衆議院

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第15号 平成23年7月27日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十三年七月二十七日(水曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 高井 美穂君 理事 野木  実君

   理事 松崎 哲久君 理事 松宮  勲君

   理事 下村 博文君 理事 馳   浩君

      石井登志郎君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    大山 昌宏君

      奥村 展三君    金森  正君

      神山 洋介君    川口  浩君

      木村たけつか君    熊谷 貞俊君

      瑞慶覧長敏君    高野  守君

      中屋 大介君    平山 泰朗君

      村上 史好君    室井 秀子君

      本村賢太郎君    山田 良司君

      笠  浩史君    和嶋 未希君

      あべ 俊子君    今津  寛君

      遠藤 利明君    加藤 勝信君

      河村 建夫君    北村 茂男君

      齋藤  健君    塩谷  立君

      田野瀬良太郎君    永岡 桂子君

      松野 博一君    富田 茂之君

      宮本 岳志君    城内  実君

      土肥 隆一君

    …………………………………

   文部科学大臣       高木 義明君

   内閣官房副長官      福山 哲郎君

   法務副大臣        小川 敏夫君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   会計検査院事務総局第四局長            太田 雅都君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 長谷川彰一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      辰野 裕一君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            倉持 隆雄君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 藤嶋 信夫君

   政府参考人

   (文化庁次長)      吉田 大輔君

   政府参考人

   (特許庁審査業務部長)  橋本 正洋君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十七日

 辞任         補欠選任

  城井  崇君     磯谷香代子君

  遠藤 利明君     今津  寛君

  河村 建夫君     齋藤  健君

  永岡 桂子君     北村 茂男君

  古屋 圭司君     加藤 勝信君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     神山 洋介君

  今津  寛君     遠藤 利明君

  加藤 勝信君     古屋 圭司君

  北村 茂男君     永岡 桂子君

  齋藤  健君     河村 建夫君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 洋介君     稲富 修二君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     城井  崇君

    ―――――――――――――

六月六日

 教育格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(今村雅弘君紹介)(第七八八号)

 貧困と格差をなくす中等・高等教育の無償化と奨学金の拡充を求めることに関する請願(城内実君紹介)(第八三一号)

 同(吉泉秀男君紹介)(第八三二号)

同月八日

 国家予算に占める文化予算の割合を〇・一一%から〇・五%にふやすことに関する請願(高木美智代君紹介)(第八八一号)

同月十三日

 国家予算に占める文化予算の割合を〇・一一%から〇・五%にふやすことに関する請願(逢沢一郎君紹介)(第一〇八九号)

 同(柿澤未途君紹介)(第一〇九〇号)

 貧困と格差をなくす中等・高等教育の無償化と奨学金の拡充を求めることに関する請願(服部良一君紹介)(第一二三八号)

同月十五日

 教育格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(田島一成君紹介)(第一二六八号)

 国の教育予算をふやし、教育費の無償化、父母負担軽減、教育条件の改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二六九号)

 国家予算に占める文化予算の割合を〇・一一%から〇・五%にふやすことに関する請願(下地幹郎君紹介)(第一三六三号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第一四八一号)

 貧困と格差をなくす中等・高等教育の無償化と奨学金の拡充を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一四八二号)

同月十六日

 教育格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(津村啓介君紹介)(第一五九一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七二七号)

 同(工藤仁美君紹介)(第一七二八号)

 同(櫛渕万里君紹介)(第一七二九号)

 同(渡部恒三君紹介)(第一七三〇号)

 同(郡和子君紹介)(第一八四五号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一八四六号)

 同(浜本宏君紹介)(第一八四七号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一八四八号)

 同(あべ俊子君紹介)(第一九八七号)

 同(大串博志君紹介)(第一九八八号)

 同(富岡芳忠君紹介)(第一九八九号)

 教育格差をなくし行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一五九二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五九三号)

 教育格差をなくし、行き届いた教育を求めることに関する請願(渡部恒三君紹介)(第一七二五号)

 国の教育予算をふやし、教育費の無償化、父母負担軽減、教育条件の改善を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一七二六号)

 国家予算に占める文化予算の割合を〇・一一%から〇・五%にふやすことに関する請願(河村建夫君紹介)(第一七三一号)

 同(服部良一君紹介)(第一七三二号)

 同(塩谷立君紹介)(第一八四九号)

 教育格差をなくし、すべての子供たちに行き届いた教育を進めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一八五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、政府から発言を求められておりますので、順次これを許します。福山内閣官房副長官。

福山内閣官房副長官 高等学校等就学支援金に係る朝鮮高級学校の審査手続の一たん停止に関し、不測の事態と朝鮮高級学校に関する政府統一見解を御説明させていただきます。

 不測の事態とは、国民の生命と財産、秩序の安定が脅かされかねない事態のことでございます。

 なお、不測の事態については、国民の生命と財産、秩序の安定を守るという観点から、想定され得る内容について具体的に明らかにすることは適当ではございませんが、朝鮮学校がかかわる不測の事態を具体的に想定しているものではございません。

 以上でございます。

田中委員長 次に、笠文部科学大臣政務官。

笠大臣政務官 北海道教育委員会及び札幌市教育委員会による教職員の服務規律等の実態に関する調査の結果を踏まえた措置等の状況と、これらを受けた文部科学省の対応について御説明をいたします。

 御案内のとおり、これらの調査は、さきの衆議院選挙にかかわり、教職員が加入している職員団体の幹部が政治資金規正法違反により逮捕、起訴される事態となったことを踏まえ、文部科学省が事実確認を指導したことを受けて行われたものでございます。

 お手元にお配りをした資料をごらんいただきながらお聞きください。

 まず、北海道教育委員会における調査においては、調査の結果、法令違反の疑いのある回答をした者が二百八十三人おり、具体的な内容の把握、確認の結果、勤務時間中に職員団体の会議に参加した、日時等が特定された者が十八人、日時等が特定できなかったものの、法令違反を行った疑いのある者が百九十人であることが明らかとなりました。残りの七十五人については、誤った記入などであり、法令違反に該当しないとされたものでございます。

 このため、北海道教育委員会においては、平成二十三年三月に、日時等が特定された者のうち既に平成二十二年十月に戒告処分を行った一名を除く十七名に対して、訓戒措置である文書注意を行うことといたしました。

 日時等が特定できなかったものの、勤務時間中に職員団体の会議に参加するなどの法令違反を行った疑いのある者百九十人に対しては、客観的な事実の認定が不十分であるため懲戒処分や訓戒措置とすることは困難であるものの、法令違反の疑いのある行為は職務遂行上不適切なものであるとして、市町村教育委員会から文書による服務上の注意、指導を行うことといたしました。

 無回答者に対しては、説明責任を果たさなかったことや、無回答者のうちにも法令違反の疑いのある行為を行ったことのある者が含まれていることが推測されることを勘案し、北海道教育長と市町村教育長の連名の文書による服務上の注意、指導を行うことといたしました。

 さらに、所属長の監督責任として、文書注意を受ける職員の当時の校長に対して同様に文書注意を、法令違反の疑いのある行為をした者のうち、服務上の注意、指導を受ける職員の現校長に対して、服務上の注意、指導を行うことといたしました。

 北海道教育委員会において訓戒措置等を行うこととした教職員数は、合計六千八百六十人となっております。

 札幌市教育委員会における調査においては、調査の結果、法令違反の疑いのある回答をした者が百五十二人おり、札幌市教育委員会により具体的な内容の把握、確認が行われました。

 その結果、誤った記入などで法令違反に該当しないとされた八十八人を除く六十四人については、具体的な日時等の特定には至らなかったが、勤務時間中に職員団体用務で学校備品を使用したことが明らかとなり、この六十四人のうち、訃報連絡のみの使用であった二十四人を除く四十人の教職員に対して、校長からの口頭注意が行われたところでございます。

 文部科学省においては、今回の両教育委員会の対応について、四月六日に北海道教育委員会から、四月七日に札幌市教育委員会から、ただいま御説明した内容の詳細を聴取いたしました。

 また、この聴取の場において、文部科学省からは、両教育委員会に対し、教職員の服務規律の確保についての取り組みを徹底することに加え、特に、札幌市教育委員会に対しては、無回答者への対応として、今後教育委員会が実施するさまざまな調査に誠実な対応を求めるなど、無回答者に対してしっかりと届くような形での指導を検討するように指導を行ったところでございます。

 なお、先般の統一地方選挙についても、副大臣通知「教職員等の選挙運動の禁止等について」に係る周知徹底の状況の調査等、両教育委員会に指導しており、北海道教育委員会からは、すべての学校において、職員朝会等で通知文書などの資料を配付し、指導を行うなど、周知徹底を図ったとの報告をいただいております。

 札幌市教育委員会からも、すべての学校において、職員朝会等で資料に基づき説明が行われるなどの周知徹底を図ったとの報告がございました。

 文部科学省としては、今後とも引き続き、両教育委員会の取り組みを注視し、必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官長谷川彰一君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長辰野裕一君、初等中等教育局長山中伸一君、科学技術・学術政策局長合田隆史君、研究振興局長倉持隆雄君、研究開発局長藤木完治君、スポーツ・青少年局長布村幸彦君、国際統括官藤嶋信夫君、文化庁次長吉田大輔君及び特許庁審査業務部長橋本正洋君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長太田雅都君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 きょうは、委員長初め各党理事の皆さんに、質疑順について御配慮いただきまして本当にありがとうございます。また、特に本村先生には、順番を変えていただきまして本当にありがとうございます。

 先週の月曜日、私は宮城県石巻市立の大川小学校を訪問してまいりました。予算委員会でもちょっと取り上げさせていただきましたけれども、被災状況を確認させていただくとともに、有志の方がつくられた慰霊碑に献花をしてまいりました。たまたま、お子さんを亡くされたお父さん、お母さんとおばあちゃんが来ておりまして、毎日お花を手向けに来ているというお話をされていました。

 校庭の裏側では、三十人ぐらいの警察官が、スコップで泥をかき出して遺体を捜索していました。集中捜索で重機で全部やって、もう出てこないので、あとは泥の中に御遺体があるかもしれないということで、もう手作業しかないということでやられていました。

 七月の十一日には、安藤警察庁長官も現地を訪れて、お子さんを亡くされたお母さんが重機の免許を御自分で取られて、重機でお子さんの御遺体を捜索している状況を見られて、残り六人、まだ子供さんの御遺体が見つからないようですが、それを必ず最後の一人まで捜索するというふうに警察庁長官が約束された。先日の予算委員会でも、国家公安委員長の方から、九月までしっかり予算もつけているから、最後までやりたいというような御答弁をいただきました。

 捜索はそれでいいと思うんですが、やはり、大川小学校百八名の児童のうち六十八名が亡くなられて、六名がいまだに行方不明。近隣の小中学校ではそれほどの被害が出ていないのに、この小学校だけが大変な惨事となってしまった。

 私、先週月曜日に教育委員会にも伺って、一時間ほどいろいろな状況を教えていただきました。きょう、お手元に資料の一として、津波浸水予測図、これは石巻の資料ですが、ちょうど横になっていますが、左下の方に、新北上大橋の右横に大川小学校というのがあります。大川小学校のすぐ南側が避難場所として指定されているんですね。

 それで、昭和三陸の大津波のときにはこの青線で書いたところまでしか来ていませんから、大川小学校はちょうど湾から四キロさかのぼったところです、教育委員会の皆さんに伺っても、まさかここまで津波が来るとはということで、ここの集落の皆さんも全く警戒していなかった。

 資料の二枚目にゼンリンの地図をつけさせていただきましたけれども、大川小学校に伺ったとき、この周りに地域の集落が、道路沿いにたくさん建物がこのゼンリンの地図ではあるんですが、全くありませんでした。

 私は、何でこんなところに小学校を建てたのかなと思うぐらい平地になっていまして、大川小学校の上を通っている道路のちょうど真ん中ぐらいに診療所が一つ書いてありますが、診療所の三階建てのビルだけが一棟、辛うじて枠が残っていた。ほかはこの地域の建物は一切なくなっている。ここの地域の方も二百名、いまだに行方不明だそうです。だから、物すごい津波がここに来たんだなと。

 大川小学校では、いろいろ報道等でもされていますが、地震が起きて、校庭に子供たちを全部集めた。その後、五十一分、どうするかを教員の皆さんが協議していて、避難がおくれたんじゃないかというような、いろいろ報道でも批判されています。

 現場を見まして、この資料の二の地図を見ていただいて、大川小学校の下の方にお寺のマークがありますね。その横に釜谷交流会館、ここの前の道を子供たちを引率して先生たちが南側におりてきて、山のちょうど北側に点線部分がありますが、ここに細い道があります。この道沿いに、新北上大橋のちょうど横に、七メートルぐらい小学校からは高台になっている場所があるんですが、そこを目指して歩き出したときに、この大橋に津波がぶつかって大橋も壊して、大橋の方から津波が来る、また上の方の湾の方からも津波が来るということで、二重の津波に子供たちは巻き込まれて、これだけ多くの犠牲が出てしまったということのようです。

 それで、この学校の裏手は山になっていますが、私も見てきましたけれども、登れなくはないんですけれども、小学校の低学年の子を先生たちが引率して上に連れていくのはちょっと難しいんじゃないかなと。上の方に別に空き地があるわけでもないし、いろいろ御批判もあると思うんですが、ここは、もう少し早く避難すればよかったなと思いますけれども、どこへ行っても、多分、同じように津波の被害に遭ってしまった。相当早い段階で出なきゃいけなかったんじゃないかなと思うんですね。

 教育委員会の方からは、第二次の避難場所をきちんと指定するようにという通知が事前にあったにもかかわらず、残念ながら、この大川小学校では、高台とか公園というふうに漠然とした書き方で、どこに二次避難をするかというのを全然決めていなかった、そこが一番の原因だったんじゃないか、先生方もそれで迷われてしまったんじゃないかなということを現地でもお聞きしました。

 先般、釜石の小中学校の話をこの委員会で大臣とさせていただきましたけれども、釜石では防災教育が徹底していて、訓練もきちんとやられていたということで、子供たちの方が率先して避難して、被害者が出なかった。そこと比べると、余りにもこの大川小学校というのは犠牲が大き過ぎたんじゃないかなと。学ぶべきことも多いですし、検証しなきゃいけないことも数多くあると思います。

 大臣の方では、この大川小学校の件に関して、地元の教育委員会等を通してどのような報告を受けていますでしょうか。また、どのような御認識であるか。ちょっとお聞かせ願いたいと思います。

高木国務大臣 富田委員には、直接現地にも赴かれて調査をされたことに対して、敬意を表したいと思っております。

 大川小学校につきましては、津波被害の状況について宮城県の県教育委員会を通じて報告を受けておりまして、委員も御指摘ありましたように、人的な被害については、七月二十六日現在、在籍児童百八名のうち六十八名が死亡、六名が今なお安否不明であります。また、在職職員十三名のうち九名が死亡、一名が安否不明、このような非常に厳しい報告を受けております。

 物的被害につきましては、校舎は水没によって半壊、そして屋内運動場は流出されて全壊、こういう状況を報告を受けております。

富田委員 今大臣は、校舎は半壊と言われましたけれども、コンクリート部分が残っているだけで、多分木造だった部分は全くなくなっていました。

 コンクリートですけれども、つなぎ廊下みたいになっていて、別棟に行くところのコンクリート部分も、阪神・淡路大震災のときに高速道路が倒れましたよね、あんな感じでもろに倒れているんですね、コンクリートの支柱ごと。だから、物すごい勢いの津波が子供たちを襲ったなというのはすごくよくわかっているんです。

 ただ、教育委員会の方も、ここは津波が来ないと思っていた、全く想定外だ、湾から四キロあるのでということを言われていましたけれども、資料の四を見ていただきたいんですが、資料の四の一、二、三とつけさせていただきました。これは石巻の市の広報です。

 資料の四の一を見ていただきますと、平成二十三年三月号、三月一日発行となっています。これは、地震、津波のちょうど十日前に石巻の市の方で広報したんですね。

 これは、資料四の二に、見ていただくとわかるんですが、「「災害は忘れたころにやってくる!」 〜チリ地震津波から一年が経過〜」ということで、市の広報でこういう警報を発しているんですよね。

 資料四の三を特に見ていただきたいんですが、「津波から逃れるために」とわざわざ項目を設けて、「直ちに避難!」と書いてあります、一番上を見ていただきますと。「強い地震(震度四以上)を感じたときまたは弱い地震であっても長い時間ゆっくりとした揺れを感じたときには、津波警報や避難指示を待たず、直ちに海から離れ、急いで高台や鉄筋コンクリートなど丈夫な建物の二階以上に避難しましょう。 日ごろから身近な避難場所を探しておくことも大切です。」ここに書いてあるとおりやっていれば、多分こんなに子供さんたちの被害は出なかった。

 市の方でもきちんと広報しているのに、教育委員会は、ここをそこまで意識していなかったんじゃないかな。チリ地震の津波から一年を受けてこういう広報を市がやっているのに、教育委員会の方でもう一度、自分たちが指示、徹底した第二次の避難場所等を、きちんと具体的にやっているのかとか、そういったことを丁寧にやっていたら、五十一分も校庭に子供たちを置かないで、何とか、裏山に登る方法を考えるとか、もっと湾から離れた方に、五十一分ありましたから、子供たちを誘導することもできたんじゃないかなと現場で思いました。

 救われたお子さんのほとんどは、お父さん、お母さんが車で迎えに来た子たちなんですよ。これまでのいろいろな地震、津波の報道を聞いていますと、迎えに来たお子さんは亡くなっちゃっているんですね、津波に巻き込まれたりして。逆の結果になっているんです、この小学校だけ。そういった意味では、事前のそういう避難訓練とか現実の防災教育というのは本当に大事になると思うんですね。

 大臣も、先日釜石のお話をしたときに、現場での防災教育をどうしていくかというのは本当に大事だ、痛感した、そこに予算もつけていくべきだというふうにおっしゃられましたけれども、この大川小学校のことを踏まえて、今後どういうふうに防災教育等に当たっていかれるか、ちょっと所見をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 今、市の広報の資料の御説明がありましたけれども、改めて、これを見ながら、まさにあってはならない悲惨な事態に遭ったこの現実を私たちが受けとめるならば、もう一度改めて、私どもとしては、これまでの防災教育は、今回の地震を振り返ってみても、念には念を入れて、例えば、避難場所の設定、あるいは学校周辺の地域の環境点検、特に通路、あるいは、山に行きますと里山などがあるんでしょうけれども、そういうところが本当にいざというときに登れる状況にあるのかどうか、そういうことも、この石巻、以前にあったところからかなり奥深くまで入ったということがあるならば、これは本当に、もう一回、この経験を踏まえて、石巻はもちろんのことでありますけれども、全国的な防災教育の大きな柱にしていかなきゃならぬ、このように考えております。

富田委員 ぜひ大臣中心に防災教育に取り組んでいただきたいと思います。

 その参考という意味でも、資料三に、実は釜石の状況をカラーコピーでつけさせていただきました。先般もこの委員会で質問させていただいたんですが、この資料三を見ていただきますと、釜石東中学校と鵜住居小学校が赤丸で書いてあります。

 これまでの津波というのはそこまで来ていないんですね。この資料からわかりますように、大きな津波がありましたけれども、この小学校、中学校は本来ハザードマップに入っていない。実際にここまで来ていない。ただ、先般御紹介させていただいたような訓練をして、釜石東中学校の生徒が飛び出し、鵜住居小学校の子が追いかけて、左下にございしょの里と書いてあります、ここが二次避難場所でした。

 ここに向けて行ったときに、この裏山が崩れていたので、中学校の生徒が、ここじゃ危ない、もっと奥に行こうということで、一番下にちょっと小さく石材店と書いてありますが、ここまで逃げたんですね。ここまでは波が来ませんでした。この石材店に逃げた後、この前御紹介したように、高速道路の上まで行きましたので、全員無事になった。

 ハザードマップを信用するな、それ以上のところにも必ず来るんだということを踏まえた防災教育というのが大事だと思いますので、ぜひそういった点を踏まえて、今後、文科省の方でも取り組みをしていただきたいというふうに思います。

 それを踏まえて、先般の予算委員会で自民党の先生から、自民党、公明党で、津波対策の推進に関する法律案を実はもう去年のうちに出していたんだという御指摘がありました。(発言する者あり)赤澤亮正先生でしたね。

 大臣はこの点は御存じでしたか。

高木国務大臣 はい、承知をいたしておりました。

富田委員 どうも菅総理は知らなかったみたいで、チリ地震、一年前のチリの地震じゃなくて、一九六〇年のころの地震のことを話されていましたが、自公両党の案がちょっと棚上げされていたけれども、全党で、津波対策の推進に関する法律というのが今回成立しました。

 その第七条でこういうふうに書いてあります。「国及び地方公共団体は、第五条第二項の調査研究の成果等を踏まえ、国民が、津波に関する記録及び最新の知見、地域において想定される津波による被害、津波が発生した際にとるべき行動等に関する知識の習得を通じ、津波が発生した際に迅速かつ適切な行動をとることができるようになることを目標として、学校教育その他の多様な機会を通じ、映像等を用いた効果的な手法を活用しつつ、津波について防災上必要な教育及び訓練、防災思想の普及等に努めなければならない。」こういうふうに規定されています。

