衆議院

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第2号 平成13年10月17日(水曜日)

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平成十三年十月十七日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 谷畑  孝君

   理事 森  英介君 理事 吉田 幸弘君

   理事 鍵田 節哉君 理事 釘宮  磐君

   理事 福島  豊君 理事 佐藤 公治君

      奥山 茂彦君    上川 陽子君

      鴨下 一郎君    木村 義雄君

      北村 誠吾君    熊代 昭彦君

      佐藤  勉君    田村 憲久君

      竹下  亘君    西川 京子君

      野田 聖子君    林 省之介君

      原田 義昭君    松島みどり君

      三ッ林隆志君    宮腰 光寛君

      宮澤 洋一君    吉野 正芳君

      家西  悟君    大島  敦君

      加藤 公一君    金田 誠一君

      筒井 信隆君    土肥 隆一君

      古川 元久君    三井 辨雄君

      山井 和則君    青山 二三君

      江田 康幸君    樋高  剛君

      小沢 和秋君    木島日出夫君

      阿部 知子君    中川 智子君

      井上 喜一君    川田 悦子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働副大臣      南野知惠子君

   厚生労働大臣政務官    佐藤  勉君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   田中 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術

   総括審議官)       今田 寛睦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  下田 智久君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  宮島  彰君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長

   )            日比  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長

   )            澤田陽太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発

   局長)          酒井 英幸君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局

   長)           真野  章君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  辻  哲夫君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部

   長)           永村 武美君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・

   リサイクル対策部長)   岡澤 和好君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十七日

 辞任         補欠選任

  水島 広子君     筒井 信隆君

同日

 辞任         補欠選任

  筒井 信隆君     水島 広子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件




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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官田中慶司君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官今田寛睦君、医政局長篠崎英夫君、健康局長下田智久君、医薬局長宮島彰君、医薬局食品保健部長尾嵜新平君、労働基準局長日比徹君、職業安定局長澤田陽太郎君、職業能力開発局長酒井英幸君、社会・援護局長真野章君、保険局長大塚義治君、年金局長辻哲夫君、農林水産省生産局畜産部長永村武美君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷畑孝君。

谷畑委員 皆様、おはようございます。

 自由民主党を代表して、一言質問をさせていただきたいと思います。

 坂口労働大臣におかれましては、この間、ハンセン病を初め、また狂牛病等を含めて、まさしく大事な案件にしっかりと取り組んでいただきまして、非常に御苦労をお察しするところでございます。

 さて、今回の国会は雇用国会とも言われておるわけでございまして、私ども日本の失業率が五%になるという、まさしく大台のところに今来ておるわけでございます。また、日本の成長産業とも言われ、ITにおける花形産業とも言われております産業が、例えば富士通一万六千人、松下電器産業が五千人、日立製作所が一万四千人、東芝が一万九千人、NECが四千人と、八月二十五日に、リストラをしたいという発表でございました。

 またその後、流通産業におきましても、マイカルという非常に大型の企業が倒産をするという状況でありますし、また、小泉総理が先頭になりまして、不良債権をこの三年間で解消していくのだということでありますから、不良債権を解消するということは、言いかえれば、中小企業等を含めて倒産の連鎖反応として激増していく。こういう状況における失業率が五%ということは、まだまだふえていくのではないかという不安がまさしく増大をいたしております。

 坂口労働大臣におきましては、今日のこの事態といいましょうか、どういうような基本的認識を持っておられるのか、ひとつ決意をお伺いしておきたい、このように思います。

坂口国務大臣 おはようございます。

 ただいま谷畑先生からお話がございました雇用問題についてでございます。

 今お話しいただきましたとおり、八月の完全失業率が五%、五・〇ということになりまして、非常に厳しい状況が訪れたというふうに思っております。

 その中をもう少し詳しく拝見いたしますと、今まで完全失業者はふえてはおりましたが、その中で、いわゆる自発的失業者というのが今まではずっとふえていたわけでございますが、この八月を見ますと、前年同月比で、非自発的、すなわち会社の都合でやめなければならなくなった人がふえてきたということは、内容におきましても厳しさを増してきている。しかも求人の方も、今まではかなり第三次産業を中心にふえておりましたけれども、そのふえ方が極端に減少してきたといったこともございまして、今後の状況というものを非常に憂慮いたしております。

 今御指摘いただきましたように、不良債権処理がこれから進んでまいりますと一体どうなるのかということもあるわけでございますが、その量とスピードによって大きく影響されるだろうというふうに思っております。

 これから先、規制緩和等によって新しい雇用の創出ということが一方で考えられておりますけれども、しかし、それにはタイムラグがございます。そのタイムラグのところをどう埋めるかということが大事でございまして、一つは、補助教員の問題でございますとか、あるいは農林業に従事する人でありますとか、あるいはまた警察等におきます補助的な職員の皆さんでありますとか、そうした方に対しますいわゆる政策導入によって、いわゆる公費を導入することによって、一時その人たちを少なくしていく努力がやはり必要になってくるのではないかというふうに思っておりまして、補正予算の中で、ぜひそれらの点を考えていきたいというふうに思っております。

 ただし、それだけで十分かということになってくるわけでございますので、もう少し大枠の議論も詰めていかなければならないだろう。ワークシェアリングの問題を初めといたしまして、大枠の議論もこれからひとつ進めていきたいと思っているところでございます。

谷畑委員 次に、この五%の失業率という状況の中で、とりわけ中高年者の失業というものは非常に深刻なことではないだろうか。特に中高年者の場合は、その家族、家庭の大黒柱として生計の中心を実は担っておりますし、また言いかえれば住宅ローンを抱えておる方もあるだろうし、また子供さんが、大学、高等学校を含めて、まだまだいわゆる教育費が要る。そういう状況の中高年者がやむなく失業されるということ、これは非常に大きな問題であると思います。

 特に、中高年者が再雇用されていくに当たって、なかなかこれが厄介である。もちろん、本人は今まである企業において一生働けるものだと思って一生懸命に働いてきた人が多いと思うのですけれども、それが、産業のインターネット化だとか、いろいろと産業の技術も発達してきていますし、なかなかそういうところについていけない面もあるだろうし、こういう方々については非常に深刻だと私は思います。特に年齢差別という問題もありまして、雇用がしにくいのじゃないかと思います。

 そういうことについて、ひとつ澤田安定局長、こういう中高年に対して、再雇用に向けて全力投球をされていく、またそういう政策をどのように考えておられるのか、ひとつ細かく御説明をお願いしたいと思います。

澤田政府参考人 ただいま谷畑先生から御指摘いただいた点、全く同感でございまして、私どももそうした覚悟で、とりわけ中高年齢者の方々には対策を打っていかなければならない、こう考えております。

 具体的に申し上げますと、先般、政府が産業構造改革・雇用対策本部の取りまとめとして総合雇用対策をまとめましたが、その中におきまして、例えば中高年齢者の離職後の再就職支援という観点から、今御指摘ございました募集、採用時における年齢制限の緩和につきまして、官民の職業紹介機関、マスコミを通じてその周知徹底を図り、企業の方に具体的に行動していただくというようなこと、あるいは、公共職業安定所等の公共機関におきましても、中高年齢者の方々に対しましてキャリアカウンセリングということをやりまして、御本人のニーズに合った就職支援、能力開発支援をしていくというようなことも盛り込んでおります。

 そして能力開発で申しますと、中高年齢者の方々につきましては、民間教育訓練機関あるいは大学、大学院等、あらゆる教育資源を活用して、ケース・バイ・ケースに合った教育訓練を推進するということにも意を尽くしてまいりたいと思っております。

 そして、雇用保険制度におきましても、能力開発の観点から、教育訓練給付制度の拡充ということで、安心して教育訓練に専心していただけるような体制もしっかりつくりたいと思っておりますし、不幸にして失業という事態に陥った方々につきましては、一定の場合でございますが、生活資金貸付制度の創設等々によってセーフティーネットも張りたい、こう思っております。

 以上につきましては、近々決定されると思われます先行改革プログラムの最終案の中で明確化し、必要なものは補正予算あるいは法的整備等々を図って万全を期してまいりたい、こう思っております。

谷畑委員 そういうことでありますけれども、私自身も思いますには、まず、失業者を出していく企業、先ほど申しましたように、IT産業のいろいろな企業でもリストラ等を含めて発表して失業者を出していくわけですけれども、出す側も、一遍にどんと出すんじゃなくて、長期休暇をとっていただく制度を採用したりして、激変緩和というのか、そういう努力も私は非常に必要だと思うんですね。

 そしてまた、残念ながら失業者になった場合、やはり現場の職業安定所という仕事が私は大事だと思うんですね。今この職業安定所が、やはりそこへ行けば必ずミスマッチがなくいい自分の就職がスピーディーにできる、そういうことをどうしていくかということが非常に大事だと思うわけであります。そういう意味で、今、キャリアカウンセラーの配置だとか、そういうことも非常に大事だと思うんですね。

 それともう一つ、私、かねがね思っておるわけですけれども、もちろん、雇用保険を延長したり、そういうセーフティーネットを張っていくことも大事なんですけれども、例えば、それぞれの行政区におきまして労働政策というものをもっと協調してやっていくに当たって、例えば職業訓練を、ただ単に訓練学校だとか専門学校だけではなくて、そういう地元の中小企業で失業者の皆さんに一年間なら一年間生きた職業訓練を受けていただく。こういうことになりますと、必ずまた、ああ、この人はいいなということで、景気がよくなれば採用していただける、こういう可能性は大になると私は思うんですね。

 こういう常に実利と結びつけていくような職業訓練というのか能力開発をしなければならないんじゃないか、こういうことを思いますので、ぜひひとつ、時間がありませんので、余り、私自身の考えということで、もしも何かありましたら一言でも簡単に言っていただけたらありがたいと思います。

酒井政府参考人 結論的には、先生がおっしゃっているように、私どももできるだけ取り組まなきゃいかぬと思っています。

 キャリアカウンセラーの問題につきましては、先生はやはり、職業にできるだけ早くまた結びつけてあげる、また、その能力にできるだけ合うようにきめ細かく対応するということの必要性からおっしゃっているものと思っておりまして、安定所等へのいわゆる相談に乗るカウンセラーの配置に関しましても、今度の補正でできるだけ取り組みたいと思っております。

 それから、今先生がおっしゃいました事業主さんに訓練をやっていただくということにつきましても、これは、事業主の持っておられるいろいろな設備、施設、そういう中で訓練体験をしていただいて、できればそこでまた採用していただくといったようなことも念頭に置いた訓練を含めまして、さまざまな訓練のメニューを用意して対応していきたい、精いっぱいやりたいと思っているところでございます。

谷畑委員 時間が推移しましたので、もう一度最後に澤田安定局長にお伺いするんですが、平成十一年から十三年度の末で切れます緊急地域雇用特別交付金という制度、これは、私言いましたように、地方分権という形の中で、今までだったら各都道府県の職員の皆さんと労働省の皆さんが同じところで働くという場があり、そういうことでまた地域の労働政策と国の労働政策が浸透していく、こういう制度だったわけですけれども、地方分権という形できちっとそのあたりを整理されましたので、なかなか地方自治団体が労働政策に参加していくという機会が実は少なくなっておるんですね。

 こう失業率が高くなってきますと、やはり地方自治団体というのは、商工会議所とのつき合いがありますし、いろいろそれなりの知恵があると思うんですけれども、ぜひひとつ、今まで平成十一年から十三年までやってきましたこの交付金の制度について、いいものをさらに発展させて、いい姿に変えながらやっていただきたい、こう思うんですけれども、一言で結構ですので、どう考えておられるかをお願いしたいと思います。

澤田政府参考人 御指摘のとおりでございまして、産業構造改革・雇用対策本部の取りまとめにおきましても、緊急地域雇用特別交付金につきましては継続、充実するという方向が明確に出ておりますので、補正予算等々で必要な措置を講じてまいりたいと思っております。

谷畑委員 次に、今マスコミ等を含めて騒がせております狂牛病の問題について質問をしたいと思います。

 この九月の十日に日本で狂牛病が発見をされてから、非常に大きな不安と、牛肉等を含めて学校給食におきましても禁止措置がされましたり、また小売店のお肉屋さんへ行きましても、今まで売れておった分の三割しか売れない、いわゆる七割減だということでありますし、この間、私の励ますパーティーをさせていただいて、皆、打ち上げで前へ行きましたら、いわゆる他の居酒屋はいっぱい人がおりますけれども、隣の焼き肉屋ががらすきということで、私どものスタッフの皆さん、そうしたら焼き肉屋へ行こうかということで、焼き肉屋の皆さんが大変喜んでいただいて、だれも客がいなかった、このような状況なんです。

 だから、率直に言いましたら、肉は食べたいわ怖いわということになって、また、風評ということで、いろいろな意味でこんがらがってしまっているような状況に実はなっております。

 それで、厚生労働省も非常に努力をされまして、この十八日から、いわゆる屠殺場に来る全頭の牛につきましてスクリーニング検査をやるということでありまして、これでようやく安全宣言というのか、これから、十八日以降から市場に出回ってくる牛肉は安心だ、こういうふうに私どもも実は思っているわけであります。

 ぜひひとつ、大臣におかれましては、この十八日以降、安全宣言という問題についてどう考えておられるか、一言質問しておきます。

坂口国務大臣 大変お騒がせをして申しわけなかったというふうに思っておりますが、今お話にございましたとおり、十八日から全頭について検査を実施することになりました。初め、三十カ月以上というふうに思っておりまして、科学的にはそれで十分というふうに思っておりますが、今委員が御指摘になりましたように、いわゆる風評というのもございますし、皆さんの御心配というものもございますので、この際に全頭にそれを広げてはどうかという皆さん方のお話をちょうだいいたしまして、全頭に広げさせていただきました。年間約百三十万頭ぐらいというふうに思っております。

 これらのことを行いますと同時に、罹患をしているとか、していないとかということにかかわりなく、一番危険部位とされております脳、脊髄、目、そして回盲、回腸の遠位部と言われております、このいわゆる危険部位と言われております部分は全部もう廃棄処分にしてしまうということで、国民の皆さん方に安心をしていただける体制がこれで確立できたというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、これから消費者の皆さん方にお上がりいただきます肉につきましては心配がない、そして、牛乳及び乳製品、精肉につきましても心配がないということを明確にさせていただきたいというふうに思っておりますし、あす、農林水産大臣と共同で記者会見をさせていただく予定にいたしているところでございます。

谷畑委員 それで、一つ心配なことは、実はけさの新聞で、坂口厚生労働大臣として記者会見をされておりましたけれども、いわゆる全頭スクリーニング検査をエライザ法によってやるわけですけれども、感度がよ過ぎて千頭で大体三頭疑陽性が出てくるということで、当初大臣は、疑陽性については全部記者会見で報告するんだ、こう言っておったわけですけれども、そうなりますと、今大臣の話によりますと大体月に十万頭の牛が屠殺場に来るということですから、月に三百頭が疑陽性ということになるわけでありまして、これを皆発表したんでは、これはまさしく、安全宣言どころかもう大変なパニックになる、実はこう思っておったわけであります。

 やはり、しっかりと、クロだということがはっきりと判定をしてこそ発表して、疑陽性というのは、これはまさしくシロがほとんどですから、そこらはやはり混乱しないように、きょうテレビもおりますので、はっきりと記者会見でされておりますけれども、そういうことの発言をひとつここでいただきたい、こういうふうに思っております。いかがでしょうか。

坂口国務大臣 今お話をいただきましたとおりでございまして、最初は、第一次スクリーニングテストのところで陽性に出ましたものは、そのときに発表させていただいた方がかえって消費者の皆さん方に御安心をいただけるのではないかというふうに思っておりましたが、消費者の側、それから今度は販売をされます皆さん、あるいは業界の皆さん方等の御意見等を総合いたしますと、やはり、余り早く、確定診断が出ない前に発表するというのはいかがなものか、こういう御意見がたくさん寄せられてまいりまして、各党の議員の皆さん方の中からもそうした御意見がたくさん出てまいりました。そして、一応修正をさせていただいて、確定診断が出るまで公表しないということにさせていただきました。

 ただし、これは各都道府県で行われることでございますから、都道府県がどうされるかということについてまで国の方がどうこう言うわけにはいきません。国の方といたしましてはそういうふうにしたいというふうに思っています。

 そして、二次検査、スクリーニングの二回目の検査をいたしますときに、あわせてこの確定検査の方も一緒にやるということを今考えておりまして、時間の短縮を図りたい。そして、その検査のできる場所も、できれば各都道府県に、そこまでいかなくても各地域ごとぐらいにできるような体制を早く確立いたしまして、早くこの結論が出るような体制を確立していきたいと考えているところでございます。

谷畑委員 どうもありがとうございました。

 農林省の皆さん、時間がなくなりまして本当に失礼いたしました。

 これで終わります。

鈴木委員長 次に、青山二三君。

青山(二)委員 公明党の青山二三でございます。

 私の方からも、まず初めに食の安全対策ということについてお伺いをしてまいりたいと思います。

 ただいまも御質問にありましたように、我が国で初めて狂牛病にかかった牛が発見されたということで、一カ月余が過ぎたわけでございますけれども、この間の騒ぎは大変なものでございました。もう既に焼き肉屋がつぶれているなどという話も伺っております。何よりも、学校給食で牛乳を中止するという、そのようなニュースも流れましたので、なおさら国民の不安に拍車がかかったような感じでございます。ですから、安全だと言われております牛肉も心配だ、牛乳も心配だ、このようなことで、パニック状態と言っても過言ではございません。

 そういうことで、私ども公明党は、去る九月二十八日に、農水省と厚生労働省に、消費者の信頼を回復するためには思い切った対策が必要であるということを申し入れさせていただきましたけれども、一刻も早くこの不安や混乱を解消していただきたい。ですから、消費者への正しい情報提供が必要であろうかと考えております。

 今大臣からの御答弁もございましたように、十八日に、農水大臣と厚生労働大臣がともに記者会見をしまして安全宣言をするということでございます。私は、いつ安全宣言を出していただけるのかなというようなことで質問を考えておりましたけれども、そのような御答弁が出ましたので、それでは、今まで保存されているような、そういう牛肉あるいは内臓物に対しては、これまた安全宣言をしていただけるということなんでしょうか。そのあたりが微妙なところで、やはり消費者の心配の一つになろうかと思いますので、そのあたりのことをお聞きしたいことがまず一点でございます。

 消費者の不安を解消するためには、何よりも、今回のこの一連の事件でわかりましたように、縦割り行政に欠陥があるような気がするわけでございます。ですから、縦割り食品行政問題を、早急に対策を立てるということもこの際考えてもいいのではないかと思っております。食の安全確保を最優先に考えまして、生産から消費まで一貫した食品行政を確立すべきである、このように考えるわけでございますけれども、二十一世紀の食の安全を守る新たな制度の構築については、大臣はどのようにお考えでしょうか。

尾嵜政府参考人 先生の方から先に今出回っている肉等についての御質問がございましたので、私の方からその点について答えさせていただきます。

 これまでも大臣も御発言いただいておりますが、乳、いわゆる牛乳・乳製品、それからいわゆる骨格筋を使っております肉でございますが、そういったものは、いわゆる特定危険部位というものが含まれておりませんので、そういったものについては現在でも安全であるということでございます。

 ただ、内臓につきましては、日本では内臓の方は食しますが、内臓危険部位とされておりますのは、先ほど大臣お答えがございましたが、いわゆる小腸の、回腸の遠位部という部分でございます。屠畜場でお聞きしますと、そういった部位については大体余り使わない、捨てる部分のようでございます、小腸の部位でもですね。ただ、全く出回っていないかといいますと、それは何とも言えない部分でございます。

 ただ、我が国ではまだ狂牛病の診断を受けた牛が一頭という状況でございます。そういった状況から見れば、これが直ちにどうこうというような状況ではないんではないかなというふうに考えているところでございます。

坂口国務大臣 農林水産省と厚生労働省の間の縦割りの話がございまして、これはもう御指摘されるようなことであっては本当にいけないわけでございますので、連絡を密にしてやっていきたいというふうに思っています。これは別に難しいことではなくて、よく連絡するかどうかだけの話、だけの話と言ったらあれでございますけれども、それができるかどうかということでございます。

 隣の省は何する人ぞ、隣の局は何する人ぞというようなことではいけないわけでありまして、みんながやはりこういう問題には関心を持って、こうしてはどうだ、ああいうふうにしてはどうだと、多少横からでも声をかけるぐらいなことになっていかないといけない。各省庁間におきましても、当然のことながら、それぞれの持ち場はありますけれども、共通する問題につきましてはよく相談をして進めていくという学習をしながら、これからやっていきたいというふうに思っています。

青山(二)委員 今、坂口大臣から、よく相談をしながらというようなことでございますが、これがなかなか今までできない、これからも難しいことではないかと思うわけでございます。

 ヨーロッパ諸国でも、食品行政というのは農業省と厚生省に分かれておりまして、省庁の利害関係から不都合が生ずるケースが多かったと言われております。

 EUでは、二〇〇二年に欧州食品庁を設置するというようなことも聞いております。イギリスでは、昨年の四月に食品基準局が設置されまして、狂牛病については情報公開をここで行う、このような体制になっていたようでございます。また、ドイツでは、農業省を消費者保護・食品・農業省に改めた。このように、狂牛病の発生しましたヨーロッパ諸国では大変な改善の対策をしているわけでございますので、またこうした諸外国を参考にしながら、我が国の食の安全確保についてはこれからもしっかりとお願いしたい、このように要望をしておきたいと思います。

 次に、話題は変わりまして、乳幼児の医療費の無料化についてお伺いをしたいと思います。

 実は、私は、大臣がかわりますごとにこの問題を取り上げておりまして、今回でちょうど七回目になるわけでございますけれども、坂口大臣にはぜひ前向きな御答弁をいただきたい、このように思っております。

 平成九年の健康保険法改正の際に、「就学前児童の一部負担について、少子化対策の観点及び地方公共団体における単独事業の実情も踏まえ、その軽減を検討すること。」という附帯決議がなされておりますけれども、今日まで何の進展もございません。

 平成六年に沖縄県の制度がスタートいたしまして、すべての都道府県でこの制度が実施されまして七年が経過いたしております。多くの県で対象年齢の引き上げとか内容を拡充している状況でございます。そういうことで、なくてはならない制度になっております。私の住んでおります栃木県でも、所得制限はなく、入院とか通院も対象になりまして、この四月からは対象年齢を三歳未満から五歳未満に引き上げるなどいたしまして、年々充実してまいりました。

 共同通信の調査によりますと、二〇〇〇年度から二〇〇一年度にかけまして、十九の都道府県が年齢対象を拡大あるいは拡大を予定しているということでございます。このように、都道府県財政が大変厳しい中にもかかわらず、子育て支援の一環として、この助成を拡大する傾向が見られるわけでございます。この乳幼児医療費の無料化につきまして、大臣の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思っております。

坂口国務大臣 乳幼児の医療費につきまして各都道府県がそれぞれのお取り組みをいただいているということに、私は感謝をしたいというふうに思っております。

 各都道府県あるいは市町村でおやりをいただいているところもございますが、地方自治体でそれだけお取り上げをいただいているということは、それだけ住民の皆さん方の御要望というものが大きい、この分野に対する自治体の取り組み方というものに対する御要望が非常に大きいからだというふうに理解をいたしております。

 したがいまして、これから先の日本におきます医療制度の改革を考えていきます場合に、やはり乳幼児についてどう考えていくかということは、高齢者とともに、この乳幼児の問題も大きな一つのポイントであるというふうに思っているところでございます。

 したがいまして、先日の厚生労働省試案におきましても、全体の引き上げよりも、乳幼児の場合の引き上げをより高くする、国民の皆さん方からするならばその支払い額を引き下げるという、一般は七割にするけれどもここは八割にするという試案を出したところでございまして、考え方の一端をここに示したというふうに思っておりますが、これから先、医療制度全体をどうしていくかということを、さらにもう一度見直しを今行っているところであり、そして皆さん方の御意見を今ちょうだいしているところでございますので、年末までにこの制度を固めていくにつきましては、この点も十分に考慮していきたいと考えているところでございます。

青山(二)委員 ただいま大臣から御答弁いただきましたように、三歳未満の乳幼児の医療費の自己負担を三割から二割に引き下げるという改革案が出されておりますけれども、しかし、もう既に地方自治体が無料化をしているわけでございますので、お母さんたちにとりましては、これが軽減されたとか、ああ助かったなという思いは出てこないわけでございます。どうしても、地方から見ますと、なぜこんなに地方が頑張っているのに国がやらないんだ、こんな必要な制度をどうして国がやらないんだという声が年々高まってきているわけでございます。

 ですから、この乳幼児医療費の無料化、少子化対策とあわせてこうした問題にいろいろと取り組む、また考える、そういう検討機関みたいなものを設置して、まずは積極的に検討を始めていただきたいと思うわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。

南野副大臣 先生が子供にかける情熱、本当にすばらしいものだと思っております。全部がそのようになれば万々歳だなというふうに思っておりますが、先ほど大臣がお答え申し上げました、そのとおり、先般におきまして公表されました医療制度の改革試案がございますが、それには、厳しい医療財政のもとではありますけれども、医療保険におきまして給付の重点化を図ろうとする観点から、乳幼児に対する給付率を一律八割にした。これは先生、大きな問題点でございますので、お認めいただきたいということでございますが、こういう提案をさせていただいたところでございます。

 先生からの、検討会設置に対しての御提案をいただいたところでございますが、現在の状況のもとでは、当面、この医療制度改革試案を提案させていただき、これを充実していきたい、そちらに力を注いでいきたいと思っておりますので、そのことを御了解いただきたいと思っております。

青山(二)委員 一歩前進ということで受けとめさせてはいただきますけれども、私は、この問題、これからも真剣に、ずっと取り上げてまいりたいと思っております。

 今行われております都道府県の乳幼児の医療費の無料化で大きな問題になりますのが、同じ子育てをするのに、うちの人と隣の人は違う、うちの県と隣の県が違う。これは本当に、引っ越しされた方々が戸惑うわけなんですね。ですから、本当にこういう点で国としても早く結論を出していただきたい、こんな思いがございまして、私、執念深くこの問題を取り上げているわけでございます。

 このことに関しまして、もう一つ要望したいことがございますけれども、一生懸命都道府県がやっておりますこの制度に対しまして、せめて国が障害にならないでほしいということでございます。

 それは、現物支給方式と償還方式がございまして、お母さんの立場からいたしますと、もちろん現物支給方式の方がいいわけでございます。償還方式ですと、あちらへ行ったりこちらへ行ったり手続をしながら払ったお金を返してもらう。これではとても、小さな子どもを抱えながら大変なことが多いということで、ほとんどのお母さんたちは現物支給方式にしてほしい。ところが、これをやります都道府県、市町村には、これはペナルティーと申し上げておりますけれども、国庫負担を減らす。これがやはり大きな負担になって、どうしても現物支給方式に切りかえられないというところがございまして、これまた都道府県、市町村でばらばらなんですね。

 ですから、せめてお願い申し上げたいのは、一生懸命子育て支援を何とかしようという自治体に対しましては、国として応援していく、そういう立場であっていただきたい。ですから、ペナルティーは何とかなくすような方向で考えられないかという思いでお尋ねしたいわけでございますが、この点いかがでございましょうか。

大塚政府参考人 お話ございましたように、地方公共団体がそれぞれの判断に基づきまして、実施の範囲や内容あるいは方法、さまざまでございますけれども、相当数多くの自治体で乳幼児を対象に無料化その他の事業を実施しているところでございまして、その中には現物給付と言われる方式を採用している自治体もございます。

 一般的に申し上げますと、現物給付というのはある意味では便利な制度でございますから、現物給付方式になりますと医療費そのものは膨らむ傾向がございます。これを先生今ペナルティーとおっしゃいましたけれども、国庫負担を公平に配分するという観点からいたしますと、このふえる部分につきまして国庫負担を充当いたしますと、市町村間あるいは自治体間の不公平という問題も生じてまいります。したがいまして、このふえる分についての国庫負担について一定の調整措置をするということは、私どもとしては、公平な国庫の配分という観点からやむを得ざるものというふうに考えておるところでございます。

