衆議院

メインへスキップ



第2号 平成23年10月26日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十三年十月二十六日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 石毛 えい子君

   理事 金森  正君 理事 田島 一成君

   理事 高井 美穂君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 馳   浩君

   理事 松野 博一君 理事 池坊 保子君

      相原 史乃君    石井登志郎君

      石田 三示君    石原洋三郎君

      大山 昌宏君    岡本 英子君

      奥村 展三君    川口  浩君

      城井  崇君    笹木 竜三君

      瑞慶覧長敏君    杉本かずみ君

      高野  守君    橘  秀徳君

      道休誠一郎君    中島 政希君

      中屋 大介君    永江 孝子君

      皆吉 稲生君    室井 秀子君

      本村賢太郎君    吉川 政重君

      笠  浩史君    和嶋 未希君

      あべ 俊子君    甘利  明君

      遠藤 利明君    河村 建夫君

      木村 太郎君    下村 博文君

      田野瀬良太郎君    永岡 桂子君

      古屋 圭司君    富田 茂之君

      宮本 岳志君    城内  実君

      土肥 隆一君

    …………………………………

   文部科学大臣       中川 正春君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   文部科学副大臣      奥村 展三君

   文部科学副大臣      森 ゆうこ君

   国土交通副大臣      松原  仁君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   文部科学大臣政務官    城井  崇君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   会計検査院事務総局第四局長            太田 雅都君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 沖田 芳樹君

   政府参考人

   (公安調査庁総務部長)  景山 和彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石兼 公博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 齋木 尚子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            磯田 文雄君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        布村 幸彦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     篠原 康弘君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  西  正典君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  松本隆太郎君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     吉川 政重君

  岡本 英子君     橘  秀徳君

  笹木 竜三君     道休誠一郎君

  高野  守君     皆吉 稲生君

  あべ 俊子君     木村 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  橘  秀徳君     岡本 英子君

  道休誠一郎君     相原 史乃君

  皆吉 稲生君     高野  守君

  吉川 政重君     石田 三示君

  木村 太郎君     あべ 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     笹木 竜三君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

石毛委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官沖田芳樹さん、公安調査庁総務部長景山和彦さん、外務省大臣官房審議官石兼公博さん、大臣官房参事官齋木尚子さん、文部科学省初等中等教育局長山中伸一さん、高等教育局長磯田文雄さん、科学技術・学術政策局長合田隆史さん、スポーツ・青少年局長布村幸彦さん、国土交通省航空局航空ネットワーク部長篠原康弘さん、環境省水・大気環境局長鷺坂長美さん、防衛省防衛政策局長西正典さん及び運用企画局長松本隆太郎さんの出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長太田雅都さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石毛委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石毛委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瑞慶覧長敏さん。

瑞慶覧委員 おはようございます。民主党の瑞慶覧長敏です。よろしくお願いいたします。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。早速、質問の方に入らせていただきます。

 沖縄の方に八重山地区というのがございます。石垣市、竹富町、与那国町、本当に美しい美しい地域でございます。その美しい地域で教科書の問題がちょっと勃発しておりまして、子供たちのことも含めて少し心配をしているところです。

 どんな問題かといいますと、一市二町で中学校の公民科の教科書、ほかの教科書もあるんですけれども、それを、統一の教科書を決めないといけないんですが、具体的に言いますと、平成二十四年度から使用する中学校の公民科の教科書でございます。広域地域協議会というのをつくりまして、三教育委員会が協議をしながら一つの教科書を決めようということになったんですけれども、八月三十一日が期限だったんですが、まだ決まっておりません。

 事の発端というんですか、私の方もいろいろ調べているんですけれども、少し協議会の進め方に強引なところがあったんじゃないかなと思っております。

 もともと、協議会の会長になったのは石垣市の教育長ですけれども、その教育長は石垣市長が選任をいたしたんですけれども、その方は高校の校長先生をやっておりまして、定年間近だったんですね。ところが、市長の方がということで、議会の中でも任命に関しても少し悶着もありました。石垣市の教育長になりまして、協議会の場が開かれまして、石垣市のその教育長が会長さんになったんですね。

 六月の末ごろ、突然、協議会の規約を改正しております。それから、協議会の構成員についても教育現場の体験者を外したり、それから、教科書の調査員を役員会で選任するとか、協議会のトップで運営できるようにするなど、教科書採択に求められる公正さとか、そこら辺に疑問が生じるようなことが起きております。

 恐らくそれが原因となって、結局、八月二十三日に一たんは統一の教科書を協議会は答申するんですけれども、それを受けて竹富町の方が反旗を翻しまして、いや、その教科書ではできないということになって、沖縄県の教育委員会も指導という形で巻き込みながら、現在でも決まっておりません。子供からしたら、一体どうなっているんだ、大人は何をしているんだというところかと思います。

 もう一つ、石垣市の教育長さんのことで気になるのは、教科書の調査員の推薦している本があるんですけれども、中学校の公民の教科書に関しては推薦されていないんですね。それで、いろいろあった中で、後でその委員の方が証言しているんですね。百九十冊を一人で読めと言われてもちょっと無理ですよ、委員長と。そうしたら、その会長さんの方は、読んだことにしておけというふうに言われたという証言も出ております。会長は、議事録をきちんとチェックしろと言われても、いや、議事録は出さないと。だから、そういうことも含めて何か非常に複雑になっていっております。

 それで、文部科学省としてこのような事態の把握をどのようになさっているのか、御感想をお聞かせください。森副大臣、お願いします。

森副大臣 おはようございます。瑞慶覧委員にお答えを申し上げます。

 八重山地区の採択協議会においての、まず、これは沖縄県教育委員会から伺っていることでございますけれども、協議会の構成員等については、六月二十七日に開催された八重山採択地区協議会におきまして規約改正を行ったということであります。また、八月十日の協議会において構成員の規約の再改正について提案がなされましたけれども、これは否決をされました。

 次に、協議会における調査員の任命につきましては、平成二十三年六月二十八日に会長が同協議会の役員会による選任を経ずに調査員を任命し、委嘱状を交付したわけですが、同年七月二十六日の協議会役員会におきまして、同年六月二十七日にさかのぼって同役員会において調査員の選任を行ったこととする旨を申し合わせた、このように聞いてございます。

 その後の教科書採択の事務は八重山採択地区協議会の規約に従って行われておりまして、当該規約の改正等の手続につきましては協議会の判断により行われたもの、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

瑞慶覧委員 今、副大臣の方からもありましたように、調査員の任命等に関しても一カ月後に戻って正式な手続を経るとか、やはりそこら辺が非常に問題だと思っております。それが一番大きな問題で、不信感を招いて、今でも決まっていない。

 それで、いつまでも教科書が決まらないというのは、やはり子供たちにとってもあるいは親御さんたちにとってもこれは不安を与えることになると思います。非常によくないと思います。どのような解決策を探っているのか、ぜひ大臣の方のお考えをお聞かせください。

中川国務大臣 私も、この問題については心を痛めてきておりました。

 一義的には、先ほどの副大臣の答弁のように、県の教育委員会がそれぞれ現場を指導して、一つのコンセンサスをつくってくるということ、このことに努力をしてもらうということであったんですが、文部科学省としても、努力を促すという指導をこの間、県の教育委員会にしてまいりました。しかし、なかなかめどが立ってこないということでありますので、そろそろ文部科学省としても一つの方向を打ち出すときだというふうに考えております。

 そこで、整理をしていくと、地教行法の第二十三条第六号によりまして、公立小中学校において使用する教科書の採択については、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が行うこととされています。だから、採択権というのは市町村の教育委員会にあるということであります。

 もう一方で、無償措置法第十三条第四項の規定によりまして、同一採択地区内の市町村立の小中学校において使用する教科書については、当該採択地区内の市町村教育委員会が、協議をして種目ごとに同一の教科書を採択しなければならないという規定がもう一方であるということです。

 したがって、採択地区内の市町教育委員会は、無償措置法第十三条第四項の規定による協議の結果に基づいて同一の教科書を採択しなければならないということでありますが、協議の結果と異なる教科書を教育委員会が採択した場合について、国の行う教科書の無償給与については、無償措置法の趣旨、目的に照らして文部科学省としてどのように対応するかという判断、ここになってまいります。

 それで、文部科学省としては、沖縄県教委に対して、八重山採択地区内の市町村教育委員会が、規約に従って、それぞれ地区内の選考をしていく過程で規約というのを決めておりますので、その規約に従ってまとめられた結果に基づいて、公民についても同一の教科書を採択することを指導してきたということでありますが、先ほどお話し申し上げたように、ここのところでなかなか同一の教科書を採択するということに至っていない、コンセンサスができていないということであります。

 このことを前提にしまして、文部科学省としては、八月二十三日に出された八重山採択地区協議会の答申及び八月三十一日の同採択地区協議会の再協議の結果が協議の結果であって、それに基づいて採択を行った教育委員会、これは石垣市と与那国町ということになるわけですが、これに対しては教科書の無償給与をすることになるものというふうにまとめていきたいというふうに思っています。

 協議の結果に基づいて採択を行っていない教育委員会、これは竹富町になるわけですが、これについては、国の無償供与の対象にならないということでありますが、地方公共団体みずから教科書を購入して生徒に無償で供与するということまで法令上禁止されるものではないという解釈が法制局の方からも出てまいりましたので、これに従って淡々とやっていきたいということであります。

 文部科学省としては、来年度からの新学習指導要領に基づく中学校の教育の円滑な実施のためにできるだけ早く使用する教科書を決めていかなきゃならない、授業実施に向けた準備を進める必要があるというふうに解釈をいたしまして、近日中に、沖縄県教育委員会から現状について改めて報告を聞いて、その時点でまだしっかりとしたコンセンサスが出てきていないということであるとすれば、これを踏まえて、教科書の無償供与について、先ほどの整理に基づいて文部科学省の考えを伝えることとしたいということであります。

瑞慶覧委員 ありがとうございます。

 一定の方向性が示されたということに関しては、私も本当に安堵しております。御苦労を本当にありがとうございました。ただ、これから沖縄県の教育委員会とも話し合いをしていくということですので、場合によってはスムーズにいかないのも想定されるかもしれないです。沖縄の教科書問題というのは、沖縄の中では、こちら側で、内地側で考えているより以上に非常にセンシティブなことですので、そこは丁寧に丁寧にやっていただいて、早く子供たちを安心させていただきたいと思います。

 それで、今、大臣の方からも今後のことに関してもありましたが、結局、その二つの法律の結果の矛盾というのが出たので、今回これが出たことは、私は、本当に根本的な解決に向かう意味では、よかったことだと思います。これを解決すれば、今後こういったことというのは起こらないと思っておりますので。

 そしてもう一つは、これまでの文科省の取り組みに関しても、実は平成九年の文科省初等中等教育局の通達、それから、その前の、平成八年の行政改革委員会からの答申、それによると、学校単位の採択に将来はしていくべきだというのが出ております。そして、それを受けて当時の閣議の方も決定されておりますので、学校単位を目指していく、将来的にはやっていくべきだと私自身は思っております。

 それから、広域協議会の位置づけに関しても、教科書の調査研究を行う任意の機関として機能していくように、要するに、答申をするところだというのをしっかりと位置づけていっていただきたいと思います。

 続きまして、教科書の検定制度についてですけれども、先月、九月三十日に城井政務官に対しても、沖縄県の方から、九・二九沖縄県民大会というのがありまして、その決議がありまして、関係者が要請を申し上げました。そこら辺の御対応に本当に感謝します。

 どういう対応をされたかというのを簡潔に少しだけ述べていただけますか。よろしくお願いします。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 基本的な認識といたしまして、沖縄戦が住民を巻き込んだ悲惨な戦いであって、多くの人々が犠牲になったということについては、歴史を風化させないように、これからも子供たちにしっかりと教えていかねばならないというふうに考えております。

 先日の中川大臣あてにいただきまして私が御対応させていただきました要請におきましても、細やかに地元の御意見を伺わせていただいたところでございまして、今後とも、その趣旨を生かしながら、適切な教科書検定が行われるように努めてまいりたいというふうに思っております。

瑞慶覧委員 ありがとうございます。

 教科書に関しては、審議会の中に調査官というのがいるんですけれども、ぜひとも、近隣諸国条項と並ぶ沖縄条項も策定していただいて、沖縄の歴史の専門官をもう少し入れていただく、そういうふうにしていただきたいと思います。大臣のお考えをお聞かせください。

中川国務大臣 沖縄史等について詳しい者を配置するということにつきましては、平成二十一年度及び平成二十二年度の小中学校教科書検定において、より慎重な調査審議が行えるように、琉球・沖縄史の専門家を教科書検定審議会の専門委員に任命いたしまして、申請図書の調査を依頼したところであります。

瑞慶覧委員 ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

 さて、スポーツの件に関して、それから学校施設、学童保育に関して、最後に二問だけ質問させていただきます。

 まず、女子野球についてです。

 早速ですけれども、昨年の夏のことですが、女子の野球のワールドカップというのがございまして、これまで四回行われていまして、何と、女子ワールドカップ、日本が二連覇中なんですね。大臣、これは御存じでしたか。

中川国務大臣 今回質問が出るということで、改めて勉強させていただきました。サッカーだけじゃなくて野球が強いというのは、さらに我々に力を与えてくれるなと思って、注目をしていきたいし、応援もしていきたいというふうに思っています。

瑞慶覧委員 よろしくお願いします。

 そこで、奥村副大臣、ぜひこれは、スポーツ議連の会長という職も含めて、スポーツ基本法もできました。その女子野球に関しても、なでしこも活躍していますが野球もあるんだということで、文科の方でもバックアップをお願いしているんですが、その施策に関して、一言お願いいたします。

奥村副大臣 お答えいたします。

 瑞慶覧委員におかれましては、基本法の制定につきましていろいろ御尽力をいただきましたこと、厚く御礼を申し上げたいと思います。

 現在、御承知のとおり、国内には女子の硬式野球が二十四チームあるように聞いております。世界で二連覇をされたようでございますが、なでしこのサッカーに皆が関心がいっておりましたが、私も今、大臣と同じように、今回、この御質問をいただいて、調査をいたしました。

 大会の国内の運営費等につきましても、そしてまた派遣費につきましても、サッカーくじ等の資金をしっかりとお出しして今日まで進めてきておりましたので、今後もいろいろ、大会そしてまた世界の大会等にお出になるときはそういうようなことでこれからも応援をしていきたいというように思っているところでございます。

瑞慶覧委員 済みません、あと一点だけ。大変申しわけない。

 沖縄のことにまたなるんですけれども、学校施設の中に学童保育というのを進めていると思うんですけれども、沖縄の方では学童保育が、ほとんど九割が、民間の方が民間のアパートを借りてやっているという状態になっています。

 それで、ぜひとも文部科学省の方から学校の方に、もっともっと施設を開放しろ、あるいは、施設の中に何かプレハブでもつくってやるような形を進める、そういう指導をもう少し強化していただけないかなと思います。城井さんの方、お願いします。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 学童保育につきましてですが、沖縄県におきましては民立民営が非常に多いということ、その結果、公立学校施設における実施の割合が全国平均よりもかなり低いということは承知をいたしております。

 その上で、学校施設を有効に活用していただくのは重要だと思いまして、これまでも、厚生労働省と連名で、例えば、余裕教室の利用、学校施設敷地内での円滑な事業実施が図られるような通知の発出でありますとか、あるいはパンフレットの作成ですとかという形で、地方公共団体に対しましては学校施設の活用を促してきています。引き続き、厚労省と連携して、しっかり積極的な活用を推進してまいりたいと思います。

瑞慶覧委員 質問を終わります。ありがとうございました。

石毛委員長 次に、本村賢太郎さん。

本村委員 民主党の本村賢太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 十月二十一日に「当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針」が発表されたわけでございますが、その件について数点お伺いさせていただきます。

 この方針の中では、地表から一メートルの高さの空間線量率が周辺より毎時一マイクロシーベルト以上高い数値が測定された箇所を発見した場合に文部科学省に連絡をするということでありまして、自治体、民間と連携をしてホットスポット対策を国が支援するという形で、大変評価したいと思っております。

 例えば、東京都足立区で毎時〇・二五マイクロシーベルト、そして、私の地元であります神奈川県川崎市が毎時〇・一九マイクロシーベルトで除染するとしております。そして、来年の一月一日から施行されます放射性物質汚染対処特措法で基準とされている〇・二三マイクロシーベルトに比べても、この一マイクロシーベルトという基準は高い形で私は受けとめているんですが、まず、この一マイクロシーベルトを超えない場合は除染の必要はないということなのか、お伺いします。

 そして次に、文部科学省におかれては、「当面」という記載がありますが、将来的にこの目安を見直す考えがあるのか、二問あわせてお伺いいたします。

合田政府参考人 お答えをさせていただきます。

 御指摘のように、今回の目安につきましては、国におきまして優先的に対応するという観点から、特に文部科学省へ報告をお願いすることとした当面の目安でございまして、周辺より一マイクロシーベルト・パー・アワー高い箇所として優先的に対応するという観点からお願いをすることとしておりますものですので、これ以下のものにつきましては除染をしなくてもよいかどうかということを示すものではないということでございます。

 さらに、この方針につきましては、当面の対応方針というふうにされておりまして、基本的には、放射性物質汚染対処特別措置法が全面施行されます平成二十四年一月一日までを想定したものであるという旨、十月二十一日に官房長官から公表されておりますが、その際に官房長官の方から発言があったというふうに承知をしてございます。

本村委員 各自治体が除染に向けて取り組みを行っておりますので、ぜひ文科省もそのあたりを考慮いたしまして、またぜひとも見直しの検討をお願いしたいと思っております。

 きょうお配りの資料の中に、小学生、子供新聞なんですが、福島県の全小学校にリアルタイム線量測定システムを五百カ所設置するという記載がありまして、福島県全体では二千百カ所、年内に設置するということを伺っておりますが、今回、この方針の中に、「人(特に子ども)の集まる公的スペース等において放射線量を測定するに際して」とあるにもかかわらず、測定が地表から一メートルの高さというのは高過ぎるのじゃないかなと思っております。

 この新聞にも記載がありますように、保育園、幼稚園、小学校では既に五十センチで測定をしており、子供が集まる公的スペースにはその基準を適用すべきではないかと考えておりまして、特に私の地元でも、お母さん方、育児をしている皆さんから特にこうした声が強いものですから、この五十センチに測定を見直した方がいいんじゃないかということをまず質問させてもらいます。

合田政府参考人 お答えをいたします。

 今回の目安は、先ほど申し上げましたように、国において特に高い部分について優先的に対応するという観点から、文部科学省に特に報告をお願いすることといたしました当面の目安でございます。

 そういったような意味で、測定の高さにつきましては、周辺と比べて相対的にどの程度高いのかということを見る観点から、これにつきましては航空機モニタリングを初めとする各種のモニタリングデータが一メートルを標準としておりますので、それとの比較を可能とするために標準的な高さとして一メートルを用いることとされているものでございます。

 もとより、本対処方針におきましても、地域住民のニーズに応じて、特に子供さんの集まるような公的スペースなどにおいて放射線量を測定するといったようなことを示しておりまして、子供さんたちへの配慮が重要であるということは十分認識をいたしております。

本村委員 次に、平成二十三年度二次補正において、全国の放射能調査体制を強化するため、これまで四十七都道府県に一台ずつモニタリングポストを置いておりましたが、さらに三十二億円の予算を使って二百五十台増設するものと承知をしております。

 今回の福島第一原子力発電所周辺には二十カ所以上のモニタリングポストがあったというふうに聞いておりますが、津波、地震で、これが機能しなかったということも伺っております。きょう配ったこの資料の中にも、やはり数値はリアルタイムでとらえなきゃいけないし、四十七都道府県の今四十七台、リアルタイムではなく、各都道府県が集計したものを文科省が発表されているというふうに聞いております。

 ぜひとも、この二百五十台、これから設置をすると伺っておりますので、リアルタイムでデータを収集して文科省として発表していただき、さらに、耐震化や、あとは津波などの被害でもバッテリー対策、こういったものを兼ね備えたものをしっかりと対応するべきと考えますが、いかがでしょうか。

合田政府参考人 モニタリングポストについてのお尋ねでございますけれども、御指摘のとおり、今回の福島第一原子力発電所の事故を受けまして、全国的にきめ細かなモニタリングを実施するために、文部科学省におきましては、平成二十三年度第二次補正予算におきまして、全国四十七都道府県で計二百五十基の固定型モニタリングポストを増設するために必要な予算約三十二億円を計上してございます。

 今年度中の設置に向けて、現在鋭意手続を進めているところでございますが、これらのモニタリングポストにつきましては、御指摘のように、全国で測定をされましたデータをリアルタイムに収集し、処理することができるシステムを備えることといたしておりまして、これによりまして、測定結果の速やかな公表を図ることといたしております。

 今後とも、引き続き、御指摘を踏まえまして、国民の安全、安心にこたえるべく、全国的なモニタリング体制の充実に努めてまいりたいと考えております。

本村委員 ぜひとも、リアルタイムという御答弁もいただきましたが、津波や地震に今回遭ったわけでありまして、そういった教訓を生かした対応をあわせてお願いしたいと思っております。

 次の質問に入らせていただきます。次は、学校給食の放射線量の測定についてお伺いいたします。

 三次補正で、安全・安心のための学校給食環境整備事業という形で、東日本十七都県を中心に、各自治体に二分の一国が補助する形で、測定器を今回整備するという形で支援しておりますことを非常に評価していきたいと思っておりますし、また、先ほどの話ではありませんが、本当に保護者の皆さんから学校給食に非常に高い関心を持たれておりますので、その点に関して数点お伺いさせていただきたいと思っております。

 今、食品安全委員会でも、健康影響評価を科学的見地から検討されて、近々、厚労省が暫定規制値から正式な規制値を発表されるわけでありまして、この辺も大変注目をしてまいりたいと思っておりますし、学校給食の問題では非常に関連が深いんじゃないかと考えております。

 放射能の影響は、特に子供たちが受けやすいと言われておりまして、御存じのとおり福島では、この大震災、事故当時、ゼロ歳から十八歳だった方々の生涯にわたる健康チェックが行われているということも伺っておりますし、空間線量による外部被曝だけではなく、やはり食べる、これはもう本当に、食というのは大事な文化でありますし、また食べなければ生活ができませんから、食物などから受ける内部被曝に関しても重要な問題だと私はとらえております。

 早野龍五東京大学大学院理学系研究科教授の、「給食一食分ミキサー検査を」という形で御提言をいただいているものを、きょうお配りさせていただいているわけでございますが、今回の文科省の取り組みの学校給食環境整備ももちろん評価をしておりますし、ぜひとも前進をさせていただきたいと考えております。

 私はやはり、この内部蓄積、これに関して非常に関心を持っておりまして、この基準値以上の放射性物質を含む食材がサンプリング検査をくぐり抜けてしまう心配があることから、ぜひとも結果を毎日公表して、数値を長期にわたって積算して、子供たちがどのぐらい内部被曝をしたのかというのがわかればいいなと考えていたところ、この早野教授のお話がありまして、給食一食分をミキサーでまぜて、放射線量を皆さんに公表していくというお話であるわけでございます。

 今回、こうした早野先生の御提言のような、給食一食分をミキサーで検査することによって、三食分の、学校給食は一食かもしれませんが、流通しているものは大体地域で同じであることから、その学校給食を基準にすれば、子供の内部被曝の線量というものが積算できるんじゃないかと考えておりますので、ぜひ、大臣におかれましても、この給食丸ごとミキサー検査の、内部被曝の方の検査も私は必要であると考えておりますので、大臣の所見をお伺いしたいと思っております。

中川国務大臣 今、私たちの取り組みは、事前にそれぞれの食物の中にある放射線量というのをチェックしていくという体制になっていますが、それではなかなか、トータルでどれだけ摂取されるのかというのが出てこないという心配がある。その上で、こうした形でミキサーで後チェックをしていくということ、この体制をつくっていくべきじゃないか。それによって、どれだけ摂取が時間的な経緯の中で積み重なってきているかということがチェックできる、そのとおりだと思います。

 いろいろ議論をして、それで工夫をしていきたいと思うんですが、なかなかこれはコストがかかるということを聞いておりまして、もっと簡便に工夫ができないか。目的として、さっきおっしゃられたようなことを達成することができるとすれば、どういう方法があるか、いろいろ私も検討をしていきたいというふうに思います。

本村委員 大臣にもう一度お聞きいたしますが、では、内部被曝に関して、大臣も同じように重要だととらえられておることから、こういった早野先生の件は一例だとしても、子供たちの内部被曝に関する研究をこれからもしていただけるということで受けとめてよろしいでしょうか。

中川国務大臣 大事な提言をいただきましたので、しっかり取り組んでいって検討していきたいと思います。

本村委員 次に、公私立高等学校の定員枠に関する公私間協議について、数点お伺いさせていただきたいと思っております。

 昭和五十年九月一日に、文部科学省より、公私立高等学校協議会の設置についてという通知が出されておりまして、公私立高等学校間で定員数などを協議する協議会が各都道府県に設置をされておりますが、そのできた経緯と、設置している都道府県の数などを教えていただきたいと思います。

山中政府参考人 高校の入学定員の設定に関する件でございますけれども、いろいろな県で、公私間の高等学校の役割分担とかあるいは配置計画等について話を行ったり協議を行ったりする組織といたしまして、平成二十二年度時点でございますと、協議会というふうな形で組織を設置しているのが四十六県、設置していないのは一県という状況でございます。

 この名称も、連絡会議、懇話会議等、いろいろな名称がございますし、機能も県によって異なっているという状況でございます。

本村委員 次に、大阪府では、平成二十三年度より、これまでの比率七対三というものを見直して、新しい形で定員数を決めていると伺っておりますし、私の地元神奈川でも、公私間での定員の比率を決め直そうかという議論が今始まったということを伺っておりますが、実際に定員数がどのように決められているのか、お伺いいたします。

山中政府参考人 各都道府県の入学定員の公私間の決定方法につきましては、公私間で了承されている比率に従って、あるいはそれを参考にしまして、それで教育委員会、私立学校が入学定員を設定しているといった、比率を定めて決定しているのが二十五県。また、教育委員会と私立学校が実数の、数の協議を行っているという県が二県。公立学校については教育委員会、私立学校についてはそれぞれの学校法人がそれぞれ独自に決定しているという県が二十県であるというふうに承知しております。

本村委員 定員数を公私間の協議によって決めている県が、今の御答弁で二十五都道府県ということをお伺いいたしました。

 私学のこれまでの役割というものは大変大きなものがありますし、これからも私たち、文部科学委員会の一人として、私学の支援もしていかなきゃいけないし、私学助成金や税制上の優遇、さらには授業料減免、そして、私たちの政権交代で行った就学支援金など私学への手当も、もちろんこれから応援していきたいと思っております。

