衆議院

メインへスキップ



第2号 平成25年11月1日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十一月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小渕 優子君

   理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君

   理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君

   理事 義家 弘介君 理事 笠  浩史君

   理事 鈴木  望君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      小田原 潔君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    菅野さちこ君

      木内  均君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      桜井  宏君    新開 裕司君

      瀬戸 隆一君    武部  新君

      津島  淳君    冨岡  勉君

      永岡 桂子君    根本 幸典君

      野中  厚君    馳   浩君

      比嘉奈津美君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    山田 美樹君

      菊田真紀子君    寺島 義幸君

      細野 豪志君    山口  壯君

      吉田  泉君    遠藤  敬君

      椎木  保君    三宅  博君

      中野 洋昌君    井出 庸生君

      柏倉 祐司君    宮本 岳志君

      青木  愛君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   文部科学副大臣      櫻田 義孝君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   文部科学大臣政務官    上野 通子君

   経済産業大臣政務官    磯崎 仁彦君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   岡本 薫明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          前川 喜平君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            田中  敏君

   政府参考人

   (文化庁次長)      河村 潤子君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役副社長)       山口  博君

   文部科学委員会専門員   久留 正敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     菅家 一郎君

  神山 佐市君     山田 美樹君

  木内  均君     武部  新君

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  熊田 裕通君     津島  淳君

  桜井  宏君     根本 幸典君

  宮内 秀樹君     小田原 潔君

  菊田真紀子君     寺島 義幸君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     宮内 秀樹君

  菅家 一郎君     青山 周平君

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

  武部  新君     木内  均君

  津島  淳君     熊田 裕通君

  根本 幸典君     桜井  宏君

  山田 美樹君     神山 佐市君

  寺島 義幸君     菊田真紀子君

    ―――――――――――――

十月三十一日

 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小渕委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役副社長山口博君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として財務省主計局次長岡本薫明君、文部科学省初等中等教育局長前川喜平君、高等教育局長布村幸彦君、研究開発局長田中敏君及び文化庁次長河村潤子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笠浩史君。

笠委員 おはようございます。(発言する者あり)ありがとうございます。

 臨時国会が始まりまして、この質疑、私も初めて立たせていただくわけでございますが、まずは、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まったこと、私自身も、ちょうど大臣政務官のときに東京が再び二〇二〇年を目指してチャレンジするということで、その後も副大臣として、そしてまた超党派の招致の議員連盟の一員としても活動させていただき、下村大臣にも御一緒させていただきました。当日、ブエノスアイレスであの歴史的な瞬間を迎えさせていただいたことは本当に光栄なことだと思いますし、それだからこそ、何としてもこの大会を成功させていくために、しっかりとした責任を果たしていかなければならないということを考えております。

 二回目のオリンピックということになり、さらには、今回パラリンピック大会も開かれるということでございますけれども、幾つか、やはりこの東京大会が成功するためにこれから取り組んでいかなければならないことがあろうかと思います。

 当委員会でも、今、与党の筆頭理事さんなんかとも相談をしながら、この臨時国会でも、集中して一度、スポーツ振興、そして東京大会の成功に向けての議論というものはまた別の機会にしっかりとやらせていただきたいと思うんですが、きょうは、スポーツに関連して二点だけ大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 東京オリンピック・パラリンピック大会ということで、私は従来、何とかこのオリンピック大会とパラリンピック大会を一体のものとしてしっかりとした開催ができないかということを考えており、また、そのことを実現したいというふうに思っております。

 例えば、どうしてもオリンピックが終わった後にパラリンピックが開かれるということで、ロンドンの大会でも多くの観客の方、応援する方がごらんになっているという状況ですけれども、パラリンピックは、テレビや、そういったメディアを通じて扱いが随分違いますので、パラリンピックというものについて、何かオリンピックが終わった後にいつの間にか始まって、そこが切り離されたようなそういうイメージが多分あるような気がしているんです。

 それで、いろいろな、IOCとの関係、立候補ファイルとの関係があろうかと思いますけれども、オリンピックとパラリンピックの開会式を同時に行うとか、あるいは、特定の種目でもいいから決勝戦だけでも同じ日に開催するようなことができないか。まさに、東京で初めての試みとして一体的な大会へ向けて一歩踏み出すことができれば、私はやはり、我が国の共生に対する理念、そういった共生社会というものを、これは国内外ともにしっかりとアピールをしていくことにつなげていくことができるんじゃないかというふうに思っております。

 その点についての大臣のお考えをまずお聞かせをいただければと思います。

下村国務大臣 おはようございます。

 笠委員がこれまで二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致に向けて大変に御活躍をしていただいたということを、私の方から改めて感謝を申し上げたいと思います。

 そして、今、非常に前向きな提言をいただいたというふうに感じております。

 文部科学省でも、来年度から、パラリンピックはこれまで厚生労働省の所管でしたが、これを文部科学省がオリンピック、パラリンピック一体として所管するということを、概算要求の中でも入れておりますし、厚生労働省とも話をしております。

 その中で、今御指摘のようなことは私も随分いろいろな方々から提言をいただいておりまして、本当にそのとおりだなと思うところがたくさんございます。

 これまで、オリンピックとパラリンピックは、主催者が異なることから、実施の条件や競技施設の使用方法に違いがあり、また、選手村の収容人員の制約があるということを踏まえて、二〇二〇年大会の立候補ファイルでは、御指摘ありましたが、オリンピック、パラリンピックを別の日程で開催する計画を記載し、その計画がIOCで承認され東京開催が決定したという経緯もございますので、この計画の根幹部分を変更するというそういう課題が、御提言を受けるということでは出てくるわけでございます。

 しかし、御指摘のように、東京オリンピック・パラリンピック担当大臣として、両大会の連携をやはり重要視する必要があるというふうに思いますし、オリンピック、パラリンピックを一体的に盛り上げるという考えは、まさに、日本が目指す共生社会の実現を図る上では大変有意義なことであるというふうに私も感じております。

 来年二月までに設立される大会組織委員会ではオリンピック、パラリンピックの両方を運営するということになっておりますので、委員の御提言は貴重な提言として受けとめて、大会に向けての準備や社会的機運の盛り上げなどさまざまな場面で、何が実施できるか、大会組織委員会とともに創意工夫しながら前向きに考えていきたいと思います。

笠委員 大臣、私どももしっかりとこれは応援をしていきたいと思いますので、今大臣から力強いお言葉をいただきましたけれども、ぜひお願いをしたいと思います。

 一つには、パラリンピックの選手に大会よりもかなり早い段階から日本に滞在をしていただくということになれば、恐らく、その受け入れ先であったり、あるいはそれに対する費用をどうするのか、いろいろな問題もあろうかと思います。

 ただ、今回のオリンピック・パラリンピックは、やはり多くの人々にかかわってもらわなければなりません。そういう意味では、それぞれ自治体にも協力をしていただいて、例えばパラリンピックの選手たちを、ある種目の選手たちはどこどこの市が受け入れるとか、そういった中での、また地域の子供たちとの交流や障害をお持ちの方々との交流をしていただくとか、いろいろなことが私は考えられるのではないかと思いますので、ぜひ、そうしたことは今後もまた委員会を通じてさまざま提言もさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それともう一点、東京大会が決定した一つのこの機会を、我々、スポーツ基本法、これも、超党派の議員立法として委員会の皆様方と議論をしながら成立をさせて、今、新しいスポーツ振興へ向けての取り組みが求められております。

 その中でも、残念ながら本則の中に盛り込むことはできませんでしたけれども、今大臣からもお話があった、パラリンピックの所管を文科省の方に移す、これは本当に私も評価をしたいと思います。

 こうした中で、障害者のスポーツも含めてこれからスポーツ庁をやはり設置していく、これは、単にオリンピック・パラリンピック成功へ向けての組織ではなくて、その後二十年、三十年、あるいは五十年先、やはり、スポーツ振興というものを見据えた大事な組織になっていくというふうに思っております。

 ただ、一点ちょっと気がかりだったのが、大臣が、オリンピックが終わった後、スポーツ庁が必要だということで、私もその認識は一緒なんです。しかし、できれば来年度ぐらいには設置したいというようなことを、思わずというか、大臣も前のめりになってちょっと発言をされたことがあろうかと思いますけれども、これは、実は遠藤議員あるいは馳議員と一緒に、先般、超党派のスポーツ議連のもとでもプロジェクトチームを立ち上げて、かなりいろいろな議論をしていかないと、では、スポーツ庁がカバーをする範囲というのはどこまでなのか。

 文科省の中でも、学校体育まで含めてやっていくのかどうか、あるいは、先ほどの障害者の方々のスポーツというものを、パラリンピックだけであればそれは移行することはできるかもしれませんけれども、リハビリだとか医療を伴うような方々のこういったスポーツまでを、では、スポーツ庁で担当することが果たしてどうなのか。

 そういったことをいろいろと考えていくと、かなりこれはしっかりとした議論をやはりしていかなければ、この組織の立ち上げというのは非常に難しいんじゃないかということで、一年ぐらいは政府の中でも検討されると思いますけれども、私どもも、しっかり有識者の皆さんの意見も賜りながら超党派の議連でも議論をし、そして、せっかくつくるスポーツ庁でございますので、やはり、その後、何のためにつくったんだというようなことがくれぐれもないように進めていかなければならないと思っております。

 大臣、そうなると、再来年度とか、早くてもそれくらいのやはり時間がかかるんじゃないかと思いますけれども、その辺のタイムスケジュール、今現在の大臣のお考えを確認をしておきたいと思います。

下村国務大臣 昨年暮れに私が文科大臣を拝命したときの総理からの指示書の中の一つとして、スポーツ庁創設の指示を受けました。これに沿って、当時の福井副大臣のもとでスポーツ庁設置に向けた省内におけるタスクフォースをつくって、この結論は既に八月に出ておりまして、この結論にのっとれば、来年にでもスポーツ庁設置は可能であるということを省内では取りまとめました。

 ただ、御指摘のように、その後、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが決まり、また、ただのスポーツ庁ということだけでなく、いろいろな形でもっと付加価値の高いスポーツのあり方を検討すべきではないかというような議論がさらに出てきた中で、例えば、今御指摘がありましたが、医療費だけで我が国は今約四十兆円かかっておりますが、そのうちの一割は生活習慣病から起因すると言われております。この生活習慣病について、スポーツ等を取り入れることによって、一割の四兆円ぐらいの削減効果があるのではないか。

 しかし、もちろんスポーツ庁に四兆円ということではなくて、その十分の一あるいは四十分の一でも、それを軽減させるぐらいのスポーツの効果というのも健康面からも考えられるのではないかということを考えると、御指摘のように、スポーツ庁というのはトップアスリートのためだけのものでなく、広く国民全てにおいて享受できるような、そういうスポーツ、健康、医療、福祉分野にもかかわるような大変裾野の広い議論もこれから必要であるということの中で、ただ単に、このスポーツ庁の行政組織のあり方の再編だけでなく、そういう部分から検討する必要があるだろうということを考えて、その後、九月末に就任をした櫻田副大臣のもとでタスクフォースを設置して、今後のさまざまな課題について改めて検討するということを省内において決定をいたしました。

 その後、今御指摘がありましたが、超党派のスポーツ議員連盟で、スポーツ庁設置のためのPTをつくり、民間有識者の方々にも入っていただきながら議論をされるということがこの間議連で決定をしていただいたということでございますので、このスポーツ議連と連携しながら、よりよい形でのスポーツ庁のあり方について文部科学省でも検討し、総合的な判断の中で、しかし、できるだけ早くスポーツ庁の設置の見通しはやはりつけるべきだというふうに思いますので、スポーツ議連においても、このPTについては、遠藤幹事長に私の方から、できたら、一年と言わず、来年の春ぐらいまでをめどに中間報告をつくっていただきたいということはお願いしましたが、今後、スポーツ議連等と連携しながら、より望ましいスポーツ庁のあり方について検討していきたいと思います。

笠委員 また改めて、具体的には議論を深めさせていただきたいと思います。遅くとも、やはり二〇一六年のリオのオリンピック・パラリンピック大会ぐらいまでには、私自身も、スポーツ庁というものができて、いよいよ東京へ向けてということでスタートをさせていきたいなという思いは持っております。

 ただ、本当にさまざまこれは議論をし検討すればするほどいろいろな課題が出てくると思いますので、そこはしっかりとまた今後進めていただきたいというふうに思います。

 次に、これからいよいよ平成二十六年度の予算編成に入っていかれることと思いますけれども、きょうは、その中から一点、ちょっと大臣に確認をしておきたいと思います。

 先般、大臣が水曜日に、今回の臨時国会に当たって挨拶をされました。その中でもそうなんですけれども、いわゆる少人数学級の推進の問題、これはさきの通常国会でも私は大臣とこの委員会で議論をさせていただいて、この少人数学級を何とかしっかりと計画的に教職員の定数改善を行いながら進めていこうというのは、共通の思いだというふうに思っております。

 ただ、私が気がかりなのは、最近、大臣のこうした発言の中から少人数学級というのがなくなっているんですね。少人数教育。通常国会のときの大臣の所信の中では少人数学級だったんです。しかし、この臨時国会の挨拶では少人数教育の推進ということで、いろいろな概算要求の資料を拝見しても、もちろん少人数教育の中に少人数学級というものも含まれてはいるんですけれども、やはり、私たちは少人数学級の推進というものを掲げながら財務省とも交渉していました。

 今回、大臣が、この予算の概算要求に当たって、少人数教育という方にシフトをされて、できれば少人数学級もやれればいいなと、少し私は下村大臣にしては後退をされているんじゃないかという懸念があるんです。いかがですか大臣。

下村国務大臣 学校現場において高度化、複雑化しているさまざまな教育課題に対して質の高い教育を実現するためには、教職員定数の改善は不可欠だというふうに思います。

 文部科学省として、そのために、全国学力・学習状況調査をし、この結果を踏まえた検討を行うことによって、さらに少人数学級を推進しようというふうに考えております。

 この調査結果を踏まえますと、今後さらに、少人数学級の推進やチームティーチング、それから習熟度別指導など少人数教育の推進、これはそれぞれの自治体が創意工夫によって、必ずしも三十五人以下学級ということだけでなく、いろいろな創意工夫によって結果的に全国の学力・学習状況において効果が上がっているというのが、これは客観的な、調べた結果での判断でございました。

 このために、ことしの八月に、文部科学省として、教師力・学校力向上七カ年戦略というのをつくりました。ここにおいて、現にある小学校三年生から中学校三年生までの三十六人以上学級を解消とする内容を含んだ計画的な定数改善を盛り込みました。ですから、自治体が、三十五人以下学級にすることが可能な人員配置、一方で、自治体の判断で、まず、学力向上や学習状況の改善を考えると、チームティーチングや習熟度別指導をしたいというところがあれば、それはそれでそういう判断ができる。

 しかし、教員確保は、三十五人以下学級に対応できるようなそのようなことを文部科学省として考え、より実効性の上がる、現場で成果、効果が上がる対応を考えていきたいと思っております。

笠委員 大臣、ただやはり大事なのは、我々も、この二十五年度から五カ年で計画的に教職員の定数の改善を行っていくということを、今は大臣、これから七年間でということをおっしゃいましたけれども、これはどうも、定数改善計画をしっかりと打ち出して、その計画に基づいてそれぞれの自治体がまさに計画的に、では、少人数学級をやる場合にはどの学年からスタートをさせていくのか、もうこれは自治体の判断、都道府県の判断があっていいと私は思うんです。

 あるいは、では、少人数学級はここまでだけれども、今あったような少人数教育という形でこちらに力を入れていきたいとか、こういう方法でやるんだとか、ただ、前提としては、あくまで教職員の定数改善がしっかりと五年であれ七年であれ計画的に進められるということをやはり示さなければ、むしろ、その自治体ごとのさまざま現場に即した対応ができないと私は思うんですね。

 その点は、大臣、計画的な教職員の定数改善を行うということでよろしゅうございますか。確認です。

下村国務大臣 この教師力・学校力向上七カ年戦略は、これから七カ年の中で、生徒の人数減によって教職員の自然減が三万四千九百人になりますが、改善総数は三万三千五百人によって、子供の数は減るけれども、しかし、それに対応して教員の数は減らさない。逆に、教員の確保を維持しながら、より少人数教育に向けた対応をしていくということがこの七カ年戦略の骨子でございます。

 この観点から、今御指摘の教職員定数の計画的改善を含め、教員の資質向上など教職員をめぐる課題全般についてこの七カ年の計画の中で実現をしようというふうにしたものでありますし、この結果を踏まえまして、来年度二十六年度の概算要求においても、少人数教育の推進として、加配定数により少人数学級と少人数指導を選択的に実施可能とすることなどを含めた、三千八百人の定数改善を要求をしております。

 まずは、この七カ年戦略の実現に向けて、しっかりと着実に努力をして実現をしてまいりたいと思います。

笠委員 これからの予算の行方、状況等々を私もしっかりと注視をしながらまた議論をさせていただきたいと思います。

 ちょっと時間が少なくなってきたんですが、きょうはもう一点。

 さきの通常国会で、六月に、これは本当に私は与党の皆さん方にも感謝申し上げたいんですが、いじめ防止の対策推進法、特に馳座長には、当時、実務者協議で、我々民主党、野党の出した案からもいろいろなところを随分取り入れていただきました。それで、結果として国会の意思としてこの法案が成立をしたことは、大変意義深いことだというふうに考えております。

 そして、この法案ができたことに伴って、このたび、十月の十一日でしたか、文科省の方で基本方針の取りまとめが行われました。ここで幾つか、ちょっと具体的なことを確認させていただきたいと思います。

 この基本方針、文部科学省は、法や国の基本方針の内容をより具体的かつ詳細に示すため、協議会を設けるなどして、今後、具体的な運用などのあり方に関する指針、いわゆるガイドラインを策定することになっております。

 このガイドライン、指針はいつごろまでに策定をするのか、また、このガイドライン策定のための協議会というのはいつごろ設置をする予定なのか、また、今回、基本方針を出すための協議会というものがあって、六回ぐらいでしたか、たしか協議がされたというふうに承知をしておりますけれども、そのメンバーと同じような形になるのか、その辺をお聞かせをいただきたいと思います。

前川政府参考人 国が定めましたいじめ防止基本方針のもとで、より具体的かつ詳細な内容を示すための具体的な運用等のあり方に関する指針、これを別途策定するということとされております。

 現時点では、この別途作成する具体的な指針の内容につきましては検討中でございますけれども、特に、重大事態に関します、子供の自殺が起きたときの調査の指針でありますとか、あるいは、長期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあるという場合の調査のあり方などについて検討することとしております。

 子供の自殺が起きたときの調査の指針、これにつきましては、平成二十三年の三月に、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議というのがございまして、そこでまとめた指針があるわけでございますが、この会議におきまして、その見直しをさらに検討するとしているところでございます。今年度中には結論を得たいと考えております。

 また、その他の検討課題につきましても、できるだけ早期に検討してまいりたいと考えております。

 一方、いじめ防止対策協議会という協議会を置くということになっておりますけれども、この協議会は、具体的な指針の検討をすることも想定されるわけでございますが、その委員構成につきましては十分に検討しながら進めたいということでございまして、今のところ、この委員構成などについては定まっていないという状況でございます。

笠委員 今、地方公共団体も、今回の基本方針を受けて、あるいはこれから国が示すガイドラインを受けて、それぞれ協議会の設置あるいは地域の基本方針を定めていくことになるわけですね。

 そのときに、もちろん、国以上にある意味ではいろいろな事案が発生したり、あるいは、そういうことが発生せずとも、一生懸命にこの問題に取り組んでいる自治体があることを私も存じております。

 ただ、やはり中には、国がさらに具体的にどういうガイドラインを示すのかということを様子を見ながら、なかなか自分たちが独自に取り組むことができないというようなところもありますので、今、局長からはこれからだということですけれども、やはりこれはしっかりと急いでやっていただきたい。

 それともう一点は、その協議会のメンバーの中に、実際にお子さんが自殺された御遺族の方であったり、あるいは、いじめで苦しんだお子さんを持っておられる経験のある方々のNPOであるとか、そういう方々もぜひメンバーに入れていただいて、よくあるのは、そういう方々はヒアリングを別途すればいいじゃないかとありますけれども、そうではなくて、やはり、当事者の声というものをしっかりと踏まえた協議を行ってガイドラインを策定をしていただきたいと思いますけれども、その点は大臣いかがですか。

