基礎定数増というのは四千人の中に百人ぐらい入っています。それからそれを支える事務職員、それも百人ぐらい入っています。ですから、いわゆるマネジメント機能の強化という意味で、四千人の基礎定数増のうちの二百人は今おっしゃった趣旨にかなっていると思います。

 まさに、もう少し中長期的な学校のあり方論、それから地域社会、特にやはり家庭教育力というものがなかなか厳しい状況になってきています、これを学校と地域と組んでどう補っていくかということが非常に重要な課題となっている地域も多うございますので、そういう意味で、加配定数、基礎定数にまたがったいろいろなあるべき論というのは、ぜひ御議論を深めていただきたいというふうに思っております。

尾立大臣政務官 お答えいたします。

 私の知見の範囲で恐縮でございますが、まさに委員おっしゃったように、学校の役割とか機能、地域におけるそういった本当に新しい視点からの切り口だと拝聴しておりました。

 その中で、やはりどこの地域でもそうでしょうが、小学校、中学校というのは一番我々住民にとって、また子供にとって身近な存在でございますから、ここの機能強化というのは、今地域のコミュニティーが崩壊しつつありますので、しておりますので、そういう地域のコミュニティーの中でのあり方という面でも私は大切だと思っておりますので、また当委員会での御議論などを参考にさせていただきながら、よりよい学校のあり方というものを検討してまいりたいと思っております。

馳委員 改めて、これは尾立政務官にも御理解いただきたいと思っているんですけれども、今文部科学省は、地域スポーツクラブも、中学校単位ですか、ぜひ全国に定着させていこうとおっしゃっておられます。小学校のことも考えると、体育の専科教員というのも、これは意外とやはり必要なんですよ。年配の先生が体育の授業をすると、意外とこれは大変なんですよ。そう考えると、まさしくそういう人材が放課後のクラブ活動の指導者であったり、あるいはマネジメント能力を発揮したりする。

 そうすると、施設を考えれば、クラブハウスというものの必要性もあるかもしれないし、あるいは学童保育といいますか、子どもプランの放課後児童クラブですか、そういった子供への対応という、これはまさしく教育と福祉と安全、安心と、何かひっくるめたような感じかもしれませんが、そういう期待を集める役割、機能が小学校、中学校にはありますよということを私は財務省に理解をしていただきたい、そういうことなんですよ。

 そう考えると、手前みそかもしれませんが、加配定数あるいは基礎定数、この算定についての今後の議論を大いに前広にやっていただきたいし、同時に、改めて言いますけれども、私は、そのためにも教職員に対する評価制度といったもの、これはある意味では厳格にやっていただきたい。

 私は、簡単にだめな者はすぐ排除しろという言い方はしませんが、頑張っている人が報われるような形をとってもらわないと、現状はどうでしょう、教頭、校長ばかりがいろいろな仕事を一手に引き受けているという現状もあります。一般の先生方は、仕事は家に持ち帰ってやらざるを得ないという、この繰り返しになって悪循環になっているということがあるんですね。

 小学校の先生方に聞くと、悪いけれども、担任をやっていて、授業をやっていて、報告書がたくさんあるということを考えると、級外、クラス担任以外の先生が一人でも多くいてもらった方が子供たちに向き合う時間をとても確保しやすくなると、一様に先生方がおっしゃいます。

 級外の先生の役割ということを考えると、まさしくマネジメント能力を発揮したり、養護あるいはメンタルサポートも含めて、地域との交渉役等々含めて本当に学校の役割を、人的資源の確保という点からもぜひ財務省によくそこに刮目をして評価をいただきたい、私はこのことを改めて申し上げたいと思います。

 次の質問に入りますが、平成二十二年度の加配教職員の配分率について伺います。

 低い順番に、栄養教諭が七三・九%、養護教諭が八一・七%、主幹教諭が八五・七%です。加配教員は申請に応じて配分することになっています。都道府県の配分率も、ゼロ%から一〇〇%までまちまちです。ちなみに、高木文部科学大臣の御地元の長崎県は、申請に対する配分率は一番低いんですね。七〇%台なんです。地元に帰ったら教育長に、どないなっとるんやと、ちょっと聞いてみてください。これは多分、何か事情があると思うんですけれども。

 もうちょっと文部科学省から申請を促すということはできないのでしょうか。余りにも何か都道府県格差があるように感じますが、いかがでしょうか。

山中政府参考人 今委員から御指摘がありました主幹教諭、養護教諭、栄養教諭、これはまず、子供の数に応じて確定する基礎定数、こういうことで計算して措置した上で、さらにそれぞれの学校の状況、食育の充実とか子供の健康とか、そういうことへの対応を踏まえて、各市町村教育委員会から都道府県に行って、都道府県教育委員会からまた国の方に申請される、そういうものを踏まえて加配定数を措置しているものでございます。

 都道府県の教育委員会は、それぞれの学校や市町村の実際の実施状況を勘案した上で申請しておりますので、都道府県あるいは地域によって申請の状況に差が見られるということでございます。

 ただ、例えば、主幹教諭の配置という意味では、学校マネジメント強化をしっかりしてほしいといった点、あるいは、学校の食育の充実を図るためには、学校の栄養教諭の先生方の配置をぜひ進めてほしいといった点、あるいは、養護教諭の先生方の配置も、子供の健康とか心身の安全についての指導を充実してほしいといった、そういうものは各都道府県の教育委員会についても御要請申し上げているというところでございます。

 あと、ゼロ%というのは割と、申請がゼロだったのでゼロというのがほとんどということでございます。

馳委員 高木大臣、長崎県の数字をごらんになったと思います。七〇・八%でしたよね。つまり、申請がなかったからというだけの話なんですよ。

 そこで、簡単な数字をお聞きして失礼なんですが、文科省は現在、都道府県や区市町村の教育委員会に何名の出向者を出していますか。

山中政府参考人 平成二十三年の二月一日現在で、文部科学省から都道府県教育委員会への出向者三十七名、市区町村教育委員会への出向者が十一名ということで、計四十八名となっております。

馳委員 文科省は現在、都道府県や区市町村の教育委員会から何名の出向者を受け入れていますか。

山中政府参考人 同じく、平成二十三年二月一日現在で、都道府県教育委員会から文部科学省への出向者の受け入れが四十一名、市区町村教育委員会からの出向者の受け入れが九名、計五十名ということになっております。

馳委員 この人事交流の目的は何ですか。

山中政府参考人 文部科学省の職員にとりましては、都道府県あるいは市町村の実際の教育現場でどういう教育行政というものが行われているかということを実際に知るという非常に貴重な機会になりますし、また、都道府県の教育委員会の方あるいは市町村の教育委員会の方にとっては、それぞれのやっていることについて、国の教育政策という形で、どういう形でその意思決定が行われているのかといったところを実際に体験できる非常に貴重な機会になっているんじゃないかというふうに思っております。

馳委員 ここは、文科省の職員にとっても教育委員会の職員にとっても、貴重な体験で終わらせてはいけないんじゃないんですかというのが私の指摘でありまして、私は、出向者を受け入れたり出したりする一番の意味は情報の共有にあると思っているんですよ。

 情報の共有ということは、すなわち、文科省が義務教育における国の責任についてやはり全国において周知徹底をしたいし、すべきです。逆に、地方の教育委員会の職員にとっても、同じように情報を、文部科学省と地元とタイムラグのないように認識を共有する。つまり、通達行政だけでは十分ではなくて、職員の交流を通じて、より情報の共有を図っていく。教育行政の進め方を文部科学省と現場とできるだけ合わせていくようにするというのが出向の役割ではないかなと思うんですよ。

 だから、長崎県においても多分出向者を出したり受け入れたりしていると思いますけれども、加配の枠があるわけですし、そして、鈴木副大臣もおっしゃったように、加配をふやせばふやすほど文部科学省の裁量権はふえざるを得ない、なくすことはできないんだ、それはそのとおりなんですよ。

 むしろそうすることによって、こういう人事交流などを有効に活用して、加配教員の現場への配置、今回の法改正でも、学校現場や区市町村の教育委員会の意見を尊重すると規定を修正で盛り込んだじゃないですか。それを実際に動かしていく工夫というのもこういった点から必要なのではないかなと思って申し上げているんですが、大臣、いかがでしょうか。

