衆議院

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第11号 平成14年4月26日(金曜日)

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平成十四年四月二十六日(金曜日)
    午前十一時開議
 出席委員
   委員長 森  英介君
   理事 鴨下 一郎君 理事 鈴木 俊一君
   理事 長勢 甚遠君 理事 釘宮  磐君
   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君
   理事 佐藤 公治君
      岡下 信子君    木村 義雄君
      北村 誠吾君    左藤  章君
      自見庄三郎君    田村 憲久君
      高木  毅君    竹下  亘君
      竹本 直一君    棚橋 泰文君
      西川 京子君    林 省之介君
      松島みどり君    三ッ林隆志君
      宮澤 洋一君    山口 泰明君
      吉野 正芳君    大島  敦君
      加藤 公一君    鍵田 節哉君
      金田 誠一君    五島 正規君
      土肥 隆一君    三井 辨雄君
      水島 広子君    江田 康幸君
      桝屋 敬悟君    小沢 和秋君
      瀬古由起子君    阿部 知子君
      中川 智子君    川田 悦子君
    …………………………………
   議員           金田 誠一君
   議員           五島 正規君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   厚生労働大臣政務官    田村 憲久君
   政府参考人
   (総務省郵政企画管理局長
   )            團  宏明君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  宮島  彰君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           真野  章君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  堤  修三君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十六日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     左藤  章君
  佐藤  勉君     高木  毅君
  西川 京子君     山口 泰明君
同日
 辞任         補欠選任
  左藤  章君     上川 陽子君
  高木  毅君     佐藤  勉君
  山口 泰明君     西川 京子君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 高齢者窓口負担の引き上げ、健保本人三割負担などの中止に関する請願(長妻昭君紹介)(第二二四七号)
 児童扶養手当の減額や打ち切りなど制度の改悪中止に関する請願(春名直章君紹介)(第二二四八号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二二四九号)
 患者負担引き上げ中止に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二二五〇号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第二二五一号)
 同(児玉健次君紹介)(第二二五二号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二二五三号)
 同(春名直章君紹介)(第二二五四号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二二五五号)
 同(細野豪志君紹介)(第二三一九号)
 同(大島令子君紹介)(第二三五六号)
 社会保障を拡充し、将来への安心と生活の安定に関する請願(春名直章君紹介)(第二二五六号)
 同(山元勉君紹介)(第二三二〇号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二三五七号)
 介護保険制度の緊急改善に関する請願(春名直章君紹介)(第二二五七号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二二五八号)
 児童扶養手当の抑制案撤回に関する請願(山花郁夫君紹介)(第二二五九号)
 同(阿部知子君紹介)(第二三二一号)
 同(山花郁夫君紹介)(第二三二二号)
 同(山花郁夫君紹介)(第二三五九号)
 公的年金制度を改革し最低保障年金制度の創設に関する請願(春名直章君紹介)(第二二六〇号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二二六一号)
 同(仙谷由人君紹介)(第二三二五号)
 医療改悪反対、国民健康保険・介護保険制度の拡充に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二二六二号)
 パーキンソン病患者・家族の療養生活の質向上に関する請願(菅直人君紹介)(第二二六三号)
 同(佐藤剛男君紹介)(第二二六四号)
 同(山花郁夫君紹介)(第二三二七号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二三六一号)
 同(川田悦子君紹介)(第二三六二号)
 安全で行き届いた看護の実現に関する請願(山口富男君紹介)(第二二六五号)
 同(阿部知子君紹介)(第二三二八号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二三六三号)
 移行教育の早期実現と看護制度一本化に関する請願(山口富男君紹介)(第二二六六号)
 同(阿部知子君紹介)(第二三二九号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二三六四号)
 国立病院・療養所の院内保育所の存続・拡充に関する請願(石井郁子君紹介)(第二二六七号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二二六八号)
 同(大幡基夫君紹介)(第二二六九号)
 同(大森猛君紹介)(第二二七〇号)
 同(穀田恵二君紹介)(第二二七一号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第二二七二号)
 同(志位和夫君紹介)(第二二七三号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第二二七四号)
 同(不破哲三君紹介)(第二二七五号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二二七六号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二二七七号)
 同(山口富男君紹介)(第二二七八号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二二七九号)
 同(釘宮磐君紹介)(第二三三〇号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二三六五号)
 同(大島令子君紹介)(第二三六六号)
 健保三割負担・高齢者窓口負担の大幅引き上げ中止に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二二八〇号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二二八一号)
 同(春名直章君紹介)(第二二八二号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二二八三号)
 同(山口富男君紹介)(第二二八四号)
 同(阿部知子君紹介)(第二三三一号)
 同(阿部知子君紹介)(第二三六七号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二三六八号)
 同(松本善明君紹介)(第二三六九号)
 健保三割負担・高齢者窓口負担の大幅引き上げなどの中止に関する請願(児玉健次君紹介)(第二二八五号)
 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(臼井日出男君紹介)(第二二八六号)
 同(小林興起君紹介)(第二二八七号)
 同(原田義昭君紹介)(第二二八八号)
 同(仙谷由人君紹介)(第二三三四号)
 同(御法川英文君紹介)(第二三三五号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二三七〇号)
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願(山田敏雅君紹介)(第二二八九号)
 同(赤松広隆君紹介)(第二三三七号)
 同(鈴木康友君紹介)(第二三七一号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二三七二号)
 障害者の介護・福祉制度の利用における親・家族負担の撤廃に関する請願(水島広子君紹介)(第二二九〇号)
 同(阿部知子君紹介)(第二三三八号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二三七四号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二三七五号)
 中小企業退職金共済法の改悪反対に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二二九一号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二二九二号)
 同(中川智子君紹介)(第二三七六号)
 働くルールの確立に関する請願(春名直章君紹介)(第二二九三号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二二九四号)
 安心の医療制度への抜本改革、負担増反対に関する請願(鳩山由紀夫君紹介)(第二三一八号)
 児童扶養手当抑制案の撤回に関する請願(阿部知子君紹介)(第二三二三号)
 介護、医療、年金制度の拡充に関する請願(阿部知子君紹介)(第二三二四号)
 無認可保育所への公的助成等に関する請願(釘宮磐君紹介)(第二三二六号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二三六〇号)
 国民の医療と国立病院・療養所の充実・強化に関する請願(釘宮磐君紹介)(第二三三二号)
 同(古川元久君紹介)(第二三三三号)
 国民医療及び建設国保組合の改善に関する請願(仙谷由人君紹介)(第二三三六号)
 精神障害者通院医療費公費負担に関する請願(阿部知子君紹介)(第二三三九号)
 介護保険の在宅介護利用料の引き下げ等緊急改善に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二三五五号)
 医療費負担引き上げの中止に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二三五八号)
