衆議院

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第8号 平成13年3月30日(金曜日)

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平成十三年三月三十日(金曜日)

    午前十時五十分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 森  英介君

   理事 吉田 幸弘君 理事 大石 正光君

   理事 鍵田 節哉君 理事 福島  豊君

   理事 佐藤 公治君

      遠藤 武彦君    奥山 茂彦君

      上川 陽子君    鴨下 一郎君

      木村 義雄君    北村 誠吾君

      田中眞紀子君    田村 憲久君

      竹下  亘君    西川 京子君

      林 省之介君    増原 義剛君

      松島みどり君    三ッ林隆志君

      宮腰 光寛君    宮澤 洋一君

      森岡 正宏君    森山 眞弓君

      吉野 正芳君    家西  悟君

      大島  敦君    加藤 公一君

      金田 誠一君    釘宮  磐君

      手塚 仁雄君    永田 寿康君

      古川 元久君    三井 辨雄君

      水島 広子君    山井 和則君

      青山 二三君    江田 康幸君

      樋高  剛君    小沢 和秋君

      木島日出夫君    阿部 知子君

      金子 哲夫君    中川 智子君

      小池百合子君    川田 悦子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働副大臣      増田 敏男君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働大臣政務官    奥山 茂彦君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長

   )            日比  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長

   )            澤田陽太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発

   局長)          酒井 英幸君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  堤  修三君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  熊代 昭彦君     森岡 正宏君

  林 省之介君     増原 義剛君

  釘宮  磐君     手塚 仁雄君

  古川 元久君     永田 寿康君

  阿部 知子君     金子 哲夫君

同日

 辞任         補欠選任

  増原 義剛君     林 省之介君

  森岡 正宏君     熊代 昭彦君

  手塚 仁雄君     釘宮  磐君

  永田 寿康君     古川 元久君

  金子 哲夫君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

三月三十日

 社会保障の拡充に関する請願(中川智子君紹介)(第八一三号)

 同(山崎拓君紹介)(第八一四号)

 同(木島日出夫君紹介)(第八三四号)

 同(川内博史君紹介)(第八四一号)

 同(横路孝弘君紹介)(第八四二号)

 同(荒井聰君紹介)(第八五八号)

 同(金田誠一君紹介)(第八五九号)

 同(伊藤宗一郎君紹介)(第八七〇号)

 同(中川智子君紹介)(第八七一号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第八七二号)

 同(三井辨雄君紹介)(第八七三号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第八八〇号)

 同(中川智子君紹介)(第八八一号)

 同(三塚博君紹介)(第八八二号)

 同(中川智子君紹介)(第八九八号)

 同(宮下創平君紹介)(第八九九号)

 同(石井紘基君紹介)(第九一一号)

 同(江藤隆美君紹介)(第九一二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第九一三号)

 同(佐藤謙一郎君紹介)(第九一四号)

 同(大石尚子君紹介)(第九二一号)

 同(阿部知子君紹介)(第九九七号)

 同(大石尚子君紹介)(第九九八号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第九九九号)

 同(小平忠正君紹介)(第一〇〇〇号)

 同(保坂展人君紹介)(第一〇〇一号)

 同(細田博之君紹介)(第一〇〇二号)

 食品の安全を確保するための、食品衛生法の改正と充実強化に関する請願(井上義久君紹介)(第八一五号)

 同(大幡基夫君紹介)(第八一六号)

 同(久間章生君紹介)(第八一七号)

 同(熊谷市雄君紹介)(第八一八号)

 同(小林憲司君紹介)(第八一九号)

 同(今野東君紹介)(第八二〇号)

 同(島聡君紹介)(第八二一号)

 同(高木義明君紹介)(第八二二号)

 同(都築譲君紹介)(第八二三号)

 同(虎島和夫君紹介)(第八二四号)

 同(中谷元君紹介)(第八二五号)

 同(平野博文君紹介)(第八二六号)

 同(古川元久君紹介)(第八二七号)

 同(三塚博君紹介)(第八二八号)

 同(山本幸三君紹介)(第八二九号)

 同(海江田万里君紹介)(第八三五号)

 同(今野東君紹介)(第八三六号)

 同(日野市朗君紹介)(第八三七号)

 同(平沼赳夫君紹介)(第八三八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八三九号)

 同(安住淳君紹介)(第八四三号)

 同(相沢英之君紹介)(第八四四号)

 同(赤城徳彦君紹介)(第八四五号)

 同(伊藤英成君紹介)(第八四六号)

 同(今村雅弘君紹介)(第八四七号)

 同(大石正光君紹介)(第八四八号)

 同(大島令子君紹介)(第八四九号)

 同(小林守君紹介)(第八五〇号)

 同(中井洽君紹介)(第八五一号)

 同(福井照君紹介)(第八五二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八五三号)

 同(山村健君紹介)(第八六〇号)

 同(今川正美君紹介)(第八七四号)

 同(古賀一成君紹介)(第八七五号)

 同(竹本直一君紹介)(第八七六号)

 同(中川秀直君紹介)(第八七七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八七八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第八八三号)

 同(石井郁子君紹介)(第八八四号)

 同(小里貞利君紹介)(第八八五号)

 同(中山太郎君紹介)(第八八六号)

 同(林義郎君紹介)(第八八七号)

 同(藤木洋子君紹介)(第八八八号)

 同(松下忠洋君紹介)(第八八九号)

 同(保岡興治君紹介)(第八九〇号)

 同(西村眞悟君紹介)(第九〇〇号)

 同(原口一博君紹介)(第九〇一号)

 同(水島広子君紹介)(第九〇二号)

 同(山本明彦君紹介)(第九〇三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第九〇四号)

 同(今川正美君紹介)(第九一五号)

 同(杉浦正健君紹介)(第九一六号)

 同(伴野豊君紹介)(第九一七号)

 同(池田行彦君紹介)(第九二二号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第九二三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第九二四号)

 同(前田雄吉君紹介)(第九二五号)

 同(前原誠司君紹介)(第九二六号)

 同(青山丘君紹介)(第一〇〇三号)

 同(大島令子君紹介)(第一〇〇四号)

 同(大野功統君紹介)(第一〇〇五号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一〇〇六号)

 同(土井たか子君紹介)(第一〇〇七号)

 同(古川元久君紹介)(第一〇〇八号)

 同(前田雄吉君紹介)(第一〇〇九号)

 保育・学童保育予算の大幅増額に関する請願(古川元久君紹介)(第八三〇号)

 同(金田誠一君紹介)(第八六二号)

 同(大石尚子君紹介)(第九二七号)

 同(阿部知子君紹介)(第一〇一二号)

 視覚障害者のパソコンと周辺機器・ソフトの購入への公的助成に関する請願(金田誠一君紹介)(第八五七号)

 同(釘宮磐君紹介)(第一〇一三号)

 同(宮澤洋一君紹介)(第一〇一四号)

 同(山井和則君紹介)(第一〇一五号)

 同(山本幸三君紹介)(第一〇一六号)

 同(吉野正芳君紹介)(第一〇一七号)

 無認可保育所への公的助成等に関する請願(金田誠一君紹介)(第八六一号)

 同(水島広子君紹介)(第九〇五号)

 同(阿部知子君紹介)(第一〇一〇号)

 労働時間の男女共通規制の実現と育児・介護休業制度の改善に関する請願(小沢和秋君紹介)(第八九六号)

 同(木島日出夫君紹介)(第八九七号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(相沢英之君紹介)(第九三三号)

 同(赤城徳彦君紹介)(第九三四号)

 同(赤羽一嘉君紹介)(第九三五号)

 同(浅野勝人君紹介)(第九三六号)

 同(伊藤宗一郎君紹介)(第九三七号)

 同(衛藤征士郎君紹介)(第九三八号)

 同(大原一三君紹介)(第九三九号)

 同(岡田克也君紹介)(第九四〇号)

 同(金子恭之君紹介)(第九四一号)

 同(川内博史君紹介)(第九四二号)

 同(川端達夫君紹介)(第九四三号)

 同(木村太郎君紹介)(第九四四号)

 同(岸田文雄君紹介)(第九四五号)

 同(久間章生君紹介)(第九四六号)

 同(釘宮磐君紹介)(第九四七号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第九四八号)

 同(小坂憲次君紹介)(第九四九号)

 同(児玉健次君紹介)(第九五〇号)

 同(今田保典君紹介)(第九五一号)

 同(近藤基彦君紹介)(第九五二号)

 同(杉山憲夫君紹介)(第九五三号)

 同(鈴木康友君紹介)(第九五四号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第九五五号)

 同(園田博之君紹介)(第九五六号)

 同(田中和徳君紹介)(第九五七号)

 同(高木毅君紹介)(第九五八号)

 同(高木義明君紹介)(第九五九号)

 同(橘康太郎君紹介)(第九六〇号)

 同(谷畑孝君紹介)(第九六一号)

 同(土肥隆一君紹介)(第九六二号)

 同(中井洽君紹介)(第九六三号)

 同(中川秀直君紹介)(第九六四号)

 同(中谷元君紹介)(第九六五号)

 同(中林よし子君紹介)(第九六六号)

 同(中村正三郎君紹介)(第九六七号)

 同(永井英慈君紹介)(第九六八号)

 同(根本匠君紹介)(第九六九号)

 同(野中広務君紹介)(第九七〇号)

 同(林省之介君紹介)(第九七一号)

 同(樋高剛君紹介)(第九七二号)

 同(平井卓也君紹介)(第九七三号)

 同(福島豊君紹介)(第九七四号)

 同(古川元久君紹介)(第九七五号)

 同(保利耕輔君紹介)(第九七六号)

 同(細川律夫君紹介)(第九七七号)

 同(細田博之君紹介)(第九七八号)

 同(牧野聖修君紹介)(第九七九号)

 同(牧野隆守君紹介)(第九八〇号)

 同(増原義剛君紹介)(第九八一号)

 同(松浪健四郎君紹介)(第九八二号)

 同(松本善明君紹介)(第九八三号)

 同(松本龍君紹介)(第九八四号)

 同(三塚博君紹介)(第九八五号)

 同(宮澤洋一君紹介)(第九八六号)

 同(武藤嘉文君紹介)(第九八七号)

 同(村井仁君紹介)(第九八八号)

 同(望月義夫君紹介)(第九八九号)

 同(森田一君紹介)(第九九〇号)

 同(保岡興治君紹介)(第九九一号)

 同(山本公一君紹介)(第九九二号)

 同(山本幸三君紹介)(第九九三号)

 同(横光克彦君紹介)(第九九四号)

 同(吉野正芳君紹介)(第九九五号)

 介護保険の改善と高齢者の医療費負担増の中止に関する請願(瀬古由起子君紹介)(第九九六号)

 男性助産婦の導入反対に関する請願(川端達夫君紹介)(第一〇一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第三一号)




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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長日比徹君、職業安定局長澤田陽太郎君、職業能力開発局長酒井英幸君及び老健局長堤修三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。

大島(敦)委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの大島敦です。きょうは、先日に引き続き、今回の雇用対策法の改正案について質問させていただきます。

 前回の坂口厚生労働大臣の答弁の中で、現在の雇用環境が大変厳しいという御答弁をいただきました。オイルショックのときの失業率が二%、そして一九八五年の円高不況のときの失業率が三%でございました。現在の四・九%という五%に迫る完全失業率は、大変高い数字でございます。

 四月一日から雇用保険料が値上げされると伺っておりますが、雇用保険料の増額分は幾らぐらいでございましょうか、御答弁いただければ幸いでございます。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 雇用保険料は、四月一日から、労使合わせまして千分の十二、これが失業等給付に当たる部分でございます。それから、三事業が千分の三・五、合わせて十五・五でございます。それで、千分の三・五のところは従来どおりでありますので除きまして、千分の十二の部分につきまして、締めて六千億円余りの雇用保険料増ということになります。

大島(敦)委員 ただいまの御答弁で、今回の増額分というのが年間五千億円ということでございます。これは従業員一人当たりに換算しますと年間お幾らでしょうか。

澤田政府参考人 労働者分、一人月七百五十円あたりになります。

大島(敦)委員 一人当たり七百五十円ということで、これは年間に直しますと大体八千円から九千円という理解でよろしいでしょうか。あるいは、これは事業主負担も含めて、その二倍という御理解でよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 事業主の方も同額負担になりますので、その二倍ということになります。

大島(敦)委員 わかりました。トータル、含めますと大体一万八千円の年間の増となっております。

 この前提となっている条件が、私が伺ったところによりますと、四%半ばの失業率と聞いておりますが、これでよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 そのとおりでございます。

大島(敦)委員 そうしますと、現在の完全失業率が四・九%でございますので、この四・九%という失業率が下がらない場合には、雇用保険料の増額というのはございますでしょうか。

澤田政府参考人 昨年、雇用保険法の改正法案を御審議いただいたときの状況で申しますと、私どもは、四%台後半で雇用保険事業が中期的に収支安定するようにということで審議をお願いいたしました。したがいまして、現在の状況は四・九%で、当時の想定よりは若干高いわけでございますが、何とか現在の雇用保険料の水準で、雇用保険三事業等々の見直しも含めて、給付のバランスを図るように最大限の努力をしていきたい、こう思っております。

大島(敦)委員 今回の雇用保険料のアップにつきましては、私が伺ったところによりますと、弾力条項というのがございまして、四%半ばから五%半ばまで一%完全失業率が悪化しますとこの弾力条項を使わざるを得ないと考えますが、このような理解でよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 今先生御指摘のとおりで理解していただいて結構でございます。

大島(敦)委員 今回、四月一日から、事業主そして従業員も含めて年間一万八千円の雇用保険の増額がございます。ただいま御答弁していただきましたとおり、完全失業率が四・五%、四%後半からさらに悪化しますと、雇用保険の弾力条項が適用になりまして、千分の一ずつですから千分の二、雇用保険料がさらにアップすることになります。その金額というのは、事業主そして従業員を含めて大体九千円という理解でよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 およそそのような額になります。

大島(敦)委員 この弾力条項を使わざるを得ない事態がことし起こり得るおそれがあると考えます。先ほどの御答弁の中で、今回の雇用保険料のアップ、総額五千億円でございます。弾力条項が適用になりますと、その半分の二千五百億円、さらに事業主そして従業員が負担せざるを得ない状況になっております。

 今の経済環境の中では、事業主も大変厳しい状況にございますし、雇われている従業員も給与が上がらなく、そして雇用不安におびえて非常に厳しい生活を強いられているかと思います。そのような場合、さらに完全失業率が悪化した場合、この弾力条項を適用するという御理解でよろしいでしょうか。

増田副大臣 高失業率の原因につきましてはさまざまな議論があるところでありまして、それらを背景に先生がお尋ねだと思います。

 雇用保険制度においては、制度の安定的運営を図る観点から、積立金と失業等給付の額を比較して、一定の場合には保険料率を引き上げることができるものとされております。このような場合には、給付費が増加しているので、それに応じて国庫負担も増額された状態となっているところであります。したがって、それらを踏まえて、よく見据えながら、一生懸命努力をしてそういうふうにならぬように頑張っていく、ミスマッチがなくなるように頑張っていくという姿勢で貫いてまいりたい、このように考えています。

大島(敦)委員 先ほど冒頭に御説明させていただきましたとおり、オイルショックの不況時でも二%の完全失業率、そして一九八〇年代半ばの円高不況でも失業率が三%。今の五%という失業率は非常に高い状態であると思います。そして、私は、二年くらい前から日本の経済というのがハードランディングするおそれがあると考えておりまして、今厚生労働委員会そして労働行政というのが非常に大切な行政を担っていると考えております。

 この失業率が、これは例えばの議論なんですけれども、七%あるいは一〇%に迫った場合、この雇用保険の保険料率の考え方というのは、やはり現行決まっている、給付がふえたから保険料率も上げていくという考え方でよろしいでしょうか。

坂口国務大臣 御承知のように、現在の保険料は、雇用しております企業、そしてそこに働いております従業員の皆さん、そして国、三者の負担によって成り立っているわけでございますが、仮にの話でございますけれども、これから先、非常に高い失業率になっていくということになりました場合にも、この三者による負担という枠組みは変わらないだろうというふうに思います。

 ただ、その中の負担の割合をどうするかということは多分その場合には問題になってくるであろうというふうに思いますけれども、三者による負担ということ、その大枠は変わらないというふうに思います。

大島(敦)委員 坂口厚生労働大臣の方から、非常に示唆に富んだ御答弁をいただくことができました。

 現行ですと、事業主、被保険者、そして国が保険料を負担しているわけでございますが、さらに失業率が悪化した場合には、この三者の負担の割合について一定の見直しをしなくてはいけないという御理解でよろしいでしょうか。

坂口国務大臣 そこはやはりいろいろの御議論をいただかなければならないところだというふうに思います。

 全体の問題も考えなければなりません。そういう雇用状態になるということは、社会全体もかなり現在とは変わった形になるだろうというふうに思いますから、諸般の事情を踏まえてそこは議論をしなければならないのだろうというふうに思います。

 そうした場合には、現在も、旧労働省の場合はそうでございますが、雇用をする側の代表、それから労働組合等の代表の皆さん、学識経験者の皆さん等でいつも議論をしていただいて、どういう方向が一番いいかという結論を出していただいて、我々にその提言をしてもらっているわけでございまして、そうしたことも踏まえながら、その都度やっていかなければならないのではないかというふうに思っております。

大島(敦)委員 雇用保険の保険料率については、労働行政というのが経済金融行政の後追いであるという点は仕方がないと思います。経済政策あるいは金融政策が失敗したことによって景気が悪くなり、そして失業者がふえる。その後追いの行政であるということは仕方がないとは思いますが、今回の経済の悪化、そして完全失業率がふえたということは、明らかにこの十年間にわたる日本の経済政策がミスが繰り返されたことであると考えておりまして、完全失業率が上がり雇用保険の給付がふえたからその負担を事業主そして従業員がこれ以上負担するという考え方は、なかなかなじまないと思います。

 したがいまして、今後失業率がさらにふえた場合には、国の負担をふやすべきであると私は考えております。

 次の質問に移らせていただきます。

 今回の雇用対策法の見直しの中で、地域雇用開発等促進法の一部改正ということで、地域雇用開発法が改正されることになっております。この場合、この地域雇用開発法が改正されることによって、助成金のあり方というのはどう変わるのでしょうか。御所見をお伺いさせていただければ幸いでございます。

坂口国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、地域雇用開発等促進法の改正によりまして、地方分権の進展を踏まえまして、従来の方式を改めて、都道府県が策定する計画を国が同意する方式に改める。前回のちょっと復習みたいになりますが、そういうことになります。

 そして、地域の実情にかんがみまして、従来の地域類型を整理しますとともに、雇用のミスマッチが発生している要因に応じたいわゆる地域類型というものを創設するということもこれから行われるところでございます。

 これらによりまして、都道府県が主体的に地域の雇用情勢というものを見ながら地域の範囲を決定することが可能になりますとともに、地域の労使の意見を反映する機会を設けながら、それぞれの地域の実情に応じて効果的な地域雇用開発を推進することができるようになる。

 こういうスケジュールと申しますか、こういう考え方のもとに今回つくられたものでございます。

 したがいまして、先日も議論になりましたように、これが決められたことによって、地域の意見というものがこれでより尊重されるようになるというふうに我々は理解をいたしておりますが、地域の意見を尊重すると同時に、そのときに補助金の問題等が絡んでくるものでございますから、そうすると、最初から国が口出しをすることになるではないか、かえって地方の意見というのが通りにくくなるのではないかというような御議論も先日いただいたところでございます。

 そこのところは、我々も、地域でおつくりいただく計画というものを最大限に尊重していきたいという考え方のもとにこれはつくっているということを、先日来も申し上げたところでございます。こういう考え方でおりますので、ひとつそこの辺は御理解をいただきたいというふうに思います。

大島(敦)委員 ただいまの御答弁の中で、今回の地域雇用開発促進法の改正によって、都道府県が主体的に地域の雇用対策を立てていくということになりまして、これまで国が一元的に雇用開発を行っていたものが地域の方に、都道府県の方に移管されると理解しております。そうしますと、各都道府県が、その都道府県により適切な雇用対策を打ち立てなければいけない。そのためには、都道府県が十分な情報を持っていなければいけないと思います。

 これまでの行政ですと、労働省がございまして、知事があって、その下にハローワークがございました。ハローワークが求人求職の情報をすべて持っておりました。そしてまた、労働省の機関も県庁の中にございまして、県の職員と労働省の職員が一緒になって同じ職場で働くことによって情報が共有できていたかと思います。

 現在は労働省は、労働局ということで、県庁から外にその労働局を設置いたしました。そのために、人的な交流あるいは情報の流通というのがなかなか図られないおそれがあると考えます。特に、人間というのは情報を持っている方がより優位に立つという傾向がございまして、なかなか情報をすべてオープンにしてよりよい行政ができるというのは、労働省、ことしからは厚生労働省の情報を提供するという姿勢が非常に大切になるかと思います。

 そこのところで坂口厚生労働大臣にお伺いしたいんですけれども、これまでどおり、労働局は、ハローワーク等から集めた情報をすべて都道府県に開示して、都道府県がよりよい雇用対策の計画を打てるようにするというお考えをお持ちでしょうか。

坂口国務大臣 そこは御指摘のとおりだと思うんですね。労働局長というのが各都道府県にできましたが、そうした国の関係の労働問題に携わっている人たちと、それから、とりわけ都道府県の労働問題に携わっている人たちは、こういう計画をつくるときだけではなくて、ふだんから労働者連絡会議みたいなのをつくるようにいたしておりますが、ふだんからそうした会議を通じて、そして相互に意見交換をする、持っている情報を常に提供し合う、そういうことをやはりやっていないといけないというふうに思っております。

 それは今まで以上にやらなければいけないというふうに考えておりまして、その中で、今御指摘のような、その地域に計画をつくるということになれば、お互いの持っております情報をもとにしながら、どういうふうにつくっていったらいいかということをお互いに意見交換をするというのは当然のことだというふうに思います。

大島(敦)委員 今回のこの仕組みというのは、機能するためには非常に高度な人的要素が加わる仕組みだと思っております。

 今、坂口厚生労働大臣の方から、労働局そして都道府県が会議を持ちながら情報を交換して、よりよいものをつくっていくという姿勢、非常に貴重だと思います。

 それで、坂口厚生労働大臣の方から各労働局の方に、こちらの方から出向いていろいろと積極的に情報を出していくような、そのような御指示を願えれば非常にありがたいんですけれども、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 それは、いわゆる連絡会議と申しますか、お互いに情報を交換し合うということは日ごろから行っていかなければならないわけでございますから、四十七都道府県にあります現在の厚生労働省の出先機関の皆さんには、より積極的に地域の皆さん方と話し合いをするようにこれは指導していきたいというふうに思っております。指導するまでもなく、皆さんもうそうしているというふうに思いますけれども、それは私たちも事あるごとにそのことは主張していきたいというふうに思っております。

