衆議院

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第2号 平成24年11月7日(水曜日)

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平成二十四年十一月七日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 川内 博史君

   理事 金森  正君 理事 城井  崇君

   理事 高井 美穂君 理事 永江 孝子君

   理事 下村 博文君 理事 松野 博一君

   理事 松崎 哲久君 理事 池坊 保子君

      江端 貴子君    勝又恒一郎君

      川口  浩君    川端 達夫君

      桑原  功君    小室 寿明君

      高野  守君    高橋 英行君

      土肥 隆一君    道休誠一郎君

      中野  譲君    中屋 大介君

      野木  実君    浜本  宏君

      藤田 大助君    藤田 憲彦君

      松本 大輔君    村井 宗明君

      室井 秀子君    谷田川 元君

      山田 良司君    吉田 統彦君

      笠  浩史君    あべ 俊子君

      遠藤 利明君    大島 理森君

      金田 勝年君    河村 建夫君

      塩谷  立君    平  将明君

      馳   浩君    石原洋三郎君

      大山 昌宏君    加藤  学君

      高松 和夫君    三輪 信昭君

      富田 茂之君    宮本 岳志君

      山内 康一君

    …………………………………

   文部科学大臣       田中眞紀子君

   内閣府副大臣       白  眞勲君

   文部科学副大臣      松本 大輔君

   文部科学副大臣      笠  浩史君

   総務大臣政務官      石津 政雄君

   外務大臣政務官      村越 祐民君

   財務大臣政務官      柚木 道義君

   文部科学大臣政務官    村井 宗明君

   文部科学大臣政務官    那谷屋正義君

   厚生労働大臣政務官    糸川 正晃君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 田中 法昌君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 河邉 有二君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 前川 喜平君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            戸谷 一夫君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 加藤 重治君

   政府参考人

   (文化庁次長)      河村 潤子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     小室 寿明君

  竹田 光明君     浜本  宏君

  本村賢太郎君     高橋 英行君

  大島 理森君     金田 勝年君

  永岡 桂子君     平  将明君

  大山 昌宏君     高松 和夫君

同日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     江端 貴子君

  高橋 英行君     藤田 大助君

  浜本  宏君     道休誠一郎君

  金田 勝年君     大島 理森君

  平  将明君     永岡 桂子君

  高松 和夫君     大山 昌宏君

同日

 辞任         補欠選任

  道休誠一郎君     桑原  功君

  藤田 大助君     勝又恒一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     本村賢太郎君

  桑原  功君     藤田 憲彦君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 憲彦君     谷田川 元君

同日

 辞任         補欠選任

  谷田川 元君     竹田 光明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

川内委員長 これより会議を開きます。

 この際、委員長から一言申し上げます。

 予算委員会の開催前という異例の委員会の開催となったことについてでございますけれども、本委員会におきましては、議論すべき喫緊の課題もあることから、理事並びに委員各位の御配慮をいただき本日質疑を行うこととなりましたことを委員長から御報告申し上げておきます。

     ――――◇―――――

川内委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房長前川喜平君、初等中等教育局長布村幸彦君、高等教育局長板東久美子君、高等教育局私学部長小松親次郎君、研究振興局長吉田大輔君、研究開発局長戸谷一夫君、スポーツ・青少年局長久保公人君、国際統括官加藤重治君、文化庁次長河村潤子君、警察庁長官官房審議官田中法昌君及び長官官房審議官河邉有二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

川内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。民主党の吉田統彦でございます。

 大変貴重な時間でございますので、早速質問に入りたいと思います。

 二〇〇〇年代に入り大学及び学部の新設の規制緩和が行われた結果、現在日本には、七百八十三の大学が存在し、五十八万千四百二十六人の入学定員が存在するわけです。そして、いわゆる科研費、科学研究費補助金などを除いた国費の投入は、国公立大学では、国立大学だけでも、平成二十四年度、一兆一千四百二十三億円、私立大学に対する私学助成は四千五百十八億円に上ります。そのような中で、特に田舎においては、定員割れをしている大学なども少なくないわけであります。

 今後の十八歳人口の減少を鑑みるに、今後、大学や学部を無軌道に増加させるということは、やはり慎重に対応すべきであると私は考えています。量より質を重視して、世界と伍していけるような人材を育てることができる大学を日本国にふやしていくべきだと考えます。

 そこで、お尋ねをいたします。

 文部科学省としては、今後も毎年大学や学部をふやし続けていく御意向なのか、それとも、統廃合を含めた大学の再編、機能分化などをしっかりと推し進めていくおつもりなのか。日本の大学のグランドデザインに関して、大臣のお考えをお聞かせください。

田中国務大臣 吉田委員にお答え申し上げます。

 今委員がいみじくも御指摘なさったように、少子高齢化が大変進んでおりまして、特に、少子化の問題、それからグローバリゼーションというものは、世界じゅうどこの国もとめられない中にあります。そうした日本の実情と世界の情勢の中で、どのような人材を育成するか。

 小さいうちから大人になって社会に出て世界貢献をして、それが結果的に日本の国も豊かにして平和にしていく、そういう人材をつくる時代に来ていて、大学というものも、それぞれよく努力はなさっています、公立も私学も。しかし、やはり少子化の中でもっていろいろと経営難に陥っている学校等もありますし、将来を見据えて質をもっと高めるために見直しをしていくということは、既存の学校も、それから新設も含めて肝要なことである、かように考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 まさに、本当に、大臣が今おっしゃったように、とにかく大学の質の担保こそが枢要であります。

 現在、大学及び学部の新設に関する文部科学大臣の諮問機関である大学設置・学校法人審議会は、その二十九名の定員のうち、私もリストを拝見いたしましたが、実に二十二名が大学関係者ということになっております。

 これでは、硬直した議論から逃れ得ない、制度疲労を起こしつつある審議会であるというそしりを国民から受けかねません。そうでないと私は信じておりますが、国民はそういうふうに見るかもしれません。

 もっとより広く有識者を委員として採用した方がよいと私は考えますが、今後、そのような改革を、かなり力強い改革になると思いますが、そういった改革をなさるおつもりがあるのかどうか、文部科学大臣のお言葉を頂戴したいと思います。

田中国務大臣 戦後ずっと、設置審に関して申しましても、長いこと、今おっしゃったような、大学の総長でありますとか理事長でありますとか教授とか、そういう方々にかなり偏重した形で、しかも大勢の方がおられて、そして、年に大体四回ぐらいしか、一回に当たり二時間ですけれども会議がされていません。

 したがって、基本的なことはかなり事務方がやらなければいけないような状態になっていますので、やはりもっといろいろな各界の多様な意見を聞きながら、もっとアクティブで、そして現実に即応できるような委員会に見直さなければいけないというふうに考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 どのような党が与党であっても、どのような政権であっても、これはやっていかなければいけないことではないかなと私は思います。

 次に、報道にありました三大学の設置認可に関してお伺いをいたします。

 この三大学の設置認可について、大臣は昨日、閣議後の会見で、今の大学設置認可の仕組みのもとでは新設を認めることはできないが、見直し後、新しいルールをつくり、新たな基準に照らして改めて判断すると述べておられました。

 こういった新たな基準で判断をする場合、これらの三大学は認可されるのか、また、来年四月の開学に間に合うタイミングで御判断されるのか、大臣の御所見を伺いたく存じます。

田中国務大臣 設置認可のありようでございますけれども、早急に抜本的な見直しを、本当に早く、できれば一カ月でも二カ月でも早ければ早い方がスーナー・ザ・ベターだというふうに思っておりますので、早速きのうも人選を急いでおります、先方の御都合もおありになりますから。できるだけ早く、集中的に、新しい基準をつくるようなシステムをつくり上げたいというふうに思っております。そして、その新しいシステムのもとで考えていかなければならないというふうに思っています。

 そして、見直し後の新たな基準に適合すると判断されれば、当然、今御指摘の三大学も、もちろんそのほかもそうでしょうけれども、今の三大学は既にエントリーされているんですよね、アプライされているんです。ここが時々誤解されているようです。したがって、早くにこういう新しい基準をつくって、新しい基準に基づいて判断をしていきたい、かように思っております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 では、加えてお尋ねをいたします。少し御意見を御開陳いただいたんですが、大学設置認可のあり方について、今後はどのような検討体制及び検討スケジュールで、どのような点を見直すのか、大臣の御所見をお伺いしたく存じます。

田中国務大臣 まず、基本的には、言うまでもなく、その大学の設置の本当に必要性、経営陣が経営上ということではなくて、客観的に見て、なるほどねと思うような設置の必要性。それから、学生が本当に末永く、今ブームじゃなくて、末永く学生数を確保できる見通しがあるか。それから、もちろん経営面が大事でありますから、その経営面で、今は残念ながら、たくさんの学校が、殊に、規制緩和、平成十五年、十六年の辺から、あのころにどんどんとつくられた学校が、不幸にして倒産をしたり、生徒数が少なかったり、もうこれは枚挙にいとまがなくて、連日報道されている実態ですので、このことが早速に、あしたから行く場所がなくなっている生徒さんを我々は責任を持って救済しなければならない。そういう悲劇が起こっていますので、それを起こしてはいけないと思います。

 ですから、そういう現場を熟知した方々が中に入られて、そして、今申し上げた少子化やグローバリゼーション、日本はどういう人材を輩出することが今現在も将来も必要かという視点に立った方たちに御意見を開陳していただいて、そして、そのルールを速やかに、とにかく早くつくって検討を開始したいというふうに考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございました。

 本当に、世界的に見ても、日本の大学教育というのは大変重要な転換期に来ていると私も考えております。私がアメリカで見た大学教育と日本の大学教育は大きく異なるものであります。ぜひ、世界に通用する人材を育てる大学教育に、今後も与野党問わず全ての、この国会において議論をしながら進めていただきたい、そう考えております。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授が、iPS細胞をこの世に生み出したという功績で、ことしのノーベル医学・生理学賞を受賞されました。これはまさに壮挙でありまして、これに応えるべく、我々は世界に先駆けて、安心、安全な再生医療や再生医療製品を日本国民に届けるための環境整備を行わなければなりません。

 田中眞紀子大臣、もう一年半ほど前でしょうか、山中教授の御講演を熱心に聞かれてメモをとられていたのを、私、後ろから見守っておりました。大変よく記憶しております。

 そのような中、それを誇りに思う我々日本国民や研究者に冷や水を浴びせるような、自称ハーバード大研究者による、iPS細胞から心筋の細胞をつくり移植したといった虚偽の臨床応用に関する報告がなされるという、大変まがまがしい事件が起こりました。

 研究開発は、ただ単に夢を実現するだけでなく、産業を生み、雇用を生む、日本国の成長にとって必要不可欠であります。そこで、我々は、研究者にはより高い倫理観を持って研究に邁進することを期待するとともに、その業績、論文や総説、そして学会発表を正当に評価する環境を整える必要があるという思いを私はさらに強くいたしました。

 今回の問題の根底にあるのは、ギフトオーサーといって、当該研究に全く関係ないのに、貢献していない人物を共著者に加える、そしてそれを安易に受け入れるといった悪弊があるのは間違いありません。実際に、この件では、私のような学者の末席にいた人間が見ても、この自称ハーバード大学研究員がこんな研究をするほどの能力がないのは明らかであります。実際に、今回の件でも、幾ら自分が被害者だと主張される共著者がいても、その共著者は大いなる責任があります。

 残念なことでありますが、私自身、例えば私が見た研究者でも、自分がかわいがっている後輩が、留学中であるにもかかわらず、全部の論文に共著者と入れるというような恥ずかしい研究者を知っております。こういった研究者には、当然研究の場から退場していただかなければいけない。そして、二度とこういった事件を起こさないように、文部科学省としてはどのような施策を今後とられていくおつもりなのか、明快にお答えいただきたいと思います。

田中国務大臣 ギフトオーサーにつきましては、先日の民主党の部門会議で吉田先生がお触れになって、私も改めて認識をいたしましたし、ちょうどその前に、山中先生の業績に対してあのような、本当に冷水を浴びせるような、日本人としても恥ずかしい、研究者の方はもっと嫌な思いもなさったと思います、ああいうことが起こりました。

 したがって、モラルというか倫理面というか、そういうことの確立をしっかりしていかないといけないし、研究者自体のコミュニティーというものも、ある程度しっかりと自浄作用を持って、それが本当に自信とプライドにつながると思いますので、そのようなことに私どももやはり気配りも目配りもしなければならない、このように考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。ぜひ具体的な施策を持ってまた進めていただきたいと思います。

 ただ、しかしながら、今後、すぐれた論文や業績の評価の仕方については、やはり相当な議論が必要になると思います。研究者そして研究の質を担保して、本当にすぐれた研究に予算をつけていくことが、やはりこれから、限られている予算でありますので、重要だと思います。

 そんな中で、インパクトファクターというものは非常に重要なんですが、これはすぐれた論文をいかに世に出しているかという数字なんですが、サイテーションインデックスと言われる、いわゆる被引用回数と、どれだけの期間引用されているかということもしっかりと評価すべきであると私は考えます。

 しかし、それでもなお、国内外問わず、仲間内の研究者で引用し合うという悪弊もやはりあるんです。本当にこれは研究者自身の良心にかかわるところではあると思うんですが、それでも、文部科学省としては、今後の研究業績や研究者に対する評価方法に関して、やはり何らかのお考えを示していただかなければいけないと私は考えております。ぜひそこに大臣のお答えをいただきたいと思います。

田中国務大臣 研究評価の問題ですけれども、やはり研究をしているときは、初めは善意であったというふうに思うんですけれども、それを指導している教官でありますとか教授とか、システムででき上がっているものと思いますので、途中の方あるいは末端の方が事件を起こした場合に、それにかかわっていた、指導してきた方々が、全然私は知らぬ存ぜぬ、責任ありませんということも、全体の研究班、グループとして、モラルの問題でいかがなものかということになります。

 したがって、そういう責任感もしっかりと、法的という言葉はきついのですけれども、何か倫理面で、自分たちが自分を規制するというようなルールといいましょうか、そういうものも皆様のお知恵を拝借しながらつくっていった方が、よりいいと考えます。

吉田(統)委員 ありがとうございました。

 では、大変力強いお言葉をいただきましたので、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 ついに、ヒッグス粒子の痕跡が見つかりました。その結果、国際リニアコライダー計画の進展に対する期待が大変高まっています。こういった、これは加速器の研究でありますが、その研究成果の波及効果は大変多岐にわたるわけであります。例えば、その技術の中には核種の変換技術、ラジオアイソトープとか、そういう核種の変換技術も含まれておりまして、それが進めば、近い将来に、半減期の長いプルトニウムのような強力な放射性物質を、半減期の短い、毒性の弱い放射性物質に変換できるようになる可能性があります。そうすると、例えば、廃炉の技術が格段に進歩する可能性があります。また、置き場所に困っている使用済み核燃料の処理にも大変有益であると思います。そして、現在汚染されている福島第一原発の周辺の土壌やその他組織も、福島の再生、そういったことにも大変有用であると考えます。

 また、核融合の技術に関しては、地球に太陽をつくるような壮挙であると私は考えております。実現、実用化されれば、地球上の全てのエネルギー問題が解決される可能性すらあります。実用化が期待される、重水素とトリチウムをぶつけてヘリウムと中性子を生み出す反応は、臨界を超えると制御不能になる核分裂とは違って、プラズマ状態が解除されればすぐその反応が停止する、比較的安全な技術であります。そして、天然に存在するトリチウム以外の核物質は使用しません。

 フランスのカダラッシュで行われているITER計画の理事長は日本人でありまして、二〇二〇年にはファーストプラズマ、二〇三〇年には発電可能な実験炉の開発が期待されています。実際に核融合発電が可能になるのは二〇四〇年か五〇年ぐらいと推定されています。

 こういった国際プロジェクトに対して、今後、日本国そして文部科学省はどのようなスタンスで臨むのか。こういったプロジェクトの誘致に関しても、積極的に誘致活動に参加をし、予算を組んでいくのか。そういったことに関して御所見をお伺いできればと思います。お願いいたします。

那谷屋大臣政務官 吉田委員にお答えを申し上げます。

 まず、ITERについてでありますけれども、我が国としては、このITER計画を、世界七極の協力のもとで、国会で御承認をいただいた国際約束に基づき着実に推進してまいりたい。この核融合エネルギーに関する認識は委員と御一緒でございますので、今後も推進してまいりたいというふうに思っておるところであります。

 また、国際リニアコライダー計画の件であります。これは大変すばらしいものでありますけれども、何しろ巨額の経費がかかるものでありますから、そういう意味では、まず、研究者レベルでの国際的な設計活動の進捗状況、あるいは、欧州における素粒子物理に関する大型実験の成果や今後の大型実験計画などの国際的な動向、そして、我が国の科学技術・学術コミュニティー全体での議論等を見定めながら、対応方策について検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、こういった、将来に夢と希望を与える、そして現下の東日本大震災の爪跡が残る日本国を力強く押し上げるプロジェクトには積極的に予算を組んでいただきたいと思います。

 しかしながら、予算は有限であり、国民の血税であります。先ほども予算のお話が出ました。

 そこで、高速増殖原型炉「もんじゅ」及びFaCT、高速増殖炉サイクル実用化研究開発に関してお伺いをさせていただきます。

 私は、これらの研究は、既にその歴史的使命を終えたのではないかと考えております。九月十四日決定の革新的エネルギー・環境戦略においても、「もんじゅ」は、年限を区切った研究を策定、実行し、成果を確認の上、研究を終了するとされています。

 そこで、質問です。

 年限はいつまでなのか、そして研究の終了イコール廃炉と考えてよろしいのでしょうか、明朗、明確にお答えください。

那谷屋大臣政務官 今、スケジュールということで御質問いただいたと思っておりますけれども、年末までに大まかな方針を中間的に取りまとめをいたしまして、平成二十五年度予算案にいろいろと必要なことについては予算を反映させていきたいというふうに思っております。

 また、革新的エネルギー・環境戦略において定められた研究をやはり実行していく。いろいろな評価がございますけれども、まず実行し、その成果を上げていくということが当面の課題であるというふうに認識しておりまして、その後については、委員御指摘のように、研究を終了して、そして「もんじゅ」をどのように扱うか検討するということになるということで考えておりますので、よろしくお願いします。

 以上です。

吉田(統)委員 終了イコール廃炉という印象を国民は持っているのではないかと思うんですけれども、そこはもう少ししっかりとお答えはいただけないでしょうか。

那谷屋大臣政務官 それにつきましても、今時点で廃炉ということを申し上げるという段階ではなくて、やはり今後検討していくということで御理解を賜りたいと思います。

吉田(統)委員 わかりました。まだ少し消化不良ですが、今回はこれで、次の質問に移りたいと思います。

 少し議題がかわるんですが、先般、動物愛護法が五年ぶりに改正をされました。そこで多くの議論がなされたわけでありますが、研究開発にかかわる実験動物に関してもさまざまな議論がなされました。

 私自身も、ゴキブリも殺さない。ガーナで医療ボランティアをしていたときは、マラリアにかかりたくないのでハマダラカは殺していましたけれども、日本では蚊に刺されてもそのまま私は放置するぐらい、本当に動物愛護の精神に厚い人間であります。これは前提として申し上げておきます。

 その中で、実験動物に関しては、かなり厳しい規制が今回かけられるという議論がされました。具体的に言うと、実験動物数の削減の義務化と、あと、研究施設の見取り図など、情報開示を徹底的にする、そういったことで多くの議論がありました。

 私自身、スリーRと代替法の徹底による実験動物数の削減には大いに大いに賛成であります。しかし、研究開発、特に難病に苦しむ患者さんたちに夢を与える医薬品や医療機器開発の医療イノベーションの現場では、実験動物が不可欠な場合も多くございます。そして同様に、医薬品医療機器総合機構、PMDAは、承認の過程においてしばしば、実験動物数を倍にせよ、そういう指示をしょっちゅう出してくるわけであります。

 不要な動物実験は絶対にしてはいけません。でき得る限り実験動物数は削減すべきであると思いますが、こういった研究開発の観点から、五年後に再び動物愛護法は改正があるわけですが、文部科学省としてはどのような御見解をお持ちでしょうか、お答えをいただけますでしょうか。

那谷屋大臣政務官 委員御指摘のように、動物実験というのは非常に大事である。一方、動物愛護の立場から考えてどうなのかということで、この問題について考えなければならないわけでありますけれども、科学技術の発展と動物愛護の観点との調和を図りつつ適切にやはり行っていく必要がある、このように考えているところであります。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 多分そういうお答えぐらいしか、難しいのかなと思いますが、実験動物に関して最大限の敬意を払い、スリーR及び代替法の徹底により実験動物数の適正化を図る、研究施設には適正な情報開示を指導するなどという面で、研究開発の現場の主たる監督官庁はやはり文部科学省と厚生労働省だと思います。こういったところが逆に種々のガイドラインの提示や指導などをしていく上で、実験動物に関しては、動物愛護法から独立化をさせて別法化をした方がいいという研究者、及び動物愛護を熱心にされる団体の方々からもそういう意見があるんですが、この点に関してはいかがでございますでしょうか。

那谷屋大臣政務官 委員御指摘の点、別に考えるべきではないかという御指摘もあるかと思いますが、そういったことを勘案して、科学技術の発展、そして動物愛護の観点、この辺が本当にどう調和していくのかということ、このことは、やはり大原則として今後も適切に行っていかなければならない、このように思っているところであります。

吉田(統)委員 調和という言葉がキーワードであったかと思いますが、ぜひ、本当に皆さんが納得するような形で進めていただければと思います。

 では、次の質問ですが、第百七十七国会で成立した独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案、いわゆる科研費基金化法案というものは、科学者や研究者に研究開発に全力投球をしやすい環境を整備して、我々の血税二千五百億円を有効に存分に科学者、研究者に使用可能にするすばらしい法律案でありますが、附帯決議がついておりました。

 その中で、来年度の本予算から、この二千五百億円は全て基金化される予定と伺っておりますが、ここは間違いないでしょうか。確認でございます。

笠副大臣 全額ではなくて、一部のみ基金化をするということになります。まだ全額には至りません。

吉田(統)委員 そうですか。

 全額に至るのはいつの予定なんでしょうか。今後のスケジュール感だけで結構です。

笠副大臣 私どもも急ぎたいと思いますけれども、順次この財政等の状況を勘案しながら進めていきたいというふうに思います。

吉田(統)委員 ぜひ、本当に早急にやってください。これは財政というよりも、お金を、逆に無駄遣いを減らすことですから、早く進めないと国民は納得しないと思います。ありがとうございます。

 では次に、最後の質問ですが、私、厚生労働の科研費も年間五百億円あるんですが、これも基金化をしようと一生懸命頑張って、大分ロードマップもしけてきたわけでございますが、そんな中で、東北メディカル・メガバンク構想というのがございます。これは年間二百億円以上の大変大きなプロジェクトなんですが、復興特会からの予算ということで基金化はできないと聞いているわけであります。

 ただ、東北メディカル・メガバンク構想の研究の中には多くのコホート研究というのが含まれていまして、コホート研究というのは、十年、二十年、三十年とやっていくわけです。そしてこれは、人類の財産になるような大事な研究なんですね。本来、こういった研究こそ基金化をして無駄なくお金を使って、できれば先送りをしながら、二十年、三十年のめどを、予算をつけていくということが正しいんだと思います。

 その点に関して、この東北メディカル・メガバンク構想は基金化をできないという前提では、結構なんですが、どういった工夫をして、この長い間、二十年、三十年のコホート研究をしっかり担保する、そういった工夫がされているのか、教えてください。

那谷屋大臣政務官 東北メディカル・メガバンク計画というのは、被災地の地域医療の復興と、そして次世代医療の実現を目指すという両方を目指すものでありますので、この取り組みは、これらの被災地で、長期間にわたり継続的に地域住民の方々の協力を得て、十五万人規模の資料、データを収集し調査解析を行うとともに、最先端の遺伝子研究に精通した人材を多数育成していくということが大事であります。

 このような計画の目標に沿った長期的な支援に努めてまいりたいというふうに思っています。

吉田(統)委員 長いコホート研究、実際、今も政務官のお話にございましたけれども、その長い研究を支えるために、予算的なそういう工夫というのが具体的にされているかどうかというのをもう少し詳しくお聞かせ願えませんでしょうか。

那谷屋大臣政務官 当面、平成二十三年度から三十二年度までの十年間というふうになっておりますが、そこにとどまらずに、このことは、先ほど委員御指摘のように大変重要な研究でございますので、その後もしっかりと予算化をしていくという決意でございますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。

吉田(統)委員 期待した御返答をいただきまして、ありがとうございます。

 本当に、せっかくこれは人類にとっても重要な重要な研究になると思います。途中で予算が切れて終わってしまうというようなことになっては、コホート研究は何も残らないんです。二十年、三十年やるべきものが五年、三年で終わってしまっては、これは成果はゼロでありますので、ぜひそこは念頭に置いて御努力をいただければと思います。

 これで私の質問を終わらせていただきます。心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。

川内委員長 吉田君の質疑を終了いたしました。

 次に、下村博文君。

下村委員 おはようございます。自民党の下村博文です。

 田中眞紀子文科大臣には、きょうは本来はお祝いを申し上げたいと思っていたんですけれども、田中外務大臣のときも、このときは与党の中でも相当田中外務大臣に対する批判がある中で、私は数少ない、当時は外務委員会の理事として、フォローさせていただいたというふうに思っております。また、田中文科委員長を二年されましたが、そのときも野党の理事として一緒に仕事をさせていただいた中で、物事のつかみどころといいますか、そういう部分については共感を感じる部分もございました。基本的に、思想、理念は大分開きがありましたけれども。

 そういう中で、きょう大臣と質疑できることを楽しみにしていたんですが、残念ながら、今回の設置審ですね、大学設置・学校法人審議会、これについての判断は決定的に間違ったというふうに思いますね。

 この間違った判断を周辺がフォローしようと思ったんでしょう、大臣の体面とかメンツを重んじて、別に新たにこれから設置審をつくって、そこで審査をして、そして不認可になった三大学に対して何らかの救済措置を考えられるということをきのう聞きましたが、それ自体が恥の上塗りだというふうに思いますよ。つまり、今までの設置審で認めなかったわけですから、今度新たにつくるということは、当然今までよりもハードルが高くなるわけですよね。ハードルが高くなって、それで認めたらおかしいでしょう。

 ですから、そもそも撤回をすると。三大学の不認可を撤回して、そして改めて、大学設置審についてもし問題があるということであれば、これはしっかりと大臣が対応するということをしていかなかったら、ただのお騒がせ大臣ですよ。田中大臣が石原前知事に対して暴走老人というふうに言われたそうですが、今は暴走大臣と言われていまして、国民の皆さんからは暴走おばさんというふうに言われているんですよ。やはりこれは暴走だというふうに思いますね。

 ですから、私は、これに対しては、周辺に本当に迷惑をかけているだけで、特に三大学の関係者に対しては、きちっとした法的な手続を積んできたにもかかわらず、直前に大臣がひっくり返した、ちゃぶ台返しですね。これは法治国家として許されざるべきことだというふうに思います。

 ですから、撤回を求めたいと思いますが、いきなり撤回を求めても、すぐわかりましたというふうには答弁されないでしょうから、一時間近くかけてなぜそれをそういうふうに申し上げるのか、田中大臣に対しては、もう一度考え直していただきたい、そういう視点から、論理的な視点に立って、改めて設置審のあり方等を含めて検討していきたいというふうに思います。

 問題意識としては、実は自民党の中でも教育再生実行本部というのをつくりまして、私が本部長に今なっているんですが、政権奪還をしたときに、自民党の二枚看板として、教育再生と経済再生を即、政権奪還した後に実行する。もうそのメニューを今月中にはつくり上げて、そして来月の、十二月の十六日の解散・総選挙投票日に間に合うように準備をしておりますので、早く解散をしてもらいたいというふうに思っておりますが、その教育再生実行本部の中に五つの分科会がありまして、その中の一つが大学教育の強化分科会なんですね。

 ですから、今の大学について、我々もいろいろな問題があるというふうに思っております。設置審だけの問題では当然ないです。国際社会の中で、グローバル社会の中で有為な人材をどうつくっていくかということについては、我が国の教育は非常に劣化しているというふうに思っております。

 これは今の民主党政権だけの責任ではない。我々が政権をとったときの、戦後教育そのものを抜本的に見直すという意味の中で、大学教育についても、九月入学のあり方や、あるいは高校卒業は三月、その間のギャップターム、それから、そもそも大学入試のあり方等々、あるいは英語教育のあり方等、これを抜本的に見直していきたいというふうに思っておりますが、しかし、今回の大臣の問題意識というのは、ただのお騒がせになってしまっているというふうに思うんですね。

 まず、政府参考人に確認事項からちょっと確認していきたいと思います。

 まずは、開学後、大学の学長に就任する予定だった秋田市の短期大学の樋口学長が四日、記者会見を開き、今回の申請は文部科学省の基準と指導に基づいて行ったものであり、不認可は申請制度の自己否定だと田中大臣の決定を強く批判したコメントを記者会見でしております。

