衆議院

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第7号 平成13年3月28日(水曜日)

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平成十三年三月二十八日(水曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 森  英介君

   理事 吉田 幸弘君 理事 大石 正光君

   理事 鍵田 節哉君 理事 福島  豊君

   理事 佐藤 公治君

      遠藤 武彦君    奥山 茂彦君

      上川 陽子君    鴨下 一郎君

      北村 誠吾君    熊代 昭彦君

      田中眞紀子君    田村 憲久君

      竹下  亘君    西川 京子君

      林 省之介君    松島みどり君

      三ッ林隆志君    宮腰 光寛君

      宮澤 洋一君    森山 眞弓君

      吉野 正芳君    家西  悟君

      大島  敦君    奥田  建君

      加藤 公一君    金田 誠一君

      北橋 健治君    釘宮  磐君

      城島 正光君    古川 元久君

      三井 辨雄君    水島 広子君

      山井 和則君    青山 二三君

      江田 康幸君    樋高  剛君

      小沢 和秋君    木島日出夫君

      阿部 知子君    金子 哲夫君

      中川 智子君    小池百合子君

      川田 悦子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       坂口  力君

   内閣府副大臣       村井  仁君

   厚生労働副大臣      増田 敏男君

   経済産業副大臣      松田 岩夫君

   財務大臣政務官      砂田 圭佑君

   厚生労働大臣政務官    奥山 茂彦君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長

   )            藤原 恒夫君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長

   )            日比  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長

   )            澤田陽太郎君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  家西  悟君     奥田  建君

  三井 辨雄君     城島 正光君

  阿部 知子君     金子 哲夫君

同日

 辞任         補欠選任

  奥田  建君     北橋 健治君

  城島 正光君     三井 辨雄君

  金子 哲夫君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  北橋 健治君     家西  悟君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第三一号)




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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長藤原恒夫君、厚生労働省労働基準局長日比徹君及び職業安定局長澤田陽太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松島みどり君。

松島委員 自由民主党の松島みどりでございます。

 企業の倒産や合併などがふえる中で、労働行政が、終身雇用の途中で退職、転職を余儀なくされる人たちへの在職中の再就職支援に力点を置くようになったことは非常に望ましいことだと考えております。しかし、どうもこれらの施策が規模の大きい会社の従業員を対象にかなり考えられているように思われまして、そして、私の地元であります東京の下町、墨田区や荒川区は中小企業や零細企業が集中しておりますので、その観点から質問させていただきたいと思います。

 一つは、雇用対策法の改正で、離職を余儀なくされる者を相当数生じさせる事業主が作成した再就職援助計画、これが妥当なものだった場合に、職探しのための有給休暇に対して国が補助金を出すとかそういった支援をすることになっておりますが、この相当数というのは一カ月当たりの離職者がおおむね三十人程度の場合を指すというふうに言われております。しかしながら、私の地元のようなところでは、全体の従業員全部合わせても十人程度の会社がざらでございまして、全従業員で三十人いる会社というのはもうめったにない大きな会社、そういうことになっております。

 従業員が十人前後で、そしてどうしても仕事が立ち行かなくなって廃業する、あるいは何人かの方に、一人、二人、三人の方にやめていただく、そういう会社の場合は今回の法律はどのように適用されるのでしょうか。まず一点、お願いいたします。

増田副大臣 お答えを申し上げます。

 実は、その前に、私も仕事をしておりましたが、やはり十人足らずの乾めん業者でした。余計なことですが、後のお答えにつながっていきますので簡明に申し上げますが、初め、私の埼玉県熊谷市に三十軒ぐらいの大きな一つの業界でありました。戦前日本で一番小麦のとれたところです。そこで乾めんを始めました。だんだん時の流れで対応ができなくなり、そしてついに一番小さい従業員七、八人の私のうちだけが今一軒残っております。それが時の流れと大きな転換です。そこで、中小企業のことを考えていますよということをまず御理解いただきたいな。

 お答えに入ります。

 新たな再就職援助計画制度においては、事業規模の縮小等に伴い相当数の離職者を生じさせる場合には、事業主に対して再就職援助計画の作成を義務づけております。先生のお話のとおりであります。この相当数とは、一つの事業所において一月に三十人程度以上とすることを考えている。御指摘のように、これに満たない中小企業については、事業主が任意に再就職援助計画を作成して、公共職業安定所長の認定を受け、計画に基づき再就職の援助を行う場合には国の助成、援助を受けることができることとしております。だから、三十人未満の方には、事業主がぜひ公共職業安定所長と連絡をとりながら申請してもらって、認めてもらって、国の助成、援助、こういう方向が実はあるわけであります。

 この再就職援助計画の任意作成制度については、関係事業主、労働組合等に対してその趣旨を十分周知徹底し、中小企業の労働者の雇用対策について十分な配慮をしてまいりたい、このように考え、取り組んでおります。

松島委員 副大臣、ありがとうございます。

 増田副大臣が小さな規模の会社をしっかり経営されている、そういうことを伺いまして、中小企業のこと、心の痛み、しっかりと受けとめていただける方だと非常に心強く思った次第でございます。ぜひ埼玉県で残った事業も守っていただきたいと思う次第です。

 それで、これから申し上げますのは、これも私の周りで非常にたくさん起きていることなんですが、小さな会社というか零細の、例えば一人、二人、自分一人で、あるいは家族の従業員二、三人でやっている会社、あるいは五、六人雇っている会社、そういう会社が、会社自体が行き詰まって廃業してしまう。例えば私の地元でございますと、印刷関係ですとか、あるいは繊維のニットの、洋服の関係で、その関連のボタンの穴かがりなんという業種もあります。プレスという仕上げの最後にアイロンをかける、そういう小さな業種もあるんですけれども、どんどん中国からの輸入に押されて業界が成り立たなくなっている。そういう今まで数人でやってきたところが廃業しちゃう。

 廃業しちゃいまして、その方が、例えば六十五歳の方が経営していらっしゃる場合にはそれでもう引退ということになる場合も、六十五歳とか七十歳の場合はあるわけですけれども、四十代、五十代あるいは六十ぐらいの方が経営者である場合に、従業員をみんないろいろな形で、わずかばかりの退職金を出してやめさせる、やめてもらう。最後に自分が残って、自分の身の振り方をどうする、そういう大変な方がたくさんいらっしゃいます。そういったところで初めて労働市場に出てくる。恐らく四十代、五十代あるいは六十歳ぐらいになって初めて履歴書を書いて職安を訪ねる、そういう方が今随分ふえているわけでございます。

 これは私の経験だけでなくて、総務省の労働力調査におきましても全国の自営業主は非常に減ってきております。昨年四月の数字で見ますと、全国の自営業主は七百六十二万人いらっしゃいました。昨年四月以来ほぼ毎月減少を続けまして、ことし一月には六百八十三万人になりました。一年足らずの間に約一割、九カ月で一割減ったわけでございます。

 そして、その間に、ちょうど同じ時期に、家族従業者、恐らく社長さんである御主人と一緒にやっている奥さんだとか、おじいちゃんだかおばあちゃんだか子供だか、そういった方々も、昨年の四月は三百六十七万人だったのが、ことしの一月には三百五万人に減っております。二割近く減ったわけでございます。

 一方、この統計、労働力調査を見ますと、雇用者、つまりサラリーマンは、今非常に景気が悪いとか失業率が高いとか言っておりますけれども、サラリーマン自体はふえております。季節要因もあって増減を繰り返しておりますけれども、昨年四月の五千二百八十九万人から、ことし一月は五千三百五十五万人、六十六万人ふえているわけでございます。このことからも、小さな会社を事業主がやめて労働市場に新しく入ってきているということが全国的なトレンドであることを御理解いただけると思います。

 こういった方々は、彼ら彼女らは、四十歳過ぎてから初めて就職試験を受ける。もちろん履歴書の書き方も余りよくわからない。面接試験の受け方の要領なんかわかりません。ましてや就職に役立つ資格だとか技術など持っていないのが一般的でございます。そして、こういった経営者の場合、自分の財産も担保に入れて銀行から借金しておりますから、最後の最後まで、資金繰りで、夜逃げするか、あるいはみずからの生命保険を当てにした行為をするかまで、ぎりぎりまで悩んだあげくに廃業する、そういう方も現実にはいらっしゃるわけでございます。そういった中で新しく就職活動をしなければいけない。

 そこでぜひ、これまで自営業者だった方、あるいはその家族だった方も、これからのこの緊急事態の中で、労働政策、失業対策の対象に加えていただけないか、そういった思いでおります。

 具体的に申し上げますと、今回の法律改正では、転職に役立つ能力開発に対する支援策がいろいろと入っております。そしてまた、私非常にいい制度だと思っているのですが、これまでにやってきた制度で教育訓練給付制度、平成十一年三月から実質スタートいたしまして、この教育訓練給付制度は、建築士とか介護福祉士、社会保険労務士、医療事務、宅地建物取引主任者など、こういう就職に役立つ資格、これを取ることができる。これは八割まで国がお金を出してくれる、そういう制度でございます。

 平成十一年三月からことしの一月までに三十八万五千八百二十一人の方が受講されまして、合計三百七十一億円支給されております。受給者は、在職中の方が八割でございます。これまで上限二十万円まで、この一月からは三十万円に引き上げまして、八割を支給してくれるということで非常に役立って、在職中からサラリーマンの方々は次の転職のことを考えているわけです。

 そこでお願いでございますけれども、これは五年以上連続して雇用保険に加入していた人でないと対象になりません。もちろん雇用保険の特別会計制度ですからそれは当然だとは思いますけれども、さっき申し上げました、自営業が行き詰まって新しく労働市場に参入した人たちは、これまでサラリーマンではありませんから当然保険料を払っていません。こういった政策の対象外にございます。どうか、この保険とは別に、緊急経済対策として、緊急不況対策といたしまして、特別に、元自営業の、保険料を払っていなかったからこういう恩恵に浴さない人たちも、ぜひ国の政策としてこういった制度を設けていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

増田副大臣 お時間を気になさっているようですので、一般論を私から簡明に、あとは担当から答弁させます。

 今回の改正法案におきましては、国は、労働者がその職業生活設計に即した自発的な職業能力開発を行うこと、いわゆるキャリア形成を支援しようというようなことで、求職者等に対しては、キャリアコンサルティングや必要な情報提供等の援助を行うことといたしております。雇用労働者になろうとして求職活動をされる自営業者についても、これらの措置の対象となるところであります。

 これらにより適切な職業生活設計を行うことや、これに即した必要な職業訓練等を受けることができることとしているとともに、公共職業安定所による具体的な就職活動の方法に関する職業指導を行うなどを通して、円滑に就職できるように積極的に支援してまいりたい、これが大体方針であります。細目は担当から答えさせます。

鈴木委員長 事務方は答弁しないのですか。増田副大臣。

増田副大臣 それではお答えを申し上げてまいりますが、今登録されていないという言葉だったので、それで一瞬ちょっと見苦しいところを見せまして恐縮でございます。

 実は、奨励金等の関係等のお話がございましたが、雇用情勢が大変悪くなってきた、したがってこれらの状況の中で中小企業の経営者がこれから一般雇用労働者になりたい、ついてはどういう支援をするかというようなお話でございました。先生がおっしゃいましたように、数字の金額まで入っておりましたが、実は細かい数字まで私が現在把握をいたしておりません。

 そこで、奨励金の支給時期あるいは常用労働者として雇い入れる日からどういうふうにするか、大体一カ月後より申請することができるというふうなことは承知をいたしております。今まとめてお答えしていきますが、雇用情勢が悪化した場合のセーフネットとして設けられている、先生御指摘の緊急雇用創出特別奨励金だと思いますが、そうではないですか。(松島委員「それは最後の質問です」と呼ぶ)ああ、そうですか。時間がないと思いまして一緒かなと思ったのですが、わかりました、そうですか。

 それでは、今お答えを申し上げていきますが、ただいま申し上げましたように、キャリア形成をして就職を完全にしてもらおうというので、それに対する支援をいたしているところであります。しかし、その支援は個人にお金を直接出すという支援ではございません。機会を与える、あるいはそういう場を提供する、こういうようなことの実は予算の仕組みということで今回は取り組んでいるところであります。ぜひそういう意味で御理解をいただきたいな、このように思うところであります。

 そこで、予算額といたしましては、総額で千五百億円、一般会計約百億円、それから特別会計千四百億円、こういうような予算で、公共職業訓練の計画数及び何とかこれを頑張っていこうということで計画を立てているところであります。公共職業訓練の計画数は約八十一万人を予定しておりますので、それらを踏まえながら頑張っていこうというのが今の状況であります。

松島委員 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、林省之介君。

林(省)委員 おはようございます。私は、雇用についての御質問をいたしたいと思います。

 今非常に、失業率が四・九%に達しているとか、マスコミの方では、とにかく政府けしからぬというような論調の記事が多いのでございますけれども、実際にこのたびの雇用対策法を見ていますと、特に中高年者の就職状況というのが非常に厳しいということで、採用時におきますところのいわゆる年齢差別といいますか、年齢によって随分と厳しい就職状況になっているわけでして、こういうことへの緩和ということが盛り込まれていると思うのです。実際に具体的にこのたびの対策法におきましてはどういう対策がとられているのか、時間がないものですから、簡潔に御説明をお願いいたします。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 中高年齢者の就職状況が厳しいということは御指摘のとおりで、安定所等に出てきます求人に上限年齢の制限をつけている企業は九割、その上限年齢の平均は四十一・一歳ということで厳しい状況にあります。したがいまして、今回、改正法案の中で、事業主は募集、採用について、雇用慣行との調和に留意しながらも、できるだけ年齢制限を付さないように努力するという努力義務の規定を設けたところであります。

 これを実効あらしめるためには、厚生労働大臣が指針を示しまして、事業主に自主的に努力していただくガイドラインにしたい、一点であります。それと、公共職業安定所が中心になって行っております、求人が出てきた場合の年齢制限の緩和の要請といいますか、指導といいますか、こういうものをもう少しきっちりやっていきたい、こう思っております。

 あわせて、少し先の話になりますが、年齢にかかわりなく意欲と能力があればだれでも働けるという社会を目指すためにどういう手順を踏んで、どういう方法をとっていくべきかにつきまして、有識者の方にお集まりいただいて、二年ほどかけて議論をしていきたい、こう思っております。

林(省)委員 ありがとうございます。意欲と能力があれば働けるという状況をぜひ御指導いただきたいと思うわけでございます。

 確かに、中高年といいますか、四十五歳以上くらいの方の有効求人倍率というのは、およそでありますけれども〇・二くらいになろうかと思います。それに対して、例えば若年者、十五歳から二十四歳くらいの人たちの有効求人倍率は一・二一だというふうに役所の方から資料をいただきました。

 だから、彼らは、働こうとすれば、職を選ばないといいますか、何でもいい、自分に仕事を下さいというのなら、全員が数字からいいますと働けるわけでございます。しかし、現実には、フリーターであるとか、あるいは全く働かずにぶらぶらしているような若者も多いのではなかろうかと思います。

 これは、一つは、私は教育に負うところが非常に大きいのではないか。勤労意欲が出てこない、何をしてもやる気がない、そういう青少年を多く輩出してきた原因は一に教育にあると思うわけでございますけれども、しかし、これは教育の問題だと言ってほうっておくわけにはいかないわけでございます。

 そこで、お尋ねをしたいのでございますが、では、こういうふうに仕事はあるのに働かずにぶらぶらしている、あるいは自分の要求するようなものがない。学卒者でも、はっきり申し上げて、そんな君のようなことを言うておったんじゃ仕事はないですよというような俗に言われるところのぜいたくを並べ立てて、そして自分に合った仕事がない、こういうような状況で、実は働いていない、あるいは今就職浪人をしている、こういう人も随分いるように思うわけでございますが、こういう若者に対する指導というのは厚生労働省ではどのように取り組まれているのか、これをお尋ねいたします。

澤田政府参考人 若者の労働力需給といいますか、労働市場の状況は先生御指摘のとおりであります。

 そこを考えまして、我が厚生労働省といたしましては、一つは、若者がぶらぶらしているといいますか、言えば適職探しの過程にあるということもありますが、一般的に職業意識の形成が不十分であるということも事実であろうと思います。したがいまして、若年者が在学中から職業意識を形成して適切な職業選択を行えるような状況をつくっていきたい、そういうことで、文部科学省とも連携いたしまして、職業ガイダンスとかインターンシップなどを始めておるところでございます。

 今後とも、若者の状況あるいは意識等をさらに細かく分析、把握して、より適切なる対策を講じていきたい、こう思っております。

林(省)委員 学卒のような状況で、適職がない、いわゆる職を探して、自分に合ったものを求めて待機をしている、これはまだ私は救いがあると思うのです。

 そうじゃなくて、例えば中学校を卒業した、高等学校に進んだ、ところがどうもその行った高等学校が合わなくて中途退学した、あるいは自分の行く適切な高等学校がなかった、中学浪人と言っていいのかどうなのか、家でぶらぶらしている。

 俗に言われるところのパラサイトチルドレン、これはチルドレンだけではないと僕は思うのですね。引きこもり、こういうものもよくマスコミでも取り上げられるわけでありますけれども、引きこもり状態にあって、もういい年をして、二十をとっくに超えた、もう三十近い、三十を超えた、このような人たちも含めた実数というのは、どうもお聞きをしても、どれくらいの数になるのでしょう、なかなか明確な数字が出てこないような状態だと思います。

 今、中学校で不登校になっている子供たちというのは全国で約十万人くらい、これは平成十二年の調査でありますけれども、十万人くらいいる。高等学校のいわゆる不登校者もそれくらいになる。大体こういう人たちがパラサイトチルドレンになる可能性を非常に多く持っているわけです。

 私なんか、よく車などに乗りまして夜遅く帰るときにコンビニの前なんかを通りますと、これはタクシーの運転手さんが言うのですけれども、あんなところでうんこ座りをしておにぎりを食っている、親は何をしているのでしょうねと。こんな子たちが、今は親が飯を食わすことができるから恐らくこれでおれるのでしょうけれども、この親は永遠におってくれるわけじゃないでしょう、彼らを食べさせる親がいなくなったら彼らはどうなるのでしょうねということを言われた方があって、私もこのことにはっと気がついたわけです、確かにとんでもないことが起こるなと。

 いわゆるパラサイトチルドレンが、親が何とか面倒を見られる間はいいとしまして、その扶養する、あるいは面倒を見る親がいなくなったときに、彼らはどういう集団になるのだろうか。

 しかも、大抵、夜遅くそのあたりにたむろしてうろうろしている子供たちを見ていますと、徒党を組んでいるわけです。徒党を組んで、職を得る方法もなく生活の当てもなくというふうな状態がいずれ起こる可能性というのを私は非常に危惧するわけでございますけれども、例えば、こういう人たちに対してある一定の呼びかけをしていかなきゃいけないんじゃないか。ただいろいろ相談に乗っていますよ、職安でもいろいろな相談に応じていますよというふうな状態でこちらが待っているんじゃ、もう到底間に合わないんじゃないか。

 まして、親は、そういうパラサイトチルドレンを持っておれば、恐らく世間にうちの子はこんなので困っているのですよというふうなことを言わないだろうと思います。したがって、どんどん陰に隠れてしまう、表に出てこない。したがって、これに対してある一定の呼びかけをする必要があるんじゃないか、場合によっては、そういう外に出たがらない子供たちを、ある一定の手に職をつけるような、そういった指導も必要になってくるんじゃないだろうか、私はそんなような気がして仕方がないわけでございます。

 いずれ、こういう、言うならば勤労意欲もなければ何をすることもできないような、それこそ極端なことを言えば何の能力も持っていないような若者が、親がいなくなった後に残されるという可能性というものを私は大変心配するわけです。したがって、ある一定の働きかけ、例えば民生委員さんあたりを通じて、お宅にはこういう方がおられるようだけれども、ちょっと一遍こういう学校でも行かせませんかとか、職業訓練所でも行かせませんかとか、そういったある一定の働きかけをしていかないと、将来的に彼らが大変大きな問題を引き起こす可能性を持っている、私はこんな気がしてならないわけでございます。

 こういう若者に対して厚生労働省としてどういうふうなお考え、あるいは将来的な構想でも結構です、こんなことを考えていますよというふうなことがもしございましたら、ぜひお尋ねをしたいと思います。

増田副大臣 先生のお考えあるいは御提言の趣旨はよくわかり、同時にまた、御心配いただいているとおりのことを私も考えております。

 そこで、まず新規学卒者の就職状況については、やや改善の兆しが見られてはおりますけれども、全体としては昨年とほぼ同水準であり、大変厳しい環境にあると認識しております。新たな職業生活に意欲を持って踏み出そうとしている方の就職が困難であるという事態はまことに残念であります。今後ともその就職に向けて最善の努力をしていきたい、このように考えております。

 そしてまた、今具体的には、未就職のまま卒業した方々に対し、同時に先生のおっしゃられた、グループと言っては恐縮ですが、そういうような方々に対しても、短期間の職業講習や職業訓練等の実施、それから就職面接会への参加勧奨や求人情報の積極的な提供などを行い、できる限り早期の就職が図れるように全力で取り組んでまいりたいと思います。

 それから、いろいろの具体例を出されましたが、これは課題として私もしっかりと受けとめてまいりたいと思います。自分の判断だけでというエリアを超えているところもありますので、そうさせていただきたいと思います。

林(省)委員 ありがとうございました。

 将来的には大変大きな問題であろうと私も考えますし、今副大臣の方もそのような御答弁をいただきました。

 これは少なくとも一厚生労働省だけの問題ではない、私はやはり教育に負うところが非常に大きいと思いますので、またぜひ文部科学省あたりとも密接な連携をとりながらこの問題に対してお取り組みをいただきたい、このようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、福島豊君。

福島委員 公明党の福島でございます。

 大臣、副大臣、連日大変に御苦労さまでございます。

 雇用不安という言葉がございます。日本の経済はなかなかその低迷から脱し切れないわけでございますけれども、その一つの原因には雇用に対しての不安というものがある。みずからの企業が、就労する企業がいつ倒産するかわからないということもございます。倒産しないまでも、自分自身がリストラに遭うかもしれない。そういう中で、将来に対しての不安というものが消費そのものに対して大きくマイナスの影響というものを与えている、日本経済の再生というものに対してブレーキをかけている、こういう指摘があるわけでございます。そういう意味から、厚生労働省が所管するところの雇用施策というものは、さらに万全を期して、国民に対して安心を与えるものでなければならない、そのように私は考えます。

 また一方では、九〇年代を通しまして、日本の経済の構造改革というものが必要であるということが指摘をされ続けてきた。これは二十一世紀に入りましても、いまだ引き続く課題であろうというふうに私は思っております。

 そして現在は、不良債権の最終処理ということも指摘をされております。昨日も厚生労働大臣は記者会見で発言をされておられましたけれども、この不良債権の処理というものがさらに進むという状況の中では、雇用というものについてまた新たな対策というものも考えなければならないのではないか。

 こうした経済の構造改革というものが進んでいく中で大切なことは、その労働の移動というものが避けられないものであったときに、失業なき労働移動というものを実現するための環境というものが整っているかどうか、その一点ではないかというふうに思います。

 今回の雇用対策法等の改正につきましては、在職中からの計画的な再就職援助の実施というものが盛り込まれたわけでございます。従来の雇用対策というものを超えて、新しい雇用対策としてこれはぜひとも早期に成立を図るべきである、私自身そのように考えております。しかしながら、こうした労働移動というものが安易にリストラの方策として使われることがあってはならないということも一方指摘があるわけでございます。

 まず、そうした労働移動ということを考える前に、事業主は労働者の雇用の維持そしてまた確保というものを図るべき責務があるんだ、そのことをまず踏まえた上で、そして経済の状況の変化、経済構造改革というものにのっとって、どうしても事業というものを転換しなければいけない、そしてそれに応じて労働力の移動というものが必要になる、その場合にどうするのか、その順番を間違えてはいけないというふうに思うわけでございます。

 今回、この再就職援助のための計画というものをつくることになりましたけれども、これを逆に事業主が安易に利用して、そして解雇というものを安易に行えるための道具となってしまうのではないか、そのような懸念が指摘をされております。この点につきましての厚生労働省のお考えというものをお聞きしたいと思います。

増田副大臣 いろいろと前から、背景から御心配いただきまして、ありがとうございます。

 雇用の維持は企業が事業活動を行う場合の大前提との考え方を踏まえまして、本法案においては、労働者は、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定が図られるよう配慮されるものと基本的理念を新たに規定したところであります。その上で、事業規模の縮小等に伴い、離職を余儀なくされる労働者が相当数生ずる場合には、事業主に対しまして再就職援助計画を作成することを義務づけ、この計画に基づく在職中からの再就職援助措置を国が支援することとし、さらに、この計画の作成に当たっては、事業主は、労働組合等の意見を聞かなければならないこととしているところであります。

 したがいまして、本法案は、このような仕組みによりまして、事業主による再就職の援助を促進するものであり、事業主の安易な解雇を促進するものではない、このように実は考えております。御指摘の点は踏まえたいと思います。

福島委員 基本的理念の中で明確に、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定を図るということが明示をされておる、これは大変大きな前進であろうというふうに思います。この理念が現実に実現されるように、今後とも、この法案の成立後には、厚生労働省としてもしっかりとその運用に当たって適正を図っていただきたい、そのように思います。

 そしてまた、この再就職援助計画でございますけれども、労働組合の意見を聞くということになっているわけでございますけれども、単に聞きおくということであってはならないということは当然でございまして、労働者の意見というものを十分に反映をさせて、そして実効性のある再就職援助計画というものをつくり、そしてそれの適切な実施というものを図っていかなければならない、私はそのように思っております。

 実効性がなければ、計画を立て、そしてまたいろいろな支援をしたとしても、労働者というものが失業なき労働移動というものを実現できないわけでございまして、この法律の成立後に大切なことは、いかにして実効性のある再就職援助計画というものが立案され、そしてまた実施されるか、その一点にかかっているのではないかと思います。

 厚生労働省として、この再就職の援助というものを実効性のあるものとしていくためには、具体的にどのようなことを考えておられるのか、御説明をいただきたいと思います。

増田副大臣 再就職の援助計画の認定を受けた場合の支援措置でありますが、計画に基づいた、離職予定者に求職活動のための休暇を与える事業主、離職を余儀なくされる労働者を受け入れ、早期定着のための講習会等を実施する事業主等に対しましては、助成金を支給することといたしております。

 また、助成措置とあわせまして、計画を着実に実施し円滑な再就職を実現する観点から、事業主に対する必要な助言指導や離職予定者に対する在職中からの求人情報提供、それから職業相談、紹介、求人開拓等を機動的に行うこととしております。

 こうした措置を通じまして、離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職支援が実効あるものとなるよう努めてまいる所存であります。

福島委員 再就職を余儀なくされる労働者におきましても、個々にさまざまな違いがあるんだろうと思います。一つの組織の中で働いてきて蓄積した経験、そしてまた技能といったものもございます。そういうものをどう活用していくのか。そしてさらには、新しい人生をスタートするというのに当たって、今までの職業と違って実はこういう職業をやってみたかったというようなこともあるかもしれません。そういう個々の労働者の多様性といったようなもの、そういうものを十分反映するような支援というものをぜひ行っていただきたいと私は思っております。