 患者負担引き上げの中止に関する請願(川端達夫君紹介)(第二三七三号)
同月二十六日
 社会保障を拡充し、将来への安心と生活の安定に関する請願(平沢勝栄君紹介)(第二四一六号)
 同(志位和夫君紹介)(第二四七一号)
 同(大森猛君紹介)(第二五二九号)
 同(長浜博行君紹介)(第二五三〇号)
 児童扶養手当の抑制案撤回に関する請願(中川智子君紹介)(第二四一七号)
 同(山花郁夫君紹介)(第二四一八号)
 同(中川智子君紹介)(第二四七八号)
 同(山花郁夫君紹介)(第二四七九号)
 同(山花郁夫君紹介)(第二五三一号)
 児童扶養手当抑制案の撤回に関する請願(中川智子君紹介)(第二四一九号)
 同(中川智子君紹介)(第二四八一号)
 同(中川智子君紹介)(第二五三二号)
 パーキンソン病患者・家族の療養生活の質向上に関する請願(松島みどり君紹介)(第二四二〇号)
 同(横内正明君紹介)(第二四八五号)
 健保三割負担・高齢者窓口負担の大幅引き上げ中止に関する請願(阿部知子君紹介)(第二四二一号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第二四八六号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二四八七号)
 同(児玉健次君紹介)(第二四八八号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第二四八九号)
 同(志位和夫君紹介)(第二四九〇号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第二四九一号)
 同(中林よし子君紹介)(第二四九二号)
 同(春名直章君紹介)(第二四九三号)
 同(不破哲三君紹介)(第二四九四号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二四九五号)
 同(松本善明君紹介)(第二四九六号)
 同(石井郁子君紹介)(第二五三五号)
 同(大石尚子君紹介)(第二五三六号)
 同(大幡基夫君紹介)(第二五三七号)
 同(大森猛君紹介)(第二五三八号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第二五三九号)
 同(穀田恵二君紹介)(第二五四〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第二五四一号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二五四二号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二五四三号)
 健保三割負担・高齢者窓口負担の大幅引き上げなどの中止に関する請願(石井一君紹介)(第二四二二号)
 同(中川智子君紹介)(第二四二三号)
 同(前田雄吉君紹介)(第二四九八号)
 同(長浜博行君紹介)(第二五四四号)
 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(自見庄三郎君紹介)(第二四二四号)
 同(平沢勝栄君紹介)(第二四二五号)
 同(井上義久君紹介)(第二四九九号)
 国民医療及び建設国保組合の改善に関する請願(石井一君紹介)(第二四二六号)
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願(近藤昭一君紹介)(第二四二七号)
 同(斉藤鉄夫君紹介)(第二四二八号)
 同(今川正美君紹介)(第二五〇〇号)
 同(遠藤和良君紹介)(第二五〇一号)
 同(斉藤鉄夫君紹介)(第二五〇二号)
 同(牧義夫君紹介)(第二五〇三号)
 同(斉藤鉄夫君紹介)(第二五四五号)
 障害者の介護・福祉制度の利用における親・家族負担の撤廃に関する請願(中川智子君紹介)(第二四二九号)
 医療費負担増計画の撤回に関する請願(児玉健次君紹介)(第二四四九号)
 医療費負担引き上げ中止と介護保険の緊急改善に関する請願(大森猛君紹介)(第二四五〇号)
 患者負担引き上げ中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四五一号)
 同(石井郁子君紹介)(第二四五二号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二四五三号)
 同(大幡基夫君紹介)(第二四五四号)
 同(大森猛君紹介)(第二四五五号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二四五六号)
 同(児玉健次君紹介)(第二四五七号)
 同(穀田恵二君紹介)(第二四五八号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第二四五九号)
 同(志位和夫君紹介)(第二四六〇号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第二四六一号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二四六二号)
 同(中林よし子君紹介)(第二四六三号)
 同(春名直章君紹介)(第二四六四号)
 同(不破哲三君紹介)(第二四六五号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二四六六号)
 同(松本善明君紹介)(第二四六七号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二四六八号)
 同(山口富男君紹介)(第二四六九号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二四七〇号)
 同(志位和夫君紹介)(第二五二七号)
 同(長浜博行君紹介)(第二五二八号)
 乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(大森猛君紹介)(第二四七二号)
 介護保険制度の緊急改善に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二四七三号)
 同(穀田恵二君紹介)(第二四七四号)
 同(中林よし子君紹介)(第二四七五号)
 同(松本善明君紹介)(第二四七六号)
 社会保障拡充に関する請願(横内正明君紹介)(第二四七七号)
 介護保険の改善、医療保険改悪計画の中止に関する請願(木島日出夫君紹介)(第二四八〇号)
 介護、医療、年金制度の拡充に関する請願(児玉健次君紹介)(第二四八二号)
 同(山口富男君紹介)(第二四八三号)
 医療保険制度の拡充に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二四八四号)
 医療への国庫負担を増やし、患者負担引き上げの中止に関する請願(大森猛君紹介)(第二四九七号)
 働くルールの確立に関する請願(石井郁子君紹介)(第二五〇四号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二五〇五号)
 同(大幡基夫君紹介)(第二五〇六号)
 同(穀田恵二君紹介)(第二五〇七号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二五〇八号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二五〇九号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二五一〇号)
 安心の医療制度への抜本改革、負担増反対に関する請願(都築譲君紹介)(第二五一一号)
 同(東門美津子君紹介)(第二五一二号)
 同(中西績介君紹介)(第二五一三号)
 同(一川保夫君紹介)(第二五四六号)
 同(佐藤公治君紹介)(第二五四七号)
 同(都築譲君紹介)(第二五四八号)
 同(東門美津子君紹介)(第二五四九号)
 同(中西績介君紹介)(第二五五〇号)
 同(保坂展人君紹介)(第二五五一号)
 医療制度改革反対に関する請願(保坂展人君紹介)(第二五二五号)
 社会保障拡充、将来への安心と生活の安定に関する請願(高木陽介君紹介)(第二五二六号)
 安全で行き届いた看護の実現に関する請願(菅野哲雄君紹介)(第二五三三号)
 移行教育の早期実現と看護制度一本化に関する請願(菅野哲雄君紹介)(第二五三四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
 健康増進法案(内閣提出第四七号)
 医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案(山井和則君外三名提出、衆法第一一号)
 健康保険法等の一部を改正する法律案(五島正規君外三名提出、衆法第一三号)


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     ――――◇―――――
森委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案、健康増進法案、山井和則君外三名提出、医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案及び五島正規君外三名提出、健康保険法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省郵政企画管理局長團宏明君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、医薬局長宮島彰君、社会・援護局長真野章君、老健局長堤修三君及び保険局長大塚義治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
森委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
森委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君。
長勢委員 おはようございます。
 坂口大臣には、日夜大変御苦労さまでございます。いよいよ健康保険法改正案の審議が開始されるわけでございますが、御就任以来、医療制度改革に全力を傾注されておられます大臣にまず敬意を表したいと思います。
 しかしながら、今回の改正につきましては、これは抜本改革なしに国民に負担を求めるだけのものではないかとか、将来の展望が見られないといったような批判も聞かれるところでございます。私自身も、いささか医療問題に携わってきましただけに、そのような批判には謙虚に耳を傾けなければならないな、また、少子高齢化時代に備えて、国民が安心できるような医療制度を将来とも安定的に持続可能なものに再構築するために、一層の努力が必要だということを痛感いたしております。
 抜本改革ということが叫ばれて大変久しいわけでございます。平成九年の改正も、抜本改革に取り組むということを前提に行われたわけでございますが、その後、これまでの間にいろいろ努力もしてまいりました。薬価や診療報酬や医療提供体制や高齢者の患者負担など、多くの改善、改革をやってきたわけでございますけれども、しかしそうは言っても、結果として今日の状況を見るに至ったということは、私自身も残念な思いをいたしております。
