衆議院

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第17号 平成23年8月10日(水曜日)

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平成二十三年八月十日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 糸川 正晃君 理事 金森  正君

   理事 高井 美穂君 理事 野木  実君

   理事 松崎 哲久君 理事 松宮  勲君

   理事 下村 博文君 理事 馳   浩君

   理事 池坊 保子君

      石井登志郎君    大山 昌宏君

      奥村 展三君    川口  浩君

      木村たけつか君    城井  崇君

      熊谷 貞俊君    笹木 竜三君

      瑞慶覧長敏君    高野  守君

      中屋 大介君    平山 泰朗君

      村上 史好君    室井 秀子君

      本村賢太郎君    山田 良司君

      笠  浩史君    和嶋 未希君

      あべ 俊子君    遠藤 利明君

      河村 建夫君    柴山 昌彦君

      田野瀬良太郎君    永岡 桂子君

      古屋 圭司君    松野 博一君

      富田 茂之君    宮本 岳志君

      城内  実君    土肥 隆一君

    …………………………………

   文部科学大臣       高木 義明君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   経済産業副大臣      池田 元久君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   会計検査院事務総局第四局長            太田 雅都君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      辰野 裕一君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        布村 幸彦君

   政府参考人

   (文化庁次長)      吉田 大輔君

   参考人

   (大学共同利用機関法人自然科学研究機構核融合科学研究所所長)       小森 彰夫君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月十日

 辞任         補欠選任

  塩谷  立君     柴山 昌彦君

同日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     塩谷  立君

同日

 理事松宮勲君同日理事辞任につき、その補欠として金森正君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

八月九日

 教育費の無償化など費用の大幅な軽減を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第二二一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 速やかに着席してください。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事松宮勲君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に金森正君を指名いたします。

     ――――◇―――――

田中委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として大学共同利用機関法人自然科学研究機構核融合科学研究所所長小森彰夫君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として文部科学省大臣官房文教施設企画部長辰野裕一君、初等中等教育局長山中伸一君、研究開発局長藤木完治君、スポーツ・青少年局長布村幸彦君及び文化庁次長吉田大輔君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長太田雅都君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川口浩君。

川口(浩)委員 川口浩でございます。

 質問の機会をちょうだいいたしまして、本当にありがとうございます。

 さて、歯科診療に関係する皆様が長年にわたり取り組まれてまいりました歯科口腔保健の推進に関する法律が、七月二十七日、参議院にて可決し、八月二日の衆議院本会議にて可決、成立をいたしました。成立までの間に多大な御指導、御尽力を賜りました関係者の皆様には、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 この法律の成立を契機とし、時代の要請にこたえる歯科医療に貢献できるような人材育成のためにも、なお一層の取り組みが望まれるものと考え、本日は質問をさせていただきます。

 先日、関西の医療系単科大学を経営する学校法人が統合に向けて協議を進めているとの報道がございました。また、大宮法科大学院と桐蔭横浜大学法科大学院も統合を発表されました。比較的経営が安定していると思われる医療系の大学も厳しい競争にさらされておりまして、両大学は、他大学に先駆けた統合で教育環境と経営基盤の強化を図っているとのことだと考えます。

 この件を含めまして、ニーズにマッチした競争と連携を進めていく上でも、医療系大学の統合の必要性及び今後十八歳人口が減少し経営が困難になっていくであろう私立大学のあり方について、文部科学大臣のお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。

高木国務大臣 川口委員にお答えをいたします。

 まず初めに、私学関係者におかれては、我が国の教育活動の充実のために何かと御活躍いただいておりますことに敬意を表したいと思っております。

 今御指摘ありましたように、十八歳人口は、今後十年間で百二十万人から百十万人台で推移をすると言われております。そして、その後減少していくことが見込まれておりまして、私立大学においては、人口減少期に向けて、それぞれ特色を生かした教育研究の質の向上を図って、そのための経営基盤を強化していくことが重要であろう、このように考えております。

 医療系大学においても、建学の精神を生かして教育研究の強化などを進められておりまして、そのような取り組みの一環として、大学の長所を生かした連携が進められているものと私は承知をいたしております。今、具体的な大学の名前も挙がっておりましたが、それらの大学は、そのような観点から連携を深めていこうということであろうと思っております。

 文部科学省といたしましては、各大学の魅力をより高めるさまざまな取り組み、こういったものを見守りつつ、必要な助言を今後とも行っていきたい、このように考えております。

川口(浩)委員 次に、歯科医師の需給問題について、文部科学省の考えをお尋ねさせていただきます。

 歯科医師の需給問題につきましては、この数年議論がなされており、そろそろある一定の方向性を見出していかなければならないんじゃないかなと感じております。

 平成二十三年三月二十二日に厚生労働省から発表されました第百四回歯科医師国家試験の学校別合格者状況を見ますと、新卒、既卒を含む全体合格率七一・〇%に対し、各大学の状況はと申しますと、四〇%前半から九〇%台とかなりばらつきがございます。一方、医科におきましては、七〇%の後半から九〇%の後半でございます。

 既卒者の合格率は、医科においては六〇・二%でございますが、歯科では四六・二%となっておりまして、歯科の場合に限って言えば、国家試験受験者数が新卒より既卒の数が多い、もしくは同数に近い大学もございます。

 入学時の競争倍率につきましても、一・一未満の大学も何校かございます。

 このような結果をかんがみますと、学校の統廃合、そして、今行われているような一律の入学定員の削減及び一律の補助金のあり方について、見直しをしなければならないのではないかと思われます。

 また、文部科学省においては、歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議では二〇一〇年から各大学のヒアリングを行っておりまして、現状の教育課程に改善が必要な歯科大、歯学部に関してはフォローアップを行っているところでございますが、改善が見られない大学があるのも事実ではないかと思われます。

 国民の声にこたえることのできる質の高い歯科医療を引き続き提供し続けていくには、改善の見られない大学には、法的手段を含めました何らかの措置が必要ではないかと考えられる時期ではないかと思われます。

 文部科学省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

笠大臣政務官 ただいま委員御指摘のとおり、確かに歯科大学、合格率等々比較をしますと、大学によって随分ばらつきがあり、大変頑張っているところと、今、困難な状況の中で、今御指摘がありましたように、改善をしっかりしていかなければならない大学があるというふうに承知をしております。

 平成二十一年の一月に歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議が取りまとめた第一次報告の提言を踏まえて、同会議において昨年九月からそのフォローアップ調査を行って、本年五月にこの結果を公表したところでございます。

 本調査結果では、多くの歯学部で教育の改善充実のための意欲的な取り組みがなされている一方で、現状の教育課程に改善が必要な歯学部も散見されることが指摘をされているところでございます。

 文部科学省としては、この結果を踏まえて、すぐれた入学者の確保が困難な大学や国家試験合格率の低い大学等に対し、厳正な入学定員を設定するなど、必要な取り組みの実施について強く働きかけるとともに、あわせて、改善計画を具体的に提出させて、そして、これを公表することによって継続的な改善を求めていきたい、そのように促してまいりたい、そのように考えておるところでございます。

川口(浩)委員 問題は、国民の皆様の命に寄り添う医療人としての自覚、それから生命の尊厳や医の倫理、こういったものを、深い認識を教育の現場で教えるためには、私は、少人数教育の推進と臨床実習を充実させることが不可欠ではないかなと思っております。

 中でも、臨床実習の抜本的改革は急務ではないかと思います。質の高い医療を提供するためには、ただ単に国家試験に通るためだけの学問ではなく、医療人としての学問を学び、体験することが絶対的に必要だと思います。

 歯学教育においては、口腔疾患は全身疾患の入り口ととらえ、関連する医学教育との連携を図り、患者を総合的に診断し治療する能力の育成を図っていく必要があると思います。地域の一般病院や口腔外科医院等とも連携をし、質量ともに充実した臨床実習の機会の確保に努めることが最重要の課題と考えております。

 また、高齢者、心身障害者に対する訪問歯科診療やリハビリテーション医療に関する歯科医学の充実も不可欠だと思います。看護、福祉、介護に関する科目の履修や、これを通じて関連する資格の取得等も検討していく必要があるのではないでしょうか。

 いずれの場合におきましても、臨床実習の機会と時間の確保は絶対的に必要です。医科、歯科、医学部、歯学部における臨床実習の今後について、その連携を含めた文部科学省の考えをお聞かせいただきたいと思います。

笠大臣政務官 ただいま川口先生から御指摘があったとおり、本当に医療人として、もちろん学問あるいは知見、知識を身につけていくことも大事でございますけれども、やはり全人格を形成していくことは極めて重要だというふうに考えております。

 現在、臨床実習の実施状況は、医学部で平均四十七・八週、歯学部で平均四十一・二週ということで、やや歯学部の方が少ないという数字が出ておるわけですが、もちろんこれは、大学によってどこに重点を置くかということでの違いも、特に私立の大学においてはあろうかと思います。

 ただ、いずれにしても、臨床実習は、学生が直接に患者と接することにより、患者の全人的理解あるいは患者に対する責任感等を培い、基本的な臨床技能や知識を修得し、科学的な思考力と問題解決力を養うなど、医療人としての基礎を構築する上で重要な教育段階であると私どもも考えております。

 また、患者や先輩医師等と接する中で、コミュニケーション能力やチーム医療について学ぶことにも臨床実習の大きな意義があるというふうに考えております。

 文部科学省としては、こうした臨床実習の充実のために、医学教育及び歯学教育のモデル・コア・カリキュラムの改訂や、臨床実習開始前に必要な知識、技能、態度を評価する共用試験の導入などをこれまで行ってまいりました。

 今後は、さらにこうした取り組みを推進していくと同時に、見学や模擬診療にとどまらず、学生が診療に参加する診療参加型の臨床実習の充実、あるいは、先ほども御指摘がありました、学外の医療機関や福祉施設等との地域の中での連携、そして実習終了時の評価の充実などが課題であるというふうに認識をしており、引き続き各大学における臨床実習の充実のための取り組みを私どももしっかりと促してまいりたいと思いますので、また先生のいろいろなさまざまな御指導も賜れればというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

川口(浩)委員 大変ありがとうございます。

 やはり、私どもが学生のころは、まず、歯科医師の前に人間であれとか、いろいろ立派なお題目を教わっていたのでございますが、どうも今の時代というのは、資格を取る、それだけに目が向いてしまいまして、無駄な時間といったら恐縮でございますが、心に余裕を持つ学生生活がなかなか送りにくくなっているんではないかなと思います。

 また、一般社会におきましても、例えば新入社員で会社なり組織に入ってまいりましても、コミュニケーション能力というか、場合によってはどうあいさつをしたらいいかわからない、そういうことも間々聞く場合がございますので、ぜひひとつ、その辺も含めまして慎重に御検討いただければと思います。

 次に、三月十一日に発災いたしました東日本大震災でございますが、悲しいことに、いまだに身元が特定されていない御遺体が多数ございます。御遺族にとりましては、御遺体がない、遺品がないという現状は、その事実を受け入れることができず、お気持ちが三月十一日のままでいつまでも時計がとまった状態ではないか、そんなふうに思われます。

 震災直後から七月末日までで、延べにして二千五百九十九名の歯科医師が身元確認に動員され、多数の身元確認に尽力をいたしてまいりました。これは世界でも例のない数字でございます。

 震災に限らず、犯罪におきましても解剖医というのは大変重要な役割を担っておりますが、残念ながら、歯科系の学部、歯科大学におきましては、歯科に関する法医学講座を有する大学が少ないのが現状でございます。歯科法医学、法医学の底上げを図るための法医学教育の充実を歯学教育カリキュラムにも盛り込んで、また、法医学部門においては、法医学を希望する学生さんらへの奨学金制度等の検討も考える必要があるのではないでしょうか。

 このような検視そして法医学に関して、どういうふうに取り組んでいくお考えなのか、文部科学大臣にお尋ねをいたします。

高木国務大臣 このたびの東日本大震災では、とうとい多くの命が失われました。改めてお悔やみを申し上げたいと存じます。

 そのような中で、身元確認などにおいて多くの歯科医師の方々に多大な御尽力をいただいたことについては、深く感謝を申し上げたいと思っております。

 法医学については、本年四月に、犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方に関する研究会、これは警察庁を中心としてやられておりますけれども、これにおいても、歯科法医学の強化について提言をされております。

 今回の歯科医師の皆さん方の貢献を踏まえて、歯学生の歯科法医学知見の底上げを図ることは、極めて重要だと考えております。

 文部科学省といたしましては、歯学教育の指針とされている歯学教育モデル・コア・カリキュラムに、法医学に関する教育の学習到達目標を盛り込みまして、各大学に提示するなど、法医学教育の改善充実を図っているところであります。

 また、奨学金のことでありますけれども、これは、特定の分野に限らず、すぐれた学生などであって、経済的な理由によって修学に困難があると言われる者については、日本学生支援機構の奨学金により、幅広く経済的な支援を行っております。今後とも引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

川口(浩)委員 ありがとうございます。

 先日の新聞の報道等によりますと、昔と比べますと、歯学部、歯科大学の教育のカリキュラムの中で、いわゆる全身にかかわる一般的な医学的教養、そういった学習の時間が少なくて、知識が少し希薄になっているんじゃないかという御指摘もございました。

 また、さきの震災のときの例でもわかりますように、個人識別ということに関しましては、六年間の間できちんとした基本的な事項を教育することによって、かなり行政解剖、司法解剖等に役に立つ場面ができるんじゃないかなと考えておりますので、ぜひその辺も含めて御検討をいただければと思っております。

 それから、最後に、歯科医師の需給問題というと、どうしても、私どももそうですし、世間一般の考え方としても、常にここ数年、マイナスの方向を向いた議論ばかりがされており、歯科界の将来はとても暗いように思われているのが現実でございます。しかしながら、この先、高齢社会を迎えるに当たり、そしてまた少子化が進む中でも、新たなニーズや、患者の全身状態を考える総合的な医療、こういった質の高い歯科診療が求められているのではないかなと思います。

 歯科医師としてやるべきこと、それから、仕事の魅力をしっかりと伝えて、歯科医師になりたいなと思う優秀な人材が一人でも多くふえるように、その発展に頑張っていきたいと思っておりますので、今後とも御指導をよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。

 済みません、風邪を引いていて、お聞き苦しい声で失礼をいたしました。ありがとうございます。

田中委員長 次に、下村博文君。

下村委員 自民党の下村博文です。

 きのうの三党合意で民主党の政党としてのアイデンティティーというのはなくなったのではないかというふうに私は思います。

 その中で、残念なことがたくさんありますが、私のパートナーであった松宮さんが筆頭理事をやめられるということは、これは民主党内部の話だというふうに聞いておりますが、この会期末の中、本当に残念なことだというふうに思うんです。やはり松宮さんみたいな誠実な人はぜひ党として大切にされないと、民主党そのものの、これから国会運営だけでなく、きのうの三党合意もそうですが、国民にとって何なのかというのが問われるんだろうというふうに私は思います。