 国の方、それから県の方が、お互いがいろいろの情報を持ち合わせているだけではなくて、これから、持っておりますその情報を、より多く、より正確に国民の皆さん方に公開をしていかなければならないわけでありまして、どのように国民の皆さん方にそれを知っていただくようにするかといったようなことについて、やはり話し合いを進めていかなければならないんだろうというふうに思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 なかなか、私も会社におりまして、会社の関係各部署を見ていますと、情報を握っているところが優位に立つというような傾向がございまして、特にこのような労働行政のように非常に助け合いの精神が必要な行政においては、国そして地方公共団体が、そして今坂口厚生労働大臣の御答弁のございましたとおり、それ以外の従業員の方、事業主の方も、情報を共有化することによってよりよい行政が行われることを期待しております。

 そしてもう一つ伺いたいのは、今回、地域雇用開発等促進法の一部改正によりまして、四つの地域が分かれることになっております。例えば、高度技能活用雇用安定地域というのがございまして、このような地域、都道府県ごとに指定することになっております。都道府県が、こういう地域に私は指定してほしいという手を挙げて、それに基づいて、国の方で、いいですよということで認めることになっております。

 そうしますと、例えばこの高度技能活用雇用安定地域というのは、いろいろな高度技能がありまして、私が伺ったところでは、例えば大田区のように、町工場が非常に多くて、非常に特殊な技術、手で触っただけでこれが何ミクロンの状況であるかとか、そういうような非常に高度な技術を持っていらっしゃる方が非常に多く集まっている地域を指定して、それに対して各種の助成措置を行っていくと伺っております。

 そうしますと、川をまたいで都道府県が違ってしまった場合には、産業というのは各都道府県ごとに集積しているのではなくて、都道府県をまたがった地域に集積しているかと思います。その場合に、東京都ではこの指定を受けられた、隣の千葉県では指定を受けられていない、そのようなアンバランスが生じるかと思うんですけれども、その点についてどうお考えなのか、お伺いできれば幸いでございます。

増田副大臣 地域の範囲につきましては、自然的社会的経済的条件から見まして一体であると認められる地域を設定する、そして効果的に地域雇用開発を推進する必要があることから、一定の線引きを行うことはやむを得ない面があると考えております。

 しかしながら、先生御懸念のような問題については、今回の改正により、都道府県が市町村の意見を聞きながらみずから策定する計画の中で、地域の実情に応じて当該区域を選定することにより、その発生を極力抑えることができるのではないか、このように考えております。

 そこで今度は、都道府県をまたいだ、その場合にどうかという御提起がございました。その問題は十分心して、これから行政指導の中で連携を十分保てるように国の方で対応させていきたいな、このように考えております。

 都道府県の局に連携をとって、都道府県と連携をしながら一体的にその地域が考えられるような運びを当然考えるべきであろうというように私は思いますので、これから努力をしていく課題だ、このように考えております。

大島(敦)委員 今、増田副大臣の方から御答弁がございました。やはり、地域、都道府県をまたいだ部分については労働局の方である程度バランスをとりながらやっていくというお話がございました。今、地方分権の時代でございますので、やはり各都道府県のやる気が、今回のこの施策によって、相当都道府県によって差が出てくるのかな、そのような印象を持っている次第でございます。

 ちょっと先に進めたいと思います。もう一つ、助成金の件について伺いたいと思います。

 助成金制度というのは、前回の大臣の御答弁、そして政府委員の御答弁ですと、今、五千億円の雇用三事業の予算、給付の費用というのはすべて事業主負担になっております。したがいまして、事業主経由で従業員の方に配るのが常であるという御答弁がございました。その事業主について考えてみたいんですけれども、会社には小さな会社から大きな会社までございます。したがいまして、なかなか十人以下の小さな会社ですとこの助成金制度をうまく利用できないおそれがあると思いますが、いかがでしょうか。

増田副大臣 いわゆる助成金制度が、真にこれを必要とする事業主に利用しやすくなるべきであるという御指摘は、そのとおりであります。

 先生御指摘の点につきましては、今回の各種助成金の見直しを審議していただいた中央職業安定審議会の部会においても、各種助成金は中小零細の企業には利用しにくいものになっているのではないかといった観点から議論されまして、部会報告でも、申請手続等の簡素合理化を進めることにより事業主の負担を軽減する必要があるとされたところであります。

 今回の見直しでは、この部会報告に沿って、賃金助成に係る助成金について、算定方法を簡素化したり、あるいは都道府県労働局を活用して、より迅速な処理ができるようにすることを検討することとしており、これにより助成金制度が中小零細の事業主にとっても利用しやすいようになるものと努めてまいりたいと思います。

大島(敦)委員 確かに、中小企業の経営者というのは、会社が小さくなればなるほど、みずから携帯電話をとり、みずから指示して、人事、総務といっても、このような制度までなかなか目が行き届かないのが実態であるかと思います。特に、小さな会社であっても雇用保険料は納めておるわけでございますので、やはり平等という観点から立てば、大きな企業に給付するよりも小さな企業に給付するようにある程度切り分けた方がいいと私は思いますが、いかがでしょうか。

 例えば能力開発事業の給付にいたしましても、ある程度大きな会社の方は御遠慮をいただいて、三百人以下とか百人以下とか、中小零細企業の方に絞った給付に切りかえればと思うんですけれども、その点、いかが考えればよろしいでしょうか。

澤田政府参考人 雇用保険三事業から支出しております事業主向けの助成金につきましては、助成率について大企業よりは中小企業を手厚くというふうに基本的に設計しておりますし、助成金そのものも中小企業に限って出すというようなものもございまして、先生御指摘のような仕組みは現在もやっておりますが、さらに職業安定審議会からいただいた建議の中でも、助成金の効果をより高める観点から見直しをすべきであるということを言われておりますので、そうした見直しの中でも一つの論点として十分議論していきたいと思っております。

大島(敦)委員 今回の地域雇用開発促進法の一部改正によりまして、各種助成金について大幅な見直しがあると伺っております。ぜひ、各種審議会そして私の意見をも踏まえて、見直しに際しては中小零細の方を厚くするというお考えで進めていただきたいと考えます。

 引き続き、助成金について御答弁をお願いしたいと思います。

 今の現状ですと、サラリーマンの能力というのが急速に陳腐化していくという状況にございます。私は最近よく例にとるのですけれども、ムーアの法則というのがございます。これは、携帯電話の中に入っているICの集積度というのが十八カ月ごとに倍々にいくという法則でございます。六〇年代、七〇年代、八〇年代の三十年間のICの集積度のスピードと、九〇年代の十年間のスピードというのが、全然カーブが違うわけなんです。したがいまして、この十年間にサラリーマンの能力が陳腐化してしまったと私は考えております。

 今の五十代あるいは六十代の方は、大学を卒業したときの能力、あるいは高校を卒業したときの能力で少なくとも課長とか部長ぐらいには行けた。しかしながら、この十年間の環境の変化によって、もう一回勉強し直さないとそのような能力についていけなくなっているのが現状であると考えます。したがいまして、私が伺いたいのは、今後職業生活を進める上で、やはり自分自身の能力をアップすることが必要であると考えます。

 労働省の方としては教育訓練給付という制度を設けて、十年ごとに、これは現在ですと三十万円の給付を受けられるようにもなっております。あるいは事業主の助成もございまして、一定の効果はあると思いますが、今後、大学とか大学院を職業教育に活用すること、あるいは、例えば大学とか大学院に、まあ大学を出てから十年、三十代になりますと、もう一度自分の職業生活を振り返って勉強し直したい、あるいは技術系の方ですと、大学院に入って、あるいは博士課程に入って、もう一度新しい技術を身につけたい、そのような要求があるかと思います。

 そんなところで、教育訓練に対する融資あるいは利子補給、そして税制等による支援がより効果的であると思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

坂口国務大臣 現在も具体的な措置といたしまして、労働者個人に直接給付を行います教育訓練給付制度というのがございまして、これを平成十年の十二月に創設をいたしております。現在、その指定講座の拡大等、効果的な制度運用に努めているところでございます。

 また、事業主に対します助成金制度につきましても、労働者の自発的な職業能力開発の支援に重点を置いた助成体系へと今後見直しを図っていく予定でございます。

 先ほど御指摘になりました大学や大学院の問題も大変大事な問題でございまして、職業教育への活用をやっていかないといけない。融資だとか税制面によります支援につきましては、現在、教育訓練給付制度の対象として大学、大学院の社会人コースを含めておりますほか、財形教育融資制度あるいは所得税の特定支出控除制度等によりまして一定の制度的対応が図られているところでございますが、これからこうした問題が非常に大事になっていくというふうに思いますから、現在行われているものだけに満足せずに、これからも鋭意努力をしていかなきゃならないというふうに思っております。

大島(敦)委員 この十年間の一九九〇年代は、マーケットをフリーにして自由化すれば切磋琢磨してみんなが豊かになるというような政策誘導だったかと思います。やはり、日本はよく言われておりますとおり資源がない国でございまして、人材育成という観点が、この十年、二十年の間、欠如してしまったのかなと私は考えております。

 ヨーロッパの例をとりますと、スウェーデンでは、今坂口厚生労働大臣が述べられたとおり、大学とか大学院に入られてもう一回ブラッシュアップして、社会人、会社の方に戻ってくる。ドイツの大学でも、あそこは日本と違いまして六年制、ディプロームを取ってから会社に入る、あるいは博士課程ですと大体三十歳ぐらいになってから会社に入ってくる。しかしながら、大学での職業教育がしっかりしているものですから、別に三十で会社に入っても十分機能する。これがヨーロッパの職業教育訓練制度であるかと思います。

 日本においても今後は、これまでの大学あるいは大学院の教育、あるいは専門学校の教育というのが、より職業教育にマッチしたものである必要があると考えておりまして、特に融資制度、奨学金制度のようなものが必要であるかと考えております。

 そして今後、教育訓練に関して文部科学省と連携してやっていただきたいと思うんですけれども、その点は坂口厚生大臣はいかがお考えでしょうか。

坂口国務大臣 大筋におきまして先生と意見が一致しているというふうに思います。

 厚生労働省だけでできることではございませんので、文部科学省とよく連携いたしまして今後進めたいというふうに思いますし、またそれだけではなくて、いろいろの企業等との関係を見ていきますときには他の省庁との関連も重視をしていかなければならないというふうに思いますから、それぞれの省庁との連携も密にしながらやっていかなければならないというふうに思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 イギリスですと、職業教育に関しては文部省と労働省が一つの省でやっているかと伺っておりますので、今後、日本においても、厚生労働省と文部科学省との連携というのが、日本の人材をつくるという観点からは非常に大切かと考えます。御答弁ありがとうございました。

 そして、また別の質問をさせていただきます。

 先般の松島委員の質問かと思うんですけれども、自営業の失業対策についての御質問があったかと思います。

 この自営業というのが非常に今、この雇用保険制度からは対象になっていない、漏れているところでございます。自営業の方であっても教育訓練を受けるということはできます。しかしながら、雇用保険を納めておりませんので、教育訓練を受けたくても生活が伴っていない、そういう事態がございます。私の友人でも、自営業を廃業して次の職業につきたいんだけれども、本当に優秀な方なんですけれども、そういう余裕がないために比較的簡単な仕事に甘んじなければいけないという状況が非常に多くございます。

 それで、厚生労働大臣の坂口大臣に伺いたいんですけれども、自営業の方が、教育訓練の給付を受けるために、ある程度生活の基盤というのを確立するための融資制度等があってもいいかと思うんですけれども、その点のお考えをお聞かせいただければ幸いでございます。

増田副大臣 自営業の廃業に伴い失業した者であって求職活動を行っている者に対して、ハローワークにおけるきめ細かな職業指導に基づき、必要な職業訓練の機会の確保を図っていくということで実は努力をしておるところであります。しかしながら、御指摘の訓練受講中の公的な生活保障の点につきましては、自営業者に雇用保険の適用がないため、保険原則からして、雇用保険制度からの訓練手当の支給について困難な問題があるかと考えております。

 先生御案内で御質問なさっているふうに実はお聞きをいたしました。いずれにせよ、自営業者の失業の問題についてはもちろん重大な問題であります、今後十分留意してまいりたい、このように考えております。

大島(敦)委員 先ほどの人材育成という観点からは、今後、サラリーマンの間においての職場、人材が移動するとともに、自営業の方がサラリーマンになったり、サラリーマンから起業されて自営業に戻る、そのような労働の流動性も必要かと思います。その際に今本当に必要なのは、自営業で廃業された方、日本で十万人、二十万人ぐらいかと思うんですけれども、そこのところの生活というのを、教育訓練を受けるに当たって融資する制度、お金を給付するというのは保険制度ではなじみませんけれども、生活保障を、ある程度融資してあげるという制度が必要かと思います。そのことによって半年とか一年、十分自分の能力を身につければ、より高い、よりいい職業につくことができると思いますので、その点について十分御留意いただければ幸いでございます。

 最後に、私ずっとKSDの問題をやってきまして、やはり最後にKSDの問題について伺いたいと思います。

 こういう問題というのは風化させてはいけないということで、私の地元でもよく言われております。今回、KSDの理事長がかわったと伺っております。理事長が八十歳ということで、確かに今回の法案の中で年齢差別はしちゃいけないよということなんですけれども、この八十歳という年齢とその御人物について適切なのか、御所見をいただければ幸いでございます。

坂口国務大臣 初めお聞きをいたしましたときに、八十歳という年齢をお聞きして、正直申しまして大丈夫かなというふうに私も思った一人でございます。しかし、先日お会いをさせていただきましたら、かくしゃくとした方でございまして、背筋もしゃんとされまして、私よりも若々しい方でございまして、これは全然そういうお年を感じさせない人だなというのでびっくりしたような次第でございます。

 おっしゃることも堂々と主張をされますし、こちらの方でいろいろなことを言いたかったのでございますが、むしろ押されぎみであるぐらい。弁護士さんでございますから、職業意識もあるんだろうというふうに思いますけれども、そういう面におきましては、私は、経営能力としては十分備えて、そして年齢的なものを乗り越えておみえになる方だというふうに今考えておりますし、そこは御心配していただく必要はないのではないかというふうに思っておる次第でございます。

大島(敦)委員 質問時間が終わりまして、最後に一つだけ伺いたいんです。

 増田副大臣のところは、恐らく選挙区内にものつくり大学があるかと思います。ものつくり大学の資金というのは、ほとんどが私どもの税金、国税、そして県、そして行田市の方から支出されているかと思います。各種いろいろな事業がそこに附帯すると思うんですけれども、その各種仕事を公平にやっていただきたいという声がございますので、その点について御所見を伺わせていただければ幸いでございます。

増田副大臣 簡明にお答えすればいいんでしょうが、ちょっと、いろいろ関係ありますから具体的に申し上げます。

 ものつくり大学の施設設備の整備につきましては、公募型指名競争入札により、これまでものつくり大学設立準備財団によって適正な発注が行われてきたところであります。それ以外の物品やサービスの調達についても、同財団の会計規程に定められた契約の方法に即して、一定額以上のものについては競争入札により適正に行われております。その競争入札の範囲は、国が物品やサービスの調達を行う場合のものとおおむね同様のものになっていると承知をいたしております。

 具体的には、ビルメンテナンスについては、学校法人が既に指名競争入札により業者を決定しており、造園、図書館の図書の購入に係る業者の決定に当たっては、準備財団が公募型指名競争入札により発注済みであります。それらの契約は学校法人が引き継ぐものと承知をしております。

 そこで、いろいろの思いを含めた御発言だったと思いますが、本年四月の開学以降必要となる物品等の調達につきましては学校法人が行うこととなりますが、今後とも、準備財団と同様に、会計規程に基づき適正に執行されるべきものと考えております。

 私も先生と同じ地域ですから、厳に、関心を持ちながら、将来にわたって、よかったな、そういうような大学になっていくことを期待しながら接していきたいと思っております。

 以上です。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 今後とも、よりよい透明な労働行政、厚生行政、お願いいたします。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、山井和則君。

山井委員 民主党の山井和則でございます。三十分間、どうかよろしくお願いいたします。

 この円滑な再就職を促進するための雇用対策法という中で、おとついの議論でも、小沢議員の方から、特に介護などがこれからの雇用を吸収する、創出していく大きな成長分野であるという御指摘がございました。また、我が党の城島正光議員もいつも、二十一世紀は公共投資よりも人材投資の時代であるというふうに言っております。

 ある調査によりますと、今までの公共事業に比べて、同じ投資額を投資しても、箱物をつくるよりは、医療や介護、こういう分野の方が約二倍ぐらい雇用誘発効果が高いということも言われております。この件につきまして、おとついの小沢議員の質問に対して坂口大臣は、確かにそうなんだけれども、現場の声を聞いてみると、介護報酬の低さがネックになってなかなか雇用がふえないんだという声を聞いたということを御答弁なさいました。

 そういう観点から、私はこの三十分の中で、この介護という分野でどうすれば雇用を創出していけるのか、今まで介護というともちろん、弱った方々をお世話する、そういう側面だったんですが、やはり雇用対策としても、そして再就職という面からもこの介護を考えていかねばならないと思います。

 そんな中で、私が今までから取り組んでおりますことに、痴呆性高齢者向けグループホームということがあります。坂口大臣は、先々週ですか、訪問されたと聞いております。この痴呆性高齢者向けグループホームについても、小学校区に一つ、二万五千カ所ぐらい将来的には必要と言われております。そう考えてみましたら、二万五千カ所で、常勤だけでも十二万五千人ぐらいの雇用、そして非常勤を入れると二十万人ぐらいの雇用が創出できるんではないかと思います。

 それで、このグループホーム、七、八人の初期から中期の痴呆性高齢者が生活するというところなんですが、まずお伺いしたいんですが、三月に坂口大臣、宮城県のこもれびの家というグループホームを視察されたと聞いておりますが、その御感想を一言お聞かせ願えればと思います。よろしくお願いします。

坂口国務大臣 二週間ぐらい前になりますか、こもれびというグループホームを訪問させていただきまして、実際にそこに入所しておみえになります皆さん方にもお会いをさせていただきましたし、そこの経営管理をしておみえになります皆さんにもお話を伺ってまいりました。

 そこでお聞きをしました話を要約いたしますと、ここに、このグループホームに入ると、非常に症状が軽くなる。軽くなりますと、おうちに二、三日帰りたいとかいうようなことにもなる。そういうことになってまいりますと、だんだん、経営的に言いますとグレードが下がってくると申しますか、よくなってまいりますので、介護度という面から見ますとこれは改善されるわけでありますから、経営が苦しくなる。よくしなければならないし、よくすると、よくすればするほど苦しくなる、ここのところが何とかならないだろうかというようなお話がございまして、それはごもっともな御指摘だなと思いながら私もお聞きをしたようなわけでございます。

 そこに入所しておみえになります方が、お茶を出していただきましたり、あるいは漬物を出していただきましたりしたわけでございますが、御近所の方がお手伝いに来ていただいているのかなというふうに思っておりましたけれども、入所しておみえになる方だということをお聞きしてびっくりしたような次第でございまして、グループホームという行き方は大変意義のあるものだということを痛感した次第でございます。

山井委員 ありがとうございます。そのようなグループホームが本当にどんどんふえていってほしいと思います。今大臣がおっしゃられましたように、やはり大規模な集団や、あるいは非常に、あれやったらだめ、これやったらだめと言われる自宅よりも、グループホームに入って表情が穏やかになったり、言葉数がふえたりするケースもある。

 実際、実は私もきのうの晩グループホームに一泊させてもらっておりまして、おっしゃったように、朝御飯食べたらどうや、お茶飲んでいくかというふうにお世話してもらって、まさに、スタッフの方かなと思ったら、その方が痴呆症のお年寄りで、きょう、これから仕事に行きますので失礼しますと朝八時にグループホームを出たら、またおいでや、こう言っていただいて、本当に痴呆症のお年寄りもこんなに穏やかに暮らされて、いいことだなということを感じました。

 しかし、今大臣もおっしゃってくださいましたように、介護報酬が低かったりして、一生懸命取り組むほどなかなか採算が成り立たないということもあります。

 このようなグループホームというものを、昨年の四月、介護保険と同時に制度化してくださった当時の厚生省の方々の御努力というのは、本当にすばらしいものだと私は思います。しかし、残念ながら、小規模であるがゆえに問題点も出てきております。

 先日、残念ながら国や県の監査が入ったグループホームがあるということを聞いたんですが、こういう問題はどのようになっていますでしょうか。

坂口国務大臣 日本全体で見ました場合に、そうした、残念ながら一度監査に入らなければならないといったようなところも恐らく幾つかあるんだろうというふうに思いますし、現に入っているところもあるそうでございます。

 そうしたところをよく指導して、本当にそこに入所された皆さん方に御迷惑をかけない、初めのグループホームの趣旨というものが十分に生かされるような形になるように、徹底的な指導をしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。

 全体でそういうのが全国で幾つぐらいあるのかというところまでちょっと把握をいたしておりませんが、幾つかそういう例はあるということを職員の方から聞いているところでございます。

山井委員 具体的な、こういう指導があったというふうな例はいかがでしょうか。

桝屋副大臣 委員におかれましては、けさもグループホームからの御出勤、本当に御苦労さまです。感謝を申し上げたいと思います。

 今委員からお尋ねありました件は、具体的には、例の神奈川県が指定をいたしました痴呆性高齢者グループホームのミモザケアセンターではないかというふうに思うんですが、このグループホームに関しましては、複数の苦情あるいは告発の手紙が寄せられました。あるいはまた、その内容から、入居者に対する処遇や施設の運営がずさんではないかという疑いもあり、国としても、良質なグループホームを育成していくという観点から見過ごすことはできない、このように感じまして、指定権限を持つ神奈川県と合同指導を三月六日に実施をしたところでございます。これは委員からも御指摘をいただいたというふうに伺っておりますが。

 その三月六日の指導結果といたしましては、運営全般にわたり、指定基準等に定められた運営が実施されていないということも認められまして、昨日、神奈川県と合同で、人員配置や事業運営などに関する二十六項目に及びます是正改善の文書を交付したところでございます。あわせて、二カ月の期間を経てなお是正改善が実施されない場合などには指定の取り消しなどについても行うというようなことも伝えてあるところでございます。

山井委員 このケースについてそういうふうに取り組んでいただいたことに感謝いたします。このケースは、事業者にも問題があります。しかし同時に、介護報酬も低過ぎるという部分があるのではないかと思います。このようなことのサービスの質については、四月以降、サービスの評価を厳しくするとか指導強化するということでまた厚生労働省さんは取り組んでいただいていることに本当に敬意を表しております。

 そこで、昨年十一月十七日に当時の厚生委員会で私がグループホームの夜勤問題について質問しましたところ、本日もいらっしゃるかもしれませんが、当時の福島豊政務次官から、グループホームの夜勤について、現時点では夜勤の必要性が乏しいという御答弁をいただきました。ということは、夜間は宿直で対応すべきであって、宿直で対応できると理解してよいのでしょうか。また、ということは、グループホームの現在の介護報酬、要介護三で月に二十五万円ぐらいというのは、夜勤を想定していないと理解してよいのでしょうか。

坂口国務大臣 このグループホームというのは、どちらかといいますと軽い痴呆の人たちを入れるところ、入れると申しますか介護するところでございまして、いわゆる重い人たちを扱うところではございません。もともと、そういう数名のあるいは十名前後の皆さん方が共同生活をする中で自然に回復をしていくような、そういう程度の人たちをグループホームで見ていこう、そういう形でスタートしたというふうに思います。そして、それ以上のところは、特別養護老人ホームでありますとか、あるいは老健施設でありますとか、そうしたところで見ていこうというような振り分けをしながら、軽い、軽度の、初期の痴呆性老人を見ていこうということでスタートしたというふうに私は思っております。

