衆議院

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第1号 平成25年10月30日(水曜日)

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本国会召集日(平成二十五年十月十五日)(火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 松野 博一君

   理事 中根 一幸君 理事 萩生田光一君

   理事 山本ともひろ君 理事 笠  浩史君

   理事 鈴木  望君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      小此木八郎君    小渕 優子君

      神山 佐市君    菅野さちこ君

      木内  均君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      桜井  宏君    新開 裕司君

      冨岡  勉君    丹羽 秀樹君

      野中  厚君    馳   浩君

      比嘉奈津美君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    義家 弘介君

      菊田真紀子君    細野 豪志君

      山口  壯君    吉田  泉君

      遠藤  敬君    椎木  保君

      三宅  博君    稲津  久君

      中野 洋昌君    井出 庸生君

      柏倉 祐司君    宮本 岳志君

      青木  愛君    吉川  元君

    ―――――――――――――

十月十五日

 松野博一君委員長辞任につき、その補欠として小渕優子君が議院において、委員長に選任された。

平成二十五年十月三十日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 小渕 優子君

   理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君

   理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君

   理事 義家 弘介君 理事 笠  浩史君

   理事 鈴木  望君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      神山 佐市君    菅野さちこ君

      木内  均君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      桜井  宏君    新開 裕司君

      田野瀬太道君    冨岡  勉君

      永岡 桂子君    野中  厚君

      馳   浩君    比嘉奈津美君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      菊田真紀子君    細野 豪志君

      山口  壯君    遠藤  敬君

      椎木  保君    三宅  博君

      中野 洋昌君    井出 庸生君

      柏倉 祐司君    笠井  亮君

      青木  愛君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   文部科学副大臣      櫻田 義孝君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   文部科学大臣政務官    上野 通子君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            布村 幸彦君

   文部科学委員会専門員   久留 正敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十五日

 辞任         補欠選任

  松野 博一君     永岡 桂子君

  宮本 岳志君     志位 和夫君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  志位 和夫君     宮本 岳志君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     田野瀬太道君

  宮本 岳志君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     小此木八郎君

  笠井  亮君     宮本 岳志君

同日

 理事木原稔君、永岡桂子君及び浮島智子君九月三十日委員辞任につき、その補欠として義家弘介君、丹羽秀樹君及び稲津久君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十月十五日

 教育委員会制度を廃止する等のための地方自治法等の一部を改正する法律案(中田宏君外四名提出、第百八十三回国会衆法第二五号)

 地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案(笠浩史君外二名提出、第百八十三回国会衆法第四五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小渕委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 このたび、文部科学委員長に就任をいたしました小渕優子でございます。

 今日、教育、科学技術、文化、スポーツに対する国民の関心は大変高く、その充実を図っていくことは、重要な国政上の課題であります。

 特に、次世代を担う子供たちがその能力、希望に応じたきめの細やかな教育を受ける社会を実現していくということは、国に課せられた重要な責務であります。

 また、先般、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの競技大会の開催が決定をいたしました。

 このような状況におきまして、当委員会に課せられた使命は大変重大であり、委員会といたしましては、活発な議論を積み重ね、国民の期待と信託に応えていくことが大変重要なことではないかと考えております。

 委員長といたしましては、委員各位の御協力を賜りながら、公正かつ円満な委員会運営に努めてまいりたいと考えております。

 委員皆様方の御協力の中、どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

小渕委員長 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が三名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

      丹羽 秀樹君    義家 弘介君

   及び 稲津  久君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

小渕委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 文部科学行政の基本施策に関する事項

 生涯学習に関する事項

 学校教育に関する事項

 科学技術及び学術の振興に関する事項

 科学技術の研究開発に関する事項

 文化、スポーツ振興及び青少年に関する事項

以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

小渕委員長 この際、下村文部科学大臣、櫻田文部科学副大臣、西川文部科学副大臣、冨岡文部科学大臣政務官及び上野文部科学大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。下村文部科学大臣。

下村国務大臣 おはようございます。

 第百八十五回国会において各般の課題を御審議いただくに当たり、一言御挨拶申し上げます。

 現在、我が国が置かれている状況は、国内景気が緩やかに回復しているものの、東日本大震災や東京電力福島第一原子力発電所事故による影響がいまだ残るとともに、グローバル化や超高齢化への対応など、国が総力を挙げて克服すべき課題が目の前に残されています。

 このような状況において、第二次安倍内閣は、経済再生と教育再生を内閣の最重要課題として掲げて取り組んでいます。

 そのため、本年一月には内閣に教育再生実行会議を設置し、我が国の教育を取り巻く重要課題について提言を取りまとめ、その着実な実行を図ってきております。

 これらの取り組みについて国民の理解が広がる中で、新たに二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催が決まるなど、我が国の未来を切り開く明るい兆しも見え始めており、これを確かな日本の力としていく必要があります。

 私は、この重要な時期に、文部科学大臣及び教育再生を担当する大臣として、日本の将来を担う人を育てる教育の再生に全力で取り組むとともに、国の社会、経済の発展の源となる科学技術イノベーションの推進や、スポーツ、文化芸術の振興など、文部科学行政の充実に全力を尽くしてまいります。

 また、本年九月の二〇二〇年東京大会の開催決定を受けて、新たにオリンピック・パラリンピック担当大臣を拝命いたしました。招致活動に際しての委員各位の御支援、御協力に感謝申し上げます。大会の成功に向けて全力で臨むことはもちろん、日本社会を元気にする取り組みを社会総がかりで進めてまいります。

 あの大震災から二年半以上が経過しました。しかし、大震災の爪跡はいまだに被災地に大きな影を落としています。私は、今後とも、被災者の心に寄り添い、被災地の復興に全力を尽くしてまいります。

 具体的には、学校の復旧を初めとして、就学支援や心のケア、学習支援等に取り組みます。また、原発事故への対応として、除染や廃炉に関する研究開発等に着実に取り組みます。さらに、原子力損害賠償については、和解の仲介の体制強化に取り組むとともに、被災者の立場に立ち、迅速、公平かつ適正な賠償が行われるよう万全を期してまいります。

 人づくりは国づくりです。日本の将来を担う子供たちは国の一番の宝であり、教育は国の根幹を形づくる最重要政策です。このため、第二期教育振興基本計画や教育再生実行会議の提言も踏まえて、教育再生のための施策を実行に移し、教育基本法の理念に基づき、世界トップレベルの学力と規範意識を備えた人材を育成してまいります。

 公立高等学校授業料無償制、高等学校等就学支援金制度については、現下の厳しい財政事情を踏まえ、低所得世帯の教育費負担の軽減や公私間の教育費の格差是正のため、所得制限の導入を盛り込んだ改正法案を今国会に提出しております。来年四月から新制度を導入できるよう、速やかな御審議をお願い申し上げます。

 いじめ問題については、さきの通常国会で成立させていただいたいじめ防止対策推進法や同法に基づき策定したいじめ防止基本方針をもとに、いじめ問題に関する総合的な対策の実施を進めます。また、心と体の調和のとれた人間の育成に取り組む観点から、心のノートの全面改訂や道徳の新たな枠組みによる教科化に取り組むとともに、体罰の禁止の徹底を図ります。

 教育委員会の抜本的な改革については、教育行政の責任体制を確立し、教育現場の問題に迅速かつ的確に対応できるよう、法律改正に向けた準備を進めてまいります。

 さらに、社会総がかりで子供たちを支えていくため、家庭教育の支援や地域とともにある学校づくりに取り組みます。

 また、所要の制度改正を行ってこれまで以上に土曜授業に取り組みやすくするとともに、豊後高田市の実践に見られるように、ボランティアの参画を主体に、学校、家庭、地域の連携により、地域における学習を初め、スポーツ、体験活動などさまざまな活動が展開されるよう支援策を講じることにより、子供たちにとってより豊かで有意義な土曜日を実現します。

