衆議院

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第5号 平成25年11月13日(水曜日)

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平成二十五年十一月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小渕 優子君

   理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君

   理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君

   理事 義家 弘介君 理事 笠  浩史君

   理事 鈴木  望君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      小此木八郎君    鬼木  誠君

      神山 佐市君    菅野さちこ君

      木内  均君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      桜井  宏君    清水 誠一君

      新開 裕司君    冨岡  勉君

      中村 裕之君    永岡 桂子君

      野中  厚君    馳   浩君

      比嘉奈津美君    前田 一男君

      御法川信英君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    菊田真紀子君

      細野 豪志君    山口  壯君

      吉田  泉君    遠藤  敬君

      椎木  保君    三宅  博君

      中野 洋昌君    柏倉 祐司君

      畠中 光成君    宮本 岳志君

      青木  愛君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   文部科学大臣政務官    上野 通子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 宮城 直樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山崎 和之君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   岡本 薫明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 戸谷 一夫君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          清木 孝悦君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          前川 喜平君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            布村 幸彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     御法川信英君

  木内  均君     清水 誠一君

  永岡 桂子君     鬼木  誠君

  野中  厚君     中村 裕之君

  井出 庸生君     畠中 光成君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     永岡 桂子君

  清水 誠一君     木内  均君

  中村 裕之君     前田 一男君

  御法川信英君     小此木八郎君

  畠中 光成君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  前田 一男君     野中  厚君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

小渕委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官宮城直樹君、外務省大臣官房参事官山崎和之君、財務省主計局次長岡本薫明君、文部科学省大臣官房長戸谷一夫君、生涯学習政策局長清木孝悦君、初等中等教育局長前川喜平君及び高等教育局長布村幸彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笠浩史君。

笠委員 おはようございます。民主党の笠浩史でございます。

 きょう、高等学校の無償化制度、この所得制限をかけるという法案、先週来の審議を進めてまいりましたけれども、なかなか私どもの主張と政府の考え方は溝が埋まっておりません。

 きょうが最後のこの案件についての質問ということになるわけですけれども、大臣、先週の質疑の中で、私の質問に対しても、あるいは他の委員の質問に対しても、教育財源がしっかりと確保できるのであれば、所得制限のない公立の高等学校の無償化並びに私立学校への就学支援金、そういう姿が望ましいんだ、将来、教育財源が確保できればそういうふうにやっていきたいというようなことを発言されたわけですけれども、まず冒頭、この発言、そのとおりでよろしいでしょうか。確認をさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のとおりでございます。

 だったら今の制度の中で増額をしたらどうかということにもつながってくるのではないかというふうに思いますが、来年度、二十六年度の概算要求も、文部科学省としては相当意欲的な予算計上を要求しているところでございます。

 その中で、幼児教育から始まって、大学院あるいは社会人教育まで含めて、トータル的なバランスの中で財源についてはやはり考えていく必要があると思います。

 財源があれば御指摘のとおりでありますが、なかなか高校だけを特化して財源をふやすということが非常に難しい中で、トータル的なバランスの中で考えざるを得ないというところがあるということについては、財源論の中で御理解いただきたいと思います。

 その中で、これは笠委員も、それから各党問わず委員会等で要求されている、例えば奨学金の充実がありますけれども、事実上、今奨学金といっても、もう学生ローンに近いわけですね。つまり給付型ではなくて、無利子、有利子で必ず返済しなければならない。これを、有利子を極力少なくして無利子にシフトしていく、無利子だけでなく給付型奨学金を拡充していくということがこれからあるべき方向だと思いますし、そういう中で、まず高校から給付型奨学金制度を導入するという、トータル的な中の政策判断ということでございます。

笠委員 まず、その給付型の奨学金については、先週も財務省もこちらにおいでをいただいて議論をさせていただきましたけれども、そこが本当にきちんと来年度の予算の中でしっかりと措置をされるように、そのことだけは私もまた改めて念を押しておきたいと思います。

 ただ、今大臣は、トータル的なバランスということをおっしゃいました。そこが私たちとはやはり考え方が根本的に異なる点だと思うんです。

 私どもも、政権を交代して初めての予算編成が平成二十二年度の予算であったわけでございますけれども、この公立高校の実質無償化制度というものにおいては、我々もマニフェストの中で掲げた一つの看板の政策でございましたので、これは何としてもやらなければいけないということで、当時は私はまだ政務三役ではございませんでしたけれども、この委員会の与党の筆頭理事という立場で、政府と一緒にかなり財務省や総務省といろいろな形で厳しい交渉をして、やはり財務省は、ではそのかわりに財源は何を削るんだ、もう本当にそればかりですよね。

 私どもは、平成二十二年度の予算において、国として文教関係予算を対前年比八・一%増加させるということで、過去三十年で最高の伸び率になったわけでございます。そういった中で、政府全体の中で公共事業費を一八%削減して、この一部を文教予算の方にトータルとしては持ってきた。

 私は、大臣が非常に教育について前向きに、そして、しっかりと子供たちの学びを支えていきたいという思いを持っておられることはよくわかっております。そして、今回、特に第二次安倍政権において、教育というものが大きな柱として、重要政策として総理自身も掲げておられる中で、私が承知している限り、大臣が総理にも非常にお近い立場でございますし、今、下村大臣を文科大臣とされた中には、やはり、教育関係に対する、教育の改革に対する期待というものがあってのことではないのかなというふうに思っておるわけでございます。

 やはりこれ、財務省もいろいろ言うけれども、下村大臣になってさらに教育費の予算をしっかりと我々のとき以上に確保をするという覚悟で臨んでいただければ、私は、この四千億にプラスアルファ、もちろん文教関係のほかの分野もございます、しかし、そのことをするお力というのは大臣にあるんじゃないかと思うんですよ。

 大臣は、政権が再び自公政権になった後、ではせっかくだから、さらに意欲的にこの四千億の枠組みにプラスして、低所得者に対する支援だとかあるいは公私間格差の是正へ向けて、そういった財務省との交渉というか、上乗せしろというような交渉をしたということはあるんでしょうか。

下村国務大臣 まず、御指摘のように、安倍内閣は経済再生と教育再生が内閣の最重要課題として位置づけられ、ことし一月早々から教育再生実行会議をスタートして、教育改革、教育再生に向けた着手に取り組んでいるところでございます。

 また、そういう経緯の中で、与党自民党、公明党からも、来年度予算等に対しては、教育再生特別枠という新たな枠をつくって、ぜひ教育については別枠で上乗せをすべきであるということを、官邸の方にも直接届けていただいているところでもございます。

 今回の高校授業料無償化の見直しについては、私も、麻生大臣のところに何度も足を運んでお願いをしてまいりました。もちろんそれ以前から、スタート時点から、つまりことしの一月時点から、お役所同士で相当このことについての熾烈な水面下における戦いといいますか、文部科学省としては要望してきたところでありますが、高校について上乗せするというのは、客観的に見て非常に厳しいという中であったことも事実でありますし、また、この枠の中で同じ四千億を使うのであれば、もともと自民党は野党のときから、より低所得者に対して、それから公私間格差を是正するという意味で、公正公平な配分の仕方はあるだろうということを提案をしてきたという経緯もございます。

 そういう中で、教育費予算をふやすことによって、我が国はOECD諸国から比べても公財政支出が非常に低い国でありますから、トータル的にふやしていくという中で、トータル的な戦略の中で考えていく必要があるというふうに思います。

 そのためには、財源論になってくるわけでありますが、一つは、経済再生によってこれから自然増収が期待される部分もあると思いますけれども、でも、それだけ待っていて教育費に自然増収的な形が回ってくるとはそれほど期待できない中で、みずから私のもとで教育目的税を目指した財源論を文部科学省の中でもしっかりと打ち立てることによって、笠委員初め本委員会の委員の方々に御理解をいただきながら、ぜひ、トータル的な教育費の予算獲得に向けてこれから頑張っていきたいというふうに思います。

笠委員 私は、我々が政権を交代して担わせていただいたときに、全体の中でやれたこと、やれなかったこと、いろいろな反省点もございます。

 ただ、少なくともこの文部科学行政においては、やはり今まで私どもも、これから高等学校、さらには、今大臣がおっしゃった就学前幼児教育、さらには高等教育を、高等教育については、恐らくは給付型の奨学金ということの拡充、創設ということになっていくとは思うんですけれども、そこに対する公的な財政の支出というものをもっとふやして、そして家計の負担というものを抑えていく、少なくしていくという同じ思いの中で取り組んできた中で、やはり政権が交代したことで、私たちは、少なくともこの高等学校の実質の無償化制度というものを、これだけの予算を確保して枠がつくれた。

 今回また政権がかわって、いいものはやはりそのまま続けていただいて、さらに幼児教育、私も大賛成でございます。これも、これから何年かの間に恐らく法律もつくっての枠組みを用意しないといけないのかどうか、その点も検討されていくことになると思うんですけれども、お互いそういったところは、与党、野党それぞれの立場があったとしても、結果として、そういったときを一つのチャンスにしながら、一つ一つやはり教育の予算というものを充実をさせながら制度を深化させていく、こういう立場にしっかりと立って政策を進めていかなければ、なかなかやりたいことができないし、厚い大きな壁というものをぶち破っていくことができない、そのように考えておるわけでございます。

 大臣が、冒頭お伺いしたように、所得制限のない高校無償化が本来は望ましいんだ、しかし、トータルな判断の中で今回やむなくこういう低所得者あるいは公私間格差のために所得制限をかけるというふうにおっしゃいましたけれども、我々は、保護者の収入あるいは子供の置かれている家庭の状況に関係なく、やはり社会全体で子供たちをしっかりと育てていく、その学習権というものをしっかりと守っていこう、そういう理念のもとにこの無償化制度というものに踏み切ったわけですけれども、大臣は高校無償化制度自体は維持しているんだということをおっしゃいますけれども、その大臣自身の理念というか、では、なぜその制度が必要なのかということについて改めてお伺いをしたいと思います。

下村国務大臣 我々は、文部科学関係、私は文科大臣ですし、笠委員は長い間文部行政を中心として政治活動の中でも活動されてきたわけでございます。ですから、当然、文部科学関係の予算をふやすべきである、教育というのは未来に対する先行投資だということで、我が国が国際社会から見ても公財政支出が非常に少ないということでもっとふやすべきだということについては、恐らくこれは、与野党を問わず、文部科学関係の委員からすると共通認識だというふうに思うんです。

 ただ、一方で政治家ですから、トータル的な我が国の財政バランスの中で国家運営という視点からどう考えるのかということも、やはり考えなければいけないという部分があるわけです。

 安倍内閣においては、二〇二〇年までにプライマリーバランスをゼロにするという中、一方でこれから教育費についてどうやってふやしていくかということを考えると、もちろん高等学校に対して、よりできたら公財政支出をふやすことによって軽減を図るということは非常に必要なことでありますが、トータル的なバランスの中で、やはり財源について限られていますから、それを検討する必要があるわけですね。

 その中で、今おっしゃった高等教育、要するに大学ですね、大学については公財政支出がほかのOECD諸国に比べると半分以下ですから、国の財源負担というのが少ないということの中で、幼児教育の無償化を含めて、大学教育以降に対してももっと力を入れていくということもあわせて考えなければいけないし、義務教育についてもいろいろな問題がある中で、その中で、そもそも高校教育については、できるだけ無償化に、財源があれば上乗せをすることは望ましい、大学教育まで含めてより目指していくことがあるべき形だというふうに思います。

 ただ、そもそも論として、もともと自民党は、民主党政権になって高校授業料無償化をスタートするときから、四千億円を使うということについて、つまり、教育費における負担軽減を図るということについては賛成する、しかし、四千億円があるのであれば、より低所得者や公私間格差をなくすことによって、チャンスの平等、これはやはりもっと図るべきではないか、そういう視点から反対をしていたわけでございます。

 ですから、まず制度設計として、我々が野党のときに主張した制度設計に戻して、そして、同じ財源の中でより公正公平な形で分配をするということで、所得制限を設けるということを財源論として今回は提案させていただいているわけですが、その次の段階として、国が豊かになり、財政上も十分な財源があれば、よりさらに上乗せする形で、これは幼児教育も大学教育も義務教育もそうですが、高等教育についてもそういう形をぜひ図っていきたいと考えています。

笠委員 私が今お伺いしたかったのは、大臣も、社会全体でやはり子供たちを育てていく、そういう理念のもとでその学習権をしっかりと、家庭の状況にかかわらずということでこの制度を続けていくんだというような思いを持っておられるのかどうかということがちょっと今わからなかったんですが、大臣、ちょっときょうは資料をお配りさせていただいております。

 実は、この無償化制度がスタートをしたときに、御指摘のように三月三十一日までかかったということで、これは四月に入ってから、もちろん事前に都道府県教育委員会などを通じて、無償化制度がしっかりとスタートをする可能性が高いということでいろいろな意味での準備はしていたわけですけれども、実際に学校の現場にこのような、一枚目が公立高校向け、二枚目が私立の高校向け、そして三枚目は、全ての高校にお配りをさせていただいたポスターでございます。一枚目、二枚目は生徒、保護者全員に学校を通じて配付をさせていただき、この告知をさせていただきました。

 今回、大臣、やはり制度が変わるんですね。もらえる子、もらえない子、出てくるわけです。その点も含めたしっかりとした生徒たち、保護者たちへの告知というものを同様にやられる、もちろんこの法案が成立をした後になることは当然ですけれども、今現在はどのようにお考えでしょうか。

下村国務大臣 社会全体で、つまり公財政支出をすることによってより教育については進めるということについては、全く同感です。

 ただ、厳密に言えば、既に公立高等学校においては、国費それから地方を含めたいわゆる税金が一人当たり百十万円投入されているんです。残念ながら私立高校については、一人当たりですと年間三十六万円ですから少ないわけですけれども。だから、既に百十万円投入されていて、そこに公立学校の授業料無償化ということで十一万八千八百円が上乗せされたということで、もともとかなりの部分は、実際は社会全体で高等学校に対しても支援は既にしているわけです、年間百十万円ですから。そこにプラス十一万八千八百円ですから、ゼロから一〇〇%になったというようなことではまずないということだと思います。

 ただ、このPRの仕方ですが、二十二年度のときは、三月三十一日に法律が制定して、それで四月一日からスタートということでこのPRをする必要性もあったというふうに思いますが、今回も、もっと時間的に余裕はあるということで今国会にこの無償化法案の改正案を提出をさせていただいたわけでございますが、それにしても、この法律案を通していただいたとしたら、地方自治体が、その後、条例改正等々、あるいはシステム開発等に時間がかかります。

 実際は今度の新高校一年生から対象ではありますが、しかし、御指摘のような、法案成立後、速やかにリーフレットの作成や配付、あるいはホームページの掲載など、しっかりと周知をすることによって、生徒や保護者、特に来年の受験を控えた受験生に対して、あるいは私学に対しても、不安がないような、速やかな周知を図っていきたいと思います。

笠委員 そのときに、今も既に公立の学校等々、私学に対しても、もちろんその金額の差はあるとはいえ、公的な財政支出が行われているということは承知をしておりますけれども、大臣、先般これは共産党の宮本委員が、ちょうどホームページにも同じようなことが書かれているわけですね、この「社会全体であなたの学びを支えます」と。その文言を引き続き使うかということについて、この中の「公立高等学校の授業料を無償とし、」ここだけは変更になるんだと。つまりは、社会全体であなたの学びを支えるということは、もちろんデザインだとかいろいろなことは別としても、そのまま同じような思いなんだということです。

 今回、しかしながら、今までは授業料が無償だった子たちで九百十万円以上の方々は、保護者も含めて納めないといけなくなる、私学でも支援金をもらえない人たちが出てくる中で、こういうメッセージを本当に出せるんでしょうか。

下村国務大臣 先ほど申し上げましたように、ゼロ%から一〇〇%になったということではなくて、そもそも公立学校は、生徒一人当たり年間百十万円の税金が投入されていて、その上にさらに十一万八千八百円が上乗せされたということで、今回は、九百十万以上についてのその十一万八千八百円についてはカットされて、それがさらに低所得者や公私間に対してシフトするということですが、理念そのものは、方向性は基本的に変わらないわけですから、この「社会全体であなたの学びを支えます」という理念はしっかりと持ち続けたいというふうに思います。

笠委員 大臣の思いは変わらないかもしれませんけれども、実際にその生徒や保護者、引き続きもらえる子はいいです、その支援が受けられる子は。そうでなくなる子に対して、社会全体で本当にあなたたちの学びを支えているんですよということは理解してもらえるんでしょうか。いかがでしょうか。

下村国務大臣 それは先ほど説明申し上げたとおりでありまして、もともとゼロじゃなかったわけですから、それなりの負担は国も地方自治体もしていたわけです。

 ただ、私は、公立高校に比べて私立学校に対する負担は相当少ないと思いますよ、一人当たり三十六万円というのは。やはり公私間格差というのは相当あるんじゃないでしょうか。私立学校の生徒に対してももっと相当の上乗せをしても、バランスにとっては、つまり、生徒一人当たりの立場からいえば、お金持ちだから、お金に余裕があるからわざわざ私立に行くんだということではない生徒がたくさんいますから、ですから、そういう意味でのバランスというのは考えていく必要がやはりあるんじゃないでしょうか。

 ただ、「社会全体であなたの学びを支えます」という方向性については、これは、来年度の概算要求も含めてそれぞれ上乗せして、より公的支援をしていこうという姿勢ですから、これは全くそういう方向性であるというふうに思います。

