衆議院

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第11号 平成16年4月14日(水曜日)

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平成十六年四月十四日(水曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 衛藤 晟一君

   理事 鴨下 一郎君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 城島 正光君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      井上 信治君    石崎  岳君

      加藤 勝信君    上川 陽子君

      木村  勉君    木村 義雄君

      北村 誠吾君    左藤  章君

      佐藤  勉君    菅原 一秀君

      竹本 直一君    棚橋 泰文君

      中西 一善君    中山 泰秀君

      西銘恒三郎君    能勢 和子君

      原田 令嗣君    平田 耕一君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      三原 朝彦君    宮下 一郎君

      山下 貴史君    吉野 正芳君

      青木  愛君    泉  房穂君

      内山  晃君    大島  敦君

      小宮山泰子君    五島 正規君

      園田 康博君    中根 康浩君

      長妻  昭君    西村智奈美君

      橋本 清仁君    樋高  剛君

      藤田 一枝君    古川 元久君

      馬淵 澄夫君    増子 輝彦君

      水島 広子君    古屋 範子君

      桝屋 敬悟君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   議員           古川 元久君

   議員           枝野 幸男君

   議員           五十嵐文彦君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     北村 誠吾君

  棚橋 泰文君     佐藤  勉君

  能勢 和子君     山下 貴史君

  吉野 正芳君     宮下 一郎君

  泉  房穂君     長妻  昭君

  古川 元久君     馬淵 澄夫君

  水島 広子君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     左藤  章君

  佐藤  勉君     棚橋 泰文君

  宮下 一郎君     吉野 正芳君

  山下 貴史君     西銘恒三郎君

  長妻  昭君     泉  房穂君

  西村智奈美君     水島 広子君

  馬淵 澄夫君     古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     上川 陽子君

  西銘恒三郎君     能勢 和子君

    ―――――――――――――

四月十三日

 臓器移植の普及に関する請願(第一〇三五号)は「木下厚君紹介」を「三井辨雄君紹介」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 年金積立金管理運用独立行政法人法案(内閣提出第三一号)

 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

 高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案(古川元久君外五名提出、衆法第二七号)


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金積立金管理運用独立行政法人法案、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案及び古川元久君外五名提出、高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案の各案を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮澤洋一君。

宮澤委員 自民党の宮澤洋一でございます。

 きょうは、民主党案について、一時間、時間をいただいておりますので、じっくり、法文に沿って、条文に沿って質疑をさせていただきたいと思っております。

 金曜日に本会議があり、そして委員会があって、初めて民主党案の説明があり、質疑があったわけですが、大変いろいろ問題点があるのがもう一日にしてはっきりしてきつつある。例えば、一番の問題点は、最低でも五年間の空白期間があって、現状の制度を維持するということで、後世に大変な負担をかけることになる。八兆円ぐらい負担をかけるんじゃないかというような試算もあるというような状況、これをどうするのかということは、まさに我々政府案の方はきっちり手当てをしているといった意味で、民主党案、改革先送り法案と言われても仕方がないんだろうなという気がしております。

 また、消費税につきましても、三%程度というお話があるわけですけれども、五十嵐提案者の御説明でも三十年間は大丈夫というと、この制度、四十年かけて移行する、移行期間の間にもうだめになるというのは、幾ら何でもひどいだろうなという気がいたします。

 もちろん、いろいろ試算をしてみますと、六%とかまた八%という試算もあるようでございまして、とても三%で……(発言する者あり)まあ六%というのは既に言われていますので、本当に三%で責任があるかというのは、五十嵐さんの方がまさに三十年しかもたないと言っているわけですから、無責任きわまりないと私は思っておりますけれども、この辺のことにつきましてはまた同僚議員がいろいろお話をすると思いますので、私は、まさにこの待ちに待って提案された条文に沿って御質問をさせていただきます。

 まず、この条文、まさに民主党の中で随分議論を行って、まだまだできない、これからいいのができますよというお話を、前触れが非常に大きかったものですから、私も大変期待をして読ませていただきました。熟読をさせていただきました。全く期待に反するなというのが読後感でございます。

 新聞報道等々でいろいろな報道がされていて、かなり斬新的なものが出てくるのかなと思っておりましたら、基本的な構造というのは、要するに、議会で調査会をつくって五年後に結論を出そうと。その中で幾つかの基本方針というものが書かれておりますけれども、これも、基本方針、かなり大まかな話で、実態、どんなものができるか、さっぱりわからないというのが正直な印象です。

 報道された民主党案、民主党も公表されたようですけれども、こういうボード、これでいいわけですよね、民主党案。(パネルを示す)こういうのが民主党から提案されているわけですけれども、正直、この条文を読んでも、こういうイメージというのは全くわいてこないんです。条文を読めば読むほど、こういうイメージというのは全くわいてこない。こういう姿だったとしても、間違いなくこの条文を読んで浮かんでくるのは、こっちの姿なんですね。(パネルを示す)要するに、所得等比例年金がまず基本にあって、それを補足する形で最低保障年金があるというのがまさに条文に書いてあることで、まず、何でこんなややこしく、これを下にするなんていう書き方をするのかなというのが一番最初の率直な印象でありました。

 さらに言いますと、例えば五条の第二項のところに、最低保障年金の定義が括弧書きにしてあるんですけれども、「受給額が一定額に満たない場合においてこれを補足するための年金をいう。」というふうになっていまして、そうすると、これは一番素直に書くと、これは実はいわゆるスウェーデン方式と言われているものですけれども、(パネルを示す)まさに、所得の足りない人に最低保障で保障するということが一番この条文から読み取れてくるんですね、私。皆さん、恐らく、読めば、そういうにおいがぷんぷんとする案ではないかというふうに思っているんです。

 それで、枝野議員はいろいろマスコミでしゃべられているようですから、実務者で検討されたと報道されております古川議員に、今の民主党案をもとにして、この状況の案が結論として出すことができるのかどうか。要するに、書いてある基本方針にこれは矛盾するところがあるのかないのか、それを一点聞かせてください。古川議員にお願いしています。

枝野議員 今の質問に対するお答えは、古川議員御指名ですので、古川議員に答えていただきます。

 その前に、今の御質問の中で、五年間の空白という御発言と、三十年でだめになると五十嵐議員がおっしゃったという御発言について、五年間空白というようなことはございません。(宮澤委員「質問していません、それは」と呼ぶ)二〇〇七年には消費税三%上げると私どもは明確に申し上げておりますし、五十嵐議員は、三十年はもつと言っているんで、三十年でだめになっているだなんて言っておりません。まずこのことを撤回していただけないと答弁できませんので、理事さん、よろしくお願いいたします。

衛藤委員長 古川議員。古川議員。(発言する者あり)

 御静粛に願います。(発言する者あり)

 それでは、宮澤洋一君。

宮澤委員 五十嵐議員の発言について正確かどうかという確認は後ほどさせていただきまして、正確でなければ撤回をさせていただきますが、質問は、古川議員に、これができるかできないかという質問でございますので、お願いいたします。

古川(元)議員 お答えいたします。

 今宮澤委員の方から、私どもの案を熟読玩味していただいた、何も変わらないという読後感があったというのは、宮澤議員も、あの頭脳明晰な宮澤大先輩におかれてそのような読み方をされるというのは、極めて不可思議だなと。

 今の政府案、まさに、先ほど言われたわけでありますけれども、私どもの案を批判して、この五年間の財政措置がとられていないじゃないかという御批判をされましたけれども、私どもから言わせれば、今の政府案というものは、まさにこの五年間をどうするかという目先のことに、その財政措置が中心になっておりまして、今国民の間にある現行制度に対する不公平感、不信感というものを解消する、そういう法案には全くなっていないわけであります。

 そうした不公平感、世代の中でも年金制度がいろいろ人によってばらばらだ、また、世代が変われば、後の世代になればなるほど不公平感が大きくなる。そういう不公平な制度をそのままにしておいて、当面の財政措置だけを行っているのが今の政府案でございまして、それをもって、小泉総理も抜本改革なんて言っておられるわけでありますし、また、公明党も百年安心プランだというふうに言われておられる。

 それに比べますと、私どもの案は、すべての国民の皆さん方に、一元化された、これは総理も年金制度は一元化するのが望ましいと言っておられるわけでありまして、その望ましい一元化の姿について具体的に提案をさせていただいているわけでございまして、そういう意味では、全くこれは非常に政府案と比べれば中身のあるものだというふうに、もう一度よく読んでいただければおわかりいただけるんじゃないかと思います。

 その上で、今、スウェーデンの方式と私どもの説明の途中の資料の提示をいただきまして、違うんじゃないかというふうに言われましたけれども、これもまた大変僣越ではございますが、宮澤議員のような方が、あの図を、あの上の部分の最低保障年金のところを下に書いていただければ同じ図になるということは、昔の小学校か中学校ぐらいの算数のときのを考えていただければ、図形を動かしていただければ同じ図であるということは、これは一目瞭然のはずであります。

 そういう意味では、よく読んでいただいて、よく図を見ていただければ、その図はまさに私どもの法案で提案をいたしました、私ども、スウェーデンと同じというふうには申しておりません、スウェーデンの案を参考にしながら、それを日本型に合わせた、日本型スウェーデン方式と言ってもいいというふうに思っておりますけれども、そういう案として提案をさせていただいている。図はどちらの見せ方もあるかと思いますけれども、どちらの図にしても、それはまさに法案で書いてあることをお示しさせていただいている、そういうものだというふうに御理解をいただきたいと思います。

宮澤委員 古川議員は私の役所の後輩で、大変優秀な議員だと思って期待をして今質問いたしました。まさにやはり役人出身だったなと、長い答弁でピントをぼかすという大変役所的な答弁を聞きましたが、私の質問に一つも答えていないんです。

 この図を示しましたけれども、これはまさにおっしゃるように、同じようにつくっているんです。だけれども印象が違うわけです。こっちの図を出して、法律を読めば、素直に書くとこうなる図を出していないということは、これは明らかなんです。

 しかも、今の答弁は、一番肝心の、今のまさに民主党が出された条文の中でこういうことも可能かどうかということを伺ったんですけれども、イエスかノーかだけでいいのに、もう既に何分も答弁されて時間がなくなったんですが、イエスかノーかだけお願いします。

古川(元)議員 先ほど申し上げましたように、私どもはスウェーデンのをそのまま取り入れているわけではありません。スウェーデンの考え方を参考にして、そして、すべての国民がひとしく一元化された同じ制度のもとに所得に応じた保険料を支払っていただいて、その支払っていただいた保険料に比例して給付を行う。その給付と、税が財源となる最低保障年金、この二つを組み合わせる形で新しい年金制度をお示しさせていただいている。その最低保障年金が図として所得比例年金の上に来ようが下に来ようが、それは全く説明の問題であって、私は違いではないというふうに思っております。

宮澤委員 まさに今長々と答弁されて、イエスかノーかおっしゃらなかったんですけれども、要するに、これもあり得るという答弁をされました、間違いなく。であれば、イエスかノーか言ってください。(発言する者あり)

古川(元)議員 宮澤委員がお示しをした……(宮澤委員「イエスかノーかです」と呼ぶ)いや、イエスかノーかというか、今御質問の趣旨がよくわからないんですね。先ほどから私がお伝えしておりますように、スウェーデンの同じものを導入したわけではありません。スウェーデンの考え方をベースにして私どもの形というものをつくらせていただいたわけでありまして、図として見れば、これは上に乗せようが下に置こうが同じであるということを繰り返し御説明させていただいているわけであります。

宮澤委員 古川議員は、ともかくイエスかノーか。このスウェーデン年金制度を消していいですよ、こういう図が、あの基本方針の中にいろいろ書かれている。所得比例年金をつくる、最低保障をつくる、書いてある。この案になることがあり得るかあり得ないか、イエスかノーかだけ古川議員に聞いているんです。(発言する者あり)

 極めて簡単な、イエスかノーかの質問ですから、長々としていただく必要はないんです。正直言って、ノーと言えるはずがなくて、私も熟読させていただきましたから。あそこの基本方針を全部クリアしてそのとおりやって、この案ができるんですよ。それで、民主党は提案をいろいろされて、解説はいろいろついているけれども、実際に提案されたのはこれだけなわけです、これだけです。この中にまさに補足的に保険料率は既存のもので一三・五八がめどとかいうような話があるんでしょうけれども、そういうことは一切書いていないわけです、書いていないんです。

 そうなると、実は民主党の案というのは、これをまず説明されて、国民はみんなこの案だと思っているんです。ところが、条文を読めば、同じ話です、こういう図の方が条文に近い案であるし、さらに言えば、提案されている条文からは間違いなくこういうスウェーデンと同じ制度をつくることは可能なわけですということを聞こうと思っているんですが、四の五の四の五の言う答弁ばかりやって、私はもう次の質問に行きたいと思います。もうこの点は、まさにこれから同僚議員に次に……(発言する者あり)発言中です。同僚議員がまた質問すると思いますので、次に行かせます。

 次の質問に移らせていただきますけれども、この条文は……(発言する者あり)聞こえますか。この条文はともかく全十三ページです、十三ページ。それで、この中に基本方針というのが四条から十三条にわたって書いてある。

 それで、私は読みながらびっくりしましたのは、この四条から十三条、基本方針が書いてある十条ですか、十条の中に「原則として」という言葉が二カ所あるわけです。九条と十条かな。また、「基本とする」とか「基本として」という言葉は三カ所あるんです。さらに、「できる限り」という言葉がこの基本方針の四条から十三条の間に二カ所、またさらに一条のところに二カ所。

 ともかく、「原則として」が二カ所、「基本として」「基本とする」が三カ所、「できる限り」が四カ所。これは正直言って、民主党案というのは何だろうというのを読むのは、大変想像力豊かな、大変くたびれる作業でありました。例えて言えば、推理小説の中で探偵になっていろいろな残された証拠をたどっていかなきゃいかぬ、こういうような条文で、まさに探偵気分を満喫させていただいたわけであります。

 そういう中で、少し細かい、条文について質問いたしますけれども、まず、最低保障年金というものが書いてあるわけですね。

 それで、先ほどちょっと読みましたけれども、五条の二項に定義がある。要するに「所得等比例年金の受給額が一定額に満たない場合においてこれを補足するための年金」こう書いてあるわけです。そうすると、一定額というのは何かなというのがまず頭によぎるわけです。一定額、一定額、そうすると、すぐ頭に浮かぶのは、これは六十五歳以上の方については、要するに全員に最低保障年金は保障するということでしょうから、これは生活保護とどういう違いがあるんだろうというのがまず頭にぱっと浮かんだ話。

 生活保護というのは、ちょっと細かい話ですけれども、物価水準に応じて全国で六階級に分かれているわけです。そうすると、全国物価水準が違う。生活の最低保障をするということになると、これはそれに応じて分けるんですか、それとも全国均一なんですか。

枝野議員 まず、先ほどのお尋ねにしっかりと答えさせていただきますが、質問者が三度目に示された図のようにはなりません。図をしっかりと見させていただけば、我々の案をしっかりと出させていただければ、我々は納めた保険料を横軸にしています。納めた保険料がある方には必ず報酬比例年金がつきます。したがって、そういう点から考えても、その図にはなりません。

 それから、まさに今の質問は、後ほど古川議員がお答えいたしますが、私どもは最低保障年金について、高齢者等の安定した生活に必要な額に満たない受給者に対して生活の基礎的な部分に要する費用を賄うことができる額をお支払いするということになっておりますので、最低保障年金の大きさが、イメージの図でありますけれども、御指摘された三枚目の図ほど小さくはなりません。したがって、そうした図にはなりませんので、明確に答えさせていただきます。

古川(元)議員 大変に法案の中の細かいところまで読んでいただきまして、先ほど私の答弁が官僚的だと言われましたが、宮澤議員も、法制局には行かれていなかったようなんですが、かなり法制局的な読み方もしていただいているんだな、そういう意味では、やはり長い間役所にいらっしゃった先輩であるというふうに改めて感銘を受けたわけでございますけれども。

 その点で、私どもが言っているこの最低保障年金というのが生活保護とは異なるということは、これは宮澤委員御自身がよく御理解をしていらっしゃるわけじゃないでしょうか。

 そもそも、私どもが最低保障年金というものをお示しさせていただいたその理由は、公的年金というものの性格は何か。これは、公的年金というものは、高齢者、高齢期においては稼得能力が減退する、その場合に、その生活の基盤となる、いわば、電力でいいますとベース電力といいますか、そこの基盤になるような所得、これを公的な年金制度として保障しようということから公的年金制度というものはそもそも存在するというふうに私どもは考えているわけなんです。

 現行制度では、そういう国民皆年金、公的年金といいながら、非常に低年金の方々が多く存在をしておられる。男性なんかですと、基礎年金六万六千円ちょっとというふうに今はなっておるわけでありますけれども、実際の受給額でいいますと大体五万五千円ぐらい。(宮澤委員「委員長、質問に答えさせてください」と呼ぶ)女性の場合には、これが四万五千円ぐらい。これが平均ですから、実際には、月々一万円や二万円という大変低年金の方々がたくさん存在しておられる。果たしてこれで、老後の最低限の必要な所得を保障する、そういう役割を果たしておるだろうか。

 そういうことを考えますと、現行制度というものは公的年金に求められる役割を果たしていない。だからこそ私どもは、新しい年金制度というものを構築し、所得比例年金にプラスして最低保障年金という形ですべての方々に最低保障年金以上の年金額は保障するような、そういう仕組みをつくろうということをお示しさせていただいているわけでございまして、その中で私どもは最低保障年金の額等についても、ここについては私どもは、まず今考えていくその最初の基準としては、現行の基礎年金のレベルだというところを基準にして議論を始めたいというふうに思っております。

 しかし、これは小泉総理自身がおっしゃっていることでありますけれども、年金制度というものは、できればこれは党派にかかわらず、超党派で決めていくべきものだということは、小泉総理自身も言われておるわけであります。

 そこについては、私どもも、こうした最低保障年金の額というものについてはまさに党派を超えて国民的な議論のもとで決めていくべきものであって、それについては、私どもが基準としている現行の基礎年金レベルを議論の出発点としながら、その最終的な水準については年金制度改革調査会の中で国民的な議論を踏まえて決めていこうというふうに提案をさせていただいているわけであります。

宮澤委員 また長々と御答弁いただいたんですけれども、私の質問は、全国均一なのかどうかという、イエスかノーかだけの質問なんです。それについて一切、実は答えていただいていないんです。イエスかノーかだけ、ちょっとお願いします。

古川(元)議員 先ほど申し上げましたように、最低保障年金は生活保護とは違いますから、当然、これは全国一律というふうに私どもは考えております。

宮澤委員 素直にそうお答えいただければ大変ありがたかったんですけれども。

 ちょっと私も、また細かい話になって大変恐縮なんですけれども、最低保障年金の金額のところが、たしか十条の三項に、最低保障年金の限度額として、医療保険制度、介護保険制度における保険料の負担、こう書いてあるんですね。それで、ふっと思ったら、御老人の方というのは、医療保険は大体国保の方が多い。介護も、両方ともこれは市町村でやっているなと。市町村でやっているものをもとにして、勘案してやる。

 特にこれは原則としては書いてなくて、珍しく生の形で書いてあるものですから、ちょっと調べましたら、国保の一人当たりの額というのは、北海道のある町だと平均で年十一万、鹿児島だと一万九千円、十一万と一万九千円と違うんですよ。これだけ差がある。介護保険料も、御承知のとおり、市町村で少ないところと多いところで倍以上違う。こういうものを「勘案して」というふうにわざわざ書いてあるにもかかわらず、これは全国で均一なんですね。

枝野議員 この三項にあります「医療保険制度及び介護保険制度における保険料の負担等を勘案して定める」、この「等を勘案して」ということの意味は、例えば、年金制度とは別の次元の世界で、今でもあり得ますけれども、全体的には消費者物価等が下がっているけれども、しかし、自民、公明政権の政策の失敗でなぜか保険料だけはずるずる上がっていく、こういうような事態は多々見られているわけでありまして、こうした、物価変動とは別に、医療保険制度や介護保険制度の保険料水準などというのは違いが出てくる場合があります。

 そうした場合には、単純に消費者物価の変動だけではなくて、こうした高齢者等に係る保険制度の保険料負担等を勘案してそのスライドを考える必要がある、そうした考え方の基本を書かせていただいているものでありまして、現状でそれぞれの地域ごとに保険料の差があることは当然理解をしておりますが、そのことについては、それこそ年金のほかに上乗せで生活保護を受け取られる要件を満たしている皆さんに対しては、そこでは当然配慮がなされる、こういうことになるということで、全然矛盾はないと思っています。

宮澤委員 今、実は大変大事なことをおっしゃって、物価にスライドしていく、それは当然のことだと思うんですが、法案にはもちろん書いていないんですね。「等」で物価は読んで、それ以外を、この保険料は――そうなると、物価の部分は「等」で読むんですね。

枝野議員 条文をちゃんとお読みいただいて細かくお聞きをいただいているんですから、十分御理解いただいた上でお話しになっているんでしょうけれども。

 十条の一項では、「高齢者等の安定した生活に必要な額に満たない」とか、第二項では、「その生活の基礎的な部分に要する費用を賄うことができる額」と書いてありまして、これは当然、物価の水準が変わればこの部分の額が変わるのは子供でもわかる話でありまして、ここで書いてあると。ただし、そうしたときに、一般の消費者物価だけがとらえられると、特に高齢者にはしわ寄せが行くということを改めて注意的に三項で書いているだけであって、素直に読めば素直に理解できる話であります。

宮澤委員 やはり弁護士の方は説明がうまいなと思いますけれども、恐らく、そういう読み方はなかなか難しいんではないかなと私は個人的には思っております。

 それで、実は、何でこういう話をしているかといいますと、何を保障するかというのは、実は大変難しい話なんです、最低保障年金とおっしゃいますけれども。まさに、生活費は全国で大幅に違うんです。

 さっき言った細かい話ですけれども、わざわざ法文に書かれている医療保険にしても、介護保険料にしても、かなり違うんです。そういう全国に散らばっている方たちに、では最低の生活というのは何だという話をもっと詰めてあるのかなと実は思って質問しているものですから、大変難しい最低保障年金という概念を持ち出されたなと思って、これを質問しているわけです。

 条文を読みますと、最低保障年金というのはまた何だろうなと思いますのが、十条の一項には、まさにおっしゃった「高齢者等の安定した生活に必要な額」という基準がある。二項には、「生活の基礎的な部分に要する費用を賄うことができる額」、こういうことを二種類書いてあるんですね。最低保障年金というのはどっちなんですか。

枝野議員 これも条文をちゃんと読んでいただければおわかりいただけると思いますけれども、高齢者の安定した生活に必要な額に満たない受給者に対して支給をすると。そして、その支給の額については、生活の基礎的な部分に要する費用を賄うことができる額を限度とするという二段階で、どういう人にお渡しをするのかという話と、そしてその方にお渡しする額の限度額について書いてあるので、これはそれぞれが違っているのは当然であります。

宮澤委員 違っているというようなことを私は十分承知した上で質問しているので、まじめに答えていただきたいんですけれども、最低保障年金の限度額というのはどっちなんですか。一項なんですか、二項なんですか、これだけです。

枝野議員 図まで二種類つくって御理解いただいていると思いますから、御理解いただけるというふうに思いますけれども、あの図の一番右の端ですね、最低保障年金の入る、受け取る、一番右の端のところがどこなのかということについて言えば、足し算した、報酬比例年金と最低保障年金を合わせた額が、二項にあります「高齢者等がその生活の基礎的な部分に要する費用を賄うことができる額を限度とし、」というふうに書いてありますから、ここが一番右側の線の報酬比例年金と最低保障年金を足し算した額ということになるのは、すぐにおわかりいただけると思います。

宮澤委員 今おっしゃっておられるのは、ここの部分とおっしゃったんですか。この高さが最低保障年金額なんですか。私が聞いているのは、最低保障年金の限度額というのは何かと聞いているんです。どっちなんだと。

枝野議員 最低保障年金の限度額ということの意味について、御質問の趣旨がよくわからないんですけれども、最低保障年金を満額受け取れる方というのは一定層いらっしゃいます。この満額については、まさにこれは国民的な議論のもとに水準を決めなければならない話でありますが、我々は、今の基礎年金の満額の水準が国民的な合意のとれる妥当な線であろうということは、既に明確に申し上げてきているところであります。

宮澤委員 わかりました。

 では、今言った六万六千円だか七千円という基礎年金の額に対応する金額というのは、一項に書かれているんですか、二項に書かれているんですか。

枝野議員 一項でも二項でもありません。十条全体に書いてあるということです。

宮澤委員 一項でもなく二項でもなくということになってくると、これはまた何にも書いていないんですか、全体で読むというのは。では、二項の額は何が書いてあるんですか。

枝野議員 そこは減額の仕方について、減額の条項について書いてあるのでありまして、何にも書いていないといったって、この十条の一項から全部を読めば自然に読めるわけで、どう読んだらどこにも書いていないなんて出てくるのか、さっぱりわけがわからないですけれども。

宮澤委員 そうしますと、減額のやり方というのは、やるのは、六万七千円を徐々に減額してゼロにする。そうすると、二項の限度額は今でいえば六万六千円、そういうふうに読めるわけですね。それでいいわけですね。

枝野議員 法制局的にかなり細かく条文を読んでいらっしゃる方ですから、私もあえてそういうふうなお話の仕方をします。

 違います。ここは、賄う額を限度とし、「所得等比例年金の支給額等に応じて減額するものとする。」と書いてあるんですから、「高齢者等がその生活の基礎的な部分に要する費用を賄うことができる額を限度とし、」と書いてあるわけですから、そこのところは、先ほど申しましたとおり、グラフの一番右の線のところのトータルとしての、ここを限度として、そして報酬比例年金等の支給額に応じて減額をするということを言っているわけですよ。

宮澤委員 私の質問中、五十嵐提案者はうんうんとうなずいてくださっていたんですけれども、違う答えが返ってきて、じゃ、枝野議員にもう一度伺いますけれども、この二項の額と一項の額はどっちが大きいんですか。「安定した生活に必要な額」と「基礎的な部分に要する費用」、今の話ですと、この一番右の一番高いところが二項だというと、二項の額の方が高いんですね。

枝野議員 質問の意味がよくわからないんですけれども、高齢者等の安定した生活に必要な額に満たない受給者という場合の受給者の対象は、少しでも、一円でも最低保障年金がかかる人ですから、そういう意味では一番右の線のところの受給者ということになりますから、どっちが高いとか低いとかじゃなくて、全然別のことを書いているんですよ。

 一項ではどなたが支給の対象になり得るのかということが書いてあって、二項ではどういうふうな方には減額をするのかということを書いてあるのであって、どちらかがどちらかの金額を示してそれでばしっと決まる話じゃなくて、こういう人たちにこういうルールで減額すると書いてあることを言っているのであって、何をお尋ねになっているのか、さっぱりわけがわからないんですけれども。

宮澤委員 ともかく枝野先生は、本当に話を聞いているうちにわからなくなってくるんですが、実は何にもおっしゃっていただいていなくて、十条全体で最低保障年金の制度といいますか額がわかるというようなことをおっしゃるんですが、六万六千円程度は最低保障しますよということは、これはたしかきっちりおっしゃっていますよね。その額は、一項に書いてあるのか二項に書いてあるかと言ったら、全体で見てくれ、両方とも違うとおっしゃるわけですね。

 私は、素直に読むと、二項で読んで、徐々にそれを上限として全額減らせるよ、こう書いてあるような気がしてしようがないんですけれども、二項の限度額というのは今で言えば六万六千円かどうか、これは五十嵐提案者にぜひお願いします。

五十嵐議員 そのように、現時点、我々は最低保障額を今これできちっと確定しているというわけではありませんから、我々はあくまでも決めた額が最低保障額になるというふうに考えておりますから、その時点で変わるということもあり得るということでありますけれども、そのように読める、現行の六万六千円を最低保障額ということにしたいということであれば、仮定の上でありますけれども、仮定をそう置けばそうなる、そういうふうに読むこともできるということだと思います。

宮澤委員 仮定を置けば、いろいろおっしゃって、要するに二項がいわゆる六万六千円に当たる金額に対応するところだという話をされたんだと思います。

 それで、もうともかく時間がこんなにかかると思わなかったんですが、一点だけ。これは御答弁が後ほどあればいいんですけれども、この二項のところは、「生活の基礎的な部分に要する費用を賄う」という、正直に言って、一項よりはかなり低いといいますか狭い金額になるような書かれ方をしているなと思って、ここが六万六千円に対応する。

 となると、ぱっと私が思ったのが、三月にスライド年金の法案、民主党は対案を出された。対案を出されたのはいいことだと思うんですけれども、まさに六万六千円だか七千円の上限において〇・三%を変える、変えないという案を出されたんですけれども、その中で、第一条のところを見ると、「高齢者等の生活の安定を図る観点から一定の最低保障額の年金の支給を保障する制度を創設すべきである」、こういう表現があって、まさに生活の安定を図る観点からこういう制度を設ける。これは、まさに一項に言っている方の生活の保障に近いんですね。