 私は、ゼロ歳から母子家庭という環境で育って、母に育ててもらったんですが、公立高校に行きました。別に公立高校の応援団じゃありませんが、ただ、大人が、公立高校に行きたいという子供たちの枠を比率で決めていくというのは、やはり進学の自由というか不公平さを感じております。

 独自に決定している県が二十県あるわけでありますので、そういったものに倣って、ぜひとも、あらゆる子供たちが、公立に行きたい人は公立に行く、そして私学に行きたい人たちは私学に行くという自由な選択ができるような定数の枠を行っていくべきじゃないかなと私は思っております。

 それに関して大臣はどうとらえられているか、お伺いしたいと思います。

中川国務大臣 恐らくこれは、生徒の急増期に、それぞれ、公立あるいは私立の比率をどうしていくかという中で話し合われながら、今のような形の、いわゆる比率を決めてそれぞれが役割分担をしていくというようなことだったんだろうと思うんですね。

 私も、この御指摘が出て、改めてそれでいいのかということは一遍考えてみる必要があるなというふうに思っておりまして、先ほどの、生徒の理想というか、私立にしても公立にしても自分が行きたいというところに行ける、そういう選択肢を広げる、可能にするということが一番の理想だと思います。その理想に向かって公私の割合をどうしていくかという議論、今度は子供たちが減少してきていますから、その減少していく社会の中でどう調整していくかというようなことが必要なんだろうというふうに思います。

 まだ答えは出していませんけれども、これは議論をしていく必要があるというふうに思っています。

本村委員 これで質問を終わりにします。どうもありがとうございました。

石毛委員長 次に、下村博文さん。

下村委員 おはようございます。自民党の下村博文です。

 まず、中川大臣に、大臣就任おめでとうございます。エールを送りたいと思います。

 先ほどの八重山教科書採択問題については、途中の経過の中でぶれた発言がかなりあったというふうに我々は思っておりますが、しかし、先ほどの最終的な大臣の判断というのは適切であるというふうに評価をしたいと思います。沖縄県教委に対しても文部科学省としてしっかりと指導、アドバイスをして、早く決めていただきたいというふうに思います。

 そして、中川大臣からすれば、きょうが野田内閣に就任して約二カ月ですね。今まで大臣所信、それからそれについての質疑が行われなかったということについては、多分じくじたる思いを持っておられるのではないかというふうにエールを送りたいというふうに思います。

 本来であれば、さきの臨時国会で、それぞれの委員会で大臣所信また質疑を行うべきところであって、我々も強く要請したわけでありますが、御党の平野国対委員長が、不完全内閣だということでそれを認めなかったということでございます。

 全般的に見ると、素人内閣であるとか、いろいろ問題がある大臣が多い中で、しかし、少なくとも中川文科大臣は素人ではないわけで、副大臣の経験もあるわけでありますから、早く委員会質疑を行って、また東日本大震災の復旧復興については文部科学分野においても大変大きな使命があるわけでありまして、早く果たそうという思いがあったのではないかと思いますし、それをしっかりやっていただきたいと思いますね。

 その中で、まず冒頭お聞きしたいのは、副大臣、政務官、この人事については中川大臣はどのように対応されたのか、お聞きしたいと思います。

中川国務大臣 野田内閣ということで発足をしまして、私も今回、それこそドジョウ内閣ということで野田総理自身が表現をされておりますが、もう一回原点に返って落ちついて政策をつくり上げていく、あるいはまた震災に対しても、与野党の合意の中でしっかりとした議論をしながら進めていくということ、このことを原点にしてぜひ進めていきたいというふうに思っています。

 その上で、副大臣、政務官の人事でありますが、野田総理あるいは官房長官等々相談をされた中で、私にも打診がありまして、そんな中で適切な人材をいただいたということで、非常に頼もしく思っております。

下村委員 まず、ドジョウ内閣というのは、海外から見るとマイナスイメージですよ。何か泥を食っている淡水魚で一体何をやりたいのか、日本というのは何を目指しているのかということについて、全く発信力がないですね。国内受けといいますか、野田さんの個人的な思いで言われたのかもしれませんけれども、しかし期待感が全くわかない。そういう意味で、いつまでもドジョウ内閣という自虐的な言葉を、としか思えませんが、海外から見ると。それは考える必要があると思いますよ。それはやはり、私も日本の国会議員ですから、日本の内閣が世界の中でもっといい発信力を持って、期待感を持ってやってもらいたいと思っていますから。

 それから、今の人事については、そうすると中川大臣は、自信を持って副大臣、政務官に対して期待をしているということでありますが、端的に言って、きょうは神本政務官について御指摘を申し上げたいと思うんです。

 にこやかで優しそうなお人柄に見受けられますが、その内面は、教育基本法の改正では、改悪だということで鉄のような強い意思を持って反対運動の先頭になって活動をされた。なおかつ、日教組の本部の幹部であられるわけですね。

 これは中川大臣、神本さんの個人的なことは私存じ上げておりませんが、ただ、一つは、日教組の大幹部がそのまま文科省に入るなんということはまず到底考えられないことである。

 それから二つ目には、そういう端的な利害関係、これは最も利害関係がありますよ。戦後の日本の教育は、日教組と文科省の闘争の歴史であるとも言われているわけですね。その日教組の大幹部が政務官に入られたということは、もう世間から見たら、文科省は事実上日教組に乗っ取られた、牛耳られた、こういう判断ですよ。

 その中で適切だと言うことは、中川大臣もそれを追認する、つまり、日教組の影響下において文部科学行政が行われることについて追認する、認める、こういうことと同じことになるわけですね。

 我々が問題だと思っているのは、日教組の影響というのは、全国学力・学習状況調査を悉皆調査から抽出調査に改めることについて、当初から強い要求がありました。事実、そのとおりになっているわけです。

 それから、教員免許更新制の抜本的な見直しですね。これも今、民主党がマニフェストに入れて進めようとしていることでもあります。

 それから、道徳教育の予算を削減したということ。東日本大震災を受けて、これから本当に、きずなや、あるいは人に対する思いやり、心、魂の教育、これが今時代的に求められている中で、こういう予算がどんどん削減されている。これも日教組が要求をしていたことでもあるわけです。

 それから、朝鮮高校の無償化ですね。これは、四回にわたり、日教組の書記長が対象にすべきだということを発言しているわけです。現在、この日教組の政治団体である日本民主教育政治連盟所属の国会議員八名、全員が民主党ですけれども、うち六人が政府・与党、国会の要職についておられる。大変な影響力ですね。御党の輿石幹事長、まさに日教組のドンと言われている人でありますが、それが幹事長になっているわけであります。

 野田政権の成立により新たに就任した方々、これは衆議院議長もその中の一人ですが、除いて、五名いました。鉢呂経済産業大臣が辞任して現在四名でありますけれども、それだけ、この民主党野田政権における日教組の影響というのは最大に高まっているというふうに言える状況ではないかというふうに思います。

 こういう中で神本政務官を任命したということについて、文科大臣として、誇りと自信を持って言えるわけですか。

中川国務大臣 いろいろな見方というのがありますが、私は、それぞれの団体にそれぞれ属して個人的に活動するという政治と、そういうことではなくて、政府に一員として参加をして、その中で議論をしていって、そこで決まったことを執行していくという立場、これは、それぞれが使い分けていくことだというふうに思っています。これは、日教組に限らず、どの団体に属している我々国会議員についても言えることだというふうに思います。

 そういう意味で、しっかりと距離感を持ちながら、そして、政府としての真っ当な議論を積み重ねていくということを期待していきたいというふうに思います。

 さらに、日教組については、かつて国の教育政策に一貫して反対をして、時として違法なストライキを含めた運動を展開してきたという時期がありました。しかし、平成七年度に、これまでの運動方針を、参加、提言、改革という路線に大幅に見直して、現在もこの方針を踏襲しているというふうに理解をしております。

 文部科学省としては、教育改革を進めていくためには、教育の第一線でその任に当たる教職員を含めて、広く各界の関係者が一丸となって取り組む必要があるというふうに考えておりまして、日教組に対しても、そういう意味での努力と協力を求めてきたところであります。

 しかしながら、日教組の運動方針の見直しにもかかわらず、一部の地域ではストライキなど教職員組合の違法な活動が行われているということも、これも事実であります。

 文科省としては、当該地域の教育委員会に対し必要な指導を行っているというところでありますし、是々非々で、そこのところはしっかりとした対応をしていくということを私自身も考えております。

 以上です。

下村委員 中川大臣と民主党に対する見識が問われると思うんです。先ほどの発言の中でもしっかりとした距離感と言いましたが、これは当然のことなんですよ。今までの自民党政権においても、いろいろな利害関係者は、それぞれの代表でいましたけれども、直接的な関係省庁の政務三役にはさせていないんですよ、ストレートにそのまま問題になるから。

 ですから、例えば神本さんが、違う、日教組の組織と関係ないどこかの政務官になるということについては、それは一つの考え方でしょう。しかし、最も一番影響力のある、関係する文部科学省の政務官にするということは、これはしっかりとした距離感どころの話じゃなくて、まさに一体化じゃないですか。

 そういう見識のなさということが今の答弁にも出ておりましたけれども、それはもう中川大臣そのものが、是々非々とか言っても、実際は日教組の影響下で教育を進めるということを発言しているようなものなわけでして、非常に残念な発言だと思いますね。

 そして、神本政務官にお聞きします。

 私もけさ見ましたけれども、神本政務官のブログの中で今でも書かれているんですが、改正教育基本法について批判をされているわけですね。国を愛する態度を国民に強制して愛国心を無理やり押しつけようとするから改悪であるとして、反対なんだということが今でも書いてありました。

 文部科学大臣政務官に就任した現在、反対した部分についてどう考えているのか。現在、この改正教育基本法について完全に遵守するという考え方があるのかどうか、お聞きしたいと思います。

神本大臣政務官 お答え申し上げます。

 行政府の一員として、教育基本法を含む現行の法律に基づいて、着実に仕事をしてまいりたいというふうに思っております。

 我が国と郷土を愛する態度について、教育基本法の改正の国会論議におきまして、私がブログの中で、これは国を愛する態度を強制するものではないかということを書いておりましたのはそのとおりでございますが、現行の教育基本法第二条第五号で、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」が、教育の目標の一つとして改正教育基本法において定められております。したがって、この目標を踏まえて、学校においては、学習指導要領等の定めるところに基づいて適切に指導されるべきだというふうに思っております。

 以上です。

下村委員 いやいや、答えになっていないんですよ。先ほども申し上げましたが、あなたのブログには、政務官に就任したというのも書いてありますよ。一方で、今のようなことは一言も書いていなくて、改正教育基本法は反対だ、改悪だということを明確にブログに書いたままなんですよ。

 それがその後、今のように、改正の中ではそういうふうに変わったんだ、だから改正教育基本法については評価できるんだ、遵守できるんだということだったら、それを書かなかったらおかしいじゃないですか。どうなんですか。

神本大臣政務官 今御指摘のそのブログについては、日付を付して、あの議論のときに私が思っておりました国を愛する態度ということについて、前の教育基本法では、第一条において、教育の目的は、人格の完成を目指し、真理と正義を愛し、勤労をたっとびというようなことで目的が書かれ、その後に方針が書かれておりましたが、現在、改正された教育基本法の第二条、さっきちょっと一部分だけ引用しましたけれども、そこで教育の目標として、国民に必要な資質ということで書かれておりましたので、必要な資質として我が国を愛する態度を強制されるのではないかということで、改悪ということをやってまいりました。

 ブログの中でも書いておりますように、この強制については反対であるけれども、国会議論の中で、これは子供の内心まで評価し強制するものではないというようなことが明らかになっておりますので、私としましては、先ほど申し上げましたように、現行の教育基本法に基づいて適切な指導が行われるようにというふうに考えております。

下村委員 そうすると、現行の教育基本法は評価するということなわけですね。

 しかし、実際は、あなたのブログにはそんなことは一言も書いていないんですよ。それは同じように、日教組そのものがそうなんですね。

 日教組の方針の中で、改正前の教育基本法、これを四七教育基本法というふうに書かれていました。つまり、一九四七年に定められた教育基本法だからそういうふうに表記されたんでしょうけれども、この四七教育基本法の理念を基軸に、多くの教育研究活動や現場での実践を積み重ねるとともに、教育施設の改善、教育条件整備を中心とした教育運動を進めてきました。そして現在でも旧教育基本法の理念に基づく活動を展開しているということで、日教組の方針としては、改正教育基本法は評価しない、前の教育基本法のもとで活動するんだ、こういう考え方が今でも日教組の中に書いてあるわけですけれども、そうすると、日教組の教育方針と、それから神本政務官の今のお考えは違うということでよろしいんですか。

神本大臣政務官 日教組は、この改正教育基本法の成立を受けたときに見解を出しておりますけれども、「教育の国家統制・権限強化につながる動きを注視」するということは書いてございますけれども、改正教育基本法に反対をしていくということは現在の運動方針に書かれてはいないというふうに承知をしておりますので、矛盾をするということではございません。

下村委員 いや、反対じゃなくて、前の四七教育基本法にのっとって教育研究活動を現場で実践として積み重ねていく、そういうふうに書いてあるんですよ。つまり、事実上認めていないということなんですね。

 今でも神本政務官は、この日教組の政治団体である日本民主教育政治連盟の所属なわけですよね。所属の中で文科の政務三役、政務官としているということ自体が、そもそも今の答弁を聞いていると相矛盾することだと思う。少なくとも日本民主教育政治連盟から離れて、そしてきちっと政務三役としての仕事について専念すべきである、そのもとで遵守して、法律にのっとって活動すべきであるというふうに思いますが、いかがですか。

神本大臣政務官 どの団体に所属するかということについては私自身が判断することでありまして、所属しているので政務官としての、行政府の一員としての仕事ができないというふうには考えておりません。

下村委員 先ほど中川文科大臣から、かつての日教組とは違う、しかし問題点もある、是々非々だという話がありましたが、我々は、基本的に、あらゆる部分で問題点がたくさんあると思っております。

 その中で、その母体である、存在のまま政務官をするということは、これは文科省における教育のさらなる悪化につながっていくということについて、大いに懸念します。今後問題を引き起こさない前に、これはもう神本政務官には辞任を求めます。

 これについて、文科大臣としていかがですか。

中川国務大臣 法案の一つ一つの議論の過程では、それぞれの議員がそれぞれの思いに従って意見を述べ、そしてその自分の方向へ向いてさまざまな運動をしていくということだと思います。

 しかし、一たんそれが法律として決まって新しい出発をした、しかもその中で、政府の一員としてその法律に基づいた行政を進めていくという立場に立つわけですから、神本政務官も、そういう意味ではそこの立場を整理して、しっかりとした、今の法律に基づいた行政を進めていっていただくということ、このことを思っております。そういう形でこの職を受けていただいたということで整理をしておりますので、そのまましっかりと頑張って続けていただきたいというふうに思っています。

下村委員 冒頭言われましたけれども、私は神本さんの議員としての立場を否定しているわけじゃないんです。議員は議員で活動されればいいと思いますよ、それは。

 問題なのは、政府側に入って、なおかつ利害関係がある、かつて立場、今もそうですけれども、日教組の大幹部が、そのまま利害関係のある文部科学省の政務三役に入るということ自体が問題だと言っているわけですね。

 それを中川大臣も問題ではないと思っているとしたら、思っているという発言ですけれども、あなた自身が問題だということを指摘して、今後も、これについてはいろいろなタイミングの中で具体的に指摘をしていきたいというふうに思いますが、ぜひ、文部科学省においては、そういう日教組の傘下に入ったと国民に思われないような政策について、貫き通してほしいというふうに思います。

 次に移ります。

 八月九日の三党合意で、平成二十四年度以降の高校授業料無償化の制度のあり方について、政策効果の検証のもとに必要な見直しをするということが決まったわけです。そして、中川大臣も所信において、そのことを明確に表明されました。

 我々は、この見直しについては、一つは公私間格差を是正すると。高校授業料無償化といっても、公立高校の授業料の無償化であって、私立高校は相当額が減っただけで、授業料そのものが無償化になったわけじゃないわけですね。ですから、事実上、以前にも増してさらに公私間格差が拡大したというふうに思っております。だから、低所得者向けの給付型奨学金を創設すべきであると。

 つまり、形式的な平等ではなくて、真に公正公平な制度とするための財源とするために、同じ財源であれば、高校授業料無償化、それに所得制限を設けることによって、公私間格差や低所得者向けの給付型奨学金にシフトすることによる抜本的な見直しをすべきである、これが我々の立場であるということをまず冒頭申し上げたいと思います。

 その上で、朝鮮高校のこの対象についても、これは、再開手続を今着手しているというところですが、これについても当然、見直し対象となるということでよろしいですね。

中川国務大臣 あのときの三党合意の趣旨というのは、それぞれどういうメリットがあの政策によって出てきているかということ、これを前提にしながら見直していくということでありますので、どの項目に限って見直すということではない。それぞれ、それぞれの党が課題を出し合っていただいて、その中で議論をしていくということになっていくと思います。

下村委員 いや、そんなことはわかっているんですよ。そうじゃなくて、それはそこまで明示していませんよ、三党合意の中では。

 今現在、中川大臣の中に、この朝鮮高校の見直しも対象として入っていますねということをお聞きしているんですよ。

中川国務大臣 現状では、まだ具体的な話し合いが始まっておりませんので、どの項目がその対象になってくるかということが定かではありません。

 したがって、今の段階では、朝鮮学校だけではなくて、この高校無償化については、これまで決められた既定方針どおり、それぞれ進めているということであります。

下村委員 大変残念な答弁ですね。これは朝鮮高校だけではありませんが、すべてにおいて見直しをして、より適切な政策が打ち出せるようにしていくというのが普通の答弁じゃないですか。だからそれは、これだけが例外だということはあり得ない話であって、でも、そういう答弁さえ今はしていないんですよ。それは非常に残念に思います。

 そして、我々は、民族差別をするつもりは全くありません。ですから、日本国内においてどんな子供であっても、そういうことが享受できるようなことについてしてあげたいという思いはあります。ただ、子供の問題ではなくて、この朝鮮高校そのものが、金正日独裁体制を支えるための思想教育機関に今なっているんですね。そして、日本国憲法や教育基本法に反する存在になっています。これは、後ほどまた改めて公安調査庁等から事実関係について確認をしたいと思います。

 ですから、現行制度のもとで、文部科学省がこの対象にするということについてはいろいろな部分で問題点があるということについては、これまでも再三指摘しておりますので、あえてここで一つ一つ先に申し上げなくて、次の話に進めさせていただこうと思います。

 手続再開について。本来は、昨年の十一月二十三日、ちょうど約一年前ですけれども、北朝鮮による韓国・延坪島砲撃を受けて、菅前総理が無償化手続を、不測の事態に備え、万全の態勢を整えていく必要があるということで、一年前、超法規的に停止したわけです。

 しかし、ことしの八月二十九日、退任する前日に再開手続をしたということで、当初、これは、外交上の配慮など判断すべきものではなくて、教育上の観点から客観的に判断するということを終始、当時の川端文科大臣が言っていたのにもかかわらず、実際は、菅さんの思いつきなのかどうかわかりませんが、本当にめちゃくちゃ。結果的に、そのことによって、朝鮮学校の生徒、父母の方々にも逆な迷惑をかけた、変な期待感を持たせたことによって。そういう行政上の問題点というのも非常にあると思いますよ。

 そもそも、そういう意味で、ぶれていること自体が問題なわけですけれども、もう一度改めて確認しますが、菅前総理の無償化手続の停止は外交上の配慮にほかならず、それまでの政府見解、それは配慮していないと言っているんですけれども、結果的にはやはり矛盾してくるんだと思うんですね。外交上の配慮だ、これはだれが見ても。

 これについて、改めて中川文科大臣の方から整理して、今の事態について、前のことは、もうやめた人ですから、それはそれでやむを得ないですから、今時点におけるこの見解について、正しくきちっと出していただきたいと思います。

中川国務大臣 今、再開をして、それぞれ厳しい調査に入っているということでありますが、それぞれ、政府がかわっても、基本的な考え方については一貫性を持っていくという必要があると思います。

 そういう意味で、繰り返しになるかもわかりませんが、この審査手続の一たん停止というのは、北朝鮮による砲撃という国家の安全にかかわる事態の中で、不測の事態に備えて、国民の生命と財産を守るために万全の態勢を整える、そういう見地から行ったものであって、外交上の配慮によって行ったものではないということであります。

 さらに、不測の事態とは、国民の生命と財産、秩序の安定が脅かされかねない事態のことであって、それを考慮した上での一時停止ということであったと理解しています。

下村委員 無理やり理由をくっつけたとしか思えない、よくわからない答弁なんですよ、率直に言って。うなずいているから、自分でもそう思っておられるんでしょうけれども。

 これは、不測の事態というのも、北朝鮮が韓国の延坪島に砲撃をしたということが何で我が国において不測の事態なのかということが、どうしてもわからないんですよ。韓国国内においては、不測の事態というのは予想され得ることだと思いますよ。それを、我が国国内において不測の事態だからといって、これを停止する。その不測の事態ということについて今説明がありましたが、それだけでは国民の皆様はよくわからない。

 政府が考えていた不測の事態、当時も私は説明を聞いたんですよ。そうしたら、いや、それは不測の事態なんだから、今言っちゃったら、それは北朝鮮に日本の考えている不測の事態が何なのかを事前に教えるようなことだから、答えられないということだったんですよ。

 でも、八月二十九日の段階を経て再開したわけだから、不測の事態がなくなったわけだから、今だったら、当時考えていた不測の事態はこうだったんだということを明確に言えると思うんですね。お答えいただけますか。

中川国務大臣 相手が北朝鮮という国家でありますから、それぞれ近隣、特に韓国という国については、平和的な落ちつきといいますか、条約も結ばれておらない中で、休戦状態、そういう状況が続いている。絶えず緊張感を持ってそれぞれの国との外交関係があると思うんです。日本にとってもそれは同じようなことだと思うんですが。

 ここで言っているのは、その緊張感というのが、今あるような状況ではなくて、これが高まって、ああいう国だから何が起こるかということが予想できない、かつ、それに連動して日本の国内でも不測の事態が起こる可能性があるんじゃないかということ、そういう懸念を持って今回の判断があったということだと思っています。

下村委員 それが朝鮮高校の授業料の無償化手続とどう関連するんですか。

中川国務大臣 このことについて、結果的に、朝鮮高校のいわゆる調査の結果、あるいはそれから出てくる話がどういうことが想定されるかというのは、まだこれからの話ですけれども、そのことによって、さらにその緊張が高まって不測の事態が起こるということがあってはならないということだったと思います。

下村委員 だから、外交上影響しているんですよ。だから、さっき言っている話と全然違うことを今大臣は答えているんですよ。外交上の配慮をしないと言ったにもかかわらず、実際は、不測の事態が心配だから朝鮮学校の無償化手続はストップしたということなんですよ。

 このことについて、冒頭言われていましたけれども、幾ら前内閣といっても内閣の継承があるから言葉は変えられないといって、こんなことで無駄な論争をしても意味がないので、次に移りたいというふうに思います。

 私は、そもそも、八月の二十九日、朝鮮高校の無償化手続を再開することについて、ちゃんと政府として判断したのかということについて、菅総理が外務大臣や拉致担当大臣、文科大臣と事前に意見調整を行ったのか。さらには、これは韓国に対する砲撃事件ですから、お隣の当事者である韓国とか、あるいは安全保障の問題ですから、アメリカと事前に意見調整を行ったのかということについてお聞きしたいと思います。

 副長官、きょうお越しいただいているそうですので、お答えいただけますか。

齋藤内閣官房副長官 どうぞよろしくお願いいたします。

 私自身、まだ官邸に入りまして二カ月ちょうど、先生のお話どおりたちまして、本当に多忙な官邸だなというふうに思いながら過ごさせていただいております。お申し越しの件は、やはり国会議員でございますから、当然のことながら、大いに私自身も脳裏にありながら過ごさせていただいております。

 今、中川文科大臣からるるお答えをさせていただきました。私自身も、野田内閣の中での、官邸の中で官房副長官といたしまして、このことについて総理からの発言について受けとめながら、そしてまた、朝鮮高校無償化の問題については、ひとえにこの所管省庁であります文科省、これは先生も御承知の上で御質問されているというふうに思います。今、野田内閣総理大臣から、この件につきまして私どもが指示をされております。

 御案内かもわかりませんが、総理自身が就任した際に、九月二日の記者会見で、この菅前総理の指示の背景につきましては、昨年十一月の砲撃事件の後に同様の軍事的な動きがなかったこと、そして、本年七月に米朝対話、南北対話等の動きがあったこと等から、環境が砲撃の前に戻りつつあるという判断があったと推察をしておりますと。

 いずれにしましても、朝鮮半島情勢については依然として予断を許さない、北朝鮮の行動を確定的に予測することは適当ではなく、不測の事態に対して備えておくことは当然であると考えておりますということが、今、野田内閣総理大臣がこの後、政権についた後にこのことについて発言をしていることについて、先ほど申したとおり、私自身、今進めさせていただいているところでございます。

 今の先生の御質問の中での、菅総理が当時の各省庁、あるいはいろいろな情報についてということについては、今、私自身、お答えする用意がございません。(発言する者あり)

下村委員 いや、正直な答弁ですよ。

 政府参考人、来ていますね。外務省、政府参考人から同じことについて、つまり当時、菅総理が事前に外務省等と調整があったのかどうか、これについてちょっと事務方から説明してください。

石兼政府参考人 北朝鮮の問題は外務省の所管でございます。その観点から、外務省としての情勢分析、これを、総理への報告を初め、政府として共有してきておるところでございます。

 審査手続の再開に当たりましては、松本前外務大臣が述べておりますとおり、北朝鮮について総理と外務大臣、さらに政府としての認識を共有した上で総理の指示に至ったというふうに理解しております。

下村委員 これも完全にごまかしているんですよ。

 北朝鮮、朝鮮半島情勢じゃなくて、私が質問しているのは、八月の二十九日、朝鮮学校の無償化手続を再開することについて外務大臣と事前に相談があったのか、意見調整があったのかと聞いているんですけれども、実際なかったんですよ。なかったから、先ほどの齋藤官房副長官も、なかったとも言えないから、事実そのときは副長官じゃないから、ああいう答弁にしかなっていない。

 つまり、完全にこれは菅さんが一人で、総理大臣をやめる前の日に勝手に決めたことですね。

 こんなことによって日本の国益を、世界に対して大々ダメージになっているということについて、そのまま踏襲すること自体がそもそも問題なんですよ。この国はそういう見識のない大臣ばかりやって本当にいいのか、国民がみんな心配していますよ。

