衆議院

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第6号 平成23年4月6日(水曜日)

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平成二十三年四月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 糸川 正晃君 理事 高井 美穂君

   理事 野木  実君 理事 松崎 哲久君

   理事 松宮  勲君 理事 下村 博文君

   理事 馳   浩君 理事 池坊 保子君

      相原 史乃君    井戸まさえ君

      磯谷香代子君    大山 昌宏君

      奥村 展三君    城井  崇君

      熊谷 貞俊君    佐藤ゆうこ君

      笹木 竜三君    瑞慶覧長敏君

      高野  守君    中屋 大介君

      平山 泰朗君    村上 史好君

      室井 秀子君    山田 良司君

      笠  浩史君    和嶋 未希君

      渡辺 義彦君    あべ 俊子君

      遠藤 利明君    河村 建夫君

      塩谷  立君    永岡 桂子君

      古屋 圭司君    松野 博一君

      富田 茂之君    宮本 岳志君

      城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       高木 義明君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   文部科学大臣政務官    林 久美子君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        岩橋 理彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      辰野 裕一君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          板東久美子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            倉持 隆雄君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 藤嶋 信夫君

   政府参考人

   (文化庁次長)      吉田 大輔君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括審議官)       西本 淳哉君

   政府参考人

   (特許庁審査業務部長)  橋本 正洋君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     井戸まさえ君

  金森  正君     磯谷香代子君

  川口  浩君     渡辺 義彦君

  本村賢太郎君     相原 史乃君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     本村賢太郎君

  井戸まさえ君     石井登志郎君

  磯谷香代子君     金森  正君

  渡辺 義彦君     川口  浩君

    ―――――――――――――

四月五日

 独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

同月六日

 教育格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(中根康浩君紹介)(第四六九号)

 同(古川禎久君紹介)(第四八〇号)

 同(江藤拓君紹介)(第四九七号)

 同(首藤信彦君紹介)(第四九八号)

 同(谷川弥一君紹介)(第四九九号)

 同(岡本英子君紹介)(第五二八号)

 国家予算に占める文化予算の割合を〇・一一%から〇・五%にふやすことに関する請願(玉城デニー君紹介)(第四七〇号)

 同(竹本直一君紹介)(第五〇五号)

 教育格差をなくし行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(野田毅君紹介)(第四八一号)

 小学一・二年生の三十五人学級実施を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五四一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五四二号)

 教育費の無償化など費用の大幅な軽減を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第五四三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五四四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五四五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五四六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五四七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府原子力安全委員会事務局長岩橋理彦君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長辰野裕一君、生涯学習政策局長板東久美子君、初等中等教育局長山中伸一君、科学技術・学術政策局長合田隆史君、研究振興局長倉持隆雄君、研究開発局長藤木完治君、国際統括官藤嶋信夫君、文化庁次長吉田大輔君、経済産業省大臣官房技術総括審議官西本淳哉君及び特許庁審査業務部長橋本正洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村上史好君。

村上(史)委員 おはようございます。民主党の村上史好でございます。

 希望しておりました文部科学委員会に所属をしまして初めての質問となります。私は大阪の人間でございますので、大阪弁もまじるかと思いますが、極力標準語でやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速ではございますけれども、震災関連について二点ほど質問をさせていただきたいと思います。

 間もなく新学期もスタートいたします。今、避難地に高校生また小中学校の生徒さんが避難をされておられますけれども、特に今回、高校生で入学を迎えられる方、また転校を余儀なくされる方、状況によってたくさんおられると思いますけれども、先般の新聞報道で、文科省の方から全国の都道府県教育委員会の方へ、新高校生については、学校は違えども無試験で入学をさせるように、あるいは二年生、三年生においては、書類が整わなくても転校できるようにという形の要請がなされたとお聞きしております。

 また、高校生の場合は、義務教育とは違いまして教科書等については有償でございます。しかし、今の状況の中では経済的な負担も多いと思いますので、その辺の財政的な支援はどうなっているのか、現在の状況についてお尋ねをいたしたいと思います。

山中政府参考人 このたびの震災で被災しました児童生徒の公立学校への受け入れ、これにつきましては、三月十四日付の副大臣通知において、弾力的に対応していただきたいということを要請して、また、もう少し詳しいところについては、三月二十四日にQアンドAという形で具体的なことをお示しして、各都道府県の教育委員会にお願いしたところでございます。

 この中で、特に高等学校についての御質問がございましたけれども、被災した県の高校に合格した、ところがほかの県に転出して転出先の高校に入学している、こういう高校生の取り扱いにつきましては、被災した県の高校に入学した上で転学していくという取り扱いにするのか、あるいはもう転出先、受け入れ先の高校の方に、そちらに入学するという取り扱いにするのか、このあたりは柔軟に取り扱っていただきたいということを申し上げております。

 その場合、例えば入学にしましても転学にいたしましても、必要な書類がそろわなければ手続が進まないといったことがないよう、まずは弾力的に入学を認めていただいて、その後での書類の点でも弾力的に取り扱っていただきたいということをお願いしております。

 また、入学についての取り扱いについても、入学者選抜でも、もう合格しておりますので、例えば、学力検査を行わないで、面接によって選抜するというような配慮を行っていただくということについてもお願いしております。

 各都道府県では、すべての県でそういう弾力的な対応を行うんだということ、県によっていろいろな、連絡先とかやり方はあろうかと思いますけれども、弾力的にやるんだというところを明らかにしておりますし、あるいは、ここに相談をしてくれという相談窓口、これがわからないと相談のしようもない、対応が難しいということもございますので、それを設置するといった対応が行われているところでございます。

 また、新年度の教科書でございますけれども、小中学校生は、避難地の学校においてもこれは無償でございますので、現在、教科書の会社あるいは供給協会の方でもそのルートをつくりまして、新学期が始まるというときにしっかりと教科書が供給できるようにということで取り組んでいるところでございます。

 また、高校生について、教科書をなくしたり損傷しているという場合、あるいは無購入の場合でも、災害救助法に基づきまして、都道府県の方から無償で給与できるということで対応できるということになっております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 今後もさまざまな問題が噴出すると思いますので、今後ともフォローアップのほど、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 あわせまして、これも新聞報道で目にしたんですけれども、今回の震災で御両親を亡くされ、あるいは親戚も亡くされたという、いわゆる震災の児童生徒がたくさんいらっしゃる。その中で、恐らく心のケアの問題だと思うんですけれども、震災孤児向けの寄宿舎を建設するという構想があるという新聞報道がございました。

 その考え方、また対象となる児童生徒数はどのぐらいになるのか、詳しくちょっとお尋ねをしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 お答えを申し上げます。

 今のお話でございますが、私が岩手県を訪れましたときに、岩手県の達増知事から御相談を受け、それについての文部科学省としての御支援を表明させていただいた、こういうことでございます。

 今回、今委員御指摘のとおり、地震で両親がお亡くなりになった、またどちらかの親御さんがお亡くなりになった、または行方不明になっておられる小中学生に対して特に心のケア等々をしていかなければいけない、こういうことでございます。

 もちろん、この問題は児童相談所と教育委員会が一緒に連携をして取り組んでいく、こういうことでございますけれども、もちろん、親にかわる存在というのはございません。しかしながら、子供同士のきずな、地域とのきずな、こうした残ったきずなを軸にそうした子供たちを支えていく必要がある、こういうお話でございました。

 もちろん、里親制度、あるいはこの施設というものも有力な選択肢でございますけれども、例えば、岩手県内だけで里親を申し出いただいている方だけでは足らないということがございます。その場合は、これは別々に、ばらばらにそうしたところに引き取られるということもございます。

 それから、養護施設についても、これは全貌が明らかにならないとわかりませんけれども、一ところに入っていただくということもなかなか、この規模、数でございますから、難しい可能性というものが生じてくる。その場合も、子供たちのきずなというものがばらばらになってしまうということであります。

 もちろん、既存の制度の枠組みを否定するものではございませんが、そうしたものと相まって、小学校、中学校の近くに、あるいはその隣接地域に寄宿舎を設置するということで、例えば仮に、身寄り、おじいさん、おばあさん、あるいは、おじさん、おばさんという方が親権者になっていただいた場合でも、まあ親権者はそういう方であります、土曜日、日曜日はそちらに帰っていただくということでいいわけでありますが、月曜日―金曜日は、地域との縁、それから友達との縁、きずなというものを維持していく。

 そういったニーズがいろいろおありになるということでございますので、そういう意味であれば、それをうまくいろいろな選択肢を組み合わせて、少しでも子供たちにとって希望の持てる環境で学びが再開できるように、こういう議論の中で出てきたお話でございます。

 では、今どれぐらいの生徒が対象になるのかということでございますけれども、まず、岩手県につきましては、学校施設にいた小学校、中学校生については、死亡という被害は出ておりません。

 地震直後に保護者が連れ帰った方とか、あるいは病気などで欠席をされた方にはそうした重大な被害が出ておりますけれども、そういう意味では、岩手県の場合は、両親あるいは親御さんが亡くなられたというケースが多い。それから宮城県の場合は、児童生徒についてもなお多数の行方不明者が出ております。そのように県によってかなり状況は違います。

 それから、児童生徒の生存については、元気であることについては確認がされていても、その御家族の安否状況がどうなっているのかということも把握していかなければいけないわけであります。

 この把握というのは、単にその事実を把握すればいいという問題ではなくて、まさに最もつらいことを子供たちに聞いていくということでありますので、もちろん、児童相談所あるいは教育委員会がそうした情報収集はしておりますけれども、それをさらに詳細に把握するということになりますと、やはり児童生徒本人に確認をしていくということになります。

 そうなりますと、なるべく早い段階で学校を再開して、そして、これまで日常に接してまいりました担任が、丁寧にその子供たちにそうした接触あるいは聞き取りというものをしていく。

 そしてその上で、では、親権者はどうなるのか、身寄りの御親族の方が親権者になっていただけるのかどうなのか。もちろん、なっていただいた場合でも寄宿舎へというオプションもあります。いろいろなケースがございますので、そこを一人一人、個別に対応していくということであります。

 その際に、これはあらゆる対応で申し上げているわけでありますが、子供たちを制度に合わせるのではなくて、子供たちの今そして将来ということを一番大事にしてそれに制度を合わせる、あるいは、足らない制度があれば新しい選択肢をつくる。

 そして、いろいろな選択肢を設けた中で、もちろん完璧ということには絶対にいきません、これは親にかわるものはございませんので。しかし、その中で最善の組み合わせというものができるようにいろいろと議論をきちっとしよう、こういうことをそれぞれの自治体そして関係省庁とも話し合って対応を今検討している、こういう状況でございますので、よろしく御指導のほどお願い申し上げたいと思います。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 本当に未曾有の震災でございますので、今までの考え方にとらわれておれば、なかなか現実の問題に対応できないということも多いと思います。そういう面で、今後も、いいと思うことは積極的に取り入れて、そしていろいろな形での対応をお願い申し上げたいと思います。

 委員長、提案なんですけれども、今もお話がございましたけれども、被災地の教育の現場というのは我々が想像する以上のものがあると思います。今すぐに現地を訪問するということはなかなか難しいかもしれませんけれども、時期が整いましたら、また受け入れの方が迷惑でなければ、時期を見て当委員会としても現地を視察して、情報を共有化して、そしてまた次の対策に生かしていく、そういうことも必要ではないかと思うんですが、視察の件についても御検討をいただきたいなと思います。

田中委員長 ただいまの申し出につきましては、理事会で検討したいと思います。ありがとうございます。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 私は、文部科学委員会を希望して入ったわけでございますけれども、教育というのは、百人おれば百人の意見が出るというほど、また教育は国の根幹だというのはだれもがおっしゃいますけれども、本当に教育にとってまず何が一番大切なのかということも私自身もよく考えます。

 教育の内容の充実あるいは施設整備、また広い意味での教育環境の整備など、さまざまな課題がございますけれども、私は、憲法の二十六条に照らしてみても、教育の機会均等を保障することがすべての教育の出発点ではないかというふうに思っています。きょうは、その教育の機会均等の保障という視点から、二、三質問をさせていただきたいと思います。

 私が初当選しましたのは一昨年の総選挙でございましたけれども、その年の、直前の通常国会において、教育環境整備法案という法律案が参議院で可決をされたということを聞いております。この法案の目的は、学校教育の環境の整備に関し、基本方針を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、学校教育に関する予算の確保や教育環境の整備充実、推進を図るという目的となっております。

 その中で、特に、「学校教育の環境の整備の基本方針」、第三条でございますけれども、その中で八つの項目が基本方針にございます。特に、第一項では「多様な教育の機会を提供すること。」また七項では、「学習する機会が失われた者がその希望するときに再び学習する機会が与えられるようにすること。」そのように記載をされております。

 また、この法律案が衆議院の解散によって廃案になったということを受けて、インデックス二〇〇九では、この法案の成立を期すということも記述をされております。

 また、この法律案そのものが、当時の野党の民主党の議員立法によって提案をされたという審議の経過を踏まえるならば、現政権下でも、この法律案の趣旨を踏まえて成立の方向で進められるべきではないか、そのように考えますけれども、御見解をお伺いいたします。

鈴木(寛)副大臣 今お触れいただきました法律案は、私が同僚の議員と御一緒に立案をし、そして提案をし、答弁をし、参議院においては成立をさせていただいたものでございます。

 そういうことも踏まえまして、政権交代以後、この法律で掲げられておりましたさまざまな基本的な考え方というものは、この間、さまざまな点で反映をさせ、また、委員の皆様方の御理解を得て実現をしてまいったというふうに思っております。

 先日、この衆議院においては御可決をいただきました義務標準法の改正案もその大きな一つだというふうに思っておりますし、そして、特に今御指摘になりました「学習する機会が失われた者がその希望するときに再び学習する機会が与えられるようにすること。」ということは、これは学習権というものを大切にした教育政策をやりたいという我々の考え方の大変大事な要素の一つであることは言うまでもございません。

 学習する機会が失われるケースというのはさまざまございます。そしてまた、それに対する対応というのも極めてさまざまでありますけれども、それを極力実現していくということ、これは本当に大事だと思っております。

 今回も東日本大震災でこのようなケースが生じてしまうおそれというものが残念ながら発生しているわけでございまして、そういう中で、子供の学びを保障するという観点から、震災に見舞われた地域におきましても一刻も早く子供一人一人が学習を再開できるよう、国としても被災地の学校の復旧復興支援に全力を傾けてまいりたいと思いますし、被災のみならず、全国にはさまざまな事情でこうした状況下にある方々がいらっしゃいます。いろいろな政策を総合的にかみ合わせながら、組み合わせながら取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

