衆議院

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第4号 平成27年4月15日(水曜日)

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平成二十七年四月十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 福井  照君

   理事 池田 佳隆君 理事 石原 宏高君

   理事 冨岡  勉君 理事 萩生田光一君

   理事 義家 弘介君 理事 郡  和子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      安藤  裕君    尾身 朝子君

      大見  正君    門山 宏哲君

      神山 佐市君    工藤 彰三君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      谷川 とむ君    馳   浩君

      鳩山 邦夫君    船田  元君

      古川  康君    古田 圭一君

      前田 一男君    宮川 典子君

      山本ともひろ君    菊田真紀子君

      中川 正春君    平野 博文君

      松本 剛明君    柚木 道義君

      笠  浩史君    遠藤  敬君

      坂本祐之輔君    鈴木 義弘君

      初鹿 明博君    中野 洋昌君

      吉田 宣弘君    大平 喜信君

      畑野 君枝君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 佐野  太君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 露木 康浩君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 上冨 敏伸君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      関  靖直君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            生田 正之君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  上西小百合君     坂本祐之輔君

同月十五日

 辞任         補欠選任

  前田 一男君     穴見 陽一君

  笠  浩史君     柚木 道義君

  鈴木 義弘君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     前田 一男君

  柚木 道義君     笠  浩史君

  遠藤  敬君     鈴木 義弘君

    ―――――――――――――

四月十四日

 文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

同月七日

 学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(山井和則君紹介)(第六八五号)

 同(泉健太君紹介)(第六九二号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(河野正美君紹介)(第六八六号)

 同(橘慶一郎君紹介)(第六八七号)

 同(玉城デニー君紹介)(第六八八号)

 同(田島一成君紹介)(第六九一号)

 同(田島一成君紹介)(第六九三号)

 同(原田義昭君紹介)(第六九四号)

 同(田島一成君紹介)(第七二一号)

 同(石崎徹君紹介)(第七四八号)

 同(松野頼久君紹介)(第七七三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七七四号)

 同(小野寺五典君紹介)(第七九七号)

 同(田島一成君紹介)(第八一三号)

 教育予算の増額、教育費の無償化、保護者負担軽減、教育条件の改善に関する請願(河野正美君紹介)(第六八九号)

 同(原田義昭君紹介)(第六九六号)

 学校に正規の現業職員を必ず配置するよう法制化を求めることに関する請願(務台俊介君紹介)(第六九五号)

 旧国立競技場にあった壁画を新競技場に戻すことに関する請願(笠浩史君紹介)(第七二〇号)

 教育予算の増額、教育費の保護者負担軽減、教育の無償化、教育条件の改善に関する請願(中根康浩君紹介)(第七四九号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(宮本岳志君紹介)(第七七五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

福井委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長佐野太君、警察庁長官官房審議官露木康浩君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、法務省大臣官房審議官上冨敏伸君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長関靖直君、初等中等教育局長小松親次郎君、高等教育局長吉田大輔君、高等教育局私学部長藤原誠君、スポーツ・青少年局長久保公人君及び厚生労働省職業安定局長生田正之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浮島智子君。

浮島委員 おはようございます。公明党の浮島智子でございます。

 本日は、パラリンピック教育についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 日常の生活の中にこそ、私は大切な本質があると思っております。そんな中、私たち大人は今、子供たちの健やかな成長のための環境を提供できているのか、最近疑問に思うことがございます。

 最近私も、あるレストランに行きましたら、親子で楽しい食事をされている光景がありました。でも、本当にそれは楽しい光景かなと疑問に思いましたのは、子供たちみんながスマホをやっておりました。お父さんもやっておりました。そして、お母さん一人がバイキングであっちへ行ったりこっちへ行ったり、家族の前に御飯を運んでいるという光景を見て、とても驚いたんです。

 私もアメリカで長い間生活をしておりましたけれども、向こうの場合は、家族で食事をするときに、食卓、食事もそうですけれども、メーンが会話、会話がメーンで、それに御飯がついている。そこで多少の子供たちの変化なりが素早く発見できる等々、いろいろなことを学ばせていただいたことがございました。

 そんな中で、信州大学の山沢清人学長が、ことしの入学式で信州大学の新入生に対しまして、スマホやめますか、信大生やめますかと訴えたことは賛否両論起きていることがありますけれども、山沢学長の危機感、私もよく理解ができるところでございます。

 また、スマートフォンなどの情報機器を今さら禁止することはとても難しいと思います。私たち大人がすべきことは、スマホやバーチャルな世界では得られない感動を子供たちに届けることが責務ではないかと思っております。その最大の素材が二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会であることは言うまでもありません。

 東京都は、本年度、オリンピック・パラリンピック教育推進校として六百校を指定し、オリンピアン、パラリンピアンや在日外国人アスリートの学校派遣、学習の読本などの作成にも取り組んでいると私は伺っているところでございます。

 また、先日セーフティープロモーションスクール第一号に認定されました金竜小学校のある台東区では、オリンピック・パラリンピック教育プランを作成し、スポーツ・健康、おもてなし、国際理解、こころざし、ユニバーサルマナー、この五つを、領域ごとに具体的な取り組みを進めていると伺っております。

 筑波大学の大塚特別支援学校も、ボルト選手へのビデオレターやジャマイカ大使館訪問、柔道の杉本美香選手との感激の対面などの活動を通じて、子供たちの自尊感情を高めたり、前向きな姿勢になったりと着実な成果を上げているということを伺っているところでございます。

 このように、オリンピック・パラリンピック教育が各地で行われ、子供たちに本物の感動を届けている中で、全国の小中高校、特別支援学校のカリキュラムの全国的な基準である学習指導要領を見て、私は驚きました。学習指導要領に、パラリンピックという言葉がありませんでした。なぜ、これまでこのパラリンピックという言葉がなかったのか。

 小中学校の社会科では、昭和三十九年の東京オリンピックが、戦後の我が国社会の発展において、役割等について学ぶ。中学校の保健体育では、オリンピックが国際親善や世界平和に大きな役割を果たしていることを前提に、器械運動、陸上競技、水泳、球技、武道のそれぞれの分野で、オリンピックとのかかわりを教えることになっている。また、高校では、オリンピックムーブメントとドーピング、オリンピック憲章の考え方に基づくIOCの役割、オリンピックにおけるボランティア、オリンピズムという考え方についても触れています。しかし、パラリンピックという言葉は一つも見当たりません。

 なぜ保健体育の学習指導要領にパラリンピックという言葉がないのか、理由をまず伺いたいと思います。スポーツ・青少年局は結局オリンピックにしか関心がなくて、パラリンピックは福祉の祭典で、自分たちの担当ではないと思っていたのでしょうか、お伺いをいたします。

久保政府参考人 現行学習指導要領の保健体育におきましては、先生御指摘のとおり、オリンピックや国際的なスポーツ大会などは国際親善や世界平和に大きな役割を果たしていることを取り扱うこととされております。

 このような形で、オリンピックと比べましてパラリンピックは、国際的なスポーツ大会の中に位置づけられているということで、やはり扱い方に差がございました。やはりこれは、前回の改訂時は、オリンピックは文部科学省、パラリンピックは厚生労働省がそれぞれ所管していたことなどもあったかと思います。

 それが、二十三年六月に全会一致で制定されたスポーツ基本法におきまして、障害者スポーツについて明記されましたこと、さらに、二十四年度に策定いたしましたスポーツ基本計画において、政策目標としてパラリンピックを明記するようになったことと、そして、二十六年度には障害者スポーツを文科省に一元的に移管したこと等によって、その機運がだんだん高まってきたものと考えているところでございます。

浮島委員 今おっしゃっておりましたけれども、私は、そのような理由で保健体育にパラリンピックという言葉がなかったことは理解ができません。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、学習指導要領の改訂が行われておりますが、オリンピックについて詳しく教えている保健体育においてパラリンピックという言葉もしっかりと明記し、保健体育の授業で教えるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

下村国務大臣 私が文部科学大臣になって最初にしたことが、当時は田村厚労大臣ですね、パラリンピックは今の話のように厚労省の担当でありましたが、これはもうスポーツの一環としてぜひ文部科学省でオリンピックとパラリンピックを一緒にさせてほしいということで、厚労省から文科省にパラリンピックについても移管をしていただいたという経緯がございます。

 今の御指摘、大変重要なことであります。現行の学習指導要領の保健体育科においては、中学校ではオリンピックや国際的なスポーツ大会などは国際親善や世界平和に大きな役割を果たしていることについて、また、高等学校ではオリンピックムーブメントについて、それぞれ取り扱うこととなっているだけであります。

 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催を契機に、子供たちが、勇気、決断、感動、平等といったパラリンピックの価値について、さまざまな発達段階において一層理解を深めることは有意義であるというふうに考えます。

 現在、中教審において初等中等教育における教育課程の基準等のあり方について御審議いただいているところでありますが、浮島議員の御提言も踏まえまして、オリンピックと同様に、パラリンピックを学習指導要領に位置づけることについても検討してまいりたいと思います。

浮島委員 前向きな御答弁ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いいたします。

 もちろん、学習指導要領にパラリンピックという言葉を明記することは、目的ではなくて手段でございます。

 目的は、オリンピック・パラリンピックについて学び、体験することによって、二〇二〇年の東京大会が終わった後も、それから終わった後が私は重要だと思っておりますけれども、この東京大会での感動をもとに、多様な文化や背景を持つ他者を尊重することや思いやり、フェアプレー、ボランティア精神なども含めたレガシーをいかに子供たちにしっかりと根づかせるかということが大切であり、それでこそ、スマホに支配されるのではなく、スマホを道具として使い、主体的に人と触れ合う市民を育成することができると私は思っております。

 そのためには、保健体育だけではなくて、さまざまな教科などでオリンピック・パラリンピックのレガシーが根づく教育を行うことが重要であると考えます。

 先日、教科書検定の結果が発表され、平成二十八年度から使用される中学校の教科書においても、英語や理科、数学でも東京オリンピック・パラリンピックが素材として登場し、さらに、先月、考える道徳、そして議論する道徳に転換するために学習指導要領を改正した道徳も重要になってまいります。感動する心、勇気そして希望、努力と強い意志、礼儀、相互理解、寛容、公正公平、国際理解、国際親善、道徳で重視している価値の全てにかかわっていると言っても過言ではないと思います。

 今回初めてできる道徳の教科書の題材として、これ以上ふさわしいものもないと私は思っております。総合学習や特別活動での活用も考えられると思っております。

 しかし、ここで問題となるのは、パラリンピックのレガシーとは何かについて必ずしも明確になっていないことでございます。

 オリンピックについては、オリンピック憲章において、努力のうちに見出される喜び、よい手本となる教育的価値、社会的責任、普遍的、基本的、倫理的諸原則の尊重に基づいた生き方の創造、友情、連帯そしてフェアプレーの精神に基づく相互理解、人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別の禁止といった原則が掲げられており、まさにこれがレガシーだと思います。

 他方、パラリンピックの基本理念は必ずしも明確ではありません。

 そこで、スポーツ・青少年局長にお伺いしたいと思います。

 まず、オリンピックでいえばオリンピック憲章のような、パラリンピックレガシーを構成する基本的な理念を御説明願いたいのと、また、パラリンピックの基本理念を子供たちにわかるようにしっかりとした説明資料をスポーツ・青少年局として学校に配布するべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

久保政府参考人 パラリンピックのレガシーに関しましては、国際パラリンピック委員会におきましては、パラリンピアンがその困難や身体的能力、社会的障壁を乗り越えようとする姿などをパラリンピックの価値として位置づけておりまして、ホームページ上は、勇気、決断、感動、平等といったことがパラリンピアンの目指すレガシーとして掲げられてございます。

 文部科学省におきましては、二〇二〇年に向けまして、パラリンピックの価値や理念、障害者に対する国民の理解を深めますとともに、パラリンピックへの関心を一層高めるために、オリンピック・パラリンピック教育に関する有識者会議を設置して検討を進めておりますとともに、具体的な教育方法についての調査研究を行っております。

 また、今後、全国の学校でオリンピック・パラリンピックの意義、役割などの教育を促進するための指導参考資料、映像教材などを作成することといたしておりまして、これらの取り組みも踏まえまして、学校や地域におけるオリンピック・パラリンピック教育を幅広く展開していくように努力してまいりたいと考えております。

浮島委員 まず、しっかりとパラリンピックの基本的な理念が子供たちに伝わるように、スポーツ・青少年局として確実な取り組みをしていっていただくようにお願いをいたします。

 その上で、オリンピック・パラリンピックの教育の充実についての有識者会議を主宰している丹羽副大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けまして、また開催後を見据えまして、多様な文化、背景を持つ他者を尊重すること、思いやり、フェアプレー、ボランティア精神などを含めた東京オリンピック・パラリンピックのレガシーを子供たちにしっかりと根づかせるために、学校教育活動全体でこれに取り組み、いかにレガシーを引き継ぐかという観点から学習指導要領の見直しを図るべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

丹羽副大臣 オリンピック・パラリンピック教育においては、文部科学省内において有識者会議を設けさせていただいております。既に今まで二回の議論を重ねており、今週十七日に第三回目の会議を行うことになっております。

 そういった中で、浮島先生御指摘のように、次世代を担う子供を育む上で、非常にこのオリンピック・パラリンピック教育は重要なことだというふうに受けとめております。

 二〇二〇年の東京大会の開催に向けての取り組みといたしまして、オリンピック・パラリンピックに関する教育を通じて、子供たちのスポーツやオリンピック・パラリンピックの価値に対する関心を高めていかなければなりません。

 文部科学省といたしまして、全国の学校でのオリンピック・パラリンピックの意義、役割などの教育を推進するための指導参考資料の作成経費を本年度予算に計上させていただいております。

 また、来年度から使用されます道徳用の教材、「私たちの道徳」の改訂において、浮島先生のおっしゃるとおり、オリンピアンに加えパラリンピアンの活躍についても子供たちが知り、学べるようにすることなどを通じた、学校教育の中でさまざまな取り組みが進むようにしていきたいというふうに思います。

 次に、オリンピック・パラリンピック教育、やはり開催後を見据えた教育もしなければならないというふうに思います。オリンピック・パラリンピックのレガシーをしっかり残すために、大会が開催されます二〇二〇年をゴールとするのではなくて、出発点と捉えて、努力のとうとさ、フェアプレーの精神、思いやりやボランティア精神、多様性を尊重する態度などを大会のレガシーとして子供たちの中にしっかりと根づかせていかなければなりません。

 文部科学省において、昨年十一月に中央教育審議会に対しまして、初等中等教育における教育課程の基準等のあり方について諮問し、学習指導要領のあり方について審議が行われているところでもございます。

 今後、オリンピック・パラリンピック東京大会のレガシーとして受け継がれるべき資質、能力をどのように育むべきかについて、積極的に検討していきたいと思います。

浮島委員 積極的な御答弁、ありがとうございます。十七日の会議でもしっかりとした議論をしていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 一昨日の四月十三日の月曜日三時に私が今回の質問を通告した後、昨日十四日の火曜日の読売新聞の一面に、パラリンピック教育、二〇一八年度から実施を目指すと出ておりましたけれども、今、丹羽副大臣のお話を聞きますと、文科省はもっと前向きにやっていただいているということがわかりましたので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 また、子供たちにとって、本物のおもてなし、これをしっかりと、私は、心からのおもてなしということを伝えていきたいと思います。

 実は、一点、私も聞いた話でございますけれども、車椅子の方が海外に行かれました。そして、その方が驚かれたのは、空港に着いてから、自分が頼む間もなく、いろいろな方が手伝いに来る、助けに来る。そして、空港で飛行機をおりてから、タクシーに乗って、ホテルに着いて、部屋に入るまで、全ての方がサポートをしてくださった、とてもうれしかった、それで涙が出たとおっしゃっていました。

 でも、日本に帰ってきたらもっと涙が出たとおっしゃった。その理由は、日本に帰ってきて、空港に着いて、おりた途端に誰も助けてくれない、そして、自分が頼むとやってくれるけれども、見て見ぬふりをして通る方が多い、たまたま雨が降っていたけれども、タクシーまで行くのも、傘も誰も差してくれずにびしょ濡れになりながらタクシーのところまで行った、それで、海外と日本との違いに本当に涙が出てきたという話を聞きました。

 私は、それを聞いて、今、おもてなしと言っておりますけれども、この二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックが本当に心からのおもてなしができるよう、今、スマホでいろいろなことをやっていますけれども、スマホでははかれない、本当に真心からのおもてなしができるように取り組んでいかなければならないと思いますので、文科省としても全力で取り組んでいただくようにお願いし、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。よろしくお願いいたします。

