衆議院

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第11号 平成27年5月22日(金曜日)

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平成二十七年五月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 福井  照君

   理事 池田 佳隆君 理事 石原 宏高君

   理事 冨岡  勉君 理事 萩生田光一君

   理事 義家 弘介君 理事 郡  和子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      池田 道孝君    尾身 朝子君

      大見  正君    門山 宏哲君

      神山 佐市君    木村 弥生君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    谷川 とむ君

      馳   浩君    鳩山 邦夫君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      古川  康君    古田 圭一君

      前田 一男君    宮川 典子君

      宮路 拓馬君   山本ともひろ君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      平野 博文君    松本 剛明君

      笠  浩史君    坂本祐之輔君

      鈴木 義弘君    初鹿 明博君

      中野 洋昌君    吉田 宣弘君

      大平 喜信君    畑野 君枝君

      吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   財務大臣政務官      大家 敏志君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          河村 潤子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     木村 弥生君

  船田  元君     藤丸  敏君

  古川  康君     宮路 拓馬君

  前田 一男君     池田 道孝君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     藤井比早之君

  木村 弥生君     尾身 朝子君

  藤丸  敏君     船田  元君

  宮路 拓馬君     古川  康君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     前田 一男君

    ―――――――――――――

五月二十一日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(堀内照文君紹介)(第一〇〇〇号)

 同(田中和徳君紹介)(第一〇五三号)

 同(馳浩君紹介)(第一〇六三号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇七四号)

 同(武藤貴也君紹介)(第一〇七五号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一〇二〇号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一〇七八号)

 私立幼稚園教育の充実と発展に関する請願(大平喜信君紹介)(第一〇五七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)


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     ――――◇―――――

福井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省生涯学習政策局長河村潤子君及び初等中等教育局長小松親次郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮川典子君。

宮川委員 おはようございます。自由民主党の宮川典子です。

 本日は質問の機会をいただいて、感謝申し上げたいと思います。質疑時間十五分と限られておりますので、早速質問に入りたいと思います。

 このたびの学校教育法の一部を改正する法律案でありますけれども、大きな点として二点、まずは、小中の一貫教育ができる義務教育学校を設置することと、もう一つは、高等学校の専攻科修了生の大学への編入学について、この二点が改正のポイントであります。

 この二点、改正することによってどのような教育効果を期しているのか、大臣からぜひとも御所見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 おはようございます。

 我が国が将来にわたり成長、発展を続け、一人一人の豊かな人生を実現するためには、子供の発達や学習者の意欲、能力等に応じた教育を実現することが急務であります。

 今回の学校教育法改正は、そうした教育の実現に資するよう、一つには、設置者の判断により、地域の実情や子供の実態に応じて、例えば、九年間を一まとまりとして捉えた教育課程の編成や異学年の交流がより効果的、効率的に実施できるようにするために、小中一貫教育を実施する義務教育学校の制度を設けるとともに、二つ目には、高等学校等の専攻科の修了者がさらに高度な教育を受けることを希望した場合に、大学に編入学できる制度を創設するものであります。

 こうした制度改正によりまして、学校教育制度の多様化及び弾力化が推進され、一人一人の意欲や能力に応じた教育を受けられる環境をこれまで以上に充実させることができるものと考えております。

宮川委員 ありがとうございます。

 では、その二点について順次質問をしてまいりたいと思います。

 まず、義務教育学校についてでありますけれども、一番重要な観点というのは、小中九年間の一貫性をどうやって担保していくか、これが大変重要だと思っております。

 私は、中高一貫教育をしてきた元教師として、この一貫性をどう担保するかということは大変重要だと思うんですが、小学校と中学校というのは、教育の内容、また教え方、さまざまいろいろなところが違うと思うんですけれども、この一貫性を担保するに当たっては、私自身の経験上は、まず人員をしっかり配置すること、人員配置がかなめだと思っております。

 公立学校で行うわけですから大変難しいとは思いますけれども、やはり、一貫して極力異動が少なく、また、定着性のある人事配置が必要だというふうに思っておりますけれども、この人事配置で例えば一貫性を担保していくのか、それ以外に別の観点でその一貫性を担保するのか、どのような方針があるのか、ぜひ見解を伺いたいと思います。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも運用上で工夫が行われてまいりました小中一貫教育の例が種々ございますけれども、これらの取り組みにおきましては、人事異動などで人がかわると取り組みが定着しないといったような、御指摘の課題がいろいろ指摘されておりました。

 今回の義務教育学校の制度化によりまして、一つは、一人の校長先生のもとに一つの教職員集団が置かれることによりまして全体としての体系性がより強くなること、それから、ただいま御指摘のありました教員の方々の点だけではなくて、もともと九年間の教育目標が設定され、系統性、連続性を強化した、かつ柔軟な教育課程が編成できるようになること、それから、原則として小学校、中学校の免許状を併有している先生方が配置されること等を総合的に勘案いたしますと、従来よりも一貫教育を実施しやすくなるものと考えております。

 なお、新たな制度のもとにおきましても、この一貫教育の質を一層高めていく観点から、例えば、設置者が小中一貫教育に関する明確な方針を定めること、あるいは、必要に応じて核となる先生方の異動年限も柔軟に取り扱うこと、そういった運用上の工夫を行うことも有意義なことと考えられます。

宮川委員 全くそのとおりだと思います。

 まず、共通の教育目標を持つということは大変重要なことでありますけれども、やはり、核となる先生、そして学校運営にかかわるような管理職の異動年限については、しっかり考慮していただきたいと思っております。

 経験上、小学校と中学校でそれぞれの頭数だけで教職員をそろえているだけでは、私は一貫教育はしっかり成り立たないと思っております。その間を埋める、ゆとりのある人事配置をしていくことで、子供たちの間を埋めていく、また、そのギャップを埋めていくわけですし、義務教育学校というのは、今現場で問題になっている中一ギャップでありますとか、あとは、小学校と中学校のシステムの違いによる、子供たちが教育環境になれないという問題を解決するわけでありますので、その間をつなぐ人材、教師というのがやはり必要だと思っております。

 そのことを考えますと、実は、去る五月十一日に財政制度等審議会におきまして、これは恐ろしい話でありますけれども、平成三十六年までに教職員を四万二千人削減するという、衝撃的な、センセーショナルな新聞記事が出ました。これに関しては、私は、本当に現場の実情がわかっていない非現実的な話だなというふうに思っております。

 頭数だけで今の教育、もちろん、少子化ですから先生の数を減らすべきだということは一つの議論としてあってしかるべきだと思いますが、昔に比べて、今の子供たちにおける教育の環境、家庭環境の変化、そして教育課題の変容というのは、もう私たちの目の前に明らかになっているわけでありますけれども、しかしながら、子供たちに多くの大人の目がそうやって行き届かないような人員配置をしていく、削減をしていくというのは、現場にいた私としては到底のめない話だなと思っております。

 また、先日、我々、党の教育再生実行本部で総理に提言を出しました。

 第四次提言の中にチーム学校というものがあります。このチーム学校は、マクロの意味でのチーム学校、つまり、地域の皆さんのお力をかりる、外部の専門家の力をかりて、学校の運営を支え、また子供たちを育んでいくというものと、もう一つは、学校の先生が今何でも屋さんになってしまって、子供たちに向き合う時間がない。この時間がないことを解決するために、ミクロなチーム学校、つまり、学校の先生たちの職能に合わせた分業体制をしっかりつくるということで、福井委員長もリーダーとなって、実はこの提言をしてきたわけであります。これが現場の現状なんですね。

 しかしながら、財政審で四万二千人も削るということであれば、これから子供たちに目を向ける大人の数を減らしていくというのは、時代にも逆行しますし、今、痛ましい、悲しい事件がこんなにも日本の社会の中で起きているにもかかわらず、子供たちのことを本当に考えているのかと言わざるを得ないと思います。

 きょうは大家財務大臣政務官、お越しでありますけれども、ぜひ財務省の見解を伺いたい。そして、伺うだけではなくて、我々文部科学省にエールを送っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

大家大臣政務官 先日に引き続いてまたお呼びをいただきまして、ありがとうございます。

 宮川先生のこれまでの教員としての御経歴、また、日ごろからの御主張、さまざまな機会にお聞かせをいただいております。

 お答えをいたします。

 教育は、未来を担う人材を形成するものであります。子供たちの学力、能力、人間性の向上を図ることは、日本の将来にとって極めて重要な課題であるというふうに認識をしています。

 一方、ここなんですけれども、日本の財政状況は極めて厳しく、教育予算についても重点化、効率化を図りながら、それだけではなくて、質の向上を目指す工夫が考えられるというふうに思っています。

 この評判の悪い財政審の議論の今回の資料でありますけれども、教職員定数に関して、少人数指導などの現在の教育環境を、これは維持ということを前提として、平成三十六年度までに、基礎定数について少子化の影響による自然減、これが三万七千七百人、加えて加配定数については、一標準学級当たりの加配教員数を、これもまた維持という範囲で四千二百十四人が合理化できるであろう、合わせて四万一千九百十四人の合理化が可能という、これは答申ということではありませんで、試算をお示しをさせていただきました。

 中長期的な教職員定数の合理化の見通しを立てた上で、それを踏まえて外部人材の活用、これは、内容としては退職教員の活用であったりスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーということでありますけれども、教職員の採用を計画的に進めることで、厳しい財政事情の中で効果的に教育環境を改善できるものというふうに考えています。

 いずれにいたしましても、義務教育費国庫負担金を含め、教育予算のあり方について、今回お示しした試算を出発点として、引き続き、文部科学省としっかりと意思疎通を図って議論を深めてまいりたいというふうに思います。

宮川委員 ぜひそのようにしていただきたいと思いますが、今の政務官のお話を聞いて、大臣、一言コメントがあればぜひいただきたいと存じます。

下村国務大臣 財政審の試算というのは、今後の児童生徒数の減少に沿って機械的に教職員定数を削減すれば四万二千人削減できる、まさに机上の計算ですが、机上の空論だと思います。実態、現場を把握していない中での計算で、今はさらに教育現場は、御指摘があったように、非常に複雑困難化し、世界で一番、日本の教員も多忙化しているという実態があるわけでございます。

 確かに財源論があるかもしれませんが、しかし、財源論があるからこそ、今こそ米百俵の精神で、逆にこういうときに教育に財政的に力を入れることが、中長期的に見て我が国の社会保障等のコストダウンにつながるというのは、諸外国の研究成果からも出ていることでありますから、こういうときにこそしっかりとした対応を財務省としても考えてもらうことが、中長期的に見たら日本の財政の健全化につながるという逆の視点からぜひ検討し直してもらうというか、とりあえず指標が出ただけですから、今後、文科省がそういうことをデータとして示しながら財務省と議論をしていくことによって、安易な教職員の定数削減にならないような、現場に対応した教員定数になるような、そういうことを、ぜひ文部科学委員会の先生方のお叱りをいただきながら対応してまいりたいと思います。

宮川委員 ありがとうございます。

 厳しい財政状況であることはわかっておりますけれども、私も現場にいたときに、こういう机上の空論が現場の教師のやる気をそぐわけですね。ですので、現場の頑張る先生たちをしっかり支える、それは子供たちのためでありますので、ぜひ文科委員会の先生方にもお力添えいただいて、みんなで心を一つにして頑張っていきたい、ぜひそのようにお願い申し上げたいと思っております。

 残り時間は少ないですが、高等学校の専攻科の修了生の編入学についてお伺いしたいことが二点ございました。まとめて質問させていただきます。

 まず、この編入学に際して、分野や、学部・学科ですね、あと、編入年次の制限がないのかどうか。局長、簡潔にお答え願いたいと思います。

小松政府参考人 このたびの法案では、修業年限が二年以上であること等、文部科学大臣が定める基準を満たす高校専攻科につきましては、その専攻科を修了した方であれば、専攻科の分野を問わず、大学に編入学できる仕組みとしてございます。

 また、各大学が編入学を実施する学部や受け入れる年次は、高校専攻科の修業年限に応じて当該大学が決定するものでございまして、法令上、編入学する大学の分野や学年を、何らかの制限や強制など、そういうものを課するものではございません。

宮川委員 編入学をしたい子供たちというのは、少しでも上の年次に行きたい、そういうことを思っていると間違いなく私は思います。

 しかしながら、高等学校の専攻科でやったことが、カリキュラムが足りないから、例えば一年次の半期からしか入れないとか、二年次からしかだめだとか、この学校だったら三年次からいいとか、そういう割り振りがいろいろとさまざま出てきてしまうことには私は懸念をしております。

 大学はしっかり教育の基準また編入学の基準を示した上で、高等学校の専攻科がそれに合わせて、また、それを見越した上で教育のカリキュラムを再考するべきだというふうに思っておりますけれども、ぜひこれに対して下村文部科学大臣から御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のとおり、残りの年次で学部教育をしっかり学べば卒業できる見通しがあるということは極めて重要でありまして、このため、文科省として、修了生を大学に編入学させる高等学校専攻科に対しては、文部科学大臣が定める基準を設けることなどを通じまして、大学で単位として認定できるような教育水準を求めるとともに、受け入れ大学に対しても、編入学した学生の実態に応じて必要な教育プログラムなど、きめ細やかな提供をする、編入学者が大学教育に円滑に移行し、主体的な学びを実現できるような配慮をしてまいりたいと思います。

宮川委員 質問を終わります。ありがとうございました。

福井委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 おはようございます。公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして学校教育法等の一部改正案について質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 今回の義務教育学校の設置などを内容とする本改正案の狙いの一つとして、小学校と中学校の連携をしっかり進めていくということがあるというふうに考えております。

 近年よく指摘をされますのが、中学校一年生を境として、不登校ですとかあるいはいじめ、暴力事件、こういったものの認知件数が大きく上がる、いわゆる中一ギャップと呼ばれております、こうしたことが問題としてある。

 現在の小学校は六年制、そして中学校は三年制、この六・三制というものが導入されたのはかなり昔でございます、昭和二十年代というふうに聞いておりますけれども。このころに比べて、いろいろな先生方に聞いても、子供の発育段階というのがやはり時代時代に応じて変わっているんだ、かなり早くなってきているんだ、こういうお話は非常によく伺います。現在の学習の区切りというのが、こうした子供の成長の、身体的なあるいは心理的な成熟の度合いと必ずしも適合していないんじゃないか、こういう御意見もよく聞くところでございます。

 こうした中で、小学校と中学校の連携をしっかりと進めていく、そうしてこの中一ギャップを例えば義務教育学校の設置によって解消していく、こうした狙いがあるのではないかなと私は考えておるんです。

 近年、例えば不登校の児童生徒のデータを見ますと、しばらく減少を続けてきたのでございますけれども、一番新しい平成二十五年のデータを見ますと、残念ながら、また不登校の数字というのが上がってしまいました。例えば中学校の数字を見ると二・六九%、こういう数字を見たわけでございます。

 また、私の地元が兵庫県の尼崎市でございますけれども、これも地元から聞きますと、やはり県下でも不登校の生徒の割合というのが少し高いんだ、こういうふうなお話も伺っておりまして、やはり何とかして、小学校と中学校の環境の変化を児童生徒の皆さんが円滑に進めていけるような、こうした取り組みというのもしっかり進めていかないといけない、そうして不登校であるとかいじめ、暴力行為、またこうしたものをしっかりと減らしていかないといけない、こういう思いで常に地元でも活動しております。

 現在、こうした課題に対処するため、今でも小中連携ということを各自治体で進めておりまして、例えば教職員が交流をする、こういう取り組みもしておりますし、現在既に小中一貫校、こういう形で公立でやっている、こういうケースもやはりある。私は、この流れをしっかりと加速させていかないといけない、このように考えております。

 改めて今回大臣に、小中一貫で教育をするメリットは何なのか、そうして今回義務教育学校という制度を改めて導入した理由は何なのか、これについてまずお伺いをしたいというふうに思います。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

