衆議院

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第17号 平成27年8月5日(水曜日)

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平成二十七年八月五日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 福井  照君

   理事 池田 佳隆君 理事 石原 宏高君

   理事 冨岡  勉君 理事 萩生田光一君

   理事 義家 弘介君 理事 郡  和子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    秋本 真利君

      安藤  裕君    大見  正君

      加藤 寛治君    門山 宏哲君

      神谷  昇君    神山 佐市君

      神田 憲次君    木村 弥生君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      國場幸之助君    田所 嘉徳君

      武井 俊輔君    谷川 とむ君

      馳   浩君    鳩山 邦夫君

      船田  元君    古田 圭一君

      宮川 典子君    宮路 拓馬君

      山田 賢司君   山本ともひろ君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      平野 博文君    松本 剛明君

      柚木 道義君    笠  浩史君

      坂本祐之輔君    鈴木 義弘君

      初鹿 明博君    吉田 豊史君

      中野 洋昌君    吉田 宣弘君

      畑野 君枝君    宮本 岳志君

      吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       遠藤 利明君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局セキュリティ推進統括官)           石田 高久君

   政府参考人

   (内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官)  高原  剛君

   政府参考人

   (内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官)  岡西 康博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         伊藤 洋一君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        高橋 道和君

   政府参考人

   (観光庁次長)      山口 由美君

   参考人

   (独立行政法人日本スポーツ振興センター理事長)  河野 一郎君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月五日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     木村 弥生君

  櫻田 義孝君     秋本 真利君

  谷川 とむ君     神谷  昇君

  古川  康君     山田 賢司君

  前田 一男君     加藤 寛治君

  菊田真紀子君     柚木 道義君

  初鹿 明博君     吉田 豊史君

  大平 喜信君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     櫻田 義孝君

  加藤 寛治君     國場幸之助君

  神谷  昇君     谷川 とむ君

  木村 弥生君     宮路 拓馬君

  山田 賢司君     神田 憲次君

  柚木 道義君     菊田真紀子君

  吉田 豊史君     初鹿 明博君

  宮本 岳志君     大平 喜信君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     田所 嘉徳君

  國場幸之助君     武井 俊輔君

  宮路 拓馬君     尾身 朝子君

同日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     古川  康君

  武井 俊輔君     前田 一男君

    ―――――――――――――

七月二十四日

 学生が安心して使える奨学金に関する請願(斉藤和子君紹介)(第三五二三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三六七二号)

 未来を開く教育保障制度に関する請願(大平喜信君紹介)(第三六二三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三六七三号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(畑野君枝君紹介)(第三六七一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

福井委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人日本スポーツ振興センター理事長河野一郎君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局セキュリティ推進統括官石田高久君、企画・推進統括官高原剛君、企画・推進統括官岡西康博君、文部科学省大臣官房総括審議官伊藤洋一君、スポーツ・青少年局長高橋道和君及び観光庁次長山口由美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘です。

 大変、委員長を初め理事のメンバーの皆様方の御配慮をいただきまして、トップで質問をさせていただきますことに厚く御礼を申し上げたいと思います。

 七月八日に遠藤大臣の所信を、経済産業委員会に私所属しておりまして、かぶっておりまして、直接所信をお聞きする機会がなかったので大変申しわけなく思っておりますが、約一カ月たって大臣所信に対する質問ということで、順次進めさせていただきたいと思います。

 先日、今話題になっております新国立競技場、これがどういう経過だったのか、時系列でペーパーを出してほしいということで理事会にお諮りをさせていただきまして、国立霞ケ丘競技場の改築計画の経緯のペーパーをいただきましたので、配付をさせていただきました。

 これが平成二十一年二月からプロジェクトがスタートしているんですけれども、このプロジェクトの中で、建設工事費について金額が出てくるところが何カ所かあります。いろいろな詳細な調査につきましては、下村大臣が述べておられるように、今検証している途中だということだと思います。その中で特に話題になっております金額について時系列で頂戴しておりますので、それに基づいて御質問をさせていただきたいと思います。

 この金額が出てくるところが、平成二十四年七月に試算として千三百億程度。そもそもこの千三百億円が、根拠が希薄じゃないかというのがこの間マスコミで報道されていましたけれども、この千三百億円の工事費を含めた基本的条件をクリアした業者が公募に臨んだのではないかというんですが、いかがでしょうか。まず初めにお尋ねしたいと思います。

 それと、平成二十五年九月八日、東京オリンピックが、二〇二〇年開催都市として東京に決定し、その後、十月十九日、総工費最大三千億円になるという報道がなされています。これはいただいたペーパーにそう書いてあるんです。

 平成二十五年十一月二十六日、第四回国立競技場将来構想有識者会議では、主な基本設計条件で千八百五十二億円に、まあ、三千億円よりは千二百億円ぐらい低いんですけれども、千三百億円の試算よりは五百億円もこの時期で膨れ上がっているんですね。

 第二回の有識者会議と第四回の有識者会議、これはオープンで、公開でやっているということで、私がきちっと資料を見ていないだけかもしれませんけれども、この金額のギャップに関して話題にならなかったのかどうか。なおかつ、この有識者会議という名のもとでこの会議自体に責任はあるのかないのかということですね。どんなに工事費が膨らんでも、この有識者会議でいろいろな御意見は出るんだと思うんですけれども、言いっ放しで終わってしまうのかどうか、最初に大臣にお尋ねしたいと思います。

 下村大臣、ひとつよろしくお願いします。

下村国務大臣 おはようございます。

 独立行政法人日本スポーツ振興センター、JSCは、国立競技場の整備に当たっては、国立競技場の将来構想につきまして、スポーツや文化の利活用の観点から、専門家の意見を踏まえるため、御指摘の有識者会議を設置して改築計画を進めてきたものというふうに承知をしております。

 基本設計条件案を提示した第四回会議におきましてJSCが、ザハ・デザインを基本とした整備計画について、建設規模のコンパクト化を図り、解体工事費を含めた事業費概算額を一千八百五十二億円と試算した旨の説明を行った後、有識者委員から、開閉式遮音装置の必要性等について、運営の採算性も含めて意見が出されたというふうに聞いております。

 また、実施設計段階での整備計画案を提示した第六回会議におきましてJSCは、開閉式遮音装置等の整備を二〇二〇年東京大会後の施工とする段階的な整備を行うこと、また、二〇一九年春の竣工までの目標工事費は、建設資材や労務費の高騰等により、二千五百二十億円で交渉の協議を終えた旨の説明を行ったところであります。その後、有識者委員から、整備計画についての国民の理解、財源確保の必要性や、二〇一九年春に工事が完成する必要性等について意見が出されたというふうに聞いております。

 いずれにしても、有識者会議はJSCが設置したアドバイザリーボードでありまして、決定機関ではないことから、最終的には、JSCが文科省との調整を踏まえて意思決定しているものというふうに承知をしております。

鈴木(義)委員 そうしますと、今私がお尋ねしました有識者会議でいろいろ御意見を頂戴するんでしょうけれども、有識者会議というのは基本的に言いっ放しで、特に責任をとるとかとらないとかという問題じゃないということでよろしいんでしょうか。

下村国務大臣 今答弁をいたしましたように、アドバイザリーボードであり、御指摘のように、決定機関ではないという組織立てであります。

鈴木(義)委員 続きまして、平成二十七年七月七日、第六回の今御説明いただきました有識者会議で、目標の工事費が二千五百二十億円と当初の予算よりも千二百二十億円増加してしまった。その後、膨れ上がった工事費により、原資はもちろん税金ですから、そのことをマスコミが報道するや否や国民から大きなブーイングが起きて、遠藤大臣が就任して七月八日に大臣所信で「二〇二〇年東京大会に向けて準備を加速しなければなりません。」とこの委員会で述べられた後に、安倍総理は十七日に新国立競技場建設計画の白紙撤回をせざるを得なくなってしまった。

 そもそも、この白紙撤回はどこまでさかのぼって白紙撤回なのかということです。今、御説明もいただいて私がお出ししているこのペーパーがあります。これは二十一年から、国立の霞ケ丘競技場の改築計画に基づいて、今日まで約六年間、いろいろ会議を積み重ねてきているんだと思うんですけれども、ここのどこまでさかのぼればいいのかということですね。白紙撤回というのは、平成二十一年までさかのぼって全部白紙なんですか。

 では、白紙撤回だというふうに言ったときにどこまで計画をさかのぼるのか。そこを一回お尋ねしたいと思います。

遠藤国務大臣 鈴木委員にお答えいたします。

 七月十七日に安倍総理大臣が、新国立競技場の整備計画を白紙に戻し、ゼロベースで見直すという決断をされたことを踏まえて、現在、私を議長とする関係閣僚会議を中心に検討を進めております。

 今お尋ねの、どこまでさかのぼってかということにつきましては、総理からの指示を踏まえ、検討の対象については、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックのメーンスタジアムである新国立競技場の本体の設計、施工のみとしております。

鈴木(義)委員 でも、ペーパーを見ますと、平成二十一年に、当時、東京都が都立のオリンピックスタジアムを晴海地区で十万人規模で新築しようということがスタートしているんですよね。それがいつの間にか、今議題になっている新国立競技場に変わっちゃったわけなんです。だから、もともとの計画を戻すという話になるんだったら、では、晴海でやるのかやらないのかということも踏まえて検討すべきじゃないかと思うんですけれども。

 だって、これを一番最初に言い出したのは、東京都がオリンピックを誘致しようということからこの計画というのはスタートしているわけじゃないですか。東京都がお金を出すとか出さないとかというのは、このペーパーを見る限り、東京都が主導でやると言うから、ここに書いてあるように、二分の一は政府がきちっとお金を出しますよという話がスタートになっているんですよ。そこまでさかのぼるのかどうなのかということです。

遠藤国務大臣 若干詳しく承知していない部分もあるかと思いますが、二〇一六年の東京オリンピック・パラリンピックのときに、晴海に十万人のメーンスタジアム、そして国立競技場は球技専用の球場として改修する、こういう計画だったと承知しております。

 その後、二〇一六年の招致に敗れ、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック招致の立候補ファイルの中では、新国立競技場として今の霞ケ丘を改修する、そういう形でたしか立候補ファイルを提出したと存じております。

鈴木(義)委員 それであれば、今後は、今計画をしている新国立競技場イコール国立の霞ケ丘競技場をメーンにしてやっていくということで間違いないということですね。

遠藤国務大臣 はい、間違いございません。

鈴木(義)委員 平成二十一年二月から、当時、塩谷大臣から前任の、前任というよりオリンピック担当大臣が決まるまでの間、下村大臣まで七人の大臣が文部科学大臣としてこの計画に携わっておられるんですね。ですから、下村大臣は責任がないんですか、あるんですか。

下村国務大臣 御指摘のように、平成二十一年二月は、都立のオリンピックスタジアムを晴海地区に新設する前提で二〇一六年オリンピック招致活動を行っていた時期であり、国立競技場を改築するという方針を文科省として決定したのは、平成二十四年三月にスポーツ基本計画を策定したときであります。

 そして、新国立競技場の整備は実施主体であるJSCにより進められ、文科省は、JSCを所管する立場から、円滑な整備を支援してきており、前政権の時代を含め、歴代の文部科学大臣がその任務に当たってまいりました。

 私に対する批判、これは謙虚に受けとめたいと思います。私としては、ことし四月に問題の報告を受けて以降、見直し案の具体的な検討を行い、六月に総理に対し、ザハ案と、そしてもう一つの見直し案について説明を行いました。また、さらに研究を進めてほしいとの総理の指示を受け、さまざまな関係者から話を聞いて研究を進めるなど、最大限の、見直しに向けた努力をしてきたつもりでございます。

 今後、新国立競技場の整備を二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催にまずは確実に間に合わせること、そして、国民の理解を得るような新たなスキームで新国立競技場を建てるということが最も責任を果たすことになると考えておりますが、今回の問題に対する文部科学省そして文科大臣の責任を回避するつもりは全くございません。

 文科省としては、新国立競技場の整備計画に係る経緯について検証のための第三者委員会を設置したところであり、ここで責任の所在についても議論をしていただくことになると考えております。九月中旬には報告書を取りまとめていただく予定であり、その議論を踏まえまして、必要な対応をしてまいります。

鈴木(義)委員 先ほど遠藤大臣の方から御答弁をいただきまして、今後は自分が責任者になってやっていきますよということでありますので、例えば、金額はこれからどうなっていくかわかりませんけれども、二千五百二十億円、これは血税を使うわけですよね。ですから、責任をとったと言って辞任をすればそれでいいとかという問題じゃなくて、二〇二〇年に向けて東京オリンピック・パラリンピックを成功させるんだ、それをすることがやはり責任を負うことなんだと思うんです。

 もう一回、その辺の決意なり覚悟なりを担当大臣としてお聞かせいただければなと思います。

遠藤国務大臣 今御指摘いただきました。この二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックは、まさに世界最大のイベントでありますし、それを成功させるということが私に指示をいただいた使命でありますから、そのとおり、二〇二〇年の大会成功に向けてしっかりと取り組んでまいる所存です。

 なお、今いろいろ検討しておりますし、この関係閣僚会議のもとに事務局として、内閣官房に再検討推進室を設置いたしました。

 そして同時に、できる限りコストを抑制した、現実的にベストな計画にするとともに、国民やアスリートの皆様から賛同いただける計画にすることが不可欠と考えておりますので、これまで私自身がアスリートや関係団体の方々と延べ十一回意見交換を行うとともに、昨日からインターネットを通じた国民意識調査を開始するなど、幅広い意見を聞くように努めております。

 なお、昨日からきょうの朝九時現在で、三万五千人の国民の皆さんから御意見をいただいております。

 本日の午後も、パラリンピアンズ協会の河合純一会長さんを初めとしてヒアリングを実施するなど、精力的に続けていくとともに、国民の皆様との議論をさらに深め、関係閣僚会議において秋口には新たな整備計画を策定したいと考えており、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催に必ず間に合うように、内閣全体で責任を持って取り組んでまいります。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 そもそも建設工事の費用が超過する問題に端を発しているんだと思うんですけれども、ある建設関係者の方が四点指摘しております。これはすぐにお答えできるかどうかは別にして、ぜひ含んでいただければなと思います。

 一つは、発注者側の予算の積算が雑過ぎるということです。このJSCですか、そこに積算のプロがいなかったんじゃないかということです。だから、積算はきちっとプロに任せるべきだ。

 それと、設計コンペ段階でコスト意識がなさ過ぎる、こういう指摘をしています。あと、安藤氏は、デザインのみを選定したので工事費は関係ないという発言をされているんですね。記者会見でこういうふうに述べられていますよね。だから、コスト意識をきちっとやはり持つべきだということです。

 あともう一つ、ゼネラルカウンセルがコントロールを失っているんじゃないかということを指摘しています。技術提案で選定した通常の総合評価入札と違い、価格、工期をコミットされていない、こういう指摘がある。実施計画の技術協力業務を早期に委託してしまっているというのも指摘されているんです。

 それともう一点、LCC、ライフサイクルの検討が薄い。これは、オリンピックまではいいんですけれども、オリンピックが終わった後の維持管理を誰がどうするんだというところまでやはりきちっとコミットしなくちゃいけないんだと思うんです。これは、イニシャルコストばかりに目が行ってしまって、OPEXを除くLCCの観点での検討が必要だということです。海外では、オリンピックやワールドカップは、一時的なオーバーレイ、仮設で十分であるんだというふうな指摘もしています。

 ですから、以上の私が申し上げました、私は当たり前だと思っていることなんです。例えば長野オリンピックの後、維持管理に膨大な費用がかかって、その後どうなったかということも視野に入れた中での設計もやはり考えていくし、運営もしていかなければならないんだと思うんですね。

 その辺を、やはり過去の過ちからというんですかね、失敗から学ぶということを余りしない日本人なんですけれども、大臣の御所見や考え方を述べていただければなと思います。

遠藤国務大臣 今、私のもとにあります推進室では、国交省の技術屋などを含めた専門家を中心にして検討しておりますし、同時に、先ほど申し上げましたように、アスリートの皆さんや国民の皆さんのいろいろな、多様な意見を聞きながら作業を進めております。

 今委員御指摘のように、ライフサイクルコスト、これからの維持管理等も踏まえて、引き続き、国民の皆さんやアスリートの皆さんの意見を聞きながらしっかりと策定をしていきたいと思っております。

鈴木(義)委員 よろしくお願いします。

 それと、もうあと三点、建築技術コンサルタントの方は三つの懸念を挙げているんです。

 一つは、文科省が地震調査研究推進本部を設置して、二〇一二年、首都直下地震の三十年以内の発生率が七〇%程度だとして三年前に示しているんですね。これによって、交通遮断によって孤立するとか、東京ベイエリアの埋立地の液状化現象による地盤沈下のおそれがあるとか、東日本大震災の教訓を踏まえて備えが必要だということなんです。

 ですから、こういったことも踏まえて備えができているのか。これから計画しているんだということであれば、それをしているのかしていないのかです。担当大臣にお尋ねしたいと思います。

遠藤国務大臣 東日本大震災の教訓を生かしながら首都直下型地震に備え、防災・減災対策を講じることは極めて重要な課題だと認識をしております。

 首都直下地震対策につきましては、一昨年の十二月に首都直下地震対策特別措置法が施行され、昨年三月に首都直下地震緊急対策推進基本計画を定め、また、ことし三月には基本計画の変更を行い、さまざまな施策について具体的な減災目標を追加し、人的、物的被害の軽減に向け、各般の施策を推進しているところであります。

 オリンピック・パラリンピック開催に向けては、一度に多数の外国人観光客の皆さんや障害者の皆さんが訪れることから、施設の耐震化や、避難誘導などソフト対策に取り組むことにより、関係省庁や東京都と一体的に、安心、安全な大会の実現に向けて対策を進めてまいります。

