衆議院

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第11号 平成15年4月23日(水曜日)

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平成十五年四月二十三日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 中山 成彬君
   理事 熊代 昭彦君 理事 長勢 甚遠君
   理事 野田 聖子君 理事 宮腰 光寛君
   理事 鍵田 節哉君 理事 山井 和則君
   理事 福島  豊君 理事 武山百合子君
      岡下 信子君    佐藤  勉君
      田村 憲久君    竹下  亘君
      西川 京子君    原田 義昭君
      平井 卓也君    松島みどり君
      松浪 健太君    三ッ林隆志君
      宮澤 洋一君    森  英介君
      谷津 義男君    山口 泰明君
      山本 明彦君    山本 幸三君
      吉田 幸弘君    吉野 正芳君
      渡辺 具能君    渡辺 博道君
      石毛えい子君    大島  敦君
      加藤 公一君    五島 正規君
      城島 正光君    三井 辨雄君
      水島 広子君    江田 康幸君
      桝屋 敬悟君    佐藤 公治君
      小沢 和秋君    山口 富男君
      阿部 知子君    金子 哲夫君
      山谷えり子君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   厚生労働大臣政務官    渡辺 具能君
   政府参考人
   (外務省大臣官房領事移住
   部長)          小野 正昭君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  高原 亮治君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         遠藤  明君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房参事
   官)           岡島 敦子君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       南川 秀樹君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十三日
 辞任         補欠選任
  奥谷  通君     原田 義昭君
  後藤田正純君     松浪 健太君
  棚橋 泰文君     山口 泰明君
  松島みどり君     山本 明彦君
同日
 辞任         補欠選任
  原田 義昭君     奥谷  通君
  松浪 健太君     後藤田正純君
  山口 泰明君     渡辺 博道君
  山本 明彦君     松島みどり君
同日
 辞任         補欠選任
  渡辺 博道君     棚橋 泰文君
    ―――――――――――――
四月二十二日
 職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)
は本委員会に付託された。
四月二十日
 医療法の一部を改正する法律案(第百五十一回国会衆法第五五号)の提出者「今野東君外十二名」は「今野東君外十一名」に訂正された。
四月二十日
 社会保障の拡充、将来への安心と生活の安定に関する請願(第一〇二二号)は「釘宮磐君紹介」を「三井辨雄君紹介」に訂正された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 食品衛生法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
 健康増進法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――
中山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、食品衛生法等の一部を改正する法律案及び健康増進法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房領事移住部長小野正昭君、厚生労働省健康局長高原亮治君、医薬局食品保健部長遠藤明君、農林水産省大臣官房参事官岡島敦子君及び環境省総合環境政策局環境保健部長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城島正光君。
城島委員 おはようございます。
 定足数ぎりぎりでしょうか。
中山委員長 二十三名、オーケー。
 続けてください。
城島委員 定足数に達したようでありますから、質問を開始いたします。
 前回の連合審査に引き続いて、食品の安全についての食品衛生法改正について審議をするわけでありますが、私は、まず最初に添加物問題について御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、現状確認からさせていただきたいわけでありますが、前回の食品衛生法改正のときから指定制度というのが設けられておりますが、一般的に言ういわゆる食品添加物というものは、今日本ではどれぐらいの数が認可ないし認定されているということなんでしょうか。
遠藤政府参考人 現在、食品添加物として指定をされておりますのは、いわゆる天然添加物四百八十九品目、指定添加物三百四十品目、合計八百二十九品目でございます。
城島委員 昨年いわゆる指定外添加物の問題が起こったわけでありまして、広範囲にわたる食品が回収をされるということがありまして、多くの消費者の皆さんが、いわゆる加工食品に対する不信というんでしょうか、あるいは不安が生じたという事件がありました。また同時に、そういうことをやりますと、かなり広範囲の事業者に対しても大きな影響が出たわけであります。
 その中で、特に二つについてちょっと質問をしたいわけでありますが、いわゆる協和香料化学のアセトアルデヒド、この添加物が使用されていたものと、それから、塩のフェロシアン化物が添加されたもの、この二つについてちょっと中心的に質問をしたいわけであります。
 この二つについては厚生労働省の対応が違っていたように思いますけれども、それぞれについてどういう対応をされたのか、改めてお聞きしたいと思います。
遠藤政府参考人 まず、フェロシアン化物でございますけれども、昨年六月、中国から輸入された食塩に未指定添加物であるフェロシアン化物が含まれておりました。この際には、この物質が、国際的な専門家会議で安全性が確認をされており、加工食品の原材料として使用される食塩に固結防止の目的で米国及びEU諸国等で広く使用されている添加物であるということが確認をされたところから、国際的な専門家会議において安全性が確認をされていること、仮に食品衛生法第六条違反としてフェロシアン化物を含む食品に対して回収等の措置を講じた場合には極めて多くの加工食品の回収等が想定をされたことなどから、混乱を最小限にとどめることが必要と考え、我が国としての安全性の確認を前提とした上で、速やかに指定の手続を進めることが適当と判断したところでございます。
 このため、フェロシアン化物につきましては、昨年七月に薬事・食品衛生審議会を開催し、食品添加物として指定をして差し支えない旨の結論を得、同年八月に指定をしたところでございます。
 次に、協和香料化学の問題でございますが、こちらに関しましては、アセトアルデヒド等が確認をされまして、営業禁止及び違反品の回収の処分を行ったところでございます。
城島委員 もう一度確認ですが、アセトアルデヒドとフェロシアン化物の違いですけれども、これは、フェロシアン化物は、今御答弁があったように、いわゆる専門家会議のJECFAの中で安全性が確認されたものだと。
 アセトアルデヒドはどうなんですか。
遠藤政府参考人 アセトアルデヒドに関しましても一般に安全と言われておりますけれども、協和香料化学の違反事例につきましては、食品衛生法に基づく指定がされていない香料成分であると知りながら販売をしていたということで、悪質なものであったというふうなことで回収措置を講じたところでございます。
城島委員 物としての位置づけ、いわゆる国際的なJECFAの評価、その部分においては変わらないということですね。
遠藤政府参考人 そのとおりでございます。
城島委員 しかし、今あったようなことで対応が大きく違ったということなんですが、ここはここでちょっと幾つか意見があるところなんですが。
 その前に、今いわゆるコーデックス、特にその中で、JECFAで安全性がある程度評価をされてコーデックスで認めている食品添加物がどれぐらいあって、そして、先ほど僕が質問した日本の食品添加物の数が大体、先ほど言われましたけれども、JECFA、コーデックスが一応認定をしたというんですか、認可をしているというんでしょうか、その食品添加物の中で、日本で同じように認可をしているものがどれぐらいあるか。そしてまた、同時に、JECFAで安全性が評価され、コーデックスで認定されているけれども、日本で認可されていないもの、これはどれぐらいあるんですか。それぞれどれぐらいあるんですか。
遠藤政府参考人 JECFAで安全性評価が終了した添加物については約九百品目となっております。このうち、国内において、先ほど申し上げました添加物の中に入っているものが約三百品目ございます。したがいまして、国内で使用が認められていない添加物は約六百品目となります。
城島委員 あわせて、その逆のケース、国内では認められて、JECFAでは認められていないものがどれぐらいあるんですか。
遠藤政府参考人 八百二十九品目国内で認めており、共通部分が三百ということでございますので、約五百が日本だけで認められているということでございます。
城島委員 実態がそういうことだということなんですが、先ほどのアセトアルデヒドとフェロシアン化物の問題、これは実は非常に本質的な問題をはらんでいるんだと思うんですね。
 今実態はそうだという中で、フェロシアン化物については、先ほど答弁があったような対応をした。しかし、協和香料の場合は、知っていてということだから悪質だということはありましたけれども、製品の中身というんですか、安全性においては、いわゆる世界的な基準の中では認知をされているということについては同じであると。
 確かに、国際的な基準の中で認知されても、食文化が違うとか食生活が違うとかということがありますから、各国が独自の規制をかけるというのは当然だと思うし、我が国も、JECFAやコーデックスが認めたから即認めるというわけにはいかないというのは当然だと思いますね。
 しかしながら、その前提の中でも、食品も含めてこれだけ世界的な流通があるという中で、いわゆる専門家会議で承認をされ、コーデックスが認めた添加物で、なおかつ広く世界で流通するあるいは使われているような添加物については、日本ではまだ認可していないということですけれども、やはり何らかの対応が必要じゃないかというふうに思うんですが、その象徴がフェロシアン化物ではなかったかなというふうに思うんですが、この認識はそういうことでよろしいでしょうか。
坂口国務大臣 確かに、アセトアルデヒドとフェロシアン化と両方の問題が起こりまして、御指摘のように立場は同じだったわけでございます。
 最初のアセトアルデヒドのときにも、アルコールを飲んだら体の中でアセトアルデヒドになるんだからいいじゃないかというような御意見もあったりしたわけでございますけれども、これは原理原則に立って処理をさせていただいた。ところが、フェロシアンの問題が引き続いて起こってまいりました。しかし、こちらの方は、余りにも多くの日本の中の食品に使われているものですから、影響が余りにも大き過ぎるということがございまして、これをだめだということになりますと、あらゆる食品をこれによってストップさせなきゃならないというようなことになったものですから、影響の大きさ等を勘案して違った結論を出した、こういうことだったというふうに記憶をいたしております。
 いずれにいたしましても、今お話がございましたように、米国でありますとかEU等でもう既に広く使用されているものについては、日本の国の中もそう最初からの検討をしなくても、ある程度の検討を行えばそれは認めてもいいのではないかという御意見をそのときにもいただいたわけでございます。
 それ以後、昨年の七月でございましたけれども、薬事・食品衛生審議会におきまして御審議をいただきまして、そうした方向で検討していこうということに結論を出していただいたわけでございます。対象品目の選定を進めてまいりました結果、昨年の十二月の審議会におきまして、当面、四十六品目につきまして指定に向けた作業を行うことが了解をされたところでございます。
 今後、資料が整理をされましたら、逐一またその方向で審議を進めていきたいというふうに思っておりまして、現在、この四十六項目、当面早く結論を出したいというふうに思っている次第でございます。
城島委員 そうすると、フェロシアン化物に代表されるように、世界的な認定機関で一定のクリアをして認定されて、なおかつ広く使用されていて、まだ日本で認可あるいは指定されていないものの中の四十六品目については、行政側として検討していく。しかし、これは今までも企業とかあるいは事業者からの申請ベースになっていますよね。これとの関係はどういうふうに理解したらよろしいんですか。
坂口国務大臣 これは、必ずしも申請が出なくてもやらせていただきたいというふうに思っております。米国及びEU等でもう既に広く使われておりますようなものを見まして、そして、それは現実的にあるいはまた科学的に問題がないのではないかというものにつきましては、申請のあるなしにかかわらず進めていきたいというふうに思っているところでございます。
城島委員 わかりました。
 消費者の皆さんの不安感とか不信感とかいうことをある面で払拭するということの意味においても行政側のきちっとした対応が必要だと思うんですね。いろいろな面で混乱をしないということのためにも今おっしゃったことは必要だと思うし、その審査というのもまた、前回論議させていただきましたまさにリスクコミュニケーションじゃありませんが、それぞれのいわゆるステークホルダーの皆さん方とのコミュニケーションも図りながらやっていただきたいと思います。
 期限的なある程度のめどというのはあるんですが、いつごろまでにどういう作業を進めていくというのがあればお聞きしたいと思います。
遠藤政府参考人 四十六品目の検討でございますけれども、これを検討可能な順にグループ分けをいたしておりまして、今回、第一グループから、専門家に依頼をしてデータ補充、分析等を行って審議会において審議を開始するというふうなことで、今後、第二グループ、第三グループの検討作業を順次行っていくというふうなことで、どのぐらいのスケジュールでということに関しましては、資料の出ぐあい、検討状況によるところが大きいということでございます。
城島委員 それでは次に、食品安全行政の中でもう一つ重要なのがいわゆる食品衛生に関する監視体制の中での態勢だと思うんですけれども、現状、食品衛生監視員、地方、それから国含めて、それぞれどれぐらいいらっしゃるのか。この間、できれば十年ぐらいのこの態勢の推移というのはどうなっているのかをお尋ねしたいと思います。
遠藤政府参考人 まず、国レベルでございますが、検疫所における食品衛生監視員の数でございます。平成六年度には二百五名でございました。平成十一年度二百六十四名、平成十五年度二百八十三名というふうなことになっております。
 次に、都道府県等の食品衛生監視員でございますが、これは、平成六年が、総数七千百八十六人、このうち専従者もしくは主として食品衛生監視業務に従事している者が三千三百九十五人。直近の数字は平成十三年度ということになっておりますけれども、総数で七千四百二十二名、専従者もしくは主として食品衛生監視業務に従事する者が三千三百三十三名というふうな数字になっております。
城島委員 特に、このうち獣医はどれぐらいいて、どういう推移をしているんでしょうか。平成六年と十三年でいいんですけれども。
遠藤政府参考人 平成六年度の数字はちょっと手元にございませんが、検疫所において、平成十一年度では、二百六十四名の食品衛生監視員のうち、獣医師資格を持つ者が四十三名、一六・三%でございました。平成十五年度には、二百八十三名の監視員のうち、獣医師資格を持つ者が三十八名、一三・四%ということになっております。
 食品衛生監視員につきましては、職種別の内訳の報告を求めておりませんので、獣医師の割合については承知しておりません。
城島委員 食品衛生の場合、一般的に言うと、O157とかサルモネラとかで有名なんですけれども、恐らく、食品衛生上の問題の中で多いのは食中毒。食中毒の八割から九割は、原因が動物由来ということだと思うのですね。そうしますと、どうしても、特に地方はもとよりですけれども、獣医の素養というんでしょうか、そういうものが必須だというふうに私は思うんですよ。
 そういう点でいうと、地方の中でどれぐらいかというのはわからないということですけれども、やはりそこは非常に大事だというふうに思うのです。数がわからないということなので、ちょっと何とも言いようがないんですが。
 この全体の数も、主に食品衛生の監視をやっている人が今三千三百三十三名ということでしたけれども、この態勢、しかもこの間の推移も、ほとんど増強された形跡もない。推定なんですけれども、このうちの獣医も、比率は高まってはいないんだろうと思うんです。私は減少しているんじゃないかというふうに見ているんですけれども。
 食中毒の原因である先ほど言ったようなことからして、この今のトータルの態勢と、その中に占める一番大事な獣医の比率は極めて高くなきゃいかぬというふうに思うんですが、現状の態勢について、大臣の御見解があれば承りたいと思います。
坂口国務大臣 最近の数字はないようでございますが、平成五年末の現在で、食品衛生監視員七千三百六十三名中、獣医師の方が三千三百六十九名で、四五・八%という数字が一つございます。平成五年でございますから、ちょっと古いものですから失礼でございますけれども、過去にそういう数字がある。
 最近どうかということが、これはないので何とも申し上げることができないわけでございますが、今お話しございましたように、獣医師の皆さん方が公衆衛生畑で大変大きな働きをしていただいていることだけはもう間違いのない事実でございまして、私のよく存じている方々の中にも、保健所の中でしっかりと活躍をしていただく、そしてまた、その中から大学等に行かれまして、大学の教授になられた方もおみえでございますし、公衆衛生畑で大変な活躍をしていただいているわけでございます。
 今お話しございましたように、最近とみに人間の方の健康管理の問題と動物とのかかわりというのが非常に大きくなってきていることも事実でございまして、今騒がれておりますSARSなどにおきましても、動物とのかかわり、そうした中でウイルスがどう変遷をしてきたかということが大きな問題になっているわけでございます。O157もしかりでございました。
 ですから、そういうことを考えますと、御指摘いただくように、確かに獣医師の皆さんはもっと多くの方に御活躍をいただくということが望ましいんだろうというふうに、私も率直にそう思う次第でございます。ただ、それぞれの御本人の生き方もございましょうから、その辺も考えなければいけないというふうに思いますが、国やあるいは都道府県といたしましても、獣医師の皆さん方にもう少しお入りをいただいて活躍をしていただける場を提供するということはやはり非常に大事なことだというふうに思っております。
 今、具体的な数字がちょっとないようでございますけれども、一遍よく調べまして、そして、できる限り御活躍をしていただける環境をやはり整えなければいけないというふうに思いますから、努力したいと思う次第でございます。
城島委員 大臣がおっしゃるように、昨今、食品衛生だけじゃなくて、人獣共通感染症が人の感染症の最大の問題になってきているということが大事だと思うのです。特に、今指摘をさせていただいた、地方の保健所における食品衛生監視員で、実数は私もつかめていませんが、先ほど言ったように、トータルの人数も余りふえていませんが、その中に占める獣医師の比率は恐らく下がっているんじゃないかと思っているんですよ。
 というのは、いわゆる国のと畜検査員の方はどうもそういう対応になっているようでありますが、以前から獣医師も、獣医学そのものは六年制になっている、ところが、その採用段階で、地方においてのばらつきがあるようでありますが、その対応がとられていないというところに、いま一つ人気がない原因の背景がそこにあるようでありまして、かつてと同じように四年の対応のままというところが実は多いようであります。その辺の改善がもう一つされないと、率直に言うと、なかなか魅力的なところにならない要素もあるというふうに思いますので、少しその辺に対するチェックもぜひしていただきたいものだなというふうに思います。
