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第1号 平成24年3月2日(金曜日)

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本国会召集日(平成二十四年一月二十四日)(火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 石毛えい子君

   理事 金森  正君 理事 田島 一成君

   理事 高井 美穂君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 馳   浩君

   理事 松野 博一君 理事 池坊 保子君

      石井登志郎君    石原洋三郎君

      大山 昌宏君    岡本 英子君

      奥村 展三君    川口  浩君

      城井  崇君    笹木 竜三君

      瑞慶覧長敏君    杉本かずみ君

      高野  守君    高橋 昭一君

      中屋 大介君    永江 孝子君

      室井 秀子君    本村賢太郎君

      山岡 達丸君    笠  浩史君

      和嶋 未希君    あべ 俊子君

      甘利  明君    遠藤 利明君

      河村 建夫君    下村 博文君

      田野瀬良太郎君    永岡 桂子君

      古屋 圭司君    富田 茂之君

      宮本 岳志君    三輪 信昭君

      土肥 隆一君

平成二十四年三月二日(金曜日)

    午後零時十七分開議

 出席委員

   委員長 石毛えい子君

   理事 金森  正君 理事 田島 一成君

   理事 高井 美穂君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 馳   浩君

   理事 松野 博一君 理事 池坊 保子君

      石井登志郎君    石原洋三郎君

      磯谷香代子君    大山 昌宏君

      岡本 英子君    奥村 展三君

      川口  浩君    城井  崇君

      笹木 竜三君    杉本かずみ君

      高野  守君    高橋 昭一君

      中屋 大介君    永江 孝子君

      室井 秀子君    本村賢太郎君

      山岡 達丸君    笠  浩史君

      和嶋 未希君    あべ 俊子君

      甘利  明君    遠藤 利明君

      下村 博文君   田野瀬良太郎君

      永岡 桂子君    長島 忠美君

      古屋 圭司君    富田 茂之君

      宮本 岳志君    三輪 信昭君

    …………………………………

   文部科学大臣       平野 博文君

   文部科学副大臣      奥村 展三君

   文部科学副大臣      森 ゆうこ君

   文部科学大臣政務官    城井  崇君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  瑞慶覧長敏君     磯谷香代子君

  河村 建夫君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     瑞慶覧長敏君

  長島 忠美君     河村 建夫君

    ―――――――――――――

一月二十四日

 教育公務員特例法の一部を改正する法律案(下村博文君外三名提出、第百七十四回国会衆法第四号)

 東日本大震災に対処するための私立の学校等の用に供される建物等の災害復旧等に関する特別の助成措置等に関する法律案(参議院提出、第百七十七回国会参法第二一号)

二月十四日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(漆原良夫君紹介)(第七号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第八号)

 同(大山昌宏君紹介)(第二五号)

 同(長島忠美君紹介)(第二六号)

 同(三輪信昭君紹介)(第二七号)

 同(皆吉稲生君紹介)(第八九号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一〇一号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一〇二号)

 同(野田国義君紹介)(第一二三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一二四号)

 同(熊谷貞俊君紹介)(第一二八号)

 同(杉本かずみ君紹介)(第一二九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三〇号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一三一号)

 同(服部良一君紹介)(第一三二号)

 同(鳩山邦夫君紹介)(第一三三号)

 同(大山昌宏君紹介)(第一四四号)

 同(工藤仁美君紹介)(第一四五号)

 同(古賀誠君紹介)(第一四六号)

 教育格差をなくし行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(野田毅君紹介)(第五一号)

 同(金子恭之君紹介)(第六七号)

 教育の無償化を目指して全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(篠原孝君紹介)(第五二号)

 国立阿蘇青少年交流の家の存続を求めることに関する請願(坂本哲志君紹介)(第八八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

石毛委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 文部科学行政の基本施策に関する事項

 生涯学習に関する事項

 学校教育に関する事項

 科学技術及び学術の振興に関する事項

 科学技術の研究開発に関する事項

 文化、スポーツ振興及び青少年に関する事項

以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石毛委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

