衆議院

メインへスキップ



第6号 平成24年6月15日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十四年六月十五日(金曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 石毛えい子君

   理事 金森  正君 理事 田島 一成君

   理事 永江 孝子君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 馳   浩君

   理事 松野 博一君 理事 池坊 保子君

      石井登志郎君    石原洋三郎君

      稲見 哲男君    大山 昌宏君

      岡本 英子君    奥村 展三君

      神山 洋介君    川口  浩君

      城井  崇君    笹木 竜三君

      瑞慶覧長敏君    杉本かずみ君

      田名部匡代君    高井 美穂君

      高野  守君    高橋 昭一君

      野田 国義君    室井 秀子君

      本村賢太郎君    山岡 達丸君

      笠  浩史君    和嶋 未希君

      あべ 俊子君    甘利  明君

      遠藤 利明君    河村 建夫君

      下村 博文君   田野瀬良太郎君

      永岡 桂子君    古屋 圭司君

      稲津  久君    宮本 岳志君

      三輪 信昭君

    …………………………………

   文部科学大臣       平野 博文君

   文部科学副大臣      奥村 展三君

   文部科学副大臣      高井 美穂君

   文部科学大臣政務官    城井  崇君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  岩瀬 充明君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     原口 亮介君

   政府参考人

   (文化庁次長)      河村 潤子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    岡田 太造君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  城井  崇君     神山 洋介君

  中屋 大介君     稲見 哲男君

  笠  浩史君     田名部匡代君

  富田 茂之君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     野田 国義君

  神山 洋介君     城井  崇君

  田名部匡代君     笠  浩史君

  稲津  久君     富田 茂之君

同日

 辞任         補欠選任

  野田 国義君     中屋 大介君

    ―――――――――――――

六月十四日

 劇場、音楽堂等の活性化に関する法律案(文教科学委員長提出、参法第二一号)(予)

同月十五日

 劇場、音楽堂等の活性化に関する法律案(参議院提出、参法第二一号)

同月十二日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一六七二号)

同月十四日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(橋本勉君紹介)(第一七四二号)

 同(磯谷香代子君紹介)(第一八八九号)

 教育格差をなくし子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一八一七号)

 文化芸術政策を充実し、国の基本政策に据えることに関する請願(永江孝子君紹介)(第一八一八号)

同月十五日

 高校の無償化と返済不要の奨学金の創設を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二一四七号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二一四八号)

 同(柳田和己君紹介)(第二一四九号)

 同(田島一成君紹介)(第二二五〇号)

 同(斎藤やすのり君紹介)(第二三七〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三七一号)

 文化芸術政策を充実し、国の基本政策に据えることに関する請願(田島一成君紹介)(第二二五一号)

 学費の負担軽減、大学予算増額を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二三六九号)

 私立幼稚園教育の充実と発展に関する請願(笠浩史君紹介)(第二三七二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

石毛委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長岩瀬充明さん、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長原口亮介さん、文化庁次長河村潤子さん及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長岡田太造さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石毛委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石毛委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文委員。

下村委員 おはようございます。自民党の下村博文です。

 いよいよ会期末になってまいりまして、会期が延長されるかどうかもわからない状況の中で、文部科学委員会として初めての閣法、著作権法、これはこれで粛々とやっていく必要があるというふうに思います。

 その前に、私の方からまずお聞きしたいことがございます。

 四月の十八日の文部科学委員会におきまして、神本政務官に対して質問いたしました。このときまで日教組の政治団体の会長を、政務官でありながら就任していたということは、私は本当に正直言ってびっくりいたしました。

 本来、政務官につくということになれば、これは利害関係団体だけではなく、ありとあらゆる民間関係のポストを含めて、普通は休職するというのが国会の我々のときのルールであったのではないかと思いますが、ましてや教育と利害関係が直結する団体であります。私は、政務官をやめるか、それとも日教組の、副会長をやめるか、明確にすべきだということを四月の十八日に質問いたしましたが、そのときには明確にお答えになりませんでした。

 その後、どのように判断されたか、まず冒頭お聞きしたいと思います。

神本大臣政務官 下村先生からの御指摘を前回いろいろいただきましたが、今、日教組の副会長とおっしゃいましたけれども、ではなくて、恐らく日政連のことだと思いますが、日教組の副会長ではない、正確に言いますと。日教組と日政連というのは全く別の団体でございまして、その副会長につきましては、本年四月二十五日付で既に退いているところでございます。

下村委員 四月の二十五日にやめた、四月の十八日の私の質問を受けて、日教組の政治団体、日本民主教育政治連盟の副会長をやめたということですね。

 私は、やめて済む問題ではないというふうに思っているんですね。これは、日教組の下部組織として北教組があるわけでありますけれども、昨年は、この北教組による民主党の小林千代美前議員の違法献金事件をきっかけとして会計検査院が入りました。義務教育費国庫負担金の検査に入って、改めて教職員の不適切な勤務実態が明らかになった。このことによって、文部科学省は、北海道内の全教職員を対象に会計検査院の調査と同様の実態調査を行うよう北海道と札幌市の教育委員会に指導しているという立場でございます。

 本来、これは、そうすると、神本政務官が所属をしていたということになるわけですけれども、まあ、所属はしているんでしょうね、副会長をやめただけで、日教組。日教組のドンと言われる輿石東御党の幹事長、教育における政治の中立性、これは当然のことだと思うんですが、それもないというような表現もかつてされておりますが、教育の正常化、特にこの北海道を初めとする今回の教育現場の正常化を文部科学省が進めなければならない、そういう立場ですね。そして、あなたは政務官をしているわけです。この正常化をする立場にもかかわらず、正常化される側の組織内議員ということについては不適切だとは思いませんか。

神本大臣政務官 私は、昨年の九月から政務官として仕事をさせていただいておりますが、一貫して中立公正な立場で仕事をしているところでございます。

 今御指摘の北教組の問題につきましても、これについては、政務官として、きちっと正すべきは正さなければいけないという立場でこれまでもやってきているところであります。

下村委員 北教組から五十万円の、パーティー、政治資金をもらっているんですね。これは返していないというふうに思います。そういう中で、政務官として、日教組の影響を排除して正常な文部科学行政を正しくやるということについて明確にお答えになれますか。

神本大臣政務官 今、政治資金とおっしゃいました。これは、二〇〇六年に政治資金パーティーを開いたところでありまして、そのときのことだと思いますけれども、このパーティーにつきましては、政治資金規正法にのっとって収支報告もしておりますし、適正に処理をされているというふうに聞いております。

下村委員 いや、聞いておりますじゃなくて、あなたの政治団体ですから、適切に対応していただきたいと思います。

 いずれにしても、平野文科大臣はその後文科大臣になられた立場でありますから、今までの経緯は経緯として、これは文部科学大臣として、どのような政治団体等にも、影響を及ぼさない、教育の正常化についてはしっかりと日教組の影響力を排除して、正しい教育行政を、文部大臣、先頭に立ってやっていただきたいと思いますが、改めて確認を申し上げます。

平野(博)国務大臣 今神本政務官もお答えをいたしましたが、文科省としては、今議員御指摘のようなそういう疑念を抱かれることのないように、公正な立場、中立な立場でしっかりと教育行政を進めていきたい、かように思っております。

 特に、北教組の問題にお触れになりました。私も大臣就任早々に北海道に参りまして、教育長に、しっかりやってもらうようにということと同時に、いつまでにやるんだということも含めて、強くお願いをしてきたところでございます。

下村委員 機会があれば、北教組の問題、それから会計検査院の問題、文部科学省が北海道においてどのような指導をしたか、その経過については改めてお聞きしたいと思います。

 本題に入りたいと思います。きょうは著作権法ということでございます。

 今回の著作権法において、いわゆる写り込み、これに係る規定が整備されることになりました。写真撮影、録画、録音の場合に限り、対象物から分離困難な付随物や音を軽微な構成部分として複製、翻案し、その後、利用することができる、ただし、著作者の権利を不当に害してはならないとされております。

 具体例として、写真や映像の背景に映画のポスターや絵画等が写る場合が想定されております。現在は、デジタル技術が発達しておりますので、写真や録画については、写り込みを画像処理で消去、分離することは比較的容易でもあるわけでございます。

 対象物から分離困難な付随物について、何らかの基準や具体例があるのか、またこれからどのように明確にするのか、確認をさせていただきます。

河村政府参考人 今お尋ねのございました改正法案第三十条の二は、写真撮影などの際に背景等に有名なキャラクターが写り込んでしまうようないわゆる写り込みについて、新たに権利制限の対象とするものでございます。ある著作物を創作する場合に、別の著作物を除いて創作することが社会通念上、客観的に困難であるということが要件となっております。

 ですから、具体的には、例えばキャラクターが描かれたTシャツを着た子供がいて、それを親が写真に撮る場合、キャラクターを除いて子供を撮影することは、こういうケースでは社会通念上、客観的に困難でございますので、後に消去できるかどうかということは別にして、これはやはり権利制限の対象になるものというふうに考えられます。

 こうした条文上の要件をどう考えるのかとか、詳しい趣旨などについてやはり十分に周知することが重要だと考えておりまして、もし法律が成立しましたときには、関係紙、関係の雑誌やホームページなどにおける解説の掲載ですとか、セミナー、説明会の実施などといった方法も用いまして、可能な限りわかりやすい周知を図ってまいりたいと存じます。

下村委員 この私的利用のための複製をどこまで認めるかなど、著作権に対する全体的な考え方を整理しておく必要がこの際あるのではないかというふうに思います。文部科学省の見解をお伺いいたします。

河村政府参考人 今、委員から御指摘のございました例えば私的使用のための複製、著作権法第三十条でございますけれども、このあり方については、例えば、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」といった場合に、これだけ技術革新、さまざまな情報流通が進んでいる中で、どこまでをその範囲内とすることが適当であるのかとか、「その使用する者が複製することができる。」というふうになっているんですけれども、本人でなければ絶対にいけないのかという議論もございます。

 こうしたさまざまな課題もございますので、権利者団体や利用者団体の双方の関係者からヒアリングを行うなどいたしまして、昨年の文化審議会著作権分科会でも検討課題の整理までを行ったところでございます。

 これらの課題について、今後、必要に応じて検討に着手してまいりたいと存じます。

下村委員 いよいよこれからTPP交渉が大詰めとなってまいります。このTPPについては、農業分野における関税撤廃が注目されておりますけれども、非関税障壁の撤廃という点から、参加国の国内制度を一変させる可能性もあるわけでございます。本日議論されている著作権を含む知的財産もその中に含まれるわけです。

 国内のTPPへの参加是非をめぐる議論において、農産物などの貿易問題が注目されておりますけれども、知的財産は、実は農業分野をしのぐ重要な課題であり、アメリカが真にターゲットにしている分野とも言えるところでございます。

 アメリカの輸出における知的財産分野及び農業分野、自動車分野をちょっと調べてみましたら、知的財産部門において、ロイヤリティー収入とライセンス収入の合計で日本円で約七兆円、それから金融サービスでは約十八兆円を輸出しております。また農業分野では二兆円、それから自動車分野では約七兆円。ですから、この知的財産部門七兆円というのは大変な額でもあるわけでございます。

 この中で、アメリカ側の要求を、日米経済調和対話を見ますと、TPP協定交渉の著作権分野において、アメリカが我が国に対して、これから自公で修正案を提出することにもなっておりますが、ダウンロード違法化の全著作物への拡大、それから非親告罪化、これを求めてくるのではないかという分析もあるわけでございます。