 そしてまた、この法案に定められておりますところの、公共職業安定所長に提出されるところの再就職援助計画、これについて具体的にお聞きをしたいと思います。

 この計画の中には、解雇がやむなきに至った経緯でありますとか、労働組合がどういう意見を述べたのかとか、そしてまた再就職に関する労働者本人の希望状況、これはただいま申し上げたところでございますけれども、そうした個々の詳しい情報を明記する必要があるのではないかというような指摘がございます。どのような内容を計画書に盛り込むかということにつきましては、法案成立後に厚生労働省でさらに検討が進められると思いますけれども、基本的な方向性、そしてまたその内容についての考え方、厚生労働省の御見解をお聞きしたいと思います。

澤田政府参考人 再就職援助計画の記載内容についてのお尋ねでございますが、基本的には、先生御指摘のように、法成立後、関係審議会で議論いただきますが、私どもが現段階で考えておりますことを申し上げます。

 一つは、この再就職援助計画の対象者は離職を余儀なくされた労働者ということになっておりますので、なぜこうした再就職援助計画をつくるに至ったか、経営上の経緯とかいうことをはっきりさせていただく。そして、二つ目に大事なことは、援助計画の対象者となる個人を特定しなきゃなりませんので、氏名をはっきりさせる。これによって、先生が御指摘のように、各人のキャリア、要望に応じた多様な対策が可能になるという条件だと思います。それから、企業として具体的にどういう支援措置を講ずるか、これも当然ながら書いていただくと思います。そして、それについて労働組合等がどういう意見を持っているかということもはっきりさせていただく。この辺は必要不可欠な事項ではなかろうか、こう思っております。

福島委員 以上三点にわたりまして、この再就職援助計画につきましてお尋ねをさせていただきました。

 今国会におきましては、政策評価法というものが提出をされるわけでございます。こうした新しい施策につきましても、政策評価というものをきちっと一定期間の後に行うべきではないかというふうに私は思っております。その支援のあり方によって失業なき労働移動というものが果たしてどの程度実現をしているのかということについて、一定の期間の後に、厚生労働省のもとにおきましても枠組みというものについての点検をぜひしていただきたい、そのように要望をさせていただきます。

 次に、募集、採用時の年齢制限緩和に向けた取り組みの促進ということについてお尋ねをいたしたいと思います。

 二十一世紀の日本の社会というものは、エージフリー社会、エージレス社会、そういう社会に向かっていくべきであろう。一つには、少子高齢化という人口構造が大きく変化をしていくわけでございます。そういう人口構造の大きな変化に対して、それに適応する社会というのがまさにエージレス社会、エージフリー社会でなければならないというふうに私は思っております。一方では、現下の雇用状況において高齢者の再就職というものが大変厳しい状況に置かれている、そういう直近の課題というものもございます。

 その二つの、中長期的な展望と、そしてまた現下の情勢というものを踏まえて、この年齢制限緩和というものについてはさらに努力を重ねていかなければならない、大変大切な課題であるというふうに私どもは認識をいたしております。

 今回の法案におきましては、募集、採用における年齢制限の緩和に向けた努力義務規定というものが盛り込まれたわけでございます。この努力義務規定というものについては、そんなことでは不十分だ、むしろ年齢による差別というものを禁止するように法律で明確に定めるべきだという意見もございます。しかしながら、一方では、日本の雇用慣行における定年制というものがございます。この現行の定年制と年齢差別を禁止するということは、実は概念上矛盾するわけでございまして、そうした現行の定年制のあり方というものを踏まえた上で議論を進めていく必要もあろうかというふうに思っております。

 いずれにしましても、現在のままのあり方で二十一世紀ずっといくという話ではないだろうと私は思います。定年破壊という言葉もございますし、そういう定年制のあり方そのものを根本から見直すという議論もあるわけでございます。現下の高齢者の再就職の厳しい状況というものも踏まえながら、そしてまた中長期的な展望というものも踏まえながら、こうした日本における雇用慣行のあり方というものについて、そしてまたそれを規定するところの法律、これに厚生労働省が先頭に立って議論を展開していっていただきたい。

 現下の取り組み、そしてまた今後の方向性について、厚生労働省の御見解をお聞きしたいと思います。

坂口国務大臣 お答えをさせていただきます前に、参議院の方で本会議がございましたためにおくれて参りまして、お許しをいただきたいと思います。

 今御指摘をいただきましたとおり、今回のこの法律案におきましては、いわゆる求人年齢制限の緩和、努力義務ということにしているわけでございます。何事にも副作用というものがありまして、余り厳しくやりますと、今度はそれに対する副作用みたいなものが出てくるということもあるわけでありまして、この問題も、本当は、努力義務といったようなことで役に立つのかという御意見も正直なところあるわけであります。

 できる限り皆さん方にこれを、こういう法律を出します以上はこのことをお守りいただきたいというふうに思いますが、しかし、今も御指摘をいただきましたように、日本には日本の労働慣行、雇用慣行というものが今まであったわけでありますし、例えば、新規の学卒採用というものが今までずっと続いてまいりました。そうしたものが、年齢制限ということをもう皆取っ払ってしまって、しないということになってしまうと、今までの、新卒者をそのときそのときに、卒業時期に採用していくというような制度は一体どうするのかというような問題も出てまいりますし、あるいはまた、年功を重視いたしました賃金体系でありますとか、あるいは人事の問題でありますとか、そうした問題につきましても、それじゃどうするのかというような問題も起こってくる。この辺のところを調和していかなければならないわけでございます。

 初めにも申しましたとおり、この年齢制限というものを緩和する、年齢制限というものをできる限り言わないようにしていただくということを旨としているわけでありますから、そのことを前面に打ち立てながら、これまでの雇用慣行というものをやはり徐々に徐々にそことの調和を図っていくという行き方以外に、率直なところ、出だしのところはないんだろうというふうに思います。

 これから先の雇用慣行なるものがどう変化をしていくのかということにもよりますが、それに連れて、あるいはまた企業の中での定着度合い等を見まして、これから先またこれをより明確にしていくということもあり得るのだろうというふうに思いますが、現状のところは、よくこの趣旨を御理解いただいて、そして年齢というものと関係なく、企業において取り組みをいただくということを強調する以外にないというふうに考えている次第でございます。

福島委員 今回のこの法改正に盛り込まれました努力義務規定の趣旨というものをよく企業に御理解いただくということが大事だという大臣の御発言でございましたけれども、第十二条には、厚生労働大臣は、募集採用時の年齢制限の緩和に向けた取り組みについて、事業主が適切に対処するための必要な指針を定めるということになっておるわけでございます。この必要な指針にどういった項目を盛り込むのかということが、よく御理解をいただくためには大変大切な視点であろうというふうに私は思いますけれども、この点につきまして、より具体的に厚生労働省から御説明いただきたいと思います。

澤田政府参考人 厚生労働大臣が定めます指針の具体的な中身は、これまた法案が成立した暁には審議会で御検討いただくことになりますが、当面私どもが考えておりますことは二点ほどございます。

 第一点は、事業主が求人を出す場合に、その求人に係ります職務について、その内容がどういうものか、それから、その職務の内容を遂行するためにはどういう能力が要るかということをできるだけ具体的に明らかに書いていただくということを考えております。それによりまして、事業主の方が、当該求人について年齢を付すことが果たして合理的かどうかということをみずから確認する、考えるきっかけになるというふうに私どもは考えております。

 それからもう一点は、年齢制限を付すことが現在の雇用慣行との関係から見てやむを得ないというものを例示する必要があるだろうと思います。それを例示することによって、年齢制限を付すことが合理的であることを例示すれば、それ以外は一般的には年齢制限を付すことは合理的ではないということを事業主の方々が認識し、そういう意識を普及するという効果があろうと思っております。ですから、この辺はぜひ盛り込む必要があろうかと思います。

 あとはまた、関係労使の御意見を聞いて、検討してまいりたいと思います。

福島委員 ぜひ適切な指針を定めていただきたいと思います。

 ただいまの御説明の中で大切な点は、要するにどういう仕事をするのか、こういう仕事をするから年齢というのは関係ないですねと、まさにその職務なんですね。この点については、実は年齢ということだけではなくて、パート労働とも関係してくる話でございます。同一労働であれば同一賃金を払うべきだ、パートという雇用形態であったとしても同じ賃金を払うべきであるという御指摘があるわけでございます。

 パート労働者というものは、近年ますます増大の一途をたどっているわけでございます。そしてまた、その待遇の改善、そしてまた常用雇用者との均衡ある待遇というようなことが求められているわけでございますけれども、この点について厚生労働省として新たにまた検討を進められるようにもお聞きをいたしておりますけれども、パート労働法の改正といったようなものも視野に入れて、現時点でどのように考えておられるのか、厚生労働省のお考えをお聞きしたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘いただきましたように、パート労働の皆さんが非常にふえてまいりまして、既に一千万を超えておりますし、雇用労働者の二割、女性の労働者の四割を占めているわけでございます。一般労働者一〇〇に対して女性パートタイム労働者は六七・三というふうに大変な数字になってまいりました。これは、現在の日本企業が国際化の中に置かれておりますその立場等も反映をしているんだろうというふうに思いますが、こういうふうになってまいりますと、この位置づけ、そしてまた、ここに働く人たちの問題というものをもっと重視していかなければならないことは当然の問題でございます。やはり、もっと魅力のあるものにしていかなければならないというふうに思います。

 パートタイム労働法第三条では、パートタイム労働者と通常の労働者との処遇の均衡を考慮することについて規定をしております。均衡を考慮した雇用管理のあり方というものの技術的な事項についての研究会をつくって、そして昨年四月に報告書をまとめた、こういう経緯があるわけでございます。

 こうした経緯で今日まで参りましたけれども、しかし、これだけで十分かといえば、現在の全体の状況を考えますと、これでもなおかつ、もう少しまたいろいろの検討をしなければならないことも起こってきているといったようなこともございまして、それで、処遇の均衡の問題も含めまして、新たにパート対策のあり方を検討いたしますパートタイム労働研究会というものを早急に開催をしたいというふうに思っております。ここでさまざまな問題を検討していただいて、今までの議論の中で足りなかった部分等を補い、そして先ほども御指摘ありましたように、パート労働で働いていただく皆さん方が一般の皆さん方との間で大きな格差があってはいけないわけでございまして、そこをやはり御期待にこたえられるようにしていかなければならないと思っているところでございます。

福島委員 格差是正という方向に向けて、ぜひ精力的な御検討を進めていただきたい、そのように要望させていただきます。

 今回の法案の中には、地域雇用開発というような地域雇用開発等促進法の改正というものも盛り込まれているわけでございます。雇用状況というものは地域によって大変大きな差がございます。そしてまた、それは地域における産業のあり方というものも異なっているということに対応するわけでございます。失業率四・九%でございますけれども、大阪におきましてはそれを上回るわけでございます。そういう地域の状況というものに応じた雇用対策というものを進めていく必要がある。今回の改正案の中では、その地域に応じてさまざまなタイプの計画というものを立案することができる、そういう形になっているわけでございます。

 その中で大切なことは、都道府県において地域雇用開発の促進に関する計画を策定するに当たって、その地域の声というものがしっかりと反映をされなければならない、私はそのように思います。それは単に行政の中だけで考えるということではなくて、労働者の側の意見というものも十分に反映される必要がある。そういう意味から、地域における政労使協議の場を活用することによって実効性ある雇用対策の計画というものをつくっていかなければならない、そのように思う次第でございます。この点につきまして、厚生労働省の御見解をお聞きしたいと思います。

増田副大臣 地域雇用対策が円滑に効率的に上がるようにというお尋ねだったと思います。

 そこで、効率的かつ効果的に実施されるためには、国は、地方公共団体はもとより、雇用開発の当事者であります労使とも密接に連携をしていく必要があると考えております。

 このため、地域雇用開発等促進法を見直しまして、国が都道府県の策定する計画を同意するに当たっては、労働局に置かれている公労使から成る労働政策に関する審議会の意見を聞くことといたしてまいりたいと思います。同意した地域における措置の実施につきましては、労使から成る会議の御意見を踏まえ、地域雇用開発のための施策を円滑に執行することといたしていきたい、このように考えております。

 これらによりまして、国、地方公共団体、また労使の連携の基盤の強化を図ってまいりたい、そして実効を上げていきたい、このように努力をしてまいりたいと思います。

福島委員 適切なる運用を行っていただきたいと最後に要望させていただきまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、小池百合子君。

小池委員 保守党の小池でございます。今回の、再就職を促進するための雇用対策法改正、幾つかお聞きをさせていただきたいと思います。

 今回、雇用政策の改正ということで、改めてこれまでの変遷を読ませていただいたわけでございますが、まさに戦前そして戦後からの日本の社会の縮図であり、また、その政策の裏側から人間の息遣いが聞こえてくるような、そういったものであるというふうに思います。

 また、これまでの日本の、いわゆる高度成長に向けての神話というものがございました。土地神話しかり、そして安全神話しかり、もう一つが終身雇用によりますある意味での安心神話があったのではないかというふうに思うわけでございます。最近の個人消費の伸びが非常に鈍いということも、この安心神話が崩れて一人一人の生活を非常に防衛的にしているということがその一番の原因にあるのではないかと思うわけでございます。

 ことし、アメリカでは、息子の方ですけれども、ブッシュ大統領が就任されましたが、その前のクリントン大統領の最初の大統領選のときのキャッチフレーズは、チェンジという言葉と、そしてもう一つ、ジョブという言葉でございました。当時のアメリカは、大変な経済の困難をきわめておりましたというか、産業構造の転換の真っただ中。そこから出てくる失業者ということが大きなテーマとなっていた。そこに、ジョブ、まさに仕事ということで、それを訴えたクリントン大統領が変革への思いとともに当選されたんだなというふうに思います。

 翻りまして、今我が国は、日米で失業率の逆転ということも起こっており、まさにかつてアメリカが直面した問題と同じような形を経験しているというふうに認識をいたしております。

 ただ、アメリカと一番大きな違いは、いわゆるローリングストーンといいますか、転職が当たり前である、もしくは転職することがその人のキャリアアップにつながるといった意識を是としてとらえていたアメリカ。そしてまた、それに伴ってのいろいろな社会のセーフティーネットであり、そしてまた自己研さんのシステム等々ができているアメリカと、突然このような状況に陥って、これまでの安心神話の中でまさに安心していた方々が、実はそういう流れはできていたんだけれども、はたと気がついてみると、みずからの陳腐化ということに気がつかれて、この部分が大変な不安材料を呼んでいるということであろうと思っております。

 その意味で、私は、本来は、市場主義経済と申しますか、みずからの自助努力をすることこそが社会を活性化し、また産業構造の変革をみずから先取りしていくといったような方々にむしろインセンティブを与えて、そしてみずからを変えていっていただくというような社会を望んでいるわけでございますが、残念ながら、先ほどから申し上げているように、我が国の安心神話、終身雇用制という安心神話の中でずっと育ってこられた方は、永遠にそれが続くと思われていた。しかし、気がついてみると会社が危ない。そしてまた合併などが繰り返されて、幾つかのポストが重なるからあなたやめてくださいというような話がもう毎日のように起こっている。そこで政府として安全ネットを設けましょうということだと、そのように法改正の趣旨をとらえさせていただいているわけでございます。

 また、技術革新も大変目覚ましいものがございます。技術はドッグイヤーと言われておりまして、一年で七年分ぐらい、もしくは最近はマウスイヤー、ネズミは一年に四十歳年をとるそうでございますが、一年間で四十年分ぐらいの技術革新ではないかということでございます。もっとも、日本の場合は総理とか大臣がドッグイヤーで、大変その辺の革新は速いのかなというふうに思うわけでございます。

 さてそういった中で、私は、先ほど申し上げさせていただきましたけれども、本来であるならば、いろいろと世の中の先を見てみずからをみずからの力で変えていくという人たちにむしろインセンティブを与えてあげるのが、最も健康的な、ヘルシーな考え方ではないかと思うわけでございます。そういった意味で、さまざまな通信教育なども、国が八割面倒を見るというような制度もございますけれども、例えばサラリーマンの場合ですと、給与所得者の場合は税金でも一〇〇%捕捉されているといったような点が、なかなかサラリーマンの必要経費として認められない部分がまだまだ非常に多うございます。

 そういった点で、私はむしろ、職業訓練、みずからを磨く、ブラッシュアップするための費用はこれからの社会に生きていくための必要経費であるというような考え方から、そういった自己研さんを積む人の費用を控除してあげるという制度をもう少し強化した方がいいのではないかと考えるのでございますが、財務省の方から御答弁にお越しいただいております、この点について伺わせていただきたいと思います。

砂田大臣政務官 お答えいたします。

 労働者が職業訓練などを受ける場合の費用については、さまざまな財政措置が講じられているところであります。例えば、雇用保険法上の教育訓練給付は、労働者が職業訓練のために支払った費用の八割が補助されることになっておりますし、また、勤労者が受けるその給付金については非課税とされているところであります。また、勤務に直接必要な費用としての研修費をみずから支出した場合については、その費用を特定支出控除の対象とすることもできることに相なっているところであります。

 そういうことでありますけれども、御質問のように、勤務に直接必要なものではなく、勤労者が自己の能力を高めるために職業訓練などを行った場合に支払った費用まで所得控除することは、所得処分の一形態、家事費的なものやそういうものの費用を所得税の課税ベースから除くことでありまして、稼得された所得に負担を求める所得税の基本にかかわる問題であると考えておるところであります。

 したがいまして、必要経費にかかわる概算的な控除としては、相当手厚く所得税の中でも既に控除をされているというふうに考えているところでございます。御了解いただきたいと思います。

 以上でございます。

小池委員 いずれにいたしましても、後で気がついた方々のいろいろなセーフティーネットを設けるのも国家としての責務であろうと思いますが、まず自助努力をしている人たちに対してのいろいろなバックアップをすべきであるということを申し上げているわけでございます。

 今もこういった数々の制度が既に設けられているとはいうものの、これからまた再就職のことを考えざるを得なくなった方々に国から事業主を通してでも補助をするというよりは、むしろ国家として、税として得べかりしもののことをひっくるめて考えた方が本来の意味の、我が国は社会主義ではないわけでございますから、本来のあり得る姿ではないかということを私は強調しておきたいと思います。

 そういった意味で、今、産業構造の大転換と、金融の面の大々的な構造改革を進めているわけでございますが、そういった中で、ゼネコンもそうでございますが、金融機関の方々、これはむしろ破綻という形であらわれている方々が本当に路頭に迷っておられるという例は多々ございます。銀行、信用組合、それからまた生命保険等が特に多く、破綻し、そしてそれによっていわゆる失職をしておられるという方々がたくさんおられるわけでございますが、例えば、今回の問題、この改正に伴う対象でございますが、遡及するという方法はできないものなのか。これは無理な質問かもしれませんが、これについてのお考えを伺わせていただきます。

増田副大臣 具体的にお尋ねをいただきました。お答えを申し上げていきます。

 遡及することができないかという御結論のようでございましたが、今回新たに設けられました再就職援助計画制度は、事業主がその責務を十分に理解いたしまして、求められる再就職援助計画作成の義務等を適切に果たすことをその効果的な実施に当たっての前提としているものであります。そこで、事業主に対する十分な周知を図ることが不可欠であり、その施行を本年十月一日と予定しているところであります。

 したがって、離職を余儀なくされる者が生じた場合に、離職に先立ち、在職中から計画的な再就職援助を行うとの制度の性格上、施行に当たって、離職後に計画の提出を求めたとしても、さかのぼって再就職援助を行う余地はないものである、こういう理解をしております。ちょっと困難である、こういう理解であります。

 いずれにいたしましても、ミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策などの着実な実施に引き続き取り組むとともに、十三年度予算の円滑な執行により新たな雇用機会創出に全力を挙げて頑張っていきたい、こう思っております。

 遡及はどうだ、残念ながら、というのがお答えであります。

小池委員 法律というのはそういうものであるということを重々承知の上で伺って、私はこの意味では気の毒だという気持ちをあらわしたわけでございますが、今回の改正の中で、在職中からの計画的な再就職援助を行うということになっておりますね。ただ、その内容で、離職を余儀なくされる者を相当数生じさせる事業主に再就職援助計画を策定させて、それを国が支援するというわけでございます。

 先ほどドッグイヤーの話をさせていただきましたけれども、今のこの経済の流れというのは本当に怒濤のようなものがございます。そういった中で、激しい、これは国内のみならず、まさにメガコンペティションというグローバルな競争の真っただ中にいる。そして、その事業がつぶれてしまったらそこで働いている方々も元も子もないわけで、そうすると逆にこれが事業主に過重な負担をさせてしまいやしないか。そしてまた、このことをやるのだったら、えいやで、つぶしちゃえなんということになると話が逆になるわけでございます。そういった懸念を持つのでございますが、いかがでしょうか。

増田副大臣 世界経済一体化の中で激しい競争を前提としながら、よく御理解の上のお尋ねであると思います。

 そこで、産業構造の変化等に伴いまして、離職を余儀なくされる労働者の増加が見込まれる。このような中で、失業を極力抑制して労働者の雇用の安定を確保するためには、事業主が連携し合いながら、いわば労働市場全体を通じて雇用の場が確保されるようにすることが重要である、このように理解をいたしております。

 今回の改正は、こうした考え方に立ちまして、離職を余儀なくされる方々を相当数生じさせる事業主に対し、再就職援助計画の策定と在職中からの計画的な再就職援助の取り組みを求めるものでありまして、雇用保険制度のみに頼ることなく、雇用面でのセーフティーネットを確立する上で不可欠な、必要な枠組みである、このように考えております。

 厚生労働省といたしましては、事業主の方々にこうした趣旨を十分御理解いただけるように努めてまいりたい、そして必要な援助を行うなどにより円滑な施行を図ってまいりたい、このように考えております。

小池委員 また、今回の改正では、地方公共団体と連携した地域の雇用開発を推進するという文言がございます。これは具体的にどういうものなのか。また、これはかつての失業対策事業というようなことを再び繰り返すのか。この辺確認しておきたいと思います。

増田副大臣 御心配をいただきまして恐縮であります。同じ心配を持ちました。

 そこで、具体的には、雇用の担い手は民間部門が中心となることを基本としつつ、国としては、雇用機会が不足をしている地域において、事業所を設置、整備する事業主に対する助成、援助、それから、求職者が一定数以上存在している地域において、地域の事業主団体等への委託による企業合同説明会や職業講習の実施等を行いながら、地方公共団体が行う施策と相まって、地域の活力を雇用の増大に結びつけることを目的としたものであります。

 御質問のように、失業対策事業のように失業者に直接就労の機会を与えるものではない、ここのところがちょっと違いますが、そういう意味で御心配いただいた点をできるだけ排除するように、これから各都道府県、局が全部ありますので、その局を中心に大いに努力をして対応していきたい、このように考えております。

小池委員 それから、失業なき労働移動に対する支援といたしまして、人材移動特別助成金制度の導入を含んでいるわけでございます。

 経済が右上がりでがっと成長している時代であるならばともかく、今のところ構造改革も相まってかなりそのところはスローペースになってきている。低い成長しか望めないという今日、一体それに対しての効果はどれぐらいのものなのか。また、たとえ効果があったとしても、それは一時的ではないのか。また、賃金補助の期間が終わったら再び離職ということになりやしないか。そういう心配に対してはいかがでしょうか。

増田副大臣 お答えを申し上げます。

 まず、先生の心配が絶対ないと断言できているわけではありません。懸念はあります。しかし、現実をとらえて、何しろ現在これで一生懸命取り組んでいく方がよりベターであろうというような、これは私自信の理解もあります。

 そこで、産業経済構造が大きく転換をする中で、増加する労働移動を円滑に進めるためには、失業率の高どまりをどうしても抑制しなければならない。成長分野に労働力をシフトさせることで経済活動の活性化にも資することになります。このような観点から、在職中からの再就職支援を普及させるために、今回新たに労働移動支援助成金を創設することとしたものであります。また、この労働移動支援助成金は、賃金助成ではなく、新たな職場に早期に定着するための講習等の費用について助成するものであります。

 御指摘のような問題が起きないように配慮しつつ、頑張ってまいります。

小池委員 ありがとうございます。

 また、今回の改正で、職業能力開発のために技能検定制度というのがいろいろと集約されるわけでございます。

 この試験でございますけれども、民間機関に委託をするということで、その範囲の拡大なども行われるわけで、それはそれで結構なんでございますが、さて、民間機関といっても、ページをめくれば、またこれが申しわけないけれども官僚の天下り機関になっている場合が往々にしてあるわけでございます。これまた、試験料というのが結構高いんですね。結局、その何とか協会とかいうところに天下った方々のお給料を賄うところから逆算して出ている試験料ではないかとまで思うわけでございます。

 そういった資格そのものは、それはそれで、例えばシニアナレッジマネジメントなんかでも、なかなかホワイトカラーの方々の資格というのはわかるようでわからない場合がございますから、それはそれで結構でございますが、むしろもう少し試験料なるものも安くしてあげたらどうかというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

増田副大臣 現在、技能検定機関というのは百三十三あります。その中で、民間という形になっているのは二つであります。その二つの一つが調理技術技能センターの行う試験、調理の関係です。それからもう一つは、ビルメンテナンスの関係です。

 したがって、この二つが民間なんですが、私もいっとき先生と同じような考え方を持ちまして、ざっくばらんにレクのときに、天下りのところへ勝手に値段を労働省だけで決めてやるのでは困る、どういうことになるかというような議論もしたところでありますが、十分その辺は、時代も変わり、認識も違い、私たちももちろんとらえ方も違いますが、そういう意味で真摯に全体を見回しながら料金は決定していきたい。決して天下りあるいはそういうような意識で行える時代でもないし、意識もないし、またそういう考え方もありませんから、頑張っていきますというような答弁をいただいております。

 したがって、こう言うと恐縮なんですが、この後具体的なものがあったら、しっかり取り上げて取り組んでいこう、このように考えております。

小池委員 一度チェックしてみられたらいいと思います。何とかセンター、何とか協会、大体専務理事あたりに行くケースが多いわけでございますけれども、それでけたたましい退職金などということで、時代は大分変わっていると思いますが、ある意味では官僚の皆さんもその後のことを考えるというのも当然だとは思いますけれども、そちらの方ばかり円滑な再就職ということを進められては逆になってしまうということ、これはいつもチェックをしていかなければならないというふうに思っております。

 がらっと変わりますが、こういった労働行政そして雇用行政、いろいろございますが、やはり人間は生きているわけでございまして、そういった中で、この今回の法律改正に伴ってさまざまな補助が行われる、国の税金が使われることになるわけでございますが、今の産業構造だけでなく、社会構造も変えていくという必要がある。

 これは、今失業の危機にさらされている、リストラの危機にさらされているというところでは全くのんきな話になるかもしれませんが、例えばこれはワークシェアリングということにもつながっていくという意味で、ハッピーマンデーという制度がもう既にスタートしております。一月十五日、成人の日も、ことしは一月の何日でしたか、十三日かしら、というので、三連休にする、土、日、月とまとめるというような考え方でございます。

 アメリカなども、その他の国々も、できるだけお休みはまとめるようにして、休んでもらうということと、それからそれによってむしろ経済が活性化するという、幾つも例があるわけでございます。ジョージ・ワシントンのお誕生日まで日にちを変えて休みにするというようなこともやっているわけで、これも一つ労働の施策につながる、さらには景気対策にもつながるということでございます。

 これまでの二日間に加えまして、七月二十日の海の日、そして九月十五日の敬老の日ということも、この二つをあわせましてまた新たな三連休をつくりたいという考え方で、いわゆる祝日法の改正ということも考えているわけでございますが、こうやってまた二日ハッピーマンデーがふえるということの経済効果、そして労働市場に対してのプラスマイナス、その双方からの面、厚生労働省としてはどうとらえておられるのか伺いたいと思います。