高木国務大臣 各都道府県から文部科学省への出向、あるいは文部科学省から逆に都道府県への出向、この大きな意義は、やはり委員御指摘のとおり、私は情報の共有化ではないかと思っています。それぞれの共有化の中で、より地域の特殊性あるいは全国的な情報の収集、こういったものによって、私は、結果的に、指導的立場にある皆さん方のしっかりした児童生徒への教育に絶対つながっていくと思っております。

 そういう意味で、加配も含めてそれぞれのメリットを生かして、結局は教育効果の向上のために役立たなきゃならぬ、そのように思っておりますので、今後とも引き続き、しっかり取り組みを進めていきたいと思っております。

馳委員 最後になりますが、まさしくこの四月一日から、新しい学習指導要領に基づいた教育が小学校で始まります。来年からは中学校で始まります。尾立政務官、ここなんですよ。

 つまり、教育基本法が改正されて、教育振興基本計画ができて、教育三法ができ、こうして政権交代もありましたが、新しい学習指導要領に基づいて、もちろん授業数もふえるわけですよ、でも、現場の教育を充実していこう、先ほど申し上げたように家庭や地域の教育力もともに高めていこうという方針の中で、余計に、現場にいる教職員の役割は高まっている、期待も高まっている。同時に、地域の人たちも保護者も、義務教育には参加していきましょうねという時代になってきているという、その認識の中においての今回の法改正であるわけで、何度も言いますが、少人数教育について、我々自由民主党も大いに賛同するものです。

 そして、小学校一年生の三十五人だけをやったからそれで今回はめでたしとは終わらないんですよ。ここなんです、大事なことは。今後とも計画的にやっていかなければいけないし、少人数教育ということは、少人数学級プラス少人数指導なんです。学校現場の事情に配慮するということ、これはやはりまさしく情報の共有があって初めてなされていくということ。

 小学校一年生だけの三十五人だけで終わっては、結局、また少子化で基礎定数が減り続けることには変わりはないんです。ここで終わりではないということ、今後とも文部科学省にも課題が山積しているということも申し上げて、さらなる議論が深まることを期待して私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 きょう成立の運びとなるはずでございますこの三十五人学級法案、これで私も四度目の質問をさせていただきます。

 これまでの私の質疑に対して、高木大臣も鈴木副大臣も、そして政府も、それぞれが真摯に、誠実にお答えいただき、公明党がいつも望んでおります、現場の声をしっかりと酌み取りながら、子供一人一人と向き合い、そしてきめ細やかな教育をしていきたい、子供一人一人が持っているそのすばらしさを引き出せるような教育環境を私たちが整えていきたい、その思い、その方向性は私は一緒なのではないかと思います。これが最後になりますので、総括としてちょっとまとめさせていただきたいと思います。

 では、その方向性は何なのかといいますと、一つ目は、市町村教育委員会の学級編制の自主性を確保するという観点から、市町村教育委員会が学級編制を行うに当たっては、その学校の児童または生徒の実態を考慮することを明らかにすることだと思います。

 また、これとの関連で、学級編制に関する市町村教育委員会の自主性を教職員の定数配分の観点からもしっかりと担保することができるように、都道府県教育委員会が教職員の市町村別の学校の種類ごとの定数を定める場合には、市町村における子供の実態、市町村が設置する学校の学級編制に係る事情等を勘案しなければならないことを明らかにするとともに、都道府県教育委員会に対し、この場合にそれを聞くこととされている市町村教育委員会の意見を十分に尊重することを義務づけることでございます。

 三つ目は、教職員定数に関して加配措置が講じられる場合には、その加配措置に係る数については、学校長やその学校を設置する地方公共団体の教育委員会の意向を踏まえ、必要かつ十分なものとなるようにしなければならないということです。

 四つ目は、学校現場からのニーズが高い加配措置について、加配措置が講じられる事由を拡大して、小学校での生活指導や、障害のある児童または生徒に対する特別の指導等の場合にも加配措置を認めるというものでございます。

 五つ目は、東北地方太平洋沖地震により被害を受けた地域の学校や、被災した子供の転学先の学校において学習支援や心のケアを行うために、国及び都道府県教育委員会は教職員定数に関する特別の措置を講ずるべきというものでございます。

 この五つを今までの三回の質問の中で強く強く公明党として主張してまいりまして、それに対して前向きな御答弁もいただき、よりよい法律を修正案も含めてつくり上げることができましたことは、私としては大変うれしく思っております。

 きょうは財務省から五十嵐副大臣にもお越しいただいておりますので、ちょっと財務省にいろいろなことも伺いたいというふうに思っております。

 私たちここにおります委員たちは、すべて、子供たちの教育に対しては深い深い理解と、そして、いい教育環境をつくりたい、その思いでございます。そういう意味では方向性はいつも同じだと思いますが、その前に立ち向かうのがいつも財務省です。

 私は五十嵐副大臣のホームページを見させていただきましたら、経済、金融のプロと書いておありになりました。私は、ぜひそこに教育のプロというのも入れていただきたい、そうしたら鬼に金棒だなというふうに思ったのです。なぜならば、経済、金融のプロ、それはとてもすばらしいことだと思いますが、どういう理念を持って経済を回していかれるのか、金融を回していかれるのか、これは極めて重要だというふうに私は思っております。

 五十嵐副大臣、ここにいらっしゃる皆様方すべて政治家ですから、国のあるべき姿、あるいは天下、国家というものをやはり考えていると思うんですね。考えていなかったら政治家になる必要はないと私は思っております。ですから、そういう意味ではどういう教育理念をお持ちですか。まずちょっと伺いたいと思います。

五十嵐副大臣 ありがとうございます。現場からの提言を続けていらっしゃる先生のお立場に深く敬意を表したいと思います。

 私、実は、大学生のころも大学を卒業してからも、勉強のちょっとおくれている子を見ていたり、あるいは塾の教師をしていたこともありますし、私の弟は実は教師でございまして、都内の公立小学校の校長を今もう十数年務めております。また、私の深い知り合いで、松野博一先生と共通の友人ですけれども、実は、不登校問題の専門家がいらっしゃいまして、よく話し合いをさせていただいております。

 それで、少人数学級についても、私の弟などは必要だとこう言っておりまして、私も必要だと思いますが、ただ、小一プロブレムといいますか、低学年の問題については、少人数教育よりも複数担任制の方がいいのではないか、あるいは、勉強とそれから生活指導を分けるということの方がいいのではないかという、いろいろな御意見もございます。

 そうしたことも考えていかないといけないなということは考えてございますが、教育が政治の基本だ、大もとだ。米百俵という話もありましたけれども、私どもも、教育こそ力を入れるべき分野だということに全く先生と考えに違いはございません。

池坊委員 教育が大切なんだということがおわかりになったら、財務省は、義務教育国庫負担金をマイナス一〇%シーリングなんかにおかけになっちゃいけなかったんですよ。だって、政権がかわりましたときに、菅さんは最初言っていたんじゃなかったですか。国家戦略室をおつくりになったときに、予算というのは、これまでのではなくて、一律ではなくて、何が大切なのか優先順位をつける。私、ちょっとそのときに期待しましたよ。だけれども、あれはいつの間にか影を潜めちゃったとお思いになりませんか。

 そして、今、財務省を見ておりますと、どういう理念を持っていらっしゃるのか。政治主導とおっしゃっても、何か役人主導なんじゃないか。野田大臣以下閣僚の皆様方は、何か理念が見えないんですよ。顔が見えない。役人に言われたとおり、今お金はないんですよ、倹約してください、それは教育だって同じですよと言われると、ああそうですか、そうですか。それじゃだめなんですよ。政治主導というのは、一体あれは何ですか。私、政治主導をちょっと間違えていらっしゃるんじゃないかと思うんです。