村上(史)委員 もう少し踏み込んでいただきたい。この法律案に対して副大臣も大きくかかわってこられたということで、ぜひこの法律案についても成立ができるように、実現できるように今後ともお取り組みをいただきたいな、そのように思います。

 今の副大臣の御見解を踏まえて、夜間中学校の問題で質問させていただきたいと思います。

 夜間中学校に通う生徒さんは、いわゆる義務教育未修了者の方ばかりでございます。国勢調査では、義務教育を受けておられない人数は十六万人弱という統計も出ておりますが、民間の調査では百六十万人いらっしゃるんじゃないかということのデータがあります。正確なデータがないというのが現状でございますけれども、少なくとも、義務教育を受けていなくて、改めて義務教育を受けたい、卒業証書を欲しい、そういう方々もたくさんいらっしゃるという事実を踏まえて、お話をさせていただきたいと思います。

 夜間中学校は、御承知のように全国で三十五校ございます。私の選挙区であります守口市にも夜間中学校はございまして、大阪府下で十一校設置をされております。

 しかし、この夜間中学校というのは、設置の法的根拠は、学校教育法施行令の二十五条の四項、五項を運用しているということで設置をしているところでございますけれども、この四項、五項というのは、いわゆる分校を設置するとき、あるいは二部授業を行うときに中学校に新たに学級を置いてもいいという形で、運用の形で教育をなさっているというのが現状でございます。しかし、市町村には設置義務はございません。

 そういう中で、どうしても自治体の財政基盤の強いところ、首都圏やあるいは関西圏にそれが集中をしていて、まだ全国の義務教育を受けていらっしゃらない方の学びの場というものが保障をされていない、それが現実だと思います。

 そういう中で、学齢期に義務教育を受けておられない方々は、民間の夜間学級で学んでおられる方もたくさんいらっしゃいます。しかし、卒業証書がもらえないということで、公立でそれを受けたいという方がたくさんいらっしゃいます。そういう中で、学習の機会を保障するという先ほどの観点からしても、もっと積極的にこの夜間中学校の問題にかかわっていく、取り組んでいくべきではないか、そのように考えますけれども、御見解をお伺いいたします。

高木国務大臣 御指摘の、義務教育未修了者に対して教育機会を提供することは、まことに重要であると認識をいたしております。

 今、これは二年に一回、五月に調査をしておりますが、平成二十一年五月一日現在では、全国で三十五校、二千五百二十六人の在籍者があるということを承知いたしております。

 私どもとしましては、この未修了者について、いわば学校教育法施行令第二十五条は二部授業について規定をしております。中学校夜間学級は、この二部授業として設置をされ、現在、教員の給与、また教科書の無償給与、また学校施設設備の整備等について、国によって昼間の中学校と同様の支援が行われておるところでございます。

 文部科学省といたしましては、この中学校の夜間学級については、二部授業を行う学校として法律的に位置づけられておる、設置する市町村等に対して支援を行っているところであります。今後とも、中学校の夜間学級における学習意欲を有する義務教育の未修了者の学びの機会をしっかりと支援してまいりたいと思っております。

 村上委員の御指摘を重く受けとめて、これからも我々としては取り組みを進めてまいりたい、このように思っております。

村上(史)委員 ありがとうございます。ぜひ、この実態を踏まえて、積極的な施策の展開をお願い申し上げたいと思います。

 時間の方ももうわずかとなってまいりましたので、ちょっとはしょった形の質問になりますが、就学支援の問題がございます。

 就学支援は、昼の義務教育、小中学校の生徒さんには国から就学支援という形で援助がございますけれども、夜間中学校に通う生徒さんは、いわゆる学齢期を超えた方々ばかりでございますので、その対象になっていない、それが今の現実でございます。

 しかし同時に、通う生徒さんは、校区で区切られているわけではなくて、各地域、周辺の市や町から通っておられるということで、通学費も大変な負担になる、あるいは給食も、今まで出ていたけれども、財政難で給食もいただけないという状況がございまして、通う生徒さんについては、安心して夜間中学校で学びたい、そういう思いが強い、そういうことも私も現地へ行きまして確認をいたしております。

 そういう面で、教育の機会均等を図るという見地からも、この就学支援についても学齢期だけではなくて、学齢期を超えた方々にもこの制度が適用されるようなことをお考えいただきたいなというふうに思います。

 それと、結論的に申し上げますと、さまざまな問題点を今質問してまいりましたけれども、教育環境整備法の成立を期すという立場ならば、このような学齢を超えた人々にも義務教育が受けられる、そういう夜間中学校として法的にきっちりと整備をする必要があるのではないか、そしてそのことが、教育の機会均等を国が保障する、まさにそれを証明することになるのではないか、そのように思いますけれども、大臣の前向きな御答弁をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

高木国務大臣 この中学校の夜間学級については、学校教育法施行令第二十五条というところで、きっちり法的な根拠があるわけでございます。

 今、村上委員が、地域の実情を踏まえて御意見もございました。私たちとしましても、就学機会の確保について、これからもしっかり指摘を受けとめて取り組みを進めていきたいと思っております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

田中委員長 次に、下村博文君。

下村委員 おはようございます。自民党の下村博文です。

 私も週末に、仙台、気仙沼、そして南三陸に視察に行ってまいりました。

 今、村上委員から視察の件が出ましたのでちょっとあえて申し上げたいんですけれども、私が行く前に、私のところに岩手県の関係者の方から電話がありまして、行くのであれば、地元の自治体の人たちに、車の協力とか、あるいは案内とかいうことについてはぜひ要請しないでほしいという話がありました。もともと私は、私の関係の方にお願いして山形空港から仙台に入ったんですが、行って、帰りは早朝ですのでタクシーで帰ってきましたが、現地は、我が党の地元の熊谷参議院議員と一緒に同行しましたから、もちろん最初から地元自治体へのお願いなどという発想すらありませんでしたが、岩手県の話だと思いますが、民主党の議員が多数視察に入っているけれども、地元の自治体が本当に困っているという話がございました。

 我が党もそういうことがないように十分に気をつけたいと思いますが、ぜひ松宮筆頭、党において、今こんな時期に、行くのであれば自己完結で、馳委員もきのう福島に行かれたそうですが、みずから車を運転して行ったということですし、自治体の方々にそのような形で行くべきではないと思います。

 政務三役は、これは政府としての仕事ですから別ですけれども、やはり国会議員は、そういう状況把握をよく考えて行かないと、よかれと思って行かれるのかもしれませんが、結果的にえらい迷惑だというクレームが私のところにも来ましたから、十分にお互いに気をつける必要があるのではないかと思います。

 早速、行った視察におけるいろいろな要望を聞いてまいりまして、それについてお聞きしたいと思うんです。

 仙台に日本語学校がございまして、幾つもあります。福島の方も来られていました。これは、仙台だけでなく日本全部に言えることだそうですが、今は風評被害で大変だ、学生が母国に帰っちゃった。日本語学校連絡協議会の調査によると、在学生の三七%から、学校によっては八五%が帰国をしてしまった。再入国する学生がどれぐらいいるのか、いまだに不透明である。この四月から入学を許可された学生においても、三月三十一日現在において、既に一八%の学生が留学を断念するという連絡が学校に来ている。このような中、十月生募集もどのようになっていくのか不透明であって、このままであると、全国の日本語学校ほとんどが倒産しかねないような状況である。

 この風評被害というのは、原子力発電所から放出されている放射線、これの問題なわけです。これについては、世界は、本当にこの日本は大丈夫なのかと風評が広がっていて、それがそういう留学生の日本語学校、これは日本語学校だけの問題ではないですけれども、そういう状況が出ております。

 この風評被害についてしっかりと文部科学省が対応する必要があるというふうに思いますが、まずこの点についてお聞きしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 御指摘のように、日本語学校を初めとしてさまざまな学校機関で、外国人留学生が今御指摘のありましたような状況になっているという声、それに対する、政府として風評対策をしっかりやってほしいという声、多数寄せられております。

 特に、やはり原発の問題だというふうに思っておりますが、今の御指導もいただきながら、文部科学省として最善を期してまいらなければいけないと思っております。

 まず、原発につきましては、あるいは地震関連情報につきましては、我々でき得ることといたしまして、文部科学省のホームページに、この原発のいろいろなデータあるいはそれの解釈の読み方などは、英語、中国語、韓国語での記載をしております。あわせまして、そこにリンクを張っていただいていますが、慶応大学の湘南藤沢キャンパスのWIDEというプロジェクトがございますが、そこではポルトガル語、インドネシア語等の対応を、これは大学の御尽力を得てやっていただいております。

 それから、加えまして、独立行政法人の日本学生支援機構を初め各大学が情報提供を行っていただいておりますが、我々から提供させていただいたものを中心に、対学生向け、留学生への奨学金の支援とかもやっていただいているんですが、ここは、例えば、大阪大学や東京外国語大学で十七カ国語による情報提供を行っているところでございます。

 しかしながら、やはり国と国としてしっかりとしたメッセージを伝えていくということが一番重要であるというふうに考えておりまして、外務省に対して、外務省から在京の外交団に対して、原発や食品安全に関するものを含みます地震関連情報について、諸外国の正確な理解、情報提供といったことをお願いをし、していただいているところでございます。

 きょうの御意見、御議論も踏まえまして、引き続き関係省庁と連携をして、留学生が安心して日本に再び戻ってきて、あるいは日本にとどまって勉学ができるようにしっかりと努めてまいりたいと思いますので、御指導のほどよろしくお願いを申し上げます。

下村委員 昨日、気象庁が、国際原子力機関、IAEAの要望を受けて提供していた放射性物質の拡散予測の資料をホームページで初めて公開したというのが報道に出ております。

 今、この放射性物質の拡散については、フランスが発信しているのが世界じゅうで物すごくアクセスがあって、日本語バージョンも出てきた。つまり、日本の情報よりはほかの国の情報の方が、より世界が注目をしている。どこか日本というのは、日本政府は隠しているのではないか、本当のことを言っていないのではないかという疑心暗鬼が生まれているわけでございまして、そういう意味で、きちっと、正しく、タイムリーに、正確に情報を提供するということが今政府に求められていることだと思うんです。

 この中で、原発から放射される放射性物質の拡散予測、これは、文部科学省が所管をするSPEEDI、緊急時迅速放射能影響予測というシステムが本来担うはずである。仮定ではなく、放射性物質の量や高度の実測値、気象条件を考慮し、二百五十メートル四方という細かい網で予測するもの。

 つまり、このものがないものですから、今は、気象庁の方は百キロ四方の単位での計算で、天気予報で使われる二十キロ四方に比べて精度は低く、細かい地域の予想には向かない中で、しかし、IAEAも世界的規模の予測のためにデータを集めているので気象庁として発表しているということであります。本来は、この緊急時迅速放射能影響予測、これが使われなければならないわけですが、今回の震災でこの計器が壊れ、実測に基づく放射線量の測定はできなかったという状況だそうですけれども、これはいつごろ回復できる可能性があるのかどうか、わかる方はいらっしゃいますか。

合田政府参考人 御指摘のSPEEDIについてでございますけれども、これは、御指摘ございましたように、一番最初の原子力発電所の放出時のデータが得られないということでしばらく結果が出せなかったということでございますけれども、御案内のように、先般、原子力安全委員会の方で、むしろ、そのモニタリングのデータの方から逆算をいたしまして一定の推測をいたしまして、その結果を公表しているところでございます。

 その後の運用につきましては、原子力安全委員会の方で今検討をいただいているというふうに承知をしてございます。

下村委員 そうすると、今時点でいつごろ復旧できるかどうか、回復できるかどうかはちょっとわからないということですか。

合田政府参考人 SPEEDIのシステム自体はそういうことでございますので、運用は可能な状態になっているというふうに承知をしてございます。

 ただ、今後、それを用いまして、どういう格好でそのシミュレーションをし公表していくのかということについては、今時点では私どもも承知をいたしておらないという状況でございます。

笹木副大臣 ちょっと説明しますと、SPEEDI自体が壊れているわけじゃなくて、原子力発電所のその中、ごく近いところも含めた周辺、その放射線量を測定するモニタリングポスト、これは東電のものですが、これが壊れていて、その数値が出てこない。壊れているのはモニタリングポストの方、東電のものが壊れているということです。

下村委員 わかりました。

 それで、文部科学省が、大気中にどの程度の放射性物質が飛散し放射線が出ているか、これは各地の計測結果を公表しているわけです。

 ただ、これが国内の人から見ても国外の人から見ても、今のお話のように、福島原発周辺に限定しているのではないかということについて、もっと広範囲で公表すべきである、こういう声がすごく出ております。

 きょうの報道でも、福島県内のすべての小中学校、それから幼稚園、保育所、特別支援学校合計千四百二十八施設を対象に、学校施設における「放射線量を測る緊急調査を始めた。」とありますが、これ、同じようなことを、宮城県で私立の幼稚園協会の方々から要望が出ました。幼稚園においても、放射線を調べて安心であるということについて、親が確信を持って幼稚園に通園させられるようにぜひ調査をしてほしいということでありますが、福島県においては、これは県がやるということであります。

 それから東京都においても、きょうから、これまで公表していた大気中の放射線量の測定結果を街頭ビジョンでも放映すると発表しました。都内七カ所で測定された放射線量のデータを、駅前五カ所、一日七回から九回、一回三十秒で放映するというような状況でございます。

 天気予報のように、これを全国津々浦々、できたら一万カ所ぐらい、もう定点観測のような形で常時国民に情報を発信する、心配ないということを発信できればいいわけですから。ただ、データがなければ疑心暗鬼になるわけですね。

 これは留学生だけの問題じゃないんですよ。日本国民にとっても、風向きによって実際に、例えばアメリカでは、八十キロ圏内という話も出ているわけですよ。本当に三十キロ圏内で大丈夫なのかということについては、すべての国民が心配しているんですね。

 これからどうなるかもわからない中で、私は、福島県の原発周辺エリアだけでなく、もうそれこそ日本全国できちっと文部科学省が情報を提供するということをこれからすべきだと思いますが、いかがですか。