 それで、そうした状況でございますけれども、他の介護施設に比較をいたしますと、このグループホームの介護料と申しますか、これはほかに比較をするとかなりいいわけですね。私もいろいろなことを先ほど申しましたけれども、これはしかし、ほかの介護施設のことを思いますと、グループホームのときには非常に割り増しがついておりまして、いい介護料になっているわけでございます。したがって、その範囲の中でやっていかなきゃならない。

 先ほど私が申しましたのは、その中でも、そこに入るとだんだんと軽くなっていって、痴呆性老人の範囲から外れかけるような、外れかけると言うと言葉は悪いですが、正常とそんなに変わらないような人が出てきたりしまして、そうすると、この人を介護度五なら五に入れておいて果たしていいのだろうかというような状況になってくるものですから、だんだんといろいろの問題が出てくるといったことを申し上げたわけでありまして、もともと他の介護施設のことを思いますと、それなりの介護料というものを算定していたことも事実でございます。

 そして、若干話がずれましたが、その中で、いわゆる痴呆性老人でありますから、夜間にいろいろと動き回る人たちもいるかもしれない。しかし、特別養護老人ホームにお入りになっているような、一晩じゅう歩き回っているような重症の人たちはそもそもここには入れないという考え方で初めつくったのだろうというふうに思いますので、その辺のところの兼ね合いだというふうに私は思います。

 ですから、夜、一緒にそこで職員の人はお見えになりますけれども、お休みといっても仮眠ぐらいしかできないのだろうというふうには思いますけれども、お休みをいただいていても大丈夫なような人たちを入れるというような趣旨であったのではないかというふうに思いますが、その辺、しかしもう少し重い人もその中に入っていくということになってくれば、それはそれなりの対策を立てなければならない、こういうことになるのじゃないかというふうに思います。その辺の割り切りの問題だと思います。

山井委員 今の発言を解釈しましてもう一回確認したいのですが、ということは、夜間は宿直で対応できると。私の質問を繰り返しますが、それで今の介護報酬には夜勤というものは想定していないというふうに理解してよろしいですね。

桝屋副大臣 今大臣がお答えを申し上げましたのは、委員のお尋ねでありますが、介護報酬上どういう考え方になっているのかということでありますが、介護報酬ということでありますれば、もう委員十分御承知のことだと思いますが、入っておられる方の程度によって介護報酬というのは差がついているわけであります。加えて、初期加算ということもあるわけでありますから、今大臣るる申し上げましたが、グループホームの夜間の対応というのは私はさまざまな形があるのだろうというように思います。

 ただ、委員がぎりぎりと、では介護報酬でどうなのかと言われると、夜勤までは義務づけていないということでありまして、宿直員一名を配置することで対応が可能という設定になっているということでありますから、結果的には介護報酬におきましてはこの宿直員一名を確保した上での運営経費をもとに事業経費が成り立っている、こういうことでございます。

山井委員 私、昨夜もそのグループホームで過ごさせていただいたのですが、今宿直で対応すべきということなんですが、違うのですか、もう一回お願いします。

桝屋副大臣 ですから、夜勤を義務づけているというわけではないということでありまして、ぎりぎりの話では、宿直はもちろん一名は確保していただかなければいかぬということは当たり前でありますけれども、なお、入所されておられる方の八名なり九名の方々の障害の程度に応じて、私は、報酬というのはいろいろその状況によって差があると思いますから、施設でどのように全体の中でそれを運営されるかというのはいろいろあるのだろうと思います。

山井委員 いや、そこをはっきりしていただきたいのですけれども、ということは、介護報酬は夜勤のことも想定しているのですか。夜勤を想定してこの介護報酬なんですか。

桝屋副大臣 介護報酬ということでお尋ねであれば、宿直ということで報酬は計上させていただいております。

山井委員 ということは、繰り返しになりますが、昨夜も私行っておりましたが、痴呆症のお年寄りが夜中に二十回トイレに立たれました。あるお年寄りは、行きは行けても帰りは自分の部屋に帰れません。あるお年寄りは、トイレに行けても自分でパンツがずらせません。あるお年寄りは、トイレに着いても気がついたらもうお漏らししちゃっています。当然そのたびに宿直の方は起きて行かれるわけですね。ということは、こういうことに関して宿直はやっていいのか。

 実際、長崎県の労働基準監督署から立入調査が平成十一年一月二十日にありまして、これはもう宿直の仕事ではない、労働基準法違反である、それで、これは夜勤に変えなさいという指導が出て、変わっているのです。

 ということは、痴呆症のお年寄りで、坂口大臣おっしゃったように軽い人も入っていられるでしょう。でも、時間の問題で夜間徘回されることも出てくるでしょう。その徘回される方が出たときに、対応するときに、夜勤をつけようと思ったら採算が成り立たないわけですね。先ほどおっしゃったように、今の介護報酬は宿直で対応しているわけですから。

 そこで、宿直でそのような夜間の徘回に対応しても、労働基準法上問題ないのですか。そのことをちょっとはっきり言ってください。

桝屋副大臣 お答えをいたします。

 委員が昨日お泊まりになった施設、二十回という話がありました。職員の体制がどうなっていたのか、あわせて聞かせていただきたい気持ちもあるわけでありますが、今、宿直業務を行う者と、それから労働基準法の関係のお話がありました。

 宿直の業務というのは、これはもう前から、福祉施設等で宿直とはどう規定をするのかということは、恐らく委員も十分御承知であろうと思いますが、四十九年当時の旧労働省の労働基準局の課長通知によりますと、宿直許可の対象となる夜間作業というものについては、軽度あるいは短時間というものについては福祉施設等については宿直許可の対象となるというふうに私どもは理解をしているわけであります。

 この軽度というのは、おむつの取りかえでありますとか夜尿起こしでありますとか、要介護者を実際にハンドサービスで抱きかかえてというところまでは想定していないのでしょうが、おむつの取りかえとか夜尿起こしということであれば、これは軽度になるのかなと。

 あるいは、短時間というのは、今二十回という話がありましたが、これはちょっと私も判断がなかなか悩ましいところですが、軽度の介助作業が一晩に、一勤務中に一回ないし二回というような想定ではないかというふうに思っておりまして、二十回ということが、ちょっと私は実態がよくわかりませんから、よくお聞きしなきゃいけませんが、そうした形だろうというふうに思っております。

 そういう軽度あるいは短時間の業務であれば宿直勤務ということになるんだろうと思いますし、労働基準監督署の許可を受けられるものだというふうに理解をしているところでございます。

山井委員 改めて聞きますが、それが一回や二回で済まないようになってきている現状が日本じゅうのグループホームにあります。その場合は労働基準法違反にならないのですか、宿直でやった場合。

坂口国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、このグループホームの中にどの程度の人たちを入れるかという初めの問題に帰ってくるのだろうと私は思うのです。ですから、かなりそういう厳しい人たちもグループホームの中に入れなければならないという、そういう事情があれば、それはやはり今後考えなければならないと私は思うのですね。だけれども、初期には、そういう人たちはできるだけ特別養護老人ホームなりそういう施設に行っていただいて、そして非常に軽い初期の段階の皆さん方で夜勤の必要でないような人たちを対象にということであったのではないかというふうに私は理解をいたしております。

 私も、過去に特別養護老人ホームに勤めたことがございます。落選をいたしまして、それで私はその間、昔とったきねづかとまではいかなかったのですけれども、三年半ばかりそこに勤めたわけでございますが、今お話しになりますように、やはり多い人は、非常に難しい人は、五分置きにブザーを押すわけでありますから、五分置きにブザーを押されましたらそれは寝ておれません。もうその人にかかり切らなければならないわけであります。歩く人もおれば、そういうブザーを押し続ける人もいるし、それは大変でございます。ですから、どういう人をそのグループホームが引き受けるかということによってそこは違ってくるだろうというふうに私は思います。

 今御指摘になりましたような、日本国じゅうの中で、もうそういうふうな重い人をこのグループホームで引き受けなければならないというような事態になっているのに、この厚生労働省が、労働省も所管する厚生労働省が、その肝心かなめのところが法律違反をしておるようなことでもいけませんから、そこは改善をしていかなければならないというふうに思いますが、やはりそこのところを私たちももう一度整理をして考えるということにしたいというふうに思います。

山井委員 再就職の話にも移らないとだめなので余り長々と話しませんが、一言申し上げたいのですけれども、残念ながら、痴呆というものに対する認識が誤っておられます。重度、軽度関係なく、痴呆症のお年寄りというのは晩起きるケースが多いのです。やはりそのことを前提にしないと、厚生労働省さんの痴呆政策というのは成り立たないと思います。

 晩ぐっすり寝る痴呆症のお年寄りだったら、家で見られるじゃないですか。晩手がかかって家で見られないからグループホームを利用するのであって、晩おとなしく寝てくださる痴呆症のお年寄りだったら、家で見られるわけですよ。言ったらなんですけれども、そんなことをここで答弁していただいたら、厚生労働省さんの痴呆対策あるいはグループホーム対策は根本的にひっくり返ってしまうのですね。そういう意味では、初期から中期の晩手のかかる人も入所するのがグループホームであって、現在入所しておられるのです。

 そこで、確かにごく一部、宿直で対応しておられる、晩ぐっすり寝ていられるグループホームもあるかもしれません。そこはいいです。でも、厚生労働省さんが当初想定されなかったように、今大臣おっしゃったように、晩も手のかかるお年寄りがいても、あなたすぐ出ていってくださいとは言えないですよね。そういう場合は、夜勤加算をつける必要がある。

 二年後の介護報酬の改定では遅いので、早急に今年度でもグループホームの夜勤や宿直について調査をされるのではないかと思うのですけれども、そのときに宿直ではもう対応できなくなっているということがわかれば、そのグループホームはその時点で労働基準法に違反しているわけですから、即、二年待たずに夜勤加算なりの形でそれのための報酬をつけてほしいと思うのですが、いかがでしょう。

桝屋副大臣 夜勤加算のお話でございますけれども、その前に、今大臣と委員の議論を聞いておりまして、グループホームが介護保険に入ってきた、そして、今先ほど最初に委員からもお話がありましたが、将来、これから二万五千という数字も出されました。実際には八千数百のようでありますが、今の介護保険の事業計画に沿ってこれから進んでいく。こういう中にあって、グループホームの介護報酬をどう扱うのか。

 委員御指摘の夜勤あるいは宿直、この部分をどう考えていくのかということは、報酬さえ上げればいいということで整理できるのか。そこは、例えばバックグラウンドの施設の連携等のあり方とか、あるいはグループホームの運営形態のあり方等も含めて全体でやはり検討しなければならぬだろう。こう思っておりまして、現時点で夜勤加算を設定するということは、いまだにまだ検討はいたしておりません。

山井委員 とにかく、申し上げておきます。今宿直で多く行われている夜勤並みの労働は、労働基準法違反の疑いが非常に強い。私、ここで指摘しておきます。これから放置しないでくださいよ。もしこれを放置したら、国会で問題になっているのにそれを放置したということになりますから。

桝屋副大臣 労働基準法のこの許可を受けてやっているものが、その許可の内容を著しく超えているということがあれば、これは労働基準法に沿ってきちっと対応しなければならぬ、このように考えており、またそのようにさせていただいているというふうに思っております。

山井委員 それで、このようなよいグループホームをふやしていくためにも人材が必要なんですが、これからその雇用創出、いい痴呆ケアの人材、まさに晩一緒に付き添えるような人材がなかなかいないということで、グループホームもふえていないのです。

 そこで、厚生労働省さんは、痴呆研究研修センターを始められたり、あるいは痴呆介護行政推進担当者研修、いろいろな研修をされていてすばらしいと思うのですが、それとともに、やはり指導者研修だけではなくて、こういう痴呆ケアのスタッフをふやしていくという研修をしていただきたいと思うのですけれども、その点についてお伺いします。

桝屋副大臣 研修のお話でございますが、今委員からも御指摘がありましたように、ただいま全国三カ所の高齢者痴呆介護研究センターにおいてまずは指導者を養成する、そしてこれから順次、十三年度、先ほどから委員から御指摘がありましたように、痴呆という問題をやはり介護の現場でしっかりとそれぞれ従事者の方に理解をしていただくための努力をしていきたい、こう思っております。

 先ほどお話がありましたように、グループホームの管理者とそれから計画作成担当者については義務づけをしたわけですが、その他の職員についてもというお話をいただきました。おっしゃるとおりでありまして、特に、単独なり新規のグループホームというようなものについては、委員御指摘のような問題もある可能性もあるわけでありまして、他の職員についても痴呆介護の研修を受講する機会の確保に努めるように、事業者に対して先般の課長会議等でもお願いをしたところでございます。

山井委員 最後の質問になりますが、旧労働省さんも、このようなことに関して介護労働安定センターでホームヘルパーさんなどの養成、これはある意味で、福祉という観点ではなくて、まさに今回議論している雇用対策ということについてだと思うんです。

 確かに、痴呆ケアスタッフには長年の経験も必要ですけれども、同時に、非常に足りていないということがあります。片や失業者がふえて、片や痴呆の専門スタッフが非常に足りていないという現状において、こういう介護労働安定センターを含めた再就職、リストラに遭った方々、男性の方、女性の方でもできる仕事、しかし、きっちりとした研修が必要な仕事ですので、そういう雇用対策として、再就職のための支援として痴呆介護者研修というものを幅広くやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

桝屋副大臣 今の御指摘も、本当に御指摘のとおりでありまして、介護労働安定センター、この点も言及をいただいて本当に感謝にたえません。安定センターを中心にしっかりと取り組んでいきたい。

 特に、委員御指摘がありましたように、離職者を対象に介護分野の公共職業訓練を今実施しているところでありまして、相当の成果を上げているということであります。今後とも、関係機関との連携を図りながら、痴呆ケアスタッフの需要動向の把握にも努めながら、公共職業訓練の展開にも的確に対応してまいりたい、このように思っております。

山井委員 きょう、介護というこれからどんどん雇用を創出していく分野、これがやはり再就職の一つの大きな柱になっていくと思っております。また、グループホームについては、たしか七年か八年前、公明党の沢たまき参議院議員さんが当時の厚生大臣に要望書を持っていかれて、最も公明党さんがこういう痴呆対策やグループホーム、福祉の問題は頑張っていられるというふうに私もある意味で敬意を表しておりますので、坂口大臣を先頭に、ぜひとも雇用対策と痴呆対策に取り組んでいただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

鈴木委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十三分開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。加藤公一君。

加藤(公)委員 民主党の加藤公一でございます。

 本会議が早く済みましたので、大臣には駆けつけていただいて、まだ息が上がっているところ大変恐縮なのでございますが、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の雇用対策法等の一部を改正する法律案でございますが、私ども民主党・無所属クラブとしては今回私が最後の質問者ということになろうかと思いますので、まず冒頭に八点ほど、細かな点も含めまして大臣の御所見を確認させていただきたいという部分がございますので、まずきょうはそこから入らせていただいて、その後にもろもろの施策について大所高所からまた意見交換、議論をさせていただきたい、こんな順番で進めさせていただきたいと思います。

 それでは、まず冒頭の八つの質問でございますが、職業生活の全期間を通じた職業の安定ということが今回雇用対策法第三条に入ってまいりましたが、まずこの点から伺いたいと思います。

 法律が改正をされますと、雇対法の第三条の「基本的理念」における労働者の職業の安定について、産業構造の転換など経済社会が大きく変化する中で労働者の職業の安定を図っていくためには、職業能力の開発及び向上や円滑な再就職の支援がますます重要となりますが、その一方で、安定した雇用の維持確保も労働者の職業の安定には欠かせない視点であり、これらともども相まって労働者が職業生活の全期間を通じてその職業の安定が図られるように配慮されるべきではないか、このように私ども考えるわけでありますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘のとおりというふうに理解をいたしております。

加藤(公)委員 では、続きまして、能力開発促進法の改正につきまして、その考え方をもう一度確認させていただきたいと思います。

 産業構造の変化や技術革新のもとで変化していく職務に対応して職業生活の安定を図っていくために、労働者の自発的な能力開発やキャリア形成が重要であります。しかしながら、そのような能力開発や熟練形成には継続した経験の蓄積が必要でありまして、そのための雇用安定を基盤とした長期的視点に立った能力開発を否定するものではないというふうに理解をしておりますが、それでよろしいでしょうか。御意見をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 これも御指摘のとおりと理解をいたしております。

加藤(公)委員 ありがとうございます。

 では三つ目でございますが、再就職援助計画につきまして伺いたいと思います。

 雇用対策法第六条におきまして、事業規模もしくは事業活動の縮小または事業の転換もしくは廃止に伴い離職を余儀なくされる労働者について、事業主の再就職援助の努力規定を定めております。このような再就職援助措置をとったからといって、判例法理で確立されているところの解雇権乱用法理あるいは整理解雇四原則を守らなくてもよいということにはなり得ないということは当然だと思いますが、それよりもむしろ、雇用の維持確保を前提として人員削減が避けられない場合における義務としてこれは定めたものというふうに考えておりますが、御所見はいかがでございますか。

坂口国務大臣 再就職援助措置は、経営として解雇回避の努力を十分尽くした上でなおかつ人員削減が避けられないものであるということを含め、関係労使が離職を余儀なくされている労働者が発生することを了知した上で事業主が取り組むべき義務として定めたものでございます。

加藤(公)委員 御答弁のとおり理解をしたいと思います。

 続きまして四つ目でございますが、円滑な労働移動実現の対策と解雇促進の防止についてということで御質問させていただきたいと思います。

 再就職支援措置を初めとする労働移動支援の実施について、これが解雇を促進することがないように、政府として十分な措置を行うというふうに私ども理解をしてよろしいかどうか、大臣の御所見をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 再就職援助計画が安易な解雇の促進とならないよう、再就職援助計画に計画作成に至った経緯等を記載させることを予定しているほか、その作成に際しては労働組合等の意見を聞かなければならないこととし、この点については本法案にも明示をしております。

 また、公共職業安定所長に提出をし認定を受けた再就職援助計画に基づき事業主が講ずる一定の再就職援助措置に対しては国が助成措置を講ずることとしていますが、助成の実施に当たっては、対象となる計画について労働組合等の同意を得ていることを要件とすることを施行に向けて検討してまいります。

加藤(公)委員 御答弁のとおりぜひお願いをしたいと思います。

 それでは五つ目でございますが、労働移動の増加に対応する早急な労働政策の検討あるいは実施について伺いたいと思います。

 経済産業構造の変化が進んで労働移動が増加をしていくという中で、雇用対策法の基本的理念であります職業生活の全期間を通じた職業の安定を実現していくためには、まずもって労働移動に際しての支援、個人のキャリア形成への支援、教育訓練の機会の確保、労働力の需給調整機能の強化というのが必要であります。さらに、労働者の採用から解雇に至るまでの社会的仕組みの整備や、パートタイム労働者あるいは派遣労働者等に見られる短期雇用を反復継続する労働者の雇用労働条件管理の改善など、早急に対処すべき課題がございますが、これらについて大臣はいかがお考えか、御答弁をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘の課題については、今後、広く労使の意見も聞きながら、鋭意検討を進めるべきものであると考えております。

加藤(公)委員 では、次、六つ目になりますが、地域雇用開発等促進法の改正につきまして、各地域での労使の参画についてお尋ねをしたいと思います。

 それぞれの地域の実情を踏まえた具体的、実効的な地域雇用開発を行っていくためには、都道府県はもとより、それぞれの地域の労使の意見が反映されるべきものというふうに理解をしておりますが、それでよろしいのでしょうか。大臣の御意見をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘のとおりと理解をしております。

加藤(公)委員 続きまして、地域雇用開発等促進法の地域類型の簡素化、そしてセーフティーネットとしての国の適切な雇用対策の実施について御意見をいただきたいと思います。

 失業予防及び就職促進のための特別措置に係る地域類型、例えば特定雇用機会増大促進地域あるいは緊急雇用安定地域等でございますが、これらは廃止をされますが、急激に雇用情勢が悪化する場合には、セーフティーネットの維持、達成の観点から、国としての適切な雇用対策が行われることを前提としているというふうに理解してよろしいでしょうか。大臣の御意見をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 この点につきましても、御指摘のとおりと理解しております。

加藤(公)委員 それでは最後に、審議会の廃止規定及びその後の対応について伺いたいと思います。

 都道府県等各地域における各審議会の根拠規定を削除して、政令で定める審議会に再編をするということに当たりまして、労働者の雇用や労働条件の安定にとって一定の役割を果たしてきた地方における労働基準審議会や職業安定審議会の機能が適切に関係審議会に引き継がれるものと理解をしておりますが、それでよろしいでしょうか。御意見をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 この点につきましても、御指摘のとおりと理解をしております。

加藤(公)委員 ありがとうございました。

 駆けつけていただいた直後、八つのポイントについて御確認をさせていただきました。残りの時間につきましては、一昨日に続きまして、今後の労働行政に当たって、ぜひ大所高所から意見交換、議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、しごと情報ネットの件でございますが、一昨日の委員会で、残念ながら時間が足りませんで、副大臣に一問だけ御答弁をいただいたわけでございますけれども、私もその節に申し上げましたが、どうもこのしごと情報ネット自体が機能するんであろうかという点に大変な疑問を持っておりますので、まず初めに、この点をじっくりと御意見を伺いたいというふうに思っております。

 まず、このしごと情報ネットなんですが、国が主導して、民間の協力を得てポータルサイトを開設するということになっておりますけれども、実際どれくらいの民間企業がそこに参加をする対象になり得て、そして一体そのうちどの程度の民間企業がそこに参加をしてもらえるか、どのように見込みを立てていらっしゃるのかという点について御意見をいただきたいと思います。

増田副大臣 お答えをしてまいります。

 しごと情報ネットへの参加方法といたしましては、有料職業紹介事業、それから無料職業紹介事業に係ります厚生労働大臣の認可を受け、または届け出を行っている者、それから、有料または無料で求人情報提供の事業を行っている者は、このシステムを利用して求人情報の、インデックス情報ですが、の探索を可能とする形での参加である一般参加という方法もあります。これに加えまして、これらの事業者がその名称等を用いてみずからの事業の紹介、PRができる形での参加である特定参加という方法もあります。さらに、労働者派遣事業、労働者供給事業を行っている方もその名称等を用いたみずからの事業の紹介、PRができる形での参考情報提供という参加方法が可能であります。

 どの程度の民間機関がしごと情報ネットに参加するかにつきましては、システムへの参加は全くの自由参加とされていることから、実際の数を予測することは、ただいま御質疑の中にも将来どうだという御心配と御叱咤を込めた御発言がございましたが、なかなか予測は現時点では困難であると思います。

 なお、昨年の概算要求の段階で、一般参加だけについて整理した数字で申し上げますと、制度がある程度落ちついた段階で約二千五百の民間機関の参加を想定していたところであります。

加藤(公)委員 見込みとして二千五百の民間機関ということでございますけれども、私の聞くところですと、例えば全求協、全国求人情報誌協会などは、どうもこれにはネガティブな反応をされているようでありますし、有料の職業紹介事業者についても果たしてどこまで積極的に参加をするか。これは企業の規模の大小によって随分対応が違うのじゃないかと思いますけれども、私の知る限りでは、余り積極的にこれに参加をしようというふうには感じられません。