 ただ、先ほど来厚生労働大臣あるいは副大臣から御答弁申し上げましたように、今回の厚生労働省試案で、乳幼児については八割給付ということを御提案申し上げているわけでございますけれども、こうした提案が実現いたしますと、実質的にはかなり地方公共団体の負担軽減に資するということも事実でございまして、私どもとしては、こうした点についての御論議を賜れればというふうに考えているところでございます。

青山(二)委員 少しは地方自治体がこれで楽になるということでございましょうか。一歩前進ということで受けとめさせていただきますけれども、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、時間もなくなりましたので、最後に、小児医療体制の拡充についてお伺いをしておきたいと思います。

 今、小児科の先生たちが、絶対数が不足いたしております。それで、小児科の病院が閉鎖されたり開業医の減少など、本当に子育てをするお母さんたちにとっては大変な状況が続いているわけでございます。このような状況を踏まえまして、公明党は五月に小児医療体制の充実について提言の発表をさせていただきましたが、この主張を反映する形で、厚生労働省は、平成十四年度予算概算要求には、小児救急医療拠点病院を新たに五十カ所整備する、それから小児・産婦人科の若手医師育成のために調査研究費をつけたというようなことで、大変に評価のできる内容にはなっているわけでございますが、なかなか小児医療の拡充は簡単に進みません。

 女性の小児科医が増加傾向にあるわけでございますけれども、しかし、残念なことに、この三分の一がみずからの育児や家事で現場を離れているという状況が出ております。そういうことで、女性医師の力を十分に発揮する、そういう環境整備なども必要であろうと考えておりますので、こうした問題につきまして御答弁をいただき、私の質問を終わりたいと思います。

南野副大臣 小児医療体制の整備ということは、これは本当に、安心して子供を産み育てる、それについての一番大切なポイントであり、少子化対策としても重要であると認識いたしております。そういうような意味から、厚生労働省といたしましては、今から申し上げます五つの問題点につきまして、いろいろな政策を講じており、その充実を図っているところでございます。

 一つ目といたしましては、小児・周産期の医療の先導的役割を担うと言われておりますナショナルセンターでございますが、国立成育医療センター、これは仮称でございますけれども、そのようなセンターを今年度中に整備するということを心がけております。それから二番目でございますが、小児救急医療体制、先生もう問題点を御把握しておられますが、全国的な整備に向けた一層の取り組み、これは運営補助費等でございます。さらに三点目といたしましては、診療報酬の改定におきます小児医療に関する評価の充実。これは診療報酬支援ということでございましょうか。四点目につきましては、これはハードの面でございますが、地域の拠点となるような小児医療施設の整備に対する補助、これを実施していこうとしております。さらに、厚生科学研究におきます小児科または若年医師の育成に関します研究調査、そういったものでございます。

 どうぞ御了解いただきたいと思います。

青山(二)委員 大変ありがとうございました。以上でございます。

鈴木委員長 次に、井上喜一君。

井上(喜)委員 私初めてだと思いますけれども、坂口厚生労働大臣にお伺いをいたします。厚生労働省、問題山積でありまして、大変毎日お忙しいと思うのでありますけれども、ひとつ御検討をいただきたいと思います。

 私、最近の世論調査を注意深く読むのでありますけれども、少し違った傾向が出てきていると思うんですね。従来の世論調査でありますと、景気をよくしてくれとか、あるいは社会保障制度を安心できるきちっとしたものにしてくれ、こういうのが大体トップの項目だったと思うのでありますけれども、最近は、これと並ぶというか、あるいはこれ以上の要望が多いのは、安心して生活できる安全な町づくりをしてくれ、あるいは安全な国になってほしいというのが非常に多いんですね。

 そういうことで、私思いますと、やはり犯罪、しかも凶悪犯罪が多発するとか、あるいは外国からいろいろな人間が来て犯罪を犯すとか、あるいは病気ですね、原因不明の病気が蔓延するとか、あるいは環境問題ですね、こういった問題がどんどん出てくる。最近ではテロだとか、あるいは炭疽菌の問題なんかが出てきておりまして、人々の関心というのは私はそういうところへ移ってきていると思うんですね。犯罪の問題、治安の問題、健康の問題、あるいは環境の問題とか。

 そこで、私はこれからこういったテーマが国政の非常に大きなテーマになってくると思うし、テーマとすべきだと思うんです。これらの大部分が厚生労働省と関係していると私は思いますね。だから、そういうような角度からきょう御質問をさせていただきたいと思うんです。

 まず第一に取り上げたいのは、狂牛病なんですね。これは一応の決着は図られつつあるように思うのでありますけれども、この事件を振り返ってみまして、いかにも政府の対応がまずかったと私は思うんですね。

 農家が、狂牛病の発生というようなことで、なかなか牛が売れない、出荷できない。これは、当然のこととして業者が買わないわけですね。業者がなぜ買わないかといったら、消費者が買ってくれないからなんですよ。ですから、消費者が買ってくれるという問題を解決しない限り、この問題というのは解決しないわけですね。いかに骨粉の使用を禁止しても、あるいは目視で足がふらついていないかというようなことを見ましても、それは将来の対策になるかもわからないけれども、現実の肉の問題の解決にはならないと思うんですよね。

 私が思うに、屠畜場行政というのは、旧厚生省の行政の中で一番充実した行政だったと思っているんです。と畜場法があり、屠畜場の構造までもきちっとしていたわけですよね、規制していた。しかも、地財措置もやっていた。しかも、各屠畜場には、と畜検査員までいるわけですよ。非常にしっかりした行政体制を持っていた、その分野がまさに屠畜関係の行政だったと思うんですよね。

 そういう体制があるにもかかわらず、どうして後手を踏んだのか。そこは十分これから反省をしていかないといけないと思うんでありますが、まあしかし、大分対策が進んできたということで、今後の問題について私はお伺いしたいんです。

 私は、この狂牛病問題を解決するのには、やはり安全宣言を出すということだと思うんですよね。出すためには、やるべきことをきちっとやるということだと思います。各と畜検査員がいて、これは獣医師ですから、専門家ですから、これはきっちりした措置をするということが大前提だと思うんでありまして、今やっております検査みたいに、何か一次検査をやって二次検査を、本検査というんですか、予備検査をやって本検査をやるようなやり方は、これはまた不安を掘り起こすようなものだし、検査そのものに対する信頼感をなくすと思うんですよ。

 ですから、きちっとした検査で、それは多少時間が七、八時間ぐらいかかる、あるいはちょっと経費がかかっても、それでもってやる、しかも一回でやる、それの検査が終わったら出荷をする、そういう体制をきっちりつくらぬといかぬと思うんですよ。

 私の聞いておりますところでは、バイオラドというフランスの試験方法、あるいはスイスのプリオニクスなんというような方法は、確かに、今言いましたように、何か七、八時間ぐらい検査結果が出るまでかかるようです。それから、経費も多少かかる。一万円ぐらいですか、かかるらしいんだけれども、こういう検査できっちりしまして、この牛は大丈夫だということで出荷をしていく体制を組むべきだと思うんですよ。予備の検査、そして本検査をやって、それでまた結果が違うとなりましたら、本当に混乱だけが残るんでありまして、なかなかこれは安全宣言を出しましてもみんな信用しないと思うんですよ。

 だから、ぜひ私はそういうことをやっていただきたい。多少お金がかかりましても、あるいは出荷者に多少経費の負担が出ましても、絶対にそれはやるべきだと思うんですが、これはこれからの話、もう大体体制は整ってきたと思うんでありますが、これについての大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。

坂口国務大臣 食肉に供します牛等につきまして、屠畜検査場におきます問題は御指摘をいただきましたとおりでございまして、ここはきちっとしているわけでございますが、いわゆる検査員が、生体検査でありますとかあるいは解体前の検査でありますとか解体後の検査を、もう既にこれも今までから実施をいたしておりまして、ここは問題はなかったわけでございます。しかし、こういう新しい病気が入ってまいりまして、そうした中で、多少今までの手順とは違ってさまざまなことをやらなければならないというので、多少混乱をしたということでございます。

 今御指摘になりました検査方法でございますが、一発で全部できればそれはそれでいいんでしょうけれども、しかし、全体をスピーディーにやって、そして非常に危険性のあるものをチェックして、そしてさらにそこを明確にするという考え方からしますと、初めから全部やっていければいいんですけれども、そうもなかなかいかない。人間の健康診断も、胸部のレントゲン写真なんかも最初は小さいので次から次へと撮りまして、そして多少でもちょっとおかしいというのは全部また本試験でやり直す、そういう一つのルールに乗っかってやっているわけであります。

 牛の場合にも、この狂牛病の検査を初めから厳格なもので一発でやるというのも、これはもう先生御指摘のとおり一つの方法ではあると私も思うんですが、それは少し費用の面だけではなくて時間もかかり過ぎるものですから、若干でも可能性のあるものは落とさないというスクリーニングテストをまずやって、そしてその中から的確なものはこれだというのを出していくという方法をとらざるを得ないというのが、私たちの考え方でございます。

 今回、エライザ法という方法で、これは非常に敏感な方法なものですから、これを採用させていただいて、そして、それでチェックをする。この方法は、一遍出て、もう一遍、二回やるということになっているわけでありますけれども、その二回目のところは、やるのはやるんですけれども、あわせて、いわゆるもっと診断に決定的な影響を与えますところの確定検査を同時にスタートさせるということで、時間を短縮して、そして少しでも皆さん方に早く安心をしていただけるような体制をつくり上げていくということに踏み切ったところでございます。

 多少先生の御主張と違うところがあるかもしれませんけれども、現在そういうふうに思っている次第でございます。

井上(喜)委員 肉といいますのは、取引をするものなんですね。多少専門的になりますが、枝肉の取引には、温屠体取引と冷屠体取引というのがあるんですよ。冷屠体取引といいますのは、屠殺をした当日に取引しないで、翌日取引するんです。芝浦市場なんかは冷屠体取引をやっておりまして、翌日取引をするんですよ。ですから、検査が何日もかかるからというようなことで取引を待てないわけですよ。

 だから、そういう取引の実態も考えて、私はやはり、七、八時間ぐらいで結果が出るような、一番現在信頼されている検査方法でやるべきだと思いますね。検査の結果が出るまで何日でも待っておれよ、こういうことはできないと思うんですよ。現実に、出荷をしてきた、取引をした、やはり決済を早くしてくれというような話ですから、それは問題のない限り早く決済をして、代金の支払いをすべきだと思うんですよ。

 ぜひ、これはお役所の方と検討されないといけないと思いますので、大臣限りで、よし、これでやるぞなんて言ったって、また事務方がうじゃうじゃ言うから、問題でありますから、ぜひよく検討していただきたいと思います。

 屠畜場には、と畜検査員と、要すれば家畜保健衛生所の職員を立ち会わせるということにしまして、それから、脳か脊髄からきちっとサンプルをとりまして検査をする、しかも一番信頼ができる検査でやる、やってほしい。それで、これでもう安全だよという宣言をしてもらえば、私はこの狂牛病の騒ぎというのは終わっていくんじゃないかと思うんでありまして、ぜひそれは御検討いただきたい、こんなふうに思います。

 それから、次に問題として取り上げたいのは、覚せい剤なんですね。

 最近、覚せい剤の持ち込み量がだんだん多くなってきていると言われておりますし、それから、覚せい剤の使用も昔と変わってきているようですね。若年者にずっと覚せい剤が入ってきている。ある種のファッションみたいに、覚せい剤を使っていい気分になるというような若者もふえてきていると言われておりまして、この点は大変問題のあるところだと思うんです。

 しかも、今、多少ふえつつあるようなんですけれども、統計が本当の統計なのかというんですよ。今、警察の方だって、留置場がいっぱいだから、ばんばん逮捕できない。それから刑務所の方だって拘置所がいっぱいだから、あるいは検察官が足りないから、なかなか検挙というわけにいかぬ、こういう状況もあるやに言われているわけですよ。

 だから、現実はもっともっと犯罪は多いんだけれども、それを逮捕したり検挙するまでに至っていないと言われておるんで、それはそれとして私は解決しないといけないと思うんですが、まず、そういう麻薬の取り締まりというものをきちっとせぬといかぬと思うんですよ。

 今、麻薬の現状がどうなっていて、どんな使用の特徴があって、どういうような体制でこの麻薬の取り締まりをやっているのか、そこをお聞かせいただきたいんです。

宮島政府参考人 麻薬を取り巻きます現状につきまして、まず御説明申し上げたいと思います。

 我が国におきます薬物事犯は、いわゆる覚せい剤事犯が最も多くございまして、薬物事犯の約九割を占めております。平成七年以降、覚せい剤検挙者数は、継続して一万七千人をずっと超えておりまして、特に平成九年には一万九千九百三十七人と、二万人に迫るぐらいにピークになっております。その後、平成十年には一万七千人と一たん減りましたが、平成十一年になりますと再びふえまして一万八千五百人、さらに平成十二年には一万九千人というふうに、引き続きまだ増加傾向にございます。

 それからまた、覚せい剤の押収量についてでございますけれども、平成十一年に約二トン、これはそれ以前の平成六年から十年の過去五年間の合計量を超えるぐらいの大変大量の押収量が、約二トンということで過去最高の押収量がございました。平成十二年も、若干減りましたが約一トンということで、大変大量の押収が続いているということでございます。

 特に最近におきましては、青少年の間で薬物乱用に対する警戒感なり抵抗感が薄れまして、覚せい剤使用が広がっております。中学生、高校生で見ますと、平成九年には二百六十二名ということでピークを迎えまして、その後、平成十年には百四十二名、平成十一年には百五名と若干減少してまいりましたが、平成十二年には百五十九名と、再び増加傾向になってきております。中でも中学生につきましては、平成十二年に五十四名と、これは過去最高の数字になっておりまして、いわゆる低年齢化が進んでいるという状況にあるかと思われます。

 それから、我が国で乱用されます麻薬や覚せい剤のほとんどは、いわゆる中国、東南アジア等の海外からの密輸が多いというふうに考えられております。

 このような状況を見ますと、我が国は現在、これまで昭和二十年代に第一次乱用期がございまして、その後、昭和五十年代に第二次の乱用期がございましたが、それに続く第三次の覚せい剤乱用期にあるというふうに認識しておりまして、政府といたしましても、薬物乱用対策推進本部を設置いたしまして、関係省庁が連携の上、取り締まりの徹底を図っているところでございます。

井上(喜)委員 麻薬が約一トンですね。一トン使われるといいますか、不正に吸引されているということですね。それから、検挙される人間は約二万人ということでありますが、実際にはこの十倍はありましょう。十倍じゃきかないんじゃないかと思うんですね。

 そういう実態だと私は思うんですが、これを取り締まる人間というのは、厚生省からいただきました資料によりますと、国が百七十四名ですよ、麻薬取締官。県にも同じように麻薬取締員という制度があるらしくて、百二十三名なんですね。合計しましても、これは三百名足らずということですよ。麻薬なんというのは、外国人だってどんどん入れてくるわけでしょう。どこのルートから入ってくるかわからないというようなことですよね。国内の組織だってよくわからないわけでしょう。これぐらいの体制で本当に取り締まれるのかということなんですよね。

 さあ、それなら定員をふやしてやるぞといったって、そうはいってみたって、大して定員ふえませんよ。だから私は、それは第一線のこういう人たちに頑張ってもらわぬといかぬと同時に、OBがおられますから、高い公務員の給与でというわけにはいきませんが、しかるべき給与で、OBを活用して取り締まりをしていったらどうなのか。これが一番現実的な方法だと思うんですね。これは私、警察だってそうだと思うし、入国管理の方だって同じようなことが言えると思うのでありますが、ぜひそれをお考えいただきたいということが一つです。

 それから、もう一つ、もう時間がありませんので一緒にお聞きしますけれども、最近マジックキノコというのが出回っているんですよ。割かし広くどうも出回ってきているようですね。キノコの種類も何種類かあるようですが、これを食べますと麻薬を吸ったと同じような効果があらわれるらしいんですね。だから、若者の間にかなりの人気があると言われているんだけれども、これだって私、麻薬の一種だと思うんですね。やはり、実態調査を早くして、きちっとした取り締まりをすべきだと思うんですが、この二点につきましてお答えをお願いします。

坂口国務大臣 最初のお話は、先生、大変名案だというふうに思います。現在もOBの皆さん方にお手伝いをいただいておりますけれども、さらにそうしたことをこれから強化をして努めてまいりたいというふうに思います。

 それから、二番目のマジックマッシュルームというんですか、マジックダケですか、これにつきましては、規制をするように今検討いたしております。自然に生えるものもかなりあるようでございますし、入ってくるものもあるようでございますから、これらの点につきまして、これらから若い皆さん方のお体を守れるように対処したいと思っております。

井上(喜)委員 一番最初に申し上げましたように、犯罪とか食品とか健康とか環境、大変関心が高まっておりますので、ぜひ国民の期待にこたえられるような、そういったきちんとした行政をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、筒井信隆君。

筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。きょうは、狂牛病の問題に限って質問をいたします。

 先ほどから安全宣言の話が出ております。安全宣言は一日も早く出したい、これはもう全部が一致していると思うのですが、きちんとした体制をとらないで安全宣言を出しても、消費者は一切信用しないと思います。前に坂口大臣と農林水産大臣が食肉を食べる会をテレビで放映されておりましたが、あれは事実上の安全宣言だと思いますが、しかし、あれは残念ながらだれも信用しなかった、あの後さらに牛肉の消費量は大幅に下がったわけでございますから。

 やはり、どういう体制をつくったら安全宣言を出せるのか、この問題が重要な問題だろうと思うのです。私は、最低限、感染経路の遮断を完全にすること、それと屠畜解体の過程、これが適切になされること、それから全頭検査の体制が万全になること、この三つが最低限そろわない限りは、安全宣言を出しても消費者が信用しないのではないかというふうに思いますが、最初、ちょっと厚生大臣から、その点についての意見をお聞きしたいと思います。

坂口国務大臣 安全宣言を出します以上は、やはりそれなりの根拠を持って言わなければならないのは、もうそれは御指摘のとおりというふうに私も思います。

 一番最初にお挙げになりました感染経路についてでございますが、この感染経路というのは、現在の科学的な水準で完全にそれがわかっているのかどうかということに多少の問題はありますけれども、現在のいわゆるヨーロッパ等におきます感染経路といたしましては、いわゆる食べるもの、牛のいわゆる食生活、牛に何を食べさすかということが最大の原因であることだけは間違いがないというふうに思っています。

 したがいまして、その牛のえさにつきましての内容を、どうこれをチェックしていくかという体制が大事ではないかというふうに思いますし、これに対しまして、これは厚生労働省よりも農林水産省の仕事になりますけれども、いわゆる感染をいたしておりますようなそういう国々、多発しておりますような国々でつくられました、そういうえさ等は一切入れないといったところを、完全に遮断をするということがまず第一歩ではないかというふうに思います。

 しかし、過去において既に入ったものがあるとするならば、現在飼育されております牛の中で、この狂牛病に罹患をしていないという証拠はないわけでございますから、それを屠畜いたしますときには、徹底的にここは検査をして、そしてその可能性がないということを明確にしなければならないというふうに思っております。

 それから、屠畜の途中におきます、いわゆる屠畜場におきます問題点につきましても、いわゆる背骨を割ったりいたしますときに、飛び散らないようにどうその改革を加えていくかとか、そして、もしも陽性に反応を示すものがあったときに、そのあとの牛をどうするかとか、そうしたきめ細かなことを現在検討いたしておりまして、そして、現場におきまして誤りなきようにしていきたいというふうに思っているところでございます。

筒井委員 最低限、今の三つの条件は安全宣言の前提として必要である、こういう結論自体はよろしいんでしょうか。

坂口国務大臣 それはもう当然そうだと私は思います。

筒井委員 この感染経路の遮断の前提として、千葉県の狂牛病の感染経路の解明の問題がございます。

 今、大臣は、ヨーロッパにおける牛骨粉が感染源だということを前提にした話をされました。それは事実そうなんで、それはよろしいんですが、ヨーロッパの場合、感染経路がはっきりしているとしても、日本の一頭だけはっきり出ました狂牛病の感染経路は現在も不明でございまして、この感染源は何だというふうに考えておられますか。

尾嵜政府参考人 千葉県のケースにつきましては、現在、農林水産省の方でずっと、どこで育ったのか、北海道の方から来たというふうに調べられておりますが、そういった農家での飼育状況、えさの状況等々を調査されたわけでございます。まだ今のところ、今回のケースが何によってこのBSEに感染したのかというところまでは特定をされておらないというふうになっております。

 ただ、イギリスを初めとしましてEUの方で狂牛病が発生したという事柄から考えますと、感染源としては、一番考えられるのは、肉骨粉というものによります感染というものが一番疑われるというのが一般的な考え方ではないかというふうに思います。

筒井委員 しかし、千葉の酪農家も、その子牛を育てた北海道の酪農家も、いずれも肉骨粉を給与していないと断言しているわけでございまして、今の答えですと、この日本の狂牛病の場合も肉骨粉が原因だろうというふうに判断しているということですか。

尾嵜政府参考人 特定をされておりませんので、これが感染源だったということは今の段階では言えないわけでございますが、これまでのヨーロッパの狂牛病の発生ということを考えてみますと、こういった牛が感染するということを考えた場合には、肉骨粉が含まれた飼料というものが一番そういった原因として考えられるものではないかというふうには私は承知しておるところでございます。

筒井委員 今のところでもはっきりしないんですが、いずれにしても、この感染源がはっきりしないというのは、酪農家にとってもそうですが、消費者にとっても大きな不安のもとであって、これはやはり早急に解明しなければいけない、そう思うんですが、その点、大臣、どうですか。

坂口国務大臣 それはそのとおりと私も思います。一日も早くこれは解明をしなければならない問題であるというふうに思います。

 ただ、狂牛病という病気の原因等を考えてみましたときに、細菌でありますとかビールスといったようなものから感染をする病気ではないわけでございますので、その他のこと、飼料以外のもので感染し得ることがあり得るかということは非常に、科学の世界でありますから絶対ないということは言えないかもしれませんけれども、私は、考えられないのではないか、やはりこれは食べるものから入るということを中心にして検討をしなければならないのではないかというふうに思っております。

筒井委員 感染源が特定されない限り、感染源の遮断対策なんかできっこないんですよね。しかし、感染源の遮断対策をとらない限りは、もう狂牛病の牛は出ませんという保証、そういう安全宣言もできないんですよね。だから、今、安全宣言を出すというふうな前提にしているということは、これはもう事実上、感染源は、千葉の牛に関しても、これも肉骨粉である、こう判断しているということですね。

坂口国務大臣 いや、そこまで行っているわけではございません、まだここはできていないんですから。

 ただし、安全宣言を出すというのは、この日本の中からもう狂牛病は出ないという安全宣言をするわけではなくて、肉やあるいは牛乳をお飲みいただいても、肉をお食べいただいても、この日本に出回りますものはもうこれ以上、子牛から安全でございますということを宣言するわけでございます。

筒井委員 しかし、厚生省も農林省も、もう現在、感染拡大の心配はなくなりました、こう断言しているでしょう。その点、どうですか。

坂口国務大臣 牛に対する感染の拡大があるかどうかということは、それは少しわかりません。既にこれは、もしも外国から入ってきたもの等によって感染をしているということになれば、それは、今そうではないとは私は言い切れないというふうに思いますけれども、しかし、これから先、全部それはチェックをして、屠畜いたしますときにチェックするわけでありますから、国民の皆さん方がお上がりをいただきますその肉につきましては、これはもう大丈夫でございますというものしか出さないわけでありますから、そこは大丈夫でございますということを申し上げているわけです。

筒井委員 今、大臣が冒頭言われたのが正しいと思うんですよ、感染拡大の心配がなくなったかどうかはわからないというのが。これは既にもう感染している牛がいるかもしれませんから。

 だけれども、農林省と厚生省が共同してつくったリーフレットでは、全国民に対して、感染拡大の心配がなくなりました、こう言っているでしょう。そう言っているかどうか。

尾嵜政府参考人 私どもが肉が安全であるというふうに言っておりますのは、もともといわゆる骨格筋であります牛肉については安全である、乳製品も同様である、乳・乳製品も同様であるということでございます。もともとこれは安全であるということであります。

 それと、これからの体制を考えていく際に、新たな感染源になる可能性のある、例えば、農林水産省の方の対策としてお考えになっておりますのは……(筒井委員「いや、私の質問に答えてください。感染拡大の心配がなくなったと言っているのか、言っているのかいないのか」と呼ぶ)

 感染拡大というのが、こういった対策をとった以降、それによって感染をするようなものが出てこない、そういうふうな考え方というふうに考えておるわけでございます。

筒井委員 この条件つきとかなんか聞いているんじゃなくて、リーフレットで全国民に対して、感染拡大の心配がなくなりました、日本では、こう言っているのかどうかを聞いているのですよ。質問だけに答えてください。

尾嵜政府参考人 屠畜場での全頭検査、そういったものから、あるいは特定危険部位を全頭から除去、焼却する、そういった体制をとっていこうとしているわけでございますが、そういった体制がとられてまいりますと、屠畜場から出ていきますものについては、そういった特定危険部位が出ていかないということでございます。

 それと、農林水産省の方の対策としまして、肉骨粉を輸入しないとか、あるいはそれを飼料として使わない、国内の流通を禁止する、そういうふうな措置をとられたわけでございまして、そういったことから、そういう対策が実施されるということによりまして、それ以降の新たな感染というものは出てこないだろうという意味でございます。

筒井委員 私が聞いている趣旨は、先ほど大臣がまさに答えられたのが正しいので、もう何が何でも全部大丈夫です、大丈夫ですと言ったところで、そうじゃないことを言ったら、そうしたらそれはかえって消費者の不安を高めるんですよ。国民の行政に対する不信を高めるんですよ。本当に間違いのない事実だけを言わない限りは、今まさに物すごい敏感になっていますから、消費者は。

 「感染拡大の心配がなくなりました。」こういうのを太字でもって、リーフレットで、これは何十万部刷ったかわからないけれども、出しておりますが、こういう表現、本当に言えるものと言えないものを区別して言っていただきたい。大臣、今後ぜひそうしていただきたいんですが、どうですか。

坂口国務大臣 ちょっとそのパンフレット、私見ておりませんので、よくわかりにくいですが、その拡大をしないという場合に、それは牛の世界の中で拡大をしないという意味なのか、それともそれが人間に対しての影響のことを含めて言っているのかということが、ちょっと私今お聞きしただけではよくわかりません。

 いずれにいたしましても、その辺のところを、明確なものをつくって国民の皆さん方に供するということは当然大事なことでございますから、そうさせていただきたいと思っております。

筒井委員 それで、この感染源の究明に関しては、先ほど農林省の問題だというふうに言われましたが、これはまさに食の安全そのものの問題で、農林省の問題だから農林省に任せておけばいいという問題ではない。農林省に任せておくと、今現在もまだ解明されていないんですから、一頭の問題が。どういう調査しているのか。それぞれの酪農家に聞いただけで、そこで否定されてそのままに終わっているようですが。

 これは、やはり農林省の問題だと言って捨てておくんじゃなくて、厚生省も、食の安全の問題なんですから、安全宣言の前提だと私は思いますから、やはり少なくとも協力して、そして一緒になってこの究明をやるべきだと思いますが、今までのところ、厚生省としては何もやっていないんですね。

尾嵜政府参考人 千葉のケースの追跡と申しますか、そういう調査につきましては、私ども直接やっておりませんで、農林水産省の方で実施をしていただいておるというところでございます。

筒井委員 先ほど、大臣は農林省と厚生省が連絡したり相談するというようなことを言われておりましたが、この千葉の牛の感染源の問題について、ではどういう連絡して、どういう相談していますか、農林省と。

尾嵜政府参考人 私どもの方でケースについて連携をとっております内容は、県レベルでの衛生部局、それから農林水産部局、そういったものの連携をとっていただくという事柄とか、あるいはその……(筒井委員「いや、具体的に、この問題についてどういう連絡とって相談しているかということです。一般論じゃない」と呼ぶ)