笹木副大臣 今の御質問なんですが、福島県の中、そして二十キロ以遠のモニタリング、これも非常にいろいろな箇所で、モニタリングカーを使ったものも含めて文科省がかなりやっておりますが、全都道府県で今お尋ねがあった核種、沃素ですとかセシウム、この調査は各都道府県で文科省が委託をしてやっております。それと空間の放射線量率、これも文科省が全都道府県に委託をしてやっております。

 その結果については、一日に二回、毎日ホームページで公開もしております。

下村委員 ホームページでやっている、だから見ろということは、私は、国民感覚からいうと親切じゃないと思いますよ。

 私は、先ほど言いましたように、天気予報のように、国民がわかる形できちっと発表することによって、安心、安全というのは国が責任を持つ。そういう意味で、放射能汚染の種類とかその動態マップ、そういうのをきちっと天気予報のように発表するということについて提案しているんです。

笹木副大臣 これは、当初から今言ったホームページに公開しているものは、同時に、分析が出次第、極力速やかに記者の方々に、メディアの方々にもすべて報告をしております。

 政府が広報等でさらにやれという御指摘かもしれませんが、情報の公開については、人も時間もエネルギーもかなりかけてやっているつもりであります。

下村委員 先ほどの宮城県の私立幼稚園の要望、これついてはどうですか。

合田政府参考人 宮城県内の私立幼稚園連合会についての御質問でございますけれども、私どもの方といたしましては、東北大学に放射線レベルの測定の御依頼があったというふうに承知をしてございます。

 私どもの所管の大学あるいは研究所等におきましては、これまでも、放射線量のモニタリングあるいは住民の方々の放射線の被曝の検査といったような形でさまざま協力をいただいているわけでございますけれども、私どもといたしましても、そういったようなことも含めて積極的に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

下村委員 風評被害対策を含め、放射線についてかなりやっているという話がありましたが、国民はそう見ていないんです。それで、高木大臣に申し上げたいんですが、世界もそう見ていないんですよ。

 南三陸でもイスラエルの医師団が入ってきていましたが、何か遠慮をしながら医療活動をやっているような状況で、日本政府から正式に要請があったわけではないので、どこまでやったらいいのかと。能力は持っているんです。イスラエルからもう機材は全部運んできていましたから。ところが、それが十二分に発揮できていないという部分がございます。

 それから、きのうはフランスの原子力関係の方々から、自分たちは相当の能力を持っている、しかし、日本政府から要請がないので、バックアップしようにもちゅうちょしていると。

 つまり、今回の福島第一原発の件は、日本国内だけの問題じゃなくて世界の問題になっているんです。それに対して、オール・ジャパンじゃなくて世界じゅうがどうバックアップできるかどうかということについて、これは日本人だけの問題じゃなくなっている。そのことに対して一体政府は何をやっているのか。菅総理が東工大の同窓の学者を重用するのは結構ですけれども、しかし、今は世界じゅうからこの原子力関係についてはトップの人たちを集めて、彼らも協力したいといろいろなところで実際に発信しているんですね。

 ですから、ぜひこれは菅総理によく話をして、もうすぐにでも世界じゅうからトップレベルの人材、技術を結集して、この原発対応について、事故に対して機敏に対応するということが今は日本政府に最も求められていることだと思うんですが、それを世界じゅうは見ているんですよ、一体何をやっているんだと。

 このことについてはしっかり菅総理に伝えていただきたいと思いますが、いかがですか。

高木国務大臣 委員が御指摘の、まさに世界が大きく関心を持ち、注目をしておる。むしろ日本のことだけではなくて、それぞれの自国の国民の生命と安全、こういったところの影響について非常な注目を持っておるということは、私も承知をいたしております。決して外国からの協力支援を閉ざしているわけでは全くございませんで、今我が国が持てる知見のすべてをもって対応しておる。

 そういう中で、私どもは、諸外国からの原子力発電所の関係の専門家の御意見、これについては、当然にしてしっかり受けとめざるを得ないと思っております。

 今、IAEAを中心として、我々としても国際機関とも十分連携をとっておりますが、委員の御指摘については、これは全く否定するものではございませんで、むしろ、我々として、政府としてしっかり肝に銘じて、我が国の主体性、そして諸外国への積極的な情報の公開、また支援の要請、こういったことも、できる限りのことはすべて尽くすべきだと私も思っておりますので、原子力災害対策本部の中でもその意見について私は反映をしてまいりたいと思っております。

下村委員 とにかく、直接的、間接的に世界じゅうの関係者から、支援をしたい、しかし、日本政府がその支援についてウエルカムというような雰囲気でないということは各国共通していますから、しっかりこれは官邸に伝えていただきたいと思います。

 そして、きょうのこの一般質疑が終わった後、日本学術振興会法改正案、これの提案理由説明がある予定になっています。総合科学技術会議、これに関係するわけですけれども、三月三十一日に、本年度から五年間の第四期科学技術基本計画を再検討することを発表しました。

 報道によれば、防災、復興関係技術や安全対策を強化するほか、原子力を重要な柱と位置づけるエネルギー関連研究を再検討する見通しとされていますけれども、この原発事故についていまだ収束のめどが立たず、国民や今申し上げた国際社会において、我が国の原子力政策に対する不安が広がっているということがあるわけです。

 文部科学省における原子力政策も今後見直しが必要になってくると思いますが、今後の文部科学省の原子力政策について、今時点での方針についてはどのようにお考えになっていますか。

笹木副大臣 今現在は、この福島の発電所の事故、この収束に全力を尽くしているわけですが、まずは、その事故の調査と総括をしっかりすることが先決だと思っています。

 委員が今お話しになった安全、安心ということをキーワードにして、科学技術をどうやって結集していくか、そうしたことも今後の文科省の科学技術政策には当然しっかりと入れ込んでいかないといけないと思います。あるいは新しいエネルギーへの検討、そうしたことも、当然今までより以上にやっていく必要がある、そう認識してはおります。

 今、スケジュール的に見直しの作業が決まっているわけじゃありません。まずはこの事故の調査と総括、そこからスタートするということになっております。

下村委員 今、私のところにメモが入りまして、私も詳しく見ていなかったんですが、先ほどの答弁で、全国で、文科省のホームページでちゃんと公表しているということでしたけれども、福島県は細かいメッシュで計測をしている、しかし、他県においては県庁所在地に限定している。これでは不十分である。先ほど私申し上げましたように、一万カ所ぐらいきめ細かくやっていく必要があるのではないかと思います。それぐらいメッシュで計測をしなければ意味がない。

 それというのも、チェルノブイリのときも、まだら模様で濃淡が計測されているんです。かなり細かく、そのときのいろいろな風とか地形とかによってですね。ですから、県庁所在地単位では、より正確な情報を地域に伝えるということにはならないのではないか。

 こういうことについては、安心、安全の問題ですから、風評被害の被害額等考えたら、こういうことにこそきちっとお金を投入することによって国民にきちっと開示する必要があるんじゃないでしょうか。いかがですか。

笹木副大臣 委員がおっしゃることも当然我々も認識はしておるんですが、まずは、機器とそれを分析する人材、これで一万カ所というのはなかなかそう簡単に実現できる数字ではありません。先ほどの、各都道府県県庁所在地プラス二十六カ所で、大学等の協力を得て、それ以外でも実施はしております。

 例えば簡易の測定器、これをさらに今急遽調達しよう、あるいは沃素とかセシウムの核種を測定する、これもさらに数をふやして調達しよう、一生懸命やっているわけですが、なかなか百、二百のオーダーでそれがすぐに調達できる状況ではありません。

 官邸においても、今御指摘があった外国の協力も得て、この機器、この充実を今一生懸命図ろうとしているところであります。

下村委員 優先順位を間違っては困りますよ。今何が危機なのか、何が重要なのか、目の前に迫っていることに対して何が対応できるのかということについて、もう世界じゅうの支援を仰ぎながら体制を組むということこそが、国民に対して政府の仕事として求められていることだと思います。

 それから、時間の関係で、ちょっと避難所の方々の意見を代弁したいと思うんです。

 各避難所で、本当にあすどうなるかわからないという状況の中で、いまだに十六万人近くの方々が避難されておられるわけです。この中で、私が幾つか回った中で、すばらしい取り組みを考えているところがありました。

 これは気仙沼の階上中学校というところで、ピークのときには千二百人の避難民の方がおられたんですが、今は六百人なんです。自衛隊の方もかなり入ってこられていて、炊き出し等やりながら、地元の中学生、高校生の子供たちが一緒に手伝っておりました。

 ただ、そこのリーダーの方は、いつまでもおんぶにだっこで世話になっているわけにいかない、本来だったらすぐ仕事につきたいけれども、なかなか仕事がない中、自分たち避難民がこの避難民の中での仕事を、ビジネスといいますか仕事として自立できるような方向を考えたい、ぜひそれについて枠組みをつくってほしいという要望を受けました。

 厚生労働省でも同様の発想で、昨日十四時に都道府県に、こういうようなものがあるということで通知をしたということを聞いておりますが、それがこの重点分野雇用創造事業の要件緩和、今回の災害対応分野で対応できるということでございますので、この避難民の方がどういうふうな雇用でどんなことができるのかについて、説明していただきたいと思います。

小林大臣政務官 お答えいたします。

 今先生御指摘のとおり、避難所にいる方も、一日も早く仕事につきたい、こういう思いだと思います。したがいまして、雇用の場をつくる、こういうことに対して、厚生労働省を初めとして、関係機関で全力で今日まで取り組んでまいりました。

 その結果、小宮山厚生労働副大臣を座長とする被災者等就労支援・雇用創出推進会議、これを昨日行いましてまとめ上げました。「日本はひとつ」しごとプロジェクト、こういう名称で、フェーズ一として、雇用に関する当面の緊急総合対策を取りまとめたところでございます。

 今先生御指摘の質問ですけれども、これら重点分野雇用創造事業について、震災対応分野を追加する、このことを決定をいたしました。そのことによって、避難所における高齢者への相談支援、あるいは、避難所において子供の一時預かりや高齢者の見守り事業、それと、避難所あるいは被災地域の安全確保のためのパトロール、こういうものについて、避難所にいらっしゃる被災者の雇用の場を確保することも可能である。今、各自治体において積極的に基金事業を活用していただきたい。こういうことを発信したところでございます。

下村委員 その階上中学校では、体育館とそれから普通の教室、一教室当たり二十人ぐらいの方々が五家族か六家族ぐらいで避難されておられるんです。

 この中で、自衛隊の炊き出しもずっと続くわけじゃない、そういうことについて、この避難民の方々が、それぞれのやりたいこと、能力に応じて役割分担として仕事をするという場合、どれぐらい臨時職員といいますか臨時雇用、どういう身分で、どれぐらいの待遇として考えておられるのか、説明していただきたいと思います。

小林大臣政務官 これは各自治体に、先ほど言ったように、きのう、文書をもって指示をいたしました。

 したがって、しごとプロジェクト、こういうものを各自治体で関係の人たちとつくっていただいて、そこでこれから今先生御指摘の方向に沿って検討していただき、一日も早く実施をしてもらうように厚生労働省としても指導していきたい、このように思います。

下村委員 ちょっと具体的におっしゃらないので。私が聞いているところによると、地元の最低時給以上の時給は確保する、それから、都道府県または市町村の臨時職員として雇用するということでよろしいわけですね。

 それから、宮城県においては総額で三十億、これについては予算を計上しているということですが、金額についてもよろしいですか。

小林大臣政務官 宮城県においては、重点分野雇用創造事業、緊急雇用創出事業、これについて、平成二十三年度の事業計画の変更など柔軟に対応していただきたいということで、今先生のお話にあった金額について、これから平成二十三年度の事業として計画をしたものですけれども、それを柔軟に対応していく、こういうことを今お願いしているところでございます。

 なお、基金の積み増しあるいは事業の延長について、その活用や被災された各県からの御要望も踏まえて今後も政府としては努力していきたい、このように思います。

下村委員 これは、避難民の方々にとって今後の自立に向けた一つの大きなステップになることであると思いますし、私はすばらしい取り組みだと思いますから、ぜひ厚生労働省も、全国の自治体、市町村まで含めてこれについてPRをして、それぞれの避難所で一日も早く自立活動ができるようなバックアップ。それから、どこの避難所の方々も言われておりましたが、とにかく仕事がない、仕事が欲しいと。しかし、避難している場所でなかなか、何人かは仮設でできたハローワークに通っているそうですが、しかし仕事そのものが少ないですから、ハローワークへ行っても、ほとんど順番待ちでその日が終わってしまうような厳しい状況があるということも聞いております。

 臨時職員という形であっても、こういうことを国が施策としてするわけでありますし、総額三千五百億円というふうに聞いておりますので、ぜひPRをしていただきたいと思います。

 それから、文部科学省にお聞きしたいと思うんですが、春休み中にもかかわらず、校長先生を初め教職員がローテーションで学校に入っておりました。避難民の方々がとにかく体育館から教室から六百人も常時いるわけですから、それは、学校現場でだれかいなければならないということもあるでしょうし、何とか自分たちもやれるところはやろうということで、これはまさにボランティアといいますか、だれに命令されているわけでもないけれども、校長や教職員が入ってやっていっているというような状況でございます。

 しかし、この中でしっかりと文部科学省が、都道府県教委とか通さなくても、そういう被災された市町村については、独自に入っていきながら支援をしていくということをもう考えなくちゃいけないと思うし、それから、そういうところにつまり職員の派遣、自治体に対する国の職員の派遣、あるいは、ほかの自治体からそれぞれの被災された地域に職員を派遣する、それから、さきの法律案で我々が修正案として提案され通りました復興加配教員、こういう部分をありとあらゆる部分でフォローアップしてやっていかなければ、学校の教職員も避難民と同様のような状況の中、いつ倒れるかわからない、とても授業どころの話ではないというのが現場の声でありまして、この教職員の負担を減らすための早急なフォローアップというのが求められていると思います。

 今申し上げたように、復興加配教員としてのフォローアップの仕方、それから、そもそも応援職員として文部科学省からもそれぞれの市町村の教育委員会に派遣しながら、場合によっては学校現場にも派遣するというようなことも地域の状況によって多様に考えていく必要があると思いますが、その辺についてはいかがですか。

鈴木(寛)副大臣 今おっしゃりましたように、あらゆる支援を本当に考えていかなきゃいけないと思っておりますし、そのような認識、私どもも全く共有をいたしております。

 この御議論は既にこの委員会でも行われましたので、単に我々は待つだけではなくて、むしろ積極的に提案をしてという方針でやらせていただいております。

 私どもはそうした派遣をする準備もございますし、また、各教育委員会、例えば三十九の都道府県教育委員会や十七の指定都市教育委員会からも、応援に行くよ、こういう情報もいただいておりますし、また準備もいただいておるところでございまして、こうしたことは、県教委のみならず、現地の教育委員会にもきちっと伝えていかないといけないと思っています。