鈴木(義)委員 続きまして、下村大臣からも御答弁いただいたんですけれども、建築工事の労働者の問題で、アベノミクスに伴う公共事業の増加とか東日本大震災の復興需要を中心として建築投資が急拡大している。それで人手不足が深刻化している。これはコストのはね上がりにかかわることなんですけれども。建設市場の縮小に伴って五百万人ぐらいの建設労働者、従事者が減少している中で、特に職人さんの高齢化が進んでしまっているわけです。

 こういう現状の中で、お話をお聞きしますと、二〇二〇年じゃなくて、実際、施設が立ち上がっていろいろなシミュレーションをするのに、二〇一九年までに施設は完成していないと準備に入れないということですから、タイムリミットとすればあと三年と少々だというふうに思いますが、関係省庁と協議が進んでいて、きちっと対応できるのかどうか。

 それと、時間がありませんのでもう一点。

 日本の政府とすれば、大変厳しい財政状況は余り変わっていないんだと思います。ここ一、二年は税収が伸びているから幾らかいいんでしょうけれども、世界の経済成長が三%で推移している中で日本はなかなか一%行くか行かないかという中で、震災や施設整備としての直接投資を一兆円確保できるのか。今回の新国立競技場だけじゃなくて、全体でいけば、今申し上げましたように、いろいろな耐震のこともあるでしょうし、避難計画も含めていけば莫大な予算がかかると思うんです。

 そこのところは財政当局と調整ができるのか、これから図っていこうとするのか、お尋ねしたいと思います。

遠藤国務大臣 委員御指摘のように、現在、我が国のさまざまな分野で少子高齢化等により人材不足が大きな課題になっており、とりわけ建設産業においても同様で、高齢化や若年入職者の減少という構造的な課題に直面をしております。

 こうした問題について中長期的に国内人材の確保を図ることを前提としつつ、二〇二〇年、今委員は二〇一九年とおっしゃいましたが、それに向けて、一時的な建設需要の増大については、外国人材の技能実習制度に係る時限的措置を本年四月より開催をいたしました。なお一層、この外国人材の活用に向けて関係機関と連携して検討してまいります。

 そしてもう一点でありますが、今、予算につきましては、先般、七月二十四日でありますが、二十八年度予算の概算要求基準が閣議了解されたことを受けまして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、政府として、関連施策を充実させるため、各省に対して、二十八年度に必要となる関連施策について所要の概算要求を行い、二〇二〇年東京大会の成功に向けて一層の協力をいただくよう要請をいたしました。

 厳しい財政状況のもとでありますが、私としても、関連する施策の実現に向け、財政当局とも相談をし、所要の予算がしっかりと確保できるように取り組んでまいります。

鈴木(義)委員 時間が超過していますので、最後に一つだけお尋ねしたいんです。

 「大会後にさまざまな分野で次世代に誇れる遺産、レガシーを残す」というふうに遠藤大臣は述べられているんですね。では、大臣の誇れる遺産とは何かということです。

 先ほど御答弁いただきましたように、札幌オリンピック、長野オリンピック、大阪万博、国際的なイベントが日本国内で開催されたんですけれども、今後どのような状況に置かれていくのか、大臣の御所見をお尋ねして終わりにしたいと思います。

遠藤国務大臣 お答えいたします。

 札幌オリンピックや大阪万博の開催は、高度経済成長の時代において世界における我が国のプレゼンスの向上、また、長野オリンピックの開催は、一校一国運動の実施を通じた国際交流の促進等の成果につながってきたと認識をしております。

 二〇二〇年東京大会におきましては、スポーツのイベントとして成功させるだけではなくて、スポーツ・フォー・トゥモローなどを通じた、アジアを初めとする世界各国への国際貢献、ユニバーサルデザインが浸透した共生社会の実現、環境・エネルギー等の分野における先端技術等、さまざまな側面において成果を残すことが重要であり、そうした成果等が誇れる遺産になるように取り組んでまいります。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

福井委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。維新の党の初鹿明博です。

 私も新国立競技場の問題について質問をさせていただきますが、その前に一つ。

 最近、毎日猛暑日が続いておりますよね。大臣、暑いですよね。この暑さの中で子供たちは、学校でプールに入ったり部活動で野外で活動したりしているわけでありまして、きょうは、まず最初に紫外線対策についてお伺いをさせていただきます。

 先日、水泳の授業時間での紫外線対策について質問主意書を出させていただいたんですが、返ってきた答弁が、「文部科学省が教員向けに作成した「水泳指導の手引」において、紫外線の影響が強いと考えられる場合の児童生徒に対する配慮について記載しているところであり、」となっていて、「同省としては、」「各学校において、水泳の授業における紫外線への対策が適切に実施されるよう助言してまいりたい。」そういう答えだったんですよ。

 では、この「水泳指導の手引」に何て書いてあるかといったら、「盛夏の暑いときや紫外線の影響が強いと考えられるときには、タオルで身体を覆わせたり、休憩テントの中で待機させるような配慮も必要です。」これしか書いてないんですよ。

 これは、タオルを巻くとかテントで休憩するというのは、プールから上がったときの話ですよね。プールの中に入っているときの方が紫外線の影響を強く受けて、そのときの対策をどうするのかというのを私は質問したんですよ。

 ラッシュガードを着るようにするとか、また、日本小児皮膚科学会の調査だと、一四%の学校が日やけどめクリームを塗っちゃいけないと禁止しているんですよ。でも、その調査によると、今、水質を汚染しないような新しい耐水性の日やけどめクリームも出ているということなんですから、だから、日やけどめクリームをきちんと塗るように、肌の弱い子は学校でそうしてもいいよというふうにしろというような趣旨で質問したのに、この答弁だったんですね。これはどうなのかなと思うんですよ。

 これは水泳の時間だけじゃありませんよ。これだけ暑い中で、野外で部活動や体育をやる場合に、日やけどめクリームを塗らないで、肌の白い子、肌の弱い子がやったらどうなりますか。あっという間に真っ赤になって、やけど状態ですよ。

 私もいろいろ調べてみました。盆踊りに行っていろいろな校長先生に会うので、学校でどうなっていますかと聞くと、大体、禁止はしていないけれども塗っていいよとは言っていない、聞かれたら、家で塗ってくるのはいいけれども学校に持ってきちゃだめだというようなことを答えるんですね。

 いろいろ調べていったら、皆さんも御存じのとおり、内田良さんという名古屋大学の准教授の、学校の事故の問題をずっと追っかけている先生のブログなどを見ると、やはり禁止している学校が多かったり、家で塗ってくるのはいいけれども、学校に持ってくるのは、化粧品と一緒だから持ってきちゃだめだという学校が多いということなんですよ。

 私の子供は、十年前の話ですけれども、小学校のとき、運動会の練習のときに、禁止されていたんですけれども、肌が白いからうちの女房は塗っていかせたんですよ。顔に塗っていったんですね。ところが、耳の裏に塗り忘れたんですよ。そうしたら、帰ってきたら真っ赤になってただれちゃって、本当に耳がもげちゃうんじゃないかというぐらいひどいことになったんですね。

 そういうことを考えると、日やけどめクリームを塗っちゃだめなんていうことを言う学校は間違っていると思うんですよ。塗っちゃいけない理由なんかないじゃないですか。女性だってそうですよね。皆さん思うと思いますよ。

 WHOが警告しているんですよ、十八歳までの間にきちんと対策をとった方がいいと。しかも、皆さん御存じですか。我々人間が一生涯のうちに受ける紫外線量のうちの半分は十八歳までに受けるそうです。子供のときに大半を受けちゃうんですよ。

 紫外線というのは、しみやそばかすだけじゃなくて、皮膚がんのリスクを高めるということが言われているわけですから、子供のときにしっかりした紫外線対策というのが私は必要だと思いますので、日やけどめクリームを塗るのを禁止するという学校は、禁止することを禁止してもらいたいと思うんですけれども、大臣、御所見をお伺いいたします。

下村国務大臣 これは初鹿委員のおっしゃるとおりだと思います。この「水泳指導の手引」というのも、相当前の時代につくられたのかなという印象を持ちました。

 御指摘のとおり、紫外線による健康への影響については、児童生徒一人一人によって異なる。また、各学校現場において、そういう意味では必要に応じて適切な対応はやはり必要だと思います。

 今後とも、各都道府県教育委員会において、各学校において、水泳の授業や運動部活動における紫外線の対策について、そういうようなことを禁止するということでなく、柔軟に対応できるような、適切な実施がされるような、そういうことを努めてまいりたいと思います。

初鹿委員 ありがとうございます、前向きなお答えで。

 ぜひ、これは本当に徹底していただいて、学校に持っていって、これは化粧品だから没収みたいなことが言われないようにしていただきたいと思います。

 それでは、新国立競技場の問題に入りますけれども、先ほど遠藤大臣の答弁で、今回の白紙撤回は新国立競技場の本体の部分だというお答えだったと思うんですよ。でも、これは競技場本体が仮に今の大きさよりも小さくなったとしたら、その周りに接続されるペデストリアンデッキ、人工地盤は必要なくなるんじゃないかと思うんです。

 必要なくなったり、またはそのままの状態だったら、競技場とデッキの間に空間ができちゃいますよね。ということは、このペデストリアンデッキや、あと、人工地盤についても当然見直しの対象になると思うんですけれども、そういう認識でよろしいんでしょうか。

遠藤国務大臣 当然、今までの新国立競技場をつくるということでいたわけで、それに伴って人工地盤が必要だった。しかし、新しい新国立競技場になったときに人工地盤が必要かどうかということについては、今の段階で、新しい設計等を見なきゃわかりませんが、必要なくなってくるのではないかなと思ってはおります。

初鹿委員 今お答えで、人工地盤は必要なくなるかもしれない、なくなる可能性もあるということですよね。ということは、敷地自体も今現状の敷地よりも小さくてよくなる可能性もあるわけですよね。小さくてよくなる可能性もあるわけです、そこは後で質問しますが。

 まずその前に、現状の敷地なんですけれども、都立の明治公園の部分も今回の整備の敷地の中に入っているわけです。当然、都立公園ですから都有地なわけですよ。この都有地をどうするのかという、所有権をどうするかという扱いが決まっていないというふうに伺っております、皆さん御存じなかったと思いますけれども。JSCの競技場がつくられるわけですよね。だから、それを売却してもらって、買い受けてその土地を使うのか、それとも賃貸で使うのか、何にも決まっていないんですよね。大臣、そうですよね。

下村国務大臣 御指摘のように、明治公園の敷地につきましては東京都が所有をしているところでございます。

 国立競技場につきましては、東京都が主催するオリンピック・パラリンピック競技大会の開会式、閉会式等のメーンスタジアムとなること、また、東京都内に位置し、利用者の中心は東京都民であること、さらに、国立競技場の整備に伴い、東京都域内の地域活性化等の経済波及効果があることなど、東京都民の便益となるものであります。

 このため、明治公園の敷地を国立競技場の敷地として使用することについては東京都との間で合意を得ているところでありますが、使用するに当たっての条件につきましては、引き続き東京都と協議を行っているところであります。今後、できるだけ早期に合意を得ることによって、東京都との協議を進めてまいりたいと考えているところであります。

初鹿委員 使うことは私も否定はしないんですけれども、所有権をどうするかとか、まだそういうことが決まらないで計画が進んでいくというのはいかがなものかなと思うんですよ。

 仮に買い受けるとなれば、整備費に上乗せしてそれだけの財源が必要になってくるわけですから、そのことにもかかわってくるし、また、東京都が幾ら出すかということにもかかわってくる問題だと思うんですね。お金を、負担を、では東京都が幾ら出すのかも決まっていない、土地を、所有権を移転するのかどうかも決まっていない、そんな状態で今後計画を進めていくということはあってはならないと思うので、次のきちんとした整備計画ができるまでの間に、財源の問題、東京都の負担を幾らにするかという問題と土地の所有権をどうするのかという問題だけはきっちりと決めてから行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

遠藤国務大臣 お答えいたします。

 新国立競技場につきましては、これは今整備計画を策定中でありますし、九月の上旬には策定をし、そこまでに総額を決めて公表しようと思っております。

 ただ、財源につきましては、これまで、平成二十三年の閣議了解で多様な財源の確保に努めるとされておりますので、引き続き議論を行ってまいりたいと思っております。

初鹿委員 少なくとも契約する前の段階では、財源がどこから出てくるのかというのははっきり決めておくべきだということは忠告をさせていただきます。

 次に、先ほど、敷地も含めて、ペデストリアンデッキも含めて計画を見直すというお話がありました。ということは、競技場の高さも変わってくるわけですよね。今、一番トップは七十メートルになっていますけれども、これも、人工地盤をつくらないとなれば当然下がってくるわけでありますよね。

 ここの地区は、御存じのとおり、風致地区に指定をされていて、今までの高さ制限は十五メートルなんですよ。十五メートルだったところを、この競技場をつくるために、七十五メートルまで高さ制限を引き上げたわけですよね。もともとの国立競技場の一番高いところで三十五メートルだったことを考えると、やはり七十五メートルというのは高過ぎると思うんですよ。

 十五メートルだったところなわけですから、せいぜい、やはり今までどおりの三十五メートルから、多くても五十メートル以下ぐらいに高さ制限を戻すということを私はしてもらいたいと思うんですけれども、当然、都市計画決定は新たにするんですよね。それで高さ制限をやはりもとに戻してもらいたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

下村国務大臣 先ほど遠藤オリパラ担当大臣からお話があったとおり、新たな整備計画については、これから柔軟な中で考えるということですから、最初から七十五メートルありきということではありませんが、しかし、国立競技場の整備計画について、敷地についてまでは見直すことは考えておりません。

 したがって、整備計画の見直しは、現行の都市計画決定を前提として、その中で作業を行うこととなるというふうに考えております。

初鹿委員 敷地は見直さないということは、日本青年館や霞ケ丘の都営団地は今までの計画どおり残さずに壊す、そういう趣旨でよろしいんでしょうか。

下村国務大臣 そのとおりであります。

初鹿委員 私は、せっかく白紙になったわけでありますし、ペデストリアンデッキの広さも変えていくということであるならば、やはり、多くの住民が反対をしている霞ケ丘の団地の問題や、あと日本青年館も、現状、まだ今三十八年ですか、まだまだ使えると思うんですよ。それをあえて壊して、JSCの本社ビルと一緒に大きなビルに建てかえる必要はないんじゃないかと思います。もう一度その点は検討していただきたいと思います。答弁は要りません。

 まず、今お話ししました、今度はJSCの本社ビルのことについてお伺いいたします。

 今申し上げたとおり、JSCの本社ビル、もう既に建て壊されているわけですよね。建て壊して、日本青年館と一緒のビルを建てて二十階建てにするということですね。百六十五億円かけるということです。これだけ聞くと、オリンピックに便乗して新しいビルをつくるのかなと言われてもおかしくないと思うんですよ。だって、JSCのビルというのは築二十二年ですよね。通常なら絶対に建てかえの対象にならないですよね。減価償却も終わっていないんじゃないかと思うんですけれども、それを今回建てかえることになった。

 そこまでは計画ですから、そうなんだと思いますが、既に工事の請負契約を六月三十日に締結しているんですよね、六月三十日に。六月の時点で、ザハの競技場の案を見直すということを、大臣、考えたんですよね。きのう、参議院の文部科学委員会でそう答弁していますよね。

 ということは、場合によっては敷地の扱いについても変わってきたのかもしれない。そういう状況なのに、それがはっきりしていないわけですよ。その状況で六月中に契約をしたというのは、私はいささか問題ではないかと思うんですけれども、一体誰の判断でこの六月中にゼネコンと契約することを決めたのか、そして、文科省としてはそれをなぜ認めたのか、お答えください。

下村国務大臣 御指摘のように、六月中旬に、ザハ・ハディド氏の案を計画どおりにつくった場合のメリット、デメリット、それから、槇案を含めた新たなほかの案に変えた場合のメリット、デメリットについて、安倍総理の方に私の方から提案をいたしました。

 ただ、もう一つの案にしても、前提は、ラグビーワールドカップとオリンピック・パラリンピックに間に合わせるということが前提で総理に提案をしましたので、本当に間に合うのかどうかということについて明確な確証が、しっかりと、専門家の中で意見が分かれた部分があったものですから、それについてはもっと精査してほしい、研究してほしいということで、引き続き検討してきたという経緯がございます。

 ですから、六月の時点でほかの案に変えるというところを決断できる状況ではまだなかったということで、最終的には七月の十七日に安倍総理がゼロから見直すということを決断したということでございますので、それまでは現行のスケジュールのとおりに進めてきているというところでございます。

初鹿委員 変える可能性もあったのに現行のスケジュールどおり進めていってしまったら、いざ変えようとしても変えられないじゃないですか、もう既成事実ができちゃって。私には、既成事実をつくるために、日本青年館とJSCのビルの建てかえは、絶対にこの案どおりに建てかえるために契約したとしか思えないんですよね。これは本当に私は問題だなと思います。

 今、JSCの本社ビルを壊してしまって、仮設をつくっているわけですよね。今、仮設のところに入っている賃貸料というんですか、月に幾ら払っているんですか。

河野参考人 使用料につきましては、三年間で約十億円と承知をしております。

初鹿委員 たしか月に二千七百万円ぐらい払っているわけですよね。これも、わざわざ仮設を建てて、その建設費も含んでリースになっているようですけれども、そんなにお金をかける必要があったのかなというのが非常に疑問ですね。普通に既存のビルのテナントで入ればもっと安くできたんじゃないかと思うんですよ。この辺のコスト意識も非常に希薄で問題ではないかなと私は思います。

 そして、百六十五億円の建設費ですけれども、JSCと日本青年館の持ち分によって負担分も変わってくるということなんですが、JSCは四十七億円だということですよね。でも、JSCというのは別に事業をやっているわけじゃないから、内部留保があって、自分のお金で四十七億円を出すわけじゃないですよね。これは運営費交付金から出るわけですよね。つまり税金でよろしいんですよね。