笠委員 いや、大臣がおっしゃっている公私間格差とか、私学に通うお子さんに対する支援の拡充、それはもうおっしゃるとおりなんです。一緒なんです。

 ただ、先般の参考人の質疑を行わせていただいた中でも、複数の参考人から、例えば、今回こういった改正が行われることによって親の所得を初めて知ったという子供が出てくるんじゃないかという心配や懸念、あるいは、親の所得がここから下の子は社会がやってくれるけれども、こっちは親がやってくれるんだよというようなことになると、またいろいろな反応が出てくるんじゃないか、あるいは、日本の公立学校制度の中で初めて所得によるその差が出てくるので、少なくともよい影響を与えることはない、悪い何かが起こる可能性が高いと考えなければならない等々の、非常に心配する声が上がっているんです。

 大臣、個人情報の保護とかそういう観点じゃなくて、同じ学校あるいは教室の中で、社会によって、税金によって支援金が受けられる子とそうじゃない子が一緒に学ぶわけですよ。誰かの親がどれぐらいの所得だとかそういうことが漏れる漏れないという次元じゃなくて、それは必ずわかります、本人たちも友達も。そういったときに、精神的な面も含めてやはり悪い影響が出る危険性、懸念というのはあると思うんです。

 その点については大臣、どのようにお考えですか。

下村国務大臣 それは、バランス感覚を持った笠委員の発言とは、私は率直に言って思えません。

 つまり、九百十万以上の家庭の子供は所得制限の対象から外れる、この子たちにとって差別されるということをさらに拡大させることになるのではないかという御質問だと思いますが、これはもう御承知のように、所得制限というのは別にここで初めて設けるわけじゃなくて、これはもう児童手当、それから奨学金の貸与においても、それからあとは、無利子、有利子を含めて、今回の給付型の導入もそうなんですが、社会全体が、やはり親の所得によってそういうことはいろいろと残念ながら制限されているというのは当たり前のことなわけです。

 この中で、九百十万円というのはそう低所得じゃないと思います、実際のところ。上位二〇%ですから。この上位二〇%の家庭の子供が、自分は差別されたとは私は思わないのではないかというふうに思います。

 しかし、そういうことが学校現場、子供たち同士の話の中でも起こらないような、いろいろな事務的な、手続的な配慮は十分にやっていきたいと思います。

 既に、御承知のように、民主党政権下で実際は私立高校においてはそれをしているわけですよ。二百五十万以下と三百五十万以下については就学支援金が上乗せされているわけですから、ですから、所得制限によってそれと同じことが今度公立学校で起きるわけですね。

 私立学校においてそういう話は、私は今まで民主党政権下でも余り聞いていなかったことでありますし、これからも、公立学校においても、そういうことで子供が何か差別されている、それによって人間関係が悪くなるというようなことがないような事務的な配慮については、十分にしてまいりたいと思います。

笠委員 いや、私が言っているのは、そういう所得の多い子が差別されるとか、そういうことじゃないんですよ。

 特に、民主党政権時代に私学では既にあったと言いますけれども、例えば、全員に公立であれ私立であれここまではきちっと一律に出しますよ、あるいは公立については授業料を不徴収としますよ、しかしながら、私学においてはやはり低所得者の家庭のお子さんには手厚くやっていきましょうということと、特に公立の場合に、授業料を払う子と納めなくていい子がいるというときに、例えば我々がこういう制度をやる中で、これは大臣とも昨年三党協議を行わせていただきました。その中でも御指摘ありました。そうやって無償化制度をスタートさせたのに、本当に生徒が感謝しているのか、そこあたりの徹底が足りないんじゃないか、そういった思いは同じでした。

 ただ、そのときに、片や社会に支えられている、しかし、我々は自分たちで、親の授業料の負担で行っているんだというような意識が生まれてきたり、そういったところをやはり私は非常に懸念をしているわけです。

 ですからこれは、制度がスタートをしてみなければ確かにどういうようなことが起こるのか、大臣は大丈夫だというふうにおっしゃいますけれども、どういう形でこういうことが起こるということまでは私は言い切れません、いろいろな可能性があると思っています。

 ただ、そういった子供たちの学びの場に初めてそういう、特に公立の学校において、ある意味では差が出てくる。全く置かれている状況が異なる子供たちが同じ学校の中で学んでいくということに対するこの影響というものについては、これからもしっかりと私たちは注視をしていかないといけないし、そういう悪いことがないようにまたやっていきたいと思います。

 時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、いずれにしても、またしっかりこの無償化制度というもの、今回は理念が大きく私は後退したと思っておりますけれども、さらに教育予算を確保して、またこの制度が復活をできるように私自身は取り組んでいきたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

小渕委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 おはようございます。細野豪志でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 今回、私がこうやって文科の正規の委員になったのは初めてでございまして、下村大臣の御答弁をずっと聞かせていただきました。非常に、教育について長年にわたって取り組んでこられたそうした蓄積と熱意というのを感じることができました。また、答弁についても非常に真摯に対応されていますし、安定をした答弁をされていますので、そこはすばらしい大臣だというふうに思っております。

 ただ、この法案に関しての考え方ということになりますと、我々とはどうしてもやはり考え方の違いがある。したがって、きょうは最後の質疑でもありますので、そこはしっかりと、私どもの考え方とどこが違って、どこが問題なのかということを指摘をしたいというふうに思いますので、そこはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 まず、資料をお配りをしておりますので、大臣、それをごらんいただけますでしょうか。

 これは全体の概略について各国比較をしたものでございますけれども、各国が高校の授業料を取っているかどうかが左から二つ目。取っているのは、日本がもう取っていないというバツになっていますから、イタリアと韓国のみということになっているわけです。多くの国々、ほとんどの国々は取っていないという状況です。

 この表を見まして改めてちょっとうならされましたのは、主要国です。例えば米国がいつから無償だったかというと、マサチューセッツ州では、ちょっと見てください皆さん、一八二七年、十九世紀に無料なんです。主要国でいうと、スコットランドは一九一八年、イギリスは一九四四年、戦前または戦中に既に無料になっているわけです。上から十個目に書いてあるフランスは、一九三三年にもう既に無料になっている。これも戦前です。

 もう一つ注目すべきは、その右側なんですが、これは義務教育の終了年齢を一覧表に書きました。

 一番下、アメリカの場合は十七歳、イギリスは十六歳、フランスは十六歳、例えばフランスの下のドイツなんかは十八歳。日本は十五歳ですけれども、多くの国においては、我が国における高校生は義務教育の年齢に入っていて、当然のごとく無償化をされているという、これが現状なんですよ。

 こういう現状を見たときに、いかにも日本の高校のこの問題については、世界からすると大変低いレベルにとどまっていると。

 大臣は、予算の制約があるから所得制限だという言い方をされていましたが、それこそ、野党時代は四Kとまでおっしゃったわけですね。高速道路の無料化は、私も、あれはやや唐突だったし問題があったと思いますよ。しかし、それと同列に無駄の象徴として皆さんはおっしゃっていたわけです。正直言って、世界のこの現状を考えると、私は、自民党の皆さんというのは問題をごっちゃにし過ぎたのではないかと思います。

 きょうは、義務教育について拡大するかどうかという議論はしません。しかし、現実的には専修学校も含めると九九%の子供たちが高校に該当する学校に行っているわけですよね。そのことを考えたときに、やはり原則は無料化なんだ。これを見ても明らかだと思うんですが、大臣はどのようにお考えになりますか。

下村国務大臣 まず、民主党政権で教育費が高校においてプラス四千億計上されたということについては、率直に評価を申し上げたいと思います。

 ただ、我々は、同じ四千億あるのであれば、より公正公平な配分の仕方があるのではないかということで今日に至っているわけであります。財源があればこれは無償化の方向に進めていくということは、大学教育まで含めてぜひそうすべきだというふうに思います。

 ですから、これで終わりということではなくて、今後、高等教育、それから、これは公立学校の授業料ということになっていますが、諸外国では、私立学校まで含めて無償化のところも高校教育機関の中では実際は相当あるわけですね。ですから、我が国においても、私立学校も対象に、より軽減を図って無償化の方向に持っていくということを、大学教育まで含めてぜひそういう方向を目指していきたいというふうに思います。

 そういう観点から、教育再生実行会議で、現在、九年制で六・三の九年間でいいのかどうかということの義務教育期間の見直し、それから、そもそも六・三・三・四制制度の見直し、それとまた別に、義務教育と必ずしも連動させない形で無償化期間の見直し、これも同時に今議論していただいております。

 こういうことをあわせて、できるだけ無償化に向けたスタートが早く切れるような財源措置も担保しながら進めていくのが、我が国のこれからの教育のあるべき方向性だと思います。

細野委員 義務教育の議論についても今進んでいるというのは、私も承知をしています。

 時代も変わっていますから、十五歳で社会に出て、なかなか専門技術も含めてやはり身についていない中で、社会的に自立するのは非常に難しい時代にもう入っています。そういう中にあって、世界では、義務教育に該当する年齢にすら所得制限を設けた、有料の子供たちが出てきているということ自体は、私は時代に逆行しているというふうに思います。

 そして、もう一つ大臣にお答えをいただきたいのは、先ほど笠委員の質問にもあったんですけれども、高校の教育というのを家庭の責任と考えるのか社会の責任と考えるのか、ここも出発点として随分違うわけです。

 大臣の御答弁を聞いていますと、高校の授業料の給付の先というのが、どうしても親に給付しているという意識がおありのような気がしてしようがない。私どもは親に出したわけではなくて、子供に出したんですね。つまり、所得の高い家の子供であっても、それは親の出した授業料で学ぶのではなくて、社会が出すんだから、あなたの学びが社会にどう貢献できるかを考えてくれということだったわけですよ。先ほど笠委員が紹介をされたチラシも、まさにそういうふうに書いてあるわけですよ。そういう説明ができますか。

 確かに、公立の高校の場合にはある程度税金が入っていますよ。しかし、これまで学費がただになっていたんだけれども、あなたのところはお金持ちなので親に出してもらうんですと。やはりそこは親の責任ということになる、親の負担ということになるわけですよ。社会からこうやって出してもらっているんだから、社会にちゃんと貢献できるような人間になってくれというふうに正面から言えなくなるということになりませんか。そこはどう思われますか。

下村国務大臣 民主党と自民党で、教育について基本的に考え方が違うところがあります。

 民主党は、子供は社会で育てるということを言われていましたね。我々は、第一義的には親が育てるものだと思います。第一義的には子供は親が育てる、親が育てる中で足らない部分について社会がフォローする。だから、第一義的には親に責任があるというふうに私は思います。それが明らかに違うところだというふうに思います。

 ただ、その上で、教育というのは未来に対する先行投資の中で、今も細野委員が御指摘されましたが、昔は十五歳で社会に出て、もう一人前に仕事ができる時代もありましたが、今は、もっと個人の持っている能力をきちっと教育によって付加価値を設けて、伸ばして、そして社会に送り出すということになると、もっと教育期間をきちっと確保しなければ、実際に社会に出ても物にならないという部分がやはりあるわけです。それだけ教育期間が、社会が高度化、複雑化、国際化された中で必要になってきた。

 それについていつまでも個人の負担ということではこれはやりきれませんし、まさに格差が教育格差につながっているという現状がありますから、できるだけ教育費を負担軽減をして、公的支援によって無償化の方向に持っていくことによって、誰にでも学ぶチャンス、可能性が提供できるような社会をつくっていきたいと思いますが、しかし、基本的に第一義責任は親にあるということは、これは民主党と自民党の考え方の大きな違いだと思います。

細野委員 教育において家庭が果たすべき責任というのが非常に大きいというのは、私も同じ意見です。

 ただ、多分大臣も、義務教育において、例えば、所得の高い層に授業料を負担をさせるとか、教科書代を負担をさせるとか、給食代を高く取るとか、そういうことは反対ですよね。そんなことは考えられませんよね、当然。改めて答弁いただく必要もないと思います。

 私どもは、高校はもうそれに近い存在なんだというふうに考えているわけです。ですから、そこは社会全体で見るべきで、親の負担を求めるべきではない。皆さんは、高校はまずは基本は家庭で負担をしていただいて、九百十万円以下のところは大変だからお金を出してさしあげるという考え方ですよね。そこはやはり開きがあると率直に思います。

 そして、もう一つ指摘を申し上げたいのは低所得者対策なんですが、私もそれは賛成です。ただ、出し方は非常にまずいと思います。

 なぜまずいかというと、この財源をどこから確保するのかというと、九百十万円以上の方々の無償化をしたこの財源を、これを取り除くこと、それを外すことによって給付するわけですね。

 先ほど大臣は、差別というのを、ちょっと私の考えと違う形で表現をされました。私が差別という意味で気になるのは、九百十万円以上の家庭は有償になるわけですね。

 高校生ですよ、自分の高校生のときのことを思い出してください、もう半分以上大人ですよ。いろいろなことがわかっている。そうすると、親も、いや、うちはことしから有償になったんだよなんて言うでしょう。では、その子供はどう思いますか。うちは有償か、お金持ちなんだなとは思うでしょう。ある程度、所得が上の二割なんだなということもわかるわけですよ、これだけ質疑しているわけだから。

 では、その二割の、これまで払っていた部分が低所得のところに行くんですよ、これが二百五十万円以下のところに行くんですということになれば、まさにその層が豊かな層で、そこにはっきり所得の格差があって、我々が面倒を見ているんだというふうに思う可能性すらあるじゃないですか。これは極めて深刻なんですよ。

 ですから大臣、もう一つ言います。では、二百五十万円以下の世帯、新たにある程度公的な支出が行きますよね。その子供たちだって、親からこんなことがあるんだよと聞くかもしれませんよ。高校生は、ある意味大人だけれども、逆に言うとある部分は子供だから、うちは実は有償になっちゃったんだよというのを学校で言わないという保証はありますか。

 そうなると三つできるんですよ、結局は。九百十万円以上で、豊かな層で、貧しい人たちの負担もするというふうに思う人たちと、七割ぐらいですか、真ん中のこれまでどおりの人と、下の一一%ぐらいですか。その層は上のところを剥がしてきてつけるんだから。このつけ方は物すごくまずいと思いますよ。

 私は低所得者対策は賛成です。ですから大臣、違うところから持ってきてください。こんなところに国の原理でペイ・アズ・ユー・ゴー原則を持ってきちゃだめですよ。低所得者対策はちゃんと予算をとってやるんですよ。上から剥がしてやることによって教育現場にそんなものを持ち込むべきじゃない。絶対これは感じる子がいますよ、高校生はそんな子供じゃないから。幾ら隠してやったって、親だってしゃべりますよ。

 差別と言っているのは、所得の高い層と低い層の、お互いに違うのだという差別意識を絶対に持ち込んじゃいかぬということなんですよ。私も公立高校に行っていました。それはいろいろな家庭があったでしょうけれども、余り意識しませんでしたよ。ちょっとお金持ちそうで、いいものを持っているなというやつはいましたけれども、それぐらいのものですよ。そういう高校をこれからも守ろうじゃないかというのが私どもの思いなんですよ。

 ですから大臣、もう一回言いますよ。ペイ・アズ・ユー・ゴー原則じゃなくて、低所得者対策は違うところから持ってきてください。そこをバーターしないでください。そのことを導入することによって、教育現場に本来持ち込むべきものでないものが持ち込まれます。いかがですか。

下村国務大臣 率直に言って、細野委員の発言と思えない部分があったと私は思います。

 それは、社会が本当にそうなのか、全部が平等なのか。そうではないわけですね。例えば義務教育においても全部無償かというと、実際は無償じゃないです。例えば、給食費についても修学旅行費についても、中学生でしたら年間十七万ぐらいは負担しているんです。こういうものが全部なくなれば、それは全額無償ということになるわけですね。

 ですから、このことについては、義務教育においても実際は、生活保護世帯、それから生活扶助、つまり、年収二百五十万、三百五十万でプラスアルファの生活扶助等を地方自治体は支給しているんですよ、義務教育においても。全く全部無償じゃない、そもそも義務教育において。これが社会全体です。

 ですから、ほかの、例えば先ほど申し上げました奨学金についても、残念ながら今は給付型ではありませんけれども、しかし、大学に行く場合でも、今の高校生が、親の所得によって自分は有利子奨学金なのか無利子奨学金なのかということもこれは限定されるんです。無利子については本人の成績もありますけれども、三・五以上とありますけれども、しかし、親の所得によって制限されているんですよ。

 それと同じことであって、財源をどこから持ってくるかということについては議論があるかもしれませんが、しかし、みんなが平等だということは、これは社会主義的な幻想であって、財源はどこかからやはり持ってこなくちゃいけないんです。財源をどこかから持ってくることについては、高校の授業料無償化によって新たに捻出された四千億の中の配分の中で残念ながら考えざるを得ないということについては、これはぜひ御理解いただきたいと思います。

細野委員 大臣、勘違いしないでいただきたいんですが、私も低所得者対策は賛成なんです。もっと充実してもいいと思っています。

 問題なのは、その財源を高所得者の九百十万以上のところから持ってきているというのが問題なんです。予算の制約でしようがないというのは、それは国家の論理ですよ。ペイ・アズ・ユー・ゴーも国家の財政上の論理です。私は、この教育ということに関しては、国家の論理ではなくて、教育の原理、現場の原理でやってほしいということを申し上げているんです。

 所得によって差があるのも、それは、貧しい方々に対してちゃんと配慮するのは重要なので大賛成です。私が申し上げているのは、それを上から持ってくるのをやめてくれと。そのことによって、まさに学校の中で、上の層が負担をして下の層に流れるというような形をつくるのはやめてくれと、その部分について申し上げているんです。いかがですか。

下村国務大臣 しかし、税配分というのは、そもそも社会全体がそうなっているんじゃないですか。

 例えば児童手当も、所得制限があるわけですよ。その財源がどこから出てくるかといえば、それは、所得のある人たちから再分配をして低所得者に対して社会全体で回す仕組みですから、そういう意味で、今回は高校授業料無償化という中の枠ではありますけれども、しかし、トータル的な理念といいますか考え方は、これは社会全体の税制の仕組みと連動している考え方だと思います。

