衆議院

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第5号 平成16年3月17日(水曜日)

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平成十六年三月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 衛藤 晟一君

   理事 鴨下 一郎君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 城島 正光君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      井上 信治君    石崎  岳君

      加藤 勝信君    上川 陽子君

      木村  勉君    木村 義雄君

      菅原 一秀君    竹本 直一君

      棚橋 泰文君    中西 一善君

      中山 泰秀君    能勢 和子君

      原田 令嗣君    平田 耕一君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      三原 朝彦君    吉野 正芳君

      青木  愛君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      小宮山泰子君    五島 正規君

      園田 康博君    中根 康浩君

      橋本 清仁君    樋高  剛君

      藤田 一枝君    古川 元久君

      増子 輝彦君    水島 広子君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      山口 富男君    阿部 知子君

    …………………………………

   議員           金田 誠一君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働副大臣      谷畑  孝君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局国立病院部長)   冨岡  悟君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)   伍藤 忠春君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

三月十六日

 平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例等に関する法律案(城島正光君外四名提出、衆法第一〇号)

同日

 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願(岡本芳郎君紹介)(第九四九号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第九五〇号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第九五一号)

 同(平田耕一君紹介)(第九五二号)

 同(石毛えい子君紹介)(第九五九号)

 同(宇野治君紹介)(第九六〇号)

 同(奥村展三君紹介)(第九六一号)

 同(塩谷立君紹介)(第九六二号)

 同(田嶋要君紹介)(第九六三号)

 同(松下忠洋君紹介)(第九六四号)

 同(川端達夫君紹介)(第一〇〇三号)

 同(倉田雅年君紹介)(第一〇〇四号)

 同(仙谷由人君紹介)(第一〇〇五号)

 同(高木義明君紹介)(第一〇〇六号)

 同(中西一善君紹介)(第一〇〇七号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第一〇〇八号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第一〇〇九号)

 同(加藤公一君紹介)(第一〇五八号)

 同(西野あきら君紹介)(第一〇五九号)

 同(加藤公一君紹介)(第一一〇六号)

 同(七条明君紹介)(第一一〇七号)

 同(中村正三郎君紹介)(第一一〇八号)

 同(藤井孝男君紹介)(第一一〇九号)

 青年の雇用に関する請願(市村浩一郎君紹介)(第九六五号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇六〇号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一〇六一号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一一〇号)

 緊急の保育課題への対応と認可保育制度の充実に関する請願(自見庄三郎君紹介)(第九八八号)

 年金改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九八九号)

 同(石井郁子君紹介)(第九九〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九九一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第九九二号)

 同(志位和夫君紹介)(第九九三号)

 社会保障制度拡充等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九九四号)

 同(石井郁子君紹介)(第九九五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九九六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第九九七号)

 同(志位和夫君紹介)(第九九八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九九九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇〇〇号)

 同(山口富男君紹介)(第一〇〇一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇〇二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇九七号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇九八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇九九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一一〇〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一〇一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一〇二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一〇三号)

 同(山口富男君紹介)(第一一〇四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一一〇五号)

 医療・年金制度の大改悪反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一〇一〇号)

 骨髄バンク利用にかかる患者負担金への医療保険適用に関する請願(川端達夫君紹介)(第一〇一一号)

 健保三割負担を二割に戻すなど患者負担の軽減に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一〇一二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇一三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇一四号)

 臓器移植の普及に関する請願(岩屋毅君紹介)(第一〇三一号)

 同(加藤公一君紹介)(第一〇三二号)

 同(上川陽子君紹介)(第一〇三三号)

 同(川内博史君紹介)(第一〇三四号)

 同(木下厚君紹介)(第一〇三五号)

 同(北村誠吾君紹介)(第一〇三六号)

 同(小坂憲次君紹介)(第一〇三七号)

 同(高村正彦君紹介)(第一〇三八号)

 同(佐藤勉君紹介)(第一〇三九号)

 同(城島正光君紹介)(第一〇四〇号)

 同(高木美智代君紹介)(第一〇四一号)

 同(武山百合子君紹介)(第一〇四二号)

 同(津島雄二君紹介)(第一〇四三号)

 同(中村哲治君紹介)(第一〇四四号)

 同(能勢和子君紹介)(第一〇四五号)

 同(福島豊君紹介)(第一〇四六号)

 同(山井和則君紹介)(第一〇四七号)

 同(吉野正芳君紹介)(第一〇四八号)

 同(小野晋也君紹介)(第一一一三号)

 同(木村勉君紹介)(第一一一四号)

 同(熊代昭彦君紹介)(第一一一五号)

 同(自見庄三郎君紹介)(第一一一六号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一一一七号)

 同(中川治君紹介)(第一一一八号)

 同(中村正三郎君紹介)(第一一一九号)

 同(橋本清仁君紹介)(第一一二〇号)

 同(樋高剛君紹介)(第一一二一号)

 同(松本龍君紹介)(第一一二二号)

 同(丸谷佳織君紹介)(第一一二三号)

 同(保岡興治君紹介)(第一一二四号)

 年金改悪反対等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇四九号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇五〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇五一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇五二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇五三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇五四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇五五号)

 同(山口富男君紹介)(第一〇五六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇五七号)

 保育・学童保育施策に関する請願(石井郁子君紹介)(第一〇六二号)

 年金・医療・介護等の社会保障制度確立に関する請願(山井和則君紹介)(第一〇六三号)

 無認可保育所への公的助成等に関する請願(山井和則君紹介)(第一〇六四号)

 同(阿部知子君紹介)(第一一一二号)

 育児・介護休業法の整備等に関する請願(阿部知子君紹介)(第一〇八六号)

 パーキンソン病患者・家族の療養生活の質向上に関する請願(棚橋泰文君紹介)(第一〇八七号)

 安全で行き届いた医療・看護に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇八八号)

 同(石井郁子君紹介)(第一〇八九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇九〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇九一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇九二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇九三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇九四号)

 同(山口富男君紹介)(第一〇九五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇九六号)

 パートタイム労働法の抜本的改正等に関する請願(土井たか子君紹介)(第一一一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案(内閣提出第二八号)

 平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例等に関する法律案(城島正光君外四名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長瀧野欣彌君、厚生労働省健康局国立病院部長冨岡悟君、雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青木愛君。

青木委員 民主党の青木でございます。

 希望どおり厚生労働委員会に所属できまして、大変ありがたく思っております。きょうが初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、保育士としての経験から、お子様を持つお母様、お父様の声、そして保育現場の声を国政に届けたいと思いましてこの道を志しました。今回、この法案の中で、特に公立保育所の一般財源化という点に絞り、質問をさせていただきます。

 まず、本題を議論する前に、その前提となります現状認識についてお伺いいたします。保育所の意義、役割についてどのようにお考えでおられるのか、坂口大臣にお尋ねいたします。

坂口国務大臣 おはようございます。

 だんだんと少子高齢化が進んでまいりまして、しかもまた、一方におきましてはいわゆる核家族化が進んでくるといった中で、子育ての社会化ということがだんだんと叫ばれてまいりました。そうした中で、保育所の持ちます役割というのはだんだんと重要になってきているというふうに思っております。

 女性の皆さんが仕事と子育てが両立できるように、あるいはまた、それだけではなくて、さまざまな活動をされることに対して保育所が重要な役割を果たすようになりつつあるといったこともあるというふうに思っております。こうした中で、今後保育所と幼稚園とを総合的に考えるようにしていこうというようなことが出てまいりましたのも、また新しい動きの一つではないかというふうに思っております。

 今後とも役割はさらに重要度を増していくというのが私の認識でございます。

青木委員 おっしゃられるとおり、大変大事な役割を担っているわけですが、今、現状は多くの問題を実際抱えております。

 私もこれまで現場におりまして、お母様方からいろいろな声を聞いてまいりました。まず、きょうはそうしたお一人お一人の声を聞いていただきたいと思います。

 まず、最も多い声の一つに、保育所に預ける入所条件の緩和を求める声がございます。あるお母さんは、子供を預けたいんだけれども、おばあちゃんがいるために保育に欠けるという形にならず、預けることができません、おばあちゃんが働いていなくても入所できるようにしてほしいと切実に訴えておられました。

 保育所の入所には、保育に欠けなければ預けられないという条件がございます。おじいちゃん、おばあちゃんが自宅にいますと、入園することができません。しかし、実際、おじいちゃん、おばあちゃんも、毎日子供の面倒を見るとなると、それも大変な重労働となります。

 この保育に欠けるというのは、昭和二十二年の児童福祉法に盛り込まれた文言です。今は時代も変わりまして、働きたいお母さんもふえて、また、社会もそれを必要とする時代となりました。今の社会の現状、地域の実情、今の時代の親の気持ちに合った法律に脱皮してもいいのではないかと考えます。育児にはリフレッシュも必要ですし、子供にとっては集団生活の重要性という点もございます。また、この保育に欠けるというのは、どこか親が責任放棄しているような印象もあって、言葉の響き自体もよい印象を受けないのであります。

 とにかく、この入所の規則が大変面倒で、その上、家族構成から仕事の内容から所得まで、家庭のプライバシーの部分まで全部さらけ出さないと入所の手続ができないという状態でございます。このような状況では、とても子供を安心して育てられるという環境とは言いがたいものがあります。都市部と地方では事情も違うかもしれませんけれども、いつでも預けたいときに預けられるという、それぞれの理由で自由に預けられる、そうした空気をつくることがお母様方に子育ての上での安心感を与えるのではないかと考えます。

 この保育に欠けるという入所の条件に関しましてどのような御見解をお持ちでしょうか、坂口大臣にお尋ねいたします。

谷畑副大臣 おはようございます。

 今先生がおっしゃいましたように、保育所における意義というのは、今坂口大臣がお答えをいたしました。やはり共働き世帯もふえておりますし、少子化ということもありますし、ぜひそこを応援したいということで、保育所の意義は非常に大きいと思います。

 もう一つは、やはり、就学前教育というのか、そういう観点で、子供たちは子供たち同士で遊んだり学んだり、そういうことによって社会性を学んでくるという、これは非常に大事だと私は思っておりますし、坂口大臣がおっしゃったとおりだと思います。

 そういう状況の中で、保育に欠けるという要件があるということでありますけれども、これは、いわゆる保育所における保育というのが、親の就労等の事情によって家庭で養育を行えない子供について、市町村が児童福祉の観点から家庭にかわるものとして実施をする、こういうことが実は基本になっているわけでございます。そういうことでは、おじいちゃん、おばあちゃんと同居している場合だとか、それから専業主婦で子供の養育ができる、こういう場合は遠慮してもらっている、こういう状況だと思います。

 もちろん、保護者が居宅外で労働する場合のほか、居宅内労働や求職活動の中であっても保育所を利用できることとされており、少し緩和をしてきておりますし、また、社会のニーズを踏まえたものにということで、短時間の保育をするということも事情によっては可能である、そういうようにして少しずつ緩和をされておるんじゃないかと思います。

 今先生おっしゃったように、その問題についてはこれからさらに議論のあるところだということはよくわかっております。

 以上であります。

青木委員 本当に、保育所へ預けるときの窓口の対応というのは、少しでも条件が合わないとだめですよという空気がありまして、ウエルカムな空気ではないというのがあるものですから、そうした声をお届けをさせていただきました。

 今の時代、本当に規則が多過ぎまして、国全体がどこか情緒不安定になっていて、大人も子供も遊びがなくて余裕がありません。こうした規則を取り払うことで、国全体がゆったりと潤って、人間が人間らしく生きられるのではないかとも考えます。

 次に、もう一つ、これもお母様方の声なんですけれども、それは、切実に訴えておられます保育料のことでございます。

 保育料は前年度の所得に応じて設定されています。お母様方が訴えているのは、保育料を安く、そしてその設定を一律にしてもらいたいという声です。そうした声を幾つか御紹介させていただきます。

 ある若いお母さんです。所得に応じての金額の設定はどうかと感じます、子供一人に対する料金は一律であってほしいです、保育料を払うために働いているのかと思うほどです。

 また、二人の男の子を持つお母さんです。我が家は自営で、夫の両親と子供二人の六人家族です、世帯の収入全体で保育料が計算されるので、夫の両親の年金なども含めた額で、割と高額の収入があると判断されます、どこの世帯でおじいさん、おばあさんの年金で保育料を払っているうちがあるのですか、若い人の負担って本当に多いんです、お願いだから一律にしてほしいです。