下村国務大臣 御指摘のように、現行制度下における運用上の工夫によりまして何らかの形で小中一貫教育に取り組んでいる自治体は、昨年五月時点で二百十一市町村、取り組み件数は千百三十件、小学校が二千二百八十四校、中学校が一千百四十校ですから、今の小中学校の一割ぐらいは既に取り組んでいるということになるわけです。

 これらの学校では、多様な異学年交流の充実による自己肯定感の高まり、地域の実情を踏まえた九年を一まとまりとした取り組みの充実、それから、いわゆる中一ギャップの緩和など、大きな成果が見られております。

 一方、小学校、中学校が別々の組織として設置されているため、小学校、中学校それぞれに校長や教職員組織が存在し、小中一貫した取り組みを行う場合、意思決定や意思統一に時間がかかること、また、組織が一体でないことから、人事異動などで人がかわると取り組みが定着しにくい、さらに、教育課程の編成や年間指導計画の作成を初め、小学校、中学校ごとに取り組むことが想定されている事務が多く、九年間を見通して一体的に遂行することが難しい、また、特例的な教育課程の編成に当たり、研究開発学校制度や教育課程特例校制度を活用する場合には個別の文部科学大臣指定が必要となり、迅速な取り組みが難しい、そういうふうな課題が指摘されておりまして、実際に運用上の取り組みを進めていく現場からも、義務教育学校を制度化して実施しやすくしてほしいという要望が寄せられております。

 今回の制度化によりまして、一人の校長のもとで一つの教職員集団が九年間の教育を行うことを前提とした学校を設置し、設置者の判断により柔軟な教育課程を編成することが可能となります。このことによりまして、現在生じているさまざまな運用上の課題が解消され、より効果的、効率的に小中一貫教育を実施できるようになるものと考えます。

中野委員 ありがとうございます。

 わかりやすく御説明をいただきました。やはり、今、小中一貫教育を進める上での課題というものをこの制度化によって少なくすることができる、前に進めることができる、こういうことだと認識をしております。

 私も、ぜひこうした小中一貫教育というのはもっとふえていってほしい、こう思っているんですけれども、やはり大きな障害の一つとしては、教員の免許状が小学校と中学校、今回の改正法を見ましても、原則としてどちらも持っていないといけない、こういうことが、進めていくに当たって、そういう人材がどうしても少ない、こういうことが課題になってくると思います。数字を見ましても、やはりどちらも持っているという先生の方は必ずしも多くないわけでございますし、特に中学は教科担任になりますので、本当にそれが全員そろえることができるのか、こういう課題もあると伺っております。

 ぜひ、小学校と中学校の教員免許をどちらも持たないといけないという点がやはり大きなハードルになると思いますので、それを併有しやすくなるように、今でも新しく取れるという仕組みはあると思うんですけれども、これをより取りやすくするような仕組みも必要ではないか、このように考えますけれども、いかがでございましょうか。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回の制度で義務教育学校に配置される先生方につきましては、九年間の課程を見通した教育を行う資質能力を有することが必要だという観点から、原則として小学校及び中学校の教員の免許状を併有していることが必要という形になっております。

 その上で、義務教育学校制度の推進及び円滑な学校運営の必要性に鑑みまして、当分の間、小学校教諭免許状を有する教員であれば前期の六年の課程において、中学校教諭免許状を有する教員であれば後期三年の課程において、それぞれ指導を可能とする経過措置を設けることといたしております。

 ちなみに、現状、小学校教員に占める免許併有をしておられる先生方の割合が約六割、それから、中学校の先生で逆に併有しておられる方々が約三割というのが現状でございます。

 さらに、三年以上の勤務経験のある現職の先生方につきましては、小学校の先生が中学校の教員免許状をお取りになるには十四単位、中学校の先生が小学校の免許状をお取りになるためには十二単位が必要とされておりますけれども、この制度を改善いたしまして、先生となられた後、学び続けることにより、免許状を併有することがしやすくなるような方策を講じるということを検討いたしております。

 加えまして、本年度の新規事業といたしまして、大学等を対象に認定講習に関するモデル事業を実施いたしまして、免許状の併有に必要な単位を二、三年かけてパッケージで取得することができるプログラムなどを開発し、その成果を全国的に普及することによりまして、免許状の併有に必要な単位を効率的に取得することができる機会の増加を図ることといたしております。

 これらの措置によりまして、現職の先生方が免許状を併有しやすくなるよう、必要な環境整備にも努めてまいりたいと存じます。

中野委員 ありがとうございます。

 例えば、今、小学校の免許を持っている方が新しく中学校の免許を取るのをやりやすくする、こういう取得をしやすくするという取り組みも必要でございます。

 私は、もっと根本的なことを言いますと、やはり今の学校の先生というのは大変に多忙だ、これはデータでも出ております。その上で、新しく研修というような形でいろいろな技術を身につけていかれる、こういう仕組みも導入をしているけれども、ただ、残念なことに、業務スケジュールが大変多忙で、研修を受けるにしてもなかなか受けられない、こういうデータもございます。やはり現役の先生方に聞きますと、どうしても、授業を自習にして、授業はやめて、それで時間をこじあけて研修を受ける、現場としてはそのぐらいぎりぎりでやっているんです、こういう大変厳しいお声もいただいております。

 やはり私、先ほど宮川先生の質問でもございましたけれども、そもそもこの定数というものも含めてしっかりと確保していく、こういうことも大事でございますし、こうした研修あるいは講義といったものも学校の先生方が受けやすくなるように、そうした環境づくり、やはりこういうものをしっかり進めていかないといけないと思います。文部科学省の見解を伺いたいというふうに思います。

小松政府参考人 大変多忙な中での、先生方がしっかり研修を受けられるようにする環境づくりは私どもとしても大切だと思っております。

 こうした観点から、まず現場では、オンラインでの研修など、ICTを活用した研修方策の推進など、それから、先生方が研修の機会を得られるよう、確保するためのサポートスタッフの配置などの人的措置、そういったものを進めまして、必要な研修に負担を少なく、効率的に参加できる環境整備のための所要の措置が必要だと考えております。そのような措置はいろいろ行っておりますが、さらに充実させていく必要があると思います。また、チームとしての学校のあり方、あるいは、先生方のキャリアステージに応じた研修の体系化といったことも有効かと存じます。

 これらの施策を積極的に進めてまいりたいと考えます。

中野委員 非常に大事なところであると思います。文部科学省、私どもも応援してまいりますので、しっかりと進めていっていただきたいと思います。

 少し時間がなくなってまいりましたので簡潔にお伺いをいたしますけれども、義務教育学校、こうしたものが進んできて、現在の小中一貫教育でも、必ずしも区切りが六・三じゃないケースもふえてきたと聞いております。四・三・二であるとか五・四であるとか、いろいろな段階で区切りをしている、創意工夫で地元で知恵を凝らしてやられている、これはすばらしいことだと思うんです。

 他方で、もちろん、途中で転校してこられたりとか、いろいろなケースがあると思います。こうした転校のケースなども含めて、きめ細やかにしっかり対応できるようになるのかどうか、これをお伺いしたいというふうに思います。

小松政府参考人 御指摘の点につきまして、お子さんの教育上支障が生じないように、さまざまな工夫や対応が必要だというふうに考えます。

 具体的には、指導要録における具体的な記載をしっかりすること、あるいは、六・三制を前提とした通常の教育課程とこうした学校での区切りの違いなどについてわかりやすく周知していくこと、あるいは、転出入に対して必要に応じてガイダンスや個別指導も必要だろうというふうに考えます。

 法案が成立した場合には、こうした点につきましてもしっかり周知をして、遺漏のないようにいたしたいと存じます。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

中野委員 済みません、最後に、高等学校専攻科からの大学への編入について、一問だけお伺いをしたいと思います。

 今でも、専攻科から大学に行こうとすると、また一年生からということで大変な負担だ、こういうお声も伺ったこともございますので、大変にすばらしいことだと思います。

 今回の制度が導入されることで学生さんにとってどういうメリットがあるのか。そして私は、大学も多様な人材を集めてくるということは大事だと思います。こうした高等学校専攻科からの編入というものも含めて、さまざまなところから人が集まる、学び直しをする、そうした多様な人材を受け入れていく大学づくりというのも今後進めていく必要があると思いますけれども、最後に文部科学省に、この点についてどのようにお考えかをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、高等学校専攻科は、資格取得や高度な技術の習得などの専門教育を深めることを目的として、主として、看護を初め水産、商業、工業など、専門高校に設置されております。

 そのうち、高等学校専攻科の生徒数の八割を占める看護の分野では、助産師や保健師の資格を取得するための課程が主に大学や大学院に置かれておりまして、高等学校専攻科修了生に対して大学への編入学が認められた場合は、改めて大学の初年度に入学して、四年在学しなくても、より短い期間でそれらの資格の国家試験の受験資格を得ることが可能となります。

 また、水産の分野におきましては、高度な教育を受けるため、大学への編入学を希望する者も想定されているということがあります。

 大学がより多様な人材を受け入れることによりまして、学生にとって選択の幅が広がるだけでなく、大学にとっても、学生の多様化が進み、教育研究活動の活性化につながるということであると思います。

 この制度改正に、もし国会で成立させていただければ、すぐにでも大学関係者にも十分周知してまいりたいと思います。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

福井委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 おはようございます。民主党の中川正春です。

 まず、本旨に入っていく前に、先ほど宮川委員からも元気のいい質疑が出ていましたけれども、四万二千人の教員の削減、これは財務省のサイドから出てきた。この話についてもう少し深掘りをしていきたいというふうに思っています。

 財務省をこの席にそのまま残しておけばよかったんですけれども、例えば、さっき話が出たように、向こうから出した基準というのをスタートに、それをたたき台にしながら交渉するということをぬけぬけと言うわけですよ。本来は、文科省が出した基準、これに基づいて予算議論をしていくというふうな力が文科省の中になければならない。

 私も当時つくづく感じたんですけれども、それぞれ各省庁いろいろな特色があるんだけれども、どうも文科省というのは、交渉する相手の財務省の評判を聞いていても、非常に素直で、はいとすぐに言うことを聞いてそのまま引き下がってくるというか、交渉力ということについては、もっともっとガッツを持って信念を貫かなきゃならぬということが指摘されます。私もそんなふうに感じました。詰まってうまくいかないんだったら上げてこいと言うんだけれども、何かその中で丸め込まれてしまうような、そういう特色があるということです。

 これは大臣もお感じだと思うので、そこのところの財政の交渉システムというのを、一つ課題としてみんなで考えていくことが必要だというふうに思います。

 それが大前提なんですが、その上で、大臣も少人数学級については、これは現場の状況あるいは社会の状況を見て、とにかく少人数学級は子供たちの教育環境の基本だということを方々でおっしゃっていますし、その気持ちというのは我々と同じなんだろうというふうに思うんです。

 しからば、そもそも財務省と交渉していく前提として、具体的にどういうスケジュールで、どういう形の少人数学級、今は三十五人学級というのが目標になっていますけれども、これを、具体的にどういう手法で、その手順も含めて実現しようと考えているのか。これが出発点だというふうに思うんです、まず大臣のスタンスというのは。

 まず、そこから聞いていきたいと思います。

下村国務大臣 まず、中川先生の文科大臣の経験者としての、今にも通じるお話でもあったのではないかと思います。文部科学省の職員が気持ち的にもあるいは政策的にも対等に、文科省の理念によって財務省を論破するようなそういう意欲と、また、準備をさらに精進するということは必要だと私も思います。

 ただ、予算編成の前提における財政審の考え方というのは、そのとおりにするかどうかは別として、財務省の視点から今後の予算編成をするという意味では、それは基本的には財務省が考えることだと思いますが、文科省がそのとおりに乗るはずがないという意味で、財務省だけでなく、国民の皆様方に、どちらが正しいのか、どちらがより教育現場あるいは日本の将来を考えたとき、確かに財政難というのは我が国の大きな喫緊の課題でありますけれども、それを克服しつつ、しかし、教育に投資することは相矛盾することではないということについてしっかりとした理論構築をすることによって、これから財務省あるいは政府の中で、教育関係における、特に、教職員の自然減につながる、比例で減らされるということがないようにしっかり対応してまいりたいと思います。

 その中で、三十五人以下学級についてのお話がございました。

 現在は、小学校一年生についてのみ法律上、それから、小学校の二年生については加配措置によって実現をしております。実際のところは、少子化等によって、今は小学校で九〇%、中学校で七〇%が三十五人以下学級になってはおりますけれども、これは法律上も担保させる必要があると思います。

 それというのも、三十五人以下学級というのは、より細やかな指導が可能となるということで、学校現場からも要望が多いですし、また、少人数学級の推進は望ましいというふうに思います。

 今後、授業の質向上に向けた多様な取り組みや自治体の創意工夫を踏まえ、柔軟で効果的な定数改善を早急に進めていくことが必要でありますが、前提条件として、三十五人以下学級にできるだけ早く対応していくということを考えた義務教育法の改正も踏まえ、検討して、さまざまな、より子供たちにとって成果、効果が上がる教育方策について進めてまいりたいと思います。

中川(正)委員 大臣の方から法制化をしていくということを言っていただきましたが、それは必要なんだというふうに思うんですね。

 それで、私たちの政権のときにこれを順次法制化をしていくという段取りをしたんですが、途中で国会がねじれてしまいまして、法律が通らないという状況になったということから、二年生以降が加配でごまかすという形で積み上げていこうという形になりました。

 それが今に禍根を残しているんだと思うんですよ。加配でやったから、だから、その加配を狙われて、ここの部分を四万二千人減らしなさいというふうな形になってしまったということだと思います。

 この構造を踏まえていけば、やはり、基礎定数、それと加配と二つそれぞれ、目標あるいは目的に応じてシステムがあるわけですけれども、基礎定数の方は、それこそ三十五人学級を実現するため、少人数学級を実現するために、子供の頭数に応じた形の配分を前提にした定数ということですよね。

 加配というのはまたそれとは別個の考え方をとっていて、これからやろうとしているアクティブラーニングへの対応であるとか、不登校や特別支援学校のセンターの問題とか、いわゆる社会的な問題、あるいは、その現場現場が抱える課題に対してその課題解決型を目標としてつくるという、システムがこれは違うわけですよ。

 結局、加配を少人数学級へ向いて流用しているというか、本来は違った目的でつくられたものが子供の数に応じた形に流用されているという、これは一つの工夫なんだろうけれども、ある意味では逃げなんだと思うんです。我々が言ってきたことが認められなかったから、こっちでごまかして、こっちから引っ張ってこようというような、そんな交渉をしていたんだというふうに思うんです。

 そこのところも含めて、真っ当な形でやはり三十五人学級を実現していかなきゃいけないんだというこの基本でやろうと思ったら、基礎定数というのをそこまで持っていくという基盤がまずあって、その上に加配の議論をしていくというぐらい正々堂々の理論立てというのがやはり必要なんだというふうに思います。その上でこれを立法化していくということだと思うんです。

 次の臨時国会あたりでこの立法化をぜひ実現をしていただきたいというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

下村国務大臣 基本的な原理原則は中川先生がおっしゃったとおりだと思います。

 文科省としても、いじめへの対応や特別支援教育など、学校が対応しなければならない教育課題は大幅に増加しており、きめ細やかな対応がこれまで以上に必要になっていること、また、グローバル社会に対応する主体的、協働的な学びでありますアクティブラーニングを実施するための指導体制には、より教員の数をふやしていく、充実をする必要があるということから、教職員定数の改善が必要であるというふうに考えます。

 この定数改善を義務教育法を改正した基礎定数の改善により実施すべきであるということについては、そのとおりだと思います。

 具体的な改善方法、改善内容につきましては、まず、平成二十八年度概算要求に向けて検討を進めてまいりたいと思います。

中川(正)委員 ちょっとわけがわからなくなったんだけれども、法制化するということがいつからかということを言ってくれたらいいんですよ。概算要求で始めるというと、法制化は概算要求では始まらない。これは別な話ですよ。