細野委員 社会全体での税は一定だし、赤字を出すと言ったって、一定ですから、当然、全体でやるのはこれは当たり前ですね。子ども手当の所得制限も、ある意味、全国の子供たちを対象にして全国の家庭を対象にしていれば、それは、お互いに顔は見えませんから、全体でバランスをとれるでしょう。

 私が申し上げているのは、学校のクラスの中に、平均化するならば、例えば三十人なりの学級の中で、上二割の六人と下一二%の三人か四人、その中で移転をするから申し上げているんじゃないですか。友達同士の中で、家庭の中で、まさに顔が見える形でこっちのお金はこっちに行くということの教育的なマイナス効果はないんですかということを聞いているんです。

 大臣、全体としては当たり前なんですよ、予算は一定なんだから。そうじゃなくて、ここを剥がしてここに持ってくることというのがまさに見えるわけだから、本人たちが知ることになるわけだから。そこの問題についてそもそも文部科学省が問題意識を持たなかったこと自体は、私は、正直、ちょっと愕然としますね。

 文部科学省は、ちゃんと財源を違うところからもっとたくさん持ってきたらいいですよ。文科大臣はそこで頑張るべきだと思いますよ。そこの狭い世界でまさにお金がやりとりされるということの教育上のマイナスについて、もう少し問題意識を持っていただけませんか。

下村国務大臣 そこで差別はそもそも生まれないと私は思いますが、しかし、細野委員、民主党政権下でもこれは行われているんですよ。つまり、私立学校においては、実際に二百五十万以下と三百五十万以下で二倍、一・五倍にかさ上げしているわけですから、そもそも、そのために親の所得証明書は求めているんですよ。だから、同じことを既にされているんです。ただ、所得制限はしていないということについては、そのとおりだというふうに思います。

 それについて、では差別が生まれるのかどうかということについては、生まれないような事務的な手続をすることによって、今までも実際に私立学校で生まれたという話は聞いていないでしょう。だから、それと同じような十分な配慮をしていきたいと思います。

細野委員 大臣、わかった上でおっしゃっているんだと思うんです。初めから設けていればそれは違うんですよ。初めから、こういう制度です、所得によって差をつけるということならば、これはいろいろ議論はあるかもしれないけれども、今私が申し上げたような問題は出てこないわけです。もう既につけている予算を一方で剥がす、そしてそれをつけるというやり方がよくないということを申し上げているんです。

 考え方が違うのはもうわかりましたから、所得制限を設けるという考え方も皆さんはこうやってやられるんでしょう。それも別に考え方が違うという意味で、私どもは違うけれども、おやりになるなら一つの考え方です。一方で低所得者対策をしっかりやるというのは、これは我々は全面的に賛成です。ならば、この制度を分けることによって、そういう意識を持たないような状況をつくってもらいたいということを申し上げているんです。もう何度も申し上げているので、私の問題意識はおわかりいただいたと思います。

 では大臣、そこは責任を持ってやってください。強く要望しておきたいと思います。

 もう一点確認しておきたいことがございまして、時間がなくなってまいりましたので行きたいと思うんです。

 これは各御家庭に所得証明を出させるわけですね。そうなってくると、所得証明をすっと出してくる御家庭もあると思うんですが、これは役所に行って三百円お金を払って手続をするので、例えば親がやや子供をネグレクトぎみの家庭で、そういうことについて十分手続をしない親なんかも出てくる可能性がありますね。

 そういう場合に、やむを得ない事由があれば後から出してもいいよというようなことになっているんですが、法律上、第六条の三です、そのやむを得ない事由というのは何なのか。そのやむを得ない事情が発生をした場合に、では、これは授業料を免除するということについてどう判断するのか。これは県が決めるようですけれども、何らかマニュアルがあるんですか。

下村国務大臣 御指摘の改正案の六条三項の「やむを得ない理由」、この判断主体は、認定権者である都道府県知事または都道府県教育委員会であります。

 また、やむを得ない理由としては、災害への被災や長期にわたる病欠など生徒本人の事情のほか、課税証明書を取得すべき保護者が事故、病気、その他の特別な事情によりその取得が非常に困難である場合など、生徒本人の責めに帰すことのできない場合を想定しております。

細野委員 二つ聞きたいと思います。

 まず、親がネグレクトでなかなかそういう手続をとってくれない場合、高校生が所得証明書をとりに行くというのは結局難しいですよ、別に自分が課税されているわけじゃないから。そういった場合は該当するのかどうか。

 さらにもう一つは、これにすら該当しないケース、すなわち、前年の課税所得は九百十万あったけれども、例えば、親が経営していた会社が倒産をしてしまって所得がなくなるようなケース、死別とか離婚の可能性もありますよね。そういったときというのは、誰が把握する責任があって、どのようにやるんですか。お答えください。

下村国務大臣 まず、後の部分については、そういうことは想定されると思います。

 私学においてもそのような状況のときには対応するということが今はできておりますので、今度、公立学校においても、国が二分の一負担することによって、そういう緊急の変化に応じた対応については対処するように、これから法律によっても担保していきたいと思います。

 それからネグレクト等の問題については、個別具体的なことがあるというふうに思いますが、できるだけ丁寧に、子供にとってマイナスにならないような対応について文部科学省としても都道府県に対して指導することによって、そういうことをできるだけ回避するような体制をとっていきたいと思います。

細野委員 今のようなネグレクトのケースであるとか、親の例えば死別とか、そういったケースというのは、学校がやるんですか都道府県がやるんですか。そもそも、都道府県が全体の高校生に対応するのは無理ですよね。学校に負担を負わすということになるんじゃないですか。

下村国務大臣 都道府県がやることになります。

細野委員 例えば、会社が倒産をしたり親が亡くなるとか離婚の場合というのは、家庭にとって本当に一大事ですよね。一大事のときにそういう手続を丁寧にちゃんと申請をしてやれるかどうかというのは、家庭の事情によりますよね。それを直接県庁職員か何かが行って調べるんですか。

下村国務大臣 まずはその家庭が、書類等はやはり基本ですから、やっていただく必要があります。

 ただ、親が死亡したとかいうようなことが所得にもつながるというようなことで、これは民生委員とか児童委員とかありますが、地方自治体ができるだけその辺は配慮するように都道府県にもしてもらいたいと思いますが、まずは家庭が対応してもらうということが基本です。

細野委員 私は、こういう家庭のそれぞれのリスク、会社が潰れるとか例えばお父さんが亡くなるとか、そういうリスクを社会全体でしっかり支えていくというのが無償化の制度だと思うんです。

 そういう意味では、対応をどこまでできるかということも含めてそこが家庭のリスクになってしまって、結局、対応できるかどうかというのが現場の判断になるということにこの制度だとなりかねないと思うんですよ。その問題点を指摘しておきたいと思います。

 そしてもう一つ指摘をしたいのは、実際に課税証明書を出させてそれで所得制限を課すということに関して、経費が四十億から五十億と言っているんですが、四十億から五十億ということは、一つの県で一億ですよね。今私が申し上げたような、県のさまざまなまさに場合に応じた対応、さらには、場合によってはプライバシーにもかかわるようなことについて調査をする手間、恐らくは現実的には学校もやらなきゃならないでしょう、学校の生徒のことだから。学校の先生がそれを一切無視するというわけにいかないでしょう。そういったことというのは全部入っているんですか。

下村国務大臣 高校就学支援金に関する事務の執行に要する経費については、予算の範囲内で相当額を都道府県に交付するということにしておりまして、所得確認事務に必要な経費についても、都道府県の意向を確認しながら、必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。

 なお、受給資格があるにもかかわらず申請を行わないケースが生じた、それで、保護者に対して十分な周知をその場合はきちっと図るというようなことの経費も、予算の範囲内で支援を行っていきたい。そういうことも丁寧に行っていきたいと思います。

細野委員 この予算の計上の仕方というのは、人の手間とかそういうものはほとんど入っていないと思いますね。ですから、相当、現実的にやるとなると個別で問題が出てくるケースがあると思います。実際におやりになるのであれば、そこも含めて、本当に困っている子供がそれで行き詰まることがないようにきちっとやる責任が、所得制限を設ける以上は文科省に非常に大きくあると思います。そのことだけは指摘をしておきたいと思います。そこで仮に予算が足らざる場合は、きちっと予備費などで確保することも含めて国の責任だというふうに私は思います。

 時間がなくなってきましたので、最後に一つだけ申し上げて終わりとしたいと思うんです。

 低所得者対策なんですが、この間も、柏倉委員の方から児童養護施設の問題提起がありました。改めちょっといろいろ調べてみたんですけれども、やはり一番貧しいのがそこにいる子供たちなんですよ、所得がないですから。実際には、児童養護施設に行って宿題をやっている姿なんかも見ましたけれども、職員さんが本当に片手間にいろいろ手伝っていたり、学生がボランティアで来ている。ですから、こういう児童養護施設の教育の問題なんかにも取り組んでいただけませんか、本当に。これは厚労省の問題じゃなくて。

 これを、高所得者のところから予算を剥がすのではなくて、ちゃんとした財源をとってきてやるということについて、これだけ低所得者対策、低所得者対策と言われるのであれば、本腰を入れて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 最後に簡潔に御答弁いただけますか。

下村国務大臣 私も調べてみました。御指摘のとおり、児童養護施設の高校生、該当する生徒が全国に千五百人います。経済的な支援がさらに必要だというふうに思います。経済的な理由によって進学を断念することがないように、手厚い支援を行うことは重要だというふうに認識しております。

 今回の見直しでは、所得制限で捻出された財源を使って文部科学省としては低所得者への重点的な支援を行う方針であり、多くの場合、所得が全く考えられないこの児童養護施設の生徒に対しては、一つは、奨学のための給付金として、公立高校は年額約十三万円、私立高校は年額十四万円を支給したいと思います。それから私立では、さらに就学支援金を二・五倍加算して支給することによる充実を図りたいというふうに思います。

 ことしの春に子ども対策貧困法が成立したということを受けて、これはぜひ文部科学省としても、議員立法でつくっていただいたわけですから、この法案に沿ってより手厚い対策を教育面でしっかり対応するように、さらに努力していきたいと思います。

細野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

小渕委員長 次に、鈴木望君。

鈴木(望)委員 ただいま、無償化見直しの是非について聞き応えのある議論がなされたと思います。

 私は、無償化見直しに伴い捻出をされた財源の使途について主に質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 申すまでもなく、今回の無償化見直しは、教育関係の予算の削減を目的としたものであってはならないわけであります。教育関係の予算は、まだまだ必要なところに届いていないのが現状。下村大臣も、日本の教育費はOECD諸国の中での比較におきましてもまだまだ足りないということをさまざまなところで言われているというふうに認識をしております。

 我々は今回の見直しに賛成するわけでありますけれども、教育予算を減らすために賛成するわけではもちろんなくて、これからふやすためにも、まずみずからの予算の使い方を吟味してからふやしていきたいということであります。その観点からも、捻出された財源八百九十億は、当然、教育予算の充実に使ってもらわなければならないと思うわけであります。

 その観点で、まず第一に、海外の学校に対する支援について質問をさせていただきたいと思います。

 若干繰り返しになるかもわかりませんが、まず、現行制度下における海外在住の日本人子女の扱いはどうなっているのか、また、それが法改正に伴う措置によってどう変わるのかについて答弁をお願いいたします。

前川政府参考人 現行制度におきまして就学支援金の対象となる生徒が在籍する学校は、我が国の高等学校の課程に類する課程を有する学校ということになっております。

 その範囲といたしましては、一条学校でございます高等学校や高等専門学校のほかに、高等専修学校、それから、各種学校の中で外国人学校だけがその対象になっているということでございまして、海外の日本人学校あるいは海外の在外教育施設に在籍する高等学校相当の年齢の生徒というのは、対象になっておりません。一方で日本の外国人学校の生徒は支給されているということで、この問題は当初から課題であったということでございます。

 そこで、広く高等学校段階の学びを支援するという観点に立ちまして、今回の見直しにおきましては、海外の日本人学校等に通う生徒につきましても、新たに支援の対象としたいと考えているところでございます。

 具体的には、国内の高等学校における教育と同等の教育を行うことを目的といたします全日制の海外の教育施設であって、文部科学大臣から国内の高等学校と同等の教育課程を有するという認定を受けている学校、これは現時点で七校ございます。これらの学校の生徒につきまして、新たに支援の対象とすることを予定しているところでございます。

鈴木(望)委員 ありがとうございます。

 今の御説明で、現行制度は、海外に学んでいる子供さん、日本国籍の子供さんですけれども、どこも対象になっていないけれども、今回捻出された財源でもって、海外で七校ですよね、今言われましたように七校がその対象になるということで、その七校の中に海外の日本人学校も一校含まれているということだろうというふうに認識をしておりますが、はっきり言って、足りないし、不公平じゃないのかなという感じがするんです。外国の現地の高校に多数の日本人の子弟が学んでいるというふうに思うわけです。要するに、今回の拡充策で、そういう意味では漏れがたくさんあるというふうに思います。

 なぜそういう人たちも対象にしないのか、御答弁をお願いします。

前川政府参考人 先ほど七校と申しましたのは、日本人学校として現地の邦人の方々が設置している学校といたしましては、上海日本人学校がございます。また、我が国の学校法人が海外で学校を設置しているというケースが六校ございまして、早稲田渋谷シンガポール校でありますとか如水館バンコク校、立教英国学院、帝京ロンドン学園、スイス公文学園、慶応義塾ニューヨーク学院、こういった学校でございます。

 これらにつきましては、我が国の高等学校に類する課程を有する、同等の課程を有するということで認定制度が既にございまして、その認定を受けているということでございまして、これらの学校につきましては、今後対象にしてまいりたいと考えているわけでございます。

 他方、海外の現地の学校、これはそれぞれの国の違いがございまして、それぞれの現地の学校に行っている生徒も多数に上るわけでございますけれども、これらの学校につきまして我が国の高等学校と同等の課程を有するという保証を得ることは事実上不可能でございますので、その辺の困難さ、個別、網羅的に把握することの困難さということから、今回の改正におきましては、国内の高等学校と同等の教育課程を有する認定を受けるということで我が国の高等学校と同等とみなすことができる学校、これを新たな支援の対象とすると考えていることでございます。

鈴木(望)委員 今の説明にはちょっと納得できないわけでありまして、外国の現地の高校であっても、当然、どういう教育課程を持っているのかどうかということは把握はできるわけでありまして、また、どこにどの程度学んでいるのかということも、在外公館、総領事館とかそういうところでそういった人数等も把握はできるというふうに思います。事務的にはやろうと思えばできるというふうに思うわけです。時間がありませんので次の方に移りたいと思いますが、やろうと思えば事務的にできる。

 しかも、一方で、日本の国内にいたら就学支援金が受けられる、外国に出ていったら、より困難な状況に日本にいるよりもあると思うんですけれども、受けられないというのは、できるのだったら横に広げてもらえればありがたいな、今後の検討課題にしていただければというふうに思います。

 次に、海外の日本語学校に在籍する日本国籍の子女の取り扱いについてお尋ねをしたいと思います。

 アメリカンスクールであるとか、フランスや、また中国の孔子学院は、目的としまして、それぞれ母国の子弟の教育に資するということと同時に、その国の歴史や文化を海外に広め、また、海外にその国の理解者をふやす役割を事実上担っているというふうに考えるわけで、広い意味での教育文化の一つの対外的な戦略の一環としてそういった学校があるんじゃないのかなというふうに認識をしております。

 一例を紹介させていただきますと、この九月に、ペルーの日本語学校をここにいらっしゃる方とともに視察をさせていただきました。ラ・ウニオン校という学校でありますが、日本語学校です。そこでは、日本語の授業が週何時間、その学年に応じて行われておりました。それだけではなくて、日本のよき伝統であるとか文化というものをある意味では日本の学校よりもきちんと大切にして、ペルーにありますから、それを主にペルーの子女に教えているということであります。

 例えば、校舎のところに看板がかけてありまして、挨拶はしましょうだとか、誠実であるとか、和とか感謝とか尊敬とかというのが壁に書いてあって、生徒が毎日見られるようにしているというようなこともありました。

 また、運動会といったような、日本の学校で行われているようなことも行事の一環で行われておりまして、当然、運動会ですと組分けをするわけです。日本だと赤組とか白組という組分けをするわけですが、そこのラ・ウニオン校では、明治組、大正組、昭和組、平成組というような名前をつけて、それで運動会の組分けをして競技をやっている。

 いろいろな意味で日本文化とか伝統とかいいものを、子供たちに、これはペルーの現地の日本語学校ですのでペルーの子供たちが主な対象ですけれども、そういったところに教えて、そして、そういった形を通して日本のいいものをペルーの国内に発信をしているということであります。

 そういう意味では大変大きな役割を果たしているわけですけれども、運営は、はっきり言って非常に四苦八苦をしている。校舎も、日本的感覚から見ると非常に質素。運営も、PTAの父兄が片手間的にボランティアで一生懸命やっているというような学校であるわけであります。

 そこでお尋ねですけれども、この学校の出身者に今のペルーの大統領も出ているというような、ある意味では伝統と歴史を誇る学校で、そこで本当に四苦八苦して運営をしている。そこにも当然日本国籍の子供も学んでいるということでありまして、このような日本語学校に学ぶ日本国籍の子供に就学支援金を出してもいいんじゃないのかなというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。お尋ねをさせていただきます。

上野大臣政務官 鈴木委員の御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 おっしゃるとおり、議員がいらっしゃったペルーの日本人学校以外に、世界各国に日本語学校がございます。

 私も、以前に勤めていた学校の方では、海外に留学する子供たちあるいは海外から留学する子供たちの支援をする担当をしておりまして、特にオーストラリアの方に、現地の日本語学校等を含めて接触することがございました。