 早速質問に入らさせていただきますけれども、現在、政府におきましては、地方創生というのがやはり大変に大きなテーマでございます。私も現在さまざまな地方に行きますけれども、やはり、各地方それぞれで人口がどんどん減っていってしまっている。これを、我が地方のそれぞれの知恵を生かして、また、現場の資源を生かしてどうしていけばいいのかというのを、大変に皆様、問題意識が高まっている。このように痛感をいたします。そして、その上で、やはりこの地方創生の担い手をどうやって育てていくのか。これが大きな課題であるなというふうに感じております。

 私は、その地方創生の答えというのは常に現場にある、このように思っております。現場では、我が党では地方議員の皆様がいらっしゃいます。いろいろな方々とネットワークをしっかり発揮して、この地方創生、大きなテーマでございますので、やはり実現をしてまいりたい、このように考えておりますけれども、地方創生を担う人材を育成していくためには、地域の課題に関心を持つ、我が地域にどんな課題があるのか、そして、それを解決していくために何をしていけばいいのか、こういうことに積極的にかかわっていく、こういう人たちがやはりいらっしゃらないといけないというふうに思います。

 もちろん、もともとその地域の御出身でない方がIターンで戻られてきて町おこしということで頑張っておられる、そういう事例も大変多うございますけれども、やはり、地元の方にこうした問題意識を持っていただく、こういうことが大変大事ではないかなと思います。

 そのためには初等中等教育というのが非常に大事になってくるのではないかな。この段階でやはり地域と学校とがしっかりかかわって、そして児童生徒が地域に関心を持つ、愛着を持つ、郷土愛を育んでいく、こういうことは大変に重要なことであると思います。

 私、昨年も山口県を訪問させていただきました。コミュニティースクールが非常に多い、先進的なところでございまして、こうした例も見学をさせていただきました。

 地域全体で教育を支えていく、こういう取り組みをしていく中で、もちろん学校も元気になっていくし、あるいは、地域もそれで元気になっていく。その上で、さらにいろいろなメリットがある。児童生徒が地域の行事に積極的にかかわっていく、こういう中で、学習意欲、いろいろなものも高まっていく、こういうお話も伺ったところでございまして、大変大事な仕組みであるな、このように考えております。

 しかし、コミュニティースクールの制度はまだまだ数としては少ないというのが現状であるというふうに私は考えておりまして、政府として今後どのくらいの水準までしっかりコミュニティースクールの普及というものを目指していくのか、これを確認をさせていただきたいというのが一点と、また、これを実際ふやしていくためにどのような支援をしていくのか。例えば予算面での支援も必要でありましょうし、この制度を導入したことによるメリットは何なのか。例えば、こういうこともしっかり説明をしていかないといけないと思います。

 地元でもこういうお話をさせていただいても、例えば、我が地域では既に評議員制度があるよとか、学校支援の地域本部があっていろいろなかかわりがあるよとか、もう既に、地域とのかかわりという意味ではさまざまな取り組みを進められているというのも現状でございます。

 しっかりこの制度の意義、またメリットを説明していく、こういうところもやっていっていただきたいと思いますし、あるいは、学校と地域をコーディネートするような人材の確保、育成、これも大変に大事な視点でございます。

 さまざまございますけれども、コミュニティースクールの今後の、どの程度までしっかりふやしていくのか、政府としてのお考え、そしてまた、それを実現していくための取り組みについて、大臣にお伺いをしたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、学校を核とした地方創生の実現と、その人材の育成に向けて学校、家庭、地域が連携、協働し、一体となって子供たちの育成に取り組んでいくことが重要であるというふうに思います。そのため、コミュニティースクール、有効な仕組みとなると思います。

 文科省としては、平成二十九年度までの五カ年間を対象とする第二期教育振興基本計画におきまして、成果指標として、コミュニティースクールを全公立小中学校の一割、約三千校に拡大することを掲げておりまして、その拡大に向けた支援を図っているところであります。

 また、先月取りまとめられました教育再生実行会議の第六次提言におきまして、国は、「全ての学校がコミュニティ・スクール化に取り組み、地域と相互に連携・協働した活動を展開するための抜本的な方策を講じる」こととされました。

 これらの状況を踏まえ、昨日、中教審に対して、「新しい学校の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方」について諮問を行ったところであります。今後のコミュニティースクールのあり方、また、それを踏まえた総合的な推進方策について、加速度をつけた取り組みになるような御審議をいただければというふうに思っております。

 予算については、ことしの二十七年度におきまして、コミュニティースクールがいまだ導入されていない地域や導入直後の地域への運営体制づくりへの支援を行う、また、学校運営協議会委員の資質向上のための研修等への支援等の予算を拡充するとともに、全国各地におけるフォーラムや説明会等の開催を通じまして、制度の意義や、すぐれた成果を上げている事例について、一層の普及啓発を図っていくこととしているところでございます。

 さらなるコミュニティースクールの推進に向けて一層努力してまいりたいと思います。

中野委員 ありがとうございます。

 やはり、地方創生といっても、人に焦点を当てないといけない、そこで活躍する人を育てるということが大事でありまして、それを支えていくのは教育であるというふうに私は確信をしておりますので、しっかりと取り組みを進めていっていただきたい、このようにお願いを申し上げます。

 少し話題はかわりますけれども、私は以前にも取り上げさせていただいていたことがあるんですけれども、学生の就職活動について御質問をさせていただきたいと思います。

 この安倍政権におきまして、学生の勉強する時間をしっかり確保しよう、こういうことで、あるいは留学などにしっかり取り組んでいっていただこう、こういう目的で、平成二十八年三月卒業の学生から就職活動の時期を今までより後ろ倒しにする、こういう要請を経済界に対してさせていただいております。

 すなわち、今までは大学三年生の十二月から広報活動、四年生の四月から採用活動、こういうものが後ろに倒れておりまして、今は、三年生の三月から広報活動をする、四年生の八月から採用活動が始まる、こういうスケジュールでやっていこう、こういうことでお願いをさせていただいております。

 私は、学生の勉強時間を確保しないといけない、そのために、就職活動が余りにも長期化をしたり、あるいは余りにも早期から始まったりということはやはり望ましくない、このように考えておりまして、これをしっかりやっていかないといけないなとは思っておるんですけれども、実際話を伺いましたところ、申し合わせより大分早い時期から実際に就活が始まっているんじゃないか、こういうお声も少し伺っているところでございまして、やはりここは国として、どうなっているのか、しっかり実態把握にまず努めていくべきだ、このように考えますけれども、いかがでございましょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、就職採用活動開始時期の後ろ倒しということになっておりまして、ただいま、大学四年生から適用されておりまして、まさに就職活動中という状況でございます。

 政府としても、後ろ倒しの周知の徹底を図るべく、本年一月二十三日付の文書におきまして、内閣府、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省の四府省連名で、約四百五十の経済団体に対しまして改めて周知を図るとともに、大学などの代表者から構成されます就職問題懇談会とも連携をいたしまして、大学等に求人票の提出があった企業に対しまして、後ろ倒しについて各大学等から直接伝えるように取り組んでいるところでございます。

 ただ、御指摘のとおり、昨今の好景気を背景とした人手不足などによりまして、既に多くの企業において内々定が出されているとの報道があることは承知をしておりまして、文部科学省としても、就職問題懇談会とも連携をし、調査を行う準備をただいま進めているところでございまして、それらを通じまして、後ろ倒しの実態把握に努めてまいりたいと考えております。

中野委員 また、このような御意見も伺ったことがございまして、確かに、企業がいい人材を早く確保したい、これは景気がよくなるとどうしてもそうなって、なかなか政府として統一的にというのは非常に難しいんじゃないかという御意見も伺ったこともございます。

 あるいは、実際にかなり今回景気もよくなってきたということで、非常に多くの方を採用しようとする。そうすると、学生の皆さんに早く内定を出して、就職活動は早くやめて囲い込みをしよう、こういうかなり過度なプレッシャーをかけるような企業もあるというふうに学生の方からも伺っておりまして、こういうことを何とかもう少し自由に就職活動ができるようにしていけば、過度の早期化というのも防いでいけるんじゃないか、こういう御意見も伺ったことがございます。

 これについてはどのようにお考えでございましょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の将来を担う学生が、職業選択の自由を保障され、適正な就職活動を行うことは、極めて重要な課題でございます。

 他方で、昨今の人手不足を理由といたしまして、過去、一部企業におきまして、必要な人材確保に熱心になる余り、学生等の職業の選択の自由を妨げる行為や、学生等の意思に反して就職活動の終了を強要する行為が行われているとの指摘があることも、またこれは大変遺憾に思っております。

 このため、就職問題懇談会とも連携をいたしまして、こうした行為を未然に防止すべく、大学等を通じて企業に対して適正な採用選考活動を実施することを直接要請するとともに、大学のキャリアセンターなどにおきましては、仮に学生が就職活動中にハラスメント的な行為を受けた場合には、適正な指導や助言ができるよう、周知の徹底を図ってまいりたいと思っております。また、先ほど触れました調査におきましても、その面についての調査も含めて行いたいと思っております。

 学生等の適正な就職活動が担保されるよう、また、後ろ倒しを遵守している企業が不利益をこうむらないよう、これらの取り組みを徹底してまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 やはり、学生にとっては一生に一度の就職活動になる最初の新卒の時期ではということもございます。そういう方もやはり多いと思いますので、混乱が生じないようにしっかりやっていただきたいとお願いを申し上げます。

 最後に、それに関連して質問なんですけれども、昨今、若者を使い捨てにするいわゆるブラック企業、こういうものも話題になっております。

 実際、私も、一昨年の十二月に、例えばハローワークの大卒用の求人票には離職率などのデータなどをもっと公表すべきでないか、こういう提案もさせていただいて、実際に実現をしたこともございますけれども、今国会では、青少年の雇用の促進等に関する法律案について審議がなされることになっておると聞いておりまして、そうすると、労働法等に違反をしたようなそういう企業はハローワークには紹介をしない、こういう仕組みも導入をされる検討がなされている、こういうふうに聞いておりますけれども、何も、学生が就活に使うのはハローワークだけではなくて、大学のキャリアセンターなどいろいろなところもございます。

 ハローワークではそういう企業は紹介されないけれども、キャリアセンターに行ったら紹介をされた、こういうことではやはりいけないというふうに思いますので、こうした情報については、例えば大学のキャリアセンターなどでも紹介をしないであるとか、あるいは何らかの情報提供をしっかりしていくとか、こういう仕組みもしっかり考えるべきだと思いますけれども、厚生労働省の御意見を伺いたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 今回、国会に提出いたしました若者雇用促進法案では求人不受理の仕組みを導入することとしておりますけれども、求人不受理の対象となる企業の情報には労働関係法令違反の情報が含まれます。そのために、大学等にそのまま情報提供することは難しいと考えてございます。

 しかしながら、委員御指摘のように、大学や民間職業紹介事業者の取り組みを促すことは非常に重要だというふうに考えてございます。

 そこで、民間紹介事業者や、あるいは紹介を行う大学には、厚生労働大臣に届け出て、受理する求人の範囲、受理しない求人の範囲を設定できる仕組みがございます。そのために、ハローワークに準じた取り扱いができますように、法律に基づく大臣告示でございます事業主等指針に、そのための届け出の方法などを示すことを検討していく考えでございます。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

福井委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 下村大臣にまず冒頭、これは通告はしておりませんが、多く報道もされておりますから可能な範囲で御答弁をいただきたいんですが、きょうは資料の一枚目に、甲子園でも活躍をされた大阪桐蔭、残念ながら、教職員組合が裏金問題で刑事告発をしているという報道でございます。

 この記事の中にも、まさに、華やかな実績の陰でひそかに捻出された五億円超とされる裏金は、塾関係者への接待や前校長らへの報酬などに流用された疑いが強い。不正は二十年以上続いている。これは百万円の高級バッグやスカーフなどにも充てられているということで、参加した例えば塾講師の女性が、ビュッフェつきのおいしい説明会だった、土産に二万円以上はする校名入りのデジタル機器を渡されたことを明かしたとか、次のページにも、これは氷山の一角でありまして、教育評論家の尾木さんが、そもそも教材費などで徴収して余った分は当然保護者に返すのが筋だと。例えば、二人のお子さんをそれぞれ私立高校に通わせる母親は、一つはきちんと精算して返してくる、もう一方は何ら報告もないと憤るということで、まさにこうした対応に対して、これは尾木さんのコメントとしては、文部科学省令の中でも学校法人の会計基準というものが明記されている中で、そうしたまさに不適切な対応をしている学校に対して詳細な会計報告を求めるべきではないか、こういった指摘がなされております。

 大臣、私が報道で知る限り、大阪府は、今回の問題を受けて、二十六年度支給予定だった大阪桐蔭への補助金六億六千万円、これを過去最大の減額幅、二〇%の減額、つまり一億三千万円ほどの減額を決定したということでありますが、文部科学省としても、このような事態を受けて、かつ、氷山の一角ではないか、こういった指摘もある中で、類似の不正も含めて調査をし、そしてまたその調査に基づいて指導を行うお考え、こういったものは検討されていないんでしょうか。

下村国務大臣 まず、御指摘の学校法人大阪産業大学が設置する大阪桐蔭中学・高等学校におきまして、保護者から預かった教材費等が簿外で管理され、一部が私的に流用されたなどとする報告書が、学校法人が設置した第三者委員会によって公表されました。

 これを受けて、現在、学校法人において、関係者の責任の追及も含め、対応を検討しているとの報告を文部科学省の方でも受けております。

 本来子供たちのために使うべき、保護者から預かった教材費等が流用されたこと、また、学校法人会計基準にのっとった適正な会計処理がなされていなかったことは、まことに遺憾であります。

 文科省としては、大阪桐蔭中学・高等学校の所轄庁である大阪府と連携し、学校法人大阪産業大学に対し、本件に対する関係者の責任の追及、再発防止策の策定等、必要な対応を強く求めていくこととしております。

 また、各学校法人に対しては、三月三十一日に、教材費等の取り扱いの適正確保及び学校法人会計基準にのっとった会計処理を求める通知を発出したところでありまして、今後とも指導に努めてまいりたいと思います。

柚木委員 三月三十一日の通知、指導に努めていきたいということですが、ぜひこれは、本当に氷山の一角という指摘も含めて、今後のまさに調査、あるいはこの刑事告発されている案件の推移も含めて、やはり、しっかりと文科省としても調査をして必要な対応をとっていただきたいと思うんですね。

 そういった中で、これも報道の中では、この大阪桐蔭裏金不正流用問題、学校と塾との不適切な接待というか、そういった問題が指摘をされ、これも本当に私も残念なことだと思いますが、現在、大臣肝いりの教育再生会議のメンバーでもある学習塾の成基の社長、佐々木さんもこういった不適切な接待を受けている、こういった報道もされているわけでございます。

 そういう意味では、今、府と連携してしっかりと指導していく、必要な是正を強く求めていくという答弁であったわけですが、この大阪桐蔭、学校とそして塾との不適切な関係を、塾業界とのそういう意味では不適切な関係で刑事告発をされている文部科学大臣が本当に適切な指導監督ができるのかというのは非常に私は疑念を持たざるを得ないわけでございますが、それに対し下村大臣、お答えいただけますか。

下村国務大臣 柚木委員、こういうことに関して七回目ですね。ですから、きちっとこれは調査してから質問していただきたいと思うんですよ。

 今の、例えば報道でと言いましたが、具体的な名前もおっしゃっていましたが、週刊文春で書かれたと。このことについては、その方は全くの事実無根で、これは、弁護士と相談して名誉毀損で訴える準備もしているということを聞いております。事実関係については私のところにも文書でいただきました。ですから、報道されているようなことは全くないということをその方がおっしゃっていました。

柚木委員 だったら、取材等にしっかりと対応されたらいいと思うんですね。

 それで、この問題もそうなんですが、この後、正直言って、大臣がしっかりと誠実な答弁あるいは対応をしていただければこの問題を繰り返す必要はないと思うんですが、参議院でのこの間の予算委員会、文科委員会等でのやりとりを聞いていて、これは申しわけないですけれども、ますます疑念が深まっていると言わざるを得ないんですね。

 それで、この博友会の関係については具体的に通告しておりますので、ぜひこれは本当に明確に、そしてまた、きょうは二十五分しかありませんから、なるべく端的に、繰り返しの答弁はない形でお願いしたいんです。

 まず、これは前回も郡委員が指摘をしていた部分、もう少し確認をさせていただかなきゃいけないなと私思うんですが、東京博友会です。これまで、国会議員関係団体届け、これはより透明度の高い形で対応することになるわけですが、これについて私も改めて調べてみたんです。

 政治資金規正法、これは私も調べてみて、ある意味、そういうことなのかなと思ったのは、戦後の最初の国会の翌年の第二回国会で制定された古い法律だそうです、政治資金規正法は。つまり、その後延々と、何か事件なり疑念、不正があるたびに、直近まで九次の大改正が行われてきているわけです。その九次改正で根幹の一つとして決まったのが、国会議員関係政治団体の届け出ということでございます。