 だから、これは、前のを踏襲することが継続した内閣の務めだじゃなくて、本当にこの国にとって国益は何なのかという視点から、正すものは正すということをやってもらわなかったら、何のためにあなたは大臣をやっているんですかということが私は問われるというふうに思います。

 このことについて、では実際に、砲撃前の状況に国内情勢が戻ったと言えるのかどうか。戻ったというふうに当時判断したわけですけれどもね。客観的な事実関係について、砲撃以前の状況に国内における対北朝鮮状況が戻ったと言えるかどうか。ちょっとこれについて、警察庁、防衛省からお願いします。

沖田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの点につきまして、これを一義的にお答えすることは困難でございますけれども、警察におきましては、現在も引き続き、政府関連施設を初めといたします重要施設等に対する警戒警備を徹底するなどしているところでございます。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮が軍事面にその資源を重点的に配分しておるところは先生御存じのとおりでございます。

 昨年十一月発生いたしました延坪島砲撃事件は、北東アジア全体の平和と安全を損なうものであるというのが私どもの評価でございます。

 北朝鮮が朝鮮半島において軍事的な挑発行動を繰り返しておる。防衛省としては、従来より、このような軍事的な動きは半島全体の緊張を高めており、我が国を含む東アジア全域の安全保障にとって重大な不安定要因になっている、このような評価でございます。

 私どもといたしましては、こうした観点を踏まえながら、引き続き、北朝鮮の動向に関して重大な関心を持って情報の収集分析に努め、国民の生活の安全、安心を確保する観点から努めていきたい、このように思っております。

下村委員 防衛省の方が丁寧な答弁で、警察も、さすがに結果的に総理を批判するような言い方はできないから、木で鼻をくくったような答弁ですけれども、要するに、砲撃前の状況に戻っていないというのが警察と防衛省の認識だということなんですね。

 きょうは松原拉致担当副大臣に来ていただいておりますので、実際に、八月二十九日に菅総理が朝鮮高校授業料再開手続をこういうような情勢の中で指示したということについて、そして、なおかつ、それについては引き続き、先ほどのように、中川文科大臣はその手続にのっとって今やっている最中だというふうに思いますが、このことについて、拉致担当の立場からどう考えられますか。

松原副大臣 下村委員の御質問に御答弁申し上げます。

 今回のこの朝鮮高校への無償化適用についてということでございますが、拉致問題が解決しない限り朝鮮学校に高校無償化を適用しないでほしいという拉致被害者の御家族の心情は、私は、この運動をずっとやってきた経緯から大変に理解できるところであります。また、このような御家族の心情は、拉致問題担当大臣から、総理や文部科学大臣を初めとする関係閣僚にこれまできちんと伝えてきたことと承知をいたしております。

 去る十月八日に総理が拉致被害者家族会と面談をした折にも、この事柄について、総理からは厳格に審査するようにと極めて重い真剣な御発言があったと私は理解をいたしております。総理からの指示を踏まえ、朝鮮学校の扱いについて、文部科学省において厳正に審査するものと考えております。

 なお、拉致問題の初代担当大臣でありました中井洽氏が、平成二十二年二月二十五日に、文部科学大臣に対しまして、高校の実質無償化の対象校を定めるに当たって、我が国が北朝鮮に制裁を行っていることを十分に考慮すべきだと申し出てございますと答弁をいたしておりますし、彼は三月十五日の拉致特委でも、拉致担当大臣として、川端文部科学大臣に、国を挙げて制裁をしている時期に、その国民感情を考えてこれはお控えなさるべきだ、こういうことを言ってまいりまして以来、終始一貫、それを申し上げております、何も態度は変わっておりません、こういった発言をしているところであります。

 このことを考えた場合に、今回の事柄につきましては、文部科学省の厳正な審査を踏まえ、朝鮮学校の無償化に関する問題については、政府全体として適切に判断していくことになると考えております。政府全体として判断する際には、拉致問題担当の観点からも必要な意見は述べさせていただきたい、このように存じております。

 以上です。

下村委員 詳細な力強い答弁ありがとうございます。これは超党派の議連の発言ではなくて、担当副大臣としての発言ですから、中川大臣としても重く受けとめていただきたいと思うんですね。

 中川大臣、優先順位は何なのかというのを考えていただきたいんです。つまり、今回、韓国・延坪島に対する砲撃で約一年間手続がとまったと。我が国に対する攻撃ではなかったわけですよね。しかし、お隣の韓国でもとまったと。

 しかし、拉致というのは我が国の国民の問題なわけです。これは全く改善されていないわけですよ。つまり、我が国の国民の拉致の問題よりも延坪島事件の方を政府は大きく重大視したわけですね。小さく重大視しろという意味じゃないですよ。しかし、だとしたら、拉致問題についても、これは我が国国民の直接の利害関係の問題でもありますから、これは大切にしていかなければならないことではないでしょうか。

 今の副大臣の発言というのは大変に重いというふうに思いますが、これについては、中川大臣としてはどんなふうに受けとめましたか。

中川国務大臣 私自身もこの拉致には深くかかわってきまして、それぞれ今犠牲になっている一人一人の拉致被害者の皆さんの人権を一日でも早く回復する、また、北朝鮮の今の体制というものに対してしっかりとした反省と新しい改革機運というのをあの国の中につくっていくということ、これは我々の重大な課題だ、この政府にとっても重大な課題だというふうに思っております。

 その上で、最終的に、今調査を進めているということでありますが、さっきのお話のように、ここは厳正にしっかりとした調査をやっていく、しかも、それぞれの現地といいますか現場にも調査員の皆さんには足を運んでいただいて、しっかりとした根拠に基づいた調査をやっていただくということにしていきたいというふうに思います。

 その上で、その基準ということと、それから、特に教育内容を含めて、家族会の皆さんあるいは救う会の皆さんからさまざまに御意見もいただき、あるいはまた、一般的に、国民の皆さんの感情からいって、どうもその教育の中身はおかしいんじゃないか、こういう話も出ております。したがって、そこについては、私は言うべきことは言っていくつもりです。必要とあらば是正も促していきたいという思いでおります。

 しかし、そこのところを審査基準の中に含めるかどうかということについては、これまでの整理の中で、基準そのものは外形基準の中でやっていって、留意事項というところで、教育の中身についても言うべきことを言って是正を促していく。これはこれまでできなかったことなんですね、朝鮮学校については。やっていなかったことでもあるんです。それをこの制度をてこにして今回はしっかりとした形でコミットしていきたいというふうにも思っております。

下村委員 中川大臣の答弁は、明確のようでいて、全く不明確なんですね。(発言する者あり)正確ですか、これは。

 野田総理も、「私は、文科省に厳正な対処、厳正な調査をしていただきたいというふうに思います。」というふうに言っているわけですね。野田総理がどの程度これをよくわかっていて発言されているのかわかりませんが、私は、この「文科省に厳正な対処、厳正な調査」という中に教育内容は当然入っていると思いますよ。そして今、中川大臣が教育内容とみずから発言されましたね。

 ただ、問題はその後の発言で、外形基準だ、つまり内容じゃないんだと。これは我々は当初から、やはり教育内容まで問うべきだと。反日教育をやっている、なおかつ今の独裁体制を賛美するような北朝鮮の教育について、日本の国民の税金をなぜ投入するのか。

 ですから、もし高校無償化の対象にするのであれば、朝鮮高校そのものが日本社会で共生していく、日本人とともに生きていくという中で、現代朝鮮歴史、これについての教育内容については、これは我が国から見ても当然変えていただかなければならない点が多々ありますねということを指摘しているわけです。それが今の教育内容なわけですね。しかし、今の大臣の話だと、教育内容を変えることを求めるのか求めないのか、いつ求めるのか求めないのか、これがわからない。

 もう一度確認します。

 この無償化審査の過程において、教育内容について懸念すべき事項が判明した際は、改善を求め、それが是正されない場合は無償化の対象としないということでいいのか。それとも、懸念されるべき事項が判明しても、まあ既に懸念されている事項が判明しているわけですけれども、判明しても、無償化の対象にしてから留意事項として改善を求めるということなのか。つまり、無償化の対象として指定する前に朝鮮学校側に留意事項を伝えて改善を促すということなのかどうかということが、先ほどの答弁でわからないんですよ。それについては明確にする必要があると思いますよ。

中川国務大臣 その点については、審査の過程で、もちろん、その教科書も出していただいて、その中もチェックをしていくという前提ですが、その審査の過程で問題があれば、それについての改善を強く促していくというプロセス、これがまずあります。その上で、指定の際になお懸念が残る場合には、留意すべき事項として自主的改善を強く促していく。さらに、その後、対応状況についての報告を求めていきながら、これは毎年毎年繰り返していくわけですが、それがどうなっているかということを見きわめていくということ、そういうプロセスの中で自主的な改善を求めていきたいというふうに思っています。

下村委員 いや、先ほど大臣の答弁でもありましたよね。今時点で、既に教育内容について問題があるというのは認識されているんじゃないんですか。つまり、審査の過程で懸念すべき事例が判明してくることもこれからもあるでしょうけれども、既にもうわかっていることだってあるんじゃないですか。どうですか、これは。

中川国務大臣 これは、まだ調査委員会が今その対応をしているということでありますので、最終的に私のところに報告が上がっているところまで来ていません。中間報告もまだ出てきていないということでありますので、その辺を確認しながらということになります。

下村委員 いや、それはおかしいですね。中川大臣は素人大臣じゃないわけですから。副大臣も経験しているわけですから。今まで再三再四国会で教育内容の問題点については指摘しているんですよ。だから知らないはずがないんですよ。

 事実、おとといですか、城井政務官が拉致担当特別委員会の中で、この教育内容については懸念があるということを指摘されていますよね。どんなところに懸念があるというふうに思われているのか。幾つか具体的な話をしていただけますか、短くて結構ですから。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 せんだっての十月二十四日の拉致問題特別委員会での私の答弁の中では、こういうふうに申し上げました。朝鮮高級学校におきまして、我が国や国際社会における一般的認識及び政府見解と異なる教育が一部行われていることについては大変遺憾に思っておるというふうに触れました。

 この部分について、先ほど大臣からもございましたけれども、今回の審査に当たって、そうした部分を含めて懸念される実態がある場合には、今その審査の途中でありますので、ある場合には、審査の過程で改善を強く促してということで、今大臣からもあったとおりでございます。

下村委員 いや、あなた、ちゃんと答えているの。おかしいでしょう。だって、懸念があると拉致特で言っているんだから。実際、明確に言われているにもかかわらず、懸念がある場合にはとか、そんな、ここでトーンダウンするような話をしたら、この間の拉致特の話がうそだったという話じゃない、そもそも。だめですよ、そんな答弁じゃ。

城井大臣政務官 お答え申し上げます。

 これまでにも、文部科学省に対しましても、例えば拉致問題で申しますと家族会の方々や救う会の方々を含めて、さまざまな御指摘もちょうだいいたしております。その内容の確認等も含めて、現在進んでいる途中でありますので、その点については、具体的には差し控えさせていただきたいと思います。

下村委員 全く何かもう逃げちゃっていますよね。

 中川大臣も、繰り返すようですけれども、今まで我々は再三再四具体的な内容を指摘していますから、今さら、懸念があるかどうかは今後調査してみて調べてみないとわからないみたいな答弁はおかしいですよ、あなた、言っていることが。既に懸念があることがわかっているからこそ、この教育内容について、これについても先ほども御自身が発言をされているわけですから、あえて聞かない前から。

中川国務大臣 私の言葉が足りなかったんだと思います。

 さまざまな皆さんから、教科書の翻訳であるとか、あるいは新聞紙上でもいろいろな指摘をされております。そういう意味での懸念というものはありますが、正式に文部科学大臣として学校に対して言葉を発する場合には、やはりデュープロセスというか、正式な調査機関によって出てきたその見解を私自身が判断をして発信をしていくということだと思っています。

 そういう意味で、今調査委員会がその調査のプロセスの最中にありますので、具体的なコメントは差し控えたいということであります。

下村委員 そうしましたら確認しますけれども、今回の基準については、これは法律事項じゃありませんから、私はこれの見直しをすべきだと思います。この審査規程を見直して、教育内容を審査基準とするか、あるいは留意事項について、改善が行われるまで無償化の対象とすることを停止する。

 どちらかに明確にしなければ、つまり、教育内容がおかしいと懸念すべき事項があるということがはっきりわかっていても、その是正を担保しないで無償化の対象にするということであったら、それは一体、日本政府は何をやっているのかということに、これは国内外ともにそういう批判の声が出るのは当然の話です。

 ですから、教育内容について、最初から基準とするか、あるいは留意事項で改善されるまで無償化の対象としないということをここで明示する必要があると思います。いかがですか。

中川国務大臣 普通で考えると、そうした考え方もあるというふうに確かに私も思います。しかし、いわゆる教育システムをつくり上げていくという立場から考えていくと、もう少し慎重にならざるを得ないというふうに思います。

 審査基準あるいはこの手続等に関する規程においては、いわゆる専修学校の高等科課程あるいはその設置基準というのをベースに、中学校の教育の基礎の上に高度な普通教育に類する教育を施すにふさわしい授業科目の開設を求めるということにしていまして、これを超える教材の記述等の具体的な教育内容については基準としていない。

 というのは、ほかの教育類型、いわゆる学校の類型からいくと、この教育の内容についてコミットをしていくと、際限なくその中身についての議論に恐らく広がっていくんだろう、こういう懸念があります。そういう意味でも、中立性というのをここでこれまで担保をしてきたということだと思うんです。

 これは、省令第一条第一項第二号イ、ロに基づいて指定した外国人学校についても、本国政府や国際的な評価機関の認定といった制度的、客観的ないわゆる外形基準で指定をしております。

 それから、先ほど申し上げた専修学校高等課程に係る設置基準においても、各教科等に関する具体的な教育内容について基準を設けてはいません。

 さらに、私立である専修学校あるいは各種学校の自主性を重んじている私立学校法第六十四条等の趣旨、これも尊重していかなければならないというところがありまして、その辺をぎりぎりいっぱい見た上で、留意事項という形で実質的にその効果を出していくという工夫をしているということでありまして、そのように御理解をいただければありがたいと思います。

下村委員 文科大臣、文科省の一課長みたいな答弁じゃ困るんですよ。これは、もっとそのレベルを超えた話なんですよ。外形基準云々に当てはめればいいということじゃなくて、今の話でいえば、拉致問題も、それからあとは教育内容も問いませんと。一定基準、つまり各種学校等の外形的な基準がクリアすれば、あとはもう自動的に無償化対象にしますよという答弁と同じなんですよ。だから、一課長の答弁と同じだよ、それじゃ。

 政治家としてどう判断するかということが問われているということについて、これは引き続き、我が党としても問題にするということを御指摘申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

石毛委員長 次に、木村太郎さん。

木村(太)委員 大臣、お疲れさまです。二十分しかないので、答弁の方、よろしくお願いします。

 昨年、民主党政権は、国立大学八十六法人について、文部科学省が総合評価、そして内閣府が経営効率化ランキング制度というものを発表したんです。その際、私の地元の弘前大学というのがいずれも最下位になりまして、そこで、大学関係者、OBも含めて、みんな大きな憤りを感じたんですね。志願者数や就職等に対しても、決していいことではない。学長も、記者会見して抗議をしたんですね。今までも大臣に、前の大臣にもただしてきたんですが、文科省はその後どう対処されましたか。

中川国務大臣 それでは、私の方から答弁をさせていただきます。

 確かに、昨年の三月に公表した第一期の中期目標期間、平成十六年度から二十一年度ですが、このいわゆる暫定評価に対して、委員より、ランキングにつながる等の問題点を御指摘いただいたというふうに理解をしております。

 これは、もともと、各国立大学法人の相対的な評価を行うランキングということをするためにこの評価をしたということではなくて、国立大学法人の主体的に設定した中期目標、中期計画というのがあって、その中期計画に対してそれぞれの大学がどれだけ達成状況を評価したかということで評価点がついたということでありますので、これは微妙なところで、高い目標を設定した大学はどうしても低く出る。これぐらいだったらいけるだろうというようなところの目標を設定したところは高く出るというふうなことであります。

 そういう構造的な部分もしっかりこれは反省していかなきゃいけないところだと思いますし、これをベースにして、運営費交付金の改革案といいますか、どのように運営費交付金を配分していくかというふうな議論にも本来はもっと深くつなげていかなきゃいけないということだと思います。

 私も、そういう意味では、今の評価については問題意識を持っていまして、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。

木村(太)委員 私の聞いていることに答えていないんですよ。その中身はいいんですよ。

 でも、結果的に順位が発表されて、それがいかに大学にとっては迷惑な話なのか、学生にとっては。あなたはその最低の大学を卒業したんですね、こう言われるんですよ。そのことがどうなのかと聞いているわけですから、しっかり対処していただきたい。

 内閣府はなぜランキングを発表することをやめたんですか。

園田大臣政務官 お答え申し上げます。

 昨年の七月でございますけれども、公共サービス改革基本方針、まずここで閣議決定がなされました。国立大学法人の経営改善の取り組みにまず努めることという形をされたところでございまして、私どもといたしましても、当初より、大学の順位であるとかランキングということを目的にしているわけではございません。

 この閣議決定を受けまして、内閣府におきましては、各国立大学法人の経営改善の取り組みに資する観点から、調達手続の効率化に先進的に取り組んでいただいている大学のいわばベストプラクティスという形のヒアリングをさせていただいて、調査をさせていただきました。ことしのその調査の結果につきましては七月に発表させていただきましたけれども、この大学の調達手続、例えば共同調達であるとか、あるいは競り下げ等、ウエブを使っての調達を行うなどのそういった先進的な取り組みをしていただいている、そういう大学を公表させていただいた、そのように変えさせていただいております。

木村(太)委員 なぜランキング制度をやめたんですか。聞いていることに答えてくださいよ。なぜランキング制度をやめたんですか。悪影響があることを認めたからでしょう。

園田大臣政務官 お答え申し上げます。

 悪影響と申し上げますよりも、昨年の公表した部分と、それからことし公表させていただいた部分、その部分が若干、内容的に少し進化をさせていただいたということで御理解をいただければと思います。

木村(太)委員 ランキング制度があったのに、それをやめたことが進化することなんですか。逆じゃないですか。まあ、いいですよ。

 ですので、あなたたちが勝手なルールでそういう制度をつくって発表する。もちろん、効率を求めていく、無駄を省く、その大義はわかります。でも、一方でそういう悪影響があるということで、できれば大臣、前の大臣にもお願いしたんですが、最下位の大学というもの、皆さんが決めた最下位の大学、ぜひ内閣府と一緒に視察に来ていただきたい。ぜひお願いしたいと思います。

 では、同じ趣旨でちょっと聞きますが、民主党政権が無駄の削減、効率を求める、その大義は、先ほど言ったとおり大事なことだと思いますよ。ただ、それをどこまでも追求することが本当の意味で公益にかなっているのかということもやはり考えなければならない。

 実は、国立大学法人の附属病院を持っているところにおいて、裁量労働制を導入する動きが活発化してきているんですよ。多分、それは文科省のいろいろな指導が背景にあるんですね。

 これも私の地元の弘前大学の附属病院のことを例にとって申し上げますが、この裁量労働制に移行したことによりまして、時間外診療や日当直に対する手当がなくなる。もちろん、基本給を若干アップさせることで対応しているようなんですが、よって、各診療科によって基本給の増額分が異なる上、夜間、休日の診療が多いお医者さん、医師は、裁量労働制への移行前と比べて大幅な収入減になっているんです。そこで、日当直分の手当を各医師から集めて、その回数で分配する、こういったことまでお医者さんみずからが努力してやり始めているんです。

 当直業務の中止を検討する診療が出てきたり、実は退職をするお医者さんもふえてきているんですよ。地方の国立大学の附属病院においても医者が減っていって医師の確保ができなくなって、地方の医師の確保なんてできるわけないでしょう。国立大学のお医者さんも減っていく、退職していく、こういうシステムになっているんですよ、実態的に。

 私の地元の青森県では、地方の医師を確保するために、県の事業として、県内の高校生を重点的にしながら、大学に、医学部に入っていただいて、それに対してバックアップする。そして、仮にお医者さんになったら県内でお医者さんを続けてほしいというようなことまでやっているんですよ、県の事業として。しかし、一方でこんなことをされると、そんな努力は全然報われないじゃないですか。

 大臣、国立大学の附属病院でも医者がやめていったらどうなるんですか。

中川国務大臣 そうした御指摘をいただいたので、一度しっかり調査をして、実態がどうなっているかということを確認していきたいというふうに思います。

 その上で、ちょっとこれは統計的な話でしかないので恐縮なんですけれども、大学附属病院の退職者数については把握していないんですが、国立大学附属病院の常勤医師の数については、二十三年度の一万一千七十二人、二十二年度の一万四百五人より六百六十七人増。だから二十三年度でふえてきているということでありまして、この裁量労働制の導入については、各国立大学法人が労働法規に従って判断した中で運用をしているということだと思います。しかし、さっきのお話のような現状があるとすれば、これは一度私の方からも調査をしてみたいというふうに思っております。

 さらに、そうした中で大学病院の医師の業務負担を軽減するために補助金も出していまして、医師事務作業補助者、いわゆるクラーク等の雇用を支援していくというふうな制度であるとか、あるいは大学の若手医師が教育や研究に従事する環境を整備するために、地域医療支援人材としての、地域の医療機関で診療に従事することを支援していく、こういうための補助金というのがそれぞれついております。

 これがどう活用されていて、さっきのような現状もあるのかということ、これは一度検証をしてみる必要があるというふうに思っております。

木村(太)委員 しっかり検証していただいて、実態的にはそうなってきている、また、関係者は、その向こう、背景に文科省のいろいろな指導がある、文科省というよりも民主党政権の、無駄を削れ、効率化を追求しろということが背景にあるというふうにみんな思っているんです。ですので、しっかりと検証していただきたい。

 次に入ります。

 当委員会で何度も議論されているんだと思いますが、中川大臣に改めて御認識を確認したい。

 二年前のあの総選挙、中川大臣自身は、高校の授業料無償化というのは公立高校だけをもって主張しましたか。私立高校も含めての、公立高校の授業料無償化を公約として掲げましたか。どっちですか。

中川国務大臣 高等学校の授業料無償化をしていくという、そのテーマで訴えていきました。高等学校の私立の部分については、いわゆる平等性というか、同じような土台をつくるという意味で、公立の高等学校と同程度の基準をもって私立には支援をしていきます、そういう訴え方をしていったと思います。

木村(太)委員 でも、実際は、私学関係者から見ると今なお公私の格差があると。一般的には私立高校の方が授業料は高いわけであります。我々の印象は、我々というか私学関係者の、学校を運営する側、あるいは先生方、もちろん御父母の皆さんから見ると、小手先で民主党政権が就学支援金制度というものを創設して実施している。しかし、実態的には私学は無償化というにはほど遠いわけですね。これが実際の姿だと私は思っております。

 なのに、百歩譲っても、私立高校の授業料無償化を目指す前に、実施が完全にされていないままに朝鮮人学校の無償化を目指すというのは何事か、これが私学関係者の今の率直な御認識だと思うんですね。どう思いますか。

中川国務大臣 私立の授業料が高いわけですね。それは、建学の精神の中で、なるべく公的な資金を使わずに自立した形でしていくというのが教育の自律を生んでいくんだというようなこともあるんだと思うんです。そういう設計ですよね。それに対して一〇〇%授業料を無償化していくというような議論というのが、うちの党の中でもさまざまに議論がされたんだと思うんですが、それはちょっと違うだろうと。いずれにしても、私立に対して同じようにやっていくとすれば、レベルとしては公立の高等学校で無償化したその金額と同じレベルのものを私立にも支援をしていくということ、これだろうということでおさまったわけです。

 それ以前の問題として、それぞれ低所得世帯の生徒に対しては家庭の状況に応じて修学支援金というのが設定をされていて、そのもう一つ下のベースに今回の無償化資金というのがしっかり定着をしたということでありますので、私学に行こうという子供たちに対しては非常に大きなインセンティブになっているというふうに思います。

木村(太)委員 だから、そのことをそのまま総選挙のときに民主党の皆さんは訴えればよかったんです。あのときは、皆さん、高校はすべて無償化になるんだろうなと思ったんです。私も公開討論をやりましたけれども、相手の方はそう言っていましたよ。すべての高校を目指します、こう言っていたんですよ。だから、民主党のマニフェスト、あるいは代表とかみんな、それぞれも、公立高校の無償化を目指します、これが正しい訴え方だったんですよ。今になってそういう理由づけをしているんですね。

 それで、せめてもの私学関係者の願いとして、修学支援金制度の増額や、かさ上げ支給対象者の所得の緩和というか、これをお願いしているようですが、既に二十四年度の概算を文科省は出しているわけですが、もう事務的にそれにこたえる概算要求になっていますか。なっているか、なっていないかでいい。

山中政府参考人 現在、修学支援金の状況については、現在のものをさらに続けるということとともに、給付型の奨学金についての概算要求をしているという状況でございます。

木村(太)委員 なっているか、なっていないかを聞いているんだよ。

山中政府参考人 今、要求しているところでございます。

木村(太)委員 かさ上げになっているわけ。あるいは、所得の制限を引き上げることになっているわけ。そこを確認しているんです。

山中政府参考人 昨年の内容と同様の内容で要求しているところでございまして、プラス給費制の奨学金についても要求しているという状況でございます。

木村(太)委員 同じなんですよ、だから。もう既に、概算要求の段階でも、私学関係者の切なる願いが概算要求の中ではなっていないんです。こたえていないんです。こういうことだと、ますます、高校の授業料無償化というのは公立高校だけですと言えばよかったんですね。

 次に入ります。

 学校栄養教諭の配置状況、これも何度か取り上げてきているんですが、都道府県によって差があります。また、将来的には、学校給食を実施している学校すべてに配置を目指すという考え方はありますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体における栄養教諭につきましては、先生から御指摘もございましたが、平成二十三年四月現在、全国で三千八百五十三名の配置となっておりますが、都道府県別に見ますと、配置状況に大きな差があるというのが実態でございます。

 このため、栄養教諭の意義、役割について、全国の教育委員会にも、担当者を集めた会議におきまして周知を図りますとともに、あるいはまた、学校栄養職員が栄養教諭の免許状を取得するための講習会の開催を行ったり、栄養教諭が中核となって地域や学校の特性に応じた食育に関するさまざまな活動を行う食育推進事業という取り組みを進めて、栄養教諭が中核となって食育を進めるということの重要性をしっかりと認識いただき、栄養教諭の配置につながるという取り組みを促進してまいりたいと思っております。

木村(太)委員 だから、すべてに配置を目指しているかどうかを確認したい。

布村政府参考人 食育の重要性がすべての学校で取り組んでいただく課題でございます。その中核として栄養教諭が役割を担っていただく、そのような方向を目指して努力をしていきたいと思っております。