 それから、次に移らせていただきますが、今回の改正の中で、一つ、食品事業者の記録保存の努力義務というのがあります。販売食品等に起因する食品衛生上の危害の発生の防止に必要な限度において必要な情報に関する記録を作成し保存すること、これは条項としては当然のことであると思いますし、それぞれがこうした安全性を確保するという目的の意味においては当然の努力義務だと思いますが、現実に、これをきちっと記録をし、保存するという役割を担う事業者から見ると、一体どこまでこれをやったらいいのかということについての、一生懸命やろうとするがゆえの幾つかの不安点も出されているわけでございます。
 例えばということで、製粉のケースで見ますと、原料となる小麦が、当然のことながら、日本はこれだけ輸入していますから、一カ国だけではあり得ないわけであります。幾つかの国からの輸入がありますし、そういう複数の組み合わせでできた製品というものがいっぱいあるということですし、また、一カ国の中においても産地がいろいろ違うということも当然あるわけでありますが、こうした問題の中で、どの辺までこれを記録していくかということについては、現状、どういうふうにとらえたらいいのか、御質問したいと思います。
遠藤政府参考人 今回の記帳義務は、努力義務として設けているわけでございますけれども、具体的な記帳の範囲につきましては、今後ガイドライン等を検討してお示しをしたいと考えております。その際には、事業者等の意見もお伺いをしつつ、どういった記帳が現実に行えるものか、また必要な情報を把握できるのかといったふうなことについて御意見を伺いながら進めてまいりたいというふうに考えております。
城島委員 わかりました。
 最後に、食品添加物の中でもう一つ、天然添加物の問題について質問をさせていただきます。
 前回、平成七年の食品衛生法の改正の段階で、天然添加物であっても指定の対象ということになったわけでありまして、事前の安全性評価を受けることが義務づけられたわけであります。しかし、当時既に使用されていた、四百八十九品目だと思いますけれども、この天然添加物については、長い使用経験がある、かつ健康被害の報告がないといったような理由から、経過措置として、引き続き流通が認められてきたということだと思います。
 やはり消費者の皆さんからすると、こういったものについても客観的な試験というようなことによって安全性を確かめてほしいという意見というのは当然あるわけであります。したがって、この作業というのを行っていくべきだと思うわけでありますが、平成八年以降、四百八十九品目についての安全性に対する評価作業というのはどういうふうに進んでいるのかということと、今回の法改正に伴って、今後の安全性評価の予定というものがどういう予定になっているのか、お尋ねしたいと思います。
    〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕
遠藤政府参考人 先生御指摘のように、食品添加物につきましては、平成七年の食品衛生法改正により、指定制度の対象を従来の化学的合成品から天然添加物まで拡大いたしましたが、当時使用されていた四百八十九品目の天然添加物につきましては、長い使用経験があり、かつ健康被害の報告がないこと等の理由から、経過措置として、引き続き流通を認めてきたところでございます。
 これらの天然添加物につきまして、平成八年以降、逐次安全性の見直しを実施してきており、今後さらに情報の収集が必要と考えられるものは、現在、四百八十九品目中百二十五品目となっているところでございます。この安全性の見直しには毒性試験の実施や専門家による結果の解析等が必要でございますが、平成十五年度は十四年度に比べまして四・六倍増の約七億円の予算を確保いたしまして、これをもとに安全性評価を推進することといたしております。
 また、今回の食品衛生法等の改正において、人の健康を損なうおそれのあることが判明した既存添加物につきましては、既存添加物名簿からその名称を消除し、使用禁止にできることとしているところでございます。
城島委員 終わります。
宮腰委員長代理 次に、大島敦君。
大島(敦)委員 民主党の大島敦でございます。
 きょうは、食品の内容表示について、基本的な、素朴な疑問について伺っていきたいと思います。
 スーパーマーケットで買い物をすると、ことしになってから内容表示が若干変わったことに気づいております。例えば納豆のパッケージを見ると、これまでは製造年月日というのが表示してあったんですけれども、今は品質保持期限とかあるいは賞味期限に変わっております。このことについて若干調べてみますと、平成七年に改正されたということで、徐々に食品の表示についても変わってきているのかなと思っております。
 なぜ製造年月日ではなくて品質保持期限にしたかということを聞いてみますと、今は例えばLL牛乳のように長期保存のきくものがあるものですから、製造年月日というのがそれほど意味を持たないというようなお話を伺います。そのような考え方でいいのかどうか。ちょっと冒頭に政府参考人に伺えれば伺いたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
遠藤政府参考人 改正の経緯でございますけれども、製造年月日をもってしては必ずしも消費者の選択が適切に行えない、むしろ消費期限あるいは品質保持期限といった形の表示の方が消費者にとってわかりやすいといいますか、そういった趣旨で改正をしたわけでございます。
 なお、この表示の問題に関しましては、農林水産省との関係もございまして、現在、農林水産省との間で表示に関する共同会議などを設けまして検討を進めているところでございまして、今後とも、消費者の選択に役立つような形で改善を図ってまいりたいと考えているところでございます。
大島(敦)委員 消費者の立場からすると、確かに長期間保存がきくものについて品質保持期限あるいは賞味期限の表示だけでいいというお考えもわからないことはないんですけれども、製造年月日についても明記しておいた方が、消費者としては、買う側としては選びやすいと考えております。
 ところで、今コンビニエンスストアでおにぎりを買ったときに、そのおにぎりについて着色料なり合成保存料を使用していないということがうたい文句になっております。その場合の食品添加物の表示について、例えば他の場所で製造したおにぎりをスーパーマーケットで売る、あるいはスーパーマーケットのバックヤードで製造したおにぎりをスーパーマーケットの店頭で売る、あるいは店内で握ったものを包装してそこに並べて、お客さんの選択に任せる、そういうときには食品衛生法ですと添加物の表示というのは必要とされているんでしょうか。
遠藤政府参考人 現在、食品衛生法によりまして表示の義務づけの対象としておりますものは、容器包装された食品及び食品添加物ということでございますけれども、製造してその場で販売するという場合には表示をしなくてよいというふうな形になっておるところでございます。
大島(敦)委員 そこのところは確認なんですけれども、その場で製造して、お客さんが求めて、このおむすびが欲しいといった場合には、それは今部長がおっしゃられたとおり、表示は必要ではないと理解しているんですけれども、握ったおむすびを店頭に並べて、お客さんが好みで選んで買った場合には表示が必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
遠藤政府参考人 御指摘のように、コンビニエンスストア等で販売されているおにぎりにつきましては、容器包装されているものということで、食品衛生法に基づく表示が義務づけられているところでございます。
大島(敦)委員 今の私の質問に対しては若干、ずれているというわけではないんですけれども、これはコンビニではなくて、スーパーマーケット内での話ですから、スーパーマーケット内で、同じおむすびであっても、握って置いてあったものをお客さんが来て勝手に選んで持っていくときには品質表示が必要だと思うんですけれども、その理解でいいかどうかだけ、ちょっと確認させてください。
遠藤政府参考人 先生おっしゃるとおりでございまして、その場で対面で販売をするという場合には現在必要ないということにしております。
大島(敦)委員 今の食品衛生法というのは、これは食品衛生法ができた時代背景と、今部長が説明されました表示についての考え方ができた時代背景というのは、いつごろこういう考え方ができたのでしょうか。
遠藤政府参考人 ただいま申し上げましたような対面販売について表示をしなくてもよいという通知は、昭和四十五年のものでございます。
大島(敦)委員 ありがとうございます。
 今の流通を考えてみますと、昭和四十五年から大分変わってきていると思います。例えば今、コンビニエンスストアのおむすび一つについても、セントラルキッチンで集中的に製造したものをデリバリーしている、それが今の形態だと思います。
 同じく、セントラルキッチンを使っているのは、ファミリーレストランもセントラルキッチンで同じように物をつくって、それをそのままデリバリーして、レストランでそれを解凍するなりあるいは加工するなりして出していると思う。もう一つは、ハンバーガーショップも同じだと思います。セントラルキッチンがあって、そこでつくったものを店頭に持ってきて、そのまま温めたり焼いたりして出している。回転ずしもそうだと思います。すべてセントラルキッチンで、そこで加工したものをレストランの中で焼いたりあるいは温めたりして出していると思うのですけれども、その場合の品質表示というのはどうなっているのでしょうか。
遠藤政府参考人 ファミリーレストラン等におきましては、飲食店側が消費者からメニューについて説明を求められた場合に、包装された食品が単に陳列されている食品販売店等とは異なり、従業員がメニューについて説明することが可能であるということから、表示を義務づけておりません。
大島(敦)委員 部長にもう一度確認したいのですけれども、部長は今おっしゃられたことを御自身で確認されたことはありますでしょうか。
遠藤政府参考人 余り店員に聞いたりすることはないと思います。
大島(敦)委員 今部長が説明したことが合理的だとお思いでしょうか。
遠藤政府参考人 合理的か合理的でないかというのもありますけれども、やはり消費者の観点でどういうふうにしていったらいいのかということが重要であると考えておりまして、現在、表示の問題全般に関しまして検討を進めているというふうなところでございます。
大島(敦)委員 今部長から説明がありましたとおり、なぜ表示していないかについては、店頭で店員さんに聞けば説明を受けられるから表示していないというお話を伺ったものですから、実は私も試しにファミリーレストランで店員さんに聞いてみたのです。どういう食品添加物が入っているか知っていますか、あるいはそういう社内教育を受けたことがありますか、知っていますかと幾つかの店舗で聞いたところ、そういう教育とか内容については知りませんという答えを受けました。
 私は今まで、ファミリーレストランあるいはハンバーガーショップで出しているものについては、町の食堂と同じように、何も添加物は入っていないという前提で食べていた人間なものですから、素朴な疑問点として、おむすびにも入っているのだったら、ひょっとすると、セントラルキッチンからファミリーレストランとかハンバーガーショップとか回転ずしに来るものについても、ある食品添加物が、一定の食品添加物が入っているのではないかなと僕は思っているわけなんです。
 その点について、きょうは農林水産省の方にもこちらの方に来ていただいていますので、御意見があったら御説明していただければ幸いです。
岡島政府参考人 食品添加物のお話につきましては、厚生労働省の食品衛生法の規制になりますので、私どもからお答えすることはちょっと適当ではないと思います。
 外食産業におきます表示につきましてお答えさせていただきたいと思いますけれども、現在、ファミリーレストランなどの一部の事業者におきまして、アレルギーあるいはカロリーの表示というものを自主的に記載している状況がございます。また業界団体につきましても、自主的に事業者がアレルギーとかカロリーの表示をする場合にはどのようにしたらいいかということのガイドラインを作成しているということを聞いておるところでございます。
 農林水産省といたしましても、このような消費者に対する情報提供という観点からの取り組みは大事なことだというふうに思っておりまして、こういった取り組みにつきましてはいろいろな形で促進していきたいというふうに考えているところでございます。
大島(敦)委員 わかりやすい例なものですから、なぜおむすびに食品添加物、着色料とか保存料が添加されているということを表示しなければいけないのか、その根拠について教えていただければ助かります。
遠藤政府参考人 原則として表示すべきものを定めているわけでございますので、その範囲で表示されるべきものというふうに考えているわけです。
 なお、今後どうするかということにつきましては、また検討はしていくというものでございます。
大島(敦)委員 内容表示について書いてあるというのは、一つには、これは私の考えですけれども、恐らくそのような規定をつくったときの政府の考え方があると思うのです。やはり着色料なり保存料なりあるいは添加物等について明記しておいた方が無難である、あるいは消費者の利益にかなっている、そのような観点から表示をしなければいけない、いけなかった。それで今、表示をしていると思うのです。
 それで、今部長がおっしゃられたとおり、同じようにセントラルキッチンでつくったものが、片やコンビニでは、並んだものには表示しろ、片やファミリーレストランあるいはハンバーガーショップ、回転ずし等では、入っていた場合でも表示しなくてもいい。なぜかといえば、それは、そのお店で店員さんにこのものについて添加物が入っているかどうか聞けば、それは答えていただけるから大丈夫だ、そういうような根拠で御説明を受けているわけなんです。
 それで、大臣の方に伺いたいのですけれども、これからの食品の表示のあり方について、昭和四十五年にできたその当時の産業構造と、それからファミリーレストラン等が日本全国で大分広がって、かつ私たちの食生活が変わってきている。自分自身も夜、食べるところは、地元の食堂もあるのですけれども、ファミリーレストランが夜遅くまで開いているものですから、そういうところで食べる方がふえてくる。そうすると、その表示について、私は、コンビニとファミリーレストランがどうして違わなければいけないのかという合理的な根拠が見出せないのです。
 ですから、その点につきまして、大臣としては、今後の行政のあり方としてどう考えていったらいいのかについて、御意見をお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 非常に具体的な御質問ですけれども、なかなか答えにくい質問でもあるわけでして。
 確かにいろいろの食材については制限もあったりしておりますが、それを組み合わせてつくり上げました食品について一体どうかということなんだろうと思うんですね。
 例えば、カレーライスならカレーライスの中に何と何が入っていて、そこには添加物がどうなのかという、そんなことを示したお店は確かにありませんし、もう食べてしまいますとそれを検証することも難しいわけでございますから、そこもなかなか難しい要素はあるというふうに思いますけれども、例えば、冷凍食品等にして、そして一つのセットにして、持ち帰ってそれをお上がりくださいというようなものが売られているような場合には、確かにそこには、添加物をどうするかということは可能なんだろうと私は思うんですね。
 ですから、いわゆるレストラン等で、そこで食べるものと、それから、そうではなくて、一応セットになったものを持ち帰ってという、量産がされているものとは若干、同じにはなかなかできにくい要素があるなというふうに私も思いますけれども、量産をされるものにつきましては、添加物等の問題について明確にしようというふうに思えば、これはできる話でございますから、これからそうした方向に向かって進めていくということは可能なことでありますから、これは検討したいというふうに思います。
大島(敦)委員 ありがとうございました。
 先ほど農水省の方から、アレルギーとかあるいはカロリーについては表示しようという動きがあるという話を伺いました。消費者としては、メニューの中に添加物が入っている、入っていないだけでもよかったり、あるいは今、私が疑問に思っているのは、これはちょっと確認しなくてはいけないんですけれども、最近ファミリーレストランでテークアウトの弁当を出していたりもするわけなんで、その表示がどうなっているかの問題とか、やはりレストランだって、もう今の流通構造が変わっているんですから、食品衛生法の表示の考え方も変えるべきだと私は思っておりますので、お願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
宮腰委員長代理 午前十一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前九時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時二十二分開議
中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。三井辨雄君。
三井委員 民主党の三井辨雄でございます。
 先週四月十六日に、食品安全基本法にかかわる三委員会の連合審査で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。本日、食品衛生法等の審議においては、基本法との関連に関しまして質問をさせていただきたいと思います。
 従来の食品衛生行政は、主として食品衛生法に基づく衛生規制等を実施してきたわけですけれども、食品の安全性の確保を図ろうとしてきたと思うんですね。厚生労働省及び地方公共団体が中心となってその業務を担ってきました。
 今回、食品安全基本法が制定されまして食品安全委員会が設置されると、厚生労働省が担ってきた業務の一部が食品安全委員会に移行することになりますが、食品安全基本法ではリスク分析手法を導入することになりましたけれども、リスク評価は食品安全委員会が担い、そしてリスク管理機関としまして厚生労働省がその役割を担う。
 それでは、この三番目のリスクコミュニケーションになるわけでございますけれども、食品安全委員会と厚生労働省のそれぞれの具体的な業務分担のあり方と、それから責任の範囲はどのようになるのか、お聞きしたいと思います。坂口大臣にお願いします。
坂口国務大臣 食品安全委員会は、リスク評価につきましてのリスクコミュニケーションを実施するわけでございますが、みずから行いますリスク評価に対するリスクコミュニケーションと、それから厚生労働省や農林水産省などリスク管理機関が行いますリスクコミュニケーションも含めて、総合的なリスクコミュニケーションの調整を行う、この二つがあると思うんです。一つは、自分のところといいますか、食品安全委員会自身のリスクコミュニケーション、それから厚生労働省や農林水産省のそれぞれのリスクコミュニケーションも含めた全体としてのリスクコミュニケーション、両方を食品安全委員会は行うということになるというふうに思います。
 リスクコミュニケーションの規定につきましては、規格基準の設定でありますとかリスク管理機関として厚生労働省が行います施策につきまして、広く国民または住民の意見を求めることといたしておりまして、その実施につきましては、食品安全委員会の総合的な調整も踏まえて行う、こういうことになっておるわけでございます。
 したがいまして、厚生労働省が行いますリスクコミュニケーションというのも大事でございまして、極力消費者の皆さん方のお声というものが反映できるようにしていきたいというふうに思っているわけでございます。これは、何も事が起こらないときに定期的に行いますものと、何か問題が起こりましたときに行いますもの、両方あるというふうに思いますけれども、双方兼ねてしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
三井委員 今大臣から御答弁いただきましたように、やはりこのリスクコミュニケーションというのは、リスク管理機関と消費者それから生産者との、幅広い関係者の意見を集めた意思の疎通というのは大事だ。今も御答弁いただきましたけれども、まさに国民の意見を聴取するための措置を講じないとならない。その中で、私は、先般の連合審査で谷垣大臣からも御答弁いただきましたように、双方の情報交換がより重要だということもいただきました。
 そこで、食品の国際的な規格や基準をつくる政府間の組織のコーデックス委員会でございますけれども、実は横浜市でコーデックス委員会が開かれました。このときに、バイオテクノロジーの応用食品特別部会という会議を持たれました。ここに日本のNPOのチェンジ・コーデックス市民の会という皆さんが参加しています。ここでは、特に遺伝子の組み換え微生物を使った食品の安全性の評価指針の作成に消費者の立場から発言しているという報道等もございました。
 国際的な委員会でございますので、消費者活動を行うNPO団体、特に市民の、NPOのかかわり合いというのは、私は必要でないかというぐあいに思っております。