 ここで言う五条二項では、いろいろな調査をして、これまで以上に詳細な対策ができるようにという規定になっているんですが、この津波対策推進法の七条を踏まえて、文科省としては今後どのような対応をとられる予定でしょうか。

高木国務大臣 今回の津波に対しては、報道の映像なども、発災以降からすると、かなり多く目にすることができておりますが、そういった貴重な映像を教材にして、私どもとしましては、この第七条で述べられておるように、今後、授業においても、防災教育教材あるいは教職員向けの参考資料、それぞれ、小中高等学校について、しっかりとした適切な行動がとれるような、こういった指導をすることにいたしております。

 また、発達段階に応じまして、保健体育あるいは特別活動を中心として、それぞれの地域にはそれぞれの特性がありますから、まず地域のこういった特性を踏まえた教育教材の活用、あるいは訓練、実際の避難訓練の実施に、家庭あるいは地域と連携をとって防災教育をやってきておりますし、いや、まさに改めて、そういう認識のもとで、まだまだ記憶に新しいうちにこういう訓練も徹底をする必要があろうかと思っております。

 今後におきましても、防災教育の有識者による会議を設置いたしまして、御議論を今いただいておるところでありますが、この法の趣旨を踏まえて、防災教育の充実について取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。

富田委員 ぜひ、地域の特性、そして、家庭や地域との連携というのは大臣がおっしゃるとおり大事だと思いますので、その方向で進めていただきたいと思います。

 それに当たって、復興基本方針、これは今、骨子が公表されていますが、これが復興基本方針にどのように反映されるのかなというふうに思いまして、全部読ませてもらったんですが、「学校施設・教育」の欄にはこんな記述しかありません。「避難場所となる学校等について、減災の考え方に基づき、各種施設の整備等のハード面と教職員の役割等ソフト面から防災機能を強化。」と書いてあるんですね。ほかはちょっと防災教育とは関係ないことがずらずらと並んで、「学校施設・教育」のところの欄はそれで終わっちゃっています。

 えっ、これで終わりなのと思って、全部ずっと見てきましたら、「今後の災害への備え」という欄に、その八番目ですが、こういう記載がありました。「「逃げる」ことを含めた防災教育の推進。各種機関が持つ映像をはじめ様々な資料や証言集等を活用し、ホームページやその他ツールを用いて、津波に関する啓発の充実強化や減災教育のための教材を作成。」と。

 今大臣が言っていただいたことがここに入っているんだと思うんですが、これは、学校教育のところとその他に別々に分けて書く話なのかな、こういうことをやるから縦割りになってしまって、それぞれの機関が機能しないんじゃないか。二回書いてもいいと思うんですよね、これはやはり一番大事な、逃げるということがとにかく今回の大津波の最大の教訓だと思いますので。

 そういった点も踏まえて、最終案になるときに、文科大臣の方から、やはりここは大事だから、いろいろな形で徹底できるような形に復興基本方針に入れてもらいたいというふうに言っていただくべきだと思うんですが、その点どうでしょうか。

高木国務大臣 私どもも、この基本方針の骨子に当たりましては、これまでの新たな経験も踏まえて、しっかり盛り込まれるように取り組んでまいりまして、今御指摘のような表現にはなっております。

 したがいまして、国会議論も踏まえて、できるだけ、縦割りではなくて政府全体として、重要なものについては項にかかわらずに盛り込まれるようなことについて、私も意見に参画をしてまいりたいと思っております。

富田委員 ぜひ、今月末に最終案取りまとめだそうですので、大臣の方でしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 その関連で、東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備に関する検討会、大臣の方でつくられたと思うんですが、ここが、七月七日、緊急提言を取りまとめられました。

 全文読ませてもらいましたが、本当に、いろいろな現場の被災地の声を聞いて、今後どうあるべきかということで、すばらしい提言だと思うんですね。「学校施設の安全性の確保」、そして「地域の拠点としての学校施設の機能の確保」、また、最終的には「電力供給力の減少等に対応するための学校施設の省エネルギー対策」にまで踏み込まれています。

 この中で、耐震化の推進は今ずっと文科省を中心に取り組まれていますので、このままいけばいいと思いますが、非構造部材の耐震化、天井が落ちてきたというのがかなりありましたので、ここは新たに取り組んでもらう必要があると思うんですけれども、その上で、津波対策についても、今後の学校の建設のあり方、高台に建てるなり、避難場所へのきちんとした誘導路をつけた上で学校施設をつくれという、かなり具体的な提言がされています。

 ただ、これについては、これから被災地での学校建設が、この前の予算委員会でも、大臣の御答弁ですと、これから復興計画に合わせて始まっていくということですが、相当な予算が必要になると思うんですね。ここをきちんと文科省としても、財務省とけんかするぐらいの迫力で、被災地へのこの提言を踏まえた上での学校施設の建設というのが大事だと思うんですが、大臣はその点をどのようにお考えでしょうか。

高木国務大臣 私どもも、今回の震災を受けまして、有識者による検討を進めてまいりました。

 そして、七月七日に緊急提言をまとめていきまして、特に、全国のいわゆる学校耐震化の一層の加速をしなきゃならない、また、天井材あるいは照明器具などの非構造部材の耐震対策、また津波対策などの具体的な方策を示すということが述べられておりまして、学校が災害におけるまさに地域の拠点になる、そういう役割を果たせるように、備蓄の倉庫やあるいはまたトイレ、そして何といいましても、非常電源対策あるいは情報通信設備、こういったものについてもしっかり考えておくべきだ、こういうふうなことになっております。

 私どもも、こういう考え方については、既に国公私立、すべての学校設置者に対しましてこの提言を送付しておりますが、被災地における学校の復興とあわせて、全国の学校施設整備について役立てていただくということを考えておりますし、何はさておきましても、やはり必要な予算の確保というものも重要になってまいりますので、関係省庁ともしっかり連携をとりまして、学校の防災機能の今以上の強化、こういったものに取り組みを進めていく、こういうことが必要だろうと思っております。

富田委員 今大臣が言ったように進めていただければ一番いいと思うんですが、この提言の中間報告が出た段階で、防災拠点としての学校の整備のあり方ということに関して、教育現場の方から、そこまで自分たちに負担させられるのはたまらないみたいな、そういう声が出ている。

 現実に今回の被災でも、学校に避難した場合に、校長先生あるいは学校の先生たちが避難場所のお世話も全部やっていたということも踏まえて、学校教育を担当しなきゃならないのにそういったことまで全部やる、その上に防災拠点という形になってきてしまうと、自分たちの能力を超えてしまうというような思いがあるんだと思うんですが、これから新しい学校をつくっていく上では、防災拠点としての機能というのはかなり大事になってくると思うんですね。

 この緊急提言では、それぞれの段階での学校が防災拠点としてどういうふうに機能していくかがかなり詳しく提言されていますので、ぜひ大臣の方でも現場の皆さんにこの思想をきちんと伝えていただいて、ただ大変だからということじゃなくて、今後のあり方として、防災拠点としての学校という観点からいろいろ御指示をいただきたいと思うんですが、その点どうでしょうか。

高木国務大臣 御指摘のとおりでございまして、これが学校関係者の、あるいは地方自治体の隅々までにそういう考え方が行き渡るようにすることは必要だと思っております。

富田委員 あと二分になりましたけれども、最後に一点、ちょっと別な観点から。

 先日、七月十六日に、日本体育協会、日本オリンピック委員会の創立百周年の記念式典が開かれました。大臣もごあいさつをされていましたけれども、大臣が出席された最初の式典じゃなくて午後のレセプションで、石原東京都知事が、二〇二〇年の夏季オリンピック招致について正式に表明をされました。

 私は、あのとき総理が来ていて、ロゲ会長ときちんと話した方が誘致に向けては本当によかったと思うんですが、残念ながら総理は欠席されて、先ほどの福山副長官が代読された。総理は、ロゲさんには前日官邸であったからと言われるけれども、私は、ちょっとそれは違うと思うんですね。

 これまで、この委員会でもいろいろ取り上げてきましたけれども、オリンピック招致に失敗した、また、サッカーのワールドカップの誘致に失敗した、この原因というのはいろいろあるけれども、国を挙げての態勢ができていなかった。特に、前回のワールドカップのときには、施設整備についても疑問があったし、政府の保証ということについてもいろいろ難点があった。そういったことをあらゆる機会にやはり政府側が招致委員会と一緒になって取り組んでいかないと、これだけ大きなことはできないと思うんですね。

 大臣はそういうことをおわかりだと思いますので、政府としてもそうですし、文部科学省として、オリンピック招致に東京が手を挙げたということに関して、今後どのように取り組まれていくのか、ちょっと所感をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 七月十六日の祝賀会の席で、正式に東京の石原知事がそういうものを表明したということは承知いたしております。

 オリンピックを我が国で開催するということは極めて有意義なことでございまして、さきに成立をいたしましたスポーツ基本法の二十七条においても、国は、国際競技大会の招致、開催が円滑になされるよう必要な措置を講ずることを規定しておりますので、私どもとしましては、この招致というのは毎回激しくなってきます、そういう状況を十分に踏まえながら、やはり東京都あるいはスポーツ界と一体となって、政府においては外務省とも、関係省庁とも連携をとって、何としても実現をできるように、まさにチームワークでいかなきゃならぬと思っておりまして、そういう意味で、最善の努力をしていきたいと思っているところでございます。

富田委員 ありがとうございました。終わります。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 文科省は五月二十七日に、今年度、学校において児童生徒等が受ける放射線量について、「当面、一ミリシーベルト以下を目指す。」こういう方針を打ち出しました。

 私は、前回の質疑で、これは四月十四日の学校開始以降の、しかも学校内だけの目標であって、学校外も含めてトータルな子供たちの被曝線量の低減を図る目標を明らかにすべきだと指摘をいたしました。とはいえ、確かに、学校内の放射線量の低減が喫緊の課題であることは言うまでもありません。

 文科省がその五月二十七日の「当面の対応について」の中で学校内における線量低減策として具体的に示しておられるのは、校庭の表土の除去、これがほとんど唯一のものになっているわけです。

 五月十一日に表土除去の二つの方式を示してから、数えて二カ月ですよ、今。それから、五月二十七日に国がほぼ全額を負担するという財政措置を示して、きょうでちょうど二カ月。それで、今、二カ月たって、福島県内で校庭の表土除去の基準である一マイクロシーベルト毎時というものを超える空間線量を観測した学校が何校あるのか、そして、それぞれの学校の表土の除去はすべて終わったのか。これは事務方の方で結構ですので、お答えいただけますか。

辰野政府参考人 今年六月初旬に福島県が実施いたしました福島県環境放射線モニタリング調査の結果によりますと、毎時一マイクロシーベルト以上を観測した学校等の数、これは国公私立、保育園等も含めた全体でございますけれども、三百七十二校となっているところでございます。

 また、平成二十三年七月十二日現在で、福島県の公立学校において校庭等の土壌処理の国庫補助申請を予定している学校は三百十校ありまして、うち、工事が完了している学校は九十六校、工事中の学校は百十四校、今後工事を予定している学校は百校と把握しているところでございます。

宮本委員 二カ月たって、まだ、終わったのが三分の一にも満たない九十六校、百校が未着工になっている。一体何をしてきたのかと言わなければならないおくれなんですね。

 郡山市では、線量の高かった小学校九校、中学校六校、保育所十三園の計二十八校・園の表土の除去は、四月二十七日から五月二日までの一週間で表土の除去は終えているんですね。二本松市では、六月八日までに、市内小中学校と幼稚園、保育所すべての表土除去を終わっております。

 一方で、白河市、須賀川市、南相馬市のように、完了ゼロという市も残されているわけでして、田村市に至っては、申請予定の学校は小学校たった一校なんですけれども、まだ着手さえされていないという状況になっております。

 なぜこんなおくれになっているのか。これも事務方、お答えいただけますか。

辰野政府参考人 土壌処理工事を今後予定している公立学校がある理由といたしましては、一つには、空間線量率の高い学校から順次計画的に今進めている、さらには、工事を授業のない夏休みに集中して行うと計画をしている、このような市町村側の事情によるものでございまして、したがいまして、夏休み明けにはおおむね完了するという見通しであると福島県から聞いているところでございます。

宮本委員 今、理由を述べられましたね。高いところから順番に、工事は夏休みに、それから、執行する予算について議会の承認をと、三点挙がっているんですけれども、これだって、私が最初文科省に聞いた時点ではつかんでさえいなかったんですよ。すぐにつかんでくれと言って出てきたのがこの三つの理由なんですね。

 線量が高い学校を優先するのはもちろんですけれども、一気にすべての工事を発注することだって可能なんです、やろうと思えば。土木関係の職員が足りないと言うんだったら、そういう職員の派遣も検討すべきです。

 夏休みに実施というのも、表土の除去は一刻も早くやった方がいいに決まっているんですけれども、しかし、子供が休みに入る前に表土除去を行って土ぼこりが立ったら心配だという声があるとも聞きました。それならば、土ぼこりが立たない工法などの技術的な援助が必要なんです。

 議会の承認の問題でいえば、それはもう後でいいんだということを国からきちっと通達すればいいわけですよ。

 一刻も早く子供たちをこの放射線から守らなきゃならないわけですから、そういうことを一つ一つつかんで解決しなきゃならないですね。

 それで、現場で突き当たっている問題として、はがした表土の処分の当てがはっきりしないということがあるということを聞きました。郡山市が、はがした表土を校庭の片隅に積み上げた。それを校庭に埋めるということに抵抗がある。子供たちがこれから未来にわたって学ぶ学校の校庭に、半減期が例えば三十年という放射性セシウムがずっと埋まったままだというのは、なるほど、父母にとってもそれはちょっと心配だということになるでしょう。

 ですからやはり、最終的な処分の場所については国において責任を持ってきちんと決めるから、その暁には改めて掘り出してそこへ運ぶこともできるわけだから、一刻も早く表土を除去して、防水シートにでもくるんで、ひとまず子供たちに影響がないように地中に埋めるんだ、このことを上からはっきり、国から強力なメッセージを出す必要があると思うんです。国がそういうことをはっきり言うべきでありませんか。大臣いかがですか。

高木国務大臣 校庭から削り取ったいわゆる土を学校外に持っていくことについては、これは、地域、関係者の理解を得ること、さまざまな観点から、現時点では慎重に検討する必要があろうかと思っております。郡山市の事例がその一つの例であります。

 この処理については、したがって、学校内において処理をする方法によって線量を下げるという取り組みが進められておりますので、その状況を見ながら、学校内でやるにしても、しっかりした対応を専門家あるいはそういう仕事をされておる方々の協力をいただいてやるということが、まず、しっかりこれを徹底する。

 そして、その後どうするのかということになるわけですけれども、これについては、関係省庁としっかり連携をしながら、これはもう大切な問題ですから、引き続き検討をしてまいりたいと思っております。

宮本委員 郡山も、ついにシートにくるんで埋め始めたというふうに聞きました。だから、ひとまず校庭に置いておくよりは、やはり埋めるというか、子供たちから離さなきゃなりませんから、その先のことはいろいろ難しい問題があることはわかっているんです。しかし、どうするかということはいずれにせよ解決しなきゃならない問題ですから、ですから、どうするかについては責任を持って解決するから、とにかくぐずぐずせずに表土の除去をやれということを言って、上からきちっとやはりそこをチェックしないと進まないということですよ。

 私、これは党派を超えた問題だと思うんです。私、これは、最後の一校まで私自身が見きわめるまで追及し続けるということはここで申し上げておきたいと思います。

 次に、被災地の学校の再建の問題を聞きたいと思います。

 まず、七月十五日の岩手日報によりますと、被災三県で建設予定となっている公立学校四十三カ所の仮設校舎のうち、着工されたのがわずか十二カ所にとどまっており、仮設校舎の使用開始が二学期に間に合わないという報道があるんです。これはなぜここまでおくれているのか。

 これはちょっと大臣にお答えいただけますか。

高木国務大臣 いわゆる仮設校舎の建設についてですけれども、ことしの七月二十六日、これは最新の状況ですけれども、岩手県、宮城県、福島県の三県で公立小中学校における応急仮設校舎の建設予定は四十六カ所ありまして、うち、既に完成もしくは工事に着手しているものは二十三カ所と聞いております。

 これは、いまだに工事に着手できないものがあることはまことに遺憾でありますけれども、津波の被害を受けた地域では、安心、安全ないわゆる建設用地の選定に時間を要しておるということも事実でございまして、そういった理由が主なものとしてまだ工事の着手ができていない、このように聞いております。

 私どもとしましては、まさにこれは児童生徒の教育環境でございますから、学校設置者の意見をしっかり聞いて、できるだけ早くこれは復旧に努めていきたい、このように今は考えております。

宮本委員 まことに遺憾と言っていただいても、二学期に間に合わないというような事態は、これは本当にゆゆしい事態ですから、本当に一つ一つなぜそういうおくれになっているのかということもつかんで、その障害を取り除くということをやらないと、やれ、やれと言っているだけでいかないわけですから、しっかりとこれは見きわめていただきたいと思うんです。

 それで、私は、東日本の大震災から四カ月となる七月十一日に、宮城県内の私立学校などの状況を見てまいりました。

 沿岸部のある幼稚園は、四年ほど前に建てかえたばかりの園舎の中に汚泥や瓦れきが流れ込んできたと。幸い、建てかえや大規模な復旧が必要となるような被害はなかったんです。しかし、園児七人と教員一人が津波にのまれ園内で亡くなるという痛ましい犠牲が出たわけです。子供や保護者の気持ちを考えれば、また、子供たちの安全を考えれば、とても同じ場所で再開はできない。これは当然の判断だろうと思います。

 その場合、これまでの原形復旧の考えでいきますと、つまり、同じ場所で同規模の建物をつくるという原則で対応すると対応できないわけですよ。理事長さんや園長さんらは、避難先で幼稚園の本格的な再開を心待ちにしている子供や保護者、幼稚園が大好きだった亡くなった子供たちのためにも、新しい場所での本格的な再開を、こういう思いを強く持っておられ、新たな園舎のための費用をどう工面するかと、これで悩んでおられました。

 今回の大震災から学校施設の復旧復興を考えるならば、公立であっても私立であっても、原形復旧をしゃくし定規に当てはめるべきではないと私は思うんですけれども、大臣いかがですか。

高木国務大臣 これは、津波によって、とりわけ幼稚園など私立の学校では大変な被害を受けておることは承知いたしておりまして、特に、高台移転なども必要なことが考えられております。

 そういう復旧計画というのは、地域全体のこれは復興計画とも密接にかかわっておりますので、具体的な学校のあるいは幼稚園の再建計画の検討には、やはり若干時間を要するものと考えております。

 そういった意味でも、関係省庁とも連携をとりながら、自治体の意向、そして学校法人経営者の要望をいただいておりますし、国会でもそういう議論があっておりますことを踏まえて、今後の補正予算において対応するように努力をしてまいりたいと思います。

 また、いわゆる防災機能を新たにつけたという整備、原形復旧が原則である災害復旧事業として行うことは難しいものがございます。そういう意味では、今後、学校施設の教育機能だけではなくて、防災拠点としての整備を進めていくことが必要であろうかと思っておりまして、今後の補正予算の中身を含めて、対応してまいりたいと思います。

宮本委員 三次補正で検討されるということだと思うんですけれども、そもそも原形復旧にこだわるというのは、僕はどう考えても道理がないということを申し上げたいんです。

 大きな被害が出た学校は、いわば、今までの場所は危険な場所だったということが今度の大災害で証明されたようなものなんですよ。やはりもう少し高い場所でというのは自然な考えでありますし、それから、同じ場所で建てるとすれば、今まで二階建てだったものを今度は三階建てにと、これまで以上に強固なあるいは高い建物にしなければ、同じ場所で建てるとしたって、不安が残るわけです。

 だから、原形復旧ということにこだわるということは、同じ危険な場所に同じような危険な建物をもう一度建てなさいと言っているような話であって、これはこだわる理由がない。

 だから、今大臣おっしゃったように、一つは、高台へ移す場合に、この仕組みが当てはまらなければ、別の仕組みを活用して同じような支援がきちっとできるようにするとか、あるいは、同じ場所で建てかえる場合でも、防災機能をより強固にする場合には、それにもきちっと同じだけの支援率で支援できるようにと、これを三次補正でしっかり検討する必要があると思うんですけれども、再度、これは三次補正の検討事項でよろしいですね。

高木国務大臣 その辺についても検討してまいりたいと思います。

宮本委員 次に、私学における二重ローンの問題、これを聞きたいんです。

 本会議でも私取り上げましたけれども、被災地では、マイナスからではなく、せめてゼロからの出発をというのが強い願いです。それは私立学校も同じ思いですね。

 先ほど紹介した幼稚園の理事長も、生活の手段を失い、前の建物の借金が残ったままでは、新たに低利で融資を受けられますよと言われても、借りようという気にならない、こう話しておられました。

 学校法人が抱える二重ローン、要するに、まだ前の債務が残っている、そこで被災した、新たに幾ら低利や無利子やということで貸してくれても、前の分が非常に重い。こういうことについてこれをどう解消するのか。