 だから、そこのところをちょっとごまかさないで、はっきりやりましょうよ。

下村国務大臣 ごまかしているわけではないんですが、まずは早目に、二十八年度の概算要求からそのような視点に立ってやっていきたいと思います。

 具体的にいつ法制化、つまり国会へ出せるかどうかということについては、これは次の臨時国会ですぐ出しますと簡単に言えることではありませんので、これはしっかり文部科学省で議論をし、まとめながら、また、関係省庁との調整、与党との調整、それから、衆議院におけるあるいは参議院における、国会における議論を踏まえながら、できるだけ早く出せるような環境状況については、先頭に立って対応してまいりたいと思います。

中川(正)委員 何回も言いますが、文科省の交渉力というか、そこはここにあるんだと思うんです。減らせ減らせといつも攻められているだけで、いや、これだけ必要なんだという意思を、あるいはこちらが攻めるという意味でその意思を出していこうと思ったら、法制化したらいいんです。法律の原案というのを世間に知らしめて、これだけ必要なんだということでこちらから攻めるんですよ。

 そういう手法というのが要るし、現在の国会の環境から見たら、私たちもそれをやろうとしていたんだから、これが野党に回ったんだから、皆さんみたいに反対するというような話はしないですよ。そういう思いも持って協力をしていきたいというふうに思っていますので、頑張ってくださいということをまず申し上げたいというふうに思います。

 そのことを前提にして小中一貫教育というのに入っていきたいんですが、目的ではないんだと思うんですね、小中一貫という一つの新しい類型を持ってくるというのは。これは、よりよい教育環境をつくるための手段、制度をつくっていくというか、それを認めていくということだと思うんです。

 それだけに、使い方によっては、ゆがめられたというか、目的とは違った形で使われる可能性もあるだろうし、あるいは、せっかくやっても、その目的でもって我々が目指しているような教育、これが実現ができないというそんな結果も出てくるんだろうと思う。

 だから、これは一つ、その取り組み方、特に現場、地域社会、コミュニティー、あるいは教職員等々を含めたその現場現場での取り組み方と運用のシステムのつくり方、ここをしっかり捉えておかないと、当初考えていたようなこととは全く違った結果が出ちゃったなという話になるんだろうと思うので、そこを押さえていかなきゃいけないと思う。

 そういう意味で、まず、六・三制ではできなかったけれども、九年制で整えていったら実現できるんだというその想定の中で、この九年制の目的というか、これを一遍整理するとどういうふうになるのかということ、ここから始めていきたいと思います。

下村国務大臣 現行制度下における運用上の工夫によりまして既に何らかの形で小中一貫教育に取り組んでいる自治体は、先ほどちょっと申し上げましたが、昨年五月時点で、二百十一市町村、取り組み件数千百三十件、学校でいえば、小学校が二千二百八十四校、中学校では一千百四十校になります。

 これらの学校におきましては、多様な異学年交流の拡充による自己肯定感が高まってきているというプラス面、また、地域の実情を踏まえた、九年を一まとまりとした取り組みの充実というプラス面、それから、いわゆる中一ギャップの緩和など、そういう意味でのプラス面という成果が見られるということが既に言われているところでございます。それが成果でございます。

中川(正)委員 そうしたメリットを生かしていくというか、実現をしていく、顕在化していくためにどういった具体的な工夫をその運用の中でしていくか、また、そういう環境を付加的につくっていくかという議論が必要なんだと思うんです。

 ここのところは、先ほど話が出ましたけれども、さっきの私の四万二千人削減の話と関連するんですが、六・三を統合して九年制にしていく過程でよく言われるのは、本来は、それを一貫して子供たちのケアをもっときめ細かに、そして一貫性を持ってやっていくような工夫をしようと思うと、かえってきめの細かい、それこそアクティブラーニング的な人的資源が必要になってくるだろう、こういうことですよね。

 しかし、制度だけを見ていくと、頭数だけだと確実に人は減る構造なんですね。一つの中学校があって、二つ、三つ小学校がある。その小学校が、一般的には子供の数は減ってきていますから、一クラスが二十人だとか三十人だとかというようなそんな小学校が合体されて一つの学校になっていくわけで、そうすると、それをクラス分けをしていくと、物理的にも、それぞれの小学校で分かれていたときのクラスよりもクラスの数は減るんですよ、一般的に考えていったら。そういう意味では計算基礎が細ってくる。

 これは何も、校長先生が何人もいたから、その校長先生を一人にして、そのかわりに副校長とか教頭とかというのを置いておくから、ここの部分だけで我々は手当てをしていますということではなくて、全体としてやはりこれは減るんですよ。ここについてやはり議論が不足しているんじゃないか。校長先生や養護教員やあるいは管理職だけの話でこれは減りませんよ、そのまま基準を持っていきますよという話をしているだけで、具体的に教室の数が減っていくということに対して、それに対して、一人一人の定数がやはり縮むんだということに対してしっかりとした議論というのはできていないんじゃないかという気がするんです。

 そこのところはやはりこの機会にちゃんとした形で打ち出しておかないと、またこれは財務省のいいカモになるということになるんじゃないかということ、まずこの指摘をしておきたいと思いますが、どうですか。

下村国務大臣 その指摘は、これは当たらないというふうに思います。

 それというのも、義務教育学校の前期課程及び後期課程は、現行の小学校及び中学校に準じた教育が行われるということでございます。義務教育学校の学級編制及び教職員定数の標準についても、前期課程は現行の小学校、それから後期課程は現行の中学校と、それぞれ同等に算出するということとなっております。

 このため、小学校一校、中学校一校が義務教育学校で移行する場合には、教職員定数は同数ということになりますので、御懸念のような削減は行われません。

 ただ、御指摘があったように、この義務教育学校の創設に伴い、例えば複数の小学校を統合する場合、例えば小学校二校と中学校一校とか、それで義務教育学校を一校つくる、そういうふうな統廃合によりこの教職員定数が減るということは、これはあるわけでございまして、これは算定基準そのものは今までと同じでありますが、そういうことによって結果的に減ることはありますが、しかし、基準が、その部分、いわゆる合理化によって削減されるとかいうことではないということであります。

中川(正)委員 これができれば統合が加速されるんですよ、全体として。

 自治体によっては、もうそれをトータルでやろうという形で、例えば品川なんかはそのいい例で、マンモス校化して、実質的には、これまで分散化していたところよりも子供に対する学校の先生の数というのは基準として減るという結果になっているので、当たらないということじゃなくて、要するに、さっき認められたように、現実的にそういうことが加速していくわけです。

 このことについて、この加速していく分をそのままそうだねという形で算定基準にしていかないで、これを活用して、そして新しい教育システムにそれを向けていくんだという議論が必要だと言っているんです。それがないんですよ。せっかくそういう構造になっているのに、その議論がない。ということを指摘をしておきたいというふうに思います。

 だから、これは何でそれをつくり上げていくのかというのは、必ずしも法律でなくてもいいんだろうから、そこのところをしっかり理論づけてください。これを一つ指摘をしておきたいというふうに思います。

 そして、この導入に際してのいろいろなデメリットというか、問題点もこれまで指摘をされています。いいことばかりではないねというところ、ここもしっかりと議論をしておかなきゃいけないんだろうというふうに思うんです。

 その中の一つとして、いろいろな問題点の中の一つとして、実は、先行のシステムとして中高一貫を入れたということがありました。これは、私立のそれぞれ中高一貫というのが今はメーンになっていますけれども、この結果をどのように評価をされておるかということですね。

 まず、ここから議論を始めていきたいと思います。

小松政府参考人 中高一貫教育制度は、六年間の学校生活の中で計画的、継続的な教育課程を展開することによって生徒の個性や創造性を伸ばすということを目的として、平成十一年度に導入をいたしまして、これが、平成二十六年度現在でございますが、五百四十一校となっております。

 それから、中高一貫教育の取り組み状況につきまして平成二十一年度に調査を行いましたところ、課題とメリットと両方出てきたわけでございますけれども、高校入試がないことによる学習意欲の低下や、あるいは、生徒間の学力差がその長い期間の間に見られるというような課題が挙げられている一方で、学力の定着、向上や、異年齢交流による生徒の育成などに成果が見られるということも明らかになっております。

 さらに、海外留学などの国際化に対応するための教育や、体験活動、地域の特性を重視する特色ある教育が展開されたり、高校入試がないことによる影響が時間的余裕になって、これを活用して、安心して意欲的な活動に取り組むことができるといった評価もされております。

 こうしたさまざまな評価の中で、導入の目的が一定程度達成されているという状況かと見ております。

中川(正)委員 メリット、デメリット、それぞれあるんだと思うんです。いいところもあると思うんですが、この際、ちょっとその問題点というか、ここについて、小中一貫でも気をつけていかなきゃいけないんじゃないかというところを指摘させていただきたいと思うんです。

 この中高一貫の場合は、選抜制が前提になっているところが多い。そういうことですよね。そうすると、公立の学校からいいところだけを選び取って、結局、その目的としては、エリート校化した、大学受験を前提にしていった教育、ある意味で予備校化していく傾向があるのではないかということが指摘されたり、また、高校二年生のレベルまでに三年の部分も全部やっちゃって、だから、先行させてやって、もう三年生は受験勉強一筋というふうな形で特化をしていくというふうなシステムがその中に入って、そして進学実績ということを全面的に前に出して子供を集めるというふうな形になっている。ある意味、予備校化ということなんですね。

 これは、ある一定の資質の子供たちを集めて、それを目的の一つにして、予備校化するという形で成り立っているシステムなんだと思うんです。そこでうまくいっているところもあれば、質が同一化されなかった場合にはそこから落後していく子供たちもいるという、そんな結果なんだと思うんだけれども、例えばこの小中の場合も、そういうふうに受け取られて、このシステムを運用しようとした例があったんじゃないか。そこのところの分析をしっかりやっているのかどうか。

 私は、ある意味、選抜制で小中一貫というと、品川を思い出すんですよ。ここでやったことというのは、そうした親の意向も踏まえてエリート校をつくっていこうというような、あるいはまた、私立に負けないような公立の学校のつくり方をしていこうというような、そういう意識が働いたということもあったんじゃないかと思うんですが、そういう例もこれまでの小中一貫の中にはあったということなんですね。

 だから、これからもそういう意味合いの小中一貫というのが、捉えられ方をして普及をするということが出てくる可能性は大いにあるというふうに思うんです。

 そこのところについての考え方をこの小中一貫を導入していくときにどうまとめていくかということについて、今、文科省の中ではどういう前提、あるいはどういう議論をしたのか、答えてください。

小松政府参考人 今回の義務教育学校の制度創設の目的等については、先ほど来の御質疑の中で取り上げられております。

 そういたしまして、これとは別途、中高一貫校のメリット、デメリットを含めた現時点での評価について先ほど御説明を申し上げましたけれども、こうした今回の制度創設の目的等を中心といたしまして、文部科学省の中でも、もとより、中央教育審議会を中心に相当議論をさせていただいております。

 この中で方針といたしましては、今回の法文の案にもございますように、義務教育学校は、「義務教育として行われる普通教育を基礎的なものから一貫して施すことを目的とする。」ということで、平成十九年の学校教育法の改正で入りました義務教育の目的の文言にまずきっちり沿うということを前提といたしております。

 このことから、学習指導要領の内容項目を網羅し、教員、教科書、そういった点につきましても小学校、中学校の制度と同じようにいたしますので、この点では義務教育、小中学校と、いわゆるエリート教育というようなことにならないような仕掛け、目的ということで行こうという議論になっております。

 それからまた、もう一つ、いわゆる入学者を選抜するという仕組みはとらない。中高につきましてはいわゆる就学指定の対象にならない形にしておりますけれども、こちらの義務教育学校につきましては、就学指定の対象といたしますので、そういった意味での選抜制というものにおいては、全く違う形をとろうということに結論としてなっております。

 そういった形で、今回の義務教育学校がいわゆるエリート教育化をするということのないようにしてまいりたいというのが、私どもの中の議論でございます。

中川(正)委員 そうすると、もう一回確かめたいんですが、選抜制はやらないということですよね。

 もう一つは、学校区についてはどうなんですか。学校区を自由にするというレベルもあるわけですよ。これがどうかということ。

 それからもう一つは、これはメリットとしてよく議論が出てくるんですが、九年制だから、前倒ししてさまざまな教科を早目に取り組ませて、そして、何回もというふうになるのか、それともレベルのさらに高いものに、応用編へ向いてということになるのか、いずれにしても、前倒しをした形のカリキュラムを組んでいくことができますよというふうなこと、現実にいろいろなところでやっていますよね。その辺ついては、エリート校化していくとか受験のためにとかということじゃないんだ、これはそうした効果の上がる教育システムでいいんだよ、こういう話なのか。

 具体的な話でいくと、その辺の整理はどのように前提として指導するつもりなのか。

小松政府参考人 幾つかまとまった御質問をいただいておりますが、まず、御確認事項の、いわゆる入学者選抜を行わないということについては、そのとおりでございます。それが一点。

 それから学区制、いわゆる就学指定ですね、これについてどういう整理かというお尋ねでございますが、現行の小学校、中学校、市町村立で申し上げますと、就学指定の対象となって、学校選択制を導入するか否かというのは、これは地域での御判断によってそういうことはあり得る、こういう仕組みになっているわけでございます。

 今回制度化される義務教育学校は、先ほど申し上げましたように、通常の小学校、中学校の学習指導要領を準用いたしまして、それと同じ内容を九年間で基礎から行うということで、就学指定の対象とすることが原則でございます。

 このため、小学校、中学校の場合と同様、学校選択制の導入については、市町村が児童生徒の実態、保護者のニーズを踏まえ、対外的な説明責任にも留意をした上で、地方自治体としての判断はあると思いますけれども、原則として学区制によるということは、現行の公立の小学校、中学校と全く同じ仕組みをとることを考えております。

 それからもう一点ございましたのが、例えば、長い期間でございますので、圧縮してしまって早期の授業をやってしまうというようなことによって、学力面で問題が生じてくるような扱いにならないようにできるのかということでございます。

 これにつきましては、義務教育学校では、学習指導要領に示された内容項目をきちっと網羅しなければいけないこと、それから、各教科等の系統性、体系性、これは九年にわたりますけれども、それをしっかり配慮していかなければいけないこと、それから、児童生徒の実態を十分踏まえて負担過重にならないようにすること等を告示で、私ども、要件として示してまいりたいと存じます。

 それから、先ほど来、大臣からも御答弁がありますように、現在、運用上として小中一貫教育に取り組む学校の例が相当数ございます。この中で、すぐれた事例、あるいはきっちりとやっていただく事例というのが積み上がっております。ここから制度化の要望等も出てきたという今回の経緯もございますので、これを生かしまして、義務教育学校において学校全体の学力水準が上がるように努力をしていただきますとともに、御懸念のような、これを便宜に使って、前倒しによって弊害が生ずるというようなことがないような措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

中川(正)委員 それから、これに関連してあと一つ確かめておきたいのは、一つの市なり基礎自治体がこの制度を導入していこうというときに、幾つもある中学校の中から、そのうちの一つだけをやりましょうというケースと、いや、もううちは市全体で九年制で取り組んでいくんだよというのと、いろいろケースが出てくるというふうに思うんです。そうすると、親の立場とすると、たまたまここに住んでいるから九年制なんだ、こっちに住んでいたら六・三制だといういわゆる選択権みたいなもの、これをどう整理していくかという問題が出てくると思うんですよ。

 理想的な姿というか、これを導入していくのに、トータルとして理想的な姿としてはこういうことなんですよというのが皆さんの中で議論した結果出てきておれば、それはやはり示す方がいいと思うんですよ。

 みんなやってもらっちゃ困るよ、中の一つ二つですよ、これがいいのか、それとも、やるんだったら全体で取り組んでくださいというのがいいのか、端的に言えば。どっちにメリットが大きくなって、どっちに全体として親としての満足度につながっていくのか。

 あるいはまた、一つ二つの場合だったら、例外的に、いや、私の方は九年制の方がいいので、学区を越えて向こうへ向いてその理由で行くということだったら認めますよとかいうふうな学区の弾力性というか、そういうものを認めていくのか。