 その中で、きょうは文科委員会ですので、高木文科大臣に、この三党合意の文科委員会に関係する部分でお聞きをしたいというふうに思うんです。

 「確認書」というのがきのう出されました。この中で、「民主党、自由民主党及び公明党の三党は、以下の点について確認する。」ということで、いずれにしても、民主党も、もう菅総理では、この国の、特に東日本大震災、復興復旧はできない、早く退陣をすることがこれからの日本の発展のために必要なことだということで、選挙のときの公約、いわゆる四K、これを取り下げても三党合意をしたということであるというふうに思っております。

 その中の第一項目、

 一、歳出の見直しについては、以下のとおりとする。

  ・高速道路無料化については平成二十四年度予算概算要求において計上しないこととする。

  ・高校無償化及び農業戸別所得補償の平成二十四年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。

  なお、これらを含めた歳出の見直しについて、平成二十三年度における歳出の削減を前提に、平成二十三年度第三次補正予算ならびに平成二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。

とあるわけです。

 それ以外のことは直接文科に関係ありませんからちょっと省きますが、特に高校無償化、これについては、もう一度確認しますけれども、「二十四年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」というのが一点あります。それからもう一つは、「平成二十三年度における歳出の削減を前提に、」これは高校無償化も入っているわけです、この文書の中で。

 この二つがあるわけでありますが、この三党合意の特に高校無償化のことについて、高木文科大臣の三党合意に対する見解をお聞きしたいと思います。

高木国務大臣 下村委員にお答えをいたします。

 昨日、三党合意、民主、自民、公明三党の幹事長会談によりまして合意がなされております。まさに、公債特例法にかかわる協議がずっと続いておりました。この中で、幹事長としてぎりぎりの政治判断をなされたものと思っております。

 この高校無償化につきましては、私どもも、まさにこの法案の審議の中で各党各会派から御意見があり、御議論もあったところでございます。これは既に恒久法として成立をしておりますし、私どもは、経済的な理由によって修学ができない、意欲ある高校受験をする者にとって、親の経済的な急変、家庭の事情によって断念をするということがないように、少なくとも高校には行けるというそういう環境を整えたい、こういうことからこの高校無償化を推進をし、そして今進めておるわけであります。

 私の認識するところによりましたら、例えば、さきに行われました調査によりまして、平成二十二年度の経済的理由による高校中退の数が対前年度比四〇%減になっておる、こういうことを一つとってみても、私は、本制度の効果が見られるところではないかと思っておりますし、さきの三・一一東日本大震災における被災者の要望あるいはまた各自治体の皆さん方の声を聞いても、こういった混乱の中で、高校無償化という制度があることによって、しっかりこれまでの学校活動が続けられる、こういうことで評価もいただいております。

 そういうことでございますけれども、今回こういう合意がありまして、高校無償化の附則においても、法施行後三年経過した場合において、法律の施行状況を勘案して、必要があるときには所要の見直しを行う、こういうこともされておりまして、今般、三党合意によって政策効果の検証を進めてまいりたいと思っております。

 それを踏まえて「必要な見直しを検討する。」ということになっておりますので、まずは政策の検証を行うことになろうと思っております。

下村委員 大臣、覚悟を持って答弁していただきたいと思うんです。

 私、冒頭、別に皮肉でなくて、やはり民主党の議員の皆さんも、この三党合意というのは、それはじくじたる思いだと思っておられる方は相当おられると思いますよ、だって、結果的に二年前の選挙公約を全部取り下げるということですから。改めて何なのかということが問われるわけです。

 それはともかくとして、三党合意について、これはもう各党幹事長がサインしたことですから、高木大臣は民主党を離党するか大臣をやめるか、つまり、三党合意を認めないということだったらそういうことなわけですよ。

 私が厳密に答弁をしていただきたいと思うのは、三年後に見直しなんてここに全然書いてないです。この文章のとおりの確認書について聞いているんですよ。ここに三年後なんて全然書いてないですよ。高校無償化については、「平成二十四年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」というのは三年後の話じゃないんですよ。これはことしの話なんです。今の話なんですよ。この三党合意のもとでどうするかと聞いているんですよ。

 それを、三年後見直すことになっているから、その過程の中で見直すみたいな答弁じゃだめです。きちっと答えてください。

高木国務大臣 私が申し上げたのは、今の法律の附則にそういうことを書いておるということを申し上げたのであって、改めて申し上げますけれども、この三党合意、政策の評価を検証するということは、これはこれでしっかりやらなきゃならぬと思っております。

下村委員 だから、それを最初から聞いているわけですよ、しっかりやると実際三党合意で同意されているわけですから。具体的に年内の中でどうするかということと、それから、「平成二十三年度における歳出の削減を前提に、」と書いてあるんです。つまり、ことしの予算でもう既に削減をして、その中で「二十三年度第三次補正予算ならびに平成二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処する」。だから、これは二十三年度の予算の中で既に歳出削減を前提にしているんです。

 つまり、高校無償化もこの中に入っているんですよ。どうですか。

高木国務大臣 まさに、今からそれは我々としては進めることであろうと認識をしております。

 特に、第三次補正そして平成二十四年度の概算要求、こういったものが控えております。今、私たちはそれをどうするこうするという時期ではありませんで、まさに今回の合意を踏まえて、これから我々は今年度の歳出の削減についてどれができるか。あるいは、今後、いわゆる第三次補正予算あるいは来年度の予算についてはこれからのことだと私は思っております。

下村委員 そんなの答弁じゃないですよ。第三次補正予算というのはすぐの話ですよ。来月でしょう、出すとしたら。それから、二十四年度の予算編成も、本当は今月から始める話なんですよ。きのう三党合意がされたわけですから、この三党合意に向けてすぐ着手しなけりゃ、どちらにしても間に合わない話なんです。

 聞いているのは、すぐこれについて対応するかどうかという話なんですよ。すぐ対応しないということですか。

高木国務大臣 当然、直ちに対応すべきものだと思っています。

下村委員 では、当初の答弁とは違って、三党合意に向けて、すぐ高校無償化について対処すると。

 もう一度確認しますけれども、「政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」ということと、それから「平成二十三年度における歳出の削減を前提に、」ということについて「対処する」、すぐ対処するということでよろしいんですね。

高木国務大臣 まず、政策の評価の検証をしなきゃなりません。これは今から進めることです。これは速やかに行わなきゃならぬと思います。

 歳出の削減というのは、これはこれからの話です。私たちとしては、平成二十三年度予算は多くの議論を踏まえて成立をさせていただきました。その根拠の一つになる特例公債法が通っておりませんので、本来的な予算ではない。

 したがって、この特例公債法を通すこと、これがまず何よりも優先すべきことではないかと思っております。

下村委員 それは全然違いますね。

 特例公債法を通すために三党合意がされたんですよ。三党合意をすることによって、ほかの項目は読み上げませんが、それらを着実に実施すると各党が同意したからこそ、特例公債法を今国会で上げようという話になっているんです。特例公債法を上げるためのこれは確認書なんです。だから、これは前提条件なんです。特例公債法が上がったからの話じゃないんです。上げる前提として三党で合意したんですよ。

 この三党合意を大臣は守らないんですか。

高木国務大臣 言うまでもなく、今は特例公債法は上がっておりません。今審議中です。その審議を進めるために今回の合意があったと思っておりまして、今後、二十三年度の歳出削減についてはどういうものが削減できるのか、まさに、今から当面の課題であろうと思っています。

下村委員 事務方は大臣にこの確認書を渡してください。そういういいかげんな答弁では答弁にならないです。

 具体的に何をもって歳出削減するかというのは、ここに書いてある。「高校無償化及び農業戸別所得補償」、このことを具体的に書いてある。それから「高速道路無料化」、この三点について具体的に書いてあるんですよ。このことについて「平成二十三年度における歳出の削減を前提に、」この三つのことについてなんですよ。

 その中の一つとして高校無償化も入っているんです、この文書の中に。どうですか。

高木国務大臣 改めて申し上げますが、

  民主党、自由民主党及び公明党の三党は、以下の点について確認する。

 一、歳出の見直しについては、以下のとおりとする。

  ・高速道路無料化については平成二十四年度予算概算要求において計上しないこととする。

  ・高校無償化及び農業戸別所得補償の平成二十四年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。

こう書いております。

  なお、これらを含めた歳出の見直しについて、平成二十三年度における歳出の削減を前提に、平成二十三年度第三次補正予算ならびに平成二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。

ということになっておりますから、文字どおり、我々はこの合意を遵守しなきゃならぬと、このように思っています。

下村委員 だから、「これらを含めた歳出」という「これら」というのは、高速道路の無料化と高校授業料の無償化、農家の戸別補償、これなんですよ、「これら」というのは。この三点ですよ。それはいいですね、この三点が入るというのは。(高木国務大臣「いいです」と呼ぶ)この三点について……(発言する者あり)必要なんて書いてない。「平成二十三年度における歳出の削減を前提に、平成二十三年度第三次補正予算ならびに平成二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処する」、だから、これは、第三次補正予算についても二十三年度のこの歳出削減が入るということなんですよ。つまり、高校授業料の無償化もこの中に該当しているんです。

 だから、今から準備しなければ、第三次補正予算にどの程度回せるかどうかはわからないでしょう。すぐ着手するのは当然じゃないですか。

高木国務大臣 したがって、先ほどから私が申し上げておりますように、この三党合意は遵守して、速やかに対応を始めなきゃならぬ、このように考えております。

下村委員 いや、全然答弁がいいかげんなんです。

 大臣、高校授業料無償化に限定して言ってください。高校授業料無償化についてどうするんですか。確認しますね、歳出削減の努力をどうするのか。どうですか。

高木国務大臣 これはまさに政策効果を検証する。私とてもこれまでは、この政策はすばらしいものだと思ってきましたよ。しかし、今回の合意があって、これを踏まえて我々は、その政策効果、各方面からそういうものを聞くこともやはり重要でしょう。したがって、速やかにそういうことをやって、本当にこの政策効果はあったかどうかということが問われるわけであります。

 その評価をした後に見直すものについては検討していく、こういうことでありますので、私どもとしましては、高校授業料の無償化も含めて、あるいはもっと言うならば、教育予算全般を含めてそういうことについても考えていかなきゃならぬのではないか、そのように今の現時点では思っております。

下村委員 高木大臣は、第三次補正予算はいつごろ出すべきだとお考えですか。

高木国務大臣 これはもう速やかに出した方がいいと思っておりますが、今の総理を取り巻く環境からいけば、いつかということを私がここで断言するわけにいきませんが、できるだけ私たちは、災害対応の第三次補正予算でありますから、早くこれを編成すべきだと思っております。

下村委員 第三次補正予算はできるだけ速やかに早く出すべきだ、この第三次補正予算の中にこの歳出削減を前提として予算編成に入れる、その中に高校無償化の財源は入れない、入れられないということですか。

高木国務大臣 何度も申し上げておりますように、政策効果を評価をする、これが当面の私たちの対応するものであると考えております。

下村委員 これは二つあるんですよ。一つは、政策効果の検証をもとに必要な見直しを検討するということ、それからもう一つは、二十三年度における歳出の削減を前提として第三次補正予算を編成する。だから、同時に二つかかっているんです。検証しながらも、検討しながらも、見直しをしながらも、削減できるところは削減する。これは高校無償化案も同じなんですよ。

 でも、それはしない、できない、そういう答弁ですね。

高木国務大臣 私どもこれまでは、三党合意があるまでは、これまでも法律案の審議を通じて、そしてまた、その後これが制定された以降、私たちとしては、これは高校に通う皆さん方にとっては非常に意義ある政策だと思っておりました。

 そういうことはこれまでもずっと思ってきましたが、今回そのような合意がありまして、高校無償化というのが言葉の中に入ってきましたから、これは私たち担当大臣としては、このことについて、これは本当にどうだったかという評価は、文字どおりしなきゃならぬと思っております。

下村委員 冒頭に申し上げましたね、民主党としてのアイデンティティーそのものがなくなってしまったのではないかと。

 きのうまで思っていても、三党合意がされたわけですから、これは幾ら担当大臣として政策的にはすばらしいと思っても、見直し対象になっているんですよ。なっていないということなの、首をかしげているけれども。なっているんですよ。だから高校無償化については、三党合意されたわけですから、しっかりやらなかったら、それは担当大臣としての責務を全うしないということになりますね。

 我々は、今までも申し上げておりましたが、具体的にこの見直しについては幾つか提案をしたい。

 その一つは、特定扶養控除の高校生の上乗せ部分は、これは復活すべきだ。そういう見直しが一点。それから、所得制限を設けるべきである。二点です。それから三点目は、低所得者層の子供たちの低減対策として、一つに、公私間格差是正のための対処をすべきだ。二つ目に、その中の一つとして、給付型の奨学金制度の導入を図るべきである。これは当初から申し上げていたことですけれども、こういう観点から見直しと。

 それから、第三次補正予算における高校授業料無償化の歳出の削減については、これは、我々は当初から認めておりませんでしたが、今の政治状況の中、朝鮮高校を対象から外す、これは政府が言っていることですけれども。このこともすることによって、第三次補正予算そして平成二十四年度予算の編成プロセスに当たり、「誠実に対処する」ということが具体的なことであるというふうに提案を申し上げたいと思います。

 きょう来ていただいたにもかかわらず、このことで質問する時間がなくなってしまったら申しわけないので、まず、担当は笠政務官だと思いますが、北教組問題、これについて、あと十分ぐらいしかないので、移ります。

 先日、七月二十七日に笠政務官から、お手元に机上配付されていると思いますが、北海道教育委員会及び札幌市教育委員会における教職員の服務規律等の実態に関する調査の結果を踏まえた措置等について説明を受けました。

 この中に幾つもびっくりする部分がありまして、まず、北海道の教育委員会と札幌市の教育委員会で同じ調査をしたのにもかかわらず、こんなに調査結果が違うということです。道教委の場合には、これは、無回答者に対する服務上の注意、指導も含めて対象が六千八百六十になっている。ところが札幌市教委の場合は、この無回答者を対象にしないということで、対象者の措置等の合計が四十人ということであります。

 このことについて、非常にアンバランス、なぜこのような結果になったのか。文科省としてはどのように分析されていますか。

笠大臣政務官 ただいま御指摘がございましたように、道教委そして札幌市教委とそれぞれ同じような内容で調査をしたにもかかわらず、この処分というものが違っております。

 これはもう委員が御存じのとおり、教育公務員に対する懲戒処分については、地方公務員法第二十九条第一項に基づいて、任命権者である各教育委員会の裁量により行われるものでございますので、この基準についても、任命権者である各教育委員会により異なるものであり、この任命権者の教育委員会の権限と責任において懲戒処分が行われた結果、こうした判断の違いが出てきたというふうに認識をしております。

下村委員 笠政務官、これは人ごとで対処していただきたくないんですよ。もともと、御党の小林千代美衆議院議員の政治資金規正法違反で北教組の幹部が逮捕されたということから、このような経緯で調査もされたわけです。つまり、民主党の問題でもあるわけです。