 しかしながら、現実に、医療保険財政、医療保険制度の状況はまことに危機的状況にあるわけであります。いろいろな議論があることは承知をいたしておりますが、しかしこういう事態でありますので、国民の理解を得て、何としてでも破綻という事態は防止しなければならない、そのために我々としても早急に、寸暇を惜しんで十分な議論をして改正案の成立を図る必要があるということについてはだれしも異論のないところである、そしてこれが我々の国民に対する責務であると考えております。
 今回の改正は、今言ったような経過からいたしましても、抜本改革の第一歩をなすものである、こういうふうに思うわけでございますが、当委員会でのきちんとした議論を行うことによって、国民の皆様に医療制度についての課題を十分に御理解いただく、一緒に考えていただく、そしてみんなで医療制度を支え合っていくという気持ちになっていただく、こういうことが私は大変重要であると思っております。
 そこで、私からは、今回の改正と今後の抜本改革に向けての基本的な考え方について、大臣の所信を何点かお伺いをしたいと思います。
 まず、今般の医療制度改革の意義、基本的考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
 今般の法改正は、厳しい医療保険財政の状況に緊急に対処しなければならないということが背景にあるわけでございます。このために、三方一両損といったようなことが言われており、既に診療報酬の引き下げということが、初めて実質的な引き下げということが実施をされて、これがまた医療関係者からは大きな不満の声が上がっておるという状況でございます。また、国民の皆さんからは、法改正による負担増についての不安というものもたくさん聞かれております。
 こういう状況の中でやらなければならない改正でございますが、こういう改革というものは、何の理念もなく国民の負担を引き上げる、当座をしのぐというような、単なる財政対策であってはならないということは言うまでもないことであります。明確な理論と哲学を持って、これからの医療について国民がきちんとした展望の持てるものであることが必要であると思います。そうでなければ国民の理解が得られない、こういうふうに考える次第であります。
 そこで、今般の医療制度改革がどうして必要なのか、これからの医療制度はどうなっていくのかについて国民の皆さんにわかりやすく理解していただくように、改革の基本的な考え方、理念について大臣の御所見をお伺い申し上げたいと思います。
坂口国務大臣 健康保険法を初めといたします今回のこの法律の審議に当たりまして、委員長初め委員の皆さん方に大変御努力をいただいて、本日、最初の日を迎えさせていただきまして、心からお礼を申し上げたいと存じます。
 これからこの委員会におきまして、万般にわたりましてのひとつ御議論をいただき、御意見をちょうだいしながら、この制度改革というものをよりよいものに、どうするかということもあわせてそれが進行していけばというふうに思っている次第でございます。
 さて、今お話をいただきましたように、この医療制度改革が叫ばれて久しいわけでございますが、なかなか今日まで進んでまいりませんでした。しかし、一方におきましては、超高齢社会、これはもう予想をはるかに超えて進んでまいりました。一方におきまして、経済の低迷等もございまして、保険財政が非常に厳しいといったことが一面にございました。とりわけ政管健保などにおきましては、ことしいっぱいそれが財政的にもつかもたないかというところまで参ったわけでございまして、早くこの状況を脱しなければならないという財政的な問題点があったことも事実でございます。しかし、その財政的な問題を解決いたしますとともに、今までのように財政的な解決だけを何回も繰り返しておりましては本質的な解決が得られない。
 先ほど抜本改革のお話に触れていただきましたとおり、平成九年にも抜本改革をというお話があって、私もそのときには当時の小泉厚生大臣に対しまして、抜本改革抜きにして制度改革はあり得ない、随分何度も何度も質問をさせていただいた経緯がございます。
 私も、この現在の当面の課題の解決と抜本改革を同時にやらなければならない、就任以来そう思っておりましたが、この当面の課題の方は、これは財政上の問題もあり、そして予算上の問題もあり、そして早くこれは俎上にのせなければならないということでございますが、抜本改革の方は、何にいたしましても、抜本であればあるほどこの厚生労働省の範囲内だけの議論ではなくて、税制の問題もこれあり、財政上の問題もこれありといったことで、非常に幅広い議論が必要になってくるというようなこともございまして、どういたしましてもいろいろの意見を聞いておりますうちに後手後手に回ってしまうというようなことがございました。
 私もこれは、気をつけなければならない、早くこちらの方も進めなければならないというので、この議論を進めていただきながら、それとあわせて、抜本改革の方につきましても、我々の考え方もその中でできる限り申し上げて、皆さん方の御理解を得ていきたい。そして、今日御審議をいただいておりますこの法律の方向性というものと抜本改革の方向性というものが一致している、そこに違いはないということも御理解をいただけるようにしていかなければならないと思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、これから、そうしたことを中心にしまして、私もできるだけ考えておりますことを発言させていただきたいというふうに思っておりますし、また、皆さん方の御意見もちょうだいをしたいと思っているところでございます。
長勢委員 財政の危機的状況の中で、抜本改革もあわせて同時に進めなければならないという大臣のお話は、まことにそのとおりだろうと思います。しかし、この抜本改革については、なかなか難しい問題でございますので、改めて抜本改革についての大臣の決意を具体的にお伺いをいたしたいと思います。
 今大臣からもお話がありましたように、国民に負担を求める以上、医療制度のむだ、非効率は徹底して排除することはもちろんでありますし、さらに、二十一世紀に対応した医療制度はどうあるべきかという視点から、医療保険制度の体系のあり方を初め、抜本的な改革を進めていかなければならない、このように私も考えております。
 政府はこれまで、抜本改革をやる、やると言いながらも、問題が先送りをされて、約束は十分果たせなかったというのが今日までの経過であるということは、今大臣からもお話のあったとおりであります。こういう反省に立って、今回の法案では、附則において多くの検討事項が具体的に盛り込まれ、そして、抜本改革に向けての方向、スケジュールといったものも明示をされておる。このことは、私は評価をいたしたいと思います。これらは何としてでも現実に実行していかなければなりません。自由民主党、与党もそのために全力を尽くす決意でおるわけであります。
 しかしながら、いずれもなかなか難しい問題ばかりでございますし、本当にできるのかなということを不安に思う向きもあるわけでございますから、ここは本当に心を一にして頑張っていかなければならない課題であります。
 特に、抜本改革の最大のポイントは、高齢者医療制度の改革であろうと思っております。高齢化に伴い増大をする老人医療費をどのように国民全体で公平に負担をしていくかということが、こういう高齢者医療制度の改革こそが最重要課題であり、これが解決されてこそ、国民の安心できる持続可能な安定した医療制度というものをつくることができる、このように思っておるわけであります。
 高齢者医療制度をどうするかということについては、今までも幾つかの具体的な案も検討されてきておるわけでございます。それを踏まえてでしょうけれども、法案の附則では、新しい高齢者医療制度の創設について、今年度内に基本方針を策定するとされておるわけでありますが、今度こそ結論を出さなきゃならぬ土壇場の事態であろうと思っております。
 この法案の成立を踏まえて、ひとつ大臣においても大いに頑張っていただかなければならないわけでございますが、抜本改革に向けての大臣の決意、改革への基本的な考え方、また、具体的にどのようにお進めになるのか、これらについて御所見をお伺いいたしたいと思います。
坂口国務大臣 抜本改革につきましては、何をどう改革していくかというと、さまざまな問題点があるというふうに私は思っております。
 昨年の末から、与党内でもいろいろと御議論をいただきまして決定をしていただきましたのは、一つは、五千を超えます保険者をこのままにしておいていいのか。非常に財政的に厳しくなりました。本当に小さな保険者も多いわけでございますし、そしてまた、市町村におきましては、非常に人口の少ない、そして高齢化をしたところもあるわけでございますので、そうした問題を解決いたしますために、この保険の統合、一元化、なかなか一元化までいきますのには時間がかかると思いますけれども、まず、いわゆる統合化というものを方向性を示していかなければならないだろうというふうに思っております。それが一つ。
 そしてもう一つは、何と申しましても、医療の中心でございます診療報酬のあり方、この診療報酬のあり方が現在の日本の医療の姿を決定していると言っても過言ではないというふうに私は思っております。
 この診療報酬の中身、これはもう本当に細かく決められておりますから、もう東京都の電話帳ぐらい厚さがあるわけでございますので、我々、これを見ましても、なぜこれが高いのか、なぜこれが低いのかということがなかなかわからない。したがいまして、この診療報酬のあり方につきましては、何が基準になってこれが成り立っているのか、その基準をやはりもう少し明確にして、どの人から見ていただいても、なるほど、これはそういう基準で高くなっているのか、低くなっているのかということがわかるようにしていかなければいけないと私は思っております。
 そういう意味で、基準を幾つか、それが二つなのか三つなのかわかりませんけれども、基準を明確化していきまして、そうして専門家の皆さん方にも、あるいはまた国民の皆さん方からも御理解を得られやすいような診療報酬体系にすべきだというふうに思っております。
 この診療報酬体系を上げたり下げたりすることによって医療の内容を調整していく、すなわち医療財政を調整していくというのは、これは私は、余りここではやってはいけないことではないか。上げたり下げたり、点数の調整によって医療の中身を調整していく、医療財政を調整していくというのは、少し私は問題がある。それよりも、ここはもうだれから見られても明確な制度にしていく、物差しにしていく、そうしたことが必要であって、そこのところを、皆さん方の御意見も伺いながら、これは議論を重ねて、そして今年中に決着をつけなければならないと思っているところでございます。
 先ほどお触れになりました一番大きい問題は、高齢者の医療制度をどうするかということだと思いますが、この点につきましては、もうかなり議論は尽くされているというふうに思っております。あとは、どれを選択するかという、その決断の問題ではないかというふうに思います。
 自社さ政権のときにも非常に具体的にいろいろの検討をしていただいておりますことを私は拝見をいたしております。それ以後もいろいろの検討をしていただいておりますしいたしますから、議論は、かなりここは尽くされている。あとはどう選択するかの問題であり、そしてこれは、税制上あるいは財政上の問題等も絡めてどう決断をするかということにかかってきていると思っておりまして、そうした今までの議論を踏まえながら、どう決断をするかということを、早くレールに乗せなければならないと思っているところでございます。
 これら三つの基本的な大きな柱を中心にいたしまして、そのほか、厚生労働省のかかわりのところで、例えば年金、医療、介護、雇用といったところの保険の徴収の一元化をどう進めていくか、あるいはまた、保険の徴収だけではなくて、社会保険病院やあるいは社会保険庁のあり方、そうしたことにつきましても、ここで国民の皆さん方から、厚生省自身もやはり血を流しながらやっているなということがわかっていただけるようにしなければならないと思っているわけでございまして、こうした問題は、ことしの八月をめどにいたしまして、これは先に決着をつけたい、そんなふうに思っている次第でございます。
