衆議院

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第9号 平成27年5月15日(金曜日)

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平成二十七年五月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 福井  照君

   理事 池田 佳隆君 理事 石原 宏高君

   理事 冨岡  勉君 理事 萩生田光一君

   理事 義家 弘介君 理事 郡  和子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      尾身 朝子君    大見  正君

      勝沼 栄明君    門山 宏哲君

      神山 佐市君    工藤 彰三君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      谷川 とむ君    馳   浩君

      船田  元君    古川  康君

      古田 圭一君    前田 一男君

      宮川 典子君    村井 英樹君

      山下 貴司君   山本ともひろ君

      菊田真紀子君    後藤 祐一君

      中川 正春君    平野 博文君

      松本 剛明君    笠  浩史君

      坂本祐之輔君    鈴木 義弘君

      初鹿 明博君    中野 洋昌君

      浜地 雅一君    大平 喜信君

      畑野 君枝君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   岡本  宰君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福島 靖正君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     山下 貴司君

  小林 史明君     村井 英樹君

  鳩山 邦夫君     勝沼 栄明君

  笠  浩史君     後藤 祐一君

  吉田 宣弘君     浜地 雅一君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     鳩山 邦夫君

  村井 英樹君     小林 史明君

  山下 貴司君     安藤  裕君

  後藤 祐一君     笠  浩史君

  浜地 雅一君     吉田 宣弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

福井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省理財局次長岡本宰君、文部科学省高等教育局長吉田大輔君及び厚生労働省大臣官房審議官福島靖正君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本剛明君。

松本(剛)委員 独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思っております。

 法案については、私どもも既に態度を申し上げているわけでありますが、行政改革のある意味では一環ということで進められておると思います。

 大臣にぜひお願いをしたいと思っておりますが、やはり行政改革は不断の努力ということが必要であろうかというふうに思いますので、この法案による統合も行政改革の一歩であって、またその先へぜひ進めていただくということで、きょうはその視点から何点かお願いをさせていただきたいと思っております。

 特に、この統合前の二法人は、既に中期目標管理法人ということで中期目標、計画を設定されておるわけでありますが、独立行政法人通則法の三十五条で、中期目標の期間が終わった時点でどうするかということで、「主務大臣は、独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずるものとする。」ということでありますので、平成三十年度までの中期目標、計画になっていたと思いますが、三十年度の中期目標終了時においてということであれば、もうその準備を始めるとすれば、すぐにまた次の改革へ向けて方向を出していただいて、御指導をぜひいただきたいということで、きょうは何点かお伺いをしてまいりたいと思っております。

 まず、今回の統合でありますが、行政改革という視点からすると、効率化を進めていただかなければいけないということになると思いますが、これによりまして、役員、職員、そして拠点などはどのように整理をされる計画なのか、伺いたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回の両法人の統合に当たりましては、現在の両法人の役員数の合計は九名となっておりますけれども、これから四名、理事長一名、理事一名、監事二名、その分を削減いたしまして、統合後の法人の役員数は五名とする形にしております。

 また、管理部門の統合によります事務の合理化、効率化等によりまして、職員につきましても効率化を図りますとともに、予算の面についての効率化も図ってまいりたいと考えております。

 また、統合後の法人の主たる事務所についてでございますけれども、東京都小平市に所在いたします既存の大学評価・学位授与機構の事務所を活用することといたしまして、千葉県に所在いたします国立大学財務・経営センターの事務所は廃止をする予定としております。

 今般、法案をお認めいただいた場合には、平成二十八年四月の統合に向けまして種々の検討を進め、統合効果を最大限に発揮し、効率的、効果的な事業運営を行うことができますよう、法人体制のさらなる精査をしてまいりたいと思っております。

松本(剛)委員 独立行政法人国立大学財務・経営センターの千葉の拠点は廃止をするというお話でありました。統合による効果ということになろうかというふうに思いますが、着実に進めていっていただきたいと思います。

 続いて、それぞれの業務を、今回は引き続き行うこととなっている業務でありますが、今後どうするのかという視点から、ぜひ何点か伺っていきたいと思っております。

 まず、独立行政法人国立大学財務・経営センターの施設費貸付事業ということでありますが、これは、財政投融資からの資金で貸し付けるのが主たるものになっているというふうに理解をしております。結局、センターは、いわば通るだけ、トンネルというような形になっているということにはならないでしょうか。

吉田政府参考人 国立大学財務・経営センターが行っております施設費貸付事業、これは、センターが一括して財政投融資資金を借り入れまして、そこから大学に貸し付けをするという、一つのワンストップの処理をしております。

 このことによりまして、各大学の財務状況等にかかわらず、全国の国立大学の資金調達を可能とするほか、償還の方もセンターが一括して行うことによりまして、財政投融資資金の償還確実性を担保することが可能となるものと考えております。

 また、センターが施設費貸付事業を一括して行うことによりまして、各大学の事務的な負担軽減、あるいは関係省庁との事務手続の効率化、そういった面におきましても効果があるものというふうに認識をしております。

松本(剛)委員 いわば財政投融資からセンター、そして個別の独立行政法人ということであれば、センターがいわば間接金融を行っているようなものだろうというふうに思いますが、普通はそういう場合であれば、今も償還確実性という言葉がありましたが、センターが一定のリスクを引き受けるということで存在をするとすれば、その意義がないわけではないと思います。

 もしそこにリスクがあるとすれば、今度は、センターは例えば貸倒引当金を積むとか、そういう形でリスクをカバーしてこそ役割を果たすというふうになると思いますが、センターは貸倒引当金を積んでおりますか。

吉田政府参考人 貸倒引当金の関係でございますけれども、センターはこの貸倒引当金は積んでおりません。

 その理由につきまして、さらに申し述べたいと存じます。

 引当金につきましては、独立行政法人会計基準の「第十七 引当金」というところの箇所の第一項におきまして、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合には引当金を計上する、こういう方針になっておりますけれども、一方で、発生可能性の低い偶発事象に係る費用または損失については引当金は計上することができない、こういった仕組みになっております。

 センターが実施をしております施設費貸付事業につきましては、附属病院の施設設備の整備等に必要な資金の貸し付けを行うこととされておりまして、安定した診療収入が見込まれ、償還の確実性が確保されているというふうに認識をしております。

 また、国立大学法人への貸付金については、これまでも貸し倒れが発生した事実はなく、優良な債権であるというふうに認識をしておりまして、今後も貸し倒れが発生する可能性は極めて低いため、センターでは貸倒引当金を計上することができない場合に当たるというふうに考えております。

松本(剛)委員 センターとして、国立大学法人の病院事業ということになりますけれども、償還は一定以上の確実性がある、よって貸倒引当金を積まずに来る、こういう運びになっていると思いますが、とすれば、償還確実性のためにまとめてセンターがなければいけないということにはならない、個々の貸し出しも一定以上の償還確実性があるとセンターとしては考えている、こういうことになりますから、そうなると、センターの意義として、償還確実性を財投に対して担保するためということは余り理由にならないということになってくると思います。

 国立大学法人の事務負担軽減というお話でありましたが、国立大学法人という形でそれぞれやっていただく以上は、それぞれにやはり財務機能は持っていただかなければいけませんし、これから個々の資金調達ということも考えていただくことは、大学法人にしていった以上は必要なことになってくるとすると、一定以上の財務の仕事は当然していただかなければいけないわけでありますから、センターの存在意義、この貸付事業というのを行う意義というのは十分一度見直す価値があるというふうに考えられるのではないかというふうに思います。

 財務省にお伺いしますが、財投から国立大学法人に貸すということは可能でしょうか。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 財政融資資金を運用することが可能な対象は、財政融資資金法第十条第一項各号に列挙されております。国立大学法人は、同項第七号に規定いたします、特別の法律により設立された法人で、国、政府関係機関等及び地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行し得るものに該当するため、個別の国立大学法人に財政融資資金を直接貸し付けることは可能でございます。

松本(剛)委員 財政投融資も貸し出しでありますから、償還の確実性というのは一定程度以上問われると思いますが、今お聞きをいただいたように、センターから見て償還確実だと思われる形で貸しているものでありますので、著しく見解が違うということにはならないというふうに私は思いますが、財務省に今コメントを求めても大丈夫ですか。

岡本政府参考人 理財局といたしましては、文部科学省の要求に沿って審査をさせていただいて、償還確実性が認められる場合には財政融資資金をお貸ししているということになります。

 国立大学法人等の附属病院整備等に必要な資金の貸し付けにつきましては、要求官庁でございます文部科学省から、独立行政法人国立大学財務・経営センターを経由した貸し付けで要望されておりますので、財務省といたしましては、その当該要望を審査して認めてきたというところでございます。