 おっしゃるように、これまで県教委を通じてということでありましたけれども、それが非常に機能している県もございますし、それだけではなくて、直接にアプローチしなきゃいけない県もあるのは事実だと思います。

 したがいまして、例えば先般も清水事務次官を、それぞれの町の首長さんあるいはその教育長さんと直接相当しっかりそのお話を、我々の提案も、そしてその御要望も聞くようにということで派遣もいたし、そして、それに応じて担当の局の審議官あるいは官房総括審議官を個別の市に派遣をするといったことをやっておりますが、やはり、相当きめ細かく見ていかないといけないなというふうに思っております。

 また、委員も行かれていろいろな実態をごらんになってこられたと思いますので、また個別に御指導いただいて、そうしたところには個別にきちっと対応してまいりたいと思います。

下村委員 鈴木副大臣も御承知の京都の門川市長から私のところに電話がかかってきまして、仙台市に対して、たまたま市長をよく知っているというだけで、京都市からだけでももう延べ五百人職員を送っているんですよ、新聞には余り報道されていませんけれども。

 というふうに、要請があったらこたえるでは、もう地元ではそんな状況じゃないんです。非常時ですから、要請があろうとなかろうと、文部科学省が積極的にほかの都道府県や市町村に働きかけて、国も一緒に、いかに県教委を通すとか通さないとか、機能がもう事実上壊滅状態で通せないところだってあるわけですから、そういうフォローアップがどうできるかどうかが、それは政治家の判断ですよ。役所の判断、役人の判断ではできませんから。政治家がしっかりやっていただきたいと思います。

 それからもう一つ、私学の方々からも相当の要望を受けました。

 いろいろな私学の関係者に会いましたが、私立幼稚園協会、ここでは、宮城県だけでも十園を超える幼稚園が全壊、半壊含め被害を受けているんですが、そのうち、わかっているだけでも四園は休園のまま廃園せざるを得ない。つまり、もう一度園舎を建てようとしても、二分の一は自己負担をしなければならない。とすると、数千万かかるんです。とてもそれだけのお金をさらにどこかから借りて園舎を建てるだけの余裕もないし、将来的な見通しもないし、そもそも園児が戻ってくるかどうかの見通しもつかないということの中、休園がそのまま廃園になる。今回の災害を通じて、ほかの園でもかなり休園から廃園になる部分が続出するのではないかということを非常に心配をされていました。

 これは、私立の幼稚園だけでなく、すべての、大学まで含めたことになるかというふうに思いますけれども、こういう場合には、公立学校と同様の、私立学校に対する支援を国がしっかりと補助対象として行うべきではないかと思いますが、いかがですか。

鈴木(寛)副大臣 御案内のように、工事費の二分の一以内までは国庫補助を行うことができる、もう既に激甚災害に指定をされましたので。残りの経費については、日本私立学校振興・共済事業団による長期かつ低利の貸し付けによって対応をしてまいっております。

 しかしながら、御指摘のこともございますので、私立学校施設災害復旧費補助に加えまして、教育研究活動の復旧や学費免除のための経常費補助をさらに予算措置をしていくということが必要ではないかなと我々は考えておりまして、また委員の、あるいは委員会の御支援、御指導を得て、何とかこれは実現をしてまいりたいというふうに思っております。

 まだ被害状況の実態が完全に把握できておりません。さらにいろいろな深刻な状態ということもどんどん明らかになってまいろうと思います。今回は本当に未曾有の大津波、大震災ということを踏まえて、いろいろなお知恵もいただきながらしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 よろしく御支援をお願い申し上げます。

下村委員 我々も、支援法を新たに今回の特措法として考えたいと思っておりますし、ぜひ協力をしたいと思います。専修学校、各種学校についてもこの激甚法の対象にしていただきたいと思います。

 それから、私のところにもメールが来まして、一般の学習塾、社団法人全国学習塾協会も、今現在で百六十七塾が災害に遭った児童生徒を無償で学習塾で受け入れる、全国どこでも、災害に遭った子供たちに対しては無償で引き受ける、こういうことを民間団体もしております。

 オール・ジャパンで、子供の教育のために、また、災害に遭った方々に対してしっかりとした応援をしよう、フォローしようということでございますので、ぜひ文部科学省、その先頭に立って頑張ってやっていただきたいと思います。

 以上、終わります。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。よろしくお願いいたします。

 私もきのう被災地に行ってまいりまして、その声をきょうお伝えをし、また、できる限りの御答弁もいただきたいということで質問させていただきます。

 私は朝七時に自由民主党本部を自分の車で運転して出発をしまして、帰ってきたのが夜十二時でありまして、それから資料を取りまとめての質問ということになりますので、まず被災地の声を聞いていただくということを中心に、皆さん方には、現行できる限りの答弁で結構ですから、お答えをいただきたいと思います。

 実は南相馬市に入るのが目的でありまして、往復、車の運転が九時間かかりました。現地滞在が八時間でありまして、走行距離も九百キロを超えました。同僚の北村茂男代議士とあべ俊子代議士、永岡桂子代議士と四人で行ってまいりまして、こういうふうに聞いていたんです、五重苦だと。大地震、津波、原発、風評被害、そして情報不足と。

 私は情報不足というのはどういうことかなと思って行きましたら、南相馬市の市長さんがこういうふうにおっしゃっておられたんです。真っ先にNHKが逃げていったと。マスコミが協定を結んで、いわゆる五十キロ圏内から出て圏外へ退避していて、実態が十分報道されていない、カメラもペンも来ていないというふうなおっしゃり方でありました。

 事前にそういうふうな話も聞いていた。こういうことなんです。物資が途中まで行っても、そこから先へドライバーが行かない。したがって、物資が届いていない。野菜がない、ジュースが欲しい、お菓子が欲しいと。こういうふうな切実な話がありましたので、永岡桂子代議士が茨城県の農業共済の方にお願いをして、野菜と、それから納豆チップスでしたか、四トントラックの車と二トントラックの車も出していただいて、我々は我々でお米とか漬物とかそういったものを車に積み込みまして、行ってまいりました。

 現地では、当該選挙区であります亀岡偉民前代議士、今落選中であります、亀岡前代議士は今は遺体捜索にずっと従事をしておられます。警察の方からだめだと言われながらも、では、いわゆる捜索に入れない地域にだれが行くんだと言ったら、行ける状況ではない、でも行くということで、地元の消防団と一緒に遺体の回収に最大限の労力を使っている。こういう現状でありました。

 一番最初にこの結論の部分だけ原子力災害対策本部にお聞きしますが、二十キロから三十キロの屋内退避エリアにおいては、屋外に出る通学や体育の授業などの修学不安を抱えている。県教委や市教委では判断がつかない。こういうときこそ国が判断すべきと考えるが、どうだろうか。

 ちょっと申し上げれば、きのうの時点でですが、南相馬の市長は、人口七万人、南相馬から五万人が避難している。避難場所に避難しておられる方が十六万を超えるとおっしゃっておられますが、三人に一人、四人に一人は南相馬の市民である。まずこの現実をわかってほしい。そして、その三十キロ圏内には、実は、南相馬市の人口七万人のうち五万人がお住まいで、三分の二が住んでいる。そこで、自主退避、屋内退避のエリアである二十キロから三十キロについて、これはどうしたらいいんだろうか。これはお隣の相馬市にも子供たち家族ともに避難しているけれども、もう続々と帰ってきているんだ。でも、どういうふうに今後対応していいかやはりわからないと。

 まず、この二十キロから三十キロの屋内退避エリアについての、原子力災害対策本部と文科省としての見解を教えていただきたいと思います。

西本政府参考人 お答え申し上げます。

 今、政府内での役割分担を踏まえまして、文部科学省さんにおかれまして、原発のこの二十キロ以遠の地域につきまして、県それから関係機関と連携をいたしましてモニタリングをやるということで、今大いにモニタリングは進んでおります。モニタリングの中身は、空気中のダストを分析したり、地表面とかあるいは土壌のサンプルとか、こういった調査を今大変な勢いでやっております。

 それで、福島県のすべての小学校、中学校、それから幼稚園、保育園、保育所、こういったところにつきまして、四月の五、六、七にかけてモニタリング調査を実施しているところでございます。

 それで、文部科学省さんでは、福島県の実施分も含めてモニタリングの結果を全部取りまとめて原子力安全委員会に報告をいたしまして、原子力安全委員会において、健康への影響がどの程度か、ないかどうかということについて専門的な評価をなさるというふうにお伺いしております。

 原子力安全委員会におけるその評価を踏まえまして、県の教育委員会それから各市町村教育委員会におきまして学校の適切な管理運営がなされるものというふうに、文部科学省さんからお聞きしております。

 政府内での役割分担をきっちり踏まえまして、住民の安全、安心を確保するために全力を尽くしてまいりたいと思います。

 以上でございます。

高木国務大臣 今答弁がありましたけれども、馳委員におかれては、昨日、福島県の南相馬市を中心として、永岡委員も紹介がございましたけれども、その被災地の実態調査をされましたこと、先ほどは下村委員もお話がございました。敬意を表したいと思っております。

 私どもも、政務三役それぞれ手分けをいたしまして、福島県、宮城県、岩手県、それぞれ視察をしております。また、特に南相馬市については、林政務官が既に視察をいたしておりますし、事務次官も、先ほども鈴木副大臣から紹介ありましたように、大変な三重苦と言われる地域でございまして、特に、学校の始業がいかなる状況にあるのか、当面する課題でございましたので、視察をさせていただきました。

 今、屋内退避指示が出されております半径二十キロから三十キロ圏内において、できるだけ早く学校の再開をして、屋外での授業等についてどうかという判断については、各市町村の教育委員会が、いわゆる設置者が判断することになりますが、しかし、その判断基準がきちっとできるように、先ほど申し上げましたように、これは、県としてこの五日、六日、七日に千四百校を特別にモニタリングをする。その調査を待って、原子力委員会としてそれを評価をして、学校の再開に当たって、設置者に対して提供することにいたしております。

 いずれにいたしましても、私どもは、児童生徒の健康管理、学校の安全、こういった見地から、これからも、皆様方のいろいろな要望や意見あるいは情報、こういったものを共有しながら対応していきたい、このように思っております。

馳委員 この後、るる現場の声をお伝えいたしますが、実は、結論は今から申し上げる一点なんです。子供や教職員が安全に学校生活が送れる放射線の基準は何ミリシーベルトなんですか。この一点に、教職員も保護者の皆さんも、それから市長さんもおっしゃっておられました。

 現状でのこういう問いかけにどういうふうに政府としてお答えになるでしょうか、教えていただきたいと思います。

合田政府参考人 児童生徒が安全に学校生活を送るための放射線の基準ということでございますけれども、これにつきましては、先ほど来お話にございますような放射線のモニタリングを実施をしておりますけれども、その結果を原子力安全委員会に私どもの方から提供いたしまして、原子力安全委員会の助言を求めるということになります。

 現在、福島県を中心に、小中学校等を対象としたモニタリングを実施をしていただいておりますので、その結果を私どもといたしまして速やかに原子力安全委員会に提供をして、助言を求めたいというふうに考えてございます。

馳委員 速やかにということでありますし、きのう伺いましたら、相馬市の方は四月十八日から学校を一応再開するということでありました。それまでには、めど、目安、そしてその情報に接することのできる体制、このことをやはりお願いしたいと思います。

 では、まず最初に訪問しました福島市南体育館で伺った声をお伝えしたいと思います。

 中学生が三人おりまして、伺いまして、原町第一中学校から避難をしてきた。三月十一日以降は学校に通っていない。先生方は勤務しておられるようだが、生徒はもうばらばらになってしまっている。では、あなたはどうするのと伺いましたら、私はあしたから、つまりきょうからですね、松陵中学校というところに行きます。どうしてと聞いたら、教育委員会の指定で、小高区と浪江町の生徒はそこに行くことになっているんですということでありましたから、なるほど、先生方も自分の担任の生徒の実情を把握して、そして通うべき学校の指定ということについて、教育委員会が協力をしながらやっているんだなということがよくわかりました。

 部活は何かやっているのと聞いたら、バドミントン部をやっていると。新しい学校へ行ってもバドミントン部に入るのと聞いたら、三人いたうちの二人が実は松陵中学校のバドミントン部の生徒で、一緒にやります、私たちで支えていきます、こういうことでありました。

 そうしたら、その原町第一中学校から避難してきた女子生徒は、一言私にこう言いました。私は福島南体育館に、それから松陵中学校にいつまでいればいいんですかと私も問われまして、答えに困りました。恐らく、ほとんどの避難をされている家族も子供たちもそういう思いなのであろうかな。そのめどをつけてあげることが政治の役割なのかなと思いました。

 同じくその避難所で、ある御家族からこういう話を伺いました。浪江町から避難をしてこられているそうで、一番困っていることはというのは、こういう答えでした。情報不足です。どういうことですかと聞くと、いろいろ問い合わせたんだけれども、浪江町のホームページを見てくれと言われたと。私たちは着のみ着のまま出てきているのでパソコンなんか持っていない、避難場所にも数台しかないと。

 そこで、高齢者も多く、インターネットなんか使える高齢者もいないということで、切実な要望として、毎日、ある一定の時間でいいから、浪江町からホームページをファクスして、それを壁新聞でいいから張り出してほしい。そういう情報に接するだけで安心をする。ここ南体育館に逃げてきた我々は、やはりまず一番欲しいのは情報だ。ホームページとかそれは無理だということでのおっしゃり方でありました。一応このことはお伝えしておきたいと思います。

 それから、細かい話ですが、何度も浪江町の役場に電話するんだけれども、電話窓口の対応が若い職員ばかりで、あちらへこちらへと電話を回されて五分間もナシのつぶてで、わかりませんでしたということが繰り返されているんだそうです。そういうことにもぶち切れているというふうなお話でありました。

 やはり、電話窓口の対応にしても、せめて朝ミーティングをして、こういうことはこういうこと、こういうことはこういうこと、だれにつなげばいいかということの把握をした上で、窓口対応の若い人でもいいから、そういう線がつながるような方法で情報を出してほしいし、とりわけ、私がお伺いしたのは若い二十代の兄弟とお母さんでしたが、この小学校には高齢者も障害者もいるんですと、その方々にわかりやすく伝えてあげなければいけないので、情報の出し方を工夫してほしいということでありました。