 これは、国会議員事務所費問題、名前を申し上げませんが、その問題に端を発した事件、数々を受けての改正であったこと、そしてそれもさることながら、公開基準の引き下げや、求めに応じた一円領収書開示、これはまさに地方自治体でも問題になった部分です。そして監査人による外部監査導入など、まさに、地方議会議員や首長関連の政治団体に先んじて国会議員はより厳しくみずからを律し、これは率先垂範していくということで改正があったものと理解しているわけでございます。

 そこで伺いたいのは、この東京博友会、下村大臣のパーティー、講演会をみずから主催をして、その利益を、資料三、四、五とわかりやすく整理をしておきましたが、平成二十三年、二十四年、二十五年とそれぞれ入りと出、下村大臣の自民党支部と博文会そして博友会のお金の入りと出をわかりやすくしておきましたが、まさに博友会というのは、自民党の下村大臣の支部や博文会に対して入ってきた収入を支出している、こういうことでありますのでまさに下村大臣の関係団体と理解するわけでありまして、よりクリアな形で、まさに国会議員関係団体として届け出をするべきだと私は思いますが、これについて大臣、御答弁いただけますか。

下村国務大臣 この資料、三ページですか、随分御丁寧に私の関係団体の収支、三年間にわたってつくられたというふうに思います。

 東京の博友会についての御質問でありますが、御指摘の政治資金規正法におきまして、国会議員関係政治団体は三つの要件があります。一つは、国会議員に係る公職の候補者が代表者である政治団体、二つ目に、寄附金控除制度の適用を受ける政治団体のうち、特定の国会議員に係る公職の候補者を推薦し、または支持することを本来の目的とする政治団体、三つ目に、政党の支部で、国会議員に係る選挙区の区域または選挙の行われる区域を単位として設けられるもののうち、国会議員に係る公職の候補者が代表者であるものに該当するものとしております。

 これにのっとって、ここの三ページに書いてあります自民党の東京十一選挙区支部と地元の後援会でもあります博文会は、この国会議員関係政治団体として届け出をしております。

 東京の博友会については、これは代表者が国会議員に係る公職の候補者ではないこと、それから寄附金控除制度の適用を受けていないこと、それから政党支部ではないこと、このことから、政治資金規正法の国会議員関係政治団体には該当しないというふうに考えております。

柚木委員 その届け出をしない、あるいは、以前は国会議員関係団体であったものからすれば透明度がダウングレードしていると私は思うわけですが、そのしない理由よりも、まさに特定の下村大臣を支援する団体であって、しかも今回、会費を寄附として計上処理、場合によっては、それが寄附金控除を受ければ、この間の指摘の中では、脱税幇助ともとられかねないいろいろな疑念を招いてきている中で、この博友会、特にその本体というか、全体の中でも中核的な存在である東京博友会を、まさに寄附に対して寄附金控除を受ける受けないにかかわらず、国会議員関係団体、実態としてそういう活動がなされているというふうに私は理解しますので、速やかにこれは届け出すべきだと思いますよ。

 大臣が、改善案というものもこの間議論をされていて、参議院の答弁の中でもそういったことを検討しているというふうな答弁をされていますが、その検討にあわせて、ぜひ私は国会議員関係団体としてあしたにでももう本当は届け出をしていただきたいと思うところでございます。

 それからもう一つお尋ねをしますが、まさにその改善案というものがこの間示されて、これは二月十三日に大臣室で地方博友会の幹部の方を集めてそういう議論がされた、あるいはその後の懇親会の中でされたということですが、あれから二カ月以上たつわけです。ですから、これはいつまでも検討しているということではなくて、本当に地方博友会をどういう形でちゃんと適法化、適正化していくのかというのは、そういった具体的な対応が見られない部分も含めて国民の皆さんは疑念を持たざるを得ない、あるいは、説明責任を果たしていないという方が果たしているの十倍以上の、七割以上の方がという調査がありますが、そういう部分につながっていると私は思うわけです。

 地方博友会の今後の改善の対応というのを早急に本当に決めて、しっかりと政治団体としての届け出も含めて対応すべきだ。任せているということじゃなしに、大臣も、全部かかわっていないじゃなしに、一部はかかわっているというか、いろいろな面でやりとりしているというふうにこの間答弁されているわけですから、もう少し責任ある御答弁をされたらいかがですか。

下村国務大臣 まず、東京の博友会は、これはきちっと届け出ている団体でありまして、何ら違法性はありません。ただ、せっかくの御質問ですから、そういう質問があったということについては、東京博友会の代表の方々にお伝えをいたします。

 それから、地方の博友会の話がありました。二月十三日と言われても、ここにおられる方は御存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、年に一度、全国の博友会の代表の方々に集まっていただいて、年間スケジュールを決めさせていただいている。年に一度、私が講演に行くときのスケジュールということであります。

 その中で、昨年の暮れ、写真週刊誌が、この年に一度行く会合そのものが、何か私のための政治資金パーティーのような形をとって偽装献金や裏献金をしているのではないかのような報道が、事実と全く違う報道がされた。その後、二月以降も週刊誌で同様の間違った報道がされたということを受けて、今後の対策について考えようということの中で、地方の博友会の何人かの方々が意見を言われたことを私の秘書がまとめたものでございます。

 その中に改善案が三つありました。一つは、東京の博友会は、これは政治団体として届け出ているものでありますので、年に一度、地方で行う博友会について、その収支報告を東京の博友会の中に一緒に入れて届け出るようにして、つまり、地方の博友会も東京の博友会と一体とした政治団体として届け出たらどうかというのが案の一でありまして、案の二は、それぞれ独自に政治団体を届け出るべきではないか、案の三というのは、もともと年に一回しか行かない会合ですから、何とか実行委員会のような形でやったらどうかという中で、御指摘があったように、東京の博友会のところに、年に一度の講演をしたときの収支報告を一緒に入れて届け出たらどうかということを、代表者の方々の中では方向性としては意見が大体一致しました。

 ただ、実際にどうするかはそれぞれの地方の博友会の方々の判断ですから、持ち帰って今後の方向性については決めるということになりました。

 ただ、その後、市民団体がこのことについて刑事告発をした、地方の博友会の方々も被告発人として入っているということがありましたので、今後捜査に影響するようなことがあってはいけないのではないかという配慮から、今は全く活動はストップしているという状況でございます。

柚木委員 現在、刑事告発をされて、受理番号も含めて、押して受理しているというところまではまだ至っていないというふうに承知をしておるわけでありまして、まさにそういう部分もあるから、司法とは別に立法府の場で大臣もこうして御答弁をされているんだと思うんです。

 ですから、私は、やはり可能な対応を速やかにしていただくということだと思いますので、地方博友会の位置づけについては、現状の状態であっても私はできると思いますので、これは本当に誠実に御対応いただきたいと思うんです。

 もう一つ関連して伺うと、まさにそういう事態を招いているのは、私は、大臣御自身あるいは下村事務所の、この間の、まさに、寄附と年会費の混同を会員の方がせざるを得ないような会計の処理にあると思っております。

 四月七日の参議院の文教科学委員会で斎藤委員の方から、これはまた別の視点で質疑をされて、大臣もこれは答えられています。実は、あしたの参議院の文科委員会の理事会で、その質疑に対して求められた、大臣の自民党東京第十一選挙区支部からの寄附のお願い文書、この文書の実物と、これは実際に発送したのかどうなのかというのも議論になっていましたが、お願い文書について、どういう形で書いているのか、寄附の金額が明示されているのかいないのか、大臣はいないと答えているわけですが、この点を一つ資料請求。

 それから、自民党の東京第十一選挙区支部の寄附者と地方の博友会会員の突合、こういった部分については、この間の大臣がお示しいただいている資料や斎藤委員が示した資料によればほぼ一致しているということでありますから、これについてしっかりと提出をいただきたいというやりとりがされておりまして、私も質疑録を参議院のものも全部読んでおりますので、御答弁は簡潔で結構ですが、私が非常に驚いたのは、まさに二月十三日の資料でも、各地方博友会ごとの会費が決まっていて、きょう、資料六、七とちょっと関連してつけておりますが、六ページ目は、この大臣の関係三団体のパーティー収益が年々着実にふえてきている。三百六十万、五百四十万、七百十万と着実にふえてきている。そして、全体の収支についても、これは三年分の合計ですが、八千五百八十万ということで、かなり多額のそういう収益が上がっている。

 それから七ページ目は、これは全部公開されているものですから、ちょっと資料にわかりやすくまとめましたが、いわゆる教育関係の方々から、これは金額がポイントだと思うんです。切りのいい金額ばかりじゃないんですね。それこそ一万二千円とか四万八千円とか、普通は、寄附は例えば一口幾らとか、別にあっていいと思うんですよ。そういうものがない場合は、恐らく切りのいい金額というか、それが五千円なのか一万円なのか三万円なのかあるでしょうけれども、わざわざ端数が出る形で一万二千円とか四万八千円というのはなかなか考えづらいわけです。

 大臣は、毎年、自民党東京第十一選挙区支部から寄附のお願いを文書で一月、二月あたりに出しているということですが、金額については無記載、寄附額は個々の寄附者が自己判断した、そういう御答弁をこれはされているんですけれども、本当にそんなことがあり得るんですか、ずらっと私もわかるだけまとめましたけれども。普通考えたら、やはり一口幾ら、別に書いていて問題ないんじゃないんですか。何か書いていちゃまずい理由があるんですかね、年会費は各地方博友会ごとにこれは決まっているというものも資料として二月十三日に出されていますけれども。

 なぜ、この寄附金額を明記されずにこういったことが起こり得るのか。本当に、全ての方がわかる形でちょっと御答弁を簡潔にいただけませんか。

下村国務大臣 この七ページについては、私も今初めて拝見しました。これは柚木委員がみずからつくられたのではないかと思います、報告書を見て。

 これを見ても、そういう傾向があることは事実ですが、しかし、一つ一つ見ると、全部が全部、年会費というその目安のところの数字に全員がなっているわけではないということであります。

 まず、「会員数」とありますが、これは二〇一四年のときの会員数でありまして、実際の寄附は、二〇一二年、一三年、一四年とありますけれども、この三年間いつも会員数が一定したわけではなくて、二〇一四年の会員数ということであります。

 繰り返すようですけれども、例えば、前回問題になった近畿博友会ですね。これについては、二十六人が申込書を書いていただいたのを会員とするということで、近畿博友会からこの二十六人に対して寄附のお願いをしていいということでお願いをさせていただいています。結果的に十二人の方が寄附をしていただいたということであります。

 ですから、地方の博友会は、目安としては、この十二万というのは明示されておられたんだというふうに思います。

 私の方の東京十一選挙区支部としては、いわゆる請求書のような形で寄附が十二万ですということを書いているわけでは全くないということでありまして、それぞれの地方の博友会のこの数字が似通っているというのは、その目安として、結果的に寄附をしていただいた方々の数字とも重なっている部分はあると思います。

柚木委員 参議院の答弁とまた微妙に今修正されたわけですが、大臣は結構率直に答弁されている部分があって、寄附としての領収書にただし年会費としてと書いているこの事例は、二度にわたって、事務担当者が気をきかせてというふうに答弁されているんですね。どう気をきかせているんですか。これはまさに会員の方が、寄附として領収書が送られてくるんだけれども、年会費として納めていると認識しているから、ただし年会費としてと書いておけば、みんながそうだそうだと思うわけで、この今の御答弁も含めて大臣側や事務所側の対応が、本来ならば誤解を正すべきところが誤解を助長するような対応をしていることが、まさに今回、地方博友会の方々も告発されることに至る非常に大きな原因になっていると私は思っていまして、これは本当に、今後、司法の場でも立法府の場でもさらに明らかにしていかなきゃいけないと思うんですね。

 最後、ちょっとどうしても気になることがあるので、通告はしていませんが、大臣がコメントをいろいろされていますから御答弁いただきたいんですが、国立大学の国歌の斉唱の要請の件で、私もちょっと驚いている部分があるんです。

 つまり、大臣のコメントによれば、国歌を斉唱する、私も国歌を斉唱した方がいいと思いますよ。いろいろな卒業式、入学式で必ず歌っています、私も来賓で伺ったときは。ただ、それを歌うべきだということを、しかも、十八歳選挙権が今まさに実現しようかという議論がされている大学生、まさに十八歳から、もっと言うと、成人、大人ですよね、それを小中高生と同じような形で学習指導要領に従ってというような、あるいは、税金を払っている大学なんだからと総理も答弁されていますが、これは非常に違和感を覚えます。要請は圧力にならない、国立大学は決まりがないので強要することはないと大臣は述べていますが、私は、それは余りにも権力の行使に対して無自覚な御発言ではないかと思うんです。

 もっと言うと、自民党さんが報道機関に、NHKやテレ朝にも、幹部を呼び、聴取を行うということも、これは同じような萎縮効果、つまり、呼ぶだけで報道や言論の自由に萎縮効果を及ぼしかねないわけで、そういうことにはならないというふうに認識をされているようですが、いずれにしても、余りにも権力の行使に対して無自覚じゃないかと思うんです。

 大臣、まさに十八歳からの選挙権に向けての議論がこれから進んでいく、例えば主権者教育とかも含めてしっかりやっていく中で、そこにも政治介入が起こるんじゃないのかとこれは懸念せざるを得ませんよ、こういう状態が起こると。

 こういう国立大学へ国歌斉唱をわざわざ国が、所管の大臣が要請する、中高生と同じような対応をとる必要はないと私は思いますが、大臣、いかがですか。

福井委員長 下村大臣、発言時間が超過しておりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。

下村国務大臣 まず、先ほどの指摘の、寄附のところに年会費のただし書き、これは二〇一四年のそのときの二月から九月までのその期間だけですから、あたかも全ての寄附について年会費のただし書きがあるかのような誤解を与えるような質問だったので、それはぜひ訂正していただきたいと思います。

 それから、国旗・国歌の問題でありますが、文部科学省は、文部科学省設置法第四条第十五号の規定によりまして、「大学及び高等専門学校における教育の振興に関する企画及び立案並びに援助及び助言に関すること。」を所掌事務としておりまして、今回の要請もこの所掌事務の範囲内で行うものであります。

柚木委員 終わります。

 大臣、この問題は引き続きやらざるを得ませんが、今、学生がどう言っているか御存じですか。この問題が報道されて、もう学校が信じられない、社会が信じられない、だから、十八歳選挙権をもらっても選挙になんか行きたくない、そういう声が上がっているのを御存じですか。ぜひ、そういった声に対して大臣みずからが、御自身の出処進退も含めてしっかりと模範になるような、教育、道徳を語る文科大臣としての御判断をいただくことを要請して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子です。

 先ほど来、柚木委員からも質問があったわけですけれども、私も、前回の質問でどうしても疑念が晴れず、さらに疑惑が深まっているというふうに認識をしておりまして、質問させていただくわけでございます。

 まず冒頭、寄附、会費とのごちゃごちゃになっている問題ですけれども、大臣は、年初、一月、二月に郵送でお願いをしているというお話でございました。参議院の方でもいろいろと資料の請求もあるというふうなことが先ほど柚木さんからも話があったわけですけれども、私も収支報告書を見させていただきましたが、二十四年のところの年初には、郵送費の記載が、それに該当するものはございませんでした。二十四年の年末、総選挙が終わった後に、もしかしたらこれかしらというふうな、該当するところがないわけではなかったですけれども、二十五年についてもございませんでした。ぜひ、これは資料をしっかりと出していただきたいというふうに思います。

 まず、私、時間が余りないので率直に御答弁願いたいと思うんですけれども、柚木さんの三月二十七日の質問についてですけれども、市民団体からの告発についてです。

 告発の事実については確認しておりませんと答えつつ、別の問いには、告発状が出ているわけですからというふうにも答えられて、そしてさらには、検察がまだ受理していないんじゃないでしょうかというふうにも答えているわけです。

 法務省に来ていただいていますけれども、告発状、現在どのような取り扱いになっているでしょうか。それからまた、前回の質問も踏まえた上でですけれども、総理官邸やそれからまた文科省、下村議員の関係、自民党から、この告発状についてどういうふうな取り扱いになっているか、あるいは問い合わせ、何かの要請等があったのかなかったのか、御答弁願いたいと思います。

上冨政府参考人 まず、告発状の取り扱いに関するお尋ねでございますが、そのお尋ねの点につきましては、捜査機関の活動内容にかかわる事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

 また、その点に関する問い合わせ等があったかというお尋ねについてでございますが、これにつきましても、個別の案件に関し特定の告発を前提としたものでありまして、捜査機関の活動内容にかかわる事柄でありますので、お答えを差し控えさせていただきます。