 そうしたところを中心にいたしまして、御議論をいただきたいと思っているところでございます。
長勢委員 大臣の並々ならぬ抜本改革に取り組む決意を伺わせていただきました。これから全力を挙げて抜本改革を実現するということを前提にして、この改正案についての国民の皆さんの御理解が得られることを期待するものでございます。
 最後になりますが、我が国の医療制度のあり方についての基本姿勢について、お伺いをさせていただきたいと思います。
 今おっしゃったように、医療制度改革というのが待ったなしの緊急課題になっておりますけれども、考えてみますと、我が国の保健医療制度というのは、WHOからも世界第一位と評価をされておる、こういうものでございます。
 これは、我が国の医療制度が国民皆保険、フリーアクセスという理念を堅持してきたからこそであります。すべての国民の皆さんが保険証を持っておる。保険証一枚さえあれば、金持ちであってもそうでない人であってもひとしく、いつでも、だれでも、どこででも、どの医者にかかろうとも同じ医療が受けられる。これは大変にすばらしい、世界に誇るべき日本の制度である。これだからこそ、我が国の長寿化も進み、国民の健康が守られてきた。この国民皆保険、フリーアクセスという基本は堅持をしていかなければならないと思っております。
 ただ、問題は、高齢化が進展したために、このすばらしい我が国の医療制度が、これを維持していくためには負担が重くなり過ぎた。今までの負担のやり方では耐えられないというところが問題でありますから、この問題は、国民全体の問題として直していかなければならない。
 しかし、そうであるにもかかわらず、最近、ともすればアメリカ流の市場原理、競争原理の導入に偏重したような医療改革の議論が多く見られる。このことは非常に心配なことでございます。医業経営への株式会社の参入ですとか、混合診療の解禁といったような議論が行われておるわけでありますが、こういう議論が国民皆保険やフリーアクセスといった理念を否定することになるのではないか、そういうことにならないものなのかどうかということを慎重に考える必要があると思いますし、何よりも、命と健康にかかわる医療の問題を利益追求の場という視点からとらえるといったような議論があるとすれば、これは私は、許せないことである、怒りとまた不安と危惧というものを感ずる次第であります。
 今後の医療制度改革を考えるに当たっては、この国民皆保険、フリーアクセスという我が国の医療制度の基本は堅持するという姿勢が前提でなければならないと考えます。
 大臣、これからいろいろ御検討いただくわけでございますが、このことを決して忘れることなく取り組んでいただきますようにお願いをいたしまして、これについての大臣の基本的な姿勢をお伺いいたしたいと思います。
坂口国務大臣 先ほどお触れをいただきましたように、日本の医療というのは、世界から見ますと非常にすぐれた制度である。日本の医療は、皆保険制度が導入され、そしてまた保健の面から見ましても、あるいは平均寿命等の面から見ましても、乳幼児死亡率等の面から見ましても、世界的にトップクラスのところにある。トータルで見ても、これは一位だという評価をいただいているところでございます。
 しかし、そうは申しますものの、超少子高齢社会を迎えまして、その中身は必ずしも将来予断を許さないという状況になってきたことも事実でございます。
 これらの問題を、さらに安定的なものにして現在だけではなくて将来も安心をしていただけるような、そういう皆保険制度をどう構築していくか。現在だけではなく、将来も安心して受けていただける皆保険制度の持続、これがやはり一番大事なことだというふうに私も思っている次第でございます。
 その中で、やはり改革すべきところは改革をしていかなければならないわけでございますが、先ほどお触れになりましたように、株式会社化の話がございましたり、あるいは自由診療のお話が出たりということが確かにございます。
 しかし、それは現在のこの保険制度を維持する、堅持するというその範囲内の話だ、話でなければならないというふうに私は思っている次第でございまして、医療は、今さら申し上げるまでもなく、一方において財政面におきます効率というものもそれは追求はしていかなければならないというふうに思いますが、もう一つ忘れてはならないのは、やはり医療効率というものを忘れてはならない。医療の質というものを、中身というものを、それをなくしてしまって、ただ効率を上げればいいというわけのものでは決してございません。
 経済財政諮問会議におきましても、私はいつもそのことを主張させていただいておりまして、ぜひそこは理解をしていただきたい。普通の株式会社におけるものとはここは質的に違いがあるということを主張させていただいているところでございます。
 これからも、そういう物の考え方に沿いましてこの医療制度改革というものを進めていくことに、万般の、全体の御理解をいただきたいと思っているところでございます。
長勢委員 どうもありがとうございました。
森委員長 次に、松島みどり君。
松島委員 自由民主党の松島みどりでございます。
 本日は、政府提案の健康保険法改正案と健康増進法案、この二つの法律について質問をさせていただきます。
 まず、質問に入る前に、どのような法律をつくっても、医療に対する、特に医療の安全性に対する信頼というものが国民からなければ、その制度は成り立っていかない、法律も運用できないと思います。
 それで、今多くの皆さん方が、患者になり得る国民の皆さん方が驚きあきれている事案の一つに、川崎協同病院の案件がございます。
 これでございますが、本人や家族の意思の確認がなされないところで、報道されているような行為を医師が行ったということでございますと、これは安楽死の定義づけ以前の問題でございますし、今後、司法の判断、いろいろなことが行われていくと思いますが、ある意味では殺人罪の適用もあり得るような、つまり単なる過失とかいわゆる医療ミスとかそういったどころではない、一体どういう考えでこんな行動に及んだのかという根本的な問題があると思います。
 ただ、この事案そのものについて本格的に審議をいたしますと、三時間、四時間あっても足らないような話になりかねないと思いまして、それで、この医師自身は病院をやめて診療所を開いているようでありまして、医師自身の問題も第一義なんですが、ここでは病院の責任というものを問いたいと思っております。
 この病院の、病院自身の責任もそうですし、長らく隠ぺいしてきたという体質をどう考えるかということについて、まず簡単にお伺いしたいと思っております。
真野政府参考人 川崎協同病院は、消費生活協同組合法に基づきます消費生活協同組合として設置をされているものでございます。この事案が起こりまして、平成十三年の十月末に職員から指摘があり、病院管理部が調査を行った。そして、その後、この四月の十八日に病院が保健所及び警察署に届け出をし、十九日に内部調査結果を公表したという経緯でございます。
 これに対しまして、今、川崎市では、四月の二十二日に健康福祉局長を委員長とする川崎協同病院問題対策委員会を設置し、また、生協そのものも真相究明委員会を設置いたしまして調査をするということで、その究明を待ちたいというふうに思っております。
松島委員 第一義的に川崎市が行うということでございますが、今ちょっとお触れになりました、医療生活協同組合というお話がございました。これは、全国にどれぐらいあって、どういう性格のものであるのか、組合員だけが診療を受けているのかどうかといった問題。
 そしてさらに、この医療生活協同組合というものが、しばしば、そしてまたこの川崎協同病院も入っているんですけれども、全日本民主医療機関連合、民医連と通常言われているところが特定の政党と結びついた活動を行っているという指摘が時々地方において聞かれることがございます。この点については、厚生労働省としてはどういう把握をされて、どういうように臨んでおられるのか、伺いたいと思います。
真野政府参考人 生協法に基づきまして設立されました組合のうち、病院の開設などの医療事業を行っておりますいわゆる医療生協と言われるものは、平成十一年の実態調査によりますと、組合数は百四十六組合、組合員数は二百五十万人、それから開設する病院数、診療所数は四百十五カ所ということでございます。
 それから、生協でございますので、当然、事業の場合には組合員の利用というのが原則でございますが、医療機関といたしましては診療応需義務もあるということから、組合員でない方が受診をされても今度は医療機関側としてはこれを拒むことができないということでございまして、そういう、いわば組合員以外の利用もそういう意味ではあり得るということでございます。
 それから、政治的中立ということにつきましては、これも生協法上、特定の政党のために生協を利用してはならないというふうに規定をされておりまして、私どもといたしましては、つとにこの旨の周知をいたしております。さらにその周知の徹底を図りたいというふうに思っております。
松島委員 つまり、そういうことをしちゃいけないという周知をされているということは、今までその危惧なり、そういうことが行われてきたということなんでしょうか。
真野政府参考人 そういうことのないように周知をしているということでございます。
松島委員 ぜひ、川崎市とか神奈川県任せにすることなく、厚生労働省としてしっかりと目を見開いて、目を光らせていっていただきたいと思うところでございます。(発言する者あり)どの点が、何がどのようにいいかげんなのか、よくわからないことでございます。
 次に、この二つの、このようにして医療に対する信頼が確保され安全が確保されるという前提に立ちまして、健康保険法の改正案と健康増進法について質問させていただきたいと思っております。
 私は、先ほど長勢委員も言われましたように、保険証さえ示せばいつでもどこでもだれでも医療を受けられるという国民皆保険については、これを守ることは非常に重要なことである、戦後の日本が世界に誇り得る制度である、そのように思っております。そして私は、この制度を守るための立場から、被用者の三割負担及び高齢者のうち所得が高い方々についての二割負担は必要であると考える立場から質問をさせていただく。こういう前提で質問させていただきたいと思っております。
 老人保健法に新設されます四十六条の二十二の項目でございますが、厚生労働大臣が、老人医療費の伸びを適正化するための事項を内容とする指針を定めるというのがございます。これについて、一体どういうことを具体的になさっていかれるのか。そしてまた、これは、昨年秋以来いろいろ争点となりました老人医療費の伸び率管理ということとどう違うのか。今回の老人医療費の伸びを適正化するための事項というのはどう違うのか、そして、どういうことを具体的にやっていくのか。今考えておられる範囲で御答弁をいただきたいと思います。
大塚政府参考人 お話ございましたように、今回の健康保険法の改正案の中に老人医療費の伸び率を適正化するための指針を厚生労働大臣が定め、都道府県、市町村と協力してそれを進めるという規定を設けておるところでございます。
 高齢者の医療費の伸び、これは当然高齢化の進展という構造的な背景がございますから、そうした状況も踏まえてでございますけれども、医療保険制度の中でこの高齢者医療費の伸びが財政的にもあるいは保険運営の面でも非常に大きなプレッシャーになっているということは、これは客観的な事実でございまして、この課題にどう対応するかという観点からさまざまな議論があったわけでございます。