 屠畜場において、このケースについては、屠畜場に行った後、農林水産省所管の研究所の方で診断をされたわけでございますので、屠畜場の方の状況については、私どもの方から聴取し、また農林水産省の方の聴取とあわせて連絡をとり合っている。

 その後の状況につきましては、先ほど申し上げましたように、追跡については農林水産省の方がやっていただいているわけでございますが、そういった結果につきましては、私どもの方にも御連絡がある。その中で、具体的に私どもの方に協力をしてほしいという事柄につきましては、そういう処理について、屠畜場関係でありますとか、衛生サイドで追跡をする部分がございましたら、私どもの方で対応するということで御連絡をいただく。

 それと、追いかけていった牛の状況等については、私どもの方に向こうの方から御連絡をいただいているという状況でございます。

筒井委員 具体的なことを聞いているんだけれども、ぐちゃぐちゃしていて、何やらよくわからないような答弁ですが、これは農林省とか厚生省で任せても、これもう大分たっているでしょう、狂牛病が発生してから。まだ解明されていないんですから、第三者の究明委員会か何か設置するしかないんじゃないか。いろいろな配慮から、いまだかつて、まだわかっていない。世界じゅうで日本だけじゃないですか、こんな感染源が今に至ってもまだ究明されていないというのは。それがまず一つ必要だというふうに思います。

 それからもう一つ。先ほどちょっと話が出ましたが、やはり食品行政が、食の安全性に関する行政がこういうふうに二つに分かれているこの縦割り行政、これは大臣自体も認められておるようですが、この弊害のあらわれだ。これは、相談とか連絡とかという体制じゃなくて、もう一体化しなくちゃいかぬのじゃないか。先ほど食品行政庁の、EUの構想が出ましたし、それからイギリス、ドイツ等々で、この狂牛病の問題がどうも一つの契機になったようですが、食品行政が一体化されているようですが、これをぜひ一体化しなければいけないという段階に至っていると思います。

 そのことを申し上げまして、この感染経路遮断の問題の一つとしては、一つは、牛に対する感染経路の遮断の問題がある。それからもう一つは、人に対する感染経路の遮断の問題がある。この人に対する感染経路の関係では、牛肉等の輸入禁止等の問題がございまして、これは厚生労働省の担当ですから、これについて確認をしたいと思います。

 厚生労働省は、ことしの二月の十五日に、EUからの牛肉、牛臓器、それらを原材料とする食品、製品を食品衛生法に基づき輸入禁止した。ことしになって法的な輸入禁止措置をとった。

 しかし、イギリスで狂牛病が発見されたのは一九八六年、約十五年前でございます。それから、その狂牛病が人へ感染する新型ヤコブ病の指摘がされたのが九六年、五年前でございます。五年も十五年もほっておいて、初めてことしになってこういう措置をとったのは遅過ぎると思います。これは、行政の不作為、怠慢だと思います。この間に輸入した牛肉等で感染したら、まさに今問題の、別の問題になっている、裁判にもなっているのと問題が一緒になると思います。

 そして、厚生労働省は、行政指導としては、九六年三月、イギリスからの牛肉、それから低発生国からの脳とか脊髄等の危険部位の輸入自粛。この行政指導は九六年の三月に行われました。このときに、BSE発生対策が十分にとられていないと考えられる英国産の牛肉とか加工品等を行政指導で一応自粛するようにという措置をとったわけでございました。少なくともこのときに、法的措置としてことしとった措置を、輸入禁止措置をとるべきではなかったですか。

尾嵜政府参考人 お話ございましたように、平成八年の三月、一九九六年の三月から、英国産の牛肉及び加工品等の輸入自粛を指導してきておるわけでございます。

 その後も、法的な措置ではなしに、自主的な対応ということで自粛をしていただいているわけでございますが、実態上は、検疫の方に回ってまいりますこういった食肉等につきましては、全部をチェックされまして、そういったものが、該当するものがあればすべてそこでとめ置かれるということで、こちらの方には、日本の中には入らないという実質的な内容があったわけでございます。

 そういった状況の中で、ことしの二月に、その二月の前に、十二月に、EU諸国で広がった、狂牛病が出てきたわけでございまして、そういう範囲を広げて、十二月から自粛の幅を広げたという状況でございますが、それを二月の時点で食品衛生法に基づく措置としての輸入禁止措置にした。それ以降は、一頭でも発生した国からの牛肉等、加工品も含めまして、輸入は禁止するという対応をとってきているところでございます。

筒井委員 自主的な自粛で全部輸入禁止と同等の効果があるならば、ことしになってそんな法的な輸入禁止の措置をとる必要はないので、この九六年の三月時点で食品衛生法に基づく輸入禁止措置をとれない何か理由がありましたか。

尾嵜政府参考人 当時どういう議論があったのか私は承知をしておりませんが、この当時の状況は、先生がおっしゃいましたように、イギリスの方で、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病というものが狂牛病に罹患した牛の特定危険部位等を食することによって感染するのではないか、そういう状況があったわけでございますが、日本では、そういったヨーロッパの状況はあるにいたしましても、直ちに法的な禁止措置をとるような状況ではないだろうという判断があったんだろうと考えております。

筒井委員 その判断の根拠は何ですか。

尾嵜政府参考人 イギリスの発生状況、他国の発生状況、我が国の状況というものから判断したものであろうというふうに思っております。

筒井委員 全く答えていないんですが、これは、例えばアメリカは、イギリスからに限って、反すう動物、牛肉製品の輸入禁止を八八年にやっていますね。つまり、イギリスで八六年に発生して二年後です。日本の行政指導は九六年ですから、日本の今の自粛指導からさえも十余年も前にその措置を直ちにとっている。それから、BSE発生国全体からの輸入禁止を九一年にとっている。これでさえ、今の輸入自粛の行政指導よりも五年も前。大幅におくれているわけでして、まさに不作為。

 大臣、この点についてはどう思いますか。

坂口国務大臣 今お話をいただいている、その輸入禁止が肉についてなのか、それからそれ以外のものも含めてのお話なのか、若干私はわかりにくいところがございますが、肉について申し上げれば、これは肉、牛乳につきましては、科学的にはここからは人に対しまして感染しないということになっているわけであります。ですから、本当は、現在の科学水準からいうならば、ここは禁止ということはしなくてもいいではないかという御意見が今まで多かったことが事実でございます。

 しかし、ことしの二月からは、そうはいってもこれは国民の皆さん方の不安というものもあるので禁止ということにしようではないかというので、ヨーロッパ各地域の発生国のものも含めてそれは禁止にした。

 だから、英国のものは若干その前に禁止になっていたというふうに思っております。

筒井委員 今のはおかしな話で、安全だということがはっきりしていれば、今だって輸入を禁止する必要はないんですよ。安全だろうけれども心配だという点があるから、九六年にこういう行政指導をしたわけでしょう。だから、それをもっと早くすべきじゃなかったか、遅過ぎたんじゃないかということを私は言っているのです。

 それで、特に厚生省の九六年に輸入自粛措置をとったときの理由が、BSE発生対策が十分にとられていないと考えられる英国産の牛肉及び加工品、だから輸入自粛政策をとった、こう言っているわけで、英国においてBSE対策がきちんととられていないことがわかっていたわけですよ。だからこの輸入自粛政策をとったというふうに厚生労働省自体が言っているじゃないですか。今の大臣の話と違うのです。

 さらに、日本で今度、九月の十日ですか、狂牛病の発生がこの前ありました。日本で九月十日の狂牛病の発生が報じられたときにアメリカとか韓国がどういうふうに対応したかというと、同じ日、九月十日に輸入禁止措置をとっている、日本からのですよ。日本からの牛肉の輸入禁止措置を、アメリカも九月十日、韓国も九月十日、オーストラリアは九月二十四日。即日あるいは直ちでしょう。こういう諸外国の食品行政の対応と比べたら、日本は余りにも遅過ぎるんじゃないですか。その点、どうですか。

尾嵜政府参考人 現在の状況は、先ほど御説明申し上げましたように、私どもも、二月に法的な禁止措置をとったという以降、新たに一件のそういった牛が発生したという国においても直ちに輸入を禁止するという措置をとっておりまして、今回の御指摘ございました、韓国がとられた措置あるいはアメリカという御指摘がございましたが、現状は私どもも同様な対応をしておるということでございます。

筒井委員 二〇〇一年までずっと法的な禁止措置をとらなかった、つまりイギリスで発生してから十五年もほうっておいた、この責任は極めて重いと考えておりますが、この輸入禁止以前の輸入牛肉は安全だということもまた厚生労働省は断言しております。しかし、輸入禁止以前のものが安全だと本当に断言できるのかという点、文書で断言しておりますが、本当に断言できるのか、この点ちょっとお聞きしたいと思うんです。

 イギリスあるいはヨーロッパ、EUにおいて、この輸入禁止以前に屠畜の体制はどうなっていましたか。今度、屠畜解体処理過程、先ほどちょっと話がありましたように、十八日から日本は大きく変更して、脊髄の処理の問題とかこういうものもやるようですが、日本がこの十八日からやろうとしている屠畜解体処理の適正化、この体制をイギリスとかEUは輸入禁止以前にもとっておりましたか。

尾嵜政府参考人 特定危険部位の除去という点については、既にイギリス等ではとっておったというふうに承知しております。

筒井委員 十八日からやろうとしているのは、それだけじゃないでしょう。特定危険部位の除去なんというのは前から言っているので、今度初めて法的な措置にしたわけでしょう。それ以外に、全頭検査を十八日から始める。それから、ワイヤによる、脊髄や脳でもって、牛を殺す、この作業が、やはりたんぱく質が食品部分につく可能性があるので、その処理をきちんとする。それから、脊髄の背割れ方式も、たんぱく質がつかないように、異常プリオンがつかないように処理をする。こういう体制を日本は十八日からとるわけでしょう。

 そういう体制をEUやヨーロッパが輸入禁止以前にとっていたかどうかを聞いているんです。

尾嵜政府参考人 イギリスの、その時点で、私どもが今回整理をしました内容が、どこまでされておったかということについては、私どもの方では正確に把握をいたしておらないという状況でございます。

筒井委員 把握していなかったら安全だという断言できないでしょう。厚生労働省のホームページや何かでも、輸入禁止以前のやつは全部安全ですと。しかし、屠畜の解体処理の過程で、本当に安全な体制がとられていたかどうかわからないと今言われた。そんなのがわからないで、どうして安全だという断言を国民に対してしているんですか。

尾嵜政府参考人 輸入されております肉について、先ほど来私も申し上げておりますが、乳・乳製品、一般の骨格筋については基本的には問題ないという考え方でございます。

筒井委員 問題ないという考え方なんて聞いているんじゃないんですよ。そういうふうに、一つの屠畜の処理解体の過程において異常プリオンが食肉につく可能性がある、これをつかないような体制をとっていたかどうかわからないと言っているんでしょう。それで何で安全だと言えるのか、こういう質問なんです。

坂口国務大臣 過去の英国において、あるいはヨーロッパにおいてどういう体制がとられていたかというところまで、正直言って私もわかりません。したがいまして、そのときのものがどうであったかということも私は今言うわけにいきませんけれども、ことしの二月に、ヨーロッパからの肉を制限する、禁止をするということを決めましたとき、これはもう私になってからでございますから、決めますときにも、いろいろ、同じ肉といいましても、肉の場合には、これはここからは人間に対してはうつらないんだから、これは禁止でなくてもいいではないかという議論があったことも事実でございます。しかし、そこはもう明確にしようということで、してもらったわけであります。

 肉というふうに言いました場合に、肉だけではなくて、いわゆる内臓も一緒に肉のたぐいとして入ってくる嫌いがある。内臓の中もいろいろでございますけれども、回腸部分というようなところには、これは危険部位として存在をするということでございますから、そうした点は明確にした方がいいのではないかというので、実は明確にしてもらったわけでございます。

 だから、それ以前のことは私もちょっとわかりかねるわけでございまして、事務局の方もそのことはわからないということを言っているわけで、だからそれは、そこまで調べてはいなかったということだと思います。

筒井委員 私は、わからないことを批判しているんじゃないんです。わからなかったらわからないように言えと言っているんです。わからないのに安全だと断言しているから。自分で、厚生省自体がそういう質問事項を立てて、では輸入禁止、二〇〇一年から、ことしからやった、それ以前の牛肉は安全だったのか、安全です、心配ありませんと何回も断言しているのですよ。だけれども、そういう安全宣言を出すためには、では屠畜の体制がどうだったのか、どういう体制で異常プリオンが絶対つかないような体制になっていて輸入されていたのかどうか、調べてから言うべきでしょう。どうもこういうのが多いから私は聞いているんですよ。

 よく調べもしないで安全だ、安全だと言ったって、これは消費者が信用しないし、実はそうでなかったことが後でわかったら、なおさら行政に対する不信感が強まるんですよ。調べていないのに、今の点、わからないのに安全宣言を出したんですか。

坂口国務大臣 ちょっとやっていますから、後で一遍調べさせますが、過去の英国ないしヨーロッパがいつごろから、日本よりも早くやっておったことだけは間違いないわけで、日本もいろいろ屠畜のやり方を向こうから教えてもらっているぐらいですから、早かったことだけは間違いないのですけれども、いつごろからそれをやっていたかということは、ちょっと一遍調べさせます。

 そして、問題はそれだけではなくて、そういうことに対して、以前安全であったということを書いているけれども、そこはどうかというお尋ねにつきましては、一遍ホームページ等を私もチェックをさせていただきます。

筒井委員 調べた上で適切に措置をしてほしいのです。ホームページもそうだし、農林省と厚生省が共同してつくったリーフレットもそうだし、すべて安全です、安全ですという言葉であふれているんですよ。だけれども、実際に今聞いたように、わからないのにそういうふうなことを言っていたら絶対に信用されませんから。

 今の屠畜の方法に関してだって、フランスなんて、今やっている形を変えようとしているでしょう、来年の一月一日から。今は実験段階。向こうだっていろいろ試行錯誤しているわけですよ。私は、調べなかったことも問題だけれども、それ以上に、調べもしてなくてわからないのにそんな断言をしないでいただきたいということをもう一度申し上げておきたいと思います。

 それから、今の屠殺解体処理の適正化の問題なんですが、この十八日から屠殺解体処理の適正化としてやるのが、屠殺時のワイヤによる脳、脊髄の破壊。これは本当は、ワイヤ挿入によって脳とか脊髄が肉の部分に、可食部につく可能性がある、異常プリオンが付着する可能性がある。だから、本当は消毒を一頭ごとにした方がいいんだけれども、消毒は不可能だということが一つありますね。消毒は不可能だから、これは中止した方がいいんだけれども、中止も不可能だ。だから、やはりワイヤによってまず脳、脊髄を破壊して殺してから解体作業に入る。

 ただし、この方法でワイヤの長さを脊髄に届かないようにするというふうな検討も、厚生省の方で、この十月十一日ですか、時点でもされていたようですが、そういう方法じゃなくしたんですね、結局最終的には。そうですね。結局ワイヤが脳とか脊髄に届いて付着してもいい、付着してもそれを全部洗い流すからいいんだと。きれいに洗い流す、そういう方法を十八日からやるということですね。

尾嵜政府参考人 お話しの長さの問題は、私どもの頭からは外しております。議論はいたしましたが、そういうことでは問題の解決にはならないという話でございました。

 それで、今御指摘ございましたように、ワイヤを挿入して脊髄を破壊するわけでございますが、基本的には、こういったことをやめていただけるのであれば、アメリカに輸出するところが国内に三カ所ございますが、そういったところではこういったことをやっておらないというものでございます。そういうことから、ここに書いてありますように、衛生上の観点からは中止することが望ましいというふうに私どもは第一に考えているわけでございます。

 ただ、そういった際に、従業員の方に対します影響と申しますか、事故の問題がございますので、そこのところは現場は非常に御心配なさっているということをじかに聞いておるわけでございます。

 そういった中で、こういったことをやる際には、引き出します際には、肉がどうこうというよりは、頭の穴から若干脳組織が出てくるということがあり得るということでございます。そういうことで、そこの付着した部位については、はがしていただきまして、すべて焼却をするようにというふうに指導をするという考え方でございます。

筒井委員 そういうふうにワイヤの長さを変更するなんということはやめたというのは、それはそれでいいのですが、それで大丈夫かどうかという心配はありますが、しかし、十月、今月の十一日付の厚生省の書面では、ワイヤの長さを変更するというふうな方針が記載されている。これは案だったのかもしれないけれども、しかし、書面として記載されている。だから、もう本当のこの直前ですよ。どういう形で適正な屠殺解体の方法をとるか、この検討を最終的に、今まさに、もう今決まったばかりという感じですね。これも遅過ぎるんですよ。もう以前からこれは指摘されていたんだから。屠殺解体の処理の過程で異常プリオンが肉に付着する可能性があるよ、これをちゃんと変えなきゃいかぬよと以前から指摘されていたのに、ずっとそれをほっておいて、今になって、直前になってこういう方法だああいう方法だと検討していること、これ自体が遅過ぎると私は思うんですよ。

 結局、だから最終的には、今のワイヤの点に関して言えば、十八日からこの新たな屠殺解体の処理の方法をとるというふうにしたわけですね、十八日から。

尾嵜政府参考人 全頭検査に合わせて実施をしてほしいということで、この内容を都道府県の方に通知をするということでございます。

筒井委員 それは、背割れ方式に関しても同じですね。背割れ方式、フランスが来年の一月一日からどうも導入しようとしている、吸引機によって背割れの前に事前に脊髄を除去する、こういう方式は、今厚生省はそれは検討中だと。当面は脊髄が入ったまま背割れをして真ん中から切って、そして、たとえ付着したとしてもそれはきれいに洗浄して洗い流すんだという形の徹底も十八日からやるということですね。

尾嵜政府参考人 背割りの関係につきましては、枝肉の汚染防止の措置として、何点か対応していただくということで書いておりますのは、一つは背割り時ののこくずの回収、焼却をしていただくということ、背割りの金のこの一頭ごとの洗浄消毒、高圧水によります枝肉の洗浄、それとその後の脊髄の除去の徹底をしていただく。また、これはなかなか熟練したわざが要るように聞いておりますが、脊髄を避けて切断をするというふうなことも可能なところがあるようでございます。ただ、それは技術を要するということでございますが、こういったこともできるのであれば対応を考えてほしいという内容を整理しております。

 それと、御指摘のございましたフランスの方の体制についても、私どもも向こうの方から資料を取り寄せて承知をしているわけでございますが、そのものにつきましては、脊髄を吸引するという方式を来年の一月から法的に実施をするということを聞いておりまして、その機械につきまして、日本の方で、現場でどういうふうな状況で使えるのか、あるいは現場の対応が可能なのかというところを、できるだけ早く現物を日本の方に持ってきまして現場で使っていただこうということを検討しているところでございます。

筒井委員 それは、吸引法については今後検討するでいいのですが、背割れ方式について続けて、しかしきれいに洗浄する、切断する際も水をかけて、それからその後も厳密に、今熟練が必要だと言われましたが、食肉についていないかも厳密に見て、そして洗い流す、これを十八日から実行するということですね。

尾嵜政府参考人 そのとおりでございます。

筒井委員 そうすると、十八日以前に屠殺された牛の肉は、そういう体制がとれていなかったのですから、安全という断言はできませんね。

尾嵜政府参考人 現場では、消毒については、基本的には一頭ずつの消毒をするようにという指導は以前からやっておるところでございまして、実際にやられておるということでございます。あるいは、高圧水によります枝肉の洗浄、そういったものもやられておる。

 背割りのときののこくずの回収なり焼却というところが現場ではとられておらない。これはイギリスでとられておる措置でございますが、そういうことを今回新しい中身としてひとつやっていただくようにということで示しておるわけでございまして、ほかの項目については、これまで全くやっておらないという内容ではございません。

筒井委員 私の質問に答えてほしいのですが、今度の十八日からやる食肉処理における特定危険部位管理要領においても、「とさつ、解体等の手順、衛生管理等を大きく変更する必要がある」。まさに、先ほど言った体制を十八日からとるわけですから、その上で安全宣言ならこの点ではわかりますが、その以前はそうではなかったわけですから、安全とは決して言えないのではないですか。その以前に、十八日以前に屠畜された牛ですよ。

尾嵜政府参考人 これにつきましては、基本的には予防的な措置という考え方でございまして、肉そのものが、それではそれをやらなかった際にすべて御指摘のように問題があるのかどうかというところについては、洗浄するとかそういうことはやっておるわけでございまして、厳密にどういう状況かというふうなことについては、おっしゃるとおり、わからない部分がございますが、そういったものが人にすぐに影響があるというふうな考え方にはならないんではないかというふうに思っております。

筒井委員 今言われたように、現実によくわからないところがあるんだと思うのですよ、実態は。そういう肉に対しても安全だと言って、それも含めて安全宣言したって、やはり消費者は信用しないでしょう。

 大体、今までのこういう屠殺解体の方法が、それで安全ならば今度改めて大きく変更する必要はないんですよ。大きく変更する必要があるというのは、厚生労働省自身が言っているのですよ、書面で。それはわかるでしょう。

 そうしたら、安全宣言を出すならば、それまでの、十八日前の屠殺された肉に関しては、これは別の処分をしなくてはいかぬのじゃないですか。大臣どうですか。それでなければ、それも一緒に流通したら、安全宣言を出した以降の肉だって消費者は余り信用しないですよ。

坂口国務大臣 お答えいたします。

 一応、十七日からでございますけれども、屠殺いたしますものは三十カ月以内ということにしたわけでございます。これも科学的な話でございますから絶対ということは言えませんけれども、しかし、ヨーロッパにおきましても、三十カ月以内のものはこれは大丈夫ということになっておりまして、現在出回っておりますものは、したがいまして、三十カ月以内の若い牛ということに多分なるんだろうというふうに思います。

 その部分が今出ているわけでございますから、今までのように三十カ月以上の非常に危険な年齢のものが出回っておるというのとは、これは意味は少し違うというふうに私は思っておりますけれども、そうではなくて、現在出回っているものも、少しそれはもう、それでは十八日から宣言をするんだったら、すっかりこれはきれいにしたらどうだという御意見があることも事実でございまして、今先生御指摘になりましたようなことで、十八日までのものは全部きれいにするということで、これは厚生労働省の方よりも、これは農林水産省の方でございますけれども、話が進んでいるようでございます。

筒井委員 今の農林水産省の問題だという意味がよくわからないけれども、屠畜された牛は流通過程にもあるわけですね。これは厚生労働省の問題じゃないですか。

 それと、今三十カ月以下の牛だから安心だと言われましたが、イギリスで二歳以上の牛がいっぱい発症しているでしょう、二十四カ月以上の牛が。三十カ月以下のやつは安心だなんて全然言えないんじゃないですか。もう一度答弁お願いします。

尾嵜政府参考人 三十カ月齢以下につきましては、ゼロではございませんが、出ておるのはごく少数でございまして、先生おっしゃるように、たくさん出ているという状況ではございません。

筒井委員 ごく少数といったって、ごく少数だからいいという今趣旨ですかね。イギリスで全部で十八万頭狂牛病が発生した、これだって実態はもっと多い、百万頭ぐらいだと言われているぐらいですから、そのうちのごく少数、例えば一万頭でもごく少数と言っているのかもしれないけれども、たとえごく少数でも、全部、念には念を入れて安全だという体制をとらない限りは、何%かは心配ですよと言ったら、消費者はそれは安心するはずがないじゃないですか。

 大体、そういう方法をとっているのですか。パーセンテージが、確率が低いからいいんだというふうな厚生省はそういう対応をしているのですか、大臣。それから、今の問題は、これは農林省の問題だけではなくて、厚生省の問題でもあるという点もお答えください。

坂口国務大臣 そこは、流通過程にありますものは、厚生労働省のいずれにしても所管でございますから、それはそのとおりでございます。

 これも含めまして、十八日以前のものは処理をするという方向で現在進んでおります。

筒井委員 十八日以前に屠畜された牛は処理をする方法で進んでいるというお答えですが、その処理というのは国が買い上げるということですか。具体的にはどういう形ですか。

尾嵜政府参考人 大臣が申し上げましたのは、御質問がございました、十八日以前の肉をどうするかという御質問に対するお答えでございまして、屠畜場の牛のことを言っているのではございませんで、流通している肉についてどうかという御質問に対するお答えでございます。

 その中身は、肉についてはそれを買い上げるというようなお話が既に報道されているようでございますが、出ておるのは、昨日出ておるという状況でございまして、今政府の中で検討しておるというふうに聞いております。

筒井委員 もう、あした安全宣言を出されるのなら、それもはっきり決めて出さなければいかぬので。

 今も検討している、大臣はどういう方向でそれは検討しているのですか。

坂口国務大臣 ここはまさしく農林水産省と厚生労働省とで検討しなければならない問題だというふうに思いますが、全量買い上げということで話が今進んでいるというふうに聞いております。

筒井委員 この解体処理の過程の問題なんですが、千葉の狂牛病の牛がなぜ肉骨粉に加工されたのか。頭部は焼却されたようですが、それ以外は肉骨粉に加工された。

屠畜場の問題ですから、これは厚生労働省の責任でもありますね。

尾嵜政府参考人 千葉のケースについての経緯を若干申し上げますと、その牛につきましては、御指摘のように屠畜場の方に参ったわけでございますが、屠畜場のと畜検査員、獣医師でございますが、その診断は敗血症という診断でございました。そういうことで、御指摘のようなBSEを疑うような診断をしておらない……(筒井委員「経過はいいです、もう時間がないので」と呼ぶ)そういう診断でございまして、廃棄ということに決定をしたわけでございます。

 その際に、その脳の部分を、県の方を通じまして動物衛生研究所の方に、県の家畜衛生研究所の方が欲しいということで来られまして、お渡しをし、それが最終的には動物衛生研究所の方に行って検査がされた。結果的に疑いが出た、検査の結果疑いが出た。タイムラグがございますが、その間に両者とも、検査結果を連絡するまでとめ置くというふうな意識がなかったというのが事実でございまして、屠畜場の方では敗血症ということで、全くそういう疾患を疑わなかったということで敗血症としての処理をしたということでございます。

筒井委員 大体、厚生労働省は、一九九六年にと畜場法施行規則を改正して、屠畜場においてBSEの罹患の有無を生体検査により診断しているところだと。本年、ことしの五月より、欧州等におけるBSEの多発等も踏まえ、我が国におけるBSEの状況を確実に把握するため、精密検査によるサーベイランスを開始したところです。こういう体制をつくっていたのでしょう。

 こういう中で、千葉の狂牛病の牛が肉骨粉に加工されていた。しかもここには、回腸、小腸の一部の部分、危険四部位のうちの一部が入っていますね、頭部は焼却されたかもしれないけれども。危険四部位の一部も入って肉骨粉に加工されて流通されていた。これは厚生省の責任はないのですか。

尾嵜政府参考人 私どもの方では五月からサーベイランスをやりまして、その際に、神経症状があっていわゆる狂牛病が疑われる、そういう神経症状があるものというふうなことでサーベイランスの検査の対象にいたしておりました。

 それについて、今申し上げましたように敗血症ということで、そのサーベイランスの検査をしていただく対象にはならないという判断を屠畜場のと畜検査員がしたということでございます。その判断がどうであったかという議論はあろうかと思いますが、敗血症という診断については、その解体の状況から見て、間違った診断ではないのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。

 後の段階から見まして結果的に、検査の結果そういうふうに出てきた、疑いがあるということを考えますと、今の時点でその判断がどうであるかという議論はあり得るとは思いますが、敗血症という診断をした限りには、それ自体を非難するといいますか、問題かどうかというのはなかなか難しい点ではないかと思っております。

筒井委員 それはおかしいのでね。当時、狂牛病についての意識が全くなかったということを前提にすれば、あの症状だと敗血症だというふうに診断するのも無理はなかったと言えるのかもしれません。しかし厚生省はもうずっと、何年も前に、十五年も前に狂牛病が発生して以降、こういう監視体制をとっておりましたというふうに言っているでしょう、これも文章で。

 こういう監視体制をとっていた中で、もしそれが事実とすれば、これは神経症状が出たのだから、それを敗血症と診断したのは間違いでしょう。厚生省はそういう体制をとっております、おりましたというふうに言っているのだけれども、実際はとっていなかった、狂牛病が出るなんて思いもしなかった、だからこういう結果になったんじゃないですか。