下村国務大臣 御指摘の点はそのとおりだというふうに思います。

 地方自治体に対しては、昨日からきょうと二日間に分けて、地方公共団体や教育委員会の担当者を含めた全国の学校関係者を対象とした、いじめの問題に関する普及啓発協議会を開催し、本法及びいじめ防止基本方針について説明を行っているところでございますが、より地方自治体においてこの基本方針の策定あるいは組織の設置について促進されるように、国の方からもさらに働きかけをしていきたいと思います。

 また、御指摘の、被害者の関係者の方々の声を聞くということは大切なことだというふうに思いますし、それぞれの自治体においてもそれぞれの自治体の判断はあるでしょうけれども、できるだけそういう方々の声が反映されるような形で防止対策に努めていくようにしたいと思います。

笠委員 こうしている間にも、いじめで苦しんでおられるお子さんもおられると思います。先ほど申し上げたように、これは画期的な、しかも立法府の意思としてこうした法案ができた、しかし、なかなかそのことが周知されていない。知らないという方、これはメディアが取り上げるかどうかというのも大きいんですけれども、ですから、大臣もあらゆる機会に、こういった取り組みをしっかりと地方も学校現場も含めて国としてもやっているんだというようなことをぜひまたアピールもしていただければと思います。

 時間が参りましたので質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小渕委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 おはようございます。細野豪志でございます。

 私、文部科学委員として所属するのは初めてでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本題に入る前に一つだけ、先ほどの笠議員と大臣との質疑について、私からも追加で聞かせていただきたいと思います。

 少人数学級なんですが、私どもはやはり、できる限りきめ細かい、子供たちに対応した教育ができるという意味で教員の配置は非常に重要だというふうに考えてまいりまして、三十五人以下学級ということでやってまいりました。

 先ほどの笠委員に対する答弁を聞いて、大臣もそういう問題意識を共有しておられるというふうには感じたんですが、一方でやや違和感を感じましたのは、必ず、この問題を論じるときに全国学力・学習状況調査等というこれが出てくるわけですね。もちろん、学力の向上というのは教育の大きな目的ですから、それを判断基準の一つにするということは結構です。

 ただ、私の感覚からいえば、やや個人的な感覚も含めて申し上げると、特に、小学校においてこの問題を理由として少人数学級をやるかやらないかという議論をしている財務省の感覚は、ちょっとずれていると思います。

 例えば、文部科学省が出している資料の中でも、少人数学級を実現することによって、いじめであるとか不登校が減少しているというそういう数字がはっきり出ていますよね。私は、こちらの方がより本質的だと思うんですよ。

 つまり、子供が抱えている事情もそれぞれあるし、家庭の状況もさまざまある中で、子供たちがやはり元気に学べる環境をまず整えるんだ、そのためには、余り先生が大勢の子供の面倒を見るということになると対応がし切れないので、少人数学級、私はそっちの方が本質的だと思うんですね。大臣からも先ほど学力の話だけが出てきたものですから、そこが正直気になりました。

 そこを含めてと言うが、そちらをもっと重視をして、学級の配置の問題について、先生の配置の問題について考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 御指摘についてはそのとおりでありますが、私が先ほど申し上げたのは、全国学力・学習状況調査ということを申し上げました。これは、全国学力テストだけでなく、今委員御指摘のような学習状況調査もあわせてしております。

 これはそもそも、昨年から、対財務省との関係の中で財務省は、少人数学級にしても、学力向上やいじめ問題を含めた原状回復については少人数による相関性の判断はできないのではないかということに対して、文部科学省としては、全国学力テストと学習状況、そういう学級内あるいは父母との関係、地域との関係、それもあわせて調査した中で客観的なデータを出す、その上で財務省と議論をするということで今まで来ておりました。

 その中で、実際その調査をした結果、これは学力テストだけではなく、そういう教師と生徒とのトータル的な効果の問題においても、三十五人以下学級だけでなく、効果としては、チームティーチングや習熟度別指導の方があらゆる部分でより成果、効果が上がっている自治体もあるというのがこの調査結果の判断でございましたので、三十五人以下学級にもできるような教員の加配はするけれども、自治体が今のいじめの問題含めて状況の中でどう判断できるかは、教員の配置については自治体が判断できるようにするということを、来年度の概算要求や教師力・学校力向上七カ年戦略の中で入れたものであって、御指摘のように、学力以外のことも当然判断の中に入れているということでございます。

細野委員 大臣の御答弁を聞いてやや安心しましたけれども、それもというよりはそちらの方が重要じゃないかと。ひっくり返せとまでは申しませんが、財務省の資料を見ていますと、常に、学力テストが上がりませんというのが出ていますよね。それを文科省がちゃんと押し返して予算を確保するためには、それが教育の目的そのものでそれがゴールなのではなくて、子供たちがきちっと学べる環境がつくれる、特に小学生においてはですね、そこを押し出して頑張っていただきたい。これはもうぜひ文部科学大臣に頑張っていただきたいということを申し上げたいと思います。

 次に、双葉郡における中高一貫の学校の創設、設置についてお伺いしたいと思います。

 私、今回志願をしてこの文部科学委員になったんですが、一番やりたいと思っているのがこれなんです。特に、福島の状況については私個人としても非常に大きな責任を感じておりまして、何とか福島県をいい方向に持っていきたいと思っています。

 特にやはり深刻なのは、浜通り、双葉郡という状況でございます。川内村、広野町、本当に町長さん、村長さんが御努力をされて、もう一回そこで生活をしようという努力をされています。ある程度実を結んでいるところもあるんですね。

 しかし、例えば川内村を一つとると、確かに半分ぐらいの住民の村民の皆さんは帰ってきているんだけれども、子供たちがなかなか帰ってきてくれない。子供たちのいない村、町というのは、これから持続できるのかということも含めて、これは本当に相当厳しい状況になることはもう明らかですね。

 もちろん、安全の確保、これはもう大原則の原則ですが、政府としてそこの確認がしっかりできた場合については、お子さんについても帰ってもらえる環境をつくるべきだと思うんです。

 今見ていますと、やや悪循環に陥っているような気がしていまして、子供が帰らないものだから学校がなかなか機能しなくなってきている、少なくなってきている。学校が機能しなくなると、また子供が帰りにくい。この悪循環に陥っているような気がしています。

 今回、福島県の方が出してきた双葉郡教育復興ビジョンの中で、平成二十七年度に県立で、私は本来国立があるべきかと思ったんですが、県立ということで、それはいいでしょう、これをつくるというのは、双葉郡の今後を考えたときに非常に重要な問題になるし、ぜひ、文部科学省としても前面に出てやっていただきたいと思うんです。

 ちょっと手違いで政府委員の方も来ていただいているようなんですが、余り細かいことは聞きませんので、ここは大臣に決意も含めてぜひお聞かせをいただきたいと思います。事項要求になっていますから、私が懸念しているのは、県の事情だというのは承知していますが、文部科学省としてこれはもうとにかくやるんだという強い決意をぜひお示しをいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。(発言する者あり)大臣に。

上野大臣政務官 細野委員、お答えいたします。後から大臣にお答えいただけると思いますが。

 私も問題意識を同じく持つ仲間の一人として、福島県あちこちの、特にサテライトの高校に行かせていただいて、いまだに仮設の校舎で頑張っている子供たちの様子を見てきました。一日も早く、一つの新しい高校または中高一貫として建てることによって、魅力ある学校に子供たちが進むことを望んでおります。

 この双葉地区の教育委員会が主宰する福島県双葉郡教育復興に関する協議会というのがありまして、ここにおいて、本年七月に教育復興ビジョンが取りまとめられたところです。これを踏まえて、現在、福島県教育委員会において、新たな県立高校の平成二十七年四月開校に向けた検討が進められていると承知しております。

 福島県教育委員会としましては、当面高等学校の設置を先行させる方針と聞いていますが、引き続き、教育復興ビジョンを踏まえながら、中高一貫校の設置の取り組みを進めることが重要であると文科省としても考えております。

 そこで文科省としましては、平成二十七年四月開校に向けて速やかに準備が進められるよう、新たな高等学校の設置に必要な経費の助成を検討するとともに、引き続き、中高一貫校の設置に向けて助言等を行うなどの支援をしてまいりたいと思います。

 今、かなり密に文科省と福島県の教育委員会とが相談を連携しながらやっておりますので、よろしくお願いいたします。

細野委員 私も、これまでの人間関係もありますので、福島県とも話をいたしましたし、協議会の関係者の皆さんとも話をしました。一時期、足並みがややそろっていないかなと思った時期もあったんですが、今はかなりぴたっとそろってきておりますので、現場は大丈夫だと思います。

 大臣、平成二十七年度はもう本当に私ぎりぎりのタイミングだと思うんですね、四年たちますから。私、子供が中学生ですけれども、違う地域で要するに中学校とか高校へ行くと、なかなかやはり戻るということにならないですよね。四年でももうぎりぎりのタイミングなので、平成二十七年度の四月開校に向けては、文部科学省としても、絶対にやるんだ、これはつくるんだということについてぜひ前向きに御答弁いただきたい。

 もう一つ私が申し上げたいのは、いろいろな友人に私も話してみたんですが、福島県にそういう学校ができるならば協力をしたいという人は多いですね。例えば、芸術においては一流の芸術家が多分教育を手伝ってくれると思います。スポーツ選手もそうだと思います。もちろん勉強もそうですが、海外へ行くというチャンスも含めて。私は、県立は県立で結構ですが、国として何らかのバックアップをする仕組みをつくって、この学校に関しては、やや例外的にしっかりサポートする体制をつくった方がいいと思うんですよ。

 ここも含めて、大臣にぜひここで御決意を聞かせていただきたいというふうに思います。

下村国務大臣 細野委員も御承知のことかと思いますが、この福島県の双葉郡教育復興に関する協議会は、最初から、文部科学省の職員が一緒になって入って議論に参加をしております。私も、双葉郡の各市町村を回りまして、地域の方々からもこの中高一貫校の設置について現地でも強い要請を受けましたし、また、取りまとめた後、改めて文部科学省に双葉郡の教育長がそろってお越しになりまして、国が全面的なバックアップをしてほしいという要請を受けました。

 御指摘のように、当初は福島県の方が、委員からもお話がありましたが、必ずしもまだ戻れるかどうかわからない状況の中で、あるいは、新たな教育場がもうあって、そこで学びたいという子供をどう引き寄せるかということについてはやや消極的な判断のところもありましたが、これは、地元の双葉郡の教育長の立場からすれば、やはり子供がいないところに未来はないという点から、教育環境を充実させたいという強い思いの中で中高一貫校の要請があり、それを受けとめる形で、今御指摘のように、二十七年度開校に向けて検討し、そして今後、進学教養系列、それからスポーツ系列、また専門教養系列と、それぞれ中高一貫の総合学科の中高校として位置づけるということでございます。

 ですからこれは、県だけでなく国の方も、この中高一貫学校が成功するような、ぜひ、この学校ができたことによって子供たちがふるさとに戻ってふるさとで学ぼう、双葉郡を離れた子供や親も、この学校によってもう一度ふるさとに戻ってこようというきっかけになるような魅力のある学校になるように、国としても全面的なバックアップをしていきたいと考えております。

細野委員 福島のあの東京電力の原発については、廃炉までに四十年ぐらいはかかるんじゃないかという見込みを我々のときにつくったんですね。それもかなり困難を伴う作業だし、なかなか先が見通せません。四十年後というと、我々、福島の未来を見通すことができないぐらいの将来ですね。

 その将来を考えたときに、やはり福島を託せるのは、今の幼い子供たちしかないわけです。そこにやはりしっかりとしたものを残すというのは、少なくともこの原発事故を起こした我々の責任だというふうに思いますので、その責任を今の政府としても全うするという意味で大臣にぜひ頑張っていただきたい。今、力強い御決意をいただきましたので、これが予算としてまず形になるということを期待したいというふうに思います。

 次に、児童養護施設の子供の教育についてお伺いしたいと思います。

 さっきちらっと拝見しましたら私は色がはっきり判別できなかったんですが、大臣、オレンジリボンをつけていただいていますですか。最近、児童養護施設に入る子供のかなりの部分は虐待を経験して、それを理由として児童養護施設に入っている子供がたくさんおりまして、私も、児童養護施設を訪問させていただいたりして、今月が虐待防止月間ということで、ここしばらくバッジをつけております。

 ですから、大臣もそのことについては非常に御理解をいただいているものということを前提に聞かせていただきたいと思います。

 先日の大臣の御挨拶の中で、こういう表現がございました。大学のところで、「意欲と能力のある学生が経済的理由により学業を断念することがないよう、奨学金事業を初め経済的支援の充実を図る」。意欲と能力のある学生、そういう表現がございました。その表現を聞いていまして、下村大臣は大変御苦労されながら教育も受けてこうして立派に大臣をやっておられるので、大臣だからこそ出てきた言葉だとも思いましたので、期待を持ちながら、いやいや、やはりこれを全うするのは簡単ではないなと思ったのが児童養護施設なんですね。

 数字を調べますと、児童養護施設の子供の中で大学に進学している子供の割合は一一%。私の感覚だと本当はもっと低いんじゃないかというふうに思います、学業を全うしているという意味では。一般の高卒の平均が五三・九%ですから、五分の一の数字なわけですね。ちなみに、専修学校も一一%ですから、これも、一般の子供たちと比較をしてもはるかに低い数字ですね。

 大臣、これをどう思われますか。子供たちの置かれているいろいろな状況はありますよ。しかし、児童養護施設の子供たちが能力も意欲もなくて行けていないようには私は思えないですね。やはり何らかの問題があって行けていないんだとすれば、厚生労働省の所管ではあるんですが、大臣、ここを言っていただいたのであれば、何らかやはりこういうところについてもう少し目を向けていく必要があるんじゃないか、ここをもっと上げていく余地があるんではないかとそう思うんですが、大臣いかがでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 私の地元は板橋なんですが、住まいの近くに、私の知り合いの篤志家の方が児童養護施設をつくっていただきまして、その開所式含めて、年に一、二回は私も行く機会があります。

 ここに入っている子供たちは、児童虐待を受けた子も多かったり、親が育児放棄をして、親に見放されたあるいは親から冷たく扱われているという本当にかわいそうな子供たちがいる中で、けなげに一生懸命頑張っているということで、きょうから月間ということで、私もこのバッジをつけさせていただいているわけでございます。

 特に、養護施設といったときに、児童養護施設は二十歳になれば出なければいけない、学費以外にも住居費やさまざまな負担があるということで、大学等に進学することがなかなか大変だという話の中、私の地元のその篤志家は、児童養護施設に別にアパートをつくってそういう環境もつくっていただいていますけれども、それは個人が本当に篤志として負担をされているわけで、こういうことをおんぶにだっこというわけにはいかないと思います。

 どんな子供であっても、もっと勉強したい、もっと高校、大学に進学したいという子供たちに対してチャンス、可能性がきちんと担保されるような、そういう環境、条件づくりのためにさらに努力をしていきたいと思います。

細野委員 私も児童養護施設を訪問して感じたのは、基本的に篤志家の方がまずお金を出していて、恐らく、戦後もしくはその後、日本がまだ十分に福祉の状況が整っていない中で、本当にかわいそうだということでやった篤志家の施設を後から応援しているような形になっていまして、ややその名残があるんですね、この施設に関しては。

 ですから、私は、もう時代も変わってきているし、そういう子供たちこそ社会全体で育てていくという時代に発想を転換していかなければならないだろうというふうに思います。

 そのことを考えたときに、私が子供たちと接していてちょっと感じたのは、能力がある子は多分いっぱいいるんだと思うんですけれども、そもそも、専門学校に行くとか大学に行くという意欲を持ちにくい。なぜなら、相談できる大人もほとんどいないし、経済的にも親がサポートできませんから、住むところから全部自分でやらなければならないということになると、そもそもそういう発想に立たない。大学に行けるとも思っていない子が圧倒的に多いですよ。

 ですからそこは、きょう厚生労働副大臣にも来ていただいていますけれども、本当に一回、その子供たちがどうやったらそういう高等教育も受けることができるのか、大学に行くことが全てとは言いませんよ、しかし、高校を出てすぐ仕事をするのが特に親がいない場合は難しいのは誰でもわかりますよね。そのことを考えたときに、彼らがどうすれば高等教育を受けられるのか。

 特に住宅の問題だと思います、家がありませんから。家がない中で、住宅の補助も含めて、特に、もう少し初めの段階で支援をできるような枠組みを厚生労働省と文部科学省で何らかの形でつくっていただきたいと思うんですが、副大臣、せっかく来ていただきましたので、いかがでしょうか。

佐藤副大臣 細野委員の御質問にお答えをいたします。

 先ほどからありましたように、今月からオレンジリボン月間になりまして、まさに時宜を得た御質問をいただいたと思っております。

 私どもも、厚生労働省として、児童養護施設のお子さんが社会で自立できる、御本人が希望されれば進学あるいは就職等をしっかりできるようなそういう自立支援の充実というものを図ってきておりまして、今、細野委員が御指摘になりましたように、大学に行くにしても下宿代がなかなかめどが立たないというそういう費用面とか経費面、こういうものもまずやはりしっかりと支援していかなければいけないだろうと。

 今現在の取り組みとしては、大学等の進学や就職する際の家財道具等の準備費用として、具体的には、大学進学等自立生活支度費という費目で、平成二十四年度から、それまでの額は二十一万六千五百十円だったんですけれども、それを二十六万八千五百十円に引き上げをさせていただいております。

 もう一つは、さらにそれに加えて、進学や就職に役立つ資格取得等に使っていただく経費として、これはお子様一人に限り一回だけなんですけれども、資格取得等特別加算として五万五千円。

 こういう費用面での支援をさせていただいているということに加えまして、やはりそうはいっても、進学したんだけれども、生活が不安定で継続的な養育を必要とするというそういう児童の方もいらっしゃいますので、平成二十三年の十二月に、改めて、児童養護施設等は十八歳になると退所するということが原則なんですけれども、都道府県等が大学等に進学しても生活が不安定で継続的な養育が必要と判断した児童に対しては、二十までの入所期間の延長を積極的に活用するようにという、そういう局長通知も出させていただいているところであります。

 その上で、これはまだ来年度の予算の概算要求の段階ではあくまでも省としての要求なんですけれども、二点さらに要求をさせていただいておりまして、一つは、現在行っている高校の授業料などに対する支援を大学等へ進学した場合にも適用させる方向で要求をさせていただいているということが一つでございます。

 もう一つは、家財道具等の準備費用について、十八歳で退所した方が今まで対象だったんですけれども、そうじゃなくて、十九や二十で在学中に措置が解除された、退所される、そういう方についても適用させる方向で支援を省としては要求をさせていただいているところでございまして、今後とも、児童養護施設等に入所されているそういう児童がしっかりとやはり進学をされたい、そういう自立の支援を我々省としてもしっかりと支援できるように取り組んでまいりたい、そのように考えております。

細野委員 厚労省が随分いろいろと御努力いただいているのは、私も資料を拝見しましたので、これは大変多としたいと思います。

 ただ、一時金が確かにふえたという話もあるんですけれども、やはりある程度制度として継続的にできているという形にならないと、見ていますと、施設もそうですけれども、子供たちも勉強して大学受験をしなきゃなりませんから、そういう雰囲気じゃないんですよね、正直言うと施設自体が。

 ですからそこは、一時的にということではなくて、継続してちゃんと学べる仕組みをつくってあげて初めて、彼らはやはり社会とか人間に対する不信感を持っている子供も多いですから、そこを取り除くぐらいの努力はしないとなかなか上がってこないように思いますので、文部科学省とぜひ連携をしてやっていただきたいと思います。予算要望という話がありましたが、ここに予算をつけて怒る国民は余りいないと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 そろそろ時間がなくなってきましたので、最後の質問に移りたいと思います。

 これはもう時間もありませんので、大臣に問題意識だけ持っていただくということになろうかと思いますが、いわゆる低体重児の学校への入学の問題についてちょっと私感ずるところがございまして、ちょっと御質問したいと思います。

 二千五百グラム未満の子供を低体重児というんですが、低体重で生まれるということは、出産の予定日より前に生まれているから低体重児なんですね。数を調べてみましたが、全体で九・六%が低体重児で生まれています。その中でも、特に千五百グラム以下が〇・八%、千グラム未満が〇・三%となっているわけです。