 二カ所目に参りましたのが相馬市の八幡小学校であります。ここでお伺いしたら、相馬市は四月十八日から学校を再開するということでありまして、区域外就学、つまり、住所を変えないで区域外に就学をするということで、ここは、南相馬市と相馬市で教育委員会の方で話し合いをしているということでありましたが、校長先生と教頭先生からお話を伺いました。

 こちらでもやはり一言でした。今から申し上げることです。県教委は何をしてくれるんだ。県教委ですら判断できないことが日々起こっている。そこで、決定権を下せる人が現場にいないと始まらない。指揮官が現場に来ないと始まらない。何も決定できない。あれもこれもと、アイデアとかこうしてほしいという要望が来るんだけれども、決定を下せる人が現場に来ないと何も始まらないということでありました。

 したがって、これは福島県教委の方に文科省からも立場のある方が行っておられるとは思いますが、決断を下せる人を待っていると。自分の責任、能力では対応できない、この一言は私も重く受けとめました。県教委の調整がうまく機能できるような体制を整えてやる必要があるなということであります。

 こちらでも、相馬市の八幡小学校でありますが、やはり続々と、当初二百八十名いた避難民が今は七十名です、続々とやはり南相馬の方にお帰りのようでありました。そして学校の方も、最初は体育館で炊き出しをしていたり家庭科の教室で自炊をしていたりというふうなことがありましたが、これをできるだけ分散をし、御家庭に帰る人はやはり帰り始めているということでありました。

 ここで南相馬から小学生、中学生合わせて六百名、小学生が四百名、中学生が二百名、これを受け入れることになっているそうではありますが、それはきのう時点で把握している数字であって、そのほかからも続々と南相馬に帰っている人もいるし、あきらめて、子供だけでも相馬の方に置いておくという人もいるそうです。

 したがって、いつまでこういう生活をしなければいけないのかという不安、そのことを考えると、やはり最初の質問に戻りますけれども、放射線の被害、基準、三十キロから二十キロ、こういったところに対する最後は責任を持った判断をして指示をしていただきたいと校長や教頭がおっしゃっておられました。

 ちなみに、ここの八幡小学校の校長先生は、自宅が流されて、親と娘さんが遺体で見つかったと。洗濯機の中に泥水と木と人間を入れてかき回したような遺体の損傷の度合いで、これ以上私も申し上げることができないような悲惨な状況でありますが、ただ、校長も、避難場所である八幡小学校の運営、市の教育委員会との連絡、それから南相馬市の方との連絡、保護者との連絡に追われて、ほとんど家には帰ることができない状況でありまして、正直、私はこの校長先生が参ってしまうんじゃないかなというふうに、はっきり言って思いました。

 人事はどうなんですかとお伺いしたら、四月一日の人事は八月一日に延期をされたということでありましたから、一応、被災した状況の学校体制というものは、担任も含めて人事の方は八月一日まで維持されているということで、当面の人間関係については大丈夫なんだろうとは思いますが、これはやはり、先生方に対するメンタルケアも必要だというふうに思われました。

 次に、相馬市役所に参りまして市長からヒアリングをいたしまして、教育に関してはこの一点であります。

 磯部地区の学校には行きたいんだけれども、そこで生活はしたくないという子供たちがほとんどだ。したがって、避難所からスクールバスで通って学校で勉強したい。学校は磯部地区の学校に行きたい、しかし、そこでもう住みたくない。それは、津波の悲惨な光景が子供たちに刷り込まれていて、いわゆるPTSD、夜中にも非常に眠れない、あるいは震えが来てという典型的なPTSDの状況であります。したがって、スクールバスの活用とか、あと給食の手当て、このことがまず必要なのではないかなと。

 これ、できる限り現場で一生懸命やりますけれども、まず、子供たちが学校を再開したときの県や国の支援をお願いしたいということでありました。

 ちなみに、この相馬市の市長さんは、籠城作戦ということを既に表明しておられますね。いわゆる国の命令がない限り、自主避難というだけでは絶対に相馬市を出ない。やはり市長としての判断だと思います。つまり、自主避難というだけでは、屋内退避という勧告だけでは絶対に相馬市は出ない、この中にとどまって籠城してでも頑張るんだ、こういうふうなおっしゃり方をしておられました。

 その後、四カ所目が新地町役場に行ってまいりました。ここには、岡山の方から、日本原駐屯地から自衛隊の皆さんが来て役場の四階で作業をしておられて、激励をしてまいりました。

 ピロティーがあって、その四階から海の方を見渡すことができまして、一面瓦れきでありまして、町長さんと、あと議会の皆さん方ともお話をしたんですが、まずはこの瓦れきをどこに置くのかと。今は一時管理ということで置いてあるんだけれども、今後これを分別をして処理をしなきゃいけない。そのための重機、作業、専門的な人材、そしてそれを手当てする予算、こういったものについては、すぐにやはり指示を出してほしいという町長さんの声であったということをお伝えしておきます。

 その後、役場の近くにあります新地小学校に参りまして、私の車に積んであった支援物資を置いてまいりました。

 その後、一路南下して南相馬市の鹿島区、これは合併したんでしょうね、鹿島区の役場に参りまして、消防団の皆さん方がここを拠点に遺体の捜索活動をしておられて、ほとんど三週間自宅に帰っていない、また家も流されているという方々がほとんどでしたので、野菜など救援物資をおろしてまいりました。野菜を見て、ダイヤモンドよりもありがたいという言葉をいただき、本当にすさまじい状況であるなということを改めて私も実感をいたしました。

 そして、最後に南相馬の市役所に参りまして、市長さんとお話をさせていただきました。

 何度でもこれは申し上げますけれども、二十キロから三十キロの屋内退避地域の国の判断をとにかく求めている。今現在は、一たん避難した市民が本当に南相馬市に戻ってきている状況である。どう市政を運営していくかということを考えると、やはり国の方向づけを早く出してほしいということでありました。同時に、やはり原発政策に対して今後の国の方針を出してほしいと強くこれは申しておられました。

 以上、七カ所で訪問をしてお話を伺ってきたことをちょっと一方的ではありますが申し上げましたが、大臣ないしは関係の当局でもし答えていただける部分がありましたら、ちょっとお答えをいただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。

鈴木(寛)副大臣 いずれも大事な御報告をいただきました。全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますが、その中で、二十キロから三十キロの中にあります対応について、特に学校あるいは児童生徒の取り扱いについては、私どもが同じようなお話を南相馬からもいただいておりますし、先ほど大臣も御答弁申し上げましたが、林政務官が現地に赴き、また、前川官房総括審議官には、隣県、隣接市との調整も含めてコーディネート役をしてもらっております。その中でも、一番難問として抱えておられる問題がそれであるということを私どもも把握しております。

 これにつきましては、私たち文部科学省がきちっと現地の教育委員会に成りかわって、内閣府の原子力安全委員会あるいは官邸ときちっと調整をして、そして政府の判断というものを官邸本部に決めてもらって、そして、それに基づいてこの現地の教育委員会に適切に助言をさせていただきたいというふうに思っております。

 今、断続的に官邸本部あるいは原子力安全委員会に、先ほど来御答弁申し上げているところではございますけれども、調整を行っている。私どもとしても、この安全委員会の見解あるいは官邸の原子力災害対策本部の結論を今待っているという状況でございます。

 結論が出ましたら速やかに助言をしてまいりたいと思いますし、そして、それに伴うさまざまないろいろな手当て、先ほどスクールバスのお話などもございました、あるいは、教員のさらなる配置ということもやってまいらなければいけない。

 特に、やはり南相馬については特別にきちっと対応していかなければいけない事情があるというふうに我々も認識をいたしておりまして、もちろん、県教委も頑張っていただいておることは大変敬意と感謝をしているわけでありますけれども、ここについては、きょうの御指摘どおりであると私ども思いますので、直接に文部科学省官房とホットラインでもって対応させていただきたいというふうに考えております。

馳委員 八幡小学校の職員室で四十分ほど話し合いをしたり、あるいは鹿島区役所に行って消防団を訪問したときに、私を見て先生方とか消防団が、あっ馳だ、馳、馳と言って、私のことをプロレスラーと思って見ているものですから、みんな、サイン下さいとか握手してくださいとか、わあっとちょっと盛り上がったんです。

 やはり文部科学省の役割としては、そういう意味でいえば、オリンピック選手とか、今はこういう時期だからお相撲さんとか、激励のために、そういう被災地でちょっと落ち込んでいる人たちがぱっと明るくなるような、元気が出るような人たちを派遣することも、これもまた一つの文部科学省らしい支援のあり方なのではないかなと思いました。蛇足でありますが、この点は申し上げておきたいと思います。

 それで、全体的な震災、原発、津波の被害による学校現場の被害についての現状をちょっとお伺いしていきたいと思います。

 新年度が始まりましたが、再開できない学校はどのくらいになりますか。まずお伝えください。

山中政府参考人 このたびの東日本の大震災によりましてとりわけ被害が大きかった岩手、それから宮城、それから福島、こういうところの学校の再開の状況でございますけれども、岩手県では、公立の小中高校ともにおおむね四月二十日以降の再開を目指して、できれば四月以内に再開をしたいということで今取り組んでいるという状況でございます。中には、陸前高田市の高田高校が五月初旬を目指してということもございますけれども、大体今月内を目指して今取り組まれているというところでございます。

 また宮城県では、公立の小中学校、これはまず仙台市では、四月十一日を基本として、二十一日までの間に学校の状況において再開したいと。また、他の市町村においては、現在検討中ということで取りまとめておられることと思います。また、県立は四月二十一日を標準として再開しようと。

 福島県では、原子力発電所周辺の三十キロ圏内の学校、これは当面再開されませんけれども、その外のところの空き教室等を活用した学校機能の移転ですとかその検討、また、今、二十キロから三十キロ圏の圏内につきましては、モニタリングの結果、これを見てまたそこで判断しようという、特に南相馬市が一番子供の数、学校の数も多いという地域でございますので、その辺について今対応を検討しているというところでございます。

 また、震災を受けてそれで移転したというところもございますので、そこの地域では、そこの地域でもとの市町村の学校として再開するというところもございますし、あるいは、移転した先の公立学校等に転入して、そこで入学して教育を受けるというふうな場合等もございます。

 いずれにしても、子供たちの教育というものがしっかりと担保されるように、受け入れ先の市町村あるいは受け入れ先の学校、こういうところについても、円滑にそれぞれ学校が始まるときに被災地から避難してきた子供たちが受け入れられますように、私どもとしてもしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

馳委員 そして、大震災、津波等によっての死亡、行方不明の幼稚園児、小中高校、大学生、どのくらいか、最新の数字をお伝えください。

辰野政府参考人 本日朝七時現在の数字で申し上げますと、まず、震災による安否未確認者も含む行方不明者、幼稚園児十二人、小学生百二十三人、中学生百七十六人、高校生百八十七人、大学生二十四人、総計五百二十二人ということになっております。

 県ごとに見ますと、岩手県で七十人、宮城県二百四十九人、福島県二百三人でございますけれども、実は、きのうの数字と比べまして宮城県が五百人ほど行方不明者が少なくなりました。これは、石巻市それから気仙沼市の方から確認が上がってきたということだそうでございます。

 この辺の数字、まだ鋭意調査中でございますけれども、現在の状況ということで御報告申し上げました。

馳委員 ということは、石巻、気仙沼は本当に被害がひどく、なかなか実態の把握に手間取ったということでよろしいですよね。

 それでは、避難している子供たちの学籍簿の管理、これは十分できておりますでしょうか。

山中政府参考人 学籍簿の管理の関係でございますけれども、文部科学省では三月十四日に通知を発出しまして、被災地域の子供たち、これは、被災した子供が希望した場合、避難先の学校は速やかに受け入れていただくようにということをお願いしているところでございます。

 この場合、被災した子供たちがほかの学校に移ります場合、避難先の学校の方に正式に転入するという場合と、それから、もとの学校に一応在籍したままで避難先の学校に事実上転入する、こういう場合が考えられると思います。

 いずれにしても、そこのところを子供さんあるいは保護者の方に確認して、その辺を確認した上で、そちらの避難先の方の学校に正式に転入するのか、あるいは在籍したままでそこに事実上置くのかということを明確にした上で取り扱ってほしいということを、全国の教育委員会にも事務連絡で示したところであります。

 この場合、その事務連絡の中でも、学齢簿とか指導要録、これが紛失して直ちに事務手続ができないといった場合もあると思います。この場合、対象の子供の名前、住所、受け入れ年月日、受け入れ校、もとの在籍校名、そういう就学手続上必要と思われる事項については、転出元、もとの学校の方の教育委員会とか学校、可能な限り連絡をとって、記録して、児童生徒の指導や証明に生かすようにという形で、まずはその聞き取りということをやったり、あるいは、時間がだんだんたちますと情報がとれると思いますので、もとの教育委員会あるいは学校の方に問い合わせて、それで埋めていくということを依頼したところでございます。

 いずれにしても、これからそういうケースが非常にふえてくると思いますので、子供たちの就学機会がしっかりと確保できるよう、その管理もできるよう、しかし柔軟な形でそれが取り扱われるように、私どもとしても、都道府県あるいは市町村の教育委員会、学校にお願いしていきたいというふうに思っております。

馳委員 次に、被災して使えない幼稚園、小中高校、大学の施設、これについて把握しておられるでしょうか。

辰野政府参考人 これも本日朝七時現在の数字でございますけれども、使えない幼稚園、小中高、大学につきまして、国立学校で七十二校、公立学校で五千六百九十八校、私立学校で千二百三十八校、計七千八校というふうになっております。

 このうち公立学校について、教育委員会からの報告をもとに、特に建物の被害が大きくて、建てかえまたは大規模な復旧工事が必要と思われるものは約百八十件ぐらいと把握しておるところでございます。

馳委員 では、その施設の復旧に向けての課題は何でしょうか。特に、私学は経営上も厳しいだろうなと思われます。また、現地での建てかえか、近隣での建てかえか、土地の確保なども大変だと推定できますが、この課題について今考えているところをお述べいただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 まずは、今までの校舎が使えるのか使えないのか、応急危険度判定というようなことを言っておりますけれども、それをやって、修理で対応するもの、それから、もうこれは建てかえ、それから、今回のケースは同じ場所の建てかえが難しいケースが非常に多いので、土地の確保、手当てといったところからやっていくという、いろいろなそれぞれのケースにきめ細かく対応していかなきゃいけないと思っています。