 今回の自公の修正案、音楽等の私的違法ダウンロードを処罰する規定を整備するということの中で、アメリカのこの要求に応じて我が国の著作権法が大幅に変更されるのではないか、こういう懸念が一部にあるわけでございまして、これについてちょっと整理をしておきたいというふうに思います。

 今回の、これから出す自公の修正案、このことによって追加される、著作権法第百十九条第三項の保護法益は、著作権または著作隣接権という私権であり、これらに対する侵害行為は、著作者等の事後追認または事後承認により適法化される性格を有するものである。このため、被害者である権利者の意思を無視してまで追訴することは適当でない。このことから、親告罪としたところでございます。したがって、今回の我々が出す修正案による、ダウンロード違法化の全著作物への拡大、また非親告罪化が行われることはないというふうに考えているところでございます。

 一方、アメリカの著作権法には、日本のように私的使用のための複製という制限規定はなく、他人の著作物でも公正な利用ならば著作権侵害ではないという、フェアユースと呼ばれる規定がございます。

 日米経済調和対話などにおいても、アメリカは我が国においてフェアユースの導入は特に要求をしていないわけでございますが、これは、貿易相手国にフェアユースのもとに著作権を柔軟に運用される可能性があるからでございまして、こういう点に留意せずに、著作権に係る法体系をアメリカの主張に沿って変更すれば、アメリカの知的財産権は厳重に保護されるが、我が国における著作権の利用が現在に比べて厳しく制限されるという事態にもなりかねないわけでございます。

 TPP協定交渉参加に向けた協議などにおいて、このように我が国の国益が損なわれることのないよう対処する必要があるというふうに考えますけれども、現段階において、政府の見解それから対応状況について、文部科学省にお聞きしたいと思います。

高井副大臣 御指摘のとおり、TPP交渉において知的財産分野は大変重要だと思っています。

 それで、知的財産分野の一つとして著作権関連事項が含まれているということは伺っていまして、個別には、御指摘あった著作権等侵害罪の非親告罪化ということについて議論をされているということは聞き及んでおりますけれども、具体的に現在どのような議論になっているかということについては、現時点では把握をしていない状況でございます。

 仮に、我が国が交渉に参加して当該課題が検討される場合には、まさに御指摘あったとおり、著作権の保護と著作物利用の円滑なバランス、それから我が国の国内状況等をよく踏まえた上で慎重に検討して、我が国として主体的に判断をしてまいりたいというふうに考えております。

下村委員 アメリカの土俵の上にのって議論が進まないように、しっかり政府として対応をしていただきたいというふうに思います。

 さて、日本レコード協会の調査によりますと、一年間に違法ダウンロードされるファイルの数は四十三・六億ファイルに上ると推計されております。これは、正規音楽配信のダウンロード数の約十倍のファイルが違法にダウンロードされているという計算になるわけです。

 また、同じく日本レコード協会等の調査によると、違法にダウンロードされているファイルを正規に配信されている音楽の販売価格に換算した場合、約六千六百八十三億円になるというふうに推計されております。

 違法に配信されているファイルの違法ダウンロードは、例えばそれが音楽ファイルの違法ダウンロードであれば、一つには、アーティストの著作権やレコード会社の著作隣接権を侵害する行為であるということ、それから、多くの人に繰り返し行われること、このことによって、音楽産業に多大な損害を与え、ひいてはアーティストが次の作品を世に送り出すことが難しくなるということにもつながるわけでございます。

 こういうことから、自民党、公明党は、これから共同提案で、音楽等の私的違法ダウンロードを処罰する規定を整備するための閣法の修正案を提出したいというふうに考えております。

 まず、この修正案に対しては、私的使用目的で、違法に配信されている有償の音楽、映像を違法と知りながらダウンロードする行為を処罰の対象とすることにより、インターネット社会の健全な発展が阻害されるのではないかという懸念が一部示されております。

 インターネット上に著作権を侵害する違法なファイルが次々に配信され、多くの人々がそれをダウンロードするような事態が生じていることについては、憂慮すべきことであるとこれは言わざるを得ないと思います。知的財産立国を掲げる我が国においては、このような事態に適切に対処することが、インターネット社会を発展させる上でも非常に重要であるというふうに考えます。

 そもそも、今回のこの修正案で罰則を科そうとしている、違法に配信されているものであることを知りながら有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為は、一つには、アーティストの著作権やレコード会社の著作隣接権を侵害する行為であるとともに、二つ目に、多くの人に繰り返し行われることにより、音楽産業に多大な損害を与え、ひいてはアーティストが次の作品を世に送り出すことが難しくなる、こういう行為である。そのようなダウンロード行為が繰り返し行える状況を放置している、そういうことの方がむしろインターネット社会の健全な発展を阻害するということになるのではないかと考えますが、政府の見解をお聞きしたいと思います。

平野(博)国務大臣 議員は、この関係のものについての議論の経過も十分御理解をいただいていると思っております。

 今、私も、委員から指摘されて、一年間にダウンロードされるファイルの数がかなりの数になるということ、及び、ビジネスベースに換算すると六千億円を超えてくる、こういうことでございます。そういう意味におきまして、委員御指摘のように、私は、やはり、インターネットの、著作物の違法流通に関する権利者の被害というのは深刻な状況にある、こういう認識に立ってございます。

 そういう意味合いにおきましても、平成二十一年の改正法におきましても、私的利用にあっても、違法配信と知りながらダウンロードするという行為は違法としている、こういうことでございます。

 音楽産業発展やインターネット社会の健全な発展のためには、このようなルールがきちんと守られる、こういうことが非常に重要である、かように考えております。

 また、加えて、著作権というのは、過去の歴史から見ましても、非常に、技術の進歩と権利とあるいは保護、こういう観点でイタチごっこのような状況に来ていることも事実でありますから、やはり我々としては、的確に権利者の保護ということをしっかり守っていかなきゃならない、その対応策が重要である、こういうふうに認識しております。

下村委員 ありがとうございます。

 これから出す修正案でございますけれども、文言が、違法に配信されているものであることを知りながら、有償の音楽、映像を私的使用目的で複製する行為は私的違法ダウンロードということでございますが、解釈次第では、ネット社会全体の検閲につながり、警察の捜査権の肥大化を招く危険があるのではないかということを表明する人たちもおられます。

 さらに、罰則に実効性を持たせようとすると、かなり薄い嫌疑で個々の個人のパソコンを押収できるようにするということになると、それは人々のプライバシー侵害をする度合いが大きいのではないか、こういう危惧を持たれる方々もおられます。

 公権力である捜査機関のネットへの介入の典型として、プロバイダーからアクセスログを停止させることなどが挙げられると考えられますけれども、現在、そのような行為は裁判官の発する令状に基づいて行われる、令状主義ですね。ですから、いきなり入って介入する、個人の自宅に入って回収するということはあり得ないわけでございますし、まして、この修正案においても、令状主義の範囲内にあるわけでありまして、無制限に捜査機関のネットへの介入を認めるものではないわけでございます。令状を要しないというような、介入の性質が変容するものではなくて、今までの令状主義の中できちっとやるものである。

 したがって、捜査機関がネットへ過剰に介入するのではないかという懸念は当たらないというふうに思っていますし、また、薄い嫌疑で個人のパソコンが押収されプライバシーが侵害されるのではないかという懸念も当たらないというふうに我々は思っておりますが、一般論として、警察から見解をお聞きしたいと思います。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 犯罪捜査は法と証拠に基づいて進められるものでございまして、サイバー犯罪捜査におきましてもこのことは当然のことでございます。

 したがいまして、今御指摘のありましたように、捜索、差し押さえ等、証拠収集を行う場合には、裁判官から発付された令状に基づき行っているものでございます。

 御質問のダウンロードに係るような犯罪というものについて、これがもし新設されまして、警察においてそのような捜査を行う場合にありましても、法と証拠に基づきまして適正捜査に努めてまいりたいと考えております。

下村委員 それから、ネット上に配信されているファイルは違法なものと適法なものが混在している、そのため、利用者はどれが違法か適法か区別できず、ネット上の表現やネットの利用に萎縮効果をもたらすのではないか、こういう懸念を表明されている方々もおられます。

 今回の修正案においては、故意犯のみ、意図的にわかって犯罪を犯す、こういう故意犯のみを処罰の対象としておりまして、構成要件に該当する客観的事実の認識が必要であります。したがって、ダウンロードしようとする有償著作物等が著作権または隣接著作権を侵害して違法に配信されたものであると知っていることが必要でありまして、配信されているファイルが違法であるか適法であるかの区別がつかない場合については、これは罪に問われないということでございます。

 また、今回これから出すこの修正案では、有償著作物等を公衆に提供し、または提示する事業者に対し、違法に配信されているものであることを知りながら、有償の音楽、映像を私的使用目的でダウンロードする行為を防止するための措置を講ずるよう努めることとなっておりまして、既に一般に浸透しつつあるエルマークの普及等がなお一層進むことが期待されます。

 この事業者の措置に係る規定は、罰則の規定よりも早く、公布の日から施行することとなっており、罰則の規定が施行するまでの間に、利用するサイトが適法か違法かの区別が容易になることが見込まれるところでもございます。

 したがって、適法か違法かの判断にちゅうちょして、ネット上の表現やネットの利用に萎縮効果をもたらすという懸念は当たらないというふうに考えますが、政府の見解をお聞きしたいと思います。

高井副大臣 デジタル化、ネットワーク化の進展に伴って、著作権法が国民生活に深いかかわりを持つようになってきている。それに加えて、著作権侵害について刑事罰が科される可能性があるということから、著作権法改正に当たっては、著作物の利用に過度な萎縮が生じないように、明確性の原則に十分留意することが必要というふうに思っていまして、今回の改正の検討に当たっても、関係省庁とも協議を重ねて、慎重に検討を行ってまいりました。

 平成二十一年の著作権法改正において、いわゆる違法ダウンロードについて、刑事罰ではないが違法とした。そのときにも、今御紹介いただいた違法サイトを識別するためのエルマークのような取り組みを推進してまいりまして、政府としても、こうした取り組みが広く普及するように今後も支援していきたいと思っております。

下村委員 同様の罰則規定が諸外国では既に実施されておりますが、罰則規定、どんな国でどんなことがあるのか。そして、このことによって罰された事例があるのかどうか。諸外国の例をちょっと挙げていただきたいと思います。

河村政府参考人 違法な配信からの私的な複製行為、いわゆる違法ダウンロードに対しましては、アメリカですとかドイツなどでは刑事罰の対象としておりますが、英国では、現在の我が国と同様に、違法ではございますが刑事罰の対象とはなっておりません。

 刑事罰の対象としている国における法定刑の定め方は、一律ではないのでございますけれども、私ども今把握しているところでは、例えば、アメリカの場合には、一年以下の懲役、十万ドル以下の罰金またはその併科ということとされ、ドイツの場合には、三年以下の自由刑、または、額は定められておりませんけれども、裁判所が決する所定の額の罰金を支払う仕組みというふうになっているものと承知をいたしております。

 これらに基づいて現実に刑事罰の対象となった事例は、私ども、今のところは承知をいたしておりません。

下村委員 抑止力によって業界が健全に発展されますよう、また、ネット社会において、正常な中で、我が国において発展がされますように、我々は、同時にそれを目指しながら修正案を出していきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