 また、看護婦をされているお母さんです。保育料が高過ぎます、みんな生活水準を少しでも高くしようと共働きしたり、また継続してきた職業に対し生きがいややりがいを感じて母親になっても働いています、しかし、子供が多ければ多いほど保育料が家計を占める割合が高くなり、生活水準を上げるどころか保育料にどんどんとられてしまう、今の保育料がいつ設定されたかわかりませんが、いまだに女は家で子育てしていろとでも言っているかのようだと。

 このように、まだまだたくさんの声がございます。

 結局、保育料を払うために働いているようだと。それならば、働かないで家で子供を見ていても変わらない。しかし、女性も生きがいを持って働きたい時代です。子供のためにも頑張れるのです。頑張った分だけちゃんとお金が残れば、生活に少しでもゆとりができて、またやる気も出てきます。頑張った者が報われる一律の料金設定にしてほしいというのは当然の声だと私は考えます。こうした声に対しまして、お言葉をいただきたいと思います。

谷畑副大臣 先生は保育士としての経験を含めて、また、そのことについて学ばれたというように聞いておるわけであります。

 保育料を均一化、あるいは統一して、負担を軽い感じで、だれでもが入所できるように、そういう御質問だと思うわけであります。

 私も、四十二歳で参議院議員として国会へ来させてもらったんですけれども、私、子供を保育所に預けるときに初めて参議院議員という証明書をもらって行ったわけですけれども、当時もちろん共働きでしたし、私の家内も保育所の保母さんとしてこの間まで働いておりましたのでよくわかるわけですけれども、一番高い料金を払ったというふうに思います。

 御存じのように、やはり保育にかかわる料金といいましょうか、保育所を建てたり、土地を買ったり、あるいは保母さんを雇ったりして、そして一定程度の基準もありますから、それを維持していこうとすれば、一人当たり、地域によっては十万円かかるところもあるし、四万円かかるところもあるし、一人の保育児に対して。だから、このことを、もちろん保育所に通わないたくさんの国民の皆さんもおられるし、そういう状況の中で税金を投入しているわけですから、一律ということは非常にいいんだけれども、やはりそれなりの負担というのか、をすることによってまた次の人たちが入所できる、そういう条件もつくっていかなきゃならないということで、いわゆる実際にかかった保育の費用を基礎として、保育料を徴収した場合の家計に与える影響をしっかりと考慮して、そして児童の年齢等に応じて定めておるということで、その点はぜひひとつ、また全体が、さらに保育所の社会的な意義というものを理解しながら、そういう形で維持できるような感じで今は来ておるということを理解していただきたい、このように思います。

青木委員 うちの方の地元のお母さんの声を聞きますと、やはりどうしても働いた分だけがそのまま本当に保育料にとられてしまうぐらいの設定なんですよね。ですので、これは本当に何とかならないものかなというのは切実な声なんですけれども、ぜひその声はお聞き届けいただきたいと思います。

 本当に少子化に歯どめがきかないという理由に、この保育料の問題というのは本当に大きな問題だと私は考えています。お母さんの考えとしては、子供一人じゃかわいそうだから二人までは何とか産もうということで、でも三人となると今の環境ではとても無理だというところではないかと思います。今の保育料の設定では、言ってしまえば、もう子供を産むなと言っているくらいの料金設定ではないかと思います。

 女性がどんどん働いても、どんどん子供を産んでいけるような、そうした安心できる環境づくりが今となっては必須だと考えております。少子化を本当に憂うのであれば、私は、少々乱暴な言い方かもしれませんけれども、保育料を無料にするくらいのはっきりとしたわかりやすい政策を打たなければ、現状を打破できるとは到底考えられません。どうか、こうしたお母さん方の声を政策の方に反映してくださいますよう、心からお願い申し上げます。

 続きまして、もう一点。これはある市の、保育所を経営されている園長先生の声です。これも、やはり腑に落ちないなという声なんですけれども。認可保育所は保育単価という、何歳の子供一人入所につき幾らという措置費をいただいて運営しています。基本的には保育所はほかに収入はございませんので、この措置費で運営しているわけなんですけれども、その先生がおっしゃるのは、この保育単価が地域によって格差があるということです。特別区、特甲地区、甲地区、乙地区、丙地区と、五つの地区に分かれております。それぞれ保育単価が違います。

 この保育単価の半分以上は人件費、そのほか、子供にかかわる保育材料費、給食費などに使われているわけなんですけれども、保育士の仕事は、子供の命を預かる仕事ですから、神経も使いますし、赤ん坊をおぶえば腰も痛めます。その労力というものは決して地域によって異なるものではないと考えますけれども、この点につきましてどのような御認識をお持ちなのか、お尋ねいたします。

伍藤政府参考人 お尋ねの保育単価と申しますのは、市町村から保育所に児童一人当たりの費用としてお支払いするものでございますが、その積算の基礎になっておりますのは、保育所でどれぐらい費用がかかるかということでございまして、保育所の費用は、先生御指摘のように、人件費が大体七五%ぐらいでございます。その人件費をどういうふうにそれぞれの保護者に負担をしていただくかということで割り戻して保育単価というのを設定しているわけでございますので、この人件費をどう積算するかというところにかかってくるわけでありますが、この人件費を考えますときに、一応私ども、保育士の人件費を、国家公務員の給与が大体全国を五地域に分けて、それぞれの地域の必要経費といいますか生活費等を勘案して設定をされておりますので、それと同様の考え方で、例えば東京都の特別区が一番人件費の高い地域ということで設定をいたしまして、五区分にして、それをその費用として設定をしておるところでございまして、そういった実情からいたしますと、こういった地域区分に基づいて保育単価を設定しておるということも、実態を反映した合理的な措置ではないかなというふうに私どもは考えているわけでございます。

青木委員 この保育単価には、人件費のほかに、保育にかかわる費用も当然含まれているわけで、それは子供にかかわる費用なわけですけれども、同じ子供でありながら保育単価に差があるのはおかしいという、そうした現場の声があることはお届けしておきたいと思います。

 それでは、これから本題に入らせていただきます。

 こうした厳しい、まだいろいろな問題点を含む保育現場なんですけれども、今回、なぜ公立保育所の一般財源化という改正を行ったのか、まずその点についてお伺いいたします。

伍藤政府参考人 公立保育所の問題につきましては、保育所の中でも公立ということで、これは自治体がそれぞれの議会の議決に基づいて、条例により設置をしておるものでございます。こういった性格にかんがみまして、自治体みずからが設置、運営する施設でございますから、みずから財源をすべて負担していただくということも一つの理にかなった方法ではないかなということで、公立保育所については一般財源化をするということにしたわけでございます。

 そういった観点から、必要な財政措置を講じて、きちっとした形で財源移譲いたしますれば、当然のことながら、みずからの責任で運営をしていただけるというふうに私どもは考えまして、公立保育所について一般財源化をしたものでございます。

 みずから設置、運営するものについてみずからが負担をするということが、大きな流れであります地方分権とかあるいは自治といったものにもある程度かなった方向の決定ではないかなというふうに考えておるところでございます。

青木委員 ある役所の課長さんは、地方自治、分権は好ましいことではあるけれども、財源措置をしっかりしていただきたいということをおっしゃっていました。まだ詳細が全然わからなくて、不安を抱えているということであります。恐らく二割カットぐらいの財源になるのではないかという予測を立てられておりまして、保育水準を維持するために地方自治体の独自財源で措置する以外になくて、財源対策に今から頭を痛めているという声もございます。

 また、市民の皆さんには、こうした政策によりまして、また保育料の値上げにつながるのではないかという心配の声がございます。財政が厳しい市町村では、運営費の一般財源化は保育料アップの要因になると当然考えられています。実際、保育料の値上げをしているところも出てきております。このような状況について、どのようにお感じになっておられますでしょうか。

伍藤政府参考人 保育所の利用料につきましてでございますが、一応、これまでは、国が定める保育所徴収金基準額表というものがございますが、これを踏まえて各自治体が、家計に与える影響などを考慮して、それぞれ独自に条例で定めてきておるものでございます。

 公立保育所について、これが一般財源化された後にどうなるかということでございますが、これは、先ほど申し上げましたように、適切な財源措置がなされるということを前提に考えますと、一般財源化された後に保育料が上がる、上げざるを得ないということはないと思っておりますし、民間保育所についての先ほど言いました保育所の徴収金基準表というのは、引き続き今後とも存続するわけでありますから、これを一応参考に各自治体で保育料を設定していただくということに事実上はなろうかと思いますので、そういったことからいたしますと、今回の一般財源化を機に保育料の水準が大きく変動するということはまずないというふうに考えております。そういった観点から、保育水準の低下といったようなことにつながるというようなことはないものというふうに考えております。

青木委員 しかし、実際、保育料がもう既に上がっているところが千葉県の中でもございます。これまでも、やはり、国の基準よりも、お母様方の声に合わせて、市町村が補てんをしまして、少し保育料を下げているような状況で今までもやってきていまして、このような状態ではまたさらにそうしたところにしわ寄せが来るのではないかという声はございます。

 また、こういう、一般財源化することによりまして、今まで公立保育所でも土曜日も午後を開所したり、平日も夜八時ごろまであけたりという、そういった努力をしているところもありまして、今の保護者のさまざまな延長保育ですとか休日保育といった保育ニーズに合わせてそうした体制を整えてきているところもあるんですけれども、まずこうした特別保育サービス、プラスアルファの部分、そういったサービスの低下が懸念されているんですけれども、その辺についてはどうなんでしょうか。よろしくお願いします。

坂口国務大臣 一般財源化をするということは、これは、各自治体も御希望のことでありまして、どうしてもやはり、そこはそういうふうにしてほしいというふうに皆さん方も強い願望をお持ちになっている、そこに財源をどう配分するか、財源をどう自由に使えるようにするかということがもう一つ大事な論点だというふうに思っております。

 ことしスタートでありますから、多少試行錯誤のところもございますけれども、しかし、この保育に関しましては、先日も総務省の方から御答弁いただきましたとおり、この譲与税というものをつくっていただいて、そして、それで保育の財源は確保できるようにしている、優先的に確保できるようにしている、こういうお話がありまして、私もそこは心配をしながらこの一般財源化に踏み切ったわけでありますけれども、そこのところは私は総務省のお話を信頼申し上げておるところでございます。

 したがいまして、それぞれの地域でさまざまな保育に対する取り組み、他の市町村ではやっていないようなことをやったりといったような特徴あるやり方というのをおやりいただいているところが確かにあるわけでありまして、私は、そうした自由度ということがこれからもふえていくということが一番好ましいことだというふうに思っております。

 したがいまして、そういう自由度が大きくなるような方法をこれから我々も模索していかなければならない、そういうお手伝いをしていかなければならない、そう思っているところでございまして、恐らく、この一年間あるいは一年半の間に今後の財政的な問題につきましてもさらに一層明確化されていくものと思っております。

青木委員 地域の実情に合ったというのは、私も一方では大変いいことだとは思うんですけれども、財源をどういうふうに確保できるかという、確かにそういった不安がありまして、こういう保育ですとか教育ですとか、そういう子供にかかわることですので、なぜこの保育に関係するところ、教育に関係するところから一般財源化が始められたのかなというところが私の考えとしてはございます。

 保育所に入所している子供たちには、健常児だけではなくて障害を持ったお子さんもいらっしゃいます。そういったお子さんが、今後、養護施設の方に預けられてしまうのではないかという声もございます。障害を持つ子供は、やはり健常児と一緒に生活させることが大事であります。手間暇のかかるというか、そうした子供を受け入れる余裕がなくなるのではないかという現場の声があります。現場でも、そうした子供たちへのかかわりというのを自分たちの課題として一生懸命取り組んでいるところもございますので、何かこういう、赤字とか黒字とか、そういう財政的なもので判断するところではない部分のような気がしておりまして、そうした教育、保育の理念というのがどこへ行ってしまうのかなという懸念の声がございます。

 地方分権と言いながらも、やはり財源カットにすぎないのではないか、少子化対策推進の流れに逆行しているのではないかと思われます。

 平成十五年七月に次世代育成支援対策推進法が成立しまして、市町村は十カ年の子育て支援の行動計画の策定が義務づけられました。今各市町村の職員の方々は、大規模なアンケート調査を行うなどして、この行動計画を立てるべく頑張っておられますが、保育というのは次世代育成の根幹であります。市町村にこうした計画を策定しろと言っておきながら、同じ時期に、予測されます財源カットというのはどういうことなのかという声もございます。これに関しましては、どのようにお答えいただけますでしょうか。