 ここは六万六千円だとおっしゃっていて、このときは六万六千円を引いてきて、いろいろおっしゃるでしょう、理由はあるんでしょうが。ともかく、条文的にいいますと、極めてこれは、本当に短い条文で凝縮しているはずにもかかわらず、一番大事な最低保障というところでかなりこれは難しいといいますか、矛盾を抱えた条文であるとしか私には思えない。

 古川先生、何か意見があれば言っていただきたい。短くお願いします。

古川(元)議員 短く申し上げますけれども、これだけ国民の皆さん方が年金議論に対して本質的な議論を求めている状況の中で、私どもが前に出した物価スライドに対する対案と、これは別の法案です。そこの部分の字句の、一々そこが安定的なのか基礎的なのかというところをめぐって、こうしたことで時間が費やされるということは、宮澤委員自身も本意ではないと思います。

 ぜひ、私ども、もっと本質的な議論を、本当に今の制度でいいのか、それとも新しい一元化された制度であれば、その姿としてどれがいいのか。宮澤委員も、最低保障年金というような考え方、そういうものが必要だという考え方は多分おありだと思います。そうであれば、どういう考え方がいいのか、そういうものをぜひお示しいただきたい。それに対して、私どももきちんとお答えをさせていただきたいと思います。

宮澤委員 与党は、まさに今の基礎年金、国民年金という問題で御提案を申し上げているわけであります。

 それで、ささいなこととおっしゃいますけれども、古川先生は両方の提案者なんですよ。両方とも責任持って出されていて、恐らく頭のいい古川先生ですから、条文はきっちり読まれているはず。民主党案、民主党案といったって、いろいろなことが報道されていますけれども、案はもうここに書いてあるこれだけなんですよ。これだけなんです。これ以外の提案は正式じゃないわけですよ、言葉で何かおっしゃるかもしれないけれども。

 そういう中で、その中の一つの柱ですよね、最低保障という年金。その中でも詰まっていないようなものが出ているんじゃないか。あれだけ議論をされてきたにもかかわらず、随分詰まっていないなと。緻密な方が提案者にいろいろいらっしゃって、よく出てきたなということだけ私は最後に申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 十一条に、移行期間という条がありまして、これは大変難しいわけです。四十年かけて移行する、それはそうだと思います。二十歳の人が六十になるまで移行は終わらない、こういうことは間違いないんだろうと思うんですけれども、その中で、またこれは大変細かいことだけれども、実は重要な話につながっていくんです。

 十一条の二項に、新制度の、「年金制度改革の実施後に保険料が納付された期間に対応する所得等比例年金及び最低保障年金が支給される」、こう書いてあるわけですが、「納付された期間に対応する」というのは、当然、最低保障年金にも係るんですね。それだけ、係るか係らないかだけ、お願いします。

古川(元)議員 当然、係ります。

宮澤委員 大変簡潔なお答えで、久しぶりに安心をいたしましたけれども。

 そうすると、旧制度下の未納、未加入の人については、新制度のもとに加入した以後しか対象にならない、最低保障年金、そう考えていいわけですね。

古川(元)議員 新制度における最低保障年金はまさにそういう考えになりますが、今の未納、未加入の問題については、これはやはり別の考えの中で、政府もまさに今、無年金障害者の問題については政府自身が福祉的な措置でやろうと言っているわけでありますけれども、そういう問題の中でこれは考えていくという方法があると思っております。

宮澤委員 まさに、その部分はその部分として、民主党案においても、この法案では要するに対応されていない。逆に言えば、新制度のもとで、要するに新たに加入した人が新制度の最低保障年金の満額をもらえるようになるのは四十年後、数字はまた少しいろいろこれから検討されるということになるでしょうけれども、四十年程度後にやっと満額がもらえる、こういうことでいいわけですね。

古川(元)議員 そのとおりです。

宮澤委員 次に、新制度のもとで、所得比例年金を納めなかった人、所得があるけれども納めない未納者も出てくる可能性は随分あるわけですけれども、こういう人は最低保障年金はもらえないわけですね。

古川(元)議員 納めないということはどういうことなのか。私どもは、国税庁と社会保険庁を統合して、そして歳入庁をつくって、そこで一元的に税、保険料、両方を徴収するということになっております。ですから、そういう意味では、納めないということは、これは脱税をしているということに逆になるわけでありまして、税務署長も経験をされた宮澤委員のことですから、そういう人を放置するということが好ましいと思っておられるというふうには私は考えませんけれども。

宮澤委員 今まで二、三問、素直にお答えいただいたので安心していたんですけれども、私の質問は、そういう未納、未加入の人は最低保障年金の対象になるのかならないのかだけですから。イエス・オア・ノーなんです。

古川(元)議員 未納、未加入という問題は、私どもの中では、起こらないというふうに考えております。

宮澤委員 この制度で未納、未加入が起こらないと言い切ったわけですけれども、正直言うと、これは実態の、まさに経済人といいますか、国民、庶民、またはお金持ち、みんなそうですけれども、恐らくその気持ちとはちょっと違うのかな。

 未納、未加入が絶対に起こらないとここで言い切られる自信のもとは、何ですか、それは。

古川(元)議員 逆にお伺いしますが、では、どういう場合をもって未納、未加入ということを想定しておられるのか、具体的に教えていただけますでしょうか。

宮澤委員 自営業者に所得比例の、報酬比例の年金を入れるというのは大変なことなんですよ。大変なことです。まさに、今の未納、未加入以上に対象がやたらふえるわけですから。こういう話を入れて、まさに未納、未加入というものを想定しないで制度というのはできないと思うんです。だから、未納、未加入がもしもいたらば、要するに最低保障年金は出さないのか、未納、未加入でも出すのか。そこを考えないで、緻密な古川先生また枝野先生がこの提案をされたとは思われないんですよ。

 ただ、ともかく時間がありませんので、最後に、十五条の関係で、まさに新しい制度を入れるために、その前にいろいろ前さばきをしなきゃいかぬということが書いてあるんですが、この中に大変重要なことがあるわけです。恐らく、これは民主党の中で本当に全員が御賛成されたのかなと、個人的な考えですけれども、思っているんです。

 まず一つは、今の話につながるんですが、一番目に、俗に言う納税者背番号のようなものが書かれているわけですね。これは実は、山井提案者がそこにいていただいたらぜひ山井提案者に質問したかったんですけれども、こっち側に隠れておられるから質問できないので残念なんですけれども。

 この一号というのは、これは相当大変なことが書いてあるわけです、納税者番号。今まで、グリーンカードを提案して失敗したりということをいろいろやってきていますけれども、これはすべて金融商品に係って、まさに納税者番号的なものを導入しようということを今まで検討してきたわけです。

 今回は、自営業者の、ある意味では所得の把握が足りないとか、さらに言えばサラリーマンも、これは当然のことながら、給与だけではなくてほかに副業をやっているような人からは恐らく保険料を取るということがあって、そういう人も含めて、納税者番号でそういうものが起こらないようにするためには、金融取引だけではなくて商取引自体に納税者番号を使わない限り、実体的にそれだけの増収が出るとは、私にはとても思われないんです。

 恐らくここは、そんなことはこれからの詰め方で、こう逃げられるんでしょうけれども、そういう大変重要な、極めてプライバシーというものをどうするかということにかかわるところをさらっとここに書いてあるということは、一点、これは御指摘をさせていただきます。

 それからまた、四号というところにもさらっと、相続税、贈与税のあり方を検討する、こう書いてあるわけですよ。公的年金の支給の財源の充実に資するために、相続税、贈与税、恐らく贈与税はつけ足しでしょうけれども、相続税を検討する。ということは、当然、増税の方向なわけですね、これは。財源の充実に資する。増税の方向であることは間違いないと思うんです。しかも、年金という何兆円という単位をまさにやっているときに、殊さらに、財源の充実、こう書かれているわけです。

 そうすると、私の乏しい経験、恐らく古川先生も経験されたと思いますけれども、相続税の増税をする、しかも課税最低限を相続税について下げて、そうしない限りは、これはそれなりの税収は上がらないわけです。民主党としてはそういうところまで考えてこれは書かれているんですね。皆さんの意見は一致しているんですか。

五十嵐議員 必ずしも増税というわけではありませんが、しかし、それは、相続税の考え方からして、年金の使い残しが相続に回っているということも考えられるので、検討の一項目には入りますねと。その場合は課税ベースを、今余りにも制限されていますから、課税の水準は下げても課税ベースはもう少し広げるということは考えなければいけないかなというのはありますが、御存じのとおり、日本の相続税体系はちょっと特殊でございますので、遺産税に切りかえるということも検討しなければいけないし、検討項目はいろいろあると思います。

 ただ、ここに書いてあるのは、直ちに増税というわけでもありません。増税ということも視野には入りますけれども、一方で、そのままでも、相続税の性格からいって、年金目的税の中に組み込むことは必要ではないか、そういう考え方がかなり強くなっているということは確かだと思いますが、この点についても詰める必要があるというふうに考えています。

宮澤委員 まさに正直にお答えいただいたと思うんですけれども、税率をどうするかという話は別にしても、課税ベースを広げるということを考えないと、まさに、財源の充実に資するレベルまでは間違いなくいかない。

 ただ、財源の充実に資する等のため、相続税のあり方について検討を行い、必要な税制の改革を行うとなると、これは減税はないですよね。増税ですね。ちょっとそこのところだけ。

五十嵐議員 年金目的税の中に消費税だけではなくて相続税も入れるということが、念頭に置いていることであります。増税もあり得るという話でありますけれども、増税がそれで確定するということではありません。

宮澤委員 要するに、増税をする可能性は否定はしないけれども、目的税の方で特定財源化をしてしまうということも考えている、こういう御答弁であります。

 それを少なくともこの五年間でやってしまうわけですね。五年間でやる。その確認だけお願いします。

五十嵐議員 調査会で議論するわけですが、可能であれば実施したい、実行したいということだと思います。

宮澤委員 相続税については、私個人としては、まさに方向はおっしゃるとおりだろうと思っているところがあるものですからしたのですが、まさかこれが民主党全員の同意のもとに出てくるというのは、ありがたいような話だなというふうに実は聞いておりました。

 そういった意味で、この十五条のところも、まさに所得把握の話について、プライバシーとの関係等々をどこまでやるのかということになってくると、なかなか大胆なことを政府は言えなかったわけですけれども、自営業者の所得把握のために相当な、まさに納税者番号を入れる。私の想像でいえば商取引まで入れざるを得ないだろうなというところを、民主党がまさに提案されたと考えていいんですね、ここのところも。

五十嵐議員 私どもは納番制を入れたいというふうに思っています。

宮澤委員 納番制というところで逃げられて、中身については今おっしゃらなかったんですが、商取引まで入れますか、入れませんか。

五十嵐議員 そのことも含めて、ただ、取引の方も、金融取引、足の速い金融取引については別途、今いろいろな、二元的所得税論まで国は踏み込んでおりませんけれども、そういう方向性も含めて検討をしているところですので、含めて検討していきたいというふうに思っています。

宮澤委員 大胆な発言で、私は、今の発言は評価しますが、これは本当に民主党が具体案を出すときに出せるのかなと、人ごとながら実は心配をしております。

 まだ少し時間があるようでございますから、一つ、支給要件について、これはほとんど書いていないわけですけれども、たしか開始年齢については、とりあえずは六十五歳というようなことを、前回枝野先生だったか、おっしゃったと思うんですが、それでよろしいですね。

枝野議員 基本的に、今の雇用の実態から考えると、六十五歳を動かすことは現状では難しいということですので、六十五歳ということで考えています。

宮澤委員 考えられているなら、そんな大事なことを条文に書けばいいなというのが率直な印象でありますけれども。

 また、この中で、支給要件等々で具体的に書かれていない話でいいますと、最低加入期間というのは新制度はあるんですか。

枝野議員 先ほどのお話にもつながりますけれども、今回、今度の制度の所得比例年金、すべての人が同じ制度に入って、例えば所得のない人でも概念的にはゼロ円の保険料を納めている、しかも、税と一緒にその手続を行うということですので、全員が加入をしているということになります。

 そして、移行のことを考えますと、例えば、今既に五十代後半の方などが、二〇〇九年の時点であと一年間とか二年間とかという方を、それでだめとかということにはいきませんので、加入期間という考え方は基本的にはない。

 ただし、もちろん加入期間が短ければ、それだけ相対的に納めた保険料の額が少なくなりますから、従来の報酬比例の部分が少なくなりますし、また、それに対応する最低保障年金の額というのも、これは公平性の観点から、加入期間の短い、つまり、例えば海外におられた方についてはいろいろな調整が必要だったり、そういう部分については調整は必要ですけれども、そもそもが、途中から入るとか抜けるとか未加入とかという概念がなくなりますので、そういう必要はないということになります。

宮澤委員 もう時間がなくなりましたのでこれで終わらせていただきますけれども、最低加入期間がないという問題点は実はいろいろあると私は思っております。

 それから、未納、未加入がないことを前提に積み立てているということは、それは、現実問題として、未納、未加入というのは間違いなく私は生じると思っているんです、生じると思います。新制度、もしもこれが実現すればですよ、まあ実現しないからいいような話ですけれども、するとすれば、未納、未加入の話というのがあって、これは全く前提としていないといういろいろな答弁は、納得いかないものがございます。

 さらに申し上げれば、最初に、図を説明して、随分長く御答弁をされて、なかなか実のあるお答えはいただけなかったんですけれども、まさに民主党が提案されているこの条文、提案されたこと自体は私は評価をしていますけれども、しかし、この中に書かれている条文がすべてですから、提案者の意思というものは、立法者の意思というものは、もちろん解釈のときに使えますが、絶対のものじゃないわけです、御存じのように。まさに条文が基本なんです。民主党が新聞発表されているような図は書けます、間違いなくこの条文で。その条文と矛盾していることはない。しかし、そうじゃない可能性を幾らでも秘めているこの条文である。

 まさに、民主党が出した案というのは、今まで先輩委員が大増税改革だとかいろいろおっしゃっていましたけれども、私はこの条文を読んだ印象を申し上げれば、民主党が我々の案であると言っていることだけがこの条文に書かれていることじゃなくて、実は、低所得サラリーマンが損するかもしれないというような案にすら行けるような、まさに、民主党の案は、幻想でありイリュージョン、蜃気楼みたいなものだなと。あるあると言っているんですが、実は条文の中には一切書いていない。そういう蜃気楼の改革案だということを御指摘させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

衛藤委員長 次に、中西一善君。

中西委員 自由民主党の中西一善でございます。宮澤議員に引き続きまして、民主党案に対しまして質問をさせていただきます。

 先ほど最後に宮澤議員がおっしゃりましたが、民主党自体がこういう法案を出されたということは本当に評価に値するし、さきの総選挙がマニフェスト選挙ということで、政策そのものが国民の目から非常に評価をされた、そういう政治の状態になってきたことは、私はすばらしいことだと思います。

 しかし、民主党さんが十月にマニフェストの中で民主党案というものを出しておきながら、九日まで、対案、マニフェストの中で約束をしていた法案が出なかった、全く出ていなかった。そうした中において国会が空転をしたということは、国会というのは、小泉総理の発言だとかそういうこともございましたが、論戦を通じて議論を深めていく場なんですよ、国会……(発言する者あり)

衛藤委員長 答弁者は静かに。

中西委員 対案を出さないで我々与党だけで、質問の委員会を回すなんということは、私は政治家にあるまじき行為だと思いますし、空転させた期間は国会議員の義務というものを放棄した、かつての社会党を見ているような、私は一個人として思ったわけであります。

 いずれにいたしましても、これから質問をしようと思いますが、今回民主党が出されました高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案、これが民主党の法律の名前でありますが、これはずばり先般の第一委員会室での質問にもありましたが、五年間先延ばし法案、全く、検討しようじゃないか、役所の言葉で何々を検討いたしますという言葉が出ますが、まさに検討します法案としか言いようがないように私には思えるわけであります。私はそのように感じておりますし、国民の皆様が実態を知れば、そのように思うのではないかなと思われます。

 いずれにいたしましても、年金というのは負担と給付の関係を明確にすることが年金なんですよ。全く今回の法案には数字が入っていないじゃないですか。これは入っていると言えない、どう考えても入っていると言えない。我が党の大野議員が先般質問したように、まさに年金というのは数理の世界ですよ。年金は数理の世界であって、数字が入っていない、全く数字が入っていない、与党案には数字が入っているんですよ、五年間先延ばしするということは、私は非常に情けのないことであると思います。

 また先般、どなたかの答弁で、政府が数字を出さない、数字を出さないと言っておりましたが、大体、国会議員というのは国政調査権を持っているわけですよ。何が数字を出せない。私は、国政調査権を……(発言する者あり)国会議員は国政調査権を持っているんですよ。(発言する者あり)

 若干正確でなかったところは訂正をさせていただきますが、いずれにいたしましても、公党たる民主党は、その調査能力というものが問われるわけですよ。調査能力……(発言する者あり)これ、何がおかしいんですか。(発言する者あり)調査能力がないというよりは、低い、非常に低いと言わざるを得ないわけですね。(発言する者あり)

衛藤委員長 続けて。

中西委員 では続けます。

 いずれにしても、五年間先送りということは、その五年の間、相当な穴があくわけですよ。先般、北側議員が質問をして、厚生労働省の局長答弁でありましたが。五年間先送りによって、仮に、一八・三、五年間全く何も制度をいじらなかったということですよ。大体、答弁席からやじらないでください、質問のしようがありませんから。(発言する者あり)

衛藤委員長 答弁者、静かに。

中西委員 こっちが質問をしたときに答えていただきたいと思います。話を集中してできませんから。民主党も、もうちょっと真摯にやってください。

 一八・三というものを目指す、これを五年間先送りすれば、給付率は将来的に四七・七になるということを局長は答弁しました。逆に、五〇%をキープするということになれば……(発言する者あり)局長が答弁したんですよ。一九・三%。まさに労使折半で一九・三%、プラス一%増加するというような、やはりこれは国民に非常に大きな負担が、我々がもたもたすると、かかるわけですよ。

 これは自由民主党だとか民主党という問題ではない、我々、党利党略じゃなくて、国民のことを思ってやらなきゃいけない、私はそう思いますよ。だからこそ、いち早く法案を成立ということは、国会議員の責務ですよ。

 だけれども、五年後にスタートします、五年間協議会を設けます。私は、この間どれだけ国民の損失というものが増加していくのか、心配でなりません。

 それでは、具体的な質問に入らさせていただきますが、まず、生活保護と民主党の……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。

中西委員 民主党の最低保障年金の関係についてお聞きしたいんですが。

 ちなみに、この生活保護、一年間に幾らかかっているか御存じですか。(発言する者あり)うるさいな。(発言する者あり)これは民主党に聞いています。民主党、古川さん、答えてください。

枝野議員 政治家同士の議論ですから、いろいろな議論の流れの中で、通告のない質問とか、いろいろ出てくることはあり得ると思いますが、数字をお聞きになるんだったら、やはり通告するのが筋ではないでしょうか。

 ただ、一・五兆から一・六兆だというふうに理解をしています。正確かどうかは自信はありませんが、それぐらいだと理解をしております。

 数字を聞くんだったら、通告するのが礼儀ですよ。

中西委員 それぐらいの数字では大体合っていると思いますが。

 いずれにしても……(発言する者あり)いや、私は民主党に聞いているんですよ。

衛藤委員長 御静粛に。

中西委員 今、質問通告の話が出ましたが、私はしっかり出しましたので、そういうことを、私の質問以外のことを枝野議員が答弁するのは……(発言する者あり)

衛藤委員長 ちょっと、発言者、理事とそんなことやり合わないで、発言者は質疑を続けてください。

中西委員 はい、質問を続行いたします。

 ちなみに、六十五歳以上ぐらいの夫婦で生活保護、いわゆる一級地の一、こういう規定を言いますが、夫婦二人でどれぐらいの年金をもらうか御存じか、民主党さん、お答えください。古川さん、お答えください。

 夫婦二人、六十五歳以上ぐらいの夫婦で、大まかで結構です。詳しい数字、正確じゃなくて結構ですから、大まかに、夫婦二人で大体、生活保護で、一級地で幾らぐらいもらっているか御存じですか。(発言する者あり)委員長。

衛藤委員長 中西一善君。

中西委員 これはお答えできないわけですね。では私が答えますから。

 大体十二万二千円ぐらいもらえるんですよ。(発言する者あり)わかりました。十二万二千円ぐらいもらえるんですね、十二万二千円。となると、これは、最低保障年金と生活保護の整合性というのはどうなるんですか。両方とも……(枝野議員「さっき聞いていなかったのか」と呼ぶ)いや、何回も聞くんですよ。何回も聞きます。生活保護と最低保障年金、ともに税負担ですよ。ともに税負担ですけれども、これの整合性はどう考えていますか、枝野さん。

枝野議員 いいですか。年金については、まさに権利性を持って、老後の生活のベースになる部分をしっかりと保障しましょうということで保険料を納めているという、負担との対応で権利としてしっかりと持つ。それについてだけでは、今の、例えば最低保障年金、満額にいった場合でも、生活保護として憲法に基づいて保障されるべき金額に達しないケースはあり得ると思います。

 ただ、生活保護の場合は、他の要件が加わる、つまり、資産の要件だの多々要件が加わります。そうした要件も満たしていなくて、年金額も生活保護の水準に達していない方には、それは生活保護の概念、観念に基づいて、年金に加えて生活保護が与えられるというケースは十分にあり得ますが、しかし、そのためには、資産要件その他の厳しい要件があります。

 年金は、どのような資産を持っていようとも、現役時代に納めた保険料に対応する権利として、それは一生の間納めた保険料が我々の新制度でゼロ円だったとしても、最低保障年金として、権利として保障する、この部分のところには、明確な考え方、哲学、それから意味の違いがあるというふうに考えています。

中西委員 今、長く御答弁いただきましたが、なかなか国民には理解されにくい答弁だと思います。(発言する者あり)

衛藤委員長 御静粛に。

 それから、提出者は、それ以外のことはあれしないでください、やじらないでください。

中西委員 民主党の一般の議員さんはちょっと静かにしてくれないと、私の質問を集中してできない。質問できないから、静かにしてください。

衛藤委員長 そのまま続けてください。

中西委員 次は、高齢者いじめについて聞きます。

 仮に、六十五歳ぐらいまでに四十年間しっかりと国民年金を納めていた人がいる。私は国民が素直に思うことを言っているんですよ、今回さらに年金目的消費税三%を取られるというのは、これは二重取りじゃないですか。二重取りですよ。年金目的消費税を三%程度に上げるようなお話ですが、二重取りにならないか。

 私は、これは一般の国民、例えば、我々が地域に帰ったときなどに、これはどうにもこうにも説明しようがない。もしこの法律が通ったとしたら、これは説明できないが、どのように説明するんですか。

五十嵐議員 もともと年金の受給権のもとになる負担の方、そこに政府の計算がインチキなために大穴があいているわけですね。ですから、負担し損なっている部分を補っていただくということであります。

 それは、今度は、若い世代だけに保険料の負担という形で押しつけるよりははるかに公平であります。政府側の案では三重取り負担ですよ。まさにこれから先、足りない部分を、年金に充てようが何に充てようが、消費税も上げる、保険料も上げる、そして給付を下げるんですから、これは三重取り、四重取りが政府の案でありまして、私どもは公平な負担をお願いしているというふうに言えると思います。

中西委員 いや、今の説明では全然わかりませんでした。少なくとも私は、国民の皆様に説明できません。

 次に、自営業者いじめについて申し上げたいんですが、仮に一三・五八を維持するとする、そして今回の民主党の法案、七条三項ですか、被用者である被保険者に係る保険料は、うんたらかんたら、事業主がその一部を負担するものとする。これはつまり、三項を読んでみると、自営業者がすべて負担するというふうに私には理解できるんですよ、一三・五八丸々。私はそう思います。

 これは、サラリーマンは折半負担でありますが、自営業者は一三・五八丸々負担ですね。そうすると、この標準的な、平均的なサラリーマン、今に直して考えてみますと、自営業者が今まで一万三千三百円、現行制度で払っている。それに対して、平均的なサラリーマンの収入に合わせてみれば、それこそ五倍近くの六万四千円まで自営業者の負担が上がるとも私は読めるし、そのとおりになるのではないかなと思っています。まず、この辺のところをどうお考えなのか、後で御答弁をいただきたいわけであります。

 また、社会保険庁、国税庁を統合するという話でありますが、クロヨン問題で御案内のとおり、そもそも自営業者の所得捕捉というのは大変難しいというのは社会的に常識になっていますが、先ほどの宮澤議員への答弁なんか聞いてみても、税務調査というものは徹底していくことになりますよね。となると、自営業者が、今納税しているのは大体二割ぐらいと私は思うのでありますが、二一、二%だと私は思うんですが、こういうもの……(発言する者あり)いや、それだけ利益が出ていないということですよ。課税事業主ですね。まさに、こういうものに対して所得を把握していくというようなものの難しさと、また、一体どういう所得に課税するのか。それが各種控除の後なのか前なのか。ちなみに、サラリーマンの場合は、各種控除前ですから、非常に広く、ある意味では薄く課税をされているわけですよね。しかし、これが前なのか後なのか、それも一点お聞きしたいことであります。

 また、この納税者番号、これはやはり私は、短期間でこの日本に導入するというものは非常に難しいものだと思います。ちょっとこの辺のところを御答弁いただけますか。

古川(元)議員 まず最初に私が答弁させていただいて、その後、五十嵐議員に続けさせていただきたいと思いますけれども。

 私が答弁するに当たりまして、最初に中西議員が、民主党はマニフェストで出しているのに、これまで、対案を出すのにこんなに時間がかかったというふうに言われますけれども、自民党さんの方は、小泉さんは抜本改革というものをマニフェストで約束して、選挙の前には十二月中に出すというふうに言われたんですね。ところが、出てきたのは、もう年が明けてからでございますし、しかも、出てきたものは全く抜本改革とは言えない、先ほどから私が指摘をしておりますけれども、当面の財政対策なんですね。まさに、そういう小手先のところで出してきておいて、これを抜本改革とか百年安心プランと言うのであれば、まず、これは自民党さんの方からちゃんとマニフェストで抜本改革というのを出すと約束したんですから、それを出していただいて、私たちの案とこれは比較するというのがそもそもあるべき姿だということを申し上げたいと思います。

 その上で、今、自営業者についての御質問がございました。確かに私どもの案では、基本的なこの保険料率については所得比例ということで、一三・五八%というものを想定はしております。しかし、今、そもそもこの保険料、サラリーマンの厚生年金の一三・五八%、実は半分は事業主が負担しているわけであります。ここの事業主の負担の部分の性格について、厚生労働省は、これはサラリーマンの方が負担しているんじゃない、あくまで事業主が負担している分だと。

 ですから、厚生労働省が出しております負担と給付の関係を示す、七十歳ですと、負担と給付の関係でいうと、もらう額が五倍にも六倍にもなる、しかし、三十代とか何かになると二倍ですよとか、そういうところについて、我々は、これは事業者負担部分も含めて負担を考えるべきではないかというふうに指摘してきたわけでありますが、政府の方は、ここの部分は事業者負担分は負担していないんだから含まれないんだというふうに言っているわけでありますね。ここの部分について、実は性格がはっきりしていないわけであります。

 ですから、ここを、事業者が負担するのであってサラリーマンは負担していないんだとするならば、これは事業主が、サラリーマンが負担している部分は、実は、一三・五八と言いながら、半分でしかないというふうにも考えられるわけでありまして、そことの並びで考えれば、自営業者についてもこれは半分という考え方も十分成り立ち得るんだと思います。

 ですから、そういう部分については、ここは私どもと政府の考え方あるいは与党の皆さんも含めて国民的な議論をきちんとやらせていただいた上で、先ほど来から申し上げておりますように、年金制度というものは政権交代が起きたからといってころころ変わってはいけないものであります。ですから、具体的な、細かい最終的な制度設計については、国民的な議論を踏まえて決める形でやらせていただきたいというふうに思っております。

 なお、仮にこの一三・五八で、中西議員を初め与党の皆さんは、自営業者の負担が非常に多くなるじゃないかと、サラリーマンの同じような所得を持っている人と比べたらその人たちの負担は倍になる、何倍にもなるというふうに御指摘をいただいておりますが、これは私はためにする議論だと思います。

 先ほど、中西議員がいみじくも言われましたけれども、自営業者の人で納税している人は極めて少ないじゃないかというお話があったわけでありますね。実は、納税をしていないという人たち、この人たちというのは、まさにこれは課税最低限以下の人たちであります。百万、二百万というような、そういう所得しかない。こういう人たちも、自営業者は今は夫婦で月々二万六千六百円も負担しているわけであります。これを所得比例にしましたら、明らかにこの一万三千三百円の保険料負担がなくなって、そのかわり所得比例ということになりますから、これは低い保険料になることは間違いありません。