 今回の改正案におきましては、高齢者の医療費につきまして厚生大臣が、例えば地域における健康づくり、疾病予防、あるいは医療提供体制の面からのアプローチ、特に今、介護保険との機能分担あるいは連携、さらには患者の受診の適正化と申しますか指導、また医療保険運営の合理化という点からも対応が可能かと思いますが、そうした総合的な観点から、老人医療費の伸びを、高齢者の伸びというものは構造的な要因ですからやむを得ないわけでございますけれども、全体としての老人医療費の伸びを適正化する努力を関係者協力して進めていこうという趣旨でございます。
 お話にございました伸び率管理という議論が、今回の法案の制定過程の中でございました。当時の私どもの一応試案として御提案した中に含まれているものでございますけれども、伸び率管理の方は、具体的な数値目標を決めまして、それを仮に超えた場合には、事後的にではございますけれども、医療費の支払いで調整をするというような非常に制度的な仕組み、ある意味では強制的な仕組みでございました。
 さまざまな御議論、御批判あるいは御指摘ございまして、現時点においてこれを取り入れることは時期尚早でもございますし困難という判断に立ちまして、今回、関係者の努力、協力によりまして、老人医療費の伸びを適正なものにしていこうという仕組みあるいは目標、取り組みというものを定める根拠規定を設けた、こういう経過でございます。
松島委員 確かに、この問題は、ふわっとした努力目標とかそういうことではなかなか効果が上がらないというジレンマも抱えておられるとは思いますが、やはりこの事後的な老人医療費の伸び率管理というのが、非常に、お年寄りの皆様からも、これをよく知ると不安になる、もちろんどんな患者でも診なければいけないという医療機関の立場からしてもこれは非常にぐあいの悪いものであるという、これだけ大きく議論がなされたテーマでございます。この大臣告示の中身というのは、大臣告示されまして、国会でその前に事前審議されるものではないとは思いますが、一たん問題になりました伸び率管理、数字的管理とは似たものにならないように、そこは厳密に対応していただきたいと思う次第でございます。
 次に、大臣にお伺いしたいと思うのですが、先ほどの質問に対し、診療報酬の改定が、これが診療報酬の上げ下げというものを通じて医療財政を調整していくようなことになっては問題だとおっしゃいました。しかしながら、実際、今回の診療報酬の改定というのは一・三%削減という、これも物すごく大前提も大きなテーマでございましたけれども、この中身も既に、これはもう今志している思想というものがしっかり入っていると思います。
 その中で、私、非常に評価するところは、小児医療の充実、特に緊急医療ですが、これは私も昨年の春予算委員会の分科会で質問させていただきまして、ぜひとも小児科医の方々の充実を、なかなか小児科医につく方もいらっしゃらない、夜中に飛び込んでこられるケースも多い、診療報酬の面でも何とかしていただけないかと申しました立場から、非常にこれは評価させていただいております。
 しかし、一方で、老人医療費抑制という観点から、慢性期入院医療の評価の改定というのがございます。この慢性期入院医療の評価の改定というものによりまして、今どうしても、社会的入院と言われる、病院を出されると行き場がないという方々がたくさんいらっしゃいます。老健施設ですとかあるいは特別養護老人ホームがしっかり充実していればいいんですけれども、なかなか数が足りない。特に都会におきましては、一つの区において何百人待ちという状況が続いております。
 そういう状況におきまして、私どもも地元の皆さんから本当に泣きつくように訴えられるのが、病院を出なければいけない、行き場がないという声でございます。これを助長するようなことがないように、やはり診療報酬の改定の中で本当につらい思いをされる方々が非常にふえるというあたりについて、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
 それともう一つ、同じ診療報酬の改定の問題で大臣に伺いたいんですが、そもそも、今回に限らず、診療報酬の内容の決め方というのは、今は中央社会保険医療協議会が決めております。もちろん関係各位が皆さん集まっていらっしゃる協議会ではございますが、平成十四年度予算で二十九兆一千億円に上る医療費というものの中身、配分を決める。これだけの額の配分を決めるものが、国会で審議するものでないということ。ほかのいろいろな予算で見ますと、三十兆円の予算の行く末が、ある機関で、協議会で決められて、国会で審議するものでないというのは極めておかしいのではないかと私かねて思っております。ほかのいろいろな議論をしても、このあり方が中身に反映されてくるわけですから、そのあたり大臣どのようにお考えになるか。二点お願いいたします。
坂口国務大臣 最初に御質問いただきましたのは長期入院のお話だというふうに思いますが、現在も、長期入院の方、三カ月、六カ月になりますと、いわゆる逓減制というんでしょうか、保険点数が下がっていくといったようなことがございまして、病院側といたしましては、特別な方は別でございますけれども、その六カ月が参りますと退院をしてほしいというようなお話が続いている。今回の改定におきましても、そういう皆さん方に対しまして、一部自己負担をしていただきましたらその皆さん方に引き続いて入院をしていただいても構わないという道も選んだわけでございますが、今回の診療報酬の改定は現在よりも緩和しているというふうに私は思っております。
 現在入院しておみえになります皆さん方の中で、この人はやはり医療が必要だ、福祉ではなくて医療が必要だという位置づけになった人は、それ以後も入院をしていただいていていいという方向に行く。ただし、もう医療の方は大体終わった、あとは福祉でいてもらいたいという人については、それは他の施設等でお願いをするということに選択をさせていただいているわけでございまして、そこはひとつ御理解をいただきたいというふうに思っておりますが、問題は、ではそのときに、特養でありますとか、あるいは老健施設でありますとか、ケアハウスでありますとか、そうしたところが足りるのかという話……(発言する者あり)これは山井先生がいつも御指摘をされているところでございますが、そういう話になるわけでございまして、ここは私たちも注意していかなければならない。
 この問題を明確にしていきますまでに、極力、老健施設、特養、ケアハウスその他これに類するような施設をつくりまして、皆さん方が行き場所がないと言われないようにしていかなきゃならない。それができ上がりますまでの間、緩和措置と申しますか、そうしたことも考えていかなければならない、そんなふうに思っている次第でございます。
 それからもう一つ、診療報酬につきましては、これはいろいろ先生方からも御議論があるところだ、私は率直にそう思っております。この診療報酬の問題が、中医協だけが審議の場所であって、ほかはここに手を差し伸べてはいけない、そういう行き方は、私も率直に申しましてちょっとおかしいと思っております。私は、国会におきましても大枠の議論はぜひしていただいていいのではないか、そして、そのことが反映されていいのではないかというふうに思っています。
 ただ、この手術のこういうところには何点つけるかというような話は、これは中医協の方でひとつお決めをいただかなければならないというふうに思いますが、そのいわゆる根っこのところの方向性、そのあり方、そうしたことにつきましては国会の中の御議論を十分に踏まえてしかるべきだというふうに私は思っている次第でございます。
松島委員 ぜひそういう方向で進むように、我々も議論に参加したいと思う次第でございます。
 今回の改定の中で、負担が重くなることだけがよく宣伝されているわけでございますけれども、今回の改定の中で薬剤の一部負担制度というのがなくなることになっておりますが、これについては一体どれぐらい負担の軽減になるのか。いろいろなケースがあると思いますけれども。そして、サラリーマン本人の負担が三割に引き上げられても、この薬剤の一部負担制度がなくなることによって全体の負担が軽減されるようなケースもあるのか。そしてまた、国保の加入者の場合は現在も三割、これからも三割ですが、これは薬剤の一部負担制度がなくなることによって全体の負担が軽くなるわけですから、どういうような傾向であるのかを教えていただきたいと思います。
 それと、これもまたそもそもなんですけれども、大体、薬剤の一部負担制度なんというのは、世の中は知りません。例えば、内服薬を一種類だったらかからないけれども、二種類か三種類出してもらったら一日当たり三十円で、四種類か五種類だと六十円で、六種類以上だと百円だ。内服薬はこうだけれども、外用薬の場合は料金体系が違っていて、一種類だと五十円。目薬なんか出してもらったら一日当たり五十円、二種類が百円、三種類が百五十円なんというのを、私もきのうやっと調べて知ったんですけれども、自分が診療機関の窓口でそこまで認識しているかというと、なかなか皆さん御存じない。一覧表が出ている。そんなに出ているわけじゃないし、よく理解されていない。
 何が言いたいかと申しますと、診療所の、医院の窓口で金額を言われて、内訳を質問するというか、説明してくれと言う患者は余りいらっしゃらないと思いますし、内訳のわかるレシート、領収書の提出というのはやはり義務づけるべきではないでしょうか。レセプトの電算化というのも進めるんですから、これはできることだと思いますし、今、スーパーやコンビニでも、何を買ったと細かく出て、消費税が幾らと出るのに、お医者さんの窓口だけ何か全部込み込みで、二千八百円とか三千四百円と言われて、恐る恐る、このうち初診料は幾らですか、この間から何日たっているから、何カ月だから、初診料要るのか、要らないんですかなんて、心臓が強ければ聞けるけれどもそうでない人は聞かないという、この仕組みはやはり変えていかなければいけないと思います。
 ちょっと二段階一緒にお聞きしてしまいましたけれども、データに関するところは事務方の方でも結構ですが、内訳書を窓口で出すというようなことについては大臣のお考えを伺いたいと思っております。お願いします。
大塚政府参考人 薬剤一部負担についてのお尋ねがございましたので、計数を含めて申し上げますが、薬剤一部負担につきましては、平成九年の改正で導入された制度でございます。薬剤の使用の適正化、また財政面での効果ということを勘案して導入されたわけでございますが、今回御提案しております改正案の中で、給付率につきましては各制度を通じて公平でわかりやすい制度にするという観点で大きな見直しをしておりますので、これにあわせまして薬剤一部負担は廃止をするということを盛り込んでいるわけでございます。
 ちなみに、薬剤一部負担金の廃止そのものによります患者負担でございますけれども、単年度平均、平均的に申し上げますと、単年度で約千九百億円の患者負担の軽減につながるというふうに考えております。
 具体的には、いろいろなケースがございますけれども、これも御指摘ございましたように、国民健康保険の場合は既に三割負担でございますので、今回薬剤一部負担を廃止いたしますと、その分は患者負担の軽減に直接的につながるわけでございます。
 例えば具体的な例を申しますと、風邪を引かれまして、流行性感冒あるいは感冒で風邪を引かれましてお医者さんに行きますと、一般的な例で一つのモデルでございますけれども、現在ですと三割負担をお願いし、別途薬剤負担をちょうだいいたしますから、千六百八十円の自己負担というケース。このケースを考えますと、今回の改正後ですと千五百三十円に患者負担は減少することになります。