松本(剛)委員 これ以上お聞きをしても、多分あとは個々の判断という答弁になるだろうというふうに思いますが、私も金融機関に勤務をいたしておりましたので、その事業に対しての償還の可能性と、その当該貸出対象の法人の財務状況等を総合的に勘案して貸すということになると思います。

 この施設費貸付事業、平成二十二年の独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針という閣議決定でも、将来的に貸付事業については廃止の方向で検討するというふうにうたわれたこともあります。三十年度の中期目標が終わった時点で、また、国立大学法人というのを、それぞれしっかり頑張ってもらわなきゃいけないという視点からも、財務をどうするのか。今ここで大臣に即座に廃止を確約しろと申し上げる気はありませんが、一度、今後のために検討する余地はあるというふうに考えますけれども、また、特に行政改革はトップダウンで御指示をいただかないと検討もなかなか始まらない、こういうふうに思いますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 今の質疑を聞いておりますと、松本委員が言われていることはもっともだなという感じもいたしますが、その前に、局長の方からこれについての答弁があればさせていただいて、それからコメントさせていただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 国立大学法人みずからが民間金融機関等も活用いたしまして直接融資を受けるということは、これは今の制度でも可能なのでございますけれども、先ほども申し上げましたように、債務の償還確実性という点以外に、各大学によりまして、やはりその財務状況というのが違いがございます。

 ただ、全国の大学附属病院の再開発等、これにつきましては、その地域にかかわらず、やはり一定の水準以上のものを確保していかなければならない、こういった要請も一方であるわけでございます。

 私どもとしては、各大学の財務状況等にかかわらず、全国の国立大学が資金調達が可能になる、そういった仕組みを整備する必要があるだろうと思っておりまして、そういう意味で、やはり、センターを通じた一括の借り入れと貸し付けというこれまでのスキームについては今後もこれを維持していきたい、こういうふうに考えております。

松本(剛)委員 局長が答弁すると、維持していきたいということに当然なるだろうというふうに思いますし、現段階で、先ほど申し上げたように、大臣に確約を求めるあれではないと思いますが、多少なりとももっともだなと思っていただいたのであれば、一度ぜひ省内でしっかり御検討いただきたいということを要請して、次の、業務の確認に入っていきたいと思っております。

 委員長の方がよろしければ、財務省の方はもうこれで、私の方は要請は終わりですので。

 次に、大学評価・学位授与機構の大学の認証業務について伺いたいと思います。

 現在、認証評価機関は、当該独立行政法人と二つの公益財団法人の民間機関、合計三つで行われているというふうに承知をしております。お手元に、各三つの機関がどのぐらいこの間認証事業を行ってきたかというのを配付させていただきました。ごらんをいただきたいと思っておりますが、二つの民間機関もそれなりに役割をしっかり果たしてきているのではないかというふうに思っております。

 そこで、まず状況についてお伺いをしたいと思います。

 三つの機関、認証のいわば基準というものはベースをそろえていただいていると思っておりますが、そういう理解でよろしいのかどうか。そして、民間と独立行政法人でどのように役割分担をしているのかということを、あわせてお伺いしたいというふうに思っております。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 認証評価機関が行います際の評価基準につきましては、各評価機関みずからが大学評価基準を定めるということにはなっておりますが、大学評価基準の大枠につきましては、文部科学省令で定めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、各機関の大学評価基準が学校教育法等の法令に適合していること、また、評価すべき項目として、大学の特色ある教育研究の進展に資する項目や、あるいは教員組織、教育課程等に関する項目などが定められているところでございまして、この範囲内におきまして各認証機関は具体的な基準を定めることとなっております。その意味では共通する部分も多々ありますけれども、具体的な評価基準の細部におきましては各評価機関においての違いはある、こういうことでございます。

 そこで、さらにこの三つの評価機関、御紹介いただきましたけれども、現在、独立行政法人大学評価・学位授与機構のほかに、公益財団法人の大学基準協会、また公益財団法人日本高等教育評価機構、これが大学の評価ということに当たっております。

 これらの認証評価機関はそれぞれ独立した関係にございまして、先ほど申し上げましたような基準も踏まえながら、それぞれの理念等に基づいた評価活動を行っているところでございますが、各評価機関の特色ということで挙げさせていただきますと、例えば大学評価・学位授与機構では、一般の認証評価ということに加えまして、各大学からの求めに応じて、研究活動の状況、地域貢献活動の状況、あるいは教育の国際化の状況に関する選択的な評価を実施するということを行っております。

 また、大学基準協会では、理念、目的、教育目標がどの程度達成されているかという視点から、いわゆる達成度評価、これを重視した評価を行っているという特徴がございます。

 また、日本高等教育評価機構では、各大学の教育研究活動等の質の改善を志向するという観点から、定量的指標のみならず、その活動内容に対する定性的な評価を重視した評価、こういったものに取り組んでいるという特徴があります。

 このような形で、それぞれの評価機関が特色を持った評価活動を行っているという現状にございます。

松本(剛)委員 特色はお持ちですけれども、ベースはそろえていただいて認証評価をしていただいているというふうに理解をいたしております。

 お聞きをしておきたいと思いますが、二つの民間の公益財団法人大学基準協会、公益財団法人日本高等教育評価機構は、これはいずれも構成員は、各大学がいわばその構成員となってつくられている財団というふうに理解をしております。つまり、評価をする財団の構成員が大学になっていますが、今度、評価をされる大学もその大学ということになるんですが、そのあたりは大丈夫だという理解でよろしいんですか。

吉田政府参考人 ただいま委員御指摘の御懸念というのは、その評価の公正性ということに関するものであろうかというふうに思います。

 この評価機関を文部科学大臣が認証する際の一つの要件として、学校教育法では、認証評価を公正に実施するための体制が整備されているかということが求められております。

 こういったことを踏まえまして、各認証評価機関におきましては、具体的な評価に当たりまして、大学の教育研究活動に知見を持つ大学教職員を中心に、専門的な知見を駆使した評価、いわゆるピアレビューというものを行っておりますけれども、その際、評価対象校の関係者は評価に携わらせない、また、大学の教職員以外の有識者をも配置した上で評価を行うなど、公正な評価を行うための仕組みを導入しているところでございます。

松本(剛)委員 その点はしっかりやられているということであるとすると、民間で二つ既に公益財団法人が認証評価をしているとすると、独立行政法人でやらなければいけない理由がどこまであるのかどうかということがやはりこれから先問われなければいけないのではないかというふうに思います。

 平成十九年十二月ですから福田内閣だと思いますが、このときの独立行政法人の整理合理化計画で、「民間の認証評価機関のみでも対応可能となった分野から、順次、廃止又は休止する。」というふうに定めておられますし、「また、それまでの間にあっても、業務全体の効率化を図るとともに、すべての高等教育機関を対象とする認証評価制度の普及・啓発のための先導的な取組に関する部分を除き、民間と同様に原則として手数料収入で必要な経費を賄うよう、運営費交付金を段階的に縮減する。」こうなっております。

 直近でいただいた二十五年度の損益計算書を拝見すると、大学評価事業の経費は四億二千四百万で、手数料収入は二億七千七百万でありますから、先ほどの十九年の決定でも、民間と同様に原則として必要な経費を賄うようということからくると、四億二千四百万と二億七千七百万ですから、大分足らないという状況にもなってきているわけであります。

 実際にどこの大学が独立行政法人の認証を受けているのかというと、ほとんど国立大学なんですね。うがった見方かもしれませんが、私立はほとんど民間に行っているということからすると、国立大学はやはり文部科学省所管の行政法人の顔を立てないかぬかなということでそちらへ回っているのではないかなと。実際に独立行政法人の認証を受けている国立大学法人であっても、民間の公益財団法人の構成員に既になっている大学も出てきていることも考えると、これから先、やはりこの認証評価業務ということは、一定程度見直しをしていく必要があるというふうに思っております。

 この中期目標でも、恐らくこういう指摘を予見しておるのではないかと思います。先導的な役割に特化すると既に書いておられますが、先ほどお配りをした資料を見ていただいてもわかるように、この認証事業そのものも、実は独立行政法人が後からスタートをしておりまして、大学基準協会などの方が先にスタートをしているわけでありますし、ボリューム的にも十分になってきておりますし、先導的役割というのは、やはり最初のいわば一周目を見るようなものだと思いますが、七年置きですかね、求められている認証はたしか七年だったと思いますが、もう既に一巡もしてきているということからすると、そろそろ先導的役割というのも一つの区切りを迎えてもいい時期ではないかというふうに考えますが、いきなり大臣にコメントを求めても、局長にまず聞いてくれ、こういう話になるようですから、局長に聞いていただいて、大臣にコメントを求めたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 この機構は、今委員の方からも少し御紹介ありましたけれども、平成十二年度より、国立大学における教育研究等の状況に関する第三者評価といったものを開始をしております。こういった実績を踏まえまして、平成十六年度から、文科大臣の認証を受けた認証評価機関の一つということで今活動してきているということでございます。