石毛委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 文部科学大臣から所信を聴取いたします。平野文部科学大臣。

平野(博)国務大臣 このたび、野田内閣におきまして文部科学大臣を拝命いたしました平野博文でございます。

 第百八十回国会におきまして各般の課題を御審議いただくに当たり、私の所信を述べさせていただきます。

 我が国を取り巻く環境は、ますます厳しさを増しつつあります。グローバル化や知識基盤社会の到来、少子高齢化の進展等、世の中が大きく変化しつつある中、我が国が抱えてきた諸課題は残されたまま、大震災や原発事故により生じた課題が重くのしかかっています。文部科学大臣として、まず、野田内閣の最優先課題である大震災からの復旧復興に全力で取り組みます。とりわけ放射線から子供を守るという強い決意を持ち、安全、安心のための取り組みに力を注いでまいります。そして、我が国を新たな成長のステージへと導き、元気な日本の再生を実現すべく、未来への先行投資である文部科学行政の充実に全力を尽くす所存でございます。

 あの大震災から一年近くが経過をいたしました。私は、大臣に就任後、直ちに福島に赴き、今なお大震災や原発事故で苦しんでいらっしゃる方々のお話を伺い、改めてこの大震災及び原発事故の影響の大きさを感じたところでございます。しかしながら、それと同時に、厳しい状況の中でも元気に学ぶ子供たちの心強い姿を拝見し、子供たちの元気が社会の元気につながるものと信じつつ、国としてしっかりと彼らを支えていかなければならないとの思いを改めて強く持ちました。まずは、この大震災からの復旧復興に全力を尽くします。

 具体的には、チルドレンファーストの理念を踏まえ、被災した子供たちが大震災前と同じように落ちついて学ぶことができるよう、学校からのまちづくりの視点から、学校の施設設備の復旧等の学びの場の確保や就学支援の充実、心のケア、心身のリフレッシュ等に関する取り組みを進めるとともに、震災の教訓を踏まえつつ、未来に向かうための復興教育を支援してまいります。また、学校施設は、地域コミュニティーの拠点として非常災害時には応急避難場所ともなることから、耐震化や防災機能の強化等に積極的に取り組むとともに、防災教育の充実に全力で取り組んでまいります。

 原発事故対応としては、放射線モニタリングの強化を図り、適時適切な情報提供に努めるとともに、校庭等の線量の低減、学校給食の安全、安心の確保に取り組みます。加えて、除染や廃炉に関する研究開発は福島の再生にとってかなめとなるものであり、これを優先的に取り組んでまいります。

 また、原子力損害賠償については、被災者の立場に立ち、迅速、公平かつ適切に行われるよう、関係機関とも協力をして進めてまいります。原子力損害賠償紛争審査会において、避難区域の見直しに伴う賠償の考え方等について審議いただくとともに、和解仲介体制の整備等に取り組んでまいります。

 さらに、震災、津波の調査観測の強化、大学や研究所等を活用した地域の再生に向けた取り組み、復興を担う専門人材の育成等を進めてまいります。

 一方、今回の事故を受け、現在、エネルギー政策の再構築に向けた議論が進められています。原子力の研究開発、特に「もんじゅ」については、安全確保を図った上で、議論の方向性を見据えて適切に対応してまいります。

 これらは、国民が安心して生活するために必要不可欠なものであり、責任感を持ってしっかりと取り組んでまいります。

 さて、現在、我が国は多くの課題に直面をしています。経済や雇用は依然として厳しい状況にございます。国際競争が厳しさを増す一方、若者の内向き志向が懸念されています。我々は、自信と活力を取り戻し、これらの課題に立ち向かわなければなりません。そのためには、今こそ、未来を担う人と知の創造である教育や科学技術を振興し、また、豊かな生活の源泉となる文化やスポーツの推進を図っていくことが重要であると考えています。