 そこで、消費者の参画とか意見の交換会などの開催をやるための措置がより必要だということに対して、大臣はどのようにお考えになっているでしょうか。
木村副大臣 今委員御指摘の、消費者の意見をどのようにしてくみ上げていくかという御質問でございますけれども、関係審議会におきまして消費者の立場に立って御発言いただける委員につきましては、既に食品衛生分科会では、正委員の皆様だけで見ますと、十三名中二名の方がおいでになります。また、臨時委員を含めて見ると、二十一名中四名の方々が入っておいでになるわけでございまして、これまでも消費者の立場からの御意見を十分に聞かせていただきまして、審議が行われていると認識しているところでございます。
 また、今回の改正案におきましては、消費者等からの意見の聴取、すなわちリスクコミュニケーションでございますけれども、リスクコミュニケーションの規定をしっかりと盛り込んでおりまして、具体的な規格基準等の設定時やそれ以外の場合においても、定期的に施策の趣旨や実施状況等を公表いたしまして、広く国民の意見を求めることを国や自治体に義務づけているところでございます。
 また、これらのリスクコミュニケーションを行うために、厚生労働省におきましては、担当参事官を設置いたしますし、また、消費者等との意見交換会の開催経費を確保しているところでございまして、これらの機会への消費者等の積極的な参加を期待しつつ、できるだけの取り組みをしてまいりたい、このように思っているような次第でございます。
三井委員 私も実は、このコーデックス委員会の、インターネットで引っ張ったんですが、問題点というのは結構あるんですね。そこはやはり、先ほど申し上げましたように、多国籍の企業が参加するということでなくて、NPOあるいはNGO、消費者側もどんどん参画していくという場合においては、今御答弁いただきましたように、市民の会が積極的に参加するようなことを国としても大いに考えていただきたいなと。
 そこで、国や都道府県の監視指導計画の策定についてお伺いしたいんですが、今後どのような手順でこの監視指導計画の策定を進められていくのか、スケジュール等がわかりましたら教えていただきたいと思います。
遠藤政府参考人 国及び都道府県等が策定をいたします監視指導計画についてでございますが、まず、国が監視指導の基本方針や重要事項などを含む指針を策定いたします。その指針に基づきまして、国は輸入時検査等の監視指導計画、都道府県等は、地域の実情を踏まえ、当該地域における食品や施設等の監視指導計画を策定することといたしております。
 また、改正法に定められているところに基づきまして、指針及び計画の策定時には、国民から意見を聴取することとしているところでございます。
 これら指針及び計画の策定につきましては、公布後三カ月を超えない範囲内で政令で定める日に施行するということで、今年度中に策定をし、その策定された計画に基づきまして十六年度から監視を実施する予定にしております。
三井委員 これは十六年度からということでございますね。
遠藤政府参考人 指針及び計画を今年度中に策定し、その策定された計画に基づき十六年度から監視を実施していくということでございます。
三井委員 次に、健康食品についてお伺いしたいと思います。
 前回、連合審査のときも、四月十六日に質問させていただきましたが、中国のダイエット食品でございますけれども、昨年の二月ですか、死者を出しましたセン之素コウ嚢によって、実はその前の年にも六人もの人が肝障害で入院していたということがわかったわけですけれども、この情報が即座に公表されていれば、これも大臣にもお伺いしたんですが、死亡した女性も含めて被害がもっと抑えられたんじゃないかと言われているわけでございますけれども、これは前回大臣から御答弁いただきましたので、あえて御答弁いただきません。
 そこで、今回の第四条の二の第二項でございますけれども、ダイエット用健康食品被害の発生の原因となっております、以前であれば医薬品として取り扱われ流通規制を受けることになりましたカプセルとか錠剤の形状でございますけれども、これは、規制緩和の観点から、食品にも認めることにしたということになったわけですけれども、これはかつて、昭和四十六年、いわゆる四六通知でございますけれども、錠剤、カプセル剤のような形状については、医薬品、食品の区分を明確にするとしていたわけですね。それが、今回は、効能効果、成分本質等を勘案し、医薬品として誤解を招くものについては、健康食品では大幅に制限されていましたが、政府の規制緩和により、これらの剤形の使用が認められた。現在、ほぼ自由になっているわけですよ。
 これらの製品で健康被害者が、まさに政府の規制緩和によって犠牲者が出る。今回の事故にかんがみても、剤形、カプセル状になっているわけですね。そういうものがやはり、痩身効果がある、いかにも医薬品のように効くんじゃないかというような錯覚に陥るわけですけれども、これはやはり、私は見直す必要があるのではなかろうかなと思うわけです。
 そこで、従前ですと食品として認められなかった形状のものが、今申し上げましたように、規制緩和のもとに、食品の流通として認められた。現在の食品衛生法というのは、このような新たな食品に対して、安全性の確保という観点から特別に規制をかけることはできていません。飲食物については薬事法の規制がかからない。すなわち、食品となってしまうわけですから。食品は基本的に安全であれという考え方で食品衛生法が制定されたのではないかと考えます。
 いわゆる健康食品と言われる新しい食品については何らかの規制を加えませんと、ダイエット用健康食品の例のような健康被害の発生を防止できないと考えますけれども、法案の四条の二第二項の趣旨、及び、問題となったカプセル入りダイエット食品のようなものは該当すると考えてよろしいんでしょうか、これは。
遠藤政府参考人 今般の改正案の第四条の二第二項の規定は、濃縮化などにより通常の方法とは著しく異なる方法により飲食に供されているもので人の健康を損なうおそれがないことの確証がないものについて、被害拡大を未然に防止する観点から、必要な場合に暫定的にその販売を禁止するものでございます。
 この規定の対象としては、例えば、食経験のある食材からエキスを抽出、濃縮したようなものが想定をされ、もとの食材の形態では通常の食事で摂取できないような量を錠剤やカプセルの形態で摂取させるというものが考えられます。
 御指摘のカプセル入りダイエット健康食品のようなものにつきましては、個別具体のケースにより異なるとは思いますけれども、食品安全委員会におけるリスク評価に基づきまして、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要がある場合には、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、同条による流通禁止の措置を発動することもあるものと考えております。
三井委員 そこで、医薬品に見せるようなカプセル、これはもう、医薬品とも健康食品ともつかない保健機能食品のようなものは別としまして、一般の食品にはカプセルというのは許可すべきでないと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
遠藤政府参考人 御指摘の医薬品の形状規制緩和につきましては、平成八年度から十一年度にかけて、国民の食生活の多様化、国民の健康に対する意識の変化が見られることなどを踏まえ、順次規制緩和を行ったものでございます。
 具体的には、一部のビタミン、ハーブ類及びミネラルについて順次形状の規制を緩和し、消費者においてみずから正しい選択ができるよう、医薬品と食品の両者を混同しないよう、明確に食品としての適切な表示がなされるという前提で、形状のみをもって医薬品であるという判断を行うことはしないということにされたところでございまして、食品である旨が明示されているということで、食品の選択の範囲を広げるという趣旨で行っている措置であることを御理解賜りたいと存じます。
三井委員 最近は、特に健康食品ブームということで、一九九〇年代ぐらいから非常にいろいろな健康食品が出てきております。私も実際行ってみますと、店頭にもうたくさん、山ほど健康食品が積まれているわけです。
 一昨年ですか、保健機能食品制度が施行されたわけですけれども、私の手元によりますと、この保健機能食品というのは、三百三十九品目ということを言われているわけですけれども、現在、健康食品というのは何種類ぐらい出ているんでしょうか。
遠藤政府参考人 御指摘のように、特定保健用食品ということで私どもで認可を与えておりますものにつきましては、三百三十九件というふうなことになっております。
 そのほか、保健機能食品以外のいわゆる健康食品につきましては、法令上の定義がございませんので、健康食品全体の品目数を正確に把握することは困難であると思いますが、例えば、財団法人日本健康・栄養食品協会で自主認定をしております健康補助食品というものにつきましては、現在五十三種類、約九百品目が存在をするというふうなことで、いわゆる健康食品については、非常に膨大な数があるというふうに考えております。
三井委員 そこで、厚生労働省がお出しになりました「保健機能食品」、これを見ましたけれども、ここに医薬品があって、特定保健用食品があって栄養機能食品がある。そして一般食品がある。この中を見たときに、けさの読売にも出ていましたが、栄養機能食品の十四種類の、ほとんどがビタミン剤ですけれども、このビタミン剤が例えば一般食品の健康食品を含むというものに入りましたら、含有量によって、一種類でも入れれば栄養機能食品となるわけですか。質問の内容がわかりますか。
遠藤政府参考人 ビタミン、ミネラル等について定められた規格基準を守っていれば、それを栄養機能食品として表示ができるという制度でございます。
三井委員 私も健康食品は嫌いじゃないんですけれども、一般の消費者には非常にわかりづらいんですよ、医薬品とこの部分について、非常にグレーな部分もたくさんございますし。いろいろな資料を読みましても、医薬品の中でも承認されたものと未承認のものとありますよね。特にお伺いしたいんですけれども、栄養機能食品と特定保健用食品について、もう一度具体的に、どういう仕分けになっているのか、教えてください。
遠藤政府参考人 特定保健用食品につきましては、一つ一つの申請に基づきまして、どのような機能を持っているのかというふうなことを審査いたしまして表示を許可しているという制度でございます。一方、栄養機能食品につきましては、あらかじめビタミン、ミネラル等を定めまして、それについて基準を定め、それに従っているものであれば栄養機能食品としての表示をしてよいというふうな制度になっております。
 また、こういった健康食品につきましては、ちょうどきょうから検討会を起こしておりまして、健康食品のあり方についての広い検討を今始めているところでございまして、全体の体系をどういうふうにしていったらいいのかというふうなことを、ここでもう一度検討し直そうとしているところでございます。
三井委員 確かに、栄養機能食品は、この認めた十四種類のうちの一種類でも含有量によって栄養機能食品となる。それから、特定保健用食品については、例えばきょうの読売に出ていましたが、高血圧に効くとか何に効くとかじゃなくて、高血圧の予防になるとかいう表示はできるということになっていましたよね。そういう解釈でよろしいんですか。
遠藤政府参考人 あくまでも食品でございますので、ある疾病に対しての効能をうたうというふうなことは許されておりません。したがいまして、血圧の高目の人にというふうな表現で、病気に対するものではないというふうな形での表示を認めているところでございます。
三井委員 そこがなかなかわからないんですよね。血圧の高目の方というのなら、一般の消費者は、血圧が高いから飲もうということにやはりなりますよね、血圧に効きますよと。
 この仕分けをぜひ検討会で大いに検討していただいて、消費者が迷わないような形の仕切りをきちっとしていただきたい、こういうぐあいに思うわけでございます。
 そこで、健康食品の食い合わせについてお伺いしたいんです。
 現在、サプリメントを含めまして六万種類があると言われておりますけれども、例えば、国内ではロイヤルゼリーですとかアガリクスとかいろいろなものがございますが、これは、医薬品としてもあるいは健康食品としても流通しているわけであります。この場合、同時に服用すると同じ効能のものが過剰摂取になる。過剰摂取になった場合にどう健康を害するかというのはまだ科学的に証明されておりません。しかし、薬事法の縛りを受けない中で成分や副作用の表記が義務づけられていないというところに、購入者は健康によいと思い込むと思うんですね。成分を確かに理解しないでやみくもに摂取するわけです。
 この場合の食い合わせ、過剰摂取ということで、健康被害の実態というのは、実際に厚生労働省ではおつかみになっているんでしょうか。
遠藤政府参考人 健康食品と医薬品の併用による相互作用あるいは健康食品の過剰摂取等について、問題が起きた都度、国内外からの情報を入手し、注意喚起を行ってきているところでございます。さらに、平成十三年に制定されました保健機能食品制度におきまして、保健機能の表示を行う際に、あわせて食品と医薬品の相互作用、あるいは過剰摂取の危険についての注意喚起表示を行うように義務づけているところでございます。
三井委員 そこで、サプリメント、健康食品、実は、これはつい四月十九日、たまたま北海道新聞の記事に、北大の大学院の薬学の井関教授が研究グループをつくりまして、特にサプリメントと医薬品との食い合わせということで作業チームを、薬剤師などの専門家を含めまして五十三人でつくっているんですね。やはり、民間のこういうものは大いに導入して、食い合わせの問題というのは解決することが必要ではないか、もっと啓蒙していいんではないか、こういうぐあいに私は思うわけでございます。
 そこで、サプリメント、健康食品、実際にこの中には塩分が非常に多いということは、一般の人はなかなかわかっていないんですね。特に、この井関教授が行った中では、透析患者さんの三割の人が、塩分が含まれているのを知らなかったというわけです。御存じのとおり、透析患者さんというのは大変な食事制限なり塩分制限なりを受けているわけですから、こういういろいろな飲み合わせ、食い合わせによって塩化ナトリウムをとり過ぎちゃっている、こういうケースもあるわけですね。
 ですから、こういう場合に、もう少しこういう研究チームが民間に導入されればもっとわかってもらえる。先ほど検討会ができるということでございますので、ぜひこの辺も大いに検討していただきたい、こういうぐあいに思うわけでございます。
 先ほど私申し上げましたように、私も健康食品は決して嫌いなわけじゃございませんけれども、今まさに健康食品というのは現代人にとっては不可欠なものになってきておりますので、そこで大臣に、今申し上げたような民間のこういう機関、作業チームを大いに活用したらいかがかなと思うのでございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
坂口国務大臣 昔から食べ合わせというのがございまして、ウナギと梅干しというのは有名でございましたけれども、そういう昔からありますものとは違って、本当に、薬を飲んだりいたしまして、そうしたものが重なりますと、非常に作用が強くなる、そして害を与えるといったようなものが実際に存在するわけでありまして、飲み合わせといった方がいいのかもしれませんけれども、そういうものは確かにあります。例えば、納豆が抗凝血剤でありますワルファリンカリウムの効果を弱めるとか、あるいはグレープフルーツジュースが一部の高血圧剤の作用を増強するとかというようなことはよく言われるわけでございます。
 そうした問題がございますので、そうした情報をやはりきちんと消費者の皆さん方にお伝えをしなきゃいけない。そういう意味で、薬剤師の皆さん方に果たしていただく役割というのは非常に大きいと思いますね。
 ただ単に、健康食品であれ、あるいは医薬品であれ、そうしたものを買う、あるいはまた処方をしてもらうというときに、それが、日常生活で食べております食品と飲みます薬との間でいろいろなことが起こりますから、そうした情報を薬が出ますときに提供していただけるかどうかということになるだろうというふうに思います。
 このほか、それぞれの薬と薬の組み合わせというのもあると私は思いますね。それから、健康食品という中には、非常に濃縮されますから、本当に薬と紙一重というのもあるわけでありますから、そういたしますと、そうしたものとのかかわり、今御指摘になりましたように塩分との関係でいえば、非常に塩分の多いものというのはあるわけですね。そういう塩分の非常に多いものとの関係を一体どうするかといったことがございますね。
 だから、やはりその辺のところを指導していただく人が必要であり、そういう意味では、薬剤師さんの務められる分野というのはこれから非常に大きくなる、そういうふうに思っておる次第でございます。
三井委員 ぜひ、そういうような食い合わせという中では取り入れていただきたいと思いますし、今大臣がおっしゃったように、薬品と薬品でも、例えば病院を三カ所ぐらい行きますと、同じような薬を出されて、例えば解熱剤を飲んだ、こっちの病院でも解熱剤をもらった、あっちの病院でももらったと。しかし、患者さんにとってはわからないんですね。カプセルという問題について先ほどお尋ねしましたが、凝縮されているというのが、今大臣がおっしゃったように、私も非常に怖いと思うんですね。
 そこで、誇大広告と虚偽のことについてお伺いしたいと思うんです。
 今回、法案の中では、禁止とか、それから非常に罰則がきつくなっております。
 これは営業妨害になっちゃいけないんですけれども、こういう本、新聞広告が出ているわけですよ、がんが全滅したとか、九十分で血栓が溶けたとか。実は私は、この質問をするに当たり、商品の問い合わせをしまして、そしてこの本も読みました。確かにこの中では、それぞれ三十人ぐらいの患者さんが、治ったというようなことが書いてあるわけですね。
 それで、実は、ここへ問い合わせまして、それじゃ商品はどこにあるんですか、どこで販売しているんですかと。そうしたら、別会社ですと。別会社へ問い合わせましたら、そちらで販売しています、一つで売りますとこれは五千円です、しかし三つだと、一万五千円のところを一万円で出します、こういうような言い方なんですね。で、実際にこれは脳血栓なりなんなりに効くんですかと。そうしますと、これはあくまでもネズミの実験であって、実際には効くかどうかわかりません、まあ、長く飲んでいただければ予防にはなりますというような言い方なんですね。こういうたぐいのものが毎日、新聞にたくさん出ているわけですよ。
 私も買ってみましたよ。そうすると、やはりカプセルなんですよ。カプセルに凝縮されている。何が入っているかわかりません。大豆とは書いてあります、表示は。聞きましたら、大豆で、これは企業秘密です、大豆から抽出したものですと、こういうわけですね。
 こういうものが余りにも誇大広告で出回ってしまうと、まさに本当に脳血栓なり心筋梗塞で悩んでいる方は、飲んでみようかということになるわけですね。いや、実際に効果があればいいんです。しかし、そこで、もっと僕は変だなと思ったのは、これにはまた乳酸菌の製剤もありますから、これも一緒に飲むと吸収がよくなりますよと言うんですね。
 まさに、どんどん違うものを売りながら、誇大広告であり、虚偽とは申しませんけれども、こういうものをやはり規制していく、禁止する、大臣がおっしゃったように禁停止するということも必要じゃないか。
 がんも全滅したという、アガリスクの問題とか。実際にいろいろなの、飲んでいらっしゃる方がいますけれども、そういうことになると、やはり薬事法違反でもありますし、これは医師法違反になるんでしょうか。こうなりますと、こういうものをやはり規制をかけていただきたい、私はこういうふうに思うんですが、これについて御意見を聞きたいと思います。
遠藤政府参考人 薬事法におきましては、広告の該当性についてというふうな通知を出しておりまして、顧客を誘引する意図が明確であること、特定医薬品等の商品名が明らかにされていること、一般人が認知できる状態であることというふうな三要素を満たす場合には、単なる出版物ではなく広告に該当するとされているところでございまして、今般の健康増進法の一部改正案で導入をいたします健康の保持増進の効果等に関する虚偽または誇大広告等の禁止措置につきましても、今後、こういった薬事法や景品表示法等の関連法令の運用を参考にしつつ、具体的な判断基準をガイドラインとして策定をする考えでございまして、そのような作業を通じまして、個々のケースについて適用の有無を判断していきたいというふうに考えております。
三井委員 食品保健部長、これは、本を出して販売するということとは意味が違いますよね。そうしますと、ここの場合の罰則というのはどういうことになるんですか。本ではどんどん、こういうぐあいに、これに効きますよと、で、商品は別会社で売っているわけですから、ある意味で逃げ道をつくっているわけですね。こういう場合の罰則というのは、どういうぐあいにされているんでしょうか。