 今回、別の場所にというのは、結局津波ということが大きな要因になっているわけでありますので、もう何度も申し上げておりますけれども、これは本当に未曾有の状態でございます。したがいまして、そうしたことに大変柔軟に対応できる、そして、かつ十分な財政の支援といったことをやっていくということと、それから、平時であれば、書類の作成、我が国はそういうところがきちっとしておりますので、しかしながらこういう事態でありますから、事務手続の簡素化や柔軟な対応ということを、これはやはり私も口酸っぱく言っているところでございます。

 それでなくても本当に大変な現場の皆様方に、こういったことで御負担をかけることのないようにきちっと指導をしてまいりたいと思いますし、文部科学省はこういう方針を出させていただいているんですけれども、なかなかそれが、大変誠実といいますか、いい意味で申し上げているんですけれども、きちっと対応していただく教育委員会が大変多いものですから、これは非常時なので、優先順位を、現場あるいは児童生徒、教職員、その立場に立って制度を合わせますからということを何度も繰り返し申し上げてきておりますし、さらにそのことをきちっと徹底をしてまいりたいと思いますし、委員の皆様方におかれましても、御協力をお願い申し上げたいというふうに思っているところでございます。

馳委員 学校施設は避難場所でもありますし、より一層耐震化工事を進めるべきと思いますが、その際に、今回の大きな課題となりました津波対策ということも踏まえて、今後の課題は、我々政治の責任は、予算の確保、特別立法による補助率のかさ上げ、そして、ここに津波対策といったものも踏まえていく必要があると私は思いますが、いかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 国会の御指導と御支援を得て、ぜひ私どもも全力を尽くしてまいりたいと思います。

馳委員 最後の質問と、お願いを一つしたいと思います。

 重要文化財の損壊状況と、これも今後の再建課題についてお伺いするのと同時に、実は去年、全国に三カ所ですか、マルチパラメーターレーダーが配備されたと思うんですよ。いわゆる災害のときに、時々刻々と変わる被災状況を把握して現場に防災体制をしく、その情報管理のためのマルチパラメーターレーダー、これはどう考えてもやはり三陸沖にも設置していくべきだなと私は思います。ぜひこれを検討課題にし、補正予算ででもいいですから、すぐにやってほしいと思います。

 このことを申し上げて質問を終わりたいと思いますが、文化財のことだけお伝えください。

吉田政府参考人 重要文化財を含めまして文化財全般につきまして、今回の大震災によりまして数多くの被害が生じております。昨日までの段階で、総数として四百五十八件に上っております。

 このうち、重要文化財のうちでも建造物の関係について見てみますと、国宝四件、さらに重要文化財の建造物百十二件に今被害が生じているということでございます。

 文化庁におきましては、被災状況を把握するために、各教育委員会から要請があったものにつきまして、比較的地震被害の少なかった首都圏などから順次文化庁職員を派遣いたしまして、実情の把握に努めております。

 なお、現時点におきましては、受け入れ態勢が整い、被害のあった重要文化財建造物の応急措置など緊急性の高いものを優先的に対応しているところでございます。

 今後の課題としましては、被災した重要文化財建造物の災害復旧事業の関係につきまして、通常の修理事業の補助率に加算した補助率で国庫補助事業を行えることとなっておりますけれども、今後、各都道府県の教育委員会あるいは文化財の所有者などの要望を踏まえながら、国としての支援方策をつくり上げてまいりたいと考えております。

馳委員 終わります。どうもありがとうございました。

田中委員長 次に、池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 三月十一日の東日本大震災からほぼ一カ月がたとうとしております。今望まれていることは、児童生徒を初めとして、被災者のすべての方々の支援をどのように具体的にしていくかということではないかと思います。

 一九九五年の阪神大震災を受けて、私どもは一九九八年に被災者生活再建支援法をつくりました。これをもとにして、今、被災者生活再建支援制度ができております。これは言うまでもなく、罹災証明書をとって、市区町村に行ってそれをもらって、国が半分出す、そして国の指定を受けた被災者生活再建支援法人が相互扶助の観点から半分出す。六百億、これはとても足りないとは思っておりますけれども、現実には多くの方々が、まずは現金が欲しいのだ、まずはお金が必要だと。これは五十万から最大三百万というふうになっております。

 これがあってよかったなというふうに思うのですが、それとともに損害賠償等を調べましたところ、原子力損害に関しての救済措置がなかなかとられていないのではないかというふうに私は思うのです。

 三月十一日の東日本大震災、その地震と津波、本当に大きな不幸でしたけれども、それだけだったら、「支えあう日本。心をつなぐ。」ということで私どもも党を挙げて頑張っておりますけれども、一人一人が、支え合う気持ち、日本を復興させよう、今みんながそう思っておりますから、復興を遂げることができる。だけれども、原子力発電所の事故は、国民の心に何か影を落として、その復興を阻んでいるのではないかと思うんです。

 現在も、福島原子力発電所において、その復旧作業に多くの方々が御尽力いただいております。感謝申し上げるとともに、そういう人たちは何か食べるものもない、不十分である、寝るところすらない、いすに座って寝ているんだ、そのことに関しては、やはりもうちょっときめ細やかに支援ができるように政府としては力をかしていただきたいと思います。

 そして何よりも、避難指示や避難勧告によって日常の生活を奪われ不便を余儀なくされている方々、働く場や学びの場を放棄せざるを得なかった方々に対して、また、出荷停止や出荷自粛などによって多大な打撃を受けている農畜産業者の方々に対しては心からお見舞い申し上げますとともに、やはり原子力損害、原子力損害というのは文部科学省が果たすべきことですね、ですから、その範囲において心を尽くしてほしいというふうに思っております。

 福島原子力発電所の事態は、いまだ修復していないわけで、今後、どの程度被害が拡大するかもわからない現状ではありますが、私はやはり、今避難していらっしゃる方は大変な不安の中にいらっしゃると思います。どのような内容の補償や救済をしてもらえるのだろうか、またそれの措置をどのぐらい迅速に、円滑に行っていくことができるのか、これは政府が問われているし、また、避難している被災者の方々の最大の心配事なのではないかというふうに私は思っております。私どもは、今原子力の被害に遭って避難していらっしゃる方々の賠償ということに関しては、余り心していないのではないかというふうに思います。

 読売新聞の報道では、平成十一年九月に、茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オーで起きた臨界事故について、避難の対象というのは半径三百五十メートル圏内で、期間も三日だったんです。ジェー・シー・オー側が約百五十億を支払い、賠償問題がすべて決着するまで、実は十年かかっているんです。去年これが決着したというのを調べて、私、むしろびっくりしたんですね。十年も賠償が据え置かれているというのは、そこにいる方々にとっては本当につらいことだったんじゃないかと思うんです。

 福島第一原子力発電所についての避難対象は半径二十キロメートル圏内で、二十キロメートルから三十キロメートルの圏内に自主避難の要請が出ている。この被害規模というのは、ジェー・シー・オーの事故と比べようがない。だって、ジェー・シー・オーの場合は半径三百五十メートルなんですよ。今度の福島第一原子力というのは、避難対象は半径二十キロから三十キロ。

 政府は、福島第一原子力発電所の事故について、法に基づいて原子力損害賠償審査会を設置し、損害の範囲を決めるための指針の策定を行うと報じられております。この審査会は、ジェー・シー・オー臨界事故の事例を踏まえ、原子力損害賠償法に基づいて和解の仲介のために設置される中立的、専門的な組織であるとも聞いておりますが、そうであるならば、審査会による指針は、被害者救済にとって非常に大きな影響を与えるものじゃないかと思います。

 平成二十年十二月に、文部科学省の原子力損害賠償制度の在り方に関する検討会がまとめた第一次報告書においては、「指針には、損害の態様、発生場所、事故後の経過時間等のさまざまな要素に応じ、原子力損害の範囲、損害額の算定方法等に関する基本的な考え方の方向性を示すこと。」と述べられております。

 指針のイメージ例を見ますと、損害の類型、場所的要件、時間的要件、身体検査費用、避難費用、営業損害などの項目があり、例えば場所的要件については、本件施設から何とかキロメートル以内の区域を基本とするというようなひな形がつくられているわけです。平成二十年十二月は、今回のような事故をきっと予測なさらなかったと思うんですよ。その中で第一次報告書がつくられたのではないかと私は思っております。

 ですけれども、これを調べましたら、被災者生活再建支援法がもう既につくられておりますから、これにのっとって、この制度の活用はすぐにできる。福島ではもう既にやっているのではないでしょうか。罹災証明書もすぐ発行できると思うんです。だけれども、この原子力損害賠償は十年もかかっていて、第一これは、原子力損害賠償紛争審査会というのを設置しなければできないんだということで、私、ちょっと改めてびっくりしたんですね。やはりその現場の人たちというのは、避難しなさいと避難させられた、だけれども、原子力の事故における賠償は、いつどんな形でかは全然見えてもこない。

 この設置というのは、いつ行われる、いつつくろうと思っていらっしゃるかをちょっと伺いたいと思います。

笹木副大臣 今お尋ねのあった紛争審査会、これについては少しでも早く設置すべきだということで準備を進めております。御心配されていると思いますが、もうそんなに何日もかからずに設置がされる、そういう準備をしております。

池坊委員 何日もかからないというのは、今週はだめでも来週ぐらいまでには設置をなさるというおつもりですか。だって、これから委員も人選しなければならないんですよね。委員はどういう基準で人選されるのでしょうか。

 私が調べました資料では、原子力損害賠償紛争審査会の組織等に関する政令によれば、委員は十人以内で組織する、委員は、人格が高潔であって、法律、医療または原子力工学その他の原子力関連技術に関する学識経験を有する者のうちから、文部科学大臣が任命されると書いてあるんですね。

 私、委員の人選というのは極めて重要であるんじゃないかと思います。今回の問題も、政府と委員が割となあなあであったからこのような事故も予測できなかったとか、あるいは基準が甘かったとか、認定ができなかったとか、いろいろ非難も浴びております。

 この人選に対して素案がおありになるのか。これから人選するんですよと、一カ月近くかかっているんですから、それはちょっと私は遅いと思うんですが、いかがですか、大臣。

高木国務大臣 この原子力発電所の事故については、極めて重大な事態でございます。

 まず私たちが取り組むべきは、既に政府を初め東京電力、また関係機関等の総力を結集して、福島第一原子力発電所のあの事態をいち早く収束することが何よりでして、事態を長期化させてはならない、またさせない、こういう決意で今取り組まなきゃならぬと思っております。また、長期化すればするほど損害賠償ということも拡大をしていくことは当然でございまして、私たちとしては今の事態の収束に全力を挙げる、これがまず第一であると思っております。

 事故により生ずる損害については、池坊委員御指摘のとおりに、法律に基づいて原子力損害賠償紛争審査会を設置することになっておりまして、この審査会の中で原子力損害の範囲の判定など指針を策定しなきゃなりません。

 この審査会の委員については、政令の定めるところにより、委員からも御紹介がございましたが、十名以内で組織をすること、委員には、人格が高潔であって、法律、医療または原子力工学その他の原子力関連技術に関する学識経験を有する者で構成されておると思っております。

 この国会においても、とりわけ風評被害で大変お困りの農林水産、あるいは今後は漁業ということになってくるのではないかと思っております、そのほかに中小企業の経営者、あるいはそれぞれ地域関連で働いておる労働者、そういったところの補償問題がクローズアップされてくると思っておりますので、そういうことに非常に詳しい方々もこの委員の中には入れなきゃならぬ、私はそのように思っております。

 政府全体として取り組むことになりますけれども、関係省庁と連携をとって速やかにこの審査会の設置をしていきたい、このように思っております。

    〔委員長退席、松宮委員長代理着席〕

池坊委員 政令で人選はこういうふうに定めておりますよと私が申し上げたのを大臣がまた丁寧に重複して言っていただきましたこと、皆様にはよくおわかりになったと思います。

 私が申し上げたいのは、では、速やかにというのはわかりますけれども、指針の発表に向けたスケジュールでこういうことも考えていらっしゃるのか。やはり速やかはちょっと抽象的で、しっかりとしたチームをつくるべきだと私は思います。

 これは大変なことで、十兆円であるとも言われているんじゃないですか。原子力の損害賠償は十兆円に上るんだというふうに言われておりますので、そういう指針の発表に向けたスケジュールをちょっと伺いたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 東電福島第一原子力発電所の事故、まだ現在、進行中でございます。これからさまざまな損害の類型パターンが出てくるものと思われます。したがって、そういうものも考慮に入れながら、全体として、先ほど議員御指摘のように、どのような損害類型を原子力損害賠償の対象とするのか、それに対して算定方法はどうするのかといったような審議をしていただかなくてはならないと思います。

 したがって、現時点ではできるだけ早くそのような指針を示したいということに努力していく、そういうことであるかと考えております。

池坊委員 大臣が先ほどおっしゃった、収束に向けてが第一である、それは確かにそうだと思います。でも、それと同時にやはり、危ないんだから出ろと、一言そう言われたがために出ていった人たちの立場に立って、それも二本立てで私はやっていただきたいと思うんですね。一つこれをやっているからこっちはできないよというのではなくて、やはり、役所の中でそういう区分けというか役割分担が私は必要なのではないかと思います。

 広域だから、それからまた被害が出そうだから、それを全部終了してからだと言っていたら、避難している人たちは非常に不安だと思います。ですから、それはぜひ収束と同時にやっていただきたいと思います。

 この指針において、賠償の範囲というのは限定的に定められてしまいますよね。原子力事業者は、国に対して救済を求めることが限定的に定められた場合には困難になるんじゃないか。何の落ち度もなく被害を受けた方々を救済する観点から、私たちはやはり、被害者の立場に立って、現場の声もしっかりと受けとめていただきたいというふうに考えております。

 先ほど、大臣が風評被害ということをおっしゃいました。今、風評被害というのが盛んに言われておりますね。言葉だけが先走って、風評被害というのは具体的には何を指すのか、共通の認識が余りございませんよね。政府においては、風評被害という言葉をどのような意味内容でお使いになっていらっしゃるのか。

