衆議院

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第16号 平成16年4月23日(金曜日)

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平成十六年四月二十三日(金曜日)

    午前九時三十六分開議

 出席委員

   委員長 衛藤 晟一君

   理事 鴨下 一郎君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 城島 正光君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      井上 信治君    石崎  岳君

      加藤 勝信君    木村  勉君

      木村 義雄君    左藤  章君

      菅原 一秀君    竹本 直一君

      棚橋 泰文君    中西 一善君

      中山 泰秀君    能勢 和子君

      原田 令嗣君    平田 耕一君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      三原 朝彦君    吉野 正芳君

      泉  房穂君    内山  晃君

      枝野 幸男君    大島  敦君

      小宮山泰子君    五島 正規君

      園田 康博君    中根 康浩君

      長妻  昭君    橋本 清仁君

      樋高  剛君    藤田 一枝君

      古川 元久君    増子 輝彦君

      水島 広子君    古屋 範子君

      桝屋 敬悟君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   議員           古川 元久君

   議員           枝野 幸男君

   議員           五十嵐文彦君

   総務大臣         麻生 太郎君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   財務副大臣        山本 有二君

   厚生労働副大臣      森  英介君

   経済産業副大臣      泉  信也君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   厚生労働大臣政務官    竹本 直一君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  辻  哲夫君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  薄井 康紀君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  古川 元久君     枝野 幸男君

  水島 広子君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  枝野 幸男君     古川 元久君

  長妻  昭君     水島 広子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 年金積立金管理運用独立行政法人法案(内閣提出第三一号)

 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

 高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案(古川元久君外五名提出、衆法第二七号)


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金積立金管理運用独立行政法人法案、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案及び古川元久君外五名提出、高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局長小島比登志君、保険局長辻哲夫君、年金局長吉武民樹君、社会保険庁運営部長薄井康紀君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長増田峯明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮澤洋一君。

宮澤委員 自由民主党の宮澤洋一でございます。

 先週に引き続いて質問をさせていただきます。きょうは、坂口大臣が参議院のために中座されるということでございますので、その前に大臣に一問、そして、その後、民主党の提案者の方に民主党案についてお伺いさせていただきます。

 まず、大臣に伺いたいのは、きのう参考人の質疑がございました。大変貴重な、拝聴しなければいけない御意見が多々ございました。

 その中で、私、大変注目して聞いておりましたのが、まさに労使双方といいますか、経団連の矢野専務理事、また連合の笹森会長からいろいろな御発言があったわけでございますけれども、その中で、矢野専務理事からは、社会保障制度の一体的な改革の中で年金法案の処理に全力を挙げてほしい、こういう御発言がございました。一方で、笹森会長からは、来年以降、介護、医療の改革が控える中、年金を含めて社会保障及び税制の抜本改革が急務である、こういう御発言がありました。

 もちろん、与党側、野党側ということで立場は異なっていらっしゃるわけでございますが、共通する御意見としまして、改革を先送りして将来に負担を先送りしてはならないという、大変重いものであったというふうに受けとめております。また、年金だけではなくて、医療、介護を含めた社会保障全体の長期的なあり方の展望を明確にすることが必要であり、その中で税であり保険料であるという議論をしていかなければいけない、こういうことであったと思います。

 このような、立場の違う方でございますけれども、御意見を踏まえれば、社会保障全体のあり方を展望する中で、給付と負担の具体的改革を行うという今回の政府案を、ともかく実現待ったなしという段階に私はあると思っております。この点につきまして、大臣の御所見をまずお伺いしたいと思っております。

坂口国務大臣 ただいま宮澤先生からお話ございましたとおり、年金は約三千万人の皆さん方が今受給しておみえになるわけでございますし、そして今後もまたふえていく、そういう状況にあるわけでございますし、また、年金額として現在出ております額が約四十兆を超えているという状況でございまして、これは現在の社会経済というものを大きく支えている要因にもなっている、そういうふうに理解をいたしております。

 個人にとりましても社会にとりましても、年金というものがいかに重要であるかということでございまして、今後も継続していける年金制度であるということが、年金制度にとりまして一番大事なことだというふうに思っております。継続こそ年金にとりまして命であるというふうに思っている次第でございます。

 そうした年金制度を維持していきますために、改革すべきは改革をしていかなければならないわけでございます。昨日もいろいろの立場から皆さん方の御意見をお聞きいただいたようでございますが、皆さん方の御意見も十分に拝聴しながら、年金改革も当然でございますが、それを取り巻きます社会保障全体をどうしていくか、そうするとその社会保障を取り巻きます社会全体の構造をどうしていくか、それらのことも絡んでくる話でございまして、これは大変大きな問題だというふうに思いますけれども、それらを整理しながら前に進めなければならないわけでございます。

 今回提案をさせていただきましたものはその第一歩であるというふうに思っておりますので、どうぞひとつ御審議をいただいて、そして、この意図するところをお酌み取りいただきまして、通過をさせていただきますようにお願いを申し上げたいと存じます。

宮澤委員 大臣、御決意の表明、ありがとうございました。

 それでは、先週に引き続きまして、民主党案について質問をさせていただきます。大変短い時間でございますので、ぜひとも簡潔にお答えをいただきたいと思っております。

 まず、消費税につきまして質問をさせていただきます。

 たしか、先日の質疑で五十嵐先生の方から、消費税の中で、特に低所得者層に配慮をして、戻し税的な、カナダ方式というんでしょうか、低所得者の方には還付をするというような制度を考えていられる、こういうお話があったわけでございますけれども、これは、二〇〇七年度に三%程度の年金目的消費税を導入するときにすぐに導入される、こういうお考えでございますか。

五十嵐議員 お答えいたします。

 私どもは、実は、この年金目的税の話ができてから急に考えたわけではございませんで、前から、五%程度の、今程度のものでしたら逆進性対策は許していただきたいな、それでいいだろう、こう思っているわけです。

 これは政府案でも、やがて消費税については引き上げを政府税調、党税調の方で検討されているということで、この先の税率になった場合には何らかの逆進性対策が必要だろうということで、以前から、カナダのGSTと言われるもの、定額の還付でございます、要するに、払った部分を見越して戻すということではなくて定額の還付を検討するということで検討をずっとしてきております。これに限ったわけではありません、そのほかの消費税改革をして、インボイス方式を入れて複数税率ということも同時に検討はしておりますけれども、私どもの中ではカナダ方式というのが有力になりつつあるというお話をさせていただいた。

 要するに、五%以上、八%ということを今検討しているわけですが、その程度になれば、何らかのこうした措置が必要であろうということに考えているということでございます。

宮澤委員 そうしますと、五から八になるという中で、二〇〇七年度にそういう制度を入れられるという前提で検討されているという御答弁でございましたけれども、民主党の案ですと、消費税三%を目的税として年金の方に入れる、恐らく七兆五千億程度のものを入れるということになるわけですが、そうするとかなり減収が立つわけですね、そこで。どの程度の減収になるんですか。

五十嵐議員 それは、ですから、所得階層、どの所得階層から還付をするか、あるいは、その還付の幅をどの程度にするかによって変わってまいりますので、また、その総体の量によっては、歳出の削減でできるのか、その他の増税を考えるのか、あるいは消費税の中で考えるのかというのは、その判断の中で考えていくべきものと承知しております。

宮澤委員 大変正直にお答えいただきまして、したがって、三%とおっしゃっていますけれども、制度の仕組み方によっては三%ではなくて四%というようなことも考えられるというようなことだったんだろうな、そういう可能性もあるという答弁をされたと思います。したがって、三%でない可能性ももちろんあるという御答弁だったと思います。

 それで、この消費税の話というのは、私は大変大事な話だろうと思っております。正直申し上げまして、我々にとって残された最後の将来の税源、財源が消費税でありますから、消費税をどういうふうにしていくのか、またその増収部分をどう使っていくのかということは、大変重要な、これから真剣に検討していかなければいけない議論であります。

 そういう中で、私は、正直申し上げまして、年金目的消費税ということで、三%程度でとどめるかどうかは別にしましても、少なくとも三%、七兆五千億というものを年金の、まさに、最低保障年金とおっしゃいましたが、基礎年金を全額税でするということとそう違わないんだろうと思いますけれども、そこに全額突っ込むという議論は、年金の方からいえばもちろんあり得る議論でありますけれども、消費税全体という中からすると、大変乱暴な議論ではないのかなというのが率直な気持ちであります。

 といいますのは、それこそ今地方分権という中で、地方に税財源をどう渡していくかという議論の中で、やはり地方は地方消費税をふやしてくれという声が大変強いというような中であり、また、医療にしても介護にしても、恐らくこれからそれなりの歳出増というものは覚悟していかなければいけない。

 そういう中で、例えば、私もラフな計算をしまして、今現在五%の消費税を一〇%上げる、一五%になるといえば、もちろん、枝野政調会長は経済がよくなれば三兆、四兆になるかもしれないという発言がありましたけれども、現在の一%、二兆五千億ということを前提にしますと、一〇%上げると二十五兆円の増収になる。

 ただし、二十五兆円のうちで、現在の制度も、五分の一、五兆円は地方に地方消費税として行くわけです。したがって、国の分は二十兆円。しかも、その中の約三割というものは交付税として地方に回っている。ということになりますと、二十兆のうちの七割ですから、約十四兆円。一〇%上げたとしても、十四兆円。しかも、低所得者層に配慮をするというのは当然の話で、それは、今五十嵐委員がおっしゃったような戻し税のようなものもあるかもしれない。しかし、これは大変難しくて、全員の所得をきっちり把握するということが極めて大事なわけです。そういう中で、できるかどうかという問題はあろうと思います。

 一方で、食料品だけ五%でとどめてそれ以上上げないという議論ももちろんございます。例えば、食料品だけ上げないということになりますと、約三割が食料品から上がっていると言われておりますから、さっき言いました十四兆が今度七割になっちゃう。これは約十兆ですよ。これから予想される十兆の増税のうち、しかも、赤字国債を随分出しているという状況がありながら、七・五兆をまさに年金のためだけに使う、こういう、かなり消費税から見たら乱暴な議論をされているという気が私はしております。

 その点について、五十嵐先生、ひとつお願いします。

五十嵐議員 まさに今までの自民党を中心とする政権の野方図な財政運営のために、大変な借金を我が国は抱えているということで、そのしりぬぐいをどうするかという問題は、これは年金だけではなくて、まさに宮澤先生御指摘のとおり、税全体の中で考えていかなければならない問題。全体的な税制改革を根本的にやっていかなければいけない時期に来ているんだろうと思います。

 まさに地方へも、国と地方の仕事の配分を見直した上で大規模な税源の移譲というのをしなければいけない、小さな手直しで済むような時代ではなくなっているというふうに私は思っております。消費税についても、根っこからいろいろな、介護とか、あるいは医療の問題も含めて消費税をそれに充てるべきだ、安定的な税源だからという意見も我が党の中にもありますし、もちろん与党の中にもあると思います。そういう大きな視野で、全体的な国と地方の税財源、そして事務事業の配分を見直した上で考えていくべき問題だと思っております。

宮澤委員 もう少し具体的なお話があるかと思ったんですが、ラフな計算をしても、消費税を一五%に上げてそれなりに低所得者に配慮をすると、地方にさらにふやすともっと減るんですけれども、現行の制度でも十兆円程度、十兆円弱の収入しかないという中で、七・五兆円をまさに年金に使うという案を出されているという問題点だけ指摘させていただきまして、具体的な条文をさらに質問させていただきます。

 これまでに実は出ていない議論で、十一条の四項の関係でありますけれども、新たにこれまで入っていなかった一号被保険者が所得等比例年金に加入することになるわけでありますけれども、この方々、給付の方は加入した年限に応じて出すということでありますから、当初、給付はほとんど生じないことになるんだろうと思います。

 ただ、一三・五八なのか、六・七九なのか、%はどっちもある、こういうお話をされていらっしゃいますけれども、保険料の方は最初から積み上がっていくわけですが、条文を読んでいますと、十一条四項を読んでいますと、新たに入った方々の保険料が、既に加入をしている旧制度といいますか、現行制度に入っているサラリーマンの方たちの既往の年金債務の支払いに充てられる、こういうふうに書かれておるわけです。

 まさに、新しく入った人、自分たちももらえると思って入った人たちのお金が、実は、既に昔の制度に入っていた人の支払いに充てられる。これは、新しく入った人が、自営業の方も、フリーターの方も、パートのお母ちゃんたちも、自分が払ったお金がどんどんサラリーマンの人のために使われていくというのは大変納得しにくい、そういう話なんですけれども、これはそう読んでよろしいんですね。

古川(元)議員 聡明な宮澤委員からそのようなお話がありますと、ためにする御質問かなという感じもいたしますけれども、今宮澤委員がおっしゃいましたように、私どもは、新制度で納めた保険料に対応する給付は、新制度の中で納めた保険料総額に見合ったものを支給するという形で約束をさせていただいているわけであります。

 ですから、この新しい制度というものは、所得比例年金部分は、加入者からしてみれば、それはみなし確定拠出のような形になっているわけですね。保険者の方から見れば、それは財政方式としては、政府の財政の運営の仕方としては賦課方式でありますけれども、しかし、掛けている人から見れば、それは事実上積み上がっているように見えるわけであります。そのことはよく御理解いただけると思います。その中で、入ってきた保険料、お金を実際にどういう形で使っていくのか。

 今のお話を聞いておりますと、では、宮澤委員は、積み上がってきた、新しい制度で入ってきた保険料、それをまたどこかに流用するんでしょうか。社会保険庁の、今で言えば社会保険庁の、私どもは社会保険庁は国税庁と統合して歳入庁を創設するということにしておりますけれども、その歳入庁のまた公用車の購入資金に充てるんでしょうか。