 質の高い教育を行うには、教師の役割が極めて重要です。このため、養成、採用、研修の各段階を通じた教師力の向上に取り組みます。

 また、学力向上のため、全国学力・学習状況調査の活用を図るとともに、高等学校段階における教育の質の保証、向上、新しい学習指導要領に基づいた言語活動や理数教育の充実、外国語教育の強化や高校生留学の推進など国際社会において活躍する日本人を育成するための取り組み、ICT活用の促進、食育の充実等を進めます。

 また、これらの取り組みを実現するため、少人数教育の推進を初めとする教職員等指導体制の充実に努めてまいります。さらに、教科書の検定や採択の現状と課題を整理し、所要の制度改正に取り組みます。

 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものです。このため、幼稚園等の教育機能の充実や保護者負担の軽減に取り組むとともに、子ども・子育て支援新制度については、関係府省と連携して、本格施行に向けた準備を進めます。

 障害のある子供たちの教育については、一人一人を大切にし、力を伸ばしていく観点から、通級による指導の充実、拡大教科書等の普及充実、学校施設のバリアフリー化等の必要な教育条件の整備を推進し、きめ細やかな指導や支援を行う特別支援教育を推進してまいります。

 また、国連総会において決議された国連持続可能な開発のための教育の十年を踏まえ、持続可能な社会づくりの担い手を育む教育を推進してまいります。

 安全、安心な学校環境の構築については、防災教育の充実や通学路の安全確保、天井材等の非構造部材を含めた学校施設の耐震化や老朽化対策、防災機能の強化を推進してまいります。

 大学力は国力そのものです。世界トップレベルの大学力の実現を目指して、教育内容や授業の改善といった大学の改革状況を踏まえた重点的資源配分や、大学の質の保証のためのシステムの改善等の大学改革を推進し、質、量ともに充実を図ってまいります。また、大学のガバナンス改革について、所要の制度改正に取り組みます。

 こうした大学の教育研究活動を支える上で、財政基盤の確立と、基盤的経費のめり張りある配分を行っていくことが重要であり、このため、国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成を安定的に確保します。

 また、国立大学が社会的役割を一層果たすことができるよう、機能強化に向けた改革プランを策定します。

 さらに、国立大学にベンチャー支援ファンドへの出資を可能とする機能を付与し、イノベーション機能を強化する内容を含む産業競争力強化法案を今国会に提出しております。

 少子化が進行する我が国においては、一人一人が能力を高め、グローバル化した社会で活躍できるよう、大学の徹底した国際化を推進するとともに、官民が一体となって、留学経費の負担軽減を図るとともに、事前・事後研修の実施等、日本人学生等の海外留学をきめ細かく支援するグローバル人材育成コミュニティーをつくり、産業界や大学等と総がかりで日本人学生等の海外留学を支援する仕組みを築き上げてまいります。

 また、あわせて、優秀な外国人留学生の戦略的な受け入れにも必要な環境整備を推進し、双方向の留学生交流の倍増を目指します。

 さらに、意欲と能力のある学生が経済的理由により学業を断念することがないよう、奨学金事業を初め経済的支援の充実を図るとともに、真に困窮している返還者に対する救済措置の充実に取り組みます。

 価値観が多様化する時代状況の中では、個々の子供が持っている固有の能力を引き出していく教育が求められており、子供の成長に応じた柔軟な教育システムの構築を図ることが必要です。

 このため、教育再生実行会議において大学入学者選抜を初めとする高等学校と大学の接続のあり方について検討を進め、さらに、学制のあり方について議論を深めます。

 また、幼稚園から大学まで多様で特色ある教育を展開する私学の振興に努めるとともに、学校法人制度の充実を図るため、運営上重大な問題のある学校法人に適切に対応できるよう、所要の制度改正に取り組みます。

 加えて、学生生徒が学校生活から社会、職業生活へ円滑に入っていけるよう、各学校段階を通じた体系的なキャリア教育や、高校、大学、専修学校等における実践的な職業教育の充実を図ってまいります。

 特に、産業界等との連携強化により、専修学校や大学等において、我が国の成長を支える理工系人材や中核的専門人材の養成、若者や女性の学び直しの支援に戦略的に取り組みます。

 科学技術イノベーションは、安倍内閣が掲げる三本の矢のうちの一つである成長戦略の重要な柱であり、日本の経済再生の原動力です。また、私は、グローバル社会で我が国が成長を続けるための鍵は、革新的イノベーションの継続的な創出による国際競争力の強化、そして、それを支える人材の育成だと考えます。

 このため、世界で最もイノベーションに適した国をつくり上げることに注力し、これを国家戦略として強力に推進してまいります。

 具体的には、日本版NIH構想を初めとした医療分野の研究開発を強力に推進してまいります。また、研究者の独創性に基づいて行われる多様な基礎研究の支援、大学だけでも企業だけでも実現できない革新的イノベーションを実現するための新たな産学連携プログラムの構築やイノベーション創出を目指した地域科学技術の振興を図ります。

 加えて、世界に冠たる研究力を有する大学や研究拠点の形成など、研究環境の整備を着実に進めます。研究開発法人がその成果を最大化するための制度改革にも取り組んでまいります。

 さらに、世界最高水準の科学技術の振興を図るため、スーパーコンピューター「京」の約百倍のエクサスケールの計算性能を有するスーパーコンピューターの開発に着手するとともに、最先端研究施設設備の産学官への幅広い利用を着実に進めます。

 国家安全保障や基幹技術の強化を図るため、革新的技術開発を推進してまいります。

 人類のフロンティアである海洋については、海洋資源調査研究を戦略的に推進してまいります。

 宇宙については、新型基幹ロケットの開発に着手するとともに、「はやぶさ2」の開発の推進や宇宙分野における安全保障、防災への貢献に取り組んでまいります。

 また、世界に先駆けた次世代インフラの整備に向けて、地震・防災分野の研究開発や構造材料の研究開発を進めます。

 さらに、人類共通の課題の解決に向けて、環境・エネルギー分野の研究開発やITER計画を着実に推進してまいります。

 加えて、原子力については、まずは日本原子力研究開発機構について、安全を最優先とした、国民に信頼される組織への改革を着実に進めてまいります。

 科学技術イノベーション人材を養成確保するため、博士課程の学生や若手研究者への支援を強化し、国際的な頭脳循環の中でグローバルに活躍できる若手研究人材を育成するとともに、女性研究者への支援の強化、研究支援人材の確保に取り組んでまいります。

 研究における不正行為や研究費の不正使用は、研究への信頼を脅かす問題であり、その防止のために、研究者に対する倫理教育の強化や組織における管理責任の明確化などに取り組みます。

 文化とスポーツが持つ、人々を引きつけ感動させる力は、人々の心を豊かにし、困難な問題に連帯して取り組む活力ある社会の構築に不可欠なものです。私は、国家戦略としてこれらを振興してまいります。

 日本の文化力の向上のため、日本独自の魅力ある文化を再発見し、あわせて、世界全体で共有すべき日本文化の発信を強力に推進し、社会の活気を持続させることが必要です。

 文化芸術立国の実現のため、我が国が世界に誇る有形無形の文化財を保存、活用していくとともに、実演芸術やメディア芸術等の幅広い芸術を振興し、それらのための人材育成を強化します。そして、我が国の文化力を計画的に強化することで、二〇二〇年には、日本が世界の文化交流のハブとなることを目指します。