 例えば、全求協に所属をしていらっしゃる企業だけで、大体年間に約二百二十万件ぐらいの求人広告を取り扱っていらっしゃるわけでして、そこがネガティブな反応、つまりほとんど参加をしないということになりますと、これは実際にポータルサイトを開設しても、実質的に日本全体の求人あるいは仕事探しの情報がこの一つのサイトで実現をするという形にはならないのじゃないかというふうに思えてならないわけであります。

 特に、現在は、入職者の経路を見ますと、求人広告を通してという方が最も多いわけでありまして、全体の約三分の一程度の方が求人広告で職を探していらっしゃる。逆に、職安を通していらっしゃる方、ハローワークを通していらっしゃる方というのは二割に届くかどうかという状況でありますから、やはりここはどうも民間の協力がなかなか得にくいものをつくり上げようとしているような気がしてならないわけであります。

 いま一度、その点も含めて、本当に国がこのポータルサイトを持つ必要性があるのかどうか、この点について御意見をいただきたいと思います。

増田副大臣 御経験豊かな先生のことですから、私たちの懸念、心配はそっくりお言葉になって質疑になりました。

 そこで申し上げるのですが、大体今有料の職業紹介事業者が約三千七百、それから無料の職業紹介事業者が約五百であります。したがって、それ以外に国の方には全国的にネットを張ったハローワーク、職業紹介所があるわけであります。したがって、それらを通してもう少し地道な宣伝あるいは働きかけをいたしませんと、先生が今おっしゃいましたように、このまま流したのではだれもインターネットでという形には至らぬだろうというような懸念を実は持っております。

 そこで、今一部反応があったんですが、私の方への反応は、反応が違いまして、宣伝が下手だと。予算が通る前だからやむを得ないんだろうが、通ったら、ハローワークに全部きちんと話しなさい、そして民間の業界の中には、私のところはこういうことをやっている、そういう仕事の宣伝、内容ではないんですが、仕事の宣伝だけにも意を用いて活用する人もいるんだと。内容は、私らにとると金の卵だ、こういう表現をしていましたが、大切なものだから全部あけすけというようにはいかぬけれども、こういうようなこともありました。たまたまその民間の方にお答えしたのは、官民一体となって今この時代は切り抜けなければならない、したがってこれは大いに活用していただきたい、これが私がその人に答えた言葉であります。

 一生懸命取り組みますので、ぜひ、しかるべきお知恵なり、あるいは御指示なり、また情報なり、逆にこの際お願いしたいな、こう思います。よろしくお願いいたします。

加藤(公)委員 私にそんな過分にお言葉をいただくのも恐縮なんでございますけれども。私が何かアイデアを出したからといって、民間企業というのは合理性がない限り絶対そちらには事業は進まないわけであります。

 なぜ私がこのしごと情報ネットがどうもうまくいかないんじゃないかということを申し上げているかといいますと、それぞれの例えば職業紹介事業者であるとか、あるいは求人情報をなりわいとしている企業は、求人の情報を持ってくるところに物すごいコストをかけるわけですね、求人の開拓というところに関して。例えば、職安の方もよくあちらこちらの企業に行かれたり電話をかけたりして求人の開拓に努力をされているというのはよく存じ上げておるんですけれども、それはやはりビジネスでされている民間企業のパワーと比べれば到底比ではないわけでありまして、そこまでコストをかけて、労力をかけて集めてきた情報を、これは各企業同士が競争をしているわけですから、それを一カ所にぽんと集めてしまう、見せてしまうということは、どう考えても合理性がない。だからこそ、このポータルサイトに全求協、つまり求人情報誌を扱っている企業さんというのはなかなか参加をしたがらないというふうに思うわけです。

 逆に、求人情報を扱っている企業さんの中でもまだまだ小さなところは、このポータルサイトを使うことによって企業名に信頼感を持たせたり、あるいは少しでも情報をとってもらえればという思いもおありだとは思うんですが、残念ながら、今特に大都市部では特定の数社の企業の情報だけで過半を占めておりますので、そういった企業さんは、逆に、自分たちがコストをかけて、労力をかけて集めてきた情報をオープンにしたくない、それがビジネスなんだという思いがあると思いますので、ポータルサイトをつくって、そこにどうぞ情報を出してくださいという、まあいろいろな参加の仕方があるということは存じ上げておりますけれども、その根本の考え方自体がそれぞれの企業にとっては合理性がないものですから、何も別に私は民間企業の肩を持つわけでも役所の肩を持つわけでもどちらでもないですけれども、客観的に判断をして、これはお願いをしたぐらいではなかなか参加企業はふえないんじゃないかというふうに思えてならないわけであります。

 この点、いかがお考えか、いま一度御意見をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 私、こうした方面のことは余り詳しくないので、先生の御発言に十分に答えられるかどうかわからないんですが、今やろうとしていることは、それぞれの企業が集められた情報を全部そこに列挙して、それで全部そこに国民の皆さんにわかるようにして、どれかを選んでください、どうぞ選んでくださいというふうに出すのではないんだろうと思うんですね。

 平たい言葉で言えば、ひもつき情報というのですか、大枠でこういう情報があります、その中を見なければ中身はわからない。その中は、A社という会社が提供したものでありましたらA社のところを見ないとわからない。しかし、その大くくりにした何々というような表紙のところはトータルで見えるようにしておこう、こういうことではないかと思うんですね。

 それでもなおかつ、いや、それは余分なことだ、やはりうちの方は、A社はA社で単独で、A社だけでちゃんとやるから余分なことを考えてくれるなというのであれば、それはそういう理屈もあるのかもしれないというふうには私は思います。

 しかし、厚生労働省が今提案をしておりますのは、それはそうだろうけれども、そういう情報も国民の皆さん方から見たら、あちらも見る、こちらも見るというふうにしなくても、一つ、一発どこかを見ればそれが列挙されている、しかしその中の個々のことについては、それぞれの企業が努力をして集められた内容だからそこをやはり押して見てもらわないとわかりませんよ、こういうことになるんじゃないかと思うんですが、それでもだめですかね。

加藤(公)委員 いや、大臣のおっしゃるとおりの仕組みだとは思うんですね。それでもだめですかと言われましたので、では、ちょっと私見を申し上げたいと思うんです。

 ITの世界でポータルサイトをとるということは大変な大きなメリットでありまして、いわゆるそれ自体がビジネスモデルの一つになるような大変な優位性をそこでとれるわけですね、ビジネスにおいて。そういう意味でいいますと、それぞれの企業が、自分の会社で持っているサイトがポータルサイトになり得るように今競争をしているところだと思うんですね。それぞれの企業がそれぞれ工夫をして、あるいはできるだけ情報を多く集めるという努力をして、さらにはそのサイトを見ていただくための宣伝広告というものに多額の投資をして競争していらっしゃる。もう数年たてば、あるいはもう少しインターネットが普及をしてまいりますと、いずれ、どこかの企業のサイトが有力なサイトとして残っていくことになると思います。

 これは何も求人情報に限らず、検索エンジンなんかをイメージしていただければ大変わかりやすいんじゃないかと思うんですが、最初、まあ実名を出して問題ないとは思いますが、ヤフーさんなんかが始められて、最初にああいう仕組みができたときには、多分、世の中の方どなたも何だかわからなかったわけですね。ヤフーとは何だろうと言われていた。しかし、使ってみたらこれはどうも便利だということになると、そこにアクセスが集中をする、広告が載る、ビジネスとして成り立つ、こういう仕組みになってきたわけです。

 今度はそれよりもよりよいものをつくろうということで、ほかの検索エンジンを運営される企業さんがどんどん出てきて今大変な競争をされている。たくさん出てきましたけれども、そろそろ淘汰が始まっているわけでして、もちろん一社になっているわけではありませんけれども、おおむね優劣というのは大分見通しが立ってきたのではないかと思います。これが市場原理だし、民間にゆだねることの大きな意味だと思います。

 これが最初から、では、ある検索エンジンを一つつくって、はい、皆さんここを見てくれれば便利ですよという状態になっていたら、絶対に今のような新しい検索エンジンは出てこなかったと思いますし、それぞれ特徴がありますから、こういう検索をするときにはここを使おうとか、自分にとってはここが使いやすいからここを使おうというような選択がユーザーの方になくなってしまっていたと思うんですね。

 その意味でいうと、今回のポータルサイトをつくるということは、まさに市場原理を排除してしまう、競争原理をなくしてしまうというふうに私は思えてならないものですから、先ほど来、本当にこれが国の役割として必要なんでしょうかということを申し上げてきたわけです。

 確かに国として、ここだけ見れば仕事を探していらっしゃる方がすぐどこにでもアクセスできるというポータルがあるというのは確かに便利だとは思うんですが、それが本当に今の方法あるいは今の時期が適切なのかということについては私はどうもやはり疑問を持たざるを得ませんで、基本的には、民間に競争をさせて、そこで自然に淘汰をされてよりよいものが仕上がっていくというふうに発想すべきなんじゃないかと思うわけであります。

 先ほど、くしくも宣伝云々というお話がありましたので、その件についても申し上げたいんですが、例えば、今回このポータルサイトが完成をした折に、では、それをどうやって告知するのか。インターネットにサイトをつくれば皆さんに見てもらえるというわけでは決してありませんので、いずれこれは別のメディアを使って告知、広報をしなければなりません。職安にお見えになった方にこういうサイトがありますよという告知だけではなかなか、職安に来られる方がそこまでインターネットを使っているかどうかという問題もありますし、また、それほどの効果が上がるかというのも疑問であります。

 先ほども申し上げましたが、民間企業は、そこを使ってもらうことによって効果が上がる、効果が上がるとまた求人情報がそこに集まってくる。求人情報が集まるということは、つまり求人の企業からそのサイトを運営している会社に対してお金が動く、つまり売り上げが立つということになりますから、広告宣伝費は投資になります。しかし、国の場合には、残念ながら、広告宣伝費に投資をするということはできないわけでありまして、民間のサイトと競争をするということになりますと、実は圧倒的に不利な条件にあります。

 その意味でいいますと、先ほど申し上げましたように、本当に国がやるべきかどうかという問題とあわせて、やったとしても本当に使ってもらえるんだろうか。つまりは、民間の大手企業を中心として全求協がどうもネガティブだ、しかも、そのサイトを見てもらうための告知がなかなかできないということになると、つくったはいいけれども機能しない、なかなかいい情報がないということになるんじゃないかと思いまして、この意味からも、何でもかんでも別に私は反対をしようというわけじゃないんですけれども、やはり腑に落ちないものですから、この点いかがお考えか、御意見をいただければと思います。

増田副大臣 大きく二つあったと思いますが、まず初めの方からお答えをしていきます。

 しごと情報ネットは、民間機関が有する特性あるいは創意工夫を生かしました活動を可能とするための環境整備として、官民連携した枠組みを設けることによって求職者などによる民間機関の積極的な利用を促進していきたい。一人でも多くの求職者の方に一日でも早く就職をしていただくことを目指すものであります。

 したがって、このために、制度の設計あるいは運営についても、多くの民間機関の代表者の方々が参加しているしごと情報ネット運営協議会の議論に基づきまして、官民が一体となって取り組むこととしております。もちろん国が一元的に運営するものではありません。

 それから、このように、しごと情報ネットは民業圧迫というような考え方は初めからありませんし、あったって間に合いませんし、御発言のとおりだと私も思います。そこで、民間の機関の創意工夫を生かした事業展開がより積極的に進んでいけばな、このように考えているところであります。

 そこで、業として長い将来を展望した御発言がございましたが、世の中の仕組み、制度が大きく変わるこのときに役割をきちんと果たしていくためには、私は、やはりポータルサイトを設置して、皆さんにもどんどん利用してもらって、この際、一人でも多くの方が一日も早く就業できるように運ぶべきではないかな、こういう見解を実は持っているところであります。

 それから二つ目の関係なんですが、サイトの存在をどうやって告知するのか。生半可な広報では決して利用者はふえない、民間企業と戦う意味はない、特に国ですからそれほどの宣伝費もあるはずもないし、やはり存在自体が無意味ではないかなというような意味の先生の御質疑がございました。

 しごと情報ネットの利用者への広報につきましては、先ほど申し上げました求職者の多くが利用することとなるハローワークでの周知、また、かなりの浸透がそれなりに図られるだろう。特に三大都市圏みたいな大都市圏は別にしても、図られていくだろう。それからまた、厚生労働省のホームページへの掲載、あるいは参加機関を構成員とする団体の広報誌への掲載、その他さまざまな広報の機会を活用することによってその周知を図っていこうというのが実は考え方であります。

 また、求職者の求職活動の利便性の向上を図るためには、多くの信頼できる情報を提供できるようにすることが重要であると考えております。したがって、しごと情報ネット運営協議会の事務局である都道府県労働局等を通じまして、システムの趣旨、それを積極的に周知等に努めまして、より多くの民間機関の方々に参加していただきたい。

 先生の御発言にございましたが、民間機関の持っているノウハウは、膨大な投資と努力、そういうものによって積み上がったものですから、それをこの機関も使ってより周知徹底、成果を上げてもらいたいというような考え方もこの中の大きな柱になっているわけであります。よろしくお願いいたします。

加藤(公)委員 今告知、宣伝の件を副大臣から御答弁いただきましたが、ハローワークに来られた登録者の方にお知らせをする、これは当然だと思いますし一番効果的だろうと思うんですね。

 ただ私は、先ほど申し上げましたとおり、ハローワークに来た方だけで果たして本当に意味があるだろうかというふうに思います。恐らく、インターネットの特徴を考えますと、失業される前の方の利用というのが実は多いんじゃないかと思っていまして、離職をした後、職安に行って、なるほどというふうにわかってから使うという方よりは、それこそ失業なき労働移動じゃありませんけれども、職にあるうちに先に情報を仕入れる。例えば、自分は労働市場でどれくらいの価値があるんだろうかとか、あるいは今の世の中だとどんな仕事にニーズが高いんだろうかということも含めて、一般論も含めて、インターネットを使われる方の方が多いと思いますので、ハローワークに来られる方に告知をされるというのはもちろん意味があると思いますけれども、それだけではインターネットの特徴というものを十分に引き出せないのではないかと思います。

 あと、厚生労働省のホームページに告知をされるというふうにおっしゃっていましたが、普通の方が、私もサラリーマンをしていましたが、サラリーマンが将来転職をしようかなと思ったときに、厚生労働省のホームページにアクセスするということは多分ほとんど皆無じゃないかと思いますし、公務員を目指される方は別かもしれませんが、それはちょっと考えにくい。

 それからまた、それぞれの民間団体の広報誌にというお話がありましたが、これも、民間団体、先ほどの全求協のような団体が出している広報誌というのは一般の消費者の皆さんにはほとんど流通をしておりませんので、そこに幾ら告知をしたところで恐らく広まることはあり得ないだろうと思います。

 広告でいえば最も効果があるのは電波メディアでありますけれども、そこに投資をするというのは国ではあり得ないと思いますから、その意味で、先ほど来何度も申し上げているように、宣伝がどう考えても不十分になるはずだ、そうなると機能しないんじゃないかということを申し上げていたわけであります。

 それからまた、インターネットの世界では有力な検索エンジンからリンクを張るというのが、バナー広告を出すとかいうことも含めて、実は大変効果がありますけれども、ただ、これにも多額の費用が発生をしますので、国としてそれに予算がとれるということになると随分と話は変わってくると思いますが、それはなかなか現実的には難しいんじゃないかというふうに思うものですから。

 そうすると、実は告知の手段というのが実際には手詰まりであって、ポータル、つまり玄関ですから、表玄関というのは名ばかりで、いざあけてみたら勝手口かあるいは使われていない裏口のドアのようになってしまうんじゃないか、そうした懸念が大変私としては強いわけであります。

 そこで、これは今進んでいるものを根本からきょうひっくり返してくださいというわけじゃないんですけれども、根本的な考え方として、国が主導してこういうポータルサイトをつくるという発想じゃなくて、民間それぞれが競争している中にハローワークの持っている情報をすべて開放して、提供してさしあげるという方がよほどいいのではないかと私は思うわけです。そうすることによって、ポータルサイトをつくるよりも競争原理は働くし、情報はふえるしと。

 結局のところ、適正なマッチングが図られればいいわけですから、それはポータルサイトをつくるというのも目的はそのためだと思うのですけれども、別の方法もあるというふうに考えて、逆の発想でありますが、そういう方法に切りかえていくということも十分にあり得るのではないかと思いますが、いかがでございますでしょうか。御意見をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 先ほどから委員の御発言を聞いておりまして、これは脳細胞の柔軟性の差かなというふうに思いながら聞いていたわけでございますが、我々の考えておりますこととそんなにも違わないというふうに私は思うのです。

 例えば、ヤフーならヤフーが就職情報を出している、あるいはアット・ニフティがアット・ニフティで出している。そうしたことを、それぞればらばらにするのではなくて、皆さん方にわかりやすくするために、一カ所でそれが出るようにしておいて、その個々についてはそれぞれにお任せをする。それぞれにお任せをするのだから、競争原理はそこできちっと働いているではないかと。ヤフーが非常にいいものを持ってきたら、ヤフーの方でそれはなるほどということになるのだし、アット・ニフティがやっているかどうか知りませんけれども、アット・ニフティの方で就職情報を立派なものを集めてきてそこに列挙しておれば、なるほどここはさすがだということになるのだろうし、そこは競争原理は働くのではないか。

 ただ、そうしたものを全部集めてきて国民の皆さん方にわかりやすくしようという考え方が、余計なことをするなと言われればそれまでかなと。そこのところを、若干、そんなには違わないけれども、その一点が違うのかなといって、私は聞かせていただいたのです。

 厚生労働省が集めますところの情報というのは、当然のことながら公開をして、皆さん方に、それぞれのところにもお使いをいただけるようにそれはやはりするのだろうというふうに思います。だからといって、民間の皆さん方のものも全部すっかり公開して我々と一緒にしてくださいよと言っているわけではないということでございますから、そこはそんなに無理な話でもないように思いますが、どうでしょうかね。

加藤(公)委員 実はまだ完成をしていないサイトでありますから、私は自分の哲学に従って随分な御批判を申し上げておりますので、完成した暁には私がおわびしなければいけないかもしれないというのはもちろん承知の上ではあります。基本的な考え方として、市場原理にゆだねるべきだ、民間企業の競争によってこそ、その商品あるいはサービスが発展をするのだということで御指摘を申し上げておりますので、この点はぜひ頭の片隅に置いておいていただきたいなと思います。

 ちょっと補足になりますけれども、例えば、就職あるいは再就職の折に必要な情報ということになりますと、もちろんここで基本的に想定をされているのは求人情報ということになろうかと思うのです。実はそれだけとは限りませんで、もう皆さんも御存じのとおりだと思いますが、今、ジョブウェブというサイトが大変なヒット数を誇っておりますけれども、これは当時の社会人一年生と大学生がスタートをしたサイトであります。今でこそビジネスモデルとして何とか企業の体をなしておりますけれども、当時は自分たちに必要な情報を後輩のために何とかしてやろうではないかという発想で立ち上げてきたわけであります。余り深く申し上げますと宣伝になってしまいますのでこの程度にしておきますが、ここには別に求人情報が載っているわけではないのですね。就職活動の実態が、それぞれの就職活動をしていらっしゃる方からどんどん情報が入ってくる。ほとんどの大学生が、今就職活動の期間にはこのサイトを使っていらっしゃいます。

 大変な力を持っていますので、一昔前であれば、それぞれの企業、特に大手企業が、表向きはそれこそ就職差別はしていませんと言っておきながら、裏で特定の大学出身の学生だけ呼び出すようなことをすれば、もうその日のうちにそのサイトで全部情報がばれてしまう。あるいは、男子学生だけ呼んで女子学生には告知をしなかったということになれば、それもその日のうちにばれてしまうということになって、公正な就職状況をつくり出すのに大変貢献をしているわけです。これとて、本当に学生が学生のアイデアで、後輩のために何とかしてやりたいという思いで立ち上げて、代表をしている某君は、今は企業をやめてそれに専念をしているわけであります。

 そういう民間の活力というところに少し信頼を置いていただいて、そこに任せていくという発想が非常に重要ではないかというふうに思いますので、これはサイトの立ち上がりを待ってみないとわかりませんけれども、ぜひ、こういうことを言っていた議員がいたということは、お忘れなきようにお願いをしておきたいと思います。

 あともう一点、このしごと情報ネットで、もしこれが立ち上がった場合についてということで、一点不安があるものですから、この点を伺いたいのです。

 求人情報というのは、御存じのとおり、本当かうそかというのは利用者の方は確かめるすべがございませんで、もちろん職安に行って紹介を受けるということになればそれはうそはないだろうというのはわかります。それから、ある程度実績のある職業紹介機関であるとか求人情報誌、あるいは新聞などであれば、そのブランドによって、なるほどこういう企業がやっているのなら大丈夫だとか、あるいはこういう審査体制なら大丈夫だという与信もあるかと思うのです。

 このサイトが立ち上がったときに、先ほど二千五百民間機関を見込んでいらっしゃるというお話でしたけれども、そうすると、言い方は悪いですけれども、本当に信頼が置けるのだろうかというような企業の情報もそこに載ってくる可能性がありまして、利用者が、万が一このサイトを使ってその情報が間違っていたという目に遭う、あるいは、入社してみたら全然情報が違うではないかというようなことに遭うということになりますと、一気にこのサイトの信頼が失墜をしてしまうことになります。それで利用者が減るという危険もありますし、それからまた、そこに参加をしているそれぞれの企業の信頼まで傷つけるということにもなりかねませんものですから、この部分のリスクヘッジ、リスクの回避ということについて、どのようにお考えか、御所見を承りたいと思います。

増田副大臣 貴重な御意見をありがとうございます。いろいろ御指摘を踏まえまして、誠心誠意ちゃんと承って努力の糧にしたいと思います。

 そこでお答えなんですが、しごと情報ネットについては、利用者が信頼できる情報が提供される必要がもちろんあるわけであります。このために、参加に当たっては運営協議会の認定を受けていただくこととしておりまして、情報審査体制また苦情処理体制が整備されていることなどを誓約する機関のみを認定することにしていきたい、こう考えております。

 また仮に、実際の求人の労働条件と大きく異なる情報を提供するなど不適切な情報提供を行った場合、また、情報についての苦情に適切に対処しなかった場合等につきましては、運営協議会の判断に基づきまして、情報提供の停止、認定の取り消しを行い、信頼できる情報の提供を担保していくことに努め、努力したいと思います。

加藤(公)委員 まさにそういった施策で信頼性というのはぜひ確保していただきたいと思うのですが、一回問題が起きてしまいますと、その会社が問題があったから、では排除をしましょう、その会社を排除するということで、それ以降のそのサイトの信頼性を保つということはいいのですけれども、実はそこには被害者がもう既に発生をするわけなんですね。では、その方がどうなるのかということは、これはぜひお考えをいただきたいなと。