遠藤政府参考人 ただいま御指摘のように、出版社とそれから健康食品の販売会社が異なっているというふうな場合には、罰則の適用は困難でありますので、そういった点については、さらに今後検討させていただきたいと思います。
坂口国務大臣 今御指摘になりましたように、何かの物質ががんに効きますと言うと、これは薬事法違反になるわけですね。ですけれども、これを飲んで私はがんが治りましたという体験談をずらっと並べて、そういう本で出すと、それは多分ならぬのだろうと思うんですね。そうすると、その本の名前がまた新聞の広告に出るわけです。二重、三重になりまして、そうすると、あたかもそれがよく効くような印象を与えることになりますね。
 ですから、どういう表現ならいいかということがいつも問題になるわけですね。先ほど血圧の高目の人にはどうこうというような話がありましたけれども。そういう書き方の問題もありますが、それの体験談みたいな形にして出すというのも、事実なんだから仕方ないじゃないかというふうに言われればそれまででございますけれども、そこにも、本当にそれをそのままで皆放置しておいていいのかなという気持ちも率直にあるんですよね。ですから、そこはよく検討しないと、個人の表現の自由や意思の発表とそうしたものとを混同してはいけないという議論にもなってくるというふうに思います。なかなかここは難しい話だと思うんですけれども。
 やはりそんなことも少しこれから考えていかないと、二重三重になっていって、しまいに、もう何が何やらわからなくなっているというケースもありますから、今後のそうした問題の検討のときに、もう少し幅を広げていろいろなことを考えていくということも大事ではないかというふうに思います。
三井委員 これは実際に裏を見ますと、販売会社、フリーダイヤルになっているんですね。体験談は、今大臣おっしゃったように、表現の自由はあるかもしれませんが。
 実際にこれが悪いかどうかわかりませんですよね。でも、今申し上げましたように、ある程度誇大広告というのは、こういう逃げ道をつくれないような罰則も必要でないかなということを、健康被害ということを考えたときにどうなるかということを、一番心配しております。
 そこで、ダイエット用の、特に食品の、悪質な輸入業者の取り締まりについてお伺いしたいと思います。
 個人の輸入代行業と偽っていまして、事実上個人に販売している事業者も存在しているということも実は聞いておりますけれども、今回、営業者に対する営業禁停止処分について、現在は都道府県知事だけで行っているんですよね。それが今度、厚生労働大臣も営業禁停止処分を行うことができるようになったということでございますけれども、厚生労働大臣による輸入業者の営業禁停止処分の規定は、ダイエット用の健康食品等の悪質な輸入業者にも適用されるんでしょうか。
遠藤政府参考人 今回拡充いたします食品衛生法第四条の二の規定により販売が禁止をされた食品を意図的に輸入するような悪質な事業者につきましては、厚生労働大臣において営業の禁停止処分を行うとともに、社内における安全性確保対策の抜本的な見直しなどの改善措置も命ずるというふうなことになろうと考えております。また、あわせて、刑事告発についても検討することとなるものと考えます。
三井委員 ぜひ、セン之素コウ嚢のようなことにならないようにお願い申し上げたいと思います。
 そこで、時間もだんだん押し迫ってまいりましたので、農薬等の残留規制の強化についてお伺いしたいと思います。
 現在、農薬の残留基準が設定されている農作物だとか輸入されているもの、あるいは中国から輸入された冷凍ホウレンソウの問題がございました。残留基準を超える農薬が残留していたとして、輸入が禁止されるという問題も生じているわけですけれども、我が国で現在使用されている農薬は約三百五十、世界で使用されている農薬は七百と聞いておりますけれども、今回のこの食品衛生法による残留基準が、農薬数では二百三十ということを聞いております。まだ多くの農薬については残留基準が設定されていない状況にございますけれども、基準がないために、ある意味では残留量は青天井になってしまうということになってしまうと、消費者にとっては非常に不安でしようがない。
 一方、コーデックス委員会の国際基準があるわけですけれども、我が国の基準の国際化もやはり需要な課題だと思うんですね。
 そこで、これは厚生労働省の資料をいただきました。国内の食用の農薬数は三百五十、この部分については全部今は二百二十九の中へ入っているわけですけれども、コーデックス委員会の部分についてはこれしか入っていない。では、この部分まで拡大してもいいじゃないかということは思うんですけれども、残留基準の設定がなかなか進まなかった理由と、農薬の登録と同時に基準が設定できなかったのか、お聞かせ願いたいと思います。
遠藤政府参考人 残留農薬基準の策定に際しましては、厚生労働省におきまして、当該農薬の毒性や作物への残留性に関する試験成績の収集、薬事・食品衛生審議会におきます許容一日摂取量、いわゆるADIの検討、各農作物ごとの基準値の検討、それから、農作物に残留する農薬の分析法の開発などに関しまして、多大な労力と時間を要しており、現在までの体制では、年間二十ないし三十農薬の基準設定が限度であったというふうなところでございます。
 しかしながら、今回、食品衛生法改正におきまして、基準未設定の農薬につきまして、その残留を原則禁止するという、いわゆるポジティブリスト制を三年以内に導入することとしておりますことから、国際基準等を参考といたしまして暫定的な基準の設定を進めることとしておりますし、また、御指摘のように、農薬の登録とできるだけ時を同じくして残留基準が設定できますよう、農林水産省におきまして、農薬取締法の改正案を国会に提出しているところでございまして、そういった措置によりまして、基準の設定を進めてまいりたいと考えております。
三井委員 それでは、今度は海外ではどのような規制になっているのか、お尋ねしたいと思います。
遠藤政府参考人 国によってさまざまでございますけれども、今申し上げましたようなポジティブリスト制を施行している国が欧米で見られるところでございます。
三井委員 国内においてはまだ基準が設定されていない状況でございますけれども、直ちに一定の限度量を設定した場合に、農産物の流通に影響が生じないのかということも実は心配されるわけですけれども、それも回避しながら、できるだけ基準設定を行うためにどのようになさるおつもりか、お尋ねしたいと思います。
遠藤政府参考人 このポジティブリスト制への移行につきましては、国際的にも非常に関心の高い問題でございまして、既に各国から問い合わせ等もいただいております。
 そういった中で、私どもといたしましては、当面、暫定基準を定める必要があると考えておりまして、これにつきまして、各国で日本に提供できる資料があったら申し出てほしいというふうなことで、現在、その策定のための各国の意見を求めているというふうなことでございまして、こういった作業を通じまして、国際的にも通用する暫定基準が定められるよう努力をしてまいりたいと考えております。
三井委員 そこで、コーデックス委員会との関係についてお伺いしたいと思います。
 コーデックス委員会の加盟諸国の食品企業に大きな影響力を与えると思うんですね。今月の末からですか、コーデックス委員会で、遺伝子の組み換え食品の国際表示のガイドラインについて話し合いが持たれると聞いておりますけれども、日本では、既に組み換え食品の義務表示がスタートしておりますよね。
 そこで、もし、コーデックスで日本の基準よりも甘い基準が採択された、日本の表示は厳し過ぎるとなると、これは貿易障害に当たるんじゃないかということで、アメリカとかがWTOに提訴する可能性が出てくると思うんですね。
 こうした国家間あるいは国際的な情報交換等々を厚生労働省としてはどのようにお考えになっているかお聞きしたいと思います。
遠藤政府参考人 従来より、厚生労働省といたしまして、消費者の健康を保護するとともに、食品の公正な国際貿易を確保するという観点から、コーデックス委員会に積極的に参加をし、我が国の考え方を反映させるべく努めてきているところでございます。
 また、平成七年に発効いたしました衛生植物検疫措置の適用に関する協定、いわゆるWTO・SPS協定におきまして、コーデックス基準などの国際基準等がある場合には当該基準を基本とするということではございますけれども、科学的に正当な理由がある場合等に限って、自国の衛生上必要な基準を設定することが認められているというふうなところでございます。
 御指摘の遺伝子組み換え食品の表示に関するガイドラインの議論等も現在継続中でございまして、各国の意見の隔たりも大きいところでございます。日本として、積極的に議論に参加をして、我が国の考え方を全体の議論に反映をさせるべく最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。
三井委員 ぜひこれは最大限の努力を払っていただきたいと思うんです。
 このコーデックス委員会の問題点ということで、これはホームページを引っ張ったんですが、その中で、残留農薬部会の代表団会議の参加者が百四十六名いた、そのうち三十四名が多国籍企業の関係者で占められていたと。
 そうなりますと、それぞれの国の利害が絡んでおりますから、こういう場合にやはりいろいろな問題が起きてくると思うんですが、日本からも、今は三部会でしょうか、代表団が送られているわけですけれども、実際に今百六十五カ国が加盟して、その中で約三十部会と聞いておりますけれども、各部会に私はどんどん代表を送って、情報を収集しながらこのコーデックス委員会で意見を反映させるような場をつくっていただきたい。
 先ほど申し上げましたように、やはり消費者、あるいはNGOとか、そういう方が積極的に参加するような形をつくり上げていただくことをお願い申し上げたいと思います。
 そこで、次はSARSの問題についてお伺いしたいと思います。
 いろいろな報道がございまして正確な情報というのはなかなかつかみにくいわけですけれども、ただ、コロナウイルスということがわかったわけです。現在どれぐらいの患者さんが日本にいるのか、あるいはその感染経路とか、知っている範囲内で教えていただきたい。
 それで、いろいろニュース等で見ますと、いろいろな訪中団も取りやめになったりとか、そういう状況になってきますと経済的な効果も落ちてくるだろう、実はそういうことを心配しつつ、ちょっとお伺いしたいと思います。
高原政府参考人 SARSのような新しい感染症の流行拡大防止には、世界各国と協力いたしまして、情報収集に努めまして、適切な情報開示を行うことが大変重要であると考えております。
 私どもといたしましては、本年三月十二日、WHOが、SARSにつきまして、世界的なサーベイランスの必要性について公表、直ちにその基準に従い、国内でサーベイランスを開始いたしました。その結果につきましては厚生労働省のホームページで随時開示しております。
 また、WHOは、SARSの病原体の究明と検査方法の開発のために国際的な研究機関のネットワークを設置しておりますが、このネットワークに国立感染症研究所も入っております。
 また、その他医療機関向けのSARS患者の管理指針、院内感染防止のための指針等について、医療機関、検疫所、自治体等に広く広報しておるところでございます。
 現在、我が国におきます重症急性呼吸器症候群、SARSの疑い例の報告状況でございますが、疑い例は、四月二十一日まで四十件ございまして、SARS対策専門委員会におきまして全例否定されております。
 可能性例につきましては、四月十九日まで十六例ございました。このうち十四例につきましては、SARS対策専門委員会にて否定されております。残り二例につきましては、回復はしておりますが、SARSの感染を完全に否定するだけのデータがないので、引き続き情報収集を行う必要があるとされておりますが、いずれの方もSARSである可能性は極めて低いというのが専門家の判断でございまして、入院されております。
 それから、感染経路でございますが、近距離での飛沫感染の可能性が高いということでございます。その他の方法につきましては、なかなか確認できておりません。病原体につきましては、先生御指摘のように、WHOから、ヒトコロナウイルスがSARSの原因ではないかというふうに発表されております。
 以上でございます。
三井委員 これは検査方法も、あるいは特効薬もないという状況でございますので、きょうの新聞報道でございますけれども、ベトナムあたりはしっかりとその対策を事前に立てていられると。これはぜひ情報開示を適時にするなりしていただきたいと思うんですね。そういうことをお願い申し上げたいと思います。
 そこで、次の質問でございます。
 今SARSについてお伺いしましたが、これは世界的な問題になっております。これは私の住む北海道特有の病気であると思うんですが、エキノコックスについてお尋ねしたいと思うんです。
 これは、もう御存じのとおり、キタキツネ、動物由来の感染症でございます。これを犬なんかが媒介して、そして重い肝障害になる。特に潜伏期間が非常に長いということでございまして、今これが関東に上陸したとかいろいろな報道はございますけれども、実際どの程度まで、どこまでその予防対策ですとか、あるいはこの問題について取り組まれているのか、お伺いしたいと思います。
高原政府参考人 委員御指摘の報道は、平成十年、北海道大学獣医学研究科の寄生虫学教室が行われました研究の報告に基づく報道ではないかと思っております。
 北海道大学の方に確認いたしましたところでは、エキノコックスの感染がわかりました犬は、北海道から関東の動物展示施設に移入されたものでございまして、感染が判明した後、寄生虫の駆除等の必要な感染防止措置がとられたことから、この例をもってエキノコックスの発生が関東地域に拡大、定着したとは考えにくいということでございました。
 北海道におきますエキノコックス症につきましては、全道に発生が拡大しており、これは大変憂慮すべきことでございますが、厚生労働省といたしましても、平成十一年、感染症法の施行とともにエキノコックスを四類感染症に指定いたしまして、人のサーベイランスの強化を図っております。また、診断・治療ガイドラインも新たに作成するなど、その蔓延の防止に努めておるところでございます。
 また、キツネ、犬などのエキノコックス症の媒介動物対策といたしまして、厚生科学研究によりまして、動物における迅速診断方法の開発やキツネへの駆虫薬の散布など、必要な対策のあり方について検討を進めております。
 さらに、エキノコックス症のような動物由来感染症につきましても、病気について国民に知っていただくことがその予防に重要であることから、今後ともホームページやパンフレット等で啓発に努めるとともに、北海道庁等関係自治体とも連携の上、エキノコックス症の流行地域の縮小、他地域への拡大防止に向けまして、人及び動物の両面から総合的な施策を進めてまいりたいと考えております。
三井委員 これもやはり感染症でありますから、特に専門家とか獣医師さんとか、行政機関がしっかりと取り組んでいただきたい、そういうぐあいにお願い申し上げたいと思います。
 最後でございますが、安全監視と検査体制について、特に保健所の体制についてお伺いしたいと思います。
 今回の改正で、安全監視とそれから検査体制を強化すると。さらに、お尋ねしましたように、国内外の感染症の対応を考えますと、衛生監視を現場で行う検疫所も人員をふやすなりして対処していると。
 私が非常に心配するのは、午前中に城島委員からも御質問がありましたように、この人員で、実際に、私の調べた中では、平成十一年度で二百六十四名から、この五年間でわずか十九名しかふえていないんですね。それから、都道府県の職員の衛生監視員数を見ましても、平成九年度の総数が七千六百三十八名と、減員になっておるわけでございます。それから平成十三年度の総数が、二百十六名減の七千四百二十二名、このうち専従者は千六百二十五名というデータがあるわけです。これで本当に監視体制あるいは指導体制というのはとっていけるのかということを実は心配しているわけでございます。城島委員からもございましたように、専門家、獣医師さんなり薬剤師さんなりそういう人たちをやはりもっと強化する必要があると思うんです。
 あわせまして、こういう人員が足りないという場合には、例えば、食糧庁がなくなったのであれば、米の検査をする方、まずそういう方に監視員になってもらうとか、指導してもらうとか、ある程度、そういう転用を考えてもいいのではないかと思いますけれども、最後に大臣にお伺いして、終わりたいと思います。
遠藤政府参考人 恐縮でございますけれども、私の先ほどの答弁で事実と間違っておりましたので、訂正をさせていただきたいと思います。
 健康食品の虚偽、誇大表示の件でございますけれども、本の販売者とそれから食品の事業者とが異なる場合であっても罰則は適用できるということでございます。もちろん、運用は非常に難しい問題があろうかと思いますので、ガイドライン等、検討をしてまいりたいと考えております。
 それから、ただいまの御質問でございますけれども、食品衛生監視の一層の充実を図るために、監視体制の強化と効率化が重要であると考えているところでございます。監視体制の強化につきまして、検疫所におきまして、過去十年間で百三名の食品衛生監視員の増員を行い、今年度も十五名を増員し、また、各都道府県等におきましても、地域の実情を踏まえ、必要な検査・監視体制の整備を図っているところでございます。
 今後、今回の食品衛生法の改正案におきます監視指導計画等の策定を通じまして、重点的かつ効率的に監視指導を実施する仕組みとすることとしているところであり、今後とも、国民の健康の保護を図る観点から、監視指導体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
三井委員 では、その出版社、本を出したところとそれから販売会社と、どっちに罰則をかけるのかということを、済みませんが、お願いします。
遠藤政府参考人 広告その他の表示をしたものということになります。
三井委員 では、これで質問を終わらせていただきます。
中山委員長 次に、石毛えい子君。
石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。
 初めに、四月二十日に「ミネラル水 十九品にアルデヒド類」という横浜市衛生研究所調査が新聞報道されました。詳細な記事の内容は省略いたしますけれども、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドが、健康に影響がないとはいうものの検出されて、両物質ともに発がん性があるということもあり、新聞をごらんになった方からは随分大きな反響があったというふうに横浜市衛生研究所からも伺っております。
 衛生研究所がこの検査をした目的は新聞報道とは多少違っているというようなこともお伺いしておりますけれども、そこはおきまして、こういう報道がされて、消費者が大変な不安を持つようになっていると思いますけれども、厚生労働省としてどのように対処されているかということを簡潔に御答弁いただきたいと思います。
遠藤政府参考人 ミネラルウオーターにつきましては、平成六年に食品衛生法に基づく基準を改正したところでございますけれども、その後の動向を踏まえまして、昨年十月に当該基準の改正について審議会に諮問を行って、現在検討しているところでございます。
 ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドにつきましては、食品衛生法に基づく基準は設定されておりませんけれども、ホルムアルデヒドについては、WHOの飲料水ガイドラインや水道法の監視項目としての指針値を今回観察された値は下回っているということでございますし、また、アセトアルデヒドにつきましては、WHO等における基準は定められておりませんけれども、国際化学物質安全性計画、IPCSというところで、大気、水における半減期が短く、生体内で速やかに代謝されることから、人の健康への影響は小さいとされているところでございます。
 このようなことから、厚生労働省といたしましては、直ちに人の健康確保に支障があるとは考えておりませんけれども、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドにつきまして、より広範に実態を調査するとともに、その結果を審議会に報告し、必要に応じ、適切な規格基準を設定してまいりたいと考えております。
石毛委員 いつごろまでの時期を見込んでいるかということを御確認いただきたいんですけれども。
遠藤政府参考人 現在、国際的な水道基準等の情報も収集をしたりいたしておりますので、そういった情報が整い次第ということでございます。
石毛委員 情報の入手にいかばかりかの時間が必要ということは私も理解をいたしますけれども、できるだけ早急に、きちっと消費者に理解ができるように結論をお出しいただきたいというふうに要請いたします。
 それでは、法案の内容とも関連させて、大臣にまず最初にお伺いいたします。
 WHOが食品衛生の定義をしております。大臣もう御存じの定義であるわけですけれども、念のために述べさせていただきますと、育成、生産あるいは製造から最終的な消費に至るまでのすべてにおいて、食品の安全性、健全性並びに完全性を確保するために必要なすべての手段である、こういうふうに定義づけております。