 そして、しかも中西議員自身も、御自身がいろいろ事業をやられてわかっていらっしゃると思いますが、いわゆる皆さん方言われていらっしゃるような自営業者というのは、ほとんどの人が法人成りをしている。法人成りをしている自営業者でみえる方々というのは、そこの部分では雇われている形になるわけでありますから、事業主の方が負担する厚生年金に加入している可能性が高いわけであります。

 それ以外のもっと高い所得の人ということで自営業者を考えますと、これは弁護士とか医者とかいう、いわゆる士業を中心にするような人たちではないか。この人たちについては、これは所得に応じた上限を設けなければいけないと私どもは思っています。

 この保険料の部分については所得控除ができますから、保険料が天井なく所得比例で納められるということになりますと、これは節税効果ということも、減税効果も非常に大きくなってまいりますから、天井は設けなければいけないと思いますが、こういう高額の所得者については、所得比例で保険料を求めても、それは重い負担というふうには考えないんではないかと。むしろ、この部分は、今までそういう支払い能力があるにもかかわらず、一万三千三百円、それに返ってくる国民年金しかなかった、基礎年金しかなかった人たちに対して、所得に応じた所得比例年金が保障されるようになる。老後の安心がそういう人たちに対してもきちんと確保される。そしてまた、低所得者の人たちについては今より保険料負担が小さくなって、それに最低保障年金が加味されて、そうした低所得者の人たちに手厚い年金が保障される形になる。

 まさにその点が、中西議員自身が、弱い人たちを大事にしたいということを御自身述べておられるわけであります。ぜひその点は、私どもの案をよく御理解いただきたいと思います。

中西委員 もう時間が余りありませんので、今の、ちょっと答弁漏れが一つありましたが、いずれにいたしましても……(発言する者あり)どういう所得に課税するのか、短く答えて、短く、短く。

衛藤委員長 答弁は簡潔にお願いします。

五十嵐議員 たくさんの御質問をいただいていて、手を挙げているのに答弁漏れがあるということはないでしょう。

 まず、申し上げますけれども、自営業者の所得については、これは、総収入から必要経費を引いたもの、それからさらに諸控除を引くと課税所得になりますけれども、そこまでは考えておりませんので、一般的には総収入マイナス必要経費ということで考えるべきものだろうと思います。

 ただ、一般の勤労者との比較においては、今でも青色申告控除が、勤労性の所得の部分と、あるいは出資に対する配当といいますか、事業所得の部分とありますので、そのバランス論についてはいろいろありますから、我々は、総収入マイナス必要経費を全所得と把握して、それにかけてもいいというふうに思いますけれども、それは、判断をこれからすればいいことだろうと思いますね。

中西委員 いずれにしても、これから決めることだらけで、非常にこの法案は穴だらけと言わざるを得ません。

 いずれにいたしましても、自営業者は地域の核ですよ、商店街も含めて、八百屋さんも含めて。そういうものを崩壊させてしまったら日本の土台が崩れる、中小零細企業、それこそ零細業者を破壊すれば日本の土台が崩れるということを一言申し上げます。

 また、一点聞きたいんですが、月百円だとか千円の保険料というものも発生すると思うんですよ。百円取るのに幾ら徴収コストがかかるのか、こういうことをどう考えているんですか。

五十嵐議員 それは、一体どのぐらい所得があるのか、所得階層とトータルの話ですから、所得階層別の数字を、これは厚生省から出していただかなければトータルなことはわからないということだろうと思います。

中西委員 私が聞きたかったのは、百円でも徴収するのかどうか、どこかで足切りをつくるのかどうなのかということを聞きたかったんですよ。ただ、御答弁がちょっと違ったので、結構でございます。

 所得再配分について聞きたいんですけれども。先般、これは、大野議員の質問に古川議員がお答えしたんですけれども、その中で、現行の年金制度は、社会保険といいながら、そこに再配分機能を持ち込んでいます、それが負担と給付の関係を不透明にし、それが制度への不信感の一因となっていると考えますと。要は、社会保険というものに再配分機能を認めないというお考えのようでありますが、介護保険とか医療保険も、それこそ所得に比例して負担をして、そして給付がある部分一定で、これは、ある部分再配分機能というものは持っているんですよ。

 また、市場原理の大もとであるアメリカにおいても、年金制度は再配分機能を確実に持っている。保険というのは、そもそもリスクをみんなで負担する、これは社会保障のもとですよ。これが私は共助だと思うんですが、古川さんがそれを切って捨てたわけで、ちょっとまとめて質問したいわけでありますが、どうしてこの再配分機能というものを、これは弱者いじめとしか言いようがない。このことをちょっと御答弁いただきたいです。

古川(元)議員 官僚に頼らず法案をつくりたいというふうに抱負を述べられている中西議員が、せっかく当選されて、私は元官僚として御忠告いたしますが、官僚の人たちは非常に丁寧に新人の人たちには御説明をいただけますけれども……(中西委員「失礼じゃないか」と呼ぶ)そういう点からいたしますと、今回の、今御指摘のところのこの保険の問題、私どもが言っておりますのは、社会保険というものは、これは社会全体でリスクを分配していく、そういうものが基本である、ですから負担に応じた給付を行う、それが原則である。ところが、現在の、今の日本の年金制度というものは、社会保険を基本としながら、これは基礎年金の三分の一が税である。これを二分の一に引き上げようとしているわけでありますが、そこの部分の税と保険との関係というのは非常に不透明なんですね。税で私どもは、基本的には所得の再分配を行っていくべきであるというふうに考えているわけであります。

 ですから、私どものこの新しい、民主党が考えております年金制度は、保険料に基づく所得比例年金と、そして税に基づく最低保障年金、保険料の部分については、負担と給付の関係、そういうものを明確にして、負担に比例して給付も行われる、そういう形でリスクの分配をするとともに、所得再分配の部分については、税で賄われる最低保障年金によって行っていく。そのことによって、老後の国民の皆さん方に最低限の所得を保障していく。そういう、公的年金に求められる役割というものを、所得比例年金と最低保障年金という、保険と税の組み合わせによって実現をしていくということを提案させていただいているわけでありまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

中西委員 時間が来ましたけれども、今の答弁を聞いて、実に子供じみた答弁で、古川さんは役所出身だからそれなりの、さっきから役所出身役所出身と言っていますが、私は民間出身ですよ。あなたに私の質問のもとを、一年生議員だからなんてただされるいわれは一切ない。極めて失礼です。失礼だよ。失礼だから、そのことは、あなたは反省をすべきだよ。それを一つ申し上げます。

 そして最後に、答弁は要らないけれども、俗に言う保険料の未納率三七・二%、これは、保険料の未納率ですよ。被保険者でいったら、一号被保険者でも一七%。一号から三号まで合わせれば、五・五%ですよ。あたかも、民主党は、百人歩いていると四十人近くの人が保険料を払っていないから日本の制度は終わりだというようなことを大きく大きく宣伝していますが、私は、そういうようなイメージになる……(発言する者あり)いや、イメージの話をしているんです。イメージのことを言っているんですよ、私は。イメージのことを言っている。そのような答弁をしたとか一言も言っていない。そのようなイメージがあります。

 だから私は、例えば厚生年金であれば、まじめなサラリーマンの皆様は源泉で取られて二・四%しか未納率がないわけですよ。そういうしっかりやっている部分も、しっかり皆さんは頭に入れながらこれからそういうことを、発言を、法案の作成並びに政策形成というものをぜひとも行っていっていただきたいということをお願い申し上げ、答弁は結構ですから、質問を終わります。

衛藤委員長 次に、福島豊君。

福島委員 公明党の福島豊でございます。

 大臣、また副大臣、答弁者の皆様、大変に御苦労さまでございます。昨日通告させていただきました質問に沿って、質問を行いたいと思います。

 まず初めに、私がお聞きをしたいことは、一元化という言葉が大変大きくクローズアップされておりまして、一元化がイコール抜本改革である、一元化が抜本改革でないとは申しませんけれども、それのみがあたかも抜本改革であるような誤解を私は国民に与えるんではないかというふうに思っております。

 といいますのは、これは遠くてちょっと見えませんね、答弁席から。(パネルを示す)要するに、公的年金の加入者というのは、七千八十万人いる。そして、その中で順番にグループを分けると、厚生年金のグループが三千百五十八万人、共済が五百十八万人、三号が千百三十三万人ですね。いわゆる国民年金の方が二千二百七万人いる。そしてその中で、未納、未加入というのが出てくるわけであります。

 私が今思っておりますのは、年金制度が大変大きな曲がり角に来ているのは間違いがない。その最大の理由は、少子高齢化であります。日本の社会が人口構造の大きな変化に直面している。今まで政府の推計というのが間違ってきたということは認めるのにやぶさかではありませんけれども、この事実はだれも私は否定できないと思います。そして、それに対してどう対応するのか、その仕組みをどうするかという問題なんですね。一元化の話は、未納、未加入の問題が大切な問題でないと言うつもりは全くありません。ただ、厚生年金のグループにしても、共済のグループにしても、国民年金のグループにしても、それぞれ集団は異なりますけれども、少子高齢化という状況というのは全く変わらないわけであります。変わらないもの同士をくっつけたからといって、それに対しての答えになるのかということがあると思います。ですから、本質は、民主党がおっしゃりたいことは一体何なのかということを明確にする必要があると思うんですけれども。

 これも非常に遠くて、わかりにくいわけであります。(パネルを示す)課題を幾つか分けてあるわけであります。少子高齢化の進行にどう対応するのか、そしてまた年金制度の分立という問題に対してどう対応するのか、国民年金の抱える問題に対してどう対応するのか、このぐらいに大きく分かれるんだろうというふうに私は思っているわけであります。

 少子高齢化の問題というのは、先ほど申しましたように、どの年金のグループにおいても同じであります。年金財政が窮迫する、世代間の不公平があるじゃないか、それに対してどうするんだ。年金制度の分立の問題というのは、確かに制度のわかりにくさというのをもたらしておるわけであります。ただ、社会保障制度というのは、医療保険でもそうでありますけれども、経路依存性というのがありまして、歴史の同じ時点にすべてがスタートしたわけでありませんし、いろいろなものが組み合わさって出てくる。ですから、これを変えるのは、緻密な議論をしないとなかなか難しい部分がある。国民年金の問題というのは、確かに、未納、未加入の問題というのはある。

 ただ、やはりこの三つの問題の中で一番大きいのは、少子高齢化に対してどう対応するのかという問題ではないかというふうに思うわけであります。

 そこで、あえてもう少し言っておきますが、要するに、その中で民主党の法案は、これは法案と言うには余りにも未成熟でありまして、対案と言っていいのかどうかというふうに私は率直に思います、失礼な言い方で大変恐縮ではございますけれども。しかし、一つの御提案をなさったということは間違いないわけであります。そしてまた、その中に込められている思想というのがどういうものなのかということについてはいろいろな形で議論した方がいいと思うので、私はこういう形で申し上げております。

 その中で、これは第九条に書かれておる話でありますけれども、給付の調整をどうするか、これははっきりと書かれているわけであります。それはスウェーデン方式の一部でありますところのみなし確定拠出方式、要するに、自分の納めた保険料総額、そしてまた自分の受給するものが大体等しいような制度にしようと、まあ、これは大体であります。そこのところは、必ずしも一致するというわけではありませんで、条文でいえば第九条の二項では、できる限り等しくなるようにと。できる限りという言葉がいいのかどうかというのは先ほど宮澤委員からの話がありましたけれども、基本的にはこういう思想なんだろうと思うんですね。

 一方で負担の方はどうするかというと、保険料は固定します、一三・五八である。ここのところも、数字が具体的に書かれておるわけでありませんから、将来どうなるかわかりませんけれども、固定するということは一緒である。その足らず分をどうするか、それを消費税で賄います、こういう提案だと思うんです。

 ですから、一元化の話は錯綜しまして、少子高齢化に対して、政府案では、私どもは、マクロ経済スライドで給付の調整はします、こういうことが一つの柱。二つ目の柱は負担の方でありますけれども、一八・三%までは段階的に引き上げさせて、これは厚生年金の話でありますけれども、そして、それによって負担と給付の見直しを行う、これが一つの大きな柱でありまして、少子高齢化にどう対応するのか。それに対して民主党の提案は、みなし確定拠出方式というものを導入して給付の調整をする。ただ、完成するのは四十年先でありますけれども。そして一方では消費税で財源というものを賄うという整理の仕方の方が、議論としてはかみ合うんだというふうに思うわけであります。

 ですから、ここのところは、一元化の持つ意義というか、そういうものをどういうふうに考えておられるのか、再度確認をさせていただきたいと思います。

枝野議員 大変本質的な議論をしていただいて、ありがとうございます。

 今の御指摘、かなりの部分、私どもも同感をする部分がございます。

 ただ、問題点として二つ申し上げたいと思いますが、一つは、まさに少子高齢化をどうやって解決するか、その問題に取り組むかというときに、特に厚生年金の保険料率でやっていくということは、これは二分の一が企業負担ということであります。現状でも、既にかなりの企業が、社会保険料の企業負担に耐えかねて、非正規雇用へとどんどん移しているという実態があります。

 これからの日本経済、日本社会を考えたときに、これをさらに保険料率を、しかも十四年間にわたって上げていくというようなやり方をした場合には、ますます雇用を空洞化させて、そもそも、厚生年金の加入者自体の数が大きく減っていくのではないだろうか、そのことは社会全体の安定あるいは将来の老後の安定という観点から問題ではないか、そういう意味で消費税でやった方がいいんではないかということが一つです。

 それからもう一つは、先ほど来少し出ていますけれども、なぜ今、税の負担が必要かということについては二つあります。

 一つは、これからも少子高齢化は進んでいきます。その部分についての負担をどうするかということは一つあります。

 ただ、もう一つ、より大きいのは、これまでの年金制度で、保険料を納めてきていただいた皆さんに政治が約束してきた給付水準をお支払いするためには、今までお預かりしていた保険料の水準が低過ぎた、つまり、過去において、負担と給付の水準のバランスのとれない形で保険料をいただいていた、その穴があいている。これを何とかしないといけない。ある程度は高齢者の皆さんに給付の水準について御理解をいただく。その部分は、与党の皆さんと私ども、基本的には大きなことは変わりません。しかし、それではもちろん足りない。その負担をこれからの現役世代にだけ負担をしていただくということがいいのか。それとも、これは政治全体が間違えてきた、そのツケでありますから、それは全国民で負担の能力に応じて負担をしていただくということの方がいいのではないか。そういった場合には消費税の方が現役世代の保険料という場合よりもいいのではないか。

 この二つの理由で、消費税でお願いをすることの方が保険料の引き上げというやり方よりもずっとフェアではないか。

 そして、こういう形で税でやっていこうということになったときには、今のように三つの制度に分かれていると、その税がどこにどういうふうに配分されるんだというのが非常に複雑になる、公平さというものがよりとれなくなりますから、税でやるということの裏づけとしても一元化は必要である、こういうことであります。

福島委員 ですから、今の御説明の中で、最後にありましたけれども、一元化ということが本質といいますか、大切な課題なんですけれども、というよりも、保険料で賄うのか税で賄うのかという議論だ、そしてそれは、保険料で賄うよりも消費税で賄うという方がより公平性が確保されるんではないかという主張だと御理解してよろしいかと思うんですけれども、そこのところを私は、ちょっと、答弁に合わせまして質問が前後します。

 一体、消費税が幾ら要るのかという話は、先般の委員会でも質問されましたし、時間があれば、詳しく、こういう試算をすると、前回の委員会で局長が、政府参考人が答弁したことは決して根拠のない数字ではないということをお示ししたいと思います。

 そのことはさておきまして、保険料か消費税か、確かに性格の違いがあるわけですよ。保険料の場合には、企業に応分の負担をしていただくということだと思います。消費税の場合には、企業の負担というのは軽減をされます。

 これは哲学の問題にもなるわけでありますけれども、例えば、ヨーロッパの年金制度を見ても、私は、企業の負担というのはもう少しあってもいいんじゃないか、そして、その負担を軽減させることによって、国民にその負担をつけかえるということは私はどうなんだろうかと。これは一八・三%という保険料の考え方になるというふうに思います。そしてまた、世代内の公平ということを考えたときに、もちろん消費税というのは逆進性というものがあるわけであります。ここのところをどう考えるんだ。また、自営業者の方に関しては、これは新しい所得比例年金になりますから、二重の負担だということも言えるわけであります。

 一方で、保険料というのは応能負担でありますから、そういった世代内の公平ということを考えたときには、どちらがいいのかという話が一つある。そしてまた、世代間の公平ということで、いわゆる過去債務の話、過去にお約束した年金の給付を現役世代だけに負わせるのはどういうことなのかという話がありました。

 ただ、この話は、保険料を消費税にすることによって一定の緩和は当然理屈的にはされるという話になりますけれども、グループ間の問題があるわけです。それは、基本的にサラリーマンのOBの方に対しての年金の給付を、一般の国民ですよ、自営業者の方、こういう方も負わなければいけないという話になるわけであります。過去債務、いろいろな数字がありますけれども、四百五十兆とか五百兆とかという話があるわけでありまして、そういうものを国民全体に負わせる。これから保険料を上げないわけでありますから、その分のツケを全部ほかのグループの人が賄う。

 もっと言いますと、逆進性がありますから、高い年金をもらっている人、これは民主党の御提案では、どうも給付の調整をするという話に余りなっておらないようで、現行の制度のままでいくというお話になっているようでありますけれども、それは……(発言する者あり)いや、書いてある、ちゃんと、それ。それは書いてあるの。原則的にとかそういう書き方になっていますけれどもね。

 それは、サラリーマンで高所得を得ていた人が高い年金をもらっていますよ。そういう方がこれからずっと年金をもらい続けるその財源のために、自営業者の方も含めた、そして所得の低い方も含めて消費税でちょうだいするというのは、私はなかなか、はあ、そうですかというふうに理解できないんですけれども、この点についてはどうお答えしますか。

古川(元)議員 福島議員から、今の年金制度の持っている問題の本質というのは少子高齢化だという話がありましたけれども、もちろん少子高齢化もありますが、同時に、社会構造が大きく変わりつつある。

 例えば、今の御議論というのは、サラリーマンはずっとこれからもサラリーマンであり続けるという、要は、厚生年金の部分の過去債務の部分を厚生年金の加入者だけで賄うという前提は、それはサラリーマンはサラリーマンで全部賄う、そういう発想だと思うんですが、実は、今のばらばらになっている年金制度の今後を考えると、大きな問題点はまさにそこの部分に隠れているんですね。例えば共済年金、公務員はこれからどんどん数が減っていきます。そういう中で、では、共済年金、ただでさえ今の厚生年金よりも厚い給付が約束されているわけでありますね。それを少ない人数で本当に賄えるんですかと。今のばらばらの制度をこのまま続けていけば、制度間の不公平や不均衡、給付と負担、そのアンバランスというものはますます拡大をしていく。

 我々が今一元化が必要だと言うのは、今の現行制度では、世代間や、同じ世代の中でも職業によって負担と給付がばらばらだ、そこの世代間のそうした不公平や、そして世代内の不公平、それをなくすためには、今こそ一元化された新しい制度をつくるというところに踏み込んで、そしてその制度と今までの制度の中の負担をどういう形で分担していくのか。

 まさにこれは一種の不良債権処理のようなものでありまして、その不良債権処理の負担の分担のルールとしてどういう形がいいのか。政府・与党が言われるような、保険料を上げる、給付を下げる、そして増税をする、この三点セットがいいのか。我々は、そうじゃなくて、そこの部分については基本的には消費税という形の薄く広く賄う税によるものがいいんじゃないか、ただし、消費税を引き上げるときには、当然、逆進性対策というものも含めて、これは消費税改革も含めて同時に行うということで、過去の債務の部分、これまで約束をした、今の制度でこれまで生じてきたゆがみや、そうした不良債権とも言っていいような部分について、この部分はそういう公平なルールで整理をする、負担の分担をするのが好ましいんじゃないかという考え方のもとに、私ども民主党案を提案させていただいているわけでございます。

福島委員 答弁が随分すれ違っておりまして、サラリーマンから自営業者に移行する人が出てくるかもしれないという話でありました。しかし、そういう方は現行の制度では、移って、新しいグループのところでサラリーマンOBのための負担までさらにしなきゃいけないのかと言われると、首をひねるんじゃないかと私は思いますね、むしろ。

 ですから、それは、今の答弁というのは、果たして、グループ間の年金制度の違いというものがあって、その中で負担と給付の財政均衡というものが図られてきた、そしてそれを、過去にたまった分を全部で負担する。これは、受け取る側の理屈としてはいいかもしらぬですけれども、払う側の理屈としてみれば、なぜそういう負担をしなければいけないのかという話だと思います。

 そして、所得比例年金が創設されるにしても、自分がそれで給付を受けられるようになるまでというのは随分長い期間があるわけでありますよ。その期間の間にこの過去債務というものを払い続けなければいけないというか、消費税で負担をし続けなければいけない。確かに、逆進性を緩和するという方法もあるでしょう。しかしながら、逆進性をゼロにするという話にはならないと私は思いますね。ですから、それは払う側の立場に立って物を少し考えていただきたいということを私は指摘したいわけであります。

 そして、今、御説明の中で飛んでしまいましたのは、ちょっと話が、質問が飛びました。給付の調整をどうするかということなんですね。ここのところが今までも余りはっきりと、委員会の答弁でもありません。それで、民主党の今までの御説明では、払った保険料の分だけ年金が戻ってくる制度なんです、こういう御説明をしておられます。それは、二〇五〇年ぐらいに人口構造が安定化してくる、そして、みなし確定拠出であるということからそういうふうになるというふうに説明しておられるのかなと私は思うわけであります。

 ただ、それについては、簡単に説明するとこういう説明があります。これも全然見えませんので、余り役に立ちません。(パネルを示す)これは、四十年間納めて二十年間もらえる、こういう説明は民主党の皆さんもしておられたと思うんですけれども、そのときに負担と給付がどうなるのか。これは、人口構造が変わらなくても、現役世代と受け取る世代の比率が変わると、自分の納めた保険料が全部戻ってくるわけではありません。

 そして、実はもう少しお聞きしなければいかぬことは、第九条の中には、単年度ごとの財政収支を図るということが書いてあるわけであります。徴収した保険料と、そしてまたお支払いする年金と、具体的に条文を読みましょう。「各年度における所得等比例年金の支給に要する費用の総額は、原則として当該年度において納付された保険料の総額をもって賄う」と。そして、一方で、二項におきまして、先ほど申しましたように、支払った保険料と給付というものができる限り等しくなると。

 これは、スウェーデン方式におきましても、この二つというのは論理的に結びつく話ではありません。今のように変化が出てくるわけで、必ずしも戻ってくるというわけではありません。ですから、財政調整というものをしなければいけないわけであります。そこのところについては余りにも、できる限りとかという表現でありまして、具体的な考え方が示されておらない。これはやはり説明していただく必要があると私は思います。

古川(元)議員 私どもは、所得比例年金、負担に比例した形で給付が戻ってくる、そこのところについて、これは前から御説明しておりますように、そこがバランスがとれるだろうということは、大体、二〇五〇年程度になりますと、そこは人口構成が安定してきて、現役世代とそして年金受給世代との人口のところで大体バランスがとれるだろうから、そういうところは見通せるというふうに予測をしているわけでございますが、福島議員がおっしゃるように、全体のところの状況が大きく変わってくるようなことがあれば、それは確かにそういう問題というのは起きてくると思います。

 しかし、私どもの前提としておる数字は、それは政府がつくっておられる数字を前提に計算をしているわけですね。私どもは、政府の出しておられる数字自体が、これには極めて疑問を感じておりますが、しかし、私ども、それ以外に、数字を使う、そういうすべがありませんので、やむを得ずこれは政府のものを前提に計算をさせていただいている。ですから、そういうことを言われるのであれば、それは政府の出している数字自身が、これが余りきちんとした確証もないようなものだというふうに考えなければいけないのかなと、聞いておりまして思いました。

 また、所得比例年金は、確かにそういう意味では若干のぶれというものはあり得るかもしれません。しかし、そこに私どもが、まさに所得比例年金にプラスして最低保障年金という税財源による年金をつけ加えたというのは、まさにそこの最低保障年金をつけ加えることによって、これは、最低限の年金額というものはどういう状況になってもすべての世代に保障されるような、そういう仕組みというものを、そこは制度の安定化措置として設けたわけでありまして、ここは、私は、ぜひこの所得比例年金と最低保障年金、この二つを組み合わせて、新しい私どもの年金制度であるという御理解をいただきたいと思います。

福島委員 お答えになっていないと私も思うわけでありますが、これは定性的な話であります。数字の話ではありません。予想の話でもありません。そういう仕組みがないと論理的に結びつきません、こういう話であります。

 また、納めた保険料がすべて戻ってくるんだ、こう御説明されましても、人口構造が受給世代に比べて現役世代の比率が大きく変わった状態であれば、今それが進行しているわけでありますけれども、それは定性的にそうはなりません、こういう話を申し上げているわけであります。そういうことでありまして、数字の問題ではない、こういう話であります。(発言する者あり)いや、そういう議論では余りないんですが。

 議論がかみ合いませんので、私も質問を先に進ませていただきたいというふうに思っておりますけれども。

 先ほど古川議員の方から御説明がございました。所得比例年金というのは、単純に言いますと、国民年金を厚生年金みたいにして一階の部分は外す、こういう単純な理解の仕方もあるのかなと思っておりますけれども、今よりも負担というものが軽くなります、こういう御説明でありました。それは数字的に違うと私は思います。

 これも見えなくて大変恐縮でありますけれども、(パネルを示す)現行の国民年金、これはお配りすればよかったんですけれども、国民年金の保険料は、半額免除とか免除制度があります。

 今回、多段階免除にして、そして、できる限り未納の人を減らそう、そういう改革もやりますし、そしてまた、所得に関しても見直しをするということになっておりまして、この階段――階段ぐらいは見えますでしょう、それで、一三・五八%も取るんだと、先ほどの答弁ですとそういうことだというふうに私は思いますけれども、これは、こういう線になります。

 ですから、これは、こちら側の方は四人世帯であります。自営業者の御夫婦と子供が二人いる。こちら側は単身の場合であります。単身の場合は、この階段がありますけれども、やはり階段、ちょっと重なるところもありますけれども、見直しをするとさらに下がりますけれども、所得比例年金の方が低所得者においても保険料は高くなります、こういう制度がありますから。ですから、先ほどの古川議員の御答弁というのは当たらないと私は思います。

 もう少し言います。

 ですから、今でも国民年金の保険料というものが高いということで、未納の方がおられるわけです。未納の方は二通りあります。所得が高くても払いたくないという人と、払おうにもなかなか払えるほど所得がない、こういう話でありまして、その場合に、今の保険料よりも高くなるような制度で、未納の問題、未納はないと、税務署が取りに行くんだからないのかもしれませんけれども、そういう説明の仕方というのは当たっていない。ここのところの御説明をお願いいたします。

古川(元)議員 まず、福島議員に申し上げますけれども、従来から、政府・与党は、私どもに対して、自営業者は所得把握ができていないでしょうというふうに御指摘をしてきたわけですよね。

 今まさに提案されている政府案、所得把握できていないのに、何でそんな、所得に応じて段階の免除制度ができるんですか。私は、まずそこがそもそも政府案、所得把握がいいかげんだ。きちんとできていないから、今、自営業者については定額の保険料になっているんじゃないですか。では何をベースにしてその段階を決められるのか。まさにそこのところがはっきりもしていない、そういう所得の皆さん方が言われれば、それはちゃんと把握もされていない所得を前提にしてそういう多段階の免除制度をつくる。それを、私たちは、ちゃんと所得の把握体制もきちんとつくった上で、それに応じて保険料率を掛けていこうという考えとは、そもそも異なるというふうに思っています。

 そしてまた、これは私はぜひ委員にも御理解をいただきたいと思いますけれども、この年金の制度について、私どもは別に民主党案になれば得するというふうに言っているわけではございません。今の制度の不公平、世代間あるいは職業間、そうした不公平のない、そういう公平な制度にしようとしているわけであります。

 そういう中では、当然、人によっては、新しい制度によって今までよりも負担がふえる人もいれば、負担が減る人もいます。しかし、今の制度より間違いなく公平な制度になる、そのことが、私は、今年金制度改革をするに当たって一番大事なことだというふうに考えております。

福島委員 私は、一元化で公平性が確保されないかと言われると、確保されるんだろうと思いますけれども、例えば、過去債務の問題の民主党の処理の型を考えておりますと、セットの話ですから、これは決して公平な話ではないということをまず申し上げておきたい。そういうものとセットでありますから。

 そしてまたもう一つは、私がお聞きしたのは、先ほど古川議員が、一万三千三百円の保険料よりも安くなるんですよとみずから説明されたから、だから、私は、そうではありませんということを申し上げたわけであります。