 これは大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

高木国務大臣 御指摘のように、日本私立学校振興・共済事業団の融資については、現在既に借りている債務の返済を猶予する、また、新たな貸し付けについては、五年間の無利子とその後二十年で長期の低利の融資を実施しておりまして、その融資条件についても従来より緩和する、そういう弾力的な対応をしております。

 この私立学校の復旧につきましては、融資のみに頼らざるを得ない一般の事業者とは異なって、まず一つに、激甚災害法に基づく施設災害復旧費の補助、二つ目には、教育研究活動の復旧のための経常費補助、これを行っておりまして、当面、自己資金がなくとも復旧に当たれるように、これは第一次補正予算で措置をしておるところです。

 なお、この津波によって高台などに移転をせざるを得ないほどの甚大な被害を受けた私立の幼稚園等につきましては、今、関係者とも連携をして、自治体の意向もしっかり聞いて、また、学校法人そのものの要望も聞いて、できるだけ早期復旧ができますように、これまた第三次補正予算になるでしょう、そういうことの対応も含めて努力をしてまいりたいと思っております。

宮本委員 相当被害甚大で、負担も重いんですよ。

 ある私立の学校の状況、これも私は行ってきたんですが、この学校は、教室や図書館、保健室などが入っていた三階建ての校舎一棟全体が、液状化によって最大で一メートル沈下した。現場を見てきましたけれども、ぐんと沈んでいるわけですね。それで、校舎内を見せていただいたんですけれども、最も被害の大きかった一階は、窓枠がゆがみ、教室の床は中央部分が十センチ近くせり上がって、床全体がドームのように大きく変形しておりました。二階にある他校舎へ通じる渡り廊下は、この校舎の沈下に伴って十五センチぐらい段差が生じているという状況でありました。

 使えなくなったこの校舎に加えて、その以前にあった耐震補強工事費の残金約四千万、排水関係の工事が一千三百万、昨年の猛暑の影響でかえたばかりの冷暖房機の費用が一千万、計六千三百万がこの校舎に関してまだ借金が残っていると。学校関係者は、この使えなくなった校舎の再建も含めて、少なくとも十億円の資金が今後必要になるという話でありました。

 それで、なるほど、今おっしゃった私学事業団の融資というのが低利であるとか無利子であるとか、一般の金融機関よりも有利であることはわかっているんですよ、平時においては有利であることは。ところが、今、二重ローンの解消という形で全体として議論されているのは、例えば、我が党も昨日緊急提言を出しましたけれども、やはり返済できる範囲で返済するということで、一定これまでの借金については債務を免除するという中身が入っているわけです。

 自公から提案されている二重ローン解消策を見ても、要するに、残金を含めて返せる範囲でやはり返せるようにしていくということで、前の借金はずっと残り続けるというスキームになっていないわけですよ。政府もそういう方向を検討しているというふうに聞きました。

 少なくとも、そういう二重ローンの解消ということが議論になっているときに、それは、中小企業や農協や漁協を支えることは非常に大事ですけれども、そもそも、私立学校というのはもうけのためにやっているものじゃないわけですから、そういう学校の以前の債務についてきちっとその荷をしっかり配慮する、二重ローンの解消に対策をとる、これは必要だと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

高木国務大臣 二重ローンの問題につきましては、この震災を踏まえてこれまでの国会でもかなり大きな議論になっておりまして、各政党、会派においてもそれぞれの提言も出されております。

 まさに、政府全体としてこの二重ローンの問題は重要な案件の一つでございますから、しっかり期待にこたえられるものは何かというものを含めて、検討されるべきものと思っております。

宮本委員 最後に、歴史教科書の年表の丸写しの問題について聞きたいと思います。

 ことし検定に合格した自由社版の「新編新しい歴史教科書」の年表が、東京書籍の「新しい社会 歴史」二〇〇二年度版からの丸写し、盗用だという報道がなされました。きょうは資料におつけをいたしました。資料一を見てください。

 歴史教科書に付された歴史年表ですけれども、東京書籍「新しい社会 歴史」二〇〇二年度版が左、そして右が、ことし検定に合格した自由社版「新編新しい歴史教科書」に付された年表です。「採集や狩りによって生活する」から始まって、「稲作、金属器の使用が始まる」、「銅鏡 銅剣 銅鐸 銅矛」、並び方も全部一緒。「六四五 大化の改新」、「公地・公民の制」そして「改新政治が進展する」に至るまでぴったり同じ。

 調べてみたら、この後もずっと続いて、「一九九七 アイヌ文化振興法制定」までの百八十項目余りで出来事の選択がぴったり一致。うち、九項目を除いてはすべて表現まで一致しております。

 これは明白な丸写し、つまり盗作、盗用ではありませんか。これは事務方、いかがですか。

山中政府参考人 委員御指摘の自由社の歴史教科書の年表、これが、ほかの社、東京書籍の教科書の年表とほぼ一致しているということで報告を受けております。

 自由社としても、この年表がほぼ引き写しであるということを認めて、編集物の著作権を侵害する行為に当たるということで、相手方である東京書籍の方に謝罪するとともに、対応しているというふうに聞いております。

宮本委員 盗用をこれは認めているんですね。

 資料二を見てください。わび状をつけておきました。自由社の教科書編集室長名で、「新編新しい歴史教科書」の年表の日本史部分が、株式会社東京書籍様発行の平成十四年使用版「新しい社会 歴史」の年表のほぼ引き写しであることが判明いたしました。これは、編集著作権を侵害する行為であり、東京書籍様には大変申しわけなく、先日弊社社長が同社を訪問陳謝したと書かれてあります。

 まず私があきれるのは、この盗用が二〇〇八年度、二〇一〇年度と二回の教科書検定で発見されず、今回、市民団体によって発見されたということなんです。項目も同じ、表現もほぼ同じ、体裁まで似通っておる。真剣に見れば、だれでも盗用の疑いを持つはずです。一体、教科書調査官や教科用図書検定審議会は何を見てきたのか。これはいかがですか。

山中政府参考人 教科書の検定は、指導要領等に基づきまして、審議会の方で学術的、専門的な審議を経ながら、その具体的な申請図書の記述について、学問的な成果とか適切な資料、そういうものに照らして欠陥を指摘するということで行っているものでございます。

 この年表についての記述も、そういう正確性とか、そういうところをチェックするわけでございますけれども、まず、教科書に使う著作物といいますか、各著作者が著作権を侵害しないということをしっかりやらなきゃならないし、また、それを載せる出版社の方も、そういうことを著作者の方にしっかりと注意するというか、これは著作権法の侵害ということになりますので、そういうことをしないように十分注意しながら今までも教科書の編集もしてきた、あるいは著作もしてきたというふうに思っております。

 まず、教科書に掲載いたします著作物の権利関係、これはもうまさに、モラルというよりも法律を守るということでございますので、執筆者、それから、それを掲載して出版する出版社においてしっかりとこれは注意してやっていくということで、審議会の方が記述についてしっかりと審査はいたしますけれども、そこの権利関係のあたり、例えば写真を教科書に掲載する場合、そのもとの写真の著作権の処理をしておくとか、そういうことは、当然、出版社の方でまず一義的に処理すべきものだというふうに考えております。

宮本委員 前例があるかと聞いたんですけれども、記憶の範囲では前例はないというふうに聞きました。

 それで、入学試験で例えば不正が発覚すれば、他人の答案を一部でも丸写しすれば、これは合格は取り消されます。その部分を訂正します、そんな話は通りませんね。競争的資金が出ている研究で論文の盗用事件ということが起これば、競争的資金の打ち切り、申請の不採択、資金の返還、資金の申請制限が行われる、こういうことになっています。

 研究活動の不正行為の対応ガイドラインを定めた特別委員会報告書では、「不正行為に対する基本姿勢」として、「不正行為は、科学そのものに対する背信行為。研究費の多寡や出所の如何を問わず絶対に許されない。研究者の科学者としての存在意義を自ら否定するものであり、自己破壊につながるもの。研究者及び研究者コミュニティは、不正行為に対して厳しい姿勢で臨むべき。」だとしております。

 そして、このガイドラインでは、論文の盗用など不正行為を行った者はもちろんですけれども、たとえ不正行為に関与したとまでは認定されなくとも、その不正行為があったと認定された研究に係る論文等の内容について責任を負う者として認定された著者は、認定年度の翌年度以降一年から三年の間は競争的資金の申請すら制限されるというのが、これは当たり前の学界の常識なんです。真理と正義を最も重んずるべき学術研究、教育の分野で論文の盗用などというのは、これくらい厳しく処断されるべき問題なんです。

 自由社は盗用をはっきり認めております。わび状を出しております。それにもかかわらず、この教科書はお構いなし、合格のままでいいんですか。

高木国務大臣 御指摘の点につきましては、当事者である自由社と東京書籍の間で話し合い、一定の合意がなされておると報告を得ております。

 この問題については、一義的には当該教科書の発行者が適切に管理すべきものである、このように考えております。

宮本委員 少なくとも、よいことではない、望ましい問題ではない、そういう認識は持っておられますね。

高木国務大臣 このような文書が出ておるとおりでございます。

宮本委員 そもそも、わびて済むような問題ではないと私は思うんです。

 それで、育鵬社の教科書においても、図版の盗用があるのではとの指摘が既に出されております。私も見てみましたけれども、色遣いまでそっくりな資料が育鵬社の教科書にも見られました。同じ時期に検定を受けた教科書ならたまたまということがあるでしょうが、以前出た教科書と初めて出てきた教科書が似通っているというのは、いかにも問題があると言わなければなりません。

 盗用などという行為は、真理と公正を最も尊重すべき教育の現場にあってはならないものです。不正があっても後から訂正すれば許されるというようなことが、子供たちが使う教科書において許されてよいはずはありません。

 最後に申し上げますけれども、そもそも自由社や育鵬社の教科書は、太平洋戦争を自存自衛の戦争と描くなど、侵略戦争を美化する内容になっております。侵略戦争と植民地支配への反省と、その誤りや清算は戦後の日本社会の出発点であり、国際社会の一員としての絶対条件ともいうべきものでありまして、それを否定する教科書を検定合格という形で認めた政府の責任は重大だと言わなければなりません。日本の過去の誤りと誠実に向き合い、その反省の上に平和と民主主義を理念とする憲法があることを学ぶことは、子供たちが主権者として育つために不可欠だと思います。

 我が党は、歴史教科書問題を初め侵略戦争美化の風潮を克服するために、広範な国民とともに力を尽くすことを申し上げて、私の質問を終わります。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

松宮委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 委員長が所用のため、その指名により、私が委員長の職務を行います。

 質疑を続行いたします。齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健でございます。

 きょうは文部科学委員会での質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 きょうの私の質問は、私の地元、千葉県の流山市、松戸市、そして地元ではないんですが、お隣の柏市、この周辺が周辺地域よりも少し放射線量が高いということでホットスポットと呼ばれておりまして、週刊誌では大変大きく実名で、この間も電車の中でびっくりしたんですが、つり広告に地名がどんと出るような騒ぎになっておりまして、引っ越しをしたらいいんじゃないかとか、そういう騒ぎにお母さん方が一部なっている、そういう問題がありますので、この点につきましてきょうは質問させていただけたらと思います。

 一度、軽く復興特別委員会の方で大臣に少し質問させていただきましたが、きょうはその続きという形で行わせていただきたいと思います。

 できれば一つ一つ詰めた議論をして、少しでも物事が前進していくような、そういうやりとりにしていきたいと思っていますので、よろしくお願いを申し上げます。

 前回も大臣に申し上げましたけれども、このホットスポットで皆さんが不安になっている要因は三つあるだろうということであります。一つは、きちんと計測をされているのかというその点の不安。それから二つ目は、計測をされていたとしても、その数値の持つ意味、それがわからないので不安になる。そして三つ目は、学校や幼稚園に対する現在の指導が非常にあいまいで、どうしていいかわからない。この三つの不安が今あろうかと私なりに整理をしているところであります。

 きょうは、私の地元の住民の皆さんの目線でこの三つの問題について大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、きちんと計測をされているのかという点についてであります。

 前回、大臣と質疑をさせていただいたときに、大臣の方から、定点観測体制については市原市でモニタリングをしている、それから千葉大学、木更津高専でやっているということでありましたけれども、これらの地域は、今週刊誌で騒がれている地域とは違います。まさに週刊誌で騒がれて皆さんが不安になっている、千葉県の東葛地域という言い方をしていますが、柏とか流山とか松戸で国としてどういう定点観測体制をしいているのか、この点について御所見を伺えたらと思います。

高木国務大臣 齋藤委員には、さきの復興特別委員会でも御質問をいただきました。まさに地元の流山市、松戸市がいわゆるホットスポットと言われておりまして、地域住民の皆さん方、とりわけ子供さんたちを持つ保護者の皆さん方は大変な不安があるということは報道でもよく聞いております。

 この放射能、放射線というのは、まさに不安が尽きないものでありまして、不安はある意味では当然だろうと思っておりますが、しかし、放射線に対するリスク、このリスクについて決して甘く見てはいけませんし、私たちとしては、できるだけ放射線を浴びないように、こういうことを目指すべきであろうと思っております。

 先ほど御指摘ありましたように、既に市原市についてはモニタリングポストが設置されておりまして、連続監視を行っております。千葉大学あるいは木更津高専においても積算線量の測定をしておりますが、まさに問題の流山、松戸などについては、現実的に国として観測をしているかと問われれば、これは、可搬型サーベイメーターを用いた空間線量率の測定の実施について、各都道府県、自治体に協力を依頼しております。

 そういう意味で、既に市町村においては測定が開始されておりまして、例えば、選挙区ではないと言われましたけれども、柏市においては最大で〇・四五マイクロシーベルトが測定されておると承知をいたしております。千葉県内の可搬型のサーベイメーターによりますと、流山市については、これは一メートル高さでございますが、七月十二日に測定したものについては最大毎時〇・二六マイクロシーベルト、松戸市においては最大毎時〇・三八マイクロシーベルト、このようになっております。

 私どもとしましては、さらにきめ細かなモニタリングを行うために、今般、既に成立をいたしました第二次補正予算において、まず全国に一台ずつ、もちろん千葉県では今市原市にありますが、これをふやすべく、全国で二十五基増設する経費を計上しておりまして、このモニタリング、委員御指摘の、まずはしっかり物を計測することに取り組みを進めていきたいと思っております。

 済みません。第二次補正予算に載せておりますのは、全国で二百五十基の増設でございます。

齋藤(健)委員 もう一回お尋ねしますが、このまさにホットスポットで、週刊誌にたたかれて、そして、なおかつ自分たちでみんなはかっているわけですね、自分たちで持って。そういう状態が続いて、計測の方法もいろいろあるでしょうから、いろいろなデータが出て、それでまた不安になるということになりますので、国として、少なくとも、ホットスポットと言って住民の人たちが不安になっている地域についてはきっちり定点観測をする、そういう御答弁はいただけないでしょうか。

合田政府参考人 お答えをさせていただきます。

 先ほど大臣からも答弁を申し上げましたように、今般成立をいたしました第二次補正予算で二百五十基増設をするという格好で、御指摘のような格好のモニタリングを継続的に国として実施できる体制をつくれるものというふうに考えてございます。

齋藤(健)委員 ちょっと、大変恐縮ですが、二百五十基の話はさっき大臣から聞いたので、この地域で定点観測体制を国として構築するつもりはあるのか、イエスかノーかで。

合田政府参考人 実際に千葉県内でどの地区にこういうモニタリングポストを設置するかについては、千葉県なり地元の御意向をよくお伺いして、よく御相談をして決定をしたいというふうに考えてございます。

齋藤(健)委員 今回の事故は、自然災害とは違います。自然災害の場合は、市町村、県に責任ももちろん防災の観点からあろうと思いますが、今回の放射線量の問題というのは、国の安全審査とそれから東京電力の管理、この二つの責任において行われているのであって、市町村や県には一切責任がないんですね。

 国に責任がある以上、国として、このホットスポットと言われて住民の皆さんが不安が高まっている地域について、どうしてきちっと定点観測体制をしくと、原因者であるなら、責任者であるなら、そのくらいの態度を示さないとおかしいと思いますが、もう一度、大臣、答弁をお願いします。

高木国務大臣 全国で二百五十基増設しますが、具体的な設置場所については千葉県とも協議をいたしますが、今言われたことは非常に重要でございますから、私たちとしては、ぜひそういう中に盛り込まれるようにお願いをしていきたいと思っております。

齋藤(健)委員 大臣のお言葉なので、信じます。

 それから、もう一点は、この定点観測と同時に、例えば、学校に行く途中のあそこの下水のところにたくさんたまっているんじゃないか、はかってほしい、あるいは、今、学校は、地上、中学校は一メートルですか、それから小学校は五十センチのところではかるように努力をされていると思いますけれども、それ以外にも、一番高いのは、雨どいの下ですとか、それから校庭の隅の草むらですとか、そういうところをしっかりはかってほしいという要望があるわけですね。

 これは、何も国で全部やれとは言いませんが、国の指導のもとできっちり、みんなが不安になっているところについては、すぐにというのはなかなか難しくても、ちゃんとはかって不安を解消してあげるというような方策は国の責任においてとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 流山にいたしましても、恐らく、当時の気象状況の中で、雨によるものだと思われますけれども、そういう地域の不安の解消のためには、国としてもしっかり対応しなきゃならぬと思っておりますので、しっかりやります。

齋藤(健)委員 これは、今どういう状況になっているかというと、大臣には釈迦に説法かもしれませんが、自分たちではかるわけですね、だれもはかってくれないから。そうすると、はかり方の問題とか、あるいは、ある程度それを騒ぎにしたい人とかいろいろいるものですから、それで不安が増幅されるということがありますので、責任ある機関がきちっとはかってあげれば、一気に不安は解消するという面もあります。

 今回の事態は、国の責任において引き起こされたものでありますので、国の責任においてきちんとした対応をとっていただくよう、再度お願いを申し上げたいと思います。

 二つ目の不安についてでありますが、これは、放射線に関して、計測をしても、その数値の評価がわからないので不安になるという問題であります。

 これについては、とにかく気軽に相談をできる窓口をつくるということに尽きると私は思います。どんな分厚い本を読んでも、一般のお父さん、お母さんはそんなのはわかりませんので、気軽に相談して、こういうところでこういう数値が出たんだけれども、どうしたらいいか、高いのか低いのか、注意はどうしたらいいか、そういうことが気軽に相談できる相談窓口というものを設置していくというのが、この不安を抑えるために一番大事な手法だと思います。

 前回の議論で、大臣の方から、健康相談ホットラインということで、日本原子力研究開発機構と放射線医学総合研究所にそういうホットラインを設けているということなんですが、私もホームページで確認しましたが、日本原子力研究開発機構の方は、御自身の健康について何か相談したいことがあればということでありまして、私が申し上げているような幅広い不安にこたえるようなそういう窓口に、少なくともホームページはなっておりません。

 それから、放医研の方も、これは健康についての相談だということでありまして、自分の子供がこういうところに行ったらどうなるかとか、そういうことについてきめ細かく答えますよというホームページの構えには少なくともなっていないし、もっと言えば、日本原子力研究開発機構という原子力を推進してきたところに相談をしろというのは、私は、心配している人に対してはかなり無神経じゃないかと思います。むしろ、文部科学省の中にしっかりとした相談窓口を設けて、どんな人でも、何でも聞いてくださいという形の窓口をつくるべきじゃないか。

 少なくとも、原子力を推進してきたところに大丈夫ですかと聞くような仕組みをつくるのは、私は必ずしも適切ではないと思いますので、もう少し幅広く相談できる、しかも、文部科学省みたいな、推進側にはっきり立っているということではなくて、住民の立場に立って答えてくれそうな構えの相談窓口をつくるべきだと思いますが、大臣のお考えをお伺いできたらと思います。

高木国務大臣 この問題は、確かに、的確な説明をする、特に専門家による説明というのが、一番納得いくものだろうと思っております。

 今御指摘の日本原子力研究開発機構、いわゆる原研機構、そしてまた放射線医学総合研究所、いわゆる放医研、こういったところの協力をいただいて、文部科学省として、健康相談ホットラインを開設したものでございまして、昨日十八時時点においても、三万七千百十六件という多くのお問い合わせをいただいております。

 議員御指摘のとおり、原研機構が原子力推進の立場から、こういう表現がございましたが、私は必ずしもそういう理解はしておりませんで、やはりあくまでも研究開発、科学、これを真正面に受けて、例えば、文部科学省の機構から見ても、以前の科学技術庁というところと文部省は一緒になって今になっておるわけでございます。

 そういう意味では、これまで積み重ねた知見によって、私は、公正な立場で意見表明ができるところだとは思っておりますが、今委員御指摘で、具体的な相談の中身あるいは対応について、より丁寧に、そしてまた客観的に説明していただくことの方が、受ける側は非常に納得がいくんじゃないかと思っておりますので、ぶっきらぼうやあるいはまた官僚的な返答ではないように私は強く求めていきたいと思いますし、なお、フォローもしてみたいと思っております。

齋藤(健)委員 私は、きょう、かつての同僚が後ろにもおりますけれども、昔、旧科学技術庁に出向して仕事をしていたことがありまして、この動燃、原研という組織は、推進のための主力な機関だったということはよく存じ上げているわけであります。

 そんなことはともかく、一般の人の受ける印象が、相談するには非常によくないということなので、ぜひそこを解消できるような新しい体制をつくっていただきたいと思いますが、大臣の御見解を伺えたらと思います。