伍藤政府参考人 次世代の行動計画、十六年度末までに策定をすることになっておりまして、現在各市町村ではどういった項目を盛り込んだらいいかといったことを住民からニーズ調査を今やっておるところでございます。作業はおおむね順調にいっているように聞いておりますが、その中で、私ども、こういった事業はどうかということを十四事業ということでモデル的にお示しをしておりますが、それは国庫補助がついたような事業もありますし、そうでないものもあるわけであります。それから、そういった事業以外にも、各市町村で独自に単独事業で取り組んでいただきたい施策もいろいろあろうかと思います。

 そういったことで、必ずしも国庫補助がついている事業をこの計画の中で推進するという趣旨ではございませんので、それは、それぞれの事業の性格に応じて、国庫負担がついておったり、地方が独自にやったり、いろんな形のものがあるわけでありますが、ここで期待しております地方の行動計画といいますのは、そういったことも含めて総合的に市町村で何をやるべきかということを御判断いただきたいということでございまして、例えば、NPOの活動をその中に盛り込むとか、あるいは子育てにシニアの経験とかそういうものを生かす、ボランティアのことを取り込むといったようなことも十分期待されるわけでありますが、そういった総合的に地域の総合力を生かしたような計画をぜひおつくりいただきたいというようなことを期待しているわけでありますので、財源措置の問題とこの公立保育所が一般財源化されたということが、この市町村の行動計画に、直接その意欲に水を差すというようなことにはならないように私どもはしたいと思いますし、そもそも計画というのはそういうことを期待しておるわけでありますから、財源措置ということは全く関係ないものではございませんが、そういった全体の状況を踏まえて、その地域に応じた計画をぜひおつくりいただきたいというふうに考えているところでございます。

青木委員 市町村の方でもいろいろな御意見はあるかとは思いますけれども、口は出してお金は出さないといいますか、そういったふうに感じておられる方もたくさんいらっしゃいます。

 今後、十六年度、十七年度、十八年度で四兆円カットと聞いていますけれども、この先、また民間保育所にもこうした政策が及ぶのではないかという不安の声もございます。今後、この保育に関しましてどのような見通しを持っておられるのかを教えてください。

坂口国務大臣 今回の一般財源化の中でも、私立の保育所の問題、どうするかという話が問題になったことは事実でございます。

 いろいろの議論がございましたけれども、結論といたしましては、私立の保育所と、それから公的な保育所との間には、経営主体が全く違うわけでありますし、そこにおのずから違いがある。公的な保育所は、お勤めになっている皆さん方も公務員の皆さん方でございますし、人件費というものも安定している。そうした中で、私立の保育所の皆さん方というのは、現在でもなお厳しい財政の中で非常に健闘していただいている。そうした全体の状況を考えますと、私立の保育所にこの範囲を拡大することは望ましくない、こういう結論に達したわけでありまして、今後も、ここを拡大していくという気持ちは全くありません。

青木委員 数年前ですけれども、少子化対策としまして各認可の保育所に数百万円からの一時金がおりました。ありがたい話でもあるんですけれども、あるところではそれが事務机になったり滑り台になったりとしたそうなんですけれども、とてもそれが少子化対策につながったとは考えられないというのが現場の声であります。そうした一時的なことに予算を使うのではなくて、もっと本当に少子化対策につながるような政策を考えるべきだと思います。

 厚生労働省の平成十五年度予算を見ますと、社会保障関係費十八兆八千二百九十一億円のうち保育所運営費は四千二百二十億円で、全体の二・二%です。平成十六年度は、この一般財源化によりましてさらに減りまして、一・四%となりました。子育ての環境は決して恵まれてはいません。先ほど言いました保育料の無料化というのも、決して現実味のない話だとは言い切れないと感じています。保育料は、保育所運営費の約半分を保護者が負担するという計算で設定されています。市町村それから県の負担金も考えて、その倍の倍と考えても、ほかにかかわる費用に比べたらまだまだ子育てに関するこの予算というのは少ないと思いますので、保育料無料といかなくても、もっとお母さんの声に近づけることはできるのではないかと考えております。

 何か目の覚めるような、この今の空気をがらっと変えるような、本当にわかりやすい、はっきりとした政策を打つことで少子化に歯どめをかけていかなければならないと本当に考えております。こうした可能性についてお聞かせください。

坂口国務大臣 社会保障費の中で高齢者の方に多くの財源が使われていることだけは、これはもう紛れもない事実でございまして、よく言われますように、社会保障給付費の中で約七〇%は高齢者に使われている、そして乳幼児を初めといたしました児童に対しましては数%の段階にとどまっている、そんなことがよく言われるわけでございます。これは統計のとり方その他にもよりましていろいろの数字が出てまいりますけれども、全体として見れば、いわゆる高齢者の方を非常にきめ細かく今までやってきたということは事実でございます。

 初めにも申しましたとおり、子育ての社会化ということがだんだんと進んでまいりましたし、これからさらに進むんだろうというふうに思っております。その中で、どのように財源を確保していくかという問題が大きな問題になってまいります。国全体といたしましても、それじゃ高齢者の問題は今までどおりに置いておいて、乳幼児や児童のところをさらにここを大きく拡大していくということもなかなか困難な問題でございます。全体として、この乳幼児のところの財源をどう確保していくかということでございます。この数年でございますけれども、この分野が今までほとんどなかったところがかなりふえてきたことは事実でございますし、今後、またここは今まで以上に充実をされていくものというふうに思っております。

 その財源を含めまして、いよいよ本格的に、この社会保障全体の中で子育てをどう位置づけ、そしてその財源を確保するかということの議論、いよいよ本格化するというふうに思っておりまして、この一、二年というのは、そうしたことに対する一つの結論を出す時期に来ているのではないかというふうに考えている次第でございます。

青木委員 高齢者の方々への手当ても確かに大事かとは思われますけれども、保育とか教育、こうした子供政策をむしろ手厚くすることが、いずれ経済の活性化、また高齢者の方々を支える力にもつながっていくのではないかと考えます。今後もまた、地域の生活者の声に耳を傾けて、積極的に真摯に耳を傾けてくださいますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時三十八分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十一分開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山井和則君。

山井委員 十一時二十分ぐらいまで四十分間、児童福祉法等の改正について質問をさせていただきます。

 坂口大臣におかれましては、参議院とかけ持ちで大変かとは思いますが、また質問も多いですが、どうかよろしくお願いをいたします。

 また、先ほど朝九時からの青木愛議員の質問と多少重なるところがありますので、その重なるところはカットさせてもらいながら質問をさせていただきます。

 坂口大臣、今回の児童福祉法等の改正に関して、大多数の自治体が怒っております。政府の地方分権のかけ声とは正反対の、地方いじめの今回の法改正には、政府は地方分権で言っていることとやっていることが正反対ではないかという怒りが非常に高まっております。このような地方の声を最初に申し上げまして、私の質問では、順を追って、先日、公立保育所や地元の役所を回ってまいりましたので、その現場の声、いや、悲鳴を伝えたいと思います。

 私たち民主党は、国から地方への補助金を減らし、地方の財源を一般財源化することを主張しております。そして、地域のことは地域で決めることができる、地域主権の分権社会の確立を目指しております。しかし、今回の公立保育所などの国庫負担金をなくすということは、それに見合う税源の移譲が全く十分ではありません。これでは、地方自治体が地方分権に逆行していると怒るのも当然であります。

 そこで、まず最初に、坂口大臣に改めてお伺いをしたいと思っております。

 先ほどの青木議員の質問にもございましたが、本当に今回のこの法改正で地方自治体の自由度がふえると考えておられるのか。本当にこれは地方分権になっているのか。単なる財源の切り下げではないか。この件について、坂口大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 全体の話としましては、地方自治体もできる限り自由度を持って地方で行えるようにしてほしいということは、これはもう大体一致しているだろうというふうに思います。その中でも、地方としては、自分たちがやりたいもの、欲しいもの、それからやはりもらいたくないもの、これはそれぞれ地方自治体もあるというふうに私は思っております。

 知事会、あるいはまた政令指定都市の市長会、それから一般市長会、それぞれが、これは欲しい、これは遠慮しておくというものをマル・ペケで出しておみえになるわけでありますけれども、その中で三者が一致しておりましたのはこの保育の問題でありまして、ここはやってもいいという御意思はお持ちなんだろう。財源の問題は別にしまして、やるという意思につきましては、やはり自分たちの裁量と申しますか、地域に合った自由度を持ってやりたいというふうにお考えになっていることは事実なんだろうと思います。

 さて、次の財源の問題でございますけれども、これは、今までやっておりましたが、そのとおりに地方に額が行くということになりますと、地方としましては一番望ましい、あるいはまた、もう少しふやしてもらえればもっといい、こういうことになるのだろうと思うんですが、国も地方も大きな財政難を抱えておりますときに、これを再建もしていかなきゃならない。その再建のところをどういうふうに今後スケジュールに乗せていくかということもあわせて、いわゆる地方分権の問題は考えていかざるを得ないんだろうというふうに思っております。

 しかし、その中で、この公的保育所の問題につきましては、総務省の方も非常に気を使っていただいて、所得譲与税というものをそこに充てるということにして、そして、私はかなり総務省の皆さんともお話をいたしておりますけれども、ここは優先的に使用するということをかなり強調して言っていただいておりますから、私は、そんな大きな穴があくということはなくここはやっていけるんだろうというふうに思っている次第でございます。

 そうした中で、自由度がどれだけふえるかという話でございますけれども、これから先、保育所と幼稚園を一体化していくというような話もございますし、それぞれの地方におきましては、土曜や日曜の話もあったり、さまざまな問題が起こっているわけでございますから、そうした中で、おやりをいただけることはかなりふえていくのではないか。それぞれの地域の特徴を出していただくことはでき得る。運営費等につきましても、より細かく、こちらがこれは何と何にというふうに非常に細かく決めるというようなことをやっていたわけでございますけれども、その辺のところにも自由度が今後は増していくというふうに思っております。

山井委員 今、自由度についての答弁がありましたが、現場の保育所の方々、また役所の方々がおっしゃっているのは、財源の手当てが十分でない中でこの国庫負担金をなくすということで、本当にどうやって予算を獲得しようか、また切り詰めようか、その中で今までのサービスが低下するのではないかということで、まさに不自由度が増すという悲鳴を現場は上げておられるわけであります。

 いみじくも坂口大臣がおっしゃったように、財源のことは別としましてと、そうなんですね、確かに、国庫補助金をなくしていく方向というものに関しては地方自治体は賛成である。それは、でも、税源の移譲とセットなわけであります。そのことが不十分であるということが、この法改正の最大の問題であります。

 そこで、総務省にお伺いしたいと思います。

 そもそもの質問でありますが、三位一体改革の理念、自立や地方分権を推進するという理念に対して、今回、一兆円の補助金を削減したにもかかわらず税源移譲は四千億円余りである。これは大きな問題であると思っております。このことは、結果的には単なる国の財政難を地方自治体にツケ回したということにしかなっていない。逆に、地方分権どころか地方いじめであると考えております。

 地元の首長さんあるいは役所の方々も、税源を渡さないとだめだ、三位一体に全くなっていない、肝心の財源移譲は中途半端にして、地方交付税の大幅な削減を先行させている、分権型社会の創造や自主自立という理念が全くないという厳しい意見が出ております。

 これでは全く地方分権とは言えないと思います。総務省の見解をお伺いします。

瀧野政府参考人 今回の国庫補助負担金の見直しと税源移譲との関係についてのお尋ねでございます。

 平成十六年度におきまして、国庫補助負担金につきまして一兆円規模の廃止、縮減という見直しを行っているところでございますが、その中で、事業そのものを廃止、縮減するというものが四千二百億円程度あるわけでございます。これは、地方団体におきまして事業もしないわけでございますので、それについては負担のツケ回しということはないわけでございます。残りの六千億強につきまして、精査を行い、地方団体が義務的に引き続き行うものについては十割、あるいは、その中身を見直して行うものにつきましては八割というような一定の基準を設けまして、税源移譲を行うということにしておるわけでございます。