石毛委員長 次に、石井登志郎委員。

石井(登)委員 おはようございます。民主党の石井登志郎でございます。

 引き続き、著作権法の改正について質疑をさせていただきたいと思います。

 著作権法は、日進月歩の技術開発、特にネット社会への対応等から大変頻繁に改正が行われておりまして、数えてみましたが、平成に入ってから、これが成立をすれば十四回目の改正ということでございます。平成に入って十四回目ですから、一年か二年に一回というすごいペースでございます。

 そして、前回は二〇〇九年でございますが、その際に、衆議院、参議院、それぞれ附帯決議がさまざまなされたところでございます。今質疑された下村委員の中でも、違法のダウンロードに関する件であるとか、もろもろ言及がありました。

 衆議院の二〇〇九年の附帯決議の中で、これは一つ一つ確認しているとこれだけで三十分過ぎてしまいますので、私がある意味一番大切だなと思うのが、学校等における著作権教育の充実、国民に対する普及啓発活動、これについてが私は重要だと思っております。これに努めることと書いてあります。

 この前、ちょっとこの著作権ののりとはかわりますけれども、消費者庁の話で、コンプガチャという単語を私は初めてあのとき知ったんですけれども、子供がかちゃかちゃと携帯をいじっておったら請求が何十万円も来たと。それは、子供は何もわからずに一生懸命やるわけですね。

 まさにそういう意味では、このダウンロードに関しても、今の下村委員の質疑の中でも、知らなければセーフということであろうと思いますが、しかし、いずれにしましても、こうした違法にダウンロードしてしまう、そして著作者の権利を知らず知らずに侵害してしまうことが健全な発展を阻害してしまうということは、やはり教えてもらわなければわからないわけであります。

 そうした中で、特に著作権教育の充実という点に関して、二〇〇九年の附帯決議に示されておるところでありますが、文部科学省としての取り組み、現状認識についてお伺いをしたいと思います。

河村政府参考人 委員が御指摘いただきました附帯決議の中には、学校等における著作権教育の充実や国民に対する普及啓発に努めることということが挙げられております。こうした御決議に対しまして、文部科学省といたしまして、各種講習会の開催や啓発教材の作成、提供などを通じまして、著作権に関する普及啓発を行っているところでございます。

 具体的には、教職員の理解を深めるということのために、教職員を対象とした著作権の講習会によりまして、毎年、著作権制度の説明、小中高の教員による著作権を題材とした授業の事例発表などを行いまして、これによって地域で中心となる教職員の育成に努めているということもございますし、また、ホームページを活用いたしましたさまざまな資料提供も行っているという対応状況でございます。

    〔委員長退席、田島(一)委員長代理着席〕

石井(登)委員 大臣、やはりよく、省庁といいますか、ああいう答弁ではあるんですね。やっているかやっていないかというと、やっているんです。ただ、やっているんですけれども、それが十分か、著作権という言い方が果たして中学生に浸透しているかというと、それは果たして、十分でない部分はあろうと思います。

 中学校の学習指導要領の中を見ると、例えば音楽、美術、技術・家庭、そして芸術、さまざまな教科書の中に、そうした知的財産権、そして著作権に対する記述等々あるようでございますが、こうしたことを、あるから大丈夫ということではなくて、本当に浸透しているのかどうかというのをしっかりと見ていただいて、そして、単に、もちろん今の次長の答弁はあれはあれで結構なわけでありますけれども、ぜひ、この問題にアンテナの高い大臣でありますから、指導力を発揮いただければと思います。一方的で恐縮です。

 続いて、また二〇〇九年の改正の際に附帯決議でありました、障害者のための著作物利用の円滑化に当たって、しっかりと一層促進をするようにというような項目がございます。

 障害者にしてみますと、IT技術というのはまさにある意味福音でございまして、そういう意味では、今まで触れることのできなかった文学に触れることができる、そういうようなすばらしい側面があるわけでございます。

 二〇〇九年の改正の際には、三十七条三項改正によって、法人格のあるボランティアグループは、文化庁に申請し、認められれば、著作権者の許諾がなくても、視覚障害者のために録音図書や拡大図書をつくることが可能になった。これは大変歓迎をされているわけであります。

 一方で、さらにもう一歩、個人でこうしたボランティアをやっているような方は、法人格を持っていないとなかなかやりにくいというような声があるようでございますが、この点に関して、現状の認識と、何か検討の方向性があるのであれば、お聞かせをいただきたいと思います。

河村政府参考人 委員からお話のございました著作権法第三十七条第三項の規定に関して、若干の御説明をさせていただきたいと存じます。

 この著作権法第三十七条第三項により、視覚障害者等のための複製等が認められる主体には、一定の条件を満たしたものであれば、法人格のないボランティア団体であっても対象となることが実は可能となっております。

 この一定の条件は著作権法の施行令に書いてございますけれども、視聴覚障害者等のための複製等を的確、円滑に行うことができる、そういう技術的な能力を持っていること、それから、経理的な基礎その他の団体としての体制を有するということを求めておりますけれども、そういう場合であれば、法人格がなくても大丈夫でございます。

 一方、個人についてのお尋ねでございますが、これはなかなか個別の指定を、個人ということでは今の仕組みではできないわけでございますけれども、志のある個々人のボランティアの方々がある程度お集まりになりましてグループをつくり、一定の条件、先ほど申し上げました条件を満たせば、やはり現行法において主体として認められることが可能でございます。現に、そうした録音ボランティアグループが法人格がなくても指定をされている例がございます。

 こうした志のある多くの方が法令の規定に基づいて複製を行えるように、やはりこれももう少しこの趣旨を広くお伝えすることが重要かなというふうに、今の委員からのお話も拝聴して感じましたので、周知等に努めてまいりたいと存じます。

石井(登)委員 ぜひ、今おっしゃっていただいたとおり、周知等に努めていただきたいと思います。私どもの方に、やはり、法人格がないとだめというのはハードルが高いじゃないかと。相談すれば道はあくんだと思います。ただ、それはもう法人格がなければだめと思い込まれている方もいらっしゃるのかと推察いたしますので、ぜひそうしたことを周知、普及していただければと思います。

 続いて、次は厚生労働省にお伺いをいたしますが、インターネット上の点字図書や録音図書を視覚障害者に配信しているサピエ図書館というシステムがありまして、厚生労働省の方から補助金を毎年支払って運営をしているということであります。ただ、この補助金だけの運営では大変限界に来ている。視覚障害者から個人の会費を徴収しなければならない、もしくは、盲学校、障害児の学校で有効活用したいんだけれども、その年会費、これは今四万円と聞いておりますけれども、これが工面できなくて十分に活用できる環境になっていないというところもあろうと思います。

 この点に関して、やはり、そういう意味では、可能であるならば環境をしっかりと整備していきたいというような思いも私もあるわけですが、厚生労働省といたしまして、本件に関しての認識と見解、方向性などがあればお聞かせいただければと思います。

岡田政府参考人 御指摘のサピエでございますが、視覚に障害のある方々に対して、点字であるとか、それから音声のDAISYデータと言われるデータ、そういった情報を提供する情報システムでございます。日本点字図書館がシステムを管理いたしまして、全国の点字図書館の集まりであります全国視覚障害者情報提供施設協会がこの運営をしていただいているという状況でございます。

 厚生労働省といたしましては、日本点字図書館に対しましてサピエの運営に要します費用を補助しておりまして、個人会員であります視覚に障害のある方々は無料でサピエが利用できるという形になっています。

 なお、サピエにつきましては、点字図書館のサービスを充実させるものでありまして、全国の点字図書館による共同運営を行っていただくという観点もございますので、全国の点字図書館のほか、サピエの利用会員となっていただいています公立の図書館、それから公共図書館であるとか、施設、団体の方々に年間利用料を御負担いただいているという状況でございます。

 今後、日本点字図書館に対する補助金をどう効率的、効果的に使っていくかというような観点から、サピエの運営につきまして、日本点字図書館それから全国視覚障害者情報提供施設協会など、先生の御指摘も踏まえまして、そういう点も含めて、その運営のあり方について相談をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

    〔田島(一)委員長代理退席、委員長着席〕

石井(登)委員 日進月歩の技術の進歩の時代でありますから、単にこの補助金をふやせということだけでなくて、今回、国会図書館にさまざまな図書館資料の電子納本の制度も整備をされたところであろうと思います。ですから、いい意味で融合できるようなこともあろうと思いますので、ぜひ、この技術の革新をドラスチックに、そして障害者のまさに利益に資するような形で前に進めていっていただければと思います。

 次に、これは著作権法と少し外れるんですが、ただ、ネットの利用とそして著作権の整備、最終的には著作権の三十五条の方にまた行くわけですけれども、ちょっと外れまして、免許外教科担任に関して少しお話をさせていただければと思います。

 免許外教科担任というのは、これは六年ぐらい前に一時期大変有名になって、三重県の学校で二年半にわたって免許外担任の認可を受けていない先生が、つまり、理科の免許だけを持つ先生が数学を教え、福祉の免許しかない先生が家庭科を教え、その授業を受けた生徒百五十人がこの先生から受けた授業が無効になってしまい、そして授業を受け直すというようなことがありました。その後、こういうことが起きないようにということで、文部科学省もさまざま徹底をされて、しっかりと免許外教科担任に関しての許可をとっているか確認や普及をされていったことと思われます。

 ただ、そもそも、私は都会育ちで都会の選挙区でありますけれども、田舎に行きますと、なかなかそれは、この場合は理科の先生が数学を教えていた、またこれは厳しいパターンですね。ただ、日本史の先生が地理を教えるなんというのもよくある話であります。しかし、一番は、英語のグラマーに詳しい先生が英語のグラマーを教える、どんな僻地であってもそれが一番望ましいわけであります。

 ちなみに、免許外教科担任の認可件数というのが、中学校で平成二十二年度で八千二百件、高校で三千五百件というようなことであります。

 ただ、私が申し上げたいのは、インターネットを使ったEラーニングというような形をすれば、極端な話、東京にいる先生が、対馬でもどこでもいいですけれども、沖永良部でも、そこでトップクオリティーの授業を……

石毛委員長 石井委員、ちょっと恐れ入ります。

 平野大臣、参議院本会議御出席、御退席ください。

石井(登)委員 はい、どうぞ。もちろん。

石毛委員長 恐縮です。お続けください。

石井(登)委員 ということなんですよ。ですから、このEラーニングを活用して、そして免許外教科担任の問題を解消する。単に免許を持っていない先生に許可をして、そしてつなぐというようなことでなく、前向きな、発展的な解決を、Eラーニングを通じて解消するということに関してちょっと御提言申し上げますが、副大臣、お願いします。

高井副大臣 御指摘のとおり、免許外教科担任制度、僻地等はどうしてもそろわないということで、例外として設けられているということが原則で、件数は、先ほど御紹介あったとおり、かなりあるものでございます。

 御提言あった分でございますけれども、通学型の高等学校である全日制及び定時制の課程においては、不登校生徒など特別の事情を抱える生徒を対象とする場合を除いては、通信による教育ということは現在認められておりません。

 一方、るる御指摘あった情報通信技術の発達によって、ICTを活用して同時双方向型の授業を行うということで、対面による指導と遜色ない効果が得られるということも考えられます。高等学校教育のあり方において、現在、中央教育審議会高等学校教育部会において御審議をいただいておりまして、その中で、全日制及び定時制の課程においても一部の教科、科目について通信教育を活用するなどの新しい教育のあり方について検討事項とされております。