 悪意がなくても、実は大変細かい情報が載りますので、ミスということも実は十分に考えられるわけですね。これは私の過去の経験も踏まえて、自戒の念も込めて言いますと、人間のやることですから、当然ミスということもあり得ます。わずかな数字のちょっとしたミスで、検索をかけたら、ああここは自分に合う会社だと思って応募して面接に行った。実はよくよく聞いてみたらその情報が間違っていた。お互いだれも悪意はないけれども、ミスで間違っていた。例えば、勤務時間であるとか勤務場所であるとか、そういったことの単純なミスであっても、応募にわざわざ行ったのに、実はお互いに採用したい、されたいと思っていたにもかかわらず、その条件ではどうしてもだめだということが発生するわけです。

 そのときには、応募者の方というのは、時間と費用と労力をかけてそこに行かれることになりますし、場合によってはそれ以上の何か損失をこうむることもあり得るわけですから、悪意があろうがなかろうが、ミスも十分発生し得るということ、そして、そこには何かしらの被害者が出てしまうということですね。ここに対するリスクヘッジといいますか、補償とまでは言いませんけれども、ぜひお考えをいただきたい。

 サイトが大きくなればなるほど、いろいろな民間企業が参加をすればするほど、その度合いといいますか、可能性は高まるわけでありますので、これはぜひ一度真剣に皆さんで議論をしていただきたいなと思います。

 それから、企業がそれぞれ審査体制を持っていることが条件というふうにおっしゃっていましたけれども、これも体制があればいいというものではありませんで、それぞれの企業、これは、メディアを持っている企業あるいは職業紹介の事業者においても、その審査体制の中身というのは随分と違っておりまして、現状であっても、あるメディアには広告が出せるけれども、あるメディアでは出せないということが多数発生をしているわけです。全国統一の基準があるわけではありません。

 何も私は、日本全国同じ基準で縛るようなルールづくりをした方がいいというわけでは決してないのですけれども、それぞれの企業がこういう基準で、しかも、こういう体制で審査をしていますというのがそのサイトでわかって利用者の方が選べる、なるほど、ここの情報なら安心だとか、あるいは、ここはちょっと自分では不安だからやめておこうかとか、そこまで利用者側がわかるようなこともぜひお考えをいただきたいなと。本質的には運営協議会の方で御議論をいただくことかとは思いますけれども、せっかくの機会でございますので、一言意見を申し上げたいというふうに思っております。

 それでは、だんだん時間がなくなってきてしまいましたので、残りの時間は、職業訓練あるいは技能検定の件についてお話を伺いたいと思います。

 今、雇用保険特別会計の中で教育訓練給付金制度というのがございまして、当初二十万円までだったものが三十万円までということで増額をされております。実際の細かなデータは私も把握しておりませんが、私の周りのわずかばかりの情報を仕入れますと、大変好評だというふうに承っておりまして、利用者の方も非常に便利がいいということは聞いておるのですが、この教育訓練給付金制度を使って、これはあくまでも雇用保険の中の一つの仕組みでありますから、失業者が減るか、あるいは就職される方がふえるか、いずれかの効果がなければいけないと思うのですが、果たしてどれほどの効果があったというふうに御認識をされていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 教育訓練給付の対象となっておりますものを見ますと、OA機器の操作でありますとか、ホームヘルパーでありますとか、講座数で一万四千八百講座、随分講座数は多くなっております。そして、受給者の方も、制度が創設されましたのが平成十年の十二月でございますが、十年の十二月以降、平成十三年の一月までの間の期間で、三十八万五千八百人が受給者になっております。受講者各人の雇用され得る能力の向上に一定の効果はあったものというふうに思っております。かなり人数も拡大をしてきているところでございます。

加藤(公)委員 確かに、先ほども申し上げましたとおりちまたでも評判になっておりますし、この制度を導入している民間企業の方がそれぞれの企業の広報、告知、宣伝に随分取り入れていただいているものですから、これはうまいぐあいに世の中に浸透していると思います。

 その意味では、私は、そこ自体はもちろん否定をするものではないのですけれども、大事なことは、さっき申し上げたとおり、雇用保険特会の中の制度でありますから、失業者がこれで減るか、あるいは失業を避けられた方がふえるか、いずれかの効果がやはり見込めないといけないだろうと思うわけです。本来セーフティーネットのための保険制度ですから、本来だったらそのお金は直接失業給付の方に充てればいいものをこちらに回すわけですから、その効果がないということになりますと、これはいささか問題があるのではないかと思います。

 その意味で、四十万人近くの方が制度を利用されたというのはいいのですが、失業率の改善、簡単に言えば失業率の改善にどれほどの寄与があったとお考えか、この点をいま一度伺いたいと思います。

坂口国務大臣 残念ながら、そこまではまだちょっと調査ができておりません。これだけ、四十万人近い皆さん方が受講されたわけでありますから、恐らくその中の多くの人たちの中に、新しい職を求めることに役立っていることだけは間違いがないというふうに思いますし、これから先の雇用の流動化の中で、こういうことを自分は身につけているから安心だという安心感をお持ちになっている方も多いのだろうというふうに思います。

 しかし、そこは委員が御指摘になりますようなきちっとした数字までは把握はできておりませんので、何らかの機会にそうしたことがわかればというふうに私も思う次第でございます。

加藤(公)委員 まさに雇用対策というのは実際の効果が非常にはかりにくいところもあると思います。助成金なんかも本当にそうだと思うのです。

 しかし、これは助成金に比べますとその効果をまだ掌握しやすいはずでありますし、先ほど来、何度も申し上げますが、あくまでも直接失業給付に回すべき費用がこちらに行っている制度でありますから、制度自体をやめろとは言いませんけれども、ぜひ一度どこかのタイミングで効果の測定をしていただきたい。ただでできる話じゃありませんので、これも工夫が必要かとは思いますけれども、その辺は皆さんに知恵を絞っていただいて、効果が上がっているということであればより拡張するという選択肢だってあるわけですし、何もやめろと言っているわけじゃありませんので、それは把握をしていただきたいなと思います。

 そのときに、あわせてちょっとこれは調査をしていただいた方がいいんじゃないかと思うのですが、確かに再就職かあるいは雇用の維持に役立っているであろうということは私もわかるのですけれども、逆にそれ以外で、直接雇用に結びついていない方にも随分と支給をされているおそれがあるのじゃないかなという、ここも不安があるわけです。

 雇用保険特会がどんどん財政状況が厳しくなっていく中で、いささかもむだ遣いはできないということを考えますと、例えば実際に、本当は趣味の領域なんだけれども、八割負担を受けていた、受けているという方も、これは勘ぐって言うのは余りいいことではないかもしれませんが、十分にあり得るのじゃないかなと思っていまして、制度が非常に幅広く整えられているからこそそういうことも考え得ると思っていまして、これについてもぜひ一度調査をしていただきたいというふうに思うのですが、この点、いかがお考えでございましょうか。

増田副大臣 教育訓練給付の対象講座につきましては、職業に関する教育訓練でありまして、雇用の安定、また、就職の促進を図るために必要な教育訓練と認められるものというふうに実はなっております。趣味的、教養的なものやあるいは入門的、基礎的水準のものは指定対象としないこととしております。

 指定に当たりましては、講座修了生の就職状況等も勘案しつつ指定を行っているところでありますけれども、今後は、特に政策評価を行いながら、制度の趣旨に沿った適切な運営に努めてまいりたい、このように考えますので、よろしくお願いいたします。

加藤(公)委員 今副大臣から御説明いただいたことはよく存じ上げておりまして、そのとおりやっていただければいいと思うのです。

 私が申し上げましたのは、職業能力開発に資する目的の講座であっても、使う側からすると十分に趣味の領域と重なる、ダブる部分というのもある。先ほど申し上げましたように、それぞれの教育機関あるいは制度といいますか、サービス、商品の方が告知をします折に、こういう制度があるから八割もらえますよということを当然告知するわけですね。そうなりますと、これでどうぞ仕事についてくださいということは民間の広告には当然書きません。見た方からすれば、何かこの学校に行くと八割費用がもらえるのかなというふうに当然思うのが人情でありまして、認定をする段階ではもちろん就業に有益な講座だけなんでしょうけれども、実際に運用していく、あるいは制度が動いていく中には、別に悪意はないんでしょうが、使う側がそうじゃない目的で使うということは排除できないわけでありますから、先ほど申し上げた効果の測定の折に一度御検証いただいて、必要であれば見直していただく、うまくいっているんであれば拡充をしていただく、当たり前のことでありますが、この点をお願いしたいという趣旨でございますので、よろしく御検討ください。

 それでは、続きまして、技能検定の件について意見交換をさせていただきたいと思います。

 技能検定でございますけれども、せんだってお話を伺いましたところ、二百三十三万人の方が既に合格をしていらっしゃる、技能士になっていらっしゃるということなんですが、確かに、それぞれの資格の中で一定の能力開発の努力目標としては機能しているというふうに私自身も思うんですが、一方で、これから先、雇用が流動化をしていく際の就職や再就職の場面で、この技能士の資格というのが果たしてどれほど役に立っているんだろうか、世の中でどれほど求められているんだろうかということを考えますと、ここにどうしても疑問を持たざるを得ないわけであります。

 この点について、大臣、いかがお考えか、御所見を承りたいと思います。

坂口国務大臣 この技能検定も中身が大変広範囲にございますから、検定の内容によりましていろいろの差異があることも事実でございます。しかし、我々が考えております以上に、企業におきましては、技能士でありますとか、あるいは情報処理技術者でありますとか、あるいは中小企業診断士でありますとかというような、こういう資格を持った人というのは尊重されていると申しますか、かなりその価値が認められているということだそうでありまして、これはいろいろの調査が行われておりますが、その調査の結果におきましてもそれは出ているところでございます。

 特に、これは内々ではございますけれども、日本労働研究機構が調査をいたしましたものの中でも、企業数の中でも、技能士でありますとかあるいは中小企業診断士でありますとか施工管理技士でありますとかといったような人たちというのは非常に評価も高いし、そして企業の中におきましては昇格とか昇進等の際にかなり有利に働いているということも事実のようでございます。

 ただ、新しく職を求めるときにこの資格がどれだけ役立っているのかということは、これまた別の話だろうというふうに思いますので、こういう資格をつくります以上、新しく職を求めますときにもやはり社会的にそれなりの評価がされるようにもっと努力をしていかなければならないことは事実だというふうに思っております。

加藤(公)委員 今、技能士の方と情報処理技術者とか中小企業診断士とかもろもろ、ごちゃまぜでお話をいただきましたが、この辺はちょっと分けないとなかなか議論が進まないかなというふうには思っているんです。

 私が何でなかなか採用の段階で役に立っていないんじゃないかということを申し上げたかといいますと、幾つか理由があるんですが、そのうちの一つが、この資格、一度取りますとそれっきりなんですね。日本の場合大概の資格がそうなんですけれども、更新をするという制度がございませんので、実は、一回資格は取ったけれどもその後その職についていないということになりますと、いざ就職をしようというときに、その資格は持っているけれども実力が伴わないということが発生をするわけです。

 どうしてこんなことを言うかといいますと、ある経営者の方とお話をしておりましたときに、実は私、情報処理技術者の資格を持っておるんですが、加藤君、君は情報処理の資格を持っているとは言わないんだよ、取ったことがあると言うんだよ、君みたいなのは、こう言われたわけですね。別に私はその会社に勤めようとしていたわけじゃありませんで、知り合いの方でありますので雑談をしていたときでありますけれども。つまり、人を採用する経営者の方からすれば、持っているということと取ったことがあるというのは明らかに違うんだということを彼は言っていたわけでありまして、それが経営者の頭にあるということは、私この資格を持っていますでは、実は余りこれは採用の基準にならないんじゃないかということが言えるわけです。

 振り返って、自分のことをそう指摘されたからと思って見てみれば、情報処理の資格も確かにありますし、電気通信主任技術者という資格も持ってはおりますし、運転免許も持ってはおりますが、どれも今は使っておりませんので、確かにその方の言うように、取ったことがあるというのが適切な表現なんですね。もしこれで政治の世界を去ることになって就職をしなきゃいかぬということになりますと、この資格を持っていますということでは決して採用はされないわけであります。つまり、その意味では、この資格は意味をなしていないんですね。

 同じように、技能士検定についても、取ったことがあるというだけではやはり意味がないわけで、その方が実際、今現在どれだけの職業能力を持っているのか、実力があるのかということがはかれるような仕組みにならない限りは、本当に世の中で採用の場面で役に立つ制度にはなり得ないんじゃないかというふうに思うわけであります。

 技能者の能力を示す指標として、そして再就職あるいは就職の際の評価軸として、これが本当に今申し上げたような観点から機能するのかどうか、あるいは今後機能するようにするには一体どのようにお考えか、この点、大臣の御所見を承りたいと思います。

坂口国務大臣 技能検定の受検資格というのを私も今回初めて見たわけでございますが、そういたしますと、一級の受検資格というものを見ますと、普通課程の普通職業訓練修了というのがございまして、これは実務経験六年ということになっております。また、関連学科の高等学校卒ということになりますと実務経験十年ということになっております。ここは、かなり実務経験を重視しているわけなんですね。

 私は、受験勉強でいろいろのことをただ暗記した、覚えたというだけでは、これはやはり月日がたってしまえば忘れてもしまいますし、免許はペーパーとして残ってはいますけれども役に立たないということは起こるんだろうというふうに思いますが、こういうふうに実務経験を積んで実務が身についているという場合には、これはなかなか消えないんだろうというふうに私は思います。したがいまして、その職からしばらく遠ざかるということがありましても、身についておりましたら、それが三カ月間なのか半年間なのかはよくわかりませんけれども、もう一度それをやることによって、前の身についておりました技術というものがよみがえってくるということだろうというふうに思います。

 ですから、確かに日本の免許というのは一遍取りますと終生ついて回っているわけでありまして、医学的なことを全部忘れました私でも医師免許があるわけでありまして、だれもそんな私に診てほしいという人はいませんけれども、あることだけは間違いがないわけでございます。ですから、その制度そのものについては、それはなるほど、御指摘になる全般について、そこをどうするかという大きな課題はあるというふうに思いますが、この問題、技術を身につけるということだけを見ますと、一遍ついたものはそう簡単にはとれない、私はかなりそこは信じていいのではないかというふうに思っている次第でございます。

加藤(公)委員 もちろん、百三十三職種もございますので一概には論じられないとは思うんです。そしてまた、何でもかんでも更新制度があればいいということを申し上げているわけでもないんですけれども、いま一度、持っているというのと実際に使えるというのは違うんだということをお考えいただくと、より就職の際の基準として生きてくるのではないかと思いますので、御検討をいただければ幸いでございます。

 その百三十三職種についてでありますけれども、せんだって資料を拝見しましたら、そのうち、四十年間たっていますが、過去の累計で合格者が千人にも満たないものが実は十九職種も発見をされまして、これは技能士という資格を与えていいのだろうか、これこそまさに機能しているのだろうかということを疑問を持たざるを得ません。これは、過去統廃合されてきたというのは存じ上げておりますけれども、今後どのように整理をされていくおつもりかということについて御意見を承りたいと思います。

増田副大臣 技能検定制度は、労働者の技能習得意欲を増大させ、労働者の技能の向上を図ろうとするものであります。そのためには、技術革新などの時代のニーズに対応したものとしていく必要があるわけであります。

 こうした観点から、これまでも技能検定職種の統廃合が行われてきたところであります。累計で百九十職種が統廃合されたところであります。

 さらに、今後、政策評価を行うことなどにより、今お話がございましたけれども、受検者や合格者が極めて少ないものについて、その内容の抜本的改定や検定職種のスクラップ・アンド・ビルドを積極的に行ってまいりたい、このように考えております。

加藤(公)委員 くしくも今スクラップ・アンド・ビルドという単語が入っておりましたけれども、まさにそれをどんどん進めていただきたい。これがないと、先ほど申し上げましたように、いざ採用の場面でこれを基準にしようと思っても、何だ、そんな昔から改定していないのでは持っていてもしようがないなという評価を受けてしまうわけですから、これはぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。

 また、今回の改正におきまして、技能検定の職種を拡大していこうというようなお話が出ておりますけれども、今後どういった職種にこれを拡大されるおつもりかという点につきまして御説明をいただきたいと思います。

増田副大臣 改正法案におきまして、新たに技能検定試験実施の民間機関への全部委託方式を導入しているところであり、その職種についてはニーズに応じて適切に指定してまいりたい、まず基本であります。

 具体的には、職種に応じた労働力の需給状況等の労働市場の状況、職業能力開発に係る状況、職業能力評価制度の普及可能性、制度を支える民間機関の存在の有無などを勘案して判断していくことを考えております。

 今後、このような考え方に基づきまして、例えば技能検定ではほとんど実施されていないホワイトカラー系職種についても、職種指定に向けて積極的な検討も必要があれば行いたい、このように考えております。

加藤(公)委員 今、ホワイトカラー職種にもというお話でしたけれども、これはもしおわかりになればちょっとぜひ参考までに伺いたいのですが、ホワイトカラーといってもいろいろ職種がございますが、具体的にどんなお仕事を想定されているのかお答えいただけないでしょうか。

酒井政府参考人 一昨日も先生にホワイトカラーの能力評価、ビジネスキャリア制度の御指摘をいただいておるように、ホワイトカラーの方に対する客観的な評価については、非常に重要だということで、今具体的には、いろいろな関係方面とも御相談をしながら、あるいは審議会とも相談をしながらのことでございますので、確たることを申し上げられる段階ではないのでございますが、例えば、広告企画制作をやっておられるといったような分野とか、ホワイトカラーでも一つの客観的な方向性があるようなものであって、先生御案内の、検定と別にもう一つ技能審査という制度がございますが、そういうところで定着している活動をされているところとか、そういう分野に我々としては、いろいろ関係者と御相談をしてみてのことでございまして、今これだと申し上げられませんが、できるだけ積極的にそういうすり合わせをしていきたいというふうに思っているところでございます。

加藤(公)委員 何で伺ったかといいますと、技能検定の延長でホワイトカラーの能力評価ができるのかというと、これは大変疑問があるわけでして、仕事には、何も二つに大きく分けようというわけではないのですが、いわゆるスキルの部分がその職業全体の能力の大半を占めるお仕事と、そうではなくて、スキルの部分プラスそれ以外、最近はコンピテンシーとか言われていますが、その部分の比率が高い仕事と、大体二つに、概念的に分けるとしますと、こちらのスキルの部分が比率の高い仕事に関しては技能検定は有効に機能すると思うのですが、そうでない方の仕事に関しては、この一部のスキルの部分だけ幾ら検定制度ができ上がっても、その方の職業能力ということにはつながらないわけです。

 特に、一昨日も申し上げましたが、ビジネスキャリア制度のように職務遂行能力とは全然かけ離れてしまうということになりかねません。同じものをまたつくって、また意味がないのではしようがありませんので、この点はぜひ御留意をいただきたいなと。私個人としては、技能士検定の延長線上でホワイトカラーというのはいささか疑問を持たざるを得ないということを考えておりますので、その点、御認識をいただきたいと思います。

 時間もちょっと押し迫ってまいりましたので、二つまとめて伺いますが、これは民間の方に委託先を今後拡大されていくというお話でございますが、その民間への委託の基準、どういうところに委託をするのかというその基準。

 それから、先ほど来申し上げておりますけれども、やはり競争が必要だろう、これが公正さを保つのに非常にいいのではないかというふうに思っておりますので、同様の検定を複数の委託先に委託をすることが可能なのかどうなのか。これは、せんだってのKSDのような不幸な事件が再発をしませんように、いずれかの公益法人が独占をするなどということのないように、そういうことが可能なのかどうなのか。これは二つあわせてお答えをいただきたいと思います。

増田副大臣 今回の法改正で団体の指定基準を法律上明確化したところでありまして、これに基づき、その詳細について箇条的に申し上げます。

 当該団体が、一定の職種について客観的かつ公正な職業能力評価の基準を確立していること。次に、当該基準に基づく的確な評価方法を開発していること。次に、当該基準、方法を用いた具体的な能力評価を適切に実施する体制、能力を有していること。次に、当該基準及び評価方法を適切にメンテナンスできる体制を保持していることなどの要件を念頭に置いて検討してまいりたいと思います。

 それから、二つ目のお尋ねなんですが、技能検定試験の業務委託につきましては、同一職種の試験業務を複数の民間機関に委託することは法律上可能であります。

 しかしながら、今後、技能検定制度については、労働移動の際にも職業能力の指標として活用できる共通的な評価基準として整備を図ることが必要と考えています。

 複数の民間機関への委託につきましては、こうした視点からの試験基準の内容等についての必要な調整を図った上で行う必要がある、このように考えております。

加藤(公)委員 時間になりましたのでまとめますが、今あった、委託先を決める際にメンテナンスのところまで基準に入っていらっしゃるということでしたが、一度委託をしたらその検定試験がずっとそのまま変わらないとか委託先がずっと変わらないということになりますと、先ほど来御指摘申し上げたように、意味のないものが永遠に残るという非効率なことにもなりかねませんので、その点ぜひしっかりとチェックをしていただきたいということ。

 それから、委託先を複数にするかどうかというのは、あくまでも競争原理をそこに導入をして、よりよいものにしていくべきではないかという考え方でありますので、方法はほかにも幾つもあると思いますし、また、特にホワイトカラーについては、ビジネスキャリア制度も、せんだって、大臣、見直しも含めて御検討いただくというお話でございましたので、少し突っ込んでこれは議論をしていただきたい。また機会があれば、私もいろいろ御意見を申し上げたいというふうに思っております。

 これで終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、木島日出夫君。

木島委員 日本共産党の木島日出夫です。雇用対策法の一部改正について、重点的にお聞きしたいと思います。

 改正法案は、円滑な労働移動の実現のための対策として、事業主の計画的な再就職援助策に対して国が財政支援するということにしておりますが、問題は、これが本当に雇用の拡大や失業率の減少に役に立つのか、それとも逆に、この新たな施策が安易な企業のリストラ、解雇を促進してしまって失業の増大をもたらす、そういう結果になるのかという問題だと思うんですね。

 そこで、最初に厚生労働大臣にお聞きしますが、現在、大手企業を中心にリストラ、人減らしのあらしが吹きすさんでおります。それが現状です。現下の経済雇用情勢のもとで、この再就職支援という枠組み、仕組みが、雇用と失業にとってどんな結果をもたらすと認識しているのか、厚生労働大臣の基本的な認識をまずお聞きしたいと思うんです。

坂口国務大臣 今回の改正案は、産業構造の変化など経済社会の変化が進んでおります中で、今後、離職を余儀なくされる労働者が増大をし、労働移動が円滑に進まない場合には、失業率が高どまりをすることも懸念されることでございます。こうしたことに対しまして、さまざまな施策と相まちまして、早期再就職を促進して雇用の安定に資するものを考えていかなければならないというふうに思っております。

 このため、事業規模の縮小等に伴いまして離職を余儀なくされる労働者についての在職中からの計画的な再就職支援を促進することが一つ、それからもう一つは、労働者の募集、採用について、事業主が、雇用慣行との調和に留意をしながら、年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう努めることとすること、これら二つのことを中心に盛り込んでおりますのが今回のこの案でございますが、現下の厳しい雇用失業情勢の改善に資するものと考えております。

 また、新規産業の育成によりまして雇用機会の創出を図りますとともに、職業能力開発を通じて需給のミスマッチ解消に取り組むことにより、雇用の安定を図っていきたいと考えているところでございます。

