衆議院

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第2号 平成25年1月24日(木曜日)

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平成二十五年一月二十四日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 松野 博一君

   理事 遠藤 利明君 理事 坂井  学君

   理事 塩谷  立君 理事 永岡 桂子君

   理事 馳   浩君 理事 笠  浩史君

   理事 鈴木  望君 理事 浮島 智子君

      あべ 俊子君    井上 貴博君

      大島 理森君    岸  信夫君

      坂本 剛二君    桜井  宏君

      櫻田 義孝君    笹川 博義君

      清水 誠一君    島田 佳和君

      白石  徹君    白須賀貴樹君

      新開 裕司君    新谷 正義君

      助田 重義君    鈴木 馨祐君

      高橋ひなこ君    中根 一幸君

      湯川 一行君    泉  健太君

      小川 淳也君    郡  和子君

      中川 正春君    松本 剛明君

      遠藤  敬君    椎木  保君

      田沼 隆志君    中田  宏君

      樋口 尚也君    青柳陽一郎君

      井出 庸生君    宮本 岳志君

      青木  愛君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   文部科学副大臣      谷川 弥一君

   文部科学副大臣      福井  照君

   財務大臣政務官      竹内  譲君

   文部科学大臣政務官    丹羽 秀樹君

   文部科学大臣政務官    義家 弘介君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 辻  義之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 黒田武一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 前川 喜平君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (文化庁次長)      河村 潤子君

   文部科学委員会専門員   久留 正敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月十七日

 辞任         補欠選任

  枝野 幸男君     松本 剛明君

  田嶋  要君     笠  浩史君

  中根 康浩君     小川 淳也君

  長妻  昭君     郡  和子君

  若井 康彦君     中川 正春君

同月十八日

 辞任         補欠選任

  桜内 文城君     鈴木  望君

  重徳 和彦君     遠藤  敬君

  新原 秀人君     田沼 隆志君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     中根 一幸君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  白石  徹君     湯川 一行君

  鈴木 俊一君     高橋ひなこ君

  松本 剛明君     泉  健太君

  遠藤  敬君     中田  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     鈴木 俊一君

  湯川 一行君     井上 貴博君

  泉  健太君     松本 剛明君

  中田  宏君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     白石  徹君

同日

 理事田嶋要君同月十七日委員辞任につき、その補欠として笠浩史君が理事に当選した。

同日

 理事桜内文城君同月十八日委員辞任につき、その補欠として鈴木望君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

平成二十四年十二月二十八日

 一、文部科学行政の基本施策に関する件

 二、生涯学習に関する件

 三、学校教育に関する件

 四、科学技術及び学術の振興に関する件

 五、科学技術の研究開発に関する件

 六、文化、スポーツ振興及び青少年に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件(体罰による自殺事件を含む学校教育に関する諸問題等)


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     ――――◇―――――

松野委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松野委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

      笠  浩史君 及び 鈴木  望君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

松野委員長 この際、下村文部科学大臣、福井文部科学副大臣、谷川文部科学副大臣、丹羽文部科学大臣政務官及び義家文部科学大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。下村文部科学大臣。

下村国務大臣 このたび、文部科学大臣を拝命させていただきました、あわせて教育再生担当大臣も兼務させていただくことになりました、下村博文でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

 安倍内閣において、東日本大震災の復旧復興、これを第一の大きなテーマとして掲げる中で、私も、大臣就任、一番最初に福島に視察に行ってまいりました。現場の子供たちや教育関係者の声をいち早くこれから国政の中で反映していくように、文部科学省は先頭に立って活動してまいりたいと思います。

 また、世界トップレベルの学力や規範意識、そして歴史や文化を尊重する態度を育むための教育再生に取り組むとともに、我が国の経済成長の鍵となる科学技術、イノベーションを推進し、また、国家戦略として、スポーツ、文化芸術の振興に全力を尽くしてまいりたいと存じます。

 今後とも、松野委員長を初め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますようによろしくお願いを申し上げたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

松野委員長 次に、福井文部科学副大臣。

福井副大臣 このたび文部科学副大臣を拝命いたしました福井照でございます。

 主に科学技術とスポーツを担当することになりました。

 今後とも、松野委員長を初め委員の先生方の御指導、御鞭撻を賜りますよう心からよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

松野委員長 次に、谷川文部科学副大臣。

谷川副大臣 このたび文部科学副大臣を拝命いたしました谷川弥一でございます。

 主に教育と文化を担当することになりました。

 今後とも、松野委員長を初め委員の皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

松野委員長 次に、丹羽文部科学大臣政務官。

丹羽大臣政務官 改めまして、このたび文部科学大臣政務官を拝命いたしました丹羽秀樹でございます。

 主に科学技術、文化を担当させていただきます。

 今後とも、松野委員長を初め委員各位の御指導、御鞭撻、何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)

松野委員長 次に、義家文部科学大臣政務官。

義家大臣政務官 このたび文部科学大臣政務官を拝命いたしました義家弘介です。

 主に教育とスポーツを担当することとなりました。

 今後とも、松野委員長を初め理事の皆さん、委員の皆様方の御指導、御鞭撻、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

松野委員長 文部科学行政の基本施策に関する件、特に体罰による自殺事件を含む学校教育に関する諸問題等について調査を進めます。

 この際、御報告いたします。

 去る二十二日の理事懇談会において、「大阪市立桜宮高校の男子生徒の自殺事案」について、文部科学省から報告を聴取いたしましたので、委員各位の参考に供するため、お手元に資料を配付いたしております。

 この資料につきましては、本日の委員会議録に参照掲載いたします。

    ―――――――――――――

    〔資料は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松野委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官辻義之君、総務省大臣官房審議官黒田武一郎君、文部科学省大臣官房長前川喜平君、初等中等教育局長布村幸彦君、スポーツ・青少年局長久保公人君及び文化庁次長河村潤子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 きょうは一月二十四日であります。大阪市立桜宮高校バスケットボール部の新キャプテンが、残念ながら若い命を絶った、みずから絶ったのが十二月二十三日でありました。あれからちょうど一カ月たちました。閉会中ではありますが、各党の皆さん方に、また委員長にも御理解をいただいて国会の場で審議をする機会を与えていただいたことに、改めて心からお礼を申し上げます。と同時に、犠牲になった生徒には、若い命をみずから絶つという本当に大変な事件であると思っており、心からお悔やみを申し上げ、遺族の皆さんに対しても心からお悔やみを申し上げたいと思っています。二度とこういうことが起こってはならない、そういう観点からきょうは質問を展開させていただきたいと思っています。

 ただ、この質問に入る前に、国会の情勢も踏まえて一点だけちょっと確認をさせていただきます。予算の端境期対策という問題です。

 十二月に解散・総選挙がございまして、税制改正そして予算編成とスケジュールがおおよそ一カ月ほどおくれております。誰にどう責任があるというわけではありません。事実としておくれております中で、実は地方の自治体においては、この四月から五月にかけてのゴールデンウイークにも国庫補助の助成金を活用していろいろな事業を展開しておる、計画を立ててその予算の申請中であります。自治体の方からも、当初予算はスケジュールからすれば一カ月ぐらいおくれるのかな、その間、当然、暫定予算も組まれるだろうな、そうなると国庫補助、助成を受けて行う事業はどうなるんだろうという不安が出ておりまして、私も地元からこういった指摘をいただきました。

 石川県では、ラ・フォル・ジュルネ金沢音楽祭というのをゴールデンウイーク中に開催計画を立てておりまして、平成二十五年度の「地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ」事業に補助三千万円を申請しております。これは二分の一補助ですから、これがないと、事業を実施する石川県音楽文化協会、ここの会長は石川県知事でありますが、大変事業の実施に困ることになりまして、暫定予算にもちゃんと盛り込まれるのか、当初予算において手当てがされたらどうなるのか、不安を持っております。

 こういった事案は他省庁にも恐らく多々あると思います、政策的経費でありますので。どう対処したらいいのか、こういう不安について、こういうふうに対応するという答弁をいただきたいと思いますので、文部科学大臣、文化庁の方、総務省、財務省それぞれに、どういうふうに対応するのか答弁をいただきたいと思います。

下村国務大臣 馳委員にお答えさせていただきたいと思います。

 この暫定予算編成に当たっては、先例によれば、暫定予算期間中における事務費等の経常的経費のほか、既定施策に係る経費について、行政運営上必要最小限の金額を計上することとなっているというふうに聞いております。

 しかし、今委員から御指摘がございましたように、石川県だけでなくほかのところでも、できるだけ、年度初めから行事等を予定しているところもある中で、国の補助事業を期待しているところもたくさんあるというふうに聞いております。そのような暫定予算の編成が必要となったときには、個々の事業に必要な経費については、文部科学省としても独自に内容を精査の上、改めて財務省に働きかけてまいりたいと存じます。

河村政府参考人 現況について補足をさせていただきたいと思います。

 「地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ」事業、馳委員からお話のありました事業は、地方公共団体が企画するすぐれた文化芸術事業に対して補助をいたしまして、地域文化の再生、コミュニティーの再構築などを図り、地域活性化を推進するものでございます。平成二十五年度についても所要の額を現在予算要求中でございます。

 二十五年度におけるこの事業の実施については、予算の国会における成立が前提でございますけれども、事業が最大限効果的かつ円滑に実施できるように、現在、地方公共団体から実施計画書の提出を求めさせていただいておりまして、外部の有識者の審査委員会で審査中という段階ではございます。

 この提出のありました実施計画の中に、御指摘のありましたように四月から五月当初にかけて事業を予定しているものがございます。補助金の交付対象は予算成立後に行われる事業ということでございますので、仮に国の二十五年度予算の成立が四月当初から遅くなる場合には、これらの事業への国の補助が行えないということが生じます。

 文部科学省としましては、これらの事業についてもできる限り円滑な実施が図られますように、先ほどの大臣のお話にございましたように、状況に応じ必要な対応を財務当局とも御相談してまいりたいと存じます。

黒田政府参考人 先ほども御答弁がございましたように、暫定予算への計上につきましては、暫定予算期間を踏まえつつ、財政当局の方針に基づいて行われるものでございます。

 総務省といたしましては、その際、地方公共団体に対する個別の補助事業につきまして、その円滑な執行が可能となりますよう、関係府省におかれて適切に対応いただくことを期待いたしますとともに、必要に応じまして地方公共団体の声、実情につきまして十分にお伝えしてまいりたいと存じます。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、まずは来年度当初予算を編成し、国会に提出した後に、その早期の成立に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

 もしも暫定予算が必要となった場合には、暫定期間中において必要となる事務費等の経常的経費のほか、既定施策に係る経費について、行政運営上必要最低限の金額を計上するものでございます。その上で、個別の経費の計上につきましては、このような考え方を基本として判断をしていくべきものであると考えているところでございます。

馳委員 わかりました。これは文化庁だけの話ではなく、全国的な課題でありますので、十分な地元自治体との調整、配慮をお願いしたい。特に竹内財務副大臣には厳しく申し上げておきたいと思います。期待を裏切らないようにお願いします。

 さて、では本題の部活動、体罰、自殺問題についてお伺いするんですが、まず義家政務官に伺います。一月十五日に現地に行かれたそうですが、教育委員会の話を聞いただけであって、桜宮高校には行っていないようですね。なぜ行かなかったんですか。

義家大臣政務官 お答えいたします。

 先日訪問した時点において、実は文部科学省にこの事案が上がってきたのが報道発表の後でございまして、実際に桜宮高校でどのようなことが起こって、そして遺族がどのような思いでいて、教育委員会はどのような調査をしているのかということをまず明らかにすることを目的として行きました。いたずらに教育現場に行くことで学校現場の生徒たちの混乱を招かぬよう、慎重にそう判断した次第でございます。

馳委員 何のために行ったのかということが、政務官が行く役割の大きなポイントなんですよ。であったならば、桜宮高校に行って、どんな、あんな対応をしろと言う必要は全くないんですよ。政務官みずからがその場に立って、バスケットボール部の部室に行って、体育館に行って、校長室に行って、ここであんなことが起こったのかということを肌で感じてこなければいけないと私は思いますよ。

 じゃないと、今政務官がおっしゃることだけだったら、呼べばいいじゃないですか、大阪市の教育委員会の担当者を。今、呼ぶと大変だから足を運びましたというのであるならば、では、文部科学省の役割は何なんですか、政務官の役割は何なんですかと言わざるを得ません。

 大臣に伺いますが、私は何度も義家政務官を派遣すべきだと思いますが、いかがですか。

下村国務大臣 義家政務官には、私の方から指示をして、十五日に大阪に行っていただきました。義家政務官から大阪市教育委員会に対して幾つかの指示をしております。それについては、まだ大阪市教育委員会から明確な答えが来ていない部分もございます。連日、文部科学省の担当者と大阪市の教育委員会で連絡はしておりますけれども、最終的な大阪市教育委員会としての方針がまだ定まっていない部分がございますので、その報告を受け、その後適切に判断をさせていただきたいと思います。

馳委員 今、幾つかの指示を政務官を通じてしておりますというふうにおっしゃいました。また、適切な判断を最終的にされるとおっしゃいました。そういうことをできる権限が文部科学省にあるんですか。

下村国務大臣 学校現場に対してでなく教育委員会に対して指導助言ができることになっておりますので、教育委員会の判断を聞きながら、必要に応じて、指導助言があればさせていただきたいと思っています。

馳委員 法律上、教育委員会に対して文部科学省が指導助言できるのはどういう場合ですか。

下村国務大臣 これは、それぞれの教育委員会における教育行政において、教育委員会が十二分な対応ができていないのではないかと文部科学省が判断をしたときに、それぞれ適切に対応するようにしております。

馳委員 地方分権一括推進法、こういった流れがずっとありましたね。小泉政権のころからもずっとありました。政府がすべきこと、文部科学省がすべきことと、都道府県、また市町村、基礎自治体において、教育における責任と権限の役割分担、こういう言い方ではありましたが、ただし、文部科学省が是正指導できるのは児童生徒の生命財産等にかかわる重大な事案がある場合に限られてはいませんでしたか。いかがでしたか。

下村国務大臣 まず、必要な指導、助言、援助、これは、市町村や都道府県等の教育委員会に対して文部科学省が事務の適切な処理を図るため行うことはできます。

 それから、今御指摘の、児童生徒の教育を受ける機会が妨げられていること、その他教育を受ける権利が侵害されていることが明らかなときには、これは文部科学省が是正要求をすることができるということでございますが、前半御質問でありました指導助言等は、これは子供等の生命の危機にかかわらず対応できることだというふうに考えます。

馳委員 では、大津の中学校二年生でしたか、いじめ自殺があったときに文部科学省は何ができたんですか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 馳先生のお尋ねで、地方教育行政法の五十条に文部科学大臣の指示の規定がございます。

 条文を読ませていただきますと、「文部科学大臣は、都道府県委員会又は市町村委員会の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反するものがある場合又は当該事務の管理及び執行を怠るものがある場合において、児童、生徒等の生命又は身体の保護のため、緊急の必要があるときは、当該教育委員会に対し、当該違反を是正し、又は当該怠る事務の管理及び執行を改めるべきことを指示することができる。」という規定がございます。

 大津の事案につきましては、この規定の場合には、児童生徒の生命身体の保護のために緊急を要する場合であり、かつ、他の手段がない場合に限り文部科学大臣が指示を行うことができるという規定になってございまして、おくればせながらも市の教育委員会あるいは県の教育委員会で問題の対処として動きがございましたので、この五十条の発動はなかったという状況でございます。

馳委員 今、布村さんはそういうふうに答えられたんですが、以前、我々自由民主党の文部科学の部会において議論していたときに、当該児童が自殺をして亡くなってしまったので是正指導することはできないという解釈論をおっしゃって、ふざけるな、再発防止と教育の現場の正常化について、文部科学省のへっぴり腰は何なんですかというふうに我々は強く指摘をいたしました。

 今、布村さんはそういうふうに解釈をおっしゃいましたが、このやりとりを聞いていて、まず義家政務官、どのように思われますか。こういう現状でいいんでしょうか。

義家大臣政務官 問題意識は馳委員と実は共有しております。

 解釈によってという問題だけではなくて、根本的にこの地教行法五十条のあり方、文部科学省のかかわりのあり方というものを一からしっかりと議論する必要性があるであろう。そして、貴重なとうとい命が失われた今こそ、我々は二度とそのようなことが起きないように、このような問題が起きたときにどう対応するのか、この根幹議論が必要であると考えております。

馳委員 ここで大臣に登場いただきたいんですけれども、やはり文部科学省は、よく、マスコミ的に言えば、やり玉に上がりやすいですよ。しかし、こういった法のたてつけがある以上、それは何でもかんでもできますよというふうな筋合いのものではないんですよ。

 しかしながら、事は、体罰によって自殺しちゃったんですよ。親の思いを考えれば、また、同じバスケットボール部の仲間、学校の仲間、あるいはそれを見て見ぬふりをしてしまった教職員の気持ち、同時に、校長は校長なりに一生懸命やったかもしれないけれども管理職としての責任、悔恨はあると思いますよ。

 私はこの地教行法というのはちょっと見直す段階に来ているのではないかと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

下村国務大臣 これは今まで馳委員とも議論をしてきたテーマでございまして、地方教育行政法の改正、これは御指摘の点はそのとおりだというふうに思います。

 ただ、今まで法のたてつけの中で、教育においては地方分権の中で、地方自治の中で任せるという地方自治法等の関連にもなってまいりますので、ここの第五十条だけを改正するということは、ほかの地方教育行政あるいは地方自治法にも大きく影響してくるものでございますし、文部科学委員会だけのテーマではなくて、ほかの、総務省等のテーマにもなってくるものでございますので、ぜひこれはトータルな議論の中で、しかし、特に子供の生命にかかわる問題について、これは国が見ても危機的な状況の中で、十二分に地方教育委員会が対応できていないという部分については、これは積極的な対応をすることによって一人でも命を救うという視点から、今後議論をしていく中で、ほかの法律案も含めた改正議論を国会の場で積極的にやっていただきたいというふうに私の方も考えます。

馳委員 その答弁を実は待っておりました。

 地方自治法、地教行法あわせて、やはり国と地方の関係性においてできることとできないこと、また、地方自治体においてやるべきこと、こういった議論を改めてすべき総合的な議論であるということを改めて申し上げておきたいと思いますし、この議論はまさしく立法府の方が積極的に取りかからないといけないと思っています。

 制度論から入りましたので、具体的なことをお聞きしていきますが、部活動の教師、監督、顧問、こういう立場で、どういうときに体罰をする、こういうふうに分析をしておられますか。今まで文部科学省ではそういった検証というのはされていませんか。

久保政府参考人 部活動の顧問がどのような場合に体罰を行うかということについてどういう分析をしているかという御質問でございますけれども、いろいろなケースに体罰を行うような事例があると思いますが、現実には個々の状況によってさまざま背景が異なるケースがございます。

 例えば、日ごろからの指導のあり方の積み重ねによって人と人との関係が出てくる、あるいは顧問……(馳委員「質問の趣旨とは違う、分析していますかと聞いたんです」と呼ぶ)はい。

 そういう意味では、複合的な要因が関係しておりますので、一般化して、データを集めてそれを分類して分析するというのはなかなか困難であるということを御理解いただければと思います。

馳委員 これでもう二つの質問が出てきましたよね。教職員には安全配慮義務というのがあるんじゃないんですか。そもそもあり得ない話なんです。しかし、みんな暗黙の了解として、部活動を強くするために、子供のためだとかいいながら、体罰が横行しているというのをみんな見て見ぬふりをしているじゃないですか。

 ということについては、今回、全国の実態調査を指示されたんでしょう。この機会に、やはり現場の声も踏まえて、教師をまず指導するためにも、何でそういうことを行ってきたのか、社会の容認があったのか、保護者のそういった容認する姿勢があったのか、こういうことこそ文科省が分析すべきだと思いますよ。大臣、いかがですか。

下村国務大臣 御指摘のように、今回の桜宮高校の体罰の問題はここだけの問題ではないと思いますし、連日その後、メディア等で、いろいろな学校で教師の体罰があるということが報道されております。改めて、文部科学省として、全国の教育委員会に実態調査をするように指示いたしまして、きのう発出をいたしました。

 あわせて、私学関係者の方々からも同様の協力をしていただきたいと思っておりまして、全ての学校において体罰の実態調査をまず行った上で、これから具体的な取り組みについて対応を考えていきたいと思います。

馳委員 私、二年ほど前に現場へ行って見てきましたが、高野連は、甲子園塾といって指導者を育成する塾を高野連みずからがやっているんですよ。実技等、ノックの仕方とかゲームの組み立て方、作戦のとり方と同時に、選手のスカウトそして新入生の指導の仕方、こういったことを、本当に現場の十年以内の未熟な監督さんたちを全国から集めて、毎年二回やっているんですよ。なかなかみずから努力をしておられるなということを、その研修に私も参加をして非常に勉強になりました。