 文部科学省としても、本部会における審議を踏まえて、全日制及び定時制の課程におけるICTを活用した通信教育の実施の可能性について、より深く研究してまいりたいと思います。

石井(登)委員 想像していたよりも前向きで、大変うれしい御答弁だと思います。ありがとうございます。

 私の目指すところは、日本のどんな僻地にいてもエリート教育が受けられるようにする。我々の教育というのは、もちろん下の層を上に底上げするのも重要ですけれども、とがった上を伸ばすというようなことに関して公教育が余り十分に光を注いでこなかった、力を入れてこなかったというのが私の問題認識であります。ぜひ前向きに進めていただきたいと思います。

 もう一点、関係をしたもので、インターネットテレビ会議システムを活用したグローバル人材の育成というので、一つ紹介したいと思います。

 実は、先日、千葉県の長生高校というのに行ってまいりました。文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール、そういう指定を受けている学校です。例えば金環日食の話を英語でやってしまうぐらい、そういう意味ではすごいですね。その学校と、私のちょっと属人的なつながりの中で、オーストラリアの学校とをつないで授業の中でやったこともありました。そして、放課後にやったこともありました。

 生徒同士がコミュニケーションをしていく、これはインターネットのすばらしいところです。つまり、空間を超えて行う。最初はアメリカかイギリスでやりたいなと思っていたんですけれども、ちょっと時差があるものですから、これがオーストラリアになりました。そして、今、オーストラリアの方では、オーストラリアと韓国もやっているんですけれども、今度は韓国と日本でやろう、それも英語でやろう。第二外国語同士の方がいいことがあるかもしれない。

 ただ、これは、今ちょっと壁に突き当たっているといいますか、手弁当で今日までやってきたものですから、スーパーサイエンスハイスクールとしての指定を受けて、文部科学省から光を注がれているわけでありますけれども、こうしたグローバル人材の育成という観点でテレビ会議を使ってやるということに関しては、文部科学省として正式にまだ何らかの措置をしているというような状態ではありません。

 そこで、今、このハードルというのが、これを授業の中でやるには、例えば、どういうような課題があって、どういうようなカリキュラムを海の向こうと共有してというのは、これはやはり研究開発をしっかりとしていかなきゃいけない問題なんですね。

 この点に関して、今、ちょっと口頭で御紹介をしただけですけれども、大変可能性があると私は思うんですが、この話をさせていただいて、副大臣の御感想、御所見、方向性などあれば、将来的には、外国にいる方とのそうしたコミュニケーションを正規の授業にするということも考えるべきではないかと思いますが、御所見をお願いいたします。

高井副大臣 御紹介ありました先進事例は大変興味深いと思いますし、英語教育の充実は極めて大事だということは、政府全体としても認識をしております。

 今、文部科学省で、グローバル人材育成戦略、それから外国語能力の向上に関する検討会審議まとめなど、これを踏まえた上で、二十四年度予算におきまして、新たに英語力指導改善事業というのを計上いたしまして、ICTを活用して、生徒が英語を使う機会を充実させるなどの、さっき御紹介があったすぐれた取り組みをバックアップするということを予算づけいたしました。

 現在、各都道府県に拠点校、中学校十三校、高校百十一校ということで、先ほど来紹介があったようなすぐれた取り組みを、こちらもモデルケースとして勉強し、また広げていくために、こうした事業を新しくやっております。

 教育用コンピューター、電子黒板を含むICT機器、それからネットワーク環境の整備といった、まさに教育の情報化のための必要な経費というものがかなりかかるということで、現在では地方財政措置というのを講じております。平成二十四年度の措置額としては、約一千六百七十三億を地方財政措置として講じておりますが、やはり御指摘あったとおり、今後も、このICTの効果的な活用を通じて、英語教育の一層の充実に努めるために努力もしたいと思っております。

 加えて、外国にいる教師を正規の授業に適用できる道もどうかというふうな御提起もございました。確かに、英語教育において、生きた英語に触れるという機会を充実するという観点から、現在では、テレビ会議システムなどのICTを活用して、外国にいるネーティブスピーカーとの交流学習とか共同学習等を行うということは有用であると我々も考えています。

 ただ、外国籍の方に対して、教員免許状自体は授与可能であり、実際に高等学校において正規の教員として授業を行っているという方もございます。

 しかしながら、通学型の高等学校である全日制及び定時制の課程においては、不登校生徒などの特別の事情を抱える生徒を対象とする場合を除いて、通信による教育を行うことは認められないと先ほども申し上げたとおりですが、その実施の可能性について、さらに今後研究していきたいと思っておりますので、また御指導や御支援をお願いしたいと思います。

石井(登)委員 これはぜひ高井さんと前向きに進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 関連して、著作権法三十五条に関して、一点お伺いをしたいと思います。

 教育に関する著作権制限の規制を整備、これは平成十五年の改正でされたところであります。その後、著作権法第三十五条ガイドラインというのが、関連の主に著作権者の皆様方が中心となってつくられた。どういうのがよくて、どういうのがよくないかというようなことについてガイドラインがつくられたということであります。

 まず、そのガイドラインの前に一点お伺いしたいのが、この第二項関係で、つまり、Eラーニングの授業をやるときに、同時送信のときだけよろしいというような規定なんですが、これを、録画をしている場合でも、この著作権法三十五条の規定に準じて著作権が制限されないというような、この道を開いてくれたらより幅が広がるというようなことを言う仲間がおるんです。

 この「同時に受ける者に対して公衆送信を行うことができる。」というところがひっかかっているわけですけれども、これに関して、検討状況、もしくは何か御所見があれば、お聞かせをいただければと思います。

河村政府参考人 同時中継による遠隔授業のみならず、Eラーニングの場合においても、著作権者の許諾なく著作物の送信を行えるように、例えば著作権法を改正してはどうかということについては、これまでも文化審議会著作権分科会において審議はされてまいりました。

 この審議会の議論では、送信される著作物の権利者の立場から、基本的には、個々の利用許諾契約によって対応すべきではないかと。著作権者に許諾なく行えるようにすることは、現時点では、必要以上に著作権者の利益を害するという懸念などが示されております。

 このために、Eラーニングの実態等を踏まえた上で、権利者や学校教育関係者との検討をさらに行っていくことが現時点では適当と考えているところでございます。

石井(登)委員 このガイドラインにしてみても今の答弁にしてみても、重要なことなんですけれども、著作権者の立場が何か強いんですよね。いや、もちろん著作権者の立場は強いんです。強いので、守らなきゃいけない部分は守らなきゃいけないんですけれども。

 ただ、高井さん、私は先般、アメリカのフィラデルフィアにあるフューチャースクールというところに行きました。そこに行きますと、生徒一人一人に対して教材をカスタマイズして、そして、ほとんどバウチャーをもらっているような、そういう貧困の地域ですけれども、しかし、ITというツールを使うことによって学びの意欲が大いに高まっているわけです。

 それは、今文科省でやっているデジタル教科書ができたとか、そういう話じゃなくて、それぞれが教育のために、世の中に転がっているさまざまなそうしたものを組み合わせて、そして教育に資するというようなことをやっているわけであります。

 著作者の権利を守るということは重要である一方で、インターネットという特性を生かして、より前向きに、プログレッシブに対応できるようなことも、ぜひ、副大臣、次長ともにお考えをいただければと思います。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、あと二点、淡々とお伺いしたいと思います。

 先ほど、下村委員の中でもありましたTPPと著作権に関して、一点、端的に、高井副大臣に所見を確認したいと思います。

 よく言われておりますのが、今回議論になっていけば、著作権の保護期間、死後五十年というのが我が国でありますけれども、映画は今七十年になっていますが、ほかのものは五十年ということであります。

 これは、五十年と七十年とどっちがいいのかなと。日本の漫画のことを考えると七十年がいいのかな、ただ、ミッキーマウスのことを考えると五十年の方がいいのかと、もういろいろ考えるんですけれども、どっちですか。

高井副大臣 これは本当に、両面、いろいろとあると思います。

 保護期間について延長すべきという意見として、漫画、アニメ等の海外での使用に当たって、保護期間が延長されることにより国際収支の改善が見込まれるということや、保護期間の延長により収益の増加が見込めるものであるとすれば、創作へのインセンティブとなる、こうしたことから延長すべきという意見もございます。

 ただ一方、この延長に反対する意見としては、国際取引の収支が赤字である中、保護期間の延長によって輸入超過の傾向が続くこととなるのではないか。それから、著作物が公有となることによって、当該著作物の利用の拡大等が逆に図られなくなるというふうな、まさに両面、本当にいろいろな意見がございます。

 双方とも私も傾聴に値する点があるというふうに思っていまして、国益の観点から、直ちにどちらかという結論を導くことは難しいと思っておりますが、少し、今後とも、関係者との意見を重ねながら、より国際的な状況も踏まえた上で、しっかり検討していきたいと思います。

石井(登)委員 今度会ったときには、どちらか、高井さんの考えをまとめておいていただければと思います。

 最後に、奥村副大臣、一点、著作権法と全く関係ありませんが、ぜひこの機会にお伺いしたいと思います。

 海洋研究開発機構の交付金について、先般、「ちきゅう」という船、委員長と一緒に視察に行ってまいりました。一つ驚いたのが、一年間の予算が四百五十億円、そのうち三百五十億円が国からの交付金ということでありますが、その残りの数十億円、百億円程度をアルバイトで稼いでいる、これは私の言いかえです。

 先日は、スリランカ沖に行って新しいガス田を見つけてきた、そういうアルバイトをしてきたそうですが、スリランカ沖に行って、国際関係上はいいんですけれども、しかし、例えばメタンハイドレートを掘らなきゃいけない、そして、今回、地震の地層を掘らなきゃいけないという、「ちきゅう」にしかできないことをもっと国益のためにやるべきだ。そういうことを考えると、この交付金がアルバイトしなきゃいけないような環境にあるというのは、私はこれはいかぬのじゃないかなと思います。

 そういう意味で、国益に資する、そして六百億円もかけた壮大な船でありますから、そういう環境をつくるために交付金をふやすべきだと私は思いますけれども、これは、副大臣の御決意をちょっとひとつお願いします。

奥村副大臣 ありがとうございます。

 石井委員初め委員の皆様方には、見学もいただいたようでございますし、また、御関心を持っていただいてありがとうございます。

 実は、大体二月、三月ごろになりますと、ちょっと船を休めるところがあるんです。それを研修期間としていろいろ進めておるんですが、たまたま二十三年度はスリランカの方に、今おっしゃったとおり、約三十四億円の、アルバイトといえばあれかもわかりませんが、そうした仕事をしてまいりました。

 「ちきゅう」そのものの本当の経費というのは、九十九億、約百億ぐらいで、今日まで運営費で進めてきております。その中で、今、東北沖でいろいろと地震の探査もやりました。そして、実は、六月、七月、今ちょっとオーバーホールをやっているようなことでもございます。

 ですから、先ほどおっしゃったように、しっかりと予算を確保して、そして、経産省なんかの御委託をいただいてやっているわけでございますが、メタンハイドレートの問題等につきましても、しっかり掘削ができるように体制を整えて頑張っていきたいというふうに思いますので、今後ともまた、御指導また御支援をいただきたいというように思います。