 さらに、我が国の文化と日本語の大切さを再認識し、歴史と文化をたっとぶ心の育成を図ってまいります。

 加えて、電子書籍に対応した出版権等について検討を進めるなど、新しい時代に対応した著作権施策の展開に努めてまいります。

 さきの通常国会においては、スポーツ振興のための財源の確保に資するスポーツ振興くじの改善充実のための法律改正を実現していただきました。この趣旨を踏まえて、東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、国立霞ケ丘競技場の全面改築を初めとしたインフラ整備や若い世代の競技者の育成強化などに全力で取り組んでまいります。

 また、二〇一九年のラグビーワールドカップの日本開催など、他の国際競技大会の招致、開催についても、政府全体で積極的に支援するとともに、国民がスポーツに親しむ機会を充実するための地域スポーツの推進、中学校の武道必修化を初めとした武道の振興に取り組みます。

 さらに、スポーツ立国の実現に向けて総合的、一体的にスポーツを推進する観点から、引き続き、スポーツ庁の設置について、その枠組みや意義、方向性等の検討を精力的に進めてまいります。

 さきの通常国会において私は、「日本にはチャンスがある、可能性がある。」と申し上げました。招致に成功したオリンピック・パラリンピックは、そのチャンスを、あるいは可能性を現実のものとするまたとない好機です。二〇二〇年という節目を単なる五輪開催の年とするのではなく、ターゲットイヤーと位置づけ、明治維新や戦後に続く第三の転換期とすべく、日本のポテンシャルを発掘、研磨、発信し、新しい日本を創造する年にしなければなりません。

 このために、各界の英知を結集し、若者や女性を初めとする国民総参加型の大きなうねりを生み出すことが我々に課せられた使命であると考えます。

 我が国が活力を取り戻すためにあらゆる取り組みを進めることにより、近い将来に先進諸国が共有することとなるグローバル化や超高齢化といった課題に対する成功モデルを先んじてつくり上げ、課題解決先進国として世界に発信することが、我が国のプレゼンスを一層高め、日本を再生する起爆剤となるのです。

 文部科学省はその先駆けとなるべく、スポーツ・フォー・トゥモローによる国際貢献の推進、若者等によるボランティア活動の推進やグローバル人材の育成、日本人のアイデンティティーの醸成、成長を支える科学技術イノベーションの推進、世界に誇る日本文化の発信など、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化の各分野で意欲的な取り組みを進め、社会の活力を維持向上させるという新しい挑戦に取り組んでまいります。

 私は、新しい日本を創造するため、文部科学行政全般にわたるさまざまな政策を力強く進めていくことはもちろん、オール・ジャパンで日本の再生を実現することができるよう全力を賭して各般の改革に取り組んでいく決意でありますので、委員長、理事、委員の皆様方の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

小渕委員長 次に、櫻田文部科学副大臣。

櫻田副大臣 おはようございます。

 このたび、文部科学副大臣を拝命いたしました櫻田義孝でございます。

 副大臣として大臣をよく補佐し、東日本大震災からの復旧復興のほか、特に、日本の経済再生の原動力となる科学技術イノベーションの推進、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを初めとするスポーツの振興に全力を尽くしてまいります。

 今後とも、委員長を初め、委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

小渕委員長 次に、西川文部科学副大臣。

西川副大臣 おはようございます。

 このたび、文部科学副大臣を拝命いたしました西川京子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 下村大臣を大変よく補佐いたしまして、私は、教育全般、それと文化行政を担当させていただきます。

 東日本大震災からの復興はもちろんでございますけれども、やはり、国の根幹であります教育再生、このことをしっかりと皆様とともに対応させていただきたいと思います。それと、文化芸術立国、この推進を図ってまいります。

 委員長様初め、各委員の皆様の御指導、御鞭撻をいただきまして、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

小渕委員長 次に、冨岡文部科学大臣政務官。

冨岡大臣政務官 おはようございます。

 このたび、大臣政務官を拝命しました冨岡でございます。

 私の担当は、大臣、副大臣とともに、東日本大震災に対応する復興復旧のほか、科学技術イノベーションの推進及びスポーツの振興に全力を尽くしてまいりたいと思っております。

 委員長を初め、委員の皆様方の御協力を得ながらしっかり取り組んでまいります。よろしくお願い申し上げます。(拍手)

小渕委員長 次に、上野文部科学大臣政務官。

上野大臣政務官 このたび、文部科学大臣政務官を拝命しました上野通子でございます。

 文部大臣政務官として、大臣及び副大臣とともに、東日本大震災の復興に当たるとともに、教育の再生、そして文化の振興に全力で取り組んでまいりたいと思いますので、今後とも、委員長を初め、委員の皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

小渕委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局長布村幸彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丹羽秀樹君。

丹羽(秀)委員 おはようございます。文部科学委員会で質問させていただきます。丹羽秀樹でございます。

 委員長を初め、理事の皆さん方の御理解に心から感謝申し上げます。

 そしてまた、大臣、改めまして、東京オリンピック・パラリンピック招致、本当におめでとうございます。

 また、櫻田副大臣、西川副大臣、冨岡政務官、上野政務官、御就任、本当におめでとうございます。

 さて、大臣就任からおおむね十カ月が経過するわけでございますが、私も、大臣のそばに仕えさせていただいた中で、教育の再生の兆しがあらわれてきたのかなというようなことを実感いたしましたし、ましてや、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、私も、あと七年間生き続けなきゃいけないんですけれども、生きているうちに見られることは、本当に夢のような思いでございます。

 このオリンピックムーブメントを、大臣、実際に七年間使ってどのような国民運動にしていくのか、また、社会変革に変えていくのか、大臣の御所見をお聞かせいただければありがたいと思います。

下村国務大臣 丹羽委員には、直前まで大臣政務官として支えていただき、また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致においても、世界じゅう回っていただいて御協力をいただきました。また、ここにおられる全ての委員の皆様方、招致議連、そういうまさにオール・ジャパン体制の総力によって、今回、東京招致が実現をできたのではないかというふうに思います。

 七年後の二〇二〇年東京オリンピックということを目標に、今回は異例で、招致が決まってからすぐ担当大臣が決まったというのは今回初めてでございまして、過去は招致が決まって二年以上たってからということでありましたが、私がその担当大臣を拝命しまして、早速、事務局として内閣官房に二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室をつくりまして、今、関係府省一丸となって、準備に取り組む体制をつくって進めているところでございます。

 今後、東京大会を成功させるためにまずは、組織委員会の設立、これは来年の二月までということになっていますが、できるだけ早目に充実した組織委員会を検討していくべきだというふうに思いますし、また、競技場など諸施設の整備やその他の受け入れ体制の万全の準備、そして、国民の、一層のスポーツの振興やスポーツを通じた世界への貢献が重要になってくるというふうに思います。

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを、単に一過性のイベントということではなくて、これをターゲットイヤーとして、七年間を目標に、そして、七年後、その先の新たな日本をどうつくっていくかという、そういう日本社会全体を元気にしていく、さらなる発展に向かうチャンスとして捉え、そのための施策をオール・ジャパンで推進をし社会的な機運を高めていくということが、大変重要であるというふうに思います。

 ぜひ、この二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを、オリンピックそのものの歴史の転換期になるような、日本から文化芸術も含め世界に発信し日本が元気になる、そして世界全体に貢献できる、そのような取り組みをしてまいりたいと思いますので、今後とも御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

丹羽(秀)委員 ぜひ、組織委員会も早急にまた御検討していただかなきゃならないと思いますし、また、委員長人事に関してもしっかりと対応していただきたいというふうに思っています。

 大臣がおっしゃられた中で私は、明治維新、そして戦後に続く第三の変革期に変えていきたいというその思いは非常にすばらしいことだと思っていますし、また、七年後のターゲットイヤーとしてすばらしいスパンでもあるなというふうに考えておりますので、またぜひ我々もしっかりと積極的にサポートしていけるところはサポートしようと思っています。ぜひ大臣には頑張っていただきたいと思っています。