木村(太)委員 どう理解したらいいか、わかりませんね。

 時間がないので、最後にITER計画。

 福島の原発の事故、あるいは自然再生可能エネルギー等々、エネルギー政策全体のいろいろな、みんなで議論している最中なわけですが、七極の国々が参加して、東海村や六ケ所村で日本がサブリーダー的にやっているわけですね。

 いま一度、日本の文科大臣として、サブリーダーの日本の文科大臣として、このITER、まだまだ時間がかかる、実験段階ですけれども。もう一度、この関係国、極に、ITERの開発促進というか、これを呼びかけて、日本だけではない、世界的なエネルギーの姿に貢献していくという姿をぜひ大臣、示していただきたい。

中川国務大臣 力強い言葉をいただきまして、ありがとうございます。

 いずれにしても、ヨーロッパが財政的に非常に混乱をし始めていまして、そんな中でITER計画が後退してはならないということ、この懸念が以前からございました。改めて、日本の代表がヨーロッパにも根回しをして、しっかりやっていこうという形で整ってきたところでありますので、しっかりと、さっきのお言葉をそのまま受けとめさせていただいて、我々がリーダーシップがとれるように、とって進めていけるように頑張っていきたいというふうに思います。

木村(太)委員 御答弁ありがとうございました。終わります。

石毛委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

石毛委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松野博一さん。

松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。

 中川大臣、就任おめでとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、午前中の質疑の中で大臣が御答弁をされた内容についてお聞きをしたいと思います。

 私も質問通告の中で、八重山採択地区、教科書採択の問題について通告をさせていただいていたんですが、午前中の大臣の御発言が今までの方向性から大きく踏み出すというか転換されたように感じたものですから、まず確認から入らせていただきたいと思います。

 中川大臣が、コンセンサスができなかった場合、これは、無償措置法の第十三条第四項の協議が調わなかった場合、八重山採択地区の協議会の答申に基づいて教科書を採択した石垣市と与那国町については無償措置法に基づいて公民の教科書を無償供与するが、答申とは異なる教科書を採択した竹富町については公民教科書の無償供与は行わないという御発言をされたかと思います。ただし、竹富町が自費で、この自費というのはさまざまなとらえ方があるんですが、自費でみずから採択した教科書を購入することは無償措置法も禁止するものではないとの趣旨の答弁があったかと思いますが、この答弁内容を確認させていただきます。

中川国務大臣 先ほどの話を言いかえれば、正当なといいますか、規則に決められた形で手続をされたこの協議会の決定というのがあって、それに基づいてやっていくということになると、八月の二十三日に出された八重山採択地区協議会の答申及び八月三十一日の同採択協議会の再協議の結果が協議の結果であり、それに基づいて採択を行った教育委員会に対しては教科書の無償供与をすることになるということで、この八月二十三日の時点の協議というのを法的には正当なものだというふうに認めていくということです。それに基づいて、無償措置法第十三条第四項の規定によるという、これを活用して教科書を採択してほしいということ、ここで決まった教科書を国としては無償供与をするということです。

 その結果、中でコンセンサスができていませんから、法的には整っても、竹富町はこれを採択しない、こう言っているわけでありますから、そこについては竹富町の判断で、独自に自分のところで資金を出して教科書を子供に配付してもらうということについては、それで違法としないというような決定をしていきたいということです。

松野(博)委員 大臣、さらっと答弁されるんですけれども、内容的にはこれは無償措置法の根幹にかかわる極めて重大な答弁だというふうに思います。

 無償措置法の十三条の四項では、協議をして同一の教科書を「採択しなければならない。」というふうに書かれているんですね。「採択しなければならない。」という表現です。これは、ですので、一種、義務規定なんですね。

 しかし、今大臣がおっしゃった、竹富町が無償措置法の対象とならなくても独自に自費で教科書を採択できる、それを認める、違法ではないということになりますと、十三条四項の「採択しなければならない。」この義務規定に関して、今まで、例えば、我が党からの質問主意書に対する答弁でも、同一の教科書を採択すべきだという質問主意書に関する答弁、これも文書でいただいておりますし、我が党の、自民党の部会等々に対する文科省の説明でも、これは違法状況に当たるという認識を文科省の方は私たちに示していました。

 政府答弁書においても、また文科省からの説明でも違法状況だと今まで言っていたものが、きょうの大臣の御答弁では違法ではないということになると、今までと全く百八十度解釈が違うということになります。これで、このとらえ方でよろしいんですか。

中川国務大臣 無償措置法に対しては、御指摘のように、恐らく違法状態ということになるんだろうと思うんです。もう一方で、地教行法のいわゆる採択権というのは、それぞれの市町の教育委員会にある。こういうことで、その二つがぶつかり合うからどうして整理をしたらいいのかということで、これまで議論が続いてきたということだと思います。

 しかし、どこかでこれは整理をしていかなきゃいけないということでありますので、先ほど申し上げたように、法制局の方にも、ここの整理をする工夫、今のところ法律を変えるわけにいきませんから、工夫はどうしたらいいのかということを前提に協議をしてもらいまして、その結果、先ほどのように、文科省としては、デュープロセスというか、それぞれの採択地区の協議会が決めたそのプロセスというのが正しいプロセス。正しいというのは、規定に基づいて行われたプロセスで上がってきたものについて、文科省としてはそれを受けて、それで無償供与をするということですね。

 あとは、竹富町がそれを拒否するということになるわけですが、その場合に、拒否したからといって罰するところまではいかないだろう、そういう解釈だということであります。

 だから、法律に違反しているか、していないかということについては、恐らく、無償措置法については、これはある意味で違法状態になるんだろうというふうに推測されます。これは私の推測でありますが。

松野(博)委員 これは大臣、政府の答弁書で、同項の規定による協議の結果に基づいて、同一の教科書を採択すべきだと政府が答弁しているんですね。そして、繰り返しになりますが、今まで文科省は、私たち自民党に関しては、現状、違法状況だという説明をしてきました。そして今、大臣も御答弁の中で、無償措置法においては違法状況と推測されるとお話をされました。違法状況であるにもかかわらず、それを竹富町が違法状況のままで採択するのを認めるというのは矛盾していませんか。

中川国務大臣 だから、文科省としても、県の教育委員会を通じて、何とかここでコンセンサスをつくっていくようにということで努力をしてきたということでありますが、これ以上問題を引き延ばしていくと、結果的には子供たちにその累が及ぶということでありますので、どこかでこれは整理をしていかなきゃいけないということだと思うんです。

 そのときの整理として、先ほどのようなことが一番適当なのではないかということで、結論を出してきました。

松野(博)委員 適当かどうかという御判断よりも、まず、違法状況であるという認識を大臣がお持ちであって、その違法状況を認めるというのは、これは明らかに矛盾した御答弁だというふうに思いますし、今、後ろで文科省の職員の皆さんもすごく慎重に大臣の御答弁をお聞きになっているのは、これは無償措置法の根幹にかかわる問題なんですよ。

 だから、この竹富町の案件だけで、地域的な案件として適当に処理する。適当というのはまあ、その場の状況に合った判断をしたいということが、無償措置法の根幹を超える判断になるというのは、全くこれは事象が違うんですね。

 違法状況だという認識をお示しいただきました。

 それで、地教行法の第四十九条では、都道府県委員会または市町村委員会の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反する場合、文科大臣は是正要求ができるということが書いてあるんですね。これはなかなか使い勝手が悪いことは、私も文科省にいたことがありますからわかります。わかりますが、今回は明らかに、この地教行法四十九条で是正要求ができるのではないかと思います。

 その是正要求まで踏み込まないと。踏み込まずに、竹富町が違法状況であっても、この教科書を採択することを文科省が認めるということでしょうか。

中川国務大臣 ちょっと先ほどの答弁に誤解があるようなんですが、認めるということじゃなくて、何とかコンセンサスをつくるように努力をしてほしいということを県の教育委員会にまだ言い続けているわけでありまして、そこのところの結果どうなるかというのは、まだぎりぎりいっぱい私は努力をしてほしいというふうに思っています。

 それで、沖縄の県教委が近日来ることになっていますので、そこのところでこの説明をして、さらに努力を促していくということで頑張っていきたいというふうに思います。

松野(博)委員 それでは、コンセンサスがとれなかった場合、この違法状況が続いた場合、実際の教育現場に関して支障を来す状況になります。そういう状況になれば是正要求を出されるということでしょうか。

中川国務大臣 そこのところは状況を把握しながら判断をしていきたいというふうに思います。

 沖縄から来ていただいた上で、今の状況をもう一回確認して、その上での判断ということになっていきます。

松野(博)委員 私は、政府の答弁書、また、きょうの、中川大臣が違法状況であると認識をしているということであって、これがこのままの状況で推移すれば、当然是正要求を出すべきだというふうに思いますし、それを出さずに、無償措置法の今までの考え方を覆すような極めて重大な事項をこのまま認めてしまうということはあり得ないというふうに考えております。

 きょうの大臣の御答弁を聞いていて、繰り返しになりますが、無償措置法の根幹が、この一つの問題で全国的に崩れていく可能性が高いと思うんですね。ですから、この答弁も、また私、後で精査をしてもう一度聞いてみたいと思いますが、しかし、私が先ほど座っていて聞いていた状況においては、午前中の大臣の答弁というのは相当の問題をはらんでいるというふうに思っております。引き続き、この問題は追及させていただきたいと思います。

 そして、ただ、何よりも大事なことは、一方で教育の問題として大事なことは、竹富町の子供たちが実際に教育現場で妨げを受けるとか支障を来すということがないようにしなければならないというのが一番重要な観点であるのは、大臣も私も共通見解だと思いますが、例えば、今回、竹富町が、この無償措置法に従わずに自費で公民の教科書を、自分が採択したいものを採択した。その場合に、この無償措置法の立法の趣旨から考えて、竹富町は子供たちに関して教科書は無償で提供すべきものですか。その義務を竹富町が負うとお考えになりますか。

中川国務大臣 基本的にはそうあってもらいたいというふうに思うんですけれども、法的にそのことが担保されるかどうかということについては、これはまた違うというふうに思います。

松野(博)委員 という大臣の認識であれば、そこも極めて重要な論点なんですね。

 国は教科書を無償供与する、そのことを示しているわけであります。憲法の中で、義務教育の無償化という表現は、今までの判例や法制局の答弁でも、これは授業料を無償化するという範囲であって、それ以外、例えば教科書もその一部かもしれません、それ以外のものに関しては個々の立法政策によるという判断が示されています。ですからこの無償措置法があるわけですが、しかし、この無償措置法の精神というのは、憲法の義務教育の無償化、子供たちに教育の権利をしっかりと提供していく、このことを支えるべく、極めて重要な立法趣旨に基づいたものなんですね。

 その無償措置法を超えて、竹富町が町の教育委員会の判断として無償措置法の対象を受けないということになったときに、子供たちが自費で、もしくは保護者が自費でその教科書を買わなければいけないという状況が出現する可能性がある、こう大臣はお考えですか。

中川国務大臣 だからこそ、竹富町がその協議の結果に従って採択を行わない場合には、竹富町として生徒に無償で供与をするということ、これを我々は期待したい、そのときには、ということだと思うんです。これからまだ努力をしますけれども、そういうケースが起こってきたときには、私たちもそういう指導をしていきたいというふうに思います。

松野(博)委員 期待だけじゃなくて、これはきちっと、法的にどういった対応策がその場合考えられるかに関しては、ぜひ緊急に、文科省、大臣としての見解をお示しいただきたいというふうに思います。

 この問題は、引き続き馳議員も取り上げるかと思いますし、私も次の機会にお聞きをしたいと思います。

 午前中、もう一つ大臣の御答弁でびっくりした答弁が、民主党の本村委員に対する御答弁で、本村委員が、これは定数の配分の問題です、公立高校にみんなが行ける選択肢を提供すべきではないかという質問に関して、中川大臣が、公立に行きたい人が公立をしっかりと選択できる、このことがやはり望ましいのではないかという見解をお示しの後に、公立、私立の定数見直しの問題に関しては、少子化の問題も含め、そういった状況変化の中で検討していきたいという御答弁をされました。

 大臣、これもさらっと答弁されましたが、しかし、この答弁は、恐らく今、日本じゅうの私立学校関係者はひっくり返るような騒ぎになっていると思いますよ。通常の、今までの文科省の答弁であれば、この種の質問があれば、恐らく、今までの私学が果たしてきた功績、成果にかんがみ、私学と公立の適正な定員のバランスに関して考えていきたいというような答弁だと思います。

 しかし、中川大臣が、公立に行きたい人が公立を選択できるようなことが望ましい、私学と公立の定数に関して今後検討していきたいと言えば、この後の公立高校の無償化の問題にもつながるんですが、無償化されている公立に行きたいというのがふえれば、今は各地域で協議をしながら検討している公私間の定数の問題、これも根本的に考え方が変わってくることでありますが、この答弁に関しても確認をさせていただきたいと思います。

中川国務大臣 ちょっとそこも誤解があるようなんですが、私が言ったのは、公立に行きたいという子供たちが公立に行ける、逆に、私立がいいんだという子供たちに対してもその選択肢がちゃんとできる。

 というのは、私立の場合は授業料も高いということもあって、もともと私も個人的にはその思いでいるんですけれども、奨学金の制度を含めたいろいろな機会をつくっていくというふうな、教育機会の広がりというのをつくっていくことによってそういうことが両方に可能になってくるという、いわゆる選択肢を広げるということは大切なことだし、まだそれが十分でないという思いがあります。そのことを言いたかったんですね。

 その上で、私が懸念しているのは、大阪なんかで、大きなそうしたこれまでの公私の話し合いの中でバランスをとってきた比率というのが、調整があって大きく崩れてきているわけですよね。そういうこともあるし、それからもう一方では、少子化という中で、いろいろな経営的な危機に見舞われる私立といいますか、私立の方もやはり経営的な限界というものの中でこれから大いに懸念が広がってくるんだろうということ。

 そんなことも考えていくと、一度ここで立ちどまって、子供たちがふえていくときのルールを公私がともにつくってきたわけですけれども、それが逆に少子化という形になってさまざまな議論が起きている中で、もう一度ここは調査も入れて議論をしていく必要があるんじゃないか。そういう問題意識を私自身が持っているものですから、そういう意味で、議論をしていくことが必要なんじゃないかということを申し上げたということです。

松野(博)委員 ちょっと今、大臣の御答弁がわかりづらかったんですが、午前中の答弁と若干ニュアンスが違うのかなというふうに思いますが、これもさっき座っていて聞いた話ですから、もう一度答弁内容を精査して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 ちょっと、先ほどの八重山地区の採択の問題に返っちゃって恐縮なんですが、竹富町が、うまく話し合いがまとまれば一番いいことですが、まとまらなかったときに、先ほど、子供たちや保護者が教科書を自費で買うようなことがないようにということを、しっかりと法的面も踏まえて見解を示していただきたいということをお願いしました。

 その折に、加えて、竹富町が町費をもって教科書を買う、本来であれば国が無償化措置をして国の予算で買うことができる教科書を、町費をもってこの教科書を買うということが、町費の使い道、公金の使い道として適正なものであるかどうか、このこともあわせて文科省としての見解を、これは後ほどで結構ですが、お示しをいただきたいというふうに思います。

 この公私間の問題から、さらに、先ほど我が党の木村議員が質問をした、公私間の格差が逆に開いているんじゃないか、そういう意識を私学関係者の方々がお持ちになっているという指摘がありました。

 その中で、これも大臣の御答弁が、やはり私学は建学の精神等々もあるから、一〇〇%それが公費によって無償化されることに関してもさまざまな議論があるという趣旨の御答弁をされたかと思います。

 大臣の文部科学大臣あいさつの中でも、この書き方が、私ども何回も指摘をしているんですが、「高等学校等の授業料実質無償化」と書いてあるんですね。私ども、これは公立ですよねと言っているんですが、これは恐らく、前大臣のお話も今回の中川大臣の答弁書も、不思議と公立という言葉が抜けて、「高等学校等の授業料実質無償化」というお話に、答弁になっています。

 しかし、この民主党がお出しになった公立高校を無償化していこうという考え方は、九五パー、今はもっとですかね、それを超える中学校卒業者が高校で学ぶ状況の中において、しっかりと家計の教育費負担の面からもこれを支えていかなければいけないという趣旨からだと思います。

 それを考えると、今、高校は恐らく、私学で学ぶ生徒が三割前後、年によって違いますが三割は私学で学んでいると思います。ほぼ一〇〇%に近い中学校卒業者が高校で学ぶ意志を持って、現に学んでいる。しかし、国が提供している、これは県立高校であったりしますから県も含めてですが、公的な機関が提供している定員というのは七割なんですね。最初から三割は私学がその責任を果たしているわけであります。

 もしも公立高校が一〇〇%、これは先ほどの議論にも絡みますけれども、一〇〇%定員を確保しているということであれば、今まで大臣や文科省が説明されたこともわかりますが、しかし、現実問題として、あらかじめ三割が私立によって支えられているんですね、その部分。全体の構造も、私立によって日本の高校教育というのは機能している。でありながら、無償化は公立に絞られている。

 もちろん、これはほぼ同額が私立にも就学支援金という形で行っていますよという説明を繰り返して、私ども聞いていますが、しかし、このことも、先ほど言ったとおり、私学があって初めて今の高校の受け入れ体制が機能しているにもかかわらず、公立の部分だけが無償化だというのは、これは説明がつかないんだろうというふうに思います。

 そういう意味において、今後、この公立高校無償化に関しては、検証して見直していくことを議論しなければいけません。検証することは合意をいただいております。その中において、私が今申し上げた観点から、今の公私間格差というのは是正されるべきではないか、そう大臣はお考えになりませんか。

中川国務大臣 子供たちにとって、公立を選ぼうが私立を選ぼうが、経済的な格差でもってその選択ができないということは極力解消していくという方向で制度をつくっていくということ、これはもう原則大事なんだろうということだと思います。

 その上で、無償化ということを私たちの政権交代後の政策として踏み込んできたわけでありますが、もう一方で、奨学金ということがあるんだと思うんですね。これは本来は、給付型の奨学金をこれに組み合わせることによって、恐らく私立を希望している子供たちのことについてもそれなりの広がりが持てるんだろう。

 同時に、これまでやってきた各県の授業料の減免等の取り組みであるとか、あるいは、家庭状況に応じて、修学支援金という形で私立の子供たちに対して、授業料の減免といいますか、授業料自体が実質、低所得の子供たちにとっては無償化に近づいていくような、そういう努力もしているということだと思うんですね。

 そういうものの組み合わせの中で、私立のよさというものをつくっていきながら両方に機会を広げていくということを工夫していかなきゃいけないんだと思うんです。

松野(博)委員 お考えは、私も同じ方向です。

 私は、生徒や保護者が公立を選ぼうが私立を選ぼうが、授業料、教育費負担という面においてはイコールフッティングにすべきだ。そして、公私にかかわらずその家計のぐあいによって、奨学金に関しては、公立でも私立でもその家計状況に応じて奨学金が受けられる設計にすべきだというふうに考えております。このことも、これは問題意識はそう離れていないと思うんで、共通の土俵に立って議論をしていきたいというふうに思います。

 これが恐らく最後の質問になってしまうと思います。

 実は、今から聞く教育委員会の問題をきょうはメーンで聞こうと思っていたんですが、大臣の午前中の答弁についてお聞きをしている間にちょっと時間が詰まっちゃったんで、段階を追いながらお聞きしようと思ったんですけれども、少々粗っぽいですが、まとめてお聞きをします。

 民主党の教育政策を私が言うのも変ですが、民主党の教育政策、今までお訴えになっていたことというのは、大きくは二つ。さまざまなことをお訴えになっていますが、主力でお訴えになっていたことは、一つは、公立高校の無償化等を含めて家計の教育費負担を減らすことによって、その家計の経済の差によって子供たちが教育を受ける権利が変わらないように、しっかりとそれをサポートしていくんだという点が一点。

 もう一点が、教育制度の面からの民主党の大きな政策、柱、恐らくこれが一番大きな提案なんだと思いますが、教育委員会制度を変えるんだと。廃止をしてという表現はないですけれども、改組してとか、そういう表現の中で、教育委員会制度を変えますよというふうに訴えられています。これは相当大きな改革になりますし、これをやると文科省のありようも変わっちゃうんですね。

 そして、民主党の教育的な考え方の中心であろう日本国教育基本法の中に、教育の権限というのを首長に移すんだということも書かれています。

 これだけ民主党にとって重要な政策提言で、マニフェストにもこのことが書かれていますし、インデックスにも書かれていますし、今まで民主党は、先ほど言いました日本国教育基本法の首長の権限の問題も含め、地教行法の改正案、民主党がお出しになった改正案の中にもこのことが書かれています。

 今、教育委員会を改組する、または廃止する検討というのがどの程度進んでいるのかということについて、お伺いをしたいと思います。

中川国務大臣 御指摘のとおり、この教育委員会の議論というのは、私たちの党としても、教育の中の根幹政策の一つということになっておりまして、私もそのように理解をしております。

 ただし、これまで、無償化の問題であるとか、あるいはいわゆる少人数学級等々、具体的なところでまず突破口といいますか、入り口をつくって政策を進めてきたということもありまして、この教育委員会の議論についてはまだこれからということであります。

 御指摘のように、この問題については、議論の仕方というのをよほど工夫をしていかないといけないというふうに思います。党の中のコンセンサスはもちろんですが、野党の皆さん方とも、あるいはまた国民的な議論、あるいはそれぞれ行政機関、特に地方自治体の話も、参加をしてもらって、それで議論をしていくという形態をとらないと、なかなか一挙に進んでいくということにはならないと思います。そういうことを前提にして、しっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

松野(博)委員 大臣が今、民主党内のコンセンサスづくり、議論等もまだあるしというお話もいただきました。

 しかし、民主党が、もう既にインデックスの中でも、さらにマニフェストの中でもしっかりと国民に約束をしている。そして、地教行法の改正案も民主党として提出をしているわけです。

 そして、さらに言えば、私は、これは川端大臣時に、どういうスケジュール感を持ってやるんですかとお聞きをしたときに、お答えになったのは副大臣だったと思いますが、一つ、私が、四年間の中で実現、実行することをマニフェストに書いたと当時の鳩山代表が繰り返しおっしゃっているんだから、当然この四年間の中でスケジュール感を持ってこの問題に取り組むんですねという質問に関して、大変難しい問題であるけれども、その期間でしっかりと一定程度の結論を出すんだというお答えをいただきました。

 では、それは法律に関する、法的な面も含めてですねということに関してははっきりお答えにならなかったけれども、少なくとも四年間でしっかりと協議をして、方向性に関しては合意を得るというような趣旨の御答弁をいただいた記憶があります。これはいただいたんですね、確認すればいいんですが。

 政権交代して、もう二年が過ぎました。これだけの大改革をやるためには、大臣おっしゃったとおり、民主党が今さらコンセンサスがとれていないと言われても困るんですが、あれだけはっきりとおっしゃったわけですから、少なくとも地方の声を聞き、また中教審を初め有識者の意見も聞きながら、議論を当然進めていくべきだと思うけれども、今の時点で党内コンセンサスがどうのこうのという話のレベルであるから、当然、地方の意見も、中教審にかけるというスケジュール感もないんだろうと思います。

 とすると、この四年間の中で、マニフェストに約束をした、民主党の教育政策の中、教育制度論の中においては最も大きな教育委員会の改組の問題を手つかずのまま四年が過ぎるということになると思います。具体的なスケジュールを見ると、今のままではそうならざるを得ないというふうに思いますが、大臣、どうされますか。

中川国務大臣 党内のコンセンサスがとれていないということではなくて、御指摘のように、マニフェストで掲げて、具体的に改革をしていくということを言ってきたわけですから、ここのところの方向性というのは、私たちはあります。

 しかし、もう一方で、国会の状況、これはもうあらゆる政策についてそうなんですが、自民党初め野党の皆さん方の、それこそ御意見を聞いて、その中で物事を進めていかないと具体的なものになっていかないということでありますし、さっき御指摘あったように、特に地方自治体の皆さんには、丁寧にここは議論を進めていく必要があるだろうということ、そんなことを思っております。

 順番に、この四年間のスケジュールの中で、川端元大臣がお話しになったようにやっていくということでありますので、そろそろこれを本格的に議論の俎上にのせていくということ、これが時期に来ていると私も思っております。

松野(博)委員 繰り返しになりますが、民主党が教育政策で国民に約束をした、最も根幹となる、柱となる政策について今まだ議論が始まっていないというのは、私は憂慮すべき事態だろうというふうに思いますし、私たち野党の意見を聞いていただくのは、本当に、もちろんそのとおりだと思います。しかし、政府として、民主党として意見がまだ固まっていない、具体的な方向性が示されていないものに関して、私たちが議論できるわけがないということがあります。ですから、大臣はおやりになるというふうにおっしゃいました。私はなかなか難しいんじゃないかというふうに思いますが。

 ただ、一点、大臣、文科省の職員は、絶対に職員からこの話は上がってきませんよ。絶対に上がってきません。教育委員会をいじれば文科省のありようも変わってしまう、そんな話は職員からは絶対に出てきません。だから、大臣がまさしく政治主導のリーダーシップをとりながら進めないとこの問題は前に進まない。そのことを強調して、そして、誤解があるといけませんから、私は、教育委員会の改組、廃止の方向について、別に、ぜひ賛成だからやれと言っているわけではありません。あくまで、民主党さんがやるとおっしゃったことはきちっと方向を示してほしいという話をしているわけでございまして、そのことを確認して、私の質問を終わらせていただきます。

石毛委員長 次に、馳浩さん。

馳委員 中川大臣、就任おめでとうございます。

 大臣は、就任前の八月下旬に、中国の天津外国語大学に出張されていますね。自分のお金で出張したんですか。

中川国務大臣 まだ大臣に就任する前といいますか、一個人として招待をされまして、天津外国語大学で世界日本語教育研究大会、これが開催をされたということで、冒頭の特別講演を依頼されまして、そこでお話をしてきた、そういう機会でございました。

馳委員 世界日本語教育研究大会での基調講演を我が国を代表してしていただいたということですが、この目的と、そして、大臣が出張をされた、まあ大臣前ですけれども、その成果についてお話をください。

中川国務大臣 この目的でありますが、世界日本語教育研究大会というのは、日本語教育それから研究に関する諸国の教育者、そして研究者が一堂に会しまして、研究、教育の成果を発表し合い、教育、学術の国際交流と国際親善を図るということになっております。

 これは、一九九八年に東京で第一回が開催されて以来、世界各地で開催をされておりまして、日本語教育研究に関する関心の広がりと知識経験の共有をもたらす格好の機会になっているということであります。

