衆議院

メインへスキップ



第5号 平成27年4月17日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十七年四月十七日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 福井  照君

   理事 池田 佳隆君 理事 石原 宏高君

   理事 冨岡  勉君 理事 萩生田光一君

   理事 義家 弘介君 理事 郡  和子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      安藤  裕君    今枝宗一郎君

      尾身 朝子君    大見  正君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      神山 佐市君    木村 弥生君

      熊田 裕通君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    白須賀貴樹君

      瀬戸 隆一君    谷川 とむ君

      中山 展宏君    馳   浩君

      鳩山 邦夫君    古川  康君

      古田 圭一君    前田 一男君

      宮川 典子君    宮崎 謙介君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      山本ともひろ君    菊田真紀子君

      中川 正春君    平野 博文君

      松本 剛明君    本村賢太郎君

      笠  浩史君    坂本祐之輔君

      鈴木 義弘君    初鹿 明博君

      中野 洋昌君    吉田 宣弘君

      大平 喜信君    畑野 君枝君

      宮本 岳志君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     宗清 皇一君

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  小林 史明君     宮崎 謙介君

  船田  元君     穴見 陽一君

  前田 一男君     山田 賢司君

  笠  浩史君     本村賢太郎君

  畑野 君枝君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     中山 展宏君

  瀬戸 隆一君     熊田 裕通君

  宮崎 謙介君     白須賀貴樹君

  宗清 皇一君     木村 弥生君

  山田 賢司君     金子万寿夫君

  本村賢太郎君     笠  浩史君

  宮本 岳志君     畑野 君枝君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     前田 一男君

  木村 弥生君     尾身 朝子君

  熊田 裕通君     今枝宗一郎君

  白須賀貴樹君     小林 史明君

  中山 展宏君     船田  元君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     工藤 彰三君

    ―――――――――――――

四月十七日

 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案(内閣提出第一五号)

 平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案(内閣提出第一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

福井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、文部科学省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官橋本嘉一君及び文部科学省スポーツ・青少年局長久保公人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野洋昌君。

中野委員 おはようございます。公明党の中野洋昌でございます。

 本日は、文部科学省設置法の一部を改正する法律案、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 今回のスポーツ庁の設置を行うこの文部科学省設置法の一部を改正する法律案、私は大変に意義のある法案だというふうに思っております。日本のスポーツ行政、今までも、文部科学省の中でスポーツ・青少年局がございました。もちろんこのもとでやってきたわけでございますけれども、このスポーツ行政の大きな転換点となる大変重要な法案なのではないか、このように考えております。

 スポーツ庁の設置につきましては、長年来議論がございました、関係者の皆様の御努力で制定をされました平成二十三年のスポーツ基本法の議論のときもこの話はございました。附則にも、この組織のあり方、こういうものについて検討をする、こういうこともあった、このように記憶をしております。

 また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会、この日本開催を何としても成功させるためにも、スポーツ庁の果たすべき役割というものは大変に重要なものがあるのではないか、このように考えております。

 そこで、下村文部科学大臣にお伺いをまずいたしたいのは、今回のスポーツ庁設置、今までもスポーツ・青少年局ということでやってきておったわけでございます。何が違うのか、そして、今回設置をする意義、そしてどのような効果があるのか。まずは基本的なところでございますけれども、改めて大臣にお伺いをしたいと思います。

下村国務大臣 おはようございます。

 御指摘の点でありますが、近年、国民生活におけるスポーツの役割は拡大し多面にわたっておりまして、また、御指摘のように、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も決定したところでもございます。

 このような中で、スポーツ政策におきましても、多面にわたるスポーツの役割を一層高め、スポーツを通じて社会を発展させていくためには、多数の府省に関連する施策を総合的に推進していくことが求められるようになったと考えます。

 政府として、スポーツ基本法に掲げるスポーツ立国を実現し、スポーツ施策の総合的な推進を図るため、そのためにスポーツ庁を設置することといたしました。

 スポーツ庁においては、スポーツ基本法の理念も踏まえ、関係府省の司令塔的な機能を果たすとともに、人事交流等を通じまして幅広い関係省庁の知見を得つつ、スポーツによる健康増進、地域活性化、国際的地位の向上などを図り、新たなスポーツ施策を総合的、一体的に推進していきたいと考えております。

 特に近年、我が国の医療費総額が年間で約四十兆円にも上がっている中にありまして、運動で抑制できる医療費が全体の約七・七%もあるという調査結果も出ております。

 このように、スポーツは医療費を抑制できる可能性も秘めており、スポーツを通じた健康増進の取り組みを進めることによりまして、健康寿命が平均寿命に限りなく近づくような社会の構築も目指していきたいと考えているところでございます。

中野委員 ありがとうございます。スポーツの果たすべき意義、役割、それも含めて大臣の方から先ほど御答弁をいただきました。

 私も、少子高齢化社会、長寿社会ということでよく言われておりますけれども、やはり、健康増進という観点も非常に今回重要なことなんだろうなというふうに思っております。それも含めて大臣から御答弁をいただきまして、しっかりと、スポーツ政策、青少年の育成から、また、高齢者の健康増進から、もう本当にさまざまな大事な意義がございます。これをスポーツ庁を設置することで一体的に進めていっていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。

 さて、次に質問をさせていただきたいのは、このスポーツ庁における組織づくりのあり方、あるいはマネジメントのあり方、そして人材の確保、こういったものについて質問をさせていただきたいと思います。

 新しい組織ができる、これで喜んでばかりいられるわけでもございません。私、いろいろな組織の設置、改編というのは今までも役所の中でやってまいりましたけれども、よくある形としては、今までもともとあった組織と組織をくっつけて、もちろん仕事も持ってくる、そして人も持ってくる、こうして新しい組織をつくっていく、こういうこともあったわけでございます。

 しかし、今回、このスポーツ庁の設置のあり方、やり方というのを聞いておりますと、各省庁にあった組織も集める、人も持ってくる、こういう形ではなくて、各省庁の所掌事務はそのまま動かない、このように聞いております。そして、人を集めていく、そうして新しいスポーツ庁という組織をつくっていく、こういうことを聞いております。新しい取り組みを今回やっている、このように認識をしております。

 しかし、実際に運用をしていくというところを考えていくと、なかなか簡単ではないんじゃないのかなというふうに思います。今でも、内閣府ですとか内閣官房ですとか、各省庁から人を集めて組織として仕事をしていくというものはあるんですけれども、私も公務員の経験があるのでわかるんですけれども、いろいろなところからばらばらに人を集めて、そしてそれをマネジメントして一つのことを進めていくというのは、なかなか簡単なことではございません。もともとあった組織の中でマネジメントをしていくよりもさらに難しいことになっていくのではないかなというふうに思います。

 悪く言えば、スポーツ行政に関して今まで全くやったことがない人たちが各省から集まってきてスポーツ庁というところができて、そしてばらばらのまま運営をしていく、こういうことが決してあってはいけない、私はこのように思います。このマネジメントがしっかりとできる組織づくり、これをやはり下村大臣にはしっかりとやっていただきたい、このように考えております。

 また、スポーツ行政、これを担う人材の育成。各省庁から人が来て、また、文部科学省の中からも人が来て恐らくつくっていくことになるかと思いますけれども、やはり、ある程度専門的にスポーツ行政についてノウハウのある、知見のあるこうした人材をどうやって育成をしていくのか、これも大事な観点になってくると思います。

 下村文部科学大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。

下村国務大臣 スポーツ庁におきましては、御指摘のように、スポーツを通じた健康増進や地域活性化など、スポーツに関する施策を総合的に推進するために、これまで以上に関係省庁と連携を密に図っていく必要があります。スポーツ推進会議の構成員となっている省庁を中心に、幹部級も含め、積極的に人事交流や受け入れを行っていく必要があると思います。

 実際の人事はスポーツ庁の発足直前になるわけでありますが、充実した業務を遂行するために、関係省庁から優秀な人材を出してもらえるよう、関係省庁に働きかけてまいりたいと思います。

 また、関係省庁からの寄せ集めでばらばらな組織とならないよう、スポーツ庁長官にはリーダーシップとガバナンス能力を備えた適任者を選任し、スポーツの振興を強力に推進していける体制を構築していきたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 組織をつくる上で実際にどうマネジメントするか、運用するか、ここがやはり一番大事な観点となってくる。下村大臣にはしっかりとリーダーシップを発揮していただきまして、マネジメントがしっかりできる、そして大きな目標に向かって進んでいく、こういう組織づくりというものをぜひお願いをしたいというふうに思います。

 三点目にお伺いをしたいのは、このスポーツ庁とほかの組織、どのように連携をしていくのか、あるいは、今までいろいろな省庁がある意味縦割りでやってきた、この縦割り行政というものをどのように排除していくのか、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

 スポーツに関連する行政分野といたしましては、先ほど来お話が出ておりますけれども、健康増進という観点もございます。これは今まで厚生労働省がもちろんやってきたわけでございますし、地域の活性化という観点からは、まちづくり、こういう意味では国土交通省があり、あるいは農水省、環境省、こうした省庁も関連をしておりますし、国際交流、国際貢献、こういう観点からは外務省の存在も非常に大事になってまいります。そして、経済発展という意味では経済産業省もございまして、非常に幅広い行政分野というものが関連をするということになっております。

 そして、今回、スポーツ庁に関しては、「スポーツに関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること」、こういうことをやる、こういう観点が入っておりますので、多岐にわたる全省庁をしっかり取りまとめて企画立案をしていく、こういう仕組みになっておりますけれども、やはり、利害が対立するような分野について各省庁をまとめて縦割りの行政を排除していくというのは非常に難しい、簡単なことではないというふうにも思います。

 省内においても、例えば文部科学省の中でも、青少年の健康の教育であるとか、他局とも連携をして省内もしっかりまとめて、他省庁もしっかりとまとめてやっていかないといけない。これもなかなか難しい課題ではございますけれども、他の組織との連携、あるいは縦割り行政をどうやって排除していくのか、これについて文部科学省にお伺いをしたいというふうに思います。

久保政府参考人 今回の改正案では、文部科学省の所掌事務といたしまして、今御指摘いただきましたように、新たに、「スポーツに関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進」という規定を加えるところでございますが、さらに、「スポーツに関する関係行政機関の事務の調整」も規定することにしております。

 これらは、スポーツ庁が関係省庁に対して積極的な基本施策を提示いたしますとともに、関係行政機関の事務の調整をスポーツ庁が中核となって行うことにより、スポーツ関連施策を総合的に推進できるようにするものでございます。

 加えまして、スポーツを通じた健康増進や地域活性化、国際的地位の向上などに向けましてスポーツ庁で新たに取り組む施策を実施する上でも、他省庁との人事交流を通じましてスポーツ庁に各分野に精通した人員を結集して、任務に当たっていただきたいと考えております。

 また、文部科学省内部の連携につきましても、学校教育や青少年教育などは、子供たちの心身の健全な発達という観点でスポーツと密接に関連するものでございます。同じ文部科学省内でございますので、引き続き、スポーツ庁の発足の精神を踏まえまして、これまで以上に緊密な連携を図って取り組んでいきたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 やはり、縦割り行政の排除、これは非常に大事なことであるというふうに思いますので、しっかりとリーダーシップを発揮していただきたい、このように思います。

 続きまして、スポーツ庁長官に求められる資質についてお伺いをしたいと思います。

 先ほど大臣の方からも一言コメントがございましたけれども、スポーツ行政を取りまとめることとなるスポーツ庁の長官、かつて記者会見でたしか下村大臣も、アスリート出身者を起用するのも一つの考え方である、このようなことをおっしゃっておられたかというふうに思います。ほかの庁の長官を見ましても、例えば、文科省でも文化庁がございます。あるいは消費者庁、あるいは観光庁、今までも、民間人からの登用、こういうものを行ってきた事例というものはございます。

 先ほど来御質問させていただいている中身にもあるとおり、スポーツ庁という一つの組織をまとめてマネジメントするのも、大変に、非常に大きな難しいことでございますし、そしてなおかつ、各省庁にまたがるものを、縦割りを排除して、リーダーシップを持ってこれを進めていく、これも非常に難しいことでございます。そして、東京オリンピック・パラリンピック大会、こういう大きな目標もあって、ラグビーもございます、いろいろな進めていくべき課題がある中で、これを進めていくというのは非常に難しい、単にスポーツに造詣が深いというだけで務まる役職なのか、このようにも感じております。

 そこで、スポーツ庁長官に求められる資質、どういった資質が求められるのか、どう考えているのか、これを文部科学省にお伺いをしたいというふうに思います。

下村国務大臣 スポーツ庁長官には、関係行政機関の長などとスポーツ関連施策を調整し、スポーツ施策の総合的な推進をリードすることや、我が国のスポーツ行政の顔として、外国政府の高官などとの間でハイレベルの調整や交渉を行い、国際的なプレゼンスを高めることなどが期待されると思います。

 今後、そうした役割にふさわしい、スポーツに精通し、また、御指摘のように、リーダーシップそれからガバナンス能力、それを備えた人材を、民間人も含めた幅広い層から慎重に選んでいきたいと考えております。

中野委員 大変に大事な人選であるというふうに思います。やはり、いろいろなリーダーシップ、ガバナンス能力、そして、もちろんスポーツの顔ということにもなってまいりますので、非常に大事な人選、しっかりと進めていっていただきたい、このように思います。

 続きまして、障害者スポーツについて御質問をさせていただきます。

 スポーツ庁の設置に先立ちまして、障害者のスポーツに関しましては、既に厚生労働省の方から文部科学省の方に業務の移管がなされている、一体として既に取り扱う体制になっている、このように承知をしております。

 そして、私の地元でもこの障害者スポーツに取り組んでおられる皆様がいらっしゃいます。例えば、知的障害のある方々が参加をするスペシャルオリンピックス、このプログラムを、本当にボランティアで、力を入れてやっておられる方もいらっしゃいますけれども、やはり障害者のスポーツというのは、認知度が低い、このようなことをよく訴えられておられました。やはり、もっともっと裾野を広げていかないといけない、身近に取り組めるものでなければならない、このように思います。

 そうした意味では、やはり、より現場に近い地方自治体の中でどうやってこの障害者スポーツに取り組んでいくのか、大変に重要な課題になってくるというふうに思います。

 国の中では、スポーツ庁ということで、一体的に取り組む体制が今回とれておりますけれども、各自治体の中ではまだまだ、スポーツの部局そして福祉の部局、こうした部局との連携をどうやって図っていくのか、これについてのノウハウもまだ足りない。どうやっていくのか、こういうふうな手探りの状況もあるというふうに思います。

 この、地方自治体における障害者スポーツの裾野の拡大を今後どのように図っていくのか、どう取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいというふうに思います。

久保政府参考人 障害者スポーツの普及のためには、今御指摘いただきましたように、地域において多くの障害者の方々がスポーツに親しめる環境の整備を行うことが重要であると考えておりまして、地域の関連する部局の連携というのが大変大事と思っております。

 このために、平成二十七年度から、各都道府県、政令指定都市におきまして、スポーツ関係者と障害福祉関係者が共同体制を構築し、相互に一体となり障害者スポーツを推進する、地域における障害者スポーツ普及促進事業を実施することとしたところでございます。

 また、日本障がい者スポーツ協会に対する補助を通じまして、障害者スポーツ指導員の養成研修事業の充実、あるいは、地域における障害者スポーツの普及啓発事業への支援を行いますとともに、全国障害者スポーツ大会に対する補助も充実しているところでございます。

 今後、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催を見据えて、地域における障害者スポーツの普及をより一層強力に推進してまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 やはり身近に親しめるものでなければならない。そうしますと、地方自治体も含めて、いろいろな地域の中での取り組みというものを進めていく必要があるというふうに思いますので、文部科学省がまずはいろいろな形で支援をしていって、そしてそれが各地域に広がっていくような、またそういう取り組みもしていただければと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 続きまして、学校部活動、運動部活動について質問をさせていただきます。

 日本のスポーツというものを考えていく中で、私は、これは大変に重要な役割を果たしている運動部活動であるというふうに思います。本当に、日本のこの仕組みの中でも、スポーツというものを考えて、非常に大事な、青少年が運動に親しむという意味でも、大変に大きな役割を果たしている。数字を見ますと、中学生でも六割以上、そして高校生でも四割以上の方が参加をしておる、こういう数字も拝見をしたことがございまして、非常に大事な運動部活動であるなというふうに思います。

 他方で、学校における運動部活動におきましては、近年、さまざまな課題も指摘をされているということも事実でございます。

 例えば、体罰といったような指導上の課題というものもございました。あるいは、学校の教師の方の負担感というか、運動部活動に割く時間が非常に負担が大きい、こういう指摘もなされたところでもございます。