 その中で、文部科学省が道教委や札幌市教委に対してきちっとした調査を依頼をして、指導して、そしてこのようになったということについて、まだ北海道教育委員会の方が誠実に対応しているわけですね。これに対して、市教委は誠実に対応していない。

 これは、それぞれの教育委員会の自主性云々という話ではなくて、文部科学省としてもこれはきちっと指導助言をする立場でもあるわけですから、このままほっておいていいんですか。

笠大臣政務官 私も、そして文部科学省としても、やはり今後とも引き続き、特にこの札幌市教育委員会の取り組みについては注視し、そして、必要な指導を行ってまいらないといけないというふうに思っております。

 また新たな事実等々が何か明らかになるようなことがあったり、あるいは改善がなされないというようなときには、適宜報告も求めながら、必要な指導をしっかりと行っていくことをお約束したいと思います。

下村委員 これは具体的に申し上げますけれども、この道教委の無回答者六千五百四十八に対して服務上の注意、指導を行っているわけです。一方で、市教委に対しては三百五十七人が回答していない。これについて指導も何ともしていない。ということであれば、このままこれを看過したら、それぞれの教育委員会の自主性に任せるとか言ったら、これはだれももう協力しなくなりますよ、協力すればするほど自分は罰せられちゃうわけだから。

 これは、文科省としてさらに責任放棄になってしまいますよ。ほっておいたら、これはモラルハザードですよ。どうですか。

笠大臣政務官 今の点においては、私どもも、改めて指導をしっかり札幌市教委に対してしていきたいと思っております。

下村委員 いや、だから、文科省として具体的にどう指導するんですか。

笠大臣政務官 教育委員会の方にも直接にこうした対処についてはもう既に指導しておるところでございますけれども、改めて、さらにどういうことができるのか検討した上で対処させていただきたいと思います。

下村委員 時間があと三分しかありませんのできょうはもう省きますが、これ、こんな中途半端やったら、逆にこのことによってかえってモラルハザードで、もう協力しない方がいい、ばからしいと、それぞれ現場の先生方がそういうふうに判断します。文部科学省が、結果的にそういうふうなことによって教育悪化にならないようにきちっとしてもらいたいと思います。

 では、どんなふうに今後指導するかについては、改めて、ほかのさらなる委員会でお聞きします。

 きょうは池田経済産業副大臣が来られていますので、一点だけお聞きします。

 今、ユーチューブ等で、東京大学の児玉アイソトープ総合センター長が、国会厚生労働委員会で、七万人が自宅を離れてさまよっているときに国会は一体何をやっているんですかという参考人質疑をやったのが、物すごく注目を浴びているんです。これは児玉教授に言われるまでもなく、本当に我々自身が、国会で一体何をやっているのかということがやはり問われることだというふうに思うんです。

 このことについて幾つかお聞きしたいけれども、時間がないから、まず端的に、第二次補正予算の中でも、例えば校庭等の放射線量の軽減事業というのは入っていたけれども、しかし、実際に法律がないために、土壌の取り扱いがそのままになってしまっている。関係省庁が検討を行っているということで、今までもずっと検討、検討で具体的な対処策はないんですよ。

 このことについて、これから、この放射性物質に汚染された、これは土壌だけではありません、瓦れきとか、それから水とか空気とか全部ですけれども、もう自治体のみでは対応できないわけです。こうした点について国がしっかりとしたリーダーシップを発揮して対処すべきであるというふうに思います。

 私、これが経済産業省が主管とはとても思えないんですが、しかし、主管がということで担当副大臣として来られていますので、このことについての御答弁をお願いします。

池田副大臣 下村委員にお答えをいたします。

 今、最後のくだりでおっしゃったとおりでございますが、政府の原子力災害対策本部の生活支援チームの事務局長は経済産業省の私の同僚でありますし、そもそも、災害対策本部の副本部長は経産大臣でありますので、そういう意味で、私、この問いかけに対してお答えをさせていただきたいと思います。

 この問題につきましてなかなか決まらなかったことは、下村さんの感覚と共有するものが私もございます。しかしながら、まとまってまいりました。

 放射性物質に汚染された土壌等の処理、処分については、地元自治体のニーズも踏まえ、関係機関が連携して進めていく必要があると思います。

 今後、国、県、市町村等関係者が連携して包括的な除染に取り組めるよう、八月中を目途に基本方針を取りまとめることにしており、国の責任のもと、一刻も早く除染に取り組んでまいりたいと思っております。

 下村委員も御存じのように、現在、与野党において、放射性物質により汚染されたものの処分等について法的措置の検討が進められておりまして、政府としても、これに協力してまいりたいと考えております。

下村委員 最後におっしゃいました、我が党は馳さんが事務局長です。あとは民主党がこれに乗るかどうかということでございますので、ぜひ御協力をお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 下村委員の指摘を引き継いで、三党合意そして「政策効果の検証」というところをちょっと詳しく入りたいと思います。

 あの去年の高校無償化法案の審議のときに積み残しということでもありましたことなんです。まず、高校無償化をする政策の目的が教育目的なのか経済対策なのか、経済対策といっても、学校の経営を支援するのか、高校生の通っている御家庭の家計を支援するのか、そこが審議をしていても十分明確ではなかったんです。

 大臣、今回、政策効果を検証するとなっていますから、まずそこから検証すべきだと思っているんです。

 けさ、決算行政委員会のテレビを見ておりましたら、御党の柚木さんが、中退者が減りましたよと。平成二十年と平成二十二年と一万三千人ぐらい減りましたという数字が出ておりまして、これはプラスの効果というふうに皆さん評価すればいいんですよ。

 ただ、義務教育ではない高校教育において、意欲と能力のある子供たちが高校に通いたい、そしてそれに税金を使おうじゃないかとなったときに、当然、結果責任というか、そういう意味での評価はなされなければいけないし、では、それだけ税金を使って高校教育の目的が、これは、目的といえば、教育基本法に基づいた目的と言った方がいいかもしれません、どこまで効果が高まったのかということをまさしく見る尺度も必要だと思うんですよ。

 大臣もそのように思われませんか。

高木国務大臣 この高校無償化の政策は、もちろん経済的な側面がありますけれども、やはり何といいましても、教育上の観点から、我々としては、いわゆる中学校を終えて、新しく次のステップの高校教育、これがすべての人たちに、まさに、行きたい、勉強したいという意欲があれば、これは社会全体としてそういう場を保障してやる、こういうことが一番何よりも目的だと思っています。

馳委員 政策効果の検証といえば、当然、今大臣がおっしゃったように、教育の面から見る。そうすると、教育基本法第四条、私もこの点を指摘したのは、海外の日本人の十六から十八歳、いわゆる海外に住んでいる高校生には及ばないんですよね、この高校無償化の実利というのは。ここも政策効果の検証の対象とすべきだと思うんですが、いかがですか。

高木国務大臣 これは、法律案審議のときに国会でも一つの議論として審議がなされたと私も承知をいたしておりまして、私たち、政策効果の評価については、予断を持たずに、あらゆるこれまでの検討結果も含めて評価をすべきものだと、このように思っています。

馳委員 子ども手当の所得制限が九百六十万円になりましたね。正直、私はここもちょっと不満なのは、世帯主なのか世帯なのかというところも実はあるんです。

 お父さんが年収九百四十万円、お母さんが年収九百四十万円、この御家庭は支援を受けるんです。でも、お父さんが九百七十万円、お母さんが所得がない、これは対象外になっちゃうんです。世帯主と今はなっていますから。実は、子ども手当の場合の見直しについては、こういったところもより詳しく検証されるべきだと僕は思っているんです。

 そうすると、同様に高校無償化についても、所得制限ということは当然政策効果の検証対象にすべきだと私は思います。どう思いますか。

高木国務大臣 民主党としては、所得制限を設けない、こういう考え方をもとにしております。

 したがいまして、親の経済状況あるいは仕事によって子供に違いをつけないということであると思っておりますし、私は、これは非常に、社会全体として子供の学びを支えるという意味では適切なものだと思っております。そしてまた、この件についても、国会審議の中でも、各党各会派それぞれまた御意見もあることも承知をいたしております。

 私どもとしましては、今のところそういう考え方のもとに立ちますが、しかし、やはり政策の効果を評価するということでありますから、これはこれで率直に受けとめて評価をしなきゃならぬと思っています。

馳委員 大臣、この三党合意の確認書が交わされた背景というのは、どうしても二つの議論はせざるを得ないじゃないですか。いわゆる財政健全化のそもそもの議論ですよね。プラス、復興財源を出すときに、私たちは、ばらまき四Kという、民主党にとっては余りありがたくない表現をしておりますが、政策目的としてそういうことに税金を使っていいんだろうかというふうな議論もあるわけで、そこの非常に、自民党、公明党、民主党それぞれの政策の主張を持ち寄った、行間を含んだ表現がこの三党合意なんですよ、この確認書なんですよ。

 大臣も本当に長らく議運や国対でおられましたから、どちらの政党にとっても非常に読みやすい、含蓄のある表現になっていることを考えれば、僕は、九月中には、第三次の補正、並行して概算要求の作業というのはせざるを得ないと思います。菅総理がおかわりになられようがどうなろうが、政治の流れとしてそれをしないと、地方自治体に対しても世界に対しても、日本の役割を果たすことはできません。

 リミットはやはり九月中ですよ。第三次補正で本格的な復興基本方針に従った補正を組んで、これも経済対策に資するとともに、東北三県のやはり復興に向けての形を見せる、具体性を見せることが大事なことじゃないですか。

 そして、財政健全化についても、国民は、負担すべきは負担しましょうという増税の論議から逃げてはいけないんです。それが、政権政党である民主党の一つの重荷だと私は思うんです。

 こういう議論から入ると、先ほど我が党の下村さんがおっしゃったように、所得制限の議論、これも正面からやはりせざるを得ない。特定扶養控除、十六歳から十八歳分は廃止しましたけれども、これは税制改正ですから、税制の議論と一緒にせざるを得ない。アリの一穴かもしれませんけれども、その中で合意点を見つけていこうとするのが僕は政治の責任だと思って、きょう具体的にちょっと聞いているんです。

 すべての可能性を排除するのではなくて、同じ土俵で議論をしましょう、それが「政策効果の検証」。「見直し」、「削減」ということをちょっと横に置いておいてこの「検証」という言葉を持ってきたところが、一番意味のある、三幹事長の言い分なんですよ。これがまた民主党で人事がかわって総理や幹事長や文部科学大臣がかわったら、こんな文書なんて知らないよということは言っちゃいけないんです。そのことは大臣よく御存じじゃないですか。

 だから、この「検証」という言葉を踏まえて私は今ねちねちと指摘していますけれども、この所得制限の問題、給付型奨学金の議論の問題、特にこの公私間格差と給付型奨学金の問題、それから都道府県の格差もあった、財政の豊かな都道府県は、知事や教育長が判断した場合には、やはり、ほかの都道府県とは違う部分まで上乗せして面倒を見ようという部分もあったわけですよ。今は実際にそうなっています。

 こういう点の不備を政策の検証として見直す姿勢が高木大臣には求められているということを私は申し上げているんです。いかがでしょうか。

高木国務大臣 これはおっしゃるとおり、人ごとではありません。昨日の合意ですから、その合意はやはり尊重しなきゃならぬと思います。

馳委員 では質問に入らせていただきますが、スクールカウンセラー事業について伺います。

 最近の報道でも、自殺防止対策にモデル事業も含めて文部科学省が本格的に取り組むとありました。非常に私はすばらしいことだと思います。

 そのときに、スクールカウンセラーの問題について私の姿勢を申し上げれば、子供たちの心の相談、教育相談、将来への不安、家庭の不安などばかりではなく、教員の相談にも乗れるスクールカウンセラーであってほしいというのが私の願いです。大臣いかがでしょうか。

高木国務大臣 私も、もちろん子供たちの心のケア、これはもう非常に重要です。したがって、これも引き続きしっかりやらなきゃなりません。また、そういう教職員の配置についても万全を期すという、そういう心がけが大事だと思っています。

 同時にやはり、子供たちを教える立場の教職員も、かなりの仕事の中からくるストレス、これもあるでしょう。したがって、そういう教職員の心のケアというのもあわせてやれる人材、こういった者が配置されていいものだとこのように思っておりますし、これからも、限られた陣容の中ではありますが、そういったことというのは、これはもう教育の現場においては本当に大事なことですから、そういったことについてはやはり力を入れていかなきゃならぬ、このように思っています。

馳委員 ことしは義務標準法の議論が国会前半の大きな山場でありましたけれども、あのときに、単純に数字割りで決まる義務定数と加配定数、義務定数の方から加配の方に随分と振り分けられてきますよねということを経年的に証明もいたしました。

 僕は教員をやっていたから言うんですよ。学校の先生というのは、同僚に弱音とか本音とかなかなか言えないものなんですね。なぜか。学校を出てすぐ教壇に立つものだから、プライドが許さないんですよ。人に指導するのは得意なんだけれども、人に指導されるのを極端に嫌がるタイプが多いんです。つまり、子供たちに何となく上から目線で話をしてしまいがちになるわけですね。そして、知識を伝えているわけですから、自分の方が知っているぞというふうないわゆる思い込み、これが、言葉が変わると思い上がりにつながるんですね。

 ただ、そういう先生方が今非常に、精神疾患、うつ病などで休職をされたり、残念ながらおやめになる方も多いとなったときに、第三者的な児童の相談教員、同時に、教員に対する相談支援という、私は、そういう教員も加配定数の中に含まれるようにしていく時代になっていると思うんですよ。

 保護者からのプレッシャーであったり地域のプレッシャー、いろいろありますけれども、教員を取り巻く環境が変わってきたんだということを前提に、私は、加配定数の中においても、こういった教員の相談支援にかかわる、同時に、最初に申し上げた児童の自殺防止対策のための教育、これはやはり必要な論点ではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 馳委員は教壇にも立たれて、教育現場のことについてはとりわけ詳しいことを私も十分承知をいたしております。

 まさに心のケアというのは、子供も大人も、今、ある意味ではストレス社会とも呼ばれておりますが、そういった中で、まずみずからで努力することのほかに、どうしても自分でできない苦しいことに対してアドバイスを適切にしてあげられるそういう人材というのは、私は、これからの時代のニーズでもあろうと思っております。

 したがいまして、私たちとしては、具体的には、各都道府県あるいは市町村の教育委員会とも十分連携をとりまして、その辺については、本当に限られた財源とはいえども、しっかり目を配らなきゃならないことだと思っておりますので、今後とも引き続き努力をしていきたいと思います。

馳委員 児童生徒が減少する、数字割りをすれば義務定数は減るんですね。そうすると、加配定数の方にそういった教員も配慮していく。もちろん、資格のある、指導できる、カウンセリングをできる教員というのはいますから、そういった人材の活用というものを求めたいという趣旨であります。