 田中大臣が不認可にした三校ともに、文部科学省の基準と指導のもとに申請を行ったというふうに理解をしておりますが、これについて確認をさせていただきます。

板東政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問のように、三大学につきましても、いきなり申請書を出してきたわけではございません。申請の前から、文部科学省につきましては、設置認可の担当部署に事務的に御相談があったということは事実でございます。その上で、三月末に設置認可の申請はなされております。

 ただ、先ほど引かれました、記者会見のときに、申請制度の自己否定だというお言葉を引いておられますけれども、申請というのは、あくまでこれから審査をするというスタートラインにつくということでございますので、申請をしたから認可をされるというものではない、それから審査が始まるということについては、確認をさせていただきたいというふうに思っております。

下村委員 さっき樋口というふうに申し上げましたが、済みません、樋田学長でしたので、名前を間違ったことを訂正したいと思います。

 この設置審そのものについて申し上げているわけでございまして、それでは事実確認からもうちょっと質問していきたいと思います。

 大学設置認可制度について確認したいと思うんですが、量的規制の撤廃や設置認可の弾力化、このような規制緩和が図られてきておりまして、設置審査も準則化されてきたというふうに理解しておりますが、そういうことでよろしいですか。

板東政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御質問の、平成十五年当時の改正のことかと存じますけれども、中教審におきましても、大学の質保証のための新たなシステムの構築ということで検討いたしまして、それを踏まえ、設置認可制度の見直しを平成十五年に行ったところでございます。

 その中では、例えば、収容定員の増員を今まで厳しく抑制してきたという方針を基本的に撤廃するということとか、あるいは認可に係る基準につきまして、例えば、設置審の内規などで定めていたというものについて法令等で明確に規定をしていくということなどの措置を講じたところということでございます。

下村委員 設置審査も準則化された、その準則主義、その意味について説明してください。

板東政府参考人 準則化ということと準則主義ということは、厳密に申しますと、そこに違いはあるというふうに思っております。

 準則主義ということにつきましては、これは講学上、法人設置などに関する立法主義の一つということで、あらかじめ法律で一定の要件を定めておいて、それを備えた団体が設立されたときには当然に法人格を認めるものということで、例えば株式会社の登記などがそういう制度ということでございます。

 今、準則化ということでございますけれども、これにつきましては、当時の中教審などの答申につきましても、基準の一覧性、その明確化というものをより一層高めていくという観点から、先ほど申しました、従来、設置審の内規などにおいて設置審の内部で定めていたような審査の基準につきまして、例えば法令の方に上げていく、あるいは精選をしていくといったような形の改正を行ったということでございます。

 そのときの準則化という考え方につきましては、さまざまな法的な問題点について適用されるべき基準や解釈をより明確に示していく、そういった取り組みをすることということで理解をしているところでございます。

下村委員 何か文科省の役人も、田中大臣を守ろうとしていいかげんな答弁をしております。

 文科省がつくった「大学の設置認可制度に関するQ&A」というのがあるんですよ。「質の高い大学づくりのしくみ」というのがありまして、この中のクエスチョンの一のところに、「大学を設置するのに、なぜ認可を受けなければならないのですか。」という問いに対して、文部科学省の方で、「我が国では大学を設置するのに必要な最低の基準である「大学設置基準」等を設けており、基準に照らして教育課程や教員組織、施設・設備、財務状況などを審査し、問題が無ければ認可を行うこととなります。」こういうことを書いてあるんですね。こういうのが準則化、準則主義というふうに言うんじゃないんですか。

板東政府参考人 大学の設置認可制度につきましては、先ほど御説明申し上げました講学上の準則主義ということではないというふうに理解をしております。大学の設置認可につきましては、大学として必要な要件を具備しているということを確認するというだけではなく、国全体の立場から高等教育の規模や配置等の適正性を確保していくために設置認可が行われるものというふうに考えておりまして、主務官庁の政策判断の余地もあり得るというふうに考えているところでございます。

下村委員 それはおかしいんじゃないの。平成二十一年五月の文部科学省の資料の中に、設置審査というのは準則化というのが書いてあるんですよ。これと違うことを言っているんですよ。

板東政府参考人 先ほど申しましたように、準則化ということと準則主義、一定の要件を形式的に満たせば自動的に認められていくということとは意味が違うと……(下村委員「準則化と言っているんです、準則化」と呼ぶ)準則化につきましては、先ほど申しましたように、従来、例えば設置審の中の審査内規で決められていたこととか、あるいはその中で裁量的に行われていたということを、できる限り明確な形に法令の方に持っていくというような努力をすることを準則化ということで取り組んだわけでございます。

下村委員 そうすると、大臣、主務官庁の裁量というのは認められるんですか。この準則主義というもとで、あるいは準則化ということでもいいですけれども。

板東政府参考人 先ほどもお答えをさせていただきましたように、今の設置認可の仕組みのもとにおきまして、大臣の裁量の余地もあり得るというふうに考えているところでございます。

下村委員 これは明確に議事録に残しておく必要があると思います。板東局長、後で問題になりますよ、この発言は。

 文部科学省が三校に行った指導、先ほどクエスチョン一で読み上げました、文科省がつくっている「大学の設置認可制度に関するQ&A」の中で、もう一度確認しますけれども、「我が国では大学を設置するのに必要な最低の基準である「大学設置基準」等を設けており、基準に照らして教育課程や教員組織、施設・設備、財務状況などを審査し、問題が無ければ認可を行うこととなります。」ということですね。これについて、三大学の指導、これにのっとって、基準と要件を満たすように求めるものであったというふうに理解しておりますが、では、このことをクリアしていなかったということなんですか。

板東政府参考人 設置審におきまして、大学設置基準の要件を具備しているかどうかについては、厳正な審査を行っていただきまして、それについてクリアしているということで答申の御判断をいただいているところでございます。

 先ほど申しましたのは、それ以外に全く裁量の余地がないのかどうかという御質問につきまして、それは最終的には大臣としての認可権についての一定の裁量があるのではないかということを申し上げたところでございます。

下村委員 今の局長の答弁のように、この三大学は基準はクリアしていた。つまり、設置審の答申は合格であった。ところが、大臣は認めなかったわけですね。これはなぜ認めなかったわけですか。大臣にお聞きします。

田中国務大臣 いろいろ誤解があるようですけれども、現時点では不認可という処分を行っているものではないのです。ここらがこんがらがってきているけれども、誤解を……(発言する者あり)

川内委員長 静粛に、御静粛にお願いします。今答弁していますから。

田中国務大臣 誤解を生んでいる理由を申しますけれども、まず最初に、理念として、下村先生もそうであったとは思いますけれども、一九九三年以降は、十九年前ぐらいから、文部省は大学の新設を抑制する方針をとっていたんです。ところが、二〇〇二年の規制緩和の辺から、中教審が抑制を撤廃する提言をしました。そして、以来、今日まで文科省は事前規制から事後チェックへ、これは御存じだと思いますけれども、事後チェックにかじを切ってきたんですね。

 そして、二〇一二年の現在の状態を見ますと、先ほど委員もおっしゃったように、確かに大学の数はふえてきました。そして、今日、少子化もありまして、生徒数も減ってきておりますし、経営難とか、残念ながら倒産をしているような学校もあるわけです。したがって、大学の乱立をもうとめて、質を確保して、先ほど来、民主党の議員からも質問があったように、時代の要請に合ったような大学、その卒業生、社会に貢献する人を生み出すために、かじを切らなければならないということなわけです。

 ところが、この話は、私が十月一日に着任しましたけれども、三月に、ことしの春に申請が出ていて、十月の末日に答えを出すという状況にあったわけです。十月二十六日、御記憶かと思いますけれども、予算委員会もありまして、閣議もあったり、大変多忙をきわめている日にちでございまして、本省ではなくて、本院内のぶら下がりで記者会見をやったんです。そのときに……(発言する者あり)予算委員会をやりましたね。二十六日の日……(発言する者あり)本会議、ごめんなさい、本会議です。とにかく、多忙であって、ぶら下がりでありましたので、メディアに対しても正確なことをしっかりと申し上げることができなかった。その中でもって、いろいろ誤解が出ていることは事実です。

 したがって、問題は、設置の認可のあり方を抜本的に見直して、それを先ほどもお答えしたように、早くに人を集めて、新しいルールをつくって、それの認可の仕組みのもとに、三大学も含めて検討するということであります。

下村委員 田中大臣、田中大臣は記者会見でも同じことを言われていたようですけれども、全然答弁になっていないんですよ。そういう一般論の、今後の大学のありようを聞いているんじゃないんですよ、今聞いているのは。

 この三大学については、今までの設置基準と、それぞれ設置審の答申はクリアしていますね。クリアしているというのを局長は言っていましたよ。大臣、クリアしていますね。しかし、大臣は、実際はクリアしているけれども認めなかった。認めなかった理由は何ですかと聞いているんですよ。

 だから、この三大学に対して認めない理由は何ですかと。今のは全然答弁になっていないです。一般論を話してもしようがないんです。具体的に答えてください。

田中国務大臣 先ほどの日にちを間違えた十一月二日は本会議でございましたけれども、このときに事務方がちょっと真意を酌み取れずに、記者に対して同日付で不認可だと。(発言する者あり)

川内委員長 馳先生、次に質疑をできますから。

田中国務大臣 いや、人の責任じゃないです。事実です。それを、不認可の処分を行うという説明をして、そして担当者もその指示を受けて、そのような連絡をしたというふうに承知をしておりますけれども、その後で誤解を招いたということは理解をしております。また、御理解いただきたいと思います。

 しかし、現実は、先ほど申し上げたとおりでございます。

下村委員 大臣、もうベテラン大臣ですから、もうちょっと冷静に物事をきちっと話してくださいよ。

 私がお聞きしているのは、大臣、その三大学が不認可になりましたね、大臣が認めませんでしたね、その理由は何ですかと聞いているのです。だから、それについて端的に答えてくださいよ。

田中国務大臣 ですから、今までのルールではなくて、新しいルールによってやらないことには、求められているような大学、人材はできないという思いがありましたので、そのためでございます。

下村委員 それはもう法治国家じゃないでしょう。あなたが自分でこれから勝手にルールをつくって、そのルールに乗った、クリアした大学だけ認めましょうということになると、今までのルールは、もう大臣になったら一切認めない、そういうことになりますよね。そもそも設置審そのものを認めないということになりますよ、そうすると。田中大臣が大臣に就任したのはこの秋からかもしれませんが、田中大臣、この三大学については、三年前から設置審の中でかかっていることなんですよ。

 ですから、今後の大学の認可、設置のあり方についてはいろいろな議論はあるでしょう。それはまたこれから議論していきますよ。しかし、この三大学については、あなたが大臣になる以前から、もう設置審の中で対象になっている大学ですよ。それを自分が大臣になったからといって、今までの設置審のルールにのっとって、そして答申が出た結果を認めないというのは、それは法治国家じゃないでしょう。まさに暴走ですよ。どうですか。

田中国務大臣 この設置認可でございますけれども、先ほど来議論になる準則主義ではないんですね。そして、設置認可には大臣の政策的判断をする余地が認められています。これは、学校教育法の四条の第一項でございます。

下村委員 ですから、大臣が政策的な余地があって認めないというんだったら、その理由は何ですかとさっきから聞いているんですから、端的に答えてくださいよ。

田中国務大臣 同じ答えで恐縮でございますけれども、今までの大学の設置認可のあり方を抜本的に見直すということがもうずっと念頭にありまして、早急に検討を開始して、速やかに結論を出したい。そして、このために、今までの設置認可の仕組みのもとでは、三大学については新設を認めることはできない。

 したがって、新しい規約のもとでは、先ほども言いましたように、彼らはもうエントリーしているわけですから、検討対象であるということであって、現時点で不認可であるということの処分を行ってはいないのです。

下村委員 二つ問題があって、まず、今のルールの中で、この三大学が設置申請をしていたわけですよ。この大学の今までの設置審のルールを認めないということだったら、法治国家じゃないでしょう。問題点があるんだったら、今後、大学設置審をどうするかということについては、それは我々も議論に乗りますよ、今後ね。しかし、その三大学をそこに入れるということは、法治国家じゃないでしょう。三大学をそこに入れることによって設置を認めないということは、これは大臣の横暴だと。これについて、いや、こういう理由があるから、やはり三大学は認めないんですよと大臣が言うんだったら、具体的に答えてくださいということです。

 答えてください、ちゃんと。さっきのあれは答弁じゃないんですよ、それは。別次元の話をしているだけですよ。

田中国務大臣 下村委員は、認可されていないで、出されてしまったというふうに誤解されているようですが、現時点では、不認可の処分は行っているものではないのです。機会があるということを申し上げています。

下村委員 もう完全にすりかえですけれども、では一歩下がって、さっきのはちょっとおいておいて今の話に戻りますけれども、不認可ではないと。では、今まで報道で言ったことは、あれはうそだったんですか、全部。不認可というふうに言っていたじゃないですか、先週の金曜日から。

 それで、私は、この秋田の公立美術大学ですか、ここの大学の関係者が、板東局長から電話がかかってきて、この大学に対して、これは不認可にしますということを文科省から電話があったということを言っているんですよ。うそだったんですか、それは。

 ちょっと、まず事実確認。局長。

板東政府参考人 私の方からお電話を差し上げたのは事実でございます。そのときに、もし、先ほどの大臣の御答弁とそごする部分があったといたしましたら、これは私の責任であるかと思っております。

川内委員長 いや、質問者が、何と電話をしたかと聞いたんですけれども。

板東政府参考人 ちょっと、一言一句正確ということではないかもしれないということをお許しいただきたいと思いますけれども、私の方からは、現在の状況のもとにおいては認可をすることはできないということで判断をされているということでお伝えをさせていただきました。それが誤解を生む表現であったということはお許しいただきたいと存じます。

下村委員 現在の段階では認可することはできない。だから、不認可ですよ。認可することはできない。これは明確に大臣だって実際は先週の金曜日から答えているんじゃないの。だからこういう問題になっているんじゃないですか、そもそも。ごまかしちゃだめですよ、大臣、そもそも。

 では、もう一度整理して、三大学については不認可であるとは言っていないと今おっしゃいましたね。では、認可する、認めるということでよろしいんですか、逆に言えば。

田中国務大臣 ですから、先ほど来繰り返していることで、新しいルールで、もう既にこの三校はエントリーしておられるんです。そして、このような誤解を招いたことは、もう一回、よくお聞きください。十一月二日の日に、本会議があった日に、廊下のぶら下がりで、本省内での座っての記者会見ではなくて、本当に立ち話で話をして、その後のブリーフを事務方が簡単にしてしまった中で、不認可というふうな処分を行うというふうに誤解をされて、そのまま三校とも、そして世間も誤解を生んでいるわけですけれども、可能性としては、全然、ゼロだなんということは何にも申し上げておりません。

 先ほど来、冒頭から言っていますように、現時点で、今、不認可という処分は行ってはいないのです。これから新しいルール、基準を早急に立ち上げて、そして、そのことによって検討するということを、ほかと一緒にですよ、申し上げております。

下村委員 いや、田中大臣が、よくこんな公の場で、平気でうそをつくというのは、私は考えられないですよ、本当に。

 その大学設置・学校法人審議会についても見直す、新しいルールのもとでこの三大学についても見直すということを言われていますけれども、それ自体がおかしいんですよ。

 きょうは、お手元に大学設置・学校法人審議会機構図という配付資料があります。これをごらんになっていただきたいと思うんです。きのうきょう大学認可を認めるという話ではなくて、この中の一番最後のペーパーを見ていただきたいと思います。大学等設置認可審査のスケジュールというのがあるんですね。大臣、ちゃんと見てください。

 この中で、設置認可関係(大学設置分科会)というのがあって、これは、開設の前々年度、三月末までに大学新設については申請を行う。事実上は三年前から準備するわけですね。その間に、全体計画についての審査、それから教員審査等を行いながら、タイムスケジュールがもう具体的にできているわけです。

 この中で、分科会とか専門委員会とかがいろいろな諮問をしたり書類審査をしながら、その途中経過について、設置者側に対して審査意見を伝達する。そして、足らざる部分については補正申請書の提出を大学新設側に対してさせながら、そしてさらに七月以降については、第一次専門審査とか教員審査とかを行い、そしてまた審査意見を伝達し、そしてさらには面接審査、実地、実際を見に行くわけですね、それから審査する。

 ここでまた補正申請書の提出を大学新設側から、足らざる部分についてはさせるというようなことを幾つも幾つも重ねていって、最終的に、十月末までに設置審としては大臣から諮問を受けたものに対して答申をして、本来だったら十月末に認可する。こういう形なわけです。

 ですから、冒頭大臣が言われていましたけれども、我が国の大学設置基準というのは準則化されていて、そして一定の条件がクリアされているかどうかということをこの設置審が調べて、そしてそういう基準が全部クリアされれば答申で許可される。最終的に、大臣がそれに対して発表する。こういう手続なわけですよ。これでずっと進んできたんですね、この三大学についても。

 ところが、十月末、つまり田中大臣が就任して、後半の最後の一カ月ですよ。ここで、私が今度大臣になりました、今回は私が大臣になったので私のルールに今度は変えます、今までの大学等設置審査のルールは認めません、新たなルールのもとでこの三大学についてももう一度再審査をし直します、そういうことを言っているわけですよ。そんなことが許されますか。

田中国務大臣 御存じだと思いますけれども、三月に申請をして十月に答えが出て、そして年を、暮れからお正月を越して、四月にもう生徒を募集する、この今までのやり方自体が私は問題がありとずっと思ってきていました。

 なぜならば、許可が出てから、それから校舎を増設するなり、あるいはパンフレットをつくるなり教授を集めるなり生徒にガイダンスをするなりやらなきゃいけないんですけれども、今のようなやり方でいけば、事前に何かの形でサインでもない限りは間に合わないんですよ。こういうルールについて、ですから、審査が行き届いていなかったと私はずっと思っているんです。

 設置審で、大学の教授ばかりが数十人も九割近くいて、そして一年に二時間ずつ四回しか会議をしないで、そういう中で、実際にアプライする方の学校にしてみたら、それは答えが出てからじゃとても間に合いません。だったら、その次の年に学校を開校するとかそういうやり方も含めて、ルールも含めて、設置審のあり方を見直ししたいとずっと思っておりましてそうしたんですし、先ほど言ったような、法律の四条の一項でもってそれは担保されているわけでありますし、この三学校に対しても、チャンスがなくなりましたといって門前払いなんかしてはいないんです。うそもついてはおりません。ルールを変えるんです。誰がいつ、では変えるんですか。

 いつまでも同じように唯々諾々として、もめたら困ると言っていたら、いつまでたっても変革は起こらないのです。アクションを起こせばリアクションがあることは承知の上です。(発言する者あり)

川内委員長 御静粛にお願いします。

下村委員 私は、田中大臣というのは聡明の人だと思っていましたけれども、ここまで愚かだとは、正直言ってびっくりしましたよ。

 つまり、この大学の設置審についてのそもそものあり方については、大臣のもとで新たな設置審のあり方について見直すことについて、それは否定しませんよ。いろいろな課題があることは事実ですよ。それと、今までの設置審の中で審議されていた対象で、そして、この十月末に答申が出た、その大学に対して、それも全部取り上げてしまって、自分が新しいルールをつくるんだ、だから、新しいルールをつくるんだからこの大学についても認めないというのは、それは大臣の暴走でしょう。

 だから、今までのルールはルールで認めて、その上で、これから、しかし、それについては不満がある、問題点がたくさんあると思っている、だから、新たなルールをつくり直したい。新たなルールについては、新たな大学申請についての対象としてはあるけれども、今までのルールでやってきたところの大学も全部ここでストップして認めないというのは、それは横暴でしょう。それはわかるでしょう。

田中国務大臣 事はそれほど、個人中傷すれば済むような簡単な事態ではありません。

 なぜかといいますと、堀越学園を初めとして、昨日も報道されていました堀越は、八年間に四十億もの借金をつくっていて、幼稚園から小学校、中学、高校生まで、あしたから倒産して行き場がなくなる生徒さんもおられるんです。学校がたくさん乱立したことによって経営難に陥っている学校の生徒さんたち、ほかの例は、先生方の方がたくさんむしろ御存じじゃないんでしょうか。

 そういうものをつくらないためにも、今の設置審はすぐにでも改組をして、違った視点で、学力の高いことも大事ですけれども、倒産をしたり、あるいは企業に就職した後に、毎年新聞で、あるいはテレビで出るじゃないですか、大学は卒業しているけれども企業に入っても基礎学力が全くないと。そういう子供たちをつくることは、国際社会から見ても、日本のためにもプラスでもありませんし、本人のためにもいいとは思いません。

 それから、もう一点。先ほど申し上げたことですけれども、何で、三月にアプライをしていて十月の三十日、十一月一日ごろですよ、オーケーが出るというところが、早目に校舎を増設したり、教員を確保したり、七億円近いお金を投資したり、おかしいですよね。そういうことから考えてみても、設置審のあり方は、もっと早くに、もっと勇気のある、自民党政権のときとは言いませんけれども、もっと早くに変えているべきだったんじゃないんでしょうか。

下村委員 大臣は何かごまかしているのか、頭がごちゃごちゃになっているのか、よくわかりませんけれども、幾つか問題点があります。

 まず一つ。この三大学は、では、もし認可したら、さっきのような危惧、具体的な例を言われていましたね、生徒が集まらないとか、あるいは経営上問題があるとか、そういう危惧があるんですか。私は、三大学に対してなぜ認めないんですか、それだけ聞いているだけですからね。一般論じゃないんですよ。具体的に、今回の三大学を認めていないということだから、なぜ認可を認めないのか、これだけを聞いているんです。それが一点、大臣。

 それから、この大学の設置審は、一年間で決めるんじゃないんですよ。実際は、三年前から大学の新設については出ていて、三年間で議論されているのであって、三月から十月の半年間でやっているんじゃないんですよ。もうちょっと勉強しなさいよ、これも。

 まず二つ。

田中国務大臣 設置の認可のあり方の見直しをする、先ほど来言っている理由によってですね、そのことが喫緊の課題なんです。ですから、その上で三大学についても判断をすると申し上げているんです。

下村委員 いや、私が聞いているのは、三大学の何が問題なのかと。

 では、今の答弁で私が解説すると、三大学については具体的に問題はない、問題はないけれども、しかし、今までのルールは使いたくない、田中大臣が自分で新しくルールをつくるんだ、そのルールのもとでもう一度再審査したい、そういうことなんですか。

田中国務大臣 話を矮小化したいのかもしれませんけれども、やはりルールはどこかで変えなければならないんです、もう遅過ぎているわけですから。

 ですから、これは三大学だけに問題を矮小化しているのではなくて、日本の大学設置審のあり方そのものについて問題を提起しているのです。

下村委員 問題を矮小化しているというんだったら、では、大臣のかわりに私は答えたつもりなんですが、新しくルールをつくるということについては否定はしていません、我々は。まず、勝手に考えてください。それが妥当であれば、我々もそれは議論に乗りますよ、大臣。しかし、それと三大学の認可は別次元の話ではないですかということをさっきから申し上げているんですよ。だから、三大学をなぜ今回認めないのかというその理由について具体的に答えてください。

田中国務大臣 三大学、三大学と皆様拘泥して話をしておられますけれども、何度も繰り返しになって恐縮なんですけれども、実際に設置認可のあり方を見直しているわけでして、そのことを早くやれば早くに彼らも間に合う可能性もあるわけですから、この学校のことを個別に私が認識していて目のかたきにしているとか、そんなことではないのです。彼らにチャンスがあるということですよ、彼らにも。

下村委員 大臣、本当に相手の立場、国民目線で物事を考えていただきたいんですよ。

 では、一歩譲って、三大学がまだ不認可じゃないということであれば、それはどうやったら認可できるというふうに大臣は考えられているんですか。

田中国務大臣 ですから、他の学校と同じように、新しいルールをつくりますから、それにのっとって判断をこちらがするということになります。

下村委員 きのう自民党では文部科学部会を開きまして、その中の一つの大学である、今度、札幌に保健医療大学をつくられる吉田学園の理事長に来ていただいて、お話をお聞きしました。

 今までのルールにのっとって何の瑕疵もなくこの大学審の中でやってきた、いよいよ十月末に答申が出るということの中で、一定基準を全部クリアしていますから、当然そういう準備をしていたわけですね。ところが、大臣が不認可ということを決定したことによって、まあ、今の話だとまだ決定していないという話ですけれども、それにしても、もう、きょうあした、厳密に言えばきょうですよ。これについては撤回してもらわないと、つまり来年春から開校できるということでないと、そもそももう準備が間に合わないと。

 これは行政訴訟で訴えられたら負けますよ。これは札幌だけの問題じゃないですよ。ほかの二大学も含めてですよ。

 後でルールをつくってまたやって、その結果ということを言っていたら、もう間に合わないですよ、今までやってきた中で。今まで文科省がやってきたことをあなたは全否定しているんですよ。この責任をどうとるんですか。

田中国務大臣 学校自体、あるいは受験をしたいと思っていらした方、あらゆる準備を進めてこられた方たちのお気持ちは、本当によく理解はしております。しかし、きょう午後、三法人の方々が当省に来られるやにも聞いておりますし、そこでまた御意見を聞いて、私どもも門前払いしているわけでも全然ありません。

 ですけれども、やはり政治でやるべきことは、古いものを唯々諾々として続けるのではなくて、どこかでやはり制度を見直していかないと、このまま日本が元気がない、何も物が決まらないという状態じゃないですか。ですから、そこのところで、もう批判は、非難は覚悟の上で私はこうしたことをやっています。

 彼らには、まだチャンスがございます。

下村委員 我々も、田中大臣が今の日本の大学教育について危機感を持っていて、これからの抜本的な大学教育のあり方について、設置審そのものの見直しも含めて考えるということについては、何の異存もないですよ。その方向については国会できちっと議論しましょう。大賛成ですよ。

 それと、今までのルールの中で大学申請を認めるか認めないかは別の話でしょう、繰り返すようですけれども。わかるでしょう、これは幾ら何でも。それを、今までのルールにのっとって申請をして、三年前から準備して、いよいよこの十月に答申が出ると待ちに待っていたところまで潰しちゃうというのは、それは法治国家じゃないでしょう。まさに大臣の横暴ですよ、それは。

 話は別ですよ、話は別。それを一緒くたにするということについては、誰が見ても理解できないことですよ。それについて説明になっていないんですよ、答弁になっていないんですよ、全然。答弁になっていないというのが、いや、下村の主観だというのだったら、もう一度、私にわかりやすいように、ちゃんと答弁してくださいよ。

田中国務大臣 とにかく、現時点で不認可だという処分は行っていないということを、私、再三再四申し上げているのです。

下村委員 それでは、今までの設置審の答申が出たとおりに認可するということについて、今明確に、三大学に対して認可する、許可するということを答弁してください。(田中国務大臣「もう一回おっしゃってください」と呼ぶ)今までの、三大学について、十月末前に本来は答申が出て、これは設置を認めるという答申であったはずなんですね。大臣がそれをひっくり返したわけですよ、と私は報道等で理解していますが、そうではないんだ、不認可は決まっていないということであれば、今この時点で、この三大学について、今までのルール上、何の瑕疵もないんですから、それはそれで、これは許可する、認可するということについて明言してください。

田中国務大臣 新しいルールのもとにおいて、彼らはエントリーしているのですから、今も不認可の処分は行っていないのですから、彼らにもチャンスがあるということを三校の方に申し上げます。午後も多分、事務方あるいは政務三役からそういうお話をするというふうに思います。

下村委員 いや、本当に答弁がめちゃくちゃですよ。新しいルールのもとにエントリーしていないでしょう。そもそも、新しいルールもないし、三大学についてはそんなの認められない、今までのルールにのっとってきちっとやってもらいたいと言っているだけですから。今の大臣の言っていること自体もいいかげんですよ。ちゃんと答弁整理させてください、委員長。

田中国務大臣 理解したくないのだったら、申しわけないんですけれども、現時点では三大学に対する不認可の処分を行っているものではありません。三大学は、今の設置認可の仕組みのもとでは、今までの認可の、先ほど来るる申し上げていますね、それでは新設を認めることはできないということで、そして、見直し後に新たな基準に照らして、新たな基準をこれから急いでつくるわけですね、それに照らして判断をします。それに受かれば合格です。受からないかもしれません。それは御努力だと思います。(発言する者あり)

川内委員長 いや、答弁していただいています。

下村委員 それは、大臣の暴走、おごりでしょう、法治国家としての。自分でそう思わないの。自分がルールをつくって、自分のルールの中で、それについてはもし手を挙げる大学があればもう一度手を挙げろ、そういうことを言っているんですよ、大臣が言っていることは。