 先ほど御紹介のありました、平成十九年の独立行政法人整理合理化計画のときにおきましても、民間の認証評価機関で対応可能となった分野から民間に委ねることとされておりまして、平成二十三年度からは、短期大学に対します評価業務、これは廃止をしたところでございます。

 しかしながら、短期大学以外の認証評価につきましては、直ちに現状の民間の認証評価機関の体制では全ての評価を実施するということも困難な部分がございますので、引き続き認証評価機関としての役割を機構として果たしつつ、環境が整った段階で民間に委ね、機構が行う評価というのは、まさにこういった評価に関する調査研究も含めまして先導的な部分に特化をしていく、そういったものも将来的には考えられるかと思いますが、そういった将来に向けまして、あり方については検討してまいりたいと考えております。

下村国務大臣 これは松本委員の資料も見させていただきましたが、確かに、民間の大学基準協会それから日本高等教育評価機構、それぞれの実績が高まっている中で、いつまでもこの大学評価・学位授与機構の存在を維持することが必要なのかどうかということについては、行革的な観点から、また、民間で既にカバーできるような体制がますますできるのであれば、これはもう行革の対象に十分なり得ると思います。

 そういう視点から今後しっかりと検討してまいりたいと思います。

松本(剛)委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 やはりトップから、廃止することも含めて一度検討しろぐらいおっしゃっていただかないと、なかなか行革は俎上に上らないというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 もう時間的に最後になると思いますが、学位授与の業務についても一点申し上げていきたいと思います。特に省庁大学校の修了者に関する学位授与ということであります。

 これは、いわば省庁大学校を組織としてというんでしょうか、課程というのかな、それを全体として評価して、それなりのものであれば、今度は、一応、個人がその課程が終わっているかどうかを確認して学位を授与する、こういう仕組みになっているというふうに理解をいたしておりますが、結果としては、最初に全体として評価をしているということがあるからということだと思いますが、この数年間は申請者は一〇〇%学位が授与されているというふうに理解をしておりますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

吉田政府参考人 省庁大学校の修了者につきまして学位を授与するという際には、それぞれの省庁大学校の課程の審査、それから、修士、博士ということにつきましては、各個人の学力審査といったものもあわせて行うという形にしております。

 結果といたしましては、委員御指摘のように、ほぼそれぞれの申請者がこの学位に相当するという形になっておりますが、博士課程につきましては、若干、年によりまして、申請はされたけれども認定されなかったというものもございます。

松本(剛)委員 課程を一定程度認定をするというか審査をするということで、また、個々の学力も審査をするということですが、通常の大学でも、修了者もしくは卒業者に対しては、当然各大学が、きちっと単位が取れているとかいうことも含めて、どの課程が修了しているかということを見るということになると思いますので、その意味では、各省庁の大学校も、当然、当該学生に対して、修了しているという以上は、課程が終わっているかどうか見ているという意味では、課程と個々の関係ではきちっとやることはやっているというふうになると思います。

 では、その課程をどう認定するのかということで、学校教育法上に言うところの大学は、いわば設置基準などという形で、しっかり大学としてのものであるかどうかということを確認していると思いますが、省庁大学校の課程を審査というのは同じようなものだという理解でよろしいですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 各省庁大学校の課程につきましては、大学評価・学位授与機構が認定をしていくわけでございますけれども、その際には、文部科学省が行う大学の学部等の設置審査に相当するような形でその内容の審査を行っております。

松本(剛)委員 持ち時間が尽きようとしておりますのでこれで終わりにしたいと思いますが、大学は、文部科学省がいわば大学であるということを確認して、今度は個々の大学がその卒業生であるかどうかを認定して学士を授ける。省庁の大学校については、学位授与機構が大学並みであるということを確認して、そして個々の学生についても、今は一応学位の授与に関与するという仕組みをとっておられるわけでありますが、縦割りの感覚をなくすれば、各省庁大学校が大学並みであるかどうかを文部科学省が確認さえしていただいたら、直接卒業生に学士を渡すということも、これは学校教育法とか幾つか法律を変えなきゃいけないことにはなってくると思いますが、そういうことも今後は検討していただく余地があると私は思いますけれども、いかがでしょうか。

 実際に卒業生にとっても、世の中で余り聞いたことのないと言うと語弊がありますが、独立行政法人大学評価・学位授与機構から学士をもらったと言われても、なかなか、説明をしなきゃいけないわけで、各省庁大学校でちゃんと卒業して学士だと言われた方が卒業生もやる気が起きるというふうに思います。

 各省庁大学校ということは、省庁の附属機関です。学校教育法になったら、文科省の所管の法律ですから、非常に縦割りの壁をどこかで破らなきゃいけないところがあると思います。今後検討の余地があると思いますがいかがでしょうかということを局長に一言いただいて、大臣に結びにコメントをいただいて、終わりたいと思います。

 以上です。

福井委員長 吉田局長、簡潔に御答弁いただきます。

吉田政府参考人 学位につきましては、やはり、これまで学位ということについて積み上げられてきました国際的な原則といったものを尊重する必要があろうかと思います。

 各省庁大学校は、本来的な目的が各省の政策目的に応じた人材養成ということになっておりますので、各省庁大学校が大学と同様にみずから学位を授与できる機関とすることについては、こういった国際的な原則との関係でなじまない部分があろうか、こういうふうに思っております。

 ただ、やはり一方で、各省庁大学校の方で学習をされました履修の成果、それが社会的に適切に評価するように、そういう意味合いで大学評価・学位授与機構による学位授与の仕組みを開いているというところでございます。

福井委員長 では、大臣も簡潔にお願いいたします。

下村国務大臣 なぜ大学に対して各省庁は大学校かというところが、これはやはり、基本的な学位の位置づけの違いであるというふうに思います。

 大学校というのは、つまり、各省の政策目標に応じた人材養成であり、個別の設置根拠法令に基づいて置かれる機関であるということでありますから、この大学校の位置づけをどうするかというところから考えていく必要があるのではないかと思います。

松本(剛)委員 終わります。

福井委員長 午前十一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時開議

福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。初鹿明博君。

初鹿委員 維新の党の初鹿明博です。

 午前中に続きまして、独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 午前中の松本議員の質疑を聞いていても、貸付事業についてはやはり考え直した方がいいのかなというのを非常に強く改めて感じまして、資料で事業仕分けのときの資料をつけているんですが、御承知のとおり、民主党政権時代の事業仕分けでかなりこてんぱんにやられているんですよ。廃止、そういう判断だった。まだいらっしゃいませんが、菊田さんが仕分け人もやっていて、かなり厳しい指摘を受けておりまして、業務を縮小したとはいえ、それでもなお、今回、合併するに当たって引き継いでいくということになっているわけですね。いささか私もどうなのかなというのを感じています。

 もちろん、二つの法人を一つにしていくというのは、行政改革の中で進めていくべきことであるし、そのこと自体を否定するものではないんですが、やはり、そこで行われる業務というのはもう少しきちんと精査をしていくことが必要ではないかという視点で、先ほどの質疑の答弁も踏まえて幾つか指摘をさせていただきたいと思います。

 まずその前にですけれども、合併される方の国立大学財務・経営センターの今の本部について少し質問をさせていただきます。

 今、写真をつけているんですけれども、千葉の幕張の放送大学の中にあるんですが、大臣も行ったことはないですよね、当然。私もなかったんですけれども、質問するに当たって、一度も行かないで質問するのもどうかなと思いまして、ちょうど連休の谷間に行ってきたんですよ。ここで写真を撮ってきました。

 ちょうど放送大学の入り口のところに、車で入っていこうとすると受付があるんですね、守衛さんがいて。ここの法人を訪ねたいんだけれどもと言ったら、ありませんと言うんですよ。ないんだと言うわけですよ。いや、そんなことはないはずです、部屋があるはずですというやりとりをしていたら、人は誰もいませんよと言うんです。誰もいないんだそうですけれども、でも部屋はある、ではちょっと見せてくれ、見たいんですと言って名刺も出して、質問をするに当たってという説明をして、では、放送大学の総務課で一応確認をとってくださいということで上がっていきました。