坂口国務大臣 安全神話のお話、なるほどなと思いながら興味深く聞かせていただきました。

 ただいまの休日に関する件でございますが、既に実施された部分もございますし、そこはかなりの効果が出ているという報告もあるわけでございますし、私は大変結構なお話ではないかというふうに思っております。

 ただ、今誕生日まで変えている国もあるくらいでございますから、少々のことは辛抱してやらなければいけないというふうに思いますが、休日日にはそれなりの歴史的背景もあることはあるものですから、皆さん方に合意をしていただかなければならないことは、私はその手順だけは踏まなければならないというふうに思っておりますが、大変それは結構なことだというふうに思っております。

小池委員 ちなみに、私どもの方でその経済効果を計算いたしましたところ、約七千億から一兆円の経済効果があるというふうに見込んでいるところでございます。

 つまり、税金を、いろいろな意味で補助でお金を使いさえすれば世の中よくなるというのではなくて、これは知恵なんですね。祝日法の部分をちょっと変えるだけでこれだけの効果が出てくるというのが最もベストな方法ではないかというふうに思いますし、冒頭に私は申し上げましたように、やはり自分で努力している人たちが報われるということがまずないと、だめなときは国がやりますよ、これもある種の国家としての責務ではございますけれども、それがあるからいいさというふうになってしまいますと、自助努力ということを忘れてしまうわけでございます。そういった意味で、税制の観点からこの雇用政策というものも見直していく必要があるのではないか。

 もっと言いますれば、日本の場合はお給料からのいろいろな天引きがございますけれども、一人一人が確定申告で個人納税に変えていくというようなことになってまいりますと、もう少し自分自身の税に対するタックスペイヤーとしての意識も深まるわけでございますし、ましてや税の使われ方ということにより敏感になる。これで税務署員が何千人もまた要るじゃないか、ある意味でそれは新しい雇用市場の創出になるのかもしれませんが、そういった観点からの雇用政策をぜひともお進めいただきたいと思っております。

 そしてまた、この後、確定拠出年金、法案がずっと先送りされてまいりました。このいわゆる四〇一kの年金でございますけれども、これは選択制でございまして、特に、新しい産業が起こる場合にこの四〇一kのシステムを取り入れる企業が多いと聞いております。

 そういった意味で、新しい企業をつくる、それはすなわち新しい雇用の場をつくるということでございますから、こういった再就職の支援をすると同時に、新しい産業を育てる、そしてそのために必要な社会のシステムは何であるのかというような、まさにシステマチックな方向で、雇用のセーフティーネット、安全ネット、そしてインセンティブをつけていく。この方向が欠かせないものということを主張いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、北橋健治君。

北橋委員 民主党ネクストキャビネットで経済産業相を担当しております北橋健治です。

 この法案の主要な論点につきましては、午後の質疑におきまして私ども民主党の専門議員の方から鋭意質問させていただくところでございますが、キャビネットにおきましても、私ども、これから大変な雇用不安、経済構造改革あるいは財政構造改革というあらしというものに直面をしていく。その過程におきまして、今ですら大変に雇用情勢が悪い中で、さらに今後新たな雇用不安を惹起していく可能性が大きい。その中にあって、政府におかれましても、失業なき円滑な労働移動を目指して、これまでるる政策あるいは予算というものを執行されてきたわけでございますが、雇用という面から見て本当にこれから日本の産業構造が円滑に転換をしていくであろうか。そういう観点から、私は以下質問をさせていただこうと思っております。

 その前提として、不良債権の抜本処理について今後政府がどう取り組むのかというのは、今後の雇用問題を考える上において大変重要でございます。不良債権が一番多いとよく言われる建設業におきましても、六百数十万人の雇用があるわけでございまして、抜本処理という、言うはやすくでありますが、そこにはすぐに大変な、大きな痛みを伴うわけであります。私ども民主党から政府のこれまでの金融政策を見ておりますと、不良債権の抜本処理というのは先送りにされてきたのではないか。

 そういった意味で、日米首脳会談において改めてブッシュ大統領やアメリカ政府からもこの問題を指摘されて、日本だけの問題ではなく、世界の経済金融情勢の中にありましても、これ以上の先送りは許されない、そういう趣旨で私は発言があったものと理解をするわけでございます。

 そこで、まず厚生労働大臣に、今回の日米首脳会談を受けまして、政府としてもこれから不良債権の抜本処理に鋭意取り組まれると思いますが、雇用問題を所管される大臣として今回どのように受けとめておられるか、まず御所見を承ることから始めさせていただきたいと思います。

坂口国務大臣 早速大きなテーマをお受けしましたけれども、現在日本の経済が抱えております問題を考えましたときに、不良債権を処理していくということは当然やらなければならないことではあるというふうに思っております。

 ただ、私の個人的な見解を言わせていただきますと、若干私は思いを異にいたしておりまして、この不良債権というのは現在の経済状況の結果として生じた一つの症状である。したがいまして、ここを解決したら現在の景気がよくなるかといえば、それはそうではないと思っております。したがいまして、この状況を改善していかなければならないという政府としての方針に私も従っておりますけれども、これを解決すればそれですべてが済むという話ではないのだろうというふうに思っております。

 若干余談になって申しわけございませんが、私、医療に携わっておりますときに非常に熱の高い患者さんを持ちまして、それで、私はすぐにちゅうちょすることなく解熱剤を投与いたしましたら、回診のときに部長から大変なおしかりを受けまして、なぜおまえは解熱剤を出したか、多少熱が上がっても人は死ぬことはない、この熱の原因がいかなるものであるかというのは熱のタイプを見ることによって決定される、したがって、それをおまえはわからなくしているではないかという指摘を受けて、厳しくやられたことはいまだに忘れることができません。

 この不良債権の問題を解決しますときに、ただ不良債権をなくしさえすればいいという考え方にはいささかじくじたるものがございまして、やはりこれを解決するということは、その原因になっておりますところと同時に考えて、ここが余りにも高くなり過ぎてはぐあいが悪いというところで解決をしていくということでなければならない、そんなふうに私は思っている次第でございます。

北橋委員 あるお医者さんの言葉をかりますと、今の状況は、ポリープが発見されて、これを放置しておくと悪性の腫瘍になる、したがって早く処理をしなければ体全体がだめになってしまう、そういうお話をされたお医者さんもいますが、大臣の所見を承りました。

 そこで、金融担当副大臣にお伺いをいたしますが、報道によりますと、ブッシュ大統領は、苦い薬は早く飲めば早くよくなると言われたそうであります。これは私どもの理解するところによれば、これから、日本のみならず、アメリカを含めた世界経済にとって、日本の不良債権の抜本処理をこれ以上先送りすることは許されない、こういう趣旨で発言したと思いますが、そのように理解してよろしゅうございますか。

村井副大臣 お答え申し上げます。

 三月十九日の総理とブッシュ大統領との首脳会談でございますが、この共同宣言の中で、森総理は、引き続き適切な経済政策を遂行するとともに、企業債務及び不良債権の問題に効果的に対処することを含め、日本経済の再生及び金融システムの強化のための構造改革及び規制改革を精力的に促進する決意を改めて述べたということでございます。

 私どもといたしましては、そのコンテクストの中で、私どもの任務といたします金融機関における不良債権の処理と、企業のサイドにおける過剰債務の処理を、一体的に処理していくことが大切であるという認識でございまして、今委員御指摘の、いわゆる伝聞としてといいましょうか、報道として言われていることの真意というのは那辺にあるか、そのあたりは、私どもとしてはこのような公表文書等によって判断をするしかないわけでございますけれども、特段、私どもは、日本のいわゆる不良債権問題あるいは過剰債務問題、これが世界にとってどうというような状況ではない、そのように考えております。

北橋委員 今の村井副大臣のお話を聞いておりますと、我々と大分受けとめが違うようでございまして、今回、日銀当局が、金融緩和なり事実上のゼロ金利への復帰なり、デフレに陥ってきたということで新たな手法を出したわけでありますが、やはり根底にあるのは、不良債権の処理をおくらせてきている、先延ばししてきた、確かに雇用問題もあり得るし非常につらい、政治的にも痛みを伴う問題ではありますが、この問題をやらなければだめだという、それを改めてアメリカに指摘をされて、日本側としても抜本処理を急ぐための環境整備をお約束されたのではないでしょうか。

村井副大臣 日本、アメリカ、合わせまして世界のGNPの四〇%を占める、そういう巨大な経済でございますから、もちろん相互の関係というものは大切にしてまいらなければなりませんが、私どもいわゆる日本の金融システムの再構築のためにいろいろな努力をいたしてまいりましたけれども、残念ながら、不良債権と申しましょうか、あるいはリスク管理債権と申しましょうか、いまだに規模が大きい。これを何とかして実質的に処理をしてまいりませんと、金融機関の行動というものがどうしても消極的になる。そして、必要なニューマネーも供給できないというようなことである。

 あるいは、金融機関の体力がなかなか伴っていかない。いわゆる業務純益というものを、これだけの低金利で、また預金者の方々にも大変犠牲を払っていただきながら、なかなか銀行が思うように積極的にリスクをとっていかない。こういうことではいけないので、その足かせとなっております不良債権を何とかバランスシートから外していきたい。そして、それによって、例えば中小企業で新しい仕事をどんどん積極的にやろうというところへも金が流れる、そういうような体質に持っていきたい。

 それが、私ども、柳澤大臣初め、不良債権のオフバランス化というのを積極的に考えた一番の動機でございます。

北橋委員 既に報道によりましては、政府側も、この年度末以内に具体的に不良債権の処理を加速させるための最終処理を加速させる、不良債権をバランスシートから外す、そういう方向で強力にアクセルを踏み出す、そのための諸準備をされている、このように報道されているわけでございまして、これからその議論に入る前に、不良債権の問題を先送りされるのか、どこまで真剣に取り組むのかがはっきり見えなければ、これまた雇用問題にも、議論の仕方が大分変わってくると思うんですね。

 一応お話は承りましたが、今月中に出されるんですね、具体的な考え方を。そして、例えば九月の中間決算期までにここまでやるとか、そこまではまだ方針固まっていないんですか。随分議論されてきています。長いこと不良債権の問題は議論されてきたはずです。まだ固まっていないんでしょうか。

村井副大臣 先ほどもちょっと申し上げましたし、また委員十分御案内のとおり、金融機関における不良債権というのは、一方、企業における過剰債務、そういう裏表の関係でございます。それぞれにまた個別具体的な事情があるわけでございまして、さような意味で、私どもとしましては特に今、先ほど委員御指摘のように、国土交通省所管の業種でございますとか、あるいは経済産業省所管の業種でございますとかというぐあいに実態がございますので、その辺ともよく調整しながら、現実に動くような、ワーカブルな仕組みというものを考えていかなければいけない、こんなふうに思っておりまして、年度末を目標にいろいろ詰めをしておりますけれども、現実にある程度のフレームワークというものを私どもが提示できるのは、恐らく四月に入ってからではなかろうかと思っております。

 いずれにいたしましても、そこから先できるだけ早い時期に、金融システムを強固なものにしていくタイムリミットというものもまた御案内のとおりのことでセットされているわけでございますから、それに間に合うように進めていく決意でございます。

北橋委員 財務金融委員会におきまして、この問題については重大課題でございますので、専門議員の方から改めて議論をさせていただきますが、基本的には、もうこれ以上先送りすることは絶対に許されない、政治のリーダーシップが今ほど問われているときはないということで、柳澤さんを先頭にしっかりとその案をつくっていただいて、必ずこの抜本処理の問題に決着をつけていただきたいと思います。

 御退室していただいて結構でございます。

 厚生労働省とこれから議論させていただきますが、まだ本格的なスキームはでき上がっていないようであります。しかし、この不良債権の抜本処理は進めなくてはならないし、アメリカとの会談を踏まえましてそれなりにやられるだろうと思います。そうなってくると、当然、現下のボーダーレスのメガコンペティションと言われている厳しい国際競争の中で、いろいろな業種に過剰雇用感が出てきて、あるいは輸入の激増等によって繊維だとかそういったところにも失業者が出ております。そういったものに加えて、新たな雇用という問題が発生してまいります。

 過剰債務の御三家とよく言われますけれども、不動産、建設、流通であります。そして、債務償還必要年数のデータを見ましてもなかなか改善が見られないという問題があります。そこで、この抜本処理を進めていく過程におきまして新たな離職者の発生ということも懸念されているわけでありますが、そういったものを想定した、予測値といいますか、そういうものを持っているでしょうか。

澤田政府参考人 御指摘の分野につきましては、今後それぞれの業種でどれぐらい不良債権処理が行われるか、またその方法がどういう方法によるのか、現時点ではわかりかねる状況になっております。したがいまして、量的にどの程度失業者が発生するかを推計することは、今のところ困難な状況にございます。

北橋委員 いずれにしましても、この抜本処理という問題は必ず達成をせねばいけない緊要の課題でありますから、建設でも六百数十万人の人が雇用されているわけでありまして、もういろいろな学識経験者やあるいは評論家の間でも、何十万人かあるいは百万人かわかりませんが、かなりの量の雇用の新たな吸収先を見つけておかないと、大変な社会不安、社会問題になると思うんですね。

 そういった意味で、早急に、この過剰債務を抱えている三業種を中心に今後どのように推移するとまず推計を立てて、単に失業給付期間を延長するだけでは私は絶対にうまくいかないと思うんですね。今の世の中が非常に暗い、物が売れないというのは、先々に対する不安がこびりついているからで、老後の不安に加えて自分の職場がどうなるのかわからない、自分の子供が卒業後本当にうまく就職できるのかわからない、未来に対する不安というものがすべてを凍らせている。それが日本経済の再生の足を引っ張っていると思うわけであります。

 そういった意味では、こういった過剰債務を抱えている業種について、間違いなく新たな雇用という問題が生じてくるわけですから、速やかにその作業に着手していただきたいんですが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 日本経済の再生を行いますためには不良債権の処理を含めましたさまざまな対策が必要であることは、先生が御指摘になりましたことは私も十分に理解できるところでございます。

 不良債権の処理をいたしますのも、当面と申しますか短期的に見ましたときには、それによって大きな雇用の喪失と申しますか失業が増大することはあるけれども、しかし、それを行うことによって中長期的な展望で見れば新しい経済の展望が開けて、そこにまた新しい雇用も生まれてくるであろう、こういうことなんだろうというふうに思います。

 しかし、我々の立場からすれば、それはたとえ短期的であったといたしましても、失業者が増加をするということに対しましては対策を立てなければならない立場にあるわけでございますし、ましてや、中長期的なことを考えましたときに、それが行われて日本の経済がどうなるのかということの一つのスケジュールというものを示してもらわなければ、それを示すことなしにただ単に不良債権の処理ということだけをやられたのでは、これは私たちとしてはぐあいが悪いというふうに思っているわけであります。

 したがいまして、私たちも今、短期的に、もし仮にそうしたことで失業率が高くなってまいりましたときにそこを一体どうするかというので、先日来、連合の鷲尾会長やあるいはまた日経連の奥田会長にもお越しをいただいて、御一緒にいろいろのお話をしていただいたり、あるいはまた、これから先雇用がさらに拡大をしていくであろうと思われる分野の皆さん方にもお集まりをいただいて、そして、どこをもう一つ押せばここがさらに拡大をするのか、その業界の皆さん方から見れば、どこをどう改めればさらにふえるというふうに思われるのかといったような話し合いも、実は今ずっと続けているところでございます。

 奥田会長からは、短期的でいいから、とにかく短期対策としての何らかの方策を立ててはどうかという御注文をいただきましたし、それから鷲尾会長からは、とにかく厚生労働省になったのだから、足元の厚生労働省の中で新しい雇用をどうつくり出していくかをまず示すことができないかといったような御提言もいただいたところでございます。

 我々、そうした御提言もいろいろいただきながら、そうした雇用創出に向けましていろいろと今知恵を絞っているところでございますが、経済政策の方も、もしそういう経済政策を断行されるということであるならば、大体これをやれば将来こういうふうな方向に向かうであろうということを、やはり一つの全体としての方向性も示しておやりをいただかないと、ただ単に不良債権だけ処理をえいやでやってしまうぞというだけでは政策にならないと私たちは考えているところでございます。

北橋委員 今のお話を聞いておりますと、私どもは、テレビ、新聞、マスメディアを通じていろいろなところで国民は情報を入手しているわけで、アメリカとの話し合いもあったし、いよいよこれから政府は不良債権の問題に取り組むであろう、そうなると、建設を初めとしていろいろなところに雇用問題が出てくるだろう、どうなるのだろうかという心配がいっぱいあるわけですね。そういった国民の不安に対して具体的に今の大臣の答弁では皆さん納得されない。私は、ますます消費者の立場としても心理は萎縮して、経済にも悪影響だろうという感じがしてなりません。

 そこで、観点を変えて、厚生労働省の対応を一つ伺っておきたいことがあるのですが、建設を初めとするこれからの構造改革によっての問題に加えまして、今現在、そしてこれまでも、近年非常に私ども心を痛めざるを得ないのは、高校、大学を卒業して、これから青雲の志を抱いて社会人に飛び立とうというその若者たちにとって余りにも残酷な超氷河期の就職戦線が続いていることでございます。

 私の手元には平成十三年二月一日現在の資料がございますが、大学生でも依然として六万五千人は未内定者。短大でも三万四千人。高校につきましては、職業紹介状況というところから統計を出しまして、未内定者は四万二千八百五十五人。中学新卒者は五千二百四十四人という数字であります。大変な数字ですよね。

 しかも、私はこれを見て驚いたのですが、厚生労働省の全国ネットワークを使えばきちんとした数字は出るはずだと私は思うのですけれども、文部科学省との共同によるサンプル調査です。サンプル数は六千人弱です。これで全体のことを推計しているのです。私は、この推計の仕方もそうなのですけれども、次の世代を担っていく若者たちの、あるいは教師や保護者の皆さん方を含めて大変みんなが苦しんで心配をしている問題について、統計のとり方としては冷た過ぎるのではないか、こう思うのですけれども、それはそれとして、どうされるのですか、新卒者の問題について。

 大臣は、今後の雇用対策についても一つの哲学といいますか目標をお話しいただきました。我々は、来月や来年の話を期待していません。あすどうなるかという問題まで国民生活は追い詰められているわけでありまして、この新卒者、推定という情けない話ですよ。苦労している人たちに対してきちっと数字が把握できていない、それでも十万人。十数万人かもしれない。この人たちをどうするんですか、放置するんですか。

 具体的な手を、どのようにして改革されるつもりか、方針を示していただきたいと思います。

坂口国務大臣 やはり経済全体の問題を立て直していかなければこの雇用の問題が解決をしないことは、当然でございます。

 ただ、私は今省内でも言っておりますのは、現在までの雇用政策というのは、ややもいたしますと、景気が悪くなる、全体が、経済が悪くなった後の後片づけをする雇用対策であった、しかしそれであってはならないので、雇用を生み出すような雇用対策、より積極的な雇用対策に転換をしていかなければならない、そのためにはどうしたらいいか、新しい行き方を目指していかねばならないと主張し、具体的なことにつきましても話し合いをしているところでございます。

 しかし、こうした状況の中でことし卒業される皆さん方は大変な状況であろう、私もそう思っているわけでございまして、先日来私も各経済界の皆さん方に対しまして、ことし卒業される皆さん方を一人でも多くひとつ採用をしていただきたいというので、行脚しているところでございます。ただしかし、そういうことを幾らやりましても、この経済状況の中でことし卒業されるすべての皆さん方を引き受けをすることはなかなか困難な状況にあることもよく承知をいたしております。

 そこで、その皆さん方に対してどうするのか、ことし全部行けないということになれば、その皆さん方に対してどうするのか。そうした問題も含めて今やっているわけでございますが、一つは、やはり現在の皆さん方に対しましては、ミスマッチの問題も学生の皆さん方のところにもあるわけであります。

 現在、新規の求人というのは、若干スピードは落ちてはまいりましたけれども、まだまだ多いわけでございまして、この新規求人は決して減っておりません。しかし、そうした新規求人に対してなかなか、学生の皆さん方の間のミスマッチもあるといったようなことがあるものでございますから、できるだけ多くの学生の皆さん方、ことし卒業される皆さん方と、そしてそういう企業との間の面接会といったようなことをより多く、今までは大阪とか東京とかあるいは名古屋とかといったような特別な地域で行っておりましたけれども、そういう場所をふやしまして、極力お話し合いが成立をするようにということに努めている。

 しかし、それだけではいけませんので、本格的に、卒業される皆さんといえども新しい現在の経済の動きの中でそれにふさわしい能力を持ち合わせておみえにならない場合もあるわけでありますから、職業能力につきましても本格的に勉強をしていただく機会をつくっていく。そうしたことで対応する以外にはないわけでありまして、我々としては最善を尽くしてやっていると考えております。

北橋委員 もしこれが深刻な事態だと御認識であるならば、政府は、ちょこちょこっとサンプル調査をして推計値ではじかずに、全国のネットワークを駆使して、まず実態をきちっと調査していただいて、なぜそれなりの有効求人倍率が若い人にありながらこのミスマッチが起きているのか、百数十万人にもフリーターがふえてきている、若者は一たん就職してもなかなか定着をしない傾向もある。そういった意味では、つけ焼き刃的な手法ではなくて、きちっとした調査をした上でやはり根本的な問題をやらなければ、毎年のように十数万人の人たちが就職できないまま社会に投げ出される、これほど我が国の健全な発展にとってゆゆしき問題はない、その意味での危機感が欠如していると私は言わざるを得ません。

 今までお話を聞いてきた中で、これから抜本処理となれば当然いろいろな問題で雇用の問題が起きる、それに対してもこれからいろいろな関係者と集まって議論をするということで、そこには、これから半年以内でも起こるであろういろいろな問題に対する危機感というものが基本的に政府には欠けているのではないか、私はそう言わざるを得ません。

 そこで、時間もないのですけれども、一つだけ私は思うのですが、これから将来に向けてどういう業種で構造転換に伴って失業を出さないように吸収していくかについて、政府もいろいろと、経済産業省も、労働省時代からも議論をされてきたと思いますが、手元には平成九年に閣議決定されたものがあります。現状と二〇一〇年の雇用規模の予測です。これによりますと、例えば、医療・福祉関連分野というのは三百四十八万人から四百八十万人へと伸びるだろうということで、一つの全体の姿というものは示しておりますけれども、平成九年であります。

 この間、九八年の金融国会におきまして、八兆円の公的資本注入を決めた。そして、税金をつぎ込みながらも、金融機関というのは不良債権を抱えたまま、今日まで改革らしい改革を見るものなく今日に至っている。そして、一体国民にとって何だったのか。見せかけの二年間の安定を銀行に与えさせたのではなかったのか。そういう思いの中で、大変な変化があったわけです。これからも重大な変化が訪れると思います。

 そういった意味では、速やかに政府の総力を結集して、これは平成九年に一回閣議決定でやっておりますけれども、十年先ののんびりした話ではなくて、超短期においてどうするかという問題。そして、五年後、十年後という形で速やかにその姿を示して、政府が強力なリーダーシップを発揮して関係各界の理解と合意を取りつけていくという作業に速やかに取りかかるべきだと思うんですが、大臣の御決意がございましたら聞かせていただきたいと思います。

坂口国務大臣 我々も決意を新たにして、そして、新しい雇用をどう開拓していくか、新しい雇用をどう創造するかということを一生懸命今取り組んでいるところでございます。

 それから、データのとり方のお話がございましたけれども、全部調べることができれば、それはそれにこしたことはないんだろうというふうに思いますが、しかし、統計的な処理がきちっとしておればそれで全体像というのは把握が十分にできるものだというふうに私は思っておりますし、委員もこれはよくおわかりのことだというふうに思います。

 そこで、我々といたしましては、医療だとか介護だとか、そうした福祉の面において大きな雇用をつくることができるよというふれ込みもあって今日まで来たわけでございますが、確かに介護の面におきましてはある程度の雇用ができつつありますし、これからもふえていくであろうというふうに思います。しかし、これ以上ここをふやしていこうとすれば、一体どうすればいいのかという問題は一つの壁に突き当たっていることも事実でございます。

 医療の分野でさらにふやしていこうとすれば、そうでなくても医療の分野でこれだけの財政的な負担があるわけでございますから、財政負担との関係をどうするかという問題を処理することなしに雇用の問題を考えることもできないのも事実でございます。

 そうした他の問題とあわせて我々はやっていかなければならないわけでございまして、そうしたところを一つ一つ丁寧に掘り起こしながら、多くの皆さん方におこたえをしていきたいと思っているところでございます。

北橋委員 時間が参りましたのでこれでもう終わらねばなりませんが、いずれにしましても、これから不良債権処理に伴いまして雇用不安というのは改めて重大な社会問題に浮上してまいります。そのときに国民が期待するのは厚生労働省の行政でございます。

 きょうは松田経済産業副大臣にもお越しいただきながら、時間がなくなりまして大変恐縮でございますけれども、ぜひ関係官庁の間に、直ちに、短期と中長期的な新たな業種への転換、どういうふうにしたらその業種がふえていくか、そういったことについて取りかかっていただいて、国民に一定の安心感といいますか、道筋を示されるように、その作業を強く要請いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

鈴木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。加藤公一君。

加藤(公)委員 民主党の加藤公一でございます。

 まず、せんだっての委員会、KSDの集中審議をさせていただきましたが、その折に、調査結果については三月の十五日というふうに、副大臣の御希望に沿わずに、がちがちとたがをはめさせていただきましたが、大臣、副大臣の大変な御尽力で公表していただきました。十四日に発表していただいたと記憶しておりますが、この点に関しましてはまず敬意を表したいと思います。残念ながら、まだ事件全体は明らかになっていないところもあるかと思いますので、これはまた関係各方面でさらに捜査、調査が進んで、再発防止につなげていただきたいというふうに願っているところでございます。

 また、せんだって、本会議の方でこの雇用対策法に関しまして代表の質疑をさせていただきましたが、その折には、森総理、そして坂口厚生労働大臣から、大所高所から哲学に関する部分についても御答弁をいただいておりますので、まだまだ若干代表質疑だけでは足りない部分もございましたので、その辺の補足も含めて、きょうは日本の将来ビジョン、そして雇用のシステムのあり方、こういったところについて意見交換、議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず最初に、今回の改正案の中の私は中心的な、大変大きな意味のある部分だと思っておりますが、年齢差別の禁止の条項について伺いたいというふうに思っております。

 本会議で森総理に御質問を申し上げまして、これは旧来型の日本の雇用システムを維持していくのか、それとも年齢差別を禁止してエージフリーの社会を目指すのか、これは両方とるというわけにはいかない問題でありますので、いずれの道を進むおつもりかという御質問を申し上げましたところ、少子高齢化が進展する中、将来にわたって経済社会の活力を維持していくために、年齢にかかわりなく、すべての人がその意欲と能力に応じて働くことのできる社会を築いていく必要があるという、私の予想からしますと随分と踏み込んで御答弁をいただけたかなというふうに思っております。