 私どもは、この保険料収入というものは、すべて年金給付に回していくということを考えているわけであります。年金の保険料の流用や、あるいは株式市場などに投資して大きな損を出す、含み損を生み出すというようなことがないように、そういうように考えていきたい。そういった意味では、入ってきたお金をそのままためておいて、どこかにプールしておくわけにはいかないということはよくおわかりだと思いますから、そういう意味では、このお金については現行の制度で生じている債務の支払いに回す。

 ただ、先ほど申し上げましたように、新制度上で掛けた人の保険料については、掛けている人から見れば、事実上積み立て方式のような形で積み上がっていくものというふうになっているわけでありまして、そういう意味では、これはお金に色がついているわけじゃありませんから、それはよく、私が言うまでもなく、釈迦に説法でございますけれども、そこのところを直接結びつけて、旧制度の支払いに新制度の加入者の人たちが払った保険料が回るからといって、それが直接そこに回る、そのために新制度で入った人の給付額が減るわけではないわけでありますから、そういう意味では、一対一の対応関係にあるわけじゃないということを御理解いただければ、そのような御指摘は当たらないというふうに思っております。

宮澤委員 要するに、金に色目はないから、新制度に新たに加入することになった旧一号被保険者の方たちが出したお金は、実際の旧制度の支払いに充てられるということをおっしゃった。

 でも一方で、みなし確定拠出というような、わかったようなわからないような、要するに、そこに自分の拠出があるはずなんだけれども、みなしてあるはずなんだけれども、では、実はその給付を受ける前に亡くなっちゃったら戻ってくるわけではないというような、あるようなないような、まさにこれは蜃気楼だろうと私はこの辺でも思うんですけれども、そういうものがあるから大丈夫だ、こういう御発言だったと思います。

 それこそきのうの高山先生のお話でも、六百兆円というような年金債務があってという中で、新制度に入った人たちは、まさに自分たちのお金が積み上がっていると思っているところが、実は積み上がっていなくて、旧制度のサラリーマンの支払いに全部充てられる、これはこういう制度なんですよ。これは確かに、そういう人は相当怒らなきゃいけない話だろうと思うんです。

 また、一歩譲って自営業者等の方たちに所得比例の年金が必要だとしても、私はそういった点を考えると、新しい制度としてそういう人たちの年金は別勘定でやって、別の計算をやってかなり走らせる、それこそ四十年で平年度化するわけですけれども、四十年待たないまでも、三十年ぐらいは走らせてからでないと、恐らくそういった問題が出て、一体化できる話ではないんだろうと思っています。

 この点は指摘だけにさせていただきまして、次の質問に入らせていただきます。未納の問題であります。

 たしか先週の水曜日、古川先生は大変自信を持って、未納、未加入という問題は私どもの中では起こらないというふうに考えております、こう断言をされた。一方で枝野先生は、おとといの原田委員の質問に対して、残念ながら違反をする人はゼロにはなりません、そうした人たちには税で補われる最低保障年金についてペナルティーを科すということになるのは当然のことだと思っていますというような発言をされている。

 お互い矛盾していると思うんですが、未納問題というのは起こるんですか、起きないんですか。

枝野議員 本来であれば、現行制度でも未納、未加入という問題は生じるはずがない話なんでありますが、国民の信頼を失っていて大変大きな未納、未加入を生んでいる、その実態をどう改善するのかという政府側からの具体的な提案がない中での御質問だということを、まず前提としてお答えをさせていただきたいと思います。

 何度も申し上げておりますとおり、私どもの案では、所得に応じて保険料を納める、しかも、社会保険庁と国税庁を一体化して歳入庁という形にして、所得税と一体化をした形で保険料を納めていただくという形になります。

 したがいまして、現在のように、特に国民年金の場合は独立して税などとは別に保険料を納めていただくという制度とは異なりまして、保険料を納入しないということは自動的に脱税になるというような仕組みになっていくわけでありますね。今でも、厚生年金などの方には、事実上ほとんど未納、未加入という問題は生じません。それは源泉徴収をする税の話などと一体となって徴収をしているから事実上生じていないという話と同じように従来の国民年金の部分のところもなるという意味で、制度的に、現在のような未納、未加入という問題は生じないということを古川提案者は申し上げている。

 ただ、その上で、現在でも、税を納めない、税について未納の人は本来生じない制度ではありますけれども、しかし、現実には、そうした法の抜け穴を通ろうとして脱税をするという方がいらっしゃるのと同じような意味では、そういう部分が残念ながら若干残るということは、あらゆる制度、どんな制度をつくったとしてもあり得るわけであります。そうした方に対しては当然、脱税とセットになりますので、脱税ということで、これは刑事法的なペナルティーが科せられますし、同時に、脱税については追徴という制度もあります。

 同じような意味で、税と一体化して納めていただく部分について、それを逃れた場合については、刑事罰まで科すかどうかは別問題として、保険料の部分のところの追納、あるいは最低保障年金の計算――ただ、実際に脱税までして保険料を逃れようという方の場合は、最低保障年金が云々ということよりも、むしろ保険料納付の額の大きい方ということが想定されますので、むしろ、ペナルティーを科して保険料をたくさん納めていただくというような形の方が合理的ではないか。

 この辺のところは最終的な細則の決め方のところで決めていけばいい、こういうふうに思っています。

宮澤委員 今のお話、要するに、未納は起こらない、そして、脱税するような人で保険料を納めない人がいれば、それはまさに後からペナルティーをどういう形で科すかという御答弁だったと思うんです。

 それでは伺いたいんですが、税金の場合、もちろん脱税の総額というのは絶対にわからないわけです、摘発された部分しかわからないけれども、一方で、納めて申告した人も、滞納している人がいるわけです、滞納している人が。申告所得税で滞納件数、十三年度末で二百三十万件、十四年度末で二百二十万件ある。この滞納はどうするんですか。これは未納じゃないの。

 古川さんの、頭のいい先生のお話だと、滞納は納めるのが滞っている、未納はいまだ納めず、違うじゃないですかなんて答弁ではなくて、滞納は恐らく未納なんです。どうするんですか、これ。

古川(元)議員 税務署長までやられた方が、滞納が二百三十万もあるということをこういう国会の場で堂々と言われるところについては、まことにこれは遺憾であるというふうに言わざるを得ないと思うのでありますけれども、そもそも、やはり、そういう状況がある、こういう今の状況、これは、年金の問題というよりも、むしろ税の問題として考えなきゃいけない話じゃないかと思うんです。

 私たちにそうやって御指摘をしますが、では、今のそういう状況がある、この状況はそのまま放置していいんでしょうか。先ほど来から宮澤委員は、この年金の問題については社会保障全体を考えていかなきゃいけないというのがありました。もちろん社会保障全体もありますけれども、税制も含めて考えなければいけない問題であります。(宮澤委員「質問に答えてください」と呼ぶ)

 そういう意味からすれば、こうした滞納が少しでも少なくなるような状況をつくっていく。私たちは、そういう意味でも、今の国税庁と社会保険庁を統合して歳入庁をつくって、よりきちんとした徴収体制ができるような体制をつくっていく中でそういうものは減らしていく努力をしていく、そういうことを提案させていただいているわけでございます。

宮澤委員 真正面からお答えいただけないのですけれども、滞納は未納ですね、これはやはり。滞納は未納ですね。それだけちょっとお答えいただきたい。

古川(元)議員 言葉遊びをやっているような気がいたしますけれども、それを滞納と言うのか未納と言うのか、それは御解釈だと思います。

宮澤委員 したがって、未納という問題は新制度でも必ず起こる話だろうと思います。

 滞納というのも、これは、実はけしからぬ人ばかりじゃないわけです。昨年度所得があったんだけれども、それがもう払うときになくなっているという人が結構いらっしゃる。大変な思いをする。一方で、滞納処分、これは時効がないんです。ずうっとやっていて、ただしどうしても取れないというものは、滞納処分の停止というのをかけて、これが例えば十四年度で七百六十億円ある。こういう状況があって、やはり未納がないという制度ではない。

 したがって、これらの人については、最低保障年金をどうされるんですか。

枝野議員 まず、今の滞納という実態は、今委員御質問の中でお認めになられましたとおり、本人が意図して払わないというような滞納は、これは要するに税逃れにほかならないわけですから、これは別においておいていいんだろうと思います。

 もう一つ問題なところは、確かに、今おっしゃられたとおり、所得のあった年とそれから実際に納める時点との間にタイムラグがあるために、実際には納めるべき義務があったにもかかわらず納める能力を失った。これは、年金の問題に限らず、そうした実態について、課税をどうするのか、あるいは負担をどうするのかということについて、税の本質問題として解決しなければならない。

 例えば、私ども、破産法などの議論も別のところで進んでおりますけれども、実際には、破産債権で、税の債権が非常に優先されて、労働債権などより優先されて徴収されている。実際にはもう破産状態ですから納税能力を持っていないにもかかわらず、そこにも税がかかってしまうということで、社会的な大変な問題を今まで起こしてきているわけですね。

 そういったところの部分でこのタイムラグによる未納の問題というのは解決をするべき問題であって、そこの部分を解決すれば、ペナルティーを科すべきではないかというような議論での未納問題は生じない。そこの税制改革を政府・与党としてもしっかり急いでやっていただくべきじゃないかと思っております。

宮澤委員 後段の方は、御説明、よくわかりました。大変知識を持ってこの年金も検討されているということはよくわかりましたが、前段、けしからぬやつがいるという部分は、最低保障年金を出すんですか、出さないんですか。

枝野議員 それは、先回以来申し上げておりますとおり、納める能力があるにもかかわらず納めない、つまり、そのときには税も納めていないわけですから、脱税になる。(宮澤委員「脱税じゃないです、滞納ですから」と呼ぶ)

 今、二つ委員はおっしゃっているわけですね。納める能力が途中でなくなってしまって未納になって滞納になっている方の話と、それから、納める能力があるにもかかわらず意図的に納めていないケース。

 意図的に納めていないケースということについては、当然脱税によるペナルティーも科せられますし、それから、その場合には最低保障年金の部分のところについて、それに応じた一定のペナルティーを科すのは当然だと思います。

宮澤委員 今、脱税と滞納を一緒に話されたわけですが、滞納は滞納、脱税は脱税でございますから。

 時間も来ましたけれども、今の話で、最低保障年金が全員に入るわけではないということだけは、少なくとも一つの例で明らかになったんだろうと思います。

 まだまだ質問したいことはたくさんあって、法文、解釈、これしか、ともかく我々が見られるのはこの条文だけでございますから。

 ともかく、蜃気楼改革と申し上げましたけれども、絵にかいたもちということを与党の方から言われた方もいた。しかし、よく読んでみると、絵にかいたもちどころじゃないんです。もちなんかかいていないんだ。絵にかいたきねとうすしかかいていない法案であるということだけ申し上げて、質問を終わらせていただきます。

衛藤委員長 桝屋敬悟君。

桝屋委員 おはようございます。公明党の桝屋敬悟でございます。

 本日は、野党の提案者の皆さんもおそろいいただいてこうして議論ができる、大変うれしく思います。民主党の皆さんが、あるいは社民党の皆さんもそうでありますけれども、今回の年金改正に当たりまして、まさに二十一世紀の年金をどうするかという大きな国民の関心事でありますから、それぞれ対案をお出しになって、こうして国民の前で議論ができるということは、大変すばらしいことでありまして、昨日の参考人質疑を聞いていましても、対案があるがゆえにあそこまで意見も表明していただけるわけでありますから、今日までの野党のお取り組みに対しては評価をしたいというふうに思います。

 私、最初に、きょう、ちょっと野党の皆さんに質問通告をしておりました内容と若干変わりました、シナリオが。

 変わったというのは、実は、こうして国民関心事の中で年金改革の法案について審議をする。野党の皆さんは、いろいろな委員会で閣僚の皆さんやそれぞれの方に、みずからの年金の納付の状況を明らかにしなさい、こうおっしゃって、私の理事で担当しております総務委員会でも随分議論がありました。

 そういう議論をずっと見ておりまして、やはりそこまで言われるのであれば、私自身もこの質問に立つに当たって、みずからの納付記録を全部お配りして議論しようかなと思ったんです。(発言する者あり)ありがとうございます。

 ただ、きのう深夜、自分がみずからの社会保険事務所で用意いたしました、いろいろな取り寄せました納付記録、私、女房、そして子供、一覧表をつくりまして、きょうお見せしようかなと思ったんですが、子供二人を出すとなると、やはりこれは個人のプライバシーにかかわる問題だなと。それで了解をとらなきゃいかぬと思ったんですが、やはり子供の理解を得るには至りませんで、この場できょうお示しできぬのです。(発言する者あり)私自身もお示しをしたいと思うんですが。

 私も、みずから襟を正すべく、地元の社会保険事務所でいただきました被保険者記録照会、これを手元に今持っておるんですが、私自身は、共済が二百十二月ありまして、それから、その後、国会議員になりまして、国民年金でありますから、百三十五月納付記録がございます。

 これは、納付記録を皆さんもとっていただいたらよくわかりますが、AとかBとか非常にわかりにくい表現でありまして、Aというのは一般年金、Bは付加年金でありますが、なるほど、こういうことなのか、こう思って眺めております。

 それから、女房も、少なくとも私と結婚してからはきちっと納めておりまして、納付記録を見ると三号のところはプラスの印になっておりまして、なるほど、こういうことかなと。ただ、これとても、うちの女房は実は六十一年に三号になります前から自分で入っているんだなということがよくわかりまして、なかなか将来を考えていたな、こう思ったりするわけであります。

 それから、子供二人は、これも娘の方もきちっと六十カ月納めております。それから、もう一人息子、二人とも大学に行っておるんですが、これも四十二月息子は納めておりまして、ここも随分もめるんです。私が払うのか、本人が払うのか、本当にもめておりますが、しかし、今日まで学生納付制度、いろいろありますが、やはり所得制限もありますし、それから、かつては副大臣まで経験した私でありますから、これはやはり払わなきゃならぬというので、苦労しながら、何を言いたいかというと、だれも聞いてはくれぬのでありますが、家族四人、全員きちっと払っておるということをまず明らかにして議論を始めたい、こう思っているのであります。