 ですから、それは一つは未納、未加入の問題をないというふうに明確に答弁されましたけれども、これは先ほどの御説明ですと、税務署が行くからだということのようであります。一緒になるわけですけれども、これは私は国民の意識、例えば一元化ということについて、理屈の上では非常にすっきりする、公平だと、こういう話がありますけれども、先ほども言いましたように、社会保障制度というのは、国民がそこで生活をしている制度でありますし、今までの経路依存性ということもあるわけであります。

 こういう声を聞きます、自営業者の方が、国民年金の保険料を納めるならまだいいけれども、所得までつまびらかに税務署が来て調べて、そして保険料を徴収されるというのはとてもかなわぬというような御意見を、これは私は実感だと思います、あくまで実感だと。そこまでするのかね、こういうような見解の思いを持っている人もいるんだと。そういうことを考えて、一元化ということについては議論をしなければいかぬということだと思うんです。

 ですから、総理のおっしゃることは私はそのとおりだと思いまして、この問題というのはやはり時間をかけないと、そしてまた、政府・与党がその一元化に反対だと言っているわけではありません。先ほど共済の話もありましたけれども、厚生年金と共済をどうするんだと。そして、共済だけ得しているという話もありますけれども、ここは保険料が高いわけでありますね。これをどうするかということは、もちろん当然検討しなければいけませんし、与党の年金制度協議会の中でもそのことについてはきちっと取りまとめの中に盛り込まれているわけでございます。

 ただ、国民年金については、今申し上げたような保険料の問題もどうするのか、所得の低い方にとってそれは本当に受け入れてもらえるような制度になるのかならないのか、所得の捕捉を税務署、一緒になるから何務署になるか知りませんけれども、そうなったときにどういうふうに受けとめるのか、こういうことは、別に、単に言葉の上のやりとりということではなくて、現実に制度を考えるというのであれば、しっかりと考えなければいかぬことなんだと私は思います。

 そしてまた、時間が余りありませんので、最低保障年金について、二つだけお聞きをしたいと思っております。

 これは具体的な確認でありますけれども、移行期間というのがありますね。三十九年間現行制度のもとで保険料を未納であった人が、新制度発足後一年、四十年が要件のようにおっしゃっておられましたから、一年間だけ保険料を掛けたときに、最低保障年金というのはもらえるということになるのかならぬのか、それとも四十分の一になる、六万幾らの四十分の一ですから大した額になりませんけれども、そういう話なのか、まずこれが一つ。

 それから、これは、非常に所得の多い高齢者の方というのもおると思います。そしてまた、今まで国民年金なんか掛けていたってしようがないとか思って払わない人も中にはおるわけでありますよ、未納でずっと続いてきて。――ちょっと、訂正いたします。その話ではありません。勘違いをいたしました。そうではないですね。

 要するに、所得が一生の間に変化するということは当然あるわけであります。そして、例えば、ある程度の時期になってから資産を相続するというようなこともあるわけでありますね。例えば、自営業で、本当にフリーターのような、言葉は悪いかもしれませんけれども、低所得でずっと続いてきた人が、あるとき突然お金持ちの親戚から遺産を相続してお金持ちになった、そのときにこの人の年金受給権というのは非常に少ないわけでありますね。しかし、最低保障年金は出さなければいけませんね。

 先ほどのお話ですと、これは権利だという話がありましたけれども、この最低保障年金の税の部分というのは、これは本当に権利の部分になるのかという話がそこで必ず出てくると思います。自分の納めた保険料が戻ってくるというのは権利でいいと。しかし、税でやる部分でありますから、片っ方でこんな大きな所得があって、その人にも同じ最低保障年金出すのかねと。ここのところの整理もぜひ聞かせていただきたいと思います。

古川(元)議員 理論的には、私どもは、それは一年でもこれに加入すれば、その一年、四十分の一の部分の最低保障年金というものは支払われることになるというふうに考えております。

 今、福島議員、先ほど来、所得があった場合、ずっと所得があって、それで、保険料を払ってこなかったというのは、これはまた、所得があったのに払ってこないというのは、それは脱税ということになってくると思いますし……(福島委員「いやいや、そうじゃなくて。違います、違います。所得が少なくて」と呼ぶ)そうじゃなくて、多分資産みたいな話だと思うんですね。資産ということになりますと、これは年金制度の枠内の問題と、それは最終的に先ほど来から私どもは抜本的な税制改革も含めて考えているわけなんですけれども、その資産性の所得に対してどういう課税をするのかと。

 実は、私どもは、最低保障年金も含めた年金受給に、ほかに収入とか何かあったらそれも含めて、それが課税最低限を超えれば、当然これは課税されるというふうに考えておりますから、そういう意味では、課税最低限値を超えれば、そこは税という形で戻していただく、その意味では、私はそこの部分と最低保障年金、それ自身が直接にリンクするものではないというふうに考えております。

福島委員 もう質問いたしませんが、最低保障年金の性格をどう考えるのか、それを支給する哲学は何かということにこれは重なるわけでありまして、片っ方で税でやるからそれはいいんですという話には私はならないだろうと思いますし、明確にする必要があると。

 そしてまた、前半の話は、四十分の一しか出しませんということであれば、新しい年金制度に移行したとしても、最低保障年金というのは、条文に書いてあるような、生活を支えるようなものにはなり得ない期間が相当長期間続くというわけでありまして、これも、考え方からいえば、もう少し御説明をいただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

衛藤委員長 以上で福島豊君の質疑を終わります。

 午後零時五十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十六分開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、会計検査院事務総局第二局長増田峯明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 今、年金の法案の審議ということでございますけれども、やはり私は、本当にこだわりたいのは、これまで年金の掛金が、五兆円以上の金が年金の支払い以外に使われた。これは、普通の国であれば、国会がきちっと特別委員会なりなんなりをつくって短期集中的にその原因を解明し、そして責任者をきちっと処分する、そして再発を防止する、その後にきちっと法案なりなんなりを審議するというのが、これが私が理解する普通の国の姿であり、海外の事例も、そういうケースを何例か私も知っております。

 その意味で、私は、この五兆円、どんぶり勘定と問題支出によって積み上がったこの五兆円、これの一つの責任をきょうはお話をしたいと思うわけであります。

 一つはどんぶり勘定でございますけれども、御存じのように、年金といいますのは、国民年金特別会計という財布と、もう一つは厚生保険特別会計という財布、二つあるわけですね。そして、その二つは当然、支出、歳入が厳密に分けられる、だから二つ違う特別会計がある、これはもう言うまでもないことでありますが、これがどんぶり勘定になっているんではないのかという疑念を持っているわけでございます。

 今資料を二種類お配り申し上げました。大きいA3の資料ともう一つの資料ですが、A3の資料をごらんいただきたいのでございますけれども、この左の方に「年金事務費」「福祉」と書いてありますが、この福祉で支出をされております、福祉のためには年金の掛金を使っていい、この根拠法で支出をされていますうちに、下に、二つ枠で囲っておりますけれども、「年金資金運用基金交付金」というのと「年金資金運用基金出資金」というのがございます。

 この二つは、年福、年金福祉事業団から運用基金になった後も、累積が幾ら支出されたのかがここに書いていただいている。これは社会保険庁の皆様に御尽力いただいてつくっていただいた資料でございますけれども、これを見ていただきますと、交付金と出資金合わせて、一番右が合計でございますけれども、トータル二兆円も年金の掛金が出ている、グリーンピアなどをつくるこういう特殊法人に出ている。

 私がここで問題にしたいのは、これを見ていただきますと、厚生保険特別会計、そして国民年金特別会計、それぞれで何%支出しているか、こういう表でございますが、厚生保険特別会計は、年金の掛金のみをピックアップいただいていますので、厚生年金の掛金がすべて財源でございますが、厚生年金の財源が九五%、そして国民年金の掛金の財源が五%ということで非常に偏っているんですね。

 グリーンピアという施設は、厚生年金に入っておられる方も国民年金に入っておられる方も、どなたでも別に泊まれる施設で、両方の方に対する福祉の増進なんですよ。これは何でこんなに偏っているんですか。

坂口国務大臣 かなり細かいお話でございますが……(長妻委員「ちょっと撤回してください、今の話。細かくないですよ、大臣」と呼ぶ)いやいや、話は細かい話です。(長妻委員「いや、細かくないですよ、二兆円のお金ですよ、大臣。何を言っているんですか」と呼ぶ)

 年金資金運用基金に対する交付金の年金特別会計ごとの負担割合についてでございますけれども、年金住宅等融資業務につきましては、厚生年金保険と国民年金保険のそれぞれの、いわゆる被保険者に対する貸付残高の割合をとっている。それから、グリーンピア業務等につきましては、厚生年金保険と国民年金の保険料の収入割合をとっている。それぞれを基礎といたしまして、年金特別会計の財政事情も考慮してこれは定めているということが基本的な考え方でございます。

 また、年金積立金の管理運用業務につきましては、年金福祉事業団時代の資金運用業務に係る交付金の年金特別会計ごとの負担割合を現在も用いているということが、大筋の現在までの方針でございます。

長妻委員 まず、小さい話というのを撤回してください。謝罪と撤回。

坂口国務大臣 話は大きいかもしれませんけれども、非常に具体的な細かい数字の話だということを申し上げました。

長妻委員 大臣、これは細かいと言われますけれども、二兆円なんですよ。

 そうしましたら、今の説明ではちょっとよくわからないところもありますが、この二兆円のうち、グリーンピアは幾らですか。これは巨額のお金ですよ。――こんなこと答えられないなら、時計とめてください。

坂口国務大臣 グリーンピアに係ります経費負担につきましては、平成十四年度までの支出額は二千九百四十四億円でありまして、平成十五年度以降の支出は八百五十四億円と、これは推計でございますけれども、推計をいたしております。合計いたしますと、三千七百九十八億円というふうに考えております。

長妻委員 そうしましたら、これはグリーンピアの経費を半々で割っているのか。本来は、利用した被保険者の数、これはなぜかというと、私は何でも福祉法と言っているんですけれども、何でもかんでも福祉にしてしまう。この法律でも被保険者の福祉の増進というふうに書いてありますが、そうすると、グリーンピアで使ったお金を被保険者の数で案分する、国民年金、厚生年金、これはしかるべきだと思いますが、その利用状況はそれぞれどのぐらいですか。

坂口国務大臣 これは率直に言ってなかなかわからないということだと思います。

 厚生年金に入っている人が使ったのか、国民年金に入っている人が使ったか。中には年金に掛金をしていない人が来たかもしれないし、それはそこのところまではこの中で把握はしていないということだというふうに思います。

長妻委員 大臣、これは法律違反の可能性ありますよ。この法律では被保険者の福祉の増進のために掛金を使っていいと。このお配りをした四ページ、厚生年金保険法でも七十九条にある、国民年金法でも七十四条にあるということで、数を把握されていないんですか。そうしたら、どれだけ費用負担したらいいかもわからないじゃないですか。

坂口国務大臣 これは先ほども申し上げましたとおり、このグリーンピアを利用された人が、それが厚生年金にお入りの皆さんなのか、国民年金にお入りの皆さんかということまでそこでチェックをしてはいないということでございますから、申しわけありませんが、それはわからないというふうにお答えをする以外にありません。

長妻委員 そうしたら、大臣、この資料の表二を見ていただきますと、これも社会保険庁の皆様につくっていただいたんですが、平成十六年度の予算の内訳ですね。これも私、腑に落ちないんですけれども、結局、平成十六年度の予算でも、もう既に失敗したグリーンピアの施設の後始末に百億円もの年金の掛金が支出されているんですよ。後始末に百億円も。その比率がどんぶり勘定、いいかげんなんですよ。

 何で九九%が厚生保険特別会計、つまりは厚生年金の掛金で九九%支出されている。グリーンピア。国民年金一%。こんな、どんぶり勘定じゃないですか。被保険者の数でいえば六対四ですよ。厚生年金の被保険者の方が六、国民年金の被保険者の方が四、六対四ですよ。何で九九対一なんですか。――委員長、時計とめてくださいよ。

坂口国務大臣 これは、平成十年度からいわゆる特措法が行われまして、その事業費の見直しが行われる中で、年金特別会計の財政事情を考慮して負担割合の算定の見直しを行った、こういうことでございます。

長妻委員 ですから、聞いていますのは、今手順がどうだこうだと言われましたが、九九対一になっている計算の根拠ですよ。これは大きい話ですよ。

坂口国務大臣 ですから、今申し上げましたように、そういう財政事情を考慮して、そういう割合にしたということなんです。だから、パーセントをそういうふうにしたという、なぜその当時そうしたかということを今なかなか御答弁できませんけれども、財政事情を考慮して行った。

長妻委員 いや、大臣、こういう答弁というのは、これは法律違反の疑いがありますよ。

 なぜかというと、特別会計というのは、そんな何かわけのわからない理由で右から左に移動できるようなものじゃないんですよ、特別会計というのは。この資料一にもございますけれども、私も説明を受けましたが、財政法の十三条一項、二項で特別会計の規定があるんですよ。そういうことじゃ法律違反になりますよ、本当に今の答弁では。九九対一の根拠は何ですかと聞いているんです、計算根拠。――答えられないなら時計とめてくださいよ。これは委員長の職権でとめられますよ。先例集にも書いてありますよ、委員会の先例集。

坂口国務大臣 先ほど申しましたように、厚生年金保険と国民年金保険のそれぞれの被保険者に対する貸付残高の割合は、大体これは九五対五なんですよ、この割合は。(長妻委員「グリーンピアは」と呼ぶ)それで、グリーンピアにおきましては、これは九〇対一〇なんですよ。グリーンピア業務におきまして、厚生年金保険と国民年金の保険料の収入割合は九〇対一〇。これを基礎として、年金特別会計の財政事情を考慮して行ったということでございます。

長妻委員 ですから、九九対一じゃないわけですよね、今のお話だと。何で九九対一になったのか、これを何度も聞いているんですよ。

 そういうことじゃ法律違反になりますよ、財政事情だったら。移動できないんですよ、特別会計間では。

森副大臣 今、再三大臣から御答弁しておりますとおり、厚生年金と……(発言する者あり)聞きなさいよ。失礼じゃないか、答えておるのに。

 要するに、大半は国民年金か厚生年金の被保険者が利用しているということは間違いないことでございまして、今大臣からも御答弁申していましたように、グリーンピアについては九〇対一〇とか、そういったことに加えて、それぞれの特別会計の財政事情を勘案してこのように仕切ってきた、こういうことでございます。(長妻委員「納得できません。ずっと聞いているのに、だめです。質問できません」と呼ぶ)

衛藤委員長 どうぞ。(長妻委員「質問できない。ちょっと時計をとめてくださいよ。精査して答弁してください。ちょっと委員長、普通の委員会、時計とまりますよ」と呼ぶ)

 では、もう一回。森厚生労働副大臣。

森副大臣 グリーンピアの利用者につきましては、おおむね厚生年金あるいは国民年金の被保険者が利用しているということは明らかでございます。そして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、九〇対一〇とか、そういった割合になっておりますので、それぞれの特別会計の財政事情を勘案して、これまで九九対一ということで仕切ってきた、こういうことでございます。

長妻委員 ですから、九九対一の根拠は何ですかということを聞いているんですよ、どういう積み上げで九九対一になっているのか。そうじゃないと、特別会計の趣旨から逸脱するんですよ。九九対一の根拠を、何度もさっきから同じ質問をしています。

森副大臣 繰り返しお答え申し上げます。

 年金資金運用基金に対する交付金の年金特別会計ごとの負担割合については、年金住宅等融資業務については、厚生年金保険と国民年金のそれぞれの被保険者に対する貸付残高の割合を、また、グリーンピア業務につきましては厚生年金保険と国民年金の保険料収入割合を、それぞれ基礎といたしまして、年金特別会計の財政事情もあわせて考慮して定めているところでございます。

長妻委員 ですから、同じ質問なんですが、九九対一なんですよ。九九%と一%なんですよ。では、その一%の中身は、これだから、この金額だから全体がこれだけで、この金額だから一%ですよと。どういう中身なのか、どういう根拠なのかということを聞いているんです。

 一%は、では、幾らで、何の金ですか。

坂口国務大臣 これ以上具体的なことが必要でございましたら、それは事務当局に、積算した者にお聞きをいただく以外にないわけでございますが、これはやはり、いわゆる積み上げて、そして九九対一になりましたという話ではないんだと思うんですよ。だから、先ほどから何度か答弁をいたしておりますように、その両方の特別会計の予算の状況等を勘案してそういうふうにした、こういうふうに言う以外にないんだと思うんです。(長妻委員「答えていないですよ。思うじゃだめですよ、大臣。後ろに事務方がいるんだから、ちゃんと聞いてくださいよ」と呼ぶ)

衛藤委員長 ちょっと時間をとめます。

    〔速記中止〕

衛藤委員長 速記を起こしてください。

 坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 先ほども申しましたように、平成十年の特例法が行われまして、そして、いわゆる国民年金の方からもそうしたことで拠出が多くなって、国民年金の特別会計の方は非常に厳しくなるということがあって、九九対一というふうな割り振りにしたというふうに今申し上げる以外にないわけでありますが、もう少し事務局にその当時のことを、どういうことでやったかということについて調査させますから、それで、この次に御答弁を申し上げたい、そういうふうに思います。(長妻委員「今調査してください、聞けばわかるじゃないですか」と呼ぶ)

衛藤委員長 もう一回、では、再度答弁をお願いします。もう一回ちゃんと答弁してください。森厚生労働副大臣。

森副大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、こういったことを基礎といたしまして、保険料収入が九〇対一〇であるという状況を踏まえまして、また、だんだん……(長妻委員「九九対一ですよ」と呼ぶ)いやいや、財革法の前、初め、当初……(長妻委員「だから、何で九九対一になったのか、根拠を出してくださいと」と呼ぶ)だから、時間的な経緯を御説明申し上げております。

 そういうことで、財革法によってだんだん、さっき大臣から御答弁申し上げていますけれども、国民年金の会計が厳しくなってきたので、そこで、それぞれの財政事情も勘案して、厚年九九、国年一と、そういうふうに仕切って、今日に至っております。

 しかも、そういうことで、こういったことで、時代も変わり、使命も終えたということで、与党協の御指示もありまして、こういった施設を廃止することにいたしたわけであります。

長妻委員 ですから、結論は、財政事情を勘案しなんですよ、皆さんが言っていることは。財政事情を勘案しだったら、どんな答弁も全部それで通っちゃうじゃないですか。この数字は何ですかと聞いたときに、いや、財政事情を勘案しこの数字です、では、あの数字は何ですかと聞いたら、いや、財政事情を勘案しこの数字ですと。財政事情を勘案しだったら、全部何でもどんぶり勘定、何でも通っちゃうじゃないですか。

 だから、具体的に九九対一の根拠は何ですかと聞いているんですよ、根拠は。どういう根拠なのか。――ちょっと委員長、時間とめてくださいよ。

衛藤委員長 先ほど坂口厚生労働大臣からお話がありましたように、今、この場において、事務当局も後ろにいますけれども、その資料を全部持ってきておりませんから、今の段階でここまでしか言えません、あとについては改めて調べ直して答弁をさせてくださいという旨のお話が先ほどもございました。そのとおり、どうぞよろしくお願いをいたします。

 大臣は、誠意を持って答えていただきたいと思いますので、その答えを準備してください。お願いいたします。

 それでは、長妻昭君。

長妻委員 それは、だから、今ここで事務方に調査させて出させてくださいよ、そうしたら。あるいは、この委員会の質問の後に私の質問時間を追加してください。さっきずっと時間がとまっていました。委員長職権で時間をとめられるんですよ。委員長に抗議申し上げます。

衛藤委員長 今申し上げたとおりでございます。

 長妻昭君。

長妻委員 ですから、委員長、財政事情に勘案しというのは、これは特別会計、二つ明確に違う特別会計なんですよ。例えば、同じ会計の中で費目ごとにこうだああだと財政事情を勘案してちょっと動いたというようなことであっても、これは本当はいけないんですが、そうでなくて、私が譲れないのは、特別会計の間の話なんですよ。財政事情を勘案して特別会計の間を金が行ったり来たりしちゃいけないんですよ。法律違反なんですよ、これは、委員長。

 だから、私は根拠を聞いているんです。まさか法律違反をしたとは言わないでしょう。根拠を聞いているんです。ですから、その根拠を出してくださいということなんですよ。

衛藤委員長 質疑を続けてください。

長妻委員 いや、今質問したんですよ。

衛藤委員長 先ほどちゃんと申し上げましたように、坂口厚生労働大臣の方から、具体的な詳細の数字でございますから、それは、今事務当局もここにいるけれども、それだけでは資料も持っておりませんので、改めて調査をしてお答えをいたしますという旨の発言がありました。どうぞよろしくお願いいたします。(長妻委員「今出してくださいよ、待っていますから」と呼ぶ)

 では、大臣、もう一度お願いします。坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 先ほど委員長から御指摘をいただきましたとおりに、私も努力をしたいと思います。(長妻委員「だめですよ、努力じゃ。話違うじゃないですか」と呼ぶ)

衛藤委員長 質疑を続けてください。

長妻委員 ですから、委員長は、今のさばきで資料を出すというふうに言われた。大臣は努力しますというふうに言われて、話が食い違っていますので、出す、根拠を出すということですよね、根拠の数字、積み上げの数字を出す。いつまでに出すのか、それを明確に御答弁いただきたいと思うんです、いつまでに。

坂口国務大臣 努力しますというふうにお答えをしたのは、努力して出しますということを言っているわけであります。

長妻委員 いつまでに出すんですか。

坂口国務大臣 調査をさせますので、できるだけ早く出したいと思います。

 それは、できるだけ早くと言うと、いつまでかわからぬというふうに言われますから、この審議が行われております間に、そんなに長くかかるわけではないというふうに思いますから、今週中には出せるようにしたいと思います。

長妻委員 そして、財政事情を勘案して、各特別会計の間のお金を融通し合う、こういう御答弁がありましたけれども、財政法という法律がございますが、財政事情を勘案して特別会計の間でお金を勘案するということは、これは、法律違反あるいは法律違反の疑いというのは全くないということでよろしいんですね。

坂口国務大臣 財政法は、第十三条第一項に、「国の会計を分つて一般会計及び特別会計とする。」第二項として、「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする。」これは、いわゆる財政法の中に書かれていることでございます。これには違反していないというふうに思っております。

長妻委員 特別会計の間のお金を財政事情を勘案して移動したわけですよね。そういう理解でよろしいんですか。特別会計の間のお金を、支出を、財政事情を勘案して、本来出すべきところに出さないで、財政事情を勘案していろいろな操作をした、こういう先ほどの説明と理解してよろしいんですか。

坂口国務大臣 特別会計の間で移動し合ったということではなくて、それぞれの特別会計から出す割合を決めた、こういうことでございます。

長妻委員 割合は勝手に決めていいんですか。

森副大臣 勝手にとおっしゃいますけれども、先ほど申し上げましたとおり、保険料収入が九〇対一〇、それから、貸付……(長妻委員「九九対一の話ですよ」と呼ぶ)いや、貸付残高が九五対五という比例でございますので、あながちその根拠がないわけじゃなくて、それが例えば五〇対五〇なら別ですけれども、九〇対一〇、九五対五というものをいろいろな財政事情のもとで九九対一にしたんだから、全く根拠がないわけではございません。

長妻委員 まだまだお伺いしたいことがございまして、この大きな表で、例えば上の「年金事務費」のところで、下の方に「施設整備費」というのがございますが、この施設整備費というのは、社会保険庁の職員用のマンションの建設費とか、あるいは社会保険事務所の庁舎の建設費などのお金がここに入っている。

 これを見ますと、これも厚生保険特別会計が九二%、国民年金特別会計が八%ということで、これほど業務量が違うのか、あるいは宿舎に入る人の職員の数がこれほど違うのかと思うんですが、この根拠は何ですか。

森副大臣 業務取扱費の施設整備費は、平成十年度から平成十四年度までの財革法特例措置期間中の累計額でございます。国民年金特別会計の割合が低くなっているゆえんは、国民年金事務の市町村からの切りかえ経費の増が影響し、庁舎整備の計画をしなかったことによります。

長妻委員 そうすると、九十二対八というのは、業務量だということでよろしいんですね。

森副大臣 今御答弁したとおりでございます。

長妻委員 だめだよ、そんなの。ちょっと、ちゃんと言ってください。もう一回言ってください。業務量になっているんですか。では、ちょっと、これはどうなっているんですか。

 先ほどの答弁は、業務量云々の話がありましたので、九十二対八が業務量ですかと聞いているんです。答えられないじゃないですか。

森副大臣 業務取扱費の施設整備費は、平成十年度から平成十四年度までの財革法特例措置期間中の累計額でございます。国民年金特別会計の割合が低くなっている理由は、国民年金事務の市町村からの切りかえ経費の増が影響し、庁舎整備の計画をしなかったことによります。

 すなわち、これは、単純な業務量ではございませんで、やはり財政事情を勘案しております。

長妻委員 そうすると、この施設整備費というのは、平成十年の四月から以降の数字がここに書いてあるわけですね、年金の財源で。

 では、例えば社会保険職員用のマンション全部で、財革法以前からすべて累計で幾つあるのかとお尋ねしましたら、全国で三百八十カ所ある。そのうち、国民年金特別会計でつくっているのが四十四カ所ということで、全体の一二%しかない。これは、職員の数でいうと、全体の社会保険庁の職員の数のうち、三四%は国民年金の特別会計の職員の方なんですよ。

 何で一二%、一割しか社会保険の職員用のマンション、国民年金なんですか。さっきの説明つかないですよ、これは。

森副大臣 厚生保険特別会計は、昭和十九年に創設されまして、宿舎の設置は厚生保険特別会計のもとで行われてきたところでございます。一方、国民年金特別会計については、昭和三十六年に創設され、国民年金特別会計のもとにおいても宿舎を設置してまいりましたが、両特別会計の創設時期の違いなどから、厚生保険特別会計のもとに設置している宿舎が多いのが実態でございます。

 なお、平成十六年度予算において、両特別会計のもとで建設を予定している宿舎数の比率については、おおむね各特別会計に所属する職員数の割合に見合ったものとして措置されております。

長妻委員 今のお話だと、厚生保険特別会計の方が古くできたから、だから別に人数なんか関係なしに厚生保険特別会計がいっぱいあるんだと。これはだから全然、特別会計の趣旨を逸脱しているんですよ、さっきから申し上げているように。

 では、なぜ平成十六年度からは、先ほど、職員の数に勘案して両特別会計から宿舎の財源を支出するとおっしゃられましたね。では、十六年から二対一だということだと思うんですが、職員の数。では、その以前は何で二対一にしないんですか。これはもう全然質疑にならないよ。これはめちゃくちゃだよ。

森副大臣 先ほど申し上げましたとおり、時系列な予算措置の結果でございます。

長妻委員 いや、これはおかしな話で、社会保険庁の職員用のマンションというのは、そこに国民年金でお給料をもらっている職員の方も住んでいる。国民年金特別会計の中の職員の方も住んでいる、厚生保険特別会計の中の職員の方も住んでいるということで、そんな、いつどっちが古くできたからどうだという話じゃないんですよ、これは。副大臣、ちょっとちゃんと認識してください。

 そうしたら、社会保険の職員用マンションで、今現在入居している方のうち、両特別会計の比率というのは何対何ぐらいなんですか。

森副大臣 現在入っている人の比率は出ません。

長妻委員 いや、出ませんというのは、では何で、どういう根拠で、ですから、これは本当にどういう根拠で九対一になっているんですか、その職員用のマンションの建設費が。厚生保険特別会計で何で九も出て、国民年金特別会計で一なんですか。そんな職員の比率じゃないですよ。そして、何にも入居者を把握していないと。おかしいじゃないですか。どういう根拠で九対一になっているんですか。

森副大臣 人事異動によりまして厚生年金から国民年金に移ったり、そういった異動がありますので、その時点、時点での人数比というのは把握できません。

長妻委員 そうしたら、森副大臣にお伺いしますが、基本的には職員用のマンションの建設費が厚生保険特別会計、国民年金特別会計の中からどのぐらいの比率で出るのか、出すのかというのは、もちろんその入居している職員の方の比率に応じて出す、こういう考え方が正しいんですか。どういう考え方なんですか。

森副大臣 再三申し上げておりますとおり、単に職員数の比率だけじゃなくて、財政事情なども考慮しております。

長妻委員 そうしたら、これは何で、全国三百八十カ所のうち国民年金特別会計でつくった職員用のマンションは一二%、一割だけなんですか。その理由をちょっと教えてください、本当に。特別会計ですよ、これは。何で一割なんですか。

森副大臣 先ほど申し上げましたとおり、歴史的経緯によりまして……(長妻委員「だから何で一割なんですか、国民年金特別会計が」と呼ぶ)いや、ですから答えているんです。