 そこで、今回の実態調査をされたら、調査結果を、数字をうのみにするのではなくて、なぜこんなことになるのか。なぜ毎年四百人近くが体罰で処分されているのか。四百人だけではないはずですよ。したがって、やはり今回のこの実態調査を踏まえてどう対応するかが文科省として問われていると思います。

 その上で、私、ちょっと聞きたいと思いますが、中学校や高校で部活動の顧問を決めるとき、どういう基準で決められているんですか。

久保政府参考人 部活動の顧問に任命する際の基準につきましては、法令上の基準は特にないということでございます。各委員会や学校によってさまざまでございまして、一般に言うことは難しゅうございますけれども、基本的には、校務分掌の一つとして、教員の専門性、過去の経歴などのさまざまな状況を総合的に勘案しまして学校長が選任していると承知しているところでございます。

馳委員 そうなんですよ。校務分掌なんですよ。校務分掌として、毎年、新学期が始まる直前に任命をされた顧問が、野球部や柔道部やバスケットボール部やバレーボール部やという顧問になり、同時に、その場にいて指導も始めることになるんですよ。

 では、お伺いしますが、運動部の顧問は、競技ルール、審判としての技術、指導方法、健康管理のあり方、部活動の運営、保護者への対応といったことなどについて、顧問として指導する前にきちんと研修を受けていますか。

久保政府参考人 運動部顧問に就任する際の研修でございますけれども、国内各県でさまざまな形で研修が行われております。

 一つは、中体連あるいは高体連において顧問研修会などを毎年実施しておりまして、この中で、競技ルール、審判、指導方法、健康管理、部活動管理、保護者対応など、さまざまな内容を含んだ研修を実施しているところでございます。

 それからさらに、都道府県の教育委員会などにおきましても、スポーツ団体や地域の指導者の協力を得まして、教員を対象とした研修会の実施をしております。その中で、具体的に今先生がおっしゃったことが全て網羅されているかどうかまでは確認してございませんけれども、運動部の顧問につきましてもそのような研修等で学ぶ機会が多いと考えているところでございます。

 部活動の顧問も含めまして、文部科学省といたしましても、関係団体や各都道府県等と連携しまして、指導用資料の作成などを通じて研修の充実に努めていきたいと考えております。

馳委員 では、事件のあった桜宮高校のバスケットボール部の監督はどのような研修を受けていたんですか。

久保政府参考人 個々具体的な、今先生の御質問いただいた具体的な研修歴につきまして、現在は承知いたしていないところでございます。

馳委員 では、久保局長にお伺いしますが、所管ですからね。今回の事件は特別な事件であって、特別な事件としての対応が必要だというふうに考えているんですか、それとも、そうではなくて、どの学校にも起こり得る、どの部活動にも起こり得る問題として真剣に捉えているんですか。どっちですか。

久保政府参考人 部活動における上級生によるしごきですとかあるいはこういう暴力問題は、昔から大きな課題になっておって、昭和三十年代からいろいろな通知を出して指導してきているという経過もございます。そういう意味では、今回も、この学校だけの話ではなくて、いろいろな学校あるいはいろいろな部活動において留意すべき問題だと私どもは考えているところでございます。

馳委員 それは、文部科学省も見て見ぬふりをしてきたんじゃありませんか。こういう問題は、毎年、先ほど申し上げた数字、四百人前後の教職員が体罰で処分されているんですよ。これに対して、どういうふうな対策と対応をスポーツ団体に対してあるいは中体連、高体連に対して行ってきたのかという、そのやはり切実感というか緊迫感というのを感じられないんですよね。今までどのように対応してきているんですか。

久保政府参考人 各団体、体協、JOC、さまざまな団体でも、この問題は昔から課題として問題意識を持っておりました。そういう意味では、例えば日本体育協会や高体連におきましては指導者講習会を行っておりまして、その中で、体罰の根絶に向けての内容をはっきり盛り込んで指導してきているところでございます。また……(馳委員「いいです、結構です」と呼ぶ)

松野委員長 答弁はもういいの。

馳委員 もういいです。

 やはり真剣味が感じられませんよね。どうしなければいけないんですかということに対して、毎年四百人前後が処分されているんですよ、教職員が。これに対する取り組みというものについて、文部科学省としての真剣味が今まで余り感じられないなということを感じました、私も。だからこういうことになるんです。今から言いますよ。

 今回の自殺事件の以前にも保護者から体罰の通告があった、しかし校長先生は処分していないじゃないですか。これは何で処分できなかったんですか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、平成二十三年九月、昨年の九月に、大阪市の公益通報制度を通じまして、バスケットボール部において体格のよい男性教諭が体罰を加えていると情報が寄せられたという件がございました。

 当時、市の教育委員会から調査の指示を受けた校長は、バスケットボール部顧問ら関係教員に体罰に関する聞き取りを行ったものの、生徒や保護者からの聞き取りを行わなかったということで、事実の確認ができなかったと市の教育委員会に報告しているところで、そういった経緯から処分には至らなかったというふうに承知しております。

馳委員 言いわけの文章ですよ、こんなのは。

 体罰の通報があったら、児童生徒、当事者も含めて、きちんと情報、実態を把握するのは当たり前じゃないですか。それをできていないというところ、そういうことを指導できていないというところが、文部科学省にも緊張感がないというふうに私は指摘をしているんですよ。

 では、布村局長、学校教育において体罰はいけないという法律の条文を読んでください。

布村政府参考人 該当条文は学校教育法の第十一条になります。「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。」その後「ただし、体罰を加えることはできない。」という条文になってございます。

馳委員 それでは警察に登場してもらいましょうか。

 体罰を受けた。児童生徒や保護者は直接警察に訴えてもいいんですか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、直接御通報いただいて全く問題ございません。

 警察といたしましては、暴行等を受けた少年やその保護者の方から通報がございました場合には、事情聴取等を行い、また、被害の届け出がございました場合には、これを受理いたしました上で所要の捜査を遂げ、法と証拠に基づきまして適切に対処をすることとなります。

馳委員 体罰の結果、警察まで通報するというのはよっぽどのことだと思いますが、いわゆる骨折をしたとか唇が切れたとか、医者に行ったら当然診断書も出るような重大事案、たたかれて転んで頭を打って脳梗塞とか脳内出血とか、いろいろな事案があると思いますけれども、そういった場合には警察はどのように対処しておられますか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 警察といたしましては、個別具体的な状況にもちろん応じるわけでございますけれども、関係者からお話を聞くなど所要の捜査を行うなどいたしまして、法と証拠に基づきまして適切に対処してまいっているというふうに考えております。

馳委員 では、今回の事案で体罰をした教員は、現状、どういうふうな処分とか処遇とか、あるいは法律に基づく対応をとられておりますか。現状、この教員、マスコミもそうですし、きょうも国会でこういうふうにやると、やはり教諭の方もいろいろな意味での、言葉は悪いかもしれませんけれども、当然、大変心労を抱えていると思います。逆の意味で、その教諭に対して最悪の事態に追い込むようなことは、それはある意味でいえば魔女狩りのようなこともしてはいけないとは思っていますが、ただ、現行の法律に基づいて、この桜宮高校の体罰をした先生はどういう状況にありますか、そしてどういう処分をされていますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 この事案につきましては、現在、大阪市の教育委員会が、市長部局に置かれております監察チームと連携しながら実態の調査を進めているところでございます。そういう状況でございますので、現在、当該教諭は校長の命により自宅謹慎をしているという実態でございます。

辻政府参考人 お答えいたします。

 警察の関係でございますけれども、現在、本件につきましては、大阪府警察におきましてこれまで関係者から事情聴取するなどして事実関係を確認してまいったところでございますけれども、昨日、生徒のお父様の方から教諭に対する告訴が出されまして、これを受理したところでございまして、引き続き大阪府警において捜査をしておるところであるというふうに承知をしております。

 詳細につきましてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、いずれにいたしましても、所要の捜査を遂げた上で、法と証拠に基づきまして適切に対処させていただきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

馳委員 これもやはり事実確認が必要なんですけれども、学校側からなのか、マスコミからなのか、文科省からなのか。今回の事案で警察に通報が行ったというのはどの段階だったんですか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 今回のものにつきまして、通報という形では、特段、いただいたという報告は受けておりません。

 以上でございます。

馳委員 これは義家政務官にお伺いした方がいいと思いますが、私最初に聞きましたように、当然、本人からも、保護者からも、警察にこれはひどいよと通報して、何とかしてくれよと言うことはできるんですよ。顔を腫らせて家に帰ってきて、口を切っているんだから。ところが、今回の事案について、事態がマスコミで発覚したのが一月八日ぐらいでしたよね。その後じゃありませんでしたか。

 その辺の事実関係、義家政務官、お願いします。

義家大臣政務官 お答えいたします。

 大阪市の教育委員会との聞き取りをもとにお答えいたしますけれども、まず、当該生徒が自殺という形で保護者から通報を受けた、その時点で、机の上に遺書と手紙が置いてあり、体罰のことについて書かれておった、そのことでまず地元の警察が顧問教諭から聴取を行っているという教育委員会からの報告を受けました。また、別件として、このようにニュースで騒がれている中で、府警の方から教諭らへの聞き取りが行われているようだという報告を受けました。

 一方で、教育委員会及び学校が主体的に警察と連携しているということは、少なくとも私が訪問した時点ではございませんでした。

馳委員 ここはやはり事実の確認というのは大事じゃないですか。つまり、学校現場から所管の教育委員会への報告義務、都道府県の教育委員会への報告義務、それから文科省に対する報告義務というのは、法律上ありましたか、こういった重大な事案について。いじめ自殺とか。報告義務はありましたか。

義家大臣政務官 お答えいたします。

 これは、義務ではなくて、届けてくださいという通知によるものと承知しております。

馳委員 そうなんですね。やはりここは、私も実は教員をしておりましたので、自分のことも含めて考えると、学校の現場を密室にしてはいけないと私はずっと思ってきました。

 大学を出て教壇に立ち職員室に入ると、先生様、先生様と言われて勘違いする先生はいっぱいいますよ。もちろん、研修の結果、そうではないということも理解していくんですが、勘違いする先生はずっとそのままですよ。

 したがって、重大な事案が起きたときには速やかに、行政用語で言う速やかにというのは、土日を挟むから恐らく四十八時間ぐらいだったとは思いますが、速やかに所管のところにこういった報告が行く。報告が行けば、複数の教員とか複数の関係者が情報を共有することによって、どのように対処をすべきかと。

 教育の現場には継続性が必要ですから、心に傷を負った子供たちや先生方がその後もその学校に在籍をしなければいけないときに、後の対応も物すごく大事なわけですよ。私は、そういう意味での報告のあり方というのは必要だと思うんですけれども、義家政務官がおっしゃったように、今、報告をしてくださいねという形で、後から発覚するということが多々あって、大問題になっていって、にっちもさっちもいかない。

 私は、この体罰をした教員というのは、本当に何か逆の意味で、変な意味で追い込まれて、最悪の事態にならないように願っていますよ。これは一つの人権問題ですよ。こういうことも踏まえて、やはり先々を読んだ対応をするためにも、教育委員会やまた文部科学省の情報の共有のあり方について、私はちょっと考えてほしいなと思うんですよね。

 義家政務官そして大臣の見解を求めます。

義家大臣政務官 問題意識としては共有しております。とはいえ、現行の地方教育行政法上の問題で、その報告を義務づける権限が果たして文部科学省にあるか、率直にいけばないという判断の中で、通知等々によって行ってきたわけであります。

 つまり、下側から上げようとしなければ、催促しても上げないと言ったら上がってこないというのが現状の公教育のシステムでございますので、少なくとも、生徒児童の命にかかわることですから、これについての判断をしっかりと開かれた形で行っていくというプロセスは必要だと思いますので、なお、この法律等の議論、トータルを含めてしていくべきだと思っております。

下村国務大臣 基本的な認識は当然同様でございますが、当該学校における監督は当該教育委員会が第一義的にすべきことだというふうに思いますし、当該教育委員会に対する報告義務はきちっと負うべきであるというふうに思います。

 ただ、国に対する報告義務となると、先ほどの議論のように、地方自治法や地方教育行政法等々、ほかの法律との整合性の中でこの問題をどう考えるかということになりますと、このことだけに特化して報告義務化するということはなかなか立法上難しい問題だというふうに思いますので、立法府として、トータル的に、地方自治体のあり方を含めた、地方分権の今後の行方を踏まえた中で、一緒に御議論をぜひしていただきたいと思います。

馳委員 次の議論ですが、私も教員経験者であったので、先ほどから申し上げているとおり、今自宅待機をしている教員の気持ちを思うと、正直言って、ひどいことをしやがってという怒りと、本当にこの現実を受けとめて自分の人生を一歩一歩歩んでいってほしいと言いたい気持ちと、両方あるんですよ。

 そこで、スクールカウンセラーというのがございますけれども、教職員も、こういった教育の現場でしかないような、人に言えないような悩みはいっぱいあるんですよ。そういったときに、教職員の逃げ道と言うと失礼ですが、教職員にもカウンセリングを受けるとか相談に乗ってもらえるような、本来であればこれは校長や主幹教諭であればいいのかもしれませんが。

 スクールカウンセラーがなぜ養護教諭ではなくてスクールカウンセラーなのかという観点からも、やはり教育現場に精通をしており、同時に、愚痴と言うと失礼ですけれども、言い分、愚痴、どうしたらいいだろうかという相談を含めて聞けるような、そういった能力を持ったスクールカウンセラー、教職員もいつでも来てくださいよと言えることは必要だと思うんですよ。

 なぜかというと、私さっき聞きましたように、体罰をしちゃいけないというのは法律に書いてあるんですよ。ところが、学校の先生というのは教育法規について疎い人が多いですよ。そんなことしちゃいけないのといって選挙運動している組合員はいっぱいいるじゃないですか。大臣、よく知っているじゃないですか。

 そういった意味で、いろいろな意味からの相談、こういったことはしていいのか、周りの先生がやっているから僕もやっていいんだろうか。僕は、そういうサポートする体制というのも必要なのではないかと思うんですよ。大臣、いかがですか。

下村国務大臣 御指摘の点はもっともなところがありますが、第一義的には、やはり学校長がそこの学校の先生方に対する精神的なサポートを含めたフォローアップがさらにできるような、校長の職務権限強化を図りながら対応していくということが一番即効性があるのではないかというふうに考えます。

 今実際に休職中の教職員が九千人近くいる中で、そのうちの六千人近くが心身的な理由によって休職をしているという、この部分については、今御指摘のように校長先生だけで対応できる部分ではありませんから、かなり専門的な、今の御指摘でいえば教師に対するスクールカウンセラー的な位置づけの人という御指摘だったと思いますが、これはぜひ教育委員会が、この辺の対応を含めて、まずは学校の先生に対するきめ細かなフォローアップ体制をぜひ図っていただきたいと思います。

馳委員 きめ細かなフォローアップが必要な理由をもう一つ言いますよ。

 今、教職員の評価は誰がやっているか御存じですか。教職員の日常の活動の評価は誰がやっているか御存じですか。

布村政府参考人 教職員の日常の勤務状況の評価につきましては、服務監督権者である校長が実施しております。

馳委員 実際には、大体、教頭が評価点をつけて、校長と相談して、この先生はこうですよと上げているんですよ。そんなのはみんな現場の先生は知っていますよ。したがって、自分の評価をする人に、愚痴や、こういうことをしたらだめなのかな、法律に触れるのかな、体罰はだめだと言われたけれども俺はもしかしたら警察に訴えられるかもしれないなとか、ばくちでちょっとお金をすっちゃってどうしよう、金を貸してくれよとか、言えると思いますか。

 教員だって人間なんですよ。退職金が減るからといってとっととやめちゃうような教員だっているんですよ、これはまた別の問題かもしれませんが。教員だって人間なんですよ。ましてや、いろいろな立場の子供たちや保護者や地域の方々や、あるいは教職員の、私も職員室にいて嫌な先生はいっぱいいましたけれども。先生同士でも、あいつのせいで俺が仕事をいっぱいやらされちゃってという、本当に人間的なあつれきの中で生活していますよ。

 だから、先ほど申し上げたように、校長や教頭や主幹教諭というのは一義的に必要かもしれません、建前上。でも、教育の現場はもっとどろどろとした人間関係が教職員の中にはあるわけですよ。そこの部分もやはり考えてやらないといけないんじゃないんですかという観点から申し上げているので、大臣に聞く前に、同じく教員を経験していた義家政務官、いかがでしょうか。

義家大臣政務官 共有するところであります。

 ただし、私の経験のみで申し上げれば、現場で抱えている悩みをその現場の実態を知らない人に相談をする気持ちにはなれませんでしたので、やはり職場の中での人間関係、こういうもので、お互いにお互いを相談し合うというような状況だったと思います。

 その意味では、例えば小学校等は学級担任制で教室にずっとそれぞれの先生が張りついて、なかなかチームとして学年やそういうものが動いていくということがしづらくて、孤立しやすいような状況にある小学校なんかの先生へのフォローアップ等々、非常に重要なものだろうなというふうには考えています。

馳委員 私は、この議論のやりとりを財務副大臣に聞いてもらいたかったから、ずっと指摘してきたんですよ。教職員の現場というのはそういうものなんですよ。

 義務標準法の改正が民主党政権でなされました。それについては我々も受けとめて、お互いに協力をし合ってやりました。しかしながら、昨今起きているようないろいろな事案、マスコミ報道も、これは学校現場に対するある意味では圧力ですよ。

 私は、義務標準法をやはり適切に、改善計画にのっとって、改善計画をつくりながら、教職員の配置、当然配置だけではだめですよ、配置だけではだめで、養成段階、採用、研修、人事考課も含めて私はやっていくべきだと思っているんですよ。

 財務省はここのところが認識が甘いんですよ。子供の数が減っている、クラスも減っている、じゃあ先生減らせと。これは、我が自民党政権のときにつくった法律でもそのような風潮で書いてあるので、それに対して私たちは現場は違うということを今言っているんですが、竹内財務副大臣、今後の学校現場の教職員の配置についての見解をお述べいただきたいと思います。

竹内大臣政務官 財務大臣政務官の竹内でございます。

 今、馳委員からさまざまな御意見を頂戴いたしました。大変傾聴に値する御意見であるというふうに思いました。

 その上で、少人数学級を含む今後の教職員定数のあり方につきましては、私どもの財政制度等審議会において取りまとめていただきました「平成二十五年度予算編成に向けた考え方」というのがございまして、一つには、子供当たりの教員数を維持するという考え方に立ちまして、その上で、少子化のもと、子供当たりで見れば今後増加する教員分に相当する予算につきまして、むしろ、教育の質の向上に資する施策や外部人材の活用への重点投資に充てるとともに、国、地方を通じた財政健全化につなげることを検討すべきであるという考え方が財政制度等審議会においては示されているところでございます。

 文科省の教職員の定数改善に係る概算要求につきましては、このような観点も含めまして、また、今委員からいただきました貴重な御意見等も勘案して、今後慎重に検討をしてまいりたいと思います。

馳委員 失礼いたしました、竹内政務官。今後、教職員の定数改善、義務標準法に基づく配置の問題については、必ず文部科学委員会に呼びますから、そして、下村大臣と並んで答弁していただくようにしますので、覚悟しておいてください。いいですか。

 さて、最後のテーマですが、いや、困ったなと思うのが、橋下市長ですか。いきなりスポーツ健康科と体育科の二つの科を廃止すると宣言された。それは、一月の下旬に来てそんなことをやられたら、子供ばかりではなく、保護者も含めて、高校進学と人生設計を考えている子供や親にとってはとんでもないことなんですよ。そんなことをする権限が市長にあるんですか。法律上あるのかないのか、お答えいただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 公立学校の設置、廃止につきましては、当該設置者である教育委員会が、その設置、廃止の権限を有してございます。

馳委員 このスポーツに関係する二科を廃止しないと予算を執行しないという、そこまで発言をされてちょっとびっくりしました。こんなことが許されていいんですか、大臣。

下村国務大臣 橋下市長の発言については、私は記者会見の中で、よく言えば発信力がある、厳しく言えば一人で全部会見で表明をされるということが関係者の方々にいろいろな騒動を起こすきっかけになっているのではないか、こういうことを申し上げたことがございます。

 今の答弁のように、そこの設置者である教育委員会が判断することでございまして、入学試験のあり方についても、結果的に、大阪市の教育委員会が中止を判断したことでございます。ただ、判断の中で、市長からのいろいろな発言があったということは聞いておりますが、最終的には、臨時の教育委員会を開いて、そして平場で議論した結果、中止を決めたということでございます。

 私はそのとき、最大限、受験生に負担が、あるいは迷惑がかからないように十分に配慮してもらいたいということもコメントをいたしました。その結果かどうかわかりませんが、事実上は普通科で受験、体育科、スポーツ健康科学科の生徒を同じ試験科目で、同じ体制で、つまり、普通科の受験生と違って、本来の体育科の受験システムで受験をするということで判断をしたそうですので、結果的には、中止とはなりましたが、事実上は今までと同様の試験が受けられるということになったわけでございますので、その辺、受験生の心配される危惧はクリアされたのではないかというふうに思っております。

