衆議院

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第8号 平成27年5月13日(水曜日)

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平成二十七年五月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 福井  照君

   理事 池田 佳隆君 理事 石原 宏高君

   理事 冨岡  勉君 理事 萩生田光一君

   理事 義家 弘介君 理事 郡  和子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    尾身 朝子君

      大見  正君    門山 宏哲君

      神山 佐市君    木村 弥生君

      工藤 彰三君    熊田 裕通君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      谷川 とむ君    馳   浩君

      鳩山 邦夫君    船田  元君

      古田 圭一君    前田 一男君

      三ッ林裕巳君    宮川 典子君

      宗清 皇一君   山本ともひろ君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      平野 博文君    松本 剛明君

      柚木 道義君    笠  浩史君

      坂本祐之輔君    鈴木 義弘君

      初鹿 明博君    中野 洋昌君

      吉田 宣弘君    大平 喜信君

      畑野 君枝君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   財務大臣政務官      大家 敏志君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          河村 潤子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (文化庁次長)      有松 育子君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     熊田 裕通君

  神山 佐市君     三ッ林裕巳君

  谷川 とむ君     宗清 皇一君

  古川  康君     木村 弥生君

  笠  浩史君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     古川  康君

  熊田 裕通君     安藤  裕君

  三ッ林裕巳君     神山 佐市君

  宗清 皇一君     谷川 とむ君

  柚木 道義君     笠  浩史君

    ―――――――――――――

五月十二日

 独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)(参議院送付)

四月三十日

 私立幼稚園教育の充実と発展に関する請願(初鹿明博君紹介)(第八三四号)

 同(吉川元君紹介)(第八九七号)

 同(鈴木義弘君紹介)(第九三七号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(田島一成君紹介)(第八三五号)

 同(田島一成君紹介)(第八五三号)

 同(阿部知子君紹介)(第九〇八号)

 同(秋本真利君紹介)(第九三四号)

 同(北村誠吾君紹介)(第九三五号)

 同(堀内照文君紹介)(第九三六号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第九六八号)

 同(笠浩史君紹介)(第九八三号)

 教育予算の増額、教育費の保護者負担軽減、教育の無償化、教育条件の改善を求めることに関する請願(菊田真紀子君紹介)(第八五二号)

 学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(吉川元君紹介)(第八九六号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(大平喜信君紹介)(第九一七号)

 同(本村伸子君紹介)(第九二九号)

 同(清水忠史君紹介)(第九六九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九七〇号)

 教育予算の増額、教育費の無償化、保護者負担軽減、教育条件の改善に関する請願(玉城デニー君紹介)(第九二八号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育に関する請願(吉良州司君紹介)(第九五五号)

 大幅な私学助成増額に関する請願(馬淵澄夫君紹介)(第九八二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)(参議院送付)

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

福井委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省生涯学習政策局長河村潤子君、初等中等教育局長小松親次郎君、高等教育局長吉田大輔君、高等教育局私学部長藤原誠君、スポーツ・青少年局長久保公人君及び文化庁次長有松育子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。民主党の柚木道義でございます。

 冒頭二十分間の質疑の時間をいただいておりまして、ありがとうございます。

 下村大臣、私自身は、きょうの質問は、下村大臣がこの間、全く違法性はないということで、私、きょうで九回目の質疑になると思いますが、そういう形で開き直ったり、時には逆切れをされたりしながら重ねてきた質疑の中で、資料の一枚目におつけをしておりますが、御案内のように、先月の二十三日、下村大臣、あるいは榮秘書官、あるいは全国博友会の会長を初めとする方々に対しての、政治資金規正法違反の疑いでの刑事告発が東京地検に受理をされたわけでございます。

 全く違法性がなければそもそも地検が刑事告発を受理などしないわけでありまして、そういう中で、今後、これはその資料二、三以降、小渕前経産大臣についても、御本人は不起訴といえども、元秘書の方が二人、これは略式ではなくて在宅起訴ということですから、ある意味、正式な強制起訴ということにもなるわけですが、こういった形でまさに政治団体の不透明な資金のやりくりが問題になって、そして、一方で小渕さんの場合は、説明責任をこの国会において果たすと言いながらも、その責任が果たされないまま今日に至っていて、各紙社説に、これは五月二日の記事を載っけておりますが、各紙書いている中で、どちらかというと読み方によっては与党支持じゃないかと読めるような報道が多いような産経新聞、読売新聞をあえてつけているんですけれども、そのそれぞれの新聞の社説においてすら、「議員を続ける資格はあるのか。」あるいは「簿外支出を説明せよ」、こういった社説も書かれているわけです。

 下村大臣におかれましては、違法性は全くないと言われながら、刑事告発は受理されて、今後、当然のことながら厳正な捜査が進んでいくと私も思っておりまして、これは、もともとは任意団体の中でのやりくりが、やはりこれは政治団体じゃないか、収支が明らかでないままでいろいろな疑念が招かれるようなあり方はおかしいじゃないか、そしてそれは大臣御自身も、二月十三日、大臣室でのやりとりも含めて、今後はやはり政治団体として届け出を検討していくべきじゃないか、そういうことも私のやりとりの中で述べられておられる中で、しかしながら、政治的、道義的責任等も果たされていない状態で今日に至っているというのは、私は非常に遺憾なことだと思っているんですね。

 その中で、この間、やりとりの中でとりわけ幾つか答弁が変遷してきている部分とか、あるいは、場合によってはそれはまさに答弁が正反対ということでいえば、虚偽の答弁ではないかということも申し上げてきたわけですが、この間、私、やりとりしてきたものを表の六にまとめました。

 これは、皆さんごらんをいただければ明らかに不自然な一致なわけですが、この間、任意団体である地方博友会の方々が、私も全国を回って話を聞いて、当事者が会費だと思って納めているお金を、大臣は、いや、それはそうではない、寄附なんだと。そして、寄附として政党支部から領収書まで発行する。本当に寄附控除まで受けられるわけですから、実際に処理をしていれば脱税幇助とも言われかねないというのがこの間の審議の中でも問題になってきたわけですが、これだけ、今ここに挙げているのは私が調べたものだけですよ。奇妙な、不自然な金額の一致ですよ。

 つまり、この資料の五枚目にもつけておきましたが、二月十三日、大臣室において示された各地方博友会の一口当たりの役員、個人、法人、この金額と全国で会費を納められている方々の金額、これがこれだけ一致をする。

 自主的に寄附をされたという答弁をこの間繰り返しているわけですが、自主的に寄附されるんだったら、普通、皆さんもおわかりのように、五千円とか一万円とか、あるいは三万とか五万とか。わざわざ一万二千円とか四万八千円とか、切りの悪い金額をなぜ納める必要があるのか。普通考えたら、やはり会費が一口幾らと決まっていて、それに合わせて納めたということでなければ、個人的な寄附をするのにわざわざ一万二千円とか四万八千円で寄附をするということの方が不自然なわけでありまして、何でこういうことになるのか。

 これだけ全国がこういう状況の中で、大臣の答弁の中で、いや、それは自主的にあくまで御本人の方々が決めて寄附をされると言うんですが、この表を見たらそんなことは到底納得できないわけでありまして、これはやはり、寄附をお願いをするときに、全く額は書いてないと言われていましたけれども、額を書かれたのか。あるいは、地方博友会の方々が、私の質疑に対してだんだん答弁が変わってきているんですね、何らかの形で目安を示されていたんじゃないのかとか、場合によっては、当初は全くそういうことは認識していないと言いながら、だんだん質疑をこの間積み重ねてくる中で、いや、地方の博友会が別途徴収している何か事務費とか会費のようなものがあるとか、そういう答弁も出てきているわけですが、何でこういう不自然な、奇妙な一致が起こるのか。これは明確な説明をまずいただけますか。

下村国務大臣 おはようございます。

 この件に対して柚木議員、八回か九回ですか、質問されていて、私も大臣になって延べ数百人の国会議員の方々から質問があって質疑しておりますけれども、国会の場ですから、論理的そして建設的な政策議論を柚木議員にもぜひこれからしていただきたいということを冒頭申し上げたいと思います。

 その上で、私からすると、非常に私をかっかさせて何か失言を挑発的にさせようとしているとしか思えないような今も言い方で、刑事告発をされたというのは、それは何かやはり問題があるから、疑念があって、そして不正があるから受理されたかのような言い方をされていますけれども、これは基本的にそういう知識を持っておられないのか、先ほど申し上げたように、私を挑発する意味で言われているのかよくわかりませんが、刑事告発における書類上の条件が整えば、これは検察は受理するというのは当然の話であります。受理した後、それが問題があるかどうかを検察が改めて調べるということであって、受理したから、あたかもそれが何かもう不正が前提のようなことを言われていること自体が、先ほど申し上げましたように、無知で言われたのか意図的に言われたのかわかりませんが、それはぜひ、刑事告発のそもそもの受理の趣旨については十分御理解をされる必要があるのではないかと思います。

 そして、今までももう何回も質問されておられまして、私も何回も答弁をしております。その中で、何か政治的、道義的責任があるかのような、そして、不自然で奇妙な答弁を繰り返しているようなことも言われていますが、具体的に何をもってそうなのかということについては、一つ一つ丁寧に今までもお答えをしているつもりでありますが、具体的なことに対しておっしゃっていただきたいとは思うんですね。

 ただ、もう既にこれは……(柚木委員「答えてください、時間が二十分しかないので」と呼ぶ)いや、博友会については、これは既に検察の方で受理されていますから、国会答弁であっても、今後の捜査について影響があることについては、これはお答えは差し控えをさせていただきたいと思います。ですから、博友会のことについては、これはもうお答えいたしません。(発言する者あり)説明責任は、これはもう今後は司法の場できちっと果たしていきたいと思います。

 その上で、奇妙とか不自然とかいう言い方もされていますけれども、きょうも事前通告が全くありませんが、今までの経緯の中で、私も、最初から、経理の内容とか、それからそれぞれの後援会の内容について一〇〇%全部把握して答弁しているわけじゃありませんから、質問をされた中で改めて調べて、そしてお答えしている部分も多々ありますから、そういう意味で、別に、ごまかしているとかだましているとか不正を働いているとかいうことではなくて、最初の質問のときと、それから後で調べた結果、違うということはありますが、それは意図的に変えているとかそういうことではありません。

 そのときそのとき誠実にお答えしているということでありまして、結論に対しても、私どもの事務所として、きちっとこれは寄附として東京十一選挙区支部として処理をしていることでありまして、会費ということでは全くないということについて申し上げたいと思います。

柚木委員 限られた時間ですから、聞かれたことにちゃんと答えてくださいよ、論理的に明快に。わからないんだったらわからないとか。

 今の答弁で、本当に不誠実なんですけれども、では、例えば具体的にこの中で聞きますよ。中四国博友会を見てくださいよ。右側、二十五年分の収支報告に赤にしておきましたけれども、学校法人朝日学園四万八千円。これはまさに補助金を受けていて、その法人からの寄附ということで政治資金規正法違反に当たるじゃないかということで訂正をされて、個人名で寄附をしたことにやり直しているんですね。

 しかし、見てくださいよ、これ。一口四万八千円、法人。これを個人名にして、そして個人が四万八千円という金額を寄附したんですか。あり得ないじゃないですか。どう見たって、会費が一口幾らと決まっていて、その会費を納めているんですよ。

 こういうようなことがあるから、それで、わからないと言うんですから、後から調べてみたらやはりそうでしたという意味で二転三転しているということをこの間私は申し上げてきているんです。そんなことはないと当初言いながらもですよ。

 こういうことが今後しっかりと捜査が進むと思いますし、何か私からしてみれば、別にかっかさせるつもりなんか全くないですよ、大臣がかっかされているだけで。しかも、今の御答弁で言えば、いや、受けとめ方にしてみれば、検察の捜査を牽制するような言い方だと受けとめられかねませんよ、大臣。

 これは東京地検特捜部、小渕さんに対しても秘書二人を略式じゃなくて在宅起訴をした。そういうのは、多少は地検としての意地というか矜持を示されているのかなという見方も私はできるわけだなと思っているわけですが、それにしたって、もうちょっと厳しい対処がとられるものと想定していましたよ。これは、地検特捜部におかれましても、この間のいろいろな政治家の汚職に対して大物政治家の処分が大甘で、東京地検の、あのペンキが塗られたようなこともかつてありましたよ。

 私は、国会においても大臣は説明責任を果たす必要はあると思いますよ、起訴されて、受理されていようが。それは検察が捜査をするのとは別個ですね。当然、この間だって、そういう経緯で国会において説明責任を果たしてこられた方も多々おられますよ。

 しかし、その中でもとりわけ、今、政治に対する不信が高まっていて、有権者の中でも、低投票率、きょうの新聞記事を見ていても、十七歳の高校生が、十八歳選挙権になったら行使したいけれども、政治に対する不信、政治と金、自分が一票を投ずることに意味があるんだろうか、そんな投書もしているわけですよ。

 まさに、そういう子供たちの主権者教育、そういったことも担う大臣、当事者が疑惑の対象として告発をされ、そして受理、捜査が進んでいく。こういうことに対して私は、やはり、唯一その捜査権を持っている東京地検特捜部がしっかりこれは捜査していただけるものと。

 今の、私が申し上げたような疑念というのは、別に私の疑念じゃないですよ。国民の疑念ですよ。これを晴らしていただくと同時に、大臣には、国会における説明責任、小渕さん同様にあるということを明確に申し上げておきたいと思います。

 それで、私、今はそういう形ではぐらかされるんですけれども、もう一つ、これはこの間質問をしてきて、大臣は一貫して、前向きな意味も含めた検討をするというような答弁をされてきていることで、されていないことがあるので改めて確認しますが、この地方博友会というのは、そもそも、政治資金規正法改正、この間のやはり厳格化、透明化していくという中で、趣旨を踏まえて、東京の博友会、これは国会議員の関連団体として届け出すべき。そしてまた地方博友会についても、やはり、任意団体ではなくて政治団体として一刻も早く届け出る。疑いがあるのであれば、それを正していく。

 これは例がいいかどうかは別として、小渕大臣の件があったときに、ある無所属の議員の方が、同じように観劇会で会費を取って、いろいろなそういう類似のことで疑惑を招いちゃいけないというので、政治団体として届け出をされたという報道を最近読みましたよ。

 大臣、やはり疑惑を晴らすという意味、疑われている部分に対しては改善をする、そういう姿勢を示されるべきだと思いますので、今二点申し上げましたが、国会議員関連団体として届け直すべきという点と、そして、地方博友会についても速やかに政治団体支部として届け出るべきだと私は思いますが、検討は進んで、あるいは届け出たりされているんですか。

下村国務大臣 非常に失礼な質問の仕方だと思いますが、まず、ここにおられない小渕さんのことを繰り返し繰り返し言われるのはいかがなものかということを私個人としては思います。(柚木委員「自民党全体の問題ですよ」と呼ぶ)自民党全体ではない。

 今のことは、これは議事録から削除するように委員長にお願いいたします。

 そして、先ほどの、会費について何かあたかも不正があるような言い方をされましたが、寄附だということについてはきちっとこれは届け出ていることでありまして、あとはこれは検察の方が判断されることでもあるというふうには思います。

 それから、今のような状況になりましたので、あえてここで地方の博友会を政治資金団体として届け出るということについては、今とめております。

柚木委員 大臣が政治的、道義的責任を果たされる方法は、もう幾つかしかないんですよ。

 今まさに告発も受理されて疑惑が持たれている。おっしゃったように、全国の地方博友会、これを、活動を完全休止、解散、そういうことを判断されるのか。そうでなくて、この資料につけておいた表の中には、全国における博友会の今後の活動の予定、これのときに一緒に八枚物でつけていた資料の中には、私の地元である岡山県でも開催予定が入っておりましたが、活動を続けるというふうになっているんですね。まさに渦中の中で出版記念パーティーを強行開催されたわけですが、そうすると、今の疑念があるまま、そしてまた任意団体のままその活動を続行していくということになるわけで、これはもうやめる、解散する、それをやらずに活動を続けるということにもしなるのであれば、やはり大臣御自身が何らかのけじめ、政治的、道義的な責任を果たすということがなければ、うやむやになる。