坂口国務大臣 私も、その経過というものをずっとチェックいたしております。今御指摘になりましたように、なぜそのところがうちのところで通過してしまったのか、大変私も問題を持った次第でございます。

 そしてそこをチェックしてまいりますと、屠畜場に入ってまいりますときに既に敗血症という診断で入ってきたことも事実。そして解体をいたしましたら、筋肉、肝臓、リンパ腺と、非常に炎症症状を示しておりまして、そして敗血症があったことも事実。

 それで敗血症としてその牛を処理したというところに、敗血症もあったけれども、しかし、ほかの病気もあるかもしれないという、そこが抜けていたと申しますか、そこが厚生労働省の責任としてはあったというふうに私は思っております。

筒井委員 時間が来たので、最後に一つだけ。

 厚生労働省と農林省自体が認めているのですが、今回消費者の間で不安が大きくなったのは、焼却処分されるべき牛が飼料原材料に処理されていたことが大きな原因です。まさに今大臣が認められた責任が今度の不安を非常に大きくしたのです、消費者の不安を。これが今度の騒ぎを非常に大きくした。

 これは農林省にも責任がある。農林省と厚生省の責任だと思います。この責任についてもう一度最後に答弁いただいて、私の質問を終わります。

坂口国務大臣 農林水産省の方で検査をされたその結果がBSEの疑いであるという、そのことがこちらに連絡の来るのも遅かったことも事実でございます。そのときには既に、連絡をいただいたときには既にその解体が進み、そしてその内臓が肉骨粉となって出荷されてしまったということも事実でございますが、その前に、やはり私の方もそういう体制を整えているわけでありますから。それで、現在までに、そういう症状のあるものにつきましては七十数例、今までにいろいろの検査をいたしておりまして、そして大丈夫かどうかのチェックもして、今までのところは幸いにして陽性のものは出なかった、そういうこれまでのものもあるわけでございます。

 ですから、皆チェックはしていたわけですけれども、今回の場合に敗血症という診断で入ってきて、そして事実、それをあけてみたら敗血症だったものですから、もうその病気だけというふうに限定してしまったところにこちらの間違いがあったと申しますか、そこが今回の騒ぎに結びついていった。だから、一つの病気があっても、ほかの病気がそこになおかつ介在しているということをこれからは疑っていかなければならないということを内部でも言っているところでございます。

筒井委員 終わります。

鈴木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。家西悟君。

家西委員 よろしくお願いします。

 まず冒頭、昨日、テロ対策法案が委員会の方で採決されましたけれども、それに関連してお伺いしたい点が防衛庁にもございますので、お答えいただければと思います。

 今回の支援については、医療支援ということもうたわれているわけですけれども、そうなったときに、医療支援ということになると、やはり私は、何も医師とか看護婦、そういったものだけでは済まないと思うわけですけれども、具体的には血液、血液製剤といったものも必要かと思います。こういったものについては防衛庁としてどういうふうに確保されるおつもりなのか。それは厚生省にお願いして確保するおつもりなのか。一点、お聞かせいただければと思います。

田中政府参考人 今後事態がどのように推移し、いかなる所要が生ずるのかなど、協力支援活動等におきます医療活動の具体的な内容が現時点では明らかでないことから、医療支援を行うに当たっての血液製剤の要否についても現段階では確たることを申し上げることは困難ではあります。

 したがって、現時点で、テロ対策特別措置法に基づきます医療支援におきまして、血液製剤の要否は不明ではありますが、今後、日本から輸送する必要が生じた場合には、必要に応じて厚生労働省に対しましても協力をお願いしてまいりたいというふうに考えております。

家西委員 ありがとうございます。

 私は、そうなるんだろうと思っています。地雷やそういったものがかなり多く埋められている現状を考えたときには、そういう支援も当然必要ではないかというふうに思うわけですけれども、そうなったときには、やはり血液、血液製剤というものは止血やいろいろな状況を考えたときには必要ではないかと思えてなりません。

 しかし、厚生省にここからお尋ねしたいわけですけれども、防衛庁からそのような要請があったときに、その血液製剤を供給できる見込みはあるんでしょうか。

 まず、第8因子製剤、血友病を中心として使われる第8因子製剤は、バイエル社のリコンビナント製剤が、全体の四四%供給がストップするという事態になっている、そしてアルブミンも今後どうなるかわからないというような状況の中で、どのように国内の血液製剤を供給していくのか。また、防衛庁からそういうような要請があったときにこたえられるようにしていくおつもりなのか、まず冒頭お聞かせいただきたい。

 そして、先週の土曜日、坂口厚生労働大臣は渋谷で献血の推進を訴えられたというふうにもお伺いしていますけれども、こんなことをやっていて本当に、この法律が衆議院、参議院として通り、いざ防衛庁が行かなきゃならない、行くというふうになったときに、出動するというふうになったときに、物がないというような現状にならないんでしょうか、お尋ねしたいと思います。

坂口国務大臣 問題点を今二つお挙げになったというふうに思います。一つは、防衛庁からそういう要請があったとき、いわゆるテロ対策としてのそういう第8因子製剤を初めとする血液製剤が必要になったときにどうするかというお話と、これから日本の国内においてその第8因子等が十分に供給されるのかという、二つお話あると思うんです。

 まず二番目の方をお答えしなければならないというふうに思いますが、今委員が御指摘になりましたように、アメリカからの供給と申しますか、アメリカからの輸入がストップする事態になりまして、そして、今までからこれは言われていたわけでありますけれども、国内においてこの第8因子を安定的に供給できる体制をつくらなければならないということでございます。幸か不幸かこういう事態が訪れたものでございますから、国内において供給できる体制をこの際に確立をしなければならないというふうに思っております。

 現在不足しているわけではございませんが、しかし、現在の献血量全体から考えますと、この第8因子製剤を安定的に供給をいたしていきますためには若干足りない。もう少し成分献血のいわゆる献血者をふやしていかないといけないという現実がございます。それで先日も渋谷で道行く人たちにお訴えを申し上げたわけでございますが、これからひとつこの第8因子製剤を国内で供給できる体制をつくり上げていかなければならない。

 今、七万四、五千といいましたか、七万四、五千人ぐらいの成分献血を九万人ぐらいにふやしていかなきゃならないというふうに数字は言われたというふうに思っておりますが、少なくともそのぐらいにふやしていかないといけないということがございますので、赤十字を中心にして、これは国も頑張らなければなりませんが、鋭意ひとつそういう体制をつくり上げていくように努力をしたいと思っております。

 それから、最初の方にお尋ねをいただきました、テロ対策等の問題で、外国への支援の中でアルブミンですとかそういう血漿製剤を要求されたときにどうするかという話でございますが、これは、いわゆる国内で必要量というものは当然賄っていかなければならないわけでありますから、それを確保した後、余分なものが一体あるのかどうか、余分に提供できるものがあるのかどうかということに尽きるというふうに思っております。

 その中で、今委員がお挙げになりました第8因子製剤は、なかなかそんな余裕はないというふうに私は思っております。その他の薬剤につきましては、国内において十分足りているものもあるわけでございますから、そうした面につきましては、協力すべきものは協力しなければならないのではないかというふうに思っている次第でございます。

家西委員 ぜひとも、私は非常に心配しております。国内シェアの四四%がなくなるような状況で、ましてや、こういうテロ対策で支援、しかも防衛庁がそういうふうに言われたときにはそれにこたえていかなきゃならないのが現状だと思います。にもかかわらず、今から献血を呼びかけていって需給体制を整えていくというのは、余りにもお粗末じゃないのか。

 この問題というものは、一九七五年から閣議決定をされたり、その後もWHOも勧告を出したりしていますし、ましてや薬害エイズの問題が起こった以降も国内自給ということが声高らかに叫ばれ、私も委員会で五年余り、国内自給をということも言いましたし、いろいろな場面でも申し上げてきた。しかし、何ら対策を講じてこなかった。後手後手に回っているのが現状ではないんでしょうか。

 こういったことをせずに、今こういう法律が通って、さあ行かなきゃならないとなったときに、何をやっているんだと言わざるを得ない。ましてや品薄状態になってきたときに大慌てをするでは、やはりおかしいんではないのかなというふうに率直に思えてなりません。また、血液問題に関しては、坂口厚生労働大臣は専門家でありますから、当然その辺のことをお考えいただいてきたわけですけれども、現状としてはなかなかほど遠い話になっているんではないかというふうに私は思います。

 それはそれとして、安定的に供給をしていただきますようお願い申し上げておきたいと思います。

 それと、次に申し上げるのは、やはり狂牛病の問題に関連してですけれども、狂牛病がイギリスから発生したときに、厚生省は輸入業者に輸入自粛を要請しておりますが、これは一九九六年の三月二十六日ですね。

 当時の保健医療局長は、公衆衛生審議会難病対策部会の席で、国民は今、O157に関心が引かれていますが、これからはヤコブが再度にぎやかになるのではないかと思いますと発言し、つまり、後にこういう問題が多く発生するだろうということを、九六年の段階で公衆衛生審議会の場で局長が言っているわけですよね。それ以降どういう対応をとってきたのか。

 そして、厚生省は非常に狂牛病に対して関心が強かったんじゃないですか。にもかかわらず何もしてこなかったということについては、いかがお考えになられるんでしょうか。ぜひともその点お伺いしたいと思います。

尾嵜政府参考人 一九九六年のお話でございましたが、そのときに当時の厚生省が対応いたしました内容について御説明を申し上げます。

 今先生から御指摘ございました、英国産の牛肉及び加工品等の輸入自粛を指導したのが一点でございます。

 同時に、国産の食肉等につきましては、同年四月に、と畜場法の施行規則を改正いたしまして、臨床症状等の検査の対象に牛海綿状脳症というものをつけ加えたところでございます。

 また、医薬品等につきましては、同年四月に、英国産の牛原料等の使用を禁止する措置を講じております。

 また、我が国におきます変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者の発生動向を明らかにするために、同年五月に、クロイツフェルト・ヤコブ病等に関する緊急全国調査研究班を設置し、調査を行ってきたという状況でございます。

家西委員 その全国調査というものは、いまだに継続されているんですか。年何回ぐらい行われてきたんでしょうか。

下田政府参考人 厚生労働省におきましては、一九七六年、昭和五十一年でございますけれども、その時点から、クロイツフェルト・ヤコブ病に関します研究を進めてきておったところでございます。

 御指摘の一九九六年、つまり、牛海綿状脳症と変異型クロイツフェルト・ヤコブの関連が指摘された年でございますが、それ以降も、病態の解明等を目指しまして、研究費等も増額し、継続的に活動を続けておるところでございまして、平成十二年度におきましては全体の会議を四回開催いたし、実施をしている段階でございます。

家西委員 平成十一年度に四回ですか。

下田政府参考人 失礼いたしました。活動状況につきましては、平成十二年度、四回開催したということでございます。

家西委員 今まで何回されたんですか。

下田政府参考人 済みません、ちょっと資料がございませんが、最近では大体年四回程度会議を開いているというふうに承知をいたしております。

家西委員 昨年で四回ということは、同じように四回されてきたということでいいんでしょうか。それとも、そうじゃなくて、去年とかその辺になって、近々になって会合を急遽持たれているんですか。

 発足されてから今まで何回やっているというのは、それは今資料がないというふうに言われますけれども、そんなものだったんですか。その程度の認識で来たということと認識してよろしいんでしょうか。

下田政府参考人 昭和五十一年以来何回やったかにつきましては、大変恐縮ですがトータルの回数はわかっておりませんが、最近につきましては、先ほどから申し上げておりますように、年四回程度会議を開催し、情報の交換、研究成果の発表等々を行っておるということでございます。

家西委員 それでは、具体的にもう一点お聞きしたいと思います。

 一九九七年の三月二十四日から二十六日にジュネーブで開かれたWHOの伝達性海綿状脳症専門家会合の新勧告について、厚生省はプレスリリースを行っています。その中で「牛を原料とした医薬品及び医療用具の製造は、可能な限り避けるべきである。」と四年前に既に発表しているわけですけれども、ことしに入って厚生大臣が同様のことをまた発言するというのはどういうことなんでしょうか。四年前のことをもうお忘れになられたんでしょうか。お尋ね申し上げます。

 見せましょうか、ここにありますけれども。

坂口国務大臣 今先生御指摘のお話は、平成九年、一九九七年の、WHOの医薬品等に関する伝達性海綿状脳症専門家会議の勧告でございますね。(家西委員「ええ」と呼ぶ)はい、確かにそのとおりでございまして、平成八年三月の英国でのBSEの大量発生及び人への感染の可能性に関する報告を受けたところでございます。平成八年の四月の時点におきまして、英国産の牛等由来の原料の使用禁止、それから、英国産以外の原料につきましてもBSE発生群と関係のない牛等に由来する原料への切りかえ等の措置を講じたところでございます。

 私が去年の十二月に申しましたのは、これは、今までのものは英国に限定される場合が多かったわけでありますけれども、ヨーロッパ全体にそれが広がってきたという経緯がありますので、狂牛病が広がりましたその国々、危険性のあります国々すべてに対して輸入禁止にするということでございます。

 それは、薬剤につきましても、それからその薬の材料につきましても同様のことを申しました。そして、化粧品につきましても、その材料につきましては輸入禁止という方向で昨年の十二月に出させていただいたところでございます。

家西委員 今大臣は英国というふうに言われましたけれども、この勧告では、「牛を原料とした医薬品及び医療用具の製造は、可能な限り避けるべきである。また、同様に、TSEを自然に発症するような他の動物種についても、代替する原料品としての使用を避けるべきである。」ということまで具体的に言っているわけですね。

 そして、「牛を原料とすることが避けられない場合には、BSEの出現率が低いかあるいはないことが有効な牛の防疫監視システムにより確認されているとともに、材料の収集段階で混入の可能性が最小限に維持されている国を生産国とするものとすべきである。加えて、可能な限り病原体の不活化・除去工程を行うべきである。」ここまで具体的に述べられているわけですけれども、その点はどうなんでしょうか。

坂口国務大臣 先ほど私が申しましたように、昨年の十二月、平成十二年の十二月に、欧州でのBSEの拡大を踏まえまして、EU特別農相理事会が決議したこともございまして、同月、十二月から、BSE発生国またはBSE発生リスクの高い国を原産国とする原料の使用禁止、それから、原産国にかかわらずBSE発生リスクの高い牛の部位の使用禁止、この二つを昨年の十二月に実施したところでございます。

家西委員 昨年ということは二〇〇〇年ですよね。これを言われているのは九七年です。三年間何していたんでしょうか。

宮島政府参考人 時間的な経過を追いましてちょっと御説明申し上げたいと思いますが、平成八年三月に、御承知のように、イギリスで大量発生し、人への感染の可能性があるという報告を受けまして、当時のいわゆる薬事審議会の伝達性海綿状脳症の特別部会にこれを諮りまして、平成八年四月の時点におきまして、先ほど大臣から申し上げましたように、一つは、英国産の牛の由来原料の使用禁止という措置と、二つ目には、英国産以外の原料についてもBSE発生群と関係のない牛等に由来する原料への切りかえという措置を行ったところでございます。

 その後、先生御指摘の、平成九年にWHOの勧告が出されまして、この勧告につきましても、平成九年、薬事審議会の先ほどの特別部会にこのWHOの勧告を提示して御審議をいただきました。その部会の審議結果としまして、平成八年に行いました措置を踏まえて引き続き情報収集等をフォローするようにということで、特に追加的な措置の指摘はなかったわけでございます。当時はBSE問題が依然英国中心の問題であるという国際的認識を踏まえますと、WHOのこの平成九年の勧告は、平成八年に既にやりました我が国の措置と基本的に異なるものではないという理解のもとだったと思います。

 その後、平成十二年に、先ほど大臣から申し上げましたように、欧州の方で、BSEの拡大を踏まえまして、EUの特別農相理事会が対策を決議いたしました。それを受けまして、同じ十二月に、日本におきましても、イギリス以外のBSE発生国あるいはBSE発生リスクの高い国を原産国とする原料の使用禁止を行いますとともに、原産国にかかわらず、いわゆる危険部位の使用禁止という措置を講じまして、その時々の状況に対応した予防的措置を行ってきたというところでございます。

家西委員 いろいろ言われていますけれども、これは厚生省から私がいただいた資料です。一九九七年九月二十六日、血液事業対策課からいただいた資料の中に、「クロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアル」という本があります。厚生省保健医療局疾病対策課が監修した。

 中に動物由来とかいろいろ書かれているわけですけれども、この中に、スクレーピーが種の壁を超えて人にも感染する危険性が生じた、このため、英国のみならず各国で防疫対策が急務の課題となっているということが書かれています。そして、この後の方に出てくるわけですけれども、BSEが人に感染した可能性が濃厚となった、このことは、人畜共通疾患であるプリオン病が食物連鎖の面からでも問題になることを示唆しているということまで書いています。

 要するに、厚生省は、食物連鎖をするということまでうたっているわけですね。こういうことも含めて言われてきたのでしょうか。また、農林水産省に対して、自分たちの研究として、こういう調査をやってきた、こういうことを農林水産省に助言し、勧告を与えてきたのでしょうか。その点、お伺いしたいと思います。

下田政府参考人 ただいま御指摘のございましたマニュアルにつきましては、クロイツフェルト・ヤコブ病に対します診断、治療の向上や、医療機関におきます院内感染防止対策の徹底を図るために、当時の厚生省の研究班において取りまとめたものでございます。そのマニュアルでございますけれども、一九九七年一月に、都道府県あるいは全国の医療機関等に対して配付をいたしまして、その普及啓発に資したところでございます。

 なお、一九九六年、マニュアルができる一年前でございますが、その三月に既に英国政府の諮問委員会あるいはWHO等によりまして、BSEが変異型クロイツフェルト・ヤコブ病発症に関連をしているという報告を発表いたしておりまして、当時、農林水産省を含めました関係者の間でこうした情報は共有していたものというふうに考えております。

家西委員 では、あわせてお伺いしたいと思います。

 昨年の十二月十二日、それと二十六日に、厚生省医薬安全局長名で、「ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品等の品質及び安全性確保について」ということで、都道府県知事あてに、バイオテクノロジーでつくられるもの、また動物由来の細胞を使っているものの調査を要請されていますよね。これについて調査をお願いしたいというようなことを都道府県知事あてに出されています。

 そして、平成十三年三月までに自主点検を行い、実施の結果をまとめること、これはもうまとまっていますでしょうか。

宮島政府参考人 先生御指摘のように、昨年の十二月に、人または動物由来成分を原料として製造されております医薬品等の品質及び安全確保につきまして通知を出しました。

 その中で、各メーカー等業者につきましては自主点検をお願いしまして、その結果につきましては十四年三月末までに必要な一部変更承認申請等を行うようにということをお願いしております。

 まだその結果の集計はしておりませんけれども、三月末までに、今順次上がってきておりますので、そこの区切りのところでこれを集計して公表したいというふうに思っております。

家西委員 それでは具体的にお伺いしたいと思います。時間が余りないので、ここを言わないとどうしてもいけないので。

 リコンビナント製剤でノボセブンという血液製剤があります。血友病のインヒビター患者にほとんど使われる血液製剤ですけれども、これを生成する過程においてウシアルブミンが使われるというふうに聞いています。

 このノボセブンを初めリコンビナント製剤の安全性はいかがなのでしょう。これについて何らか調査結果というものは上がってきているんでしょうか。

宮島政府参考人 御指摘のノボセブンにつきましては、一つは、安定化剤としてのアルブミンというのは、調べましたところ、使用されていないということでございます。

 それから、製造過程では牛の血清が使われておりますけれども、血清自体は、今、牛の部位につきましてEUにおきまして四段階のリスクランクをつけておりますけれども、その一番下の四の段階で、一応リスクがないという段階に属しております。かつ、その原料の輸入先につきましては、ニュージーランド、カナダ、アメリカのものを使っておりまして、いずれも狂牛病発生リスクの低い国のものを使っているということが確認されております。

家西委員 低いというふうに、ニュージーランド、アメリカ、カナダと言われますけれども、その牛そのものの検査というのはどうなっているんですか。

 例えば、その牛は、アメリカやカナダ、ニュージーランドで、成体になってからの牛というものはそこで確かに成育したものかもしれないけれども、子牛の段階はどこだったのか、ひいては精子の段階ではどうだったのかというところまで調査されているんでしょうか。

宮島政府参考人 先ほど申しましたように、昨年の十二月に、いわゆる狂牛病の発生国等リスクの高い国の原料を使用しないようにという整理をしておりますけれども、そのもとは、EUの委員会におきまして、言うならEUの国際スタンダードとして整理されたランクづけ、リスク別の国のものを使用しているわけでございます。

 その中で一応、ニュージーランド、カナダ、米国というのはリスクの低い国という整理をされていますので、その国のものにつきましては一応使用を認めているという整理をしております。

家西委員 カナダは発生国じゃないですか。

宮島政府参考人 リスクの低い国という整理になっております。

家西委員 あわせて、もう時間がありませんので。

 昨年の十二月から急にどたばたやられているように私は思えてなりません。こういったヤコブに関する、ヤコブというかCJDに関して、厚生省は具体的な情報を得ていたのじゃないのでしょうか。今慌てておやりになっているというふうに思える節もありますけれども、早い段階から情報を得ていて、対策をとっておいでじゃないのでしょうか。私は、そう思えてなりません。

 薬害エイズの問題もそうでした。まず最初に、危険性はないのだ、安全だと言い続けておいでになって、調査班、全国調査を行うとかいうところから始まり、そして患者がいる、いないというところでもめ、そして抗体検査ができるようになって、多くが感染しているという事実がわかってきて大慌てになっていく。そしてその後は、何も知らなかった、何も情報はなかったということをしきりに国会でも言われ、社会に向かって、国民に向かって言われましたけれども、実態はそうじゃなくて、周知の事実であった。こういうような、情報を隠ぺいしているんじゃないでしょうか。私はそう思えてなりません。

 坂口大臣、ぜひとも、郡司ファイルにかわるようなものが厚生省に存在するのかないのかを、いま一度点検また調査をする必要が私はあると思いますが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 昨年の十二月でございますが、これは私が大臣に就任をさせていただいた直後でございますからよく覚えておりますけれども、そのときに、輸入をいたします医薬品等について、それをチェックし直そうじゃないかということを申しました。

 そのときに、今お話のございましたリコンビナントの話もその中で出まして、私がその中で、アルブミンが使用されているというふうに聞くけれども、そのアルブミンは大丈夫か、また、それを製造しますときにインキュベートするわけでありますが、インキュベートをするときの溶液は牛のものを使っていないか、また危険部位を使っていないか、その辺も全部チェックをし直してほしいということをその当時言ったことを覚えております。したがいまして、それらを全部チェックし直しているわけでございます。

 そうしたことで、昨年の十二月からいろいろとチェックをもう一度行いまして、そして、輸入禁止すべきものはするということを、手を打たせていただいているところでございます。

 その前にも、先ほど局長の方から話がありましたとおり、平成八年当時から肉とその他のものにつきましては手を打っていたわけでございますが、昨年の十二月に、そういうことで、さらにその範囲を拡大したということでございます。

 こうしたことをやりながら今日に至っているわけでございまして、特に昨年の十二月の時点で新しい知見がたくさん入ったとか、そのときまで何もやらなかったということではないというふうに思っておりますし、現在、オープンにしていない資料が厚生労働省の中にあるとは思っておりません。

家西委員 時間が来まして、積み残しの質問、かなりあります。答弁の準備をいただいたことには感謝申し上げたいと思いますけれども、この問題、私は、非常に多岐に及ぶし、根が深い問題だと思いますので、継続して、時期を見ながらまた御質問させていただきたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、山井和則君。

山井委員 本日は、三十分質問時間をいただきました。前半は医療制度改革について三問、後半は介護保険について三問、簡潔に質問をさせていただきたいと思います。坂口大臣、佐藤政務官、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、医療制度改革について九月二十五日に厚生労働省案が発表されましたが、そのことについてお伺い申し上げたいと思います。

 基本的に、この案については財政面が主であり、実際の改革や質の改善策というものが見えていないように思います。きょうは資料をお配りさせていただいております。この資料の中を見ていただきましても、実際、一ページ目のグラフになりますが、アメリカの例を見ても、一番国民医療費が高くなっているわけです、GDP当たりで。今、資料をお配りいただいていると思いますが。そういう意味では、今まででも十分に医療にお金がかけられているというふうに私は思っておりません。

 また、今回の小泉内閣の議論の中で、医療への民間企業の参入ということでコストダウンを目指されておりますが、実際、このグラフを見ましてもアメリカの医療費が一番高いわけでありまして、安易な民間企業の導入によるコストダウンというのは、私は方向性が間違っているというふうに思っております。

 まず最初の質問でありますが、自己負担アップについてはやはり問題が非常に多いと思います。

 なぜならば、今のこの不況、一つのスタートのポイントは、一九九七年に自己負担が二割にアップし、そして消費税が三%から五%に上げられた。老後の不安や雇用の不安、また医療や福祉への不安が一番重要な個人消費を鈍らせて、景気の足を引っ張っていると思います。また、自己負担がアップすることによって患者さんの受診が過度に抑制されますと、結果的には、早期の発見が困難になり、重度化したり、救急病院に運ばれたらかえって高くつくことにもなります。

 そういう意味で、私は、個人消費を刺激するという景気対策の意味からも、公共事業など削れる部分を削って、やはり医療の安心の部分はしっかり堅持していくべきであると思っております。そういうことこそが本当の構造改革ではないかと思います。

 そこで、本当にこの時期に自己負担アップをしてますます景気の足を引っ張ることにならないのか、また、しっかりと公共事業を減らして医療の質を担保していく、そういう改革の方向を目指した方がいいのではないか、そのことについて、坂口大臣にお考えをお聞かせ願いたいと思います。

坂口国務大臣 医療改革について御質問をいただきました。

 私も、この数カ月の間、医療制度改革につきましてさまざまな角度から検討をしてきているところでございます。今委員が御指摘になりましたその大枠のお話は私もよく理解のできるところでございまして、そうした経済状況も十分に勘案をしながら今回の医療制度改革に取り組まなければならないと思っている一人でございます。

 そして、現在厚生省の試案として出しておりますものは、どちらかと申しますと現在の制度の大枠をそのままにした形の中で、現在医療費が保険制度を初めとして非常に圧迫いたしておりますこの状況を打開していくためにはこういう方法しかないのではないかという一つの試案を出させていただいたわけでございます。

 それに加えまして、私の考え方として、もう少し大枠のところをどう改革していくかということも示させていただいたところでございまして、これらの問題を中心にして、これから年末にかけまして、皆さん方の御意見も十分に拝聴しながら、最終的なものをつくり上げていきたいと考えているところでございます。

山井委員 厚生労働省の改革案は、財政面に偏りまして、やはり国民からすると魅力に欠ける、どこが質がアップしているのかというのがほとんど見えてこないように思います。そういう状態での自己負担アップというのは非常に危険であると思います。

 その具体的な質のアップについて、二問目に情報公開についてお伺いしたいと思います。

 佐藤政務官にお伺いしたいのですが、患者の選択というふうなことが今回の改革案でもうたわれております。そのためには当然情報公開が欠かせません。情報公開によって悪い病院は淘汰されていくことが必要になってまいります。そのための情報公開をどのように進めていくのか。

 民主党は今、患者の権利法というものを、法案を議員立法で参議院に提出しております。その中でも、医療機関は、医師や医療従事者の氏名、人数、設備に関する事項、過去五年の外来患者数と医療の提供実績に関する事項などは書類で閲覧できるようにすべきとして、それができない場合には二十万円以下の罰金という罰則規定も設けて、情報公開を進めております。

 一番基本的なデータである、例えば医師や看護婦が何人いるのか、まずそれが基準を満たしているのかどうかという標欠病院の問題、そういうことすら公開は現在しておりません。情報公開の方向性について、またこういう標欠病院の公開について、どのようにお考えでしょうか。