馳委員 結果を見ればそうかもしれませんが、だったら、私はあえて大臣にお尋ねしますよ。田中真紀子騒動と今回の騒動、どこが違うんですか。

 あのとき、大臣は野党の発言者の席に座って、一時間にわたって田中真紀子大臣に対してねちねちと、法律に基づいて、やっていいことといけないこと、問題意識は共有するけれども、この期に及んで、この段階で三大学に対する新設を認可しないなんてやってはいけないとやっていたじゃないですか。その委員会の最後に、大臣はそこで謝って、撤回して、そういう方向性になったじゃないですか。

 だから、今、下村大臣がおっしゃったのと同じだと私は思えてならないんですよ。あのときも私たちは与野党一致して、当時の民主党の皆さんもそうですよ。それは田中大臣まずいよと。まずいけれども、何となく民主党の中から言いづらい。けれども、あのときは委員会が一致して要請をし、大臣は賢明な判断をあのときもされました。

 今回も私は同様だと思っているんですよ。圧力としか思えません。予算を執行しないと言ったら、教育長、教育委員会は困っちゃうじゃないですか、市長が予算を執行しなかったらどうしようと。結果だけのことを言っちゃだめなんですよ、これは教育だから。プロセスが大事なんですよ。今までの一年間のプロセスを経て、高校三年生、受験生は人生を考えて、桜宮高校の二科に入りたいということで、心理的な負担は大変なものですよ。

 そのプロセスをやはりかみ砕いて、まさしく分析をした上で適切な対応をとるように、関係各役所ならば関係各所、あるいは政治家なら政治家同士、それはちょっとというふうな動きをするのが大事だと思いますけれども。大臣になってどうですか。

下村国務大臣 私は、田中真紀子前文科大臣と橋下市長の今回したことは全然別の話だと思っています。田中真紀子前文科大臣はみずから設置審の判断を変えようとしたところが問題であったと思います。今回は、橋下市長がみずから中止を決めたわけではなく、設置責任者である教育委員会が最終的に判断したことでありますから、法的なルールは適法であります。ただ、そのときに橋下市長が予算執行をとめるような発言をすることは適切でないというふうに思います。

 同じ自治体の中で市長と教育委員会の関係、そもそも論の教育委員会をこれからどうするかということは国会でぜひ御議論をしていただきたいと思いますが、ただ、今ある制度設計の中で、同じ自治体の長とそこの長のもとにある教育委員会があたかも対立をするような構造の中で決定をしたかのようなことになるような市長の発言がマスコミ等を通じてあったのは、これはいかがなものか。同じ結論であっても、もうちょっと協調性を持ってした方が、市民の方々の安心がより得られるのではないかというふうに思います。

馳委員 ありがとうございました。

 教育における首長と教育委員会の役割分担、権限のあり方については、もちろん立法府の我々も議論しますけれども、文科省みずからがやるべきですよ、この問題は。

 そのことを指摘して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

松野委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子でございます。

 まず、質問に入らせていただく前に、このたびお亡くなりになりました桜宮のバスケット部キャプテンの生徒の方に心からお悔やみを申し上げます。本当に二度とあってはならない、本当に繰り返してはならないと私は思っております。

 本日は、命を守るという観点から御質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 教育の目的は、私は、子供の幸福にあると思っております。

 阪神・淡路大震災から十八年がたちました。私は、十八年前、ニューヨークの自宅にいました。この阪神・淡路大震災をテレビで知り、何かさせていただきたい、同じ日本人として何ができるか、そんな思いで約十三年半ぶりに日本に帰ってまいりました。そして、阪神・淡路大震災で御両親を亡くした子供たち、また何かの都合で御両親と住めない子供たち、その子供たちとともに劇団を立ち上げ、今も毎日一人一人と交換日記をしながら向き合い、そして、たくさんの命と向き合ってまいりました。

 そんな観点から、今回の桜宮高校で起きた体罰そして暴力、これは断じて許せることではありません。今大切なことは、この今回起きてしまったことの徹底した調査、そして原因究明を行い、抜本的な対策案を講じることであると私は思っております。

 一人のとうとい大切な命がなくなってしまった。心のケア、これが今とても大切、重要であると思っております。でも、ややもすると体罰問題に集中をしていて、家族、生徒、保護者、そして教員、このたくさんの方々の心のケアに思いが至っていないようにも見えてしまいます。直接そして間接に学校でかかわっている全ての人の心が今痛んでいると思います。キャプテンを務めていたということから、学校全体、学校生徒の皆さん、そしてバスケット部員を初めですけれども、学校全体の心にダメージを与えてしまっている。このままになってはいけないと思います。

 自死に追い詰められる前に何か予防する手だてはなかったのか。今文科省の方でいろいろ聞き取りをしていただいていると思いますけれども、この桜宮高校には生徒が事前に相談できる体制はあったのか、また、この自死後に、スクールカウンセラーの緊急配置または臨床心理士の緊急派遣などの心のケア、これはしっかりと行っていただいているのかどうか、お伺いをさせていただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 大阪市立桜宮高校においての生徒の相談できる体制の状況でございます。

 保健室に養護教諭は配置されております。それ以外の専門的な観点で生徒の心のケアを図っていくために、スクールカウンセラーがこれまでは年間で四十時間、月四時間程度配置できる体制がとられておりました。

 その上で、今回の事案を受けまして、昨年の十二月二十六日からスクールカウンセラー一名を一日六時間から八時間という形で緊急配置し、必要な生徒に対する心のケアをとれるようにしているところと聞いております。

浮島委員 心のケアというのは待ったなしの問題だと私は思っております。しっかりとしていかなければなりません。

 また同時に、今していかなければならないのは、同じような苦しみを味わっている子供が心を開いて相談できる体制をつくっていくこと、多様な観点からの心のケアが必要だと思っております。

 そこで、先ほどもお話がございましたけれども、このスクールカウンセラーの増員、そして教員体制の整備、これをしっかりしていくことが必要であると思いますけれども、大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 お答えいたします。

 私も、話がちょっと前後になりましたが、このたび桜宮高校で自殺をした生徒に対して心よりお悔やみを申し上げたいと存じますし、また、このような事件が二度と起こらない体制をぜひつくってまいりたいと思います。

 その上で、御質問に対してお答えをさせていただきますが、児童生徒が悩みなどを速やかに相談できるスクールカウンセラーを含めた教職員による教育相談体制を整備することは重要なことであるというふうに考えております。

 とりわけ、学校に常時配置されている養護教員などの教職員が対応に当たることは重要だと考えており、教職員定数について、これまでも養護教員の配置改善や生徒指導困難校に対する加配措置なども行ってきたところでございます。

 また、平成二十五年度概算要求においても、いじめ問題への対応など学校運営の改善充実のための加配定数増四百人を盛り込んでおります。

 また、文部科学省においては、これまでもスクールカウンセラー等を配置する都道府県等に対して補助を行っており、いじめ問題等を踏まえ、スクールカウンセラー等の配置の拡充に必要な経費について、平成二十四年度補正予算において措置するとともに、平成二十五年度概算要求において必要な経費を現在要求しているところでございます。

 さらに、昨日都道府県教育委員会へ発出した通知においても、児童生徒や保護者が体罰の訴えや教員等との関係の悩みを相談することができる体制を整備するよう求めております。

 今後とも、児童生徒が悩みなどを速やかに相談できるよう、スクールカウンセラーを含めた学校における教育相談体制の整備充実に努めてまいりたいと存じます。

浮島委員 先ほども馳筆頭理事の方からもございましたけれども、私もぜひこの議論は財務大臣にも聞いていただきたいと思っております。本当に、命を守る教員であります、そしてスクールカウンセラーである。

 私も、実は昨日、お嬢様を亡くされた御遺族の方にお会いをしました。そこでお話を伺ったのは、実は、スクールカウンセラーに相談をしたいんだけれども、先ほどもありました、なかなか常時いられないということもあります。相談がしにくい、人数がふえればなという話もありました。

 また、子供にとっては、一番相談しやすいのが保健室に行くこと、そしてそこで素直に自分が話せる、だから、その状況をしっかりとつくってもらいたいという御要望でした。

 それからもう一点、悲しいお話でしたけれども、そのお嬢様のお友達の関係で、その子供が、悩みがある。スクールカウンセラーがたまたまいらっしゃっていた。その方が来るのを待って、そこに相談に行った。相談に行ったんですけれども、たまたまスクールカウンセラーの方がちょっと忙しかった、手が込んでいた。そこで、ちょっと待っててねと言ってしまった。そこで、その生徒は、相談をしようと思ってスクールカウンセラーのところに行ったけれども、ちょっと待ってと言われた、そのスクールカウンセラーのドアを閉じてそのまま屋上に行って飛びおりてしまった、そういう事案もあるということでございました。

 本当にこれは数だけではない、数字ではない、本当に人の命を守るために大切なんだという観点から、このスクールカウンセラーの増員、しっかりとした配置、そして教職員のしっかりとした教員体制、これを心からお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、高等学校における部活動の位置づけについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 学習指導要領においては、特別活動はホームルーム活動、生徒会活動、学校行事の三つであり、部活動についての記載はありませんでしたが、新学習指導要領では、運動部の部活動については保健体育科の教育の中に位置づけられており、生涯スポーツや教育的意義の観点からスポーツが捉えられております。

 全校生徒が参加しないという部活動は、具体的な内容が示されてはおりません。しかし、一九七〇年代からは、内申書そして調査書で対外試合の成績が記載されるようになりまして、部活動は進学の手段ともなり、また、対外試合の成績が記載されるようになったから、好成績を上げて進学、また、部活から生徒募集につながるということもあるようでございます。本来、勝利至上主義ではなくて、人間を育てるという観点で運動部の運営が上から下まで行われる必要があると私は思っております。

 そこで、この部活動の位置づけ、これが曖昧でありますけれども、これをもっとしっかりと明確にすべきではないかという観点から御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

久保政府参考人 部活動につきましては、今先生御指摘のように、今回の学習指導要領の改訂におきまして、その総則で、「学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。」と改めて明記され、位置づけが明らかになったところでございます。

 この運動部の活動につきましては、主として放課後に行われておりまして、特に希望する同好の生徒によって行われる活動でございますために、他の教科のように教育課程そのものの中で位置づけるということはこれまでされてきておりませんでした。しかしながら、今回の学習指導要領で教育課程に関連する事項として改めて位置づけられましたことは大変意味があることでございますので、この趣旨をより周知していくことは大変必要だと考えてございます。

 したがいまして、高校における部活動のあり方、教育効果について、さらに今後、いろいろな周知方法を検討する中で、この改訂の趣旨も学校現場にどのように広げていくかということも含め、いろいろと工夫してまいりたいと考えているところでございます。

浮島委員 学校の教育の中の一つとして機能させることが大切だと私は思っております。しっかりとした検討をしていただきたいと思っております。

 また、検討するに当たり大切なのは、今、子供、親、そして時代が変化してきております。そもそも部活のあり方、そして部活の教育効果など、各指導者、有識者の方々に御意見を伺うべきだと私は思いますけれども、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 委員御指摘のように、部活動が大学入学試験にもいろいろと、基準の中で、どう活動した、活躍した、どんな成績をとったかということが影響している中で、今後しっかりと対応を考えていく必要があると思います。

 運動部活動については、前回の改訂で学習指導要領の中での記述がなくなっておりました。しかし、これまで高等学校教育において果たしてきた意義や役割を踏まえ、今回の学習指導要領総則の中で、学校教育活動の一環として、教育課程に関連する事項として記述されることになった、そういう経緯がございます。

 運動部の活動は、主として放課後に行われ、特に希望する同好の生徒によって行われる活動であることなどから、他の教科のように教育課程そのものの中で位置づけるということは今困難であるということでございますが、しかし、今回の学習指導要領で教育課程に関連する事項として改めて位置づけられたことは大変重要なことであるというふうに認識をしておりますし、また、先ほどの御指摘のようなお話もございました。この趣旨をより徹底していくことは必要であるというふうに考えます。

 したがって、高等学校における部活動のあり方や教育効果について有識者の方々の御意見を伺うという委員の御指摘については、貴重な御提言として受けとめつつ、今後、今回の改訂の趣旨を学校現場にどのように広げていくかということも含めまして、さらに検討してまいりたいと思います。

浮島委員 現場のお声を大切に、しっかりとした検討をしていただきたいとお願いさせていただきたいと思います。

 次に、スポーツの指導者の質の向上、指導のあり方、また教員養成課程における問題点、そして研修制度の充実についてお伺いをさせていただきたいと思っております。

 私は、教育に携わる方は、人の命を預かる、人の命に触れるお医者様と一緒だと思っております。教育は、単なる権利や義務、技術の伝達あるいは技術指導ではなくて、人間の教育、人格の形成であり、一人一人の命を輝かせるものだと私は思っております。

 文科省によりますと、公立学校教職員の体罰にかかわる懲戒処分等の実況の調査を見させていただきました。先ほどもありましたけれども、平成二十三年度は四百四件あった。そのうち、一番が授業中百三十五件、二番目が部活動の百十件と、約三割を部活が占めております。しかし、これは処分等になった数であり、今回のようなケースも、また私立の学校も入っておらず、私は、氷山の一角にすぎないのではないかと思っております。

 今回のケースでは、スポーツの強豪チームでの指導の中で発生したという事案でありまして、報道によりますと、チームが強くなって好成績を残すため、勝つために厳しい指導も許容される雰囲気があったとされております。また、大阪はちょっと特殊な事情だと思いますけれども、私立と公立が競争関係にありまして、部活の強さは公立学校のPRにもなるということもあると思います。指導者や学校は、自身や学校の評価を上げるための勝利至上主義になって、体罰を見逃してしまう傾向にあったのではないかと思っております。

 もちろん、目標を決めて、数値を決めたりなどして努力をすることはとうといことだと思います。でも、勝っただけで幸せは私ははかれないと思っております。結果は後からついてくるもので、それまでのプロセスがとても大切である、負けて悔し涙を流すことも、とても成長する、大切であると私は思っております。

 そこで、この教員養成課程において、体育指導者、体育科教員の部活動を含めての養成のあり方、またトップアスリートを養成すること、この目標設定の違いをしっかりと明確にして指導者に学ばせるべきではないか。指導者の養成課程において、部活動を扱う議論などは充実しているのか、部活動ではどんな内容をどう指導するのか、また、きちんとなされているのか、指導方法、理念、指導者に求められる倫理等は不十分ではないのか、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 部活動につきましては、一般的な教員の養成課程になりますけれども、教育課程の意義及び編成の方法、あるいは生徒指導の理論及び方法、あるいは特別活動の指導法と、教員養成課程にこのようなこまがございまして、先ほどございましたように、中学校、高等学校の学習指導要領において、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるように留意する、そういう部活動の位置づけがございますので、今申し上げましたようなこまの中で、部活動の指導について一般的な教員については教授がなされているという状況でございます。それが十分かどうかという評価はまた別途あろうかと思います。

 一方で、体育科あるいは保健体育の教諭の免許取得に当たりましては、当然ながら、体育あるいはスポーツの指導方法について十分な学習が必要でございます。その中でも、当然、部活動、スポーツにおける指導のあり方につきましては、体育科あるい保健体育科の教員につきましては、教員養成課程におきましてしっかり学ぶ機会があるというふうに位置づけることができると思います。

浮島委員 どのくらいのこまでされているのか、お伺いさせていただきたいと思います。

布村政府参考人 こま数まで、申しわけございません、また別途調査して、御報告させていただきたいと思います。

浮島委員 学校の教員課程において先生たちにしっかりとした指導をしていく、これが私はとても必要だと思っておりますので、大学でのカリキュラム、そして教員養成での環境をしっかりと整えていくべきだと思っております。また、見直す必要があるのであれば見直さなければいけないと思っておりますので、そこのところもしっかりとよろしくお願いさせていただきたいと思っております。

 また、トップアスリートを養成することに関しましては、世界のトップアスリートが育った環境、また育てられた環境、どのような指導方法を受けてきたか、情報を集めて、体育指導者の育成に使うことも大切であると思います。

 公式には紀元前七七六年から始まったギリシャのオリンピックでは、選手も指導者も審判もアカデメイア・プラトノスなどの総合大学で約八カ月間、医学、哲学も含めた総合スポーツ学を学ぶことが義務づけられている、この試験に合格しなければ国の代表として認められなかったと言われております。それほどスポーツの意義が熟知をされていて関係者の教育が徹底していたからこそ、古代オリンピックが約千二百年間も続いたと言われているところでもございますけれども、大切なのは、スポーツの意義が熟知をされている、関係者の教育が徹底されているということだと私は思います。

 私は、先生になられてからの研修、これもしっかりと充実をさせなければならない、スポーツ指導者の質の向上を図るべきだと思いますけれども、今の研修制度はどんな状況なのか教えていただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 現在、国として、トップアスリートを養成するスポーツ指導者に特化した教員研修という形では行われていないところでございます。初任者研修を初めとする現職研修におきまして、児童生徒の発達段階や個に応じた指導ができるように、各都道府県教育委員会が内容を定めて、実践的な研修が行われているという実態でございます。

 そして、体育科の教員につきましては、体育などを通じて適切な指導ができるよう、体育科指導に関する研修が行われている。その中で、先生おっしゃられたスポーツの意義でございますとか人間の体の機能、あるいは発達段階に応じてどのような形での運動を行うことが適切かなど、ある意味では専門的な面での研修が行われているという状況かと思います。

 また、子供たちの能力に応じた指導ができるように、児童生徒とのかかわり方、個に応じた学習指導の進め方、児童生徒の理解の内容と方法という内容も示されておりますので、その中で体育科にふさわしい形での指導が行われているという実態かと思います。

浮島委員 この研修の内容というのは把握をされているんでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 例えば初任者研修の内容として、学校経営あるいは学校経営の実践と工夫という中で、児童生徒とのかかわり方が研修時間として二から三こま位置づけられているということですとか、あるいは個に応じた学習指導の進め方が三から四こまという形で、全体の、このようなものを例として、指導方法を高めるための研修が組まれているという状況でございます。

浮島委員 真にすぐれたスポーツの指導者を輩出していくためには、ただただ研修を行った、この期間だけ何こま行ったという数字だけではなくて、しっかりとした内容、これを私は把握していき、またそこを改善していく、そういうことも必要だと思いますので、これから研修制度のあり方、これをしっかりとしていっていただきたいと申し上げさせていただきたいと思います。

 また、体罰の禁止、指導、今後の再発防止策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 体罰は学校教育法第十一条で禁止をされている。また、体罰について、文科省の通知では、「児童生徒への指導に当たり、いかなる場合においても、身体に対する侵害(殴る、蹴る等)、肉体的苦痛を与える懲戒(正座・直立等特定の姿勢を長時間保持させる等)である体罰を行ってはならない。」とされております。

 そこで、なぜこういう規定ができたのか、この十一条の根拠となるものは何なのか。私は、子供の人権にかかわることでそのような視点であるからこの十一条というのはできた、禁止をされていると認識しております。私は、学校教育法が憲法より先にということもありますけれども、憲法に準ずるという視点から、憲法第十八条からくるものだと思っておりますけれども、大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 体罰の禁止の規定については、学校教育法において初めて設けられたものではなく、御指摘のように戦前の国民学校令などにも規定されており、内容は現在の学校教育法第十一条とほぼ同様の規定と承知をしているところでございます。

 御指摘の憲法第十八条は、「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」これが憲法十八条でございますので、私見的に言うと、必ずしも十八条と対応するということではないのではないかとは思いますが、ただ、日本国憲法の趣旨である基本的人権の尊重、これを基調としているということが日本国憲法でも言えるわけでございまして、その趣旨からも、体罰は決して許されない行為であるということは御指摘のとおりであるというふうに思います。

浮島委員 では、体罰は憲法違反に当たりますか。

下村国務大臣 体罰はいかなる場合も許されないものであるというふうに考えております。

浮島委員 私は、体罰は法を犯している、そして法律違反であって憲法違反にも当たるのではないかと思っております。

 国民一人一人が命を大切にするという観点から、しっかりとこれをもう一回原点に戻って知っていただく、意識をしていただく、これが大切だと思っております。

 国は、体罰の禁止や適切な指導に関して改めて全国の教育委員会、そして学校等に周知徹底を図るべきだと思いますけれども、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 先ほどもお答えしましたが、体罰はいかなる場合も許されないものであるという認識を持つことが御指摘のように必要であるというふうに思います。

 文部科学省において、昨日、各都道府県教育委員会において改めて体罰禁止の趣旨を周知徹底し、各学校の教員等の意識向上が図られるよう指導すること、二つ目に、体罰を行った教員等について厳正な対応をすること、三つ目に、教員等と児童生徒、保護者の信頼構築に努めるとともに、児童生徒や保護者が体罰の訴えや教員等との関係の悩みを相談することができる体制を整備すること、これらについて通知をいたしました。