 小渕さんの例、いや、これは別に下村大臣に聞いているんじゃないんですよ。これも含めて国民から政治不信が高まっている、低投票率の要因にもなっている、若者たちの政治参加の妨げになっている、だからちゃんと真摯に向き合ってください、考えてください、説明責任を果たしてくださいと申し上げているんですよ。

 大臣、ちなみに私、前回の質問でも、例えばリソー教育という塾、企業から六十万円、この間累計で献金を受けられていて、その企業が東京証券取引所から処分を受けて、違法配当も発覚、追徴金勧告四億円、最大二十億円、二万人に過大授業料返還へ、粉飾の疑い、こういうところからの献金は返金すべきじゃないですかと。これについても、不適切であるならば弁護士と相談して対処したいと言っていましたが、どうなっているんですか。そういうことも含めてちゃんと対応していただきたい。

 ちなみに、このリソー教育からの六十万円、返金されたんですか。

下村国務大臣 若者たちの政治不信というのが、小渕さんの問題と私の問題でどう関連しているのかというのは全く理解できません。

 そもそも、十八歳の選挙年齢の引き下げの問題は、若い人たちの低投票率はそういうレベルの問題ではないというふうに思っておりますが、しかし、そういうふうに思う若い人たちがもしいるとしたら、それは謙虚に受けとめて、投票率のアップになるような、そういうことについては、文部科学大臣として、今後十八歳の選挙年齢の引き下げは行われますから、ぜひ、選挙に参加することの意義等について、権利義務についてはしっかりと、高校生や大学生等、あるいは中学生等に教育の場で指導する、そういう環境づくりをしていきたいというふうに思います。

 それから、柚木議員から博友会について解散しろとか中止しろということを言われるのは、それはおこがましいことでありまして、それぞれどうされるかはそれぞれの後援会が判断されることであります。

 それで、今現在、そういうつもりは全くございません。

 それから、岡山でという話がありましたが、これは、岡山では山田方谷という著名な方が歴史上いらっしゃって、その方の講演会で私に基調講演をしてもらいたいということで、今度六月に行くことになっておりますが、私自身の博友会とか後援会の発会式とか、そういうことではございません。

 それから、リソー教育のお話をされましたが、今申し上げたように、既に検察で四月の下旬にこの告訴については受理されたという状況でございますので、全て書類上については、今、事務的にはストップしております。

柚木委員 時間が来たので終わりますが、大臣、ぜひ最後に、私は、これは大臣御自身に対しても、自民党のまさに皆さんに対してもお願いを申し上げたいのは、やはり政治資金規正法を改正するとか、あるいは大臣御自身ができることでいえば、大臣規範を改正する。つまり、そういう疑いが持たれる寄附、献金、パーティー券の購入、講演料も含めてですよ、そういうことは在任中は少なくともやめる。これは閣議決定すればできるんですから、盟友である下村大臣、安倍総理にみずから提言されたらいかがですか。そのことを私はむしろ提言をして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 民主党の菊田真紀子です。

 本日はまず、大学の自治と政府との関係について質問いたします。

 今から六十五年前の一九五〇年、我が国の国内では講和論議が沸騰していました。吉田茂総理は西側諸国との単独講和を決意していましたが、学者、知識人や革新陣営の間では全面講和論が強まり、国論が二分をしておりました。

 そうした中、吉田総理は、自由党の両院議員総会において、全面講和などというのは言うべくして到底行われないことだ。それを南原繁東大総長などが政治家の領域に立ち入ってかれこれ言うことは、曲学阿世の徒で、学者の空論にすぎないと発言しました。三日後、南原総長は記者会見をしました。学問の冒涜、学者に対する権力的強圧以外のものではない。全面講和は国民が欲するところで、それを理論づけ、国民の覚悟を論ずるのは政治学者としての責務だ。それを曲学阿世の徒の空論として封じ去ろうというのは、日本の民主政治の危機であると反論の声明を発表し、鋭く対立をしました。

 戦後日本の行く末を決める重大な外交政策をめぐって、時の最高権力者と最高学府の長とが一歩も引かずに対立するこのエピソードは、政治権力と大学の自治、学問の自由との間の緊張関係を余すことなく伝えていると思います。

 まず下村大臣、この歴史的エピソードに関する所見をお聞かせください。南原東大総長が、日本の民主政治の危機とまで述べ、危機感をあらわにしたのはなぜだとお考えになりますか。

下村国務大臣 御指摘の南原繁東京大学総長の発言は、戦後の連合国との講和をめぐる南原氏の主張について、当時の吉田茂総理が曲学阿世の徒の空論にほかならぬと指摘したことに対してなされたもの、御指摘のとおりだと思います。

 当時の報道によれば、南原氏はこの発言について、全面講和を論ずることは自分にとって政治学者としての責務であり、それを初めから曲学阿世の徒の空論として全面講和や永世中立論を封じ去ろうとするところに日本の民主政治の危機の問題があると述べており、そのような考え方に基づく発言であったというふうに受けとめます。

 ただ、歴史的な観点から見直したときには、実際、吉田茂総理の見識というか見方の方が歴史の中では適切な判断であったということは、その後の歴史が証明されているのではないかと思います。

 ただ、南原総長からすれば、曲学阿世の徒の空論と言われたことに対してはふんまんやる方ない思いを持っておられるという思いはよくわかりますが、しかし、それが実際に日本の民主政治の危機になったかというと、実際はなっているわけではありません。

 ですからこれは、個人の思いとしてはそういう思いを持たれるという、時の総理から言われたわけですから、誹謗中傷されたわけですから、思いはわかりますが、しかし、それはあくまでも個人の思いであって、それが即日本の民主政治の危機につながるということにはなっていないと思いますし、それについては適切ではなかったと思います。

菊田委員 日本国憲法は、思想、良心の自由、信教の自由、表現の自由とともに、「学問の自由は、これを保障する。」と規定しています。

 学問研究の機関である大学に自治を認めることは、学問の自由を守るために必要不可欠な制度的保障だと考えますが、大臣も同様の見解でしょうか。

下村国務大臣 大学の自治は認める、ですから全て大学が好き勝手なことをしていいということにはつながらないと思います。

 法律的には、大学の自治とは、大学における教授その他の研究者の研究と教授の自由を内容とする学問の自由を保障するため、教育研究に関する大学の自主性を尊重する制度であると理解されており、教育基本法第七条第二項においても、大学の自主性、自律性を尊重することが規定されております。

 その中における大学の自治というのは、当然認めるべきことであると思います。

菊田委員 国立大学の入学式、卒業式における国旗掲揚と国歌斉唱について伺います。

 安倍総理は四月九日の参議院予算委員会において、国立八十六大学のうち、直近の卒業式で国歌斉唱を実施したのは十四大学、入学式は十五大学であることについて問われ、こういうふうに答弁しました。

 感想としては、大学という性格上こういうことになっているのかなと思う。学習指導要領がある中学と高校ではしっかりと実施をされている。同時に、税金で賄われていることを鑑みれば、新教育基本法の方針にのっとって正しく実施されるべきではないかと、私はこのような感想を持ったと述べられました。

 総理は感想としていますが、国権の最高機関における、行政府の長が発言したことでありますから、政府は厳格な説明責任を負っていると考えますので、下村大臣に伺いたいと思います。

 この答弁で総理が述べた、税金で賄われていることとはどのような意味でしょうか。金を出しているんだから政府の言うことに従えという意味なんでしょうか。

下村国務大臣 御指摘の四月九日の参議院予算委員会におきまして安倍総理は、税金で賄われていることに鑑みればと御答弁されておりますが、これは今のような御質問の趣旨ではなくて、国立大学は、その運営の大きな部分が国費で賄われているという特質があるとの趣旨で言われたことでありまして、だから従えとか、そういうことではないと思います。

菊田委員 いずれにしても私は、この総理の発言に強い違和感を持ちました。

 三月二十五日の当委員会における所信で下村大臣は、大学の教育研究活動支援について、「国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成のさらなる充実を図るとともに、積極的に改革に取り組む大学を重点的に支援します。」と表明されていますが、交付金や補助金の配分決定に際し、国旗掲揚、国歌斉唱の有無を考慮するおつもりでしょうか。

 国立大学は、法人になっても、今答弁がありましたように、主な収入の柱を国の交付金等に頼っています。国の要請を拒めば予算に響くのではないかと大学が心配しても不思議ではありません。大臣の見解を伺います。

下村国務大臣 文部科学省としましては、国旗掲揚や国歌斉唱が長年の慣行により広く国民の間に定着していること、また、平成十一年八月に国旗及び国歌に関する法律が施行されたことも踏まえまして、各国立大学において適切な対応がとられるよう検討を、全国の国立大学学長会議の中で口頭で要請することは考えておりますが、各大学の自主的な判断の結果を大学への交付金や補助金の配分にするということとは、これは別の問題であると考えております。

菊田委員 安倍総理が述べた「新教育基本法の方針」とは何を指すのでしょうか。

 同法第二条第五号は、「教育の目標」として、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」と規定しています。

 さきの総理の答弁は、この規定に言及したものでしょうか。

下村国務大臣 国旗・国歌については、それぞれの個人の経験の中での、体験の中でのそれぞれの思いというのはあると思います。

 私も群馬の山の中で中学生までは住んでおりましたから、しかし、そういう群馬の山の中でも、当時、必ずしも日教組の先生方がいたとは思えないんですけれども、中学校の教育等で当時から国旗・国歌に対しては非常に否定的で、私自身が、それまで国旗・国歌に対してはそういうプラスイメージは全く持っていませんでした。

 しかし、変わったのが、大学生のときにサマースクールでアメリカに行って、ホームステイの方々に大リーグの試合に一緒に連れていってもらって、そのときに、大リーグの試合前に全員が総立ちをして手を胸に当てて、そして星条旗が掲揚されて、アメリカの国歌が歌われた。そのときに、私は鳥肌が立つような違和感と感激を受けたんですね。つまり、日の丸・君が代というのは、自分の今まで教わってきたイメージと、国際社会の中で国旗・国歌は違う形で捉えている部分があるのではないか。

 それからいろいろな国際社会へ行くと、国旗・国歌、掲揚というのは、ある意味では国際常識になっている部分もあるという体験の中で私自身は捉えた部分がございます。

 御指摘の教育基本法第二条第五号に規定する、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」の趣旨を踏まえるという意味では、これはお互いに国旗・国歌に対しては尊重し合うということというのは、ある意味では国際常識の中でも当たり前のことであると思いますし、また、実際に我が国において国旗も国歌もあるわけですから、ですから、伝統とか文化を尊重するという意味ではこれは当然のことではないかというふうに思いますし、その延長線上で安倍総理は「新教育基本法の方針にのっとって」というふうに答弁されているのではないかと思います。

菊田委員 大臣は、全ての八十六国立大学の入学式、卒業式において国旗掲揚、国歌斉唱が行われることが適切であるとお考えでしょうか。また、国が補助金を出している私立大学についてはどうでしょうか。国立大学と同様に、私立大学においても国旗掲揚、国歌斉唱が行われることが適切であるとお考えでしょうか。

下村国務大臣 先ほど申し上げましたが、あるいは御発言もされましたが、小中高においては学習指導要領の中で明確に位置づけられておりますから、入学式や卒業式で国旗・国歌については、斉唱し掲揚するというのは、これはぜひそうしてほしいと思いますし、また、そうすべきだと思います。

 大学の入学式、卒業式における国旗や国歌の取り扱いについては、各大学の自主的な判断に委ねられているところであります。ですから、各大学が適切な判断をしてほしいと思います。私立大学も同様です。

菊田委員 大臣、各大学の学長会議で要請をするという話でしたが、これはなされたんですか。

下村国務大臣 六月に国立大学の学長会があるというふうに聞いておりますので、そこに行って口頭で申し上げさせていただきたいと思っております。

菊田委員 東京大学の現総長は物理学者の五神真教授ですが、大臣は五神総長に対して個別に要請するつもりはありますか。

下村国務大臣 今まで何度もお会いしておりますが、このことについては個別に要請したことはありませんし、個別に要請する予定はありません。

菊田委員 最高学府である東京大学が入学式、卒業式で国旗掲揚、国歌斉唱を行えば、ほかの国立大学もそれに倣う可能性が高いと思うんですが、なぜ要請しないんでしょうか。

下村国務大臣 必ずしも、東大がやるからほかの大学もやらなくちゃいけないというような、主体性のないほかの国立大学とは思えません。それぞれの大学がそれぞれ適切に判断されるだけの見識をそれぞれの国立大学は持っておられると思います。

菊田委員 そのとおりだと思います。

 今回、文科省は国立大学八十六校の卒業式や入学式における国旗掲揚や国歌斉唱の実施状況を調査していたわけですが、どういう理由でこういう調査を行ったのか。今後も調査をするおつもりなんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回の調査につきましては、国会議員から、国旗の掲揚、国歌の斉唱の実施状況につきまして御照会がありまして、文部科学省として、まず、卒業式、入学式は公の場で行われる式典であること、また、調査内容は実施状況という事実関係のみの確認であること、加えまして、照会を行うことが大学に過度な負担を強いるものではないこと、こういった事情を総合的に判断いたしまして各国立大学法人に照会をいたしまして、その結果の集計を行ったものでございます。

 大学の入学式、卒業式における国歌や国旗の取り扱いにつきましては、各大学の自主的な判断に委ねられているところでございますが、要請の結果、各国立大学がどのように対応されたかということについて適切な時期にお尋ねするということを検討することはあり得るものと考えております。

菊田委員 国会議員の要請があったので事実関係の確認をしたということでありますが、では、これから毎年十年間、どういう状況にあるのか調査をしてくださいと私が要請をしたら、調査していただけますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、今回の調査につきまして三つの観点などを総合的に判断をしたということになります。その中で、過去十年間にわたりましてというふうなことになりますと、やはり大学側に相当の負担が生ずる可能性もございますので、そういったあたりも勘案しながら検討させていただきたいと存じます。

菊田委員 私は日本人として日の丸と君が代に誇りを感じておりますし、人生の節目の行事において国旗を掲揚し国歌を斉唱することは自然なことであると思っています。しかし、政治権力が大学に対して、予算や法律に言及しながら圧力をかけるようなことがあってはなりません。

 二〇〇六年の教育基本法改正で、大学の自治、自律の尊重について新たに条文が盛り込まれたことを鑑みても、あくまでも、大学の自治の原則にのっとり、大学側が自発的に決めるべき問題であるということを強調したいと思います。

 大臣にはぜひ極めて慎重な対応を求めて、次の質問に移ります。

 教科書検定について質問いたします。本日は少し違った角度から話を始めさせていただきます。

 四月二十六日から五月三日、安倍総理が米国を公式訪問されました。盛りだくさんの訪問だったようですが、最大のハイライトは、日本の総理大臣として初めて行った、連邦議会上下両院合同会議における演説であったと思います。私もネットでこの演説を拝見しましたが、日本の総理大臣が英語で米国の連邦議員に直接訴えかける機会は大変貴重であると感じました。

 特に、総理が、女性に力をつけ、もっと活躍してもらうため、古くからの慣習を改めようとしていますと語ったとき、そして、紛争下、常に傷ついたのは女性でした、私たちの時代にこそ女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけませんと語ったとき、議場がスタンディングオベーションとなった様子は感銘を受けました。