 この問題は公労使で議論もしていただいておりますし、それぞれのお立場でそれぞれのお考えのあるところだと思います。大変意見の割れるところだと思いますし、個人個人の価値観にも関係する部分だと思いますので、あえてきょうはこの議論の前に私がどう思っているかということだけ先に、これは本会議場でもお話ししましたけれども、お伝えをしてから議論をさせていただきたいんですが、私自身は、これはあくまでも個人の意見でありますけれども、年齢であっても、これは性別や国籍と同じように、その個人の力ではどうすることもできない部分でありますので、これは差別の禁止をしていくというのが当然であろうと思いますし、幾つになっても意欲と能力があれば働ける社会というのをやはり理想としたい。私自身は、エージフリーに向かって進むべきだということを考えていい。これは政治家になる前からの持論でございますので、最初にこの点を申し上げた上で少しお話を伺いたいと思います。

 森総理の先ほど申し上げた御答弁の方向に進むとなりますと、当然、この年齢差別禁止を進めるということになれば、例えば定年制の問題、あるいは新卒の一括採用をどうするのかという問題、あるいは雇用保険の仕組みや年金制度との関連をどうするかという問題、大変多くの周辺の課題と関係をしてまいります。

 ただ、総理大臣がそちらに進めるんだということを言っていただいているわけですから、これは具体的に、では、どれくらいの時間的なスパンで、それぞれの課題についてはどんな手当てをしつつ進めていくか、どんなステップを踏んで年齢差別禁止を進めていくか、その段取り、お考えについて大臣にまずお伺いをしたいと思います。

坂口国務大臣 雇用に対する年齢制限というものをなくしていこうということにつきましては、今御指摘をいただきましたように、それは、方向性としては一つの大きな方向性として私も認めるところでございますが、しかし、その方向に行こうというふうに思いますと、今までの雇用慣行といったものをどうしていくかということがまた問題になるということでございます。しかし、これからの高齢化社会を考えましたときに、その大きな方向性、ベクトルの方向としては、それはもう揺るぎないものであるというふうに思っているわけでございます。

 その方向に行きますために、段階的に、それじゃ今までの雇用慣行というものとどう調和をしていくかということになってくるわけでございます。ここのところは、これからのさまざまな経済の動向等も絡んでくるというふうに思いますし、これからの手順をどのように進めていくかということにも絡んでくるというふうに思いますが、少なくても、私は、この方向で、数年ないし十年ぐらいの期間をかけて、今までの雇用慣行というものを徐々にやはり改善をしていくということにならざるを得ないのではないかというふうに思います。

 ただ、しかしその中で、例えば新規採用などのような場合に、これは学生等の問題もございますしいたしますから、そうした新しく卒業される皆さん方の問題まで、そこを変えていくことが適当かどうかというような問題は、これから大きな議論になるだろうというふうに思いますし、私もそこまではなかなかいきにくいんではないかというふうに思いますが、今までのいわゆる年功序列型終身雇用、そうした雇用のあり方も変化を遂げてくるであろうというふうに思いますし、働き方も非常に多様化をしてくるというふうに思いますから、それらの点も考慮に入れながら、やはり幅広く、そして選択肢の多い形に徐々に変革をなし遂げていくというのが適当ではないかというふうに思っている次第でございます。

加藤(公)委員 私も、先ほどエージフリーの社会を目指すのが持論だということは申し上げましたけれども、何もきょう、あすでそれが実現できるとは到底思っておりませんし、そんなことをしたら日本がめちゃくちゃになってしまうというふうにはわかっているつもりです。

 ただ、今回の募集、採用における年齢差別禁止で、しかも努力義務だ。確かに、大きな一歩目だとは思うんですが、これだけで、これが一歩進んだから、後しばらくほうっておくということになりますと、何年たっても変わらないということにもなりかねませんので、せっかく一歩目を踏み出すのであれば、大体どれぐらいの時間的なスパンを見通すかということはやはり考えておいた方がいいのかなというふうに思っております。

 今大臣が数年から十年ぐらいというふうにちょうどおっしゃっていましたけれども、十年もたちますと、五年後ぐらいからですか労働力人口は減り始めますし、日本の総人口もあと六年ほどでたしか減り始めるんじゃないかと思います。それが減少に転じるというのは大変大きな日本の社会の転機になると思いますので、ぜひ、その数年から十年というニュアンスを次なる政策に生かしていただきたいなと。

 まず第一歩を踏み出したからそのままということではなく、総理のおっしゃるように、エージフリーに少しでも近づけていく、それがこれまでと違って日本の社会にとって非常に合理的なんだということであれば、ぜひ、引き続きこの点については進めていただくように御努力をお願いしたいというふうに思います。

 あわせて、今回の年齢差別禁止の条項については、先ほども質問に出ていたようでありますけれども、指針を定めるということが書いてございますが、この中身によって、実はいかようにも運用が変わってしまうという部分がありますので、この点、大臣からもぜひ、どういった指針の中身になるのかということを御説明いただきたいと思います。

増田副大臣 指針では、募集また採用について事業主が講ずべき措置として、求人に係る職務の内容及びそれを遂行するために必要となる労働者の能力をでき得る限り明確に示すことなどがうたわれております。また、二番目として、雇用慣行との調和を考慮し、年齢制限を付することが合理的と認められる場合の例示として、基幹労働力としての長期技能形成を視野に新規学卒者等を採用する場合や、定年年齢との関係から、雇用しても職務に必要な技能形成が図られない場合などを示すこと、こうなっております。もちろん、公労使三者構成の審議会の意見をお聞きした上で定める予定であります。

 年齢制限を付すことが合理的な場合等については、雇用慣行等を含め社会経済の現状を踏まえまして示され、または変更されるべき性質のものであることから、法律に根拠を置く指針として定めることが適当であると考えているところであります。

 指針策定後も、年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた国民的な機運の醸成を図ることとしております。また、御発言にもございましたが、こうした点を含め、社会経済情勢の変化を踏まえまして、必要に応じて見直しを行うことを考えていきたいと思います。

加藤(公)委員 今、わかりやすく言うと、新卒とそれから定年直前の方については除外をしてもいいですよということが指針の中で書かれるということだったんですが、これは、先ほど最初に御質問した件とあわせて、今の段階では至極当然だろうと思いますので、私もそれ以上何も申し上げるつもりはないんです。

 ただ一方で、今回、公務員の採用に関しては適用除外をするという項目がございまして、これとの整合性をこれから幾つか御質問したいと思うんです。

 まず、この前、本会議の質問の折に、総理の御答弁の中で、公務員の採用も、民間における取り扱いと同様とすることを基本とするというお話をまずいただいて、その後に、公務員の中途採用については、今現在、年齢差別は既にないですよ、こういうお話でありました。しかし、私の知る限り、公務員の方の中途採用というのが果たして採用の主力にあるのかというと、どうも疑問を持たざるを得ないというふうに思っておりまして、公務員の方、中途採用でその職につかれる方がどれぐらいいらっしゃるのか、ちょっとまずこの実態を伺いたいと思います。

藤原政府参考人 公務員の選考採用の数につきますお尋ねでございますけれども、平成十一年度におきます行政職俸給表(一)の中で採用された方が、選考採用といたしましては二千六百五十人おります。そのうちで、いわゆる特地公と申しますけれども、人事交流によります方が二千三百七十六人、その他の方が二百七十四人ということになっております。

加藤(公)委員 今のお話どおり二百七十四ということですと、公務員の方全体からすると恐らく三、四%ですか、五%までいかないぐらいの数じゃないかと思いますので、そこだけ、年齢差別は今までもしていませんよと言われましても、ちょっとそれは、なかなか民間の皆さんに御説明がつかないのかなと思います。

 それにまた、今の二百七十数名の方というのは、大変特殊な能力を持っていらっしゃる。例えば公認会計士の方であるとか原子力の保安検査とか、そういう特殊な技能を要するお仕事につかれる方を採用されているのじゃないかと思いますので、一般の職員の方に対してということでいいますと、ほとんど中途採用自体が現実には稼働していないといいますか実施されていないに等しいのではないかというふうに思います。

 その意味では、一方の新卒扱いという形で採用されていらっしゃる部分で、三十二歳が上限というふうになっていると思うのですが、これは実態として、新卒と言えるのかどうかという問題もありますし、また新卒じゃないんだとすれば今度は明らかに年齢制限を残すということにもなるんじゃないかと思うのですが、この点、大臣、御認識いかがでございますか。

藤原政府参考人 公務員の受験資格、受験上限年齢についてのお尋ねでございますけれども、上限につきましては、最も一般的な採用試験でございます1種、2種、3種という試験がございますが、これを例にとりますと、大学卒業程度の試験であります1種試験につきましては、四月一日で三十三歳未満、2種試験につきましては、同じく二十九歳未満、高校卒業程度の試験であります3種試験の行政区分につきましては、同じく二十一歳未満となっておるところでございます。

 1種試験及び2種試験につきましては、修士課程や博士課程の新規修了者を含めました新規学卒者を中心とした層から人材を確保するために、上限年齢を設定しております。1種試験につきましては行政職の三級相当、2種試験につきましては二級相当という官職に採用するためのものでありますことから、両者に差をつけておるものでございます。他方、3種試験につきましては、この試験が本来想定しております高校卒の方が合格し採用されやすいようにするために、大学卒の方が受験できないようというふうな措置を講じていることによるものでございます。

 これは、採用試験が各省庁の係員を採用するために行うものでございまして、長期雇用を前提として新規学卒者を採用し組織内で育成していくという我が国の雇用慣行に沿うものとして合理的なものと考えておる次第でございます。

加藤(公)委員 民間では、大学院を出られたとしても、三十二歳の方を新卒とはやはり呼ばないですね、これは明らかに。第二新卒とも呼ばない。三十二歳であれば完全な中途採用で、未経験者採用ということに、最近で言えば、ポテンシャル採用とか言われていますが、そういうことになるんだと思うのですね。

 その制度が全くそのまま残っていて、適用除外ですよという一文があって、それで今回の法案では民間には年齢差別しないように努力をしなさい、公務員は別ですよというと、努力しろと言われた方の立場からすれば、それは幾ら何でもちょっと違うんじゃないの、先に公務員の方から率先垂範でやってよという声が出てくるのが、私は感情からすれば当然だと思うのですが、その点、御認識いかがでございましょうか。

藤原政府参考人 採用試験の受験年齢制限につきましては、今回の改正後の雇用対策法に基づきます指針や民間の動向をも考慮しつつ、適切な対応を図ってまいる所存でございます。

加藤(公)委員 いろいろほかにも伺いたいことがあるのでここばかりはしませんが、適切にやっていただくということは、民間と同じように努力をしていただけるというふうに理解をしてよろしいということだと私は思います。

 後がありますので先に進めますが、ぜひこれは、努力をしろと言われた方の立場を考えていただかないといけないわけですから。私自身は、最初に申し上げたとおりエージフリーを目指すのがいいと思ってはおりますけれども、そうはいっても、これまで合理的な仕組みであったものを大きく変えようということでありますから、民間の、一生懸命この不景気の中を頑張っていらっしゃる経営者の方の気持ちもぜひ御配慮をいただきたいし、筋も通していただきたいなと思うところであります。

 では、続いて、もう一つの大きなテーマになるのですが、障害者の雇用促進の件についてお話を伺いたいと思います。

 今回の法改正で、障害者の雇用促進に関する規定というのが雇用対策法から削除をされております。この件については、障害者の雇用促進法に吸収をされている、内容がそちらに移っているからそれでいいではないかということでこれまで御説明をいただいておったのですが、しかし、雇用対策法自体がそもそも障害者雇用促進法よりも後に成立した法律でありますので、この段階でこの一文を削るというのはどうも腑に落ちないところがございまして、この点、改めていま一度御説明をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 雇用対策法におきます障害者雇用の規定につきましては、昭和四十一年当時の身体障害者雇用促進法に規定しております障害者雇用対策の体系をもとに規定されたものでございます。その後、昭和五十一年に義務としての障害者雇用率制度に改められたわけでございますが、あわせて、障害者雇用納付金制度もそのときに創設になった。現在の障害者雇用対策の体系は、それらのことも中心にしまして、障害者雇用率制度の厳正な運用とそれから納付金制度の運用、さらに公共職業安定所における職業紹介あるいは職場定着指導、それから障害者に対する専門的な職業リハビリテーションの実施、こうしたことが現在の障害者の雇用対策の中には含まれているわけでございます。

 それで、今御指摘になりますように、障害者雇用対策法ができて、その後で雇用対策法ができたこともそのとおりなんですが、雇用対策法の中にも含まれていたわけでございますけれども、障害者の問題がどんどんと重要視をされて、そして障害者の雇用対策法として充実をしてきたということでありまして、雇用対策法の中に含まれております障害者の分よりも、もうその本体と申しますか、障害者対策法の方がどんどんと充実をしてきているという形になりまして、何となく屋上屋を重ね、しかもその雇用対策の中身の方が何となく見劣りをするような感じにもなってきたというようなことでございまして、見劣りするというとちょっと言葉は悪うございますけれども、先行する障害者雇用対策法の方が中が充実をしている、こういうことになったものでございますから、今回、障害者の問題はそちらの方に全部譲るとして、雇用対策法の方からは除去したということになったわけでございます。

 ただ、あるいは障害者の問題を軽視するのではないかという御懸念があって御質問をいただいているのかもしれませんし、私たちは、ここははっきりとさせておかなければならないというふうに思うのですが、障害者雇用の問題は、今回の雇用対策法案の中に含まれております年齢の問題と同時に、あるいはそれ以上に障害者の雇用対策というのは非常に大事な問題でございまして、ここは一歩たりとも後ろに引かないという強い決意でいかなければならないというふうに思っております。障害の有無、性別、そして今回これに義務規定とはいえ年齢の問題を加えさせていただいたわけでありまして、これらの理由によって雇用というものに差をつけてはならないということを厳しくこれからしていくわけでありまして、やはりその先頭に立つのは障害者の問題であるというふうに自覚をしているところでございます。

加藤(公)委員 大臣に大変積極的な御答弁をいただきまして、障害者の雇用に対してより力強く施策を出していただけるということは、お気持ちもよくわかりましたし、御意思もはっきりしたんです。

 ただ、不安なのは、先ほど申し上げましたように、障害者の雇用促進法が先にできて、その後、雇用対策法ができました。その後、障害者の雇用促進法が昭和五十一年に大きく改正をされてほぼ現行どおりの法律になった。それ以降、雇用対策法が全く改正なく今日まで来たのであれば、事務手続の合理性ということもあって今回というのもわからなくはないんですが、この間、昭和六十一年、平成九年、十年と、三回も雇用対策法自身が実は改正をされております。かつ、それが、今回の十九条のところ自身が実は変更、改正をされてきているわけですね。

 そうしますと、昭和五十一年に障害者雇用促進法がほぼ現行どおりに変わった後に、三回も今回削られる条文自体を変更しているにもかかわらず、なぜ今このタイミングでこの一文を削除しなければいけないのかというのを考えますと、これはやはりどうしても懐疑的にならざるを得ないわけです。大臣のお気持ちと御意思はよくわかるんですが、しかし、法治国家でありますから、法律が変われば後々ほかの大臣がつかれたときに思わぬ方向に行かないとも限りませんから、ここはしっかりと御説明をいただきたいと思いますし、また御答弁もいただきたいと思います。

澤田政府参考人 障害者雇用対策に対します厚生労働省、政府の取り組みは、大臣から御答弁申し上げたとおりであります。

 私の方からは事務的にちょっと御説明させていただきますと、雇用対策法は確かに、昭和五十一年、障害者雇用促進法を大幅に改正した後も数次の雇対法改正はあります。そこは、既に昭和四十一年当時からあった雇対法上の障害者雇用対策に関する規定を障対法の拡充に合わせてそろえたということでありまして、表現はおしかりを受けるかもしれませんが、雇対法上の障害者に関する規定は、いわば障害者雇用促進法上の規定の目次的機能を果たしているという形に非常に限定されているわけであります。

 目次的機能を雇対法で書いてきたわけですが、障対法の対策が充実されましたので、では目次を全部そこへ書くとなると膨大な条文をまた起こさなければならないということで、そういう目次的機能は、もう実定法たる障害者雇用促進法がしっかりできておりますので、そちらの方にすべてを整理するということで今回事務的にやったまででございまして、政策的な重要性は高まりこそすれ、いささかも後退することはないと思っております。

加藤(公)委員 大臣にも同じ件を伺いたいんですが、今の局長の御説明でよろしいんでしょうか、ちょっと確認をさせてください。

坂口国務大臣 事務的にはそういうことであったんだろうというふうに思います。そういう整理の仕方をするということになりますと、今先生が御心配になりますようなことをやはり排除していかないといけないということになるわけでありますから、余計に障害者の問題というのはこれからきちっと、多くの皆さん方にそういう疑念が持たれないような施策を積み重ねていかなければならない、そんなふうに思っております。

加藤(公)委員 事務的には確かにおっしゃることはわからなくはないんですが、この雇対法の十九条を削除すると、私のつたない知識で整理をしてみますと、国として法定雇用率を達成させなければいけないという義務がどこにも法律上なくなってしまうんじゃないかというふうに思います。障害者の雇用促進法に書いてある法定雇用率については、事業主にそれを達成しなさいということは規定をしてあるわけですが、国はそれに必要な施策を講じろということは入っていないというふうに思いますので、私はそこが非常に不安に思っているところでありまして、だからこそ幾度もお話を伺っているわけであります。

 せんだっての衆議院の本会議でも強力に施策を推進するという総理の御答弁はいただいてはおりますが、しかし、やはりこれは、実際に自立をしようとしてもなかなかそれがかなわないという方が現実にいらっしゃる問題でありまして、何年かたって少しずつよくなればいいという問題ではありませんので、ここはぜひいま一度その意思について大臣に御確認をさせていただきたいと思います。

坂口国務大臣 私は、法体系上は問題ないというふうに思っておりますが、もし専門家が見て法体系上これはやはり問題があるとおっしゃるのであるならば、障害者雇用対策法の方を見直さなければならないというふうに思いますし、私はその心配はないというふうに思っている次第でございます。

加藤(公)委員 今の大臣の御答弁、大変前向きで、まずは感謝申し上げたいと思います。まだまだ私も勉強不足なところはありますけれども、もし実際に不備があるようであれば、障害者の雇用促進法もしくは雇対法の方をいま一度見直していただけるというのは大変前向きな御答弁だと思いますので、敬意を表したいと思います。

 実際に私の調べたところですと、障害者の方で職業について自立をしたいという方の大体四人に一人ぐらいはまだ職につけていらっしゃらないというふうに聞いております。失業率とは違うカウントになりますので、もちろん一概に比較はできないわけですけれども、ただ、自分の持てる能力を発揮して仕事をしたい、自立をしたいという方がそれがかなわないというのは大変に厳しい状況だと思いますので、この点は本当に、しつこくなりますが、総理の答弁にありましたように、ぜひ今後も強力に施策を推進していただきたいというふうに思います。

 それに関連して、障害者の件については最後になりますけれども、法定雇用率についてです。

 これは本会議でもお話し申し上げましたが、一・八%の法定雇用率を民間企業の約半分が未達成だ、それから二・一%の法定雇用率、これは特殊法人が大体二〇%ぐらいが未達成だという現状があります。確かに、職業リハビリテーションを初め、もろもろの施策をしていただいてきたのはわかるんですが、しかし現状がこのデータでございますので、ほうっておけばこれ以上改善される見通しはないわけであります。

 特に、今のように大変経済状況が厳しい中、そして雇用情勢がどんどん厳しくなっている中、どうしても障害者の方にしわ寄せが行きかねないわけですから、この数値をぜひとも大幅に改善をする方向で御検討いただきたいと思うんですが、今後具体的にどんな取り組みをしていただけるか、御意思を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 景気が非常にいいようなときでもなかなか障害者の問題というのは難しかったわけでございますが、現在のように非常に景気が低迷をいたしておりますとさらになかなか難しいというようなことも起こっているわけでございます。しかし、こういう状況の中でも、かなり多くの障害者の皆さん方、しかもかなり重度の障害者の皆さん方をお雇いいただいている企業もあるわけでございますから、そこは意識改革をしていただかないといけないんだろうというふうに思っています。

 ですから、ただ上から押しつけるだけでもいけませんけれども、企業の方が、そういう障害者を多く雇っているような企業は前向きな企業であり、そして将来を向いた、非常に将来性のある企業だという評価をみんながしていけるような雰囲気というものもやはりつくっていかないといけないんだというふうに思います。できる限り多くの障害者をお雇いいただきました企業等に対します、お名前をどこかに発表しますとかそうしたこともやりながら、これからそのパーセントをもっと積極的に上げていかなければならないというふうに思っています。

 企業の中でも、障害者の皆さん方をある部分同じ場所に集めてと申しますか、集中的にお仕事をしていただくような場所をつくっておみえになるところもあるわけでございまして、そうしたことも一つの方法かもしれないという気もするわけでございます。先日も、東京都の中のそうした凸版会社でございますか、私も拝見をしたわけでございますが、そうした、一部分に集めて車いすに乗ってお仕事をなさるような皆さん方を同じようにお雇いになっているようなやり方というのも、これから検討の一つにはなってくるのではないかという気もいたします。

 もう少しさまざまなやり方を検討しまして、皆さん方の御期待におこたえをしなければならないというふうに思っております。

加藤(公)委員 今の、障害者の方に同じところで働いていただくという考え方、確かに一つの考え方としてあると思いますし、私も否定するものではないのですけれども、逆の見方からしますと、一カ所に押し込めてしまって、また社会と隔絶するのではないかみたいな不安も当然出てきますので、そこだけ御留意をいただいて、ぜひ進めていただきたいなと思います。

 私も民間企業におりましたが、その関連の企業では、例えば車いすの方ですと、万が一の災害のときに非常階段で避難することができない。当然、非常階段のところがローラーの坂にしなければいけないわけですけれども、例えばそういう方がワンフロアにいらっしゃるとか、そのフロアからの避難経路はそうした工夫がしてあるとか、こういうことは十分にあると思いますし、あるいはドアを前後のドアじゃなくて引き戸にするとか、そうした工夫で十分に、幾らでもまだまだ対応できるところがあると思います。

 これは、せんだって予算委員会の分科会のときにも総務大臣にお話を申し上げたのですが、やはり一番社会に参加をしたい、より自立をしたいという意識の強い方々でありますから、せんだっての予算委員会のときには参政権の問題をお話し申し上げましたけれども、職につくというのも個人個人にとっては大変大きな自立のキーポイントだと言ってもいいと思いますので、この点は、そういう意欲と能力のある方がまだまだたくさんいらっしゃって、残念ながら職につけていないという現状があるわけですから、総理の答弁、そしてこれまでの大臣の答弁のとおり、さまざまな施策を強力に進めていただきたいというふうに思います。

 企業名の公表などもおもしろいアイデアかと思いますので、御検討いただきたいと思います。

 では続きまして、地域雇用開発等促進法の件についてお話を伺いたいと思います。

 まず、今回この法改正で、地域分けを新たに四分類に変えたということでございます。これまでは四というのでしょうか、五というのでしょうか、分類されていたものが新たに変更されたわけでありますが、これまでの分類に何が問題があって、どういった趣旨で今回この地域指定を変えたのかというところ、まず趣旨から御説明をいただきたいと思います。

増田副大臣 現行の地域は、雇用機会を創出する観点から、地域を雇用機会の不足の度合いや状況に応じて類型化したものであり、お話にございましたように、雇用機会増大促進地域等の五つに実は地域区分がしてありました。今度これを、二つを一般施策で行い、残る三つに新たに一つを創設して四つ、こういう形になってまいります。

 最近の地域の実情を見ますと、雇用機会を創出するといった観点に加え、ミスマッチを解消するという観点も不可欠となったことから、現行の地域類型を整理するとともに、新たにミスマッチが発生している要因に応じた類型を追加することとし、職業安定機関と地方公共団体が連携して各種施策を講ずる求職活動援助地域等四つの地域区分に再編することとしております。

 これによりまして、地域の実情に応じた雇用開発を推進することが可能になる、このように考えて進めております。

加藤(公)委員 新たなこの四つの地域分類なんですけれども、基本的には、これまでとは若干変わって時代の流れといいましょうか、新たなものが一つ入っているのですが、この件は、ちょっと後でまた細かくその趣旨は伺いたいと思います。

 ただ、総じて言いますと、これまでの制度ですとこの雇用機会増大促進地域というのを政令で指定して都道府県が独自に計画を策定するという段取りだったかと思うのですが、今回改正されますと、計画の作成において大臣との協議あるいは厚生労働大臣の同意というのが求められることになると思うのですが、どんどん地方分権を進めようと言っている折に、かえってその流れに逆行することはないのだろうかという不安がどうしてもここで出てまいりますが、この点、いかがお考えになりますでしょうか。かえって国の縛りが強くなるんじゃないかという不安があるということ、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 確かに、見方によりましては、そういう見方もできないことはないような気がいたします。しかし、地域指定というものを今まで行いまして、これは今まで国がやっていたわけですね、地域指定を。そして、そこにいろいろな計画をつくる。計画の策定は県がやっていた。こういう分け方になっていたわけでありますが、今回はその地域指定そのものを県がやる。ですから、そこに着目していただければ、これは地方分権の立場を尊重しておるということになるわけであります。

 ただ、この地域の指定、地域の選び方を県にお願いするんだけれども、そこは補助金との関係もあって、したがって国の方にもちょっと相談をしてくださいよ、そうでないと出せませんからというので、国の方にも相談をしてください、そして了解をとってくださいということが入ってきた。その了解をしてくださいというところ、そこに光を当ててみますと、何となく逆じゃないかという意見になってくる。ここは若干見方によって違うような気がいたします。

 しかし、もとは、今まで国が決めていた地域指定そのものを県の方にゆだねる、ゆだねたときにそこには補助金がつきまといますから、どうぞ御相談をしてくださいよという謙虚な気持ちでいえば、それはそのとおりではないかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。

加藤(公)委員 おっしゃるとおり、見方によってという話なんで、何も私がすべて性悪説に立つわけでは決してないのですけれども、その悪い部分が出ないように運用していただかなければいかぬなというふうに思っているわけです。

 地方分権の流れに逆行するおそれが一部あるということは、本当に悪くとればそれを悪用できないわけじゃありませんので、ぜひそうならないように運用していただきたいということでお願いをしておきたいと思います。

 それぞれの地域についてちょっと細かいところまでお話を伺いたいのですが、まず、能力開発就職促進地域というのが一つございますが、この中に就職促進対象職業というのを定めるということになっておりますが、これは一体どうやって、どういう基準で判断をされるのかというところを伺いたいと思います。

    〔委員長退席、棚橋委員長代理着席〕

増田副大臣 お尋ねの就職促進対象職業は、賃金等の労働条件や就業環境に照らして、当該地域内に居住する求職者が就業することを促進するにふさわしいと認められるものの、必要となる職業能力を有する求職者が実際には少ないために充足しがたい職業を指すものでありまして、例えば情報処理技術者などのように専門、技術的職業等がこれに該当するというふうに判断しています。

 当該判断基準については、今後審議会の場にて十分御審議をいただくことになりますが、職業別の求人求職状況や賃金水準などの指標により判断することになると考えられます。

 なお、何が就職促進対象職業になるかについては、都道府県が、計画の作成に当たって、地域の実情を踏まえつつ、判断基準に沿って都道府県ごとに設定することになっております。厚生大臣が恣意的に設定することはない、こういうふうな運びをとることになっております。

加藤(公)委員 今のお話ですと、都道府県ごとに就職促進対象職業というのを決めるというお話だったかと思うのですが、しかし、その能力開発就職促進地域というのは、都道府県単位じゃなくてもう少し細かいところで指定をされるんじゃないかと思うのですけれども、都道府県ごとにその職業を定めるということに合理性があるんでしょうか。私が今御質問していることが勘違いしていればそれで御指摘をいただきたいのですが、いかがでございましょう。