 そうすると、写真をつけていますけれども、一階の階段の横にもでかく国立大学財務・経営センターと書いてあるし、二階にも書いてあるし、三階のフロア案内にもちゃんと書いてあるんですよ。変わっていないんですよ。ところが三階には、4の写真ですけれども、これより先は関係者以外立入禁止となっていて、その奥に部屋があって、部屋にはこの5のように、扉にこういうふうに掲示がされております。移転をしたということが書かれているんです。

 まずお伺いしたいんですけれども、本部に勤務している職員、現在何人ですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 国立大学財務・経営センターの千葉本部の事務所には、現在、東京連絡所での勤務と兼務する職員一名が配置されております。

初鹿委員 兼務する職員が一名配置されていると言いますけれども、そこに行っているわけじゃないですよね。行くことはあるんですか。

吉田政府参考人 常時行っているわけではございませんが、行くことはございます。

初鹿委員 ホームページにも書いてあって、訪ねていったり電話をかけたりする人というのはいるんじゃないかなと思うんですけれども、訪ねていって、それで、なかったといって苦情か何かが来たことというのはあるんでしょうか。

吉田政府参考人 そういったことがあったとは聞いておりません。

初鹿委員 まず、電話は置かれているけれども、転送になっているんですよね。転送ですよね。郵便物も転送になっているんですか。

吉田政府参考人 そこは転送されていくことになっています。

初鹿委員 では、常駐をしなくなってどれくらいたつんでしょうか。

吉田政府参考人 兼務という形になりましたのは、平成二十四年八月からでございます。

初鹿委員 では、随分長い間、ほとんど人がいないで、鍵もかかったままの状態でこの事務所が存在をしていたということですよね。その間、賃料は支払ってきたんでしょうか。

吉田政府参考人 放送大学学園に対しまして賃料は支払ってきております。

初鹿委員 それは月なのか年間なのか、お答えいただければと思いますが、年間で幾ら払っているんですか。

吉田政府参考人 年額でございますけれども、平成二十七年度におきましては百十万円という形になっています。

初鹿委員 つまり、今回のこの法律が通っても、施行されるのは来年の四月からということですよね。ということは、四月までは誰もいないままの状態で賃料を払い続ける、そういう理解でよろしいわけですよね。

吉田政府参考人 その点につきましては、やはり経費の節減という観点から、借用面積の見直しなどについて検討を行っているところでございます。

初鹿委員 普通、やはり民間企業じゃ考えられませんよ。ほぼ一年間、誰もいない、全く使っていないそういう事務所に百万以上のお金を払ってきているわけですよ、現状。このお金というのは何ですか。運営費交付金から払われているわけですよね。そうですよね。

吉田政府参考人 そのとおりでございます。

初鹿委員 ということは、税金なわけですよ。ここで法律が通っても、皆さん聞いてくださいね、使わないのにさらに百万円払うんですよ。おかしいと思いませんか。誰も訪ねていかないし郵便物もないし、電話だけちょこっと置かせてもらって転送すれば済む話ですよ。そうしたら放送大学に賃料を払う必要もないんですよ。

 私、行って放送大学の人と話をして、三階にたくさん何か使っているように見えるんですけれども、本当に一室なんですよ。ほかのところはもう既に放送大学で使っているんですよ。この一部屋も使いたいんじゃないですかと言ったら苦笑していましたけれども、恐らく、何か一部屋だけ使えなくなっているのには向こうも違和感があるんじゃないかなと思うんです。

 ですので、ぜひこの本部の事務所、法律が通ってなくなっても、現状でも使われていないわけですから、百万円をどぶに捨てるようなことをやめて、ちょっと見直しをしていただきたいと思うんですけれども、まず大臣に、いかがでしょうか。

下村国務大臣 民間的な感覚からいって、おっしゃるとおりだと思います。どんなふうな見直しができるか、指示したいと思います。

初鹿委員 百万といっても、それは全体の運営費からすれば微々たるものかもしれませんけれども、百万といったら百万ですからね。それこそ従業員のボーナスを少しでも上げた方がいいんじゃないかというぐらいに思うような金額ですから、少しこれは真剣に考えていただきたいと思います。

 それでは、今度は業務の中身の問題に入っていきますけれども、私もこの施設費貸付事業についてこのまま継続するのはいかがなものかと考えておりまして、その視点で質問をさせていただきます。

 先ほどの松本議員の質疑の答弁を聞いていてあれっと思ったんですけれども、貸倒引当金を当てていない、積んでいないというお話でしたよね。その理由として、独立行政法人会計基準によると、発生可能性が低い場合はこれを計上できないということだという答えだったと思うんですが、それでよろしいんですか。

吉田政府参考人 そのとおりでございます。

初鹿委員 ということは、償還がされないということはほぼない、ちゃんと返ってくるものだ、そういう理解でよろしいんでしょうか。

吉田政府参考人 はい、その債務償還の確実性が高いものであるということでございます。

初鹿委員 では、その理由としては、病院施設であるから診療報酬で確実に収入が入ってきて、それで返済が可能である、そういう理解でいいわけですよね。よろしいですか、それで。

吉田政府参考人 センターの実施しております施設費貸付事業につきましては、国立大学附属病院の再開発整備あるいは設備の設置などを対象としております。その償還財源といたしましては、附属病院の診療報酬をもって充てているというようなことでございます。

 この国立大学附属病院の再開発整備事業と申しますのは、事業規模が大きく、多額の資金調達が必要でございまして、長期間の計画に基づいて実施することが必要な事業であるということで、長期間で、かつ低金利で安定した資金調達が可能な財政投融資資金を活用いたしましてセンターの貸付業務を行っている、こういうことでございます。

初鹿委員 二枚目の資料で、事業仕分けのときに指摘を受けているところの丸五番目ですけれども、「国立大学附属病院の診療施設のみを貸付事業としているのであるから、利用方法としては」云々とあって、「診療報酬で貸付を返済する以上、一般の公的病院、民間病院と有意差はないと判断される。よって、民間金融機関等で対応できるように改善しなければならない。」という指摘を受けているわけですよ。つまり、民間でも貸せるところに貸している、民業圧迫にもつながっているんじゃないかというそういう指摘ですよね、これは。

 では、仮に、長期的で低金利で融資をしなければいけないから財政融資資金を使っているんだという主張をされるとしたら、センターを通さないで、国立大学法人それぞれがみずから財政融資資金を借り受ければいいんじゃないかと思うんですが、それは法律的には可能なわけですよね。違いますか。

吉田政府参考人 国立大学法人が民間金融機関等から長期借入金を入れるということは、それは可能になっています。

初鹿委員 財政融資資金からも直接借りることは可能だということですよね。

 では、なぜ個々の法人でやらずにセンターで一括して受けなければいけないのか。その合理的な理由を説明してください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 これは先般も申し上げましたけれども、センターが一括して大学に貸し付けることによりまして、各大学の財務状況等にかかわらず、全国の国立大学において資金調達が可能となるほか、償還もそのセンターが一括して行うことによりまして、財政融資資金の償還確実性も担保することができるということ、さらに、各大学の事務的な負担軽減や関係省庁との事務手続の効率化、そういった点のメリットもございまして、そういうことを勘案いたしまして、センターによって施設費貸付事業を行っているということでございます。

初鹿委員 今、財務状況にかかわらず貸し付けができるという答えをしましたけれども、診療報酬で返済をして確実に返ってくる、だから財政融資資金で出すという、先ほどはそういう答弁をしているんですよ。財務状況にかかわらずというのは関係ないじゃないですか。病院施設だから、財務状況は関係なく、ちゃんと返済できるから財政融資資金で貸し出ししているんじゃないんですか。違いますか。

吉田政府参考人 これは財務省の方からの答弁の方がよろしいのかもしれませんけれども、財政投融資資金の融資に当たりましては、附属病院のみならず、それぞれの大学の財務状況も勘案されるというふうに聞いておりますので、そこの点も加味して考慮する必要があるかと思います。

初鹿委員 財務状況にかかわらず貸し出しができる。では、財務状況が悪い場合には貸し出しができないということが仮にあるとしたら、病院の場合は診療報酬で安定して入ってくるわけですよ。でも、この事業は病院しか対象にしていなくて、大学の施設は、例えば寄宿舎とか、ほかの施設もあるわけですよね。それについてはどうなっているんですか。どこから借りているんですか、それぞれの大学法人は。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 それぞれの大学で学生の宿舎ですとかそういったものの整備につきましては、それぞれ民間銀行などから借りている事例がございます。