 同時に、この総理演説について国際社会が注視をしたのは、総理がさきの大戦に関する歴史認識について何を語るかでした。

 総理は、さきの大戦に対する痛切な反省を表明しましたが、村山内閣総理大臣談話にある「心からのお詫び」には触れませんでした。この点については、比較的穏当な論調で知られるフィナンシャル・タイムズ紙ですら、四月三十日付で、安倍、議会でおわびに言及せずという見出しで記事を掲載しており、国際社会の注目度を物語っていると思います。

 文部科学省の所管でないことは承知の上ですが、せっかくの機会ですので、安倍内閣の重要閣僚である下村大臣に、この総理演説の感想をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 私は、安倍総理がこれは日本の総理大臣として初めてアメリカの上院下院両院合同会議で演説をしたときにトルコにおりましたが、向こうの放送でもこれは大きく取り上げられておりまして、非常に国際的にも注目をされた演説であったのではないかと思います。

 アメリカの議会においても、今おっしゃいましたが、スタンディングオベーション、十四回もあったというのは、これは、それだけアメリカ上院下院の議員の方々が、外交儀礼というところもあったかもしれませんが、それを超えた共感があるからこそ、十四回もスタンディングオベーションがあったのではないかと思います。

 その後、安倍総理にもお聞きしましたが、演説を終えて議場を引き揚げようとする安倍総理の周りに議員の人だかりができて、多くの議員が演説をたたえ、握手を求めてきた、また、サインをねだる国会議員もたくさんいたということで、普通の方からサインを頼まれることはあるけれども、アメリカの議員からサインを求められて、そういう意味では非常に感激したということをおっしゃっていましたが、それだけ、アメリカにおいても安倍総理の演説は評価されたのではないかと思います。

 今の御指摘の点についても、歴代の総理の歴史認識を踏襲するということについてはおっしゃっておられておりますので、トータル的には、多くのアメリカメディアについても、理解を、また、評価をされたのではないかと思います。

菊田委員 ありがとうございました。

 では、本題の教科書検定に関する質問に移ります。

 去る四月、平成二十八年度から中学校において使用される教科書の検定結果が公表されました。義務教育用教科書の検定基準が平成二十六年一月十七日に改定されてから最初の検定ということで大変注目を集め、中国、韓国を初めとして、海外からも反響がありました。

 社会科教科書においては、昨年一月の改定によりまして、閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解がある場合には、それに基づいた記述を求めることとなりました。

 大臣はかねてより領土教育の重要性を強調されていますが、新たな検定基準によって、北方領土問題、竹島問題、尖閣諸島をめぐる問題について記述する教科書がそれぞれどれぐらいふえたのでしょうか。また、それを大臣はどのように評価しておられるのか、お聞かせください。

小松政府参考人 失礼いたします。ただいまの御質問のうち前半部分、事実関係でございますので、事務方からお答えをさせていただきます。

 今回合格をいたしました中学校社会科の教科書におきましては、領土、今御指摘の、北方領土、竹島、尖閣諸島に関する記述内容につきましては、大幅に増加と言ってよろしいかと思いますが、従来のページ数と比べて約二倍程度に増加をいたしております。

 特に、従来から全社で記述のありました北方領土、これに加えまして竹島、尖閣諸島についても、地理、歴史、公民の全分野の教科書で記述されているところでございます。

 以上、前半の部分でございます。

下村国務大臣 我が国の領土については、子供たちに正しく理解されるよう、学習指導要領及びその解説を踏まえ、教科書に正確に記載されることが重要であると考えております。

 今回の検定におきまして領土に関する記述が大幅に充実したのは、各教科書発行者において、昨年一月の学習指導要領解説の改訂を踏まえた教科書の著作、編集に当たられた結果であると考えております。

 文科省としては、今後、新しい教科書に基づいて、領土に関する指導が一層充実していくことを期待をしております。

菊田委員 領土に関する記述が約二倍にふえて充実したということは、私は大変重要なことだと思います。評価をしたいと思います。

 と同時に、日本の教科書は戦前のような国定教科書ではありませんから、政府の公式見解だけ丸暗記すればよいというものではありません。

 例えば、尖閣諸島をめぐって領土問題は存在しないというのが日本の公式見解ですが、それでは子供たちが問題の本質を理解できないのではないかというふうに思うわけであります。大臣も記者会見の中で、「日本の主張は日本の主張だけでいいということではなくて、逆に言えば相手の主張も知ることによって、何がより歴史的に、客観的事実として存在するのかどうかという視点から議論するということになる」というふうに述べられております。

 事領土のような重要な問題の教育に関しては、子供に複眼的な思考を持ってもらえるよう、時間をかけ、丁寧に教える必要があると思いますが、この点について、この教科書の記述がそうなっているとお考えかどうか、改めて大臣の認識を伺います。

下村国務大臣 まず、我が国の領土については、子供たちに正しく理解されるよう、教科書に正確に記載されることがまず重要だと思います。

 教科書検定は、教科用図書検定調査審議会におきまして、客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして専門的、学術的な審議の結果に基づいて行われるものであり、我が国の領土に関する記述についても、適切に検定が行われたものであると思います。

 子供たちが国際社会の中で生きていくためには、自国の領土を初め、自分の国のことについてまずはしっかりした理解の上で、ほかの国の人々と議論を深めていくことが大切であると思います。

 ですから、教科書記述については、全体の分量を考えるとこの程度の内容ではないかなと思いますが、ただ、おっしゃるとおり、尖閣にしても竹島についても、それぞれ中国、韓国が主張している部分があります。

 これは、教科書で記述するというのも一つの考え方かもしれませんが、例えばアクティブラーニングのような形で、それぞれ担当教員が中国の主張や韓国の主張を取り上げる中で、子供たちにまずは日本の領土だということを理解させた上で、他国の主張を、また議論をさせる中で、では今後どうしていったらいいかというような深掘りをするテーマとして、例えばアクティブラーニング等でこの領土問題を取り上げたらいいのではないかというふうには、個人的には考えております。

菊田委員 今回検定に合格した歴史教科書において、村山談話に言及する教科書というのがふえておりません。よもや、安倍政権が村山談話に否定的であるとの印象が教科書会社の側にあって、自主規制しているなどということはないと信じますが、なぜ、この重要な談話に言及する教科書がふえないのでしょうか。大臣の所見を伺います。

下村国務大臣 教科書にどのような事項を取り上げ、どのような記述にするか、これは、学習指導要領の目標や内容等に基づいてそれぞれ教科書発行者が判断するものでありまして、私がコメントをする立場ではないと思います。

菊田委員 もう時間が来ましたのでやめますけれども、安倍総理が連邦議会の演説の中で、第二次大戦メモリアルを訪れたことを披露されました。真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海に触れた総理、それから、七十年前に硫黄島に上陸したローレンス・スノーデン海兵隊中将をギャラリーに招待をされました。このことを見ても、戦後日本の平和への歩みは、さきの大戦に正面から向き合ってきた、かつて激しく敵として戦った相手として和解したからこそ可能だったんだ。

 そして、歴史認識というのは中国や韓国との関係だけではありません。やはり、紆余曲折ありましたけれども、そうした認識をみんながしっかりと持って、そしてそれを集大成させたのが、終戦五十周年の節目に発出された村山内閣総理大臣談話であるというふうに思っておりますので、前段、安倍総理の演説も披露させていただきながら、今回こういう形で議論させていただきました。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

福井委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 おはようございます。

 いよいよ昨日から衆議院で労働者派遣法の審議も始まりましたけれども、正規雇用、非正規雇用の問題については厚労委員会で議論するとして、きょうは非正規教員の任用状況について主に議論を進めていきたいと思っております。

 その前に、きのうの新聞報道にもありましたけれども、財務省が十一日に財政制度等審議会で示した財政再建案で、現在の公立小中の教職員六十九万三千五百人を二四年度までに四万二千人削減をする、都合七百八十億円を圧縮できるというようなことを示しております。その上で、まだ教育水準もしっかりと維持できるという判断をされているというふうに報道されておりました。

 財務省として、どのように、そういった教員の削減の中で教育水準を維持できるという判断をしているのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。

大家大臣政務官 お答えさせていただきます。

 委員お尋ねの、今回の財政審でお示しをさせていただいた教職員定数の合理化計画につきましては、少人数指導などの現在の教育環境を維持することを前提として試算、具体的には、平成三十六年度までに、基礎定数について、少子化の影響による自然減三万七千七百人を反映した上で、加配定数につきましては、一標準学級当たりの加配教員数を維持する範囲で四千二百十四人の合理化が可能だ、合わせて四万一千九百十四人の合理化が可能との試算を財政審でお示しをさせていただいたところであります。

 中長期的な教職員定数の合理化の見通しを立てた上で、それを踏まえた外部人材の活用や教職員採用計画を計画的に進めることで、厳しい財政事情の中で効果的に教育環境を改善できるものと考えています。

牧委員 質問通告はここまでなんですけれども、一つ申し上げておくと、平成三十六年までということですよね、二〇二四年まで。まだ生まれていない子供たちが学齢期に達したときにそれだけ自然減を見込んでいるというのは、私はちょっとおかしな話じゃないかと。もうここから先は少子化対策も何もしないんだという前提で考えるのであればそういう計算も成り立つんでしょうけれども、まだ生まれていない子供たちがこれから学齢期に向かっていく中でどんどん減っていくという前提に立っているのは、いささか疑問であります。

 後ろから何か助言があるようですので、もし何かお答えがあればお願いをいたしたいと思います。

大家大臣政務官 御指摘の件でありますけれども、あくまでも文科省の試算に基づいて、その仮定に立って計算をしたということであります。

牧委員 ということは、文科省は、これから少子化はまだまだ進んでいくんだ、だから学級数は自然減するんだという考え方でよろしいんでしょうか。

小松政府参考人 ただいま財務省の方からお話のあった数字につきましては、私どもでは人口推計をいたしませんので、厚生労働省の人口問題研究所の推計数値を使われているのではないかと推測いたしますが、そういった数字を私どものやりとりの中で検証する、扱うことはございますので、そのことを指しておっしゃられたことかと推測をいたします。

牧委員 このことを議論していても堂々めぐりでしようがないので、この辺でやめますけれども、財務省に聞けば文科省だと言うし、文科省に聞けば厚労省だと。

 これはまた別の場で議論したいと思いますけれども、政府としてこれから少子化対策をするんだという意気込みを全く感じられないなというふうに思いました。

 そしてもう一つは、先ほどの政務官のお話の中に外部人材の活用という言葉がありましたけれども、これは具体的にどういうことを想定されているんですか。

大家大臣政務官 お答えいたします。

 今御指摘の外部人材の件でありますけれども、例えばボランティアであるとかスクールカウンセラーであるとかいうことを想定いたしております。

牧委員 当然そういった問題意識は共有させていただくものでありますけれども、私がきょう議論したかった非正規の教員等々、これも含めて外部人材と言われるようですと、ちょっとゆゆしき話だと思います。

 今のお話全般を聞いて、文科大臣としてはどういうお考え方なのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

下村国務大臣 私は、財務省の試算は機械的な試算であるというふうに思います。今までの、例えば二、三十年前の教育状況が今も続いていて、これからもずっと続くという前提の中の試算だと思います。

 そういうことでいえば、子供の数が減るんだから教職員の数を減らすのは当然の話だ、その削減規模は四万二千人削減できるということでありますが、しかし、今現在もそうですし、これからさらになってくるかと思うんですが、今、学校現場を取り巻く状況は二、三十年前の状況とは全く違っていて、非常に課題が複雑化、困難化し、なおかつ世界で一番教職員は多忙であるという状況があるわけでありまして、こういう現状分析と、それから、今後起こるであろう分析の中で、改めて教職員の定数というのを財務省もぜひ考えるべきだというふうに思います。

 そのために、文部科学省として財務省に対して、これから、例えばいじめ対策とか特別支援教育、これも物すごく対象の子供がふえております。さらに、貧困による教育格差の解消など、学校が対応しなければならない教育課題が非常に増大、拡大しているという実態的なデータ。それから、特に現場の課題に対応する加配教員を削減するということは、これはもう学校の教育力の低下に直結をするということをよく示し、さらに、今までは教員が一方通行で一クラス四十人を教えるような指導で済んできたわけでありますが、これから、グローバル化社会に対応する主体的、協働的な学びのためには、先ほどからちょっと申し上げましたが、アクティブラーニング等の、生徒みずからが学ぶ意欲を育むような教育をするということになると、今までのような指導体制では十分でないということでありまして、これは文科省として財務省の試算は到底認められません。

 ですから、ただ認められないということじゃなくて、なぜそうなのかということに対して、財務省にきちっと説明することによって理解を得るように努力してまいりたいと思います。

牧委員 ありがとうございます。そういう答えを期待いたしておりました。

 大家政務官、ありがとうございました、もう大丈夫ですので。ありがとうございました。

 それでは、非正規教員について質問をさせていただきたいと思います。

 私がこの質問をするきっかけになったのは、具体的に、ある人物、元衆議院議員でありますけれども、久しぶりにお会いをして、今何をやっているんだと聞いたら、実は高校で英語を教えているというお話で、それはよかったねという話なんですが、ところが、三月にお会いしたのかな、それで四月に任用されるかどうかまだ決まっていませんというようなお話で、一体どういうことなのかとお聞きをしたところ、実は、常勤ではあるけれども非正規の採用なんだというお話でありました。

 私は、自分の子供時代を振り返ると、非正規というか非常勤の先生というのは、産休の代用教員ぐらいのイメージしかなかったものですから、実態として、そういう人たちが学校の教育現場にたくさん、かなりの率でいるということを正直知らなかったわけで、働く人の三人に一人が非正規という時代とはいえ、学校の教育現場で非正規という人がそんなにいるんだという認識は正直ありませんでした。

 そこで、ちょっといろいろ調べたんですけれども、皆様方のお手元に紙をお配りさせていただきましたが、この青い部分、非常勤講師、これはいわゆる本当の非常勤ですね。それから臨時的任用教員、これがつまりは、ほとんど全くと言っていいぐらい正規の教職員と同じ仕事をしながら、実は待遇、処遇においては非正規だという方たちの割合であります。平成十七年度と二十四年度の比較が書いてありますけれども、徐々にふえ続けているというのが現状です。

 赤い字で「臨時的任用教員は顕著な増加傾向。」というふうに書いておりますけれども、いわゆる非正規の内訳、それから、いつごろからこういうふうな増加傾向にあるのか、そしてまた、その原因というのは一体何なのか。

 私が勝手に想像するには、小泉政権のときのいわゆる三位一体の改革、義務教育費国庫負担が二分の一から三分の一に減らされての影響が多分にあるんじゃないかと思うんですけれども、文科省としてはどういう判断をされているんでしょうか。

小松政府参考人 まず、非正規教員の方々の数の動向でございますけれども、私どもが把握しております平成十七年度以降、その数は増加傾向が続いております。

 そして、今お尋ねの非正規教員が増加している背景でございますが、この時期の、各自治体が持っている固有の事情もあると考えられますけれども、教員の年齢構成が大量退職等に伴う形で動いておりますので、それに対する平準化、それから、将来の少子化に伴う教員定数を見据えた採用調整、そういったことが行われてきていること、一方、少人数教育など、きめ細かな指導を進める上で、そうした形での多様な雇用が進んでいるというようなことがあろうかというふうに考えております。

 以上でよろしゅうございますか。

牧委員 平たく言うと、地方の財政状況ということが一番の原因だと思います。もっと平たく言うと、つまりは、安上がりの人材を採用すれば財政的にも楽になる、当然の話ではありますけれども。