河野参考人 JSCの本部事務所の建設費用につきましては、国立霞ケ丘競技場の整備等に必要な業務を区分整理するために設置されております特定業務勘定から充当する予定でございます。その特定業務勘定は、財源として、国費及び投票勘定の受入金などの財源で構成されております。

初鹿委員 要は税金プラスtotoからのお金が入るということですよ。

 では、日本青年館の方は百十八億円の持ち分ですけれども、この財源はどうなんですか。百十八億円を日本青年館が持ち出すのかといったら、実はそうではなくて、移転をすることによって補償金が国から支払われる。九十三億円だそうです。それが出ていて、残りの部分のうちの幾らかはtotoから出すということなんですが、それでよろしいんでしょうか。

河野参考人 現在の御質問でございますけれども、二〇一九年のラグビーワールドカップ及び二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けまして、メーンスタジアムに近接する施設、特に宿泊等については、アスリートも利用するということで、文部科学省の方からtotoの使用について検討要請をいただきまして、その検討の結果、そのようにさせていただいたところでございます。

初鹿委員 本来、totoの売上金というのは地方のスポーツ施設の建設のために使われるものですよね。日本青年館は宿泊施設ですよ。

 では、どこでもいいですけれども、例えば釜石につくられるラグビー場の隣に、そこに来る選手のための宿泊施設をつくるから、そこにtotoから補助金を出すということが認められるんですか。認められないでしょう。

 オリンピックのときだけ特別に認めるというのはいかがなものかなと私は思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣。

下村国務大臣 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の附則第八条の三におきまして、スポーツ振興くじの売上金額の五%を、国際的な規模のスポーツの競技会の我が国への招致またはその開催が円滑になされるようにするために行うスポーツ施設の整備等であって緊急に行う必要があるものとして文部科学大臣が財務大臣と協議して定める業務に必要な費用に充てるものとすると規定がございます。

 JSCの旧本部、事務所等は新国立競技場の敷地内に位置していたものであり、また、日本青年館も新国立競技場をつくるに当たっては移転が必要であるということで、その移転は新国立競技場の整備に必要なものと考えます。

 このため、JSC法附則の規定を受けた文部科学大臣の定めでは、特定金額を充当する業務として、JSC本部、事務所等の建設、移転に係る業務、日本青年館も含めて、その対象として規定しているところでございます。

初鹿委員 それにしても、百六十五億円かけて、それもほぼ国費とtotoの費用になるわけですから、やはりもう少しコストを下げるなりの努力をするべきだと思いますし、先ほど申し上げたとおり、仮設の本社ビルを、本社の仮設の施設をつくってそこに十億円ものお金をかけるというのは、やはり私はやり過ぎではないかなということを指摘をさせていただきます。

 最後に一つこれは御提案というかお願いですけれども、昨日、この新国立競技場のこれまでの経緯を検証する第三者委員会のメンバーが発表になりましたよね。今までこの経緯を見ていて、計画が二転三転したり金額が膨れ上がったりということでの批判もありますけれども、もう一つ国民が今回の問題で不信感を持っているのは、一体どんな議論があって例えばザハの案になったのかとか、どんな議論があってこの金額が膨らんだのかとか、その辺が非常に不透明だということなんだと思うんですよ。

 ですので、今回のこの第三者委員会は検証する委員会なわけですから、しっかりこれは全面公開で、場合によってはネットで生中継してもいいと思うんですが、議事録もちゃんと公開をして行う必要があると思いますけれども、御所見を伺って最後の質問とします。

下村国務大臣 御指摘のように、この第三者委員会は原則として公開として開催することになっております。ただし、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす、あるいはそれと認める場合は、あるいはその他正当な理由があると認める場合は非公開とする場合もありますが、それは検証委員会自体で検討されることでありますが、基本的に公開として開催をすることとなっております。

初鹿委員 ぜひ公開でやっていただいて、これまでの検討の経過がはっきりわかるようにしていただきたいとお願いをして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

福井委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。民主党の柚木道義でございます。

 通告の段階で、新国立競技場を中心とするオリンピックの一連の問題について、これまでのことは下村文部科学大臣で、今後のことは遠藤五輪・パラリンピック担当大臣という大きな仕切りでということは聞いておりますので、主にそういう仕切りの中で質問をさせていただきますので、まず前半は下村大臣の方にお尋ねをしたいと思います。

 昨日の参議院の文部科学委員会においても、この新国立競技場問題に端を発する一連のさまざまな問題があり、そしてまた、国民の皆様、世論の大きな批判もあって白紙撤回、見直しということになった中で、これは当然、所管の大臣としての責任は免れないという議論もある中で担当局長が事実上の更迭、こういう報道もあるわけですが、異動になったということであります。

 私は、これはトカゲの尻尾切りだと思いますが、国民の皆さんもそう思うと思いますが、ただ、きのう、下村大臣は参議院の文部科学委員会で、御自身の責任の所在に関して、検証委員会の結果が出れば、責任のあり方も含めて適切に対応するという御答弁をされていますが、この適切に対応するというのは、辞任をするという意味ですか。

下村国務大臣 新国立競技場の整備計画に係るこれまでの経緯について検証するため、文部科学省に昨日、第三者委員会を設置したところでございます。ここでは、これまでの経緯について、先ほどありましたが、詳細に分析をしていただきたいと思っておりますが、同時に、そのときそのときの責任所在についても議論をしていただきたいと思っております。

 文科省の中であっても、この事務局はスポーツ振興局ではなく大臣官房企画課が担当して、全く文科省に気兼ねなく、これはもう率直な第三者委員会としての議論をしていただきたいと思っておりますので、その中で出てきた責任論が私に対してもあれば、それはきちっと適切に対処していきたい、そういうふうに述べたところであります。

柚木委員 少しちょっと奥歯に何か物が挟まったような言い方なんですが、普通に受けとめれば、今の御答弁は、そういう責任問題ということが検証委員会の中で言及をされた場合には、適切に対応するというのは、それを受けて、辞任をするということを含めて適切に対応する、そういう意味でよろしいですか。

下村国務大臣 きのう、第三者委員会を設置するということを決め、実際、七日からスタートします。予断を持ったこの第三者委員会に対する発言は控えたいと思います。

柚木委員 更迭されたという報道もある久保局長は、将来事務次官との声もあるエースだったという指摘も省内である。そういう方が、私は、ある意味では、担当局長であれトップの大臣であれ、責任の所在が明確でなければ今後もこういう迷走が起こり得ると思いますので、非常にお気の毒ですが、やむを得ないと思います。

 しかし、だからといって、局長だけが更迭をされて、そしてトップの所管の大臣は検証委員会の結果を待つ、これはいかにもバランスを欠いていると私は思いますし、世の中にいろいろな不祥事、問題が起こったときに、例えば今、東芝の問題も起こっていますよ、不適切会計、部下にだけ責任をとらせて社長はやめない。そんなことで、お客さんやあるいは株主、市場、もっと言うと社員だって、国民だって、納得するんですか。現場にだけ責任をとらせる、そういうようなことをやっているから、国民の皆さんから見て、オリンピック、新国立競技場、あるいは政治そのものが不信感をますます持って見られると私は言わざるを得ないと思いますよ。

 それで、私は、この後の質疑の中で、やはり大臣はもう辞任をしていただくしかないというふうに認識を持ちながら質問をさせていただくわけであります。

 これは資料におつけしておきましたが、もともと二兆円とかいう、本当に規模がどんどん膨らんでいくという森元総理、委員会会長のコメントもある中で、資料一、二、二枚目の裏側を見ていただくと、きょう今質疑のやりとりの中でも、先ほどの初鹿委員のお話にもありましたが、JSCの豪華ビル新築問題、これは百六十五億ということで、実際、破格の坪単価二百五十六万円、一般に都内に、オフィスビルを都心に建てても坪単価百万円を超えるケースはまれで、新国立の当初ケースですら坪単価百三十万円、これは軽く二倍を上回る。

 新国立競技場は白紙撤回で、何でJSCのビルは白紙から見直さないんですか、大臣。

下村国務大臣 新国立競技場については、安倍総理がゼロから見直しをするということを決断されたわけでございます。しかし、そこに競技場をつくらないということを決めたわけではなく、ザハ・ハディド氏の案でない別の新国立競技場、これは今、遠藤大臣のもとで、アスリートあるいは広く国民、いろいろな方々の意見をお聞きしながら、できるだけコストのかからない、そして国民の理解が得られる、そういう競技場をつくるということでございます。

 その中で、規模も八万人ということが一つの前提の中での議論にもなっているということもありますから、国立競技場そのものは建て直しをするけれども、周辺については現状の中で建て直しを考えるということであります。

柚木委員 何で安倍総理は、JSCの新築ビルはあわせて白紙撤回をされないんでしょうかね。

 選手強化策は非常に重要だ、この認識はオリンピック担当大臣も共有されていると思いますが、私も有森裕子さんのあの涙の発言、何回も聞きましたよ。途中から言葉が詰まって、彼女は同郷ですから、私もよく知っている方です。非常に謙虚な方で、わざわざああいう場に出かけていって、促されてああいった発言をされたわけですが、もともとそういう方じゃないですよ。もう言わざるを得なくて、しかも、全てのアスリートを代表するわけではありませんがと、一個人の、全力で国民の方から応援をしていただいた元オリンピアン、アスリートとしてという発言の中で、この新国立競技場、私は計画全体のことが将来にわたって負の遺産になっては、そういう御発言をされている。

 ちなみに、その選手強化策、これはサブトラックの問題とかいろいろな問題、今、既に断念とかいろいろなものが出ていますが、選手強化策として今年度の予算、百七十八億円が計上されて、前年度から九十五億円ふえている。百七十八億円ですよ、皆さん。

 JSCのビルに百六十五億、ほぼ同じお金をかけて新しい豪華ビルを建てる。私、現場に行ってきましたよ。全然使えるじゃないですか。築二十二年ですか、初鹿さん。

 何でわざわざあれを建て壊して、こんな豪華ビルをつくる必要があるんですか。そんなお金があるんだったら、選手の強化費をもっと上積みすべきじゃないですか。下村大臣、いかがですか。

下村国務大臣 これは、新国立競技場を建てかえるためにJSCの建物は移転が必要だということでの建てかえであります。ですから、そこが現状でそのまま使えるということではないということであって、老朽化しているということではなくて、移転せざるを得ないという中での建てかえであります。

柚木委員 昨日発売のサンデー毎日の記事、インタビュー、大臣みずからが受けておられて、私も拝見しましたけれども、かなり率直に御発言もされていると思いますよ。検討した結果、六月中旬に安倍総理に対案に切りかえるべきと提案したということは、もうそれまでにもいろいろな見直しの検討をしている、そういう中で白紙撤回を安倍総理が決断する。何でその中にJSC新築ビルは含まれないんですか。

 それまでの契約だって、あるいはもっと言えば、それまでの支払い、既に六十二億円が残念ながら無駄になっている、国民の血税が。今後さらに、契約している建設会社に三十三億円の支払い義務が既に発生している。百億円ぐらいが無駄になる。

 いろいろなことが既に見直しの段階で、契約をされたり支払われたり、何でそれを、見直すプロセスの中で、このJSCの新築ビルの問題も見直しの対象に加えなかったんですか。

下村国務大臣 今回見直すこととなったきっかけとして、ザハ・ハディド氏の案が二千五百二十億という、予算に比べた膨大な額になり、これはとても国民の理解が得られないし、我々から見ても余りにも高くなっているということが見直しの一つの要因でもございます。

 しかし、旧国立競技場から比べて新国立競技場は、いろいろな多様性ということではもちろんない中で、アスリートファーストの視点から、遠藤大臣のもとで見直し作業が今されておられますが、そういうことから考えると、八万観客席という規模はある程度考えなければならない。そうすると、旧国立競技場に比べて大きさは、これはザハ・ハディド氏の案のような大きさにならざるを得ないというスキームの中で考えていく必要があると思います。ですから、周辺のことについては、見直しはこれはできないということの中で作業を進めていく必要があると思います。

柚木委員 私は、今からでも、白紙撤回、見直すべきだと思いますよ。

 この後の質問もそうですけれども、では、金メダル三十個を目標に頑張る、しかし、これまでの予算でいえば、金メダル一個に百億円、資料の最後から二枚目につけておきましたが。確かに、私もスポーツは好きです、自分もやります、応援もしますよ。だけれども、いろいろなこととの、限られた財政状況との兼ね合いの中で、選手強化も必要な中で、何でこのJSCの豪華ビルの新築を見直せないのか。私は、今からでも見直すべきだと思いますよ。そして、見直せると思いますよ、その気に本気でなれば。

 そして、私が不可解なのは、スポーツ庁の設置とか、いろいろな議論がこの間ありました。この記事にもありますが、この記事はちょっと昔の記事ですから、今年度以降、JSCやJOCなどの複数の団体が各競技団体に予算を配分していたものを、新たな独法を立ち上げて、そこが一括して団体に配分、一定のJOCの関与が残ったということだったと思いますが、これは、新たな独法、現状としてどういう状況、議論になっているのか。

 そしてもう一点、新たな独法ができるということは、各省庁から、JSCは文部科学省、財務省から天下りがあるというふうに報じられていますが、新たな独法にもそういう形で省庁から人が天下るんですか、いかがですか。

下村国務大臣 強化費についてはJSCに一本化しておりますので、今御指摘の新たな独法というのは考えておりません。(柚木委員「考えていない」と呼ぶ)考えていないということです。

柚木委員 これは、もちろんスポーツ振興は重要なことです。ただ、それが、やはり行革の流れと逆行して、我々政権のときにも、復興大臣を置くことですら、当時の野党、自民党の皆さんは大変な御批判もあった。やはり、行革の流れというものとよくよく整合性を保ちながら考えていかなきゃいけない。

 それで、私は、こういうJSCの豪華ビルが新たに新築をされる一方で、霞ケ丘アパート、これも行ってきましたよ。

 資料を最後につけましたけれども、もう九十歳にもなる柴崎俊子さんにお会いしました。前の東京オリンピックのときにもう既にそこにお住まいになられ、そして、そこにもう一方、女性の方が同席をされていました。その方も、この霞ケ丘アパートでお子さんを産まれ、育て、独立をされて、そういうところに柴崎さんを初め多くの高齢者がお住まいで、移転という発表をされて以降、お子さんがおられるような御家庭の方は、お子さんの学校のこともあって、どんどん移転が進んで、三百世帯のうちの今は百四十世帯ぐらいになっている。ほとんどが御高齢の方、あるいは独居高齢者の方。柴崎さん御本人もそういう方です。

 もちろんオリンピックには協力したいし、成功してほしいとおっしゃっていましたよ。ただ、今回、新国立競技場白紙撤回、そういう決断があった中で、なぜ自分たちだけは蚊帳の外なんだと。

 もともとそこはエレベーターもないんですね。私も階段で上がりました。これを九十歳の方が日々上がったりおりたり。その方は介護サービスも受けられていますよ。これはそういう思いになります。もともとは住民自治会からも、エレベーターつきで新たな公営住宅を、こういう要望がずっと出ていた。しかし、その願いは現段階ではかなわず、新たなところに移転をする、引っ越す、来年の一月までに。しかも、抽せんなんですね。移転先が建てかえになるから、そこにもともといた方が優先、入れるかどうかは一〇〇%じゃないんですよ。そういう状況が今ある。

 これは、JSCの豪華ビルが百六十五億もかけてできる一方で、申しわけないですけれども、もう八十歳、九十歳の方々が、これから何百年もそこで暮らすわけじゃないですよ。そこで何とか生活をすることが、全部の棟、十棟を建て壊して新しいところということじゃなくて、何らかの形で、さっき仮設に十億、賃貸料という話がありましたよ。何とかそういう形を考えることはできないのか。やはりオリンピックというのは、みんな成功してほしいと思っていますけれども、アスリート不在であったり、そこに住んでいる住民不在であったり、国民不在であってはならないと思いますよ。

 ぜひ、この霞ケ丘アパートの移転問題についても、何とかそこに暮らしている方が、その希望を、どういう案がいいかはお考えいただければいいですよ、今回白紙撤回で見直しなんですから。何とかそこに住み続けられる方法があるのかないのか、そういうことも含めて、まさに新たな発想でこの移転問題もお考えいただくことは、これは下村大臣の所管だということですから、御検討いただけませんか。

下村国務大臣 御指摘の都営霞ケ丘アパートの敷地につきましては、新競技場メーンスタジアムとしてふさわしい、先ほども答弁申し上げましたが、八万人収容とするためには一体的に整備する必要があることから、東京都の都市計画におきまして、都立明治公園の再配置として公園、広場等を整備し、バリアフリールートとして活用されることとなっておりまして、東京都において計画が中止されることは想定はしておりませんが、住民の方々の、今の御指摘のことを踏まえた転居における今後の安心、安全、それについては東京都に対してもしっかりと国の方からも要望したいと思います。

柚木委員 ということは、ですから、そこにいていただけることも含めて検討いただくということでないと、今の御答弁だと、結局は出ていってもらいますよと。それで、抽せんの先も入れるかどうかもわからないし、もう御存じのように、柴崎さんも介護を必要とされていますよ。いろいろな方がおられて、環境が変われば、もう家族のようなその二人も、五十年来の、本当に目をつぶっていてもお互いの家に行ける、そういう方々が離れ離れになる。認知症の方は症状が進むんですよね、そういう環境の激変で。

 何とかそこにいていただけることも含めて、これは都と検討いただけませんか、大臣。

下村国務大臣 私も選挙区が東京の板橋ですから、都立の都営アパートというのはたくさんあります。相当老朽化して、いろいろなところで、今の御指摘のような、できるだけそこに住み続けたい、住み続けたいけれども老朽化の中で転居せざるを得ないというところは、この場所だけでなく、都内にもたくさんあります。

 ただ、できるだけ、住民、住んでいる方々の思いが反映できるように転居においてフォローアップはしていきたいと思いますが、この計画そのものは東京都において考えているところでありまして、これが中止されるということについては国としては想定はされておりません。