 例えば、これはちょっと脱線いたしますけれども、今、原発の問題があります。菅さんは東京工大をお出になったか知らないけれども、原子力には、それに毎日対峙して取り組んでいらっしゃる方があるんですよ。ですから、そういう役人の方々、専門性を有している方はたくさんいらっしゃるんです。そういう方々の英知を集めて、それに対して正しい判断と正しい価値観を持って大局的にこれを判断するのが政治家であり、それが私、政治主導だと思うんです。細かいことを口出しすることではなくて、いかに方向性をきっちりと持っていくか。その方向性が今見えないんです。私、国家としての軸足がないんじゃないか、本当に憂えております。

 そういう意味では、さっき申し上げたように、義務教育というのは大切ですよ。

 それで、私が住んでおります京都というのは、明治三年に官制がしかれる前、明治二年に天皇が京都から東京に行ってしまわれた。みんな意気消沈した。この意気をどうやって上げたらいいのか。町の人たちがお金を出し合って小学校を六十四つくったんですよ。それぐらい、町の人たちの結束とそれから市民の情熱というのがあったんですね。それをぜひ財務省の方々に私は言いに行きたいという思いがいたしております。

 財務省はマイナス一〇%シーリングをおかけになったから、その結果として、小学校二年生についての三十五人学級をお認めにならなかったわけです。これはどういう理由ですかということを私はお伺いしたいんです。

 先日、自民党の下村委員の質問に対して、財務省の尾立政務官がその理由を三つ挙げていらっしゃいましたよ。一つは三十五人学級と教育効果との相関関係、二つ目は公務員人件費改革との関係、三つ目は国と地方との役割分担だった。そういうふうにおっしゃったように思います。どれもその一つ一つ、私は納得がいかないんです、多分、役人がそうお書きになってお読みになったのではないかと思いますけれども。

 少人数学級の推進には、中教審でもその答申が出ているわけです。それに、既に多くの三十五人以下の学級が存在しているということは、少人数学級と教育効果との相関性を見きわめるということではないんですか。三十五人学級がやはりいいと思ってそうしていらっしゃるわけじゃないんですか。だから、今そんなことをおっしゃるのはおかしい。

 それから、教育というものの重要性を考えれば、公務員人件費改革と義務教育の充実と同じレベルで比較することはおかしいのではないか、あり得ないのではないかと思います。教育を、経済効率といった観点からその必要性を判断するということなのでしょうか。財務省はそう考えていらっしゃるのか。先ほどの副大臣の御答弁から見ると、とてもそういうふうには考えていないよ、でも、それは結果ですから、結果的にはそうであったらだめなんですよということです。

 さらに、地方分権が重要ということは私も理解しているつもりでございますが、義務教育というものは、先ほどからも何度も申し上げるように、国として一定の責任を持って推進していかなければならないから義務教育なんだと思います。国と地方との役割分担というのは、あくまで中長期的な視野に立った議論のはずで、今回の予算編成で小学校二年生の三十五人学級を認めないということの理由にはならないと思うんです。

 こうした私の問題意識も踏まえて、どう考えていらっしゃるか。時間がございませんので、簡潔に一、二、三。

 加えて、この一〇%シーリングは高校無償化にはおかけになりませんでしたよね。私ども公明党も、修正を入れながら高校無償化は賛成させていただきましたが、高校無償化は大切である、だけれども小学校の少人数学級は大切でないとお考えになっているのか、それを伺いたいと思います。

五十嵐副大臣 お答えいたします。

 ペイ・アズ・ユー・ゴー原則というのがございまして、新しい施策をするときには安定的な財源を用意する、これが国民に対して責任ある政府の考え方だということでやらせていただいて、その点で高校無償化については、以前の組み替えのときに、予算の見直しによって恒久的な歳出を捻出させていただいたという考え方にのっとっているということでございます。

 この三十五人学級については、私は、一年生、低学年について必要だと思いますが、二年生については、おっしゃるとおり、全体的な財源が足りないということもあって、これは来年度までの間に検討をさせていただこうということになっているわけでございます。

 三十五人学級の効果はどうかというお話、もう決まっているではないかというお話があります。一方で、そういうお話もありますが、必ずしもそうではないということも言われる方もあって、自民党の義家先生も、三十六人というのが実はいいんだということをおっしゃって、なるほどなと私は思いました。掃除当番をするにも、六人ずつ六班編成ぐらいが適当ではないかというお話をこの委員会で伺って、なるほど、そういう考え方もあるなというふうに大変感心をさせていただいた次第でございますけれども、確かに、少人数であればあるほど教えやすいということは、教師の立場、あるいはあると思います。

 通常は、クラスの中の真ん中よりちょっと上ぐらいのレベルの子供たちを対象に教師は教えるんです。それによって合わせていくということなんですが、差があり過ぎるとこれは大変ですから。そこで、授業がわからなくて、小さな低学年のお子さんたちはもう授業にならなくて、勝手に遊んでいたり外へ出ちゃったりするというようなことがあるわけですけれども、そのときは複数担任制の方が実はいいのではないかと、先ほどちょっと申しましたけれども、そういう考え方もあるので、いろいろ研究をさせていただいた上、また、恒久的な財源を見つける努力をした上で、改めて政府として三大臣合意に基づいて検討させていただきたい、こう思っている次第でございます。

池坊委員 地方分権は、国がやはり義務教育はやるべきというふうには考えていらっしゃるということですね、お答えがなかったから。

 では一言でお答えください。そうお思いにならないでしょう。

五十嵐副大臣 教育委員会を各市町村に置いているということは、教育については地方主体でやるべきだ、それが日本の教育行政の一つの考え方だ。ただ、最低限、ナショナルミニマムは国として責任を持つということだろうと思います。

池坊委員 その最低限が国庫負担金なんですよ。ですから、それをお間違いにならないでね。最低限のその基礎があってこそ、それぞれが、地域がその特色を生かして地域性のある教育をすることができるんです。だから、基礎がなければできないんです。それを財務省の方、絶対にお間違いにならないでください。

 それから、ちょっと私まだ申し上げている。三十六人がいいんだと言って、それで感心したって、何かさっきちょっとへ理屈みたいなお話だったんですが、少人数であればあるほどいいということはありません。私たちはいろいろ勉強しております。少人数学級の中で、でもきめ細やかな、一人一人と向かい合うことが必要だということですから、では一人だったらいいか、そういうことはないんです。それならば自宅で勉強させたっていいわけなんですから。

 そういうことですので、財務省の方も、文部科学を担当なさる方は、絶対に教育のことにも深く勉強してからやっていただきたい。理念がないと困るんですよ。やはり、国家はどうあるべきか、未来はどうあるべきか、それを考えてやっていただきたいなというふうに私思います。

 きっと五十嵐副大臣はおわかりになっていらっしゃるんだと思いますから、それを財務省の役人がああだこうだ言ってもはねつける。それが政治主導なんですよ。政治主導というのをお間違いにならないようにしていただきたいと思います。

 それから、先日、自民党の馳委員がいろいろ質問なさったときに尾立政務官がお立ちになりました。財務省の立場としても、義務教育負担金マイナス一〇%、何かそのときの答弁、すっきりしなくて回りくどい答弁をしていらっしゃいましたよ。それで、五十嵐副大臣はどう思っていらっしゃるのか。今後、予算編成に当たっては、今回のようなマイナス一〇%シーリング、これはしないよ、きっと役人にそんなこと言っちゃいけないと言われていらっしゃると思いますが、どうお考えかを伺いたい。明言をしてください。

五十嵐副大臣 私、教育が大事だと思っておりますが、ただ、教育に限らないんですけれども、総額でふえた、減ったということだけを考えるべきではないというふうに、やはりその中身、質が大事であろうと思いますし、こういう時代ですから、教育においても人件費の中身について、本当に効果的に使われているかどうかということを検証する必要はあると思います。

 それから、決して財務省の官僚に言われてけちけち精神で言っているわけではございません。私も、財務副大臣になった瞬間から、官僚たちに、自分の都合のいい案だけ持ってくるなと。必ず三つ提案をしてきて、都合のいい案も当然入ってくるだろうけれども、そうでもない案、もっと都合が悪い案も並べて三つ持ってきてくれということを言って、その後も、主税局の局長さんあたりは、あの言葉が耳に響いているのでずっと三つ持ってくるようにしていますと言っておりますので、決して政治主導がないわけではございませんので、よろしくお願いいたします。