 そして、この運動部活動を、では、学校教育の中で扱っていくのか、あるいはスポーツの中で取り扱っていくのか、こういう議論もかつてあったか、このように記憶をしておりますけれども、今回の法改正におきまして、この運動部活動というものもスポーツ庁の取り組みの中でしっかりとやっていく、こういうことを確認させていただくとともに、今後、こうした諸課題があるわけでございますけれども、どのように対応していくのか、これも含めて文部科学省にお伺いをしたいというふうに思います。

久保政府参考人 中学校、高校におけます運動部活動は、学校教育の一環として、スポーツに興味と関心を持つ同好の生徒の自主的、自発的な参加によりまして運動やスポーツを行うものでございまして、各学校で多様な活動が行われて、我が国独自の発展を遂げてきたものでございます。

 また、我が国のスポーツが学校体育や運動部活動を基盤として発展してきておりまして、スポーツ施策を効果的に展開する上で学校体育、運動部活動は不可分でありますことから、運動部活動につきましてもスポーツ庁が所掌することとなっているところでございます。

 これらの経緯に鑑みまして、スポーツ庁設置後におきましても、学習指導要領の一環として教育課程との関連が図られるように留意しつつ、スポーツ庁がスポーツに関する施策の総合調整的な推進とすることを任務とすることなども踏まえまして、各種施策とも連携を図りながら、一層の運動部活動の充実に努めてまいりたいと思います。

 なお、現在、中央教育審議会におきまして、これらの学校教育を担う教職員やチームとしての学校のあり方について、運動部活動の指導体制も含め、学校組織全体の総合力を一層高めるための方策について御審議いただいているところでございます。

 これらの審議も踏まえながら、運動部活動の一層の振興について検討してまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 先ほど、学校全体としてというお話もございました。チーム学校ということでいろいろな方が協力をして、そして学校を支えていく、こういうことも議論をなされていると承知をしておりますので、やはりその中においても、運動部活動、学校の部活動をどのように支えていくのか、こういうことも含めてしっかりと議論をしていくことをお願いをさせていただきたい、このように思います。

 続きまして、スポーツ指導者の資質の向上、これについて質問をさせていただきます。

 スポーツを行っていくためには、当然でございますけれども、指導者、コーチというものが必要でございます。それぞれの地域でさまざまなスポーツが行われております。それこそ本当に、地域の少年団のようなところで子供たちがスポーツをする、これに対するコーチの方もいらっしゃいますし、より専門性の高い、プロフェッショナルなところでやっておられる方、さまざまな指導者、コーチの方という者がいらっしゃいますけれども、こうした方々の活動が、日本のスポーツを考えていく上で大変重要な役割を果たしている、支えていただいているのではないかな、このように認識をしております。

 他方で、過去、一部の、本当に一部の方ではあるとは思うんですけれども、スポーツを指導していく上で暴力行為というものが問題となった。こうした事案があったことも事実でございます。

 これからの日本のスポーツというものを考えていく上で、スポーツ庁を設置して、これから日本のスポーツの行政をさらに前へ進めていこう、オリンピック・パラリンピック大会もある、これの開催に向けて日本のスポーツをもっともっとよくしていこう、こういう時期でございますので、こうした指導者の方も含めて、やはり、資質をどうやって向上させていくのか、あるいはどうやってコーチングをしていくのか、このあり方についてしっかり取り組むということは非常に重要であるというふうに思います。

 また、こうしたスポーツの指導者の方をどうやって育成をしていくか、どうやって資質を向上をさせていくか、こういう取り組みがしっかりしていくことで、アスリートの人たちがまたそういったコーチとなっていく、指導者となっていく、こういう道がもっともっと開かれていく、このように考えてございます。

 こうした指導者の資質の向上のあり方、あるいはコーチングのあり方につきましてどのようにお考えか、文部科学省にお伺いをしたい、このように思います。

久保政府参考人 スポーツ指導者の資質向上につきましては、スポーツ基本計画にも重要な課題として掲げられてございまして、大変重要な課題だと我々も認識しております。

 暴力事案が起きたことの解消をどうするかということも踏まえまして、文部科学省では、科学的な、適切なモデルカリキュラムが必要だということで、二十五年七月に、福井当時副大臣のタスクフォースとして、スポーツ指導者の指導能力向上のための有識者会議を設けまして、その報告書の提言に基づきまして、昨年からコーチング・イノベーション推進事業を実施しております。この中で、コーチが育成過程において必要な知識、技能を確実に習得できるように、モデル・コア・カリキュラムの作成を進めているところでございます。

 これらの取り組みをシステムとして円滑に推進していきますために、日本スポーツ振興センター、日本体育協会、日本オリンピック委員会、全国体育系大学学長・学部長会議のスポーツ関係団体、あるいはアスリート等が一堂に会して、課題の分析や連携した取り組みを推進する、コーチング推進コンソーシアムを開催しているところでございます。

 本年三月、その成果をグッドコーチに向けた七つの提言として取りまとめまして、コーチング推進コンソーシアムの構成団体を通じて、コーチを初め広く関係者に呼びかけ、コーチング環境の改善充実に努めているところでございます。

 今後、スポーツ庁におきましては、これらの取り組みをスポーツの現場に浸透させますとともに、スポーツにかかわる全ての人々が新しい時代にふさわしい正しいコーチングを実現できるように、支援してまいりたいと考えております。

中野委員 最後に、地域の中におけるスポーツ環境の整備というものについてもお伺いをしたいというふうに思います。

 スポーツを行うためには、それを支える環境の整備というものが必要でございます。もちろん、スタジアムもございますし体育館もございますし、さまざまなものがあると思うんですけれども、私がここで御指摘させていただきたいのは、グラウンドの芝生化、あるいは照明設備などの整備、こういったものをしっかりと進めていっていただきたいということでございます。

 スポーツを安全に、快適に行っていくためには、やはりかたい土のグラウンドではなくて、芝生化を進めていく必要があるのではないかと思いますし、こうした照明の設備のようなこういったものを整備することで、夜間も使用することができる、あるいは、学校などであれば地域への開放、こういうものについてもさらに活用することができる、このように考えております。

 こうしたスポーツを支える環境整備の促進について最後にお伺いをしたいというふうに思います。

久保政府参考人 文部科学省では、従来より、地方公共団体が行われます公共スポーツ施設の新築、改築、あるいは耐震化等の整備に加えまして、学校体育施設の有効活用を図るための屋外運動場照明等の整備に対し、国庫補助による支援を行ってきているところでございます。

 また、独立行政法人日本スポーツ振興センター所管のスポーツ振興くじ助成におきましては、地方公共団体等が行われる学校や地域のグラウンドの芝生化の整備に対し、支援を行っているところでございます。

 今後とも、これらの支援を自治体のニーズに応じまして行うことによりまして、地域におけるスポーツ環境の一層の整備を促進してまいりたいと考えております。

中野委員 以上で質問を終わらせていただきますけれども、日本のスポーツ行政を進める上で大変に大事な取り組みとなるスポーツ庁でございます。組織をつくるだけではなくて、しっかり魂を入れていく、マネジメントをして人材を集めていって育てていく、こういうことも含めてしっかりとやっていっていただきたいと最後にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 おはようございます。民主党の笠浩史でございます。

 きょうはスポーツ庁について大臣と議論させていただきたいと思いますが、ちょっとそれに先立ちまして、一昨日、十五日の当文部科学委員会で、私どもの郡理事の方が大臣のいわゆる政治と金にまつわる問題について質問をさせていただき、大臣からもいろいろな主張があったわけでございます。

 ただ、その中で、大臣が答弁の中で、「郡先生自身の実際の組織もどうなのか、後援会はどうなのか、事務所の問題についてもぜひお調べになる必要があると思います。」私もそのとき委員会で聞いておりました。もちろん、大臣がいろいろな私どもの質問に対して主張があることは、私はそれはそれで結構だと思います。

 しかし、少しやはりここは、ある意味では上から目線というか、本当に大臣も、聞かれたことに答えていただくという、大臣ですから、やはりそこはちょっと行き過ぎた答弁であったかと私は思いますので、その点、郡理事、かなりこのことについては理事会等々でも指摘をしたということでございますので、ちょっとその点についての大臣の見解なり、あるいは、やはり言い過ぎたというようなところがあれば、その点についてのまず御見解をお伺いをしたいと思います。

下村国務大臣 随分、文部科学委員会で昔から縁がある笠委員からの御指摘でもございます。それも踏まえながら、誠実に国会答弁をしてまいりたいと思います。

笠委員 大臣、郡委員に対してやはり一言おわびというか、ひとつ言い過ぎたということは私はあってもいいかと思うんですよ。大臣の主張があるのはいいです、私は。しかし、聞かれたことに対して、問われたことに対して、ちょっとこれはやはり答弁としてはふさわしくない、私はそのように考えるんですけれども、いかがですか。

下村国務大臣 そのことも踏まえまして、今後、きちっと誠実にお答えをさせていただきたいと思います。

笠委員 この点については、今度また郡議員自身がいろいろと大臣とは議論をしていくことになろうかと思いますので、きょうはこの辺でとどめておきたいと思いますけれども、しっかりと、やはり教育、そしてこれから議論するスポーツ、本当に多くの子供たち、また若い人たちも見ております、注目をしている委員会でもありますので、その点だけは改めて指摘をさせていただいた上で、スポーツ庁の議論に入らせていただきたいというふうに思います。

 平成二十三年の六月に、半世紀ぶりに、これはもう超党派、全ての党で議論をして、スポーツ基本法が議員立法として全会一致で制定をされました。

 そして、このスポーツ基本法の附則第二条で、「政府は、スポーツに関する施策を総合的に推進するため、スポーツ庁及びスポーツに関する審議会等の設置等行政組織の在り方について、政府の行政改革の基本方針との整合性に配慮して検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」ということで、ある意味、スポーツ庁をこの基本法の附則の中で、将来的には設置するということを当時全ての本当に全会派でまさにこのことを方針として盛り込み、そして、その後、これはまだ私ども政権与党のときでございましたけれども、平成二十四年の三月にスポーツ基本計画を策定し、この中でもスポーツ庁の設置の必要性を規定したところでございます。

 そこでまず、スポーツ庁の具体的な議論に入る前に、昭和三十六年に制定されたスポーツ振興法を全部改正、全面改正をしてこのスポーツ基本法を制定したその意義、あるいは、なぜスポーツ基本法を制定したと大臣はお考えになるのかを、まず冒頭にお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 スポーツ基本法は、平成二十三年に、スポーツ振興法を全面改正する形で、御指摘のように制定されました。

 旧スポーツ振興法は、前回の東京オリンピック競技大会開催前の昭和三十六年に制定されており、その時点から既に約五十年が経過をし、スポーツをめぐる社会の変化への対応が必要となってきたところから、議員立法による全面改正により、全会一致で御指摘のようにスポーツ基本法が成立したというふうに承知しております。

 旧スポーツ振興法は主に国と地方公共団体による施策の義務を規定したものであったのに対し、スポーツ基本法は、前文で、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利であると宣言をし、スポーツを国民の権利として捉えております。この基本理念を、国や地方公共団体だけでなく、スポーツ団体や企業による民間スポーツの振興も含め、あらゆる関係者が連携して実現を目指していくことが掲げられております。

 また、スポーツを通じた健康の保持増進や地域社会の再生、国際的地位の向上など、国民生活における多面にわたるスポーツの役割をより一層高めていくために、政府として施策を総合的に推進していくことが規定されるなど、スポーツ基本法の制定には大きな意義があったと考えております。

笠委員 今大臣がおっしゃったように、国と地方公共団体に対する義務づけから、広く国民が、例えば、もちろん、選手の立場、スポーツをする立場、あるいはそれを支える、あるいはそれを観戦する、幅広く民間も広げてということもそうでございます。

 そして同時に、当時、スポーツ振興法ができたときには、三十九年の、やはり同じようにオリンピックというものを、日本で初めてのオリンピックというものを控えて、どちらかというと国と地方公共団体の施設整備といいますか、さまざまそういったところに重きを置いてきたような気が私はしています。

 ただ、この五十年間、今大臣がおっしゃったように、大きく情勢が、環境がやはり変わっていく中で、スポーツを国家戦略として位置づけて、そして国民の、例えば今大臣もおっしゃったスポーツ権、あるいは選手の権利、スポーツ団体のガバナンス、あるいはスポーツに関する紛争解決、そして障害者のスポーツ、あるいはプロスポーツも対象にすることなど、幅広くこれからのスポーツというものをしっかりと位置づけをしながら、国家戦略として施策をやはり推進していこう、そのまさに原点になっているものだというふうに思っております。

 そして、こうしたことにしっかり対応していくために、今の文部科学省ではなくて、やはりスポーツ庁というものをしっかりと外局に位置づけて、そして今回のこの法案提出になったというふうに理解をしておりますけれども、将来、スポーツ庁を設置したけれども何も変わらなかったということではやはり困るわけで、先ほども質問にあったように、やはり、ここにどう、いかに魂を入れていくのかということが私どもにもこれは問われているそういう課題であると思いますので、幾つか、そういったことを念頭に置きながら質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどもありました。まず、スポーツ庁長官に求められる資質ということで、大臣、総合的に施策をリードすることができる、あるいは、スポーツ行政の顔として国際的なプレゼンスを高めていくことができる、あるいはガバナンス能力やリーダーシップ、そして、民間人含めて幅広いところから人選をしていきたいという先ほど答弁があったわけです。

 一点、私もこのスポーツ基本法に取り組んできた者の一人でございますけれども、当時、法案提出者が、この国会の中でも、委員会においても、立法者の意思としては、長官は民間から登用したいというようなことを答弁をしておりますけれども、大臣、民間から、スポーツにも通じ、あるいは今先ほど大臣がおっしゃったようなこと、そういった人材をということになれば、もちろん官僚の中にも優秀な人はいるけれども、顔となってプレゼンスを高めていくというところまでになると、私はやはり民間から登用を初代スポーツ庁長官はするべきではないかというふうに思っておりますけれども、その点、大臣にお伺いをしたいと思います。

下村国務大臣 スポーツ庁長官は、関係行政機関の長などとスポーツ関係施策について調整を行い、スポーツ施策の総合的な推進をリードすることや、我が国のスポーツ行政の顔として、外国政府の高官などとの間でハイレベルの調整や交渉を行い、国際的なプレゼンスを高めることなどが期待をされているところであります。

 今後、そうした役割にふさわしい、スポーツに精通し、また、リーダーシップとガバナンス能力を備えた人材、確かに、スポーツ庁ができて日本はスポーツ立国に向けて間違いなく進みつつあるというその象徴的な方ということになりますと、民間人も含めた幅広い方々から、立法の趣旨にものっとって、慎重に、そして納得していただけるような、そのような方をぜひ選んでいければと考えております。

笠委員 なかなかこの人事というものは、今の段階で私も何人か浮かびます。多分、大臣の頭の中とそう変わらないような方々ではあろうかと思いますけれども。しかし、本当にこの初代の長官というのは、ある意味やはり非常に重要な人事になりますので、そういった点に考慮し、やはり民間の方から、そして今おっしゃったように、国民の皆さんが納得できる、そういった人材を起用していただきたい、登用していただきたいというふうに思います。

 そして、スポーツが青少年の人格形成に非常に大きな影響を及ぼすといった観点からも、やはり、公平公正、そして透明性、こういったスポーツ環境を整備をしていくということが、これは競技スポーツであれ、あるいは地域スポーツであれ、そこは問わず、スポーツ界全体に求められていることだと思っております。

 もちろん、第一には、スポーツ団体のそれぞれの自助努力によって適切な運営が行われるということが求められているわけですけれども、残念ながら、一部のスポーツ団体では、例えば、補助金、公的な助成等々をめぐる問題、あるいはガバナンスにかかわる不祥事等々がこの数年の間にも起きており、そのことが、ある意味、国民の信頼を失わせる可能性というものもあるわけでございまして、スポーツ庁を設置をするわけですけれども、こうしたときには当然ながら国が責任を持って対応をすべきというふうに私は考えております。

 スポーツ団体のガバナンスについての指導、あるいは時には支援、こういったことについてはスポーツ庁の重要な役割だと私は認識をしておりますけれども、大臣の所見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 スポーツ基本法第五条第二項では、「スポーツ団体は、スポーツの振興のための事業を適正に行うため、その運営の透明性の確保を図るとともに、その事業活動に関し自らが遵守すべき基準を作成するよう努めるものとする。」と書いてあります。また、第三項では、「スポーツ団体は、スポーツに関する紛争について、迅速かつ適正な解決に努める」と規定されているところでもございます。