 それで、これをとってみて思ったんですけれども、厚生労働省さん、これは非常にわかりにくいね。もう少し、照会するとレイアウトがぱっとわかるように、私は、国民の理解を得るということでももう少し研究した方がいいなと。

 それから、私の共済は社会保険事務所へ行っても情報がないんですね。うちの女房はこれをとるために共済にも行かなきゃならぬ。これは番号ができているんだから何とかならぬのかなと思ったりしているのでありますが、その辺は研究してもらいたいな、こう思ったりしているんです。

 実は、最初にこの話題で言いたいことは何かというと、大臣は今いらっしゃいませんが、森副大臣、私は、今正直に申し上げたように、今、AかBかでいくと、うちはBでありまして、付加年金を夫婦で掛けております。一万三千三百円プラス四百円、一万三千七百円。夫婦で掛ける二でありますから、大変……(発言する者あり)いや、払わなきゃいかぬ、国民の義務と思っておりますから。二人で掛けて二万七千四百円払っているんです。

 子供二人を、時にはSOSが来て私が払うこともあるんですが、それでもたかだか知れている金額でありますが、大変な金額かもしれません、SOSが来るわけでありますから……(発言する者あり)まあまあ、静かに。

 私が言いたいのは、例えば夫婦で二万七千四百円うちは納めている。我が国の年金、国民年金は世代間の扶養の仕組み、賦課方式でありますね。それで、うちの両親は、実は両親の年金の給付状況もきょうこの場で資料を出そうといって両親に協力を求めたんですが、とんでもないと。両親はもちろん本当のことは言わないんです。息子から少し小遣いを取ろうかと思っているんじゃないかと思うんですが、なかなか正直に申告がないものですから。

 ただ、漏れ聞くところによると、両親は散髪屋をやっておりまして、いまだにおやじも働いているんですが、国民年金、本当に年金を払うのに苦労してきたというのを、私はずっと学生時代、おやじが倒れたりしましたから、横で見ておりまして、ああ、本当に年金は大変だなと。しかし、ちゃんとフル年金をきちっと納めて、今、おふくろの方がどうも五万から七万の間、おやじも五万ぐらいなんです。これを見ると、合わせて十一万か十二万、正直に言わないからわからないんですが、私が二万七千円の保険料を納めて、両親のところへ十一万か二万届いている、私は、いい制度だなと。

 今の年金は、いつも僕はこれを世間の人にお話しするんですが、国民の皆さんにお話しするんですが、やはり我が国の年金は、私は、国民年金だけを見ても、おやじは年金をもらいながら、散髪屋は定年がないですからまだやっているんです。本当に年金はありがたい、こう言っております。

 実は、大臣、私は、この国民年金の今のレベル、これはいい制度だし、これを破壊するようなことがあってはならぬし、将来へ向けてこうした年金はぜひ守っていきたいと願っている一人でありますが、大臣、今来られましたので、そういうささやかな国民の思いというのを御理解いただけるでしょうか。

坂口国務大臣 途中で入ってまいりまして、全容をお聞きいたしておりませんが、現在の国民年金にお入りの皆さんというのは、自営業者の皆さん方、それから、自営業者だけではなくて、サラリーマンと申しますか、小さい、中小じゃなくて零細企業をおやりになっていた皆さん、あるいはそこで働いていた皆さんも、中には入っておみえになる方もあるかもしれません。すべての人がそれで満足というわけにはいかないんだろうというふうに思います。

 主に、自営業者あるいは農林漁業者ということでございますから、体が元気であります以上は定年制はない、仕事は続けられるということがサラリーマンの皆さんと一番違うところでございますので、お元気な間、仕事をしていただいて、そして年金を受けていただくということになれば、これは、年金だけを目当てにしてと申しますか、年金だけで生活をしておみえになるということではないと思いますので、ある程度のゆとりがあるのではないかというふうに私も思っている次第でございます。

桝屋委員 いろいろ委員の皆さんからやゆされておりますが、私がきょう申し上げたかったのは、民主党の皆さんがいろいろな方に、各閣僚に年金の納付状況、江角問題もあったんでしょう、明らかにしろとおっしゃっていますが、きょう私がこの場に出せなかったように、やはりすぐれて個人のプライバシーの問題でありますから、やはり個人の判断でここは示す、個人の判断が大事だと。内容を見ていただければわかるんですが、なかなかに個人のプライバシーにかかわる問題があるということもあわせて申し上げておきたいと思います。

 したがって、個人の判断でおやりになるべきで、組織の一員が全部資料を出せというようなこともいかがかな、こう思っているんです。そんなことも野党の皆さんに御理解をいただきながら、やはり一人一人が私は明らかにすることなんだろうと。

 先ほど申し上げた社会保険の業務についてはぜひ改善をしていただいて、できれば、これから、携帯でぴっとやれば自分の納付の状況あたりがすぐわかるような、やはりそういう時代をぜひ望みたいなと。何かありますか。どうぞ。

枝野議員 さすが桝屋先生、ぜひ我が党案を読んでいただきますと、今のようなことができるように、法案の中にきちっと書き込まれておりますのは、政府案ではなくて私ども民主党案であるということをぜひ御理解をいただいて、御賛同いただければというふうに思います。

 それから、先ほど来先生御指摘のとおり、確かに子供とかあるいは御両親とか、まあ配偶者についてはいろいろ御議論はあるかもしれませんけれども、そういった方のところまで年金納付状況を報告しろということであれば、これは確かにプライバシーの問題があるだろうというふうに思います。私も、自分の配偶者に出せと言ったときに、うんと言ってもらえるかどうか、正直言って自信はございません。

 しかし、私ども、少なくとも国会議員になって以降の年金納付ということについては、国民の皆さんに法律をつくって納付をお願いしている立場でありますから、少なくとも本人の国会議員になって以降の年金の納付状況というのは、この間もプライバシーをめぐっていろいろな仮処分等がございましたけれども、これはどう考えてもプライバシーの範囲には入らないというのは、賢明な先生でございますから、少しプライバシーに関する判例などを調べていただければはっきりしていることだというふうに思っております。

桝屋委員 野党案、民主党の皆さんの案も、それから政府案もあわせて、例えば今僕が申し上げた、こういうものですぐわかるという仕組みをつくるのはなかなかたやすいことではない、やはり相当努力をしなきゃならぬだろうと思います。

 その上で、枝野さんがそこまでおっしゃるので、私、一つは、菅代表のホームページでこういう表現がありました。少し前でありますから、もう変わっておられるかもしれません。

 今、我が国の二十代の国民年金に加入すべき人が五百四十万人、そのうち百三十三万人、四分の一が年金の掛金を払っておりません、私の息子二人もちょっと怪しいと思っているんです、彼らに払えと言えば、では四十年後に保証してくれるのか、こう言われますと、厚生大臣をやった私としては保証できると言い切れないところに問題がありますと。率直な御意見だなと私は思いました。

 ただ、私はいささか悲しい。私は、何も厚生副大臣を経験したからではありませんが、地域を回るときには必ず自営業者に、うちの両親のこともあるわけでありますから、年金入りましょうよ、障害年金も、もし今入っていなければ障害になったときにどうするんですか、今の年金制度は確かにいろいろ言われているけれども、こんなすばらしいところもあるんですよ、ぜひ入ったらどうでしょうかと。私は、手紙も書いたり、一生懸命努めているわけです。

 そういうときに、恐らく野党の皆さんが対案をつくられるということでおっしゃっているんだろうと思いますが、こういうふうにあえて言われているんだろうと思いますが、ただ、私の息子二人もちょっと怪しい、ここまでおっしゃるのであれば、私のようにみずから明らかにされた方がいいんじゃないか、ホームページで。老婆心ながら申し上げたい。

 特に、息子さんは僕はよく知っておりませんが、お一人はよく知っているんです。この前の衆議院の選挙で、菅源太郎さんは立派にお戦いになった。私、中国比例でありますから、中国五県はよく知っているわけでありますが、本当に、候補に出られて、これからもまたおやりになろうという方でありますから、それが怪しいと思うんですよねという言葉だけで終わったんじゃ、いいのかなと。機会を見つけて明らかにされる必要があるのではないか、私はこんなふうに思ったりするんです。これは老婆心でありますけれども。

 続きまして次のテーマに移りたいと思いますが――何かありますか。どうぞ。

枝野議員 先ほど申しましたとおり、桝屋先生の御指摘のように、家族等については、それぞれ公人の家族がどこまでプライバシーの範囲かということについては、桝屋先生御自身もおっしゃられましたし、過日の仮処分などをめぐる裁判でも大変争点になったところでございます。

 ただ、私申し上げましたとおり、少なくとも国会議員本人は法律を賛成であれ反対であれつくっている当事者でありますから、これは、国民の皆さんに義務を課す以上は、本人として納付の義務を果たすのは当然だろうということを申し上げましたので、少なくとも国会議員本人である我が党の菅直人代表は納めているということは党として調べさせていただいておりますが、桝屋先生も与党の一員でいらっしゃいますから、これはお互いに対等原則でやるべきだと思いますので、私どもは提案者全員すぐにでも、政府側と同じ時点で出せと言われればすぐお出ししますので、政府としての提案者、つまり全閣僚ぐらいは同時にお出しをいただくということを与党の一員としてお勧めいただきたいというふうに思います。

桝屋委員 お話はわかりますが、ただ、息子二人もちょっと怪しいと思っているんですが、こういう表現は、私は、その息子さんお一人は選挙でお出になった方、また次を目指されようという方でありますから、老婆心ながら申し上げたわけであります。

 それから、福祉施設の責任問題について議論を移したいと思います。

 福祉施設の問題は、野党の皆さんも随分厳しく、この国会でも、この法案審議の中でいろいろ議論されて、指摘もされております。私ども公明党も、今回の年金改革案を取りまとめる作業の中で、党内で随分議論をしてまいりました。

 その中で、十三カ所のグリーンピアあるいは二百六十五カ所の福祉施設につきましては、発足時において私は相当のニーズがあったんだろうというふうに思うんですね。時代の状況もあったでありましょうし、そして多くの皆さんが希望された。やはり被保険者への還元という観点で取り組みをしてきたわけでありまして、一定の大きな役割を果たし得た、私はこういうふうに思っているんです。

 問題なのは、皆さんがいろいろ御指摘されるように、社会経済の変化あるいは生活様式の変化の中で、こうした福祉還元事業の必要性が希薄になってきた、あるいはその見直しをしなきゃならなくなった。そんな中で、特に私が思っておりますのは、我が党内でも議論しましたが、平成以降もずっとこの福祉施設の整備が続いてきたわけでありまして、平成以降といいますと、バブル崩壊もありますが、年金財政が極めて厳しくなってきた、そういう状況の中であっても政策転換ができなかったということは、ここは責任が問われなければならない。その責任というのは、当然、この作業に携わってきた役人もそうでしょうが、我々政治家もあわせてそこは責任があるのではないかということを真摯に反省せざるを得ないというふうに党内で随分議論いたしました。

 役所にお尋ねしてみたいと思いますが、平成の時代になりましてから、例えば小泉大臣も二回ぐらい大臣を経験されている、あるいは菅大臣も厚生大臣を御経験されている、その時代にオープンした福祉施設というのはあるのかどうか。平成の時代で結構ですが、資料があればお示しをいただきたいと思います。

薄井政府参考人 福祉施設でございますけれども、施設の設置の決定を行いましてから実際に施設を建設し、オープンするまでには、これは相当の時間を要するわけでございまして、設置を決定したときとそれからオープンをしたときの大臣というのは同じではないという前提で申し上げさせていただきます。

 小泉総理は厚生大臣を二回されておりますが、一回目が、これは平成になる前からでございますが、昭和六十三年の十二月から平成元年八月までということでございます。その間に五施設オープンをいたしております。二回目は、平成八年の十一月から平成十年の七月までということでございますが、その間に十一施設がオープンをしているということでございます。

 それから、菅代表が厚生大臣御在任中、期間は平成八年の一月から平成八年十一月でございますが、その間にオープンした施設は十施設、こういうことでございます。

桝屋委員 私は、今申し上げたように、平成の時代に入ってからが何とか政策転換できなかったのかなというふうに思うんですが、なお平成の時代になってもこうやって施設整備が続いてきた。もちろん、代々の大臣の直接の責任がどこまであるのか、専決規程の中でこうした福祉施設の整備が全部大臣の決裁になるというふうに私は思っておりませんが、しかし、大臣は大臣でありまして、大きな行政責任を持っておられる。そうしたことを考えますときに、これは本当に政治全体の平成の時代になってからの責任ではないかというふうな感じがするんです。私も含めて、ここは大きな責任を感じなきゃいかぬ。

 その上で、やはり野党の皆さんが厳しく追及されておられますように、社会保険庁の業務の問題ももちろん十分改善をしなきゃなりませんし、何よりも、二百六十五の施設あるいはグリーンピアの整備にしても、与党の中では、これから清算をしていこう、そして、できるだけ清算をしてその財源を少しでも年金財源に返していこう、還元をしよう、こういう努力をしなきゃならぬ。こうした作業というのは進むよりも撤収する方がはるかに困難でありまして、私は、大変な作業が今から待っている、こうした事務を責任を持って計画的に進めていく、これをきちっとやっていくことがまさに責任をとるということではないのかというふうに思っております。

 そういう意味では、先ほど言いましたように、平成の時代になって、漫然として整備を続けてきた政治、行政の責任、これは極めて重たい。その責任を果たすのは、じゃ、どうするのかという、これからのことをしっかりと、清算の計画も明らかにして、その形をしっかりと国民に説明をする、その説明責任を果たしていくことが私は責任のとりようではないのか、こう感じているわけでありますが、坂口大臣の御所見を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 グリーンピアにいたしましても、福祉施設にいたしましても、最初、その必要性につきましては国会におきましても幾多の議論がされまして、そして、衆議院、参議院で三回、附帯決議の中でも述べられたところでございます。一番最後は昭和五十七年の附帯決議でございます。五十七年というと、間もなくもう平成になるころでございまして、そのころまではいろいろの必要性を主張される方が多かったというふうに思っておりますが、御指摘のように、まさしく流れは変わったわけであります。