 我々といたしましては、そういった税源移譲の問題と、それから、交付税につきまして、一般財源が非常に厳しい状況になっているのではないかという問題はまた別途あるわけでございますけれども、それは、国庫補助金の見直しとはまた別に、国、地方を通じまして財政全体の健全化をしなきゃいけないという命題もあるわけでございます。

 そこら辺のところは、地方団体におきましてもなお財政の健全化に努力していただかなきゃいけないというふうに思いますが、全体の財源といたしましては、交付税の基準財政需要額の中にきちんと必要な経費を見込みまして、標準的な仕事につきましては地方公共団体ができますように、財源は確保したつもりでございます。

 ただ、それはマクロでの話でございますので、個別の地方公共団体におきまして、財政が非常に厳しいというところも当然出てくる可能性がございますので、そこのところは、地域再生事業債等個別の手段で、個別に地方公共団体の皆様方のお話を聞いて対応していきたいというふうに考えております。

山井委員 小泉改革は、そもそも地方を軽視しているということで今までから指摘されておりましたけれども、地方軽視、さらに、こういう小さな、弱小の自治体をますます苦しめる改革であると思います。

 そこで、坂口大臣に改めてお伺いしたいと思いますが、これは青木議員の質問とも重なることですので、ちょっとまとめてお伺いをいたしますが、保育料の問題とサービスの質の問題であります。

 今までのこの法案に関する答弁を聞いておりますと、保育の質は落ちない、予算は確保している、財源不足は生じないという答弁のオンパレードなわけであります。しかし、大臣も地方自治体や保育所の現場に行かれればすぐにおわかりになると思いますが、現場の危機感は非常に強いものがあります。

 まず、先ほどの青木議員の指摘にもありましたように、ただでさえ保育料が非常に高い、そんな中で苦しんでおられる御家庭が非常に多い中で、今回の国庫負担金がなくなって財政が厳しくなる中で、保育料の値上げにつながるケースがふえるのではないか。もう実際、保育料を値上げし始めているところもあるということなんですね。

 このことに関して、坂口大臣、今後保育料は上がっていかないんだということをこの場でお約束していただけるでしょうか。

 同時に、現場の声は、財源が十分に担保されていない、ないそでは振れないという中で、予算が削られれば子供主体の保育はやっていけなくなる。保育料が高くなって、結局はサービスの質が低くなるだけじゃないか。保育のプロの正職員から臨時職員にかわっていく。それで、延長保育をやっているケースなどですと、朝の八時から晩の七時まで、一日に三人も四人もころころと保育士が入れかわるということもこれからどんどんふえてくるのではないか、そういうことは結局は子供にとっていいことではないのではないか。また、これからいろいろな、児童虐待の問題もふえてくる中で、家庭支援も充実させたい、そのためにはもっと保育士に研修も受けてほしい、親と一緒に子育てができるようにしたい。

 そういう現場の思いがある中で、今回の財源カットというのは非常に厳しい危機感を現場に与えております。具体的には、例えば特別保育対策について、公立保育所は、二七%が延長保育、一時保育が一一%、そして障害児保育は三三%されているわけであります。これも青木議員の質問と重なりますが、こういうふうな特別保育対策というものに関しても、今回の法改正を機に、結局こういうサービスを低下させるということになるのではないかという危機感が現場には非常に強いんですね。

 この二点、保育料の値上げがふえるのではないか、そして、サービスの質や労働条件が悪化するのではないかということに関して、責任者である坂口大臣、改めて明確な答弁をお願いしたいと思います。

坂口国務大臣 私はそういう心配をいたしておりません。

 保育所の利用料というのは、これは保育所徴収金基準額表というのがあるのはもう御承知のとおりでございまして、これにのっとって今までやっている、地方自治体はそれにのっとって条例をつくっていただくということをやってきたわけであります。私立の保育所は今までどおりこの基準でいくわけでありますから、もし仮に公的な保育所が、いや、うちだけは高くしますよというようなことになったら、お子さん方は私立の保育所に流れると私は思いますね。だから、現実問題としてそういうことはでき得ない。

 しかも、地域における市町村の保育所というのは、今までから、国が決めておりましたこと以上に、いろいろそこに上乗せをして拠出等もしていただいていた経緯もあるわけですね、御熱心なところによっては。ですから、そういう保育を大事にしていかなきゃならないということを市町村長さんが十分理解し、そして今後もやっていきたいというふうに思われるところは、私は全くそういうことはあり得ないというふうに思っております。

 保育の内容についてでございますけれども、例えば時間外の保育をする、あるいはまた休みのときの保育をする、こうしたことも今までお願いをしてまいりましたが、これは私立の保育所の方がより積極的にお取り組みをいただいてきたことの方が多いと私は思っております。

 したがいまして、そうしたことにこれから公的な保育所がどうお取り組みいただけるかといったことが大事なことでございまして、それこそこれは自由度の増してくることでございますから、そうした地域に合いましたサービスというものにお取り組みをいただけるものというふうに私は思っている次第でございます。

 先ほど総務省からもお話がございましたとおり、大枠での話は先ほどのとおりでございまして、それぞれの個々の市町村について、それぞれの人口構成の問題等で特徴がございましょう。そうしたところにつきましては、個々の市町村とよく御相談させていただいて対応するということを言っていただいているわけでありますから、もし仮にそういうところがあったとすれば、それは個々に御相談をひとつぜひしていただきたいというふうに思っております。

山井委員 保育料が上がる心配はしていないということでありますが、私は、残念ながらそれは現場の危機感と大きくずれていると言わざるを得ないと思います。現場ではそういう危機感が本当に高まっているわけであります。

 さらに、民間と公立が両方あったら公立だけ上げられないんじゃないかということに関しても、例えば公立保育所しかない自治体も当然あるわけであります。また、今まで単費の財源で上乗せサービスをやっているところもあるということですけれども、まさに今回の三位一体改革でこの保育財源が切り詰められている中で、それを縮小する方向に行くのではないか。自由度が高まるというのは、そういう、特別保育対策をふやす自由度が高まるのではなくて、減らす自由度が高まってしまうのではないかというふうに思っております。

 それで、心配をしておられないということですが、今の発言は私は非常に重いと思うんです。改めてお伺いしますが、保育料が値上げになる、あるいはサービスの質が低下する、労働条件が悪化する、そういうことはなかろうというふうに大臣は思われますでしょうか。短くて結構ですので。

坂口国務大臣 私はそう思っておりますが、私だけが答えておりましては十分に納得できないということでございましたら、もう一度総務省の方にひとつお聞きをいただきたいと思います。

山井委員 私は、ある意味で坂口大臣の期待だと思うんですね。頑張っているところは頑張ってくれるというようなことであって、しかし、一般の自治体ではなかなかこれは厳しい。

 先ほど後ろで、伍藤局長のお顔を拝見しておりましたら、坂口大臣の答弁を聞きながら、ううん苦しいなという顔をされておられました。やはり内心では、これはよくなる自由度より悪くなる自由度が大きいなと。だから、悪くはなりませんということをこの場で堂々と言えない。本当だったら、胸を張って、よくなる改革ですよということを言っていただきたいわけですが、そうではないわけですね。ですからこそ、私たちも賛成ができないわけです。

 また、このことに関しては、時期の問題、予算編成がもう大詰めになっている年末になって急にこういう改革を持ち出してくる、そしてまた地方交付税の額が決まるのも年明けということも、まさに地方軽視であると思います。

 総務省に改めてお伺いしたいと思います。

 例えば、特に小さな自治体にとっては、今回の改革は非常に厳しいものがあって、ある自治体では、この公立保育所に対する国の補助金が九千万円だったのが三千万円になった、六千万円カットされた、そして交付税は六千万円も全然ふえていないという現実があるわけです。

 これに関しては総務省の答弁は、保育に関しては基準財政需要額と所得譲与税の中でしっかりと担保しているという答弁になるんではないかと思いますが、実際、今回の地方交付税の計算で削減された人件費の部分についても、すぐに職員の数を減らすわけにもいきませんし、また、公共事業の単独事業のカットの部分に関しても、長期計画でやっている部分もあって、急に減らすことは困難なわけですね。

 結果としては、お金には色がないわけですから、計算上減らした総務省が考えている部分は減らず、結局はこの保育の財源にしわ寄せが行くんではないかと思っております。結局、要は子供にしわ寄せが行く、国の失政のしわ寄せが地方に回って子供に回るだけというふうに思います。さらに、大都市は税収も多いので何とか吸収できる面もあるかと思いますが、税収が少ない小さな都市や田舎は大変だと思います。

 この件に関して総務省にお伺いしたいと思いますが、時間にも限りがありますので、もう一個、まとめて総務省にお伺いします。

 これも質問通告しておりますが、こんな中で、合併を推進する合併関連三法案も提出されまして、三位一体改革とも相まって、今までかなり地方交付税に多くを頼っていた弱小自治体は、非常に苦しくなってくると思います。地方交付税が減らされたり段階補正が変わる中で、小さな自治体は致命的な打撃を今受けているわけです。

 そこで質問なんですが、それによって合併していったらいいじゃないかというのが総務省のお考えだと思いますが、確かに、合併したらいいという意見もあるかもしれませんし、実際、私の知るある小さな自治体では、合併したいということで町を挙げて合併のために動き出しているにもかかわらず、ほかの自治体がなかなかうんと言わないというケースもあるわけですね。だから、合併にノーと言っている小さな自治体と、合併のために動いているけれどもそれがうまくいかないという自治体とは、ある意味で、段階補正や地方交付税の削減などに関しても多少の配慮や差をつけるべきではないかと私は思うんです。

 質問が多くなりましたが、まとめて答弁をお願いします。

瀧野政府参考人 まず、今回の国庫補助負担金の見直しに伴います所得譲与税等の配分があったといたしましても、そういったものに差が出て十分な財源が補てんできないのではないかというようなお話でございますが、そこら辺のところは、私ども、交付税の算定上、きちんと必要な需要を需要額の中に入れまして算定しようというふうに思っておりますし、そのために、保育対象人員につきましてきちんと把握をいたしまして、密度補正という形で市町村ごとに応じた算定をしたいというふうに思っております。

 交付税総額が減っている中で、そうはいっても厳しい状況になるではないかという御懸念かというふうに思いますが、実際、公共事業等につきましては、地方財政計画等で見込んでおります額に対しまして、現在、地方公共団体が実施しております地方単独事業の額というのは相当下回っておるという実態もございます。そういう面で計画額の見直しをせざるを得ない、その中で交付税の縮減をせざるを得ないということでございますが、そういった公共事業等あるいは人件費の縮減等とこういう保育所の問題とを、我々としては算定上はきちんと峻別をしてやっていきたい、必要なものはきちんと算入していくというふうに考えておるわけでございます。

 それから、そうはいいましても、小さな合併できないような厳しい団体はどういうことになるのかという御懸念でございますが、我々、段階補正等、合併との関係でいろいろなことをしておりますけれども、それはあくまでも合併をする団体に対しましてインセンティブを与えていこうということでございまして、合併をしないからといって交付税でむちをもって締めつけるというふうなことはしておりません。あくまでも合併は自主的な合併という中でございますので、合併できないという団体におきましても標準的な行政ができますように、きちんと財源手当ては交付税等を通じましてやっていきたいというふうに考えております。

山井委員 実際、この三位一体改革や地方交付税の見直しの中で、小さな自治体は財政的に本当にやっていけないという厳しい危機感を迎えているわけであります。それに対して、今の答弁というのは、国としての言い分であって、地方自治体の現場の切実な状況と大いに食い違うと私は思います。

 そこで、正直言いまして、去年、ことしと、こういう議論が委員会で実は多いんですね。一般財源化する、サービスが落ちませんか、大丈夫です、財源を確保してありますから大丈夫です、こんなやりとりをここ一、二年ばかりこの委員会でも実はやっているわけです。

 そこで、私、一つ、去年のちょうど今ごろも同じ質問をしたんですね、そのことでお伺いしたいと思います。これも坂口大臣にお願いしたいと思います。

 実は、去年の今ごろ、要は、年末に、市町村障害者生活支援事業及び障害児(者)地域療育等支援事業という、障害のある方々が地域で暮らすためのコーディネーター事業が急に一般財源化されて大問題になった。それで、百人以上の障害者の方々が厚生労働省の前に座り込みをされたということがあったわけですね。このことは坂口大臣も御記憶かと思います。