初鹿委員 ここでリストを出させていただきましたが、結構、地方銀行とかが融資してくれているんですよ、民間金融機関が。

 でも、ちょっと考えてみてくださいよ。診療報酬と宿舎と、どちらが返済の確実性があるか。宿舎は、もしかしたら家賃を滞納する学生がたくさんいて、それで返済をできなくなる可能性は診療報酬の病院よりも高いと思いませんか。そういうリスクがもしかしたら高いかもしれないところは民間金融機関で現状で貸し出しができているんですよ。それで、安定して貸し出しができる病院はこのセンターを通してやっている。何か矛盾していると思いませんか。

吉田政府参考人 学生宿舎の整備に要する資金と、それから大学附属病院の再開発等に要する資金は、やはりその規模的な違いがあろうかと存じます。

 大規模病院を全面改築する場合には、一件当たり平均四百億から五百億ぐらいのオーダーで資金が必要となっておりますので、そういった多額の資金につきまして長期安定で返済をしていく、そういったことになりますと、やはり私どもとしては、財政投融資資金を活用するというのが最も適切だというふうに考えております。

初鹿委員 では、その財政投融資の資金で貸し付けをするのが適切だと言うなら、それぞれの大学で貸し付けをするのではなくてセンターでまとめてやる合理的な理由を説明してほしいんですけれども、それは合理的な理由は説明できるんですか。

吉田政府参考人 これはちょっと先般も申し上げましたけれども、センターで一括して借り入れて各国立大学に貸し付けをするという際には、各国立大学ごとの財務状況にかかわらず、安定して各国立大学が融資を受けられるということ、また、事務的な面における効率化、そういったものがあるということでございます。

初鹿委員 さっき答弁では、個々の国立大学の財務状況も確認して財務省は貸し付けできるかどうか判断していると言っているんだから、別に、センターを通す通さないは関係ない話だと思うんですよ。

 ちなみに、この貸付事業にかかわっている職員は何名ですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 この施設費貸付事業を担当する職員は、平成二十六年六月現在の数字でございますけれども、六名でございます。

初鹿委員 お一人は管理職で、五名が職員ということですよね、この前伺ったところによると。それでよろしいんですよね。

吉田政府参考人 職員の内訳でございますが、管理職でございます課長が一名おりまして、それを支える者があと五名おります。

初鹿委員 このいただいた最初の説明の資料によると、毎年大体七十から八十事業、三十五、六法人に対して七十から八十事業を融資しているということですから、一人当たりの持ち件数、十五件ぐらいですか。それでいいんですかね。

吉田政府参考人 施設費貸付事業につきましては、資金を貸し付ける側面での貸付業務、それから、今度は資金を回収する回収業務という二種類の業務があるわけでございます。

 直近の平成二十六年度の実績で申し上げますと、貸付業務関連では、貸し付けの審査、貸し付けの実行、そして抵当権の設定までの一連の業務で計百二十二件、また、回収業務の関係では、新規貸付条件あるいは承継債務案件などを合わせまして計二百五十四件の、合計三百七十六件の業務をこの職員が担当しているということでございます。

初鹿委員 では、五人で、全部合わせると六十件ぐらいを担当しているということですよね。これは、それぞれの国立大学に行ったら一つか二つぐらいになるわけですよ。そうすると、各国立大学が直接やることになっても、それぞれの法人の負担はそんなに重くならないと思いませんか。だって、今五人の職員で六十件もやれていることを、今度は一件か二件だけで、それぞれの法人はやればいいわけですから。

 そう考えると、事務負担がふえるというのは違うのではないのかなと私は思うんですよ。違いますかね。

吉田政府参考人 事務の効率化という観点に加えまして、あわせて、全国の国立大学がその財務状況にかかわらず融資が受けられる、そこのところもセンターの存在意義の大きなところだと思います。

初鹿委員 だから、そこの財務状況にかかわらずというのは、さっきも言ったとおり、財務省はそれを判断して融資を決めているんだから、だから、センターを通す通さないは関係ない話なんですよ。それはもう全然答えになっていないんです。

 では、ちょっとまた視点をずらして、今度は別の話をさせていただきますが、これは病院の整備だけに特化しているわけですよね。ほかは対象にしていないんですよ。

 では、病院ということを考えたら、大学病院というのは地域の本当に中核的な病院ですよね。そう思うと、文部科学省がこの整備に責任を持っていくのが必要なのか、それとも、厚生労働省がかかわった方が地域の医療を考えたときにはいいんじゃないか、どっちなのかなと私は思うわけですよ。むしろ後者じゃないかなと。

 厚生労働省の方には、病院や福祉施設に対して貸し付けを行っている福祉医療機構、そういう独立行政法人が存在するんですよ。そこで実は私立大学については融資ができるんです、学校法人は対象になっていて。国立大学法人は残念ながら対象になっていないんですけれども。

 きょうは審議官に来てもらっておりますけれども、私立大学に融資したことはあるんですよね、私立大学の病院に。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

福島政府参考人 独立行政法人福祉医療機構の融資につきましては、私立大学を対象に融資したことはございます。

初鹿委員 そう考えると、ここの今議題になっている法人で病院施設の貸し付けを行うんじゃなくて、厚生労働省の所管の福祉医療機構で国立大学法人についても貸し付けができるように変更をしてそこで融資をするようにした方が、病院の整備というところで一体感が出てくるような感じがするんですよ。

 突然言われて、今まで検討したことがないので答えに困るかもしれませんが、その方が私はいいと思うんですけれども、厚生労働省としてはいかがでしょうか。

福島政府参考人 福祉医療機構におきましては、独立行政法人福祉医療機構法に基づきまして、病院等を開設する個人または医療法人、一般社団法人もしくは一般財団法人その他政令で定める法人に対し、病院等の設置、整備または経営に必要な資金を貸し付ける業務を行うということになっておりますけれども、この施行令におきましては、国立大学法人については貸し付けの対象に今はしておりません。

 国立大学医学部附属病院をその福祉医療機構の貸付対象にできないかという御提案でございますけれども、これは、文科省を初め、政府全体として判断すべきものと考えておりますけれども、現時点では、私どもとしてはその検討はしていないということでございます。

初鹿委員 独法の再編の中でどうしてもそれぞれの省庁の所管の法人をくっつけるという方向はかなり進んできているように思うんですけれども、省庁間をまたがるところで、別の省庁の法人にくっつけた方がいいようなところまでまだまだ視点が行っていないと思うんです。縦割りみたいなことを言わずに、病院ということで考えたら、私は厚生労働省の方で責任を持った方がいいんじゃないかと思うので、ぜひ、それもひとつ検討をしていただきたいと思います。

 いずれにしても、今質疑をしたとおり、このセンターがやっていた業務をこの新しい法人でもう一度行うというのは、やはりどうなのかなというのは私は非常に感じます。

 この貸付業務については、やはり見直す必要があるんじゃないかというふうに、見直すというか、やめる必要があるんじゃないか。そして、それぞれの国立大学法人が独自にやはり資金調達をしていくということが、国立大学法人をつくった本来の趣旨に見合うと思いますが、その点を踏まえて、大臣の御見解をお伺いいたします。

下村国務大臣 先ほどの松本委員の御質問とも重なる部分があると思いますし、初鹿委員も、基本的に行革の観点から、いかに国民の税金の無駄をなくすかという視点からの御提案だというふうに思うんですね。

 そういう観点から常に行革を見直しながら、より効率、効果的な、税金の無駄遣いをなくしていくという発想で取り組んでいくということは、大変重要なことだと思います。

 そういう観点から、例えば、今の御指摘の、独立行政法人国立大学財務・経営センターも経ないで直接各大学側が民間からお金を借りたらいいんじゃないか、あるいは、先ほどのように、文科省とそれから厚労省の枠を取り払って、厚労省がそういうことをやっているわけだから、そちらの方に全部一括委託したらいいのではないか、そういう観点であるというふうに思います。

 要は、そのことによって、より税金のコストダウンができるのであれば、それは私もそうすべきだというふうに思います。

 今回の御提言の中の、なぜ、今までどおりのことをしていて、今回の行革の中でも引き続き貸付業務についてはセンターが一括してやるかどうかということについては、先ほど局長からの答弁があったように、それの方が、各大学の事務負担の軽減、それから関係省庁との事務手続の効率化が図れる、つまりそちらの方が、行革といいますか、トータル的には税金の無駄遣いにならないという判断のもとでそうしているわけですね。それは、やはり検証はすべきだと思います。

 ですから、今回は二つの独法を一つにするということでありますが、その中でそのままこれを残すわけでありますが、その残したことと、それから、ではそれを廃止した場合、実際は各大学の負担増になる部分も一方であるわけですね。負担増になる部分と、それから、残すことによって負担はふえないという、トータル的にどっちの方が税金が無駄遣いということにならないのかどうかということについては、そういう観点からやはり検討はする必要があると思います。