 場所をずっと言っていきますと、東京……(馳委員「いや、いいです」と呼ぶ)よろしいですか。

馳委員 済みません。

 今回、世界の何カ国から世界日本語教育研究大会に参加をしておりましたか。

中川国務大臣 参加国数が二十六カ国・地域から、約二千人が参加をしておりました。

馳委員 来年は名古屋で開催されると伺っておりますが、間違いありませんか。

中川国務大臣 この天津の大会で、正式に来年名古屋で開催するということが決まりまして、場所が、愛知産業労働センターとそれから名古屋大学ということで会場が設定されていまして、期間が来年の八月十七日から二十日まで、主催者が日本語教育学会ということになっています。

馳委員 名古屋大会を成功させる必要があると思っています。日本語教育関係者すべてが参加できる大会とすべく、大臣のリーダーシップを期待しますが、いかがですか。

中川国務大臣 私も、天津に行って改めて認識をしたんですけれども、日本語に対する世界の需要といいますか、日本語を勉強したいという人たちが年々非常にふえてきている、それが加速度的に大きくなってきているということ。今、大体三百五十万人ぐらいの日本語学習者になってきているということであります。

 それだけに、こうした日本語教育あるいは教育に対する研究というものをさらに深めて、戦略的に海外に展開をするということ、これが非常に大きな、日本の戦略としての重要性ということ、これも大きなものになってきているというふうに思っています。

 それだけに、しっかり支援もしていきたいというふうに思います。

馳委員 中国政府が猛烈に推進している孔子学院を御存じだと思います。孔子学院の設立の目的を教えてください。

齋木政府参考人 お答え申し上げます。

 孔子学院は、中国教育部の直属機関でございます、中国国家漢語国際推広領導小組弁公室、通称国家漢弁と言われているようでございますが、この組織の管理下にあるものと承知しております。

 この弁公室のホームページによりますと、中国経済の発展と国際交流が日増しに盛んになっているということを踏まえまして、また世界各国の中国語学習に対する需要が急激に増加していることを背景といたしまして、イギリス、フランス、ドイツ、スペインなどの取り組みを参考として、二〇〇四年から、中国語の教育と中国文化の普及を目的として中国国外に設立されているものと承知しております。

馳委員 現在、孔子学院は世界に何カ国で、そして何校設立されていますか。日本には何校ありますか。

齋木政府参考人 お答え申し上げます。

 国家漢弁のホームページによりますと、二〇一一年八月末の時点で、世界各国の大学に設立をされております孔子学院は、九十九の国と地域、箇所といたしましては三百五十三カ所でございます。また、これに加えまして、小学校、中学校、高校等の大学の下の機関に設置をされております孔子課堂というものも広義の孔子学院の一部でございますが、孔子課堂は三十九カ国、四百七十三カ所でございます。

 したがいまして、これを合計いたしますと、百四の国と地域におきまして、八百二十六カ所が設置をされていると承知しております。

磯田政府参考人 日本孔子学院協議会の本年度の幹事校である立命館アジア太平洋大学孔子学院によりますと、現在、日本に十二校、孔子学院があると言われております。

馳委員 大臣、世界日本語教育研究大会には二十六カ国参加しているんですね。私が比べる形で指摘をいたしました孔子学院は、世界百四カ国と地域、八百二十六カ所ということで、規模的にも四倍近いですね。私は、ここに国力と国家としての戦略の違いがあるのではないかということを指摘せざるを得ないと思っているんです。

 もうちょっと質問を続けます。

 孔子学院の運営経費について、中国政府がその一部を援助しているというのは本当ですか。

齋木政府参考人 お答え申し上げます。

 孔子学院の運営規則によりますと、中国と外国の協力で新しく孔子学院を設置いたします場合には、中国側は一定額の初期経費を投入し、また、その運営経費は中国側と受け入れ機関側が分担して負担することとなっていると承知しております。

 報道によればでございますけれども、中国側の負担の一部は、先ほど御説明申し上げました孔子学院を管理しております中国教育部の直属機関でございます国家漢弁が支出している由でございます。

馳委員 大臣、実は日本の大学でも、人件費で一大学で二千万円近く支援を受けている大学があるんですよ。私、確認をしてまいりました。びっくりしましたね。ここにやはり中国の戦略性、国家として、教育イコール言語であり、中国語を世界の各大学、小中高を含めて展開をし、中国文化の理解を深めるとともに、中国語で中国の実情を理解させるという強烈な意思を感じるんですね。

 翻って、大臣、ここはポイントなんですが、日本語を通じての日本文化の理解や日本の外交的な味方をふやすという戦略の重要性について、私は中川大臣に、ここは大いに、古川国家戦略担当大臣に対しても、また野田総理に対しても、この重要性を進めていくということを政策的に提言していく立場にあるのが中川大臣だと私は思っているんですが、大臣の見解を伺います。

中川国務大臣 御指摘は、私も、孔子学院に対する驚きと危機感みたいなものを共有させていただいています。

 国の勢いでもってこれだけの展開をしておるということと同時に、恐らく、海外への漢民族の展開といいますか、方々に相当、コミュニティーとして活躍をしている中国系の皆さんというのがベースとしてあって、その上にこうした展開というのがあるんだということを中国の要人から聞かせていただいたことがありました。そのことを兼ねての戦略だと思います。

 翻って、先ほどのように、日本としても、昔の経済大国というイメージから一つ脱皮をして、文化とか我々の生活様式、あるいは最近ではアニメだとかファッション、いわゆるクール・ジャパンなんかに代表される新しい文化活動、こういうものが新たな形で世界に注目をされてきておりまして、そういうことがベースになって、先ほど申し上げたような日本語熱というものに対する広がりも出てきているということを私も認識しました。

 なものですから、御指摘のとおり、これを、日本語の普及ということをベースにした文化活動あるいは文化戦略、あるいはまたソフトパワーとしての日本のあり方というような戦略に昇華をして、しっかり位置づけていくという努力をぜひしていきたいというふうに思っています。

馳委員 努力の決意を伺った上で具体的に伺いますが、孔子学院の日本版が必要だと思います。政策的に検討する余地はありませんか。

中川国務大臣 その前に、孔子学院の実態といいますか中身について、私も、もう少ししっかりとした調査を入れたいなというふうに思っています。

 その上で、それを丸々日本に導入するということではないんだろうと思います。そこのところの戦略性で日本に生かせるところはしっかり生かしていくということと同時に、資金的にどうするかということがあるんだと思うんですね。

 これまでは、これは外務省の関連の国際交流基金を中心に展開をしてきたということがあったわけですが、日本語の教育体系にしても、あるいは日本にある日本語学校の位置づけにしても、文部科学省がしっかりコミットしていなかったという分野でありますので、そこのところを、文部科学省として戦略をつくると同時に、そこにどうコミットしていくか、また、領域を広げていきながらどう支援をしていくかということを考えていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。そんなとらえ方で政策を進めていきたいというふうに思います。

馳委員 私は、その第一歩として、来年の名古屋での世界日本語教育研究大会、ことしは二十六カ国しか参加をしていないんですね。孔子学院の展開の百四カ国と比べたら歴然の差があります。私は、せめて倍の五十カ国ぐらいを招待する。世界で日本語教育を展開している大学の日本語関係者、ことし二十六カ国としたら、来年は、大臣の肝いりでせめて五十カ国はここに招待をして、日本政府として、中川プロジェクトでもいいですよ、やるんだという姿勢を示してほしいと思いますが、いかがですか。

中川国務大臣 主催者の皆さんの企画といいますか、どういう展開で名古屋でやっていこうかということをしっかり承った上で、また馳議員にも応援をしていただいて、頑張っていきたいというふうに思います。

馳委員 来年、主催者は日本語教育学会、尾崎会長でしたか、よく知っているじゃないですか、私もよく知っていますけれども。

 だから、私も、ずっと日本語教育学会の皆さんに、あなた方も大学の中に閉じこもって研究ばかりしているんじゃなくて、ロビー活動をもっとしなさい、民主党には中川正春さんという立派な人がいるんだから、一緒になってやりましょうといって、ずっと日本語教育の支援を二人三脚でやってきたわけじゃないですか。

 私は、中川大臣が誕生したときに、ああよかったなと思ったのは、この部分なんですね。やはり、日本国内の定住外国人等に対する日本語教育のレベルを上げるというポイントと、海外における日本語教育を充実して、日本語で日本の法律や日本の文化、風習を伝えていくということ、車の両輪でやっていく政策を体系的に進めていく必要があると信じて疑っておりません。そのことを民主党内で一番よく理解しておられるのは、中川大臣、あなたじゃないですか。だから、私は、こういうきっかけをやはり取っかかりに、さらに戦略として展開をしてほしいと申し上げております。

 そこで、ちょっと積み残しの宿題が一つあったんですね。日本語教育について、二年前の独法組織改革のときに、国立国語研究所の日本語教育部門が二年後の組織見直し対象となっておりました。この附帯決議をつくったのは、私、当事者ですのでよく理解しております。当時の野党民主党からの強い申し入れがありました。

 そこで、二年経過いたしまして、現在、文部科学省としてどのような見直しをしたのか、宿題の答えをお話しいただきたいと思います。

中川国務大臣 私も関係者の皆さんから、この独法改革の結果、よかったのかどうかということを直接いろいろ聞かせていただいています。半々というところかな。なかなかよかったという方も、特に大学との連携ができてきて非常によかったという方もおられますし、いわゆる独立性というか経営的にはちょっと不自由しているというような、そういう話もございます。

 そういうことを前提にして、本年十月でちょうど移管後二年になるということでありますが、現在、科学技術・学術審議会学術分科会及び文化審議会国語分科会のもとに、それぞれ検討のための組織を設けております。人間文化研究機構国立国語研究所、これが正式な名前だと思うんですが、ヒアリングを含めて、国語研究所の業務、組織に関する検討を今実施しておりまして、その結果に基づいて、しっかりとした、また改革が必要であれば改革をしていきたいというふうに思います。

馳委員 大臣よく御存じなので、私からこれは一言だけ申し上げておきたいと思いますが、要は、外国人に対する日本語教育の実践的なカリキュラムをつくるには、これまでのいわゆる日本語教育をしてきたデータベースが必要なんですね。それをもとに新たなカリキュラムをつくり上げて、それを指導できる人材を育成していく。最終的には資格制度にしていこうじゃないかなどという展開が見込まれるんですが、それをするには、やはり専任の研究者が必要なんですよ。

 ところが、今、大学共同利用機関の方で、ありまして、非常勤の研究者が多くてなかなかやはり定着した研究ができないという現状があるということを改めてお伝えしておきますので、今後の組織の見直しを丁寧にやっていただきたいし、できれば今年度じゅうに見直しをして、来年度の予算からしっかりやっていただきたい、そのぐらいのスケジュール感をお伝えしておきたいと思います。

 次に、ちょっと報道を騒がせておりますね、千葉県柏市の二十七万ベクレルという高濃度セシウム汚染土壌についてお伺いしたいと思います。

 まず、現状の柏市の概要をお伝えいただきたいと思います。市民の不安を取り除くために、ホットスポット対策としての基本計画づくり、これが自治体として必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 柏市で確認された高い空間放射線量について、文部科学省は同市から連絡を受けまして、同市に対して立ち入り制限等の安全確保措置などを要請するとともに、十月の二十三日に、職員及び日本原子力研究開発機構の専門家を現地に派遣して、柏市とともに現地調査を実施しております。

 その結果、表面から一メーターの高さで最大で二・〇マイクロシーベルトの地点を確認したということ、そのために、除染の支援を行う環境省、内閣府原子力生活支援チームに対して連絡を行って、総合的な対応ができるように今しております。

 本件については、空間線量率の高い地点わきの側溝に破損が発見をされまして、この箇所が半減期約二年のセシウム134が発見をされた地点に近いことから、東京電力福島第一原子力発電所事故によるセシウムが土壌に濃縮されたものだというふうに推測をされています。

 このような、周辺より放射線量の高い箇所への対応については、先ほどお話のあったように、十月の二十一日に、内閣府それから文部科学省及び環境省で取りまとめました、当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針というものに取り決めております。

 これは四点ぐらいポイントがあるんですけれども、まず一点は、文部科学省は、地方公共団体等が地域住民のニーズに応じて、人、特に子供の集まる公的スペース等において放射線量を測定するに際して参考となるガイドラインの提示を行うとともに、地方公共団体からの個別の相談や要請に応じて技術的な支援を行っております。

 それから二番目に、周辺より放射線量の高い箇所、地表から一メーターの高さの空間線量率が周辺より毎時一マイクロシーベルト以上高い数値が測定された箇所ということですが、それを地方公共団体や民間団体等が発見した場合には、文部科学省へその旨の連絡を行ってもらうということ。

 それから三番目に、除染が容易でない放射能汚染があると確認された場合に、文部科学省は、速やかに環境省及び内閣府原子力被災者生活支援チームにその旨を連絡した上で、環境省及び内閣府原子力被災者支援チームは、速やかに市町村と連携して、市町村の要望を踏まえて除染の支援を直接行うということにしております。

 今後とも、この対応方針に沿ってホットスポットの対応をしていきたいということであります。

馳委員 柏市内の公有地のモニタリングと土壌除染措置について伺います。

 費用負担は、国が全額負担することでよろしいのでしょうか。その根拠となる法律は何ですか。

鷺坂政府参考人 お答えします。

 福島第一原発事故に伴って広く拡散しました放射性物質への対処につきましては、放射性物質汚染対処特別措置法、先生方の議員立法で八月に成立させていただいたものでございますけれども、来年一月一日に全面施行されますが、それに基づいて必要な対策を実施していくことになっております。

 具体的には、追加の被曝線量が年間一ミリシーベルトを超えるような地域を環境大臣が指定しまして、指定された市町村につきましては、詳細モニタリングの結果を踏まえ除染実施計画を策定し、その計画に基づいて除染をしていくことになるわけでございます。

 この除染につきましては、この法律に基づきまして、国として必要な財政措置を図っていく、このようになっております。

馳委員 国として必要な財政措置という言い方をされましたが、この法律を取りまとめた隣にいる田島一成さんと私と公明党の江田康幸さんとの合意の中では、一たん国が全額負担するということではありませんでしたか。そうですよね、田島さん。

 鷺坂さん、答えてください。

鷺坂政府参考人 済みません、法律の文言のとおりちょっと読ませていただきましたけれども、基本的な考え方としては、この法律に基づいて行われる除染につきましては、例えば国有地とかいろいろありますのでそういう言い方を申し上げましたけれども、市が行うようなものにつきましては、国が財政的な支援を全面的にしていくということになります。

馳委員 国会の審議では、しっかり大臣答弁でそのように言っておりますし、決議にも入っているんですから、そこを最初に言ってもらわなきゃ困るんですよ。

 さて、公有地ばかりでなく、民有地でも放射能汚染土壌の問題があるはずです。モニタリングや除染の費用はどうなっておりますか。

鷺坂政府参考人 基本的に、公有地、民有地、区別はございませんで、市の方で除染実施計画を定めていただくことになるわけでございますが、これに基づく除染につきましては、国としても財政措置を講じていく、こういうことになります。

馳委員 実は、二週間ほど前に、たまたまですけれども、柏日体高校に視察に行ってまいりました。これは教育事情視察で個人的に行ってきたんですが、大変心配しておりました、情報ももう入っておりまして。

 側溝の泥を除去する計画を立てて、見積もりを立てたら三十万円だったと。それをどうするかということを今検討中だということを校長先生から伺いました。この三十万円についても、一応国が立てかえるということでよろしいですか。

中川国務大臣 今のところ、これはいわゆる毎時一マイクロシーベルトという基準をつくっていまして、それ以上のところで国の負担ということになりますので、この側溝でどれぐらいの値が出てきているかということになるかと思います。

馳委員 わかりました。基準次第ということで、国の支払いの対象になるかならないかということなんですよね。

 ただ、ここは実はポイントで、私もお伺いしたんですね。鷺坂さんも御存じのように、やはり風評被害ということも含めて、住民、とりわけお子さんを持つ保護者の不安が大きいので、やはり前のめりに対応したいという学校側の気持ちをよく理解していただきたい。これは幼稚園もそうですし、民間の保育所などもそうなんですね。そのことを踏まえた対応をしていただきたいということなのであります。

 もう一点だけお伺いいたします。放射線防護と除染について伺います。

 放射線汚染物質防護に関する製品を製作しているアメリカのパックテック社を御存じですか。このパックテック社のパッキングバッグを使用すれば、まずはセシウムを遮断できると言われておりまして、IAEAでもその商品を使っているそうであります。私の地元、金沢大学でも、ゼオライトによる除染技術の開発が進んでおります。あらゆる可能性を試し、国民の不安を取り除く必要があると思いますが、いかがですか。

 放射線防護や除染などの研究・技術開発予算について、第三次補正予算、これは提出される前でありますが、もうほとんど編成されていると思います。また、来年度の概算要求でどの程度その予算を確保しているか、お伺いしたいと思います。

中川国務大臣 パックテック社については、これも発言通告があって初めて聞かせていただきました。

 こういうたぐいの提案というのが今幾つも出てきておりまして、私も、しっかりそれを聞かせていただいて、いいものは、よくて安上がりなものはしっかり組み込んでいくようにということを今申し上げています。

 除染技術については、日本原子力研究開発機構がみずからその開発、実証の取り組みを進めているんですけれども、さっきのような提案に対して、大学あるいは民間企業等から提案されるさまざまな除染技術について、専門的な見地からこれを評価して、有望なものは実際に試験をして取り入れている。現在、これはと思うのが四十四件ほど提案をされてきておりまして、それをしっかり見ていこうということだと思います。

 それで、文部科学省では、予算の方でありますが、除染技術の開発、評価、実証、これを進めるための予算として、平成二十三年度補正予算で二十三億円、それから平成二十四年度の概算要求で四十四億円の予算要求をしております。

 より効果の高い技術の確立に向けて、今後とも努力をしていきたいというふうに思います。

 それから、さらに、放射線防護の研究、この分野では、放射線医学総合研究所、ここにおいて、東京電力福島第一原子力発電所事故への対応として、長期被曝影響の機構を解明して、放射線影響の低減策を提示する取り組みを推進するということになっておりまして、これも概算要求で三億円を要求しています。

馳委員 これは、私は素人でありますが、ブルーシートを土壌にかぶせておくだけで本当にいいのかなというところなんですね。保護者の方々からすれば、セシウムなどを含んだ汚染土壌を校庭の片隅に山積みにしてそのまま、ブルーシートがかぶせてあるままなんですね、それで本当に大丈夫なのかということにお答えする必要があるのではないかということで、質問をいたしました。

 私も研究者ではありませんので、いろいろな売り込みや、あるいは研究者の研究発表があると思いますから、それらを取捨選択して、よいものを使っていっていただきたいと思います。

 次に、奥村副大臣に、サポーター外交の話についてお伺いしたいと思います。

 十一月十五日、いよいよ、日本対北朝鮮のサッカーワールドカップアジア予選が北朝鮮で開催されることが決まりました。そこで、日本人選手団、スタッフ、日本サッカー協会関係者の北朝鮮渡航については申請していますか。当然、渡航申請は認められるべきと思いますが、いかがでしょうか。

奥村副大臣 お答えいたします。

 ただいま馳委員からお話がございましたように、十一月十五日に向かって、現在いろいろ折衝をいたしております。特に、いろいろな問題で自粛をしなければならない過去の経過もございまして、現在、外務省と連携をとりながら、それの対応をしているところでございます。

 まず、選手団は当然でございますが、報道陣も、いろいろ調査をいたしましたら百名になんなんとしたわけでございますけれども、できるだけ絞っていくということで、五十名ぐらいになると思います。

 そして、サポーターの件でございますが、現在、日本サッカー協会を通じまして、北朝鮮のサッカー協会との交渉を進めております。本来でございますと、日本サッカー協会の方でツアーを組んでやるということが基本だと思うんですけれども、国交のないところでございますから、なかなか連携等がとれませんので、二十七、八、あす、あさってぐらいに向こうとの交渉を進めていきたいというように思っております。

 そして、外務省の方も、今後北朝鮮との話し合いがつけば体制を整えていきたい、サポーターの保護等も考えながら進めたいと言っておりますが、現在のところ話の道中でございまして、結果は出ておらないということで、何とか努力をしていきたいというように思っているところでございます。

馳委員 スポーツと政治の間柄というのは微妙なところもありまして、私もどこまで発言していいか悩みながら、本日、文部科学委員会にも提出をいたしましたが、実は、サポーター外交を容認すべきだ、こういうふうな論調で、共同通信の求めに応じて記事を書かせていただきました。私もどうしようかなと思ったんですが、肩書はスポーツ議員連盟の事務局長ということにしてほしいということで。

 文科省もそうですが、我々政治家は、サポーターに、行ってほしいという気持ちはありながらも、行けという圧力をかけることは絶対に慎まなければなりません。その上で、申請をする当事者は日本サッカー協会だと思うんですね、当事者として。そして、サポーターの皆さんが行きたい、サッカー協会も、では行かせてやろうかと。その根拠は、FIFAのいわゆる協約にありますとおり、加盟している国の公平と公正性は担保しなければならない、これに基づいて日本サッカー協会の判断になるんだろうな、こういうふうに私は一応自分なりに区分けをして、この新聞の記事を投稿させていただいたんですね。

 そこで、今、奥村副大臣もおっしゃっていただいたように、サッカー協会が検討し、また、サポーターの皆さんも、一定程度行きたいということで話がまとまった場合に、これは外務省にお伺いしたいですね。外務省としては、この渡航申請がサッカー協会から出た場合に、容認すべきかどうかという判断は外務省になるんですね。そうじゃないんですか。外務省としての見解をまずお伺いしたいと思います。

齋木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御案内のとおり、政府は、北朝鮮に対する措置の一つといたしまして、我が国から北朝鮮への渡航を自粛するよう要請してきているところでございます。

 他方におきまして、日本対北朝鮮の来るアウエー戦につきましては、大変重要なものでございまして、また多くのサポーターも、平壌における観戦、応援の希望を持っていらっしゃると理解しております。

 政府、外務省といたしましては、こうした事実を受けとめまして適切な対応をしていく必要があると考えておりまして、代表団が最大限の力を発揮できるよう、できる限りサポートをしていく。また、サポーターの渡航につきましても、サポーターの方々の思いを踏まえて、また先ほど来言及がございましたように、双方のサッカー協会の間で現在調整が行われてございますので、そういった調整の推移も踏まえながら、どういう対応をすべきか、政府全体で検討をしているところでございます。

 一点だけ申し上げたいのは、我が国は北朝鮮を国家としては承認しておりません。外交関係、領事関係も設定しておりませんので、多数の制約が存在をするということは事実でございますので、政府全体での検討が進んだ時点で、例えば出入国時に必要な手続も含めまして、関連の情報を渡航を検討している方々に対してきちんとお伝えするようにしていきたいと考えてございます。

馳委員 私は、外務省に感謝を申し上げたいと思います。そこまでの具体的な検討課題を上げて、双方ですから、これは日本側と北朝鮮側のサッカー協会の合意が前提なんですね。だから、私は、奥村副大臣に期待をし、お願いを申し上げているということをまず御理解いただいた上で、せっかくですから、きょう来ていただいているかもしれませんが、拉致担当そして国土交通省からも、この渡航問題についての見解をお伺いしておきたいと思います。

郡大臣政務官 拉致担当ということで御答弁させていただきます。

 十一月の十五日に予定されております日本対北朝鮮のアウエー戦ですけれども、十月の十三日付でFIFAから、開催地が北朝鮮の平壌に決定した旨の発表があったということは承知しております。

 対北朝鮮戦は、ワールドカップのアジアの第三次予選の重要な試合でもありますし、政府といたしましても、日本代表が最大限力を発揮できるように、できる限りのサポートをしていきたいというふうに考えております。サポーターの渡航につきましても、サポーターの皆さんたちの熱い思いも踏まえまして、今対応を検討しているところでございます。

 拉致問題担当といたしましては、今回、重大な主権侵害であり、かつ人権侵害である拉致問題も理由といたしまして、政府が渡航自粛要請を発出しているということもございますものですから、今後、政府の中で検討をし、適切に対応していきたいということでございます。

篠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省の関係といたしましては、サポーターの方々が北朝鮮へ渡航される場合に、チャーター便を使用したいという場合にどういう対応をするかという点でかかわられてくるわけでございますけれども、先生方御存じのとおり、政府といたしましては、現在、北朝鮮制裁の一環といたしまして、我が国と北朝鮮との間の航空チャーター便は我が国への乗り入れを認めないという措置をとってきているところでございます。

 しかしながら、一方で、十一月十五日の御指摘の試合というのは大変重要な試合でございますので、これまでも御答弁ございましたとおり、現在、関係省庁間におきまして対応の検討を行っているところでございまして、国土交通省といたしましても、この政府全体の方針に従いまして適切に対応してまいる所存でございます。

馳委員 奥村副大臣、私は今、大体の関係省庁のお話を伺ったと思っておるんですが、多分四点ほどのポイントかなと思っています。

 まず、出入国の手続の問題が一つ。我が国は北朝鮮を国家として承認していないという問題が二つ目。三つ目が、チャーター便という問題。四つ目が、邦人保護、つまり我が国の外に出た限りは、外務省としても、政府としても邦人の保護のために努力をしなければいけない。

 私は最初に言いました。政治家がスポーツに余り口を出すべきではないと。だけれども、真剣勝負を両国間でやる、FIFAで認められた公平公正性が担保されているということを考えたら、両国サッカー協会が合意に達した段階で渡航申請が出されたら、ここはむしろ条件整備、真剣勝負の場を提供する条件を整備するのがまさしく政治の責任ではないか。

 この問題を行政の側だけに、行政はきちんと問題点を洗い出して準備をしております。そこに最終的にゴーサインを出すか出さないかは、まさしくこれは政治主導、政治の判断にゆだねられてきているんです。ここまできちんと行政の側は整備をされてきている以上、条件が整ったならば、その条件を実現するような努力をすることが奥村副大臣にはやはり求められているのではありませんかということを、私はきょう一番質問したかったんですね。

 奥村副大臣の見解を伺います。

奥村副大臣 ありがとうございます。

 馳委員が今おっしゃっていただいたように、私もその方向に向かって進めております。ただ、御案内のとおり国交のない国でございますから、北朝鮮へ行くのにも直接入れません。中国経由という形、北京経由という形になるわけです。

 そういうことを考えますと、外務省、そして政府挙げて、行政側の判断、そしてやはりスポーツ、FIFAの問題もありまして、アウエーの大会に出られなかったらワールドカップに出られないわけですから、そんなことも考えますと、やはり日本のサッカー、スポーツというものの底辺を考えますと、しっかりとした対応をしていきたいということで、もう日がないものですから、十一月の二日ぐらいには何とか方向づけができるようにと今、希望的にいろいろ準備をしているさなかでございます。