 これは、この制度を準備した国の方がある程度示唆をしてやらないと、地方自治体レベルで工夫しなさいよと言っても、なかなか難しい部分があるのではないかというふうに思うんです。

 そこの議論はどうしましたか。

小松政府参考人 文部科学省の検討過程におきましては、そうした各市町村ごとに一律の制度をとることを原則とするか、その逆とするか、あるいはお任せするかといったことも、いろいろ出たところでございます。

 ただ、各市町村の実情は極めてさまざまでございます。文化的な面や行政区域としての歴史もございますが、そのほかに、自然的な地形その他などもさまざまありますので、この方式が基本的には望ましいということを決めるのは、そうした議論を経ました上でも、なかなか簡単ではないなということでございます。

 そこで、先ほど申し上げましたように、就学指定の対象として立てるということを原則とする、これは一つはっきりした方向にしたわけでございますけれども、市町村において一律に対応するのがいいかどうかということにつきましては、ここは基本的には、市町村の児童生徒の実態、それから保護者のニーズを踏まえて、対外的な責任にも留意して判断をしていただくということにする、こういう考え方に立っているわけでございます。

 一言だけ恐れ入ります。

 ちなみに、これらにつきましてもさまざまな事例が積み重なっておりますので、具体的な事例に即して考えることができるように、私ども、説明会や、あるいはその事例の頒布等についても、努めて判断に資するということにしていきたいと思っております。

中川(正)委員 これは、判断ができるようなこれまでの積み重ねというのがあるのだとすれば、我々にもしっかり示してもらうべきだというふうに思います。

 同時に、さっきの言葉で言えば、わからないからあんたたち勝手にしてよというだけの話で、肝心なところで文科省はそれをやってしまうんですよ。だから、それではだめだということを指摘しておきたいというふうに思います。

下村国務大臣 今、局長から答弁ありましたが、基本的にこれは教育再生実行会議で議論されたことでありまして、教育再生実行会議の議論のあるべき論で申し上げれば、この義務教育学校は、全ての自治体で全ての学校を対象にそういう方向に持っていくことが望ましいということであります。

 それはなぜかというと、子供の発達状況が、六・三制の義務教育を制定した当時とは、相当時代的に、子供の身体的なあるいは学力的なことも含めて変わってきているという中で、子供の発達状態に応じた学校のあり方がやはり必要ではないかということの中で、子供の発達が義務教育が始まったときから比べると二年ぐらいは早くなっている。それに六・三制がなじまないのではないかということがありました。

 では、五・四がいいのか、あるいは四・三・二がいいのかということについては、これはまとまりませんでしたが、それについては、それぞれの自治体の中で義務教育学校という中でやっていく。

 ただし、あるべき形としては、先ほどちょっとおっしゃっておりましたが、例えば、その地域の少子化、過疎対策として、ていのいい統廃合として義務教育学校を受け皿とするというようなこととか、それから私は、伸びる子はどんどん伸ばすような形で、これはエリート校ではありませんが、六・三を一貫的にすることによって、より学習成果、効果が高い、伸びる子はもっと伸ばしてあげる、それから、学力が十分でない子に対しては丁寧に対応するというようなトータル的なパッケージとしては、義務教育学校にした方がより柔軟な対応ができるというふうに考えますので、この法律が国会で通った後であれば、できるだけ文部科学省としては、都道府県に対して、ぜひこの義務教育学校については積極的に取り組んでもらいたいということを、これは積極的に大臣として申し上げたいと思います。

 ただ、局長からお話がありましたように、では実際に統廃合して、理想的にいうと小学校、中学を一つのところで一貫的にやればいいわけですけれども、小学校と中学校は今までどおり別々のところで体系的にとかいうような、物理的にそうせざるを得ないところもあるでしょうし、簡単に九年間一貫とか言ったって、一カ所でやれない部分もありますから、それから、先生もまだまだ免許を両方取得しているわけではない、そういう地方自治体におけるいろいろな現状はありますから、一律にいつからすぐ義務教育学校に変えられるというような状況ではないということはよく我々も理解をしておりますので。

 しかし、望ましい方向は、そういう子供の発達状態に応じた義務教育学校という対応については、ぜひ積極的に地方自治体で取り組んでいただきたいという思いであります。

中川(正)委員 私も現場を二つ三つ見てきたんです。最近もつくばへちょっと行ってきたんですけれども、共通して言えるのは、九年間一貫していわゆるケアしていく、一貫性を持っていくというその部分と、それからもう一つは、子供の発達状況に応じて必ずしも六・三ということにこだわらずに、四・三・二とか、あるいは五年生段階でちょっと区切りをつけて、これまで六年生で卒業式があったわけだけれども、それも一つ延ばしてそれで区切りをつけてとか、運動会もその辺で割ってとか、さまざまに弾力的なグルーピング、あるいは成長段階に応じた対応ができるというような、その弾力性をもって義務教育学校だと。

 だから、一貫するところのメリットと分けていくメリットが両方あわせて使えるんですよということをもっと発信しないと、いや、これまで六・三制であったのが一貫になったということだけでは、これはなかなか中のメリットが出てこないんだというふうに思うんです。

 さっき大臣が言われるように、これを進めていきたいんだ、各基礎自治体がやると言うんだったら、一つ二つでやらないで、みんなトータルでやってくださいよ、そういう取り組みをしてくださいよというふうに持っていきたいんだとすれば、もっともっとそういう工夫が要るんだと思うんです、その制度設計に。

 そこのところが足りないままにやってしまうと、さっきの過疎対策による、横の統合よりも縦の統合がいいねという形だけで終わってしまったりする。

 工夫というのは、そうしたグルーピングの工夫と同時に、コミュニティースクールとかアクティブラーニングだとかという新しい手法が入ってきているので、それと組み合わせて、地域が教育に取り組んでいく一つの課題として九年制でやったときにどうなりますねというような、そんなことも含めて対応していくというのがこの制度の基本ですよというメッセージと、それから、法案の中に、法律の中にそのことを書き込まないといけないと思う、目的として。そうでないと、ただ新しい九年制という類型ができましたよ、皆さん、こっちでもこっちでも選択できますよということだけで今法案が出ているわけですから、これではなかなか本意が伝わらない、あるいは、専門家の間で議論してきた内容が現場には伝わらないということだと思います。そのことについても指摘をしておきたいというふうに思います。

 そういう意味では、大臣の気持ちはわかるんだけれども、一挙に全部やれよと言ったら、これは恐らくいろいろな支障が出てくると思います、今の状況で一挙にやれよと言ったら。ということを指摘をしておきたいというふうに思うんです。

 もうちょっと時間が残っているようなので、この九年制の話はここまでにしておいて、一つだけ、私のこだわりを確認をしていきたいと思うんです。

 国際バカロレアなんですけれども、これは進める進めると言っていますが、現場の話を聞いていると、それをやろうと思うと、仮に日本語でシステムをつくってバカロレアで入れようと言っても、四十時間を超える、子供に対する新しい負担というのがかかる。そういうことでないと組めないだろうというふうなことだとか、あるいは私から言わせたら、これは日本語に変えると言っているけれども、日本語に変えた上で、海外に留学をしたいというときに、では、これがそのまま、日本のバカロレアがこういう形だからもうそれでいいよという話になるかというと、こんなものは中途半端になって、例えばアメリカへ行くとしたら、TOEFLとかSATとか、適性テスト、大学試験というのは受けなきゃいけない中で、本当にそこまでの実力に持っていけるかどうかというと、私は非常に疑問がある。どちらかというと、両方が中途半端だ。日本の指導要領の分野でも中途半端になり、バカロレアも中途半端になってしまうという可能性の方が高いと思うんですよ。

 私はバカロレアに反対しているわけじゃない。そんなことをするぐらいなら、日本もそろそろ、指導要領の一発、一本というだけではなくて、これからいろいろな教育体系というのを議論していかなきゃいけない形になってきた。いわゆるフリースクールなんかの存在も含めて、バカロレアというこの形態なんかももう一つの類型としてあっていいんじゃないか。そうした個別の類型として位置づけてこれをやりましょうよ、そういう議論なら大いに賛成なんだ。

 中途半端にやっちゃいけないと思うんですけれども、そこのところの認識は、大臣、どういうふうにお持ちでしょう。

下村国務大臣 これは中川委員がおっしゃるとおりだと思います。

 そもそも民主党政権のとき、一般高校における国際バカロレア認定校を二〇一八年までに二百校決める。これまではインターナショナルスクールだけでありましたが、それをスタートで、政府としては、平成二十五年の六月に日本再興戦略の中で閣議決定をし、二〇一八年、二百校、国際バカロレア校、これを目指して今進めているところでございます。

 ただ、御指摘があったとおりに、学習指導要領との対応について、これは、今月十四日に取りまとめられました教育再生実行会議の第七次提言におきましても、「国は、国際バカロレア認定校においては、学習指導要領と国際バカロレア・ディプロマ・プログラムの双方を、より無理なく満たせるようにするための措置を講じる。」と提言されました。

 これを受けまして文科省としては、国際バカロレアと学習指導要領の双方が無理なく履修できる特例措置の新設を行い、高等学校の標準である九十単位程度の履修を可能とするようにしていきたいと思います。

 生徒の負担はこの特例により解消される見込みでございますので、ことしの夏ごろをめどに、この創設に向けて引き続き検討を進めてまいりたいと思います。

中川(正)委員 私の言っている意図を全く理解されていないと思います。

 それをやったら生徒の負担は減るかもしれないけれども、バカロレアでなくなると言っているんですよ。バカロレアでなくなるんです。だから、バカロレアをやるんだったら、独立してやりましょうよ、やっていいよというシステムをつくりましょうよという話ならわかる。中途半端に生徒の負担を軽減させてやったら、全く違ったものが出てきて、バカロレアではなくなるということ。向こうは、それでもいいよ、認定はそれでもするよと言うかもしれないけれども、実質的には違いますよ、何のためにやっているかわからなくなりますよということを言っているんです。

 以上、終わります。

福井委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 きょうは学校教育法の改正ということで、よほど大きな法改正かと思って期待をしておりましたが、果たして、そもそも法改正の必要があるのかないのかというぐらいの、そもそものお話から入らざるを得ないなと思います。特段反対する理由もございませんし、もちろん賛成はさせていただきますけれども、ただ、この法改正の意味というか意義というか、なかなかちょっとわかりづらいところもありますので、そもそものところから確認をさせていただきたいと思うんです。

 先ほど来お話があるように、現行法でも設置者の裁量で千百三十校がもう取り組んでいるということであります。その取り組みの状況についても、当委員会で、来週、お台場学園の視察もさせていただくわけであります。つまりは、教育的な、実際の教育指導あるいは生活指導上の意義については後ほど聞きますけれども、実際にもうこういった運用というのは、何も法改正しなくても、設置者の裁量でできるんじゃないですか。それを、あえてこれをするということの意味から教えていただきたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、現行制度下における運用上の工夫によって、今、千百三十件、取り組みがされております。

 ただ、現在されている中で、問題点として、今回法律改正をする必要がある理由というのは、小学校、中学校が別々の組織として設置されているということによりまして、小学校、中学校それぞれに校長や教職員組織が存在し、小中一貫した取り組みを行う場合、意思決定や意思統一に時間がかかる。また、組織が一体でないことから、人事異動などで人がかわると取り組みが定着しにくい。さらに、教育課程の編成や年間指導計画の作成を初め、小学校、中学校ごとに取り組むことが想定されている事務が多く、九年間を見通して一体的に遂行することが難しい。また、特例的な教育課程の編成に当たり、研究開発学校制度や教育課程特例校制度を活用する場合には、個々の文部科学大臣指定が必要となり、迅速な取り組みが難しい、手続が煩雑である。このような課題が指摘をされております。

 実際に運用上の取り組みを進めている現場からも、義務教育学校を制度化して、ほかの自治体における既存の学校に対してもぜひ制度化してほしい、そういう要望が寄せられているところでございます。

 今回の制度化によりまして、一人の校長のもとで一つの教職員集団が九年間の教育を行うことを前提とした学校を設置し、設置者の判断により柔軟な教育課程を編成することが可能となります。このことにより、現在生じているさまざまな運用上の課題が解消され、より効果的、効率的に小中一貫教育を実施することができるようになるものと考えます。

 このように、義務教育学校の制度化は、小学校、中学校に加え、各地域における制度的な選択肢を広げることを目的とするものでありまして、そういう部分から、ぜひ法案化で、国会でお願いするという内容にしたものであります。

牧委員 その制度化をすることによって、設置者がよりスムーズにこういう取り組みができるということはよくわかります。だから、別に法律化しなくても、スムーズに手続が済む方法もあったでしょうし、その必要性については私もよく理解しているつもりですけれども、せっかく法改正をするんですから、そこに、中に、例えば、九年間の間に飛び級があるのかとか、あるいは、大人の会話の中に、おまえ、小学校から出直せというような会話もありますけれども、そこの九年間の中に、もう一回小学校から学び直す仕組みがあったり、そういった中身の、仕組みについての議論を私はしたかったと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

下村国務大臣 ぜひ国会の中で議論を深めていただいて、より義務教育学校、成立をもしさせていただいたら、その中で、いろいろな取り組みができるような、創意工夫を含めた、そういう提言もしていただければありがたいと思います。

 ただ、この義務教育学校、やはり義務教育の中での制度ですから、ここだけ例外に飛び級するとかいうんだったら、もう小中学校全部を一体的に考えるというような、そういうことというのはあり得る話だと思いますし、一方で、例えば中三、前回も維新の党からも質問が出ましたが、例えば卒業基準的なものを設けて、全部クリアしなかったら落第させることもどうかというような議論というのは今後あるんでしょうけれども、この義務教育学校だけそうするということについては、制度上、いろいろな課題があるというふうに承知しています。

牧委員 その辺がやはり文科省の行政の限界だと私は思うんですね。せっかくこれは、要は設置義務を履行できる学校として認めるということになるわけで、同時に、従前どおりの小学校あるいは中学校というのも従前どおり認めるわけで、そこに選択の幅ができたわけですね。

 ただ、今の話を聞いていると、ただ単に、教育課程も前期、後期とこれまでどおり学習指導要領に準じてやるわけであって、今回こういう新しい学校種をつくることの意味というものが、やはりそれでは、ちょっと一般国民的には理解しづらいのかなと。何でわざわざこんなことをするのかなというような疑問が残ってしまうと私は思うんですね。その点についていかがでしょうか。

 これは別に、全部九年間にして、それを、結局、もっと柔軟な教育課程に全部変更しなさいというわけじゃなくて、設置者には従前どおりの選択肢も残っているわけですから、残っている中でこの新たな義務教育学校をつくることの本当の意味というものを、もうちょっと中身のあるものに私はしてほしいなと思うんですけれども、もしその点についての御意見があれば、お聞かせください。

下村国務大臣 思いはわかりますが、具体的に牧委員が、ではどんなことを提案されるのか、どんなことがプラス必要なのかということを挙げていただければ、それに対してお答えさせていただきたいと思います。

 ただ、今回については、子供の発達段階に応じて、義務教育の中で、より子供たちにとって成果、効果が上がるような学校教育課程の仕組みについての柔軟化ということでありまして、これは、今までの硬直した六・三制というのを全国一律にするということではなくて、自治体の工夫によって、同じ九年間の義務教育においても相当成果、効果が上がる、そういう方法の一つだというふうに思いますので、これはこれとして大変な改革ではないかと思います。

 一方で、今後、これは今回の法案とは直接は関係はありませんが、先ほど申し上げました教育再生実行会議でこの義務教育学校について議論をしているとき、義務教育の期間についての議論もありました、九年間のままでいいのかと。今、世界の中でも、実際は、義務教育期間が九年間というのは最も短いんですね。ほかの国は、もっと、十二年とか、そういうところもかなり出てきております。

 先進諸国の中で、また、これから教育立国を目指す国として、義務教育の九年間ということをもっとさらに延ばすべきではないかというような議論もありましたが、まだ十分な国民的な議論もされていない中で今回の義務教育学校の中の法案として入れるには時期尚早だということでこれは先送りしておりますが、そういうこともあわせて、本質議論としては議論していく必要が今後もあると思います。