石井(登)委員 ありがとうございました。終わります。

石毛委員長 次に、池坊保子委員。

池坊委員 おはようございます。公明党の池坊保子でございます。

 著作権法の一部を改正する法律案について、何点か質問をさせていただきたいと思います。

 今日では、インターネットが急速に普及してまいりました。スマホと言われるようなスマートホン、この登場によって、二十四時間いつでも、世界のどこにいても、簡単に音楽や映画を楽しむようになれる。つまり、誰もが、ある意味、気楽に文化芸術に親しめる環境、時代になってきたということは、今を生きている私としては大変幸せだなという思いがいたします。

 でも、そういうことは、同時に、著作物をめぐる環境も急速に大きく変貌を遂げているということでもあって、こうした環境の変貌に著作権法制もしっかりと対応することが求められているのが今日の現状ではないかと思っております。

 著作権法の第一条には「文化の発展に寄与する」と書かれておりますから、何よりも、文化の発展に寄与するようなきめ細やかな著作権法でなければならないと私は思います。

 先日、大臣からの提案理由説明では、「著作物等の利用の円滑化を図るとともに、著作権等の適切な保護を図るため、必要な改正を行う」とのことでございました。それを読んだだけでは、そして、この法律を読んだだけでは、本当にちんぷんかんぷんの方が多いと思うんですよね。私は、説明を聞きまして、ああ、本当にこうなのか、なかなかおもしろいな、著作権法というのはと思いまして、以来、私は講演なんかでよく皆様方に説明するのです。

 まずお伺いしたいのが、著作物等の利用の円滑化という観点から行われる、いわゆる写り込みなどに係る規定の整備です。

 今回の法案では、著作権者の許諾がなくても自由に利用できる範囲について、幾つかの条文、四つの条文というのが挙げられております。三十条の二の付随対象著作物の利用、三十条の三の検討の過程における利用、三十条の四の技術の開発または実用化のための試験の用に供するための利用、四十七条の九の情報通信技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用。

 これ、委員長もおわかりになりますか。これだけ聞いただけでぱっとわかる方は、よっぽど専門家なんだと私は思います。ですけれども、法律というのは一人でも多くの方に理解してもらわなければならないわけです。

 今回の改正案で何が具体的に自由利用の対象となるのか、そしてそれがどうなっていくのかということをちょっと御説明いただけたらというふうに思います。まず、これについてはいかがですか。

高井副大臣 おっしゃるとおりだと思います。この条文を見ると、本当に著作権用語ともいうべきワードが並んでいて、大変、読んですぐにすっと頭に入るという感じでは私もございませんでした。

 御指摘の三十条の二それから三、四、四十七条の九というふうなことを少し丁寧に御説明したいと思いますけれども、著作物の利用の円滑化を図るというために、権利者の利益を不当に害しない著作物の利用であっても形式的には違法となるというものについて、権利の侵害とならないということを明確にしようとしております。

 三十条の二では、例えば、写真撮影の際に背景に有名なキャラクターが写り込む行為とか、キャラクターが写り込んだ行為を自分のブログに載せてインターネットで送信する行為などが対象となります。

 三十条の三は、例えば、ある企業がキャラクター商品の販売を検討する過程の中で会議のために用意した企画書にキャラクターが載っているという行為などが対象になります。

 三十条の四は、例えば、ある企業が録画機器を開発するために実際に録画を試験的に行うという行為などが対象となる。

 最後に、四十七条の九は、例えば、動画配信サービスとかSNS、ソーシャル・ネットワーク・サービスなどでデータを高速処理するために行われるサーバー内でのデータの大量複製行為などが対象となり、要するに、これらを法改正により適法であるということを明確化しようとする法改正でございます。

 こういうことをホームページの活用とか説明会の実施を通じて可能な限りわかりやすく説明するために努力してまいりたいと思います。

池坊委員 ありがとうございます。

 今までだったら、会議でだってディズニーランドのキャラクターを使っちゃいけなかった。これからは、拡大されるからそれはいいよ、だけれども、それを一般的に流したりしてはいけないよ、そういう種類のことが多いということですよね。

 先ほど御説明を求めた内容は、デジタル化、ネットワーク化の推進の中で、さまざまな産業のいろいろな場面で著作物を利用する機会がふえ、誰もが気楽に著作物を利用できるようになっているという点において、私は大事な規定だと思うんですね。

 しかし、著作物の流通の促進という観点からはまだまだ十分ではなくて、著作権者の許諾なく自由に利用できる場面について、目的を限定するのではなく、自由に著作物を利用できる場面かどうかは幾つかの考慮要素に基づいて司法が判断して決めるような、いわばアメリカ型のフェアユース規定、米国著作権法第百七条のような規定を置くべきだという声も聞かれているんですね。

 今回の一連の規定も、こうした声をきっかけに検討が進められた結果であると私は思っておりますけれども、このようなアメリカ型のフェアユース規定を置くということについてはどのようにお考えか。大臣、お帰り早々でお大変かもしれませんが、御答弁いただけますでしょうか。

平野(博)国務大臣 今、池坊先生おっしゃられたように、私は、いろいろな意味において、権利の保護があって初めていろいろなものが発展をしていく、こういうことだと思っております。

 特に、文化ということにあっては、やはり、それぞれ芸術を営んでおられる方々が創作意欲と同時にしっかりと権利に守られているということが私は基本前提であり、その結果の帰趨として文化活動が活性化してきた、こういう理念でございます。

 そういう中で、アメリカ型のフェアユース規定が今アメリカにはありますが、日本には置かれていない、こういうことでございますが、先ほど申し上げましたように、先生も花という中での創作活動をやっておられる方でございますから、そういうことをしっかり踏まえた上で、これだけ今日、科学技術の進展、特にデジタル技術の進展に伴いまして、権利と技術進歩のミスマッチが起こってきているということでございますから、しっかりとしたそういう規定を適切に対応していく、こういうことが非常に大事であろうと私は思っております。

 したがいまして、先生今おっしゃられたような部分では、いろいろな場面で著作物が利用されている、こういうことでございますし、幾つかの著作物の利用場面を特定せず自由に利用される、こういうことは司法の判断、こういうことも今先生御案内のとおりでございます。

 しかし、アメリカのフェアユース、こういう概念の部分でいきますと、百数十年という長い歴史でいろいろな経過を積み上げてきた結果のものだと思っておりますし、また、我が国の実法定主義、こういう考え方の部分と少し違うような気がいたします。

 したがいまして、私は、我が国への導入というのは非常に難しいというふうには思っておりますけれども、しかし一方で、そういう権利者の保護、こういうところをしっかり守っていかなきゃならない、かように思っているところであります。

池坊委員 私も大臣と同じでございます。国民の知的財産に対する権利意識が、私はまだまだ極めて低いのではないかというふうに思っております。

 文化がこれから活性化していくためには、やはりしっかりとした権利が守られなければ、誰も文化活動も行っていかないというふうに私は考えておりますので、検討しながら、より漸進的に、さまざまな分野における知的財産の権利者の権利が守られるべきである、それが消費者にとっても長い目で見ていいことであると信じてやみません。

 これまでの質問は、著作物の利用の促進という観点からの規定についての問題提起でございましたが、今回の法案ではもう一つ、音楽や映画といった著作物の違法利用、違法流通対策の観点から、技術的保護手段の見直しを行うという規定が盛り込まれております。

 そこで、大臣の提案理由説明にもございましたように、今回の法案では、「DVD等に用いられている暗号型技術を技術的保護手段の対象に加える」とのことですが、そもそも、暗号型技術とはどういったものなんですか。そして、技術的保護手段の対象に加えることで、どのような効果をもたらすのかをお答えいただけますでしょうか。

高井副大臣 今回、御指摘あったとおり、この暗号型技術を保護手段の対象とするということで、暗号型技術とは、コンテンツ提供事業者が映画などのコンテンツを暗号化して、そして、機器での視聴とか勝手に複製をさせないようにすることも含め、何回かにするとか、コントロールするという技術であります。

 現在、DVDとかブルーレイディスクなどに一般的に用いられておりますが、この暗号型技術というものの回避を可能とするプログラムを頒布する、広げるということを刑事罰の対象とするということであります。

 このことによって、この暗号型技術というものを不正に回避して複製を可能とするプログラムが広がっていくことを防ぐ。そして、このようなプログラムにより不正に作成された映画などの違法の複製物が瞬時かつ広範にネット上に広がっていくことを防ぐということを狙いとしております。

池坊委員 現在主流となっております著作権保護技術を破るようなプログラムをしっかりと抑えなければ、海賊版と言われる音楽や映画などがインターネットを通じて流通してしまいますので、今回の法改正でしっかりと対応していただきたいと私は願っております。

 私がちょうど、もう何年になるんでしょうか、文部科学委員長をしておりましたときに、海賊版の逆輸入ですね、日本にやってきちゃう、それを防ぐための刑罰などをつくりました。そのときは、本当に消費者の方が安く手に入ればいいんじゃないか、こういう意識があって、反対の声もあったのですが、そうじゃない、しっかりと守るべきものは権利として守っていくような法律をつくらなければいけないのだ、私はそういう信念を持っておりましたので、これを行ったことを今御答弁いただきながら思いました。

 しかし、その一方で、こうした著作権保護技術を破るようなプログラムが規制されてしまうと、他の権利制限規定で許されている複製、例えば学校の授業で行う場合、あるいは障害者の方が利用する場合に、技術的保護手段を回避しての複製が結果的に困難になってしまうのではないかと思うんですね。

 このことについては、障害者関係の方々とか学校現場の方々にはそういう危惧もおありになると思いますけれども、これはいかがでしょうか。

河村政府参考人 技術的保護手段についての、それを回避するためのプログラム規制をかけることによって、事実上、そうしたプログラムが出回らなくなってしまう、そうしますと、別の障害者や教育の目的で本来使うことができたはずの人たちまで使えなくなってしまう、そういう効果が生ずるという懸念はおっしゃるとおりかと存じますので、そこは、権利者と利用を必要とする人たちの橋渡しを私どもとしても何らかの場を設けていくというような工夫、努力をしてまいりたいと存じます。

池坊委員 この知的財産の権利を守るということは、ある意味で消費者と深くかかわっておりますので、消費者にもそれぞれの立場の方々がいらっしゃいます。ですから、それらのことをやはり考慮しながら、学校現場において、あるいは障害者の方々などが困らないようなことにも目配りをしていただけたらと思います。

 著作権保護の観点から、著作物の違法流通のもとを断つためには、暗号型技術を技術的保護手段の対象とすること自体は有意義であるとは思いますが、このことによって、先ほど申し上げたような教育の現場や福祉の現場で混乱が起きてはならないと私は思うのですね。ですから、それはきっちりと守っていただきたいと思います。

 もう一つ、著作物の違法流通の観点から看過できない問題が今起こっているのではないかと思います。それは、人気作家の小説や漫画が違法に複製されて、あっという間にインターネット上で流通しているという問題なんですね。

 小説や漫画も、当然のことながら、日本の大切な文化です。しかし、こうした小説や漫画といった出版物の権利侵害に対しては、有効に対処できていないのが現状です。例えば、小説家が個人で訴訟を起こそうとしても、大変な労力が必要となるために、つい二の足を踏んでしまうことがあるということを関係者の方々から伺っております。小説家の方々が連名で、著作者の権利を守ってほしいというようなことも署名していらっしゃるんですね。