 これはちょっと大臣も想像してみていただきたいんですが、四月に生まれる予定の子供が例えば一月とかに生まれた場合、一学年前の生まれになるわけですよね。そうなってくると、発育も本当は次の学年なんだけれども、学校教育上は実質的に一年前の学年に入れなければならないということで、正直言って、特に小学校の低学年ぐらいのときにはかなりハンデを負って入るという話があるんです。

 制度としては、医師の証明書があれば例外があるというふうになされているようですが、時間もないので申し上げると、その例外は、文部科学省のウエブサイトによるとこういうことになっていまして、病弱であるとか発育不完全については一年ずらしてもいいということになっているんですが、「特別支援学校における教育に耐えることができない程度」「より具体的には、治療又は生命・健康の維持のため療養に専念することを必要とし、教育を受けることが困難又は不可能な者を対象」とすると書いてあるわけです。

 これは、本当は一年後の学年に入るはずだったんだけれども、まだ小学校に入るまでには成長していないという子供たちにはこれは該当しないんですね、そのまま読むと。これは、例えばそういう親にとっては、やはりちゃんと落ちついて焦らずに教育をしたいという親は多いわけです。

 ちょっとここはもう少し考えていただいて、柔軟に各市町村の教育委員会がやれるようにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 親御さんのそれぞれの判断があるとは思いますが、子供の発達状況に応じた、より的確な教育環境を提供するということは大切なことだというふうに思います。

 きのう、教育再生実行会議がございまして、この中で、今までの画一、均一的な教育のあり方、これはまた別の視点の話でしたが、子供の学力含めて本当にそのままでいいのか、もっとできる子は飛び級もすべきだし、また、明らかに学習状況がおくれているという子について自動的に上げるということでいいのかという議論がありました。

 そういう中で、多様性の中、一番その子に合った教育環境をどうつくるかということでは今の御指摘も同じであるというふうに思いますし、トータル的なことを含めては、より柔軟で、なおかつ、その子供にとって、そして親御さんの希望も入れながら対応できるような仕組みについて考えていきたいと思います。

細野委員 ここは悩ましいところだと思うんです、正直言いますと、学習状況であるとか子供の状況はさまざまですから。原則をゆるがせにしてしまうと、義務教育は、みんなでそれは勉強できる子も勉強はなかなかできにくい子もいろいろな特徴がある子が一緒に学ぶという趣旨からすると、それぞれ別に学年を選んでくださいというわけにはいかないと思いますよ。

 ですから、そこは原則と例外があってしかるべきだと私は思うんですが、特に低体重児の場合は、明らかに本来生まれるときじゃない、前に生まれていますから、せめてその本来生まれる年ぐらいに入学できるようにすることは、これは例外として私は十分認められていいというふうに思うんですよ。

 大臣、ちょっとここは申しわけないんですが、お忙しいと思うんですけれども、大臣御自身として少し調べていただいて、柔軟にできるところがあれば前向きにこの部分について考えていただきたいと思うんですが、最後に、その点についてぜひお答えをいただきたいというふうに思います。

下村国務大臣 今の御質問は、初めてお聞きしたことでもありますし、私も詳しくは調べてございませんので、よく調べて、実態に合わせて判断をしていきたいと思います。

細野委員 ありがとうございました。

小渕委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 おはようございます。日本維新の会の椎木保でございます。

 質問に入る前に、櫻田副大臣、西川副大臣、冨岡政務官、上野政務官、御就任まことにおめでとうございます。特に櫻田副大臣におかれましては、地元が同じ千葉県ということもありまして、一緒に千葉の教育行政のために御尽力いただけるものと大変本当に心強く思っております。よろしくお願い申し上げます。

 私は、選挙区こそ千葉第十三区なんですけれども、出身は茨城県の鹿嶋市でございます。過去に小学校、中学校、高等学校で教員をやっておりました。また、昨年の十一月までは鹿嶋市の教育委員会の方で、通算十三年間、学校教育を中心に勤務させていただきました。本日は、それらの経験に基づいて質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、さきの通常国会、四月十五日の予算委員会第四分科会におきまして、臨時免許状並びに免許外教科担任の問題について、私の方で質問させていただきました。

 ここで、臨時免許状と免許外教科担任について簡単に御説明させていただきますと、臨時免許状は、教育職員免許法第五条第六項に基づき、普通免許状を有する者を採用できない場合に限り、臨時的に教育職員検定に合格した者に授与される制度になっております。一方、免許外教科担任につきましては、教育職員免許法附則二のとおり、一年以内の期限を限り、当該教科について免許状を有しない主幹教諭等が当該教科の教授を担当することを許可することができる。以上のようになっています。これは、簡単に申し上げますと、免許のない先生が教壇に立って授業をやっているということなんです。これが一言で言った結論です。

 そこで、平成二十二年度の臨時免許状授与件数、お手元にお配りしてある資料の一になります。これらの資料、データを見ていただくとおわかりかと思いますが、まず、私の選挙区である千葉県がワースト一位になっている事実がございます。この実態について、同じ県の櫻田副大臣の方の御所見をお聞きしたいのが一点でございます。

 また、あわせて、臨時免許状授与件数と免許外教科担任許可件数が多い現状について、御見識を大臣または教育再生補佐の副大臣、政務官の方にお聞きしたいと思っております。よろしくお願いします。

櫻田副大臣 御指摘のとおり、千葉県の教育委員会においては、小中高等学校の臨時免許状の授与件数が平成二十三年度は七百四十八件と、全国的に見ても非常に高い位置にあると認識しているところでございます。

 この背景には、千葉県教育委員会の教員採用試験合格者数が採用予定者数に達しないことが理由として挙げられておるところでありますが、臨時免許状は、普通免許状を有する者が採用できない場合に限り授与するものであり、その趣旨を踏まえ、授与数を減らす努力が必要と考えているところでございます。

 文部科学省においても、こうした方針のもと、既に千葉県教育委員会に対しては指導を行っているところでありまして、千葉県教育委員会としても今後改善に向けた取り組みを行う姿勢を示しているところであります。

 今後とも、千葉県教育委員会の改善に向けた取り組みに注視していきたいと思っております。

椎木委員 櫻田副大臣、ありがとうございました。御担当ではない質問での御答弁、本当に感謝を申し上げます。

 私も、先日、千葉県の教育長と都内の会合で一緒になりました。教育長が私の方にわざわざ出向いてくれまして、臨時免許状については、先生の御指摘のとおり、教育長としても臨時免許状はもう本当に緊急的な措置という認識を改めて来年度以降取り組んでいきたいというお話をいただいたところです。

 今の櫻田先生の御答弁と同じ認識を千葉県の教育委員会がお持ちになっていただいていると、私も確信しております。ありがとうございます。

 次に、下村文部科学大臣にお尋ねします。

 先ほどの質問にもございましたが、さきの予算委員会第四分科会で、私の質問に対して下村大臣の方より、改めて、文部科学省として、臨時免許状は、普通免許状を有する者を採用できない場合に限り、例外的に授与する趣旨をそれぞれ都道府県に徹底することによって、真にやむを得ない場合に限り、臨時免許状の授与や免許外教科担任の許可を与えるよう、改めて都道府県に対して指導してまいりますという御答弁をいただきました。

 お手元にお配りしてあります資料の三、これが、私の選挙区の千葉日報の記事と、私の出身地であります茨城県の茨城新聞の掲載記事になります。これに対して、私のところに、私の支持者、後援会の方、また、教員の仲間等々からたくさん御意見等をいただいたところです。多くの皆様の声の集約を一言で言いますと、本当ですかというのが正直なところでした。

 これは、保護者、生徒から見て、教員免許状を持っていない者が教壇に立っているというのは全く想像のつかない現実でありまして、ただ、これが法律的に違法かどうかということになると、これはやはり認識の違いもございますので、法の運用という意味でいけば、臨時的な措置をとっているというのが都道府県の現状かとは思います。

 しかし、それから六カ月が経過して、その間、九月六日の東京読売新聞によりますと、長野県松本市にある才教学園の校長が、二〇〇五年の開校時から無資格授業を行わせるなど、教員免許法に違反した教員配置を主導し、県警も捜査している事件に発展しております。

 これはどういう事例かといいますと、一、二点事例を挙げますと、中学校、高校の音楽の免許を持っている先生が、ある意味、音楽の免許しか持っていない先生が小学校を教授した。一方では、事務職員である事務方の職員が小学校の授業を教授した。これは、現状の法律上、免外申請で許可が出ればできないことはないかとは思うんですけれども、そういう手続を踏まえていなかったので違法ということです。

 これも、お手元にお配りしてあります資料の四になります、一番下の罰則第二十二条になりますね。

 これは、才教学園の責任者であります学校長が罰金刑に処せられるということは当然なんですけれども、この法律の趣旨からいきますと、授業を受け持たされた先生も同じく法律に抵触してしまうんですね。

 私の経験上、大学の教職課程で、こういう教育法規の中で教育職員免許法というのはカリキュラムにないんですよ。私が教育委員会に勤務していたときの、ある国立の教育大学の先生にもいろいろ私も御指導いただいて確認したところ、やはり大学の教育学部の教授でも多分この法律を理解している人は少ないんじゃないか。そのぐらい本当に、現場に立つ先生としては、全くわからないまま学校長の命でそのような免許外の授業をして、それでこのように県警が入って罰せられるというような事件に発展してしまうんですね。

 ですから、前回同様、私は何を申し上げたいかというと、教員免許状を保有している数は全国にたくさんいるわけですね。まして、教職を天職と思って教員採用試験を受験している受験者もたくさんあります。しかし、都道府県の諸事情によって採用は極めて少ない人数で抑制されて、そういう免許のある先生をあえて採用しないで、なぜ無資格な、無免許な方を教壇に立たせるのか、これが非常に私は疑問で仕方ありません。

 実際、幾つかの都道府県の教育委員会免許担当課長ともお話はさせていただいたところなんですけれども、この点について、下村大臣には本当に、各都道府県、法に照らして徹底します、指導しますという御答弁をいただきましたが、その後、どのような指導を全国の都道府県にしていただけたのか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

下村国務大臣 まず、今御指摘があった長野県の私立学校の例ですけれども、結果的にこの学校は廃校になることが決まったわけで、それだけ重いことだということを、委員は認識されているわけですが、そういうことであります。

 それから、免許がなくても、これは特別免許状ということで、地方自治体が、教育委員会が、免許がなくても教えるだけの能力があるというふうに認定した人に対しては免許状は出していますから、別に免許状がなくても特別免許状があれば、自治体が認めればそれは違法ではないということであります。

 それと臨時免許状はまた別のジャンルの話でありますが、これは予算委員会の分科会で御指摘を受けて、委員の資料三にもありますように、私の方で各都道府県に対して適正運用指導をしたところでございます。

 ただ、これはことしの四月の話ですから、現在いる先生については、途中でかえるということについては、それはかえって教育現場の混乱になるというような状況もあるでしょうから、地方自治体がそれぞれ判断されることでしょうけれども、実際のこれについての指導の結果は、来年以降に明確になってくるのではないかというふうに期待をしております。

椎木委員 才教学園の事件と同様に、これもさきの分科会で私が質問させていただいたんですけれども、私みずからがそういう経験をしているんですね。

 この資料三の茨城新聞にも書いてありますけれども、私、中高の社会科の免許しか持っていないんですけれども、平成元年に赴任した学校では、保健体育と技術・家庭を受け持ちました。それぞれ一学年全部、二学年全部です。翌年は小学校に赴任いたしました。これは臨時免許状で、私は全く初等教育はやっておりませんでしたので、非常に本当に不安な中、小学校三年生の担任をさせていただきました。最後は中学校に赴任しました。これは受験真っ盛りの三学年全員の、全クラスの数学を教授させていただきました。

 私、専門が社会科なんですけれども、この間、一度も社会科の授業を受け持つことはなかったんですね。子供が好きで、教職を天職というふうに自分で思ってまいりましたので、学校長の命、都道府県教育委員会の命があれば、そのように私も一生懸命勤務はさせていただきました。しかし、やはり、専門じゃない教科を子供たちに教えるというのは、これは本当に、非常に責任の重いことなんですよ。

 特に、小学校三年生の担任をしたときに、私は思いました。人の子であって、こんなにかわいいのかと。この子たちをどういうふうに成長させることが自分の使命なのか。そういう中で、国語を教えるにしても算数を教えるにしてもそうなんですけれども、本当に何もわからない中で、指導書を片手にして、それが子供たちに、保護者に知らされないまま進められるんですね。

 私も、非常にこれに関しては疑問がありましたので、当時、学校長にも教育委員会にも確認しました。そうしたら、法的に問題ないという一言だったんですけれども。ただ、みずからの経験を話すのも大変お話ししづらいところではあるんですけれども、当時、免外申請はしていないということが、これが事実です。ですから、厳密に言えば、法に抵触しているということになります。そういう実態が、過去にさかのぼってだけではなくて、今日も、この才教学園と同じように、全国の公立の小中高等学校でも起きているということを、私は非常に危惧しているんですね。

 そういう点で、前回質問をさせていただいたところなんですけれども、私は、今回のこういう問題を契機に、子供たちや保護者の皆さんに、担当の教員はどのような教科の免許状を持っていて、あるいは免許状がない中でもそういう臨免なり免外申請で許可を得て授業をしているということは、やはり私は公表すべきだと思うんですね。そして、現場の先生方にも、緊張感を持って子供たちをしっかり指導すべきだと私は思っているんですけれども、この臨時免許状、免外申請等々の現状を生徒や保護者に公表しながらということを、私はぜひ文部科学大臣にお願いしたいと思うんですが、この点について御所見をお願いいたします。

下村国務大臣 委員も御指摘になりましたが、この臨時免許状で教えるということは、これは違法ではないわけです。しかし、本来の趣旨から考えて、文部科学省としても、安易に授与されることがあってはならないと考えておりますし、適切に取り扱われるということが必要だというふうに考えております。

 改めて、ことしの九月に、臨時免許状は普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り授与される、そのことを明記した教員免許制度の概要資料を作成して、都道府県教育委員会等に事務連絡を発出して、学校設置者や学校へも配付し、教員免許制度の理解の重要性について周知徹底を図るよう依頼したところであります。

 今後とも、文部科学省として、この臨時免許状の安易な授与は行わないよう、あらゆる機会を通じて指導してまいりたいと思いますし、その指導の結果を踏まえて、今の御指摘の点については判断していきたいと思います。

椎木委員 では、次に、教員の質の向上についてお聞きしたいと思います。

 第一次安倍内閣において、教育再生会議が設置され、二〇〇八年の最終報告の中では、「直ちに実施に取りかかるべき事項」の中で、教員の質の向上を目的として、教員免許更新制が導入されました。二〇〇七年六月の教育職員免許法の改正によって二〇〇九年四月から導入された制度です。

 これは、他の委員の皆さんも御承知かと思いますけれども、教師の指導力不足と質の向上を大きくスローガンに掲げた法律改正でございます。

 免許更新制は、普通免許状並びに特別免許状を持っている人は、十年ごとに、免許状の授与の所要資格を得させるために適当と認める課程を有する大学等で三十時間以上の更新講習を受講しなければなりません。

 一方、ここが私が一番問題視したいところなんですけれども、臨時免許状についてはこういう更新制は全くございません。教育職員検定は、受検者の人物、学力、実務及び身体について、臨時免許状を授与する都道府県教育委員会が行い、免許状を与えるにふさわしい人物かを総合的に判断するとあります。

 これは具体的にどのような手続で総合判断をされているのか、幾つかの事例を挙げて御説明をお願いいたします。

前川政府参考人 臨時免許状の授与に当たりましては、安易な授与がなされないよう、法律上、教育職員検定において、受検者が免許状を与えるにふさわしい人物であるかどうか、各都道府県教育委員会において責任を持って審査するということとなっております。

 専門性を担保するための審査基準といたしましては、全ての都道府県におきまして、大学の卒業証明書、また成績証明書、こういった書類の提出を求めているわけでございますが、これに加えまして、それぞれの都道府県教育委員会の判断でございますけれども、学力試験や一般教養試験を実施する、あるいは、教科に関する科目を一定単位以上修得しているということを条件に課す、また、大学の成績証明書において一定程度のすぐれた成績であるかどうかということを確認する、こんなことをしているところもあるわけでございます。

 各都道府県教育委員会の判断でございますけれども、臨時免許状の安易な授与によりまして教育の質の低下を招かないように、適切な審査を行っていただきたいと考えておりますし、その方向で今後とも指導してまいりたいと考えております。

椎木委員 先ほど下村大臣の方からも、教育職員検定、これできちっと担保されているんだというような御答弁がありましたけれども、全く現実は違うんですよ。

 普通免許状を持っている教員は更新制なんですよ。これは法律なんですよね。ところが、教育職員検定、簡単に言うと臨免を授与されるための検定というのは、全く公な制度じゃないんですね。都道府県の裁量の中でまちまちなんです。

 これは、私、一つの事例を申し上げますと、これは茨城県なんですけれども、教育庁の特別支援課長と私は直接ヒアリングをさせてもらいました。この課長は免許担当課長です。

 そうしますと、結論的には、申請書のみなんですよ。学校長が申請書を都道府県教育委員会に提出して、その申請書を審査して判断する。いわゆる授与権者である教育委員会が、どういう人物かというものも、面接すらしていないんです。

 私は、これがまず一つ大きな問題があると思います。

 私もそうですけれども、教員免許を取るには、大学でそれなりに必要な教職課程を経て、単位を修得して、免許状を授与されるわけですよね。ただ、こういう教育職員検定が全くざる的な、本当に何も客観性、専門性を担保しないような、そういう中で行われているというところを、私は、非常に問題を提起させていただきたいと思っているんですね。

 冒頭お話ししましたけれども、私もそうですし、教育職、教員というのは天職だと思って皆さん頑張っているんですよ。それで教員になって、この日本の未来をしょって立つ子供たちのために、そういう志を持って教職を目指しているんですよ。

 そういう先生を採用しないで、安易にこういう教職検定、教育職員検定、都道府県でまちまちで、しかも申請書のみ、こういう実態もあるわけですね。

 私は、こういうところをやはり、今の下村大臣を中心とした文部科学省の指導を徹底していただいて改善していただかないと、幾ら学力の向上とか教員の質の向上なんというスローガンを掲げても、これは本当に全くと言っていいほど絵に描いた餅で終わってしまうと思います。ですから、私は、この教育職員検定、ここで十分に審査をしてということが本当に各都道府県で客観的に行われているか、この辺もあわせて指導、調査していただけないかと思いますが、いかがでしょうか。

前川政府参考人 各都道府県の教育委員会で行われております教育職員検定につきまして、今後とも情報収集に努めてまいりたいと考えております。

椎木委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。本当にやっていただけるという答弁と確信しておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、児童や生徒にとって、先生の免許状が普通免許状であろうが臨時免許状であろうが、同じ専門性を持って指導する先生なわけですから、さきの教育再生会議で提言された教員の質の向上をいうのであれば、これはやはり、教育職員検定も免許外教科担任の許可においても、講習または試験的なものを導入していただければより客観的に専門性を担保された者が教壇に立つということになるかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

前川政府参考人 先生御指摘の点は一つのお考えだと思いますので、今後、各都道府県とさらに意見交換を行う中で、改善に努めてまいりたいと考えております。

椎木委員 では、次に、教員の計画的配置、採用についてお聞きしたいと思います。

 免許状主義の例外的措置として免許外教科担任許可があるわけですけれども、法の本来の趣旨からすると、これは限りなくゼロに近づけなければいけないところだと思います。

 臨時免許状の授与件数並びに免許外教科担任制度の件数が多いことは、この現状を踏まえて、文部科学省として、今後計画的配置、採用ができるとお考えでしょうか。お尋ねいたします。

前川政府参考人 臨時免許状の制度あるいは免許外教科担任の許可の制度、これはあくまでも相当免許状主義の例外をなす制度でございまして、本来的には、各教科あるいは各学校種に応じて、相当の免許状を持つ者を配置し、教育に当たらせる、これが原則でございます。

 したがいまして、教員の採用におきましても、各教科、各学校種の必要数に応じた採用を行うということで、各都道府県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会で採用を行っていただきたい、そのように考えております。

椎木委員 それでは、具体的な数値をお聞きしたいと思います。

 直近の数値で結構なんですけれども、普通免許状取得者数がどのぐらいで、そのうち何人が公立学校教員採用試験を受験して、何人が採用されて、普通免許状取得者のうち何人が採用されていないんでしょうか、お答えをお願いします。