 オーストラリアのアデレードやパースには、たくさんのこのような学校がございます。その中に、もちろん日本人はもとより、現地の、オーストラリアの子供たちがたくさん日本の言葉と文化を学んでおりました。残念ながら、そちらの方にも日本からの支援は全くない状況でしたが、それでも、オーストラリアの国からの支援はいただいているということで、日本人の子供たちも、奨学金等をよく自分で見きわめて使いながら、頑張って勉強している状況を見ていたところでございます。

 そのように国際社会で活躍する日本人の育成は重要であり、可能な限りの支援をしたいと文科省としても考えておりますが、現在のところは、なかなかそこまでの支援をすることは難しいというふうに考えております。今回の就学支援金の支援の対象は、残念ながら難しいというのが状況でございます。

 さらには、先ほどお話がありましたように、日本語学校だけに限らず、海外の現地校に通っている日本人もかなりの数ございます。その現地校で頑張っている日本人にも何とかしてあげたいという思いは、鈴木委員と同じようにございます。

 私も、イギリスに三人の娘が留学しておりまして、三人とも海外の高校を出ておりますので、何とか日本からの支援は欲しいということをその当時は考えておりましたが、現地の学校の教育制度に伴い、現地に合った奨学金制度を何とか取らせていただいて、海外の子供たちを支援するという奨学制度をうちの子は使わせていただいたりしております。

 これから、海外で学ぶ日本語学校また日本人学校、さらには、現地校に学んでも同じような支援が受けられるようなことにならないだろうかということは、積極的にちょっと検討してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

鈴木(望)委員 今の御答弁には残念ながら納得できないです。残念ながら困難ですということで、なぜ困難なんですか。そこのところをお答えいただきたいと思います。

上野大臣政務官 うちの娘たちが行っていたときもそうだったんですが、かなりの数の、海外で勉強する、恐らく、家庭の事情、両親の仕事の関係で海外に出るお子さんたちが多いと思うんですが、その場合に、日本語学校、日本人学校等対象になる学校に行かれている子供たちというのは限りがあって、その自分たちが住んでいる場所には決してそういう学校はない方が多いと思います。その場合に、現地にある学校に入らなければならない。その現地の学校に入った場合、日本の領事館、大使館に登録はしますが、それだけで、その後、何をコンタクトすることもできないのが現状でございました。

 今までできなかったというのは事実でございますが、これからは、そこのところを、何人の生徒がどのようにどこで勉強しているかというのを把握しながらいかなきゃいけないと思っています。今の状態では難しいですが、これから検討するということをお話ししていますので、これからできる限りの支援はしていきたいと思っております。

鈴木(望)委員 前向きに御検討いただくということで、ぜひ検討していただければありがたいなと。

 就学支援金の支給はもちろんのこと、あと、外国に対する文化戦略、教育戦略ということで、アメリカンスクールであるとか孔子学院は明確にそういうことも戦略に据えてそういった現地校を支援している。日本も、ちょっとこの就学支援金の話とは別なんですが、そういった格好でもって支援を充実させていく、それが日本の将来のためにも大きくなるというふうに私は思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、各種学校に対する支援ですけれども、各種学校に対する支援としましては、現在は高等課程を有する専修学校のみが対象となっているわけでありますが、今回、国家資格養成課程を有する各種学校にまで対象を拡大したということであります。

 そのことについても確認で質問をしようかと思っていたんですが、質問する時間がだんだん少なくなってきましたので質問を省きまして、私は、そういうことを前提の上で、各種学校以外にも拡大をしたらどうかというふうに考えているわけです。

 どうしてかといいますと、高校進学率九八%という数字は、一面では誇るべき数字であるというふうに思います。他方、発達障害のお子さんや知的障害を抱えている子供さんも相当数いるというようなことを考えますと、世間の風潮の中で、親御さんのせめて高校ぐらいはということで高校に進学したものの、ついていけない、合わない、なじめない等々の理由でドロップアウトする子供さんもこれは当然出てくる。それは、私ども庶民レベルで実感としてみんな持っていると思います、国民の皆さんも。

 そこで、そういったドロップアウトした子供さんの受け皿にもなっているのが、広い意味での各種学校だと思います。そこで必ずしも国家資格を目指さなくても、このような子供たちを広い意味で教育する、また、広い意味でその教育の支援をするというのは、極めて重要なことじゃないのかなと思います。

 例えば、そこのところに入っても国家資格を取得できないような学校としましては、服飾学校とか料理を学ぶ学校であるとか、または音楽関係、ダンススクールであるとかそういった子供たち。高等学校の微分積分とか、そういうことはちょっと難しいな、だけれども、自分の好きなことだったら一生懸命努力するし、また、それが腕に技術となって社会のために役立つということであれば、これは立派な、ある意味では高校教育に準ずるような教育だろうというふうに思いますが、理念からして、そういったものまでも就学支援金を支給するという格好で拡大をしていくということについては、文科大臣、どのようにお考えでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のように、委員が具体的に挙げた子供たちに対してもっと公的な支援をしなければならないというのは、もうそのとおりだというふうに思います。

 この専修学校一般課程及び各種学校は、入学資格要件のない課程、学校種であり、高校就学支援金を支給する以上は、中学校卒業後の高等学校の課程に類する課程を置くものとしての法令上の担保があるということで限定をする必要がある。やはり税金を投入されているわけですから、法律上の担保も必要なわけでございます。

 このために、厚生労働省等から准看護師、理容師、美容師、製菓衛生師などの国家資格者養成課程の指定を受けているものに限って、今般の対象拡大の範囲といたしました。ただ、子供一人一人の視点から見たら、委員の言われるとおりだと私も思います。

 その辺で、この高等学校の課程に類する課程という法令上の担保を維持するような制度設計をぜひ学校側の方も工夫していただいて、今委員がおっしゃったような子供たちが対象になるような、学校側もぜひ工夫していただきたいと思いますが、文部科学省の方でもその検討をしていきたいと思います。

鈴木(望)委員 ぜひそれぞれ工夫をして前向きに、特に、各種学校に進んでいる子供さんの世帯は統計的にいうと低所得の世帯が多いという事実もございますので、そういう点も含めて、少子化時代に子供を有為な人材に少しでも育てていくという、現実に即した対応をとっていくことができればというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 あと、スクールサポーター制度の拡充について、これは、いじめ関連で、教育に関する周辺の予算の拡充という観点から少し質問をさせていただきたいと思います。

 いじめ防止対策推進法、馳座長のもとで前国会で成立をさせてもらったということで、その中で、学校におけるいじめ防止対策として、学校外の福祉、心理の専門家や警察経験者の活用が、文科省がつくられた指針でもうたわれているわけです。

 私もいろいろ考えてみますが、実に、いじめと犯罪の境界は非常に曖昧でありまして、ほっておけばこれは犯罪の方に行ってしまう。そこを学校がひとりで問題を抱え込まないで、専門家に知恵をかりる、経験を有した専門家に相談をするということは当然必要だというふうに思います。

 そこで、スクールサポーター制度というのが既にあるわけでして、警察のOBの方がスクールサポーターになっているわけであります。言うまでもありませんけれども、OBの方は、現役を退いて、地域の住民となって地域に暮らしている。経験も豊富で、酸いも甘いもかみ分けた年齢の人たち。しかも、地域に住んでいますので、地域の事情に詳しくて、場合によっては、自分の孫であるとか知人の孫も地域の学校に通っているわけですね。当然、ちゃんと情も踏まえた、子供がちゃんと立派になってほしいという方向でもっていろいろなことを考えてくれるという人たちだろうというふうに思います。

 そこで、スクールサポーターの拡充策について、現状ではどうなっていて、来年度のもくろみとして予算要求等ではどうしようとしているのか、お答えをよろしくお願いいたします。

宮城政府参考人 お答えをいたします。

 警察におきましては、平成二十六年度の地方財政計画において、スクールサポーターの導入に要する経費として、三千七百八十七人分となります七十八億七千七百万を現在総務省に要求しておるところでございます。

 ちなみに、この三千七百八十七人で一人当たり約十校の小、中、高等学校などを受け持つということになってございます。

 一方、ことしの要求でございますが、現在の地方財政計画におきましては、今年度は一千六百九十五人分の経費が措置されているところでございます。ですので、来年はこれを二千九十二人増員する、こういった形の要求を今しておるところでございます。

 以上でございます。

鈴木(望)委員 私は、机上の計算でもってやった一つの充実策じゃないのかなというふうに思います。

 時間もありませんので、一つは、一人の人が十校を見るということが果たして妥当なのかどうかということですね。丁寧に見られるのかどうか。

 私も地方の都市の首長をやらせてもらいましたが、広さ、市の面積とかそういうことを考えたりすると、一人の人が一週間に十校、広い地域を飛び回って見るというので、本当にためになる対応策として機能するのかどうか。やはり、一つの中学校区、中学校があってその下に小学校が幾つかあるわけですので、それぐらいの範囲でもってきめ細かく見る、そのかわり、一人当たりのスクールサポーターの単価を切り下げるというような工夫をひとつしてみたらどうかというのが一点。

 もう一点は、実際上は国のレベルで予算はつけてある、今度は三千七百人ぐらいの要求をすると言っているけれども、現状を見ても、裏打ちの都道府県レベルの予算措置がほとんどなされていない。だから、その三分の一とか四分の一ぐらいしか実際上は配置をされていないという状況になっているわけで、二番目の、都道府県での予算の裏打ちを全然なされていないというところが極めて大きな問題じゃないのかなと。

 国レベルで三千七百人、三千七百人でも足りないと思いますけれども、うんと少ない、全然配置をしていない都道府県もあるわけでありまして、その大きな原因は、国レベルでの意義とかそういうものをきちんと周知していない、そういうところに大きな原因があるんじゃないのか。その必要性をちゃんときちんと都道府県警察の方々に理解してもらっていない。

 余り警察としてやる気が出ないというのはよくわかります。サイバーとか、高度な犯罪に対する意気込みじゃなくて、たかが学校内で行われているいじめじゃないか、そんなのに何で私たちが介入しなきゃいけない、警察の犬なんて言う人もいるかもわからないと思うとやる気が起こらないのはわかりますが、犯罪の芽を摘んで、大きな問題になるのを防ぐ、いじめ問題はこれだけ大きい問題ですので、そういう意味ではぜひ一生懸命取り組んで、都道府県でも予算の裏打ちをきちっとしてもらうようによろしくお願いをしたいと思います。

 時間が来ましたので、最後に一つ。今回の無償化見直しは決して教育予算の削減を目的としたものではないというふうに私どもかたく信じているわけです。また、教育予算はまだまだふやす必要がある。特に、今回見直しによって捻出された財源は教育関係以外に使ってはならないというふうに思います。もし教育関係以外に使われてしまうというようなことがあるんだったら、何のための無償化見直しなのかという気持ちがむくむく湧いてまいりまして、我が会派としても反対せざるを得ないと思うんです。

 そういう観点から、ぜひ今言ったところ、教育関係の予算を今後も充実をしていく、また、違うところに使わないということについて、財務省とあと文科大臣に御答弁をいただきまして私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

小渕委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

岡本政府参考人 お答えさせていただきます。

 高校無償化の所得制限を今回決めていただく過程で与党関係者の間でさまざまな議論がありまして、これを高校生徒向けの施策に充てるという合意がなされ、今回文部科学省から要求がなされているということは、我々も十分に認識をしているところでございます。

 一方で、大変厳しい財政事情の中で、財政健全化に向けて歳出全体の抑制を図る、また、私どもの立場としましては、この高校無償化の財源がセットされたときに歳出全体の見直し等で捻出された、こういった経緯をどう考えるかという点はあるわけでございますが、いずれにしましても、今回の決定に向けて行われた合意、こういったことがあるということは我々としても十分に踏まえて、今後、予算編成の過程で、十分文部科学省と相談の上検討していきたいというふうに考えているところでございます。

下村国務大臣 鈴木委員のおっしゃったことはそのとおりでありまして、そのとおり財務省に迫ってまいります。

鈴木(望)委員 終わります。ありがとうございました。

小渕委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いをいたします。

 高校無償化、前回議論をさせていただきまして、大臣の方から、やはり教育とは投資だということで、財源が確保できれば広くあまねく補助を出していきたいというお言葉をいただきまして、私もそのとおりだというふうに思っております。

 一方で、どうしてもこれは財源的制約が常につきまとうのは事実でございまして、そういった中で、これは高校はともかく、大学にフォーカスをしますと、どうやってその財源的な制約をクリアしていくか。つまり、自分たちでどうやってお金を集めていくかということ、寄附を集める力というのが私は大学にはこれから必要なんじゃないかと思います。

 寄附をしっかり集めてくれば、その分、厚い給付型の奨学金も自校の生徒に給付することができるということになるわけでございまして、児童養護施設の子供もそういう大学には行けるわけですから、そういう大学がもっとふえることがやはり日本全体の底上げになるというふうに思っております。

 そこで、日本の寄附の状況なんですけれども、日本ファンドレイジング協会というところで、これは二〇一一年のやや古いデータで恐縮なんですが、対GDP比で日本の場合は〇・四%なんです、寄附の総額が。アメリカは二%前後でずっと推移している。およそ五倍違う。日本の寄附市場が極めて小さいと言わざるを得ないと思います。

 税制、文化、いろいろな絡みがこういった差になってきているんだと思いますが、そこでまずお伺いしたいのが、今の日本の大学でどれぐらい寄附金を集めているのか。欧米との比較、そして、法人の寄附、個人寄附、どれぐらいの割合なのか、お聞かせいただけますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 二〇一一年度に、我が国の国立大学、公立大学、私立大学に対しまして寄せられた寄附金は、約一千六百億円でございます。国立大学の場合には、一割が個人寄附、九割が法人寄附、また私立大学の例ですと、個人寄附が四割、法人寄附が六割という実態になっており、法人からの寄附の割合が高いという実情でございます。

 一方で、二〇一一年に、米国、アメリカの大学に対して寄せられました寄附金は約三兆三百億円であり、対GDP比換算で我が国の約五・七倍という規模になっているところでございます。

柏倉委員 アメリカが多過ぎるのか日本が少な過ぎるのか議論は分かれますが、やはりアメリカ並みの寄附文化を根づかせて、アメリカ並みの給付型奨学金、こういったものを目指すべきだと思います。

 欧米では個人寄附がかなり多いということなんです。エール大学は二・五兆円のドネーション基金を持っていて、そのほとんどが個人の寄附だということでございました。

 では日本は、寄附してもらえない、何でこんなに寄附が少ないんだと寄附文化の根づいていないところを嘆いてみても仕方のないところでございまして、ただ、一枚目の資料を見ますと、これは九州大学で講堂をつくるということをお願いしたら、三洋信販創業者の椎木正和さんが個人で全額数十億円を寄附したということがあったということですね。新講堂の名称は椎木講堂になったということなんですが、ここにやはりヒントが私はあると思うんです。

 これは、欧米での寄附集めの原則として、ネバーアスク・ネバーイン、お願いしない限り寄附は入ってこないという言葉があるということです。日本にこういった、今回の例のようにアスクをしっかりやっている大学がどれぐらいあるのかといったときに、調べても、やはりそんなに組織立ってやっているところはないんです。この差がやはり寄附を集める力の差になってくるのかなというふうに思います。

 ちなみにハーバード大学では、五百人の職員が寄附集めの専属部隊に属していて、そのうち三百五十人は外回りの営業をしているということでございます。常に国内外の富裕層に寄附をお願いして回っているということなんです。しかも、そんなに簡単に寄附をしてくれるわけじゃなくて、大体一件をとってくるのに平均五年かかるそうです。何回も何回も行って断られて、断られてもまた行って、そういうのを繰り返して、最後一番多いのは、遺言状に書いてもらう、ワンショットの献金が一番多いそうです。それぐらい時間をかける。ネバーアスク・ネバーインと言いますけれども、ネバーギブアップというところが最後につくようなんですね。

 こういった、大学が寄附金を集める力というのをどのように日本が涵養していくのか。これは、大学任せにしていたのではやはり根づかない。やはり文化の違い、宗教観の違い、当然いろいろなところでこういった欧米との差が出てくるわけですから、ここはやはり日本がボトムアップ、国がボトムアップしていくべきだと思うんです。

 そういうところ、大臣の御見解と今後の計画といいますか、そういったところをお聞かせ願えればと思います。

下村国務大臣 柏倉委員が御指摘のように、大学の教育研究の充実に向けて、公財政による支援の拡充に加えて、寄附金を初め民間資金など多様な財源を積極的に導入していくことは極めて重要だというふうに思います。

 今、文部科学省の中でも、この「トビタテ!留学JAPAN」というバッジ、私もつけていますが、留学資金を来年度は三倍増、概算要求で財務省に求めていますが、それだけでなく、みずから私を先頭に今文科省の職員が民間企業に対してファンド協力で走り回っておりまして、役所も、文科省もそういうマインドをつくっていくことによって、これを大学側に対してもぜひ感化するようなプラス影響をつくっていくようにしたいと思います。

 そのために、国立大学及び公立大学については、平成十六年度の法人化以降、法人に対する個人寄附に係る税制改正を継続的に要望するなど寄附税制の拡充に向けて取り組んでまいりまして、また、私立大学については、二十三年度に学校法人への個人寄附に係る税額控除制度を導入し寄附を促進する環境を整備したところでありますが、今のようなマインドを含めて、来年度の、二十六年度の税制改正要望において、この寄附税制のさらなる拡充に向けて取り組みをしていきたいと思います。

 あわせて、私立学校への寄附の促進に向けたアクションプランを策定して、私学団体とも連携しながら、税額控除制度を活用した寄附の拡充を図っていきたいというふうに思います。

 文科省としては、まずは引き続きこの税制上の優遇措置の拡充に努め、そして情報提供を行いながら、またマインド的にも先ほどのようなことをしながら、大学に対する寄附の促進、また大学側もそれに合わせて積極的な活動ができるような、そのことによって寄附そのものが大きく額がふえていくような、そういうマインドをぜひつくっていきたいと思います。