池坊委員 これからはきっと、五十嵐副大臣は文部科学省の味方として頑張っていただけると私は信じております。

 総枠だけで判断しちゃいけないということは確かですけれども、私どもは、質の確保のためにはお金が必要ですよということを申し上げているのであって、総枠で減ったんだ、ふえたんだ、そんな単純なことで議論は決していたしておりません。質の確保のためには何が必要なのかということを見きわめているつもりです。

 小学校一年生以外の学級編制の順次改定の財源について先日私が質問いたしましたときに、鈴木副大臣は、生徒数の自然減や先生の退職者数の増加に伴う給与減などを充てることで、追加的な財政投入はできるだけ行わないようにしたと答弁されたように思います。

 しかし、私は、それだけで小学校や中学校の全学年の学級編制を改定することは難しいのではないかと思っております。追加的な財政投入も必要になってくる場合もあるのではないかと思っているんです。多分、ここの中では鈴木副大臣も、それから文部科学省の人も、同じ認識を持っているのではないかと思っております。

 そうしたときに、そういった事態もあるだろうということを考えますと、この法律の附則に、小学校一年生以外の学級編制について順次改定をする場合には、政府は安定的な財源の確保に努めると明記した場合、これは明記したいと思っておりますので明記いたしますが、財務省としては、この規定をどれだけ重みを持って受けとめられますか。それでもまだマイナスシーリングをかけるようなことをなさるのかどうか。財務省の副大臣としての御見解を伺いたいと思います。

五十嵐副大臣 何度も答弁をさせていただいておりますが、義務教育国庫負担金をねらいをつけて、この経費は要るとか要らないとかということでシーリングをかけているわけではございません。経費別に何かをしているということではなくて、全般的に組み替えのための仕組みとして考えたということで、これがそのまま二十四年度も続くとは限っておりません。

 これから検討させていただきますので、院の意思として決められたことがあるのであれば、それは重く受けとめて当然検討していくことになると思いますが、現時点では来年度のシーリングについては全くまだ決まっていないということで、これから検討させていただきます。

池坊委員 ぜひ財務省の中にあっても優先順位というものをお考えいただいて、これは削れないのだ、だけれども、ここはちょっと我慢してもらおうか、それはその方の価値観にもなってくる、それからその人の理念でもあり、十年後、二十年後を見据えた国家論にもなっていくと私は思います。

 新しい政権で、まだそういうことをお考えになる暇がないのかもしれませんが、どういう日本をつくっていきたいのか、そういうことをしっかりとお考えいただかないと、そのたびごとに、マイナスシーリングもつける、だけれども来年度はちょっとわからないというのでは、国民もやはり不安になっていくと私は思うんですよ。しっかりとやはり顔をお見せになる、理念をお見せになる、政治家の仕事というのは、責任はそういうことであるというふうに私は思っております。

 では、財務省にいろいろ申し上げるのはこの辺で。だけれども、もし時間があったら聞いていただけますか。これは、スクールカウンセラーでやはり経費のかかることですので。

 スクールカウンセラーについてお伺いしたいと思います。

 これまでも質問で取り上げてまいりましたけれども、今回の東北地方太平洋沖地震によって、家族や友達、大切な人を奪われた子供たち、特にたくさんいるのではないかと思っております。きのうも見ました。百三十名、三分の二……。あら五十嵐副大臣、お帰りですか。スクールカウンセラーにもしっかりと補正予算をおつけくださいませね。これはちゃんと申し上げておきたいと思います。

 三分の二、小学校で友達がいなくなった。それで、再会をして抱き合って本当に喜んでいたニュースを見ました。そういう子供たちが、本当に心に非常なトラウマを持ってこれから進んでいくのではないかと思います。

 前のときにも質問させていただきましたけれども、スクールカウンセラー、百四十二名は新潟中越沖地震のときでした。この百四十四人というのは少ないですよということを申し上げたいのですが、スクールカウンセラーを被災地の学校や被災した子供が転学した学校に早期に派遣すべきであると私は考えております。

 それで、今般の大震災に伴いまして、政府がスクールカウンセラーに関してとられようとしている措置についてちょっと見解を伺いたいんです。少なくとも要望があった自治体に対しては、すべてスクールカウンセラーを派遣するという考えに立っていらっしゃるのかどうか。政府の措置の具体的なことを、方向性をお知らせいただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 基本的には、今回の被災がありました地域において要望があった自治体に対しては、その御要望に沿って派遣をしていくということを基本としながら対応してまいりたいと思います。

 それで、今、百四十四名というのは、今年度、したがって、この三月三十一日までに今のところ御要望があったのが百四十四だったものですから、それは直ちに派遣をいたしました。

 ただ、まだ調査中でございます。どんどんこれはニーズが上がってくると思いますので、それについては、この四月一日以降の分の、平成二十三年度分については、先ほどの基本方針に基づいて適切に対応してまいりたいと思っておりますが、これまた補正予算等々も絡んでくる話でございますので、国会の御指導、御鞭撻、よろしくお願いを申し上げます。

池坊委員 これは、当然ながら国が全額を負担するというふうにお考えになっているんでしょうか。私は、ぜひこれは補正予算にしっかりと組み込んでほしいというふうに考えておりますけれども、それについて伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 今送っております百四十四名は、平成二十二年度の委託事業を活用しております。十分の十でございます。

 二十三年度については、またいろいろと御議論をいただければというふうに思っております。

池坊委員 最後に、スクールカウンセラーなんですけれども、私ども公明党が頑張ってこのスクールカウンセラーというのをつくり上げたんですけれども、学校現場でうまく機能していない場合もあるかというようなことも聞いております。

 学校の中では、先生でもないし生徒でもないし、週に三回ぐらい行く、部外者である。孤立しがちだと言われてもおります。せっかくスクールカウンセラーという制度ができまして、これは、中学校は全校に派遣することになったんですよね。ですから、これをうまく機能させて、学校内でサポートしてあげる態勢が必要なのではないかと思います。

 政府として、このようなスクールカウンセラーが働きやすい環境整備について何か工夫をしていらっしゃるか、対応をしていらっしゃるか、これも最後に伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 生徒から見ますと、生徒でも先生でもないスクールカウンセラーの存在というのは非常に重要であります。

 ただ、委員おっしゃるとおり、教師側とスクールカウンセラーが子供についての情報を共有したり、お互いそれぞれの役割を最大限発揮しながら連携、協働するということは、これは極めて大事でありますので、昨年の七月十六日にも、そうしたことを踏まえました活動方針というものを通知をいたしておりますけれども、きょうの御議論も踏まえて、そして、より心のケアというものが大事になっている現状を踏まえてその旨を周知徹底してまいりたいと思いますし、教員の側のスクールカウンセリングというものについての理解、これもきちっと徹底を図っていきたいと思います。

池坊委員 大切な問題ですので、また次回にでも取り上げさせていただくこととし、ありがとうございました。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 法案質疑に先立って、東日本大震災に関して幾つか聞いておきたいと思います。

 四月から使用予定の小中高校の教科書のうち六十七万冊が流失などで使用不能になった、こういう報道がございました。その後、五十万冊という報道も出ておりますけれども、まず、これは大丈夫なのか、御答弁をいただきたいと思います。

高木国務大臣 宮本委員にお答えをいたします。

 今回の大地震津波によって多くの教科書取扱書店が被害を受けております。学校に供給の準備をしていた平成二十三年度使用の教科書が多数滅失しているおそれがございます。

 このため、文部科学省としましても、教科書協会、全国教科書供給協会に対して、教科書供給業者の被害状況の確認や教科書の確保、増刷等について要請しておるところでございます。

 全国教科書供給協会からは、三月二十五日現在で、消失のおそれがあるものは全国で約五十万冊と報告を受けております。学校までの供給義務を負う教科書発行者におきましては、災害や転校等に対応するために用意している予備の教科書、常備本でありますけれども、これを活用していただくことや、あるいはまた増刷などによって、新学期の授業を行う上で支障なく教科書の供給を行えるということでございます。