郡委員 なぜですか。あったのかなかったのかだけですよ。すごく不誠実だというふうに思いますね。

 私が指揮権発動ということを申し上げたらば、大臣は、驚きましたというふうにおっしゃられて、そういうレベルのものなのかというふうな御発言だったわけです。

 四月一日、参議院の予算委員会で森本議員が質問したのに対して大臣は、そもそもこれも刑事告訴に値するような内容ではないと思っておりますと発言されました。私は大変驚きました。大変驚きました。

 御自分が告発されているんですよ。御自分が告発されていながら、刑事告訴に値する内容ではないというふうに国会で御答弁なさっている。

 刑事告発というのは市民の権利ですよ。告発の取り扱い、捜査は、何人の介入も排除して、捜査当局が法に照らして適正に処理すべきものであります。

 安倍総理の最側近というふうに言われている有力閣僚が御自身に対する告発を刑事告訴に値しないと国会で発言するということは、ある種、検察に対する示唆、圧力発言というふうにも感じられるわけでございます。

 そこで、また法務省刑事局に伺いたいというふうに思うわけですけれども、刑事告発に関して閣僚が国会答弁で、値しないというふうに論評した例はこれまであるのでしょうか。また、検察も政府の中の一員である以上、現職の閣僚にこういうふうな発言をされたということですから、これは萎縮せざるを得ないところもおありなんじゃないだろうかというふうにも思います。告発状の受理や捜査に影響を受けざるを得ないんじゃないかと思うんですが、法務省としての姿勢を問いたいと思います。

上冨政府参考人 法務当局は、閣僚の国会答弁を網羅的に把握する立場にはございませんし、また、ただいま、お答えする立場にもないものと考えております。

 何らかの発言が捜査に影響を与えるのではないかというお尋ねについてですが、捜査機関の活動内容にかかわる事柄でありますので、その点のお答えは差し控えさせていただきます。

 なお、一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、法と証拠に基づき、厳正公平、不偏不党を旨に、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処するものと承知しております。

郡委員 なぜ、国会でのほかにこういうような事例で、自分は告訴されていながら告訴に値しないという答弁をしたことがあるのか、答えられないのですか。それこそ、前代未聞のお話ではないかというふうに思うんですよ。余り聞いたことのないお話です。

 それでは次に、前回の東京博友会の質問の続きをさせていただきます。

 どうも、すれ違い答弁、すれ違いでしたので、きょうは詳しくお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 まず、自民党東京第一選挙区支部の会計責任者とその職務代行者は誰でしょうか。

 大臣、御自分の選挙支部ですよ。(発言する者あり)第十一選挙支部、ごめんなさい。

下村国務大臣 突然の御質問ですけれども、東京十一選挙区支部の会計責任者ですか。(郡委員「はい」と呼ぶ)

 会計責任者は兼松正紀であります。

郡委員 続いて、大臣の資金管理団体である博文会の会計責任者とその職務代行者は誰ですか。

下村国務大臣 同一人物であります。

郡委員 問題となっている東京博友会の会計責任者とその職務代行者は誰ですか。

下村国務大臣 同一人物であります。

郡委員 政治団体下村博文を応援する会の会計責任者と職務代行者は誰ですか。

下村国務大臣 下村博文を応援する会は、現在、消滅をしております。

郡委員 それでは、その下村博文を応援する会、存続していたときの会計責任者は誰ですか。

下村国務大臣 兼松正紀です。

郡委員 同一人物ですね。

 それから、自民党板橋総支部の会計責任者と職務代行者は誰ですか。

下村国務大臣 自民党板橋支部の会計責任者は川口雅敏です。それから、職務代行者は兼松正紀です。

郡委員 下村博文を応援する会、消滅しているというお話でしたけれども、いつだったのでしょうか。ちょっと調べ切れませんでしたので、わかりませんが。

 今お聞きいただいたように、五つの政治団体がございましたけれども、会計責任者あるいは職務代行者、全て兼松正紀という一人の方が選任をされているわけです。

 この兼松正紀という人、下村衆議院議員の公設政策秘書で間違いありませんか。

下村国務大臣 そのとおりです。

郡委員 つまり、下村事務所では、これらの御自身の政治団体、国会議員関係政治団体を含めて、全てこの兼松正紀という公設の政策秘書さんが会計を担っておられるわけです。

 文科省の政務秘書官、そしてまた下村衆議院議員の政策秘書が、専ら金庫番として執務をしている。

 また、自民党東京第十一選挙区支部、博文会、東京の博友会、下村博文を応援する会、自民党板橋総支部の五つの政治団体の電話番号は何番でしょうか。教えてください。

下村国務大臣 〇三―五九九五―四四九一です。

郡委員 全て同じ番号です。

 その〇三―五九九五―四四九一、これはどこの番号ですか。

下村国務大臣 これは、自民党板橋総支部の事務所であり、東京自民党十一選挙区支部の事務所、それから私の事務所。まあ、部屋は幾つかに分かれておりますが、同じ住所の場所であります。

郡委員 何で番号が同じなんでしょうかね。

 大臣は、博友会の規約、人事それから運営に関してはタッチしておりませんと、この間ずっとお話しになっておられるわけですけれども、参議院の小川委員の質問では、中四国博友会の問い合わせ先の電話番号も国会と板橋の下村事務所の番号となっていることについても、否定をされてはおられませんでした。

 つまり、東京にあるこの五つの団体も、それから中四国の博友会の問い合わせ番号も、全て下村事務所の管理下にある、運営下にあるということじゃないんですか。兼松秘書やそれから榮政務秘書官などによって運営管理されている。地方の博友会も同じようになっている。

 下村大臣、地方の博友会は自分の後援会であるというふうに明確にお認めになっているわけです。でありながら、先ほど柚木委員の質問にもありましたけれども、国会議員関係団体の届け出はされていないところも含まれているわけでして、一万円以上の支出の使途の公開、外部監査の実施、一円以上の領収書の公開という、政治資金規正法における国会議員関係団体の届け出を嫌って、東京の博友会、下村博文を応援する会すら、この団体の届け出を出していないわけです。

 また、実態は後援会であって、政治団体である地方の博友会、これも政治団体としての届け出を怠っているというふうに言わざるを得ないわけでして、規正法の抜け道を利用した脱法的行為なんじゃないだろうかと、ますます疑いが深まってきているというふうに私は思います。

 ここで総務省にも来ていただいているんですけれども、先ほど柚木さんからも説明がありましたし、この法の趣旨というのを聞かないことにいたしますけれども、どうして、この立法の趣旨をしっかりと受けとめ、御自身で誠実にこれを守っていかれようとなさらないのか。何か、公開、公表できないことがあるんでしょうか、質問させていただきたいと思います。なぜ登録なさらないのか。

下村国務大臣 柚木先生からも質問がありましたし、今、郡先生から質問がありましたが、郡先生、質問をされるのであれば、もっと事実関係をちゃんと調べてから質問していただきたいと思うんですよ。

 嫌ってとか、つまり、博友会が国会議員関係政治団体になることを嫌って何か届け出ていないみたいなことを言われていましたが、全くそんなことはなくて、これは適切に対応しております。

 それから、地方の博友会と東京の博友会も、下村事務所で全部コントロールしている、管理しているというような言い方もされておられましたが、先ほどの兼松が幾つかの会計責任者あるいは職務代行者であるということは、そのとおりであります。これは全く問題ないことでありますが、しかし、地方の博友会の別に会計責任者でもなく、また、職務代行責任者でも、そもそもありません。ですから、一緒に何かしているようなイメージを与えるような質問は、これはきちっと事実関係として質問していただきたいというふうに思います。

 それから、地方の博友会については、これは私の方で何回も申し上げていますけれども、人事とかそれから規約と会則については全くノータッチであります。それぞれの地方の博友会が独自につくっていただいているということであります。

 ただ、年に一度は、スケジュール調整がありますから、それで集まっていただいているということで、中身については全く、東京の博友会とそれから地方の博友会はそもそも違うということについては御理解いただきたいと思います。

 それから、東京の博友会についても、先ほど申し上げましたが、自民党の東京第十一選挙区支部、それから博文会、これは国会議員の関係政治団体として当然届け出をしております。東京の博友会はなぜしていないのかというのは、別にそれは、何かごまかすとかそういうことではなくて、それに値する団体ではないということで適切に届け出ているわけでありますが、先ほどの柚木委員の質問もありましたから、これも国会議員関係団体に届け出た方がいいのではないかというような御指摘でしたから、東京の博友会の幹部の方々に、国会でそういう質疑があったということについては伝えたいと思います。

郡委員 大臣、短く御答弁ください。時間が限られているんです。今までお話しになられたことは結構ですから。繰り返しの御説明は結構です。

 さらに聞かせていただきますけれども、中野の東京博友会、収支報告書の中で事務所費がゼロになっていることについて、前回お尋ねいたしました。

 その折に、大臣は、家賃を払っていないということは、これは事務所の物理的使用がありませんから、当然、家賃を払う必要がございませんというふうにお答えになって、また、この事務所を主たる事務所として届け出ておりますが、この事務所の物理的使用はしていないということですから、家賃を払う必要がないということですというふうに答弁されていて、私はどうしても理解ができなかったわけなんです。

 そして、実際に事務処理をしているのも、ここではなくて、この届け出があるところではなくて、事務局長と相談をして、私の事務所の方でしていますというふうにお答えになっている。「その方が適切だからでありまして、これはもう政治資金規正法にのっとった全く合法的なやり方であります。」というふうに胸を張って答弁なさったんですけれども、これは主たる事務所として届け出ているんですよ。主たる事務所であるのに、事務所の実体はそこに、事務処理も何も主たる事務所でやっていないわけですね。

 これは選管に主たる事務所というふうに届け出てはいるけれども、これまでもいろいろなところで批判をされたり問題になってきたことがございますが、郵便ポストの役割を果たしているだけでして、本当の事務所は板橋の下村大臣の関係団体で、その事務も全て、先ほど大臣からもお話があったように、兼松正紀さん、あるいは榮友里子さんなど、下村事務所のスタッフの方がやっているということじゃないんですか。

 要は、この東京の博友会、ダミー事務所というふうに言われても仕方がないんじゃないでしょうか。社会通念上、事務所の使用実態がないからただなんだというふうな御説明で押し通そうとされておりますけれども、本当であれば、これは主たる事務所、実体のある事務所じゃないんですから、虚偽記載ですよ。罰則がつきますよ。

下村国務大臣 よく調べて質問していただきたいと思います。

 東京の博友会の事務局長、これはスタートのときからしていただいていますが、その事務局長の場所を事務所として届け出ているわけでありまして、また、その内容についても、きちっと法にのっとってやっておりまして、何ら問題はありません。

 郡先生自身の実際の組織もどうなのか、後援会はどうなのか、事務所の問題についてもぜひお調べになる必要があると思います。

郡委員 何という、非常に不誠実な御答弁ではなかったんですか。主たる事務所として届け出ることが妥当なのかどうか、何もお答えになっていらっしゃらないじゃないですか。

下村国務大臣 それはお答えさせていただいています。

 東京博友会の事務局長、その方のところが、この事務の主たる事務所として届け出ているということであります。

郡委員 ですから、実体があるのですか。主たる事務所、まあ従たる事務所でほとんど全てをやっているわけですよ。これは非常に問題だというふうに思っております。

 しかも、労務は、この博友会、先ほど柚木先生の資料にもありましたけれども、私がお配りしているこの資料でも、下の段を見ていただきたいと思うんですが、博友会、年に何度もパーティーあるいは講演会というようなものも開催をされておりますが、この事務等々も全てこの兼松正紀さんが主に担っているわけです。

 念のために申し上げておきますと、収入も数千万円、先ほど柚木さんの資料では、収益がこれだけ上がっているんだなというのを改めて見させていただいたわけですけれども、これらがあって、家賃やそれから労務の提供もあるとすれば、これは寄附行為に当たるのじゃないんでしょうか。

 政治資金規正法上、たとえ政治団体間であっても収支報告書に記載することとなっておりますけれども、下村大臣、この労務の無償提供と収支報告書への不記載、これをどう御説明されますでしょうか。

下村国務大臣 何をもっての労務提供なのかということを言っていただきたいと思います。会計責任者として兼松の名前が出ておりますが、実際に労務についてしているわけではありません。博友会の講演会、セミナー、ここに資料として二十四年、それから二十五年、書いておられますけれども、これは、博友会は博友会の方々がしていただいているものであります。

郡委員 博文会、これは大臣の国会議員関係政治団体でありますけれども、博文会も、ここにあるように、年に数回、数回というか、かなりの数で講演会やパーティーを開催されているわけです。そのノウハウをもって、博友会もその合間を縫うようにして毎月のように開催をされているんです。

 今私が質問したことに対しても、ほとんど何もお答えになっていただいておりません。大変不誠実な御答弁だというふうに思います。

 それでは次に、地方博友会について伺わせていただきます。

 地方の博友会についても、年に一度ほど開催をするパーティーがあるというふうにおっしゃっていました。そして、先ほども質問の中で、週刊誌の報道に対して、間違った報道がなされたというふうにおっしゃられました。

 収支報告も何もない中で間違った報道がされたというふうにおっしゃられるわけですけれども、それを実証するものは何もないんです。私たちの手元にないんです、収支報告が出されておりませんから。だけれども、大臣は、これらのパーティーなりなんなりはとんとんであったというふうにおっしゃる。講演料もお車代も自分はもらっていないんだ、しかし、ほかのどなたかが講師でお話なさるときには出すこともあるというふうにおっしゃっている。これも、私たちは手元に何も、調べようにも調べようがないんです。

 今御紹介したように、博友会でもこれだけの、びっくりいたしますけれども、二十五年には十月三日に大々的なパーティーをおやりになって、その益の方はかなりの額に上っている。二百万から三百万、多いときには七百万近くをお集めになっていらっしゃる。

 地方の博友会のパーティーはとんとんだというふうにおっしゃっている。これは私はちょっと信じがたいのですね。ですから、それぞれの任意団体で収支を、記録をとっておられるはずだというふうに思います。大臣は、これは自分の後援会なんだというふうに明言をされているわけですから、ぜひこの収支の記録というのをこの委員会に提出していただきたいというふうに思います。

 それから、あわせて、地方の博友会でも榮秘書官が御同席になっているということも各会員の方々から伺っております。実質的な運営をされているのは多分榮さんではないかというふうに、そのお話を聞くと私は思えるわけですけれども、その榮秘書官と兼松政策秘書にこの場で説明をしていただきたいと思います。いかがですか。

福井委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をさせていただきたいと存じます。

郡委員 いや、大臣、どういうふうに。大臣、ちゃんと大臣が答えて、出してください。

福井委員長 では、下村大臣、御答弁をお願いいたします。

下村国務大臣 まず、呼ぶか呼ばないかのお話の前に、郡委員が何を質問したいのか、よくわからないですよ。一つ一つ質問していただきたいと思うんですね。

 言葉尻をとるわけじゃないんですけれども、一つ一つ、正解でない、正しくない言い方がたくさんあるんですね。

 例えばその週刊誌で、間違った記事だと言っているけれども何をもって間違っているのかみたいな御質問がありましたが、それは、先ほど具体的な例として出てきたのは、例えば柚木委員の質問のときの、大阪桐蔭に絡んだ問題でその記事が書かれた、その方の話を先ほど質問されていましたが、その記事の内容は正しくないということで、その方は弁護士に、名誉毀損で今訴える準備をしているという具体的なことを申し上げているわけであります。

 同じように、先ほど刑事告訴の話がありましたが、その内容については週刊誌ネタで、そもそも週刊誌ネタそのものが正しくないわけでありまして、そのことについて、先ほど申し上げたことでありますので、何を間違った記事と言われているのかどうかというのを具体的に言っていただければ、きちっとお答えをしたいと思います。これは、全然、ごまかす気なんか全くありません。

 それから、地方の博友会について、もちろん私を支援していただいている会であることは事実であります。ただ、先ほども申し上げているように、これは、人事とかそれから規約とか会則については、それぞれの地方の会でつくっていただいているものでございます。ですから、その方々が、収支報告を出せという話でありますが、出すか出さないかはそれぞれの地方の博友会の皆さんが判断されることであると思います。

 それから、私の秘書を呼べということに対して、これは私がお答えする立場ではないと思います。

郡委員 週刊誌のお話に対して、では、何が正しくて、どこが間違っていたんですか。

下村国務大臣 いや、ですから、郡先生が具体的にこのことについてどうかということを御質問されれば、それはきちっとお答えいたします。

郡委員 私の質問が具体的でないというふうにおっしゃいましたけれども、私、具体的に聞かせていただきました。それに対して、非常に、私のことをそれこそおとしめかねないようなこともお話しになって答弁されるというのは、私は本当に失礼だなというふうに思います。