 保険料を納めるのも非常に厳しい、あるいは納められた保険料で将来を賄うことがなかなか厳しいという状況になりましたときに、過去にはそういうふうに決められたことであったといたしましても、どこかで判断の転換をしなきゃならないときが多分あるんだろうというふうに思っております。

 したがいまして、このグリーンピアの問題ですとかあるいは福祉施設の問題、過去にどういうふうな経過でできたかということも大事でございますが、しかし、そのことよりも、それが必要だというふうに言われた時代からそうでない時代に変わったときに、行政なら行政の中で、それをどう早く判断をして方向転換ができるかということが今後の大きな課題になる。今後も私はそうしたことが起こるんだろうというふうに思っております。今後そういうことが起こりましたときに、それを早く方向転換ができるようなシステムというものがやはり私は求められているというふうに感じております。

 過去に既にできておりますものにつきましては、全部これは整理をしなきゃいけないというふうに思っておりますが、この整理合理化を進める。ただし、この前みたいに、何年までにというふうに決めるのもいいんですけれども、決めてしまうと、そうすると買いたたかれるということもあるわけでございます。

 その辺のことも十分に念頭に置きながら、しかし、グリーンピアの問題等は平成十七年度までに決着をつけるということにもう決まっておりますしいたしますから、それに従いますし、それから、福祉施設につきましても、それに見習って鋭意努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。国民の皆さん方におこたえをしなければならないというふうに決意しているところでございます。

桝屋委員 この国会で、この委員会で、野党の皆さんが社会保険庁の業務のあり方について厳しい指摘をされています。私もそばで聞いておりまして、まさしくそのとおりだな、こう判断せざるを得ないことが多いわけであります。

 先般、野党の皆さんが御出席をいただけなかった際に、私も、住民基本台帳ネットワークシステム等、それから年金の現況報告、これなんかも、ぜひとも政策日程にきちっと上げて大なる成果を上げてもらいたい、こういうことを今国民は望んでいるんだということを申し上げましたが、そういうことも含めて、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 我々は、与党としては、今の二百六十五の福祉施設も清算をする、こういう方向で進んでいきたい、こう思っておりますが、野党の皆さん、通告はしておりませんが、何か福祉施設の処理について御意見があれば、最後に伺いたいと思います。

古川(元)議員 基本的な認識は全く桝屋先生のおっしゃるとおりだと思います。こうした福祉施設の整理については、もう時代が変わっている中で、きちんとした、国民の、特に年金の保険料を払っている人たちの信頼を回復できるような形でやはり保険料は使っていかなきゃいけない。そういう意味では、こうした施設の整理というものもやっていかなきゃいけない。

 そして、そこはできる限り、こうしたまさに過去のいわば負債をどう償却していくかという問題でありますから、これは金融機関の不良債権処理と同じようなものでありますけれども、なるたけ国民負担が小さくなるような形で、そして国民にとって少しでもロスが小さくなるような、そういう方法を考えてやっていかなきゃいけないと思っています。

 だからこそ、私どもは今回の法案でも、年金の保険料を年金給付以外に使うということに対しては、もはや国民の皆さん方の信頼というものは得られない。ですから、私たちは、新しい制度のもとでは、年金の保険料、入ってきたものについては、これは年金給付以外には基本的に使わないということをきちんと法律の中で明記していく、そういうことを提案させていただいたわけであります。

 残念ながら、まだ政府・与党の方は、この年金保険料を年金給付以外の目的に使うことも引き続きこれは続けている状況でありますから、ぜひそれは、桝屋議員におかれては与党の一員であるわけでありますから、そこのところをまずやめるということからスタートしていただきたいというふうに思います。

桝屋委員 ありがとうございます。

 今の古川委員の御指摘は私も全く同感でございまして、その方向で我々も努力をしたいというふうに思っております。

 あと、国庫負担二分の一への引き上げについてぜひ議論をしたい、入り口部分で極めて大事な問題ですから議論したいと思っておりましたが、さすがに時間がなくなりました。次回に譲りたいと思います。ありがとうございました。

衛藤委員長 長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。簡潔にお答えをいただければ幸いでございます。

 先ほども我が民主党の古川次の内閣厚生労働大臣から答弁がありましたけれども、年金の掛金は年金の支払いだけに使おう、こういうことを私も主張をしているわけでございますけれども、残念ながら、政府の見解でも、五・六兆円もの巨額の金が、年金の掛金が支払い以外に使われた。そのうちの五・二兆円が、この福祉の増進ということで五兆円以上の金が使われました。

 厚生年金保険法の七十九条、国民年金法の七十四条に、福祉を増進するためにはこの年金の掛金を財源として使っていい、こういう条文があって、これをいまだに、今回の法案の中でも政府は削らない、こういうことでありまして、バケツに穴があいて、どんどん水漏れをこれからもする、これを私は大変懸念して、それをストップしたいという思いを持っているわけであります。

 そして、その中で、例えば平成十六年度を見ますと、さすがにいろいろな福祉関係は少なくなっておりますけれども、この一番大きな費目がコンピューター経費なんです、コンピューター経費。これが今後大きな私は焦点になってくる問題である、その使われ方も含めて、そういうふうに認識をしております。

 そして、そのコンピューターの経費でございますが、平成十六年度予算で一年間に約一千億円もの金が、これが全額掛金で賄われている。いまだに平成十六年度、巨額の金でございます。そして、コンピューターの契約も、導入のときから二社としかしていない。ずうっと二社としている。NTTデータと日立、二社と随意契約でずうっとやっている。

 そして、坂口厚生労働大臣は、おとといの委員会で、我が党の中根議員の質問に答えて、随意契約はもう一切やめる、こういう御答弁をしておられますけれども、ということは、今後コンピューターのこの契約も入札にする、こういうことでよろしいのでございますね。

坂口国務大臣 これからいろいろなものを役所も購入しなきゃならない、あるいは利用しなきゃならないということがあるだろう。そうしたときに、いわゆる入札制度というものを行わないで、そして随意契約でやるということは、それが正常にきちっと行われたとしても、後でいろいろの不満を生むことにもなりますし、不信を招くことにもなるというふうに、私も率直にそう思っておりまして、ここは入札制度にしていくべきだというふうに原則しております。

 ただ、今使っております、今御指摘のいわゆるコンピューターの問題等は、過去の、今までやってまいりました中にまことに複雑なソフトが組み込まれているわけであります。こうした場合に、これを例えば五年ごとにするのか、あるいは七年ごとにするのか、そういうふうにしましたときに、そうすると、入札にするということは、そこをまた全く違う会社にかえなきゃならないということになる。だから、そういうふうにできるようなシステムにしておかないといけないと私は思う。

 だから、そういうふうなことをすることによって、これから入札制度にしていくということには、私は、これは未来永劫一つのところでだめだと思っておりまして、やはり入札制度を導入していかなきゃいけないと思いますが、そこのところは、入札できるような体制に変えていかなきゃいけないというふうに思っております。

長妻委員 ですから、いつも大臣も、小泉総理もそうなんですけれども、格好いいことを言われるんですよ。

 この議事録、おとといのがございますけれども、「随意契約というのは一切これからやめろ、こういうふうに今言っているところでございます。」「随意契約がそもそもすべてのもとの根っこになっているわけでございますから、どんなささいな問題であれ、すべて公開をして、入札制度にする」と、格好よくばんと言って、マスコミもそれを信じて、新聞等で報道しているんですよ、全面的な入札にするというのを。全然違うじゃないですか。何か前提条件をつけて。ですから、こういうことをやっていると、またコンピューターの経費で不明朗なことがどんどん起こる。

 そして、今お配りした資料の一ページでございますが、これは平成十六年度のコンピューター予算でございます。コンピューター予算のうち、福祉施設費、先ほど申し上げました福祉の増進という法律の根拠で支出をする予定の年金保険料の財源分でございますけれども、一年間に六百四十七億円も福祉という名目でコンピューターの予算が組まれているわけです。これは組まれているわけです、毎年。

 この資料というのは、厚生労働省に事前にお見せをして数字とか中身を確認して、正しいというふうに言っていただきましたので、この数字に基づいて質問いたしますけれども、この六百四十七億円、これは福祉の増進だと。では、中身は、どういうことに福祉の増進は使えるんですかと聞きましたら、年金相談及び年金の迅速な裁定等にかかわるシステム経費。ですから、年金相談と年金の迅速な裁定等、これをやる仕事は福祉としてお金を支出していいと。この年金の迅速な裁定というのは何かと聞きましたら、これもへ理屈だと思うんですが、いや、コンピューターを導入すると処理が早くなりますと。処理が早くなるからこれは福祉の増進なんだ、国民の皆さんが喜ぶ、こういうことが名目になっているんですね。

 そこでお尋ねしますけれども、この年金相談、そして年金の迅速な裁定、二つ項目ございますが、六百四十七億円、それぞれ幾らずつに分かれるんですか。

森副大臣 全体が福祉の増進ということで、区分けはできません。

長妻委員 いや、ですから、質問主意書でもきちっと答弁で来ているんですよ、私が出したものに。福祉の増進、コンピューターシステムで使えるのは年金相談のシステムですと。そして、ここに書いてあるように、年金の迅速な裁定等です、これに使えるんですと書いてあるわけですよ。

 では、六百四十七億円のうち、幾らが年金相談なんですか。そのぐらいはわかるでしょう。

森副大臣 これは、年金相談と年金の迅速な裁定等に係るシステム経費というのは全体で一体のものでございますので、その区分けはできません。

長妻委員 では、年金相談は、お互いダブっているということですか。

 では、年金相談の部分は幾らで、年金の迅速な裁定の部分は幾らで、足し算したらこれには合わないかもしれないけれども、この部分はダブっている、このぐらいのことは出せるでしょう。こんな巨額の金ですよ、年金の掛金ですよ、全部。

森副大臣 結論としては今申し上げたとおりでございますけれども、この社会保険オンラインシステムは、コンピューターを活用して正確かつ迅速な事務処理を行うことによって、さまざまな年金相談ですとか、それからサービスの向上に寄与するものでありまして、これについて、それは今申し上げたように、その迅速な処理とか相談とか、そういった内容でもって区分けができるようにはなっておりません。

長妻委員 六百四十七億円という金を、平成十六年度、払うんですよ。六百四十七億円の年金の掛金、払うんですよ。明細がわからない、年金相談が幾らかわからない、年金の迅速な裁定、幾らかわからない。では、これは福祉の増進という根拠はないじゃないですか。わからないじゃないですか、明細も何もわからないんだったら。どんぶり勘定じゃないですか。業者がこれだけお金を下さいと言ったら、はい、わかりましたと言って上げているんじゃないですか。だめですよ、出さないと。幾らですか。この二つぐらい、わかるでしょう。

森副大臣 これはたびたび申し上げますけれども、年金相談と年金の迅速な裁定などにかかわるトータルとしての経費はきちんともちろん把握できますけれども、それぞれが区分けするような切り分けにはなっておりません。

長妻委員 いや、だって、年金相談と年金の迅速な裁定、これには使えると質問主意書でも、答弁書に書いてあるんですよ。だから、年金相談で幾らですか、これ。答弁拒否ですよ、これ。これは事前にちゃんと言っていますよ、かなり前に。通告していますよ、きっちり調べておいてくださいということで。

森副大臣 これはシステム全体の改修費の話でございますので、それはそういった区分けのできる費目ではありません。(発言する者あり)

衛藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

衛藤委員長 速記を起こしてください。

 森厚生労働副大臣。

森副大臣 これは昭和五十四年度から計画をスタートし、平成元年二月に完成したシステムでございますけれども、これは昭和五十四年の社会保障審議会厚生年金保険部会の意見書及び昭和五十六年の臨時行政調査会答申などを踏まえて、被保険者及び受給者等に対するサービスの向上に寄与できる部分について、福祉施設費として保険料財源で賄ってきたものでありまして、これは厚生年金保険法第七十九条あるいは国民年金法第七十四条によるものでございますけれども、そういうことで、この法律の趣旨にのっとって、システム、一体として充ててきたものでございます。(発言する者あり)

衛藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

衛藤委員長 速記を起こしてください。

 森厚生労働副大臣。

森副大臣 先ほど申し上げましたように、その六百四十七億を年金相談と年金の迅速な裁定というふうなカテゴリーに分けるということはできません。なぜかと申しますと、これは一つのシステムでもってそれぞれに寄与するものでありますので、そういう切り分けについてお答えすることはできませんが、ただ、この六百四十七億全体の内訳についてもうちょっと具体的に示せというお尋ねというか、御要請でありましたら、今既に委員からそういう御要請がありますので、鋭意今その作業をしているところでありますので、近々お手元にお届けをいたしたいと思います。(発言する者あり)

 ただいまの答弁にちょっとつけ加えますが、委員からも一部資料がきょう提示されておりますように、システム開発の財源の明細につきましては、平成十五年度と十六年度予算分のものについては既に整理をして委員にお示しをしているところでございます。

 十四年度以前のものについては現在集計の作業を進めているところでございまして、ただ、現在のオンラインシステムは、昭和五十四年度より開始していて、書類の保存期間がある時期以前のものは過ぎておりますので確認することは大変困難でございますが、私どもで現在把握できる範囲のものは、可及的速やかにまとめましてお届けいたしたいと思います。