 教育は国家、社会の繁栄の礎であります。野田総理が言及する分厚い中間層の復活のためにも、教育が果たす役割は極めて重要であります。生涯を通じ一人一人が自己を磨き、自立し、多様な人が協働する中で相互に高め合い、知的、道徳的水準の高い、持続可能で豊かな社会を創造することこそが、今後の我が国が目指すべき道であると考えます。

 政権交代後の教育改革に関しては、これまで、第一段階として、家計が負担する教育費の軽減、第二段階として、教員の質と数の充実等の教育環境、条件の整備に取り組んでまいりました。今後も改革の手を緩めることなく、これらの取り組みとともに、第三段階として、教育行政や学校のガバナンス改革、大学改革等に本格的に取り組んでまいります。これらを踏まえ、さらなる教育の充実に向けた方策を総合的かつ計画的に推進すべく、平成二十五年度からの第二期教育振興基本計画の策定に向けて、しっかりと検討を行ってまいります。

 いまだ厳しい経済状況が続いていますが、家計の状況によって子供が学業を断念せざるを得なくなるような事態は避けなければなりません。意欲ある全ての人が希望する教育を受け、みずからの能力を高める機会を確保することは、社会全体の責務であるとともに、社会の活力を向上させる有効な方策であると考えます。本人や家庭だけが経済的負担を負うのではなく、社会全体として支え合うことが必要であります。

 このため、これまでも奨学金制度の充実や大学等の授業料減免、幼稚園就園奨励費補助の拡充等、教育費の負担軽減に取り組んでまいりました。特に来年度においては、所得連動返済型の奨学金を導入したいと考えております。今後とも、保護者の負担軽減や多様で手厚い就学支援等、教育に係る経済的支援の充実に努めてまいります。また、昨年度実現をいたしました高校授業料の実質無償化、すなわち公立高校等の授業料無償化、高等学校等就学支援金制度の導入については、中退者の減少や再入学者の増加など一定の効果が見られ、被災地における家計急変世帯の高校生等の就学機会の確保に寄与するなど、意義は極めて大きいと考えております。

 教育の機会を確保するとともに、教育の質や環境の充実を図ることが重要であることは言うまでもありません。幼児教育から高等教育に至るまで、それぞれの段階に応じた教育の質や環境の充実に努めてまいります。

 幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼児教育のさらなる充実に向け、しっかりと取り組んでまいります。また、幼保一体化を含め、子供や子育て家庭の視点に立った子ども・子育て新システムの構築を進めます。

 子供たちに対する質の高い教育の提供のためには、教員の質と数の充実が不可欠であり、今後、さらなる少人数学級の推進や教職員配置の充実に努めるとともに、教員の質については教職生活の全体を通じた総合的な向上方策を打ち出すべく検討を行ってまいります。さらに、地方教育行政のあり方や地域とともにある学校づくりの推進等について、本格的な検討を行ってまいります。

 新学習指導要領の着実な実施、全国的な学力調査の実施等により、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立し、教育施策の改善や学校における指導の充実を図ります。また、教育の情報化を進める学びのイノベーションに取り組んでまいります。

 さらに、インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別支援教育の推進に当たり、障害のある子供と障害のない子供が同じ場でともに学ぶことを追求するとともに、個別の教育ニーズのある児童生徒に対しては適切な指導を提供できる仕組みの整備を図ります。

 また、大学改革は、大学のみならず日本社会全体の改革を牽引するものと考えており、我が国の持続的発展のために必要な人材を大学が育てるよう大学改革を実現すべく本格的な検討を行ってまいります。