佐藤大臣政務官 我が国の医療を一層質の高い効率的なものとしていくためには、医療に関する情報公開を進めなければいけないというふうに思っております。患者の選択拡大を図ることが重要であると考えておりまして、さきにお示しをいたしました、今大臣が申されましたような医療制度改革試案においても、重要な柱の一つとして位置づけているところであります。

 このため、カルテ等診療情報の開示の推進、医療機関の広告規制の緩和、質の高い最新医学情報を患者に提供するデータベースの整備など、医療に関する情報提供を推進してまいりたいと存じております。

 また、看護婦等々の標準の話でございますけれども、個々の医療機関における看護婦数などの充足状況については、各都道府県が実施した医療法に基づく立入検査により把握をされているというふうになっております。厚生労働省におきましては、これらの立入検査結果を全国集計し、基礎データとして活用しておりますし、集計結果については、これを公表しているところであります。

 なお、立入検査に基づいて知り得た情報についてはある程度慎重な取り扱いが必要であるということは理解をしておるところでありますが、立入検査自体、自治事務であることから、個々の医療機関における看護婦数等の充足状況の開示の可否につきましては、立入検査を実施した都道府県の判断にゆだねざるを得ないというふうに今のところ考えておるところでございます。よろしくお願い申し上げます。

山井委員 今の答弁を聞いておりますと、結局、患者さんにプラスになる実際の情報公開に関しては都道府県に任せてあるとか、そういうことで、実際には非常に遅々として進んでいない。にもかかわらず、自己負担のアップのことに関してはどんどん進めていく。そういうことが国民の信頼を得られていないというふうに思います。

 言葉だけではなくて明確に、今言いましたような看護婦さんやお医者さんの数というのは一番基本的なデータですから、こういうことはきっちり公開していく。そういうことによって、今までいろいろな病院をはしご受診してむだな医療費がかかっている部分も、最初からある程度比較情報がわかれば、はしご受診を減らすことができるわけですね。そういうところをこれから明確にしていっていただきたいと思います。

 もう一点、医療制度改革につきまして大きなポイントは、社会的入院、長期入院を減らしていくということであります。この医療制度改革試案の中でも、長期入院に係る医療給付のあり方を考えるということが出ております。具体的に言いますと、高齢の半年以上の入院患者に対して、診療報酬を引き下げ、自己負担をアップさせるという方向性が打ち出されているようです。

 私も、以前スウェーデンに二年間留学しておりまして、そこで老人福祉・医療を研究しておりましたが、日本と余りにも違うなということを感じました。一言で言えば、日本では、介護施設や在宅で暮らせるはずの人が、介護基盤の整備のおくれで病院に入っている。あるいは、スウェーデンで言えば看護婦さんが十分対応しているようなことに対して、日本ではお医者さんがやっている。そういう意味では、先進国の流れは、お医者さんと看護婦さんというのはパートナーとしてやっていく、可能な範囲で看護婦さんに任せていくという流れであるにもかかわらず、日本はまだまだお医者さんが多くをやらないと気が済まないという面があると思います。

 そういう意味では、介護でできる部分は介護主導でやっていく、看護婦さんでできる部分は看護婦さんにも任せていくという転換が必要であると思います。その点に関して、長期入院、社会的入院を減らしていくという方向性自体は、必ずしも入院が必要でない人が在宅や施設に行けるということはいいことだと思いますが、問題はその受け皿です。

 先日も私は、ある療養型の病院に行って、知り合いのおばあさんたちとも話してきました。みんな家に帰りたいと言っているのです。ところが、なかなか受け皿がないのですね。今の介護保険では、要介護四や五の人では在宅生活が十分にできない。あるいは、医療行為を必要とする方とか夜間の介護を必要とする人はなかなかその限度額ではできないというケースが多かったり、また老人ホームも足りなかったりします。

 ですから、ここは声を大にしてお願いしたいのですが、こういう長期入院患者の方を病院から出そうという方向性を出されるのであれば、受け皿とセットで提示していただきたいと思います。その点、受け皿ということに関してどうお考えか、お聞きしたいと思います。

坂口国務大臣 全体の大きな流れといたしまして、社会的入院というものは少なくしていかなければならないというふうに私も思っております。そして、社会的入院を減少させていきますためには、今御指摘のとおり、やはり受け皿というものが整備をされなければならないことも、私もよく承知をいたしております。

 今回、特定療養費制度の活用等によりまして、保険給付の範囲の見直し等もここに提案しているところでございますが、いずれにいたしましても、受け皿になりますところの充実をしますためには、先ほど先生が御指摘になりましたように、やはり看護とか介護といったものに対する役割分担をもう少し明確にしてあげないといけないということ、これも、実は私もそう思っております。

 したがいまして、現在の看護婦さんあるいは介護をする人たちに対しましても、ここはあなた方にお任せをしますよというふうにしなければいけない。すべて医師の命に従いというのがずっと続いているというのではいけないのではないかと私も思っております。

 ここは、各先生方との間でも意見が一致することがなかなか難しい面も正直なところあるわけでございますが、やはり看護婦さんにいたしましても、昔の看護婦さんと現在とでは教育程度もうんと変わってまいりましたし、大学卒業、大学院卒業の看護婦さんもたくさんおみえになるわけでございまして、そうした時代にふさわしい看護のあり方というものはもう一度検討し直すべきときに来ていると思っている次第でございます。

山井委員 この問題は、私、引き続き取り上げていきたいと思います。

 繰り返しになりますが、そういう受け皿がきっちり明示されていないのにお年寄りの方が病院から出されていくということは、本人にとってもよくないことでありますし、病院としてもそんなことは本当に受け入れられない。また家族としても、夜間の介護が必要であったり、あるいは褥瘡ができたり、たんの吸引が必要であったり、そういう医療行為が必要な方が在宅に戻っていっても、家族は受け入れられないわけです。

 老人ホームに行こうとしても、老人ホームは、都市部では一、二年待ち、もっと長くなっております。あるいは老人保健施設に行っても、そこでずっといられるわけではなくて、下手に入院をどんどん短くしていったら、そこから老人保健施設に行って、半年ぐらいして老人保健施設からまた病院に戻ってという、御存じのような、お年寄りのたらい回し、キャッチボールが行われるだけなんです。お年寄りにとってもよくないですし、医療費もそんなことで減るはずはありません。

 ですから、私はこれからもこの問題に取り組んでいきますので、ぜひとも受け皿を明確にしていただきたい。その受け皿なくして半年以上の入院を難しくするのは、極めて無責任だと私は思います。

 この点とも関係するのですが、次に、介護保険のことに移らせていただきたいと思います。

 少しわかりにくい議論ですので、この三ページ目に資料をつけさせていただきましたが、来年の一月から、訪問通所サービスと短期入所サービスの支給限度額の一本化ということが行われます。私も正直よくわかっていなかったのですが、多くのケアマネジャーさん、家族の方から相談を受けまして、この一本化がなされると、今までやっと在宅で持ちこたえていたのにもう施設に預けざるを得なくなるという悲鳴を、ケアマネジャーさんやホームヘルパーさん、御家族の方から聞かされております。

 簡単に非常に大ざっぱに言いますと、この三ページと四ページを見ていただいたらわかるのですが、今までは限度額いっぱい在宅で利用していた。それ以外に、ショートステイが別建てで利用できていたわけですね。ところが、来年一月からこれが一本化されて、確かに事務が簡単になっていい面もあって、方向性自体には私は反対しません。しかし、それによって、事実上、ショートステイもホームヘルプもデーサービスも、すべてが限度額の枠内に閉じ込められるということで、実際、利用されているサービスが減ってしまうケースが今続出しております。

 そこでお伺いしたいのですけれども、今まで厚生労働省さんとお話もしていたのですが、いま一つ、ぴんと、そういう問題の深刻さ、今現場でケアマネジャーさんや御家族が悲鳴を上げていられることを実感しておられないように思うのです。こういう一本化によって、どのようなケースがサービス量が低下して困られるのか、また、今介護保険を利用されているお年寄りの何%ぐらいがそういうマイナスを受けるのかについてお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

坂口国務大臣 今先生が御指摘になりましたことのどこまで私もお答えできるか、ちょっと自信がないんですが、そんなに余り具体的なことまで私もわかっているわけではございません。

 現在、訪問通所サービスと短期入所サービスが別々になっていて、これを十四年の一月から一本化することを決めていることは事実でございます。その際、現在の訪問通所サービスの支給限度額は、既に短期入所サービスも含めた標準的な利用形態をもとにして設定しておりますので、一本化をいたしましても、その後の支給限度額もこれと大体同じものとなるというふうに思います。

 そこのところを先生が具体的に、いや、現場ではそうではないぞというふうに言われますと、私もそこのところは少し自信がないんですけれども、しかし、今までの経緯からいたしますと、それでいけるのではないか、こう思っているわけです。

 これまでも標準的な利用形態を超えたサービス利用は想定しておりませんで、ケアプランを作成する際にも、訪問通所サービスの利用料は標準的な利用例を勘案して定めているということでございまして、料金等につきましては、一本化いたしましてもこういうところではないかなという気がするんですが、現実問題として、これを一本化して実現したときに現場で大混乱が起こる、あるいはこれによって全然使いにくくなるというようなことは今はそう想定はしていないんですけれども、しかし、もしこのことで具体的にこういうことだということがありましたら、もう少し詳しくひとつお話をいただければ幸いです。

山井委員 具体的に言いますと、今まで要介護五で三十五万円分全部使っていた。それ以外にショートステイを使っていられる方がいらっしゃるわけですね、今までは別建てですから。ところが、一本化されると、ショートステイも組み入れて三十五万が上限になってしまうわけです。そうしたら、サービスが減ってしまうわけですね。

 つまり、今まで限度額いっぱいを在宅で使っていた方、あるいは、老老介護で共倒れしかかって、ショートステイを使うことによって痴呆症のお年寄りの介護を何とか維持していた。そういう平均の利用はサービスの四〇%ですけれども、限度額いっぱい使っていられた方々がこれであふれてしまうわけなんですね。

 ですから、大臣がそういうケースは想定していないとおっしゃっているんですが、まさに現場の声を聞いてほしいと思います。私も三カ所聞いたんですけれども、ある事業所では四百五十件のうち八件、もう一つでは百件のうち五件、もう一つでは三百件のうち十五件、大体、僕の計算では四%ぐらいです。四%といっても、在宅サービスを利用されている百五十万人ぐらいの中でいうと、やはり四、五万人ぐらいになるんですね。

 まさに、厚生省さんがそこまで検討して大丈夫だと考えていられるんだったらいいんですけれども、その万という単位の方々が、この一本化によって在宅サービスが困難になる。それも、在宅で多くのサービスを使って必死になって歯を食いしばっていられる最も重度のケースがこれで在宅が困難になるとすれば、まさに在宅重視とおっしゃっていられる今の厚生労働省さんの方針に逆行しているのではないかと思うのです。

 ですから、ここで大臣に改めてお伺いしたいんですが、どういうケースでサービス量が低下するか。それに対して経過措置を検討する、そのようなことをぜひとも考えていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 計算の仕方はいろいろあるんだろうというふうに思いますが、これは先生からいただいたペーパーでしょうか、これの三ページを見てみますと、訪問通所として現在やっておりましたものは二万七千六百二十単位ということでございます。そして、短期入所の方は、一週間分として八千二百十単位でございます。今度これが一本化されまして三万五千八百三十単位というふうにするということでございますから、計算上の問題は私はそんなに問題ではないかという気がするのですが、今御指摘になりましたように、在宅介護というものをこれから続けていかなければならない、あるいは在宅介護をふやしていかなければならないというふうに言っているのに、在宅介護がこれで阻害されるというような事態になるというのであれば、それは私たちも、もしもなるとすればそれはどういうことなのか、その心配はないのかということは検討しなきゃならないと思います。

山井委員 前向きの御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 この表では二万七千となっていますが、実際、三万五千、デイとホームヘルプだけで使っていられるケースがあるわけですね。ですから、この表自体が実際は非常に不正確であるということを申し上げたいと思います。

 ですから、私も言っているのは、これから来年一月にかけて新聞もこの問題をどんどん取り上げ出しますし、実際一月になったらこの一本化で在宅サービスがだめになったというケースも続出すると思います。そうなってからでは遅いので私は今指摘しておりますので、ぜひとも御検討をいただければと思います。

 次に移らせていただきますが、介護保険の見直しで一番重要なことの一つが、再来年の四月からの介護報酬の見直しであります。

 その介護報酬の見直しを議論する社会保障審議会の介護給付費分科会のメンバーが先日発表になりまして、この二十二日に第一回の会合が行われます。それについて、私は正直言って、このメンバー、ここにリストを入れさせていただきましたが、非常に不満であります。

 なぜかといいますと、まさに今、坂口大臣もこれから在宅を重視していこうということをおっしゃっておられたにもかかわらず、最も介護保険のかなめと言われているケアマネジャーさんの代表がこのメンバーに入っていない。また、在宅福祉を最前線で支えるホームヘルパーさんの代表も入っていない。また、在宅サービスで痴呆症のお年寄りの切り札と言われているグループホームの関係者も入っていない。やはり、そういうふうな点で、言っていることとやっていることが違う。少なくともこのメンバーを見れば、在宅軽視なんだなというふうに私には受け取れます。

 その点について、どのようにこれから在宅の声を組み入れていくのか一点お伺いしたいのと、あと、時間も限られておりますので続きになりますが、この介護給付費分科会において経営の実態調査を十月からスタートされたと聞いております、ここにその資料もありますが。

 その中でお願いしたいのが、採算がとれているかどうかだけではなくて、十分な質のサービスが行われているかどうかもぜひともチェックしていただきたいと思います。なぜならば、基準の職員定員を満たさず、わざと人手を減らして黒字にしている事業所も私は数々知っております。ですから、もうかっているから介護報酬を上げなくていいということではないのです。

 例えば、昨年一年間で四百十六件もの転倒や骨折事故が老人保健施設で起こっております。やはり、こういう事故が起こっている。幾ら採算がもしとれていたとしても、やはりそれでは人手が足りないのではないか。そういうことでは、経営の実態、採算の部分とともに、どんなサービスが行われていくかもきっちり調べていただきたいと思います。

 そして、あわせて最後の質問になりますが、三月三十日の厚生労働委員会で、坂口大臣にグループホームの夜間の問題を質問させていただきました。グループホームで夜間に宿直でありながら夜勤並みの仕事をしているのは、労働基準法に当たるのではないかと私が指摘をさせていただきましたところ、坂口大臣からも、労働問題も所管しておる肝心かなめのところが法律違反をしているようなことでもいけませんから、そこは改善していかねばなりませんとの答弁をいただきました。

 つきましては、グループホームの夜間のことについて、今回の介護実態、経営実態調査で夜間のことも調べていただいているということで、ここに資料もありますが、夜間の間におむつ交換何回、トイレ介助何回、どんなことをしているかということが今回調査で明らかになります。でも、私の知り得ている範囲では、グループホームの半分ぐらいがこの行為を宿直でやっているわけですね。

 私も先日、五カ所、グループホームに行きましたが、その中の三カ所は宿直で、宿直でありながらも晩一時間、二時間しか寝られず、日勤と続けてやっているので二十時間ぐらい、睡眠一、二時間で仕事をしているという状況になっております。

 つまり、この調査結果が来年三月に発表になれば、その時点で、多くのグループホームが残念ながら労働基準法に違反しているんじゃないかというふうなことが明らかになるのではないかと私は心配しております。そういうことが明らかになったら、すぐにそういう違法状態を解消すべきではないかと思いますが、この点もあわせて、先ほどの分科会のメンバーについてとともに御答弁いただければと思います。

坂口国務大臣 たくさん御質問いただきましたので、抜けておりましたら御指摘ください。

 一つは、この社会保障審議会のメンバーの問題でございます。

 これは、あるいは委員に前回にも御指摘をいただいたかもしれないというふうに思っておりますが、中には、ホームヘルパーに関係いたします介護福祉士会の会長さんにも今回入っていただいたとか、それからケアマネジャーにつきましては、ケアマネジャーの何か正式な会というのがあるのかないのかよくわかりませんが、これに関連した学識経験者にお二人ばかり入っていただいております。したがいまして、実質的には、そのことをよく御存じの方にここにある程度お入りをいただいている。全体のメンバーの中でこれが多いか少ないかという議論は別にあるというふうに思いますが、しかし、そういう面で今までに比べますと内容を変えさせていただいたということでございます。

 それからもう一つの、これも前回に御質問いただきまして、介護事業経営概況調査ですか、これにつきましてはスタートをさせていただいたところでございまして、先ほど御指摘のように、宿直または夜勤別の勤務人数、それから夜間の介護行為の実施状況、例えば介護行為別の回数ですとか時間ですとかというようなもの、それからもう一つは夜間の職務に従事した時間。こうした、この前御指摘をいただきましたことも、きちんとここで掌握のできるような形で今調査を進めさせていただいているというふうに思っております。

 したがいまして、この結果が出ましたならば、その結果を十分に反映させていくように努力をしたいと考えているところでございます。

山井委員 この分科会のメンバーについてなんですが、確かにケアマネジャーさんやホームヘルパーに関係しておられる方は入っておられるかもしれませんが、例えば、老人ホームや老人保健施設や療養型病床に関してはしっかりとその団体の代表者を入れているにもかかわらず、そういうホームヘルパーやケアマネジャーさんをやっておられる方が入っておられない。そういう意味では、やはり、今の介護保険がこのままでいいのか、在宅で生活が非常に難しいではないか、施設志向になっているではないかという危機感、それを本気で改革していくんだというようなことが私は残念ながら感じられないんですね。ですから、そこは、今後の分科会の中で在宅が薄くなるということが決してないようにしていっていただきたいと思います。

 御存じのように、ケアマネジャーさんの調査によりますと、六割の人がやめたいと思ったことがある。先日も大阪でとうとう脳出血でケアマネジャーさんが倒れられて、その方が、過剰な勤務が原因だということで労災に認定をされました。また、一番多い割合で二四%ものケアマネジャーさんが五十件以上を担当している。やはりこういうことを一日も早く解消していかないとだめだと思っております。そういう思いは厚生労働省と同じ認識だと思っているからこそ、そういう声が本当にこの分科会で私は反映されてほしいというふうに思っております。

 また、グループホームに関してもそのような、宿直の状態で、睡眠一時間、二時間で日勤も合わせて二十時間ぐらいも働き続ける。先日も私、グループホームの職員さんに会ったら、この状態を何とかしてほしいということをおっしゃっておられました。こういう労働条件では十分なお世話ができない。そういうのがまさに介護事故などにもつながっていくと思います。安心してグループホームで介護ができるような状態にするように、この違法な状態が一日も早くなくなるような対策を講じていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、加藤公一君。

加藤(公)委員 民主党の加藤公一でございます。きょうは二点、ハンセン病問題の全面解決に向けての取り組みと、そして総合雇用対策についてお伺いしたいと思います。

 まず、ハンセン病問題の全面解決に向けてでございます。

 もう早くもあの熊本判決以来五カ月がたとうとしております。五月二十五日の総理大臣の談話の中でも、早期に全面的な解決を図ることが最も必要なことであると判断した、これを控訴断念の理由として掲げていらっしゃいました。

 しかし、先日の坂口大臣の所信表明の中で、この問題に対してはさらに施策の充実に努めるという表現だけだったものですから、私は若干不安になりまして、早期そして全面解決というキーワード、これが抜けていたことがちょっと不安なものですから、まさか、よもや大臣におかれましてお気持ちが変わられたことはないと思いますが、一刻も早くこの問題をすべて解決するための意思表示として、早期にというのは一体いつまでを指すのか、その御意思を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 ハンセン病問題につきまして、早期に決着をつけなければならないという所信に変わりはございません。

 ただ、今御指摘になりましたように、早期とはいつまでかと詰め寄られますと、早期もいろいろでございますから、そう期限を切って、今年いっぱいとかなかなか言いにくい問題でございます。と申しますのは、各分野につきまして、原告団の皆さんを初め元患者の皆さん方ともいろいろお話も詰めさせていただいておりますが、正直なところは、意見の一致を見るものもございますし、それからなかなか意見の一致を見ることが難しい問題もあるわけでございます。

 六月二十二日に公布、施行されましたハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律に基づきますところのこの補償金につきましては、既に二千四百七十九人に対する支給決定を行っておりますし、それから、訴訟にかかわられた皆さん方につきましては、二千百二名の皆さん方の和解が成立しているところでございます。ここは順調に進んでいるというふうに思っているところでございますが、そのほか、ハンセン病問題対策協議会やその分科会等におきまして、作業を進めているところもございます。

 特に、ハンセン病療養所の退所者との懇談も先日したところでございますけれども、この退所者の皆さん方に対してどうするかといったような問題はまだ残っているわけでございまして、しかし、これは予算とかかわるお話でございますから、年末までに決着をつけなければならない話であるというふうに思っております。

 ですから、予算とのかかわりのありますものにつきましては、やはり年末までに決着をつけなければならないと思っております。

加藤(公)委員 今、予算の関係するものについては年末までというのは、まさに私もそのとおりだと思いますので、これが先送りされることのないようにお願いをしたい。

 あわせまして、確かに、分野によっては、この十二月までということで期限を大臣のお立場で切れないというのはよくわかりますし、私も坂口大臣と議論というと何かにつけ締め切りを設定しているようで心苦しいんでございますが、別に私はそれを趣味としているわけではありませんで、時間的余裕がないということはもう大臣よく御存じのとおりだと思いますので、この予算編成に合わせて解決をしなければならない問題があるんであれば、できる限りほかの問題もそれに合わせて議論を進めていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 次なんですが、この全面解決、早期の方は今申し上げたとおりなんですけれども、全面解決ということになりますと、一つは、今おっしゃったとおり、退所希望者の方それから退所者の方、こうした皆さんが社会復帰をする、しかも自立して安心して生活できるようにするということが、一つ大きな柱だと思います。もう一つは、今後在園で暮らしたいという方もまた、今まで以上の生活環境が保障されてその療養所の中で安心して暮らせるという、この二つは非常に大きなテーマだと思っております。

 まずは退所者の方に関してなんですが、現在、協議会の方で、あるいは作業部会の方で議論が進んでいることは承知しておりますけれども、現在のところ、その退所者給与金について大きな開きがある、意見の開きがあるというふうに承っております。

 厚生労働省の案では、月額十四万六千円、この退所者給与金を考えているというふうに聞いておりますが、実際その金額で、長年強制隔離をされてきた皆さんが、そして、その中で職業教育が受けられたわけでもなく、あるいは親類縁者が多いわけでもなく、差別、偏見にさらされてきた皆さんが、果たして安心してこの社会で自立して暮らしていけるのかどうか。私はとてもそうは思えないんですが、大臣、この金額で本当に十分だとお考えなのかどうか、御意見を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 これも決着をつけなければならない大きな課題でございますが、先日も、皆さん方の御要望をお聞きしましたところ、月額二十八万円という数字が出ていたというふうに思います。それは高齢者の国民生活基礎調査をもとにしているということでございまして、それじゃ我々も国民生活基礎調査をもとにしてひとついろいろと計算をしてはどうかというので、いろいろの立て方を、議論の仕方をさせていただいているところでございます。

 この国民生活基礎調査というのは、もう委員も十分お聞きをいただいているというふうに思いますが、いわゆる一世帯当たりの数字でございまして、一・五七人でしたか、ちょっと私、正式な、十分でないかもしれませんが、一・五七人ぐらいの人数で二十八万ということでございます。したがいまして、これには税金もかかっているわけでございますから、税金をかからないようにして、そしてお一人当たりにしてどれぐらいになるかといったようなことをしていきますと、我々が今言っております案に大体近づいてくるわけでございますので、その辺のところを一体どうするか。

 御夫婦でおみえになります場合にはその倍額になりますから、三十万近くになるわけでございますけれども、お一人の場合に一体どうなのか、また、お一人の人が非常に多いということになればどうなのかという問題は、確かに、これだけで生活ができるかということになれば、都市部と田舎とによりましても違うだろう、地方とは違うだろうというふうに思うわけでございますが、そうした状況の中で、今進んでいますこの数字でございます。

 他の疾病との関係等も勘案をしければならないし、いろいろのことを横並びにもしながら、そして最終決断をしなければならない数字ではないかというふうに思っている次第でございます。

加藤(公)委員 先日も、九月の二十一日だったかと思いますが、きょうはお見えじゃございませんけれども桝屋副大臣に御参加をいただいて、退所者の方あるいは退所希望者の方と意見交換をしていただきました。そのときにも、副大臣からは、概算要求はあくまでも概算ですからという非常に含みのある御発言をいただいておりまして、あくまでも概算であるのであれば、十二月の予算編成に向けて大臣には英断を振るっていただきたいと思うわけです。

 今おっしゃっていたように、確かに、御夫妻でともに療養所にいらっしゃったという場合などであれば、無税でこの金額であれば意見に開きがないという考え方もあるかもしれませんけれども、そもそも、療養所にいらっしゃったのは御自身の意思ではないわけでありまして、これは裁判の判決は確定をして、行政府だけではなく、私たち国会議員もその責任を問われているわけです。強制隔離政策が誤りだったということはもう明白な事実としてあるわけですから、それを償う意味も含めて、本当に安心して自立した生活ができるようにということをぜひお願いしたいと思います。

 これがもしできませんと、確かに法律はなくなった、裁判でも勝った、しかし実質的にはその療養所から出られないじゃないかということになれば、これは半ば強制隔離政策が継続をしていると言われてもいたし方ないことになってしまいますし、そんな不名誉な国会ではありたくないと思いますので、ぜひ大臣には、この点、改めてお考えをいただきたいと思います。

 聞くところによりますと、十一月の十六日ですか、次の協議会が開かれるというような話を聞いております、ちょっとこれは正確ではありませんが。ぜひ、その四回目の協議会までに決着をいただけるように御調整をいただきたい。もっと前向きな金額を出していただきたいと思いますが、それに向けての御意思を一言大臣からいただきたいと思います。

坂口国務大臣 十一月の十六日にあるかどうかということを今私は知っておりませんが、いずれにいたしましても、その時期は大体予算等も決着をしなければならない時期ではないかというふうに思っておりますから、それまでの間、さらに検討すべきものは検討していきたいと思っているところでございます。

加藤(公)委員 ぜひよろしくお願いします。

 もう一方、先ほど申し上げました、在園で今後も生活をしたいという皆さんも当然いらっしゃるわけでありまして、その方々には今、二つ大きな不安があるのではないかと思います。

 一つは、終生在園で安心して暮らせるのかどうかということ。現在、法的にはその権利が明文化されていないんじゃないかと思いますので、それが一つ不安ではないか。

 もう一つは、これは従前よりこの委員会でも申し上げてきたことでございますが、看護体制として三交代になっていないものですから、体の御不自由な皆さんは、特に夜間、非常に不安を抱えていらっしゃる。非常に厳しい状況に追い込まれますと、朝方になったら倒れられていた、あるいは亡くなられていたという事案も出ているというふうに聞いておりますが、この二つも早急に改善をしていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでございましょうか。

坂口国務大臣 不自由棟の問題につきましては、私も、お邪魔いたしました園におきましては、できる限りこの不自由棟の問題についてお聞きをしてきたつもりでございます。加藤委員の地元にございます園にもお邪魔させていただきましたときにも、よくお聞かせをいただきました。

 それで、それぞれの地域でお聞きいたしますと、やはりそれぞれ若干思いも違うところもございます。それはなぜかと申しますと、不自由棟の設置場所といいますか、本当に一つの屋根の下で、そして廊下を挟んで両側にお部屋があるという形になっているところもございますし、全く一軒一軒青空を見ながら次の家に行かなければならないというような不自由棟もあるわけでございまして、そうした違いにもよるというふうに私は思うのですが、いろいろの御意見があったことも承知をいたしております。

 そして、それぞれの園の園長さんに対しましては、不自由棟の皆さん方のいろいろの御要望が多いので、それぞれの園で最も好ましい形は何かということをひとつ掌握してください、そして、それにできるだけ近い形での解決ができるようにこちらも努力をしなければならないと思いますといったことを言って、帰っております。