 確かに、物をお書きになる方というのは、訴訟などということは苦手な、そういう環境の中にいらっしゃいます。ですから、これをもし出版社が代行してくれたらいいなと。ところが、出版社というのは、訴えられることはあっても訴えることはできないということになっております。また、こうした出版物の違法流通は、それを世の中に広く送り出している出版社に大きな打撃を与えております。

 今申し上げたような、出版社に何ら権利がないために、このような出版物の違法流通に対応できていないというのが問題なのではないかと思います。一生懸命つくりました私の一冊の本がばっと遮断されまして、そして、がっとインターネットになって、それをまた組み合わせて、安くて、十分の一ぐらいに売られてしまいますと、何か涙が出るほど悲しいというような気がいたします。

 私は、出版社にも何らか権利を認めることによって、こうした出版物の違法流通に対応する必要があるのではないかというふうに考えておりますけれども、この点については、大臣、どのようにお考えでいらっしゃいますか。

平野(博)国務大臣 今池坊先生おっしゃられた一番の大きな問題というのは、御質問は、作家の権利という部分と、その作家が創作したものに対して出版社がマーケットに出している、こういう中にあって侵害をされたときに、本来、作家自身が権利者ですから権利要求をする、これは非常に面倒くさいという表現はいいかどうかわかりませんが、作家活動に専念できない。しかし、一方、では、出版社がそれを代行してやるというのは何の権利でもって代行するのか、こういうことなんだろうというふうに思います。

 したがいまして、そういう出版社に何らかの権利を認めていくべきではないか、こういう御意見があることも承知をいたしております。先生はそういう趣旨で、権利を認めていくべきじゃないか、こういうことでございます。したがって、出版社に作家と同じ著作権ということを新たに設けるということについても、一方ではそれはいかがなものかという慎重な御意見もあることは事実でございます。

 したがいまして、文科省としては、こういう御議論があるということがございますので、調査研究をこれからしっかりする、それで何らかの法制面からの対応ができないか。法制面的にどう言うか私はわかりませんが、間接侵害みたいな部分を含めて、法制面で対応できないかどうかを今検討しなければならない。いずれにしましても、著作権者がしっかりとした権利が担保できるということが基本にあっての対応をしていかなきゃならないというふうに考えています。

池坊委員 一つの出版物ができるまでには長い年月を要します。それは、著作者だけじゃなくて、出版社も校正を重ねたり、編集者との打ち合わせとか、さまざまな作業が必要なんですよね。それを経て一冊の本ができ上がっていく。

 それが安く読めたら、消費者にとっては大変うれしいことではあります。ありますが、では、もとの権利がちゃんと保存されなければ、例えば、卵は私たちは安い方がいいですよね。安く手に入れたい。だけれども、卵を産む鶏が死んじゃったら、これは卵は産まれないんですよ。それを思いますと、やはりきっちりとした権利が守られてこそ、いい卵を産むその鶏の部分が滅亡しちゃったならば卵すら手に入らない、だから消費者がいい卵を手に入れるためにはまずいい鶏を飼わなければいけない、これの保護が必要じゃないかというふうに私は思っておりますことを申し上げておきたいと思います。

 それから一点、TPPにおける著作権についてお伺いしたいんですけれども、政府が交渉参加をしているTPPと著作権法の関係についてちょっとお伺いしたいんですね。

 TPPというのは二十一分野が交渉の対象となっております。私どもが目にするのは農産物に関する貿易自由化といった観点、私はこれが余りにも議論になり過ぎているのではないかと思います。著作権を含む知的財産権も二十一分野の中に、よく見ましたら出ているんですね。

 これは、著作権については著作権の保護期間の延長、アクセスコントロールの回避規制などが議論のテーマになったというふうに報道では見ております。場合によっては、我が国の著作権制度の変更を伴うことも私は考えられるのではないかと思います。この報道が正しいものであり、こういった制度の変更がなされるのであれば、我が国の著作権制度ひいては文化政策自体にとっても大きな影響を生じるのではないかと思います。

 一方、その具体的な内容についてははっきりしたことが示されておりませんので、私たちも議論したくてもできない状況下におります。

 私は、TPP交渉の中で経済的な視点のみを重視するのではなくて、文化的な視点がないがしろにされないか、心配しているんですね。経済的な農産物のことなどにみんなが目が行って、そこで大きな流れになっていく中にあって、ふと見たら文化的な視点がそのままTPPの中に織り込まれている。著作権は、経済的な視点もさることながら、我が国の文化の保護、発展といった視点から考えていくべきであると考えております。

 そのために、我が国の文化の価値や重要性について理解している我々日本国民が、国内における議論を十分行う必要がある。特に、その関係に携わっていらっしゃる方々の御意見なども聞く必要があるというふうに考えております。

 文部科学省においては、国内の議論が十分に行われるよう、関連情報を適切に公表していただきたいと私は希望しております。TPPにおける著作権制度にかかわる部分について、文部科学省として把握されている内容と、TPPに対する対応方針についてお伺いできたらと思います。

 あわせて、より広い視野で見たときに、TPPへの参加が我が国の文化芸術に与える影響について、文部科学省としてはどのように考えていらっしゃるのかも、ちょっとお伺いしたいと存じます。

平野(博)国務大臣 先ほど下村議員からも、このTPPに関する状況についてということで御質問がございました。特にソフトの部分でいきますと、マーケット的にいっても七兆円ぐらいある、こういう御指摘も頂戴をいたしました。

 文科省といたしましても、昨年十一月に発表いたしましたTPPの協定交渉参加、この協議を開始する、こういう方針が出されたわけでありますが、関連する分野情報については、今現在、収集をいたしているところでございます。

 加えて、具体的にどういう議論がされているかということについては、まだ十分承知をいたしておりませんけれども、文科省のこの関連に関していけば、知的財産権分野における著作権関連事項、こういうことに一つはなろうと思います。もう一つは、越境サービス分野における教育サービスの関連分野等々のものがあると考えております。

 先ほど池坊議員からございましたアメリカとの関係で、海賊版の話、私は非常によく承知をいたしております。議員が委員長のときだと思いますし、私は野党の筆頭でございました。党内にもいろいろ御議論がございましたが、積極的に委員長の言うとおりに対応したつもりでございます。

 したがいまして、私は、この問題というのは、やはり第一には、国益と我が国の文化、こういうことをしっかり踏まえて、特に著作権保護の観点から、模造品とか海賊版の対策強化をしっかりするということを考え、具体的な交渉の中にあっては、我が国の国内の事情を十分に踏まえて判断をしていかなきゃならない、このように文科省としては思っております。

池坊委員 いつも平野文部科学大臣には、文化芸術への力強い御理解と御支援をいただいていることに心から感謝しておりますし、私が委員長時代に、本当に党内をまとめていただくのに御苦労していただきましたので、私は、そのことをしっかりと心に刻んでおりますので、大臣に頭が上がらないという思いが今もいたしております。

 最後になりますけれども、これは著作権に関することに対して、大臣の御決意を伺えたらというふうに思っております。

 先ほども申し上げましたけれども、第一条に、「文化の発展に寄与すること」というのが規定されております。それがこの著作権法の目的ではないかと私は思います。

 でも、今日では、それだけでなくて、いわゆるKポップや韓流映画などが象徴しているように、日本の音楽、映画などが、より一層広く海外で受け入れられ、浸透していけば、それだけ日本のファンがふえることになり、大きな収益にもなっていくと思うんですね。やはり、文化が果たす経済的力、それから人類の感性の問題で何か心のきずなというのも見逃すことはできないと思います。

 日本のこうしたコンテンツの振興、文化の振興について、今後どのように取り組んでいらっしゃるか、御決意を伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 私、先ほどちょっと席を外しておりましたので、お聞きしておりませんが、池坊議員の方から、著作権法第一条の理念について、全て語っておられるというふうにお聞きをいたしました。

 私は、やはり、文化活動というのは非常に大事である。しかし、大事であるがゆえに、きちっとした権利を守るというこの意識を啓発しなきゃいけませんし、我が国国民全体が持たなければならない。

 しかし一方、科学技術の進展、デジタル技術の進展、情報化時代に入ってくる、権利の保護の範囲より技術が先に行く、こういうイタチごっこのような状況にありますが、やはり、所管をする文科省としては、著作権者の権利をしっかり守ることによって文化活動のより発展に寄与したい、かように考えております。

池坊委員 力強い御決意、ありがとうございます。

 それでは、終わらせていただきます。

石毛委員長 次に、宮本岳志委員。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 政府提出法案は、いわゆる写り込み等に係る制限規定の改正、国会図書館や国立公文書館の利用に伴う権利制限、著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備など、いずれも必要なものであり、我が党も基本的には賛成できるものだと考えております。

 ただ、一点だけ確認をいたしたいと思うんです。

 今回の政府案には写り込み等の権利制限規定が設けられておりますけれども、これらの法改正は、写り込み等、ある程度事例を限定した上で、現行では形式的には違法となる行為を容認しようとするものであり、現実の利用実態を踏まえたやむを得ないものであると考えます。しかし、これも当初は、日本型フェアユース規定の整備ということで検討が進められ、権利者側からは、一般規定の導入には異論がありました。

 そこで、確認するんですけれども、今回の規定で、例えば、会議資料として新聞記事を大量にコピーしたり、新聞記事の全文をネット上で引用したりする行為が容認されるものではないと思うんですけれども、これは御確認いただけますか。

平野(博)国務大臣 宮本議員もよく御理解をいただいた上での確認事項だと私は思っていますが、委員御質問の新聞記事の各利用行為、いずれも、いわゆる写り込み等に関する規定の要件を満たすものではない、本行為が本改正法により適法となるということではございません。

宮本委員 今後も一般規定のありようについては議論が続くと思うんです。関係者間でよく議論し、慎重に検討を進めていただきたいと思います。

 前回の著作権法の改正時に、つまり二〇〇九年五月八日の当委員会で、我が党の石井郁子議員が私的録音録画補償金制度の問題を取り上げました。

 私的録音録画補償金制度は、利用者の録音行為を認めつつ権利者がこうむる不利益を補償する目的で一九九二年にスタートし、二十年が経過しました。この間、デジタル式の録音録画機はさまざまな形態の機器が開発をされまして、急速に広がり、デジタル複製が誰でも容易にできるという状況になっております。

 当時の塩谷大臣は、石井議員の質問に答えて、全ての利用形態について補償金制度にかわる制度が導入できる環境にない、現状においては、新しい制度が直ちに補償金制度にとってかわるという状況にないとして、現在の制度についても意義があると答弁をされておりますけれども、現在もこの補償金制度の評価は、大臣、変わっておりませんね。

平野(博)国務大臣 今委員御指摘の補償金制度の意義、これについては変わっていないのか、こういう御質問でございますが、この私的録音録画の補償金制度、こういうことでは、特に、機器の開発普及によって、家庭の中で録音録画が大量に行われるようになった、こういうことから、利用者の録音録画行為を認めつつ権利者のこうむる不利益を補償する、こういうことで、平成四年に導入された制度でございます。

 その後、著作権保護の技術の導入や、パソコン等録音録画以外の用途に用いられる機器等の普及など、録音録画の実態の急速な変化、進展に伴いまして、制度の見直しが求められておるわけでございます。

 これまで文化審議会で検討が行われてきておりますが、まだ結論を導いておりません。平成二十一年の当時の答弁のとおり、補償金制度については見直しが求められている、こういう意味では、過渡的な時期においてなお一定の意義を有している、こういうことでございます。