 これを踏まえ、平成二十四年三月に策定したスポーツ基本計画におきまして、国は、スポーツ団体の組織運営体制のあり方の指針となるガイドラインを策定すること、また、日本スポーツ仲裁機構と連携し、統括団体及び競技団体並びにアスリートのスポーツ仲裁・調停に関する理解増進や、専門的人材の育成を推進することなどを掲げております。

 近年、競技団体による公的助成金の不適切処理やスポーツ指導における暴力問題などが発生しており、スポーツ団体のガバナンス強化はますます重要な課題となっております。

 スポーツ庁においても、さらに力を入れて取り組んでまいりたいと思います。

笠委員 これは局長の方に伺いたいんですけれども、こうしたガバナンスについては、スポーツ庁の、五課二参事官という体制になるというふうに承知をしておりますけれども、どこで担当をするんでしょうか。

久保政府参考人 スポーツ団体のガバナンス改善につきましては、例えば、補助金の適正な支出という意味では補助金を持つ全ての課が担当いたしますけれども、ガバナンス改善の統括的な意味におきましては、基本的に、民間スポーツ担当の参事官の部署において担当する予定にいたしております。

笠委員 局長、後ほど幾つか具体的にも伺いますけれども、恐らく、参事官を含めてこれは十三人ぐらいの組織になるんですかね。そこでガバナンスといっても、これは今おっしゃったような、お金に関する、公的な資金、そういったものに関する問題から、あるいは、団体の中での先ほどありました暴力沙汰であるとか、あるいは選手選考であるとか、そのあり方であるとか、いろいろ多岐にわたる中で、これは本当にこの十三人ぐらいでやれるのかなというような、私は非常に危惧をしております。

 この参事官のところで責任を持ってやっていただくことはいいんですけれども、やはりそのもとに、例えば法律の専門家であるとか、あるいは会計処理、そういったことにきちっと専門性を持った人材であるとか、やはり、そういった人たちにかかわっていただきながらやっていくということ、私は必要だと思うんですけれども、そういった点は検討されているんでしょうか。

久保政府参考人 スポーツ庁におきましては、関係省庁との人事交流によって幅広い知見を得ることといたしておりまして、まず、産業振興や民間の経済活力の向上を担う経済産業省からも人員を受け入れまして、企業統治や経営ノウハウ等をスポーツ団体のガバナンス強化に生かしていきたいと考えております。

 また、スポーツ団体のガバナンス強化方策の検討に当たりましては、これまでも、スポーツ界の実情に詳しい弁護士や公認会計士、監査法人等の外部有識者に参画いただいておりまして、今後も引き続き協力を求めていきたいと考えております。

 さらに、スポーツに関する施策を総合的に推進するに当たりましては、関係省庁だけでなく、民間からも幅広く知見を得ることが重要であると思いますので、今後のスポーツ庁職員の人事に当たりましては、民間人の登用も含めて検討していきたいと考えております。

笠委員 今、局長から答弁あったんですけれども、もちろん、大きな、あるいはメダルがしっかりと期待されるような、力のある団体ばかりじゃないですね、スポーツの団体というのは。例えば障害者のスポーツ団体等々については、本当にボランティア的に、任意団体で、そして、小さな組織の中で事務的な処理やいろいろなこういった経理的な、会計的なそういう仕事をされているように、細々とやっておられるところもあるわけです。

 ですから、何かが起こったときに指導することももちろん大事だけれども、そういった力というか体力のない団体に対するサポート、このスポーツ庁で、会計業務や法的なサポートなどのバックオフィス業務をしっかりと支援をする体制というものをやはりとっていただきたい。今は経済産業省のどうのこうのという話がありましたけれども、そういう、やはりスポーツ庁にしっかりと相談をすればいろいろなことの支援が受けられるという面も私は非常に重要だと思っているんですよ。そこを局長、いかがですかね。

久保政府参考人 まさにそこが先生御指摘のとおりだと思います。

 スポーツ団体というのは、たくさんございますけれども、非常に小規模な団体が多いわけでございまして、それを育成していかないと、補助金を幾ら多く出してもなかなか適切な運営がなされない。そういう意味で、育成は大変大事な課題と思っております。

 JOCあるいは体協、関係団体とも連携しながら、そういう育成に向けてのさまざまな知恵を導入していくのはスポーツ庁の大きな役割と思っておりますので、この新しくできる課でそういうこともしっかりやってまいりたいと考えております。

笠委員 もちろん、JOCを初め関係団体の中にしっかりとそういった支援体制、サポートをしていくということが、今そういった動きが実際出ております。実際にJOCなんかでもそういう取り組みが行われています。

 しかし、そこに任せるだけではなくて、しっかりとやはりスポーツ庁として、せっかく今度役所ができるわけですから、一つの組織ができるわけですから、やはり、そういったところのきめの細かい対応というものはしっかり行うことができるように、何かあったときにスポーツ庁に相談すれば、そこでいろいろな解決につながる、あるいは支援を受けられる、そういう細かい気配りのできるような組織にしていくという面もぜひ大事にしていただきたいというふうに思っております。

 そして次に、ちょっと私、ガバナンスに関連してまず伺いたいんです。

 下村大臣も先頭に立ち、またここには馳議員もおられますけれども、あるいは公明党の浮島さんもおられますけれども、私どもも、オリンピック・パラリンピック、この招致活動に全力を挙げて、これも、政府とそして国会も一緒になって取り組んでまいりました。その中でも、アスリートファースト、私たちはやはり選手を第一に考えていくんだというようなことを招致活動の中でも強調をしてきたわけです。

 そういう中で、スポーツ基本法でも、この十五条において、スポーツを行う者の権利利益の保護をスポーツ団体に課しているということの規定を我々はさせていただきました。

 しかしながら、ことしに入ってからもそうなんですけれども、代表選手の選考において、時折、いろいろなさまざまな社会的な問題に発展するような、残念ながらいろいろなことが起こっております。

 ことしになってからも、一月十九日でしたか、まず、世界選手権の卓球の女子代表のダブルス代表選考をめぐって、直前の全日本選手権で二連覇した平野早矢香さん、石川佳純さんの組が外れて、そして、その所属チームの会社が卓球の日本協会に意見書、抗議文を出すなど、内部での混乱を招いている。

 あるいは三月十一日には、同じ世界選手権の女子マラソン代表選考において、横浜国際マラソンで優勝した田中選手が外れて、大阪で日本人トップだった、三位だった選手が選ばれたということに対して増田明美さんらが異論を唱えて、所属の監督も協会に対してこの説明を陸連に対して求めるなど混乱を招いて、陸連理事の高橋尚子さんも理事会で異議を申し立てるというようなことなど、ことしに入ってからも私が、少なくともマスコミでもそういったことをニュースでも目にしております。

 水泳などはかつていろいろなことがあって、千葉すずさんの問題とかいろいろなこともございました。選考レース一発で選ばれる象徴的なケースなので、非常にわかりやすいと思うんです。

 ただ、もちろんすべてが一つの競技会でシンプルに一発で決められるかどうかというと、私は、そこまでの、それが果たして全てに適用できるかどうかということはわかりません。

 しかし、やはりこうした基準については、たとえ選ばれるにしても外れるにしても、選手自身が納得ができるような透明性のある選考基準というものをしっかりとやはり決めていくべきだというふうに思いますし、そのことがまさにアスリートファーストの精神だと思いますけれども、その点についての大臣の御所見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 これはおっしゃるとおり、世界選手権大会の日本代表選手の選考基準については、できる限り選手自身が納得できるよう、各競技団体におきまして透明性、公平性の確保に努める必要があると考えます。あわせて、選考結果におきましても、各競技団体がその理由や根拠を丁寧に説明することが望ましいと考えます。

 なお、二〇一五年世界卓球選手権大会や二〇一五世界陸上競技選手権大会の選手選考において選出されなかった選手の所属先から異議が唱えられたこと、これは我々も承知をしております。

 日本卓球協会や日本陸上競技連盟は、今回の件を踏まえ、今後の国際競技大会の選考基準の設定について検討することとしておりまして、より透明性、公平性の高い選考基準がつくられることを期待したいと思います。

笠委員 この世界選手権に出ることが、そこでまた結果を出すことが、実は、これから来年のリオのオリンピックの選考にもつながっていくケースというのがかなり多いわけですよ。ですから、これは単に世界選手権だけの話じゃない。

 さらには二〇二〇年、やはりこれから東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、多くの若い人たちあるいは今子供たちが、そういったことで、やはりフェアな中でしっかりとこうすればオリンピックに出ることができるんだ、パラリンピックに出ることができるんだというような、わかりやすい、誰が見ても公平な選考基準というものを、しっかりやはりこれはスポーツ団体にも求めていくべきだというふうに私は思っております。

 そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、今申し上げた、今大臣からも、卓球の件そしてマラソンの件について具体的な言及がございました。これは局長の方に伺いたいんですけれども、この卓球ダブルスそして女子マラソン、まあこれは男女一緒でしょうけれども、リオの選考基準というものはもう既に決まっているんでしょうか。

久保政府参考人 リオのオリンピックの日本代表選手選考につきまして、卓球につきましては昨年の九月に基準を決定しております。

 具体的に少し。男女ともシングルスの代表選手二名につきましては、本年九月発表予定の世界ランキングから日本人上位二名が出場しますアジア大陸の予選会で十一位以内に入った選手一名、もう一名は、大陸予選会で出場権を獲得した選手を除いて、来年五月発表予定の世界ランキング二十二位以内の選手が選考されます。さらに、団体の代表選手につきましては、シングルスのこの二名に加えまして、日本卓球協会強化本部が国際競争力の実績と評価等を勘案し、一名を推薦することとされております。

 次に、マラソンにつきましては、選考方針が既に決定されておりまして、選考の要項は今後策定することとなっておりますけれども、今の選考方針では、男女ともに第十五回世界陸上競技選手権大会で八位入賞で日本人の最上位者、それから、男女それぞれ指定されたオリンピック選考競技会において日本人三位以内の競技者の順番で男女各三名が選考されるというふうになっているところでございます。

笠委員 局長、今おっしゃったように、今までと変わらないわけですよね、逆に。それで、私はそれじゃやはりいけないと思っているんですよ、こういった問題が起こったわけだから。

 例えば卓球も、私も調べました。シングルスは今おっしゃったように非常にわかりやすいんですよ。世界ランキング二十位以内の最上位だったり、あるいは全日本選手権の優勝者など、細かく、今おっしゃったように規定がされています。

 しかし、ダブルスはなぜか明確な基準がないんですよ。だから今回も問題になって、そして後から、決め手は国際競争力、今おっしゃいましたよね。

 では、この国際競争力というのは何なんですか。

久保政府参考人 例えば二〇一五年の世界選手権大会の場合は、国際大会のこれまでの勝率を考えておりまして、選出されたペアは大体七割を超えておりますけれども、そうでなかったペアは六割強だった。そういうことを一つの基準として選んでおるようでございますが、それは表の基準として明確に書いてあるわけではないということでございます。

笠委員 ですから、今局長がおっしゃったように、どういうやり方をしろということを私は言うつもりはありません。しかし、例えば国際競争力というものがその一つの決め手というか基準の大きな要因になるのであれば、その国際競争力というのは、今は海外でいろいろな試合があるわけですよ、そこに選手たちはみんなお金を出して、あるいは強化選手はいろいろな支援もあるでしょうけれども、そういった中で出ていく中で、例えば世界ランキングで何位以内とかだったら非常にわかりやすいんですよ。

 しかし、ではやはり国際試合に、どれくらいの例えば試合に出て、その中でどういう実績を残せば選ばれるんだとかという、やはりこれはきちっと協会側が、選手あるいは監督やコーチが納得のできる、そういったわかりやすい基準を具体的に示してあげないと、どうやって取り組んでいけばいいのか、あるいは、どういう試合に出ればいいのかということがわからないわけですよ。

 ですから、やはりそこの裁量にどうしても委ねられる選考というものも、私はこれはなくなるわけじゃないと思います、全てを一発勝負で決められればいいけれども、なかなか競技によってはそうじゃない。

 ですから、そういったところでもう少ししっかりとした、具体的に先ほど大臣はおっしゃいましたよね。私は、明確にそういったところをきちっと説明をすべきだ、やはりそういったことが必要だと思いますけれども、大臣、いかがですか。

下村国務大臣 これはおっしゃるとおりだと思います。

 それぞれの競技団体が選考基準については決められることでありますが、国民から見ても、当然、選手やその所属団体、当事者の方々から見ても納得、理解を得られるような選考基準については、より明確に考えていただければと思います。

笠委員 それともう一つ。

 先ほどの女子マラソンについても、私も今度のリオの選考基準というものをいただいた中で、リオデジャネイロの環境を考慮し、あるいは、暑い環境での重点国際大会、これは北京の世界選手権を想定しているので、まず、この世界選手権の中での八位入賞者で日本人最上位がというようなことは非常にわかりやすいわけですけれども、リオの環境というのは、多分この暑さだと思うんですよ。しかし、対象競技の日本の選考会というのは、マラソンというのは大体冬にやるんですよ。では、暑い中でどの選手が本当に活躍できるのか、あるいは暑さに強いのか。やはりこの基準だけでは非常にわかりにくいし、女子のマラソン、なぜか女子が多いんです、男子もかつてありましたけれども。あれは中山さんのときですか。

 やはりマラソンは、時に三人目とかそういう選手の選考に当たっては、なかなか出る大会が違うので、それを優勝したのと、先ほど申し上げたように、三位だけれども、あるいはどういう選手たちが海外から来ているのか、そのレベルがどうなのか、それはいろいろと私なんかではわからない、やはりそれは専門性を持って協会の方できちっと検討される、あるいはそこに裁量というものがあるかと思いますけれども、では、リオの環境を考慮するのであれば、どういう環境を考慮して、だったら、暑い時期のこういうレースというものを一つ参考にするとかというようなこともやはり示してあげるというようなことが大事だというふうに思います。

 その点は局長、少しやはり各競技団体にも、これからリオそして東京と、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックにつながるわけですから、こういった選手や関係の人たちから不平、不満、そういうものが結果として後から出てくると、その競技にとってもやはり非常に不幸なことだと私は思うんです。

 ですから、そこあたりはきちんとこれはやはりスポーツ庁としても、そういった点、やはりきちっとした、時には指導にもなるかもしれませんし、促していくということを改めてお約束をいただきたいと思います。

久保政府参考人 今後、リオだけじゃなくて、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを目指して選手強化を図っていきます上で、今おっしゃられたようなことはとても大事なことでございます。

 今後、スポーツ庁になりました際には、アスリートも関係団体もみんな一緒にいろいろな施策を考えていくことになる場もスポーツ審議会等で幅広く設けることになりますので、スポーツ庁としましても、アスリートファーストの見地から、そのニーズあるいは意見もよく踏まえて、今のような疑念の抱かれないようなあり方も十分に検討していきたいと考えております。

笠委員 こうした中で、いわゆるアスリートの今おっしゃったような権利を守るために、仲裁機関として日本スポーツ仲裁機構、JSAAが設立をされ、スポーツ界の自主的なガバナンスの確立の取り組みと期待をされておるわけでございますが、これを支援するのもスポーツ庁の非常に重要な役割と思いますけれども、これも参事官のところで担当ということでよろしゅうございますか。

久保政府参考人 御指摘のとおり、これもガバナンス担当のところでしております。

笠委員 このスポーツ仲裁機構、もともとは、これは二〇〇三年の四月に設立をされたわけですけれども、ドーピングの紛争に関する仲裁を目的に設立が検討され、そして、先ほど申し上げたように、二〇〇〇年のシドニーのオリンピックのときに、当時、競泳代表から千葉すずさんが外れて国際機関のスポーツ仲裁裁判所に申し立てた例がございます。

 そのときには我が国にはこうした仲裁機構というものはまだなかったわけですけれども、局長、これが設立されてから実際どれくらいの申し立ての受理件数があったのか、あるいは、それでオリンピック・パラリンピック絡みの申し立てというのが何件ぐらいあったのか、お答えください。

久保政府参考人 平成十五年に日本スポーツ仲裁機構が発足しまして以降、これまでに仲裁申し立てが受理され判断がなされた件数につきましては、競技大会への出場選手選考や競技大会における地位の確認に係る仲裁は三十件、ドーピングに係る仲裁は四件でございます。

 また、このうち、オリンピック・パラリンピックに係るものは四件でございます。

笠委員 これはやはり件数が非常に少ないと私は思うんです。それと同時に、一つには、この理由で、無条件で競技団体が仲裁に応じる自動受諾条項というものがあるわけですけれども、これを採択している競技団体もまだ六割余りなんですよ。