柏倉委員 ありがとうございます。

 大臣みずからそういうマインドを涵養していくというお言葉もいただきましたので、非常に頼もしい限りだと思っております。

 我々、実は、この問題を党の中で話したときに、競わせたらいいんじゃないかというような話も出てまいりました。今いろいろなプログラム、研究拠点づくりですとかそういったところで予算をつけていただいておりますけれども、どうやって、いかにして、そしてどれだけ多く寄附を集めてこれるか、そういうスキームづくりというのを募集して、拠点拠点をつくって試行錯誤していく、そして、日本の最適なドネーション収集機構といいますか、そういうシステムをトライ・アンド・エラーで、コンペティションでつくってもらうのもいいんじゃないかという意見も出ました。

 そういったところもぜひ、もし機会がありましたら勘案していただければと思います。

 次は、奨学金返還に係る質問でございます。

 最近、奨学金のニュース、新聞記事をよく目にしますけれども、日本学生支援機構によると、貸与総額はこれまで累計で一兆円を超えている、しかし、奨学金を返せない人は三十三万人に上り、未返済額は八百七十六億円に達するということでございます。長引く不況の中で大学の授業料だけが高くなる。親はデフレで収入が上がってきませんからなかなか払えない。やっと卒業しても、奨学金で借金が七百万、八百万ある、そういう人もざらだということなんです。

 新聞には、「有利子奨学金の場合、金利は上限三%、延滞料は年一〇%と高い。奨学金というより、学生ローンと言った方がぴったりする。」といった、いわゆる奨学金たたきの論調もかなり目立つわけではございます。政府が何らかの財源手当てをして徳政令を出せというような意図が背後に見てとれるわけでございます。

 ただしかし、一部の例外を除いて、病気の人であるとか母子家庭だとか、どうしても返せない、返したくても返せない人を除いて、やはり借りたものはしっかり返すというのが、これは若い人にとどまらず、人の持つべき倫理観だと私は思っております。そして、何よりも、政府が安易に徳政令を出してしまうと、今まで真面目に歯を食いしばって奨学金を返してきた人たち、こういった人たちがばかを見る制度になりますので、やはり安易な徳政令は出すべきじゃない。

 でも、現行、やはりかなり不況になっていて、返したくても返せない、職にもつけない。一部の市町村では、そういった人たちの負債をもういいよといって圧縮する向きもあるようでございます。それは後の質問をしますけれども、まあ、それは例外的な措置としていたし方ないんですが、ではどうやって、奨学金を返せない人、働いている人に返してもらうのかというスキームづくりをやはり官民一体となって私は進めるべきだと思うんです。

 給付型の奨学金と言われるものは、もう各企業企業がかなりお金を出していますよね。調べただけでも、大きな会社で十六個、二十個ありました。三菱UFJ信託銀行、JT、電通、竹中工務店。中には、自分たちで寮をつくって、そこに無料で住まわせて学費も上げるよというようなところもございます。給付型のサービスといいますかドネーションというのはかなりふえてきて喜ばしい限りだなとは思うんですけれども、問題は、卒業後そういったサービスを受けられずに普通の奨学金制度の中で過ごしてきた、そして、七百万、八百万の借金を背負って働いている人にどうやって返してもらうか、そのスキームづくりをどうやって考えるかということなんです。

 私、二枚目の資料なんですけれども、そこでおもしろい記事といいますか、奨学金肩がわり制度の企業の取り組みを見つけました。

 もう二年前のことなので御案内かもしれませんけれども、ノバレーゼというウエディングプロデュース、レストラン経営の会社なんです。社員が返済している奨学金の残余額に対し最大二百万円を支給する奨学金返済支援制度を設けたと。勤続十年以上の社員を毎年旅行でねぎらう等々の制度も設けているらしいんですが、五年勤めると百万円、さらに五年、トータル十年勤めるとさらに百万円というふうに給付して、奨学金を返済していない人に特化した、これはボーナスというんですか、そういった賞与がもらえるという制度を始めたということなんです。

 非常におもしろい制度だなと。こういった制度がどれぐらい日本にあるのかお聞きしてもちょっとわからないということだったものですから、この一例だけを軸にして話を進めさせていただきます。

 そこで、こういった、企業がお金を出す場合、まずいろいろな税制上の諸問題を一つ一つクリアしていかなきゃいけないと思うんですけれども、まず、こういった奨学金返済型支援金の税制上の取り扱いはどのようになるんでしょうか。

 つまり、給付型の奨学金を出すという場合は損金に算入できると思うんですが、この場合は純粋にボーナスとして出していますから、これは、企業側は税制上どのように扱われるのか。そして、もらう方は、これは奨学金返済をするお金なんですが、ボーナスとしてもらっていますので、一般的に所得として認められてしまうのかどうか。お願いします。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のような個別の事案についての税制上の取り扱いにつきましては、国税庁が担当するところでございます。

 私どもも、念のために国税庁に尋ねたところでございますけれども、個別の事案について一般的な形でお答えするのはなかなか難しいという答えでございまして、今の段階で先生の御質問にはきちっとはお答えできないという状況でございます。

柏倉委員 これ、奨学金返済という、非常にスキームとしてはおもしろい、企業がそれだけアイデアを出してくれているわけです。こういったユニークなスキーム、絶対広がった方がいいわけですよ。とすれば、これがどういった扱いになるのか。もう既にこの会社はやっているわけですから聞けばわかると思いますし、やはりこれ、あまねく宣伝をするためにもぜひ詰めていただきたいと思います。

 個人的に調べまして、これに関してはわからなかったんですが、企業が雇用を前提に出す奨学金は就職後の給与所得になるということでございますので、そう簡単には、やはり丸々百万円もらって、奨学金として返すから税金がかからないというわけにはいかないのかなとは思います。

 そこで、もう一点お尋ねしますけれども、こういったひもつきといいますか、奨学金の返済ないし奨学金を担保にした雇用、これが雇用の拘束行為に当たるんじゃないかという声もありますけれども、その辺の見解はいかがでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生引用されたこの企業の例において、学生または社員が当該企業に採用を強制されるということや離職を禁じられているということがなければ、御指摘のような雇用の拘束行為には当たらないのではないかと考えられます。また、就職採用活動の早期化にも直ちに結びつくものではないというふうに考えられると思います。

 こうした学生や社員に対する多様な経済的な支援の取り組みにつきましては、優秀な学生の確保のみならず、社員の福利厚生あるいは社員のモチベーションの向上にも寄与するという趣旨から設けられた制度というふうに伺っており、そういった面では、先生御指摘のとおり、意義のある仕組みではないかと受けとめております。

柏倉委員 私も、もしこれに違法性がなければ、どんどんやはり国はこういった奨学金を民間にも取り入れてもらうように後押しすべきだというふうに思います。

 損金算入を認めるとか、もらう方からすると所得除外をするとか、いろいろな考え方はあると思います。やはり、官民一体となって、借りたものは返す、そういう当たり前のことをしっかりやれる、そういう土壌を、今まであったわけですから、これからもしっかり担保できるように努力をしていただきたいと思います。

 次なんですが、次は少し趣が変わりまして、少子化対策でもあるんですけれども、学生ないし研究者が結婚したときの国の支援、特に出産、育児に関する支援をどうやっていくかという質問でございます。

 新聞等では、いろいろ今政府としても取り組みをされていて、女性研究者研究活動支援事業、女性研究者、ポスドク以上、そういった研究者に対してJSTといったものが支援を今しているということでございます。

 ただ、調べてみますと、まだまだキックオフして日が浅いということもあって、拠点の大学、東大ですとか京大、そういったところに、出産、育児、特に育児に関する保育園の充実というのはされているようですが、なかなか広く利用されていない。研究者は利用できる状況にあっても、学生、院生、もしそういった人たちが学生結婚をして、出産する、育児をするといったときに、なかなかこれは使用ができないような内容になっているんじゃないかという危惧もございます。

 確かに、お茶の水大学のように、学生さんで出産しても、大学の中の保育園の保育料の半分を支援してくれるというようなところは例外的にはあるようですが、なかなか全国的に、こういう学生さんが出産、育児をするときのサポートシステムがまだまだ未熟のような気がいたします。

 実際に、仕事をすれば給料が入ってきます。でも、学生ですと給料が全然入ってきません。私も実は学生結婚をしまして、学部生のときに子供が生まれました。自分のかみさんが働いて、私はバイトしてという形だったんですが、やはり大変生活は苦しかったです。私の場合は何とか卒業すればこれだけ稼げるという出口が見えていましたから思い切って決断をしましたけれども、なかなか一般の学生さん、院生さんはそうはいかないんだと思います。

 ただ、そういったところを、安心して学生でも産めるんだ、院生でも産めるんだ、育てられるんだという環境をどんどんどんどん国はつくらなければいけないと私は思うんです。これはもう少子化対策という面でもそうですし、男女共同参画社会の実現という面でもそうです。そして、研究力、これを上げていくという部分でも、あらゆる面でも、女性の出産、育児というものをどうやって底上げしていくかというのは、これはもう各省各省しっかり考えなきゃいけないことだと思うんです。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、こういった拠点形成を今されているようですけれども、それを全国展開していくのかどうかということ、学部生や院生さんにも広げていくのか、そして、国の女性研究者支援、学生さん支援、これを今後どのような方向を目指してやっていくのか。御見解をいただければと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、大学等における学生が多様化する中、出産、子育て支援を含め、大学等が学生個々のニーズに応じた支援を行っていくことが重要であるというふうに考えます。

 文科省としては、大学が保育施設の設置をするために一定の支援を行っておりますが、保育施設を設置している大学の中には、定員充足状況などそれぞれの事情に応じて学生に対して保育施設を開放しているところがございます。ちなみに、八十六国立大学の中で保育施設を設置している大学が四十九、そのうち学生を受け入れている大学は四十校あるそうであります。

 文科省としては、学生が充実した学生生活を送ることができるよう、今後とも、保育施設の活用等を含め、各大学等の実情に応じた積極的な取り組みを促してまいりたいと思いますし、さらに、これから社会人の学び直しの環境を拡充していきたいと思います。

 そうしますと、社会人の学び直しということで、学部生や院生にかなり二十五歳以上の方々が、諸外国ではこれがもう二〇%近い国も相当ありますけれども、我が国は二%もありませんが、社会人がもう一度大学や大学院で学ぶ、その場合には、御指摘のような出産、子育て支援体制の整備というのも私立大学を含めて重要なことになってくると思いますし、こういうことも含めて、文部科学省としてもトータル的な対策を講じていきたいと思います。

柏倉委員 ありがとうございます。

 最後、少子化に関連してちょっと話をさせていただきたいと思います。

 フランスでは人口がふえているということなんですが、いろいろ、移民の問題等々もあって、素直にはモデルケースにはならないということは承知はしております。しかし、やはり子供がふえているという事実、それを下支えする社会保障、これはやはり日本も自分の国に合った形でまねをするといいますか、いいとこ取りはしていかなきゃいけないんだと思うんです。

 御承知のとおり、シラク三原則というのがあります。子供を持つことによって新たな経済的負担が生じないようにする、無料の保育所を完備する、そして、三年後に女性が職場復帰をするときはその三年間ずっと勤務していたものとみなして企業は受け入れなくてはいけない、これが原則ございます。

 そして、この最後の資料につけております、これは女性の研究者の問題意識をまとめたもの、これは大きく十個ある。その中の四つがやはり育児、出産にかかわる問題なんですね。子育て、出産と就労に関する両立支援、これをしっかりしていくのが、やはり私は国力を底上げする最も大事なことの一つだと思うんです。

 この中に、当然、婚外子を差別しないPACSというのもこの政策パッケージの中には含まれているということです。

 この婚外子の問題も今議論されております。結論はもう出たように思いますけれども、安倍政権でも、出産、子育てと就労に関するシラク三原則にかかわる国是、国策、これをどのように考えて実現していくのか。最後、大臣に伺いたいと思います。

下村国務大臣 特に、科学技術イノベーションは日本の経済再生の原動力であり、これを担う多様な科学技術人材の育成は我が国の発展の基礎であるというふうに思います。

 特に、女性研究者の活躍促進を図ってその能力を発展させていくということは、御指摘のように、我が国の経済社会の再生、活性化や、男女共同参画社会の推進に大きく貢献するものと期待できるものであると思います。

 このため、文科省としては従来から、女性研究者の研究と出産、育児等の両立のための環境整備や研究力の向上を図る大学等を支援する女性研究者研究活動支援事業、そして、出産、育児により研究を中断した研究者に対して研究奨励費を支給し研究復帰を支援する特別研究員といった取り組みを講じているところでもございます。

 文科省の職員も、若い二十代は女性の職員の割合が三〇%近くになって、省庁の中で一番高い役所にもなっているわけであります。

 こういう環境の中で、来年度、二十六年度の概算要求においても、この取り組みについてさらに推進する、また、女性研究者の一層の登用、活躍促進を図ってまいりたいと思います。

柏倉委員 私も研究者だったんですが、非常に女性というのは真面目だし、優秀です。こつこつと諦めずに、丁寧に丁寧にクリアをしていく。

 やはり、日本が掲げた、そういったあらゆる分野で指導的な女性を三〇%にするというこの目標を、教育の分野、特に医療、科学の分野でもしっかりと突き詰めてやっていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

小渕委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 前回に引き続き、公立高校無償制廃止法案の問題点についてただしていきたいと思うんです。

 まず、この法案では、就学支援金を受給するためには保護者等の収入の状況に関する事項を届け出る必要がございます。これは文科省でいいんですけれども、具体的にはどういう届け出を行うことになりますか。

前川政府参考人 新制度における所得確認につきましては、サラリーマンや自営業者などの職業にかかわらず、申請書と課税証明書等を提出していただきまして、課税証明書等によりまして市町村民税所得割額を確認することとなっております。

宮本委員 市町村民税の所得割という、所得証明だけで不徴収か徴収か決めるということなんですね。

 では、低所得者でも、課税証明書を提出しなかった場合、その生徒の授業料はどうなりますか。

前川政府参考人 何らかの方法で市町村民税所得割額を確認する必要がございますので、課税証明書あるいは非課税証明書、納税通知書など、こういった書類を出していただいて確認ができない場合には、就学支援金は支給されないことになります。

宮本委員 低所得者でも、その書類が提出されなければ支給されないという御答弁でした。

 学校現場では、低所得で困難を抱える家庭の生徒ほど所得証明の提出が難しいと大変心配が出ております。埼玉県の高等学校教職員組合が行った事務職員への調査というものを見せていただきましたけれども、低所得者家庭ほど申請書類が不足になる傾向がある、書類は出せないが授業料も払えないという家庭が出るだろうなど、担当の事務職員の方々の痛切な声がたくさんここには出されております。

 二〇一〇年度から公立高校では授業料は不徴収となっておりますけれども、その後も、入学料やPTA会費などの諸会費の徴収実務は依然として残されております。県独自の諸会費減免制度もありまして、減免されている生徒は全校生徒の二割程度というふうに聞いております。

 その必要書類を集めるのにもなかなか困難があるというのが実態なんです。確定申告を済ませていない、そもそも連絡がとれないなど、現場では大変な苦労があるというふうにお聞きをいたしました。これを八割の生徒から集めるとなると、大変なことだと悲鳴が上がっております。

 そこで聞くんですけれども、コンビニなどのアルバイトを二つ三つとかけ持ちしていて、給与明細も幾つも細切れの明細書しかないという場合、今、若者の二人に一人が非正規という時代が続いておりまして、高校生の保護者の中にも非正規のアルバイトで生活をしている方は実際に少なからずおられます。明細書は保管されていない、確定申告もできない、こういう方は一体どうなりますか。

前川政府参考人 所得がどのような形で得られているかということにかかわらず、確定申告または住民税の申告をしていただく、これは必要になります。その上で、課税証明書等を取得していただく。収入がない場合であっても、非課税証明書を取得していただく。こうすることによりまして就学支援金を支給するということでございますので、その所得確認ができない場合には、就学支援金は支給されないということになります。

宮本委員 私は、深刻な問題が現場では生じざるを得ないと思うんです。それで、現場を本当にわかって、この問題はぜひしっかり対応してほしいんです。

 どこの自治体でも未申告という方は一定数存在をしているんです。私は、ここに、ある自治体の平成二十三年度包括外部監査報告書というものを持ってまいりましたけれども、この町では、未申告者は四千五百名程度存在し、納税義務者十五万五千人の約三%に相当すると報告をされております。

 しかし、これは実は一概にけしからぬと言い切れない問題がありまして、それは、どこの役所でもそういうふうに言っておりますけれども、所得が一定額以下のため住民税が課税されない方には、税の申告の義務というのは実はないんですよ。ただ、今回のように所得証明書が必要であればこれは申告する必要があります。ですから、これがなければ制度から排除されるということになると思うんです。

 それで、保護者の方々でもさまざまでありまして、市役所まで相談に行く余裕がとてもないという保護者、あるいは心の病でとても相談することが難しい保護者、そもそも連絡がとれない保護者、こういう人たちの場合、文科省、一体どうなりますか。

前川政府参考人 就学支援金の支給を受けるためには、課税証明書等によりましてその所得を確認するということがどうしても必要になるわけでございますけれども、保護者である両親にともに所得がある場合などにおきまして、これは両親の市町村民税の所得割額を合算して判断するわけではございますけれども、現行の就学支援金の加算におきましても、例えばドメスティック・バイオレンスでありますとか児童虐待などの場合、また、御指摘のような保護者に全く連絡がとれないというような場合、やむを得ない理由によりまして保護者のうち一方または双方の証明書類が提出できないというような場合につきましては、それぞれ当該事情を明らかにした上で、もう一方の保護者または本人の所得のみにより判断するということもできるようになっております。