 今日の危機を克服し、将来の希望と誇りある日本を築く上で、内向き志向にならず、イノベーションを創出し、みずからの考えを積極的に発信するなど、グローバル社会で活躍していける人材の育成が必要であります。その主要な担い手である大学の機能を強化し、高等教育の質の保証、向上を図ることが不可欠であります。そのため、世界を牽引するリーダーを育成するリーディング大学院の構築等、大学における抜本的な教育改革の支援や、海外大学との協働プログラムの構築を支援すること等により、世界の知が集積する魅力的な拠点の構築を進めてまいります。また、医師の地域偏在の解消、適正配置等も踏まえつつ、医学、歯学等の教育の質の充実を図ります。

 優秀な留学生の受け入れや意欲ある若者の海外派遣を行うなど、高校、大学等における積極的な留学生政策を進めるとともに、青少年の国際交流、大学等の国際化の推進、外国語教育の充実等、グローバル人材の育成のための取り組みを戦略的、継続的に推進してまいります。

 また、国立大学法人運営費交付金や私学助成等の基盤的経費の充実、国立大学改革強化推進事業等により、大学の改革や機能強化の支援に努めるとともに、国立大学法人等の施設整備につきましては、第三次五カ年計画のもとに、質の高い、安全な教育研究環境の確保とその一層の高度化に向けて取り組んでまいります。

 若者の就業機会の確保は喫緊の課題であります。引き続き、関係府省との連携のもとに、経済界と教育界等との連携強化や、きめ細かい相談体制の整備により、新卒者等の就職支援に取り組みます。

 また、児童生徒一人一人の将来の社会的、職業的自立に向けて、体系的なキャリア教育を推進いたします。引き続き、高校、大学並びに専修学校等においては、産業界等と連携し、特性を生かした職業教育の充実を図るとともに、高度な専門職業人の養成に取り組むなど、官民協働による復興や日本再生を担う人材育成を進めてまいります。

 次世代に向かって知と情報の重要性がますます高まる中、科学技術・イノベーションは唯一の成長の種であります。また、それを担う人材こそ、かけがえのない資源であります。我々は、科学技術・イノベーションの力で、いろいろなフロンティアを切り開き、大震災からの復興再生と我が国の持続的成長を実現していかなければなりません。また、大規模な自然災害、地球温暖化、エネルギー、食料、水資源等の人類的課題に、世界に先駆けて対峙していく使命を担っております。このため、科学技術・イノベーションの振興を国家戦略として強力に推進してまいります。

 具体的には、研究開発法人が世界の第一線で戦えるよう、国際水準に即した目標設定や評価、国際的頭脳循環の促進など、研究開発の成果を最大化するための制度改革に取り組んでまいります。

 また、国際的頭脳循環の中でグローバルに活躍できる若手研究人材の育成、確保のため、自立的な研究環境やキャリアパスの整備、研究マネジメント人材の育成、戦略的な海外派遣等に取り組みます。さらに、次代を担う子供たちの科学技術への興味、関心を拡大する取り組みや、才能を見出し、伸ばす取り組みを進めてまいります。

 さらに、研究者がその実力を遺憾なく発揮できるよう、研究環境の整備に努めます。科学研究費助成事業について、研究費の複数年度使用拡大等をする制度改善を引き続き推進するなど、基礎研究の強化に向けた取り組みを進めてまいります。また、研究開発の基盤の強化も重要であります。次世代スーパーコンピューター「京」を中核とした革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ、エックス線自由電子レーザーSACLA等の整備、共用を進めてまいります。

 ライフイノベーションにつきましては、iPS細胞などによる再生医療の実現や次世代がん研究、またグリーンイノベーションについては新たなエネルギー社会の構築や資源制約の克服、地球規模の気候変動への対応のための革新的技術開発等を、国際的な共同研究を含めて、引き続き推進してまいります。あわせて、東北メディカル・メガバンク計画や東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクト等、被災地の復興に貢献する研究も進めてまいります。

 また、実用化や新産業創出を通じてすぐれた研究成果をイノベーションに結びつけていくため、産学官に金融機関を加えた連携体制の構築により、基礎研究と実用化を結ぶ取り組みや、地域イノベーションの創出に向けた地域主導のすぐれた構想を支援する取り組みを推進してまいります。