長妻委員 今、森副大臣の御答弁、間違いがありますよ。

 以前、厚生労働省からいただいた資料では、三百十二の社会保険事務所にオンラインの端末がある。では、そのオンラインの端末のうち、年金相談にかかわる端末は何台ですかと聞いたら、台数出してきましたよ。ですから、年金相談は幾らと、年金の迅速な裁定というのは分けられるんですよ。オンラインの端末何台という台数、いただいたじゃないですか、資料を。分けられるんですよ。

森副大臣 年金相談専用の端末についてはお出しをいたしましたけれども、それ以外は共用でございます。

長妻委員 いや、ですから、年金相談の端末が何台というのが出ているわけですから、六百四十七億円のうち年金相談の経費は幾らですか。これは出るんですよ。何で出さないんですか。

森副大臣 専用のものについてはお出しできますけれども、その他のものは共用ですので、これはその区分を明らかにすることはできません。

長妻委員 では、年金相談の分は六百四十七億円のうち幾らかというのは今わからないんですか、これは前から言っているのに。今出してくださいよ。

森副大臣 では、ここでちょっと整理して申し上げますと、平成十五年度末時点で、全国のオンライン端末機は合計で一万七百九台ございます。そのうち、年金関係として費用負担しているオンライン端末機は、九千四百二台でございます。

 これらの端末機の使用料については、平成十五年度の予算において、厚生年金で約九〇%の八千四百七十七台分を、また国民年金で約一〇%の九百二十五台分を負担しております。また、業務取扱費と福祉施設事業費等については、業務取扱費で二千三百九十一台分、約二五%、そして福祉施設事業費などで七千十一台分、約七五%を負担しております。

 また、オンライン経費の厚生年金保険特別会計と国民年金特別会計への振り分けの考え方は、システムに対する制度別の業務負荷量を勘案して振り分けて提示をしてきたというふうに思っております。

 また、業務取扱費と福祉施設事業費などへの振り分けの考え方は、九千四百二台の端末機のうち、年金相談センターなどの相談業務専用に用いている五百二十八台については、すべてを福祉施設事業費などで負担することといたしております。

 また、その他の端末機については、これは適用、保険料徴収などの行政事務と年金相談等、両様の目的で受給者サービスにかかわる業務に対応する機能をあわせ持っておりまして、それぞれの業務に対する負荷量を勘案して経費の振り分けを行ってきたものと認識しております。

長妻委員 そうであれば、端末のうち、年金相談のみに特化した端末というのは、そうすると何台なんですか。

森副大臣 五百二十八台でございます。

長妻委員 いや、五百二十八台が年金相談だけという今御答弁ですから、だから言っているんですよ、六百四十七億円のうち、年金相談のハードとソフトは、内訳幾らなんですかと。こういう明細が出ないと、本当にどんぶり勘定ですよ、どうして福祉なのかというのが国会でわからないじゃないですか。我々チェックしようがないじゃないですか。ですから、幾らなんだと言っているんですよ、年金相談。

森副大臣 これは今申し上げましたとおり、五百二十八台につきましては年金相談専用の窓口に設置しているものでありまして、そのほかのものについては、これはいろいろな目的に……(長妻委員「ですから、年金相談だけで幾らですか、六百四十七億円のうち。共用はいいですよ」と呼ぶ)ですから五百二十八台……(長妻委員「いや、幾ら、金額、六百四十七の金額のうち。それは出ますよ」と呼ぶ)

 ですから、なぜ御理解いただけないのか、大変当惑しておりますけれども。要するに、例えば……(長妻委員「どんぶり勘定じゃないですか。六百四十七億の何にも内訳わからないの」と呼ぶ)聞いてくださいよ、答えているんだから。ちゃんと答弁をしようとしているんですからね。

 例えば、全体が百台だったとすると、端末が、そのうちの十台は年金相談専用に使われている。ただ、そのほかの九十台は両方の目的に使っているものですから、それを、年金相談と迅速な裁定の二つに区分けすることは無理なんでございます。

長妻委員 これを二つに区分けするのは無理といったって、五百二十八台の端末は年金相談専用だと言っているじゃないですか。分けられるんですよ。これは納得できません。

 そして、きょう、会計検査院の増田局長にお出ましいただいていますけれども、増田局長、これは、コンピューター、福祉だということで使って、あるいは福祉の名目で、私は何でも福祉法ということで、がんがん使っている、おかしいというふうに思っておりますので、会計検査院として検査してください。検査するというふうに御答弁いただきたいと思います。

増田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 私ども、社会保険オンラインシステムの経費につきましては、予算上、原則として、保険料徴収事務等の業務に係るものについては業務取扱費、それから、給付裁定事務の処理時間の短縮等、年金受給者等に対するサービスの向上に資するものについては福祉施設事業費で支払われるというふうに承知をしております。そういう区分によりまして、予算が執行され決算されているというふうに承知をしております。

 私どものこれまでの検査では、これらの経費につきまして特段の問題点は見出されていないところでありますけれども、今後の検査の過程で、具体的な検査の根拠等につきまして十分調査をしてみたいというふうに考えております。

長妻委員 そうすると、検査をするということでよろしいんですね、結論は。

増田会計検査院当局者 私どもとして調べてみたいというふうに思って……(長妻委員「検査」と呼ぶ)検査をしたいというふうに思っています。

長妻委員 検査をしたいと思いますと。検査をするということでよろしいんですね。うなずかれておられます。

 検査をするということでありまして、福祉の増進で過去、五兆円の金が、年金の掛金が使われているんですよ、これは。それで、今会計検査院も検査すると言っているんですよ。ぜひこれは、仮に政府案を採決するんであれば、その前に会計検査院の検査結果を表に出して、そしてバケツの穴を全部ふさぐ、こういう措置をきちっとするということが大変重要だと思います。

 会計検査院には超特急で厳密にやっていただくということで、これはぜひ、採決の前に会計検査院の報告をきちっと見る、会計検査院の報告が出ないと採決しない、こういうことをぜひ委員長、理事会で御検討いただきたいと思います。

衛藤委員長 御意見は承りました。理事会にて協議をいたします。

長妻委員 そして、これは、森副大臣、さっき年金相談わからないと言われましたけれども、五百二十八台が年金相談の端末なんですよ、言われているように。

 ですから、では、五百二十八台の年金相談と、年金相談だけのシステムでいいですよ、ソフトで。年金相談だけでいいですよ、共用分は言わないで。六百四十七億円のうち、年金相談だけは幾らですか。それを本当に答えてください。

森副大臣 質問の御趣旨がちょっといま一つよくわからないんですけれども。

 その端末機の費用ということでございますか。システムとして切り分けられない……(長妻委員「システムと言っているんじゃないですか。答弁拒否ですよ」と呼ぶ)だから、システムは一つの体系であって、端末は単に端末にしかすぎないわけですよ。それを、端末が、その専用のものが五百何ぼあっても、それ以外のものは共用で、それ以外のものも年金相談に使われているわけですから、だから、そのシステムの中でどれだけがと、そういう区分けをしろと言われても、これはたびたび申し上げているように、できないことでございます。

長妻委員 そうしましたら、これ、六百四十七億円の内訳というのは、もちろんすぐ出ますよね。六百四十七億円、業者から請求が来ているわけですよ、業者から。六百四十七億円の年金の掛金を払うんですよ。当然六百四十七億円、どんぶり勘定で、これですか、年金相談及び年金の迅速な裁定等にかかわるシステム経費六百四十七億、はい、払いますと。そうじゃないでしょう。中に、何億円がこれ、何億円がこれという明細があるでしょう、何とかシステム、何とかシステム、足し算すると六百四十七億円になる。

 その明細の、じゃ、今口頭ですから、ざっくりしたものを言ってくださいよ、五つか六つに分けて、このシステムが幾らで、足し算すると六百四十七になるというのを。ずっと前から言っているじゃないですか。これ、前から言っていますよ、本当に。ずっと前から言っていますよ。

森副大臣 もう一度お答えしますが、現在のオンラインシステムは昭和五十四年度から開始しておりますので、書類の保存期間が経過しているものについては確認することは困難でありますが、これから現時点で把握できるものについては早急に取りまとめて報告するというふうにさっきから申し上げております。(長妻委員「だめですよ。六百四十七億の明細が困難だというのはどういう答弁ですか。六百四十七億の明細困難だってそんなばかな話。ちょっと速記とめてください」と呼ぶ)

 ですから、十六年度分については既にお出ししましたけれども、それまでについては……(長妻委員「六百四十七の明細ですよ」と呼ぶ)

 では、申し上げますと、福祉の内訳ですが、従来からの福祉の費目が六百四十二億ですか、それから、十六年度新規追加事項が四億七千万、そして、その内訳が、被保険者原票等閲覧システムの導入が二億強でございます。それから、国民年金納付記録の案内が一千二百万、それから……(長妻委員「私が皆さんに配った二ページ目ですよ。それを読んでいるんですよ」と呼ぶ)そうそう、お配りしているとおり……(長妻委員「違うんですよ。これはもうわかっているんですよ。これはプラス分だけなんですよ。ですから、六百四十七億円の明細と言っているんですよ」と呼ぶ)

衛藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

衛藤委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの質問につきましては、厚生労働省側と質問者との間に質問をめぐってのとらえ方の問題があるようでございますので、お互いの、ちょっと何かとらえ方が違うようでありますので、そこのところを入れて理事会で協議をするようにさせていただきます。(長妻委員「時間は」と呼ぶ)理事会にできるだけ早く提出、きょうの夕方ぐらいまでにできますか。

 では、まず十四年度まではきょうじゅうに出してください。(長妻委員「いや、十四年度までじゃないですよ、全額ですよ、これ、六百四十七億円の。今、十六年度の予算なんだから」と呼ぶ)

 それでは、十四年度分ぐらいまでは出そうでございますから、それまで……(長妻委員「いや、違います。違います。そういうことを聞いていません。トータル、六百四十七億円トータルです。だって、平成十六年度の予算なんですよ。これから払う金なんですから」と呼ぶ)

 それでは、森厚生労働副大臣。

森副大臣 では、もう一度私から申し上げますが……(長妻委員「いや、だめです、これ。だめです。いいです」と呼ぶ)

 十四年度につきましては、きょうじゅうにお出しいたします。保存期間内の十一年以降のものについては、来週の火曜日までにお出しいたします。(長妻委員「ちょっと待ってください。そういうことを聞いているんじゃない。六百四十七億の全部の内訳と言っているんですよ」と呼ぶ)

衛藤委員長 お互いの質問をめぐって、今、意思の疎通がなかなかできないようでございます。で、理事会において協議をしてください。

 では、次に進めます。長妻昭君。

長妻委員 留保します。

衛藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

衛藤委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの長妻昭君の残余の質疑は留保することといたします。

 次に、枝野幸男君。

枝野委員 民主党の枝野でございます。

 少し根本的なことを、まず厚生労働大臣にお尋ねしたいと思います。

 厚生大臣、人に物をお願いするときには、まずみずからの責任を果たしてからでないと人にお願いできないなというのが人の道だと思いますが、どう思いますか。

坂口国務大臣 どういう御趣旨かちょっとわかりかねましたけれども、皆さん方にこの法案を御審議いただいているわけでございますから、できる限り率直に皆さん方の御質問に対しましてはお答えをしなければならないというふうに思っております。

枝野委員 いや、そんな具体的なことを聞いているんじゃなくて、人に物をお願いする以上は、みずからの責任を果たした上でないと、人に物をお願いするのは人の道に外れていますよねという、哲学を聞いているんです。

坂口国務大臣 いろいろのことをお願いいたします以上、やはり、お願いをするということは、それに対して責任を持っておこたえをするということでなければならない。一般的な社会の中のことでいえば、人間関係の中で、これをお願いしたいというときにはそれなりの礼を尽くしてお願いをする、こういうことではないかと思っております。

枝野委員 厚生労働大臣、国民年金法の一部を改正する法律案の提案者はどなたですか。

坂口国務大臣 内閣でございますけれども、しかし、中心は厚生労働大臣でございますから、私でございます。

枝野委員 そんなあいまいな答弁しないでください。厚生労働大臣には法案の提出権なんかあるんですか。

坂口国務大臣 ですから、先ほども申し上げましたように、内閣でございます。しかし、その中心になっているのは私でございますということを申し上げているわけです。

枝野委員 内閣として国民年金法の一部改正案を国会に提出して、国民年金の保険料の引き上げを国民にお願いしているわけでありますが、その内閣の一員である中川経済産業大臣、それから麻生総務大臣、石破防衛庁長官、三人の国務大臣が国民年金の納付義務を怠っていたということが明らかになっております。

 みずからの責任を果たさずに国民に対して保険料の値上げをお願いする、人の道に反することじゃないですか。

坂口国務大臣 個々の大臣が過去において、どういう年金にお入りになって、どういう掛金をされてきたかということを、つまびらかに私、存じませんけれども、もし一時期払っていない期間があったとすれば、それは残念なことだというふうに思っている次第でございます。

枝野委員 残念なことでいいんですか。国民年金の加入者の方の、加入者の四割ではないですけれども、国民年金の四割が空洞化をして、未納、未加入になっている。その未納、未加入の中の一部が法案提出者御自身の中に少なくとも三人も入っておられたということですよ。それを、こういう法案をお願いする以上は、法案を提出する前に確認をして出してくるのが人間の道というものじゃないですか。審議に値しない法案だということじゃないですか。どういう責任をとるんですか。

坂口国務大臣 だんだんと言われていることがわかってまいりました。

 多くの大臣がおみえになるわけでございますから、その過去においていろいろなことがあったんだろうというふうに思います。そうしたことを踏まえて、今日皆さん方は、やはり年金というものは大事なものだ、そうしなきゃいけないということを今思っていただいているだろうというふうに思っております。

 したがいまして、政府として出したわけではございますけれども、その政府の中に所属しております者すべての年金が過去にどういうことであったかということは、これはなかなか難しいことでございまして、過去のそれぞれの経緯というものはあったんだろうというふうに思っております。