宮本委員 見直しが続けられているが、現状で同じ意義を有している、こういうことでありますね。

 この制度の現状なんですけれども、きょうは資料をつけておきました。資料一を見ていただきたい。資料一は私的録音補償金の推移であります。二〇〇一年度の四十億円余りをピークにして激減をしております。

 これは文化庁に確認しますが、どうして私的録音補償金の額はこんなに激減をしておるんですか。

河村政府参考人 私的録音補償金の額の減少は、補償金の対象となっていないアイポッドなどの新たな録音機器等に需要が移ってまいりまして、補償金の対象であるMDプレーヤー、CDプレーヤーなどの機器や、それに用いられる媒体の販売数の減少に伴うものと私ども理解しております。

宮本委員 新しい機器になかなか対象が広がっていないと。

 資料の二を見ていただきたい。私的録画補償金、これの推移をつけておきました。こちらはおおむね二十億円前後で推移をして、横ばいとなっております。

 これも文化庁にお伺いするんですが、この私的録画補償金は今後どのような見通しになりますか。

河村政府参考人 平成二十二年度、二十三年度に権利者へ分配されました私的録画補償金の額はほぼ横ばいとなっておりますけれども、今後、メーカーが補償金支払いを停止しているアナログチューナーを搭載していない録画機器が販売の中心になることから、減少していくことが見込まれております。

宮本委員 そうなんですね。メーカーが支払いを停止するということが起こり、今訴訟もやられているようですが、これからこれは減っていくわけですね。

 現在においても意義ある制度と言うんですけれども、現状は補償金の額が激減し、もはや崩壊寸前という状況になっております。もちろん、対象機器がMDなどの今やもう誰も使わないようなもの、録音でいえばそういうものしかないという状況もあるわけです。

 それで、知的財産推進計画では毎年見直しが言われておりますし、当委員会でも、前回、二〇〇九年改正の際に、特に私的録音録画補償金制度については、「国際的動向や関係団体等の意見も十分に考慮し、早期に適切な結論を得ること。」と全会一致の附帯決議までしているわけですね。しかし、この二年間、ほとんど検討が進んでいない。これはどういう理由ですか、大臣。

平野(博)国務大臣 この制度の見直しについて、こういうことで附帯決議が課せられております。それを踏まえて、審議会では、平成十八年から三年間検討を行ってまいりました。特にこの経過の中で、権利者とメーカーの意見対立が起こっておりまして、合意の形成に至っていない、こういうこと。また、平成二十一年一月の報告書では、審議会を離れた意見交換の場を設けるなどして、関係者の合意形成を目指すということが必要である、こういうふうにされております。

 その後、文科省としては、関係省庁でございます経済産業省との事務レベルにおける合同検討会、こういうことも行ってきました。また、関係者に対しても、意見交換の場への参加も呼びかけてきたわけでありますが、先ほどございましたが、その支払いを拒否した、こういうことで民事訴訟が提起され、現在最高裁で係争中、こういうことで、なかなか関係者の協力が得られていない状況にある、こういうことでございます。

 しかしながら、合意形成が得られるように今後とも引き続き努力はしてまいりたい、かように思います。

宮本委員 訴訟があるということでありますけれども、争われているのは録画補償金の部分であって、録音の部分については争われていないんですね。今、商品名も出ましたが、携帯用オーディオレコーダーなど、新たな補償金制度に組み入れることが必要な利用形態が広がっている。これもしっかり見直す必要があると思うんですね。

 私は、少なくとも録音の部分だけでもやはり見直しを進めるべきではないかと思いますけれども、大臣の御見解をお願いいたします。

平野(博)国務大臣 録画の部分だから、録音だけでもいいんじゃないか、それだけでも進めていくべきだ、こういう御意見だと思いますが、実態の変化にどのように対応するか、こういうことに対しては、やはり録音、録画に共通する問題であるものですから、録音だけを切り離して、委員御指摘のように、先行してそれをやったらどうだということですが、録音だけを取り出してやるという検討については、なかなか困難性が伴う、このように認識をいたしております。

宮本委員 メーカーが拒否しているというのは、私はとんでもないことだと思うんですね。

 この制度の導入に至る十五年にわたる長い議論の中で、当時JASRAC理事長であった芥川也寸志さんが、一九八八年八月、著作権審議会の第十小委員会に提出した意見書、「私的録音録画問題と報酬請求権制度の導入について」というこの文書を私も読ませていただきました。そこではこう述べられております。

 詩人や作曲家たちが音楽をつくり、演奏家の皆さんがその音楽を世に送り出します。その受け手は聴衆であり、視聴者であり、ホームテーピングする人たちです。この三者の輪の交流こそ音楽の営みであり、その中で音楽文化は生きて発展していくのです。つくり手、送り手、受け手という循環の中にこそ音楽の営みが存在するという原理は、遠い昔も、科学技術が発達した今日、また将来とも変わりないはずです。

 この制度によってユーザーの自由は確保され、しかも著作権者等の権利侵害のおそれはなくなるというすぐれた工夫なのですが、メーカーの方々には、販売の前に手数を煩わせなければならないのです。現代の企業が持っている大きな社会的な役割や責任からいっても、ぜひこれを引き受けていただきたいと思っております。

 これが芥川さんのお言葉なんですね。こう言って、ソフトとハード、文化と経済の両立は企業にとってもよい結果をもたらすことを指摘し、企業に、それに伴う必要限度の社会的責任を果たすことを求めております。

 この言葉は今も変わらぬ意義を持っていると私は思うんですが、大臣、そう思われますね。

平野(博)国務大臣 現在の仕組み、制度につきましては、委員御指摘のように、その意見に沿ったものであり、基本的な考え方は現在も意義がある、こういうふうに思っております。

宮本委員 芥川さんも指摘するように、企業にとってもよい結果をもたらす制度なのに、それに協力を拒否している企業の側こそ問題だと私は思います。

 そもそもこの制度は、権利者とメーカーが協力してユーザーから補償金を預かり、制度を運用するという前提のもとにつくられたものなんです。

 ところが、この間の経過を見れば、メーカー側は協力義務も果たさず、対象機器の減少とみずから補償金の支払いに協力しないことで、まるでこの制度の死滅化を待っているかのような対応に終始していると私は思うんですね。

 今や、メーカーの側から協力の前提が崩されている以上、諸外国のようにメーカーに補償金の支払い義務を負わせることを検討すべきだと私は思いますが、大臣、そうは思われませんか。

平野(博)国務大臣 今議員が申されましたように、義務をかけろ、こういうことでございますが、訴訟の状況等々踏まえながら、引き続き検討していきたいと思っております。

 しかし、メーカー等の、補償金の支払い義務者ではなく、協力義務者とする現行制度、これが実は平成四年の著作権法改正になっておりまして、関係者の大いなる議論のもとにこれができ上がったものでございます。

 したがいまして、それを超えていく改正を見直そう、こういう方向に今言及することは困難である、こういうふうに私は思います。

宮本委員 大臣、幾らすぐれた録音、録画の機械があっても、肝心のコンテンツ、音楽や映像がなくなれば、せっかくの機器も使われることはないんです。日本の音楽や映像文化を支えてきたクリエーターに対する対価の還元をどうするかというのは重大問題であって、もっと正面からメーカーにはっきり迫るべきだと私は思うんですね。そうでなければ日本のコンテンツ産業は死滅してしまう。このことは本当に重大なことだと思います。

 ところが、事もあろうに、メーカーに対しては腰が引けて要求しないまま、今度はユーザーを刑事罰でおどしつけて問題を解決しようという動きが起こっております。

 本日、政府提出の著作権法改正案に対して、自民、公明両党から、第百十九条に三項を加え、違法に配信された音楽や映像などを、私的使用目的であってもダウンロードしたユーザーに、二年以下の懲役もしくは二百万円以下の罰金、またはそれを併科するなどという重大な修正案が提案されることになっております。我が党は、これには断固反対です。

 そもそも、違法ダウンロードに対する刑事罰導入に関しては、日弁連からも厳しい反対の意見書及び会長声明が発出されております。個人の私的生活領域におけるダウンロードに対して刑事罰を科そうとする議論を是認すれば、国家権力が私的領域に直接入り込む余地を与えることになるものであるとまで日弁連は警告しております。そのような重大な内容の修正案を、しかも質疑終局後に提出するなどということは、言語道断だと言わなければなりません。

 そこで、お聞きしますけれども、そもそも今回問題になっている私的領域における違法にアップロードされた音楽、映像などのダウンロードについては、わずか三年前の二〇〇九年の法改正で初めて違法とされたものであります。それ以前は、私的領域については違法ですらなかったですね、文化庁。

河村政府参考人 平成二十一年の改正により初めて、私的使用目的であっても、違法配信と知りながら音楽、映像をダウンロードする行為が違法とされたものでございます。

宮本委員 この法改正が施行されたのは二〇一〇年一月一日ですよ。ですから、そもそもわずか二年余り前までは、私的領域におけるダウンロードは基本的には違法ですらなかったわけです。

 これを初めて違法とした三年前の改正時にも、この問題をめぐって大きな議論がございました。しかし、このときは我が党も、違法ダウンロードが正規の配信事業を上回る規模になり、正規コンテンツの流通に支障を来していること、そして、このような状況が放置されることはゆゆしき事態であり、日本のコンテンツ産業の成長が阻害される懸念があることから賛成の立場をとりました。しかし、それはあくまで、罰則規定の導入など、国民の基本的人権を脅かすような内容がそこに含まれていなかったからであります。

 平成二十一年改正のときには、政府自身がそのことを力説していたと思うんですね。当時の塩谷文部科学大臣は、この二〇〇九年の改正案の法案趣旨説明で、「なお、この第三十条の改正については、違法なものと知りながら行った場合に限るとともに、罰則は科さないこととしております。」と述べております。

 確認しますが、大臣、このときなぜ罰則を科さないことにしたんですか。

平野(博)国務大臣 そもそも論のところについて、私、全てを承知いたしておりませんが、先ほど来から申し上げていますように、日進月歩で技術の進展がある、特に、ネットの社会を含めて、いろいろな意味で技術進歩が日進月歩だ、こういう背景が一つ。もう一つは、やはり何をおいても大事なことは、権利者の保護ということをすることによってこの世界が導かれていく、さらに発展をしていくというのが基本であろうというふうに思っております。

 そういう中で、平成二十一年の改正時はどうだったんだ、こういう御指摘でございますが、平成二十一年の改正の際には、私的利用でも違法配信と知りながらダウンロードすれば違法、こういうふうにしてございます。

 では、刑事罰をなぜかけなかったのか、こういうことでございますが、個々の人の違法ダウンロードの事態は非常に軽微である、こういう判断をその当時されたんだろうというふうに私は思っております。

 もう一つは、どういうふうにその違法をトラップするかというところの実効性がどうなのか、こんなことも御議論されたように思います。

 しかし一方では、ネット上がより発展すればより広範に広がっていくということも事実だ、こういうふうに思っておりますし、また、検証していく部分というのはなかなか難しいということはありますが、やはり刑事罰をかけていくということによって抑止的効果が大いに期待できるのではないか、こういうふうな御意見もあったと承知をいたしておりまして、そういう両方ある中で、二十一年の改正のときにはそうしなかった、こういうことだと私は理解しております。