 ですから、やはりこれをきちっとふやして、そして、仲裁機構といいましても、いろいろな上部団体の役員の方々も名前を連ねておりますし、本当に選手たちがそういった申し立てをするときに、自分の将来を考えたときに、果たしてここにきちっと申し立てをできるのかどうか。その点も含めて、今の余りにもこの受理件数が少ない、その点を今後どうしていこうとされるのか、どういう対応、対策を立てていくのか。お答えをいただきたいと思います。

久保政府参考人 ガバナンスのためのこの仲裁機構の充実というのは大変大きな課題にはなっているところでございまして、これまでも文部科学省では、むしろこの周知に努めてくる。そういう意味でなかなか強制的な手段は、強制的な手段といいましょうか、例えば補助金とセットにするとかいうような形はとっておりません。これの自動受諾条項に入るかどうかは、そのスポーツ団体の自主性に任せていたようなところがございました。さらに、団体自身の財政的な脆弱性もあって、なかなか仲裁に乗るということ自体も難しいという状況もございました。

 これまで、そういう意味ではいろいろな支援をしてまいりまして、国といたしましても、ガイドラインの作成をいたしますとともに、スポーツ振興くじにおきましてもガバナンスを強化する事業への支援なども行ってきているところではございますけれども、今後、こうした支援をさらに充実するということも必要でございますし、団体自体の育成を図りまして仲裁を受けやすくするというのも、一つの方法でもございます。

 さらに、スポーツ庁には、これまでに加えまして、スポーツ関係団体もいろいろ施策に参画して一緒に今後の方向性を考えることになりますので、この仲裁機構の育成方針についても、スポーツ庁の中でよく関係団体とあわせまして検討していって、いろいろな施策を打ち出していきたいと考えているところでございます。

笠委員 局長は今いろいろおっしゃったけれども、やはり国として、スポーツ基本法の十五条にもございます、あるいはスポーツ基本計画においても、スポーツ界の透明性、公平、公正性の向上へ向けて、スポーツ紛争の予防及び迅速、円滑な解決に向けた取り組みの推進というものも、これは国の責務としてしっかりと規定をされておるわけでございますから、大臣、きょうはちょっと幾つかの点を御指摘をさせていただきましたけれども、ガバナンスの強化へ向けてしっかりとしたリーダーシップをこのスポーツ庁が発揮をしていくことができるような体制へ向けた決意を最後にお伺いをしたいと思います。

下村国務大臣 今国会でスポーツ庁の法案成立をさせていただければ、十月からスポーツ庁を設置することになっておりますが、今の御審議も踏まえ、そしてスポーツ立国に向けて、国民から見ても、トップアスリートだけでなく、全ての国民がスポーツによって享受できるような環境整備はあらゆるレベルで必要だというふうに思います。

 しっかりリーダーシップをとって、信頼たり得るようなスポーツ庁になるように、先頭に立って頑張りたいと思います。

笠委員 とにかく、やはり選手が第一であるということ、それがやはり国民の感動を広げていく、そしてまたスポーツを国民全体にこれが広めていくということにつながると思いますので、ぜひ、公正、公平、そして透明性というものの確保へ向けて頑張っていただきたいというふうに思います。

 そのことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

福井委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 おはようございます。民主党の菊田真紀子でございます。

 早速、法案に関しまして質問させていただきたいと思います。

 本法案は、当初、ことし四月一日の施行を目指し、昨年の臨時国会での法案提出が検討されていたというふうに理解をしておりますが、結局、今国会での提出になりました。十月一日施行に延期された理由について、まずお伺いいたします。

下村国務大臣 スポーツ庁の創設に当たりまして、文部科学省のスポーツ・青少年局をそのまま庁に格上げするということではなく、スポーツに関連する施策を総合的に実施できる体制を構築するため、昨年から、スポーツ庁の業務、定員について関係省庁と調整を行ってきたところであります。これらの調整に時間を要したということと、最初は他省庁の理解がなかなか大変だったということがございました。

 また、次年度の機構・定員の政府案は、通常、予算案と同様に十二月末に決定するということでございまして、昨年秋の臨時国会には法案提出が間に合わないということになり、今国会に提出し、十月一日の施行を目指すということにしたものでございます。

菊田委員 下村大臣は、昨年九月の記者会見において、他省庁のスポーツ関係の部門を、このスポーツ庁が設置されることによって人とそれから財源がそこに集約していかないと、文部科学省の中だけを整理するということではスポーツ庁の意味がないと思いますので、これは相当力わざが必要で、ここは中略しますけれども、官邸と一体となってそれを進めているところでありまして、そういう条件が整った段階でできるだけ早く法案を出したいと準備をしているところであります、このように述べられております。

 また、昨年十一月十一日の文部科学委員会と内閣委員会による連合審査会の審議の中で、吉川委員の質問に対して大臣はこう答弁されています。「スポーツ庁の創設に当たりましては、文部科学省のスポーツ・青少年局をそのまま庁に格上げするということではなくて、各省庁からスポーツに関連する事務を移管することなどによりまして、スポーツに関連する施策を一本化、総合化する、そういう実施できる体制に構築をするということが重要であると考えております。」このように述べられております。

 私は、こうした大臣の発言、大臣の方針をお聞きしまして、これまで各省庁が縦割りでばらばらに行っていたスポーツ関連の事業が今後はスポーツ庁に一本化されるんだな、予算や権限が移管されて一元管理されるんだな、こういうふうに理解をしておりました。ところが、この法案には、大臣がおっしゃっていた一本化という文言はありません。

 スポーツ庁創設に当たり、大臣はこれまで大変尽力をされてこられましたけれども、他省庁のスポーツ関係部門の予算、権限、事務、これをスポーツ庁に移管して一本化しようというのが大臣のもともとの考え、もともとの方針だったのではないでしょうか。実際、この法案はそうなっているとお考えでしょうか。

 さらに、この法案は、大臣がさきの記者会見で述べられたように、また、先ほどの答弁でお答えいただいたように、他省庁と調整がつき、条件整備が整ったから提出されたのか、それとも、中身は不十分だけれどもタイムリミットが来たので提出されたのか。この点、お答えをいただきたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、私は、スポーツ庁の創設に当たっては、単に文部科学省のスポーツ・青少年局をそのまま庁に格上げするのではなくて、政府全体としてスポーツに関連する施策を総合的に実施できる体制を構築することが必要であると考えてまいりました。

 このような考えのもとに、スポーツ庁のあり方を検討、調整したところ、他省庁のスポーツ関係業務は、いずれも、それぞれの任務の観点からスポーツ以外の分野と一体的に行われているものであり、スポーツ部分だけを切り出して移管することはできないということから、事務の移管はしないことと結論づけました。

 ただし、今回のスポーツ庁設置に先行して、平成二十六年四月から、従来、厚労省が所管していた障害者スポーツに関する事業のうち、パラリンピックなどの、スポーツ振興の観点からの事業として整理できるものを文部科学省に移管いたしまして、スポーツ行政の一元化を図ってきたところでございます。

 一方、今回、文科省の所掌事務として、「スポーツに関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進」や「スポーツに関する関係行政機関の事務の調整」を新たに規定いたしまして、スポーツ庁が関係省庁の司令塔的な機能を果たすことができるようにしたところでございます。

 さらに、スポーツを通じた健康増進や地域活性化、国際的地位の向上に向けた施策をスポーツ庁において推進していくことができるよう、関係省庁との連携を強化し十分な体制を確保するため、これは、官邸等の協力、政府全体の、他省庁との協力の中で、結果的に七府省から計二十三名の定員をスポーツ庁に再配置することとなったところでもございます。

 これらによりまして、スポーツ行政を総合的に実施できる体制が格段に強化できると判断をし、このたび法案を提出したものであります。

菊田委員 具体的にお尋ねをいたします。

 厚生労働省は、一九八八年から毎年、全国健康福祉祭、いわゆるねんりんピックというものを都道府県と共催しておりますけれども、スポーツ庁ができれば、今後はスポーツ庁の所管、スポーツ庁の主催になるのでしょうか。

久保政府参考人 ねんりんピック、全国健康福祉祭につきましては、長寿社会を健やかで明るいものとするために、国民一人一人が積極的に健康づくりや社会参加に取り組むとともに、こうした活動の意義について広く国民の理解を深めることを目的として、昭和六十三年から厚生労働省が実施しているものと承知しております。

 このねんりんピックには、福祉・生きがい関連イベントのほか、健康関連イベントとしてスポーツ交流大会や健康づくり教室等が実施されるなど、その目的や事業内容が、スポーツ庁が推進する予定の、スポーツを通じた健康増進の業務と密接なつながりを有しております。

 したがいまして、これを踏まえまして、今後、ねんりんピック自体は厚生労働省が主催している事業という位置づけは変わりませんけれども、スポーツ庁もこれに加わりまして、今年度からはねんりんピックを厚生労働省と共管というような位置づけにする予定で、厚生労働省と協議を行っているところでございます。

菊田委員 外務省は、平成二十七年度新規事業としてスポーツ外交推進事業、約九千万円の予算を計上していると聞いております。

 具体的にどのようなことをやるのかお尋ねをしましたところ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、スポーツ指導者や選手などをさまざまな国に派遣したり、逆に海外から招聘するとのことでありました。

 文部科学省としては、このようなスポーツ指導者や選手の派遣や海外からの招聘事業というのは行わないのでしょうか。

久保政府参考人 今先生御指摘の、広い意味での選手交流あるいは研究者交流につきましては、オリンピック・パラリンピック招致に当たりまして総理が国際約束いたしましたスポーツ・フォー・トゥモローという事業を、オリンピズムの、オリンピックムーブメントの一つのあかしとして進展するために、文部科学省と外務省が連携して、あるいはJICA等関係機関も入りまして、必要な援助をアジアのあるいは発展途上国の国々にする、そしていろいろな方を受け入れるという事業は文科省もやることにいたしております。

 ただ、今おっしゃられた、外務省のスポーツ外交推進事業というのは、むしろ、外交政策上必要と判断される国々に対して、開発支援や親日派の育成を行うという観点から、また、スポーツを通じて日本文化の理解を深めるために行われているものでございますので、これにつきましては外務省が単独で行われますけれども、もちろん、繰り返しになりますけれども、スポーツ・フォー・トゥモローという観点で、文科省、外務省で連携して幅広く行う事業もあるわけでございます。

菊田委員 要するに、スポーツ庁ができても、現在各省が行っている施策というのは今後も引き続きそれぞれの省庁の予算で事業実施されるわけでありますし、極めて似ているといいますか、重複するような事業が多いということであります。

 であるならば、なぜ他省庁から人を再配置して、先ほど大臣から、二十三名を増員するという御説明がありましたけれども、スポーツ庁の職員を増員するのでしょうか。

 通常、事業が各省から移管をされて、それに対応するために人が足りない、だから人をふやすというのならわかりますけれども、予算も事業も移管されないのに人だけふやすというのはどういうことなのか、御説明をいただきたいと思います。

久保政府参考人 スポーツ庁におきましては、これまで文部科学省において実施してまいりました地域スポーツや学校教育の振興、国際競技力の向上などを推進するというのはもとより、スポーツ基本法に定められました、スポーツを通じた健康増進や地域活性化、国際的地位の向上に向けた多様な施策を推進していくこととしております。これは、ある意味では、これまでのスポーツ・青少年局のスポーツ担当七十六名ではできない事業、あるいはやってこなかった事業でございます。

 具体的には、スポーツに関する横断的な基本政策を提示するとともに、関係行政機関の事務の調整を行い、各府省のスポーツ関連施策の司令塔的機能を果たすということに加えまして、他省庁とも連携しながら、予防医学の知見に基づくスポーツの普及など健康増進に資するスポーツの機会の確保、地域スポーツコミッションの取り組みの支援などスポーツを通じた地域おこしへの支援、IF、国際競技連盟の役員ポスト獲得支援などスポーツによる国際貢献、国際交流の推進、プロスポーツの市場拡大への支援など産業界とスポーツ団体との連携の促進。

 さらに、障害者スポーツにつきましては、昨年四月に厚生労働省から移管いたしましたけれども、その移管いたしました業務にとどまりませず、スポーツ振興の観点からさらに充実させて、ガバナンス改善支援など、障害者スポーツに係る基盤の整備を図っていく業務がたくさんございます。

 このような新たな施策を推進するためには、他省庁から人員の再配置もぜひ必要だということで、二十三名増員して体制を整えることとしたところでございます。

菊田委員 例えば、国交省から五人来られますよね。今おっしゃったように即戦力として仕事をしていくということであれば、当然、スポーツに明るい、ある程度の経験、あるいは造詣が深い、そういう職員が派遣されるんですか。

久保政府参考人 スポーツにどこまで明るい方かどうかは、ちょっとそこの辺はわからないと思いますけれども、むしろ、例えば国交省でいえば、各地域でスポーツ施設などを国交省の補助金としてつくっておられます。農水省でもつくっておられます。そういう方は、当然、スポーツ施設をつくるに当たって、国交省という観点から見ておられると思いますけれども、そういう知見を持った方が来られて、スポーツに関係する、スポーツのあり方について知見を有する文科省の職員とあわせまして、地域におけるスポーツ施設のふさわしいあり方を一緒に総合的に考えていけるようになるというような見地での新しい組織づくりを行っていくものだと考えているところでございます。

菊田委員 スポーツ庁創設に伴いまして、課長級以上のポストは幾つふえることになりますか。

久保政府参考人 現在のスポーツ・青少年局の中でスポーツ担当の課長級以上は、局長、審議官のほか、三課長、一参事官。四つでございます。スポーツ庁は、長官、次長、審議官のほか、五課長二参事官、課長相当としては七つがポストとしてはつくられることになると思います。

菊田委員 時限を含めると四つの幹部ポストが新たにふえることになります。

 事業と予算は他省庁から移管されないんですけれども、幹部ポストがふえるというのは行革に逆行しないんでしょうか。

久保政府参考人 今回のスポーツ庁の設置に当たりましては、政府全体のスポーツに関する施策をスポーツ庁において総合的に推進するために、内閣人事局におきまして、政府全体として戦略的な機構・定員配置を実現する観点から、文部科学省の各部局あるいは関係府省の既存機構全体について合理的再編成の考え方に基づき見直しが行われたものでありまして、その結果認められたものでございまして、全体の中で行政改革の趣旨に十分かなった今回の措置だと考えております。

菊田委員 スポーツ庁長官について伺いますけれども、長官は局長級ですか次官級ですか。次長はどうですか。

久保政府参考人 その位置づけが局長と少し違いますのは、スポーツ庁長官は文化庁長官と同じ位置づけでございます。外局の長でありますために、指定職の俸給表六号が適用されます。スポーツ・青少年局長は三から五の間でございます。また、スポーツ庁次長は、文化庁次長と同じく外局の次長でありますために、指定職俸給表の三号俸が適用されるということでございます。(菊田委員「局長」と呼ぶ)局長は四または五ということでございます。

菊田委員 要は、スポーツ庁というものが、非常に苦労しながら創設されたけれども、組織の肥大化で終わったり、あるいは、これまでの各省の重複、縦割り行政というのが改善されなかったとすれば、これはただポストがふえただけで焼け太りになる、こういう観点から私は質問させていただいております。

 そこで、大臣に最後にお伺いしたいんですけれども、このスポーツ庁が司令塔になっていくんだ、各省庁との事務の調整をしっかり果たしていくんだということでありますけれども、しかし、予算を持っている省庁と大臣というのが主導権を握るというのが明らかでありますから、仮に他省庁の大臣がノーと言えば、それを覆すことができるのかどうかということであります。相当の調整権限が発揮されなければならないわけでありますけれども、果たしてそれが可能なのかどうか、スポーツ庁長官にはどのような権限が与えられるのか、お伺いをしたいと思います。

下村国務大臣 今回の法案では、スポーツ庁において多数の府省に関連する施策を総合的に推進するため、文部科学省の所掌事務として、新たに「スポーツに関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進」や「スポーツに関する関係行政機関の事務の調整」を規定しているところであります。

 また、スポーツ庁長官は、国家行政組織法十五条によりまして、「行政機関相互の調整を図る必要があると認めるときは、」「関係行政機関の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求め、並びに当該関係行政機関の政策に関し意見を述べることができる。」ということになっております。

 こうした権限に基づきまして、スポーツ庁において関係省庁との事務の調整を効果的に行い、スポーツ施策の総合的な推進をリードしていくことが可能になると考えております。

菊田委員 スポーツ庁長官には、そういったリーダーシップをしっかり発揮できる方にぜひ御就任をいただきたいというふうに思っております。

 もう時間でありますので、私は、スポーツ庁をつくることには賛成しておりますけれども、しかし、今質問の中でやりとりさせていただきましたけれども、やはり本来は、事業も予算も、この日本にかかわる、国全体のいろいろなさまざまなスポーツにかかわるものは全部スポーツ庁に一元化をして、スポーツ庁が責任を持って実施をしていく、人も予算も事業もスポーツ庁でやるというのが本来の理想の姿だというふうに思いますので、そういったことも今後さまざま検討しながら、よりよい組織にしていただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