 そこで、スクールカウンセラー事業について改めて。

 平成二十二年度で、スクールカウンセラーとスクールカウンセラーに準ずる者のこの配置状況はどうなっていますか。都道府県で違いはあるでしょうか。

山中政府参考人 平成二十二年度のスクールカウンセラーの全国の配置状況でございますけれども、全部で六千二百二十七名ということでございます。

 その中で、スクールカウンセラーが五千六十一名、八一・三%、スクールカウンセラーに準ずる者というのが千百六十六人、一八・七%という状況でございます。

 これは、都道府県で状況がいろいろ変わっておりまして、すべてスクールカウンセラーを配置している県もございますし、あるいは、五割以上が準ずる者ということで配置している県もございます。

 その県内でスクールカウンセラーに採用できる方、そういう方がたくさんいらっしゃるのかどうか、そういうところも影響しているんじゃないかというふうに思っています。県によって状況が変わっております。

馳委員 そこで、スクールカウンセラーとスクールカウンセラーに準ずる者と、この配置あるいは待遇について格差はありますか。そして、それを修正すべきだと考えていますか。

山中政府参考人 スクールカウンセラーとスクールカウンセラーに準ずる者ということで、文部科学省のスクールカウンセラー等活用事業で補助を行って助成を行っているわけでございますけれども、スクールカウンセラーを、どういう方をどういう目的で配置するのかといったそのスクールカウンセラーの配置とか待遇につきましては、それぞれの教育委員会で、地域と学校の状況、そういうものを見て配置、採用しているというところでございます。

 それで、平成二十二年度の実態について都道府県、指定都市に調査いたしましたが、一時間当たりの報酬という面で、スクールカウンセラーの方が約五千円ということでございまして、あと、準ずる者が約三千円ということでございます。

 また、文部科学省としては、この補助金の方の要綱を平成二十一年に変えまして、子供の教育相談についての幅広い人材の任用を進めるという点から、準ずる者をそれまでは四〇%以内だということで、予算の執行について、まずはスクールカウンセラーをということでそういう縛りをつけておりましたが、そこは幅広い人材の任用を進めようということで、そういう縛りはなくしたというところでございます。

馳委員 実は大臣、スクールカウンセラーというのは、対象が臨床心理士等なんですね。つまり、はっきり言いますけれども、教育現場の専門家というわけではないんです。この方がスクールカウンセラー。

 しかし、それに準ずる者として、学校カウンセラーとか教育カウンセラーとかガイダンスカウンセラーとかという教育現場に詳しい方々が準ずる者となっていて、教育現場で相談員を務めるのに、臨床心理士が主に指定をされていて、準ずる者の方が実は教育の現場に詳しい方々がなっているというのは、ちょっと本末転倒じゃないのかなという指摘が従来からあるということをまずお伝えいたします。

 そこで、臨床心理士の不足する地域では、準ずる者は臨床心理士の予備軍となっているんです。予備軍ではなくて、高度に専門的な知識及び経験を有する者という表現として、まさしく正規に採用すべきではないんですかという指摘なんです。いかがですか。

山中政府参考人 スクールカウンセラーの任用、どういう方を採用しようとするかということ、あるいはその形ですとか待遇面、これは、各教育委員会の方で、その実情を踏まえながら採用していくということになろうかと思っております。

 ただ、文部科学省の方の補助要綱といたしましては、平成二十一年度から、スクールカウンセラーとそれから準ずる方ということで採用していただいておりますけれども、準ずる方については、地域や学校の実情を踏まえて、スクールカウンセラーを任用するよりも合理的であると認められる場合には任用できるよということで、それ以前は、任用できない場合にはそういう方を任用しましょうという形が基本的な考え方であったところですけれども、そこのところは要領を変えまして、幅広い方を任用できるようにしようという形にはしております。

 それは、それぞれの都道府県あるいは市の教育委員会で、それまで採用されてきた方の実績といいますかその効果といいますか、そういうものも見ながら、こういう資格を持った方を任用しよう、そういうことを判断されて実際には任用されているということだと思っております。

馳委員 大臣、教育現場では何となく本末転倒のように思われているんです。これはスクールカウンセラーを導入した経緯がありますから、それを今ここでくだくだは言いません。

 ただ、採用のときに、これは税金を使う事業ですから、公募を中心にやってほしいんですよ。というのは、このスクールカウンセラーの募集に当たって、外部団体からの推薦により選考している自治体もあります。恐らく、今、山中局長もおっしゃったように、より専門的な人材がいるのならばお願いしますという、よかれと思ってのことだと思いますが、まさしく教育委員会が公募で応募された方を公平に審査をして採用するという、税金の使い道でもありますから、そこで専門性を判断すればいいわけですから、私はそういう公平性があってもよいと思います。

 そこで、先ほどから、臨床心理士という資格にとらわれず、教育の現場で専門的に高度な技術といいますかガイダンス能力といいますか、それを持った方をやはり採用していくというあり方が必要ではないかなと思いますが、大臣いかがでしょうか。

山中政府参考人 委員御指摘のとおり、スクールカウンセラーの採用のあり方、これについて文部科学省でも、スクールカウンセラーの募集方法とか配置の形態についての調査を行っております。

 平成二十三年度において、公募している自治体が、二十五府県、九市、政令指定市でございます。それから、公募していない自治体が、二十二都道府県、十市という状況でございます。

 文部科学省といたしましては、こういうふうな委員の御指摘も踏まえて調査しましたところ、こういう実態でございますので、それはそれぞれの都道府県なりで、今までの採用の仕方とか、どういう形でその適任の資格を持った人が得られやすいのか、そういう事情等があってこういう状況になっているんだとは思います。

 指導主事の会議でも、やはり、そういう資格を持っている方、どういう方を募集するかというところはそれぞれの教育委員会の方で判断するんだと思いますけれども、そういう方には、こういうことを募集していますよということがわかるような状態で幅広く公募を求めるような、そういう形にした方がいいんじゃないかということを申し上げているところでございます。

馳委員 公募というのは意外とすばらしくて、私は石川県金沢市ですが、市長がかわって、学校図書館に学校司書、司書教諭を採用しようということで公募に出したら、何と全国から集まっちゃったんです。びっくりするような人材が集まって、三十人ぐらいのところの公募をして、二百人近く集まったんです。金沢市内ばかりではないんですよ。遠く九州の方や東京の方からも応募があったんです。その中から公平に審査をして選んだそうであります。当然、レベルの高い学校司書、図書館において事務を取り扱う、教育を担当できる人材が集まりまして、担当者に伺いましたら、びっくりしていました。

 そういう意味で、スクールカウンセラーについても公募ということをまず原則とする。ただし、地域によって人材にばらつきもありますから、そういう場合には団体にも頼るという両面作戦をできるようにしていくのが、税金を使う側の姿勢ではないかなと私は思います。大臣もこのことはぜひ御理解いただきたいと思います。

 最後に、震災対策で被災地にスクールカウンセラーを、補正も使っていただきましたが、何人採用して幾らかかりましたか。まずその数字を。

山中政府参考人 震災対策として、第一次補正で緊急スクールカウンセラーの派遣事業というものを措置していただきました。

 本事業で、例えば、岩手県に委託している額が約三億六千七百万円、宮城県が約六億二千万円、福島県が約二億九千万円となっております。この予算を活用いたしまして、まず五月上旬から七月下旬ということで、岩手県では延べ三百四十八名、宮城県では延べ約二百八十六名、福島県では延べ八十四名、七百十八名を採用したということでございます。

 被災地においては、この事業を活用しまして、現在も、あるいは今後二学期以降も、スクールカウンセラーの派遣事業というものを行うということになっています。

 この金額は、年度末に精算いたしますので、そこで確定するということになります。

馳委員 大臣、実は、臨床心理士を一週間単位で交代で派遣したというふうに聞いておりまして、中学校の校長先生とか、私も現地視察に入ったときに事情をいろいろ聞いてきましたら、子供たちが混乱して余計に教師の手間となり、現場の負担となったと聞いています。幾ら専門家といえども、入れかわり立ちかわり来てもらうよりも、決まった人が継続的にいて、子供との愛着感、それを大事にしてほしいという指摘でありました。

 半年から数年は継続して雇用して、息の長い、地域に密着したカウンセリングというのが大事だと思いますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 委員御指摘のとおり、一回相談をしたりあるいはまたカウンセルしていただく、やはり、できるだけ同じ人、また、できるだけ長くということは十分に理解をいたします。

 ただ、なぜ一週間なのかということなんですが、五月から七月にかけて、特に沿岸部ではスクールカウンセラーの要請が多くありまして、緊急に県外のスクールカウンセラーを派遣いたしました。今回は、このスクールカウンセラーを集める必要があったこと、また、県外のスクールカウンセラーが現在勤務している学校を長期間離れることが困難であった、こういうこともありました。基本的には一週間単位の期間で交代することになったと、このように聞いております。

 この場合でも、いわゆるカウンセラー同士の円滑な引き継ぎができるように、同一市町村には同一県のスクールカウンセラーを派遣する、こういうことの配慮は必要だろうし、また、そういうことを行ったと聞いております。

 二学期以降、例えば宮城県では、県内でのスクールカウンセラーを確保して、半年程度の期間をかけてカウンセリングを行いたい、こういう実態もありますので、これからも、いずれにいたしましても、各都道府県の要望に沿って、遺憾なきように対応していきたいと思っております。

馳委員 私が指摘した問題点は大臣も御理解いただいていると思います。子供たちが震災に遭いました。学校がなくなったり、あるいは友達が亡くなったり、家族が亡くなったりという想像を絶する状況に置かれている中で、やはり継続的なカウンセリングの必要性、そしてやはり息の長いカウンセリングの必要性というのは当然だと思いますので、当然、人材の確保が一番のポイントではありますけれども、そういったきめの細かい対応ができるように取り組みをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、古屋圭司君。

古屋(圭)委員 自民党の古屋圭司でございます。

 まず、きょうは、核融合研究について御質問させていただきたいんですが、自然科学研究機構核融合研究所の小森所長にもわざわざお越しをいただきました。本当にありがとうございます。御意見を聞かせていただければというふうに思います。

 三・一一東日本大震災は、我が国のエネルギー政策にも深刻な影響を与えてしまいましたね。原発の事故後の対応のちぐはぐさというのが、風評損害を我が国内だけではなくて海外にもばらまいてしまったということは、極めて残念であります。政府の対応のまずさにその一因があるということは私は否定できないと思いますけれども、きょうは、このことを追及することが目的ではありません。

 原発事故を境に、いわゆるエネルギー政策のパラダイムシフトというのが現実問題として起きつつあるというのは否定できないと思うんです。将来の究極的安全かつクリーンなエネルギーの技術をいかに実現させていくか、これも重要な課題でありまして、この一つとして、現在、核融合の研究が進んでいますので、この点について質問させていただきたいと思います。

 核融合というと、ある種の恐怖感を覚えるというか、事情を知らない人は特に、今度の震災で原発のああいう事故が起きました、放射能被害も起きたということで、そういうことを考える方がいらっしゃると非常に残念なんですけれども。

 この場合、核融合といってもウラン燃料を使うわけではありませんので、高レベル廃棄物を出すということもないし、また、きょうお越しの小森所長の言葉によりますと、究極のグリーンイノベーションだ、こう言っているわけでありますね。ただ、まだ実用化までには越えなくてはいけないハードル、たくさんあると思います。

 そこで、きょうは、せっかく小森所長にお越しいただきましたので、今、所長が研究所を挙げて取り組んでいる、核融合研究所が目指している核融合による発電の原理、これについて一言わかりやすく御説明をいただけますか。

小森参考人 例えば、太陽は水素の核融合で光り輝いている。私たちが目指しています地上の核融合は、水素の仲間であります重水素とトリチウムを融合させる、そのときに発生したエネルギーを利用して水蒸気をつくって、そういう意味では今と同じようですけれども、発電するということを考えております。

 この燃料は、海の中にほとんど無尽蔵にあります重水と、それからリチウム金属というものです。核融合が起きた後に発生する、そういう意味では排気ガスですけれども、これは風船なんかにも使われています安全なヘリウムガスですので、先ほど先生から御指摘のように、私としては、究極のグリーンイノベーションであるというふうに日ごろ申し上げております。

古屋(圭)委員 今の一言を聞いてぱっと理解いただける方は少ないと思うんですけれども、要するに海水を使って発電をしようと。海水の水ポリタンク一缶でポリタンク二百五十缶分の石油のエネルギーを要するにつくり上げることができる、これぐらいの技術なんですね。これがもし本当に実現すればすばらしいことだと思いますけれども、まだまだいろいろなハードルがあるということであります。

 そこで、今、小森所長からのお話を聞きましたけれども、今研究所がその目標に向かって、どの程度まで実際にその研究の成果が出ているのかということをお伺いしたいと思います。

 特に核融合研究所においては、大型ヘリカルによる研究をしておりますけれども、これはいわば日本独自の技術であるというのが特色ですね。その意味で、日本技術の、世界最高技術の実用化に向けて今どれぐらいの位置にいるのかというようなことを、技術者の立場でちょっと御説明いただければというふうに思います。

小森参考人 核融合科学研究所が保有しております大型ヘリカル装置ですけれども、核融合にはプラズマというものを閉じ込める必要があるんですけれども、その有力な閉じ込め方式の中の一つのヘリカル方式を採用しております。この方式は、御指摘ございましたように我が国独自の発想で、我が国の特色ある装置ということになります。

 特徴としましては、プラズマを長時間保持できる、生成することができるというものです。すなわち、定常運転性に非常にすぐれているというところが特徴です。実際に我々の実験で、平成十七年に既に約一時間の定常運転をすることに成功しております。

 それから、もう一つ非常に重要なことは、核融合を行うためにはイオン温度が一億二千万度ぐらい目安として必要だということなんですけれども、昨年の我々の実験におきまして、七千五百万度のイオン温度を達成いたしました。これによりまして、核融合が必要とするプラズマの温度をある程度見通すことのできるようなところまで一歩ずつ近づいたということが言えると思います。

 我々の研究は、先ほど申しましたヘリカル方式というのを使用しております。それからもう一つ、トカマク方式というのもございますけれども、日本はこの両方式におきまして世界のトップレベルを走っておりまして、世界の研究をお互いに主導しているということになります。

古屋(圭)委員 今、放電保持の時間が一時間ですか、正確に言うと三千九百秒というふうに聞いていますけれども、要するに、理論としては、それが二十四時間ずっと続けられれば安定した電力が、いわゆる究極のグリーンイノベーションの電力が供給できるということですけれども、まだまだそれには遠い道のり。今、七千五百万度。一億度以上じゃないといけない。これもいかに安定して出していくか、こういうことが大切です。

 これはよく一部の学者が、いや、こんなものは海のものとも山のものともわからないんだと。学者というのは自分のやっていることが一番いいと思いまして、ほかがやっていることは一切ペケにしますから、やはりそうではなくて、こうやって本当に可能性があるわけですから、しっかりこれを研究していくべきだというふうに私は思いますね。