 新しいルールのもとでエントリーするなんというのは、どこの大学も了承していませんよ、そもそも。さっきの発言は撤回してくださいね。さっきの発言をまず撤回してください。自分が何を言っているか、わかっているんですか、田中大臣。

田中国務大臣 混乱はしておりません。大臣の政策的判断として、ルールを見直した上で認可するかどうか判断することは可能である、認可権限は大臣にあるということは、先ほど申し上げましたように学校教育法の四条一項にあります。

下村委員 それを聞いているんじゃないんですよ。新しいルールのもとでエントリーすることについて、三大学は了承なんかしていないでしょうと言っているんですよ。

田中国務大臣 三大学以外もたくさん学校はあるわけですけれども、不認可になったところとか撤退したところ、それらもそういうことはわかっていなかったというふうに思います。

下村委員 いや、大臣、これは答弁になっていないですよ、全く。

 では、もう一度田中大臣に確認しますけれども、そもそも、新しいルールが何なのかというのもまだないわけですね、実際のところ。あなたの頭の中だけですよ。(田中国務大臣「事務方とも詰めています」と呼ぶ)もうできているんですか。では、答えてください。

田中国務大臣 事務方とも政務三役とも詰めておりまして、私の頭だけで考えていることではございません。

 具体的な人選についても、例えば、今までは大学の総長さんとか学長とか教授とか理事長に大変偏っておりました。回数も少なかった。もっとインテンシブに、絞り込んで、例えばジャーナリストかもしれませんし、それから二年制大学の先生、それから企業でもって短大を受け入れている企業、あるいは四年制大学の実際の生徒さんたちを受け入れている企業、それも大企業も中小もあるでしょうし、公認会計士もあるでしょうし、いろいろなジャンルの方。大学の総長、理事長だけではなくて、そういう方たちを今具体的に人選して、もうアクセスして、イエス、ノーを伺っているんですよ。

 そういう方たちと、もっと立体的な未来に向かって、なるほどねと世界からも思われるような人材をつくれる学校にしてほしいんですから、そのためにルールを変えています。

 これだけのアクションを起こせば、リアクションがあることは覚悟の上であります。

下村委員 リアクションがあると。何か自分が悲劇の革命家みたいな表現ですけれども、はっきり言って全然ピントがずれていますよ。そもそも、新たなルールをつくることについては誰も反対なんかしていないですよ。今後の議論の中でそれはあり得る話でしょうと。しかし、今、目の前の問題については何の解決もしていませんね、それについてどうなんですか。全然答えになっていませんね。

 結果的に、何回も聞いても、新たな三大学の新設に対して、なぜ問題があって認可しないのかということは一言も答えられない。それが今の田中大臣の実態ですよ。それを、新しいルールをつくってこれからやろうなんて、そんなのは理屈にならない、法治国家として。

 その指摘の中、同じ審議会で認可相当と答申した、十六学部だと思いますが、設置がありますね。今回、この審議会で、一方で認可した学部が幾つか、政府参考人から答えていただけますか。

板東政府参考人 この間の答申によりまして認可が認められたものにつきましては、学部新設については十六件、大学院新設については十三件ということでございます。(下村委員「大学新設」と呼ぶ)学部新設……(下村委員「もう一度言って」と呼ぶ)学部新設につきましては十六件、それから大学院新設につきましては十三件ということでございます。

 失礼いたしました。ちょっと正確に。

川内委員長 間違いはないんでしょう。

板東政府参考人 失礼いたしました。

 大学院でございますので、大学院の研究科とかそういった新設については十三件ということでございます。学部については十六件ということでございます。

下村委員 同じ審議会で、今の話ですと、学部を認めたのは十六学部、それから大学院の新設は十三大学院認めたと。おかしいんじゃないですか。大学だけ何で認めないんですか。ほかは全部認めているんですよね。

 質を確保する、新しいルールにのっとってやるということであれば、大学の新設だけでなく、学科の新設、大学院の新設、これも全部不許可にするという。そういうことはあり得ないと思いますが、もし田中大臣のルールがあるとしたら、同じ基準で全部、答申が上がったものに対して認めるか認めないかしなければおかしいでしょう。大学三つだけ認めないというのはおかしいんじゃないの。どうですか。

田中国務大臣 正確に認識していただきたいんですけれども、今板東局長がお話しした十六の大学、これらは、大学院をつくりたいとか学部を新たに新設したいとか、既存のでき上がっている大学で、新規に二年制大学を四年にしたいという学校ではありません。既にでき上がっている学校ですけれども、それについての認可の決裁も、今現在、まだ私はしておりません。

下村委員 決裁していないというのは、どこもまだ認めていないということですか。答えてください。

田中国務大臣 法律的にはそういうことになりますが、大体、ほぼ、こうかなという方向性はありますけれども、署名はしておりません。

下村委員 そうすると、板東局長の答弁と全然違いますね。だって、板東局長は、学部については十六学部、大学院については十三、今回認めたというふうに答弁があったんですよ。違うじゃないですか、大臣の答弁と。

板東政府参考人 先ほど答弁のときに、答申を得たものはというふうに申し上げております。今、省内決裁中ということでございますので、形式的な意味では大臣がおっしゃっているとおりでございます。

田中国務大臣 既に実績があるんですね。大学にもうなっている学校、四年制大学になっているところが、時代の要請に応えて、学部をさらに新設したりとか再編、改編をしたりということは必要だと思っていますから、これは認める方向であるということで、物理的に本日今までまだサインしていないということでありまして、大学自体の新設とは、新たに二年制が四年制になりたいということとは問題が違うことはおわかりいただけると思います。

下村委員 そうすると、短大そのものの存在も何か認めていないみたいな発言ですね。これは、そもそも、大臣の独自の判断ルール、判断基準というのは、私は相当世間からずれているとしか思えないですね。

 例えば、札幌保健医療大学、これは短大です。今回、四年制に申請する。なぜ申請するのか。北海道は看護師不足で悩んでいる。今、日本全国で二番目に少ないんですね。こういうところだからこそ、看護師を養成するために看護学校を新設する必要があるんです。

 ほかの大学も、それぞれのニーズ、それぞれの需要の中で、そして、それぞれの理念の中で、今までルールにのっとって設置審の中でずっと対応してきたんですね。それを、いや、三大学だけは、短大だから、要するに既存の大学じゃないから、今まで二年制だから、四年制だからということだけで、新しいルールのもとでないと認められないということをいきなり大臣が判断するということは、これは認められないことです、我々としては。

 これ以上大臣に話しても意味がないかもしれませんが、私は、改めて大臣に、今後のルールづくりについて否定していません。今後のルールづくりについては。これはぜひ議論しながら、我が国の大学教育をより強化するための視点から、あるべき設置審のあり方についてはぜひ積極的にやっていただきたいというふうに思います。しかし、今までのルールの中でやってきた、申請している大学については、瑕疵がなければ、これは認めるべきだ。当たり前のことだと思うんですね。ですから、その中で三大学だけは新設を認めない、これは許されることではないというふうに私は思います。

 これは、もしきょうあしたに事実上認められなければ、来年春の生徒募集、あるいは開設は間に合わないと各三大学は言っているんですよ。きょう午後に大臣にも、大臣はお会いできないですかね、これから文科省に来られるんでしょう。それから、民主党にも自民党にも、自民党はきょう十一時からですけれども、来られる予定です。

 そんな大臣の一言でここでストップさせるなんということは許されないことです。ですから、これは撤回してください。そもそもそんなこと言っていないというんだったら、これはきちっと認可する、認めるということを明言していただきたいと思いますが、最後にいかがですか。

田中国務大臣 新しいルールを鋭意つくっておりますので、それに準じて判断をいたします。

下村委員 もう話にならないですね。

 委員長に提案があります。

 法治国家として、文科委員会は立法府です。立法府として今のような大臣の答弁を看過することはできません。これは委員会決議として、この三大学に対する認可を早急に出すべきということをぜひ決議をしていただきますように委員長にお願いいたします。

川内委員長 理事会で協議させていただきます。

 下村博文君の質疑を終了いたしました。

 次に、馳浩君。

馳委員 委員長に私からもお願い申し上げます。

 下村委員からの、立法府として、委員会として、法令に基づいたやはり認可をすべきという決議を出すことも大切ですが、そのプロセスについて立法府として理解をしておくことも必要ですので、三大学の設置準備室、三大学の代表、関係者をお招きしての参考人質疑と、加えて、この問題に限って集中質疑をしていただくように、これはお願いを申し上げます。

 我が党自由民主党は、きょう二時間三十分ほどいただいておりますので、ちょっと丁寧にやらせていただきますけれども、ほかの党の皆さん方も、これはどう考えても、法律に基づいて大学設置審議会も設置をされていて、そこから諮問を受けて、そして最終的に大臣が判断をするという準則化されたルールの中での問題点に、いきなり木に草を接ぐような新ルールという話を大臣が持ち出されています。これは我々はどう考えても容認できません。

 したがって、この問題を整理するためにも、早急に集中質疑と参考人質疑をやって、この問題の理解をみんながするように私は求めたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

川内委員長 重く受けとめて、理事会で協議させていただきたいというふうに思います。

馳委員 下村さんから非常に細かく指摘もしておりました。私、ちょっと時系列でお伺いしたいと思います。

 まず、板東局長が、大学設置審議会からの答申を受けて、田中大臣にまず最初に説明に上がったのはいつのことですか。

板東政府参考人 十月の二十六日だったかと思っております。

馳委員 大臣、その十月二十六日に担当の板東局長から、大学設置審議会からの答申が出ました、したがって、法律に基づいて認可の手続をしてください、多分そういうふうにおっしゃったと思うんですが、それで間違いないのかどうかと、そのときに大臣はどのようにお答えになったのかを教えてください。

田中国務大臣 十月一日に文科省に着任いたしました。その後ずっと、かなり集中的なレクチャーが各局からございまして、その中で、高等局に対しては、今申し上げましたことを繰り返しませんけれども、新しい設置審のあり方、これは私も議員になってずっと、日本の大学のあり方が、余りにたくさん規制緩和され過ぎてきて、いい学校はもちろんございますが、そのことによって相当質が低下していて、企業が非常に困っている。識字率もどうなる、四字熟語もわからない、語学も、そのほかエトセトラですけれども。

 そういう中で、もっと、例えば二年制でもすばらしい学校もあるし、専門学校もありますし、高等専門学校も就職率が百何十倍なんというほどあるんですね。ですから、人のそれぞれ生きがいというものがあって、その中でもって、短くします、ちゃんと自分に合った教育を受けられる。大学に行かなくても、例えば松下幸之助さんだって、本田さんもおられるわけだし、いろいろな、やはり多様な人を輩出するような日本にしていかないとグローバリゼーションに対応できないので、設置審のあり方には問題があるということは申し上げてきております。

 ただし、直接聞いたのは十月の二十六日の午後であったかと思います。(馳委員「何と答えたの、そのときは」と呼ぶ)答えたのはですか。経緯を言わないとおわかりにならないと思ったものですから。

 答えは、それにはちょっと問題があるんじゃありませんかということを、細かく、一言一句は覚えておりませんけれども。

馳委員 やはり笠副大臣に、ここは確認しなきゃいけないんですね。

 大臣はそういう問題意識を持ってこられていた。であるならば、十月一日の後、一カ月間の間で、政務三役であるいは民主党の皆さん方の文部科学部会において、その大臣の問題意識を踏まえて、協議をし、関係者の意見を聞き、法令に基づいての対応、それに大臣の思いを乗せるにはどうしたらいいかという議論をして当たり前じゃないですか。そんな議論はあったんですか、民主党や政務三役の中で。

笠副大臣 私は、田中大臣が文部科学委員長時代から、この委員会でもいろいろと仕事をさせていただいております。

 民主党も、当然ながら、部門の中で、これからの大学のあり方でありますとか、あるいは政務三役の中で、具体的にこの三校がどうだとか、そういった議論をしたことはございませんけれども、大臣の大学教育あるいはさまざまなそれにかかわる高等教育を含めたあり方等々についての問題意識というものについては、何度か伺ったことはございます。

馳委員 何度か伺ったことはございますという答弁では、私の質問の答えにはなっていないですよね。

 大臣のそういう問題意識を受けて、政務三役の中で協議をしましたか。また、大臣の思いを実現させるために、これは議院内閣制ですからね、党内で議論し、その改革の方向性を応援しようという、こういう議論をしましたかと聞いているんです。いかがですか。

笠副大臣 私は、十一月の二日の日に、今回の大臣の方針というものを、記者会見で第一報を受けました。その後、文部科学省の方からも、役人の方からも、詳細、経緯について説明を受けましたけれども、それ以降は、この大臣の方針を受けてどう対応するのかということは、今、常に議論をさせていただいております。

馳委員 今、民主党の議員の皆さん、聞きましたね。笠副大臣ですら、十一月二日の記者会見を受けて、この問題が顕在化したことを知ったんですよ。

 田中大臣、ここは大事なところですよね。あなたの問題意識を下村さんも私も共有しています。そのことを今指摘しているのではありませんよね。法令に基づいて手続を済ませ、答申が上がった。板東さんから十月二十六日に報告があった。それに対しては、粛々と、大臣として、審査基準にのっとって上がってきたものについては認可をするという答えをすれば、それでよかったんじゃないんですか。

 プラスですよ、私はこういう問題意識を持っているので、大臣一人だけではだめだから、党としても問題意識を共有してもらい、それから政務三役にも問題意識を共有してもらい、大きな、大がかりな改革をするというのであるならば、これはまさしく中教審レベルに専門的な審議を求め、申請の上がってくる来年三月の前までに諮問をし答申を出せと。そのぐらいの剛腕は我々も容認できますが、今やっていることは混同していることですよ。そう思いませんか、大臣。

田中国務大臣 弁解にならないとおっしゃるかもしれませんけれども、新内閣が発足したころはまだ国会も休会中で、視察もありましたし、みんな極めて熱心でアクティブで、あちこちに行っておられて、全員が集まって、よいしょと集まることは、最近は週に一回ぐらいずつ細かくやっておりますけれども、なかなかそうはいかなくて。

 ただ、私の考えは、文部科学委員長のころからずっと、こういう考え方については、皆さん事務方も、中の一緒にいる方たちは皆さん共有しておられたことで、それはもう話をしていました。

 ですから、板東局長からこの話をいただいたときも、ほかの幹部もみんないるわけですから、二人だけで話なんかしておりません。役所にいらしたらぜひ訪問していただきたいと思いますが。皆で共有して、どうするかといった結果、導き出された結論であるということはしっかり申し上げておきます。

馳委員 では、十一月二日の記者会見は何だったんですか。

 十一月二日の午前と報道されておりますが、板東局長、三大学に対してどういう電話をしたんですか。もう一度お答えください。

板東政府参考人 正確にちょっと言葉を再現できないかと思いますけれども、大学設置審議会の答申が昨日出た、それについて認可を認めるべきであるという答申がなされた、しかし、現在の情勢のもとにおいて、大学の数の状況とかそういった情勢のもとにおいて、今の仕組みのもとにおいて認可を認めることはできないという最終的な判断が下されるということで、大学の来年度の開設というのは難しくなるということを御連絡したと思います。

 ちょっと言葉が正確でなくて申しわけありません。ちょっとそのとおりに再現できていないかと思いますけれども、内容的には今のようなことでございました。

 ただ、そのときに、基準の見直しの問題についても早急に行うということを言わせていただいたところでもございます。

馳委員 前川官房長にここは聞かなければいけないですね。本当は森口事務次官に、これはやはり文科省としても緊急を要する大きな問題だという認識があったと思いますから。

 三大学に対して、設置審議会からは認可の答申が出た、けれども最終的に大臣の方針で認可することができないというふうな連絡をしなければいけないとなったときに、当然事務方のトップは、これはもしかしたら行政不服訴訟が起こる可能性もあるやというふうに判断するんですよ。板東局長と官僚も入った大臣との協議は、恐らく十月二十六日から断続的にあったんだと思います。その間、これは森口事務次官はいないので前川官房長にお伺いするんですが、大臣の先ほどからおっしゃっておられる方針で、それでよしとして省内をまとめようとされたんですか。それとも、何か収拾しようとして努力をされたんですか。そこをちょっと教えてください。これは物事が決まっていくプロセスの話なので、ちょっとお聞かせください。

前川政府参考人 政策についての意思決定のプロセスと申しますのは、大臣が一言言って、それで全部決まるというものでもございませんし、下から上げたものを全て大臣がお認めになるというものでもございませんので。

 二十六日に局長からまず御説明があった、大臣はそのまま認めるという御判断はされなかった。その後、また週が明けまして、二十九日、三十日、その間に大臣や関係の幹部とのやりとりがございまして、その中で二日の大臣の記者会見に至るような意思決定まで至った。

 ただ、その二日の時点の記者会見も、まだこれは政策形成の途上のものでございますから、その後もまた副大臣、政務官を含めまして、大臣のもとで文部科学省は一体となってこの政策を考えてきている、こういう状況でございます。

馳委員 きのう、前川官房長は事態収拾のために、奇策というか訴訟にたえられるような発言をされていますよね。つまり、口頭で連絡はしたけれども、事の決まった文書を大学側にはまだ出していない、こういうふうな言い逃れをされておられます。これは事実ですか、前川官房長。

前川政府参考人 この三大学につきましての認可、不認可についての処分を決定し、それを通知したという事実はまだございません。ですから、その旨きのうの記者会見でも申し上げたということは事実でございます。

馳委員 では、ここはやはり大臣。十一月二日の記者会見で、認可しないとおっしゃったんでしょう。不認可とおっしゃったんでしょう。十一月三日の全ての全国紙の報道にはそうありますよ。これはマスコミが間違った解釈をして報道したんですか。大臣、お答えください。

田中国務大臣 十一月二日の会見で、残念ながら認可するわけにはいきませんと述べた。これは、大学の設置認可のあり方について見直すべき課題がある中で、今の設置認可の仕組みのもとでは新設を認めることはできないという趣旨、先ほど来るる下村委員にお答えしたとおりであります。

 したがって、現時点では、不認可の処分を行った事実はありませんし、今、官房長やら局長たちも、ほかの方たちも、全員がこのことを認識して、出てきた結論の表現であります。

馳委員 大臣の後始末をするのに、大変、前川官房長も困っていますよね。

 今のルールのもとでは認可しないんですね。もう一度言明してください。

田中国務大臣 ですから、鋭意、新たなルールをつくって、それにのっとって、その三大学も以外のところもですよ、ほかに新設をしたいところですけれども、既にできているところは別ですけれども、それについては検討をさせていただくということで、事務方も私どもも納得をしております。

馳委員 もう一回聞きますよ。

 今の法令に基づく大学設置審議会があって、諮問をして、答申を認可相当であると受けました、このルールのもとでは、今のルールのもとでは、大臣、認可しないんですね。

田中国務大臣 今現在の新しくないルールのもとでは、しません。

馳委員 これは大きな答弁ですよね。

 前川官房長、今大臣は、今のルールのもとでは認可しませんと言明しちゃいましたよ。私、きょうは大臣に助け船を出しているつもりなんですよ。慎重に検討しますというふうに言ってほしかったんですよ。私は、今、助け船を出したんですよ、大臣に。今のルールのもとにおいてもいろいろ検討を要するところがありますが、慎重に検討します、そう言えばいいじゃないですか。私は、そこまで譲ったつもりなんですけれどもね。これはちょっと私は、大変な答弁を今されたと思います。

 では、もう一度、中のことですから、官房長。笠副大臣も、十一月二日に、大臣の記者会見を受けて、びっくりした、大臣の思いを受けて対応すべきだというふうにおっしゃっておられましたが、十一月二日まで、笠副大臣に、あるいは村井政務官等に、この分野は担当ですよね、お知らせしなかったんですか。

前川政府参考人 十一月二日の記者会見に至るまでの間におきましては、大臣は事務方とのみ協議を進めておられましたので、その時点では、副大臣、政務官に御報告はしておりませんでした。

馳委員 これが民主党のおっしゃる政治主導なのかなと、私は今ちょっと疑問に思いました。

 今ちょっと目が合いましたので、村井さん。こういう重要な政策の、その最後の答申の段階になって、大臣が今のルールでは認めないと言明されました。これだけの政策変更をすることによって、どれだけ多くの方々が涙を流し、つらい思いをしておられるかというのは現実ですよ。私は、政治主導というあり方においても、せめて政務三役でこの問題をもんだ上で事務方に指示を出すというふうなプロセスをとるべきだったと思いますよ、今お話を伺っていても。政務官としていかがですか。

村井大臣政務官 今、事務方から申し上げましたとおり、私自身も十一月の二日になって今回の三大学の件をお聞きしました。

 しかし、田中文部科学大臣が持っている問題意識は共有しています。子供の数はどんどんどんどん減っていっているのに、大学の数はどんどんどんどんふえていっている。一部の大学は全員合格させるようなところもあるのに、私立大学の四五%が定員割れ。本当にこんな大学の状態でいいかどうかといえば、私は文部科学大臣と、やはり、批判されてでも問題意識を共有しています。

 その上で、では、政治主導として今後どうするか、政務三役がどうかかわるかということで、今の三大学も含めて、新しい大学の設置基準のルールも含めて、大臣を支えて政治主導で進めていきたいと思います。

馳委員 これは、委員長、聞いていてもちょっと無理がありましたね。

 村井さん、もう一回言いますよ。下村さんも私も村井さんも田中大臣も笠副大臣も、問題意識は共有しているんですよ。我が党においても、大学の教育強化というふうな分科会、教育再生本部においていろいろな観点から議論をしていて、やはり今のままじゃだめだなという議論は持っています。しかし、今のルールに基づいて審議会が出してきた答申は認可なんですよ。これをひっくり返す理由がどこにあるんですか。

 札幌保健医療大学、秋田公立美術大学、そして岡崎女子大学、それぞれの大学が法令、ルールに基づいて積み上げてきた。もちろん、その間、面接もありましたし、現地に行って調査官が、どこに大学ができて、教室も、設備、施設も大丈夫ですかと。

 もっと大事なことを一つ言いますよね。教員ですよ。専任の教員を準備するのに、必ず開校のリミットというのがありますから、それまでに、今いる大学をやめて、今の仕事をやめて新たな大学でやりますという確約書が要るはずですよ。口約束だけじゃだめなはずなんですよ。四十代、五十代、三十代、教員として専任としてなろうという方々が、どれだけの決断をして、今ある仕事をやめて新たな新設大学に行こうという決断をするかということは大問題なんですよ、人生の。やはりそれは、教育の質を高めるためには、人間、教授の能力が必要じゃないですか。それを審査するのは文部科学省の大事な仕事なんですよ。

 これはまさしく高等教育局長にお伺いしますよ。新設大学のために専任教授を整える、そのための、書類ばかりではなく、その本人に対して、本当に来年の四月からこの大学で専任でやるんですかということを一人一人説得して歩くのが設置準備室の仕事なんですよ。その大変さは板東局長はわかっているはずだと思いますよ。板東さん、いかがですか。

板東政府参考人 大学をつくる場合の一番のやはり重要な部分というのは、御指摘のように教員のところだと思いますので、申請を受け付ける方の側としても、教員がきちんとそろっているかどうかということを一番重視し、設置審の審査におきましても、専門委員会その他で、やはり教員の質のところを一番重視しながら見ております。それは、大学の設置申請を行う者にとって、教員が確保できるかというのは一番大きな要素であるというふうに思っております。

馳委員 板東局長、かつて秋田県で副知事をなさっていましたね。したがって、秋田の公立美術大学が公立の美術大学として、人材育成、クリエーターの育成、地元の伝統工芸産業などの担い手育成、産業面からも人材育成の面からも大きな役割を担っていることはよく御存じのはずです。したがって、今まで短大でした、そこで働いている先生方のこともよく御存じのはずだと思います。加えて、法律に基づいた大学設置審議会で、学校準備のために多くの労力、お金も、施設整備もなされてきたことはよく御存じのはずです。

 これが、最後の最後で、あなたはさっき、裁量がある、政策的な裁量があるとおっしゃいましたけれども、大臣の一言でひっくり返されていいと思っているんですか。何で大臣をもっと説得しなかったんですか。御答弁ください。

板東政府参考人 先ほど大臣から繰り返し御答弁がありましたように、大学の設置認可のあり方、基準などにつきましての見直しの必要性というのは、私自身も非常に強く認識をしておりますので、それを一刻も早く実施し、そして、それに基づき新たな認可ということを考えるということについては、大臣と御相談をしながら決めさせていただいたところでございます。(馳委員「秋田について」と呼ぶ)私自身の個人的な背景のところは、ちょっと御容赦いただきたいと思います。

 三大学につきまして、それぞれしっかりした御準備をしながらということであったかと思っておりますし、それぞれ地元においてもいろいろな期待が寄せられていたものであるというふうには思っております。

馳委員 だったら、局長にこういう質問をしますよ。

 三大学は、新たに大学を設置するための要件をどの部分が満たしていなかったんですか。札幌保健医療大学、秋田公立美術大学、岡崎女子大学、大学設置審議会の基準に従って、どこが要件を満たしていなかったんですか。具体的におっしゃってください。

板東政府参考人 設置審におきましては、大学設置基準あるいは学校教育関係の法令、そういったものに合致しているかどうかということについての専門的な審査をしていただいておりまして、それにつきましては、設置審の方で満たしているというふうに御答申をいただいたと思っております。

 先ほど申し上げましたように、設置審の方で、大学として設置基準として定められていることについて要件を備えているということについては、御審査いただいてお認めいただいているというふうに思っておりますけれども、それに加えての大臣の裁量という余地というのもあるのではないかということで、先ほどから御答弁をさせていただいております。

馳委員 これは、局長よりも、今度はまた森口事務次官にかわって前川官房長にお答えいただかなきゃいけないところですね。

 大臣の裁量の余地は本当にあるんですか。準則化されたルールに基づいて、本当に大臣の裁量の余地があるのかないのか。もう一度、局長ではなくて、官房長にお聞きをします。

前川政府参考人 学校教育法上、大臣は大学の設置認可の権限を持っている、これはそのとおりでございます。

 また、大学の設置認可に関しましては、大学設置・学校法人審議会に諮問しなければならない、これも法律上決まっておりますが、その諮問に対する答申が出た場合に、答申どおりに認可しなければならないというところまで法律は決めておりません。

 また、大学の設置認可は準則主義に立つとは言えないと考えております。準則化と申しますのは、それまで審議会が内規で決めていたものをオープンな形で、大臣の告示の形で世の中に示したということで、透明化を図るということであったわけですけれども、それは準則主義に転じたという意味ではございませんので。

 一定の要件を満たせば当然に認可しなければならないという拘束を大臣が受けているわけではなく、答申がありましても、その答申に仮に反することがあったとしても、大臣の政策的な判断によって認可、不認可の決定をするということは可能であるというふうに考えております。

馳委員 そこは恐らく裁判所で判断される部分の答弁だと思います。

 そうすると、ただ、これは大臣も御理解をいただけると思うんですが、三大学は申請をし、審査に基づいて今まで対応してきた。施設も、財務管理も、教員の準備にしても、教育の内容や質についても。その期待値、期待を持って、そして条件をクリアしてきた。それに対して、より具体的な説明がないと、ここなんですよね、具体的な大臣としての政策判断の説明がないと、納得できる説明がないと、私は何で文句を言っているかというと、十一月二日にいきなりあの記者会見をされたから、期待値を持って、ルールどおりにやってきたにもかかわらずひっくり返されたと大学側が判断しても当然じゃないですか。そういう方々に対して、非常に具体的に合理的な説明をしなければいけない責任が大臣にはあるはずですよ。そう思うでしょう。

田中国務大臣 御指摘の点は十二分にわかっておりますけれども、私の問題意識は、政治家的に、かみ砕いて申しましたらば、戦後六十六、七年間、馳先生、いいですか、ずっと主に自由民主党の内閣、ほぼですよ、特にこの規制緩和のころ、自民党の大臣、文部大臣経験者、今いなくなっちゃいましたけれども、何人もここに座っておられました。そういう方々も、答申をいわばルーチンワークのように、答申が出たからもうそれでいいと思ってお墨つきの判こを押してきた結果、今申し上げているように、倒産するような……(発言する者あり)えへへなんて笑わないでください、真面目にお答えしているんですから。

 そういう中で、いろいろな学校が、問題が出てきて、補習授業まで行わなければ社会に出られないような大学生もいることは御存じだと思うんですよ。そういう中で、いつまでもいつまでもみんなで、私が、じゃ、━━━判を押して、はいわかりましたと言えば事なかれ主義で終わったでしょうけれども、どこかで歯どめをかけなきゃならないんですよ。

 ですから、いつもいつもソフトランディングでみんなでにこにこしていられればいいんですが、ハードランディングせざるを得ないときもあるから、私は、この三校のどこが悪いなんてことは具体的に知りませんでしたし、悪いとも思ってはおりません。悪いなんて言っていない。そうではなくて、今までのようなやり方ではなくて、違うルールをつくることによって、この三校もエントリーしているのですから、教育の質を向上させて立派な大学生をつくる。