柚木委員 柴崎さんも、そのもう一方もおっしゃっていました、オリンピックは成功してほしいと。でも、これは安保法案の議論があるからこういう発言になったんだと思いますけれども、戦後から、そこが兵舎だった後から住み続けられている方ですよ。戦争もそうだけれども、何か国家のいろいろなプロジェクトが進むときに、場合によっては、犠牲になるのはいつも私たち庶民だ、こういう思いにさせちゃいけないと思うんですよね。これはぜひ、みんなが祝福できるオリンピックにしていただきたい。

 ちなみに、JSCの豪華ビル、これは百六十五億、今回、私は本当に、選手不在、地域住民不在、国民不在、そういう中でもう一つ、被災地不在なんじゃないかと思うんですよ。新たに、被災三県で二百二十億円の自治体負担増ですよ。本当に被災地の方々、復興なくしてオリンピックなし、そういうことでやるんだったら、まさにこのJSCの豪華ビルを見直せばお金は出てくるじゃないですか、ほかのところも含めてやって。何でそういうことも含めて見直しができないんですか。

 私は下村大臣に、この間、もう十回にわたって大臣のいろいろな問題についてやりとりさせていただいてきましたよ。

 私、正直、政治資金規正法の例の問題で、これも結局は刑事告発を今東京地検に受理されておる状態で、答弁の中で、いろいろなところからもらっていたお金、結局返金した、補助金を受けていたところ、修正した、講演料をもらっている、もらっていない、食い違っている、表敬訪問だと、大臣室で実は口どめが行われていた。

 いろいろな問題があって、正直これは、今回の新国立競技場の問題と政治資金規正法違反のいろいろなこの間の議論をあわせて、スポーツには、柔道でいえばわざありが二回で合わせて一本、サッカーでいえばイエローカード二枚でレッドカード、退場ですよ。これはたまたま私の手持ちのメモですけれども、レッドカードですよ。大臣、レッドカードだと思いますよ。国民の皆さんの声だと私は思いますよ。

 大臣、ぜひ、局長にだけ責任をとらせずに、御自分が、検証委員会の結果を待つまでもないですよ、この場で責任をとって職を辞する、大臣を辞する、そういう御決断をいただけませんか。

下村国務大臣 政治と金の問題は、非常に事実、根拠のない失礼なこと、問題であるというふうなことで言っていることに対して、これはもう抗議いたします。

 それから、今の指摘については、別に責任回避するつもりは全くございません。第一義的に大臣としてやるべきことは、新国立競技場のこれはゼロから見直しで、建てかえをするということになったわけでありますから、国民の多くの皆さんが、そしてアスリートの皆さんが、ぜひ新国立競技場に対して期待を持ってもらって、そしてそれが間に合う、また、できるだけ国民の税金が、負担がなされないような、そういうことをしていくということが大臣として果たすべき役割だと思います。

 ただ、今までの経過における責任問題、これは第三者委員会できちっと議論をしてもらいたいと思っておりますし、局長を罷免したわけではありません。定期人事の中で、年齢でこれは交代になったわけでございまして、このことも含めて、今後、責任問題というのは、いろいろなレベルで、第三者委員会で議論した中で、それを受けとめて、適切に対応していきたいと思います。

柚木委員 私は自発的な辞任を求めたいと思います。

 時間がなくなりました。遠藤大臣、一問だけ。

 本当に、就任おめでとうございます。私の敬愛する遠藤大臣です。

 二千五百二十億、これは高いのか安いのかという議論はあるけれども、国民の皆さんからしてみればとんでもないという話ですよ。今、総工費の目安、一千億以下でという市民団体の要望、あるいは建築家グループが千三百億以下、八百億以下でできるという人もいます。

 やはり国民の皆さんの納得感の一つは総工費だと思いますよ。これは、一千億以下も含めて、やはり一定の目安を示されるべきだと思いますよ。どれぐらいの目安を今お考えですか。

遠藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、今、アスリートの皆さんやあるいは建築家の皆さん、多くの有識者の皆さんからいろいろな御意見をいただいております。

 また、その中では、当然、IOC、組織委員会、こうした皆さん方の設置するための基準もありますし、そういうことを踏まえ、しっかりと皆さんの御意見をいただいた上で、最終的に、九月の上旬、整備計画の中でお示しをしていきたいと思っております。

柚木委員 終わりますが、ぜひ、全体で二兆円に膨れ上がるかもしれない、それを誰が負担するのか、誰が責任をとるのか、そういうことも含めて、しっかりと方針を示していただく中でこの議論を進めていきたいと思います。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 きょうは遠藤大臣の所信に対する質疑ということですが、やはり、新しい国立競技場の問題について議論をさせていただきたいと思います。

 まず最初に確認をしたいんですけれども、先ほどもありましたけれども、これまでの経緯、さまざまな検証、これについては下村大臣が責任を持っていく、そして、これからの新しい国立競技場は、この関係閣僚会議の議長として遠藤大臣が責任を持ってさまざまな判断をし、そして全ての全面的な責任を持っていくということでよろしゅうございますか。それぞれにお願いします。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

遠藤国務大臣 今御指摘いただきましたように、関係閣僚会議を立ち上げて、その議長として私が担当をいたします。

 限られた時間の中での作業でありますが、二〇二〇年春までに確実に竣工できるように、議長として事業全体の指導監督を行ってまいります。

下村国務大臣 ただいま遠藤大臣がお話しになったとおりでありますが、私は、遠藤大臣のもとでこの新国立競技場再検討のための関係閣僚会議副議長として積極的に参画し、できる限りコストを抑制し、現実的にベストなものとしていくことが、国民の理解が得られる、そういう計画を策定していくように努めてまいりたいと思います。

笠委員 下村大臣、私が大臣にお聞きをしたのは、これまでの経緯、さまざまな検証は大臣のもとでやるということでよろしいですよね。

下村国務大臣 そのとおりであります。

笠委員 まず、その点で一点、私、大変驚きました。

 実は、新国立競技場の将来構想の有識者会議、遠藤大臣は一回目から五回目まで、そして、私もオリンピック・パラリンピック議連の幹事長代理という立場で、一回目から三回目までは当時鈴木寛さん、そしてその後、四回目から委員を務めておりました。

 そして、この一回目から三回目は、つまりはこのデザインが決まるまでの間は、この有識者会議の中で非公開で議論を、率直な意見交換をしていこうということで運んできたわけでございます。

 ただ、これからこの検証をするに当たって、やはり先ほど来問題になっているように、なぜあのデザインが選ばれたのか、あるいは一千三百億円というものが果たしてどうだったのか、それはそのことも含めてやはり検証していくということで、私自身も、これまでこの一回目から三回目までの議事録ということは見たことがなかったんです。

 それで、一昨日、文部科学省の方を通じてこの議事録をぜひ出すようにということで注文を出したところ、送ってきたのが、驚いたんですね、こういう黒塗りの。そして、委員の名前は、座長さんとか、一部のそういう方以外は全部匿名になっているんですね、何々委員というような形で。

 それで私も、何でこれを今さら隠す必要があるんだ、では、どういうことを黒塗りにしているんだということを説明に来いということを言って、昨日十一時前にスポーツ・青少年局の方が私のところに説明に参りました。

 そうしたところ、実は今私が示した資料というのは、私だけじゃなくて、これは、一部マスコミの方からの請求に対してもこれまで出してきたものなんです、文科省、JSCが。そして、そのときに私に対する説明は、これはやはり、個人でどういう発言をしたのかとか、あるいは、ここの委員の方々それぞれに聞いて判断をしてもらって、そして、この部分はぜひ公開にしないでほしい、非公開にしてほしいということを承って今の資料ができたということで、きょうお配りをしております資料がありますけれども、一番下の紙をごらんください。わざわざ「法人文書開示決定時の不開示理由」という通知の抜粋まで持ってきて、ここに書いてありますね、これに基づいて私たち文科省としてはそういう判断をしたんだという説明がありましたので、これは私も、そういう判断であればそれは仕方ない、しかし、やはりいずれはきちんとした形で議事録を出すべきではないかということで昨日は終えました。

 そうしたら、何とけさの朝刊、私、きのうの深夜、産経新聞のネットニュースを見てびっくりしたんですよ。三枚目の資料が、まず私の手元に届けられた議事録の表紙と八ページなんですね。それで、その次にけさの産経新聞、ここに議事録の要旨というものがございます。実は、この今の八ページの真ん中ぐらいに「佐藤委員長」というのがございます。「ありがとうございます。」そしてこの黒塗り。「よろしいですか。」そしてその下に「◎委員」というのがございます。そして、この「◎委員」というのは実は森元総理でございます。森委員。

 そのことは、実は産経新聞に、この資料の後ろから三枚目、ちょっとピンクでマーカーをしてまいりましたけれども、それを比較していただければいいんですけれども、この中でこのピンクのマーカーをつけているところが、まさに黒く潰される、あるいは最初からないんです。発言としてなかったんです、この議事録には。「これもそうですが、正直言うと、神宮のところに宇宙から何かがおりてきたっていう感じなのです。これ、本当」、その後、飛ばして、「カキフライのフライのないカキか、生ガキがいるっていう感じがして、私は専門家じゃないからわからないので、極めて」、これが全く削除された議事録が、あるいは一部黒く塗られた議事録が出されていたということなんです。

 この姿勢もさることながら、自民党の行革推進本部に対しては、先週の金曜日、三十日に河野太郎さんの方からこれを開示するような要求があった。そしてそれをJSCの方で検討した。そして文科省の方にも、これをやはり開示をするべきじゃないかという相談をした。そして、文科省の方とのJSCの話し合いの中で、開示するのはいいけれども、しっかりと各委員の許可をとった上で開示をしなさいということで、私が夕方請求した実はその月曜日の午後三時ごろには、開示をすることを文科省とJSC、文科省が決めたんです。そして、もうそれを出しているんです、自民党の行革推進本部には。

 確かに、その月曜日の日に多少の現場とのタイムラグがあってもいいですよ。でも、私は夕方その資料をもらって、これはおかしいじゃないかと言って、翌日、きのうの十一時前にわざわざ説明に来てもらった。そのときにさっきみたいなペーパーを持ってきて、情報開示できませんと。どういうことですか、これは。

 大臣はこの情報開示についてはいつ、誰から聞いて、そして大臣自身はどういう判断をされたのか、まずお答えください。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

下村国務大臣 これは、笠委員の御指摘はもっともだというふうに思います。

 これについては、笠委員からこういう質問があるということをけさ聞いたところでございます。事務方からは、今は笠委員からも御指摘がありましたが、委員の了解が得られない場合は一部を黒塗りにした資料を提出している、それまでは、各党からも資料要求があり、自民党からも資料要求があれば、黒塗りのものをそういう意味では出したと。

 しかし、御指摘のように、七月三十日の自民党行革推進本部の新国立競技場に関する検討会議において、この黒塗りの部分について開示しろということで、JSCが関係委員の了解を得て、そして黒塗りの部分を開示することになったということを聞いておりますが、しかし、今はタイムラグがあるわけですね。開示されたのと同時に資料要求があれば、それは当然黒塗りの部分を開示した、ここに書いてある、実際、この内容も黒塗りするほどの内容とは思えない中で、御指摘の点はもっともだと思います。

 なぜそうなったかということについては、私の方でしっかりと、省内のどういうところでどんな行き違いがあったのか、そういうことを防止するためにどういうことが必要なのか、しっかり検討したいと思いますが、この点については笠委員におわびを申し上げたいと思います。

笠委員 大臣、私に対するおわびとかそういうことじゃないんです。

 要するに、これは大事なことですよね、情報開示をしていく決定。確かにその委員の皆さん方が、私も黒塗りだったところを見ると、何でこんなのを黒塗りにしていたのかなと本当に思います。しかし、そういったこれまでの方針を百八十度変えて、そしてきちっと開示をしていこうということを、少なくとも大臣あるいは政務三役、誰かが判断しないといけないんじゃないですか。少なくとも、スポーツ・青少年局の皆さんが、きのうそういう方針になったということを一日たっても全くその認識がないということが組織としての問題だと私は思っているんですよ。

 ですから、私もきょうの朝言ったけれども、多分、大臣が知らないうちにこの決定がなされた。その経緯は改めてそれはやってもらえば結構だけれども、こういう国会にということ、政党にということは、イコール国民に対してなんですよ。情報開示をするという大きなその見直しをするのであれば、やはり本来は大臣もきちっとそのことを把握され、そして大臣のきちっとした責任のもとでではそうするんだということを決めるというのが、組織としての当たり前の姿だと私は思っています。

 というのが、まさにこれから、先ほどもありましたけれども、昨日、検証委員会ですか、第三者委員会を大臣が立ち上げられたわけですよね。しかし、本当に下村大臣のもとでこの検証ができるのかという疑問や、あるいはさまざまな懸念というのはこれはあるんです。

 そして、大臣自身は正直に先ほどおっしゃった。自分自身も対象となれば、しっかりとそのことについては、もちろんヒアリングが必要であれば、そこで対象になればきちっといろいろなことをお話をされると。そして、その第三者委員会なり検証委員会から何らかの責任問題というものがあれば、それはどういうことかは別としても、しっかり対処するということを大臣はおっしゃった。

 しかし、本来だったら、文科省のもとに置くんじゃだめなんですよ。例えば内閣官房のもとに置くであるとか、やはりこれは文科省もJSCも、もちろん政権全体、これはもちろん自民党だけに私は押しつけるつもりはありません、決まったときの経緯。しかし最も大きいのは、やはり千六百二十五億から二千五百二十億に膨らんだこの一年二カ月なんですよ。

 そういった中で、先ほども大臣が、いろいろな提案もいただき、検討したということをおっしゃる。だったら、どういう本当に検討がなされたのか、そういったことも含めて大臣がやはりみずからも先頭に立って明らかにしていく責任があるんです。ですから、最もやはり下村大臣がヒアリングのこの最大の対象になってくると私は思いますよ。それなのに大臣のもとに、大臣官房でしょう、同じ官房でもやはり置くところが違うんじゃないですか。

 ですから、私はその点を、まさに今みたいな、先ほどの、開示するという決定みたいなものにも大臣が全くタッチをしていないと言う状況の中でみんながイエスマンになっているんじゃないですか。情報が上がってきていないんじゃないですか。そういう中で本当の検証は、こんな短期間にできるでしょうか。大臣、その点をお答えください。

下村国務大臣 先ほどのあの議事録の問題と第三者委員会というのは、また別の話だと思います。

 第三者委員会については、これは全部オープンにするということではなくて、JSCが関係委員の了解を得た上で黒塗りを塗った資料を提出することにしたということで、今までのスキームを変えるわけではなくて、今までのルールの中で委員に改めて了解を得て、そして出すということでありまして、全然別のスキームに勝手に変えて、それを大臣にも報告しないということではないというふうに思います。

 ただ、こういうことがあったということについてはきちっと報告をするシステムについては、よりしっかり精査しながら、そういう体制をとっていくようにしていきたいと思います。

 それから、今も質問がありましたし、きのうもありましたが、これはお手盛りでやったら当然そういう話が出てくるのは当たり前の話ですから、そういうつもりは全くありません。

 にもかかわらず、なぜそうしたかというのは、これは可及的速やかに、かつ、しっかりと検証していただく、そのためには資料の提供等の補助が必要となることから、検証委員会及び事務局を文部科学省に置くということにしたわけでございます。

 検証の中立性、独立性を担保できるよう、人選に当たっては、第三者の立場から検証できる方にお願いをさせていただいているところであり、事務局についても、検証委員会の委員の方々の指導によって適切に対応していくことにしたいと思います。

 検証に必要なことについては、これは検証委員会において御議論をいただくこととする。当然でありますが、私から制限、配慮するような体制とすることは全くありませんし、また、そういうことがないように十分配慮をすることによって、今言われたお手盛りと言われないような、そういう指摘を踏まえながら第三者委員会としてぜひやっていただきたい。そのための体制について、フォローアップをする必要があるところはきちっとしていきたいと思います。

笠委員 次元が違う問題じゃないんです。大臣が今JSCがと言うけれども、JSCはこれまでだって、文科省とはきちんと相談をしながら、そして文科省のきちっと許可をとりながら、判断を仰ぎながら決めてきているんです、大事なことは。

 だから、こういったことがやはりきちんと大臣が、もう今は通常じゃないんですよ、まさに検証委員会というものもこれから立ち上げていくというところだからこそ、こういった情報開示の問題なんかもやはりきちんとした対応をしないといけないということを指摘だけさせていただき、そして、この検証委員会、先ほどありました、原則として公開だと。ただ、「会議を公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認める場合その他正当な理由があると認める場合は非公開」となっておりますけれども、これはもう基本的にはしっかりと公開で、そして、大臣自身が対象として出るときにも公開の中でしっかりとやっていただくように私は要望しておきたいというふうに思います。

 それで遠藤大臣、検証の話はこれはまた改めてやらせていただきますけれども、やはり大事なことは、これから新しい国立競技場を、一つはしっかりと予定どおりの工期で、そして国民の皆さんが納得できるような形でつくっていくということだと思うんですけれども、これは、やはりオールジャパンで取り組んでいかないといけないというふうに思っています。

 このときに、これから遠藤大臣の方で整備計画を九月にということですけれども、一つやはり判断をしなければならないのは、本当に、広く多くの国民の皆さんが活用し、使うことができるようなスポーツ施設としての競技場を簡素でもつくっていくのか。それとも、いろいろなスペックをこれは入れ過ぎた反省もあります。だからやはり巨額になっていった。そういう中で、この神宮一帯の中で、ある意味では都市開発というものも考えながら、例えば、これをいわゆるコンサート等々も含めて多目的に、ある意味商業施設的な、そういったものを民間の資金を呼び込みながらつくっていくのか。その大きな方向性を決めなければ、どれぐらいの予算でどういうものをつくるのかということに、なかなか前に進まないんじゃないかと思っているんですね。