 それから、今回三割負担を御提案しております健康保険の本人でございますが、定率負担の部分では三割負担になるわけでございますが、一方では薬剤負担がなくなるということで、特に薬剤の使用の多いような治療のケース、薬剤をどうしても多く使うような治療内容の場合にはこれも負担軽減になるわけでございます。これも例でございますが、例えば胃潰瘍で通院をされるという場合に、現在ですとモデルケースで二千四百十円の自己負担でございますが、三割負担になりましても実質的には二千二百七十円の自己負担ということで、これも減少が見られるわけでございます。
 こうしたように、ケースによりますけれども、三割負担などの患者負担の給付率の見直しと同時に、薬剤負担を見直すこと、廃止することによりまして患者負担の軽減につながるケースも少なからずあるということはお話のとおりでございますので、私どももそのあたりの御理解を得るべく努力をいたしたいと考えております。
坂口国務大臣 病院でございますとか診療所のIT化を早く進めなければならないというふうに思っています。
 経済財政諮問会議あたりからは今年じゅうに何とかならないかというお話があるんですが、しかし、そうも早くはできませんので、この二、三年かけましてこのIT化を早急に進めたいというふうに思っています。
 それを進めますためには、その中に書きます病名の書き方ですとかなんとかいろいろ取り決めもしなきゃならないものですから、そういうことを今一生懸命やっているところでございます。IT化がもう完全に進んでしまいましたら、領収書だけは手書きというのはあり得ませんので、具体的に細かくそこはお示しをすることになる。既に現在でももうおやりになっているところもございますしいたしますので、ここは早急に進めなければならないというふうに私たちも思っている次第でございます。
松島委員 ぜひ、患者さんに納得される医療という、それは医療の質も大事ですけれども、お金の支払いのときにおいてもわかりやすいことを早く進めていただきたいと思っております。
 薬の話なんですが、薬代を減らすために薬の後発品の利用をどんどんするようにということが今度入っております。しかし、これは溶出試験、ちゃんと溶けて体内に吸収されるかどうかという溶出試験などを行って、安全審査のための、安全とかそういうことを進めるためのオレンジブック、アメリカにあるようなのを厚生労働省も作成を進めておられるようでございますが、これの進捗状況というか、ちゃんと進んでいるのか。これがちゃんとなされていないと、後発品で安上がりにしろと言われてもそうはうまくいかないということもあると思いますので、これは簡単にで結構です、お答えをお願いします。
宮島政府参考人 厚生労働省におきましては、内服用医薬品の品質の信頼性を確保するため、平成十年度からいわゆる品質再評価を実施してきておりまして、これら個々の品目の再評価結果及び溶出試験規格を取りまとめました医療用医薬品品質情報集、いわゆる今お尋ねの日本版オレンジブックをこれまで十二回にわたり発行してきております。
 平成七年四月からいわゆる溶出規格を導入してきておりますけれども、平成七年四月以前につきましてはそうした溶出規格が設定されておりませんので、この品質再評価におきましては、平成七年四月以前の内服用医薬品すべてを対象として今品質再評価をやってきておるところでございます。
 その進捗状況につきましては、現在まで、生産金額ベースで見ますと約九〇%以上のものにつきまして再評価の指定をしております。そのうち、生産金額ベースで約七〇%の医薬品につきまして品質再評価が終了したという進捗状況でございます。
松島委員 ぜひこれを早く進めていただきたいと思います。
 大臣の退室の関係で、大臣にお聞きしたいことを先に伺わせていただきます。健康増進法でございます。
 この健康増進法の中で、喫煙に対しては社会的規制というものが今随分強まってまいりました。ここでは吸っちゃいけない、あそこでは吸っちゃいけないという、うるさいぐらい強まってまいりまして、そういう形になってまいりました。
 一方、飲酒というものはどうだろうか。もちろんお酒は楽しく飲めばいい。私もほどほどに好きではございますけれども、しかし、無理やり飲ませる風潮というのは弊害が非常に大きいので、無理やり飲ませるのをやめさせる、取り締まる法律というか、法律は難しくても、健康増進法の中の何か盛り込み方として、酒を無理やり飲ませちゃいけない、それが罪だみたいな、これは健康にも悪いし、それで交通事故を起こしたらまずいし、いろいろなまずい点があるので、そういうことについて取り組んでいかれるお考えは、大臣どうでしょうか。
 どういう形でも結構ですけれども、たばこの方は先行しているけれども酒の被害ということについての対処の仕方というのは。
坂口国務大臣 おっしゃるとおり、お酒も、無理に飲めと言って強要する人がおみえになることも事実でございまして、飲めば飲むほど強要する人がおりますが、これ、酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律というのがあるんですね。
 これは議員立法でできておりまして、この中に、第二条に「節度ある飲酒」というのがございまして、「すべて国民は、飲酒を強要する等の悪習を排除し、飲酒についての節度を保つように努めなければならない。」こういうことになっておりまして、こういう法律もございますので、まあ強制的にというわけにもまいりませんけれども、しかし、節度ある飲み方にしていただくというふうに我々もしなきゃならないのではないか。
 節度ある飲み方はよろしいですけれども、御自身にとりましてもそれ以上を過ぎますとこれは健康にも悪いわけでございますから、御自身のためにも節度ある飲み方にしていただくように、健康21でもこれはこれから取り上げていきたいと思っているところでございます。
松島委員 これはぜひ、社会的な風潮としても強めていただきたいと思います。
 最後に一つだけ、また健康増進法にかかわることなんですけれども、実際に事前の公衆衛生指導、そういうものにかかわって携わられるのは、例えば医師会とか歯科医師会のメンバーがかなりこれに携わられます。ところが、いろいろなところで、末端で聞いておりますと、今こういった会に加入される人の比率が、加入率が低下しておりまして、特にそれが著しいのは歯科医師会なんですが、加入している方が熱心に地域の公衆衛生に携わられる、非加入の方々がそういうのを面倒くさがって嫌がるケースが多い。そうすると、この負担の軽重というものが出てまいります。
 ちなみに、平成十二年十二月に全国で、大学病院の勤務医なんかは除きまして、診療所に七万六千八百八十四人の歯医者さんがいらっしゃるうち、歯科医師会の会員は、これはちょっと時期がずれてことしの三月末、直近ですけれども、六万四千人余り、八三%でございます。東京都の場合はもっと状況がひどくて、診療所の歯医者さん一万二千六百人余りのうち、歯科医師会の会員は八千九百人ほどで、七割にすぎません。特に昨年、平成十三年に東京で新しく開業をされた三百四十人のうち、わずか四割の百三十七人しかこの歯科医師会に入っていない。それで、入られない方は、もうそんなの面倒で、公衆衛生からそっぽを向くというケースが結構あります。
 これは事前の公衆衛生ということで見ると非常に問題ではないかと私は思いまして、例えば日弁連というのは強制加入でございますが、同じように医師会、歯科医師会というものもそういう方向に持っていくことができないだろうか。そして、歯医者さんや医師をやめさせるときに……(発言する者あり)その歯科医師政治連盟というのはまた別の問題でございまして、とにかくこれは医療的にお伺いしたいと思いますが、どういうふうに考えるべきだとお考えになられますでしょうか。
篠崎政府参考人 医師会そして歯科医師会は、医学の発達や公衆衛生の向上などさまざまな活動を行っておりますけれども、今御指摘でございましたが、弁護士会とは設立の経緯などが異なっております。したがって、一概に比較することは難しいのではないかというふうに考えられまして、強制的に加入を義務づけることについては慎重な議論が必要なのではないかというふうに思っております。
 ただ、いずれにいたしましても、地域における健康の保持増進に対して歯科医師あるいは医師の先生方の果たす役割は大変大きいものと考えております。地域における健康増進活動への参加が進むように、私どももこれから努めてまいりたいと考えております。
松島委員 どうもありがとうございました。
森委員長 次に、福島豊君。
福島委員 公明党の福島でございます。
 副大臣、大変御苦労さまでございます。また、民主党の提出者の方も大変御苦労さまでございます。
 今回の医療保険制度の改革に関しまして、私どもは昨年からの経過の中でさまざまな主張をさせていただきました。例えば、低所得者対策の拡充ですとか、そしてまた小児にかかわる給付の改善、こういったことを申し上げた上で、現下の経済情勢が大変厳しく、医療保険財政が破綻の危機に瀕している中で、これは避けられない選択ではないか、そのように判断をいたしました。しかしながら、この改革も、厚生労働省の説明では五年程度の財政的安定が見込まれるだけであるという説明があるわけでございます。
 高齢化はさらに進んでまいります。そしてまた少子化も同時に進行している。その中で二十一世紀の医療保険制度というものをどういうふうに描いていくのか、このことは、この健康保険法等の改正案の審議の中で十分に明らかにされる必要があると思っております。
 そしてまた、これは私どもの昨年からの検討の中で、附則において、新しい高齢者医療制度、そしてまた保険者の統合の問題、極めて基本的な課題について基本方針を一定の期間のうちに示すんだということを盛り込ませていただきました。この附則に示された事柄について、厚生労働省としても、この審議の中で、細部までとは言いません、きちっとした見解をお示しになるべきである、そのように思っている次第でございます。
 本日は、私は、高齢者の医療制度についてお尋ねをしたいと思っております。これは、医療保険制度の中でかなめとなる課題でございます。
 今回の健康保険法の改正案の中では、対象年齢を七十歳から七十五歳に引き上げる、これも大変大きな改革でございます。そしてまた一方では、高齢者の医療費の伸び率の管理制度というものをつくろうという提案が最初になされたわけでございます。いずれも、今までの改革とは異なって新しい提案がなされたんだと思っております。
 しかしながら、それぞれの提案には、議論すべき、そしてまた修正されるべき点があるということも私は事実だと思っております。
 まず初めに、老人医療費の伸びの適正化ということについて厚生労働省の見解を確認したいと思っております。
 本法案、老人保健法の第四十六条の二十二の関係で、「厚生労働大臣は、老人医療費の伸びを適正化するための事項を内容とする指針を定め、当該指針に即した都道府県及び市町村の取組に対する必要な助言その他の援助に努めるものとする。」こととなっておるわけでございますが、まず初めに、老人医療費とは何歳以上の高齢者の医療費というものを指すのか、この点について確認をしたいと思います。
大塚政府参考人 今回設けます老人医療費の伸びの適正化のための指針に関する項目は、老人医療費、すなわちこの老人保健法の対象ということでございますので、順次経過期間はございますけれども、将来的には、すなわち五年後には七十五歳以上の方を対象にする、その方々の医療費、こういうふうに整理をいたしております。
福島委員 ですから、経過期間の間は対象年齢が七十歳以上、七十一歳以上、七十二歳以上と徐々に変わっていくわけでございます。そういう対象が変わっていくのにこの伸び率をどういうふうに適正化するのか、なかなか大変難しい話ではないかと私は率直に思っております。
 ですから、ここに定めるところは、そういう経過措置というものがあるわけですから、適正な伸びというものをどういうふうに定義するのか、そしてまたさらには適正化するための事項というものについてどういうふうに具体的に定めるのか、ここのところは明確にしていただく必要があると思っております。御答弁を求めます。