 またほかの、堀越学園の二の舞のような、泣く生徒さんや学校が、みんなよかれと思ってアプライして、そうしてなっていくんですよ。しかし、その結果、これだけのいろいろなことが起こっているわけです、教育界で。したがって、ここで新しいことの芽を吹かせるよりも、むしろ逆に、今現在ある中での問題こそよく見直していかなきゃいけないということも事務方に同時並行で指示をしております。

馳委員 今、大臣答弁で、二つ指摘しますね。

 不適切な差別発言がありましたから、これは謝罪して撤回してください。これが一つ。

 もう一つは、今の大臣答弁でも明らかになったですね。この三大学は、よくわかっていないんだそうですよ。スケープゴート、いけにえにされたとしか私たちは今判断できないです、今の大臣答弁を聞いていたら。

 三大学のことをよくわかっていなくて、三大学のことをよくわかっていないにもかかわらず、何で不認可というふうな十一月二日の記者会見をしたんですか。大臣の言っていることとやっていることは支離滅裂ですよ。これは、三大学のことをわかっていなくてこんな記者会見をし、今日の混乱に至っているとするならば、まさしく謝罪をして、撤回してください。早く……(発言する者あり)私はまだ言っていません、早くこれは後始末をつけた方がいいですよ。

 大臣が、今るるおっしゃっていることを強調すれば強調するほど混乱を増長させますし、その後始末をする文部科学省の職員は、要らぬ仕事をさせられることになります。ましてや、大学側も訴訟なんてしたいはずないじゃないですか。せざるを得ない状況に追い込んだのは、大臣、あなたですよ。だから我々は許せないんですよ。

 さあ、大臣、さっきの不適切発言の撤回と、三大学をスケープゴートにしてはいけません。これは切り分けて、何度も提案いたしますよ、中教審に、大臣の問題意識を我々も共有していますから、諮問し、来年三月以前に答申を出させるぐらいの、全体を巻き込んだ議論に昇華させてくださいよ。今のままで突っ張っちゃだめですよ、大臣。いかがですか。

田中国務大臣 不適切発言がありましたことは心からおわび申し上げます。(馳委員「撤回ね」と呼ぶ)撤回もいたします。

 それから、三大学について知らなかったというのは、これもちょっとおっちょこちょいな表現でしたけれども、幾つ学校があって、この大学はこうであって、そういうことではなくて、もう先ほど来ずっと下村委員にもお答えしているように、今までのようなルーチンワークで、あの審議会から出てきたものに許可さえすれば、全ては事はもめずに、こんなに個人的な誹謗も受けずに済むかもしれないけれども、やはりどこかでこれは、むしろ今ある、許可されている学校の中でも、そして出ていく学生たちの中でも、まだ問題があって、補習の勉強もしなければならない、あるいは会社に入っても学力的な問題があると指摘されている人も多いわけですから、そういうところもしっかりと検討しながら、新たなことについては新しいルールをつくっていきたいということでありまして、先ほど来言っているように、この三校が全部アウトだなんということは言っておりません。

馳委員 より具体的な話になっているんですよ。大学の数が多過ぎる、学生の質が低下をしている、教育力も低下しているのではないか、就職が大変だ、大学の経営も大変だというふうな御指摘と三大学とどう関係があるんですか。おっしゃってください。

田中国務大臣 ですから、今までのようなルールではなくて、そこで認められたものではなくて、新しいルールのもとで再チャレンジできるということを申し上げています。

馳委員 申し上げますよ。ゴール目前にして、ゴールテープを百メートル先に延ばすような百メートル競走なんてないですよ、大臣。

 法律というのはやはりルールですよ。それに従って各大学の設置準備室はやってきているんです。従って、それも勝手にやっているのではなくて、文部科学省の大学設置準備室とやりとりをしながら、どこに不備があるか、教員の質の問題、専任教員がどこまで確保できるか、面積の確保、耐震化を含めて、一々やりとりをしながら準備をしてきているので、来年の開校に向けての準備も並行してやってきているんです。

 そのプロセスで、そこは不備がありますよといったら、不備があったら一抜けたとおりることもできるじゃないですか。おりているじゃないですか、申請を出した大学あるいは法人、自治体等も。そういうプロセスを経て十一月初旬を迎えることになりますから、だから十月の末に、積み上がってきた議論を板東局長が大臣のもとにお持ちしたわけですよ。

 その新しいルールをいきなり十一月に入って出してきても、では、今までのきちんとしたルールでやってきた三大学、そして期待をしていた自治体や法人や、編入しようとする学生や、入学を希望しようとしていた高校生は手続が間に合わなくなっちゃうんですよ。手続が間に合わなくなってしまうんですよ。今、目の前にある問題なんですよ。その人たちを泣かせてどうするんですか。これこそ、大臣、いじめですよ。優越的な地位にある権力者が牙をむいていいのは、より最大の権力者であって、何の不備もない、何の罪、とがもない子供たちや教職員や自治体をいじめていいはずがないじゃないですか。大臣、いかがですか。

田中国務大臣 今現在、四年制で運営されている学校の中でも、倒産をしたり、いろいろな不祥事があったり、あるいは東専学の問題でありますようにいろいろと不正経理があったり、教育界、現在ある中でたくさんの問題があるので、その予備軍を出さないようにするということも大事です。

 そのためには、先ほど馳委員も言われたように、やはり答申で十月末、十一月に認められたら、そこから準備をして、建物の工事をつくるとか教員の手配をするような、そういう余裕を持った設置審にしていかないとならない。そうじゃないと、早いところ、早いところは先に、ああ、ビルをつくっちゃいました、教授もあれしました、パンフレットも集めました、もう生徒も来ます、だから、泣かせちゃ困るから許可してねというようなやり方ではなくて、そのあり方自体をもっとしっかりと伸ばしていきたい。もっとじっくりと考えて、そして、片や、今現在ある学校についても、これ以上問題が広がらないように、そういう予備軍もつくらないように他方しながら進めていきたい、かように考えております。

馳委員 じっくりと考えて、申請から審査まで、今日に至っているんです。今日に至っているルールを……(発言する者あり)

川内委員長 御静粛にお願いします。

馳委員 なぜ今ごろ新しいルールを加えるんですかと私は言っているんですよ。

 下村さんも私も何度も申し上げていますように、ルールは、今あるルールに基づいて執行されるのが行政としての配慮じゃないですか。幾ら裁量権があるからといって、これはやはり前川官房長、その裁量権のところを拡大解釈し過ぎですよ。一定の制約があってしかるべきだし、具体的な、合理的な説明になっていないですよ、今の大臣の説明は。いいですか。

 それによって不利益をこうむる、また税金を投入したり私財を投入してきている、また来年四月からの開校に向けての準備をしてきている方々に対して、あなたたちが今やっていることは、とんでもない不利益を与えているんですよ。

 権力のあるただ一人の人が、私は、大臣、議院内閣制だから、文部科学省と政府、それを支えている与党・民主党、国民新党の皆さん、皆さん方が政務調査会において一定の合理的な議論をし、積み上げた議論をした上で政府に答申を出したり意見を出したりし、それに基づいて政務三役あるいは事務方が協議をし、いや、大学の設置審査についてはこの方向性でやろうねという議論があってから、三大学が、今日のようにいきなりだめになって助けてくれと言ってきても、それはやはりルールどおりだから、私たちはそれ以上なかなか言えませんが、そうじゃないじゃないですか。

 副大臣ですら十一月二日、板東局長は十月二十六日に説明に行って、なかなか言うことを聞いてもらえなくて、前川さんに相談をして、森口さんにも相談して、説得できなかったんじゃないですか、結局。大臣がおっしゃっていることはやばい、おかしい、わかっていて説得できなかったら、あなたたち、これは辞職物ですよ。そこまで行政としての責任を放棄しちゃいけないですよ。体を張って、やはり大臣を説得しなきゃだめですよ。

 何度も言いますよ。問題意識は共有しています。先ほど村井さんもおっしゃったように、そのとおりです。したがって、何度も言います、法令に従って、大臣、設置認可を速やかに出してください。同時に、中教審に対して、あるいは文科省として、あるいは政府・与党として、この問題について検討会議を開いて、この問題として来年三月までに決着をつけてくださいよ。

 この流れを修正しないと、三大学とも訴訟なんて起こしたくないですよ。起こさざるを得ないですよ、行政不服訴訟、損害賠償請求。それを文部科学省として払うんですか、税金で。大臣が個人で払ってください、そんなことになったら。そのぐらいのことが今起こっているんですよ。

 笠副大臣。大臣ばかり今指摘していますけれども、笠副大臣も一蓮託生ですよ。政務三役、政治主導というのであるならば。民主党政権の大臣のもとで起こった問題ですよ。笠副大臣、事の修正に、大臣を説得してくださいよ。いかがですか。

笠副大臣 今、馳委員が御指摘のとおり、私も副大臣を務めておりますので、一蓮託生という思いでしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

 それで、きょう、委員会が終わりまして、当該の三つの学校の方々あるいは関係の知事さん、副知事さんほかとも、文科省に対する今回の事態についてのいろいろな御懸念や、あるいはいろいろな思いというものを直接私も伺うことになっておりますので、しっかり大臣とも相談をしながら対応していきたいというふうに思っております。

馳委員 川内委員長、委員長は先ほどから腕組みしている。大体、委員長がそういう姿勢をしているときは、いろいろなことを考えているときであります。もう十何年のつき合いですから、大体わかっていますよ。

 これは、大臣、我々は立法府、それから議事録にも残っています。正式な委員会の場でありますから。私はさっき、質問じゃないときにはちょっと失礼なやじも飛ばしていましたが、明確に議事録に残して立法府として対応すべきなので、これは民主党の委員の皆さんも、他の政党の皆さん方も、現行の法令に従って、今、田中大臣がやろうとしていることはあってはならないことなんですよ。これはやはり速やかに修正すべきでありますし、強い権限を持って委員長も指摘すべきです。

 同時に、私は、なぜさっき集中審議を求めたかというと、何でもかんでも審議会に丸投げして政策を決めていいというものでもないというこの問題意識は、大臣、それはそのとおりだと思いますよ。でも、大学の理事長や経営者の方が大学の中に詳しいだろうから、教授陣も入れてというのも、この一定の理解は大臣にも得られると思います。だったら、やはりそれは見直しをしましょうという方向性を得てやるべきなんですよ。

 今、急に、十一月二日から、あれから五日間で、文部科学省が上を下への大騒ぎしている中で新しいルールを出すというやり方はよくないですよ。ましてや、前川官房長、恐らく、そこに座っていながらも、新しいメンバーを誰にお願いしなきゃいけないのかとずっと考えていたでしょう。そんなことをやらせちゃだめですよ、官房長や事務次官に。そんな負担をかけちゃだめですよ。民主党と内閣と合意を得て、それから、国会の意見も聞いて大きな改革の方向性を出す。私は、ちょっとおっちょこちょいの田中眞紀子は、ちょっと言い過ぎた、冷静にみんなの意見を聞いてやり直します、それでいいじゃないですか。

 何度も言いますよ。三大学に訴訟を起こさせるようなことをしてはだめですよ。いや、訴訟になったら、では司法で解決すればいいんだ、そんな傲慢な姿勢をとってもいけません。今までのルールで、法令に基づいてやってきているんですから。それはそれでやはり認めてあげるべきなんですよ。大臣、いかがですか。

田中国務大臣 やじを飛ばしたり、どなったり、前は委員長のときに、私のそこのマイクも飛ばされた馳浩さんが本当は非常に優しい人であるということは私もよく理解しておりますけれども、本件については、独走であるとか、そういうことではなくて、もう六十数年間、戦後ずっとずっとこういう形でもって、もう諮問が上がってくればそれをよしとしてきていたということを見直さないでいたために、今現実に、何度も何度も繰り返しています。一日二日で五つ六つの学校名が挙がってくるぐらい、経営難であるとか、借金であるとか、トラブルになる既存の大学があるんですね。

 そういう中で、またそれに、みんな初めは青雲の志でよかれと思ってつくっているんですよ。問題を起こそうなんて思っている学校はどこにもないんですから。しかし、時代の趨勢の中で、変化の中で、文部科学行政がしっかりとかじを切れなかったために、逆に、むしろ教育まで自由化してしまったために、規制緩和したために、こんなに問題が起こっていて、国民の発信力も学力も低下していると言われているのであれば、どこかでこれは見直さなきゃいけないので、新しい志のある三大学であれば、堂々と、道は開かれているんですから、アプライしてそのままなさればいいわけで、新しいルールにのっとって。

 もう六十数年間も、大学の先生、総長、今おっしゃったように、それだけで年に四回やっているようなことだけでは時代のニーズは酌み取れません。ですから、大英断をせざるを得なくて、そのときに、勝手だ、わがままだと言われるのも勝手でございますけれども、しかし、やはり言葉も考えていただきたいと、優しい馳浩さんにお話を申し上げたく存じます。

馳委員 これは大英断ではありませんね。

 では、本当にもう一度、前川官房長、なかなか田中眞紀子大臣は物事の区別がついていないようであることが明らかになりましたね。前川さん、きのうは、大臣をフォローする意味で、まだ文書で正式に通知をしていないと言いましたね。いつ、どの段階で通知をするおつもりですか。

前川政府参考人 現在のこの三大学についての方針は、先ほど来大臣ほかの文科省の者が御説明しているとおり、まず、大学設置認可のあり方について抜本的な見直しを早急に行い、その中で審査基準などの見直しも行った上で、そのもとで改めてその三大学についての認可、不認可の判断をする、こういうことでございますので、認可、不認可の行政処分を大臣まで決裁をとり、通知するのはその時点になるというふうに考えております。

馳委員 したがって、これは大臣にしゃべってもらいましょう、三大学に対する不認可は決定していないという現状でよろしいですね。これははっきり言ってくださいよ。

田中国務大臣 再三再四、朝から繰り返していることをもう一回繰り返させていただきますけれども、三大学は、今の設置認可の仕組みのもとでは新設を認めることはできません。見直し後の新しい基準に照らして判断いたします。

 要するに、現時点で、先ほど来皆様がおっしゃっている三大学に対する不認可という処分は行っておりません。

馳委員 この後、私、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、ほかの質問者の方は今の答弁を踏まえて大臣の姿勢を追及していただきたいと思います。

 大変本当に申しわけないんですが、各省の政務官などに来ていただいていて、何も聞かずにお帰しするのも失礼なので、順次、済みません、きょうはせっかく来ていただいたので、では、まず財務省。

 これは、大臣、教職員定数改善の問題ですね。これは大臣というより文科省としては、三十五人学級、順次中学校三年生までやっていくべきだという方針を示しておられます。きょうのような大臣ですから、どこまで大臣の発言に信憑性があるか私もだんだん疑わしくなってきましたが、その方針があるとして、財務省としての見解をお示しください。

柚木大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 文部科学省からは、五年間で二・八万人の定数改善計画を策定し、その初年度分として五千五百人増を概算要求いただいております。

 それで、財務省の見解ということでございます。

 御案内のように、小中学校の三十五人以下学級を含む今後の教職員定数のあり方、先般の財政制度等審議会におきまして、一点目は、定数改善を行わなくとも、子供当たりの教員数が今後五年間で一万人ふえることとなることから、二点目、子供当たりの教員数を維持するという考え方に立ちまして、三点目、こうした教員数の増加分を、教育の質向上や外部人材の活用への重点投資、あるいは国、地方を通じた財政健全化に振り向けていくことが考えられるとの財政当局としての考え方をお示しいたしまして、議論をいただいたところでございます。

 したがいまして、文科省の教職員の定数改善に係る概算要求につきましてでございますが、今後の予算編成におきまして、今申し上げましたような観点を含めて検討させていただきたいと思っております。

馳委員 それでは、これは議事録に残すために政務三役の答弁をいただきたいので、次にちょっと移りますけれども、いじめの問題です。

 さて、教育現場におけるいじめと犯罪の峻別を警察庁はどのように認識しておられますか。

田中政府参考人 いじめにつきましては、警察庁におきましては、犯罪または触法行為を検挙、補導した事件のうち、小学生、中学生、高校生が単独または複数で、単独または複数の特定人に対し、身体に対する物理的攻撃または言動によるおどかし、嫌がらせ、無視等の心理的圧迫を一方的に反復継続して加えることにより苦痛を与えることによる事件につきまして、いじめによる事件として報告を求め、件数を取りまとめておるというところでございます。

馳委員 続いて、朝鮮高校の問題についてお伺いしますが、田中大臣、委員長のときに一緒に朝鮮高校に視察に参りましたよね。そのときに朝鮮総連の幹部が同行していたのを覚えておられますか。

田中国務大臣 初めてあの学校に馳先生や皆さんと一緒に伺って、どの方がそういう方なのか、おられたかどうかということは全然わかりませんでした。

馳委員 それでは、これは警察に聞いた方がいいんですかね。朝鮮総連と朝鮮学校の現状、関係について、どのような関係か、教えてください。

河邉政府参考人 お答えいたします。

 朝鮮総連は、朝鮮高級学校等の朝鮮人学校と密接な関係にあり、同校の教育を重要視し、教育内容、人事及び財政に影響を及ぼしているものと認識しております。

馳委員 では、外務省に次にお伺いしますね。

 北朝鮮による延坪島砲撃以降、朝鮮半島の南北関係に何か変化はありましたか、あれから。外務省としての見解を教えてください。

村越大臣政務官 御答弁申し上げます。

 一昨年の十一月の延坪島砲撃事件以来、北朝鮮をめぐりましては、昨年の南北対話や米朝対話の開始、同年十二月の金正日国防委員会委員長の死去、本年二月の米朝合意、四月の北朝鮮によるミサイル発射、そして八月の日朝間での課長級予備協議等々、さまざまな動きがございました。

 したがって、北朝鮮の行動や状況については何か確定的に申し上げることはできませんし、朝鮮半島情勢については依然として予断を許さない状況であるというふうに考えております。

馳委員 朝鮮学校は各種学校扱いということでありますが、都道府県において補助金とかあるいは税制優遇とかがなされていると思いますが、それはまさしく国民の税金にかかわる問題であり、現状の北朝鮮の国家の情勢に照らし合わせて、それが妥当だと考えているかどうか、これは多分、政務三役にお伺いすることになっていると思いますので、お伺いしたいと思います。

石津大臣政務官 馳先生の御質問にお答え申し上げたいと思います。

 まず、前提でございますが、地方税法では、いわゆる学校法人及び私立学校法第六十四条第四項に規定する法人に対しましては、道府県税、そして道府県民税、そして市町村民税については、その収益事業を除く場合において非課税、こういう扱いになっております。そしてまた、一方におきまして、いわゆる固定資産税につきましては、その当該法人が設置する学校において直接教育の用に供する固定資産税については非課税、こういうことになっております。

 よりまして、ただいま先生からありましたように、朝鮮学校は各種学校という扱いになっておりますので、いわゆる学校法人及び私立学校法第六十四条第四項の規定に基づいて非課税の措置、こういうふうになっております。

 以上でございます。

白副大臣 今の御指摘のように、各都道府県及び市町村においては、それぞれの判断により朝鮮学校に対する支援が行われていることについては承知をしております。

 各地方自治体のこうした判断についてコメントする立場にはございませんけれども、自分としましては、各地の朝鮮学校も含めまして、広く教育の場において拉致問題が正しく扱われる必要があると考えており、それが実現されるようにこれからも努力していきたい、そういうふうに考えております。

馳委員 大臣、私の時間はきょうはとりあえず終わりましたが、事は緊急を要します。改めて冷静に考えて、大臣の問題意識と三大学のことは土俵の違う話でありますから、今さら新しいルールでゴールを百メートル向こうに延ばすことはしてはなりませんね。

 よく副大臣や事務方の話も聞いた上で、拳々服膺した上で、三大学に対して速やかに認可を報告し、同時に、大学設置のあり方について、大学教育のあり方についての大きな改革の方向性をお示しする。そのためにも、民主党内におきましても、内閣の中におきましても、その問題意識をその発信力でお出しになれば結構だと思いますが、話を混同されないように改めて申し上げて、私の質問を終わります。

川内委員長 馳浩君の質疑を終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

川内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石原洋三郎君。

石原(洋)委員 国民の生活が第一・きづなの石原洋三郎でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 ことしの三月十六日、原子力損害賠償紛争審査会において、中間指針第二次追補が策定されました。本年一月以降の自主的避難等に係る損害について、少なくとも子供及び妊婦は賠償の対象とされております。しかしながら、指針が策定されてから八カ月経過するわけでございますが、いまだに賠償が支払われておりません。東京電力は速やかに賠償を行うべきと考えますが、どのような指導を国は行ってきたのか、伺います。

松本副大臣 石原委員にお答えいたします。

 文科省としては、これまで、政務三役より東京電力の社長等に対して、指針を踏まえて合理的かつ柔軟に対応するよう直接要請するとともに、原子力損害賠償円滑化会議において、関係省庁と連携して、適切な賠償を東京電力に働きかけてきたところでございます。

 こうした文科省からの要請及び福島県からの要請等を踏まえまして、御指摘の本年一月以降の自主的避難等に係る賠償につきましては、現在まさに東電、国そして福島県の間で事務レベルでの協議を行っているところでございます。

 文科省としては、引き続き関係省庁と連携して、東電により適切な賠償がなされるよう働きかけてまいりたいと思います。

 以上です。

石原(洋)委員 いまだに、福島市や郡山市などの自主的避難地域等々におきましては、放射線量が高くて外出もしない御年配の方や子供が多くいらっしゃいます。そして、やはり子供を守りたい一心から、自主的避難をせざるを得ないという方がいらっしゃるわけでございます。

 いまだに放射能災害は続いているわけでございます。原発事故が起きてから一年八カ月がたちました。そして、指針が示されてからもう八カ月が経過しているわけでございます。これまで賠償が依然として進まないのは、中間指針第二次追補で賠償基準が明確に示されていないことが原因ではないでしょうか。やはり国が前面に立って、国の責任において、対象区域、対象者、賠償金額など具体的な賠償基準を原子力損害賠償紛争審査会において指針により示して指導をする必要があると思いますが、政府の見解を伺います。

松本副大臣 先ほども御答弁申し上げましたとおり、御指摘のとおり、中間指針の第二次追補において、少なくとも子供及び妊婦の場合は、個別の事情に応じて、本年一月以降も自主的避難は賠償の対象となり得ると示されておりまして、これを踏まえまして、先ほども御答弁申し上げましたとおり、現在、国、東電そして福島県の間で協議が行われているところでございますので、早期に賠償が始められるように引き続き働きかけてまいりたいと思います。

石原(洋)委員 一通のメールを御紹介させていただければと思います。

 私は、二重生活により現在も生活費が逼迫しているため、九月二日に、東京電力に対して、ことし一月から七月までの生活費増加分、水道、光熱、燃料、駐車場代のみ、十三万九千百八十三円の賠償請求をしました。原発事故がなければ発生しなかった生活費最低限の増加分で、明細書も全て添付しました。食費や雑費なども計上すれば、それ以上に実際は支払っています。しかしながら、今月に入り、支払いは困難との回答を受けました。理由は、福島市の放射線量が低下傾向にあり自主的避難を継続しているのは私自身の判断であること、原発事故と自主的避難との相当因果関係は認めがたいと記されています。うちには六歳と二歳の子供がおりますが、現在程度の放射線量であれば福島市で普通に生活させても全く問題ないと、東京電力としてはそう判断しているような書面です。この文書を受け、既に怒りは通り越していましたが、全く進まない国や県の対応を見ても、もう諦めるしかないと私なりに判断しました。

 指針では子供や妊婦を認めると言っておきながら、子供でさえ認めていないんです。大臣の所信表明演説はたったの二行、たったの七十四文字です。余りにもこういう声が多い中で、冷た過ぎます。

 大臣、指針を示すべきだと思いますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

田中国務大臣 石原委員の御指摘は非常によくわかります。なぜかと申しますと、今おっしゃった原発の浜通り地域は、うちの主人のかつての選挙区でありますし、実家もお墓もありまして、流されたりしていますので、その方々の御労苦、妊婦と子供さんだけでなくて、避難せざるを得ない方たち、その方たちは具体的によく私どももわかっております。

 ただ、確かに所信表明の中で短かったということは本当に申しわけないと思っておりますけれども、その他たくさん盛り込んだということもありますけれども、私、具体的にできることは、先週も閣議がありまして、あの浜通りの辺の除染の問題とかそういうことが結構話題になっていて、確かに、今、石原委員がおっしゃるような視点というものが具体的に盛り込まれているというふうに思いません。したがいまして、明確に賠償の基準をしっかりとして、そして内閣として一本化して責任ある行動をとれるように私も努力をいたします。

石原(洋)委員 そもそも、原子力損害賠償紛争審査会の役割というものは、原子力損害の判定を行うということと、その判定を行った結果、一般的な指針を定めていく、そして加害者と被害者の和解の仲介を行う、それが原子力損害賠償紛争審査会の役割でありまして、それを所管しているのは文部科学省であります。まさにその文部科学省のトップは大臣でございますけれども、この和解の仲介を行っていくというのは、文部科学省が総力を挙げてやっていかなくては全く進まないわけでありまして、今の大臣の御答弁をいただきまして、今後の対応に関しては期待をしていくところでございます。

 次に、原子力損害賠償紛争解決センターについてお伺いをいたします。

 センターは、原子力損害賠償の和解の仲介を適正かつ迅速に行うことを目的としているものの、申し立て件数に対し和解成立案件が二割程度であり、円滑な手続が進められているとは到底言えない状況です。

 仲介委員等の増員はもとより、福島県に仲介委員等々を常駐させるなど、組織体制をより充実させ、当初の目標どおり、申し立てから和解までの期間を三カ月程度で処理することによって、和解による紛争解決を迅速に行い、被害者の早期救済を図るべきと思いますが、政府の考えをお伺いいたします。

松本副大臣 累計で四千件の申し立てがあって、現在三千件未済になっている。迅速な仲介が不可欠であるという認識は、委員と共有しているところであります。

 したがいまして、文科省としましては、現在、日弁連等々関係機関と協力しまして、調査官の増員等の体制の強化を進めているところでありますし、和解仲介手続の迅速化、効率化等に向けた業務運用の改善も行っているところであります。

 委員御指摘の仲介委員の常駐ということでありますけれども、現在、福島県内の事務所や支所に必要に応じて仲介委員は派遣をしている状況でして、きめ細やかな対応を行っております。調査官等については、多数の申し立て件数を一元的、効率的にむしろ処理できるのではないかという観点から、東京事務所に集中的に配置をしているところであります。

 いずれにしても、委員御指摘のとおりです。被害者の早期救済を全力で図ってまいりたいと思います。

石原(洋)委員 文科省の役割というものは和解の仲介を行うというわけでありまして、被害者の実態を知るというのであるならば、やはり福島県、郡山の事務所にいなければ、原子力損害の範囲がどういうものなのかということも判定できませんし、被害者に寄り添ってやっていくという方針を出しているわけでありますので、ぜひ現場の方に常駐をお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

川内委員長 石原洋三郎君の質疑を終了いたしました。

 次に、高松和夫君。

高松委員 国民の生活が第一の高松和夫でございます。

 午前中、集中して議論になったと思いますけれども、三大学の不許可問題、私もこれについて質問をしたいと思います。

 私の地元は、秋田公立美術大の新設にかかわるこの地元でございまして、中央のマスコミは大騒ぎしているわけでありますけれども、秋田の地元紙も実は大変大騒ぎでございますよ。

 ここに新聞を持ってきましたけれども、「秋田公立美大新設認めず」、これは大きく出ていますよ、一面トップです。これは三日の日、市長が「突然の「待った」困惑」だ、「入学希望者「ショック」」。それから、学長の予定者である樋田さんですけれども、「理不尽で乱暴」だと。それで、この樋田さんは、秋田の文化的拠点が潰された、ここまで言っている。三日の日、地元紙。「ついに暴走?「真紀子流」」、省内では「巡り合わせ悪い…」と書いてある。

 これで全て尽くされているんだけれども、おとなしいと言われる秋田県ですけれども、大学の関係者だけじゃなくて、今、秋田県じゅうが大騒ぎなんですよ。大臣、あなたの支持者はたくさんいるんですよ。新潟と秋田だから。だけれども、これで一挙に地に落ちたね。がっくり、みんな。大臣は何やっておるんだと。

 そんなことで、午前中もいろいろ集中して議論があったと思うんですけれども、秋田のこの大学の場合も、去年から延々と水面下で文科省にお伺いを立てて、いろいろやってきているわけですよ。書類の不備があればそれを出したり、また持ち帰ったり、いろいろな補充のものを出したりして。そして、十月に入って、大体オーケーだな、十月の十二日に文科省の担当者から、二十五日ごろ答申が出るだろうと、非常に積極的な、いい御連絡を頂戴しているんですよ。