 特に、ヘリカル方式というのは日本で生まれたものだと今所長からもお話がありましたけれども、最近ではもう世界的に実はこれは非常に注目されていますよね。ドイツなんかでも、日本と同じような施設を今建設して、急ピッチでその研究が進んでいるわけであります。要するに、厳しい国際競争が続いているというよりは、日本がとりかけた初めての技術が今世界にねらわれていると言っても私は過言ではないというふうに思うんです。

 やはり、何といっても一番を目指していかなくてはいけない。一番を目指すことのみが、科学技術創造立国としての日本の地位を確保できる唯一の方法なんですね。

 そこで、今研究所では、重水素を活用した実験をスタートさせているというお話がございました。この重水素を使うというのは、恐らくまた世界でも先んじてやるんでしょうけれども、では、この重水素実験をすることが世界の熾烈な競争というものに先行することができるのか、なぜこの重水素が、将来の実用化というものを目指したときに不可欠なものなのか。この点について所長にお伺いしたいと思います。

小森参考人 今、古屋先生から御指摘のように、ドイツも、我々の大型ヘリカル装置の成果を見まして、我々の大型ヘリカル装置とほぼ同規模のヘリカル型の装置を現在建設中でして、二〇一五年から稼働の予定です。国際競争も今後非常に熾烈になるというふうに考えています。

 今後も我が国が世界の核融合研究におきまして主導するという立場をとるには、これからさらに一段の研究を進めないといけないということになります。

 それで、我々が行いたいと申し上げています重水素実験は、実験に使いますガスを、通常の水素ガスから、水素ガスの二倍の重さになります重水素ガスにかえるだけで性能が上がるということが今指摘されておりまして、ぜひこれを使ってプラズマの性能を上げたい。

 そうすることによりまして、世界に先んじてプラズマ物理の研究、それからその体系化を行うことができるということで、非常に重要な課題だと思っております。

古屋(圭)委員 あわせてお伺いしますけれども、一部で言われている安全性という問題については全く大丈夫なんですね。この点について確認させてください。

小森参考人 安全性ですけれども、重水素を使いますと温度が高くなりますので、使用する重水素の最高で一万分の一ぐらいなんですけれども、核融合が起きまして、放射性物質である三重水素と中性子が出ます。これにつきましては、トリチウム、三重水素ですけれども、これはグラムでいいますと、一回の実験で最大でも四百万分の一グラムという非常に微量です。これはそのまま放出しても特に何の問題もないんですけれども、我々の研究所では、これを回収しまして、水の格好で引き取ってもらうというようなことを考えております。

 それから、中性子につきましては、これは性質としまして水とコンクリートで遮へいできるということですので、我々の研究所のコンクリートの厚さを少し厚くしまして、環境には全く影響がないというふうにしておりますので、全く心配はございません。

 実際に実験が始まっても、我々自身がもちろん実験室の中にも入りますし、それから真空容器の中に入ってメンテをするということですので、安全性については全く心配はございません。

古屋(圭)委員 やはりその辺はしっかりPRしていくべきだと思うんですよ。ああいう原発の事故が起きますと、非常にその辺が神経質になるんですね。ぜひ今の実態をもっともっとしっかりと、全く次元の違う話なんだということをぜひPRしていただきたいと思います。

 そこで、文部科学大臣に聞きますけれども、今こういった重水素の実験というのは、今後の実用化を目指したときに極めて重要な柱になっていきますよね。そういったことを今所長が熱く語られましたけれども、その実験を確実なものとするためには、やはり予算の確保というのが不可欠だと思うんです。

 いよいよ概算要求、あるいは来年度、再来年度に向けてこういったものの予算もしっかり充実をしなきゃいけないと思うんですけれども、その予算確保について、文部科学大臣としてはどういう認識で、どう取り組んでいくか。私はぜひ前向きに取り組んでいただきたいというふうに思いますが、この点について御答弁を求めます。

    〔委員長退席、松崎(哲)委員長代理着席〕

高木国務大臣 古屋委員には今核融合についてお尋ねがさまざまありまして、専門家たる所長の方からも説明もございました。

 今回の福島第一原子力発電所の事故を受けまして、いわゆる原子力政策あるいはエネルギー政策を全般的に見直す、そういうスタンスを政府としてはとっております。科学は絶対はあり得ない、こういうことも言われておりますし、今回の教訓を踏まえると、国民に安全と安心の確保というのは何よりの条件だと思っております。

 そういう意味では、原子力発電とこの核融合は違うんだ、そういう説明を私はしっかりやっていかなきゃならぬなと思っております。まさに科学的、専門的な根拠に基づいた説明を私はこの機会にしっかりやっていかなきゃならぬと思っております。

 お話を聞いておりましても、重水素とトリチウムという燃料、これは資源はかなり豊富にある、海中にもあるということでありました。また、燃料の供給をとめると速やかに反応が停止をする、高い安全性もあるという話もあります。また、高レベルの放射性廃棄物は発生しない、こういう特徴も述べられております。そういうことがこれに期待される一つの大きな要因であろうと思っております。

 我が国といたしましては、こういうふうな期待を背景としまして、世界人口の過半数を占める七極、いわゆる日本、アメリカ、欧州、ロシア、中国、韓国、インドが共同して今進めておりますITER計画に積極的に参加をしておりますとともに、我が国発の独創的技術であるヘリカル核融合研究にも取り組んでおります。

 まさに、世界的に見ても特色ある成果を生み出す研究環境を今整えておるところでありまして、核融合エネルギーの実現に向けては、今のITER計画の着実な推進、そしてまた、まだまだ実験炉の基礎的な段階でございますから、こういったものを一歩一歩踏み重ねていかなきゃならぬと思っております。

 私としては、やはり科学技術立国というのを私たちは目指しておりますから、そういう追求に引き続き着実に取り組まなきゃならぬと思います。

 しかし、同時に、やはり国民の安全、安心、そういう信頼を得るために、重ねて申し上げますけれども、この仕組みやそしてまたこのエネルギーのあり方について、しっかりとした説明、PRが必要だろう、このように思っております。

古屋(圭)委員 今、ITERのことも御指摘されましたけれども、私も、ITERあるいはヘリカル、両方をしっかり推進していく必要があると思います。

 どっちが勝つか、まだわかりませんから、しっかり日本もその両方、もしかしてITERが勝つかもしれないし、ヘリカルが勝つかもしれない。両方うまくいくかもしれない。やはりこれは、日本の独自の技術のヘリカルもしっかりやって、私は、当然ITERもやっていくということはよく承知をいたしております。

 その上で、この重水素の実験が喫緊の課題でありますから、予算の確保について前向きに取り組んでいただけるかどうか、再度このことを確認したいことが一点。

 それからもう一つ、これはもともと名大プラズマ研究所と言っていたんですよ。核融合研に、要するに充実するということで変わったんですけれども、今、ああいう事故が起きますと、要するにウラン燃料も使わない究極のエネルギーなんですけれども、どうも神経質になって、国民感情を考えると、間違っても誤解なんか受けないように、ある意味で名称を変更するというのも一つの考えだと私は思うんですけれども、これは極めて政治的なあれもあると思いますけれども、そういうことについてあわせて、大臣、どう思われますか。

 この二点、あわせて聞きます。

高木国務大臣 私どもとしましては、予算編成については、まだ今そういう方針も決まっておりません。御承知のとおりに、第三次補正についてもどうするかというところも決まっておりませんが、この案件については、引き続き着実に取り組むべきものだと思っております。

 それから、核融合とは一体何だろうか、これが今国民の間に本当に理解されておるかといえば、私は必ずしもそうではないと思っておりますので、まさにこの説明をしっかりしていく、このことが何よりも重要であろう、このように考えております。

古屋(圭)委員 その程度の答弁しか、まだ概算も補正も決まらない中ではっきりは言えないんでしょうけれども、しっかり予算の確保に向けて頑張っていただきたいというふうに思います。

 小森所長、ありがとうございました。ちょっとほかの質問もありますので、これで。ありがとうございました。

 それでは、次の課題に移らせていただきます。子供を対象にした伝統文化活性化事業というものについてお伺いしたいと思います。

 これは、一昨年他界をしました平山郁夫先生の肝いりで、全国の子供たちに日本が培ってきた伝統文化を体験や習得させることを目的に、平成十五年から伝統文化こども教室事業をスタートさせて、私どももこの議員連盟をつくって、同時に推進をしてきたんですね。

 この事業は非常に高い評価を受けている。なぜか。それは、全国には、学校の授業以外で日本の伝統文化を子供たちに教えてくれる多くの組織が存在します。しかし、そういった組織は、必ずしも全国団体があるわけではなくて、まさしく草の根レベルで保存会や同好会をつくって、例えば習字とかお茶なんというのはもちろんですけれども、将棋のようなものに限らず、地域に根づいてきた伝統的な踊りだとか地歌舞伎だとか、あるいは人形浄瑠璃だとか、多種多様なそういった伝統文化を次の世代に引き継ぐ取り組みをしているんですね。

 この八年間で事業は約四千二百以上の団体が助成の対象となって、衣装代に活用したり、講師の謝礼に活用したり、そういう意味では、一団体数十万円程度でして、まさしく地域の草の根団体の事業だからこそ評価が高かったんです。

 この評価の高かった事業が、事業仕分けで、平成二十二年をもって廃止の憂き目を見ることになったんですね。それにかわって、平成二十三年度に設立をされた文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業という、その総枠の中に押し込まれてしまったようなものなんですけれども。では、果たして、この伝統文化こども教室が担ってきた中身というのは、本当にそれで維持ができるか、私は極めて疑問だというふうに思っています。

 そこで、今回設立された文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業で、今までに対象となった団体あるいは保存会など、どの程度がこれに参画できているのか、これについてまず聞きたいと思います。

    〔松崎(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

吉田政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のような経緯がございまして、今年度から、伝統文化こども教室の後継ということでは、文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業という中で対応をさせていただくということになりました。

 先ほど先生がおっしゃいましたように、これまで伝統文化こども教室を行っていた団体が、どの程度というところはちょっとまだ調査が済んでおりませんけれども、二十三年度のこの事業の採択を七月に行いましたけれども、その中で、体験教室関係につきましては、総数といたしまして、一千三百五十四件という形になっております。

古屋(圭)委員 一千三百、要するに四分の一に減ってしまったということなんです。

 これはなぜかというと、この新しい事業は、いわゆる都道府県とか市町村が企画する事業が対象になるんですね。だから、果たして地方公共団体で、四千を超える、小さな団体ですよ、本当に十人とか二十人の子供たちがやっている、そういうところが多い団体にきめ細かく対応するということは、現実的になかなかできないんですね。

 要するに、地方公共団体の取り組みには濃淡があるんですよ。本当に首長がこういうものに熱心だったらやるかもしれないけれども、関心がないところはどんどんはじき飛ばされてしまうんですね。要するに、結果として格差が生じてしまうということなんです。

 私は、地域の草の根単位でやはり申請をして、子供たちの伝統文化事業には格差をつけないということが何よりも大切だと思う。そのためには、こういった趣旨の事業というのを復活させるというのが何よりも大切ですよ。

 この新しい、いわゆる観光だとか地域活性化の中に入れてしまっては本来の趣旨は発揮できないんですよ。これはあくまでも、地域に生まれた文化をしっかり子供たち、次の世代に移していくというのが一番重要な役割なんですね。本当になぜ事業仕分けではじき飛ばされたのか。そんなに大してお金はかからないんです。

 この平山先生からこんなことを言われたことがあるんです。かつて、戦闘機の尾翼の一かけらの予算と新しい法律があれば、世界に誇る国際的文化貢献ができるんですよと。こういうふうに要請されまして、私はその言葉にほだされて、五年ほど前に文化遺産国際協力法というのをつくった。

 これによって、アンコールワットなどの歴史的遺産の修復は、最高の技術を持つ日本が、日本の政府をもって、日の丸を掲げて貢献することができる。これによって、何百万人と来る人たちが、日本ってすごいことをやっているねと。でも、それにかかっているお金はほとんど大したことないんですよ。

 これと同じ発想でありまして、やはり少ない予算で、教育基本法にも規定する伝統文化の尊重や社会全体で教育を担う、この理念にも合致をするんですね。

 私は、ぜひ、この趣旨の事業を大臣の指導力で一括復活させていただきたいんです。これは一番多くとった二十一年度の予算でもたった二十二億円なんですよ。これですばらしい効果がある。

 きょう、皆さん、委員を見ますけれども、多分、皆さんの選挙区で最低十は申請しているはずですよ。(発言する者あり)いっぱいありますよ、地元に。みんな泣いているんですよ。だから、私らは大臣にもこの前要請しましたけれども、ぜひそういうのを考えていただきたいと思う。いかがでしょうか。

高木国務大臣 古屋委員からも、先日、直接御要望をいただきました。

 今さら言うまでもなく、全国各地には古くから伝わるいわゆる伝統文化、さまざまな文化が存在をいたしておりまして、特にこういったものを次代に継承する、まさに子供たちに体験をしていただくということは非常に極めて重要だと私は思っております。

 今、二十三年度から、お話がありました、この文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業、こういったことにおいて体験教室の支援を行っております。

 この事業は、地方公共団体が計画を策定することによってそれぞれの取り組みが行われることになっておりますが、今御指摘の中にもありましたように、これら体験事業がより実のあるものにするためには、地方公共団体だけではなくて、地域の伝統文化団体などがしっかり連携協力することが重要な一つの柱だろうと私も思っておりますので、今後、今のこの活性化事業をしっかり、どのようになっておるのかということもまさに検証しながら、新しい方法も検討していきたいと思っております。

古屋(圭)委員 大臣、だから、そういう事業は肯定をされるわけでしょう、やはりこれから大切だと。だったら、これを復活させましょうよ。

 だって、これが廃止になった理由が、いわゆる平山郁夫さんが設立代表者を務めた財団法人伝統文化国民協会、ここに天下りがいるからだめだとか、わけのわからない理由でこれは全廃になってしまったんですよ。

 でも、現実には、実はこの団体は目ききができるんです。だから、何千、何万という申請を全部やって、これはインチキだね、これはいいねということを全部目ききして、四千数百団体を決めているんですよ。

 私も市町村に聞きましたけれども、あなたたちはそんなことを一件一件できるかと言ったら、ほとんどの市町村の担当者は、勘弁してください、そんなことできるわけないと言っているんですよ。

 やはり、だったらここは、委託の方式を例えば競争入札にするとか、何でもいいじゃないですか、そういうふうにやって、こういう団体をうまく活用していかなきゃ、宝の持ち腐れだと思いますよ。

 ぜひ、大臣、大臣の指導力において、いよいよこういった、本当に草の根でやっているすばらしい事業ですよ、こういったものを、恐らく皆さんの選挙区にもたくさんあります、ぜひ復旧していただくことを改めて強く要請します。一言お願いします。