 前段の育成から消費に至るまでということが本当にきちっと今までの施策の中でフォローされていれば、農水省、厚生労働省の縦割り行政が大きな原因となってBSE問題が生み出された、こういうことも防げたのではないかというふうに考えますが、そこはきょうは触れないことにいたしまして、WHOの定義で規定しておりますところの食品の安全性は、いろいろと今度の食品安全基本法でも、健康影響評価、リスク評価というようなところと結びつけられて、明瞭に示されるようになってきたと思いますけれども、健全性というのはどういうふうにお考えになられますでしょうか。
 また、WHOの定義と比べて日本の食品衛生法の定義では、今回、第一条が変わりまして、内容は豊富化されたわけでございますけれども、この定義も「食品の安全性の確保のため」というふうに書かれておりまして、WHOの定義と同じであるべきかどうかというところは議論があるかもしれませんけれども、健全性などに言及されていないのは確かでございますので、健全性ということについて大臣がどのようにお考えになられるか。
 また、表現上明記がないとしても、この食品衛生法には健全性という考え方が担保されているのかどうかという、このことについてお尋ねいたします。
坂口国務大臣 これはなかなか難しい御質問だと思いますが、人が健康で健全な食生活を送ることができるようにするというのがその健全性の意味だろうというふうに思います。
 今回、「国民の健康の保護を図る」ということを明記いたしましたので、この言葉の中で、今御指摘になりました健全性という問題は入っているというふうに思っております。
石毛委員 この議論というのは、純粋、客観的な科学のようにあるスケールを出すというような議論では恐らくないんだろうと思いますし、なかなか難しい議論ではあるんだろうというふうに私も思います。
 健全性とは何かということを定義づけ、表記するということは難しい話なんだろうなというふうに私も思うわけですけれども、WHOの定義を解説した文章を読んでいますとなかなか興味を引かれる記述がございまして、「不都合な物質が含まれているか否かだけでなく、」この部分は安全性に密接にかかわる食品の内容の話だと思いますけれども、これに続けて、「食べた人の役に立つか否かも」、こういうふうに記述されております。
 そうしますと、食品衛生法の議論として、食べた人の役に立つか否か、栄養になるというふうに表現することも可能なのかと思いますし、栄養になるということは、同じものを食べてもおいしく食べれば栄養になるという、充足率といいますか歩どまり率というか、そういうものも高くなる、おいしくなければそれは吸収し切れない部分もあるというような、こういうお話も最近は聞くようになっておりますし、食品の安全ということと同時に、食生活の充実といいましょうか、そういうことも非常に大きく食品衛生には関係してくるのかなという思いもします。
 それから、農林水産省のBSEの議論でどれほど深められたのか、私も伺っていませんけれども、牛の肉骨粉を牛が食べるという、そのことがどうなのか。アメリカでも、牛の肉骨粉は、鶏などのえさということでは認められているけれども、牛のえさというふうには認めていないというようなことも聞きます。これは、科学的なことと同時に文化的なことであり、あるいは、もう少し掘り下げれば宗教的なこととも関係してくるのかもしれませんし、昨今では、今度は厚生労働省の方のテーマといたしましては、遺伝子組み換え食品、種を超えた遺伝子の組み換えに対しての不安あるいは不信というようなこともございます。
 これが、科学というか、実質的にケミストリーの化学で証明されてくることと同時に、文化ですとか慣習ですとか、その国の自然とか食生活の考え方とか、そうした、言ってみれば、科学を分ければ、人文科学的な側面と密接に関連して食生活はあるわけですし、食品衛生も、恐らくWHOの定義は、どこまで広げていくかは別にしまして、かなりそうした要素も含んで考えるべきだということを示しているのかというふうに私は受けとめるわけですけれども、大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。忌憚のないところで御見解をこの際披瀝していただけると、これからの方向性を考えていく上で大変有益、有効だというふうに私は考えるわけでございますけれども、先ほどは第一条にこだわりまして御答弁をいただきましたけれども、もう少し御自由に、広く御答弁をいただけますでしょうか。いかがでしょうか。
坂口国務大臣 食品というふうに言いました場合に、それは、物理的に食べるという意味も含まれておりますし、それから、今御指摘になりましたように、それは精神的な側面で、何かゆとりを持って、それによって、ただ空腹を満たすとかということではなくて、生活を豊かにするといったような側面もあるだろうというふうに思います。
 それから、基本的な問題に立ち返れば、もちろん、食べます以上、それが害を与えるというようなことがあってはならないわけでありますから、健康に役立つということが中心でなければなりませんけれども、健康に役立つというのは、害がないということと、そして健康増進のために役立つということと、そしてさらには、何か精神的なゆとりをそこで持つというようなことにも展開をしてくるわけでございまして、食品文化という言葉もあるぐらいでございますから、最近はだんだんと幅広く使われてきているというふうに思います。
 テレビの番組を見ておりましても、あれだけ食品のあるいはお料理の時間が長くなってきたわけでありますから、皆さん方の関心というのも非常に大きくなっていっているんだろう。それは、ただ単においしいものを食べるということだけではなくて、やはり本当にそれが、自分たちの食生活として何が一番大事なのかということを考え始めておみえになる証拠ではないかというふうに思います。
 また、好みというものと、そしてそれを食べることが本当に健康のためになるかということと、これはまた別でございまして、好きだけれども食べてはならないものもその人にとってはあるわけでございますし、余り好きではないけれども食べなきゃならないものもあるわけでございますので、これから、いわゆる食文化というものと健康というものとの組み合わせというのはなかなか難しい時期に入ってきたな。今までとは違ってかなりそこが、科学的な分析とその人の持っております嗜好というものと、非常に組み合わせて入ってきている。そこがやはり一番これから気をつけていかなきゃならないところではないかという気がいたします。
石毛委員 私がこのことを考えるのは、日本の食品の六割が海外から輸入されているという時代、そして、先ほども三井委員が少し最後の方でお触れになりましたけれども、WTO、国際貿易の中でどんどん輸入障壁に対しての異論が外から言われてくるというときに、科学的な安全性の分析あるいは安全性に関しての国際基準、これの重要性も確かでございますけれども、ただ、やはりこの国に住んで食文化をずっと形成してきて、その中の食生活を営んでいる人間としましては、例えば火山列国のこの日本でつくられる野菜の多分アルカリ性の多さというようなことは、おいしさの味覚の形成として大きな意味を持っているのではないか。
 そうした自然との関係ですとか、さまざまな要因で食品を評価する、そうした思考方法をとる、あるいは制度的な検討をする、その積み重ねをしていかないと、本当に非常に狭い概念の安全性だけ、発がん性があるかないかとか、それはもちろん重要なんですけれども、そうした非常に狭いあるいは少ないアイテムだけで食品が評価されてくる、こういう国際環境の中にあるというふうに私は思っておりますので、やはり安全性とともに健全性ですとか完全性、なかなか難しい概念だと思いますけれども、考えていくということが非常に今重要なんだろうというふうに思っておりますので、あえて質問をいたしました。
 次からの質問は、超スピードでさせていただきます。
 今回のこの法案の改正は、食品安全基本法の制定ともかかわりまして、リスク評価、リスクマネジメント、リスクコミュニケーション、そうした考え方が導入されて、その意味をこの食品衛生法の改正の中に含めるということもあったというふうに理解をしております。
 そこで、第二十九条の二の二は、食品の安全基準などを定めようとするときなど、趣旨、内容その他を公表し、広く国民の意見を求める、あるいは二十九条の二の三は、施策の実施状況を公表し、住民の意見を求めなければならないとしておりますけれども、二点お伺いします。
 まず最初は、意見を求められた施策へのリスクコミュニケーションだけではなく、国民、住民、つまり消費者の側から発議していくことが可能ですか。言いかえれば、意見の申し出は可能でしょうか。このことをまずお尋ねいたします。
坂口国務大臣 これは、御指摘になりました二つあると思っております。一つは、何か重大なことが起こりましたときに、それは消費者の皆さん方の御意見を聞くということは当然でございましょう。それから、そうでない、平素、ふだんのときからやはりいろいろの御意見を承っていかなきゃいけないというふうに思っておりまして、定期的に年何回か、それが二回がいいのか四回がいいのかわかりませんけれども、そうした皆さん方の御意見を平素からお聞きしていくということと、二つ考えております。
 いろいろふだんからお考えになっていただいておりますことは、定期的に行いますコミュニケーションの場でいろいろと御発言をいただけるようにする。その場の持ち方をどうするかとか、どういう皆さん方にお集まりをいただいたら一番いいかといったようなことにつきましては、これから具体的に、どれが一番皆さん方のお声を反映させやすいかということを考えていかなければならない、こういうふうに思っております。
石毛委員 例えば、大臣、消費生活用製品安全法という法律では、第九十三条に担当大臣に対する申し出という条文がございまして、第一項は、何人も、消費生活用品にかかわる一般消費者の生命または身体に対する危害の発生を防止するために、時間の関係もありますので間を省略しますけれども、危害の発生があると認めるときは、主務大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきと求めることができる。第二項は、主務大臣は、申し出があったときは、必要な調査を行い、この法律に基づく措置その他の適当な措置をとらなければならない。こういう意見の申し出ができるという、措置請求権といいましょうか、そして担当大臣は応答の責任を持つ、義務を持つという条文は、既に消費生活用製品安全法あるいはそのほかの法律にも規定されていることなんですね。
 せっかく食品衛生法の改正でここまで、第二十九条の二の二、三というふうに規定してくださったのですから、もう一歩進めて、私は、より明確に法文の中に消費者からの意見の申し出というように規定していただけたらより明瞭になって、リスクコミュニケーションという考え方と政策推進の方法が消費者に明示できたのではないかと思いますけれども、簡単にお答えいただけますでしょうか。
坂口国務大臣 御趣旨は私も尊重したいと思いますし、大事なことだというふうに思っております。そこを、どうこれからそのことが実現できるようにしていくかということだろうというふうに思います。政省令でどうするかというようなお話もあろうかと思いますし、そういうことが実現していく方向性というものを一遍検討したいと思っております。
石毛委員 私は、食品衛生法の次の改正の機会にはぜひと思いますけれども、大臣、政省令で実現の方向性を考えていただけるということでしたので、ぜひその点、よろしくお願いいたします。
 より具体的な質問になりますけれども、二十九条の二の三にある関係者相互間の情報あるいは意見の交換、この相互間の情報や意見の交換という双方向のプロセスというのは、そのこと自体の内容がインターネットあるいは政府からの広報物で情報公開されますかどうかということを確認させていただきたいと思います。
坂口国務大臣 速やかにインターネットで公表したいと思っております。
石毛委員 ぜひその点も豊富な内容として情報公開していただけますようにお願いいたします。
 今度は、厚生労働省と農林水産省の連携ということに関してでございます。
 今回、食品安全基本法の中でも連携が規定されましたが、必ずしも食品安全基本法は連携を確実にするほど法案が中身が充てんされているわけではないというような御議論も、内閣委員会の方ではございました。
 そこで、厚生労働委員会、この食品衛生法にかかわってでございますけれども、見ていきますと、第七条の二が、農薬等の成分に関して、これも間を省略しますけれども、資料の提供その他必要な協力を農林水産大臣に対し求めることができるというふうに規定されております。
 消費者から見れば、残留農薬等々につきまして不安があるときに、厚生労働省が農水省に対してどのような情報の要請をされているのか、あるいは意見を言われているのかというのはわかりにくいわけですから、厚生労働省の側が農水省にそうした要請を、協力を求めたときには、それを同時に消費者の方に向けてもインターネット等々で公開をするということが、連携の実をきちっと確保していくことになると思いますけれども、どのようになされるのかを御答弁をお願いします。
木村副大臣 情報公開法によりまして、他の行政機関により作成されたものであるときは、その行政機関の長に相談するということになっているわけでございまして、御趣旨のような情報公開法第十二条の規定に基づき、どちらの省が対応するかについては農林水産省と協議をすることになるわけでございます。
 そして、いずれの省が対応するにいたしましても、情報公開法に沿いまして関係資料の公開に努めてまいりたい、このように思っています。
石毛委員 努めるのではなくて、ぜひ情報公開法にのっとり、結論的な部分だけではなく、丁寧な内容の公開を求めたいと思います。
 もう一点、関係して両省の連携に関することでございますけれども、と畜場法第二十二条でも両大臣の連絡、協力を規定しています。ですけれども、これは連絡、協力と記されているのみで、それが、例えば覚書を締結するというような、そうした作業を含んでいるのか、あるいは、それについてこれもまた公表をするのかというようなことが具体的には記されておりません。
 確かに、情報公開法は存在しますし、その活用ということも重要ですけれども、法案の中には、食品衛生法の中でも、基準規格等を定めるとき、あるいは定めたときには公表するというふうに記載されているわけですから、公表と記載されている部分と記載されていない部分があるのは事実であるわけですから、その公表というふうに記載されていない両省の連携に関しまして、やはり覚書の締結とかその公表とかというのは、連携をこれから確保していくために大変重要であると思っていますので、それはと畜場法第二十二条等に記載されていることでございますので、御答弁をいただきたいと思います。
木村副大臣 先生の御質問の、と畜場法及び食鳥処理法の改正におきましては、畜産物の生産段階の規制との一層の連携を図る観点から、厚生労働大臣と農林水産大臣との連絡、協力規定を盛り込んでおるわけでございます。
 これに基づきまして、これまでも既に定期的に両省局長級により開催されてきた協議会等の場をさらに活用させていただきまして、生産段階での疾病の発生状況や診断技術、生産技術の状況、検査の結果等についての緊密な情報交換や共通する分野での研究協力等を推進してまいりたい、このように考えておるところでございます。
 さらに、都道府県等におきましても、食品衛生監視指導計画の作成などを通じまして、衛生部局と生産部局との連携が一層強化されるように、都道府県に対しましても監視指導指針等を示してまいりたい、このように思っている次第でございます。
 それから、必要な情報はもちろん公開いたします。
石毛委員 必要なという、その必要なのところの判断が大事なんだと思いますので、原則全部公開していただくということが、連携をきちっと確かにしていくために大事なポイントだということを申し上げまして、質問を終わります。
中山委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十二分開議
中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。武山百合子君。
武山委員 自由党の武山百合子です。
 それでは早速、先週に引き続いて、また午前中、午後と議論されてきた内容と関連しますけれども、ずっと議論を聞いてまいりまして、まず、このたび新しい柱としてリスクコミュニケーションという一つの柱が法律の中で生かされるということですけれども、この中で、先ほども議論になっておりましたけれども、これは食品安全基本法の中でもリスクコミュニケーションという形で法律の中に含まれているんですけれども、我が党で議論しましたときに、リスクコミュニケーションというその内容が非常にわかりにくくなってしまったと。
 それで、消費者との対話、それから意思決定過程での消費者の意見。先週お話を聞いておりましたら、国が全国でいわゆる対話集会を年数回やるということを聞いておりますけれども、それでは、そのやった結果の消費者の意見、対話の内容、これはどのようにしてその意思決定過程で反映していくのか、またどのように関与されていくのか、この辺がやはり見えないんですね。国民の声を聞くと、ここでは、法律では、いわゆる国民の意見を聞くというだけのことなんですね、聴取というだけのことなんですね。ですから、そこでどのように反映するのか、どのように関与するのか、そこをはっきりと聞きたいと思います。
木村副大臣 武山先生の御質問にお答えするわけでございますけれども、リスクコミュニケーションでございます。
 先生御指摘のように、年に八回程度開かせていただくわけでございますが、やはりその中で一番大事なことは、消費者の皆様方はいろいろな御意見をお持ちでございます。中には正反対になるような意見もあるわけでございまして、そういうのを一つ一つ、直ちに全部これを法律で措置するとか、また具体的な基準等を設けるとかというものと直ちに結びつかない場合ももちろんある。そういうわけで、あるとは言い切れないわけでございます。
 むしろ重要なのは、やはり消費者の皆様方の意見をお聞かせいただく機会をはっきりと確保する、まず、皆さん方の意見をちゃんと聞くような、そういうことを確保しようと。そして、いただきました意見を施策に取り入れたかどうか、それをはっきりと、イエス、ノーを理由をつけて説明するようなこと、そういうことが非常にこの中で、リスクコミュニケーションの中で重要なことではないか、こういうことでございまして、その辺はしっかりとやらせていただきたい、そういう中からコミュニケーションを深めてまいりたい、このように思うわけでございます。
 全部、言った意見をすべてはっきりそのまま取り入れる、こういうことにはなりませんけれども、今言ったような形で、皆さん方の意見をはっきり聞かせていただいて、それに対して回答をしっかりしていく、イエス、ノーをはっきりしていく、こういうことが一番重要ではないか、こういうように思っている次第でございます。
武山委員 私の質問は、ピンからキリまで入れてくれという意味じゃないんですね。もちろん、これからの社会は成熟した社会を国民全体が目指していくわけですから、よい批判を、よい意見をどう取り入れていくかという意味なんですね、根本の質問は。それで、聞きっ放しじゃないかというふうに国民は危惧しているわけですよ。
 それで、国民の権利というもの、消費者のよい意味の権利ですね。無責任な権利を求めているということはないと思うんですね。無責任な権利であれば、そこで、それは無責任な権利ですよと言えばいいことであって、しかし今までの、過去のいろいろな、公衆衛生上それから食品衛生上問題を起こしたところには、事業者側の、本当に国民の声の、いわゆる食品衛生に対する、食品安全に対する危機管理というものを怠っていたわけですよ。ですから、国民はそこで怒ったわけであって、その意見というものを、当然、当たり前のことだったのに無視して、無感覚になって、それで、そういう法律がなかった、そういう規制がなかったといって、人のせいにして逃げてきたわけですよ。ですから、そこに対して国民は怒り心頭だったわけでして、このたびの大きな法改正への弾みになったと思うんですね。
 ですから、よい意見、よい批判をどう取り入れていくかという担保、実効性、そこを一番はっきりとお答えをしていただきたいということなので、回数、何回対話したって、それがただ話だけで終わる可能性があるわけですよ。ですから、そのよい意見をどう吸い上げていくか。それで、そのよい意見というのはどういうものかという、やはり国民ももちろんいろいろな意見を言うわけですから、もう一から十まで取り入れろ、取り入れてくれという意味じゃないんですね。よい批判、よい意見をどう取り入れるか。
 それで、意思の決定過程で、いわゆる消費者のよい意味の権利、その権利をどのように反映していって、そしてどう関与されていくかというそこの部分、一番の根本の部分、そこに対して明確な仕組みがどこにあるかということを聞きたいと思います。