 そうしたら、十月の二十五日の夜八時ごろ、また大学の方に電話がありまして、しばらくお待ちくださいと。皆、ええっという話になった。そして、十一月の二日午前十時半、大学の方に、岡本大学設置室長から、許可できない、不許可になった、二十五年度は新規の大学の設置は一切認めない。理由は何ですかと聞いたら、全国の大学設置の状況に鑑み、こう言ったわけですね。みんなびっくりしちゃったんですよ。ほかの大学もそうなんですが、秋田の大学も、文科省の言われるとおりにやって、いよいよいい回答が得られるかと思ったら、だめだと。全く何の瑕疵もない、何の落ち度もないわけでしょう。

 局長、板東さん、あなたは秋田の副知事に来ていただいた方だ。秋田のことはよく知っている。県民感情もよくわかっておるはずだ。秋田県人が怒るのは当然でしょう。何か間違いがありましたか。答弁してください。

板東政府参考人 お答えいたします。

 申請につきましては、大学設置・学校法人審議会におきまして御審査をいただきまして、答申としては、基準を満たしているという御答申のもとに、可とすべきであるという御答申をいただいたということはございます。

高松委員 大臣、今局長がこういう答弁をしているんですよ。あなたは最終決定権者かもしれませんけれども、審議会がいいと言っているんですから、もう一度考え直して、何とかいたします、こういうふうに答えられたらどうですか。いかがですか。

田中国務大臣 高松委員が、わざわざ差しかえて、秋田県御出身で、地元の声を代弁して来ていらっしゃること、皆様がどういう思いでいらっしゃるかということは私もよくわかっております。

 ただ一つ、ちょっと今、私の聞き違いか、皆で確認したんですが、先ほど、十月十二日か十五日に文科省から何かいい言葉があったとおっしゃいましたか。ちょっと勝手ですが確認させていただけますか。そして、十月二十六日にええっとなって、十一月二日に違う電話が来た、落胆したとおっしゃったんですが、十月十二、十五の辺で、文部省から何とおっしゃられましたか。ちょっと聞き取れませんでしたので。

川内委員長 答弁者から委員への逆質問はできないルールになっていますが。では、質問をもう一回やり直してください。

高松委員 十月の十二日ごろ、文科省の担当者から、二十五日ごろに答申が出る見込みだと、十月の二十五日ごろ。だから、みんな待っていたわけですよ。そうしたら、二十五日の夜の八時ごろ連絡がございまして、しばらくお待ちください、こういうことだったというんですね。二十五日ごろと言われて待っていたけれども、二十五日夜八時ごろ電話が来た、しばらくお待ちくださいというふうなお話があった。そうこうしているうちに十一月にずれ込んで、二日、岡本大学設置室長さんから、今回は許可できません、こう来た。それで、みんながくんとなっちゃったわけですよ。市長は横転したと。ですから、きょうも来ているんですよ、大臣に会わない限り帰らないと言っている。きょう泊まって、きょう会えなければあしたでも会いたい、それだけの気持ちで実は来ているんですよ。こういう流れなんですよ。

川内委員長 では、ちょっと、事実関係ですから、板東高等教育局長。

板東政府参考人 十月の二十四日に大学設置分科会の方がございまして、二十五日に学校法人分科会というのがございました。その両者ともに、御議論の中では、案としては認可すべきであるという案をつくられたところでございます。

 その段階で、我々としては、まだこれから文部科学省の中で、もちろん大臣まで決裁をしていく、御相談をしていくという過程でございますけれども、審議会でこういう状況である、そういうことで、通常の場合ですとこういうスケジュールでありますということを、地元におきましても、いろいろ新聞その他において報道の都合上、設置認可が行われるとすればいつであるということについて、申請者側も準備をしていく必要があるというような状況がございましたので、今まで審議会で案をつくりました段階で、うまくいけばいつごろ可能性があるということで御連絡を差し上げておりました。

 ただ、これは内々定の段階でございますので、当然、我々として、そこで決まったということで御連絡を申し上げたものではないわけでございますけれども、御準備をしていただくための期間ということで、審議会の御議論が終わった段階で、まず第一報を入れさせていただいたということであるかと思います。

高松委員 時間がありませんから、このことを長々やるわけにいきませんけれども。それで、長年、これは二、三年かけて前々からずっと準備期間があってやってきているわけだ。お互いの暗黙の了解でやりとりしながら、不備なものは手直ししながらいろいろなことをやってきている。

 ですから、建物だって、これはもう半分以上でき上がっちゃっている、コンクリートのがっちりしたものが。先走って何をやるんだと大臣は言うかもしれませんけれども、ちゃんとできているわけですよ。それから、大学の教授、准教授だって十二名、新しい職員の方も二人もう採用しちゃった。この人たちだって、人生全部狂っちゃうんですよ、延びちゃうと。もし許可しないなんといったら、宙ぶらりんでどうしますか。非常にこれは大きなことだと思いますよ。

 大臣は、いろいろな大学のあり方とかこういうのを見て高い見識をお持ちだから、今の設置審のあり方とかそういうことはいろいろ不備があるということで、お考えをずっとお持ちになっていたかもしれません。しかし、この三校に関しては今までのルールでやってきているわけですから、これはこれで特別認めちゃう、この後のものに関しては、それは検討会議でも何でもやって、あるいは審議会のメンバーを変えていくとか、それでいいんじゃありませんか。

 何も、そんな、今ここで気張って意地を張って、大臣、あなたほどの人がこんなことにこだわっちゃだめですよ。私、あなたは、この国にとって、失礼だけれども、必要な人だと思っている。国家がこれだけ危急存亡のときに、大臣、私は非常に切り札だと思っている。しかし、たったこのことでもって、あなた、つまずかないでくださいよ、はっきり言うけれども。(発言する者あり)つまずいた、そこまで言っていないだろう。

 それで、もう一つ。突然そのルールを変更して、走っているものを、相撲でいえば土俵をかえるような話なんだけれども、そんなことは誰が考えたっておかしな話で、新たな検討会を急いでやると言うけれども、これは、何とかそこに見込みをつけようということなのかもしれません。ただ、大臣、十一月の、今月の十二から二十二日までの十日間、高校からの推薦選択、この出願の期間が十二から二十二日までなんですよ。十二月の八日に試験をやることになっている。それから、全国からの、あるいは今の短大からの編入、これも十一月の十二から二十二日まで、十二月の九日に試験をやることになっている。これは、一カ月おくれたら、全て手順が狂っちゃうんですよ。これでみんな泣いているんです、地元は。

 でなきゃいいんですよ、暮れまで待っていても。ところが、この高校生の推薦選択の出願期間が二十二日で切れちゃう。だけれども、生徒たちにとって、高校にとっては、いや、ストップがかかっているので、これからどうなるかわからぬもので、待っていいのか、待たなきゃいいのかわかりやしない。それから、もう年を越しちゃうとセンター試験がある。

 だから、市長ともさっき連絡をとったけれども、とにかく、一週間も待てないと言うんですよ。これは一カ月、新しい検討会議を開く、あなたらは一カ月ぐらいで何とか結論を出したいと思っているのかもしれませんけれども、それでは間に合わないと言っているんですよ。

 大臣、そこはわかるでしょう、そこは。だから、特例中の特例で、あなた、認めてくださいよ。あなたほどの人がそんなことを、いいんです、だから、検討会議をやるなと言っているんじゃないんだし、私も、全国の大学を見ていて、それは数が多過ぎるし、それから定員割れをしているのも全く同じ考え方。大臣が指摘しているのと同じ考え方、私も。だけれども、それとこれとは違うでしょう。ここで、きょう、今この場で打ちどめにしましょうよ、大臣。やめましょうよ。

田中国務大臣 私も、血も涙もないわけではありません。おっしゃっている意味は非常によくわかっております。

 しかし、ここはお気に召さないんでしょうけれども、ちょっと聞いてくださいね。

 要するに、現時点では、結論、先ほど来言っていますけれども、不認可の処分を行っているものではないんです。いいですね。そして、新しいルールでないと、るる今委員がおっしゃったように、もう御存じのわけじゃないですか。いろいろな不祥事が起こっていて、既存の大学の中の問題、これは刑事事件になりそうなものまであるんですよ。それでもって、本当にあすから行く場がなくなって困っている子供たちもいるんです、現実に生徒たちが。そういう人たちも悩んで苦しんでいるんですよ。

 そういうことも考えてみて、第二の、第三のそれに高松先生が思っていらっしゃるような人たちがなってはいけないから、未然にやはりルールを変えなきゃいけないということもある。

 もう一つ申し上げます。

 先ほど十月十二日だとおっしゃいましたね。これは初耳です、私。文科省から連絡があって、二十五日の日に云々と。これは、文科省が全部の、そのだめになった人や不認可になったところにも全て言ったのかどうか、後ほど正式に確認してみたいと思いますけれども、例えば、そういう何か期待を持たせるような言い方かどうか、どなたがどう言ったかというのはわかりませんが、そういうことも含めて、今までの認可のやり方というものは余り公平ではないし透明ではないのかなという印象を今抱きました。

 したがいまして、本当に三つの大学の設置認可については、きょう午前中、下村先生やそのほかの皆さん、これからもお聞きになるんでしょう。委員会での質疑というものはよくしっかり聞いておりますし、夕方お見えになる三大学の関係者の御意見も担当者がしっかりと伺って、慎重に検討してまいりたいということを私からはっきり申し上げます、先生には。

高松委員 日本のいろいろな、文科省だけじゃなくてほかの役所もそうだけれども、内示とか内々示とかあるじゃないですか。日本の慣行ですよ、悪いといえば悪いね。正式じゃないけれども、ある程度見通しがつけば内示なり内々示、人事だって全部そうでしょう。そういうことを踏まえて、大学の方としては、建物を建てかえる、増設をしたり、あるいは教授、准教授を新たに雇用するとか、いろいろなことをやってきているわけですよ。

 それで、高校の方は高校の方でいろいろなことをやってきていて、秋田市が東北、北海道の全高校を対象に調査をしているんですが、いわゆる国公立の、公立の美術大学は、今は東北、北海道に一校もございません。山形は私立があるけれども。九百人以上の、九百何名かの実は受験を希望している皆さんがいらっしゃる。百名しか採りませんけれども、秋田市の調査では、東北、北海道で九百人ちょっといた。みんな希望を持って、受験をしたい、そういう思いを持っているんです。

 しかし、この入り口でこういうことをやられたんじゃ、大臣、くどくどですけれども、さっき言ったように、全国の短大から三年編入の手順、そしてまた高校からの推薦選択の十一月十二から二十二日まで、これに間に合うというんだったら私も譲歩しますよ。だけれども、十二月に入っちゃうとほかの生徒さんたちが心配になって、一カ月後だったらみんなほかの方へ変えちゃうというんですね。市長が頭を痛めていることは、あと返ってこないというんですよ。これだけの応募者がありながら、一カ月たったら。今ここ一週間、十日が一番大事なときだと言っているんですよ。一週間が勝負だと言っているんですね。ですから、難しいと思ってほかの大学へ行っちゃったら、あとはこれだけの人たちが来てくれない。まさに定員割れですよ。

 ですから、そこは、私も今、大臣、あなたの話を聞いていて、あなたの腹のうちはわかった。ペケだということをまだ通達を出していない。到達して初めて不許可になるんです。出していない、それもわかる。気持ちが十分ある、あなたは。だけれども、挙げた手はすぐばんとおろせない。メンツというものもある、はっきり言えば。いいんです、それはどうでも。

 だから、いいんですよ、大臣。ここまで来たら、あなたと私の間じゃないですか。大臣、ここで、わかりましたって一言でいいんですよ、たった一言。金勘定の話じゃない。気持ちが通じればいいんですよ。わかったと。夕方、副大臣じゃなくていい、三大学の学長たちも来い、市長も来い、私がちゃんと言うから。でも、きょう遅くても、大臣、会ってやってくださいよ。大臣の顔を見たいんだと言っているの。穂積市長も大ファンなんだから。

 しつこいようだけれども、大臣、あと議論しなくたっていいでしょう。もう時間だし、五分だなんて言ってきているんだから。一言、よしわかった、高松わかった、これで全て終わっちゃうんですよ、あなた。これを今引き延ばしたら、この後何かあるかわからないよ。うちの生活は静かな者ばかりだけれども、自公の皆さんはわかりませんよ。本当に。うちは何も考えていない。うちは何も考えていません。この人たちはわかりませんよ。

 だから、その話はジョークだけれども、大臣、もう一言、時間ですから、前向きな答弁をしてくださいよ。わかったでいいんですよ、大臣。一言、わかったでいいんですよ。

川内委員長 答弁を求めますか。

高松委員 求めたいですよ、それは。

田中国務大臣 本当に恐縮でございます。血も涙もありますし、済みませんね、立場上こういう答弁をしまして。

 現時点では、三大学に対する不認可の処分を行っているものではありません。チャンスはあるということをお伝えください。

高松委員 では、大臣、どうもありがとうございました。(発言する者あり)感謝というか、いや、いまいちだけれども、いいでしょう。

川内委員長 高松和夫君の質疑を終了いたしました。

 次に、加藤学君。

加藤(学)委員 国民の生活が第一の加藤学でございます。

 ちょっと話題をかえまして、この時間では、田中大臣の教育観あるいは理念について、教育基本法に照らし合わせてお尋ねしたいなと思っております。

 まず最初に、二〇〇六年の安倍政権のときに教育基本法の改正がなされて新しい法律ができました。そのときの国会は、いじめ、不登校、少年犯罪あるいは未履修問題など、教育の直面している課題がある中でどうしてこの基本法の改正が必要なのか、あるいは改正によってそうした課題に対処が可能なのか、そういったことが盛んに議論されておりました。

 二〇〇六年の十一月の党首討論では、当時民主党の代表だった小沢一郎氏の質問に対して、安倍首相はこのように言っております。基本法の改正は直ちにいじめ問題に対処するためのものではないとしつつも、いじめの問題でありますが、政府の改正案におきましては、みずからを律することの重要性について書いてあります、誰かをいじめたいというようなよこしまな気持ちを抑えなければならない、あるいは道徳心についても教えていく必要性を書いてありますと答えて、この教育基本法の改正を通して対処していく姿勢というものを示しているわけでございます。

 また、今国会の野田総理の所信に対する代表質問におきましても、安倍総裁は、教育の危機に際して子供たちに規範意識を身につけさせることが重要であり、教育基本法改正に盛り込んだ公共の精神、道徳心、国や郷土を愛する心、家庭教育などの徹底を訴えております。

 しかし、現実というのは、教育基本法が改正されてもう六年もたっているわけでございますが、そのとき議論されてきたこともいじめあるいはいろいろな犯罪、そういった問題がクローズアップされていたときでありました。今も実際にいじめの問題が大きくクローズアップされて、全く教育が直面する課題というのは何も変わっておりません。いじめ問題は依然として大きな課題として残されておりますし、つまりあれだけの議論をして基本法を改正したにもかかわらず、全く教育の状況は変わっていないというのは今の現実にある姿だと思います。

 また、教育基本法改正の議論のときには、教育の目標にいわゆる愛国心、我が国を愛する態度を徳目として盛り込むかが大きな論点となりました。結果、「我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」という文言が二条の第五号に明文化されました。しかし、昨今の国際情勢に目を向けますと、一部の政治家や首長さんたちから飛び出す言動というのは、そうした教育目標を御自身が体得したものとは到底思えないような発言をする中で他国との間の摩擦をむしろ大きくさせておって、そして国際社会の平和と発展に寄与するとは言えない状況に今陥っていると思います。

 こういった状況を踏まえて、このように教育の現状や社会情勢を見る中で、自民党の安倍総裁がいわゆる誇っている教育基本法の改正というものが必ずしも教育の再生に結びついていないのではないかと私は感じてしまうんですけれども、大臣自身はこの基本法に盛り込まれている道徳や愛国心教育の理念について今どう評価されているのか、あるいはそれが教育の再生につながっているのか、その点について大臣の御見解をいただきたいと思います。

田中国務大臣 かつて安倍政権下で指摘された、書き込まれたといいますか、教育基本法の精神というものは、例えば家族を大事にするとか、日本を愛する、それから祖先を敬ったり、子孫や伝統やら文化、そして日本固有のものを大事にするということは本当に大切なことだと思いますし、逆に言うと、こういうことを今さら教育基本法に盛り込まなければいけないということが今の日本の現状をあらわしているといって、ちょっとせつない思いになります。

 しかし、これを現実に日本国民の中に教育の面あるいは家庭教育、社会教育を通じて上手にいかにして浸透させていくかということが基本になろうと思いますし、あらゆる方々の英知を結集して、これを現実のものとして獲得するために何ができるかということを、やはり前広に議論していきたいというふうに考えております。

加藤(学)委員 そうおっしゃいますと、今の教育基本法の理念というものをしっかりと推し進めていけば、今の諸問題は解決される可能性はあるというふうにお考えでしょうか。そういったことをそのときの議論では強調し過ぎることによって、むしろ他国とのあつれきができてしまうんじゃないかという懸念があるわけですけれども、その点についてはどのようにお考えになるでしょうか。

田中国務大臣 戦後すぐと違って、今の御時世ですから、言ったからといってまた反発するような人も中にはおられるかもしれません。十人十色です。しかし、やはり基本は決して間違っていないと思いますので、むしろ、これをうたわなきゃいけないところが日本の現状の悲しいところかなと。心の中にも全部着床して、そのように行動ができればいいわけですし、昨今のようなこんなぎすぎすした事件も起こらないかもしれません。

 したがって、それをやはりどうやって自然に抵抗なく日本人の美徳として修練していくか、身につけてもらうかということの知恵と努力が、立場を超えてみんなでするべきことであろうというふうに考えております。

加藤(学)委員 よくわかりました。

 それともう一つ、具体的な質問をさせていただきます。

 この教育基本法、これには、これにのっとって新学習指導要領の制定がされ、古典教育とか道徳教育の充実、あるいは中学では武道の必修、小学校でも外国語の教育の導入なんかもなされてきたわけでございます。伝統や道徳教育を重んじる立場の人たちからは、小学校の外国語教育というものが強制されるというか、やられることと、この伝統と文化を重んじる教育との軸足が定まらないんじゃないか、そういった批判も出ているわけでございます。

 このことが初等教育の軸足というものを非常に見えにくくしているというような感覚を私は思うんですが、大臣としては、この初等教育の軸足というものは、伝統、文化あるいは道徳、あるいは外国語教育、こういったものを捉えた中で、どういったところにやはり置くべきだというふうにお考えでしょうか。

田中国務大臣 世の中にはどこの国でもさまざまな視点があると思っていますが、私個人の見解でいきましたら、やはり、まず小さいときの家庭教育、次いではコミュニティー、そして学校、公の、パブリックなところですね、それが小学校、中学、高校、大学、社会人になっていくわけですけれども、コアの部分のことは家庭においてしっかりと、守るべき、人の目を見て話をするとか、伝統とか、正座の仕方とか、そういうふうな振る舞いに至るまで。それから、知識でももちろん日本の基本的な伝統とか教育とか歴史とかあると存じますけれども、そういうことについては、小さいときの方が自然に抵抗なく身につくものだと思うんですね。

 今の社会で難しいことは、生活パターンといいますか、習慣が変わったこともあって、お母さんもなかなか忙しいとか、そういう中で、本来身につけていても大丈夫だったし身につけやすかったような環境ではなくなってきている、社会の構造が、殊に都会においては。

 ですから、そういう中で、どうやってそういう日本の伝統とか、親とか友達とか祖先についても、子供が自然に小さいうちに身につけていく、そういうものを身につけていることが、外国人から見ても美しいし、日本人の自信のもとに、源泉になるというふうに考えていますので、それを小さいうちからできるためには、やはり、社会保障でありますとか、子供たちの面倒を見てくれてお母さんが働きに出られるとか、くつろいで家でもって家族と過ごせる時間でありますとか、収入の問題、お父さんの雇用の問題、安定した雇用、そのほかトータルで日本の底力を上げていくということをやることによって、それを獲得できると考えます。

    〔委員長退席、高井(美)委員長代理着席〕

加藤(学)委員 どうもありがとうございました。

 次に、大臣所信にありました、地方教育行政のあり方についての検討という文言がありましたが、このことについて、教育委員会に関連してお話を聞きたいと思います。

 大津市のいじめの問題や、あるいは大阪の橋下市長さんからの問題提起もあって、今、教育委員会のあり方については議論が大きく国内でもされているところでございます。

 一つは、形骸化しているのではないかというような御指摘。二つ目は、国あるいは県あるいは市町村、それぞれの役割分担が明確になっていないんじゃないか、そのことによって責任転嫁が行われているんじゃないか。あるいは、大阪で議論されているような、地方自治体の中で首長と教育委員会の関係、あるいは首長と教育長との関係、この政治と教育委員会の方向性の共有をどういうふうにやっていくのかとか、そういった問題がいろいろ提起されているわけでございます。

 民主党は二〇〇九年のマニフェストの中で教育委員会を抜本的に見直しするとうたっていたわけでありましたけれども、その今の教育委員会のいろいろな改革の議論を踏まえて、政府として、今教育委員会制度を、今の現状は十分機能しているとまずお考えになっているのでしょうか。

笠副大臣 今、加藤委員から御指摘ありましたように、大津の件でありますとか、あるいは今の教育委員会制度というのが形骸化している、あるいは物事をスピード感を持って決めていくことができないんじゃないか。あるいは、これはいろいろな状況があると思いますけれども、教育委員会制度自体がしっかりうまく機能しているところもあれば、やはりそうではないところもあるということで、今私のもとで、この教育委員会制度のあり方も含めて地方の教育行政のあり方についての抜本的な見直しを行っていくための省内のタスクフォースを設けまして、議論をさせていただいているところでございます。

加藤(学)委員 その今のタスクフォースでやっているという改革の方向性というのはどういうふうに考えられているんでしょうか。

 これは、民主党はもともと、先ほど言った教育基本法の論争をしているときに、日本国教育基本法案というものを出して、その中には相当踏み込んだ議論がされておりました。

 例えば、国は、普通教育の機会を保障し、最終的な責任を負うと。そして、そういった国の責任を明確化するとともに、地方の教育行政については首長が行うものとして、その行使に当たって民主的な組織を整備すると。そんなようなことがいろいろ盛り込まれておりました。また、学校運営については、地域住民や保護者、あるいは専門家を含めた学校理事会というものをつくって自律的な運営をしていくと。

 そして、その上で教育委員会のあり方というのは、そこには明文化されておりませんでしたが、そのイメージとしては教育行政を監査するオンブズマン的な組織みたいなものを想定していたわけでありますけれども、この構想というのは今でも生きているんでしょうか。これからの改革の方向性というものは、教育委員会の方向性というものは、このような形を踏襲したものになっていくのでしょうか。その辺のところについて、ちょっと教えてください。

笠副大臣 今御指摘ありました、かつて教育基本法の議論、私どもも、当時私もその法案づくりにかかわっておりましたけれども、日本国教育基本法案というものを我が党案として対案をまとめて、国会で、特に教育委員会制度のあり方については当時私が答弁する立場でも答えさせていただいております。

 私どもが、さきのマニフェスト、あるいはインデックスの中でも、やはり、まずはもっと学校運営協議会、あるいはコミュニティースクールを普及させる、あるいは学校理事会という形でさらに学校の権限を強化していくこと。そして同時に、やはり教育委員会制度についてはもっと選挙で選ばれる首長さんに権限を与えて、そしてその首長さんの教育行政をチェックしていく監査委員会的なものをつくっていくような方向で改めた方がいいのではないかということが、当時の私どもの、そしてまた一つの大きな方向性であることは今も変わっておりません。

 今後、このタスクフォースにおいては、こうしたこれまでの私ども民主党としての考え方もしっかりと踏まえさせていただきまして、やはり学校のことはしっかりと地域の住民の皆様方にも参画をしていただくような形で地域立学校というものを普及させ、そして学校が活性化することでもっと地域が元気になる、あるいは再生をしていくということに結びつけていきたい。そして同時に、やはり教育委員会がどういう形で政治的な中立性というものをしっかりと保っていくのか、あるいは安定性というものを確保していけるのか。

 そして同時に、先ほど大津のいじめの問題がございましたけれども、もう少し国の関与の仕方というものを、何かが起こったときにしっかりと、指導助言だけじゃなくて強めるべきではないかというような視点も必要かというふうに私は思っておりますので、そういったことも含めて今検討をしながら、できれば年内には一つの方向性というものを出してまいりたいというふうに思っております。

 ただ、当然ながら、これは法改正を伴うようなものに関しましては、来年のちょうど二月から第七期の、今度メンバーが入れかわっての中教審が始まるわけですけれども、しっかり中教審の方で議論をしていただかねばなりませんので、法改正を伴うもの、あるいは省令等の改正で実施ができるもの、そういったことの整理も含めて、また各党それぞれこれは今党内でも議論されているということも承知しておりますので、十分そうした方向性ということも踏まえながら、改革の道筋をつけていきたいというふうに思っております。

加藤(学)委員 先ほど答弁があったとおり、民主党の日本国教育基本法案というものを踏まえながらということでございます。どの程度踏まえるかによってまた色合いが違ってくるかと思うんですが、それは、いわゆる現法の教育基本法の対案として出された法律なわけでございまして、今はそっちの方じゃなくて、自民党さんの強行採決したいわゆる教育基本法というものがベースとなって、これがOSとなって動いているわけでございますから、その上にこの民主党の理念を乗っけていくということは、非常に私はそごが生じてくるんじゃないかなというふうな気がするんですが、その点についてはどのようにお考えになるでしょうか。

笠副大臣 私は、そごが生じるということはないんじゃないかというふうに思っております。

 恐らく今の教育委員会制度をもっとやはり抜本的に見直していかないといけないんじゃないかということでは、それぞれ、自民党さんは自民党さんの考え方もありましょうし、各党のそれぞれの思い、あるいは大阪でも橋下市長さんなんかが、かつて我々が日本国教育基本法案でまとめたこととほぼ同じような方向性のことを打ち出しておられます。

 ただ、いずれにしても、やはり教育というのが、政権が交代をするたびにこの根幹の部分がころころころころと方針が変わっていくことになると、地方教育行政のあり方を見直すことでまさに現場が大変なことになりますので、やはり大きな国会での議論というものもしっかりと行いながら、やはり多数でそうした制度改革というものは進めていくべきものであろう。これはどの党が政権を担っていても同じではないかというふうに思っております。

加藤(学)委員 どうもありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 教育の質についての質問になりますけれども、この教育の質については、特に教員の質をどうしていくかということが非常に重要な施策になると思います。これは、所信においても、教員の質については教職生活全体を通じた向上方策の推進をしていくというふうに書いてあります。

 一方、このことについては、自民党の今回の安倍総裁の首相の所信演説に対する代表質問でも、民主党は教員の免許更新制の見直しをマニフェストで言っていたじゃないか、そういうふうに批判をしていたわけでございますけれども、この教員の質と絡めて、実際、今、マニフェストで掲げた教員の免許更新制の見直しというのは進んでいるんでしょうか。この辺についてちょっと教えてください。

笠副大臣 今御指摘のありました、我々が教員の免許更新制のあり方を含めて今後の教員養成の仕組み自体をしっかりと考えていくということで、今、養成、採用、そして研修の各段階を通じた施策を総合的に進めていくことが必要であるというふうに思っております。

 文部科学省としては、八月の二十八日に取りまとめられた中央教育審議会答申をしっかりと受けとめて、教員養成の修士レベル化に向けて、教職大学院の発展、拡充を初め、修士レベルの課程の質と量の充実、教育委員会、学校と大学等の関係者間の連携、協働の取り組みを進めるとともに、主要な取り組みについては、現在検討中の次期教育振興基本計画に盛り込むなど、必要な取り組みを進めてまいりたいというふうに思っております。

 そして、御指摘のあった教員免許更新制については、この答申を踏まえて、受講者のニーズに応じた一層の講習の質の向上など、必要な見直しを推進していきたいというふうに思っております。

加藤(学)委員 今、答弁にありました、いわゆる中教審の答申の中で、教職員の修士卒を一般免許状とするような、修士卒を基本とするような答申が出されているということでございまして、既に教職大学院というものが二〇〇八年からスタートして二十五校がやっているわけでございますけれども、昨今のデータあるいは報道などによりますと、そのうち定員割れになっているのが、実際に二十五校のうち十三校が定員割れの状態になって、八百十五人の定員のところ入学が七百八十二人だ、そのような報道、現実があるわけでございます。それを、その答申によれば、さらに倍増させて、全県に一つずつ教職大学院をつくりたいというような方向性がその答申の中でうたわれているわけでございます。

 特に、大臣は、大学の設置認可の見直しということを今も相当議論してきたわけでございますけれども、この答申に基づく考え方、つまり、どんどん大学院をふやして教職員の質を上げていくという方向性と、この定員の満たされない状況というものが非常に矛盾しているような状況があるんですが、そのことについて、今後の大学院の設置方針を含めて、どのようにお考えになっているでしょうか。