福井委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 維新の党の初鹿明博です。

 きょうも質問をさせていただきますが、きょうの文部科学省設置法の一部を改正する法案、スポーツ庁を設置するという法案ですけれども、まず、スポーツというと、野球とか、サッカーとか、バレーボールとか、バスケ、陸上、水泳というのはスポーツだなというのはわかるんですけれども、例えば、ダンスはどちらになりますか。やはりこれはスポーツという見方でいいんでしょうか。

丹羽副大臣 委員おっしゃるとおり、幅広い意味で、さまざまな分野の観点から申し上げますと、ダンスもスポーツの一種というふうに捉えていいかというふうに思います。

初鹿委員 では、似たような身体活動で、バレエはどちらですかね。私は、文化ではないかと思うんですけれども、文化的な側面が強いと思うんですけれども、どちらでしょう。

丹羽副大臣 例えば、IOCの認証団体やIOC傘下の大会で競技種目と認められている競技の例を挙げますと、委員おっしゃるようにバレエが文化と言う方もいらっしゃいますし、バレエがスポーツだと言う方もいらっしゃいます。さらに言えば、チェスとか、そういったものもスポーツじゃないかと言う方もいらっしゃいますし、ダーツもスポーツで、さらに言えば、スポーツアコードのメンバーである競技としては、囲碁もスポーツだと捉える方もいらっしゃいます。

初鹿委員 スポーツ基本法に書いてあるスポーツとは、「心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心その他の精神の涵養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動であり、」と書いてあるんですよね。ですから、「その他の身体活動」に何がどこまで含まれるのかというのが非常に微妙で、今、チェスという話がありましたけれども、ビリヤードやダーツも含まれるんですよね、これ。

 では、最近、スポーツマージャンというのがあるんですけれども、皆さん御存じですよね。スポーツ麻雀協会というのがあって、スポーツマージャンというのがあるんですが、スポーツマージャンというのは、スポーツとついているからといって、これがスポーツ庁の対象になるかというと、ならないんじゃないかと思うんですよ。

 このように、スポーツ庁が担当というか対象とするスポーツというのは、どこまで広げて、どこから違うのかというのはなかなか微妙だなと思うんですよ。

 何でこんなことを言っているかというと、スポーツ庁という、スポーツという冠をつけた役所ができたら、いろいろな競技団体とかが大会をやるときに、やはり後援をもらいたいとか、そういうのがどんどん来ると思うんですよ。私は、できる限りそういう団体に後援をつけて、それで国としても応援をしているよという姿勢を見せるのがいいことだと思うんですけれども、そのときに、判別の難しいものが出たときに、ある程度のルールを決めておかないと混乱が生じると思うので、このことを聞いております。

 スポーツ庁の対象としてどういう範囲を想定しているのか、お答えいただきたいと思います。

丹羽副大臣 スポーツとして捉えるかどうかの境界線についてでございますけれども、スポーツとしての側面とそれ以外の側面をあわせ持つものでございまして、どちらを重視するかというのは、国際的な位置づけや社会の受けとめ、競技団体の意向に応じて柔軟に判断するべきものだというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、今後、スポーツ庁設置後も、行政対象とするスポーツについて、これでしかスポーツじゃないというふうに一律的に決めるものではなく、広く門戸を開き、スポーツ基本法に掲げる理念の実現に取り組んでいきたいというふうに考えております。

初鹿委員 トップアスリートを育成していくということも国として必要ですけれども、やはり、地域の中のいろいろなサークル活動だとか、そういうのも応援をしていくというのも大切だと思うので、できるだけ広く門戸は開いていただきたいなというふうに思っております。

 それでは次に、通告していないんですけれども、ちょっと大臣にお伺いいたします。心配しないでください、週刊誌の話とかはしませんので。

 去年の十一月八日に、フィギュアスケートの羽生結弦選手がウオームアップ中に中国の選手とぶつかって転倒して、その後、競技に出て、頑張って二位になった、そういうことがありましたよね。そのニュースを最初に聞いたとき、大臣、率直にどのようにお感じになりましたか。

下村国務大臣 羽生結弦選手とは何度かお会いしたことがありまして、ソチで金メダルをとった後も、文部科学大臣室にその後報告に来られ、スポーツ関係についての御要望もいただきました。ですから、非常に精神的にもタフな選手で、本人としては、心配ない、脳しんとうを起こしても試合に出られるということで出たと思うんです。

 ただ、やはりスポーツ医科学的な観点から見ると、スポーツ選手の思いとは別に、客観的にドクターから見て適切なのかどうかということを判断しないと、長い目で見たときに、場合によってはもう選手生命そのものに対して縮めてしまうこともあり得ると思いますから、選手本人の思いは思いとして、やはりスポーツ医学的な観点から、次の試合に出るかどうかは第三者が、ドクターが判断をするということが結果的には選手のためになるのではないか、そういう感想を持ちました。

初鹿委員 非常に大臣は真っ当な感覚を持っていて安心をしましたが、このニュースが出たときに、私も、非常に羽生選手はメンタルが強くて頑張って、感動はしましたけれども、やはり、出してよかったのかというのは非常に疑問を持ったんですね。

 ニュースのコメンテーターのコメントなんかを見ていると、よくやったというのが圧倒的に多かったと思うんですよ。中には懸念を示している人も少したってから出てきてはいましたけれども、これが何となく美談になってしまって、町の地域のスポーツクラブや部活動などで、何かそういう事故に遭って脳しんとうを起こした選手に対して、羽生だって頑張ったんだからおまえも頑張ってやれよみたいなことがまかり通るようになってはいけないと思うんです。

 先ほど大臣が言いましたとおり、私もあの映像を見たら、明らかに脳しんとうを起こしていたと思うんですよ。

 脳しんとうを起こした場合にどういう対応をするのがいいのかというと、体育活動中の事故防止に関する調査研究協力者会議というのがあって、そこの資料によりますと、意識消失があったが、それが瞬間的ですぐに回復した、脳しんとうの症状があったがすぐに回復した場合には、まさに羽生選手はそうだったと思うんですよ。ちょっと倒れてしばらく動かなかったけれども、よろめきながら立ち上がったということですけれども、そういうときは速やかに脳神経外科を受診させ、脳神経外科医の指示を仰ぐことが必要となる、異常なしと診断されても一日から数日間は練習を休み、練習再開前には再度脳神経外科の診療を受けることが必要であるとなっているんですよ。

 また、日本ラグビー協会でも脳しんとうのガイドラインというのをつくっていまして、高校生の場合は二十一日以上リハビリの期間をあけなければいけないという、かなり安全を見ているんですね。

 それを考えると、やはり私は、あのときの対応というのは、本人が出たいのは当たり前なんだと思いますけれども、やはりコーチや監督は、本人が出たいのを意地でもとめていくのが本来の指導者の姿勢だったんじゃないかなと思うんですよ。

 今二十ですよね、当時十九歳だったと思いますが、これからどんどんどんどん世界で活躍して、もっともっと成長していって、本当に次も、その次もメダルがとれる、そんな可能性のある選手を、たかだか一回の大会に無理して出たために潰してしまうなんていうことがあってはならないと思うんです。

 そう考えると、やはりまだ日本のスポーツの指導者の意識が、どちらかというと根性とかそういうものを重視していて、医学的な見地だとかそういうものをちょっと軽視しているように思えてならないんです。

 そういうことを考えると、例えば地域のクラブ、いろいろありますよね、少年野球だったりサッカーだったり、そこの指導者の意識もまだまだ同じようなものなんじゃないかなと思います、全員がとは言いません。

 先ほど、どなたかコーチングの話もしていましたが、そういう指導力をきちんと持たせるということと同時に、やはり安全な対策とか医学的な知識とか、そういうものもきちんとスポーツを指導する人たちには学ばせる、そういう機会をつくってもらいたいなと思うんです。

 これから、多分、地域のクラブチームとか、どんどんふえていくと思います。ですから、そういう地域のクラブチーム、サッカーでも野球でもそうですけれども、そこの指導者には、何らかの、やはり安全とか医学に対する知識を得るような研修会を受けさせるようにする。

 あと、例えば、日本体育協会がスポーツ指導者という資格をつくっているんですね。意外と知られていなくて、余り受けられていないようなんですが、こういうものをきちんと取ってもらって、そういうコーチがいるところは優良なクラブチームだとか、そういうのを認定するような仕組みみたいなものでもつくってくれると、選手の側も子供たちの側も、どこのチームを選ぶのがいいのかという判断がつくのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

山本大臣政務官 委員御指摘の件は、学校教育の部活動とかではなく、外部ということでございますね。

 委員御指摘の、日本体育協会でそういった指導者の資格というものを設定しておられますので、そういう指導者に資格を取得していただく、そして、そういう指導力を持った方が地域で活躍をしていただくということは我々も大変重要なことだと思っておりますし、委員御指摘のとおり、そういう資格があるという認知度が若干低いという統計もあるように私も認識しておりますので、これは我々としても随時PRをしてまいりたいと思っております。

初鹿委員 今、学校ですかというのがありましたけれども、学校の部活動も似たようなものなんですよ。

 今資料をお配りしましたが、「学校運動部活動指導者の実態」というところで、部活動の顧問の先生が、その担当となっているクラブの競技の経験があるかないか、また、その先生が体育の先生かどうかということのグラフなんですけれども、中学校だと、体育の先生でもなくてその競技の経験もない人が四五・九%、高校だと四〇・九%というように、半分近く、半分から四割ぐらいは、例えば、野球もやったことがなければ体育の先生でもない人が野球部の顧問をやっている、サッカーをやったこともなければ体育の先生でもない人がそれをやっている、そういうことになっているわけです。

 そうなると、体育の先生ならば、その競技の経験がなくても、自分たちが授業で教えていくに当たって、運動に対する安全の面とか、そういうのをきちんと学んできていると思うんです。何かあったときの医学的な知識も学ぶ機会があると思うんですが、そうじゃない先生たちはやはりそういう機会がなくて、しかも、競技の経験もなければ、その競技を教えること自体も不安なわけで、そうなってくると、安全だとかの配慮がなかなか行き渡らないで、結局、どちらかというと、とにかくしごいてとか、そういうことにいってしまうんじゃないかなというふうに思います。

 それで、二枚目のページを見ていただくと、これは、先ほど言った、体育協会の公認スポーツ指導者の資格の認知度と資格保有率なんですけれども、体育の先生の場合は、意外と皆さん知っているんですよ。結構知っているなと思うんです。ところが、体育以外で、その競技の経験もない人だと、もう圧倒的に知らないんですよ、この資格があること自体。

 それを考えると、やはりこういう資格があるということを認知させれば、恐らく顧問の先生たちも、何か知識を得ておかないといけないんじゃないかなというのはあると思うので、もう少し、受けていって資格を取る人がふえていくのではないかなと思うんです。

 私は、やはり、きちんとこういう資格なり、資格を取らなくてもいいけれども、安全に対する講習とかを徹底的に、一年に一回ぐらいは顧問の先生は聞いていくということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、日本体育協会の調査によれば、中学校の運動系の部活の顧問教員のうち、体育の担当教員でもなく、当該競技の経験のない指導者が四五・九%ある。これは大変重要な課題であるというふうに認識をしております。また、指導者の資質向上というのも大変大事だと思っております。

 そこで、各教育委員会や関係団体において、運動系部活の指導者に対して、技術的指導の方法や安全についての研修を行っているところです。平成二十五年度には、文部科学省で調査したところ、全ての都道府県、指定都市教育委員会において研修が実施されておりまして、約三万六千人の教員が参加をしていると聞いております。

 確かに、委員御指摘のとおり、野球の経験がないのに野球部の顧問をしている教員がいるとか、そういったさまざまなことが現場で起きているということも承知をしております。ただ、教員の人事というのは、やはりどうしてもその教員の教科で主に動いていきますので、その方がどの部活を担当できるかというので人事を決めるわけではありませんので、なかなか、マッチングさせるというのが若干大変なところはあるんです。

 かといって、経験のない教員だから部活の顧問にはなれませんということになると、では、そこの部活動はできなくなってしまうのか、子供たちはそのスポーツをできなくなるのかとか、いろいろな問題が出てまいりますので、きちっと、かちっとマッチングするというのはなかなか難しいという現実があるところは事実でございます。

 ただ、委員御指摘のとおり、安全面に関してはきちっと講習を引き続きやっていって、子供たちが安心して運動系の部活動に参加できるようにしてまいりたいと思っております。

初鹿委員 今、本当に重要なことをおっしゃっていただいたんですけれども、やはり顧問になるのに競技の経験があるというと、なかなかなれないですよね。実際に、今もう顧問のなり手自体がだんだんなくなっているという現状があって、先生が異動しちゃうと本当にクラブが消滅しちゃって、異動していったのに生徒が一緒についていっちゃうなんていう場合もあったり、今起こっているので、それはいかがなものかなと思うんです。

 顧問のなり手がないという状況も、少しはやはり何らかの対策を打っていかないと、学校のクラブ活動というのは本当にこのままじり貧で少なくなっていってしまうんじゃないかというふうに私は思うんですよ。

 顧問の先生になると、土曜日も日曜日も、練習だ試合だと出て、なかなか休みがとれない。その割には、手当は幾らですか。三千円ですよね。三千円ですよ、一回、一日当たり。お金の問題じゃないとは思いますけれども、特に部活動の顧問をやるような若い先生たちは、自分たちにも家族がいて子供もいて休日は出かけたい、また、自分の子供も地域のサッカーチームに入れていたり、そうやってやりたいと思いながらもクラブ活動に割かなきゃいけない。

 先ほど、研修をやっていて三万人が受けていると言いましたけれども、そういう研修の時間もとられる。ただでさえ今学校の先生たちは、いろいろな事務量が多くて残業が多い。きょうの朝日新聞にもそういうニュースが出ていましたよね。そういう中で、なかなか引き受け手がないわけですよ。

 せめて、土曜、日曜と休めずに、月に二回ぐらいしか休みがなくなってしまうようなことにならないように、顧問の先生が活動するに当たって、例えば、週に一回は必ず休みをとらなければいけないようにするとか、一カ月のうち六日ぐらいは必ず休みにしなければいけないとか、そういう一定の何かルールみたいなものをつくっておかないと、際限なくクラブ活動に注いでしまう先生が出ていってしまうんじゃないかと危惧をしているんですけれども、こういう、ある程度、日数、休みの日をきちんと文部省で示すというのを、そういう考え方についてはいかがでしょうか。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、熱心な部であったり、あるいは、そういったものに教員が一生懸命応えようということで、土日も部活動の練習の指導あるいは管理監督に当たるということで、それを、生徒からの熱い思いを受けとめてのことですので、一生懸命やっていただいている教員がいる。ただ、それが逆に負担になっているのではないかということも、我々も承知をしております。

 そこで、文部科学省としましては、平成二十五年に、運動部活動での指導のガイドラインというものを定めました。そこでは、一週間の中に適切な間隔により活動を休む日を設けることを考慮しつつ、計画を策定し、指導を行っていくことが必要とさせていただきました。

 実際に、例えばでございますが、熊本県では、中学校における運動部活の指針というものの中で、一週間の練習日を、五日以内を原則とするという定めを設けています。そういったように、地域あるいは学校、あるいはその競技の特性等々において休日は設定されているものと承知をしております。

 文部科学省としましては、先ほど申し上げたガイドラインの中で、一週間の中に休みを設けてくださいねということを示しておりますので、ただ、土曜日を休みなさいとか日曜日を休みなさい、水曜日を休みなさいとか、何か特定の曜日を決めてしまいますと、それはまた、いろいろな競技があって、どうしてもやはり日曜日に練習をしなければいけない、練習試合に臨まなければいけないとか、いろいろな競技の特性がどうしてもあると思いますので、なかなか特定の曜日を我々として決めるというのは難しいところがあるとは思うんですが、ガイドラインの中では、一週間の中で活動を休む日を設けてほしいということは定めております。

初鹿委員 大会などで勝ち進んでいけば、土日も両方、試合に出ていかなきゃいけないというケースもあるから、特定の日をということではないんですけれども、やはりある程度休める環境をつくってあげないと、今は学校の部活動でも、親が結構コミットしている場合が多いわけですよね。前の顧問の先生が物すごく熱心で、かなり強いクラブだったりすると、その先生がいなくなった後に顧問についた先生は、親からのプレッシャーでかなり厳しかったり、休むに休めなかったりなんてこともありますから、その辺の一定のルールというのはつくっておいた方が、先生たちも負担がなくなって、負担感が少し軽くなるのではないかなと思います。