木村副大臣 例えば、何らかの基準を設ける場合には、今言ったような説明の場におきましてお諮りをするわけでございます。そして、消費者の立場に立った方々の意見を拝聴しながら施策に取り入れていくのは、これは当然のことでございまして、先ほど言いました八回の場の中で問題提起等もさせていただきながら、それに対する消費者等の意見を聞いて、そして決めさせていただく、こういうプロセスをとらせていただいた、このように思っている次第であります。
 それから、消費者の権利の話が出ましたけれども、今回の食品衛生法は個別具体的な規制を定める実体法でございますので、抽象的な権利というのを規定するのはいささか難しいのではないかな、なじみにくいのではないか、こう考えている次第でございまして、むしろ具体的な個別規制におきまして明確に消費者の意見を反映することが大事だ。
 そういうことで、今申し上げましたように、その説明の場において基準とかの御提案をさせていただき、そして意見を聞いて基準等を設定していく、そういうようなプロセスをとってまいりたい、このように思っている次第であります。
武山委員 きのう、実は我が党は省庁から、厚生労働省から、この法案に対していろいろヒアリングいたしました。その中で省庁は、我々はという表現をされたんですね。どういう表現をされてもいいんですけれども、お話を聞いていて、我々は、それから国民は、それから国会議員はというふうに分かれるわけですよね。
 目指している方向はみんな一つだと思うんですよ。食品の安全性に対する危機管理なんですよね。疑わしきはやはり取り入れない。安全なものが市場に出回れば、また私たちの口に入れば問題がないわけですよね。でも、例えば食品の添加物にしても、ある程度もう外国では使われていなくても日本では使うとか。
 そこで、いわゆる安全性に対する消費者の危機管理と省庁が持っている危機管理では、やはり乖離があるわけですよ。その乖離が問題なんですよ。国民が向かっている方の危機管理のいわゆる食品の安全性、それからいわゆる省庁が目指している食品の安全性、国民も全部一つの方向に行かなきゃいけないと思うんですよ。やはり省庁が、我々が考えていることはと言ったら、何だと私は思ったんですよね、その話を聞いていて。だって、国民のために今法律を考えているのに、我々が考えていることはと言って、そこに消費者とそして省庁、そこに乖離があるということがもうまざまざとわかったわけですよ。
 ですから、そこでやはり一体になって一つの方向に向いていかなきゃいけない。その一体になるという一番の問題が、実態としての一体感が必要なんですよ。ですから、幾ら何回、何十回、数字だけたくさんコミュニケーションの場をふやしても、そのよい批判を、いわゆるよい危機管理をやはりどれだけ実行していくかということだと思うんですよね。それは、目指す方向はみんな一致しているということが大事なんですよね。ところが、ばらばらに聞こえるんですよね。
 それで、やはり業界を擁護するのは省庁というふうに、もう国民はそういうふうにして意識の中で、国民のことは横に置いて、常に規制でいろいろと考えるのはみんな業界団体、事業者、そういうものに対して省庁はある程度法律の中で緩めているんじゃないかと思っているわけですよ。ですから、省庁も我々国民も、また我々国会議員も、目指す方向が一体でなければいけないと思ったんですよね。でも、我々が考えているのはこういうことですと言って、そこの溝が埋まらないわけですよ。そこの溝を埋めるのはやはり厚生大臣、副大臣だと思うんですけれども、その溝はどう思いますでしょうか。
木村副大臣 溝と申しますのもいろいろな溝がございまして、国民の皆さんの中でも、意見の溝というか、意見の違いが相当あるんじゃないかと思います。
 例えばサプリメント、アメリカでは相当これは広範に広がっているわけでございますけれども、日本ではまだまだ広がりがありません。そしてまた、日本の方がある意味では規制が厳しいわけでございまして、その辺はむしろアメリカの方が非常に緩いので、例えばアメリカ並みに緩くしてはどうかというような意見も一部の何人かの方々、国民の皆さんのところからも出てくるところでございます。
 また、業界の対応もそれぞれいろいろでございます。また、厚生労働省の業界への対応も、先生がおっしゃっているような業界へべったりというわけじゃなくて、むしろ業界の方からは、もっともっと厚生労働省が産業政策という観点から奨励をしてくれてもいいじゃないか、また例えば今言ったように規制緩和をもっとしてくれてもいいじゃないかと、さまざまいろいろな意見があるわけでございます。
 そういうのを、今言った国民の皆さん、そして事業者の方々、あるいは行政また政治、それぞれがやはり意見の調整をしていくことが非常に大事だろう。そういう意味で、まずリスクコミュニケーションというのは、国民の皆さんと行政等が意見の場を持とう、そしてその数はまず確保して、今までは開くか開かないかわからなかったわけでございますけれども、今回は初めてこれを年八回と、これはもう開くということで決めているわけでございまして、これは、ある意味でそこの辺をまず担保したわけでございます。
 ですから、そういう場におきましてそのギャップをまず埋めていかなければならない。それから、国会議員と行政のギャップを埋めていくのは、これはもうこういう委員会の場でございまして、これを契機に、恐らく国会でもますます食品の安全等に関するこういう議論の機会がどんどんどんどんふえていくと私も思われるわけでございまして、より一層、そういう意味から、いろいろな場を、機会を活用しつつ、そのギャップの穴埋めに努めてまいりたいな、このように思っているような次第でございます。
武山委員 一回よりは十回開かれた方がいい。でも、それは回数だけのことであって、中身が一番問題なんですよね。中身の質の議論が一番の問題でして、やはり意見を反映する仕組みをきちっとつくる、それでその意見をどう反映したかということもきちっと政策評価できる、そういう仕組みをぜひつくっていただきたいと思います。
 それから、先ほど規制の話が出ましたけれども、我が党でこんな意見があったんです。規制を整備することは大変結構である、しかし、過度に規制を行い過ぎてがんじがらめの事業活動規制ではどうかな、こういう意見もあったわけなんですね。ですから、どのような理念を持って、それから、めり張りをつけていくか、そこが一番のポイントだと思うんですよね。
 その規制の整備という点で、すべきと考えているところをぜひ御説明していただきたいと思います。
坂口国務大臣 ややもいたしますと、こういう法案は規制ばかりになってしまう可能性というのは、率直に言ってあるというふうに思っております。
 いわゆる食品の安全を求めるわけでございますから、消費者の皆さん方にとってやはりここは押さえてもらわなければならないという点は確かにあるわけでございますから、その規制というものは、やはりこれはお許しをいただかなければならないだろうというふうに思っております。
 しかし、そういう商品、いろいろ食料品が売買をされますとか、あるいはまた流通をいたしますときに、その規制があるがゆえに、流通もあるいは販売もといったようなことで規制が拡大をしていくということはよくないことだというふうに思っております。健康にとって害があるかどうか、その一点についての規制というのは、これはやはりやむを得ない。他の面は寛大に、そしてこの安全性についてはそこは厳しく、こういうことではないかと思っております。
武山委員 先ほどの副大臣の話の中で、一つやはりお話ししておいた方がいいかなという点で、いわゆる健康補給食品、アメリカの健康補給食品。
 日本でもたくさん出ておりますけれども、日本は規制が厳しいということ、それから、アメリカは緩やかじゃないかという意味なんですけれども、日本は結局、なぜ規制を厳しくするんですかね、根本的に。結局、うそをついて、誇大広告だとか、成分のはっきりしないようなものもきちっと表示しないで、それで健康被害を与える、安全性の問題で基準が非常に達していない、そういう意味で日本はうるさいんだと思うんですね。それは当たり前のことなんですよね、基本的に。ところが、アメリカでも当たり前なんですよ。
 そうすると、いわゆる食品に対する知識、それから、もちろん食品衛生、食品安全、そういうものに対する知識というものが、非常に日本では規制が厳しいということは、規制で抑えないとだめだということでもあるわけですよね。
 アメリカではどうかというと、アメリカという国は、御存じのように、毎日毎日移民が入ってくる国ですから、本当にそういう知識を持っていない人もたくさんいます。しかし、持っている人もたくさんいるんですよね。ですから、そこで透明性とか安全性に対する共通の認識というものが、やはりアメリカは中流以上に対してはある程度あるわけなんですよね。ですから、買う方も自己責任で買いますし、売る方も自己責任で売るわけなんです。そこが日本と非常に大きな違いなんですよね。
 ですから、日本もやはり、ある意味では開かれた食品衛生、食品安全基本法というものが今回このように議論されたわけですから、自己責任で買う方も求めなきゃいけない。
 それから、事業者も、努力義務ということですけれども、今回、いろいろな努力義務ということでやらなければいけないこと、柱がたくさん出ました。事業者のいわゆる企業モラルといいますか、企業が、安全でなおかつ国民の健康増進を図り、なおかつきちっと買っていただける、そういう商品を提供するということがやはり第一だと思うんですよね。
 そこに、偽装表示とか、それから消費者から問題提起されないと変えていかないという古い古い、自律していない、いいかげんな体質を持っている企業もあるわけですよね。ですから、そういうところに対して規制というものは、安全性というものに対して厳しくチェックというものは当然あってしかるべきだと思うんですよね。
 でも、そこに対して、やはりきちっとした消費者の目も、監視の目というか、それは当然していかなきゃいけないわけですよね。
 ですから、そこについて、日本が欧米と違った意味の部分が非常にあるわけですよ。そこをどう解決していくかという問題も一つの大きな問題なんです。ですから、そこの点について一言考えをぜひお聞きしたいと思います。
木村副大臣 今先生がおっしゃいましたアメリカの自己責任の問題でございますけれども、やはりそれぞれの国における文化とか今までの歴史とか、そういうものの違いが相当あるんではないかな、こう思えてならないわけでございます。
 アメリカの自己責任という場合でございますけれども、アメリカの自己責任を担保する方法というのは何かと申しますと、これは一種の訴訟社会でございまして、何か問題が起こったような場合にそれぞれ訴訟でもって解決するというような、これを文化と言っていいのかどうかわかりませんけれども、そういうような仕組みが往々にしてとられているんではないかな、こう思えてならないわけでございます。
 ですから、そういうことをかんがみて、それぞれの国の今までの大きな大きな、これを文化と言えるかどうかはともかくとして、一種の文化と言えるんではないか、言えないかもしれませんけれども、言えるんではないかと思えてならないわけでございますが、そういうような流れがあったんではないかな。むしろ日本においては、それはある程度、できれば行政の側でしっかりとした基準を設けてできるだけ安全性を図ってほしい。
 それは、例えば国の広さとか、そういうようなことも影響してくるんではないか。アメリカのような広大なところでもって一々細かいところまで監視が行き届くのと、また、日本の国のようなある意味でまとまったところでの体制とは、やはりおのずから違ってくるような気がいたしてならないわけでございまして、そういうような文化的なあるいは地勢的ないろいろな要素が今まであって、それが歴史的な経緯をつくってきたんではないかな、こう思えてならないようなわけでございます。
 しかし、そういう中で、日本も、それぞれの国々のいいところを取り入れ、参考にしていかなきゃいけないわけでございます。アメリカが決していいわけではないわけでございまして、むしろいろいろな問題点もたくさんあることはもう先生も御承知なようなわけでございまして、それぞれの国が、やはりいろいろな先ほど言ったリスクコミュニケーションのような場を通じまして、しっかりとしたシステムをつくっていくのが最善ではないかな、このように思っているような次第でございます。
武山委員 それは一つの先生の御意見でありまして、それはそれで先生の御意見ですので。
 でも、ぜひ国会議員として、厚生労働省の副大臣としては、もっともっと国民のために食品の安全性に対してリードしていく、やはりそういう意味の視点というのは、絶対に柱として持っていていただきたいと思います。
 それから、今の話と関連しますけれども、国の責任としまして、今後、教育活動等を通じた正しい知識の普及ということですけれども、これはもう本当に、日本の国がいいんだといいながら、日本は日本の独自の文化でやっていくんだという個性は大変大事なことでありますけれども、今ごろになって教育活動等を通じた正しい知識の普及なんて、これは本当におくれていると思いますよ、基礎的な知識としましては。
 ですから、これに対しては、国ももちろん、今回初めて国の責務として法律の中に位置づけましたけれども、これは私は、大人の教育という意味で、正しい知識の普及ということですけれども、ぜひ厚生労働大臣から、文部省と提携して学校教育の中でも、また子供たちの育っていく家庭の中でも、食品に対する安全性、それから公衆衛生、もちろんいわゆる食品に対する基礎的知識、そういうものを培っていくということがやはり非常に大事じゃないかなと思うんですね。
 これは、今回初めて国の責務として、こういう教育活動等を通じた正しい知識の普及なんて、これは大人に対することだと思うんですよね。今さらなんて私は思いました。当たり前のことじゃないかと思いましたけれども、学校教育の中で、ぜひ文部科学省と連携して、子供たちに対しても、今から大切なことですので、やっていただきたいと思いますので、厚生大臣の所見を。
木村副大臣 今、武山先生がおっしゃられたこと、大変私も前から取り組ませていただいているところでございます。
 といいますのは、学校栄養士さんという方がおいでになるわけでありますけれども、その学校栄養士さんというのは名前だけでございまして、実際は、給食の場でもって献立をつくるような仕事が主なメーンであった。しかし、こういう学校栄養士さんをもっともっと活用していこう、そして栄養士さんの持っている知識を、今おっしゃったように、これからの時代を担う若い方々にしっかり教え込んでいただかなきゃならない、そういうことで、こういう方々を、学校栄養士ではなくて学校栄養教諭、つまり先生として教壇に立っていただこう、こういうような活動を続けてきたわけでございます。
 今、特別非常勤講師という形で、学校栄養士さんを次々と教育現場に導入させていただいております。そして、これはたしか平成十七年かと思いますけれども、平成十七年からいよいよ学校栄養教諭といたしましてしっかりとカリキュラムの中に取り入れることを目指しまして、学校の場において、今先生がおっしゃられたようなこれからの時代を担う方々に、栄養の知識、また食品安全の知識等をぜひ教育して習得していっていただきたいな、このように思っているようなわけでございます。文部省の方でもこれは鋭意取り組んでいるところでございますので、先生のような御趣旨でもってそのシステムができ上がりつつある、こういうことを申し上げたいと思っております。
武山委員 私、大臣からお聞きしたいと思います。
坂口国務大臣 食に対する教育というのは古くて新しい問題でございまして、やはり絶えず繰り返し繰り返しこれを教育していくということが大事だというふうに思っております。
 これだけ情報がはんらんをする社会でありますから、その情報の中には必ずしも正しくないものも含まれているわけでありまして、きょう午前中でしたか、お話がございましたとおり、広告等におきましても、決して好ましくないものも、あたかも好ましいことであるかのごとくマスコミ等にも登場することがあるわけでございます。そういうことを考えますと、正しい知識を常に繰り返し発信していくということがやはり大事だというふうに思っております。
 もちろん、学校におきます教育も重要でございますから、そこは文部科学省とよく連携をしながらやっていかなければなりませんが、大人に対します教育もおろそかにしてはならないと私は思っている次第でございます。
武山委員 それから、罰則の点ですけれども、今までから目の飛び出るような高さに、一億円ということに罰則がなったんですけれども、この物すごい大きな、三十万円から一億円になったこの理由をぜひ聞かせていただきたいと思います。
木村副大臣 それは、もう先生も御承知かと思いますけれども、罰金の金額を上げることによっての抑止力と申しますか、法律を尊重してほしいということを込めて、金額の増嵩を今回の中に入れさせていただいておる次第でございます。
武山委員 この法案の中で、事業者の責任ということでいろいろ言われておりますけれども、これは努力義務になっているんですね。努力ですよね。ですから、これですと努力すればいいということですよね、いわゆる事業者の責任という意味では。ですから、そこにどのようなチェックを働かせるのかなという疑問が残るんですけれども、事業者の責任という意味で、努力義務になっておると思うんです。
 食品の安全性に対する、生産していわゆる食品をつくる事業者、この事業者の責任の中で、みずからの責任において安全性を確保するためにいろいろなメニューが今回柱立てされておりますけれども、こういうものが努めなければならないというふうになっておるわけですね。これは、今までも情報の記録の作成とかは行われていたと思うんですけれども、このたび、努めなければならないという、この努めなければならないということは、何の義務もないわけですよね。努めるというふうにとれるんですけれども、ここは義務規定はどうなっているんでしょうか。
木村副大臣 そこは、余り厳しくし過ぎるとまたいろいろな問題点も起きる、また緩め過ぎると法の趣旨が生かされないというようなところでございまして、そこのところで、できるだけ行政側といたしましては、ガイドラインとか、またそれに基づきます行政指導とかを通じて生産者の方々とか業者の方々をしっかりと指導していく中から、先生の御心配のようなことがないように努めてまいりたい、このように思っている次第でございます。
武山委員 業界団体、いわゆる製品をつくっている事業者のモラル、よいものを国民に提供する、こういうモラルの構築というものが一番大事だと思うんですよね。それがないために規制を強くしなきゃ安全性が確保できないというのは、やはり質の低い社会であるというふうにとられるわけです。
 ですから、ここの兼ね合いが一番難しいと思うんです。ここをやはり、本当に事業者がよい製品を、安全性を、きちっと危機管理を考えた上で提供する、こういう考え方をきちっと持っていただく、そういう指導というもの、そういう倫理観というものを持っていけるような、そういう社会になっていただきたいということを最後にしまして、終わります。
中山委員長 次に、小沢和秋君。
小沢(和)委員 きょうは、前回の議論を受けて二度目の質問をさせていただきます。
 これは少し古いニュースですが、一九九九年十一月十一日のロイター通信によると、アメリカ農務省のある高官が、アメリカ国内の食肉牛の半数以上がO157に感染している可能性があることが明らかになったとして、O157による食中毒の発生経路を再度調査するという異例の措置に踏み切ったと報じられております。
 お尋ねしたいのは、その後、この再調査結果はどうなったか、実際にアメリカ産食肉牛の半数以上がO157に感染していたのかなどについて簡潔に承りたい。
遠藤政府参考人 私ども承知しておりますところでは、食肉牛のひき肉につきましての検査で、一九九九年九月に米国農務省が従来法に比べて四倍の感度を有するO157の検査法を導入したということで、その前後で、一九九八年には〇・三%であったO157の検出率が二〇〇〇年には〇・九%となったというふうなことでございます。
小沢(和)委員 前回の質問でも、私は、牛肉のO157汚染について重視し、命令検査を含め、厳しいチェックが必要だと指摘をいたしました。政府もその必要性を認められましたが、実際の取り組みがどう進んでいるのか、この機会に御報告いただきたい。
遠藤政府参考人 輸入時における牛肉のO157の検査でございますけれども、年間計画に基づきまして、検疫所において、ひき肉を含む牛肉全般を対象に、平成十四年において三百六十二件のモニタリング検査を行い、また、特に食中毒のリスクの高いひき肉につきましては、モニタリング検査に加え、過去にO157が検出された加工所のひき肉につきまして命令検査を実施しているところでございます。
 今年度においても、特定の加工所のひき肉につきましては命令検査を実施いたしますとともに、牛肉全般を対象としたモニタリング検査を年間六百件行う予定にしているところでございます。
小沢(和)委員 昨年、中国からの輸入冷凍ホウレンソウの残留農薬が大問題になりましたときに、加工食品についての残留農薬基準がなく、生鮮食品としてのホウレンソウの基準で検査せざるを得なかったと聞いております。
 当時から、加工食品についても基準を定めることが必要だということが当委員会でも問題になりましたが、今回の法改正ではどうなるんでしょうか。