高木国務大臣 今、そういう相談体制、その中身についても、また、そういう見方がされるということも、そうあってはいけないと思いますけれども、そういう見方がされるというのも事実であるならば、どういったものがいいのか、そういうことについては考えていかなきゃならぬと思います。

齋藤(健)委員 大臣の前向きな御答弁を評価したいと思います。

 三つ目の不安なんですが、学校や幼稚園に対する規制の仕方、指導の仕方が非常にあいまいで、それが原因で不安になっているんじゃないかということであります。

 今、福島県におきましては、大臣御案内のように、毎時三・八マイクロシーベルト以上の場合は、校庭で一日一時間しか遊ばせちゃいけないとか、幼稚園児の場合は砂場で遊ばせないとか、そういう具体的な指示が出ているわけでありますが、三・八マイクロシーベルト未満になりますと、一気に何もなくなる。そして、なるべく年間一ミリシーベルト以内の放射線量に抑えなさいという努力、なるべく頑張りなさいみたいな、そういうものしか存在をしていないわけであります。

 そうなりますと、結局、三・八マイクロシーベルト未満のところにつきましては何もしなくていいというふうに解釈できるわけであります。努力しなさいと言っても、現場の幼稚園の先生や園長先生は、何をしていいかわからないわけであります。

 したがって、私は、この皆さんの不安を解消するためには、こういう数値がこういう場所で出たら、綱を張ってなるべく立ち入りできないようにしなさいとか、そういう具体的な指導をしないと、皆さん、現場はどうしていいかわからなくなってしまうわけであります。年間一ミリシーベルトを目指すといいながら、一方で、何もしなくても別に怒られない、そういうことだから、普通の人は、わけがわからなくなってしまうわけであります。

 具体的に、どうなったらどうせよということをきっちり指導することが、私は、この不安を解消する上で一番いいのではないかと思います。

 現に、私の地元では、自分たちで測定をした上で、ここは少し高いから、綱を引いて入らないようにしようと、自分たちの判断でしているわけでありますけれども、やはり素人がやっているわけですから、文部科学省の方できちんと検討した上で、もしこういう高い数値がある箇所から出たときはこうしなさいとか、こうなったらこうしなさいという、きちんとした、だれでも誤解しなくて実行できるような指導をすべきではないかと思いますが、大臣の御見解を伺えたらと思います。

高木国務大臣 四月の時点では、いわゆる暫定的な考え方、今まさに三・八マイクロという数字が出てまいりました。これは、もう既に御承知のとおり、ある意味では、通常では子供の活動ではあり得ないぐらいの状況を勘案してはじき出した数値でございますが、かといって、それでいいというわけではありませんで、できるだけ浴びない方がいいから、線量を減らす努力。

 今御指摘のとおり、一体どうするんだということになりますと、私たちとしては、より安心のために、五月二十七日の日に、校庭、園庭については、毎時一マイクロシーベルト以上のものについては、設置者の希望に応じて、国として財政支援をしますということを示させていただきました。

 そういう中において、今後とも私たちとしては、今どこかと言われれば、毎時一マイクロシーベルト以上あれば、希望に応じて財政的支援をしていきます。これがまず一つの物差しでございます。

 同時に、技術的な助言もしなきゃいけません。先ほど申し上げましたように、原研機構あるいは放医研等の、まさにそのほかの専門家の皆さん方の御意見をいただいて、そういう専門家の派遣等も行っていきたいと思っております。

齋藤(健)委員 大臣、私が気にしていますのは、これはまじめな議論として申し上げますが、今大臣がおっしゃった、毎時一マイクロシーベルト以上の学校の土壌については、設置者の要望があればお金を出しますということなんですが、これが不安になるんですね。設置者の希望に応じてと。設置者が判断するんじゃなくて、一マイクロシーベルトだったらかえなさいと、どうして国はそういうふうにはっきりした指導を、かえたいんだったらお金を出しますよじゃなくて、皆さん、どのくらいのリスクがあるかわからないわけですから。

 だから、一マイクロシーベルトを超えたらかえなさい、お金は出します。それから、では、二マイクロシーベルトになったらこうしなさい。そういう具体的な指導を出さないと、やりたかったらお金を出しますよというのは、本当に安全なんだか危険なんだかはっきりしたことがわからないわけで、では、やらなくてもいいんですかみたいな話になるわけでありますので、私は、これは本当に、知識のない人を相手の行政ですので、はっきりとして、こうなったらこうしなさい、そういう指導をぜひしていただきたいと思います。

 そうしないと、希望があればやりますということになると、本当のところはどうなんだろうという不安が高まるだけでありますので、どうせお金を出すのであるならば、しっかりした指導のもとで、やりなさい、そのかわりお金を出しますというふうにはっきりと申し上げた方が、不安の解消には役立つのではないかと私は思いますが、大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。

高木国務大臣 これは、福島県のみならず、福島県外、近隣の都道府県、ある意味では、考えてみれば全国にわたる話でございまして、一律に一マイクロ以上ということになりますと、これはこれでまた、可能性も含めて、優先的にしなきゃならないところもしなければなりませんから、そういう意味で、私たちとしては、これは、希望があればということについては、知らないよという意味では決してありませんで、特に今、前の方で指摘されましたように、いわゆるホットスポット、こういったところについてはやはり優先して対応しなきゃならぬ、このように思っておりますので、その辺はそういう考え方だということで、我々もしっかり注意はしてまいります。

 これからも、特にそういう意味で、モニタリング、計測、もちろんこれは、いわゆる自発的な、自主的なものも大変ございます。これはこれで、ある意味では非常にありがたいものだと思っております。

齋藤(健)委員 大臣、再度お願いしたいのは、これから学校に対して指導を行う際には、例えば、本当に高いところが計測されることがあるわけですね、自分たちではかっていますから。私が朝、駅で街頭演説をやっていると、線量計を持ってくるんですから、今こうですと。そのくらい現地では心配が高まっているので、もし高い値が出てきたらこうしなさいと。

 例えば、学校の隅っこでこういうのが出たら、そこは、何マイクロシーベルト以上は、出たら一応線を引いて、入らないようにしなさいとか、雨どいの下は定期的にはかるようにして、この数値を超えたらこうしなさいとか、それから、砂場はこうなったらかえなさいとか、ぜひそういう具体的な、だれもが誤解しないようなきちんとした指導をされる方が、そして、検出されなければ別に問題ないわけですから、検出されたら、安全サイドに立って行動するということをぜひ大臣に徹底していただきたいと思いますが、再度、この考え方についての大臣の御所見を賜れたらと思います。

高木国務大臣 その点につきましては、今でも、御指摘のとおり、例えば雨どいの下とかあるいは草むらとか、そういうところはこれまでの経験においても高いものがございますから、そういうところは取り除いていただく、むしろ、そういう積極的な意味の指導も含めて、しっかり御議論も体して注意を喚起してまいりたいと思います。

齋藤(健)委員 それから、もう一つよくある住民の皆さんの不安は、さっき申し上げた三・八マイクロシーベルトとか、それから年間一ミリシーベルト以内に抑えましょうというのは、外部被曝だけなんじゃないか、むしろ、ほんの微量でも小さな子供が吸い込むことによる内部被曝のリスクというのは、この数字でとらえられないものがあるんじゃないかという心配の声があるんですね。

 私がこの説明をすると、必ずその内部被曝の質問を受けるんですね。それは外から受ける線量の話でしょう、内部被曝の影響について本当に大丈夫なんですか、そこは何か規制を設けなくていいんですかと。特に、ちっちゃなお子さんは地面に近いところを歩いているし、しょっちゅう転んだりするわけであります。その都度吸い込むんじゃないかとか、皆さん大変心配をしているわけであります。

 この三・八マイクロとか年間一ミリシーベルトというのは、内部被曝のものについてはどのように考慮をされているのかという点と、それからもう一つ、三・八マイクロシーベルトを決めるときに、これはICRPの数値を参考にされたと思うんですが、あれは一般公衆なんですね。

 よくお母さん方から聞かれるのは、子供や幼児というのはもっとリスクが高いんじゃないか、大人を基準にして年間何ミリシーベルトという、そういうものを引用するのではなくて、子供や幼児はその二倍とか三倍気をつけなくちゃいけないんじゃないかという素朴な質問を受けるわけであります。今回の学校における規制を決めるに当たって、一般公衆のものをもとにして決めたのでは甘いのではないかという意見があります。

 以上二つ御質問で、内部被曝の問題と、子供は三倍ぐらいの安全係数を掛けて考えるべきじゃないかというような意見に対して、大臣の御所見を賜れればと思いますが。

高木国務大臣 いわゆる内部被曝をどうしておるのかということでありますが、これは、今言われましたように、子供は、砂場で遊ぶなと言ってもやはり遊ぶケースもありますし、吸うなと言ってもそれは無理であります。いろいろな面で可能性は出てくるわけでございます。そういうものを当然私たちは予想しておかなければならぬ。

 そういう前提で文部科学省が学校で調査を行った結果が、推計される内部被曝量は、いわゆる内部、外部を合わせた全体の被曝量の平均二%程度であるという確認をされております。これは、放射線医学総合研究所あるいは原研機構の方で計算をしておりますが、この推計は、いわば国際的ないわゆる安全、国際原子力機関、IAEAなどが土壌の調査の結果から内部被曝量を推定するために提唱している、信頼性の高い専門的な手法を用いて定めたところでございます。

 例えば具体的には、土壌に沈着している放射性物質が一定の割合で空中に巻き上げられる、こういうこと、それから呼吸によって吸入する再浮遊放射性物質量の推定、土壌を誤って口に入れること、それから傷口から放射性物質が入ってくること、こういったものも考慮した上での推計計算となっております。

 そういう考え方を踏まえて私たちは、児童生徒の生活パターンを安全側に配慮しながら、これまで皆さん方にお知らせをしたところでございまして、私たちとしては、特にICRPの考え方というのは、子供も大人も同様なということよりも、むしろ子供中心にこういう考え方がなされたということを私たちは承知いたしております。

 しかし、やはり乳幼児等においては、あるいは子供は通常的にも感受性が強いわけですから、子供のためにはできるだけ放射線を浴びないように、そういう配慮が必要だ、このことは言うまでもございません。

齋藤(健)委員 時間が参りましたのでこれでやめますが、今の御答弁、もう少し詰めたいなと私は思っていたんですが、特に乳幼児については、感受性が高いということを今大臣はおっしゃいましたが、一体どのくらい大人に比べて感受性が高くて、どのくらいの安全係数を見ておけばいいのかというのは、非常に皆さん心配を、気にしているところでありますので、また引き続き、機会をいただければ国会の方で議論させていただきたいと思っております。

 きょうは真摯な御答弁をありがとうございました。終わります。

松宮委員長代理 次に、下村博文君。

下村委員 自民党の下村博文です。

 まず喜ばしい話から。なでしこジャパンですけれども、今まで二十一敗三引き分けのアメリカに、決勝戦、とてもワールドカップで勝てないのではないかというふうに私は思っておりました。澤キャプテンは絶対世界一になるというふうに言っておりましたけれども、試合でアメリカが先制して、そして終了間際に日本が同点に追いついて、延長戦でやはりアメリカが先制して、それで終了間際に日本が追いついて、そしてPK戦で勝ったと。まさに神がかり的な、奇跡のような勝利だったと思いますが、それだけ本当に、日本人に、多くの国民に勇気と感動を与えたというふうに思えますし、被災地の皆さんも、本当に最大の激励だというふうに受けとめたというのが後で報道もされておられました。

 やはりスポーツというのはすばらしいなと思いますね。我々政治家が幾ら頑張っても、このような感動、感激、勇気を提供するというのは難しいことでありまして、それだけ、今回政府も国民栄誉賞を考えているということで、それはそれで、団体として初めてということでありますけれども、ぜひそうすべきだというふうに私も思います。

 この中で、なでしこジャパンに対して、せっかくこれだけの勇気と感動を与えてくれたわけだから、余韻として、パレードをした方がいいのではないかということを結構いろいろなところで言われまして、この間は、世田谷に講演で行ったときに世田谷の方から、地元に日体大があるけれども、そこの卒業生が三人いるから、ぜひ地元の商店街でもパレードをしたいと。

 そもそも、これも不確かな情報ですが、私もそこだけは映像で見ましたが、銀座でやろうとしたけれどもできないと石原知事が言っていたんです。何か、政府が反対しているのかやる気がないのかのような発言だったんですけれども、そもそも、別に政府主催ということでもないというふうには思うんですが、これは文科大臣として、私は何人かの方々から、やるのであれば被災地でパレードをやったらどうかという話も提案をいただいているんですけれども、ぜひ、文科大臣としてそのようなことができるのであれば、バックアップをして応援をしたらいいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 下村筆頭から、ある意味では我々も勇気あるお言葉をいただきまして、ありがとうございます。

 まさに奇跡的という言葉がぴったり、改めてしようとしてもできないようなプレーが勝利に結びついたと、これはまさに快挙であろうと思っております。しかも、必ずしも男子のサッカーチームとの比較において恵まれた環境ではないところからお一人お一人が頑張ってああいう結果を残した、全く無敵のアメリカに勝ったということ自体、私はやはり国民的な感動であろうと思っております。

 そういう意味で、官邸においては、これはまさに、これまで長い間の政府初め関係団体の協力の中でこういうことがあったと思っておりまして、その点を十分考慮しながらも、国民栄誉賞を今検討しておるということでございます。

 お尋ねのパレードでございますが、報道によって、石原知事からは、銀座でやるべきじゃないかということは耳にいたしましたが、政府が反対をした、そういうことではないと私は思っておりますが、やはりパレードというのは、今でも、それぞれの選手の出身地とか、あるいはチームの所在地に帰ったときにそれぞれやられておる姿を見ます。

 これを見ておりまして、けさの新聞ですか、サッカー協会の小倉会長が、今の当面のなでしこはいわゆるなでしこリーグ戦というものをやっておりますし、また今度はオリンピック予選というのが控えておりまして、サッカーファンの国民と喜び合う、そういう場で何らかの感謝する場がないか、こういうふうなことはサッカー協会としても検討されておると思っておりますが、ひとえに、それぞれ選手皆さん方の負担にもまたこれは配慮せぬといかぬと思っておりますので、御指摘の点についてはありがたく受けとめながら、我々としては、サッカー協会並びになでしこの皆さん方のスケジュール等も見守ってまいりたいと思っております。

下村委員 一部マスコミで、国民栄誉賞で何か菅総理が政治利用をするのはけしからぬみたいな話が載っていたのもありましたが、そんな狭い根性じゃなくて、国民栄誉賞を受賞をする前後にそういうパレード的なことを企画してもいいのではないか。

 それぐらいなでしこジャパンのあの優勝というのは、今の日本の状況そのものの象徴であると思うんです。ピンチである、このまま国難で日本がつぶれちゃうかもしれない、もうぎりぎりの中、しかし、団結力、結束力、そして、必ず勝つ、必ず復興するという強いその信念、情熱、その和によって勝利を導いたということが、今の多くの日本人にまさに勇気と感動を与えている象徴的なことだと思いますから、これはこれで積極的に評価をすべきだというふうに思うんです。

 その中で、ただ、サッカー協会の話が出ましたが、女子の場合には非常に恵まれていない。それぞれの選手も、本当にアルバイトしながらとか、あるいは正選手であっても、年収が男子サッカー選手に比べると格段と低額の中頑張っているということでもあるわけですから、サッカー協会に対して、いろいろなチャンス、可能性、これからオリンピックもあることでもありますし、いろいろなバックアップというのをぜひ国としてもこれを機会に一層考えるべき、スポーツ基本法もできたこともありますから対応すべきだと思いますが、いかがですか。

高木国務大臣 全く同感でございまして、そのように私たちとしても受けとめ、そして、できるだけ力強い支援を与えていくということであろうかと思います。

下村委員 そして、先ほども出ましたが、七月十六日の件なんですけれども、日本体育協会それからJOCの百年の記念式典、高木大臣は出席されておられ、祝辞も読まれておられましたが、菅総理が出席をしなかったと。これは、事務方によれば、突然のドタキャンであった、それまで出席予定であったということなんですね。その会場でたまたま隣に座っていた民主党の幹部も、総理が来ていないのはけしからぬ、たしかきょうは午前中は総理は日程は入っていなかったはずだと。事実、次の日に新聞を見たら入っていませんでしたから、来ようと思ったら来られたんですよ。にもかかわらず、出席しなかったと。

 私は二つの意味で問題だと思っているんです。一つは、天皇皇后両陛下が御臨席されている、百周年という大変重要な式典であったということです。それからもう一つは、これは先ほども出ておりましたけれども、いよいよ日本が二〇二〇年の東京復興オリンピック誘致に向けて、石原都知事がその後の祝賀会ですけれども表明をし、そしてIOCのロゲ会長も出席をして、ロゲ会長からも、祝賀会の中で二〇二〇年東京誘致に向けて前向きな発言が聞かれました。

 その中で、高木大臣は出席されておられましたが、やはり政府の代表としての総理が出るというのは、二重の意味で私は当然のことだと思うんです。それを急に官房副長官に代理であいさつさせるなんということは、二つの意味で軽視も甚だしいと思うんですよ。

 これについて実際高木大臣は、この菅総理の当日の欠席について、率直のところどんなふうにお考えなのか。率直のところをお聞きしたいと思います。

高木国務大臣 これは、日本オリンピック委員会それから日本体育協会の百周年記念について菅総理に出席をしてあいさつをという要請があっておりまして、文部科学省としても、総理にはそのようなお願いをしておりました。菅さんも出席を望んでいたと私は思っております。私としても、こういう災害という日程が、直前に私もちょっと耳にしましたけれども、総理にはぜひ来ていただくようにということを前日にも私は主催者から承りましたので、お伝えをしておる経過もございます。

 結果的には、総理が日程的に最終的には判断をされた結果だと思っておりますが、ぜひ出席していただきたかったなと思っております。

下村委員 高木大臣はわかって言われているのか、わからなくて言っているのかよくわかりませんが、総理は、今、被災地に行くと。午後、スケジュール的に確かに行きました。でも、総理のかわりに午前中代理で来ていた福山副長官も一緒に行っているんですよ。だから、行こうと思ったら行けたんです、時間的に。行こうと思ったけれども、行けたにもかかわらず行かなかったというのは、そっちで忙しかったんじゃないんです。やはり軽視しているんですよ。

 その事実関係は御存じですよね。

高木国務大臣 私は午前中に行くという情報を聞いておりました。実はそう思いました。ただ、副長官も一緒に行ったという意味では、ある意味ではびっくりしたような次第でございます。それがある意味では真意でございました。

下村委員 だから、そんなのを担当大臣として守る必要なんか全然ないんです。やはり、それだけ大切な式典を代理に行かせる、自分は欠席する。なおかつ、それ以上大切な用事があったわけじゃないんですよ、スケジュール的に見ても、あるいは事実関係を確認しても。公邸にいたんです。実際、予算委員会で公邸にいましたと菅総理は答えていますからね。本人はやめるつもりがあるのかどうかわかりませんが、幾らもうすぐやめるであろう総理大臣であっても、それは菅さん個人の話じゃないですから、日本国の総理として、やはりやるべきことをきちっとやってもらわなきゃ困りますよ。

 これについては、私がこれを取り上げたということ、国会で、実は衆議院の予算委員会でも取り上げられた、参議院の予算委員会でも取り上げられた、先ほども取り上げられたということですから、これは、だれが見てもやはり菅総理の判断は、完全に日本国の国益にとっても、あるいは内閣総理大臣としても重大な判断ミスであったということについて高木大臣が同意されるかどうか。それから、されたとしたら、私はきょうのことも菅総理にはきちんと伝えていただきたいと思うんですが、いかがですか。

高木国務大臣 下村委員の発言は、私は受けとめております。こういう議論があったということについてはお伝えをしたいと思っております。

下村委員 しっかり伝えていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、菅総理と高木文科大臣に関係することで、これも高木大臣は実は困っているんじゃないかと思うんですが、脱原発です。

 私も、今回の福島第一原発のことがあってから、我が国において将来的に自然エネルギー、再生エネルギーにシフトしていくということは、これは必要なことだと思います。

 ただ、タイムスケジュールなりプログラムがない中での脱原発ですから、国民から見たら、もうあしたにでも原子力発電を全部とめちゃうのかと。事実、そういうふうな状況になりつつありますよね。これは経済的には大々ダメージで、我々も、できるだけこれから自然エネルギーに原子力エネルギーからシフトしていくということは必要なことだと思います。

 ただ、具体的なタイムスケジュールをつくりながら、なおかつ、実際にできるだけ太陽エネルギーやあるいは風力や地熱等も、これは魅力的だとは思いますが、ただ、学べば学ぶほど、本当に、代替エネルギー、原子力エネルギーのかわりとしてのパワーを確保できるだけの技術力が今あるのかというと、まだありませんよね。

 それから、すべてが解決するわけじゃなくて、新たな環境破壊が起きることだってあるわけですから、これは慎重にきちっと組み立てをしながら、日本経済が結果的にこのことによって大ダメージにならないような方向転換をどうしていくかという、長期ビジョンをつくりながら進めていくということが必要だと思うんです。