 例えば、自主避難を求められた福島原子力発電所の二十キロから三十キロ圏内の農畜産物について、実際に放射線汚染がなくても売り上げが落ちた場合、これは風評被害に当たるのでしょうか。その上で、風評被害についてどのような補償措置を講ずるおつもりなのか。つまり、現行の原子力損害賠償法に基づく補償で風評被害までも包括することができるのかどうか、あるいは新たな法律をつくらなければ、この範囲の範疇を出ているのではないかということなども私は心配するんですね。

 ですから、原子力損害賠償が文科の範疇だったのだと思いましたときに、これが余りにも大きいので、むしろ心配をしているところなんです。ですから、これはやはり一つチームをつくって、文部科学省だけで解決するのか、厚労省や経済産業省の力をかりなければとても解決できないほど風評被害、風評被害と言われておりますので、どんなふうにお考えかをちょっと大臣の御方針として伺いたいと思います。

藤木政府参考人 風評被害についてのお尋ねでございます。

 風評被害というふうに一般的には言われておりますけれども、これにつきまして、どこでどういう範囲のものであるという定まったものは特段ないと承知しておりますけれども、例えば、先ほど議員御指摘の、避難圏が設定された場合、あるいは屋内退避圏が設定された場合、あるいは政府により出荷指示がなされた場合、そういったものと関連して買い控えなどが起こって、それによりまして生産者の方々の売り上げが落ちるといったような場合があることは現実にあるわけで、一般的に、そのようなことを指して風評被害と称しているものと考えております。

 もちろん、こういう風評被害に関しましては、それが生じないよう、今、正しい情報、客観的な情報を国民に伝えるように努力していくということで減らしていくことがまず第一と考えますけれども、現実にそういうことが起こっているということを踏まえますと、どう対処していいのかということかと思います。

 原子力損害賠償法におきましては、一般論といたしまして、事故との相当因果関係があるものにつきましては原子力損害として認め、適切な賠償が行われるべきということになっております。この風評被害と称される被害に関しましても、そのような相当因果関係の有無によって判断し、その関係があるというものにつきましては、原子力損害賠償法の中で適切に賠償がなされていくものというふうに考えております。

池坊委員 私が申し上げているのは、何度も何度も言うようですが、この原子力損害賠償だけではその範囲をもう超えておりますよということを申し上げたいんですね。

 この事故によって、農畜産業や漁業に携わる方々は多大な被害をこうむっていらっしゃいます。これらの方々にとっては、これまで続けられたことを立て直すとしても長い道のりが予想されます。中には廃業したり転業を余儀なくされたこのような方々に対して、原子力事故による損害に対する賠償というのはもとよりのことなんですが、国として最大限の、例えば第一次産業の振興に対する支援とかをしていかなければいけない。これは農水省のマターであったり経済産業省のマターであったりするとは思いますけれども、そのもとになっているのは原子力事故であるわけですよね。

 ですから、そのようなことに関して、やはりこれは事務方ではなくて大臣がどういうふうにお考えかということはちょっとお伺いしたいと思います。極めて大切なことです。

高木国務大臣 この法律ができたのは、今、省庁再編後の文部科学省でありますけれども、科学技術庁という省庁がございました。そういう中でとりわけこの原子力政策については大きくかかわってきた、このように思っております。

 また、原子力関係の事故においては、先ほども出ております、ジェー・シー・オーの事故が一つの経験としてございます。同時に、今回の発電所の事故は、かつてない状況でございます。

 そういう中で、当然政府としても、各省庁それぞれ、大変な内容も含めて、とにかく被災者のまさに補償、救護、保護というのが大きな前提でございますので、私は、政府として、文部科学省が中心になりながらも、関係省庁のそういうチームの中でこういったものが進められていくべきだと思っておりますし、また、そうなると思っております。

 したがいまして、速やかにそういう体制をつくる、同時に審査会も設置をする、こういうことで頑張っていきたいと思います。

池坊委員 くどいようですが、ぜひ文部科学大臣が中心におなりになってすぐに審査会を立ち上げること。それから、まず人選をなさってこの会を立ち上げること。指針をつくりそして速やかに、やはり被災者は、避難者であり被災者であるという二重苦を負っているわけですから、そういう方々の支援というのをぜひ迅速に、迅速というのは何をもってして迅速かと。一カ月なんていうのは迅速に入らない、もっともっと速いと思っておりますから、これはもう速やかに本当にやっていただきたい。言葉だけでなくて、みんなが待っておりますことをぜひ申し上げたいと思います。

 最後に、ちょっと私、副大臣が、大学ボランティア、大学生にボランティアに行ってほしい、そのためには、一年間もし休むのだったら授業料減免なんかも考えてあげてほしいとか、あるいは履修の単位にしてほしいというのをお出しになったように思うんですね。お出しになりましたよね。それを受けて四月に、高等教育局からも大学等のボランティア活動についてというのが出されまして、私はこれはとてもいいことだというふうに、もう大賛成です。

 それとともに、六十余名の両親を亡くした子供たちがいる。子供たちは親類の人たちにも預けられたりして、今何名いるか正確には把握できないようですけれども、そういう子供たちのために学校に隣接して寄宿舎をつくったらどうかというお考えもおありになったのではないかと思いますが、何か慎重論もあって頓挫しているのではないかなというふうに思ったりしていますので、ちょっとそのことを伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 慎重論で頓挫しているということはないと思います。少なくとも、私どものところには、あるいは岩手県知事の御意思というのは変わらない。そうしたオプションといいますか、そういう道筋もきちっと打ち出して、そしてそれも前提に考えていこうと。

 ただ、その実態が、これは今把握中ということでございますので、当初は数校つくる必要があるかなということも想定をしていたわけでありますが、これはまさに何人を対象にしていかなきゃいけないのか、また、両親を亡くされた児童生徒数は今おっしゃったようなオーダーでありますが、親御さんをお一人亡くされたケースとかいろいろなケースにやはりきちっと、子供たちのきずなと地域とのきずなというのを大切にしながら応援をしていこう、そのためにやるべきことをやっていこう、この趣旨、この構想は変わっておりませんので、またよろしく御指導をお願い申し上げたいと思います。

池坊委員 私も、ぜひこういうものをつくってほしいなと実は思っているんですね。そのニュースを見た方からも、そういうものができたら支援をしたいとか、そういう方々もいらっしゃいます。

 どちらにいたしましても、この大震災を乗り切っていくのは自助、共助、公助だと思うんですね。公助にはやはり限りがございます。自助はもう、もちろん本人が一番つらい思いをしているんですから、やはり大切なことは共助なんだと思いますね。今、その共助をしたいけれども、どういうふうな形でしたらいいのか、する方法がわからないと思っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんですよ。

 ですから、そういう意味でも、私は青少年特別委員会の委員も理事もしておりまして、できましたときからずっといたしておりまして、養護施設などにも何度も訪ねたり、実情を把握しております。養護施設の子供たちの中にも、そういう寄宿舎ができたら入りたいという子供がたくさんいるんじゃないかと思ったりして、その辺の調整等も必要であるかとは思いますけれども、やはり決断にはリスクが伴います。

 ですから、あれがだめだ、これがだめだとか、デメリットの面ばかり、リスクの面ばかり言っていたら何事も進みませんので、ぜひそういうものをつくっていただいて、その中でいろいろ困ったことがあったら、そうしたらまた是正していったらいいんだと思うんですね。そういうことができるのが私は政治主導ということだと思いますので、ぜひそれをつくっていただきたいというふうに思います。

 とともに、さっきちょっと大学生等のボランティア活動で、たくさんやりたいよとおっしゃる方がいるにもかかわらず、その受け入れが、これはホームページにも出したようですけれども、受け入れが全然ないんですね。受け入れるゆとりがまだないんだと思いますけれども、それのマッチングサイトみたいなものもぜひ早急につくっていただけると共助の力を発揮させることができるのではないかと私は思っておりますので、そのことに対しては、どうか大臣、副大臣、中心となって頑張っていただけたらというふうに思います。

鈴木(寛)副大臣 マッチングサイトはできました。ただ、援助、支援をしたいというお申し出は物すごく集まっておりますが、これを欲しいというところがまだ。しかし、これはまだ、現地がそのようなことを整理して、明確にしていただくような段階にまだなっていないということでございます。

 ただ、これは状況が改善するに従ってそうしたことが次第にマッチングされていくと思いますし、我々もそれをしていきたいと思いますし、また、そうした現場のニーズを把握する公助、共助の体制というものを整えていくということであります。

 いずれにいたしましても、これは本当にかなり長い取り組みになってまいります。したがいまして、共助、ボランティアをしていただく方においても、ぜひそうした長い長い御支援の中で御協力をお願いしたい、こういう社会的な認識を広めていただければ大変幸いに存じます。よろしく御指導のほどお願い申し上げます。

池坊委員 そうなんです。マッチングサイトの受け入れ側が今は一つもないわけですね。というのは、受け入れ側には公助が必要なんじゃないかなと思うんですね。ですから、それをぜひ文部科学省としてもしていただきたいというふうに強く願っております。

 ありがとうございました。

松宮委員長代理 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 本日は、東日本大震災で被災した私学への対応とともに、被災した学生及び被災地出身学生への学費免除などの支援措置について聞きたいと思います。

 まず、今回の東日本大震災では、国公立の学校とともに、私学も大きな被害、打撃を受けました。物的被害を受けた私立学校施設は何校あるか、被害状況を報告していただけますか。

高木国務大臣 物的被害を受けたと報告されておる私立学校について文部科学省として把握しておる数は、平成二十三年四月六日七時現在ですけれども、幼稚園五百八十一校、小学校十六校、中学校四十八校、高校百四十六校、中等教育学校三校、特別支援学校三校、大学及び短大百八十九校、専修、各種学校は二百五十二校、合計で千二百三十八校となっております。

 その中で、例えば、福島学院大学は本館の倒壊、あるいは宮城県南三陸町のあさひ幼稚園など、地盤沈下、津波、液状化によって土地の被害を受けておる。また、千葉工業大学においても、運動施設など液状化による地盤沈下、こういったものもその一例でございます。

 以上です。

宮本委員 甚大な被害が出ているわけですね。

 全私学新聞によりますと、仙台育英学園高校では宮城野校舎が使用不可になり、多賀城校舎を使用している。聖ドミニコ学院高校は四階の壁に亀裂、コンクリートがむき出しで使えない状態。東北工業大学高校では武道館の天井が落下、ひび等で本館の三、四階は立入禁止、建てかえか補修を検討しているということでありましたし、幼稚園は園舎が津波で流失、全壊、骨組みのみ残るなど、深刻な打撃を受けていることが見てとれます。

 私、宮城県私立学校教職員組合の委員長が、被災した高校を激励して回った際の報告を見せていただきました。これは被災二週間後の三月二十六日の報告でありますけれども、気仙沼女子高校では、高台への途中にあるため津波の被害から逃れたが、危険な状態だったと言います。二十三年度の入学予定者は専願の十五名だけでありまして、それも全員が入学してくるか、存立の危機にさらされているということでありました。

 学校が水没状態の県立気仙沼向洋高校の校長先生にもお会いしたとの報告でありますけれども、次のような話が紹介されております。

 この後の授業はどこの学校を借りてやるのですかとの質問に、校長先生は、向洋でやりますよ、当たり前じゃないですか、四月二十一日から。県が公立高校の開始は二十一日と発表したんだから、例外はないでしょう、敷地内にプレハブを建ててそこでやりますよと話したと言います。宮城の私教連の委員長は、震災からほとんど家に帰らず、仮の職員室で寝泊まりし、ひげだらけの顔で強く言っていたこの校長の姿が本当に忘れられない、こう述べておられます。

 まず、被災を受けた私立高校などがプレハブ仮設校舎建設を行う場合の国庫補助についてどのように対応しておるか、お聞かせいただけますか。

高木国務大臣 被災した私立学校施設の復旧につきましては、今回の災害が激甚災害に指定をされております。私立学校施設災害復旧費補助として、復旧に要する工事費等に二分の一以内の国庫補助ができることとされております。残りの経費については、日本私立学校振興・共済事業団による長期、低利の貸し付けの対象となっております。

 プレハブ仮設校舎の設置につきましては、学校施設の災害復旧事業において、工事の完了までに相当な長期間を要して学校教育に支障が生ずる場合には、国庫補助の対象としております。

 文部科学省といたしましては、一刻も早い学校教育活動の回復に向けて、プレハブ仮設校舎の設置に対する支援も含めて迅速な対応をとるように、これもまた最大限の努力をしたいと思っております。

宮本委員 プレハブ校舎に対する補助というのは、阪神・淡路大震災のときに二分の一の国庫補助で、残りのさらに半分を、これは阪神・淡路ですから兵庫県が補助するという対応をしております。急を要する対応が必要でありまして、さらなるかさ上げを行って法人負担をできるだけ少なくするように検討すべきだというふうに思います。

 それから、今大臣がお述べになった、全体としての災害復旧工事費に対する補助でありますけれども、二分の一が国から出て、あとは、今お話しになったような低利、長期の融資があるということであります。ただ、これについても、阪神・淡路のときには、それにさらに加えて、特別に教育研究活動の復旧や学費減免のための経常費補助の予算措置を行っているわけですね。

 さらにそういう措置をきちっととる必要があると思うんですけれども、今申し上げた二つの点、一つはプレハブの場合、もう一つは本体の復旧工事の場合、それぞれさらに国庫補助を引き上げて手当てをするということについて、どうお考えでございましょうか。

    〔松宮委員長代理退席、委員長着席〕

高木国務大臣 国庫補助については先ほど申し上げましたとおりでございます。プレハブ仮設校舎に係る補助率のさらなるかさ上げについてでありますが、これは慎重な検討が必要と考えておりまして、今回の災害によって、被害の深刻さと範囲の広さなどを十分勘案しなきゃなりません。御指摘のように、ニーズの把握にまず努めて、的確かつ迅速な対応をとる必要があろうかと思っております。

 また、今、宮本委員がお触れになりました、いわゆる阪神・淡路大震災の復興支援では、二分の一補助の私立学校施設災害復旧費補助に加えて、特に教育の研究活動の復旧や学費の減免のための経常費補助などによって、予算措置として総額約三百七十二億円、当時でございますが講じられております。

 私ども文部科学省としましては、今回からの復旧復興については、今まだ継続中でございまして、被害状況をまず的確に把握する、こういうことに努めて、委員の御趣旨については十分念頭に置きながら、一日も早く学校活動が回復できますように努力をしてまいりたいと思っています。