高木国務大臣 御議論を踏まえて、どういう形がいいのか検討してまいりたいと思います。

古屋(圭)委員 ありがとうございます。ぜひ前向きに検討してください。

 では、次の質問に入ります。

 沖縄県教委による教科書の八重山採択地区協議会への不当介入について質問します。

 先ほど北海道教組の話が下村議員からありましたけれども、私は南の方でございます。

 事のてんまつを簡単に説明いたしますと、沖縄県石垣市など三市町村の中学校の採択を担う採択協議会は、八月四日に採択を決定する予定でありました。それが、二十二日に延期することを決定したということです。その背景には、例えば戦争賛美の教科書が採択されると一部メディアが猛烈な反対運動を起こし、これを受けて、突然、県の教育委員会が協議会に委員の追加を求めてきたというんです。

 実は、八重山地区の協議会の委員はこういう構成になっているんですね。各市町の教育長計三名、それから、各市町の教育委員計三名、八重山地区PTA連合会長一名、学識経験者一名。極めてバランスのとれた人選ですよね。これは長年続いていた、要するに、現場教職員の意見のみでランクづけをするということではなくて、やはりそれを廃止してやっていこうと。これは、要するに文部科学省の指導に基づいて決定していることなんですね。

 報道によると、今申し上げたメンバーのほかに、校長代表者一名と三教育委員会の事務職員三名を加えろ、こういうことなんですね。やむなく八重山協議会は県教委のを受け入れまして、採択日の変更だけは受け入れたそうですよ。だけれども、ではメンバーを入れかえるかどうかというのは、やはりまだ決まっていないんです。

 これがそのてんまつですけれども、私は、これは明らかに沖縄県教育委員会による不当な介入だと思うんですね。

 そこで、今回の県の教育委員会による行為は、いわゆる適切な指導であるとか助言、または援助という法律上の権限を越えた介入ではないかと私は思うんです。また、採択権者である市町村教育委員会の権限を侵すものではないでしょうか。要するに、戦争を美化する教科書だと特定の教科書を攻撃している外部勢力に応じて県教育委員会が介入したのは、明らかに問題だというふうに思います。

 かつてこの委員会でも質問で出たかもしれませんが、六月十六日に読売新聞に意見広告が出ました。戦争賛美の教科書を採択するのはやめましょうという意見広告を見て、びっくりしました。私は、何でこんな広告を載せるんですかと読売新聞に聞きました。新聞とはいえ、テレビももちろんですけれども、広告を載せるに当たっては考査というものがあります。

 それで、考査で三回ひっかかった。だけれども、最終的にはこれはすべて広告主の責任でありまして、一切私たちは関係ないということが一点。それからもう一つは、これはちょっとえぐい話ですけれども、定価で出しますよ、こう言われたんですね。今、広告が入らなくて困っているときに定価で出されると、これは足元を見られますよね。それから、意見広告ということで徹底します、こういうことで、三回やり合った上で初めてそれがオーケーされたという。要するに、こういう露骨な手段を使っているんですよ。

 私は、この広告一つを見てもおかしいと思いますけれども、これに乗じて県教育委員会が介入したのは明らかに問題である。いかが考えますか。

山中政府参考人 委員御指摘の沖縄県の八重山採択地区協議会の件でございますけれども、県の教育委員会によりますと、八重山採択地区協議会、この構成員についての規約があったようでございますけれども、この構成員の変更、どういう形で構成していくのか、そのあたりの規約改正の手続につきまして、そのあたりについての関係者間の認識の違いというふうなものがあったということのようでございます。

 こういうふうなことも踏まえて、県の教育委員会としては、採択地区協議会の採択がしっかりと行われるよう、適正、公正な運営がなされて、県民から信頼される教科書採択が行われるようお願いしたんだというふうに聞いております。

 県の方は、都道府県としてはその採択事務について適正な指導、助言、援助を行うということですけれども、いずれにしても、教科書採択というものは、市町村教育委員会等、この場合は、石垣市と八重山郡の竹富それから与那国町の二町による協議会でございますけれども、ここの市町村教育委員会等がその権限と責任において行うというものでございますので、最終的には、この協議会の方でしっかりとした責任と権限に基づいた採択が行われるということが一番重要なことだというふうに思っております。

古屋(圭)委員 八重山地区協議会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき採択の方法を変えたんですね。これはちゃんとその法律に基づいて変えているわけで、六月二十七日に規約書をつくって変えたんですよ。だから、採択協議会の委員の中の教育出身者の比重を高めよということ自身が明らかに、ルールにのっとってやっているのに、これは不当介入ですよ。

 だから、これは今、山中局長が指摘したように、市町村の要するに採択委員会、三市町がありますから、ここの主体性というものを著しく損ねたじゃないですか、現に八月四日に採択しようというのが二十二日にまで延ばされたんだから。これ一つをもって、延ばされただけではなくて、今度はメンバーも変えろと言っている。これは明らかに不当介入じゃないんですか。そうじゃないと言い切っているんですか。やはりおかしいでしょう。

 このことについてもう一度答えてください。

山中政府参考人 都道府県の教育委員会の任務ということで、これは無償法の中にございますけれども、都道府県の教育委員会は、都道府県内の義務教育諸学校において使用する教科用図書の適正な実施を図るために、その採択事務について適切な指導、助言、援助というものを行うんだということになっております。

 いずれにしても、指導、助言、援助がございますけれども、最終的には、採択を行う市町村教育委員会等がその権限と責任という中でしっかりとした採択を行うということになるというふうに思っております。

古屋(圭)委員 今、適切な助言、指導、援助ということ、では、果たしてそれが適切だったのか適切でないのかということは、文部科学省は一切調査も何もしていないんですか。私はこれはおかしいと思います。

 私は、文部科学大臣にも今要請します。これが本当に適切な助言だったのか、ちゃんと現地の実情をしっかり把握した上でぜひ調査をしていただきたい。これは大臣に要求します。大臣、お願いします。

高木国務大臣 今、局長が答弁申し上げたとおりでありましょうが、実態をしっかり把握してみたいと思います。

古屋(圭)委員 ぜひ実態をしっかり把握していただいて、この「適切な指導、助言又は援助」に触れることが一つでもあるならば、徹底した対応をしていただきたい。それから、ぜひこの委員会に報告を求めたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。どうぞ。

高木国務大臣 調査が終わればそのようにしたいと思います。

古屋(圭)委員 ありがとうございました。

 では、最後、ちょっと一問だけ。

 ワールドカップのブラジルの予選会がいよいよ九月から始まります。ここでは、いわゆる北朝鮮と日本とのアウエーとホームでやるということでありますが、つい先週に北朝鮮のチームを受け入れるということを決定したようであります。OCAのメンバーが入るときにも、二〇〇六年に北朝鮮の人の往来を全面禁止するという政府の意思としてやったことが、初めてそこで覆されたわけであります。今回もこういう形で受け入れるということになりました。

 確かにFIFAの憲章を見ますと、いろいろ、差別をしてはいけないということが書いてありますが、私が英文の原文を読みますと、三条でパニッシャブルと書いてある。要するにパニッシャブルというのは、処罰される可能性も場合によってはありますよというふうに解釈するのが、英語的には、委員長も英語がフルーエントですけれども、パニッシャブルというのはそういうことだということがおわかりをいただけるというふうに思います。

 実は、日本は、日本の政府の意思、国家の意思として北朝鮮から人を入れないということをはっきり決めています。にもかかわらず、交渉の段階で、FIFAについて日本のそういうスタンスをはっきりお伝えされた上でこの決定をしたんでしょうか。全くそういうことをしていないんでしょうか。どちらでしょうか。大臣にお伺いします。

布村政府参考人 先ほどお尋ねの、国際サッカー連盟、FIFAの規約の英文については、先生御指摘のとおり、パニッシャブルという表記になってございます。

 この処分については、具体的に、処分するかどうか、また、処分する場合にどのような処分にするかは、最終的にはFIFAが判断することであると認識しており、北朝鮮チームの入国を認めない場合、制裁の対象になる可能性が高いというのがサッカー界の一般的な受けとめであると聞いており、そのような状況を、関係省庁と連携のもとに検討を今進めているところでございます。

古屋(圭)委員 事実上決定したというふうに私は聞いております。

 では、局長、お聞きしますけれども、これは、我が国がこういう人の往来を禁止している、国家の意思としてそういう制裁をやっているということについて、はっきりFIFAに対してそういう事実を伝えた上で交渉しているんですか。イエスかノーかで答えてください。もう時間が終わりました。簡潔に。

布村政府参考人 お答えいたします。

 政府からFIFAの方に直接説明した機会はございませんけれども、サッカー協会などからは、いろいろな形で情報交換はされているのではないかと思います。

古屋(圭)委員 それは他人任せじゃないですか。やはり、国家の意思としてそういうことをしているということを政府がはっきり伝える。

 なぜこんなことを私が申し上げるかというと、やはり、北朝鮮との問題で、こういう厳しい姿勢を常に日本が示すことが、向こうに対する抑止力、牽制になるんですよ。それを、スポーツだからということで、堂々とそのまま、何のそういうこともFIFAに言わないでやってしまう。結果として入ってくるにしても、完全に足元を見られてしまうんだ。その辺に対する危機意識と危機管理意識が全くないですよ。

 やはり、スポーツと政治は別だとはいいながら、モスクワ・オリンピック、ロサンゼルス・オリンピックの例もあるんですよ。そういったことをしっかり伝えた上で対応するという必要があると私は思うんです。

 もう時間が来たので、指摘だけさせていただいて、質問を終わります。

 以上です。

田中委員長 次に、池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 久しぶりに、高木大臣に質問の幾つかをしたいと思っております。

 七月十九日に第二次補正予算の審議が、総理以下全閣僚のもとで行われました。私はそのときも問題にいたしましたけれども、本来、高木大臣に伺いたかったのですが、高木大臣にはいつも文部科学委員会で質問をしておりますので、ほかの閣僚にお願いをいたしました。その件についてちょっと伺いたいと思います。

 五月の連休を返上いたしまして、私たちは第一次補正予算を成立させました。何で連休なのか、それまでにたくさん日はあったじゃないかと私は思いましたけれども、一日も早い成立を被災地が望んでいることをおもんぱかって、私どもは五月にいたしました。

 にもかかわらず、これは政権与党の民主党の方はぜひ聞いていただきたいと思います。七月十九日現在、第一次補正予算は現場でどれだけ執行されたか。全体では四割しかされておりません。文部科学は、耐震だとか、困っている方々、被災地のためにとあんなに考えて第一次補正予算を計上したにもかかわらず、二八%しか執行されておりません。

 例えば学校改修の件をお話ししたいと思います。災害補償査定が厳し過ぎるからなんです。つまり、災害査定が現場の人たちの前に立ちふさがって、それがみんなを困らせているというのが現状なんです。

 災害復旧事業の手続として、五月二十日に、現地調査を必要としない、書面だけの机上調査基準額等を引き上げる災害査定事務の簡素化というのを文部科学省は教育委員会にお出しになったと思います。通常二千万円以下を一億円以下としたのです。これは、文部科学省の、一日も早く現場で改修が行われるようにという意思だったと思います。

 けれども、現場においてはどのような現実があったかといいますと、査定がすごく厳しい。校舎内のクラック一つ一つの写真を撮ってこい、また、ただクラックを撮るだけでは大きさがわからないので、メジャーを当てて示せ、クラックを立面図に落として持ってこなければ査定はできない。

 被災した地方自治体は、言うまでもなく余力がございません。クラックの写真を撮ることを自分たちの力ではできないから、コンサルタント会社に委託している。コンサルタント会社への委託料というのは補助対象外です。市町村によっては、五百万円から六百万円程度の復旧事業のためにコンサルティング会社に二百万円近い委託料を支払っている、そういうケースもございました。

 クラックの写真を撮るために、せっかくテープなどで損傷箇所を直したその箇所をわざわざはがして、また張り直すという二度手間もあるんです。普通の素人の人が天井のクラックなんか撮れますか。撮れないではありませんか。写真を撮るために足場を組まなければならない。ある市では、十三校、約八千万円の改修に一千八百万円以上の設計事務所への委託費を払っております。これでは夏休みに間に合いません。

 この事実を大臣は御認識していらっしゃいますでしょうか。そして、現在どのような執行率になっているかをお答えいただきたいと思います。

高木国務大臣 池坊委員にお答えをいたします。

 いわゆる二十三年度の第一次補正予算につきましては、御指摘のとおり、五月の連休を割いて各党が国会で御論議をいただいて成立をさせたものでございます。そういう意味で私たちとしては、今回の、特に教育関係施設の復旧については、何としても一日も早い復旧をと思って取り組んでまいりました。

 設置者の自治体、大変大きな被害を受けておられまして、当初から事務にかなり支障が生じているところも多かったのは事実でございます。したがって予算の執行は、約二千四百五十億円のうち六百九十一億円、約二八%にとどまっております。

 公立学校施設の災害復旧については、いわゆる事前着工制度の活用を促してきておりまして、これまで、第一次補正予算に計上した学校数に対しておおむね八割、約二千三百校のうち千八百三十校が、工事完了もしくは着手済みであると承知をしております。

 しかしながら、これまでも努力をしてきた、事務の簡素化等について行ってきましたけれども、設置者の負担の軽減を図るとともに現地調査の円滑な実施に努めてきているにもかかわらず、この執行率が約二八%にとどまっていることは極めて残念でございます。

 したがいまして、これは昨日の閣僚懇談会におきましても、復興担当大臣から災害査定の促進について要請がございました。改めて、委員御指摘のとおり、早期執行に向けて指示をしたところでございます。

池坊委員 民主党の方も、政権与党ですから、どうぞチェックして頑張っていただきたいと思います。そしてまた大臣も、ぜひこれは閣僚会議の中においても、文部科学省だけの責任とは思いません、財務省がきっとうるさかったりするんだと思いますが、毅然とこのことに関してもおっしゃっていただきたいというふうに思っております。

 それでは次に、私立学校の建物等の災害復旧に関する特別助成法案、これについてお伺いしたいと思います。

 昨日、私たち公明党、自民党、みんなの党、たちあがれ日本・新党改革の五党四会派が、参議院事務総長のところにこの法案の共同提出をいたしました。

 これは御存じのように、災害に遭った東日本大震災の今まで公立学校におきましては、申し上げるまでもなく、災害復旧費国庫負担法、六六・七%が出ております。そして激甚法でそれ以外が支援されておりますから、公立学校は一〇〇%改修が行われております。

 にもかかわらず、私立学校並びに私立専修学校、各種学校、公立専修学校、各種学校、これは全然ほっておかれているのが現状です。

 このままでいきますと私立学校は、激甚法は五〇%の手当てはございますが、あとは私学助成、私学事業団援助となりますから、私学事業団からお金を借りなければなりません。申し上げるまでもなく、被災地は学校も非常に困っております。お金を借りるだけの余力はないし、借りた以上は返さなければいけない。それからまた、これは貸してくれないことも考えられるわけです。