 この中で、実際にこれから原子力エネルギーについて、原発について、それから「もんじゅ」のことも、中止のことについて発言されたとかされないとか、高木大臣ですけれども一部報道されましたが、これはされていなかったということですけれども、ただ、「もんじゅ」のことはとりあえずおいておいて、今後、原子力エネルギーについてどうしていくかということについては、現状維持のような状況では、少なくとも菅総理の発言だけを聞いていれば、これはシフトするということですから、そのまま予算を組んでいったらこれは整合性がとれなくなるというふうに思うんです。

 これについて担当大臣として、脱原発に向けて、今後原子力エネルギーについて、とりあえず来年度予算に向けて現在どんなふうに方針として考えているか、お聞きしたいと思います。

高木国務大臣 菅総理の脱原発の表明がございました。これも、記者会見の議事録を見ていけば前後の関係もわかるんですけれども、私としては、今後の原子力政策における重要な発言だと思っております。

 委員の御意見に対して私は全く反対するところはありませんし、私も、実は原子力の平和利用について推進をしてきた立場で活動してまいりました一人としては、今回の事故は、大変じくじたる思いがします。

 特に、先ほどもずっと出ておりますように、放射能に対する、あるいは放射線に対する不安、これは尽きないと。そしてまた、それに対する対応も、まだ確立されない技術もある。特に放射能の除染技術などについては、諸外国、先進国というところもございますけれども、画期的なものはまだ出ておりません。

 そしてまた、昨日も、例の損害賠償の支援機構法案も通りましたけれども、莫大な損害に対する賠償も、これからある意味では莫大な費用と莫大な歳月を要するものだと思っておりまして、こんなに原子力発電所の事故のリスクは大きいものかというのは、現実の問題として、我々としては真剣に受けとめておかなきゃならぬと思っています。

 したがいまして、私たちとしては、こういう問題については、やはり率直に今回の東京電力の福島第一原子力発電所の事故というものを、その原因は何であったのか、もちろん地震と大津波はありましたものの、そのことに対する対応、こういったものの徹底的な検証がまず必要ではないかと。

 それから、私たちは、もう何度も言いますけれども、資源の少ない我が国ですから、我が国をめぐるエネルギー資源の状況、これもしっかり見据えておかなきゃなりません。よその国から電力を買うという選択肢はないわけでありまして、そういう特殊なこと、あるいは、今言われましたように、自然エネルギー、太陽光、風力、これにこしたことはありませんが、こういった再生エネルギーがどの程度普及していくのか、こういう普及の可能性もやはり議論をしておかなきゃなりませんし、そういう意味では、各国等の取り組み状況も含めて、全体的なエネルギー政策というものの検討の中で、しかも、現実に原子力発電所を立地しておるところは、長い間の地域住民との理解と協力の中で進んできたわけでありますから、やはり、地域住民との関係も、信頼も大切にしなきゃならぬ。こういう中で私は議論すべき問題だと思っております。

 この問題については、短期、そして中期、長期と、こういう時間軸では物すごく長いものがありますけれども、今我が国の政府としては、当面、これは、エネルギーの環境分野の国家戦略という意味では、国家戦略担当大臣が議長となっておりますエネルギー・環境会議というのが今ありまして、これについても相当な議論をしていかなきゃならぬと思っています。

 そう短兵急にこの議論は収束するとは私は個人的には思っておりませんで、まさに、これまで蓄積された科学技術をこれからもどのようにして我が国は継承していくのか、そういう意味での挑戦ということも重大なこれは案件でございまして、私としては、しっかりした議論の中でこの問題についての方向性を決めていくものだと思っております。

 それにはある程度の時間がかかる、そして、その中で我が国の産業、経済の活力を喪失させてもいけませんから、その点にはやはり十分に気をつけにゃならぬと思っております。

下村委員 短兵急の結論を早く出せと言っているわけじゃないんですが、ただ、一方で脱原発ということも総理が言っているわけですから、やはり国家としての、政府としての方向性、指針ですね、これはやはり国民に明確に示さなければ、ただ不安感を助長させるだけで、今、国内企業がどんどん海外にもシフトし始めていて、各国大使館にもその問い合わせが行っているという話も相当いろいろなところで聞くんです。やはり、日本の政府のやり方について不安感を持っていると。このままだと原子力エネルギーがもうゼロになって、補完エネルギーもすぐ確保できませんから、それぞれの企業がもう経済的にはやっていけなくなるのではないか。

 そういう思いを持っている中でやはりしっかりとした方向、指針というのを打ち出すということは必要で、それは、やはり政府として、あるいは大臣としてもそうですけれども、総理としてもリーダーとして示さなくちゃいけないことなんですね。そのことについて理論的な積み重ねをするにしても、ちょっと待ってくれ、議論だけしていて何の結論も出ないというわけにいかない。

 そのことについて、原子力エネルギー、今の軽水炉の問題についても、これは、ストレステストも含めてこれからのあり方について議論していくでしょうけれども、同時に、大臣がちょっと発言して、そんなことは言っていないと訂正されたという「もんじゅ」ですね、核燃料サイクル、このことについては、軽水炉とは違いますよね。別の次元の問題でこれから議論していく。これも、新たなエネルギー資源対策として、供給対策として必要なことですが、ただ一方で、軽水炉以上にリスクが問われているということです。

 このことについては、一定の見直しを、早急にどうするかということを結論づけることは、やはりこれは必要なことだと思うんです。このことについて、それが結果的に予算として、ではどう計上していくかということにもつながってくると思います。

 これはそれぞれの政党が、自民党も今、新たなエネルギー政策でこれをどうするかということについて、今までの反省も踏まえて、批判ではなくて、新たな問題提起もしていく党内議論を今しているところでもありますけれども、政府としては、あるいは担当大臣としては、核燃料サイクル、それから「もんじゅ」、このあり方についてはどう考えていますか。

高木国務大臣 この「もんじゅ」については、これは、我が国のこれまでの原子力政策、エネルギー政策の中で、いわゆる高速増殖炉サイクルということで研究開発を行ってきたわけです。ウラニウム資源たりとも限られておる。その資源を有効に、効率的に活用し、しかも、高レベルの廃棄物をできるだけ少なくするという、ある意味では、非常に理想的なサイクルの研究だと私は思っております。

 これはひとえに、私どもの国の長期エネルギー政策、まさにこれは安全保障でもありますし、そういう中で、委員本当に承知のことで、もう昭和五十五年からこれは研究、建設をされてきておりまして、「もんじゅ」のナトリウム事故、あるいは、最近の連結部分の落下事故というのがございましたが、今、これの復旧を図りながら、再稼働に向けて努力をされておる、こういうことで承知をいたしております。

 この問題についても、私は、直近の報道もございましたけれども、中止とか廃止とかそういう話ではなくて、これについても、今私が申し上げたことを踏まえて、しっかりこれこそ議論をしなきゃならぬと思っております。

 同時に、これまで長い間かかわってこられた方々の、特に技術者、科学者の皆さん方の蓄積された英知、そしてまた、これは諸外国においてもまだまだこれについて取り組んでおる国もございまして、国際的な発言力、あるいは、今後の日本の地位ということもある意味では考えておかぬといけません。

 したがって、そういうものも含めて、私としては、この「もんじゅ」のあり方について、先ほど申し上げましたように、これも、全体的なエネルギー政策の中でしっかり議論もしなきゃならぬと思っております。

 当面、来年度予算をどうするのかという課題も迫ってきます。しかし、きょうの時点では、災害復旧の二次補正が上がっただけで、今度は三次補正というまた話もございまして、概算要求という、例年にない異常な状況でございます。

 そういう中でその点については言及できませんけれども、この「もんじゅ」についてのあり方、これは、多くの方々、皆さん方の意見をいただいて考えてみたいと思っております。

下村委員 きょう朝八時から自民党でも文部科学部会がありまして、この「もんじゅ」についての議論を始めております。

 ただ、その中で、あるいはきょうもそうだったんですが、文部科学省が的確な情報提供を今まで我々議員に対してしていなかったのではないか、夢のすばらしい構想というのは聞いていたけれども、今回のような事故が起きて改めてもう一度検証するとしたら、そのための材料になるものが、客観的なものも悪い情報も含めて正しくそれが開示されていなかったのではないか、こういう議論もありました。

 ですから、今後、このことも含めて、国民の皆さんによりフルオープンの情報を提供する中で、よりよき方向について担当大臣としてしっかり対応していただきたいと思います。

 そして、今、二次補正から三次補正の話がありまして、我々は本来は二次補正に入れるべきこととして提案をしていたんですが、残念ながら今回の二次補正には入っておりませんでした。東日本大震災に対処するための私立の学校等の用に供される建物等の災害復旧事業等に関する特別の助成措置等に関する法律案、これは、今国会でぜひ各党に御協力をいただいて議員立法で成立をさせたいと思っていることでございます。

 これは、公立学校と私立学校においての格差がありまして、同じ私立学校においても、一条校とそれから専修学校、各種学校の間で差があります。きょうも午前中議論がありましたが、この東日本大震災で壊滅的な被害を受けたところを含めて、被災三県を含む私立学校で被害を受けた学校が、我々が調べているだけでも千四百二十八校あります。

 これについて、公立学校と同じような、公立学校の場合には、これは、激甚災害の対象になるとほぼ九八%国の負担で建物を新たに建てかえることができるということですが、残念ながら、私学、私立の場合には、一条校の場合には二分の一国が負担をしてくれますが、専修学校、専門学校の場合にはそれも対象にならないということで、なかなか新たに建物を建てかえるということが難しい状況がございます。

 子供たちにとっては、これは公立も私立もないわけです。そういう被害に遭った学校の子供たちであっても、やはり同じ条件でできるだけ早く学ぶ機会をつくるということは必要なことだと思っていまして、これは、民主党の方でも協力をして賛同していただける状況があると思いますから、今国会でぜひ成立したいと思っていますが、本来は、これは閣法で政府が対応すべきことであるというふうに思うんです。このことについて政府としてどうお考えか。

 法案そのものはこれから出す予定ですが、この法案といいますか、基本的に、私学の公立学校と同じような助成、援助について、文科省としての姿勢を一応確認したいと思います。

高木国務大臣 私学についての災害復旧の点でございますが、今、御指摘がございますように、今の仕組みは、まず、激甚災害法に基づいて施設災害復旧費の補助、いわゆる二分の一を補助に加えて、教育研究活動の設備復旧のための補助、そして、日本私立学校振興・共済事業団が無利子、低利融資などを行って配慮をしております。

 そのために必要な経費としては、一千百億円余り、これは幼稚園から大学まで一千九十八億円、専修学校、各種学校で十七億円、こういったものについては、第一次補正予算で措置をしたところでございます。

 こういう私立学校についての災害復旧関連予算の執行を、現在のところ、これは精力的に進めておるところでございまして、このことによって学校の復興をすることが可能になろう、このように考えております。

 また、津波によって甚大な被害を受けた私立学校については、これまた先ほどから出ておりましたように、各地域においては、まさに、まちづくり復興計画といったものが今かなり出されておりまして、こういった中での学校法人の要望を受けて、これについては、こういったものがまとまれば、私どもは第三次補正予算などの対応を最大限努力をしていくということでございまして、今のところ、閣法として法案を出すことは考えておりません。

下村委員 これは既に公明党さんと共産党さんはもう賛同していただいていまして、民主党さんも、一部修正があるかもしれないということですが、賛同していただけそうな状況ですから、ぜひ今国会で議員立法として提出をして、そして、公私間格差をこのことについてはゼロにするということでお願いをしたいというふうに思っております。

 次に、学校に対する電気の使用制限についてお聞きしたいと思うんです。

 この間、ある私立学校にお子さんが行っている父母の方から電話がかかってきまして、うちの学校は、電力削減一五%、これをクリアしなかったら罰金百万とられる、こんなことがあっていいのかという怒りの電話がありました。

 そこで私も初めて聞きまして、そして文科省に来てもらったら、そうなんだと。これは、七月一日から、電気事業法第二十七条に基づく電力使用制限令というのがこの東京電力と東北電力の管内で発動されて、そして、故意による使用制限違反は百万以下の罰金となるということで、これが学校も対象になると。実際、契約電力五百キロワット以上の大口需要家すべてが対象になるということで、学校でいうと大学ですね。高校以下の場合には小口需要家ということだそうですけれども、大学以上だと、かなりの学校はこの対象になるということであります。

 そもそも、学校に対してこういう使用制限の対象にして、そして、どのような場合に故意になるのかならないのかわからないんですが、使用制限違反となって、そして司法の手続によって罰金を科される、こんなことがあっていいのかというふうに率直のところ思っているわけでございますけれども、これについての適用除外、制限緩和の対象というのもあるということだそうであります。

 文部科学省は、大学の附属病院は、これは適用除外、制限緩和の対象に経済産業省に要請したということですが、なぜ学校を対象にしなかったのか、文科大臣にお聞きしたいと思います。

高木国務大臣 電気の使用制限について、今議員御指摘のように、七月一日からそのような態勢になっております。

 これについて検討した中で私も発言をいたしましたが、議論としては、極めて深刻な電力不足、そして、もし対応しなければある意味では国民の命と健康も危ぶまれる、そういう認識を持ちながら、私としては、節電というのは日ごろから心がけることですけれども、特に、そういう状況の中であっても、大学病院については絶対これは制限緩和の中に入れるべきだ、こういう主張をしてまいりまして、そのようなことになりました。ある意味では極めて例外的な扱いであると私は認識をしておりました。

 一般的に、学校も教育、学習の非常に重要な場でございます。ちなみに、東京都で大変な電力を使っておるのは東京大学だと言われてもおりますけれども、大学においても試験研究で相当な電力需要者となっておりますが、一般的な学校は、特に義務教育においても、教室の窓側あるいは廊下の側、こういったところを消灯することによって大体一五%ぐらいの節電は達成可能になろう、こういうことが言われておりまして、この制限緩和の対象にされないところでございました。

 また、九割以上は、先ほど申し上げました大学とは違いまして小口需要家でございまして、電気事業法に基づいて電力使用制限は適用されないということになっておりまして、私たちは、教育効果を損なわないように配慮しながら、節電に対してもできるだけの協力をしていきたいと思っています。

下村委員 こういう状況ですから、一五%の節電努力をするということについては、これは国民の皆さんもそれぞれ了解をされていると思うんです。ただ、罰金を科すというのはいかがなものか。

 ずっとお待ちになっていただきましたけれども、具体的にお聞きします。福島大学は、原発事故の影響により放射線濃度が平常値より四十倍ほど高い、そういう数値となっている。そのことで、放射性物質が室内に入ることを防ぐため、窓の開閉により室内温度の調整を図ることが困難、かつ、震災により授業を八月に行わざるを得ない状況である。このことから、弁明書を出して電気使用制限の例外とすることを求めた。しかし、経済産業省は認めなかったと。どうしてですか。

中山大臣政務官 今、発電の次に大事なのは節電でございまして、今までの電力を補うのに節電というのが大変大きな要素になってまいりました。これは、私どもははっきり言って、きょうもこれだけ暑いですから、この議論にこの暑さが差しさわっているということであってはいけないと思いますし、ましてや熱中症であるとか、そういうことがあってはいけない、このように思っております。

 しかしながら、大学は、大人でもありますし……(下村委員「福島大学」と呼ぶ)福島大学。そういういろいろな福島の中の行政や何かは考慮はしてあるんですが、私どもは、今後、言っている罰金の件ですが、これは故意でなければ罰金はとらない、こういうことでございますので、その故意については、経済産業省から下村先生のところに差し向けて、もう一回この辺についてしっかり検討して、その検討の余地は十分あるというふうに思いますので、あとは文科省と相談して答えを出したい、このように思っております。

 私も、福島大学でそんなことがあるのを聞いたのは先生からの御質問でわかったわけでございまして、これを機会に経済産業省から差し向けて、話を聞かせてください。よろしくお願いします。

下村委員 福島大学が弁明書を出したけれども経済産業省は認めなかった。そのことについて福島大学に我が党として確認したら、やはり政府からいじめられるのは怖いんでしょうね、もう結構です、そのとおりに言うことを聞きますと言ったけれども、こんな弱い者いじめみたいなことをしているのはけしからぬ話だと思いますよ。圧力を加えるということじゃなくて、もう一度現場の状況をよくお聞きしながら対応していただきたいと思うんです。

 それから、今、故意かどうかという話がありましたけれども、これも経済産業省の説明には何も書いていないんですよ。この使用制限は、一時間当たりの使用電力で課す。瞬間的に使用電力が使用できる電力の限度を超過しても、つまり一五%削減できなくても、一時間当たりの使用電力量が下回っていれば違反とはならない。しかし一方、一時間単位で制限値を超えれば使用制限違反となる。例えば、続けて五時間連続で超えた場合には五回の違反となる。そうすると、五回の違反だから最高で五百万円の罰金がかかる。こういうことなんですね。

 では、その罰金の五百万円についても、何をもって故意なのか故意でないのかということについて経済産業省は説明をきちっとできていない。

 今もちょっと話がありましたが、例えば、違法性がなくなるような事例としての何か事故が起きた場合とか、熱中症予防のためにやむを得ず限度を超過した場合とか、それから機器の不調とか挙げましたけれども、では、それ以外の故意は何なのかという具体的な事例がないんですよ。とにかく自動的に、一時間単位で一五%削減できなかったら違反なんだ、こういうことなんですね。

 これは余りにも国家権力の横暴じゃないでしょうか。どうですか、これは。

中山大臣政務官 当然、法律ですから全国一律にやってしまうのは、そこはしようがないと思うんです。

 ただし、個別具体的にいろいろな条件があることはわかっておりますし、福島県は災害地でございます。そういう面でも、もう一度、先ほど申しましたように、どこが故意に当たるのか当たらないのかとか、もっとわかりやすくお話しすると同時に、文科省からお話があって、どうしてもこの大学が放射能の関係で窓があけられないとか、いろいろな条件をお聞きをした上で決めたい、このように考えております。

下村委員 時間が参りましたので終わりにしますが、これは東京電力管内と東北電力管内ですから、それから、故意か故意でないかは経産省が判断する、なおかつ、故意だったら罰金刑一時間当たり百万、これ自体が国家としての横暴だと思いますよ。努力義務を課して努力してくださいと依頼するのはそれはいいかもしれませんけれども、違反したら罰金百万だというのは、これはとんでもないことでありまして、少なくとも学校関係は撤回すべきだ、対象から外すべきだということを、自民党としてはこれは経産省に伝えました。

 経産省として、学校の対象をどうするかということ、それから、故意かどうかということでの罰金刑、これについては留保してもらいたいということで最後にちょっと答弁をいただいて、終わりにします。

中山大臣政務官 省庁がやはり横ぐしを入れなきゃいけない、こういうことで、文科省とよく相談をしていろいろ取り決めていきたいと思っております。

下村委員 終わります。

松宮委員長代理 次に、馳浩君。

馳委員 大臣、お疲れですか、大丈夫ですか。よろしくお願いいたします。

 朝からの議論を聞いていて、一点、放射性物質が原子力施設や管理区域の外にこれだけ大々的に漏れ出てしまったのは我が国始まって以来のことだと言われておりますし、その認識は大臣も変わりませんね。

高木国務大臣 かつてジェー・シー・オーの事故がございましたが、このような発電所サイトにおいて大量にということについては、初めてだと思っています。

馳委員 そうすると、それぞれの委員会でも指摘が多々あったんですが、したがって、漏れ出してしまった放射性物質をいかにして低減をさせていくか。そして、放射性物質のついた廃棄物など、きょう議論になっておりました土壌や、これは農用地の土壌にもかかわりますよね、こういったものを低減させていく措置が必要だと思いますけれども、それには一定のルールが必要ではないかとこういうふうに言われてきているんですが、その認識は大臣も変わりはないですよね。

高木国務大臣 今、課題としては、そのような放射性物質をいかに除染をしていくのかという、そういう技術の開発が求められております。残念ながら今そういうものがありませんので、しかし、ピンチはチャンス、まさに、こういうところにこそ我が国の持てる科学技術の結集をしていかなきゃならぬと思います。

 もう一つは、いわゆる、そういう汚染されたものを、除去したものをどこに持っていくのか、こういう廃棄物処理のルール、これはまさに今、環境省を中心として、もちろん経済産業省もそうでしょう、私たち文科省もそうです、まさに、政府として早急に結論を出すことが求められておると思います。

 そのためには、やはり多くの、もちろんこれは、国の内外を問わずそういった知見を寄せ集めていく、そういうことが必要であろうと思います。

 きのうも、いわゆるIAEAの事務局長が私のところにも来られまして、私からもその点についての協力についてはお願いをしておきました。

馳委員 この点については、私はきょうは個人的な見解としておさめておきますが、やはり今国会中に、漏れ出してしまった放射性物質、そして、それの付着した廃棄物の処理についてのルール、これはまさしく立法です、新規立法のもとで、今大臣がおっしゃったように、最新の科学技術、除染に関する技術、そういった知見を投入して、ルールづくりと最新の科学技術を活用することを同時並行で進めていかないと、いつまでたっても今避難しておられる福島県の方々は、もとの家に戻れない、生活のめどが立たない、こういうふうになってしまうと思うんですよ。

 こういうようなルールづくり、また、最新の科学技術もどんどん活用していくということについての大臣の認識はあるということ、私の認識と変わらないということでよろしいですね。