 引き続き、指導してまいりたいと存じます。

浮島委員 さまざまな調査を行っていただいている、それはもう承知しておりますけれども、ただただフォーマットだけで終わるのではなくて、今後の再発防止に、しっかりと確立をしていく必要があると思っております。

 そこで、心のケア、部活動、教員養成課程、先生になってからの研修など、先ほど述べさせていただきました。この実情を踏まえて、心理、医学、教育等を検証しながら、中教審など有識者の方々に諮問をしていただくことが私は大切だと思っておりますけれども、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、体罰は明確に禁止されておりますけれども、平成十九年に発出した通知において、教員等が児童生徒に対して行った懲戒の行為が体罰に当たるかどうかは、児童生徒の年齢や健康状態、その行為が行われた環境、態様などによって判断が異なるものであるというふうにしております。

 一方で、指導という名目での体罰を防ぐためにも、あるいは部活動の指導者が安心して指導を行うためにも、体罰として許されない指導、これについて一定の考え方をできるだけ整理し関係者に示すことが必要であるというふうに考えております。

 委員御指摘のとおり、このような体罰事件を防ぐためにどのような体制を構築していくことが必要なのかについて、各分野の有識者の御意見も伺いながら、丁寧に検討してまいりたいと思います。

浮島委員 いじめや暴力は絶対許さないという気風を社会全体で確立していくことが必要だと思っております。私も全力で取り組むことをお約束させていただき、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松野委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 きょうは、下村大臣、また大臣に御就任されて初めての委員会での論戦ということで、私も直前まで文部科学省の方で副大臣を務めておりましたので、今回、これから、さまざま教育現場の、あるいは文部科学行政にかかわる課題は本当に党派を超えて議論をしていかなければなりませんので、しっかりと建設的な議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 まずもって、私からも、桜宮高校のバスケット部の二年生の生徒が体罰ということが原因で自殺をした、御遺族の皆さん、関係者の皆さん、本当に御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、二度とこうしたことが起こってはならない、その再発防止へ向けてしっかりと政府としても取り組んでいただきたいというふうに思います。

 今、質問さまざまございましたけれども、やはり体罰というのが、今回の事件は体罰というよりも暴力あるいは虐待かもしれない、本当に体罰と言っていいのかどうかわかりませんけれども、少なくとも年間に三百件、四百件という処分が行われる、しかも百四十人から百五十人が毎年体罰で懲戒処分を受けているという現状は変わっておりません。

 まず、大臣に、指導という名のもとに、昨今もまたほかにも事例がいろいろと出てきておりますけれども、体罰が横行している。このことがなくならない原因と、何をやればいいのか、率直な大臣の思いを冒頭お聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 お答えしたいと思います。

 昨年までは笠副大臣に質問する立場でございましたが攻守かわりましたが、教育問題は党派関係なく、より重要な問題として共通認識をされているところでもあるというふうに思いますし、ぜひ今後とも御協力をお願い申し上げたいと思います。

 そして、御質問として、体罰はなぜなくならないと考えるのかということと、なくすために何が必要なのかという御質問がございました。

 体罰の問題については、体罰は法律違反である以上に、命にかかわる深刻な問題であり、いかなる場合も許されないものであります。しかし、今回の事案だけでなく、御指摘のように体罰による処分を受けた教員が毎年約四百人となっているという現状がございます。

 このような背景には、教員に、児童生徒が指導に従わない、あるいはこれまでの指導の理由を理解していないとして感情的になり、または体罰により自覚を促すとの動機で体罰に及んだりすること、また、この程度であれば許されるだろうとの思い込みから体罰を行っている、あるいは、部活動において、試合に勝つことや強くするために体罰を厳しい指導として正当化するというような誤った認識があったということが考えられると思います。

 文部科学省はこれまでも、平成十九年発出の通知において体罰の考え方を示し、体罰の禁止の徹底を指導してきたところであり、各教育委員会におかれては教員の研修等の取り組みが行われていると承知をしております。

 文部科学省として、改めて、今回の事案を踏まえて、国を挙げて全国的な体罰の状況を把握する必要があると考え、昨日、各教育委員会等に対して、主体的に体罰の調査を行い、文科省へ報告するよう求めたところでございます。また、この通知においては、体罰禁止を徹底するとともに、児童生徒や保護者が体罰の訴え等を相談することができる体制を整備するよう指導したところでございます。

 引き続き体罰禁止の徹底に向けた指導を行ってまいりたいと思いますので、御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

笠委員 今、全国にしっかりとした調査を徹底するということでございますけれども、本当にこれは一言ではなかなか、こうすれば全てなくなるというようなことは、これはもう難しいわけで、やはりあらゆる面から、またいろいろな現場の声も踏まえながら、いじめによる自殺ということで、昨年来、各党でも議員立法、いじめ防止へ向けた、根絶へ向けた取り組み、今法案の検討も始まっております。

 また、あわせて、私どもも、こうした体罰というものはもう明らかに禁じられておるわけですから、これをこの機会にしっかりとなくしていくための法整備が必要であれば、大いに立法府としても議論をしたいと思いますし、私ども民主党としてもまた提案もさせていただきたいと思います。

 幾つか具体的なことをお伺いしたいんですが、特に、今回の事案を受けて一番考えなければならないことは、受験生そして在校生、あるいは保護者の皆さん、本当に心を痛められていると思います。ある意味ではみんなが被害者になるわけで、やはりこれ以上、特に子供たちの心の負担というものを増長させるようなことがあってはならない。そのために、これから、当然ながら大阪市の教育委員会あるいは市長さん、そして文部科学省としても注視をしながら、協力をして取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 まず伺いたいことは、先ほど馳委員の質問でもあったわけですけれども、今回、二十一日に教育委員会が臨時会議を開催して、平成二十五年度の入学者選抜について、体育科とスポーツ健康科の入試を中止することを決めた。ただ、大臣は先ほど、それに際して受験生に負担がかからないように最大限配慮してほしいという発言をし、大体そういうふうになったんじゃないかと。つまりは、当初予定された試験科目あるいは試験の日程で行われるということですよね。

 しかしながら、カリキュラムについては、普通科で入学をするわけだけれども、今までの体育科を具体的にどういうふうに見直してカリキュラムの見直しが行われるのか、今までの体育科とはどこがどう変わっていくのか、その辺については今どのように把握をされているか、まずお答えください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、大阪市立桜宮高校の入学者選抜につきましては、一月二十一日、大阪市の教育委員会におきまして、体育科、スポーツ健康科学科の選抜は中止すること、両学科の募集定員百二十名を普通科として募集すること、また百二十人分は体育科、スポーツ健康科学科で予定していた日程及び方法により選抜を実施するということをまず決定したところでございます。

 カリキュラムについてでございますけれども、この入学者選抜方法につきましては、大阪市教育委員会において、受験生への影響ができる限り少なくなるよう配慮されたというふうに捉えてはおりますけれども、受験生にとりまして関心の高い入学後のカリキュラムのあり方、あるいは部活動が必修かどうかなどの受け入れ体制につきましても、大阪市教育委員会においてできる限り早急に明らかにするよう検討を急いでいただきたいというふうに考えているところでございます。

笠委員 試験自体は二月の二十日から二十一日、しかしながら出願期間は二月十三日から十四日、もうあと三週間なんですね。

 大阪市内には、市立の桜宮高等学校以外にも、汎愛高等学校ですか、体育科を置く高等学校がある。あるいは、私立が二校、府立が二校あるというふうに聞いておりますけれども、やはり入学後の、特に体育科、非常にこの桜宮高校というのも人気がある学校で、私が承知しているところでは、今回の一応今希望されているお子さんたち、体育科八十名に対して二・一六倍、競争率二倍以上というような状況だというふうに伺っておりますけれども、一応希望している子供たちがですね。やはりそこあたりが決まってこないと、これは本当に、今まで桜宮高校に行きたい、あるいはどこの体育科に行こうか、そういう選択を、非常に悩んだ上で、いろいろ考えた上で桜宮高校を志望されているお子さんも多いと思うんです。

 そういった観点から、いやいや、入試の科目は変わらないんだ、試験日も一緒なんだ、でも一番大事なのはその後どうなるのかということなんですけれども、やはりその点を詰めずに教育委員会がこういう決定をしたということは、私はいささか疑問に感じております。その点についてはいかがでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のカリキュラムを初め、受験生が受験に当たって知りたい進学先の教育内容について、現在のところは、入学後のカリキュラムにつきましては、スポーツに特色のある内容とする、そういう一般的な状況だけが決まっている。また、平成二十六年度以降の学科のあり方については改めて検討するという方向性が示されております。

 二十一日にこのような方向性を決め、二十二日にはそれを実施につなげるための入学者選抜方針の変更ですとか募集学科の変更、通学区域の変更という規定の見直しがなされたところでございますので、臨時教育委員会なりの開催を通じて、できるだけ速やかに具体的な姿を受験生にわかるようにお伝えいただければというふうに思いますので、そのような形で大阪市の方にも伝えてまいりたいと思います。

笠委員 それと同時に、今回、部活動の方も、今、一応は全ての体育系の部活動は中止になっていて、そして、恐らくバレーボールとバスケットボールの二つについては、まだ引き続きいつから再開されるかがわからないけれども、外部調査の結果を踏まえて逐次活動は再開をしていくということでございます。

 この桜宮高校は、調べてみると、バスケット部、バレーボールのみならず、すごいですね。ボート部も二十四年度インターハイ出場、そしてソフトボール部、剣道部と、本当にいろいろな運動部が活躍をしているわけでございますけれども、この辺の部活動の、今子供たちは全く練習ができていない状況なのか、あるいは、例えば顧問の人たちは別としても、何らかの自主トレ等々をやっているのか。現在どういう状況の中で、全くもう運動できないのか、それとも自主トレ等々をやっているのか、あるいは新しい何らかの指導者のもとで今活動を再開するような準備が一方で進められているのか、その点についてはどのように把握されているでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 桜宮高校の部活動につきましては、今、全体としてとまっているという状況でございますので、あとは推測になりますけれども、先生御指摘のとおり、一人一人の生徒がみずからトレーニングに励んでいる状況ではないかと考えております。

笠委員 やはり少なくとも、高校から体育科に入って、そして当然ながら、スポーツだけ、文武両道は必要ですけれども、ある程度はやはり、自分の将来設計を考えたときに、例えば、大学に入学をするにしても、スポーツでの推薦入学という門戸は今かなり開かれていますから、そういった進路を考えたり、あるいは、実業団に自分のスポーツの力を生かしながら進んでいこうと、大体高校受験ぐらいからそういった進路を考えていくというお子さんも多いはずなんですね。

 例えば、今回の事件で、今既に大学へスポーツ推薦で内定されているお子さんに影響が出たり、あるいはその辺のケアをどのようにしていくのかということをどういうふうに教育委員会が考えていくのかということも、これは我々もしっかり注視していかなければならないというふうに思っておりますけれども、その点は今どういうふうに教育委員会の方あるいは学校の方で考えておられるのか、おわかりの範囲でお答えください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 桜宮高校から大学へのスポーツ推薦入学の状況をまず御説明させていただきますと、平成二十三年度は十六名、平成二十四年度は現時点で十八名、このうちバスケットボール部の生徒は平成二十三年度は三名、平成二十四年度は四名と聞いております。

 また、今回の事案を受けて本年度の推薦取り消しとなった生徒はいないというふうには伺っております。

 先ほど来、このような生徒の心のケアあるいは進路指導につきましては、教員の方々あるいは学校が組織としてしっかりと対応いただく必要があるというふうに考えてございます。

笠委員 今、ちょっと限られた時間ですので、幾つかお伺いをいたしましたけれども、こういったこと一つ一つとっても、これからまた、この学校の顧問だけじゃなく先生も総入れかえするというようなことで、教育委員会で人事異動についても、この春先を、新年度をにらみながら検討されているというふうに伺っておりますけれども、そういう状況の中で、年度がかわっていくという、これからやはり卒業生も出る、あるいは入試も控える中で、これは本当に今学校の現場は大混乱だと思うんです。

 ですから、それに一番影響されるのはやはり今の在校生であり受験生でございますので、これはもちろん一義的には教育委員会が権限のもとでしっかりやっていく話ではございますけれども、やはりそういった点は文部科学省としてもバックアップをしながら、情報収集をしながら、しっかりと万全を期していただきたいと思います。

 そして、大臣にちょっとお伺いをしたいんですが、恐らく橋下市長が、先ほど馳委員の話にもあったように、入試にかかわる予算の執行権をある意味では振りかざしながら、教育委員会が決定をすることだけれども、私から見るとかなり影響を与えていると思うんですね。やはりその発言に発信力がありますから。

 ただ、市長自身も今の教育委員会に対する限界を多分わかっておられると思うんですよ。だから、こういうやり方をしているのかもしれない。

 けれども、今の現場のことを考える、あるいは子供たちのことを考えると、やはりやや乱暴過ぎるんじゃないかというような気がしております。その辺については、率直に大臣がどういうふうに受けとめておられるのか。法的にはきちっとした手続を踏んでおられると私も思っています。その点について、大臣の思いというものをちょっとお伺いさせていただければと思います。

下村国務大臣 お答えいたします。

 法的には、教職員の人事については任命権限を有する教育委員会において適切に判断されるべきものである、そして、市長は地方自治体の財務事務の統一的処理を図るため行政委員会の所掌事務に係るものについても予算の執行権限を有しているということでございますので、教育委員会の所掌事務については教育委員会みずからがその責任と権限に基づいて処理することができるけれども、御指摘のように、市長も実際は予算の執行権限を持っているということの中で、今委員が御指摘のようなことがありました。

 本来一つの自治体ですから、その自治体の中における首長と、そして教育委員会という関係であれば、これらの権限と責任に基づいて適切に連動して事務を執行していくことが重要でございまして、それが今回の事例において時に敵対関係にあるかのような発言が報道されていたということについては、よりスムーズに円滑にいくような対応方法をとるべきではないかというふうな感想を私も持ちました。

笠委員 この問題はこれからの推移を見守りながら、そして私どもが考えていかないといけないのは、本当に今形骸化が指摘されたり、あるいは迅速性に欠ける教育委員会制度をどういうふうにしていくのか、さらには首長の権限も含めて、各党それぞれに、マニフェストでも教育委員会を抜本的に制度を見直していくということについては私どもも含めて提案もさせていただいておりますので、また改めて当委員会の中でも議論をさせていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、くれぐれも在校生そしてこれから受験する方々へのケアだけは政府としても文部科学省としてもしっかりと取り組んでいただけるようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

松野委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。きょうは質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは閉会中審査ということで多くの国民の皆さんもまた注目をされていると思いますけれども、桜宮高校の問題ということであります。私は、この問題を考えるに当たって、再発防止ということは本当に大事だと思います。そして、できる限り今いる子供たちに影響を与えないということも大事だと思います。しかし、やはり忘れてはならないのは、亡くなられた方が最も悲惨であり、最もつらい。そのことを忘れてはいけない。また、その家族の皆さんが今どういう思いでおられるのか、このことも決して忘れてはいけない。今回の告訴ということも、まさにそれがあっての告訴であったというふうに思っております。

 ともすれば、これまでもいじめやあるいは体罰における自殺等々については二次被害を広げないためにふたをしてしまうということはよく御遺族の方々から寄せられる声でありました。私は、それはあってはならないというふうに思います。やはり御遺族の方、そして亡くなられた御本人、その思いをしっかりと受けとめる、そして同時に周りにいる子供たちの環境づくりということを考えていきたいというふうに思います。

 その意味で、ほかの質問者からもしかしたらあるかなと思ったんですが、根本的に国民の間でも関心が持たれている一つの論点として、今回のこの行為が体罰だったのかどうか、これをやはり明らかにしなくちゃいけないんじゃないかというふうに思います。少なくとも、文部科学省のさまざま我々のヒアリング等々に出される資料を見ていると、体罰についての実態調査を全国に呼びかけたということになっているわけです。それは今回の事例を体罰と捉えるから体罰だということで実態調査をしているとすれば、果たして今回の事例は体罰だったのかどうか、まずこのことを大臣にお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

下村国務大臣 明確な体罰だったと思います。

泉委員 ここは、罰という意味、それをどうお考えいただくかということであると思います。体罰は許されないということになっておるわけですが、私はその言葉の中に暴力と体罰の言葉の意味の違いというものがあるんではないのかなと思います。ともすれば懲戒、これは学校教育法十一条で懲戒は許されると書いてある、ただし体罰は加えてはならない、だったと思いますが。では、改めて聞きますが、懲戒の中に体罰は含まれるんでしょうか。

下村国務大臣 懲戒の中に体罰は含まれます。改めて、今回、平成十九年の通知等がその辺でよくわからない通知であったのではないかということを踏まえて、懲戒と体罰の明確な区分について、改めて文部科学省の方で明確にして、そしてこれを明らかにしていきたいと思っています。

泉委員 大臣、ここは、今大臣は含まれますというふうにおっしゃいましたが、私はそこはもう一度見解を整理していただく必要があるんじゃないのかなと思います。

 なぜならば、体罰は認められないわけです、加えてはならないわけです。懲戒の中に含まれてはならないんではないでしょうか。あえて言えば体罰ではなく暴力であり、これは懲戒から省かなければいけないんではないでしょうか。いかがでしょうか。

下村国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、懲戒と体罰を明確に分けたいと思います。

泉委員 懲戒と体罰を明快に分ける、これはぜひともやっていただきたいと思います。

 私は、具体的な提案としては、学校教育法十一条、これは、よく法律一条一条に表題をつけることがございます。例えばこの学校教育法の十一条に表題をつければ懲戒という項目になるんではないかなと思いますが、そして、ただし書きとして「体罰を加えることはできない。」となっている。あたかも懲戒の一環として体罰が位置づけられている、しかし体罰はいけませんよ。こういう概念整理をしている限り、体罰が存在し続けるんだと思います。それはどこかで許容されるという意識を生み出すんだと私は思います。

 そういった意味では、十一条をできれば改正していただいて、懲戒が許されるという前に、体罰は決して行ってはならない、あるいは暴力行為は行ってはならないということが先に来て、しかし懲戒は許される、こういう整理ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のように、学校教育法第十一条において、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」このように書いております。明確に、しかし体罰については禁止しております。

 また、平成十九年に発出した通知において、先ほどもちょっとお答えさせていただきましたが、この通知において、教員等は、児童生徒への指導に当たり、いかなる場合においても、身体に対する侵害、これは殴る蹴る等という事例が入っております。また、肉体的苦痛を与える懲戒、これは正座とか、それから直立等特定の姿勢を長時間保持させる等という具体的な事例がありますが、このような体罰を行ってはならないとして、このときも体罰について具体的な禁止をしているところでございます。

 さらに、昨日、通知を発出しまして、その中で、教育委員会等に対して、体罰禁止の趣旨を周知徹底し、各学校の教員等の意識向上が図られるよう、所管の学校を指導するなどについて改めて求めているところでございますが、懲戒と体罰については明確に、より鮮明にこれから分けて明らかにしていく必要があると私も思っております。

泉委員 大臣、私、大阪市が今さまざま教育委員会等で取り組んでいる中で、教育委員会会議、これは大阪市教育委員会体罰・暴力行為等対策本部となっております。体罰・暴力行為なんですね。ですから、大阪市は、今回の一件については、私は両面で今状況を見ているという状況ではないかと思います。一方で、文部科学省は、おっしゃるように、きのう発出した文書でも体罰というふうに言っております。

 さて、そのお話にある平成十九年の初等中等教育局長通知、これの表題を改めて確認をしていただくと、「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)」なんです。あのバスケットボール部のキャプテンは問題行動を起こしたんですか。それはいろいろなところで、もしかしたらいろいろなうわさが流れているかもしれませんが、現在のところ、いわゆる学校現場における問題行動とはおよそかけ離れた生活を送り、バスケット部員として、キャプテンとして懸命に頑張っている中で暴力を振るわれたとしたら、果たしてこの通知で言っている体罰に当たるのかという疑問を多くの国民が持っていると思います。だから私は大臣に冒頭にお伺いしたんです。これは体罰なんですか、それとも暴力なんですかと。

 私は、禁止されている体罰ではあるけれども、しかし、今回のケースは、この問題行動を起こす児童生徒に対する指導ということにも当たらない事例ではないか。

 そういった意味では、文部科学省がこれまで想定をしていた体罰というのは、義家政務官が一生懸命取り組んでこられたような学級崩壊やさまざまな問題行動における対処としての体罰ということであって、まさか先生方が問題行動を起こした場合の指導以外で暴力を振るうということを想定していなかったのではないか、真剣に真正面から捉えていなかったのではないか。私は、残念ながら、今そのような見解に立っております。