大塚政府参考人 この事項の趣旨は先ほどの御答弁で申し上げましたけれども、高齢者の医療費が今日の医療保険全体の中での伸びの大宗を占めるという状況に勘案いたしまして、安定的な医療保険制度の運営ということを考えますと、この点を極力適正なものにしていく必要があるというのが基本でございます。
 もちろん、高齢者の数がふえますから、その数に伴う医療費の増、これはもう避けられないわけでございまして、その上で、一方では現役世代との負担のバランスを考えなければならないわけでございますから、関係者の努力、具体的には行政主体でございます国、都道府県、市町村が相協力してこの伸びを適正なものにしていこうというのが基本的な考え方でございます。
 したがいまして、その手法といたしましては、具体的には、この法律の施行後速やかに、例えば厚生大臣の告示というような形で定め、あるいは必要な通達その他で御連絡をするということになろうと思っておりますけれども、やはり地域の保健医療サービスとの連携の中から、その効率的なあり方、高齢者にとりましても医療あるいはサービスの質を落とさない形で努力しつつ、トータルとしての医療費の伸びを極力マイルドなものにしていく、こういう手法を定める必要があると思います。
 幾つか私ども考えておりますのは、今後有識者の御意見なども聞かなければならないと思っておりますけれども、先ほども申し上げましたが、健康づくりあるいは疾病予防のための施策あるいは諸活動、それから医療提供体制と高齢者のいわばつながり、なかんずく介護と医療の機能分担あるいは連携を進める地域での取り組み、あるいは患者の受診の適正化と言うと言葉が悪いんでございますが、保健指導などを通じました患者に対する理解を求める活動、保険者の立場からいいますと、保険事務の効率化を通じまして高齢者医療費の適正化に努める、こういった幾つかのテーマがあろうかと思います。
 もう少し、当然、具体的な指針といたしましては、具体的な内容を盛り込んで、全体、総合的にお示しをする必要があると思っておりますが、もとに戻りまして、関係者の努力によりまして、やはり高齢者の医療費を極力マイルドなものにしていくということが共通の問題認識であり、また課題であると考えておりますので、そうした観点に立った指針というものを定めたい、こう考えているところでございます。
福島委員 聞けば聞くほど実はよくわからなくなりまして、何が適正化なのかということについて明確な御答弁を、野党のような質問でございますが、率直に言いまして、よくわからぬなと思いました。
 ですから、人口増の問題と、そしてまた一人当たり医療費の単価、これは技術的な改善ということもあるわけでございまして、そういうことをどう評価するのかということをきちっと議論していただいた方がいいんじゃないかと。途中話もありましたように、支える側の若い人との関係でと。これは財政の論理なんですね。財政の論理がまず先に来てしまって、では、あるべき老人医療の姿、そしてまた医療費の伸びというのはどんなものなのかということをセパレートして議論しませんから、議論がわからないし、答弁もよくわからないということになっているんではないかなと私は思います。
 いずれにしましても、介護保険との関係が大切だという御指摘があったと思いました。ですから、これは平成十五年度からの事業計画、これを定めるに当たって、こういったこととリンクさせるのかどうなのかということは、この審議の途中で明らかにしていただく必要があるのではないか。ですから、介護保険と老人保健制度の医療の接続というのは必ずしもしっくりといっていない、押しつけ合うと言ったら大変語弊がありますけれども、そういう側面があるんではないかと私は思っておりますので、この点についても、これ以上重ねて問いませんけれども、御説明を審議の中で明らかにしていただきたい。
 次に、確認でございますけれども、都道府県及び市町村に対する援助ということで、これはいろいろと今御説明ありましたけれども、再度確認ですが、例えば国民健康保険におけるさまざまなペナルティー制度、これは未納対策でございますけれども、そういうような形で、ペナルティーですとか、そしてまた何らかの強制というようなものを伴うのか伴わないのか、ここのところは明確にしていただきたいと思います。
大塚政府参考人 先ほど申しましたように、国、都道府県、市町村、行政、本来ですと行政のみならず関係者幅広く協力してということもあわせて、法律の規定とは別に考えてまいりたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、相協力してという趣旨でございますから、強制あるいはペナルティーというようなことは一切考えておりません。
福島委員 余り時間がありませんので、次にお聞きしなければならないのは、最終的には七十五歳以上となるわけでございます。何をもって七十五歳以上にするのかなと。
 実は、現在の例えば財政の支出、ここを変えないとか、そしてまた拠出金の額を余り大きく変えないとか、財政的な理屈からこの七十五歳というのは出てきたのかなと。ただ一方では、後期高齢者という言葉があるように、そういうとらえ方もできるわけでございます。
 この七十五歳以上というのをどういう考え方でそうしたのかということは大切な点だと思っておりまして、例えば平均余命はもっと伸びるだろうというふうに言われております。例えば女性ですと、国連の推計では百歳ぐらいになるんではないかというような話もあるようでございますが、将来的な平均余命の変化に応じてこの七十五歳というのは変わるのか変わらないのか、そもそもなぜ七十五歳にしたのか、この点について御説明を賜りたいと思います。
大塚政府参考人 今回、老人保健制度の対象を見直したわけでございますが、基本的には、やはり今日の高齢者の状況、すなわち、お話に出ましたように、平均寿命の伸展でありますとか健康寿命の伸展でありますとか、また、経済的な地位も随分変わってまいりました。現行の老人保健制度創設後約二十年間たっておるわけでございますが、この間にさまざまな状況変化、これは高齢者自身の高齢者像の変化も含めて、変わってまいりました。基本的には、こうした高齢者像の変化に伴いまして、対象年齢の引き上げということを考えたわけでございますけれども、あわせて、一方では、おっしゃいますように財政的な事情もございます。
 ちょうど、現行老人保健制度がスタートした時点での高齢者の比率、あるいは、将来を少し幅をとって見ますと、当時七十歳という想定をしておりましたのが、今日でいいますとほぼ七十五歳に当てはまるという事情もございます。そうしたことが一方の背景にあることは事実でございます。両方相まちまして、七十五歳ということを一つの切れ目といたしました。後期高齢者と言われますように、世の中一般の概念のとらまえ方といたしましても一つの概念として定着をしつつあるということも、第三の論点として指摘してもいいのかと思っております。
 いずれにいたしましても、今回こういう御提案をいたしたわけでございますが、将来、相当長い期間をとりますと高齢者像が大きく変化するということはあり得ますから、そういう意味で、さまざまな制度の対象年齢をどうするかというのは、長いスパンで見ますと変化もあり得るとは思いますけれども、今時点で申しますと、基本的には、私ども、今回の改革における考え方というのを変える必要は原則的にはないというふうに考えているところでございます。
福島委員 七十五歳、この線を、現状において、それは近未来的にも変えるつもりはないという御発言だったと思います。ですから、そこに盛り込まれました新しい高齢者医療制度、これを考えるときには、七十五歳以上ということを前提として組み立てていく、それで作業が始まるんだろうと思います。
 これは、この一年間に基本方針というものを定めるということになっているわけでございますが、この取り組みについて副大臣の御決意をお示しいただきたいと思います。
宮路副大臣 先ほど、この場での御議論の中で大臣の方からもお話がありましたように、我が国の現在の、世界に冠たるとも言っていい医療保険制度、これを持続的なものとして将来にわたって維持運営していくためには改革が避けて通れない、待ったなしの状況になっている。
 その中において、今福島委員御指摘のように、高齢者医療制度が大きなかぎを握っているということについては、本年度中において、その具体的な内容や手順、計画、そういったものをしっかりと示していくということが、附則第二条第二項でそういうぐあいに定められておるわけであります。
 これまでも、高齢者医療制度についてはるる御議論がありまして、いろいろな考え方が、さまざまな方式が提案をされていると言ってもいいわけであります。ただ、その基本的な性格、つまり、高齢者医療制度をどのようなものとして医療保険制度全体の体系の中で位置づけていくのかといった基本的な性格論、それから、保険者をどうしたらいいのか、あるいは、財源構成をどうするのか、それから、一般医療制度への影響をどう考えていくべきか等々、議論が分かれておるわけであります。
 この際、それらをしっかりと整理いたしまして、そして、何が何でも、今度はこれを先送りすることは許されないわけでありますので、先ほど附則の中で示されたそういうことをしっかりと厳守できますようにこれはやり遂げてまいりたい、かように思っているところでございますので、どうかまた福島委員の格段の御指導、御支援も賜りたい、このように思っている次第であります。
福島委員 大変力強い御答弁をありがとうございました。
 もう一つ、関連しまして、保険というのは何なのか、保険のあり方そのものをどうするのかという議論が最近起こっているわけでございます。これも新しい議論でございます。例えば、公的保険と民間保険と、医療保険も二階建てにしてはどうかとか、そしてまた、保険者の機能をどうするのかとか、いろいろなことがあります。また、保険料についても、メリット制のようなものを導入してはどうかと。例えば、たばこを吸っている人は保険料を高くするというような考え方もあるわけでございます。保険というものをどう考えるのかという根っこの議論にさかのぼって議論をする必要があるんだろうと思っています。
 それに関連して、きょうは総務省にお越しをいただきました。
 簡易保険、これは保険でございますけれども、関連していると私は思っております。
 簡保の加入に際して、先天性の代謝障害がある方が一律にその加入を拒否されている。保険の原理にとっては、どういう者に加入を認めるのかということは極めて大切でございます。現状において、このような、私からすれば非常に粗雑な対応がなされているといいますか、誤解に満ちた対応がなされているということは是正されるべきであろうと思っております。
 四月十九日の毎日新聞、また十八日の朝日新聞、それぞれ紹介されておりますけれども、「郵政事業庁が郵便局で扱う簡易保険では、病名を告知した全員が加入を拒否されていた。」これは先天性の代謝障害、例えば先天性の甲状腺機能低下症、フェニルケトン尿症、こういったマススクリーニングで発見される子供さん、その方が、親が加入を申し込むわけでございますけれども、一律に拒否をされていた、これは小児科学会で発表されております。こういう対応は、私は不適切な対応であろうと思っておりますけれども、この点について総務省の御見解をお示しいただきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 簡易保険の制度を担当しております立場から御答弁申し上げます。