初鹿委員 ぜひ検討をお願いしたいのと、あと、税金が節約できるかという観点もそうですけれども、国立大学法人をつくって、それぞれの大学ごとに別々の法人になったわけですよね。それは、それぞれの大学が、地域の特性とかそれぞれの学校の特徴などを踏まえて独自性を出していくということが趣旨なんだと思うんですよ。その独自性を出すときに、やはり資金調達についてもみずから責任を持ってやっていく、それで民間と協力するところは協力していくということを進めていくことがこの国立大学法人にした趣旨にかなうと私は思いますので、そういう観点も踏まえて検討をしていただきたいと思います。

 少し時間がなくなってきたんですが、あと、もう一つの事業の施設費交付事業についても、最後に一つ質問させていただきたいんです。

 こちらの方は、現状、大体百六十億ぐらいの積立金があって、あと、処分をして収入が得られる可能性のある土地は一個になっているということですよね。そうすると、大体二百億ぐらいになっていって、現状、大体五十億ずつぐらい配っていくということだと、五年か六年で要は交付をする原資がなくなっていくわけですよ。そのことを考えると、今すぐやめろとは言いませんけれども、この資金がなくなった時点で、やはりこの交付事業というのももうやめることが必要なんじゃないかなと思います。

 確かに、これからいろいろな施設整備が進んでいった中で土地を処分して、その土地をまた一つの大学法人で使うんじゃなくて、その資金を地方にも分配をするように交付をしていくということが出てくるかもしれません。しかし、ここで旧特定学校財産というのは、百億以上の場合を指しているわけですよね。では、百億以上のものがそうそう出てくるかというと、そんな可能性は少ないんじゃないかと思うんですよ。

 では、その少ない可能性のために職員を一人でも二人でも置き続けるということにはならないと私は思いますので、ぜひこの交付事業についても、今すぐやめろとは言わないので、将来的な課題として見直しを検討していただきたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のように、旧特定学校財産を処分した際に得られる収入、それから、国立大学法人等の土地を処分した際に得られる収入の一部を、この国立大学財務・経営センターが行う施設費交付事業の財源にしているわけであります。

 その財源となる未処分の旧特定学校財産としては、実は大きいのがありまして、東京大学生産技術研究所跡地、これは六本木の国立新美術館、この売却収入というのは相当な額になります。それから、国立大学法人等の土地処分収入としては、現時点で九州大学のキャンパス移転跡地の売却収入の一部等が見込まれる。これも相当な額になります。そういうものがありますので、当面、積立金が不足するということはありません。

 文科省としては、今後とも、各大学の附属病院の施設等の整備のために必要な財源が確保できるよう、各国立大学法人の保有資産の不断の見直し、それから有効活用を図りながら、無駄なことがないような形で、国民の皆さんにできるだけ迷惑かけないような形でしっかり対応してまいりたいと思います。

初鹿委員 積立金はいずれ枯渇というか、五、六年ぐらいにはなくなるわけですから、ぜひそのときにはもう一度検討をし直すようにお願いをして、質疑を終わります。

 ありがとうございます。

義家委員長代理 次に、大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。

 独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案に関連して、国立大学の運営費交付金の問題を中心に質問をいたします。

 四月十五日、産業競争力会議の課題別会合で安倍首相は、「この夏までに国立大学経営力戦略を策定し、三類型のミッション選択に基づく自己改革を進めていく。このため、運営費交付金と競争的資金の一体的改革を進めるとともに、外部資金の獲得や資産の運用を促進していく。」と表明しました。その日のNHKの報道でも、国立大学を三分類、首相が改革具体化指示と報道をしています。

 第三期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会、この中間まとめでは、機能強化の方向性を三つの類型から選択することを各国立大学に迫り、その方向性を踏まえた改革の取り組み状況を毎年評価し、資金を配分するとしています。

 お聞きしますが、安倍政権は、運営費交付金と競争的資金の一体的改革によって国立大学を三つに分類する、すなわち類型化をする方針なんでしょうか。

下村国務大臣 四月十五日に開催された産業競争力会議の課題別会合におきまして、私の方から、第三期中期目標期間、これは平成二十八年から三十三年度でありますが、この期間において、各大学の機能強化の方向性に応じた取り組みをきめ細かく支援するため、運営費交付金の中に三つの重点支援の枠組みを新設し、評価に基づく配分を行う考えを表明いたしました。

 この三つの重点支援の枠組みは、第三期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会の中間まとめを踏まえたものでありまして、各国立大学が多様な機能や役割を担っていることや、新たな社会ニーズに適切に応えることが要請されていることを前提とした上で、各国立大学が、第三期において特に重点的に取り組む内容を踏まえ、みずからこのうちの一つを選択するものということでありまして、国が国立大学の機能や役割を限定するというものではございません。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

大平委員 いわゆる類型化ではないという御答弁でした。

 しかし、重点支援されない分野を切り捨てるのではないかと思われる、そんな声が私はあちこちから聞こえてくるわけです。

 例えば、先ほどの十五日の産業競争力会議課題別会合では、議員の小林喜光氏から次のような発言がありました。「日本において、研究面での新しい発見がなくなってきていたり、動きが止まってしまっているような学問領域を思い切ってやめて、新しい領域、学際分野、例えばIoTを使ったような関連の領域を早く立ち上げるべきではないかと強く思う。」と発言をされています。

 また、あるいは日本経済団体連合会は、二〇一三年十二月十七日に出した「イノベーション創出に向けた国立大学の改革について」の中で、「今後の国立大学改革にとって重要な視点は、大学の数や規模を見直し、再編・統合を伴う本格的な「機能分化」を行うこと」と述べています。

 やはりこの三つの重点支援は、今あったように、再編統合を伴う本格的な機能分化につながるものではないのではないでしょうか。

下村国務大臣 先ほど答弁いたしましたが、三つの重点支援の枠組み、これは、各国立大学が、それぞれの機能強化の方向性や、第三期を通じて特に重点的に取り組む内容を踏まえ、みずからこのうちの一つを選択し、国がそれに基づき重点支援を行うものということでありまして、国として国立大学を類型化しよう、そういう発想はありません。

大平委員 あくまでも機能分化ではないとのお答えでした。

 そこで次の質問ですけれども、運営費交付金の総額をふやそうとしないままに重点支援を行えば、必然的に、どこかを削る、縮小することになると思います。大学の機能や役割を限定せずに、かつ重点支援をしようと思えば、運営費交付金を増額しなければできないと私は思います。

 この間、運営費交付金の削減をやめ、充実を求める声が全国各地に広がっています。各国立大学に設けられている経営協議会の学外委員が、交付金削減に反対し、財政支援を求める声明を今次々と発表しています。声明は、私の母校である広島大学を初め、北海道教育、東北、秋田、山形、福島、筑波、静岡、名古屋、福井、奈良教育、和歌山、山口、高知、宮崎の十五大学に広がっています。

 学外委員には、トヨタ自動車の会長、ファミリーマート会長など財界人を初め、有馬朗人、遠山敦子両元文部・文科大臣も名を連ねています。

 例えば名古屋大学の学外委員声明では、今後も基盤的経費の削減が続いていくならば、今後十年間で世界大学ランキングトップ百に日本の大学を十校以上などの目標達成は、国立大学の衰退とともに実現が困難になってくると痛烈に批判もして、その増額を求めています。

 大臣、この声に応えて運営費交付金の増額を明言すべきではないでしょうか。

下村国務大臣 社会経済の高度化、複雑化、グローバル化が進む中で、国立大学は、新しい社会や産業に対応した自己改革を強力に進めていく必要があると思います。現状維持では、地盤沈下を社会も国立大学もしていってしまうと思います。

 このような取り組みを進めていく上でも、国立大学の多様な教育研究活動の基盤を支える国立大学法人運営費交付金の役割は、重要であるというふうに認識しております。

 現在、文科省におきましても、今後の運営費交付金のあり方を検討するとともに、これと並行して、研究成果を持続的に最大化することを目的として、競争的研究費改革、この検討も進めているところであります。

 文科省としては、運営費交付金とこの競争的研究費の改革を一体的に進めつつ、必要な予算確保に努めてまいりたいと考えておりますが、各国立大学の強み、特色を生かした教育研究を伸ばしていくために、また、喫緊の課題であります国立大学改革を強力に推進していくためにも、マネジメント改革による学長のリーダーシップの確立、各大学の強み、特色の最大化などの自己改革に積極的に取り組む国立大学に対しては、めり張りある重点配分をしてまいりたいと考えます。