 したがいまして、それぞれの園で、どういう形態がいいか、どういうふうにするかというふうなことをいろいろと検討しているところでございます。

 既に改善されたところもあるやに聞いているわけでございますが、いずれにいたしましても、人をふやしたりしなければならないところもあるわけでございますので、全体の中でそれをどういうふうな形で、例えば看護婦さんであれば、看護婦さんでなければならないというところもございますし、中には看護婦さんでなくても介護さんでもいいというふうにおっしゃるところもございますし、そうしたこともあわせて検討をしていきたいというふうに思っています。

 最初の問題は何でございましたかね。(加藤(公)委員「終生在園保障の問題です」と呼ぶ)

 これは、元患者の皆さん方にお会いをして、いろいろお話を伺いました。その中では、やはりもう年齢が七十歳を過ぎている人が多いといったこともございまして、住みなれた、そしてまた多くのここの友達もできたこの中で、ぜひ生涯を送りたいとおっしゃる方もたくさんおみえでございました。

 その皆さん方に対しましては、最後のお一人になるまでここで生活を送っていただきますように私はお約束を申し上げますと言って帰っているわけでございますが、そんなことを言ったって、坂口はじきにやめてしまうではないか、もう少しきちっと法律か何かにしておかないと当てにならないではないかというお話もあるわけでございまして、それは私もそのとおりだとは思うわけでございますが、そこを、法律を変えるか、法律を変えるまではいかないまでも、それにかわるべき、何か皆さん方にこれならば安心をしていただけると言っていただけるような形が、どんな形にすればいいのかということは考えたいというふうに思っています。

加藤(公)委員 大臣が各園を回っていただいたときにも、早期解決に向けて全力を尽くす決意だというふうには言っていただいていると聞いておりますので、今の問題、ぜひリーダーシップを発揮していただいて、任せきりじゃなくてお願いをしたいと思います。

 では、残りの時間の方は、雇用対策、雇用政策についてお話を伺いたいと思います。

 まず、現在、失業率の方が五%をついに超えてしまっておりますけれども、この高失業率の原因について大臣がどう御認識をされているか、ぜひ簡潔に、ごくごく簡潔にお答えをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 完全失業率が五・〇%に達したといった状況の中で、八月に非常に特徴的でありましたのは、その中で、いわゆる非自発的失業者が最近初めて昨年の同月比に比較をして増加した。今までは自発的失業者がふえていた。非自発的のところは、前年同月比で見ると決してふえていなかった。しかし、八月はふえた。それからもう一つは、求人の方が、ふえてはいますけれども、サービス業でなおかつふえてはおりますけれども、ふえ方が非常に少なくなってきたという二つの特徴がございます。非常に全体としても、これは厳しくなってきたなという認識を持っているわけでございます。

 その原因につきましては、これは言わずもがなでございまして、現在のこの状況、そして最近特にテロ事件以後の状況を見ましたときに、今後これが悪化をしないという約束は何もないわけでございまして、一層悪化する可能性もあるわけでございますから、さらにここをよく認識をしていかなければならないというふうに思っております。

 それから、これは案外言われておりませんけれども、地域格差も非常に大きい。とりわけ近畿地方、これが六・四%ぐらいになっておりますし、それに北海道と九州が五・九ぐらいで続いているという、この地域格差もまことに大きい。ここにも手を打たなければならない、そんなふうに考えている次第でございます。

加藤(公)委員 今のお話ですと、どうも失業率が高くなっているのは需要不足だというふうに受け取れるんですが、さまざまなデータを拝見いたしますと、確かに需要不足の分がないとは申しませんし、経済状況が非常に厳しいのも承知の上でありますけれども、多くの失業の原因に、あるいは再就職を困難にしている原因に、ミスマッチというのが挙げられておりまして、それはもろもろの政策の中でも皆さんの方からも出されているわけです。

 そうしますと、ミスマッチの解消というのが、私のいろいろ調べたところでは全体の五分の四ぐらいがそれに当たるんじゃないかと思いますが、そうなりますと、その解消の方により力点を置いて施策を打つべきなんだろうというふうに思っておりまして、その観点で、先日発表された総合雇用対策を拝見いたしましたところ、一番最初に、新市場、新産業の育成というのが受け皿の整備として必要だということが大きな項目として出ておりました。その次にミスマッチの件が出ていた。順番はどうでもいいんですが、私、どちらかといいますと、そのミスマッチにこそシフトをして政策を打ち出すべきだろうと思っています。

 新産業、新市場の育成というのは、中長期的にはもちろん必要でありますし、将来にわたって今から始めなきゃいけないのは言うまでもないんですが、喫緊の課題としてそれに取り組んだところで、失業率が下がることは今現在考えにくいと思っています。だとすると、この政策よりは、直近でミスマッチを解消するストレートな施策を打つべきだと思うんですが、大臣、それについて何かお考えがあれば簡潔にお答えをいただきたいと思います。

坂口国務大臣 今後の雇用対策を考えますときに、中長期的な問題と、そして現在当面しておる問題と、両方やはり考えていかなければならないというふうに思っています。

 中長期的な問題といたしましては、どうしても、やはり新しい雇用を生み出していかなければならないわけでありますから、それは新産業の育成、ベンチャー企業の育成ということは忘れてはならないことだというふうに思いますし、とりわけ、日本の中はサービス産業がまだまだ少ないわけでございますから、サービス産業における育成ということも考えていかなければならないだろう。

 しかし、今お話しになりましたように、五分の四はミスマッチによるということはそのとおりでございまして、そのミスマッチの中身をどうするかということになってまいります。

 若年者の場合、特に三十四歳未満の場合には、いわゆる労働条件、とりわけ賃金によりますところのミスマッチというのが非常に大きい。そして、四十歳を超えてまいりますと、今度は年齢制限によりますところが大きい。それがトップにあって、そして、四十歳以上のところは次に賃金が来るということでございまして、いわゆる技能、技術のミスマッチのところに行くまでに大きな関門があって、そこでもうストップをしてしまうというケースも非常に大きいのではないかというふうに心配をいたしております。

 そうした意味で、年齢の方は、これは努力義務ながらスタートをさせていただいたところでございますけれども、本格的な技能、技術のミスマッチをどう打開していくかということに大きな力点を置かなければならないことはもう委員御指摘のとおりでございます。専門の委員でございますから、もうよく御存じのとおりでございますが、そこをどう打開するかということについて、やはりもう少し一人一人に時間を費やして、そのいろいろの御相談に乗るようにしないといけないんだろう。

 現在、ハローワークにはたくさんの方がお見えいただくものですから、どういたしましても、ハローワークの人間は一定でございますので、お一人お一人に対する時間が短くなってしまう。余計にうまくいきにくいということもございます。それでキャリアカウンセラーの問題も今度は入れたりいたしましたし、それから、民間の雇用問題に経験の深い企業等のお力も十分にかりなければいけないというふうに思っている次第でございます。

加藤(公)委員 今、くしくも、ハローワークで十分な転職相談、就職相談ができていないというお話でありましたけれども、現状、ここまで失業者の方がふえますと、ハローワークで懇切丁寧にやれと言われても、それはなかなか物理的に不可能だろうと思います。

 その意味でいいますと、ハローワークが、ではどういう方の一番相談に乗らなきゃいけないのか、どういう方に一番手を差し伸べなければいけないのかということをやはり考えるべきだと思っていまして、失業者の方が三百三十万人いらっしゃっても、ちょっと乱暴な議論になりますが、ほうっておいても御自分で次の職場を見つけられる方というのも大勢いらっしゃるわけで、残念ながらそうでない方にハローワークというのはサービスを提供すべきだろうと思います。

 その意味では、失業給付が既に切れてしまっているのに次のお仕事が見つからない方、特に一年以上の長期失業の皆さん、あるいは自営業を廃業してしまった皆さん、恐らくこうした皆さんにスポットを当てるべきだろうと思います。これも正確かどうかわかりませんが、私の知るところでは、両方合わせますと約百万人ぐらいの方がいらっしゃるんではないかというふうに思っておりまして、本来であれば、こういう方々に対してハローワークが重点的にサービスを提供する体制を整えるのが、実は直近の課題としては非常に重要ではないかと思います。

 これについてどうお考えかということと、もう一つ。

 先ほど転職相談のお話がありましたが、キャリアカウンセラーを今後五年間で五万人ですか、養成するという話が出ておりますけれども、キャリアカウンセラーというのが今一般的に認知をされた定義がありませんので、どういう方をキャリアカウンセラーと呼んで、どういう方法で養成をされるおつもりなのか、二つあわせて、恐縮でございますが、お答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

坂口国務大臣 最後の方の、キャリアカウンセラーの方につきましては、民間は民間で多くの立派な方を養成しておみえになりますしいたしますが、これから厚生労働省としてもそういう人たちを訓練し、育成していきたいというふうに思っております。

 ここから先はまだ正式に決まった話ではございませんけれども、私個人は、やはり一つの資格として認定をしていかなければいけないんだろうというふうに思っています。そして、何年かそこに従事をしていただいた方は、自力でそうしたものを開業していただくというようなこともできるような形にしていかないといけないんではないかというふうに思っておる次第でございまして、それはそれで、民間の皆さん方にもできるだけ御協力をいただきながら現状を打開していきたいというふうに思っています。

 それからもう一つの方の、ハローワークの方でございます。

 これは、ふえればふえるほど確かに忙しくなっていくことも、もう物理的な問題で本当にそのとおりだというふうに私も思っているわけでございますが、このハローワークの中でどこに重点を置くかというのは、私たちも置きたい気持ちはありますけれども、しかし、多くの皆さんがお見えになりますときに、いや、あなたは重点の方とは違いますよと言うわけにもいかない、率直なところは。それで、お越しをいただいた皆さん方はやはり平等にしていかざるを得ないという側面がございます。

 そうしますと、それを助けてくれる遊軍みたいな人が、これはちょっと遊軍という言葉がいいか悪いかわかりませんけれども、必要でございまして、そういう、もう雇用保険が切れたような皆さん方に対して手を差し伸べる。そして、そういう皆さんは皆さんでいろいろの問題を抱えておみえになる、特有の問題を抱えておみえになるわけでございますから、やはりよく御相談に乗らなければならないのだろうというふうに思っています。

 今回、補正予算におきましても、キャリアカウンセラーという名前ではありませんけれども、企業等で今までそういうお仕事をなすった経験のあります方とか、現在失業しておみえになります皆さんの中にもそういうことを得意とする方もお見えだというふうに思いますので、その人たちを雇わせていただいて、それをどんな形にするかは別でございますけれども、お雇いさせていただいて、その人たちの雇用回復であると同時に、その人たちにまた他の人たちの雇用のために尽くしていただけるようなことにならないだろうかというふうに今思っているところでございますが、できましたら、その人たちに、できる限り、御指摘になりましたように、例えば既に雇用保険の期限も切れているような皆さん方を優先的に御相談に乗るとか、それは私は可能であるというふうに思っている次第でございます。

加藤(公)委員 今、資格を認定するというお話がありましたけれども、まさに私もそれは必要だと思っておりまして、大賛成で、恐らく、キャリアカウンセラーが必要です、五万人養成しますという言葉がどんどん広まれば広まるほど、どういう方をキャリアカウンセラーとして認めるのかという基準がはっきりしておりませんと、相談に安心して行けない、失業者の方に迷惑がかかるわけでありますので、その資格認定についてはぜひ早急に御検討をいただきたいなと思います。

 それから、今、ハローワークの方で平等に対処するしかないというお話でしたが、まさに実はそのとおりでありまして、それが聞きたかったのですが、だからこそ、ちょっときょうは残念ながら時間がなくなってしまいましたので各論は申し上げられませんが、諸外国で成功している事例もございます。民間企業をうまく使ったり、あるいは今までとはちょっと別の予算の組み方になるかもしれませんが、就職に成功をして定着した段階で成功報酬型でお支払いをするとか、さまざまな方法が検討の余地があるかと思いますので、恐らくこれは法案が出てくることになると思いますけれども、その段階でいま一度御議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

谷畑委員長代理 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。

 また今国会も、私、厚生労働委員会の方を担当させていただきますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 たび重なる質問が幾つも出るかもしれませんが、できるだけその辺は整理して質問させていただきますが、今までの御質問の中で、まず第一点目、狂牛病に関してお尋ねをいたしたいかと思います。

 私が聞きたかったこと、この前の筒井委員を含めていろいろとお話が出ておりますので、その辺は飛ばさせていただきますが、安全宣言、安全宣言とマスコミでもかなり騒がれ、そして行政側でも言葉としてかなり出ておりますが、一体全体この安全宣言というのは、やはりどういう基準で、どういう範囲でもって安全宣言と称しておこたえになるのか、また言っていくのか、その辺はいかがでしょうか。大臣、お願いします。

坂口国務大臣 狂牛病あるいはヤコブ病、いろいろの動物、人によりまして、名前のつけ方も違いますが、プリオンの異常という共通したところがあるわけでありまして、一応、人畜共通の病気ということになっているわけでございます。

 こういう病気でございますから、まず狂牛病が日本の国の中で一頭発生をしたという段階において、まず私たちが手を打たなければならないのは、牛の問題もございますけれども、牛から人間へという伝播、感染という言葉が正しいかどうかはちょっとよくわかりませんが、この伝播をとめなければならないということだろうというふうに思います。そうした意味において、人に対して安全だということを言わなければならない。

 それは、ではヤコブ病は一体どういうところから伝播するかということになれば、これはまだ完全としてわからないところもございますけれども、一応、食事として食生活の中でやはりそれは伝播をするということを考えなければならないわけでございますので、皆さん方の消費に供する肉あるいはその他内臓につきましても、現在日本の国の中で出回っておりますものは大丈夫でございますという安全宣言をしなければならないだろうというふうに思っています。

 その体制を現在つくり上げているところでございまして、牛の狂牛病そのものがもうこれで発生をしないという安全宣言を出すことはなかなか難しいのではないかというふうに私は思っている次第でございます。

佐藤(公)委員 では、今大臣がおっしゃられました安全ということに関して、人にうつらない、うつしていかないということですけれども、今いろいろと議論されていることに関しては、やはりかなり食べ物、食料という部分が非常に議論が多いかと思います。

 先ほど、家西議員の方からもいろいろと質問がありましたけれども、例えば医療関係、薬、血液製剤もしくは健康食品、そして化粧品も含めて、それがすべて人間に感染をしないという、これも全部ひっくるめて安全宣言ということで、こちらの方で御理解してよろしいのでしょうか。

坂口国務大臣 それは、そのように理解をしていただいて結構かと思います。

 特に医薬品及びその材料につきましては、これは、この薬品は何を使っているか、そしてどういう材料を使っているかということは、幸いにして、ここは医薬品につきましてははっきりしているものでございますから、特に、輸入をするものにいたしましても、そうした牛にかかわりますものを使っておりましたり、そうしたものは輸入をしないということにいたしております。

 これは、外国からのものはそうしていたわけでございますが、国内のものにつきましても、今回国内で発生をいたしましたので、国内で製造いたしますときにも、そうした危険部位を使いますとか、あるいは牛を使うものにつきましては、それはこれからは使わない、そして、そのものは別のものにかえてもらうということにしていきたいと思っておるところでございます。

佐藤(公)委員 きょう午前中の筒井委員のまさにおっしゃるとおりだと僕は思うことは、やはりわからないものはきちんとわからないというふうに皆さん方にお話をしていく、説明する。それを余りにも無理をして、安全だとかわかっているようなふりをして、大混乱を後からどんどん、また後手になっていく、これが一番いけない姿だと思います。

 そういう意味で、確かに本当に今まで出ている一つの枠組みの中からいえば安全だけれども、それ以外のことはいろいろなこともあるかもしれない。極端なことを言えば、悪い業者もいるかもしれない。いろいろなことがあるけれども、それは知らない、ここだけは安全です、こういうことじゃ、まだまだ国民の皆さん方にすべてが安全だと言い切れないと僕は思います。

 どういうことを言っているかといいますと、今お話しされたようなすべてのものはすべて連動しているということになるかと思います。肉骨粉にしたって、規制をしている。でも、例えば、EUやほかの諸外国を通じてイギリス産の肉骨粉が禁止された後も入ってくる。いや、それはありませんと言っても、もしかしたら業者さんの中でそうやって入れているのもあるかもしれない。もしも入れているのがあった場合には、今までの安全宣言はどうなるかということです。

 そういうことを考えて、一つの四角四面な形ではなくて、本当にまさにこれは危機管理体制ということにおける、やはり厚生労働省、農林水産省、日本国政府の本当に毅然とした態度であり、やはり国家国民の生命財産を守る上で、今までの枠にとらわれないでいろいろな可能性を考え、追求し、やはり考えていくべきだと思います。例えば、農水委員会や何かでもきょうも議論がされていると思いますが、肉骨粉の商社、企業名の公表をお願いしたにもかかわらず、農林水産省は公表できないと言っています。どういうことか。情報公開法において、これは公表することができないという。ただ、国民の生命財産を守る上で大変に重要なときにそれができない。こういう押し問答が今委員会でも行われている。

 こういうようなことが、何か本当に、僕は厚生労働省さんも大臣もこれは大変だと思います。大変だと思いますが、本当に一つの方向転換を図りながら、やはり国家国民に一番いいものがどうあるべきか、どういう方法論をとっていくべきなのかを、今までの意識にとらわれることなく変えていってもらえることを私は望みたいと思います。

 平成八年、九年、一九九六年、このころ人にうつったということですが、どなたでも結構です、このころの厚生大臣はどなたでしたか。おわかりの方、どなたでも結構です。

尾嵜政府参考人 年の前半は菅大臣だったんではないでしょうか。

佐藤(公)委員 では、その後の大臣はどなたでしたか。

坂口国務大臣 間違っていたらごめんなさい。小泉厚生大臣ではなかったかと思います。

佐藤(公)委員 平成八年、菅大臣、小泉純一郎大臣、平成九年も小泉純一郎大臣、そしてそのときの政務次官は鈴木委員長だった。そして、もうついこの前ですけれども、福島委員も政務次官をやられていた。

 僕が言いたいのは、この人たちがどうのこうのというふうに責任をと言うつもりは今ありません。今本当に日本がこれだけ狂牛病で大変なときに、ちゃんとこういう、そのとき、さかのぼれば、それこそ一九八五年にさかのぼることになるかもしれませんが、せめてこの問題があったこれぐらいからの大臣、政務次官が集まって、本当に今までの対応、体制でよかったのか、そういうような緊急の、また特別なそんな集まりを持ちながらでも対応する、それぐらい大事なことじゃないかと思います。まして小泉純一郎元厚生大臣、今総理大臣じゃないですか。

 大変なこの狂牛病に関して、厚生労働大臣、小泉総理とこれに関してどこまでどんな話をされましたでしょうか。もしもお答えできる部分があったら、簡単にお願いいたします。

坂口国務大臣 総理大臣でございますから、そんなにお話をさせていただく時間があるわけではございません。

 現在の状況について、時々刻々御説明は申し上げております。それに対して、ひとつここはこういうふうに、ここはこういうふうにしたらいいという御意見はちょうだいをしておりますが、そんなに長い時間をちょうだいして一日狂牛病で議論をしたというような、そういう時間はないわけでございますが、しかし、時々刻々の問題は御報告もし、意見もちょうだいしているところでございます。

佐藤(公)委員 大臣、確かに総理大臣は忙しいと思います。ですが、一日そんな話していられないというんではなくて、やはりこれは、今日本国じゅう、もう世界じゅうでも大問題なんですから、せめて、一日とは言わず半日ぐらいゆっくり話をし合ったって、僕は絶対にそれは間違ってもいないし正しいと思います。それぐらいのつもりで、小泉総理大臣ともよく本当に話し合って、やはりきちんと究明できるところはしていかなきゃいけない。

 きょう午前中の筒井委員の質問に対しての答弁を聞いていても、とても答えとなっているとは思えないぐらいのものだと私は思います。そういうことからしたらば、まだ、いまだに原因究明ができない部分、多分いろいろな理由がある、表に出せないこともあるのかもしれませんが、やはりそこを変えていく、そこを追求していくのがまさに聖域なき構造改革の一端でもあると思います。

 私、これに関してはこの程度のものにしたいと思いますけれども、まして本当に、デンマークや何かの狂牛病が発生したその年ぐらいにですか、一遍に二万五千七百トンや何かが入ってきているんですよとか、本当に今まで、一つの枠組み、これなら大丈夫だろうという枠組みの中から一つ一つ解きほぐしていくと、おかしなことがたくさん出てくるような感じです。イギリスでは、肉骨粉や何かは非常に安く入れて、ほかを経由してまぜて業者が入れているといううわさもございます。そんなものが出てきた場合に、今まで大丈夫ですと言っていたのが、いや、そこはうちの管轄じゃなかった、知らなかった、これじゃ済まされない部分です。

 この辺の部分を、四角四面の形ではなくて、国民の生命財産を守る上でもその辺をより意識変革しながらやはり追求し、原因究明、そしてよりよい方向に、大臣、リーダーシップをとってもらいたくお願いいたしたいかと思います。

 続きまして、時間が余りないので、たくさん聞きたいことがあるのですが、九月十一日のアメリカ合衆国におけるテロリストの攻撃等に関して、日本国内における危機管理体制についてお尋ねをしたいと思います。

 厚生労働省の方は、安全保障会議、危機管理センターの方でお集まりになられて、各セクションからいろいろな打ち合わせをされて、今回の危機管理体制において一つのペーパーを出された。もう皆さんお持ちになられてごらんになっていると思いますけれども、国内でのテロの発生に備えた対応についてと、幾つかの項目が並んでおりますけれども、これを見て、私ども、私の方は大変やはりちょっと心配になり、疑問になり、お聞きしたいことが幾つかございますので、お願いをしたいかと思います。

 これで、一応、例えば医療体制ということなんですけれども、化学テロの場合を初め緊急医療の中心となる救命救急センター及び災害拠点病院のということで、提供指示とかいろいろなことを、化学剤による災害等に備えということで、非常に抽象的な形であり、危機感を持たせるということであればこれでいいと思います、こういう形。ただし、本当に具体的にどういう形でどうやっていくのかということであれば、これでは余りにも無責任で、各機関に、あとはおまえらに任せたよ、あんたら勝手にやってと見えるような文章がたくさんあるような気がいたします。

 医療体制、化学テロ兵器、どういうことを想定してこういうものを流されたのでしょうか。どういうものを想定して流しているのか、わかれば教えてください。

篠崎政府参考人 私ども、過去、化学兵器として用いられました物質ですとか、あるいはさまざまな化学物質の毒性に関する情報について実施をいたしてまいりました厚生科学研究などの結果によりまして、一般的には、化学兵器として使用される化学物質としては、神経剤、それからシアン化物、それからびらん剤、窒息剤といったような物質が掲げられておるところでございます。

 今後とも、専門家の御意見等を踏まえまして、化学物質を用いたテロに関する情報収集等に努めてまいりたいと考えております。

佐藤(公)委員 その中で、今回のテロに関して、日本国内における危機管理、特にどういう具体的な細菌兵器みたいなものを想定したことでの指示ということになりますでしょうか。

今田政府参考人 今回の事件に関しまして想定しておりますのは、特に生物兵器の関係で申し上げますと、WHOでは約二十五種類を指摘しております。ただ、その散布の可能性それから安定性、そういったものを考慮し、また重篤度といったものを考慮いたしますと、非常に厳しく選択すれば二種類、つまり天然痘と炭疽でありますし、やや広くとらえてペストとボツリヌス毒素ということを、主要な対象として私ども認識をいたしております。

佐藤(公)委員 今お話にありました、ペストとかボツリヌスとか、炭疽菌、天然痘も含まれるんだと思いますけれども、こういうものを一応想定した場合、これを私、厚生労働省さんの方にお聞きしたらば、これもう本当にわかります、こういうものを出すと、テロリストにわかったらば、またそれ以外のものをねらわれるというんで出せないということもあるということだったんですが、今、多少のお話が出ましたけれども、それは言えなかったら言えなかったで結構なんです。

 じゃ、でも、そういうものを想定した場合に、このペーパーにもございますけれども、医薬品等の関係という項目がございまして、医薬品等の今後の対応ということ、抗生物質、解毒剤等のいろいろなことの薬品だと思いますけれども、こういうものを、どこにどれぐらいの量があってどういう形で運べるのか、どれぐらいで集められるのか、いろいろと多分やられているんだと思います。そのために出していると思いますけれども、その辺はきちんと心配なくあるのか。

 それともう一点は、一体全体、テロの細菌兵器、こういう部分に炭疽菌でもあった場合、日本の危機管理体制として、どれぐらいの人たちを想定した薬を用意しているのか、簡単にお答えくださいませ。

今田政府参考人 まず最初の御質問でございますけれども、どういう薬品をそれなりに備蓄あるいは準備しているのかという御指摘であります。

 先ほど医政局長の方からもございましたけれども、例えば神経剤などに対処をする薬については比較的多くの在庫がございますし、それからまた、びらん剤のようなものにつきましては、そもそも論として特異的な解毒剤がないというものもございます。そういった意味では、対症療法としてお願いするといったたぐいのものもございます。

 いずれにしても、一般に手に入れることが可能なものの整備については十分に対処しているつもりでもありますし、また、それらを一定の場所、テロ等が起こった場所にそれを供給していく仕組みというものについては、これまでも整備をきちっとしてきているつもりでございます。

 それから、その規模でございます。もちろん、規模を想定するというのは大変難しいことでありますし、例えば飛行機でまくようなたぐいで想定をする場合と、それから炭疽菌のように郵便物で送り届けてくるようなものを想定する場合とではかなり違いますし、そこの整理は非常に難しいところでありますが、ただ、例えばある一定の範囲でこれが散布され、例えば伝染病であればどれぐらいの範囲まで出入りをとめたりしなきゃならないかという範囲の中で想定をいたしますと、おおむね、現在流通し、あるいは医療機関あるいは卸等で確保いただいている医薬品等で対応できるであろうというふうに思って、私どもは準備を進めております。

佐藤(公)委員 もう少し具体的に教えてください。どれぐらいの、じゃ炭疽菌でいいです、炭疽菌の抗生物質は何人分、どういう範囲で大体今あるのか。どうですか。

今田政府参考人 何人分あるかということそのものは、多少計算によって異なりますけれども、少なくとも、例えば炭疽菌が影響するであろうということを、一つのビル、最大ビルの中全体が汚染をされるというような場合であるとすれば、少なくとも万単位のものを用意しておけばいいだろうという観点からすれば、十分にございます。

佐藤(公)委員 十分というのは、大体何万ということでしょうか。

今田政府参考人 十カ所以上がそういうことが同時に起こってもという意味であります。

佐藤(公)委員 なぜはっきり大体答えていただけないのかなと。五万人分ぐらいとか、八万人分ぐらいとか、十万人分ぐらいということですけれども、それも答えていただけないんですか。

谷畑委員長代理 明確にひとつ答えてください。

今田政府参考人 私ども、どのぐらいの数があるかということを、果たしてこういった場でお述べした方がいいのかどうか多少悩んでおるところで、こういう表現の仕方をいたしておりますけれども、炭疽菌で申しますと、薬剤の種類が幾つかございます、それらに効果を有する。そういったものをすべて、すべてといいますか、そういったものをおよそ加えますと、数十万人程度は確保できるというふうに思っております。

佐藤(公)委員 なぜはっきり答えていただけないのか。まだ把握し切っていないのかわかりませんけれども、もうあすにでも何が起こるかわからないのかなという気がいたしますので、そういうことだと、私たち国民としては、本当に心配でならないと思いますよ。

 アメリカは、じゃ、今例えば炭疽菌においての抗生物質、何万人ぐらい用意しましたか。

今田政府参考人 一千二百万人程度と聞いております。

佐藤(公)委員 大臣、もう一回ちょっと、今繰り返します。

 今お答えがなかなかしていただけなかった。数万だと言ったのが何か数十万になっちゃった。アメリカは、今、炭疽菌においてどれぐらいの抗生物質を用意しているかというと、一千二百万人と言いました。そういう中で、やはり日本の対応、そしてはっきり答えられない部分、どうお感じになられますか。