 その点についての大臣の御見解をまずお聞かせをいただきたいと思います。

遠藤国務大臣 お答えいたします。

 九月の上旬には、こういう形のスペックを入れて総額幾らと提示をしたいと思っております。

 その場での作業の中で、先ほど申し上げましたように、いろいろな皆さん方から私直接も聞いたり、あるいはインターネットを通じて皆さんの意見を聞いたりしてまいりました。委員御指摘のように、その中で、シンプルにスポーツの競技に特化すべきだという御意見もありますし、また、多目的にして、そして後のランニングコストを考えて検討すべきだ、こういう御意見もあります。

 そういう建築家の皆さんやあるいは民間事業者の皆さんの意見なども踏まえながら、これから作業をし、九月上旬に、そうした皆さんから御理解いただける形で取り組んでいきたいと思っております。

笠委員 遠藤大臣の中で幾つかのいろいろなそういう、今も精力的にいろいろなヒアリングもされているようですけれども、その幾つかの選択肢の中で、今、例えば、国立だから税金で、国費でつくっていこうというもの、あるいは、この前までの計画ですと、国が中心となって、都も協力してつくるけれども、オリンピック・パラリンピック後はある意味では民間に委託するというようなそういう方針をJSCは当時示していた。半官半民のようなものですよね。

 最初から、民間の資金、民間に出資をしてもらって、そして設計、施工だけじゃなく、企画、運営、そういったものも含めて最初の段階から完全民営化で民間の資金でやっていく、そういう選択肢はありますか。

遠藤国務大臣 委員御指摘のように、その後のランニングコストを考えると、いろいろな選択があるかと思います。

 ただ、何よりも、どんなに遅くても二〇二〇年の春までには完成させなきゃならない。そういう中で、民設民営があるのか、あるいは公設民営があるのか、あるいは公設公営でいかなきゃならぬか、そういう点も踏まえて、また、委員のいろいろな御指摘も踏まえて、対応を考えていきたいと思っております。

笠委員 私どもが政権のときに、たしか二〇一一年の六月ぐらいでしたか、PFI法を改正して公共施設等運営権を新たに創設をした。PFIもいろいろなやり方がありますよね。

 そういった中の一つで、例えばコンセッション方式みたいなものも含めて、大臣、確かに時間とのあれはあるんですけれども、官主導の、例えば国が建てたものを、もし後でやはり民間が収益を上げられるようなスキームで運営していこうと思っても、最初の段階からかかわってもらわないとなかなかこれは無理なんですよ。

 ですから、そういった分野の皆さん方のお話なんかも受けて、そして、何百億単位で出資しよう、オールジャパンでやっていこうという共同体だってつくれる可能性はあると思いますよ、大臣のところにもいろいろなお話は行っているかと思いますけれども。

 ですから、要するに、最初から民間の資金でつくっていこうというようなこともぜひ検討していただけませんか。これは先ではできないんですよ。

遠藤国務大臣 いろいろな案につきましては検討してまいります。

 ただ、新国立競技場の整備そのものを民間事業者が行うことについて、PFI等いろいろな形があるかと思いますが、これまでの一般的な事業開始から民間事業の募集までの時間を見ますと、二〇二〇年春までに確実に竣工できるか、そういうふうな観点もありますから、慎重な検討が必要だと思っております。

笠委員 ですから、今の設計と施工の一体的なコンペということではなくて、例えば、事業主体、あるいは資本を管理するその企業体、あるいは運営会社、そこに設計そして建設、施工というような、そのビジネスプレゼンみたいなものをやはり呼びかけてみたらどうですかね。いろいろな知恵は出てくると思うし、その中には十分検討に値するような案が出てくると思います。

 国は、当然ながら、この土地を提供しなければなりませんから将来賃料はいただかなければいけないんだけれども、同時に、もしこういった開発を行うとしたら、あの国立競技場だけでは、国だけではできないんですよ。東京都もやはり一緒にやっていかなければなりません。あるいは渋谷区、港区、区の理解も得なければなりませんし、何よりも明治神宮もあります。しかし、やはりオールジャパンでしっかりと投資をしてもらい、民間の資金を投入する中で極力税金を使わずにそういった最先端の施設をつくれば、私は、国民の皆様方の理解を得ることというのは絶対にできると思いますので、また改めて具体的な提案も、ちょっときょうはもう時間でございますので、そこまで踏み込んだ提案をすることができませんけれども、ぜひその道も模索をしていただきたいというふうに思っております。

 そして大事なことは、いずれにしても透明性です。これまでの経緯もあります。遠藤大臣、透明性を持って、しっかり国民の皆さんの理解を得ながら新国立競技場の建設を進めていくということについての決意を最後に伺いたいと思います。

遠藤国務大臣 これまでの国立競技場の混乱の、混乱といいますか、こうしたゼロベースからに戻った一番大きな問題は、やはり、そのときそのときの情報がしっかり開示されていなかった、国民の皆さんの理解を得る、そうした作業が少し足りなかったのかなという思いをいたします。

 今、私がアスリートの皆さんと話をさせていただいたことも、もちろん、これもその皆さん方の御了解を得なければなりませんが、できるだけ開示しようと思っておりますし、それから、今インターネットで募集しております意見についても当然開示をいたしますし、最終的にどういうふうな形で、例えばこういうスペックが最低必要です、あるいはIOCや組織委員会、これは絶対必要です、IFから必要です、こういうことを踏まえて、最終的に、しっかり情報を開示した上で皆さんに御報告をしたいと思っております。

笠委員 では、時間が参りましたので以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

福井委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 我が党でも今は検証委員会を行っておりまして、こういうふうな内容で遠藤大臣にはオリンピックスタジアムの見直しをお願いしようと。

 基本方針としては、新競技場は白紙から考える。新競技場をオリンピックに使用する場合は、二〇二〇年春までに完成させる。コスト意識を持ち、財源と積算根拠を明確に示すとともに、民間活力を生かした計画を実行する。東京都のスポーツクラスター構想と一体化した計画をつくる。そして、オリンピックのために新競技場に必要な要素は主に三つである。開会式、閉会式には六万人収容のスタンド。陸上競技には三万人収容のスタンド、サブトラック。サッカーには天然芝、五万人収容のスタンド。

 こういった要件を整えた上で、ここで一つポイントになってくるのは、陸上競技用のサブトラックを常設にできるのかどうかという課題であります。現時点で遠藤大臣のところには、仮設でしかできないのか、オリンピックの後にも常設で陸上競技用のサブトラックを設置できるのか、どちらの情報がきちんと入っているか。まずここからお伺いしたいと思います。

遠藤国務大臣 これまでの計画は仮設であったというふうに承っております。

 これから、新国立競技場の建築で議論いたしますが、そうしたこれまでの経緯は踏まえ、しかし、今委員がおっしゃいましたように、クラスター構想、いろいろな形の中でそうしたことが可能かどうか、そこはこれから課題として取り組んでいきたいと思っております。

馳委員 四月一日に東京都都市整備局が取りまとめた「神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書を締結」とありまして、この神宮外苑地区の覚書の締結者は、明治神宮やJSCや、伊藤忠初め地元の地権者の方々です。

 この計画によると、仮設のサブトラックを設置する場所は、明治神宮が土地をお持ちの軟式野球場のところになっております。そして、この軟式野球場がオリンピックの後には、明治神宮としては悲願である西洋庭園としたい、こういう意向を示しておられるのは平成二十五年の六月段階と聞いております。

 すると、常設とする場合には場所はどこになるのか。どう考えても、明治神宮が土地をお持ちの球場のところか、JSCがお持ちのラグビー場のところになるか、選択肢は狭められてくるんですね。

 こう考えると、何をつくるかというところを考えると、もちろん、この後どうつくるかということもお聞きをしたいと思いますけれども、常設のサブトラックは外して考える、つまり、陸上競技場はオリンピックのためだけにつくるか、オリンピックのときの陸上競技は別の場所でやるかという選択肢も踏まえた、何をつくるかという議論がされなければいけないのではないか、こういう指摘ができるんですが、いかがでしょうか。

遠藤国務大臣 まず、あの地域につきましては、国の土地もありますが、何よりもあの神宮の土地が大半を占めておりますし、また、東京都の土地の所有、そうした協議をした上でなければ決定ができない。委員御指摘のように、基本覚書があって、その中でいろいろなこれから構想を検討されると聞いております。

 ただ、どういう形にこの新国立競技場をするか。今委員おっしゃいましたように、陸上競技場を、オリンピックだけやって、それ以外はほかでやるのか、あるいは、オリンピックのときに陸上競技をほかでやるのかという御意見がありましたが、少なくとも、立候補ファイル並びに過般の組織委員会とそれからIOCとの二十八種目の会場地の協議の場では、あの場所で陸上競技が開催をされるというふうに承知をしております。

馳委員 そこで、どうつくるかというのは、今ほど笠委員も御指摘いただいたように、選択肢として考えれば、公設公営でいくか、公設民営、いわゆる半官半民でいくか、あるいは民設民営でいくか。どうつくるかということの枠を決めておかないと、やはり、多様な財源を活用する、国民の理解は得られないと思いますが、いかがですか。

遠藤国務大臣 当然、九月上旬までの整備計画の策定のときには、形をどうするか、決定をしておかなきゃならないと思っております。

 ただ、さっき笠委員からも御指摘ありましたが、当初から民間事業者というふうなときに、これまでのPFI等いろいろな、国が取り組んできた民間事業者の募集を踏まえた場合に、かなり長時間の時間がかかっている。そういうことを考えますと、二〇二〇年春までに確実に竣工するという観点からいうと、なかなか慎重な検討が必要だと思っております。

馳委員 民設民営はなかなか難しいというまず一つの御意見。そうすると、公設公営か公設民営か。

 ここで、これまでの経緯の反省も踏まえながら、ここは下村文科大臣にも御指摘をしたいと思いますが、私は、JSCからハード部門はもう切り離しておくべきではないかということをむしろ提案したいと思います。余りにもお荷物が重過ぎた、私はそういうふうな指摘をせざるを得ないと思います。

 今後、むしろJSCは、スポーツ庁と一体となって、政策遂行のための、重要な政策のための独法として生まれ変わるべきであって、ハード部門の管理運営については、むしろオリンピックを契機に、稼ぐことのできる、収益を生み出すといったセンターとしての機能を持たせていく。したがって、JSCから切り離した方が、民間の資金であったり民間の運営手法であったりするものをより活用していけるのではないか。

 これは党内でも議論されている提案ではありますが、提案の途上のこういう意見が党内にあることを踏まえて、大臣の所見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 今、馳委員からもお話しありました、先ほどは笠委員からも御質問がありましたが、できるだけ国民の負担がかからないようなスキームで考えていくということは、私は、あるべき事の方向性として追求すべきだと思います。

 ただ、今、遠藤大臣からお話がありましたように、時間的に間に合うかどうかという問題があります。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックにはまず間に合わせるということは、これはもう絶対条件ですから、その中で今のようなお話が、できるだけ、できるかどうかということについてはしっかり我々も検討していきたいというふうに思います。

馳委員 私は、短い期間とはなりますが、遠藤大臣のところで決定権を持ちながら、関係閣僚会議においても下村大臣は、これまでの経緯を踏まえた上で、十分に間に合うもの、そして、オリンピック後のことも考えた体制について責任を果たしていくことが本当の意味での責任の果たし方であるということを強く指摘をしておきたいと思います。

 そこで、次のちょっと細かい話になりますが、私は手元に巨大な輪ゴムをつなぎ合わせたようなチューブを持っておりまして、これは、マルチサポート事業で開発をした、体幹を鍛えるトレーニングの器具であります。余り振り回すと迷惑がかかるので。結構長いものでありますが、選手が、ひっかけたり両端を持ち合ったりして、ダッシュをしたり引き合いをしたりして体幹を鍛えるこれはすばらしいものでありますが、二つの課題があるので指摘をしたいと思います。

 一つ、こんなもの、一々国費を使って開発するものなのか、民間の業者にやらせればいいじゃないかというのが一点目。二つ目は、国費を使って競技力強化のために開発をしたのであるならば、だったら、市販して、使いたいという方々が安く使えるように、そのルートをつくってあげるべきだと思います。

 ちなみに私は専修大学レスリング部の監督をしておりまして、私の大学の道場に、日本レスリング協会を通じて東日本学生レスリング連盟から、使ってみてくれないかといってこれを三十本ほど提供していただいたものであり、国費で開発されたものとしてお礼を申し上げながら、学生も非常に有効に使っておりますが、だったら、使った効果、評価はどうなのかというエビデンスをちゃんと集めて、開発業者、そして、マルチサポート事業のお金をおろしている基幹大学は筑波大学です、筑波大学を通して文科省にきちんと評価書を上げさせないとだめですよ。ただ使いっ放しでは、私は助かるんですよ、学生にとっては。しかし、国費を使って競技力強化、そして世界にもこれを売ったらいいと思うんですよ。

 我が国独自で開発をするということが目的のマルチサポート事業ではありますが、この開発、そして使って、効果、その評価、そしてまた、よければ市販化に向けての知的財産をいかに確保した上で分割していくか、こういうことも含めて総合的に取り組むべきだと思いますが、これは下村大臣、いかがですか。

下村国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 このマルチサポート事業につきましては、オリンピック・パラリンピック競技大会において確実にメダルを獲得できるよう、メダル獲得が期待される競技を対象として、競技団体の要望等を踏まえ、最先端の科学技術を生かした競技用具やトレーニング機器等の研究開発などに取り組んでいるところでございます。

 また、この事業の評価、検証につきましては、大会終了後、文部科学省に元アスリートや有識者などで構成された検証チームを設置し、その内容を報告書としてまとめ、より質の高い研究開発が行われるよう、事業の実施者等に対して提供するとともに、文部科学省のホームページで公表しているところでございます。

 研究開発された具体的な競技用具等につきましては、我が国の競技力の優位性を確保する観点から、大会終了後に競技団体や関係機関等の同意の上で公表されることとなっております。

 また、主として個々の選手に応じたテーラーメード型の開発でもあるため、汎用化に向かない面もありますが、既に市販されているものもございます。一方で、今御指摘ありましたが、この事業は関係機関等が情報の公開に必ずしも積極的でない、こういう指摘があるということを承知しております。

 文科省としては、こうした知見が市販等を通じて広く提供されるよう、関係機関等に対してしっかり促してまいりたいと思います。

馳委員 最後になりますが、スポーツ庁の組織の問題であります。

 遠藤大臣とともにスポーツ議連でスポーツ庁の設置についての組織をどうすべきかという議論をしたときに、学校体育はスポーツ庁に残すべきである、こういうふうな議論をして、その方向性でまとまったと思いますが、組織図を見ると、学校体育課がどこに行っているか見えなくなっております。

 下村大臣にまずお伺いしたいのは、きちんと学校体育はスポーツ庁において所管するんですね、その組織はどこにあるんですかということの確認と、ともにあの組織づくりに当たった遠藤大臣には、スポーツ庁が学校体育を所管することの意義についてお述べいただきたいと思います。

 これをもって私の質問を終わります。

下村国務大臣 馳委員御指摘の学校体育につきましては、スポーツを通じた健康増進や、青少年の健全育成からジュニアアスリート育成まで幅広く寄与するものであり、このため、こうした多面的な効果を総合的に捉え、政策効果を最大限に高めていくため、スポーツ庁全体を総括する政策課に学校体育室を設置し、より一層、学校体育や運動部活動の振興を図っていくこととしております。

遠藤国務大臣 かつて日本の物の考え方として、学校体育という概念の中にスポーツがありました。しかし今、学校体育はスポーツを用いて教育をする、そういうふうな整理がなされていると思っております。

 そこで、委員と一緒にいろいろな議論をした中で、最初は、スポーツ庁は内閣府に所管しようか、そんな議論もしてまいりました。しかし、地方の指導者の大半が、学校体育、いわゆる学校の先生が今は担っているというふうなことから、これは不可分だということが関係者の皆さんの圧倒的な総意でありましたので、スポーツ庁の中で学校体育を取り組むべきであるという形で当時レポートをまとめさせていただきました。

 ただ、ヨーロッパなんかを見ましても、学校体育の評価はどんどん上がってきているんですが、地域スポーツというふうな観点の中で、むしろ、スポーツというのはそういうふうなことを優先すべきだという異論もありますから、これからのまた検討課題として残っているのかと思っております。

馳委員 終わります。

福井委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 これまでるる議論ございましたけれども、新国立競技場の計画が白紙となったわけでございますが、これは安倍総理大臣の決断でございました。私は、オリンピック・パラリンピックに間に合うことを確認して白紙撤回をして見直しを決断されたのは積極的に評価をしたいと思っております。

 ただ、この問題については、国民の皆様も大変に御心配をされておられることだろうと思いますし、この状況に至ったことについて、政府は、真摯に受けとめ、反省もしていただきたいと思いますし、何よりも国民の皆様に理解していただくよう全力を挙げていただきたい、このことをまず冒頭申し上げておきたいと思います。

 その上で、白紙から計画をもう一度構築するとともに、これまでの経緯を第三者委員会において検証していくことになるとお聞きをしております。

 この第三者委員会に関して、現在の状況について当局からお聞きをしたいと思います。また、いつごろまでにその報告がなされるのか、その目安を御答弁いただければと思います。

伊藤政府参考人 文部科学省では、新国立競技場整備計画に係りますこれまでの経緯を第三者の立場から検証していただくために、昨日でございますけれども、新国立競技場整備計画経緯検証委員会を設置させていただきました。現在、第一回の委員会を八月七日金曜日に開催する方向で調整しているところでございます。

 今後の予定といたしましては、可及的速やかに検証を行っていただくべく、できますれば、九月中旬までに何らかの報告を取りまとめていただくことをお願いしたいというふうに考えてございます。