田中国務大臣 今、免許更新制度の、修士レベルのことをお問い合わせになっておられますけれども、私個人の、また議員としての意識といたしましては、私は、二年生議員のときでしたか、教員の免許法特例法案といって、教員の資質を上げる議員立法をいたしました。また、勝手ですが私の親のことを申しますと、戦後すぐに人材確保法案ということを申しまして、いかにして他人様の子供を教育する人が、能力、学力だけではなくて人格も高潔で、立派な人でなければいけないかという意識を偶然親子二代持っていて、そういう法律をつくってきております。

 そうでありますけれども、修士レベルという教員の大学院という問題もあるとは思うんですが、それ以前に、今問題になって、多分、傍聴にたくさんいらしております皆様の最大の関心事であろうかと思っておりますけれども、要するに、今、先ほど来から、午前中言ったことの繰り返しになりますけれども、日本の一番の問題は、戦後六十数年間にわたって、大学設置審というところで、主に九〇%以上が大学の学長さん、総長さんたちが、特に、きょう傍聴にいらしております皆様によく御説明したいと思って、ちょっと申し上げますけれども、そういう方々によって、一年間に、一回二時間、四回しか議論をしない中で、一応、実際は、事務的には役所の方たちがやって、決定してきているんですね。

 その中において、たくさんの学校ができて、規制緩和でもって二〇〇二年のころからたくさん大学が許可されて、その結果、今何が起こっているか。学校は借金だらけである、少子化である、そして乱立していて、今もう本当に枚挙にいとまがないほど、刑事事件になっているとか、学校の経営が立ち行かなくなっているところが山ほどあるんです。この間、一日、二日で役所で調べてもらっても、六校、七校がぽんぽん挙がってきているんですよ。

 そういう中で、このあり方を見直して、新しい規範で、あらゆる人たちの、もっと、専門家だけではなくて、いろいろな分野の人々が入った新しい設置審によって、そのことによって見直していかないと、いい人材、いい学校はできなくなるだろう、それが今のこの時代のニーズなんですね。

 したがって、今あるものはしっかり見直さなきゃいけない。しかし、もう設置されている学校、大学の中で学部を新設するとか大学院をつくるということは、それはやむを得ないことですし、権利があるんです。

 しかし、こちらは今期待されているかもしれませんけれども、まだこちらについては、よかれと思ってみんな設置するんですよ。ところが、問題が将来起こらないという可能性は、十年、二十年後にいかがでしょうか。ある一つの学校は、八年前に認可されて、もう四十億円もの借金をしょっているんですよ。そういうところの子供さんたちは、あしたから行く場がないんです。第二のそうした学校をつくっちゃならないという視点もあるので、新しい仕組みを急いで今つくっているんです。

 あすにはできないかもしれません。それにのっとって、ですから、あの三大学、加藤先生にはお尋ねとちょっとずれて恐縮でございますけれども、それによって三大学は、秋田県は、アプライする権利が、エントリーしているんですから、あるんですよ。門前払いなんかしておりませんから。

 ですから、その大きな国の状態を変えていきたいと、こうやってアクションを起こさなかったら、いつまでたってもソフトランディング、ソフトランディングだけというわけにはいかないんですよ。したがって、まだ道が残されているということをしっかり申しておきます。

    〔高井(美)委員長代理退席、委員長着席〕

川内委員長 加藤学君、質疑の持ち時間が過ぎておりますので、まとめてください。

加藤(学)委員 もう質疑の時間が過ぎておりますので、質問はこの辺でやめさせていただきますけれども、いずれにせよ、大学の設置基準というものを新しいルールでやっていただきたいということと、今の、教職大学院はまだ定員割れの状態が続いていて、そのことも踏まえて、これから慎重にその辺の議論も進めていっていただきたいということ。

 それから、必ずしも大学院教育が教師にとって必要なのかどうなのかということも、まず大学院設置あるいは大学設置ではなくて、しっかりと本当に必要な能力、あるいは、それを育てるためにそれは大学院でなければいけないのかということも含めて、議論をこれから十分やっていただいて、そして、それとあわせて、教育委員会あるいは教育行政のあり方、これを、全体の中で教育の理念をまとめ上げて確実に実行に移していただきたい。そのことで質問を終わらせていただきます。

川内委員長 加藤学君の質疑を終了いたしました。

 次に、松野博一君。

松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。

 まずは、田中大臣、御就任おめでとうございます。大臣の突破力と発信力が、適正に、有効に文部行政に活用されることを御期待申し上げます。

 まず冒頭、お願いでありますが、先ほど高松委員からもお話がありましたけれども、本日十六時二十分に、秋田公立美術大学、岡崎女子大学、札幌保健医療大学の関係者の方々が、直接大臣にお会いをして、現状とさまざまな案件について説明をしたいということがあるというのをお聞きしております。

 その中で、文科省側の対応は副大臣以下で対応するということでありますが、先ほど大臣の御答弁の中にも、大臣の真意また発言が的確に捉えられていない面もあるのではないかという趣旨のお話もありました。であるならば、やはり、直接お会いをしていただいて、話し合って、これは何といっても大事なのは信頼関係なんですね。信頼関係というのは、まず、お互いに会って、お互いの意見を聞き合うというところから醸成されるものでありますから、ぜひ、きょう、この三大学関係者の方々が文科省を訪問されたときに、大臣、直接お会いをいただけませんでしょうか。お願いを申し上げます。いかがですか。

田中国務大臣 日程を見て検討いたします。

松野(博)委員 ここで、会う会わないという話をしていても話が進みませんけれども、しかし、重要性に関しては大臣も御理解をいただけることだと思います。まずお会いをしていただいて、大学関係者の皆さんのお話、そして、大臣の方から話すべきことがあれば、直接そこでお互いに会って話し合うということをやっていただきたいというふうに思います。

 今回の大学設置認可にかかわる一連の経過の中で、やはり何を守らなければいけないかということを、これは文科省も私たちも共通認識を持っていなければいけないと思います。

 私は、一番重要なこと、本件で守るべきことは二つだと思います。一つは、これから設立されるであろう大学において、向学心を持ってそこで一生懸命学びたいと思っている生徒を初めとする関係者、この人たちを守らなければいけない、教育の機会も守らなければいけない。そしてもう一つ重要なことは、文部行政の信頼性、このことを守らなければいけない。この二つがまず第一に守らなければいけないことだと思います。

 この二つを守って、その上に、大臣がおっしゃられているところの今後の高等教育のありよう、少子化、グローバル対応、質の管理、極めて重要なことであります。このことは、当然私たちも議論に参加をさせていただきたいというふうに思いますが、まず前提としては、法定による行政が執行されなければいけません。この件に関して、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 午前中来、再三再四にわたって御説明を申し上げておりますし、委員も十二分に御存じだというふうに思いますけれども、十二分におっしゃっておられる意味はわかりますけれども、余りに、戦後六十七年近くも、このような設置審のありようで、結果的には、学校が倒産をしたり、その通っている生徒さんたちの被害が、そして不祥事が警察マターになるようなところまであるんですよ。大学だけではありません、東専学の問題もありますけれども。

 そういう中で、初めはみんな善意でやっているんですよ。ですけれども、今の少子化と経済の状態とか地域性とか、この間から申し上げています、どういう基準で、新しい、どういう人選をして、どういう基準の設置審をつくるかという中に答えがあるんですけれども、それをすぐにでもつくって、それで一日も早く、それに合わせて基準としてやっていきましょうということであって、三大学に対して不認可の処分を行っているわけでも何でもないのでありまして、エントリーなさっているということを、ちょっと想像力を働かせて考えていただきたいと思います。

 何でもかんでも、わかりましたと判こを押して、今まで自民党も民主党もやってきた結果じゃないですか。いつだってソフトランディングなんてないんです、物事を政治が決めるときは。

松野(博)委員 まず、一点御指摘をさせていただきたいと思うのは、大臣、大学は問題があるところが多い、刑事問題も起こしそうなところもあると多くの問題を御指摘されましたが、しかし、ほとんどの大学運営というのは、学校関係者の努力によって適正に行われているんです。そして、教育効果も上げていますし、地域の拠点としての活動もされているんですね。多くの大学に関しては適正に行われているということをまずしっかりと前提としないと、今の大学が問題があり過ぎるから、質が低過ぎるからという議論が、余りそれが前面に出ると議論をミスリードしてしまうことがあるので、そのことは指摘をさせていただきたいと思います。

 それでは、大臣、ちょっと視点を変えさせていただきますけれども、今回の一連の経過の中において、大臣がおっしゃっているとおりの状況であるとするならば、責任を問われるのは一体誰かということなんですね。それは、今回の三大学ではなくて、文科省に責任があるということなんですよ。それまでの設置基準の問題、審議会のありようの問題、これを今しているのは文科省ですから、三大学には責任がないんですね。三大学は適正にその基準にのっとってやってきたわけですから。

 ですから、大臣がまず指摘をして目を向けるべきは文科省の責任ではないんですか。

田中国務大臣 役所という御指摘も当たっているかもしれませんが、戦後ずっと担ってきた政権、自民党も、たくさん大臣経験者がおられたじゃないですか、さっきまで、今一人おられますけれども。そういう政治家の責任、こういうことについても考えなきゃいけないから、何とか、いろいろこれだけ誹謗されていても、どこかで誰か変えようと思っているから、ですから、血も涙もあってわかっていますよ。(発言する者あり)わかっているかどうか、後でわかります。

松野(博)委員 私が言っているのは、民主党政権がとか、自民党政権がどうのこうのという話じゃないんです。今回の経過の中において責任を問われるとしたら、それは適正な申請活動をしてきた三大学関係者ではなくて、大臣がおっしゃっているのは、三大学に瑕疵があるとはおっしゃっていないんですから、三大学に瑕疵があるから認可できないということではなしに、大、高等教育の今後のありようや、設置基準や、審議会のありように問題があるから、今回三大学の認可をすぐできないとおっしゃっているわけですね。

 ということは、それは三大学の責任じゃなくて、そのありようをそのままにしてきた文科行政の方の問題であるから、責任を三大学の方に持っていったりしないで文科省の中の問題意識としてまず捉えていただいて、そして、法定主義にのっとれば、これはもう現行制度の中で適正に申請をされたもの、審査をされたものは現行制度の中において判断をするというのが、これは文部行政だけじゃなくてあらゆる行政組織の常識というものなんですね。

 ですから、繰り返しになりますが、私たちは大臣の問題意識に異を唱えているわけではありません。高等教育のありようというのは変えていかなければならない、大臣のその問題意識も共有をしております。しかし、その問題と今回の大学の認可の問題というのは別次元の話でありますから、これは分けて、現行制度によって適正に判断をしていただきたい。

 先ほど大臣が慎重に検討しますというふうにおっしゃられたのは、これはちょっとその前の内容がよくわからなかったところもありますが、恐らく、大臣も、今回、自分の中長期的な高等教育のありようの問題意識、それから設置基準のありように関しての理念、こういうものがあった、あったんだ、その中において、いささかその認可のしよう、ありようにおいては勇み足のところもあったから、その点に関しては、現行制度の中において検討をしつつ、問題意識は継続して提言していきたいというようなことでいいんじゃないですかね。いかがですか、大臣。

田中国務大臣 先ほどのことをもう一回申し上げますけれども、皆様の議論、午前中だけではありません。世間の声、寄せられているメール、ネットその他を含めて、心耳を澄ませて、しっかり私なりに認識をしています。

 三大学の設置認可については、本日、委員会での質疑、今も継続中です。そして、夕方お見えになる三大学の関係者の御意見も踏まえて、私が会う、会わないとか、そういうことよりか、現実を踏まえて慎重に検討してまいりたいと思います。真意をよくわかってください。

松野(博)委員 なかなか、今の御答弁をいただいて、真意をはかりかねるところがありますが。

 それではちょっと、大臣はお考えは承りましたから、高等局長に私はお伺いします。

 今回、当初は認可しない、それが再審査する、それが不認可としたわけではないというふうに変わってきているんですね。きっと、いや、変わってきているわけではありませんという答弁なのかもしれないけれども、明らかに混乱をしている。この責任はどこにあるんですか。

板東政府参考人 大臣の記者会見での御発言は変わっていないのではないかというふうに思っております。

 最初の、十一月二日の記者会見のときの御発言については、今の設置認可の制度のもとでは認可できないという、認められないという言い方をされていらっしゃったと思います。不認可ということを明確に、不認可処分をしたというふうにおっしゃったわけではないということであります。

松野(博)委員 お立場は察しますが、それでは、板東局長、先ほど局長の答弁で、大臣の一定の裁量権というのはあるんだというお話でした。今回の田中大臣の裁量というのは正当な範囲であるというふうにお考えですか。

板東政府参考人 我々といたしましては、大臣に認可の権限があるということは、るる御説明をさせていただいているとおりでございますので、その大臣の認可の権限に従って行政を推進させていただいているということでございます。

松野(博)委員 それでは、私、板東局長のことは本当に尊敬しているので、なかなか質問しづらいんですが、今回の案件で、例えば行政不服審査があった場合、提起された場合、文科省はそれに対抗できますか。

板東政府参考人 狭い意味で申しますと、行政不服の申し立てというのは、設置認可に関してはできないということになっておりますけれども、恐らく訴訟の方のお話だと思います。

 訴訟については、私自身、法律家でございませんので、ちょっと判断のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

松野(博)委員 それでは、大臣に別の視点からの質問ですけれども、文科省だけじゃなく、各省庁にわたって、審議会というのが置かれているんですね。それから答申が出てきます。田中大臣は、審議会の答申と大臣の裁量権、決定権はどういうふうな関係にあるというふうにお考えでしょうか。

田中国務大臣 お答えいたします。

 けさもお話ししたことですけれども、本件に関して、文部省マターで申しますと、学校教育法では、四条の一項というのがありまして、そこで、大臣が認可をすると。ですから、一つのメジャーメント、基準がありまして、それに合わせて申請してくる、そしてそこで、申請というか、それを設置審が討論をして、それをクリアしていれば一応いい、それで全部決まりということではない。

 今まで結構、戦後六十何年間、それでもいいというふうな判断で来ていたんですけれども、余りに時代が変わっているので、私は、あえて、四条の一項で大臣が最終的に認可をするというところを行使しているわけでございます。

松野(博)委員 最終的な行使の決定の権限は大臣に全てあるんです。全てあるんですよ、これは文科省だけじゃなくて、こういう行政案件に関しては。その上で、さまざま審議会の答申との関係をお聞きしています。

 高等局長にお聞きをしたいというふうに思いますが、審査会の答申と大臣の裁量権、決定権に関して、例えば、これは管轄外でありますが、教科書検定等においては、歴代大臣の答弁というのは、答申に基づいて決定するというふうになっているんですね。だから、大臣は、基本的には審議会の答申内容に関して異を唱えたり変更したりなんとかはできないんだ、それに基づいてやらなければならないというのが教科書検定の審議会と大臣の決定、裁量に関する歴代大臣のお答えだったわけです。

 しかし、今回の、審議会の答申は答申として一つの基準で、これは大臣の裁量に任せるんだというと、教科書検定の場合の審議会答申の問題と、今回の大学設置基準の答申と、大臣の決定のかかわり方にいささか差があると思います。この差があるのは、何か両審議会の法的な位置づけに差がある、もしくは答申の受けとめ方を書き込んだ条文に両者には差があるということなのか、ちょっと説明をしていただけますか。

板東政府参考人 教科書に関しましては、ちょっと私も条文を持っておりませんので、全く同じ条文なのかどうか、文部科学大臣と例えば審議会との関係、答申などとの関係というのは、条文によって違ってまいりますので、申しわけございませんが、それを今確かめることはできないということで、お答えができないということで、よろしくお願いいたします。

 ただ、設置審に関して言いますと、設置審に諮問をするということは書いてございますけれども、例えば議に基づきとか、そういった条文はないということでございます。

松野(博)委員 この審議会のありようの問題と行政の裁量決定の問題というのは、この問題だけじゃなくて、幅広く今後議論しなければいけないということになると思いますが、しかし、今までの慣例上、その慣例が問題だと大臣はおっしゃっているわけですが、審議会の答申に基づいて、この設置審だって判断されてきたんですよね、過去において。それが今回、ルール、やりようを変更するということであります。

 これも繰り返しになりますが、大臣の問題意識に異を唱えているわけではありません。しかし、文部行政のあり方として、今までの法定の流れの中にのっとって、そして、従来の、プラス慣例の積み重ねによって成り立っているものが今回の決定とは大きく違うんですよね。

 その責任というのが、従来のルールにのっとって、従来の法律、条文にのっとって対応してきた三大学の問題になってしまう。その責任になるということではありませんが、しかし事実上、来春の開学は延期されるかもしれないかのような状況に追い込まれてしまう。この状況というのは、文科行政側の責任になるというふうに局長はお考えになりませんか。

板東政府参考人 大変お答えの難しい御質問だと思いますけれども、三大学の側について何か責任と申しますか、それがあるということではないというふうに思っております。

松野(博)委員 三大学の方に責任があるわけではない。三大学の方に責任があるわけではないにもかかわらず、三大学が予定をして、準備を進め、生徒募集もしてきた、来春の開校に合わせて。その開校を延期せざるを得ない状況に追い込まれるかもしれないということはおかしいですよね。責任がないんだから。瑕疵はないんだから。その状況に関して、局長はどういうふうにお考えになっていますか。

板東政府参考人 大臣からも先ほどから再三御説明申し上げておりますように、現時点において不認可というような処分が行われているというわけではございません。ある意味では慎重な審査が継続されている、そういった状況ではないかというふうに思うわけでございます。

 先ほどお話がございましたように……(発言する者あり)はい。大臣の方から御説明申し上げましたような観点を加えながら審査をしていく必要があるということでお答えを申し上げさせていただきたいと思います。

松野(博)委員 冒頭申し上げたとおり、私は、今守らなければいけないのは、ここで学ぶべき意思を持った生徒を含めた関係者、そしてもう一つは文部行政の信頼性なんですね。だから文部行政の信頼性を守っていくことが大事なんですね。

 その意味において、局長には答えづらい質問が続くかもしれませんが、大臣がおっしゃるところの大、高等教育の今後のありよう、目指すべきありようという議論と、今回、今まで適正な申請をしてきた、対応してきた三大学がこうむる被害、これを考えた場合に、三大学の被害は中長期的な高等教育が目指すべき理念の前においては仕方がない、そういうふうに局長はお考えですか。

板東政府参考人 先ほど大臣の方からも、申請者の方からもいろいろ御意見をお聞きをしながら慎重に対応したいというお話がございました。私も同じ思いを共有するものでございます。

松野(博)委員 答えにはなっていないですけれども、お立場もわかりますから、これ以上、この件は聞きません。

 しかし、この案件が、一連の経過が文部科学省の文部行政に対する信頼性を失墜していることは事実なんですね。これは明らかな事実であろうというふうに思います。

 このことは、やはり、もちろん大臣を先頭に、全省挙げて守っていかなければいけないことなんですね。信頼関係が崩れて、今後の文部行政が適正に執行されるわけがないんです。

 ですから、この問題は、単に、単にと言うと三大学の方々に怒られちゃいますが、これは非常に重要な問題ですが、そのことも含めて、全体の文部行政の信頼性、一貫性に対して、それを守っていくという事案であるということを、ぜひ、これは全省挙げて認識をしていただかなければならないというふうに思います。

 大臣、今、高等教育局長と議論をさせていただきましたが、文部科学省が守るべき文部行政の信頼性、このことを、今回の大学設置の認可、一連の経過が傷つけたというふうな認識はおありですか。

田中国務大臣 文部科学省だけではなくて、教育行政に関心を持っているあまねく日本じゅうの方たち、審議委員も含めて、皆様が、傷つけたとは思っていませんけれども、びっくりして目を覚まされたというか、そういうところがあると思うし、それから、やはりもう一回原点に立って考えなきゃいけないんだなということ、特に我々政治家がそういうことを考える契機になったかな、なるといいなというふうには愚考いたしております。

松野(博)委員 相当ポジティブに捉えられているということですが、私たちは、高等教育に対する問題点というのは真摯に考えております。常に党内でも議論をしております。繰り返しになりますけれども、その問題と今回の三大学の認可の問題は全く別の事象の問題なんですね。そのことを混同した議論というのはおやめになっていただきたいというふうに思います。

 私たちは、これは与党さんがどういう態度に出るかわかりませんが、文部科学委員会の重大な責務というのは、文部行政に行き過ぎがあったとき、過失があったとき、それをしっかりと監視して、チェックして、そして意見をはっきりと言っていくということが、文部科学委員会の、委員長を筆頭として、それが役割なんですね。

 ですから、まさに、私は、今回の問題というのは、文部科学省の行政の判断、やりように対して、文部科学委員会としてしっかりと意見を提言していかなければいけない事態であるというふうに認識をしております。そちらの私たちの意見は、今回の案件に対する考え方を今後表明させていただきたいというふうに思います。

 ぜひ大臣には、やはりこれは、この文部科学委員会というのは、国民を代表して、日本の文部科学政策、行政に関して意見を闘わせるところでありますから、そこの委員の意見、またそこの提案というのは大変重いものであるというふうに御認識をいただいて、そして、大臣、とはいえ慎重に検討するとおっしゃっていますから、恐らく、私は、今晩あたり、いい話が出るんではないかなというふうに期待をしておりますけれども、ぜひその方向でお受けとめをいただきたいということをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

川内委員長 松野博一君の質疑を終了いたしました。

 次に、池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 私は、本来、田中大臣とは、きょうは、公明党で私はいじめ問題等プロジェクトチームの座長をしておりますので、御一緒に、今起こっております子供たちの問題、いじめで質疑をしたいと楽しみにいたしておりましたが、このような混乱した問題で質疑をしなければならないことを大変残念に思っております。

 かつて田中大臣は、自分の人間関係は家族と部下と敵だというふうにおっしゃったと仄聞しておりますが、私は、その中に友人が入っているというふうに思っております。大臣との間には、友人として楽しい共有のときを持てたのではないかというふうに考えております。ですから、私は、大臣よりは数年先を行っている先輩ですし、十六年間、子供たちにいい環境の中で学ばせたい、そして、教育、文化、芸術、スポーツ、科学技術、そうした子供たちがいずれは日本を支えていくのだ、その思いの中で、この文部科学委員会に人生を、政治活動を賭してまいりましたので、そういう観点から、ぜひ田中大臣に聞いていただきたい、その思いでございます。

 大臣、君子豹変すという言葉を御存じでいらっしゃいますね。私は、大臣に君子になっていただきたい、そう思います。リーダーは、大所高所からいろいろな人の意見を聞いて、そして判断を、また違う判断をしても、私は、決して恥ずかしいことではないと思います。ぜひ私は、きょうあしたのうちに、この不認可とした三大学が認可されるようにと心より願っております。

 なぜならば、認可をするわよとおっしゃったって、これは田中大臣の人格をちっとも傷つけるものではありません。ですけれども、このままいかれたならば、これは大臣の人格が疑われるだけでなくて、今ずっと問題になっておりましたように、能力も疑われるということになってしまう。私は、やはりそんなことになってほしくない。たくさんの能力を持っていらっしゃるのですから、どうかそういうことがないことを私は願っております。

 なぜならば、このまま突き進んでいらしたならば、先ほど大臣は想像力とおっしゃいました、これをしたらどうなっていくか。現代に問われているのは、子供たちに問われているのは、特に私は予測の能力だと思います。これをしたらどういう波及効果がある、どういうふうに考えるか。それを考えますときに、それが欠如しているのではないかとか、独走ではなくて暴走だよなどという意見が午前中に出たかと思いますけれども、そういうこと、私は、そんなことがないように、ぜひぜひこれは、今のこのことに関しては現行法にのっとるというふうにお答えいただきたいと思いますけれども、それは無理なのでしょうか。大臣、いかがですか。

田中国務大臣 冒頭に申し上げますが、私は、十一年前だと思いますけれども、小泉内閣の外務大臣を拝命しておりました。そのときに、午後の審議だと思いますが、突如、鈴木宗男さんという方が、まさしく今先生がおっしゃった、家族と何とかということを言われて、私は驚愕をいたしました。今は少し年を経て落ちついてきました、違ったことを言われても。しかし、まだこんなことを、あのとき私は鈴木さんに申し上げたんです。どこでそんなことが、どこに書いてあるのか、私はあなたとおつき合いがありませんから知りません。そうしたら、いや、そういうことがどこかで言われているんだと。そんなことを外務委員会で全局長もメディアもいる前で、これは人格攻撃であり、証拠もなく、自分が捏造したんじゃないんですか、週刊誌であったら見せてください。それがいじめですよ。

 それをまた十一年たって、私は、この文部科学委員会というところはもう少し品がいいところかと思っておりました。ところが、それをもとにそういう切り出し方をなさるということに、ああ、またこういういじめをしているのかなと思いまして、いや、驚きました。どこに証拠があって、どこでそういうことをお聞きになりましたか。私は奥様とそういう話をしたことも……(池坊委員「奥様」と呼ぶ)保子さんと話したこともございません、先生ともございません。

 ちょっと、まずそれで驚きまして、こういうことが日本の社会では万事走ってしまうと大変なことになるんだなというふうに悲しく思いましたけれども。

    〔委員長退席、高井(美)委員長代理着席〕

池坊委員 マスコミの方、今のがちゃんとした田中大臣の真意でいらっしゃるようですから、しっかりとキャッチなさってください。

 その後で、大臣、私は友人関係というのがございますでしょうということを申し上げましたが、それはお聞き及びいただきましたね。

 それで、お答えになっていないのですが、これで撤回するわよということは今は考えていらっしゃらないということですか、どうですかということをお聞きいたしましたので、短くそれについてもお答えくださいませ。

田中国務大臣 先ほど来ほかの委員にお答えしていることと同じでございます。

池坊委員 私は、皆様方に申し上げたいことは、民主主義というのは規則にのっとったプロセスが大切なんです。

 変革も改革も必要だと思います。池坊は、ことし五百五十年を迎えます。変革しなかったから続いてきたのではありません。それぞれの時代に生きた人たちが真摯に努力を重ねながら積み重ねて変革してきたのです。

 だから、変革、私は田中大臣の改革したいという思い、すごくよくわかります。ですけれども、やはりプロセスを踏まなければこれはだめなんじゃないか、でなければヒトラーと一緒になっちゃうんじゃないかと私は思います。ですから、どうかプロセスが大切ということはわかっていただきたいと思います。

 それと、私、実はすごく残念に思いますのは、この三大学、今、地方分権、地方主権と言われております。私、いつぞや福井に参りましたときに、福井というのは学力調査がいいんですよ。何で学力がいいかというと、福井がすごく好きだ、だから、東大、京大に行ける学力があるんだけれども福井大学とか福井の大学に行って、それで教員になるとか、あるいは地元にいる。だから、子供たちもそのDNAを受け継いで学力もいいんですよと言われました。

 私は、北海道に医療関係の学校ができる、あるいは愛知にできる、あるいはまた秋田にできる、それぞれの地域で自分の好きなことを学んで、そしてそこに根づいてほしい。一極じゃないんですよ。東京だけじゃない、大阪だけじゃない。そこの土地でどうか就職もして活躍してほしい。そういう意味では、私は大変にこの三大学はいいのではないかというふうに期待をしておりましただけに、ちょっと残念だなという思いが、ちょっとどころかすごく残念に思っております。

 それと、私たち公明党は、いつも現場主義というのを大切にしております。現場の声を聞いて法律をつくる、現場の人たちの声を反映させることなくしては、法律なんかつくったってそれは机上の空論でしかないわけです。

 田中大臣、見に参りませんか、御一緒に。北海道とか、あるいは愛知の大学とか、あるいは秋田。私、御一緒したいと思いますが、そういう意向はおありになりませんか。あしたにでも、あさってにでもと思います。

田中国務大臣 公務がたくさん入っておりますので、せっかくのお誘いでございますが。

 それに、冒頭、あのようなことを、証拠もないことを、十何年前のことを。証拠がどこにあるんでしょうか。そういう方とはちょっと、視察になんて行くような気分には。池坊委員はなるんでしょうか。信じられない。

池坊委員 人の意見は最初から最後まで聞いていただきたい。

 私はそういうふうに仄聞いたしましたけれども、大臣、大臣の中には友人というジャンルもあるのではないですか、その友人のジャンルの中で私は申し上げるのですよというふうに申し上げましたので、何でも人の意見は一から十までお聞き及びいただきたいなと思います。

 何で現場を大切にするかといったら、現場はやはりいろいろな問題を抱えています。それがわからなかったら。政治家というのは、現場と密着しているからいいのではありませんか。

 例えば橋下市長。文楽には助成はしないよとおっしゃいましたが、その後、文楽の関係者と話し合って、実はこれは大切だ、では、透明な会計のもとで、どういうふうなお金の使い方をされているかもしっかりとしながらこれは支援しましょうということになりました。やはり私は、若い方の決断というのはすごく柔軟性があるなというふうに思っております。