澤田政府参考人 事務的な御説明をさせていただきます。

 就職促進対象職業につきましては、今副大臣から申し上げましたように、いろいろな職業のうち、求人求職の状況、例えば求人倍率がどうであるかとか、賃金水準がどうであるかとか、そういう無機質な指標を国の方で判断基準としてお示しします。そうした無機質の指標を都道府県の方でにらんで、この無機質な基準に該当する職業として我が地域内ではどういうものがあるかということを御判断いただいて、そして都道府県としては、能力開発就職促進地域というのはそうした職業がかなり集積しているこの地域にしようとエリアを限定していただく、こういう形になりますので、全県べたで指定するわけではなくて、都道府県としては特定の地域を判断基準に照らして自主的に区画を確定するということになります。

加藤(公)委員 では、済みません、ちょっと確認をさせていただきますが、都道府県ごとにその職業を複数例えば指定をしておいて、その都道府県の中で、ある地域はこの職業についての地域、ある地域はこの職業についての地域、こういうことでよろしいのでしょうか。ちょっと確認をさせてください。

澤田政府参考人 まず、その能力開発就職促進地域の指定基準というのは幾つかインデックスがございます。そのうちの一つが就職促進対象職業がかなりあるということになりますので、就職促進対象職業だけをもってこの能力開発就職促進地域を幾つか都道府県で選ぶということは問題が出てくると思います。

加藤(公)委員 なかなか複雑な仕組みで、簡単にああそうですかというふうにもちょっと、わからないなという気持ちもあるのですが、今回は、委員会は明後日もまた開いていただけるようでありますので、私は、自分自身に宿題を課して、少し勉強してきたいというふうに思います。

 次に、求職活動援助地域というのがございますが、これは求人に関する情報が適切に提供されていないということでその地域を指定するということになっていますが、この求人に関する情報が適切に提供されていないというのが一体どういう状態を指すのか、御説明をいただきたいと思います。

増田副大臣 それでは申し上げます。

 求人に関する情報が適切に提供されていない状況とはどうだ、例えば事業所が求職者に期待する知識や経験、そしてまた具体的な職場環境、そして具体的な仕事の内容等に関する詳細な情報が求職者に十分提供されていないため、就職に至るまでに多くの時間や労力を要する状況を想定してこういうふうになったわけであります。

 そこで、具体的な基準については今後審議会の場で御審議をいただくことになりますが、地域における求人求職状況、あるいは就職状況等を示す指標により判断することと考えております。

 私は、自分自身で、啓蒙啓発をもっと徹底的にやる地域だな、こういう理解を実は持ちながら、今御説明に当たっているところであります。

加藤(公)委員 これも先ほどのと同じで、非常にわかりにくいですね。物すごくわかりにくくて、多分、これは聞いていらっしゃる方が理解をできるんだろうか。もうちょっと言うと、国民の皆さんがこういうことでこういう地域に指定されましたと言われたときに、果たして、ああなるほど、これは助かったと思えるのかというところに大いに実は疑問を感じます。

 私も、企業におりますときには人事部にもおりましたし、採用もいたしておりましたし、人材関連の事業にしか携わったことはございませんが、簡単に、ああなるほど、これはいい制度だというふうになかなか腑に落ちないわけでありまして、ちょっとこれは不安を感じるところであります。

 求人に関する情報が適切に提供されていないというのが、例えばある地域に職安がうまく機能していないということなのか、それとも民間の職業紹介事業者がないということなのか、あるいは一般の求人広告の数がそこは非常に少ないということなのか、何かわかりやすい実態がないと、これは法律だけつくっても意味がないわけでありますから、そのわかりやすい何か御説明をいただけないものでしょうか。

坂口国務大臣 済みません、詳しいことはまた局長から引き続き答弁してもらいますが、実は私も、これを見ましたときになかなか理解できなくていろいろ聞いたわけでございますが、初めの方の能力開発就職促進地域というのは、これは能力ミスマッチがある地域を指定するときがここに当たるわけですね。それで、この下の方の求職活動援助地域というのは、情報のミスマッチがあるところを指定するということなんですね。その大枠の中で考えていただくということで、私もその中で考えている、こういうことでございます。

澤田政府参考人 先生御指摘のように大変わかりにくい地域概念で、私どもなかなか申しわけない面があるのですが、法律的な構成でいろいろこういうことになりまして、基本的なことを申し上げますと、大臣からお話ししましたように、雇用機会増大促進地域は、雇用機会がそもそもかなりの程度不足しているという地域なわけですね。今回の求職活動だとか能力ミスマッチの地域は、雇用機会はそこそこある、ただしミスマッチ現象があってなかなか実際の雇用に結びつかないというところであります。

 そこで、情報ミスマッチというのが求職活動援助地域であります。そこを申しますと、先生いみじくも御指摘のように、安定所があるじゃないかという議論がありますが、その地域のマクロの状況として、安定所だけではなくて、求人広告だとかあるいは職業紹介民間企業とか、そういうものトータルとしての労働力の需給調整をするような情報提供機能が弱いところだということを基本的に私どもは考えております。

加藤(公)委員 最初からそう言っていただくとわかりやすくて、要するに労働力の需給調整機能が、それは職安であろうが、あるいは民間であろうが、求人広告であろうが、それがうまく機能していないもしくは少ない地域だというふうに言っていただいた方がわかりやすいというふうには思いますが、引き続きこれは私も勉強させていただきたいと思います。

 もう一つなんですが、先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、助成金がすべてこの地域指定には絡んでくるわけでありますが、一方で助成金自体を整理しようという動きは、私が申し上げるまでもなく動いているわけでありまして、今回のこの地域指定に係る助成金も、助成金の見直しの方の議論では、一本化しようというような話が出ていたと思うんですね。

 そういたしますと、ここで一生懸命わかりにくい言葉を駆使して四つの地域指定を分けても、助成金が最終的に一本になってしまうと、この地域分類は果たして意味があるんだろうかなという疑問にぶち当たるんですが、そもそもこの地域指定を何かもう少し簡略化して一つに統一をするということができないのだろうか、近い将来の助成金の見直しに合わせて先手を打つということができないのだろうかと思うんですが、大臣、いかがでございますか。

坂口国務大臣 ここもなかなか複雑でございまして、先ほど地域を四つに割ったわけでございますが、四つに割ったところは、それぞれいわゆる能力的なミスマッチがありましたり、情報のミスマッチがありましたり、もともと雇用がなかったりとか、いろいろあるわけであります。そういたしますと、それに相応したと申しますか、対応したと申しますか、やはりものが必要になってくるといったことで、一本化をしてしまうということになりますと、なかなかそこにはうまくいかない面も出てまいりますので、地域を四つに分けたということは、それに補助金を出したりいたしますときに、それに即したものがやはり必要になってきて、いわゆる幾つかの選択ができるような体制というのがやはり必要なのではないかというのが厚生労働省の考え方でございます。

 ここもいろいろの考え方が私もあるんだろうと思うんですが、ここはやはり選択制をつくっておいた方が皆さん方にお使いをしていただきやすいのではないかという考え方に立っているわけでございます。

加藤(公)委員 お考えはわかりましたけれども、先ほど来の御説明のとおり、非常に理解するのがややこしい、地域が四つにも割れているというと、果たして本当に使い勝手がいいのかなという疑問はありますので、これもまた少し私自身も研究をさせていただきたい。機会がありましたら、また議論をさせていただきたいと思います。

 時間の関係もございますので、次の質問に移ります。

 今回、この産業構造の大きな変化に合わせて、よりミスマッチが拡大をしてしまうのじゃないかということで、能力開発とかあるいは能力の適正な評価というのが大きな課題になっております。これも本会議での御答弁の中にもありましたが、これまでビジネスキャリア制度というのが行われてきまして、ただ、これは実績を見ますと、今までその認定を受けた方が約三万人ぐらいということなんですが、大体ホワイトカラー職種についていらっしゃる方が約三千万人というふうにしますと、三万人ではまだ〇・一%ということでありますから、これが果たして本当に役割を果たしているのか、機能を果たしているんだろうかというふうに思いますと、疑問を持たざるを得ないところなんです。

 これについては、私は個人的にはどうも最終的にこのビジネスキャリア制度が今の雇用システムの中で役に立っていないのじゃないかというふうに思えてならないのですが、大臣はいかがお考えか、いま一度お伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 前々から技能を持った人に対しましては技能認定試験等がございまして、それを評価する道があったわけでございますが、ホワイトカラーの皆さん、事務系の皆さん方につきましては、この皆さん方にはそれぞれ能力をお持ちの皆さん方があるわけですが、それを評価する道というのがなかなかなかったわけでございます。

 事務系という、言葉は悪いですけれども、十把一からげで論じるところがございまして、非常に、その中でさまざまな分野での能力を身につけておみえになるんだけれども、それが評価されていなかった。したがいまして、技術系の皆さん方の評価と同じように、事務系の皆さん方が今まで長い間身につけておみえになりましたものを何とか評価する方法はないだろうか。営業ならば営業として長くおやりになった、それは貴重な経験の積み重ねでありまして、一つの能力だと思いますし、あるいは経理なら経理部門で大変な卓越した能力をお持ちの方もお見えでございますし、あるいは人事管理なら人事管理のようなところで、人事管理ならあの人に任せというような人が企業の中でもお見えになる。そうした皆さん方に対する配慮というようなところから、この問題は発生したというふうに思っております。

 そして、このホワイトカラーの皆さん方を評価する制度をつくり上げてきたわけでございますけれども、今御指摘のように、合計しても三万人ぐらいで、余り広がりというのがない、これではつくった値打ちがないではないかという御指摘は私もそのとおりお受けしなければならないというふうに思います。

 ここを評価します以上は、そのことが就職をしますときにいろいろ生かされる、こういう能力を持って、こういう評価をされているということが、社会全体で評価をされるようになっていなければならないと思うんですね。そこのところの努力が少し足りないというふうに私は思っておりまして、その辺をもう少し整理し、そして皆さん方に評価をしていただけるようになれば、この制度も充実をしていくのではないか、今はそんなふうに思っております。

加藤(公)委員 今大臣は、まだまだこれを使っていただくように努力をしなきゃいけないというお話だったのですが、確かに広報を進めるとか啓発活動を進めることで、このビジネスキャリア制度の、いろいろなユニットはありますが、そのうちの一部は機能するかもしれないというふうには思うんですが、私はもっと根本的なところにこの制度は問題があるというふうに思っています。

 実は、これはパンフレットをいただきまして拝見したのですけれども、例えば「営業・マーケティング」という分野がありまして、その中に「営業概要」というのが初級レベルのユニットとして入っているのですね。これで講座を受けて、例えば認定試験を受けられる、それで資格を取られた。では、その方が企業に入って営業職として活躍できるかというと、私は全くそうは思えないのですね。これはあくまでも知識であって、一部教養にもなるのかもしれませんが、そういった部分にはもちろん役に立ちますから、それはないよりはいいと思います。

 しかし、例えば営業職のように企業ではもしかしたら一番多いのじゃないかと思う職種で、筆記試験でその資格を認定しようとしても、これはなかなか難しいと思うわけです。特に、これはインターネットなんかで情報が手に入るものですから、私も少し探してみましたら、どんな認定試験をされているかという見本がございましたので、それをちょっと拝見したのです。

 例えば「営業・マーケティング」分野の中級ユニットに「営業管理・営業体制」というところがあるのですけれども、「年間売上高を予測する手法に関する次の記述のうち、正しいものを選びなさい。」こういう問題なんですね。このテストができたからといって、これは間違ってもトップセールスマンにはなれませんね。間違ってもないです。これが百点満点とれても、企業は絶対に採用しないんですよ。

 私もずっと長いこと採用担当をしておりましたのでわかりますが、企業はそれは売れる営業マンが欲しいんですね、営業職を募集するときには。これは当然なんです。そうすると、この試験、私、上級持っていますと言われても、全く参考にしませんね。それよりは、三十分、一時間直接面接をさせていただいて、その方の意欲がどうか、コミュニケーション能力がどうか、こういうことを判断した方がよほど正確にその方の、人物の能力を評価することができる、そう思うわけです。

 そうすると、根本的にこのビジネスキャリア制度というのが、このユニットの中の一部は、先ほども申し上げましたけれども、機能するところはあるかもしれませんが、ホワイトカラー全体に広げるということになりますと、非常にこれは先行きも暗いものになってしまうんじゃないかと思うわけです。

 別に、制度があって使われませんでした、それだけですで済むのなら私何も申し上げないんですけれども、伺ったところによりますと、来年度でもこのビジネスキャリア制度に九億八千万円ぐらい予算がついているというふうに伺っていますが、大体合格者の方が今までの経過からいいますと八千人、九千人ということになりますので、認定試験合格者一人出すのに十万円かかるということになるわけですね。一人十万円かけて認定をして、その方が、受かった、よかった、何とか採用してもらおうということで、その資格を持って企業訪問しても全く相手にされないということになりますと、これはやはり幾ら九億八千万円であってもむだだと思いますし、その分ほかに、もっと有効に活用できるんじゃないかと思うんです。

 その意味では、このビジネスキャリア制度自体、根本からこれは少し見直さないといけないんじゃないかと思うんですが、大臣のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

坂口国務大臣 初めの考え方は僕もよかったと思うんですが、そこはだんだんと、やっておりますうちに、やはり机上のプランになってしまったところがあるんではないか。

 私も、非常に細かな、私なんかの目ではもう見えないような細かな、幾つかに分かれました内容を見まして、こんなにたくさん分かれなきゃならないのかなという気もいたしますし、それから、その内容につきましても、もう少し現場で役に立つような試験制度であり、現場でこの資格を持っているのなら大丈夫だというふうに言っていただけるようなものにしないと、それは御指摘のとおり意味がない、国費のむだ遣いになるというふうに言われてもやむを得ないと思いますから、そこは少し現場の皆さん方のお声も入れながら考え方をまとめていかないといけないんではないかというふうに、今お聞きをしながら、きょうまた私も勉強しましたところでそう思っている次第でございます。

 至急にひとつ検討いたしまして、お役に立てるようなものになるのかどうか、なるのならしますし、ならないのならやめるし、どちらかにしなきゃならないと思います。

加藤(公)委員 大変前向きな御答弁をいただきまして心から感謝を申し上げたいと思うんですが、せっかく御検討いただけるということですので、僣越ながら、少し私なりの意見を申し上げておきたいと思うんです。

 机上の空論とおっしゃいましたけれども、まさにそのとおりで、知識だけあっても実際の企業の中での職務遂行能力というのはちっとも上がらないわけでありまして、よく最近コンピテンシーだなんだ言われていますけれども、そんな難しいことを言わなくたって、知識だけで仕事をするわけじゃないということだけ、これはどなたでも御理解いただけると思いますので、そのことだけお忘れなきように御検討いただければいいかなと思うんです。

 ただ、一点気になりますのは、先ほど大臣が、こんなにたくさん分けなきゃいけないのかなとおっしゃいましたけれども、実は私の感覚からすると、これでは絶対網羅できないなというぐらいの数であります。

 先ほど申し上げましたけれども、自分が人事部におりましたり、あるいは人材関連の事業に携わっておりましたので、約一千数百社のお客様とお取引をいただいておりましたが、その経験からいいますと、一つとして同じ職種というのはないんですね。営業といってしまえば皆さん営業になるかもしれないけれども、その営業という仕事の幅の中に、こっちからこっちまで物すごい違いがあるわけです。例えば、私は今まで営業をしていましたからほかの営業職に転職をしたいということよりも、もしかしたら、その営業職をされていた方の業界によっては、全く別の仕事についた方が近いということが十分あり得るわけですね。

 よく言われるのは、例えば、車のディーラーさんなんかですと、車の営業をされる方は、銀行の営業マンの方とかあるいは食品メーカーの営業の方を連れてくるよりも、車の整備をされていた方が営業職についた方がよほど戦力になる。これは、いわゆる世の中で言われているような概念じゃありませんが、職種ごとの距離というふうに私は思っていまして、技術職、技能職から営業というと随分遠いところに転職をするようでありますけれども、実際にはそうじゃない。車の知識やあるいはお客様の悩みがわかっている整備士の方が営業に行くのが一番成果が上がる。ところが、金融業界にいた方が車が好きだからといって入ってきたぐらいじゃ全然だめだ。もちろんそれは個人の差は大きいんでしょうけれども、そういうことが起こり得るわけでして、このユニットを見ますと、営業といって一くくりになっているというふうな状況を見ますと、これでは採用のときに参考にはならないだろうなというふうに思ったものですから、少し私も調べてみたような次第でございます。

 実際に、これは海外で、ある国によっては、現場で、先ほど現場で使えるようにとおっしゃっていましたけれども、まさに現場でどれだけ仕事ができるかということを客観的に判断をして、それで資格を出すというような制度を行っているところもあるというふうに聞いておりますし、ぜひ現場で本当に使える制度、評価制度というものを御検討いただきたいと思いますし、できなければやめてしまうというのは本当にすばらしい発想だと思いますので、ぜひその方向で御検討をいただきたいなというふうに思います。

 まさに今お話を申し上げた流れでいうと、実はこうした評価制度というのは全部民間の方に任せてしまった方がいいんじゃないかという私の持論にまた立ち返るわけなんですけれども、せんだっての本会議の質問の折には、民間に任せると資格が乱立をして収拾がつかないというような御答弁がございましたが、私はそうは思いませんで、一時的にはそれは乱立することもあるかもしれませんけれども、そこは当然のことながら、使えない資格というのは淘汰をされていきますし、例えば、今世の中でいいますと、ファイナンシャルプランナーのように、その資格を持っていることが本当のその人の価値に直結をするような資格も出てきます。あるいは、今英検というとちょっと弱いかもしれませんが、TOEIC、TOEFLで何点というとこれが有効に機能するとか、これはやはりその労働市場の中で淘汰をされればいい話だと思いますので、極力民間に任せていくという方が実質的に使えるものが仕上がってくるんじゃないかというふうに思うわけであります。

 その点について一言大臣のお考えを、もう一度いただきたいと思います。

坂口国務大臣 そこは私も十分にまだ検討しておりませんしいたしますので、先生の御意見も踏まえまして一遍検討をいたします。

加藤(公)委員 ありがとうございます。

 ミスマッチをなくして、それから、これからの雇用システム自体を大きく変えようという、これは年齢差別だけじゃなくて、大きく変えようという一歩踏み出すタイミングですから、能力を適正に評価するというのは非常に重要なテーマだと思います。世の中では、個人の能力の言語化を進めようというようなことを言っている方もありますけれども、これは極めて重要なテーマですし、これができることによって健全な労働市場が発展をするというふうに思いますので、ぜひぜひ前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。

 実は、きょうはもう一点、しごと情報ネットの件についてかなり深く突っ込んでお話をしたかったんですが、最初、さわりだけちょっと御質問をして、残りは後日に譲りたいと思うんです。

 このしごと情報ネットの件、どうも私から見ておりますとなかなか実効性がないように思えてならないんでありますが、どういう見通しで今取り組んでいらっしゃるのか、お考えをまずお聞かせいただきたいと思います。

増田副大臣 しごと情報ネットの関係ですが、民間機関とハローワークの保有する求人情報の概略について、インターネットを利用して一覧、検索できるようにしたい、それから、詳細情報については、それぞれの機関のホームページにアクセスするなどにより把握することのできる仕組みを構築するものであります。

 これにより、利用者による民間機関の積極的な利用を促進して、我が国における労働力需給調整機能の一層の強化を図り、失業者の早期再就職、あるいは在職者の失業なき労働移動の実現に資することを目的としているわけであります。延ばしますか。(加藤(公)委員「一段落つくところまで御説明をいただければありがたいと思います」と呼ぶ)はい。

 それでは、しごと情報ネットにおいては、多くの民間機関に参加いただき、多くの情報提供を行えるようにすることにより、利用者の求職活動の利便性が一層向上するものと実は認識をいたしております。このため、民間機関がより参加しやすくなるよう、参加方法の弾力化を図るなど、みずからの事業運営にメリットが生まれる方法あるいは範囲で参加できるようにしているところであります。昨日三月二十七日より参加機関の募集を開始したところであります。

 システムの趣旨の積極的周知等に努め、より多くの民間機関に参加をいただけるよう取り組んでまいりたい、このように考えております。

加藤(公)委員 時間になったので終わりますが、今お話あったように、民間企業に参加をしてもらわなければ事が始まらないという仕組みだとは思いますが、この点にまだまだ私も疑問もあるものですから、また後日意見交換をさせていただきたいと思います。

 後のバッターに譲ります。ありがとうございました。

棚橋委員長代理 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党・無所属クラブの大島敦です。(発言する者あり)

棚橋委員長代理 足りております。定足数ございますので。大島敦君、どうぞ。

大島(敦)委員 雇用問題ということで、このテーマというのは非常に大切なテーマだと思います。特に与党も、そして野党も、雇用の問題は選挙区に皆さん帰られますとひしひしと感じられるというテーマでございまして、定足数が足りているとはいえ、やはり皆さん参加された方が厚生労働委員会の姿勢として正しいと思うのですけれども、大臣の所感をお聞かせください。

坂口国務大臣 雇用問題というのは、このことが本来、経済を左右する問題だというふうに私は思っております。経済がよくなる、悪くなる、その結果として雇用問題がただ単に出てくるだけではなくて、雇用の状況がどうあるかということがその国の経済のよしあしというものにかなり大きな影響を与えるというふうに思っております。

 したがいまして、いわゆる後片づけをする雇用政策ではなくて、前向きな新しい経済を生み出すような雇用政策というものを目指して我々は頑張らなければならないというふうに思っておりますし、そのための雇用政策とは一体何か、今までとはかなり発想の転換をしてやらないといけないんだろうというふうに思いますが、一生懸命知恵を絞りながら今悪戦苦闘をしているところでございます。

大島(敦)委員 今の大臣の答弁の中で、雇用の問題というのが非常に大切であるということをおっしゃっていただいたのですけれども、今こちらの方の委員会の出席状況を見ますと、与党の皆様が、特に自民党の皆様が非常に少ない感じがしますので、本当に取り組まれる姿勢として正しいかどうかというところをもう一回お聞かせいただければありがたいのですけれども。坂口労働大臣にお願いいたします。

坂口国務大臣 なかなかどこの委員会も人手不足でございまして、私もいろいろの委員会に行ったことがございますけれども、委員会によりましては委員長とそれから発言者以外にはほとんどいないという委員会も中にはありまして、それが定着化しているところも実はありまして、びっくりしたようなことがございます。そのことを思いますとと言うとえらい失礼でございますけれども、厚生委員会でありますとかあるいは労働委員会というのは前々からかなり多くの皆さん方が御出席になって、今も御発言がございましたように、定数が足らないじゃないかというようなお声が時々かかったりして、なかなかその辺のところは厳しくおやりをいただいている委員会ではないかというふうに前々から考えておりました。

 所感の一端を申し述べた次第です。

大島(敦)委員 私たちは各有権者の代表としてこの国会に出ておりまして、やはりこの場にいること、あるいは本会議場にいることというのが最低限の国会議員の仕事であると私は考えております。したがいまして、坂口労働大臣にぜひお願いしたいのは、閣議に出られたときに、本会議、そして委員会には出るのが仕事であるということをもう一度周知徹底していただけるとありがたいのですけれども、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 閣議で言うのが適当かどうか、むしろ、どう出席していただくかというようなことは院のお話なのかもしれない。したがいまして、院の方でのいろいろの場所で皆さん方がいつもそういうお話をしていただくということが大変大事なのではないかというふうに思っております。私も、それぞれいろいろなところに出るわけでございますから、その出ました先におきまして、その重要性を訴えていきたいと思っております。

大島(敦)委員 時間がございませんので、本題の方に移らせていただきます。

 きょうの午前中の松島委員の質問の中で、増田副大臣が地元で会社を経営されているということを伺いました。副大臣の方から、今の経営に対するお困りの点がありましたら、お聞かせいただければ幸いでございます。

増田副大臣 言葉がちょっと足らなかったのですが、市長になったときに、兼職禁止で一切の事業から手を引くことになりました。そしてその後はこちらですから、結局、一切仕事は、現在はこの道一筋であります。よろしく御指導いただきたいと思います。

    〔棚橋委員長代理退席、委員長着席〕

大島(敦)委員 今、副大臣の方から、以前は会社を経営されているというお話があったかと思います。経営されていて、同業の会社が非常に少なくなってしまって、今熊谷で一社だけ残っていらっしゃるというお話をきょう午前中いただきました。

 この間、私、熊谷へ行ったときに、増田副大臣のポスターが張ってあって、多分ここが副大臣の会社だなと思ってそのお店の前を通らせていただいたのですけれども、例えば、副大臣の会社があって、もう一つ同じ業種の会社があった場合に、副大臣の会社は、さすがに厚生労働をやっておりますから、有休もしっかりとっていらっしゃる、あるいはサービス残業もさせていない。もう一つの同業の会社があったとして、その会社は今までどおりの日本の会社で、有休はなかなかとれないし、サービス残業をさせているというふうに考えた場合に、副大臣としてはどのように相手の会社をお思いになるでしょうか。

増田副大臣 まず、私の基本の姿勢は、人を褒めることは生まれながらやってまいりました。人を批判することは極力控えてまいりました。長い人生の中でそれは大きな力につながってきました。

 でも、せっかくのお尋ねですから、そういう基本の上に立って、私のところは労働法に合うように、今、秘書と職員といるんですが、全部労働三法には入れというようなことでやっておりますが、それはそれとして、もし同業の中にそういう方があったとしたら、あったとしたって今はなくなっちゃったんですけれども、あったとしたらどうするかというと、やはり私は、働く人の将来を考えてその上で対応した方がいいという説明をすると思います。

 何でこんなことを言うかというと、私は三つ考えたんですが、年をとって、子供がありませんから、年金はちゃんと手にしたいな。世界に冠たるこの国の保険制度は、保険証を持っていけば、こう言うと変ですが、どの病院でも、東大でも、皆同じにかかれる。この制度は残しておきたいな。そしてもう一つは、恵まれないときに、そういう環境になったときに、どのように用意をしておいたらいいのかなという三つを考えて実は生きてまいりました。

 今二つしか話さなかったんですが、もちろん介護保険や何かの話も入ってくると思いますが、人の仕事の話なんですが、そういう中で生きてまいりましたので、やはり同じ発想の中から言うと思います。私は、人生の大半は零細業者なんです。それで四十九で市長ですから、五十だったかな、そこで終わりなんです。あとはこの道だけをずっと真っすぐ歩んできちゃいましたので、そういうことを言うと思います。

大島(敦)委員 この問題というのは坂口労働大臣の方にも御確認したいんですけれども、同じ町の中で、労働基準法をしっかり守っている会社があり、また片っ方には守っていない会社があった場合に、フェアかアンフェアか考えた場合には、労働大臣としてはどうお考えになっているんでしょうか。

坂口国務大臣 それは、今御指摘になりましたように、守っていないところがあればアンフェアだと言わざるを得ません。お互いに決められたことを守っていくということでないと、この世の中やはり成り立たないわけでありますから、一方の企業はそれをちゃんと守り、一方の企業はそうしたことを一切守らない、それが通用していくというようなことでは成り立たないわけでありますから、そこはお互いに指摘をし合いながら、みんなが決められたことを守っていくといった方向に行かないといけない、その努力が必要であると思います。