 ちょっと話がかわります。自民党内の話になるんですが、国家戦略特区法案というのが挙がっております。これを議論させていただいている中で、教育の分野において、公共性の確保を図りながら公立学校の管理を民間に委託することを可能とするという文言がございます。もちろん、公立学校なので義務教育も含まれるというふうに私は考えておりますが、ちょっとそこで、大臣の御所見をお伺いしたいんです。

 義務教育というのはあくまでも責任を持って義務教育を行うのか、義務教育というのは規制の範囲である義務教育になってくるのか、その辺、大臣の御所見をいただければありがたいと思います。

下村国務大臣 国家戦略特区で議論されている中で、公設民営の問題がございます。

 今までの構造改革特区は、それぞれの民間から地方自治体等を通じて申請をし、それを国が許可するかどうか判断するということでありましたけれども、今回の国家戦略特区は、地方や民間からの要望だけでなく、国が積極的に新たな規制緩和等に取り組むことをこの国家戦略特区の目的としている中で、公設民営化が今項目として入ってきております。

 例えば事例として、アメリカのチャータースクールはまさに公設民営学校で、アメリカ型の公設民営学校でありますけれども、これは、既存の義務教育機関を含めた公立学校が十分に対応できていない、アメリカ的に言うと、低所得者の子供とか、あるいは発達障害の子供たちとか、それから、移民等マイナーな人種だと言われている人たちの、既存の学校での対応が十分にできていない部分をこのチャータースクールによってより機動的に対応できるようなシステムとするという考え方でございます。

 文部科学省としても、まずは地方自治体等からこの国家戦略特区としてどんなものが上がってきているか、今現実問題として一つ上がってきていますけれども、それが可能かどうかということについては今後検討を要する必要があると思いますが、基本的に、民間のノウハウ等を活用しながら、公設民営として十二分な、公立学校でできない対応ができるような仕組みであれば、ぜひこれは推進していきたいと考えております。

丹羽(秀)委員 今、この法案についても党内でしっかりと議論させていただいております。ぜひ大臣は慎重にまた丁寧に説明をしていただきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 櫻田副大臣がちょっと席を外されているということで、西川副大臣にお尋ねしたいと思います。

 文化芸術立国を推進されていく中で、下村プランという中で文化予算を随分ふやしていこうという計画もございましたが、やはり、精神論やかけ声だけで文化芸術が発展、継承されることは私はないというふうに考えております。

 そこで、大事なことは、予算面でどのように文化芸術をサポートしていくかということでございます。西川副大臣も就任されて間もないと思いますけれども、実際、この文化芸術に対して予算面で今後どのようなサポートをしていくのか、取り組みをお聞かせいただければありがたいと思います。

西川副大臣 丹羽委員には、御質問ありがとうございます。

 今回、文化芸術立国ということを打ち出しまして、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックは、スポーツだけではない、日本としていわば日本全体の活力を活性化させて、そこに大いに日本文化の発信ということ、そのための大きなターゲットの年にしたいということで、文部科学省としても、この文化行政、これに対して大変これから力を入れていこうということでみんな張り切っております。

 そういう中で、今御指摘いただきました予算面なんですが、一つのあれとして、豊かな文化芸術の創造と人材育成、かけがえのない文化財の保存、活用及びそれを継承していくということ、それから、我が国の多彩な文化芸術の発信と国際交流の推進、この三つを大きな柱として概算要求をしたところでございます。

 昨年度は大体約一千億、一千三十億ぐらいですが、これを概算要求では千二百億、これだけで足りるとは全く思っておりませんが、要求額としてはそういうことを要求しております。

 それから、大臣からの御命令で、例えば奨学金の基金とかいろいろなものも含めてですが、もっと私たちが直接企業などをきっちり回って予算を獲得しろと、そこまで言われておりますので、そういう営業面も含めたことも、できることは精いっぱい予算獲得に向けて頑張りたいと思います。

丹羽(秀)委員 この文化芸術に対する予算というのは、非常に大事なことであるというふうに私は考えております。きょうあすの問題じゃなくて、やはり何十年、何百年先にこの日本のすばらしい文化芸術を残していくためには、今やらなきゃいけない本当に重要な課題でございますので、遠慮なさらず、もっともっと西川副大臣の思いをぶつけていただきたいというふうに思っておりますし、文化芸術を支える人材の育成において、担い手の育成はもちろんなんですけれども、文化芸術のすばらしさを理解できる受け手をこれからどのように育てていくかということも、非常に重要な課題であるというふうに思います。

 文化芸術の感受性豊かな受け手を育てていくために、副大臣として、教育の分野でどのような取り組みがあるのか、お聞かせいただければありがたいと思います。

西川副大臣 ありがとうございます、エールをいただいたと思っております。

 丹羽委員とほとんど思いは同じくしているのではないかなと思いますけれども、いわばこの文化芸術立国ということをきっちり打ち出した以上、それに対応する政策を具体的にしていかなければいけないと思います。

 その中で、まず一番最初にやはり、人材、将来の日本の文化を担っていく子供たちにどう発信して、その文化に対する興味あるいはそういうものをどう育てていくかということで、子供たちの、一流の文化芸術に触れる機会の提供、地域における伝統文化に関する活動を体験する機会、これが実は、前、企業のメセナ活動なんかとともに、割合何度もそういう教育の現場で本物の一流の例えば能なりオーケストラなりそういう機会があったのですが、ずっとしばらくの間、不景気とともに文科省の予算も減っていて、年に一回あるかないかという状況でしたので、これを具体的に少なくとも二回、三回、子供たちのそういう本物に接する機会をふやしていく、そのための予算確保をしていきたいと思っております。

 それから次に、現実に今、若者たち、活躍しているその人たちに対する支援の予算、これも大きな大事なことだと思っております。現実に海外に行って海外のいろいろな本物の芸術、指導者たちとの、そこに行って勉強できるようなそういう費用を援助する。

 それともう一つは、例えば美術館とか、そういう中でのアートマネジメントというんでしょうか、そういうアートマネジメントをする人材、学芸員の育成、これもすごく大事だと思いますので、そういう人たち、伝承者の養成の支援、そういうことを含めまして、人づくりの政策を初めとして文化芸術立国に向けてしっかりと予算をつけて、頑張ってまいりたいと思います。

丹羽(秀)委員 もちろん、本物に触れる機会というのは非常に重要だと思っていますし、重要なのは、文化芸術側も、最初の入り口のハードル、敷居を下げるということも大事なのかなと思っています。

 例えば、私も記憶にありますが、いろいろな博物館へ行ったり演劇を見た後、感想文を書かなきゃいけないという宿題が残っていると、何か罰のような感じになってしまいますので、そういったところで感受性を受けて心に残って、もうそれでいいんじゃないかなというふうな、何か必ず足跡を残さなきゃいけないというわけではなくて、心に残ればそれで一つの財産になるのかなというふうに考えていますので、ぜひそういったところもこれから配慮していっていただきたいなと思っています。

 次は、冨岡大臣政務官にお尋ねさせていただきます。

 二〇一二年の、京都大学の山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されたことはとても話題になりまして、将来の医学や治療に大きな希望がもたらされました。また、同じ医学の道を進む冨岡政務官におかれましては、今後、医学の分野で科学技術がどのような形で連携していくのか、何か御所見ございましたらお聞かせいただきたいと思います。

冨岡大臣政務官 どうもありがとうございます。ただいまの丹羽委員の御質問にお答えしたいと思います。

 まさに文部科学省としては、山中伸弥教授のiPS細胞、ノーベル賞を受賞されましたけれども、これらの革新的な研究成果をいち早く現場に届けたいというふうに思っております。