 大臣、この平成十九年の通知の「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」、今回の事例はそれに当てはまるでしょうか。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

下村国務大臣 御指摘のように、平成十九年二月五日、初等中等教育局長通知として「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」という中で、先ほど説明申し上げた文言が入っております。

 しかし、それ以前に、これは昭和二十二年ですけれども、学校教育法において体罰について禁止をしているわけでございます。つまり、学校教育法でもともと体罰については禁止しているわけで、この平成十九年の問題行動を起こす児童生徒に対するということを限定した本来体罰という法律用語ではありませんので、桜宮高校の問題、これは、やはり学校における教師における体罰であったというふうに受けとめます。

泉委員 実は、今大臣がおっしゃられた、過去の整理の中で、「生徒に対する体罰禁止に関する教師の心得」、これは昭和二十四年です、法務府発表。そして「児童懲戒権の限界について」、これは法務庁、昭和二十三年、整理したものがありますが、これを読ませていただくと、全てやはり基本的には問題行動を起こした生徒をいかにして懲戒するかという考え方が前提で、しかし体罰を行ってはだめですよという整理なんです。授業に遅刻をしたり、あるいは怠けた、騒いだ、あるいは人の物を盗んだ、そういったものに対しての対処として体罰は禁止ですよと書いてあるのがこの昭和二十四年、三年の整理なんです。

 ですから実は、普通に過ごしている子供たちに対して先生が、指導という表現を使うべきかどうかわかりませんが、行き過ぎた行為によって暴力を振るうということをここでやはりカバーを根本的にし切れていないんですね。根本的にし切れていない。発祥が違うものだから、ずっとここまで認識のずれが続いているんじゃないのかなと私は思います。

 そういった意味では、質問時間も大変短いものですから、この平成十九年の通知の中では、「懲戒・体罰について」、特に(二)というところで表現はこうなっています。「体罰がどのような行為なのか、児童生徒への懲戒がどの程度まで認められるかについては、機械的に判定することが困難である。」と。これがより一層教育現場を混乱させてきたし、もちろん、これで救われたケースというか、なかなか明確にわかりにくいケースもあります。

 しかし、やはり存在としての教師の行き過ぎた行為、暴力行為というものが問題行動にかかわらずあるんだということ、それを現状認識としてしっかり捉まえた上で、ただ単なる上から下への体罰、許されるものではありませんけれども、しかし懲戒の中に含まれる何か存在として体罰があるということではなくて、体罰は懲戒の外にあるものであり、これはもう違法行為だ。それくらいのことを通知なり学校教育法の改正の中でしっかりとやはり位置づけをしていただきたいというふうに御提案いたしますが、御検討いただけますでしょうか。

下村国務大臣 この平成十九年の初中局長の通知については、冒頭申し上げたように、今また委員から御指摘があった特に(二)で、このことによって体罰とそれから懲戒との線引きがよくわからない状況があるということはそのとおりだと思います。これについては、明確にわかるようにぜひこれから変えていきたいと思います。

 しかし、体罰がそもそも平成十九年のこの通知の中でも違法だと言っている根拠は、これは学校教育法における、昭和二十二年ですけれども、体罰は違法だというところからきているわけでございまして、とにかく、問題行動を起こす起こさないにかかわらず、教員が子供、児童生徒に対して体罰をするということについては禁止である、そして、懲戒と体罰についての線引きについても改めて明確に発していきたいと思います。

泉委員 その意味では、文部科学省が出した通知というのが、もちろん、過去を掘り返す作業というのはとても苦しい作業ですし、できれば過去にふたをしたい、誰しもがそう思います。また、過去をひっくり返すことで学校現場に本来なかった混乱ということが出てくるかもしれません。しかし、今回文部科学省が調査をされるということは、そのふたをあけて、スポーツ界や部活動全体、そして学校教育の中全体の意識改革を今回根本的にやっていこう。だからこそ、先ほど浮島さんもおっしゃられたように、二度と繰り返してはならないということなんだと思います。

 いろいろな事件が起きるたびに、この国会質問の中ではこういったことは二度と繰り返してはならないという言葉が語られますが、しかし繰り返されているんです。本当に重く、本当に重たく受けとめて今回の調査をしなければ、簡単に形骸化した調査結果報告が出てくるのではないか、私はそれを大変心配しております。

 ぜひ、大臣、副大臣、政務官挙げて指導力を発揮していただいて、我々の時代も、そして先輩方の時代も、確かにいろいろな意味で、今考えたらあれは体罰かなと思うこともあります。そういうものの中で我々が許容してきたのではないかと思うこともあります。現在も許容しているものもあるかもしれません。しかし、そういったものをもう一遍全部今回明らかにして根絶をしていこう、意識を変えていこう。

 だから私は、JOCなり高体連なり、さまざまなところが動いていると思います。しかし、実は、高体連やJOCが動いたとしても、各スポーツ団体も動いておりますが、例えばいわゆるクラブチームと言われるところも含めて、非常に指導の現場というのは裾野が広いわけです。そういったところにまで本当に徹底した指導をぜひしていただきたいというふうに思いますが、改めて、大臣、その指導力の決意をお願いしたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、文部科学省がそれぞれの教育委員会に対して改めて体罰についての調査をするということだけで済む話ではないと思います。これはある意味では、私も子供のころ、特に体育会系においては体罰というのはある意味では当たり前のようなこととしてあり、当たり前のようなこととして受け取っていた時代があるし、現実に今でもそういう教育現場というのはやはりあると思うんですね。

 しかし、体罰によって結果的に子供がみずから命を絶ったということは、これは絶対あってはならないことでありますし、これを奇貨として、改めて運動現場においても、そういう手法をとらない子供たちをどう育てるか、どうスポーツによって成績を上げるかということについて、発想転換が今我が国スポーツ界あるいは教育界を含めて問われているのではないかと思います。

 その中で、御指摘のように、いろいろな団体でも、みずからそのような調査をし、あるいは徹底をしていこうという動きがありますし、今回においても、私学関係団体にも要請するまでもなく、みずからも調査をしたいという話がありましたし、これは国を挙げて、そういう体罰によってスポーツを強くするということがこれまでは許されてきたことであったかもしれませんが、今後については、よりもっと教育力の高い指導によって、体罰によらないスポーツのあり方を、国民挙げて我が国はしっかりと方向転換をする時期に来ているのではないかということを、この事件を受けとめながら対応していく必要があるというふうに思います。

泉委員 改めてになりますけれども、先ほど紹介した昭和二十三年の「児童懲戒権の限界について」という法務庁の長官回答というのがあるわけですが、そこでも、学校教育法第十一条に言う体罰とは懲戒の内容が身体的性質のものである場合を意味すると書いております。

 これは、一見正しいようにも思えますが、懲戒の内容として、身体的性質のものが基本的にはやはりあってはならないんだということであるから体罰はだめだと書いてある。だからこそ、冒頭申しましたように、私は、ぜひ体罰と懲戒というものを分けていただきたいし、今回のケースはやはり懲戒ではないはずだと思います。今回のあの桜宮高校の生徒が受けたものは懲戒ではないんだ、だからこそ体罰ではないんじゃないか、これは暴力ではないかということを私は冒頭申し上げたわけです。

 その辺の見解整理もぜひとも改めて真剣に考えていただきたい、でなければ御遺族や亡くなった本人の名誉は浮かばれない、私はそのことをお伝えして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松野委員長 次に、中田宏君。

中田委員 日本維新の会の中田宏でございます。

 日本維新の会は、今回衆議院議員選挙で国民の皆さんから多くの御支持をいただいて、議席をいただきました。また、特にこの桜宮高校の案件、大阪ということで、私どももこれは改革に向けた大きな責任を有している、こう思っておりますので、その観点から大臣を初めとした皆さんに御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、先立ちまして、本当に、今回お亡くなりになられた当該生徒には、そのみたまに心からお悔やみを申し上げ、御冥福をお祈りしなければなりませんし、また、御遺族の皆様にもお悔やみを心して申し上げたいと思います。

 ここの委員会におられる皆さんは、間違いなく、今回のこの事件を契機として、こうしたことが二度と起きてはならないということに向けた議論を期待しているはずでありますし、そのために私たち国会議員はここに集っているということに関しては全くもって同じ認識だというふうに私は思います。

 そういう意味では、この事件というものを、その場限り、喉元過ぎれば何とやらというような形のむにゃむにゃに終わらせてはならない。やはり、根本から我が国の教育そのものの制度も含めて改めていくということにつなげていかなければ、先ほどお悔やみを申し上げた亡くなった生徒さんにも申しわけが立たないということだと思います。

 この自殺した生徒でありますけれども、本人は、実は、その胸が詰まる思いというものを相談はしているんですね。周りの生徒にも相談してきましたし、もう既に明らかになっているように、顧問に対して手紙を書いて、それを渡すかどうかと悩んでいたわけです。その手紙も、同僚の生徒に見せたけれども、それはやめておけということで出すのを控えたということも、もう既にわかっています。そういう意味では、学校全体がある意味では体罰を是認していた。

 こういう価値観がある中で、まさか先生に直接言いにくい、ほかの先生にも言えない、仲間にも相談したけれどもやめておけとなる。ひょっとしたら関係の保護者も含めて体罰を是認しているような風潮、価値観、これが支配的な中において、彼は、どうするべきかと考えたときに、何も手がない中での自殺ということになっていった。その気持ちを思いやると、本当に言葉がありません。

 この桜宮高校はスポーツの名門校です。バスケットボール部だけではなく、他の部活動も盛んで全国大会などにしばしば出ているし、有名な選手も輩出をしているという高校でありますから、その一連のある意味では部活動に対する純真な思いと、一方では、背景には、そこで成績を上げる、インターハイに行く、そして、やがては大学にスポーツ推薦で入る、こういうような価値観も実は学校の中に流れていたことも、これはかなりはっきりしていることでもあります。

 体罰、このことが、そういう意味で、今回の部活動における勝利至上主義という言い方で簡単にくくってはいけないことはわかっていますけれども、しかし、そうした価値観というものは、実は体罰だけではなくほかの面にも出ています。

 このバスケットボール部は、子供たちだけの寮も持っていました。これは校長も教頭も認識をしていません。保護者が金を出して、そして子供だけがそこで共同で暮らすというような、大人の寮長もいない、こういう寮も実はこのバスケットボール部はインフォーマルにつくっていて、そこに顧問は顔を出すというような、こうした実態もあった。これがわかったのはなぜかというと、昨年の十月に無免許でバイクを運転していた事件が発生をして、それがこの寮を明るみにしたということでもありました。

 そういう意味では、先ほども断りましたけれども、勝利至上主義ということをはたが勝手に決めつけるのはやや僣越かもしれない、しかし、全体として、どうも常識では考えられない支配的価値観というものがそこに流れていることは間違いなかったというふうに言っていいと思うわけであります。

 その意味において、大臣に御質問したいんですが、亡くなった生徒が発生をしたこの事件の数日後には、部活動を再開させてもらいたいと子供たちが言い始めちゃっているんですね。それは、子供は純真に思っているのかもしれない、体がなまっちゃ嫌だ、そう思っているのかもしれないけれども、しかし、数日後からこういうふうに子供たちが言ってしまっているということも含めて、人が一人亡くなったという重大なこの事案について、果たして学校において共有されているというふうに当事者たちが思っているのか、ここについて、ちょっと大臣、私はまず御所見をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 桜宮高校においては、生徒が亡くなってから四日しかたっていない時期に、バスケットボール部の新人戦の出場を生徒だけでなく校長先生が遺族に打診していたということが報道されております。

 このようなことについては、生徒が亡くなったことに対する当事者意識が学校全体で欠けていたのではないか、そういうふうに指摘してもやむを得ない状況がやはりあったんだろうというふうに思います。

中田委員 私も全くそう思うんですね。

 それ以外にも、一月の十八日に教育委員三人が桜宮高校を訪ねて生徒と面談をしたときにも、生徒から同じような意見が出ました。また、一月二十二日、教育長が全校生徒に対して入試の中止ということについて報告をしたときにも、やはり生徒からそういう意見も出てきました。

 そういう意味では、勝利至上主義といいますか、こういった価値観というものがかなり、大臣が今率直に言っていただいたとおり、支配的になっている。このことを断ち切ることが必要なんですね。根本的に、この事案というものが二度と発生をしないように私たちが制度その他現実を考えていくときに、これを一回断ち切るということが必要です。

 それ以外にも、もう既におわかりのとおりで、例えばこの体罰、体罰ですか、これは。暴力ですね。この暴力が行われた、自殺する前日の練習試合のときには、副顧問、教諭、大人が二人もいたのに、目撃したのに、そのことに対して当該顧問に注意もできていません。これはなぜかといえば、皆この顧問の教え子ですね。桜宮高校出身でもあります。そういうことも含めて、もはやこうした暴力の再生産というものがこの学校の中では続いてきてしまっている。

 この状況があるわけですから、大臣、ここは明確にひとつ私は先ほどの共有をしておきたいんですが、これを断ち切る必要がある、そのために制度等々を見直していく必要がある、この断ち切るという意味において、大臣も全く同じ思いでしょうねというところを確認させてください。

下村国務大臣 教員等は、児童生徒への指導に当たり、いかなる場合にも体罰を行ってはならないものであります。ましてや体罰により子供が命を落とすようなことは、子供の命を預かる学校として決してあってはならないことであります。

 また、教員等は、部活動の指導に当たり、いわゆる勝利至上主義に偏り、体罰を厳しい指導として正当化することは誤りであるという認識を改めて持つことが必要であるというふうに思いますし、このことを徹底してまいりたいと思います。

中田委員 この体罰の連鎖というものを断ち切っていく必要がある。そういう意味においては、今回、入試を中止しました。賛否両論、いろいろあります。あるけれども、一旦このことをしっかりと決断することによって、今も私が確認をしたかったように、断ち切るということをしなければならないんだというふうに思います。

 なぜならば、桜宮高校、淀川沿いの、恐らくこの淀川で子供たちはランニングをしたりしていたんだろうなと思う。そうした環境の中にあり、この校舎の中で、同じカリキュラムで、同じ教員がいて、同じ部活動があってという中に子供をまたことし四月から受け入れるということについてやっていけば、先ほど申し上げた支配的な価値観がある中において、意識を変えてやってくれ、改革案が出るまでは、意識を変えて、とりあえず問題が発生しないようにしっかりやっておいてくれというだけでは、これはなかなか根治できないんです。そういう意味で、橋下大阪市長もあるいは大阪市の教育委員会も、一旦断ち切るということのために今回の決断をしたんだというふうに思います。

 今、桜宮高校の生徒たちは、今大臣がおっしゃっていただいたとおり、部活動再開ということについて多くの意見も出ていますが、同校の生徒がここ数日の間発信してきている意見を聞いてみると、桜宮高校は非常にいい学校である、学校に誇りを持っている、先生は決して悪くない、こういう声は多いんですね。御承知のとおり、生徒たちが記者会見をするということもありましたけれども、そのときにもこういう言葉は出てきています。

 私は、これは、ぴんとくるのは児童虐待なんですね。ちょっと話は別のような議論に思えるかもしれませんが、児童虐待をされている被虐待児というのは往々にして親のことが好きなんですね。はた目に見たら、暴力を振るっていて、信じがたいんだけれども、その被虐待児からすれば、暴力を振るっているその親のことが好きでしようがないというケースは非常に多いんです。

 これは義家さんは知っていると思うけれども、横浜市の児童虐待などでもこういう事例はたくさんありました。そうですね、義家さん。

義家大臣政務官 そう理解しております。

中田委員 実は論文もいろいろあって、私は入手しているんですが、ここで一々一々皆さんに御説明をする時間はありませんからやめておきますけれども、被虐待児が親に対して抱いている愛着心、愛着感情ということについては、自分たちが虐待されているという認識がないということであったりとか、虐待を受けているというのは自分が悪い子供なんだという意識が働いていたりということがあります。そしてまた、その背景には、親からの愛情にしがみついていきたい幻想といったもの、こういったものもある。これらは、各種論文の中でいろいろと既に出ているわけであります。

 私は、この桜宮高校の話を受けたときに、もちろん事の質は違いますけれども、生徒たちが、いい先生なんだ、愛情を持ってやってくれているんだ、決して憎んで私たちをたたいているわけじゃないんだというこの言葉一つ一つには、そうした児童虐待にも通ずる精神構造みたいなものがある。それは、先ほど来申し上げているように、そのことがもはや当たり前となっている閉鎖空間、学校としての閉鎖空間、これが現実には発生をしているからだというふうに思います。

 その意味において、先ほど申し上げた、断ち切るためには、同じ施設で、同じカリキュラムで、同じ部活があって、そこに新しい生徒を受け入れる、同じ先輩たちがいる、こういう状態で受け入れてはならぬのです。

 大阪市の教育委員会が、今回、入試中止という判断をしました。ここは、大臣、尊重をしていただきたいと思います。いかがですか。

下村国務大臣 入試中止については、当事者、権限を持っている大阪市の教育委員会が判断したということでございますので、これについては尊重したいと思います。

 ただ、御指摘の点はそのとおりだと思いますが、しかし、入学試験を中止して、それで解決しないことも事実でありますから、これからいかに大阪市や大阪市教育委員会等が、この桜宮高校の再建に向けてどういう早い施策を打ち出し、そして、そこに通っている生徒たちも安心してそのもとで学べるような環境づくりをどうつくっていくかということも同時に問われていると思います。

中田委員 尊重するという言葉がありましたけれども、まさしく現場の判断、現場にしかわからないそうした状況というものは、大いにこれから聞き取っていただくなりということはあるにせよ、これから先も尊重した文部行政であっていただきたい、こう思うわけです。

 一方では、当該教員の処分が決まっていない、また改革案が出ていない、そういった中で入試を中止することは乱暴じゃないかというような議論も、これはあるのは承知をしています。そこに、当然ですけれども賛否があります。また、大臣が今おっしゃったように、入試を中止することでは問題は解決しない。そのとおりです。

 だからこそ、改革案というものもしっかりと、現場の今までの、先ほどから申し上げてきた支配的価値観があるわけで、こうしたことの根を断ち切るための制度論、こういったことを現場においても考えて改革案を出していく。どういうカリキュラムでやっていくのか、どういう教員配置でやっていくのか、また、早いところ芽を摘んでいくのか、こういったことについての案が出てこなければならないのはわかっています。

 でも、これは時間がかかりますね。そんな一朝一夕にできる話ではありません。一週間ぐらいでぽぽぽんとまとめられれば苦労しませんけれども、そんなことではありません。そういう意味では、入試を中止した上で、この改革案をしっかりとまとめて、それを出していくというのが今回の順番なんだろうということに御理解を私たちはいただきたいというふうに大臣にも申し上げておきたいと思います。

 さて、一つ抽象的なことをお聞きしたいと思います。

 あえてこういう場において責任論を追及するつもりは全くありませんけれども、しかし、今回のこの体罰というか暴力事案、これは刑事事件ですよ。このことについて、果たしてどこに責任があるのかということです。

 学校という閉鎖空間の中でこうした事件が起きている。果たして、顧問そのものに責任があることは言うまでもありませんけれども、総体として一体どこに責任があるんですか。顧問ですか、校長ですか、教育長ですか、教育委員長ですか、はたまた市長ですか。ここが、大臣、問いたいところなんですが、いかがですか。

下村国務大臣 今回の事案の解明については、大阪市教育委員会と外部監察チームによる今後の調査の結果を待つ必要がやはりあるというふうに思います。

 しかし、校内で体罰が行われていたこと、事前に公益通報があったが、今回の事態の未然防止に生かせなかったこと、バレー部顧問の二度目の体罰について、学校から教育委員会に対する報告が行われていなかったことなどを踏まえれば、体罰を行った部活動の顧問はもとより、学校の責任者である校長、学校を管理、指導する立場にある教育委員会、それぞれの立場で責任があると考えます。

 いずれにせよ、市における調査によって事態の徹底解明を行う必要があり、その調査結果に基づいて最終的には判断すべきものと考えます。

中田委員 今大臣がおっしゃっていただいたとおり、最後のせりふが重要ですけれども、それぞれに責任があるということで、当然、誰か一人の責任でないことは私も承知の上で質問をさせていただきました。

 そういう意味では、今の大臣の答弁に凝縮をされているんですが、果たして地方教育行政において責任者は誰なのかということが多くの人には理解されていません。私たちは頭では理解をしているけれども、実態としてその理解というものができているかという問題もあります。

 世の中の多くの人にとって、それぞれの小学校、中学校、それぞれに責任を持っているのは一体誰だというふうにお考えかといったら、誰ですか。実は、これは大臣に問うまでもないので、私が結論を言いますが、地方の教育行政に責任を持っているのは教育委員会ですね、法律上。教育委員会というのは何ですか、機関ですね。この機関たる教育委員会が責任の主体者なんです。