 そんな中で、私も、これは一般財源化されて大丈夫なんですかということを質問させていただきました。そうすると、一般財源化されたがどういうことかという私の質問に対しまして坂口大臣は、こういう事業は今まで特定の市町村がおやりいただいていた、それで、これからやってもらえる市町村をだんだんふやしていこうという趣旨で一般財源化したという答弁をされているわけなんですね。

 あれから一年がたちました。この趣旨どおり、その市町村の数がどれだけふえているのかということについて、坂口大臣に答弁をお願いします。

坂口国務大臣 これは実際の数字でございますから、数字を申し上げる以外にないわけでございますが、市町村障害者生活支援事業と、それから障害者あるいは障害児地域療育等支援事業、これにつきまして一般財源化を行ったわけでございますが、市町村障害者生活支援事業につきましては、前年度から七十二カ所ふえまして三百七十四カ所になっております。それから、障害児(者)地域療育等支援事業につきましては、前年から六十六カ所ふえまして五百三十六カ所になっているということでございます。

 平成十六年の実施予定を調査いたしておりますが、今のところ集まってきております数を申し上げますと、これは市町村障害者の方でございますが、対前年度二十四カ所、それから障害児の方につきましては四十四カ所増で、増加の予定となっております。

山井委員 要は、私が言いたいのは、一般財源化で伸び率が鈍っているじゃないですかということなんですよね。一般財源化してより多くの自治体ができるようにという厚生労働省の一年前の説明と逆じゃないですか。

 例えば、この表を見てもらうとわかりますように、まず、市町村障害者生活支援事業、平成十一年、十二年と何パーセントの伸びで伸びているかと私計算したら、十二年にかけては四六%伸びて、十三年に対して三四%伸びて、十四年度に対して四〇%伸びて、十五年に対して二四%と、どんどんどんどん伸びているわけです。ところが、一般財源化された今年度においては六%の伸びしかしていないわけですよ。要は、この事業の普及にブレーキがかかっているんじゃないですか。推進じゃなくて、ブレーキじゃないですか、一般財源化は。

 それと、もう一つの療育支援等の事業に関しても、十二年度、十三年度でいくと、十二年度に向かって二九%ふえて、十三年度に向かって二九%ふえて、十四年度に向かって二一%ふえて、十五年度に向かって一四%ふえて、そして一般財源化されたら八%の伸びと。

 要は、このことから考えたら、一般財源化というのはやはり財政を切り詰めるということに、厚生労働省の見解、総務省の見解は財源をつけていますといっても、実際の自治体に関してはこういう現状になるということなんですね。これと同じことが保育に関しても起こるんじゃないでしょうか。坂口大臣、いかがですか。

坂口国務大臣 全体の市町村の数というのは決まっているわけでありますから、だんだんとふえていく率というのは、それは上限があるわけですから、そんなに突き抜けてふえていくわけでは決してありません。

 ですから、そこは若干カーブは描いてくるというふうに思いますが、しかし、ふえていることは紛れもない事実でございますし、そして、各都道府県あるいは市町村におきまして、やはり障害者の問題を考えていかなきゃならない、そういう雰囲気が全体に広がったことは事実でございますし、今までおやりになっていなかったところが、これはやはり自分のところもやらなきゃならないというお気持ちになっていただいていることは、もう事実だと思うんです。

 ただ、そこを正式に立ち上げるかどうかということについては、例えば市町村長さんのお考え方にもよると思いますし、地域のお考え方にもよるというふうに思いますけれども、全体として伸びていることだけは間違いがございませんし、私は、これからも伸びていく。

 その中でどれだけの仕事ができるかということにつきましては、それはいろいろの御疑問もあろうと思いますし、また御不満もあるかもしれない。しかし、スタートをさせるということをちゅうちょするということには私はならない。これは、スタートをとにかくして、その中でそれをどう実現させていくかということになってくるんだと私は思います。

山井委員 ここは大事なところだからもうちょっと議論したいと思うんですが、伸びているとおっしゃっているわけですけれども、伸び率は鈍っているんですよ。

 ほかの聞き方をしましょう。一般財源化は伸び率を上げる効果があったと思われますか、伸び率を下げる効果があったと思われますか、大臣は。

坂口国務大臣 伸びているんです。伸びているんですが、市町村の数というのは決まっているわけでありますから、その中で新しくしていくというところは、最初のころはどんどんと手を挙げてくるところが多いということは事実でありまして、どういう施策を見ましてもだんだんと、伸びてはいきますけれども、伸び率はやはりなだらかになっていくというのはどのことでも見られるところでありまして、一般財源化したことによって伸び率が落ちたというふうには私は考えておりません。

 どこでもできるようにこれはなったわけでありますから、その内容、いわゆるその質はどの程度かということはあるというふうに思いますけれども、私は、やろうと思えばそれぞれの市町村がおやりいただけるわけでありますから、それはそれを抑制する要因になるとは考えておりません。

山井委員 ここはこれ以上議論はしませんが、これはもう客観的に見て、明らかに伸び率が鈍っているわけですよね。この事実は認めていただきたいと思います。

 それで、まさにこの障害者の地域の生活支援というのは重要なことで、伸び率鈍ったではだめで、本当はもっともっと伸ばしていかないとだめなことなんですよね。

 これに関連して、先日も中根議員が、障害児保育にかかわる三十二億円の補助金が一般財源化された、このことに関しても質問をされておられました。このことが全部普及のブレーキになっているんではないかという危機感を私たちは持っているわけですね。

 そこで、今の支援費のことについて、坂口大臣、改めてお伺いしたいんですが、先週金曜日の発言の中で坂口大臣は、今回はまだ一般財源化の始まりだ、今後もっともっと進んでくるだろうということをおっしゃっておられました、三位一体改革の中で。

 そこで、もう一歩踏み込みますと、じゃ、例えばこの障害者の支援費も、今後やはり一般財源化になる可能性というのはあるとお考えでしょうか。坂口大臣、通告ないですが、どうぞ。

坂口国務大臣 先日もお話し申し上げましたとおり、厚生労働省のいわゆる補助対象というのは全体の中で半分を占めているわけですね、トータルな話ですよ、トータルな話としましては、二十兆の中の半分を占めているわけですね。ですから、今後一般財源化を進めていくということになってくれば、この厚生労働省が抱えております範囲の中も、これは一般財源化に進めていかざるを得ない。これは、現在の政権がやりましても、民主党政権ができまして民主党政権がおやりになっても、ここは同じことだと思うんです。

 これはなかなか、御指摘いただきますように、国保であり、介護であり、生活保護であり、そして障害者の問題であり、そしてこの保育の問題であり、大体これで九五、六%を占めるわけであります。だから、その中でどこを順序をつけて拡大していくかということになってくるというふうに思います。

 今のところ、この検討はどうかというのは、生活保護をどうするかという問題が今俎上に上っておりますけれども、それ以上のものが今上っているわけではございません。現在のところはそれ以上はございませんが、来年の介護保険の問題等々と絡めまして、この障害者の問題というのはもう一度またそこで考えなきゃならないときが来るのではないかというふうに思っております。

山井委員 もう一言お伺いしたいんですが、今、こういう一般財源化ということが障害者福祉にも及ぶ可能性を否定はされませんでした。私も心配しておりますのは、やはり、障害者福祉も将来的にこういうことの直撃を受けるんではないかという心配を持っております。

 そこで、もしこの支援費制度、障害者福祉に関して一般財源化されたときに、障害者福祉あるいは支援費制度というのはもつんでしょうか。坂口大臣、いかがですか。坂口大臣、どうぞ。続きの質問ですので。

坂口国務大臣 もつかもたないかという話ではなくて、これは地方にゆだねるべき問題かどうかということを中心にして考えるんだろうというふうに思います。

 今の御懸念は、財政上の問題が大丈夫かという話になるわけだと思うんですね。そこのところを今までどおり一般財源の中でやっていくか、それとも何らかの保険制度の中でそれは見ていくか、あるいはまた、障害者の問題につきましては特別な税制というものを考えていくか、それは私は考え方はいろいろあるんだろうというふうに思っております。

 それらの点を整理を少ししなきゃいけない。いつか申しましたとおり、保険でということになりますと、いわゆる企業で、経営者とそこに働く人たちにすべておんぶにだっこしてしまうということになってしまう。それはすべてそこにしていいのかという疑問も確かにあるわけですよ。やはり、職域連帯でお願いをしなきゃならないものと、そうでないものとの区分というものも必要になるわけでございますから、すべてのことを今までのいわゆる介護なら介護の保険制度の中だけでやっていくということができるかどうかといった議論もあると思いますから、よくそこは議論をして決めなきゃならない問題だというふうに思っております。

山井委員 時間がもうそろそろ来ますので、最後に森副大臣にもお伺いしたいんですが、ちょっと時間がなくなりましたので、まず一つ指摘の説明をさせてもらいたいんですが、介護保険の認定の事務費も一般財源化されまして、これに関して意見だけ言っておきますと、こういう全く自由度がないものを一般財源化するのは、本当に国の財源の足りないもののツケ回しにすぎない、そういう非常に厳しい意見が地方自治体から出ております。これについては、もう答弁は結構です、時間が余りありませんので。

 最後に、私の住んでいる京都は今、鳥インフルエンザで非常に大きな問題になっておりまして、このことに関して、月曜日に私たち民主党は、高病原性鳥インフルエンザ緊急措置法案というのを民主党の案として出すことを決めました。

 その中で、厚生労働省に関することについて森副大臣にお伺いしたいんですが、人への感染の可能性というのは当然低いと言われておりますが、やはり万が一のケースを想定して、人に対するワクチン開発を行っていく必要性があります。その現状、それと、人に感染した場合、どのような症状が出るのか、そして、どのような対応をとるのか、そのことについて、森副大臣、最後に答弁をお願いします。

森副大臣 今、山井委員からお話がありましたとおり、この鳥インフルエンザに関しては、人への感染の可能性というのは非常に薄いわけでありますし、また、これまでベトナムとかタイとかで三十四例、鳥から人に感染した事例がございますけれども、これはすごい濃厚接触した人ばかりだということを、あらかじめ念のために申し上げておきたいと思います。

 さはさりながら、これはおさおさ油断するわけにはいきませんので、今、鋭意そのワクチンの開発に取り組んでおります。これは、鳥インフルエンザが人にうつって、そこでまた変異をして、またその次に人にうつる場合に備えてのワクチンでございますけれども、WHOの主導のもとで、ベトナムの感染者の検体から分離されたウイルスを用いまして、国立感染症研究所を含む世界四研究機関において、弱毒化ワクチン株、すなわち毒性の弱いワクチンの種というか株をつくるための研究開発を今行っているところでございます。

 まだ実際にはその開発に成功したわけではございませんけれども、その四研究機関で同時並行的に行っておりまして、また、その完成までには、安全性、有効性などを確認する必要があるので、やはりどうしても一定の時間を要するということは避けられません。そんなことで、厚生労働省としては、開発の期間をできる限り短縮できるように督励をしているところでございます。

 また、もう一つありました、どういった症状が出るのかということでありますけれども、WHOがベトナムの症例を公表しております。これによりますと、三十八度以上の発熱、息切れ、せきなどが主な症状でありまして、すべての患者にリンパ球減少と胸部レントゲンで異常が認められるということでございます。

 これは一般のインフルエンザと大体同じようなことでもって、普通の専門家のお医者さんが診れば、いろいろな、鳥インフルエンザが起こる可能性のある人とか、そういう諸条件を勘案すれば判断ができるもので、かつ迅速診断キットで判定ができるということでございます。

山井委員 もう時間が終わりましたので質問を終わりますが、最後に一言申し上げます。

 私、この審議を通じて痛感するのは、質問をしても、財源は確保されている、一般財源化でサービスはよくなるんだ、ふえるんだと言うことは、私は正直言って、現場や地方自治体に対して非常に不誠実だと思うんですね。それよりも、はっきりと、国も財源が厳しいから、財源はちょっと減るかもしれないけれども頑張ってくれ、そういう、ある意味でメッセージを政府が出される方が、私はより本当だと思います。そういうことをしないで、財源はつけたからあとは自治体の責任だということを、実際には財源が足りないにもかかわらず言っている、そのこと自体が、現場や地方自治体に対する政治不信を招いていると私は思います。

 以上で質問を終わります。

衛藤委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 まず初めに、今回の児童福祉法等の一部改正にかかわる国庫補助負担金で、一般財源化される金額について、それぞれの項目について示していただきたいと思います。