 そのために、文部科学省では、基礎研究者と臨床医師の連携により、iPS細胞等を用いた再生医療や創薬の実用化を目指しております再生医療実現拠点ネットワークプログラムや、大学等における専門人材や設備等の整備を支援することで医学分野の革新的な研究成果の実用化を図る、いわゆる橋渡し研究加速ネットワークプログラムなどの取り組みを実施しているところであります。

 また、委員御存じのように、来年夏ごろには、このiPS細胞を使った臨床研究が実際にスタートします。理研の高橋先生が、加齢黄斑変性症という、世界で初めてiPS細胞を使った臨床研究をされるということで、私たちも大変期待をしているところであります。

 したがいまして、政府としては、これらの日本版NIH構想の実現を通じて革新的な医療技術の実用化を加速することとしており、文部科学省としても、関係省庁と緊密に連携し、積極的かつ主体的に取り組んでまいりたいと思っております。

 すなわち、アベノミクスの三本目の矢の矢尻としての役回りを、これからのこのiPS初め、再生医療等を通じて本当にその矢尻の部分をしっかりとやっていきたいと思っております。どうぞ、委員各位の御協力もお願いしたいと思っております。

丹羽(秀)委員 日本版NIHというのは私も非常に魅力的な構想だと思っておりますし、冨岡政務官、下村大臣が一人で文部科学省全般にグリップをきかせるというのはなかなか大変なことだと思いますし、非常に分野も幅広くございますので、ぜひ、政務三役でまた分担しながら大臣をお支えいただきたいというふうに思っております。

 そして、今アベノミクスの三本目の矢というのは、やはり、イノベーションの生み出す基礎研究の推進ということも非常に重要だと思っております。この科学技術を担う人材の育成は、独創的ですぐれた研究の育成、テニュアトラックや、多様な場で活躍できる人材の育成、キャリアパス、さらには、次世代を担う人材の育成というのも非常に重要なことだと考えておりますが、今、研究開発の分野においてどのような形で、特に女性の活用も重要だと思っております。

 冨岡政務官がお考えになられております人材育成に、何か本当にこういったことはやっていきたいというお考えがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。

冨岡大臣政務官 私が直接考えたわけではございませんけれども、丹羽政務官のときに随分進められたと聞いております。すなわち、今おっしゃられたとおり、科学技術イノベーションは日本の経済再生の原動力であると私自身も思っております。これを担うような多様な科学技術人材の育成は、いろいろな方策を講じているわけであります。

 すなわち、平成二十六年度概算要求においては、新たに、若手研究人材や研究支援人材の流動性を高め、キャリアアップを図る新たな仕組みを構築する、科学技術人材育成のコンソーシアムの構築、また、大学等におけるイノベーション指向の人材育成プログラムの開発支援、さらには、大学と高校の連携による、高校段階の傑出した科学技術人材を対象とした国際的な人材育成プログラムの開発、実施、いわゆるグローバルサイエンスキャンパスなどの取り組みを要求しているところであります。

 委員の御協力、そして、いろいろな点で御支援を賜りますことをよろしくお願い申し上げます。

丹羽(秀)委員 冨岡大臣政務官におかれましては、科学技術の分野だけじゃなくて、科学技術でどのような人を育てていくか、そういったことも考えて、今後も頑張って取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、上野政務官にお尋ねしたいと思います。

 特別支援教育に対する現状についてお尋ねいたします。

 障害のある子供については、その能力や可能性を最大限に伸ばして、自立し社会参加するために必要な力を培うために、一人一人の状態に応じた適切な教育を行う必要があると考えます。

 私の地元で愛知県立の春日台養護学校というところが、校舎が古くてとても適切な教育を行う環境ではないようなふうに、いつもお伺いするたびに思っております。もちろん、これは県立でございますので県の行政の采配もあると思いますが、子供たちにとって、県がやっているか国がやっているかというのは関係ないと思うんです。

 そこで、行政区分は関係ないと考えて、国としてどのように対応していくのか、お聞かせいただきたいと思います。

上野大臣政務官 丹羽委員、質問いただきましてありがとうございます。

 私は前から特別支援教育に大変関心を持ちまして、特に、同じように私の地元でも、障害を抱えてなかなか思うように学習ができないという子供たちがたくさんいる現状を知っております。また、教室等が古くて対応に不適当なところがあることもよく存じております。

 文科省といたしましても、これからきめ細やかな取り組みができますようにさまざまな事業も考えておりますが、まず、この十年間で、特別支援学校や小中学校における特別支援学級の在籍者、また、通級による指導の対象といった特別支援を必要とする児童は十年間に大幅に増加しております。

 さらに、よく御存じのように、発達障害の可能性のある、いわゆるLDとかADHDと言われる子供たち、通常の学級における子供たちの数が六・五%と推定されます。これは、文科省の方で行った調査のデータをまとめたものからの六・五%という数値ですので、もしかしたらもっと現状ではいるかもしれないという状況です。

 このような子供たちに対しての取り組みを一日も早くすることは極めて重要でございます。平成十九年度から、特別支援教育を法的に位置づけるなど、障害の重度、そして重複や多様化への対応を図ってきておりますが、これまでも、公立の小中学校等における通級における指導等のための教員の加配の措置、及び、児童生徒の学習活動上のサポート等を行う特別支援教育支援員の配置などに係る地方財政を措置するなどを講じております。

 さらには、昨年七月の中教審の初等中等教育分科会報告において、新たな就学先決定のあり方、障害のある児童生徒への合理的配慮の充実、多様な学びの場を整備、教職員の専門性の向上等が提言されて、さらにきめ細やかな配慮をするようになりました。

 それに伴って、本年八月に学校教育法施行令を改正いたしまして、障害のある児童生徒の就学先決定について、特別支援学校への就学を原則とせず、障害の状況等を踏まえた総合的な判断を市町村教育委員会から行う仕組みに改めたところでございます。

 また、本年度からは、インクルーシブ教育システム構築事業や発達障害に関する教職員の専門性を向上する事業等を実施しているほか、来年度の概算要求において、新規に、学習上の支援機器等、いわゆるそれぞれの障害に合った教材を活用できるような促進事業や、自立、社会参加に向けた高等学校段階における特別支援教育充実事業を盛り込んだところでございます。

 これからもさらなる充実に取り組んでまいりますので、御協力よろしくお願いいたします。

丹羽(秀)委員 ぜひ特別支援教育においては、本当にこれも重要な課題だと思っております。行政のことは関係なく、子供たちが適切な教育を受けられるような環境を整えていっていただきたいというふうに思います。

 そしてまた、上野政務官にもう一問質問をさせていただきます。

 来年愛知県で開催されますESD会議について、文部科学省としてどのような取り組みで、また、予算面、活動面についてお答えいただきたいと思います。

上野大臣政務官 御質問いただきましてありがとうございます。

 実は、来年の十一月ですが、丹羽委員の御地元の愛知県名古屋市及び岡山市において開催されます、持続可能な開発のための教育、いわゆるESDに関するユネスコ世界会議は、ユネスコ加盟国百九十五カ国から閣僚級を含む約千人以上の参加が見込まれておりまして、我が国を初め、世界各国におけるこれまでのESDに関する活動を振り返るとともに、二〇一五年以降の国際的なESD推進方策について議論をする重要な場であると私たちは考えております。

 ESDというのは、エデュケーション・フォー・サステーナブル・ディベロップメント、いわゆる持続可能な社会の担い手を育むための教育の略でありまして、グローバル人材の育成にも資するものであって、本会議を機に国内におけるESDの一層の普及促進を図るとともに、国連ESDの十年の提唱国、これも小泉総理のときに提唱されたと言われていますが、その提唱国として、我が国の取り組みを国際社会に発信していくことが必要であると考えております。

 なお、御質問にありました予算等ですが、ESD世界会議の開催に係る経費を来年度概算要求しているところでございますが、この日本の世界会議を必ず成功させるべく、ユネスコ及び関係省庁と連携してESDの周知、普及活動に取り組むとともに、会議の開催準備を進めてまいりたいと思います。