 最近は、競技の経験のない顧問の先生がいたり、なかなか顧問のなり手もいないということで、多くの自治体で外部の指導員を活用する取り組みが進んできていると思うんです。やはりこれは教員の負担も軽減されるし、生徒に対しても専門的な指導が行われるということで、メリットはあるとは思うんですけれども、ただし、競技の経験のある人が必ずしも指導がたけているというわけでもないということでありますし、先ほども申し上げたとおり、医学的な知識を持っていたり、安全面に対する感覚がきちんとあったりというと、どうなのかなというところもあるんですよ。

 内田良さんという名古屋大学大学院の准教授の方がいろいろブログを書いているんです、学校の安全について。その中で、外部指導員の導入に待った、子供の安全・安心を考えるというのを書いています。

 これによりますと、これは神奈川県の教育委員会が調べたデータらしいんですが、ちょっとそのデータは探し切れなかったんですが、外部指導員と教員それぞれに対して質問をして、一週間における部活動の適当な指導日数についてどう考えるかということで、教員は、五日以下と答えている方が大体七割近くいるんです。ところが、外部指導者は、六日以上が六割以上いるんですよ。こういう結果なんですね。

 先ほど、熊本市でしたっけ、は週五日以内にと言っていましたけれども、外部指導者だと、逆に六日以上やった方がいいと。六日以上というのは六日か七日ですから、毎日やるか一日休むかにしろということなんですよ。

 それと同時に、同じ教員と外部指導者に質問で、運動部の指導において重視すべき項目は何ですかというので、部員の技能レベルの向上だとか、部員の自発的、自主的な活動だとか、勝負へのこだわり、部員のスポーツ障害の予防など、十個の項目を挙げて、そのうちで重視するものを二つ選んでくださいという質問なんですが、教員のうち約四割は、部員のスポーツ障害の予防というのを選んでいるんです。順位でいっても、教員の場合は、まず技能レベルの向上というのが一番で、その次に、部員のスポーツ障害の予防が二番になってくるんですよ、学校の先生の場合は。

 ところが、外部指導者の場合は、一番はやはり部員の技能レベルの向上なんですが、次に、部員の自発的、自主的な活動というのが二番目に来て、部員のスポーツ障害の予防というのは五番目なんですね。

 やはりこの調査が、全体とは言えないにしても、傾向をあらわしていると思うんですよ。やはり外部指導者というのは、自分が競技もやってきて競技に対する思いも強いし、自分もかなり、多分我々ぐらいの世代までは、とにかくしごかれてしごかれて、走って走って、もう水も飲まないで練習しろみたいな、そういう世代の方々が指導者になったりしていると、そういう指導方法を求めていったりするんじゃないかと思うんですよ。そうなってしまうと、せっかく外部指導員を入れて有意義な部活動になるなというのを期待していたら、事故が起こってしまったなんという悲劇が起こりかねないなというふうに思っています。

 ですので、やはり外部指導員についても、安全面に対するきちんとした研修や、先ほども例に出していますスポーツ指導者の資格の取得とか、こういうものを取得して指導員になるようなことを進めていく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、御見解をお伺いいたします。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 確かに委員御指摘のとおり、外部指導者の方は、外部からあえて来ていただくわけですので、大変熱心な方が多うございますので、そういう意味合いでは、委員がお持ちのその調査のように、技能を上げたいという思いが強いというのは事実だと思います。

 とはいえ、先ほどおっしゃられたとおり、競技経験のない教員が顧問教員になっている、そういった場合で、技術的指導が教員はできない、でも地域にそういう有識者がいる、外部の指導者として来てくれるような人材がいるという場合は、やはりそういう外部指導者を活用していく、そのことによって子供たちがより楽しく快活に運動系の部活動ができているという現状もございます。

 ただ、委員御指摘のとおり、教員ですら日本体育協会の公認スポーツ指導者資格を十分に把握していないという現実もありますので、そういったところをきちっと外部指導者の皆様にも周知徹底をして、なかなか外部指導者の方は、ある意味、放課後におおよそ二時間ぐらいの部活動に協力をしていただけるというような状況でございますので、そういった方々にそういう資格を取ってほしいというこちらの要望と彼らの時間的負担、費用的負担が折り合いがつくのかというところもございますけれども、我々としては、そういう資格もあるよということを周知徹底していく。そして、まさに子供たちの安心、安全の部活動ということにおいては、そういう安全面の研修等、そういうものも積極的に受講をしていただくということを、我々としてはしっかり促してまいりたいと思います。

初鹿委員 私も、外部指導者を入れること自体はいいことだとは思っているので、ただ、それがあだになるようなことがないように、やはり、きちんと安全対策ができる、医学的な知識を持っているような指導者をふやしていきたいという思いなので、できれば、例えばそういう指導者の資格を取得するのに一定の補助が出るとか、何かそういうものがあると進んでいくんじゃないのかなというふうに感じて、この質問をさせていただきました。

 私がここまで指導者の安全面とかに非常にこだわるのは、いまだに、学校の授業や部活動で亡くなってしまう、また障害を負うような大きなけがをしてしまう、そういう生徒がたくさんいるという現実があるからなんです。

 今、皆さんに資料を、三枚目を見ていただきたいんですが、三枚目、三、四、五とつけておりますが、これは日本スポーツ振興センターが実施している災害共済給付制度において給付された件数の過去五年のデータなんですけれども、死亡見舞給付金も、これは中学校も高校も、授業についても部活動にしても、やはり毎年給付がされているんですね。これは本当に残念なことだと思います。

 障害の方も見ていただきたいんですけれども、障害の方も、五年間の推移を見ると、ちょこっとのでこぼこはありますけれども、授業においては大体四十から三十あって、部活動については百五十から百四十ぐらいの幅で、百人以上が大きな障害を負うようなけがをしちゃっているという現実があるわけですよ。

 特に、運動部でけがをしちゃうと、本人が好きでそのクラブに入って、大好きなクラブで、大好きな野球やサッカーで、それが原因で亡くなっちゃったり、それが原因で本当に一生を棒に振るような障害を負ってしまったりということになったら、やはり本人もせつないし、親御さんもやりきれないと思うので、ですので、しっかりした安全対策をとっていただきたいという思いでこの質問をさせていただいています。

 私も二年浪人していましたが、その前に、一期目のときに、ちょうど武道が必修化されるそのタイミングで、隣に平野元大臣がおりますが、平野元大臣に私もかなりこの武道必修化に当たって、特に柔道ですね、柔道での事故が多いから、この安全対策をしっかりやってくれというお願いをいたしました。このデータを見ると、柔道については、幸いなことに死亡事故がそれ以降なくなっているので、本当にしっかり安全対策をとって取り組んでくれたんだなということを、これを見て感じております。

 ただし、今お示ししましたように、ほかの競技では死亡事故が一年に一件は出てしまっている。これを減らすんじゃなくて、やはりゼロにしないといけないと私は思うんです。ですので、その辺も考えてしっかり対応していただきたいというふうに思います。

 この武道必修化をした後からかなりいろいろな取り組みをしていただいたと思うのですが、その取り組みの中身と、また今後、柔道に限らず、ほかの競技についても事故が起こらないように安全対策を徹底していくということについて、最後に御所見をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

下村国務大臣 学校における体育の授業や運動部活動などの体育活動を行う上で、安全の確保は最重要事項であり、死亡事故などの重大事故を防止するための最大限の努力を払う必要が当然あると思います。

 文科省では、これまで学校における体育活動中の事故防止の徹底を図るため、指導通知の発出、それから、指導資料等の作成、研修会の実施等に取り組んできたところであります。

 今御指摘ありましたが、中学校で武道が必修化された平成二十四年度以降は、柔道の授業中における死亡事故などの重大事故は一件も報告されていないということであります。今後も引き続き、学校の体育活動中における事故防止の徹底にしっかり努めてまいりたいと思います。

初鹿委員 ちょっとまだ時間があったので、最後に一言つけ加えさせていただきますが、今、学校の部活動や授業のことをずっとお話しさせていただきましたが、実は私、基本的には、もうそろそろ青少年の運動を、学校部活動中心から、地域のクラブ活動中心に移していった方がいいんじゃないかというのを実は正直思っているんですよ。

 先ほどから言っていますように、教員の負担も多いし、要は顧問のなり手もいない、それで学校自体がだんだん生徒数も少なくなっていて、一つの学校でチームがつくれないようなところも多くなってきている。それと、やはり運動部での上下関係が、学校の中の上下関係で固定されるし、人間関係がそこの狭い世界だけで完結をしちゃう。これが外のクラブチームだと、いろいろな学校の生徒が集まってくるので、そういう学校の中の力関係だけじゃない、また新しい人間関係というのもつくれていって、幅広くなるんじゃないかというふうに思っているんですね。

 ですので、スポーツ庁をつくったわけですから、今までの伝統として、学校のクラブが日本の青少年の運動を支えてきた、スポーツを支えてきたというのはわかるんですが、ちょっとこれから違った観点を持っていったらいいんじゃないかなと思います。

 実際に、例えば高校野球で強い高校なんかは、中学校の軟式野球のクラブ活動をやっていた生徒をだんだんとらなくなっているんですよ。そうじゃなくて、リトルリーグだとか、小学生のときから硬式を使っている子供を中心にとるようになっていて、少年野球をやって、中学校に入って公立中学校のクラブに入っても、なかなか、高校野球でそういう甲子園に出るようなチームに行ってレギュラーになれないという現実も生まれ始めているので、そろそろ見直してもいいのかなというふうに思っています。

 ですので、スポーツ庁をつくってこれからスポーツを推進していくんですから、直ちには難しいと思いますが、地域のクラブチームをもっともっと応援して、本当に、みんながそちらに移っていっていいなと思えるような環境をぜひつくり出していただきたいということを最後にお伝えして、質問を終わらせていただきます。

福井委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 文部科学省設置法一部改正案、いわゆるスポーツ庁法案について質問いたします。

 スポーツ庁の設置については、私も法案提案者の一人として国会に提出し、二〇一一年に可決、成立したスポーツ基本法の附則第二条に、政府は、スポーツに関する施策を推進するため、スポーツ庁及びスポーツに関する審議会等の設置等行政組織のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると定められました。

 本法案はこれを受けて提出されたものでありますけれども、そもそもこのスポーツ基本法は、前文で「スポーツは、世界共通の人類の文化である。」と高らかに宣言するとともに、「国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のもの」である、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利であり、全ての国民がその自発性の下に、各々の関心、適性等に応じて、安全かつ公正な環境の下で日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画することのできる機会が確保されなければならない。」と規定しております。

 この背景には、もちろん、ユネスコが一九七八年十一月二十一日の第二十回総会で採択した体育・スポーツ国際憲章や、日本国憲法十三条が国民に保障する幸福追求権、二十五条が定めた生存権があるということは言うまでもないと思うんです。

 そこでまず大臣に確認をしたいんですが、国のスポーツ行政は、ユネスコ国際憲章、日本国憲法、スポーツ基本法にある、誰もがスポーツを享受する権利、スポーツ権の実現に努めることであり、スポーツ庁が実現すべき最も重要な課題は当然その実現にあると私は考えますけれども、大臣、よろしいでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のように、スポーツ基本法の前文においては、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」であると宣言しており、スポーツを国民の権利として捉えられているわけであります。

 文科省としては、スポーツ基本法のこの理念にのっとって、全ての人が生涯にわたってその関心や適性等に応じてスポーツに親しむことのできる社会を実現することが重要であると考えておりまして、このため、地域におけるスポーツ環境の整備等に取り組んでいきたいと考えております。

宮本(岳)委員 確認されたように、スポーツ基本法前文の精神というものは非常に高邁でありますけれども、このスポーツ権を保障するためには、誰もがスポーツができる環境、条件整備が不可欠であります。

 そこでこれは久保局長に聞くんですけれども、先ほどのユネスコ国際憲章の第五条の一と二には、施設や設備について何と規定されておりますか。

久保政府参考人 ユネスコ「体育およびスポーツに関する国際憲章」第五条では、施設設備につきまして、「学校内および学校外双方の体育・スポーツに関係するプログラムへの密度濃くかつ安全な参加というニーズに合致するように、適切で十分な施設が供給され、設置されなければならない。」「あらゆる段階の政府、公当局、学校および適当な私的機関は、協力し、ともに計画して、体育・スポーツの施設、設備、用具を提供し、最適な条件で利用できるようにする義務がある。」と規定されております。

宮本(岳)委員 第一、第二はそう書いてあるんですが、冒頭、「十分な施設と設備は体育・スポーツに不可欠である。」これは条文であります。

 スポーツ権を名実ともに実現するためには、まさに、適切で十分な施設が供給され、設置されなければなりません。また、それは国や地方公共団体の義務でもあると思うんです。

 だからこそ、スポーツ基本法は第十二条で、「国及び地方公共団体は、」「スポーツ施設の整備、利用者の需要に応じたスポーツ施設の運用の改善、スポーツ施設への指導者等の配置やその他必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」と定めるとともに、安全の確保、あるいは障害者等の利便性の向上、これについても定めております。

 大臣に改めて確認しますが、スポーツ庁はこの中心的な役割を担うべきだと私は思いますけれども、これも大臣、よろしいでしょうか。

下村国務大臣 国民の誰もがスポーツに親しむことができるよう、地域のスポーツ環境を整備することは重要であると考えます。

 地域のスポーツ施設の整備については、文科省において、水泳プール、体育館、屋外運動場などの新改築等に対する国庫補助を行うとともに、独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興くじ助成においても、地域スポーツクラブのクラブハウスの整備やグラウンドの芝生化等、支援をしております。

 また、地域スポーツの振興のためには指導者が重要であることから、文科省において、スポーツ指導者の質の向上のため、育成カリキュラムの作成などに取り組んでいるところであります。

 さらに、スポーツ施設の安全の確保や障害者等の利便性の向上についても、重要な課題として取り組む必要があると考えます。

 スポーツ施設の充実は、地域スポーツの振興、ひいては地域社会の活性化にもつながるものでありまして、スポーツ庁においてスポーツ立国の実現に向けた環境の整備、一層強力に進めてまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 さまざまなことをやっていただいているという御答弁でありますけれども、では、スポーツ施設の現状がどうなっているか。具体的に少しきょうは御質問を申し上げたいと思うんです。

 それで、これは局長で御答弁結構ですけれども、文科省の体育・スポーツ施設現況調査によりますと、直近の平成二十年でスポーツ施設は全国でどれだけあるか。箇所数です。それから、十二年前、平成八年の調査、これではどれだけの箇所数だったか。局長、お答えいただけますか。

久保政府参考人 スポーツ施設、平成二十年度時点の調査では、全国で二十二万二千五百三十三カ所でございました。十二年前の平成八年時点では二十五万八千二十六カ所でございました。

宮本(岳)委員 十二年間、実は減っているんです。差し引きいたしますと三万五千以上、十二年間で一四%、スポーツ施設というのは全国で減っている。ですから、毎年、スポーツ施設は三千カ所ずつ消えていっているというのが、この調査結果の数字の示すところだと思います。

 これは学校も民間も公共施設も全て入った数字でありまして、先ほど局長がお答えいただいた体育・スポーツ施設現況調査の、これは大体六年に一回やるものでありますけれども、平成二十年、平成十四年、平成八年、その数字をきょうは資料で皆様方のお手元にお配りをいたしました。

 資料を見ていただきたい。「公共スポーツ施設」という欄を見ていただきますと、この十二年間に、六万五千五百二十八カ所から五万三千七百三十二カ所に一万二千カ所も減っております。十二年間に一万二千ですから、毎年一千カ所ずつ公共スポーツ施設というものは消えていっているというのがこの間の状況です。

 ここで聞くんですけれども、この同じ調査で、一九九六年と二〇〇八年、これを比較して、公共スポーツ施設のうち、体育館、運動広場、プール、テニス場、野球場がそれぞれどれだけ減少したか。これも局長、お答えいただけますか。

久保政府参考人 二〇〇八年、平成二十年と一九九六年、平成八年を比べまして、体育館につきましては七百四十六カ所、運動広場については八百六十九カ所、水泳プールにつきましては千百四十八カ所、テニス場、庭球場につきましては千七百六十三カ所、野球場・ソフト場につきましては千百七十七カ所、いずれも減少しております。