 国庫負担の定数の中にそういう人がいるということは、当然国庫負担の対象だと思うんですけれども、それは間違いないですよね。

小松政府参考人 お答えを申し上げます。

 臨時的任用教員につきましては、さまざまな形態がございます。採用調整、緊急的な欠員補助、それから、今おっしゃられました産休や育休の代替の方々等ございますけれども、計算といたしましては、まず、臨時的任用教員の方々は標準法の定数に含まれております。

 産休代替、育休代替につきましては、計算上は含まれておりません。これは、産休代替、育休代替の場合、もともと産休や育休をとられる方々の定数を維持しなければいけませんので、そこで、その定数の中に、変えてしまうと後が困りますので、そこはいたさないようになっておりますけれども、産休代替及び育休代替につきましては国庫負担の対象ということにいたしておりますので、そういう意味では、定数と同じように支援ができるような仕組みにしているところでございます。

牧委員 産休とか育休のことは、きょうはこの際おいておいて、臨時的任用教員についてもうちょっと突っ込んでお聞きしたいんですけれども、この人たちは法定の定数の中にあるということですが、法定の定数の中にあるのであれば、きちっと正式な職員にしてあげればいいのにと私は思うんですけれども、これは、要するに職員採用試験に落ちた人たちなんでしょうか。あるいは、最初から試験そのものを受けていない人たちなんでしょうか。

小松政府参考人 非正規の方々を雇用するに当たりまして教員試験を受けているか受けていないかということについては、必ずしも要件に含まれておりませんので各自治体に委ねられておりまして、それについて、個々の方々の経歴をさかのぼって私どもの方へ報告をしていただくということになっておりませんので、その数とか実態について正確なことは申し上げられません。

 今の御趣旨に照らしますと、逆に、推測するには、新たに正規の先生に採用された方々の前職を見ますと、臨時的教員をしておられたという方は一定割合おられます。そういうことから推測をいたしますと、そういう方々も一定数、そういう方々と申しますのは、教員の試験を受けておられる、残念ながらあるいは落ちたという方も一定数おられるかというふうに推測をいたします。

牧委員 ぜひ、推測だけじゃなくて、きちっと調べてまた報告をしていただければと思います。

 もう一つ聞きますが、その人たちの身分、処遇についてですけれども、平均的な給与の実態ですとか、あるいは社会保障全般はどういうふうになっているのか、それともう一つは、地方公務員法上の身分について確認をさせていただきたいと思います。

小松政府参考人 まず、お尋ねの給与の実態から申し上げますが、非正規教員で、一般的に講師で任用されておりますので、その例で申し上げさせていただきますけれども、正規教員と比較をいたしますと、例えば、採用初年度では月額で約四千円低い、それから、経験年数五年ですと約一万一千円下回るというふうなレベルにおいて正規教員を下回っております。

 それから、身分でございますけれども、非正規教員、幾つかの身分がございます。一番多いと思われますのは、ただいまの臨時的任用教員という身分でございます。これは、フルタイムとフルタイムでないものがありますが、御指摘のように、フルタイムのものが多いというふうに認識しております。そのほかに、特別職非常勤、一般職非常勤などがあるところでございます。

 そして、社会保障についてお尋ねがございました。非正規教員の社会保障、これは、長期のものとして年金保険、短期のものとして医療保険の二つから成り立っておりますけれども、御趣旨に照らしましてフルタイムの臨時的任用教員ということで申し上げますと、年金保険は厚生年金保険、医療保険については健康保険の法律がそれぞれ適用されているということでございます。

牧委員 今のお話ですとそんなに給与の違いがないようにも聞こえなくもないんですが、衆議院の調査室等で私が調べた資料によると、大体、小学校で月額約十万円、中学で十三万、高校になると十五万ぐらいの月額の給与の平均的な差があります。それプラス、今お話があったようなさまざまな福利厚生等々を考えれば、相当な違いがあると思うんですね。

 これは、勤務の実態としては、最初に私が申し上げたように、正規の教職員の皆さんと全く同じ仕事をしているわけです。学校のクラスの担任もしながら進路指導だとかあるいは生活指導もしている、また、あるいは部活動の顧問等々、そういったことまでやっているわけですから、全く同じ仕事をしているわけですね。

 同一労働同一賃金と我々も言っておりますけれども、この違いというのはどこからくるのか。どこからくるのかというのは、多分、お聞かせいただければ、これは教員採用試験を通っているか通っていないかだけの違いだと思うんですけれども、そういう認識でよろしいんでしょうか。

小松政府参考人 先ほどのお答えと一部重複をいたしますけれども、非正規の先生として働いていらっしゃる方々は、教員試験を通っているか通っていないかとは必ずしも関係がないわけでございます。それが要件になっているわけではございません。

 もちろん、今おっしゃっておられる臨時任用の方々につきましては、教壇に立って、それに必要な教員免許というものは持っているわけですけれども、それ以外につきましては、例えば、やや自由な形態でやりたいという方々や、そういう方々もいらっしゃれば、御指摘のように、パーマネントの先生を目指していらっしゃる方もあると思います。そういうことかと思います。

牧委員 そういう理屈なんですけれども、私が繰り返し申し上げているのは、全く正規の先生と同じ仕事をしていて、それが毎年毎年反復するわけですね。これは、地方公務員法上、違法とは言いませんけれども、ほとんど脱法行為ですよね。反復して雇用できないということになっているのを、三月三十日で一回やめさせて、三月三十一日だけ空白を置いてまた四月一日から再任用するということが反復されているわけで、これは、違法とは言わなくても、脱法行為ですよね、ある意味。それをどうするのかということを私は申し上げているのであります。

 そういった意味での同一労働同一賃金でなければおかしいと私は思わざるを得ないわけで、それがもし、同一労働でない、正規の先生と非正規の先生は質的に違うんだというのであれば、それは理解できますよ。質的に違うんだ、仕事の内容も違い、仕事の量も違うんだということであれば理解できますけれども、そこは違いがあるのかないのか、簡単に一言でお答えください。

小松政府参考人 実態に照らしまして、非常に近い状態であるということは事実だと思います。ただし、校務運営のどこまでかかわるかというようなことにつきましては、一定の差はあると思います。

 一点だけ、申しわけございません。

 なお、こうした形でもって非常勤の方の数が非常にふえ過ぎるとか、それから、空白期間をわざわざ設けるということにつきましては是正をする必要がある部分があろうかと思っておりますので、私どもとしても、そうした指導を今しているところでございます。

牧委員 きちっと指導をしていただきたいと思います。

 いろいろ財政事情が厳しいものもあろうかと思いますけれども、これはもう紛れもなく単なる差別であって、それ以外の何物でもないというのは事実であります。

 これがもし正規の先生と非正規の先生が違いがあるというのであれば、逆に教育を受ける子供たちの側から見たら、教育の機会均等に反する話になるわけですよね、正規の先生から教わる生徒と非正規の先生から教わる生徒というのは。

 その差があるということであれば教育の機会均等に反する話でありますし、これが反しないんだ、全く一緒なんだというのであれば同じ待遇じゃなきゃおかしなわけで、こんなことをずっと放置するばかりか、こういう状況がどんどん悪くなっていくような、こういう状況というのは私は看過できないと思いますし、きちっとそれに対応していただきたいと思います。

 子供たちの目からどう見えるかということが私は教育現場では非常に重要な話だと思いますし、どこかの政党のコマーシャルに「夢は正社員」というような何かありましたけれども、そういうことであってはいけないわけで、子供たちの目から見て、ああ、この先生は正規職員だ、この先生は非正規職員だ、非正規になっちゃいけないと、まさに反面教師みたいな、そんな教師がいてはいけないと私は思います。

 最後に、大臣から所見をお聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 臨時的任用教員など非正規教員は、さまざまな教育課題への対応などに重要な役割を担っている一方で、勤務時間や任用期間の都合により、児童生徒への継続的な指導が制約されたり、教職員間、地域や保護者との連携が困難になること、また、御指摘がずっとありましたが、雇用が安定せず、正規教員と同じ処遇が保障されていないなどのさまざまな課題があると考えております。

 具体の教員配置は任命権者である教育委員会が適切に行うものではありますが、教育の機会均等や教育水準の維持向上等を図る観点から、国としても、可能な限り正規の教員が配置されることが望ましいと考えます。

 文科省としては、これまでも、非正規教員の配置実績を都道府県ごとに公表し、各種会議においてその改善を促しているところであります。今後、各県において教員の年齢構成等の実情を踏まえた正規教員の配置改善がなされるよう、各県へのヒアリングを通じて助言を行うなど、きめ細やかな対応に努めてまいりたいと思います。

牧委員 しっかりやってください。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘です。

 自信もないんですけれども、時間がないので、手短に質問に入りたいと思います。

 全国の学力テスト、もう何年もやってきていると思うんですけれども、それとは別に、ちょっと質問が前後してしまうんですけれども、都道府県で行っている学力テストもあろうかと思うんですね。塾や業者が行っているテストもあります。国際間で行っているPISAやTIMSSだとか、学力をはかるいろいろな試みがあるんだと思うんですね。

 では、日本は何を基準にして学力の水準を上げていこうとするのか。みんな数値がばらばらなんです。

 埼玉県でいえば、毎年毎年、たしか小中学校は全学年でテストをやっていたと思うんですね。でも、文科省でやっているのは小学校六年生と中学三年生、限定してしまっている。

 その中で、なおかつ、個人の学力が上がったかどうかというのは、小学校六年生が公立の中学校に行って中学三年で試験を受ければ、多少、個人の学力が上がったかどうかというのはわかるんですけれども、今のテストのやり方というのは、ほとんど、学校なのかエリアなのかわかりませんけれども、それの基準を見るしかないやり方なんです。

 でも、そこから得られたデータが、では本当に学力の向上につながっていっているのかというのが疑問でならないんですけれども、まず、そこの点について大臣にお尋ねしたいと思います。参考人でも、どうぞ。

下村国務大臣 児童生徒に身につけさせるべき確かな学力として、学校教育法第三十条第二項に規定されておりますように、基礎的、基本的な知識、技能を習得させるということと、それから、知識、技能を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力を問う、またさらに、学習意欲などの主体的に学習に取り組む態度を養う、これが重要であるというふうに考えております。

 文科省としては、こうした確かな学力、つまり、業者テストのように知識、技能だけを問うということではなくて、トータル的な確かな学力についての全国的な水準の維持向上の観点から、その一部を把握するものとして、平成十九年度から全国学力・学習状況調査を実施しております。

 また、グローバル化が進展する中、国際的な観点で児童生徒の学力の状況を把握するため、PISAやTIMSSといった国際的な学力調査にも参加しております。このPISAとかTIMSSも、いわゆる日本で行われている業者テストのような知識、技能だけを問うのではなくて、結構応用的な、つまり、思考力とか判断力とか表現力的な部分にも相当踏み込んだ問題も出されております。これらを踏まえまして、確かな学力を育成していく観点から、教育振興基本計画におきまして、全国学力・学習状況調査や国際的な学力調査の結果を成果指標として掲げているものでございます。

 ですから、本人がどれぐらい何年間たって学力が伸びたかどうかという調査ではなくて、トータル的な中で、日本の子供たち、あるいは地域において、どの分野が相対的にすぐれているのかすぐれていないのか、それから、人口構成の中で成績の上位の子、下位の子がどれぐらいの比率なのかという一人一人に視点を置いた調査というよりは、トータル的な調査ということで、教育施策の充実のために資するものとして活用しているものであります。

    〔委員長退席、萩生田委員長代理着席〕

鈴木(義)委員 例えば英語のテスト、私たちが子供のころ、英検の一級だ二級だ三級だと、私は三級しか取れなかったんですけれども、英検の三級だとか、学力テストもやるんです。国がやるテストもあれば都道府県がやるテストもあるんです。そこで、では就職をしたいとなったときに、TOEICの何点以上じゃないと受け付けませんよという企業もあるんですね。TOEFLもあります。

 では、何を目指して子供たちは学習をすれば、最終的には自分で自活して生活をしていくすべが教育だと思うんですね。だから、今大臣がおっしゃられたのは、基本理念はわかるんですけれども、でも、実態は違うところで評価されていくわけです。だから、そこできちっと横串を刺すようなものがないと、みんなばらばらの指標でテストを受けたとしても、自分がそこの、では英検の三級を取ったから、では学力テストで何点とったから、TOEICの何点に相当するのかがわからないのに、だって、社会に出るときはTOEICを何点とらないと、六百点とらないとうちは就職できませんよとか、韓国の会社でいけば、七百五十点以上いかないと幹部候補生にはなれませんよとかというふうな線を切るわけですね。

 それなのに、今やっている学校教育の中での英語を一つの基準にすれば、もうみんなばらばらでやっているんです。そこのところをきちっと問いかけ直さなければならない時代に入ってきているんじゃないかという考えなんです。ぜひ御所見をいただきたいと思います。

下村国務大臣 それは全くおっしゃるとおりだと思います。

 特に、英語教育に関していえば、読む、書く、話す、聞くの四分野が必要だと言われているにもかかわらず、センター試験では、読むが二百点で、聞くが五十点で、それ以外は問わないんですね。ですから、実際に六年間英語の勉強をしても日本人は余りしゃべれない。しゃべれないというのは、要するにそういう教育をされていないという部分があります。

 ですから、これは、英語の教育の仕方に問題がある、一人一人の能力、英語的な能力に問題があるのではなくて、英語の指導の仕方に問題があるということで、今御指摘があったように、大学入学試験も、そういうセンター試験そのものも変える必要があると思いますが、そもそもセンター試験に依存しない、TOEFLとかTOEICとか英検、それを受けて、そして、そこで何点以上だったら、そこの大学は入学試験でも英語についてはしないという基準点を設けるような形を今工夫しております。

 ただ、おっしゃるとおり、英検とTOEIC、TOEFLでばらばらであったら意味がありませんから、これを平準化して、英検だったらこれぐらいの基準、TOEFLだったらこれぐらいの基準ということを平準化して、そして、その大学で、どこの民間のそういう検定試験を受けてもハンディキャップがないような形として、そして、一定基準をクリアしていれば大学受験ではもうそれ以外は問わないというような形をすることによって、より効果的な、それから、読む、聞く、話す、書く、四分野全部がきちっとマスターできるような、そういう学校教育も含めた横串、縦串を含めた改革をぜひ進めていきたいと思います。

鈴木(義)委員 なるべく早くというよりも、年度を切って早くその基準を、統一基準みたいなものを出してもらいたいと思うんです。昨年、文科省の担当とはちょっと違っていたかもしれませんけれども、ある職員の方に尋ねたら、なるべく早いうちに基準を出していきたいと言って、年度が変わってしまったんです。そういうこともありますので、なるべく早目に出してもらいたいということなんです。

 それで、先ほどの学力テストの話に戻すんですけれども、昔、秋田県が全国平均で高いんだ、一番だということで視察に行ったことがあったんです。やっていることの内容は、私の埼玉の三郷というところと余り大した内容ではないんですね。同じようなやり方をしているんです。

 では何が違うのかという話になったときに、まず、私立の塾がないんだそうです。商売にならない。ですから、学校の先生がいろいろ放課後授業をしたり、校長先生のOBの方が近所の子供を集めて補習だとか予習だとかしてくれているんだということで結果が出ているんですけれども、それよりも、そもそも、私立の小中学校が全国学力テストに参加しているパーセンテージが五〇%ぐらいしかないんですね。ですから、高校に行くと、極端にぽんと数値が首都圏の場合は上がってしまう。

 そういう結果が出ているにもかかわらず、それは、文科省として一生懸命私立の学校に参加を呼びかけているんだと思うんです。そこで出てきた学力テストの結果を、なぜ、今大臣が答弁されたみたいに、地域の中での学力がこうだとか学校の学力がこのぐらいだという、個人の評価じゃなくて、全体の評価で薄めてしまうような形をとってよしとするのかなんですね。もともと私立が入っていない学力テストをこれからもずっと進めていく中で、本当の意味での学力が上がったのか下がったのか、そういった、どこに差があるのかというのが分析できるのかといったら、私は疑問でならないんです。