大島(敦)委員 今回の質問は前回の私どもの細野委員の質問の再確認でございまして、欧米の有休の取得率についてもう一度御答弁いただけるとありがたいんですけれども。

坂口国務大臣 各国の年次有給休暇制度の中でどれだけこれを取得しているかを見ますと、取得率で、日本は五〇・五%、そしてドイツはほぼ一〇〇%、フランスもほぼ一〇〇%、イギリスもほぼ一〇〇%、アメリカが七〇から八〇%、主な国の中では大体そういうことでございます。

大島(敦)委員 今、二〇〇一年、二十一世紀になりまして、一九八〇年代そして九〇年代、この十五年間、特に八五年のプラザ合意で円が二百五十円から百二十円になりまして、私も当時鉄鋼業に勤めておりました。非常に私も、合理化そして有休はとれない状態で、現場の方も大分頑張って日本の円高不況というのは乗り切ったわけです。

 そのときに諸外国から言われたのが、日本はアンフェアじゃないかということを言われました。当時私はドイツにおりまして、ドイツのビジネスマンから、日本のビジネスマンは私たちと一緒じゃない、軍人と全く同じだ、軍人というのは家族に対する義務ともう一つ地域に対する義務を放棄している人だと言われました。やはり、その一九八五年のタイミングで日本は有休の取得率を上げて、さらにサービス残業等の解消をしておけば、私としてはソフトランディングができたのかと思っております。

 その点に関して、坂口労働大臣、もしも御所見がございましたら伺わせていただけるとありがたいと思います。

坂口国務大臣 国内におきます問題と同様に、これだけ国際化されてきた時代でございますから、国際的に見ましてもやはり同じことが言えるんだろうというふうに思います。今まで対外国との関係におきましてそうした思いというのを余り日本人は持ってこなかったんじゃないかという気がいたします、私も含めまして。

 先日も申しましたとおり、私自身も有給休暇なんというのはとらないものというふうに思っておりまして、何か若いころには有給休暇をとることに罪悪感を持ったときもあったわけでございます。そうしたことではなくて、やはりこれは日本の国だけではなくて自由主義国家の一つの生き方として、お互いに同じレベルで物を考え、きちっと消化すべきものは消化をして、そして生産は生産でやっていく、それがお互いに生きる道であるという基本的な考え方に立たなければなりませんし、私もそこまでいきますのにかなり時間がかかったような気がいたします。お互いにそうした思いを持ちながらこれからはやっていかないと、有給休暇を消化していくということがなかなか進んでいかない。

 職場におきまして一人の人が有給休暇をとって休む、そうしますと他の人々に非常に忙しい思いをさせる。だれか職場で有給休暇をとる人がおりますと、大変忙しかったという思いが他の人々の心の中に残りまして、では自分が有給休暇をとれば、あのときと同じような思いを他の人々にもさせるのではないかと思われるようになってまいりまして、そしてなかなかとりにくいという雰囲気に結びついているようにも思えてなりません。

 こうしたところをやはり乗り越えていきますためには、職場全体で、有給休暇というのはお互いに権利としてとるんだ、そういう社会をつくって、その中で、仕事をすべきときには一生懸命やるんだ、必死にやるんだ、そして休むべきところはお互いに休もうといったことをやはり明確にしていかないといけないんだろうというふうに思っております。ややもいたしますと、皆が休んで忙しかったときの思いが残りまして、そのことに支配をされがちになりますけれども、一人一人がそういうふうに考えておりましてはいけないというふうに思います。みんなでそこは話し合いをしていく以外にないだろうというふうに思っております。

大島(敦)委員 厚生労働大臣として非常に御見識のある御意見を伺うことができ、ありがとうございました。やはり、厚生労働省がそのように有休あるいはサービス残業をさせないという姿勢を貫くということは、今の雇用環境の中で職場をふやすということにつながりますので、非常に貴重な御意見だと承りました。

 増田副大臣の方にも御所見を聞かせていただければ幸いでございます。

増田副大臣 考え方は大臣と同じであります。したがって、恐らく同じような発想と具体的な行動をとっていくと思います。

 以上です。

大島(敦)委員 それでは、雇用対策法の改正についての質問に移りたいと思います。

 その前に、坂口厚生労働大臣の基本的な御所見なんですけれども、政治の目的とは究極は何であるとお考えか、伺わせていただければ幸いでございます。

坂口国務大臣 今それをお答えさせていただきます前に、先ほどこの定数のお話がございまして、私が答弁をさせていただきました中で、何か定足数が足りなくてもいいのではないかというふうにとられる可能性がございましたので、それはそういうことではございませんで、定足数が足りている、みんながここに出席をしているというのが一番正常の姿であって、定足数が足りなくてもいいということを私は決して申し上げたことではございませんので、お許しをいただきたいと思います。

 さて、本題の、政治の目的は何かということでございますが、これは、お互いに幸せな生活を送っていく、とりわけ国民の皆さん方が安心して生活を続けていかれる社会をどうつくり上げていくかということが一番大事なことだろうというふうに私は思っております。

 その中で、やはり自由に活動ができる、そして、そこでたとえ失敗をしてもまたもう一度挑戦ができるような社会をどうつくり上げていくのか。一度失敗をしたらそれで最後というような社会ではなくて、何度でも挑戦のできるような社会をつくり上げて、そしてその挑戦の中から人生の生きがいというものをお互いが見つけていけるような社会、そうしたものをつくり上げていく政治というのが一番大事ではないかというふうに思っております。

 ただ、病気でありますとか、あるいは何か極度の経済的な危機でありますとかそうしたことによって、自分の能力では立ち上がることができないような場合もあるわけでありますから、そのときのための安全ネットというものはきちっと張っておくということが大事でございまして、それらの安全ネットとともに、しかし、そうでない皆さん方はやはり何度も挑戦のできる社会を謳歌する、こういう社会がいいのではないか、そういう社会を目指していくべきではないか、そんなふうに思っております。

大島(敦)委員 基本的な数字をいただければありがたいのですけれども、昨年あるいは一昨年の日本で自殺された方の数というのは、厚生労働大臣は押さえていらっしゃるでしょうか。

坂口国務大臣 自殺者の数は、交通事故で亡くなられた方を上回っていたというふうに思いますから、一万人を少し超えたところではないかなというふうに思いますが、違っておりますでしょうか。

大島(敦)委員 昨年の自殺者の数は三万三千人でございまして、十年前に比べて一万人ふえております。

 私ちょっと資料を用意しましたので、お配りしていただければ幸いでございます。

 今回、雇用対策について非常にこだわりを持っておりますのは、先ほど坂口労働大臣の御答弁にありましたとおり、幸せな生活を送るためには雇用の問題というのが一番根幹にあると私は考えております。

 ここにある数字というのは失業率と自殺率、そして犯罪率の推移でございまして、失業率がふえると自殺率とか犯罪率がふえることになります。ちょうど二十年前、一九八〇年ぐらいですと、大体失業率が二%ぐらい、そして犯罪率も二%ぐらいでございました。それが一九九九年、おととしになりますと、失業率も犯罪率も四・五%を超えております。これが上のグラフでございまして、ピンクが失業率、グリーンが犯罪率、自殺率というのがブルーになっております。

 この下の方が、先ほど午前中の質疑の中にもございましたけれども、若年者の、少年刑法犯の検挙数と高卒求人倍率ということで、ここのところはグリーンが検挙率、黄色が求人倍率になっておりまして、求人倍率が下がってくると要は犯罪の検挙率がふえるというふうになっておりまして、これは皆さん多分常識として覚えていらっしゃるかとは思うのですけれども、そこのところが、こうやって数字を見ると、今政治が本当に機能しているのかなと言えるかと思います。特に今回の雇用対策法というのは、ここの部分が非常にかかわってくると考えております。

 今後、失業がふえると犯罪の発生率がふえることになりまして、これは社会的なコストがさらに増すということになります。そしてもう一つは、自殺者の数がこの十年間で一万人ふえました。そして、さらに失業率がふえれば、さらにふえる可能性があるということになります。ですから、雇用対策・保険法の今回の改正案というのは非常に大きな意味を持っていると私は考えますが、坂口厚生労働大臣の御所見を伺わせていただければ幸いでございます。

坂口国務大臣 このグラフは非常にパラレルに動いておりまして、少しびっくりいたしました。特に、犯罪率と失業率というのは非常な一致率と申しますか、動いております。

 それから、この千人当たりの少年刑法犯の検挙数と高校の求人倍率、これは逆相関と申しますか、逆の形になっておりまして、これもこのグラフを見ます限り、何か一つ関係があるのかなという感じがしないでありません。

 しないでありませんという言い方はいいのか悪いのかわかりませんが、いわゆる統計グラフとか統計というのは、必ずしも本当の原因結果を、あるいはまた必ずしもその物事の相関を示すということでないこともありますから、一概には言えないというふうに思いますけれども、こうして拝見をいたします限り、雇用問題というのが非常に大事だということがよくわかるグラフだというふうに思います。

大島(敦)委員 今回の雇用対策法の改正に当たって、各種法律が改正されることになっております。きょうの午前中、私どもの北橋委員の方から御質問させていただきました。

 ことしの経済状況を見て私は、地元あるいは私の、ずっとサラリーマンを去年までやっていたものですから、同僚と話しても、非常に今雇用環境は悪くなっております。今のサラリーマンというのは、びくびくしながら会社に行っているのが現状でございます。いつ首を切られるのかわからない。本当は上司あるいは役員にノーと言いたいのですけれども、ノーと言えないでサービス残業、そして有休もとらないで黙々と働いている、これが今の実態かと思います。

 今回のこの雇用対策法の改正というのは、失業率が何%くらいまで今回のこの対策で耐えられるのか、もしも御所見がございましたら伺わせていただければありがたいと思います。

坂口国務大臣 これもなかなか難しい御質問で、一言でいわく言いがたい問題でございますが、いずれにいたしましても、失業者はできる限り少ないにこしたことがございません。

 ただ、そうはいいますものの、景気が非常によかったときも二%くらいの失業率というのはあったわけでございますし、二%から二%前半くらいの失業率は、まあ健全な社会におきましても許容される範囲かなという気がいたします。

 しかし、最近のように四%後半台にこれがまいりますと、これは異常な世界というふうに私も思っておりますし、全体の経済の動向、あるいはグローバルな動き、そうしたことを計算に入れて考えましても、やはりこの現状は早く脱却をしなければならないというふうに思っております。

大島(敦)委員 今の坂口厚生労働大臣からの、二%から三%であれば容認できる状態とは思うのだけれども、やはり四%を超えて五%近くなると極めて重大な時期であるというような御認識を示していただきました。ありがとうございます。

 私は、今の雇用対策、今の政府が行っている、国が行っている雇用対策あるいは法体系というのが、三%というこれまでの失業率を前提とした法整備であって、五%を超えた状況においては機能しなくなるのではないかなと考えております。

 特に、雇用保険料なんですけれども、昨年一回上げているかと思います。今後、失業率がふえる状態の中で、雇用保険料をアップするということを考えざるを得ないのか、あるいは別の手だてを考えざるを得ないのか、そこのところ、御所見がありましたらお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 今後の動向、経済の動向がどういうふうに展開をするかということ、これは必ずしも明らかでありません。

 この雇用保険の問題も、過去の状態と比べますとかなり窮屈になっていることだけは事実でございます。しかし、前回もこのところを一度上げていただいた、この四月から上げていただくということになったわけでございますから、ここで踏ん張らないといけないというふうに思いますし、この線で大体いけるのではないかというふうに今のところは思っております。これがいけるような失業率の状況にしないといけないというふうに思っております。

大島(敦)委員 それで、今回の雇用対策法の中で、私の前に加藤委員の方から坂口厚生労働大臣に質問させていただきまして、助成金というのが大分つくことになっております。今回の助成金の財源がどこから来ているかということについて御答弁いただければありがたいと思います。

澤田政府参考人 今回の法改正の御提案に絡んで幾つかの助成金を予定しておりますが、それらは雇用保険の三事業のうちの雇用安定事業からの支出を予定しております。

大島(敦)委員 雇用安定事業あるいは能力開発事業、雇用福祉事業とありまして、もう一回確認したいのですけれども、今回の雇用対策法の改正に伴う助成金というのは雇用安定事業の方からの支出という理解でよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 失礼いたしました。雇用安定事業と能力開発事業の両方からでございます。

大島(敦)委員 雇用安定事業、能力開発事業からの支出であるということで、先ほど加藤委員の方からも質問させていただきました。

 助成金というのは非常に多岐にわたっておりまして、私も仕事でこの助成金関係のいろいろな説明とかをしたことがあるのですけれども、小冊子が一冊できるくらいの非常に使い勝手の悪い制度になっております。

 今回、この法改正に伴って助成金を見直していくかと思うのですけれども、そこのところはどのような方針で見直していく予定でございますでしょうか。

澤田政府参考人 昨年、雇用保険法を改正させていただきましたときの提案の前に、審議会でいろいろ御議論いただきました。その際に、審議会からは、雇用保険三事業の重点化、効率化を図るべしという答申、報告をいただいております。

 それを踏まえまして、昨年の雇用保険法改正のときに、一部実施できるものは実施いたしました。残りのものにつきましては、現在さらなる見直しの作業をやっておりまして、ことしの十月に今回御提案しております雇用対策法等の法案が成立し施行される時点に合わせて、残りの宿題になっております三事業、各種助成金の見直しを実施したいというスケジュールで考えております。

大島(敦)委員 今回の雇用対策法の改正の中で、非常にわかりづらいという御意見がございます。地域を四つに分けたり、その内容についても非常にわかりづらい。私が考えるに、これはこちらの助成金の方を合理化するために無理にこのような地域割りなりをしたのかなという思いが強いのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

澤田政府参考人 今回の地域雇用開発法の改正の中で地域割りを変更した理由は、さきの御質問の中で申し上げましたが、地域の雇用開発をする視点が、従来の雇用機会不足地域で雇用をふやすという視点だけではなくて、ミスマッチを解消するという観点からの地域類型が必要であるということで考えた区分でございます。決して各種助成金の整理統合に合わせた地域類型の変更ということではございませんので、よろしく御理解いただきたいと思います。

大島(敦)委員 それでは、その三事業の収支について伺いたいと思います。

 国の法律というのは、つくれば必ずそこには予算がつくものが多いと思います。この三事業の収支について、昨今の状況について伺わせていただければ幸いでございます。

澤田政府参考人 平成十一年度の状況から申し上げますと、平成十一年度の雇用保険三事業の実績、収入が五千三百九十九億円、支出が五千三百九十二億円となっております。平成十二年度につきましては、補正後予算というベースで申し上げますと、収入が五千五百六十一億円、支出が相当ふえまして七千百四十八億円。平成十三年度の予算におきましては、収入が五千五百十六億円、支出が六千六百三十一億円となっております。

 そして、平成十二年度の補正後あるいは平成十三年度予算におきましてはいずれも支出超過ということになっておりますが、その支出超過額は、雇用保険三事業の剰余が出た場合に組み入れております雇用安定資金というところの取り崩しによって埋めておるという状況でございます。

大島(敦)委員 この三事業の収支状況が非常に悪くなっているという御答弁が今ございました。

 この三事業というのは、私の理解ですと、事業主側が納めた予算がございまして、今までですとそれほど助成金等の支出がなかったために、ずっと余ってきたわけなんです。大体私の理解では三千億円ぐらいずっと余ってきて、去年、おととし、今年度そして昨年度からそれを消化、もう使い切っている状況がございまして、将来的には、今の雇用情勢が続くとすれば、この三事業についても、安定資金残高、つまり剰余の部分がなくなってしまうかと思うんですけれども、その点についてはどう考えればよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 大島委員御指摘のとおり、雇用安定資金の残高が、ピーク時は三千八百億円弱ございましたが、平成十三年度の予算ベースで申し上げますと、千九十一億円に減少しております。

 雇用安定事業の支出が拡大していきますと、財源として事業主からいただいております千分の三・五の保険料率は変えないという前提になると、この雇用安定資金の残高が底をつき赤字になるおそれがあるということで、十三年度の予算におきましては、この三事業の支出を相当見直して圧縮をいたしておりますが、なお支出超過という状況になっております。

大島(敦)委員 このことは、今の雇用三事業というのが予算的にはもう限界に来ているということだと思います。事業主の方に千分の三・五、それをさらにまた上げるという話も非常に難しいかと思います。

 そうすると、今収入としてある五千五百億円の予算を重点的に配分していかないと、国としての雇用対策が十分に機能しないと思います。その点につきまして、坂口労働大臣として、今後どういうような考え方でこの三事業を見ていけばいいのか、御所見を伺えれば幸いでございます。

坂口国務大臣 それは御指摘のとおりと私も思っています。重点的な配分というのが大事になってくるんだと思います。

 それでは、どこを重点にしていくのかということにつきましては、これからの経済の動向や失業率の今後の推移等によってかなり違うんだろうというふうに思いますが、当面は雇用問題が非常に厳しいわけでありますから、その中で、この雇用対策にかなり重点的な配分が必要でございます。それも今までのような形ではなくて、どうすれば雇用を創造してもらえるか、あるいはまた、今は何ら問題はないけれども、しかし今後の経済の動向を見ると、ふだんのときから困ったときのことを考えておかなければならない。

 そうした意味で、何かが起こったときにはスムーズに雇用の移動が行われるような対策をするという、今回のこの中に盛り込まれておりますが、そうしたところにつきましては、これからより重点的にやっておく必要があるのではないかというふうに思っております。

大島(敦)委員 本日の最後の質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは坂口厚生労働大臣から本当に突っ込んだ御答弁をいただきまして、まことにありがとうございます。非常に見識を示していただきまして、私としても非常に感謝を申し上げます。

 この雇用三事業の助成金の給付のあり方なんですけれども、能力開発等、事業主経由で従業員の方に給付がされております。例えば、会社の方で従業員の能力を上げたいと考えた場合に、事業主が申請をして、要は事業主経由で従業員の能力開発につながっているわけなんです。これは、今までですと先ほどの千分の三・五で事業主負担ですから、事業主経由で給付をするのが正しいというのが今までの御意見だったのですけれども、今の状況のように雇用の流動化が進みますと、事業主を経由するよりも、考え方としては従業員への直接給付に変えた方がより実効性は上がると思うんです。

 そこのところを、坂口厚生労働大臣あるいは政府委員の方でもいいのですけれども、もしも御所見がございましたら、最後に伺わせていただければ幸いでございます。

増田副大臣 雇用保険三事業の助成金は、雇用の安定や労働者の能力の開発といった労働者の雇用管理上の事柄の多くは企業みずからが関与し実施するものであります、先生御発言がございました、またその実施によって企業が一定の利益を受けることから、事業主の共同連帯の負担のみによって行うこととしている制度であります。このような制度の趣旨を踏まえれば雇用保険三事業の助成金を個人への直接給付に移行することはどうかというお尋ねであったと思いますが、残念ながら、今の段階では不適切なのではないかと考えております。

 なお、雇用保険制度としては、求職者給付、教育訓練給付また雇用継続給付など被保険者等に直接給付することが適当なものは、既に個人の直接給付としているところであります。

 以上が現況であります。

大島(敦)委員 今の増田副大臣の御答弁というのは、これまでの厚生労働省の意見であったと思います。今、先ほどの坂口厚生労働大臣からの御指摘のとおり、五%という極めてシリアス、要は極めて重大な局面を迎えて、この助成金の配付の仕方についても大きく政治判断として見直す時期に来ているかと私は考えます。特に、終身雇用ではなく、働く者が職場を移るということは、全体として従業員の能力が上がれば、日本として、事業主としても非常にメリットは大きいと思います。ですから私は、直接給付に一部は変えていく方が正しいと思います。

 これについては、また後日の質問の時間に再度詰めさせていただきたいと思います。きょうは本当に、御答弁まことにありがとうございました。

鈴木委員長 次に、城島正光君。

城島委員 民主党の城島でございます。御苦労さまでございますが、現下の雇用情勢ますます厳しくなる中で、今回の法案を含めて、何点か御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私は、まず私の認識として、先ほど大島議員もグラフを示しながら説明をしていましたけれども、高い失業率がずっと維持されるということになりますと、社会的な問題、社会不安も含めて、やはり大変大きな社会全体、国全体としての問題が起こってくるということにもつながる。もちろん、失業をされた皆さん方のそれこそ一番悲劇的な象徴としても、先ほどありましたように、自殺をされる方がこの数年非常にふえてきているということもその一つでありましょうし、そうした状況からしても、当然でありますけれども、働く意思、意欲、能力がある人にはきちっと職を与える、働く場を与えることができるというのが政治、政府の基本的な仕事であるということを、改めて今の状況を見るにつけて痛感をするわけであります。

 そういう点からすると、先ほど大臣も触れられましたけれども、今の雇用の状況を改善していくには、一言で言って、総合的な対策をやらなければならない。すなわち、新しい産業も起こさなければいかぬということも含めてでありますけれども、まさに政府挙げて総合的な対策が必要だというふうに思うのであります。

 私は、今一生懸命に坂口厚生労働大臣、所管の中ではこの雇用問題に全力を挙げられているというふうに思いますが、政府全体としては、率直な印象、まだまだ雇用問題に対する深刻な認識あるいはそれに対する対応というのが弱いのではないかという感じがして仕方がないんです。

 平成十三年度の経済見通し、これも予算委員会の中でも論議を若干いたしましたけれども、その中でも大変残念なのは、雇用の失業率が政府見通しでは四・五%だ、昨年の暦年で四・七%の失業率がこれをもって改善すると。しかもその表現が、景気の回復ということを伴うことによって雇用も四・五%程度の失業率で改善するという表現になっている。

 やはり私は、今の現下の情勢を見ると、まさしく政策の基本の中の一つの大きな項目に、この雇用対策、失業対策、こういったものがどんとど真ん中に座ってしかるべきだ。景気回復、景気対策、あるいは最近言われている財政の問題を含めた、そういうものと全く同じように載っけられて当然じゃないかというふうに思っているわけです。

 景気を回復させればおのずから雇用も改善していく、したがって雇用対策というのは中心的には景気対策なんだというようなとらえ方に、どうしてもあれを見ると受け取ってしまうんですけれども、そういう部分ももちろん否定はしませんが、しかし、そんな甘い状況ではない。やはり景気対策と同時に、同じようなウエートで雇用対策あるいは雇用政策というものを位置づけなければならないというふうに私は思うのでありますけれども、まずその辺から大臣の御見解を承りたいと思います。

坂口国務大臣 過去の右肩上がりの経済のときには、たとえ経済が悪くなりましたときに雇用が悪化をいたしましても、また経済がよくなりましたらまたよくなっていく、とにかく経済がどうなるかによって決まる問題であって、雇用はその影のようなものだ、こういう考え方のもとで今日まで来たというふうに思うんですが、私も、最近の全体の動向を見ました場合に、決してそうではないというふうに思っております。

 諸外国の例を見ましても、またアジアの例を見ましても、景気が非常によくなりましたところでも失業率は高どまりのままになっているわけであります。

 昨年の九月に香港にお邪魔しましたけれども、香港は、第一・四半期、第二・四半期合わせまして一〇%から一二%ぐらいの経済成長を遂げているわけでございますが、雇用は、依然として五%のままで動かない。昨年お邪魔しましたときに、後半はやや落ちるかもしれないけれども、全体で八%を下ることはないだろう、しかし雇用の五%は改善しないだろうというふうに彼らは言っておりました。

 そういうふうに、経済そのものが回復をいたしましても雇用としてはよくならないという実態が、他の国、あるいは香港は非常に小さいですから一つの国として見ることはどうかというふうには思いますけれども、しかし、そういうところが出てきているわけでございますから、今までのような考え方でいってはならない。御指摘のように、やはり雇用を中心にした政策というものを立案していかなければいけませんし、今までのようにただ単に経済の後を追うような政策だけではいけないということになってくるんだろうと思っております。

 そうした中で、何を中心にしていったらいいのかという話になってくるんだろうというふうに思いますが、余り時間が長くなってもいけませんから、これだけにいたします。

城島委員 全くそのとおりだと思うんです。

 ちょっと振り返ってみると、一年ぐらい前の当時の労働委員会の中でも、与党の皆さんの質問の中に、とにかく失業率のとり方がどちらかというと問題じゃないかみたいな意見すらまだ一年前でも出ていまして、そんなに状況は悪くはないんじゃないか、定年される人も入っているというのはおかしいんじゃないかみたいな論議がつい一年前までされていたということを思い出すわけであります。

 今大臣おっしゃいましたように、日本においても、いわゆる景気回復あるいは景気の動向と失業率の改善、いわゆるオークン係数というのを見ますと、GDPが一%伸びても失業率の改善は〇・一%だ、こういう状況になっている。したがって、昨年の一年間の失業率四・七も、いわゆる摩擦的、構造的失業率が三・五で、需要不足によるいわゆる景気が悪いということによっての失業率が約一・二、労働白書によってもこういうふうに分析されているわけですね。

 そうすると、需要不足、需給不足、すなわち景気が悪いことによって起こっている一・二%というのも、考えてみますと、このオークン係数を使うと、成長率が二%あっても、五年かかってもそれが解消するかどうかぐらいのことだということを考えても、今我が国の失業情勢というのはかなり深刻。よほどの手だてを打たない限り、今まさにおっしゃいました高どまりが改善していくということはないという状況だと思うのですね。

 ですから、これから仮に経済成長率が例えば二%だ、三%だということがあっても、それがある程度中長期に続かない限り、残念なことですけれども、今のままですと、四%台後半、場合によっては五%に乗ろうかとしている失業率というのは改善をしないということの今構造的な状況にあるのだという認識をやはりしっかりとした中で、雇用政策を打ち立てていくことが大事だというふうに思うのです。

 先ほども大臣おっしゃいましたように、長年、オイルショックの後から九四年までだったでしょうか、約二十年間ずっと二%台の失業率で来た。これは一般的に言うと、当時の二%というのは大体完全雇用の状況だ、こう言われたわけであります。九五年から九七年、三%になり、九八年から四%台、あっという間に三%から四%への失業率になったということでありまして、この状況は、そういう面も含めてかなり深刻だなという思いをしているわけであります。

 そうした状況の中で、今回の改正雇用対策の法案が出てきているわけでありますが、これの改正による雇用労働政策の基本的な考え方、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

増田副大臣 産業構造の変化等経済社会の変化が進む中で、今後、離職を余儀なくされる労働者の方々が増大し、労働移動が円滑に進まない場合には、失業率が高どまりすることも懸念されます。

 時代認識は先生と私も同じだろうと思っておりますが、このような中で、雇用の維持は企業が事業活動を行う場合の大前提であるとの考え方を踏まえつつ、労働者が離職を余儀なくされる場合には、その円滑な再就職を可能にするとともに、労働者個人の自発的な能力開発を促進するなどにより、労働者の職業生活の全期間を通じてその職業の安定を図っていくことが必要であると考えます。

 このような考え方に基づきまして、雇用対策法ほか関係法律について所要の整備を行うこととしたものであります。

城島委員 今の現下の情勢を見ると、お触れになりましたように、ここにありますが、離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職を促進する、これが極めて重要だということは否定をいたしません。しかしまた同時に、一方で、長期的に安定した、まさに職業生活の全期間を通じた雇用の安定というのでしょうか、職業の安定といったことが基本にはなきゃいかぬだろうというふうに考えるわけでありますが、これはそのように考えてよろしいのでしょうか、とらえておいてよろしいのでしょうか。