吉田(宣)委員 しっかり検証を待ちたいと思います。私もしっかり精査させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 次に、先日、マレーシアのクアラルンプールにてIOC総会が開催されて、この白紙撤回について森組織委員会会長から説明が行われたとお聞きをしております。

 では、どのような説明が行われたのか、そして、その説明に対してIOCからはどのような反応があったのか。国際社会における日本の信頼関係にかかわる問題でもあると私は思いますので、どうかお聞かせいただければと思います。

高橋政府参考人 七月二十八日から八月三日にかけてマレーシアのクアラルンプールで開催されましたIOC理事会及び総会において、森組織委員会会長から国立競技場の整備計画の見直しについて報告され、バッハ会長を初めとするIOCの理解を得たところと承知をしております。

 具体的には、森会長から、計画を白紙に戻しゼロベースから見直すこと、二〇二〇年春までに完成させること、招致時にお示ししたとおりの国立競技場とならなかったことは率直におわび申し上げること、この見直しはアジェンダ二〇二〇に沿うものであること等について報告がなされたとのことであります。

 これに対しIOCからは、変更は当然あるべきで、よりよい方向に持っていければよく、IOCとしては協力をしていくこと、IOCが求めるのはアスリートと観客にとってベストな環境を提供する最新のスタジアムであること、そのため、IOCは、質の確保、実現可能性、予算の管理、大会に間に合わせること等の観点から、入札段階より関与していくこと等の見解が示されたということでございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 アスリートと観客のため、これは極めて重要だと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 加えて、新国立競技場の建設計画は、遠藤大臣のもとで調整され、進められていくことになる。ここで私がお聞きしたいのは、JSCの活動をどのように評価しているのか、JSCの理事長は今後とも引き続きその責を全うすることがIOCも期待していると私は伺っておりますが、オリパラ成功に向けて、この点、極めて重要だと私は思っておりますけれども、遠藤大臣から、どのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。

遠藤国務大臣 日本スポーツ振興センター、JSCは、スポーツ振興を目的とする我が国唯一の独立行政法人でありまして、メダル獲得に向けた選手強化、あるいはスポーツ医科学の支援、また、スポーツによる国際貢献、そうした二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会成功のために欠かせない業務を担っていると認識をしております。

 JSC理事長の人事は文部科学大臣にありますので、文部科学大臣の権限で判断をされると思いますが、JSCが果たしているこうした重要な役割を踏まえれば、一般的に言えば、現在も、また今後とも、IOCを初め国際的なスポーツ事情に通じ、国内のスポーツ関係者とも幅広いネットワークを持っている方が求められると認識をしております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 そして、この新国立競技場について、関係閣僚会議のもと、できる限りコストを抑制し、現実的にベストな計画の策定がなされるというふうにお聞きしております。とにかく、まず時間がない。まずこの計画の策定が急がれると思うのですけれども、計画の策定及びその計画から導かれる新競技場建設完了までのスケジュール感についてお聞かせいただければと思います。遠藤大臣、お願いします。

遠藤国務大臣 お答えいたします。

 何よりも、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会に確実に間に合わせるようにすることが私の責務であると思っております。その上で、今後の進め方としては、秋口にも政府として新しい整備計画を策定した後、年明けごろまでには設計、施工を行う会社の選定作業を終えたいと考えております。

 新しい整備計画を策定した後の完成までのプロセスにつきましても、私を議長とする関係閣僚会議がしっかりと指導監督していくこととしております。

吉田(宣)委員 どうかよろしくお願いいたします。

 さて、繰り返しですが、この安倍総理の白紙撤回の決断について、私は積極的に評価したいと申し上げました。その理由なのですけれども、私は、国民の皆様にきちっと御納得していただきたい、そして、何が何でもこの東京オリンピック・パラリンピック競技大会をアスリートの皆様そして国民の皆様とともに成功させるという強いあらわれではなかったのかな、そのように思うからでございます。

 そこでまず私はお聞きしたいのですけれども、今からでもしっかり国民の皆様のお声、それを聞いていかなければならないと私は思っておるのですけれども、そういったおつもりがあるのか否か、遠藤大臣からお聞かせいただければと思います。

遠藤国務大臣 私は、役割の一つとして、二〇二〇年大会の宣伝マンだと思っております。先日も、岡山県で開催されました全国市議会に行きまして、これは、ホストシティ・タウン構想について御説明をし、そして皆さん方から御協力いただきたいという話を申し上げましたが、そうしたいろいろな機会を通じて、オリンピックの持つ価値、意義、そうしたものを訴え、同時に、今回の新国立競技場につきましても、今も行っておりますが、アスリートの皆さんや国民の皆さん、建築家の皆さん、いろいろな皆さん方から私は直接御意見を拝聴し、また、先ほど申し上げましたように、昨日から始めましたヤフーニュース意識調査、インターネットを活用した調査で、もう既に三万六千ぐらいの意見がございましたが、こうした調査をしながら、またこれをしっかり情報を開示して、広く皆さん方から御理解をいただける形にしていきたいと思っております。

吉田(宣)委員 三万六千の御意見が既に寄せられたということで、私も非常にうれしく思います。しっかり国民の皆様のお声というものを受けとめていくことが、やはり国民の皆様の御理解をいただくための条件ではないかというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 とはいえ、今般の白紙撤回で、時間的制約、これがますます厳しくなったというふうに認識をしております。

 一方で、遠藤大臣の所信的挨拶にもございましたけれども、まず、アスリートファースト精神、これは絶対に揺るがしてはならないというふうに私は思っております。加えて、バリアフリー化の円滑な実施及びセキュリティー面からの万全な対策も、オリンピック・パラリンピックを成功させるために最低条件ではないか、私はそのように思っております。その上で、もう待ったなしの状況だというふうに思っておりますし、二度と失敗は許されない、そういった状況だというふうに私は認識をしております。

 その意味でも、今度のこの計画の策定、これは堅実な計画を策定していただきたい、その上で、その計画の確実な実行を行ってほしい、そのように御要望をしたいと思いますが、新国立競技場の整備に関する御決意を最後に遠藤大臣にお聞きしたいと思います。

遠藤国務大臣 新国立競技場の整備計画の見直しに当たっては、総理からの指示を踏まえて、何よりもオリンピック・パラリンピックにおいて世界の人々に感動を与える場とすること、そして、できる限りコストを抑制し、現実的にベストな計画をつくり、国民の皆様から祝福されることが重要だと考えております。

 このため、先ほど来、アスリートの皆さんや国民の皆さん、そしてまたインターネット等でいろいろな話を聞いておりますが、アスリートファーストの精神あるいはバリアフリー化、将来へのユニバーサル社会への対応、そしてまたセキュリティー対策といった大事な視点に配慮しつつ、さまざまな御要望がある中で、その必要条件についてしっかりと精査をしていく必要があると考えております。

 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催に必ず間に合わせることが大前提であり、限られた時間の中での作業でありますが、二〇二〇年春までに確実に竣工できるように、私が議長であります閣僚会議が事業全体の指導監督を行ってまいります。

吉田(宣)委員 しっかりとり行っていただきたいと思います。

 この問題に加えて、オリンピック・パラリンピック競技大会が大成功になるように私も努力をしてまいりたい、そのように申し上げて、少々時間は早いですが、質問を終わらせていただきます。

福井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、遠藤利明大臣に質問いたします。

 大臣が去る七月八日に当委員会で行った所信的挨拶、これを読ませていただきました。確かに大臣の所信には、私も大臣と一緒になって制定をしたスポーツ基本法、これは出てまいりますけれども、残念ながら、オリンピック憲章という言葉もオリンピックアジェンダ二〇二〇という言葉も、一言も出てきません。

 まず遠藤大臣の基本認識を問いたいんですけれども、二〇一四年十二月にモナコで開催された第百二十七次IOC総会が決定したオリンピックアジェンダ二〇二〇を大臣はどのように認識しておられますか。

遠藤国務大臣 お答えいたします。

 アジェンダ二〇二〇は、IOC総会にて全会一致で採択されたものであり、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の準備、運営に当たって、これを尊重し取り組みを進めていくことは、大変重要であると認識をしております。

 政府としては、アジェンダ二〇二〇を踏まえつつ、大会の成功に向けた取り組みが円滑に進むよう、引き続き、組織委員会及び東京都などの関係者と密接に連携してまいります。

宮本(岳)委員 先ほど申し上げたように、オリンピック憲章あるいはオリンピックアジェンダ二〇二〇に触れずに、メダルの数とか地方創生の起爆剤というような議論に行くから、残念ながら、哲学も格調もなくなってしまうと言わざるを得ません。

 きょうは、オリンピックアジェンダ二〇二〇の抜粋を資料として配付しておきました。

 配付資料一を見ていただきたい。下線部のところでありますが、提言一、「招待としての招致プロセスを整える」では、「新たな考え方の導入」、二として、「IOCは既存施設の最大限の活用、および大会後に撤去が可能な仮設による施設の活用を積極的に奨励する。」四として、「IOCはオリンピック競技大会では、主に地理的要因や持続可能性の理由から、複数の競技または種別を開催都市以外で、または例外的な場合は開催国以外で実施することを認める。」とあります。そして提言十二では、「オリンピック競技大会の運営経費を削減し、運営ではより柔軟性を持たせる。」と書かれてあります。

 遠藤大臣、これは極めて重要な指摘だと思いますが、いかがですか。

遠藤国務大臣 二〇一四年十二月のIOC総会において採択されたオリンピックアジェンダ二〇二〇においては、既存施設の活用を促すとともに、地理的要因や持続可能性の理由から、開催都市以外での競技の実施が認められたところであり、コストを削減したとして、七月のIOC調整委員会についても、コーツ委員長より、評価する旨のコメントがあったと認識しております。

 新国立競技場におきましても、今般のIOC理事会において、今回の見直しについては日本政府を全面的に支援する等のコメントがあったと聞いております。

宮本(岳)委員 そういうことが本当にこの間の我が国の議論でやはり据わっていないということを指摘せざるを得ないんですね。

 今回の新国立競技場の計画の白紙撤回、見直し、この後も二〇二〇年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、七月二十二日の日本記者クラブでの記者会見で、警備や輸送などを含めた大会全体の開催費について、当初より三倍ぐらいお金がかかっている、最終的に二兆円を超すようなことになるかもしれないとの見通しを示しました。そして別の場所では、国がたった二千五百億円も出せなかったのかね、これは国立競技場でありますけれども、そう語って、国民の怒りの火に油を注いでおります。

 先ほどの高橋スポーツ・青少年局長の答弁では、先日のIOC総会では、これはオリンピックアジェンダ二〇二〇に沿ったものだ、こういうふうに説明されたそうでありますけれども、IOCの定めたこのアジェンダ二〇二〇に照らせば、今回の見直しは当然のことでありますし、もっと早くやるべきことだったと私は思うわけです。

 資料二を見ていただきたい。先ほど大臣もお触れになったIOC副会長、調整委員会のジョン・コーツ委員長のインタビューを紹介してあります。毎日、七月一日付でありますけれども、ジョン・コーツ氏は、日本が会場計画の見直しで約二千億円のコスト削減を行ったことを高く評価をいたしました。下線部、「東日本大震災からの復興予算が必要な日本にとって、アジェンダ二〇二〇は時期がぴったりだった。既存施設を活用し会場計画を見直してコストを削減できた。」とし、最後の部分ですけれども、「運営費が五兆円もかかった一四年ソチ五輪はまずい経験だった。東京五輪のコスト削減は五輪の将来に大いに励みになった」とまで語っておられます。

 だから、新国立競技場の見直しについても、さきのIOC理事会でバッハ会長が、わびる必要はないと語り、理事からも、IOCは開催費用の抑制を目指しており、日本はよい決断をした、こういう声まで寄せられたと報じられております。

 大臣、はっきり言って、今回のこの決断というのは私は余りにも遅きに失したと思うけれども、オリンピックアジェンダ二〇二〇の精神でいえばむしろ当然のことであり、やはり世界に誇るべき大胆な決断だったと思いますが、いかがですか。

遠藤国務大臣 委員御指摘のように、国民の皆さん方から大変な批判もございましたし、そうした中で、国民の皆さんに喜ばれる施設でなければ到底二〇二〇年の大会がうまくいくわけがありません。そういう意味で安倍総理大臣、大変な決断をしていただいたと思っております。

宮本(岳)委員 この背景には、先ほどのコーツ氏が触れたソチ冬季五輪を初めとする、運営経費の高騰の問題があります。

 文部科学省に聞きますけれども、ニューヨーク時事の報道によると、米国オリンピック委員会、USOCは、七月二十七日、二〇二四年夏季五輪・パラリンピックのボストン招致を断念したと発表いたしました。その理由はどのようなものでありますか。

高橋政府参考人 他国の立候補の予定等について文部科学省として具体的に承知しているわけではございませんが、報道によりますと、開催コストの負担を懸念する市民の支持が得られなかったことなどがその原因であると伺っております。

宮本(岳)委員 同じ時事の報道によると、ウォルシュ市長が、財政的な負担が懸念され、市民の賛同が得られていないとして、現時点ではUSOCとの開催都市契約を結べないと表明した。これが原因と報じられております。

 運営経費の高騰が五輪の開催すら困難にしかねない。そういう背景のもとでIOCがオリンピックアジェンダ二〇二〇を打ち出し、既存施設の活用や仮設の活用による開催費用の抑制を奨励しているというのが大きなこの間の流れなんですね。

 ところが、そのオリンピックアジェンダ二〇二〇に示されたIOCの新たな考え方を理解せず、我々が繰り返し抜本的な見直しを求めてきたにもかかわらず、最初は、誘致のときの国際公約だから変えられないなどと言い、次には、今から見直すと間に合わなくなるなどと称して、ずるずると七月十七日まで決断せずに来たというのがあなた方のやってきたことであります。

 遠藤大臣、大臣も責任は免れません。大体、この大臣所信は七月八日に行われたものでありますが、ここでは遠藤大臣も、新国立競技場の整備については二〇一九年春の確実な完成を目指す必要があるなどと、結局、総理決断の九日前のこの時点でも、ザハ・ハディド案のまま、二千五百二十億円の計画をそのまま進めるという立場に立っておられました。そうですね。

遠藤国務大臣 最初の所信のときに、政府として二千五百二十億円のコストで建設するということを受けておりましたので、そのように表明をいたしました。

宮本(岳)委員 遠藤大臣は、担当大臣に就任するまで、JSCの国立競技場将来構想有識者会議のメンバーでありました。大臣に就任して以降は、司令塔とも言われるオリンピック調整会議のメンバーとして下村大臣とともに六月二十九日の調整会議にも出席して、二千五百二十億円建設計画に了承を与えておられます。その点では責任は免れないと言わなければなりません。

 もちろん、この問題を一貫して所管してきた下村文部科学大臣の責任は極めて重いと言わざるを得ないと思います。

 昨日、下村大臣は、参議院文教科学委員会に「新国立競技場の整備計画を見直すに至った経緯について」という説明文書を提出いたしました。私はその場で傍聴しておりましたが、全く納得できるものではありません。

 昨日の参議院の質疑によると、下村大臣は、六月十七日に槇文彦氏と会い、見直しの必要性を感じた。六月二十二日に総理に会い、見直しをすべきであるという話をした。ところが、総理は、代替案で間に合うのかと難色を示した。しかし、この時点ではまだ、二〇一九年のラグビーワールドカップに間に合わないのではないか、ましてや二〇二〇年オリンピック・パラリンピックにさえ間に合わないのではないか。その確証がなかった。したがってザハ案でいくしかないと考えて、七月九日の時点で、JSCが大成建設と約三十三億円に上る契約を行うことに大臣は了承を与えた。ところが、七月十七日には、総理が一カ月ほど前から現在の計画を見直すことができないか検討してきたというその検討の結果が出て、これまた下村大臣が、七月十七日に総理に、二〇一九年のラグビーワールドカップには間に合わないが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックには間に合う旨の報告をし、その結果、総理の決断となったという説明であります。

 下村大臣にお伺いしますけれども、この一カ月前からの検討というのは久保スポーツ・青少年局長は知らなかったと言っておりますが、文部科学省の一体どの部局で行ったものですか。

下村国務大臣 新国立競技場の整備につきまして、六月にザハ案とそれから見直し案について総理に私の方から状況報告をし、総理の方からさらに研究を進めてほしいという指示を踏まえまして、文部科学省として、工期をさらに短くできるかどうか、これは、私と、当時、山中事務次官で進めておりました。

 この検討においては、スポーツ・青少年局においていろいろなデータ等はもちろん出させていましたけれども、何の検討をしているかということについては、私と事務次官で行っていることでありまして、省全体として見直しとしての作業をしているということについては伝えないでやりました。

 私自身も、提言を受けておりました建築家の槇文彦氏や、あるいはさまざまな専門家から直接意見を聞いて、そして久保局長以下にいろいろな情報、資料収集等を求めながら、山中事務次官と検討を行っていたところであります。

宮本(岳)委員 だとすると、全く腑に落ちないんですね。

 一カ月前から研究してきたと。それで、さまざまな専門家や建築関係者との協議があったかもしれないんですけれども、そもそも、施工予定者であった大成建設あるいは竹中工務店と協議をしなければ、到底二〇二〇年三月に間に合うという判断は出てきようがないと思うんですけれども、これはもちろん大成建設、竹中工務店とも協議をした上でのことですね。

下村国務大臣 私自身は、大臣として、施工予定者、大成建設、竹中工務店、これは利益相反にも当たりますので、直接はお会いしておりません。

 ただ、この施工予定者、同時に日建設計も入っておりました。ですから、日建設計はそういう意味での利益相反あるいは利害関係者に直接当たらないということで、日建設計等からは詳しく見直し等を求め、また、状況等も聞いておりました。