    〔松宮委員長代理退席、委員長着席〕

高木国務大臣 私も同様な認識でございます。

馳委員 さて、きょうは、今までの震災関係とちょっと離れまして、古九谷論争について、文化財に関する論争についての質問をさせていただきます。

 十七世紀の中ごろ、我が国の色絵磁器の王者と呼ばれる古九谷が誕生しました。九谷焼のルーツとして、長らく、石川県加賀の九谷で生産されたと信じられてまいりました。しかし、一九六〇年代以降、考古学的発掘が有田、九谷の窯跡で進められ、伝世する古九谷に類似する破片が有田から出土するに至りました。そこで、古九谷は有田で生産されたという古九谷伊万里論が起こり、有力視されています。

 しかしながら、古九谷の伝統技法は、有田ではなく加賀に受け継がれており、名品の多くは加賀に伝世してまいりました。また、加賀の九谷での色絵窯跡の発見など、新事実もわかってまいりました。

 果たして古九谷の産地はどこなのか。この問題は、一部の学者だけではなく、広く陶磁器ファンの間でも関心を持たれ、日本陶芸界の邪馬台国論争として今日に至っております。

 このような観点から、私は昨年、東京国立博物館を初めとする独立行政法人の国立博物館において古九谷を伊万里古九谷様式として展示していることに関する質問主意書を、三月一日、四月十五日、十月十五日の三度にわたって提出をいたしました。

 本日、改めて質問をいたします。

 まず一問目です。加賀や有田のみならず、近年は、地域振興の観点から、文化財が、観光客、とりわけ外国人観光客誘致の観点から注目されています。文化庁も、文化財の活用を推進していると思います。また、国立博物館を独立行政法人化した政策も、国立博物館の持つ文化財の積極的活用を目指したものと思われますが、文部科学省の見解をお伺いいたします。

高木国務大臣 御指摘の古九谷にかかわる問題ですけれども、古九谷にかかわらず文化財については、これは、地域の活性化、観光資源、あるいは振興について大変な役割が認識をされておりまして、その積極的な活用が期待をされております。

 このため、平成二十三年度の予算においては、新しく、文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業というものを計上いたしまして、地域の文化遺産を活用した取り組みを支援することにしております。

 また、これは独立行政法人になりますが、国立文化財機構においても、文化財を活用した歴史、伝統文化の国内外への発信に努めておりまして、私どもとしましては、この文化遺産を活用した地域の取り組みについては、積極的に支援をしてまいりたいと思っております。

馳委員 文化財保護法の規定から、文化財の定義を考えてみます。

 この法律には、文化財の定義は記載されているものの、指針となるメルクマールがありません。法律としては不十分です。明確な定義がなくて文化財行政をどう実施、展開するのかと私は思います。

 私は、文化財とは、風土論としても美術論としても歴史論としても、学術的にも民俗学的にも地域の誇りとなるものと考えておりますが、この見解はいかがお考えと思われますか。文化財保護法の文化財の定義とあわせてお聞かせをいただきたいと思います。

吉田政府参考人 文化財保護法におきましては、文化財の定義を第二条で定めております。陶磁器などの工芸品につきましては、「有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの」というふうに定めております。

 国として、その有形の文化財のうち重要なものを重要文化財ということで指定をしておりますけれども、その基準として国宝及び重要文化財指定基準というものを定めておりまして、その明確化を図っているところでございます。

 また、文化財保護法第三条、第四条を見ますと、文化財は我が国の歴史、文化等の正しい理解のために欠くことのできないものであり、かつ、将来の文化的発展の基礎をなすものであること、あるいは、貴重な国民的財産であることなどが掲げられております。

 このように、重要文化財を初めとした文化財は、学術的、歴史的、あるいは芸術的などさまざまな面で我が国の誇りとなるものであり、また、先生御指摘のように、同時に、それらの文化財をはぐくんできた地域の誇りにもなるというふうに考えております。

馳委員 ちょっと意地悪な質問を吉田さんにしますね。

 あなたが今から陶芸教室に通って陶磁器をこさえたら、それは国宝になりますか。

吉田政府参考人 百年後ぐらいであれば可能性があるかもしれません。

馳委員 百年と言われましたが、まさしく、文化財と指定をされ、まして、それがさらに重要文化財とか国宝となるに至るまでにどのようなプロセスがあったかについての評価、そしてその尺度といったものが明らかにされる、それを学術的に明らかにしていくのが文化庁のやはり仕事であると私は思うのでありますが、私のこの認識でよろしいですね。

吉田政府参考人 そのとおりだと思います。

馳委員 では、次の質問に移ります。

 文化財保護法では、文化財のうち重要なものを重要文化財として指定しています。その一つに古九谷色絵竹叭々鳥文大皿があります。これを重要文化財に指定したときの古九谷とは学術上どのようなものを考えていたのか、お聞かせをください。

吉田政府参考人 御指摘の古九谷色絵竹叭々鳥文大皿につきましては、昭和二十七年三月二十九日に国の重要文化財として指定をしております。指定当時におきましては、一般的に、江戸時代初期に現在の石川県加賀市内で描かれたとされる色絵つきの磁器のことを、古九谷ということで認識をしておったところでございます。

馳委員 現在、東京国立博物館を初めとする独立行政法人の国立博物館では、古九谷を、伊万里古九谷様式もしくは伊万里焼として展示しています。これは、かつて石川県で制作されたと言われた古九谷が、すべて佐賀県伊万里、つまり有田で制作されたものと断定してのことと思いますが、こうした伊万里古九谷論争は、器と絵付け産地の問題も含め、近年の調査研究では反論資料も出てきており、決着していない問題です。

 この問題について、国立博物館では断定的な表示を行っていますが、これについてはどのように判断をしておられるのでしょうか。

吉田政府参考人 一般論といたしまして、独立行政法人国立文化財機構が設置する博物館において展示される文化財の表示につきましては、機構の責任において行われておるものでございまして、国として、それについてはコメントする立場にはないかと思います。

 なお、この点につきまして、機構からは、御指摘の表示については、関係学会における学術研究の成果などを踏まえまして、当時の肥前で焼かれたと考えられるものについては、産地を伊万里とし、分類を古九谷様式として表示したというふうに聞いております。

馳委員 重要文化財として指定したときは、古九谷色絵竹叭々鳥文大皿なんですよ。それが国立博物館での表示は、伊万里古九谷様式となっているんです。

 だったら、法律改正して、伊万里古九谷様式と指定し直したらどうですか。それとも、学会の説というのは、今後とも、証拠が出てくれば変わり得るとでも文化庁は考えておられるんですか。お聞きいたします。

吉田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、国立文化財機構が行います展覧会におきましての文化財表示については、その機構の判断において行われるものでございます。

 ただ、先生御指摘の、学術的な成果といったものによりましてそれが文化財の考え方の方にも影響してくるということは、将来的にはあるかと思います。

馳委員 大臣、今聞いていて、ちょっと答えていないでしょう。私はこう言いましたよね、文化財保護法に従って古九谷色絵竹叭々鳥文大皿と指定されているんです。それが国立博物館では伊万里古九谷様式と表示されているんです。これは、一々学会の学術的な成果についてコメントしないというふうな逃げの答弁をしておられるというふうに認識を今持ったんですよ。

 だったら、学会の説を、本当にそのとおりなのかということも含めて文化庁が判断する、まさしく文化財としての定義を明確に持つべきではないですか。だからさっき私は、吉田さんがつくった陶芸教室の陶磁器は重要文化財になり得りますかということを、ちょっと意地悪ですけれども聞いてみたんですよ。その基準を文化庁がつくると言ったじゃないですか。

 表示が違うんだから、文化庁として判断されるべきではないですかと思いませんか、大臣。

高木国務大臣 今の、重要文化財の指定が実際の展示物として表示されていないというのは非常にわかりにくいことで、私としては、ちょっと実態把握をしてみたいと思います。

馳委員 さて、次の質問に移ります。

 我が国の重要な伝統産業である九谷焼を、そのルーツというべき古九谷が石川県産ではないとする伊万里古九谷様式として表示したことの影響について、その後の九谷焼にかかわる産業界に多大なマイナスイメージを与えました。

 また、古九谷表示イコール伊万里古九谷様式などという、一般国民にはおよそ理解できない認識を展開する研究者が、学会がですよ、出ておりまして、博物館や美術館での展示表示の混乱を助長しかねない問題に発展しております。このことを文化庁はどのように認識をしておられますか。

吉田政府参考人 御指摘の点につきましては、独立行政法人国立文化財機構からは、関係学会における学術研究の成果などを踏まえて、当時の肥前で焼かれたと考えられるものについては、その産地を伊万里とし、分類を古九谷様式として示している、こういうふうに聞いております。

 なお、繰り返しになりますけれども、学術的な研究や博物館、美術館での展示表示につきましては、それぞれの設置者の判断で行われるべきものと思います。

馳委員 ちなみに、私はちょっと意地悪な質問をしますね。

 この佐賀県肥前鍋島藩と加賀前田藩とどのような御縁があるか御存じですか。これは実は大きなポイントなんですよ。どうでしょう。

吉田政府参考人 古九谷が生産された当時におきまして、鍋島藩と、大聖寺藩と言っていたかと思いますけれども、その間に縁戚関係がございました。

馳委員 そうなんですよ、大臣、ここが実はこの論争の一つのポイントでもあって、鍋島藩の娘さんが二人、加賀前田藩の系列である大聖寺藩にお嫁入りしているんです。江戸時代における藩同士がお嫁入りをすることの意味、はっきり言いますけれども、まさしく産業的な結びつき、地域としての結びつきというものを否定することはこれはできないんです。

 むしろ、十七世紀後半に伊万里から世界に向けてたくさんの陶磁器が輸出される、輸出産業となっていたことともあわせまして、また、この地域において作陶の歴史が営々と伝わってきた、これは朝鮮半島や中国から伝わってきたわけでありますけれども、その歴史と全く無関係ではないということを考えないと、何で古九谷の話と伊万里焼の話と馳さんはくっつけて話をしているのかなというふうに誤解を受けると思うんですが、実は、この両藩の縁戚関係というものは極めて大きな意味合いを持っているということを文化庁もよく理解してほしいと思っているんです。

 きょうの指摘を受けて、もうちょっとその縁戚関係を調べていただけますか。

吉田政府参考人 縁戚関係があるということは私どもも承知をしておりまして、その点で、いわゆる伊万里と当時の九谷との間の技術的な交流があったということを認識しております。

馳委員 江戸時代における藩と藩との縁戚関係、わかりやすい言葉で言えば政略結婚、いい言葉で言えば、強力なタッグチームの結成なんです。私は、この意義を産業の側面からもやはりとらえていただきたい。ここに古九谷伊万里論争の一つの原点があるということを実はお伝えしたくてこの話をしているんです。

 次の質問に移ります。

 石川県にある国指定史跡九谷磁器窯跡は、保存と活用を図るべく、今後整備が検討されています。近年、この遺跡に追加指定された九谷A遺跡で発見された色絵付け窯跡や青手などの色絵磁器片の存在から、古九谷の生産遺跡であるという趣旨の説明看板などの現地表記を整備に伴い行うべきだと考えております。文化庁の見解をお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 国の指定史跡でございます九谷磁器窯跡につきまして、管理団体でございます加賀市において、平成二十四年度から遺跡の保存整備を進める予定と聞いておりまして、その一環として説明板の設置などが行われるものというふうに考えております。

 説明板の表記に当たりましては、現時点では古九谷の生産遺跡であるとの断定はなされていないわけでございますけれども、この文化財指定の趣旨を踏まえまして、適切な表記がなされるものと期待しております。

馳委員 文化庁所有の国指定重要文化財古九谷色絵牡丹獅子文銚子が、平成十九年の、文化庁、九州国立博物館主催日本のやきもの展で、重要文化財指定名称とは異なる伊万里(有田)古九谷様式という表示で展示されておりました。これは事実ですか。

吉田政府参考人 そのとおりでございます。

馳委員 どうして本来の名称とは違う名称の表示をして展示したのですか。

吉田政府参考人 御指摘の日本のやきもの展におきまして、その名称の中に産地名や分類名を示す部分が含まれている文化財につきましては、簡潔に、かつ観覧者にとってわかりやすく表示するという観点から、基本的に、これらの産地名や分類名を示す部分を区分いたしまして、別に表示をしたところでございます。

 御指摘の重要文化財についても、これに従いまして、伊万里(有田)古九谷様式というふうに表示をさせていただいたものでございます。

馳委員 文化庁の主催事業でこうした表示をするのであれば、重要文化財の指定名称を変更した上で実施すべきではありませんか。見解を求めたいと思います。

吉田政府参考人 重要文化財の名称は、その指定に際しまして、重要文化財を特定するためにつけられるものでございます。

 博物館における重要文化財の展示において、指定した際の名称と異なる表示がなされたとしても、その重要文化財の特定に支障がない範囲内であれば、特段の問題はないものというふうに考えております。

馳委員 特段の問題はないわけがないんです。

 では、何でそういった名称でもともと重要文化財に指定したんですかというところから始まり、先ほど私が指摘したように、九谷産地の我々石川県民としては、何でなの、ちゃんと説明してよ、だったら文化庁で名前を変えればいいじゃないのと指摘せざるを得ないんですね。いかがですか。

吉田政府参考人 江戸時代初期に九谷で焼かれた色絵磁器は、少ないながらも存在をしております。現在、古九谷とされております色絵磁器をすべて古九谷様式というふうにすることは適切でないとは思っております。

 ただ一方、古九谷が、加賀産説であるとか、あるいは素地移入説につきましては、これらを実証的に裏づける新たな学術的な知見は現時点ではまだ得られていないというようなことがございます。

 今後、古窯跡の発掘調査などに対しまして、確実に江戸初期に有田で焼かれた素地に色絵を施した磁器と、それから、九谷で焼かれた素地に色絵を施した磁器、そういったものを整理しながら研究を重ねていくということが重要かというふうに思います。

 なお、いわゆる古九谷として指定されました重要文化財は、先ほど名前の挙がりました色絵竹叭々鳥文大皿を含めまして五件ほどございますけれども、これらについてさらに研究を行う必要がございまして、現時点では、その重要文化財の名称変更などを行う段階には至っていないものというふうに考えております。

馳委員 私はさっきから一言で陶磁器と言っておりますが、古九谷は磁器でありますね。それで、有田の登り窯で色絵の破片が見つかっているんですが、登り窯では色絵磁器は焼けるんですか。

吉田政府参考人 登り窯では焼けません。

馳委員 登り窯では色絵磁器は焼けないんです。これが陶磁器界全体の共通した見解なんです。でも、有田の登り窯で四つの色絵の破片、そのうち、陶器が三つ、磁器が一つ、これが見つかったことが、先ほど次長もおっしゃいました古九谷伊万里説の有力な考古学的な証拠になっているんですよ。でも、登り窯では色絵磁器は焼けないんです。ということも含めて、さらに今論争が深まっているのが現状なんですね。

 一応このことを指摘して、私は、きょうは、その登り窯で色絵は焼けないということの追及をこれ以上はしません。さらに私も関係者から事情聴取した上で再度質問しますから、それまでに吉田次長もよく勉強しておいてください。

 さて、次の質問に移りますが、ここ数十年間、古九谷の名品で、東京国立博物館所蔵の古九谷色絵竹叭々鳥文大皿が一般公開されなかったため、ちまたにさまざまな憶測が流れました。それだけ世間から注目を受けているのが古九谷なんです。

 この古九谷が、石川県立美術館主催の加越能の美術展に二〇一〇年九月から十月の一カ月間展示されることとなったのは喜ばしいことでした。問題の名称表示は、伊万里古九谷様式ではなく、文化財指定名称のとおり、古九谷として展示されました。

 先ごろ、この問題に関して政府から国会答弁があり、各博物館で展示する文化財の表示は設置者の責任と判断によるものと認識しているとの見解を示されたところでありますが、文化庁の見解を再度伺います。

吉田政府参考人 さきの質問主意書に対する答弁書でお答えをさせていただきましたとおり、各博物館において展示される文化財の表示については、それぞれの設置者の責任と判断によって行われるものというふうに認識しております。

馳委員 まだそんなことを言い続けていますね。このことを本当に我々プライドをかけて石川県民としてさらに追及していきたいと思いますが、古九谷の有田産説と加賀産説とでは随分違います。

 伊万里焼、つまり有田産説では、一六四四年ごろから一六六一年ごろまでとしています。古九谷はすべて有田産で、加賀の九谷では一切焼かれていないという主張です。一六五九年に伊万里焼は大々的な海外輸出期に入るため、国内向けだった古九谷様式は消滅したと考えているわけです。

 加賀産説では、一六五五年ごろから一七〇〇年ごろまでとしています。色絵を含め、十七世紀前半の有田の窯業技術を学んだという考えで、有田、九谷双方で焼かれたという主張なんです。伝世品には、伊万里素地に加賀で絵つけした古九谷があるとの学説も唱えられています。

 この古九谷伊万里論争にはまだまだ未決着の部分が多く、古代史のロマン、邪馬台国論争に似たところがあります。学術論争は大いにすべきでありますが、国がいずれかの説に圧力をかけたり、どちらかの説を優位に採用したりとすることはすべきではないと思いますが、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 御指摘の、関係学会等におきます学術研究の内容につきましては、国としてこれを判断する立場にございませんので、国として、いずれかの説に圧力をかけたり、あるいは優位を持たせたりというようなことは一切考えておりません。

馳委員 むしろ、この論争を生かして、有田及び九谷の窯跡などの文化財整備と連動した文化財の実効性ある保存と活用を図り、陶磁器を好む中国人などの観光客誘致に生かすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 我が国は、その地域の風土や人々の中ではぐくまれ、他国の文化との交流などを通じて形づくられ、現在まで守り伝えられてきました文化財が各地域で多様に、豊かに存在をしておりまして、このことは、我が国の誇り、それぞれの地域の誇りでもございます。

 各地に伝わる文化遺産の活用は、地域経済の活性化や雇用の増大の切り札ともなり得るものでございまして、文部科学省といたしまして、平成二十三年度予算において、新たに、文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業を計上し、史跡整備や博物館活用のための取り組みも含めまして、地域の文化遺産を活用した観光振興、地域活性化の総合的な取り組みを支援することとしております。

 文部科学省としては、今後とも、文化遺産を活用した観光振興、地域活性化の取り組みを支援してまいるつもりでございます。

馳委員 経済産業省にお伺いをいたします。

 有田焼や九谷焼などの伝統工芸品の商標登録等、文化財名でもあるブランドの保護はどうなっているのかをお伺いいたします。

 特に、中国や韓国では、まがいもののなんちゃって有田焼やなんちゃって九谷焼が登録をされているということはありませんか。お伺いいたします。

橋本政府参考人 ブランドについてお答えいたします。

 まず、有田焼、九谷焼ともに中国で第三者により登録されているという事実が確認されておりまして、特に有田焼につきましては、その登録商標の存在により、有田焼の名称を使用した商品を、実際の有田焼を焼いた方が展示会に出展できないといった被害があったと承知しております。

 なお、韓国においてはそのような被害は聞いておりません。

 経済産業省では、こうした伝統工芸品を含む中国などにおける日本のブランド保護に関しまして、海外での法的対応のマニュアル、これを作成、配付する、あるいは自治体、関係団体へ支援する、それから、中国政府への働きかけなどによって対応策を実施してきたところでございます。

 このような中国政府への働きかけによりまして、近年、中国側は、例えば日本の地名などにつきましては厳格に審査するということを約束するなど、この問題に対する姿勢が変わりつつございます。

 経産省、政府としても、引き続き中国政府との協議、情報交換等を行い、我が国の自治体、関係団体等に対する支援策の充実を図っていく所存でございます。

馳委員 その姿勢はわかったんですが、この有田焼は、撤回させて損害賠償を請求したんですか。お伺いいたします。

橋本政府参考人 お答えします。

 私どもの今の調査では、有田焼につきましては、中国側の制度によりまして、例えば商標登録をされますと、公告という制度があって、その三カ月以内は異議申し立てが可能、あるいは取り消しの審判が可能ということでございますけれども、本件は、残念ながら既に法的な期限を過ぎてございまして、したがって、この通常の手続ができない。ただし、不正手段によって取得された登録につきましてはまだ主張できる可能性がありまして、そういう可能性はございます。

 それから、商標を使っておりませんと不使用取り消しという制度がございますので、もし使っていなければ、そういった形での取り消しの審判の請求ができるということになってございます。

馳委員 取り消しの審判ができるというだけで、していないんですかということを私は聞いているんですよ。

 これは、きょうは大臣に問題意識を持ってもらった方がいいと思うんです。敵もさる者というか、中国もひどいことをやりますよね。結局、有田焼という名前を先に登録しちゃって、それで商品をつくって売りさばいているんです。有田焼です、有田焼ですと言えば、日本から中国に観光客で行った人、あるいは世界的に、柿右衛門の話などをしてもいいと思いますが、ああ、これはそれに違いないと言って、有田焼というブランド名になっていると言って買い求める人はそれはいます。これは明らかに、我が国の有田焼に対する越権行為甚だしいものであります。