 世の中で、顔を持たない、人格がない教育委員会という機関が責任を持っている。こういう組織が、責任を持った例えば会社経営だとか、地方行政だとか、そのほかのマネジメントができますか。教育委員会というところが、この主体が責任を持っているんですよ、教育行政に関して。教育長でも教育委員長でもありませんよ。

 そして、この教育委員会というのは五人もしくは六人ぐらいの合議制です。合議で物を決める教育委員会が教育行政に対しては責任を持っている。これは余りにも無責任というものです。

 横浜市の教育委員会、私は、横浜市長時代ずっと携わってきました。この横浜市の教育委員会、六人の教育委員がいます。教育委員を市長が任命し、議会が認めて初めて教育委員が一人誕生しますけれども、この教育委員を実は入れかえていくのにも、一期四年かかるんです。こういう実態も余り知られていない。

 昭和三十一年に今の教育委員会法ができて以来、そのときに、実は、最初の委員さんは一年任期、その次の委員さんは二年任期、その次の委員さんは三年任期、そして四年任期というふうに、任命したときに一年ずつ任期を変えているんです、昭和三十一年に。なぜか。それは、教育委員会の中立性。では、なぜ教育委員会の中立性が必要かは言わずもがなだけれども、政治からの中立並びに継続性ということですね。

 だけれども、一年ごとに任期が切れているから、今からちょうど十一年前、二〇〇二年に私が横浜市長になったときに、教育委員会は一人もある意味では入れかえることはまずできません。任期切れは誰もいないから。進退伺も出しませんから。そして、私がやめさせることもできません。

 そういう中で、一人任期切れが来たら一人入れかえる、また一年後に一人任期切れが来たらまた入れかえる。こうやって、初めて教育委員会というところで、実は私は、中身のある教育委員会を展開してもらいたいというミッションを出して、教育委員会改革を始めました。

 それまでの教育委員会は実に形骸化していました。

 横浜市の教育委員会は、午前中、月一回臨時会を開いて、せいぜい月二回、午前中一時間、しゃんしゃんで終わりです。議論はしていません。議論を全くしていないんですよ。事務局がつくった案に御了解いただけますね、異議なし、了解。これで終わるだけの教育委員会です。それが一月二回開かれているだけです。これは、明らかに教育委員会は形骸化していますよ。

 そのことを実は私以上にこの委員会室の中で知っている人が誰かといったら、義家政務官です。義家さん、この教育委員会の形骸化の実例をちょっと言っていただけませんか。

義家大臣政務官 もう七年前になると思いますが、私は、北海道の私立高校から、当時中田委員が市長を務められていた横浜市の教育委員として、まさに教育委員会改革を期待されて、戻ってまいった経緯であります。

 具体的に申しますと、当時中田委員が市長をしていらした横浜市、これは、教育行政としては最大の都市であります。当時五百十五の小中高そして大を管轄している非常に特殊な、日本で一番大きな教育の森であったわけですけれども、そこの最高権限者たる教育委員、まず最初に触れておけば、その教育委員の机もなければ部屋もなかったんです。

 法律上は、教育委員会、一律の、全ての設置者である、そして、その責任を持って判断をしなければならない教育委員、この機関の部屋もなければパソコンもなければ机もないという実態の中で、市長は、現在の法律の中で、市長の権限で最大限、この教育委員会の責任体制をつくるためにどうしなければならないかということで、私を含めた改革をしていった。その結果、部屋ができ、教育委員の机ができ、そして、形骸化した教科書採択から、全教育委員が徹底的に読み込む。教科書を読み込んだ上で、教科をまたいで判断していくようなシステム等々の改革を行っていった。

 しかし、どだいこれは無理でありまして、五百十五校も管轄しているわけですから、例えば所轄の事項を確認するだけで、私の机の上は一週間ぐらいでもう書類がこのぐらい山積みになっていきます。果たして、非常勤の教育委員がそれだけのものを判断することができるのかできないのか。これは、地方教育行政法がこのままでいいのかということをストレートに問うている事象であろうと思っております。

 今後も、委員とともに議論を深めながら、この地教行法のあり方について、教育委員会制度のそもそものあり方について議論させていただきたいと思っております。

中田委員 申し上げたとおり、私以上に教育委員会制度そのものの形骸化というのは義家政務官は現場でよく知っている人ですから、ぜひこれを教育委員会制度改革そのものにつなげていかなければいけないというふうに私も思います。

 大阪市の教育委員会が所管をしている学校は全部で五百二十です。横浜市は五百十三です。大阪市は実は幼稚園も入ってくるという意味では横浜市を上回っています。横浜市は市立幼稚園は一つもありませんので。しかし、大阪市に匹敵する教育委員会を預かったその経験が唯一あるのは私です。また、その教育委員会の中に入ったことの経験があるのは義家さんです。

 この大阪市の教育委員会も、制度論だけではなく実態としてやはり死んでいるんです、形骸化しているんです。横浜市の教育委員会は六人教育委員がいますけれども、私が市長になるまで義家さんみたいな人が教育委員になることはあり得なかった。完全に充て職なんですよ。

 どういうことか、短くぱぱっと説明しますと、横浜市医師会からお一人様、横浜市立大学の学長経験者お一人様、これは一人しかいませんね、当然、市立大学の学長なんというのは。横浜市の小学校長会からお一人様、横浜市の中学校長会からお一人様、こういう形で、そのポストが四年の任期で終わったら、その後、また横浜市の医師会から推薦された人が一人入る。これは完全に形骸化しているのはおわかりでしょう、これ以上言わなくても。

 大阪市も同様ですよ。大阪市は、法曹界、弁護士ですね、弁護士からお一人、それから経済界から一人、これは商工会議所に基本的には推薦してもらうという状態です。それから、ここにメディアの皆さんもいらっしゃるけれども、メディアからも一人です。朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、ここから順繰りに一人、これは社内推薦ですよ。

 こういう状態で教育委員をやっているわけですから、いや、それぞれの人に見識がないということを言いたいんじゃないですよ。そうじゃなくて、形骸化した人たちの選び方で、形骸化した委員会が一時間しゃんしゃんとやっている中で、果たして、学校教育をきちっと面倒見られるはずはないじゃないかなんというのは、ここにいる皆さんは誰だってわかるはずなんです。

 そして、そういった中、一つの事案で出てきているのが今回の大阪市のこの体罰事件でもあるわけです。これは切っても切り離せないですよ。だって、既に公益通報制度で大阪市役所に連絡が来ました、これは一昨年です。そして、そのことを今度は教育委員会に大阪市役所サイドから伝え、学校に対して、当時の校長に対して調査をさせた。させたけれども、全然体罰はございませんでしたの報告しか上がってきていない。教育委員会はその上がってきた報告を見て、体罰の事実は確認できませんでした、処分もありませんでした、おとがめも何もありませんでしたということで、今回の事件が発生しているんですよ。教育委員会制度が機能していないことによって生徒一人の命が失われている、このことは厳然たる事実。

 そこで、教育委員会制度そのものもこれは見直しをしていく必要があるわけです。このことについて、義家さん、教育委員会制度の見直し、ここについての御見解をお伺いしたいと思います。

義家大臣政務官 教育委員会制度の抜本的見直し、これは必要であろう、つまり、それは責任体制の確立であろうというふうに思っています。

 しかしながら、地方分権一括法以降、法定受託事務から自治事務となっているこの教育委員会制度についてどのような法改正及び立法ができるのか、ほかの法律との整合性、この観点も広く議論した上で法改正を検討していくスタートラインに立たねばならないというふうに認識しております。

中田委員 抜本的な教育委員会の制度のあり方ということを私はぜひ議論していく必要がある、このことは、先ほどから義家さんとは議論が完全にかみ合っているというふうに思います。恐らく、大臣にも後で答弁をいただきたいと思いますけれども、これはかみ合っているというふうに思うわけです。

 今まで、この教育委員会制度については、抜本的な改革というのは一度もされてきませんでした。先ほど申し上げたように、昭和三十一年に今の教育委員会制度ができて以来、本当にその場その場、こういう状態の教育委員会制度の見直ししかしてきませんでした。

 教育委員は今五人か六人なんです。五人か六人というのも、なぜこれが五人か六人か知っていますか。これは、地方分権一括法が成立して、教育じゃないんですよ、地方分権一括法が成立をしたときに、それにあわせて地教行法を改正して、そしてそのときに、それまでは教育長は五人の教育委員プラス一という存在だったものを、これから先は地方が判断できるようにしましょうというので、一人を教育委員会の委員にすることによって教育長にするというふうに見直したから、今五プラス一が六人の教育委員という形で各自治体が条例を改正して一人追加できるようにしたというのがその経緯ですから、全てその場その場だったというのは、こういう一例をとってみてもわかるじゃないですか。

 実は、平成十七年一月の中教審教育制度分科会地方教育行政部会のまとめ、これによりますと、地方教育行政について、大きく四つの問題点が指摘をされています。一、権限と責任の所在が不明確、二、地域住民の意向を十分に反映していない、三、教育委員会の審議が形骸化している、四、合議体ゆえに迅速さや機動性に欠ける、こういったことが指摘をされているのが、今から八年前です。これを今回の事案に照らしてみても、全くもってそのとおりだと、ここにいらっしゃる皆さんみんなが多分感じていると思う、党派は関係ないですね。

 八年前ということは、別に責任論を言うつもりはないですよ、だけれども、これは自民党政権のときですよ。そういう意味では、一度も抜本的な改革をしないでここまで来ているということ、その結果として、地方教育行政の責任というものは、先ほど大臣もそれぞれの責任とおっしゃったように、実に不明確なままこの地方教育行政が行われてきて、それは一言で言えばブラックボックス化しちゃっているんです。

 どういうことか。事なかれ主義、何か起きた後の事後対応、そしておっとりスピード、こういうような教育委員会になってしまっている。だってそうでしょう。毎日の現場の教員は常勤でやっているけれども、教育委員会の委員は非常勤で、月に二回出てきてやるんですか、こんなおかしな教育委員会のあり方を抜本的に変えるということは、何度も中教審でも諮ってきたし、中教審でも答申も出てきたけれども、そのことについては実は見直しがされてこなかった。

 これは八年前の、先ほど、自民党政権だから自民党が悪いと単純に言いたいのではなくて、やはり大臣、これは政権もかわったことだし、しっかりと本当に抜本的な改革に臨んでいく必要がある。義家政務官からは、先ほどそのことについては大いに取り組んでいくと言及がありました。大臣、しっかりやっていきましょうよ。いかがですか。

下村国務大臣 まず最初に、今の中田委員のお話を聞いておりまして、中田委員が横浜市長のときに、私、七年前に文部科学大臣政務官として、横浜市において特に特別支援教育についても力を入れておられるということで、そこの学校を視察に行かせていただいたことがございました。そのときに同席をしていた教育長が、今、文部科学省初中局の伯井財務課長、文科省から出向して教育長で横浜市に行っていたわけでございますが、当時から非常に教育改革に対して大変に熱心に取り組んでおられたことに敬意を申し上げたいと思います。

 その上で、教育委員会のあり方については全く共有いたします。これは既に、今の御指摘もございましたが、六年前に、安倍政権、当時第一次安倍内閣のときに、教育再生会議でも、この教育委員会のあり方について議論をし、提言をしていただきましたが、残念ながら、それがほとんど実現できないまま今日に来ていることは事実でございます。

 その上に立って、先ほど馳委員からも御指摘がありましたが、自民党においても、昨年の十月に教育再生実行本部をつくり、五つのテーマのうちの一つが教育委員会制度の見直しでございまして、その座長を、今、義家政務官ですが、義家さんにしていただいたという経緯がございます。

 それを受けて、きょうから、官邸において教育再生実行会議がスタートいたしました。この教育再生実行会議の中でも、きょうはいじめと体罰問題について御議論をしていただきましたが、あと一回程度でまとめて、三回目以降はぜひ教育委員会の抜本的な見直し案について教育再生実行会議で議論をしていただき、これもできたら夏までのうちに取りまとめをして、そしてそれを受けて、私としては、中教審に法律改正に伴う法案について諮問をしていきたいというふうに思っております。

 中教審でも急いでいただいて、来年の通常国会に抜本的な教育委員会のあり方の見直し法案を、ぜひ各党の御協力をいただきながら出していきたいというふうに思っておりますので、抜本的な、より我が国における、それぞれが責任を持った体制における、また、あるべき教育委員会のあり方について、国会の立法の場でも先行してぜひ議論をしていただきながら、来年通常国会で法案として成立できるような体制をつくっていただければ大変ありがたいと思います。

中田委員 大臣から明確に答弁いただいたと私は思います。来年の通常国会に教育委員会制度の抜本的な、これは抜本的なでよろしいんだと思いますが、改革のための法案を出すということでありますから、我々維新の会は、しっかりと自民党政権、公明党との連立政権が抜本的に、本当に、もちろん抜本の中身は問う必要がありますけれども、やることについては大いに是としていきますから、そのことについては私どもも、野党の協力ということも今言及がありましたけれども、御協力できるところは全面的に協力をしていこうと、今聞いていて思いました。

 自民党の公約を一応ここで確認しておきますが、自民党の政権公約では、現行の無責任な教育行政システムを是正するため、教育長を教育委員会の責任者とするなど、制度を抜本的に改革します、こうあるんですね。ですから、そういう意味では、手直しではない抜本的な改革というものを本当に実現していくことを、きょうの答弁をスタートとして始めていただきたいと思います。

 さて、残り時間わずかでありますから、ちょっと最後の質問をする前に一つだけ事実確認的なことをしますけれども、それは何か。今事案を受けての委員会の、体罰という件に関してであります。

 この体罰、文科省が果たしてどれだけ把握をできているのかということ、これはもう既にやりとりがあったかもしれませんけれども、一応簡単に確認だけさせてください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来、年間四百人ほど教員が体罰で懲戒処分を受けているという調査結果を御説明してございます。一方で、今回、昨日、実態把握をする調査を各都道府県、私立の学校等に要請をしたところでございます。

 その似たような調査は、平成十六年まで国で実施しておりました。その段階ではおおよそ体罰の事案が八百件程度報告されていたというのが、今把握している実態でございます。

中田委員 簡単に答弁をいただいたのは、これはどうしても確認をする必要があったからです。それはなぜか。

 これをごらんの国民の皆さん、あるいはこれをお聞きのここの委員会室の皆さん、僕は文科省をばかにするつもりもありません。文科省は本当に、それはそれできちっと教育行政をやっていると思います。ただ、実態はわかっていません。

 私は横浜市の市長をやってきました。義家さんに今答弁を求めている時間はありませんけれども、教育委員会が把握をしている実態を文科省は把握できていません。もっと言えば、学校現場で起きている実態も、教育委員会が機能不全の中においては実態も把握できていないと言ってもいいかもしれません。

 すなわち、今、文科省が四百件の体罰を確認していると言ったけれども、これは氷山の一角なんです。氷山の一角、この言い方もまだ抽象的ですから、もっとはっきり言いましょう。懲戒処分だけを文科省は把握しているんです。停職になりました、減給になりました、これは文科省は把握していますよ。それが四百件だと言ったんです、今。しかし、地方の教育行政の現場においては、そんなものじゃない、さまざまな事案、そして処分があるんです。

 例えば、新聞を読んでいると、世の中の多くの国民には多分理解できていないと思いますけれども、校長の口頭厳重注意とか説諭とか、これは懲戒処分じゃないんですね。これらの事案は文科省に一切報告されていません。逆に言ったら、今回の大阪の事案でもそうなんだけれども、これを教育委員会に上げてしまったら教員が処分されるから上げないという事態も発生しているわけです。

 ということは、文科省は把握できないんです。これは、文科省がだめだと言っているんじゃないんです。こういうふうに考えてください。文科省が全国津々浦々の実態を把握し、そのことについてより権限強化を文科省がして、そして教育をつかさどろうと思っちゃいけない。そんなことは無理。横浜市の五百校、大阪市の五百校、あるいは地方の山合いのどこかの小学校の分校、こういったところまで全国津々浦々文科省が全部把握するなんて無理なの。これはやめなきゃいけない。文科省がやる気になって、全国に対して私たちが責任を持ちますなんていう教育委員会制度のあり方の見直しではだめなんです。必要なのは、それぞれの地方に自主性を持たせる教育委員会制度をつくること。

 あわせて、きょうは質疑時間がないので、あとは我が方の維新の会の委員が別の機会にやっていきますけれども、学校ガバナンスなんです。校長がきちっと学校のマネジメントをできるようにしていく。何で教員が十八年間もいるの、このことに対して、十八年が悪いんじゃないんですよ、実は名物教員だって必要なんだ。だけれども、それに対して校長がガバナンスを持てていないんです。

 学校の部活動も教科も全部聖域化してしまっていることに対してガバナンスをしっかりと持てる、学校のマネジメント、そして地方行政のガバナンスを持てる教育委員会制度、このことをしっかりとやってもらうということが文科省のやることであって、文科省が責任を持ちます、我々が制度を全部掌握して私たちが津々浦々やります、こうではないということを抜本改革のときにはしっかりと考えてもらわなければいけない。

 最後、これは大臣に答弁を求めて終了したいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、これからも、文部科学省が全部責任を持つというような体制を強化しようとは考えておりません。教育は、できるだけ現場に近い位置で現場に権限を持ってもらってそして対応していくことが、よりスピーディーに早く的確に対応できることが多々あると思います。

 ただ、先ほどの議論の中でも出ていた中で、何かあったときに最終的に文科大臣が、例えば指導助言だけでなく命令をすることができる、生徒の生命にかかわるようなこと等、特別のときは何か対応しなければならないことがあるかもしれません。それは担保していく必要があるのではないかとは考えておりますが、それ以外についてはできるだけ現場、現場に移譲していくということが、より教育の活性化のためには目指すべき方向であるというふうには認識しております。

中田委員 終わります。

松野委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 信州・長野県より参りました井出庸生と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。

 質問に入ります前に、私の方からも、今回、大阪市立桜宮高校で自殺をされた生徒さんに、心からお悔やみを申し上げます。

 早速質問に入らせていただきますが、まず、きょうのさきの委員の皆様のやりとりの中でちょっと気になったところを質問させていただきます。お許しをください。

 馳委員と義家政務官とのやりとり、義家政務官の発言の中で、大阪桜宮高校でそういった自殺の問題が発覚してから教育委員会と警察の主体的な連携をしたという教育委員会からの報告はなかった、そのような御発言がありました。そのとき、文部科学省として、教育委員会に対して何か指導等をなされましたか。大臣、お願いいたします。

下村国務大臣 義家政務官の答弁はそういうことだというふうに思いますが、今後については、これは、亡くなった生徒のお父さんが告訴したということでもございますので、司法の場における議論になってくると思いますが、今後改めて、特に犯罪と言える部分については、学校現場においても警察としっかり連携をして対応していく必要が、今まで以上に子供の安心、安全のために必要だと思います。

井出委員 今私が申し上げました、先ほどの馳委員と義家政務官とのやりとり、教育委員会と警察の主体的な連携をしたという報告はなかった、このことを、きょう警察庁の方からお越しいただいています辻審議官はどのように受けとめていらっしゃいますか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 警察と学校との連携の問題でございますけれども、一般的なお話といたしましては、いろいろな連絡、連携の枠組みをつくりまして、いろいろな問題につきまして連携を密にするような形でやっておるところでございます。

井出委員 今回の問題は、若いとうとい命を落とすという重大な結果を招いております。きょうここで御発言をされた委員の先生の中には、今回の問題をもう事件だと発言されている委員の先生もいらっしゃいました。

 大臣は、この問題、事件だ、犯罪だとお考えですか。

下村国務大臣 これは、教育現場においてあってはならない体罰による子供の自殺だと思いますから、このことが二度と起きないような徹底解明とともに改善をしていく必要があるというふうに思いますし、警察等によっても、きちっと今後さらに真相については明らかにしていただきたいと思います。

井出委員 ありがとうございます。

 最初にちょっとこうした質問をさせていただいたのは、きょう私が質問をさせていただこうと思っていたのは、今、学校の中における体罰またいじめ、そういった暴力にかかわるトラブルの部分で、その解決の仕方、また警察との連携の仕方について聞こうと思っていたからであります。

 早速そちらの方の質問をさせていただきたいと思います。

 私は、今回本当に痛ましい結果となりました。しかし、体罰やいじめなど学校で起こる暴力を伴うトラブルについては、学校や先生、生徒、保護者、まずは学校現場のより近いところで、当事者の近いところで早期発見、そして大事に至る前に解決をしていくことが一番大切だと思っております。当然、犯罪事実が伴うような事案であれば、しかるべき刑事処分が必要だ。しかし、そうした結果を招く前に早期発見をするために、もっと言えば、暴力を伴うようなトラブルがあったときに、そのトラブル以前の状態、平穏な学校生活を生徒さんもまた学校の先生も送れるようになるのが本当の解決だと思っております。