 私は、改めて、大臣がそういうふうにして御自身のことを守りたいのは、それはそういうことだとは思いますけれども、人をそういうふうに下に下げて、見下げた形でお話しになられるのは、全く教育者として適切でないというふうにがっかりをいたしました。

 これまでもいろいろ聞かせていただきましたけれども、私への答弁というのはちっとも答えになっておりませんし、冒頭も申し上げました会費と寄附、下村さんの十一選挙支部から送っているというその収支報告書の記載についても疑義があるということ、その出したものをちゃんと出してほしいということ。

 それからまた、ぜひ委員長にこれはお願いをさせていただきたいと思いますけれども、地方博友会の幹部、東京博友会の会長、事務局長、それから榮さん、また兼松政策秘書、以上の皆さんのこの委員会への参考人としての招致を改めて決定いただきたい。それからまた、地方博友会の収支の記録、これをぜひ提出していただくことを委員会として要求することを決めていただきたいというふうに思います。

福井委員長 理事会で協議をさせていただきます。

郡委員 終わります。

福井委員長 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 おはようございます。

 久しぶりの文科委員会、先生方、ずらりと久しぶりの顔を見させていただきまして喜ばしく思っております。なかなか、文科委員会で質問しようと思ったんですけれども、文科委員会に所属をさせてくれなかったので、質問をする機会もなかった。きょうは本当にありがたく、感謝申し上げます。まず牧理事、御配慮いただきまして、ありがとうございます。

 まず一問目なんですけれども、平成二十六年の四月十六日に私から当委員会で質問をさせていただきました。大阪市立の巽中学校から端を発した校内人事に関する全国の聞き取り調査、下村大臣から指示をいただきまして、その結果が出ております。

 この結果を見て、下村大臣、校内人事についてどうお考えか、御見解をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 まず、遠藤委員が文科委員会へ戻ってこられたことを歓迎したいと思います。

 御指摘の調査については、昨年、国会における指摘をいただきました。

 大阪市等複数の自治体において、校内人事の決定や職員会議の運用について、法令等に反する不適切な規程等が明らかになったことを受けまして、全国の公立学校を対象として、平成二十五年度、二十六年度、二年間について、ことし一月に結果を発表いたしました。

 私も驚きましたが、この御指摘のようなところが、規程があった学校が十四都道府県、指定都市二百七十八校、それから、規程はないけれども事実上の実態があった学校、これが十五都府県、指定都市三百五校もあったということで、遠藤委員が御指摘されるまで全くそのことについては承知していませんでしたが、こういう結果でございました。

 まず、主任等の校内人事の決定について、教職員の互選等により選ばれた教職員を主たる構成員とする人事委員会等の組織の設置等に関する規程、それから、教職員による挙手や投票等の方法によって選挙や意向確認を行うとする規程などの不適切な規程がその数あったということであります。

 また、職員会議の運用について、教職員の互選等により選ばれた議長団等の組織を設置し、校長以外の職員を議長とする規程や、挙手や投票等の方法により決定を行うなど、職員会議において議決を行うとする規程などの不適切な規程が見られたということであります。

 これらは、法令の趣旨に反する不適切な規程であることは明らかでありますので、今回の実態調査を取りまとめる過程において、文部科学省から該当する教育委員会に対して指導を行い、不適切な事例があった全ての学校でこのような規程等の廃止、修正を行わせたところでございます。

 校長は校務をつかさどり、所属職員を監督する権限と責任を有しており、校長の権限を実質的に制限したり、制限すると誤解されたりするような規程等は、法令等及びその趣旨に反し不適切であり、あってはならないものであります。

 文科省としては、今回の実態調査の結果を踏まえ、校内人事の決定及び職員会議の運用が適切に行われるよう、各教育委員会に対する指導を引き続き徹底してまいりたいと思います。

遠藤(敬)委員 ありがとうございます。

 この質問をしたときに、自民党の先生方から、遠藤、おまえのところ、大阪だけやろと言われましたけれども、かなり、これだけの数があるんですね。

 同時に、調査の内容を詳細に確認させていただきましたけれども、実態は文科省の指揮のもとで確認をされたと思うんですけれども、まだまだ、監視力といいますか、もっと深掘りをすれば、この教育村という一つの流れの中で、きちっと把握できているところもあるのかないのかというところもちょっと疑問にも感じるところもありますので、引き続き、文科省また大臣のもとで監視の目を強めていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、道徳の教科化について御質問を申し上げたいと思います。

 文科省の行ったパブコメ、寄せられた六千件の分析結果、これまでなおざりになっておりましたが、道徳教育における指導充実の期待が高いことが明らかになったわけであります。マスコミによりますと、道徳の教科化、賛成が六割ということも出ておりました。

 確かに、最近の日本、あれっと思うようなこと、目を疑うようなこと、たくさん事件があります。現在の日本の子供たちや、日本の社会、社会人として、モラルや常識を超えて、人間としてのあり方にまで関係する事件や争い事が、毎日、新聞、テレビをにぎわせております。大変憂慮をすべきだと考えております。

 そんな中、日本人の教育の取り組みを定める基本となる教育基本法を眺めていたところ、この基本法は、旧法にない新しい視点が盛り込まれていると読み込めます。

 例えば、教育の目標、特別支援教育、大学、教員、幼児教育、そして家庭教育。加えて、教育の目標において、道徳心、公共の精神、生命をとうとぶ態度など、しっかりと充実、明記されております。

 この教育基本法の意義について、また、十八年改正の理由や背景について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 平成十八年の、第一次安倍内閣において行われた教育基本法の改正は、昭和二十二年の制定以来、半世紀以上が経過し、教育をめぐる状況が大きく変化する中で、新しい時代の教育理念を明確にすることで、国民の共通理解を図りつつ、国民全体による教育改革を着実に進め、我が国の未来を切り開く教育の実現を目指してなされたものであります。

 この改正教育基本法の意義は、例えば、知徳体の調和がとれ、生涯にわたって自己実現を目指す自立した個人、あるいは、公共の精神をたっとび、国家社会の形成に主体的に参画する国民、また、我が国の伝統と文化を基盤として国際社会を生きる日本人、この育成を目指すことを明確にし、そのような教育を実現するために必要な教育の目標や生涯学習の理念、家庭教育等について新たに規定をしたところであります。

 私としては、まさにこうした教育基本法の理念を具現化するため、引き続き教育再生に全力で取り組んでまいりたいと思います。

遠藤(敬)委員 下村大臣、お気づきかどうかわかりませんけれども、大臣が進めてこられた改革は、教育基本法の理念の具現化ということは、まさにそうだというふうにも思っております。

 高校無償化の改善、奨学金の充実、幼児教育の無償化、そして、特別支援の充実や不登校の対応など、いわゆるセーフティーネットの整備、大学入試改革、道徳の教科化、学習指導要領の改革、チーム学校など、新しい時代に整合する教育の充実、どれも改正教育基本法の理念と整合していると思っております。

 確かに、道徳教育の充実についても、教育基本法の前文などでも明記され、ただ、私は、大臣、目指すところは道徳教育だけでは不十分だというふうにも最近考えておりまして、というのも、教育の目的である人格の完成、学校教育だけでは完結できない。それは教育基本法の第十条でも明らかになっておりますが、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。」「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」とあります。

 例えば、幼小中高、トータルすると約十五年。しかも、人生の大半は学校教育以外の時間。この十五年間でも、家庭や地域にいる時間の方が長いわけであります。家庭や地域による教育なくしては、人格の完成、それはあり得ないと思っております。

 昔は、子育てにたくさんの口があったり目があったわけでありまして、おじいちゃんやおばあちゃん、親戚、隣近所、いろいろな意味で子供の教育、とりわけしつけにはうるさく口を出してきた。残念ながら、現在では核家族化がどんどん進んで、一つの家族の中で教育は完結される傾向にあります。結果、保護者の孤立化を招き、不幸な場合にはネグレクトや虐待、そんな状況にもあります。

 家庭支援について、下村大臣、今の現状認識も含めて、御見解をお伺いしたいと思っております。

下村国務大臣 御指摘のように、家庭教育は全ての教育の出発点であり、教育基本法第一条に規定する「人格の完成」の基盤を形成するものであると思います。基本的な生活習慣の習得、自立心の育成、心身の調和のとれた発達などに家庭教育は重要な役割を担っております。

 平成十八年に改正された教育基本法において、第十条として家庭教育についての規定を新たに設け、第一項で、保護者が子の教育について第一義的責任を有すること、第二項で、家庭教育の自立性を尊重しつつ、国や地方公共団体は家庭教育の支援を講ずるよう努めなければならないことについての規定も新たに設けたところであります。

 近年、家庭環境の多様化や地域のつながりの希薄化などによりまして、家庭教育が以前よりも困難となっているとの指摘があります。それぞれの家庭が孤立することなく、地域や社会とのつながりの中で家庭教育が行えるよう、必要な支援を行うことの重要性が高まっているというふうに認識をしております。

遠藤(敬)委員 まさに大臣がおっしゃるとおりで、就学前の子供たち、まさに子供たちに行政が、学校が目の届かないところ、保護者まではなかなか目の届かないところがありますけれども、子供は、どちらにおられるか、できると思うんですね。

 私は、将来の公共の精神を養う、同時に、今、負の連鎖ということで、生活保護世帯がふえてきた、困窮する子供たちがふえてきたということも鑑みれば、道徳教育の必要性というのは十二分にありますし、学校現場では副教材も使いながら進めていくというのも重要だと思うんです。

 しかし一方で、私は、三つ子の魂百までじゃありませんけれども、就学までの間に徹底的に行政もやはり入って、非常に戦前のトラウマでもありましたけれども、文科省もそこに介入するのは非常に難しい状況であったと思うんです。しかし、これからの公の精神を養う、その上では、就学までの幼児教育といいますか家庭教育を積極的に支援していくということが、これから大きな日本の課題になるのではないかなというふうにも思っております。

 実際に、そういった子供たちの就学までの対応というのが、行政にもなかなか手つかずの部分があった、また、文科省においても一つの、怖かった、びびってしまったというんですかね、そういう状況があったと思うんです。

 自民党においても家庭教育支援法案について準備が進められているというふうに聞いておりますけれども、政府としても積極的に学校を核とした家庭教育支援に取り組むべきだと私は考えておりますけれども、下村大臣の御見解そして認識をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 政府としてもしっかり家庭教育について対応すべきということについては、そのとおりだと思います。

 文科省としては、家庭教育がしっかりと行われるよう、学校とも連携しつつ、家庭教育に対する支援として、就学時健診や保護者会、参観日、PTAの会合など保護者が学校に集まる機会を活用した家庭教育に関する学習機会の提供、また、スクールソーシャルワーカー等を核とした家庭教育支援チームによる保護者への相談対応、そして、基本的な生活習慣づくりのための「早寝早起き朝ごはん」運動などの推進に取り組んでおります。

 また、昨日、中教審に対して、新しい時代の教育のあり方、また地方創生の実現に向けた学校と地域の連携、協働のあり方について諮問したところでありまして、今後、学校、家庭、地域が一体となって子供たちの育成に取り組むことができるような連携、協働のあり方についても検討がされる予定でございます。

 今後とも、家庭、学校、地域が十分連携し、協力をし、地域社会全体が見守る中で子供たちが思いやりや規範意識、豊かな人間性を育むことができるよう、家庭教育の支援の充実に取り組んでまいりたいと思います。

 先ほど、自民党の中において家庭教育支援法の準備が進められているという御指摘がありました。今、それをさらに拡大して、超党派の議連でこれをさらに深めようということが進められておりますので、ぜひ遠藤委員も協力をしていただきながら、議員立法としても考えていただければ大変ありがたいと思います。

遠藤(敬)委員 それでは、もう一つのびびり、文科省のびびってきたということで御質問を申し上げたいと思います。

 それは、近現代史教育なんですね。まさに文科省の取り組みでもありますけれども、子供たちが最も身近な歴史、すなわち近現代史を学ぶことが、先達の努力を目の当たりにして、国家及び社会の形成者としてのみずからの使命や責任を自覚するようになります。道徳教育の充実で目指そうとするものにもつながるわけであります。

 きょうは丹羽副大臣にもわざわざお越しいただいておりますので、丹羽副大臣に御質問したいと思います。

 子供たちが近現代史を学ぶことの意義についてどうお考えか、今後、その充実についてどのようにお取り組みになるか、丹羽副大臣にお聞きしたいと思います。

丹羽副大臣 御質問ありがとうございます。

 今後の社会を担う子供たちにとって、現代社会の形成過程とその特色について学ぶ近現代史の学習は極めて重要なことでございます。このため、現行の学習指導要領におきましても、中学校社会科の歴史的分野の授業時間を増加させるとともに、中学校社会科及び高等学校地理歴史科において近現代史に関する内容の充実を図るなど、授業時数及び指導内容の改善を図ったところでもございます。

 特に、高等学校における歴史教育については、グローバル社会の中で自国の歴史や文化に対する教養を備えた人間を形成する観点から充実を図る必要があるということ、また、現代的な課題につながる近現代史の学習をより充実させる必要があること、国家、社会の形成者として必要な歴史的思考力を育む必要があること、こういった課題を踏まえつつ、現在、中教審におきまして、高等学校における日本史の必修化の扱いなど地理歴史科の見直しについて検討を進めております。

 また、新しいカリキュラムの開発を目的とした文部科学省の研究開発学校におきましても、近現代史に関する科目を新設する試みなどが行われております。

遠藤(敬)委員 丹羽副大臣、ありがとうございます。

 その近現代史に関連しまして、下村大臣にお聞きしたいと思います。

 現在、大阪で、近現代史館というものの創設の環境整備を進めております。まさに、いいことも悪いことも確かにあったんでしょう。しかし、現実に、我々の世代、また少し上の世代も、近現代史教育というものには余り触れてこられなかった。お父さん、お母さん、またおじいちゃん、おばあちゃん、そういった世代にもきちっと近現代史教育というのは必要不可欠であり、必ず今やらなければならない大きな課題だと思っているんです。それが、教科書だけではない、そういった施設をリニューアルしてつくっていこうということでありまして、これは大阪市とか大阪府だけで私は進めるものではないと思いますし、一般的にも、全国的にこういった流れをつくっていくというのは大事なことだと思っています。

 ですので、きょう下村大臣にお聞かせいただきたいのは、この近現代史館について、全国的に展開をさせていきたい、そして、この近現代史館、大阪だけの問題ではないというふうにも思っているんですけれども、余り今まで日本の自治体の中では試みのないことだったので、下村大臣の御見解、また、今後の取り組みについて御見解をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 縄文、弥生、古代史を勉強するということも必要なことですが、それ以上に、これからグローバル社会における基礎的な基礎として、近現代史をきちっと若い人たちが学ぶということがさらに重要になってくると思います。

 大阪市の近現代史を学ぶ施設の構想については、最新の研究成果に基づく展示を整備し、多様な見方を示すとともに、興味、関心を喚起するために双方向型や体感型の展示手法を採用することが検討されているということでありまして、住民の近現代史を学ぶ機会の充実に寄与するものではないかと受けとめております。

 各地方公共団体においても、住民が身近な場で学習できるよう、施設の整備や学習機会の充実を図ることが期待されているところでありまして、国としても、各地方公共団体の取り組み事例の情報提供などに努めてまいりたいと思います。

遠藤(敬)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、日本の成長戦略、まさに人への投資、人が日本を支える、そういった大きな枠組みを引き続き下村大臣また文科省の皆様方にお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

福井委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 おはようございます。

 先ほど柚木委員からも大阪桐蔭のお話が出ましたが、私も質問するつもりでおりましたけれども、一定のお話をいただきましたので、あえてこれ以上突っ込んだお話はしたくないんですが、ただ、この桐蔭の場合は、父兄からの教材費ですとか、あるいは模擬試験の受験料ですとか、また最近の報道だと、父兄会の会費の一部も簿外で処理をして裏金をつくってきた、こういうお話がありましたけれども、いわば学校内のお話で、だからこそ教職員の労働組合が、そんなお金があったらもっとこっちによこせよというような類いの話だと思うんですね。

 それで、要するに、業務上横領という形で大阪地検への告発ということになったと思うんですが、これはそれとして、もし本当に、例えば私学助成の交付金が、何らかの例えば施設整備だとか、そういう受注業者からのリベートなりなんなり、こういうことだと、これはまた全然質の違う話だと思うんですよね。

 その可能性も含めて、文科省は、これはさっきこっちにもう回答が出ちゃいましたので、ちょっと通告と違いますけれども、もしそういうことがあると、それはもう本当に大変な問題だと思います。そういうことについての文科省のこれからの姿勢というものについて、大臣の所見をまず最初にお聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、これはそういう問題まで波及することもあるかもしれないということも考えまして、各学校法人に対しまして、三月三十一日に、教材費等の取り扱いの適正確保、それから、御指摘のような学校法人会計基準にのっとった会計処理を求める、そういう通知を発出したところでありまして、改めて各学校法人が適切な処理をしているということについて調査しながら、文科省としても指導してまいりたいと思います。