 なおかつ、私たちには開示されないような、学力テストの各学校ごとの平均値が出てきたり個人点が出てきたり、個人のものに関しては本人に直接返しますよというやり方に変えたと思うんです。

 では、それをもって、学力テストの結果をもって予算をふやすのか、人員を余計配置するのか、全然わからないんです。そこまでやって初めて、学力テストの結果をきちっと現場に反映させるということに私はなるんじゃないかと思うんです。ただ指導要綱だけをいじったからとか、指導の仕方を変えただけで問題が解決できることではないんだと思うんですけれども、そこら辺について御見解をいただければと思います。

下村国務大臣 かつて全国学力テストというのがあったわけですが、そのときはそれぞれ公表したということで、過当な競争によってかえって教育現場がゆがめられる結果になるという反省のもとに、それは一切公表しないということになりました。

 ただ、私が大臣になってから、おっしゃったように、それだけ貴重な税金を投入して全国学力・学習状況調査をしているわけであります。また、地方自治体においては、ぜひこれは公表することによって住民に対する説明責任を果たすべきではないかという意見もありまして、今はそれぞれの教育委員会の判断で公表するかしないかは決められるということになりました。ですから、市町村において、個々の子供の、生徒児童の成績は公表しませんが、その自治体における学校別の平均点等の公表は、それぞれの教育委員会の判断でするということはできるようになっております。

 その中で、文部科学省は基本的に、この全国学力・学習状況調査の実施後、教育委員会に対しまして、正答率の分布の状況、それから教科の問題別の解答状況、また児童生徒の学習意欲や学習習慣に関する調査の結果、そして学校の教育環境や指導状況に関する調査の結果など、詳細な分析結果を提供し、活用するようにしております。それを踏まえまして、地域や学校の状況を把握している教育委員会において結果の分析を行い、課題のある学校への支援等に積極的に活用する方法ができております。

 そのため、国としても、地域や学校の状況に応じた教職員定数の加配措置、また、学力定着に課題を抱える児童生徒に対する効果的な指導方法、指導体制の工夫や教材の開発などに関する実践的調査研究の実施、さらには、学力調査官の派遣による教育委員会や学校への指導の助言等を行うことによって、各教育委員会の教育施策の改善について支援をするようにしているところでございます。

 引き続き、各教育委員会、学校が、教育施策や教育指導の改善充実に積極的に取り組めるような、そういう支援をしてまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 都道府県教委に今みたいな話をすれば、小中学校であれば市町村教委が、市町村教委で話をすれば、埼玉県なら埼玉県の教育局があるんです、こういう話でつっかけもちになるんですね。だから、やはり文科省がきちっと各都道府県を含めた教育委員会に、そのデータの結果をもとにした強いリーダーシップをとっていただかないと、それが実施に向けて進んでいくということにはならないんじゃないかと思いますので、ぜひお力添えをいただければなと思います。

 今までいろいろな形で、市町村も三割を超えるし、埼玉県、都道府県も三割を超えるような教育予算を割いてきたわけですね。約八割を超えるお金が、ほとんど人件費です。そういいながらも、日本の大学の進学率が、これは二〇一四年度の、OECD三十四カ国の平均値六二%よりも低い五一・五%の結果になっているというデータなんです。

 私がお世話になっているある大学の関係者の分析で、三点指摘されています。

 初中等教育において、よりよい、より偏差値の高い大学に入学することが目的となって、勉強の重点が暗記に置かれてテクニックが中心となり、学ぶこと、考えること自体の魅力が生徒に教えられていないんじゃないか。

 もう一点目。大学での奨学金が少なく、学費のかなりの部分を親が負担している。これは、日本と韓国を除くと、世界に例がないんだそうです。ドイツでは学費のかなりの部分を国が給付するとか、アメリカでは学費のためのローンを組み、就職してから返済することが大幅に行われている。教育環境のあり方がほかの国とは全然違うということです。

 もう一点目。大学卒業生に対する社会の受け入れ容量、待遇に限度があり、非正規採用に甘んじなければならない者が少なくないということです。景気がよくなると、高卒や高専卒の優秀な若者の企業による囲い込みが始まって大学進学者が減るとも言われていますし、また、博士号を取得しても処遇がよくならない。

 大手のメーカーさんの研究所みたいなところは、マスターを出た人は採るけれども、大学のドクターを取った人は要らない。だから、ドクターの専門的な知識を大学院で習得したとしても、就職する先がないんです。大学に残る人は一部、国公立の研究所みたいのに入れる人はもっと一部だと思います。むしろ、外国で取得したMBAの方が評価される。日本人というのは不思議ですね。外国で評価されると日本でも評価されるんです。日本で評価されない、日本で余り、え、そうなのというのが、外国で評価されるとわあっと騒がれるんです。

 そんな状況が日本であるにもかかわらず、もう一度やはり、大学に進学するだけが全てではないと思うんですけれども、せめて平均値。韓国みたいに、七五%が大学に進学して、就職がないということで海外にみんな出ていく国もあります。日本がこれから技術立国日本を目指すのであれば、そこのところをやはりきちっと考えていかなくちゃいけないと思うんですけれども、まず初めに大臣の御所見をいただければと思います。

下村国務大臣 これはおっしゃるとおりだと思います。

 厚労省の調査で、高卒と大卒における生涯獲得賃金がトータルで六千万の違いが出てくる。しかし、大学四年間だけ考えたとしても、投資額はその十分の一以下で済むのではないかと思うんですね。ですから、それだけやはり高校を卒業しているか大学を卒業しているかというのは、生涯の賃金に違いがあります。にもかかわらず、御指摘のように、OECD平均が五八%、我が国の大学進学率は二〇一二年の調査では五二%ということは、なぜ低いのかというのは、御指摘のような点があると思います。

 ですから、まずは大学入学試験を、暗記、記憶中心の、これからの時代に通用するような能力を問うようなものではない入学試験が相変わらずされているわけですから、入学試験そのものを変える。つまり、大学に入ることは、社会に出た後、本人にとってもプラスだというための、アドミッションポリシーといいますか、入学試験そのものを変えていくということがまず必要だと思います。

 それから二つ目に、余りにも家計負担が高過ぎる。これは諸外国に比べて圧倒的に我が国は高いということですから、公的支援をすることによって、貧困家庭の子供であっても、意欲と能力があれば大学に進学できるような、そのような学費の公的支援を行うということだと思います。

 それから、特に大学院、博士課程のお話をされましたが、やはり企業がそういう優秀な人たちに対して、さらに企業における研究開発を含めた人的能力を求めるような、そういう社会的なイノベーションを同時につくる。無理やり企業に採れといってもこれは無理な話だと思いますから、日本社会全体が高度な科学技術イノベーションによって経済成長していくような、そういう社会全体の経済活力をつくっていくようなことをすることによって、結果的に、それぞれの子供たちにより高度な勉強をしたいと思ってもらえるような環境づくりをすることが、一人一人の豊かさにつながってくると思いますし、それが国の豊かさにもつながってくると思いますし、ぜひそれを求めてやっていきたいと思います。

    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 私は理系の出身なんですけれども、二〇一八年に百十八万人いる十八歳人口が減り始めるというデータがあります。二〇三一年には九十九万、百万人を切るというふうに言われているんですね。それは今から十五年後のことになるんですけれども、今の時点で、全大学生に対する理工系の学生のパーセンテージが一八%ぐらいなんです。理系、文系というざっくりしたパーセンテージでいくと、理工系の学生が今一八%なんだそうです。それが、同じパーセンテージの数が変わらなければ、あと十五年後には、十八万人を切ってしまうぐらいの理工系の学生しかいないという現実が目の前にぶら下がっています。

 ということは、この程度の人数で、新陳代謝を図りながら科学技術創造立国を支え切れていかれるのかという現実の話です。今の理工系に所属している学生さんのパーセンテージが一八%しかない。子供は減っていきます。まあ、少子化対策を一生懸命施したとしても、今子供が生まれたって、大学に入るには十八年後になるわけです。ですから、それで今の科学技術を支えていかれるのか。

 では、そこで、理工系の学生をふやしていく、定員枠をどんどんふやしていこうとするのか。あとは、外国人の学生をたくさん採ろうとするのか。二者択一がいいかどうかというのはありますけれども、そういう状況に置かれている我が国だということをどう認識していくかというのを大臣にお尋ねしたいと思います。

下村国務大臣 文部科学省では、イノベーションを支える重要な担い手となる理工系人材の戦略的育成を図るため、ことし三月に理工系人材育成戦略を策定したところであります。この戦略におきましては、産学官で協働した取り組みを推進していくことにより、今後の理工系人材の質的充実、量的確保を図っていくこととしております。

 これから人口が減少する中で、各大学も生き残りを考え、そして、二十一世紀に本当に必要な人材は何なのかということの中で、国立大学は既に理工系の学生の占める割合がどんどんふえております。逆に言えば、文系における教員は、やはり人口減少の中で、財務省の言われるような指標で少なくさせないようにはしたいと思いますが、しかし、間違いなく、前から比べると教員の数は減らざるを得ないといいますか、ニーズはありませんから、その部分、実際、教育学部の定数枠はそれぞれもう減らしているという現状があります。逆に、理工系の学部の人数をふやしている。

 ですから、同じように私立大学におきましても、今後の必要な人材育成を考えると、文系だけでなく理工系に力を入れてやっていくことがその大学の生き残りにもなるし、また、今後の科学技術イノベーションの中の人材養成にもつながるということで、大学側も、必要な人材、学部・学科は何なのかということを的確に判断しながら対応していただくこともお願いをしていきたいと思いますが、国として、しっかりとした戦略的な理工系人材育成については取り組んでまいりたいと思います。

 また、外国人の留学生のお話がありましたが、日本の国際競争力を高めていくためにはやはりこれは必要でありまして、平成二十五年十二月には「世界の成長を取り込むための外国人留学生の受入れ戦略」を策定いたしました。工学や農学を重点分野に設定するなど、理工系分野の外国人留学生の戦略的な受け入れもしていきたいと思います。

 二〇二〇年に向けて、海外からの留学生を倍の三十万人にする、もちろん、日本の海外に送り出す留学生も倍の十二万人にする、これからの五年間で二倍にするということの中で、留学生の充実も図ることによって、科学技術創造立国を支える理工系学生の確保を図ってまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 時間がないのでもうやめますけれども、外国の人も日本の人も日本で働いてもらうというのを最終目標にしないと、幾ら日本で学んでも外に出ていってしまっては、日本のためにならないということだけぜひお含みおきいただければありがたいなと思います。

 以上で終わります。

福井委員長 次に、大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。よろしくお願いします。

 本日は、私は私立大学の問題について質問をいたします。

 我が国の大学、高等教育は、その多くが私立、私学によって成り立っています。大学、短大の学生数の約八割、大学数でも七割を私学が占めています。

 まず大臣に基本的な御認識をお伺いしますが、私立大学が高等教育に果たしている役割について、大臣の御所見をお聞かせください。

下村国務大臣 御指摘のように、私立大学は我が国の大学の約八割を占め、独自の建学の精神に基づき、個性豊かな教育研究活動を展開しており、我が国の高等教育の発展に極めて重要な役割を果たしております。社会経済情勢が急速に変化し、多様化する国民ニーズに応じた特色ある教育研究の推進が求められる中で、私立大学が果たすべき役割はますます重要になってくると考えます。

 文科省としては、このような私立大学の特性と役割に鑑み、私立大学の振興を図り、私立大学に対する社会の信頼と評価を一層高めるとともに、その教育研究条件の維持向上に努めていくことが重要であると考えます。

大平委員 大臣も、私学の役割は極めて重要だという御答弁でした。

 ところが、現在私学が置かれた状況は、どこも大変厳しいのが現実となっています。特に、地方の中小の大学の経営は大変厳しいと私も聞いています。

 教育基本法第八条では、「国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。」とあります。国などによる私学への支援を求めているんですけれども、そこで伺いますが、この間、文部科学省として私学経営をどのように支援してこられたのでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 私立学校の重要性に鑑みまして、委員御指摘のとおり、教育基本法第八条におきまして、私学の振興に関する国、地方公共団体の責務が規定されているところでございます。

 文部科学省といたしましては、この規定の趣旨を踏まえまして、私立学校等経常費の補助、あるいは、施設設備の整備等の私学助成の充実、それから、寄附金税制を初めとする私学関係税制の充実、また、学校法人に対する経営指導、支援の充実など、幅広い側面から支援施策を推進し、私立大学の振興に努めているところでございます。

大平委員 経常費補助などの私学助成の充実とともに、私大経営の改善の援助、支援というお話がありました。

 そこでお伺いしますが、文部科学省の諮問機関になるんでしょうか、私学事業団がつくっている経営判断指標というのを私は今回初めて知りました。経営判断指標とは何かについて、制度の問題なので、簡単にお答えいただけるでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 この経営判断指標につきましては、文部省所管の独立行政法人日本私学振興・共済事業団、こちらの方で作成をしている指標でございます。

 この指標につきましては、それぞれの学校法人において、各私学の経営状態をあらかじめいろいろな側面で把握する。例えば、キャッシュフローの観点でプラスかマイナスかとか、あるいは、負債と資産との関係で負債が超過しているかどうか、こういった観点をさまざまな側面で判断して、早い段階で、その私学において経営面で問題がないか、それを把握した上で、あらかじめ必要な対策を講じる、そういった観点でこの指標を提示しているということでございます。

大平委員 経営判断指標とは、私も今回初めて見ました。

 簡単に言いますとこういう表なんですけれども、大学の財務状況について、はいといいえでフローチャート形式で答えていきながら、アルファベットのAの正常状態からB、C、D、イエローゾーン、レッドゾーン、こういう形で財務状況を格付するものとなっています。

 きょうはその細かな内容に入っていくつもりはないんですけれども、例えばこのフローチャートの一問目を見てみますと、大学の一番の本業である教育研究活動のキャッシュフロー、収支が赤字かどうかというものが一問目の問いになっています。

 聞くんですけれども、そもそも各私学がこの教育研究活動のキャッシュフローで赤字にならないようにするには、各私学はどういう努力をすればいいのか、どうすればいいのかについてお答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、学校法人が運営する私立大学においてその経営がいわゆる赤字にならないようにするためには、収入を拡大しつつ、かつ、支出を抑制するということが大切でございます。

 具体的には、学生数の確保により、私立大学の主な収入源となっている学生等納付金収入、この増加を図るほかに、各種寄附金あるいは各種補助金、こういったものの獲得に努めるということが大切でございまして、また一方で、人件費、あるいは教育研究費、それから管理的な経費、こういったものの各支出については、適切な見直しを行っていくということが重要であるというふうに認識しております。

大平委員 収入についてはまた後で質問したいと思うんですけれども、支出の抑制というお話の中で、教職員の人件費の適切な見直しという言葉もありましたけれども、これはつまり削減ということになると思います。

 教職員の解雇や賃金の切り下げ、あるいは正規職員を非正規に置きかえたりすれば、教育の質は言うまでもなく低下をしてしまう。優秀な教職員が減り、教育研究の質が低下をしては、学生の確保というお話もありましたが、結局学生も集まらず、定員の確保も危ぶまれてしまう、いわば悪循環に陥ってしまうと私は思います。

 教職員人件費の削減で経営改善を図るという方策は私は安易にとるべきではないというふうに思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 それはおっしゃるとおりでありまして、一般企業でいえば商品というのは、つまり、その大学にどんなすばらしい先生方がそろっているかどうかということが大学の魅力になるわけでありまして、優秀な先生を確保するためには、それなりの人件費も当然出さなければ、いい先生に来てもらえるわけがありませんから、人件費を削減するということは、大学の魅力を減らすということになってしまうわけであります。