 残念ながら、まだまだ地方での意識の差がありまして、私の栃木でもまだまだ浸透していない状況でございます。もう来年の十一月ということですので、ここでちょっとねじを巻いて、全国各地への普及活動を振興していきたいと思っております。

 ありがとうございます。

丹羽(秀)委員 上野政務官がおっしゃるように、本当にこれは、知名度がなかなか広がっていない、認知されていないというのが大きなことだというふうに思っています。愛知県もしっかりしなきゃいけないと思います。そのためには、ぜひ文科省、予算の方、広告費等を含めてまた対応していただきたいというふうに思っています。

 大臣にもう一つ、子供たちのインターネット依存についてお尋ねしたかったこともございます。時間の都合もございますので、インターネットの件についてはまた今後させていただきたいと思っています。

 最後に、大臣にお願いだけさせていただきたいと思います。

 先ほどの国家戦略特区の件で、ぜひ株式会社の公設民営については、本当にいろいろな心配が上がっております、丁寧に、慎重にまた皆さん方に御説明いただきたいというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げまして、私の質問を閉じさせていただきます。

 ありがとうございました。

小渕委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 兵庫八区の尼崎市選出の国会議員でございまして、さきの通常国会に引き続いて文部科学委員を担当させていただきます。しっかり頑張ってまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 早速質問の方に入らせていただきますけれども、私、公明党の方では学生局長というものを担当しておりまして、これは、学生や若者のための政策をつくっていく、こういう役職であります。若い世代を育てていくことは日本の未来を育てていくことである、こういう思いで本日は幾つか質問をさせていただければというふうに思っております。

 まず一つ目に、グローバル人材の育成についてであります。

 グローバルな視野を持った人材の育成は我が国にとって非常に重要であると考えております。他方で、今、日本人留学生の数を見ているとどんどん減少している、あるいは若者が内向き志向になっているんじゃないか、こういうことを指摘される方もいらっしゃるわけでございます。

 公明党の学生局では、本年三月に、学生のキャリアの形成に関してアンケート調査を行ってまいりました。そうしてアンケートを行ったところ、留学を思いとどまる要因は何か、これの最も大きなものは経済的な理由でございまして、全体の八割の方が経済的な理由だとお答えをされております。

 これに関して、来年度予算要求で大幅に海外向けの奨学金を拡充していただいておりますので、これをしっかりと確保していきたいと考えておりますけれども、これ以外にも幾つか指摘がございました。

 例えば、海外生活に関して非常に不安が多い、こういう話もあったわけでございます。あるいは、留学に関する情報が欲しいけれども、どこに聞けばいいかわからない、こういう御要望も受けたことがございます。安全や治安、こういった情報は各大学ごとに集める、これは大変負担もあるでしょうし、あるいはこういう留学の民間のサービスもございますけれども、学生にとっては経済的な負担もある。こういうことで、私は、今後留学生をふやしていくためには、こうした不安を解消していくためにしっかり国もサポートをしていくべきであろうと思います。

 例えば、渡航先の安全も含めて留学に関する情報提供をしっかり行っていくなど、こうした取り組みでしっかりとサポートをしていくべきというふうに思いますけれども、文部科学省のお考えを伺いたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 日本人の海外留学を促進していくためにも、海外留学を希望する学生などに対しまして適切な情報提供を充実させていくことが極めて重要な課題でございます。

 このため、文部科学省におきましては、独立行政法人の日本学生支援機構を通じまして、諸外国の教育制度、留学手続、生活一般等について正確な情報を提供するために、一つは海外留学フェアの実施、また、二つ目として海外留学に関するパンフレットの作成、三番目としてインターネットによる留学情報の提供を行っているところでございます。

 また、先生御指摘のとおり安全の問題もございますので、既に現地にいる学生も含めまして、渡航に関して生活安全上の注意を要する状況が発生した場合には、外務省等関係省庁と連携して、速やかに大学等に注意喚起を促すという通知を出しているところでございます。

 今後とも、こうした海外留学に関する情報提供の充実に努めてまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。しっかりと取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 また、文部科学省の調査では、学生の指摘として、留学が就職に結びつかないんじゃないか、こういう認識がある、こういうお話を伺ったことがございます。確かに私自身も、留学をして日本に帰ってきた、その後、就職に大変に苦労をした、こういうお話を個人的に伺ったこともございます。

 本来、留学というのは、学生のキャリア形成のために留学をしていく。しかし、これがキャリアアップに結びついていないんじゃないか、こういう認識がある、これでは留学生がふえるはずはない、このように考えるわけでございます。

 そこで、留学生も就職活動しやすい採用を行ってもらうなど、経済界としっかりと連携をして、就職と留学、これがしっかり結びついていくような環境づくりをこれから行っていく必要があると考えておりますけれども、いかがでございましょうか。

布村政府参考人 私どもの調査でも、学生が留学しにくい一つの要因として、どうしても留学すると留年してしまい就職に不利益になる、そういうデータも上がっているところでございます。

 一方で、社会や経済のグローバル化の中で、日本企業などが世界に展開している中、一人一人の能力を高めてグローバル化社会で活躍する人材を育成することが喫緊の課題であり、経済界からも強い期待が大学に寄せられている状況でございます。

 学生が大学でしっかりと学んで、また留学の多様な経験を得るために、ことしの四月に、安倍総理より経済三団体に、また大臣からも経済団体に要請をいただき、先月、経団連におきましては、当該要請を踏まえた形で就職活動時期を変更した指針が示されたところでございます。

 また、直接採用にかかわるものにはなりませんけれども、日本再興戦略などの閣議決定を踏まえまして、現在、企業が求めるグローバル人材を育成するため、奨学金の拡充により留学経費の負担軽減を図るとともに、大学、企業との連携による研修、留学のための事前研修も含めた、あるいは留学後の事後研修も含めた形で研修が企業と連携して実施でき、それらを通じて日本人学生の海外留学をきめ細かく支援する、官民が協力をした新しい仕組みを創設したいと努めているところでございます。

 引き続き、産業界と十分連携をして、日本人の海外留学の促進、倍増につなげられるように努力してまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 私、これは非常に重要な問題であるというふうに思っておりまして、グローバル人材、日本にとってこれからますます必要になってくるわけでありますけれども、やはり、グローバル、留学をして海外で経験を積むことが、今後の学生にとってしっかりとキャリアになっていく、こういう道筋をつくっていかないと、かけ声だけかけてもなかなか進んでいかないということになるかというふうに思いますので、しっかりと取り組みをしていただきたいと考えております。

 三つ目は、奨学金の件でございます。

 これは、今回、具体的に私も個人的な相談を受けて、実際こういうことで困っているんだ、こういうお話を伺った件であるんですけれども、来年度の予算要求では大変に海外留学向けの奨学金というものを拡充していただきました。給付型も含めて、あるいは貸与のものも含めて大変に拡充をしていただいて感謝をしておりますけれども、現在もある海外留学向けの奨学金、運用について改善をしていただきたい点が一点ございます。

 それは具体的に何かと申しますと、今の奨学金がどうなっているかといいますと、例えば、日本の高校を卒業して海外の学部の大学に行く、このときは奨学金は受けられることになっております。そのまま引き続いて海外の大学院に行くときも受けられる。日本の大学を卒業して海外の大学院に行くケース、これも受けられると聞いているんですけれども、私が聞きましたのは、学部は海外の大学に行きました、その後、さらにキャリアアップをしようと思って海外の大学院に行った、そうすると日本の奨学金が受けられない仕組みに今なっている、このようにお伺いをいたしました。