坂口国務大臣 炭疽菌の場合には、これは非常に死亡率が高いということで、非常に問題が大きいわけだというふうに思いますが、特に肺炭疽と言われますもの、肺にかかります肺炭疽というのは、非常に死亡率が高い。これは一遍罹患をしてしまって、そして症状が仮に出てしまってからはなかなか対応がもうできないということでございまして、それらが起こらない初期の段階で、少なくとも症状が出ないぐらいな段階で使えば効く薬があるというのが状況だというふうに思います。

 そうした意味で使います抗生物質は、先ほどから話がありますような単位のものは十分に存在する。まあ一種類ではなくて、いろいろの種類のものが私は対応できるというふうに思いますけれども、それは、現在想定されるような状況の中では十分にあるというふうに私は思っております。

    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤(公)委員 僕は本当にまだまだ対応が不十分だと思いますので、どうかその辺は、審議官も大臣もよく研究をしていただきまして、あしたにでも起こるかもしれないんです。どういう菌で、どうなるかわからない。もしかしたら、何かあったときに、炭疽というふうに言われている中、全然違う菌が出てくるようなこともあり得るかもしれない。その意味でいえば、絶対に今の御答弁、そして今の対応だと、僕は不十分だと思います。もっと、やはりそれにおいて、本当に生命、財産、なってからじゃ遅いので、その辺はよろしくお願いをいたしたいかと思います。

 このほかにも、水道の安全等、安全に、警備等に十分注意してくれというようなことだと思いますけれども、そういうのを投げても、一体全体あの水道をどうやって警備していくのか、警護していくのか。また、そういうもので何か毒物混入、どういう形になるかわからない。その中で、ただ業者さん、協会、団体に投げるんじゃなくて、真剣にその辺は具体的に、地方のことだから余り介入することはよくないみたいな話もありましたが、僕はそうは思いません。やはりお互いが結束して、一致団結して、国民の生命、財産を守る上でのお互い話し合いをしながら、いや、それにおける経済面、お金の面も十分考えることは絶対に必要だと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まだまだ聞きたいことはたくさんあるんですけれども、ちょっとどんどん飛ばさせていただきます。

 ハンセン病に関して、加藤委員からもいろいろとお話がございました。加藤委員からのお話を受けて、大臣は、政治的決断においてハンセン病の控訴断念をしたわけでございますけれども、今、話し合いの経緯、経過、過程というのは、おおよそ大臣は御理解しているのかどうか。イエスかノーかでお答えくださいませ。

坂口国務大臣 大体理解しておるつもりでおります。

佐藤(公)委員 もう余り時間がないので、余り詳しく話をしていきませんが、政治的決断をしたんです。政治的決断をしたんですから、ぜひ大臣、そして小泉総理も、今の話し合いの途中経過をきちんと見て、誠心誠意ある対応をするようなことを、厚生労働行政の方に指揮、指導をお願いしたいかと思います。事務方の方で、役人任せでやっていたんであれば、それは、役人は役人、役人の方々は一つの枠組みの中でしかやはり考えられないし、交渉ができない。それを大きく枠を持たせる、その責任を持つのは、政治的決断である大臣と総理だと僕は思います。

 昔のいろいろな議事録を見ていますと、平成九年十一月の二十六日、まさにこれは小泉さんが厚生労働大臣のときです。ハンセン病に関しても、こういうことを言っているんですよ。「このハンセン病患者の中で特に社会復帰を望む方々については、円滑に行われ、不安のない生活が送れるように支援していくことが大切です」と言っているんです、小泉大臣が。そこはやはり坂口大臣も小泉大臣も同じ認識だと僕は思います。

 だから、一つの行政の枠ではなくて、政治決断をしたんですから、もう少しその辺をきちんと見て、役人の方々にお任せするんじゃなくて、そこら辺を幅を広げるなりして政治的な解決を望みたいと思いますので、よろしくお願いします。

 そのお金のことに関しても、財政状況もいろいろとあるかもしれません。あるかもしれませんが、今話し合われている内容の金額というのは、やはりそれは、今まで苦労されてきて、これからの人生を送られるに際して、僕は決して安心できるお金の金額とは余り思えません。そういう部分はよく考えていただけたらありがたいかと思います。

 そして、次に移らせていただきますけれども、今、危機管理、まさに狂牛病、そしてやはり今回のこのテロ事件に関しての国内における体制も、すべて危機管理体制だと思います。坂口大臣は、新進党のころから、そして危機管理体制に関してはよくおわかりになっていらっしゃっていると私は思っておりますが、やはり平時において、それこそ自自公連立のときの危機管理体制、有事法制化、あのころきちんとやっていたのであれば、今これだけばたばたする必要はないことがたくさんあったと思います。やはり、そういうことはおわかりになっているのに、していただけなかったのかなと思うと、非常に残念に思うところがございます。

 そういうことを考えると、ぜひとも私は、聖域なき構造改革、小泉総理が言われている聖域なき構造改革、まさにそのとおりだと思います。私たちも、小沢党首、平成二年、湾岸危機のときから、聖域なき構造改革ということはずっと訴え続けてきました。でも、その大もとは、僕は、聖域なき意識改革というのが原点だというのを政治の世界で学んできたつもりでございます。構造はあくまでも制度であって、一人一人の意識改革、これは大臣、政治家、私ども、当然です。行政官も同じだと思います。

 そういう意味で、これからもぜひ国家国民のために大臣のリーダーシップをお願いしたいとともに、きょうの答弁、私はきちんとした答えになっているとは思えません。また改めて、委員会、理事懇を含めて、狂牛病、危機管理体制、そういうものに対してのお答えをいただける質疑をできるような集中審議、そしてまた小委員会の設置などに関して提案をしてまいるつもりでございますので、よろしくお願いをしたいかと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、小沢和秋君。

小沢(和)委員 日本共産党の小沢和秋でございます。

 まず、サービス残業についてお尋ねをいたします。

 戦後最悪の不況に直面している中で、これまで日本経済を引っ張ってきた電機産業で、日立、東芝、松下などが次々に一万人を超えるリストラ計画を発表し、大きな衝撃を与えております。どの企業も、IT関連での設備投資の行き過ぎで赤字になったなどと言っておりますが、松下は三兆百二十億円、日立は二兆二千六百七十億円、東芝は七千百三十六億円というような巨額の内部留保を持っており、しかも、経営者の責任にはほおかぶりをしたままで、労働者や下請にだけ犠牲を押しつけようとしております。我が党は、このような大企業の身勝手なリストラ計画に断固反対をいたします。

 きょう、特に私がお尋ねをしたいのは、こういう電機産業の大企業が、一方でリストラを推進しながら、他方で労働基準法違反のサービス残業を押しつけ、年休もろくにとらせず、長時間過密労働を慢性化させていることであります。こんなことは許されないと思いますが、大臣の見解をお尋ねします。

 先日の衆議院本会議の代表質問で、我が党の志位委員長は、この状態を緊急に改善することを要求いたしました。これを本当に改善したら、リストラ計画そのものを手直ししなければならなくなるほどの影響が出ると思いますが、厚生労働省は、電機大手各社のサービス残業、年休の未消化の状態などについて、どう把握し、改善を指導しておられるのか。

 ついでながら、ことし四月六日に出ましたサービス残業解消の通達をこれら電機大手各社を初め全国の企業にどのように徹底したのか、あわせて報告をお願いいたしたい。

坂口国務大臣 あと具体的な問題は、ひとつ事務局からでよろしゅうございますか。

 最初の質問に対して私お答えをさせていただきたいというふうに思いますが、四月の六日でございましたか、通達を出しました。そして、この通達が守られるように、四月から九月までの、この周知徹底を図ってきたわけでございまして、約四千回、そして事業所数にして三十万の事業所を対象にして行ってきたところでございます。この通達の趣旨を今回徹底をしてきたところでございます。

 委員が御指摘になりますように、この大手電機業界等の状況もあるわけでございますが、そうしたところも含めまして、この通達が徹底されるように現在しているところでございます。

 具体的なことを局長の方から答弁させます。

日比政府参考人 電機業界に対する指導の問題でございますが、四月六日付の通達発出の経緯ともなっておりますが、電機業界大手につきまして、昨年の四月、五月に、いわば調査的な意味も含めた監督指導を行いました。主要企業の二十二事業場について行ったところでございますが、その結果、労働時間の管理の点で問題がある事業場、それなりにございましたので、昨年六月三十日付で、これら企業が属します日本電機工業会に対しまして、労働時間の管理等について業界としても徹底して会員企業を指導するようにという要請をいたしたところでございます。

 その後の経過につきましては御案内のとおりでございまして、そういう経過を踏まえまして、四月六日付で出させていただき、現在、先般も申し上げたかと存じますが、ことし前半、今年度の前半、九月までを周知徹底、指導を図る、そうしまして、年度後半におきまして、臨検監督を含めてやっていくということにいたしておるところでございます。

小沢(和)委員 私は、日立の愛知県旧旭工場、日立は最近、事業本部制にしたのですが、旧工場と言った方がわかりがいいと思うので、そう言わせていただきますが、旧旭工場の労働者がサービス残業の実態を労働基準監督署に申告し、その結果、最近一定の改善が行われ、八月の給与支払いでかなりの労働者に未払いの残業代が支払われたと聞いております。どのような基準法違反があり、どう是正されたのか、お尋ねします。

日比政府参考人 御指摘の日立製作所の旧旭工場の件でございますが、本年一月から八月にかけまして監督指導をやってまいりました。その結果、労働基準法の関係でございますと、賃金の支払い、二十四条の問題であるとか、労働時間の関係で違法と言わざるを得ない、そういうものを把握いたしました。

 これにつきましては、一月から八月という期間をかけましたのは、労働時間の管理の仕方につきましてフレックス制とかいろいろな制度を組み合わせておりまして、違法な状態が大づかみにして言えばあるというのは把握は比較的簡単でございますが、実際にどのように時間管理をすべきかという点を含めて指導をしつつ、八月に至りまして、三月、四月、五月分、これは支払い月の方で見ますと、その三カ月分の給与について、具体的な資料の突合のもとで、賃金の未払い額があるという、額まで把握しましてその指導をしたのが八月ということでございます。それまでの経過におきましては、他の指導もしておりますが、額についての指導をしたのが八月になったということでございます。

小沢(和)委員 旧旭工場の労働者は、今の改善の結果を評価しながらも、残業代の支払いが四月分までしか遡及しなかったことに不満を持っております。日本を代表する大企業に対して、今後の戒めにするためにも、これまでの最高である二年分遡及して支払いを命ずべきではなかったか、これが一つ。

 次に、旧旭工場の同じ構内にある関連子会社も同じような労働実態でありますが、この子会社には是正指導が行われていないと聞いておりますけれども、これもやるべきじゃないでしょうか。

 それから、さらに三つ目。日立は全国に工場を持っております。労働時間管理もほとんど共通しております。愛知の旧旭工場でこのような違反が確認されたら、同じ法違反が他の工場や研究所などにもないか調査するのが当然だと思いますが、どう措置をされたか。実際に他の工場の労働者からも旧旭工場と同様の改善を求めて監督署に申告をしているとも聞いておりますが、是正されていないんじゃないでしょうか。

日比政府参考人 未払い賃金の対象月の問題でございます。

 先生御指摘のように、時効その他等からいきますと、二年さかのぼれるわけでございます。

 そこで、どうして三カ月分についてやったのかということでございますが、私ども、それより前にさかのぼって是正をする必要がないというつもりで申し上げているわけではございません。

 先ほど申し上げましたように、具体的な額の確定ということを見ましたときに、御案内のように、単純な賃金不払いですと、額も比較的特定しやすい。そのときに、これ、数カ月もかかった事情でもございますけれども、資料突合等をやって、どういうやり方でやればどれだけの額と、これをきちんと額として示さなければ、監督指導といいましても、抽象論だけでは何ともなりませんので。

 そういうことで考えますと、とにかく三カ月分というもの、これを資料と突合して額を確定した。そのやり方というものは、企業の方にも、何と何を突合してというようなことは伝えてきておるわけでございます。これ、三カ月分というと単純なように見えますけれども、各月ごとで約三百人とか四百人という数の方々の分をそういう作業のもとで確定させたところでございます。

 したがいまして、ほかの分がいいという意味ではございませんで、やり方を一つ確立していくという意味で、額を確定させたのが三カ月分。その前の分については、法律を守り、時間管理を徹底して、そういうことがないようにというところにとどまっておるのは事実でございます。

 それから、下請企業の問題でございますが、通常、監督指導を行いますときには、事業場に入りまして、当該事業場のいわば事業主としての責任を監督するといいますか、そういうことでやっております。ただ、今後の問題といたしましては、監督指導の効率的なあり方ということを考えましたときに、同じ一つの敷地に、単純な複数の企業ではなくて、同じような作業をやっているというようなことがありますれば、今後の問題としましては、監督指導を効率的に行うという観点も含めまして、今後の課題として考えさせていただきたいと思います。

 また、日立の他の工場の点、御指摘ございました。これにつきましては、先ほども申し上げましたが、今のところ、日立だからということで何かやっているということはいたしておりません。九月までを、まず指導を徹底するということでやっておりますので、今後の問題で監督指導に入っていくわけでございます。

 なお、先ほど申し上げました電機の大手に対する調査なり、その後も、今回こういうことがございましたので、日立関係の監督指導結果、労働時間にテーマを絞ったものではございませんけれども、日立関係の監督指導結果というものをちょっと調べてみました。

 約二十ほど、十二年以来やっておりますが、その中で、割り増し賃金についての、やや疑義を思わざるを得ない、あるいは違法ではないかというようなケースがほかになかったわけではございませんけれども、二十ほどの事業場の中では、安全衛生の問題等ございましたけれども、賃金の問題で特にここが多いというほどの確証を得るような状態ではございません。

 したがいまして、今後の問題といたしまして、日立を含めた電機業界、さらにその電機業界を含めまして、今後、各業界にわたって、各企業、きちんと監督指導をやってまいりたいというふうに思っております。

小沢(和)委員 先日、私は、日立の本拠地であります茨城県日立地区の労働者の話を伺いました。この労働者も地元の監督署に申告をしております。

 その話によると、旧旭工場で改善指導の直接の対象となった同じEワークの労働者に、月初めや月末に残業が集中するとまずいので、一カ月を通じて均等になるように、また二十九・五時間以内におさまるように残業をつけて出せなどと口頭やメールで指示が行われております。労働基準監督署に怪しまれないように、こういう操作をしておるというんです。そして、今でも月百時間残業をしながら三十時間分しか支払われていない労働者が多数いるといいます。

 こういう内部告発でもわかるとおり、サービス残業は企業ぐるみで隠ぺい工作をしながら続けられている悪質な犯罪行為であります。直ちに厳重な臨検監督を実施して、徹底的に取り締まるべきではありませんか。

 先ほどからの答弁を聞いていると、どうも厚生労働省の姿勢は手ぬるいように思いますが、御答弁ください。

日比政府参考人 委員御指摘のように、申告あるいは情報というものを提供された場合には、これは一々本省で私どもが個別指導しておるわけではございませんけれども、申告あるいは情報提供がありましたら、それに基づき監督指導を行うということにいたしておりまして、もしその点で手抜かりがあったとすれば、大変申しわけない状況だと思います。これについては十分徹底をいたします。

 なお、労働時間の管理についての早速にでも臨検監督をというお話につきましては、もう十月に今入っておりまして、今月以降、今年度後半、この期間を、この労働時間の管理の点、十分に念頭に置きつつ監督指導に努めてまいるということにいたしております。

小沢(和)委員 四月六日の通達によって、日立地区でも若干の改善は行われております。出退勤時間をパソコンに必ず入力するように、労働時間管理のプログラムが手直しされております。

 しかし、定時の出退勤なら、時刻を改めて入力しなくても、パソコンの登録というところをクリックすると自動的に記録されるようになっております。毎日正確に入力しなければと考える人以外は、ぽんとそこを押すだけ。残業をしても、つい定時に上がったことにしてしまう。パソコンによる時間管理の手直しでは、結局これまでの自主申告制と余り変わってまいりません。

 通達では、使用者の義務として「労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。」としております。さらに、一部の事業場において自己申告制の不適切な運用により労働時間の把握があいまいとなっているとして、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録をその根拠とすることを指示しております。

 日立では、既に、全社員に会社のICカードを持たせております。このカードの機能の一つとして、会社は、入退場、つまり会社への出入りの管理を挙げ、幾つもの機能を一枚に持たせているのは本邦初めてだという自慢までしております。労働者は、このICカードを使えば正確な労働時間の把握、記録、管理ができる、それをやらないのは、パソコン入力するとき、つい自己抑制する労働者の心理を利用できなくなるからではないかと言っております。

 厚生労働省が四月六日の通達を実効あるものにしようと思うならば、ぜひこのようなICカードを活用しなさい、そこまで踏み込んだ指導をしたらいかがでしょうか。

日比政府参考人 御指摘のように、ICカードなりタイムカードというものを、私ども、いわば推奨しておりますが、パソコンというもので管理するというのがあながち悪いというわけではないと思います。ICカードにしても、あるいは出退勤のカードにいたしましても、これが、今委員がおっしゃられましたように、別の意味で、抑制的に、労働時間を短く見せようとして使われてしまえば、ICカードといえども万全ではないと思っております。

 したがいまして、パソコンであれ、ICカードであれ、あるいはカードによる打刻時間の問題であれ、今おっしゃられましたように、何時間以内にしないといけないとか、そういうことの条件のもとで使われてしまいますと、正確な管理にならないのは当然でございますので、私どもの通達の趣旨は、それが少しでも客観的な資料が得られる形のものをということでお示ししております。

 したがって、ICカードでも万全だと言うつもりではなくて、より客観的に把握する資料が得られるだろう、基本はそういうことでございますので、どういう手段を用いているにせよ、どこまでも結果として労働時間が適正に管理されていなければ、これは違法と言わざるを得ませんので、ただいま御指摘のような点、今後、実際の臨検監督等をやっていきまして、それによる情報も得られると思いますので、一段とどういう管理がよいのかということについては、今後の経験をも踏まえて、必要な措置は講じてまいりたいと考えております。

小沢(和)委員 パソコンの場合には、労働者の気持ちというのがそこに入力するときに働く余地があると思うんですけれども、ICカードだったら、ICカード、どこか通せば、入退場、何時何分にしたというのがさっと記録されるんだから、これはどうしてこれでも不十分な場合が起こり得るというようなお話をされるんですか。

 あなた方はこれがいいと言うんですから、もともとそう通達にも書いてあるんですから、これをぜひ、現に日立の労働者は持っているんですから、それを活用したらいいじゃないかと社員たちも言っている。ぜひこれを、指導を貫いていただきたい。

日比政府参考人 委員がおっしゃられたのは、恐らく、入門する、退門するときにいわば自動的にICカードに記録される、そうすれば、少なくともそれは客観的にわかるという意味でおっしゃられたんだと思いますが、ICカードも、みずから管理しつつどこかに差し込んで記録するという、その任意性があることもないわけではないわけでございます。そういう意味で先ほど申し上げました。

 ただ、ICカードという手法の方が、パソコンですと、確かにおっしゃるように、押す、押さないで決まるタイプが一般的だと思いますので、ICカードの方がそういう意味では個人の任意の選択というものが入る余地が一般的には少ないのだろうと思います。そういう意味では、ICカードの推奨に努めてまいりたいと思っております。

小沢(和)委員 だから、ぜひ日立についてもそういうような指導をしていただきたい。

 今、日立の実例だけを例に挙げて質問しましたが、全国的に、この通達に基づいて、ほとんどの大企業でそれに対応するために労働時間管理システムの変更が行われております。この機会に本当にサービス残業を根絶するために、主な事業場だけでも通達に沿った改善が行われているかどうかをもう一度チェックしていただきたい。

 日本を代表するような大企業の多くのところで、最も悪質な労働基準法違反であるサービス残業をこれ以上存在させてはならないと思うんです。大臣も同じお気持ちではないかと思いますが、これをなくしていく決意、重ねてお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 今御指摘になりました電機業界も含めまして、ひとつ問題のありますところは徹底的に指導をしていきたいというふうに思っております。

小沢(和)委員 では次に、緊急地域雇用交付金の拡充についてお尋ねをいたします。

 戦後最悪の失業情勢の中で、厚生労働省はこれまで雇用主への各種助成金制度を次々に創設し、これを雇用をふやす主な手段としてまいりましたが、ほとんど効果がありませんでした。予算委員会では、坂口大臣もそのことを認めておられます。そんな中で唯一大きな効果があったのが、緊急地域雇用交付金制度だったと思います。

 北海道では、この交付金の雇用効果は公共事業の八倍に達していると聞いております。全国で、制度創設以来今日までの実績がどうなっているのか。

 今、さらに失業が深刻化しつつある中で、全国の自治体から、この交付金事業を継続するとともに、もっと活用しやすいものに拡充するよう、要望が多数出されていると聞いております。幾つの自治体から継続の要望が出され、主にどういう改善の陳情があっているのか、お尋ねします。

澤田政府参考人 お尋ねの第一点でございますが、平成十二年度末までで、この特別交付金、約千三百億の事業費が出ておりまして、二十二万人の雇用創出効果が生じております。十三年度は、計画ベースでございますが、九万四千人が雇用されると見込まれております。

 第二点目でございますが、この交付金につきまして、地方自治体の議会から、これまでのところ百七十七件の意見書が出されております。いずれも、内容としては、この交付金事業を平成十四年度以降も継続してほしいということになっております。

小沢(和)委員 先日政府が発表した総合雇用対策でも新たな緊急地域雇用交付金制度の創設が打ち出されておりますし、大臣の先日の所信表明の中でも最初にこれが掲げられております。

 今の答弁でも明らかなように、私たちが自治体関係者から聞くのは、もっと地域の実情に合ったものにするため、自治体が自由に使えるようにしてほしいとか、雇用期間の、半年間、一回限りなどの制限は外してほしいなどということであります。また、失業者に最大限の就労機会を保障するために、高い吸収率を設定すべきだなどの声も強い。

 こういう意見や要望はぜひ取り入れるべきでないかと思いますが、厚生労働省の考え方をお尋ねしたい。

澤田政府参考人 本交付金につきましては各方面からいろいろな御意見をいただいておりまして、新たに設ける交付金につきましては、雇用創出効果をより高める形で、地方公共団体が創意工夫を凝らしていただけるようなものにしていきたいという観点で検討を進めております。

 また、雇用期間につきましては、現在の交付金におきましては、六カ月、更新を認めないということにしておりますが、これは、より多くの失業した方々に雇用機会を提供したいということと、この事業はあくまでも臨時応急の措置であるという点から、六カ月未満となっております。

 新しい交付金事業におきましても、こうした考え方は基本に据えつつ、各方面の御意見を踏まえてそのあり方を検討したい、こう思っております。

小沢(和)委員 先日、私はホームレスの援助活動を行っている団体の方々と懇談をいたしました。

 そこで訴えられたのは、日雇い労働者の窮状であります。幾ら必死に仕事を求めても、五日に一回、十日に一回とだんだん就業の機会が減ってきて、簡易宿泊所の支払いができず、とうとうホームレスになったという人が多いと聞いております。

 ところが、これまでの交付金事業はこういう日雇い労働者の就業のためには使いづらいものだった。この人たちも対象にしたら、ホームレスも大幅に解消できる、こういうふうに関係の団体の皆さんは言っておられます。

 こういうところに交付金事業を大幅に振り向けてこそ、本当にこのお金が生きるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

澤田政府参考人 新たな交付金事業の対象者につきましては、私どもが現在考えておりますことは、長期間失業状態にある者を優先するといいますか、配慮することが大事だろう、こう思っておりまして、御指摘の日雇い労働者につきましても、そうした長期間失業状態にあるということであれば、事業の対象となり得る場合もあるというふうに考えますが、いずれにいたしましても、制度設計の問題でございますので、各方面の意見等も踏まえて検討していきたい、こう思っております。

小沢(和)委員 この機会に一言だけ、ホームレス対策についてもお伺いしておきたいと思うんです。

 私の地元、福岡県のJR博多駅などでは、最近しばしば家族連れのホームレスを見かけたりいたします。ホームレスがふえ、一家族全員が路頭に迷うという悲惨な状況が広がっているように思います。私は、さきの通常国会でも、この問題への政府の抜本的な取り組みの強化を要請いたしました。来年度の予算要求でどう改善しようと考えておられるのか。

 私は、三月初めに厚生労働省が出したホームレスへの生活保護の適用拡大についての通達がどの程度効果を持つかについても注目しておりますが、この機会に、この通達によって実際にどれほどホームレスの人たちが救済されることになったのかも報告していただきたいと思います。

真野政府参考人 いわゆるホームレス対策につきましては、平成十一年五月のホームレス問題に対する当面の対応策ということに基づきまして、関係省庁並びに関係地方公共団体が一体となって取り組んでおります。

 十三年度、今年度につきましては、ホームレスの自立支援事業の拡大、緊急一時宿泊事業の創設というようなことを行いまして、十四年度の概算要求におきましても、これらの支援事業の拡大やシェルターの拡充の概算要求を行っております。

 今後とも、関係省庁、関係地方公共団体と一体となって取り組みを進めたいというふうに考えております。

 それから、生活保護の関係でございますが、私どもといたしましては、従前から、いわゆるホームレスの方々に対しましての生活保護の適用ということにつきましては、単に居住地がないことや稼働能力があることをもって保護の要件に欠けるということはなく、真に生活に困窮する方々は生活保護の適用をするということを申し上げてまいりました。この趣旨は、ことしの一月並びに三月に、それぞれ部長会議、課長会議におきまして周知をいたしております。また、七月にも、多くのホームレスを抱えている関係自治体にもさらに周知をいたしました。また、十月にもブロック会議を行いますので、そのときにもまた徹底をしたいというふうに思っております。

 先生御指摘の、この通知によってどれだけホームレスの方々に生活保護が適用されたのかということにつきましては、私ども、生活保護の適用ということについては、無条件、無差別でありますので、どういう理由によって生活保護を受けたということは把握をいたしておりませんので状況としてはつかんでおりませんが、関係自治体に対して、私どもの基本的な考えをより周知したいというふうに思っております。

小沢(和)委員 あと、ハンセン病の問題と狂牛病の問題についても質問をしたいというふうに思っておりましたけれども、時間が参りましたので他日に譲りたいと思います。どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、中川智子君。

中川(智)委員 社会民主党の中川智子です。

 まず、質問に入ります前に坂口大臣にお願いがございますが、昨日、衆議院のテロ問題特別委員会で、新法、自衛隊法の一部改正、海上保安庁法が通過いたしました。坂口大臣の所属する党は、以前、新党平和、平和を希求する党だと認識しております。ぜひとも、テロに対するこの報復が、新たなテロを呼び、限りない二十一世紀の戦争の始まりとならないように、坂口大臣に、平和に向けての御努力を閣僚のお一人としてぜひとも頑張っていただきたいと思いますが、質問に入る前に一言大臣に御発言をお願いいたします。

坂口国務大臣 テロに対します法案は、別の特別委員会で審議をされているところでございますが、とにかくテロに対して毅然とした態度で、そして我々も主体的にその根絶のために立ち上がらなければならないことは、私も間違いないというふうに思っております。しかし、それだけですべてが済むわけではなくて、やはりお互いの話し合い、そしてこういうことが繰り返されることのないような社会をつくっていくということも一方においては大事だと思っている次第でございます。

中川(智)委員 ありがとうございました。

 続いて質問に入らせていただきます。

 先日、予算委員会で、我が党の横光委員が大臣に質問をさせていただきまして前向きな御答弁をいただいたことで、重複いたしますが、私は、医原性のクロイツフェルト・ヤコブ病、この問題で、先日も患者の山村さんのお宅に超党派の議員連盟でお見舞いに参りました。本当に悲惨な病気でございます。無言、無動、植物人間で、周りは見ていられない。奥さんを、本当に北海道のヒロ君のお母さんもおっしゃっていたようですが、この子を殺して自分も死にたい、そういう思いに駆られるのを必死で抑えて看病している。先日も同じようなお話がされました。