前川政府参考人 先生の御指摘の数字に正確に相当する数字は今持ち合わせておりませんが、平成二十四年度の公立学校の教員採用選考試験を見ますと、小学校で見ますと、受験者数が全国で五万九千二百三十人でございます。そのうち採用者数が一万三千五百九十八人、このような数字になっております。

 原則としてこの受験者は小学校の免許状を持っているものと想定されますけれども、例外的なケースはあり得るだろうというふうに考えております。

椎木委員 本当に細かい質問で恐縮なんですけれども、私が文科省の方に問い合わせをしましていろいろ入手した最新のデータが平成二十二年度ということなんですけれども、平成二十四年度の数値でも、約十五万人の教員免許取得者が採用されていない計算になるんですね。一方で、免外申請、公立中高では、一万一千六百二十七件の数がございます。加えて、臨時免許状の件数は、公立の小中高合計で八千四百二十四件。

 教員免許の取得者が十五万人もいるにもかかわらず免外申請と臨時免許状が授与されるのは、これは私、繰り返し申し上げますけれども、何で免許状を持っている人を採用しないで免許状を持っていない人を教壇に立たせるんですかというのが一つです。

 今回のこの質問の趣旨で、再度お尋ねしますけれども、これは教員の計画的な配置、採用に問題があるのではないでしょうかと私はお尋ねしているんですが、これらの十五万人も免許状を持って採用されない人がいる中で、先ほど私が申し上げた臨免の数、免外の数、これについての御所見をお願いいたします。

前川政府参考人 臨時免許状の授与件数あるいは免許外教科担任の許可の件数は、実情を申し上げると、各都道府県間においてかなりのばらつきがございます。都道府県によってかなり多くの件数があるケースと、極めて少ない件数とございます。もともとこれらの制度が例外的な制度であるということを考えますと、余りその数が多いというのは、これは課題が多いというふうに考えております。

 臨時免許状による教員の配置がふえているという実情もございますが、これにつきまして、授与件数の多い都道府県から聞き取りの調査をしております。その際の説明ぶりといたしましては、近年、採用者数が増加している中で、適格な免許状を持った教員の必要数が確保できていないのだという説明、あるいは、僻地などにおきまして、学校に通える範囲内に適格な免許状を所有している者が存在しないという事情がある、そのような説明があるわけでございますけれども、その実態につきましては、さらに調査分析が必要ではないかと考えております。

椎木委員 せっかくお配りしました資料ですので、資料の五の方を簡単にちょっと御説明させていただきます。

 一番下の、免許外教科担任の解消に向けた取り組みが十分でないと認められるものの事例、事例一というところなんです。先生方、読んでいただければそれだけで結構なんですけれども、これは平成十三年度の会計検査院による決算検査報告なんですね。私は、自分の経験と、正直言って、この事例が一つの引き金になって、前回、予算委員会の分科会では質問をさせてもらったんです。

 ちょっとお時間があるので読み上げさせていただきますけれども、

  A中学校(十学級。教諭等十八名)では、国語ほか三教科について週四十六時間の教授を担任すべき教員を採用することができないとして、これらの各教科について七名の教諭等に免許外教科担任を行わせていた。

  同中学校では、理科の免許状を有するa教諭に理科の教授を全く担任させずに数学の教授を十五時間担任させる一方で、技術の免許状を有するb教諭に技術の教授を全く担任させずに理科の教授を十五時間担任させていた。そして、数学の免許状を有するc教諭及び保健体育の免許状を有するd教頭に技術の教授をそれぞれ一時間、五時間担任させるなどしていた。

こういう指摘を踏まえて、当時、文部科学省の方は、全国に非常に徹底した厳しい指導をしていただいているんです。それで、私はこれでも大きく改善しているのかなとは思ってはいるんですよ。

 しかし、資料一、資料二にもあるように、前年度だけで十五万人も教員免許を持っている人があふれている中で、これだけの臨免の授与件数と免外申請で教壇に立っている数がいるというのは、これは幾ら下村大臣が頑張られても、現場の子供たちを教える学校長初め教員が大臣の思いを酌んで子供たちに指導しているとは、私は到底思えないんですね。

 ですから、私も下村大臣をお支えしながら頑張りたいと思います。ただ、本当に大臣には返す返す大変恐縮ですけれども、文科省としても厳しく、そんな十五万人もあふれていて、これだけの数が無免許で教壇に立っている、こういう事態を本当に極力ゼロに近づけていただけるように、これは私は、教員を志して教壇に立っていた一人として、本当に切なる願いです。これについて、大臣の方で御所見がありましたら、お願いいたします。

下村国務大臣 先ほど申し上げましたように、臨時免許状については、この教員を削減に向けて努力するというのは、まず基本方針でございます。

 その上で申し上げたいのは、私も教員免許状を持っておりますけれども、果たしてその十五万人が、本当に学校の現場の教師としてみんながみんな優秀なのか、そういう問題点も一方であるというふうに思うんですね。

 これは、ある県の事例として私は聞きましたが、なぜ臨時免許状の人を、正規免許状があるにもかかわらずそちらの方を優先したのかというのは、それは、臨時免許状の人の方がトータル的に、正式に免許状を持っている人以上に現場の教師としての能力がすぐれているということをそこの教育委員会が判断したということなんですね。

 そもそも、そういう意味では、教員免許を持っていればいいということではなくて、今後の教員養成のあり方も含めて、教員養成大学院あるいはインターンシップのあり方等、自民党からもいろいろと制度改革についての要望を受けておりますけれども、現場におけるより望ましい教師のあり方、それはそれで文部科学省としても、教員免許を授与すればいいということではなくて、そもそも論としての教師力をどうつけるかということについては、しっかり対応も考えていかなければならないときに来ているのではないかと思います。

 ただ、繰り返すようですけれども、ぜひ、臨時免許状については削減し、できるだけ免許状を持っている先生が現場で対応できるように指導をしてまいりたいと思います。

椎木委員 大臣の方から、そういう選考過程、プロセスを踏まえて、正規の教員の採用を抑えて、臨時の免許状ではありながらも質の高い教員を確保している、これは私も理解しました。

 ただ、実際、今、全国でいじめの問題も、非常に社会問題として数が出てきていますよね。臨時免許状というのは一年なんですよ。教員を採用すると定年まで、六十歳まで。一年目に失敗した先生は、二年目、三年目と力をつけていくんですね。

 どういうことかといいますと、学級で授業をやっていて、例えば私は社会ですけれども、社会の授業をしながら、何できょうはこの子はこんなに元気がないんだろうとか、どうしてきょうこの子は何を聞いても何もしゃべらないんだろう、そういう、授業、教科指導を通して子供たちの真意をつかむのは、やはり正規な教員なんですよ。臨時教員では毎年毎年かわっちゃうんですね、一部更新はできたにしても。

 ですから、教員の指導力の向上なり質の向上というのを目指すなら、やはり正規な教員を確保して、その教員が自分の授業を通して子供たちの真意を、心をつかんで、それで生徒指導、生活指導。教科指導だけじゃないんですよ。これは本当に、そういういじめの問題に発展しないための一つの生活指導であって生徒指導なんですね。それをできるのは、やはり正規に採用された先生が一年一年力をつけていくからこそできるんですよ。

 ですから私は、このいじめの問題というのも、この臨時免許状と免外申請の数の多さにかなり起因しているんじゃないかなと自分では正直懸念しております。本当に、こういういじめの問題等々を改善するためにも、やはり正規の教員を確保していただきたいと思っています。

 そして、加えて、これで最後にいたしますけれども、答弁は結構ですから。

 ゆとり教育で学力が低下したという問題も、私は、やはり子供の立場からしたら、週休二日制というのは大変喜ばしいものだと思います。ただ、週休二日にしたから学力が低下したというふうに一方では言われていますけれども、こういう、専門教科を担保できる検定もしていない、専門教科を持っていない人が教壇に立っている、これもやはり学力低下の大きな要因だと私は思うんですね。これは私のあくまで個人的な私見ですので、大臣に答弁をいただくつもりはございませんけれども。

 きょう、正規の教員を確保する必要性というものも含めて私の方で質問させていただきましたが、私も本当に、我が党の中田議員とともに、下村大臣をできるだけ、教員経験も踏まえて私もお支えしたいと思いますし、頑張ってまいりたいと思います。大臣にも、ぜひとも、現場の経験を踏まえた私の思いも酌んでいただいて、ぜひ全国都道府県に指導の方をよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

小渕委員長 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 おはようございます。日本維新の会、日本教育再生機構の遠藤でございます。

 きょうは、池田委員やら、たくさんの、日本教育再生機構に御支援をいただいておる先生方の前で御質問をさせていただきたいと思っております。

 私の地元は大阪の泉州というところで、宮本先生も同郷なんですけれども、だんじり祭りということで、有名な泉州のだんじり祭りが終わりました。

 だんじり祭りといえば、歴史と文化、そして勇壮さ、速さがクローズアップをされがちですけれども、だんじりを動かすためには一致団結と細心の注意が必要でありまして、命にかかわるお祭りをしていることも事実であります。引き綱を引く青年団、前てこ、だんじりの後ろてこ、だんじりの上で指示をする大工方、ブレーキがそろって初めてスムーズに運行ができる。そのような、老若男女そろって町づくり、そしてコミュニティーの活性化につながっております。

 青年団といいましても、中学生から二十五、六歳までの若い男性が縦軸で祭りの運営をしているんですけれども、いいことも悪いことも、先輩後輩といいますか、そういう流れで、今にない綿密な人間関係が構築できております。私も、いいことも悪いことも教わって、こういうことで今、国政の場で、皆様方とともに将来の国のために頑張ってまいりたい、そのように思っている次第でございます。

 きょうは、人材育成について何点かお伺いをしたいと思っております。

 天然の資源のない我が国が現在先進国の一員となっていることは、これまでの先人の努力のたまものであり、それは人的資源の力によるものだと考えております。そして、これからも先進国の一員としてあり続けるためにも、優秀な人的資源の育成が最も重要であることは言うまでもございません。そのためには、次代を担う世代をしっかりと育てていかなければなりません。

 今回は、そのような観点から幾つか質問をさせていただきます。

 原子力に携わる人材育成についてお尋ねをいたします。

 東日本大震災の福島第一原発の事故以降、多くの原子の名称を持つ大学の学部・学科への入学者の定員割れ、原子力に関係する会社の説明会に参加する学生の大幅な減少など、原子力の分野を志す学生が激減していると伺っております。例えば、原子力関係企業の合同就職説明会に参加した学生の数が、震災前の平成二十二年度は千九百人いたところ、震災が発生した平成二十三年には約五百人に激減したと聞いております。

 しかし、世界で原子力プラントメーカーは数社しかありませんし、日本のメーカーはその中でも三社入っています。日本のメーカーと関係なく原子力発電所を建設できるのは、ロシアとフランスぐらいであります。仮に、日本で人材育成が進まないとしても、かわりの人材を確保することは大変難しい。もし、国外の人材に頼るようなことになれば、日本がこれまで培ってきた原子力という基幹技術を明け渡すことになります。これは、単に科学技術にとどまらない、国家のセキュリティー、安全の問題につながる重要な問題になってしまいます。

 さらに、福島の原発事故に伴う廃炉だけではなく、今後、老朽化した原発の廃炉は世界じゅうの問題となっております。また、核燃料サイクル、放射性廃棄物の最終処分など、非常に困難な課題と向き合う必要がございます。これからも、原子力に携わる優秀な人材を継続的に十分確保しなければなりません。

 先日の大臣の挨拶でも、環境・エネルギー分野の研究開発、科学技術イノベーションの人材養成確保に着実に取り組むとしておりましたが、原子力に反対するとか推進するとかいう次元を超えた問題であり、真正面から向き合わなければならない課題です。国策として原子力を推進してきた以上、この国策の後始末をつけることは、国が責任を持って行うべきでございます。

 原子力に携わる人材の育成は、原子力に対する否定的な状況となっている中で困難さは大幅に増しているものの、重要性はこれまでとは全く変わらないどころか、さらに重要になっております。我が国の人材育成の確保に向けて、国は積極的な取り組みをしなければ。大きな案件です。

 そこでお尋ねを申し上げますけれども、現状を踏まえて、原子力に携わる人材の育成についてどう今後お進めをいただくか、下村大臣の見解をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、原子力人材の育成確保は、原子力施設の安全確保や東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置などを着実に進めるために、非常に重要な取り組みと認識しております。

 このため、文部科学省として、国際原子力人材育成イニシアチブによりまして、大学等が産学官で連携して行う放射線の基礎、専門教育や、原子力安全、危機管理に関するカリキュラムの整備など、原子力の基盤を支えるとともに、より高度な安全性の追求を図るための幅広い原子力人材の育成に支援をしていきたいと思っております。

 原子力を取り巻く、御指摘のような厳しい現状から学生の原子力離れが報道されておりますけれども、原子力分野において意欲ある若い人材が数多く活躍していけるような、文部科学省として、今後ともこの原子力人材の育成確保に着実に取り組んでいきたいと考えます。

遠藤(敬)委員 それでは、学テ、いわゆる学力調査についてお伺いをしたいと思います。

 先日、OECDから、国際成人力調査の結果が発表されました。日本は、調査対象のうち、読解力と数的思考力で一位でしたが、この結果はこれまでの教育の成果であると思っております。

 一方、義務教育終了段階の学力調査もOECDでは数年置きに実施しており、生徒の学習到達度調査、PISAと呼ばれており、過去数回行われましたが、参加する国が多くなったとはいえ、一度、結果が大きく下がっている分野があるのは周知の事実であります。

 読解力につきましては、二〇〇〇年が八位、二〇〇三年には十四位、二〇〇六年には十五位にまで下がっております。その後、調査の結果を踏まえて読解力の課題を克服するような教育全体の方針、これを踏まえて、各学校の努力によって、二〇〇九年の結果では八位となっております。

 そこでお尋ねしますが、PISA調査の日本の過去の結果と最近の結果について、文部科学省の見解をお伺いいたします。

前川政府参考人 PISA調査でございますが、これは、OECD、経済協力開発機構が、義務教育終了段階の十五歳児を対象といたしまして、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーにつきまして二〇〇〇年から三年ごとに実施している調査でございまして、我が国は当初より参加しております。

 最新の調査というのは二〇〇九年でございます。

 我が国は、読解力につきましては、この二〇〇九年の結果、前回の二〇〇六年の調査と比べて平均得点が有意に上昇しておるということで、先生御指摘のとおり一旦下がったわけでございますけれども、二〇〇〇年調査と同水準の上位グループまで回復しているという状況がございます。また、数学的リテラシーにつきましては、二〇〇六年調査と同様にOECD平均より高得点のグループに位置しておる。また、科学的リテラシーにつきましては、二〇〇〇年の調査から引き続きましてずっと上位グループを維持している、このような状況でございます。

 全体として見ますれば、我が国の義務教育段階終了の子供たちの学力は国際的に見て高い水準にあると評価できると思いますが、一方で課題もあると認識しております。

 一つは、トップレベルの国々、フィンランドでありますとか韓国でありますとかそういった国と比べた場合に、成績の下位層の比率が比較的高いということで、この下位層が多いという部分に一つ課題があるというふうに考えております。

 もう一つの課題は、子供たちの学ぶ意欲におきまして、国際平均と比べると数値が低いということがございます。

 PISAでは生徒に対する質問紙調査というものをしておりますけれども、その中で、趣味として読書をすることがないという生徒の割合、これが日本の場合は四四%いる。OECDの平均が三七%でございますので、有意に高い。また、科学を学ぶことについて興味があると答えている生徒の割合、日本は五〇%でございますけれども、OECDの平均値は六三%である。これは有意に低いわけでございます。数学についても同じように、数学で学ぶ内容に興味があるという生徒、日本の場合は三分の一、三三%でございますけれども、OECDの平均は半分を超えて五三%いるということで、学びに対する姿勢、意欲といったものについては低い数字が出ているということで、これは我が国の子供たちについての大きな課題ではないかというふうに認識しております。

遠藤(敬)委員 それでは、平成十九年から実施している全国学力調査を考えてみます。

 当初は悉皆調査で実施されてきましたが、その後、抽出調査に変わり、さらに二十五年からは悉皆調査として実施されております。政権交代という大きな出来事があったほか、財政的な事情もあったようでございますけれども、ほかにも理科の実施などもありました。

 このような方針に変わる全国学力調査になってしまっている理由を一度お聞かせいただけますでしょうか。

前川政府参考人 全国学力・学習状況調査につきましては、平成十九年度から二十一年度までの三年間につきましては、悉皆調査によりまして信頼性の高いデータが蓄積されたわけでございます。

 これを踏まえまして、平成二十二年度につきましては、これは政権交代の後でございますけれども、抽出調査に切りかえたということでございます。

 ただし、抽出調査で二十四年度まで実施したわけでございますけれども、二十四年度の抽出調査におきましても、希望利用という形で、国が答案を回収して採点しない、各学校の判断で利用する、こういう希望利用を合わせますと、全体の学校の八割を超える学校が参加しておりました。さらに、教育委員会の方からは、悉皆調査に戻してほしいという要望も多かったところでございます。

 国といたしましては、全ての子供たちの学力向上を図るためには、全ての市町村、学校等において全国的な状況との比較によりまして課題を把握し、その結果を学校の指導改善等に生かすことが重要であるというふうに考えております。

 また、国の立場といたしましても、市町村別あるいは学校別の状況を把握できることで教育施策や指導のきめ細かい検証をすることが可能になる、こういったことから、平成二十五年度からは悉皆調査に戻しまして実施することとしたものであります。

 また、科学技術人材の育成等のために科学的な思考力、表現力、科学への関心を高める学習といったものの充実が求められていること、また、児童生徒の理科離れ現象といった事態につきまして、その実態の把握と課題の改善ということが課題となっている、こういったことを考慮いたしまして、平成二十四年度は理科を追加いたしまして実施いたしました。

 ただ、この理科につきましては、児童生徒や学校の負担なども考慮いたしまして、国語、算数・数学とは別の考え方で、三年に一度実施するという考え方で予定しております。平成二十七年度調査において理科を追加して実施するために必要な準備経費は、来年度、平成二十六年度の概算要求に計上しているところでございます。

 以上でございます。

遠藤(敬)委員 それでは、全国学力調査について、平成十九年からの、東日本大震災の年の中止を挟んで二十五年まで実施されておりますけれども、都道府県ごとの結果公表について議論がございました。結果的に成績が振るわなかった県も、成績上位の県との交流や、結果を踏まえての課題克服に努めてこられた結果、差がさらに縮まっております。規模の大きな都道府県でさえ、学力向上の課題克服が目に見えてわかってくるものなので、それが学校単位であれば、その課題や問題点の発見につなげる効果ははかり知れないと思っております。

 先ほどの話で、PISA調査でも、我が国の教育課題の発見とその対応に効果を上げております。以前、四月十日、予算委員会において、泉佐野市の千代松市長の例を取り上げましたけれども、そのときには、各学校の判断に委ねることとしておりますが、文部科学省として、各学校の公表がさらに進むよう促したいと下村大臣から御答弁を賜りました。

 しかし、それだけではなく、さらに進めて、課題の克服とそのための学校自身の努力を促し、学力向上を図るためには、ぜひとも学校名を明らかにし、結果の公表が市町村でできるようにすることとし、その際には、できる限り条件をつけるべきではないと考えております。改めて、下村文部科学大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

下村国務大臣 教育委員会や学校が保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、子供たちの学力の状況等について積極的に情報提供を行うとともに、教育に関する検証改善サイクルを確立することは重要であるというふうに考えております。

 国費も約六十億円投入されているわけですから、ただ調査だけをするということでなく、それが確実に成果、効果としても反映されるような形での公表の仕方や、また、それが励みになるということは必要だというふうに思います。

 一方、調査結果の公表に当たって、学校の序列化や過度な競争によるマイナスの弊害、これが生じないように配慮するということもやはり考えなければいけないことでもあるというふうに思います。

 平成二十六年度以降の学校の結果公表の取り扱いについては、専門家会議における議論を踏まえて、二十六年度の実施要項において決定をしたいと思っておりまして、今月中をめどに来年度以降どうするかということについては明確にしたいと思っておりますが、より公表に近い形で判断をしていきたいと考えております。