牧委員 あと、先ほども質問が出ていたと思うんですけれども、この制度の導入をするに当たって、その最終的な、まあ、最終的なということを今断言はできないかもしれませんけれども、おおよそのイメージとしての目標というか、その数の目標についてお聞かせをいただきたいと思います。そこへ向かって従前どおりの小学校、中学校というものを残していくのか、あるいは、これからどんどん義務教育学校の設置を推進していくのか、基本的な方向性をお示しいただければと思います。

下村国務大臣 これは、先ほど中川委員からも同様の視点における御質問がありました。

 私は、目指すべき方向としてこういう法律改正案を国会に今回上程させていただいているわけでありますから、全ての自治体において、全ての小中学校において、この義務教育学校に該当するような、そういう制度設計についてぜひ考えて前向きに取り組んでいただきたいと思っております。

 ただ、法律上書き込めないというのは、物理的な問題、つまり財政的な問題がこれは発出してまいります。既存の小学校、中学校があって、これは六・三制、それを例えば四・三・二とかするとき、では、今の中学校の三学年の校舎、校庭をどう活用するのかということになると、一体的にしないと、小学校、中学校を一つにするという物理的なことをしていかないと、理念上それを達成するというのはなかなか難しい部分があります。

 では、それを義務教育学校として、全部そういう意味で小中学校の一体化をできるだけの予算がどの程度これから可能性があるのかどうか、また、そういうことが地方自治体の財政上も許されるのかということになると、法律をつくっても実際は財源がなかったらできないということでありますので、やれる部分からやっていく。

 その中でのいろいろな創意工夫については地方自治体にお願いをしながら、しかし理念としては、この義務教育学校については、ぜひ各自治体で、全ての学校において、子供の発達段階に応じた、状況に応じたより的確な学校環境状況ができるようなことについて、ぜひ加速度をつけていただきたいと思います。

牧委員 加速していきたいというお考えはよくわかりました。一方で、今、地方の財政の状況もあるということもよくわかります。

 ただ、これもさっきの質問とちょっとかぶるかもしれませんけれども、確かに、こういう学校を設置するに当たってのイニシャルコストはかかるかもしれないけれども、例えば合理化というか、管理職の数をトータルで減らしたり、そういったことを考えると、行く行くは財政健全にも資するという考え方がその中に多少なりとも入っているのか入っていないのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 というのは、統合することによって、ある程度の、校長は一人になるということもあり、もう少し具体的に、こういうところが変わるということも示しながらお知らせいただきたいんです。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の中に複数の要素があると私どもは受けとめておりますが、小中学校の九年間の一貫の教育課程あるいは教員組織、校長先生の体制をつくっていく、そういう制度の創設という、この方策の議論等におきましては、今おっしゃられましたように、そのことによって人員が削減されて、財政にその分で当面資するというような目的でそれを行うということは考えておりません。

 それから、削減が起こるかどうかということにつきましては、先ほど来の御議論の中にもございますように、統廃合でつくられることもありますでしょうし、新設でつくられる場合もありますでしょうし、それによって少し分けなければなりません。

 あるいは統廃合につきましても、小中学校を一校ずつ統廃合する場合は基本的には変わりがないことになりますけれども、その中に、例えば複数の小学校を統合して一校にしてそれが一緒になるということになれば、削減が起こる。これは、小中学校だからというよりも、統廃合だからということになろうかと思います。これは、そういう仕組みで義務教育学校としての要件は担保するけれども、統合によって減ることがあり得るということでございます。

 これら全体を通じましてどのように子供の教育環境を整えるか、あるいはその地域の核としての学校の活性化を図るか、あるいは先ほど御指摘ございましたけれども、コミュニティースクールのような学校の運営の工夫をするか、こういったことを総合的に勘案して、各地域において、地域住民、保護者の皆様と地域行政が一緒に考えて最良の方法をとっていけるための選択肢をふやす、これが私どもの基本的な考え方でございます。

牧委員 あと、この制度導入によって予想される混乱というか、解消しておかなければならない問題として、教員の免許、資格についての議論が必要だと思います。

 この中身については、恐らくこの後、また我が党の初鹿議員からも質問があるかと思うので、一点だけちょっと確認したいんですけれども、現在、小学校で英語が教科になって導入をされました。今、小学校の先生たちというのは、もともとは英語を教えるという前提はなかったと思うんですけれども、どういう資格で今英語を教えているんでしょうか。

小松政府参考人 小学校における英語でございますが、これは教科ではなくて、現時点では外国語活動という形で、教科外で行われております。

 学習指導要領によりまして、その活動は、学級の担任の先生か外国語活動を担当するための先生が行うということにされております。つまり、中学校から来てというようなことではなくて、小学校の先生が教えることが基本となっているということでございます。

 なお、そういう意味では、資格というのは、例えば免許を併有していらっしゃる方がどのぐらいいるかとか、そういうことにもよるわけでございますけれども、資格ということではなくて研修ということで充実するということも必要でございますので、私ども、この制度の導入前から、独立行政法人の教員研修センターにおいて、中核となる指導主事の先生や小学校の先生方をまず研修いたしまして、ここから、私どもカスケード方式と呼んでおりますが、滝がだんだん広がるようにして研修が各学校に及ぶというような形で支援をしているというのが現状でございます。

牧委員 済みません、ちょっと確認したいんですけれども、局長、要は、小学校の先生というのは全教科教えるんだから、だから英語を教えても構わないというような説明を私は聞いた覚えがあるんですけれども、そうじゃないですか。

小松政府参考人 現時点では教科ではございませんので、外国語活動ということで、学習指導要領でいえば、教科とその他の活動等がございます。それらをトータルとして担任の先生が扱うということになっておりますので、その範囲において外国語活動も扱っているという構造でございます。

牧委員 これから教科になったときにどういうことが起きるかということに思いをいたしてちょっと聞いたんですけれども。

 つまりは、今回、義務教育学校をつくったときに、これまでの小学校の先生と中学校の先生が混在する形になってくると思うんですけれども、その資格要件が、小学校の先生は、これは教えられないという、要はネガティブリストがないから全部教えられるんだと。中学の先生は、この教科を教えられる、社会あるいは国語とか、そういういわばポジティブリストに基づいて教えるわけで、これを一緒にするというのは、私はなかなか大変なことじゃないかなと思ったものですから、あえてそのことをちょっと申し上げさせていただきました。よろしく御検討のほどをお願い申し上げたいと思います。

 もう余り時間がございませんけれども、私は、個人的には、ある程度今の区分というのは、それなりの合理的な意味があるというふうに思っております、小学校、中学校の区分ですね。発達において、それは時代の流れによって多少違うとは思うんですけれども、やはり乳幼児のときの急激な成長と、それから一旦緩やかな成長になって、思春期というのはまた急激な成長期になるわけですね。この一つの節目というか、やはり人間の人生にとって節目節目というのは大切だと思います。

 私は、個人的に振り返ると、中学の入学式というのを鮮明に覚えているんですけれども、何か大人への一つの新たなステップだなという印象が残っております。この一つの節目がいわばなくなるわけですよね。

 もう一つ言うと、川崎の中一男子生徒殺害事件という痛ましい事件がありましたけれども、これは中学一年生が被害者で主犯格の少年は十八歳でしたけれども、これをそのままずっとスライドさせると、ちょうど小学生と中学生ぐらいの年の差があるわけで、自分の子供時代を振り返ると、一年先輩でも非常に大人のように見えたわけで、発達段階の子供にとってこの年の差というのは、大人には想像がつかないぐらい非常に大きいものがあると思います。

 そういう中で、この年の差がすなわち力の差になり、大きいところから引きずられる。いい形で引っ張り上げてもらえればいいんでしょうけれども、逆に、本来触れてはならない世界に触れてしまったり、虐待を受けたり、いじめを受けたり、そういう可能性も私は多分にあるんじゃないかと思うんですけれども、そういう心配はございませんか。

下村国務大臣 運営上、既に小中一貫教育に取り組んでいる学校におきましては、今、牧委員が御指摘の御意見とは逆に、小学校、中学校段階を超えた異学年交流の大幅な増加によって、いじめ等生徒指導の問題が減ったとか、それから、児童生徒同士の人間関係が改善する等の効果を上げた、それが明らかになっている部分で、プラス面があります。

 私も五月の連休にフランスに行ったときに日本人学校に行きましたが、これは小中一貫でやっておりました。義務教育学校導入、国会で法案を出すというような直前だったので、あえて小学生や中学生にちょっと聞いてみましたけれども、かえって中学生たちも、今少子化の中で弟、妹が少ないですから、こういう学校を通じて小さな子供と一緒になることによって、より人間関係といいますか、いじめ問題もないし、面倒を見るということの中で自分たちにとってもプラスだ、そういう評価も聞きました。

 ですから、ぜひマイナス面が出ないような、周りのコミュニティースクール等、いろいろなフォローアップもありますが、プラス面があるということは、運用の中で、既に行われている学校で出ていますので、それが広がっていくように文部科学省としてもバックアップしてまいりたいと思います。

牧委員 今いい話を聞かせていただきましたが、悪いところは、心配はないということでよろしいんでしょうね。

 今まで、千百三十校、モデル校があるわけですけれども、こういった事例についてはきちっと調べられているんでしょうか。

小松政府参考人 取り組み上のメリット、デメリットのしっかりした把握という面で申しますと、ただいま大臣から御答弁を申し上げましたさまざまないい点がありますけれども、少数ではございますが、もとより課題もございます。

 先ほどのお話のございますように、子供たちの間の幅が広がりますので、その点については留意が必要であること、あるいは先生方の意思疎通等についていろいろと課題が残っているとか、そういった点はありますので、両方あるという点はございます。

牧委員 ありがとうございます。

 余り時間がなくなってしまいましたので、一つだけお聞きをして終わりたいと思いますが、次の機会にもう少し突っ込んで質問させていただきたいと思っていたことが、特別支援級のことであります。

 先週の質問で、財務省による教職員の削減計画について、大臣の答弁は私にとっては満足のいくものだったと思います。現在の教育現場に課されるさまざまな今日的な課題に対応するために、特別支援学級の充実など、単に児童数の減少だけを捉えて、すなわち教員削減という考え方には立たないというふうに、そういう趣旨のことをおっしゃっていただいたと思います。

 機会を見て、特別支援学級についての質問をさせていただきたいと思っておりますけれども、ここについての取り組みの決意、先日、我が党の鈴木委員からも質問がありましたけれども、この基本的な姿勢について大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 障害により特別な支援を必要とする児童生徒数は、近年増加傾向にあります。一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細やかな支援の充実、極めて重要だと思っておりまして、文科省としても、特別支援教育については、平成十九年から法的な位置づけをすることによって、障害の重度・重複化やあるいは多様化への対応について、きめ細かな対応をしてまいりたいと思います。

 もう時間がちょっとオーバーしていますので詳しくは申し上げられませんが、昨年一月に批准した障害者の権利に関する条約を踏まえ、インクルーシブ教育システムの構築、それから特別支援教育の充実のための各種事業の実施等、ありとあらゆる形で特別支援教育についての支援、国としてもより強めてまいりたいと思います。

牧委員 また次の機会にもう少しやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 維新の党の初鹿明博です。

 私も、この学校教育法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 しかし、その前に一つ、今、資料で新聞記事をお配りさせていただいているんですけれども、ちょっと非常に私、気になった記事なので、これを取り上げさせていただきますが、小学校二年の生活科で生い立ち授業という、自分の生い立ちを振り返るという授業が行われておりますけれども、その生い立ち授業について、里親が、子供の負担が大きい、そういう指摘をされた記事なんですね。

 大臣、まず、生い立ち授業というのは御存じでしたか。

    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕

下村国務大臣 存じ上げておりませんでしたが、きょう初鹿委員からこのことについて質問があるということで、詳しく担当者からは聞きました。

初鹿委員 実は私、子供三人いるんですが、自分の子供の何番目のときだったか覚えていないんですが、宿題で、要はお父さんに聞くということがあって、聞かれたときに、え、こんなことを宿題で出しちゃっていいのかなと実は思ったことがあって、それをこの記事を見て思い出したので、ここで取り上げたいなというふうに思ったわけですね。

 たしか二番目の子供のときだったと思うんですが、お父さんに対して、初めて子供が生まれた、初めて見たときにどう思ったかとか、初めて歩いたときどう思ったかとか、しゃべったときどう思ったかというのを、私、聞かれたんですよね。自分の子供ですけれども、考えてみたら、一人目の娘が立ったときは鮮明に覚えているんですけれども、息子の立ったのは覚えていなかったんですね。

 あっと思って、親子だからいいですけれども、息子は、もう二人目だとそうなんだとか言って、ちょっとすねたように言っていましたけれども、そのときに、では、自分の子供じゃなく再婚している場合どうするのかなとか、そもそも親がいないお子さんにこの質問というのは相当つらいんじゃないかななんていうのをそのとき感じた記憶があるんですよ。

 ここの記事では、里親さんのことが書いてあるんですが、本当につらい作業だった、小学校三年の女児を養育する県中部の里親は、女児が二年生だったことし二月に取り組んだ生活科の授業に苦しんだ。担任から、名前をつけた理由、一歳のときに初めてできたことなどの質問が書かれたプリントを宿題で配られた。私もそうだったんですけれども、思い出の写真なども準備するように言われたということなんですよ。

 今に限ったことじゃないと思うんですけれども、家族の形態というのは多様であって、ここに指摘されている里親さんであったり、また、養子縁組をして、血縁関係にないんだけれども、届け出上、実子として届け出ている、そういう家庭もあると思うんですね。そういう家庭のことを配慮しないでこういう授業が行われているというのは、私は、対象となる子供にとってつらいことが起こるのではないかなというのを非常に懸念します。

 少し私の、自分の経験をお話しさせていただきますが、生い立ち授業が行われる前の時代に小学生だったので、これとは違うんですけれども、私が小学校六年生のときに、家族が一日どういう時間を使っているかというのを調べてきましょうという宿題が出たんですよ。

 朝何時に起きて、お母さんだったら御飯の準備をして、洗濯をして、掃除をして、夜お風呂に入って寝る、この時間を何時から何時でやっていますか、お父さんだったら朝何時に出勤しますか、そういう宿題が出たんですね。

 当時、私は祖母と母と父と姉と五人家族でしたが、うちは、祖母と母は夜の仕事をしていました。スナックをやっていました。朝、起きません。朝御飯は私と姉でつくって、自分たちで学校に行く、そういう生活で、夜、仕事に行きます。普通の家庭と明らかに時間が違うんですね。

 父親は、小学校五年生のときにいなくなりました。離婚していないけれども、別居をしていました。父親のことは書けないわけですよ。母に、こういう宿題が出ているんだけれども、どうすればいいと言われたら母もいらいらして、そんなもの適当に書いておけばいいでしょう、出張と書いておきなさいと言われたりもしました。

 結局、僕は、宿題をやらないで学校に行きました。先生は、職業というのはいろいろあるんだから、職業に差はないからということを言われましたけれども、私、今でもその言葉はすごく傷ついているんですよ。いまだにそのことを鮮明に覚えていますから、お父さんがいない、またお母さんがいない、そういうお子さんにこのような授業で家庭環境のことを聞くというのは、私は、非常に慎重にしていかないといけないのではないかなというのを、自分の経験からも感じます。

 そこで、調べていったら、この生い立ち授業について、もう二〇一二年に研究している方がいたんですよ。これは文京学院大学の森和子さんという方が論文を書いていて、「非血縁家族の中で育つ養子のための「生い立ちの授業」のあり方」ということで、小学校の教員に実態調査をしたものなんです。

 里親については意識をしたことがある教員がいたと書いてあるんですが、非血縁関係の養子縁組をしている、そういう家族がいるということを考えたことがある教員は一人もいなかったというふうに書いてあるんですね。どうしても、やはり家族というと血縁関係があるんだ、そういう思い込みで何となく学校の現場もあるんじゃないかと思うんですが、今やそうではないということを、ぜひ考えていただきたいなと思います。