木島委員 大臣の認識は非常に甘過ぎると私は思います。

 この法案作成の契機になりました昨年十二月五日の中央職業安定審議会の建議「経済・産業構造の転換に対応した雇用政策の推進について」では、次のように述べられているんです。「離職を余儀なくされる者に対する事業主による計画的な労働移動支援を定着させ、円滑な労働移動を実現させることが必要である。」とした上で、「その際、労働移動支援については、これが安易な解雇を促進することのないよう配慮を尽くす」。こういう建議があるんです。

 そこでお聞きをいたしたいと思うんです。この仕組みが安易な解雇促進につながらないように配慮せよと建議では言っておりますが、法案ではどんな配慮が盛り込まれているんでしょうか。

坂口国務大臣 本法案は、離職を余儀なくされる労働者の再就職促進を目的とするものでありまして、再就職援助計画を制度化することによりまして、かえって事業主の雇用維持に対する努力を阻害することのないよう配慮する必要があることは申し上げるまでもありません。

 このため、再就職援助計画におきましては、計画作成に至った経緯等を記載していただくことを予定しておりますほか、その作成に際しまして労働組合等の意見を聞かなければならないこととしておりまして、この点につきましては本法案にも明示しているところでございます。

 最初に申しました再就職援助計画におきまして、計画作成に至った経緯を記載するというところは省令でございますが、組合等の意見を聞かなければならないというのは法律事項でございます。このような措置を制度として組み入れることにより、本法案のもととなりました審議会建議で言われておりますところの「労働移動支援については、これが安易な解雇を促進することのないように配慮を尽くす」との趣旨に当てはまるというふうに思っている次第でございます。

 こうした点を入れながら、ただ法律に書くというだけではなくて、この法の趣旨というものを十分に認識をしながら運営をしていかなければならないと考えているところでございます。

木島委員 労働組合のナショナルセンターの一つである連合は、昨年十一月十六日、「構造変化に対応する雇用政策等に向けて」と題する文書でこう言っています。この問題です。「問題点は、労働移動支援策を事業主の計画にもとづく一般的な支援策とすることにともなう安易な解雇の歯止めが不明確なことである。」と指摘しているんですね。

 日経連は、御案内のように、九五年、新時代の日本的経営のあり方を発表いたしまして、労働力流動化、過剰雇用の解消、これを旗印にして今すさまじいリストラ、人減らしを進めているわけであります。全労連の調査でも、九八年から三年間だけで三百七十六万人の雇用の削減が行われているわけであります。

 今大臣から答弁のあった点、特に中心的には労働組合からの意見を聞くということで、どうして企業の安易なリストラ、人減らし、解雇の歯どめになるんでしょうか。

澤田政府参考人 計画の作成に当たって労働組合等からの意見を聞くということが本法案の条文の中に明確化されておりますが、意見を聞くということは、計画を作成する途中において、ある程度の時間的余裕を持って労使で話し合いをよくするということが当然背景としてあるわけであります。

 日本の場合は、ヨーロッパとはかなり違う形でありまして、使用者は、解雇をする場合には最大限の雇用維持努力をし、どうしても解雇せざるを得ないというときに行動するのが一般的でありまして、労働組合もそうした使用者側の基本的な態度を踏まえて自分たちの意見をよく言うということで、話し合いが十分行われているという実態がございます。そういう実態を踏まえて私どもはこの法条文を制定しておりまして、まさに労使の自治の中でそういう安易な解雇を行わないという行動がとられるということが十分に予想され、また期待されるところであります。

木島委員 改正される雇用対策法第二十四条で、では労働組合が今話し合いをやっていく中で、企業が行う人減らし、リストラ計画には反対だ、これと不可分、一体になっている再就職支援計画反対だ、こういう意見を述べても、企業は断固としてリストラ、人減らしをやる、そういう状況が今あるのですね。

 それではお聞きしますが、そういうときに、雇用対策法二十四条で、労働組合が反対だと言った場合に、人減らし計画の効力、解雇の効力はどうなるのですか。解雇無効になるのですか。

澤田政府参考人 今回の法案二十四条の書きぶりは、先生御存じのように、再就職援助計画に対して、作成に際して労働組合が異を唱えて反対をするという書きぶりになっておりまして、先生の御指摘のいわゆるリストラ計画そのものについて労働者の意見を聞くという構成にはなっておりませんので、そこの違いを御理解いただきたい、こう思っております。

木島委員 答弁になっておりませんが、言わんとするところは、労働組合からはリストラ、人減らしについては意見も聞かぬと。要するにそれは、どんな意見を労働組合が言おうと、リストラ、人減らしは進んでいくのだということを言っておることだと思うんですね。

 では、もっと詰めて聞きましょうか。

 事業者のリストラ、人減らし、合理化計画、そして不可分一体の再就職支援計画に反対だと言って頑張っている労働組合や労働者に対して、しかし企業からは再就職支援の計画が職安所長に対して出される。そういうときに、職安はどういう対応をとるのですか。

澤田政府参考人 これも法文に書いてありますが、公共職業安定所長が、提出された計画について変更を求める場合は、再就職援助計画で定める労働者の再就職の援助のための措置の内容が当該労働者の再就職促進を図る上で適当であるかどうか、事業主が講ずる措置の内容が適当であるかどうかということを判断するのであります。

木島委員 先ほど大臣からは、歯どめの一つとして計画策定に至る経過も書かせるんだと言いました。そして、労働組合との話し合いを法定化して、労使の話し合いがその間にあるから、これがリストラ、人減らしの歯どめになるんだとおっしゃいましたが、今の答弁じゃ全然歯どめにならぬということを証明したのじゃないでしょうか。

 それでは、さらに詰めて聞きます。

 では、再就職援助計画が適当ではないとして、公共職業安定所長が、その変更を求める、あるいは認定をしない、場合によっては、再就職援助計画の前提たるリストラ、人減らしがちょっと乱暴じゃないかという立場で、経過を書かせるわけですから、それがうかがえた場合に、それはだめだといって認定を行わなかったときには、この法律体系では、労働者に対する人減らし、首切りや雇用契約終了、退職の効力はどうなるのでしょうか。解雇無効になるのですか、それとも解雇は厳然として有効になるのですか。

澤田政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、安定所長が認定しないという場合は、計画に盛り込まれた事業主の再就職援助措置の内容が適切かどうかということをコア概念で判断しますので、委員がおっしゃったもろもろの事情も総合判断の要素ではございますが、それが決定的な判断基準ということにはならない。したがいまして、もし仮に計画変更を求め、企業がそれに応じないということで認定しないということになったとしても、安定所長の判断は援助措置の内容いかんを問うておりますので、御指摘の解雇だとかリストラだとか、そういうものの効力にはいわば直接的関連のない判断だというふうに考えております。

木島委員 本当に歯どめになっていないということが明らかになったのじゃないかというふうに思うんです。

 企業によるリストラ、人減らしと、それに伴う再就職支援というのは、不可分一体ですよね。不可分一体のうちの二つを切り離して、再就職支援のところにのみ光を当てて、それを申請させて、職安所長に認定させて、国の金をつぎ込んでいく。しかし、それがどんなにひどい乱暴なリストラ、人減らしであっても、そこには目をつぶるという仕組みだということが明らかになったと思うんですね。これでは、私はこの法体系、仕組みによって失業が減るどころか逆に増大するばかりじゃないかと言わざるを得ません。

 そこで、次に聞きます。

 雇用対策法第二十四条の「労働者が離職を余儀なくされること」というのは、どういう概念でしょうか。解雇や会社都合による退職のみならず、今吹き荒れておりますが、事業者が提示した特別一時金などを受け取っていわゆる退職を願い出る、そういうものまで含まれるのでしょうか。

澤田政府参考人 ただいまの御質問にお答えする前に、その前に委員がおっしゃったことについて申し上げますと、私は計画の認定の際のことを申し上げまして、先生は、そうした認定された計画に基づいて企業が再就職の促進を進めるというときに国費をそこへ投入するとおっしゃいましたが、私どもは、事業主が講ずる措置に対して国が助成をする場合には、法律では書いておりませんが既に大臣から御答弁申し上げておりますように、今後の省令を策定する段階におきまして、国費を、助成金を投入して事業主の再就職援助措置を助成するという場合には、労働組合等との計画に際する同意ができているということをまさに歯どめとして考えておるということをつけ加えておきます。

 それから、今の御質問でありますが、雇対法二十四条第一項の「離職を余儀なくされる労働者」とは、事業規模の縮小等に伴いやむを得ず離職をしたこと、すなわち、事業主との雇用関係の終了が事業規模の縮小等により意に反して行われたことが客観的に明らかである場合を言うものであります。自分の都合によって退職したように見えても実際は事業主からの勧奨があったというような場合は、離職を余儀なくされたものと判断をすることになると思います。

木島委員 今までの審議を通じて、一カ月に三十人以上の労働者が離職を余儀なくされる、そういう事業規模の縮小を行おうとするときに、本法案は、事業者に再就職援助計画の作成を義務づけて、これを公共職業安定所が認定して、そして認定を受けた企業に国の財政支援をするという枠組みであります。

 そこでお聞きしますが、先ほど答弁の中に、公共職業安定所が認定するに際しては総合判断をするんだとおっしゃいましたが、では、その総合判断の中に、公共職業安定所は、企業から提出された人減らし、リストラ計画についての是非、善悪、相当性についても判断作業がなされるのでしょうか。

澤田政府参考人 再就職援助計画の内容についてどういうことを企業側に書いていただくかは今後詰める話でありますが、その中で、事業の縮小等に伴い離職者の発生が余儀なくされるに至った経緯、事情を書いていただきますので、そこのところは私どもは、安定所長も、総合判断要素の中に入っているというふうにお答えいたします。

木島委員 そうしますと、大変なことになるのですね。

 そこでお聞きしますが、それでは、今回の法改正によって、事業者の再就職支援の義務づけ、職安所長による認定に対する国の財政支援が行われた場合、しかし個々の労働者が首切り反対だといって頑張って解雇無効だという裁判を起こした場合に、今回のそういう枠組みは、解雇無効が争われる司法の場で、裁判において、裁判所が整理解雇の四要件を判断するに対してどんな影響を及ぼすと厚生労働省は見ておるんでしょうか。この枠組みをつくることが整理解雇四要件にどういう影響を与えると見ておるんでしょうか、厚生労働省の見方を述べてください。

澤田政府参考人 改正法に基づきます再就職援助計画の策定、所長の認定、国の支援という一連の流れは、関係労使が離職を余儀なくされている労働者が生ずることを了知した上で、そうした労働者に対する再就職に向けての支援が有効かつ計画的に行われるようにするためのものであります。したがいまして、解雇そのものの効力に関連するものではないと考えております。

木島委員 リストラ、人減らしを了知した上で組み立てられる再就職支援計画に対して職安が認定する、職安所長が認定する。その了知した上でというところが大問題なんですね。

 答弁を避けましたが、実は、昨年七月二十六日の、行政改革推進本部規制改革委員会が「規制改革に関する論点公開」なる文書を出しております。その中に、「雇用・労働」分野別総論というところがあります。その中の二というところに、「円滑な労働移動の支援」という欄があります。そこで規制改革委員会はこう言っているんですね。解雇規制の立法化は困難であるということを言った上で、円滑な労働移動への企業の支援を要件とした解雇要件の弾力化、これを要求しているんですよ。

 わかりやすい言葉に翻訳をいたしますと、円滑な労働移動への企業の支援、これが行われれば、解雇を自由にしてもいいということを要求しているんですね。これが推進委員会の基本的な立場です。

 それに対して当時の労働省がどういう態度をとったかが、この公開論点に書き込まれているんです。大変なことが書いてあるんですね。労働省の立場ですよ。

 再就職、能力開発の支援という要件がいわゆる整理解雇四要件の一つである解雇回避努力義務に代替するものであったとしても、他の三つの要件、人員削減の必要性、解雇対象者の選定の妥当性、解雇手続の妥当性、これを無視することはできない。

 要するに、労働省は、この仕組みをつくることによって、日本の裁判上確立して労働省も普及に努めている整理解雇の四要件のうちの一つの代替になるんだということを認めちゃっているんですね。だから、今の答弁は正しくないんですよ。

 だから私は、こういう仕組みをつくること、そして、本当にリストラ、人減らしに歯どめをかけないままこの仕組みだけがひとり歩きすることは、反対する労働者が解雇無効を争っても、なかなか、裁判所では、あなたがそんなことを言ったって、計画がつくられ、職安の所長が認定をして国の金まで出ているんだ、だから解雇は無効じゃないんだというふうにつながっていくんじゃないか、そういう心配が出てくるんじゃないかと思うんですが、どうですか。

澤田政府参考人 ただいま規制改革委員会の報告と労働省の見解を引き合いに出されましたが、そこにありますように、仮に解雇回避義務の代替であったとしてもということになっているようですけれども、私どもの今回の措置は、使用者の……(木島委員「仮にという言葉はないです」と呼ぶ)わかりました。そこは聞き間違えました。

 私どもの今回の措置は、事業主が再就職支援措置をする、それを国が支援するということでありまして、事業主が再就職促進措置をやることは、方向として同じでありますが、私どもが支援したからといってそれで事業主の雇用調整回避努力義務が十分条件を果たしたということにはならないわけでありまして、それは別途、申し上げますように、国の助成措置があろうがなかろうが、整理解雇四要件というものに照らし、従来の判例法理に則して判断されるものというふうに考えております。

木島委員 もう時間のようですから終わりますが、今現に裁判所では、この整理解雇四要件をめぐってすさまじい労使の対決状況になっているんです。一部、東京地裁の労働部なんかでは、この整理解雇四要件が掘り崩されるような状況があるんです。

 そういうときに、リストラ、人減らしの方に全く規制を加えないでおいて、そちらの方は棚に上げておいて、人減らしと不可分一体の再就職支援だけを取り上げて、結構だ、金を出しましょうという枠組みをつくったら、今私、規制改革委員会での国の立場あるいは労働省の立場を言いましたが、これはやはり、労働者が解雇無効を訴えて頑張る裁判に大きなマイナス影響を与えるということを指摘しておきたいと思います。

 私は最後に、現在我が国は非常に深刻な不況であります。すなわち、失業が増大する、失業の不安が増大する、勤労者の可処分所得が減少する、そして国民の消費が落ち込む、そして不況が深化するという悪循環ですね。この悪循環から抜け出すためにも、大企業を中心としたリストラ、人減らしをやめること、これがまさに今厚生労働省が取り組む急務であるということを最後に指摘をいたしまして、質問を終わらせていただきます。

鈴木委員長 次に、金子哲夫君。

金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子です。先日に引き続きまして、この問題について質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど来ありますように、これはお互いがよく認めているところで、今の雇用状況が大変厳しいというのは、何とかしなければならない状況を通り越して大変な状況にあるということは、お互いが認識していると思います。

 けさの新聞のニュースを見ましても、大変びっくりするわけですけれども、「希望退職、初日で終了」。ダイエーがきのう一千名の希望退職を募集したら、一週間の予定で募集をしたけれども、たった一日でこの千人の予定募集に達したということが言われております。

 対象者は四十歳から五十九歳までの正職員で、五千五百名の対象の中で、これまで、こういうことをやるよということが一カ月前に周知されていたとはいえ、わずか一日で千名もの人がやめていくという意思表示をする。そして、これと同じようなことが、実は私の出身であります広島でも、二月にマツダが千八百名の希望退職を募集したところ、これも一日で、夕方になる前にこの希望退職が達したということが言われておりまして、私は愕然とする思いを一方で持つわけですね。

 もちろん希望退職ということですから、それぞれの皆さんがそれぞれの事情の中でこの希望退職に応じられたということですけれども、働く人が企業に対して魅力を失ったという状況も一方ではあるのではないか。

 そして、場合によれば、例えばダイエーでいえばこの四十歳から五十九歳の年齢の方で、今の雇用状況の中でいえば、大変厳しい雇用状況の中で、高齢者の皆さんの雇用が厳しいという中で退職を希望されるということは、逆に言うと、自分にある程度の能力を持っているという自信もあって、早く見切りをつけて新しいところに行った方がいいんではないかというようなことまで考えられるということは、そこまで今の日本の雇用状況、労働情勢というものが落ち込んでいるというか、企業そのものの活力がもう失われているというふうな見方をせざるを得ないような状況にあるんではないかということで、最初に言いましたように、要は、昨日のニュースを見まして、二月、三月と、いわばかつての大手の企業と言われるところでこのような事態が相次いでいるということに対して、非常に深刻なものを感じております。

 この法案の趣旨の中にも盛られておりますように、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定が図られるように配慮されるものとしなければならないということがこの法案の一番の趣旨だということ、基本的な理念ということになっておりますけれども、せっかく法律としてはそういう基本理念を立ててみても、実際の社会情勢の中では、その基本理念にかかわる仕組みそのものが崩れていく状況があるというふうに思います。そういう意味では、本当に厳しい認識を持って今の状況というものに対処しなければならないのではないかということをまず思っております。

 そして同時に、最近子供の非行の問題なども大きくこの国会でも論議になりました。私は、最近の労働情勢を考えてみますと、お父さん、お母さんが毎日夜遅くまで、先般の時短法の中でも討論がありましたように、長時間の時間外労働をし、またサービス残業まで行って一生懸命に働いている。休日も子供たちと一緒に遊べる時間もないほど懸命に働いている人が、いつの間にか企業のリストラという名のもとに職場を奪われている。そして、子供にとってみると、一緒に遊ぶ時間もなかったお父さんやお母さんが長くいてくれるということは、最初のうちはそれはうれしいことに思えるかもわかりませんけれども、そのことが家庭や子供たちにとって、子供の将来にとって、本当にまじめに一生懸命働いてもこの世の中が支えてくれるんだろうかという思いを子供たちに与えるんではないか。

 その意味で、私は常々、このリストラの問題、失業の問題というのは、そういう思いでもしっかりと見ていかなければならないということを考えております。それはやはり、一生懸命に働いている人たちが本当に社会の主人公として、いわば安心して働くことのできるような社会というものこそ政治がつくらなければいけない。そのことに本当に今こそもっと力を入れていかなければならないと思います。

 私は、先般の質問でも、あえてこの法律の際に、リストラを誘発することにならないのであろうかということを申し上げました。

 最近、企業が大変な状況の中で、企業再生法でありますとか、商法の改正でありますとか、いわば企業活力を高めていくための措置としてさまざまな法案がつくられておりますけれども、残念ながら一方、現場においては、その本来の趣旨と離れた中で、実際にはそのことがてこにされて、先ほどもありましたように、いわばリストラの口実にまでなりかねないような、企業の再建のためには労働者が一定に犠牲になってもしようがないんだというようなことが言われております。

 例えばこの商法改正の問題にしても、もう昨年あたりから民間企業の中では先取りする形でこういうことが行われておりまして、私のおります広島でも、昨年の労働委員会でも指摘をしましたけれども、民間企業で百三十名の工場が新会社に経営譲渡、分割するというような状況の中で、実際にはその新しい会社で再雇用される人は七十名しかいない。しかも、賃金は一時金を含めて六八%にまで賃下げをされる。本来あってはならないことが、実際に現場では起きている。

 そして今、私鉄の中で、同じ広島にあります私鉄の会社では、昨年の春闘時に同じようなことで企業分割が提案されて、約百名の会社ですけれども、この会社の中で一たん全員解雇をして、そして新たに雇用する。しかも、企業が大変だという状況の中で、今までの退職者に対しても退職金は分割で支払われておりますが、全員解雇をして退職金を払うといっても、そのとき退職金も払えない、これも分割。そして、新会社になった際には、先ほど言いましたように、新規雇用だからということで賃金も新採用の賃金からスタートをしていく。こういう提案がされて、今なお労使紛争が続いておりまして、これは地労委にもあっせんが出されております。

 つまり、そのように、こういう事例を見てみても、実際には提案をされた側の、本来の趣旨と違うことで企業側が、いわばうまく使うといいますか、それを逆手にしたような形で労働者の労働条件の切り下げや首切りというものが進んでいるということを私はつぶさに見、またそういう相談を受けている中で、この今回の法律も、本当にこれを使ってリストラが促進されるようなことがあっては、私もお互いに審議している委員の一人として、どうしてもこれをそんな法案にしてはならない、このように思っているわけであります。

 いわば、企業の生き残りのためには今何やってもいいというような風潮が横行している時期だけに、このことを改めて申し上げたいというふうに思います。

 そうした意味では、この法案の最も心配なところは、何度も申し上げますけれども、このことによってリストラが促進されるようなことが決してあってはならない、そのように思っておりますので、まず、今回の法案の中で、先般も同じような質問をさせていただいておりますけれども、改めて、本法案に特に盛られております再就職援助計画制度が安易な解雇の促進にならないように政府が十分な措置をとるべきだというふうに考えておりますが、その点についての御見解をお聞きをしたいと思います。

増田副大臣 再就職援助計画制度が安易な解雇の促進とならないように、再就職援助計画に計画作成に至った経緯等を記載させることを予定しているほか、その作成に際しては労働組合等の意見を聞かなければならないこととし、この点については、本法案にも明示しております。

 また、公共職業安定所長に提出し認定を受けた再就職援助計画に基づき事業主が講ずる一定の再就職援助措置に対しましては、国が助成措置を講ずることとしておりますが、助成の実施に当たっては、対象となる計画について、労働組合等の同意を得ていることを要件とすることを施行に向けて検討してまいります。

金子(哲)委員 今御答弁がありましたように、私は、労働組合、またもしくは、ない場合には過半数を代表する者ということがありますが、同意ということをぜひ、これは最低の必要条件でありますので、そのことをぜひ省令等の施行の中で行っていただきたいということを重ねて強く要望しておきたいと思います。

 それから、先般の質問とまたかかわるわけでありますけれども、この再就職援助計画制度において、いわばこれは労働法のさまざまな法律が事業所単位ということで施行されているということで、相当数の離職者が生じた場合に計画の作成を義務づけを行っているということであります。その際にも申し上げましたけれども、いわば事業所単位では少数であっても、その企業全体で見ますと相当の離職者が出るというケースが当然考えられるわけでありまして、そういう場合を初めとして、そういうことが生じるような場合には、当然のこととして、この計画作成の義務づけということが必要ではないかというふうなことを先般も私は申し上げております。

 任意に再就職計画を作成して、援助を行える、そういうことが、企業に対しても一定程度そういう役割が、枠がはめられている、そういうことの実効性を確保するためにも、その点について改めてもう一度お聞きをしておきたいと思います。

坂口国務大臣 けさから何度か問題になっておりますように、再就職援助計画制度につきましては、その作成を義務づけられない場合でありましても、事業主が任意に作成をし公共職業安定所長の認定を受けた再就職援助計画に基づき再就職の援助を行う場合には、国の助成、援助を受け得るよう配慮しております。ちょっと言い回しが回りくどうございますけれども、おわかりいただけたと思います。

 この再就職援助計画の作成、届け出は、離職者が発生することによる地域経済への影響を未然に防止する観点からも重要なものでありまして、事業所単位では少数の離職者しか生じない場合であっても、地域に重大な影響を与えるようなときには、公共職業安定所による在職中からの支援が十分に行えるようにするためにも、その作成を促すようにしてまいりたいと考えております。