 海洋や宇宙は、人類全体のフロンティアであり、科学技術によって新たに開かれる無限の可能性を秘めています。海洋については、海底地震・津波観測網の整備、東北マリンサイエンス拠点の形成等震災対応を初め、新規海洋資源の開拓などを進めてまいります。また、宇宙につきましては、国民に夢を与える「はやぶさ2」等の宇宙科学や宇宙探査のほか、災害対応にも貢献する人工衛星の開発や国際宇宙ステーション計画等を着実に進めてまいります。

 文化とスポーツは人々に喜びと感動、安らぎと活力をもたらし、人間が人間らしく生きることを実感させてくれるものであります。今後とも積極的に推進してまいります。その際、障害の有無にかかわらず、国民が文化、スポーツに親しむ機会を享受できるよう、必要な環境整備に努めてまいります。

 我が国にある文化芸術や多くの文化財は極めて大切な資源です。今こそ文化芸術を国家戦略として位置づけ振興していくことが必要であり、文化芸術が有する、人々を引きつける魅力や社会に与える影響力を最大限に活用した取り組みや文化財の保存、活用の推進、それらの創造や継承を担う人材の育成を進めてまいります。また、アイヌの人々の心のよりどころであり、文化の多様性の尊重等の意義を有する民族共生の象徴となる空間における博物館の整備に向け、しっかりと取り組んでまいります。

 また、近年、デジタル化、ネットワーク化の進展に伴い、著作物の利用態様の多様化が進む中で、著作物の違法利用、違法流通が常態化しているとの指摘がございます。こうした状況の変化に対応するため、著作権法の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただくなど、著作権制度の必要な見直しを行ってまいります。

 昨年のなでしこジャパンのワールドカップサッカー優勝は、震災後の我が国に勇気と希望を与えてくれました。今般、アンダー20女子ワールドカップサッカーを我が国にて開催することとなりましたが、本大会の開催は、国際親善に寄与することはもちろん、国民に夢と元気を与えてくれるものと考えます。

 スポーツは、人格形成や健康長寿の礎であるとともに、地域活性化の重要な資源ともなり得るものであり、まさに元気な日本の再生にとって不可欠なものであります。昨年八月に施行されたスポーツ基本法に基づき、スポーツ基本計画の策定に取り組んでいるところでございますが、今後ともスポーツ立国の実現を目指した施策を積極的に進めてまいります。また、二〇二〇年の夏のオリンピック・パラリンピックの招致に向け、外務省等と連携し、政府全体で積極的に支援をしてまいります。

 冒頭申し上げましたように、我が国にはいろいろな課題が山積しています。困難な時代にこそ、大局的に先を見据えながら、目前の課題を着実に実行していかなければなりません。この国の将来を創造し、国家百年の計を担う文部科学省の全責任を担う者として、専門家の方々はもとより、現場の方々の意見を十分酌み取りながら、また、政策のための科学の強化を図りながら、客観的根拠に基づく国民目線の政策展開により効果的、効率的に施策を推進しつつ、諸課題の解決に全力で取り組む考えでございます。

 引き続き、関係各位の御指導と御鞭撻を賜りますよう心からお願いを申し上げます。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。(拍手)

石毛委員長 次に、平成二十四年度文部科学省関係予算の概要について説明を聴取いたします。奥村文部科学副大臣。

奥村副大臣 それでは、平成二十四年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆四千百二十八億円、東日本大震災復興特別会計二千二百四十九億円、エネルギー対策特別会計一千二百四十五億円となっております。

 まず、初等中等教育の充実を図るため、小学校二年生の三十五人以下学級の推進や特別支援教育、小学校専科指導の充実、被災した児童生徒に対する学習支援等に合計三千八百人の教職員の定数増を行うこととしております。