宮本(岳)委員 私が一つ腑に落ちないのは、七月九日の時点で、きのうも議論になっておりましたが、三十三億円に上る契約を大成建設と結んだと。もちろん、片方の当事者であるJSCの河野理事長はこの検討していることを知らされていなかった、また、スポーツ・青少年局長もそういう検討であることは知らなかったということでありますけれども、一方で、その契約当事者である大成建設は、先ほどお話のあった日建設計を通じてかもしれませんけれども、とにかく工期の問題については、そういう検討が、例えば抜本的に見直した場合にはどうなるかというようなことについては知らされていたと私は思うんですけれども、違いますか。

下村国務大臣 私自身が大成や竹中とはお会いしていないということを申し上げております。

宮本(岳)委員 大臣が直接お会いになったかどうかは別として、このような検討をしたということは、一カ月もやってきたということは、それはさまざまな建築家や設計会社の意見も聞いたでしょうが、何よりも、施工予定者である大成建設にどうかという話が詰まらなければこんな判断は出てきようがないと思うんです。そういうことはやったんでしょうと聞いているんですよ、大臣じゃなくてもあらかじめ。

下村国務大臣 ですから、それは別に否定しているわけではありません。

宮本(岳)委員 ひどいじゃないかと。見直しが進んでいるのに、三十三億もそのわずか一週間余り前の七月九日にむざむざとと我が党の田村智子議員がきのう指摘していましたが。

 そうしたら、恐らく河野さんは知らされていなかったと。久保さんも、それは事務次官と大臣がやっていて、我々は一般的に工期のこととかやったけれども、そんな見直しがあるとは知らなかったと言うのかもしれません。しかし、建設会社の側は、いやいや、見直ししておられるんじゃないですかと言うのが当たり前であって、それは契約したんですか、三十三億も。おかしいじゃないですか。

下村国務大臣 先ほどから答弁しておりますように、六月に、ザハ・ハディド氏の案のメリット、デメリット、それから、槇案を含めたほかの案に変えた場合のメリット、デメリットについて、私の方から総理に、見直すべきだという前提でお話をいたしました。

 そのときの前提というのは、ラグビーワールドカップにも間に合わせる、オリンピックにも間に合わせる、そのための見直しということでの提案でありましたが、資料でありましたが、本当にラグビーワールドカップにも間に合うのかということについて明確な確証が得られないということも私の方でもありましたから、総理の方からそれについてはさらに研究をするようにという指示があって、そして研究を進めてまいりました。

 確実なのは、ザハ・ハディド氏の案についてはラグビーワールドカップにもオリンピック・パラリンピックにも間に合うということは確実でありましたから、その確実の線の中で果たして見直しをして間に合うかどうかということについて、最終的な案として、七月十九日、そのときに総理が決断したのは、ラグビーワールドカップは間に合わない、しかしオリンピック・パラリンピックに間に合わすための見直しをゼロからするということを総理が決断されたわけであります。

宮本(岳)委員 いやいや、その説明を聞いても納得いかぬということなんですよ。

 つまり、見直しをしているということは大臣と山中次官しか御存じなかった。周りは、ラグビーは諦めて二〇二〇年に間に合うかどうかという判断を検討しているということまでは知らされていなかったという状況のもとで、この委員会でも、あるいは参議院の委員会でもわずか三日前の七月十四日には、まだザハ案のままいくという答弁を大臣はされているわけですから、全体は、表向きはそうなったわけです。だから河野さんだって、七月九日に契約したからといって、後から何だ、わずか八日前じゃないかと言われてみたって、その時点ではそうなっておりましたと。大臣も、その時点では表向きはそうでしたと答えているじゃないですか。

 しかし、一方で、役所の関係でいうと大臣と山中さんであったとしても、建築家あるいは関係者という中には、これは間違いなくゼネコンが入るわけですよ、大成建設が。その大成建設はおくびにも出さずに、いろいろ問い合わせもあって、そういう検討がどうだろうか、オリンピックだけなら間に合うかもしれないという検討をやっているときに、もともとのザハ案で契約しましょう、三十三億。これは僕は余りにも考えられないというか、やったとしたら、そのゼネコンは余りにもひどいと言わなければならぬと思うんです。そこが腑に落ちないんですよ。

 それで、それは大臣に聞いても、ゼネコンがどうであるのかはわからないのかもしれません。

 こういう通らぬ話になぜなるのかということを私なりに考えてみました。

 きのうの議論では、七月九日時点で見直しが始まっていながら契約したのはけしからぬという議論がありましたけれども、私はむしろ話は逆なんじゃないかと思うんです。一カ月前から検討してきたとおっしゃるけれども、それはむしろ後づけの話であって、七月九日時点では、別に大してまともな検討はしていなかったんじゃないかと。

 あなたは、確かに六月二十二日の時点では槇さんたちの提案に一定の理解を示し、見直しに傾いた。だからこそ、閣議後記者会見で見直しということにも言及した。総理とも相談した上で一旦は見直し案を作成し、森喜朗オリンピック・パラリンピック組織委員会会長をお訪ねになった。

 しかし、森会長から、ザハ・ハディド氏案側から訴訟が提起される可能性がある、あるいは、東京招致の際、IOC総会のプレゼンで総理が世界を偽ったことになる等々と言われて、たちまち六月二十四日には、二千五百二十億円のザハ・ハディド案でいくしかないというところに戻ってしまった。

 その後は、六月二十九日のオリンピック調整会議が、七月七日のJSC有識者会議が異論なく了承した二千五百二十億のザハ・ハディド案で突っ走るということで、下村大臣も遠藤大臣も、もっと言えば、有識者会議に参加されていた当委員会に所属している議員の諸君も一致していたんじゃないか、こういうことじゃないかと私は思うんですけれども、違いますか。

下村国務大臣 私が六月に総理にお話し申し上げたのは、ザハ・ハディド氏の案のメリット、デメリット、それから、もう一つの槇案を含めた、見直したときのメリット、デメリットですが、前提条件として、ラグビーワールドカップも新国立競技場でするという前提での見直しをしておりました。ラグビーもそれからオリンピック・パラリンピックも間に合わせるという前提の中における、本当に間に合うのかということについての確証が得られない、そのために、総理の方からより研究をするようにという指示があって、そしてしてまいりました。

 ですから、最初からラグビーワールドカップなしという前提で我々はつくっていたわけではございません。

 ただ、七月十七日に、私から総理に、事業者選定までで約半年間、それから、設計から工事完成までで五十カ月強、こういうスキームであれば、七月中に見直しすればぎりぎり二〇二〇年東京大会に間に合うという報告をいたしました。

 そして、総理の方はそれを受けて、ではラグビーワールドカップは間に合わない、これは別の会場でする、しかしオリンピック・パラリンピックに間に合わせるということで、この七月十七日に決断をされたということであります。

宮本(岳)委員 七月十七日にそういう決断をしたということは何ら否定するつもりはないんです、私も。七月十日の時点でも、菅官房長官は記者会見で、見直しは終わっている、見直しはあり得ないと断言をしていたわけでありますから、七月九日時点では私が今指摘したとおりであったことは間違いないと思うんです。

 結局、安倍政権が見直しを検討したのはずっと後のことではないか。つまり、戦争法案の衆議院強行採決によって内閣支持率が急落し、国民の間に安倍政権の暴走に対する強い危機感が高まった。このままではもたないという政治判断が先にあって、その段階でゼネコンその他に二〇二〇年には間に合わせるという確証をとらせ、急遽決断をした、それだけの話ではないか。

 それを後から、以前から検討していたとか、実はそれは下村大臣のもとでやっていたとかという話にしようとするから、こんな奇妙な話になるのではありませんか。

下村国務大臣 まさに今までお話ししていることは、これは、事実を事実として経過として説明しているわけでありまして、後づけでも何でもございません。

宮本(岳)委員 説明が非常に奇怪だ。とりわけゼネコンとの関係について、私、きょうも指摘をいたしました。

 たとえそれは世論に押されてであっても、今回の決断はもちろん正しいものであります。私に言わせれば遅きに失するにもほどがありますけれども、国民の声、とりわけ有森裕子さんの涙の訴えや為末大さんの発言など、アスリートたちが勇気ある発言をしたことが国民の世論を大きく動かしたと思います。しかし、下村大臣の責任は重大だと言わなければなりません。

 そもそも、二〇一三年の八月には建築家の槇文彦氏が警鐘を鳴らすなど、新国立競技場計画が工費や景観など数々の問題を抱えていることは早くから指摘をされてまいりました。

 私も、既に二〇一三年十一月一日には当委員会で下村大臣に、当初の改築案は千三百億円だったにもかかわらず、ザハ・ハディド氏のデザインによると三千億円という試算が示されたことを受けて、「当初の千三百億円でさえ巨額過ぎる、さらに徹底的にコストカットを図るべきだ」と指摘をいたしました。

 また、昨年五月二十一日には、ザハ・ハディド案に固執して聞き耳持たずという態度ではだめだと指摘し、旧国立競技場の解体を延期して、建築家や市民団体の意見を聞くように求めました。

 そして、ことし六月三日の当委員会では、「設計デザインを含む当初計画を抜本的に見直し、開閉式ドーム等はつくらず、観客収容八万席のうち一定数は仮設とすること。その際、建築家などの意見を取り入れて、特殊建築工法によるコスト高を削って、そのほか徹底した簡素で無駄のない総工費に抑える」ことを初めとする五つの提案を行いました。

 大臣は、「批判ではなくて、前向きな、具体的な提言をいただいて、ありがとうございます。」こう答えられ、さらには、「ラストチャンスだと思いますので、しっかりこれは、政治的な決断、判断も含めた見直しについては柔軟に、もう一度総おさらいを私自身としてもしてまいりたいと思います。」とまで答弁されました。私は、これが、六月十七日、槇さんたちに大臣がお会いになる一つのきっかけにもなったと思っております。六月二十二日の閣議後記者会見で見直しに言及されたときには、ついにわかってもらえたかとも思いました。

 しかし、その後の経過はさきに述べたとおりであります。私は、六月二十九日のオリンピック調整会議、七月七日のJSC有識者会議をふんまんやる方ない思いで見ておったわけであります。

 大臣は先日、何も知らされていなかったという久保公人スポーツ・青少年局長を事実上更迭する人事を行いました。大臣は、検証委員会であらゆるレベルでの責任体制についても議論していただく、結果は尊重するとおっしゃいますけれども、久保局長の首だけ切って、みずから出処進退を明らかにしないというのでは通らないと思うんです。トカゲの尻尾切りだと言われるのは当然です。

 大臣みずからの責任をどうお感じになっておりますか。

下村国務大臣 ザハ・ハディド氏のデザインを忠実に実現する場合、工事費試算額が三千億円に達することが判明したということで、平成二十五年十二月、JSCは、建築規模等の縮減を行い、工事費を一千六百二十五億円としました。

 そして、昨年一月から設計者において設計作業が進められてまいりましたが、実施設計に技術協力者が参画したのは昨年十二月からであり、本年に入ってからJSCと設計者及び技術協力者との間で工期、工法等の実質的な協議が行われ、総工費が高額に上ることが明らかになったわけであります。

 ことしの四月、JSCの理事長から私に、開閉式屋根等を備えた整備内容では二〇一九年春の竣工は困難であり、工事費も高額に上る見込みがある旨の報告があったため、直ちに、工期を間に合わせるための整備内容のさらなる協議及び工事費の縮減についての検討を指示いたしました。また、私自身もさまざまな関係者から話を聞いて研究を行いました。

 その上で、六月に、ザハ案と見直し案について、先ほど申し上げましたように、総理に説明をいたしました。

 ただ、見直し案でも、特にラグビーワールドカップには間に合わないと考え、また、オリンピック・パラリンピックに間に合うかどうかについても確信が持てなかったということで、その際、総理からはさらに研究を進めてほしいと指示されました。

 そしてその後、総理には随時状況を報告いたしましたが、七月十七日、私から総理に、事業者選定まで約半年間、設計から工事完成まで五十カ月強、これで七月中に見直しを判断すれば、ぎりぎり二〇二〇年東京大会に間に合うとの報告を行ったところであります。

 今回のゼロベースの見直しは、ラグビーワールドカップには間に合わないがオリンピック・パラリンピックには間に合うとして総理が決断されたものであり、その際、私の報告も踏まえたものと考えております。

 私の責任については謙虚に受けとめたいと思います。私としては、今申し上げたとおり、限られた時間の中で見直しについて最大限努力をしてまいりましたが、私としては、新国立競技場の整備を二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催に確実に間に合う形にすることが最も責任を果たすことになると考えており、そのようなことをしっかりと対応することによって国民の理解が得られるようにしていくことが、第一義的には大臣として果たすべき役割であると思います。

 しかし、新国立競技場の整備計画に係るこれまでの経緯について検証するため、文部科学省に第三者委員会を設置したところでありまして、ここで、経緯とあわせて責任の所在についても議論していただくことになります。

 責任問題については、この中で議論されたことを受けて適切に対処してまいります。

宮本(岳)委員 たとえ大臣職を辞しても、検証委員会に全面的に協力することは当然の話であって、私は、あなたが一刻も早くみずからの出処進退を明らかにすることが政治家としての矜持であるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

福井委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、今もずっと議論になっております新国立競技場の問題について、絞ってお聞きをしたいというふうに思います。

 この間、当委員会においても、東京オリンピック・パラリンピック特措法やあるいはスポーツ庁設置のための文科省設置法の改正案、審議を行ってまいりました。その際に私から何度も聞かさせていただいたのは、非常に船頭が多くて船が山に登るようなことはないのか、責任の体制、責任の所在がわかりにくくなるのではないかというふうにただしてまいりました。

 スポーツ行政全体をつかさどる文科省の体系とは別に、政府のオリパラ推進本部と内閣官房のオリパラ推進室、それから関係府省庁次官級連絡会議などがあり、さらに、オリパラ担当大臣に加え、今後発足するスポーツ庁、こういうふうになっていくわけであります。これではオリンピック・パラリンピックに係る国の責任体制が不明確になるのではないかという懸念を何度か指摘させていただきました。

 今回の事態というのは、私は、まさにこの懸念が現実化したのではないかというふうに思いますし、政府の大失態だというふうに思っております。白紙撤回を決めたというのは、これは英断でも何でもない、遅きに失した話だろうというふうに思います。

 そこでまず下村大臣に伺いますけれども、新国立競技場の建設計画は今まで一体誰の権限だったのか、お聞かせください。

下村国務大臣 新国立競技場の整備計画については、日本スポーツ振興センター、JSCが国立競技場将来構想有識者会議を設け、設計作業のもととなるザハ・ハディド・アーキテクトによるデザインの選定や、それに基づく基本設計、実施設計を進めるなど、実施主体であるJSCによって進められてきており、文部科学省は、JSCを所管する立場から、円滑な整備を支援してきたところであります。

吉川(元)委員 六月九日の大臣の会見で、同じように、第一義的にはJSCがやってきたわけですからということを言われています。明確な責任というのはJSCだった、ただ、JSCだけでは対処できなくなって今に至っている部分がある、こういうふうに言われているわけで、何度聞いても、誰に責任があるのか、実施主体はJSCだ、監督するのは自分たちだと。だけれども、これだけこの新国立競技場の問題が紛糾をして混迷をしている中で、この問題を引き起こした、それを責任をとる人は一体誰なのかというのは、私、今もってまだよくわからないところがあります。

 本日は、JSCの河野理事長に来ていただいております。少しお伺いしたいと思います。

 総理の白紙撤回宣言を受けて、再検討する関係閣僚会議が開かれておりました。その夕刻、同じ時刻に私どもの党で会議を開き、文科省とJSCにおいでいただいて、今回の建設計画の決定に関する責任はどこにあったのかというふうにお聞きしました。その際、今まさに大臣が答弁されたように、具体化する責任はJSC、文科省は財源の手当ての責任があるというような説明でした。では、誰がどこで建設計画を決めてきたのかと聞きますと、その点はまさに関係閣僚会議で御議論いただいている、こういうふうな非常にわかりにくい説明でした。

 私は、国立競技場ですから、あくまでこれは国立ですから、一義的にはやはり文科省に競技場の建設の権限と責任があると考えてまいりました。しかし、白紙撤回の前の二千五百二十億の総工費が最終的に了承されたのは七月七日のJSCの有識者会議だったようにも見えます。そして、今度は七月十七日に総理が計画を白紙撤回。この経緯だけ見ますと、建設計画の決定権者が、JSCそして有識者会議なのか、あるいは総理なのか、あるいは文科省なのか、これは全くわからなくなるような気がいたします。

 そこで、河野理事長にお聞きしますけれども、七月七日の有識者会議後に、建設計画を見直さなかったことについて記者から問われて、我々のミッションはあの形でつくること、やめる、やめないは文科省が決めることだと述べたと報道されておりますけれども、建設計画の決定権は文科省にあった、ずっとそういう認識だったということで間違いないでしょうか。

河野参考人 新国立競技場の整備に当たりましては、独立行政法人であります日本スポーツ振興センターが実施主体として、文部科学省からの指示、認可を受けました中期目標、中期計画など、国の方針に基づいて対応してまいりました。

 その推進に当たりましては、国家プロジェクトとしての重要性を踏まえながら、文部科学省に報告させていただき、必要な指示を仰いで、これまで推進してきたところでございます。

吉川(元)委員 だとすれば、私は責任はやはり文科省、大臣にあるんだろうというふうに思います。勝手にJSCが何かやっていたということではなくて、今言われたとおり、逐一報告をしながら、それをまた聞きながら文科省が進めてきたわけですから、この責任というのは大きいと思います。

 ちなみに、理事長にお聞きいたしますけれども、七月七日以前に、今ずっと議論されております見直しの検討が内々で行われていたということについては承知されていたのでしょうか。

河野参考人 承知しておりませんでした。

吉川(元)委員 それでは下村大臣にお聞きします。

 六月九日の記者会見、先ほども少し紹介しましたが、このように大臣は述べておられます。東京大会の招致そして競技場の建て直しが決まってから、一貫して明確な責任者がどこなのかということがよくわからないまま来てしまった、パートパートでそれぞれの方が努力されてきたと思いますが、トータル的な、通しての責任者がはっきりわからないまま来てしまった、こういうことをおっしゃられておられます。