増田副大臣 そのような方向で努力をしたいと思っております。

 ただ、不況以外に、産業構造自体が大きな変革をしておりますので、業種によっては今までのボリュームがそのまま続いていくという形はとられないだろう。したがって、その辺が、今言った職業生活の全期間を通じてその職業の安定を図っていくことが必要であるということに大変矛盾をして、難しくなるだろう。でも、基本的な考えは私はそのように考えております。

城島委員 ここに、昨年の五月に日経連の国際協力センターというのが、非常に労働の移動が激しく、そしてまたそのことによって雇用の安定を図ったというアメリカの新規雇用創出の動向というレポートがあるのです。大変興味深くいろいろな点で参考になりながらこれを読んでいったわけでありますが、この中で、冒頭の方なんですけれども、アメリカの八〇年代から九〇年代の雇用の変動がちょっと書いてあるのですね。

 ちょっとポイントのところだけ読ませていただきます。全文じゃないのですけれども、ポイントのところですけれども。

 一九八〇年代前半までは、アメリカの経営者は、品質、生産性の面で長期雇用の熟練度の高い労働力の価値を認めていたことから、人事管理において雇用の安定を優先してきた。

 日本と同じような感じだと思いますけれども。

 八〇年代後半以降、経済のグローバル化がもたらした国際競争の激化や規制緩和の推進により、企業経営をめぐる状況は厳しさを増し、競争優位は永続的ではなく、余分なコストは受け入れがたいことをアメリカの経営者に知らしめた。そのため、業績不振を契機として、かつて雇用、賃金、福利厚生の保障の基準をつくってきた大企業さえも、相次いでリストラクチャリングのための人員削減、ダウンサイジングを余儀なくされた。しかし、ダウンサイジングは確かに競争に勝ち抜くための手段となるものの、会社の未来や人材育成に関する将来のビジョンがない限り、それは誤った選択となることが多い。

 ダウンサイジングの進展は、長期雇用保障という従来の労使間の社会的契約を破棄した。しかしその代償として得たものは、決して前向きなものではなかった。大規模なリストラによる影響は、企業内の労使関係を悪化させるにとどまらず、社会全体にも不安をもたらすとの懸念が広がった。労使は、従来の雇用保障にかわる新たなパートナーシップの土台の構築を迫られていたのである。

 他方、雇用を保障するという労使間の従来の暗黙の約束、このことから、新しい、雇用保障にかわる社会契約として、エンプロイアビリティーという考え方が提案された。すなわち、経営者は、自社における永続的な雇用を保障しない代償として、従業員に対して他社でも通用する高い技能を身につけられるだけの教育訓練の機会を常に提供するというものであった。

 ということが、いわゆるアメリカの状況として報告されていまして、これはかなり示唆に富むものだというふうに思うのですね。

 ここでは、やはり基本的には他社でも通用する能力を磨くということなんだけれども、常に企業はそういうことを用意しておくということが大事であると同時に、働く側もそういう能力を常に磨いておくということによって、できれば安定してその企業で働くことが、労使、経営側も、そこで勤める方も望ましいということがベースとしてあるわけでありまして、そういう点で、このアメリカの変化というのは非常に示唆的だなというふうに思うわけであります。

 今ちょっと早口で読みましたけれども、御感想をいただきたいというふうに思います。

坂口国務大臣 今まで、企業は自分の企業の中で労働者の技能訓練その他を行ってまいりました。これは、終身雇用、そうした雇用形態によるものだというふうに思います。しかし、そういう終身雇用の形態も変わってまいりましたしいたしますので、今お読みになりましたように、日本におきましても、企業の中で、その企業が自分のところの企業に役立つような能力だけをその中の従業員に教育をするというのではなくて、幅広い能力を身につけさせる機会を与えなければならない。それは、企業の中で行うべきことなのか、それとも企業の外側で、社会全体でそのことを引き受けてやっていくのかということになってくるんだろうというふうに思います。

 全体の流れとしましては、今まで企業の中で再教育をしていただいておりました分野が、だんだんと企業の外で、社会全体でやっていかなければならない方向へと向かってきていることは間違いないというふうに思います。

 もう九〇年代半ばのときに、ヨーロッパにおきましてもアメリカにおきましても、社会全体が、再雇用のための、再教育のための出費というものを非常に大きくさせておりましたし、大きな投資をしておりましたことも事実でございます。そのころ日本は、まだ企業の中で、企業にすべてをゆだねてきたわけでございますが、その辺のところはこれからやはり社会全体で見ていかなければならない、そういう構造に変えていかなければならないときを迎えているというふうに私も認識をいたしております。

城島委員 私もそういうふうに思うのでありますけれども、もう一度、この法案の基本的な姿勢についてあえて確認をしておきたいわけであります。

 この法案の契機となった昨年十二月五日の中央職業安定審議会の建議では、「安定した雇用の維持・確保は、企業が事業活動を行う場合の大前提であり、景気変動等に対応した安定した雇用の維持・確保対策は引き続き重要な課題である。」とされた上で、「経済・産業構造が転換する中で、労働者が安心して働き続けられる社会を構築するためには、企業内での雇用の安定のみならず、企業間移動があった場合の職業生活の安定を図る観点から必要な施策を展開することが求められている。」というふうに記載されております。

 また同時に、「雇用及び職業生活の安定を図るためには、労働者の有する能力を高め、その能力に応じた雇用機会が確保されることにより、職業生活の全期間を通じて職業の安定が図られることを基本的考え方とし、これを前提として、労働者は自らの職業能力の向上に努め、事業主はその雇用する労働者の失業の予防、離職を余儀なくされる場合の労働移動の支援、能力の開発及び向上等に努めるべきことを明確化する必要がある。」とされているわけでありまして、事業主のこういった失業を含めた予防についても明確に記されているわけであります。

 そうした観点からすると、先ほども触れましたけれども、離職を余儀なくされる場合の労働移動の支援ということだけじゃなくて、安定した雇用の維持確保や事業主の失業予防の義務といった建議の趣旨というものも、この法案の中にはきちっと反映されているというふうにとらえてよろしいのでしょうか。

坂口国務大臣 具体的なことをちょっと事務局からまた答弁をさせますが、大枠、先生今お読みいただきましたその趣旨にのっとっているというふうに私は考えております。

澤田政府参考人 今の城島先生がお読みいただいた職業安定審議会の建議でございますが、そこを今回の雇用対策法の改正法案では三点にわたって法文上実現をいたしております。

 第一点は、第三条を新たに起こしまして、「基本的理念」というところで、「労働者は、その職業生活の設計が適切に行われ、並びにその設計に即した能力の開発及び向上並びに転職に当たつての円滑な再就職の促進その他の措置が効果的に実施されることにより、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。」という総合的な理念を書いております。

 それを裏打ちするために、「国の施策」ということで、国の責務として、「離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職を促進するために必要な施策を充実すること。」これが新たにつけ加えられております。

 そして、事業主に対する責務という条文も第六条、第七条と起こしまして、一点は、事業主は再就職支援についてやらなければいけないという規定と、事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認めるときは、労働者の募集及び採用について、年齢にかかわりなく均等な雇用機会を与えるように努めなければならないということを書いております。

 さらに、能力開発については、職業訓練法の改正の中で、事業主の責務を明確に書いておるところでございます。

城島委員 そういう中で、先ほど大臣も触れられましたけれども、能力開発のあり方、これを本当は時間をとってじっくり論議したいところでありますけれども、私も、先ほど大臣がおっしゃったのと同じように、今まではどちらかというと企業内の訓練あるいは教育というものを主流にしてきたわけでありますけれども、もちろんその比重が低下するわけじゃないんでしょうけれども、こうした状況の中でいうと、やはり社会横断的な職業能力開発というものがどうしても必要な時期になってきているんだろうというふうに思います。

 ただ、その場合にもう一つ、そうした体制とか仕組みとかというものを充実していく中においては、どうしても、この中に触れられているわけでありますけれども、職業能力評価についても社会横断的な仕組みを持っていないとなかなか有効な手段になり得ないというふうに思うわけですね。そういうこともちょっとまだ政府の姿勢は弱いんじゃないか、もう少し積極的に、しかも早急に社会横断的な職業能力評価を確立するということがどうしても必要ではないかというふうに私は思っているわけです。

 こうしたことをやらないと、例えば若い人たちの失業問題についても、よく言われるように、イギリスのニューディール政策とかあるいはドイツのデュアルシステム等を見ても、一方では、そういう仕組みとかシステム、事が有効に機能する上において、今申し上げたような社会横断的な評価システムというか、評価制度みたいなものがきちっと成っているわけですね。これがあって両輪だと私は思うので、この辺についてももう少し前向きな取り組みをお願いしたいなというふうに思いますが、簡単で結構ですが御見解をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘のとおりだというふうにそこは思います。

 今までないわけではございませんで、評価はできるようになってはおりますけれども、しかし、現在で、これでもう十分だというふうに思っているわけでは決してございません。御指摘のところは、私たちもこれから頑張っていきたいと思っております。

城島委員 それから、ちょっと時間がないので、法案の中身についてどうしても確認をさせていただきたいところがございます。

 実は、四月一日から商法改正に伴う企業分割がスタートする。かなりいろいろな企業で新しい商法を使って企業分割を計画しているところがいっぱいあるようでありますが、これとの関連の中で、やはりこれからの再就職の問題、あるいは自分がどの会社に所属するかというような問題、場合によっては希望退職をとるような問題、さまざま出てくることが想定されるわけであります。

 そういうことを念頭に置いた上でお尋ねしたいのでありますが、第六条において、事業規模もしくは事業活動の縮小または事業の転換もしくは廃止に伴い離職を余儀なくされる労働者について、事業主の再就職援助の努力義務規定を定めているところでありますけれども、このような再就職援助措置というものをとったからといって、いわゆる判例法理で確立されているところの整理解雇四原則、あるいは解雇権乱用といったものを守らなくていいというようなことはないと考えますが、それはそういうふうにとらえてよろしいんでしょうか。

坂口国務大臣 そのようにお考えいただいて結構でございます。

城島委員 それでは続いて、事業主による再就職の援助を促進するための措置として、再就職援助計画作成の手続、政府の支援等がここに定められているわけですね。このような支援が講じられるためには趣旨どおりの適正な運用がなされていることの確認が必要だということだと思いますが、政府としてどのような措置を講ずるのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。

 三点のポイントについてお伺いしますが、この中にありますけれども、例えば、過半数労働組合等からの意見聴取手続の確認、公共職業安定所長の変更要請の判断基準、経営として解雇回避の最大限の努力が尽くされたことの確認、以上の三点についてお尋ねをいたします。

澤田政府参考人 まず第一点でございますが、計画の作成に際しては、法律上、労働組合の意見を添えて公共職業安定所に計画を提出するということになります。計画の作成に当たっては労働組合の意見を聞かねばならないという条文になっておりますので、そういうことになります。

 それから二点目のお話は、安定所長に労働組合の意見を聞いた上で提出された計画が不十分である、あるいは問題があるという場合には、それの変更を求めることができる規定がございます。そこで、どういう場合に変更を求めるかにつきましては、今後さらに詰めようと思っておりますが、その点についても関係審議会等々で御検討いただくことになろうかと思います。そこでは労使の御意見が十分反映された結論が出されるものと考えております。

 それから三点目に、そもそも、この計画をつくるケースが法文上はっきりされておりまして、離職を余儀なくされる労働者が相当数見込まれる、この「離職を余儀なくされる」というところが大変重要なことでありまして、単に経営者が自由に解雇するということではなくて、先ほど基本理念のところで副大臣から申し上げましたように、経営の大前提として雇用の維持を努力する、そういうことをやった上でやむを得ず離職者が出てしまうというケースについて計画を作成してもらうという法律の仕組みでありますので、おのずと基本論のところで縛りがかかっている、こう思います。

城島委員 終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、小沢和秋君。

小沢(和)委員 日本共産党の小沢和秋であります。

 この法案は、昨年五月に策定されたミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策をもとにまとめられたものだと承知をしております。

 当時は有効求人倍率が伸び続けておりましたし、その傾向が今後も続けば、その増加してきた求人を求職者にうまくつないで雇用情勢を改善することができるという考え方もできたと思います。しかし、年明けとともに株価が低下するなど、日本経済は本格的な立ち直り局面を迎えないままにさらに深刻な状況になろうとしております。設備投資も縮小し、本年一月からは有効求人倍率も下がり始めております。

 大臣は、この法案作成当時とは違うこういう大きな変化が起こっている今でも、このミスマッチ解消を重点とする雇用対策で十分対応できると考えているのか、まず基本的な見解を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘をいただきましたように、有効求人倍率は、昨年の一月から十二月へ、急激な回復はしませんでしたけれども、毎月々改善が進んでまいりまして、昨年の十二月には〇・六六まで回復をいたしました。スタートの一月は〇・五二であったと思いますから、徐々にではありますけれども、月々改善をしたわけでございます。しかし、それがこの一月には〇・六五というふうに、〇・〇一ポイント十二月よりも減少するということになりました。

 しかし、有効求人倍率の中の新規求人を見てみますと、まだかなり増加をいたしております。サービス業でありますとか製造業のところで新規求人はかなり増加をいたしております。これは、十二月に比べますと増加傾向はやや鈍った嫌いがございますけれども、しかしまだ増加していることに間違いはございません。

 こうした状況でございまして、今後の推移を我々も見守っているところでございますが、多少こうした上下というものはございますけれども、それらを多少繰り返しながら改善の方向に向かっていくものという今認識を持っております。

 したがいまして、先ほど御指摘になりましたように、一月に〇・〇一下がったからというので、これで全体の考え方を変えるというようなことを私たちは今考えているわけではございません。今までの考え方のもとに着々と進めていきたいというふうに思っているところでございます。

小沢(和)委員 今のお話では、若干の変動はありながらも今後も改善の傾向が続くという大変楽観的なお話であったように思うんですけれども、先日、森首相は日米首脳会談で、不良債権処理については今後半年で結論を出すという約束を行いました。これを文字どおり実行すれば、先ほどからも何回か問題になっておりますが、長期不況の中で必死に頑張ってきた多くの中小企業が金融機関から不良債権として切り捨てられ、リストラによる大量の失業がさらに発生することは避けられません。日米首脳会談に同行した麻生経済財政担当大臣も、失業率は一時的に高くなる、失業者へのセーフティーネットの拡充が必要と述べております。

 我が党は、日本経済の根本的再生のためには、日本経済の六割を占める国民の消費購買力を回復する政治に転換する以外にないと考えておりますが、きょうはそういう大局的な論議はおくとして、こういう状況のもとで、セーフティーネット拡充策の一つとして、四月一日に迫った雇用保険の給付切り下げを緊急に凍結するなど、思い切った対策をとるべきではないかと思います。

 けさの新聞によりますと、四月上旬に閣議決定する緊急経済対策に、失業給付期間の延長などを盛り込む案が浮上していると報じられております。ここにそのコピーを持ってまいりましたが、こういう案が検討されているんでしょうか。

坂口国務大臣 今述べられましたように、経済の状況というものをこれから改善していかなければならないことは事実でございます。

 森総理が述べられた不良債権の処理を行うということは、不良債権の処理を行うことは当然だというふうに思いますけれども、不良債権を半年間で処理するということはなかなかできないことであって、不良債権の処理の仕方を半年間で決めるということではないかというふうに私は認識をいたしております。したがいまして、不良債権そのものは、二、三年かかってこれは乗り越えていくのだろう。余りにも急激に不良債権を半年でやるということになりましたら、それは大変な影響を与えるわけでありまして、そういうことにはならないのではないかというふうに私は思っております。

 企業に対しましていろいろの調査等もいたしておりますが、企業の現在の考え方を拝見いたしますと、確かに昨年の年末に比較をいたしますと若干厳しくはなっておりますけれども、強烈にリストラをふやしていくというような状況にはないように思います。

 確かに厳しさは増しておりますが、それは、現状を打開いたしますのに多くの人を解雇するとかということではなくて、時間外を減らしていきますとかそうしたことを取り入れるというところはかなりございますけれども、大々的な解雇を行うというようなことを言っているところはございません。これからそうしたところが皆無であると私たちも思っているわけではございませんで、そうしたところも生じることは、それは部分的には起こるであろうというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、そうしたことに対応して全体としてどうしていくかということで、今般出させていただいておりますこの法案の御審議もお願いをしているところでございます。(小沢(和)委員「質問に答えて。検討しているのは事実か」と呼ぶ)そこに書いてありますのは私ちょっと読んでおりませんが、何と書いてあるのですか。

小沢(和)委員 雇用保険の失業給付期間、現行三百日、の延長などの案が浮上していると。

坂口国務大臣 済みません。今のところ、そうした具体的なことを考えてはおりません。

小沢(和)委員 いや、私はぜひそれを検討していただきたいという気持ちで申し上げているわけです。

 さて、以下、法案に即して幾つか具体的にお尋ねをいたします。

 我が党は、せっかくの求人が就職に結びつくように、情報の提供や職業訓練、技能教育などを積極的に推進すべきだと考えております。しかし、このような施策だけでは、もともと求人の絶対量が全く足りない中では、雇用の抜本的改善にはつながりません。

 この法案では、新規・成長十五分野での雇用拡大に期待し、雇用をふやす場合には事業主に各種の助成金を出すことにしておりますが、驚いたことに、地域雇用開発促進法改正案第九条では、失業の深刻な地域にこういう分野の新しい事業所が設置されることを想定し、必要な助成及び援助を行うことを規定しております。

 現実には、こういう新規・成長分野でもNTTや富士通などが大量人減らしを発表するなど、次々にリストラが行われております。実際、ここ数年を見ても、大部分の助成金の実績は予算を大幅に下回っております。こういう分野の雇用拡大に過大な期待をしたら、それこそ現実と政策のミスマッチを引き起こすのではないでしょうか。

 我が党は、雇用拡大策として、医療、介護など社会保障分野の充実、三十人学級実施による教員の増員、大幅な定数割れになっている消防士などの充足等にまず政府がみずから踏み切る方が、はるかに大きな雇用を生み出すと思いますが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 確かに、医療や介護あるいは教育の分野で雇用を生み出そうという意見があることも事実でございますし、我々ももう少しその辺のところで何とかならないだろうかというふうに思っていることも事実でございます。

 先日も、新しく雇用が伸びておりますこの分野の代表の皆さん方にお集まりをいただきまして、いろいろ御意見を伺いました。介護の関係の皆さん方にもお集まりをいただきました。

 その介護の関係の皆さん方に、今まで以上にこの介護の分野で雇用を伸ばしていこうとすれば、どうすればいいというふうにお考えでしょうか、国の方が何をすればもっと伸びるというふうにお思いになるでしょうか、我々の方が何もしなくても、そちらの方で何かをやっていただければ伸びるのでしょうかということをお聞きいたしましたら、それはこういうふうにやってもらわなければ伸びないといっておっしゃいましたのが、やはり介護に対する手数料、これが余りにも低過ぎるという話でございまして、これを引き上げてもらったら介護に対する雇用は伸びる、こういうお話でございました。

 確かにそれはそうかもしれないというふうに思うのですが、介護の面におきますところの手数料等を引き上げる、手数料といいますか、介護事業をされるときの手数料でございますが、それを引き上げるということは、また全体の介護の財政に影響を及ぼすことでございますし、それも、聞くのは簡単でございますけれども、実現もなかなかこれは困難なことだなというふうに思いながらお聞かせをいただいたようなわけでございます。

 そうしたようにいろいろの御意見も伺いながら、今、できる限り伸ばす方法はないかというので、私たちも一生懸命やっているところでございます。

小沢(和)委員 政府も失業の深刻さを否定できずに、昨年五月の緊急雇用対策の中でも、完全失業率が五%を突破した場合を想定して、その場合に発動するセーフティーネットを用意するとしております。今失業率は四・九%ですから、政府が想定する五%という緊急事態は来月起こるかもしれない逼迫した状態だと思うのです。しかしその対策は、またしてもそういう情勢の中で、失業者を雇い入れる事業主に一時金として一人当たり三十万円を助成するという程度のものであります。この程度のことで本当に役に立つのか。

 私が地元で一番よく聞くのは、政府が平成十二年度から十三年度までの二年間で総額二千億円を各県に分割交付して実施しております緊急地域雇用交付金への期待の声であります。実際、当局の資料によっても、この施策によって二十三万人の新規雇用を生み出しております。新規・成長分野の十倍の雇用効果を発揮しているわけであります。こういう対策こそ充実すべきではありませんか。

 政府はせっかくその一部を紹介する好事例集をつくりましたが、印刷部数がわずか八十部と聞いております。もっと好事例の普及に力を入れるとともに、交付金を増額し、実施期間も延長すべきではないか、お尋ねをします。

澤田政府参考人 御指摘の緊急地域雇用特別交付金は、小沢委員御承知のように、平成十三年度までの臨時応急の事業として二千億円を各都道府県に交付しております。十三年度、あと一年間ございますので、私どもはその活用を促進してまいりたい、こう考えております。

 それから、好事例集につきましては、印刷部数は確かに少ないのでございますが、基金を持っております各都道府県には渡る数でございまして、既にお配りしておりますので、それも活用していただきたい、こう思っております。

小沢(和)委員 私は、この交付金を相当に増額しても、今の深刻な雇用情勢の中ではまだまだ不十分ではないかと思うのです。とりわけ、特別の技能を持たない中高年の人々の雇用の改善のためには、今こそ政府が臨時的措置として公的就労事業に踏み切るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 御指摘をいただきました緊急地域雇用特別交付金事業、こうしたものは、二年間なら二年間、その期間は確かに有効であるというふうに思いますが、それが終わりますとすぐそれは無効になるわけでございまして、本格的な雇用対策にはならないのだろうというふうに思います。

 したがいまして、本当に緊急のときの当座の手当てということにはなるだろうというふうには思いますけれども、しかし、本当の雇用対策というのは、やはり私企業に対する雇用対策のあり方というものをどうするかということで、お願いをすべきところはお願いをし、支援をするところはしていくといったことが大事ではないかというふうに思っているところでございます。

小沢(和)委員 今、当座の手当てと言われましたけれども、まさにこれほど深刻な状況であるから当座の手当てをして、景気全体が回復してくるまで支えていかなければならないのではないかということを私は言っているわけです。

 時間がありませんので次の質問をいたしたいと思うのですが、雇用対策法改正案第二十四条で、事業主が大量解雇などを行うときには再就職援助計画を立てることが義務づけられ、再就職のための休暇や講習会への参加などを保障することになっております。しかし、これは事業主に現在の雇用を維持する努力を求めるものではありません。あくまで再就職の援助を義務づけるだけであります。しかも、再就職ができる保証はありません。これによって、今後大量の人減らしや解雇の手順が定められたことになり、むしろリストラを加速するおそれさえ出てくるのではないでしょうか。

 私は、この改正案の弱点をカバーするためには、再就職援助計画を職安所長が認定する場合に、事業主がいわゆる整理解雇四要件の努力を尽くした上でやむなくその計画を提出したのかどうかをチェックすることとするようにしたらいかがかと思いますが、どうでしょうか。

澤田政府参考人 再就職援助計画を作成し公共職業安定所長のところへ提出するという中身でございますが、今後審議会等で検討することになると思いますが、計画の中身の必要記載事項として私どもが現在考えておりますのは、この計画を作成するに至った事業所経営上の理由、そしてやむを得ず離職する者が相当数出ると見込まれる理由、こういうものを書いていただくということにしております。そうした背景を記載する計画そのものについて関係労働組合等の意見を聞くという仕組みにしておりますので、そこは企業内の労使でよく十分話し合った上での計画策定であるというふうに安定所長は判断することが適当であろうかと思っております。

小沢(和)委員 では、私が提案していることは内容としては取り入れられるというふうに今聞いておきたいと思うのです。

 今一番必要なことは、企業に対して現在の雇用を守る努力を義務づけることだと思うのです。我が国では、この関係では、今も言いました最高裁の整理解雇四要件の判決があるだけであります。労働者の雇用を守る明文の規定を持った成文法がないために、多くの事業主は今やりたい放題に人減らしや首切りを行っております。これを撤回させるためには長期の裁判をせねばならず、心ならずも泣き寝入りというケースが多いわけです。

 日本の労働者がこれほど無権利状態に置かれたことは、戦後初めてです。こういう状況の中で、少なくとも事業主が解雇を避けるための最大限の努力をすることなど、整理解雇四要件の法制化、解雇規制法の制定が必要ではないかと思いますが、所見を伺いたい。

坂口国務大臣 解雇につきましては、その理由、態様等は多様でありますから、いわゆる整理解雇の四要件を必要とするという裁判例の考え方を踏まえまして、具体的な事情に応じて労使間で十分話し合っていただくべきものと考えております。一律に解雇を規制するような立法措置というのは適当ではないのではないかというふうに思っております。

 また、いわゆる転籍でありますとか出向につきましては、裁判例では本人の同意が必要とされておりまして、このことは広く知られているところであるというふうに思っております。

小沢(和)委員 この法律は、今も指摘したとおり、雇用を守ろうというものではなく、解雇そのものは認め、再就職を援助するというものであります。こうなれば、企業は幾らでも人減らし、解雇を進めることができる。その行き着く先は、企業は中核的な業務だけを正社員で賄い、残りの業務は臨時、派遣、パートなどの低賃金でいつでも解雇できる不安定労働者に置きかえることになってしまいます。これは、まさに日経連が打ち出している方向と一致しております。

 政府は、日本の労働者の大部分をこのような不安定、低賃金の労働者にかえてしまってよいと考えているのか、この法案がそういう方向に道を開くことにならないと思っておられるのか。考え方をお尋ねします。

坂口国務大臣 決してそんなことを考えているわけではございません。この法律は今も申しましたとおり、もし仮に経済状態が急に悪化をするあるいは急な展開をしてまいりましたときに、働く人たちが新しい職場を求めることができるように、あるいはまた将来のことを思って、解雇とかそういうことではありませんけれども、むしろみずから新しい職場を求めようとされますときに対応をしていただけるためのものでありまして、この仕組みをつくることによって企業がいわゆる解雇をしやすいような状況をつくり出すというようなことを考えておりませんし、こういうことをやりますためには、労働組合がありますときにはやはり労働組合の御意見を聞いてやらなければならないことにいたしております。

 ですから、働く皆さん方の御意見も聞いて、これはその意思も十分に確認しながらやることになっているわけでありまして、決してそういうことでこの法律を考えているわけではありません。

小沢(和)委員 私は、今、政府のこういうような姿勢のために労働者が雇用の点でいかに無権利状態に置かれているか、二つの例を挙げたいと思うのです。

 一つは、世界的に知られたゲーム機器メーカー、セガでの分社先への転籍の強要であります。

 セガは九五年以来、物流部門、ソフト開発部門、ゲームセンターなどを次々に十六社に分割いたしました。十六社の社員は全部で千七、八百名に上り、これまではほとんどが出向扱いでした。ところがセガは、昨年十一月末の団体交渉で突然、この出向社員全員を本年四月一日をもって出向先に転籍させると発表しました。

 この転籍についてセガは、本人の同意は必要ではないとして、団交直後に全労働者に対し、二〇〇一年三月末日付で出向を解き全員を転籍することにいたしましたのでお知らせしますとの発表を一方的に行いました。転籍先の就業規則や賃金規程などの説明もありません。転籍でセガを解雇することになるのに、退職金も支払われません。