宮本(岳)委員 今御答弁にあったように、この十二年の間に、体育館も、運動広場も、プールも、テニス場も、野球場も、激減しているわけです。

 もう一度先ほどの資料を見ていただきますと、学校体育・スポーツ施設というものも、十五万二千八十三カ所から十三万六千二百七十六カ所に一万六千近く減っております。これは学校統廃合の影響だと思うんです。これがスポーツ施設の実は実態なんです、現実なんですよ。

 大臣、これではスポーツ基本法十二条に逆行する事態と言わざるを得ないと私は思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のとおりで、これは深刻な数字として受けとめる必要があるというふうに思います。

 しかし、その背景としては、一つは、やはり少子化の進行が非常に進んでいる。それからもう一つは、地方の厳しい財政状況もあるということが考えられます。

 国民が身近にスポーツに親しむことができるようにするためには、それぞれの地域でスポーツ施設の整備や利便性の改善、指導者の育成などを図ることが重要であります。各地方公共団体においても、地域の実情に応じ、住民がスポーツに親しむことができる環境を確保できるよう、工夫、努力をしていただきたいと思います。

 文科省、スポーツ庁において、今後とも、地域におけるスポーツ施設の整備等に対する支援を、設置をしていただければさらに努力をしてまいりたいと思います。

 平成二十七年度には、体育・スポーツ施設に関する調査研究を実施することとしております。その結果も踏まえまして、スポーツ施設の整備に関する指針の作成等、施策を進めてまいりたいと考えます。

宮本(岳)委員 スポーツ基本法の十二条にはきちっと規定されているわけですから、引き続き努力するのは当然なんですけれども、では、今は地域スポーツの現場ではこういうもとでどういうことが起こっているか。きょうは一例を紹介したいと思うんです。

 例えば香川県では、高松市内にある県立体育館が昨年九月末に閉鎖をいたしまして、ついに県内には県立体育館が一つもないという事態になりました。この体育館は、世界的建築家丹下健三氏の設計で、船のようなユニークなデザインで親しまれてまいりました。しかし、築五十年と老朽化が進み、三年前には、天井落下のおそれから、耐震補強工事が必要となりました。香川県は改修を決め、一昨年から昨年にかけて入札をすること三回、しかし、資材の高騰、人手不足から、当初五億八千万円だった改修費を十億円にまで引き上げても応札業者がなく、とうとう改修を断念し、閉館となりました。

 県がスポーツ施設から撤退したのはこれだけではありません。一九五〇年代につくられ老朽化が著しかった県立屋島陸上競技場は、改修を高松市と押しつけ合った末に、二〇〇八年に市に移譲。県立体育館も、今の体育館以外にほかに二カ所ありましたが、観音寺市の体育館は老朽化のため閉館、もう一つは東かがわ市に移管して、ついに県立体育館はゼロになったということなんです。

 香川県バスケットボール協会の幹部は、県の体育館が一つもないのは異常な事態だと憤り、県体協も、体育館が減って、各競技でどう割り振るか頭が痛い。深刻なのは、子供たちの大会参加が大きく減っていることだ。会場がどうしても住んでいる地域から遠くなってしまうからだ。こう語っております。

 スポーツ関係者の強い要望を受けて、ついにこの三月、県は新しい体育館建設の検討を始めたと。まだ検討が始まったばかりで、建設すると決まったわけじゃないんですけれども。

 これは局長にお伺いします。香川県のこういう実態を承知しているか、また、検討が始まったわけでありますけれども、新しい体育館を建設するとなれば国の支援にはどのような支援があるか、お答えいただけますか。

久保政府参考人 この香川県の体育館の事例につきましては、新聞にも出ましたし、我々は心配しながら見ておりました。新しい方向が動き始めたことは喜ばしいと思っております。

 文部科学省といたしましては、公立体育館等の社会体育施設の新築、改築あるいは耐震化を行う事業に対する国庫補助制度を持っておりますので、そういった制度を活用しながら、香川県も含めて、地方公共団体が整備される際に支援を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

宮本(岳)委員 ぜひしっかりと応えていただきたいと思うんですが、スポーツ施設の多くは、前回の東京オリンピックの時期、一九六〇年代の高度成長期に建てられたものなんです。それから四、五十年が過ぎ、多くの施設が建てかえ時期を迎えております。しかし、地方自治体では、先ほど大臣が御答弁になったように、財政難を理由に施設を廃止するところが多いんです。

 大阪では、二重行政の廃止などと言って、大阪府立体育館と大阪市立中央体育館を統合しようとしております。神奈川県は、財源不足解消を理由に、スポーツ施設約二十カ所を含む県有施設の原則全廃を打ち出しました。施策をまとめたこの有識者会議というものを、私も議事録を含めて見せていただきましたけれども、中を読みますと、藤沢市の体育センターなどをやり玉に上げて、九百万人の県民からいけば利用者は多くて三十万人、納税者から見ると不公平だとか、毎年三億九千万円県民負担しているのだからやめるんだと、言いたい放題なわけですよ。

 大臣、スポーツ基本法第四条には、地方公共団体は、スポーツ基本法の基本理念にのっとり、「スポーツに関する施策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」こう定めたわけですけれども、これに照らしても、こういう状況は地方公共団体の責務の放棄と言われても仕方ない状況ではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

久保政府参考人 スポーツ基本法では、まさに、国のみならず地方公共団体も、このスポーツをする国民の権利をさらに進めるための努力義務として、いろいろな施設の整備をすることが規定されているわけでございまして、これは、国のみならず、地方もあわせてオールジャパンで進めていく重要な事項だと私どもも思っておりますので、その点で、さまざまな面での自治体の動きを督促していくというのも国の役割だと考えているところでございます。

宮本(岳)委員 そこで、国はやる気なのだが、地方に不理解があるといった問題なのかどうかということを私は次に問いたいんです。

 きょうは総務省に来ていただいております。総務省は現在、地方自治体に公共施設等総合管理計画の策定を求めております。この取り組みは一体どのようなものですか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体におきましては、過去に建設された公共施設等がこれから大量に更新時期を迎える一方で、財政は依然として厳しい状況にございます。また、人口減少等により、今後の公共施設等の利用需要が変化していくことが見込まれるほか、市町村合併を行った団体の中には、合併後の施設全体の最適化を図る必要性が生じている地域もございます。

 こうした状況を踏まえまして、各地方公共団体においては、早急に公共施設等の全体の状況を把握し、長期的視点に立って公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行うことが重要となっております。

 総務省といたしましては、公共施設等総合管理計画の策定を地方公共団体に要請しているところでございます。

 以上です。

宮本(岳)委員 昨年四月二十二日付で「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針」というものが出されております。

 この指針を見ると、「総合管理計画策定にあたっての留意事項」として、十年から三十年の長期のスパンで見て、今後人口が減るのだから、どれくらいの行政サービスが必要かを見直せ、民間で代替可能性はないのか留意せよ、PPP、PFIの積極的な活用を検討せよ、市区町村を超えた広域的な集約、集中も検討せよとなっております。そして、その計画に基づいて公共施設を廃止したら地方債の充当を認めるとか、公共施設の集約化、複合化をすれば、合計した床面積が減る場合にのみ公共施設最適化事業債を認め、地方財政措置で優遇する、こういうメニューがずらずらと並んでいるわけです。

 総務省、公共スポーツ施設が毎年千カ所ずつ消えていっている背景には、国がこういう計画を地方に強制して、廃止や集約化をやらせているからではありませんか。

橋本政府参考人 公共施設等総合管理計画の策定につきましては、昨年四月二十二日に、総務大臣通知により、各地方公共団体に対し策定要請を行い、あわせて、計画策定に当たっての指針を示しております。

 これらはあくまで地方自治法第二百四十五条の四第一項に基づく技術的な助言ということでございまして、地方公共団体に計画策定を強制するものではございません。あくまでも地方団体が自主的に御判断いただく事項、このようにしております。

宮本(岳)委員 強制していない、こう言うわけですね。では、もう一度聞きましょう、総務省に。

 公共施設等総合管理計画策定取り組み状況は、昨年十月一日現在で、平成二十八年度までに策定予定は、都道府県、指定都市、市区町村で何%になっておりますか。

橋本政府参考人 総務省が行いました調査結果によれば、平成二十六年十月一日現在で、平成二十八年度までに公共施設等総合管理計画の策定を完了する予定の団体の割合は、都道府県及び指定都市で一〇〇%、市区町村で九八・〇%というふうになっております。

 今、四月一日現在の調査を行って、その結果も今取りまとめ中でございまして、近々公表する予定にしております。

宮本(岳)委員 強制ではないと言うんですが、都道府県、指定都市の一〇〇%、市区町村の九八・〇%が二十八年度までに策定する。その先ほどの調査結果で計画策定予定なしと答えたのは、市区町村で六自治体、わずか〇・三%にすぎません。

 しかし、地方自治体に求められているのは、こんな公共スポーツ施設を潰したり減らしたりする計画ばかりではないんです。

 我々がつくったスポーツ基本法は、その第十条で、都道府県及び市区町村は、国のスポーツ基本計画を参酌して、地方スポーツ推進計画を定めるよう努めることが定められております。こちらの方は、住民が身近にスポーツに親しむことができるように、スポーツ施設の整備、スポーツ施設の運用の改善、スポーツ施設への指導者の配置等の計画を定めるものであります。

 では文部科学省に聞きますけれども、市区町村のスポーツ政策に係る計画の策定状況は、平成二十四年四月時点で何%になっておりますか。

久保政府参考人 地方スポーツ推進計画の策定状況でございますけれども、二十四年四月時点での状況につきまして、策定し改定を検討中が一七・一%、策定し改定は未検討が一一%、合わせて二八%です。策定していないが策定を検討中は一六%、策定しておらず、策定も未検討が五四・一%、その他、無回答が一・七%となっております。

宮本(岳)委員 半分以上は、計画もなければ策定する予定もないとなっているんです。先ほどの総務省の計画と大違いじゃありませんか。総務省の公共スポーツ施設の廃止縮小計画は、依頼だと言いながら、ほぼ一〇〇%の自治体がつくられようとしている。

 スポーツ基本法の条文に努力義務まで我々が書き込んで進めようというスポーツの地方推進計画は、法制定から三年もたつのに遅々として進まない。毎年千カ所ずつ公共スポーツ施設が消えていくのも当然だと言わなければなりません。

 別に、総務省に悪意があると言うつもりはないんです。総務省のやっていることと文部科学省のやろうとしていることが全く逆向きになっているんです。本来、こういうことをなくすためにこそスポーツ庁というものが必要なのではないか。

 総務省が地方行財政改革という視野のみで公共施設の廃止縮小、集約化という方向を打ち出しても、スポーツ施策に関しては、スポーツ基本法の基本理念や立法趣旨をちゃんと踏まえてくださいよとはっきり物を言う。そうでなければ、スポーツに関する施策を総合的に推進するため、文部科学省の外局としてスポーツ庁を設置すると言っても、絵に描いた餅にすぎないと思います。

 最後に、この点についての大臣の御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思うんです。

下村国務大臣 これは宮本委員のおっしゃるとおりだと思います。

 ですから、総務省についても、逆というよりは、これからスポーツ庁が設置することによって、これからの日本の将来をどう考えるかということにおける他省庁における政策転換も、やはり求めていく必要があるのではないかと思います。

 特にスポーツ庁においては、関係省庁の司令塔的な機能を果たしてスポーツ行政をリードする、幅広い省庁の知見を得つつも、スポーツによる健康増進、地域活性化、国際的地位の向上など、スポーツ基本法に掲げるスポーツ立国の実現に向けて取り組む必要があると思います。

 特に、我が国の医療費総額が年間で約四十兆円を上回っているという中で、運動で抑制できる医療費が全体の約七・七%という調査もある。つまり三・二兆円ぐらい、スポーツによって逆に言えば医療費の軽減、抑制にもつながるという部分でありますし、同時に、国民の健康寿命が平均寿命に限りなく近づくという、幸福な人生を過ごすという意味で、今後、スポーツ庁の果たす役割は大変大きなものがあると思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

宮本(岳)委員 ありがとうございました。終わります。

福井委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 法案の中身に入る前に、少しお聞きをしたいことがございます。

 国際バスケットボール連盟から資格停止処分を受けている日本のバスケットボール協会の問題についてお聞きいたします。

 昨年の十一月十二日、当委員会でオリパラ特措法案それからラグビーワールドカップ特措法案の審議をした際に、日本バスケットボール協会に対して資格停止処分が下る可能性が高いのではないかという質問をさせていただきました。それから少したった十一月二十六日、非常に残念なことではありますけれども、無期限の資格停止という大変重い処分が科されました。

 今回の処分なんですが、直接かかわりのない女子バスケットまで国際大会から締め出される、参加資格を喪失するという、極めて深刻な問題だというふうに感じております。

 報道等によれば、夏に開かれるアンダー19の女子世界選手権も、見事日本はアジアを突破して出ることができるというふうになったんですけれども、この問題によって出場ができなくなったというふうに言われております。これは年代別ですから、二年に一度の開催ということですけれども、まさに、このアンダー19に出る資格というのは二年後には喪失をしている、一生に一度の大会でもあります。特に、そういう女子のバスケットそして若い世代に直接大きな影響を及ぼしているということでもあろうかと思います。

 男子のサッカーでもそうですけれども、ユース世代がアジア予選を勝ち抜いて世界大会に参加するというのは、アジアの各競技レベルも上がっておりますから年々難しくなっている。そんな中で、せっかくの世界大会出場の切符を得ながら、世界に触れるという貴重な機会を失ったことは、選手にとってもそうですし、それから、日本のバスケットボールの将来にとっても極めて大きな損失だというふうに考えます。

 加えまして、これは報道等で出ておりましたが、それ以外のところにも影響が出ている。例えばバスケットボール、日韓で行われる予定だった学生競技大会、同じく日韓のママさん親善大会、これらも資格停止処分を受けて、これは主催者側が自主的に大会を中止したというふうに言われておりますが、そういうことも散見されます。

 今回の国際バスケットボール連盟による資格停止処分後、今指摘をしたようなものも含めて、具体的にどのような弊害といいますか、そういうものが生まれているのかを、少し教えていただければと思います。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

久保政府参考人 昨年十一月二十六日に、国際バスケット連盟、FIBAから資格停止がされて以降、本年三月十七日にFIBAから日本バスケットボール協会に対して、本年七月にロシアにおいて開催される第十一回FIBAアンダー19女子バスケットボール世界選手権への日本代表の参加を認めないことが決定した旨のレターが送付されたところでございます。

 さらに、JBA、日本バスケットボール協会に加盟する団体が主催します第三十八回李相佰盃日韓学生バスケットボール競技大会、本年五月開催予定、それから、二〇一五年日韓ママさんバスケットボール親善大会、本年七月開催予定については、主催者の判断により本年度の開催が取りやめとなったと承知しているところでございます。

 これらの大会は、二〇一六年リオ・オリンピック出場のための予選等とは関係のない大会であるわけではございますけれども、大会出場に向け日夜練習に励んでいた選手にとっては極めて過酷なものでございまして、大変残念なことであると考えているところでございます。

 なお、FIBAにおきましては、日本代表の二〇一六年リオデジャネイロ・オリンピック予選への参加の可能性を維持するために、他のアジアにおける大会の出場申請期限を六月二十日以降に延期することを決定しておりまして、制裁解除について検討されるFIBAセントラルボード、六月十八日から二十日にかけての日程に配慮が払われているものと承知しているところでございます。

吉川(元)委員 一生懸命練習を重ねてきた選手たちに対しては、本当に申しわけない思いでいっぱいであります。

 今、リオのオリンピックのお話がございました。アジア予選への出場の可否については六月二十日に判断を下すというような報道もされております。そのとおりであるとすれば、予選までに処分をとにかく解除してもらうためには、残された日数というのは本当にわずかしかない状況であります。今、川淵チェアマンが一生懸命やっておられるというのは聞いておりますが、文科省も、ぜひぜひこの問題についてはしっかりと汗をかいていただきたいというふうに思っております。

 そこで、少しお尋ねいたしますけれども、資格停止の処分後、国際バスケットボール連盟と日本側メンバー合わせて十人の作業チームが発足をし、川淵チェアマンのもとで改革作業が続けられております。

 この改革作業の現状並びに改革を通じた処分解除の展望等々について、文科省としてどのように認識をされているのか、お聞かせをください。

久保政府参考人 国際バスケット連盟によりまして、昨年十一月二十六日に、資格停止などと同時に、制裁措置に関する問題を解決するために、ジャパン二〇二四タスクフォースの設置が決定されまして、本年一月二十八日に第一回の会合が開催されました。以降、これまでに三回のタスクフォースが川淵三郎座長のもとで開かれておりまして、関係者によって精力的な検討が行われてきているところでございます。文部科学省も、オブザーバーとして私がその中に入って、ずっと出席してきているところでございます。