 こういうのを聞くと、一体全体どうなっているんだというふうに感じるんですけれども、最終的な責任者、第三者委員会で決めていただくということですけれども、私が驚くのは、誰が責任者なのかを第三者委員会に決めてもらうなんというのはまともな話じゃないと思うんですよ。誰が一体責任者なんですか、皆さんでぜひ第三者委員会で決めてください、その結果として、それを言われたら私は責任をとりますと。これこそ全くの無責任な体制だというふうに思うんですけれども、この点、いかがお考えですか。

下村国務大臣 これは明確に申し上げたいと思いますが、新国立競技場整備計画の見直しのための関係閣僚会議を設置する以前の段階においては、私自身が責任者だと思います。ただ、最初の、ザハ・ハディド氏の案を選んだ、そのときからの経緯について、これについてはよくわからない部分があるということについて、これは記者会見の中で言ったところがございます。

 そういう意味も含めて、最初からの、ザハ・ハディド氏の案を選定した、そのときから今日に至るまでの経緯、それからそのときの責任、それについては第三者委員会の中でよく調べてもらって、そして検討していただくということでありまして、別に私自身の責任回避をするために第三者委員会を設置する、お願いするということではございません。

吉川(元)委員 だとすれば、誰に責任があったのかも明らかにしてもらうという話ではないと思います。その経緯について検証するというんだったらまだわかりますし、誰が何をそのときしたのかということについての検証というのはわかりますけれども、責任がどこにあったのか、先ほどの答弁の中での、責任がどこにあったのかというのを第三者委員会で決めてもらうということは、それはないということでよろしいですね。それはもう下村大臣が責任者であるということでよろしいんですね。

下村国務大臣 私が今申し上げたのは、新国立競技場の整備計画に関する関係閣僚会議が設置される直前、これは私が責任者であるというふうに思います。

 ただ、今までの、ザハ・ハディド氏から選定して、ずっと経緯の中で常に責任者であったというような、そういう認識というのは、これはどうかなと私自身は思っているところがございまして、しかし、これは常に私自身が先頭に立って指導しチェックした経緯があったわけではありません、ザハ・ハディド氏のときから、スタートの時点についてですね。

 それについてしっかりと検証しながら、そしてその経緯についてチェックしながら、そのときの責任についても明確にしていただきたいと思っています。

吉川(元)委員 ちょっとびっくりするんですが、ザハ・ハディド氏の決定というのは二〇一二年の十一月です。翌月には総選挙が行われて、そのときから大臣は文科大臣としてこれまでずっとついてこられたわけで、確かに十一月から総選挙の間、これは恐らく誰もみんな選挙ですから、なかなかそのことについての経緯はわからないところがありますけれども、自分に一時期は責任がなかったかというような言い方というのは私はおかしいと思いますけれども、そういうことなんですか。自分に責任はなかった時期があったということなんですか。

下村国務大臣 いや、そういうことを申し上げているわけではなくて、経緯とともに、どこにどういう責任があったのかということも含めて、第三者委員会の方々に検証していただきたいということであります。

吉川(元)委員 それぞれ責任というのは、こういう範囲においてはここに責任がある、ここはこういう責任があったんだ、それはいいです。じゃなくて、最高の責任者、最大の責任を受けなければいけないのは、それは大臣でよろしいんですよね。

下村国務大臣 文科大臣としての責任はあると思います。

吉川(元)委員 文科大臣としての責任というのは、まさに今回の新国立競技場の建設についての責任が文科大臣としてあるということでよろしいんですね。それでよろしいんですね。

下村国務大臣 いや、ですから、文科大臣として、この新国立競技場の整備計画について、ザハ・ハディド氏からスタートした、そのときからの経緯について一つ一つ経緯を検証しながら、その時々の責任、最終的な責任ということをおっしゃいましたが、そのときそのときの責任について検証していただくということであります。

吉川(元)委員 それはどういう意味で言われているかちょっと理解できないんですが、ここの部分についてはここの部署に責任があったという話をされているのか、この時期には最終的な責任者はこの人で、その後になるとこの人になって、この時期は自分だ、そういうことを言われているんでしょうか。

下村国務大臣 いや、そういうことを申し上げているわけではなくて、例えば、ザハ・ハディド氏の案を選んだとき、それから、そのときの予算が一千三百億、それはどうやって決めたのかということについては、これは最終責任というのは私かもしれませんが、そのとき直接かかわっているという認識を持っておりませんので、そういう経緯が幾つもあります。それについて第三者委員会等で検証していただきたいということであります。

吉川(元)委員 こればかりやっていると、ほかにも質問しなきゃいけないことがありますので終わりますけれども、何か一千三百億の最初が問題だと言いますけれども、問題なのは、一千三百億で済まなくなったから問題になっているのであって、一千三百億でそのままいっていれば別に問題にはなっていないんです。

 まさに、一千三百億から最初に三千億と言われたのが二〇一三年の十月の参議院の予算委員会、この場で三千億になっている。このときはもう完全に大臣の、大臣といいますか、最初の一カ月ぐらいは確かに、決まってから一カ月ぐらいは大臣ではなかったかもわかりませんけれども、そこからずっと大臣はかわらずにやられているわけで、その点はやはり私は、最終的な責任というのは一貫して下村大臣にあるということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 次に、ちょっと通告していないんですけれども、初めて聞いたという話、六月の段階で槇さん等々と話をして聞いたというお話がありました。

 河野理事長にお聞きしたいんですけれども、ことしの二月ごろに、いわゆるゼネコンから、このままいくと三千億を超える、あるいは、工期が間に合わないというようなお話をお聞きになったことはありますか。

河野参考人 二月の時点で、両方の、つまり、屋根工区とスタンド工区、それをばらばらに見積もっていたものが、積算をしていくと工期が間に合いそうもない、さらにいろいろな工夫が必要だということを伺いました。(吉川(元)委員「金額については」と呼ぶ)金額についても、単純な足し算をすると予定より膨れるということについては、工期とリンクしているものですから、工期を何か工夫しないとそれが膨れ上がるというふうに認識をしております。

吉川(元)委員 理事長にまた聞きますけれども、そうしますと、そのことについては文科省の方には伝えたんでしょうか。

河野参考人 その経緯については、担当の方から文部科学省の方に御報告しております。

吉川(元)委員 大臣、この件については、二月に当然御存じだったんですね。

下村国務大臣 私には報告は受けておりません。

吉川(元)委員 私には報告は受けておりませんという、これは非常に重大なお金の問題、一応報道ベースで聞きますと三千億を超える、それから、このままいくと間に合わない、非常に重要なお話が大臣のところに伝わっていないということですか。それは一体どこでとまっていたんですか。

下村国務大臣 それはわかりません。

 私自身が直接河野理事長からお聞きしたのは、四月に、このままでは工期が間に合わない、そして予算も相当オーバーするということの中で、先ほど答弁させていただきましたが、開閉式膜については、ラグビーやオリンピック・パラリンピックでは実際使わないものでありますから二〇二〇年以降に先延ばしする、あるいは可動式の席についても、コストがかかるということで仮設に変える等々、コストダウンと、それから二〇一九年の春竣工に間に合わせる、そういうことで河野理事長、JSCに対して指示し、そのスキームの中でやってもらうことになったわけであります。

吉川(元)委員 大臣のところにこんな重要な情報が入らないということは、この間盛んに、いろいろな学校教育法等々で、例えば大学に関しても、学長のリーダーシップを高める、ガバナンスを高めると言っていましたけれども、当の文科省が全くガバナンスがきいていない、最も重要な情報が最終的な責任者に届いていないというのは大きな問題だと思いますけれども、この点についてはいかがですか、下村大臣。

下村国務大臣 そのことも含めて、第三者委員会でしっかり検証していただきたいと思います。

吉川(元)委員 ぜひ第三者委員会で、どこの部署でとまっていたのかというのは確認をしていただきたいというふうに思いますし、検証もしていただきたいと思いますけれども、こういう風通しの悪い、重要な情報が上に上がっていかない、そういう組織に今文科省がなっているとすれば、それについても文科大臣の責任があるというふうに思います。この点はいかがお考えですか。

下村国務大臣 事実関係を検証し、問題点があるとしたら、最終的には文科大臣が責任をとる立場でもあると思います。

吉川(元)委員 あと、きょう委員会を聞いておりまして、見ていてちょっと驚いたんですけれども、どちらの大臣に聞くかと言わなかったときに、質問された際に、お二人で顔を見合わせて、あなただ、いや、うちだ、こういうやりとりを私は先ほど見させていただきました。

 これからいわゆる新国立競技場を白紙撤回して見直していくといった場合に、この責任の所在のあり方、今までお話ししたのはこれまでですけれども、これからというのが非常に重要になるというふうに思っております。

 この新国立競技場の新しく白紙、今からいろいろやっていかれるんですけれども、その最終的な責任者というのはどちらになるんでしょうか。

遠藤国務大臣 七月十七日の白紙決定を受け、二十一日に関係閣僚会議を開き、その場で私が議長になりましたので、私が責任者となります。

吉川(元)委員 そうしますと、実施主体は恐らくJSCということで変わらないというふうに思うんですけれども、JSCを監督するのは文部科学大臣です。実施主体であるJSCを監督するのは文部科学大臣。だけれども、新国立競技場、新しくつくるものについては遠藤大臣が最終的な責任者である。

 これはそごが生まれないのかというふうに思うんですけれども、この点はどのように分けられているんでしょうか。

遠藤国務大臣 総理から指示を受けましたのは、新国立競技場の建設、設計、施工であります。そのことについては、関係閣僚会議が推進室をつくり、その中で技術者の皆さん方の意見を聴取し、また、多くの皆さん方の意見を聞き、その上でその推進室のいろいろな意見を調整しながら、最終的に私がスポーツ振興センターを指揮監督してまいります。

吉川(元)委員 そうしますと、スポーツ振興センターというのは、別に新国立競技場をつくったり運営しているだけじゃなくて、その他の業務もたくさんあります。この点についてはどういうふうになるんですか。これは下村大臣ということでよろしいですね。

 そうしますと、先ほどの午前中の議論を聞いておりまして、JSCの新しいビルについて少しお話がありました。このビルを建てる建てないということについては、私はこの場でいい悪いということを言うつもりはありません。

 ただ、その際に下村大臣が答弁に立たれました。これは、新国立競技場をつくるに当たってビルを撤去しなきゃいけない、まさに新国立競技場の建設と関係する、建てかえなければそのまま残っているわけですから。だとすれば、これは新国立競技場の建設と大いにリンクをする話であって、答弁しなければいけないのは下村大臣ではなくて遠藤大臣じゃないんですか。この点、いかがですか。

遠藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、新国立競技場の新しい再検討した競技場につきましては、私が責任を持ってスポーツ振興センターを指揮監督してまいります。

 指揮監督についての計画はそのまま進められるというふうに存じておりますので、詳細については下村大臣の方で検討されると思っております。

吉川(元)委員 ですから、新しいビルを建てる理由というのは、新国立競技場の建てかえに伴って移転をするからということでありますよね。だから、新国立競技場の建設のあり方によっては移転しなくてもいいかもわからないし、その点について最終的な責任者というのは、今お話を聞くと遠藤大臣だということですから、この問題については遠藤大臣が担当しなきゃいけないというふうに思うんですけれども、どうも聞いていると、下村大臣が担当して先ほどから答弁をされている。

 これは一つの例として挙げているんですけれども、これから新国立競技場を建設する際に、こういうふうに、どちらが担当になるのか、これは非常にわかりにくくなっていく。だから、どうなるんですかと私は聞いているわけです、お二人の任務分担というのが。

 そうすると、このJSCの新しいビルというのは、新国立競技場の建設とは関係がないということなんですか、あるということなんですか。どちらなんですか。

下村国務大臣 先ほど遠藤大臣がお答えしているように、今度は新国立競技場建てかえのための関係閣僚会議が主体となって、遠藤議長、私が副議長、菅官房長官も副議長で、あと関係閣僚が入っております。ですから、そこで一体として進めるということでありますので、基本的に今後の国立競技場建てかえ問題は遠藤大臣が責任者でありますが、私も責任者から外れたということではなくて、副議長ですから、遠藤大臣のもとで一体的に進めていくということでございます。

 そして、JSCについては、これは新国立競技場の建てかえに合わせて移転をするということでございまして、そのスキームについては秋口に整備計画を決めるということで、今段階で決めているわけではありませんが、一体的に縮小した新国立競技場になるということを決めているわけじゃありませんから、これは、新しい国立競技場がどんな形であっても、このJSCの移転、建てかえは必然的に伴ってくるものであるというふうに思います。

吉川(元)委員 そうすると、霞ケ丘の都営住宅、都営アパート、これについてはどちらの管轄になるんですか。遠藤大臣でよろしいんですか。(発言する者あり)東京都だけれども、これは白紙になっていないというふうに言われていますけれども、これの最終的な責任者というのはどちらになるんですか。(発言する者あり)東京都で結構なんですけれども、今回白紙にした、だけれども都営住宅については白紙じゃないというふうに先ほど答弁されていましたよね。

 それでは、東京都がこれは白紙だというふうになれば、白紙ということでよろしいんですか。よろしいですね。

遠藤国務大臣 それは東京都の判断によるものと思います。

吉川(元)委員 ちょっと時間がどんどんなくなってきました。

 先ほどのこれまでの、特に今なぜこういうことを言っているかといいますと、実施主体であるJSCにとってみると、お二人から違うことが言われたり、あるいは、別なことでもずっと突き詰めていくと矛盾をしてしまうような指示が出ると、JSCとしては非常に困る事態になるというふうに思います。ですから、先ほどのJSCのビルも、私は、これはやはり遠藤大臣に統一してお話をされた方がいいのではないかというふうに思うんですが。

遠藤国務大臣 先ほど、JSCを指揮監督してまいりますというふうに申し上げましたが、文部科学省を通じてJSCを指揮監督してまいります。

吉川(元)委員 そうすると、文科省を通じてということは、遠藤大臣が下村大臣に指示を出して、その指示に従って下村大臣が何かしらの指示を出すということになるんですか。

遠藤国務大臣 関係閣僚の議長、副議長ということでもありますし、それから、私の仕事、役割は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを成功させるための関係各省庁との連携調整を進めるということが私の仕事でありますから、当然、文部科学大臣と調整、協議して進めるものと思っております。

吉川(元)委員 もう余り時間がないんですが、今はちょっとこれからの話をしましたけれども、やはり私は、これまでの経緯については、先ほども何度も言いましたように、下村大臣の責任というのは大きいというふうに思います。

 六月九日、また同じく記者会見で、新国立競技場の建設に際しては政府の原則というのは二つあるというふうに言われました。一つは、ラグビーワールドカップに合わせて二〇一九年春に完成させること、もう一つはコストの削減。

 実は、今回の白紙によって、この二つとも、簡単に言うと、この原則が破られているわけです。ラグビーワールドカップは間に合わない。それからコストの削減については、既に六十億を超えるお金が支払われていて戻ってこない。また、委員会で先ほどから質問がありましたけれども、既に三十三億の契約が結ばれている。合わせると百億。これ以降ザハ氏から何かしらの裁判なりを起こされた場合には、私はわかりませんけれども、百億ぐらいかかるんじゃないかというような報道も見ます。そうすると、結局こういう無駄なお金を使ってしまったという、この二つの責任というのは、これはどのように言い逃れをしようとも言い逃れができないというふうにも思います。

 今回、スポーツ局長がやめられました。世間では、更迭した、あるいはトカゲの尻尾切りというお話もあります。そういうことでいいますと、そういうことで私は済むとはとても思えません。

 先ほどから何度も、最終責任者は誰ですかということをお聞きしましたけれども、今回の白紙撤回、総理に自分が話をしに行って、最終的にこうなったというふうに言っておられますが、その結果として二つの原則というのは破られたわけですから、この結果責任というのは私は否定をできないというふうにも思いますし、普通の民間企業でこれだけ失態を犯したとすれば、トップがまず責任をとるということが私は当然だろうというふうに思います。

 大臣御自身で、先ほどから何度か質問はありますけれども、出処進退についてどのようにお考えなんでしょうか。

下村国務大臣 今回の見直しにより、しかしそれ以上のコスト削減が逆に可能になる。見直しによって、確かに五十九億の契約を締結しておりますが、しかし、それをはるかに上回る、結果的にはコスト削減が可能になる。そして、七月中に見直しを判断すればぎりぎり二〇二〇年東京大会に間に合うということの中で、今回の見直しを行ったことであります。

 私としては、国民の理解が得られるよう整備計画全体のコスト削減を図りつつ、新国立競技場の整備を二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催に確実に間に合う形にすることが、最も責任を果たすことになると考えます。

吉川(元)委員 それ以上のコストカットが可能なのかどうなのかはこれからの話で、結果的には、今の現段階、この瞬間においては、御自身が言われた二つの原則というのは見事に破られているわけです。その結果責任について責任を果たさない。私は、果たすというのは、それはやはり出処進退を明らかにするべきことだろうというふうに思っておりますし、もし仮にこれでコストがそれ以上に削減できるというのであれば、なぜこの時期なのか。

 何度も何度も計画を見直すチャンスというのはあったわけです。二〇一三年には槇さんが設計見直しを要求されています。それから、計画変更、二〇一三年の十月、これも要望がされていますし、いろいろな方が、これは問題だ、お金がかかり過ぎると過去何度も言ってきたわけです。それを常に、いや、そんなことはないと言ってきたのがまさに文科大臣そのものでありますし、私は、その結果責任というのは免れられないということを最後に申し上げておきたいと思います。

 実はこれ以外にも、重要な財源の問題等々、質問の準備をしておりましたけれども、時間がなくてできませんでした。

 委員長、集中審議をぜひやっていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

福井委員長 今の件については、理事会で協議をさせていただきます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二分散会


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