 ですから、ぜひ、そういうのも、若い皆様方には絶対に、別に橋下市長をよいしょしているんじゃないんですよ。だけれども、柔軟性を持ってほしい、そういうことを私は申し上げたいというふうに思っております。

 では、新しいルールをおつくりになるというんですけれども、現在の大学審議委員、これは、副大臣、任期はいつまでですか。この委員はおやめになるんですか、それで新しい審議委員をお選びになるんですか。お答えください。

    〔高井(美)委員長代理退席、委員長着席〕

笠副大臣 来年の三月までが任期でございまして、その後、また委員を選ぶということになります。

池坊委員 ですと、今、新しいルールをつくってというのは、今の審議委員でこれの新しいルールをおつくりになるのですか。いかがですか、大臣か副大臣。

笠副大臣 済みません。先ほどの来年は、来年度までが任期でございます。訂正をいたします。

 それで、今のお尋ねは、まさにこれから検討するということで、審議会自体をどのような形にしていくのか、まさにそういう大きな方向性についての、まずは急ぎ結論を得ていくということではないかというふうに私は理解をしております。

池坊委員 これをまた大きく変更するならば、そんな短時間にできるのでしょうか。

 副大臣は、大臣を補佐するとおっしゃいましたから、当然お答えになれると思いますが、この現在の大学の分科会、設置委員会等の委員の構成メンバーは御存じですか。

笠副大臣 存じておりますけれども、お一人お一人、申し上げた方が……(池坊委員「いえいえ」と呼ぶ)よろしいですか。

池坊委員 では、今、学識経験者だ、大学の関係者のみみたいな印象ですけれども、この中には、ジャーナリストの方も入っていらっしゃいます、それから企業の方も入っていらっしゃいます、それからまた公認会計士の方も入っていらっしゃいます。いろいろな方々が入っていらっしゃいますよね。これではやはり不十分だとお考えですか。

笠副大臣 今おっしゃった点でございますけれども、設置の分科会についてはジャーナリストの方がおられますけれども、やはり大学関係者が多い。ただ、私は、大学の関係者がだめだということを多分大臣はおっしゃっているわけではなくて、さらに少し幅広に、いろいろな見地を持った方にもこの分科会の方に入っていただきたいということであるというふうに理解をしております。

池坊委員 ここには川端大臣も委員としていらっしゃいます。私は、川端大臣のときにも質疑をさせていただいて、大変尊敬しておりますけれども、この大臣のもとでも多分この審議委員は任命されたのではないかと思います。

 きっちりと大臣が任命をされ、そしてそれの答申を受けての今日だったと思うんですね。ですから、今までの審議委員を否定する、それからその審議委員が選んだ答申を否定するということはあってはならないと思いますが、いかがですか。

笠副大臣 私は、今までの委員の方を否定しているということではないんだと思います。そのお一人お一人の能力だとか資質だとかそういうことは、それぞれの御見識がある方ばかりだというふうに思っておりますけれども、やはり、今度新たに委員の構成を考えるときには、もう少しいろいろな分野からその構成を考えてもいいんじゃないかということをまさにこれから検討していくということだと思います。

池坊委員 大変に普通のお答えで、そのとおりだと思うんですね。みんな一生懸命お考えになって、知恵を出して審議をなさったと思います。その審議の結果がこの三大学の、五大学申請がありましたよね、一つは取り下げ、一つは不認可だった、この三つだったと思います。それは皆様方が考えられた末の結論だったというふうにはお考えになりませんか。

笠副大臣 十分な審議を、今の基準のもとでしっかりと審議をしていただいた上での結論であるというふうに考えております。(発言する者あり)

池坊委員 それじゃ、何でだめなんだと横で言われましたが、本当にそのとおりで、やはりこれは認可なさるべきだということを、また政務三役で、これが終わられましてから十二分に私は審議し合っていただきたいというふうに思っております。大臣がおっしゃるように、大学のあり方、本当にそうでなければいけないというふうには考えております。

 十年間に何校できたか御存じですか。今、大変、秘書官が一生懸命探しています。短大は十六校、大学は百二十六校ふえました。だめな大学がたくさんあるよとおっしゃるならば、この十年間に新設された大学を調査したり精査したりする機会をお持ちですか。あるいは、今ある八百校、これの事後チェック、大切なことは事後チェックだと思うんですよね、それをやっていらっしゃいますか。その方が先だというふうに私は考えますが、いかがでしょうか。

笠副大臣 おっしゃるとおりだと思います。それで、きょう午前中の大臣の答弁でもありましたように、今現にある大学が果たしてどういうような状況なのかという今の先生の御指摘、そういったことを、調査をもう既に開始しております。

池坊委員 まずはそれをしていただきたいと私は思います。事後チェックが大切なんですよ。新しい大学がいけないと決めつける何も理由がないということを今副大臣おっしゃいましたよね。ですから、もしもいけないというものがあるならば、それはどういう点がいけないかを指摘なさるべきだと思います。

 それから、税金が私学助成には行っているではないか。確かに三千四百億円ほど行っておりますが、全てに行っているわけではありません。定員に満たないところとか、九百六十六校のうちに八百八十九校しか行っていないんですね。七十七校は、やはり不備だとか、高額に役員が給与を取っているとかいろいろなことの中で、あるいは定員割れだとかで行っていないんです。

 ですから、ある民主党の執行部の方が、三千四百億行っている、そんなもったいないみたいなことは、私は大変情けないというふうに思いました。教育にお金をかけるのは日本は一番最低ですけれども、これは当然なんじゃないか、こういうことも私は精査していただきたいなというふうに思います。

 新しい大学のあり方を考える、私もそれに入れていただきたいぐらいの思いでございますが、今、新しいルールの仕組みというのは新設だけではありません。例えば私学助成のあり方というのもぜひ、大臣、考えていただきたいんです。副大臣も考えていただきたいんです。つまり、もう足腰がしっかりしている大学にお金を補助する必要があるのかなと私は思うんですね。定員割れがいかぬいかぬと、さっきからいろいろな方々のお話がございました。私も、小さな小さな短期大学を持って、定員を満たすということが大変に苦労なんです、努力を要するんです。では、そういう大学がだめかというと、そういうことはないんですよ。そういう大学にも手を差し伸べるのが行政のやるべきことではないでしょうか。

 強きを助け弱きをくじく、もう強い学校にはどんどん助成が行く、それから、ちょっと足りないとそれは切っちゃうとか、そういうことでない行政のあり方ということも私は考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

笠副大臣 今、大学のあり方の中で、この私学助成、我々も、私学を党派を超えて応援もしてまいりました。そして、このことは、非常に今の先生の御指摘は大事で、例えば、強いというか競争力のある大学は、これから新しい公共という概念のもとで寄附税制等々も我々は改革をして、なるべくいろいろな民間の資金というものをやはり大学がしっかりと活用できるような体制を推進していく。また、そういった中で、まだ力のない、そしてあるいは可能性のある、いい研究なんかをやっているところについては、やはりこうした私学助成。

 ですから、一律ではなく、そういう配分をどのようにしていくのか。財政のことを考えると、今以上の私学助成の、実際の税金を投入していくということをどんどんどんどん右肩上がりにというのは私はなかなか難しい時代だと思いますので、そういった、どういう配分の仕方が一番役に立つのか、また我が国の高等教育、大学教育というものの発展につながっていくのかということは、また先生方とも議論をさせていただきたいというふうに思っております。

池坊委員 大学の数が多過ぎる。確かに、今や子供たちの数に比して、大学は二百三十五万人、短大が十六万人、高専が千九百二十五人です。それに対して九百六十六校。九百六十六校は私立の大学、短期大学、高専です。これが必ずしも多いのか少ないのかはまた別問題ですけれども、大学の数が多過ぎるよ、もっと抑制しなければいけないというのとはまた別の視点で、選択肢の多い社会の方が成熟した社会というふうに私は信じております。

 ですから、大学は、自己責任の中で、生徒たちがもう十八歳になっているんですから、いろいろなことを調査しながら選んで行くと思うんですね。今、インターネットでいろいろな調査がそれぞれの学校に対してできます。ですから、新しい学校をつくっちゃいけないよということが文部科学省の方針であるとしたならば、ちょっと私はそこに異議を唱えたいという気持ちでいるんです。

 大臣も副大臣も御存じのように、今、医師、歯科医師、獣医師、船舶士というのは、その学校はつくれないんですよね。だけれども、これは本当にいいのかな。競争社会の中でいい学校が出てきたっていいじゃないか、そして古い体質の学校がそれで消滅しても私はいいんじゃないかというふうに思っております。そういう意見に対してはどういうふうにお思いですか。

笠副大臣 今御指摘ありましたけれども、我々は、新しい大学を認めないとかつくらないということではなくて、これからやはりどういう大学が必要なのかということを、設置認可についての見直しをしていこうということで大臣が方針を掲げております。

 今池坊先生からありました、では、果たしてこの八百あるいは九百という数字が少子高齢化社会の中で、これは私の個人的な意見でございますけれども、必ずしも数だけの問題ではない。例えば、これから進学率がどのようになっていくのか、あるいは高等教育というものが専門学校なんかも含めてどういうように、子供の数は減るけれども、進学をする生徒、学生の数というものがどのように推移をしていくのか、あるいは地域ごとのばらつき、やはりその地域ごとにどういった学問が、あるいは時代の要請というものもあると思います。

 そういったことをしっかりときめ細かく検討しながら、そして、質を高めていくために何が必要かということを議論し、対策を講じていきたいというふうに思います。

池坊委員 やはり、文部科学省をリードしていらっしゃる方々なのですから、ぜひ、ぱっと新しいルールだというのではなくて、きめ細やかな、さまざまな視点からの質疑ということが、審議会を新しくつくるんだよとおっしゃるけれども、では、どういう形でどういう人選かというのはもう考えていらっしゃるんですか。あと一カ月でやるというお話でしたが、一カ月ではきっと三大学は間に合わないと思うんですよね。そんなルールをつくるとおっしゃいますけれども、そんな短期間にできるんでしょうか。私は、これは国民の素朴な視点だと思うんですけれども、いかがですか。

笠副大臣 大臣も言っておりますように、とにかくこれは急がなければなりませんので、鋭意努力をしていきたいというふうに思っております。

池坊委員 急がなければならない。そんなに急いで長期的な大学のルール、あり方が考えられるのかというのが私は不思議でなりません。

 むしろ、今やるべきことは何なのか。三大学で子供たちが待っています。子供たちの目標が今失われているんですよ。そういうことを放置していいとお思いですか。

 笠副大臣は、いつも子供の行く末を案じていらっしゃる。今、絶望の中にいる子供たちがいるんですよ。その子供たちの生きがいだった、本当にこの学校に入ろう、それで一生懸命勉強していた、突然ぱっとそれを取られてしまう、そういう子供たちの無念さ。大人って理不尽だなというふうに思っていると思います。それでも構わないと思っていらっしゃるのか。絶対に思っていらっしゃらないと思いますので、先ほど副大臣は、瑕疵はないとおっしゃいましたね。その信念に基づいて、必ずや子供たちに明るい光が見られるようにと私は念じております。

 どうぞ、一カ月は待てないのです。きょうあしたなのです。そのことをよく御理解いただきたいと思います。今御答弁が難しかったら、大丈夫ですね、きょうあした、やっていただきたいと思います。いかがですか。やはり御答弁いただきたいと思います。

笠副大臣 私や大臣が申し上げているように、今、不認可というものを決めたという状況ではございません。そして、本日、この委員会でさまざまな御指摘をいただいております。また、この委員会が終わった後に、私自身、関係者の皆様方から初めて直接にいろいろな要望も賜ることになっておりますし、それを踏まえて慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。

池坊委員 これはぜひ大臣もお会いいただき、そして、子供たちに明るい未来が開かれますことを私は切に願って、この大学設置基準の問題については終わらせていただきます。

 次に、私は、イノベーション推進室、内閣官房にもきょう来てもらいましたので、それについて質問をしたいと思います。

 私、月曜日の日に、京都大学にございます山中教授が主宰していらっしゃるiPSの研究所に行ってまいりました。

 昨年一月に、四分野、新薬、医療機器、再生医療、それからもう一つございましたね、遺伝子ですね、この分野でのイノベーションを推進していこうというのが立ち上がったと思います。特にその再生医療について、私は、きょう幾つか質問しようと思っております。

 昨年一月に、文部科学省だけじゃなくて連携が必要だよ、文部科学省、厚生労働省、そして、でき上がったものを今度社会に出すための、新薬などを開発するための経済産業省が連携をしようということででき上がったと思います。それの強い趣旨、そして、ことし六月ですか、日本再生戦略というのができたと思います。それでどのような成果を得たか、どんな方向でいくか、この三つを簡潔にちょっとお答えいただきたいと思います。

白副大臣 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおりで、政府は、医療イノベーション実現に官民挙げて強力に取り組むために、平成二十二年十一月に医療イノベーション会議の開催を決定しまして、翌年一月にその推進室を設置いたしました。

 この会議は、本年六月の医療イノベーション五カ年戦略、今委員が御案内ありましたとおりの戦略を取りまとめまして、その内容は、この七月に閣議決定をいたしました日本再生戦略に盛り込まれたところであります。

 これらを踏まえまして、革新的な医薬品や医療機器の創出、再生医療や個別化医療の実現に向けた施策を一体的に推進しております。

 そういう中で、特に、今御指摘のありました再生医療に関しましては、十年程度で世界最先端のiPS細胞の安全性や標準化の確立を目指す山中伸弥京都大学教授の研究への集中的な支援を決定したところでございます。

 これらを踏まえまして、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が連携をいたしまして、基礎研究から臨床段階まで、切れ目なく一貫した支援を行っているところでございます。

池坊委員 十月十八日の総合科学技術会議有識者議員との会合に出席した山中教授は、研究者が力を発揮するには、クリエーティブな研究施設の構築と、研究支援者を適切に雇用できるメカニズムが必要だというふうに言っていらっしゃいます。

 それで、この雇用なんですけれども、御存じかと思いますが、京都大学iPS細胞研究所の雇用の状況というのは、教職員百九十八人、このうち正規雇用という研究者、スタッフで占められているんですね。非正規雇用の人件費というのは年間約八億、たったの八億なんです。これは一年から五年単位で雇用しています。

 厚生労働の方にもきょう本当は来てほしかったんですけれども、これがちょっと複雑で、五年たちますと、次に雇用すると有期限になっちゃうんですよね。それが怖いから六カ月、間を置かなければいけない。研究者にとっては、あるいはスタッフにとっては、この六カ月の間研究ができないというのは非常につらい。だけれども、雇う方だと有期限というのが困る。これは、内閣官房の方できっちりとこの辺をどうするかということをぜひ考えていただきたいというふうに私は思うんですね。

 今みたいな状況ですと不安定で、被雇用の人たちがすごく優秀でも、ほかの企業にどんどん行ってしまうんですよ。ですから、継続的な研究ができない。科学というのはやはり継続的な研究が必要ですから、これをぜひ考えていただきたいと思います。

 きょうは厚労省にも来ていただきましたけれども、臍帯血バンク、審議会を設けて、そして移植のための研究を提供するというのは審議会で、また審議会が出てくるんですけれども、審議会で国としての基本方針を定めてからでないとできないと言われておりますね。

 公明党は、この臍帯血の移植に対しての法律をつくりました。一年半以内にこれを施行するようにとなっておりますけれども、山中教授は、まずは一年半は待てないんだ、なぜならば、片方で死んでいく子供たちだって、いや大人たちもいるんだ、もう一方では、世界で非常に競争社会、日進月歩の科学の発達がある、だからできないんだというふうに言っていらっしゃるんですね。

 私は、これを速やかに施行できるようにするべきというふうに思っておりますが、今のをちょっと手短に、審議委員、まだ審議会は開かれておりませんよね。いつお開きになって、どのような答申をお出しになるのか、お答えいただけますか。

    〔委員長退席、城井委員長代理着席〕

糸川大臣政務官 審議会につきましては、またことしじゅうに開いていくということになります。

 臍帯血というのは、iPS細胞の作成に有用なものでございます。ただ、研究のために利用するということになりますと、やはり、臍帯血の品質の確保と提供者の同意を得ることということが重要であるというふうに思っております。

 先生御指摘の同意書というものもございますが、この同意書がつくられたというのは、十年以上前につくられておりまして、iPS細胞というのは当時まだ存在してございませんでした。ですから、そういうことで、移植に関する研究ということで、臍帯血移植に関する研究をこれは示しておりまして、iPS細胞研究、こういうところまでは同意を得ていない、こういう慎重な意見もございますので、今後できるだけ早期に、厚生労働省としましては、適切な提供がされるように支援をしながら、このあり方について検討してまいりたいというふうに思っております。

池坊委員 これができませんと、やはり材料がないわけですね。ですから研究が進まない。ですから、厚労の方、ぜひこれは積極的に、年内には審議会が開かれるというふうに考えてよろしいんですね。そして早急にこれは基本方針ができると考えてよろしいんですね。もう一度、いかがですか。

糸川大臣政務官 審議会につきましては年内にと思っておりますが、できるだけ早く提供できるように厚労省として後押しをしたいというふうに思っております。

池坊委員 私は、行政というのは、こういう民間の活力に対して歯どめをかけるのではなくて、背中を押す、そういう存在でなければならないというふうにかたく信じております。

 国の予算というのは、一応、例えばiPSだと三十億ですか、それで、それはアメリカと同じなんですね。だから、そういう意味では、山中教授もおっしゃった、量としてはもちろんもっともっと欲しいわけだけれども、量としてはこれで満足できるけれども、その質なんですよと。今内閣官房にもお願いしたのはこの質で、使い方というのが問題であるのではないかというふうに考えております。

 ただ、アメリカと日本は一緒だといっても、アメリカは同じ額だけの寄附があるんです、寄附文化ですから。日本はないんですよ。日本というのは、そういう意味では、国の施策によって研究も非常に変化を遂げているわけですね。ですから、国がしっかりとサポートしていただきたいというふうに思います。

 このお金の使い方でちょっと、私は、きょうは財務省にも来ていただいたので財務省の方にも伺いたいんですが、今度補正で二十億つきます。これはとてもうれしいことではあるんですね。ただ、補正で予算化されている二十億というのは、単年度で使わなければいけませんよね、三月まで。

 御存じのように、研究というのは継続なんですよ。もちろん、施設を充実するとか拡充するとかいうことはございますけれども、それは、いろいろな研究をしていて、こういう設備が欲しいとか、こういう人間を補充したいとか、流動的であると思うんですね。ところが、これは単年度で使わなければならないというと、非常に使い勝手が悪い。これは皆さん、科学者の方にお聞きになってください、文部科学省の方々も。どうぞ、こういう共通認識を持っていただきたいと思います。

 私、これが基金化されたら流動的に使うことができます、この柔軟性をもたらすことが必要かと思いますけれども、いかがですか。財務省の方は基金化はだめだというふうにおっしゃいますけれども、そういう否定的な意見を政治家主導なんですからなさらないで、お答えください。

    〔城井委員長代理退席、委員長着席〕

柚木大臣政務官 お答えいたします。

 御案内のとおり、予算の単年度主義という前提のもとではありますが、科学技術分野につきましては、科研費補助金については、比較的小規模な費目、五百万以下ということですが、二十三年度、二十四年度において、これは実は基金化したところでございます。

 御指摘のございましたそういった点というのは、今回の科研費の補助金の新規採択件数、実は、既に九割近くが基金化対象とされているところではございまして、こういった基金化の効果についてのしっかりとした分析、検証に加えまして、今本当に厳しい財政状況の中での財政スキームとの関係、そして、その中で、今おっしゃっていただきました緊要性の高い事業に対する財政資金の配分の必要性の観点などから、基金の使い勝手などもしっかりと検討していくことが必要だと思っています。

池坊委員 もう時間が参りました。

 五百万以下の科研費は基金化ができる、そんなみみっちいことをおっしゃらないで、もっとこれを全体に拡充していただきたい。そして、国を挙げて、やはり科学技術の進展のために努力していこうではありませんか。その願いを込めて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

川内委員長 池坊保子さんの質疑を終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 田中眞紀子文部科学大臣の所信に対して質問いたします。

 まず、既に議論になっておりますけれども、秋田公立美術大、札幌保健医療大、岡崎女子大、この三大学の認可問題であります。

 去る十一月一日に大学設置・学校法人審議会が可とする答申を出したにもかかわらず、田中大臣は、翌二日、閣議後の記者会見で、「残念ながら認可するわけにはいきません。」と発言をされました。この発言を機に大混乱となったわけであります。

 本日の答弁をお聞きしておりますと、文科大臣は、不認可にしてはおりません、こう御発言、御答弁されました。つまり、認可はまだしていないが、不認可にしたわけでもない、こういうふうに理解いたしますが、そのとおりですね。

田中国務大臣 それで結構でございます。

宮本委員 そうしたら、まずお伺いしたいのは、その十一月二日の閣議後の記者会見で、なぜ大臣は、認可でも不認可でもまだ決まってもいないものをそのようにお触れになったのか、それはなぜなんですか。

田中国務大臣 朝からきょうはこのことを申し上げておりますが、記憶を喚起していただければありがたいんですけれども、あの日は、十一月二日でしたか、あれについては、本会議があって、物すごく過密スケジュールでした、朝も早かったし。その中でもって、本来は、文科省の中で記者会見室がございまして、そこでやっていれば、かなり時間をかけて毎日やっています。けれども、もう立って、いわゆるぶら下がり状態でしたから、ああいうぱぱぱっという物の言い方になって、よくわからなくて、マスコミもびっくりしたわけですから、そこで事務方がブリーフして、別に事務方のせいにしているわけじゃなくて、事実、わからなかったと思いますよ。

 しかも、十月二十六日、先ほどから指摘がありますけれども、二十六日にそういう話が高等局からあって、ちょっと全然違っていますという話、そこから始まって、次はもう週末で徳島に行ったりとか、予定がどんどん入っていてどうにもならない状態でしたから、本当に、結果的にはミスリードをしてしまったというか、真意が正確に伝わらなかったということは現実としてあると思いますけれども、あとは先ほど申し上げたことの繰り返しです。

宮本委員 いずれにせよ、そのことがやはり大きな波紋を呼んだことは、これは事実なんですね。

 日本私立大学団体連合会、日本私立短期大学協会は緊急声明を発表いたしまして、「大学設置の認可に係る答申は、大学設置・学校法人審議会において法省令に基づく十分な審査を重ねた上で適切に行われたものと認識しており、遺憾の念を禁じ得ません。」、こういう緊急声明も出されておりますし、そのことがやはりさまざまな関係者の怒り、そして批判を呼んでいるということは、これは事実だと思うんですね。

 それで、その中にはやはり、一番私たちが胸を痛めているのは、受験生、子供たちにやはり大変な混乱というものがあると思うんですね。

 私もいろいろ聞いてみましたけれども、秋田公立美術大に進学を予定していた美術工芸短大二年の女子学生は、直前に言われても困る、また一から考え直せというのかと肩を落とした。あるいは、札幌の保健医療大学では、既に、定員百名に資料請求が千五百人、オープンキャンパスに二百人が訪れて、そして開学不認可というふうに、不正確かもしれませんが、不認可と告げられてショックで泣きじゃくった学生もいたというふうに報告されております。

 それで、昨日ですけれども、道議会で我が党の議員もこの問題を取り上げて質疑をしたようでありますけれども、北海道当局も、今回の不認可の判断は、看護需要が高まっている中、将来にわたる看護職員の供給などに極めて大きな影響があり、深刻に受けとめていると。関係部と連携し、撤回も含めた処分の再考について、道として速やかに文部科学省に強く申し入れてまいる考えだ、これはもう道議会ではっきり答弁されている。

 つまり、現場では、子供たちもそうですし、自治体もそうですけれども、不認可と決まったと伝えられて、大変なリアクションが起こっている。

 先ほど大臣は、ソフトランディングではだめなんだ、目を覚まさせる契機になったとおっしゃったけれども、それはしかし、その結果が、子供たちが泣いたり、こういう混乱が起こるというのは、ちょっと余りにもひどいんじゃないですか。

田中国務大臣 ハードランディングをさせたいなんて思っているわけじゃないことぐらい、賢い宮本先生は御存じだと思うんですけれども。

 それよりか、泣いている、かわいそう云々、それはよくわかるんですが、学校が認可されるのは十月三十一日ですから、現実は今回は十一月一日だったと思うんですが、そこで、では、あそこやここや、この学校を受けようかなと始まってくるのに、何かあたかも、もうできている、もうビルも建っちゃっている、入学案内もできちゃっている。もし認可されなかったら、学校は経営上はどうなるんだろうかというような思いはあるんですよ、私は。

 そのことも大事なので、そういうことが何か既存の事実としてどんどん進んでいって、教授も来ているのに、被害がこれだけある、大変なことになるというけれども、それはちゃんと、入学試験と同じで、受かったからそこで制服をつくり、帽子をつくり、それから貯金をおろしてきて云々、学費をということになるのであって、もう全部が準備しちゃっているのにここで言われたら困るわねということは、ちょっとそこが不思議だなと思われませんか。

宮本委員 いや、大臣がそれが不思議だと思われるのは勝手なんですけれども、大学の設置認可のやり方というのは、従来からそういうサイクルでやってきたわけですよ。先ほどから議論があったように、もう三年も前から段取りをしながら進めてきているという事実があるわけですよね。

 だから、今の大学設置・学校法人審議会のありようが今のままでよいと別に誰も言っていないわけですよ。これをいろいろ検討するということはそれはあるんでしょう。しかし、そのことと、今日まで現行制度に基づいてやってきた個別具体の大学が果たして認可すべきかすべきでないかということとは別物であって、そして、その審議会が可とすべきという答申を出したわけですから、そこはしっかりやはり尊重する必要があると思うんですね。

 賢明な宮本委員と言っていただきましたから、賢明な大臣のことですから、幾つかのことを、これはもう当然のことで受けとめていただけると思うんですが、まず第一は、血も涙もある大臣でありますから、受験生のそういう声だとか、現場の自治体が混乱しているという現実、こういう諸般の事情についてはしっかり鑑みるというお気持ちはお持ちですね。

田中国務大臣 はい。

宮本委員 国会の委員会での議論というものを大臣として尊重するのは当然のことだと思いますけれども、きょうも随分党派を超えてこの問題が議論になってきております。当然、大臣として本委員会の議論というのは尊重されるというふうに私は思っておりますが、大臣、よろしいですね。

田中国務大臣 委員会だけではございませんで、委員会はもちろん言わずもがなですけれども、全国から寄せられているメール、手紙、電話、大変なものがあります、賛成、反対。数は申しません。全てを勘案して、日本の将来、文部省が、日本の若い人たちが、大学が、どうやってたった一回の人生を生きがいを持って生きるか、そのことをたった一つの目標として、判断を間違えないようにしたいというふうに思っております。

宮本委員 いずれにせよ、この問題については、やはり現行の制度もしっかり尊重した上で適切に対応する必要があるというふうに私は思っております。

 それで、この問題は、やはりこれを契機にしっかり議論する必要があると思うんですよ。私どもは、先ほどの理事懇談会でも、やはりこの三大学の関係者に参考人として出席していただいて、委員会としての集中審議を行うべきだということも申し上げました。

 次の定例日は金曜日ということでありますけれども、本日の委員会も、冒頭委員長からお話がありましたように、与党の要請によって、異例ながら開かれているわけでありますけれども、金曜日に予算委員会を開くやの情報がありますが、その場合はともかくとして、万一、予算委員会が開かれないというような場合には、次の定例日にはきちっとそういうことをやるべきだと私は思いますが、委員長、ぜひ御検討いただきたいと思います。

川内委員長 理事会で協議をしたいと思います。

宮本委員 しっかりと現行制度にのっとった対応を求めておきたいというふうに思います。

 さて、次に、私は、国際人権A規約の留保撤回の問題について質問したいと思います。

 我が国は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第十三条二項の(b)と(c)、つまり、中等教育と高等教育に無償教育を段階的に導入するという漸進的無償化条項を、一九七九年六月の条約締結以来、三十三年間にわたって留保し続けてきたわけであります。

 政府は、ついに去る九月十一日、留保撤回を閣議決定し、同日、国連本部に通告をいたしました。三十三年ぶりと。教育を受ける権利の実現のために、国際的にももはや常識になっている漸進的な無償化条項、これを受け入れたことは当然のことだと思います。この決定は、遅きに失したと思いますけれども、日本の教育史上画期的なことであり、多くの国民から歓迎されております。

 官報に掲載された外務省告示を見ますと、この通告により、「日本国は、平成二十四年九月十一日から、これらの規定の適用に当たり、これらの規定にいう「特に、無償教育の漸進的な導入により」に拘束される。」こととなる。