 私どもとしましては、引き続き、教科書発行業者と連携を図りながら、教科書発行者等に対する支援の検討も含めて、支障が生じないように、必要なる対応をとっていきたいと思っております。

宮本委員 ぜひ支障のないようにお願いをしたいと思います。

 報道によると、文科省は、全国に教職員の短期派遣など被災地への協力要請を求めたということが報じられております。これは、各教育委員会における短期的な教職員等の派遣に対応することができるかどうか、念のために現時点で意向を確かめたということのようでありますけれども、今後、そういうニーズがきちっと明らかになって、派遣要請があれば最大限それにこたえていただく、これでよろしいでしょうか。

高木国務大臣 被災地では今後、学校運営の本格的な復旧に向けて取り組んでいくことになります。そういった取り組みを支援するために、短期的に教員の増員が必要になることも十分予想されております。

 今後、被災地の教育委員会から要望があった際には、被災地以外の教育委員会からの教員等の派遣を速やかに行えるよう、今、派遣することができるか否か、現時点での各教育委員会の意向をあらかじめ確認をすることとしております。そのための事務連絡を二十二日に発出をいたしまして、二十九日中までに提出をお願いしているところです。現在のところ、三十五の都道府県、十一の指定都市教育委員会から、派遣に前向きな回答をいただいております。

 文部科学省としましては、被災地の教育委員会からの要望を十分に踏まえながら、十分な取り組みを行ってまいります。

宮本委員 そういった短期派遣、もちろんこれはこたえていただくと。それから、もちろん、長期的な支援が求められるこういう状況のもとでは、議論になっておりますように、加配教員を、被災地はもとより、被災者を受け入れている自治体も含めて行っていくということも強く求めておきたいというふうに思います。

 それで、午前中、下村委員の方から、自民、公明、民主提出予定の修正案が少し議論になりました。資料配付された修正案によりますと、当該学校の児童または生徒の実態を考慮することというのが加えられておりますけれども、学級編制の標準を小学校一年生で三十五人に引き下げるということに変更はございません。

 そこで、大臣に基本的な点を確認しておきたいんですが、たとえこの修正が加えられたとしても、小学校一年生を三十五人学級に引き下げるというこの基本には変わりがないと私は思うんですが、よろしいでしょうか。

高木国務大臣 御指摘の第五項について、小学校一年、三十五人以下という標準としての基準を前提としつつ、先ほど御答弁申し上げましたように、弾力的な学級編制を行った場合に教職員定数が確実に措置されるように、配慮を法文上明記していただいたものであると理解をしております。

宮本委員 もう一問だけ、これは鈴木副大臣に確認したいんですが、この第五項の中に「特段の事情」というのが出てくるんですが、これはどういうふうに考えるべきか。もちろん三十五人学級を前提としたものだと思いますけれども、鈴木副大臣の御答弁をいただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 繰り返しになりますけれども、小学校一年生、三十五人以下という標準としての基準を前提としつつ、例えば、個別の学校ごとの事情に応じて児童生徒に対する教育的配慮、これはいろいろその地域地域によって違うと思いますけれども、配慮から、合理的な理由がある範囲でそうした対応をしていくというふうに解せられるというふうに考えております。

宮本委員 それでは、政府案に対する質問を行います。加配定数と基礎定数の問題です。

 まず、二十二年度予算における加配定数の教職員数と二十三年度予算案における加配教職員数を言っていただけますか、大臣。

高木国務大臣 平成二十二年度予算においては六万五百五人の加配定数を措置をしております。また、平成二十三年度予算案においては、対前年度千七百人減の五万八千八百五人の加配定数を措置をしております。

宮本委員 手元の資料をごらんください。先ほどの御答弁の数字が出ております。全体でちょうど千七百人減っている、おっしゃるとおりなんですけれども、内訳を見れば、最上段の「指導方法工夫改善」、「少人数指導、習熟度別指導、ティーム・ティーチングなどきめ細かな指導方法改善」のための加配定数がちょうど千七百人減っている。

 これはつまり、これを使って三十五人学級をやるということだと思うんですけれども、まず基本的な問題、なぜ、三十五人学級を実施するのに必要な教職員定数を確保しないで、この加配教職員定数の削減、転用で対応したのですか。

高木国務大臣 午前中から今までも議論がありました。小学校一年については、国の学級編制の標準を四十人から三十五人に引き下げることに伴って四千人の教職員定数を措置することにしておりますが、このうち千七百人は、既存の加配定数を活用したこととしております。

 この千七百人については、加配定数のうちに都道府県が現在小学校一年で既に少人数学級に活用している人数相当分ではございますから、通級指導等に実際使われている加配定数については、平成二十三年度予算案において引き続き同数を措置をしておることでございます。

宮本委員 もともと、この加配とは別に三十五人学級をやるという方向で文科省は考えておられたと思うんです。そういうふうになったのは、三大臣合意でそういう形で決着したということは、もうだれもが御承知のとおりです。

 それで、私が今一番危惧するのは、今回この千七百人を充てて少人数学級、三十五人学級を小学校一年生で進めるということになれば、来年度以降、順次二年、三年とこういうことをもちろん目指していくわけですけれども、結局、二年生を次やるときも三年生をやるときも、やはり加配定数から転用してやれということになりかねないと思うんです。

 ここは、平成二十四年度以降の三十五人学級の実施に当たっては、これ以上の加配定数の削減や転用はやるべきではない、こういうふうに大臣に断言していただきたいんですが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 これまでの経過を改めて申し上げますけれども、昨年の十二月十七日に、国家戦略担当・財務・文部科学三大臣合意において、平成二十三年度予算案の策定に当たっては、小学校一年生の三十五人以下学級を実現するために、必要な経費を計上するとともに、小学校二年以上の取り扱いについては、学校教育を取り巻く状況や財政状況等を勘案しつつ、引き続き、来年度以降の予算編成において検討するということがされました。これが経過でございます。

 今後、私どもとしましては、この加配の対象人数等については、教育上の必要性を十分見きわめながらやることになると思いますが、今般、立法府として御議論があってまとめられたことについて、私たちはそれに従ってまいりたいと思っております。

宮本委員 やはり、こういうやり方はおかしいということは言っておきたいと思うんです。

 それで、昨年七月の中教審の提言も、学級編制の標準を引き下げる場合にも、これまでの教職員定数の改善により取り組まれてきたチームティーチングや二十名程度の少人数指導などについては、教育委員会、学校の判断で引き続き実施できるよう教職員定数を措置するとともに、その基礎定数化を進める必要があると述べているわけです。削減するのではなく、引き続き実施できるように定数を措置し、その上で基礎定数化を図るというものだったわけです。この中教審の提言からも逆行しているというふうに言わざるを得ないと思います。

 それで、前回の質問で私は、教職員の自然減を考慮すると、年度によってマイナス予算で済むということも明らかにいたしました。その上に加配定数の削減ということになれば、大幅なマイナスということにもならざるを得ないわけです。

 加配定数を充実、拡充するということは当然ですし、定数改善の教員数はきっちり確保するという姿勢を今後貫くべきだと思いますけれども、大臣のその御決意を述べていただけますでしょうか。

高木国務大臣 今回の御提案の趣旨は、子供たち一人一人の個性を大切にしながら教職員がしっかり向き合う時間を確保するということから、少人数学級はこれまでも、現場を中心として多くの方々の要望もございました。

 今回、小学校一年生でございますけれども、私たちとしては、基礎定数をしっかりこの際拡充をして、そして同時に、柔軟性に富む加配措置についても、これは必要な数については維持をしていく、こういう考え方は変わっておりません。

宮本委員 前回の参考人質問で元全国特殊学校長会の宮崎英憲参考人は、「平成十八年以降、発達障害のための通級指導の担当教員をふやしていただいておりますが、」「残念ながら絶対数が足りておりません。」「小学校、中学校のすべての学校で通級担当教員が一人いることが望ましい」、「できるだけ速やかに多くの学校に通級指導教員の加配がされることが望ましい」と述べておられました。

 文部科学省として、通級指導対応として四千三百四十人の加配を既に行っておりますが、さらなる増員を図らなければならないと私は思いますが、いかがでしょうか。(発言する者あり)