 何はともあれ、日本サッカー協会としっかりと連携をとりながら、今仰せのとおり進めていきたいというように思っておりますので、また御指導、御協力のほどお願いをいたしたいと思います。

馳委員 選手団、スタッフ、協会関係者、報道陣、このあたりまでは大体合意に至っているんですが、サポーターをどうするかという問題が極めて重要な課題になっているということを踏まえて、奥村副大臣には、特にスポーツ基本法を、今回新たに全面改正した理念の一つに、スポーツの国際性という理念を入れさせていただいております。

 そのスポーツの国際性というのは、何もオリンピックとか世界大会を招致する、それを支援するというだけの問題ではなくて、こういう課題を通じての交流を深めるということも世界平和に資するという理念でありますので、このことは奥村副大臣はよく御存じでありますので、ぜひ前向きな対応をお願いして、この問題についての質問を終わり、最後に移りたいと思います。

 十月二十日の読売新聞朝刊のスクープ記事を見てびっくりしました。「教職員八百五十五人 不適切勤務」「北海道 沖縄 検査院「給与返還を」」と。「夏休み 就業時間中に不在」「「研修」届けたのに行わず」。またかというのが、北教組問題を追及してきた我々自由民主党として、がっかり、残念をしたスクープ記事でありました。

 そこで、まず会計検査院にお伺いいたしますが、この実態調査の報告をお願いしたいと存じます。

太田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 北海道等の公立小中学校の教職員の勤務実態につきまして、本院の検査の結果、不適切な事態が明らかになったとの報道がなされたことについては承知しております。

 北海道につきましては、北海道教育委員会等の調査結果によりまして、義務教育費国庫負担金の交付額に影響を及ぼす可能性がある事態が明らかになったことなどから、検査を行うこととしたところでございます。

 検査の結果につきましてですが、現在取りまとめ作業を行っているところでございまして、まだ報告できる状況ではございませんけれども、十一月初旬をめどに内閣に送付できるよう作業を進めているところでございます。

馳委員 読売さんのスクープでありますから、大臣、恐らく十一月初旬に会計検査院からそういう、記事にあるような報告が多分なされると思うんですね。そして、会計検査院ですから、義務教育費国庫負担、三分の一分は国費です、国費の返還を要請するのは、これは文科大臣としての権限だと思いますが、いかがですか。文科大臣としての姿勢をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 返還を求めるというのは、それはもちろんそういうことだと思います。

 いずれにしても、正式に、調査の結果を見てということになりますが、調査項目がはっきりしていますので、もう一度、私たちも改めて会計検査院並みの調査を入れていくということで判断をしまして、そのような措置をしていきたいというふうに思います。

馳委員 ここで、森副大臣にお伺いしなければいけないですね。

 森ゆうこ副大臣は、十月十三日の記者会見で、「会計検査院により、北海道の義務教育費国庫負担金に関する会計検査が進められておりますが、この中で教職員の不適切な服務の実態が見受けられる」と述べております。

 全道的な再調査を指導したのでありますから、相当程度の教職員の不適切な服務の実態があったと考えられますが、森副大臣としては、具体的にどのようなことを把握した上でこの記者会見でお述べになったのか、教えていただきたいと思います。

森副大臣 お答えいたします。

 先ほど会計検査院から、今まだ検査中ということで、具体的なことについては申し上げられないんですけれども、北海道教育委員会から聞いているところでは、教職員の不適切な服務の実態として、例えば、年休等を取得せず、勤務時間中に職員団体の会議に参加した事例、それから、長期休業期間中に校外で研修を行うと申請したにもかかわらず研修を行っていなかった事例、そして、長期休業期間中に年休等を取得せずに遅刻、早退が行われていた事例等があるというふうに伺っております。

馳委員 そこで、文科省も、新たにその実態調査を行うよう両教育委員会を指導したということでありますが、会計検査院の報告は最終的には十一月初旬に上がりますが、今回、北海道、石川県、鳥取県、沖縄県の抽出調査でこういうふうな情報が上がってきておるということで、これは言語道断だと我々も指摘せざるを得ないんですね。

 そこで、大臣、全国で勤務実態調査をすべきではありませんか。それこそ本当の意味での税金の無駄遣い根絶につながるのではありませんか。

 実は、例の小林千代美さんの政治資金規正法違反の問題で、我々も実態調査に北海道に入って、組合の皆さんから攻撃を受けたり、馳呼ばわりされたりしながら随分調査したら、やはり指摘されたとおりだったんですね。

 これは、やはり税金の使い方としてもおかしいだろうという部分が一点と、学校の先生は何をやっているのと。多忙多忙といいながらこういう実態が浮かび上がってくること自体が、教職員の皆さん、組合の皆さん、それはやはりお門違いですよ、あなた方が主張していることとあなた方がふだんやっていることと違うじゃありませんか、まず襟を正すことをしてくださいよという趣旨でずっと指摘をしてまいりました。

 全国の実態調査、これは大変な事態になるということも想定され、私も、馳のやろうといってまた組合から攻撃されるのかなとは思いますが、今回の会計検査院のこういった報道に触れると、この指摘をせざるを得ないんですよ。大臣いかがですか。

中川国務大臣 この報道というのは、まだ最終的な調査結果が出ていない中で報道されたものでありますので、余り決めつけたような話ができないというふうに思います。

 ただし、私も、そんな中で、北海道及び沖縄県については教職員の不適切な服務の実態があったというふうに承知をしております。ほかの県については、そうした具体的な、これはというようなところでの指摘は上がってきていないというふうに今事前に把握をしております。

 そんなこともありますので、これは全部、様子を見てというか結果が出てきてから、その結果を少し分析して対応していきたいというふうに思います。

 いずれにしても、北海道は、前からの、私どもの調査を入れてそれで出てこなかった、それが会計検査院で改めて出てきたということ、これはもう事実でありますので、これは、改めた調査を会計検査院並みの基準でもってしっかり全道に対して入れていくということが必要なんだろうというふうに思います。そういう措置をしております。

馳委員 さて、きのうからけさにかけて、報道ベースでの情報なので、ここは答弁の方は、中川大臣かあるいは神本政務官か、どちらからでも結構なんですが、所感を述べていただきたいんですよ。

 義務教育負担金カットという、つまり、公務員制度改革で、国家公務員の給与を平均七・八%引き下げる臨時特例法案の今国会成立が前提だけれども、最大一千億円、義務教育負担金もカットという報道があって、私も正直、ここまでやるのかというふうなこと、びっくりいたしました。

 やむを得ないのかなということが半面と、これはある意味では、例えば、ことしの三月の義務標準法の法案審議などでも我々は教員給与のあり方について随分議論をし、また、来年も小学校二年生分の予算の問題で議論したいと思っておりますが、その前に、いや、財務省も随分と思い切ったな、文科省としてはどうするんだろうというふうに、この報道に触れて思いました。

 大臣として、この報道は、十分理解の上で容認されるのか。あるいは、先ほど下村さんにちょっといじられていましたけれども、神本さん、日教組は、これは多分大反対するんじゃありませんか。それとも、その日教組の意向は、それはそれとして、政務官として、対財務省の話になるんですね。

 その辺を踏まえての、きょうは、私も報道を知ったばかりですので、お二人のお話を聞いた上で、また次に質問するときに参考にしますから、大臣、お願いしたいと思います。

中川国務大臣 私も、報道ベースでありますので、さっきちょっと事務方からメモが入ったんですけれども、財務省はまだそれを正式に決めていないということを言っておるようでありまして、そのことを前提にしていきたいというふうに思います。

 そして、この義務教育については、義務教育国庫負担金の取り扱いということになっていくんだろうというふうに思います。そのときには、地方公務員給与の性格をどう議論するかということで、政府全体の地方公務員給与の取り扱いを全体として見きわめた上でこの問題も判断をしなければならないということだと思います。そうした課題としてこれから議論を進めていくということだというふうに御理解をいただきたいと思います。

神本大臣政務官 私も今、馳議員の御質問でこの新聞記事を知ったんですけれども、義務教育費国庫負担制度につきましては、二分の一から三分の一になったという時点から、これは本当に与野党を超えて、あのときは皆さん方と一緒になってこれを堅持しようというふうにやってきましたし、今年度から始まりました三十五人、小学校一年生のこれにつきましても、本当に学校現場で今求められているものについて一緒にやっていこうという立場でございます。

 ただ、今報道に触れたばかりで何とも言えないんですけれども、直ちにこれが、財務省が言っているからいいというふうには私は申し上げられませんし、日教組がこれについてどのような態度かというのは私はまだ今承知しておりませんけれども、これまで同様、義務教育費はきちっと、教育の現場での教育を確保するために確保していかなければいけないというふうに考えております。

馳委員 わかりました。

 神本さん、私は、あなたが日教組の政策部長のころから大変いろいろな政策面での御指導をいただいておりまして、敵対するものでも応援するという立場でもありませんが、法律に従って教育現場の条件整備をしていくのがまさしく我々国会議員の務めであり、政務官として政務三役のお務めであると思いますので、そういうことも含めて、この義務教育費国庫負担金の問題、また義務標準法の問題などについては、改めて時間をおとりいただいて、また質疑を深めさせていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

石毛委員長 次に、池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 まずは、中川大臣、大臣御就任おめでとうございます。新進党として、同じ一期生でございました。大変懐かしい思いがいたします。

 それでは質問に入らせていただきます。まずは、私は、文化庁関連の質問から入っていきたいと思います。

 今から十年前、平成十三年、私たちは、文化芸術振興基本法を公明党は心血注いで議員立法でつくり上げました。もちろんそれは、すべての議員の方々の御協力。そして私はそのとき、省庁再編で文部科学大臣政務官でした。私自身は政府におりましたけれども、このような議員立法で法律ができたことを大変うれしく思いました。

 二十世紀後半から二十一世紀にかけて、日本は経済に軸足を置いてまっしぐらに進んでまいりました。敗戦からGDP世界第二位になることができたのも、経済、経済、そう言ってきたからだと思います。

 でも、その中にあって、では、一人一人が本当に文化や芸術を享受できるような社会をつくり上げてきたかというと、決してそうではない。私たちは、もっと、経済とともに、心豊かな一人一人の人格形成並びに社会の構造を目指すべきではないか。そのような思いを込めて私たちは文化芸術振興基本法をつくりました。

 この法律は、文化芸術の振興についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、文化芸術の振興に関する施策を総合的に推進することを目指しております。

 では、十年たって、本当に一人一人がどんなふうに文化や芸術を受けとめているのだろうか。それはやはり文化予算がどう推移してきたかにもあらわれてくるのではないかと私は思います。文化芸術はどのように十年間、変わったのか。それの一つの確認として、文化予算がどうなったかをお知らせいただきたいと思います。

中川国務大臣 先生には文部科学行政に本当に情熱的に取り組んでいただいて、私たちはそれを継承する形で今進めさせていただいております。感謝を申し上げたいというふうに思います。

 文化芸術振興基本法、これの理想に向けて年々施策を積み重ねているということでありまして、まだ理想とは私もほど遠いというか、まだこれから頑張らなきゃならないというふうに思っております。

 この十年間ということでありますが、平成十三年度で九百九億円であった予算が、平成二十三年度で一千三十一億円になっていまして、一三・四%、百二十二億円の増額ということで歩みを進めております。

 また、平成二十四年度の概算要求では、第三次の文化芸術振興基本方針、これを本年二月の閣議決定でしておりますけれども、これにおける重点戦略を踏まえて、文化芸術の地域振興等への活用など、総額千百七十一億円、対前年度百四十億円増、これは一年で一三・五%増というチャレンジをしておりまして、どうしても頑張っていきたいというふうに思っております。

 文化芸術立国、これを目指して、一つ一つ着実に進んでいきたいと思いますので、これからもよろしくお願いをします。

池坊委員 政治家として十五年間、本当に文部科学委員会にずっと所属して頑張ってまいりました。そしてまた、文化庁の予算は、財務省と立ち向かっていつもゲットしてまいりましたので、ことしも与野党を超えてゲットしていきたいというふうに思っております。

 文化芸術というと、では、一人一人が芸術を楽しむのか、文化を楽しむのか、それは経済とは隔離されて存在しているのではないかと思われる方が多いと思います。そんなことはないのです。社会経済の成長、発展に大きく貢献しているのが文化芸術ですよということを私は申し上げたいと思います。

 私は、日本の伝統文化の一つである生け花の発展、育成に努めてまいりましたけれども、例えば、先週、日本橋のデパートで日本いけばな芸術展というのがございました。これは、五百流派近い流派が一緒になりまして、それぞれ展覧会をしているのですけれども、一つの展覧会をすることによって、まず花器を買う、あるいは花材を購入する、パンフレットをつくる。それから、デパートでは一番の集客があるのが生け花展だと言われておりますけれども、なぜするのかといったら、その後に、女性が多いからお買い物をしてくれる、それから食堂で御飯を食べる、交通費をかけて来る。

 つまり、私が申し上げたいのは、例えば一つのイベントがあったら、それに経済の波及効果というのがあるんです。これは、もっともっとそれを言ってほしい、文化庁がもっと率先してそういうことも私はアピールしてほしいなというふうに思っております。

 例えば、ことしは平泉が世界遺産に登録されました。そうすると、世界遺産に登録されると、これによって観光も、たくさん観光客がやってまいります。もちろん、精神的に東北の方々の心が歓喜されたことは言うまでもないと思います。

 新しい芸術では、現代アートと結びついた芸術の祭典であるビエンナーレやトリエンナーレといった取り組みが各地で行われておりますし、大臣も御存じのように、アニメ映画なんというのは今、すごい人、収入、興行も多いわけです。

 私は、大臣は経済に非常にたけていらっしゃいますので、このような経済成長、産業戦略にも大きな影響を与えているということに対してはどのようにお考えでいらっしゃいますか。そして、それをもっともっと広げようというふうにはお考えではないかをちょっと伺いたいと思います。

中川国務大臣 御指摘のとおりでありまして、そうした視点を私たちももっともっと持っていかなきゃいけないというふうに思っています。

 どちらかというと、文化庁行政が、私の目から見ると守りといいますか、文化財を守っていくという点で余りにも強調され過ぎていて、我々の文化、生活文化も含めてですが、それを生かして外に向いて発展させていくことによって経済活動にもつないでいく。いわゆる文化をもとにした付加価値というのをつけていくということ、これはクール・ジャパンというキャンペーンを政府としてもやっていますけれども、その中でも非常に戦略的には大事なことだというふうに思っていまして、そういう意味でも、文化庁に、守る行政から攻める行政をやりなさいということを今指示しているところであります。

 それぞれ、さっき御指摘のように、国際文化祭やトリエンナーレで、例えば平泉の観光客数ですが、この七月、八月、九月の、去年との比較があるんです。七月で、去年が十三万人、ことしで十九万人。八月で、去年が十六万人で、ことしが二十九万人。九月で、去年九万人だったんですが、ことしは二十三万人。ユネスコ文化遺産ということで一つの付加価値ができて、こうした効果が出てきております。

 国民文化祭のおかやま二〇一〇、これで百二十九億円のそれこそ経済波及効果というふうなことが見積もられておるように、さきの愛知のトリエンナーレ等々を含めて、それぞれで、この成熟社会の中では、こうした形の経済効果というのはさらに大きなものになっていくだろうと思っています。

池坊委員 大臣から大変心強い御答弁をいただきましたが、そうなんです。文化庁というと、何だかかた苦しくて閉鎖的だと思われがちですが、違うんですよ。財務省にもよく理解して、ここに財務省の人がいないのが残念ですけれども、経済的な波及力があるのだということを、もっともっと発信していかなければいけないと思います。

 あれだけ、平泉、あの周辺は東日本大震災の波及を受けて、みんな気持ちも沈んでいる中にあって、そして、地方では、やはり外国人も来なくなった中にあって、これだけことし観光客がふえているというのは私はすばらしいことではないかと思うんですね。

 私が住んでおります京都にも観光客が来るのはなぜか。それは、やはり文化があるからなんですよ。文化がなかったら、だれも京都には来ません。その文化の魅力で来るんだと思います。特に、平泉は三年前は登録延期とされていて、リベンジを図られた地元の方々の御熱意、またそれに協力した文化庁の職員たちも偉かったなと、私は敬意を表したいと思います。

 日本には、このような文化的な遺産がたくさんございます。我が国において古くから伝えられてきた多くの貴重な文化財の保護、継承というのは重要だと思います。そういうものがあってこそ、初めて世界に公開することもできるのだと思っておりますけれども、それにはお金がかかるわけですけれども、大臣はいかがお考えでいらっしゃいますか。

中川国務大臣 そのとおりでありまして、投資した資金というのがこうした形で、経済波及効果の中で生きてくるんだということを、私たちももっともっと主張しながら財務省に立ち向かっていきたいというふうに思っています。

池坊委員 御一緒に立ち向かってまいりましょう。

 次に、具体的な施策についてなんですけれども、伝統文化こども教室というのがございました。これは平成十五年度から実施されてまいりまして、それこそ地域と結びついていて、そして、親と、あるいはおじいちゃま、おばあちゃまと子供が一緒に学びましょうと。それも、あてがいぶちではなくて、先生が自分で場所を探してきて、そして生徒も探してきて、するという、親子のきずな並びに地域のきずなを深める極めて重要なものであったのではないかというふうに、私は考えております。

 先ほど教育基本法に神本政務官はお触れになりましたけれども、「教育の目標」の中には、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」と書かれております。つまり、グローバリゼーションになって、我が国がこれから世界の中で尊敬されていくためには、英語がしゃべれる、こんなのは当たり前のことなんですね。どれだけ自国の歴史や文化を受けとめ、そしてそれを発信していく能力を持っているか、それによって世界で尊敬されるかどうかに私はかかってきているのではないかと思っております。

 ところが、平成二十一年十一月に実施された行政刷新会議の事業仕分けにおいて、国の事業としては実施しないとの評価を受けて、平成二十二年度で廃止になり、平成二十三年度は、地域の伝統文化を生かした観光振興・地域活性化事業の中で後継事業として実施されるようになりました。後継事業では、地方自治体の策定する文化遺産を活かした観光振興・地域活性化に関する計画に位置づけられる必要があり、小さな団体ほど対象になりづらいというのが現状なんです。

 私は、以前からもこの委員会において、伝統文化の継承の重要性について指摘してまいりましたし、本年八月には自民党の古屋委員が、当時の高木文部科学大臣に対して、事業規模の縮小の問題点や、地域の伝統文化を継承していくため国として十分な支援を継続していく必要性について質疑をなさいました。その際、高木文部科学大臣は、全国各地に伝わる伝統文化を次代に継承する子供たちの体験の場を確保することは重要である、検証しながら、新しい方法も検討していきたい旨の発言をされました。

 それでは、平成二十四年度概算要求において、その検証や検討結果をどのような形であらわそうとしていらっしゃるかをちょっと伺いたいと思います。

中川国務大臣 子供たちが伝統文化に触れるということ、これは御指摘のように、非常に基本的に大事な取り組みであるというふうに私も思います。

 過去の議論の中で何を改革したか、あるいは事業仕分けでどこのところを指摘されて変えたかということなんですが、これは文化庁から、いわゆる伝統文化こども教室事業のケースでは、資金がおりていく先が伝統文化活性化国民協会ということで、それぞれの事業団体を見て、いわゆる国の事業団体を見ておりていたわけですね。

 これを、いろいろな指摘の中で、身近な地方自治体の、それこそ市町村レベルで子供たちを具体的に支援ができるような仕組みをつくっていって、その仕組みの中に、地方自治体に資金を流すという形がこれはふさわしいんではないかというような議論の中で、先ほど御指摘のあった、文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業の範疇で市町村が計画を立てて、その計画を立てたものに入れていく、こういうことです。

 結果的には、恐らく現場での戸惑いがあったんだろうと思います。市町村に対しての、どのようにアプローチをして、アピールをしてこの事業をやっていきたいんだということについて、切りかえた時点で戸惑いがあったんだろうというふうに推測をされます。そこのところもしっかり見ていきながら、この事業については、継続もしていきたいし、さらに発展もさせていきたいというふうに思っています。

池坊委員 先ほど申し上げましたように、小さな、本当に細々とやっているところも、国の支援があるということで、またもう一度頑張る。本来的には、いろいろな書かなければならない書類を提出するのは、そういう伝統的な仕事をしていらっしゃる高齢者の方なんかは特に大変なんです。でも、国が今まで認めてこなかった自分たちの伝統文化を評価してくれている、そのことに喜びを感じてこれを申請していらっしゃる方もたくさんいらしたんですね。それは本当に小さな、小規模のところにも、何か手厚い手が差し伸べられておりました。

 新しくなりましたシステムは、大規模に行って、すぐ団体になってしまうんですね。ですから、ぜひこれはきめ細やかな、もとのいい面をすくい上げて、こうしたものにしていただきたいと思います。

 伝統こども教室が廃止になって、例えば生け花界でも署名が十何万とありました。だから、いろいろな部署で本当にたくさんあるんだと思うんですね。大臣がおかわりになって、その署名活動したのをどこに持っていっていいかわからないということも聞いておりますので、ぜひ、先ほどおっしゃいますように、事業仕分けでは、関係団体のお手盛り事業となっている、本来の事業目的からずれており、今さら必要ないというような指摘がされて廃止をされた。だけれども、本当はそうではないんだ。もっと実情をしっかりと把握していただきたい。だって、実施数とか女性客は大幅に増加したのが実情でございます。ですから、やはり現場の声を聞いていただきたいなということを強く思います。

 例えば、私、生け花で花の甲子園というのをしたんですね。これは甲子園ですから、それぞれのブロックで、花を高校生たちが競うんです。そうしたら、東北のブロックでは、例えば陸前高田の附属高校では、私たちのところには松が一本だけ残った、その松の枝をとってきて、これとともに花を生けます、それは未来に対しての私たちの願いですと。

 それから、福島の磐城高校は、今、二割生徒が、削減しちゃった。存亡の危機なんです。だから、校門の前のヒャクニチソウをとってきました、これで花を生けて、夢や希望をつないでいきますと。それから、秋田県の高校生はナンテンを持ってきて、何でナンテンかなと思ったら、難を転じますと言われまして、それぞれお花を生けながらスピーチするんですけれども、本当に私は涙が出ました。

 文化芸術、その伝統を通して子供たちが、心が豊かになっていくということが私は必要なのではないかというふうに思っておりますので、その点を、各団体の支援とともに、改めて個人個人の、そうした人たちの思いというものを受けとめていただきたいと思いますので、再度ちょっとその御答弁、先ほどのでよろしいですか。

中川国務大臣 現場の状況をでき得る限りまた把握をさせていただいて、頑張っていきたいというふうに思います。

 ちなみに、今回の地域の文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業、これの枠組みについては三十五億二千万を要求しておりまして、対前年度三億二千万増という形でこれもチャレンジしております。

 当面、これでそれぞれの活動しておられる皆さん方のところへ向いて資金が行くということになっていますから、またよろしくお願いを申し上げます。

池坊委員 子供の読書推進に対しての国の施策をお尋ねしたいと思います。

 十月二十七日から十一月九日までは読書週間です。私は、子供の運動プロジェクトチームの党の座長として、何度も申し上げますけれども、三つのことを頑張ってやってまいりました。朝の十分間の読書、これは今、小中高七二%の子供、そして二万七千校がやっております。それから、ブックスタート、読み聞かせです。

 先月、文部科学省に設置された国民の読書推進に関する協力者会議、ここからの報告書が公表されました。この会議が置かれた背景には、平成十三年の子どもの読書活動の推進に関する法律、そして平成十七年の文字・活字文化振興法の制定があり、また平成十九年の学校教育法の一部改正で、義務教育の目標として「読書に親しませ、」という文言が新たに盛り込まれるなど、読書の重要性に関する社会的意識の高まりを受けて、平成二十年六月の国会決議によって、平成二十二年を国民読書年として、読書推進に向けた機運を高めていったと思います。

 私は、本当に本を読むことは大切だと思います。私は、青春時代に本を読むことによってさまざまな挫折や困難に立ち向かうことができたから、子供たちにそういう思いを持ってほしい。美智子皇后もよくさまざまな中でおっしゃいますけれども、読書を通して、自分が不幸だなと感じたときにも、もっと不幸な人たちもいるのだと、そういう勇気をもらう、あるいは、人間は何のために生きているのかとか、公平性とか正義感とかさまざま、それから、子供たちに今欠けている不足の能力もこれによって養うことができるのではないかというふうに思っております。

 この報告書の中の提言の一つに、「読書で人を育てる、「読書を支える人」を育てる」として、学校図書館の司書教諭を必置とし、その専任化を推進すること、また、学校図書館担当職員、いわゆる学校司書の配置やその常勤化の推進方策について検討すべきことが提案されております。

 これは子供の読書推進のために極めて重要ではないかと思っております。特に、学校司書がいるところは図書館も非常に活性化しておりまして、子供も本が好きになるというような、さまざまな学校図書館を視察してまいりました結果、そのような結果も得ております。

 この提言に対して、大臣はどのように認識し、その実現に向けたどのような取り組みをしていらっしゃるかをお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 とかく私たちは、図書館の整備、本の、蔵書をふやしていくということに自分たちの意識をとらわれがちなんですが、これも大事なんですけれども、それ以上に、さっき御指摘のように、司書を置くことによって、子供たちに読書の喜びというか、それと同時に、自分の興味の中で何をひとつ読んだらそれが充足できるかというような、そういう方向づけもできていく、そんな中で図書そのものが生きてくるんだというふうに思います。そこのところは大切なポイントだということ、これをしっかり押さえていきたいというふうに思っています。

池坊委員 ぜひ、子供の読書のためにも予算をとっていただけたらというふうに思っております。

 次に、ちょっとかわりまして、スポーツについて伺いたいと思います。

 国立競技場を改築、整備する必要があるのではありませんかということを奥村副大臣に伺いたい。これは大臣も答えたい、担当でいらっしゃいますね、奥村副大臣。

 国立競技場というのは新宿にあって、大変アクセスがいい。さまざまな競技が行われました。アジア競技大会、オリンピック東京大会、ユニバーシアード東京大会、世界陸上競技選手権大会、サッカー、トヨタカップ。そのたびごとに私は、そのそばを通りながら、自分のそれぞれの人生の時を重ね合わせながら懐かしく感じておりましたが、これは実は昭和三十三年に建てられて、既に五十年以上が経過しております。アクセスがいいんですけれども、五万四千席しかございません。聞くところによると、世界大会をするには、やはり八万席が必要であるというふうに言われていると私は耳にいたしました。