 私立専修学校、各種学校は私学助成、私学事業団援助のみでございます。公立専修学校、各種学校は何にもないのです。これをほっておいていいのか。

 もう学校が半分なくなっている、これじゃ存続できない、これは手当てをして当然だと思いますが、この事実をどのように大臣は御認識でいらっしゃいますか。

高木国務大臣 今回の災害を受けて、公立学校はもとより、私立学校においてもとりわけその被害は大きく、そして、経営にも大変なまた支障があるということを承知をしておりますし、その中で必死の取り組みを進めていただいておりますことは、敬意を表したいと思っております。

 この私立学校の再建のためには、まず現状では、施設整備、施設の災害復旧に対しては、もちろん国庫補助、そして、いわゆる教育活動についても、復旧のための国庫補助、これに加えまして、日本私立学校振興・共済事業団において、五年間の無利子、そしてその他の低利の長期融資を行っております。

 これらの必要な経費は既に第一次補正予算で措置をしておりまして、私どもとしましては、その執行に精力的に努めております。これにより、被災した学校の早期復興を図ることが最も重要なことだと思っております。

 今お話がありました私立学校の災害復旧等に関する御指摘の法案について、昨日参議院に提出をされたということは承知をいたしておりまして、これについては、立法府における議論もあるかと思われますが、補助率のかさ上げについて申し上げれば、災害復旧に係る激甚法の国庫補助率は全体として一つの体系となっておりまして、施設間のバランスなど慎重な検討を要するものだ、このように考えております。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、公立、私立問わず、私たちとしては、一日も早く復旧復興に取り組んでいかなきゃならぬと思っております。

池坊委員 今の高木大臣の御答弁、災害の復興復旧に努めたいとお思いになるならば、具体的にある手段がなければ、それは口で言ったって、改修はされないのです。それはおわかりになっての御発言というふうに思っております。

 公立学校と私立学校に格差があることは、もう申し上げるまでもなくおわかりだと思います。そして、第一次補正予算ではこれは十分にできているなんてとても思っていらっしゃらないことも、私は、そう知りながらお答えになっていらっしゃるんだと思います。そうでなければ、被災者の人が怒ると私は思います。

 これは、本当は民主党も賛成いただきながら私は委員長提案をさせていただきたいと思ったぐらいで、民主党がなぜ反対なさるのかと私は理解に苦しみます。

 なぜならば、私立学校本法律案は、六六・七%をこの法案によって担保する、それで、私学助成、私学事業団の援助を国庫補助のかさ上げで行うのです。つまり、これによって初めて、私立学校そして私立専修学校、各種学校、公立専修学校、各種学校が安堵しながらこの改修を行うことができるのです。

 この法律がなければ、現実に被災者のためを思っております、被災者の復興を遂げたいと思いますと言っても、これをなし遂げることはできないのです。

 そして、これにかかりますお金は、では幾らかかるのか。約六百四十九億円です。六百四十九億円で私立の学校の存続も危ぶまれているような改修が行われるとしたら、これは私は、学ぶべき子供たちのためにやるべきというふうに考えております。

 申し上げるまでもなく、三県は専修学校の比率が全国で平均よりはるかに飛び抜けて多いということも、当然大臣は御存じでいらっしゃると思います。この法律に関しまして、もう一度、どのようにお考えかを積極的に、真摯にお答えいただきたいと思います。

 財務省にこれはきっと六百四十九億円は困ると言われたのかもしれませんけれども、やはり、被災地の復興、子供たちの立場を考えたら、こんな法律は当然通すべきと思いますが、いかがでいらっしゃいますか。

高木国務大臣 私どもも、私立学校の建物の災害復旧について、もちろんその教育活動についてもそうですけれども、専修学校はとりわけこの被災地には多いことも十分承知をいたしておりまして、いろいろな要望もお受けをいたしております。

 私たちとしては、文部科学省として最大限の、今の制度の中で実質的にはかなりの部分の負担軽減ということで取り組みを進めてきております。

 今回、立法府において具体的な御議論があるかと思っておりますが、その中で私たちとしても現状についてしっかり議論をし、そして、できれば、いわゆる財源の確保についてもしっかりとした議論をしてまいりたいと、このように思っております。

池坊委員 制度をつくるのは私たち政治家です。法律をつくるのは私たち政治家です。ここにいらっしゃる民主党の文部科学委員会の方が、どうかお一人お一人、これが本当に必要か必要でないかを私はお考えいただきたいというふうに思います。六百四十九億です。これがもったいないのでしょうか。ぜひこれに御賛同いただけますことを、私は、未来ある子供たちのために切に願っていることを申し上げたいと思います。

 次に、高校生修学支援基金について質問させていただきます。

 平成二十一年度の第一次補正予算で、四百八十五億七千万円が高校生修学支援基金として計上されました。これは三年間の基金です。前も私、質問させていただきました。本来、基金ですから、十割国が持つんだったら、みんな使いたいよ、困っている高校生のために支援したいよ。高校生も本当に支援されたいと願っております。

 ところが、これは二分の一都道府県が持ちますから、地方自治体は基金に持ちたくない。現実には、二十一年度は五十億円、二十二年度は百四億円、つまり、百五十四億円しか使われていないんですね。今、三百三十二億円残っております。

 これを財務省はきっと返せ返せと言ってきているのだと思いますけれども、私はこれをぜひ延長していただきたいということと、二つ目には、今、災害地は、特に地方自治体は疲弊しておりますから、二分の一なんかとても出せません。これをぜひ十割国が担保していただきたいと思いますが、この二つについて御答弁いただきたいと思います。

高木国務大臣 まず、高校生修学支援基金については、これは、当時の経済情勢の悪化を受けまして、経済的な理由によって高校生が学校に行けない、こういうことがないように、平成二十一年度に各都道府県に対して総額四百八十六億円を交付しております。

 平成二十二年度末の残高の合計は、御指摘のとおり三百三十二億円でありまして、この基金の延長または積み増しにつきましては、これは、今後の経済情勢やこれまでの国会の御議論、御審議、委員からはたびたびこの点については御指摘を受けておりますけれども、これを踏まえて、また、二十三年度、今年度でありますが、各都道府県の基金の取り崩し状況、これを把握した上で、今後検討してまいりたいと思っております。

 また、各都道府県ごとに、いわゆる授業料減免事業あるいは奨学金事業については、平成二十年度に、対象生徒数を超える生徒数について、必要額を全額充当することを基本としております。

 これに加えまして、授業料減免事業について都道府県が特に経済的支援を必要とする世帯に対して補助制度を拡充する場合も、基金から充当できるようになっております。

 この場合は、授業料減免事業は地域の実情に応じ都道府県の事業として行われるという国と地方の役割分担の観点から、また、既に手厚い補助を行っている都道府県との公平性の観点から、この所要額については、国と都道府県とで折半するということになっております。

 私どもとしましては、都道府県において、基金を活用した授業料減免あるいは奨学金の事業などを通じてしっかり当該の高校生の支援を行っていただきたい、このように、引き続き私たちとしては取り組みを進めていきたいと思っております。

池坊委員 私は高木大臣に好意的ですが、揚げ足をとるつもりはございませんが、これまでの経済情勢をかんがみなんてお答えにならないでくださいませ。被災地がどれだけ困窮しているか。経済的にみんながどれだけ困っているか。高校生が両親を失ったり、あるいは親が働けない、そういう子供たちがどれだけ困っているか。もう申し上げるまでもないと思います。これは、おっしゃるように、十割負担をしてしっかりとこの基金を拡充すべきだと、私は第三次補正でも要求させていただきたいと思っております。

 次に、福島の子供たちの食の安全確保について質問させていただきたいと思います。

 ついこの間の新聞に出ておりました。今、食の安全がいろいろ言われております。子供たちの給食が心配だという保護者の方々の声が後を絶ちません。福島市においては、独自に、食品に含まれる放射性物質を測定する機械を二学期から学校給食センターなどに導入する方針を決めたそうです。

 一台これは百五十万と言っておりましたけれども、百数十万のベラルーシ製の測定器を八月下旬から七台導入する。それで、市内四十三の小中学校に給食を提供している四カ所の給食センターにそれぞれ設置し、九月より始まる二学期からは、毎日、給食をつくる前に検査を実施するそうです。残った三台は、市の一カ所の施設に置き、保育所など児童施設の職員に食材を持ち込んでもらい、検査を行うそうです。

 給食センターからではなく、学校で給食を提供している二十六校がございます。他の自治体と共同で給食センターを使用しているのが四校ございます。その二十六校と四校についても、このようにできるように検討すると言っております。

 私は、福島市が独自でこのような取り組みをしていることを大変うれしく思っております。保護者の不安というのは本当に増大しておりまして、特に、稲わらを初めとして、全国に広がっております。私は、この福島市の取り組みをぜひ導入して、せめて福島県下すべての学校にしてはどうかと思っております。

 せっかく原子力災害のための子ども健康基金というのをつくりましたので、ここからしたらどうかと思っておりますけれども、どれぐらいの学校があり、どれぐらいの経費がかかるかも含めて、このようなことをお考えかどうかを伺いたいと思います。

高木国務大臣 今、福島市での給食の安全確認のために、市の判断によって独自に検査機器を購入しておるというお話がありました。二学期から学校給食の食材について検査を行うと聞いております。

 文部科学省としましては、七月二十日にそれぞれの現場に事務連絡を出しました。教育委員会として、給食実施者や学校に対しまして、政府が行っておるいろいろな制限指示、あるいはまた地方公共団体の行っておる制限指示、こういった出荷制限の情報をきっちり把握をして、まず注意を喚起することが何よりも先決であり重要だ。また、学校の保護者などの問い合わせについても、しっかりした情報、いわゆる食材の産地、これをしっかり把握をして説明をする。こういったことについて指導を行っております。

 これはもう福島県のみならず、全国的にこの食品の問題は非常に深刻、重要でありまして、今、食品安全委員会と厚生労働省において、この暫定基準の見直しというのがなされております。

 私どもとしましては、その見直し状況も含めて、まずは出荷段階における食品の検査体制の充実、これについて私たちは、政府として関係省庁と連携をしながら、とりわけ子供たちの学校給食の安全が確保されるように努力をしていきたい、このように考えております。

池坊委員 情報開示は極めて私は必要なことだというふうに思っております。第一次的には情報開示をするべきだと思います。

 ですけれども、このお肉がどこの産地だ、一々一々子供たちに告げることはできません。保護者は、きょう子供たちが食べたのがどこの産地で、大丈夫な牛だったのかしら、そういうことはわからないわけです。ですから、この放射線量をはかるというのは、私は極めて合理的ではないかと思うんですね。

 私、査定いたしましたら、福島県のすべての小学校に置きましても、四億五千万ぐらい、約五億ぐらいで済むんです。ですから、ぜひこれを、せめて福島県下の学校には取り入れていただけたらというふうに思います。私は、ぜひ第三次補正予算の中でそれを取り入れていただくことを強く希望いたしております。

 それから次に、学校の防災機能の向上について質問したいと思います。

 これは、数年前に、私ども自公政権においてスクール・ニューディール構想というのをいたしました。学校施設における耐震、エコ、ICT化の推進なんです。つまり、耐震化を強化してまいりましょう、それから、再生可能エネルギー発電設備の導入なども進めてまいりましょう、それからもう一つは、デジタルテレビ、電子黒板、パソコンなどの最先端のICT機器、校内LANなどを駆使して、わかりやすい授業を実現してまいりましょう。これは、国費負担が四千八百八十一億円でした。地方向け臨時交付金も六千三百億とっておりますから、一兆一千百八十一億円だったんですね。

 これは、私は大変いいスクール・ニューディール構想だったのではないかと思います。自公でやったから嫌だと言うのではなくて、いいことはどんどん取り入れて、それを深化させていっていただきたいというふうに私は思うんです。

 今、学校の防災機能をもっともっと強化すべきであると私は考えております。震源地から遠く離れたこの首都圏でも、電車がストップして、そして高速道路は全面封鎖いたしました。職場やホテルなどで一夜を明かした人も含めて、帰宅困難者は三百万人になったんです。学校や公共施設などに泊まった人は約九万四千人に達したと言われております。

 学校には、大体避難場所になっておりますので、毛布とか食料とかお水というのは用意してございますけれども、やはりそれとともに、現実に被災地に行きましたら、非常用トイレを一番先につくらなければ生活できないという現実がございました。

 それから、大規模な停電、ライフラインの寸断ということが想定されるわけですから、ディーゼルなどの自家発電、蓄電池、変圧器、受電施設、それから貯水槽などの整備が必要で、できたらシャワーなどもあったらいい。それから緊急通信設備、これはもう絶対に不可欠だと思います。それとともに、さっき申し上げました再生可能エネルギー発電設備の導入なども積極的に進めていくべきではないかとも私は思います。

 それぞれの市町村、それぞれの地区にある小学校、中学校、高校でそのようなことがきっちりとされていると、そこに住む方々は安心して日々が暮らしていけるのではないかと思います。備えあれば憂いなしと、先達の人々はいい言葉を残してくれました。

 それで、私はこれをぜひきょうからすべきではないかというふうに思っておりますが、いかがでいらっしゃいますか。

高木国務大臣 まさに、備えあれば憂いなしと私も思います。

 今、委員からは、自公政権時のスクール・ニューディール構想というお話を聞きました。耐震に加えて、環境、あるいはまたICT化の推進がこの中身だと承知をいたしております。

 今回の大震災においても、この学校施設が、子供の命を守ったり、あるいは、地域の避難所として大変な大きな機能を果たしておりまして、安全性の確保、そしてまた防災機能の向上が極めて重要であることが認識をされました。

 私どもとしましても、七月七日に、有識者による緊急提言を取りまとめております。

 この中では、御指摘の耐震化の推進とともに、備蓄倉庫やトイレ、太陽光発電の非常電源装置、あるいは通信手段、そういった機能の整備などが、今後、学校の教育施設の設備の向上については、こういったものもしっかり組み入れていくべきものだろうと思っております。

 私たちとしては、趣旨を踏まえて、何はともあれそういう立場に立って、予算の確保が何よりも重要でございますので、今回の震災の教訓を受けて、今後とも適切に対応してまいりたいと思います。

池坊委員 ぜひ、学校の防災機能の確保のために文部科学省として交付金制度を創設なさり、文部科学省が、高木大臣が、国民の命、暮らしを守るために尽力してくださることを願い、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず冒頭、大事な問題を二つほど聞きたいと思います。

 一つ目は、公立学校の施設整備の問題です。

 市町村から、今年度に空調設備の設置、学校給食施設の工事を行う事業計画などが出されているにもかかわらず、八月の半ばになろうというのにいまだに採択がされていない事業があるとお聞きをいたしました。

 いまだに採択がされていない事業はどういった事業で、幾つの市町村の幾つの事業なのか、国費で幾ら足りないのか。これは文部科学省の方から、事務方からお願いします。

辰野政府参考人 平成二十三年度の公立学校施設整備事業のうち、未採択となっている主な事業の内容について申し上げますと、老朽改修事業、約百事業。空調設備設置事業、約七百事業。トイレ改修事業、約四百事業。太陽光発電導入事業、約三百事業。屋外教育環境整備事業、約百事業。プール整備事業、約百事業。給食室整備事業、約百事業。これら未採択事業の総計は約二千事業。関連する自治体数は約五百市町村であります。