遠藤(敬)委員 余り時間がございませんので、最後に、質問にはございませんでしたけれども、道徳の教科化について、現状の中身と、スケジューリングといいますか、できる限りで結構ですので、御意見をいただきたいと思います。

下村国務大臣 二十四年度の補正予算の中で、心のノートが小中学校で使用されておりません、これを復活することを計上し、国会で認めていただきまして、ことしの九月から小中学校で使われておりますが、この心のノートは十分な教材だとは考えておりません。教育再生実行会議でも道徳の教科化についての提言をいただきましたので、これに合わせて、文部科学省で道徳教育の充実を考える懇談会を立ち上げ、今、議論をしていただき、来年の四月からは、より充実した全面改訂版心のノート、心のノートという名前も変えていく予定でございますが、より充実した教材を配付したいと考えております。

 また、この懇談会の中では、特別な教科として位置づけて、道徳をより着実に学校教育の中で行うべきであるというふうに提言を受けておりますので、そういう観点から、子供たちに、社会のルールや規範意識、マナー等を含めた、人が人として生きる道、こういうものを道徳の中でしっかりと教えていくような充実を図ってまいりたいと思います。

遠藤(敬)委員 心のノート、中身も大変重要でありますし、改訂をいただけるということで、ネーミングもそうなんだと思いますけれども、実際は、心のノートが生徒に行き渡っていなかったことが大きな問題でありました。途中で、どこにあるのかわかりませんけれども、全く手元に届いていなかったということでございますから、新しい心のノートが改訂され、配付される場合は、子供たちの手元にきちっと届けるようなシステムをお考えいただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

小渕委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野の井出庸生です。さきの通常国会に続きまして、文科委員会に所属をさせていただきました。引き続きよろしくお願いをいたします。

 きょう質問をさせていただきたいのは、まず、大臣のさきの所信にもございました、また、本委員会、今国会の文科の注目法案になっております高校無償化の所得制限を設けることについてから伺っていきたいと思います。本格的な議論はまだ先になると思いますので、きょうは、高校教育の考え方について少し聞いていきたいと思います。

 まず最初に伺いたいのは、今、現状、高等学校、高校の教育の目的が何かということについて伺いたいと思います。

 私は、現状、ほぼ一〇〇%、義務教育の中学から高校に進学するという実態の中で、特に中学校、送り出す側の環境も含めて、なぜ高校に行くのかというところの目的意識が少し希薄化しているという懸念を持っておりますが、大臣、高校教育の目的について、お願いをいたします。

下村国務大臣 高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とし、その実現を図るため、豊かな人間性、創造性及び健やかな体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うことなどを目標としております。

 今後、グローバル化を初めとしてますます複雑化、高度化する社会経済を生き抜く上で、家庭の経済状況にかかわらず、学ぶ意思のある若者に高校段階の教育を受ける機会を保障することは必要であり、少子化の中で一人一人の能力を最大限に伸ばしていくことは、我が国社会全体にとっても重要であると考えております。

井出委員 今御答弁の中で社会の形成者というお話もありましたが、私は、今大臣がおっしゃられた社会の形成者というところ、特に高校に入ってからは、将来、大人になって社会に出て自立をしていく、そのすべを少しずつ考える場、まずその第一歩が高校なのかなという思いを、自分の体験ですとか、また、落選中に家庭教師をやってきた経験などを踏まえて感じておるところなんです。

 今、事実上、ほぼ一〇〇%中学から高校に進学をしている。残念ながら、中学までに終えておくべきような基礎的な教育がなされていないままに高校に進学するというケースも見られます。私は、少し義務教育が、小学校、中学校の九年間が高校まで漫然と拡大をしてしまっているような実態があるのではないかと懸念をしておりますが、中学までと高校との違いについて、いま一度御答弁をお願いしたいのですが。

下村国務大臣 御承知のように、中学までは義務教育ですから、義務として、必ず中学卒業までは国民としてなさなければならない。高校においては、行くか行かないかは本人の希望ということでありますけれども、ただ、進学率は戦後一貫して上昇して現在は約九八%、ほぼ国民的な教育機関というふうになっているわけでございます。その中で、高等学校で学ぶ生徒の能力や適性、興味、関心、進路希望など、入学段階での実態も卒業後の進路等も非常に多様化しているわけであります。

 文部科学省としては、こうした多様化した生徒の状況やニーズにできる限り対応し、一人一人の力を高めていくため、より柔軟な教育を実施できるよう、総合学科の創設、学校間連携、学校外学習の単位認定制度の拡充、あるいは中高一貫教育の制度化など、多様な学びの選択肢を提供するための制度を整備してまいりました。

 また、中学校段階の生徒も含め、意欲を持って学び、主体的に進路を選択することができるよう、学校におけるキャリア教育や実践的な技能、技術を身につける教育機関の充実にも取り組んでいるわけであります。

 つまり、中学校までは、義務教育として平準、標準的に全ての生徒たちが、国民としての、義務としての教育レベルを学ぶ。高校段階においては、さらにその上に立って、それぞれの子供たちの、生徒の多様化に合わせた教育をさらに進めることによって一人一人の能力を高める、フォローアップをするということが違いだと思います。

井出委員 今、進路の多様化に対応していくと、まさに私も同じことを考えています。そのためには、高校側も多様な教育をそれぞれの学校で展開をして、子供たちの多様な進路に対する選択肢をしっかり示していかなければいけないのかなと思っておりますが、そこのところが、現状、しっかりなされているのかなという問題意識は私も持っております。

 通告させていただいた質問をちょっと順番を変えて伺いたいのですが、今、多様化というお話があったので、一つ。高校でも公立と私立高校がある中で、特に私立高校は、かつてベビーブームのころは、公立校がなかなか物理的に人員の面で心もとないということで、ベビーブームの多くの子供の受け皿としてできてきた経緯もあると承知をしております。私の地元の長野県も、ちょうどそういったころに相次いで私立学校ができた、そういう状況です。

 しかしながら、少子高齢化、時代が進んで、その私立学校の役割も変わってきているのではないかと考えておりますが、私立高校の役割、また役割の変化について、まず大臣から答弁をお願いします。

上野大臣政務官 ありがとうございます。井出委員にお答えいたします。

 ただいま御指摘がございましたように、戦後、ベビーブームは二度来ていると思います。一度目が昭和四十年、二度目が平成元年、二度来ていると思いますが、そのどちらも、生徒数がふえたことによって、私学ばかりではなく公立校もともに学校数はふえていると認知しております。

 ただ、御指摘のように、公立高校のままで、そこで入り切れない生徒を私学の方で請け負っていたというのは私も認めているところですが、しかしながら、私学というのは、独自の建学の精神に基づいて、個性豊かで多様な教育研究活動を展開しておりまして、我が国の学校教育の展開に大変重要な役割を今までも果たしてきており、ただ、少子化に向かって、現在、特に地方の私学は大変厳しい状況に置かれているのも事実であります。

 しかし、ほとんどの私学は頑張っておりまして、また新たに独自のコースをつくりましたり、また、今公立高校で進めております中高一貫校の先駆け的な取り組みをしたのも私学高校でございますし、現在、高校在学者総数のうち約三〇%が私学に在学しているという状況もあります。

 少子化において、大変その数も割合的に私学が多いんじゃないかという御指摘もございますが、その役割というものは地域でもますます高くなっていると私たちも感じております。

 また、教育基本法の第八条や本年六月に閣議決定された第二期教育振興基本計画におきましても私学振興の重要性が明記されておりまして、文部科学省といたしましても、幅広い側面から支援施策を推進し、私立学校の、私学高校の一層の振興も努めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

井出委員 ありがとうございます。

 きょう上野政務官に質問にお答えをいただいたのは、上野政務官はこれまでに学校法人で私立学校のことにさまざまかかわってこられた御経験があると伺っております。そうした御体験も踏まえて、私立学校の役割というものが変わってきているという実感というのはございますか。

上野大臣政務官 いろいろ変わってきているとは思います。

 戦後のベビーブームのときのような形で、ただ商業科、普通科というような大ざっぱな形のコースをつくっただけでは対応し切れない現状はあります。特に、公立高校の対応を見ながら、その地域、地域にあって、その地域にある公立高校で対応できないような特別なコースをつくりましたり、また、中学校と連携して、中学生が今高校に対してどのような希望を望んでいるか、それをリサーチしましたりして、公立高校では対応し切れない、その状況をしっかりと私学では受け皿としているという現状もございます。また、新しいコースによっては、画期的なものもどんどんつくっていく、そういう取り組みをしている高校もございます。

 苦しいのは、現状はございます。

井出委員 今、私立の状況もお聞かせをいただいて、最後に、苦しいというお話もありました。

 今回、高校無償化に所得制限を設けるという話になるんですが、これまでの民主党政権下においては、高校教育を、できるだけ親の負担を減らしていくんだ、そういう明確なスタンス、私は必ずしもその全てに賛同するわけではなかったんですが、明確なスタンスがあって、今回、所得制限が設けられると聞いております。

 ただ、方向性として、これから高校の教育というものが、ある程度親の負担を前提としたものにしていく大きな転換なのか。それとも、大臣の所信でおっしゃられておりましたが、厳しい財政状況下というお言葉があったと思いますが、財政がよければ引き続き無償化、財政に余裕があれば、またこれから余裕が出てくれば無償化を進めていく中での今回の改正、その経費負担は無償化を進めてく中での暫定措置なのか。それとも、高校は義務教育じゃないので経費を負担してもらおう、そういう方向性への転換になるのか。そこのところを大臣に伺いたいんです。

下村国務大臣 これは大学教育までですけれども、できるだけ教育における負担軽減を図るべきだと思います。もっと公的支援をし、私的負担を減らすことによって、どんな家庭の子供であっても、本人が能力と意思さえあれば大学や大学院あるいは留学まで含めて行けるような教育環境をつくっていくために、できるだけ無償化に向けた政策をこれからぜひつくっていきたいと思っております。

 ただ、現状の中で、今の財源の中で、赤字国債を発行してまで教育費軽減を図るということは、これは国民の理解が得られないと思います。

 そういう中で、公私間格差を今以上に是正する必要があるというふうに思いますし、また低所得者に対するさらなる支援策をする必要があるということから、その財源については、ほかのところから持ってくるほどの税収アップはまだ見込まれない中で、所得制限を設けて、その所得制限の中で浮いたお金で公私間格差の是正や低所得者層に対する厚い手当てをする、さらに、給付型奨学金等を新たに創設することによって、トータル的にバランスのとれた、どんな家庭の子供であってもチャンス、可能性が広がっていく、あるいは私学に行っている家庭の子供であっても、より教育環境、条件が経済的にフォローアップできるような、そのような改正を今国会で提出し、お願いをしたいと思っています。

井出委員 今、トータルでというお話もありましたが、私立学校の場合、先ほど上野政務官おっしゃられたように、さまざまな取り組み、公立の先を行くような取り組みをやっているところもある。

 私の地元のある学校の例でちょっとお話をさせていただけば、創立時はベビーブームの受け皿としてつくった、それが平成に入ってから留学制度を取り入れて、留学をしたい、そういうことでそこの学校に希望をして入ってくる、そういう学校に変わってきた。また、部活動も、スポーツなんかも全国的に強いので、そういったところに希望して入ってくる、そういう生徒さんがふえてきたという現状があります。

 実際、学校を訪問してみれば、公立とははるかに違った設備、環境の中で教育が行われているわけなんですが、そういった独自性のある、また、地域の中でも、さっき政務官おっしゃられた、一歩先を行っているような教育に、そこに望んで行くような方、生徒さんが多いというのであれば、かつてのベビーブームのときの受け皿だった私学と同じように、公私間の格差というのはずっと言われてきているかと思いますが、そこの公私間の格差のあり方も学校の目的に照らして考えていくべきというのもこれからの問題提起の一つではないかと思うんですが、そのあたり、大臣いかがでしょうか。

下村国務大臣 もともと私立高校は公立高校の単なる補完高校としてできたとは、私は必ずしも思っておりません。それぞれが建学の精神を持って、より望ましい教育をみずから子供たちにしたい、そういう意欲でできた学校が実際ほとんどだというふうに思います。

 その上で、先ほども公私間格差の話を申し上げましたが、授業料でいうと、高校授業料無償化導入前は、一般的に言うと、公立高校の授業料が一に対して私立高校の授業料は四でした。それが、公立高校の授業料が無償化になったためにゼロになりましたが、その相当分が引かれたために三。ですから、意識としては、一対四が〇対三。片っ方は無償だ、片っ方は有料だということになったわけです。

 一方、生徒の立場から見れば、公立であろうが私立であろうが、より自分を伸ばしてくれる学校に行きたいということの中で、それが公立の中になくて私立に行くという選択で、家庭の経済状況にかかわらず、しかし費用は負担しなければいけないということを考えると、生徒一人当たりの税金投入額については、基本的には私はできるだけフィフティーに近い形を今後とるべきだというふうに思っております。

 例えば、都立高校は税金投入額が一人当たり年間約百三十万円だと言われております。一方で、東京都内の私立高校は、税金投入額、私学助成等が入るわけですが、一人当たり約四十万弱だというふうに言われております。同じ高校生であっても私立に行っているか都立に行くかによって税金投入額が違うということは、生徒の立場から見たら不公平だということになるわけですし、できるだけ、そういう意味では、公的支援を同じにすることによって、同じ土俵の中で公私がそれぞれよりいい教育が競い合えるような環境をつくるということは、子供にとって大切なことだというふうに考えています。

井出委員 今、一人当たりの公的支援とその平等性もわかりましたし、大臣、最初におっしゃられました、できるだけ教育に公的支援をやっていこう、そこのところは私も大変、思いは同じだと思っております。

 ただ、今お話をさせていただいたのは、保護者、家族の経済状況の厳しい中でどうやっていくかという話で、あと、もう一つ、やはりこの学校教育を考える中で、先ほど少人数学級・教育の話もありましたが、学校を運営する側への予算措置というのも、今後、公立へ支援していくものも私立へ支援していくものも厳しいものにならざるを得ないと思っております。

 先ほど大臣、別の委員の先生の御質問の中で、七カ年計画、教員は減らさないで環境を充実していくというお話があって、ここはなかなかお金を拠出する方の財務省の側からすると、ちょっと論調が違うのかなと。新聞報道では、やはり少子化に伴って先生を減らしていくべきだというような報道も何度か見ておりますが、今後の、少子化が進んでいく中の高校の予算措置について、きょう、財務省の主計局の岡本次長に来ていただいているので、次長から答弁をお願いいたします。

岡本政府参考人 先生の御質問にお答えさせていただきます。

 先生御議論いただいております高等学校に対する予算措置、これにつきましては、まさに学校教育法等で定められておりますとおり、そもそもは、設置者負担の原則のもとで、教育条件の維持向上等を図るため、国、地方公共団体が一定の助成を行うという考え方で必要な予算を組んできているものと私ども考えております。

 一方で、御指摘にありますように、財政状況が大変厳しい中でございますので、これは、各歳出分野とも不断の見直しが必要と私ども財政当局としては考えているところでございます。

 教育の分野におきましても、少子化という現状の中でどのように考えるのか。高等学校に対する予算措置につきましても、一方で限られた財政資金を効率的、効果的に活用しながら、一方で、やはり教育政策、これは非常に私どもも重要だと考えておりますので、その質的な向上をどのように図っていくのか、こういった観点から、現在行っております予算編成過程におきましても、私どもは文部科学省とも十分協議をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

井出委員 経済状況の厳しい保護者への支援をやっていくのが今回、また引き続き次回以降話題になっていくわけですが、教員の配置に関しても、なかなか厳しい予算との兼ね合いでやっていかなきゃいけない。

 また、一つ問題提起をさせていただきたいのは、地方の小規模校、人口の過疎化が進む中で、特に私立も厳しいんだというお話を上野政務官からもいただきましたが、地方では小さい学校がどんどん統廃合になっていくという現実もありますので、そこも問題意識の一つに取り入れた議論を今後私の方もさせていただきたいと思います。

 もう一つ、次に、ちょっと話題がかわるんですが、秋の修学旅行が今シーズンでして、国会にも私の地元から来ていただいて、私もできるだけ子供たちとおつき合いをするようにしているんですが、実は先日、子供に質問を聞いていたところ、秘密保護法案って何ですか、そういう質問を受けました。私は余り文部科学行政にはちょっと関係がないのかなと思ったんですが、私は正直、答えに窮してしまいまして、ちょっと時間もあれなので、秘密保護法案について子供に聞かれたときに大臣だったらどう御説明されるかというところを伺いたいんですが、変な質問で、よろしくお願いします。

下村国務大臣 特定秘密の保護に関する法律案、これは、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについてその漏えいの防止を図るということですから、全て秘密にするとか保護するとかいうことではまずない、安全保障、限定分野ということですね。

 それからもう一つ、安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案、これも、二法案審議されているわけですけれども、国家安全保障会議を創設し、我が国の外交・安全保障政策の司令塔機能を強化する、これが主な目的としているわけでございまして、今国会においても、内閣提出法律案、それから議員提出法律案、数多く審議されておりますが、この二つの法案を中心に審議しているところでございます。

 子供たちにどう教えるかということについては、これは、児童の発達段階を踏まえて客観的な指導を行うなど、適切な取り扱いに留意することが学校教育の中ではやはり求められることであるというふうに思います。

井出委員 大臣の冒頭の御説明は私もよく理解するんですが、冒頭の御説明だとちょっとお子さんには難しいかなという感想を持ちました。

 ちょっと確認的な質問をさせていただくんですが、特定秘密保護の法案に関しては、私は文部科学省の所管するものは余り関係がないと思っておりますが、何か想定されるものはありますでしょうか。ないということでもよろしいでしょうか。

下村国務大臣 これは安全保障分野でございますので、文部科学省が所管する、法律案として入っておりません。

井出委員 特定秘密が何かというのは、今、別の特別委員会でさんざん議論をしていて、特に警察、外務、防衛はある程度秘密が想定されているとは聞いているんですが、文部科学省関係の中で特定秘密に入りそうなものはないという認識でよろしいですか。(発言する者あり)

下村国務大臣 大臣のプライバシーというのは、秘密にするかどうかは主観的な大臣の判断でしょうけれども、この法律案は安全保障に限定しているものですから、これは文部科学大臣としての秘密に関係することではございません。

井出委員 私も、安全保障に限定したものだということはよく理解をしております。

 ただ一点、私もけさちょっとパソコンを見ていてあれなんですが、きのうの夜、十月三十一日十八時十三分に朝日新聞の記事がインターネットに掲載をされていて、秘密保護法に歴史学者の皆さんが反対をしていると。声明を出されて、史料調査において特定秘密文書を入手した際に刑事処罰の対象にされるおそれがある、歴史学の研究と教育に多大の障害をもたらすことが懸念をされる、そういう声明が出ております。

 最初に御質問させていただいた子供への説明もそうなんですが、やはり研究、教育の分野でそういった懸念に対してしっかり説明はしていくことは必要ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

下村国務大臣 一般的な歴史とか教育において該当するということはないわけです。

 ただ、過去の安全保障における政府の機密文書等の、これはその公開期間というのもあるわけですけれども、それをいつ公表をするかしないかによって学問的にどうかというような意見があるということは承知しておりますが、しかし、国家としての安全保障、これはきちっと守るべきは守る、しかし、それと学問的な認識というのは別次元の話であるというふうに思います。

井出委員 別次元であるというお話ですが、やはり懸念を持っている教育、歴史研究分野の方も、そういった声がまた上がるかもしれないので、そういったときに、今言っていただいたような説明をいろいろなところでやっていただければと思います。

 時間になりましたので終わります。どうもありがとうございました。

小渕委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、原発事故の補償問題についてお聞きしますが、その前に、まず一点だけ御指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 今、お席にはついておられませんが、櫻田副大臣が、放射性物質を含む焼却灰の処理をめぐって、人の住めなくなった福島に置けばよいといった発言をし、後に謝罪、撤回をされました。

 率直に言って余りにも無責任な発言だというふうに思いますし、大臣も厳重に注意をされたということですが、十月八日の大臣会見によりますと、いわゆる放射性物質汚染対策の特措法の基本方針について副大臣が十分に理解をされていなかったというようなことも言われております。だとすると、原子力災害補償を所管する文科省の副大臣として果たしてどうなのかと疑問に思わざるを得ません。