 ですから、それに加えて、確かに職員の数も一つの目安にはしておりますけれども、加えて財政事情を勘案してこのように決めているところでございます。

長妻委員 そうすると、本来は、では、どうでなければいけなかったんですか。何対何でなければいけなかったんですか、本来は。

坂口国務大臣 森副大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、最初は厚生年金が中心だったわけですよ、スタートの時点において。ですから、厚生年金の方のいわゆる宿舎というものが中心に初めずっとできてきたわけですね。そして、国民年金は、後の方から正式に全国民が入るようになったわけでございます。

 そういうふうになってまいりますと、国民年金の方が後追いで行われてきたということもあって、現在の、いわゆる社会保険庁の職員の中で厚生年金の仕事をしている人間と、それから国民年金の仕事をしている人間との割合と必ずしも一致していないということを……(長妻委員「本来を聞いているんです、本来はどうあるべきかというのを聞いているんです。さっき聞きましたよ、さっき質問に答えてないから」と呼ぶ)だから、今私が申し上げましたように、そういう経緯をもって現在に至っているというわけでありまして……(長妻委員「本来は何対何なんですか」と呼ぶ)

 ちょっと待ってください。それじゃ、本来をちょっと聞きますから。(長妻委員「時計とまらないと終わっちゃいますよ」と呼ぶ)――平成十六年でありますと四対六、六が厚生、それから国民年金の方は四、そういう割り振りでございます。

長妻委員 ですから、本来三百八十カ所……

衛藤委員長 追加があるそうですから、ちょっとお待ちください。(発言する者あり)

 坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 平成十六年度は、済みません、六対四じゃなくて、四対二でございます。

長妻委員 いや、ですから、お伺いしたのは、全国で三百八十カ所あるうち、先ほど森副大臣が、本来は職員の数云々のお話の後、でも財政事情を勘案して今現在の姿になった、こういう御答弁をされたから、全国で三百八十カ所、では本来は何カ所が国民年金の財源で建てるべきだったのかということを聞いているんです。財政事情を勘案する前はということです。

森副大臣 大変恐縮でございますけれども、私の申し上げたことの一部を取り上げて、それを例証としていただきたくないと思います。私は、冒頭申し上げたとおり、厚生年金、国民年金の成立したその歴史的な時期の違い、それから一つには確かに職員数も、入居者の比率もベースとなりましょうし、さらに加えて財政事情も勘案して、総合的判断のもとにこうして決められてきたということを申し上げております。

長妻委員 だから、財政事情を勘案しない前はどういう姿だったんですか。

森副大臣 今申し上げたとおりで、これ以上のことはございません。

長妻委員 だめ、だめだめ、答弁拒否。質問できませんよ、聞いていることに答えていないんだから。答えていないですよ。

衛藤委員長 質疑を続けてください。

長妻委員 これはひどいな。だって、答弁拒否したじゃないですか、今。答弁拒否しているんですよ。答弁拒否しているんですよ、今。

衛藤委員長 答弁拒否していませんよ。これ以上の答えはありませんと。

長妻委員 答弁、もう一回やらせてくださいよ、もう一回。

衛藤委員長 森厚生労働副大臣。

森副大臣 もう一度、整理して申し上げます。

 厚生保険特別会計は昭和十九年に創設され、宿舎の設置は厚生保険特別会計のもとで行われてまいりました。一方、国民年金特別会計につきましては昭和三十六年に創設され、国民年金特別会計のもとにおいても宿舎を設置してきたところでございますが、両特別会計の創設時期の違いから、厚生保険特別会計のもとに設置している宿舎が多いのが実態となっております。

 なお、平成十六年度の予算において、両特別会計のもとで建設を予定している宿舎数の比率については、おおむね各特別会計に所属する職員数の割合に見合ったもの、これは今大臣から御答弁があったとおりでございますが、そうした割合でもって措置をされているところでございます。

長妻委員 全然お答えになっていないんですが。

 私が何でこういうことを申し上げるかというと、本当に、特別会計の間が、いいかげんに、どんぶり勘定になっているんですよ。コンピューターの経費だけ見ても、年金の掛金が一兆円もコンピューターの経費で使われている。年金事務費で、コンピューターの経費一兆円の内訳を見ると、事務費だと八五%が厚生保険特別会計。国民年金特別会計は一五%。

 これは、では、根拠は何なんですか。

森副大臣 今お尋ねのありました社会保険オンラインシステムに係る経費の負担の制度別割合につきましては、これまでシステム開発などの積み重ねの結果、十五年度においては、おおむね厚生年金財源が八割、国民年金財源が一割のほか、健康保険財源が一割となっております。

 さらに、平成十六年度に新たに追加されるシステム経費の厚生年金、国民年金の財源別負担の考え方でございますけれども、専ら厚生年金、国民年金のどちらか一方に係る経費はそれぞれで負担し、厚生年金と国民年金の両方に係る経費については、被保険者の割合をもとに二対一の割合で負担することにいたしております。

 また、加えまして、それぞれの特別会計における業務取扱費と福祉施設事業費などの負担割合については、適用、徴収及び給付に係る基本的な経費は業務取扱費で負担をし、年金相談、年金の迅速な裁定など、年金受給者などのサービス向上に直接寄与する経費は福祉施設事業費などで負担し、そして、双方にまたがる経費についてはそれぞれで折半して負担することといたしております。

長妻委員 私が聞いているのは、過去からの話なんです。

 今、平成十五年だけの話を言われていますけれども、そうしましたら、過去からの累積、この一兆円のコンピューター経費、年金の掛金で使われましたけれども、その厚生保険特別会計と国民年金特別会計、一兆円の内訳を積み上げでお出しいただけますね。

森副大臣 現在のオンラインシステムは昭和五十四年度より開始いたしておりまして、その時々において業務負荷量を勘案して費用の負担を行ってきたところでございまして、書類の保存期間も経過しておりますので、確認できないと承知しております。

衛藤委員長 長妻昭君の残余の質疑は保留することといたします。

 先ほど時間をとめた分については保留いたしますので。残余の時間については保留いたします。あと数分残っております。

 次に、中根康浩君。

中根委員 民主党の中根康浩です。

 年金の問題について質問を始めたいと思います。

 まず初めに、さっきから自民党の方、木村議員だと思うんですけれども、質問通告していないからそんなの答えなくて当たり前なんだ、答えなくていいんだというような不規則発言が飛び交っていますけれども、私たちは昨夜、政務官の方がお越しいただければ正々堂々と質問通告をいたしますというふうに申し上げて、十時ぐらいまで待っていました。待っていましたけれども、政務官は一向にお越しになりませんでした。ならないどころか、私の部屋に電話してきて、竹本政務官は何と言ったか。忙しいんだよ、何でわしが行かなきゃいけないんだ、わしの手足の役人を行かせるからそれでいいじゃないか、私は党の幹事の仕事が忙しいんだよ、党の幹事の仕事が忙しいんだよと。先生、政務官って質問取りも大きな仕事の一つじゃないんですかと申し上げたら、忙しいから行けない、私の手足が行くからいいじゃないか、手足が手足がと。

 国会議員というのは国民の手足じゃないんですか。国会議員というのは国民の手足として働くのが本分じゃないんですか。自民党の幹事の仕事が忙しいからこの委員会の質問のための作業ができないと言うんですか。

 ここに、二〇〇三年二月十二日付の文書があります。「「質問取りについては政務官に限定する」ことについて」、「(一九九九年十一月十七日)がまとめた検証メモによると、政務次官が「質問取り」の先頭に立つことの真意について以下のようにまとめています。 政府委員制度が廃止となり「政府委員室」の名称もなくなることとなる。従って、従来の政府委員室を政府控室とし、政務次官が可能な限り国会対策に当たっていただきたいとの趣旨である。 以上のように質問取りは当時の政務次官(現在は政務官が該当)が行うことで与野党が合意しています。」こういうふうに書いてあるわけですね。国対でこういうふうに与野党が合意しているわけですよ。(発言する者あり)見せましょうか。

 質問取りについては与野党の合意を踏まえ、所轄の政務官から聴取することとする。この場合メモ取りのスタッフ一名に限り陪席を認める。以上について、筆頭理事合同会議、二月十二日において確認されましたので、議員におかれましては徹底して対応されますように。こういう申し合わせがあるということを聞いておりますよ。(発言する者あり)昔じゃないですよ、つい最近ですよ。たったの一年前じゃないですか。

 そういうことがあるということですから、通告がないからということは完全に誤りであるということです。

 年金の問題に移りますけれども、今まで国民は、年金の掛金は当然給付に使われると信じてきましたよ。ところが、実態はそうでないということがわかってきた。少子高齢社会だから年金が危ないというのは一部は当たっていますけれども、しかし、官製の、与党による、政府によるプロパガンダであるということも、国民はもう見透かし始めていますよ。

 年金がおかしくなった最大の原因は、年金利権に執着している人たちがむだ遣いや中抜きや流用をしている、そういうところにあるということを、もう国民は見透かし始めていますよ。だから若い人たちが特に年金制度、将来に対して信用しない、不信感ばかり蔓延している、これが年金収納率の六三%という数字にあらわれているんじゃないですか。

 国民年金はついに十四年度には三百八十二億円の赤字になった。慌てて国民年金特別対策本部をつくって、収納率八〇%を目標にしている、これにかかるお金は約百四十億円。それで、このうち、非常勤の国家公務員として国民年金推進員という人たちを募集、採用しているわけですね、全国の社会保険事務所ごとに。

 それで、この国民年金推進員の方々が日常業務に使っていると言われているのが金銭登録機というものであります。これは政府の方々はどんなものかよくおわかりだと思いますけれども、社会保険庁ではこの金銭登録機を大量に購入しています。これは、改めて確認しますけれども、どのような機械なのか、その機能や導入経緯について説明してください。

 ちなみに、これは質問主意書でもう既に明らかにしておりますので、やってください。

森副大臣 今御質問のありました国民年金推進員が使用しております金銭登録機についてでございますけれども、これは、国民年金推進員が行う国民年金保険料の納付督励及び収納の事務の効率化を図る機械でございます。また、同事務における個人情報の管理をより適切なものとする目的も兼ねまして、平成十四年度から平成十五年度にかけて導入をいたしました。

中根委員 大事なところを欠落して説明していますね。この導入の経緯の大きな理由が、この国民年金推進員の方々が、例えばその仕事の帰り道にスーパーに寄ってとか、あるいはどこか、自転車のかごに置いたまま、その自転車を離れてとかいって、盗難とか紛失に遭って、多くの方々のプライバシーが侵害されかかっているんですね。だからこれを導入したんじゃないですか。

森副大臣 おっしゃるとおり、それも一つの大きな理由でございます。

中根委員 一つの大きな理由じゃなくて、これが理由で導入したと言っているんですよ、副大臣。

森副大臣 質問主意書に対しますお答えでございますけれども、これは国民年金推進員により社会保険事務所が行う国民年金保険料の納付督励及び収納の事務の効率化を図り、また、同事務における個人情報の管理をより適切なものとするため、平成十四年度から平成十五年度にかけて導入したものであるということでございまして、今委員が御指摘になった盗難の問題、プライバシー、個人情報の保護の問題は、私が冒頭申し上げましたとおり、個人情報の管理をより適切なものとするためというのがそれに相当いたしますので、私が御答弁したことと質問主意書の答えは、全く一致しております。

中根委員 今の合わせわざで正解だったとしましょう。

 しかしながら、副大臣、盗難とか紛失とかということに対して、余りにも無責任な感じがしますよ。これは今、プライバシーの問題がいろいろ言われている中で、そんなことはあっちゃいけないんですよ。大体十五万円のお給料をもらって、非常勤の国家公務員として働いていらっしゃる方々ですよ。それはまた後ほど触れるかもしれませんけれども。

 この金銭登録機、現在までトータルで何台購入したのか、そしてその費用総額、財源もあわせてお答えください。

森副大臣 こんな具体的な数字まで暗記しておりませんから、ちょっとしばしの時間は猶予してください。

 まず、導入台数は二千五百七十四台で、費用は約四億三千四百万円でございます。(中根委員「財源」と呼ぶ)保険料財源でございます。

中根委員 こういうふうに、一々調べなきゃわからないという、保険料財源を使っているということの責任感が全く感じられないわけですよ。これでは、給付に使われていると思い込んでいる国民が不幸ですよ。四億円もどこから出してきたのかわからない。質問主意書でもうやっているのに、今、一分か二分かかったじゃないですか。この件に関しては、もう質問主意書でやってありますから、一々確認するのに時間がかかるのはもったいないんですけれども。

 四億円の金銭登録機の購入、普通は四億円といったら、一般入札をかけて、どこのものが一番性能がよくて、どこのものが一番安いか、やりますよ。随意契約じゃないですか。何でですか。(発言する者あり)

衛藤委員長 御静粛にお願いいたします。

森副大臣 今、委員が質問主意書でやっているから時間のむだだとおっしゃいましたけれども、私も全く同感でございますけれども、それはそれといたしまして、納入業者の選定につきましては、平成十四年秋ごろから、数社のメーカーの携帯端末の機能などについて調査を行い、検討を進めてまいりました。(中根委員「そういう答弁をするからむだになるんだ」と呼ぶ)いやいや、聞きなさいよ。必要な機能を満たし、平成十四年度中に納入が可能であるという旨の回答が得られたのは、株式会社カワグチ技研一社のみであったため、同社を選定いたしました。

中根委員 これは、平成十五年三月十一日に、社会保険庁運営部年金保険課国民年金事業室室長補佐和田開さんと総務部企画調整課長嶋崎敏さんという方が、仕様書といいますか、こういう用途で、「国民年金保険料の収納事務における金銭登録機の導入について」という文書を出しているんですね。これは結構厚いんですが、何十枚にもわたるんですけれども。国民年金推進員がこういう仕事をやります、それに対してこういうふうな仕様のものを、こういうふうな性能のものをというように、指定というか指導してあるわけですね。

 それで、私が、ある社会保険事務所に電話して、このカワグチ技研の金銭登録機を購入するに際して、どうやってカワグチ技研を知ったのか、この文書に適合するような性能の機械をどうやって選んだのか、そういうふうに聞いたら、社会保険事務局の御推奨をいただきましたという返事があったんですね。

 この文書とそれらの言葉を合わせると、カワグチ技研という言葉を具体的に出さなくても、自然にこの行き着く先がカワグチ技研という会社に行くということを想定してやっているんじゃないですか。

森副大臣 こちら側の必要なスペックに合うものをつくれるという回答が得られたのがカワグチ技研のみでございましたので、ここに頼むのは極めて真っ当なことであるというふうに存じます。

中根委員 では、この仕様といいますか、国民年金推進員の方のお仕事に、期待にこたえられるような、こういう性能を備えた、ほかのメーカーとか代理店とか、どこか当たったんですか。

森副大臣 先ほど御答弁申し上げましたけれども、平成十四年の秋ごろから数社のメーカーの携帯端末の機能などについて調査を行い、検討を進めております。

中根委員 これは、明らかに初めからカワグチ技研ありきですよ。皆さんのお手元に配付をいたしましたように、日本全国のすべての社会保険事務局、社会保険事務所が、カワグチ技研、カワグチ技研、カワグチ技研。社会保険庁が一括して買うのだったら、それもわかりますよ。それぞれの社会保険事務局や社会保険事務所が個々に購入の意思決定をしてやった結果が偶然こうなったと言うんですか。いかがですか。

森副大臣 カワグチ技研を選定したいきさつについては先ほど御説明したとおりでございまして……(中根委員「入札はやったんですか」と呼ぶ)だから、それは十四年度中に納入が可能なメーカーが一社しかなかったということでございます。

 加えて、今回の金銭登録機の調達については、社会保険事務局や個々の社会保険事務所において、その収納対策の実施計画及び国民年金推進員の確保状況などが地域ごとに異なっておりますので、全国分をまとめて、具体的な導入個数、時期を選定することが難しかったために、逐次各社会保険事務局や社会保険事務所において調達をしたものでございますけれども、そのスペック等については、それぞれの社会保険事務局で、出先でもって一つ一つスペックを打ち合わせてやったら一般的に莫大な費用がかかりますから。ただ、それは――ということであります。

中根委員 それはどういうことですか。一括して買えば値引きも可能かもしれないし、入札も可能で、入札しなきゃいけないわけですから、もっと安く買えて、保険料財源ですから、その保険料財源を節約して、給付の方にちょっとでも回せるじゃないですか。それを各社会保険事務所に任せて随意にやって、それで偶然こうなったということじゃないということを言ったのか、偶然なのか、もう一回確認します。

森副大臣 何しろ、ここしかできなかったのですから、まとめて買おうがばらで買おうが、ここしかないんです。

中根委員 ここしかなかったという理由を説明してくださいよ。どこを当たったんですか。幾つ当たったんですか。

森副大臣 私は数社というふうに聞いておりますけれども、ちょっと、その内訳については存じませんので、後で調べて御報告を申し上げたいと思います。(中根委員「これはかなりの疑惑ですから、これを聞かないと、もうこれ以上続けられませんよ」と呼ぶ)

衛藤委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

衛藤委員長 速記を戻します。

 森厚生労働副大臣。

森副大臣 金銭登録機の導入に当たりまして、仕様の検討打ち合わせをいたしました会社は、カワグチ技研のほか、カシオ計算機、富士通、キヤノン、シャープ、日立製作所、東芝などと打ち合わせをしたというふうに聞いております。

中根委員 では、それぞれのところから見積もりをとったはずですよね。どこがよかったかと、何か材料があったでしょう。普通、我々がテレビを買おうと思ったって、どこのがいいかな、どこのがいいかなと、それは、東芝だとか日立だとかソニーだとか、いろいろ行きますよ。当たり前の話です。今の話を――見積書を出してください、見積書を。

森副大臣 たびたび申し上げますけれども、このスペックに合うものができて年度内に納められる会社が、打ち合わせの結果、カワグチ技研しかございませんでしたので、ここに発注をいたしたところでございます。

中根委員 その打ち合わせのときに、何か資料を持って打ち合わせをするんでしょう、普通は。日立、シャープ、カシオ、それぞれのところから見積もりをとって、カワグチ技研のものもとって、それでどっちがいいか比較して、それが打ち合わせじゃないですか。その資料、あるはずでしょう。

森副大臣 もうちょっと補足してカワグチ技研に決めましたいきさつについて御説明を申し上げますと、先ほど申し上げましたような会社の仕様を調査した上で、しかしながら、例えばシャープですとか東芝ですとか、こういったハード、ソフトが一体化した商品を製品にしている会社というのは、なかなか短期間に社会保険仕様のソフトを開発して組み込むことは難しい。(発言する者あり)いや、本当。私はそういうことの半分専門家ですから。

 でありますから、結局、金銭登録機としては採用できないというふうに判断したものでございまして、残ったのがカワグチ技研とカシオ計算機でございますけれども、これは、短期間で社会保険仕様のソフト開発が可能と考えられました。そこで、詳細の部分までスペックの打ち合わせをいたしましたけれども、打ち合わせの過程でカシオ計算機は撤退をした、撤収をしたというふうに聞いております。

中根委員 言葉ではいろいろ何でもストーリーをつくれますよ。文書を出してくださいよ、見積書を。そのときの、なぜ撤退したか、そういった撤退せざるを得なかったような状況になったとか、カシオを――とにかく資料を出してくださいよ、見積書を。

 シャープ、東芝、これはだれでも知っていますね。カワグチ技研、だれか知っていましたか。どういう会社なんですか、カワグチ技研。どういう会社なんですか。教えてください。四億の取引をしている会社、当然把握しているでしょう。

森副大臣 新商品を開発するときに一番最初にすることは、スペックの打ち合わせです。スペックが合わないと見積もりもできないんですよ。これは、スペックの打ち合わせの段階で、結局、カワグチ技研しかできないということになったものですから、これはカワグチ技研でつくったというのが今までの経緯でございます。(中根委員「質問に答えていないよ。質問に答えてないんだわ。例えば社長の名前はだれ」と呼ぶ)

 私もカワグチ技研についてその詳細は知りませんけれども、所在地は、港区の貿易センタービルにあるそうでございまして、資本金一千万円、代表取締役が、相笠さん、川崎さんという方が代表者で、業務内容については、情報処理機器の企画製作、販売、賃貸、情報処理ソフトウエアの企画製作、販売、文房具の企画製作、販売、印刷と出版に関する企画業というようなことになっております。

中根委員 今、ちょっと社長の名前が聞き取りにくかったんですけれども、もう一回お願いします。

森副大臣 最高経営責任者は相笠弘明さんという方だそうです。

中根委員 最高責任者という言い方で僕は聞いていませんけれども、社長、代表取締役社長という……(森副大臣「代表取締役」と呼ぶ)それがアユカワさん。僕は、これは川崎さんという人だと思っているんですけれども、どうですか。

森副大臣 書いてあるとおりに読みますと、代表者、代表取締役相笠弘明、経理担当、最高経営責任者、それから代表取締役川崎義幸、社会保険関係担当、こういうふうになっております。

 追加でございますけれども、この金銭登録機についての先方の代表者は、相笠さんの方になっております。

中根委員 よくわからぬですけれども、代表取締役は川崎義幸さんという人なんですよね。

 この会社は、金銭登録機だけじゃないんですよ。今お手元に配付いたしましたけれども、パピアート印刷システム、通称こう言われているもの、これも、全国の社会保険事務局、社会保険事務所、それだけじゃない、全国の各市町村の国民年金課にこの印刷システム、パピアートが配置をされていますよ。

 どことどこの契約で置かれているんですか。教えてください。

森副大臣 本庁一括契約でカワグチ技研と契約をしております。

中根委員 なぜ全国のものがまたカワグチ技研なんですか。

森副大臣 これは、届け出用紙などの印刷システムで必要となる性能、機能を有する機器の製造、販売及び、これはリースで借りておりますけれども、賃貸借で、賃貸借が可能で、かつ当該機器の保守管理業務を行うことが可能である会社がカワグチ技研しかなかった、こういうことであります。

中根委員 これはまた同じことの繰り返しを申し上げますけれども、ほかの会社は当たったんですか。

森副大臣 この件につきましては、平成十一年十月二十九日に官報でもって随意契約に関する公示をしております。ところが、平成十一年十一月十九日に至っても他の業者の申し出がなかったため、株式会社カワグチ技研と随意契約をいたしました。

中根委員 さっきから、随意契約随意契約と言っていますけれども、もう一回、金銭登録機の方に戻りますけれども、僕の解釈だと、予決令というもので、随意契約できるのは二百五十万円を超さないもの。よく見てくださいよ。二十カ所の社会保険事務所が二百五十万円を超しているじゃないですか。これは随意契約できるんですか。

森副大臣 先ほど御答弁申し上げましたとおり、官報で随意契約の公示をいたしましたにもかかわらず、その申し出がなかったということで、これは……(中根委員「随意契約できるのかと。これは随意契約の許容範囲なの。金銭登録機だよ」と呼ぶ)申しわけありません。ちょっと聞き違えまして。

 金銭登録機につきましては、先ほど来申し上げておりますように、年度内にその仕様に合うものがほかの会社でできなかったという特殊事情によりまして随契で発注をしております。

中根委員 カワグチ技研に決めた理由も不明確、文書も出そうとしない、本来二百五十万円を超えて随契はできないのに、それも特殊事情だと言っている。これは、初めからカワグチ技研だと決まっていたんじゃないですか。

 カワグチ技研はいつ設立されましたか。

森副大臣 カワグチ技研の創立年次でございますけれども、これは必ずしも正確じゃないかもしれませんが、これは一九九八年、平成十年の十月となっておりますけれども、ちょっと今確認をしております。

中根委員 このカワグチ技研というのは、おっしゃるとおり、平成十年の十月六日に設立されているんですよ。それで、全国の社会保険事務局、事務所、二台から多いところは十一台、パピアートという印刷システムを入れている。全国で二千七百の自治体の国民年金課にパピアート印刷システムを入れている。すごい利権じゃないですか。一年の間にですよ。よくわからないけれども、盗難とか紛失とかという理由にして、平成十四年度で全国で国民年金推進員の方が使うあの金銭登録機を入れている、全部カワグチ技研ですよ。

 それで、先日、私は山井理事と、このカワグチ技研、いい仕事をしているな、ではどんな会社だろうと訪問してみましたよ。そうしたら、担当者はだれもいない。だれも話せない。では、会社は国民の保険料を使って大きな仕事をしているんだから、どんな会社か知りたい、会社業容をあらわしたパンフレットでも下さいと言ったら、うちの会社は一切そういう印刷物はつくっていませんと言うわけですよ。

 それでさらに、対応した人が、とにかく今は担当者がいないからどうぞお帰りください、どうぞ帰ってください、どうぞ帰ってくださいと、だんだんこういうふうに強くなってきて、仕事の邪魔をしてもいけないと思って、そこそこで帰りましたよ。しかし、でも名刺ぐらいもらっていかなきゃと思って、済みません、名刺を下さいと言ったら、うちの会社は名刺を使うような仕事をしていないから、社員はだれ一人名刺を持っていませんと言ったんですよ。こんな会社とどうやって、アクセスして、社会保険庁は、どうやって営業をかけてきたんですか、一体。

森副大臣 先ほど来申し上げていますとおり、実際、仕様に合って、期間内にできる会社はこの会社しかなかったということで選定したというふうに私どもは聞いておりますけれども、より詳細についてちょっと調べ直しまして、また改めて御報告を申し上げたいと思います。

中根委員 それで、そのとき訪ねたときに、名刺がない、ええっ、おかしい、では、どうやって社会保険庁に営業に行ったのと聞いた。大体、カワグチ技研は、この川崎義幸という社長はニチネン企画という印刷会社をやっているんですよ。年金の仕事もいっぱいやっていますよ、この会社。何で、パンフレットもできない、印刷一つできない。大体、さっきも言っていましたけれども、印刷システムを納入しているんでしょう、全国に。名刺、何で持っていない。そんな、持っていなくてもいい、あるかもしれません、万が一。

 そういう会社を信用して、随意契約で簡単に全国の仕事をさせるんですか、これは。平成十年に設立されて、十一年にパピアートの仕事をとって、十四年に金銭登録機の仕事をとる。社会保険庁の仕事をするためにつくられた会社だと思いませんか、これは、普通に考えて。

坂口国務大臣 先ほど副大臣が御答弁申しましたとおり、少し調べますから、我々もそこまで具体的なことまでちょっと知りませんので、よく調べて御答弁させていただきます。

中根委員 では、ついでに調べてもらいたいことがある。

 社長の名前が川崎義幸。それで、社会保険庁の偉い人に川崎義幸さんによく似た名前の人がいるんですよ。昭和三十五年、東大法学部卒、厚生省入省で、社会保険庁の次長をやったり、厚生省の薬務局長をやったり、それから、天下って、全社連の副理事長をやったり、エミナースをやっている全国国民年金福祉協会の理事長をやったり、川崎幸雄さんという人。川崎幸雄さんと川崎義幸さんが親戚関係でなければいいなあと思いますよ、癒着がなければいいなあと思いますよ。あわせて調べてください。約束できますか。

森副大臣 御心配でございますけれども、全く関係ない関係であるというふうに聞いております。

中根委員 それは、今、副大臣、いつそのことを聞いたんですか。いつ、そのことを聞いたんですか。

森副大臣 今、社会保険庁からそういう連絡を受けました。

中根委員 社会保険庁のだれがそれを証明したんですか。名前を言ってください、今、後ろの方の名前を。

坂口国務大臣 御疑問のようでございますから、まとめて御報告申し上げますから。

中根委員 それじゃ、さっきの印刷機の見積もり、それから金銭登録機の見積もり、打ち合わせの模様を記した何か文書があればそれ、それから今尋ねたことすべて、いつまでに答えてくれますか。

坂口国務大臣 先ほども、今週中にほかの件も報告をするというふうに申し上げましたから、あわせて今週中に御報告申し上げたいと思います。

中根委員 これは、一回、川崎義幸社長にここに来てもらって事情を聞かなきゃだめですね。参考人招致を求めます。

衛藤委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて協議いたします。

 中根康浩君。

中根委員 カワグチ技研の兄弟会社にニチネン企画というやつがある。ニチネン企画の役員を調べると、石川雅子という名前が出てくる。石川雅子は、カワグチ技研の取締役にも就任したことがある。今の川崎、川崎じゃないですけれども、石川と聞いてどこかで聞いたことがあるなと思って、そうしたら、先日、民主党の厚生労働委員会のメンバーで新宿ペアーレというところに視察に行きました。財団法人社会保険健康事業財団というところがやっているところ。主な仕事は健康診断のブローカーですよ、仲介業。

 この健康診断を主にやっているところが、ちょっと毛色の変わった仕事もしているんです。東京と大阪に配送センターをつくって、年金の関係の、これは管理換帳票という難しい言葉、要するに届け出書類とかなんかですよ、これをすべて東京都と大阪の配送センターに一たんそこにしまって、そこから全国の社会保険事務局や事務所にある会社が配送しているんですね。