牧委員 わかりました。そのことはそのことでいいです。

 それと、きょうのこの質疑の後、文科省設置法の改正等について、また、特にオリンピック・パラリンピックの東京二〇二〇年に向けての特措法の審議がいよいよ始まるわけですけれども、その審議そのものは今週金曜日ということですけれども、それに先駆けて、ちょっと確認だけしておきたいことがございますので、お聞かせをいただきたいと思います。

 そもそも、オリンピックの組織委員会、これはどういうふうに構成をされるのか。そして、二〇二〇年に向けて、いろいろな次元での準備があろうかと思います。その準備、そしてまた、大会の運営そのものにどのようにかかわるのか。組織委員会というのがその主体になると思うんですけれども、どのようにかかわるのか。その辺のところと、そのメンバーというのがどのように決められるのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

久保政府参考人 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、東京都及びJOCにより設立されまして、大会の準備、運営を主体的に進める責務を有しております。

 組織委員会の構成は、理事及び監事の選任及び解任等について決議する評議員会、業務執行の決定等を担います理事会、理事の職務の執行を監査する監事、事務を処理する事務局等によって構成されております。

 組織委員会の役員につきましては、組織委員会の定款に基づきまして、理事三十五名及び監事二名で構成されております。

 次に、運営についてでございますけれども、組織委員会は、組織委員会の定款に基づきまして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会の準備及び運営に関する業務を行うことを目的に設立された公益法人でございまして、東京都、JOC及び国と連携しながら、国際オリンピック委員会から直接指示を受けて大会の準備、運営を主体的に進める役割を担っているところでございます。

 そして、組織委員会のメンバーの具体的な構成、先ほど理事三十五名、監事二名と申し上げましたけれども、具体的には、会長は森元総理、副会長は、トヨタの豊田社長、丹羽文部科学副大臣、竹田JOC会長、河野JSC理事長、山脇JPC委員長、秋山東京都副知事の六名、その他の理事は、国や経済団体を含む多様な関係者二十八名、監事は、黒川JOC監事、長谷川東京都財務局長の二名となってございます。

 組織委員会の定款に基づきまして、理事及び監事は評議員会の決議によって選任されまして、会長、副会長、専務理事は理事会の決議によって選任されております。

牧委員 今るる御説明いただきましたが、その役員の人たちの構成というのは、主に東京都とJOCによって構成されるという説明でありますけれども、そうすると、JOCという組織そのものは公益財団法人ですから、いわば民間なわけですけれども、これがそのまま組織委員会にユニットとしてビルトインされるような、そういうイメージでよろしいんでしょうか。役員及び職員も含めてです。

久保政府参考人 この組織委員会は、JOCと東京都が出資をしてつくる公益財団法人でございまして、法人格としては別になっております。

 したがいまして、JOCがいわばIOCの出先機関としてオリンピズムを推進する役割を担っておるわけでございますけれども、この組織委員会は、JOCやあるいはJPCとは全く別の組織として、オリンピック・パラリンピックの大会を実施する責任をIOCから授かっているという役割でございます。

 したがいまして、組織につきましても、今は数百人程度でございますけれども、東京都あるいはJOC、さらには特措法が成立しますれば、各省からの現役出向も含めました形で構成される組織となるわけでございまして、JOCの組織がそのまま移行するという性格にはないということでございます。

牧委員 なぜそれを確認したかというと、これからいよいよ本題に入るんですけれども、ちょっと属人的な話題になってしまって大変恐縮でありますけれども、そういう形でJOCが深くこの組織委員会に関与するというその中で、私は、もっと政府がいろいろその人選について関与をしていただきたかったなという気持ちを抱いております。

 ちょっと属人的な話になりますけれども、ことし六月にもJOCの役員改選と聞いておりますけれども、皆様方のお手元に読売新聞の記事をお配りいたしておりますが、日大の理事長がJOCの副会長という立場におられるわけであります。

 この新聞の記事というのは、これは読売新聞二〇一三年の二月一日の社会面トップでありますけれども、要するに、先ほどちょっと触れましたけれども、国からの私学助成をたくさんもらっている日本大学において、施設整備にかかわって、その施設整備の受注業者のさらに下請の電気設備の会社からバックマージンを取っていたんじゃないかというのがこの記事の中身であります。

 この二〇一三年の二月に私が落選中で国会におりませんでしたので質問もできませんでしたけれども、文科省はこのことについてどういう認識をしているのか、どういう事実確認をしたのか、まずお聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の平成二十五年二月一日付の読売新聞の報道におきまして、学校法人日本大学理事長が、大学の工事を受注している建設会社から五百数十万円を受け取っていたという記事が掲載されたことは事実でございます。この点につきまして、文部科学省といたしましては、この報道の後に、学校法人に対しまして事実関係の確認を行った次第でございます。

 これに対しまして、学校法人の方からは、弁護士による第三者調査を行いまして、その結果といたしまして、工事発注の謝礼として金銭授受は認められないという結論を得たという報告を、平成二十五年の六月に受けているところでございます。

牧委員 今の説明ですと、要するに、学校の内部に設置された第三者委員会がそういう結論を出したということなんですけれども、ただ、この新聞社の取材をもうちょっと詳しく読むと、結局、要するに、その電気工事会社が受注の建設会社に謝礼を払って、その建設会社から田中理事長にさらに謝礼が渡っているんじゃないか、いわばその元請の建設会社は田中理事長への謝礼の支払いの窓口にすぎないと推認できる、指名発注に対する謝礼を受け取ったという極めて濃厚な疑いが残るという結論になっているんですね。

 ということは、私は、この話そのものはこれ以上引きずりませんが、文科省の調査がもしそこで、学校の第三者委員会からの報告を受けて、はいそうですかということであるとしたら、非常に感度が鈍いと私は言わざるを得ないと思うんですけれども、大臣は、今お話を聞いてどう思われますか。

下村国務大臣 私も今初めてお聞きしたことであります。今、私学部長からの答弁がありましたが、私自身も事実関係を確認したいと思います。

牧委員 ぜひ、きちっと鋭意努力していただきたいと思います。

 ついでながら、ちょっと確認をしたいんですけれども、いわば私学助成金が入っていて、要は公金ですよね、その公金から発注業者へのリベートをとっていたとすると、これは一私学の問題ではないと私は思うんです。さっきの桐蔭の話みたいに、職員からの内部告発ですとか、あるいは地検に対する告発、そういうことだけじゃ済まないと私は思います。犯罪を構成する要件をしっかり満たしていると思うんですけれども、これがもしそうだとすると、この記事のとおりだとすると、これは捜査当局が動く話じゃないか、あるいはそうじゃないのか、その辺を一般論としてお聞かせいただきたいと思います。

上冨政府参考人 まず、具体的な犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきます。

 その上で、なお一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処するものと承知しております。(発言する者あり)

牧委員 今、元法務大臣からも答弁になっていないとの指摘がございましたけれども、私も答弁になっていないと思います。

 それは、ここでしていても時間がありませんので先へ進みますけれども、なぜこういうことを言うか。私は、決して個人攻撃をしたくて申し上げているんじゃなくて、これから二〇二〇年に向かってやはり世界に東京を発信していかなければならないときに、負のイメージを今世界に発信しつつあるという懸念を非常に強く抱いておりますので、あえてこの辺のところを突っ込ませていただいているということを御理解いただきたいと思います。

 ちょっと、ここから紹介させていただいて恐縮なんですけれども、これはネットで世界に向けて配信されている記事でございます。バイス・ニュース、それからデーリー・ビースト、あとは、皆さん御存じだと思いますけれども、ブルームバーグ等々。

 例えば、このデーリー・ビーストにしても、一週間でアクセスが一億件ぐらいあるほど、これは世界各国に流されている、ネットで配信されている記事であります。このデーリー・ビーストというのは、ニューズウィークが紙媒体をやめてこれに切りかえたという権威のあるものだと思いますけれども、私は、この記事を書いた記者、ジェイク・エーデルスタインさんからも、取材をしたときの話も聞いております。それから、日大の中枢に現在あるいは過去にいた方たちからも直接いろいろなお話を聞いておりますので、決して週刊誌ネタだけで私は話をしているんじゃないということを、あらかじめ御理解いただきたいと思うんです。

 ここにある写真は、日本のいわば反社会勢力のトップにある人と日大の理事長が一緒に歓談をしている写真でございます。この記事は、タイトルが「ザ・ヤクザ・オリンピックス」という記事になっております。

 もう一つは、ブルームバーグのウィリアム・ペセックさんというコラムニストが書いた記事ですけれども、この記事のタイトルは、日本語に訳すと、東京オリンピックの勝者はギャングだというタイトルなんですね。

 いわば裏社会に通じた人たちが、二〇二〇年に向けての準備から、あるいは二〇二〇年の運営の裏側で、いろいろな形で暗躍するのではないかということを外国から見て懸念しているということのこれは証左でないかと私は思うんですけれども、大変影響力のあるメディアでこういうふうに取り上げられているということ。

 私は、いずれもこの田中理事長が、日大の理事長としてというよりも、これは間違いなくJOC副会長であるからこそ、その裏社会との関係を懸念する記事が出ているというふうに思うんですけれども、文科省はこのことについて確認をされているんでしょうか。

久保政府参考人 文部科学省といたしましては、まず、平成二十六年二月に週刊誌や海外ニュースサイトにおきまして、公益財団法人日本オリンピック委員会副会長と暴力団との関係が報じられたことを受けまして、同月二十六日にJOCに対しまして、適切な対応を図るよう指導を行いました。

 これを受けまして、JOCにおきましては、三月十八日に常務理事会において当該副会長から事情を聴取し、暴力団との関係はないという回答を得たと聞いております。また、同年五月十九日、JOCに設けられた倫理委員会におきましても、常務理事会における事情聴取の内容を報告したと聞いているところでございます。

 JOCとしては、常務理事会及び倫理委員会での審議を踏まえて、当該事案について確認できる範囲で確認をいたしたと判断していると聞いているところでございまして、それ以降につきましても、こういうことがないようにJOCとしては常に気を配っていると私どもは受けとめているところでございます。

牧委員 非常に感度が鈍いというか、手ぬるいというか、甘いというか、当事者からの報告を受けて、はいそうですかで結局終わっているんですよね。ただ、こういう記事が世界に向けて発信されているという事実をどう受けとめているか、その回答には何らなっていないというふうに私は言わざるを得ないと思っております。

 ちなみに、この記事を書いた記者も直接日大の方に取材をしているわけですね。そのときの日大の回答というのが、大学としては、これらの写真と脅迫状を受け取って警察に届けた、田中氏はこれらの人々と会った記憶がない、写真もにせものだというふうに答えています。ただ、そのときに、別の写真、別の裏社会の団体の会長襲名の集いには出たような気もするというような回答もしているんですね。

 そういうことから考えて、ちょっと今のお答えは非常に手ぬるいと言わざるを得ないし、逆に、こういう写真を送りつけられて、田中氏自身が脅迫をされている、警察にも被害届を出しているんだというような取材に対する回答があったそうですけれども、警察は被害届を受け取っているんでしょうか。

露木政府参考人 お答えいたします。

 特定の個別の事案に係る事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

牧委員 特定の事案にかかわるということは、届け出があったということですね。そういう解釈でいいですか。届け出がなかったんだったら、特定の事案にもならないわけですから、今の回答は、届け出があったというふうに解釈してよろしいんですね。

露木政府参考人 個別の事案でございますので、委員がおっしゃった特定のものということを指してそれにお答えいたしましたけれども、いずれにしても、個別の事案でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

牧委員 届け出があったら個別の事案なんですけれども、私は、あったかなかったかを聞いているんですね。まあいいですよ。もうこれ以上、多分お答えにならないでしょうから、いいんですけれども。

 本当に、私、今、この記事のことだけじゃなくて、さっきも申し上げましたけれども、中枢にかかわる人たちから直接私はお話を聞いておりますので、そのことをもって、自信を持って私は今ここでお話をさせていただいているということを、委員の皆様方にも文科省にも御理解をいただきたいと思います。

 文科省の方にも、かつてはそういった方たちからの直訴というものもあったように聞いております。それに対する回答というのがいまだないという話も聞いております。

 私は、ここで、では、その人たちは一体誰なんだというお話をされるかもしれませんので、あえて申し上げますけれども、その方たちは、やはり皆さん、大変身の危険を感じて恐れております。いわば人事権を一手に握る人が、個別の方が権力をほしいままにして学校を好きなようにしている中で、ここで表立って反旗を翻せば自分の身に何が起こるかわからないという中でのお話でありますので、おまえ、いいかげんなことを言うなというのであれば私はここでは申し上げませんが、理事会では必要があればお話をさせていただきたいと思いますので、御理解を賜りたく思います。

 いずれにしても、時間がございませんのでまとめますけれども、本当に、このまま、この人事のままで二〇二〇年に向かっていっていいのか、文科省にその危機感があるのかどうか。そしてまた、日大には百億円以上の私学助成も入っております。この学校のコンプライアンスというのは一体どうなっているのか、文科省としてきちっと調査委員会を設置して調べていただくべきだというふうに私は思っております。

 文科省が直接これができないというのであれば、文科省が強い指導力を発揮する中で、日大のOBの皆さんの中には、法曹関係者、立派な方もたくさんいらっしゃいますし、この国会の中にもOBの方はたくさんいらっしゃいます。きちっとした、手前みそじゃない、本当のちゃんとした第三者委員会を文科省指導のもとできちっとつくらせるか。いずれか、きちっと大臣から約束していただきたい、そのことを最後に申し上げさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 今回の事案は初めてお聞きしたことでありますので、文科省の中に調査委員会をつくるか、あるいは、その大学に第三者委員会をつくるかどうかを含めて、まず私自身で調査をさせていただきたいと思います。その上で判断させていただきたいと思います。

牧委員 重ね重ねになりますけれども、このままオリンピックを迎えるわけには私はいかないと。そして、この特措法、これは、法案の中身そのものには異論を唱えるつもりはありませんけれども、やはり私は、世界が注目する中でのオリンピックに向けての準備でありますから、そこら辺のところはやはりきちっとしていただく。これは、福島の汚染水をきちっとブロックするのと同じく必要なことだと思いますので、ぜひともよろしくお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

福井委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 前回、三月二十七日の当委員会で、学校統廃合が強引に進められているという問題を取り上げて、改善を求めました。ところが、ちょうどその日に山梨県のある市の保護者の方から、きょう、学校統廃合の説明会が開かれたのですが、余りにも強引過ぎます、このままでは地元から学校がなくなってしまいますという訴えが私のところに寄せられました。その日、地元の保育園の園長さんも納得できませんというふうに発言をされたそうなんですが、もうこれ以上の説明会は開きませんと打ち切られたそうなんです。

 そこで、きょうは再度、学校統廃合について質問をいたします。

 このケースも調べてみましたら、手続が大変強引だと言わざるを得ません。住民、保護者への意見を聴取しないで学校統合の実施計画が決められましたのは二〇〇六年のことです。今回訴えのあった地域で住民、保護者への説明会というのは、何と八年後の二〇一四年六月ということで、余りの遅さに教育委員会も、済まなかったと言われたそうです。

 ところが、その後の十月の保護者への説明会では、進め方に納得ができないと発言した保護者の方たちに教育委員会の幹部職員の方が、あなたたちにこの地域が動かせるんですかと一喝された。その後、保護者の皆さんも物が言えなくなりまして、保護者の方から、こういう言い方をされるというのは道義的にも問題があるのではないかというふうに訴えておられるわけなんです。

 下村文部科学大臣は、前回の私の質問に対して、「保護者や地域住民の十分な理解と協力を得ることなど、地域とともにある学校づくりの視点を踏まえた丁寧な議論を行うことが重要」だと述べられました。丁寧な議論が必要だという国の方針を「もっと積極的に周知してまいりたい」と答弁されました。大事だと思うんです。ところが、そういう答弁をされたそのときに、今述べたような事態が引き続き起きているわけです。

 そこで私は、この際、手続についてもっと丁寧に、わかりやすく伝えることのできる、何か簡潔な文書を出すことが必要ではないかと思います。適正配置の審議会が答申を出す前、そして出した後、さらに、教育委員会が実施計画をつくる前、そしてつくった後というふうに、節目節目に住民や保護者の意見をよく聞く、一方的に決めない、そういうことがよくわかるようにすることが必要だと思いますが、下村文部科学大臣、いかがですか。

    〔委員長退席、萩生田委員長代理着席〕

下村国務大臣 学校統合の適否の検討に当たっては、学校が地域コミュニティーの核としての性格を有することを踏まえ、保護者や地域住民の十分な理解と協力を得るなど、御指摘のように、丁寧な議論を行うことが重要であると思います。