 そうしたことを踏まえて今日の年金制度を将来どうしていかなければならないかということを考えているわけでございまして、皆さん方にもこれからは、しかし、もう払う時期を過ぎている人はやむを得ませんけれども、そうでない人にはちゃんと払っていただきたいというふうに思っております。

枝野委員 国会に法案を提出する権利は、厚生労働省にはないんですよ。この法案は内閣がお出しになっているということをお忘れじゃないですか。憲法のイロハのイですよ。この法案を出してきているのは厚生労働省ではありません。そういう自覚がありますか、厚生大臣。

坂口国務大臣 ですから、一番最初、内閣だということを申し上げたわけです。しかし、内閣でありますけれども、担当しているのは厚生労働省だということを申し上げたわけであります。

枝野委員 内閣として国務大臣が閣議決定をして、全会一致で出してきているのがこの法案なんです。そして、その人たちの中に、国民の皆さんに国民年金をちゃんと払ってくださいとお願いをし、なおかつそれを値上げするという法案を提出しながら、指摘をされるまで納めていなかった人が少なくとも三人もいたということ自体、ゆゆしき事態であります。

 三人の大臣、ここに連れてきていただいて、答弁をしていただかないと、先へ進めません。

衛藤委員長 ただいまの御意見につきましては、理事会で協議をしてください。(発言する者あり)理事会でちゃんと議論をしてください。

 どうぞ、枝野幸男君。(発言する者あり)

 ただいま申し上げましたように、大変突然の御意見でございますから、これは理事会で……(発言する者あり)今のこの席ででございますから、これは、今この場でそういうことを、出ないから審議しないとか言われたってこれはどうしようもありませんから、理事会でちゃんと協議をしてください。(発言する者あり)

 では、昼の、これが終了後、すぐ理事会を持って協議してください。中断して決めることじゃありませんから。どうぞ、それでよろしくお願いします。

 進行してください。(発言する者あり)進行してください。(発言する者あり)

 ただいま、枝野幸男君からは、坂口厚生労働大臣、森厚生労働副大臣、竹本厚生労働大臣政務官、山本財務副大臣並びに泉経済産業副大臣、そして西川内閣府大臣政務官に対して、答弁者として求められております。そういう形で今まで運営をいたしてきました。この場でだれをということを言っても無理でございます。ですから、今後の理事会の中で協議をしていただきたいと思います。

 では、質疑を続けてください。枝野幸男君。

枝野委員 今の委員長の議事進行には到底納得できません。

 民主党として、各閣僚の皆さんの公的年金の過去の納付状況についてしっかりと御報告くださいということは、二週間も前から申し上げてきたことです。その二週間も前から申し上げてきたことに対して、きちっとお答えもせずに、なぜか公的なところには出しもせずに、どうして記者会見で答えているんですか。こんな、記者会見のところで、国民の代表の場である委員会で求められたものに二週間も答えずに、記者会見の場で突然そんな言葉が出てきたから、事態が変わったといって申し上げているんですよ。この記者会見の中身を確認をして話を進めないと、提案者に提案者の資格がないということを申し上げているので、審議自体の前提の問題であります。(発言する者あり)

衛藤委員長 質疑を続けてください。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

衛藤委員長 速記を起こしてください。

 ただいま、理事会でという、協議をお願いいたしましたが、今理事会を開くようにしましたので、しばらく委員の皆様はお待ちください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後七時十四分開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 理事会の協議に基づき、麻生総務大臣、中川経済産業大臣、石破防衛庁長官の出席を求めております。

 この際、各大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 私の年金加入の実績に関しまして、御説明をさせていただきます。

 確認をいたしましたところ、昭和四十一年八月から平成八年十一月までの約三十年間、三百六十三カ月になりますが、厚生年金あるいは国民年金に継続して加入をしております。

 正確には、昭和四十一年八月十七日に厚生年金に加入し、昭和六十三年十二月二十八日まで引き続き加入をしておりました。翌日、十二月の二十九日に、文部政務次官就任時に国民年金に加入をいたしております。その後、平成六年十月一日に国民年金を脱会し、同日、厚生年金に加入し、平成八年十一月七日まで入っておりました。しかし、平成八年十一月七日、経済企画庁長官就任時に、手続、いわゆる国民年金に切りかえを怠り、その後、平成十二年九月に六十歳になるまでの約三年十カ月、未加入となっておりました。

 手続を怠ったこととはいえ、甚だ申しわけなく存じます。

衛藤委員長 中川経済産業大臣。

中川国務大臣 まず冒頭、遅い時間まで、衛藤委員長、また理事の皆様、委員の皆様に御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます。

 私のこの問題に関しての過去の事実を申し上げますと、昭和五十八年の一月に私の父親が急逝をいたしまして、当時勤めておりました会社を二月に退行いたしました。それまでは、会社を通じて厚生年金を支払っていたところでございます。

 その後、選挙運動に入ったわけでございますけれども、私の友人の会社で社員として身分を得まして、そこで厚生年金を支払い、また、健康保険の資格を得ていたところでございます。

 十二月の選挙で当選をいたしまして、そのときには厚生年金を脱会いたしまして、自来、私は、現在に至るまで、先週の初めの週刊誌の記事を見て事実関係を知るまで、地元の帯広の社会保険事務所に確認をいたしましたが、当選以降、国民年金を一回も払っていないというのが事実でございました。

 そこで、先週の十四日に、過去三年分にさかのぼって支払うことができるということでございましたので、平成十四年分、十五年分、それから十六年度分、つまり十七年の三月までの分をお支払いしたところでございますけれども、いずれにしても、全く私の無知ということに尽きるわけでございますので、まことにおわびを申し上げます。

 以上でございます。

衛藤委員長 石破防衛庁長官。

石破国務大臣 大変遅い時間に恐縮でございます。

 国民年金につきましては、一国民として適正に保険料を支払うべきところ、これまで、私の国民年金の保険料の支払い状況につき、未納の期間があったことにつきまして、大変申しわけなく思っておる次第であります。

 事の次第につきましては、私自身が関係官署に問い合わせる等いたしまして調べました結果につきまして申し上げるものでございます。

 昭和五十四年四月から五十八年二月まで、民間企業に勤めておりまして、厚生年金に加入をしており、その後、国民年金に移行したのでございますが、この移行の際の五十八年三月分、一月でございますが、この分の保険料が未納となっておりました。

 その後、国民年金または厚生年金に加入をいたし、その保険料を連続して支払ってまいったわけでございますが、農林水産政務次官についておりました平成四年十二月分から平成五年五月分までの国民年金の保険料が未納となっておりました。これは、政務次官就任の際に共済年金加盟としたものと勘違いをいたしましたことから、過って国民年金の保険料の支払いを停止してしまったことによるものであります。

 その後、国民年金に加入をし、その保険料を連続して支払ってまいりましたが、平成十四年九月以降の国民年金、すなわち、防衛庁長官に就任をいたしました平成十四年九月分以降の国民年金の保険料が未納となっておりました。これも、農林水産政務次官に就任をいたしましたときと同様の勘違いによるものでございます。

 なお、この平成十四年九月分以降の国民年金の掛金につきましては、さかのぼって支払うことができるということでございますので、本日、十五万一千七百九十円を納入いたしたところでございます。

 以上が事の次第でございますけれども、保険料の支払い状況につき、未納の期間がありましたことにつきましては、ここで、大変に申しわけのないことであったと、勘違いをいたしておりましたことは、これはもうすべて私の責任でございます。大変申しわけなく、おわびを申し上げる次第であります。

 以上でございます。

中川国務大臣 ちょっと私の発言、正確を欠いておりました。過去三年と申し上げたようでございますけれども、過去二年でございまして、平成十四年三月から二年分、十四年、十五年、そして十六年分として十七年三月分までをまとめて先週納めたということでございます。訂正させていただきます。

衛藤委員長 質疑を続行いたします。枝野幸男君。

枝野委員 まず、事実関係のことを一点ずつ確認させていただきます。

 総務大臣と防衛庁長官は厚生年金の期間があったというふうにおっしゃられておりますが、国会議員になられて以降の厚生年金の期間が、麻生大臣についてはあるということを今具体的におっしゃられました。それから、防衛庁長官については、それが議員になって以降なのか、それ以前なのかわかりませんが、もし議員になって以降、厚生年金の期間があったとすれば、それはどういう立場で厚生年金に加入をされていたのか、お答えください。

麻生国務大臣 しばらくの間は麻生セメントの社長をしておったと思います。その間と、それ以後、麻生セメントの役員をしておった、役員、何かをしておったということだと思いますが、麻生セメントに所属をしておって、麻生セメントの厚生年金に払っておったと記憶します。

石破国務大臣 厚生年金に加入をしておりました昭和五十四年四月一日から五十八年二月一日までは、株式会社三井銀行の厚生年金に加入をしておったものでございます。その後、国民年金になりまして、その後また厚生年金に戻っております。五十八年十一月一日から昭和六十年の一月一日ということでございます。

 議員でおりましたときに、もちろん当たり前の話でございますが、厚生年金にあわせて入っておったということはございません。

 先ほど申し上げました、一つ訂正をお許しいただきたいのですが、納入をいたしました金額、十五万一千七百九十円というふうに申し上げましたが、二十五万一千七百九十円の間違いです。

枝野委員 麻生大臣、その麻生セメントでどういうお立場にあったのか、具体的にお答えをいただきたいんですけれども、もし今お出しになれないのでしたらば、次回月曜日の理事会までにお出しをいただけますか。

麻生国務大臣 役職の話ですか。(枝野委員「はい」と呼ぶ)簡単なことだと思いますが、役職はちょっと、正確を期するのでありますれば、月曜日に書類で提出いたします。

枝野委員 それでは本題をお伺いしたいと思います。

 先ほど来、お三方とも未納であったことについておわびをしておられますが、事の本質を御理解されていないのではないでしょうか。確かに人間ですから、特に過去まで振り返ったときに未納の期間があるという方は、現に四割の未納があるわけですから、それはあり得るかもしれません。しかし、お三方ともこの国民年金法の一部改正案、国民の皆さんに国民年金の保険料を引き上げる、負担をふやすという法案の閣議決定に署名をしておられるんです。その署名をされるに当たっては、自分がどういう立場であるのか、自分が義務を果たしているのか、そのことをしっかりと確認をして、認識をして、この値上げ法案に署名をするのが当然の責任ではないですか。

 未納自体ではなくて、閣僚としてこの法案に署名をしたことについての責任をどう考えておられるんですか。

麻生国務大臣 確認をすべきところであったと存じますけれども、自分としては、払っているつもり、六十歳になっておりますので、そのあれは少し違うかとは思いますけれども、当然、従来どおり手続がされておるものと思っておりましたので、私のミスであったと存じます。

中川国務大臣 閣僚であろうが、国会議員であろうが、社会人であろうが、国民年金を払っていなかったとすれば、これは大変なミスだということを先ほども申し上げているところであります。閣僚以前に、社会人として私はミスを犯していたということでございますから、閣僚としても当然おわびを申し上げているところでございます。

石破国務大臣 これは先ほど申し上げましたとおり、勘違いによるものでございまして、きちんと確認をしなかったということにつきましては、これは幾重にもおわびをすべきものだと考えております。これは、このまま年金が継続をされておるということの勘違いによるものでございまして、国民年金の保険料を払っておらないという認識はなかったものでございますが、その勘違いをいたしたこと自体が申しわけのないことで、確認をしなかったことはおわびをしなければいかぬと思っております。

枝野委員 まず、麻生大臣に伺いますけれども、麻生大臣は政務次官になったときにはちゃんとわかっていて、国民年金に切りかえていたとおっしゃっておりますよね。なぜ今度は、大臣になったときには、気づかずに手続を怠ったのか。まるで合理的な説明になっていませんね。どう釈明されるんですか。

麻生国務大臣 手続のミスだったと反省しております。

枝野委員 手続のミスという話で済む話だというふうに思っていらっしゃるんでしょうか。

 この国会における、それは人によって判断は違うかもしれませんが、少なくとも、最重要法案の一つがこの年金改正である、それはさすがに閣僚である三人の方は御自覚あられたというふうに思います。そして、この年金制度改革の大きなポイントとして、国民年金の未納問題というのがあった。これも当然、政治家としてお三方には認識があったというふうに思います。その上で、女優さんの国民年金の未加入問題が大変世論を大きく騒がせました。私自身も、万が一にも自分で未納だなんてことなかったよねと念のため確認をいたしました。

 少なくとも、あの女優さんの未納問題があったときに、自分は大丈夫かという確認ぐらいするのは、国民の皆さんに保険料納付の値上げをお願いしている立場として当然の義務ではないですか。うっかりミスではなくて、政治家としての自覚の欠如ではないですか。

麻生国務大臣 自覚の欠如であったとは存じますけれども、今申し上げましたように、手続を怠ったというミスであって、払わないという意思があったというわけではないというように御理解いただければと存じます。

枝野委員 あとの二人も。

中川国務大臣 私も、払わないという意思があったわけではございませんが、時期のことは別にして、先週どうなっているんだと確認をしたところが、議員になって丸々払っていないということでございましたので、わかった時点でお支払いをしたわけでありますが、いずれにしても、私の認識のなさでございました。

石破国務大臣 恐縮です。万が一にもそのようなことはないというふうに信じ込んだところは、私の責任でございます。委員御指摘のように、女優さんの件があったときにまさかと思って調べてみるべきでございました。万が一にもそのようなことはない、毎月毎月振りかえが行われているというふうに私自身が安心しておった。その時期に調べるべきだったと御指摘をいただくとするならば、そのとおりでございます。

枝野委員 厚生労働大臣、国民年金の未徴収の問題が深刻だということで、厚生労働省は、社会保険庁は強制徴収を改めて最近やっているじゃないですか。それから、それこそ先ほどの女優さんの話じゃないけれども、保険料の、皆さんの納めた金を使って、納めましょうというキャンペーンを金をかけてやっているじゃないですか。金をかけてキャンペーンを張って、払いなさいと国民に向かって言いながら、自分たちの閣僚の仲間がこういうことになっている。厚生大臣、そんなこと許されると思っているんですか。