 学習指導要領の指導書の中でも、一応、そういうことを配慮するようにということが書かれているんですが、では、それが現場で教えている先生にきちんと徹底をされているのかどうかというのは、私はやはりいささか疑問に思うんですよ。

 ですので、こういう記事も出ましたから、改めて、各教育委員会、そして学校の教員に、こういう問題が出ているんだということを周知して、生い立ち授業というものをやるならば、それぞれのさまざまな家庭に配慮をするように指導をもう一回していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

下村国務大臣 私は、初鹿委員とは逆の印象を持ちまして、この生い立ち授業というのはいいことをやっているなというふうに思いました。

 初鹿委員の新聞の記事のところの「メモ」を読みますと、「小学校生活科の学習指導要領には「自分自身の成長を振り返り、多くの人々の支えにより自分が大きくなったこと、自分ができるようになったこと、役割が増えたことなどが分かり、これまでの生活や成長を支えてくれた人々に感謝の気持ちをもつとともに、これからの成長への願いをもって、意欲的に生活することができるようにする」との記載がある。」ということでありまして、そういう視点から、子供が自分で勝手に一人で生きているわけじゃなくて、多くの人たちの、特に家族の支えによって今があるし、それから、生い立ちについても、確かに、人に言えないようなつらい体験を持っている子供もいるというふうに思います。

 私も小学校三年生のときに父親が交通事故で亡くなりまして、当時は、多分、母子家庭というのは、クラスでは私一人ぐらいしかいなかったのではないかと思うんですが、今は離婚率も相当高いですから、一人親家庭というのもどこのクラスでも相当な割合で実際いますし、御指摘のような里親の子供もいるというふうに思います。

 しかし、それはそれで現実ですから、現実の中でどうたくましく生きていきながら、ここの「メモ」にもあるように、必ずしも本当の父親、母親でなくても、やはり自分の周りで支えてくれている人はたくさんいるわけですね。その人に対する感謝の思いとかいうことについて、自分の原点を見る意味でも、こういう教育をするということは、私は、子供にとってはつらいかもしれませんが、必要なことではないかと思います。

 ただ、御指摘があったようなプライバシーの保護とか、それから、それぞれの家庭の状況とか生育歴、家族構成、これは十分に配慮する必要はあるというふうに思います。学習指導要領の解説においても、その旨、留意点を明記しているところでありまして、その辺、学校の先生方には、そういう配慮は十分にしながら授業をしていただきたいと思います。

初鹿委員 私も大臣と同じように、この授業の中身の目的自体は本当にすばらしいものだと思います。自分も当時のことを振り返れば、やはり母親がそうやって夜働いているというのを改めて感じまして、感謝の気持ちがより強くなったというのも本当にありますので、そういう効果はありますが、やはり配慮はきちんとしていただきたいな、そういう趣旨の質問です。

 大臣もお父様が亡くなられた経験をされているので、その辺は十分に御理解していただけると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは本題の方に入りますが、五番目の質疑者ということで、重複するところがないようにしていきたいと思いますけれども、多少、質問をされたこととかぶってしまうかもしれませんが、その点は御容赦いただきたいと思います。

 先ほど牧議員からお話があった中に、中学校の入学式を鮮明に覚えているというお話がありまして、私も同じですね。

 今、議員という立場になって、毎年、小学校の卒業式に出て、二週間後に中学校の入学式に出てということをほぼ毎年のように繰り返していて、いつも感じるんですけれども、小学校六年生で卒業した子供が二週間たって中学生に、制服を着て行くと急にたくましくなって、すごくこの二週間の間に成長したなというのをすごく感じたりするんですよ。

 それで、学校の先生とかとも話をしていても、やはり卒業と入学というこの儀式を通過することによって子供たちというのは育っていくんじゃないかなという、気持ちも切りかわるし、新たな気持ちを持ったり、ちょっと大人になった、大人への一歩を踏み出したなという気持ちになったり、そういう効果はすごくあったんじゃないかなと思うんです。

 あと、小学校六年生になると、最高学年と言われるわけですよね。それで、大体、小学校一年生の子のお世話係をすることになって、下級生と交流することによって、自分の、すごい存在価値があるんだということに気がついていったりして子供たちが育っていく、そういう効果が、今のこの六・三制で小学校を卒業して中学に入学するというところにすごくあったんじゃないかと思うんですね。この節目がなくなってしまうというのはいささか寂しいというか、そういう気がするんですよ。

 大臣、この人生の中の、ある意味、最初の節目のような小学校の卒業、中学の入学ということがなくなってしまうことについてどのようにお感じになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 今回、義務教育学校を制度化する背景の一つとして、いじめや不登校、暴力行為などが中学一年生で急増する、いわゆる中一ギャップが生じている地域や学校におきまして、こういう課題の解決には小中一貫教育が有効であるという多くの事例やデータが蓄積されてきたことが挙げられます。

 他方、御指摘のとおり、さまざまな節目における環境の変化を利用して子供の成長を促すことも確かに重要だと思います。

 現在、小中一貫教育に取り組む自治体においても、例えば小学校四年生のとき、十歳のときに二分の一成人式を挙げるとか、それから中学校二年生のときに立志式、これによって区切りを意識させる儀式的な行事の開催、これは私、母校が群馬の榛名中学校というところだったんですが、相当前なんですが、そこの立志式があって、そこで講演したことがありました。

 それは、その地域は、中学二年生のこの時期に立志式を、その中学校だけじゃなくて地域全体としてやっているということで、これはすばらしい取り組みで、そこでタイムカプセルを校庭に埋めて、大人になったときとか、あるいは何十歳になったときの節目のときにというような、その立志式の志がどの程度、大人になったとき達成したかどうかというようなことを含めて、これは自治体ぐるみでやっているということで、子供たちに、そういう発達段階に応じて、そういうきっかけとしての志とか夢とか区切りとか、行事として、儀式としてするのはすばらしいことだというふうに思いました。

 ですから、やり方だと思うんですね。文科省としては、このような先行事例の紹介等を通じまして、義務教育学校におきまして、さまざまな節目を生かした効果的な教育が実施されるよう取り組んでまいりたいと思います。

初鹿委員 ただ六年、三年くっつけてだらだらっと九年間いってしまうようなことにならないような工夫というのを、ぜひ考えていただきたいなというのは思います。

 先ほどからお話しになっていますが、六・三制のこの現行の課程は維持をするというのが前提にあるわけですよね、前期六年、後期三年という。これは維持をされるという大前提があるということですよね。

 では、九年を一緒にすることで、先ほども牧議員からもお話があったとおり、では先に中学校でやる課程を小学校の五年生、六年生ぐらいから始めたりとか、また別の、その逆もあったりとか、そういう柔軟な教育課程の編成を、今までだと、この法律に規定されていなかったから、特例校に指定をされないとできなかったということのようですけれども、今回この法律で義務教育学校となることによって教育課程が柔軟に組めるようになる、そういう理解でよろしいんでしょうか。

小松政府参考人 委員御指摘のように、前期と後期の課程をもって、区分はありますけれども、九年間一貫の義務教育を行うという学校でございます。

 その際に、着目をして特色を出すべく特例校を使います場合には、設置者、学校の判断によってできる。例えば先行事例では、よくそれが行われていて効果が上がっているという報告がございますのは、郷土の特色に照らした独自の学科、ふるさと科のようなものでございますが、そういったようなものを九年間を通じた独自の教科として設定するとか、こういったことが行われております。

 こういったことにつきましては、その学校で判断をして行えるというようなことで、バラエティーが出てくるということになります。

初鹿委員 そういう独特な科目は独特な科目としてあると思うんですけれども、先ほども指摘がありましたが、エリート校にならないようにしなきゃいけないみたいな質問があったときに、例えば中学校の課程を小学校から、小学校五、六年でやるとか、そういうことも認める、そういう理解でいいのかということです。

小松政府参考人 内容の移行とか入れかえについては、あり得ることだと考えられます。

 ただし、先ほど申し上げましたが、告示等で私ども整理をしなきゃいけないと思っておりますのは、九年間の系統性のある、そして児童生徒への過重な負担がかからない方法でやっていただくということの中で、そうしたより効果的な教育方法、構成を考えていただくということはできるような形になるということでございます。

初鹿委員 ある程度、では独自性を各学校が出せるということですよね。

 ここでちょっと考えなきゃいけないのは、では、生徒が九年間ここの学校にずっとい続けるという前提ならば、それでいいとは思いますよ。ところが、転校する場合だってあるわけですよね、親の転勤だ何だということで。それで、小中一貫ではない普通の六・三制の学校に転校をしていったときに、例えば、中学校の課程を先にもう小学校で学んでいましたという生徒が普通の六・三制の中学校に入りましたというふうになったら、もう既に授業でやっていることがまた繰り返しやられると、何というんですかね、学校がばかばかしくなってしまったり、授業がおもしろくなくなったりすることも考えられるんじゃないかと思うんですね。

 やはり、義務教育だから、全国どこに行ってもきちんと同じ教育が受けられないといけないと思うんですが、これは、学校がかわったら何か学ぶことが差が出ているというふうになったら問題だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のように、基本として、義務教育学校でありましても、小学校、中学校と同様、義務教育の機会の均等が確保されることが求められるということは当然でありますので、義務教育学校におきましても、小学校、中学校の学習指導要領を準用し、その内容項目を全て網羅して教育を行うことは必要であるというふうに思います。

 ただ、義務教育学校だけというか、まだ法律が通っていませんから、教育課程の特例を活用する学校、これまで約千校、そういうところでも、転出あるいは転入する児童生徒に対して、学習内容の欠落が生じないようにする等のきめ細やかな配慮は行ってきた、また、行う必要があるということは当然のことだというふうに思います。

 そのために、先行事例として、指導要録に、例えば当該児童生徒が先取りして学習した事項や学習しなかった事項等を具体的に記載するとともに、綿密な引き継ぎを行うこと、あるいは、通常の教育課程との違いをわかりやすく示した資料をあらかじめ備えておくこと、また、個別ガイダンスや個別指導を行うことなどの対応がなされているというふうに承知をしております。

 こうした事例の周知などを通じて、教育課程特例を活用している場合であっても、児童生徒の円滑な転入出が行われるよう取り組んでいく必要があるというふうに思います。

 文科省としては、このたびの小中一貫教育の制度化を契機として、改めて、各学校において転出入生徒児童に対する適切な配慮が徹底されるよう、施行通知等におきまして留意事項を明示することを考えております。

    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

初鹿委員 やはり、差が出て、学ぶのが欠落しちゃうような部分が出てしまうことが一番問題だと思いますので、この点、かなり留意をしていただきたいなというふうに思います。独自性を出すことも大切だと思うんですけれども、でもやはり教育の水準を維持するということをまず大前提にしていかないと、おかしなことになるんじゃないかと思います。

 では次に、教員の免許の問題に移らせていただきます。

 これから、小学校、中学校の免許を併有するということで進めていこうということですけれども、中学校は教科担任ですよね、小学校は全教科を教えるということですけれども、中学校の教員免許を取っている方の中には、例えば運動がすごく苦手だけれども教師になりたい、そういう思いで教員になっている人、音楽はすごい苦手だとか、美術は全然できないんだよねという先生もたくさんいるんじゃないかと思うんですよ。そういう人たちも、これで小学校の免許を併有しないといけないということになると、そういう苦手なものを持っていて、一つの分野がすごく有能な、そういう先生方にとって結構きついんじゃないかな、つらいんじゃないかなと思うんですよ。その点、大臣、いかがお考えでしょうか。

下村国務大臣 おっしゃるとおりのことがやはりあると思います。

 今回の法律改正では、全国一律に小学校、中学校を廃止し義務教育学校とするのではなく、義務教育学校を設置するかは各設置者の判断に委ねる制度となりますので、全ての小中学生が、併有する必要があるということではないわけでありますけれども、例えば、中学校の先生で小学校の免許も併有するということになると、体育の指導法等を履修する必要があるわけでありますが、内容は、体育に関する学習内容や指導方法、授業づくり等でありまして、運動の苦手な人であっても十分に履修することが可能であるという免許制度にもなっております。

 そういうふうにいろいろな工夫はできますし、また、義務教育学校の教員についても、当分の間、小中いずれかの教員免許状があれば、それぞれの免許状に対応した課程の指導が可能でありますので、すぐ中学校の特別の教科の先生が小学校の全ての授業をしなければならないということではないということであります。

初鹿委員 確かに、すぐにそうはならないとは思いますけれども、これをどんどん進めていって学校数もふえていったときに、地域によって差は出てくると思いますが、自治体によってはほぼ小中になっていく、義務教育学校になっていく可能性も否定はできないですよね。そのときに、中学校の免許しか持っていないような教員が排除をされていくようになることだけは、やはり避けた方がいいんじゃないかなというふうに思うんです。

 それと、これから先生になろうという若い人たちの中で、やはりどうしても運動できない人というのはいると思うんですよ。確かに、教員免許を取る段階では直接運動をしなくてもいいような中身かもしれないけれども、ではいざ授業をやるとなったらそうもいかないということになると思うので、そういう人たちが、教員になりたいけれども、それを諦めてしまうようなことにならないような配慮をきちんとしていくことは、私は非常に重要ではないかと思いますので、ぜひその点を考えていただきたいと思います。特に、やはり新規の採用のときに、両方持つのが条件みたいなことになったり、優先度が高くなったりするというのは望ましいことではないと思いますので。

 大臣、いかがお考えでしょうか。

福井委員長 下村大臣、簡潔にお願いします。

下村国務大臣 それはおっしゃるとおりです。

 私は中高の教員免許を持っていますけれども、では、小学校の免許を持たせて音楽も体育も全部教えろといったら、相当大変だなと率直に思います。オールマイティーではやはりありませんから、その辺、先ほどのように、運動の苦手な人であっても履修できる、音楽についてもそういう、全てができなくても、かわりの専科の先生、そういう意味では、フォローアップをしながら、十分に教員としてやれるような体制については配慮したいと思います。

初鹿委員 もう時間がなくなりましたので、また後日、残った質問はさせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

福井委員長 次に、大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。

 学校教育法等の一部を改正する法律案を審議するに当たり、私は、全国でも先駆けて小中一貫教育を全市で導入してきた私の地元広島の呉市へ先日視察に行きました。関係者の皆さんにお話を聞いてきました。そこでお聞きした実態も踏まえて、きょうは質問をしたいと思います。

 呉市では、小中一貫教育を取り入れたその狙いとして、中一ギャップの解消と自尊感情の向上を掲げています。文部科学省も、小中一貫教育等への取り組みが進められる背景として、中一ギャップへの対応を挙げておられます。

 大臣、中一ギャップとは何でしょうか。

下村国務大臣 中一ギャップとは、一般的には、小学校段階から中学校段階に移行する過程におきまして、新しい環境のもとでの学習や生活にうまく適応できない状態が生徒指導面や学習指導面の課題となってあらわれる現象のことを指すものと考えます。

 具体的には、生徒指導面においては、中学校一年生になったときに、いじめの認知件数、不登校児童生徒数、暴力行為の加害児童生徒数が大幅に増加する傾向があることなどが挙げられます。

 また、学習指導面におきましては、授業の理解度や学校の楽しさ、教科や活動の時間の好き嫌いについて、中学生になると肯定的な回答をする生徒の割合が下がる傾向があることや、上手な勉強の仕方がわからないと回答する生徒が逆に増加する傾向があることなどが挙げられると思います。

大平委員 生徒指導上の諸問題ということで、具体的には暴力行為、いじめ、不登校の三つが挙げられ、それらが中学校への進学を機にふえる傾向にある。そして、それを減らすために小中一貫にして、小学校から中学校への接続をスムーズにしようということが狙いだというお話でした。

 そして、呉市でも、暴力行為発生件数、いじめ認知件数などの数字が減少をし、学力が向上するなどの成果が上がっていると報告をされています。

 しかし、この中一ギャップそのもの、あるいは、それが小中一貫によって解消されたという点について、実際に毎日子供たちと接しておられる小学校、中学校の先生それぞれに私はお話を伺いましたが、少なくない疑問の声が寄せられました。