 ですから、教職員の人件費、これが大学の経営を一方で圧迫することのないように留意する必要が重要ではありますが、各大学がそれぞれ建学の精神に基づいて質の高い教育研究活動を実施するために、教職員の配置については適切な配置をするということがこれは不可欠でありまして、少なくとも教育研究に支障を来すことがあってはならないわけでありまして、それぞれの学校法人の実情に応じた取り組みについてしっかり行う必要があると思います。

 文科省としては、各学校法人の経営改革に係る取り組みを支援し、私学全体の健全な発展が促進されるように支援をしてまいりたいと思います。

大平委員 大臣、適切な配置が不可欠というお話がありましたが、私、何でこういう質問をするかと言いますと、今、多くの私立大学で、この経営判断指標を盾にして教職員の解雇や賃金の切り下げなど労働条件の不利益変更を行う動きがありまして、その問題でのいわゆる労働裁判もふえているということを聞いているからなんです。

 なぜふえているか。先ほども少し述べましたが、この経営判断指標のフローチャートの第一で、教育研究活動のキャッシュフローで赤字になっていないかを問い、ここで赤字となってしまえば、その大学はもう必ずイエローゾーン、レッドゾーンという判定を下されてしまうからなんです。

 一方で、このキャッシュフローで黒字になるということはどういうことかといいますと、その年に学生から集めた学費をその年の教育サービスとして使わずにため込んでいるということであり、このため込み額が多いほど、いい評価になるという仕組みになっている。

 そもそも、教育活動は企業活動とは根本的に違って、黒字を生むことが目的ではない。これは言うまでもないと思いますが、教育に関するお金が余ったかどうか、黒字か赤字かというだけで経営判断をするということが正しいのかということを問わなければならないと私は思いますけれども、そのことをおいておいたとしても、私学助成の配分を行う文部科学省所管の私学事業団がこの経営判断指標を行い、いわば文部科学省がお墨つきを与えた経営判断だと見えるわけで、だからこそ、私立大学はこの指標を一つでもよくしようと必死になり、乱暴な労働条件の不利益変更などが少なからず行われていると私は思っています。

 そもそも、現場からも機械的で安易な判断が導かれてしまうという批判もあるこの経営判断指標が、いわば金科玉条のように扱われ、私立大学をランクづけするようなやり方は私は改めるべきだと思いますが、大臣いかがでしょうか。

下村国務大臣 この経営判断指標は、御指摘があった、文科省がお墨つきをつけるというようなことではなくて、これは日本私立学校振興・共済事業団が作成しているものでございます。

 これは、各学校法人がみずからの経営状況を客観的に把握、分析をし、早期に必要な取り組みを検討、着手するための指標としてこの日本私立学校振興・共済事業団が経営判断指標をつくったものでありますが、あくまでも各学校法人が自己点検のために用いるものであって、逆に言えば、これに拘束されてそういう発想であったら、そもそも、私立学校そのものがこれから成り立ちいくような甘い時代じゃないと思うんですね。

 ですから、ぜひ各私立学校は、よりその経営能力を発揮していただいて、これも大切ですけれども、この範囲内での発想での経営ということではなくて、しっかり対応していただきたい。

 いずれにしても、この経営判断指標というのは、第三者が私立大学をランクづけするような性格のものではないということであります。

大平委員 この経営判断指標ができたのが二〇〇七年、実際には、このフローチャートが示されてから、この判断を大きな盾にしての労働裁判の数がふえているという事実は強調しておきたいというふうに思います。

 大臣もお認めのように、教育研究の質の低下を招く人件費の削減を安易に行うべきではないということを重ねて訴えて、次の問題に移ります。

 キャッシュフローをでは黒字化するためには、先ほどもありましたけれども、支出の削減とともに、収入をふやさなければなりません。

 では、収入のうち一番大きいものは何で、それが全体の何割を占めているのか、お答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 私立大学の収入で最も多いものは、学生が納める授業料などの学納金でございます。この学納金は、平成二十五年度の実績で、いわゆる帰属収入全体のうち七六・九%を占めております。

大平委員 つまり、収入の一番大きいものは学生父母の負担による学費だということで、それが全体の四分の三を占めているということでした。この現状は、私学にとって学費なしにはその経営そのものが立ち行かなくなるという構造であることを示していると思います。

 一方で、日本の私学の初年度学生納付金、これは授業料に入学金、施設整備費などを合計した金額ですけれども、その全国の平均額は約百三十一万円となっています。大変重い家計負担になっています。

 日本政府は、高等教育の漸進的無償化を定めた国際人権A規約第十三条二項(C)の留保を撤回して、高等教育も無償化を目指すと言っています。そう言っている以上、学費は上げるのではなく、どうやって一歩ずつでも下げていくのかということを考えなければならないと思います。そのために国が本来果たすべき役割は、私学助成を拡充、増額することだと思います。

 そこで、私学助成の仕組みそのものをお聞きしますが、私学の基盤的経費である私学助成そのもの、経常費補助金の特に一般補助はどのように算定されているのか、お答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの私立大学等経常費補助金につきましては、その一般補助は、教員や学生の人数等に単価を乗じて補助金の基準となる額を算出するという仕組みになっております。

 それから、先ほどちょっと私の方で答弁申し上げた日本私立学校振興・共済事業団、この設置形態について独立行政法人と申し上げましたが、特殊法人の誤りですので、訂正させていただきたいと思います。

大平委員 今の私学部長の説明のとおりであれば、私立大学の教育研究活動の多くの部分が私学助成によって補助されることに計算上なるんですけれども、実際は違うというのが現状です。

 これはなぜか。調べてみますと、先ほどあった基準額の算定をした後に傾斜配分や減額調整などを行った上で、最後に、交付額が予算額におさまるようにということで圧縮調整なるものを行っているからであります。

 この圧縮調整とは何かについてお答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 私立大学経常費補助につきましては、めり張りのある配分のために、教育条件や財務状況等に応じて、傾斜をかけて各大学の補助金額を算出しているということでございます。

 しかしながら、各大学からの申請額の合計が予算の額を上回るという状況のために、補助金額について、予算額の範囲内におさまるよう圧縮してこれを配分するという仕組みをとっているわけでございます。

大平委員 この圧縮調整によって抑えられた割合を圧縮率と呼んでいるそうですけれども、現在の圧縮率はどのぐらいで、この間の推移はどうなっているか、お答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年度における圧縮率は約〇・六八八となっております。

 それから、過去五年間におけるこの圧縮率の推移でございますが、平成二十一年度が約〇・七一八、平成二十二年度が〇・七〇九、二十三年度が〇・八三二、二十四年度が〇・八〇六、二十五年度が〇・七六八という状況でございます。

大平委員 私たちはこの基準額の算定方法そのものにも意見があるんですけれども、この方法で算定をされた金額からも、何と、一番新しい数字では三割以上も圧縮をされて実際の交付額が決定をされています。

 先ほど部長は五年間の推移をおっしゃられましたが、十年、十五年前までは、この圧縮率が九五%を下回ることはなかったんですね。それが、この十年、十五年でどんどんと圧縮をされて、今では六八%。もう、この基準額の算定そのものが否定されかねないようなところまで圧縮されているというのが今の現状です。もとをたどれば、結局予算がふえていないということが言えると思うし、ふえていないどころか、この十年ほどは減少の傾向になっています。

 私学助成の現状の補助割合は今どの程度か、また、過去最高時はどの程度まで補助していたのか、お答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年度の私立大学等の経常経費に対する補助金の割合は一〇・三%となっております。過去におきましては、平成五十五年度において補助割合が二九・五%でございました。

大平委員 かつては二九%まであったが、近年は一割にとどまっているのが実情です。

 もともと国は、私学の役割にふさわしい活躍をしてもらうためにどのくらい助成をしなければならないと言ってきたのかという点について調べてみますと、一九七五年、昭和五十年に制定をされた私立学校振興助成法という法律を見つけました。このときに附帯決議もあわせて採択をされているんですが、その第一にはどのように書いているでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の昭和五十年七月一日の参議院文教委員会で決議された私立学校振興助成法案に対する附帯決議におきましては、具体的には、「政府は、本法の運用にあたり、私立学校教育の特質と重要性にかんがみ、次の事項について特段の配慮をすべきである。」ということで、第一として、「私立大学に対する国の補助は二分の一以内となっているが、できるだけ速やかに二分の一とするよう努めること。」というふうにされているわけでございます。

 それから、先ほどちょっと私、経常費補助の割合で過去最大が平成五十五年度と申し上げましたが、昭和五十五年度の誤りでございます。訂正いたします。

大平委員 附帯決議でも言われているとおり、速やかに経常費の補助割合を二分の一とするよう努めることが求められている。現在一〇%ですから、すぐに五割ということにはならなくても、せめて、先ほど来あったように、三割もカットするような圧縮調整をしなくていいところまでは私は直ちに引き上げていくべきではないかと思います。こうして私学助成の補助割合を段階的に引き上げていくことで、私学の学費も下げていく展望も見えてくると思います。

 私学助成の補助割合を抜本的に引き上げていくべきだと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 基本的にはおっしゃるとおりでありまして、「二分の一以内を補助することができる。」というのがこの私立学校振興助成法の規定でありますから、限りなくそれに近づけなければならないのを、逆にどんどん補助率の割合がこの数年間下がっているということについては、これは問題であるというふうに思います。

 今後、高等教育だけではありませんが、教育全般、私立学校に対してもしっかりとした財政的な支援をすることによって、どんな家庭の子供であっても、公立私立問わず、自分の行きたい学校に経済的なハンディキャップなく行けるような環境づくりのために、さらに私学助成の充実を図っていくように頑張りたいと思います。

大平委員 私はこの間、私学に通う学生の声をたくさん聞いてきました。ここにも持ってきているんですけれども、親が退職し、退職金で何とか学費を払っているけれども、家計は厳しい。家族に迷惑をかけたくないので昼御飯を抜きにすることが多い。週五日、夜の十時半までバイトをしている。長引くことも多くあり、朝起きるのがつらいなどなど、こうした学生たちの可能性が閉ざされないよう、学費の値下げを進めていくためにも、私学助成を抜本的に引き上げることを重ねて訴えまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、まず、先ほども他の委員からも質問がありましたが、教員の定数に関して、この間、何回か質問させていただきましたが、本日も最初にこの問題について質問させていただきます。

 一昨日の財政制度等審議会の財政制度分科会におきまして、財務省は懲りもせず、またしても教職員数の削減の試算を示しております。二〇二四年度までの九年間、その中で、今の教職員定数の六%にも当たる四万二千人の教職員数を削減できるというような、そんな試算が出されております。財務省いわく、少子化を理由として、現在の教育環境を維持した上で定数削減は可能というような考え方が示されているわけであります。

 この間、何回も本委員会で質問してきましたけれども、財務省は事あるたびにいろいろな資料を出してまいります。

 例えば、子供一人当たりに換算すれば、公的な教育費の支出で日本は先進国の中でも上位であるだとか、あるいは、本来は非常に効果が出ている三十五人以下学級についても効果がないというような決めつけをした上で四千人これで減らせる、あるいは学校規模を適正化させて統廃合を推進すれば一万八千人減らせるといった、そういうとんでもない試算を毎年示しております。

 率直に言ってこれは、この財務省の考え方、財務省の論理によってなかなかその定数改善計画が進んでいないというのが現実なのではないかというふうにも思います。

 以前にも、少子化を理由に教職員数の大幅削減を主張する財務省の姿勢について大臣に質問した際に、大臣は、財務省の考え方ではこの国の活性化はあり得ない、少子化によって減少が見込まれる子供の数と同じ比率で教員を減員するのではなく、むしろ少子化によって生じた教育予算の自然減を教育環境の充実に充てるべきだと考えている、そういうことも明快に答弁をされておられます。

 改めて大臣にお聞きいたしますが、一昨日の財務省の試算についてどのように受けとめていらっしゃるのかを尋ねます。

下村国務大臣 財務省の試算は、今後の児童生徒数の減少に沿って機械的に教職員定数を削減すれば四万二千人削減できるというものでありまして、学校現場を取り巻く課題が複雑困難化し、教職員が多忙化している実態になじまない、机上の計算であるというふうに思います。

 文科省としては、いじめ対応や特別支援教育、貧困による教育格差の解消など、学校が対応しなければならない教育課題はむしろ大幅に増大しており、特に、現場の課題に対応する加配教員を削減することは学校の教育力低下に直結するものであると考えます。

 また、これからさらにグローバル化社会に対応するためには、主体的、協働的な学びのためのアクティブラーニングを実施するなど、より教員の確保が、あるいは充実が必要になってくるわけでありまして、その指導体制のさらなる充実等を考えると、到底、財務省の試算は認められるわけではありません。

 これは、ただ反論だけでなく、文部科学省も、財政審等に対応した、より精緻な資料や今後の予測等をつくることによってしっかり説明をしていくことにより、財務省の理解が得られる努力を、我々も、私自身も先頭に立ってやってまいりたいと思います。

吉川(元)委員 私が危惧しますのは、二〇二〇年までのプライマリーバランスの黒字化というのが政府の財政再建目標になっておりまして、ただ、これは、非常に高いといいますか、達成が非常に難しい目標だろうというふうに思います。消費税を一〇%に引き上げ、なおかつ毎年の名目で三%成長を実現したとしても、二〇二〇年度に残るのは九・四兆円の赤字。結果的に言うと、これを黒字にするためには歳出削減しか残っていないわけで、歳出削減によって赤字を今後埋めようという動きがますます強まっていくのではないかというふうにも思います。

 経済財政諮問会議の議事録を見ておりますと、その対象になっているのが、社会保障費、あるいは地方財政経費がそのターゲットにされているように感じるわけですけれども、この間の財務省の姿勢を見ますと、教職員定数についてもそういうふうにターゲットにされているのではないかというふうに思えてなりません。

 社会保障、それから地方財政、そして教育というのは、今まさに一番必要な公共サービス、充実をさせなければいけない公共サービスの予算が削られるということになるのであれば、そもそも何のための消費税引き上げだったのか、あるいは税と社会保障の一体改革というのは何だったのかということを改めて私自身は問わなければならないというふうに思っております。

 それはさておき、先般の本委員会で、今年度予算の教員定数について、自然減の定義の仕方、中身等々について議論をさせていただきました。もう時間もありませんのでこの場で蒸し返すことはしませんが、やはり、この財務省の論理にしっかりと反論できるような考え方、それから、まさに今大臣が言われておりましたさまざまな精緻な資料も含めて、反論していかなければいけないというふうに思っております。

 一昨日の資料等を見ますと、TALISの報告についても、いやいや、あれは単純に持ってこれないよといって、自分たちに都合のいい数字だけ引っ張ってきて、減らせるんだというようなことが言われておりますし、きょうはちょっと時間がなくて質問いたしませんけれども、国立大学の学費、これについて引き上げろというようなことも含めて資料として出されております。そういう面でいいますと、これにしっかり反論していただかなければいけないというふうに思っておりますし、我々国会議員も文科省をしっかり後押ししていかなければいけないと思っております。

 ただ、もう一方で、やはり議論の組み立て方をしっかり考えなければいけないんだろうと思います。自然減ありきということではなくて、今の学校現場の実態、実情、TALISの報告はまさに今の実情を赤裸々にあらわしているわけですけれども、そういう長時間労働の実態、あるいは、先ほど大臣が言われましたけれども、複雑化する教育環境というものを土台にしながら財務省の論理と闘っていかなければいけないというふうに考えておりますが、今後、財務省の削減方針、どのような論理、組み立てで対応していかれるおつもりなのか、お聞かせください。