 このような取り扱いは新制度でも継続してまいりたいと考えております。

宮本委員 そういう実際に応じた配慮ある対応が必要になってくると思うんです。困難がある人ほどなかなか書類の提出が難しい。要するに、困難が大きい家庭の子供ほど救われない可能性も残されるということになると思うんです。

 無償化の前には減免制度があり、そうした場合にどうしてきたかというと、早朝、夜遅く電話をし続けて、何とか親と連絡をとる、あるいは、一緒に市役所まで事務職員あるいは担任がついていく、こういうことまで、涙ぐましい努力で減免制度を申請してきたという事例もあるというんですね。ただ、その職員は無償化と同時に定数減で今いなくなっているわけですよ。

 一方、九百十万円以上の世帯収入があれば、これは自動的に授業料の徴収対象となってまいります。ただ、その中には、親が連帯債務者となってしまって入学前から大きな借金を抱えてしまった、つまり、既に借金を背負っておりまして、一家で必死に働いて九百十万円を超えて収入を得ているんだけれども、その大半は借金返済に消えていくというケースもあると思うんです。こういう場合、文科省、どうなりますか。

前川政府参考人 教育費の支出をどのように行うかということの判断に当たりまして、どこまで家計の詳細を把握するかにつきましては、その確認に必要となります事務負担も考慮しなければならないと考えております。

 児童手当など他の給付制度、あるいは現行制度の就学支援金の加算におきましても、所得のみを判断の材料としているところでございまして、新制度におきましても、所得、これを具体的には市町村民税所得割額で判断するわけでございますが、こういった形で判断してまいりたいと考えております。

 したがいまして、御指摘のように世帯所得が所得制限の基準額以上であるという場合につきましては、その他の事情がどういうことだったといたしましても、就学支援金は支給されないということになるわけでございます。

宮本委員 こんなばかな話は私はないと思うんです。

 行政の事務負担の簡素化というけれども、大きな困難を抱えて親御さんが申告できない、こういう場合には、低所得であっても出せない場合が生じる。必死に稼いでも借金返しに追われている、こういう場合は、九百十万を所得で超えている場合はもう無償は継続されない。こういう制度になってしまうわけなんですよ、今回の場合は。片や、給与所得で九百十万さえ下回っていれば、例えば株取引で二千万、三千万ともうけても、これは原則申告不要で所得割の課税対象の所得に算入されませんから、その家庭は無償となるわけなんです。いかにも不公平なことが生じ得ると私は思うんです。

 大臣、本当に困っている家庭は、単純に住民税の所得割のみでしゃくし定規に決めつけるのではなくて、もっと実情に応じて弾力的に救われるべきではないのか、少なくともそのことの検討は必要ではないのかと私は思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 今、宮本委員が言われたような個々の事情を配慮すれば、そのとおりだというふうに思います。

 ただ、所得の把握に当たっては、個々の家庭の状況をつぶさに把握することは事実上困難なわけでございます。他の給付制度における所得の把握方法や制度全体を円滑に運用するための事務負担を考慮する必要があると考えておりまして、このような観点から、本制度では、保護者の市町村民税所得割の合算額によって給付の有無、支給額を判断するということに決めたわけでございます。

宮本委員 法案のこの枠組みを一つ一つ細かく見れば、住民税の所得証明を提出できない困難を抱えた方々は無償から排除されてしまう場合が出る。私は、これはやはり一つの欠陥だと言わざるを得ないと思います。

 やはり、所得制限そのものに、つまり所得額で制限をかけるというこのやり方そのものに無理がある。高額所得者の応分の負担というのであれば、授業料ということでなくて直接の税負担の形で行うべきだと前回私は主張をしましたし、大臣も、今の案は魅力的な案だ、こういう御答弁もなさいました。私は、そういう方向に切りかえて、所得制限などはやめるべきだということを指摘しておきたいと思います。

 次にお伺いするんですけれども、今回の法案は、無償化を中止して、日本政府が留保撤回したばかりの無償教育の漸進的導入を定めた国際人権規約に違反するおそれがあるのではないか、私が前回大臣にそうお伺いしましたら、文科大臣の御答弁は、所得制限導入で捻出する財源をそっくり給付制奨学金の創設や私立高校生の就学支援金増額等々に充てるから違反はしないんだ、こういう答弁でありました。むしろ、そうした創設や増額をする財源のために所得制限をやむなく行うのだというのが大臣の説明だったと思います。

 そこで聞くんですけれども、所得制限で捻出する予定になっている財源は幾らか。そしてそのうち、私学への就学支援金の増額、そして給付制奨学金、それぞれどれだけの予算を使うおつもりなのか。大臣、お答えいただけますか。

下村国務大臣 文部科学省では、所得制限の導入によって捻出される国の財源は約八百九十億円と試算をしております。

 捻出した財源の使途については、最終的には十二月までの予算編成過程において決定されるものではありますが、文部科学省としては、低所得者への支援として、一つに、私立高等学校等の生徒に対する高等学校等就学支援金の加算の拡充に約三百四十億円、それから奨学のための給付金の国庫補助分、これは補助率三分の一ですが、この財源として約百五十億円、地方負担分は三百億円でございます、これを充てることとしておりまして、これらの実現に向けて努力をしてまいりたいと思います。

宮本委員 八百九十億円を捻出して、それぞれ給付制奨学金等々に充てるということですね。

 そこで、財務省にきょうは来ていただいております。

 財務省にお伺いしますけれども、まず、給付型奨学金の創設について、財務省の財政制度等審議会では、「必要性は見出し難い」、こういうふうに述べておられます。これは財政制度等審議会だけがこう言っているわけではありませんで、ことし五月二十日の第十二回経済財政諮問会議で麻生財務大臣も、給付型奨学金の創設について、我々の知っている範囲では、経済的理由で高校を途中でやめた人は平成二十三年度で九百四十五人、〇・〇三%しかいない、我々としてはここのところを押さえておかないと、何となく聞こえのよい話になってしまうと御発言されております。

 そういう点では、私、財務省は給付制奨学金の必要性は見出しがたいという認識なのかなと思っておりましたけれども、このたび、文科大臣も力説されるように、この所得制限で捻出した財源を使って給付制奨学金を行うということになっているそうでありますけれども、財務省は給付制奨学金の必要性はあるという認識だと。よろしいですね、財務省。

葉梨大臣政務官 お答えいたします。

 今大臣からもお話しありましたとおり、最終的にはこれは予算編成過程の中で検討してまいることになるわけですけれども、今も御質問ありましたが、高校無償化の所得制限の水準を決める過程では、関係者間でさまざまな御議論がありました。そして、教育費負担の軽減のための奨学のための給付金を創設することなどについて与党の合意がなされたと承知しております。

 これを踏まえて、文科省の方から来年度予算編成について予算要求があったところでありまして、我々財務省といたしましても、与党合意を尊重しつつ、予算編成過程で検討してまいりたいと考えています。

宮本委員 与党合意を尊重しつつと。この与党合意の中には明確に給付制奨学金の創設ということが文字で書かれているわけでありますけれども、このことをやるということでよろしいですか。

葉梨大臣政務官 まさに今、要求を受けて予算編成をやっている最中でございまして、断言をすることはこの場ではなかなか難しいわけでございますけれども、尊重しつつ検討してまいりたいということで御勘弁をいただきたいと思います。

宮本委員 では、必要性は見出しがたいという主張については変えると。よろしいですか。

葉梨大臣政務官 この給付制奨学金、これが出てくる過程においては、まさに先ほど申し上げましたとおり、いろいろな議論がございました。

 では、財務省としてどう考えるかということですけれども、最終的な結論は予算という形で結論を出させていただきたいと考えていますけれども、現段階、政府としては、与党の合意というのはしっかり尊重していかなければいけない、かように考えております。

宮本委員 いや、これだけ聞いても、もともとあった必要性は見出しがたいというこの認識さえ変えるという答弁が出ないわけですよ。私は本当に、これで一体なぜこのことがやられる保証があるのかということを指摘せざるを得ないと思うんです。

 もう一つ聞きましょう。

 次に、では、捻出した八百九十億円の財源について聞きたいと思うんです。

 文部科学大臣が主張するとおりこれは全て高校生の教育費負担軽減に充てられる財源、こういうことでよろしいですね、財務省。

葉梨大臣政務官 先ほど申し上げましたとおり、やはり私どもとしては、現段階、与党合意を尊重する、そういう立場でございます。

 その与党合意といいますのは、「所得制限により生み出された財源は、高校生等の教育費負担の軽減に必要な経費に充てる。」ということを合意されておりますので、これに基づいた、これを踏まえた予算要求が文科省からございました。

 したがいまして、私どもとしても、与党合意を尊重しつつ、予算編成過程で検討していきたいと考えています。

宮本委員 いいですか、今回の制度改正というものは、私は、国際人権規約の精神に反する後退だという指摘をいたしました。それに対して文科省の説明は、所得制限で八百九十億捻出するんだけれども、この分はちゃんと低所得者対策や公私間格差の是正や給付制奨学金に使うんだ、だから逆行するんじゃないんだ、削って召し上げてしまうんだったら逆行かもしれないけれどもそんなことはないんだという御説明なんです。

 私はそれでもこのような所得制限の導入はすべきでないと思いますよ。しかし、万一その説明に反して、削った額がちゃんとそういうものに使われない、つまりプラスマイナスでいうと結局減っちゃったという結論になったら、国際人権規約、国際条約上の重大な後退だという指摘があり得るわけです。

 その認識は財務省ありますか。

葉梨大臣政務官 現段階で、今、高校無償化法の審議に出席させていただいているわけですけれども、高校無償化法、法律の審議とまた予算の編成とはちょっとそれぞれ別の土俵で行っておるものですから、予算につきましてはまた予算審議の過程でいろいろと御質疑いただきたいなというふうに思います。

 現段階はまさに予算編成の途中でございますので、確定的なお話をここで申し上げられないという事情は御理解いただけるんじゃないかと思います。

宮本委員 前回もこういう議論がやられたし、我が党だけじゃありません、他の党もこのことは厳しく何度も問うているわけです。

 財務省の答弁は、そもそも高校無償化自体がさまざまな財源を捻出する中で創設されたものという答弁でしょう。これは、この言葉どおりに読めば、もともとさまざまな財源で始めた制度なので、そこから削ってつくる八百九十億円の財源は本来そのさまざまなところへ戻すべきだという考えもありますね、ただ、この与党合意というものもありますね、そこを検討するんですということなんです。

 私は、もしもそんなさまざまなところへ返してしまうということになれば、減っちゃうじゃないか、説明が食い違っちゃうじゃないか、そんなばかな話はなかろうと。

 だから、予算編成過程なわけであって、予算が固まるまでは確たることは言えないとおっしゃるかもしれないけれども、少なくとも、さまざまなところへ返していくこともあり得るんですよということについては、それはないと否定していただけますか。

葉梨大臣政務官 宮本先生、なかなか確約というのは、予算編成の過程ですと極めて厳しいところでございます。法律の審議と予算の審議、またそれは別建てで考えていただきたいと思うんですが。

 我々として、今、現段階で率直に申し上げて、与党の合意、つまり、捻出された財源は高校生などの教育費負担の軽減に使っていくということについてはしっかり尊重をしていきたいということについては、この場で申し上げていきたいと思います。

宮本委員 私どもは、たとえ八百九十億というお金を低所得者対策等々文科大臣がおっしゃるとおりに使ったとしても、この所得制限の導入には反対であって、そういう低所得者対策は賛成ですよ、それは別の財源でやるべきで、先にこんな所得制限を入れて無償化を崩すようなことをやるべきでないと前回随分やりとりをしたわけです。そのときの文科省の、文科大臣の答弁は、いやいや、その金はちゃんと低所得者対策に使うんだ、だから、国際条約に反することはないし、無償化の方向を後退させることには当たらない、むしろ前進させるんだ、ここまで答弁されたわけですよ。だったら、その担保が要るわけです。

 文科大臣の前回答弁されたことと、幾ら聞いたって今の財務省の答弁というのは距離があるわけです。これは内閣の不一致、これでは議論の前提を欠くんじゃないですか。文科大臣、どうですか。

下村国務大臣 それは内閣の不一致ということはあり得ないわけで、宮本委員はおわかりになって質問されているのではないかと思いますが、今回の高校授業料無償化の所得制限を設けた見直しというのは、これは予算関連法案であるわけです。予算関連法案ですから、本来は来年の通常国会に出すべき法案なわけですね。しかし、来年の通常国会に出して、四月からすぐスタートしてくれということは、それは、時間的に地方自治体に対して相当な無理をさせるということになりますし、事前に新高校一年生に対する告知をすることは私学側も事実上時間的に不可能ですから、ですから、予算関連法案であるにもかかわらずこの臨時国会で例外的に、戦後ほとんどなかった事例だと思います、初めてと言っていいのではないかと思いますが、予算関連法案である本法案をこの臨時国会で提出させていただいているわけです。

 そういう経緯の中で、財務省としては、これはやはり十二月までの予算編成過程の中で決定されるということは原理原則ですから、たとえ例外規定であっても現時点で明確に答弁できないというのは、それは予算関連法案としては基本的にはそのとおりだと思います。

 ただ、先ほどから与党合意に基づいてということを言っているわけですから、ここは事実上は担保されているというふうに私は思っております。

宮本委員 いや、だから私は、財務省にも政務三役に来ていただいて、政治家としての議論をしているわけです。

 では、与党合意を尊重するというのは、担保されていることになるんですか、財務省。

葉梨大臣政務官 確約はできません。今大臣がおっしゃられたとおりです。私も与党の一員でございます。与党合意というのはしっかりと尊重いたします。

宮本委員 財務省の壁、財務省の壁と言うんですけれども、財務省だって自民党の大臣がやっているわけですよ。同じ政府じゃないですか。本当にこれをやると言うんだったら、そういう確約がなければ話は通りません。義家議員だって前回の質疑で、この部分の見解や調整が財務省とついていないというところが非常に大きな問題だとみずからお述べになったわけです。非常に大きな問題を残したまま、こんな法案、質疑終局できるわけがない。私はそのことを申し上げなきゃならぬと思うんです。

 私は、改めて、それこそ財務大臣に来ていただいて、本当に財務省は予算編成の過程でそのとおりやりますねということをたださなきゃならないし、それについての確たる御答弁がなければ、こんな法案は到底審議を進められないと思うんです。

 委員長、ぜひ財務大臣をこの委員会にお招きいただきたいと思うのですが、御検討お願いいたします。

小渕委員長 理事会で後刻協議させていただきます。

宮本委員 今政治が本当に行うべきことは、世界では当たり前の高校授業料実質無償の制度を崩すことではありません。維持し、給付制奨学金の創設、公私間格差の是正に進むことだと思います。

 財源は、大資産家優遇の税制を改めて、年収三千万円以上の高額所得者への課税を一九九八年の水準に戻せば約一千億円が確保できる、前回提案したとおりです。来年度だけを考えるならば、三百億円、我が党以外の各政党が受け取っておりますけれども、税金の山分けをしている政党助成金を廃止すれば三百億円は十分捻出できます。

 ですから、予算編成過程を前に、この秋の国会で先に削る方を出すというやり方が間違っているんですよ。そういう財源をしっかり真剣に探求して、まさに来年からそういう低所得者対策や奨学金などを始める。その上でさらに、来通常国会に、どういう形でそういう無償制度を一層拡充するかという法案の提案をすべきだった。それを今ここで出しているから、確たる担保もなしに今まさにこういう議論が進められようとしております。

 あなたの学びを社会で支えます、こう高校生に約束したその約束をいともたやすくたがえるような本法案は、引き続く徹底審議が必要だということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

小渕委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木でございます。

 本日が最後の質疑時間ということではございますが、私も続行した方がよいと思っております。この間、特に現場の教員の先生方を中心に、反対要請の声をたくさんいただいております。そうした声を受けとめながら、本日、質問に当たらせていただきたいと思います。

 この間、何度も取り上げられておりますが、まずは国際人権規約についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 国際人権規約は、世界人権宣言の内容を基礎としてこれを条約化したものであります。社会権規約と自由権規約から成り立ちます。

 この国際人権社会権規約、A規約の十三条二項(b)、(c)において、高校、大学までの無償教育の漸進的な導入が明記をされているわけでございます。

 まず、この国際人権A規約、これはどのような理念に基づいてそもそも作成されているのか。その理念をまずお教えいただきたいと存じます。

山崎政府参考人 お答えを申し上げます。

 国連憲章におきまして、「人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成すること。」が国連の目的の一つとして規定をされております。この目的を達成するために、一九四八年、全ての人民と全ての国が達成すべき共通の基準を記した世界人権宣言が国連総会において採択をされております。

 社会権規約は、世界人権宣言に掲げられました諸権利のうち、個人の生活の保障が国家の果たすべき責任であるとの認識に基づいて、国の施策により個人に認められている権利、いわゆる社会権を規定するために、一九六六年に国連において採択されたものというふうに承知しております。

青木委員 この理念に基づきまして、この十三条二項(b)、(c)において、高校、大学までは漸進的に無償教育を進めよということが明記をされているわけでございます。

 日本は、一九七九年に批准をしたにもかかわらず、この部分、中高等教育への無償教育の漸進的導入の規定については、長年にわたって留保をしてまいりました。締約国百六十カ国のうち留保をしていたのは、日本とそしてもう一カ国、マダガスカルという状況でございました。

 民主党政権になって、その後半にやっと日本もこの留保を撤回いたしたわけでございますが、まず、それ以前、これができて五十年近くたちますけれども、これまで自民党政権の時代において、ずうっとこれを留保、保留をしてきたその理由は何かあったのでしょうか。