 私は、こういう問題は速やかに、中国の法律に従って云々ではなくて、我が国の威信をかけて撤回をさせ、謝罪を求め、こういったことのないように真正面から外交上の問題として、産業上の問題としても取り上げるべきだと思いますし、ましてや、重要文化財として指定される筋合いの我が国の財産じゃないですか。

 それについて私は余りにも腰が引けているなと今の御答弁を聞いていて思いました。大臣いかがされますか。

高木国務大臣 馳委員の非常に見識豊かなお話をお聞きしておりました。

 私も、北陸に旅するときには九谷焼を拝見する機会もありますし、また、地域的には、佐賀の有田焼祭りにもたびたび出かけたことがございます。今お話しのように、加賀の前田藩と肥前佐賀の鍋島藩の関係についてはよくわかりました。

 その上で、やはり文化財ですから、我が国の希少な伝統文化、焼き物にしても、これがおかしなレッテルで散乱するといいますか放置されることは、これは我が国にとってもよくない。我が国よりもむしろ、世界でそういう文化財遺産を大事にする方々にとっても理解できないことだろうと思っております。

 私としては、しっかりきょうの議論を、もう一回実態の把握に努めてみたいと思っております。気持ちとしては、そのようなことで対応しなきゃならぬと思っております。

馳委員 きょうのあの特許庁の方の説明によって事態が明らかになったわけなんですよ。これは吉田さん、次長の一つの責任というか、問題意識の持ち方にもよると私は思うんです。

 なぜならば、重要文化財として文化庁が指定をしているこの伝統工芸品の有田焼について、登録商標として中国がとっちゃって、それを使っているわけですよ。本家本元の日本の有田焼の立場を考えてください。それを重要文化財として指定している文化庁は、もうちょっと気合いを入れて抗議して撤回させ、謝罪をさせ、賠償を求めるぐらいのことをしてもいいんじゃないんですか。それとも、今までこのことは知っていて知らんぷりしていたんですか。吉田さんに伺いたいと思います。

吉田政府参考人 私どもの方でも、そういった商標登録が中国でなされているということについては私も知っておりましたけれども、商標権の設定の問題ということでもございますので、それについては私どもの方は静観をしておったところでございます。

 ただ、先ほど大臣もおっしゃられましたように、また何ができるのかということについては、特許庁などとも相談してみたいと思います。

馳委員 静観をしていたという日本語というのは、結構都合のいい表現ですよ。静観をしていた、私が言ったように、知っていて知らんぷりしていたというのと同じじゃないですか。我が国の国益を守るためにも、文化財的な見地から、文化庁はもっとやはりびしっと怒るべきですよ。すぐに行動に移すべきであります。

 きょうはほかにも質問を用意してきたのではありますが、きょうは時間となりましたので、日を改めてたっぷりとまたこの問題について指摘をさせていただきたいと思います。

 もしそのときまでに何も吉田次長がしなかったら、きょうみたいなことでは許しませんよ。ちゃんとしっかりと行動することをお願い申し上げて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、松野博一君。

松野(博)委員 自民党の松野博一でございます。

 まず、教科書検定における事実認定のあり方について質問させていただきたいというふうに思いますが、一つの事例を挙げて議論を進めたいと思います。

 関東大震災発生時に、その後、朝鮮半島出身者に対する殺人事件が多数発生をいたしました。このことに関して、検定を受けたそれぞれの教科書について、被害に遭った人数等、それぞれ何人というふうな記載になっていますでしょうか。

山中政府参考人 関東大震災において朝鮮人の方々が殺害されたという事件につきまして、小学校、中学校あるいは高等学校の歴史、高校の場合は日本史ということになりますけれども、教科書で記述されているところでございます。

 犠牲者数については、それぞれの教科書によって記述は異なっておりまして、多数の、多くのという表現、あるいは数千人、あるいは六千人に上るというふうな表現等、いろいろな犠牲者数についての記述がなされているところでございまして、教科書によって異なっているところでございます。

 教科書は、教科書発行者がそれぞれの考え方、創意工夫の中で著作、編集を行っているものでございまして、学習指導要領に基づいて具体的な事項についてどのように記述するかということについては、まずは、一義的には教科書発行者の方の判断にゆだねられているというものでございます。

松野(博)委員 あわせて、この殺人事件等に警察、軍隊が関与したというふうに表記されている教科書は何冊ありますでしょうか。

山中政府参考人 それによって何人がとか、そういうことはございませんけれども、そういう関東大震災の地震、火災の混乱の中で、軍隊、警察がそういうものに関与したというふうに記載しているという教科書もあるというところでございます。

松野(博)委員 例えば、日本文教出版には、自警団あるいは警察、軍隊が朝鮮人など数千人を殺害しましたという記述があります。清水書院にも、警察、軍隊、自警団によって殺害された朝鮮人は数千人にも上ったという表記があって、警察、軍隊の関与が書いてある教科書が三冊ありますし、数千人を殺害した、殺害された被害者は数千人に上るというふうに書いてある教科書が二冊あります。他は、多数の朝鮮人の方々がこの殺人事件の被害者となったというような表記になっておりますが、この事件で犠牲になった朝鮮半島出身者は、公的な記録、例えば裁判記録、また各担当省庁の調査による記録では何名というふうになっていますでしょうか。

小川(敏)副大臣 裁判の結果からという観点からお答えをさせていただきますが、そうした統計資料がございませんので、わからないというところが事実でございます。

 また、現時点では、やはり裁判記録等がないものが多数でございますので、現時点からそれを把握しようとしましても困難である、このような状況でございます。

松野(博)委員 大正十二年十一月三十日発表の司法省の調査によって、これを内務省の警保局が取りまとめた発表によりますと、この事件でのお亡くなりになった被害者は二百三十一名というふうに発表をされております。

 また、別の公的な記録によりますと、朝鮮総督府の官房外事課では、地震による圧死、押しつぶされて亡くなられたり、火事、焼死者で亡くなられた方も含めて八百三十二名というふうに発表をされておりまして、これは地震による直接被害を含めた八百三十二名でありますから、これは文献からの又引きでありますが、恐らくこの殺害事件の被害者になった方はこの二割から三割ではないかと推測がされるという表記がありました。これから推測しても、八百三十二名の二割から三割でありますから、恐らく二百名前後ということだろうというふうに思います。

 この議論をするときに二つ私は前提を持っておりまして、これは、別にこの教科書が民主党政権になって急にこういう表記になったわけではありません。私たち自民党が与党のころからの表記でありますから、与党議員として審議に加わっていた私も責任がありますし、まして、私は文科省に籍を置いたこともありますから、そういった意味では自分の不勉強も反省をしつつ、その上で、しかし正すべきものは、今後の日本の教育、子供たちの正しい歴史観をつくっていくために正していかなければならないという考えで今回質問をしているわけであります。

 先ほど、初等中等局長から、教科書に関する記述というのは、一義的にはその執筆者と出版社によるものだというような話がありましたが、しかし、これは検定制度がある以上、そこには検定基準というものが存在をするわけであります。そして、その検定基準の最大のものというのは、それが歴史的な事実であるかどうかということだというふうに思います。

 日本の公的機関であります司法省、また内務省の警保局が取りまとめたものが二百三十一名、朝鮮総督府官房外事課が、すべての地震被害者も含めて八百三十二名であるが、そのうちに殺害事件の被害に遭った方も含まれているというような発表をされているわけですね。そうしますと、当時の日本国の当局の正式な発表というのは、この二百名前後、二百三十一名から二百名というような発表がなされていることから考えれば、当然それが一つの基準であって、数千名というふうな記述は、これは明らかに、二百名というものと数千名というのは事実に対する事象が全く変わってきてしまいます。

 もちろん、これは、二百名を超える被害者の方が流言飛語、全く悪質なデマ等によって犠牲になられたということは大変なことでありまして、私たちはこの悲しい歴史、現実というのをしっかりと記憶をして、反省をして、そして二度とこういうことが起こらないように努めていかなければなりませんが、しかし、歴史的事実を子供たちに伝えていくということにおいては、警察、また軍隊が関与をして数千名が殺害されたということは、警察、軍隊というのは国家意思でありますから、その国家意思によって数千名の朝鮮半島出身者の方が殺害された、これはまさに全く事実が、事象が違ってくるわけであります。

 先ほど、現在、裁判記録等で正式にこの数字が把握できないという御答弁が法務省の方からありましたが、委員長、このことは、この問題を議論する、また教科書検定制度のありようを議論するにおいて極めて重要な数字になりますから、当時とはいえ、司法省と朝鮮総督府から数字が出ているわけでありますから、しっかりと政府として、この被害者が何名であったと認定しているのかということをぜひ、まずは理事会の方に報告をしていただきたいと思います。

田中委員長 そのように取り計らいたいと思います。

 質問を続行してください。

松野(博)委員 このことでまた大臣にお伺いをしたいと思いますが、今言ったような事実関係があります。この事実関係は、当時の当局が発表されたものです。そして、数千名が殺害されたと書いた教科書が二つ、警察、軍隊の関与と書いた教科書が三つ、三社から出ている。この教科書検定のありよう、また、教科書検定の中においての事実とは何か、事実認定のありように関して、大臣がどのようにお考えになるかについてお伺いをしたいと思います。

高木国務大臣 御指摘の点は私も不明でございまして、改めて今委員が、理事会協議という御提起をいただきました。この委員会を受けまして、私も調査をしてみたいと思っております。

松野(博)委員 この問題は、先ほど申し上げたとおり、私自身も、自分自身の不明を恥じて、不勉強を恥じる問題でありますが、警察や軍隊という、まさに国家機関がこういった事件を起こしたという記述が教科書に残されているということは、かつて従軍慰安婦に関する記述でいろいろ議論もありました。その結果、まだ若干疑問があるところもありますが、大分これに関する記述は改善をされてきたんだろうというふうに思います。

 しかし、国家の責任、ありようということに関しては、その問題を超える直接的な責任が、これはまさにこちらの教科書に書いてあることが事実であれば、日本国家に問われる種の問題でありますから、それだけ大きな歴史認識の問題であります。このことも、引き続き私たちも研究をしてまいりたいと思いますが、ぜひ文科省の方の対応をしっかりとお願いしたいと思います。

 そして、この問題の事実関係は、追ってまた調査結果を発表していただきたいと思いますが、例えば、今の検定制度の中において、検定を通ったけれども、しかし、新しい学説が出た、また新しい証拠が出た等々で、明らかにその検定を通った時点と事実関係の認識が違う、違ってきた場合、また、その時点においても、どういう形かは別として、事実と反する教科書が検定として通ってしまった場合に、一般の人から、それは一般には政治家も入るかもしれませんが、含めて、この検定教科書の事実関係は間違いだ、訂正をしてほしいというふうな申し入れの方法、制度というのは今どうなっているのでしょうか。

山中政府参考人 検定を経ました教科書につきまして、学習を進める上に支障となる記載とか、あるいは更新を行うことが適切な事実の記載とか、そういうことがあることを発見したときは、発行者は、文部科学大臣の承認を受けて、必要な訂正を行うことができるというふうにされているところでございます。

 また、先ほどの点でございますけれども、歴史教科書の検定自身は、国が特定の歴史認識でございますとか歴史的事実を確定するという立場で行うものではなくて、教科書を申請されたというものについて、教科書検定審議会の学術的、専門的な審議というものをした上で、その申請図書の具体的な記述について、その時点での学問的な成果あるいは資料というものに照らして欠陥を指摘するということになっております。

 そういうふうな記述について、今後、研究が深まって、そこの事実がこういう事実であるというようなことが、その専門的な見地あるいは適切な資料というふうな点で明らかになってくる、そういうふうな研究の深化を踏まえた、成果を踏まえた編集というものがなされてくるというふうに考えております。

松野(博)委員 今の局長の答弁は、全く私の質問に対しての答えになっていません。検定教科書であっても、事実関係がこれはもう明らかにおかしいではないかというようなことに関して、民間の方であったり、教育関係者、また政治家が、どのような手続にのっとって異議の申し立てができるのかという質問をしたわけでありますから。

 恐らく、今の制度の中においては、そういう制度はありません、検定で受かったものは、次の検定が終わるまで、どのような指摘があろうが正しいものだということで扱われますということなのかもしれません。

 しかし、もう一点、今局長がおっしゃられた中で、あくまで検定教科書の意義は、執筆者と出版社に責任が一義的にあるものだという話の繰り返しがありましたが、私が質問の中で申し上げたとおり、しかし、検定がある以上は一定の基準というものがあってしかるべきだし、なければ検定をやる意味がないわけであります。

 そして、その中において、非常に不幸な事件でありますが、震災後の混乱期のデマやそういった流言飛語によって二百数十名の方のとうとい命が失われたということは、繰り返しになりますが、大変悲しい事件であります。しかし、軍や警察が関与して数千人を虐殺したということになれば、これは全く事実関係自体が違いますし、この事件に対する歴史的評価も全く違ってくるわけでありますから、それは一義的に執筆者と出版社の責任だと言えば、これほどの重要な、歴史的な評価の再検討が必要な事項が動かなくなってしまうということになって、全くもって納得ができない答弁であります。

 繰り返し私たちもこの件を研究、質問を続けたいと思いますけれども、ぜひ、教科書検定のありようの中において、検定に受かったといえども、明らかに事実認識に間違いがあるというものに関しては、何らかの対応ができる制度が必要である。私たちも、その制度に関して研究、提言をしていきたいというふうに考えております。

 続きまして、朝鮮高級学校の審査に関して、不測の事態によって審査が一時中断、停止をしているという状況にあって、三月の委員会でありますが、不測の事態と朝鮮高級学校についてはどのような関係があるのか、それについての政府等の統一見解をお示しいただきたいという質問、要望をいたしました。

 委員長の御高配をいただいて、その答えが出てきたわけでありますが、きょうは、福山官房副長官にお忙しい中お越しをいただいております。委員会冒頭で説明をいただきました。

 この中身は、我が党の義家議員の質問主意書に関して答弁したものと変わらないわけでありますが、官房副長官、中身はとりあえずきょうはおいておいて、私が前回質問をした意図は、今、関東大震災の後のそういった特殊な混乱状況下における人間の心理の中で、デマとか流言飛語とか、そういうのが通常よりも大きく作用して不幸な事件を起こすというような話もさせていただきました。

 その中で、前回、北朝鮮から韓国に関しての砲撃事件があって、そして、これは政府答弁の中にもあるように、相当日本の中でも安全保障上緊迫をした事態の中にあった。

 そして、予算委員会の答弁も、我が党の下村議員を初め、議員からの質問に関して、枝野官房長官も、不測の事態とは何かということに関しての質問は、不測の事態を今この場で明らかにすることは、不測の事態を起こそうと思っている人間また集団に対して情報を提供することになるから言えませんという答えと、そして、今後、この事態において最も重要なことは日本国民の生命と財産を守るということだ、情報収集にも努めなければならない、そういう状況の中において、不測の事態というものが起こり得るから、朝鮮高校に関する審査を停止したいという答弁をされています。

 そして、その後の予算委員会の答弁の中で、大分論調が変わってきまして、いや、これは静ひつな環境が維持できないから一時審査を停止するということだというふうになりました。

 また、当委員会でも、高木文科大臣のお答えの中で、そういった朝鮮高校と、例えばテロ行為であったり、また反社会行為を関連づけるような意図は全くないんだというような御答弁もいただきました。

 そこは、今ここで議論をしてもあれですから、そういう意図ではないということにしても、しかし、あの状況において、あの予算委員会の答弁が続いた中で、そして質問主意書に対する答えが、やはり、不測の事態に備え万全の態勢を整えていく必要があることにかんがみ、朝鮮高級学校についての審査を停止するという答弁書が内閣から返ってきているわけであります。

 私は、私の国語能力がどうかはわかりませんが、あの状況の中においてあの答弁があって、かつ、この質問主意書に関する答弁がまた返ってくれば、不測の事態というものに関して朝鮮高級学校とのかかわりを感じる方、読み取る方がいて当然だと思いますが、この読み方に関して、副長官、そうお思いになりませんか。

福山内閣官房副長官 松野委員にお答え申し上げます。

 松野委員がこの問題について大変いろいろな形での質疑をいただいていることは、私も承知をしております。松野委員の今の解釈は松野委員の解釈として私どもも受けとめますが、しかし、政府といたしましては、きょう、先ほど委員会の冒頭、田中委員長にも御尽力をいただいて発表させていただきました、不測の事態というのは朝鮮高級学校にかかわる問題を述べていることではない、具体的に設定していることではないというのが政府の見解でございます。

松野(博)委員 副長官の今のお答えも私の質問にお答えになっていないんですが。

 政府がこの不測の事態と朝鮮学校について全くかかわりを想定していないという話はわかりました。百歩譲ってわかったとして、しかし、あの状況、砲撃があった直後の非常に緊迫をした状況において、かつ、予算委員会での答弁は、副長官御承知のとおりの答弁の中で、この不測の事態に備えなきゃいけないから朝鮮高級学校の審査を停止するという文書が出れば、これは、不測の事態と朝鮮高級学校について関連性を感じる、この文書を読んで感じるという読み方は当然だと思われませんか。もしくは、政府が想定をしていない以上、そういうふうに読む方がおかしいんだというようなお考えなんでしょうか。

福山内閣官房副長官 読む方がおかしいとか、誤解をした方が悪いというようなことを申し上げるつもりは全くございません。

 しかし、現在のところの政府の見解というのは先ほど申し上げたとおりでございまして、そして、その当時も、決して、朝鮮高級学校がこの不測の事態にかかわるということを政府としては想定しているものではなかったということは政府の見解でございますので、それを、先ほど申し上げましたように、松野委員がそのように受けとめられて質問等を委員会でされたことについては、我々としてはそれは受けとめておりますけれども、政府の見解としては先ほどから申し上げたとおりだということでございます。

松野(博)委員 いや、政府の見解についてお聞きしているわけじゃないんです。政府の見解はわかりました。しかし、この文書を読んだときに、読み手の側、国民の側、また関係者側が、不測の事態と朝鮮高級学校を結びつけるという読み方をしませんか、そういうふうにお感じになりませんかという質問をしているんですけれども。

 では、するかしないか、いや、想定しない、どっちなんですか。

福山内閣官房副長官 それは、それぞれの読み手の判断もあると思いますので、すべてがすべてそういうふうに読まれるとも限らないと思いますし、すべてがすべて読まれないとも限らないと思います。

松野(博)委員 副長官とはもう長いつき合いで、別に副長官が想定しているとは言っていませんよ。しかし、副長官、今までの、先ほどの関東大震災からの話の流れの中において、非常に緊迫した事態において、政治家の発言、特に政治家の発言を超えて政府が出すコメントやメッセージというのは、そういう状況下においては細心の注意を払わなければいけないものだというふうに思います。

 ですから、副長官が今お話をされたとおり、いろいろな読み方をされる方がいるんだと思いますと言うこと自体がもうだめなんです。あの状況において政府が出すメッセージの質としては不適当だ、不穏当だということなんです。

 もしも、当初から、後から政府がおっしゃったような見解の意図を持ってメッセージを出すのであれば、現状の中において静ひつな環境で審査ができないので、だから審査をとめますという、最初からそういうわかりやすいメッセージであれば、もう私は半年以上言っているんですが、何らこんな問題にはならないわけです。

 問題の本質はまさに副長官がおっしゃったことでありまして、あの状況下において、あの委員会の流れの中において、政府が、さまざまに読みようがある、私が述べた、私の見解という指摘が再三ありましたが、私以外にも、党内にも、また私の質問を聞いた多くの一般の方々からも、自分もそう思うという声が多く上がっています。ですから、極端な読み方を私がしているわけではないというふうに思います。

 そういうふうに読める文書を政府が出すということが極めて不見識じゃないかという話をしているんですが、そのことに関してはどうお考えになりますか。

田中委員長 官房副長官に申し上げますが、もう少し肉声で、質問に平明にお答えいただきたいと思います。どうぞ。

福山内閣官房副長官 私も、松野委員とは長いおつき合いですから、余りしゃくし定規な答弁をするつもりはないんですけれども。

 いろいろな読み方があるのは、あるのではないかとおっしゃるので、あるのはあるかもしれませんと申し上げました。

 一方で、委員がおっしゃられたように、政府の出している文書については、いろいろな読み方がされないように真摯に対応するべきだ、注意深くやるべきだということも私は全くそのとおりだというふうに思います。

 そして、さらに申し上げれば、今に至ってこの統一見解を出させていただきましたけれども、当時の委員会の議論の中でも、官房長官からは、朝鮮学校と不測の事態というものはかかわるものではない、具体的に想定しているものではないということは説明をさせていただいておるわけでして、文書を出しっ放しで、あとは勝手に解釈しろと我々は申し上げているわけではなくて、委員会の中では、文科大臣を初め、官房長官を初め、その趣旨については丁寧に国会で説明させていただいているというふうに思っております。

松野(博)委員 ずっと議論がすれ違っているわけですが、一回政府が出してしまったものは訂正しないとか、極めて霞が関的な発想を、民主党政権がそういう発想をするのかなと、私は、ふだん皆様方が標榜されていることにあわせますと極めて残念です。

 私は、出した文書でも誤解を生む可能性があるのであれば、きちっと謝罪をして、もっと明確に広く一般に言い直せばいい、また文書を出し直せばいいというふうに思いますし、かつ、私はかねてより御党の議員の方々と議論をさせていただくに当たって、極めて人権意識ということに関して関心が高い方々が多いなというふうに思っておりまして、それは大事なことだというふうに思います。