 そのために、国の方でも手引をつくり、その手引で明示し、また、さまざまな工夫の例も示しているところでもあります。

 実際にどのようなプロセスで住民の理解や協力を得るかは設置者である市町村が主体的に判断するべき事柄ではありますけれども、文科省としては、各市町村において、丁寧な議論を経て、地域コミュニティーの核となる魅力的な学校づくりが行われるよう、文科省がつくりました手引の趣旨、それからその内容について、引き続き、さまざまな機会を捉えてわかりやすく説明に努めてまいりたいと思います。

畑野委員 本当に現場が混乱しないように、丁寧な議論というふうに、その趣旨を徹底するというふうにおっしゃられましたけれども、本当に混乱しておりますので、一目でよくわかるように、また、今そこが本当に真意がつかまれるように対処を進めていただきたいと思うんです。これは、教育をつかさどる文部科学大臣として本当にしっかり臨んでいただきたいと思います。今真剣に取り組まないと日本の教育が大変になってしまうということを強く申し上げたいと思います。

 今回訴えに来られた方々の不安というのはいろいろあるんです、子育てのことですから、教育のことですから。そのうちの一つをここで訴えたいと思います。

 それは、収入の格差、マイカーをどれぐらい持っているかの差が子供の通学に今後大きく響いていくということです。

 もし学校が遠くなったらどうなるかということなんですが、行くときも大変なんですね、前回申し上げましたが。帰りもまた問題になります。親御さんが共働きで、祖父母の方がマイカーがないという家庭では、時間どおりの帰りのバスに乗らなくてはならない。少し残って友達と遊んだり学校の先生に相談するということができない。一方で、祖父母を含めてマイカーが四台ありますよという家庭では、四時とか五時とか、そういうふうに校庭で遊ぶことができるということもある。

 あるいは中学校の部活の問題、早朝とか夕方とか土日とかいろいろその学校によってあると思うんですが、それでは交通手段をどうするかという問題も出てくる。部活に行くのだったら、一緒に近所の人に乗せてもらえばいいじゃないという話もあるかもしれませんが、一度や二度じゃない。それから、ほかの家庭には知られたくない、その家その家の事情があるということなんですよ。そういう気持ち、個々の御家庭の事情というのは、本当に私もわかります。

 徒歩圏の学校をなくしてバス通学にするということは、こういういろいろな家庭の困難、子供たちやその家庭にこういう困難を強いることになるわけです。

 私は、国として手引を出していますけれども、もっともっと当事者の、表にも言えないけれども、思いとしてあるそういう気持ちに立って考える必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

小松政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず文部科学省では、学校統合によりまして遠距離通学となる児童生徒、お子様方の通学条件の緩和のために、一つは、スクールバスの購入、あるいは、交通費補助を行う地方公共団体に対する補助を行っております。

 学校統合の適否を検討する上では、学校教育の直接の受益者である児童生徒の保護者の十分な理解や協力を得ながら進めることが重要という大臣からの答弁がございましたけれども、こうした考えのもとに、各地方公共団体におかれては、統合の場合には、その統合の学校の教育活動が円滑に行われるように、今申し上げましたような支援策も十分活用しながら、そのやり方を適切に検討していただきたいというふうに考えております。

畑野委員 最寄りのバス停まで一・七キロ離れたところに住んでいる未就学児童が御入学するというケースがございまして、バス停まで歩いて四十分かかるんです。加えてバスの乗車時間というのは、これまで五分という短い時間だったんですが、閉校になると新しいところは三十分にふえる。だから、四十分足す三十分ということで一時間をはるかに超えるという、そういうさまざまなそれによるリスクが心配されているという話も伺いました。

 そういうことを訴えて市と相談して、では、一キロ以上バス停まで歩く場合は特別に対処するという話がやっと市との話で出てくるんですね。

 だから、個々の御家庭が本当にそういう事態に対応しなくちゃいけないという、また御負担がふえていくという状況があるということを申し上げたいと思うんです、簡単にはいかないと。

 それで、この学校がもし廃校になりますと、学童保育がなくなる。遠くの統合先の学童保育に通うことになるんですけれども、その学童保育の終了に合わせてバスが出るわけでもないわけで、親がマイカーで迎えに行かなければならない。その費用も、ガソリン代で年間三万円かかると試算されているんです。

 義務教育無償の原則に照らせば、こうした保護者負担はなくすべきではないかと思いますが、いかがですか。

小松政府参考人 まず、御指摘の点につきまして、文部科学省で、学校統合によります遠距離通学となるお子様方の通学条件の緩和のために、スクールバスの購入や交通費補助を行う地方公共団体に対する補助を行っていることは先ほど御説明いたしました。

 それに加えまして、御指摘のような点というのは、例えば、一つの場所に通われるお子様の数が少ない、スクールバスとかで定時になかなか対応ができない、こういった細かい点にも配慮すべきではないかということをさらに考えるべきだという御指摘だと受けとめます。

 私どもの補助等について申し上げますと、そういった場合の、例えば通学用にタクシーを借り上げるというような経費などもこの補助の対象といたしております。

 こうした点も情報提供をよくしたいと思いますけれども、このような施策を活用しながら、保護者の方々の負担軽減を図ることができると思っております。

 それからもう一つ、これは学校統合の場合に限らないんですけれども、各市町村が実施する遠距離通学対策に要する経費については、特別交付税の対象に入っております。この中で、これを活用して保護者の送迎に要する経費に補助をしているという事例もありまして、これも事業の対象となっております。

 文部科学省としては、こうした諸施策を通じて遠距離通学に対する支援に努めていきたいというふうに考えております。

畑野委員 設置者は自治体なんですけれども、義務教育の無償化というのは、憲法で保障された教育を受ける権利にとって極めて重要な事項だということで、さらに真剣な検討を行って必要な対策をとっていただきたいと思います。

 次に内閣府に伺いたいんですが、政府は地方創生を掲げられています。私は、地方創生という名で自治体の再編や地方切り捨ての集約を行うべきではないというふうに思います。どこに住んでいても、教育や医療を初め必要な行政サービスを受けられるように、自治機能の再生をすることが必要だというふうに求めたいと思います。

 それで、地方創生と掲げられる政府のその中に、地方の人口減少に歯どめをかけることが喫緊の課題だというふうにおっしゃっているんです。この点については、これは大事なことだと思うんです。

 ただ、そのためには、地方の減少に歯どめをかける、若者たちの地方への移住の流れをつくる、そうした上で、学校がその地にあるということが当然大事だと思うんですが、政府としてのお考えを伺います。

佐野政府参考人 お答え申し上げます。

 地方の人口減少に歯どめをかけまして若者の地方移住を促進することは、地方創生を進めていく上で重要な政策課題の一つであることから、さまざまな施策を総合的に講じていく必要があり、その一環といたしまして、各地域においては、子育て世帯がみずからの子供を通わせたくなるような、魅力ある学校づくりを行うことが大変重要だというふうに認識しております。

 このため、昨年十二月に閣議決定されましたまち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては、「地域コミュニティの核としての学校の役割を重視しつつ、活力ある学校づくりを実現できるよう、学校統合を検討する場合や、小規模校の存続を選択する場合、更には休校した学校を児童生徒の増加に伴い再開する場合などに対応」いたしまして、「活力ある学校づくりを目指した市町村の主体的な検討や具体的な取組みをきめ細やかに支援する。」ということとしているところでございます。

 政府といたしまして、この方針に従いまして、政府全体として取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 以上です。

畑野委員 両方とも、つまり、学校統合を行う場合も、統合しないで小規模校を維持する場合も、支援は行っていくということは、今内閣府からも、そして文部科学省の手引でも同じように言われているわけなんです。

 ところが、その支援なんですけれども、統廃合に偏っているのではないかという疑問があるんです。

 予算で大きな内容でいうと、施設の改修です。学校が古くなってきた、老朽化してきたという場合に、学校を統合したときと学校を統合せずに改修するときと、地元負担の割合は、自治体の割合はどうなるか伺います、文部科学省に。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 公立学校の老朽施設の全面的な改修に関しましては、学校統合の有無を問わず、大規模改造事業として三分の一の国庫補助を行っておりまして、地方公共団体の負担割合は六六・七%となっております。

 学校統合に伴い必要となる施設の改修についても、これまで、この大規模改造事業を活用してきたところでございますが、既存の施設の有効活用が一層図られるようにするという観点から、平成二十七年度より、既存施設を改修して、統合する学校の校舎等を整備する場合の補助制度を創設したところでございます。

 新たな補助制度におきましては、二分の一の国庫負担の対象となる統合に伴う新増築と同様に、国庫補助を二分の一とするとともに、地方交付税措置を講じることとしておりまして、これにより、地方公共団体の実質的な負担割合は二〇%となるところでございます。

畑野委員 要するに、校舎が古くなったら統合した方が得ですよと言わんばかりの誘導予算になっているんではないでしょうかと指摘したいと思うんです。

 そこで、小さい学校を残して頑張ろうという自治体に対してきちんとした支援を行う必要があると思いますが、下村文部科学大臣、いかがですか。

下村国務大臣 今後、少子化等のさらなる進展による学校の小規模化に伴い、児童生徒が集団の中で切磋琢磨しながら学んだり社会性を高めたりするのが難しくなるなどの課題が顕在化することが懸念されておりまして、教育的な観点から、こうした課題の解消を図っていくことは必要であると思います。

 その際、学校の地域コミュニティーの核としての役割を重視する観点からは、学校統合により魅力ある学校づくりを行い、地域の活性化を図ることを選択する場合のみならず、地域の総力を挙げ、小規模校のメリットの最大化やデメリットの克服を図りつつ、学校の存続を図る選択肢もあると考えられ、文科省としては、市町村のいずれかの選択も尊重し、支援してまいりたいと考えております。

    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕

畑野委員 実は、学校がそこにあるというのはすごく大事なことなわけですよ。

 前回も問題にしたある町の問題でも、田舎暮らしに憧れて、公務員をやめて大都市から移住した若いお母さんがいらっしゃいました。引っ越し先を決めて、その決め手は何かというと、歩けるところに学校があったということなんですね。住んでみたら周りもよい人たちで、ここに根をおろしたいと思っていたやさきに廃校を聞かされたということです。いざ何かあったときにすぐ駆けつけられるところに学校がある、このことの安心が欲しいと切々と訴えていらしたわけです。

 こういう人たちを裏切るようなことをしたら、政府が言っている地方創生、私たちはいろいろ問題があると思いますけれども、私たちは、地方の再生をする、活性化をするという立場ですけれども、しかし、そういうふうにおっしゃっていることにも反するんじゃないかと思うんです。わざわざ地方に移住をするのに、学校がない地域というのは選ばれないことになってしまうわけです。

 それで、私は大臣にもう一回最後に確認をしたいんですけれども、資料を二枚つけさせていただきました。

 学校がなくなれば人口流出に歯どめがかからなくなる危険がある。昨年、NHKが「廃校が招いた過疎」という番組を放送いたしました。その番組では隣の市と合併した町の事例が紹介されていて、かつての町にあった学校は、小規模校だからということで小学校も中学校も廃校したんです。それに伴って、急速に合併前の推計よりも大幅に過疎化が進んでしまった。それは、若い世代が予想以上にいなくなったことによるものだと言われております。番組では、市の地域振興課の職員が、学校が統合されまして、それを機に若い子育て世代の方々が出ていったとインタビューに答えているんです。

 私は、今強引に学校統廃合を進めているA市、今申し上げた市です、A市と、それから、今後は統廃合をしないと言っているB市との世帯の推移を調べてみたんです。二〇〇六年度、ほぼ同じ人口だった二つの市なんですが、その当時とことし二月の推移を比べてみましたら、A市の方は世帯が減っているんです。二百六十三世帯減っている。B市の方はふえているんです。一千四百十三世帯ふえているんです。A市で自営業をされている若いお父さんは、地元の夫婦は、子供ができたらB市に引っ越すという話がちらほらあると言っているんです。

 廃校が過疎を招く危険性というのをよく踏まえて取り組むべきだとこれは思うんですけれども、文部科学省、いかがですか。

小松政府参考人 地域の過疎化につきましては、学校の立地のみならず、当該地域における経済、産業、福祉、交通などさまざまな要因が影響を与えると考えられますので、学校の統廃合が過疎化を招くと必ずしも言えないと考えられますが、一般論としては、地域の活性化を図る方策の一つとして、子育て世帯にとって魅力ある学校づくりを推進するということが重要だというふうに考えております。

 今後の地域コミュニティーの核としての学校の役割を重視しつつ、少子化に対応した活力ある学校づくりを進めるという点では、先ほど内閣府からも御説明をし、かつ、手引などでも御説明はしておりますけれども、地域の総力を挙げて小規模校のメリットの最大化や小規模校のデメリットの克服を図りつつ学校を存続させること、それから、適切な通学手段を確保した上で学校統合も含めまして魅力ある学校づくりを行い、地域全体の活性化を図ることなど、さまざまな選択肢があってよいと考えられますので、文部科学省においては、その設置の判断を最終的にいたします市町村の選択を尊重する立場に立って、積極的な支援に努めていくという対応でまいりたいと思っております。

畑野委員 最後に、資料をもう一つつけておきました。福岡県のある町の例です。これは、地域が若い人たちの移住ということでやっているんですね。山梨県にも、若い芸術家が引っ越してきて、本当にこの集落で頑張っていきたい、数十人がこの地域では適正規模だ、強引な統廃合はやめてほしいというふうに訴えておられるんです。

 こういう、地域が頑張ろうということを文部科学大臣としてもしっかり応援していただきたいと思うんですが、最後にそれを伺って、質問を終わります。

下村国務大臣 地域の活性化は、まさにそこにどんな人がいるかということだと思います。ですから、こういう学校を通じて地域おこしをしていこうというところについては、しっかり応援してまいりたいと思います。

畑野委員 終わります。

福井委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、少しこの委員会でも話題になりましたが、国立大学での国旗掲揚、国歌斉唱について伺いたいと思います。

 大臣は先週十日の会見で、国立大学における国旗掲揚、国歌斉唱について、各大学で適切な対応がとられるよう要請していきたいという旨の発言をされたと報道されております。昨日、質問をつくっている時点で会見のテキスト版がまだ出ておりませんでしたので、詳細な内容、言い回し等々はわかりませんが、先日の参議院の予算委員会でも同趣旨の御答弁をされておられます。

 周知のように、国旗・国歌法の制定の際の審議で当時の小渕総理も、国旗掲揚等に義務づけを行うことは考えていないと答弁されると同時に、憲法で保障された良心の自由について、内心について国家はそれを制限したり禁止したりすることはできないと答弁されております。要するに、義務化や強制はできない、そういうことだろうというふうに思います。

 一方、小中高につきましては、学習指導要領で、入学式、卒業式に当たっては国旗掲揚、国歌斉唱を「指導するもの」とされていることは承知をしております。私自身はこのことについては強い違和感というのを持っておりますが、ただ、大学においては、もちろんこれは学習指導要領などというようなものは存在をしておりません。

 だとしたら、今回の、要請とはいえ、国立大学に国旗掲揚、国歌斉唱を求める根拠というものは一体どこにあるのかをまず尋ねます。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省は、文部科学省設置法第四条第十五号の規定によりまして、「大学及び高等専門学校における教育の振興に関する企画及び立案並びに援助及び助言に関すること。」を所掌事務としております。今回の要請も、この所掌事務の範囲内で行うものでございます。

吉川(元)委員 私、大学における国旗掲揚、国歌斉唱が教育の振興に係る企画及び立案及び援助及び助言に関することというふうに、どこでどうやるとそれがそういうふうに当たるのかというのが全く理解できません。

 指摘するまでもなく、憲法二十三条は学問の自由を保障しております。通説では、学問の自由というのは、研究の自由、研究発表の自由、そして教授の自由の三つを指すと言われておりますし、これにより、大学を対象とした学習指導要領というようなものが存在できない、存在しないんだというふうにも考えております。また、大学における研究や教育の自主性、独立性を守るために、学問の自由を保障する制度的保障として大学の自治が位置づけられておるのではないでしょうか。

 昨年の学校教育法の改正に当たっても大学の自治のあり方が大きな議論になりましたが、大学の自治は、研究、教育の内容を含めた大学運営の全てにわたり、結果的に、その業務を統理する立場として学長が存在しているものと理解しております。

 そう考えますと、仮に要請であったとしても、あるいは国立か私立かを問わず、国から国旗掲揚、国歌斉唱を促すようなことは、学問の自由と大学の自治に影響を及ぼしかねないというふうな危惧を持っております。