 いずれにいたしましても、被災者に徹底的に寄り添う立場で今後の任に当たっていただきたいと強く要望させていただきます。

 それでは質問に移らさせていただきます。

 本日は、お忙しい中、東京電力の山口副社長に参考人としておいでいただきました。茨城県、あるいは栃木県でも同様だと聞いておりますが、風評被害の補償が打ち切られる事態が発覚をしております。

 この問題で社民党は茨城県に調査団を派遣いたしました。社民党が把握している限りでは、八月以降、二十件を超える事業者に対して、当事者合意のないまま、賠償金の請求に関するお知らせという文書が送付され、一方的に打ち切りが通知をされております。しかも、半年近く請求を放置し、三月にさかのぼって打ち切りということになっております。

 茨城県議会でも問題にされ、茨城県知事は、県内で約四十の事業者が賠償を打ち切られたと県議会でお答えになっています。

 そこで東京電力に伺いますが、補償の打ち切りに際して、個別の事業者に対しての説明や協議を行いましたか。お答えください。

山口参考人 御質問にお答えする前に、まず、私どもの福島の原子力の事故で、二年半たったにもかかわらず、今なお広く社会の皆様に御迷惑をおかけしておりますことを、この場をおかりしまして、心からおわび申し上げたいと思います。

 では、御質問にお答えしたいと思います。

 当社といたしましては、個別の事情をお伺いする中で、当社の事故との相当因果関係が認められない場合にはお支払いさせていただくことができない旨を御請求いただいた方にお知らせしておりますが、新たに証憑等を御提出いただけた場合には再度協議をさせていただくという旨記載した文書を送付させていただく、あるいは事前に電話で説明をさせていただくなど、これまでも丁寧に対応してきたことでございますけれども、今回改めて御請求者様への対応状況を調査いたしました結果、一部、丁寧さに欠ける事例も確認をいたしました。まことに申しわけなく思ってございます。

 いずれにしましても、今後、同様な事象が発生しませんように、丁寧かつ真摯に対応をしてまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。

吉川(元)委員 ちょっとわかりづらいんですけれども、丁寧さに欠けるということは、事前に個別事業者に対して説明、協議を行っていなかった事例があったということでよろしいんでしょうか。

山口参考人 御質問にお答え申し上げます。

 私どもで現時点で調査した範囲で、茨城県内で二十二件対象がございますけれども、そのうち、精査いたしますと、事前の電話もなく、また、再度協議させていただく旨の御案内も不足しておりましたものが一件あったということでございます。まことに申しわけございません。

吉川(元)委員 今ほど一件と言われましたが、社民党で調査をしてお話を聞いた事業者の皆さんほとんどの方が事前の話はなかったというお話ですので、改めましてきちんと調査をしていただかなければいけないというふうに思っております。

 もし、今ほどおっしゃられました賠償打ち切りのお知らせが東電の考え方等々を示したもので、今後も協議をすると言うのであれば、今、配付資料ということで委員の先生方にもお配りをさせていただいておりますが、この文書を見ますと、一枚目をめくっていただくと、二つ目のパラグラフの最後の方ですが、「中間指針を踏まえ、確認させていただきました結果、誠に申し訳ございませんが、賠償金をお支払いさせていただくことができないという結論になりました。」「ご了承くださいますようお願い申し上げます。」こういう文言でいきなり文書が各事業者の皆さんに送りつけられたということになります。

 もし仮に今後も協議をしていくと言うのであれば、この文書を撤回されて、改めて再度協議をさせていただくということ、そうすべきだというふうに考えますが、東電のお考えはいかがですか。

山口参考人 お答えいたします。

 先ほどの配付された資料につきまして精査いたしますと、文書を発信する前に電話もかけて対応しているという事例があったことでありまして、その結果としてなお書きがちょっと抜けたということでございますが、今後は、やはり原則にのっとって、なお書き、あるいは事前に電話をするということを周知徹底して、丁寧に対応させていただきたいと思っております。

吉川(元)委員 電話で打ち切りをお知らせしてこの文書を送りますというのは、これは余りにも不誠実ではないですか。事業者の皆さん、風評被害を含めて大変苦しんでおられます。その中で電話で済ますということ、それはあってはならないというふうに思います。

 きちんと担当者の方が各事業者さんを回って、その実情を面と向かって目を見て話をして、その上でいろいろな協議を行うというのが筋だと思いますが、その点いかがですか。

山口参考人 お答えいたします。

 まず、本件につきましては、電話の中で御了解をいただいたものと受けとめましたのでこういう対応をいたしましたけれども、今後のものにつきましては、先生のおっしゃる趣旨も踏まえて丁寧に対応していきたい、こういうふうに思ってございます。

吉川(元)委員 本当に丁寧な対応を東電の方にはお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、きょう経産省の方からもおいでいただいておりますが、実は十月二十四日の参議院の予算委員会の場で、我が党の吉田党首がこの問題を取り上げて茂木大臣にただしました。その際、大臣の方から、「東京電力からは、風評被害の賠償の終了に当たり、個別に事前に事業者の方々と協議を行った上で賠償の終了についての文書を送付したと、このように聞いております。」というふうに答弁をされております。

 今ほど東電の方からのお話ですと、私はもっと多いというふうに思いますけれども、少なくとも一件はそういうことがなかったというお話ですけれども、この点について、残念ながら茂木大臣の答弁とは事実は違ったということでございます。

 東電からの報告を受けたということですけれども、予算委員会の前あるいは終わった後に東電に事実確認はされたでしょうか。その点についてお伺いします。

磯崎大臣政務官 今御質問いただきました件について答弁をさせていただきたいと思います。

 今、委員御指摘ございましたように、十月二十四日の参議院の予算委員会におきまして、吉田忠智議員の方から質問があったわけでございます。

 事前に東電の方に確認をしたかということでございますが、この予算委員会に先立ちまして、東京電力の方には事実関係を確認をした上で、風評被害の賠償の終了に当たり、個別の事業者の方々と協議等を行った上で賠償の終了についての文書を送付しているというふうに大臣から答弁をさせていただいたところでございます。

 協議等ということでございますので、今、東電の方からも説明ありましたように、協議をした件もあれば電話をしたということもあるということでございまして、東電の方には確認をした上で答弁をさせていただいたということをまず答弁をさせていただきたいと思います。

 もう一件、委員会の後でどういう対応をしたかということでございますが、これは、委員会の後には担当部署の方から東電の方に、請求者の方には丁寧な対応を改めて行うということを指示をしているところでございます。

 以上でございます。

吉川(元)委員 経産省の方ではきちんと東電の方に事前に確認をとったというお話でございます。

 そうしますと、東電は、この前、予算委員会、二十四日の前の時点ですけれども、この時点ではきちんと精査をせずに、自分たちが行った行為、事前に協議をしたかしていないか、後ほど調べたら一件あったということですけれども、この点についてきちんと調査をせずに経産省の方に報告をしたということ、そういうことでよろしいんでしょうか。

山口参考人 お答えを申し上げます。

 最初の、予算委員会の前の調査の時点でわかり得る範囲のものをお伝えを申し上げました。その後も引き続いて精査をいたしました結果が、先ほど申し上げた結果になっているということでございます。

吉川(元)委員 経産省からの調査といいますか問い合わせに対して、これに対しても、残念ながら誠意ある対応はとられていないなというふうに思わざるを得ません。

 そこで、下村大臣にお聞きをいたします。

 今回の補償の打ち切りですけれども、三月からスタートしております。三月に、請求書類を記載して送ってください、そしてさらに六月に、八月分までの請求書を送ってくださいということを東電は行っているわけです。半年たって、その上で、三月にさかのぼって賠償金についてお支払いできません、こういうやり方をしているわけです。

 事業者の方は、請求書を送った以上、これについて、事前の三月の時点あるいは五月の時点で協議をさせてくださいというお話がない以上は、当然賠償が入ってくるというふうに踏まえた上でいろいろな事業展開や生活の設計をされているというふうに思いますが、今回の東電の、半年間放置をして、さらに半年さかのぼって補償を打ち切るというこのやり方について、大臣、どのようにお感じになられますか。

下村国務大臣 今回の事故により生じる原子力損害に関しては、被害者の方々に対して、迅速、公平、適正な賠償がなされることが重要であり、東京電力も、国が認定する総合特別事業計画において、親身、親切な賠償の徹底を約束しているわけであります。

 今回御指摘の例については、担当部局から東京電力に文部科学省としても改めて確認をとったところ、書類等の確認に半年以上を要し、この間、請求者の方に連絡をとらないまま通知を発出した例はあるということでありました。これは、先ほど申し上げました総合特別事業計画に照らしても、不適切な対応と言わざるを得ません。

 東京電力には、みずからが掲げる親身、親切な賠償の徹底に全力で取り組み、被害者の方々に寄り添った対応をすべきであると考えます。

吉川(元)委員 今、文科大臣が言われたとおりだと私も思います。半年間放置をして、いきなり切ったわけですから、今後協議をするにしても、少なくともこの半年分についてはきちんと補償をすべきだというふうに私は考えますが、この点について東京電力のお考えをお聞きします。

山口参考人 まことに、この例では、私どもの至らないところがあったことを深く反省しております。

 今後は、できるだけ速やかに回答すると同時に、その状況についても、できる限り被害者の方にあるいは申し出される方にお伝えしながら、より沿う形で丁寧に対応してまいりたいというふうに思ってございます。

吉川(元)委員 私は、少なくとも放置していた半年分についてはきちんと補償をすべきだというふうに考えます。

 そこで、ちょっと大臣にお聞きします。

 先ほどお配りをした配付資料の、二枚めくっていただいて、賠償金を払わない理由について記載をした文言があります。この中を見ますと、事故から相当期間が経過して、新たな取引先の開拓、新たな事業展開が可能だったはずだというふうに述べられております。

 私も、もう未来永劫風評被害について補償すべきだとは当然考えませんし、風評被害そのものをなくさなければいけないということですから、未来永劫続けるべきだというふうに言っているわけではありません。ただ、現在でも汚染水の漏えいは続いておりますし、原発事故そのものも収束をしたという状態ではありません。その中で、新規取引、新規事業の展開はできるはずだと一方的に主張するというのは、これはいかがなものかというふうに思われます。

 表向き売上高が回復しているところでも、自社製品を販売すると茨城県産ということで風評被害に遭うから、わざわざ高い他社の製品を買って、ある意味でいうと、利益を減らして売上高を維持している、そういう涙ぐましい努力をされている事業者の方もいらっしゃいます。

 この理由というのは余りに私は乱暴ではないかというふうに思いますけれども、大臣の御見解を伺います。

下村国務大臣 今回の事故によって生じた原子力損害に関しては、原子力損害賠償法に基づき、東京電力により適切に賠償がなされるということになっているわけです。指針においても、風評被害の賠償の終期について、一律に示すことはできず、「個々の事情に応じて合理的に判断することが適当」と言われております。

 これも文科省の担当部局が東京電力に事実関係を確認したところ、請求内容が賠償の対象とならないと判断する場合にも、個別に被害者の方々の事情を考慮した上で対応しているということでありました。

 しかし、被害者の方が実態が踏まえられていないと受けとめているとすれば、これは東京電力の対応が不十分であると言わざるを得ないと思います。被害に遭われた方々の個別具体的な事情に応じ、きめ細やかな対応をしていくべきだと考えます。

吉川(元)委員 この問題で最後に東電の方に。

 今、大臣からのお話もありましたが、今のこのやりとりを含めてどのようにお感じになられているか、お答えください。

山口参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、今まで一律に判断をするということではなく、お一人お一人の事情を十分踏まえて、場合によっては法律の専門家等も交えて検討させていただいてきたところではございますけれども、今、先生初め大臣からの御指摘もあったとおり、もっときめ細かく対応する余地はあろうかと思いますので、これからも、より沿う形に徹底してまいりたいとも思っております。

吉川(元)委員 しっかりと対応していただきたいと思いますし、きちんと話し合いをする、納得をしていただくということ、これが事故の対応の基本的な態度だ、姿勢だというふうに思いますので、その点を指摘させていただいて、この問題についての質問を終わりたいと思います。

 続きまして、全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力調査についてお聞きをいたします。

 これの公表、先ほども当委員会で議論が行われましたけれども、率直に言いまして、さまざまな混乱が発生しているのは否めないのではないかというふうにも思います。

 調査結果の公表のあり方については今省内で検討中ということでありますけれども、本来の趣旨から外れて、過度な競争や学校の序列化につながらないようにしなければいけない。このままではそうなるのではないかという強い危惧を持っております。

 例えば、報道等によれば、ある県の教育委員会の教育事務所が、過去問、過去の問題集をつくって、それをやれと。いわゆるテスト対策をやれと。あるいは、比較的成績のよかったところでは、紅白まんじゅうを配る、こういうことが実際に行われているわけです。

 その中で、膨大な宿題が出されて、いわゆる過去問、テスト対策をやらされるわけですから、生徒にも負担はかかっておりますし、保護者からも不安やストレスの声が届いております。また、教員にも非常に大きな負担になっております。

 言うまでもなく、この全国学力調査で測定できるのは学力の特定の一部分であって、実施要領にあるように、序列化につながらないようにすべきだというふうに考えておりますが、今の現状では、点数だけがひとり歩きし、過度な競争を助長している側面が強くなっていると感じていますけれども、大臣、この点についてはいかがでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のように、実施の調査に当たっては、学校の序列化や過度な競争による弊害が生じないような、実施要項においてのさまざまな配慮事項を定めております。それは必要だと思います。

 ただ、御指摘のようなことで、この悉皆調査によって特段の弊害が出ているとは全く感じておりません。勉強しないよりはした方がいいに決まっていますし、それをどう努力させるかということ、それぞれの自治体が創意を工夫することによって、結果的に子供たちの意欲につながり、学力アップにつながるということであれば、これは望ましい方向であるというふうに思いますが、ただ、それが序列化や過度の競争にならないような配慮をするということの視点は必要だというふうに思います。

 そもそも、国としては、全ての子供たちの学力向上を図る、そして、全ての教育委員会や学校において、全国的な状況との比較によってみずからの教育の成果と課題を把握し、その結果を指導方法や教育施策の改善に生かす、こういう意味で悉皆調査というのは大変重要だというふうに考えております。

吉川(元)委員 もしそういうふうに言われるのであれば、ますます悉皆である必要性というのはどこにあるのか、私は非常に疑問に思います。

 例えば、今、悉皆でありますと、テストをやって、問題も含めて全部回収をいたします。結果が出てくるのは、三カ月以上たってから結果が出てきます。大人でも三カ月前のことがどうだったかというのはあれですけれども、子供たちにとって三カ月前のテストの結果が、今渡されたからといって、それが学力の向上につながるのかどうなのか。毎日毎日子供たちは成長していきますから、これは非常に疑問に思います。

 その点からいうと、悉皆ではなくて、以前行われておりました抽出でその目的は達せられますし、また、各学校ごとに希望利用調査を行えば、これで十分各学校のそれぞれの課題についても対応できるのではないかというふうに思いますが、この点についてはいかがですか。

下村国務大臣 民主党政権下で全国学力調査は三分の一程度にするということでありましたが、実際は、希望教育委員会等が多くて、自主的なことを含めて八割近くが参加をしていたという経緯があります。

 費用を地方自治体で負担するということでの前提でしたけれども、これを国がやるということであれば参加したいという自治体はもっとあるわけでありまして、これは、全国で子供たちがそれぞれ学力や学習意識調査を含めてやるということは、トータル的にこれから日本が世界で一番の学力と規範意識を目指した、より理想的な教育を目指すという意味で、必要なツールだと考えております。

吉川(元)委員 もう余り時間がありませんので、あと二点ほどお聞きしたいというふうに思います。

 一つは、全国学力調査の目的、今ほど言われました、ちょっとあれかなというふうに思いますけれども、全国的に学力を把握し、教育内容や授業のあり方の改善に役立てる、そういう目的があることは十分承知をしております。

 他方で、今のやり方というのは、やはりどうしても序列化や競争をあおる、そういう傾向が顕著になりつつあるというふうにも思います。

 そういう中で、しっかりと文部科学省としては調査結果を詳細に検討して、少人数学級あるいは教員定数の改善など、教育条件の整備にぜひ生かしていただければというふうに思います。

 といいますのも、報道によりますと、財政制度審議会の方で、文部科学省として教員定数の増を求めたところ、逆に、マイナスだ、減らせというようなお話も出たというふうに思っております。

 今の小中学校の現状を見ますと、定数の改善、やはりこれは避けては通れない問題でもありますし、財務省に対して毅然と反論された下村大臣の思いをぜひお聞かせをいただければというふうに思います。

下村国務大臣 御指摘の、財政制度等審議会から、生徒の数が減ってきているので、それに合わせて教職員の定数も減らせというような答申が出たということでありますけれども、これは、まさに木を見て森を見ず、教育がこの国にとっていかに大切かということを全く認識していない中での、目の前の財政だけを考えた、非常に短絡的な結論だというふうに私は思っております。

 教育は未来に対する先行投資でありますし、我が国が、少子高齢化の中、これから人口が減っていく中で一人一人の労働生産性も減る中で、付加価値を設けた、つまり教育力を身につけることによって、一人一人の国民がよりクリエーティブな、あるいは創造的な能力も含めた、労働生産性を付与するような教育サポートをしていく必要があるというふうに思いますし、今まで以上に社会が複雑化、高度化している中で、学校現場においてかつての人数で教えられるかというと、ベテランの先生であっても、発達障害や、あるいは多様化した子供を一律に教えるというのは難しくなってきている中で、社会の様相も変わってきている。

 そういう教育現場というのをしっかり見てもらった上で、最初に申し上げたような認識をしっかり持った上で財政制度等審議会は責任を持った答申をしてもらわなければならないというふうに私は思っておりますが、財政面だけの議論を教育でやるのは非常に危険だと思っております。

吉川(元)委員 大変心強い御決意をいただきました。恐らくここにいる委員のほかの先生の皆さんも全く同じ意見だというふうに思いますし、財政の面だけから見るのではなくて、しっかりと教育の充実という面から引き続き大臣には御奮闘いただければというふうに思います。

 最後に、今までとは少し変わった観点での質問を一点だけさせていただきます。

 実は私、九州ブロックからの選出でございます。一番南といいますか、鹿児島県には桜島がございます。桜島の火山の対策で私も何度か強い要望をいただいております。その中から一問だけ、ぜひお聞きをしたい点があります。

 桜島の噴火についてですけれども、ここのところ大変活発化しておりまして、三年連続で八百回を超えるような噴火が起こっております。先日も大きな噴火がありました。火山灰の被害はもちろんですけれども、非常に住民の方々も不安に感じております。

 研究者によりますと、大正時代に起こった大噴火に近づきつつある、研究者によっては、十年以内に大噴火が起こり得るというようなことを言われている研究者の方もいらっしゃいます。

 そこで、まず文部科学省として今桜島の状態が大変危険な状態にあるんだということを認識をしていただいた上で、その予防措置をしっかりとっていただきたい。特に、観測体制、研究予算の分野についてお願いをしたいのが、桜島の北東部の観測坑道と機器の設置について、これは、研究者の方、ここが一番観測をする際にキーポイントになるという場所だそうですけれども、この部分についてのしっかりした予算づけをお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

田中政府参考人 先生御指摘いただいたとおり、桜島火山では、三年連続で爆発回数が八百回を超えております。近年、噴火活動が活発化しているというような認識は私どももしてございます。

 文部科学省では、科学技術・学術審議会の建議をいただきまして、地震及び火山噴火予知のための観測研究計画ということを策定をしてございまして、その策定の中には、京都大学の防災研究所で桜島火山観測ということで研究をしていただいて、文部科学省としてもその支援を行っているところでございます。

 先生から御指摘いただいたとおり、近年活発化する桜島の火山の問題につきましては、現在二カ所、観測坑道が設置されておりますけれども、まさにマグマが上がってくるそこのところの北東部について、地元自治体あるいは研究者の方々から、新たな観測坑道ということをつくってほしいという強い要望を我々もいただいているところでございます。

 新たなこれらの観測坑道、機器の設置につきましては、今後、予算の手当ての仕方及び今後の全体としての火山の観測の進め方ということにつきましても、関係方面と精力的に相談をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

吉川(元)委員 しっかりとした対応をお願いします。

 これで質問を終わります。

小渕委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時四十分開議

小渕委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 冒頭に、二〇二〇年東京オリンピックについて質問いたしたいと思います。