山崎政府参考人 御指摘の国際人権A規約の留保について、経緯を申し上げます。

 我が国では、従来より、後期中等教育と高等教育において私立学校の占める割合が大きく、国公立学校についても私学進学者との均衡等の観点から妥当な程度の負担を求めることとしているということを理由に、社会権規約締結時に、同規約の第十三条二項(b)に言う「特に、無償教育の漸進的な導入により、」に拘束されない権利を留保した経緯がございます。

青木委員 私立が多かったということでありますでしょうか。

 先ほど細野委員からも質疑の中で諸外国の例が挙げられておりました。イギリスは、まさに戦時中、戦争のさなかにこの無償教育を導入しているという背景がありました。アメリカも、十九世紀に州ごとにこの無償化を進めてきたということであります。最後に残ったのが二カ国で、やっと日本もそれを撤回したわけなんですけれども、これまで何で日本だけが独自路線を貫いてきたのか、そこに何か理由はなかったのでしょうか。

 私立とか公立とかということではなくて、よほどの理由があったのではないかなと率直に思ったわけでございますが。

山崎政府参考人 外務省の立場から、一九七九年に日本がこの規約を批准したわけでございますけれども、その当時の留保をした理由というのは、先ほど申し上げましたように、私学進学者との均衡等の観点から、妥当な程度の負担を求めることとしている等の理由により留保を付したというふうに承知しております。

青木委員 何か率直に、その程度の理由なのかというのが今の感想であります。

 いずれにしても、今回の改正で所得制限を初めて設けるわけでございますが、高校教育の無償化をまず廃止したということは大きな後退だとやはり言わざるを得ないというふうに思います。原則無償を撤回して原則有償にするわけでありまして、そして、低所得者層で支援を受けたい者は申請せよ、手続せよということでありますので、これは教育を保障するものではないというふうに思っています。無償から有償への理念の変更であるというふうに思います。

 国際人権規約の後退と考えてよいか、大臣の御答弁をお願い申し上げます。

下村国務大臣 国際人権A規約第十三条において「中等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、」「すべての者に対して機会が与えられるものとすること。」が規定されているわけであります。高校無償化制度への所得制限を導入しても、教育費負担の軽減に努める方向が維持され、かつ、実際の施策が中長期的に見てその方向に沿ったものであると認められるものであれば、人権規約に違反するものではありません。

青木委員 財務省の担保のことももちろんですし、これは理念が百八十度変わっているというふうに思うわけであります。その点については、大臣、どうでしょう。無償が原則有償に変わったということなんですよね。無償にしたければ、あらゆるプライベートな、所得から、所得証明書が出せない場合はどういう事情があるのかという、それまで証明をしなければ国は教育を保障しないということとも言えると思うんです。無償が有償に変わるということは、理念が変わるということと受けとめてよろしいでしょうか。

 これは、民主党の無償の改正案ではなくて、新法でやるべきではないかというふうに思うのですが。

下村国務大臣 高等教育、つまり大学教育においては無償教育が行われているわけでは今はないわけでありますけれども、授業料減免や奨学金の拡充などの経済的負担軽減の状況を踏まえ、ここにおいても留保撤回がなされたわけであります。

 むしろ、高校については、今回の見直しは、文科省としては、より効果的に本制度を実施する観点から、現行予算を活用し、低所得世帯への支援を重点的に行う等の改善を行うものであり、人権規約の趣旨をさらに前進させるものと考えております。

    〔委員長退席、萩生田委員長代理着席〕

青木委員 撤回するものではないということでありますけれども、何度言ってもいたし方ないんですけれども、明らかにこれはA規約の後退である、理念の変更であると申し上げておかなければならないというふうに思います。

 ましてや、低所得者の対策にはその財源を高所得者に今求めているわけでありますので、私は全く、今大臣がおっしゃったことについては、大臣のお考えもあるだけに本当に残念でならなく、この内閣のこの下村大臣がこの無償から有償への転換をしてしまったということに、大臣のいろいろなお考えはあろうかと思いますけれども、やはり結果とするとそういうことになろうかと思います。

 そして、来年またいろいろな制度改革がある中で、こんなに急いでこれを推し進めなくても、その中できっちりと仕組みをみんなで考えればよいのではないのかなというふうに思うわけでございます。その点、指摘だけさせていただきたいと思います。

 質問を移らせていただきます。

 日本の終戦時など、戦争で国土が荒廃しインフラが破壊された状況では、社会インフラの整備に予算を投入し、経済、産業を興すことは大きな意味がありました。しかし、今日の日本のように経済的豊かさが先進国の先頭レベルに達した国は、予算の投資先は人に向かうべきであると考えております。社会の豊かさを牽引する役割がハードからソフトへと転換をしているからでございます。

 実際、ヨーロッパでは、高校教育のみならず大学教育まで無償化が実現をしています。自己責任と自由競争を追求するアメリカでさえも、高校教育は無償、大学は奨学金制度など、日本よりはるかに進んでいます。

 現政府は、国土強靱化政策と銘打って、再び公共事業に多額の予算を投入しています。一方、教育予算については、公私間格差の是正、低所得者対策といって、その財源を高所得者に求めようとしています。今の政府が行っているのは、途上国的発想だと言わざるを得ません。

 一つの家庭に例えれば、家は立派な家を建てて、子供には、家にお金がかかるから教育にはお金がかけられないんだと言っているのと同じことだというふうに思います。親であれば、ほかは我慢してでも子供にはいい教育を受けさせたいと思うのが親心だというふうに思っております。

 子供は社会の宝だなどと言いながら、子供にはお金をかけない、教育に予算をつけない。おかしいと思われませんでしょうか。

下村国務大臣 民主党政権のときにコンクリートから人へというのがキャッチフレーズになっておりましたが、私はコンクリートも人も必要だというふうに思っております。それは、三・一一の復旧復興の中で、我が国は諸外国に比べても大変に地震、災害等が多い国でありまして、これからも南海トラフや首都直下型の地震が起きる可能性がある中で、今から人の命とそして財産の被害を軽減させるための公共事業、これは必要なことだというふうに思います。

 二十五年度の国の一般歳出が約五十四兆円ある中で、公共事業が多い多いというふうに御指摘がありましたが、実際のところ五兆二千八百五十三億円で九・八%、決して多い数字とは思っておりません。文部科学関係の文教関係予算が、四兆六百六十一億円で七・五%でございます。

 ただ、御指摘のように、公共事業はともかくとして、文部科学予算は、私は率直に言って、これからもっと力を入れるべきだというふうに思います。それはやはり、人づくりが国づくりであり、国の根幹を形づくる最重要政策である教育の投資というのは、個人一人一人だけでなく、社会の発展の礎となる未来への先行投資と今から考えていく必要があるのではないかと思います。

 これから一人一人の国民の能力を最大限伸ばしていくチャンス、可能性を提供する、一人一人の生産性を高める、これは我が国が発展していくためには不可欠のことでありますから、そのために、地球規模のさまざまな課題に強い問題意識を持って、その解決に必要な創造的な思考力や行動力を兼ね備えた人材を今まで以上にしっかりと教育の中で投資をして育成するということを、これは新たに国家の明確なビジョン、理念として位置づける、そういうときに来たのではないかというふうに思います。

 そのためにも、教育再生への取り組みもさらに加速させ、新たな財源の確保方法も検討しつつ、教育予算の拡充を最重要課題として取り組んで、世界トップレベルの教育立国構築に向けてしっかり対応してまいりたいと思います。

    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕

青木委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃったことも含めてのまた質問を何点かさせていただきたいと思います。

 まず、先ほど来質問にも出ておりますが、この九百十万円の所得制限を入れた場合の申請の手続上のことなんですが、両親や教師にいろいろと面倒な負担を課すことになりますけれども、何らかの理由で親の所得証明書を入手できない場合、父親が失踪していたりですとか離婚調停中であるとかさまざまな理由でコンタクトがとれない状況にある場合、このような家庭に対してはどのような配慮が考えられているのか、お伺いをいたします。

前川政府参考人 ただいま御指摘のありましたような事情につきましては、やむを得ない事情があるかどうかということを確認して、それなりに対応していく必要があると考えております。

 所得の把握に当たりましては、先ほど来の御答弁で申し上げましたとおり、保護者の市町村民税所得割額を合算することで判断していくことにしているわけでございますけれども、現行の制度におきましても、就学支援金の加算の要件に当たるかどうかの判断に当たりまして、ドメスティック・バイオレンスでありますとか児童虐待でありますとか、そういったやむを得ない理由によりまして保護者のうちの一方または双方の証明書類が提出できないというような場合につきましては、それぞれの当該事情を明らかにした上で、片方の保護者または本人の所得のみによって判断するということもできることになっております。

 このような取り扱いは新制度でも変わることがございませんので、都道府県に対しましても改めて周知してまいりたいと考えております。

青木委員 そうなんですね、今御答弁にありましたように、その当該事情を明らかにしなければならないわけであります。

 安倍内閣は、国が秘密とすべき事項に関しては、特定秘密保護法案で厳罰をもって保護することには大変熱心でございます。しかし、高校生が授業料の免除を受けるためには、家庭の特殊な事情、内容によっては、その家庭にとっても、家族にとって誰にも知られたくない情報を第三者に開示しなければならない、可視化を要求されるわけであります。それが嫌なら支援を受けることができないということであります。安倍内閣は、国の権力を強化するということには大変積極的でありますけれども、国民の個人情報を保護することに対しては大変配慮が欠落しているなというふうに思っています。このような姿勢は安倍内閣の随所で今見られます。

 安倍内閣は国家が第一、国民は二の次という印象を受けておりますが、そのことについて、下村大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 特定秘密の保護に関する法律案というふうに、特定なわけですね、全てが機密ということではありません。我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについてその漏えいの防止を図ることを主な目的とするものでありまして、今回の高校無償化制度の見直しとは全く別次元の問題であるというふうに思います。

 所得確認書類の取り扱いに当たっては、これは御指摘のように個人情報を保護しなければならない、当然のことであります。その取り扱いについては、引き続き都道府県に対し、生徒、保護者のプライバシーに十分配慮するよう求めてまいります。

青木委員 そして、自民党の憲法改正草案を拝見いたしました。第二十六条に、第一項、第二項はほぼ変わりがありませんけれども、第三項が新設をされていました。その第三項に何が書かれていたかというと、「国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない。」とありました。

 これを読みますと、自民党の考える教育とは、国の未来を切り開く上で欠くことのできないものと位置づけをされています。すなわち、教育とは、子供たちの教育権、学習権を拡大して子供たちの可能性を開花するためのものではなくて、あくまでも国の未来を切り開く人材育成なのであるというふうに読み取れるわけであります。

 自民党安倍内閣においては、この教育においてもやはり国家が第一なんだ、国民はそのためにあるんだという考え方がここにも貫かれているように思うわけでありますが、この自民党の考える教育というのはどういうものなのでしょうか。

下村国務大臣 青木委員の解釈は曲解している解釈としか言えません。

 改めて、この憲法第二十六条に三項がなぜ追加になったのかということについてちょっと説明を申し上げたいと思うんですが、憲法第二十六条において、「全て国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。」、第二項が「全て国民は、法律の定めるところにより、その保護する子に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、無償とする。」現行法とほとんど同じような案文の中で、御指摘のように第三項でさらに、「国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない。」これを明記したわけでございます。

 このことによって、まさに我が国における教育のさらなる公的投資に対する、憲法で保障することによってより促進させるという大義名分を、責任を明確にしたというふうに思っております。

 我が国の社会の発展に向けて人材育成は極めて重要なことでありまして、国民が充実した教育を受けられるということを権利として明確に定める。そのことを国の義務とするということによって、我々は、大学教育まで含めてできるだけ公的支援をさらに拡大することによって、憲法で保障されたことを担保にすることによって、教育投資に対する促進の糧にもしていきたいというふうに考えておりまして、教育にさらに力を入れるということであります。

 一人一人の豊かさの享受は教育によってさらに可能性が拡大していく、一人一人の豊かさが結果的には国の豊かさにつながる、そういう根本からの憲法理念としての教育の位置づけです。

青木委員 下村大臣のおっしゃることはわかるので、一人一人の豊かさがあってそれが国の未来につながっていくという方向であればわかるのですが、この自民党の憲法草案はわざわざこれを新設したというところに、またかという思いがしたわけなんです。社会保障もそうでした。やはり自助自立を強調されている。

 この間の安倍内閣に私は期待するところも実はあったんですけれども、安倍総理の行動力に、もちろん原発以外はですけれども。ここへ来て次から次へと、憲法改正、集団的自衛権、特定秘密だとかいろいろなことが出てきて、経済対策もちょっと見えにくくなっていて、とても今、国家権力を強化する方向に行っているのではないかというふうに率直にそういう印象を受けるものですから、この自民党憲法草案を拝見して、教育にまでも及ぶのかというふうに思ったものですから、質問させていただきました。

 下村大臣の考え方、思想をぜひ貫いていただきたいというふうに思いますし、今回、無償が有償に変わるというこの理念の大転換というのは、これは本来下村大臣はそう本当に思っていらっしゃるのかどうなのかということをここで突き詰めてもしようがないんですけれども。

 この委員会でこれから採決になるということも決まっておりますので、この質疑がよりよい方向に、この委員会の役割というか、そういうものも今後とも考えていかなきゃいけないのかなというふうに思うところであります。

 ぜひ、子供の幸せ、子供の未来のために教育があるということで、これからも大臣の御尽力をお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小渕委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 この法案、いよいよ最後の質問者ということで、私ももう少し議論した方がいいのではないかというふうにも思いますが、まず最初に、大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 前回の委員会で大臣に対して自民党の選挙公約との関係でお尋ねをした際に、大臣は、財源がないからこのような法案を出させていただいている、理想論的に言えば、財源を確保して無償化等の枠をぜひ広げていくことを目指していきたいというような内容の答弁をされました。

 あわせて、今ほども議論のありました国連人権規約についても、中等、高等教育の無償化の漸進的導入と照らし合わせれば、大臣のお考えは、高校授業料については、今回の改正が終着点ではなくて、無償化に向けて随時最大限の努力を今後も続けていくということで受けとめてよろしいのでしょうか。

下村国務大臣 おっしゃるとおりです。限られた財源をより有効的に活用する観点から、所得制限を設け、捻出した財源を低所得者支援や公私間格差の是正に充てることとしたわけでございますが、今、同時並行で、教育再生実行会議の中で六・三・三・四制の見直し議論に入っていただいておりますけれども、六・三・三・四制の見直しだけでなく、義務教育期間の見直し、そしてそれと連動して、義務教育と重なるわけではありませんが、無償化期間の見直し、これも一緒に議論をしていただいています。

 つまり、できるだけ公財政負担をさらにふやすことによって、教育における全ての子供たちにチャンス、可能性を提供する、そういう方向をぜひ目指していきたいと思います。

吉川(元)委員 私は今回の法案については反対ではありますが、ただ、今言われましたとおり、今後、随時最大限の努力をしていただきたいというふうにも思います。

 それで、葉梨財務政務官に来ていただいております。先ほど、宮本委員からも厳しい質問がたくさん届いておりました。内容的には同じことなんですが、先ほども、今、予算編成の過程にある、確約できないというようなお話もありました。

 ただ、一方で、この十一月の時期から中学校の三年生は、高校受験に向けて、進路指導あるいは進路の選定に今は入っております。学校の先生も、終わった後も、進路指導やあるいはそのための資料の作成で夜遅くまで残っております。

 その中で、今回、低所得者対策、公私間格差の是正、あるいは給付型の奨学金の創設等々いろいろ文部科学省の方で考えておられることがあります。恐らく、この進路の選定の際にこれらのことについては、当然、中学校の三年生、あるいはそこの御家庭、あるいはその学校において、考慮して進路選定を今進めている最中です。

 その中において、与党合意を尊重されるということも答弁はされておりますけれども、ただ、あけてみたら、実は文科省が求めていたものがかなり落ちていたあるいは部分的にでも落ちていたというようなことになれば、どういうふうに言えばいいのかわかりませんけれども、はしごが外された、中学校三年生にとってみれば、予定していたものが入ってこなかったというようなことにもなりかねないという、その点も非常に私は憂慮しておりますので、ぜひきちんとした予算編成をしていただきたいと思いますが、この点についてはいかがですか。

葉梨大臣政務官 先ほども答弁させていただきました。八月二十七日の与党合意、すなわち、「所得制限により生み出された財源は、高校生等の教育費負担の軽減に必要な経費に充てる。」「教育費負担の軽減のための具体的施策として、以下の事項を実施する。」ということで、幾つか具体的な施策が書かれております。これについては、まさに我々財務省としても、しっかり尊重して検討していきたいと思います。

 そして、いずれにしても十二月の末までには予算として決定をしていかなければいけないことでございますので、そこら辺のところも、予算編成が終わった後、早急にアナウンスをしていきたいと思っています。

吉川(元)委員 政治の、あるいは予算編成上の都合で中学校の三年生あるいはそこの御家庭が苦労されるようなことがないように、ぜひ配慮していただきたいというふうに思います。

 次に、就学支援金の手続について何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 今回は、その受給資格の認定に当たっては、保護者の市区町村住民税所得割の合計によって判断をするということと承知しております。この場合、いわゆる利子や配当等々の金融割についてはこれは入っていないというふうにも聞いておりますが、なぜそのような所得割の手法をとったのかをお知らせいただければと思います。

前川政府参考人 生徒の世帯の所得を把握する方法といたしまして、市町村民税所得割額で判断するということが最も公平かつ合理的であると判断したものでございます。

 先生御指摘の利子配当、株式譲渡所得に係る収入につきましては、これは、原則、金融機関や株式発行会社が個人住民税を特別徴収するということで、申告が不要となっております。市町村民税所得割の課税所得には反映されていないということでございます。