 これはなぜかというふうに聞いたところ、奨学金を受けるに当たって、大学院向けの奨学金であれば大学の方からの、組織の推薦が要る、それが海外の大学からだとなかなか難しいので奨学金が受けられない、こういうお話を伺いました。

 私、これは、どういう形で推薦を受けるとか、ある意味手続上の問題ではないかな、このように考えておりまして、工夫次第では対応ができるんじゃないか、このように考えております。ぜひ改善をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。副大臣、よろしくお願いいたします。

西川副大臣 日本の留学制度、留学生の拡充、これについての御質問をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほどの質問で、ちょっと余分かもしれませんが、この間も東北、北海道、北陸の商工会議所の会頭さんたちが陳情にいらっしゃいまして、その陳情のときにも、私も、実はこういう産官一体の奨学金制度ができるんだ、それについては、ぜひ最初に社員研修して、それで行っていただいて、その後、ちゃんとしたいい人材が採れるというメリットがある、そして企業イメージもいいということで、御協力くださいということでもうどんどん活動を始めておりますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。

 そして、今御指摘のありました、確かに、海外の大学に在学中に奨学金を受けている人はそのまま大学院に行っても奨学金が受けられるんですが、海外の大学在学中に奨学金を受けていない人が大学院に進むときに奨学金は今受けられないという制度になっているんですね、推薦がいただけないということで。

 今、日本学生支援機構が実施する海外に留学する学生等に対する奨学金は、給付型、貸与型、二種類ありますが、給付型の奨学金については、海外の大学から海外の大学院へ進学する者は支援対象としていなかったが、今回、平成二十六年度から、これを支援対象とすることといたしました。今現在は二百名ぐらいでございますが、これを五百名ぐらいに拡充しようということで頑張っております。

 一方、貸与型奨学金については、まだ留学を支援する観点からも現実に事務的なことが動いておりませんので、今、二十六年度中に対応するように検討しているところでございますので、みんなが大学院に行くときにきちんと奨学金が受けられるように、前向きに検討させていただきたいと思います。

中野委員 西川副大臣、ありがとうございます。

 給与型は二十六年度で、貸与型も二十六年度中に改善する方向で今検討ということで、大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 私自身も、やはり家庭が経済的に苦しくて、大学のときに授業料も免除をしていただきましたし、私は当時、日本育英会の方の奨学金と、あと民間の方からの奨学金も、二ついただきましてここまで学んでこられた、こういう思いがございます。しかし、海外留学はしたかったんですけれども、学生時代にそのまま行くというのはやはり経済的に厳しい。当時海外向けの奨学金がそこまでなかったということもございまして断念をした、こういうこともございました。

 いつも下村大臣がおっしゃっている、国内の大学に行くにせよ、海外の大学に行くにせよ、やはり学生が経済的な理由で学ぶことを諦めることがないようにしたい、こういう思いで私も頑張ってまいりたいと思っておりますけれども、奨学金に関して言えば、やはり将来的には、例えば給付型の奨学金ですとか、あるいは所得に連動して返還をする所得連動返還型の奨学金の導入も含めて、国内外で学ぶ学生への奨学金をさらに拡充していってほしい、こういうふうに考えております。これについて大臣の御見解というか御決意を伺えればというふうに思います。大臣、よろしくお願いいたします。

下村国務大臣 奨学金については、中野委員初め御党が大変に力強くバックアップをしていただいておりまして、それを受けて、ぜひ、給付型の奨学金や、あるいは有利子を無利子にかえる奨学金に少しずつ、そして大胆にシフトしていくような政策をとってまいりたいというふうに思っています。

 私も、高校から、当時は日本育英会は給付型の奨学金があったということと、もう一つは交通遺児育英会の奨学金、二つ貸与、給与を受けることによって高校、大学へ進学できましたが、今は給付型奨学金も、日本育英会、学生支援機構ですね、なくなってしまったということで、格差社会の中でますます厳しい状況がありますから、ぜひこれを改善していきたいと思っております。

 その中の一つとして、今国会で、高校授業料無償化の制度設計の中で、来年度から、とりあえず高校生ですが、給付型奨学金、低所得者層の家庭の子供に対しては対象とする新たな制度をぜひ設けさせていただきたいというふうに考えております。

 また、来年度の概算要求で、無利子奨学金の貸与人員の大幅な増員、これを七万人ふやす、今年度よりもさらに七万人ふやすということを今概算要求をしております。また、真に困窮している奨学金返還者への救済措置の充実もすることによって、安心して奨学金の貸与等を受けて大学等に進学できるような環境整備をぜひ図っていきたいと思います。

 また、御指摘を受けた所得連動返済型の無利子奨学金制度、これは二十四年度から導入されましたが、所得把握が容易になる社会保障・税番号制度への移行を前提に、卒業後に一定の年収を超えた時点で一定額を返還する現行制度から、卒業後の年収に応じた額を返還する柔軟な制度へ改善するための準備も進めているところでございますが、できるだけ大学等においては有利子を無利子、そして、高校と同じように大学においてもぜひ給付型を創設する努力をしていきたいと思いますので、ぜひバックアップをよろしくお願い申し上げたいと思います。

中野委員 下村大臣、ありがとうございます。

 大臣おっしゃられていた、来年度の高校生に対しての給付型の導入、これは絶対に、何とか来年度予算でやっていきたい、こういう思いでございますので、しっかりとバックアップしてまいりたいと思います。

 キャリアアップに関して幾つかまた質問させていただきますけれども、キャリア形成のために学生が希望しているものは何か。インターンシップを希望している学生が非常に多い。約七割の学生が、我々のアンケートでは希望しておりました。しかし、実際は、制度がよくわからないですとか、あるいは時間がない、希望する職種と出ているものが合わない、さまざまな理由がありまして、余り実行に移されていない、こういう現状がございます。

 しかし、キャリアアップのためにも、インターンシップをどんどん広げていく、これは非常に重要であるというふうに思いますので、これからインターンシップを行う学生がふえるように、政府の方でも何らかの後押しが必要かというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。

布村政府参考人 インターンシップにつきましては、先生御指摘のとおり、大学における学びと社会での経験を結びつけることで、学生の大学における学習の深化、あるいは新たな学習意欲の喚起につながるとともに、学生が自分の適性や将来設計につきましてじっくり考える機会ともなり、主体的な職業選択あるいは高い職業意識につながるという有益な取り組みであるというふうに考えております。

 文部科学省におきましては、インターンシップの一層の推進を図るために、インターンシップの受け入れ企業の拡大を図ること、また学生への情報提供につなげること、そして、企業と学生のマッチング、あるいはインターンシップをコーディネートする専門人材の養成などに係る各地域地域における体制の整備が重要であるというふうに考えており、平成二十六年度、来年度の概算要求におきまして、全国的に地域地域での体制の整備というものにつながるような予算を要求させていただいているところでございます。

 学生にとりましてインターンシップがより参加しやすいものとなるよう、大学と連携しながら、また企業の方々の御協力をいただきながら、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 インターンシップ、特に大事だなと思いますのは、地域地域で、それぞれの地域に根差したというか、例えば地域の中小企業でありますとか、そういったところもしっかりと巻き込んで、マッチングもしていって、こういう取り組みが広がっていってほしい、こう思いますので、しっかりとバックアップしてまいりたいと思います。

 キャリア形成、最後に一つ質問ですけれども、資格の取得をしたいという学生がやはり一番多いわけでございます。全体の約八割ぐらいの学生が、キャリア形成には資格が欲しい、こういうことをおっしゃっておりまして、他方で、時間の問題、経済的な負担の問題、さまざまございます。