金子(哲)委員 なかなかわかりにくい回答なので改めて御確認をさせていただきますけれども、私が理解するところは、例えば金融機関、銀行などのように店舗が同一の市内にたくさんあるというような場合、支店単位で考えれば非常に少数であるけれども、トータルすれば、いわば職業安定所管内で一定相当数をトータルして見れば同一企業として相当数の数がこれによって出てくるというようなことを当然想定されて、そういう場合には、今最初に言いました同一事業所と同じように、義務づけというところは文章上はそういうことにならないかもわかりませんが、実際上の運用としては実効性を持たせるということでそういう運用はされていくというふうに理解をしたいと思いますが、それでいいのでしょうか。

坂口国務大臣 言い回しが少し複雑だったものですから申しわけありませんが、今御指摘いただいたことで、それでいいと思います。

金子(哲)委員 それから、今回の法案では、業種法が六月三十日をもって廃止される、そして新しい改正法律は十月の一日から始まるということで、いわば三カ月余り空白の期間が出てくるということになるわけですけれども、この雇用対策法の施行までの期間、特に業種法の廃止に伴って再就職の支援活動に支障があってはならないというふうに思うんですけれども、そういったことに対して必要な経過措置はもちろんとっていただけると思うんですが、改めてお聞きをしたいと思います。

増田副大臣 六月三十日から十月一日までの間については、業種法の廃止につきましてあらかじめ時間的余裕を持って十分な周知を図ることはもとよりであります。

 労働移動関係の助成措置に関しましては、業種法の廃止前に行われた出向、再就職あっせん、また配置転換に係る助成金は、業種法の廃止後も所定の支給期間については引き続き支給することとする旨の経過措置を講ずるほか、この期間の雇用の維持安定に特に配慮し、特定不況業種等として雇用調整助成金の適用となっていた業種について、新制度に移行する十月一日までの間、経過的にその対象として取り扱えるようにするための特例措置を設けることを積極的に検討してまいります。

金子(哲)委員 今答弁いただいたとおり、この法律によって空白期間が出たために、本来、救済といいますか措置をしなければならない人に空白が出るようなことがあってはならないと思いますので、ぜひこの検討の中でそれが実行できるように重ねてお願いをしておきたいと思います。

 この法律、本来は、いわば大前提としてミスマッチの解消ということが強く言われておりまして、私は、ミスマッチでなくて、今の状況というのはそれを通り越した、雇用状況の問題があるというふうに最初に言いましたし、また、先ほど言いましたように、あの大手の企業の中で、たった一日で千名を超える退職募集に応募があるというような事態というのはいわば異常な事態で、そのことは、本来の企業活動といいますか、日本の産業構造の中でいうところの活動がなされていないのではないかという思いがします。

 その意味では、今の三百万を超える完全失業の状態を前へ進めていく、この失業者をなくしていくためにはやはり企業の活力をつけていく、また良好な雇用をきちっと創出していくような政策というもの、これは厚生労働省だけの問題でなくて日本全体、景気対策を含めてですけれども、そういうことをこの法案等はもっと積極的に後押しする意味で、そのことが前進していったときに初めてこの法案はもっと有効に、今言われるようなリストラを懸念しなくてもよくて、本当に労働力移動をやっていくための施策に進んでいくような気がするわけです。

 そうすると、今やはり大事なことは、このミスマッチと言われるものに対しては、いわば一定の法律、法整備をしようということで努力されているわけですけれども、本来あるべき良好な雇用の創出というところこそこれから力を入れていかなければ、本当の意味で雇用対策というものにならない。

 そういう意味で言えば、例えば起業が、小さな企業でもいい。新たなIT産業であれば大きな投資も要りますけれども、小さな投資でも企業を起こすことができるような、また、サービス産業などにおいてはそういうことが可能なわけですから、そういったところが、企業活力を増進するためのそういう会社をつくっていく。そういったところの支援をもっと力を入れて、やはり日本の中に新たな活力をつくっていくというようなことこそ今私は非常に重要だ。そのことが、この法律の精神、趣旨というものをもっと生かしていくようなことにつながっていくというふうに思うわけでして、その点についてだけ、最後に大臣から決意をお伺いしていきたいと思います。よろしくお願いします。

坂口国務大臣 それは御指摘のとおりと私も思います。

 やはり、雇用というものが、ただ単に労働移動がスムーズに行くようにとかそうしたことではなくて、確たる雇用が確立をして、そして、いつまでもこの仕事を続けたいという、そういう雇用環境というものができ上がっていくことが何と申しましても一番中心ではないかというふうに思っております。

 そういう状況をつくりますためには、経済全体の問題もございますし、さまざまな問題がございますが、しかし、労働行政と申しますか、厚生労働省の中の施策におきましても、やはりそうしたことを忘れずにやっていかなければならない、そういうふうに私も思います。

金子(哲)委員 ありがとうございました。

 最初から申し上げておりますように、いずれにしても、この法律が施行され始めて、十月一日になったらこのことによってリストラがどんどん起きていくというようなことが決してないように、我々も努力しなければなりませんが、政府の側において、やはり企業に対してのしっかりとした指導と、またそしてこの法案の趣旨、中身、内容というものを正しく周知していくという作業を続けていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。最後の質疑者ということで、もういろいろな質問も出まして、私の方からの質問もダブることも多々あるかもしれませんが、できるだけそういうところは削除をさせていただいて御質問をさせていただきたいと思います。また、もしもダブるようなことがあれば、それは再確認ということでお答えを願えればありがたいと思います。

 もう大臣も大分お疲れのことかと思いますけれども、最後の質疑者ということで最後まで頑張っていただきたく、大臣という職務は本当に大変なことであり、あるときは寂しいこともあり、孤独にもなり、くじけることもある、でも絶対に弱音を吐いちゃいけない。私も大臣も、私も大変僣越でございますが、同じ衆議院議員にならせていただく中、同じ国家国民のために最善の努力をして頑張る、命をかけてもというところを絶対にお忘れないようにお願いしたいかと思います。

 本題に入る前にちょっと幾つか、これは事前通告をしておりませんが、大臣の方の今のお考えとお気持ちを聞かせていただければありがたいと思います。

 今マスコミ等で報じられていること、与党自由民主党さんの総裁選挙というものがいろいろと取りざたされております。今のままでいきますと、これはあくまでもマスコミの報道であり、自由民主党の正式な発表ではないと私は思っておりますけれども、こういった報道に対して大臣はどうお思いになられているのかなと。先日の朝日新聞にもこんな大きく一面に、自民党総裁選、来月二十二日、二十三日には新内閣発足。新内閣発足ということは、もしかしたら大臣がそのまま続けられるのか、いらっしゃらないのかということにもかかわってくる大事なことだと思います。こういうような状況で、まるで決まったような報道をされておりますけれども、これはあくまでもマスコミの報道でございますので、これは確かだとは私の方ははっきりは言えませんが、こういう報道をごらんになって、大臣は一体どのようにお考えになられるのか。こういう二十三日に本当に新しい内閣ができるのであれば、あともう本当に数十日というような期間における大臣の職務をどのように考えていらっしゃるのか、お答え願えればありがたいと思います。

坂口国務大臣 世間の流れというのがどうなっているのかわかりにくい点もございますけれども、毎日の新聞を拝見いたしております限りにおきましては、何となく騒然といたしておりまして、いよいよ仕事のけじめをつけなければならないときが近づいているのかなというふうに思っているわけでございまして、あと残されました時間、どれだけあるのかはわかりませんけれども、その残されました時間、与えられた仕事を懸命にこなしたいというふうに思っているところでございます。

 幸いにいたしまして、この委員会におきましては順調に各法案の審議をしていただいて大変光栄に思っておりますが、まだしかし半分ぐらい残っているのではないか。あるいは半分以上、六割ぐらい残っているのかもしれませんし、そうした法案の審議もまだまだでございますので、一つでも多くここで決着をつけさせていただいて、そして次にバトンタッチをする人がどなたかわかりませんけれども、その人にバトンタッチができるようにしたいと思っておる次第であります。

佐藤(公)委員 今の御発言を聞いていると、もうどうあれ、大臣は、もしも二十三日新内閣というときには自分はもうそこにはいないというふうにお考えになられているのでしょうか。

坂口国務大臣 人の運命というのはどうなるかわからないものでございますけれども、最悪の事態を考えておいた方が無難であるというふうに思っておりますので、そういうふうに考えながら、毎日毎日心の整理をしながらいきたいというふうに思っております。

佐藤(公)委員 大臣は、公明党さんということで、与党連立ということで、他党のことでございますので、余りこの辺のことは、今は内政干渉になってしまうので、お話はしにくいと思いますけれども。

 別に嫌がらせで振るわけじゃございません、増田副大臣、こういう報道がされておりますけれども、自由民主党の一員として、やはりこういう部分を見るに際してどうお思いになられるのか、お答えくださいませ。

増田副大臣 逆に、発言の機会をいただいて、ありがとうございました。お答えになる前提の条件があります。

 私の心の話ですが、実は、あしたが有珠山噴火丸一年であります。御案内のように、私は有珠山の現地対策本部長を務めました。ちょうど衆議院選と絡まりまして、地方で戦うことができないから、おまえ比例へ行けと。ところが、比例の発表は告示の前日ですから、番がどこにつくかわからないのですね。それでも有珠山へ三十日に行く、三十一日一時十分噴火する。一万六千の人が実は避難をなさいました。今なお千人の方が避難所におられ、約二百人の方は、帰りたくも家が壊滅で帰れません。こういう状況になっています。これは今の状況です。そういう状況を、実はそのときに、政治家としてこういう場面に当たりましたから、初めて経験するがというようなことから、これは天命である、まず今現在を、皆さんから期待されるように、みずから信ずるように、天の命ずるとおりその職に全力を尽くしていこうというような葛藤が一年前に実はありました。そして、比例で幸いに当選できましたから、現在があるわけであります。

 そこで、二十二日、どう思うかというと、まことに生意気なことを言うのですが、二番せんじですから平常心で、別に驚きません。

 もう一つあるのですが、私は年齢がはるかに高うございます。自分では五十歳と思っているのですが、書くときには七十一歳と書くのですね。四月二十日には七十二歳と書くのです。全くショックです。何をかもう望まん、自分があるすべてはこの職に尽くしていこう、こういうつもりであります。昭和六年生まれの方がお笑いになったようでございますが、恐らく同年代ですから、理解はできると思います。

 そこで、党の動きはまだ耳に入ってきません。したがって、私は、決定ではなくて、それぞれがそれぞれの期待の方向で、あるいは意見の交換をなさり、マスコミがそれをそれぞれの方針にのっとって、社の方針で書いている、こういう理解で現在おります。もう粛々と全力を尽くしてこの職責を果たしていきたい、こう思います。

 そして、結びですが、私、大臣好きです。人柄、好きです。一生懸命仕えていこう、こう思っていますので、御指導ください。ありがとうございました。

佐藤(公)委員 私ちょっと言葉が出なくなってきてしまったんですけれども。

 坂口大臣、先日の委員会、大島委員の質問のときに、この委員会の人数のこと、いろいろなことがちょっと最初にございました。このときに坂口国務大臣のお話しされたことをもう一度ここで読ませていただきます。

 なかなかどこの委員会も人手不足でございまして、私もいろいろの委員会に行ったことがございますけれども、委員会によりましては委員長とそれから発言者以外にはほとんどないという委員会も中にはありまして、それが定着化しているところも実はありまして、びっくりしたようなことがございます。そのことを思いますとと言うとえらい失礼でございますけれども、厚生委員会でありますとかあるいは労働委員会というのは前々からかなり多くの皆さん方が御出席になって、今も御発言がございましたように、定数が足らないんじゃないかというようなお声が時々かかったりして、なかなかその辺のところは厳しくおやりいただいている委員会ではないかというふうに前々から考えておりましたと御発言をされました。

 もう一度今これを聞かれて大臣はどう思われるかわかりません。

 この後、大島委員が最後に、こういうことがないように一度周知徹底していただけるとありがたいのですけれども、いかがでしょうかというふうに聞きましたところ、坂口大臣は、閣議で言うのが適当かどうか、むしろ、どう出席していただくかというようなことは院のお話なのかもしれないということで、最後に、重要性を訴えていきたいと思っておりますということをおっしゃっていただきました。

 きょうは何人おられますでしょうか。また、閣議でこういう御発言をしていただいて、委員のあり方についてお話をいただいたことはあるのでしょうか、この後。大臣に御答弁をお願いします。

坂口国務大臣 院のことでございますので、閣議でこういうお話をするということはなかなかできにくいことでございますが、先日申し上げましたその後で、私の申し上げたことがいささか舌足らず、少し足りなかったということで修正をさせていただきました。それは、全員そろっておりますのが普通でございますから、足りないというのが通常ということは決してあり得ないということで、後ほど先日も訂正をさせていただいたわけでございますが、全員御出席をいただいているのが通常である、そう思っているわけでございます。

 それぞれ多くの委員会を兼ねておみえになる皆さん方もお見えでございますし、そうした場合にやむなく御欠席の方もあるわけでございますが、できる限りそういうときには交代の人を立てるとか、そうしたことでやはり御出席をいただくのが正常ではないかというふうに思いますし、先日もそういうふうに訂正をさせていただいたところでございます。

佐藤(公)委員 大臣、私が言いたいことは、本当に皆さん方忙しかったりかけ持ちをしていたり、委員会が本当にみんな大変な状況だということは重々わかって、今定数に足りている、足りていないといってそれで文句を言っているつもりは僕は毛頭ないです。今のこの形骸化した国会のあり方、委員会のあり方、大臣のあり方、内閣のあり方というものをもう一回大臣、副大臣に問い直していただきたい。

 この前もお話をしましたように、やはり活力のある国会の委員会の活動、こういうものを自分たち若い者は望んでいます。前もお話ししましたけれども、一つのあり方として、こういう形ではなくて与野党対面形式にして、やはりお互いが政策の勉強をし、そして議論し合う、そういうことをしていけるようになれば僕はいいなと思います。しかし、私も議員にならせていただいて何カ月かたちましたけれども、秘書時代から思う、この形骸化したものを何とか打破したいという気持ちでやらせていただきたいと思っております。

 そういう中で、今こういう御発言、いろいろと大臣の聞いている中、たとえ残りが二十日なのか、二十二日なのか、二十一日なのかわかりませんが、やはり国家国民の代表として出ている限り、死ぬ気で厚生労働関係の行政を最後までやり抜くという気迫、そしてこの委員会、国会を何とかよりよい方向に変えていこうというやはり意気込みと意欲をもっと出していただければありがたいかと思います。大臣は、私も党のいろいろな流れの中で見させていただく中、絶対そういう熱いものをお持ちだったはずなんですが、なぜか、与党になりそして大臣になられてからは、何かその部分が欠けてきているのかなという思いがしますので、ぜひともそれを再度出していただけたらありがたいかと思います。それは私の受け方でございますので、ぜひお願いをしたいかと思います。

 平成十三年三月十五日の本会議場においての代表質疑において少しお聞かせ願えればありがたいと思います。

 現状の雇用情勢の責任についてということなんですけれども、雇用情勢は一向に回復しない現在、総務省が三月二日に発表した一月の労働力調査によれば完全失業率は四・九%で、比較し得る中では戦後最悪を記録しているというお話がありました。この三月の高卒、大卒の就職内定率はいまだに七割から八割にとどまっており、四月には学卒失業者としては一層深刻な状況が予想されるというお話がございました。

 しかし、きょう発表がございました中に、こちらの方が〇・二ポイント下がり改善の方向に少し向かっているようなデータも出て、これも大臣以下皆さん方の御尽力、御努力の成果のあらわれでもあるのかとも思いますが、余りよくないこの状況をやはり政治的な責任と考える部分が多々ございますが、大臣としてはその辺をどうお考えになるのか、お聞かせ願えればありがたいと思います。

坂口国務大臣 御指摘いただきましたように、雇用情勢は、二月の完全失業率並びに有効求人倍率が発表になりまして、完全失業率は四・七%、そして有効求人倍率は〇・六四倍となりました。完全失業率はずっと四%後半で、四・八、四・九と、どちらかといいますと悪い方向に向かっておりました。そして、去年一年間、有効求人倍率の方は、一月から十二月に向けましてなだらかではありますけれども回復過程に入っておりまして、いい方向に向かっておりました。

 ところが、今月の結果を見ますと、前月に比較をしてではございますけれども、完全失業率の方が今度はよくなってまいりまして、逆に有効求人倍率の方が〇・六五から〇・六四と悪い方向に今度は向かったわけでございます。この辺のいわゆる交差現象というのがどういうことを物語っているのかということは、もう少し分析をしないとわかりませんし、一カ月だけを見ただけではちょっと判断をしにくいというふうに思います。

 完全失業率の中で大きな要素となっておりますのは非自発的失業、これがマイナスの二十万でございまして、非自発的失業というのがうんと減ったということが四・七に非常に大きな貢献をしているというふうに思います。

 有効求人倍率の方でございますが、今まで順調でございました製造業、特にその中の電気機器が少し陰りを見せてきたと申しますか、スピードが落ちてまいりまして、二けた台の伸びでございましたのが九%ぐらいに落ちてまいりました。それと、医療とか福祉関係のところもスピードダウンをしてまいりましたのがいささか気にかかるところでございます。

 そうしたことが交差をして、有効求人倍率の方は〇・六四になり、完全失業率は少し回復をして四・七%ということになったわけでございますが、いずれにいたしましても、この状況は、もう一、二カ月見なければそれが何を意味するのかということの判断は非常に難しい段階にあるというふうに私は思っております。

佐藤(公)委員 おっしゃられるように、本日発表された総務省の労働力調査では、完全失業率は〇・二ポイント改善され四・七%になった。一方、厚生労働省の発表の有効求人倍率は〇・六四ということで、二カ月連続で下がっているような状況です。

 大臣のおっしゃられたように、まさに交差している状況、これは本当に、大臣が今一カ月ぐらい見ないとわからないということでございますけれども、先ほどもお話がございました、現下の雇用情勢をどのように考えているのかということ、また、これが改善すると考えられるのかどうか、大臣、その辺はいかがですか。

坂口国務大臣 当面は非常に厳しい状況が続くというふうに認識をいたしております。

佐藤(公)委員 本当に厳しい状況はもっともっと続くというふうに私ども思っておりますので、ぜひその辺は、もう一カ月を見るということではなくて、やはり次々に手を打つようなことを考えていく。また、抜本的な改革もまだまだされていかなきゃいけない部分がたくさんありますので、どうか大臣、リーダーシップを持って、残り二十何日ということじゃなくて、やはり一生懸命やっていただけたらありがたいと思います。

 本会議場において、私どもの都築が代表質疑に立たせていただきましたけれども、その中で、自民、公明、保守、与党の昨年の総選挙における共通公約についてお聞きをしたかと思います。一年間に五十万人の雇用創出を挙げられたんですが、公約のときの雇用創出とは何をもって、また何の根拠でおっしゃられたのか。

 総理は、政府の雇用対策において、昨年五月に策定したミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策を例にとれば、三十五万人の雇用就業機会の増大の実現を図ることとしている。創業や異業種進出を行う中小企業が労働者を雇い入れる際の支援については、昨年四月から本年一月までの雇い入れ予定労働者数が十万四千人、各地方公共団体の創意工夫に基づき臨時的な雇用就業機会の創出を図る事業につきましては、本年度の見込みは、新規雇用就業予定者数約十五万七千人などという効果を上げているというふうに総理がおっしゃったんですけれども、こういうものも含んで五十万人という数字を出されていたのか、さもなければ違うやり方をとられているのか、その辺はいかがでしょうか。

坂口国務大臣 確たるところは記憶をいたしておりませんけれども、やはり三十五万人というのは、ミスマッチを中心とした雇用対策、ミスマッチを解消するところから三十五万人の雇用拡大を図っていこうということであったというふうに思いますし、その五十万人というのは、現在の雇用情勢を考えましたときに、約三百万人の失業者がある、三百十七万人ですか十八万人ですか、大体その辺のところでございますが、そうした中で、五十万人の失業者をなくするということは非常に大きな効果をその中であらわすわけでございます。百万人と言いたいところでございますけれども、なかなか百万人の雇用を一度に創出するということは至難のわざでございますし、一応五十万と控え目な数字をそういうことで出したものというふうに記憶をいたしております。

佐藤(公)委員 今のお話ですと、ちょっと記憶が余りないということの大臣の御答弁なんですけれども、実際五十万人を出すと総選挙において共通公約として掲げられたんですから、やはり具体的なものをもって御説明を願えればありがたいと思いますけれども、大臣、思い出していただけましたでしょうか。無理でしょうか。難しいでしょうか。

坂口国務大臣 さまざまな雇用政策の中でそれはつくり出していくということでございます。

 現在の雇用状況を見ましても、一方におきましては失業がふえてきている、しかし、それを埋め合わせるようにして新しい雇用が生まれていることも事実でございます。新規求人がふえていることも事実でございますし、とりわけ今までは製造業、そして第三次産業、いわゆるサービス業のところで非常に大きく伸びてきた、二けた台の伸びがずっと続いてきたわけでありますから、そこに新しい雇用が生まれていることも間違いがございません。ただ、一方そうしてたくさんの新しい雇用が生まれてきているんですが、一方においてまた失業も生まれてくるものでございますから、そこがバランスをとるような形になりまして、そして四%台後半が動かないというような数字になってきている。

 私は、決して新しい雇用が生まれてきていないわけではなくて、かなり新しい雇用が生まれてきているというふうに思っております。

佐藤(公)委員 やはり五十万人という共通公約を掲げている以上、それに向かっての具体的な御努力をなお一層お願いしたいかと思います。

 実際問題、これにミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策で三十五万人、残り十五万人足りない。一つの三十五万人という雇用はこういう形で具体的に生み出そうということはこれを見ればわかりますが、残り十五万人は果たしてどうやって出すのかなということもふと疑問に思い、聞かせていただきました。こういうことはやはり国民との約束でございますので、なお一層の御努力をしていただかなきゃいけないかというふうに思います。雇用の創出に関しては、私どもも同じような気持ちを持って応援はさせていただきたいとは思いますが、ぜひとも、そういう余りあいまいな形でのリーダーシップということは決していいとは思いませんので、よろしくお願いしたいかと思います。

 また、本会議場においての代表質疑の中で、新規産業の育成に関して、雇用問題は政府の最重要課題の一つであると認識しており、今後とも、新規産業の育成により雇用機会の創出を図るとともにと大臣がおっしゃったんですけれども、雇用創出を生むくらい、今それが果たして育成されているのか。ないとは言いませんけれども、育成されているということよりもやはり環境整備、そういうものが育っていくような環境をつくっていくべきだというように考えます。

 その中で、環境整備とは何かということに関しては、構造改革、大臣も何回もおっしゃられております。構造改革、構造改革、構造改革。では、この構造改革をより具体的にやっていくためにはどういうふうなものを柱としてやっていくべきなのか。これは同じような質問も前からしておりますので、やはりそれにおけるものは規制の緩和ということが一番の大きな効果というふうに考えますが、大臣、その辺の思いと決意をお聞かせ願えればありがたく、よろしくお願いします。