伍藤政府参考人 今回の改正法案による一般財源化の額でございますが、まず公立保育所運営費の一般財源化として千六百六十一億円、それから各種法施行事務費の一般財源化として四百二十六億円、合計二千八十七億円ということでございます。

 この法施行事務費の内訳でございますが、介護保険法の施行事務費が三百五億円、それから国民健康保険法の施行事務費、これは介護納付金にかかわるものでございますが、これが十二億円、それから児童扶養手当法の施行事務費が二十二億円、それから児童手当法の施行事務費が八十七億円というふうになっております。

山口(富)委員 今幾つか挙げられましたが、この中でも、例えば児童扶養手当や児童手当の支給に関する事務費というのは、子供の健やかな成長や子育て支援への実施に当たって欠かせないものである。しかも、介護保険法にかかわるものについて言いますと、これは、法が実施された時期に市町村への負担を減らすということで設けられたものであって、これを今度は一般財源化していくという方向をとるというのは、私は、地方に対する配慮どころか、全くそれがないという措置と言わざるを得ないと思うんです。

 特に、今回大きな批判を浴びているのが公立保育所運営費の一般財源化の問題なんですけれども、確認しておきたいんですが、公立、民間を含めて今全国に保育所が幾つあるのか、そして、今度の法改正にかかわって補助金の廃止の対象となっている保育園は幾つあるのか、数で示していただきたい。

伍藤政府参考人 全国のいわゆる認可保育所の数でございますが、平成十五年四月一日現在で、全国で施設の数が二万二千三百五十五カ所でございます。そのうち、今回一般財源化の対象になりますいわゆる公営保育所、公立の保育所、これが一万二千二百五十五カ所という状況になっております。

山口(富)委員 となりますと、全国の今ある保育園の大体五五%がこの補助金の問題では対象になっていくということになると思うんです。

 それで、私、坂口大臣に答弁願いたいんですが、児童福祉法では、国は、地方自治体、児童の保護者とともに、第二条でこう規定されております、「児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」と。これが一般に公的責任と言われる問題ですけれども、今回の措置というのは、この児童福祉法でうたっております公的責任について、財政の面からこれを後退させることになるんじゃありませんか。

坂口国務大臣 児童福祉法第二十四条のお話が出ましたが、その内容は御指摘をいただいたとおりでございます。

 今回出しますものは、先ほどから申しておりますように、地方の自由度をふやしていただけるように今後どうしていくか、これは国も知恵を絞らなければなりませんけれども、地方も知恵を絞っていただかなければならない問題だと思います。そうしないと自由度というのは上がってこない。この自由度をどうするかということを、国の方がこれをしろあれをしろと言うのでは、それは自由度ではないわけでありますから、地方もそこはいろいろとお考えをいただきたいというふうに思っております。

 問題は、その財源がどうだというお話、先ほどから出ておりますそういうお話だと思いますけれども、先ほどから総務省の方からも御答弁をいただいておりますように、トータルで見た場合のお話と、そして個々の市町村に対します問題と両方あるので、両方からお答えをいただいているところでありまして、どちらかといえば、人口の多いところよりも人口の少ないところの方にその厳しさが増しはしないかという御指摘、それは私も、すべての状況から考えまして、そういうことはあり得るのかもしれないと思うわけであります。

 そこにつきましては、個々のその市町村ともよく御相談をさせていただいて、そこがやっていけるようにどうするかということについては御相談に乗りますということを総務省がおっしゃっておりますので、そこは私は御相談に乗っていただけるものというふうに思っている次第でございます。

山口(富)委員 私は、財源論的に、財政の面から公的責任が著しく後退するということになると指摘したんですが、この点への明確な答弁はありませんでした。しかし、マクロから見て、また個別の事例から見て、今度の財源措置の問題でいろいろ問題が生まれるであろうという点はお認めになりました。

 それで、配付資料を、きょうは理事会の了解をいただきましたので、皆さんにお届けいたしましたが、まずこの二枚目をちょっとごらんいただきたいんです。

 それで、今回問題になっている財源措置で所得譲与税というのがあるんですけれども、これは、自治体の人口によって案分されますから、これでやられると、公立保育所に係っていた財源の措置との関係で減額になるところが生まれるという心配があるわけです。先ほど大臣は人口の小規模のところをお話しになりましたけれども、実はこの問題というのは大都市部であらわれてくるということなんです。

 これは東京の、都政の専門紙である都政新報が調べた数字ですけれども、最初に所得譲与税の見込み額があり、そして一番右側に公立保育所運営費国及び都負担金の比較があります。これを上から見てまいりますと、所得譲与税の見込み額が現在の国や都の運営費の負担金よりも少なくなってしまうという市が十一市あります。立川市、武蔵野市、三鷹市、国立市、福生、狛江、清瀬、東久留米、稲城、あきる野市、西東京市。この二十六市のうち十一市で、この所得譲与税という財源が、足りると言われながら足りなくなるという現実が生まれてくる。

 そのために、配付資料の一枚目の方なんですけれども、この二十六市が集まって、東京都市福祉主管部長会、平たく言いますと福祉分野の専門家の部長さんたちですが、集まりまして、緊急の要望を東京都に上げております。

 そこでの指摘というのは、上から三つ目の段落ですけれども、こう指摘されております。「新設される所得譲与税および地方交付税により財源措置が行われるとのことですが、市町村の置かれている状況によって、これまでと比べて歳入が減額となるなどの影響が生じることが懸念されます。」その懸念の中身は、私が先ほど読み上げたところです。「このことは、最近の市町村財政が危機的状況に置かれていることから、新たな財政負担増により保育サービスの低下を招く事態と危惧するところ」であるということなんですね。

 そして、具体的な要望の内容として、国にかかわる問題でいいますと、二番目ですが、「国の三位一体改革に伴う税源移譲により、市町村の財政運営に影響を与えることのないよう、税源移譲に当たっては十分配慮するよう国に対して働きかけをすること。」こういうふうになっております。

 私は、これは直接地方自治体にあって福祉を担当する方、専門家から出てきている意見として重大な言明だ、危惧の念だと思うんですが、この点については大臣はどうお考えになりますか。

伍藤政府参考人 御指摘のありましたように、市町村によって財政状況が区々であるということは、この一般財源化に当たりましては当然予測されることでございますので、これを、この税源移譲とあわせて地方交付税措置でならす措置を行うということで、それぞれの必要な財政措置をしていこうということでございます。

 しかも、これは保育に限らず、今回行うこの一般財源化に伴って、全体として財政措置をするわけでありますので、その中で、保育とかそういう優先度の高いものに市町村がそれぞれ財源を割り振って財政運営をしていただけるというふうに私ども思っているわけでございますので、この数字だけでもって直ちに保育の水準とか行政運営のあり方が左右されるというようなことにはならないのではないかというふうに考えております。

山口(富)委員 私が示したのは単なる数字だけじゃありません、危惧の念に駆られて緊急の要望まで二十六市の担当者が上げている、その重大な危惧の念をきちんと受けとめなさいと言っているんです。この点は、大臣の答弁を重ねて求めておきたいと思います。

坂口国務大臣 この表は私も今初めて拝見するわけでありまして、譲与税の配分がこういうふうに決まるのかどうかということもよく存じません。譲与税の配分と、交付税と双方合わせて行われるわけでありますから、そうしたことを東京都の中でどう調整されるかというお話もあるでしょうし、国としてそこをどう調整していくかというお話もあるんだろうというふうに思います。

 したがいまして、こうした問題がそれぞれにあることを踏まえながら、今後より具体的に、きめ細かく、どう各市町村を見ていくかといったことが行われるというふうに承知をいたしております。

山口(富)委員 今大臣も、そして局長も、地方交付税でならされるという指摘がありました。その問題について考えたいんですが、お配りしてあります資料の二枚目のところなんですが、二十六市の名前の横に米印が書かれております。これは、地方交付税による財源措置もとられてならされるという指摘がありましたけれども、実際には地方交付税が不交付の自治体があるわけですね。それが、先ほど挙げました、ここに紹介しました東京二十六市でいいますと、この米印の入ったところがそれに当たるわけです。しかも、先ほど私が指摘しましたように、所得譲与税が、現在の都や国の負担金との関係で、財源措置として不足してしまうという市で、地方交付税が来ないところが三つあるんです。それが立川、武蔵野、三鷹市なんです。一体どれだけの規模の差が生まれてくるかといいますと、三鷹市によりますと約一億四千万円の歳入減になる。

 ここの町の担当者はこういうふうに言っております。市民ニーズの高い保育所の整備を積極的に進めてきた自治体にとって、実態でなく人口に比例して税源移譲が行われるのは納得がいかない、危機的な状況にある市財政の中でサービスを低下させないように財源措置をすれば、全体のどこかにしわ寄せが来ると。これは、はっきり言えば、子供にしわ寄せが来るということです。

 私は、担当者が嘆くのも当然のことだと思うんです。なぜかといいますと、資料の三枚目をごらんいただきたいんですが、これは厚生労働省が昨年の四月一日付ということで発表しております市区町村別の待機児童数五十人以上の自治体が幾つあるのかという一覧表なんです。私がきょう何回か名前を挙げた自治体でいいますと、二十一番目に三鷹市が二百三十四人の待機児童を抱えています。それから、六十番目に立川市が百五人、八十九番目に武蔵野市が七十一人、いわば待機児童を抱えていて、政府の方針からいってもこれをなくそうという方向で努力しようとしている自治体に、今度の一般財源化というのは非常に厳しい形であらわれてくる、これが担当者が嘆いている嘆きの真の理由だと思うんです。

 こういう点でいいますと、今回の措置というのは、そして厚生労働省のやり方というのは、一兆円の数合わせのために子供にしわ寄せをするということに実態としてなるんじゃないか、私はそう思うんですが、坂口大臣はどうですか。

坂口国務大臣 不交付団体というのは、裕福な団体でありますから不交付団体になっておるわけでありますので、それは、その中でいろいろとまたお考えをしていただかなければならないんだろうというふうに思います。

 先ほど申しましたように、これは所得譲与税だけではありませんから、これだけでどうこう言うことはでき得ませんけれども、不交付団体というのは皆がうらやむほど今はもう数少ないわけでありまして、そうした意味では、いろいろとお考えをいただけるゆとりもあるのではないか、私はそう思います。

山口(富)委員 現場は、ゆとりがないという言明を、先ほど三鷹市の例を挙げて紹介いたしましたが、しているわけです。

 私がきょうこの資料を持ってまいりましたのは、一般財源化で財源措置が十分とれるという理由として所得譲与税と地方交付税の問題を挙げるから、実態としては財源措置にならないということを指摘したんです。この点への反論はなかったと思います。

 私、今度の問題を考えるにつけ、この児童福祉法や、それから日本も批准しております児童の権利に関する条約、こういうもので一体公的責任というのはどのように位置づけられているのか、この原点に立ち返る必要があると思うんです。

 児童の権利に関する条約、一般に子どもの権利条約と言われますけれども、その第三条にはこういうふうに書かれております。「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」と。この立場からいきますと、今度の法改正というのは児童の最善の利益が考慮されていないんではないですか、坂口大臣。

伍藤政府参考人 公的責任ということでございますが、先ほどから、児童福祉法にも国や自治体の責務が規定されておりますし、それから児童福祉法二十四条には市町村の保育に関する実施責任ということが規定をされております。いろいろな立場で、公的主体も市町村、都道府県、国、それぞれの立場でそれぞれの役割を果たすということだろうというふうに思います。

 実施に当たりますのは市町村ということで、それは法律に規定されておるわけでございます。都道府県は、この認可を行うとか、必要な立入調査、きちっと県内で保育が実施をされる、そういう監視役の役割も担っていただくということでございますし、国は、最低基準をつくり、必要な財源措置を講ずる、主としてこういう役割を担っているわけでございまして、今回の公立保育所の財源を一般財源化したということのみをもって、こういった基本的なそれぞれの役割に変動があるものとは思っておりませんし、それぞれの立場での役割を今後とも果たしていくべきだというふうに考えております。

山口(富)委員 そういう立場で担当の局長が行政に当たられたら、子供たちは本当に悲しい思いをするだけですよ。実際に保育の財源措置にならない自治体が生まれてくる、十分とれない自治体が。そのことをきちんと見て、それに対応していくのが行政の責任だと思うんです。