 今回、質問に当たって、私は、文部科学省と警察庁の方に、体罰を含めた学校内でのトラブルの事案を、その数や最近の増減についてデータを事前に照会させていただきました。私自身としては、最近そういった学校内での暴力トラブルを学校の中で解決する力がない、力が落ちてきてしまっている、だから、刑事、警察の捜査に委ねる事例がふえてきているのではないか、そういった懸念をずっと持ってまいりました。

 しかし、残念ながら、文部科学省の方にも警察の方にも、きょうさんざん出ておりますが、体罰が、懲戒処分が年に四百件ですか、そのうちどれが刑事事件になったのか、また、刑事事件になったことで、その後、学校生活、平穏な生活が取り戻せたのか、そこまでも少し突き詰めていきたかったんですが、そういったデータが全くないと。

 まず、大臣に伺います。

 年間四百件です。生徒間のトラブルや生徒が教師以外の第三者に暴力を振るうようなケースは年間四万件近くあると聞いております。この四百件について、詳細な分析を今後のためになさるおつもりはありますか。

下村国務大臣 この四百件という懲戒処分の件数、体罰だけでということでありますが、それ自体も、毎年同様の数がある中で、これは深刻な数字だというふうに思います。

 先ほどの質疑の中でもありましたが、これは氷山の一角であるというふうに私も思います。これ以外の、これは体罰による懲戒処分の数ですけれども、実際の体罰なり、あるいは先ほどからはこれは暴力だという話もありましたが、暴力行為ということは学校現場でももっとあるのではないかというふうに思います。

 改めて、文部科学省として、昨日、各教育委員会に対して、これについての実態調査をすることを通知をし、お願いをいたしました。この数字を明らかにする中で、これからさらに文部科学省として何をなすべきかということについて対応していきたいというふうに思いますが、特に、今後、犯罪行為として取り扱うべきと認められる事案が発生した場合には、警察とも連携する必要があるというふうに考えております。

 これも、改めて警察と連携して、きょうそれについても発しておりますけれども、より学校現場における犯罪の位置づけについては明確にしながら、子供たちの命が守られる、また子供たちの人権が守られる、そういう教育現場の改善に向けてしっかり対応していきたいと思います。

井出委員 この四百件という数字について、警察サイドの辻審議官の方にもお話を伺いたいと思います。

 警察は、たしか平成十四年に刑法犯の認知件数が過去最悪となった、それから長い期間をかけて詳細なこれまでの犯罪事実を分析して、該当犯罪を中心にそういったものの減少につなげてきた。また、直接的に関係はしませんが、わかりやすい事例で話をさせていただければ、この数年の交通事故の減少、それは、一件一件の当事者の年齢や事故のあった発生の時間帯など詳細な分析を警察が長年かけてやってこられたから、そういった実績があったものだと私は考えております。

 学校での暴力のトラブル、特にこの体罰の問題について、警察サイドとして、そうした検証、分析をされるおつもりはありますか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 体罰問題一般について、常に警察に届け出なり報告なり通報なりというのが行われてくるわけではございませんので、警察におきましては、正確な数字を把握してそれを分析していくということはなかなか難しいかなと思います。

 ただ、犯罪という形になりましたものにつきましては、当然、警察においてその犯罪の数というのは見ていく必要があるのかなというふうには思っております。

井出委員 学校内の暴力のトラブルが、犯罪の事実が認められる、そうした場合は、今大臣、審議官おっしゃったように連携が必要だと思っております。

 しかしながら、そういったものを、調査を尽くさなければわからないようなトラブルもあります。発覚が遅くなって診断書がないようなトラブルも多々あります。私、実際、ことしに入ってから、そういった事案に対する生徒、保護者、また学校の話を聞いてまいりました。そうした場合に、警察に捜査を委ねると、先生とお子さんがトラブル以前の状態に戻るのが本来の解決であると思うのですが、刑事捜査もしくは裁判、そういったものの方に関係者の目線が集中をしてしまって、本来の解決方法がおざなりになってしまうのではないか、そういった懸念も持っております。

 ですから、私は、最初に申し上げたように、学校現場に身近なところの相談体制をまず強化していただきたい。今、大臣の方からも警察との連携というお話がありました。審議官の方からもありました。それはどのようなことを想定されていらっしゃいますか。例えば、担当は県警本部になるのか、所轄ごとにやっていくのか、生活安全部がやるのか、刑事部がやるのか、現在の想定を少しお聞かせください。

辻政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、警察本部あるいは警察署の方にそういったいろいろな相談をお受けするところがございますので、そちらの方にお越しをいただきましたら、お話をよくお伺いしまして、事件性があるものにつきましては当然事件としての取り扱いということになってまいりますし、また、他の適切なところに御相談される必要があればその旨教示するとか、そういう形で適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

井出委員 きょうの、これまでのほかの委員の皆様とのやりとりの中でも、教育委員会の方が余り機能していない、そういったお話が出ました。教育委員会にも、学校や、また保護者、生徒が事前に相談しているケースが、私が知っているものも多々あります。しかし、相談に乗ってくれるんだけれども、解決の役には立っていないと。

 最初の方の、ほかの委員の方のお話でもありましたが、やはり、身近で解決をしていく。そのためには、ふだん現場から離れている警察や教育委員会ではなかなか問題の解決ができない。そういう意味で、現場の人の拡充といったものが一番効果があるのではないかと思っておりますが、そのあたり、大臣、お考えをお聞かせください。

下村国務大臣 御指摘のように、学校における児童生徒の教師に対する暴力行為や教員の体罰について、子供の悩みや不安を聞き取ってその解消を図るなどの未然防止の取り組み、暴力行為が発生した場合には、その兆候をいち早く把握し迅速に対応する早期発見、早期対応の取り組みが必要であるというふうに思います。そのために、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の配置による教育相談体制の充実、学校と警察等関係機関との連携強化、こういうことに取り組むことが必要であると思います。

 特に、学校と警察との連携強化については、先ほども御説明いたしましたが、本日、学校と教育委員会等が警察におけるいじめ問題への対応の考え方を理解しつつ、これまで以上に主体的に警察と連携協力し、取り組みを進めていくよう、留意事項を示す通知を発出したところでございます。

 また、公立学校の教員配置については、いじめや暴力行為など、生徒指導上特別な配慮が必要な児童生徒に対する指導を行うための追加的な定数措置を行っております。

 平成二十五年度概算要求においても、生徒指導体制の充実のための教職員定数の改善、また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充などの教育相談体制の充実、さらに、元警察官等を活用した生徒指導推進協力員などの外部人材の積極的な活用などの施策に要する費用を計上しているところでございまして、できるだけ早期発見につなげるための学校現場の人員拡充について対応していきたいというふうに考えております。

井出委員 私はまだ政治家になりたてでありますが、国会議員ということでそういった相談にもう既に乗ってまいりました。しかし、事が起こってから相談に乗っても、調べることはできる、話を聞くことはできる、そういう限界も感じております。今の教育委員会も、相談に乗ることはできる、そういう状態ではないか。警察の方も、やはり事件性がなければ、事が起きなければ動けない。

 どうか文部科学省の方には、早期発見、現場で相談をしやすくする、現場でそういったものを未然に防いでいく施策の方に力を入れていただきたいと要望させていただいて、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

松野委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 私からもまず、亡くなられた男子生徒の御冥福を心からお祈りし、御遺族に対しても心からのお悔やみを申し上げたいと思います。

 子供たちの命を育むはずの教育現場で発生した今回の事件。子供の命を最優先にすべき学校には絶対にあってはならない事件だと思います。

 大臣も十一日の記者会見で、いかなる場合にも体罰をしてはならない、こう述べられ、本日の答弁でも先ほど来繰り返しそう述べられております。

 まず、確認いたしますが、この認識は万全なものだと理解してよろしいですね。

下村国務大臣 教員等は、児童生徒への指導に当たりまして、いかなる場合にも体罰を行ってはならないものであります。また、部活動において、試合に勝つことや強くするために体罰を厳しい指導として正当化するようなことは誤った認識であり、ましてや、体罰により子供が命を落とすようなことは子供の命を預かる学校としてあってはならないことであると考えますし、ぜひこれを徹底していきたいと思います。

宮本委員 言うまでもなく、児童生徒への指導に当たり、学校教育法十一条ただし書きに言う体罰はいかなる場合にも行ってはなりません。

 ところが、既に明らかになっているように、今回の事案が起きた大阪市立桜宮高校では、バスケットボール部を初めとした部活動、授業時間内でも体罰が常態化をしていた、これは報道でもなされております。

 文科省の調査では、体罰で処分された教員が二〇一一年度で四百四名、うち部活動での体罰は百八人、過去五年間ほどさかのぼっても、大体四百人前後が処分され、部活動においても八十から百名近い教員が処分をされております。

 そこで、これも大臣にお伺いするんですが、なぜ体罰が根絶されない、こうお考えになりますか。

下村国務大臣 体罰は法律違反である以上、命にかかわる深刻な問題であり、いかなる場合にも許されないものであるわけでありますが、にもかかわらず、これだけの処分を含め、体罰がなぜ根絶されないのかということでございます。

 毎年多くの教員が体罰による処分を受けている、これは、学校や教育委員会における体罰の調査や対応のあり方、また部活動において試合に勝つことや強くするために体罰を厳しい指導として正当化するような誤った認識があるなど、いろいろと課題があるというふうに考えております。

 昨日、改めて体罰の禁止の徹底と実態把握についての通知を発出したところであり、改めてこの指導を徹底してまいりたいと思います。

宮本委員 運動部に体罰はつきものなどという間違った考え方がございます。そもそも、運動部活動と体罰は絶対に相入れない関係にあるはずのものだと私は思うんですね。

 全国高等学校体育連盟は、一月の十八日付で、「運動部活動における体罰根絶に向けて」という通知を出しました。指導者みずからが運動部活動の中で体罰を行い、それも常態化していたということに及んでは、まさに言語道断であると言わざるを得ません。こう指摘した上で、いま一度あるべき教育の原点に立ち戻り、体罰根絶に向けた取り組みを呼びかけております。

 また、実際に運動部活動にかかわる方々からも今声が上がっております。沖縄の興南高校野球部の我喜屋優監督は、指導者は感情が先走ってはいけない、言い聞かせることが大切、殴り聞かせるという言葉はない、こう語っておられます。また、帝京中学・高校ラグビー部の嶋崎雅規顧問は、部活動はあくまで生徒のためのもので彼らが楽しいと思って取り組むもの、その根本を見詰め直せば体罰はもちろん部活動の進め方も改めるべき、大人が勝ちたい、結果を出したいと思い始めるからおかしくなる、子供たちが勝ちたいと思って大人たちが応援するのが本来の形と語っておられます。

 そもそも、我々が一昨年に成立させたスポーツ基本法では、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは国民の権利であると明記をいたしました。これはスポーツ・青少年局にお伺いいたしますが、運動部活動における体罰などというものは、学校教育活動の一環という点からももちろん許されないわけですが、スポーツ基本法が定めたスポーツの基本理念に照らしても絶対に許されるものではない、私はそう思いますが、そういう認識はございますか。

久保政府参考人 先生御指摘のとおり、スポーツ基本法二条におきましても、今おっしゃられた、幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利であること、さらに、二条の二項では、「青少年のスポーツが、体力を向上させ、公正さと規律を尊ぶ態度や克己心を培う等人格の形成に大きな影響を及ぼすものであり、国民の生涯にわたる健全な心と身体を培い、豊かな人間性を育む基礎となるものである」などと規定されておりまして、これらの規定からも、御指摘のとおり、運動部活動における体罰は決して許されるものではないと考えているところでございます。

宮本委員 当然のことだと思うんですね。

 昨日、文部科学省は、「体罰禁止の徹底及び体罰に係る実態把握について」という、この通知を発出いたしました。二月の二十八日までに第一次報告、四月の三十日までに第二次報告をとって、体罰の状況などを掌握するとしております。体罰の実態を把握し、体罰禁止の周知徹底を図ることは当然のことでありますけれども、しかし、掌握して、体罰を行った教員等を処分するだけでは根本的な解決にはなりません。繰り返し体罰禁止の徹底を叫ばれながら、一体どこに問題の根があるのかをきちんと解明して、これに対処する必要があると思うんですね。

 そこで、私は、興味深い調査研究結果を二つ御紹介したいと思うんです。

 これは、奈良教育大学の高橋豪仁教授と株式会社ネオキャリアの久米田恵氏が共同で行った、「学校運動部活動における体罰に関する調査研究」というものであります。

 この研究では、奈良教育大学の学生を対象に質問紙調査を実施して、中学、高校の運動部活動を想起、思い返すやり方で、体罰についての実態を明らかにするとともに、学生らの体罰についての是非の意識、体罰を容認するかしないかの是非の意識が何によって規定されるのかを検討しております。

 その結果、男子学生の方が女子学生よりも体罰が必要であると答える割合が大きく、また、体罰を経験したことがある者は体罰を必要である、よいことであると肯定的に捉える傾向が強いことが明らかとなり、体罰経験が体罰を再生産する可能性がある、こういう調査結果が示唆されております。

 これもスポーツ・青少年局でいいんですが、この調査研究に示された、体罰経験が体罰を再生産する可能性について、承知しておりますか。

久保政府参考人 この高橋教授等の論文につきましては、昨日、先生からいただいた内容を確認させていただいたところでございます。したがいまして、それまでは具体的なデータについて承知しておったわけではございません。

宮本委員 この研究では、調査結果を踏まえて、体罰の消極的容認ということについて論じているんですね。

 体罰の善悪を問えば、否定的に答えた者が約九五%だった、善悪を問えば。否定的な答えが九五%だった。しかしながら、完全否定する者は全体の約半分にとどまった。こういう結果を引いて、本研究の調査対象者は奈良教育大学の学生であり、大半が教員志望である、体罰にはさまざまな問題があり、学校教育法で明確に禁止されているにもかかわらず、学校運動部活動における体罰を完全に否定する者が全体の半数にとどまっているのは大きな問題だ、これから教員になろうとする者がその程度の認識であるのは大きな問題だ、これはそういうふうに指摘をしております。

 もう一つは、この「中学校・高等学校の運動部活動における体罰」と題した冨江英俊関西学院大学准教授の調査研究であります。

 同じような調査を冨江さんも行っているわけですけれども、この調査では、運動部の雰囲気と体罰経験との関連を調査して、中学、高校とも非常にはっきりした相関関係があらわれた、それは、勝利至上主義、根性主義が強い、民主的でない運動部ほど体罰が行われる率が高いと指摘をしております。

 先ほどの奈良教育大の研究、それからこの冨江英俊氏の研究成果なども踏まえて、教員養成教育、とりわけ体育教員の養成教育に、体罰を一切容認しない、消極的容認というようなことも断じて認められないということや、やはり運動部活動の民主的なあり方についてきちっと位置づけて教員養成に当たる必要があると私は思うんですが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 宮本委員のお話をお聞きしていまして、連鎖ということで、DVもそうだということを聞いたことがあります。親が子に対して暴力を振るうと、その親自身が子供のころ暴力を受けていた経験、体験率が高いのと同じことかなというふうに、お聞きして思っておりました。

 しかし、体罰そのものは悪いと認識しているわけでありますから、ぜひ、これを機会に改めて、体育の場においても徹底した意識改革をそれぞれの教員養成の大学においても徹底していただきたいと、改めて今委員のお話を聞いて感じているところでございます。

宮本委員 おっしゃるとおりで、その連鎖というものを断ち切るのは、今まさにここで断ち切らなければ、連鎖があるから仕方がないという話じゃないわけであって、その点でも、この体罰の消極的容認論、つまり、強くするためには体罰は必要とか、運動部活動に体罰はつきものとか、こういうような認識が学校現場やあるいは場合によっては首長などの中にも根強く残っていることがやはり問題だと思うんですね。

 例えば、橋下徹大阪市長は、一月十二日の午後、被害生徒宅を訪れ両親と面会するまでは、口で言って聞かなければ手を出すときもあるなどと公言し、スポーツの指導で頭をたたかれたり尻を蹴られたりすることは普通にあると思っていたと語っておられます。遺族と会って、認識が甘かったと、これは認識を改められました。

 まず文部科学省に確認いたしますけれども、口で言って聞かなければ手を出すこともあるんだとか、スポーツの指導で体罰はあり得るという認識は、これは間違っておりますね。

久保政府参考人 運動部活動におきまして、試合に勝つ、あるいは強くなるために体罰は厳しい指導として必要だとか、正当化するような考え方は、誤った認識であると考えております。

宮本委員 ところが、大阪市長でさえ、十二日には間違った認識を改めて、十四日の成人式では部活での体罰禁止を徹底すると表明したにもかかわらず、十五日になってもまだ、強くなるために部活での体罰は一定あるなどと発言し、あり得る体罰とそうじゃない体罰の線引きが必要などと発言した者がおります。義家政務官、それはあなたですよ。

 十五日、大阪市教委との意見交換後、部活の体罰に線引きをと語ったと夕刊紙、読売でも毎日でも報じられておりますけれども、これは事実ですね。

義家大臣政務官 事実でございます。

宮本委員 しかし、その認識は、今、全く間違っているということを文科省も答えられました。大臣も冒頭に答えられました。これは全く不適切な発言で、撤回すべきじゃないですか。

義家大臣政務官 若干、発言を断片的に捉まえている部分があると思いますけれども、私が言ったことというのは、まず、大前提として、学校教育法第十一条に定められている体罰つまり有形力の行使、あるいは通達で出ている、被罰者に肉体的苦痛を与えるような懲戒はそもそも禁止されているという前提で、懲戒としての指導の中で体罰に含まれる部分と含まれない部分、有形力の行使、体罰はまず前提として禁止であるといった上で、部活動の懲戒としての指導、あるいは指導と名した懲戒の中で、ここまでは体罰に当たるのではないか、これはやり過ぎではないか、このぐらいはやらなければ部活が強くならないのではないか、そういった線引きの議論を行うべきであろうというのは、現場の教師から、今も連日、私のもとに相談のメール等々が来ています。大きな声で怒っただけで体罰になっちゃうならば我々はなかなか指導ができないというような、現場の切実な思いも実は届いているわけですね。

 だからこそ、こういった部活動の指導でどのようなことが問題として想定し得るか、これは具体的に考えねばならないという趣旨で発言いたしました。

宮本委員 問題をまぜ返しちゃだめなんですよ。

 もちろん、ある行為が体罰に当たるかどうかという議論はあるでしょう。やられてきたことはわかっていますよ。体罰に、あっていい体罰があるという議論はないんですよ。体罰はだめだとはっきりしているんですよ。

 ところが、あなたがおっしゃったのは、あり得る体罰とあってはならない体罰と線を引くんだとおっしゃったから、「部活の体罰 線引きを」というこんな見出しが新聞に躍るわけですね。

 これは間違いだ、これについては撤回する。いいですね。

義家大臣政務官 お答えいたします。

 正確に改めて申しますと、あり得る懲戒的指導と、そして、体罰の範疇に入る懲戒的指導ははっきりと分けなければならない、そういうふうに改めて言及させていただきます。

宮本委員 私がこれにこだわるのはなぜかといいますと、要するに、体罰というものが今日横行している大もとに、少しぐらいの体罰だったらという消極的容認論というのはやはりあるわけなんですね。

 現に、今回の桜宮高校のバスケット部顧問も、昨年十二月二十八日の市教委での聞き取り調査に対して、強いクラブにするには体罰は必要と答えた、気持ちを発奮させたいがためにそうしたなどと答えております。さらには、たたくことでよい方向に向く生徒もいた、中には、たたくことでよかった例もあるんだとまで答えたと報じられている。

 そういう実態があるときに、文部科学政務官が、あり得る体罰とそうでない体罰の線引きが必要というふうに発言したと報じられれば、体罰の中にはあり得るものもあるのかという誤解を生むからこそ、これが消極的容認論を是正するどころか広げる結果になる、だから致命傷だ、この言葉は間違いだということを繰り返し申し上げているんですね。そういう結果を生むことになるという御認識は、義家さん、お持ちですか。

義家大臣政務官 この議論は、やはり私はきちっと行うべきことであろうと思っていますが、例えば有形力行使についての体罰、この問題について、教育委員会で判断し得るケースと、これは絶対に警察の問題なんだということで判断し得るケース、そこもやはり分かれると思います。

 教育現場にいるときに、例えば、金八先生の中でもびんたしたような映像がありまして、非常に名物シーンとなっていますが、もちろん、そのびんたという行為は体罰なんです。許されることではないんです。しかし、それが上がっていったときに、そのケースのときにどうだったかというふうに教育委員会で議論する範疇の問題と、日常的、継続的に行っている暴力の問題とは、全くかけ離れたものであろうと私は思っているんですね。

 今回の事件に関しては、私は、これもぶら下がりで言ったとおり、日常的、継続的に行われていた精神的、身体的暴力である、そういう定義の中で、教育委員会で議論するというよりも、しっかりと警察と連携し、そして、警察も情報を出さなければ、当時の時点ではなかなか動きづらい、動けないような状況にありましたので、そういう指導をしたところでございます。