 ある会社は、イシカワコーポレーションという名前、小野包装、こういった名前が出てくるわけですよ。石川雅子さんとイシカワコーポレーションが関係なければいいと思いますけれども、このイシカワコーポレーション、カワグチ技研と同じように、皆さん、御存じだった方ありますか。普通、全国津々浦々にある社会保険事務局、事務所に配送ネットワークを持っている会社、尋ねるとまた出てくるかもしれません、こっちが先に言いますと、例えば日通とかヤマトとか名鉄運輸とか、いろいろありますよ。イシカワコーポレーション、どんな会社ですか。

坂口国務大臣 私もよくわかりませんけれども、株式会社イシカワコーポレーションというのは、昭和二十五年に設立されまして、物流とか流通加工などを行っております。会社設立当時より社会保険関係の運送業務を行ってきているというふうに承知しております。

中根委員 また同じことを聞きますけれども、社会保険庁あるいは社会保険健康事業財団がこのイシカワコーポレーションとどんな契約をしているんですか。

坂口国務大臣 それじゃ、これもあわせて御報告申し上げます。

中根委員 これ、大事な問題なんですよ。年金利権に群がるこういう官僚とか業者が、私たちの国民年金、厚生年金の保険料をこうやって食い物にしている、中抜きにしている、利用をしている、むだ遣いしている。だから年金財政が危なくなるんじゃないですか。だから保険料を上げなきゃいけなくなってくるんじゃないですか。全部のしわ寄せが国民に来ているんじゃないですか。しかも、それらを、後で説明します後で説明しますと、何にも把握していないじゃないですか。そういう感覚がグリーンピアなんかにもあらわれる、サンピアなんかにもあらわれて、いつかやめなきゃいけなくなるんですよ。

 いつまでに出してくれますか。

坂口国務大臣 先ほど申しましたのとあわせて御報告を申し上げますから、今週中に御報告を申し上げたいと思います。

中根委員 あとどれぐらい時間があるかわかりません。大臣、党首討論の方へどうぞお越しください、大西さんがもう本当に朝から気にしていらっしゃいますので。

 きょうは、本当は選択エージェンシーのこともやらなきゃいけなかったんですけれども、もう時間がないかもしれませんので、一つ、無年金障害者のことをやります。また泉議員が時間をたっぷりとってやりますけれども。

 さっきの資料は、全部金曜日の委員会前までですか。確認してください。

森副大臣 先ほど大臣がお約束して退席されましたから、私がそれを変えるということはできませんので、今週中にお出しするということを私も申し上げたいと思います。(発言する者あり)できるだけその線で努力をいたします。

中根委員 これね、年金の広報。年金保険料を使ってつくった年金広報。前回も一回使いました、この岐阜の社会保険事務局がつくったもの。もう一回、これ、何回でも出しますよ。無年金障害者、制度の谷間にあって苦しんでいる。政府がまともに救済しようとしない。民主党は、きちんとした法律をつくって、これからそうした人たちを年金制度の枠内で救うように考えていきますけれども。

 この広報で無年金障害者がどういうふうに表現されているか。「セビるマン」、無年金障害者のことを「セビるマン」と言っているんですよ。「ケガで働けなくなり、暮らしに困って友人や親戚にお金をセビってばかりいる妖怪。障害基礎年金のことを知らなかったんだね。」なんて、「セビるマン」なんて言ってやゆしているんですよ。

 この人権侵害について、副大臣、どう思いますか。

森副大臣 今御指摘のありました広報につきましては、当然ながら、その内容、表現が誹謗中傷につながったり差別と受け取られるようなものであってはならないものでありますことから、社会保険庁においては全国の社会保険事務局長に対して文書により注意喚起を行い、再発の防止を図りました。

 広報内容については、今後とも十分注意して、工夫を重ねながら、効果的な広報に努めてまいりたいと考えております。

中根委員 これは後で謝ればいいというものじゃないんですよ。もしかしたら社会保険庁の人や社会保険事務所の人は、一般市民を見て、ああ、あの人無年金の人だ、「セビるマン」だねなんて日常的な会話をしていたんじゃないですか。だからこんな発想が出てきたんじゃないですか。いかがですか。そういうことがなければいいと思いますけれども、あったかなかったか、そういうことが。

森副大臣 今御指摘の点も踏まえまして、改めるべき点は改めたいと思います。

中根委員 指摘した点も含めて、また後日、これもあわせて、先ほどまでのと一緒に出してください。

 これは「ゲゲゲの鬼太郎」をパロディー、アレンジしてやっているんですけれども、調布にある「ゲゲゲの鬼太郎」の株式会社水木プロダクションというところに行ってきましたよ。こういうものをつくらせているということを承知していますか、許しているんですかと言ったら、ゼネラルマネジャーの武良幸夫さんという人が、ええっ、こんなこと許していませんよ。しかも、著作権も侵害したかもしれないですよと言っていましたよ、本人、武良さん。

 どうですか、これ、著作権。

森副大臣 今初めて聞いたお話ですので、調査させます。

中根委員 これもあわせて調査してください。

 こんなくだらないものを一々つくって、お遊びで。それで、謝罪広告を出したり訂正広告を出すのに、また保険料を使って、むだ遣いして、私たちの保険財政が痛めつけられている。これは本当に腐り切っていますよ、これ。無年金障害者のことをまともに考えようとしていないからこういうことになる。

 もう一回確認しますけれども、これは水木プロダクションとどんな契約をしたんですか。調査ですか、これも。

森副大臣 今申し上げましたとおり、調査いたします。

中根委員 無年金障害者の問題、繰り返し申し上げますけれども、こういう人権侵害を平気でやるような社会保険庁や厚生労働省だから、まともに答えようとしない。控訴しないでくださいという悲鳴にも似た声を無視して平然と控訴する。これは本当に考え方を改めてもらわないと。

 では、「選択」の問題に移りますよ。(発言する者あり)あと二分ですか。それじゃ、二分しかないから、江角さんの問題にしましょう。

 国民年金の広報の問題、江角さん、起用を決めたのはだれですか。

森副大臣 社会保険庁の広報委員会で決定いたしたそうでございます。

中根委員 そのときの広報委員会の責任者はどなただったでしょうか。

森副大臣 社会保険庁次長でございます。

中根委員 次長は伍藤忠春さんという方でよろしいですか。

森副大臣 そのとおりでございます。

中根委員 六億円も使って、国民年金の信頼を失墜させて、こんなつまらないことをして、伍藤さんは何か処分されましたか。

森副大臣 これは組織の問題でございますので、大臣より、社会保険庁長官に対して、二度とこのようなことがないように緊張感を持って取り組むよう、厳重に注意をいたしました。

中根委員 そういうふうに、だれも責任をとらない、そういうことが国民の年金財政をむしばんでいっている。

 伍藤局長は、これは報道によるんですけれども、社会保険庁次長当時、平成十五年の七月、社会保険庁の複数の幹部職員が、監督下にある健康保険組合、東京小型コンピュータソフトウエア産業健康保険組合からたび重なる接待を受けていた不祥事へ対して、自分が処分を下しているんですよ。間違いありませんか。

森副大臣 長官が処分をしております。

中根委員 ちょっと聞き取りにくかったんですが、処分していらっしゃるんですか。(森副大臣「長官が」と呼ぶ)長官が処分している。

 時間が来ましたけれども、理事会で協議してもらう、川崎義幸さん、カワグチ技研。繰り返し申し上げますけれども、印刷システム、パピアート、金銭登録機。何でこんな、世間の人が余り知らない、設立したての会社がこんなにおいしい仕事をできるんですか、保険料を使って。これは一回明らかにしないと、同じようなむだ遣いがこれからも繰り返されるということになる。参考人招致、必ずやってください。

衛藤委員長 以上で中根康浩君の質疑を終了いたします。

 午後三時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後三時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時五十四分開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 きょう、この厚生労働委員会での質疑をさせていただきます。

 まず冒頭、私の同僚の長妻議員そして中根議員の質問、この中で、大臣並びに副大臣が御答弁なされなかった部分、あるいは調査をすると言明された部分に関して、改めて私は確認をさせていただきたいと思うんですが、先ほどのその調査をするということについては、あすいっぱい、あすじゅうにしていただけるということでよろしいでしょうか。

 先ほどの同僚議員の確認です。調査それからその質疑に対しては、あすじゅうでよろしいでしょうか。どうかお答えください。

森副大臣 先ほども申し上げたとおり、今週いっぱいというふうにお答えしたつもりですけれども。了解されたというふうに私は認識いたしましたが。

馬淵委員 二人とも、その質問に対しての回答がいただけなかったということで、またこれについて再度の質問をしたいというふうに準備しております。あすじゅうにもう一度お願いをしたい、こういうことで、確認でございます。いかがですか。

坂口国務大臣 副大臣から御答弁申し上げましたとおり、一応、今週いっぱいにはちゃんといたしますということをお約束したわけでありますから、責任を持ってさせていただきたいと思います。

 年金の審議は金曜日だけじゃない、恐らく来週もあるんでしょうから、ひとつ来週またおやりいただければありがたいというふうに思います。

馬淵委員 はい、確認をさせていただきました。

 それで、もう一点ございますが、長妻議員が確認をさせていただくということで、ただし時間がなかった部分、時間が足りなかったということで、お二方に確認をさせていただく予定にしておりました、竹本政務官並びに森副大臣、このお二方に対して、国民年金の保険料、これの納付についての事実の確認をさせていただきたい。お二方それぞれ、保険料を納めていらっしゃるかどうかについてお答えください。

森副大臣 プライバシーの問題でもありますので、理事会の御協議を踏まえてお答えをさせていただきたいと思います。

竹本大臣政務官 森副大臣と同じ趣旨でございます。協議を踏まえてお答えしたいと思います。

馬淵委員 竹本政務官並びに森副大臣、厚生労働省の責任者として、国民年金について広く議論をしようとするときに、このお二方、年金保険料納付について確認をさせていただいています。

 再度の確認です。これは通告もしていると、長妻議員がこの件に関してはお尋ねするというふうに言っていました。これについて再度お尋ねします。この場で、国民年金の保険料を納付されているかについてお答えください。

森副大臣 理事会の御協議を踏まえてお答えをいたしたいと思います。

竹本大臣政務官 私の場合は、既に納めておりまして、受給権が発生しております。保険料納付の義務はございません。(馬淵委員「国民年金ですよ」と呼ぶ)

 国民年金も含めてと。私の場合は国家公務員ですから、公務員共済と一緒になっています。

馬淵委員 竹本政務官に今お答えいただきました。納めているということの御答弁をいただきました。

 森副大臣、お答えください。坂口大臣はもう答弁をされておられます。そして、これについては同僚議員が確認をさせていただくということでお話しさせていただいております。所轄官庁として、その責任者として当然のことだと思っています。お答えください。――何黙っているんですか。簡単に答えられるでしょう。

森副大臣 先ほど来申し上げておりますように、理事会の御協議を踏まえて御答弁をさせていただきます。

馬淵委員 答えられないということですか。答えられないということを今ここで確認してくださいよ。大臣が答えられて、竹本政務官も答えられました。森副大臣だけ、私だけここではきっちりと答えることはできない、そういう御答弁ですか。

 もう一度確認させていただきます。答えられないということなんですか。

森副大臣 それでは申し上げます。

 国民年金に加入しておりまして、保険料も納付しております。

馬淵委員 これは本当にさっさと答えていただきたかったんですが、どうしてすぐにお答えいただけないのか、不思議で仕方がありません。

 こうした当たり前のことをお答えいただけないような現在の厚労省の幹部や政務官、大臣あるいは副大臣といった方々、今国民がどう感じているか。年金の抜本改革をうたうこの国会の中で、本当に安心できる年金制度をつくっていただけるのか、今国民が注目しているわけです。

 しかし、今ここにお集まりの皆さん方並びにその諸先輩の方々が、今日の年金制度、財政破綻という状況を招いたのは、まるで人ごとのようにおっしゃっているが、そうではありません。これは、今までやってこられた方々が予測し得た、予見し得た中でこの状況をつくってしまった。

 私はきょうは、年金の抜本改革を議論するためには、厚生労働省の体質や、あるいはそれを所管する大臣並びにそれにかかわる多くの政治家の方々、その問題について、そのことに対して本気で取り組んでいらっしゃるのかどうか、その資質の問題についてまず確認をさせていただかなければ議論ができない、こう思っています。

 まず、私、こうした状況の中で、年金の問題にかかわることで、どういった方々が今日までやってこられたかということで、いろいろ調べてみました。おもしろい記事が、おもしろいと言ったら語弊があるかもしれませんが、記事がありまして、いわゆる年金官僚と呼ばれる方々、少子化を見通せず、不安定雇用労働者をふやした、年金制度の崩壊を招いた年金官僚がぬくぬくと天下りをしている、こう訴えている記事がございました。

 この記事の中身には、近藤純五郎さんというお名前、そして伊藤雅治さんという方のお名前が上がっておりました。この近藤純五郎さんという方は、厚生省に入省されていた、そしてもう既に退官されていたということでありますが、近藤純五郎さんの退官時の役職と、そして今日の役職名、これについてお答えいただけますか。

森副大臣 退職時は事務次官で、現在は年金資金運用基金の理事長でございます。

馬淵委員 事務次官であり、そして現在は年金資金の運用基金の理事長でいらっしゃる。まさに年金のど真ん中のところにいらっしゃる。

 さて、ではもう一度確認しますが、この方の平成六年のときの役職は何だったでしょうか。

森副大臣 平成六年は、年金局長でございます。

馬淵委員 年金局長を歴任され、そして次官にまで上り詰め、そして現在、年金資金の運用基金の理事長を務めておられる近藤純五郎さん、こうした方が、まさに年金制度の崩壊をつぶさに見てこられたわけです。この方々が、責任をとらずに、ぬくぬくと天下りを繰り返している。

 この記事の中には、こうした方々の生涯給与というものを算定して、本当に今苦しい年金受給者の方々、あるいは、年金はこの先もらえるのかと不安でいる若い方々、その方々がどんな思いをするかということを訴えている記事なわけでありますが、この報酬額、生涯の獲得するであろう給与等、これについて、これは、近藤純五郎さんが五億三千六百二十三万円、こうした推計をなされています。

 これは、私が昨日、一昨日、役所の方に確認をさせていただきましたが、個人情報なのでお答えするわけにはいかないということでした。しかし、こうした五億数千万、五億三千万を超えるような生涯獲得賃金を得られる、これが現実の天下りの実態なわけであります。

 そして、この記事を見ますと、もう一つ、大変大きな金額を得られている方がいらっしゃいました。伊藤雅治さんという方です。この伊藤雅治さんという方につきましてお尋ねしますが、退官時と、そして退官時のその直前、そして現在の役職は何だったでしょうか。

森副大臣 退官時は医政局長で、その直前ですか、(馬淵委員「はい」と呼ぶ)その直前は健康政策局長、そして現在は全国社会保険協会連合会の理事長でございます。

馬淵委員 今御指摘いただきました、この伊藤雅治さん、医師でいらっしゃるんですね。医師でいらっしゃる伊藤雅治さんが、近藤純五郎さん、年金局長そして次官を経験され、現在も年金資金の運用基金の理事長をされている、この方にほとんど変わらないぐらいの金額、五億三千九十六万円の生涯給与ということが推計されている。この方が、現在は全国社会保険協会連合会の理事長である。そして、退官時は医政局長、その直前は健康政策局長であったということでありました。

 こうして眺めてみても、この年金の問題について一生懸命に検討していただかねばならない皆さん方が、そしてその責任を十分に受けとめていただかねばならない皆さん方が、相も変わらずに数億という生涯給与を手にするための天下りを繰り返しているということ、国民は怒っていますよ。このことに対して、大変な怒りを感じるはずですよ。

 これについて、まず、この天下り問題は繰り返し国会でも議論されてきているはずですが、まさに年金の議論の今、どういうお考えを持って、このことについて御見解を持っておられるか、お答えください。

坂口国務大臣 今、近藤さんとそれから伊藤さんのお話が出ましたけれども、伊藤さんは医政局長、そして現在も、厚生年金も関係はないとは言えませんけれども、これは病院の方の協会でございます。したがいまして、直接年金とはかかわりはないというふうに思っておりますけれども、二人とも厚生労働省の局長であり、あるいはまた次官であったことだけは、間違いがございません。

 それで、今、いわゆる高級官僚と言われます、次官でありますとか局長でありますとか、そうした皆さん方の天下りの問題が大きく指摘をされているときでございまして、私も、現在、事務次官を初めとする皆さん方に対して、第二の務めと申しますか、次官なりあるいは局長をなすった人が次にどういうポジションについていくかということ、それは、今までのように、次官や局長になった人は次のこういうポジションが定められているというようなことはおかしい、それは改めなければならない。そして、より広く、その人が自分の持っている能力を生かして、例えば大学の先生になる人もあるでしょうし、さまざまなところでその能力を発揮するということに、やはりそれぞれが努力をしてもらわなければ困る。

 当然のことのように厚生労働省関係のところに天下ることは、今後避けていかなければならない。そのための対策と申しますか、方法といいますか、そうしたこともひとつ考えなければいけませんし、それぞれの人も自覚をしてもらいたい、こういうふうに今申し上げているところでございます。

馬淵委員 当然のことでありますね。能力を生かしてというのは、これも一つ当然でありますが、役所の権限を持ってそれに関連するようなところに天下ること、これは決してあってはならないことであると。坂口厚生労働大臣、今お話にあったとおり、これについて改めていくということをしっかりと確認をさせていただきたいと思います。

 さて、私は、この天下りの問題に象徴されるような今のお話、厚生労働省の体質、責任をとらない体質というものについて、一つ非常に典型的な事象を見つけることができました。そして、何とそれが、この伊藤雅治、現在全国社会保険協会連合会理事長、当時の健康政策局長時代にそれを見出すことがあったわけであります。

 この伊藤雅治健政局長、平成十一年の八月に健康政策局長となられました。さて、この健康政策局というところで当時どのようなことが行われていたのか。先ほど来私繰り返し申し上げているように、厚生労働省というものは本当に責任ある行動をとっているのかということを、この伊藤さんの一つ一つの言動や、あるいはそれを取り巻く役所の体質の中で、しっかりと国民の皆さんに見ていただきたいと私は思っているわけであります。

 そして、この伊藤さんが健政局長になられたときにどういった状況があったか。平成十一年の五月のことであります。当時、平成十一年五月、歯科医師需給に関する検討会報告書というのがその一年前から検討され、それが提出されておりました。歯科医師とともに歯科医療を支えている歯科衛生士についても適正に確保していくための方策が望まれるという提言を受けて、そして、その検討を行った意見書がまとめられたのがこの平成十一年の五月のことであります。

 この平成十一年五月の意見書の概要が出されているわけでありますが、この検討会の位置づけというのは、そもそもどういうものでしょうか。

坂口国務大臣 局長の諮問機関だというふうに思っておりますが、一遍しっかりちょっと聞きますけれども、多分、局長の諮問機関と思います。

馬淵委員 そうですね。その前の健政局長が音頭をとられてといいますか、諮問機関として設けられた。

 そして、議事要旨がこれは的確に出されております。この検討会の中で検討をされた内容について、意見書の概要というところでまとめておられます。毎年、六千人を超える歯科衛生士が免許を得ている。こうした中で、歯科衛生士の担う業務というのが大変多様化している。さらには、歯科衛生士養成における現場での課題として、カリキュラムにゆとりがないとか、あるいは業務が多様化していて患者ニーズにこたえるような教育体制を整えることが困難な場面がある、こうしたことから、この検討会では、諮問機関ですよね、まさに局長の諮問機関の中で、ここで検討され、そしてまとめられた意見というのは、養成施設の教育内容を見直していくということ、そしてもう一つが、修業年限の延長ということでありました。

 それまでは歯科衛生士を養成するための修業年限というのは二年だった。これをさらに延長すべき、検討をしなければならない、このようにこの検討書の中でまとめられ、そしてこれの見直しを早い時期に実施することが必要である、このような検討を実施されているわけであります。

 さて、この検討を受けまして、当時、十一年五月、これがまとめられたわけでありますね。そして十一年八月、伊藤健政局長が就任されたわけであります。これを受けて、どのようなめどでどのように進めていくかということを当時決められましたか。大臣、副大臣、お答えください。どちらでも結構です。

坂口国務大臣 平成十一年の五月二十八日に、これは歯科衛生士の資質向上に関する検討会意見書を公表しまして、三年制延長を平成十二年四月一日に予定、こういうふうになっておりますが、平成十一年の九月の九日、十日、平成十二年四月の三年制への延長については関係団体とさらに調整を図ることとしたところでございます。

馬淵委員 お聞きしないことまでお答えになられましたが、めどとしては、平成十二年四月一日をめどとする。そして、その四月一日をめどに向けてさまざまな方策、施策を考えていくということになったと理解をしております。

 平成十二年四月一日ということで、当然ながら、これが五月にまとめられて、即座にやることは何かといえば、十二年度の予算措置をどのように考えるかということであります。平成十二年度の予算措置に対してどのような検討が行われましたか。副大臣、お答えください。

森副大臣 ちょっと質問の御趣旨を十分理解しているかどうか、自信がございませんけれども、十二年の四月に修業年限を三年制へ延長することを検討していたということは事実でございます。しかしながら、三年制に移行する場合には、学生増に対応する施設整備や教員の増員等の環境整備に向けた十分な準備期間を設ける必要があったこと、そして、上記の点について、日本歯科医師会から慎重な対処を望む意見があったことなどから、平成十一年の九月に、三年制への延長についてはさらに調整を図ることにしたものでございます。

馬淵委員 私の質問に答えていないですね。

 いいですか。十一年の五月、この意見書を受けて、そして八月には概算要求があるわけですよ。十二年度の予算に対して、まさに今おっしゃった期間を二年制から三年制に延長するには、施設やあるいはその周りの建物を含めたさまざまな整備が必要だ、予算措置が必要だということが当然考えられる。そして、その予算措置のための準備を当然されるじゃないですか、この検討書を受けて。

 私が聞いておるのは、予算措置されたんですかという確認ですよ。概算要求、予算措置されたんですか。森さん、答えてください。

森副大臣 三年制に移行するための施設整備の予算措置はしております。

馬淵委員 早くそうおっしゃってくださいよ。

 予算措置、予算の概算要求において、養成所施設整備費の予算化を要求しているということを今確認させていただいたわけでありますが、そこまでやっていて、平成十一年の九月に、先ほど私がお聞きしていなかったにもかかわらず、もう先走っておっしゃいましたね、この五月の意見書を受けて、そして概算要求のこの予算措置を進めておられる中で、九月に、十二年の四月一日の施行に関してはとりあえず凍結ということを決めたと今おっしゃいました。

 まず、なぜこれを凍結したんだ、なぜ平成十二年四月一日の施行をとめたのか。これについて、森副大臣、お答えください。

森副大臣 移行するためのそういった予算措置はいたしましたけれども、三年制に移行する場合には、学生増に対応する施設設備や教員の増員等の環境整備に向けた、やはりその準備期間が必要でございます。その準備期間を考え、また、さらに加えまして、日本歯科医師会から慎重な対処を望む意見があったことなどから、さらに調整を図ることにいたしました。

馬淵委員 つまり、厚生労働省として、当時は厚生省として、この十二年四月一日の施行に向けて、意見書を受けて進めて、予算措置をしようとしていたけれども、九月にそれをとめた、そういうことですか。森副大臣、お答えください。

坂口国務大臣 その話は、現在も実は三年制にする話が出ておりまして……(馬淵委員「現在は聞いていない」と呼ぶ)いえ、私も過去のことを聞いたわけでありますが、確かにそのころ、そういう検討会の意見がまとまったことは事実でございますけれども、そのときには、先ほど副大臣が答弁申しましたように、歯科医師会の方が当時非常に慎重な意見であったということでございます。

 ただし、平成十二年度から、義務ではありませんけれども、三年制に移行するところは任意にしてもらったところもある、こういうことでございまして、その後は引き続き、現在、全体で三年制にするという話を今進めているところでございます。

馬淵委員 厚生労働省が平成十一年の九月に、十二年四月一日の準備をしていたんだけれども、これはとりあえずの凍結をしたということなわけであります。

 それについて、当時の日本歯科医師会の中原会長から、全国の各都道府県の歯科医師会長あてに文書が出ているんですね。これは説明をしているわけです。意見書で、一年間かけて三年が望ましいという方向を向いていて、そして予算措置も進めている。その中で、九月に、やはり凍結すべきだという形で、とりあえず凍結という厚生省側の見解を受けた。これに対して、こういうふうに述べられております。

 中原会長は、「厚生省は平成十二年度予算の概算要求において、養成所施設整備費の予算化を要求しているところであります」、このように既に準備も進められている。しかし、厚生省所管局から、平成十二年四月一日施行についてはとりあえず凍結し、今後、関係者との協議を行っていくとの回答を得たところであります、お知らせいたしますと。

 歯科衛生士の修業年限を二年から三年に延長するために必要な省令あるいは法律の改正というのは、どういうものなんでしょうか。森副大臣、お答えください。

森副大臣 省令の改正が必要になりますけれども、歯科衛生士学校養成所の指定規則の改正が必要になります。

馬淵委員 そうなんですね。歯科衛生士学校養成所指定規則の一部改正案ということを、これはもう本来なら準備されていなければならぬ。その状況の中で九月に、これがとりあえず凍結となったんです。とりあえず凍結という事実が起きた。

 そして、ではそのときにどんなことが起きたんだろうか。一年かけて、そしてその前の年から歯科医師の方は歯科医療の向上のための検討をして、歯科衛生士の検討もしてきた。二年から三年に延ばそうというさまざまな措置をしてきたにもかかわらず、九月になって突然、とりあえずの凍結。

 それについて、おもしろい記事があります。これは平成十一年の九月の二十一日付の日本歯科新聞であります。これをちょっと読ませていただきますと、きょうも同じこの厚生労働委員会の委員としていらっしゃいます木村義雄議員のお名前がここに載っております。

 当時、厚生委員長であった木村義雄議員が、歯科衛生士学校養成所指定規則の一部改正案は歯科衛生士の資質の向上に関する検討会の提言を踏まえたものであるとして、これについて、そのときの検討というのは、修業年限を二年から三年にする、施行日は十二年の四月一日だ、経過措置期間は五年とするということであった。

 この問題について、日本歯科新聞では、「学校運営、医院経営の上で、さまざまな「本音」の部分の意見がある」、そして「厚生省・健康政策局長を呼んで、この点について配慮を要請し、「白紙撤回」の回答を取り付けた」、こういう記事が出たんです。そして、この記事を受けた翌週、大きな波紋が起きたと、また同じく平成十一年の九月二十八日付の日本歯科新聞に出ているんです。「「白紙撤回」の波紋」、こう載っています。「木村義雄代議士発言巡り」「施行日の“凍結”を協議したもの」と。

 なぜ、こうした当時の木村厚生委員長の御意見が出てきたのか。これを見ますと、どこかから漏れ伝わったわけじゃないんですよ、これは。いいですか。九月十四日の大阪府歯科医師会が主催している時局講演会で、講演者である木村議員が、白紙撤回させた、このように発言されているということを受けて、この日本歯科新聞が二十一日付に書いた。そして、それを受けた日本歯科新聞の二十八日付でまた違うものを載せた。このようにこの日本歯科新聞に書いてあります。日本歯科新聞でこのような事実が、これは報道されているわけですね。私が今申し上げているように、報道としてなっています。

 そして、木村議員が繰り返し撤回を要請されてきたということは、同じくこれはことしの三月一日付の朝日新聞の方にも報道で載っています。木村議員は、平成十一年の夏以降、当時の同省幹部に対し、この教育期間延長について、歯科医師会が反対している、やめた方がいいなどと十二年四月施行に反対の考えを示した、木村議員からの要請は複数回にわたった、このように報道で書かれています。

 そして、こうした状況があって、その後、歯科医師会並びに厚生労働省はどのような対応をしたのかということになります。

 この歯科医師会の対応について確認をさせていただきたいんですが、さらに木村義雄議員の所属する山崎派の山崎拓さん、前衆議院議員ですね、山拓さんの支援する団体として、平成十一年の五月に大阪歯科医師会、大歯は、拓師会という政治団体を設立されています。今申し上げたように、この平成十一年五月、そして平成十一年九月の段階で、突然に厚生労働省の方針が変わっていった。そして、その背景には、こうした報道による木村議員の意見、木村議員の発言した内容あるいは拓師会の設立等々があるのではないかと思われる報道がなされているわけであります。

 そして、この平成十一年の九月の後に、平成十二年、日本歯科医師会から大臣の方に要望が行かれましたでしょうか。これについてお答えください。平成十二年の三月三十日、日本歯科医師会から大臣に対しての要望がございましたでしょうか。

坂口国務大臣 私になりましてからなら私も記憶をいたしておりますけれども、私の前任者であったというふうに思いますし、そのときに歯科医師会から何かが出たかどうかというところまで、ちょっと今存じておりません。