宮本委員 このときは、違法化ですけれども、罰則規定をつけなかった、軽微だということでありますけれども、それでも、民主党の議員も当委員会で、いつ損害賠償請求が送られてくるかわからないというユーザーの不安にどう応えるのかといった議論を相当詳しくしております。

 このとき、高塩文化庁次長は、権利者団体がいきなりその利用者に対して損害賠償請求を行うようなことは基本的にないと答弁し、プロバイダー責任制限法におきましても、サイト運営者に対するダウンロードの個人情報開示の手続というものはございませんので、ダウンロードを行う利用者を特定するということは困難だと述べております。

 その後、何か事情が変わったのか、文化庁、お答えいただけますか。

河村政府参考人 御指摘の点につきましては、事情の変更はないものと承知をいたしております。

宮本委員 事情の変更はないんですね。

 それで、このプロバイダー責任制限法、正式には特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律という長い名前の法律でありますけれども、これを、二〇〇一年十一月六日、参議院総務委員会で審議した際、我が党から質問に立ったのはほかならぬ私でございました。

 きょうは総務省にも来ていただいております。

 私は、二〇〇一年十一月六日、参議院総務委員会でのプロバイダー責任制限法案の質疑で、インターネットでいつ、どんなサイトにアクセスしたかといったことは個人のプライバシーにかかわる問題であり、法律上も電気通信事業者はそれを通信の秘密として守る責務を負っていると指摘した上で、電気通信事業者がみだりにそれを開示することは許されないばかりでなく、それを開示させる法令をつくろうという場合でも、憲法上の通信の秘密の適用から除外するに足るだけの十分な理由がある場合に限られるのでなければ、憲法違反となると厳しく指摘をいたしました。

 それに対して、当時の片山総務大臣も総務省も、発信者情報開示請求権の要件を厳格に定め、通信の秘密をいささかも侵すことのない運用に努めると繰り返し答弁したと覚えておりますが、間違いないですね。

原口政府参考人 先生おっしゃいましたとおり、当時、宮本委員から御質問いただきまして、総務大臣、総合通信基盤局長から、一点目といたしまして、いわゆる通信の秘密につきましては、憲法上の基本的人権として保障されていること、また、インターネット上のいわゆる電子掲示板への接続の記録も、これは通信の秘密として保護の対象となること、それから、いわゆるプロバイダー責任制限法におきまして、発信者情報の開示請求の要件については非常に厳格に定められていること、それから最後に、プロバイダー責任制限法の施行に当たっては、その趣旨が十分に理解され、適切な運用が図られるように、必要に応じて関係者に周知徹底を図ること、このように答弁させていただいたと承知しております。

宮本委員 相当厳密な議論をやったんですね。

 それで、今既に罰則が付されているアップロードという行為、これはもちろんプロバイダーのところでそのアドレスを特定するということは可能であります。しかし、ダウンロードしたかどうかということをプロバイダーが特定するというのは不可能でありまして、やろうと思えば全てのアクセスを手当たり次第に調べてみる必要が出てくるわけであって、アクセスした全てのIPアドレスを開示請求するということは許されないことであって、開示請求を受けたところを一つ一つ踏み込んでパソコンの中を調べてみるということは、とんでもない騒ぎに、とんでもない話になるわけであって、できようがないわけなんですね。

 ですから、そういう点でも、こういうものに罰則をかけるというのは、技術的にも、そして憲法上も許されないということを申し上げなければなりません。

 それで、こういう議論が文化審議会の著作権分科会でもやられてきたと思うんです。文化審議会著作権分科会では、昨年、著作権法第三十条の見直しの議論がされ、関係者からもヒアリングをされてきたと聞いております。

 そこで、私的違法ダウンロードに罰則をかけるというようなことが関係者間で合意されたという事実がございますか。

河村政府参考人 昨年度、文化審議会では、著作権法第三十条、私的使用のための複製の規定でございますが、この規定全般について関係者から広くヒアリングを行い、検討課題を整理した、そういう段階でございます。

宮本委員 合意はできていないですね。

河村政府参考人 検討課題を整理したという段階ですから、まだそうした議論をしているということではございません。

宮本委員 文化審議会の著作権分科会でも合意に至っていない、こういうものであります。

 違法ダウンロードが動画投稿サイトで多いと言われております。そこで、その実態について聞くんですが、動画サイトは、音楽の利用について権利者と包括的に許諾を得ているサイト、具体名を挙げるとニコニコ動画など、それと、放送局などの公式ページと違法にアップロードされた動画が混在するサイト、具体名を挙げますとユーチューブなどがあると思うんですが、これは事実ですね、文化庁。

河村政府参考人 お話しのように、動画サイトの中には、運営事業者とJASRAC等の著作権等管理事業者やレコード製作者との間で包括的な利用許諾契約を締結している例もある一方で、適法なものと違法にアップロードされた動画が混在しているサイトも存在しているというふうに承知しております。

宮本委員 動画投稿サイトにある音楽や映像には、適法にアップロードされたものと違法なものが混在しているというのが今答弁にあったように実態なんです。

 これでは、音楽、映像のダウンロードが果たして違法な行為に当たるのかどうかを理解できないままに行われる場合も多く、処罰の対象にすることは過剰な対応だと言わざるを得ないと思います。

 さらにお伺いしますが、放送局などの場合、その多くが無償で提供するサイトと有償で提供するサイトの両方を運営しているほか、映画、音楽なども、それぞれの販売目的に応じて、期間を限定して無償で提供したり、一部分を無償で提供したりする、そういう実態があると思うんですけれども、これも、文化庁、事実ですね。

河村政府参考人 お尋ねの点につきましては、放送局が無償または有償で放送番組等の動画を提供するサイトを運営している例や、映画製作者、音楽事業者が、販売促進等の目的に応じて、期間や提供部分を限定するなどして無償で提供している例があるというふうに承知をいたしております。

宮本委員 有償と無償の区別をつけることさえ難しいというのが実態です。こんな状態では、ダウンロードすれば処罰の対象となる音楽、映像なのか、利用者が事前に判別するということは困難だと言わざるを得ないと思います。何が罪になるのか明確になっていないものを刑罰を定めるというようなことは、許されるものではありません。

 そもそも、新たな刑罰を科す場合、賛否はどうあれ、当然、国会において慎重な質疑がなされ、その立法事実、構成要件等を明らかにしなければなりません。とりわけ、この修正案が提起している違法ダウンロードの処罰化は、今や多くの国民が利用するインターネット利用に大きく影響するものであります。

 修正案提案者には、そのような修正案の提案は取りやめること、また、そのような修正案に何の審議もなく賛成するというようなことは、くれぐれも思いとどまることを強く訴えて、私の質問を終わります。

石毛委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石毛委員長 この際、本案に対し、池坊保子さん外四名から、自由民主党・無所属の会及び公明党の二派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。池坊保子委員。

    ―――――――――――――

 著作権法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

池坊委員 ただいま議題となりました修正案について、提出者を代表いたしまして、その趣旨及び内容の概要を御説明いたします。

 本修正案は、違法に配信されているものであることを知りながら、有償の音楽、影像を私的使用目的で複製する行為、いわゆる私的違法ダウンロードについて罰則を設けるとともに、私的違法ダウンロードの防止に関し、国民に対する啓発、関係事業者の措置などについての規定を追加するものであります。

 その内容の概要を御説明いたします。

 まず、私的違法ダウンロードに対する罰則を設けることといたしました。

 すなわち、一、私的使用の目的をもって、二、有償著作物等の著作権または著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音または録画を、三、みずからその事実を知りながら行って著作権または著作隣接権を侵害した者は、四、二年以下の懲役もしくは二百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科することとしております。

 また、私的違法ダウンロードの防止の重要性についての国民の理解を深めることが重要であると考え、国及び地方公共団体に対し、私的違法ダウンロードの防止に関する啓発、未成年者に対する教育の充実を義務づけることといたしました。

 その他、関係事業者の措置に関する規定、法律の施行後一年を目途とする検討条項等を設けることとしております。

 以上が、修正案の趣旨及び内容の概要でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

石毛委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石毛委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。宮本委員。

宮本委員 私は、日本共産党を代表して、内閣提出の著作権法の一部を改正する法律案に賛成、自民党、公明党共同提出の修正案に反対の立場から討論します。

 内閣提出の法律案は、写り込みなど、ある程度事例を限定した上で、現行では形式的には違法となる行為を容認しようとするものですし、国会図書館が所有する電子化資料の利用拡大など国民の利便性が向上する面もあり、賛同できるものです。

 これに対し、自民党、公明党共同提案による修正案は、内閣提出の法律案とは全くかかわりがない違法ダウンロードを処罰化するものです。

 まず、このような国民の基本的人権にかかわる重大な内容を含む修正案を政府案の質疑終局後に提出するという委員会運営を強引に進めた修正案提案者及び民主党に対して厳しく抗議します。

 現在、動画投稿サイトやファイル交換ソフト等を通じて違法にアップロードされたコンテンツが簡易に無料で入手できる状況にあり、正規コンテンツの流通に支障を来していることはもちろん問題です。しかし、その対処は処罰化ではなく、まずはインターネット上にある違法にアップロードされたものの削除などの対策のさらなる強化であるべきであって、違法ダウンロードの処罰化ではありません。

 そもそも、この問題は個人のインターネット利用のありようにかかわる私的な領域であり、ダウンロードを行っているのは未成年者を含む若者が多く、その影響も考慮し、慎重に検討されなければなりません。

 著作権法制のあり方を検討する文化庁の文化審議会著作権分科会では、昨年九月に、違法ダウンロードの処罰化については賛否両論の論点整理をまとめているのみで、ことし二月の審議経過報告では、今後、適宜検討するとされているにすぎず、関係者間の合意はありません。

 また、現在、ダウンロード違法化の施行からわずか二年余りが経過したにすぎず、わずかな期間での処罰化は国民の理解を得られません。国民的な合意もないまま、関係者間の議論の途上で、審議会での議論さえ踏まず、罰則を導入するなどは言語道断です。

 違法ダウンロードが行われているとされる動画投稿サイトには、音楽の利用について権利者と包括的に許諾を得ているサイトと、放送局などの公式ページと違法にアップロードされた動画が混在するサイトがあり、ユーザーにとって、インターネット上にある音楽、映像が違法にアップロードされたものかどうかを事前に判断することは困難です。

 また、修正案は有償であるもののみを対象としていますが、放送局などの場合、その多くが無償で提供するサイトと有償で提供するサイトの両方を運営しているほか、映画、音楽などもそれぞれの販売目的に応じて期間を限定して無償で提供したり、一部分を無償で提供したりもしています。有償か無償かを見分けることも容易ではありません。

 さらに、処罰する場合、誰がどのようにして違法ダウンロードを行ったのかを証明、把握する必要が生じます。日常的に権利者、捜査当局が個人のインターネット利用の内容、音楽、映像のダウンロード状況を監視、把握することが予想されます。親告罪で著作権者の告発により捜査が行われるといっても、臆測や疑惑の段階から取り締まりを可能にすることにつながりかねず、結果として、捜査当局の恣意的な捜査を招く危険を排除できません。

 このような問題の多い修正案をまともな審議抜きで採決することの不当性を厳しく指摘して、私の討論を終わります。

石毛委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石毛委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、池坊保子さん外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の委員の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石毛委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の委員の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石毛委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石毛委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石毛委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.