 学内において資格取得の単位認定を幅広く認めるなど、多様な取り組みを政府としても行って支援していくべきではないかと考えますけれども、御見解を伺います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 英語に関するTOEFL、TOEICあるいは英検、あるいは、一般社団法人、財団法人が行っていただいております幅広い各種の資格試験につきましては、多様な学習を積極的に認めていくため、平成十一年に制度改正を行い、各大学におきまして、大学教育に相当する水準であるというふうに認められた場合には、その資格取得のための学習、あるいは資格取得ということに対しまして、大学の単位として認定できるというふうになっており、多くの大学で実施がなされています。

 平成二十三年の実情では、大学数で二百九十一、全大学の四〇%、国公私立の大学でそのような単位認定を行っていただいているという状況でございます。

 各大学におきましては、資格に関する学習を単位認定する際には、大学教育に相当する水準であるかを質保証に十分留意していただいて、養成すべき人材像を踏まえて、語学などの学習成果の確認、あるいはキャリア教育、職業支援の一環として、資格試験の多様な活用につなげていただきたいというふうに考えているところでございます。

中野委員 ありがとうございます。

 学生の要望としては一番強いものがございますので、やはり、しっかりとふやして、取り組みとしてやっていっていただきたいという思いでございます。

 少し話題をかえて質問をさせていただきますけれども、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定をいたしました。招致が決定をいたしまして、政府としてもスポーツ庁を設置してスポーツ振興を行っていく、こういうお話を伺っております。

 今まで、オリンピックの方は文部科学省でやっている、パラリンピックの方は厚生労働省の方が所管をしている、こういう、所管が違う、これが一体的に推進をしていくという意味では一つの課題だったのではないか、私はこう考えております。

 加えて、障害者スポーツといいますと、パラリンピック以外にもさまざまございます。例えば聴覚障害者の方のデフリンピックもございますし、あるいは知的障害者の方のスペシャルオリンピックス含め、地元の方でもさまざまな障害者スポーツ大会が行われているところでございますけれども、残念なことに、認知度でいえば余り知られていない。パラリンピックはかなり有名になってまいりましたけれども、まだまだ認知度が低いという現状であると思います。

 私の地元にもスペシャルオリンピックスの方で活動を頑張っておられる方もいらっしゃいまして、いろいろなお話を伺うんですけれども、例えば、アメリカにおいてはスペシャルオリンピックスというのは非常に認知度が高いというふうに言われております。私の見た話だと、もう九五%ぐらいの方が知っておられる、こういうお話も伺ったことがございまして、日本でももっと多くの方に、こういう取り組みがある、こういう障害者スポーツをみんなでやっている、こういうことを知っていただきたい、私もこのように考えております。

 今回、障害者スポーツについてもスポーツ庁の方でやっていく、こういうお話も伺っておりまして、ぜひ省庁のこういう垣根を取っ払って、越えていって、スポーツ庁の方で一体的にこういう障害者スポーツも含めてしっかり振興していく、こういうことをやっていっていただきたい、こう思いますけれども、ぜひこの御決意を政務官の方に伺えればというふうに思います。よろしくお願いいたします。

冨岡大臣政務官 中野委員の質問にお答えいたします。

 委員おっしゃられるとおり、私も以前から障害者施策に関しましてはいろいろな考えを持っておりましたけれども、このオリンピック開催が決定されたということを契機として、委員御指摘のように、これまでの障害者スポーツに関する事業は、厚生労働省から、スポーツの観点から一体的に実施する必要性に鑑み、来年度より、御指摘のように、パラリンピックだけじゃなく、デフリンピックやスペシャルオリンピックへの支援も含めた多様な事業を文部科学省が行っていくことにいたしております。

 すなわち、スポーツ庁については、文部科学省として、櫻田副大臣のもとにタスクフォースを設置し、精力的に検討することとしております。また、委員も御参加かもしれませんけれども、超党派のスポーツ議員連盟のプロジェクトチームにおいても検討を開始されたと聞いております。

 したがいまして、今後、スポーツ庁の設置について、行政改革の基本的方針に配慮しつつ、障害者スポーツを含め、スポーツに関する施策の総合的な推進というスポーツ基本法の理念が実現されるよう、スポーツ議員連盟における議論等も踏まえながら、その枠組みや方向性を精力的に検討していきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

中野委員 冨岡政務官、ありがとうございます。

 私、本来スポーツというのは、障害者スポーツであるとかそうでないとか、そういう垣根を越えていくべきものではないかというふうに思っております。そういう意味では、スポーツの持つ意味というのは、スポーツが我々に与える影響というのは非常に大きい。

 障害者スポーツもスポーツ庁で一体的にやっていくというのは非常に大きな意味があるのではないかというふうに期待しておりますし、しっかりと後押しもしてまいりたい、こういう思いでございますので、どうかよろしくお願いいたします。

 最後になりますけれども、一点、現在行われている教育委員会制度の改革、これについて質問をさせていただければというふうに思います。

 先般の中央教育審議会の教育制度分科会におきまして、中間の取りまとめがなされたというふうに聞いております。これは、教育長を首長の補助機関とする、これはいわゆるA案と言われているようでございますけれども、このA案、もう一つは、教育長を教育委員会の補助機関とする形、いわゆるこれがB案というふうに呼ばれておりますけれども、A案、B案、この二つの案が提示をされた、こういう話を伺っております。

 今回、しかし、教育の関係者の方のお話をその後いろいろ伺うんですけれども、A案、これについて大変御懸念の声が多い、こういう声を非常に大きく伺うわけでございます。

 伺う話ですと、A案では、やはり首長の権限というのが非常に強過ぎるんじゃないか、こういうお話。例えば、首長がかわるたびに教育の中身が変わってしまうんじゃないか、振り回されて子供たちにいろいろな影響が出るんじゃないか、こういう形ではなかなかA案というのは難しい、こういうふうなお話を教育関係者の方から伺うことも多くございます。

 さきの通常国会でも、私、大臣の方に質問をさせていただいて、教育制度、やはり、政治的な中立性、あるいは安定性、継続性をしっかりと確保していく、これが大事だ、これは大臣の御答弁をまさにいただいておるところでございますけれども、しかし、関係者のいろいろなお声を聞くと、仮にA案を採用するとした場合に、一体どういうふうにして政治的中立性、あるいは安定性、継続性が確保できるのか、これについて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、中央教育審議会教育制度分科会の審議過程報告に示されたA案は、教育長を首長の補助機関として、教育委員会を首長の附属機関とする案ということで提示されているわけでございます。

 この案の場合には、御指摘のように、教育の政治的中立性、継続性、安定性、これをどう確保するかということが必要になってくるわけでありますし、このために、一つには、首長は、教育長の事務執行について日常的な指示を行わないこととすること、二つ目には、教育委員会は、単なる諮問機関として答申、建議、勧告等を行うだけでなく、一定の事項については、教育委員会が教育行政の事務執行をしっかり拘束できる権限を持つような制度にするというような提言が現在されているところでもございます。

 こうした制度上の措置について、今後さらに中教審において具体的な検討が行われるということになりますが、いずれの場合においても、御指摘のように、教育における政治の中立性、それから継続性、安定性、これは十分に確保される制度設計を行うということをきちっと担保する上で決めていく必要があるというのは、御指摘のとおりであるというふうに私も考えております。

中野委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、A案、B案、二つ案が出まして、これから制度設計をしていくということでございます。確かに、現状、私が聞く限りでは、A案に対して大変御懸念の声を強く聞いております。こういう声にどう応えていけるのか、そういう案は何なのかということを、私もしっかりとさまざまな方と議論をして、また大臣の方に御意見を伝えさせていただければと考えております。

 いずれにしましても、これから日本は、本当に教育再生は一番大事な課題でございます。しっかりとこの思いで頑張っておられる下村大臣以下政務の皆様、また文科省の皆様ともども、私も全力で頑張ってまいりますので、どうか今後ともよろしくお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 本日は、本当にありがとうございました。

小渕委員長 次回は、来る十一月一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十八分散会


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