 ことし六月に成立しましたスポーツ基本法において、国は、国民が身近にスポーツに親しむことができるよう、スポーツ施設の整備等や国際競技大会などの開催のために必要な施策を講ずるよう努めなければならないということが規定されております。

 さらに、二〇一九年にラグビーワールドカップ大会が開催されるんですよね。東京での二〇二〇年のオリンピック大会招致、これなどを考えますと、余りにも国立競技場でやるのは難しいのではないかというふうに考えますし、さりとて遠いところだと、やはりアクセスが悪かったらみんなが行くということが不可能だと思います。

 ぜひ、やはり競技場というのは日本の一つの顔であるから、東京の中心にこうした立派なものをつくってほしい、お金がかかるんだよということではなくてと私は考えておりますが、副大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。

奥村副大臣 お答えいたします。

 池坊委員は、文化はもとよりスポーツにも、文教にいろいろと御尽力を賜っておりますこと、また御指導いただいていることに感謝を申し上げたいと思います。

 今お話しのとおり、昭和三十三年に第三回のアジア大会が開催をされました。そして六年後に東京オリンピックが開催されたわけでございます。メーン競技場として立派に活躍をしてくれたわけでありますが、仰せのとおり、もう半世紀を超えております。

 そうした長い中に、今もお話がございましたように、二〇一九年、ワールドラグビーが日本で開催をされます。そして、これからも先生を初め各政党の皆さん方にお世話になるわけでございますが、今、東京オリンピック招致ということで、二〇二〇年を、我々、東京都を中心に、これから招致活動をしていこうという準備をしているさなかでございます。そうなりますと、お話のとおり、五万人そこそこでは、世界の競技場として胸を張ってお受けすることはできません。やはり、ワールドラグビーもそうですが、八万人以上の競技場が必要になってまいります。

 その体制をしっかり整えるということにおきましても、何とか、我々、スポーツ、そして文科省としても、この対応に来年度概算要求に何としても調査費を要求して、そして、名実ともに、日本のスポーツ、御苦労いただいて、御協力をいただいた基本法のもとに、やはり国家戦略として進めていきたいというように思っているところでございますので、ぜひ、今、池坊委員からもるる激励をいただき、お話をいただいたとおり、我々もしっかりと取り組んでいきたいというように思っているところでございます。

 なお、二〇二〇年のこのオリンピックは、東日本の大震災におきまして、百六十カ国以上の国からいろいろと物心両面の応援をいただきました、やはり、日本が復興復旧をし、ここにスポーツの連動もしっかり、そしてオリンピックを開催して、世界に発信をしていく。元気な日本になったぞと言っていただけるような、その大会にしたい。その前のラグビー大会も当然でありますが、そういう思いを持って、二〇二〇年を、東京都を中心にオリンピック招致の骨格を今つくりつつあるということも御理解をいただければというように思っております。

 どうぞよろしくお願いをいたします。

池坊委員 奥村副大臣から大変に力強い御答弁をいただきまして、希望がわいてまいりました。なでしこジャパンではありませんが、子供たちにやはり夢や希望をスポーツは与えると思います。

 文武両道と言うととても格好いいんですが、実は私は運動神経が大変鈍くて、自転車に乗れないとか泳げないというのがあるんですけれども、その分、子供にはそういう思いをさせまいと、小さいときから水泳教室に通わせたりスキーをさせたりというふうにしてまいりましたけれども、やはり、体を動かすということは、何か緊張もほぐれて、ストレスがなくなっていくんじゃないか。私は、子供たちに、本を読む楽しみ、それとともにスポーツをする楽しみ、さまざまな楽しみを与えてあげたいなというふうに願っております。ありがとうございます。

 では、ちょっとまたがらっとかわります。

 私、奨学金について大臣に質問をしたいと思うのです。

 公明党は、ずっと奨学金に対しては心を砕いてまいりました。一点、私が質問したいと思っておりますのは、高校生修学支援基金のさらなる活用の必要性です。

 これは、私は、八月十日の通常国会における文部科学委員会においても、平成二十一年度の第一次補正予算で措置された高校生修学支援基金について、都道府県に二分の一の負担があることによって使い勝手が悪いと言われております、この基金は平成二十三年度までの三年間の期間をさらに延長すべきであるということを高木前大臣に申し上げてまいりました。

 その後、会計検査院から国会に十月十七日に報告された国庫補助金等により都道府県等に設置造成された基金の検査についての報告において、高校生修学支援基金事業について、平成二十二年度末の執行率が全体で三一%にとどまっていること、その理由として、都道府県ごとに奨学金事業等の実施方法が異なるのに、それを考慮せず全国一律に計算し交付していたことなどが指摘されております。検査全体の所見として、各府省は基金事業が適切かつ有効に実施されるよう努める必要があるというふうに指摘されております。

 私はずっと、この二分の一というのは基金でしょう、基金なら一〇〇%、十割が当然ではありませんかというように申し上げてまいりました。今般の第三次補正予算案の検討に当たり、会計検査院の指摘を踏まえてどのような改善が図られたのか。また、前回も要望いたしましたが、これをぜひ十割とすることに対しての大臣の御見解を伺いたいと思います。

 これは、いろいろなところから、二分の一の基金というのは困るよとおっしゃる方々が多いんですね。それから、御存じのように、今都道府県、私、一覧を見ましたら、やはり都道府県によって経済的に大変なところは使われていない。じゃ、高校生が大変じゃないかというとそんなことはないんです。高校生は大変な状態に置かれておりますので、ぜひこれを十割にしていただきたいと私は思っております。

中川国務大臣 この基金は、当時の経済状況の悪化を受けまして、経済的理由によって高校生が修学を断念することがないように、平成二十一年度に、各都道府県に対して、御指摘のように総額四百八十六億円を交付して創設されました。

 各都道府県への調査によると、平成二十三年度末の残高見込み額は、これも御指摘のように二百五億円ということになってしまう。各都道府県において執行率に大きな差があるということであります。

 例えば、群馬や千葉、神奈川、富山、石川、福井、静岡など、こういう県は一〇〇%やっているんですね。ところが、新潟、山口、奈良というところは一六・五とか一七%前後というふうな形で、非常に執行率に大きな格差がある。なぜこんなことになったのかということをしっかりと把握していかなきゃいけないと思います。

 一つは、二十一年度以降の各都道府県ごとの経済的な影響、これが大分まだら模様があったんだろうというようなことだとか、あるいは対象生徒数の増減にも差があった、また、高等学校就学支援金が導入されたことによって、一人当たりの取り崩し額対象となる授業料等の額が減少したというようなこと、こんなことがいろいろあったんだろうというふうに思います。

 この基金については、各県から要望もありまして、今年度第三次補正予算において、三年間の延長それから積み増しをする予定であります。百八十九億円ということであります。

 今後とも、授業料減免事業、それからもう一つは奨学金の事業、これと組み合わせて、修学困難な高校生に対して引き続き支援をしてまいりたいというふうに思います。

池坊委員 次に、高校生に対する給付型奨学金についてお伺いしたいと思います。

 私は、高校生は給付にするべきというふうに考えております。なぜならば、高校生の段階でもう既に社会に、国に借金を負っていかなければいけないというのは余りにも私はかわいそうじゃないかと。ですから、みんなが平等に学べるようにというふうに考えております。

 この高校生に対する給付型奨学金に対しての経緯をちょっとお話ししたいと思うんですが、平成二十一年七月三日に「教育安心社会の実現に関する懇談会報告」というのがございました。これは自公政権下ではございましたけれども、この懇談会というものそのものは、政権にかかわりなく、未来ある子供たちにどのような教育環境を与えたらいいのかという真摯な懇談会です。

 その中に、年収おおむね三百五十万円以下の低所得者世帯の高校生を対象に、入学金や教材費など必要不可欠な教育費の負担を軽減するための新たな修学支援方策を検討し、可能なものから速やかに実行、二点目は、私立学校に通う生徒に対する手厚い負担軽減策を講じるとございました。

 これを受けまして、平成二十二年度概算要求、これは自公政権下における八月の要求でございましたが、四百五十五億だったんですね。対象者は収入三百五十万以下の世帯の生徒たち、そして対象も、入学料、施設整備費、これは私立の場合です、それから教科書費、学用品、制服費、通学用品、それから修学旅行費でした。支給額は、国公立は、一年生で十一万、二年生で十二万、三年生で四万円、私立は、一年生四十八万、二年で十五万、三年生で四万円でした。

 ところが、十月、選挙によって民主党政権下になりましたとき、平成二十二年度概算要求は、何と百二十三億円に下がっちゃったんですね。これはどうして下がったのか。やはり財務省の力があって、何か政権与党がそれにふんふんとうなずかれたのではないかと私はすごくがっかりしておりますけれども、対象者は収入三百五十万円以下の世帯の生徒、これは変わらないんですけれども、対象が、入学料、まだこのときは入学金は認めてあげようという気持ちがおありになったようです、これは私学ですけれども。公立は安いです、何千円ですから払う必要はないけれども、私立というのは入学金が高いんですね。ですから、このころはまだ配慮があった。それで、教科書費となっております。

 平成二十三年度概算要求は百二十二億になりまして、平成二十四年度概算要求は百二億。私がすごく残念に思いますのは、対象者が三百五十万以下から二百五十万以下の世帯となりましたこと、それから、対象の、使うべきものが、教科書代一万八千三百円なんですね。一万八千三百円とは、月に千五百円なんですよ。つまりこれは、高校の授業料を無償化するからいいのではないかというお考えのもとだと思うんですが、私立というのは入学金が高いんですね。それから、修学旅行に行く、部活に行く、いろいろな費用がかかります。月に千五百円というのは余りにも少ないのではないか。私は、教科書代相当、一万八千三百円、これは低過ぎますということを申し上げたいのです。

 もう一つには、支給の対象者の収入の上限額、二百五十万、私はこれは極めて低いと思います。こういう子供たちは、高校の授業料というのは既に無償になっている人が多いんですね。ですから、無償になったからといって、では喜んでいるかというと、そんなことはないんです。家計が楽になっているかというと、そんなことはないというふうに私は思います。

 これをぜひ上げていただきたいということと、これはやはり、不登校の子供とか働いていない子供というのは対象になっていないんですね。学校に行っている子供が対象です。

 それから、二百五十万の子供たち、これは、扶養控除の見直しによって扶養控除がなくなると親たちが大変だから、これをどうにかしなければいけない。これは本当にそうなんだと思いますけれども、これを入れましたがために、いびつな形の奨学金になっているんですね。

 例えば、二百五十万、課税最低限未満の人たちというのは、公立通信制、十八歳以下ですと一万八千三百円です。それから、特別支援学校、これはもともと入学金とか授業料がなかった、一万八千三百円なんですけれども、二百五十万以上、例えば二百六十万の人たちは、公立通信制に行っているのは三万八百円、返すつもりなんだと思いますが、特別支援学校の人は三万七千円というふうになっているんですね。

 ですから、本当に困っているのに減ったんだというのが現実であるということと、私立がすごく今負担が公立よりもかかるにもかかわらず、一律でこういうふうになっておりますので、これをどうにかしていただきたいというふうに思います。

 経済にはすごくたけていらっしゃる大臣ですけれども、子供の視点に立って、ここをどうにか、もうちょっと、せめて年収三百五十万、それからこの一万八千三百円を変えていただけたらというふうに思います。

中川国務大臣 そうした御指摘をいただくたびに、心が痛みます。できれば本格的な奨学金、いわゆる給付型の奨学金を高等学校レベルに入れていきたいということ、これは前政権からずっと受け継いできた、前政権というのは自公の政権から受け継いで、私たちもその思いで、その額を財務省に対して要求して今日まで来たということでありますが、なかなか壁を、いわゆる給付型というだけで財務省はなかなか厳しい見解を持っているんですね、そこを乗り越えていくということだと思うんです。

 その中で、今回、二百五十万円未満の低所得者、この生徒に対しての給付型の奨学金、それからもう一つ、さっき御指摘のように、特定扶養控除見直しに伴う負担増、これはすべての家庭ですが、すべての家庭を対象にした奨学金、この二つの類型に分けて百二億円の計上をしております。

 ある意味で、芽出しといいますか、ここから出発させていただいて、次の施策へ向いて発展をさせていきたいということで、まずはこの給付型の奨学金を現実のものにするということ、これにすべてをかけていきたいというふうに思っていますので、また御支援、ひとつよろしくお願いを申し上げます。

池坊委員 そんな心細いことをおっしゃらないで。最低がここだ、せめてここなんておっしゃらないでくださいませ。

 御存じのように、公立だと大体授業料以外の必要経費というのは二十四万円です。私立ですと四十六万円かかるんですね。ですから、やはり子供たちにとっては、豊かにとまではいきませんが、せめて月千五百円じゃねという感じは、多分、大臣だって心苦しいとおっしゃったから感じていらっしゃるのではないかと思います。

 特定扶養控除見直しに伴って、例えば所得税率四〇%になる約二千五百万円の年収の方たち、この方は十一万二千円減額になるんですけれども、こういう方々にも三万八百円を払っているわけですよね。ですから私、これをなくしたらもうちょっと上げることもできるのではないかというふうに思っておりますので、この辺もちょっと大変だけれども工夫して、二千五百万の年収の方は、四〇%の方は、十一万で三万円、それでも三万欲しいわというお気持ちがあったとしても、みんなが助け合う社会でなければならないと私は思っておりますので、ぜひこの辺も、上限を切るというような見直し等をしていただけたらというふうに私は思います。これは大きな課題だと思いますので、ぜひこれをしていただきたいと思います。

 次は、大学生に対する奨学金事業です。

 本年九月にOECDが発表した調査結果によると、二〇〇八年の我が国の教育支出に占める私費負担の割合は六六・七%で、OECD平均の三三・一%を大きく上回っております。

 公財政負担と家計負担の比率については、税の再分配の問題ではありますが、家計負担の比率が大きいということは、経済不況の影響を強く受けることを意味しており、実際に、近年の経済状況の悪化によってか、奨学金の貸与希望者は年々ふえ続けております。こういった状況からも、高等教育を受けようとする人々にとって、奨学金が果たす役割というのは極めて大きいのではないかと思います。

 そのような見地に立って、私ども公明党は奨学金制度の拡充というのに努めてまいりました。言うまでもなく、無利子しかなかったのに、有利子でも借りたい、それでも学校に行きたいという人がいる。それから、成績も緩和いたしました。優秀な人だけでない、この日本を支えているのはまじめに、誠実に勉強している普通の子供たちではないか。そういう子供たちを支えなければならないという思いが強かったからです。

 文部科学省は、平成二十四年度概算要求において、従来の無利子、有利子奨学金の貸与人数の増加に加え、無利子奨学金のみでは修学が困難な者に対して、新たな給付型奨学金を支給することを盛り込んでいらっしゃいます。

 概算要求を拝見いたしますと、給付型奨学金については二万一千人を対象とすることとされていますが、具体的な支給の基準とか、対象者の選考方法、支給方法、支給額について、ちょっとお尋ねしたいと思います。

中川国務大臣 高等学校と同じで、ここでも改めて給付型の奨学金に挑戦をしていくということにしております。

 詳細については、具体的な選考方法あるいは支給方法、これは、今後、日本学生支援機構あるいは大学等の関係者と相談をしながら、適切な方法について検討していくということになっておりまして、まだ具体的な政策にまでは至っておりませんので、また決まり次第、御連絡をしたいというふうに思います。

池坊委員 先ほど申し上げた高校生の給付型、四十二万五千人と数が多い。大学の場合は五万人とか、ぐっとけたが違う、絞られるということがございますが、まずは高校生の給付型をきっちりと確保していただきたい。

 それから、やはり大学も給付型というのは、日本だけじゃないかなと思うんですね、こういうものが余り確立していないのは。いろいろな国ではそうした給付型というのを積極的に取り入れておりますから、やはり日本はこれを取り入れるべきではないかというふうに思っております。

 東京大学の大学経営・政策研究センターが二〇〇七年に発表した高校生の進路追跡調査によりますと、両親の年収が少ないほど四年制大学進学率が低く、逆に就職する割合が高い。つまり、進学をしないで就職している子供たちが多いんですね。さらに、民間の調査機関にある高校教諭対象の大学の学費に関するアンケートでは、学費を理由として進学を断念したとする割合は七割を超えているというデータも出ております。

 先ほど申し上げましたように、諸外国と比較しても自費負担が大きい日本の高等教育においては、奨学金が持つ意味は非常に大きいと思います。私は、給付型奨学金創設を実現することが絶対に必要なのではないかと思いますので、平成二十四年度予算案においては、ぜひ給付型奨学金創設の実現に向けて、大臣、頑張っていただきたいと思います。

 先ほど、これはまず頑張るとおっしゃったように受けとめましたので、改めて大臣の御答弁は伺いませんけれども、奨学金制度のあり方についてちょっと伺いたいと思います。

 平成二十四年度概算要求では、無利子貸与人数の三万人増加、有利子貸与人数の四万七千人増加が盛り込まれております。貸与人数の全体数の増加は重要なことですけれども、平成二十三年度予算における無利子奨学金の貸与者数と有利子のそれを比較すると、有利子奨学金の貸与者数が無利子奨学金貸与者数に比べ約三倍になっているんですね。

 有利子奨学金については、創設された日本育英会法の附帯決議において、「奨学事業は、無利子貸与制を根幹としてその充実改善に努めるとともに、有利子貸与制度は、補完措置とし財政が好転した場合には検討すること。」とされております。しかし、平成十一年に財政投融資の積極的な運用を目的とした高額で選択制の有利子制度が創設されて以後は、徐々にこの有利子奨学金の拡充が進んでまいりまして、補完措置とは言えない状況になっているのではないか。つまり、無利子でやっていくのが本来の姿であるというふうに私は考えておりますけれども、現実にはそういかないで、有利子が、さっきも申し上げたように三倍になっているというのは、やはり私、これはいびつなのではないかと思います。

 先ほど申し上げましたように、学費を理由として進学を断念する、それで、進学状況が両親の所得に影響を受けている状況があるというのは、私は、本当に子供にとっては、子供はそのような環境を選んで育っているわけではありませんから、せめて高校、大学はしっかりと勉強させてあげたいという思いが強いです。

 本年一月より、返還時の減額措置等の導入など、一応の返還時の配慮がされてはいますが、不安や雇用不安がある現在の経済状況においては、低所得な家庭ほど有利子奨学金の返済に対して負担を感じやすく、借りることをあきらめてしまう傾向があるというような指摘もございます。

 それはそうだと思うんですね。家が大変経済的に困窮している、それでいて有利子のお金を借りる。そうすると、それを返済できるだろうか、返済できないだろう自分の未来を考えたときに、勉強はしたいけれども、ここでやはり進学を断念しようと思う子供がふえる。

 そういうことは、私は、日本の国力からいっても国益からいっても、絶対に好ましいことではないと思うんです。無利子奨学金、それから先ほど申しました給付型奨学金、これを奨学金制度全体としてもう一度検討を行うべきではないか、どのような配分でどういうふうにするのか。これは、国のあり方にかかわってくる、国の根幹にかかわる問題でもあると私は思いますので、このことについての大臣の御見解を伺いたいと思います。

中川国務大臣 御指摘のように、有利子奨学金事業というのが、想定していた当初の目的以上にふえてきているということについては、さまざまな理由があるんだろうというふうに思います。その辺もしっかり一度分析をしながら、あるべき奨学金の姿というのを検討はしていきたいというふうに思います。

 とにもかくにも給付型奨学金、これをまず実現させるということ、これを第一歩に一つ一つの改革に向かっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

池坊委員 今おっしゃったように、給付型奨学金、ぜひ頑張ってゲットしてまいりましょう。

 それから、有利子の奨学金が無利子より三倍にふえたから、これを縮小などということはあってはならないと思うんです。それは、やはり必要に応じて、無利子は貸与できなくても、有利子でも借りたい、それだけ経済的に困っている、そういう環境にある子供たちを救うためには、有利子も必要ですけれども、本来それは無利子を拡充すべきであって、そして給付型を拡充すべきであるということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

石毛委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 東日本大震災から七カ月がたちましたが、生活の再建は遅々として進んでおりません。教育の分野でも、余りに大きな規模の被害であり、現行の制度だけで済ませるのではなく、国が全面的に支援することが求められております。さまざまな課題がありますけれども、緊急の課題として、大学入試センター試験の問題についてお聞きしたいと思います。

 震災の影響により、従来の試験会場では試験実施が困難な地域が現にあるのではないかと思うんですね。福島、宮城、岩手の三県で、試験会場の変更や新たな試験会場の設定は、現状、どうなっているか。これは高等教育局からお答えいただけますか。

磯田政府参考人 大学入試センター試験は、大学入試センターと大学が共同して実施する試験であり、試験会場の設置につきましては、各都道府県単位で、教育委員会や高等学校長会等の意向を踏まえつつ、大学が定めております。

 今御指摘がございました被災を受けました三県におきましても、対応が検討されておりまして、北から、岩手県におきましては、昨年度までの会場で使用できない一カ所につきまして会場変更、さらに新たに会場を一カ所設置するということで、昨年度より一カ所増の七会場にて行う予定としております。

 それから宮城県につきましては、これは現段階ですけれども、昨年度と同じ会場、十一カ所にて実施予定でございますが、一部、意見が、調整に今時間がかかっているものがございます。

 それからもう一県、福島県におきましては、昨年度と同様に、計七会場で実施予定でございますが、昨年度までの会場で使用できない一カ所について、これも会場変更を行う予定でございます。

宮本委員 昨年やれなかったところは会場変更する、岩手では一カ所ふやす、こういう状況でありますけれども、宮城なんですね。

 十月二十四日の復興特でも議論になりましたけれども、文部科学大臣あてに宮城県気仙沼高等学校のPTAから、試験会場の気仙沼市内での設置を求める嘆願書が提出されております。一昨日の高等教育局長答弁では、いろいろ難しい面はあるが、被災受験生の進学機会を確保する、これを基本に、どのような措置が可能か、地元を含めた関係者で検討を進めているということでありました。

 嘆願書を読みますと、季節はインフルエンザの流行する一月半ば、さらに大雪の年も少なくありません、こう述べて、他の受験生が受験当日の朝、自宅で朝食をとり、家族に見送られて家を出るのに対し、気仙沼、本吉、南三陸地区の受験生のほとんどが、見知らぬホテルでよく眠ることもできないまま、不安を抱えながら会場に向かうのです、健康面、費用面、交通事情など、不利な状況が多い中、親も子供たちも、大学入試センター試験でいつもどおりの実力が出せるのかどうか、とても心配しておりますと切々と訴えております。

 気仙沼には、気仙沼高校を初め、会場となる場所はあるんです。文科省からも、気仙沼高校なら予想される二百数十名規模の試験会場を設置することは物理的には可能だとの回答を得ました。

 大臣、これは、親の気持ち、それから子供たちの気持ちに寄り添って解決すべきだと思いますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

中川国務大臣 この問題について、先般の復興特で、たしか自民党の小野寺議員だったと思うんですが、同じような御指摘をいただきました。その後、すぐに、それが可能である状況をつくるべく努力をしなさいということで指示をしまして、その話し合いが今なされているというふうに思います。

宮本委員 ぜひ親御さん、子供たちの最善の利益というか、その思いにこたえて、対応していただきたいと思います。

 次に、教科書採択について質問いたします。

 まず、原則論を大臣に確認したいんですが、教科書採択は、子供の最善の利益の立場に立って、その地域、学校の子供たちの学習に最もふさわしいものを教育の観点から選んでいくことにその重要な核心がある、私はこう思いますけれども、これは大臣、よろしいですね。

中川国務大臣 教科書の採択は、教科書が主たる教材として学校教育において重要な役割を果たしているということにかんがみて、地域の教育を行う上で適切と思われる教科書を選んで、採択権者の権限と責任により行うことが必要であるというふうに思っています。

宮本委員 子供のためにやはり最善のものを選ぼうと思えば、現場で教えている教師が積極的な役割を果たすことは欠かせないと思うんです。これは、国際的にも以前から確認されている原則なんですね。

 具体的には、一九六六年十月五日、日本政府代表も賛成して採択をされました、ユネスコ、教員の地位に関する勧告、パラグラフ六十一、ここに持っておりますけれども、「教員は、生徒に最も適した教具及び教授法を判断する資格を特に有しているので、教材の選択及び使用、教科書の選択並びに教育方法の適用にあたって、承認された計画のわく内で、かつ、教育当局の援助を得て、主要な役割が与えられるものとする。」こう明記をしております。

 文科省はもちろんこの勧告を尊重するということで、大臣、よろしいですね。

中川国務大臣 そういうことです。

宮本委員 いい教科書選びのためには、その科目を実際に教えている教員が積極的な役割を果たすのは当たり前であって、そのために、教科書調査員や学校の意向表明など、さまざまな創意や工夫が凝らされてまいりました。

 民主党の政策集、インデックス二〇〇九には、「教科書採択にあたっては、保護者や教員の意見が確実に反映されるよう、現在の広域採択から市町村単位へ、さらには学校単位へと採択の範囲を段階的に移行します。」こう書かれております。

 また、これは、ある政令市の教育委員を経験された方が書かれたものでありますけれども、「教員出身の私でさえ専門教科の社会科以外、完全に理解して採択に臨んだとは到底言い難い。 本当の意味で判断できるのは、実際に日々子供と向き合っている、その教科を専門とする教員以外にいない。」こう断言をされております。

 大臣、教科書採択について教員の意向が反映されるようにするのは当然だと私は思いますけれども、いかがですか。

中川国務大臣 教科書の採択のあり方は、インデックスの中に述べられているもの、これは将来の検討課題として私たちも意識をしていきたいと思っています。

 現在においても、教員、校長、あるいは教育委員会関係者及び保護者など、こういう幅広い意見を聞きつつ、最終的には、さっきも申し上げました、法律に基づく採択権者の権限と責任において採択が行われるものであるというふうに理解をしております。

宮本委員 民主党も、教科書採択に当たっては、保護者や教員の意見が確実に反映されることが望ましい、こういうふうに言っておられるわけでありますけれども。

 ちなみに、大臣、先ほどの、教科書を本当に判断できるのは現場の教員以外にない、こう断言された教育委員経験者とはだれだかおわかりになりますか。

中川国務大臣 いや、ちょっとわかりません。

宮本委員 この方は、自民党の義家弘介参議院議員、このモクという雑誌ですけれども、この雑誌のことし六月号に書いてあることです。

 教科書採択に当たって、教育現場の声、教員の声が反映されるべきというのは、民主党のインデックスでも、そして自民党の義家議員も、教員こそ教科書のよしあしを判断できると、ことしの六月の文書で断言をされているわけですね。