坂口国務大臣 未納問題につきまして、今厚生労働省として取り組んでおりますのは御指摘のとおりでございます。

 三人の大臣、長官からは、現在までの経緯についてそれぞれお話しになったところでございまして、お互いに気をつけていかなければならない問題だというふうに思っている次第でございます。

枝野委員 気をつけていかなきゃならない問題じゃなくて、厚生労働省、社会保険庁は、皆さんの保険料を使って、払ってくださいというキャンペーンを張っているんですよ。社会保険庁の公務員の皆さんが強制徴収の手続をとっているんですよ。強制徴収で差し押さえまでされている人がいるんでしょう。それとのバランスをどう考えるんですか、厚生大臣。

坂口国務大臣 まあしかし、過去の問題、それぞれの人の人生があって、そして払っていないという事実があります以上、それはさかのぼってお支払いをいただく以外にないわけでございますが、しかし、何年もさかのぼれるというわけではありません。二年という限定がついているわけでございますので、未納の皆さん方が反省をしていただいて、そして二年間さかのぼってお支払いをいただいているということでございますから、それぞれがこれは申しわけなかったというふうにおっしゃっているわけでありまして、今それ以上していただこうと思いましても、していただく道はないということでございます。

枝野委員 国民の皆さん、特に国民年金の皆さん、本当は払いたくないんだけどな、法律で決められているからしようがないんだよなと思っていらっしゃる、そういう皆さんが、皆さんのこの未納問題に対してどういうふうに受けとめられると思いますか、三人の大臣の皆さん。

麻生国務大臣 おっしゃるとおりだとは思いますけれども、残念ながら、そのときの認識として、今払っておると思っておったという手続上のミス、自覚の欠如だと存じます。まことに申しわけなく存じます。

中川国務大臣 確認の問題は別といたしましても、率直に申し上げて、こういう問題がなければ、私自身は、チェックをする機会がなければ、この状態が続いていたというのが私の率直な、まことに恥ずかしい話ではございますけれども、そういう認識でございました。申しわけないと思っています。

石破国務大臣 これは、常に確認をする、油断をしてはいけない、万が一にもそういうことがあってはいけないということで、きちんきちんと見なければいけないということを改めて認識をした次第でございます。それで、そういうふうに見ていかなければいけないのだなということを思っておりますし、それは、先ほど来麻生大臣もおっしゃっておられますが、自分は払わないというつもりも全くありませんし、毎月毎月落ちておったということを誤って判断をしておったということについて、私はもう既に責任があると思っております。月々、本当に見ていかねばならないというものだと思っております。

枝野委員 特に中川大臣、大変長い期間未納でございます。そして、中川大臣は、総資産約四千二百万円と資産公開されております。資産のある方で長期滞納の方には最後通告が行っているはずなんですけれども、受け取っていませんか。

中川国務大臣 率直に言って、私はそんな話は今初めて伺いました。

枝野委員 この問題は、時間がもったいないので、後で厚生省に、お三方の時間がなくなった後で聞きますけれども、お三方とも、最初に申しましたとおり、何か問題の意識を勘違いしておられるんじゃないか。皆さんが、納めていない、そのことをきちんと確認もしないで国民の皆さんに保険料の値上げという法案をお願いしている、このことを問うているんです。

 当然、人間ですからミスもあって、未納の期間があったりすることはあり得るでしょう。しかし、それは、国民の皆さんに値上げをお願いする以上は、例えば、過去について未納があった、これは私は反省しているとか、あらかじめあったりとか、せめて自分でチェックをして法案提出の時点で過去の払える分は払っておくとか、そういう対応が必要だったんじゃないですか。

 そもそも、お三方とも、これは内閣全体に対しての問題ですが、我々が、ちゃんと、大臣の皆さん、副大臣の皆さんが納めておられますかと資料要求をしたのは二週間前です。それから二週間全くお答えはなく、政府筋などは記者会見などでも、プライバシーの問題だというようなお答えが返ってきております。

 三人の大臣にお尋ねをします。国民の立場から見て、大臣であるお三方が過去納めていなかった、この事実はプライバシーとして保護されるべき問題だと思いますか。

麻生国務大臣 個人の話であることは間違いないと存じますので、私どもといたしましては、基本的には個々人できちんとして、内閣として対応すべき段階に来るまで個人の問題として伏せておられたというように理解をいたしております。

中川国務大臣 プライバシーの問題かどうか以前に、払っていなかった私の問題でございますから、私の責任であり、おわびを申し上げているところであります。

石破国務大臣 私の見解も中川大臣と同様であります。どういう問題だからということ以前に、理由はともあれ、お支払いをしていないということは事実でございますから、そのことにつきましては幾重もおわびをしておるわけでございます。

枝野委員 ちゃんと答えてください。国民の皆さんに隠せるならば隠したまま、黙ったまま、この法案を成立させた方がいいということですか。それとも、提案者としては、こういう問題があったのなら国民の皆さんにきちっとお伝えをする責任があるというふうにお考えになっているんですか。どっちですか。

中川国務大臣 私は、さっきも申し上げましたとおり、自分のミス、あるいはいわゆる善管注意義務、みずからのミスによりまして、こういうことがなければ、まことに申しわけないことながら、自分の国民年金を支払っているかどうかをチェックする機会がまだ先になっていたかもしれないというふうに思っているわけでありまして、私が払っていなかったのは私自身の責任でございますから、改めて、今できることを精いっぱいやったということでございます。

石破国務大臣 これは繰り返して申し上げて恐縮でございますが、自分は払っているという認識、したがいまして、これは、委員のお言葉をかりれば、そのまま隠してほおかむりして逃げようとか、そんな気があったわけでは全くございません。自分自身、これはもう毎月きちんと払っておって、これはお願いすべきものだという意識でございました。そこに勘違いがあったということを先ほど来何度もおわびをしておるわけでございます。

枝野委員 今のお二人の答弁を伺う限りでは、やはり法案提出の閣僚の皆さん、あるいはそれと一体になっている副大臣の皆さん、それぞれ皆さん、お三方のようなことがないようにきちっと調べて、間違いがあったら公表される責任があるというふうに思いますが、お三方ともそれでよろしいですね。

麻生国務大臣 間違いであった場合は、率直に開示すべきものだと存じます。

中川国務大臣 麻生大臣と同じでございます。

石破国務大臣 同様の見解であります。

枝野委員 ぜひ、本法案の主務大臣である厚生労働大臣、内閣の一員として、全閣僚、副大臣についてきちっと調べた上で、ほかに間違いがないかどうか、きょうの会見での御答弁も、むしろお三方はある意味正直だ、どうもあいまいな御答弁をされている方がたくさんいらっしゃいますので、全部きちんと調べて報告をしていただきたい。厚生労働大臣、いいですね。

坂口国務大臣 閣僚につきましては、そのように皆さんにお伝えをして、そういうふうにさせていただきたいと思います。

枝野委員 すぐに調べられますから、月曜日に出していただけますね、厚生労働大臣。

坂口国務大臣 きょうはもう金曜日でございますし、夜でございますから無理でございますので、月曜日には何とか提出できるようにしたいと思います。

枝野委員 三十分というお約束ですので、そろそろ時間がなくなってまいりましたが、改めて伺います。

 未納があったこと自体を私はけしからぬと言っているんではないんです。お三方とも、未納であったことをおわびしているし、確認を怠ったことについておわびをしています。確認を怠ったという感覚自体が、この法案の提出者として失格なんではないですか。

 国民の皆さんに保険料の値上げをお願いし、政府としては、皆さんも政府の一員ですから、政府としては、未納問題解決のために保険料も使い、強制徴収もしているという実態の中で、保険料値上げの法案を閣僚の一員として国会にお出しになるに当たって、こんな初歩的な確認も怠って国民の皆さんに値上げをお願いしている。そのことに対する政治責任は、単なる勘違いとかミスとかというレベルで通じるものだと思いますか。

 ますます国民の皆さんの年金不信を高める。そのことだけでも大臣をやめるに値する重い責任があるんじゃないですか。大臣をおやめになる気はありませんか。

麻生国務大臣 国民年金を、おのれのミスとはいえ、払っていなかったという事実が六十歳までの間約三年ありました点につきましては、私どもとして深くおわびを申し上げる次第であります。

 三十年払い続けておって、最後に、自分のミスとはいえ、この種のことで御迷惑をおかけすることになりましたことは大変申しわけなく存じますが、大臣をやめるかと言われれば、小泉総理に任命をされております立場を考えまして、私の方から大臣を辞任するつもりはございません。

中川国務大臣 冒頭申し上げましたように、当委員会あるいはまた国民の皆様、そして内閣に大変御迷惑をおかけしたことは、もう何回申し上げても足りるものではないと思っております。

 私は小泉総理に任命された閣僚でございますので、任免権は小泉総理の御判断だと思います。

石破国務大臣 未納だったことをおわびしているのではなくて、不注意であったことをおわびしているという御指摘であれば、それは、未納となった、結果的に未納となった理由は不注意であったことをおわびしておるのであって、もちろん、その前に、未納をおわびいたしておるわけでございます。

 閣僚の件につきましては、これは総理から任命をちょうだいいたしておりますので、私からとやかく申し上げることではございません。

 未納の問題につきましては、幾重にもおわびを申し上げる次第でございます。

枝野委員 年金については、この委員会でも、あるいは皆さんもお聞きになったと思います本会議などでも、国民の皆さんからの信頼が一番大事なわけです。国民の皆さんから信頼をされるためには、その制度を運用している、制度を組み立てている人たち自身が、その制度に乗っかってきちっと責任を果たしているということが前提になければ、国民の信頼なんか得られないじゃないですか。

 国民の信頼を回復して年金改革をしようと言っているときに、その言い出しっぺの方が自分の責任を怠っていたというようなことに対して、ただ、ごめんなさいという話だけで国民の皆さんが本当に納得をされるとお三方とも思っておられるのか、あるいは厚生労働大臣も思っておられるのか。

 ますます国民の皆さんは、大臣だって払ってなくて、そして、そのことについて指摘をされるまで気がつきませんでしただなんという言い逃れで済ませている、こういう実態を国民の皆さんが知ったら、ますます年金不信が高まって、年金の空洞化は拡大をする。これは、どう見ても間違いないんじゃないでしょうか。

 ぜひ、お三方には、年金に対する国民の皆さんの信頼を取り戻すためにも、速やかにみずからの政治責任をお果たしいただきたい。そのことを申し上げて、ぜひ、我々から法に基づいた手続をとる前におやめいただくことを期待して、お三方は結構でございます。

衛藤委員長 麻生総務大臣、中川経済産業大臣、石破防衛庁長官は退席していただいて結構でございます。

枝野委員 先ほど、中川大臣の最後通告があったのかなかったのか聞きましたけれども、厚生労働省、社会保険庁は、資産がある方で長期にわたって未納の方に対しては、最後通牒をした上で強制徴収を始めています。

 何で中川さんのところにやっていないんですか。資産が、総資産四千二百万円もあるんですよ。当然、支払い能力の資産のある方ですよ。そして、二十年、三十年、こんな長期にわたって未納、一種、悪質ですよね。どうして、ここにはそうした通告をし、催告をし、強制徴収をしていないんですか。おかしいじゃないですか。

坂口国務大臣 加入手続をしている人につきましては未納者として挙がってくるわけでありますが、中川大臣のときには、加入手続をしていなかったために、社会保険庁のリストには挙がってこなかったということでございます。

枝野委員 そういう制度のまま保険料を値上げしていいんですか。

坂口国務大臣 ですから、今回もすべての皆さん方に加入をしていただくようにしているわけでございまして、最近は、学生の皆さん方につきましても、卒業していただきましたらすぐにそれは加入手続をしていただくようにしているわけでありまして、加入手続をしていただいておりますが、未納者の皆さん方は出ているということは現実でございます。

 しかし、加入手続をしていただくということに今鋭意すべて切りかえているわけでありまして、過去の問題と現在の問題とございますけれども、これからはすべての方に加入をしていただくということにしていかなければいけないというふうに思っております。

枝野委員 今までだって国民皆年金じゃなかったんですか。すべての人に、厚生年金、共済年金以外の方には加入をしていただくという制度だったんじゃないんですか。そして、今までも加入をしてくださいと、保険料を使ってキャンペーンを張ってきたんじゃないですか。それなのに、足元で未加入の方がいらっしゃったんですよ。全く制度として成り立ってないということじゃないですか。

坂口国務大臣 現在はいわゆる年金番号制度を導入いたしておりますので、現在はすべての人に加入をしていただくようになっている。加入していただかない人はすぐにわかりますから、催促を申し上げるというふうにいたしているわけでありまして、全員の皆さん方に加入していただくような手続を今しているところでございます。

枝野委員 だって、中川さんには全然催促してないじゃないですか、加入してくださいと。だから、未加入だったと言っているんでしょう。加入をしていれば督促手続があったかもしれないけれども、未加入の人に全然督促してないじゃないですか、入ってくださいと。今の答弁、全然成り立ってないですよ。

坂口国務大臣 番号制度ができましてから後の人とその以前の人と違うわけでありまして、番号制度ができました後の人はすべて皆さん方に加入をお願いするということができるわけでございますが、それ以前の皆さん方の場合には、しかも、なお加入していただかなかった人に対しましては、その番号そのものがついていないということでございまして、そうしたことも、しかし、それでいいのかと言われますと、それはいけないわけで、改善をしていかなきゃいけないと思っております。

枝野委員 どこかこの法律に改善策が書いてありますか。そして、督促されても、加入をしている人が未納だったら督促手続があるかもしれないけれども、幾ら言われても加入したくないという人に、これは督促手続とれるんですか、差し押さえできるんですか。どうですか。