 あくまでも大学の自主的な判断に委ねておくべきだと考えますが、いかがでしょう。

下村国務大臣 文部科学省としては、国旗掲揚や国歌斉唱が長年の慣行により広く国民の間に定着していること、また、平成十一年八月に国旗及び国歌に関する法律が施行されたことも踏まえ、私立大学に対してではなくて、各国立大学において適切な対応がとられるよう検討を要請してまいりたいと考えております。

 これはあくまでも要請でありますので、大学の自治とか自主性の妨げとなるものではありません。

吉川(元)委員 参議院の予算委員会、さすがに下村大臣はそういうふうに答弁されておりませんけれども、安倍総理が同様の趣旨の質問をされた際の答弁の中で、国立大学について、税金によって賄われているということを理由の一つに挙げて、国立大学での国旗・国歌について実施すべきだというふうに述べられております。私、これは非常に強い違和感といいますか、恐怖も感じます。

 戦前、天皇機関説という問題が発生いたしました。その二年前に、実は京都大学で滝川事件というものが発生しております。御存じかどうかわかりませんが、岩波書店の岩波茂雄氏は後に、この事件は、学者、思想家がその後に凶暴な軍部や右翼に屈する端緒になった、そういうふうに評価をしている事件であります。

 そのときに、滝川事件というのは、別にどうってことのない、本人が書いた本について問題視され、教授をやめるべきであると文部相が強く要求し、それに対して当時の京都大学の法学部の教授たちが、七人ですけれども、抗議をして辞任をされた。そういう事件であります。

 そのときにちょうど国会の場において、先日の参議院と同じような質疑が行われております。これは衆議院の方ですけれども、ある委員の方から、大学における赤化教授に対する罷免を要求したい、こういう意見を持った者が国家の禄をはんで教職についているのはやはり問題である、そういう旨の発言をしているわけです。

 今回は下村大臣はそういうふうにはおっしゃられておりませんのでそれはないというふうに私思いますけれども、国立大学というのは運営交付金を主な財源としているのは事実です。だから国からの要請を受けとめるべきだとするならば、国立大学は常に国や時の政権の考え方をしんしゃくすべきだというふうになってしまうのではないか、そういう懸念が一つあります。

 もう一つは、国立大学はどこもそうでしょうが、財政逼迫が言われる現状、たとえ要請であっても、これに応えなければ運営交付金の重点配分を受けられないのではないか、そういう不安を大学に抱かせるようになるのではないかというふうに思います。

 そこで、ちょっとこれは通告しておりませんが、答弁の中になかったので伺いますが、今回の要請について大学側がそれを拒否した場合、何らかのことが行われるのでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 要請をこれから各種の会議などでしてまいりたいと思いますけれども、大学側の態度によりましてその運営交付金などの配分に影響を及ぼすということは考えておりません。

吉川(元)委員 それの法的根拠はどこにありますか。

吉田政府参考人 法的根拠と言いますが、これは予算上の措置でございますので、予算の配分に当たりまして、先ほど申し上げましたことで考えております。

吉川(元)委員 通告の際にもお話しさせていただいたんですが、これはいわゆる行政手続法の第三十二条に当たるものだというふうに解してよろしいんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 行政手続法上の位置づけとしては、行政指導に該当するものと考えます。

吉川(元)委員 だとすれば、その第二項、行政指導にかかわる者は、「その相手方が行政指導に従わないことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」というふうに書いておりますが、まさにこれでよろしいんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 行政手続法上の「行政指導の一般原則」については、ただいま御指摘のようなものが掲げてございます。「不利益な取扱いをしてはならない。」ということになっておりますので、その趣旨を踏まえて対処いただいたものです。

吉川(元)委員 行政手続法第三十二条の第二項に基づいて、たとえ要請があったとしても、それを受けるか受けないかは、あくまで相手方の任意の協力によってのみ実現をされる。たとえそれに従わなかったとしても、例えば先ほどの運営交付金も含めて、不利益な取り扱いは行われないということで理解をしたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 文科省は、三月四日に「学校における補助教材の適切な取扱いについて」という通知を出されました。本委員会でもたびたび補助教材については議論になっておりましたが、四十年ぶりの通知だというふうに承知をしております。

 何点かお聞きしたいのですが、最初に、四十年ぶりにこうした通知を出すことになった理由について尋ねます。

小松政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校においては教科書以外にも有益適切な補助教材を使用することができることとされており、文部科学省では、昭和四十九年に通知を発出し、各学校、教育委員会における補助教材の取り扱いに際しての留意事項を示したところでございます。四十年ぶりというのは、それから数えてということだと思います。

 しかしながら、最近、適切とは言えない補助教材の使用事例が見られること、一方で、道徳を初めとして、補助教材を適切な形で積極的に活用していくことが望まれること等を踏まえまして、改めて補助教材の適正な取り扱いを各学校、教育委員会等に促すため、新たに通知を発出し、必要な留意事項を示すこととしたということでございます。

吉川(元)委員 報道等を見ますと、イスラム国、ISですけれども、に殺害された遺体を子供たちに見せた、そういう事例があったのが背景になって出されたのではないかというふうにも考えております。私自身も、遺体を子供たちに直接生の状態で見せるということが果たして適切なのかどうなのかについては、私もちょっと疑問は感じております。

 ただし、補助教材の使用において不適切な事例が頻発しているというふうにも私自身は思えませんので、あえて通知を出す緊急性、必要性というのがあったのかどうか、疑問を持たざるを得ません。

 さて、補助教材について今回と同趣旨の通知、先ほど四十九年と言われましたが、その前は三十九年にも出されておりますが、そのときの通知者、宛先は各都道府県教育委員会となっております。今回は、各都道府県教育委員会と指定都市教育委員会に加え、都道府県知事、附属学校を持つ国立大学法人学長、そして、構造改革特区の認定を受けた自治体の首長さんも対象になっております。

 教育委員会以外に通知先が拡大をしている理由を教えてください。

小松政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、今回の補助教材に関する通知において示したこと、すなわち、各学校において、校長の責任のもと、教育的見地から見て有益適切な補助教材を有効に活用することが重要であること、それから、補助教材の使用の検討に当たって、特に、教育基本法、学校教育法、学習指導要領等の趣旨に従っていること、その使用される学年の児童生徒の心身の発達の段階に即していること、多様な見方や考え方のできる事柄、未確定な事柄を取り上げる場合には、特定の見方や考え方に偏った取り扱いとならないことといった点に十分留意することといった点は、国公私の設置者の別を問わず、小中高等学校に共通して求められるものでございます。

 こういった理由から、今回の通知は、都道府県教育委員会のみならず、都道府県知事や附属学校を置く国立大学法人学長等にも送付したものでございますが、昭和三十一年に発出したものは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の施行通知でもございます。それから、三十九年、四十九年については、その解釈という性格を含んでおります。

 そういう意味では、通知の枠組みとして、このうちの公立学校というところに通知を出したということでございます。

 今回の通知では、そういう意味では、国公私の設置者の別を問わず、共通して留意していただかなければならないものである点として必要な事項を内容に盛り込んでいるということで、読み比べていただきますと、公立用と国公私立用の共通点という点では少し内容が違っておりますけれども、基本のところを先ほど申し上げましたような理由できちっとしていく必要があるというふうに判断をいたしたものでございます。

 これに基づいて、補助教材の内容や取り扱いに関して検討、管理のあり方を改めて確認していただいて適切に実施していただくとともに、有益適切な補助教材については、むしろ積極的に活用する契機としていただくということもあわせて期待したいと思います。

吉川(元)委員 なぜこうしたことを聞いたかといいますと、ちょうど一年前のこの文部科学委員会で議論をさせていただきましたが、教育委員会制度の見直しの議論を行いました。それで新たな制度がスタートいたしました。総合教育会議において首長と教育委員会が協議や調整を行うということになっております。この新しい教育委員会制度を念頭に置いて都道府県知事にも通知を出したのかなというふうに疑問に思ったんです。そういうことではない、あくまで私立や国立の小中学校を念頭に置いて通知をしたというそういう理解でよろしいんでしょうか。もう一度お願いします。

小松政府参考人 そのとおりでございます。

吉川(元)委員 昨年の教育委員会制度見直しの議論の中で、総合教育会議で協議、調整できる事案とその範囲については、私も含め、かなり多くの方からいろいろな質問がされたというふうに思います。

 そのときに、補助教材ではありませんけれども、教科書の採択については、これは総合教育会議で協議、調整の対象になるのかという質問に対して当時の前川初等中等局長は、執行機関である教育委員会の職務権限なので、「予算にかかわる問題が生じない限り、」「首長との調整の問題にはならない」というふうに答弁をされております。

 そのときにあわせて確認しておけばよかったんですけれども、地教行法の第二十一条六号は、「教科書その他の教材の取扱いに関すること。」を教育委員会の職務権限にしております。ですから、補助教材も、その取り扱いについては教育委員会の権限に属し、とんでもない予算を必要とするとかそういうのは別ですけれども、基本的には首長との調整事項にはならないというふうに考えてよろしいんでしょうか。

小松政府参考人 総合教育会議は、首長と教育委員会が相互の連携を図りながら、より民意を反映した教育行政を推進するという趣旨で、首長による大綱の策定や総合教育会議の設置ということが制度化されたという趣旨のものでございます。

 そのたてつけの範囲において首長が教育内容について取り上げることもあるということは、これまでも説明が行われているところでございますけれども、新制度でも教育委員会は従来どおりの職務権限を持つということとしておりますので、首長から独立した教育行政の執行機関として最終的な決定権限を有するという立場で引き続き教育委員会が責任を持つという体制になっておるところでございます。

吉川(元)委員 繰り返し、もう一回確認だけさせてください。

 そうしますと、補助教材の内容が適切あるいは不適切、そういった判断については、基本的には教育委員会に委ねられているということでよろしいんでしょうか。

小松政府参考人 仕組みの御説明になりますが、まずは第一義的には、学校教育法で、各学校において、有益適切なものは教科書以外の図書でも使用することができるとなっておりますので、これは国公私を問わない状況で、学校がまず一義的に判断をする責任と権限がございます。

 この規定を踏まえまして、先ほど一部御説明いたしましたが、公立学校については、いわゆる地教行法の権限に基づいて、教育委員会が所管の学校における補助教材についての行政上の責任を持っている、設置者としてということになりますが、というたてつけでございます。この点は今も全く変わっていないということでございます。

吉川(元)委員 教育委員会制度の見直しの議論の際に、政治的中立性についてかなり質問をさせていただきました。その中で、国がどこまで教育行政に関与できるのかということも論点の一つになりました。

 その際、当時の初等中等局長は、前川さんですけれども、国が関与できるのは大きく三つ、一つは、学校教育法等の制度の枠組み、それから二つ目が、学習指導要領といった全国的な基準、そして三つ目が、教員給与等の財政的な負担、この三つが国の役割であって、教育内容に直接関与するのは合議体の教育委員会である旨、はっきりと答弁をされております。

 少し気になったんですけれども、補助教材の適正の判断が基本的に教育委員会に委ねられているとした場合に、実は昨年の十月二十九日、本委員会で大臣が、朝日新聞がつくった「知る沖縄戦」について所見を述べられております。その際、全部読んだわけではないとしつつ、「バランスをとったことであれば問題ないと思います」、「そうでないということであったら、これは副教材として使うのは適切でないというふうに思います」という趣旨の御答弁をされております。慎重な言いぶりではあっても、適切ではない、そういう趣旨のことを述べるのはやはりいかがなものかというふうには私自身は感じております。

 また、今回の通知、主に教育委員会に対して副教材の取り扱いについて適切な判断を求めたものと理解をいたしますけれども、副教材につきましては、学校管理規則で、教育委員会の承認や届け出を要するもの以外に、教員が自作した教材も含まれます。

 この点で、通知では、各学校における有益適切な補助教材の効果的使用を抑制することのないよう留意することという一言も盛り込まれております。地域にとって必要な補助教材を地域が適切に判断して活用する、このことは非常に大切だろう。

 この趣旨に沿って、通知が学校現場での補助教材の利用を萎縮させることにならないように適切に対応していただきたいというふうに思います。

 続いて、次の質問に移っていきたいと思います。

 前回、三月二十七日の委員会で、今年度予算における教職員定数について財務省の認識をただしましたところ、政務官の方から、三千人の自然減を除き、定数増九百人に対し、定数の合理化減と学校統廃合による定数減が千人で、差し引き百人の純減だ、そういう認識が非常に冷酷に答弁をされました。

 文科省は予算の確保で大変な努力をしてきたこと、これについては十分理解をいたしますけれども、義務教育の教職員定数標準法が施行されて以来、昨年度が初めての純減、そして今年度が、その純減幅がさらに拡大をしました。教職員の大幅削減を主張する財務省の論理が幅をきかせているのではないかと強く危惧をいたします。

 文科省は、昨年、新たな教職員定数改善計画を策定し、十年間で三万一千八百人の定数改善を実施するといたしました。その初年度分として、今年度予算案の概算要求では二千七百六十人の定数改善を求めております。結果は九百人の定数改善にとどまったわけですが、この結果についてどのような認識をお持ちでしょうか。

下村国務大臣 まず、財務省と文科省の見方の違いをちょっと御説明したいと思うんですけれども、平成二十七年度予算における教職員定数は、二十六年度と比べ三千百人の減となっております。この両者、文科省、財務省の説明は、いずれもこの三千百人の減についての説明であります。

 財務省の方は、少子化に伴い生じる平成二十七年度の教職員定数の自然減、その数が三千人であるが、政府予算では、二十六年度と比べ三千百人の減であるため、差し引き百人の純減を実現したというふうに言っているわけであります。

 文科省としては、平成二十七年度の教職員定数については、自然減分三千人のほかに、学校統合等による千人の減が見込まれ、総計四千人の減を見込んでいる。政府予算では三千百人の減となっている。これは、学校教育の充実に必要な九百人の新たな定数措置をしたというふうに我々は考えております。

 今御指摘の、それでは二十七年度九百人の定数の計上について、十カ年の定数改善計画の考え方を踏まえてどのようにしたかということでありますが、具体的には、アクティブラーニング等による教育の質の向上、それから、多様な人材を配置し、学校がチームとして教育力、組織力を最大化する取り組み、チーム学校の取り組み、また、教育格差の解消、いじめ等への対応、特別支援教育の充実など、個別の教育課題への対応、それから、統廃合への支援、過疎地への、小規模校への支援、そのための定数措置としてこの九百人を盛り込んでいるところであります。

 あわせて、スクールソーシャルワーカーを約一・五倍増の二千二百四十七人に拡充するとともに、退職教員や地域人材等の教員以外の外部人材も二千人拡充するなど、多様な人材の配置拡充によりまして、学校全体として指導体制の充実を図ることとしております。

 引き続き、きめ細やかで質の高い指導体制の構築に努めてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、ちょっと聞いていて、見方が違うと読み方も変わるという話になるかどうかわかりませんが、非常にわかりにくい。私は財務省をよしとはしませんし、定数改善、ぜひこれからも取り組んでいただきたいと思いますけれども、今回の定数の問題でいうと、財務省のいわゆる百人純減というのが、やはりそれは事実なんだろうというふうに私は思わざるを得ませんし、これについては、次回以降、また引き続き別の観点からも質問していきたいというふうに思います。

 以上で終わります。

     ――――◇―――――

福井委員長 次に、内閣提出、文部科学省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。下村文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 文部科学省設置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

下村国務大臣 このたび、政府から提出いたしました文部科学省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国におけるスポーツ政策については、平成二十三年に成立したスポーツ基本法に基づき、文部科学省を初め関係各府省が連携して、スポーツ立国の実現に向けた施策を実施しております。二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の開催も契機として、これまで取り組んできたスポーツ選手の育成や地域におけるスポーツの推進に加えて、国民生活における多面にわたるスポーツの役割をより一層高めていくためには、スポーツを通じた健康の保持増進や地域社会の再生、国際的地位の向上など、多数の府省に関連する施策を政府として総合的に推進していく必要があります。

 この法律案は、これらのスポーツに関する施策を総合的に推進する行政組織を整備するため、文部科学省の外局としてスポーツ庁を設置するものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、文部科学省の任務のうちスポーツに係る部分を「スポーツに関する施策の総合的な推進」に改めるとともに、文部科学省の所掌事務に、スポーツに関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、スポーツに関する関係行政機関の事務の調整、並びに心身の健康の保持増進に資するスポーツの機会の確保に関する事務を追加することとしております。

 第二に、文部科学省の外局としてスポーツ庁を設置し、その長をスポーツ庁長官とするとともに、スポーツ庁の任務を「スポーツの振興その他のスポーツに関する施策の総合的な推進を図ること」とし、スポーツ庁は、その任務を達成するため、さきに述べた、スポーツに関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進等の文部科学省の所掌事務に新たに追加する事務のほか、スポーツの振興に関する企画及び立案並びに援助及び助言に関する事務その他の事務をつかさどることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

福井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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