 ところが、この当たり前のことが守られずに混乱が引き起こされている地域があります。先ほど来議論になっている八重山教科書採択区であります。

 八重山採択地区では、採択協議会の玉津会長が、極めて強引な形で協議会の規約を選定手続途中で改定をして、協議会メンバーから教育の専門職など、現場サイドを外してしまいました。これには県教委もやり過ぎだと思ったのでしょう、八月三日に、採択地区協議会の適正かつ公正な運営についてという要請を出し、協議会メンバーに校長や指導主事を追加し、教育専門家の意見を役立てることを要請いたしました。しかし、玉津会長は取り合いもしなかったわけであります。

 当然、教科書調査員からは一人たりとも育鵬社を推薦する声は上がりませんでした。現場の教員はもとより、八重山のPTA協議会も育鵬社反対の意思表示をいたしました。それを強引に、八月二十三日、育鵬社の公民教科書を答申したというのがこの間の経緯でありまして、琉球新報九月七日付の県内世論調査を見ましても、育鵬社を含むつくる会系教科書を採択してほしくないという住民は六一・三%に上り、採択してほしいというのはわずか五%にとどまっております。

 大臣、まず、なぜここまで沖縄で、今回答申された育鵬社の教科書に対する反対の声が高いか、おわかりになりますか。

中川国務大臣 これまでの沖縄というところが置かれた歴史的な経緯、その中にある一人一人の国民の気持ちというのが、その中に反映をされているんだろうと思います。

 もう一方で、尖閣列島を初め、さまざまに今事象が起きておる。いわゆる中国を意識した一つの議論というものがあって、そのはざまの中で恐らく今の教科書についての選択肢というのが反映された議論があって、難しいところに来ているんだろうというふうに思っております。

宮本委員 それは本当に沖縄の心だと思うんですね。歴史上の事実をしっかりと見なければなりません。

 沖縄の地上戦では、日本軍による住民のガマ追い出し、食料強奪、スパイ嫌疑による虐殺、軍命による集団自決、八重山ではマラリア有病地への強制疎開など、本土と違う苛烈な戦争の惨劇がありました。かつて大問題になった集団自決の軍関与という問題も、大江裁判で、ことし四月二十一日、最高裁は上告を棄却して、日本軍の関与を認める判決が確定しております。

 ところが、この公民ではありませんが、この育鵬社の歴史教科書では、「米軍の猛攻で逃げ場を失い、集団自決する人もいました。」と、軍の関与には一切触れられておりません。こちらの公民の教科書では、大日本帝国憲法を、「この憲法は、アジアで初めての本格的な近代憲法として内外ともに高く評価されました。」と持ち上げておりますけれども、その旧憲法のもとで、沖縄の人々は方言や歌まで厳しく禁じられるなど、皇民化政策、こういうものが強要され、沖縄戦では多数の人々が犠牲になったわけであります。

 大臣、こうした歴史を踏まえた教科書を求める沖縄県民の心情、その心情については御理解いただけますか。

中川国務大臣 ここについて、専門的な教科書研究を踏まえる一方で、保護者等の意見も取り入れる工夫など、開かれたものになるように工夫しつつ、最終的には、これも採択権者がどこかで決定をしていかなければならないということだと思います。

 そういう意味で、何とか話し合いの上でコンセンサスをつくるようにということを、これまで県教委に対しても私どもも指導をしてきたところであります。

宮本委員 県民の多くがこぞって反対しているものをひっくり返すには、それ相応の教育的な検討が欠かせないはずであります。

 ところが、九月十六日の琉球新報によりますと、八重山採択地区協議会の玉津会長は、七月十九日の協議会連絡会で、九教科十五種目、百三十冊超の教科書をすべて読み込めないと発言した委員に対して、すべて読んでいなくても読んだと言えばいいと発言しております。そして、問題の公民教科書については、育鵬社に賛成した石垣市の教育委員は、公民はほとんど目を通していないので判断できないと、大勢が傍聴していた九月の三市町の教育委員会協議の場で公言をしております。

 現地でだれも推薦していない、教科書調査員のただの一人も推薦しない教科書を、他の教科書を全く読まずに選ぶというのは余りにもおかしいと思うんですね。

 大臣、教科書採択地区協議会というものは、教科書を読みもせずに答申を出していいと思われますか。

中川国務大臣 その辺のことについても、県の教育委員会の方から報告を求めて、そして、それぞれ手続にのっとった形で結論を出していってほしいということを言っております。

 改めて、今回、私どもが出した結論といいますか方向性について、最終的にそれぞれがコンセンサスをつくっていって、一つの形でまとまっていくように、もう一回指導をしていきたいというふうに思っています。

宮本委員 手続にのっとった形でと言うけれども、この強引な運営は、そういうものとなっていないんだということが現場の声なんですね。

 それで、先ほど紹介した自民党の義家参議院議員、同じ文書の中で、私も教育委員として教科書採択にかかわった経験を持っている、その経験からいうならば、そもそも教育委員が、すべての教科書を細かく熟読、比較検証し、児童生徒の現状も考慮して、数多くの教科書の中から最良だと思う一冊をそれぞれが選び、民主的な手続の中で採択するなんて作業ができるわけがないと述べておられます。やはり専門家たる教員の意見をきちんと尊重すべきだということなんですよ。

 それで、改めて原則に戻って、教科書採択地区協議会についてお伺いをしたいと思います。しばらくは事務方にお答えいただきたいんですが。

 まず、基本ですけれども、この教科書採択地区協議会が協議をしてまとめるもの、これはあくまで答申であって、採択ではありませんね、初中局長。

山中政府参考人 お答え申し上げます。

 採択地区協議会は、一般的には、採択地区内の小中学校が使用する教科書、これについて調査研究を行いまして、各教科種目ごとに一点にまとめて、これを採択地区内の教育委員会に対して、答申ですとか報告ですとか、いろいろな形がありますけれども、そういうことで出して、結論を出すということでございます。

 採択地区内の公立の小中学校、ここで使用する教科書の採択につきましては、例えばこのような採択地区協議会の答申を踏まえるとか、いろいろなことがございますけれども、その答申等の取り扱いも踏まえ、採択地区内の市町村協議会が協議した結果に基づきまして、種類ごとに、種目ごとに同一の教科書を採択するということになります。

 それをどういうふうに取り扱うかというところは、協議した結果に基づいて決めるということになるということでございます。

宮本委員 大事なところなんですよ。

 この採択地区協議会がまとめたものは答申であって、採択ではないですねと申し上げているんです。もう一度。

山中政府参考人 そこで協議した結果に基づいて、複数の町村等が採択する場合には、一種類の教科書を採択するということになります。採択するのは、教育委員会の方で採択するということになる。その場合、複数の市町村が一つの採択地区をやっている場合には、一つの教科書を採択するということになるということでございます。

宮本委員 後々の質問を想定して、妙な答弁をされても困るんですが。

 これは、つまり、教科書採択地区協議会が協議をして、例えばこの八重山の場合に、八月二十三日にまとめたものは答申なんですね。採択は各市町村教委がやると。もうそのとおりなので、ぐじゃぐじゃと言う必要はないと思うんですけれども。

 この答申は、市町村教育委員会の採択を拘束いたしますか。イエスかノーかで。

山中政府参考人 これは拘束するということではなくて、例えば採択地区内の公立の小中学校において、採択地区協議会の出した答申とは別の教科書というものを市町村教育委員会が協議して採択するということはあり得るということでございます。

宮本委員 要するに、拘束しないんですね。再度。

山中政府参考人 拘束するかどうかを含めて、それは採択地区内の教育委員会が決めたところに従って行うということになります。

宮本委員 拘束するわけないんですよ。

 答申と採択は別物ですね。答申と採択は別のものですね、初中局長。

山中政府参考人 答申は採択するに至る一つの過程でございまして、それは別のものでございます。

宮本委員 当たり前なんです。

 実際に教科書採択地区協議会の答申と違う教科書を採択した事例はあります。二〇〇九年、愛媛県今治市で採択地区協議会の答申と違う教科書を採択いたしました。中学校歴史の教科書でありますけれども、どこの教科書会社の答申が出て、実際、採択はどこの教科書会社を採択したか、初中局長、お答えいただけますか。

山中政府参考人 平成二十一年の中学校の歴史分野の教科書採択でございますけれども、今治地区の教科用図書採択協議会、ここは東京書籍を選定いたしましたが、今治市それから上島町の教育委員会、これは協議の結果、扶桑社を採用したというふうに承知しております。

宮本委員 東京書籍の答申があったが、採用は扶桑社を採用したということであります。

 ところで、確認しますけれども、この答申と違う採択をした今治市、ここで教科書は無償給与されておりますね。

山中政府参考人 これは、この採択地区において同一の教科書が採択されておりますので、これについては無償給付されております。

宮本委員 先ほど大臣は、文科省としては、八月二十三日に出された八重山採択地区協議会の答申及び八月三十一日の同採択地区協議会の再協議の結果が協議の結果であって、それに基づいて採択を行った石垣市と与那国町に対しては教科書の無償給与をし、協議の結果に基づいて採択を行っていない竹富町教育委員会については国の無償給与の対象としない旨の答弁を行いました。

 おかしいんじゃないですか。今確認したように、今治では答申と違う採択を行っても無償給与されております。なぜ今回、竹富町だけ無償給与しないんですか。

中川国務大臣 さっきの議論のように、一つの地域としてまとまって答申と違う教科書が選ばれたということについては、これは一つの地域でまとめて採択権者が文科省に報告があって、それを給付したということですね。

 今回は、一つの地域がまとまらなかったということ、それに対してどうしていくかということで、正当に、この八月二十三日と八月三十一日、これはいわゆるデュープロセスといいますか、手続に従ってなされた協議の結果、育鵬社として教科書が決まってきたということでありますから、それを受けた形で我々は執行していくということでありまして、それを竹富町がそのまま受けてくれたらもうそれでいいわけです。

 ところが、それは受けずに、別個の判断をしていくということをいまだ言っておられるので、もう少しそこのところは努力をしてくださいと県の教育委員会に申し上げているというところであって、それが最終的にどこで落ちつくかということを想定した上で、後の対応というのは、子供に支障のない形でということを考えていった場合には、これは竹富町自身の責任でもってそこを解決してもらうということになるでしょうということ、これを申し上げたということです。

宮本委員 答申どおりの採択でないからではないんだ、同一になっていないからだというふうにおっしゃる。

 無償措置法第十三条の四は、「当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない。」と述べておって、同一のものになっていないということでいえば、石垣や与那国も、この採択地区は同一のものになっていないという点では、竹富が現に同一になっていないという点では同じことなんですよ。そこだけ無償給与して、そして同一になっていないある一方だけ無償給与から外すというのは、つじつまが合わないんですよ。

 大体、八月二十三日の答申の結果というものは、先ほど私が申し上げたように、現場の教員の意見も聞かず、強引な運営で決めたものなんです。だからこそ、三市町の全教育委員十三人が集まって採決すれば、否決されるようなものなんですね。ですから、いずれにせよ、これは八重山地区の皆さんや沖縄県教育委員会が、この間、何とか、地区内の同一採択を実現するように、無償措置法に言う協議を行ってこられたんです。

 先ほどの大臣の答弁もありましたけれども、協議を行うことについては決して大臣も否定しない、協議して同一になればそれにこしたことはない、これはよろしいですね。

中川国務大臣 その努力を続けてもらいたいということには違いないということですが、さっきの私の話は、この八重山採択地区協議会の規約にのっとって採択地区協議会で出された結論、これは多数決なんですね。八月二十三日の八重山採択地区協議会の答申、そして八月三十一日の再協議の結果というのが育鵬社という形で出てきたということですから、それに従った手続を文科省としてやっていくということ、これが原則になっていきます。

宮本委員 だから、先ほどの質問でも、違法状態という答弁をせざるを得なくなるわけですよ。この十三条の四に照らせば、何も竹富だけじゃないですよ、他の二つだって同一になっていないという点では一緒じゃないかという議論になるんですよ。

 それで、現地は、九月八日に全教育委員が集まって協議をした。文科大臣はそれを協議が調っていないと言っておりますけれども、現場にいた県教委は有効だとしております。この協議には多くの傍聴者がいて、すべての発言を聞いております。私もその様子を起こしたものを全部読ませていただきました。

 会議は、各教育委員長に招集権限があると、石垣市の仲本教育委員長の言葉で始まっております。法にも理にもかなったスタートであります。

 そして、どういう協議の仕方をするかを各教育委員会で分かれて話し合い、竹富町と与那国町が全員でやろうと。石垣市は対案なし。それを改めて持ち寄った場で、二つの教育委員会が全員、一教委が対案なしなので、全員の協議で進めようとなったわけです。そのとき司会をしていた竹盛竹富町教育委員長の全員でということでという呼びかけに、出席者から、はいという返事があり、嫌だという返事はなく、全員で協議が進められていきました。

 こういう努力にずっと反対したのが、協議は無効と文科大臣に文書を出した二人の教育長であります。教育委員全員の意思でいえば自分たちが少数になるので、多数決は嫌だと逃げ回ったというのが、この日の状況、様子なんですね。

 その九月八日の協議を無効と決めつけるばかりか、先ほど指摘したとおり、問題の多い答申を絶対視して、答申どおりの採択をしない竹富町を違法とし、無償給与からも外してしまう。こんなでたらめなやり方は絶対に認められない。

 子供たちのための教科書を、教育の専門家の意見を反映させてきちんと選んでいくことを強く求めて、私の質問を終わります。

石毛委員長 次に、城内実さん。

城内委員 城内実でございます。

 中川大臣、文部科学大臣御就任おめでとうございます。

 きょう、私から何点か御質問させていただきたいと思いますが、一点目は、福島原発事故に起因する原子力損害賠償の問題について、特に地元の茶農家の皆さんから要望が来ておりますので、その点について質問させていただきたいと思います。引き続き、大臣の所信、文科委員会におきますごあいさつの中にあった全国学力・学習状況調査について、そして少人数学級の問題について、さらに、きょう下村議員からもありましたけれども、朝鮮高級学校への就学支援金支給の問題について、そして、最後に時間がありましたら、木育について質問させていただきたいと思います。

 まず第一に、福島原発事故によるお茶の損害の賠償についてですが、私は、六月一日の当文部科学委員会におきまして、福島原発事故により飛散した放射能に端を発するお茶への風評被害に対する賠償について質問をいたしました。早急に賠償の対象にすべきだというふうに申し上げましたところ、原子力損害賠償紛争審査会が出した中間指針において賠償の対象として認められましたことは、私は一定の評価はしたいと思います。

 しかしながら、まだかゆいところに手が届いていると言えない部分があるんです。それは、具体的に申し上げますと、風評被害に関する取引数量減少の点です。

 風評被害によって取引数量が減少したら損害賠償の対象となるということは認められたんですが、実際は、例えば地元の茶農家あるいは茶商の方から聞いた話ですけれども、お客さんによっては、ことしのお茶ではなくて、去年もしくは一昨年のお茶を売ってくれと。ですから、取引量は変わらないんですけれども、結局これは隠れ営業損害になる。そういうケースがあるんですが、実際、こういったケースでは損害賠償の対象になるんでしょうか、ならないんでしょうか。

中川国務大臣 私も、今そうして問題を投げかけていただいたんですが、直接的な知見を持ち合わせておりません。

 そういうケース、いわゆる個々に、さまざまに出てくると思うんですが、それは、そうした苦情を受けとめて具体的に解決をしていくための苦情処理のセンターというのができておりまして、そこへ話を持っていっていただいて解決をしていくという方法、これが一つございます。

 それからもう一つは、一般的なところで、基準をつくっていくもの、基準の解釈ということになっていく場合には、改めて東京電力の方に直接問い合わせていただくということで解決をしていただければというふうに思っております。

城内委員 決して焼け太りというようなことがあってはならないと思いますけれども、やはり中間指針で定められたもの、ある意味では大ざっぱな枠組みでございますので、今申し上げたケースも含めて、実情に応じてよりきめ細かな、そして柔軟な対応をぜひしていただきたいというふうに思っておりますので、大臣からも、関係機関、団体にそういった形で行政指導していただければありがたいと思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 来年度予算の概算要求で、小学校二年生の三十五人以下学級実現のために四千百人の教員増を打ち出しております。私は、社会状況が変化しており、ますます現場の職員の負担が大きくなっている中で、きめ細かい教育を可能にするこの方向性自体には全面的に賛成しております。

 他方で、当初は小学校一年生から中学校三年生まで段階的に三十五人学級を実現していくという大きな目標で、そういう趣旨で打ち出したにもかかわらず、現下の財政状況だと思うんですけれども、現状にかんがみて小学校一年生のみの実施となってしまったことは、私、大変残念なことだと思っております。

 私は、小学校三年以降の三十五人学級化も早急に実現すべきであると考えております。大臣におかれても、財務省などの圧力に負けずに、政治主導でぜひ実現していただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

中川国務大臣 御指摘のとおり、でき得る限り早い時点で小学校、中学校全体を少人数学級に持っていきたいという思い、これを持って今私もやらせていただいております。ぜひ応援もいただきたいというふうに思います。

 同時に、この三十五人学級だけではなくて、加配という形でさまざまに増員をしております。それをあわせた、柔軟なといいますか弾力的な運用もしていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをします。

城内委員 大臣の前向きな御答弁、本当に評価いたします。

 きょうも地元の小学生の皆さんが国会見学に参りまして、引率の教員の先生方からも本当に切実な声をきょう伺ってまいりましたので、もう本当に早急に実現していただきたいと思います。

 といいますのも、教員の負担軽減が学校教育の充実につながっていくと私は思います。本当に今、教師の皆さんは大変な状況であります。それがやはり、ひいては子供たちの学力向上につながるというふうに私は期待しているからでありますし、決して、何か教員が楽にということではなくて、実際の教員の非常に大きな負担を軽減することによって、きめ細かな教育、指導ができるようにすることが、やはり子供にとってよいからであります。

 あと、この点を踏まえて、もう一点、大臣が今臨時国会の文部科学委員会の所信でも述べられたように、全国的な学力調査の実施について質問させていただきたいと思います。

 いわゆるこの学力テストは、平成十九年度、四十三年ぶりに復活し、全員参加ということで実施されました。安倍政権で改正された教育基本法により、教育水準の維持向上は国の責任であると明記されました。これは私は大きな成果であると評価しております。その流れで、ゆとり教育の弊害で低下した学力を回復するという目的から、学力テストも全員方式で復活したと私は理解しております。

 他方で、民主党政権になりまして、競争原理の排除と五十億円を超える財政負担を理由に、これが抽出方式、いわゆる全部ではなくて、三〇%の学校を抽出して実施する、そういうことになってしまったことは非常に私は残念でありますが、これはまさに、何でも価値観を無視して、無駄を排除する、マル・バツで行政仕分けをしていくという今の民主党政権にあらわれている弊害ではないのかなというふうに考えております。

 ただ、幸い、文科省内の専門家会議の議論の結果、平成二十五年度には全員参加方式で実施されることが決まったというふうに伺っておりまして、私はこれは大変評価しております。

 ただし、平成二十五年度だけではなくて、二十五年度以降も全員参加方式に戻していただいて、ずっと継続していただきたいと私は思いますけれども、この点について大臣はどうお考えでしょうか。

中川国務大臣 二十四年度は、平成二十二年度調査と同様の抽出調査及び希望利用方式を実施していって、平成二十五年度には、市町村や学校等の状況も把握できる、いわゆるきめの細かい調査を実施できるように、必要な準備経費を二十四年度の概算要求に盛り込んだということであります。

 これは、さっき御指摘のように、本年の三月の専門家会議の検討の結果でありまして、この専門家会議では、当面は二十二年度の調査と同様の抽出調査及び希望利用方式を実施することとする、しかし、数年に一度は最新のデータを得たり、国として教育格差など、さまざまな状況等を把握し、分析し、もう少しきめの細かい分析結果というのを得るために、改めてきめの細かい調査の実施をしていく必要があるだろう、こういう指摘がありました。

 その提言に従って、きめの細かい調査の基本的な枠組みについては専門家や教育関係者の意見を伺いながら、今検討しているところであります。政府予算がまとまることしの年末までには具体的な形で決めていきたいというふうに思っています。

城内委員 大臣、今、数年に一度という話をされましたけれども、これは、いわゆる学力を政府が分析するため、そういう目的もあるとは思いますが、例えば、産経新聞によれば、抽出方式のもとで実施対象とならなかった全国の小学校の実に七六・二%、ですから八〇%近くですよ、自分たちもやりたいと希望している、そういう記事がありました。

 ですから、上から目線じゃなくて、現場の学校もやってほしいと言っているわけですし、確かに財政的な負担があるかもしれませんけれども、教育ですから、それに、テストを実施するぐらいですから、これは、やったところとやらないところで差別が生じていいんでしょうか。

 私は、そういった観点から、やるんだったら全学校を対象にしてやるべきだと思いますが、この点、改めて大臣のお考えをお伺いしたいと思っております。

中川国務大臣 希望の中で、うちはやりたいというところは、順次それをやっていただいておるということ、それをまた自校の、あるいは地域の教育に活用していただいておるということだと認識しています。

 さっきの、八月十七日に文部科学省内に全国的な学力調査に関する専門家会議、これを設置しまして、今後の調査の実施について検討をしていくという体制を今とっておりまして、そこでの議論ももう少し待っていきたいというふうに思っています。

城内委員 ぜひ、現場の、学校の先生方のみならず、御父兄、PTAなどの関係者の意見も踏まえて、この問題について前向きに私は取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に、朝鮮高級学校への就学支援金の問題について質問させていただきたいと思います。

 私は、昨年十月の文部科学委員会で、朝鮮高級学校で使われている現代史の教科書の日本語訳のコピーを配付させていただきました。当時の政務三役の方々、高木大臣、鈴木副大臣、笠政務官、それぞれにどう思いますかという質問をしたら、おおむね問題のある記述ですとそういう御答弁をいただいたわけでありますが、大臣はこの教科書をごらんになったことがあるでしょうか。

中川国務大臣 私のところにも、さまざまな団体からこの教科書をいただきました。目を通したところ、やはり同じような感覚で、歪曲されたり事実と違った記述であるということ、これを認識しております。

城内委員 具体的な記述を再度繰り返して取り上げさせていただきますとすれば、まず例えば、大韓航空事件は南朝鮮当局のでっち上げである、あるいは朝鮮戦争について、「米帝と南朝鮮統治者たちの犯罪行為」である。あるいは、アメリカをヤンキー呼ばわりして、「朝鮮でヤンキーたちはヒトラーさえも遙かに凌駕した」、こういう記述がある。

 さらに、きわめつけは、拉致問題を反省するどころか、「二〇〇二年九月、朝日平壌宣言発表以後、日本当局は「拉致問題」を極大化し、反共和国・反総連・反朝鮮人騒動を大々的にくり広げることによって、日本社会には極端な民族排他主義的な雰囲気が作り出されていった。」こういう記述があるんですね。

 私は、やはり日本人であるとか日本人でないということによって、就学支援金を支給するしないというのは差別するべきじゃないとは思いますけれども、この中身はちょっと余りにもひどいだろう。日本国民の皆さんがこの事実を知ったら、私たちの血税を使っていただきたくないとこれは言うに決まっていると思うんですね。

 ですから、この点について、大臣、率直にもう一度、どう思われるか、御答弁いただきたいと思います。

中川国務大臣 先ほど答弁させていただいたように、今、調査委員会の方で、この教科書も含めて調査をしております。これは、厳しい調査をするようにということで、私の方からも申し上げております。それが現実的にどう活用されて、どういう教育をされているのかということもその中でつかんでいくだろうというふうに思います。それを受けて、私も、言うべきこと、言わなければならないことは言っていきたいというふうに思っております。

 ただし、子供については、これは教育を受ける方。こうした教育をするというのは学校の方ですから、学校については言うべきことを私は言っていきます。

 この無償化というのは子供に対する無償化でありますので、それで差別をしてしまうということについては、これはやはり考えていかなきゃいけないことだろうというふうに思っておりまして、その辺の整理もしながらまとめていきたいというふうに思っております。

城内委員 確かに、子供には罪はないと思いますけれども、一定の限度を超えているこういった教育内容については、やはり是正をしていただくという前提で就学支援金を支給するというのが筋であるし、国民の皆さんも納得するんじゃないかなというふうに私は感じているわけであります。

 さて、きょう、たしか下村議員の質問に松原仁拉致担当副大臣が答弁されておりましたけれども、松原副大臣も、就学支援金の適用については厳正な調査が必要であるとはっきりと述べておりましたし、先般、城井政務官が拉致特委で次のように述べられました。国際社会での一般認識や政府見解と異なる教育が一部行われていることは大変遺憾である、行政の権限でできる限りの手だてを尽くす、そういった一歩踏み込んだ答弁をされました。私は大変評価しております。

 大臣も全く同じ立場でありますか。同じ意見ですか。御答弁いただきたいと思います。

中川国務大臣 先ほど申し上げたとおり、言うべきことは言っていくつもりであります。

城内委員 ぜひお願いいたします。

 最後に、もう時間がありませんので、環境に配慮した学校について質問させていただきたいと思います。

 大臣は、今臨時国会の所信、いわゆるごあいさつの中で、学校は地域コミュニティーの拠点である、そういうことを述べられました。私も大賛成であります。

 そういった点を踏まえて、来年度の概算要求の重点項目として、未来を志向する学校施設の整備が挙げられました。これは具体的には、環境に配慮した次世代型学校づくりの推進ということで、太陽光発電あるいは高断熱化等の老朽化した施設の改修、節水型トイレの整備、これを進めるということですが、私はこれは大変いいことだと思っております。

 他方、未来志向をするということで何でもかんでも近代化して、二十一世紀型、二十二世紀型の未来の施設をつくるというのもよいことかもしれませんが、私は、木育という言葉がありますけれども、地域材を使った、ぬくもりのあるあったかい校舎をつくっていただきたいんです。大臣、木育という言葉は御存じでしょうか。

中川国務大臣 私も、地元でさまざまな小学校を訪問したり接したりしているんですが、やはり木材を豊富に使って校舎をつくっていくということがいかに温かさと、それから自然の中での安らぎに結びついていくかということ、こんなことも実感をしておりまして、ぜひ進めていきたいというふうに思います。

 さっきの木育というのは、実は我々の政権でも、森林・林業基本計画というのが平成二十三年七月に閣議決定をされておりまして、この中で、いろいろあるんですけれども、文言としては「国民生活に必要な物資としての木の良さやその利用の意義を学ぶ活動である「木育」等を推進する。」というふうなこと。あるいは、「木の良さや木材利用の意義を学ぶ「木育」」ということを「推進する。」というふうなことが明記をされておりまして、学校を建てていく中でトータルでこうした問題も進めていきたいというふうに思っています。

城内委員 時間がないのでもうこれで質問を終わりますが、知育、体育、徳育、食育の次にぜひ木育ということも重視していただいて、大臣に前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 きょうはこれで終わります。ありがとうございました。

石毛委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.