 転籍には本人の同意が必要ということは、先ほど大臣もちょっと触れられましたけれども、最高裁が今から二十八年前、日立製作所横浜工場事件で下した判決以来、判例法として確立されております。ところが、セガのような大企業がこれを無視しております。そればかりか、労働組合がこのような違法なやり方は認められないと転籍不同意書を提出したところ、対象となった組合員十四名に対し、四月一日から一切の仕事を取り上げ、いわゆる座敷牢と言われる隔離部屋に押し込むことを文書で通知しております。これがその通知であります。

 先日、労働組合から大臣あてに、この問題で指導してほしいという要請が行われたと聞いておりますが、どうなっておりましょうか。

日比政府参考人 ただいま小沢委員御指摘のセガの問題でございます。

 最後の点から先にお話ししますと、要請書というペーパーは、私のところではございませんけれども、御提出いただいております。ただし、御説明はきちんとはお受けしていないと聞いております。

 それで、転籍の問題でございますが、まさに小沢委員御指摘のように、最高裁では、これは一身専属的権利だからということで、本人同意がなければならない。つまりこれは、民事の契約としましても当事者の意思を除いてその契約をほかに持っていくわけにはいかない、こういう考え方であろうと思います。

 そこで、私ども考えますに、例えば労働基準法というものですと、これは基本的には労働条件の最低を定め、罰則をもって担保する。したがいまして、何か違法状態がございますと、当事者から申し出がなくても、場合によっては私どもの方から監督に入るということが起こります。ただ、先ほど申し上げましたように、民事上のいわば契約の問題で、そのことについて罰則をもって云々ということにはなっておりませんので、そういう問題につきましては、御案内のとおりかと思いますが、労働局長のもとに紛争解決援助制度を設けております。また、これまた御案内のごとくでございますが、労働組合というものがあった場合に、物事が、紛争が起こりますと、労働委員会制度もございます。

 私ども、先ほどの御要請の点でございますが、このような紛争解決援助制度なり労働委員会制度、こういうものにのせていただければと思います。

 また、紛争解決援助制度につきましては、あるいはまだ不十分との御指摘があろうかと思いますが、今般、この国会に個別労働関係紛争調整に係る法律案も出させていただいておりまして、さらに調定制度等が活用できればというようなことで考えております。

 先ほどの御要請につきましては、要請書はいただいておりますので、それぞれ先ほど申し上げたような手続をお踏みいただくようにということは申し上げておるはずでございます。

小沢(和)委員 そういう紛争解決援助制度などがあるということは承知していますけれども、それはどちらにも言い分があるというような場合だったら紛争としてそういうところにのせるのもいいけれども、今度の場合は、あなたも言われたとおり、最高裁の判決から見ても許されないようなことをセガという天下の大企業がやろうとしているんです。それを、民民の個別案件だからこっちは手は出しませんということだったら、そういうような許されないことがまかり通ってしまうんじゃないですか。だから我々は、それを国として指導しなさいと言っているんです。指導すべきでしょう。

日比政府参考人 私ども、助言あるいは指導をしないと申し上げているつもりはございません。労働委員会制度でもそうでございますが、先ほど申し上げましたように、何か事態が起こったときに、行政がどなたからも申し出がないのに出ていくということはいかがでしょうかと申し上げております。これは申し出をいただければ紛争解決援助制度は動くということになっております。

小沢(和)委員 申し出があればといったって、あなたのところに労働大臣あての要請書を出しているんですよ。私が聞いているのでは、そのとき受け取ろうとしなかったらしいんだ。それを渋々受け取ったというんですよ。そういう初めからの姿勢だからだめだと言っているんですよ。申し出は明らかにあっているわけでしょう、要請書が行っているんだから。だから、直ちに事情を調べて適切な指導をすべきでしょう。どうですか。

日比政府参考人 そのときの状況については、正直なところ、私自身が把握しておりませんので把握し直しますが、紛争解決援助制度、先ほど委員もおっしゃられましたように、御承知だということで考えさせていただきますと、これは当然受け付け、要するに、今回ですと東京と千葉でございましたでしょうか、それぞれ所管の窓口、きちんと広報もいたさせていただいておりますし、そういうことで御利用いただければと思います。

 ただ、先ほど委員御指摘の点、私もそのときの状況を存じ上げませんので、私の思いからいたしますれば、そういうものをいただいたときにしかるべく取り次ぐとかということを行うべきであったろうと思いますが、状況については承知いたしておりませんが、そういう不手際があったとしたら申しわけないと思っております。

小沢(和)委員 だから、反省の弁を述べられたのは大変結構ですから、労働省として、この最高裁の、転籍には本人の同意が必要であるという、もうさっき大臣もこれは周知のことだと言われたんです。それを天下の大企業が守ろうとしていないということについて、はっきりした指導をしていただきたいということを重ねてお願いしておきます。

 それで、さっき二つ例を挙げると言いましたから、もう一つ申し上げたいんですが、これも世界的な鉄鋼メーカー、新日鉄での、事実上の五十九歳定年制の押しつけの問題であります。

 今我が国では、企業に対し、定年を定める場合には六十歳以下は認めず、六十五歳に延長するよう努力することが高年齢者雇用安定法によって義務づけられております。ところが新日鉄では、不況対策を口実に十数年前から、五十九歳になったら職場から外し、半年間の教育、半年間の休業ということが行われてまいりました。職場を外された労働者は、賃金が大幅に減った上、その下がった賃金で退職後の雇用保険の給付額が計算されるので、生活は大変な打撃を受けます。

 最近、鉄鋼が不況業種から外される中で、同じ新日鉄でも他の製鉄所は五十九歳で職場から外すことをやめましたが、八幡の一部の職場では今も続けられており、要員不足の一因となっております。そしてその一方では、労災事故が多発しております。労働組合も、定年延長の試みが始まっているのにおかしい、やめるべきだと会社に申し入れておりますが、会社は今後もこれを続けるとして、四月一日からの該当者に業務命令を出すと言っております。

 定年延長に努力すべき会社が事実上の五十九歳定年を押しつけ続けることは、高年齢者雇用安定法の立法趣旨からも許されないことだと思います。

 一昨年、我が党の大森委員が、神奈川県のNKKが高年齢労働者を一定年齢で区切って一律に転籍を強要することは高年齢者雇用安定法第四条違反として当委員会で取り上げ、当時の労働省は厳しく会社を指導し、是正させました。この新日鉄八幡の五十九歳定年も同じ性質の問題だと思いますので、指導すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 以上で終わります。

澤田政府参考人 新日鉄のケースにつきまして、詳細な事情はまだ把握しておりませんが、先生のお話を今お聞きしている限りでお答えをいたしたいと思います。

 高齢法等々で定年年齢の引き上げ等の努力義務を課しておりますが、そこで言います定年という概念は、もう先生御承知でありますが改めて申し上げますと、労働者があらかじめ決められた所定の年齢に達すると、それを理由として自動的に、あるいは解雇の意思表示によって、その地位を失わせるという制度であります。

 今お聞きの五十九歳になった時点で半年教育訓練、半年休業というのは、こうした意味での定年を引き下げたということには当たらないのではないかというふうに私は考えます。雇用関係は六十歳まで継続しているということがどうも裏にあるのだろう、こう思います。そして、そうした措置を新日鉄がとっているとすれば、通常は労使協定を結んでやっているものと私は思いますので、これもよく調べてみますが、そういうことではないか、こういうふうに考えております。

 なお、付言しますと、新日鉄は六十歳定年をとっておりますので、一般的に定年前に教育訓練をするとか休業を与えてその間に求職活動をするとかいうことは、定年後の再就職の面で一種の支援的側面もあるのではないか、こういうふうに考えております。

小沢(和)委員 終わりますけれども、調べていただければ、実質的にこれは五十九歳定年制なんですよ。だから、ぜひ指導していただきたいということを申し上げて、終わります。

鈴木委員長 次に、金子哲夫君。

金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子です。雇用対策法の一部改正について、幾つか御質問させていただきたいと思います。

 最初に、今の雇用状況について改めてお伺いをしたいと思います。

 失業の状況というのは、戦後最悪の水準ということが言われておりまして、間もなく発表されるでありましょう二月の雇用状況についても、失業率も場合によれば五%の大台ということも予想されるような今雇用状況にあるのではないかというふうに思っております。それに加えて、本会議でも我が党から質問しましたけれども、先ほども意見が出ておりますけれども、自殺者の問題をとりましても、その中に中高年者、またリストラなどの経済問題が主要な要因によって自殺が出ているということも事実であります。

 こうした状況を考えてみますと、今回の法案の中で、とりわけいわばミスマッチによる労働情勢の悪化ということもかなり強調されております。そして、ところによれば、労働移動の増加とか労働力需給のミスマッチによっていわばこの高失業率が高どまりをしているというようなことが背景として言われているというふうにも書かれている部分もありますが、私は、それももちろん大きな要因だとは思いますけれども、今日の雇用状況というのは、ただミスマッチということだけで片づけられない、深刻な経済状況の中でこの雇用状況があるというふうに考えておりますが、その点について改めてもう一度認識を聞かせていただきたい。

坂口国務大臣 御指摘いただきましたように、現在の雇用情勢はやはり厳しいものだという認識を持っております。失業率は四・九%というふうに現在近々のものはなっておりますことは御承知のとおりであります。昨年後半からこちら、四%台後半がずっと続いているわけでございます。

 有効求人倍率の方は、先ほども触れましたとおり、昨年の十二月まで改善されてきたわけでございますが、ことしの一月におきましては、〇・〇一ではございますけれども、〇・六五倍ということになりまして、昨年十二月の〇・六六倍を若干下回った状況にございます。新規有効求人倍率はまだ増加を続けておりまして、サービス業でありますとかあるいは製造業などにおきましては新規求人はまだ増加をいたしておりますので、これが今後どうなっていくかということを若干注目をしているところでございます。

 二月は、いずれにいたしましても、どの年を見ましてもなかなか雇用の厳しい月でございますから、二月の値というのがどうなるかということを、私たちも半分は心配をして半分は非常に注目をしながら今見守っているところでございます。

 そういう状況にありますだけに、我々も、ミスマッチを一つはなくしていかなければならない。御承知のように、ミスマッチだけでこれを解決することはでき得ないだろうというふうに思っています。

 私がもう一つ挙げておりますのは、ミスマッチの中にも、地域的な問題もあり、年齢的な問題もあり、あるいは技能、技術によるところのミスマッチもあるというふうに思いますが、これらの問題とあわせて、やはり国際的な環境の中での企業の置かれている環境というものもあるだろう。製造業、第二次産業、第一次産業は厳しい環境の中に置かれているということを考えますと、これから先、欧米先進国のように第三次産業をもう少し前進をさせなければならないのではないかというふうに思っておりまして、第三次産業の環境整備ということがあわせて大事ではないかということを言っているところでございます。

金子(哲)委員 いずれにしても、今の状況が雇用関係に限って言えば正常な状態でないということはだれもが認めるところでありまして、労働者にとって職場がないということほど生きていく上で大変なことはないわけでありまして、まさに安定した雇用の維持確保というのが我々社会においては大前提であるというふうに思いますので、そういう意味では、抜本的な雇用対策、新たな良好な雇用の創出に対しては積極的に支援をする等々、これから抜本的な政策をぜひ打っていただきたいというふうに思いますけれども、その決意を一言で結構ですので。

坂口国務大臣 ぜひそういうふうにしていきたいというふうに思っております。

金子(哲)委員 それでは、この法律の中身の問題についてお伺いをしたいと思います。

 先ほども言いましたように、この法律の改正のまず大前提としてあることは、雇用することが経済活動として当然のことということがあるわけでありまして、雇用が大前提ということは当然だと思います。

 経済産業構造が変化をしてきているということの中で、これに対応するための再就職の援助を行うということでこの法案の改正が提案されているというふうに、私は主要なところはあるというふうに思いますけれども、今の雇用の状況、先ほども申し上げましたけれども、確かに産業構造の変化によってリストラが起きているということでありますが、これはあらゆる部門において、あらゆる職種においてリストラが進んでいるわけでして、特に今の最近の状況ですと、IT産業関連、いわばこれからのよい市場とも言われる部門ですらリストラが行われている。

 今、企業の経営を守るためにはリストラをやるのは当然だというような状況がいわば一方で存在しているというふうに私は思っておりますけれども、そういう中でこの法案が提案されていることについて、私は少し危惧を持っております。確かにミスマッチによって雇用が、いわば職場間の移動ができないことに対して対策を打つということは当然だと思いますけれども、今日のリストラをどんどん進めていこうという企業の体質の状況の中で、この法案が本当にそういった役割を果たすのだろうか。私は、もう少し雇用状況がよくなった時点で、いわば本当にそういう産業構造が改善をされて、失業なき労働力移動が行われる状況というものが出てくれば、この法案の持つ性格といいますか、役割は非常に重要なものがあると思いますけれども、いかんせん今の状況というのは、先ほど言いましたように、何度も言うようですが、リストラが余りにも横行している状況の中では、この法案そのものがいわばリストラを支援するような法案に利用されていく、こういうことが本当に心配をされるわけです。

 そういう点については、そんなことはないということをお答えになると思いますけれども、いわば運用上非常に危惧を持っておりますけれども、その点についてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

坂口国務大臣 この法案は、離職を余儀なくされる労働者の再就職促進を目的とするものでありまして、再就職援助計画を制度化することによって、かえって事業主の雇用維持に対する努力を阻害することのないように配慮する必要があると考えております。

 このため、再就職援助計画につきましては、計画作成に至った経緯等を記載していただくことを予定をしておりますほか、その作成に際しましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、労働組合等の意見を聞かなければならないことといたしておりますし、この点につきましては本法案にも明示しているところでございます。

 また、公共職業安定所長に提出をして認定を受けた再就職援助計画に基づきまして事業主が講じます一定の再就職援助措置に対しましては、国が助成措置を講ずることとしておりますが、助成の実施に当たりましては、対象となる計画について、労働組合等の同意を得ていることを要件とすることを実施に向けた検討としてまいりたい、助成には同意が必要であるというふうにしていきたい、こう思っております。

 これらの点を今後幾つも重ねながら、今御疑念になりました、御心配をいただいておりますようなことがないようにしていきたい、こういうふうに思っているところでございます。

金子(哲)委員 今の発言の中では、同意というところまでということを明確におっしゃっていただきましたので、ぜひその点は実施の段階で明確にしていただきたいというふうに思います。

 ただ、今の労働界の状況といいますのは、御承知のように、もう組織率が二〇%をちょっと超えるという状況でありまして、実際に労働組合がある職場というのがいわば少なくなっているわけですね。そうすると、労働組合との話し合いも、それは労働組合があれば当然そこで話し合うということになりますが、実際には労働組合がないところで起こる。そうすると、今の法案の中では、労働者の代表との話し合いということになるわけでして、さまざまな法案のときそうでありますけれども、労働組合との話し合いということになる、なければそこの職場の代表ということになりますが、実態を考えてみますと、本当の話し合いをやる場合に、その職場の中で話し合う相手というのは、代表者というのは、どういう人たちが一体想定されるとお考えでしょうか。

坂口国務大臣 お話のように、労働組合が存在しないところもあるというふうに思います。

 それで、再就職援助計画の作成につきましてはこういうことになっております。「事業主は、前項の規定により」これは前項にあるんですが、「前項の規定により再就職援助計画を作成するに当たつては、当該再就職援助計画に係る事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。当該再就職援助計画を変更しようとするときも、同様とする。」こういうことにいたしております。

金子(哲)委員 読み上げられればそのとおりなんですが、いわば職場の中で組合がない場合に、労働者の半数を代表する者というものが、実体に組織がない場合には、いわば労働法上で言う組合員資格のない者を除いた管理職とかそういったものが実態上なっていく可能性が非常に強いわけですね、実際上、民間の職場の中で組合がないような場合には。

 ですから、その意味では、やはりその計画書には解雇に至る一人一人の事情を聞いた、そういう経過も含めてこの計画書の中に、いわば代表者の話し合いだけでなくて、当該の労働者に対しての意見の明記などもぜひ必要ではないかということをさらに私はつけ加えて、よりやはりそういうリストラ、いわば労働者が不利益な状況の中でこれが進んでいくことがないようにということを考えたいというふうに思いますけれども、その点はどうでしょうか。

澤田政府参考人 職場におきます働く人の総意をどういう形で代表するかという問題は、労働法の世界で常に古くて新しい問題でありますが、労働組合がない場合については、現在の労働者の過半数を代表する者という以外に方法が現実にはないわけですね。

 ですから、あとは職場の民主主義の問題とか職場の自治の問題として、そこは適正に行動していただくということを、まさに労働者の意識としても持っていただきたいし、私どももそういう期待をしておるところであります。

金子(哲)委員 一人一人のそれは……。

澤田政府参考人 一人一人の意見を聞くというところまでは、本件の場合には必要はないというふうに私どもは考えております。

 それはなぜかと申しますと、再就職援助計画の中身として、対象者がだれであるかということが明らかになります。固有の名前を書いてもらうことにしておりますが、それは、援助対象者の状況に応じて企業が行う再就職支援措置も違うであろうということを前提にそういうことを考えておりますので、援助措置を講ずる段階で個々の皆さんの意向というものは反映するものというふうに考えております。

 ですから、再就職援助計画をつくる必要があるかどうかということは、その事業場が縮小等の客観状況に追い込まれてやむを得ず離職者が出ることについて、そこに働く労働者全体がどう理解するかという問題でとらえればいいものと思っております。

金子(哲)委員 今非常に重要なところだと思うんです。

 確かに援助計画であります。しかし、一人一人にとっては、先ほど言われた大前提として、離職に追い込まれるという大前提があるわけですね、これは。つまり、一人一人はリストラに遭って職場を失うわけなんですね。それに対してどうかということが非常に問われているわけで、あと、次のことの、どれだけ援助をやるかということよりも、それはセットの問題だと思うんですよ。

 だから、いわば組合もないような事業所の中で、だれかが職場の過半数を代表しているからということで、そこで意見を聞いたからそれで終わりだということでは、実際に起きている状況に対して適切な指導ということには、この改正法を実効あるものとして運用することにはならない。むしろ、先ほど私が言うように、リストラに活用されることの危険性すら、当然のこととして、逆に言えば出てくる。

 では、もっと一人一人の労働者に対して、代表者の意見を聞くのも当然でしょう、だけれども、該当の労働者に意見を聞いて、それを付記することがなぜできないのでしょうか。

澤田政府参考人 再就職援助計画を作成することを企業に義務づける目的は、再就職援助の対象となる離職者が個々別々について適当かどうかを判断するためではなくて、やむを得ず離職することになったという方々にどう有効な再就職支援をするかということを企業に考えてもらうための計画でありまして、離職の対象者がどうであるかという問題は別個の判断基準で、それはもう先ほどいろいろな質問で大臣、副大臣からお答えしていますように、解雇の判例法理とか、そういうところで判断をする話であると私どもは考えております。

金子(哲)委員 いや、なぜその個々の人たちの意見が聞けないかというのが今もってわからないわけですね。それは、先ほど言いましたように、これ以上何度言っても同じ答えだけでしょうからあれですけれども、そういう危惧があることに対して、やはり一人一人の、一番離職をしなきゃいけない立場に追い込まれた当事者の意見をできるだけ聞いて、そこにはそごがないように職業安定所も判断するという材料をできるだけその資料の中に明示をさすということは、むしろあっても当然だと私は思うんですけれども、それに何かこだわられるのが非常にわからないですね。それから、もういいです。

 それで、もう一つお聞きしたいのですが、その計画というのは離職が余儀なくされる日から大体三十日前ぐらいに計画を提出するのですね。そうじゃないのですか。その際、そこにおける職場の労使の話し合いに対しては、大体どれぐらい前の期間に提示をするように今回のものではなっているのですか。

澤田政府参考人 相当数の離職者の発生が見込まれる時点以前、一月前ぐらいに計画を公共職業安定所長へ提出していただくということを今考えております。したがいまして、いつの時点で労働組合ないし労働者代表の意見を聞くかということは、それはもう企業内のまさに事情に応じて、作成する前にやられることは明らかであるでしょうけれども、それが計画を提出する一月前なのか、二月前なのか、三月前なのか、これはまさに事業の縮小等に至った経営状況がどの時点ではっきりしたかとか、いろいろな事情がございますので、そこは、私どもは、法律、政令等々で一律に縛る話ではない、こういうふうに考えています。

金子(哲)委員 確かに、離職を余儀なくされる日から三十日前にこの計画はつくられるということですけれども、先ほど言いましたように、三十日間というのは、次の雇用場所を探すためとか、いろいろなための期間としてあるわけでして、しかし、もう離職をしなきゃいけないという前提になるわけですね。

 そうすると、その計画以前に労働者の同意を得るための一定の期間がなければ、極端なことを言えば、合意が簡単にできないわけですけれども、やはり一月とか、それは二カ月、三カ月前から計画を立てて協議をすることは当然いいことですけれども、場合によれば、例えば会社分割というような場合は二週間前じゃないですか、事前に説明するのが。例えば、そういう短い期間でこういうものがやられるとしたら、最低でもその計画が始まる一月前ぐらいから労使で話し合いをする、十分な話し合い期間を持つというようなことが最低の条件として必要ではないかというふうに思うんです。言われるとおり、それより前からやってはいけないということを言っているわけじゃなくて、最低この期間は必要ではないか、事前に労働者に話をする期間というものはあっていいのではないかと思いますけれども。

澤田政府参考人 金子委員、会社分割制度の場合の労働契約承継法の二週間前というのを引き合いに出されましたが、あれは株主総会への、まさに会社分割そのものの株主への通知との関係で出ているお話でありまして、本件は、まさに離職を余儀なくされる方々が、いつ、見込みとしてほぼ確定するかというところにかかわる問題でありますので、そこはまさに個々の事業場の状況に応じて千差万別であろうと思いますので、最低、計画提出の一月前とか二月前とか一律に決めることはむしろ適当ではない、こういうふうに思っております。

金子(哲)委員 ぜひちょっと検討していただきたいと思います。それは大臣にぜひお答えをいただきたいと思いますが、私は、雇用にかかわる、労働にかかわる非常に重要な問題ですから、できるだけ早目に労働者側に周知をしてやるという最低のそういう条件というものはあっていいのではないかというふうに思います。

 言われるとおり、何カ月も前という計画はありますけれども、しかし企業の都合だけで、降ってわいたから今からやりますというような話では困るわけでありまして、それは一定の期間というものが、私は三十日ぐらいは必要だと思いますけれども、その点についてどうでしょうか。

坂口国務大臣 今お聞きをしておりまして、私もその全体像が十分にわかったわけではありません。一遍、きちっと整理をしてみます。

金子(哲)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、これはなかなか難しい問題ですけれども、いわば離職を出す側の企業に対して、今三十日ということはありますけれども、聞くところによりますと、今回、この法案の中で、いわば出側に対する支援、予算上の話なんですけれども、五万人程度というふうに聞いておりますし、それからこういう人たちを、受け手の側の企業に対しての援助措置は一万五千人ぐらいをという話を聞いておりますが、もしそうだとすると余りにも差があり過ぎるということをちょっと考えておりますけれども、その辺はどうですか。

澤田政府参考人 これは、あくまでも十三年度予算を組む上での想定でございまして、実際に対象者が出る場合には予算に関係なく必要な助成はするという仕組みになっておりますので、御理解いただきたいと思います。

金子(哲)委員 私があえてそのことを言いましたのは、せっかくの法案でありながら、出側の方は一生懸命やるけれども、あとはできるだけ自分で努力をしなさいと、そして企業は努力して、受け取る側は一万五千人の予算を組んでおりますと。残りの三万五千人は、言い方は失礼ですけれども、いわば自助努力でやるというのでは、法案をつくる際にいかに言っても、企業はとにかく雇用創出のための準備期間を一カ月間労働者に与えれば、休暇でも何でもいい、とにかく与えれば済むんだということになるわけでありまして、やはり出す側もこれだけの援助を出してやるというのであれば、ただ労働者任せではなくて、企業自身が一定程度、次の就職先に対して、出し側の企業もやはり責任を持っていくようなシステム、そういったものがこの法案の精神の中に入っていかなければいけないと思いますけれども、どうでしょうか。

澤田政府参考人 私の御説明が不十分でしたので恐縮ですが、まず、出す側といいますか、離職を余儀なくされる人に、事業縮小等にあった事業場が何らかの支援措置をする。それは五万人と踏んでおりますのは、全員に対して企業が支援措置をするということを我々は想定しているわけです。逆に、五万人の方が、もとの企業の方から支援措置を受けていろいろ就職活動などして再就職をする。五万人どこかへ再就職しても、そのうち、受け入れた方の企業で職場定着のために教育訓練をした場合に助成をするという仕組みですから、五万人を受け入れても、五万人全部、受け入れ企業が職場定着のために教育訓練をするという想定に立ちませんので、五分の一を職場定着のために教育訓練するであろう、これは想定であります。

 ですから、そこは差をつけているということではないので、御理解いただきたいと思います。

金子(哲)委員 時間がないのであれですけれども、企業の受け手の側は、案外とその受け手の側も、実際に訓練をどの辺までやるかは別にして、保障といいますかそういったものを、助成金を利用するという企業はあるわけです。そういった点でいうと、受け手の側に対して、やはり本当に、失業なき労働力移動ということが言われているわけですから、それが実効あるものにしなきゃいけないというふうに重ねて申し上げておきたいと思います。

 最後に、これの中にはいわば計画書の提出の義務化的なことが言われて、聞くところによりますと三十人規模以上のということを聞いておりますけれども、それで、実際に受けるのは少人数でもこれはできるんだということであります。

 三十人というのが、別の法案の係り等いろいろあるようですけれども、今の状況でいうと、やはり、積極的にこの法案を活用してやっていただくためには、三十ではなくて、もっと少ない人数でもこれが適用できるように義務化をぜひやっていくという方向が必要ではないか。それで、今大変な労働状況の中ですので、それを活用できるような人たちをふやしていくということ。

 それからもう一つは、これは労基法やさまざまな場合は事業所単位で言われるわけですけれども、実際には、例えば金融機関でありますとかそういうところになりますと、事業所単位では五人、十人だけれども、企業全体としては百人、二百人の希望退職なり失業を余儀なくされる人たちをつくらなきゃいけないというような場合があるわけですね。そういった企業に対して、労働行政上なかなか難しいということは承知しておりますけれども、こういうことに対してできるだけ、法案ができたとすれば、そういう人たちもこれが受けられるための企業に対する周知等をやはりやっていく必要があると思うんです。

 かつてのように事業所、いわば製造部門ですと一カ所で三十人とかいうことはありますけれども、やはり今言ったような金融機関なんかだと、支店で一人、二人の希望退職を募ってトータルは百五十も二百もなるようなケースがあるわけですから、そういったものに対しても、ぜひできるだけこの法案が適用されるように指導してほしいというふうに思います。

 今、大量雇用変動届で昨年一年間で出された数は年間八万人ですね、届け出が三十人以上ということで出されている。そういうことになりますと、実際の職を失った方の全体から見ますと義務化されている部分は非常に少なくなるわけですから、せっかくの法案がもしできるとして活用するとしたら、それが有効に多くの労働者に対して活用できるように、ぜひ積極的な周知や、また、そういうことができるんだという、また、三十名にこだわらず、もうちょっと低い数字での義務化も検討していただきたいと思いますけれども、最後にその点。

坂口国務大臣 そういう行政指導をできるだけ徹底したいと思います。

金子(哲)委員 ありがとうございました。

 大変な雇用状況の中ですので、この法案も非常に重要な法案になると思いますので、ぜひ、雇用を守っていくという立場でこれからの行政をやっていただきたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十四分散会




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