宮本委員 今回の事例はそんな話と関係ないんですよ。あなたが言うとおりだ。そんな、別に懲戒の話じゃないんですよ。そうでしょう。にもかかわらず、強くするために体罰は一定あり得る、そんな発言をするから問題だと言っているんじゃないですか。そんなことで政務官が務まりますか。それは絶対、そういう発言は撤回すべきだと申し上げておきたいと思います。

 今回のような不幸な事件を二度と繰り返さないためには、体罰の線引きなどではなく、教育現場からいかなる場合においても暴力である体罰は一掃すること、運動部の運営も教師集団のあり方も何よりも民主的でなければならないことを強調して、私の質問を終わります。

松野委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木愛です。

 今国会から文部科学委員会の方に所属をさせていただきました。早速に質問時間をいただきまして、御配慮に感謝を申し上げます。質問が重なりますが、よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、下村大臣にお伺いをいたしますが、桜宮高校の体罰問題の本質といいますか背景といいますか、どうしてこうした問題が起きてしまったのか、お伺いをさせていただきます。

下村国務大臣 教員等は、児童生徒への指導に当たり、いかなる場合にも体罰を行ってはならないものであります。ましてや体罰により子供が命を落とすようなことは、子供の命を預かる学校としてあってはならないことです。また、教員等は、部活動の指導に当たり、いわゆる勝利至上主義に偏り、体罰を厳しい指導として正当化することは誤りであるという認識を持つことが必要であり、このことをこれから徹底してまいりたいと思います。

 本事案については、大阪市教育委員会において、市長部局とともに、外部監察チームの協力を得ながら調査を進められるものと承知しておりますが、文部科学省としても、平成二十三年度、公益通報があった際の調査のあり方も含め、事実関係を徹底的に調査し報告するよう指導しているところでございます。引き続き、調査が適切に進められ、再発防止策が講じられるように、教育委員会を指導してまいりたいと考えております。

青木委員 ありがとうございます。

 勝利至上主義と学校の限られた環境の中で、教員も、生徒も、そして保護者も、勝利に向かってということで、勝利至上主義という一つの問題と、そして隠蔽体質、また学校教育の部活動の位置づけ等々、さまざまな視点が複雑に絡んでいたのではないかなというふうに思っております。

 義家政務官にお尋ねをいたします。

 この問題の報道があってから大阪市教育委員会を訪問されたというふうに伺っておりますが、まず、関係者から聞き取りをされて、今回の件をどのように捉えておられるか、改めてお伺いをさせていただきます。

義家大臣政務官 お答えさせていただきます。

 実を申しますと、本案件が起こったのは昨年の十二月二十三日、そして、報道発表が行われたのが一月の八日でございます、八日の十時。文部科学省にその時点でこの事態への報告があったかといえば、全くございませんでした。

 まず、この時点で、文部科学省から大阪市の教育委員会の方に、事実はどうなって、どういう案件として、今どういう実態になっているのかという照会を行い、部分的な情報をいただいたのが十時五十分の段階であります。

 それからも再三のように文部科学省より大阪市教委の方に問い合わせを行ってきましたが、情報が後手後手で全く上がってこないというような状況の中で、一月十五日、大阪市教育委員会を訪問いたしまして、教育委員長を初めとする教育委員及び学校長等から意見の聞き取りを行いました。

 具体的にお話ししますと、顧問教諭の暴力の内容、今後の調査の進め方、バレー部顧問の停職処分後の顧問復帰への経緯について、また、大阪府警との連携がどうなっているのか、教育委員長、教育委員へこの案件についてどのような報告が行われていたのか等々の聞き取りを行った次第であります。

 本事案については、外部監察チームの協力を得ながら調査中であると承知しておりますが、昨年度、体罰にかかわる情報が公益通報制度によって行われているにもかかわらず、しっかりとした対応がなされなかった等々の調査のあり方も含め、学校における体罰への対応に大きな課題があると考えておりまして、責任を持って徹底した事実解明を行い、そして文部科学省への報告もしっかりとしていただくように指導させていただきました。

 先ほどから繰り返しになりますが、体罰は学校教育法上で禁止されている行為でありまして、かつ、社会一般においても許されない行為であります。また、教員等は、部活動の指導に当たり、いわゆる勝利至上主義に陥り体罰を厳しい指導として正当化することは誤りであるという認識を持たねばなりません。このことを改めて徹底していくことが必要であると考えております。

青木委員 ありがとうございます。

 非公開で、一時間にわたって教育長また佐藤校長さんと会談をされたということなんですけれども、一時間というのは長いようで短いんですけれども、その一時間の中で、今義家政務官がおっしゃったようないろいろなやりとりがあったんだろうと思います。

 先ほどの質疑の中でも肌感覚という話もございましたけれども、実際、面と向かって教育長や校長とお話をされる中で、義家政務官でありますから、何かこういういろいろな熱い思いが沸き上がったのではないかなというふうに思っているんですけれども、その辺の感覚について、生のお声をぜひ聞かせていただきたいと思います。

義家大臣政務官 お答えさせていただきます。

 まず、私が向き合った中で一番印象に残ったのは、全校生へのアンケートはどうするのか、今後の方針はどうするのか等々を聞いたときに、必ず枕言葉で、外部監察チームと相談しというような文言が入ったわけであります。これは大津の事件にも共通することですが、大津も外部調査チームが設定されて、教育委員会は外部調査チームの判断を待つという状態で、いまだに夏から結論を出していないわけですね。

 つまり、まず、あなたたちが、教育委員会がしっかりと今ある事実、生徒の名前を知っているのも教育委員会なわけですから、そのために主体的に動かなければならないんだ、人におんぶにだっこではなくて、まず、みずからがどういう方針を出していくのか、それを外部チームに提案することだって考えていかなければならないのではないですかというお話をさせていただきました。

 そして、もう一つ感じたのが、これは行政の特徴でもあるわけですけれども、非常に一つ一つがオブラートに包まれたようなお話でありました。

 一方で、その聞き取りの後、遺族宅を訪問させていただきました。その場所で聞かれた一つ一つの具体的な内容に、私自身も涙を禁じ得ませんでした。つまり、生徒の側の、あるいは遺族の側の受けとめている問題意識よりも、教育委員会は、いかにしてこの問題を処理するのかというか、いかにして判断するのかということを最優先しているのではないか、そんな肌感覚を持った次第であります。

 いずれにしましても、この悲劇、これは二度と繰り返してはならないことでもありますし、まずは失われた命に誠実に向き合わなければならない責任が教育行政にはあるのではないかと思っております。

青木委員 ありがとうございます。

 その外部監察チームというのがどういう組織なのかちょっと私もわかりませんけれども、いずれ、教育委員会のその責任の所在がはっきりしていない、その処理という言葉にも象徴されるように、そういった肌感覚を政務官としてお受けになったんだというふうに思います。

 先ほど、懲戒と体罰は区別するべきだという話がございまして、そして、政務官がおっしゃっている、恒常的な暴力と受け取ったということなんですけれども、それもまた別であり、教育委員会と警察の取り扱いも、というか、警察の取り扱うほどの暴力的な行為と受けたということでよろしいんでしょうか。

義家大臣政務官 お答えさせていただきます。

 昨日、遺族の方から被害届が出て警察が受理する、そういう案件であろうと認識しております。

青木委員 今後、また現地に訪れる予定はございますでしょうか。

義家大臣政務官 まず、一義的に文部科学大臣の指示を仰ぎたいと思っております。

青木委員 ぜひ、義家先生には、この問題が解決するまで全力でお取り組みをお願いしたいと思います。

 福井副大臣にお尋ねをさせていただきますが、このたび、義家先生が一月十五日に行っておりますけれども、その同じ日に、高体連またJOCが加盟各競技団体に対して通達を行っていると聞いておりますが、このことについては承知をされていますでしょうか。

福井副大臣 今、先生御指摘の日本オリンピック委員会、平成二十五年一月十五日付で、「指導者として相応しい行動の指導徹底について」と題しました通知を加盟団体の会長及び理事長に対して発出しております。同時に、全国高等学校体育連盟が、「運動部活動における体罰根絶に向けて」と題しまして、この通知を各都道府県高等学校体育連盟会長及び各協議専門部長に対して発出いたしました。

 以上のことは文部科学省としても承知をいたしております。

青木委員 これは、文科省からの何らかの働きかけがあったということでしょうか。

福井副大臣 先ほど申し上げました文書、発出された通知は、それぞれの団体において主体的に発出されたものでございまして、文部科学省から働きかけは一切行っておりませんことを付言させていただきます。

青木委員 ありがとうございます。

 今回の件を受けて、先ほどからさまざまな御議論がありますけれども、なかなか報告が上がらなかったという報告のおくれや、義家政務官の聞き取りも後手に回ったという印象があるわけですけれども、橋下市長のこのたびの対応について賛否はあるにしても、行政の長が、所管する地域の学校に通う児童生徒の健やかな成長を願って責任ある立場として教育行政に意見を言う、場合によっては直接かかわる必要性も時にはあるだろうというふうにも思うんです。

 きょう、教育再生実行会議が開かれていると大臣が先ほどおっしゃっておりまして、いじめと体罰の問題について議論があったということですので、ちょっとその辺も踏まえて、今後の政治と教育行政のかかわり方、距離感、これをどのようにお考えか、下村大臣の御所見を伺わせていただければありがたく存じます。

下村国務大臣 きょう午前中、官邸におきまして、教育再生実行会議が開催をされました。テーマとしては、いじめ、体罰問題について、それぞれ有識者の方々から見解を出していただきました。これについては、ぜひ、各党それぞれこのいじめ問題については対応するということを選挙公約等にも書いておられるところでもございますし、これは、党派を超えて、できましたら議員立法でこの通常国会で成立をしていただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。

 それに資する材料として教育再生会議でも一定の提案をしていただきたいということで、あと一回の中で、いじめ、体罰については提案をしていただいて、それを今後、国会議論の中でさらに展開をしていただきながら議員立法に向けて集約をしていただければ大変ありがたいと思います。

 そして、その次のテーマが教育委員会の抜本的な見直しでございますが、今の御指摘のように、首長とそれから教育委員会とのかかわりの問題というのがございます。

 先ほども議論がありましたが、大阪市の教育委員会も、今までも事前通報されていたのにもかかわらず、この体罰の問題について結果的に対応できていなかったというようなことも含めて、形骸化しているところがやはりあるのではないかというふうに思います。

 一方で、だからといって、そうと言える一方で、首長が今の法体系を逸脱して対応をすることについて、これは認められるものではありません。やはり法治国家ですから、法のルールのもとで教育行政も展開をしていただきたいというふうに思います。

 しかし、今回の大阪の問題を含めて、教育委員会のあり方も課題として見えていることは事実でありますから、今後、教育委員会の抜本的なあり方の中で首長とそれから教育委員会のかかわりのあり方、これについても大きなテーマとして議論をしていただきたいというふうに思っております。

青木委員 ありがとうございます。

 そのためにも、重要な資料になるんだというふうに思いますけれども、これから、昨日ですか、調査を発出されたということでありますが、その調査内容をどのような方法で、そしていつごろその報告を求めているのか、お伺いをさせていただきます。

下村国務大臣 昨日発出した通知においては、都道府県教育委員会等に対して、体罰の実態等を把握し、体罰の発生件数等について報告するよう、具体的な報告様式を提示して求めております。

 具体的には、実態把握を行うに当たっては、教職員のみならず児童生徒や保護者への調査もあわせて行ったり、必要に応じて、個人情報の取り扱いに配慮しつつ外部の第三者に参画していただくなど、正確に実態を把握するための手法を工夫すること。

 そして、報告期日については、平成二十五年二月末までに、平成二十四年四月から平成二十五年一月までの体罰の状況を取り急ぎ報告していただく第一次報告をしていただきます。そして、第二次報告として、今回の通知を踏まえて新たに実施した調査の結果により把握したものについて、平成二十五年四月末までに報告していただくことをお願いしております。

 報告項目については、体罰の件数や懲戒処分等の状況、体罰が行われた場や体罰の様態、被害の状況等について報告様式に基づき報告すること等を求めているところでございます。

青木委員 先ほども議論がございましたけれども、ぜひ、この調査の中身がしっかりとしたもので次の改善につながるものとなりますことを私も望んでおります。

 この調査結果は、当委員会に報告する予定がございますでしょうか。

下村国務大臣 調査の結果については、まとまり次第公表したいと考えております。

 当委員会への報告については、委員会から要請があれば対応させていただきます。

青木委員 ぜひ当委員会に御報告をお願いしたいと思いますが、松野委員長にお取り計らいをお願い申し上げたいと存じます。

松野委員長 理事会で協議をいたします。

青木委員 今回の一つの要因で、隠蔽体質が問題となされておりますけれども、やはり、限られたスペース、限られた関係者でその勝利至上主義の特殊な環境がつくられたというふうに思っております。具体的に、監督、コーチの補佐役、あるいは監督、コーチの外部招聘も含んで、ちょっと外の人を中に入れていくという方法もあるのではないかなというふうに思っています。

 いじめやまた体罰、子供もその成長の途上にありますので、学校はいろいろなことがありますから、そういう場所でありますので、学校も、全てをさらけ出すとまでは言いませんけれども、その外を、地域を、周りを巻き込んだ形で今後やっていったらいいのではないかなというふうに思っております。

 いずれ、二度とこのようなことが起こらないように、文部科学省を挙げて、この調査結果を受けて、それからが大事だというふうに思いますので、ぜひ果敢な取り組みをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松野委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 初質問になりますが、質問の機会を与えてくださった委員長ほか各党理事の皆様に、冒頭お礼を申し上げたいと思います。

 さて、今回の桜宮高校の事案でございますが、私自身も、高校時代にバスケットボール部に所属をし、また、インターハイやあるいは県大会で優勝するだとかそういう経験を持っております。それだけに、好きで始めたバスケットで命を絶たざるを得なかった生徒さんの無念を思えば、御遺族にかける言葉すら見つかりません。何とも痛ましい、二度と繰り返してはならない事案だと思っておりますし、そのためにも、どれだけ子供たち、生徒たちの側に寄り添って私たちが今後の対策を考えていけるのか、これが鍵になるというふうに考えております。

 そこで、事前に質問通告をさせていただいておりましたが、ちょっと、きょうの委員会を聞いておりまして若干気になったことがありますので、まずその点から確認させていただきたいと思います。

 それは、今回の事案について、学校の中にそういう風潮がある、あるいは体罰を無批判に受け入れてきた、そういうお話あるいは報道がこの間されておりました。まるで、生徒の方にも責任はある、そのように聞こえるようなお話もございました。私は、この考え方は明らかに間違っている、生徒には何の責任もないんだというふうに思っております。この点についての大臣の認識を尋ねます。

下村国務大臣 当然、生徒に責任はありません。

吉川(元)委員 それでは伺います。

 これは既にもう多くの委員の方が尋ねたことでございますが、今回、体育科の二つの学科を募集停止にするということが行われました。これは、本来、その原因究明をし、再発防止策を確立する、ある意味でいえば、行政を担う人間は、生徒に向かって、もう二度とこういうことが起こらないようにするから安心して受験をしてほしい、こう言わなければいけない立場にある人々が受験の募集を停止する。これについて、私は、明らかに間違っているのではないか、先ほど言いましたとおり子供たちや生徒たちに寄り添った判断ではないというふうに思いますが、これについての大臣の見解を伺います。

下村国務大臣 入学試験におきましては、設置者の教育委員会の判断により実施されるものであり、大阪市教育委員会の判断を尊重したいと思います。ただ、入学者選抜の方法については、できるだけ受験生への影響が少なくなるように配慮してほしいということもあわせて申し上げました。

 こういう観点に立ったのではないかと思いますが、体育科における入学試験は中止となりましたが、その数をそのまま普通科で受け入れる、なおかつ、既存の普通科の試験と違って、今までの体育科の試験をそのまま導入して行うということでございますので、事実上は体育科を希望していた受験生の準備がそのまま反映される形で受験ができるということが決定したということでございますので、了としたいと思います。

 ただ、入学後のカリキュラムのあり方等、その後の学校運営についてはまだ明確でありませんから、これはできるだけ早く明らかにしていただきたいと思います。

吉川(元)委員 実質的に募集が担保されたということでございますけれども、大臣も恐らくテレビでごらんになったかと思いますが、在校生の声。クラブ活動、部活動の中で起こった事案、これは別に体育科の生徒だけにかかわる問題ではなくて、普通科の生徒もそこにいる、一緒に参加をしている。なのに、なぜ体育科だけ、あるいはスポーツ健康科だけ、この二つが募集停止になるのか。この声に大臣はどのようにお応えになるのか。

 今回の決定というのは、あくまで、教育委員会、市長、あるいは文科省も入っているかもわかりませんが、大人の都合、大人の体面を守るための決定ではなかったんですか。

下村国務大臣 これは、第一義的に学校設置者である教育委員会が臨時教育委員会を開いた結果判断したものでございますので、法的に、むしろ文科省もそこにかかわる立場でもありませんし、またそういう事実関係もございません。そういう中で判断されたことであります。

 今後の生徒たちの危惧やあるいはそういう思いについては、学校運営の中できちっと反映をしてもらえるように、ぜひ努力をしていただきたいと思います。

吉川(元)委員 やはり、私自身は納得ができないといいますか、これは非常に大人の都合が優先された、玉虫色といいますか、そういうことが行われたんだ。子供たちの教育の現場でそういうことが行われたんだ。果たして、子供たちに向かって、正義や公正さ、そういうことが言えるのか、私はそういう危惧を持たざるを得ません。

 また今回、これは橋下市長の方から、さまざまな、予算を盾にした形での、教育委員会あるいは教育への過度な介入があったのではないか。この点について大臣の御所見を伺います。

下村国務大臣 市長は、地方公共団体の財務事務の統一的処理を図るため、行政委員会の所掌事務に係るものについては予算の執行権を実際有しております。しかし一方で、教育委員会の所掌事務については、教育委員会みずからがその責任と権限に基づいて処理するものでありまして、教育委員会と市長が、法律に定めるおのおのの権限と責任に基づき、適切に連携して事務を執行していくことが重要であると考えております。

 同じ自治体における首長とそして教育委員会であるわけですから、対立構造に惹起されるようなことでなく、これは共同した中で対応をしていただきたいというふうな危惧を持っておられるのではないかというふうに思いますが、そもそも対立構造ではないと思っておりますので、しかし、それぞれの立場立場の中でぜひ協力をしてもらいながら、より大阪市における教育行政がスムーズにいくように、ぜひ体制をさらに強化していただきたいと思います。

吉川(元)委員 まさに、今回の大阪市の教育委員会のこの決定のあり方、これが今の教育委員会の問題点を示している。教育委員会は一体どちらを向いているのか。子供たちの方を向いているのか、あるいは行政の長を見ているのか。

 当委員会でも、教育委員会の機能不全の問題はいろいろ指摘をされています。その最大の原因はどこにあるのか。選び方だとか任期の問題ではないんです。誰に向かっているのか、誰に責任を負っているのか、その自覚が教育委員会の中にあるのか。そういう教育委員会を今後つくっていかなければいけない、私はそう考えております。具体的には、例えば公募制だとかそういう形で、教育委員会というのは今後いろいろな形でやっていかなければいけないというふうに思っております。

 もうそろそろ時間が来ますので、最後の質問に移らせていただきます。

 先ほど、義家政務官の線引きのお話がございました。私が持っておりますこの新聞でございますけれども、その中で、「教育的な目的から、ミスをしたらコートを十周しろというのは「ありうる体罰」」というふうにおっしゃっておりますが、これは事実でございますか。

義家大臣政務官 お答えさせていただきます。

 あり得るかあり得ないかをきちっと議論すべきであるというふうにお答えをしております。なぜなら、教育現場から、我々は、今の指導の中でどこまでを体罰の範疇に入れられ、どこまでを指導として容認されるのか非常に……(吉川(元)委員「いや、ミスをしたらコートを十周走るというのはこれは体罰ではないというのか」と呼ぶ)

 一つの例示としまして、ミスをしたらコートを十周走るというような行為が懲戒的指導の範疇に入るのか体罰の範疇に入るのかの線引きを議論すべきではないかという例示として行いました。

松野委員長 吉川君、既に時間が経過をしております。

吉川(元)委員 はい、わかりました。最後に。

 私もバスケットをやっておりましたから、シュートが外れることはあるんです。ミスをすることはあるんです。その原因が例えば脚力にある、走る力が弱いからミスをしたんだ、だったら、コートを十周するというのは意味があります。だけれども、シュートをミスしたから、その懲罰的にコートを走らせる、これはあり得る体罰だと私はとても思えない。それは教育的な目的にも合致していないというふうに思っております。

 ほかにも、教員の長期病休のお話でありますとか、いろいろと質問は用意させていただきましたが、また今後、当委員会の場でもいろいろな質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。以上で終わります。

松野委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会


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