 大体、もともと九七年に児童福祉法が改正されたときに、当時の児童家庭局長はこういうふうに言っています。我が国の保育制度について、世界に冠たるものだと。そして、戦後五十年の間にこうした質の高い保育所が全国津々浦々に至るまで整備をされたということはまことに驚くべきことだということまで述べていた。

 この立場からいっても、今回の措置というのは、戦後五十数年間にわたって築き上げてきた公的な保育制度における国の財政責任、この根幹部分を脅かす、壊すものであって、私は、国による保育の公的責任の後退であり、絶対認められない、このことを重ねて申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。

衛藤委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 ただいまの山口委員の御質疑で、私がちょっと理解が悪いのかどうか、確認をしたいことがございまして、坂口厚生労働大臣にお願い申し上げます。

 この間、保育の財政をいわば補助金という使途が明確に限定されたものから所得譲与税ということも含めての一般財源化する中で、果たして実際に子供たちの保育の質を落とさないかどうか、あるいは今でも非常に問題が山積している保育のあり方について何らかの前向きの方向が出るものであるか否かについて、ずっと御質疑がなされてきたと思います。

 そして、私も部屋でいろいろな関係省庁からお話を伺いました中では、人口案分で各自治体に配付されますこの所得譲与税について、例えば高齢化率、逆に、子供が何人いるかという、子供の占めるパーセンテージ等々も、特に若い世代が多く子供が多い地域にあっては、この所得譲与税の配分についても勘案されるというふうに私は部屋で質問取りしたときに伺っておったのですが、今、山口委員と大臣の御質疑を承りながら、いわば人口で単純に割っていく方式であるのか、あるいは厚生労働省側から、このことについて何がしかの希望なり、このようにしていただければ子供のことが重々勘案されるというような御意見がどこかに出されているのかについて、一点、お伺いいたします。

伍藤政府参考人 特に私どもからこの譲与税のあり方とか交付税のあり方について希望を申し述べたということはございませんで、これは総務省でこういう形でお組みになったということであります。特に、全体として四千二百四十九億円の税源を移譲する、こういうことで、それをどういうふうに配分するかということでございますから、今回の一般財源化の措置は、保育だけではなくて、いろいろな、各省庁にわたる広範な内容が盛り込まれているわけでありますから、そういった事務を地方に移譲するに当たって、どういう基準で税源を移譲することがわかりやすくて公平かという観点から、こういった仕組みを導入されたんではないかというふうに考えております。

阿部委員 こういった仕組みというのは、単純に人口で割るということでしょうか。もしそうであるならば、先ほど山口委員がおっしゃいました、明らかに地域差、そこでの子供の数が違っておりますので、非常に子供の多いところが逆に薄くなるということで、この間、国の進めてまいりましたさまざまな少子化対策にも逆行するものと思います。まして、子供たちの保育に関するナショナルミニマムの、いわば国の責任ということも、こういう形で安易に解体されたのでは、私は地方が担って主になるというのは一概に悪いことと思っておりませんが、しかし、やはり何をおいてもお金が要りますから、その点についてこれまでやってこられた厚生労働省側から何ら見解や御意見がないということについて、極めて遺憾に思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 今局長が述べましたとおり、所得譲与税というのは保育だけの問題ではございません。ほかの問題もあるわけでございますから、ただ我々の立場からだけでこれを案分をしてほしいということにはなかなかなりにくい。しかし、総務省の方も、この公的な保育所がその中に入るということを前提にした上で、そこは十分考慮をして配分をするということは言ってくれているわけでございますので、私は、それは考慮されているというふうに理解をいたしております。

 ただ、それだけではなくて、先ほどから議論になっておりますように、不交付団体でありますとかないとかといったようなこともこれは影響しているのではないかというふうに思いますが、そこは私もちょっと、調べておりませんので何とも申し上げることはできません。

阿部委員 実際に子供自身は声を上げることができないわけで、このことにかかわる保育もそうですし、児童虐待防止もそうですが、結局、大人の社会が政治の責任で子供たちの保育なり養育を考えていくということにあって、主に責任行政を担う厚生省として、ぜひとも目配りを細やかにして、子供たちのための予算配分ということができるように、なお大臣には継続して御尽力をいただきたいと思います。

 そして、そうした観点から、私の本日用意いたしました質問に入らせていただきますが、この間、いわゆる待機児童ゼロ作戦と小泉首相が平成十四年度から旗を振っておられます中で、一応、表向きの待機児童は、減りはしないけれども現状維持程度、平成十五年でも二万何千人という数で、五万人解消してもまだ二万何千人ということで、決して保育への要求は低下することはないのでありますが、実は、この二万六千何人という数も、現在、他の企業内保育所とか認可外保育所で既に保育されていて保育申請を出していないという方については待機にカウントされない。従来の集計方式でカウントすると、実に平成十五年度も待機児童数が四万三千人になるというその隠れた部分、倍加してしまう、隠れた部分の子供たちのことでお伺いしたいと思います。

 この四月から国立病院の独立行政法人化が予定されておりまして、国立病院に附属する保育所にいる子供たちの問題で、私もこれまで何回か質疑をさせていただきました。国立病院の保育所、百四十病院のうち百二十病院の保育所の運営を、これまでの大臣との質疑の中では、とにかく継続してほしい、保育がそこにある状態をきっちり行っていただきたい、そのことについては大臣の前向きな御答弁をいただきましたが、この間、この保育所をどういうふうに維持運営するかということで、うち百十五カ所についてピジョンという株式会社の運営する保育に委託、いわば公設民営という形で委託されることになったと伺っています。この経緯について、そして、なぜピジョンという、一つの株式会社でありますが、が選ばれたかということについての選定基準についてお願いいたします。

冨岡政府参考人 国立病院・療養所につきましては、勤務する職員のお子様の保育を行うという趣旨で病院内保育所を設置、運営しておりますが、その運営は共済組合が実施いたしているものでございます。

 現在は、共済組合が実施主体でありますが、この運営につきましては、病院が非常勤でございます賃金職員を派遣するという雇用形態と、個々の病院ごとの運営審議会が雇用する職員で運営されるという実態がございます。

 四月からの独立行政法人への移行に当たりましては、こういった二元的な雇用形態を一元的にして、保育所の運営につきまして適切なサービスを全国の病院につきまして提供する、そういった趣旨で民間事業者に一括して委託するという方針を厚生労働省第二共済組合として決定いたしたところでございます。

 この決定を受けまして、具体的にどこに委託するかにつきましては、企画競争を実施いたしました。そして、企画競争には五社からの応募がございました。

 その中で、私どもは、保育に対します基本的な考え方とか保育サービスの内容、それから、その応募する企業の財務状況、これは安定的な運営ができるかどうかという観点からでございますが、財務状況、それから、実際の運営につきましての苦情処理体制といったものができているか、こういったことを幅広く検討いたしました結果、応募五社の中でピジョンが相対的にすぐれていると判断いたしまして、ピジョンに四月から委託するというふうに決定したところでございます。

阿部委員 恐縮ですが、私の時間は二十分しかないので、御答弁は要点を得てお願いいたします。

 でも、しかし、結局、なぜピジョンが選ばれたかはやはりはっきりしないのであります。

 私は、こういうことの中で、特にどのような保育の質が保証されるかということにおいて、株式会社運営、一概に否とするものではありませんが、特に、このピジョンの選定過程というのが国立病院部の中で一方的に行われて、各保育所の運営委員会等々には事後承諾の形式、こうなったよということになって伝えられたりした経緯もあり、やはり相互不信が高まっておるというので、病院部として、ピジョンを選ばれたなら、ピジョンはこういう前向きな保育をすることになっていて、そのことがきっとよい方向になるだろうというような、きっちり明確にわかる御説明をいただきたいと思います。

 そして、私は、こうした企業運営の、いわば株式会社による保育所を選ばれた経緯というのは、先ほどおっしゃいましたが、百十五カ所とか一括でお願いするのならば、全国展開、チェーン展開のあるところしか選ばれないという、当然のある種の帰結もあると思うのです。個別に、その地域ごとに、その地域での保育のいろいろなあり方も含めての存続の道もあったかと思いますが、とりあえずそのような決定になったということも踏まえまして、今後、この保育の運営に当たって、私は、預けている親御さんや働いている保母さんや、あるいは良質な職員の確保のために、病院で働く職員の皆さんのいわゆる権利を代弁する組合などとのやはりオープンな運営、参加型運営ということが欠かせないと思いますが、この点に関して大臣の御所見を伺います。

冨岡政府参考人 運営につきましては共済組合が実施主体として実施するものでございますが、実際の保育のサービス内容等につきまして、親御さんの方から御意見とか御指摘、こういったものは出てこようかと思います。そういう点につきまして意見を聞いて、それを反映させる、そういったシステムをつくりたい、そのように考えております。

阿部委員 何度も申しますが、この間の経緯で、一方的な選定で、そして本来はみんな手づくりで、国立病院の保育所というのは手づくりで発祥しております。私自身も国立病院に勤めて、保育所があるということでそこに勤務先を定めた経緯もあります。一生懸命、親が参加してやっていた保育ということで、今の私の質問に対する事務方の御答弁は、やはりとても表面的で、なおかつ、この間の、なぜ一方的に選定され、事後通告になったかということを踏まえない御答弁だと思います。そして、何度聞いても私の時間が浪費されますので、申しわけありませんが大臣にお伺いいたしました。

 私は、参加型の、親御さんたちの意見をくみ上げる仕組みをこれから、株式会社であれどんな運営主体であれ、極めて重要で、例えばそれは今までのこの保育でも不十分だった点もあるかと思いますから、大臣が今後国立病院の保育所を民間に、公設民営になったその中で、どのような形で、利用者、職員、そして病院で働く職員の意見をそこにくみ上げながら参加型保育をつくっていくかということにおいてのお考えをお願いします。

坂口国務大臣 共済組合でお決めをいただくことではございますけれども、そこにお子さんを預けられる、女性ばかりではなくて男性もおみえかもしれませんけれども、その御家族の皆さん方の御意見が十分反映されるように運営をしていくように、私たちも臨んでいきたいと思います。

阿部委員 そして、この国立病院の例以外でも、例えば今多くの自治体が、民間の、保育業者というと失礼ですが、保育をつかさどる方たちに、株式会社のような、大手のピジョンやベネッセも含めて、あるいはもう少し規模の小さい民間の保育団体というものにも保育を委託する、あるいは先ほどの公設民営パターンをとるということがふえてございます。

 しかしながら、この間、いわゆる認可保育園以外の保育園、あるいは認可ではあるが公立ではない保育園においては、保母さんたちの労働実態というものが、なべて常勤の方の数が少なく、パートの比率が高い、そして、それはこの五年間をとっても、常勤職員は減じていき、パートの方々がふえているというデータを、これも当局からいただきました。

 私は、副大臣にこれはお尋ねいたしますが、谷畑副大臣が長いこと労働分野でも御見識をお持ちですので、その観点から、子供にかかわる保母さんの労働時間が寸断、分断、例えば、朝二時間はAという保母さん、そして午前中三時間はBさん、午後四時間はDさん、夕方の七時から九時はFさんとかいう形に子供の保育が分断されますと、極めて子供は情緒が不安定になります。自分の要求を出すということもしなくなり、泣かなくもなるというように、極めて微妙に反応いたします。

 そこで、今回、いわゆる規制緩和において、民間団体あるいは株式会社方式による保育が始まりましたことを契機に、この株式会社や民間団体による保育園の保母さんの勤務実態、一つは、常用雇用であるかあるいはパートであるか、あるいは契約社員であるか保育の継続性、一年たったらまた自分は首になるかもしれないという不安定身分、あるいはずうっとこうやってやっている保育の方たちの資格問題なども含めて、株式会社運営、民間運営のもののきちんとしたデータを集積していくお考えについて、御答弁をお願いいたします。

谷畑副大臣 御指名をいただきまして、ありがとうございました。

 従来は、保育所というのは福祉法人が運営をしておって、それ以外のところは無認可というか、そういう状況であったわけでありますけれども、基本的には、規制緩和をされてきまして、株式会社でも、あるいはNPOでも運営ができるということであります。

 しかし、先生も御存じのように、保育所の任務というのは、共働きに対する、少子化問題を含めて、それを支援していくということもありますけれども、やはり就学前教育というのか、命を預かるわけですから、子供たちがしっかりとその中で人格的にも発達していく、そういうことをしっかりと教えていくという教育の場でもあろうと思いますので、いかなる主体であっても、やはり質を落とすわけにもいきませんし、私ども厚生労働省としましては、そういうことでやはり最低基準をしっかりと遵守していただかなければいけませんし、また、保育所保育指針に則した保育の実施だとか、あるいは各クラスにおける常勤の保育士の一名以上の配置ということが非常に大事になってくるんじゃないかと思います。