 我が党は、二〇二〇年オリンピックの東京招致には一貫して反対をしてまいりました。二〇一一年十二月、さらにはことし三月と二度にわたって行われたオリンピック東京招致決議にも我が党は反対をしてまいりましたが、それは決してオリンピック大会そのものに反対してきたのではありません。オリンピックは、国際親善とスポーツの発展にとって大変意義深いものという認識を明らかにした上で、東京招致の目的がオリンピックを利用して大規模な東京開発を進めるものであること、今、国と都が力を注ぐべきは、大震災、原発事故からの復興であり、国民、都民の暮らし、社会保障を立て直すことにあるということを指摘して、決議に反対をいたしました。

 しかし、ことし九月七日、ブエノスアイレスで開催されたIOC総会は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催地を東京と決定いたしました。

 我が党は、このIOC総会の決定について尊重するという態度を表明するとともに、決して無条件の信任ではない、東京招致に反対した際に私たちが指摘してきた問題点については、変わることなく、引き続き厳しくチェックしていくことも明らかにいたしました。

 その後、東京招致決定を受けて、十月十五日の今臨時国会冒頭に二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック成功決議を行うという話が持ち上がり、決議の素案が各党に示されました。しかし、その素案には、オリンピックの開催は「東日本大震災からの復興を世界に示すものとなる。」とか「全国民一丸となって東京大会を成功させるよう努めなければならない。」などという不適切な文言が含まれておりました。

 そこで私から、第一に、国会が国民にオリンピックへの賛同、賛成を強制するようなことがあってはならない、あくまで国民の理解と協力を求めるべきものであること、第二に、オリンピックはオリンピック精神の体現のために開催すべきものであって、東日本大震災からの復興の妨げになってはならないことはもちろんだが、震災復興を世界に示すというようなことを目的に掲げるべきではないということ、第三に、国際競技大会の招致やスポーツの国際交流については、超党派で成立させたスポーツ基本法に規定があり、国際平和への寄与や環境保全への配慮が掲げられている、当然それらを盛り込むべきことを指摘し、それが受け入れられ、文案が修正されました。

 それでも我が党が不必要だと考える文言が残されたため削除を求めましたが、入れられず、最終的に、共同提案には加わらず、あえて反対しないという態度をとった次第であります。

 そこで、大臣に基本的認識を問いたいと思うんです。

 オリンピックの東京招致には、これまでも、内外からさまざまな不安と疑問の声が寄せられてきました。国民の中の意見もさまざまであり、アナウンサーの久米宏さんはラジオで、最後の一人の日本人になっても反対は続けていくと公言をされております。

 ところが、大臣は先日の所信表明で、大会の成功に向けて社会総がかりで進めるとか、国民総参加型の大きなうねりを生み出すとか述べられました。大臣の願望はそれはわかるんですけれども、国会決議が、国民に強制するような表現を避けて、「国民の理解と協力のもとに、その推進を図る」としたこの趣旨を御理解いただいているのかどうかということを確かめなくてはなりません。

 まさか、大臣も国民にオリンピックへの賛同を強制するというようなことは考えておられないと思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 宮本委員におかれましては、今回の東京招致については、心情的には大変に御協力をいただけるような思いを持っていたのではないかと、私自身は内心そんなふうに思っております。

 文部科学省が八月に国民意識調査をしましたところ、この二〇二〇年オリンピック・パラリンピックあるいは国際競技スポーツについて賛同する、そのアンケート調査は九二%になりまして、これは、今までにない高い、多くの国民の皆さんが、特にロンドン・オリンピックを通じてスポーツによる勇気と感動を共有していただいた結果にもなったのではないかと思いますし、そのようなうねりのバックアップの中で、九月七日、ブエノスアイレスにおいて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致が、まさにオール・ジャパンという中での成功をおさめたのではないかというふうに思っております。

 七年後の東京大会を成功にしていくためには、競技場や輸送インフラ等の整備、多数の海外からの選手や観光客の受け入れなど多岐にわたる課題に取り組む必要があり、そのためには、しっかりと、御指摘のように国民の理解と協力を得ていくことが必要不可欠であり、関係者の皆様の御指導と御協力、さらには、国民の皆様の御理解が得られるように引き続き努力していく必要があるというふうには当然思っております。

 私としても、衆参両院の御決議の趣旨を踏まえ、広く国民の理解と協力を得られるようにさらに努力しつつ、大会の成功に向けて全力で取り組んでまいりたいと思いますし、このことをきっかけに、東日本大震災の復旧復興が確実に加速度を持って遂げられることもあわせてしてまいりたいというふうに決意を申し上げたいと思います。

宮本委員 私は招致には反対をしてまいりました。招致議連というものもつくられましたが、私はスポーツ議連のメンバーでありますが、招致議連には加わっておりません。IOCの総会が東京と決めた以上、本来、オリンピック憲章にしっかりと立った形でオリンピックの成功ということについては、先ほど申し上げたように、賛成をしたという次第であります。

 先国会の当委員会の質疑でも、私は、老朽化した国立競技場の改築が必要であることに異論はない、しかし、それはサッカーくじの売り上げでなく国費でやるべきであるという議論をいたしました。

 そのときに聞かされていた改築費は約千三百億円というものでありました。その後、デザインコンクールで最優秀作品となったザハ・ハディッド氏のデザインによると、三千億円という試算が示されて、世界的な建築家で、このたび文化功労者の受賞が決まった槇文彦氏など、各界から疑問と異論が寄せられ、さすがに大臣も、十月二十三日の参議院予算委員会で、デザインは生かしつつ、縮小する方向で検討すると答弁をされました。

 私は、当初の千三百億円でさえ巨額過ぎる、さらに徹底的にコストカットを図るべきだと考えております。先ほどの槇文彦氏も、そもそも、約十一ヘクタールの敷地に総床面積二十九万平方メートルというオリンピック史上最大のスタジアムの建設は巨大過ぎると指摘をされております。

 例えば、昨年のロンドン・オリンピックのメーンスタジアムは、総床面積約十万平方メートルで、東京の三分の一、逆に敷地は一・五倍であります。しかも、八万席のうち六割以上が仮設席で、五輪後は縮小して使うということになっております。

 世界で、こういうふうに、オリンピック後の施設の利用計画も見据えてできるだけコンパクトに開催する、こういう努力が強められておりますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

下村国務大臣 宮本委員がオリンピック憲章ということを二回おっしゃいましたので、これについて先にちょっと私も答弁をさせていただきたいと思いますが、これは、三月にIOCの招致メンバーが来られたときに、私に対して、日本の文部科学大臣であれば、ぜひ日本から、このオリンピック・パラリンピックをもし招致したのであれば、このオリンピック憲章を進めていくような取り組みをしてほしいという話がありました。

 それというのも、その方が、同じ名字ですが、宮本武蔵の五輪書を読んでおられまして、日本というのは、もう何百年も前から、武道をただの武術としているのではなく、まさに道、柔道、剣道というふうに、スポーツを人の道まで昇華している、極めている、スポーツを通じて、人生いかに生きるかという一流の生き方を目指している、これこそはまさにオリンピック憲章そのものの精神であり、これは、どこの国以上に日本が実現できるだけの歴史と文化を持っている国なので、ぜひこれを実現をしてほしいという話がありました。

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、まさに日本からオリンピック憲章が始まったと言われるような歴史的なオリンピック・パラリンピックにぜひしたいということを、まず決意として申し上げたいと思います。

 その上で、現在の国立競技場は、これはもう建築後五十年以上が経過をし、近年開催されるオリンピック、サッカー、ラグビーワールドカップ等の大規模な国際競技場の仕様はもう満たさないという状況になっています。そのために新しい国立競技場にかえるということになったわけでありますが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会やその後の我が国の国際競技大会主会場を担うスタジアムとして活用できるとともに、時には文化的な活動においても利用できるよう、必要な機能を備える必要があると考えております。

 その上で、改築に係る経費については、適正な予算でなさなければならないことは当然であり、この観点から、全体の規模や機能を縮小する方向で検討する必要があると考えており、さきの参議院の予算委員会でもそのように申し上げました。

 現在、事業主体である独立行政法人日本スポーツ振興センターにおいてその検討が行われるところでございます。

宮本委員 オリンピック憲章の精神にしっかり立ってやると。また同時に、我が国には超党派でつくったスポーツ基本法というものがあります。前文には「スポーツは、世界共通の人類の文化」とこう定めてありますし、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」と高らかにうたってあるわけですから、これはもう答弁を求めませんが、こういうものにしっかり立って二〇二〇年東京オリンピックの真の成功を目指していきたい、私もそう考えております。

 次に、国立大学ミッションの再定義についてお伺いしたい。

 大臣は先日の委員会の発言の中で、「大学力は国力そのものです。」と述べ、国立大学については、「国立大学が社会的役割を一層果たすことができるよう、機能強化に向けた改革プランを策定します。」と述べられました。

 そこで、先行的に開始されている教員養成系のミッションの再定義についてお伺いしたいと思うんです。

 このミッションの再定義は、文部科学省が作成し、各大学にその内容が示されております。例えば大学の目標として、広域拠点型、地域密接型、大学院重点型の三類型のどれかを示し、教員組織のあり方も、学校現場の指導経験を有する専任教員の割合の向上を掲げて、数値で目標を決めております。教育委員会との連携として、教育長が構成員となる常設の諮問会議の設置、さらには、新課程の原則廃止、教職大学院の設置など、大学の目標から教育研究組織のあり方まで細かく指示をしているわけです。

 とりわけ教職大学院の設置などというのは、現行の修士課程を初め、大学の学部、教員人事など、大学にとっては安易に進められない問題なんですね。大学、学部のありようにかかわる教職大学院の設置まで一律に迫るというのは、これは問題があるんじゃないでしょうか、高等教育局長。

布村政府参考人 お答えいたします。

 ミッションの再定義につきましては、各国立大学の持つ強みや特色、あるいは社会的な役割を明らかにしつつ、社会の要請に応えていくため、各大学が文部科学省と意思疎通の連携を行い、進めているところでございます。

 その中で、先生御指摘の国立の教員養成系の大学、学部につきましては、国立大学の社会的な役割などからして、今後の人口動態、教員採用需要などを踏まえる必要がございます。

 その上で、学校現場での指導経験のある大学教員の採用の増、あるいは実践型のカリキュラムへの転換など、初等中等教育を担う教員の資質の向上のための機能強化が必要であると考えております。

 また、平成二十四年八月の中央教育審議会の答申におきまして、学校現場で求められている質の高い教員の養成のため、教職大学院を主体とした組織体制へと移行することが提言されたことも踏まえ、ミッションの再定義におきましても、文部科学省としては、教職大学院への重点化を提案させていただいております。

宮本委員 このやり方、教員養成系のミッション再定義の作業も今進めておりますけれども、文部科学省が示した案に修正の意見を表明した大学、また、改めて示した文部科学省案に対して意見の表明があった大学、これはほとんどの大学から意見が出されているというふうに聞いております。

 大学との共同作業と先ほど答弁されたわけですけれども、これは、文部科学省が一方的に方向性を示して、大学側の意見を変更させて押しつけている、これが実際じゃないですか、局長。

布村政府参考人 このミッションの再定義につきましては、文部科学省として、教員養成系の大学、学部のあり方、今後の方向性について提案もさせていただいておりますけれども、各大学は、それぞれの地域性や特色、強みなどを踏まえて、ひな形を踏まえて、それをもとに、全ての大学においてみずからのミッションの案というものを作成いただいたものでございます。それを、意思疎通、議論をさせていただいております。

 文部科学省と各大学とで意思疎通を図りながら公表案の調整を今行っているところでございますけれども、表現ぶりあるいは方向性、細かい文言の調整といったところを含めますと、全ての大学から意見をいただいている、そういう実態ではございます。

宮本委員 いやいや、そのやっている中身、教員養成分野のミッションの再定義の中身を文科省が解説したもの等々を見ましたけれども、大体、あの三つの類型だって、大学が自分で自主的に選ぶんじゃなくて、文科省の側から、あなたのところの大学はこの類型ですよと上から押しつけるものになっているわけですね。おかしいじゃないですか。

 かつて、国立大学法人化法案の質疑の際に、中期目標を文部科学大臣が定めるという仕組みが大学への介入だと、これは大変な議論になっております。このとき、質問に対して二〇〇三年当時の遠山文科大臣は、文部科学大臣に対しては法律上明確に、大学の教育研究の特性への配慮義務を課している、国立大学法人の意見の事前の聴取義務、国立大学法人の意見への配慮義務が課されていると何度も答弁をして、「いわば、中期目標の実際上の作成主体というのは国立大学法人とも解せられる」とまで答弁をいたしました。

 そして文科副大臣は、「一方的に文部科学省がそれを示して、それをそのとおりに指示してやれと、こういうことにはならない」、「原案の変更は、各法人の自主性、自律性を尊重するという国立大学法人制度の趣旨を踏まえて、財政上の理由など、真にやむを得ない場合に行う」などと答弁をしておりました。

 しかし、今あなた方がやっていることは、このときの答弁なんかはもうそれこそ知らんぷりで、文部科学省は国立大学法人にあれこれと箸の上げ下げまで細かく指示している。このときの答弁と全く食い違っているんじゃないですか。

 これはひとつ文科大臣、全く矛盾していると私は思うのですが、いかがですか。

下村国務大臣 我が国は、少子高齢化、グローバル化等の急激な変化に今直面しているわけであります。国立大学は、社会の変革を担う人材の養成やイノベーションの創出といった社会の要請に応えるため、その有する機能の強化に自主的、自律的に取り組むことが必要であると考えます。

 一方で、文部科学省もまた、こうした社会の要請を踏まえつつ、我が国の高等教育や学術研究の発展を図るために役割を果たすことが求められているわけでありますし、そういう観点からも、国立大学だけでも年間一兆円を超える予算を計上しているわけであります。

 ミッションの再定義は、各大学の強みや特色、社会的役割を明らかにしつつ、社会の要請に応えていくため、各国立大学と文部科学省が、意思疎通の連携を行い、共同して進めているところであります。

 このようにミッションの再定義は、大学の自主的、自律的な取り組みを尊重しつつ、社会の要請に応える観点から実施されているものであり、御指摘の遠山当時文科大臣の答弁と矛盾するものではないと考えます。

宮本委員 自主的自主的と言うんですけれども、実際上、このミッションの再定義で今進めている共同作業ででき上がったものが、第二期中期目標期間の中期目標、中期計画の変更及び第三期中期目標、中期計画の立案、策定の際の前提となるんだと、これは、文科省が出している資料の中にもはっきり出てきますよ。

 なぜこの中期目標なるものに文科大臣が関与しなければならないのかと大学法人法のときに議論になっていまして、そのときの遠山さんの答弁は、つまり、国が責任を持って予算措置を行う以上、中期目標の策定に関与は必要だ、こういうものでありました。

 しかし、肝心の国立大学運営費交付金は、責任を持って予算措置を行うどころか、法人化以降、九年間で一千六百二十三億円も削減されてきたんです。今、大学は深刻な危機に直面しております。一方では予算に責任も大して持たない、しかし、一方で、こうして中期目標、中期計画にさまざまな形で、自主的と言うんだが、上から介入する。

 大臣、それだったら、この基礎的経費、国の義務的経費としての運営費交付金は、配分は堅持する、今後一切これは減額しないとはっきり言明できますか。

下村国務大臣 大臣の挨拶のところでも述べましたが、大学力は国力そのものであるというふうに思います。大学の強化なくして我が国の発展はない。喫緊の課題である国立大学改革を推進していくためにも、教育研究活動の基盤を支える運営費交付金の確保は、御指摘のように、重要だと考えております。

 このため、平成二十六年度概算要求においては、社会の急速な変化に対応しつつ、グローバル化やイノベーション機能強化に取り組む意欲的な大学に対する支援に必要な経費も含め、運営費交付金の増額を要求しているところであり、文部科学省としては、必要な予算の確保に努めてまいります。

宮本委員 まともに金も出さない、上から指示だけはする、こういうやり方は断じて許されないと思います。ミッションの再定義などは直ちに中止をして、しっかり運営費交付金の拡充を求めておきたい。

 最後に、少人数教育、少人数学級についてお伺いをいたします。

 私は、ことし三月二十七日の当委員会、四月一日の予算委員会で、教職員の定数改善、少人数学級の問題について質問をしてまいりました。少人数学級、三十五人学級は、義務標準法改正で実施している小学校一年生、加配で実施している小学校二年生、今後、それに加えて小学校三年生から中学三年までの部分をどうするのか、さらに、義務標準法そのものの改正をどうするのか、このことが問われてまいりました。

 まず端的に大臣に聞きますけれども、来年度以降、これは義務標準法を改正して進めるのか、それとも加配でやるのか、いかがですか。

下村国務大臣 御指摘のように、学校現場において、高度化、複雑化しているさまざまな教育課題に対して質の高い教育を実現するためには、教職員定数の改善が不可欠であると考えております。

 このため、本年八月に文部科学省が公表した教師力・学校力向上七カ年戦略においては、少人数学級の推進やチームティーチング、習熟度別指導等の推進を児童生徒の実態に応じて市町村の判断で選択的に実施できるよう、加配定数の改善を盛り込んだところでございます。

 つまり、市町村が希望すれば三十五人以下学級にもなれるような加配定員も考えながら、現場の判断で柔軟に対応できるようにしていくというのがこの七カ年戦略でありまして、それを実現してまいりたいと考えています。

宮本委員 加配でやるんですね。加配でやるのが当然であるかのような答弁であります。

 大臣は、三月二十七日の当委員会で私の質問に答弁して、「三十五人以下学級については、必要な定数を基礎定数化して恒久的な制度として実現するためには、義務標準法の改正が必要であります。本来的にはそれが制度として望ましいものであり、文部科学省としては、それに向けてしっかり検討、努力していくのは当然のことであるというふうに思います。」と答弁されました。

 「しっかり検討、努力」、これはどうなっているんですか。

下村国務大臣 このことについては、宮本委員よく御承知のように、全国学力テスト、学習調査の結果を踏まえて、文部科学省と財務省で教員定数の改善についてはさらに協議をするということになっておりました。

 実際に、この全国学力テスト、学習調査の結果、実態的に、チームティーチングや習熟度別指導等により生徒の学習環境の改善につながっているというデータが出てまいりまして、必ずしも三十五人以下学級だけでなく、いろいろな形での実態的な取り組みをそれぞれの自治体が行うことによって、より成果の高い学習効果があらわれているということが出てまいりましたので、そういう中で、機械的に義務標準法の改正というよりは、同じ人数の教員を加配することによって、それぞれの自治体が生徒の実態に合った配置ができるような柔軟な対策をとることの方がより成果、効果が高いだろうということで、この七カ年戦略をつくったということでございます。

宮本委員 ちょっと耳を疑う答弁だったんですが、そうしたらあれですか、春にされた、義務標準法の改正によって進める方が望ましいという答弁は変更するということですか。

下村国務大臣 その後の全国学力テスト、学習実態調査の中で先ほど申し上げたような成果、効果があらわれていることについては、これは、文部科学省も実態的な側面に沿って考える必要があるというふうに判断したわけです。

宮本委員 文科省はこの間、学力テストの結果で秋田県や山形県で学力が向上している、あるいは大阪府では不登校、欠席率が低下している、つまり、少人数学級には教育的効果があると明確に何度もここで答弁をされてきたわけですね。

 そして、文科省が行ったアンケートに、全国市町村教育委員会連合会からも、全国学力・学習能力調査は、学力などの現状を捉えることは可能であるが、教育全てを評価することはできない、この結果から少人数教育否定の評価の材料にならないという回答が寄せられているわけですね。

 少人数学級には教育効果がある、これはもうまさに文科省自身が何度も答弁されてきたことについては、これは決して今も変わっていない、これはよろしいですね。

下村国務大臣 それはおっしゃるとおりでございます。

 先ほどからも、少人数学級の推進、チームティーチング、習熟度別指導等の推進ということで申し上げているわけで、より柔軟な学校現場における判断ができるような中で、よりきめ細かな指導という意味で、少人数学級の推進は当然必要だと思います。

宮本委員 それを進める上で、あなた方、七カ年戦略なんですよ。民主党の時代に持っていたのは五カ年計画だったんですね。

 それで、一体この七カ年での計画、この改善がどういう形で進むのか。これは、定数改善の総数は何人で、自然減、合理化減はそれぞれ何人を見込んでいるか。初等中等教育局、数だけお願いします。