 本年三月二十五日に開催された第三回タスクフォースでは、新リーグの入会審査基準及びトップリーグ要件について、二点目といたしまして所属リーグ決定までのプロセス、そして三点目といたしまして、日本バスケットボール協会、JBAガバナンスの変更案につきまして検討が行われて、承認が得られたものと承知しているところでございます。

 これを受けまして、本年四月一日には一般社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグが新たに設立されまして、新リーグの入会申請が開始されたものと承知しているところでございます。

 この処分の解除につきましては、FIBAにおいて判断されるものでございますけれども、タスクフォースでは、今後さらに三回、六月までの間に会議を開催いたしまして、制裁解除について検討されるFIBAセントラルボード、六月二十日に向けた結論を得ることを目指して、精力的に検討を進めていくものと承知しているところでございます。

吉川(元)委員 これからまだ三回開かれるということでありますが、とにかく最大の目標というのは、六月二十日までに処分を解除してもらうということが、これが最も重要なことでありますので、そのためにしっかり努力をしていただければというふうに思います。

 やはり、先ほども少し答弁の中でございましたけれども、今回の改革作業の一番大きな柱というのが、今分裂をしております男子のバスケットのNBLとbjリーグの統一問題なんだろうというふうに思います。

 既に川淵チェアマンから統一案が示され、先ほどもお話がありましたけれども、四月一日にジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ、設立式典が開かれたというふうにも聞いております。参加の申し込みもスタートしている、来年秋の開幕を目指して、一部リーグ、二部リーグの振り分けも行われる予定だという報道も目にいたしました。

 そのNBL、bjリーグに加盟する各チームの新リーグへの加盟申請の状況等々についてお聞かせください。

久保政府参考人 この新リーグへの加盟の申請状況につきましては、昨日現在で二十六チームから入会申請がなされていると聞いております。

 具体的には、現在、ナショナルバスケットボールリーグ、NBLに所属しております全十三チーム中七チーム、ナショナル・バスケットボール・デベロップメント・リーグ、NBDLに所属しております全十チーム中四チーム、そして、日本プロバスケットボールリーグ、bjリーグに所属しております全二十四チーム中十四チームが、入会申請を行っていると聞いているところでございます。

吉川(元)委員 この数が多いか少ないかというのはいろいろ意見があろうかというふうに思いますが、それなりの数のチームが新しいリーグに加盟申請をし、統一に向けて努力をしていること、これ自体は私自身も大変好ましいことだというふうに思っております。

 他方、これはまだ具体的にそこまで決まっているかどうかというのはわからないんですが、新リーグへの加盟条件、これを見ておりますと、ホームタウンが決定していること、それから、ホームアリーナや練習場を持っていること、さらには、ユースチームを持っていることなど、そうしたことが参加要件になっており、また、アマチュア選手については二名までというふうに聞いております。

 それからさらに、考慮する事項として、一部リーグのチームは八割のホームゲームをホームアリーナで実施すること、それから、ホームアリーナの収容人員は一部が五千人、二部が三千人をめどにするとされております。

 ホームアリーナの規模でいいますと、今期、NBL、bjリーグに参加するチームで、五千人規模の会場を持っているチームはないというふうにも聞いております。また、三月二十五日に行われた説明会でのやりとりでも、ホームゲームの八割をホームアリーナで実施することについては、青森や北海道のbjリーグ所属チームから、複数の会場で実施したいという要望が出されてまいりました。

 こうした中身は、恐らく、Jリーグが誕生した際の、そのときに思い切った要件を設定して、その結果としてJリーグが大きく成長し、成功したということ、そういうことも考慮してつくられているものだろうというふうに思いますし、その側面全部を否定するつもりはありません。

 ただ、九三年にJリーグが発足した際、この時期、ちょうど日本はバブルが崩壊していた。バブル崩壊期にはあったのではありますけれども、今の日本の経済状況に比べるとまだ余裕があった。さらには、空前のサッカーブームが起こりましたし、それから、世界じゅうから、いわゆるサッカーのワールドカップで活躍するようなスター選手がたくさんJリーグに来られました。そういう中で、私もテレビで見ましたけれども、あの国立競技場が、かつては、日本リーグの時代には閑古鳥が鳴くといいますか、目で数えられるぐらいのファンの方しかいなかったのが、超満員になるという、そういう中でJリーグはスタートいたしました。

 それと比べますと、現在のバスケットボールを取り巻く状況というのは、その時代とは異なるものになっているのではないか。経済状況もそうです。それからまた、バスケットボールを、ぜひ人気スポーツ、国民が注目するスポーツになってもらいたいとは思いますけれども、当時のサッカーに比べると、まだまだその人気の度合いは高まっていないというのが率直なところではないか。

 さらには、五千人規模の会場を用意しなければいけないということになるとなかなか大変でありますし、ユースも持たなければいけない、さらには、三年続けて利益を上げなければならないというような、そういう非常に高いハードルでもあろうかと私は思います。

 一つ一つハードルを越えることでリーグが発展していくということは、私もその考え方は支持をしたいというふうに思いますけれども、こうした高いハードルについて、作業チームが提示した要件ですけれども、どのような要望や意見が出されてきたのか、あるいは、今後、それらを反映した新リーグのあり方などが検討されていくことがあり得るのかどうか、その点についてお聞かせください。

久保政府参考人 今回の新リーグの結成につきましては、NBLもbjリーグも、それぞれ会長、コミッショナー、皆全面的に協力するという中で一致して進めているところでございますけれども、六十万人の選手も抱える大きな将来性、潜在的な可能性を秘めたこのバスケットボールリーグが出発するに当たって、やはり大きな夢を持って進めたい、今が大きなチャンスであるという川淵会長の方針のもとにみんな協力しようとしているわけでございます。

 今先生おっしゃられたように、その中で、ただ、一部リーグでの八割のホームゲームを実施できるホームアリーナの確保ですとか、収容人員が五千人を目途とするホームアリーナが必要だとか、この辺についてはかなりハードルが高いと思っているチームがおられることも確かでございます。自治体としても、その辺について疑問を、やや苦しいと思っておられるところもありますのを私ども聞いております。

 川淵チェアマンは、その点につきましては、各地域に順次チームを訪問して、関係者、自治体も踏まえて、いろいろな意見交換を行って、知事の御意見なりあるいは注文も聞いてきておられます。それをも踏まえながら、新リーグの構想について今精力的に取り組まれておられるところでございまして、当面は高い目標を置いておられるというようなところもあるんじゃないかと思います。

 今後、タスクフォースにおきまして、七月末の所属リーグの審査におきまして、こうしたいろいろな状況も踏まえながら検討が行われるものと考えております。タスクフォースに私もオブザーバーとして参加しておりますので、チームあるいはアスリートの情報もいろいろ入ってくると思いますから、その辺も留意しながら、適切なリーグ編成が行われるようにサポートしてまいりたいと考えているところでございます。

吉川(元)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 少しスポーツ庁の関係で、この問題との関連で御質問させていただきます。

 資格停止処分にまで至った今回の件については、かなり早い段階から問題点が指摘をされておりました。ただ、適切な対応をとることができなかった日本バスケットボール協会については、私は大きな責任があるというふうにも感じます。

 他方、この過程で、スポーツ行政を中心に担っている文科省の姿も、正直言って余り見ることができなかったなというふうに思っております。もちろん、日本のスポーツは、種目ごとに協会やあるいは連盟、そういった団体が存在しておりますし、それらの団体が自主性、独立性を持って運営が行われる、それを損なうべきではないというふうに思います。

 他方で、今回のバスケットボール協会の問題もそうですけれども、スポーツ関係の団体で不祥事が発生した場合に、なかなか素早く対応できない、そういう状況にもなっているのではないか。そういう事例がバスケット以外にも散見されてきたのも私は事実だろうというふうに思います。

 スポーツ基本計画におきまして、スポーツ団体のガバナンス強化と透明性の向上に向けた取り組みの推進として、組織運営体制のガイドラインの策定や、スポーツ団体の運営の透明性の確保などが具体的に挙げられております。

 今般スポーツ庁が設置された折には、スポーツ団体のガバナンスのあり方においてどのような役割を果たすことになるのか、お聞かせください。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

久保政府参考人 スポーツ団体のガバナンス強化につきましては、今御指摘いただきましたように、スポーツ基本計画でも重要な課題と位置づけられておりまして、文部科学省におきましても、平成二十六年度には日本スポーツ仲裁機構に委託して調査研究を行いまして、競技団体の組織運営に係るガイドラインを取りまとめたところでございます。

 また、各競技団体のガバナンス強化に対する事業への支援につきましては、スポーツ振興くじを通じて行ってきたところでございます。

 こうしたガバナンス強化につきましては、文部科学省以外でも取り組みが進められてきておりまして、平成二十六年四月には日本スポーツ振興センターが、スポーツにおけるガバナンス欠如やドーピング等に一体的に対応するために、スポーツ・インテグリティ・ユニットを設置しているところでございます。また、二十七年四月からは、JOCが、競技団体の事務支援を行うNF総合支援センターも設置しているところでございます。

 これまでは、どちらかというと、スポーツ界の自主性に鑑みまして、文部科学省自体はスポーツ界と一定の距離を置いてまいりましたけれども、今後、スポーツ庁が設置されますと、スポーツ団体のガバナンス改善を担当する参事官、民間スポーツ担当部局も設置されますし、民間のアスリートあるいは民間団体との人事交流も盛んに行われると思います。さらに、スポーツ審議会にもアスリートあるいはスポーツ関係団体も入ってまいりまして、一緒にスポーツ政策を考えていくことになりますので、より距離が近づいた中で、スポーツ庁の責務として、ガバナンスについてもしっかり取り組んでいくようになると考えているところでございます。

吉川(元)委員 私自身は、やはり自主性、独立性というのは大切なことですから、そこにはきちんと配慮をしながらやっていただければと思いますし、問題が発生すると、やはり一番の犠牲はそのスポーツの選手であり、また、そういう不祥事を見ることによって、子供たちが感じるそのスポーツに対する魅力がなくなっていく、そういうことにならないようにぜひ努力をしていただければというふうに思います。

 次に、法改正についてお尋ねします。

 何点か他の委員と重なるところもあろうかと思いますけれども、ぜひ御答弁をよろしくお願いいたしたいと思います。

 今回の設置法の第三条に「スポーツに関する施策の総合的な推進」という文言が新たに盛り込まれ、第四条に、所掌事務に三つの事項が追加されることになりました。

 実は、スポーツ庁設置に際し、スポーツに関する基本的な施策の企画や立案はもとより、現在、複数省庁にまたがるスポーツ行政、こうしたものがスポーツ庁に一元化されるものだというふうに想定をしておりました。

 しかし、追加された所掌事務を見ますと、「スポーツに関する関係行政機関の事務の調整に関すること。」とされており、依然として縦割りのスポーツ行政が残ってしまうのではないか、恐らくスポーツ庁が行うのはその調整の役割を担うにとどまるのではないかというふうにも感じております。

 なぜスポーツ行政の一元化に至らなかったのか、その理由を尋ねます。

久保政府参考人 スポーツ庁設置の検討に当たりまして、関係各省庁との調整を行ったところでございますけれども、他省庁のスポーツ関連業務は、いずれも、それぞれの任務の観点からスポーツ以外の分野と一体的に行われておりまして、スポーツ部分だけを切り離して移管することはできないということで、新たな業務の移管は行わないこととしたものでございます。

 しかしながら、これまで調整権限がなかった文部科学省におきまして、関係行政機関の事務の調整という権限を新たに規定いたしましたこと、さらに、各省から、関連する業務に関しまして二十三名の定員を移管したことによりまして、関係省庁と一体となったスポーツ業務が行えるようになったというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、今回、所掌事務を三つ追加し、その役割をスポーツ庁が担うとした場合に、現状と比較して、どういう点が飛躍的に変化をするのか、その点について具体的にちょっと説明していただけますか。

下村国務大臣 近年、国民生活におけるスポーツの役割は拡大し、多面にわたりましてこのようなスポーツの役割を一層高め、スポーツを通じて社会を発展させていくためには、多数の府省が実施する関連する施策を総合的に推進していくことが求められるようになっております。

 このような状況を踏まえ、政府として、スポーツ基本法に掲げるスポーツ立国を実現し、スポーツ施策の総合的な推進を図るため、スポーツ庁を設置することとしたものであります。

 スポーツ庁においては、スポーツ基本法の理念も踏まえまして、関係府省の司令塔的な機能を果たすとともに、人事交流等を通じて幅広い関係省庁の知見も得つつ、スポーツによる健康増進、地域活性化、国際的地位の向上などを図りまして、新たなスポーツ施策を総合的、一体的に推進していきたいと考えております。

 特に、近年、我が国の医療費総額が年間で約四十兆円にも上るという中にありまして、運動で抑制できる医療費が全体の約七・七%もあるという調査結果も出ております。

 このように、スポーツは医療費を抑制できる可能性も秘めておりまして、スポーツを通じた健康増進の取り組みを進めることによりまして、健康寿命が平均寿命に限りなく近づくような社会の構造を目指すこともあわせて考えて取り組んでまいりたいと思います。

吉川(元)委員 もう余り時間がありませんので、最後に一つお聞きをしたいと思います。

 スポーツの、今御答弁があったとおり、関係府省との調整を行うスポーツ庁ですけれども、既に、スポーツ基本法の第三十条において、他府省との連絡調整機関としてスポーツ推進会議を設置することが定められております。

 このスポーツ推進会議、設置されたのはいいんですけれども、一回しか会議が行われていないというふうに聞いておりますが、これまでどんな効果を上げてきたのか、また、スポーツ庁が設置をされた以降はどのようにこれが扱われていくことになるのかについてお聞かせください。

久保政府参考人 スポーツ推進会議は、スポーツに関する施策の総合的、一体的かつ効果的な推進を図るために、関係行政機関相互の連絡調整を行うためのものとしてスポーツ基本法に基づき設置されたものでございまして、これにつきましては、スポーツ庁の設置後も同様の位置づけで存続することとしているところでございます。

 これまで、開催する回数は確かに少なかったわけでございます。これまでは、そういう意味では主として関係省庁間の情報交換を行う、それぞれがどんな予算を要求するかということを交換し合う場でございましたけれども、今後はむしろスポーツ庁が、各省庁の施策や予算の調整を行う場として、より役割が大きくなると考えているところでございます。

 スポーツ基本計画やスポーツ審議会の議論を踏まえましてスポーツ庁がスポーツ政策の大きな方向性を提示したり、あるいは、各府省横断的な課題に関し連絡調整を行う場としてスポーツ推進会議の有効な活用を図ってまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 少し少ないというか、一回しかやっていないので、少し少ないレベルではないと思いますので、しっかり今後取り組んでいただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。

福井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

福井委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、文部科学省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

福井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

福井委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、池田佳隆君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。菊田真紀子君。

菊田委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    文部科学省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 文部科学省の外局として「スポーツ庁」を設置するに当たっては、行政改革の推進の観点から組織の肥大化につながることのないよう十分留意すること。

 二 スポーツ庁における関連施策の総合的な推進体制の整備に当たっては、その機能と役割の明確化を図り、縦割り行政を解消し、スポーツ行政の一体的な推進に努めること。

 三 スポーツ庁長官の登用に当たっては、その職務の果たす役割に鑑み、スポーツに造詣が深く情報発信力のある人材を広く各界に求めることも含め、十分考慮すること。

 四 新設される「スポーツ審議会」においては、審議事項について、競技スポーツ分野に偏在することなく、また、学校体育等の教育上の観点にも留意するとともに、選任される委員の出身分野及び男女比に十分配慮すること。

 五 全ての人がスポーツに参加することができる真のバリアフリー社会の実現に寄与する観点から、障害に対する国民の理解を促進し、障害者の積極的な社会参加に寄与する障害者スポーツの環境整備の推進に努めること。

 六 各スポーツ団体の自主性を尊重し、スポーツ団体の組織運営体制の在り方に関するガイドラインの策定等を通じ、ガバナンス強化と透明性の向上に向けた取組を支援するとともに、スポーツ紛争の予防及び迅速な解決の観点から、スポーツ団体・アスリート等の仲裁・調停に関する理解増進等の取組を支援すること。

 七 国際競技連盟等における日本人役員の増員を図ることにより、国際スポーツ界における我が国の発言力を高め、国際的な競技大会等において日本人選手が十分に力を発揮できるよう支援に努めること。

 八 競技スポーツの推進・強化のため、指導者等の資質・能力の向上を図るとともに、競技者が引退後の生活に不安を感じることなく、競技力向上に邁進できるよう支援すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

福井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

福井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下村文部科学大臣。

下村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

福井委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

福井委員長 次回は、来る二十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.