 今先生のおっしゃいましたように、最近、早朝であったり、あるいは時間外の延長保育とか、そういうことが大事なニーズになってきています。そういうことで、本来なら一人の保育士でずっと子供を見ていくということが一番理想的でありますけれども、その保育士の皆さんもまた子育てで帰らなきゃならないという、お互いにやはりそういう状況がありますから、できましたら、そういうクラスの常勤というものをしっかりと配置して、その基準の中でやっていくことが大事じゃないか、こういうふうに思っております。質を落とさないように私どもも努力してまいりたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

阿部委員 私のお願いは、勤務、労働実態の現状をぜひとも把握していただきたい。ベネッセなどは、継続勤務年数一年で平均年齢二十八歳と若くて、次の継続がない場合もございますので、ぜひとも安定雇用という点で、ベネッセだけを批判するつもりではなくて、一例データがあったものですから使わせていただきましたが、よろしくお願い申し上げます。

衛藤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。藤田一枝君。

藤田(一)委員 民主党の藤田一枝でございます。

 私は、ただいま議題となりました児童福祉法等の一部を改正する法律案について、政府原案に反対の立場で討論を行います。

 まず、小泉内閣のいわゆる三位一体改革がいかにいいかげんであり、看板だけの、改悪にすぎないかということは、この間の質疑からも明らかであります。

 その理由は、第一に、改革の全体像、将来像を示さないこと、第二に、補助金と地方交付税の削減ばかりを先行させ、財源の移譲が不十分であること、第三に、国と地方が共同して責任を負うべき財政危機の処理を地方に押しつけていること、第四に、分権型社会の創造や、自主、自立、多様性といった理念によって裏打ちがなされていないこと等々であります。

 これに基づいて今国会に提出された三位一体関連法案に対する自治体の苦悩や現場の困惑の声は、私たちにも数多く届いているわけであります。

 以下、児童福祉法等の一部を改正する法律案について、政府案に反対する理由を申し述べます。

 第一に、民間保育所に対する公費補助は継続する一方で、公立保育所に対する補助を削減しており、今後、公立保育所運営に支障が出る可能性があることであります。

 政府も次世代の育成の必要性をさまざまな場面で述べられているわけですが、その次世代を守り育てる保育所の運営をないがしろにするものだからであります。

 第二に、民間保育所が存在する地域と少ない地域など、地域ごとの差に一切の配慮がないままに、公立保育所の運営に支障が出る可能性のある費用削減を一律に行っていることであります。

 民間保育所がない、または少ない地域において公立保育所に係る費用を削減すれば、運営のみならず保育行政に大きな影響が出ることは明らかであります。

 第三に、代替財源の移譲を行うことなく、介護保険に係る事務経費のように、自治体の工夫によって効率化などができない固定的な経費に該当する補助金を一律に削減していることであります。

 定型の業務に係る費用を地方に押しつけることで、一層の自治体いじめを行っているとしか言いようがありません。

 以上、民主党は、児童福祉法等の一部を改正する法律案にこれらの大きな問題点が存在しているということを強く指摘し、討論を終わります。

 以上です。(拍手)

衛藤委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党を代表して、児童福祉法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。

 本法案は、小泉内閣の三位一体改革の柱である国庫補助負担金の廃止、縮減について、厚生労働省分の削減を行うものです。

 この補助金カットでは、公立保育所運営費の一千六百六十一億円を初め、介護保険や児童手当、児童扶養手当などの法施行に伴う事務費が一般財源化されます。公立保育所運営費の一般財源化で補助金廃止の対象となる保育所は、全国で約一万二千カ所、全体の五五%に上ります。その額も規模も大きく、影響は甚大です。これは、保育行政において国が負うべき財政負担の責任を放棄するものであり、児童福祉法、子どもの権利条約の精神に反していると言わざるを得ません。

 さらに、児童扶養手当、児童手当の支給に関する事務費は、子供の健やかな成長や子育て世帯への支援策の実施のためになくてはならないものです。また、介護保険関係の補助金は、介護保険の導入に当たり市町村の負担を軽減するために行ったものです。地方交付税が全体として大幅に削減されているもとで、これらの国庫負担をなくし、地方に財源責任を押しつけるならば、保育料の引き上げや保育水準の低下を引き起こし、児童手当の支給業務や介護保険の認定事務にも支障を来すことは明らかです。このような公的サービスからの後退を余儀なくさせる一般財源化法案は撤回すべきであることを申し述べ、反対の討論といたします。(拍手)

衛藤委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、政府が提案している児童福祉法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。

 本法案に示されている公立保育所運営費一千六百六十一億円の一般財源化は、小泉総理大臣から国庫補助負担金一兆円削減という指示を受け、各省庁の攻防の中で生じてきたものと思われます。これに伴って、所得税の本格的な移譲までの措置として、所得譲与税を創設し、人口で配分されるとしています。地方がこれまでどおり公立保育所運営費として予算づけするようにすると説明されていますが、地方自治体の中には保育サービスの基盤整備が十分進んでいない現状があり、また、厳しい財政を理由に保育施設の優先順位を下げざるを得ないという事態も生じ得ることは十分予想されます。なぜあえてこうした政策をとったのか、理解することができません。

 政府は、昨年、次世代育成支援対策推進法を成立させました。この法律は、少子化が進む中で、育児を支援するシステムを社会の中にきちんと位置づけていこうとするものでした。保育所がその大きな役割を担っているということは言うまでもありません。しかしながら、いまだに待機児童が政府統計でも二万六千三百八十三人もいるというだけでなく、保育所における保育の内容もまだまだ十分とは言えないのが現状です。すなわち、現状を維持するだけでなく、保育の質的向上を図ることこそ、今求められる施策だと思います。

 例えば、近年、保育士のパートタイマーが増加しています。パートタイマーが一概に悪いとは言いませんが、しかし、パートの保育士がふえると細切れ保育になり、責任の所在もあいまいになる、まして何よりも子供が不安定になります。保育所内の雇用のあり方は、保育の質と密接不可分です。保育所も株式会社が運営できるようになり、保育所の経営は病院と同じで、圧倒的に人件費にかかわる部分です。利益を出そうとすれば人件費を削る以外になく、そのために、必然的に労働者側をパートタイマー、細切れ雇いにせざるを得ないという策をとることも十分予想されるのです。

 きちんとした保育の質を確保し、さらに質的な向上を図るためには、少なくともこれまで国が積極的に施策してきた補助金は必要と思われます。

 確かに、児童福祉法第二十四条は市町村の保育の実施責任を定めており、同法第二条の国、地方公共団体の責任には変わるものはありませんが、また次世代育成支援対策推進法では、自治体が役割を果たすよう行動計画を策定するようにも求めています。しかし、一般財源化されても市町村の責任や役割は変わるものではありません。こうしたことを担保するものが何もないことこそ問題ではないでしょうか。今保育行政に求められているのは、補助金を一般財源化することではなく、まず保育の質を高めるための政策を行うことです。公立保育所運営負担金の一般財源化にはあくまで反対であることを申し述べて、私の反対討論を終わります。(拍手)

衛藤委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、児童福祉法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

衛藤委員長 次に、内閣提出、平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案及び城島正光君外四名提出、平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例等に関する法律案の両案を一括して議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。坂口厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂口国務大臣 ただいま議題となりました平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 公的年金制度及び各種手当制度につきましては、国民年金法等の定めるところにより、毎年の消費者物価指数の変動に応じた物価スライドを実施することとなっており、平成十六年度においては、平成十五年の年平均の全国消費者物価指数が、平成十年に比べ二・九%の下落となったことから、国民年金法等の規定に基づくと、これに応じてそれぞれの法律に定める額を減額改定することとなります。

 近年の物価の下落に対しましては、平成十二年度から十四年度までの過去三カ年におきましては、公的年金等の額を据え置く特例措置を講じ、平成十五年度におきましては、平成十三年の年平均の消費者物価指数に対する平成十四年の比率でありますマイナス〇・九%を基準として年金の額等の改定を行う特例措置を講じました。

 平成十六年度におきましても、現役世代の賃金が低下している中で、保険料を負担する現役世代との均衡の観点から、高齢者等の生活に配慮しつつ、特例措置として、平成十五年の消費者物価の下落分でありますマイナス〇・三%を基準として公的年金等の額を改定することとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 平成十六年度において、特例として、国民年金、厚生年金、児童扶養手当等について、平成十三年の年平均の消費者物価指数に対する平成十五年の比率を基準として国民年金法等に定める額の改定を行うこととしております。

 なお、この法律の施行期日は、平成十六年四月一日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。

衛藤委員長 次に、金田誠一君。

    ―――――――――――――

 平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金田(誠)議員 ただいま議題となりました平成十六年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例等に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 公的年金制度及び各種手当制度につきましては、国民年金法等の定めるところにより、毎年の消費者物価指数の変動に応じた物価スライドを実施することとなっています。

 しかしながら、この物価スライドは必ずしも機械的に実施されてきたものではありません。平成十一年から十三年までの三カ年においては、物価の下落は合計一・七%であったにもかかわらず、公的年金等の額を据え置く特例措置が講じられました。

 また、平成十四年においては物価の下落は〇・九%であり、したがって、平成十一年から四カ年の合計はマイナス二・六%となるにもかかわらず、平成十四年の比率であるマイナス〇・九%のみの物価スライドという特例措置が講じられました。

 さらに、このたびの政府提案によれば、平成十五年の物価の下落は〇・三%であり、したがって、平成十一年から十三年までの三カ年の物価下落分一・七%を加えれば合計マイナス二・〇%となるにもかかわらず、平成十五年の比率であるマイナス〇・三%のみの物価スライドという特例措置を講じるとしています。

 平成十一年から五年連続で物価が下落するということは前代未聞の異常事態です。このことは、ひとえに小泉総理と竹中大臣によるデフレ政策の結果であり、政府は責任を免れることはできません。まず、国民の前に謝罪すべきものと考えます。

 こうした中で、厚生労働省も、最初の三年間は、来年は上がるだろうとの思いで我慢してきたものの、それも限界に達して、昨年は〇・九%の引き下げに踏み切り、ことしも引き続き〇・三%の引き下げを行うとしています。民主党としても、昨年までは賛成してきた立場であり、苦渋の選択であることはよくわかります。

 しかしながら、政府の提案は矛盾しています。提案理由によれば、第一に保険料を負担する現役世代との均衡、第二に高齢者等の生活への配慮が挙げられているものの、一律の引き下げは高齢者の生活への配慮を欠いたものと言わざるを得ません。

 また、さかのぼって考えてみれば、平成十一年から十三年までの一・七%の据え置きは、保険料を負担する現役世代との均衡を失していたことになります。

 今日までの政府の対応は、一律の据え置きか一律の引き下げしかありませんでした。そうである限り、こうした矛盾は解消されません。

 それではどうするか。解決のキーワードは、最低保障年金という考え方です。今日、諸外国においても年金財政が逼迫する中で給付水準が切り下げられていますが、そうした中でも老後の最低生活を保障するという観点から、スウェーデンを初めカナダ、イギリス、オーストラリア等では、原則として全額税による最低保障が行われています。民主党も、昨年のマニフェストで同様の考え方を打ち出したところです。

 この最低保障年金という考え方を物価スライドに当てはめれば、物価が下落した場合はスライドして引き下げるものの、最低保障年金の額は保障されるということになります。一律主義からの脱却でございます。

 今日、我が国においては、最低保障年金という制度は存在しません。しかし、近い将来の制度化を展望しながら、その考え方を物価スライドに当てはめることは十分に可能です。このたびの民主党の対案は、こうした観点から策定されています。

 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、平成十五年分の物価指数の下落分、マイナス〇・三%の物価スライドを行うこととする一方、最低保障年金制度の創設を念頭に、年金受給額が基準額を下回る者については、物価スライドを行わず年金額を据え置くこととしています。

 第二に、その基準額とは、主要なケースで、平成十六年度における老齢基礎年金の満額受給者の年金額、おおむね六・六万円としています。

 なお、この法律の施行日は、平成十六年四月一日としています。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

衛藤委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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