 また、道徳教育、外国語教育等の推進や全国的な学力調査の実施、公立学校の授業料無償制及び高等学校等就学支援金の実施や生徒指導、進路指導等の取り組み、幼児教育や特別支援教育等の推進を図ることとしております。

 第二に、公立学校における児童生徒等の安全を確保する耐震化、防災対策等の推進のため一千二百四十六億円、国立大学等の耐震化、最先端研究施設の整備、老朽施設や附属病院の再生等のため九百十五億円を計上しているところであります。

 また、東日本大震災等によって被害をお受けになった公立学校施設の復旧についても取り組んでまいります。

 三番目に、学生が安心して学べる環境を実現するため、奨学金事業については、所得連動返済型の無利子奨学金制度を新設いたします。無利子奨学金の貸与人員を二万五千人増員するなど、全体で六万七千人増の百三十三万九千人に貸与することとしております。また、大学の授業料減免につきましても、対象者を二万八千人増員し、十万三千人が減免を受けられることといたしております。

 四番目に、国立大学法人運営費交付金に一兆一千四百二十三億円を計上するとともに、新設する国立大学改革強化推進事業により国立大学の改革、機能強化を図ることといたしております。

 また、私学の振興を図るため、私立の大学や高等学校等に係る経常費補助、耐震化を初めとする施設設備の整備への支援等に四千五百十八億円を計上しているところであります。

 このほか、世界を牽引するリーダーを養成するリーディング大学院の構築など、国公私立大学を通じた教育研究水準の向上を図ることとしておるところであります。

 五番目に、地域全体で教育に取り組む体制づくりを支援するため、引き続き学校支援地域本部、放課後子ども教室、スクールカウンセラー等の配置や、被災地の地域コミュニティー再生のための学びの場づくりの支援をすることといたしております。

 六番目に、世界に雄飛する人材の育成として、大学生、高校生の留学促進、英語教育の充実、大学等の国際化のための体制整備や海外の大学との大学間交流、若手研究者の海外派遣など、グローバル社会で活躍できる人材の育成を推進することとしております。

 七番目に、スポーツ基本法制定後、初の予算として、世界で競い合うトップアスリートの育成、強化やライフステージ等に応じたスポーツ機会の創造に二百三十八億円を計上いたしているところであります。

 八番目に、文化芸術立国の実現を目指し、豊かな文化芸術の創造と人材育成、文化財の保存、活用及び継承、我が国の多彩な文化芸術の発信や国際文化交流の推進など、一千五十六億円を計上しているところであります。

 九番目に、原子力災害からの復興に向け、福島県及び全国における環境モニタリングの強化、除染手法の確立や放射線防護、被曝医療研究の充実、廃炉に関する研究開発、人材育成の強化、被災者の迅速な救済に向けた原子力損害賠償の円滑化等の実施を図ることといたしております。一方、高速増殖炉サイクル技術を初めとする原子力研究開発等の既存事業については、徹底した見直しを行い、予算額を大幅に縮減いたしたところであります。

 十番目に、宇宙、海洋といった人類のフロンティアの開拓や、海底地震・津波観測網の整備等の国家安全保障・基幹技術の強化を図ることといたしております。また、次世代エネルギーの開発等につながるグリーンイノベーションや、健康長寿社会の実現に向けたライフイノベーションを推進するとともに、科学技術・イノベーションの推進に向けたシステム改革を進めていきたいと思っております。

 十一番目に、科学研究費助成事業については、研究費の効率化や研究者の負担軽減を図るため、基金の対象種目を拡大するなど制度改革を推進しております。あわせて、若手研究人材の育成、支援や国際水準の研究環境及び基盤の充実強化を図ることといたしているところであります。

 以上、平成二十四年度文部科学省関係予算の概要につきまして御説明を申し上げました。

 なお、これらの具体的な内容につきましては、お手元に資料をお配りしておりますので、説明を省略させていただきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

石毛委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十七分散会


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