田中委員長 御静粛に願います。席に着いてください。

高木国務大臣 通級指導加配でございますが、平成二十三年度予算案においては、小中学校における通級指導実施のための加配定数を、前年度同数の四千三百四十人を計上しております。

 通級指導は、軽度の障害のある児童生徒のための効果的な指導形態でありまして、今後とも、その教育上の姿勢を十分見きわめながら、加配定数の必要数の確保にこれまた努めてまいります。

宮本委員 自民党の馳委員が前回の質問で、自戒というか反省も込めて、総額裁量制にしたことは本当によかったのかという思いを今でも持っているというふうに述べられておりました。私は、これは本当に正しい認識だと思うんですね。今こそこの総額裁量制の見直しをやるべきだと、前も一度大臣にそのことを問いましたけれども。

 それから、中教審の提言では、国庫負担を三分の一から二分の一に戻し、教育は正規の教員で行えというふうに言っておるわけでありまして、国庫負担のあり方を含めて検討すべきだと思うんですけれども、大臣いかがですか。

高木国務大臣 総額裁量制は、国庫負担限度額の範囲内で教職員配置等について各都道府県の裁量を高めるために平成十六年度に導入したものでありまして、今後ともその制度は維持すべきものと考えております。

 また、平成十八年度に引き下げられた国庫負担率の復元をするかどうかについては、これは、国、地方の役割分担あるいは税財源配分のあり方など極めて大きな影響を与えるために、政府全体で検討すべき課題であると認識をしております。

 現在、国の負担率は三分の一でありますが、残りの三分の二を地方が負担することにより、教職員給与額の全額が措置されて義務教育制度の根幹は維持されておるものと考えております。

 一方で、先ほども御指摘がありましたように、近年の厳しい地方財政と相まって、国庫負担限度額まで教職員給与を確保できないという県が増加傾向にあります。これは一つの課題であります。

 文部科学省としましては、平成二十二年七月の中教審の提言等も踏まえ、国庫負担のあり方について、今後とも議論を深めてまいりたいと思っております。

宮本委員 今触れられた中教審の提言も、「国は引き続き、義務教育費国庫負担制度を堅持するとともに、」「国庫負担率の二分の一への復元についても検討することが望まれる。」と述べておりますので、しっかりとその方向で検討するように求めたいと思います。

 さて、三十五人学級は、今回、小学校二年生の実施が凍結をされまして、一年生だけの実施となりました。結論は財政事情です。ここに、国家百年の計と言われる教育に対する現政府の姿勢が問われていると言わなければなりません。

 まず、三大臣合意なるものについてお伺いいたしますけれども、合意の四項目めには、「平成二十四年度以降の教職員定数の改善については、学校教育を取り巻く状況や国・地方の財政状況等を勘案しつつ、引き続き、来年以降の予算編成において検討する。」となっております。これはおかしいと私は思うんですね。

 そもそも教育に関することは、子供たちにとって必要かどうか、専ら教育的見地から考えられるべきもので、未来を担う子供たちに必要があるのならば、その予算を確保することこそ政治の務めだと思います。予算の範囲内でやりくりせよなどという発想自身が間違っていると言わなければなりません。

 その点で、附則二項にある、国及び地方の財政の状況を勘案してなどという文言はふさわしくないと私は思いますが、大臣はどう思われますか。

高木国務大臣 私どもは、この法案の議論をする中で、各委員の教育に対する熱い思い、そしてまた、今後の展望等についていろいろお聞かせをいただきました。まことに参考になる意見でございました。

 これから私どもとしましても、義務教育の国庫負担制度の堅持、当然にして国が責任を見る、こういう精神を具現化するために、私も、この法案の成立とともにしっかり取り組んでまいらなければならぬ、このような思い、使命感を強くしております。

宮本委員 立法府が大臣の合意などというものに縛られるいわれはないことは、国権の最高機関たる国会の権限から見て明らかなことだということは申し上げておきたいと思います。

 財政論を論じるならば、我が国の教育予算がいかに低いのかということを改めてはっきりさせなければなりません。我が国の教育に対する公的支出は、国内総生産、GDPに対する比率で何%になっているか、そして、OECD諸国の平均はGDP比で何%になるか、お答えいただけますか。

高木国務大臣 OECDの調査によりますと、二〇〇七年における学校教育費に対する我が国の公財政支出の対GDP比は、幼稚園から大学までの全教育段階については三・三%、初等中等教育段階については二・五%であります。

宮本委員 OECD平均は。

高木国務大臣 OECDの調査によりますと、我が国の二〇〇七年度の初等中等教育段階における公財政支出は、GDP比は二・五%で、OECD加盟国平均は三・三%であり、〇・八%の差があるということになっています。

 また、我が国のGDPを約五百兆円とした場合、初等中等教育段階における公財政支出の対GDP比を〇・八%引き上げるには、約四兆円の追加が必要である、こういうデータもございます。

宮本委員 ちょっと数字が私の手元のものと違いますね。我が国三・三%、OECD平均四・八%というのが、公表されている公財政支出、教育支出だと思うんです。今、〇・八%という差をとられましたけれども、三・三%と四・八%であれば、一・五%ほど開いているということになると思います。

 いずれにしても、文部科学委員会、この委員会は、かつて教育振興基本計画について審議した際に、「教育投資について、欧米の教育先進国の公財政支出の平均的水準を目指した数値目標を設定し、その充実を図ること。」という決議がこの委員会でも上げられております。

 前回、質疑で指摘したように、民主党はインデックス二〇〇九で、「先進国中、著しく低いわが国の教育への公財政支出(GDP(国内総生産)比三・四%)を、先進国の平均的水準以上を目標(同五・〇%以上)として引き上げていきます。」と、五%を目指すと書いておられるんです。そして、前回紹介したように、法律を提案して、国内総生産に対する比率を指標として予算の確保、充実の目標を定める、そういう法案まで参議院を通過させたわけですよ。

 まず、民主党の立場をお伺いしますけれども、大臣、この民主党の立場、GDP比で予算をきちっと引き上げていく、この立場に変更はないんですね。

高木国務大臣 私どもは、そのような立場でこれからも政策の実現を求めていきたいと思っています。

宮本委員 では、少し数字が食い違いましたけれども、先ほどの〇・八%の開きを埋めるのに必要な額は幾らか、私が先ほど紹介した一・五%、これを引き上げるのに必要な額が幾らか、お答えいただけますか。

高木国務大臣 〇・八%引き上げるには、先ほど申し上げました約四兆円という追加をする必要があるということです。

宮本委員 〇・八%なら四兆円、ならば、一・五%なら七兆を超えますよね。七・六兆円というところになると思います。

 それで、この額、四兆円というふうなことを目標に予算をふやすということを変わりなく掲げておられるわけですから、こういう額と比べれば、三十五人学級、小学校二年生をあきらめて削った分が九十三億円ですよ。私たちは、三十五人学級はもちろんのことですけれども、三十人学級を早急に進めるべきだ、六年程度でやるべきだということを提案し、後ほど修正提案もさせていただくつもりです。

 三十人学級を小学校、中学校のすべての学年で六年間で段階的に実施した場合、それに係る経費を私どももちゃんと計算をしてみました。教員数の増は、小学校で六万六千人、中学校で四万一千六百人の増で済みます。それに係る経費は、初年度七百三十七億円、最終年度で七千二百九億円という計算になりますけれども、しかし、前回の質疑で明らかになったように、教員の自然減、六年間で二万二千四百人を考慮に入れると、五千七百八億円程度となります。さらに、退職者が若い教員と入れかわって平均給与が下がるということを考えると、さらに五千七百億円よりも低い額になってまいります。

 教育は国家百年の計と言うのならば、子供と日本の未来のためにこのぐらいの教育投資は行うべきだと思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

高木国務大臣 教育はまさに国づくりの基盤でありますし、人づくりは国づくり、国づくりは人づくり、私たちはそのような思いで、これからも我が国が国際社会の中でも信頼をされ、そして誇りを持って堂々たる活躍ができるためには、教育、人材育成の必要性というのは今以上に求められてくると思っております。