木村副大臣 加工食品につきましてはいろいろな形態が考えられるわけですね。ジャガイモ一つとっても、コロッケになったりポテトチップになったり、それぞれでもって、例えばジャガイモのときの残留値が加工したら一体どういうような形になるんだろうとか、どこがどの程度の水準だったら、基準だったらこれが安全なのかとか安全でないのかとか、なかなか多種多様で決めにくい場面があるわけです。
 そういうことから、加工食品につきましては、一般に多種多様な製品が存在することでございますので、個別具体的な基準の策定はなかなかの困難であるわけでございます。このため、例外的に基準を策定できる植物油等を除きましては、米国と同様に、原材料として用いた農産物の基準値を基本に判断するような、こういうことも考えられないかということで、その具体的な運用のあり方については今後も慎重に検討させていただきたい、このように思っているような次第でございます。
小沢(和)委員 今の御答弁では、加工食品についてもできるだけ網をかけるように今後も努力をしていく、こういう趣旨ですね。
木村副大臣 先ほど申しましたように、加工食品は多種多様でございまして、なかなか難しいんです。これは意外と影響も多方面にわたっておりますし、例えば、さっき言ったように、ジャガイモならジャガイモで基準値は決められるんですが、それが加工食品においてはそれぞれどういう、いろいろな製品が出てまいりますので、それ一個一個をやっていくのはなかなか大変でございまして、率直な話、米国なんかにおいて、先ほど申しましたように、できるところはどうだろうか、こういうところはできないだろうかということで、そういうことも含めてこれから慎重に検討してまいりたいというので、直ちに全部網をかけるというのは不可能なことではないかと私は思えてならない次第でございます。
小沢(和)委員 だから、私もすぐ全部かけろと言っているんじゃないので、積極的に前向きで対応していただくということでお願いしておきます。
 次の質問ですが、今回の法改正で、食品中に残留する農薬等へのポジティブリスト制度を導入することになりました。これはかねてから我が党も提案していたことでありますし、賛成であることは前回も申し上げました。
 ただ、気になるのは、一つは、残留基準が定められていない農薬等の場合、ここまでは人の健康を損なうおそれがないと大臣が告示で認めると、一定量以下の範囲では公式に農薬の残留を認めることになります。もしこの一定量の水準を高目に設定すると、基準の意味を持たなくなってしまいます。例えば、ポストハーベスト剤についてコーデックス委員会が定めている基準には、日本より高いものが多い。この基準値と同じ水準に定めれば、今よりかえって高くなってしまう。まさかそういうことは考えていないと思うんですが、それならどういうことをお考えか。
 もう一つは、人の健康を損なうおそれのないことが明らかな農薬等も、大臣が告示してリストから除外するということになっております。これはどういうものを想定しているのか、この規定を特に設ける必要がどこにあるのか、二点お尋ねします。
遠藤政府参考人 ポジティブリスト制を導入する際に、まず、人の健康を損なうおそれのない量をどのような考え方で決めるかということでございますけれども、この量につきましては、これまでに評価をいたしました農薬の許容一日摂取量等を踏まえまして、我が国の食品摂取の実態を勘案し、ポジティブリスト制を採用している欧米諸国における取り扱いも参考にしながら、食品安全委員会あるいは薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて定めるということになり、国民の健康の保護に支障がないよう設定をする所存でございます。
 一方、人の健康を損なうおそれがないことが明らかであるものの例でございますけれども、食品中の残留基準を設けて規制する必要のないものとして、具体的には、農薬取締法に基づき指定をされている食酢あるいは重曹といったものがこれに該当するものと考えております。
 厚生労働省といたしましては、国民の健康の保護が最も重要なものであるという基本認識のもとで、これらの基準値あるいは対象除外の範囲を適正なものとしてまいりたいと考えております。
小沢(和)委員 今の段階ではそういう抽象的なことしか言えないかもしれませんけれども、私の質問の意味はわかっていただけると思うので、ぜひそれに対応していただきたい。
 我が党は、九五年の食品衛生法改正で、国が直接水際段階で輸入食品の検疫を行う体制を放棄することに反対しましたが、残念ながらそれが成立し、以後、モニタリング検査の体制に移行しております。その結果、本来市場に出回ることを許されないはずの危険な食品がどんどん流通するということになっております。だめとわかったときには、大部分は既に国民の胃袋の中に入っているということになる。
 重大なのは、前回も指摘したとおり、そのモニタリング検査さえ後退を続けていることであります。特に、計画輸入、継続輸入などが制度化され、初回の検査をパスすれば、その後一年間は自由に食品輸入を行うことが認められております。政府の説明では、その一年の間も時々モニタリング検査を行っているというんですが、計画輸入では届け出さえ省略されるわけですから、まともに検査を行うことなどできるはずがないと思います。現に、二〇〇一年度は、大豆はついに一度も検査されませんでした。
 今回、食品安全基本法が新たに制定され、リスク管理を厳しく行うことになりましたが、計画輸入、継続輸入などは、事実上全くリスク管理の対象外になっております。こういう聖域をつくってよいのかどうか、お尋ねをします。
坂口国務大臣 今お話ありましたように、また、前回のときにも御質問いただきましたが、計画輸入制度あるいは継続輸入制度、こうしたときには、初回のときに検査をして、そして、反復輸入をされるのだからというので、モニタリングを最初のときにやるということで済ませてきたわけでございます。
 しかし、それから後は全然やっていないかといえば、そうではないということも先ほどお話をいただきましたけれども、これから新しい体制をつくるわけでございますから、もう少し、第一回だけではなくて、その後のものにつきましても、抜き打ち的に時々検査をするといったようなことはやはり必要だというふうに思っております。そうしたことも加えて、安全性を高めていきたいと考えているところでございます。
小沢(和)委員 モニタリング検査さえ後退し続けている主な原因は、輸入件数の増加に検疫所の職員増などが追いつかない点にあることを前回私が指摘したのに対して、大臣は、これを改善すること、昨年度五・二万件だった検査件数を今年度は七・三万件にふやすことを約束されました。そのとき、職員増については、十五名の今年度の食品衛生監視員の増員のほか、食品衛生監視員OBの再任用や臨時職員の採用で賄うと説明されました。
 私は再三、職員が月六十時間以上の大変な残業をしてこれまでの検査を行ってきたこと、その三分の二はサービス残業になっており、その改善が緊急に求められていることを強調いたしました。
 改めて、二百八十三名の定員の枠外で、OBや臨時職員を何名配置するのか、説明をいただきたい。それで少なくともサービス残業なしに七・三万件の検査ができる体制になるとここで約束していただけますか。
坂口国務大臣 OBでございますとかそういう人たちは、お願いできる人がどれだけあるかということにもこれはよるわけでございますから、一概にここでどれだけというお答えをすることは難しいと思いますけれども、しかし、そうした皆さんにもお願いをいたしますが、それだけではなくて、やはり民間にもお願いをして、お願いのできるところはお願いをしていくということにしなければならないというふうに思っております。
 民間にお願いをするということにすると、大丈夫かというお話もあるわけでございますけれども、そのサンプリングいたしますもの、物質、サンプリングのもとにつきまして、もとと申しますか、どこをサンプリングするかということについては、これは国の方が行う、その先の検査は民間にゆだねる、こういったことを取り入れて、できるだけ民間の皆さん方にもお手伝いをいただきながら、それは可能にしていくということだろうというふうに思っております。
 先ほど御指摘がありましたように、OBの皆さん方でお手伝いをいただける人があれば、それはぜひお願いをしたいというふうに思っている次第でございます。
小沢(和)委員 私は、OBと、それから大臣の答弁によると臨時という言葉も出てくるんですよ。だから、両方伺っているんです。
 OBについては、どれだけ再任用できるか、これは希望者が手を挙げる数もあるでしょうから、はっきり言えないというのはわかるんだけれども、臨時については、もうこれだけの採用計画というのはお持ちなんじゃないんですか。
坂口国務大臣 臨時といいましても、これはなかなか、こういう検査にすぐれた技術を持った人でなければ雇えないわけでありまして、だれでも臨時でお雇いして、そして皆さんにおやりをいただくというわけにはいかないわけでございますから、これもなかなか、そうはいいましても、限界のある話だというふうに思っております。
 したがいまして、民間のところでそういう技術をお持ちになっているところにつきましては御協力をいただくということを兼ね備えて、OBも臨時でやっていただく方も、それから民間の方もというふうにお願いをしながら、誤りのないような方法をとっていきたい、こういうふうに思っております。
小沢(和)委員 結局、今のお話からすると、余りそういうOBや、あるいは臨時にしろ、要員増を積極的にやるという姿勢は感じられない。その一方では、今回の法改正で、モニタリング検査も登録検査機関に委任できるようになる、このことを積極的に活用しよう、こういう姿勢だというふうに感じられます。
 今のように検疫所が慢性的に多忙だと、これを機に、民間の会社組織の検査機関を積極的に登録させ、その登録検査機関への委託をどんどん拡大していこう、こういうことになるんじゃないかと思うんですが、こういうふうに、モニタリング検査についてもどんどん民間に移していくというようなお考えなんですか。
坂口国務大臣 どこまでお願いするかは、これは計画によって決まってくるわけでございますから、今詳細に申し述べることはでき得ませんけれども、しかし、民間の企業の皆さん方にもお手伝いをいただかざるを得ないというふうに思っている次第でございます。
 先ほど、OBの皆さんや、それから臨時の皆さんに対する情熱が乏しいというお話でございましたが、決して情熱が乏しいわけじゃございませんで、おやりいただく方がありましたらお願いをしたいというふうに思っておりますけれども、しかし、これは、それだけの専門的な知識の人がどれだけあるかということにもかかってくるわけでございます。ましてや、OBの皆さん方も受け入れていただくかどうかということもあるわけでございますから、その辺のところもよく勘案をしながらやっていくということでございます。
小沢(和)委員 そうなりますと、これまでは、モニタリング検査は国が直接行う、命令検査は指定検査機関、つまり民間に委託するという分担関係がともかく守られてきたわけですが、今回、これが大きく崩されるのではないかという不安を感ぜざるを得ません。
 私は、食品の安全については国が直接責任を負うのが当然であり、命令検査も本来国がやるべきなのに、モニタリング検査まで際限なく民間委託を拡大するということはとても承服できません。何か歯どめがあってしかるべきじゃないですか。
坂口国務大臣 検疫所が行いますモニタリング検査の一部につきましては、登録検査機関におきまして委託をすることを可能とすることとしているものでありまして、モニタリング検査を日常的に委託するということはございません。
 例えば、中国のホウレンソウならばホウレンソウに問題が起こる、そして検査をする項目が非常に急激にふえるといったようなときには、それはお願いをしなきゃならないというふうに思っておりますが、常時民間のところにすべてを任せようということでは決してございません。
小沢(和)委員 今、臨時的な仕事の増大に対応するために、今度は登録検査機関を活用していくというお考えを示されたわけです。
 それはそれとしてわかりますけれども、いわゆる機械的な検査の部分はそういう形で委託をするとしても、私は、サンプリングというのがむしろ決定的ではないかと思うんです。このサンプリングが正確に行われないというと結果は大きくゆがんでくるわけです。だから、サンプリングについては検疫所が直接行う、こういうような歯どめももう一つ必要じゃないかと思いますが、いかがですか。
坂口国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、サンプリングのところは国が行うということ、先ほども御答弁申し上げたとおりでございます。
小沢(和)委員 それはわかりました。
 サンプリングは国の責任でやるという形で筋を通すというのなら、私はこの機会に提案したいんですが、今申し上げたように、正確な検査を行うためには複雑なサンプリングの作業を正しく行うということが決定的ですから、むしろ、これまで命令検査のサンプリングも国が直接やるべきじゃないかと思っていたけれども、これは今までの指定検査機関に任せておった。輸入を認めるかどうかの決定的に重要な判断材料になる検査のサンプリングを任せておること自身、私はおかしいんじゃないかと思っていたんですが、今の大臣の答弁に関連して、命令検査についても国がやはりサンプリングの方はやる、そういうようなことは考えるべきじゃないですか。
遠藤政府参考人 命令検査についてでございますけれども、現行の検査機関の指定に当たりましても、検査機関自体の中立公正性とともに、検体の採取を含めた検査業務について、食品衛生監視員と同等の専門教育を受けた検査員が行うことを指定の要件としておりまして、登録制度へ移行後もこれを継続することといたしております。
 また、検体の採取に際しましては、採取量、採取目的、採取年月日、採取者等必要な事項の記録を保管させるとともに、検体につきましても一定期間の保存を義務づけることにより、事後的に検査の適正性について確認できる体制を整備しておりまして、これを登録制度への移行後も継続することとしており、このような形で、検査機関の中立公正性の確保に加えまして、検査の精度確保のための技術水準の確保につきましても必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
小沢(和)委員 輸入検疫問題の最後に、アメリカの検疫体制との比較で一言お伺いしたいと思います。
 アメリカでは、有名なFDA、食品医薬品管理局が主に食品検疫を担当しており、その職員数は一千名を超えております。今年度の増員分を合わせても二百八十三名という日本の数とは、約四倍の開きがあります。
 ただ、人員数の格差だけでなく、日本に対し水際での検疫を自由な貿易の障害だとしてその規制緩和などを要求しておきながら、アメリカ自身は逆に、九八年度に輸入食品の検査体制を強化しております。ここにもアメリカの得意なダブルスタンダードがあらわれております。
 一方、我が国では、ここ数年、輸入食品も絡んで食の安全に対する信頼を根本から揺るがす事件が続発しております。
 日本がアメリカの身勝手な要求を受け入れ、検疫をモニタリング検査という事後チェック方式に切りかえたこと、国の食品検疫での直接責任を放棄して、民間機関への委託を拡大しつつあることなどは根本的に誤っていたのではないか。大臣、この点、どうお考えですか。
坂口国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、限られた職員の中でやらなければならないこともまた現実でございます。そうした現実の中で、できる限り多くの検査を行っていく、そして危険性の高いところに集中して行っていく、そういう体制でいく以外にないわけでありまして、与えられた条件の中で最大限可能になるように私たちは行わなければならないというふうに思っております。
 したがって、先ほどから申し上げましたような正規の職員のほかにも、さまざまなことを考えながら、そうした支援も受けながらやっていくという以外にありませんから、それで万全を期したいというふうに思っております。
小沢(和)委員 人員などの制約というだけでなく、根本的に政府の姿勢、アメリカの言うことだったらもう何でも言うことを聞いてしまおうというような、この問題が食品検疫の姿勢の中にもあらわれているということを私はさっきから言っているわけであります。
 もう一つ質問しますが、中国から輸入された冷凍ホウレンソウから残留農薬を検出して一躍有名になりました農民連食品分析センターの調査によりますと、マクドナルドのハンバーガーからマラチオンという農薬が、ミスタードーナツの食品から同じく農薬であるクロルピリホスメチルが検出されております。和光堂のベビーフードからもシペルメトリンが検出されております。輸入食品が水際できっちり検疫をされないため、今や食料の六割を輸入食品に依存する我が国では、本当に安心して食べられるものがほとんどないという深刻な状況になっております。
 こうなると、国内の流通段階での食品安全チェックが重要になります。その主役は、都道府県等に配置されている食品衛生監視員であります。しかし、ここでも監視員数は、全国で平成七年度七千三百六十七名から平成十三年度七千四百二十二名へと横ばいを続けております。一方、監視すべき施設はふえ続けているために、監視率は平成七年度一八・二%から平成十三年度一三・八%へと大きく後退しております。このような状況では国民の期待に到底こたえられません。どうやって監視率を引き上げるのか。国内の食品衛生監視員も抜本的な増員が必要ではないのか。
 先ほどからこのことは再三問題になっておりますが、答弁は漠然と、努力すると言うだけであります。もっと明確に抜本的増員などに取り組むことを約束していただきたいが、いかがでしょうか。
木村副大臣 先生御指摘のように、食品衛生法に基づきまして、都道府県等におきましては、現在、約七千四百人の食品衛生監視員が配置されておりまして、うち約三千三百人が日常的に食品衛生法に基づく監視や指導の業務に当たっているところでございます。
 今回の改正におきまして、監視回数の政令指定を廃止し、都道府県ごとに監視指導計画を策定することによりまして、地域の実情に応じ、重点的かつ柔軟に監視指導を行うことを目指しているところでございます。
 さらに、厚生労働省といたしましては、改正後の都道府県等における監視体制を一層充実させるべく、食品衛生監視員に対する研修会の開催や、市場衛生検査所等における検査機器の整備への財政支援などによりまして、都道府県等の体制及び機能の強化を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。
小沢(和)委員 きょうは党首討論があるので早く終わるようにという要請もありますので、一分ぐらい残っているのじゃないかと思いますが、これで終わります。
中山委員長 次に、阿部知子君。
阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 冒頭、ただいまの小沢委員のお話ではありませんが、私も党首討論に向けてなるべく簡潔に質疑をしていきたいと思いますが、委員長も既にこの議席をごらんになりますと、実は全く定足数が足りておらぬと思います。そして、先ほど小沢委員が質疑に入られた当初から足りておりませんでした。私はきょう火急に御質問したい件があるので、きょうの委員会の設置ということは、いろいろな用がありながらもありがたいと思って質問はいたしますが、やはりこのような委員会運営というのはどこかに無理があるのだと思いますから、そのことを基本的にまず委員長には御認識いただきたいと思います。ずっとあいておりますので、やはりこれは健全な委員会運営ではないと思います。
 冒頭そのことを申し上げまして、それから、質問予告をしてございませんが、木村副大臣が御臨席してくださっておりますので、ひとつ御質疑を申し上げます。
 四月十八日の日、木村副大臣が医師研修問題と地域医療に関する懇談会の中で、医療事故等々に関して、米国のように医療をネタに稼ごうという非常におかしな人々がどんどんふえてくると予想されるというふうに御発言されたと新聞報道等でもございます。しかしながら、このことは極めて深刻でございまして、医療事故の多発というのは、我が国の社会が非常に恥ずべき、医療界が恥ずべき現実だと思います。
 そこで、医療被害者の方から、実は四月二十一日付で平柳明香さんのお父さんから木村副大臣に申し入れ書が届いていると思うのですが、お目通しいただけましたでしょうか。
木村副大臣 お目通しさせていただきまして、それに対する返事をさせていただこうと思っております。
阿部委員 実は、医療被害ということをめぐりましては、これまで四回ほど医療被害者の皆さんと超党派の議員で勉強会も重ねておりまして、何とか悲しい結末を、被害者たちがひたすら悲しみだけを抱いて、あるいは恨みを抱いていくということのないように、医療自身の中に医療ミスを防ぐ構造を組み込もうということを、各国会議員、皆さんお寄りくださって論議してございます。