前川政府参考人 この教師力・学校力向上七カ年戦略におきましては、平成二十六年度から平成三十二年度までの七カ年で三万三千五百人の定数改善を図ることとしておりますが、同じ期間におきまして、自然減といたしましては二万五千四百人、また、合理化減として九千五百人を見込んでいるところでございます。

宮本委員 差し引きで千四百人の減なんですね。概算要求の段階から定数改善でマイナスの計画を出すというのは、これは私も本当に驚きましたよ。

 去年、概算要求では二千三百人の増要求で結論が二千人以上の減になったといってこの春随分やりとりしましたけれども、今度は、もう概算要求段階で減要求をしているわけですね。だから本当にひどい。春の議論では、大臣と財政状況を勘案するかどうかでやりとりしましたけれども、もはや、文科省自身がみずから財政状況を勘案して概算要求自身を引き下げてしまったと言わざるを得ない。

 私は、こういうやり方では現場の声に応えられないということを指摘して、時間が参りましたから、きょうのところはこれで質問を終わらせていただきます。

小渕委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木愛でございます。

 きょうは、科学技術に関して下村大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思っておりますけれども、東日本大震災以降もさまざま、竜巻ですとかあるいは西日本を襲う集中豪雨ですとか、今まで経験をしたことのない自然災害がこの日本でも頻発いたしております。そして、世界に目を転じてみましても、やはり環境問題、CO2、気候変動、人口の増加、食料問題、さまざまな課題が指摘をされているところであります。

 その一方で、生命科学の方ではiPS細胞が発見されたりと目覚ましい進歩があるわけでございますが、さきの百八十三回国会の科学技術・イノベーションの特別委員会の中で野依参考人が、これからの科学技術はもう間違いなく人類の生存にかかわることだという御指摘をいただきまして、我が党も、国民の生活が第一、これも大切ですが、これからは人類の生存が大事ではないか、そういう視点も持ち合わせたいなというふうに思っているところであります。

 そうした視点から、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。

 やはり原発の問題になりますけれども、原発の再稼働ということになりますが、原発の問題は、もう御承知のとおり、とにかく一旦事故が起こりますと、人々の命や暮らし、また広範囲の国土を失っております。そして、使用済み核燃料の廃棄処分の問題もございます。ガラス固化して地層処分するにしても、無害化するまでに最低十万年かかります。安全に管理を続けていかなければなりません。

 そして、福島の原発の事故の収束ですが、いよいよ四号機の燃料棒を取り出すということで、廃炉に向けた大きな第一歩だというふうに思っておりますが、これも大変危険が伴うもので、本当に慎重に見守っていくしかないわけであります。

 まだまだ廃炉の見通しも立っていない現状の中で、しかもまた、使用済み核燃料の最終処分地のめども立っていない状況の中でこれから将来に向けて原発を続けていくというのは極めて無責任な態度でもございますし、当然のことながら、別のエネルギー源にかえていくべきではないかというのが素直な感覚なんでございますけれども、下村文科大臣として、これからの原発の再稼働、そして将来に向けた、原発をエネルギー源とし続けていくということについて、大臣の御見解をぜひお伺いしたいというふうに思うのですが。よろしくお願いいたします。

下村国務大臣 基本的には、所管外でございますので、文部科学大臣としての立場からお答えをしたいと思います。

 東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原子力発電所についてはいかなる事情よりも安全性を最優先し、その安全性については、独立した原子力規制委員会が世界最高水準の新規制基準のもとで判断していくということになったわけでございます。安全性が確認された原子力発電所については、世界最高水準の新基準ですから、その中において再稼働が進められるというふうに承知をしております。

 しかし、再稼働に当たっては、立地自治体等関係者の理解と協力を得る必要があると思いますし、国としても、しっかりとした説明をしていく必要は当然あるというふうに思います。

 文部科学省としては、原子力の安全性向上に向けた研究開発やあるいは将来の放射性廃棄物の減容化に向けた研究開発等を着実に進めることによって貢献をしていきたいと考えております。

青木委員 まだそういう方針なんだというふうに思います。

 いろいろと、石油にしても天然ガスにしても、その輸入に係る国富というものが大分海外に流出をしているということも承知をいたしておりますが、この原発は絶対安全ということが絶対にないので、早くその方針だけでも示していただければなというふうに思っています。そこに向かう現実的なその行程というのはもしかしたらあるのかもしれませんけれども、早くその方針を示すということが最も大事なことではないかというふうに考えているわけでございます。

 これにかかわることで、一点、ぜひ大臣だからこそお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、なぜこの放射線、原発がよくないかということの理由の一つとして、地球の進化と生命誕生の歴史についてお伺いをしたいと思うんです。

 核エネルギーを平和的に利用するこの原発、かつては夢のエネルギーとたたえられていました。しかし、地球の進化と生命誕生の歴史から考えると、原子力は人類が手をつけてはいけないエネルギーであると結論をせざるを得ません。

 理由を申しますと、四十六億年前に地球が誕生いたしました。その後、この熱かった地球が徐々に冷えて、そして海が出現し、深海で初めて生命が誕生しました。それが今から四十億年ほど前の出来事でございます。なぜ深海かというと、そのころは、有害な宇宙線が地球に降り注いでおりまして、海の浅瀬や陸上ではDNAが破壊されて生命が生きることができなかったからであります。

 約二十七億年前になりますと、地球に磁場が形成されて、宇宙からの放射線が遮断されるようになりました。また、光合成を行うシアノバクテリアという藻の種類のものが大量に発生しまして、海中や大気中に酸素が劇的に増加をいたしました。五億年前ごろになると、紫外線を防ぐオゾン層が形成されて、生物が陸上に進出できるようになりました。

 このように、宇宙からの放射線や紫外線から地球を守る多重バリアが形成されることによって初めて、多種多様な生物がこの地球で生きる環境が整ったわけであります。

 しかし、我々現代人は、そのような地球進化の歴史や生命誕生の歴史を無視して、核エネルギーを地上で使う技術を開発いたしました。絶対的に安全な技術ではありません。我々現代人は、四十六億年、この地球の進化の歴史に逆らって、地球を再び放射線の危機にさらしつつあると言わざるを得ないわけでございます。

 四十六億年かかってようやく放射線を排除して生命が生まれ、そして陸上に上がって、その歴史の上でこの地球の今の社会があるということを考えたときに、今この時代に生きる我々現代人として、また新たに放射線をつくってしまった、それを享受して今経済活動をしているという状況について、下村大臣の御見解をお聞かせいただければというふうに思うのですが。

下村国務大臣 非常にわかりやすく地球の歴史を説いていただきましてありがとうございます。

 核エネルギーについてでありますけれども、これは、二十世紀初頭に長岡半太郎博士やボーア博士によって相次いで原子模型が提唱され、原子核研究が本格的に進められて以降、研究者の真理への飽くなき探求心から、さまざまな原子核や核エネルギーに関する研究が進められてきたと認識しております。

 こうした先人たちの研究によって解明されてきた原子力は、きちっと制御して取り扱えば人類にとって極めて有用であり、原子力発電としてのエネルギー利用や、医療、工業、農業分野などさまざまな分野において利用され、二十世紀以降の人類の発展に大きく貢献してきたということも事実であります。

 一方で、今回の東電福島第一原子力発電所事故などに見られるように、原子力は一旦重大事故が起きると国民生活や経済社会に甚大な影響を及ぼすということについても改めて十分認識しなければならないということに我々は直面をしているわけでもございます。

 原子力については、その二面性を十分に理解した上で、一つは、人類が発見、発明、発展をさせてきた原子力エネルギーについては人類がみずから克服できるという可能性と、それからもう一つは、代替、再生エネルギー等の新たなエネルギー戦略という二面性を考えながら、これから同時に社会全体の発展のための安全ということも最優先しながら科学として考えていくときに来ているのではないかと考えております。

青木委員 下村大臣の中には、代替エネルギー、自然エネルギーの確立への道筋というものも恐らくお持ちなのかなというふうに今考えながらお伺いをしておりましたけれども、やはり原子力の安全性の確保ということがまだその道筋が見えない中でありますし、何といっても、四十六億年という本当にはかり知れない年月の中で今私たちが生きているということを本当に考えなければならないのではないか。

 我が党もいろいろと、自然との共生という部分も掲げておりますけれども、ともに生きられればまだよくて、これは本当に、気がついたらあるとき大変なしっぺ返しを食うのではないかといったような懸念もあるんですけれども、自然との共生という観点からも、また、日本の今の経済活動についても、日本ばかりではありませんけれども、転換期ではないかなというふうに考えているところでございます。

 次の質問に移らせていただきます。

 やはり原発にかかわることでございますが、これまで幾度となく質問をさせていただきました核変換技術についてでございますが、また改めて申し上げさせていただきます。

 地球進化及び生命誕生の歴史、そして核エネルギーは生命が最も嫌うエネルギーであること、そして、原発は即時停止をして廃炉に向かうべきであるというふうに考えているわけでございますが、原発を直ちに全廃いたしましても、核廃棄物を数十万年にわたって安全に管理し、処分しなければならないという現実がございます。その間には、大地震、大津波、マグマの噴出、隕石の落下等々、森羅万象、不測の事態があるかもしれません。だから、使用済み核燃料の処理期間を短縮する技術の開発は大変重要であると指摘をさせていただきました。

 そこで注目をされているのが、長寿命核種を短寿命核種に変換をする核変換技術であります。

 大きくは、高速増殖炉による方法と、加速器駆動未臨界システム、加速器で中性子を発生させて、核種にそれを当てて寿命を短くするということでございますが、略してADSと呼ばれております。

 前者は、高速増殖炉「もんじゅ」で研究されてきましたが、事故が多発し、成功の見通しが立っておりません。世界でも、実験、開発中に事故や故障が続き、既に、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどでは開発を諦めております。

 後者のADSは、マイナーアクチノイドなど長寿命核種で構成する未臨界炉を強力な加速器中性子源により運転するシステムでありまして、前者に比べて出力当たりの核変換割合も高く、未臨界での反応なので安全性も高いというのが特徴であります。ただ、予算が少ないために、開発がまだこれからといったところでございます。

 下村大臣が「もんじゅ」を視察に行かれたときに、もしかしたらこの転換が図れるのではないかと期待をしたのでございますけれども、その辺のところと、そして、たしか参院選のさなかでありましたけれども、読売新聞が、この核変換についての予算、たしか二百二十億と下村大臣がおっしゃっていたかと思いますけれども、概算要求に盛り込まれる見込みとの報道もございました。一社だけでしたので文科省にそのときに問い合わせましたところ、その方向であるということでございましたけれども、「もんじゅ」とそしてJ―PARCの方のADS、こちらの概算要求について、また今後の見通しについて、今現状はどうなっているのかをお聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 ただいま先生から御指摘がございました群分離・核変換技術、二通りの技術手法がございます。炉を使って処理をするもの、加速器を使って行うもの、二つございます。

 そのうちの高速炉を使った核変換技術でございますけれども、先生から御指摘いただいたとおり、現在、「もんじゅ」を中心に重要な研究開発分野として位置づけてございまして、九月二十五日、科学技術・学術審議会の中でも、もんじゅ研究計画作業部会というところで研究開発の位置づけ等々を行ったところでございます。

 また、諸外国におきましては、フランスにおいては、第四世代炉というところで、この核変換技術の研究開発を見込めるための炉を計画しているという状況でございます。

 もう一つ、先生が御指摘をいただきました加速器駆動型の核変換技術につきましては、これもまた科学技術・学術審議会の中の委員会で十月三十日に取りまとめを行っていただきました。この加速器変換技術につきましては、これまでさまざまな研究開発が進められてきておりますけれども、まだ実験室レベルのものであって、これをいよいよ工学規模の段階に移行することが適当ではないだろうか、そういう御指摘、評価をいただいたところでございます。

 この加速器を用いました技術につきましては、J―PARCを使ってこれからいろいろな技術をしていくということでございますが、大臣から先日お話しいただいたと思いますが、全体が二百二十億円というところでございます。平成二十六年度は、そのうちの概念的な検討をするということのために約八億円の経費を概算要求に計上してございます。

 先生御指摘のとおり、加速器駆動型の変換技術は、メリット、いろいろないいところということもございます。しかしながら、技術レベルとしてはまだ基礎的な段階にとどまっているというところでございまして、将来の実用化というようなことを考えますときには、まだ炉体系の方が一歩先んじているというようなことだと認識をしているところでございます。

 以上でございます。

青木委員 ADSが評価をされているということでございまして、八億で何ができるかというところなんですけれども、実験をスタートするにも炉のようなものを設置してということで、その建設費に二百二十億かかるのかなというふうに私は考えておりましたので、この八億で何ができるのか教えていただけますでしょうか。

田中政府参考人 先ほど申し上げました八億円でございますけれども、一つは、先ほど申し上げた実験施設の概念設計、システム概念の検討でございます。二百二十億円と申しますのは、J―PARCにそのための施設を若干付加する、そのための建設費総額が二百二十億円でございますけれども、いきなり建て上げるというわけにはなかなかいかないものですから、きちんとした設計、検討ということが必要でございます。そのための経費が約一億五千万円、そしてそれを進めていくための、分離の効率化等々を進めるための研究開発に約六億円という、以上でございます。

青木委員 これまで一億でありましたので、一億から八億というのは大分予算がついたというのかもしれませんけれども、私はこの技術は何を差しおいても早く進めるべきだというふうに思っておりますので、八億でシステムの概念をまず研究するということでありますけれども、一刻も早く、まず実験がスタートできるように、研究者の方々は大分もう研究をされておりますので、ぜひこれは早急に進めていただきたいというふうに、本当に心から強く申し上げておきたいと思います。

 大臣、一言、これについては何かお考えはありますでしょうか。

下村国務大臣 加速器駆動型の核変換技術は、柔軟な政策オプションの観点から、工学規模で研究開発への移行を目指すものでございます。また一方、高速増殖炉による核変換技術、これは、廃棄物の減容及び有害度の低減等を目指して、研究開発として「もんじゅ」の研究計画の中で着実に進めているということでございます。

 より実用的に近いということでは、高速増殖炉による核変換技術は加速器駆動型の方に比べると実用に近いのではないかというふうに思っておりますが、今後、多様な研究ということで、財務省が認めてもらえば、できるだけこのような分野における科学技術についてもぜひ予算をふやしていきたいと考えております。

青木委員 「もんじゅ」の方が実用化の可能性が高いという御発言だったかと思いますけれども、これだけ年月かけて多額の予算をつけて、アメリカ、イギリス、先ほどフランスの話も出ていましたけれども、なかなか成果が出ないという中で、ADSの方の研究者の方々の声に耳を傾けていただければまたいろいろと新しいお考えも持っていただけるのかなというふうに思っております。ぜひ、下村大臣の本当に強力なリーダーシップを発揮していただきたいところだなというふうに思っております。

 最後の質問になるかと思いますが、自然再生エネルギーと蓄電技術の開発についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 政治はしばしば、ツケを子孫に回すなと言います。ただ、原発ほどそのツケを未来永劫にまで引きずるものはないと断言をしておきたいと思います。原子力にかわるエネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、波力、バイオマス、さまざまございます自然再生エネルギーです。

 自然再生エネルギーの安定供給のためには、やはり蓄電技術の開発も不可欠であります。ただ、採算ベースに乗るまでの間は、石炭や天然ガスなどの既存エネルギーの高効率化も必要であろうかと思います。これらの分野でも、日本は世界最高水準にあると伺っています。

 国会が始まるまでの間、さまざま自然エネルギーの視察に行ってまいりまして、それぞれのエネルギー源についてそれぞれの課題がありまして、またそれを改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

 例えば、これは自然エネルギーの範疇ではないと思いますけれども、そのつなぎでも大変有望視をされている天然ガスのコンバインドサイクルで、川崎市の天然ガス発電所を視察してまいりまして、そこに、ガスコンバインドサイクルの天然ガス発電所で二基稼働しておりまして、ほぼ休みなく年じゅう稼働しているということでありました。

 ただ、その二基で原発一基分の発電量を賄っているということで、やはりそれだけ効率がよいのだというふうに思いました。川崎市の、本当にそんなに広大ではない敷地に設置されている天然ガス発電所、その二基で原発一基分の発電量を賄っているということでありますので、その辺もまた代替エネルギーに大きく貢献をするのではないかというふうに考えています。

 今後ますます経済成長を続けるアジアでは、そのエネルギー源として、二〇三〇年までに約二百基の原子力発電所の建設の計画をしています。操作の人為ミス、テロの可能性、地震、津波などが心配であります。危険度はますます高まっております。そして、地震大国と言われているトルコに危険な原発を輸出するということも大変危惧をしているところであります。

 この際、日本は、脱原発、自然再生エネルギーに大きくかじを切るというその方針を示すことが大事だというふうに思っておりまして、そうした新しい技術を開発普及して、そのプラントとノウハウを世界に展開して、そして世界に貢献をするべきではないかというふうに思うのですが、最後に、下村文科大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

冨岡大臣政務官 青木委員の質問にお答えいたします。

 委員が御心配なのは、もう私十分理解できると思っております。ただ、エネルギーについては、所管は経済産業省の総合資源エネルギー調査会総合部会というところで早く結論を出さなくてはいけない立場にあるんですが、文科省としても、きちんとした議論に参画させていただいております。

 また、原子力発電のあり方については、この議論を踏まえてやる必要があるんですが、エネルギーの安定供給のため、原子力発電を支える原子力基盤技術の維持や、それらを担う人材の育成確保、将来の放射性廃棄物の減容化に向けた技術開発を着実に進めることは必要だと思っております。もちろん、再生可能エネルギー、私たちも十分研究をしながら取り組んでいるところであります。

 御質問の蓄電池の話等、電池の話でございますけれども、シリコン太陽電池では、未達成ではありますけれども、変換効率三〇%の超高効率の太陽電池に関する研究開発や、現行のリチウムイオン電池と比べてエネルギー密度十倍、コスト十分の一の次世代蓄電池など、再生可能エネルギー導入に必要なエネルギーの貯蔵、輸送等に関する革新的な技術開発を行っているところであり、関係省庁と連携し、その成果の普及及び世界への展開に取り組んでまいりたいと思っております。

 私たちも、文部科学省として、新しい技術の開発等を積極的に今後とも取り組んでいきたいと思っております。

青木委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 天然ガス発電所については、何か御意見はございますでしょうか。

 ガスコンバインドサイクル二基で原発一基分を賄っているということなんですけれども、これは、過渡期の代替エネルギーとすると大変有望なのではないかなというふうに思うんですけれども、わかる範囲で。

冨岡大臣政務官 このタイプは直接ガスを燃焼する非常に効率のいいガスタービンだと理解しておりますので、そういった、今後、天然ガスをたくさんシェールガス等で輸入していくと、このタイプは当然ふえてくるのではないかと思っております。

青木委員 いろいろな角度からまず原発に頼らないエネルギー政策という方針をぜひ定めていただいて、また、そこに向けての現実的な道筋もお示しをいただければ、いろいろと考えていきたいなというふうにも思っておりますので、ぜひ積極的なお取り組みをお願いして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 またよろしくお願いいたします。

     ――――◇―――――

小渕委員長 次に、内閣提出、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。下村文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

下村国務大臣 このたび、政府から提出いたしました公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 現在の法律は、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的として、平成二十二年に制定されたものでありますが、その施行後においても、低所得世帯の生徒について高等学校教育に係る経済的負担が十分に軽減されておらず、特に、私立高等学校の低所得世帯の生徒には、授業料を中心に依然として負担が大きい状況にあります。

 このため、低所得世帯の生徒に対する一層の支援と公私間の教育費格差の是正を図る必要がありますが、厳しい財政状況のもと、そのための財源を捻出するためには、限られた財源を有効活用する観点から、高等学校等就学支援金の支給に所得制限を設けることが必要であります。

 この法律案は、このような観点から、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を適正に行うため、高等学校等就学支援金の支給について、所得制限を行う等の必要な見直しを行うものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、公立高等学校に係る授業料の不徴収制度を廃止し、私立高等学校の生徒と同様に、公立高等学校の生徒についても高等学校等就学支援金の支給の対象とすることとしております。

 第二に、保護者等の収入の状況に照らして、高等学校等就学支援金の支給により保護者等の経済的負担を軽減する必要があるとは認められない生徒については、高等学校等就学支援金を支給しないこととしております。

 第三に、この法律案の施行前から引き続き高等学校等に在学している生徒については、従前の制度を適用するなど、必要な経過措置を設けることとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

小渕委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る八日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.