 また、これらに必要となる国費は約二百億円となっております。

宮本委員 学校の工事は、ほとんど夏休みを利用して行われるわけです。東京都内のある市では、ことしと来年にかけて二カ年で空調の設備工事を行う計画を立てて、申請を出したにもかかわらず、いまだに採択をされておりません。市債の発行も国による事業採択が前提になっておりますので、何も前に進まないという状況があるわけです。

 このままでは計画を見直さざるを得ない、こういう状況ですね。

 それで、先ほどから、平成二十三年度における歳出の削減という議論も交わされておりましたけれども、三党合意などというものには我が党は加わっておりません。大企業減税や政党助成金など、歳出の削減、見直しをすべきものもありますけれども、少なくとも文部科学省の分野は、足りないんですよ、採択すらできないという状況になっているわけですよ。

 そして、耐震化事業というものはもちろん進める必要がありますが、それ以外の事業も後回しにしてよいわけではありません。

 災害対応の点から考えても、先ほど少し議論がありましたが、学校の空調、クーラーの設置、洋式トイレの設置などの環境改善は、避難所の機能の強化にもつながります。学校給食施設の設置も、災害時には避難所で炊き出しを行うために重要な機能を発揮することが今回の震災で明確になりました。

 そもそも、市町村が行いたいと言っている事業にすべてこたえられるようにするのが国の責任だ。二百十億足りないから、とめる、未採択というわけにはいきませんね。二次補正には使い道がまだ決まっていない予備費八千億円があるわけですから、直ちに二百十億円をそこから使って採択すべきじゃないですか、大臣。

高木国務大臣 宮本委員にお答えをいたします。

 現在、未採択となっておる事業は、いずれについても、良好な教育環境を整備するためには重要な事業と認識をしております。

 御指摘のいわゆる当該予備費については、これは東日本大震災に係る復旧及び復興に関する経費でありまして、予備費の性格上、予見しがたい予算の不足に充てるための予算であることから、活用は困難であると思います。

 しかし、今後、この未採択になった事業が採択可能になるように、私どもとしましては、これは最大限の努力、検討をしてまいりたい、このように思います。

宮本委員 三次補正では遅い。一刻も早く採択できるように、全力で取り組んでいただきたいと思うんですね。

 次に、私学の復旧、再建の問題です。

 先月、宮城県にある航空整備士を養成する専門学校にお伺いをして、被害状況や国への要望を聞いてまいりました。

 仙台空港近くにあるこの学校は、津波により、二棟の実習棟が土台を残して丸ごと流失、汚泥や近隣の工場から流されてきた自動車等々によって、実習室や学生寮が破壊されました。

 さらに、実習に欠かせない飛行機やヘリコプターなど七機が、格納庫内で海水をかぶり、使用不能となるなど、被害総額五億三千万円に上る、こういう甚大な被害をこうむったわけです。

 そもそも、専修学校、各種学校は激甚災害法の適用外でありましたので、一次補正で二分の一の国庫補助が今回初めて実現をいたしました。学校関係者からはこの措置に安堵しているという声も出されておりますけれども、問題は残り二分の一の費用をどう工面するか、これが大問題なんですね。

 専修学校、各種学校も含めて、私学の復旧、再建のために国庫補助を二分の一からかさ上げする必要があると私どもも考えますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

高木国務大臣 今は、御指摘の、委員が視察をされた、いわゆる東日本航空専門学校について触れられました。

 私どもとしましては、私立の専修学校あるいは各種学校の災害復旧につきましては、学校法人または準学校法人立の専修学校、各種学校に対しては、まず一つは、災害復旧事業費の二分の一の国庫補助、十七億円措置をしております。二番目には、日本私立学校振興・共済事業団の五年間の無利子、そしてその後の低金利の教育融資、こういったことを行って支援をしておるところであります。

 これらの費用につきましては、もう御存じの第一次補正予算で措置をされておりまして、今それを執行するように精力的に進めておりまして、こういった指摘の学校も含めた専修学校の復興についても最大の努力をしていきたいと思っております。

宮本委員 各種学校、専修学校の予算措置も、学校法人と準学校法人立の専修学校と外国人学校だけが対象になっておって、個人立、財団立などは対象外になっております。復旧にかかわる費用のめどが立たない専修学校も本当に少なくないわけですね。

 現在、学校法人格の有無を問わず、広く専修学校、各種学校の施設復旧に補助すること、さらには、専修学校、各種学校も含む私学の施設復旧の補助をかさ上げする法案が参議院に提出されたとお伺いをしております。これは一日も早く成立させるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 次に、スポーツについてお伺いしたい。

 去る八月四日、サッカーの元日本代表の松田直樹選手が練習中に心筋梗塞を発症して倒れ、三十四歳という若さでお亡くなりになりました。私は、松田選手の御逝去に対し心より哀悼の意を表したいと思います。

 ワールドカップでも活躍したトップアスリートの悲劇は、健康管理や安全対策という点でスポーツ界に警鐘を鳴らす出来事だと思います。

 二〇〇三年、コンフェデレーションズカップで、カメルーンのフォエ選手が、ピッチ上で心臓発作を起こして急死した。この事件を教訓に、国際サッカー連盟、FIFAは、AED、自動体外式除細動器の配備、あるいは選手の心機能検査を推進してまいりました。国内でも、Jリーグが二〇〇四年から各クラブにAEDの設置や携行、心電図検査などの報告を義務づけたと聞いております。

 そこで、スポーツ・青少年局にお伺いします。

 JリーグにおけるAEDの設置状況、及び、今回の松田選手のチームである松本山雅が所属する日本フットボールリーグや、なでしこジャパンで話題になっている日本女子リーグでのAEDの設置状況はどうなっておりますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 Jリーグにつきましては、先生からお話がございましたとおり、二〇〇四年から、試合会場と練習場にAEDの携行、設置を義務づけているという状況です。

 また、日本フットボールリーグ、JFLにおきましては、これまでAEDの携行、設置を指導していたが義務ではなかったという状況でございましたけれども、今後、JFLがAEDをレンタルし、リーグの十八チームに対して配付することを決定したと伺っております。

 また、日本女子サッカーリーグにおきましては、これまでAEDの携行、設置を指導するにとどまっておりましたけれども、今後、義務化する方向で検討していきたいと伺っております。

宮本委員 その松田選手が倒れた練習場所にはAEDが設置されておりませんでした。それで早速、JFLが全十八チームへのAED配置を決定したことは一歩前進だと思います。

 なでしこリーグはもちろんですけれども、他のスポーツ団体についても、文部科学省としてAEDの携行、設置の推進などについて、やはり通知等も出して指導すべきだと私は思うんですが、これは大臣にちょっと御答弁をいただきたいと思います。

高木国務大臣 委員からは、サッカーの松田選手の死去についてお触れになりました。私も、私の立場からお悔やみを申し上げたいと思っております。こういうことを防ぐために最大限の努力を誓うものでございます。

 スポーツ団体がスポーツ活動を実施する際に、スポーツを行う者の安全確保の観点から、AEDを速やかに利用できる状況にしておくということが極めて望ましい。

 先般公布されましたスポーツ基本法において、「国及び地方公共団体は、スポーツ事故その他スポーツによって生じる外傷、障害等の防止及びこれらの軽減に資するため、指導者等の研修、スポーツ施設の整備、スポーツにおける心身の健康の保持増進及び安全の確保に関する知識の普及その他の必要な措置を講ずる」ことと規定をされておりまして、私どもは、その精神にのっとり、御指摘のように、スポーツ団体に対して、AEDの積極的な活用も含めて、事故を未然に防ぐ体制の整備を促していくこととしたいと思います。

宮本委員 ぜひ、そういう方向で、きちっと選手の安全を守っていただきたいと思うんですね。

 それで、FIFAは、AEDの配備だけでなくて、心機能検査の推進も求めております。ですから、サッカーに限らず、日本のアスリートたちが定期的に健康チェックをちゃんと受けられる体制にあるのか、あるいは競技団体はトレーニングドクターを配置しているのかというような問題もしっかり見ていかなければならぬと思うんですね。

 これは聞こうと思いましたが、もう時間がありませんので。とにかく、やはりそういう状況をしっかり掌握して、とるべき対策をとる必要があると思うんですよ。

 私どもは、この際、選手の定期健康チェック体制やトレーニングドクターの配置、あるいは過度の試合日程に対する規制措置が講じられているかどうか、選手の治療、病休に対する補償制度、保険制度は整備されているのか、こういう現状を文部科学省として一度きちんと調査して、問題があればしかるべき措置や援助をすべきではないか、また、そういう健康管理体制の整備に関する助成などについても検討すべきではないかと考えますが、大臣の御答弁をお願いいたします。

高木国務大臣 いわゆるトップアスリートの健康管理体制に関しては、国としては、国立スポーツ科学センターにアスリート専用医療施設を設けるとともに、オリンピックや世界選手権へのチームドクターの帯同に対する助成の支援を行っております。

 また、健康管理体制のさらなる充実のために、マルチ・サポート事業において、医師やトレーナーが日常的にトップアスリートの体調管理を支援できる、いわゆる携帯端末を利用した遠隔診断システムの開発に今取り組んでおります。現在、女子マラソンの強化指定選手を対象にしてシステム開発の実用化実験に取り組んでおりまして、来年度、早い時期にも実用段階に至ると考えております。

 このようなシステムを効果的なものにするためには、御指摘のように、選手の健康管理の実態をしっかりと把握する、このことが必要でありまして、システムの活用法等の周知に努めることはもとより、トップアスリートが日常的にメディカル面でのチェックを受けることができるような体制を努めていきたいと思います。

宮本委員 せっかく基本法をつくったわけですから、しっかりとやっていただきたいと思うんですね。

 スポーツの基本法の議論のときには、スポーツと比べて文化予算は多いという議論があったんですが、文化の問題を次に、最後に触れたいんですが、これはなかなかそういう状況にないわけです。

 先日、沖縄県の沖縄市で、シンポジウム「沖縄の振興と文化芸術の役割」、こういうものが開催をされました。このシンポジウムは、国会の超党派の議連である音楽議員連盟と沖縄県議会の超党派の議連である文化議員連盟、それに日本芸能実演家団体協議会、いわゆる芸団協、さらには沖縄の沖縄県芸能関連協議会、沖芸連の四者が共催したものでありました。開催地である沖縄市の東門美津子市長のごあいさつの後、芸団協、能楽の野村萬会長、沖芸連、三線の照喜名朝一会長という、人間国宝が二人そろってあいさつをされるというシンポジウムでありました。

 昨年十月二十七日の当委員会で、私は高木文科大臣と、芸団協が取り組んできた「もっと文化を!」という署名、国家予算に占める文化予算の割合を現行の〇・一一%からせめて〇・五%に、この署名について議論をいたしました。あのとき、大臣は私の問いに、文化芸術の振興にかける関係者の切迫した思い、熱い思いを重く受けとめると答弁し、平成二十三年度の文化庁予算の概算要求額は一千五十二億円だ、そのうち、文化芸術の振興は三百六十九億円と増額要求となっていることを示して、昨年よりとにかくふやしていく、こう答弁をされました。

 それで、これは事実を聞くんですが、事務方でいいです。

 芸術文化の振興予算に限って、ことしは一体幾らなのか、今年度予算は。そして、これは昨年からふえておりますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十三年度文化庁総予算は一千三十一億円でございまして、対前年度に比べまして十一億円の増となっております。

 文化庁予算は、芸術文化の振興のための予算と、文化財等の保護、活用のための予算に大別できますけれども、そのうち、芸術文化振興のための予算につきましては約三百五十一億円ということでございまして、対前年度で十二億円の減という形になっております。

宮本委員 芸術文化の振興予算は去年に比べて十二億円の減なんです。熱い思いを重く受けとめるとおっしゃったわけですけれども、現実は減っているわけですよね。

 これは沖縄のシンポジウムでも怒りが沸騰して、民主党から参加をされていた横光克彦音議連幹事長やコーディネーターを務められた平田オリザ内閣官房参与は、ちょっとお気の毒なぐらいでありました。

 大臣、あれほど文化芸術立国にふさわしい予算を確保するとおっしゃったけれども、現実は減っているわけですよ。これはどういうことですか、大臣。

高木国務大臣 今のお尋ねの平成二十三年度の文化芸術予算につきましては、これはもう私が言うまでもなく、厳しい財政状況の中で、昨年の政策コンテストにおいてその重要性は説明をしてまいりましたが、事業仕分けの結果に即した圧倒的な予算の縮減が行われていないという行政刷新会議の指摘もあって前年度より減額となったところでございまして、私の力不足であります。

 しかしながら、文化芸術への支援をより効果的に行うことがまた重要になってきまして、私どもとしましては、芸術団体の経営努力へのインセンティブが働くような支援の仕組みを見直したり、また、諸外国のアーツカウンシルを参考に、計画、実行、検証、改善のいわゆるPDCAサイクルの確立を図る、こういった仕組みを導入することによって予算の新規計上をしておりますし、この内容の充実についての工夫もさせていただいたところでございます。

 御指摘の趣旨については、今後とも、文化芸術の予算確保、支援の充実については努めてまいりたいと思います。

宮本委員 力不足ということでありますけれども、実は沖縄では、「もっと文化を!」の請願署名、全国で六十三万筆集められた中で、十万筆を目標に取り組んで、八万二千筆をお集めになりました。

 同時に、同規模で、県立郷土劇場の早期再建の陳情というものにも取り組まれて、これは六月七日に県議会あて、知事、教育長あてに提出されましたけれども、現地の沖縄県議会の文化議員連盟の超党派の議員たちの奮闘で、十月十四日、会議で陳情として採択をされております。

 沖縄県議会の陳情が採択されたんですが、実は、六十三万筆の署名はどこにあるかといえば、当委員会に付託をされているわけであります。

 力不足と大臣はお答えでありますけれども、文化芸術振興基本法を制定した国会の意思として、やはりもっとこれはふやすべきだという国会の意思をしっかり示すということが求められていると思うんですね。

 だから、これはもちろん立法府の判断でありますけれども、大臣、もしこの国会がそういうことをきちっと採択すれば、それは大臣の応援になると私は思うんですが、いかがですか、一言。

高木国務大臣 御指摘のように、請願の採択というものを踏まえて、これは国会の意思でございますから、この意思を踏まえて、私たちは最大限努力をすることが私たちの責務であると思っています。

宮本委員 私は、あくまでこの請願というものをしっかりと議論することが大事だとかねてから申し上げてまいりました。ぜひ請願についても、この際委員会として、委員会を開いて審議すべきだと思いますが、委員長、理事会で御協議を願いたいと思います。

田中委員長 では、そのように取り計らいたいと思います。

宮本委員 引き続きこの問題についてもしっかり議論するということを申し上げて、私の質問を終わります。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時散会


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