 ここで副大臣にもお願いがございますが、今後、御予定が許せば、そういう医療被害を考える、医療事故を考える患者さんたちと一緒になった勉強会にも御出席いただける方向を御検討いただけますでしょうか。
木村副大臣 時間が許せば、ぜひお話を聞かせていただきたいと思っておりますし、私が十八日に申し上げたのはまさにそういう意味なんです。
 やはり事故が起こるのはいろいろな場面があると思うのですけれども、そこで訴訟になる場合は、病気ですから、まず治る治らない、それは先生には釈迦に説法でございます、先生はプロでございます、私はアマでございますから、先生は一番よく御存じだと思うのですけれども、病気によってはどうしても治らない病気もある。しかしその中で、医師と患者に本当に信頼関係があれば、不幸にして訴訟のような場面もないのではないか。
 もし万が一、不幸にも医療事故が起こった場合に、訴訟を提起されている患者や家族の方々の置かれた状況やその心の中、心情につきましてまさに十分に理解をしておるからこそ、そういうことがより一層わかる医師というものを臨床研修の場で育ててまいりたい。そこが今度の臨床研修で、技術だけではないと思うのです。まさに全人的な医師を育てたい。本当に患者の心情やそういう事故に遭った方々の心がわかる医師を育てることの重要性を私はその場で訴えさせていただいたわけでございまして、どうかその辺、先生なら御理解をいただけるものと、私はそのように思えてならない次第でございます。
阿部委員 本来、患者さんたちも裁判に訴えるというのはよほどのことでございます、非日常のことでございます。しかしながら、そうでなければ、例えば自分自身のカルテを手に入れることができない、手に入れても改ざんされておるとか、さまざまな問題がございます。
 そこで、医療事故の申告、きちんとした数の申告と、それからカルテ開示ということは、もうこれは坂口大臣の御指導のもとに内閣を挙げて取り組んでいただいていることと思いますので、ぜひともその方向に確実に進めていただきたい。だれもミスを起こそうと思ってするわけではなくても、現実に被害が起きて、患者さんたちが被害で苦しむという事態が生じておりますので、重ねてその件についてはお願いを申し上げたいと思います。
 続いて、本来の質問に入らせていただきます。
 食品衛生法に関しましては、前回も私が、特に環境の問題がなかなか組み込まれておらないのではないかと。農水省と厚生省の間の連携ということは、今回、食品安全基本法においても主たる眼目となっておりますが、環境に関する問題について十分な省庁間連絡がないと、水俣病の問題しかり、ダイオキシン問題しかり、これから生態系の中で生きている人間、そこからとれるものを食べる人間ということに安全性がないのではないかということを御質疑してまいりましたが、個別具体的にダイオキシン問題でお尋ねをいたします。
 ダイオキシン類対策特別措置法というものが設置されましてからもうじき四年になります。その中では、ダイオキシン摂取量については体重一キロ当たり四ピコという基準が設けられまして、これはWHOの勧告基準、一から四ピコの高い方をとっておるわけでございますが、当時、平成十一年のいろいろな審議の過程を見ましても、幾つかの点においては、これにおいて健康基準として疑義が残るものもあるという文章も散見されます。環境省にあっては、この四年間、法制定後四年間、どのような見直しがなされてこられたでしょうか。
南川政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、平成十一年、ダイオキシンのTDIにつきまして、中央環境審議会あるいは生活環境審議会、合同で審議をいたしまして、四ピコグラムという方針をいただいたところであります。
 また、これに際しまして、私ども、担当課長をヨーロッパ、アメリカ、カナダに派遣いたしまして、当時WHOの評価に当たった専門家の方々へのヒアリングを行っております。そうした内外の知見を整理いたしまして、四ピコグラムということで政令上決定したところでございます。
 その後でございますが、私ども、内外の最新知見については常に整理をいたしております。また、ラットなどを用いまして、TDI相当の暴露につきましても、影響を子細に動物実験で調査しているところでございます。
 こういった状況からしまして、現在のところ、TDIの再評価の必要性を示す新たな科学的知見は得られておりません。したがいまして、現時点でTDIを早急に見直すということは考えておりません。
 なお、引き続き厚労省と連絡を密にとりまして、ダイオキシンのTDIにつきまして科学的知見の収集、さらにWHOなどとの、国際機関との連携を図ってまいります。
阿部委員 今の御答弁者は既に御承知なのだと思いますが、アメリカのFDA等々でも〇・〇五六ピコです。けたが違うわけです。新しい知見は得られておりませんということでしたが、むしろ、得られる努力をしておりませんと私はあえて言わせていただきたいと思うのです。
 というのは、この当時の十一年にも書いてございますが、一部の毒性試験においては、例えば基準になった基準値でも微細な程度の影響が認められるという、既にそちらがお出しになった文章でも書いてございます。これは平成十一年の審議時のものでございますから、そのことはさらに追求されまして、特に発がん性ということをめぐっては、個体差もございますし、それゆえにアメリカのFDAあるいは関連する部局では、さらに低い基準に抑えているところもあるわけですから、今の御答弁にありました厚生労働省とも連携なさって、ぜひともさらに本当の国民の安全ということに鋭意努力していただきたいと思うのです。
 さて、今度は厚生省にお伺いいたしますが、我が国のダイオキシン摂取量はほとんど、九割が食べ物から体に入ってまいりまして、そのうち六割が魚類でございます、魚介類を日本人は非常に多食いたしますので。厚生省として一日摂取量調査等々もなさっておることと思いますが、私が既にいただきました御報告の中では、幾つかの品目をバランスよくとった場合の一日摂取量というのを計算しておるわけです。
 しかしながら、例えば人間には好き嫌いがございますし、ある地域でとれたものを多く食べ、そこの地域で汚染が広がっている場合には、このスタンダード、モデル、あらまほしき摂取の仕方には必ずしも当てはまらないと思うのです。例えば、ダイオキシン濃度をはかりましても、脂身の多いマグロ等は高く出ております。マグロでも、同じマグロというか、一つ一つ個体差がございます。
 今後の厚生労働省のいろいろな検討の中で、品目ごとの個体差、地域ごとの個体差、そしてそのことゆえに、例えばこの地域では汚染が考えられるから禁止する等々の方向の検討についてはいかがでございましょうか。
遠藤政府参考人 ダイオキシン類につきまして、私どもでは、御指摘のように、食品からのダイオキシン類の摂取量調査を平成九年度以来毎年実施しているところでございますけれども、その摂取量は、一日当たり、体重一キログラム当たり一・四五ピコグラムから二・四一ピコグラムTEQとなっているところでございます。
 この値はTDIを十分に下回っていることから、平均的な食生活をしている限りは健康上の問題はなく、現時点では、魚介類ごと、あるいは地域ごとといった形の基準を設定する必要はないと考えておりますけれども、今後とも、食品からのダイオキシン類摂取量がTDIを超えることがないか、実態調査を継続して実施し、その結果をわかりやすく公表するとともに、必要に応じて適切な措置を講じていきたいと考えております。
阿部委員 質問をきちんと聞いていただきたいなと思うのです。
 例えばマグロでも、マグロという同じ名称のものでも、一方は二十三・〇九三ピコ、片っ方は〇・一六ピコ、非常に、二百倍からの差がございます。ですから、地域性と個体性をきちんと見越して食の安全ということを図られるべきだという提言を私は今したわけで、なべて平均値をとれば、あのマグロもこのマグロも全部同じになる。どこでとれたマグロも同じになる。そして、平均値のみで見せかけの安全値が出てまいるということもあります。
 ここで、大臣にぜひとも今後の方向性について御答弁いただきたいのですが、さきの御質問で例にとらせていただきましたが、水俣病でも、汚染地域の魚については、内海のもの、汚染が強いものについては、それなりの基準を設けて禁止していく。よりきめ細かに、やはりこれからは、環境汚染と食という問題で、今までのような平均値で物を見るという手法が難しいと私は考えておりますし、本当の国民の健康を守ることにつながらないということも考えられますので、今の私の申しました、食品ごと、それから食生活の偏りもある、地域差もあるということをどのように政策に反映されていかれるか、御所見を伺いたいと思います。
坂口国務大臣 ダイオキシンの問題は非常に大事な問題でございますが、現在のところ、総量規制になっておるわけですね。これは、ある意味で総量規制というのはやむを得ないというふうに私は思っております。
 ただし、今御指摘のように、特別な地域において特別なダイオキシンの含有量があるという例も、それはやはりあるのではないかという気が私もいたします。そうしたことをこれはどう見つけ出していくかという努力が大事でございまして、そこは怠りなく、環境省あるいは農林水産省といったところと連携を図りながらやっていかないといけないというふうに思っている次第でございます。
 しかし、マグロなんかは泳ぎますからね、どうなりますか。たくさんおるところでとれたのがどこから泳いできたということになると、どうなりますか、その辺大変難しい。貝類みたいに、非常に多い地域で、そこに定着しているというのだとわかりやすいわけですけれども、遠くから泳いできたということになると、どうなりますか。その辺のところをよく考えてやっていかないといけないなというふうに思います。
 しかし、ダイオキシンで汚染をされる地域というのはそれなりの理由があって起こるわけでありまして、大体予測のつくものもあるわけでありますから、そうしたところにつきましては、魚介類も含めまして、やはりふだんから調査を重ねるという地道な努力が必要ではないかというふうに思っております。
阿部委員 私の申しましたのは、平均値を出して、その平均スタイルを出してオーケーというふうな手法はとても現実的ではないということを指摘させていただきまして、今、大臣のおっしゃったこととも重ねて、今度の食品衛生法並びに食品安全基本法の中でリスクコミュニケーションということが盛んに論じられておりますが、現在、一番いい例としてこのダイオキシン問題があるかと思うのです。
 先ほど、環境省の方の御答弁あるいは厚生省の方の御答弁で、例えば今の基準値が安全範囲内だよというお話は、何回もどの省庁からも繰り返してなされるのですけれども、一方、住民サイド、特に汚染が疑われるような住民サイドからは不安が訴えられる。そこにおきまして、例えば食品表示問題におきましては、今回の法改正をさかのぼりまして去年の十二月から、表示に疑義がある場合には、窓口、ダイヤル窓口と申しますのでしょうか、そういうものが設けられておりますが、この基準値ということについて、例えば発がん性において今の基準は高いのではないかと国民が不安に思ったとき、どのような窓口体制を考えておられますでしょうか。これは、恐縮ですが、時間の関係で大臣にお願いします。
坂口国務大臣 このリスクコミュニケーションにつきましては、できる限り消費者の皆さん方の御意見をお聞きしていくということをやらなければいけないというふうに思っておりますが、そこから出ました意見の中で傾聴に値する御意見が多く出されましたときに、それにどう対応するかというお話だろうというふうにお聞きしたところでございます。
 例えば、ダイオキシンならダイオキシンに、この地域においては非常に多い、あるいは多い可能性があるということが提起をされましたときに、そうした問題をこちらがリスクコミュニケーションでお聞きをした後の処理の仕方だろうというふうに思いますが、その処理の仕方につきましても、各省庁連携のもとにこれはやっていかないといけないと思います。
 厚生労働省の方でお聞きをしました問題でありましても、その中身を調査したりすることにつきましては、環境省の問題でありましたり農林水産省の問題であったりというようなこともあるだろう。また逆に、農林水産省がお聞きになりましたことでありましても、厚生労働省がかかわっている問題もあろうかというふうに思います。そうした、それぞれのところでお聞きをしたことを、それぞれがもう一度それを寄せ合って、そしてその情報を共有しながら、そこでそれをどう今度は乗り越えていくかという話になるのではないかというふうに思います。
 先ほど副大臣の方からも答弁がありましたけれども、物によりましては全く正反対の違ったものも中にはあると思いますし、これはいかがなものかというものも中にはあるというふうに思いますけれども、しかし、なるほどと思う、そういうお話も、これはもう大いに、間違いないわけでありますから、そこに対する対応の仕方、こちらのいわゆるコミュニケーションを持った後の整理する体制をどうつくるかということをちゃんとやっておかないといけないというふうに思っておりまして、そこはひとつ、御指摘を受けましたことを十分に踏まえながら、今後検討していきたいと思います。
阿部委員 指摘を受けた後の省庁内体制もそうでございますが、指摘をまず申し入れる場所がなかなかございません。先ほど言いましたように、表示問題でしたらば、それは今度窓口が少し開けましたが、基準値についてはなかなか窓口すらないというので、最初がなければコミュニケートもできません。コミュニケーションは、省庁内コミュニケーションと、消費者、国民と行政とのコミュニケーションという両方がなければ成り立たないものですので、それがこの法案の極めて不備な点と思いますが、後ほど附帯決議でも触れさせていただければと思います。
 そして、きょう、ぜひとも緊急に御質疑、御答弁いただきたいことに、いわゆるSARS問題がございます。
 午前中、三井委員からも御質疑がございましたが、現在、SARSは全体で三千五百九十二人の発症で、うち百九十六人が死者。ほとんどが中国と香港でございまして、中国で二千百五十八人、死者九十七人となってございます。中国での情報の公開の初期作動が極めておくれておるということが蔓延をもたらしたものということも指摘されておりますが、我が国におきましては、中国での発生状況を踏まえて、WHOから情報を得る、ないしは我が国から研究者を海外に送るということが既に実施はされております。
 本当はここは高原局長に御答弁いただくはずでございましたが、時間の関係で、私があらかじめ伺ったことで御紹介させていただければ、これまで我が国からは五人の研究者を香港とベトナムと広州に送られたと。香港に送られた方が感染症の研究者、それからベトナムと広州に送られた方は臨床の研究者ということになってございます。
 そこで、大臣にお伺いいたしますが、やはり、いわゆる地政学的リスクということを考えますと、日本と香港と中国の距離、あるいはベトナムまでも入れてもいいのですが、極めて近く、往来も多いところでございます。現在の我が厚生省の取り組みですと、基本的には、WHOの十一のいろいろな機関のネットワークの中での行動ということを中心にしておられますが、ここはぜひとも、特に疫学に御造詣の深い大臣でございますから、我が国からさらに、WHOとの連携の枠を超えてでも、中国に対しましていろいろな、感染症のための疫学調査の専門家を送るなり、あるいは治療における専門家を送るなり、さらに一歩踏み出て、我が国の中国への支援体制、あるいは情報公開を求める、情報入手のアンテナを高くするためのことを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
坂口国務大臣 確かに、中国との問題が一番大きいんだろうというふうに思います。日本の企業の皆さん方も中国にはたくさん行っておみえになりますから、中国における邦人の皆さん方も非常に不安に思っておみえになるということでございます。先般、国際医療センターの、中国に、広東省に行かれた先生にもお会いをいたしましたけれども、中国の日本の方々が非常に不安に思っておみえになると。初めは大丈夫だ、大丈夫だという話しかなかったものですから、大丈夫だと言われて余計に不安が募ったというようなお話もございまして、やはり正確な情報というものを提供しなければならないというふうに思っている次第でございます。
 今夜でございますが、中国の大使とお会いをさせていただくことになっておりまして、いろいろ向こうの側からも話をする、聞いてもらいたいというふうなことでございます。内容は、向こうがどういうことを言いたいのかということはまだ来ておりませんけれども、恐らくいろいろの協力方もあるのではないかというふうに思っておりますし、できるだけ日本としてできることはやらなければならないだろうというふうに思います。
 中国は、申しわけないですけれども、もっと多いんではないか、私、そんな予感がいたしまして、もう少し正確な数字を把握していただくようにお願いをしたい。そして、北京のみならず、ほかの都市にまで拡大をしているということになればこれはなおさらでございまして、早くお聞きをしたいと思っているところでございます。
阿部委員 治療面での専門家の派遣や、もう一つ、やはり非常に重要なのは、研究者、特にウイルスに関する研究者の支援というのも非常に重要になってくると思います。香港に感染研から研究者が参りまして、香港のものはちょっとウイルスの型も違うし、いわゆるコアの力も強いんだというようなことも解明してきておられますし、ぜひとも今夜の会見に期待いたしまして、というのは、日本がこれからやっていく協力と申しますのは、やはりこういう科学技術面、特に全体の国際社会の中で、日本がアジアにおいていろいろにリーダーシップを発揮できる面と思いますので、大臣には重ねてよろしくお願い申し上げたいと思います。
 あと、国内の体制についてだけ、もう一点御質疑させていただきます。
 きょう、朝日新聞にも出ておりますし、それから、お手元に配付させていただきました資料で、もし国内でSARSの患者さんが発症した場合にどのような医療機関が受け皿になれるかということの一覧で、陰圧対応病床一覧というのが出ております。
 陰圧というのは、例えばこの部屋全体の圧を陰圧に置くことによって、この部屋にいるばい菌やウイルスが外に飛んでいかないようにするための感染防御の基本でございますが、その中にもさらにグレード分けがあって、新型でエボラ感染出血熱とか今回のコロナウイルスの重症肺炎等は、最強というか、一番未知のものですし、最強対応するとした場合に、一種病床というところに当てはまるようなものになるのですが、一種が整備されておるところが、山形、千葉、東京、新潟、滋賀、大阪、兵庫、福岡、熊本と極めて数が限られておる。九カ所となるかと思います。
 そこで、これも大臣のぜひとも前向きな姿勢でお願いしたいのですが、実は、各大学病院での陰圧、大体集中治療室等々を持っておりますし、陰圧のかかる施設もきちんと整備しておると思うのですが、果たしてそれがここの中にどのような形で集計されておるのか。そのあたりも私は、けさ厚生省からいただきました資料の中では不明瞭ですし、あとは国民へのアナウンスメント、ここの病院に行けばそうした治療ができるし感染が蔓延しないという国民サイドへの情報開示という二点において、厚生省と文部科学省が検討していただくということと、国民に例えばインターネット上で広く開示する等々のことも当然必要となってくると思います。
 いろいろなところに患者さんが行くと、そこで感染が広がるということもなきにしもあらずでございますので、その二点について、これもきちんとした予告がなかったので大臣には急で申しわけございませんが、ちょっとお心にとめていただいての御答弁をお願いいたします。
坂口国務大臣 現在のところ、陰圧のベッドがありませんのは七県になっております。岩手、秋田、栃木、奈良、鳥取、大分、沖縄と、この七つになってきておりますが、その中で沖縄におきましては、琉球大学病院が六ベッド、ほとんど陰圧に匹敵するとまで、陰圧のベッドというふうに指定してもいい内容のものを持っているようでございます。天井が正規のものより少し低いということがあるそうでございますけれども、陰圧になっているそうでございます。沖縄は琉球大学で対応ができるというふうに思っておる。これが六ベッドございます。
 それから、そのほか、あと六県になるわけでございますが、奈良県の場合に、奈良医大の病床でこれに準じたものが存在をするということで、ここをどういうふうにしていただくかというようなことがございまして、大学病院との間で、どういうふうにこれからしていくかということが残されておりまして、その辺のところを早急に対応を確立したいというふうに思っている次第でございます。
阿部委員 最後に一つお願いがございます。
 今は渡航を考慮せよという段階でございますが、必要に応じては退去、向こうにいる商社員を戻さなきゃいけないような事態も生じてくるかもしれません。その場合の機敏な対応もお願いして、私の質問を終わります。
中山委員長 次回は、来る五月七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十三分散会


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