小松政府参考人 まず、考え方といたしましては、先ほど大臣からの答弁にもございましたように、我が国の学校教育につきましては、一つは、社会の変化によって、特別支援教育のこと、あるいは、いじめ問題等々の現代的な教育課題への対応が現に課題となっておりますので、この点についてしっかりした充実を図っていくということ。

 それからもう一つは、こうした観点とはやや別の要素もございますが、今後に向けて、いわゆるアクティブラーニングなど、教育、授業の方法等につきましても大きく飛躍させていかなければいけない。これを現実に照らしますと、そこに必要な指導体制の充実がある。こうした点を中心に組み立ててまいりたいというふうに思っております。

 もう一点は、これも先ほど大臣答弁にございましたけれども、データ面等につきまして、学校教育あるいは教育はなかなか機械的な数値になじまないというところがあるわけですけれども、それがまたさまざまな都合のよい言説に用いられないように、きちっと私どもとしてもよくデータ等を整理いたしまして、その固めをいたしたいと思います。

 昨年八月には、教職員定数改善計画を十年の単位で充実を図る基本的な考え方を私ども示した上で概算要求に臨んだわけでございますけれども、結果としては、今年度の概算要求の要求時点と見ますと乖離がございます。

 こういった点も踏まえながら、基本的な考え方、方向性は堅持をして、きめ細かで質の高い指導体制を構築するという考え方に立って準備をしてまいりたいというふうに考えます。

吉川(元)委員 財務省のを見ておりますと、今の教育、もし仮に日本の教育環境が世界で本当の意味でトップだというのであれば、それは、自然減に合わせて少しずつ減っていくというのは理解できるわけですけれども、少なくとも国際比較した場合に、日本の教育環境というのは先進国の中でも、OECDの中でも非常に低い。特に教員の多忙化、忙しさということに関して言えば、平均の一・四倍程度の労働時間になっている。そういうことも含めまして、今の現状をしっかりと把握をした上で、ここから議論をやはり組み立てていただきたいというふうに思っております。

 ちょっとそれに関連しまして、通告と順番が変わりますけれども、公立小中学校の適正規模・配置基準の手引について若干お聞きをいたします。

 ことしの一月二十七日、六十年ぶりに公立小中学校の適正規模や配置基準の手引をつくりかえました。小学校で六学級以下、中学校で三学級以下の学校に対しては、統廃合の是非を速やかに検討する必要があるとしております。また、通学範囲の条件も緩和をして、スクールバスなどが確保できる場合には、通学時間はおおむね一時間以内を判断基準としているようでございます。

 今回、新たに手引をつくることになった理由、目的についてお聞かせください。

小松政府参考人 御説明申し上げます。

 今後、少子化のさらなる進展によりまして、学校の小規模化に伴って、児童生徒が集団の中で切磋琢磨しながら学んだり社会性を高めたりするのが難しくなるといった課題が顕在化していくということが懸念をされております。教育的な視点でこうした課題の解消をいかにして図っていくかという観点からこの問題を取り扱う必要があるということが、私どもの判断のもとでございます。

 具体的に、このために、少子化に対応した学校教育の充実策に関して実態調査を行いました。その結果は、約八割の市町村が、学校規模の適正化について課題があるという認識を示しておりました。一方、課題の解消に向けた検討が予定されていないという市町村が五割以上あり、それから、小規模のデメリット解消の取り組みを積極的に実施している市町村は二割程度という状況でございました。こうした状況の中で、もう一点、四割以上の市町村が、国に対して、検討の参考となる資料の提供を求めているという状況でございました。

 そこで、私ども文部科学省としては、こうした状況を踏まえまして、学校設置者である各市町村が少子化に対応した活力ある学校づくりを主体的に検討する際の参考とするという位置づけによって、公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引を策定した、これが考え方及び背景でございます。

吉川(元)委員 学校の規模や配置基準、大変これは難しい問題だというふうにも思います。子供たちには、できるだけ多様な人間関係に触れる状況、集団生活も含めてそういう状況を提供するならば、やはり一定規模が必要だということは理解できます。

 他方、通学時間、スクールバスを使う場合等々については一時間以内ということでありますけれども、これは非常に子供たちあるいは家庭に負担を強いる側面もあります。また、もうこれは以前当委員会でも議論されておりますけれども、学校は地域コミュニティーの中核を担っているというのが現状でもありますし、統廃合が極端に進むようなことになると、地域の衰退ということにも拍車をかけていくのではないかというふうに思います。

 先ほど財政審の話をさせていただきましたが、やはり一番気がかりなのは、昨年の財政審で財務省が、国公立小学校を見直し前の基準で統合した場合、学校数は大幅に減り、一万八千人の教職員を削減でき、三百九十億円の財源を捻出できるというようなことを主張したことです。

 さらに、私は総務委員もしておりますが、ことしの地財計画を見ますと、公共施設の老朽化対策の推進で公共施設最適化事業債というものが創設され、充当率九〇%、交付税算入率五〇%、事業費ベースで四百五十億円の措置がされております。これは既存の公共施設の集約化に対する財政措置で、庁舎やあるいは公営住宅、公営企業施設が除外されていて、考える限り、公立学校が一番の対象になるのではないかというふうにも思います。

 もちろん、やむなく学校の統廃合をせざるを得ない場合に対して財政措置の手だてを設けておくということは必要ではありますが、この財政措置が学校の統廃合を促進させるようなことになっては本末転倒だというふうにも思います。

 今回、新たに手引をつくったことで、今ほども言われました、教育的見地ということでありますけれども、あくまで財務省は財政的な見地から統廃合を推進していこうというふうに考えているというのはもう明らかでありまして、こうしたことがあってはならない。この点について文部科学省としてどのようにお考えなのか、大臣にお聞きをいたします。

下村国務大臣 昨年末に閣議決定をいたしました、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、学校の小規模化に伴う課題への対応について、地域コミュニティーの核としての学校の役割を重視する等の観点から、学校統合を検討する場合や小規模校の存続を選択する場合、休校した学校を児童生徒の増加に伴い再開する場合等々、さまざまなケースに対応し、活力ある学校づくりを目指した市町村の主体的な検討や具体的な取り組みをきめ細やかに支援することと決めたところであります。

 ことし一月に策定した手引は、こうした政府としての基本的な考え方に基づきまして、一つは、学校統合により魅力ある学校づくりを行う際の留意事項に加え、さらに、学校を存続させる場合に、小規模校のメリットを生かし、デメリットを緩和するための方策、また、休校した学校を再開させるための取り組みなどにつきましてきめ細かく盛り込んでおりまして、教職員数の削減等を目的としたものではなく、教育的見地から、少子化に対応した活力ある学校づくりを推進する目的で策定したものであります。

 文科省としては、引き続き、市町村教育委員会等に対しまして、本手引の趣旨、内容について丁寧に周知してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 今、都市部、東京などの大都市から地方に移住される方もいらっしゃいます。また、それを促していくようなさまざまな施策もあります。その場合、やはり大きくネックになるのが、幾つか課題があろうかと思うんです。仕事があるのかないのかというのは、一つ大きな課題です。病院が近くにあるのかないのか。そして、お子さんがいらっしゃる家庭で一番大きいのは教育環境、これがしっかりしているのかどうなのかというのが、やはり移住できるかどうかの大きなポイントになろうかというふうにも思います。

 そういう観点からも、地方創生ということを言われているわけでありますから、しっかりと配慮していただきながら、決して財政的な見地に立たないように、努力をしていただきたいというふうに思います。

 続いて、私立高校生の就学支援についてお聞きいたします。

 昨年四月から、高校授業料の無償化制度に所得制限が設けられました。私どもの党は、私立高校に通う低所得者に就学支援金を上積みすることには当然反対しませんし、賛成でありますが、その財源を、所得制限によって生み出される授業料を充てるということについては賛成できません。高校授業料については、公立、私立を問わず、社会が教育を支えるという立場から、完全無償化に向けて努力することが必要だと考えております。

 それはさておきまして、国による低所得世帯への就学支援金が上積みされることにより、自治体が独自に行ってきた授業料減免などの措置が削減または打ち切られてしまうのではないか、そのような懸念を持っておりまして、既に文科省も、国による就学支援金の増額をもってしても、自治体による授業料減免などの支援が引き続き充実していくことを求めるような中身の通達が出ているということも聞いておりますが、残念ながら、少なくない自治体が独自の支援を縮小させているというふうにも聞いております。

 現時点で、私立高校生の経済負担を軽減するための独自予算、これを削減しているような自治体というのはどの程度に上っているのか、教えていただければと思います。

小松政府参考人 委員御指摘の縮減ということにつきましては、前に御説明をいたしました際には、昨年四月からの新制度の始まりに伴いまして、各都道府県での実施状況等を調査した結果として昨年七月末に取りまとめたものが基本となっております。この時点では、十六道県で、こうしたいわば浮いたお金ということになりますでしょうか、その財源が私立高校生への支援の拡充に使われていなかったという結果でございます。

 直近の状況を申し上げますが、ただいま申し上げました十六の道県に対しましては、それぞれに個別に要請やフォローアップを行って相談をいたしました。その結果、現時点では全ての道県で、平成二十七年度においては、そのできました財源を私立高校生への支援、すなわち授業料減免事業の対象世帯の拡大や授業料減免等の対象者の増加分に充ててくださるということになりましたので、その意味におきましては、全ての都道府県がその財源を私立高校生への支援に活用してくださるという状況になったところでございます。

吉川(元)委員 国が支援をしたとしても、それと同じように、それに見合うだけ自治体が減らしてしまえば、これは意味がないわけで、高校生の家庭の経済的な負担も軽減するということもしっかり踏まえた上での対応をよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、ちょっと奨学金についてお聞きをしたいと思います。

 奨学金、とりわけ有利子奨学金が学生の卒業後に大きな負担になってきた問題というのは周知のとおりであります。今年度予算では、有利子から無利子への流れを加速するということで、無利子奨学金枠を四十四万一千人から四十六万人へ、一万九千人もふえることになっております。一方、無利子奨学金の枠をふやしても、有利子奨学金の利用者は八十七万七千人存在しておりますし、その意味でいうと、有利子から無利子、無利子から給付型への道筋を早急につけていくべきだというふうに思うわけです。

 一点確認しておきたいんですが、有利子奨学金利用者八十七万七千人のうち、本来無利子奨学金の貸与基準を満たしているにもかかわらず、枠の関係で無利子奨学金を受けられない方というのはどの程度存在するのでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 無利子奨学金の貸与基準を満たしながら貸与を受けられない学生、これを残存適格者というふうに申しますけれども、平成二十六年度末時点では約四万人存在しております。

 平成二十七年度予算におきましては、御指摘のように、新規貸与人員を八千六百人増員いたしました。差し引きいたしますと、平成二十七年度時点でも約三万人程度の残存適格者が残っているということでございます。

吉川(元)委員 まず、基準を満たしながら枠の関係もあって無利子の奨学金の貸与を受けられない方が全て無利子の奨学金を受けることができるように、制度の整備に全力を挙げていただきたいというふうに思います。

 時間が来ましたので、引き続き、次回以降またお聞きしたいと思います。

 以上で質問を終わります。

     ――――◇―――――

福井委員長 次に、内閣提出、参議院送付、独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。下村文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

下村国務大臣 このたび政府から提出いたしました独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 政府においては、行政改革の一環として独立行政法人に係る改革を推進するため、平成二十五年十二月に独立行政法人改革等に関する基本的な方針を閣議決定したところであります。

 この法律案は同方針を踏まえ、独立行政法人国立大学財務・経営センターを独立行政法人大学評価・学位授与機構に統合するための所要の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、独立行政法人国立大学財務・経営センターを解散し、その業務を独立行政法人大学評価・学位授与機構に承継します。

 第二に、独立行政法人大学評価・学位授与機構の名称を独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に改称します。

 第三に、独立行政法人国立大学財務・経営センターが解散することに伴い、権利義務の承継等所要の経過措置を定めます。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

福井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

福井委員長 引き続き、文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 質疑を続行いたします。前田一男君。

前田委員 ただいま御紹介いただきました、自由民主党衆議院議員、前田一男でございます。

 初めに、教育行政における政治の役割について伺います。

 私は、北海道庁で十年、町長として八年間、地方行政に携わってまいりましたが、そこで感じたのは、地方行政の首長は教育に関与すべきではないという空気でありました。

 とはいえ、平成十八年、改正教育基本法が制定されたとき、私は町長三年目であったのでありますけれども、地方自治体の教育の現場までその意思は伝わってきませんでしたので、書道教育を推進していた私の町の特色なども加味して町独自の教育条例を策定しました。教育委員会や議会で反対の意見もありましたけれども、この過疎の町の子供たちをどう教育していくのだ、この一点においてみんなで議論して、最後は全会一致でまとまりました。後に続く人たちに、教育で人はあらゆる可能性を手にできるということを伝えていきたいと思っています。

 そこで、確認したいのは、教育行政における政治の役割であります。

 中立性や不偏不党性が言われますけれども、政治のリーダーシップなしでは我が国の教育は立ち行くはずがありません。文科省は、教育行政における政治の役割をどう捉えておられますでしょうか。

河村政府参考人 教育基本法において、「教育は、不当な支配に服することなく、」「法律の定めるところにより行われるべきもの」とされておりますように、国の教育行政については、法律にのっとって、かつては文部大臣、現在は文部科学大臣のもとで実施されてきたということでございます。

前田委員 政治家、特に国会議員こそが国家百年の計に立って我が国の教育に責任を持っていかねばならないし、また、文科省にも、時代の要請するところに応じて果断なる改革を行っていってほしいと思っています。

 次に、学校教育について、自分の体験から感じたことを述べてみたいと思います。

 小学校のとき、社会の試験対策で憲法の前文を暗記しました。登下校の際、「日本国民は、」「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と暗唱して感じたのは、これは反省文なのだなということでありました。四十年たった今もその感覚は覚えています。また、学校の先生から、日本は戦前悪い国だったと教わった記憶も私にはあります。

 十年たって大学生となって、書物を読みながら、また自分の頭で考えてみるようになると、私は、日本の教育には、戦後、日本人が植えつけられた贖罪意識が流れていて、これが長年疑問に思っていたことの答えだと合点がいきました。戦前と戦後を分断して我が国の歴史や伝統文化を否定する考えを、私も知らず知らずに持ってしまっていたと考えています。

 民主主義、平和主義、自由主義、平等主義、これらの価値や意味合いが履き違えられて戦後の教育思想に流れ、それが学校や青少年にかかわるさまざまな事案に直接、間接的に影響しているように私には思われます。

 文科省としても、戦後教育の全てに胸を張れるわけではないと思うのであります。今私が述べた四つの誤謬について文科省はどう考えておりますか。また、学校や青少年を取り巻く深刻な問題が後を絶たないことに対して、責任の一端は文科省にもあるという当事者意識を持って事に臨もうとしているのかどうか、伺いたいと思います。

丹羽副大臣 教育基本法において、教育の目標として、「主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度」や「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度」、「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養う」態度を養うことといたしております。学校教育においても、これらの目標を達成するように現在取り組んでおります。

 例えば、具体的には、社会科や公民科の中心に、日本国憲法に定める基本的人権の尊重、国民主権、平和主義原則や議会制民主主義の意義について指導するとともに、生徒会活動や学校行事などの特別活動等を通じて、集団や社会の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的で実践的な態度を育ててきたところでもございます。

 「私たちの道徳」という教科書がございますが、副読本がございますが、「私たちの道徳」の中においても、やはり子供たちが権利や主義をしっかりと認識できるような形になっておりますので、また先生もいろいろと御指導いただければありがたいというふうに思います。