 簡易保険は、一般の生命保険と同様でございまして、加入者の相互扶助によりリスクに備える制度ということでございまして、安定的な運営を確保する観点から、一定の健康状態にある方を加入対象としているということでございます。したがいまして、加入申し込みの受け付けに際しましては健康状態を確認させていただく、簡易保険の場合は告知ということで、無審査ということでございますが、確認させていただきまして、一定の健康状態にないという場合には加入をお断りしているというところでございます。
 御指摘の先天性疾患の場合ということでございますが、これも、一律に加入をお断りしているということではございませんけれども、一定の健康状態にないという場合につきましては、病気の進行度合い等によりまして加入をお断りしているというところでございます。
 粗雑ではないかというお話でございます。ただ、こういう場合に、進行等につきまして、お断りした後の経過によっては加入できる場合もこのフォローアップがないためにできていないという場合もあるというふうな面もございますので、この辺は反省いたしまして、十分なフォローアップ等を図るように指導するということなどを考えてまいりたいというふうに考えてございます。
福島委員 再度重ねて申し上げますが、医師の審査を要しない無審査保険である、そしてまた、一定の基準に従って加入の可否を認める、健康状態に関しての告知だと。健康状態に関しての告知なんですね。ですから、先天性の代謝障害であったとしても、一定の補充療法を行えば、正常と変わらない、健康であるということが言えるわけです。医学的には、私は、そちらの方が正しいと思います。
 ですから、現在の審査のあり方についてぜひとも見直しを行っていただきたいと思いますが、再度御答弁をいただきたいと思います。
團政府参考人 先生御指摘のとおりのポイントがあろうかと思います。
 つまり、ただし、適切な治療を継続することによって症状の発現を抑えられる蓋然性が高いというものを、これは一定の健康状態と同じ扱いにすべきではないかというお話であろうと思いますが、必ずしも蓋然性が高いことで同視していいかどうかについては少し慎重な検討が必要かと思いますが、一方、そういう簡易保険の性格ということもございます。それから、今御指摘の医療技術の進歩ということもございます。したがいまして、さらに、こういう医療技術の進歩等を踏まえまして、契約の諾否のあり方、これについては不断に検討してまいりたいと思いますが、特に、御指摘の先天性疾患についても、いろいろな統計データもこれから出ていくというふうなことがあろうかと思います。
 そういうこともありますので、医療の現状、それから専門家の御意見を踏まえながら、さまざまな角度から、その取り扱いをさらに検討してまいりたいというふうに考えております。
福島委員 ありがとうございます。総務省の参考人の方、御退席していただいて結構でございます。
 先ほど松島みどり委員から御指摘のありました川崎協同病院の問題について、最後に御質問したいと思っております。
 マスコミでるる報道されておりますように、今回の事件は安楽死と言えるようなことではない、これは明確なのではないかというように私は思っております。もちろん、この点については、川崎市当局、そしてまた司法当局、さまざまに調査をしておられるようでございますから、その結果を待つ必要があろうかと思いますけれども、適切な対応がなされる必要があると思っております。
 その中で、二つ、私はきょう指摘をしたいと思っておりまして、一つは、この医師が患者に対してどのような説明をしたのか。こんな説明をしています。医師は、患者は九分九厘脳死状態だ。このときには実は自発呼吸があるんです。こんなわかり切ったことを何で間違えたのか、それとも、わざと誤ったことを言ったのか。そしてまた、気管内チューブの抜管に際して、チューブを外したときにどうなるのかということについて、患者の家族については一言も説明がなかった、これも大変大きな問題だと思います。
 ですから、医療を提供するサイドの責任として、インフォームド・コンセントという言葉がありますけれども、それ以前かもしれません、どうして十分なきちっとした説明をしていないのか。そしてまた、抜管した後に筋弛緩剤、そしてまた鎮静剤を投与しておりますけれども、それだけで致死量に至るようなものを投与している。そのときに家族に言った言葉は、楽にしてあげますからと。楽にしてあげるというのは、家族の側からすれば、よくしてもらえるんじゃないかと思うわけですね。
 これは、家族のお話と、それから医師のお話と食い違っているところがあるというふうに報道されておりますから、事実関係をきちっとしなきゃいけないと思いますけれども、ただ、十分な説明が全くなされていなかった、一方的な医師の医療行為、これは医療行為と言っていいかどうかわかりませんが、行われていた。これが一つの問題。
 それから二つ目の問題は、その後の対応です。
 実は、非公式に病院の中で、その後の事後対応について協議がなされていたと報道されております。これも多分事実なんでしょう。しかしながら、そこでどういう判断をしたか。副院長の桑島さん、まずいと思ったが、何もしていない、公にすることが怖かった、集団の中で動いていた、もみ消そうとしたととられても仕方ないという発言をいたしております。ですから、事実関係を家族に対して説明する、これも行われなかったし、そしてまた、当然のこととして、行政に対して報告するというようなこともなかったわけです。
 さらには、昨日の読売新聞でございますけれども、筋弛緩剤のミオブロック、鎮静剤のセルシンの投与に関して、レセプトには記載されていない、「意図的に使用隠ぺいか」というような書き方をされております。これも、そうとられても仕方のない点であろうというように思っております。
 この事後的な対応、隠ぺいを組織的に行ったのではないかということも問題になろうかというふうに思っております。
 この二つの問題、副大臣に私はお尋ねしたいのですが、率直な御感想をどのようにお持ちでございましょうか。
宮路副大臣 本件につきましては、目下、委員御案内のように、川崎市、医療法に基づいて監督権限を有しているのは川崎市であるわけでありますが、その川崎市が調査をずっとやっていただいておりますし、また、警察当局の方で捜査中であるというふうに承知をいたしておるところでありまして、その報告を私どももしっかりと受けながら、今後の指導に遺憾なきを期してまいりたい、かように思っておるところであります。
 いずれにしましても、御指摘のようなそういった情報を私ども耳にするたびに、これは大変ゆゆしき、あってはならない、そういう事態だなというふうに受けとめておるところであります。
福島委員 この川崎協同病院、先ほども松島みどり委員から御指摘がありましたように、全日本民主医療機関連合会に所属する病院でございます。そしてまた、臨床研修病院という指定も受けております。私は、事実関係が明らかになった時点、全貌が明らかにならなくても、一定の事実が明らかになった時点で、この臨床研修病院の指定は当然取り消されるべきであろうと思います。
 この点についての御見解も重ねてお聞きしたいと思います。
宮路副大臣 今御指摘の点も含めて、私ども、遺憾なきを期してまいりたいと思っております。
福島委員 先日、川崎市の健康福祉委員会がございました。そこで、いろいろな質疑がなされております。
 この川崎協同病院問題です。自民党の矢沢委員、この医療生活協同組合は特定の政党の選挙活動をしている、どのような見解を持っているか。民主党の佐藤委員、ところで、今回事件を起こした病院は選挙になると特定の政党を応援している組合である、消費生活組合法では政治的中立が求められているが、いつも議会の情報開示を求めている政党なら、なおさら情報を開示すべきだ、こんなような意見が述べられております。
 先ほどの松島委員の御質問でもありました、政治的中立性というものについてきちっと確保されるべきであろう、私もそう思います。
 そしてまた、先ほどの一言がこういった観点から見ると重くのしかかるわけでございます。まずいと思ったが何もしていない、公にすることが怖かった、集団の中で動いていた、もみ消そうとしたととられても仕方がなかった、こういう発言と関連してくるんではないか、そのような思いすらするわけでございます。
 その点については御答弁は求めませんが、最後に、今般、民主党より、いわゆる患者の権利法というものが提出されております。大変大切な観点であろうと思っています。
 先ほど指摘しましたように、今回の事件で、医師から患者の家族に対して説明されていたこと、そういうことを考えると、きちっとした情報というものをやはり伝える、そういう医療というものを実現しなければいけないと私は思います。そういうことを本当に切に望んで今回法案を提出されたんだろうというふうに私は思っております。
 そこで、提出者の議員の方に今回の事件についてどのようにお考えなのか、率直な御意見をお聞きしたいと思います。
五島議員 民主党に対して御質問ありがとうございます。
 今御質問になられました点につきまして、民主党案では第十三条で、患者、家族に対する診療についての説明は事前にきちんと行うこととしております。このようなことがあれば、今回の問題の一部は回避されたかもしれない。
 それからまた、我が党案では、重大な事故が生じた場合、都道府県知事への報告を義務づけております。またさらに、知事から厚生労働大臣への報告も義務づけています。そういうことがあれば、三年半にもわたってこうした問題が見逃されるということも避けられたかもわからないというふうに考えています。
 ただ、今回の事件を考えて、私は二点、大変別の問題を考えています。
 一つは、やはりこの病院、研修指定病院でありながら診療の水準は随分低い病院だなと。
 というのは、今委員も御指摘になったように、脳死に近い状態と判断されて抜管された、抜管されたらあのような反応が起こったということは、誤診なんですね、そこで。恐らく、その誤診にパニクってしまって、主治医だった女医さんが致死量の二倍の鎮静剤と致死量の二倍の筋弛緩剤を打って殺してしまったというのがマスコミで見る限りの率直な感じです。そういう意味においては、この病院の医療水準は非常に低いなというふうに思っています。
 と同時に、こうしたものが今後起こらないかどうかというのは、やはり全体的な背景を考えていく必要があるだろう。
 公害病が非常に多い地域でございますが、いわゆる公害病によって気管支ぜんそくを起こしている患者さんも大変今高齢化してきています。そういう患者が非常にふえてきている。そして、そういうふうな患者さんに対する治療というものは長期化するために、今、呼吸器科の医者がそうした医療に対して興味を失いつつあるという事実があると思います。そして、そういうふうな中で、世間全体が末期医療に対しては何かむだな医療であるかのようなそういう風潮が非常に強まって、何か末期医療を省略することがいい医療であるかのような幻想が一部の医者の中に生み出されているということは恐ろしいなと思っています。
 また、この川崎市がこれだけ大量の呼吸器の慢性疾患患者を持ちながら、例えば老健施設はあれだけ大きな市の中で非常に少ない地域であり、また、本来なら介護保険に移してもいいようなケースですが、この方は五十代であったというふうなことも含めて、やはり医療全体の提供体制の中でこのようなことが起こらないということをきちっと考えておかないと、この問題の、特定の医療機関の問題だけというふうに考えることはできないのではないかというふうに考えております。
福島委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
森委員長 次回は、来る五月八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十五分散会


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