衛藤委員長 馬淵委員にお願いを申し上げます。

 本日は、当初から申し上げましたように、年金に関する質疑ということに取り決められております。年金に関する質疑をよろしくお願いします。

 馬淵澄夫君。

馬淵委員 いいですか。年金の議論をしていくためにも、しっかりと、厚生労働官僚あるいはそれを取り巻く環境の中で、本当に信頼に足り得る議論を今までしてきたかということをここでは確認させていただかねばならない。

 さて、今、坂口厚生労働大臣は、これは私にはわからないとおっしゃいましたが、当時、平成十二年三月三十日、日本歯科医師会中原会長から、当時の厚生大臣、丹羽雄哉大臣に、この凍結解除というお願いが出ています。つまり、九月にとりあえずの凍結を決めたけれども、翌年の三月に、歯科医師会からは凍結解除をお願いしているわけです。この凍結期間に関しては一年として、十三年四月一日の施行を日本歯科医師会としてはお願いをしている。とりあえずの凍結であるならば、一年を年限として、凍結期間を一年として、とにかく歯科衛生士の就業年限を二年から三年に延長するというこの施行を一刻も早く進めてほしいという歯科医師会からの要望が出ているわけであります。

 これについて確認をしていただけますでしょうか。

坂口国務大臣 中原会長は、丹羽大臣に「「歯科衛生士学校養成所指定規則」の一部改正に関わる施行日の凍結解除のお願いについて」というのを確かに出されておりますが、この翌日、実はおやめになっておるわけであります、中原会長は。

 したがいまして、この後、次の執行部においていろいろ議論をされるということに、経過としてはなったというふうに思っております。恐らく、察しますところ、歯科医師会の中にありまして、いろいろの御議論があったんだろうというふうに推察をいたしているところでございます。

馬淵委員 中原会長から大臣あてに出ているわけですね。そして、今お話があった、その後、やはり日本歯科医師会としては、この問題に対して真摯に取り組まねばならないということで、平成十二年の三月三十日、この要望書を出しておられる後に、歯科衛生士養成学校を対象とした調査を行われています。そして、この調査を行った結果、七五%以上、七五・四%の調査対象の方々が、歯科衛生士の養成期間は三年にするのが望ましい、このように答えておられます。

 これについて、この調査結果について把握をしておられますでしょうか。森副大臣、お答えください。

森副大臣 歯科衛生士養成学校百三十五校を対象としてアンケート調査を実施いたしまして、百二十二校、九〇・四%の回収率でございます。その結果、改正に賛成というのが、条件つき賛成とかいろいろ含めまして、九十二校でございます。したがって、今委員のお話のとおり、七十数%に相当するんでしょうか、これが。この結果であれば、把握をしております。

馬淵委員 このアンケート結果が、各紙、日本歯科新聞やその他にも出され、当然ながら、厚生労働省の方でも把握をされているわけであります。そして、このアンケート結果に対しての見解というものをお出しになられた、それが平成十二年の七月の十二日であります。今、委員の皆さん方、お手元にお配りをしました、厚生省健康政策局歯科保健課がこの見解というものをお出しになられています。

 ここには、実際に行ったこうしたアンケートというものを非常に尊重する、極めて重要な調査だという評価をした上で、条件つきを含め賛成意見が四分の三、七五%以上を占めているということを確認されたことから、凍結解除が妥当な選択だと考える、こう記してあるわけです。

 そして、凍結継続を繰り返していくと、これはさまざまな不測の事態が生じる、そしてそれは何かというと、予算上だ、こうおっしゃっているわけです。予算上にも非常な影響を及ぼす。また、その中身としては、施設や設備補助金への影響である。そして、平成十二年度確保された歯科衛生士学校に対する施設、設備補助金の継続というものが、当時の大蔵省から約束違反をただされた場合、大変継続困難になる場合もあるといって警鐘を鳴らしているんですよ。

 これは、つまり、凍結解除ということを訴えていって、そして凍結を継続することはだめだ、一刻も早くこの凍結を解除すべきだということを、アンケート結果を受けて役所の側が見解として明確に出しておられるわけです。

 これについて、今、私この中身を申し上げましたが、先ほど坂口厚生大臣おっしゃった、現時点における凍結の状態というのをもう一度確認させてください。今、どういう状況になっていますか。三年延長の解除というのは、いつ解除という予定になっておられますか。

坂口国務大臣 アンケート調査がございまして、そして日本歯科医師会より、三年制の実現を求める要望というのが平成十五年の十月に実は出ているわけであります。その前に少しさかのぼりますと、平成十三年の二月に、現行の指定規則のもとで三年制を希望する養成所に対しましては個々に許可するということになりまして、平成十五年の四月現在で十一施設、今、三年制になっております。

 さらに、今後全体にこれを広げていくということで、今度は日本歯科医師会からも、ひとつ三年制にしてほしいという、慎重姿勢から今度は御要望が出るということになりまして、現在鋭意それに従いまして進めているところでございます。

馬淵委員 今確認しますけれども、そうすると、この凍結解除ということについて、ここで見解として妥当だとされているわけですが、それをその後は明確に撤回するというようなこと、凍結解除を撤回するなどということはなかったということでしょうか。お答えください。

坂口国務大臣 現在進行中でございまして、平成十七年から三年制を実施する、四月一日を目途に、延長に必要な厚生労働省の改正作業を今進めている、こういうことでございます。

馬淵委員 いいですか、確認をしますよ。凍結解除が妥当だ、こういう見解が出た後に、いや、まだ凍結はしておかなければならぬというような通知、通達というのはされていませんか、こう確認をしているんです。お答えください。

森副大臣 今まで大臣が御答弁したとおりでございますけれども、平成十一年度に、日本歯科医師会の中原執行部の最後のときに凍結解除の要請が出て、代がわりしまして、健康政策局長から、日本歯科医師会としての姿勢を明確にしてほしいという要望を出しております。

 それから、先ほどのアンケートが出て、それで、既に配られております歯科保健課長の見解を発出しています。それからまた、健康政策局長から再度、平成十二年にも、日本歯科医師会としての凍結解除の意向の検討をお願いしておりまして、なかなか姿勢がはっきりしなかったものですから、現行の指定規則のもとで、三年制を希望する養成所に対しては個々に認可することにしておりまして、平成十五年の十月に至りまして、日本歯科医師会より三年制の実現を求める要望が改めて出ましたので、今大臣から御答弁した方針にしたという経緯でございます。

馬淵委員 もう一度具体的に確認しますよ。

 平成十二年七月十二日に、厚生省の歯科保健課から、凍結解除が妥当だとする見解を出したんですね。もう凍結解除をしましょうという見解を出したんですよ。そうならば、凍結解除に進むじゃないですか。しかし、凍結解除に至っていない。だから、私、繰り返し確認しているのは、役所として、凍結解除は妥当だというこの見解に対して、いや、しばらく凍結しなきゃならないんだというような通知、通達は出されていませんか、こう確認しているんです。

森副大臣 いろいろなそういう方針を決定するときに、関係の皆さんの御意見を聞きながらやるのは当然のことでありまして、それを抜きにしてやったら、これは独断専行になっちゃいますから、その結論が出て、それで、今そういう方針を定めて、これから取り組もうとしているところでございます。

馬淵委員 今の話じゃないんですよ。いいですか、平成十二年七月に、役所が、凍結解除すべきだ、こう言っているんですよ。それに対して、今、凍結解除になっていない。今日においての話はもういいんです。その当時、凍結解除が妥当だと言っているけれども、これを撤回させたことはないですか、こう確認しているんです。

森副大臣 厚生労働省としての、凍結解除が妥当であるという見解は、そのまま生きております。

馬淵委員 凍結解除が妥当だとする見解は生きている、今そういうふうにおっしゃいました。そして、私の繰り返しの質問にお答えになっていないんですが、そうした通達、通知がないということでよろしいんですね。

 森さん、もう一回確認ですよ、そういった通達、通知はないということでよろしいんですね。

森副大臣 これは繰り返し申し上げておりますけれども、妥当だという見解はずっと継続しておりますけれども、例えば、日本歯科医師会など関係者の皆さんに、それについてどうお考えかという意見は求めております。

馬淵委員 意見を求めるじゃなくて、この見解について撤回をさせなかったかと私はお聞きしている。それはないと今おっしゃいましたが、平成十二年七月十二日のこの見解が出た後に、平成十二年八月九日付で、伊藤健政局長が文書で出されているんですよ。伊藤健政局長が、この文書、これは日本歯科医師会に出されております。伊藤雅治と自分でお名前を書いて、そして印鑑を押されている。

 これは不思議な文書なんですね。平成十二年七月十二日付の厚生省健康政策局歯科保健課から出たこの見解の内容につきましては、「極めて遺憾であると思います。」そして「今後においては先刻の歯科保健課の見解はないものとして」、これはどういうことですか。「見解はないものとして」と、自分の担当部局である保健課から出た見解はないものとして、急遽、健康政策局長が見解に対しての撤回の文書を出しているんですよ。

 先ほども私、繰り返して申し上げたように、何でこんな急にころころ方針が変わっているんですか。おかしいじゃないですか。森副大臣、お答えください。

森副大臣 この伊藤雅治健康政策局長の日本歯科医師会あての文書につきましては、平成十二年七月十二日付でこういう見解を出しているけれども、それにとらわれずに、そちらで検討して、そして意見を聞かせてくれというお願いの文書であります。(馬淵委員「おかしいでしょう、それは」と呼ぶ)おかしくありませんよ。

馬淵委員 いいですか、役所が正式に出した文書、これを一カ月もたたないうちに、自分の部局に対して、あのような見解はなきものとしてくれ、こんな文書を出して撤回させて、これはおかしくはないですか。これが当たり前のようになされる、厚生労働省のふだんの仕事の姿ですか。

 国民年金、今まさに年金問題、この厚生労働省で託してやっていこう、これから決めていこう、抜本的改革をやろうという中で、こんなでたらめな仕事の進め方をする厚生労働省、これが当たり前の姿と、そうおっしゃるんですか。森副大臣、お答えください。

森副大臣 それはいろいろな過程でのいろいろな意見交換の材料はあるわけでございまして、このアンケート調査結果に対する見解は、この時点の、対象が日本歯科医師会かどなたかわかりませんけれども、それとの意見交換会におけるメモのようなもので、これに基づいて恐らくここでは意見交換がされたと思いますけれども、それにかかわらず、どうぞ日本歯科医師会としての、会としての責任あるこれからの御意見をお聞かせくださいというのがこの健康政策局長の文書でありまして、全く相互に矛盾するものではないと私は考えます。

馬淵委員 いいですか、これは「極めて遺憾である」と言っているんですよ。もう否定しちゃっているんですよ。自分の部局がやったことは否定して、それはないものとせいと、こうしているんですよ。

 おかしいじゃないですか。なぜこういう状況になったのか。森副大臣、お答えください。これは一体何があったんですか。どういう理由で、いかなる理由でこれは撤回をしているんですか、命じているんですか、見解はないものとせよと。森副大臣、お答えください。

森副大臣 ですから、これは何度も申し上げますけれども、あくまでもこの段階でのアンケート調査結果に対する見解であって、これが最終決定ではないということをこの伊藤局長、その当時の局長は日本歯科医師会に対して説明している文書というふうに私は受けとめます。

馬淵委員 今、見解が変わったわけじゃない、そんなようなニュアンスでおっしゃっていますけれども、明らかに変わっていますよ。これは明らかに変わっているじゃないですか。この伊藤さんが、自分の部局から出した見解に対して否定しているわけですよ。これは通常だったらあり得ないですよ。一カ月もたたないうちに、そしてそれをなきものとするということ。

 この流れがいかに不自然かということを、もう少しさらにいきますと、平成十二年八月九日、見解の撤回を伊藤局長が指示をして、そして平成十三年二月の二十八日に、同じく今度は日本歯科医師会が都道府県の医師会の各会長に通知を出しています。これが先ほど来大臣がおっしゃっていた部分であるかと思われますが、とりあえず現行の指定規則のまま、要は法改正しない。そして、五月雨式ですか、三年制を希望する養成所に対しては個々に認可する。こういった形で、とりあえずの予算面での支援もするから、弾力的な運用で進めてくれという形を厚生省と確認したという文書を出されています。

 そしてさらに、平成十五年十月、昨年の十月でありますが、日本歯科医師会長からは、坂口大臣、そして現在の厚生労働省医政局の岩尾局長に、この歯科衛生士学校養成所指定規則一部改正の凍結解除と三年制の早期実現ということを再度要望する、こう出されています。

 いいですか、確認しますよ。この流れの中で、歯科医師会が本来求めていた三年の延長ということに対して一生懸命に働きかけていた、そして三年延長ということをその現場が、七五%以上もの養成所の学校が望むとしながらも、厚生省は、とりあえず凍結をする、そして凍結の解除が妥当だと内部で言っているにもかかわらず、そのボスである局長がそれをなきものだとして訴えている。これはおかしいじゃないですか。本来進めるべき流れと全く違うことをしようとしている。そして、繰り返し日本歯科医師会が凍結解除を訴えているにもかかわらず、五月雨的に、弾力的に物事を進めるということしか言っていない。

 私は、この不自然な流れ、ここにかかわることで、さらに再度皆さん方に確認をさせていただきたいことがあります。

 先ほど申し上げた、木村義雄議員が厚生委員長であったときに働きかけたという報道がございましたが、その木村義雄議員御本人が受けておられる政治献金、そのリストがございます。

 平成九年、平成十年、この二年間、日本歯科医師連盟並びに大阪府歯科医師連盟からの寄附はゼロであります。しかしながら、平成十一年、そして平成十二年、平成十三年、平成十四年と、まさにこの方針がころころころころと動いているそのときに、平成十一年は、日本歯科医師連盟から百万円、大阪府歯科医師連盟からは二百万の計三百万。平成十二年、日歯からは、日歯というのは日本歯科医師連盟です、六百万、大歯、大阪府歯科医師連盟から百七十万、合計七百七十万。平成十三年、日歯からは八百万、大歯から五十万、八百五十万。平成十四年度、日歯から百万、大歯から百万、二百万。合計の金額で二千百二十万円、これが寄附金あるいはパーティーの対価として上げられているわけであります。

 私、先ほど来、繰り返し申し上げた。なぜこんな不自然な決定をし、なぜこんな不可解な通達が出ていくのか。そして、その陰の中でこうした献金の流れを見て、大臣、どのようにお感じですか。まず、大臣の御所見を伺いましょう。

坂口国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、最初のころは歯科医師会の中で非常に慎重な意見が多かった、これは事実でございます。現在の執行部はこれをやろうということで積極的になっていることも事実でございます。

 平成十二年の七月十二日に、厚生省の健康政策局の歯科保健課がまとめたペーパーがございます。「日本歯科医師会から照会のあった歯科衛生士修業年限延長に関するアンケート調査結果に対する見解」、これは、歯科医師会の皆さん方も含めました会合の中で、見解がどうだと言われたものですから、その会場で配った非公式のメモでございます。正式に出したものではございません。御承知のとおり……(馬淵委員「見解のすりかえだ」と呼ぶ)いやいや、だからその場で配ったものだと。だから、これはここにちゃんとした印鑑が押してあるわけでも何でもありません。それで、このメモを出した。

 このメモを出したものですから、それじゃ厚生労働省はもうそれで固まっているんだ、そうだなということになったものですから、伊藤局長がもう一度、この前に出したものにつきましては、このペーパーの見解というものはこだわらずにひとつ皆さん方の御意見をまとめてくれということを出した、こういう経緯でありまして、今日を迎えている。

 これは、医師会でも歯科医師会でも同じでございますけれども、看護学校でありますとか、あるいはまた歯科衛生士でありますとか、二年を三年にするという問題は非常に御意見が多いんですよ。日本医師会の場合でございますと、准看護婦制を継続してほしいというような御意見が非常に多いですし、そうした意味で、これはいろいろ御意見のあるところでございます。だから、今看護師さんの場合でも二年制、三年制、あるわけでありまして、そこはいろいろ過渡期にあるわけでございます。

 したがって、歯科衛生士の場合にも、一度になかなか三年ということにはいきにくかったという経緯はあるというふうに思っております。段階を踏んで今日を迎えているということでございますから、先ほどからいろいろのことをおっしゃいましたけれども、それはこういう一貫した流れの中で起こっていることであって、それじゃ平成十七年の四月からはこれを正式にルートに乗せましょうかということに今話はようやくなってきている、こういうことでございますので、その他のことは何らここには入っておりません。

衛藤委員長 馬淵澄夫君、申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。

馬淵委員 流れの中で起きたことだといえば、何でも過ぎちゃう、何でもそれで済ませちゃうんですよ。済ませられるわけですよ。

 今申し上げた、今の流れの中で、私、最後につけ加えた木村議員の政治献金の推移、そしてこうした不可解な厚生省の局長の言動が変わっているという状況、これを考えれば、明らかに厚生労働省というものが全く公正な立場で物を見ない、むしろ逆に、政治家やあるいは大きな力にゆがめられてしまう。まさに、この年金も含めて、今日ある厚生労働行政の根本を示すような事象であるということを私は訴えているわけですよ。

 このことについて、伊藤政策局長が、私は、この伊藤さんが今日この場にいて、なぜそのような行動をとったのかということを明らかにしていただかねばならないと思っています。これについて再度訴えをさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

衛藤委員長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 今度の政府提出の年金法案ですけれども、これは、年金保険料の連続的な引き上げ、それから給付水準の引き下げ、これが国会の審議を抜きにかなりの長期間にわたって自動的に行われる、こういう仕組みをつくるものになります。

 私は、本会議の質疑におきましても、こうした保険料の引き上げによる連続的な負担増、それから給付水準の削減に伴って国民生活が受ける苦難、こういうものも示しまして、これでは、公的年金制度の本質にかかわるような重大な問題になるということを厳しく指摘し、批判してまいりました。

 きょうの質疑では、まず初めに、坂口厚生労働大臣に公的年金制度の現状についての認識を尋ねたいんです。

 もともと、公的年金制度につきましては、本来、老後の生活を支える、国民生活の安定というところに非常に大きな重きを置いてまいりました。例えば、国民年金法の第一条では次のように定めております。「国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」こういう本来の公的年金制度の趣旨に照らしてみて、今の現状は果たしてこれが生かされている現状なのか、それともそういうものになっていないと考えているのか、この点についての大臣の基本的認識をまず示していただきたい。

坂口国務大臣 真正面からの質問をしていただきまして、感謝を申し上げたいと存じます。

 公的年金制度というふうに言われます以上、やはり平均的な生計費というものをある程度満たさなければいけない、それは私もそう思っております。

 しかし、自己努力というものも、これは国民の皆さん方もしていただかなければならないわけでありますから、年金プラス自助努力というものによって老後を迎えたい、多くの皆さん方がそういうふうにお考えになっているというふうに思います。

 現在のところ、高齢者世帯の平均的生計費でございますが、これは、十三年の家計調査によりますと、消費支出計で二十四万九百五十二円という数字が出ています。一方、いわゆるモデル年金でございますが、これは、平均的な男子賃金で夫のみが働く世帯の標準的な年金額でございますが、平成十六年度で二十三万三千三百円でございます。これは、平均的な消費支出の、全額ではありませんけれども、ほとんどをカバーできる額というふうに理解をいたしております。

 公的年金の給付水準は現役世代の賃金との対比で見ることが通常でありますけれども、モデル年金の水準といいますのは、現在、現役の平均的手取り年収、これは月額換算にしまして三十九万三千円でございます、との対比で、現在のところは五九・三%になっているということでございます。

 高齢者世帯の所得のうちで公的年金が占める割合は約七割であるというふうに思っております。

山口(富)委員 私は、今坂口大臣の発言を聞きまして、厚生労働省が今日の公的年金制度の現状についてきちんとした認識を持っているのかどうか、甚だ疑わしいと思いました。

 一つは、モデル年金の問題ですけれども、先ほど、高齢者世帯の消費支出が大体二十四万円だと、それに比べたら、モデル年金で見れば二十三万三千円ですから大体覆えるんじゃないか、そういう答弁だったと思います。

 でしたら、確認しておきますが、モデル世帯とおっしゃるそのモデル世帯とは一体何なのか。厚生労働省の考えによれば、これは、大きくくくりますと、四十年間夫が保険料を払い続け、妻は専業主婦ということになるわけですけれども、だったら、政府の言うモデル世帯というのは、現在の厚生年金被保険者の中で一体どの程度を占める世帯なのか、これを示していただきたい。

竹本大臣政務官 モデル年金は、今先生おっしゃるとおり、夫のみが平均的な報酬で四十年間働きました、そういった世帯を想定しているわけですが、今日、共働き世帯が増加する中で、夫のみが働いているというのは少ないんじゃないか、こういうことが指摘されております。

 しかしながら、加入期間が二十五年以上ある男性の受給者で、妻が老齢厚生年金を受給していない者の割合は、現在は五一%、こうなっております。二〇二五年においては約四二%と推計しておるわけでございますけれども、妻が厚生年金の受給権を持たない世帯は将来も相当数あると考えております。

 もちろん、世帯の所得によって所得代替率は異なってまいりますけれども、この世帯がすべて五〇%の所得代替率となるものではないわけですが、受給者の中で夫のみ就労していた世帯が相当数あることは推計できると考えております。

 また、年金額について見ますと、平成十四年度末の実績で、六十五歳以上男子の新法老齢厚生年金受給者、いわゆる老齢相当の個人の受給年金額は、モデル年金の夫分に相当する月額十七万円以上である者の割合が七割、それから、夫婦のモデル年金に相当する月額二十三万円以上である者の割合は三割、こうなっておるわけでございます。

 ここから推計いたしますと、現在、厚生年金の受給世帯のうち、夫婦でモデル年金月額以上を受給している割合は三ないし七割の間であると推定しておるわけであります。そういった状況です。

山口(富)委員 今、私は大臣にお願いしたんですが、政務官が出ていらっしゃいましたけれども、政務官が読み上げた数字というのは、この二月に予算委員会で出された数字です。年金局長が示した数字ですけれども。

 今お話の中でも、受給者の大体五一%だという数字が出てまいりました。私は、きょう、理事会の了解を得まして、配付資料を委員の皆さんのお手元に届けてあります。その一枚目をごらんいただきたいんです。

 厚生年金の保険の五一%というのをどこでとるのか。二十三万三千円ということになりますと、年額二百七十九万六千円です。ということは、この真ん中にあります二百七十六から二百八十八以上がその受給者になります。ここは、五一%どころか、三一%しか数字は出てこないんです。

 しかも、年金局長はあのときにもう一つ数字を示しました。それは、五一%という数字と、これは三百四十万人分あるんだということなんです。ところが、この同じ表なんですけれども、三百四十万だとしますと、実は厚生年金の年金額の年額の二百二十八から二百四十のところで大体おさまる水準なんです。そうしますと、この水準というのは、モデル年金で言われているいわゆる二十三・三万でなくて二十万円程度だということになるんです。

 つまり、私が言いたいのは、今挙げたモデル世帯にかかわる数字というのは、非常に空虚な、実態を反映しない数字だと。そして、この数字を取り上げながら五割は確保できるということをうたい文句にするんですから、これは全くおかしな話だと思うんです。

 私は、二月の予算委員会の議事録を読んでいましたら、当時、吉武年金局長は何と言ったのか。モデル世帯の問題について、年金の統計なりの中から抽出するということは不可能ですと。これが答弁ですよ。それは当たり前なんですね。これはあくまで架空のモデルですから、統計上の数値に出てくるはずがない。大体、社会保険庁のどんな調査を見たって、モデル世帯なんという欄がないわけですから。一体、どういうことになっているんですか。

坂口国務大臣 ですから、先ほど政務官が申し上げましたとおり、いろいろの前提を置いた数字というものはこういうものでございます。モデル年金でございますから、モデルというのはそれはもうモデルでありまして、そこが、いわゆる平均値で一番高いところを示しているわけでも何でもないわけでありまして、これは確かに働く人たちの賃金、その平均値をもとにはいたしておりますけれども、一つのモデルをつくって、それに当てはまるものはこういうものでございますということを出しているわけでありまして、そうすると、それをもとにして計算をすると、先ほど御答弁を申し上げましたような範囲になりますということを言われているわけです。

 山口議員が今お示しをいただきましたこの一枚目のペーパーでございますが、厚生年金、国民年金とございますね。この国民年金のところに書いてある数字というのは、これは、いわゆる国民年金だけの数字なんでしょうか、それとも厚生年金にお入りになっている一階部分の……(山口(富)委員「両方入っています」と呼ぶ)その数字も全部含めての数字なんですね。だから、我々の統計とは少し違ってくる、こういうことでございます。

山口(富)委員 いや、それは全くおかしいですよ。だって、社会保険庁が出している統計というのは、二つの制度の区分けができない統計数値しか出していないんですよ。ですから、これを私たちが求めたら、これが必ず出てくるんです。モデル世帯で議論しようとしたら、これでしか議論できないじゃないですか。

 私は、少なくとも大臣が、年金局長が今の年金の統計なりから抽出することは不可能だと言った答弁を否定されなかったこと、それからまた、これはあくまで一つの、みなしといいますか、モデルといっても平均像と言うこともできないような一つの姿であるということをお認めになったということで、この点につきましては少なくともさまざまな前提を置くというんですから、その前提をきっちりさせながら、この年金の問題についての議論をしてまいりたいと思うんです。

 次に、私は、空虚な数字ではなくて、実態に基づいて物事を考えたい。特に年金制度の場合は、ならしてしまいますと、お一人お一人の実態が非常に食い違っておりますから、年金の実態像と離れた議論に陥っていく危険性があると思うんです。

 それで、皆さんに見ていただきたいんですが、まず、一ページ目にお配りしてあります厚生年金と国民年金ですが、これは、先ほど大臣からも指摘がありましたように、両制度、両方受けている方が含まれていますから、多少高目に数値は出てくるんですけれども、それでも、厚生年金で年金受給権者数が約一千万、この数値の場合は平均給付月額で十七万一千五百円程度です。国民年金が一千八百万人で、平均受給月額が五万二千円程度。しかも、女性の場合は、厚生年金で見ますと月額十万円以下の方が四五%を占めている、これが実態です。

 それから、配付資料の二枚目をごらんいただきたいんです。これは老齢基礎年金分を含まないところの厚生年金なんですけれども、平成で言いますと八年、西暦に直しますと一九九六年から連続して減り続けております。しかも、もう一枚めくっていただきたいんですが、配付資料の三枚目で、これは国民年金の給付状況の推移ですけれども、十四年度末で九百九万人の方が平均四万六千円だということになっています。そうしますと、国民年金受給者の五割に当たる九百万人の方がこの水準だと。

 先ほど大臣は、総務庁の家計調査を使いまして、高齢者世帯の消費支出を大体二十四万円だというふうに言われました、これは二〇〇一年の数字ですけれども。そうしますと、国民年金は四万六千円を受け取るとして、世帯で、御夫妻で九万二千円になります。そうしますと、二十四万の平均的な消費支出のその四割以下というのが、国民年金の半分ぐらいの方の水準だということになるわけですね。これでは、私は、食費や家賃や水光熱費の一部をカバーするので精いっぱいというふうに思うんです。

 これまで、年金については審議会の報告がさまざま出ておりますけれども、それを見ますとこういうふうに書かれております。「老人夫婦のみの世帯における標準的な消費支出を基礎にその一定割合、おおむね五割程度の水準を確保していくことが望まれる。」と。これは極めて常識的な話だと思うんですが、この水準から見ましても、今の、特に、国民年金制度の九百万人の方が大体四万六千円の水準であるというのは極めて低い水準にとどまっている、そういう認識は、大臣、お持ちじゃないんですか。

坂口国務大臣 今お話がございましたとおり、国民年金の皆さん方の年金額というのは、確かに平成十四年度末現在で月額四万六千十三円でございます。平成十四年度の新規裁定者、平成十四年度に新しく年金に入られた皆さん方は少し上がってまいりまして、五万四千百三十五円に上がってきております。

 いずれにいたしましても、しかし、御夫婦で足しましても十万ではないかという、こういう御指摘だというふうに思いますが、自営業者の皆さん方の場合には、これはサラリーマンの場合とはいわゆる生活の仕方というものがかなり違うわけでありまして、自営業の皆さん方は、いわゆるサラリーマンのように定年制があるというわけではなくて、お仕事をずっと続けられる方が多いわけでございます。例えば、農業ならば農業、健康であります限り、お幾つになられても続けられる。例えば、私の同僚あたりでも、八十になりましても元気ならば診療をやっているというのもあるわけでありまして、自営業の人とサラリーマンの定年退職という生き方とはかなり違うというふうに私は思っております。

 したがって、そういうふうな自営業の皆さん方はそれぞれ、所得の多いときには老後に備えられ、これは少ないときもありますから、自営業の皆さん方は上下がありますから一律にいかない、そこのところをよく理解をされて、老後に備えておみえになっているんだろうというふうに私は思っております。