 教育を所管する大臣として、この国際公約ともなった中等教育、高等教育の無償教育の段階的実現に向けて、どういう御決意か、まず大臣の決意を伺いたいと思います。

田中国務大臣 国際人権A規約十三条二項ですけれども、これは私、かつて宮本先生からこの問題を伺ったことがあるように記憶しておりますけれども、家庭の経済状況にかかわらず、何人も全ての意志ある者が安心して教育を受けることができるように、今後とも一層の教育費の負担軽減に努めていく、これは理想的な姿でありますし、経済は厳しいですけれども、そういう姿勢だけは貫きたいと考えています。

宮本委員 そこで、改めて聞くんですけれども、今日、日本政府がこの規定の留保撤回が可能だと判断した理由は何か。文科省、お答えいただけますか。

加藤政府参考人 御説明申し上げます。

 高等教育に関しましては、近年、家庭の経済状況にかかわらず、全ての意志ある者が安心して教育を受けられるように、家庭の経済的負担の軽減を図っておりまして、高等教育につきましては、授業料の減免措置の拡充ですとか、無利子奨学金の拡充といった措置を講じておるところでございます。

 こういったことを踏まえまして検討しました結果、同規約の(c)項の高等教育につきましても、無償教育の漸進的な導入に係る留保は撤回できるというふうに判断したものでございます。

宮本委員 授業料減免の拡充と奨学金受給者数の拡大、こういうことだと思うんですね。

 まず、これから私が皆さん方と議論することが何かぜいたくな要求だというふうに受け取られないために、世界の常識というものを確認する意味で、私のところに届いた一通のメールを紹介したいと思っております。

 ことしの九月の十二日、まさに日本政府が今の留保撤回を国連に通告した日の翌日、留保撤回を喜んで、私のところにある海外留学生からメールが送られてきました。以下のような中身です。

 このたび、日本政府が中高等教育の無償化へ第一歩を踏み出したのは、日本に住む者全員にとっての大きな福音です。宮本先生を初め、国民多数の声がこれを実現させたと言えます。今、私は海外に留学しているのですが、当地では大学教育が無料なのは当たり前です。それどころか奨学金が出ています。奨学金はもちろん返還の義務などはありません。そもそも返還の義務があるようなお金は奨学金とは呼べないでしょう。外国人留学生である私にすら手厚い支給があります。日本にいたときよりもずっと経済的に楽です。自国にいるより他国にいる方が学業を続けやすいとは、こんな皮肉はありません。こう述べた上で、今度は本当に中高等教育の無償化の実現を目指して、さらに政治を前に動かしてほしい、こういうふうに結ばれておりました。

 文部科学省に確認しますが、このメールにあるように、大学教育は無料なのは当たり前、留学生にでも返還不要の給費制奨学金が支給される、こういう国はヨーロッパなどには幾つも存在しますね、事実。

板東政府参考人 各国で教育費負担についての公的補助というのはさまざまな形がございますけれども、先ほど御指摘がございましたような、授業料が無料であるということと、それから自国の学生とか留学生に対して給付型の奨学金があるという国も幾つかございます。例えばフランスとかノルウェーなどについてはそういう状況であるというように承知をしております。

宮本委員 これが世界の水準なんですね。ここから日本は非常に大きく立ちおくれている。自国にいるより他国にいる方が学業を続けやすいとは、こんな皮肉なことはないとこの人が指摘するように、我が国の水準こそ非常識だと言わなければなりません。

 そこで、まずは授業料減免制度というものが、世界に向かって、無償化に向かっていますよと言えるものかを検証したい。直近の二〇一一年度の予算における授業料免除人数、それから予算上免除率は一体幾らになっているか、高等教育局、答弁いただけますか。

板東政府参考人 今、二〇一一年度のお尋ねでございましたので、国立大学の学部、大学院修士課程における授業料免除者数につきましては約三・六万人、予算上の免除率は七・三%ということでございます。

宮本委員 今の局長答弁、それは学部の学生の分です、三・六万人は。大学院は含まれておりません。そうですね。

 ということは、この制度が三・六万人まで拡充されてきたというからには、この予算上の免除率七・三%というのは過去最高に今なっているということなんですか。いかがですか、局長。

板東政府参考人 過去最高ということではございません。昭和五十七年度から昭和六十一年度までというのが一二・五%ということでございました。

 それから、先ほどの率については、学部と大学院の修士の方のものを含んだものでございます。

宮本委員 現状の七・三%も実は史上最高ではなくて、かつては一二・五%もあったと。大学進学率が高まれば当然人数がふえるのは当たり前なんですけれども、漸進的無償化、つまり無償教育に向かって進んでいると言えるためには、率がふえなきゃならないんですね。来年度の概算要求、あなた方の概算要求どおり仮に満額通っても、これは結果として一〇%ですから、まだ先ほどの一九八二年の水準にまでもいかないわけですよ。これでどんどん進んでいるというふうに、無償教育に向かっているとは言いがたいと思うんですね。

 もう一つ、これは私学について聞かなきゃなりません。

 私立大学等経常費補助金における授業料減免で、同じく二〇一一年度の交付実績、対象学生数、被災学生以外と、全学生数に占める補助対象人数の割合はどれだけになっておりますか。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの私立大学等経常費補助金における授業料減免で、同じ二〇一一年度の交付実績、おっしゃられました対象学生数、被災学生以外ということでございますと、人数にいたしまして三万二千三百四十八人、これは全私立大学等の学生の約一・五%に当たります。補助率二分の一ということで実施をいたしております。

宮本委員 さっき国公立で七・三%が議論になりましたが、私学の場合はもうわずか一・五%と。この間ずっと一%ですよ、授業料減免というのは。

 これが広がらない、なかなか進まないのには、それは理由があります。私学の場合は、さっきお話があったように国庫負担が二分の一。つまり、半額は大学が持っているわけですから、この率がふえればふえるほど大学の負担は大きくなる。だから、どんどんふやしましょうというふうになかなかならないわけですよね。だから、授業料減免で無償化にどんどん向かうというふうに、これは現状はなかなかならないわけですよ。

 そこでやはり問題になってくるのが奨学金の制度なんですね。

 なるほど、留保撤回できる理由に奨学金受給者数がふえたということを挙げておられる。しかし、この間、日本学生支援機構の奨学金を受けている学生数はどのように推移しているか。

 これもちょっと高等教育局に聞きましょう。

 では、二〇〇九年政権交代後にどれだけふえたか。無利子、有利子、それぞれ二〇〇九年と二〇一二年を比べて何人ふえたかを御答弁ください。

板東政府参考人 二〇〇九年と二〇一二年を比べますと、無利子奨学金が三・九万人増員、有利子奨学金が十五・二万人増員しているということでございます。

宮本委員 合計で十九万人余りふえたという答弁になりますね。

 しかし、今言われた奨学金受給者の中に、返還の必要のない給付制奨学金を受けている者が一人でもおりますか、いかがですか。

板東政府参考人 給付制の奨学金はございません。もちろん、授業料減免とか、あるいはRA、TAのような、違う形のものはあったりいたしますけれども、先ほどの奨学金につきましては給付制ということではございません。

宮本委員 奨学金の受給者がふえたといっても、給付制奨学金というのはゼロなんです、ないんです。つまり、借金を背負う学生が十九万人ふえたというだけの話なんですね。しかも、十五万人は利子つき借金ですよ。無利子は少なくて四万人であって、結局、大半は利子がつく借金を背負う学生がふえたというだけの話なんですね。

 もう一通、私に寄せられたメールを紹介したい。私の六月の十一日に行った国会質問を見たという、これもまた若者からのメールであります。

 今は就職して三年目です。奨学金は高校と大学で借りていました。現在はそれらの返済が月三万円ほどあります。宮本さんが言ったことと同じことをずっと思っていました。僕は高校、大学に借金をつくりに行ったと思っています。家も貧しかったので大学は行かず高卒で働こうと思っていましたが、家族の大学には行っておきなさいという言葉で一応大学進学を決めました。しかし、僕の予想していたとおり、親は授業料を払えず、僕が奨学金とバイトでやりくりしました。学生時代も今も、働いて稼いでも奨学金の返済があります。こんなことなら大学に行かなければよかったと思います。

 僕は高校、大学に借金をつくりに行ったと思っている、こんなことなら大学に行かなければよかった、これが日本の奨学金なるものの実態なんですね。

 最初に紹介した留学生のメールと比べたら、いかに日本という国が非常識か、おくれた状況かということがわかると思うんですね。

 さきの留学生が言うように、そもそも返還の義務があるようなお金は奨学金とは呼べないのであって、奨学金の貸与規模が拡大したからといって、無償教育の漸進的な導入というようなことは言えません。なぜ、この拡大が留保撤回の理由に挙げられるんですか。文部科学省、いかがですか。

加藤政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたけれども、近年におけます授業料減免措置の拡充、無利子奨学金事業の拡充等の措置がとられたことをもって、無償教育の漸進的な導入に係ります留保は撤回できるというふうに政府部内で判断したものと理解しております。

宮本委員 答弁になっていないんですけれどもね。

 だから私は、奨学金と呼べるものにするためには、給付制奨学金を導入しなさいと申し上げてきたし、現にあなた方は、昨年度の概算要求では、給付制奨学金の導入、高等教育にも概算要求までしたわけですよ。その上で、ことし九月十一日、ついに国際人権A規約の留保を撤回した。ことしこそ給付制奨学金に踏み出すのだろうと思ったら、何と、ことしは来年度概算要求に要求すらしなくなったわけです。これでは逆に、留保を撤回して無償教育の漸進的導入から遠ざかっていると言わざるを得ないと私は思いますけれども、なぜ、ことしは要求しなかったんですか。

板東政府参考人 御承知のとおり、昨年度、給付型奨学金を要求したわけでございますけれども、財源の問題もございまして、昨年度につきまして、予算編成に関する政府・与党会議の議論を踏まえて、所得連動返済型の無利子奨学金制度という形で新たな制度を導入するということに決まったのとあわせ、無利子の奨学金制度の拡充をしたわけでございます。

 来年度の概算要求についてでございますけれども、その始まった所得連動返済型の奨学金制度の充実、運用の拡大であったり、あるいは無利子奨学金の予約採用枠の拡大、それから、先ほどから御指摘のございます授業料減免の充実、そういったさまざまな制度、事業につきましての充実を図っているということでございます。

宮本委員 その政府・与党会議でだめだと言われて、そして所得連動型になったと。なぜ、だめだという結論になったんですか。

板東政府参考人 私の理解といたしましては、一つは、やはり東日本大震災を初めといたしまして、財政状況も厳しい中での財源の問題というのが一つあったかと思っております。

 また、将来に向けて、返せる人については、将来の学生を支えていくために返していく、そういった形で、制度をより多くの人たちに利用、活用してもらうということを考えたということでございます。

宮本委員 給付制奨学金に関して、その会議の場で、受けた学生がどんなに経済的に裕福になっても返済しないというふうになると、モラルハザードが生じるのではないか、やはり返せるようになったら返してもらわなければモラルハザードだという議論が出たと聞いたんですね。これは実は、あなた方がとうとう魂まで自民党に戻ってしまったということを意味していると私は言わざるを得ないと思います。

 これがもしモラルハザードならば、どんな大金持ちの家庭でも授業料を無償化している高校無償化だって、モラルハザードだということになってしまうんですね。

 確かにあなた方は、民自公三党で交わした高校無償化の見直し、それに伴う協議の場で、自民党から再三、所得制限を高校無償化にも入れろというふうに言われております。しかし、今のところ、あなた方政府は、高校無償化については救貧政策ではないのだ、教育は社会が支えるのだ、これは哲学の問題なのだと、真っ当な反論を行っております。

 しかし、そうであれば、国際人権A規約十三条二の(b)項の精神はもちろんだが、(c)項についても同じく、やはり将来金持ちになったら返させないとモラルハザードだという議論に乗っかるのはおかしいのであって、高等教育まで社会が支えるという立場に立つのが当たり前だと私は思うんですが、これは大臣、そのようにお考えになりませんか。

田中国務大臣 おっしゃることは大変よく理解はいたしますけれども、財源が厳しかったり、先ほど板東局長がるる申し上げましたような事態もありますので、御理解をいただきながら、我々もまたさらにいろいろと、日本の経済が豊かになるようないろいろな優秀な人々を育てて、日本がまた活躍して、財政が豊かになって、そしてどんどん奨学金も出して、尊敬される国になれるように頑張りたい、かように考えております。

宮本委員 もう終わりますけれども、大臣は大学が多過ぎるというふうに冒頭の議論でもおっしゃいますけれども、日本の大学進学率はまだ四九%なんです。アメリカは七〇%、フィンランドは六九%。OECDの平均五九%と比べても決して高くないんですね。

 それは、年間百万円を超えるような高学費、大学に借金をつくりに行ったようなものだ、行かなければよかったと若者に言わせるような恥ずかしい状況、こういう状況を改めれば、まだまだ大学で勉強したいという若者がふえる可能性があるんです。だから、多過ぎるというのも当たらない。

 大学改革というならば、こういう問題にこそメスを入れ、国際人権規約の留保を撤回した国にふさわしい高等教育予算を抜本的に拡充することを強く求めて、本日の質問を終わります。

川内委員長 宮本岳志君の質疑を終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 田中大臣の基本的なお考え、認識を尋ねる質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、素朴な質問です。

 大臣は、大学教育の質が低下しているとおっしゃっておりますが、大学教育の質とは何でしょうか。大臣の考える定義についてお話しください。

田中国務大臣 いろいろな多面的な物の言い方があると思いますけれども、学歴ではなくて、学校の中で身につける学力、知識、プラス知的な興味を喚起するといいますか、そういう人間を育てて、チェーンとしてつながっていって社会に出す、それができることが大学の質であるというふうに思っていますが、今現在、先ほど来もめている、もめているというか議論されている法案なんかを見ましても、やはり定数が割れているとか経営が苦しいとか、そういうことになると、質のいい教育をプロバイドできるというふうには残念ながら思いません。

山内委員 今のは文科省の定義なのか大臣の個人的なお考えなのかはわかりませんが、私は、質も大事だと思います。ただ、大臣は量より質とおっしゃいましたけれども、日本にとっては量も質も大事じゃないか。量も一定の量を確保しておかないと、このグローバル化、知識経済化が進む中で日本にとって困ったことになるんじゃないかと思うんですね。

 単純労働の仕事はどんどん中国とか東南アジアに出ていってしまう。あるいは、これまで熟練工がやっていたような仕事でもロボットとかITがやってくれる。そういう時代になると、付加価値の高い仕事をやれる人材を育てていかなきゃいけない。そのためには、高等教育あるいは職業教育というのは非常に重要だと思います。そういう意味では、今の量が多過ぎると大臣はお考えのようですけれども、必ずしもそんなに多いとは私は思いません。

 例えば、先ほど共産党の宮本委員からもありましたけれども、諸外国と比べて物すごく高等教育の進学率が高いわけではありません。あるいは、二十五歳以上の社会人入学の学生というと、日本は二%、OECD平均は二割です。しかも、日本は通信制を含めて二%ですから、もっと社会人の中に潜在的に大学で学びたい人たちもいると思うんです。そういう潜在的ニーズまで含めると、本当に量が過剰なのか、その点について非常に疑問に思うんですけれども、田中大臣の考えを聞きたいと思います。

田中国務大臣 先週、私、高等専門学校、全国の、五十周年に行きましたけれども、先生方も非常に御熱心だけれども、いろいろなところに目がきらきら輝いたような人たちが就職をしている、就職率が一〇〇%を超えている。

 他方、大学も、国立やら私学ですごいところもありますでしょう。けれども、そうではないところも、残念ながら、先生の質でありますとか、あるいは施設がそれほどに行き渡っていないとか、そういうところもあるわけですから、全体の進学率云々も、それは高ければいいですけれども、ただで行けるわけでもないでしょうし、奨学金の、先ほど宮本先生がおっしゃったような問題もありますので、大学に行くということは、やはりしっかりと学問を身につけて生きがいを、スポーツでも何でも、その専門ですけれども。

 大学というところ、これは私の考えるところですよ、大学の四年制を出なくても、自分が人として何かのスキルを、技術を身につけて、それが将来生きがいになり好きなことであり、収入に結びつくのであれば、ドイツのマイスター制度等いろいろありますけれども、誰でもとにかくとりあえず大学に行こうみたいなことは、最近は違うのかもしれませんけれども、そういうことが、すなわち、たった一回の人生を豊かに生きることに通じるかどうかは疑問だと思っています。

山内委員 大臣は、大学の量が多過ぎるから減らすべきだという考え方なんですか、今のお話だと。

田中国務大臣 この役所に着任してまだ一カ月ですけれども、データを見ていると、連日のように、倒産するとか、何か犯罪行為みたいなのがあって、物品の問題で納入でもめているとか、たくさんの例を聞いて、こんなにひどいものなのかなと。それから、補習授業をしなければ大学生がだめであるとか、企業の方にお会いすると、大学は出ているけれどもひどいもんだ、常識もない、知識的なものも。そういう話を頻繁に、かつても聞いておりましたけれども、着任してなおさら、そんなにすごいのかなと驚いていることも事実なんです。

 ですから、量もいいものがたくさんあって、そして奨学金で行ければ、これは一番よろしいですけれども、そうでなかったらば、まず、既にどなたかも指摘なさったように、今ある程度トラブルをいっぱい抱えているような学校であれば、それをやはりスクリーニングするなり救済するなり何かをしないといけない。新たにどんどん学校が、いいですね、設置審の答申に合っていたから、はい、いいですね、問題をクリアしたからいいですねといって善意で始まったものが倒産したら、もっと困るじゃないですか。

 倒産以外の問題、運営する主体、経営者の理念とか、そういうのもあるわけですよ。この方が、個人が大学を経営したことが本当にいいのかどうか。群馬県のケースもこの間載っていましたけれども、大変なことが結構起こっていますよね。ですから、それは社会を悲しませ、生徒さんを傷つけることですから、そうならないように精査をするということも大事だというふうに思っています。

山内委員 大臣のお話をさっきから聞いていると、基本的に規制緩和は悪である、新しくできた大学が大体だめである、そういう認識に立っていらっしゃるとしか思えないんですけれども、中には問題のある大学もあるかもしれませんが、新しい大学でも頑張っているところは当然あります。秋田の国際教養大学とか、最近できた大学ですが非常に評価の高いところもありますし、あるいは、アメリカの非常に有名な大学が日本校、日本キャンパスをつくろうとして調べてみたら基準が厳し過ぎてやめて、結局シンガポールに分校をつくることになった、そういう例も聞いたことがあります。

 今、世界、シンガポール、ドバイ、いろいろな国が欧米の一流大学を自分のところに誘致して人材育成をやろう、そういう時代に日本の規制はむしろ厳し過ぎるという指摘もあるわけですけれども、今の大臣のお考えだと、規制はこれからどんどん厳しくなって、アメリカの一流大学が諦めてしまうような、今の基準でさえ諦めているんですけれども、さらに強化する、そういうお考えなんでしょうか。

田中国務大臣 二〇〇二年の小泉内閣のころの規制緩和、これが教育にもどっと流れ込んできて、その後見直されることもなく今日に至っているということが私の教育に関するところの問題意識の一つでありまして、規制緩和が全て悪いと言っているわけではありません。

 今おっしゃるように、外国との関係において日本の大学がどれだけコンペティティブなのかなということは心配ですし、他方、今、山内康一委員がおっしゃったように、すぐれている、努力をしている学校もあります。本当にすばらしいと思うし、そういうところを海外の方が名指しで言われて、私たちがそうなんですかと驚くこともあるんです。

 ですから、余りにいろいろ、たくさん、玉石混交という言葉は適切じゃありませんけれども、やはりできるだけ、いいところもしっかり育てていって、そして、そうでないところについては退場というか、どういうことでしょうか、余り社会問題化しないように被害を縮小していく。やはり政治の規制緩和をやったことのターニングポイントにしなければならない時期だというふうに認識しています。

山内委員 最近できた大学に幾つか問題のあるところもありましたけれども、そんなに緩いとは私は設置基準を見て思いませんでしたし、もし量が多過ぎるのであれば、既存の大学で余りよくないところが撤退しやすくなるような工夫といったことの方が必要じゃないか。

 あるいは、今回、大臣が許可を保留にしたというんでしょうか、不許可ではないそうですから、未決にした三つの大学、これはどれも地方の大学ですね。

 日本の大学教育の問題の一つは、東京一極集中が余りにもひどい。地方にいい大学があって、若者がわざわざ東京に行かなくても地元に残れれば、地元で就職活動して地元に人が残るし、あるいは大学と企業とのコラボレーションとかで産業もできる。そういうことを考えると、地方の大学設置を認めないというのはむしろマイナスなんじゃないかというふうに思うんです。

 そういった意味でも、今回、まだ未決のようですから、ぜひ何らかの配慮をしていただきたいと思いますし、もし新しい基準をつくられるのであれば、ただ外形的なことだけじゃなくて、地域間のバランスとか、あるいは、どんどん学問の領域も広まっていますから、より広い、いろいろな、先ほど大臣がおっしゃった、手に職をつけるような大学というのもあってもいいと思うんですよね。そういったユニークな教育でも認められやすいような基準、そっちの方の規制緩和が僕は必要だと思っているんですよ。

 既存の学問ばかり有利になって新しい学問は不利になる、そういったことがないような新しい基準をお願いしたいと思っているんですけれども、それについて、一言あればお願いします。

田中国務大臣 参考にさせていただきます。

山内委員 ありがとうございました。

 それと、田中大臣の問題意識として、勉強しない学生に学位を授与するのは問題じゃないかということをお考えなんだと思います。私もそう思います。私学であっても、税金が入っている以上は、四年間ろくに勉強せずにバイトとサークルしかやっていませんみたいな人にまで学位を授与するというのは、僕はむしろこれからはやってはいけないことではないかと思います。

 日本の大学は、入り口は大変だ、出るのは簡単と言われていましたけれども、最近は入り口も簡単になっていますから、今後は逆に出口の方で、四年間何を学んで、何を身につけて、どういう知識を持っているということを大学がきちんと審査する、あるいは、大学がやると客観的じゃなくなりますから第三者機関が認定をしていく。

 学士号というのが、ただ四年在籍していればほとんど誰でも、よっぽど悪いことをしない限り通る、そういったようなものではなくて、中身のある学士号をつくっていくということは国としてはやらないといけないし、そうしないと、国際的に見たときに日本の学士号は余り当てにならないということになりかねないと思います。その点は、大臣もそういう御認識なのかもしれませんが、ぜひ文科省として取り組んでいただきたいと思います。

 その点について、お考えをお聞きしたいと思います。

田中国務大臣 おっしゃることは本当にそのとおりだというふうに思いますし、全体をよく見て、日本の国の将来とか国情を見ながら、バランスよく、皆様の意見も伺いながら進めていきたいと思います。

山内委員 大変あっさりしたお答えで思ったよりも早く質問が終わりそうなので、最後に質問ですが、国費留学生についてお尋ねをしたいと思います。

 実は、前の文部科学大臣にも予算委員会でお聞きしましたけれども、国費留学生というのは非常に国の偏りがあると私は思っております。

 ちょっと古いデータですけれども、大体九千四百人の国費留学生がおります。そのうち千七百人が中国からの留学生です。別に中国人だからだめということではないんですが、ただ、中国は今や日本よりも経済規模が大きくなっている。しかも、中国の留学生は私費でもたくさん来ていらっしゃるということを考えると、むしろ、国費留学生はもっと貧しい国、貧しいと言うと失礼ですけれども、発展途上国で、なかなか大学進学の機会がない、そういうアフリカの国とか、あるいは資源確保の上で重要な中近東の資源国から鉱物関係の留学生を招くとか、もっと戦略的に留学生の活用をしなくてはいけないんじゃないかと思うんです。

 それなのに、今、中国人の留学生約千七百人のために年間四十二億円かけています。四十二億円を日本よりも経済的に大きくなった中国の留学生にかけるぐらいだったら、同じ金額を、まあ全部ゼロにしろとは申しませんけれども、せめて半分でいいから、アフリカ、中近東、東南アジア、そういう国の留学生に分けて、日本の外交戦略にも生かせるようにした方がもっといいと思うんですけれども、そういう国別の割り振り、ここら辺を全く文科省はこれまで考えていなかったように思います。その点について大臣はどんなふうにお考えでしょうか。

田中国務大臣 これは、税金の使い方は外務大臣を拝命したときも非常に、留学生だけじゃなくてあらゆる面で、ODAもそうですし、どうやってバランスよく、それこそおっしゃるとおり戦略的に使って、世界に貢献し、なおかつ日本もプラスのファクターを得るか、果実を得るかということが常に頭にあったわけですが。

 確かにこの中国の一八・五%というのは、中国も、非常に貧しくて優秀な方もおられますし、お金持ちでそういう方もおられるわけですから、やはりもう少し分析をしながら、全体のバランス、大陸別、そして、例えば中国だけでありましても、中国の中でもどういう層の、どういう面の勉強をしたい人か。文化であるのか、スポーツであるか、学術か、科学技術か、文学か、いろいろあると思いますが、そういう分野別のことも考えて、しかも他国のもっと細かいところの人も来たら、反日的になるんじゃなくて日本がやはり好きになってくれる人、そういう分野、そういう人をしっかりときめ細かく人選していけるようになるように、また指導したり、先生方の御指導も仰ぎたいというふうに思っています。

山内委員 今の文科省の国費留学生の選び方というのは、恐らく分野別の配慮もほとんどありません。多分、大学で割り振ったりとか、各大学の研究室とかにお任せしちゃっているみたいなところが多いようです。

 例えば、途上国の中でも、特に感染症のお医者さんにはなるべく優先的に留学生の奨学金を上げようとか、発展途上国の中でも貧しい国は医療分野を重点的にやろうとか、あるいは日本はODAでずっと途上国の人材育成をやっているんですけれども、外務省が法律分野の人材を育成しようと言っているんだったら文科省もその分野の留学生をふやせばいいとか、分野も国もそれなりに配慮をやった上で選ばれているのならいいんですけれども、何か枠があって、大使館枠とか、大学の方に任せていると、全く戦略性のない留学生の選び方になってしまいます。

 これが結構イギリスとかは露骨に、将来確実に偉くなりそうな各省のキャリア官僚を中心に留学生を選ぶとか、自分の国の国益にどれぐらい役に立つかという観点、あるいは人類共通の問題、医療とか貧困の分野とか、そういう分野別の重点というのもちゃんと国として決めた上で留学生を招いているように感じます。

 ところが、日本の国費留学生、そういう方針は、私の知る限り余り見たことがありません。そういう方針、戦略を今後どうすべきでしょうか。今の御答弁でちょっと触れられていましたけれども、改めて聞きたいと思います。

田中国務大臣 先ほども外務大臣経験中のことを申し上げましたけれども、御指摘のようなことを有効に有機的に実現していくためには、外務省などと連携していくということをもっと積極的に文科省も督励してやっていきたいというふうに思います。

山内委員 まあ、こちらの期待してきたお答えはないようですが、簡単な質問を聞かせていただきます。

 中国の留学生、国費留学生ですね。私費はどんどんふえたらいいと思います。国費留学生が一つの国で千七百人は多過ぎないでしょうか。その点についてどうお考えでしょうか。

田中国務大臣 別に私、中国のことだけ特化して見ているわけじゃないんですけれども、確かに今政治的な問題もあるし、伸びていく国でもありますし、世界じゅうどこに行っても、チョンクオ、チョンクオ、中国、中国と皆が言っていますので、その国と未来うまくつき合っていくために人的な交流がどうあるべきかということを、もう少し落ちついて分析をする時間を持ちたい、持つべきだというふうに今の御質問で感じました。

山内委員 ぜひ落ちついて分析していただきたいと思います。

 大学設置問題もぜひ落ちついて分析していただきたいと思います。一カ月以内に新しい基準をつくる、そういうむちゃなことをやるから、後でいろいろなほころびが出るんだと思います。大学の設置基準は非常に重要な問題ですから、ぜひ時間をかけて、それから、大学設置基準の委員会のメンバーを見ると、私も個人的に知っている方がいますけれども、非常に立派な方が選ばれているので、おっしゃるようにそんなにひどい委員会とは思いませんので、いろいろなところで落ちついて慎重に仕事をやっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

川内委員長 山内康一君の質疑を終了いたしました。

    ―――――――――――――

川内委員長 この際、各党理事及び委員の総意により、委員長から発言をさせていただきます。

 本日の委員会の審議を踏まえますと、三大学、秋田公立美術大学、札幌保健医療大学、岡崎女子大学、この三大学の設置認可の問題と、大学の設置認可制度のあり方の問題を分けて考え、三大学の来春開学に向けての準備に支障なきよう、文部科学省として対応をしていただかなければならないと考えます。

 最後に、もう一度文部科学大臣としての発言を委員長として求めたいと思います。田中文部科学大臣。

田中国務大臣 発言いたします。

 大学の設置認可のあり方につきましては、今後、抜本的な見直しを行う。なお、三大学の新設については、本委員会での御審議や諸般の事情も鑑み、現行の制度にのっとり適切に対応する。

川内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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