 あるベテランの中学校の先生は、中一ギャップという考え方自体が疑問だし、それを小中一貫という手段の問題で解決しようという発想は教師の敗北だと思うとおっしゃられていました。

 そこで伺います。

 文部科学省の国立教育政策研究所が平成二十四年六月に発表した「不登校・長期欠席を減らそうとしている教育委員会に役立つ施策に関するQ&A」というこの文章の中の「「中一ギャップ」の正しい理解」という項目に、中一ギャップについてどのように記述されているでしょうか。

小松政府参考人 お尋ねの国立教育政策研究所作成の資料の中に、「「中一ギャップ」の正しい理解」という章がございます。ここのインタビュー形式の記事の中に、当初は、中学一年生で不登校やいじめの数字が急増することを指して用いられていたが、今では、小中間のさまざまな違いや、主に中学校で顕在化するさまざまな問題を一言で言いあらわす便利な言葉として広まっているという趣旨が説明されているところでございます。

大平委員 局長、答弁を割愛されましたけれども、それに続いて、事実というより印象に基づく概念であり、言葉だけがひとり歩きし、それを解消すると称する取り組みが提案され、みんながうのみにするのは怖いと述べております。

 実際のデータもこの研究所では紹介をしながら、事実に基づく慎重で冷静な分析や評価が必要だということを文部科学省自身もお認めになっています。私も、そのとおりだと思います。

 その立場から、一つずつ確認をしていきたいと思うんですが、まず不登校についてです。

 小学校六年生から中学校一年生にかけて急増するというデータが中教審の答申の資料の中にもありますけれども、先ほどの「Q&A」の中には「「中一不登校調査」が明らかにしてきたこと」という項目もあり、そこでは何と紹介されているでしょうか。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 「小学校時に欠席や遅刻早退等の目立たなかった児童が、中学校一年生になっていきなり「不登校になる」割合は、二〇〜二五%程度にとどまる。「不登校」という基準で見ると小六と中一の間には大きなギャップ(不連続)が存在するかのようであるが、「不登校相当」という基準で見ると、むしろ連続性に注目した方がよいことがわかる。」こういう記述がございます。

大平委員 答弁にもありますとおり、この研究所が述べているとおり、中一になって急激に上がるのではなくて、小学校からの問題が出た結果であり、連続性に注目をした方がよい、そういう分析でした。この点一つとってみても、中一ギャップという言葉で過度に強調することは避けるべきだと私は指摘したいと思います。

 さらに、いじめの問題について伺います。

 同じ中教審の資料の中に、いじめの認知件数が小六から中一にかけて急激に上がったというデータもあります。

 同じくこの研究所の「Q&A」では、児童生徒を対象にしたアンケート調査を実施し、その結果を紹介していますが、どんな結果と分析になっているでしょうか。

小松政府参考人 お尋ねの資料におきましては、いじめの中で代表的ないじめとして、仲間外れ、無視、陰口というのを取り上げまして、これについて児童生徒を対象として被害経験の率を聞いたものが紹介されております。

 この点におきましては、被害経験は小学校四年生から中学校三年生にかけて緩やかに減少し、加害経験は小学校五年生から中学校一年生くらいまでがピークとなるという結果が示されております。

大平委員 研究所では、こうした結果を紹介しながら、結果として、「加害経験・被害経験ともに、中学校一年生で明確にピークを迎えるという事実は確認できない。」と指摘をしています。

 このいじめの面でも、殊さら中一ギャップを強調することは、実態とも乖離があるし、対応策も誤りかねない、そういうおそれがあるということも私は指摘をしておきたい。過度に強調することは控えるべきだと思います。

 さらに伺いますが、そもそも、いじめの認知件数が多い学校が悪い学校、認知件数が少ない学校がよい学校だと評価すること自体、私は間違いではないかと思います。文部科学省は、学校評価、教員評価において、いじめの認知件数の多い少ないで評価をしているのでしょうか。

小松政府参考人 お尋ねの点につきましては、いじめ防止対策基本法に基づきまして、平成二十五年の十月十一日に大臣決定といたしまして、いじめの防止等のための基本的な方針というものを定めております。

 この中で、各教育委員会が学校評価においていじめの問題を取り扱うに当たっての留意点として記しておりますのは、「いじめの有無やその多寡のみを評価するのではなく、問題を隠さず、その実態把握や対応が促され、児童生徒や地域の状況を十分踏まえて目標を立て、目標に対する具体的な取組状況や達成状況を評価」するという必要があるとしております。

 これは学校評価のことでございますが、もう一つ、教員評価につきましては、いじめの問題を取り扱うに当たっての同じく留意点といたしまして、「いじめの有無やその多寡のみを評価するのではなく、日頃からの児童生徒の理解、未然防止や早期発見、いじめが発生した際の問題を隠さず、迅速かつ適切な対応、組織的な取組等を評価する」必要があるというふうにいたしているところでございます。

大平委員 私がお話を聞いたある小学校の先生は、次のようにおっしゃっておられました。毎学期ごとに、児童と保護者それぞれにいじめアンケートをとっている、しかし、そこでいじめがあると書いて提出した児童には、担任が個別に呼んで、それは先生も知っていることだから大丈夫よと話をすれば解決済みとなり、報告には上がらないんだとおっしゃっていました。

 国立教育政策研究所の「いじめの「認知件数」」というリーフの中でも、「「認知件数」が少ない場合、教職員がいじめを見逃していたり、見過ごしていたりするのではないか、と考えるべき。」「(教育委員会等が)「解消率」等を考慮しないで「認知件数」だけを減らすよう求めるのは誤ったいじめ施策、と考えるべき。」と強調をしています。

 一方では、いじめの有無やその多寡を評価するのではないと言いながら、呉市の資料にもあるように、小中一貫校の話になると、いじめの認知件数が減ったことを成果として強調するのはおかしいのではないかということをはっきり述べておきたいと思います。

 さらに、学力向上の問題にかかわって、学力テストの問題についてお聞きします。

 そもそも、学力テストの結果の公表について、文部科学省はどのように定めているでしょうか。平成二十七年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領では何と書いているでしょうか。

小松政府参考人 お答えいたします。

 全国学力・学習状況調査の実施要領におきましては、まず、調査結果の公表のやり方といたしまして、市町村教育委員会はそれぞれの判断で学校の結果の公表を行うことができる、都道府県教育委員会は市町村教育委員会の同意を得た上で市町村や学校の結果の公表を行うことができるという取り扱いといたしております。これが公表の取り扱いでございます。

 その際の配慮事項といたしまして、平均正答率などの数値のみの公表は行わず、分析結果や改善方策を公表することなどを定めておりまして、これに基づいて、教育上の効果、影響等を踏まえ、地域の実情に応じながら、適切に説明責任を果たすということをお願いしているところでございます。

大平委員 局長、ちょっと紹介されませんでしたけれども、「調査結果の公表に関しては、」ということで、「調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること、学校における教育活動の一側面であることなどを踏まえるとともに、」というふうに実施要領の中でも書かれています。

 そもそも、学力テストの結果は、学力の特定の一部分で、教育活動の一側面でしかないということが言えると思うんですけれども、呉市でも、全国学力テストの点数が全国平均あるいは県平均より高いということで、小中一貫教育の成果だとしています。

 確かに小中一貫教育による成果もあったかもしれないんですけれども、これも実際の現場の先生方に状況を伺ってみますと、県教委あるいは市教委から、絶対に数字を右肩上がりにしなければならないとすごい圧力があって、本番のテストの前には何度も類似テストをやらせているというお話でした。

 ある中学校の先生からは、たまには普通の授業をやってよと生徒に言われてどきっとした、そんな声もあるなど、まさに学力テストで点をとるための授業運営をやっており、そうした取り組みの中で出た数字にどれだけの意味があるのか、そんな疑問も現場からは寄せられています。

 そもそも、この呉市の調査、データの報告にあるように、平均自体も上下するもので固定ではないし、その平均の上下などというのはあくまで相対的なもので、絶対的なものではないと思うんですね。平均そのものが上昇していれば、それより下であったとしても絶対的には学力が身についているとも言えるし、平均よりも上であったとしても、平均そのものが低下をしていれば、学力が身についているかどうかは疑わしくなるものだと思います。

 小中一貫教育の成果というのであれば、私は、子供たちが九年間の学びの中で学力がどれだけ向上したのかが問われるべき、はかられるべきだというふうに思います。こうした結果で小中一貫の成果だとするのは余りにも安易で乱暴な議論だということを指摘して、さらに次の問題に移りたいと思います。

 小中一貫教育には教育上の課題が多いことも指摘をされています。

 文部科学省が昨年度行った実態調査の内容を踏まえて発表された中教審の答申「小中一貫教育の制度化及び総合的な推進方策について」の中で、児童生徒に与える影響に関する課題として挙げられているのは、どういう内容でしょうか。

小松政府参考人 多角的に課題等を挙げておりますので、その中で児童生徒に与える影響として主なものを申し上げますと、児童生徒の人間関係の固定化、あるいは転出入する児童生徒への対応といったところが、直接に児童生徒への影響として挙げられております。

大平委員 教育上の課題、特に児童生徒に与える影響に関する課題、この点についても、私が聞き取りをする中で、先生方は共通して口にされておられました。特に、小学校高学年のリーダー性、主体性が育っていないという問題は皆さんがおっしゃっていました。

 ある小学校の教務主任も務めておられる先生は、以前には担任に対して、俺はそう思わないとか、自分はこうしたいと言う子たちが何人もいたが、今はおとなしいというか、幼いというか、とにかく言うことに従うという雰囲気になってしまっていると話しておられました。

 また、中学校の先生からは、自分の学校では小学校高学年のリーダー性を育むために、小中一貫校ではあるのだが、小学校は小学校で児童会をつくり、中学校は中学校で生徒会をつくってそれぞれが運営している、そういう独自の取り組み、工夫をする中で小学校高学年のリーダー性を育んでいるという、そんな工夫のお話も聞かせていただきました。

 ここまで質問をして、改めて大臣にお聞きします。

 これまで見てきたように、中一ギャップそのものの考え方が曖昧であり、いじめ認知件数や学力向上など、成果と言われているものも非常に不確かだ、また、少なくない教育上の課題も指摘されている中で、私はとても制度化できるようなものではないと考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。

下村国務大臣 どこの国でも、あるいは我が国においても、ある制度によって全てが全部解決する、全てがうまくいくということはあり得ないと思います。どんな制度改革をしても改善点、課題というのはやはり出てくるわけでありまして、それを絶え間なくよりよいものを目指していく、そういう改革を進めていく必要があるのではないかと思います。

 小中一貫教育については、多様な異学年交流の拡充による自己肯定感の高まり、地域の状況を踏まえた九年間を一まとまりとした学習の充実、そして、全国各地で取り組んでいる詳細な実態調査におきましても、小中一貫教育に取り組んでいる自治体の九割以上でその成果が認められるという結果が出ているわけでございまして、そういう意味で、文科省としては、この制度化を行うことによって、効果的な小中一貫教育を円滑に実施できる仕組みを整備することで、すぐれた取り組み事例を積極的に普及することなどによりまして、より児童生徒の教育に支障がないように、また、プラス点が全国に広がっていくような、そのような制度改正として今回お願いをしているところでありますし、改善点があれば、それは常時クリアをしながら、よりよいものを目指してまいりたいと思います。

大平委員 呉市では、小中一貫教育で統廃合が進み、使わなくなった校舎はさっさと売り飛ばされてショッピングセンターが建っていたりしています。その学校に通っていた子供たちが本当にショックを受けているんですと先生たちもおっしゃっていました。

 この十年間で既に小中学校の一割に当たる三千校強が統合されています。しかし、それでもなお、文部科学省が決めている標準規模に満たない学校が、まだ小学校で全体の四六%、中学校で五一%あるということで、公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引を作成して、小学校では六学級以下、中学校三学級以下校を、学校統廃合等により適正規模に近づけることの適否を速やかに検討することとしており、また、七から八学級の小学校、四から五学級の中学校についても、学校統廃合の適否も含め今後の教育環境のあり方を検討することが必要と迫っています。

 こうした手引の作成と実施、そして今度の小中一貫教育の制度化をセットで出しているところを見ましても、呉市でもそうであるように、小中一貫の最大の狙いは、さらなる学校の統廃合と教員減らし、教育予算の削減にあるのではないでしょうか。小学校と小学校、中学校と中学校という横の統廃合だけではなかなか進まないので、小学校と中学校という縦の統廃合も制度化をして進めようということではないでしょうか。大臣、御所見をお聞かせください。

下村国務大臣 全く違います。

 このたびの義務教育学校の制度化は、これまでの各地域の主体的な取り組みにより、小中一貫教育の成果が蓄積されてきた経過に鑑み、設置者が、地域の実情を踏まえ、小中一貫教育の実施が有効と判断した場合に、円滑かつ効果的に導入できる環境を整備することが目的であります。学校統廃合や教育予算の削減を目的とするということでは全くありません。

大平委員 ごく限られた、かつ不確かなデータで、小中一貫教育はすぐれた教育を行う新しいタイプの学校だという宣伝を広めて自治体や保護者に実質的な統廃合を迫る、そのことを進める制度化を私はやるべきではないということを重ねて申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 最初に、義務教育学校を学校種に位置づけ、制度化する根拠について伺います。

 指摘するまでもなく、現時点においても、学校教育法施行規則に基づく研究開発学校制度や教育課程特例校制度によって小中一貫教育というのは、事実上やろうと思えばできるという状況になっております。また、文科省が実施をした小中一貫教育等についての実態調査によれば、昨年五月時点で小中一貫教育に取り組んでいる総件数は千百三十件、学校数全体から見れば一割程度ということになっております。今後さらに増加が見込まれるとしても、現行制度で対応できるのではないかというふうに感じるわけであります。

 現行制度で対応可能にもかかわらず、一つの学校種として学校教育法上に制度として位置づける必要がどこにあるのか、説明をお願いしたいと思います。

 あわせまして、今回の法制度が仮に成立した場合には、現行の研究開発学校制度や教育課程特例校制度というのはどういうふうに扱われていくのかということについて尋ねます。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、まず量的に申しますと、今回の制度化の方向を志向して具体的に取り組みを進めている学校数が、相当数、御指摘のとおりにございます。そしてそこでは、私ども、いろいろ調査をいたしまして、その方向でさまざまな成果が報告されているということを把握いたしております。

 しかしながら、現行制度下では、特例的な教育課程の編成にいたしましても、先ほど来、大臣からも御答弁いたしておりますけれども、複数の学校組織によります意思決定や意思統一の課題、あるいは、組織が一体でないことによる人事上の課題等々によりまして、制度的には、一つの学校組織として法的に責任を持って運営のできる学校制度が必要だという課題が指摘されております。

 このことは、これまで取り組んでおられる関係の機関、方面からも、法整備を望みますという要望が出されているところでございます。

 こうした点を勘案の上、中教審で御検討いただきまして、今回の、新しい学校種類の選択肢をふやすという法改正の案をまとめたところでございます。

 そうしまして、もう一つの御質問でございます研究開発学校制度や教育課程特例校制度でございますけれども、この制度そのものは、基本的に従来どおりの制度ということにいたします。

吉川(元)委員 ちょっとよくわからないんですけれども、今回のものが制度化されるとこの特例並びに研究開発学校は残るという、それはそれでそのまま残るということでいいんですか。何が違うんでしょうか。

小松政府参考人 研究開発学校それから教育課程特例校制度というのは、学習指導要領によらないで、しかし十分な配慮のもとに、次の例えば学習指導要領の開発等に向けましてさまざまな研究開発を行う制度でございます。

 この制度そのものは、小中一貫であるか否かとはかかわりなく、全体としてそういう必要がある場合に、慎重な配慮のもとに行われるための制度でございますので、制度自体は今回のことによって影響を受けるわけではございません。