 したがいまして、全額で六万六千円なり七千円になったといたしましても、全体で十三万何がしでありますから、それで生活のすべてがなかなか賄えるという額でないことは私も理解をいたしますけれども、基礎的な生活費というところぐらいはそれで賄う数字になっているというふうに思います。現在、大体、全体の中で高齢者がお使いになっております値というのは出ております。いわゆる衣食住のところに当たりますところは、大体そのぐらいはカバーができているというふうに思っている次第でございます。

山口(富)委員 高齢者の基本的な生活の部分を支えられているという認識は、今の現状からいって、とるべきでないと私は思います。例えば、大臣が使われました家計調査の年報を見ましても、二十四万円の支出のうち、食費にかかっているものだけでも五万七千五百二十八円。これを見るだけでも、国民年金の場合に、とても四万六千円という水準では基本を支えられるというような認識を持つべきじゃないと私は思うんです。しかも、社会保障の場合は、特に日本の憲法の場合は、二十五条で、単に国民の皆さんが文化的な最低限の生活を送れるというだけでなくて、国の責務としてそれを支える体制をとるんだという、国の責務を定めたというところが最大の眼目なんですね。そういう点でも、今の現状をやはりきちんと認識して事に当たることが大事だというふうに思います。

 それで、私は、では今、年金をめぐって実際の生活は一体どうなっているのかということで、もう一つ図をつくってまいりました。これは、お配りした資料の四枚目から五枚目にかけてあります。これは年金受給権者の受給月額の分布状況を図にしたものなんですけれども、先ほど申し上げましたように、老齢年金につきましては両方の制度から受けている人がおられますので、統計上はどうしてもその部分は不明ですから、国民年金と厚生年金の受給権者数をそれぞれ制度ごとに集計してこういうふうに表示してあるわけです。ですから、「平均」と書いてあるところも多少、先ほど申した数字よりは高目に出てこざるを得ない、そういうものです。

 四ページ目にあります図一というのは男女合計のものなんですけれども、それから次のページの図の二というのが男性だけ、図の三が女性だけというものをあらわした図なんです。私は、ここには、今の年金制度の現状の生きた姿がさまざまな形で浮かび上がってくるように思うんです。

 まず、坂口大臣にお尋ねしたいんですけれども、こういう図をごらんになったことがありますか。

坂口国務大臣 いや、この図は今初めて拝見したわけですから、初めてでございます。

山口(富)委員 私が配付しました資料、一枚目の表と、私どもがつくりました図表とを見比べていただきたいんですが、やはり、数字だけで見た場合と、現実にどのぐらいのパーセンテージで広がっているのかというのを見た場合と、随分違った印象を持たれるように私は思うんです。

 例えば、図の一で見ますと、年金について言いますと、やはり国民年金で四万未満という人たちが大体二割いらっしゃるんですね。その一方で、厚生年金の場合はぐんと上まで額が上がっていくような、かなりの大きな格差がここにはあらわれています。

 それから、図の二と三を見比べていただきますとよくわかるんですけれども、男女の年金格差というものが非常に大きいというのがよくわかります。特に、厚生年金の場合はもう全く違う状態がここにあらわれてきます。今、高齢者世帯というのは女性の世帯も多いわけですけれども、私は、ここには、長年の日本の政治の中に、日本の社会の中にあらわれた男女の賃金差別という問題も年金という形で反映せざるを得なかった、そういう実態があると思うんです。

 大臣はこれは初めて見たということなんですけれども、これを見ての所見についてまず尋ねておきます。

坂口国務大臣 その前に、先ほど、食費が五万何がしというふうにおっしゃいましたけれども、あれはお一人じゃなくて夫婦での話でございますから、ひとつそこは間違わないようにしていただきたいと思います。

 それで、今いただきましたこの表を拝見しまして、確かに、御指摘になりますように、男女計で見ました場合に、かなりばらつきがあるなというのが率直な印象でございます。考えておりましたよりもばらつきがあるということでございます。それから、男性と女性のところで見ますと、確かに男性の方がかなり多い方向にシフトいたしておりますし、女性の方は少ない方にシフトしているということは明確にこれで示されているというふうに思います。

 私も、山口議員が御指摘になりますように、いわゆる女性と年金というものを今後考えていきますときに、この賃金格差をこれからどうしていくかということは最大の課題だと思うんです。特に、年金をいわゆる世帯単位から個人単位にもし変えるということになれば、個人単位に変えて賃金格差をそのままにしておけば、女性の年金はずっと低いということになってしまわざるを得ない、こういう姿でずっといかざるを得ないというふうに、率直に私もそう思います。

 したがいまして、個人単位にするというときには、男女の賃金格差をどう縮めていくかということとセットで進めていかなければならないというふうに私も思う次第でございまして、そうした意味で、大変参考になる資料だというふうに思った次第でございます。

山口(富)委員 男女の賃金格差の問題については、私はまた日を改めてこの問題についての提案をし、また、政府の姿勢をただしたいと思うんですが、参考にしていただくなら、私が今一番参考にしていただきたいのは、国民年金で四万に満たない受給者が二割程度いらっしゃる、この低額年金のところの底上げがどうしても必要だということをこの図表からはぜひ参考にしていただきたい。

 その点で、私は、今度の政府の提案には、この低額年金の問題についての抜本的な解決策が全く見られない。見られないどころか、こういう層の人たちにまで実質的に一律に大体一五%給付水準を下げてしまうというわけですから、これは私は、いわゆる本来の社会保障の姿からいって、全く成り立たないやり方だというふうに思うんです。

 改革という名前で今必要なのは、こういう低額年金の部分をきちんと政治の力で底上げしていくといいますか、力を与えていく、そういう改革が今必要じゃないんですか。

坂口国務大臣 今御指摘になりましたことは、これは、働く皆さん方の問題と、そしていわゆる自営業の皆さん方の問題と、ここの問題をどうするかということになってくるんだろうと思うんです。民主党さんが御指摘になっております一元化の話も、そこをどうするかということから出ておる……(山口(富)委員「私は共産党ですけれども」と呼ぶ)あなたは共産党でございますから。よくわかっております。それはよくわかっております。

 ただし、私は、先ほど申しましたように、自営業の皆さん方はそれなりに自分たちの人生というものをお考えになっておやりになっている。そこは大変自由度の大きい世界だというふうに思っております。したがいまして、それぞれがそれぞれの老後に対していろいろのこともお考えになりながら、しかし、一方において国民年金にお入りをいただいているというふうに私は理解をいたしております。

 特に、現在までの段階では、初め、国民年金にまだお入りになっていなかった時期も現在の方はあるわけでございますし、そしてまた、期間の短かった人もおありでございましょう。そうしたことで、全体としては低くなっていて、辛うじて今五万円になってきているということでございますから、今後、継続してお入りいただければもう少し高くなる、それは事実だというふうに思っております。しかし、そこのところは、サラリーマンと少し格差が出ることは、現在の段階、それはやむを得ないというふうに私は思っております。

山口(富)委員 私は、公的年金制度が老後の生活の安定ということを考えた場合に、国民年金でいえば二割の人たちが四万未満ということになっているわけですから、この点についての改革がどうしても要る。

 日本共産党は先日政策を発表いたしまして、最低保障年金、この制度の場合は、民主党とは違って消費税は財源に一切使わないわけですけれども、国民年金、厚生年金、さまざまな、基礎的な一階部分については、全額国庫負担で最低保障年金制度をつくる、そういう形に踏み出さなければ、やはり公的年金制度の土台を崩すということを指摘しておきたいと思うんです。

 きょうは大分坂口大臣からいろいろな調査の問題が出ましたので、最後に一点、確認しておきますが、厚生労働省の補助事業の受注を受けて会員制の雑誌「選択」があるわけですけれども、その関連会社の選択エージェンシーが「わかりやすい国民年金Q&A」というものを厚生労働省に納入していた。これにかかわって、同省の職員が多額の監修料などをもらっていたわけですけれども、この契約もすべて随意契約だった。今わかっている範囲では、一九九八年から三年間での契約額が三千六百三十万円で、大体監修料はその一割だと言われています。

 それで、先日、ちょうど一週間前ですが、参議院の厚生労働委員会で我が党の井上美代議員がこの問題を取り上げまして、社会保険庁の職員も監修料や原稿料を受け取っているのかと。これがなぜ問題になるかといいますと、現実には、いわば版を変えていきますが、それほど直しませんから、それなのに毎年同じだけの監修料なり原稿料をもらったらおかしいじゃないか、しかも、もともとの財源が年金にかかわってくる財源ですから、それだけに政治的な責任が問われると思うんですけれども、当時、一週間前の答弁では、年数が経過していることもございまして、引き続き調査中でございますという答弁でした。きょうは、今週中にという話がたびたび出たわけですけれども、一体、一週間前のこの調査は今どうなっているのか、これを報告願いたい。

坂口国務大臣 参議院におきまして井上議員に調査をお約束したこと、事実でございます。

 今問題になっておりますのは、厚生労働省の職員の問題でございます。(山口(富)委員「社会保険庁」と呼ぶ)その他の、社会保険庁も含めてどうかということは、現在調査をしているところでございますので、いましばらくそれはお待ちをいただきたいというふうに思っております。

 先日、問題になりました局だけではなくて、全体の局の見直しもやっておりますしいたしますから、それとあわせて社会保険庁の方にもやりたいというふうに思っておりますが、いましばらくかかりますので、お許しいただきたい。

山口(富)委員 時間が参りました。その資料につきましては、私は、理事会に提出していただきたい、そのことを協議願いたいということを最後に委員長にお願いしまして、質問を終わります。

衛藤委員長 阿部知子君。

阿部委員 今朝からの、特に民主党の新進気鋭の皆さんの鋭い質問、それに対する断続的な答弁、大変皆さん御苦労さまです。そして、きょう、私は三十分の時間をいただけましたので、ちょっと骨太な論議をさせていただけること、このことも大変にありがたく思います。

 皆さんちょっとお疲れかと思うので、ちょっと最初の冒頭だけ、年金でない話題を少々取り上げさせていただきます。

 実は、私が二月の二十四日の日の予算委員会で取り上げました、栃木県にございます日光、鬼怒川のあたりの珪肺労災病院のことでございます。

 いわゆる労災系の病院は、この間、運営方式の変化等に伴いまして、五つの労災病院の廃止が三月末に新聞に小さく報じられておりまして、その中にこの栃木県の珪肺労災病院も入っておりました。

 私は、二月二十四日の段階で坂口大臣に、医療というのはその地域の住民を支える極めて重要な命の拠点である、また生活の拠点であるということにかんがみて、とにかくなくさない、その地域から命の受け皿をなくさないために最大限御尽力いただきたいとお願い申し上げ、当然ながら、坂口大臣ですから、非常に前向きな御答弁もいただきました。

 それで、ああ、それじゃ何だかいい方向に話が進んだかなと思っておりましたのですが、あに図らんやというか、残念なことに、まだ地元の皆さんとの話し合い、あるいは預かる栃木県との話し合い、預かるといいますか、その日光市がございます栃木県との話し合い、あるいは新しく労災の機構を引き継ぐところの組織との話し合い、そして厚生省との話し合いということが現実には進んでおりませんようで、地元では非常に不安の声が高うございます。

 ここで大臣に、再度で恐縮ですが、先回の御答弁に従って、住民に不安のないよう、各部署にきちんとした、特に地元との話し合いということを含めてやっていただけるよう働きかけてくださいますことをお願い申し上げたいと思いますが、一点目、よろしくお願いします。

坂口国務大臣 確かに、珪肺病院の問題、この前御指摘をいただいて、お約束を申し上げたところでございます。

 一昨日でございますか、その後の状況を報告を受けまして、そして、廃止になります地域に対して、地元に対して、廃止させてもらいたいということを言うのはいいけれども、それを言うだけではなくて、今後その病院をどうしていくかということについて、県あるいは市町村もあわせてでございますが、できれば住民の皆さん方の御意見も聞きながら、今後のことについての話し合いをひとつしてほしいと。その中心に、厚生労働省もそこはよく出かけていって、皆さん方と話をして、今後その病院をどうするかということについて議論を重ねて、地元の皆さん方のこういうふうにしたいという御意見があれば、それに対して協力をするということにしてほしいということを言ったところでございます。

 必ず地元とよく御相談を申し上げて、役所のことですから、やめますからというふうに言うだけではだめだ、こういうふうに、改めて念押しをしてございますので、ひとつ御安心をいただきたいと思います。

阿部委員 ありがとうございます。

 やはりこういう大臣のもとで年金論議もやりたいなと思って、次の本格年金論議に移らせていただきます。

 先ほどの山口委員と坂口大臣の質疑応答を拝聴しながら、私は、やはりここで坂口大臣に、ぜひとも現在の国民年金の実情、実態、現実というものについてちょっと認識を新たにしていただきたいと思って、冒頭、その問題から入らせていただきます。

 きょう、私は皆さんのお手元に三枚とじの資料をお配りさせていただきましたが、あけて二枚目からお願い申し上げます。

 ここには「国民年金第一号被保険者の就業状況の変化」というグラフが載せてございます。実は、このグラフは、さきの予算委員会でしたか、いや、小泉首相がお出ましのこの厚生労働委員会でした、そのときに小泉首相にもお見せ申し上げて、今の国民年金の被保険者の実態は、随分政府のイメージしているものと違うのではないかというふうに私は伺わせていただいたのです。

 何が違うかというと、先ほど来大臣の御答弁の中で、国民年金の加入者は、自営業あるいは自由業、あるいは私や大臣のような医師、自由裁量権の強いものなどなどがイメージとしてあるということでございましたが、ここに示された図では、平成七年度、平成十年度、平成十三年度と、だんだんだんだんだんだん、この一号被保険者の中で、自営業主と、その妻だと思いますが家族従業者の割合が減ってまいりまして、平成七年度では四割弱。ところが、平成十三年度では三割弱がこの国民年金の中のいわゆる自営業。例えば、年齢に、エージフリーに御商売を続けられる、あるいは仕事を続けられるという方であって、逆に、どの層がふえておるかというと、一番右の端から二番目、これは無業、無職。そして、真ん中辺は、常用雇用で厚生年金に加入していない、すなわち五人以下の非常に零細なところでお働きの方、あるいは臨時・パートという方々。

 そして、実は、臨時・パートというのを合算すると、平成十三年度では三一・数%となってまいります。すなわち、国民年金加入者の現実の像は、自営業は三割そこそこ、そして、パートやあるいは非常に収入の不確かな勤労者が三割、そして、業のない、無職の方が約また三割となってございます。

 この表の外に、もちろん未加入者という一群がいるわけで、こうした実態を考えますと、ここで大臣に、まず一問目ですが、こういう図からどのようなお考えを持たれるか、特に、これからパートとか厚生年金を持たない方たちが一号に、ある意味で流入してこられる、移動してこられる、民族の大移動が始まっているというふうに私は感じておりますが、この二点についてお願い申し上げます。

坂口国務大臣 この表を拝見させていただいて、現在の経済状況というものをやはりよく把握しているのかなと私も率直にそう思います。

 確かに、この表を見ますと、臨時・パートとそれから常用雇用のところ、常用雇用といいましても小さな企業での常用雇用だと思いますが、そこの割合が大きくなってきているということでございます。したがいまして、今後の問題として、この臨時・パートの皆さん方の年金を一体どうするか。これは現在の三号被保険者のあり方ともかかわってくることでございますが、このパート等で働いておみえになります皆さん方の中で、いわゆる厚生年金等にお入りいただく範囲の皆さん方をどのように設定し、その皆さん方にこれから入っていただけるような環境を整えるかということが大事なことになってくるというふうに私は思っております。

 今回も、もう一歩ここは進めたかったわけでございますけれども、現在の経済状況のこともあり、あるいはまた現在パート等でお勤めになっている皆さん方の御意見もありで、少し先送りをさせていただきましたけれども、この皆さん方のいわゆる厚生年金への参加の問題につきましては、例えば保険料の問題でありますとか、皆さんと同じような率でいくのか、若干そこは程度、差をつけていくのか、そうしたことも含めながら、できるだけお入りをいただけるような環境を整えていかなければならないというふうに私は思っております。

 そのためには、企業の皆さん、とりわけサービス業等の企業の皆さん方にもこれは御理解をいただかなければならないわけでございますので、その皆さん方にも御理解のいただけるような形というのはどういうふうに進めていったらいいか、もう少し踏み込んで考えていかなければいけないというふうに思っているところでございます。

阿部委員 この表からもう一つ読み取れることは、実は、この無業の方やあるいはパートや厚生年金を持たない就労者にも一万三千三百円という保険料が、極めて重く、そして現実に払い切れないという声もこれありということなんだと思うんです。

 もう一枚次をめくっていただきまして、三枚目の図をごらんいただきたいと思います。これはこのたび社会保険庁にお願いしてつくっていただきましたもので、初めての資料と思いますが、「就業状況別納付状況」というものを出していただきました。

 これは、従来、例えばお金があっても年金不信があって納めたくないからという言い方もされたり、あるいは自営業者で所得隠しをして納めていない人もいるからというような言い方で、今の未納状況とかあるいは納付の低率化を言われておりますが、実態はいかにというところでございます。

 この表からわかってまいりますことは、自営業主においては逆に完納者が六割以上で、一部納入まで入れれば七〇%以上がお払いである。また、家族従業者については八割がきっちりお払いである。比較して、常用雇用者や臨時・パートあるいは無職は、当然ながら半数も払えていない。二人に一人も払えない。すなわち、無職の人は四三・四%、職がなくて、よく一万三千三百円、苦しいだろうなと思います。それから、臨時やパートの方も四〇・五%、あるいは常用雇用でも半数の四六・五しか完納しておられません。

 ここで、さっき大臣がおっしゃった、例えば保険料率に大幅な差をつけるというような案もあるかもしれませんが、実は半分が減免しなきゃならない、あるいは非常に低率の保険料にしなきゃいけないような制度だと、果たして制度として成り立ち得るんだろうかということもあると思うんです。

 大臣はこの図をごらんになってどうお考えか。さらに、今後、保険料は上げられていくわけです。私はこの未納者がどんどんどんどんふえてくるのはもう必定と思いますが、この点について、今でも一万三千三百円きつい、今度二〇一七年度一万六千九百円、冗談じゃないと、普通これを見ると思うと思うんです。この二点についてお願いいたします。

竹本大臣政務官 先生お詳しいので、今さら詳しく申し上げる必要もないと思うんですが、要するに、納めない方には、納められない人と納められるけれども納めていない人とがおります。納められない人の中には、本来、免除制度を使えばこの統計には出てこないけれども、その手続をしていない、あるいはその手続を知らないという人がおられるわけであります。

 そういう意味で、数字の現実との乖離ということはどうしても認識しなきゃいけないと思いますけれども、先生お話しのように、臨時・パートや無業の者につきましては、自営業者等に比べまして未納の者の割合が、今申し上げたように多いわけですけれども、要は、理解、関心を十分広報するということ、あるいは手続をさせるということが重要だと思います。そういう意味で、年金広報や年金教育を通じた、戸別訪問等も交えまして、地道な納付督励をやらざるを得ないというふうに思っておる次第であります。

 それで、後半申し上げられました未納対策として、保険料免除制度の充実に力を我々入れておるわけですけれども、要は、国民皆年金になっておらないじゃないかという御意見だと思いますけれども、無職の者なども含めまして、厚生年金や共済年金の保障の及ばない者を対象として出発しまして、保険料を納付できない者については免除制度により対応してきているわけでございます。したがいまして、ある程度の免除者が生じることをあらかじめ見込んだ仕組みではありますけれども、要は、基礎年金のみの老齢基礎年金の受給者のうち、生涯を通じた免除期間が五年以上の者の割合はわずか五%にすぎないというような統計も出ておるところを見ますと、生涯を通じて保険料を拠出できないということは必ずしも多くはなくて、拠出能力に乏しい間は能力に応じて保険料を免除または納付猶予いたしまして、後に追納いただくなど、拠出能力があるときに保険料を納めていただくという方法で対応していくことが十分可能で、要は、まとめて申し上げますと、制度がこうなっております、それを周知徹底いたしまして、納められない人には納めろというわけではない、納められる能力のある者でできるだけその義務を果たしていただく、そういうところに我々行政当局も努力しなきゃならないというふうに思っております。

阿部委員 竹本政務官もよく実は御存じで今のような御答弁なんだと思いますが、実はこれは、いかに減免制度に持っていっても、半数が減免になっちゃったらもう制度は成り立たないという単純な図なんですね。今は、例えば法定免除者あるいは申請免除者、三百五十万、合わせてそのくらいだと思いますが、ここにある人たちが一斉に免除申請をしたら、もう国民年金の保険料を掛けている人の半分の人が半額以下だということで、それは将来の低年金のもとになるわけです。そのことをきっちりと実は御存じなのに、その御答弁はいかがかと思いますが、しかし、お立場でそういうふうに答えざるを得なかったとすればでございます。

 ここで、坂口大臣に再度御質問でございますが、実は、一九八六年に国民年金と厚生年金の一階部分を共通にする大制度改革、これは一歩前進であったと思いますが、この大制度改革の前に、一九七七年に年金の審議会の中で、社会保障制度審議会が建議をいたしまして、やはり皆年金下の新年金体系、すなわち一階建てと二階建てで、一階建てを八六年につくられたような皆年金の土台づくりにしようということが建議されて、その後、今の仕組みになっているわけです。

 私たちの時代は、今新たにこの実態をしっかり見て、そのときやったと同じような大改革をしないともうもたない。さっき言いましたように、加入者の半分が半額の保険料で、それでオーケーだったら、これは、一つは、みんなそれでいいと言うかどうか。将来、半額の年金しか持たない人ができちゃうんだ。竹本氏のお答えだと、その期間は短いんだよと言われましたが、今後、雇用情勢も含めて、なかなかこれは、実は、パート、派遣、厳しゅうございます。その中での直面している現実ですから、坂口大臣に、恐縮ですが、再度ですが、この図から、先ほど来の減免措置、あるいは申請してもらって、免除して、何とかなるところにいるのかいないのか。

 これは、大臣が、もう長い議員生活の中でよくよく御存じのことと思いますし、私は、今坂口大臣が大臣であるからこそ今やらないと、だれも正直に自分の言葉で年金制度を語ってくれないから、私は心から大臣に期待して、真の論議ができる大臣と思ってお尋ねを申し上げていますので、真正面からの御答弁をお願いいたします。

坂口国務大臣 きょうは、上げてもろたり下げてもろたり、いろいろ激しい日でございますが、この表を拝見しまして、確かに、この表の中にはあらわれてまいりませんけれども、払えるけれども払わない人と、しかし本当に払うことができない人と、両方あるということは、それはもう御指摘のとおりだというふうに私も思います。

 それで、問題は、その払えない人たちに対して一体どうしていくかということなんだろうというふうに思います。現在の制度におきましては、払えない人に対しては免除をする、あるいは基礎年金の払う額を減額していくということを行っている。

 そうしますと、その人たちが必ずしも高齢者になられたときに低所得とは言えないわけで、その人の中にも、また高所得になる人もそれは当然あるでしょうけれども、お若いときに、所得が非常に少なくて、そして減免措置、あるいはまた低額の保険料しか払えなかったような人たちで、なおかつ高齢者になられるような人たちがあることも、これは事実でございますから、その人たちは、生活保護費という形で見ていくのか、それともこの皆さん方に年金で何かをしていくのかということは、論議のあるところではあると私も思います。

 しかし、現在の段階のところでは、年金制度というのは、これは自助自立ということの上に成り立っているものでありますから、やはり、御努力をいただいて、そして応分の御負担をいただくということが、私は年金の根底であるというふうに考えている次第でございます。

 今後、いろいろ議論は続いていくというふうに私も思いますけれども、そこはしかし、そこを譲ってしまいますと、なかなか掛金をしていただけない人が大変ふえていくということも事実でありまして、そのことは、医療制度で無料化しましたときに、そのことが医療制度を非常に大変な事態に至らしめたということと私は決して無関係ではないというふうに思っております。

阿部委員 いわゆる諸外国において、基礎年金部分をこのような法外な保険料で取っているところはないわけです。その意味でも、やはり自助自立できるための基礎的年金、それは民主党の皆さんの、何とおっしゃったかな、基礎的保障年金、(発言する者あり)我が党は暮らし保障年金、それから共産党の皆さんも、やはり考え方はみんな同じだと思うんです。自助自立できるための最低限の保障がないと、余りにも不確かな時代になったという認識でございますので、この点は、大臣にも、実はもうお気づきであるかとは思いますが、再度指摘させていただいて、次の質問に移らせていただきます。

 では、国民年金がこういうぐあいであるけれども、厚生年金の方は、政府御提出のように、保険料を上げて、給付五〇%、約束できるんだろうかということの問題に移らせていただきます。

 これとてやはり今非常に厚生年金も空洞化が始まっております。皆さんのお手元の一枚目を見ていただきたいのですが、厚生年金の被保険者数の九九年時の見通しと、これは年金の五年ごとの見通しのときですね。九九年に現在をどう見ていたか、どう見ていたかの現在はどうであるかというところの大きな数値のずれです。こうやって、五年ごとに、例えば加入者数とか、今回ですと出生率、賃金上昇率、物価上昇率などを見通していくわけですが、実は、加入者数の見通しが大幅に狂ったのはこの五年が初めてです。それくらい予測外の事態が進行しているということで指摘申し上げたいです。二〇〇〇年度から二〇〇三年度の見通しは、二〇〇三年度あたりをピークに三千五百万くらいは実数行くだろうと思っておりました。ところが、横に実数がございますが、三千二百十九万、三千百五十八万、三千百六十八万、なお、二〇〇二年度の数値は、このとき農林共済から厚生年金に入ってきておりますので、それを差し引かせていただいたものを出してございますが、いずれにしろ二百万から三百万、どんどんどんどん予測を下回っているわけです。

 この方たちは、厚生年金がまだまだ加入者がふえて土台がしっかりするかと思ったら、減ってしまって、どこへ行ってしまったのというと、下の図でございます。この方たちは、第一号の被保険者として流入しておられます。例えば、今第一号は二千二百三十六万という数でおられますが、第二号からの移行者が三百四十一万、その妻であった方が第三号から移行して九百九十五万、合わせて四百万人近い方が、厚生年金から、あるいはその妻から一号に来ておられます。

 そして、もっと深刻なことに、第二号からの移行者のうち、納付率を見ていただきます、下に書いてございますが、五二・六%でございます。いわゆる厚生年金がなくなってしまって、国民年金に行って、保険料を払えているか、払っているかどうかと見たら、半数が払えないか、払わないか。それを先ほどのように申請の免除手続をしてもらえなかったからと言うには、余りにも楽天的過ぎると思います。

 やっぱりだれだって職を失ったとき、厚生年金なくなってどうしよう、どうしよう、では国民年金に入っておいた方がいいかと思うに決まっているんです。でも払えない。実際自分がリストラされて収入がない、その中で重いということが生じてきているのがこの図だと思います。

 ここで大臣にお伺い申し上げますが、こうした厚生年金の実情、そして今後この方たちは当然常用雇用ではない雇用形態に移っていくことがすごく考えられる。この間の年金の制度設計で一番勘案されていない、見落とされている部分が、働き方が変わっているという、ここの一点だと思います。それが五年前の推計を狂わせたいま一つの原因であると思いますが、大臣の認識はいかがでしょうか。

坂口国務大臣 この三、四年の実数というのは、確かに被保険者数というのは減ってきていることは事実だと思います。これはいわゆる医療保険におきましてもかなり減ってきておりますので、これぐらいの数字は多分減ってきているんだろうというふうに思います。これは、リストラ等があって、そして減った部分もございますし、それから企業そのものがなかなか成り立ちにくくなって、そして減った部分も両方あるんだろうというふうに思いますけれども、経済的な原因によって起こっているということは、これは事実ではないか、私もそう思います。

 このことが今後どういうふうに変化していくのか、これは経済が回復をすればある程度回復をするというふうに考えるのかどうかということもあるというふうに思います。

 いずれにしましても、これからいよいよ労働力人口が減ってまいりますから、そのことは、今後経済が回復しましても、この数字がそんなに多くなっていくとは思えない状況にございます。そうしたことも考えていかなければいけないというふうに思っております。

 いわゆる二号から一号に移られる皆さん方の場合には、特にリストラ等でおやめになりました、あるいはまた仕事を探しておみえになる皆さん方につきましては、二年間でございましたか、免除措置をいたしまして、そして対応できるようにいたしております。そのことは、おやめになりました皆さん方にもよく御説明をハローワーク等でするようにしているところでございまして、そうしたことを我々も注意深くやっていかなければいけないというふうに思っております。

 この状況をできる限り減らしていくという努力、これは一つのことではなくて、さまざまな政策を組み合わせる中で実現をしていかなければならないことだというふうに考えている次第でございます。

阿部委員 私どもは、今回の保険料率のアップが、さらに常用雇用を減らし、派遣やパートあるいは不安定雇用に拍車をかけるということで、今回、ぜひ際限ない保険料率アップに向かう法案を考え直していただきたいと思っておりますが、また次回の審議の折に大臣のお考えを聞かせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三分散会


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