 しかし、今回のこの一連の取り扱いに関しては、人権意識であったり、政治家が判断をして、一般国民の感じ方、目線に合わせた行動をしていくんだ、判断をしていくんだということとは全く相入れない進め方をされているなというふうに思っております。

 最後に、質問時間がもうすぐ終わりですが、大臣とはこの議論もさせていただきました。私は、今のような思いで、今この席に立って質問させていただいておりますが、もう一度、大臣の改めてのお考えをお聞かせいただきたいと思いますし、私は、政府としては変わりませんではこの問題は納得をしませんので、さらによりオープンな席での議論をさせていただきたいと思いますし、この文書の判断の仕方が問題だというのであれば、さまざま、有識者やまた関係者も含めて議論をさせていただく場をつくっていただきたいというふうに思いますが、大臣の思いをお話しいただきたいと思います。

高木国務大臣 今委員からいろいろお話を聞きました。私の不明ですけれども、いわゆる教科書の関東大震災の今の御指摘の件、私としては実態把握をしたいというふうに述べましたけれども、そういうものとの関連性でお考えになっておるんだろうなと思っておりまして、私としては、これまでの答弁と全く変わることはございません。

松野(博)委員 終わります。

田中委員長 次に、本村賢太郎君。

本村委員 民主党の本村賢太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 七月十一日に政府の地震調査委員会から、三浦半島の断層群の地震の確率が上がってきたという報道がなされました。東日本大震災以降、活断層やプレート等の再評価を行っているということも聞いておりますが、今回の地震発生確率が高まったという発表を受けて、まず、この再評価の内容についてお聞きしたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省の地震調査研究推進本部がございますが、これは従来より、全国の主要な百十の断層につきまして、地震の発生確率等の調査、評価を行ってまいっております。

 今回の東北地方太平洋沖の地震が発生しましたことを受けまして、地殻変動が起こっております。そういった変動のデータと、それから、全国にある断層の方向とか傾斜とかそういったものの状況をあわせて改めて評価いたしましたところ、三浦半島の断層群ほか全国で四つの断層につきまして、地震発生が促進される方向に影響を受けたということで、地震発生確率が高くなった可能性があると判断され、先日その旨を公表いたしました。

 また、地震発生確率の高まりの可能性につきましては、公表もいたしましたけれども、中央防災会議等の関係府省とも情報を共有するということとあわせて、また、この地域にも大変これは影響がございますので、地域防災でも活用していただけるように、この場合は、神奈川県あるいは横須賀市等の地元自治体へも事前の説明の機会を設けさせていただいたところでございます。

 まだ地殻変動は続いているというふうに承知しております。今後の地殻変動についても継続的に把握して、また、引き続き地震発生確率が高くなるといったような評価が出てまいります場合には、その結果を、迅速に関係府省、あるいは地元の自治体、あるいは一般の国民の方々にも的確に伝える努力をし、そして地震防災に生かされるように努力してまいりたいと思っております。

本村委員 再評価の内容を聞いて、私も神奈川県民の一人として、地震の切迫性に対して防災対策をしっかり行っていかなきゃいけないと思うんですけれども、国民も、今回の四つの活断層の発表によって、やはり緊張が随分高まっているんじゃないかと思っております。今回の再評価の結果を受けてどんな対策をされているか、お伺いいたします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の地震発生の確率の高まりにつきましては、これからさらにどれくらいその可能性が高まっていくのか、そういったことも含めて、地震調査研究推進本部の中に置いております調査委員会、専門のものがございます、さらにそこで引き続きその評価を継続してまいりたいと思っております。

 また、関係の自治体におきましても、それぞれ説明を受けられまして、特段、今回の影響により地震の規模が変化したという評価はなされておりませんので、そういった地震の切迫性といったものがやや高まってきているということを念頭に置かれた対策が講じられていくものというふうに考えておりますし、また、中央防災会議、政府の中でも、こういった状況を踏まえましてさらなる評価が行われるというように、我々、ともに連携をしてまいりたいと思っております。

本村委員 今の活断層のお話や、そして海溝型の話で言うと、東海地震、そして東南海・南海地震といった地域も大変切迫性の高い地域でありまして、これから、東日本大震災の震災を受けて、防災教育というものが非常に、きょうも議論をされておりましたが、大事な観点だと思っております。

 新学習指導要領においても、防災教育の充実というものが記載されておりますし、生きた防災教育をしっかりと文科省として推進をしていただきたい、そう願っております。

 その中で、東日本大震災の際、児童生徒、教職員ら六百名を超える方々の命が失われたということもございます。七月二十一日には、東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議が設置をされまして、九月に報告書がまとめられると聞いておりますけれども、有識者会議の議論を受けて、文科省としてどのような対応を行うのか、お伺いいたします。

笠大臣政務官 今委員御指摘のように、本当に今回の大震災を受けて、これから実のあるしっかりとした防災教育、あるいは防災管理等々、しっかりやっていかなきゃいかぬと思っております。

 それで、七月二十一日にこの第一回の会合を開催したところですけれども、八月までにおおむね四回ぐらいの議論を行って、八月いっぱいで中間の取りまとめをさせていただきたいと思っております。

 有識者会議では、学校における防災教育の内容の充実方策、あるいは避難経路やマニュアルなどの防災管理のあり方、そして、今回も多くの教職員、特に岩手県では、私も参りましたけれども、幸い学校現場で子供たちが亡くなるということはございませんでした。日ごろの防災教育の、これは本当に成果が発揮されたところだと思っておりますので、こうした教職員の安全指導力の向上等についても御審議をいただいて、そして、この結論を、中間報告をもとに、しっかりと、やはり各自治体、教育委員会を通じて、実際に現場で、子供たち、あるいは教職員も含めて、そのことを生かしていけるように努めてまいりたいというふうに思っております。

本村委員 復興構想会議では、逃げることを基本とした防災教育というのを記載されておりまして、今、笠政務官からお話がありました岩手県の釜石市では、二〇〇五年から群馬大学大学院の片田教授を中心といたしました防災教育が盛んに行われておりまして、年間十時間ほど時間をとって、高台に駆け上がる避難訓練や、算数による津波の計算とか、そして道徳の時間に津波の勉強をしたり、防災マップをつくったり、生きた教育をしてきた結果、この釜石市にいる児童生徒約三千人の方々の命が、学校管理下では死者がゼロという形で、大変これは評価するべき点だと思っております。

 この岩手県の教育で、津波てんでんこの防災教育といって、津波があったら、まず自分の命を守って逃げろと。そして、それを見た周りの方々も一緒になって逃げるということでみんなの命が助かるんだという、てんでんこの防災教育というのを徹底していたようでありまして、これは評価できる点でありますし、今回の震災を見ても、マニュアルどおりにはいかないというのは私ども理解しておりますけれども、それに反して、きょうも富田先生の方から御質問がありました、宮城県の石巻市では、例えば市立の大川小学校で児童の七割以上の方が亡くなり、そしていまだに行方不明の方々がいらっしゃるということでありまして、市の教育委員会から防災管理マニュアルを、津波時の避難場所を決めなさいという指示も出ていたようでありますが、危機管理マニュアルが不備であったということも指摘をされております。

 そういった中で、危機管理マニュアル、これには防災や防犯、交通安全といったものも中にはあると思いますが、これが学校保健安全法で学校に義務づけられているわけでありますが、特に喫緊の課題である防災部分については、各都道府県教育委員会や特別区や政令市の教育委員会にチェック、指導することが大事だと考えておりますが、いかがでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 防災マニュアルに関する見直しについてでございますが、今回の大震災を踏まえて、四月五日に、改めて学校現場における安全管理を徹底し、必要に応じて避難経路等を見直すために、避難経路のチェックポイントを示しながら、各教育委員会において改めて緊急点検するよう通知を発出したところでございます。

 具体的なチェックポイントとしては、学校の所在地が津波や土砂崩れの予想される地域にある場合には、避難する場所や経路を決めているかですとか、災害発生時における教職員の役割分担を発生時別に明確にしているかなどがございます。

 また、都道府県におかれましても、防災に関するマニュアルの見直しの動きが始まっておりまして、例えば静岡県の教育委員会では、県独自で「学校の津波対策マニュアル(暫定版)」を作成し、配付をされ、各市町教育委員会、そして各県立学校に対しまして、各学校の地域の実態に応じた津波対策を図るよう指導したところと承知しております。

 今後とも、先ほど先生御紹介いただきました群馬大学の片田教授にも、先ほど笠政務官から御説明いただきました有識者会議のメンバーとして入っていただいておりますので、より実践的な防災のマニュアルにつながりますよう、この有識者会議の御提言も踏まえながら、防災に関するマニュアルや防災教育の充実につなげてまいりたいと思っております。

本村委員 今、危機管理マニュアルの制定に関しては、ぜひとも見直しを都道府県に把握していただいて、しっかりとした環境下で児童生徒の安全を確保していただきたいと願っております。

 そうした中で、今回の防災教育支援モデル事業の中で岩手県釜石市が二〇〇八年から教育を受けたわけでありますけれども、こういった成果をホームページ上で文科省の方がアップをされているようでありますので、ぜひ、ホームページだけではなく、成果物としてまた広く御指導いただけるような形でお願いしたいと思っています。

 いずれにしても、世代を超えてこの教訓を次世代に生かしていくことが大事だと思いますので、ぜひとも大臣の強いリーダーシップで御指導をお願いしたいと思います。

 次の質問に入りますが、次は学校施設の防災機能強化に関してであります。

 既にこの東日本大震災の震災時に、ピーク時には六百二十二校が避難所となり、現在も百校近くが避難所となっているというふうに伺っております。全国の公立の小中学校の九割以上が市町村から避難所指定をされているわけでありますが、全国の耐震化率もまだ七三・三%でありまして、これからさらに、今回の一次補正にもこの耐震化が入りましたが、耐震化を進めながら、学校が防災拠点となるように応援をしてまいりたいと考えております。

 そうした中で、七月に東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備に関する検討会が出されました緊急提言の中でも、学校施設の整備に当たっては、あらかじめ避難所としての諸機能を備えておく必要を指摘されているわけでありまして、避難経路の確保や、食料や燃料の備蓄倉庫の確保、断水中も流せるトイレ、情報通信整備、バリアフリー化、津波に備えた高度化、太陽光設備など、さまざまな形での提言がなされておりますので、ぜひともそういったものを今後予算の方にも反映していただきたいと思っております。

 私も三度被災地に入りましたが、入る中で、避難所の中でお年寄りの方とお話をした際、やはりトイレの不便を大変感じたという声がたくさんの方から聞かれまして、トイレに関しても和式トイレを洋式トイレにかえるなど、こういった試みも含めて早い整備を、他省とも連携をしながら、今後の補正予算や来年度予算を含めて予算措置をお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 御指摘のありましたように、この東日本大震災の被害を踏まえまして、今後、学校施設を整備することについての方策を有識者の皆さん方にお集まりいただいて検討していただいておりまして、その緊急提言が七月七日に出ております。

 防災拠点としての機能強化についてでありますけれども、この中で、まさに教育委員会とそれぞれの防災担当部局が連携をしながら、避難場所として求められている、例えば、備蓄倉庫、そしてトイレ、また非常用電源設備、こういった機能整備が今回の災害を見ても非常に重要だということが提言をされております。

 私どもとしましても、これを受けて、このような機能強化について、地方公共団体の要望をしっかり踏まえて、まさに関係省庁と連携をして、学校施設の防災機能の充実について取り組んでまいります。

本村委員 次に、震災遺児、孤児の支援についてでありますが、今回、一次補正予算におきまして、被災児童生徒就学支援特例交付金は、予算執行の状況を見ても必要なものだったと私も確信をしていますし、例えば、高等学校では、国公立で一万一千五百七十四名、私立では三千九百五十八名の方々がこの交付金を使った奨学金事業について受けているわけであります。

 私といたしまして、特に、たくさんの子供たちが今回被災したわけでありますが、その中でも特に厳しい環境に置かれている震災孤児や遺児について、この方々の環境を考えてみれば、貸与型の奨学金という形をとっているわけでありますが、給付型の奨学金でぜひとも応援をしていただきたいなと思っておりまして、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

笠大臣政務官 今お話がありましたように、私どもも、この震災の遺児あるいは孤児、あるいは大きな被災をされた方々、とにかく学びの場をしっかりと確保できるような就学支援に全力を挙げているところでございます。

 そして、今お話がありましたように、給付型奨学金の導入については、なかなか財源等々の課題があって、今のところ、まだ実現をしておりません。しかしながら、近々決定をされる復興基本方針に基づいて、被災地でのニーズや実情を踏まえ、多様で手厚い奨学金などの支援について適切に実施をしていきたいと思っておりますし、民主党の方でもまたそういう復興へ向けた御提言もいただいておると承知をしておりますので、ぜひともまた委員の皆様方の御支援もお願いをしたいところでございます。

本村委員 私も、今回被災された現地に行きまして、今回の特例交付金を活用させていただいているという市町村の声を聞かせていただいておるわけであります。

 この中で、就学援助を基金化して中長期的な支援を図るべきだと考えております。また、心のケアに関しても、一次補正で三十億、一千三百名のスクールカウンセラーの派遣を行っておりまして、現在五五%ほどこの予算も取り組まれているということを聞いておりますが、この心のケアに関しても、就学援助とあわせて、中長期的な支援をという観点から基金化をしたらいかがかと私は考えておりますが、いかがでしょうか。

山中政府参考人 委員御指摘のとおり、被災した子供たちに対する就学支援、これは一次補正で臨時特例交付金を創設した、あるいは、心のケアということで、一次補正で緊急スクールカウンセラー派遣事業、この措置で今緊急に対応しているところでございます。

 ただ、この就学援助あるいは心のケアにつきましても、ことしだけでなく、中長期的な観点からしっかりと支援をしていかなきゃならないというふうに考えているところでございまして、御指摘の継続的な支援の必要性、そういうものを十分考えているところでございます。

 御提案のございました点も含めまして、継続的にしっかりと子供たちの就学支援、あるいは心のケアができるように、そのような点も含めまして、補正予算でございますとかいろいろな観点から検討してまいりたいというふうに考えております。

本村委員 次に、学校における放射線量の暫定基準の見直しについてお伺いをしたいと思います。

 三月三十日に福島県から放射線量の基準の要請がありまして、四月十九日には文科省として暫定的な考え方を年間二十ミリシーベルト以下という形で発表されたわけでありますが、五月二十七日には「線量低減に向けた当面の対応」ということで、八月下旬ごろにはこの数値を一ミリシーベルト以下に見直すという文言が記載されておりますが、現在の状況と、八月には一ミリシーベルト以下ということで可能なのか、御答弁をお願いいたします。

笠大臣政務官 まず、今現在の状況でございますけれども、私ども、五月二十七日、今年度に学校において受ける線量については、「年間一ミリシーベルト以下を目指す。」ということを発表させていただいております。そして、現在、福島県内のすべての小中学校等に携帯できる積算線量計を配付し、児童生徒等の受ける実際の積算線量のモニタリングを実施しております。

 六月一日から三十日に行った最新の測定結果では、一年間に学校において受ける線量は、〇・五ミリシーベルト未満が千六百二十一校・園。保育園も入ります。そして、一ミリシーベルト以上は保育園一園でございました。

 そして、全体の平均では〇・二ミリシーベルトと試算をされておりますので、このうち、積算線量が比較的高い学校でも、土壌に関する線量低減策を行うことによって、児童生徒等が受ける線量を年間一ミリシーベルト以下に抑えることは十分に可能であるというふうに考えております。

 そして、暫定的な、学校現場だけでなくて、二十四時間の子供たちのいわゆる二十ミリシーベルトから一ミリシーベルトの基準についての二学期へ向けた見直しについては、現在、政府の中で専門家の方々の御意見も承りながら検討をしているところでございます。

本村委員 ぜひとも、今回の東日本大震災を受けた防災教育や、そして、被災地の児童生徒への支援、さらには、学校を拠点とした整備を文科省として取り組んでいただくことをお願いして、次の質問に入らせていただきます。

 次は、全国学力・学習状況調査についてでございますが、御存じのとおり、平成十九年度から二十一年度までは悉皆調査でありまして、政権交代後、二十二年度以降、抽出調査及び希望利用方式という形で、新しい方策をとられていたわけでありますけれども、今年度、二十三年度は、東日本大震災等々もあって配付等々で終わるということでありますが、ぜひとも、配付に終わらず、また、この検証もお願いしたいということをまず要望させていただきます。

 一点お聞きしたいことは、二十四年度から理科を追加ということは、全国的な学力調査の在り方検討会の専門会議で示されているわけでございますけれども、二十五年度の実施に関しまして、大臣の方から、きめ細かい調査を数年に一回やっていくということでありまして、新聞等々では悉皆調査に戻すというような報道がございますが、これに関してはどうお考えでしょうか。

高木国務大臣 全国学力・学習状況調査の調査方式の今後の方針について、御指摘がありましたように、七月八日の定例記者会見において、平成二十五年調査はきめ細かい調査が行えるように、必要な経費を平成二十四年度概算要求に盛り込む方向で調整をすること、このように発表いたしておりました。

 このきめ細かい調査というのは、単に従前の悉皆調査に戻すということではありませんで、これは学力調査のあり方に係る専門家会議においては、当面は抽出調査及び希望利用方式を継続しつつ、数年に一度は、まず最新のデータを得る、また国として教育格差などの状況を把握、分析し、関連施策の検証を行う、こういったために市町村、学校等の状況をきめ細かく把握して、可能な調査の実施を検討すべきという提言がございまして、これは三月三十一日に受けております。

 これを受けまして、我々としましても、きめ細かい調査の基本的な枠組みの詳細について、全数調査とすることも含めて今後検討してまいりたいと思っております。

本村委員 ぜひ全国学力調査の方も、PISAの結果なども受けまして活用していただきたいと思います。

 次に、スポーツの振興に関して質問させていただきます。

 二〇二〇年五輪東京招致という形で、石原都知事やそしてJOC等々でこの方向性が決まったわけでありますが、ことしはスポーツ基本法ができて、国民の皆さんに広くこれからスポーツがさらに広まることを私も期待しているわけでありますが、スポーツ基本法やスポーツ立国戦略の精神からももちろん支援するべきだと考えておりますが、大臣いかがでしょうか。

高木国務大臣 午前中そして午後の審議でもこのような案件が出てまいりました。

 これは、オリンピックの競技大会を我が国で開催するということは、まさにスポーツの振興とそして国際親善、そしてまた、次代を担う青少年に大きな夢や希望を与えるものだと思いまして、私は大変意義あるものだと思っております。

 スポーツ基本法の第二十七条においても、国は、国際競技大会の招致、開催が円滑になされるよう、必要な措置を講じることと規定をしておりまして、私どもはこれに忠実にこたえなきゃなりませんし、何とか招致決定のために全力を尽くすことは言うまでもありません。

 ただ、御承知のとおり、最近の招致は国際的な競争が激しくて、毎回いろいろ厳しい局面が出てまいります。しかし、東京都が既に誘致を表明しておりますので、東京都そしてまたスポーツの関係団体とも十分連携をとって、まさにチーム・ジャパンとしてこの問題の対応をしなきゃならぬと思っております。

本村委員 ぜひとも、高木大臣を中心といたしまして東京五輪の招致活動をしっかりと行っていただきたい、そう願っております。

 次に、女子ワールドカップ、なでしこジャパンの優勝は、大変日本国民にとって、勇気とそして希望を与えてもらった結果だと思っておりますし、私の地元にも選手の一人がいるものですから、大変このことをうれしく思っております。

 しかしながら、大臣もぶら下がり会見等々でお話しされておりますように、女子スポーツ選手の待遇は非常に男子に比べて低いんではないかと思います。なでしこジャパンの活躍を機に、ぜひ女子スポーツ選手の待遇改善を文科省としても検討していただきたいと思っております。

 例えば日本サッカー協会では、女子のワールドカップ優勝で、優勝したら一人百五十万円、これを六百万円にするという議論もされているようでありますし、男子は優勝したら一人五千万円ということでありまして、この差を見ても、余りにも差が大変広いんじゃないかなと思っておりますので、ぜひとも女子のスポーツ選手の待遇改善を文科省として検討していただきたいんですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

高木国務大臣 なでしこジャパンの快挙は、本当に私ども国民に大きな感動を与えていただきました。

 御指摘の、女子の環境整備については重要なことでございまして、本年度から、マルチ・サポート事業というのがございまして、これにおいて、女子アスリートに特化をして支援の実施や、また、男女の性差を踏まえたトレーニング方法の研究開発などを開始したところであります。

 また、なでしこジャパン選手などのトップアスリートに対しては、従来より、日本オリンピック委員会補助などによっての強化経費を支援すると同時に、日本スポーツ振興センターのスポーツ振興基金によって日常のスポーツ活動のための支援を行ってきたところであります。

 今回のなでしこジャパンのすばらしい成績を、ぜひまた、来年に迫りましたロンドン・オリンピックなどにもつなげていくことは重要でありまして、引き続き、委員も御指摘のありましたように、女子アスリートへの支援対策についてはしっかり取り組んでまいりたいと思っています。

本村委員 これで質問を終わります。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時一分散会


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