吉川(元)委員 わかりました。

 次に関連してお聞きしたいんですけれども、昨年十二月、大臣の諮問を受けまして中教審が答申を行っております。今ほど言いました実態調査の結果も取り上げられております。中教審で挙げている数字とその実態調査の数字が若干ずれているような気もするんですが、きょうは中教審で取り上げられている数字でもって質問したいというふうに思いますけれども、実態調査、先ほど局長からも答弁ありましたが、成果が認められるということもたくさん出ております。

 成果を強調されるのは結構なんですが、あわせて、同じぐらいの割合で、「大きな課題が認められる」、中教審の数字でいいますと一割、それから「課題が認められる」、これは八割に上っております。「課題」というのは、進めていく上でいろいろな問題点が出てきましたということだろうというふうに思いますけれども、期せずして実施校の受けとめとしては、成果と課題、全く同じ割合で出ております。

 こういうふうに成果と課題は拮抗している、あるいは、率直に言わせていただいて、課題が解消されないまま制度化を進める判断というのをなぜ今しなければいけないのか、この点について尋ねます。

小松政府参考人 取り組みや制度につきましてメリット、デメリットは詳細に把握をしたいと私ども考えておりまして、これらのアンケートをとり、また、ヒアリングその他、あるいは訪問その他によっていろいろ実態を把握したところでございます。御指摘のとおり、さまざまな成果があると同時に、取り組まなければいけない課題というものも明らかになっておるわけでございます。

 この課題につきましては、これまでのさまざまなかなりの数の取り組みの中で、どのように効果的に対応するかということについても相当の蓄積がございまして、その効果的な対応策についても提言がなされているところでございます。

 先ほど来のお話からいたしますと、例えば、人間関係の固定化にどう対応するか、あるいは、児童生徒の転出入対応にどうするか、それから、先生方の負担増を招かないようにするにはどうしたらいいか、こういったことでございます。

 文部科学省といたしましては、この答申の結果を踏まえながら、制度化を行って効果的な小中一貫教育を進めていく、そういう取り組みをすることにしているわけでございますけれども、成果については伸びるように、それから課題につきましては、今ほど申し上げました、さまざまな提案されている効果的な対応策やすぐれた取り組み事例を積極的に普及することなどによりまして、児童生徒への支障が生じないように取り組んでいきたい、こういう考え方で臨んでいるところでございます。

吉川(元)委員 答申等々を見させていただいて、それなりに指摘もされておりますが、私自身が読んでいる限りでは、解消に向けて具体的に有効な手だてといいますか、対策というのがまだ十分にできているというふうには感じられません。きょうはもう時間がありませんので、課題ごとについてはまた別の機会に質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、やはり、ちょっと性急過ぎるのではないかという感じがいたしております。

 次の質問に移りたいと思います。

 戦前戦中、日本の学校制度というのは、尋常小学校、一九四一年には国民学校に名を変えますが、その終了後には、男子は高等普通教育、女子の高等普通教育に加え、実業教育に分岐をしました。複線型、正確に言えば分岐型というふうに言った方が適切かもしれませんけれども。いずれにしても、現在の基本となっている六・三・三・四制の単線型の学校制度ではありませんでした。

 戦後、それが現在のような形に移行していくわけでありますけれども、まず確認したいのは、この戦前戦中の複線分岐型の学校制度から現在の単線型の学校制度へ変わっていった主な理由を尋ねます。

河村政府参考人 昭和二十二年に学校教育法が制定されておりますけれども、それによりまして、それまでの複雑多岐な学制が単純化され、心身の発達段階に応じ、原則として六・三・三・四の小学校、中学校、高等学校、大学の体系とされました。

 その主な理由としては、従来の学制においては、お話しのありました国民学校の初等科六年の終了後の進路が細かく分かれ、進学先によっては、能力があっても高等教育を受ける機会がほとんど与えられなかったことから、進学先を一本化し、能力に応じてひとしく上級学校への進学を可能とすることで教育の機会均等を図ったものと認識しております。

吉川(元)委員 まさに、憲法にも保障されている教育の機会均等のためにこの単線型の学校制度、学制制度というのができたんだろうというふうに思います。

 ヨーロッパの歴史を見ましても、最初は学校制度というのは複線型からスタートして、ヨーロッパは十九世紀から二十世紀にかけて統一学校運動というのが行われて、初等教育については単線で、その後、分岐していくというような制度になります。その後さらに歴史を下っていくと、今の単線型という形に変遷をしてきたわけであります。

 そういう意味でいうと、教育が単線的であるのか複線的であるのかということについては、非常に大きな、教育の機会均等という側面から見て大変意味のある言葉だというふうに思います。憲法の二十六条にも規定をされております「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」これを具体化したものが学制制度だというふうに思っております。

 ところで、政府の教育再生実行会議では学校制度のあり方も検討課題とされ、昨年七月には、第五次提言として「今後の学制等の在り方について」が取りまとめられました。今法案として審議している義務教育学校制度も、この第五次の提言が発端だというふうに感じております。

 政府のこの教育再生についてお聞きしたいんですけれども、過日、二月十九日の予算委員会の場で、教育再生に向けた決意を問われた安倍総理が、子供たちの誰もが自信を持って学び成長できる環境をつくることは国の責務だと述べた上で、この点は私も異論はありませんが、「このため、多様な価値に対応できるような複線的な教育制度とし、子供たちが自信を持って学べる環境を整える」というような形の答弁をされております。同様の趣旨の発言というのは、OECDの会議の場でも、複線型という言葉は使っておりませんが、単線、モノカルチャーだというような、そういう発言を総理はされております。

 これを聞いておりますと、政府の教育再生は学校制度の複線化、私はかなり時代錯誤だと思いますが、を目指しているようにも聞こえるわけですけれども、この点はどういうふうに捉えればよろしいのか、お聞きいたします。

下村国務大臣 時代錯誤という話がありましたが、別に、戦前に戻すとは総理も私も一言も言ったことはないと思います。

 安倍内閣が進めている教育再生においては、学校制度を子供の発達や学習者の意欲、能力等に応じた柔軟かつ効果的なものにするということで、制度的な選択肢を広げ、国民一人一人がみずからの夢や希望に向かって持てる潜在力を最大限に発揮できることを目指しているものであり、今回の法案もその方向性に沿ったものでございます。

 二月十九日の予算委員会での総理の発言の言葉尻を捉えた今は質問がありましたが、このときの総理の「多様な価値に対応できるような複線的な教育制度」の後、「政府としては、フリースクールなどでの学びの支援」という言い方をしていまして、こういう延長線上の中での複線的な教育制度という位置づけでありまして、つまりフリースクール等ですね、戦前的なそういうところに戻すという意味は全くないと思います。

吉川(元)委員 言葉尻というふうに言われますけれども、やはり、政治にとって言葉というものは非常に大切だというふうに思います。特に、教育の世界において複線なのか単線なのか、これは非常に大きな議論もされてきましたし、先ほど言ったとおり、歴史的な変遷もあるわけであります。戦前のような、あるいは、私が先ほど述べた、かつてヨーロッパにあったようなそういう複線を目指していないということであれば、言葉の使い方についてはやはり丁寧に使っていただかないと、誤解が生じるのではないかというふうに思いますし、もし仮にそういう形にしていくと言うのであれば、私は大いに賛成しがたいと言わざるを得ません。

 そこで、続けてお聞きします。

 今回の法改正についてですけれども、義務教育において、現行の小中学校とは別の学校種である義務教育学校が併存するということになるわけです。義務教育というのは学校教育のスタートラインですけれども、これが、学校系統が分化をしてしまうのではないか、複線型に見える、そういう指摘もされているところでもあります。私も同様で、先ほど指摘したように、通常の小学校、中学校とは目的が別の学校系統にやがてなっていくのではないか、そのような懸念を持っております。

 そこでお聞きいたしますけれども、義務教育学校は学校制度の複線化という中での捉え方なのか、あるいは、そうでないとすれば、どういったところでそれが担保されているのかをお聞きいたします。

下村国務大臣 まず、義務教育学校が複線化ということは、これは当たりません。今回の法案におきまして、義務教育学校は、義務教育として行われる普通教育を基礎的なものから一貫して施すことを目的とする新たな学校として設けるものであります。これは、小学校、中学校と同様の目的を実現するための教育活動を行うものであり、義務教育を施す点におきましては、小学校、中学校であっても義務教育学校においても、全く違いはないわけであります。

 また、義務教育学校における教育は、小学校、中学校の学習指導要領を準用することとしておりまして、学習指導要領に示された内容項目を網羅して行われるものであり、小学校、中学校の免許を有する教員によって小学校、中学校の教科書を活用して行われるということでございまして、既存の、これまでの小学校、中学校と異なる内容、水準の教育を施す学校にはならないということであります。

 したがいまして、今回の制度化は、義務教育段階で異なる内容、水準の教育を行う学校の種類を複数設ける、いわゆる複線型とおっしゃいましたが、そういう教育制度をするものではありません。そういうことであります。

吉川(元)委員 次に、義務教育学校の設置に関して何点かお聞きしたいと思います。

 教育基本法において学校の設置主体が「国、地方公共団体及び法律に定める法人」とされており、学校教育法の第二条一項で具体的な規定がされております。今回、第二条の改正はありませんから、義務教育学校の設置主体にも変わりはなく、国公私いずれにおいても設置が可能ということなんだろうと思います。

 義務教育学校が設置されますと、冒頭、まだ課題があるというふうに指摘をさせていただきましたが、いろいろな影響が子供たちや保護者あるいは教職員に出てまいります。現在の学校運営協議会も、学校単位で設置されていることになっていますから、一体型、分離型のいかんにかかわらず、学校運営協議会の運営にも影響が出てまいります。

 したがいまして、義務教育学校を設置する際には、例えば公立の義務教育学校である場合には、子供、保護者、教職員、そして、地域の理解や合意が不可欠であると考えます。決して、その設置主体がトップダウンで設置するような中身ではないのではないかというふうにも私は思います。

 そこで、設置に至る過程において関係者の合意形成のための手続が必要であることを明確にすべきではないかというふうに私は思いますが、この点はいかがでしょう。

小松政府参考人 学校が、地域とともにある学校づくりという観点からそのあり方を問われることは当然でございまして、小中一貫教育の導入に当たりましても、この点は御指摘のとおりであろうかと考えます。学校関係者、保護者、地域住民との間において新たな学校づくりに関するビジョンを共有し、理解と協力を得ながら進めていくということは大変重要だというのは、私どもの認識でございます。

 実際には、義務教育学校の設置につきましては、地域の教育課題や児童生徒の実態、保護者、地域住民の皆さんの要望等を丁寧に把握して、それぞれを総合的に勘案した上で判断が行われる。この最終的な判断は、設置者である、公立でございますれば地方公共団体が行うということになりますけれども、そのためには、手続といたしまして、各市町村の学校設置条例の改正が必要となります。したがいまして、住民の代表により構成される地方議会の議決を経ることによって、当該市町村における一定のコンセンサスが手続の面では保障されていると思います。

 ただ、文部科学省といたしましても、地域とともにある学校づくりの観点から検討していくことが必要だということについては、施行通知等によって促してまいりますとともに、これまででもすぐれた取り組み事例等が多々ございます。この点を積極的に収集して情報提供するなど、その取り組みに資してまいりたいというふうに考えます。

吉川(元)委員 住民の代表である地方議会の同意といいますか合意があればということでありますけれども、先ほども言ったとおり、非常に子供たちにいろいろな影響を与える形になります。その点については、形の上ではこれで合意がとれているんだということではなくて、本当の意味で関係者の合意というものをきちんと図っていただきたいというふうに思いますし、通知等々でもやっていくということでありますから、この点、十分に配慮をお願いをしたいと思います。

 あわせまして、少し質問が重複いたしますけれども、やはり確認させていただきたいんですが、中教審答申を読んでおりますと、公立学校で小中一貫教育を制度的に位置づける際に、入学選抜を行うか教育委員会による就学指定の対象として制度設計をするかどうかについて検討がされております。

 結果として、義務教育段階で学校制度を複線化することや受験競争の低年齢化といった事態が懸念されていることを踏まえると、機会の均等を旨とする義務教育の公的実施主体として十分な説明責任を果たせるか疑問があるとして、入学選抜については実施をしない、するべきではないとしております。法案もそれに沿ったものと考えております。

 この検討結果を踏まえれば、将来的にも公立の義務教育学校において入学選抜はあり得ないものと考えますけれども、この点いかがでしょう。

小松政府参考人 今回の義務教育学校の制度化の構想は、就学指定の対象である通常の小学校、中学校において、教育活動等での連携を深めていくというこれまでのさまざまな取り組みの中ですぐれた取り組み事例が蓄積されてきたことを踏まえて行うということから、設置者が円滑に取り組みを行いやすくするようにという点で、小中一貫教育を行う、就学指定を行う義務教育学校というところに整理されたものでございまして、したがいまして、この制度設計に照らしまして、制度導入後もこうした枠組みを変える考えはございません。

吉川(元)委員 具体的には、それは施行規則等々で定めていくということになるんでしょうか。

小松政府参考人 はい。関係の、現在の就学指定の法令の中で読めるようにいたしてまいりますので、そこに改正を加えまして、現在の小中学校と、それから義務教育学校がその対象となるような形になります。

吉川(元)委員 学教法の施行規則、読ませていただきました。これは小中一貫ということではないんですが、中高一貫に関してであります。法律ができた際には附帯決議で、偏差値による学校間の格差を助長させない。施行規則の百十六条の中にはっきりと、「当該高等学校に係る併設型中学校の生徒については入学者の選抜は行わないものとする。」これと同じような形になっていくんでしょうか。

小松政府参考人 失礼いたします。

 法令上の整理でございますが、中等教育学校と今回の義務教育学校はそこは根本的に違うところがございまして、そもそも、中等教育学校については就学指定の対象といたしません。したがいまして、入学者選抜の可能性が起こってくることになります。それについて行わないという規定をするということでございます。

 それに対しまして義務教育学校は、就学指定の対象となりますので、入学者選抜というのは仕組み的には起こらないようになっております。

 そういう意味では、根本的に今御指摘の点は仕組みが異なっておりますので、最初の設計からして、入学者選抜があり得る仕組みから、それを行わないと規定するという中等教育学校とは異なるということでございます。

吉川(元)委員 もともと仕組みが違うのでそもそもそういうふうにならないというふうにおっしゃられます。なってはならないと私も思いますけれども、ただ、まさにその施行規則の百十六条で「入学者の選抜は行わないものとする。」となっている中高一貫校の中学校に関して言いますと、実質的な入学者の選抜、名前は入試というふうにはなっていません、適性検査という形で今行われています。これは恐らく、言葉が入学選抜ではないんだ、適性検査だということを言われるかもわかりませんけれども、聞いておりますと、非常に難関な中高一貫校ができて、小学校の授業だけではとても今言った適性検査に通らない。実態的には入学選抜が行われているというふうに感じますし、見ますと、倍率、高いところでは十六倍、そんな中高一貫校もあります。

 小中一貫校はそういうふうにならない保証というのはどこにあるんでしょう。

小松政府参考人 中等教育学校につきましては、繰り返すようでございますが、就学指定の対象となっておりませんので、どこから入るか、どういう課程について入るかということについては、そのそれぞれについて決めていかなければなりませんので、必要に応じて、適性検査という名前で呼ばれているものが行われているということでございます。

 その実態につきましてさまざまな御指摘があるということも承知しておりまして、それは制度の趣旨に沿って運用されていくことは、もとより望ましいことは当然でございます。

 御指摘の義務教育学校につきましては、その点は、したがってどの学区に行くかということについては一義的に今は決まるという制度でございますので、今のような対比で言いますと、そういったことがパラレルに起こるということはないという仕組みでございます。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、就学指定の対象だから大丈夫だというふうに言われますが、学校選択制というものが今広く入ってきております。そうなったときに果たして今言われるようなことでもって担保できるのかということは、私は疑問に感じております。

 次回もまた引き続き質問したいと思います。以上で終わります。

福井委員長 次回は、来る二十七日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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