 そういう意味で、私どもとしましては、この委員会の中でも、この法案の議論を含めて、何としても、必要な教育予算の確保は今以上に必要であるという認識を深くしたところでございます。

 これからも私たちは、この法案の実施をするとともに、皆さん方の議論を踏まえて一層の努力をしていきたいと思っております。

宮本委員 掲げている目標に比べて余りにも少ないわけですから、しっかりとそこは自覚をして進めていただきたいと思うんです。

 東日本大震災という未曾有の事態に際して、その復興財源が盛んに議論されております。中には、高校無償化など教育予算まで削れといった論調がありますけれども、きょう論議してきたように、それは全く逆行した議論だと思います。教育は決して無駄ではありません。むしろ、先進国中で大きな立ちおくれがあることはだれもが否定できない事実であります。

 無駄を削ると言うのなら、私が本委員会で指摘したように、米軍向けの思いやり予算千八百五十八億円というようなものこそことしはあきらめてもらい、被災地を思いやるべきであります。

 また、我が党は受け取っておりませんが、政党助成金三百二十億円というようなものは直ちに廃止し、被災地復興に回すべきであります。

 同時に、国難ともいうべきときに、専ら、大企業向けの法人税減税約一兆五千億円、証券優遇税制など大金持ち減税約五千億円など、総額二兆円にも及ぶ減税こそ見直すべきです。現に日本経団連会長も、法人税減税はやめていただいて結構と言っているわけですから、こういうものこそ見直すことを主張したいと思います。

 子供たちの行き届いた教育のための予算はきちんと確保する、このことを強く求めて、私の質問を終わります。

田中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 皆様に申し上げますが、非常に濃密な、重要な審議をしてきてこれから法律を立てるところでございますから、私語は本当に慎んでいただきたいと思います。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、本案に対し、松崎哲久君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党三派共同提案による修正案が、また、宮本岳志君から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 両修正案について、提出者から順次趣旨の説明を求めます。池坊保子さん。

    ―――――――――――――

 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

池坊委員 ただいま議題となりました修正案について、提出者を代表いたしまして、その趣旨及び内容の概要を御説明いたします。

 政府提出法律案は、三十五人学級の実現、学級編制に関する市町村教育委員会の自主性の確保という点において、一定の評価はできるものと考えております。

 しかしながら、政府提出法律案は、その内容において十分なものになっているとは言えません。

 三十五人学級は小学校一年生だけにすぎないこと、市町村教育委員会の学級編制に関しての自主性を十分に裏づける法的担保に欠けることなどがその例でございます。

 そこで、子供一人一人に対するきめ細やかな教育を実現するという観点から、政府提出法律案に対し、修正案を提出することといたしました。

 第一に、市町村立の義務教育諸学校の学級編制を行うに当たっては、当該学校の児童または生徒の実態を考慮することを明記いたしました。

 また、学級編制に関する市町村教育委員会の自主性を教員定数配分の観点からもしっかりと担保することができるよう、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正を行い、都道府県教育委員会が県費負担教職員の市町村別の学校の種類ごとの定数を定める場合の勘案事項として、「当該市町村における児童又は生徒の実態、当該市町村が設置する学校の学級編制に係る事情等」を明記するとともに、都道府県教育委員会に対し、この場合に聞くこととされている市町村教育委員会の意見を十分に尊重することを義務づけることといたしました。

 第二に、教職員定数に関し加配措置が講じられる場合には、その加配措置に係る数については、公立の義務教育諸学校の校長及び当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会の意向を踏まえ、必要かつ十分なものとなるよう努めなければならないことといたしました。

 第三に、加配措置が講じられる事由を拡大して、小学校において専門的な知識または技能に係る教科等に関し専門的な指導が行われる場合や、障害のある児童または生徒に対する特別の指導が行われていることその他障害のある児童または生徒に対する指導体制の整備を行うことについて特別の配慮を必要とする事情を、新たに明記することといたしました。

 第四に、学級編制の順次改定等に関する検討に当たって勘案されるべき事項とされている国及び地方の財政状況については、当然のことでありますから削り、これらの措置を講ずるための安定した財源の確保に努めることを政府に義務づけることといたしました。

 第五に、公立の義務教育諸学校の学級編制並びに教職員の任免等及び定数のあり方についての検討条項を設けることといたしました。

 第六に、市町村教育委員会が公立の義務教育諸学校の学級編制を行うに当たり、当該学校の児童または生徒の実態を考慮して、この法律による改正後の小学校一年生の学級に係る一学級の児童数に関して都道府県の教育委員会が定めた基準によらないこととした特段の事情がある場合には、都道府県の教育委員会は、教職員定数に関し、教育上特別の配慮をすることができることといたしました。

 第七に、東北地方太平洋沖地震により被害を受けた地域の学校及び被災児童または生徒の転学先の学校において、被災児童または生徒の学習支援や心のケアを行うため、国及び都道府県教育委員会は、教職員定数に関する特別の措置を講ずるものとしたところでございます。

 以上が、修正案の趣旨及び内容の概要でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

    ―――――――――――――

 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮本委員 私は、日本共産党を代表して、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正の動議を提出いたします。

 その内容は、お手元に配付しております案文のとおりでございます。

 修正案の提案理由を御説明申し上げます。

 今回の義務標準法の改正による学級規模の縮小は、一九八〇年に四十五人から四十人に引き下げられて以来、実に三十年以上が経過し、遅きに失したとはいえ、賛同できるものです。ただ、政府案のように小学校一年生のみ三十五人学級にとどまることなく、小中学校のすべての学年で三十人学級を実施することが必要です。

 質疑を通じて明らかになったように、文部科学省の意見募集でも、八割以上の人が望ましい学級規模を三十人以下とするなど、三十人学級は国民の強い教育要求です。既に小中学校で十三の県で実施され、欧米では、我が国で四十人学級が始まった一九八〇年当時から、一学級二十五人前後が当たり前となっています。教育効果でも、三十人から二十人の学級編制の優位性が示されています。

 このような観点から修正案を提案します。

 以下、修正案の概要を申し述べます。

 第一に、小学校、中学校の学級編制の標準を三十人に引き下げること。

 第二に、この法律案施行後速やかに、特別支援学校、特別支援学級、公立の幼稚園、高等学校の学級規模、教職員の配置の適正化に関し検討し、法制上の措置を講じることを政府に義務づけること。

 第三に、三十人学級の実施を段階的に六年間で実施することとする経過措置を設けることであります。

 本修正の結果必要とする経費は、初年度、二〇一一年度において約七百三十七億円を見込んでいます。

 何とぞ委員各位の御賛同を心からお願い申し上げます。

田中委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

 この際、宮本岳志君提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。高木文部科学大臣。

高木国務大臣 宮本岳志君提出の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。松崎哲久君。

松崎(哲)委員 民主党の松崎哲久でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表しまして、ただいま議題となりました公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党の共同提案に係る修正案に賛成、日本共産党提出の修正案に反対、三党共同提案に係る修正案を除く原案について賛成の立場から討論を行うものであります。

 我が国、我が社会が優秀な人材によって成り立っているという考えは、ほとんど常識となっております。近代以前から高い識字率を誇り、それが明治以来の近代化を支え、さらに戦後の復興、経済成長の原動力となってまいりました。まさに教育立国でございます。

 しかしながら、近年、各種の指標で日本の教育水準は必ずしも世界に冠たるものではなくなっている実態が明らかになっております。その原因はさまざまですが、教育立国の再興を図る必要に迫られていることは間違いございません。本法律案の目指すものは、すべてではありませんが、その一つの方策として少人数学級を推進し、教育水準の向上を図るものであります。

 少人数学級とは、この際、公立小学校、中学校の学級編制を現行の四十人以下から三十五人以下に引き下げることですが、まず平成二十三年度は小学一年生を三十五人以下といたします。

 私は、政府の原案でこの目的を達成できるものと確信しておりましたが、不幸にも三月十一日、東北地方太平洋沖地震及び大津波が発生をいたし、甚大な被害をもたらしました。子供たちも、家を離れ、ふるさとを離れて他市町村、他県に避難生活を送らざるを得ない状況になっております。