前田委員 文科省には、学校や青少年にかかわることはもう全部自分たちの責任だというくらいの気概を持って教育行政に臨んでいただきたいと思います。

 また、先ほど贖罪意識ということも私申し上げましたけれども、もう戦後七十年であります。ではどうするのかということは、我々日本人が考えて答えを出していかねばならない問題であるという認識もまた示させていただきたいと思います。

 次に、教育基本法で教育の目的としている人格の完成、これを目指す教育の重要性についても申し上げたいと思います。

 古来より日本では、学問といえば人間学と時務学に大別されてまいりました。人となるためには、人間が生まれながらにして与えられている徳性、この徳性を育成する学問が必要で、これを人間学といい、職業に就いて生計を立てていくのに必要な知識や技術を習得するための学問を時務学と言ってまいりました。当然に、主たる学問は人間学で、時務学は従なる学問とされてきたわけであります。

 戦前は、自己を修めていくための修身という学科が最も重視されておりましたけれども、戦後は学科の中から真っ先に修身が廃止されました。つまり、自己を修める学問がなくなってしまったということであります。

 かわりに、戦後の日本を立て直すために時務学に重点が置かれ、これはこれで一定の成果を得てきましたけれども、この人間学に当たるところをすぽんと落としてしまったことに起因する問題が出てきているというのは先ほど述べたとおりであります。

 学校や青少年を取り巻くさまざまな問題の課題には、もはや対症療法やびほう策ではだめだというふうに考えています。

 我が国の教育の二本柱として人間学と時務学を据えて、この柱に沿って我が国の教育の諸制度を再構築していってはどうかというふうに思うのでありますけれども、文科省の考えはいかがでありましょうか。

丹羽副大臣 委員のおっしゃることも、もちろん正しいかというふうに思っております。

 今、第一次安倍内閣において改正いたしました教育基本法におきまして、新たな教育の目標を設けさせていただきました。知徳体の調和がとれ、生涯にわたって自己実現を目指す自立した個人、また、公共の精神をとうとび、国家、社会の形成に主体的に参画する国民、我が国の伝統と文化を基盤として国際社会を生きる日本人の育成を目指しているところでございます。これらは、いつの時代においても教育の柱というべき重要なものであると考えております。

 文部科学省といたしまして、こういった教育基本法の理念や子供たちを取り巻く社会の変化等を踏まえて、例えば道徳教育の抜本的改善充実など、引き続き教育再生に全力で取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、もちろん、先ほど委員おっしゃられました戦前の教育の修身においても、さまざまないい例もございますので、そういったところもしっかり文部科学省としても検討しながら、教育再生に取り組んでいきたいというふうに思っております。

前田委員 道徳の教科化でよしとするのではなくて、徳知体の徳育を人間学で、また知育を時務学としてやるという枠組みをつくった方が、これから文科省が行おうとしているさまざまな教育改革に対する国民理解は進むと私は思っておりますので、どうぞ一考していただきたいと思います。

 私は、我が国のもう一段の発展には、国民の教育に対する熱い思いが沸き上がってくることが肝要であろうというふうに考えています。

 佐藤一斎が著した「言志四録」の中から一節紹介させていただきたいと思います。少くして学べば壮にしてなすことあり。ここにおいでの委員の方々も、小さいころからさまざまな努力をされて今こうした立場におられるんだというふうに思います。壮にして学べば老いて衰えず、老いて学べば死して朽ちず。ここには、なぜ人は学ぶのかという問いへの明瞭な答えがあると思います。

 生涯、学ぶことが国民一人一人の喜びとなって、また、日本が世界に貢献できる国であり続けられるよう、この国の教育の興隆に文科省の皆様には命がけでやってもらいたいというふうに思っておりますし、そのために私たちも努力をしてまいりたいというふうに思っています。

 今国会から私は文部科学の委員会に所属をさせていただいて、さまざま勉強させていただいているところであります。

 率直な感想を申し上げますと、教育行政に対するいろいろな議論というよりも、大臣に対するいろいろな中傷、そういったことを私は感じておりまして、せっかくに皆様高い見識を持たれて、そしてさまざまな議論をする場が与えられているので、そういったことも私いろいろ聞かせていただいて、勉強させていただきたいというふうに思いますし、ともに教育が持つ無限の可能性を国民に伝えていく、そういう役割を果たさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 本日は、明治日本の産業革命遺産に関する世界遺産登録について質問をさせていただければと思います。

 皆様も御承知のとおり、ユネスコの世界遺産委員会の諮問機関であるイコモスという機関から、推薦案件の名称を「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」と変更した上で、記載の勧告がなされたところでございます。

 そして、その内容は、二十三の構成資産全てが本件遺産の構成要素として認められたとのことで、この二十三構成要素の中には、私の生まれ故郷でございます熊本県荒尾市の万田坑や、一定期間勤務地としてお世話になっておりました福岡県大牟田市にございます宮原坑、三池港等含まれております。

 また、私の個人的事情で申しわけないのですけれども、その炭鉱内で使われていた石炭産業用の機械というものは、私が以前勤めておりました株式会社三井三池製作所という会社の前身の会社の機械製造部門で製造された機械ということもございまして、今回の勧告に関して私は、自分の人生を振り返ってみましても、大変にうれしく思っている次第でございます。

 また、他の構成資産の所在地域にお住まいの住民の皆様も大変に喜んでおられる御様子を報道でうかがわせていただきまして、その皆様とも大変に喜びを共有させていただいているところでございます。

 当局の皆様におかれましても、これまで大変な御努力を賜っているところでございますが、世界遺産の登録に向けて、今回、遺産の申請における独自の特徴と申しますか、そういったものと、今後の進捗予定についてお聞かせをいただければと思います。

小泉大臣政務官 御質問いただきましたこの産業遺産の点、担当政務官として御答弁をさせていただきますが、まずは、吉田先生におかれましては、御地元の資産も含めて、今回勧告を受けた、これは二十三ですね、その中の構成資産に含まれたことをお喜び申し上げたいと思います。

 今回、特徴は何かということでありますが、結論から言えば、現役の稼働資産が含まれている、これは日本にとっては初めての例であります。今回、先ほどお話にありました、かつて三池炭鉱で採掘された石炭を輸出して、その後も百年を超えて産業港として現役で稼働する三池港や、八幡製鉄所、長崎造船所のクレーンなどの稼働資産を含む産業遺産群として日本初の推薦であります。

 昨年一月に日本政府からユネスコに対して世界文化遺産に登録すべき案件として推薦書を提出して、その後、専門的な諮問機関である国際記念物遺跡会議、これがイコモスでありますけれども、イコモスにおいて審査が行われました。その結果、五月四日にイコモスから世界遺産としてふさわしい、そういった評価を受けまして、ユネスコ世界遺産委員会に対して登録の勧告がなされました。

 これからどうなるのかということでありますが、この勧告を受けて、六月二十八日から七月八日、この会期でドイツのボンにて開催される世界遺産委員会において登録の可否が決定されることになっております。ちなみに、そのドイツのボンというのは、ドイツが今議長国でありますので、ドイツのボンで開催されます。この世界遺産委員会において本件がイコモスの勧告どおりに世界遺産一覧表へ記載されるように、最善を尽くしてまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 ただ、マスコミ報道によりますと、戦前の歴史的な出来事から今回の世界遺産登録について否定的な御意見があることを知りました。まことに大変残念なことであると思うのですけれども、ただ、そのような歴史的な出来事に関する問題と今回の世界遺産登録というのは、登録を期待しておられる多くの国民の皆様からしてみれば全くこれは別次元の話であって、当局におかれましては、世界遺産登録の実現に向けて、強い期待を抱いておられる国民の皆様にどうか応えていただきたく、最大の努力を講じていただきたいと強く希望をいたします。

 そのためにも、そういった反対意見に対して、丁寧な対応も含めて、当局におけるこれからの対応をお聞かせいただければと思います。

小泉大臣政務官 吉田先生から御指摘ありました反対の意見ということに対してでありますが、今回、明治日本の産業革命遺産、この構成する一部の施設におきまして、朝鮮半島出身の旧民間人徴用工、これが従事していたことから、韓国が本件遺産の世界遺産登録に対して反対を表明しております。

 ただ、この対象となっている遺産は一八五〇年代から一九一〇年でありまして、さきの大戦中、一九四〇年代の朝鮮半島出身の旧民間人徴用工の問題とは、対象とする年代や歴史的な位置づけ、その背景が異なります。本件遺産はあくまでも一八五〇年代から一九一〇年までの産業遺産としての顕著な普遍的価値に着目をして推薦したものでありますから、イコモスから世界遺産登録という勧告が今般なされたものであります。

 ですので、世界遺産委員会においてイコモス勧告を尊重してこの推薦案件が技術的、専門的見地から審議されて、勧告どおり世界遺産登録が決定されることを期待しております。

 この点については、韓国はもちろんでありますが、世界遺産委員会委員国に対して十分な説明をして理解を求めていくことが極めて重要だ、そう考えております。

吉田(宣)委員 本当にありがとうございます。

 先ほどの説明からも、遅くとも七月の上旬までには審査結果がわかるということでございます。晴れて世界遺産登録をされれば、これはもう地域の宝から国の宝へ、国の宝から世界の宝へと、その価値が飛躍的に高まるわけでございます。

 これを、地域発展や地域活性化、それから、これからの地方創生へと生かしていかなければならないと思うのですけれども、登録を見据えた国の取り組みについてお聞かせいただければと思います。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 世界遺産に登録されました構成資産が所在する地域では観光客が劇的にふえておりまして、例えば、昨年世界遺産に登録された富岡製糸場では来場者数が昨年の四倍の百三十三万人となっているなど、先生御指摘のように、世界遺産の活用は地域の活性化に大いに貢献するものと考えております。

 こうした世界遺産の観光面や地域振興の面への効果を中長期的に継続、発展させていくために、平成二十七年度予算におきまして新たに、世界文化遺産活性化事業として二億一千万円を計上いたしまして、世界文化遺産に登録された地域に対して、情報発信、普及、保護活動等を支援することとしております。

 この事業は世界文化遺産に特化した初めての国家補助事業でございまして、文化庁としては、地域が地方創生の観点から世界文化遺産を活用して創意工夫し、さらなる魅力の向上と地域の活性化を図っていけるように積極的に支援してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 小泉政務官、わざわざお越しいただいて本当にありがとうございました。もう次の答弁はございませんので、ありがとうございました。

 次の質問に入らせていただきます。

 先般、オリンピック・パラリンピック競技大会特別措置法案とラグビーワールドカップ大会特別措置法案につきまして、現在参議院に送られているところでございますが、本日は、特にラグビーワールドカップに関連し、青少年の健全育成に向けたラグビー教育の普及とその環境整備及び地域振興との関連づけを質問させていただきたいと思います。

 さて、ラグビーは少年をいち早く大人にし、大人にいつまでも少年の心を宿す、これは、私が昨年十二月に衆議院議員に初当選をさせていただいた直後、ある鹿児島のラガーマンからいただいた言葉でございます。ラグビー精神を象徴的に表現した、実に趣深い、心にしみ入る言葉だと私は思うのですけれども、せっかくの機会でございますので、副大臣に、御感想があればお聞かせいただければと思います。

丹羽副大臣 委員御指摘のとおり、ラグビーは格好いいですよね。私も、もっと肉体的な能力があったらラグビーをやってみたいなという思いもあったかもしれないんですが、どうしても背が小さくてこういう体形ですので、向かなかったかなというふうに思います。

 また、ラグビーというのは、やはり友情やチームプレーを大事にするスポーツであるというふうに考えております。先ほど委員がおっしゃいましたお言葉の中で、ラグビーは子供をいち早く大人にし、大人にいつまでも少年の心を宿すという、これはまさにラグビーの精神のあらわれではないかというふうに思っております。

 二〇一九年にラグビーワールドカップが日本国で開催されますが、そういった機会に触れて、また子供たちにスポーツの精神をしっかりと培っていけるような指導をしていきたいというふうに思います。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 ラグビーワールドカップにおいては、これはもう日本に本当に活躍をしてほしいと心から願うものでございますが、そのためには日本の競技力の向上が不可欠だと思います。そして、この競技力の向上を促すためには、競技人口の大部分の土台をなす高等学校教育の現場、その環境整備というものが極めて重要ではないかと思うわけでございます。

 例えば、ラグビー教育の現場ということになれば、これはグラウンドの整備ということになるかと思います。この点、欧米や南半球諸国ではグラスフィールドや人工芝が一般的だというふうにお聞きをしております。

 また、先ほども申し上げましたが、私の地元の熊本県の荒尾市、荒尾高校というところで体育教師をしておる一人がいるんですけれども、私の高校のときのクラスメートだったわけですが、今般いろいろとお話しする機会もありまして、熊本のラグビー教育、またその普及にも一生懸命力を尽くして、その荒尾高校を何回も花園に導くなど、実績も上げております。その彼いわく、学校のグラウンドが人工芝やグラスフィールドであれば、その競技力の土台の強化について、もう言葉で言いあらわせないぐらいのメリットがあるというふうに言っております。

 そこで、学校のグラウンドの芝生化、特に、ラグビーワールドカップの開催に向けて土台を強化していく趣旨で、また、将来のラグビー普及における意味でも文科省としてそういった環境整備のお考えがないのかどうか、お聞かせいただければと思います。

久保政府参考人 ラグビー教育の推進には、地域の身近なスポーツ活動の場となります学校のグラウンドの芝生化など、地域のスポーツ環境の整備が必要であると考えております。

 文部科学省では、従前から、義務教育諸学校のグラウンドの芝生化に対しては国庫補助による支援を行ってきているところであります。それに加えまして、独立行政法人日本スポーツ振興センター所管のスポーツ振興くじ助成におきましても、地方公共団体等が行われます学校や地域のグラウンドの芝生化等の整備に対し支援をしてきているところでございます。

 今後、これらのニーズが高まってくるにつれましてこの支援も充実していく必要があると思っておりますし、こういった支援を通じまして、地域におけるスポーツ環境の整備を一層推進してまいりたいと考えているところでございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。いろいろと壁もあるかと思いますが、私もしっかりお役に立ってまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 ところで、ラグビーワールドカップの開催地には、岩手県の釜石市が開催地として決定をしております。ちなみに、この釜石市にも先ほどの世界遺産登録の構成遺産が含まれておりますが、このラグビーワールドカップの開催を一つの復興のシンボルとして特にこの点が強調されて復興がなされていくべきかと思いますが、釜石市開催について復興との関連で特に文科省として意識していることがございましたら、お教えいただければと思います。

久保政府参考人 釜石市は、北の鉄人と呼ばれた新日鉄釜石という伝説のチームの誇りやレガシーを受け継いだ地域でもございます。今回、釜石市が開催都市として選ばれた理由の一つとして、釜石市市民の熱い思いがあったと聞いております。

 釜石市で大会を開催しますことは、東日本大震災からの復興のシンボルとなり、被災地の方々を勇気づけ、地域の活性化を促進するなど、復興を加速することにもつながります。また、日本の復興を世界にアピールするよい機会になるとも考えてございます。

 釜石市では、大会開催のために新たなスポーツ施設の建設が必要となっておりまして、文部科学省といたしましても、スポーツ施設の国庫補助や芝生の整備等、スポーツ振興くじ助成を有効に活用しながら、地元のニーズを十分に把握して、ラグビーワールドカップ組織委員会と連携しつつ、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

 また、県や地元のスポーツ団体、財界からの幅広い支援も受けられるように、地元での大会の機運の醸成についても支援してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 時間が参りましたのでもう終わりますけれども、ラグビーワールドカップは、ほかにも、埼玉県の熊谷市、静岡県、福岡市、大分県など、もちろん東京もございますが、開催が決定しております。こういったせっかくの機会でございますから、そういった開催を地域振興にしっかりつなげていくべく私も頑張ってまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

福井委員長 次回は、来る五月十五日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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