大平委員 やはり、運営費交付金の総額をふやすとは明言されませんでした。

 そのもとで重点支援をすれば、どこかを削らないといけないのは明らかであり、国立大学の機能や役割を国策に沿って限定し、類型化を進めるものとなってしまうことを、私、重ねて指摘したいと思います。

 さらに、運営費交付金の内訳、割合についてお聞きします。

 日本経団連は、「イノベーション創出に向けた国立大学の改革について」の中で、二〇一五年までに運営費交付金の競争的配分を三割から四割にし、第三期中期計画では、中長期的には全て競争的配分に移行することも検討するべきだということまで述べています。また、財政制度等審議会も、一般経費の三割を改革経費とし、三つの機能強化への重点配分に使うべきだと要求をしています。

 大臣、文部科学省も、運営費交付金の三割をとか、将来的には全て競争的配分に移行する、そんなお考えなのでしょうか。

下村国務大臣 一般運営費交付金は教員の人件費を中心とした教育研究活動の基盤を支えているという基本的な性格を有しておりますので、経団連あるいは財政審などの提言のように、一般運営費交付金全体の三割程度を競争的に配分することは、これは国立大学の教育研究活動に重大な支障を及ぼしかねず、これは慎重に考える必要があると思います。

 先ほど答弁いたしましたが、現在、文科省においては、今後の運営費交付金のあり方を検討するとともに、これと並行して、研究成果を持続的に最大化することを目的として競争的研究費改革の検討も進めている。あわせて検討していきたいと思います。

大平委員 和歌山大学前学長の山本健慈氏は、「地方国立大学 一学長の約束と挑戦」というこういう著書の中で、「「三割は、学長さんが使い勝手のいい予算として返すのですよ」といわれても、もともと法人化の出発点となる国立大学の財政構造が、学部・大学院教育に当たる教職員の雇用とその事業費だけで構成されてきたわけですから、返してもらっても本来の教育を中心とする事業が行えるだけで、改革の原資とはならないのです。そこで、「三割戻しても大改革をしていない」という評価で、そんな大学は退場してもらいますということに追い込まれていくと思います。まさに地方国立大学は「壊死」してしまう」と、もっともな訴えをされています。

 さらに驚くのは、五月十一日に行われた財政制度等審議会では、多様な収入源の確保を目指すべきだとして国立大学の授業料引き上げも検討することを求めていますが、文科省も、国立大学授業料の値上げについて検討すべきだとお考えでしょうか。

下村国務大臣 国立大学の授業料につきましては、従来から、高等教育の機会提供という国立大学の役割等を踏まえつつ、大学教育を受ける者と受けない者との公平性の観点から、私立大学の授業料の水準など、社会経済情勢等を総合的に勘案して改定を行ってきたところであります。

 文科省としては、基本的にはできるだけ教育費負担をかけないようにしていくことが必要であるというふうに考えておりまして、意欲と能力のある学生等が経済的理由で進学等を断念することがないよう、安心して学ぶことができる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

大平委員 基本的に教育費負担をかけないように、安心してという御答弁でした。

 授業料の問題は、私、今週水曜日の一般質疑でも取り上げましたが、国立大学の授業料は今でさえ世界一高い水準となっており、高学費に苦しむ学生たちの深刻な実態からも、政府自身が高等教育の漸進的無償化を定めた国際人権A規約第十三条二項(c)の留保を撤回したその国際公約からも、これ以上の学費の値上げは言語道断だと私は指摘したいと思います。

 運営費交付金の増額を初め、国の本来の責任を果たすべきだと重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 最後の質問ということで少し重複するところもあろうかと思いますが、答弁をよろしくお願いしたいと思います。

 最初に、独立行政法人大学評価・学位授与機構の大学評価の業務についてお聞きしたいと思います。

 大学等が認証評価機関によって評価を受ける制度は、二〇〇四年、ちょうど国立大学が独立行政法人化された年に始まり、制度の開始から十年以上は経過しているわけです。しかし、正直申し上げまして、制度がどのようなものなのか、また、どのように活用されているのかについて、なかなか認知されていないのではないかというような気もいたしております。

 まずお聞きしたいのは、大学等の評価機関につきまして、大学評価・学位授与機構以外にも、大学基準協会あるいは日本高等教育評価機構なども存在をしております。大学評価・学位授与機構とそれ以外の評価機関との関係はどのようなものになっているのか、説明をお願いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 現在、文部科学大臣が認証しております認証評価機関といたしましては、御指摘の独立行政法人大学評価・学位授与機構、加えまして、公益財団法人大学基準協会及び公益財団法人日本高等教育評価機構が存在をしているところでございます。

 これらの認証評価機関はそれぞれ独立した関係にございまして、それぞれの理念に基づいて評価活動を行っているところでございます。

 評価機関の特色ということでは、先般も少し御紹介いたしましたけれども、大学評価・学位授与機構では、一般の認証評価に加えまして、各大学からの求めに応じて、研究活動の状況、地域貢献活動の状況、教育の国際化の状況に関する選択的評価の実施を行い、大学基準協会では、理念、目的、教育目標がどの程度達成されているかという達成度評価を重視した評価、あるいは日本高等教育評価機構では、各大学の教育研究活動等の質の改善を志向する観点から、定量的指標のみならず、その活動内容に対する定性的な評価を重視した評価など、それぞれ特色ある評価活動を続けているところでございます。

吉川(元)委員 続きまして、認証評価制度は、今まさに御説明にあったとおり、文科大臣の認証を受けた機関によって大学が定期的に認証評価を受ける制度で、学校教育法の第百九条にも規定をされております。

 この条文を読む限り、各大学は定期的に認証評価を受けなければなりませんけれども、評価結果を踏まえて各大学が何をしなければならないか、あるいは、評価結果をどのように生かしていくかについての明確な規定はございません。

 これは、恐らく大学の自治、学問の自由との関係もあり、評価結果が大学の信用を保証する一助となる一方で、あくまで、評価結果を踏まえての大学業務の改善は大学の自主的な判断に委ねられるべきものだという考えからこういうことになっているんだろうというふうに思います。

 ちょっとお聞きしたいのは、ことしの一月二十七日に、中教審の大学分科会の方で「認証評価制度の改善に関する論点・検討課題の整理について」という文書が出されております。その中に、「評価結果を活用した改善の促進」ということで、現在の制度では、「大学等には評価を受けることのみが課せられており、評価結果を踏まえた改善については法令上規定されていない。」「評価を通じた質の向上の促進を図るためには、評価結果を各大学の具体的な教育研究活動の改善につなげるための仕組みの整備が必要。」というようなことが論点として示されておりますけれども、この点について文科省は今どのようにお考えになられているのか、尋ねます。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、この認証評価制度の目的というのは、評価を受けた大学がみずからの判断で評価結果を踏まえた教育研究等の改善を図るとともに、評価結果が社会に公表され、大学が社会による評価を受けるということを通じて、大学の質の向上を図り、自主的、自律的な大学改革を促す、これを狙いとしているものでございます。

 ただし、このように、認証評価制度は大学が設置された後の質の維持向上を図るということを目的としておりますけれども、現在の認証評価制度に対しましては、法令適合性等の外形的な評価に基づく最低限の質の確認にとどまっており、評価を通じた質の向上の促進につながっていないなどの指摘もなされているところでございまして、そういったものを踏まえまして、認証評価制度全体のあり方につきまして、ただいま、中央教育審議会において改善に向けた検討を行っているところでございます。

 中央教育審議会では、大学の質的転換を推進するための評価のあり方、あるいは評価結果を活用した自己改善の促進方策、あるいは評価における社会との関係の強化、あるいは評価の効率化、そういった観点から議論をしておるところでございます。

吉川(元)委員 この評価をもとにして大学側がみずから改善をして質を高めていくということについては私も否定はいたしませんけれども、先ほども言いましたけれども、大学の自治やあるいは学問の自由との関係において、それは、あくまでやはり大学側の自主的な判断によって行われるべきものだということを改めてつけ加えさせていただきたいというふうに思います。

 関連してお聞きをいたしますが、二〇〇四年に国立大学が独立行政法人化され、来年度から第三期の中期目標期間に入ってくるわけです。文科省としては、ミッションの再定義による国立大学改革プランなど、大学改革に取り組んでいるということは承知をしております。

 その中には、大学の運営費交付金の見直しも含まれており、機能強化に応じた重点支援、あるいは、学長の裁量による経費の配分などが新たに検討されているとも聞いております。