 私は、この問題は、大津、東京で和解勧告が出たわけでございますけれども、やはりこれは、はっきりと医療行為を介して、汚染された、ヤコブ病に汚染された硬膜を使った、このことが原因であるということが、私自身はもう疑う余地がないと思っておりますが、いまだに和解のテーブルというところには着いていただけない。しかし、大臣の御答弁の中に、裁判所からその所見が出されたら、それに対して前向きに取り組んでいきたいということがございましたが、いま一度、裁判所のこの所見が出た後の厚生労働省の対応についての御意見をちょうだいしたい。前向きな御答弁をちょうだいしたいと思います。

坂口国務大臣 今、このヤコブ病の患者さんの方の窮状につきましてのお話がございましたけれども、この患者の皆さんやその御家族の御負担は大変だろうというふうに私も思っております。この御負担を少しでも軽減できるように、医療費の自己負担の公費負担でありますとか、あるいはまた訪問介護員の派遣等の支援、今までも行ってまいりましたが、これからさらに一層努力をしたいと思っております。

 裁判所の和解勧告をいただきまして、そして九月に第一回の和解協議期間というのがございまして、そのときに裁判所に我々の方の代表も出させていただきまして、御意見を伺ったところでございます。

 十一月半ばではないか、正式にはわかりませんけれども言われておりますが、正式の和解条件というものを裁判所からお示しをいただくのではないかというふうに思っておりますが、早期に解決させたいという裁判所の御意思を理解し、そして十分に尊重したいと考えているところでございます。

中川(智)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、非常に不幸な事件でありました大阪府の附属池田小学校の問題以降、今、新法という形で、司法精神病棟の建設初め精神障害者に対する隔離収容施設の強化ということが議論されているやに聞いています。

 これは署名用紙なんですが、精神障害者の方たちが、今街頭で署名運動をされています。ぜひともこの署名、坂口大臣にも署名していただきたいと思いますので、また後日お手渡しいたしますが、私は、今きっちり考えていただきたいことは、この署名用紙にも書かれていますけれども、法務省、厚生労働省は、重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇において、各都道府県に司法精神医療審判所、特定精神病院を新設する方針を協議している、また、政府は、全国五十カ所あるすべての地裁に司法精神医療審判所を併設し、特別病棟の導入について、来年度からモデルとなる病棟整備を進めるというふうに報道がされています。

 でも、新聞記事にもございますように、重大事件で、もうこの池田小学校の場合は起訴されたわけですから、でも最初の報道が非常に衝撃的で、精神障害を持たれる方々、全国で三百万人以上の方々が肩身の狭い思い、そしてそのような差別、偏見の中でまた苦しんでおられるという状況の中で、重大事件で精神障害を理由に不起訴、無罪となった人の七割は前科前歴がなく、再犯率もその他の犯罪を犯した人に比べたら非常に少ないというデータもございます。

 私は、大臣にぜひともお願いしたいのは、このような形での新しい法律なりをつくるときには、ぜひとも当事者の方の意見を聞いていただきたい、協議会などをおつくりになるのでしたら、その当事者の方たちの意見を聞き、委員に入れて議論に入らせていただきたいということを要望いたしたいのですが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 触法精神障害者の問題につきましては、今まだいろいろと検討を重ねている段階でございまして、まだまとまるという段階のところまでは至っておりません。しかし、ここは早晩まとめたいというふうに思っているところでございます。

 そこで、一番大事なことは、今委員からも御指摘になりましたけれども、多くの一般の精神障害者の皆さん方と話を混同してしまってはいけない、やはり一般の精神障害者の皆さん方に御迷惑をかけるような法律にしてはいけない。そこはひとつ十分に注意をしながら、しかし、犯罪を犯す人については、それはやはりそれなりの治療も必要でございましょうし、それから、そうしないと一般国民も安心をすることができ得ないわけでございますので、その一般の精神障害者の皆さん方との間の問題を立て分けながら、そしてこの問題の解決に当たりたいと考えているところでございます。

中川(智)委員 それでは、当事者の方の意見を聞くという御答弁だと。――はい、ありがとうございます。ぜひともそれはお願いいたします。

 ハンセン病の方々の最終的な解決というのは、二度と隔離、ある意味での政策として隔離政策をなくしていく。精神障害の人たちもそのような形で、一部の人だといっても、精神障害者というふうなくくりでずっとこの日本の精神病者に対する政策というのは進んできたように思います。今でも、隔離された精神病棟の問題がさまざまな人権侵害を引き起こしております。ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、狂牛病の問題で質問をしていきたいのですが、まず、私も、私自身のライフワークみたいなもので学校給食の運動に取り組んできたということもございまして、学校給食の現場が、今やはり加工食品を多く使っている、牛とかを使っている中で、親御さんたちの不安で、もう毎日のようにどうなんだという校長先生にですとか現場の栄養士さんなんかに問い合わせがあるそうです。

 一万校以上の学校が自主的に危険部位を使ったものや牛の料理というのは今控えているわけですが、これに対してどのようにお考えか。そして、私自身の要望としては、学校給食の現場が、もう学校によって取り扱いがまちまちですので、ぜひとも文部科学省などと連携をとりながら、子供たち、特に感受性の強い子供たちに安心した食を提供できるような体制を講じるべきだと思っておりますが、お願いいたします。

桝屋副大臣 狂牛病については本当に御心配をおかけしております。ただいままで農水委員会でさまざまに今議論されておったわけでありますが、今委員の方からは学校給食の問題を御指摘いただきました。

 委員から何点かお話がありましたが、一つは、しっかり、学校給食に対する取り組みについては文部科学省とも連携をしながら政府を挙げて取り組んでもらいたい。そうしないと、現場においてさまざまな、今学校で全く肉が給食から消えたという声もあるわけでありまして、これは実は今政府部内で、特に副大臣会議におきまして、厚生労働省それから農水省、文部科学省それから総務省、財務省も入って、プロジェクトチームを立ち上げまして、対策を今講じているところであります。

 特に、明日から全国一斉に検査体制を開始するという体制がやっと整いまして、体制ができ上がるという状況でありますから、きょう、あすと大事な時期を迎えているわけでありまして、こうした時期を迎える中で、各省しっかり連携をして取り組みをしなければならぬ、委員の御指摘のとおりだろうと思います。

 そういう意味で、学校給食は、委員からもお話がありましたように、文科省から聞きますと、全国の食肉の〇・四%ぐらいだというふうに聞いているのですが、そんなに量は多くない。が、しかし、相当、マインド効果といいますか、御父兄の方に影響を与えるということで、相当な今の国民の皆さんへの伝達といいますか、風評被害につながっているという御指摘もいただいているわけであります。

 もちろん、加工食品も含めて、我が省は、すべての加工食品業者に対して再度自主点検をお願いして、その結果を今報告をしていただくように、そして報告がまとまり次第、これは発表するようにいたしておりますけれども、そうした情報も含めてきちっと文科省から情報を流していただこう、適切な情報を流していただくということも取り組まなきゃならぬと思います。

 特段、明日から全国一斉の検査体制ができるわけであります。この機会に、しっかり文科省とも連携をして適切な情報伝達に配慮していきたいと思います。よろしくお願いします。

中川(智)委員 時間がないので、桝屋副大臣、今の話の中で、今業者の自主回収ということになっています。これはやはり漏れがあるという不安があるのですね。もう既に出回っている部分がたくさんありまして、法律とかで禁止そして省としての命令という形でやるということはお考えですか。

桝屋副大臣 今の狂牛病に対する国民の皆さんの御心配といいますか、大変な状況を踏まえての委員の御発言でありますが、そうしたこともあって、私どもは再度全国の業者にもう一回自主点検をしてもらいたい。そして、今その報告が続々と入ってきております。

 今月中には最終報告をまとめてこの内容については公表しようと思っておりますが、そうしたものを踏まえて、委員の御指摘もありますことから、今後どうするかも検討させていただこうと思っております。

中川(智)委員 やはり食衛法の改正、この間、千四百万人の署名の中で請願が採択されなかったという経過もあります。食に対しての不信がここまで高まっているこの日本の国の現状に対して、法律をしっかりつくっていくということをぜひともやっていただきたいと思います。

 それと、坂口大臣に伺いますが、九六年、狂牛病の問題がイギリスで大変なことになっているという中でサーベイランスしたときに、いわゆる医原性のクロイツフェルト・ヤコブ病が見つかったわけです。それに対しても、まだ裁判でやっと和解勧告が出た、それでも闘う姿勢をなかなか厚生労働省も崩しませんでした。

 今回のこの狂牛病が発生したということで、今後、人的被害が出るというふうに厚生労働省はお考えか。そして出たときに、今回こそ本当に、いつお肉を食べたかわからない、いつ加工食品を食べたかわからない、何でヤコブ病になってしまったんだろう、そして裁判などということはあってはならないと思います。人的被害があるというふうに考えているのか、出たときの責任、補償というのをどのようにお考えか、お答えください。

坂口国務大臣 この病気が人畜共通の病気でありますことは、先ほども申し上げたとおりでございますが、非常に潜伏期間の長い病気でございます。したがいまして、今回、あすからでございますけれども、国民の皆さん方に安心をしていただけるような体制を確立するわけでございますが、今までの間に日本の国内においてあるいはまた外国生活の中で、それがその方のどういう経歴があったかということにもこれはよるわけでございまして、それらのことが全くそれはかかわりなく安全だということを宣言することはなかなか難しいだろうというふうに思います。

 これから先につきまして、日本の国内においては大丈夫というふうに思っていただく体制をつくり上げるということでございます。ですから、過去のさまざまな状況があるわけでございますから、そこを一律に論じることは甚だ難しいと私は思っております。

中川(智)委員 大臣、それでは本当に心配でたまりません。大抵、台所でもゴキブリが一匹出たら、あと二十匹ぐらいゴキブリがいるというのが私たち市民の常識でございます。一頭だけなんていうのは信じていないわけですよ。ですから、ここまで来たわけです。

 それに対して、イギリスにもしかしたら何年前にいたかもわからないから、イギリスでうつったのは日本で責任ない、そんなことでは困ります。絶対に人的被害が出るかもわからない、出るだろうという体制を、その折の厚生労働省としての責任というのはしっかりと取り組むべきだと思いますが、それに対してのイエス、ノーだけお答えください。

坂口国務大臣 そういう趣旨ならば私もよくわかります。これは、もし仮にの話でございますけれども、そういう患者さんが出ましたならば、それは緊急に対応できる体制を今のうちに確立をしなければならないというふうに思っておりますし、今既にそういう体制を命じているところでございます。

中川(智)委員 もうあと一点だけ。

 環境省さんにも来ていただいたので、いわゆる肉骨粉の処理ですが、セメントとまぜてというところで、何かもう心配は限りないわけで、粉じんとかそういうものが道路をつくった中でまた出てきて吸ったりしたらあれになってしまうんじゃないかということなんですが、その処理に対しての、ちょっとお願いします。

岡澤政府参考人 肉骨粉の処理は、セメントにまぜるということではなくて、セメントの原料として肉骨粉を利用するということでございます。セメントは千四百度Cで焼成、いろいろな原料を炉に入れて焼成いたしますが、その中の原料の一つとして肉骨粉を投入して、その肉骨粉を千四百度の中で焼いて、かつ残った灰をセメントの原料に用いる、こういうことでございますので、できたセメントは全く通常のセメントと変わりなく使えるということで、しかも、仮に肉骨粉の中にプリオンが入ったとしても、千四百度という非常に高温の焼成炉で処理することになりますので、十分安全だというふうに考えております。

中川(智)委員 ありがとうございました。終わります。

鈴木委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 引き続きまして、社会民主党・市民連合の阿部知子と申します。坂口厚生労働大臣にお伺いいたします。

 きょう時局柄、テロと狂牛病問題の御質問が多かったようですが、実は、日本の社会全体、経済の先行き不透明、あるいは高い失業率、そしてあわせて老後の問題、年金あるいは医療、介護の問題が、非常に国民の不安の要素として大きく浮かび上がっていると思います。

 その中で、次期通常国会でのテーマにもなりますが、医療制度改革並びに医療保険制度改革。

 さきに財務省の主計局の方から出されました案ですと、経済の成長率に見合って医療支出も抑えていくというような、非常に高齢社会という現実を見ない愚かな案と私は思いますが、その中にあって坂口厚生労働大臣は、九月十四日の記者会見、並びに厚生労働省が出されました試案の後の九月二十六日の御見解の中で、非常に先見的で御見識があるなと思う御意見を述べておられました。私といたしましては、次期通常国会に出される厚生省案にぜひともこの坂口厚生労働大臣の御見識を生かしていただきたく、本日あえて御質問を、無理なお時間をお願いいたしまして、させていただきます。

 坂口厚生労働大臣はいろいろな点を指摘されておりますが、我が国が国民皆保険制度を現実に維持していけるかどうか、本当に大変なときにあると思います。その中で、今の日本の医療制度、特に医療保険制度は、政府管掌保険、組合健保、国民健保という形で、制度的な分岐がいろいろと分かれてございまして、保険者も五千八百という非常に多岐にわたり、各保険者間の力の差というのも現実にございます。

 その中にあって坂口厚生労働大臣が、あえて言えば、健康保険組合、政府管掌、地域健康保険の一本化ということを大きな目標として掲げておられまして、私はこれは非常にすぐれた御見識と思いますし、そういう大きな枠の中で個々の改革が行われるということがないと、今国民は、例えばですが、患者さん本人、働く本人が三割負担になり、高齢者も自己負担が増し、何にもいいことがない改革で、逆に言うと健康保険制度への信頼を失うことにもなりかねないと思います。

 ここで一点お伺いしたいのは、坂口厚生労働大臣が展望しておられる健康保険制度の一元化ということについて、御意見とある種の覚悟のほどをここでお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 これからの医療制度改革の中で、いろいろの点が大きな問題になりますが、その中のやはり一番大きな柱は、この医療保険制度をどうするかということだろうというふうに思っております。

 現在の医療保険制度を見ましたときに、今委員がお挙げになりましたように、多くの保険制度が林立していると申しますか、たくさん存在しているわけでありまして、そして中には、もう財政上維持することが非常に困難なところも出てきている。それは国民健康保険の方もそうでございますし、それから組合健保の中にも存在するというふうに思っています。現在のこうした中で、しかも高齢化がこれから進んでいく、半分以上が高齢者だというような市町村も出てくるような中で、現状のままで維持していくことは非常に困難であるというのが私の認識でございます。

 今後、医療制度改革を行っていきます以上、この医療保険を、組合健保の方は組合健保として、それから職域でない地域保険は地域保険として、やはり一元化をだんだんと高めていく。そして最終的にその二つをどうするかという大きな問題は残りますけれども、何はともあれ、地域保険の一元化それから職域保険の一元化という方向にまず第一歩を踏み出していかなければならない、そう私は考えている次第でございます。

阿部委員 今の御発言はかなりの覚悟を持ってやっていただかないと現実には進まないということで、私から一点だけ提言をさせていただきます。

 医療経済実態調査というのがございますが、この医療経済実態調査の中で大きく二つに分けて、医療機関等の調査と保険者等の調査というのがございます。医療機関等の調査は約百枚に及ぶ報告書が出ますが、保険者等の調査というのは非常に簡略なものでございます。

 例えば、いわゆる健保組合は財産をお持ちでございます、健保会館や土地や。そうしたものをお持ちの資産の豊かな組合と、それから国保のように非常に逼迫した組合もございます。これからやはり国民にわかりやすい形で、一体どこがどれくらいの負担をお互いに公正に分け合っているかということが明示されないと、なかなか国民の意識はお互いが連帯し合っていくようにはつくられていかないと思いますので、以降、この医療経済実態調査のうちで健保組合、いわゆる保険者についての情報公開をさらに進めていただけますように、私から一点お願いでございます。

 と申しますのも、私がとある会合に出ましたときに、健保組合の方が国保の組合の方に対して、私たちは高齢者医療のお金をたくさん出しているのだ、国保組合は、逆に言えば、いろいろな税金ももらい、健保組合からもお金をもらい、いいところ占めじゃないかというような御発言もございました。でも、人はだれでも年をとりますから、お互いがその所属する組合の違いによって高齢社会を見通せなくなるとすれば、非常に不幸な事態が参ると思います。

 くれぐれも情報公開という一点で、特に、さまざまな保険者の実態、財産も含めた実態を情報公開してくださいますようにお願い申し上げます。これは御返事は結構でございます。

 あともう一点、この医療保険制度と並びまして年金問題も、非常にさまざまな負担の形式が分かれておりまして、不平等感、不公平感を生んでおります。

 特に女性の年金問題で、これも九月二十六日、新聞紙上に発表されました厚生労働省の検討案の中で、女性と年金に三つの案が出てございますうちに、世で言う二分二乗、パートナーの収入、要するに、お二人の収入を合わせて、もう一回分けて年金の掛金としていく方式についてはなかなかハードルが高いというふうな表現もございましたが、やはりこれからは個人単位の年金制度というのが非常にわかりやすく、かつ必要な時代になってくると思いますので、この女性と年金問題についての坂口厚生労働大臣のお考え、とりわけ二分二乗方式についてのお考えをよろしくお願いいたします。

坂口国務大臣 年金制度につきまして、その年金制度の大枠の方向性ということにつきましては、私もこれは個人単位になっていくのが常道であると考えております。

 そしてその方向に向けていきますのに、今御指摘になりました二分二乗方式がいいかどうかというところまで、実は私も今まで考えたことがございませんで、事務方の方に聞きましたら、いろいろの議論をしていただきますその中にはそういう御意見もあったと。そういう御意見もあったということで、あの三項目か六項目かの中にその一つとして挙げさせていただいたということのようでございますが、果たしてそこまで行くのがいいかどうかということは、私もまだ少し勉強不足でございますので、ここは少し勉強をしてから物を言わせていただきたいと思っているところでございます。

阿部委員 くれぐれも社会保障政策においては、哲学が見えるというか、理念が見える改革をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

鈴木委員長 次に、川田悦子君。

川田委員 狂牛病について質問をさせていただきます。

 今回、狂牛病、薬害エイズ問題から見えてくるものは、コスト追求の結果、悲惨な被害が引き起こされたということだと思います。今ここで確認したいのは、何よりも命が大事であるということだと思います。

 そこで、質問に入らせていただきます。

 まず情報公開です。薬害エイズでは何でも、何度でもうそをつかれてきました。いまだに真相は明らかにされておりません。今回の狂牛病の件に関しても同様です。

 まず、第一号の狂牛病の件ですけれども、感染ルートはまだはっきりしておりません。農水省はきょうの農水委員会でも、究明をしている最中だというふうに答弁なさっておりますけれども、では、いつそれがはっきりするのか、その期限を決めていただきたいと思います。私、時間がありませんので、簡単に答えてください。短く答えてください。

坂口国務大臣 原因を究明しなければならないことは私もそうと思いますけれども、原因究明というのは、いつまでにというのは、それはなかなか難しい話でありまして、それは限定はできませんけれども、原因究明はできるだけ精力的に進めなきゃならないということだけは私もそのとおりと思っております。

川田委員 期限を決めないと、いつまでもだらだらやっていて、結局わからない。薬害エイズでもそうなんですけれども、やはり中間報告を出すとか、そういう形でやっていただきたいんです。期限をきちんと、いつまでやるかということを御答弁ください。農水省の方。

永村政府参考人 私ども、最初の患畜、これが発生をいたしましてから、発生した農場からたどる調査もやっておりますし、えさ工場も精査をいたしましたし、今もイタリア、デンマークに担当官を派遣いたしまして、どういうレンダリングの工場から、いつ、だれに輸入されたかというところまで今さかのぼって調査をしております。したがって、どうしてもその期限を切れと言われても、なかなか難しい問題でございます。

川田委員 後でまたこのことは詰めていきたいと思いますけれども。

 NHKの番組で狂牛病が取り上げられたところで、イギリスと日本では輸出入の数が合わないわけですけれども、三百三十三トンという数字ですが、輸入したデータはないと農水省は言っているわけですけれども、確かに、きょう今お配りした資料二には、イギリスから一切輸入はされていないんですけれども、資料三になりますと、肉骨粉ではなく骨粉という形で入っているわけですね。この骨粉というのは、牛だけではなく魚も含めて骨粉という形で入ってきて、どのような割合で入ってきているかわからないんですけれども、肉骨粉の輸入量というのは、魚の値段が高くなってからはどんどんとふえてきていると聞いています。

 私は、今調べているという最中でイギリスにも行かれているというふうに聞いていますけれども、一体その結論はいつごろ出るのかお聞きしたいと思います。

永村政府参考人 まず、イギリスの調査でございますけれども、私ども、昨年の暮れに、一九九〇年から九六年にかけまして、イギリスから、これはイギリスの、ヨーロッパの統計で三百三十三トン日本に出した、こういう統計がございました。

 再三再四、私どもイギリスの大使館を通じて問い合わせを行いましたが、なかなかわからないということで、九月の下旬、先月下旬に私ども担当官を派遣いたしました。イギリスで調査をいたしましたところ、三百三十三トンではなく百六十六トンである、こういう結果が得られております。正式な回答はまだ届いておりませんけれども、その中身は、いわゆるフェザーミールと申しまして、鶏の羽毛からつくったものである、いわゆる肉骨粉ではない、そういう回答をいただいております。

 なぜ数字が違うかということでございますけれども、イギリスの担当部局の説明によりますと、輸出国名あるいは品目名の先方の入力ミスがあった、こういうふうな回答を得ております。

川田委員 それで、ちょっと信じがたいんですけれども、いつごろまとまるのか、返事をいただきたいんです。簡単に。時間がないので。

永村政府参考人 先方の責任ある者から私どもに正式のレターが参りますので、そのときは開示をいたします。

川田委員 いつごろですか。

永村政府参考人 先方もう発出しておるというふうに聞いておりますので、遠からずこちらに接到すると思います。

川田委員 よろしくお願いします。

 次に、安全宣言についてお伺いしたいんですが、あすから全頭検査をするとおっしゃっていますけれども、資料一をごらんになっていただきたいんですが、私、十月十日に芝浦の屠畜場に行ってきました。現在、屠畜されている、きょうは屠畜していないと思いますけれども、実際に、昨年の屠畜数というのは八万五千四百三頭ですけれども、三歳未満というのは一%なんです。今回、検査練習しているのは十月に入ってからで、十月からは三十カ月未満というふうな表示になっているんですね、ごらんになっていただきたいんですが。

 農水大臣は、きょうも、九月十九日から三十カ月未満をやっているというふうなことをおっしゃっていましたけれども、三十カ月未満という表示は十月一日からしかなっておりません。正確なお答えをしていただきたいと思いますけれども。

 あしたから三十カ月以上の牛が入ってくると思います。そうすれば、当然、陽性という反応が出ると思うんですけれども、そこで、今回はエライザ法でやられるわけですけれども、疑陽性が出る、それで確定診断が出るまでは発表しないということをきょうの新聞に書いてありました、昨夜決めたそうですが。厚生労働大臣、なぜ見解が変わったのか、決定が変わったのか、そこの御説明をお願いいたします。

坂口国務大臣 牛の検査の方法につきましては、第一次スクリーニングテスト、そして確定検査、この二段階に分けてやるというふうにいたしておりますが、私は、できれば、第一の段階のところでもしも陽性に出れば、その時点で明確に申し上げた方が消費者の皆さん方は安心をしていただけるのではないか、私個人はそう思ったわけで、記者会見でもそう申し上げたわけでございますが、しかし、それは余計に混乱をするという御意見がございました。

 それで、余計に混乱をするというのは、一つには、まだスタートするばかりであって、今まで研修を受けたとはいいますものの、みんなまだその検査方法というのは未熟だということもあって、もう少しなれるまでの間、これはどうしても、二次検査と申しますか、その検査が確定をするまではそれはしない方がいい、こういう御意見が多数を占めましたので、私もそれに賛同をいたしました。

川田委員 第一号の狂牛病は、プリオニクス社の検査でウエスタンブロットをやったわけですけれども、精度は一〇〇%に近いと言われているんです。それが、なぜかシロが出たわけです。今回、バイオラドにして、エライザ法ですけれども、これは疑陽性がたくさん出るというふうに言われています。

 なぜ、九八年からプリオニクス社はキットができているのにもかかわらず、それを承認もせずに、今回、バイオラドは、未承認の薬を買うわけですね、農水省が。承認されていない薬を使うわけです、エイズの場合はなかなか承認してもらえなかったわけですけれども。今回、緊急的にということで使うということですけれども、なぜ、二年前からキットができているのにプリオニクスを使わないでバイオラドに変えたのか。なぜ、プリオニクスは精度が一〇〇%と言われながら動物衛生研究所でシロの判定が出たのか、とても不思議なんですね。それをお答えしていただくのが、ちょっと時間がないので、もうちょっと先に進みますけれども、そのことについては後でお答えいただきたいんです。

 十月十日に屠畜場に視察に行った折、現場では、陽性が出たとき、どう対応するかわからないとおっしゃっているんです。消毒はどうなるのかということで、とても心配していました。苛性ソーダを使えばいいというふうなことを言われているけれども、これは人間も機械もぼろぼろになってしまう、一体どういう消毒をすればいいんだろうというふうにおっしゃっていました。そのことについてお答えしていただきたいんです。

尾嵜政府参考人 今回の十月十八日から一斉のスクリーニング体制が動き出す際に、私どもの方から各自治体の方には、検査に関係します実施要領を送らせていただいております。そういった中で、検査の結果、確定して、陽性であったというふうな牛が確認された場合には、その対応について、これは消毒なりの方法としては三つほどございますが、そういった形で対応するようにと。

 また、御心配になっておるのは、そういった牛があるいは部分が外に出るかどうかということも御心配だと思いますが、最初のスクリーニングテストの段階で陽性、一次スクリーニングで陽性というふうに出た段階で、すべてその牛については内臓も含めて屠場にとどめるということでございまして、それが最終的に確定検査で陽性ということになれば、全部焼却するということを意味しております。(川田委員「いや、器具の消毒をどうするんですかと聞いているんです」と呼ぶ)

 器具につきましては、そういった、最終的に確認されてBSEであるというふうになりました際には、その特定危険部位が触れた範囲についてはすべて、先ほど申し上げましたように三種類の消毒法のどれかでということで対応していただくということでございます。

川田委員 済みません、質問時間がもう終わるんですけれども。

 流れ作業で解体しているんですよ。ですから、消毒をどうするのかということを決めてやっておかないと、いつ出るかわからないという段階に入っているわけですよ。私の質問に対してきちんと答えていただきたいんですけれども。これは国民の命に、安全にかかわっていることなんです。もっとまじめに答えてください。

 それで、先ほど家西議員の質問に対してEUを基準にしているとおっしゃっていましたけれども、リスクの評価ですけれども、お答えになっていますけれども、実際、では畜産部長は、EUの基準は古い、もうそれは物差しにならないとおっしゃっていますよね。そのことについてはっきりとお答えいただきたいんですが。そのことをお答えいただきたいんですけれども。

永村政府参考人 EUの、第三国に対するBSEのステータス評価でございますけれども、委員御指摘のとおり、私ども従来から、今までのEUのステータス評価の基準というものは、いわゆるOIEの規約、国際基準と外れている、かけ離れているということで、この評価に対してはいささか問題ありという立場ではございました。

 しかしながら、EU自体も、今までの基準をことし七月に変更いたしまして、OIEの規約を踏まえた新たな基準を採択したということでありまして、この基準であれば、私どもいつでも評価をしていただいて結構だ、こういう立場でございます。

鈴木委員長 川田君、時間ですよ。

川田委員 終わります。

 ちょっと最後に、今のお答えですけれども、厚生労働省は、EUの基準で医薬品のリスクを考えているんですよ。厚生労働省と農水省では違っているわけですよ。今回も物すごくこの連携がまずいんですよ。きちんとしたプロジェクトチームを連携してつくってほしいです。

 私は、最後に一言お願いしたいんですけれども、時間なのでもう終わりにしますけれども、危機管理、危機管理といいますけれども、小泉首相も、まさかというときのための危機管理だ、だから今回テロ対策特別措置法が必要だというふうに言いましたけれども、危機管理をするならば、狂牛病問題についてきちんとやることがこの国にとっての危機管理だと思います。それがなされていない。私は非常に怒っています。この前も農水省で、私はやじを飛ばしましたけれども、本会議でも大声を上げました。とても黙っていられないような状況です。真剣に取り組んでほしいと思います。

 質問を終わります。

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十三分散会




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