 そこで、被災地において、また、転学を余儀なくされた市区町村においても子供たちに対する教育を充実するための措置を緊急に条文化する修正の必要が生じました。さらに、自民党、公明党からも真摯な提案がなされましたので、これらを共同提案の形で修正案としてまとめました。

 なお、日本共産党提出の修正案については、政府案の三十五人に対し、三十人に順次引き下げること等を内容とするものであります。その追求すべき理念といたしましては必ずしも反対ではありませんが、国及び地方の財政状況等の現実に即した場合、実施が困難と言わざるを得ないと考えます。

 教育は、次代を担う子供たちを社会全体で大切に育てるという理念の最も根本にあるものと考えます。ましてや、東北地方太平洋沖地震及び大津波による災害の甚大さ、深刻さを考えた場合、日本の将来を彼ら、彼女らに期待するところはまことに大きいと思います。よって、震災・津波被害後の国、地方の財政をかんがみても、なお、教育に対する投資を怠ってはならないと考えるものであります。

 本改正法案が速やかに成立し、円滑な学級編制が実現することを望むものであります。

 以上で私の討論を終わります。(拍手)

田中委員長 次に、下村博文君。

下村委員 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案について、提出されております修正案に賛成の立場から討論を行います。

 修正案の内容については、既にその内容の説明を行ったところですが、改めて、我々がなぜ修正を求めているのかという点を中心にして、討論を行ってまいります。

 まず、政府原案に対して我々は反対であり、その理由は、これまでの委員会の審議で明らかにしたように、看過することのできない根本的な問題が含まれているからです。

 一つ目は、憲法上の国の責務である義務教育費国庫負担金にシーリングをかけたところです。これについては、高木文科大臣も、苦渋の決断であったと苦しい胸のうちを吐露しておられますが、やはり認めるわけにはいきません。

 二つ目は、あえて小学校一年生のみ三十五人以下学級とする合理性、必要性がないことです。公立小学校の一学級当たりの平均生徒数は、既に二十七・九人です。こうした状況下で三十五人以下学級を打ち出したのは、政策コンテストで、足らざる予算を補うための方便としか考えられません。

 このような経緯から編成された平成二十三年度予算を執行するための義務標準法改正案についても、正当性を認めるべきではないと考えております。

 しかし、我が党は単に法案に反対するものではなく、加配事由に、現場の必要性が高い特別支援学校、特別支援学級での特別指導及び小学校の専科教員を拡充するとともに、教職員数の安定的な確保を図るため、学級編制や定数のあり方について検討すべきことを義務づけるなどの対案を作成いたしました。

 さらに、今般の大震災を受け、被災した児童生徒への心のケアや学習支援、教育相談、保護者との連携などを目的とする教育復興加配教員についても、手厚く措置できるよう、新たに項目を起こしました。

 このたびの修正協議において、政府また各党の皆さんの御協力により、以上の我が党の考えがすべて取り入れられました。そうであれば、我が党は、小異を捨てて大同につき、子供たちの将来のために修正案に賛成いたします。

 なお、日本共産党提出案には、現状においては反対いたします。

 さて、今は、大胆かつ機動的に震災復興策を打ち立て、一刻も早く被災者が希望を持てるようにせねばなりません。今般の修正案作成への取り組みを契機として、各党各会派及び政府が一体となって、子供たちのために震災復興策を立案していこうではないかとお呼びかけいたしまして、私の賛成討論といたします。

 以上です。(拍手)

田中委員長 次に、池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました公明党、自民党、民主党提出の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案と修正部分を除く原案につきまして、賛成の立場から討論いたします。

 公明党は、教育こそが子供の幸せの原点であるとの考え方のもとに、子供の個性、能力、創造性、思いやりの心をはぐくむための施策をこれまで一貫して推進してまいりました。教師が真摯に子供と向き合い、子供一人一人に対しきめ細やかな対応をすることができる少人数学級の推進もその一つでございます。また、より現場に近いところの声、つまり、常に子供と接していて、子供のために何が必要かを一番よくわかっている人たちの声をしっかり反映させる形で学級編制や教職員配置を行っていくべきということも常々申し上げてきたところです。

 そのような点からしますと、本法律案の内容は、その方向性において私ども公明党と考え方を同じくするものでありますから、そのすべてを否定するものでは決してございません。しかしながら、本法律案は、三十五人学級の実現は小学校一年生だけにすぎませんし、学級編制に関する市町村教育委員会の自主性を裏づける法的担保も十分でないなど、多くの問題を抱えているものと言わざるを得ません。

 ただ、それでも公明党は、すべての政策において、堅実かつ誠実に、段階的に目標に向かって政策を推進してまいりましたので、その観点から、たとえ小さな一歩だとしても、公明党が推進してきた教育施策を前進させていくことが非常に重要なことであると考えております。

 そこで、公明党としては、加配措置をしっかり行うこと、現場の意見をくみ上げた形で学級編制や教職員配置を行うことができるように制度的にもしっかり担保すること、今般の大震災で被災した子供たちに十分な対応をすることなどを本法律案に盛り込むべきと考え、修正案としてまとめたところでございます。

 なお、共産党提出の修正案につきましては、一足飛びに三十人学級にするというもので、やや性急に過ぎるのではないかと思い、賛成しかねます。

 政府におかれましては、修正案の趣旨を重く受けとめていただいた上で、よりよい義務教育の実現を目指し、例えば、小学校二年生以上の学年や中学校の学級編制の標準の改定に速やかに取り組んでいただくなど、必要な施策を講じていただくべきであることを強く申し上げ、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 私は、日本共産党を代表して、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する我が党修正案、民主、自民、公明共同提案による修正案、修正部分を除く政府原案のいずれにも賛成の立場から討論を行います。

 政府原案については、先ほど述べたように、今回の義務標準法の改正による学級規模の縮小は、一九八〇年に四十五人から四十人に引き下げられて以来、実に三十一年ぶりの改定であり、遅きに失したとはいえ賛同できるものです。ただ、政府案のように小学校一年生のみ三十五人学級にとどまるべきではありません。三十人学級は国民の願いであり、世界の流れに沿うものであり、教育効果も明らかです。直ちに小中学校のすべての学年で三十人学級を実施することが必要です。

 今後、学級規模の縮小を小学校二年生以上に拡大していくよう新たな教職員定数改善計画を策定することを政府に強く求めるものであります。

 民主、自民、公明共同提案による修正案は、自民党の意向を反映して、特段の事情がある場合、児童生徒の実態を考慮し、小学校一年生の学級編制を三十五人学級としないことを可能にする項目をあえて設けるなどしています。しかし、実際には極めて例外的な場合に限られるものです。

 一方で、東北地方太平洋沖地震で被災した県、被災した子供たちを受け入れた県に教職員定数の加配などを行うことを明記し、被災した子供たちや教職員への支援に役立つ項目もあります。また、次年度以降についての財政状況の勘案事項の削除、教職員加配の項目の追加、必要な教職員数の確保なども当然のことで、賛同できるものです。

 以上申し述べ、討論を終わります。(拍手)

田中委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、宮本岳志君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、松崎哲久君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、松崎哲久君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。下村博文君。

下村委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たって、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 本制度の趣旨・内容について、関係者に対する周知・説明を十分に行い、円滑な実施に向けて、最大限努力すること。

 二 加配措置に係る定数に関しては、市町村、学校などの実態に即して、必要かつ十分な数の加配教員が配置できるよう予算の確保に努めること。

 三 義務教育費国庫負担金については、現場の要望を十分かつ確実に反映できるよう予算の確保に努めること。

 四 平成二十三年東北地方太平洋沖地震により被害を受けた地域(被災した児童又は生徒が転学した地域を含む)に対し、附則第六項に規定する教職員定数に係る特別の措置、被災した学校施設の復旧、児童生徒等への就学援助等、必要な支援を迅速に行うため、早急に補正予算等により対応すること。

 五 被災した児童生徒及び教職員の心のケアのため、スクールカウンセラーの配置の充実等人的体制の整備に努めること。

 六 全国の学校施設の耐震化の早急な促進が図られるよう万全を期すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高木文部科学大臣。

高木国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

田中委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.