宮本委員 事前にお話をお伺いすると、もちろん財務省との折衝を検討ということも必要になるということでありましたけれども、前回の法案でも、文部科学省としては、それは折衝はあるにしてもしっかりと要求していくという姿勢が本当に大事だと思っておるんですけれども、少なくとも今回の震災は、阪神・淡路の被害を上回る未曾有の状況になっていることは大臣御承知のとおりだと思います。

 阪神・淡路のときも、我が党としてもこういった内容の申し入れを行いましたし、各政党からも同じような趣旨の要望も出されておりまして、最終的には、施設災害復旧工事費を実質的には私立も公立学校と同じ三分の二の水準に引き上げるために、教育研究活動復旧費補助として経常費加算を行っております。また、学費減免のための経常費の二分の一を国が補助するという、これは今大臣がお述べになった制度なんですね。

 少なくとも、阪神・淡路を上回ることがあっても、これを下回る、あのときにやったことすら今回できないということがあってはならないと私は思うんですけれども、そのあたり、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思っております。

高木国務大臣 現在、この災害によりまして、家計の状況が急変した世帯もたくさんあります。したがって、授業料減免措置を行う私立高等学校に対して、国は都道府県の助成額の二分の一を補助しております。加えて、二十年度を基準とした増加の人数分につきましては、高校生の修学支援基金を充当できることとなっておりまして、阪神・淡路大震災時と同等程度以上の支援を行う枠組みとなっております。

 今回の震災によって生徒が修学を断念するということのないように、私どもとしましては、何度も申し上げますけれども、災害の被災状況を的確につかみ、ニーズに対して最大限の努力をしていきたいと思っております。

宮本委員 ぜひ全力で取り組んでいただきたいと思います。

 次に、被災した学生、被災地出身の学生への支援についてお伺いをいたします。

 大震災から三週間以上が経過いたしましたが、今後、先が見えないという中で、学生たちも深刻な状況に置かれております。入学直前の時期で、入学手続は終えたものの、家族を失い、住宅を失った学生はたくさんおります。学校に入ることができるのか、このまま続けていくことができるのか、不安を抱いておられるわけであります。

 先日も文部科学省に対し、学生の皆さんとともに要請もいたしました。その場でも紹介されておりましたが、被災された学生の置かれた状況は大変深刻であります。震災で親を亡くし、学校をやめようと考えているという被災地出身で首都圏の大学で学ぶ学生もおりましたし、学費が心配で休学を考えているという同じく被災地出身の学生など、被災が原因で安心して学ぶことができない、学業を断念せざるを得ないという状態が既に広がっております。

 震災で被災した学生はもちろん、震災による影響で学業に不安を抱えるすべての学生を支える、そのために政府として全力を挙げる必要があると思っております。被災した学生に対する支援として、まず文部科学省として現在どのような対応をしておられるのか、聞かせていただきたいと思います。

高木国務大臣 この件についても、災害発生後の三月十四日付で、鈴木副大臣名によりまして、国公私立大学、各公私立短期大学、国公私立高等専門学校長あてに、学ぶ意欲のある高校生及び大学生が被災によって修学を断念することがないように、奨学制度の活用、また各種制度の柔軟な取り扱いによって万全を期すように通知をしたところでございます。

 具体的には、まず、今回の被災で家計が急変する学生を対象とした無利子の緊急奨学金などの貸与の周知を徹底する、また、授業料納付が困難となった学生に対する納付期限の猶予等の弾力的な取り扱いなどでございます。

 これらの、災害という極めて非常な事態の中で、できるだけ修学が維持されるように、私たちとしてもいろいろな御意見も承りながら取り組んでまいりたいと思います。

宮本委員 大学に通知を出したということでありますけれども、大学によって対応がまちまちなんですね。例えば法政大学では、入学予定者の学費の免除が決まったけれども、在学生については調査中、こういうことでありました。それから、東京学芸大学ではまだ何も決まっていないというふうに聞いております。慶応大学も、検討中というふうに学生には伝わっているようです。

 これでは、学生から見たら、本当に助けてもらえるのかどうかよくわからないということでありまして、大学に通知を出すだけでは、直ちにどういうふうに措置されるかということがなかなかはっきりしないわけですから、被災した学生や親を亡くした学生には直ちに授業料、入学金は免除するということを国の責任で明確に打ち出すべきだと私は思いますけれども、大臣いかがですか。

高木国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、この被災によって修学を断念するという事態があってはならないことだと認識をしておりますし、そのようなことからも、既に出しておりますこの通知がしっかり生かされるように、私たちはさらなる配慮を求めてまいりたいと思っております。

 授業料の免除、授業料の納付猶予、あるいは大学独自の奨学金等の経済的支援、現在具体的に検討しておる、このように承知をいたしております。

宮本委員 検討した上でそれを実施するためにも、やはり国としての姿勢が示されなければならないということと、それからもう一つ私が危惧するのは、例えば東京外国語大は、被災した学生に対して、基金を活用して学費分、入学金分の緊急奨学金を十名程度支給することを決めたと聞いております。そういう例がある一方で、学費減免を実施しようにも、ほとんどの大学では基盤的経費が不足しているという状況があるわけで、実施するにもやはりちゅうちょがあると思うんですよね。

 ですから、運営費交付金、私学助成を追加的に出すということがなければ、やってあげてくれと通知するだけではなかなかやりようがないと。文部科学省として、やってくださいと言うだけでなくて、具体的に財政支援をすることを明確に大学に伝える、打ち出すべきだと考えますが、大臣、そうじゃないでしょうか。

高木国務大臣 今御指摘のあったように、この大震災によって授業料減免を実施する場合に、各大学が財政的な理由からちゅうちょすることがあってはならないと私は思っております。

 文部科学省としましても、各大学が学生に対する授業料減免等の支援策を確実に実施できますように、各大学における経済的支援の検討状況の調査を行ったところであります。こうした調査結果を踏まえて、国立大学に対する運営交付金や私学助成における必要な財政支援についても、このような甚大な災害ということにかんがみて、私どもとしましてはしっかり対応してまいりたいと思っております。

宮本委員 ぜひしっかりとやっていただきたいと思うんです。

 それで、一つだけ確認でありますけれども、私の聞いた学生の中には、両親が福島から東京の自分のアパートに避難してきているという学生がおられました。私立の大学生でしたけれども。

 このように、両親が御健在ではあるんだけれども、職も失い、避難をしてこられている。学生本人も、東京でいるわけですから、学生は別に被災者ではない。しかし、事実上、御両親の収入が途絶えたわけでありますから、こういう学生も学費減免の対象になるというふうに考えてよろしいでしょうか。

高木国務大臣 学生自身が被災しなくても親が被災した学生についてどうなのか、こういうお尋ねの趣旨でございます。

 私としては、主たる生計の支持者が被災した学生についても、被災した学生と同様に経済的な理由によって修学を断念することがあってはならない、こういうことで十分な配慮が必要だろう、このように認識をしております。

 こうしたことを踏まえて、多くの大学等においては、主たる生計支持者、いわゆる親が被災した学生についても、被災した学生と同様に措置を現在検討されておるもの、こういう承知をしております。

宮本委員 次に、専門学生について聞きたいんですね。

 専門学生に対しても通知は出ていると聞いているわけですけれども、専修学校各種学校協会は、全壊、半壊の被害を受けた学校への復興支援、授業料減免に対する公的支援を求めております。

 この間、現在の政府は、高等学校の無償化では、就学支援金の対象に、高等学校だけでなく、高等学校に類する課程を持つ専修学校を含めたわけでありまして、一条校であるかどうかということにこだわる必要はないと思うんですね。同じように、学生への緊急の支援として、専門学校生に対しても国として財政的な支援が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 この阪神・淡路大震災時には、授業料減免を行うことにより、経営上資金が必要となった専修学校を対象に、日本私学振興財団を通じて特別の融資がなされたと承知をしております。

 一方、私立の専修学校生徒の授業料減免措置に対する補助については、阪神・淡路大震災時においては予算措置されていなかったという経緯がございます。そういう仕組みがない、国が直接踏み出せなかった、こういうことで私は承知をしております。

 今回の震災に伴う専修学校の被災生徒の授業料減免への対応につきましては、これまでの対応状況、また専修学校の役割などを踏まえて、どうしていった方がいいのかと検討を行っておるところであります。

宮本委員 阪神・淡路のときは前政権でありましたけれども、今も申し上げたように、高校無償化でも専修学校を含めたわけですから、今は垣根を取り払って、ぜひともしっかりと支援できるようにしていただきたいと思うんです。

 次に、奨学金についてお伺いするんですけれども、日本学生支援機構の無利子貸与の緊急採用を進めると先ほど御答弁がありました。現在、何人分貸与できるようになっているのか。不足した場合はどうするのか、お答えいただけますか。

高木国務大臣 無利子緊急採用奨学金については、平成二十三年度当初予算において二十三億円を計上しております。三千九百四十七人の学生に貸与できるよう措置しているところであります。

 本緊急採用奨学金は、保護者の失職、災害等によって家計が急変した学生を対象としたものでありまして、今回の震災による被害の深刻さを見て財源の不足が見込まれる場合には、財政当局と相談をし対応してまいりたいと思っています。

宮本委員 本当に今被災した方々の奨学金、これはしっかりと当事者の立場に立って進めていただきたいんですね。

 それで、被災した方は、本来、返済猶予に該当すると思います。返済猶予を直ちにかつ柔軟に進めるということが非常に大事だと思いますし、それから、被災によって滞った方を延滞扱いにしない、これも徹底すべきだ、こういうことを学生だけでなく奨学金の返済をしている人にも広く徹底をすべきだというふうに思いますけれども、この点いかがでしょうか。

高木国務大臣 災害によって返すことができなくなった場合には返還期限の猶予が可能になっておりまして、延滞状態に陥ることはないと思っております。

 在学中の学生及び返還中の者への周知については、まず日本学生支援機構のホームページに掲載をしているほか、日本学生支援機構より各都道府県の知事部局及び教育委員会に対して、避難所等において返還猶予に関する掲示を依頼しております。広くこのことを周知しておるところでございます。

宮本委員 その日本学生支援機構のホームページというものを私見せていただいたんですよ。弾力的にするということもお願いをしておりましたので、なるほどここには、罹災証明書の取得が困難な人は願い出用紙のみで提出してもらって結構だと、弾力化についても、簡素化についても触れられているんです。これは聞こうと思いましたけれども、もうここにそうなっておりましたので、重ねては聞きません。

 ただ、これを見ますと、こういうことが書いてあるんですよ。つまり、減額返還を希望する場合に、それを申請しようと思えば、個人信用情報の取り扱いに関する同意書を出していない人はそのときに出していただく、提出する必要がある、こうわざわざ注記されているんですよ。

 大臣と前に、奨学金、ブラックリストに載せて追い回すようなことはやめるべきじゃないですかと言いましたら、そのときの答弁は、本人の同意をとっておりますと。つまり、滞った場合はブラックリストに載せていただいて結構と本人が同意しているんだと、まるで任意で同意を求めているかのように御答弁ありましたけれども、被災された学生がこの減額返還の申請をしようと思えば、そういうときにはこの同意書を出さねばなりませんよとわざわざ条件づけしているというのは余りにもひどいというふうに思うんですけれども、いかがですか。

高木国務大臣 これは、制度は制度でございまして、返還期限の猶予の申請に当たっては、通常は罹災証明書等を添付の上、災害などによる返還困難となった旨の猶予願を日本学生支援機構に提出いただくことになっております。

 ただし、被災した者でこの罹災証明書などが取得困難な場合、これは猶予願の提出のみで受け付けることにしております。

 また、この趣旨について、きちっと各都道府県知事部局、教育委員会、あるいは避難所などにおいてPRを図るとともに、しっかりした周知をお願いしておるところでございます。

宮本委員 いや、私の問いに答えていただいていないんですけれども。

 とにかく、この機に乗じて同意書を提出させるようなことはやめるべきだと。これは確かに通告していなくて、その後に気づいたことですから、直ちに調べて、こういうものは改善を図っていただきたいということをはっきり申し上げておきます。

 避難所で被災者のために必死に頑張る中学生あるいは高校生の姿が感動を呼んでおります。子供たちこそ復興への希望だと思うんですね。同時に、子供は被災からみずからを守るすべをまだ持っておりません。国難ともいうべき今だからこそ、子供たちに最大限の安心と希望を届けるのが政治の責任だと思います。

 そのために私たちも全力を尽くすことを申し上げて、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、内閣提出、独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。高木文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高木国務大臣 このたび、政府から提出いたしました独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案について、その提案理由並びに内容の概要を御説明申し上げます。

 科学研究費補助金は、全国の大学等の研究機関に所属する研究者による、幅広い分野の学術研究に対して助成を行う研究助成制度であり、その配分業務の多くを独立行政法人日本学術振興会が実施しております。

 科学研究費補助金は、現行制度上は単年度ごとに助成を行うこととされておりますが、学術研究は、その性質上、事前に定めた研究計画のとおりに遂行されるとは限らないことから、研究の進展に合わせて研究費を使用することができる制度の実現が強く要望されています。

 また、平成二十一年に独立行政法人日本学術振興会に基金を創設する際には、衆議院文部科学委員会及び参議院文教科学委員会の独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議においても、科学研究費補助金等に関し、「基金の活用等、年度をまたぐ柔軟かつ機動的な支出を可能にできるよう、その在り方について抜本的見直しを行うこと。」と全会一致で決議されたところであります。

 このために、この法律案は、複数年度にわたる研究費の使用が可能になるよう、独立行政法人日本学術振興会に、学術研究の助成に関する業務等に要する費用に充てるための基金を設ける等の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、独立行政法人日本学術振興会は、学術の研究に関し必要な助成を行う業務のうち文部科学大臣が財務大臣と協議して定めるもの等に要する費用に充てるために学術研究助成基金を設けるものとし、政府は毎年度、予算の範囲内において、独立行政法人日本学術振興会に対し、当該基金に充てる資金を補助することができるものとするものであります。

 第二に、独立行政法人日本学術振興会は、学術研究助成基金を財源として実施する業務について、特別の勘定を設けて経理しなければならないものとするものであります。

 第三に、独立行政法人日本学術振興会は、毎事業年度、学術研究助成基金を財源として実施する業務に関する報告書を作成して文部科学大臣に提出するとともに、文部科学大臣は当該報告書を国会に報告しなければならないものとするものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決いただきますようにお願いをいたします。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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