 ただし、大口株主分の株式配当の場合などは、申告が必要となりますために、市町村民税所得割の課税所得には反映されるということになっております。

吉川(元)委員 手続上の問題等々あるとは思いますが、いわゆる金融から得た所得というものも反映されないというのは、ちょっとやはり私も疑問に感じざるを得ません。

 それから次に、家計急変ということで少しお伺いをしたいというふうに思います。

 今回の法案、成立をすれば、来年四月から実施ということです。来年四月に所得割の書類を提出をするわけですけれども、御存じのとおり住民税というのは、過年度に対する課税です。なおかつ、来年四月というのは、二年前の所得に対しての証明書しか手に入れることはできません。当然、すぐに六月には前年度の所得に対する住民税のものが出てまいりますが、非常に古い所得をもとにした判断ということになっていくんだろうというふうに思います。

 私、危惧しておりますのは、来春、消費税が引き上げられるということになっております。五%から八%に引き上げられる。もちろん政府の方では、四月以降四、五、六の経済指標については悪化をする可能性が高いということで、大型の補正、経済対策を打つというようなことも伺っております。ただ、経済は水ものですし、経済がどのようになるのか。あの九七年のような事態が発生しないとも限りません。

 そういった場合、家計の急変、特に、失業あるいは倒産といったことも起こり得る。そういう場合に、前年度は確かに所得がたくさんあった、しかし、ことしに入って、あるいは四月以降に失業したり倒産したりという場合も十分に考えられるというふうに思います。

 家計急変に対する対策についてどのように考えておられるのか、お聞きします。

下村国務大臣 これは、吉川委員御指摘のように、保護者等の失職、倒産など家計急変により収入が激減した場合に、就学支援金の給付額に反映されるまでに長期間支援を受けられない、そういう可能性があります。このような生徒が安心して就学できるよう、緊急の支援がやはり必要だと思います。

 文科省としては、この家計急変が就学支援金の支給額に反映されるまでの間、既に私学の方で実施されている就学支援金と同様の支援を、各地方自治体等が授業料減免を実施した場合に、二分の一を補助する制度を導入することによって対応を考えていきたいというふうに思います。

 この家計急変の定義については地方自治体ごとに設定することになりますが、死亡証明書、離職届、あるいは雇用保険受給資格者証、このような証明で家計急変の状況を確認することを想定をしております。

吉川(元)委員 いずれにしても非常に手続が煩雑といいますか、複雑になってくるというふうにも思います。

 それで、今回、先ほども言いましたとおり、一年生のときには四月の段階でまず提出をする、六月の段階でもう一度書類を提出をする、翌年以降は年一回で済むというふうにはなりますけれども、計四回申請を繰り返さなければいけないということがあります。また、今ほども言われたとおり、家計の急変があれば、それに合わせてその都度申請をし直すというようなこともあります。

 本来、無償化であればこのような煩雑な手続というのは、これまでのことでいえば、多くの生徒にとっては不要であったわけですけれども、心配するのは、高校生を持つ世帯でこの手続を全てしっかりできるのかということです。

 申告漏れや正確な就学支援が受けられないような世帯が出ることのないよう、しっかり周知していかなければいけないというふうに思いますけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。

前川政府参考人 世帯の所得を確認するという事務は現行制度においてもあるわけでございまして、私立学校の高校生の世帯所得が三百五十万円未満あるいは二百五十万円未満の生徒につきましては、就学支援金の加算がございます。

 それに該当する生徒につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたとおり、一年生に入ったときの四月、その年の六月、それから二年生、三年生のそれぞれ六月、この時点で所得を確認するための書類を出していただくということが必要になりますので、三年間の高校生活を通じて計四回、そういう証明書を出していただくという手続が必要になってまいります。

 こういった手続が今後は公立高等学校の生徒についても必要になってくるということでございますが、こういったことにつきまして、もちろん、なじみのない生徒や保護者も多いと思いますので、この点につきましては十分周知を図っていく必要があると考えております。来年の受験を控えた受験生あるいは保護者につきましては、特に速やかな周知が必要であると考えております。

 法案が成立いたしました暁には、速やかに、リーフレットを作成し配付する、あるいはホームページに情報を掲載する、その他の方法によりまして、十分な周知を図る努力をしてまいりたいと考えております。

 また、現在も、この制度についての照会に応じるために、文部科学省に高校就学支援ホットラインというものを設けております。これを利用いたしまして、国民の皆様を初めといたしまして、都道府県あるいは学校等の関係者からの問い合わせにつきましても、ワンストップで対応してまいりたいというふうに考えております。

 さらに、生徒や保護者の方々に手続等を直接説明していただくことになりますのが主に地方公共団体になると思いますので、その地方公共団体の担当者の方々に対しましても、説明会を開催いたしましたり、あるいは事務処理に必要なマニュアルを作成、配付したりいたしまして、十分対応を図ってまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 しっかりとした対応をよろしくお願いをいたします。

 この委員会等々でも、前回もお話しさせていただきました九百十万円という所得の線を引くそのラインの問題についても、少し私は疑問に思っております。

 といいますのも、いわゆる一馬力で九百十万を超えている世帯、これは比較的所得が高いというふうにも考えられます。ただ、所得税の累進性というものが日本はもちろん取り入れられておるわけです。現在は六段階です。五%、一〇%、二〇%、二三%、三三%、四〇%、六つの段階に所得税の累進性のいわゆるブラケット幅というのが決まっております。これを見ますと、課税所得が三百三十から六百九十五というのは、三百三十を超えて六百九十五までの課税所得に対しては、二〇%の税率がかかります。これは半分より下です。下から三番目、上から四番目のブラケットの中に入っております。

 今回、九百十万円ということで上限を設けましたが、ここからさまざまな控除、基礎控除や給与所得者の場合は給与所得控除、あるいは社会保険料の控除等々があります。これを引いていくと、九百十でいうと、課税所得でいうと五百万円を少し超えるレベルです。今ほども言いましたとおり、所得税の方でいいますと、六段階ある累進性の中の下から三番目の部分まで、高所得者という形で授業料の無償化をやめるという形になります。

 また、非常に危惧するのは、今回は家計の合算ということです。共働きの場合、例えば一番極端な例を言いますと、四百六十万円と四百五十万円であれば、合わせれば九百十万円で、これは対象から外れるという形になります。同じ会社で、部長さんが八百ウン十万円の所得がある、その部下が四百五十万、六十万で、ただし共働き、そうなると、部長さんのところは就学支援金が出ますけれども、部下のところは、九百十万を超えたからそこは無償化ではありませんよ、払ってもらいますよ、そういういびつな形が生まれることも十分に考えられます。

 私は、前回の参考人のところでも、この点について参考人の方々からも非常に危惧をする声も聞かせていただきました。この点について、生徒たちに与える影響についてどのように考えておられるのか。

前川政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、世帯の所得を把握するために最も公平で合理的だろうと考えられるものが、世帯の保護者の収入を合算した上で、その市町村民税所得割額で判断するということでございます。

 これは、市町村民税所得割額で見た場合には、夫婦二人、子供二人、そのうち一人が高校生、一人が中学生以下というケースで見た場合に、九百十万円、これを所得基準としておるわけでございますけれども、その場合の市町村民税所得割額は三十万四千二百円になるわけであります。この三十万四千二百円というものを一律の基準として設定しよう、そうすることで、最も公平かつ合理的な方法で所得が把握できるというふうに考えているわけでございます。

 この三十万四千二百円という市町村民税所得割額というのは、これは、実は家族構成が反映された控除の後の課税所得が反映されるものでございますので、家族構成によりましては、この収入額というのは変わってまいります。同じ市町村民税所得割額が三十万四千二百円でありましても、片働きで高校生が二人、大学生一人というような五人家族、例えばそういうケースを見ますと、これは、一千万円を超える収入の場合であっても給付の対象になるということでございます。

 あるいは、夫婦片働きで、高校生一人、一人が大学生という四人家族の場合でありましても、九百六十二万ということでございます。

 共働きの場合でございますと、これは配偶者控除がないわけでございますけれども、共働きの場合で高校生一人、中学生一人というケースでございますと、やはり、一千万円を超える所得のケースにつきましても対象になってくる。

 いずれにいたしましても、この九百十万円という数字は、夫婦のうちの片方が働いている、高校生が一人、中学生以下が一人という家族構成を前提にして設定したものでございますので、この市町村民税所得割額を一律に見た場合には、家族構成が反映された結果、それぞれの実際の世帯の収入額というものは変わってくるということで、これは合理的な方法として考えているところでございます。

吉川(元)委員 今、三十万何がしというお金が出ました。これを六%で割り戻すと、五百万をちょっと超えるぐらいです。まさに所得税の世界では、上位、中位、下位ということで見ると、所得税の世界では中の下の所得しかない方を高所得者として、そこから無償化をやめるという。これはやはりちょっと、高所得者というふうに言うのが、その所得税のブラケットの幅の持ち方、これが問題があるということもありますけれども、一貫性が少しないような気もいたします。

 最後に一点だけ大臣の方に。自治体の予算の関係ですけれども、今回さまざまな、公私間格差あるいは低所得者への支援等々が行われます。私、非常に心配をするのは、これまで自治体独自で行ってきたさまざまな対策、施策が、これを機に、では、国がやるからもうやめましょうということにならないように、ぜひ御努力をいただければと思います。この一点だけ質問させていただきたい。

下村国務大臣 まず確認ですが、今回、所得制限対象になるのは約二割ということでございますので、相対的な上位の二割ということで、相対的には高所得者層という、相対論としては言えると思います。

 それで、都道府県で授業料減免に充てていた財源については、さらなる低所得者層への支援や中間所得者層の就学支援の拡充に充てていただくよう、各都道府県に要請してまいりたいと思います。

吉川(元)委員 終わります。ありがとうございました。

小渕委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。菊田真紀子君。

菊田委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、政府提出の公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 二〇一〇年度にスタートした高校無償化制度の理念は、保護者等の所得にできる限り影響されることなく子供たちの学習権を保障していくことにあります。本法律案に盛り込まれた所得制限の導入によって多くの子供たちが支援金を受けられないことになれば、そもそも法制定の理念を大きく後退させるものとなり、到底受け入れられるものではありません。

 世界的に見ても、ほとんどの主要先進国で、いわゆる高校は無償です。さらに言えば、無償とされている国々では所得制限は課されておりません。本法律案を成立させてしまうことは、中等、高等教育無償化の漸進的導入を定めた国際人権A規約の趣旨に逆行することはもとより、世界に向けて日本の教育政策は後退したとのメッセージを発信することになるものと考えます。

 また、生徒の進路選択への影響、学校現場などへの過大な事務負担の増大、さらには子供たちへの精神的な影響など、数多くの弊害と懸念が指摘されております。

 民主党は、今回政府が実施しようとしている中低所得者層への支援の拡充や公私間格差の是正には賛成です。しかしそれは、所得制限を導入することによって財源を確保するのではなく、教育予算をふやすことによって実施していくべきものだと考えます。

 主要先進国と比べても我が国の教育に対する投資は低く、保護者の負担に頼っている部分が大きいという現実があります。公共事業関係予算などを増額させる一方で、教育財源が限定されていることを理由に所得制限を導入する対応は、現政権の教育への後ろ向きな姿勢、とりわけ、人を軽視する姿勢があらわれていると言わざるを得ません。

 理念をねじ曲げ、拙速に所得制限導入という結論を出すのではなく、与野党でしっかり協力、議論をして、教育のあり方、人への投資の重要性、そして、財源配分を見直し、教育予算を充実させることによって、高校無償化制度をよりよいものとしていくことこそ本来の教育政策ではないでしょうか。

 我が国は人材こそが資源であり、教育は未来への投資です。民主党は、引き続き、教育の無償化、教育における保護者負担の軽減に取り組んでいくことを申し上げ、私の反対討論といたします。

 以上です。

小渕委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 私は、日本共産党を代表して、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案に、反対の立場から討論いたします。

 まず、審議が尽くされていないにもかかわらず、我が党の反対を押し切って質疑終局したことに抗議を申し上げたいと思います。

 以下、反対する理由を申し述べます。

 第一に、本法案が、公立高校授業料無償制度を廃止し、無償教育から有償教育へと改変していることです。

 我が国が昨年留保を撤回した国際人権A規約にも明記されている、教育を受ける権利を無償教育の実現により保障していく世界の流れに逆行するものです。

 第二に、就学支援金の支給に所得制限を導入することです。

 高額所得者に応分の負担を求めるのなら税制により対応すべきで、所得制限を導入することではありません。

 第三に、本法案は、所得制限導入により予算を削減することのみを規定し、削減された予算の使途について明確になっていないことです。

 所得制限により生み出された財源で教育費負担の軽減を実現するとしていますが、質疑で明らかになったように、現時点では、そもそも実施するかどうかさえ定かではありません。

 公私間格差の是正、給付制奨学金の創設は、直ちに取り組むべき課題です。それは、所得制限の導入に財源を求めるのではなく、諸外国に比して立ちおくれた我が国の教育分野の公財政支出を対GDP比でOECD諸国並みを目指し、予算を抜本的に拡充することで解決すべきです。

 第四に、本法案により、就学支援金の受給に所得証明の提出が義務づけられることです。

 公立高校での新たな事務の発生など、都道府県、学校、とりわけ保護者に新たな負担となります。また、保護者が受給を申請しなければ、授業料を支払わなければなりません。非正規雇用などで所得把握が難しい保護者が申請できないなど、真に困窮する家庭が支援から排除されかねません。

 以上、反対する理由を申し述べ、討論を終わります。

小渕委員長 次に、青木愛君。

青木委員 私は、生活の党を代表し、反対の立場で討論いたします。

 反対の理由の第一は、高校、大学までの段階的な無償化を定めた国際人権A規約の適用を長年にわたり留保してきた問題を、民主党政権になって、ようやく昨年撤回しました。しかし、今回の改正案は、原則無償を撤回し、原則有償、低所得者層で支援を希望する者は申請せよということで、無償から有償への理念の変更であります。高校教育無償化の大きな後退が反対の理由です。

 反対の第二は、所得制限を導入することにより、子供たちが同じ条件で教育を受ける権利がゆがめられることです。保護者の所得の高低に応じてクラスの中に授業料を払う生徒と払わない生徒ができ、精神的に敏感な高校生たちに無用な心労を感じさせる環境をつくってしまうことです。

 反対の第三は、父親が失踪しているとか、離婚調停中が原因で夫婦が別居しているなど、複雑な家庭環境にある子供が授業料免除の手続を行う場合、所得を初め、誰にも知られたくない家庭状況を第三者に開示しなければならないケースもあるということです。

 第四に、諸般の事情で手続をしない場合は授業料は免除されず、その結果、経済的理由で学業を断念せざるを得なくなることです。

 第五に、安倍内閣に強く貫く国家が第一という考えがこの法案の根幹にも存在することです。

 最後になりますが、子供教育の健全な拡大を強く希望し、本法案への反対討論といたします。

小渕委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部改正案に反対の立場から討論を行います。

 反対の第一の理由は、所得制限の導入で、いわゆる高校授業料無償化制度ではなくなり、中等、高等教育の無償教育の漸進的導入を定めた国連人権規約からも後退することになるからです。

 第二の理由は、低所得者世帯に就学支援金の上積みをし、給付型奨学金制度を創設すること自体には賛成ですが、その財源捻出のために所得制限を設けようとしている点です。世帯年収九百十万円が就学支援を不要とする世帯であるという根拠は全くありません。ましてや、年収九百十万円以上の世帯は、特定扶養控除の廃止により、現行制度導入前と比べ負担増だけが残ることになってしまいます。

 第三の理由は、所得制限を設けたことが、所得格差の是正あるいは教育の機会均等といった課題を高校生の子供を持つ世帯の問題にしてしまった点です。これでは、社会が教育を支えるという理念から離れ、教育を、子供を持つ家族の責任に帰すことになりかねません。

 以上の観点から、政府案に反対します。

 最後になりますが、下村大臣は、教育費の公的支出の現状について、OECD加盟国内で日本は後進国であると答弁をされました。にもかかわらず、財務省は教員数や教員給与の削減を主張しております。この現状において、下村大臣には、戦う文部科学省の先頭に立って教育予算の充実に尽力していただくことを切に要望し、私の討論といたします。

小渕委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小渕委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、中根一幸君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、みんなの党、生活の党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。笠浩史君。

笠委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 本法施行後三年を経過した後、低所得世帯への支援の拡充の状況及び公私間の教育費負担の格差是正の状況等を勘案しつつ、教育の機会均等を図る観点から、政策の効果を検証した上で、必要な措置を講ずるものとすること。

 二 就学支援金の受給資格の認定に当たっては、本来就学支援金の支給対象となる者が漏れないよう十分配慮すること。

 三 本制度の趣旨・内容について、関係者に対する周知・説明を十分に行い、特に、進路選択の時期に当たる中学三年生の生徒及び保護者に対し、特段の配慮を行うこと。

 四 就学支援金の受給資格の認定に当たっては、家庭環境等も考慮し、教育費を支出することが困難な者に特段の配慮を行うこと。また、急な家計変動が生じた者に対し特段の配慮を行うこと。

 五 就学支援金の受給資格の認定に当たっては、プライバシーに関して十分配慮すること。

 六 就学支援金の受給資格の認定に当たっては、自治体や学校現場に相応の事務量が発生することに鑑み、そのための条件整備に努めること。

 七 教育は未来への投資であることに鑑み、就学支援金については、将来的に所得制限を行うことなく、全ての生徒に支給することができるよう必要な予算の確保に努めること。また、引き続き教育費負担の軽減を図るとともに、一層の教育予算の拡充に努めること。

 八 所得制限を導入することにより捻出される財源によって創設される予定の奨学のための給付金など高校生世帯の教育費負担軽減施策については、その確実かつ継続的な実施を図るため、平成二十六年度予算の編成を通じ、最大限努力すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

小渕委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小渕委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下村文部科学大臣。

下村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

小渕委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小渕委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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