坂口国務大臣 先ほどの数字の問題をもう少しつけ加えさせていただければ、三十五万人のミスマッチを中心とした雇用の問題とあわせて、私がかねてから言っておりますように、三次産業の育成、これは新しいグローバルな経済社会の中でどうしても達成しなければならない、どうしてもそこを拡大しなければならないところでございまして、三次産業の育成ということに力を入れていきたいというふうに思っているところでございます。幸いにいたしまして、サービス業のところがかなり伸びてきておりますので、非常にそこは我々の期待どおりになってきているというふうに感じているところでございます。

 それから、構造改革の問題は経済全体の構造改革の問題もございますし、いわゆる労働環境と申しますか、第一次産業、第二次産業、第三次産業等を含めました労働構造の中の構造改革というものもあるだろうというふうに思います。広い意味での構造改革は、今さら私が申し上げるまでもなく、今委員も御指摘になりましたように、規制緩和を初めといたしまして多くの構造改革が今実行されているところでございます。そして、そうした中で、雇用の問題も改善を続けていかなければなりません。

 その一つが、先ほど申しましたように、今までのように二次産業に余りにもおんぶをし過ぎた形はやはり行き詰まりを来すことは間違いがないわけでありますから、三次産業にもう少しシフトをさせなければならないというふうに思っているわけでございます。それだけではなくて、やはり雇用を生み出すのは、新しい産業を生み出すということとセットになった行き方というのが非常に大事だというふうに思います。今までの、経済が悪化をしましたとき、産業が悪化をしましたときの後追いの雇用政策、それも大変大事なことでございますが、それだけではやはり新しい産業が生まれてまいりませんから、新しい産業を生み出すような雇用対策というものがやはりもう一つ必要ではないかというふうに思います。

 例えばベンチャー企業等が立ち上がりますときに、その企業に対して雇用の面からどういう支援をするかといったようなことは、これは新しい産業を生み出すための雇用政策として大変大事なことだというふうに思っておりますが、そうした新しいタイプの雇用政策というものを織りまぜてやっていかないと、これから雇用を伸ばしていくことがなかなかできないのではないかというふうに考えております。

佐藤(公)委員 また、その質疑、本会議場の中で大臣は、再就職援助計画の大臣答弁の中で、対象となります事業者数の見込みは立てておりませんが、支援の対象となる離職者の数につきましては年間約五十万人程度を見込んでいるところでございますというふうにお答えになりました。事業者数の見込みもなく、五十万人程度という数字はどのように出されたのでしょうか。

増田副大臣 離職を余儀なくされる労働者の数は、厚生労働省の雇用動向調査報告における経営上の都合による離職者数をもとにして推計し、年間五十万人程度を見込んでいる、このように申し上げました。

佐藤(公)委員 それはどのような経済状況、社会状況ということは、今までのデータということになりますけれども、これがもっと多くの数が、もっともっと最悪な状況ということ、膨れ上がるということは十分あり得ると思いますけれども、そういうこともやはり考えてこういうような計画を考えていらっしゃるのかどうか。また、多くなった場合にはそれなりの対応の仕方が、また危機管理体制においてそちらの方でお考えになられているのかどうか、お答えくださいませ。

増田副大臣 今般の法律改正によりまして、離職を余儀なくされる労働者が失業を経ることなく再就職することが促進され、現下の厳しい雇用失業情勢の改善に資するものと考えていきたいと実は思っております。

 それで、見込みを上回って離職を余儀なくされる者が生じた場合に、改正法案に基づきまして、再就職支援など各般の雇用対策の推進に万全を期してまいる所存であります。今できるあらゆる手だてを尽くして取り組んでまいりたい、このように考えております。

佐藤(公)委員 とかく行政の方でのこういう数字というものが、常にやはり中位推計というか中位推移ということが非常に多うございまして、低位の状況における最悪の状況を考えた上でのことを今後とも引き続き対応、対策を考えておいていただけた方が、みんなが本当に安心できるかと思いますので、それはぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 またこの中で、年齢制限のことに関しての御答弁もございました。これは実際問題、努力義務規定の中で行うと考えていらっしゃるのですが、具体的にはどのような形で実効性を持った努力義務規定、指導していくということを考えていらっしゃるのか、大臣いかがでしょうか。

増田副大臣 労働者の募集、採用につきましては、まず、年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう努める旨の規定につきましては、その実効を上げるため、事業主が適切に対処するために必要な指針を定めるとともに、公共職業安定所が中心になって行う求人の年齢制限の緩和の指導を一層積極的に行う所存であります。

 あわせまして、年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた国民的な機運の醸成を図ることにより、中高年齢労働者の再就職の促進が実効が上げられるように努めてまいりたいと思います。御発言のように、大変厳しい環境であり、取り組む仕事もそれなりに一生懸命やろうと覚悟しているところであります。

佐藤(公)委員 これに関しては、まだまだ本当に目を光らせて見ていただかなければいけないと思いますので、それはぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 また、サービス残業の解消について、事業主が労働時間のためにタイムカードやICカードの適切な使用などによる把握の方向等を示した通達を発しまして、この通達の周知及び遵守のための適切な指導を行うことといたしておりますといった内容のお答えがあったのですけれども、これはどういう内容で、いつどういうところに出すのか、出したのか、適切な使用というのはどういうことを言っているのか、局長でお答えが願えればありがたいと思います。

日比政府参考人 ただいま御指摘の通達につきましては、来週がもう四月に入りますので、四月に入りましたら早々に出したいと思っております。

 内容でございますが、今も御指摘ございましたが、労働時間の管理、特に始業、終業時刻の把握ということにつきまして、中央労働基準審議会の建議も受けまして、その把握の仕方、まず基本は、把握する責務を経営者といいますか事業主が負っていることを明らかにしまして、その上で事業主として講ずべき措置としてICカードなりタイムカード、これも例示いたす格好でございますが、適切に把握するようにというような内容にいたしまして、都道府県労働局長等に発出する予定でございます。

 なお補足ながら、タイムカードの点、あるいはICカードの点、これも一つの例として出しますが、この通達はいわば基本通達でございますので、出したらこれでおしまいというのではなく、これに基づきまして、十三年度、臨検監督と言っていますが、現場に立ち入るそのやり方も含めまして、監督指導の中で実情も再度押さえ直して、さらに必要があれば、補充とか補足とはちょっと意味が違いますけれども、これをさらに具体例等で進めていく形での指導もその後考えたいと思っておるところでございます。

佐藤(公)委員 済みません。いま一つよくわからない部分もあるのですけれども、実際問題、このタイムカードやICカード、多分、行政的指導はタイムカードやなんかのこういう把握ということは今までもやはりいろいろと指導、通達はされていると思うのですが、私は、ここにあえてICカードの適切な使用ということが入っているので、新たな何か考え、指導の仕方というのが厚生労働省の方であるのではないかという部分をすごく思ったのですけれども、その辺は、局長いかがですか。

日比政府参考人 私どもが今般タイムカード等に着目しましたのは、昨年だったと思いますけれども、一部フレックスタイム制を実施している事業場について、特にフレックスタイム制と自己申告の関係等について指導に入った結果を集約したことがございました。その結果、従前タイムカードというのは割と広く使用されていたところでございますけれども、フレックスタイム等の場合に時間管理が個別になるということで、逆にタイムカードを撤去しているというようなケースも見受けられたところでございます。

 そこで、やはり事業主というのは、時間管理をきちんと自分でやるのが原則、タイムカードというのが、絶対的なものではございませんけれども、やはり客観的に把握する、労と使の間でもめるときの一つの客観的な記録手段、それがそのまま労働時間になるかどうかは別でございますけれども、そういうものであるということで、やはりタイムカードのみが絶対性ではございませんけれども、タイムカードというものをもう一度見直すことが大切だというような注意喚起も含めてございます。

 なお、ICカードにつきましては、ICカードも、別途IDカードという記憶内蔵型でないものもございますけれども、近時ICカードが広くではございませんけれどもやや使われているケースもあるということで、IDカードを例に出してもよかったのでございますけれども、割と従来的にポピュラーなタイムカードのほかに、近時若干使われ始めているICカードというものも例に引きまして、何らかそういう客観的な手段を講ずることが適切というような形でお示ししようとしているところでございます。

佐藤(公)委員 まだまだよくわからなくて聞きたいことはたくさんあるのですけれども、また後日改めて御説明を伺いたいと思います。

 ICカードといえば、それは医療保険関係の、また経済産業省とのいろいろな連動のICカードという考え方もありますし、いろいろな発展性、まさにIT革命の中の一つの大きな柱にもなると思いますので、よくよくやはりむだがないように、その辺は考えていただかなければいけないかと思います。その辺はお願いいたします。

 また大臣に戻らせていただきますけれども、大臣、申しわけございません、大変大きな話にもなってしまうのですけれども、今、雇用失業における国家のセーフティーネットについて、雇用保険の充実等もございますけれども、大臣は、雇用や失業においての国家のセーフティーネットをどのように基本、まあ理念、哲学ということを含めてお考えになられているのか。四月より雇用保険制度の見直しでより手厚く重点的に御努力されていることはわかりますが、なお一層の充実を考える場合、どこまでどうすべきなのかということも具体的に考えられるのであれば、お話を願いたいかと思います。

 また、これは余計な話かもしれませんけれども、昔の話ばかり蒸し返して申しわけございません、私には大臣の昔の印象が非常に強くあり、常に私の頭の中にそれが浮かび上がってきますので。坂口大臣は前の新進党時代には政策立案の指導的な立場だった方なので、その雇用政策に今でも通用する立派な提言をその当時つくっていただいた。私ども若手はこれを読みながらバイブルのようにやってきた経緯、経過がございます。

 日本再構築宣言というものをつくられました。「雇用の安定・確保こそ国民生活の基本である。これまでの量のみの確保をめざす政策を改め、国民の能力、適性に応じた職場が確保される真の完全雇用の実現をめざす。また、二十一世紀を展望しつつ、労働法制についても抜本的見直しを行う。」ということを大臣は政策立案者の指導者としてつくられ、掲げられておりました。こういう部分、「量のみの確保をめざす政策を改め、」とか「労働法制についても抜本的見直しを行う。」ということをこの当時もかなり出されていたことがございますが、そういうことも踏まえて、全体の大臣のお考えを聞かせていただければありがたいと思います。

坂口国務大臣 過去のことはもう忘れ去りましたけれども、現在のこの失業がどの程度これから続くのか、それとも改善をされていくのかということは、もう少し全体の像を見ないとわかりません。できる限り経済政策その他全般的な政策の中で、雇用が一日も早く改善されることを期待しているわけでございます。

 しかし、最近のこの国際化の中で、諸外国の例を見ましても、景気が回復をいたしましても、しかし雇用だけは依然として回復をしないという例もあるわけでございますから、現在の四%台後半のこの雇用状況、失業率の状況がそう簡単に回復できるものでないというそのことも自覚をしているつもりでございます。

 そうした意味で、もしこの状況がいましばらく続くということを仮定しました場合に、どういうことを考えていったらいいのか。一つは、雇用保険の問題を、これは昨年おやりをいただきまして、そしてことしの四月からスタートするわけでございますが、雇用保険におきましても、非自発的失業者の皆さん方に対してより手厚くしていくというようなやはりアクセントのついた政策をしていかなければならないというふうに思っております。

 しかし、それだけではいけない。現在のようにいつ失業が訪れるかもしれないという状況の中で、やはりふだんからそれに備えをする。備えあれば憂いなしというその体制をつくり上げておかなければならないといったことで、今回この法律案を皆さん方に御審議していただいているところでございます。

 そして、ふだんから、万が一のときに備えて新しい仕事内容と申しますか、新しい技能、技術、そうしたものを身につけておくということも大変大事でございますので、それをぜひとも多くの皆さん方にお勧めをし、そして身につけていただくようにしていきたい。みんなが全体で支え合っていく。今までは企業の中でそうした技能、技術というのは訓練をしてきたわけでございますが、一つの企業の中ですべてをお願いするということができにくい環境にだんだんとなってまいりました。終身雇用というものが難しくなってまいりましたし、そうしたことを考えますと、社会全体で新しい技術、技能あるいはまた職業というものを身につけていく、そうしたことを考えていかなければならない時代になってまいりましたから、先ほどから出ておりますように、社会全体でそれを支えていくようにしなければならない、そうしたことも今回のこの法律の中に入れさせていただいたわけでございます。もろもろのことを行いながら、これからの雇用問題に対処をしていきたい。

 もう一つは、先ほど申しましたように、産業の中でとりわけ三次産業、とりわけサービス業、いわゆる外国から箱に入れて送られてこないような分野のところと私はわかりやすく申し上げているわけでありますが、箱に入れて送られてくるようなものはなかなか競争が大変でございまして、日本がそれに打ちかっていくことが難しい側面がございます。しかし、サービス業のようなところはまだまだ整理をすれば多くの皆さん方が働いていただくこともでき得る、そういう状況でございますので、この辺のところも整備をしていきたい、そんなことを今考えているところでございます。

佐藤(公)委員 もうただただ忘れないでいただきたい、覚えておいていただければありがたいと思いますので、お願いします。私どもも一生懸命やってきたつもりでございますので、やはり指揮をとられていた方に忘れ去られちゃったというと私もがっくりきちゃいますので、どうかお願い申し上げます。

 もう時間も余りないんですけれども、再就職援助計画の作成について少しお伺いをしたいんです。

 他の委員からも質問が幾つもございました。この再就職援助計画作成の経過と内容についてなんですけれども、作成すべき細かい事項についてもっとやはりわからないと、これは判断ができないことが多々あると思います。各委員からもございました。私もこうやって、再就職援助計画についての案ということで、多少の細かいものはいただきましたけれども、これがちゃんとある程度明確にならないとこの法律の目的が変わってしまうんではないか。

 一つには、事と次第によっては、リストラをしなきゃいけない大変な企業の状況の中で、それにまた事業主に多大なる負担をかけることによってその事業主がもっともっと苦しい状況になるということもあり得る。では、事業主の負担にならないと言うんであれば、逆に、各委員からも出ております、簡単に、いいかげんにでもないですけれども、ぽんと出せば、それで安易なリストラ促進的な部分の法律にもなってしまうんじゃないかということは、これは言っている意味もわからないでもない。そういう部分で、こういう一つ一つの過程において理由を明確にし、公共職業安定所長に提出することとなっておりますが、その判断基準がどこにあるのかとか、どういうものを書き入れるのか。

 例えば、その理由を明確にする。これは、理由を明確にして詳しく書いていけば、経営計画にもなってくると思います。経営計画になってくれば、当然そこには資金繰り、融資ということも出てくることがたくさんあります。では、この場合、人を切らなくても、その融資の制度がきちんとわかっていればこういうものは乗り越えられる。人を切らなくたって、お金が何とか、経済産業省やなんかとの一つの情報交換、交流ということ、やはりサービス行政ということで教えてあげることによっては、人を切らなくても企業が助かることというのは幾らでも僕はあるような気がします。

 もう時間がないので、私の方から先にずっと話をさせていただいて、その後説明をお願いしたいかと思います。

 例えば労使等における話し合いということになっておりますけれども、労使というか組合、労働組合がないところは過半数の労働者の代表たる者が出て話し合ったというふうになりますけれども、中小零細においては労働組合のないところもたくさんあります。そういう場合には過半数。過半数といっても、ではどういうことかといったらば、書面か何かに、とりあえずここにサインをしておいてくれよといって半数集める、内容はよくわからないけれども、そういうことで過半数を得ました、提出をしました、それでリストラになっちゃいます。こういうような、大変ちょっと立場が、いろいろな立場がありますけれども、本当に私、地元の田舎にいて、現実にそういうことがあるわけですね。内容を読まずに、わからなくしてサインをしちゃう人たちなんというのはたくさんいる。それはやはり人間関係において信用している、でも後になってみたらびっくりして大変なことになっているなんということはよくあることでございます。

 こういうことも含めて、一つ一つ細かく、この援助計画に対して、先ほども話がありました、所長の方でこれがちゃんと妥当なのかどうか、認めるのか認めないのか、こういう基準もありますし、そういうことを考えていったら、この法律というのが本当に、いい方向にも行きますけれども、もしかしたら先ほどからも出ているような安易なリストラということになる。でも、逆に言えば、活用すれば、いろいろな省庁との融資関係、銀行関係、いろいろなことの中での、いや、ここはうちは関係ないんだよと言って手放すんじゃなくて、そこも一つ一つ教えてあげるようになれば、これはもっといいことにもなるかもしれません。

 その辺を含めて、今ここに出ている以上で、これからの御審議はあるとは思いますけれども、全く何にもなくてこういうものが進んでいるとは思いません。一応、厚生労働、行政側としてどういう一つの案を持ってやろうとしているのか、わかる範囲、細かい部分も含めて、この場で簡単簡潔にお答え願えればありがたいと思います。お願いします。

澤田政府参考人 再就職援助計画の記載事項で現段階で予定しておりますことは、まず、事業等の縮小によりやむなく離職者が生ずるに至った経過、そして、再就職援助対象者に対する助成との関係で、個々の対象者の氏名が特定されませんと助成と結びつきませんので、そこもはっきりさせていただく。それから、離職者がいつ、どういう形で出てくるか、これもはっきりさせていただきたい、こう思っております。

 それから、計画の作成に至った背景のところで、今委員おっしゃったように、もし適切な融資制度があれば事業の縮小も一部食いとめられたんじゃないかという場合でありますが、安定所に出てまいりますのは、つくった計画書が出てまいりますので、後からさかのぼってなかなかお話しできませんので、できれば計画をつくる段階で安定所の方にお話があれば、私どもも経済産業省等とも連携をとって、こういう融資制度を使えばもうちょっと離職者の数が減るんじゃないかとか、そういう情報提供と申しますか、御相談には十分応じたい、こう思っております。

 それから、安定所長が計画について変更のお願いをする、変更命令を出すという点につきましても、企業が最大限の努力をして助成措置をお考えになっているところなので、めったやたらに変更命令を発することは企業に過大な負担をかける面もありますし、かといって余りゆるゆるにするのも問題でありますが、この辺については、例えば普通、その業界あるいはその事業場の規模の他企業であればとるであろう再就職援助の措置、例えば再訓練をするとか、求職活動をするために有給といいますか賃金の保障のある休暇を与えるとか、そういうようなことを、世間相場はこういうものだということでいろいろお話しをして、まさに企業に理解を得ながら計画の変更をお願いするというようなことを考えております。

 ただ、いずれも、法律を成立させていただいた後、施行までの間に関係審議会で十分労使の御意見を踏まえて決めていく問題でありますので、またその段階で適切な方策が出てくるものと思っております。

佐藤(公)委員 もう余り時間がないんですけれども、この再就職援助計画の作成について、大臣、今お話をしましたように、これは本当にいい方に活用すれば大変いい効果があらわれるというふうにも思いますが、やはりこの作成において、これは大臣も副大臣もよく御存じだと思います、中小零細、私どもの地元の方でも、融資のいろいろな制度があったとしてもわからなかった、知らなかった、倒産をしてから、リストラをしてから、こういうものが早くわかっておけばよかったということも多々ございます。そして、中小企業においては、やはり運転資金、融資ということが非常に一つの生命線になっていきます。リストラでこういう計画を出すに際しては、そういう部分ではぜひともサービス行政としてやはり親切丁寧にそういう対応をしてあげていただきますことをお願いしたいかと思います。

 なお、もう最後になりますけれども、芸予地震、安芸灘地震というか、私ども広島の方で地震災害が出てきております。今、政府におかれましても、厚生労働関係におかれましても大変尽力をしていただいておりますが、この地震に対して、私どもいろいろと困っていることもまたこれからも出ると思いますので、大臣、皆さん方の御協力をなお一層いただきたく、よろしくお願いいたしたいかと思います。

 最後の最後になりますけれども、失礼な発言多々あるかもしれませんが、若げの至りでお許し願えればありがたく、よろしくお願い申し上げます。

 以上において私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鈴木委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。小沢和秋君。

小沢(和)委員 私は、日本共産党を代表して、経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案に対し、反対の討論を行います。

 同法案に反対する第一の理由は、雇用の基本法ともいうべき雇用対策法に円滑な再就職の促進という理念条項を新たに設けることで、雇用対策法を事実上雇用の流動化、不安定化を促進するものへと大きく転換させるものになるからであります。これは、大企業が求めている安価で使いやすい労働力を大量に生み出すための労働力流動化政策に沿うものであります。

 今、大銀行、大企業などによって大規模なリストラ、人減らしが進み、戦後最悪の失業情勢となっていますが、解雇規制のルールもなく、雇用創出の抜本的な対策も何ら講じられないもとで、再就職の促進の名による雇用の流動化だけが促進されれば、結果として失業者を一層増大させることになります。こういうやり方が進めば、同法第一条の目的にある完全雇用の達成は言葉だけのものとなり、雇用の維持という大企業の持つ社会的責任を免れさせ、労働者を企業の外に追い出すことになってしまいます。

 第二は、この法案が大企業の進めるリストラを財政面から支援するものとなるからであります。

 本法案は、特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法など、不況下で中小企業がやむなく事業規模の縮小等をせざるを得ないときに、離職を余儀なくされる労働者に対して行われていた在職中からの再就職援助策を一般化することになっています。そうなると、当面の利潤をさらにふやすために人権を無視した退職強要を行っているような大企業にも、国が税金を使って援助できることになってしまいます。こういう事態を到底容認することはできません。

 以上が、反対の理由であります。

 なお、今回募集、採用にかかわる年齢差別禁止の努力義務規定を設けることとしたのは改善ではありますが、その実効性は全く担保されておりません。

 日本共産党は、大企業のリストラ競争を応援する政治に断固として反対するとともに、我が党提出の解雇規制法案、サービス残業根絶法案のように、労働者が安心して働けるルールを確立することが緊急の課題となっていることを強調し、私の反対討論を終わります。(拍手)

鈴木委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 この際、本案に対し、森英介君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。加藤公一君。

加藤(公)委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法律の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 本改正により、雇用政策の柱の一つである労働者が安心して働ける社会を構築するため、雇用保険の充実と並んで自発的な職業能力開発の促進を図るとともに、雇用の維持及び安定施策が後退することのないよう努めること。

 二 事業主による再就職の援助を促進するための措置については、安易な解雇を促進することのないよう十分に周知するなど適切な運用が図られるようにすること。

 三 障害者の職業の安定のための優先雇用の施策など必要な施策については、改正前の雇用対策法第十九条から第二十条の二までの規定の削除にかかわりなく引き続き講ずること。

 四 雇用就業ニーズの多様化を踏まえ、パート労働者などで短期雇用を反復継続する労働者や派遣労働者等について、円滑な就業のため雇用労働条件管理の改善を進めること。

 五 労働者の募集及び採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えるべき事業主の努力義務については、その趣旨に沿った適切な運用が行われるよう配慮すること。また、国家公務員及び地方公務員についても、民間事業主へ努力義務を課すことを踏まえ、本改正の理念の具体化に向け適切な対応が図られるよう努めること。

 六 地域雇用機会増大計画、地域能力開発就職促進計画、地域求職活動援助計画又は地域高度技能活用雇用安定計画について協議を受けたときは、厚生労働大臣は、地域労使の意見が反映されるよう配慮の上、当該協議案の考え方を尊重すること。

 七 地方労働基準審議会、地方職業安定審議会の廃止に当たっては、その果たすべき機能が適切に関係審議会に継承されるよう万全の配慮を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)

鈴木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十九分散会




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