 いずれにいたしましても、運営費交付金の配分に当たっては、中期目標期間における各大学の評価が反映されているというふうに思いますが、この点、認証機関による大学の評価というものは、運営交付金の配分に当たってはどのような役割を果たしているのか。あるいは、今後、配分についてこれを活用していくというようなお考えがあるのか。お聞かせください。

吉田政府参考人 国立大学法人によります国立大学法人評価、これは、六年間で達成すべき業務運営に関する目標として各国立大学法人ごとに定められました中期目標の達成状況などを、国立大学法人評価委員会が総合的に評価をするというものでございます。

 ただ、このうち教育研究の状況につきましては、六年間の終了時におきまして、教育研究の特性に配慮して、専門的な観点から評価をするため、大学評価・学位授与機構に評価の実施を要請し、その結果を尊重する、こういった仕組みになっております。

 文部科学省では、この国立大学法人評価委員会によります第一期中期目標期間についての総合的な調査結果を踏まえまして、第二期中期目標期間中の、平成二十四年度からの運営費交付金の配分に反映をしているところでございます。

 今年度で終了いたします第二期中期目標期間の評価結果についても、当該評価結果が確定した後、運営費交付金の配分に反映させるということになりますけれども、その具体的な取り扱いにつきましては、国立大学の教育研究の特性や自主性、自律性に十分配慮しつつ、大学の教育研究水準の向上に資するような方向で検討してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 ちょっともう一度だけ確認させていただきたいんですけれども、認証評価については、これは関係ないということでよろしいんでしょうか。

吉田政府参考人 認証評価は自己改革を促すためのものでございます。今の運営費交付金の関係は、あくまでも国立大学法人評価委員会の判断でございます。

吉川(元)委員 今回の法案については反対するものではありませんけれども、国立大学の現状をいいますと、やはり、運営費交付金の増額なくして改革はあり得ないのではないかというふうに私は感じております。

 先ほども質問がありましたけれども、独立行政法人化されて以降、二〇〇四年度の運営費交付金が当時一兆二千四百十五億円ございましたが、今年度、一五年度の予算で見ますと一兆九百四十五億円、千四百七十億円もの減額がされております。率にして一二%。

 また、その配分を見ましても、九十の大学法人がある中で、例えば東京大学一つで全体の七・三%、それから、旧帝大と言われる、北海道大学から始まって九州大学までの七つの大学で三〇%余りの交付金が集中をしているということもございます。

 運営費交付金の対象経費を見ましても、水光熱費などの経費がふえる一方で、人件費を大きく削減せざるを得ないというのが今の国立大学法人の姿でもあります。もちろん、大学の評価や、あるいは、さまざまな競争によって交付金の配分を行うことを全否定するものではありませんけれども、やはりそうしたものを入れる際には、運営費交付金総額の増額があって、その増額の中で行うべきではないかというふうにも私は思います。

 そうでなければ、ただでさえ少なくなるパイといいますか、総額の中で各大学が奪い合いを行い、結果として大学間格差が拡大をしたり、あるいは、運営がこのままいくと立ち行かなくなるような大学も出てくることも考えられます。

 見ておりますと、これは、大学の特質等々にもよりまして一概には言えませんけれども、やはり運営費交付金の少ない大学ほど人件費の占める割合というものも高くなっておりますし、これが削られるということになりますと、やはりそれは、直接人件費が削減をされていくという圧力にもなっていくのではないかというふうにも思います。

 大学改革に当たっては、この運営費交付金全体の増額が不可欠なのではないかというふうに私は考えておりますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

下村国務大臣 社会経済の高度化、複雑化、グローバル化が進む中で、国立大学は、新しい社会や産業に対応した自己改革を強力に進めていく必要があると思います。現状維持では衰退化してしまうと思います。

 このような取り組みを進めていく上でも、国立大学の多様な教育研究活動の基盤を支える国立大学法人運営費交付金の役割は重要であるというふうに考えます。

 現在、文科省においては、今後の運営費交付金のあり方を検討するとともに、これと並行して、研究成果を持続的に最大化することを目的として、競争的研究費改革、この検討も進めているところであります。

 文科省としては、運営費交付金と競争的研究費の改革を一体的に進めつつ、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えておりますが、各国立大学の強み、特色を生かした教育研究を伸ばしていくためには、また、喫緊の課題である国立大学改革を強力に推進していくためにも、マネジメント改革による学長のリーダーシップの確立、各大学の強み、特色の最大化などの自己改革に積極的に取り組む国立大学に対して、めり張りある重点配分をしていきたいと考えております。

吉川(元)委員 もう余り時間がありませんが、競争的配分ということについて言わせていただきますと、外部資金の活用も含めてといろいろ言われておりますが、恐らくいろいろな学問の分野があろうかと思います。すぐに産業化に結びつくもの、あるいは、今は生命科学というものが非常に大きな分野になっておりますけれども、実はそうではない学問分野もたくさんございます。

 例えば、特に文科系でいいますと、哲学であるだとかあるいは歴史であるだとか、そういう部分がこのままいくと日本の学問の中で衰退をしていくのではないか。特に、競争的あるいは社会の高度化、グローバル化という中におきましてそこだけが強調されるということになりますと、そういった分野が逆に小さくなってしまうのではないかという危惧も持っております。

 また、これは次回以降質問させていただきますけれども、研究不正の温床になる一つの大きな原因がまさにこの競争的な配分ということ、これは日本国内だけではなくて、世界的に見てもその温床になっているということも指摘をされております。

 ぜひ、全体のパイを大きくした上で、その中で配分を重点化していくということも含めて考えていただきたいということを訴えまして、私の質問とさせていただきます。

 以上で終わります。

福井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

福井委員長 この際、本案に対し、初鹿明博君外一名から、維新の党提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。初鹿明博君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

初鹿委員 ただいま議題となりました独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、維新の党を代表し、その提案理由及びその主な内容について御説明いたします。

 独立行政法人国立大学財務・経営センターは、国立大学に対してその附属病院の土地の取得、施設整備等に必要な資金の貸し付けを施設費貸付事業として行ってきました。

 貸付額は、平成二十五年度において約六百十八億円であり、その主たる原資は、財投債による財政融資資金とセンターが債券を発行して調達した資金とされています。

 このように、国立大学附属病院の施設整備等については、センターが一括して資金調達をし、各国立大学に貸し付けてきたため、その自主性が十分に発揮されてこなかったと考えております。

 この点、自律的な環境のもとで国立大学をより活性化し、競争的環境下で教育水準の向上を目指すという国立大学の法人化の趣旨に鑑みると、各国立大学は、民間金融機関あるいは財政融資資金等から資金を調達し、主体的に施設整備等を進めることがより適切であると考えます。

 国立大学法人法においても、そのために必要な資金の調達について、各国立大学が長期借入金や債券の発行を行うことが可能とされています。

 国立大学法人法の施行から十年以上が経過しましたが、今後、ますます自主的な資金調達を行うことが国立大学に求められていくと考えております。

 今回の政府案においては、センターが行ってきた施設費貸付事業を独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の業務として引き継がせることにより、国立大学附属病院の施設整備等に必要な資金の一括調達を行うことが継続することとなります。

 そこで、国立大学の法人化の趣旨を実現し、国立大学の主体的な施設整備等を進めるため、施設費貸付事業を機構の業務としないこととする修正案を提出するものでございます。

 次に、修正案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が独立行政法人国立大学財務・経営センターから承継する業務のうち、施設費貸付事業を行うことを削ることとしています。

 第二に、その他所要の規定を整備することとしています。

 以上が、修正案の提案理由及びその内容でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

福井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

福井委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。大平喜信君。

大平委員 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。

 その理由は、大学評価・学位授与機構が行う教育分野での国立大学の評価が大学の予算、存廃まで左右する仕組みを温存しているからです。国の掲げる目標に基づいて行われる同機構の大学評価は公正な第三者評価とは言えず、その評価についても問題点が指摘されています。

 また、国立大学財務・経営センターが行っている国立学校資産を売却する業務が民間再開発を促進しているという問題もそのままです。

 一方で、今回の統廃合は単に法人の数を削減するだけで業務も継続するとしていますが、将来的には、国立大学財務・経営センターが行っている施設費貸付事業など、必要な業務を削減していくことも否定できません。

 大学評価・学位授与機構と国立大学財務・経営センターのそれぞれの業務を抜本的に見直さないまま、本来必要な業務の縮小につながりかねない本法案には賛同できません。

 また、維新の党提出の修正案については、必要な業務の廃止を掲げており、反対であることを申し上げ、討論を終わります。

福井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

福井委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、独立行政法人大学評価・学位授与機構法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、初鹿明博君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

福井委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

福井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

福井委員長 次回は、来る二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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