坂口国務大臣 ですから、番号制ができましてから後の人は皆、加入をしていただくように番号をつけております。ですから、その前の皆さん方につきましては番号はついていないものでございますから、その皆さん方に対しても、加入してくださいということを今お勧めしているわけでございまして、したがって、国民全部に番号がついているわけではないということでございまして、その以前のついていない人たちにも、現在は加入してくださいということをお願いしているところでございます。

枝野委員 だから、お勧めしているけれども、実際、あなたの足元のお仲間が、閣僚が、全然そんなこと知らなかったと言っているんですよ。全然、言っていることとやっていることが違うじゃないですか。それに対して何か手を打っているんですか、今度の法案で。何もないじゃないですか。

 結局、中川さんのように、自分では払っているつもりだったんだ、払っていなかったという人がこれからも出てくるんじゃないですか。あるいは、加入しろという催促を幾らしたって、加入するの嫌だという人には差し押さえできないんでしょう、今の制度で。そうしたら、空洞化はどんどん進みますよね。まして、大臣まで納めてなかったんじゃ、おれもいいやという人が残念ながら出てくるんじゃないですか。どうですか。

坂口国務大臣 ですから、今まで加入をしていなかった人たちに対しましては、これは広報でお入りくださいということを呼びかける以外にないわけでございまして、それは現在そういうふうに一生懸命にやっているわけであります。しかし、最近の皆さん方には、したがって、すべて加入をしていただいている、こういうことでございます。

枝野委員 本当ですか。最近の人は本当にみんな加入していますか。未加入、いませんか、若い世代に。

森副大臣 現在は、二十になった人に対しては職権でもって加入を勧めるような制度になっていますから、昔入っていない人は、これはちょっと、実はブラックボックスみたいになっちゃうんですけれども、これから二十になる人には全部直接呼びかけることができるということで、また、確かに、先ほどの中川さんのケースですと、とにかく一般的な広報でもって対処するしかないというのが実情でございまして、それについても、また今後、いろいろな手だてを工夫してみたいと思います。

枝野委員 直接呼びかけても嫌だと言っている人はどうなっているんですか。

森副大臣 ですから、今では、二十の人に対しては職権的に加入を適用できるということでございます。

 ちなみに、平成七年、十年、十三年で見ますと、未加入者は百五十八万から九十九万、そして六十三万というふうに大幅に減ってきております。

枝野委員 だったら、ほかの人も、上の人たちも強制手続すればいいじゃないですか。何で、二十の人には強制加入手続とれるのに、職権でできるのに、上の人にはできないんですか。(発言する者あり)

衛藤委員長 ちょっとお静かに。

森副大臣 本人と接触いたしまして、一号であるということが確認できましたら、職権で適用できます。

枝野委員 だったら、何で、中川さんとかそういう方は、三人もこんな話が出てきているんですか。

 まず、この法案を国会に出すに当たって、提案者である閣僚の皆さん、ちゃんと払っているのか、払っていないのか、厚生労働省と社会保険庁でチェックして、あんた、入っていないんだから、入らないとまずいよ、国民の皆さんに保険料の負担をお願いするんだから、それぐらいのことをできなかったこと自体が、今の制度はおかしいんですよ。

 この問題自体、まだまだ聞かなきゃならないことがありますので、あと一時間はこのことで質問させていただきたいので、そのことを留保した上で、ほかにも大事なことがありますから、聞かせていただきます。

 選択エージェンシーの疑惑問題。選択エージェンシーの汚職事件は大変深刻な話でありますけれども、この選択エージェンシーに書籍をつくらせて、そしてそれを保険料で購入している。つまり、保険料が選択エージェンシーに渡っている。その渡された保険料の中から、厚生労働省、社会保険庁のお役人が監修料と称してお金をもらっている。この額が大変多額に上っていますが、これが社会保険庁にプールをされて、裏金になっていた。こういう疑惑が挙がっていますが、資料はたくさん出していただきました。社会保険庁のお役人が、選択エージェンシーから監修料と称する話で幾ら受け取っていたか。むちゃくちゃな話がありますよ、一つの監修で一人で六百万だなんていう話もありますよ。

 社会保険庁で、年金の周知徹底のために金を出してやっている事業に、社会保険庁のお役人が監修をして、金を受け取っている。このこと自体おかしいんですが、その金が役所の事実上の裏金になっている。違いますか。

坂口国務大臣 御指摘をいただきましたように、社会保険庁というふうに言っていただきましたけれども、社会保険庁だけではなくて、厚生労働省の職員も含まれておりますが、選択エージェンシーから報酬を受けて、書籍等の監修等の作業に当たっておりまして、このことの事実につきましては、現在、さらに調査を続けているところでございます。現在までのところわかりました分だけにつきまして御報告を申し上げたということでございます。

 これは大変な問題だと私も認識をいたしておりまして、監修ということについて、一般的な書籍と申しますか、国が関与しない本についての監修を、個人的に、しかも夜間等でやられるというのは、それは私はそういうことはあり得るんだろうというふうには思いますけれども、しかし、国が出しております手数料なり、あるいはまた一部でありましても国が出しておりますものについて監修をするということは決して許されることではない、そういうふうに私も認識をいたしております。

枝野委員 その金を組織的にプールして、職員の飲食代や交通代などとして流用され、部署として代々引き継がれていたということが指摘をされているんですよ。こんなこと、調べなくたってすぐわかりますよ、当事者は。こういう事実、あったんでしょう。

坂口国務大臣 そうした監修をした人たちは、自分の所得として税務署にもそれは届け出をいたしているわけであります。その後、それをどういうふうにみんなで使っていたか、あるいはまたその人が使っていたかということについて、まだそこまで詳細にわかっておりませんので、現在、そうしたことも含めて調査を進めているところでございます。

枝野委員 個人の所得になっていたとしても、今大臣がお認めになったとおり、先ほどお認めになったとおり、役所でつくっている本を監修して、役所の人が金をもらっているということ自体が問題なんですが、まさに部署でプールをして裏金として使っていたというと、組織ぐるみでこのことをやっていた、裏金づくりをして皆さんの保険料を食い物にしていたという話ですよ。まさに構造問題ですよ。個々人の問題じゃないですよ。そんなことは調べる以前の問題で、当事者が一番よくわかっているんですよ。答えられないんですね。

坂口国務大臣 私しか答弁ができないことになっておるようでございますから、私が御答弁申し上げる以外にございませんけれども、いわゆる課長以上の人たちはそういうことではなかったということは事実でございます。

 ただ、いわゆる係長以下の皆さん方の中にそういう監修をしていた方があることだけはもう事実でございまして、皆さん方のところにも一部はそれは御報告を申し上げたとおりでございます。そのお金が、その人が個人が使っていたのか、あるいはそれを他の人にも利用させていたのかということについてまで、今私も確認ができておりませんから、これは今後確認をさせていただきたいと思います。

枝野委員 これも厚生省の内部の話ですから、月曜日には御報告をいただきたいということを申し上げておきます。

 それから、内閣府に来ていただいていますが、内閣府は経済成長率や物価上昇率、賃金上昇率など見通しを立てていますが、いつの分まで立てていますか。

西川大臣政務官 私の方は、「構造改革と経済財政の中期展望」二〇〇三年度の改定版で、五年間、見通して立てております。

枝野委員 内閣府と言うとわかりにくいわけですが、旧経済企画庁ですよね。なんで五年間しか見通しを立てていないんですか。

西川大臣政務官 長期にわたりますと変動する要因がたくさんありまして、なかなか見通しが立てにくい、こういうことでありまして、中期的な分五年間、これにつきまして立てている、こういうことであります。

枝野委員 厚生労働省は、この年金の計算、財政計算を、五十年、百年先までやっているんですか。その数字は、専門家である旧経済企画庁ですら今のような答弁になっているのに、どういう根拠に基づいて、どういう研究に基づいて、どういう根拠でお出しになってきているんですか。

竹本大臣政務官 内閣府の方でやっておられます中期モデルというもの、これは五年間ぐらいを見通しておるわけでございますけれども、経済の変動その他社会動向というのは急激に変わる可能性もあるので、せいぜい五年ぐらいということでありますが、我々の担当しております年金問題というのは、保険料を納める二十歳から寿命を終えるまで、人によって八十年を超える超長期の保険でございます。

 したがって、将来の変化が不確実であるとしても、一定の前提を置きまして、人の人生に相当する期間を射程に置いて財政均衡を図ることは、将来に対する責任ある備えをするという意味で必要なことだ、そのように思っておるわけでございます。このため、年金財政の見通しに当たりましては、中期モデルのような詳細にわたる緻密なモデルではなくて、長期的なトレンドをもとに長期の財政均衡を図り、それを定期的に検証する、つまり五年ごとに検証をするということで財政の長期安定を図ることにしておるわけでございます。

 具体的には、「改革と展望」、これは政府の参考試算でございますけれども、これの期間が二〇〇八年まででございますから、その以降、二〇〇九年以降につきましては、年金資金運用分科会で議論いただいておりまして、マクロ経済に関する基本的な議論の上に立ってこういった試算を行っておるところでございます。

 大きい人生のスパンを考える意味で、どのようなお金の手配をしておくことが必要かという大きい視点からやっておるという意味で、内閣府で使っておられるような五年ごとの緻密なものではない、大きいトレンドを見るものであるということでございます。

枝野委員 緻密じゃない。緻密にやっている内閣府の計算も、残念ながら当たらないんですよね。緻密じゃない話、どうしてこれが当てになるんですか。実際に過去も、五年ごとの財政再計算、全部見通しが外れて来ていますね。そして、緻密じゃないとみずから認めているわけですね。

 全く当てにならない数字、それに基づいて、財政のつじつまが合いますと言っているだけの話にすぎないということを今の御答弁でお認めになったと言わざるを得ない。まさに、数字を出していること自体が、こんな仮定に基づいた数字では意味がないということを申し上げておきたい。

 さらに、なぜ意味がないのか、具体的なことを申し上げましょう。

 経済産業省も来ていただいています。先ほど大臣がいたからそこでも聞きたかったんですが、経済産業省は、中川大臣が昨年の十月三日、経済財政諮問会議に「年金制度改革の経済・産業への影響」というのを出しました。そこには、一九九八年、経済産業研究所の実証データの研究として、年金保険料を二〇%とすれば、失業率が最大一・三%上昇し、百万人の雇用が削減されるおそれがあるということをおっしゃっております。間違いありませんね。

泉副大臣 経済財政諮問会議において、中川経済産業大臣がそのような発言をしたことは事実であります。

枝野委員 年金の保険料は、政府案では、二〇%にならずに一八・三%になりました。一八・三%の場合、この経済産業研究所の数字に基づいて計算をすれば、失業率が約一%上昇し、七十五万人の雇用が削減されるおそれが出てくるということになります。我々は、保険料を値上げすれば、企業側が、その保険料負担の重みに耐えかねて、雇用を厚生年金の加入義務のない非典型労働へ大きく移すだろうということを指摘してきていますが、まさにそうしたことが、政府の内部の発言、検証からも出てきているわけであります。

 今回の年金計算にこういう数字を入れ込んでいますか、厚生労働大臣。

竹本大臣政務官 経済産業省の方の研究というのは、九〇年から九三年の実証データをもとに、賃金水準が低下すればリストラがどの程度緩和されるかについての研究でございます。したがって、賃金水準の一%の抑制によって、雇用調整の量は〇・二一%小さくなるという結果を導き出したものと理解しております。

 この研究は、九〇年から九三年という特定の四年間の経済状況を前提といたしまして、賃金水準の調整と雇用の調整の関係を調べたものであり、中長期的に経済が発展する中で、保険料の引き上げが雇用にどのような影響を及ぼすかというところまで織り込んだ分析ではないと考えております。

 今回の改正案におきます厚生年金の保険料水準の引き上げは、二〇一七年までかけて順次引き上げていくものであります。その間、日本の経済社会は九〇年代前半の状況にとどまっているわけではないので、保険料の引き上げにつきましては、生産性の上昇などの経済の変化の中で、その影響をとらえるべきものであると我々は考えております。こういったことから、御指摘の研究の結果を年金の財政計算に織り込むことは行ってはおりません。

 それから、政府の「改革と展望」二〇〇三年度改定の参考試算におきましても、年金保険料の引き上げを含めまして、いろいろの構造改革について一定の仮定を置いて計算した結果、二十年までの間、失業率が上昇したり経済がマイナス成長となるような見通しとはなっておりません。

枝野委員 だから、その見通しが本当にいいんですかという話で、これは経済財政諮問会議に出しているんですよ、雇用に影響があると、実際に。政府の閣内不一致じゃないですか。

 さらに言いましょう、時間がないから。

 日本経団連が二〇〇三年十一月十八日発表した調査結果によれば、保険料が二〇%に上がった場合、七八%の企業が労働形態の転換を勘案すると答えています。日本商工会議所の二〇〇三年十月七日発表の調査でも、五三%が賃金調整を検討する、五二%が厚生年金の適用を受けない形態への転換を検討するとしています。

 きのうの参考人質疑でも、日本経団連は、企業が耐えられる保険料は一五%が限界と強調をしています。

 政府案ではこうした雇用への悪影響を及ぼすのは、当事者の皆さんが認めておられるじゃないですか。大臣、答えてください。こんなのでいいんですか。

竹本大臣政務官 お説どおり、保険料の引き上げによって企業や個人の負担はもちろん大きくなるわけでございますけれども、企業にとりましても、年金等の保険料負担をすることによって老後の不安を解消いたします、そのことによってやる気を起こさせるという意味で、生産効率が上がるというふうに私たちは考えておるわけであります。

 そういうことで、戦後、厚生年金保険料は一貫して引き上げられてきたわけですけれども、これによりまして雇用にマイナスの影響が出てきたということは見られておりません。年金の保険料は、時間をかけて徐々に引き上げられるものでありますから、社会構造の変化に応じて、発展する経済の中で、ほどのよさを見ながら引き上げていく、そういう意味で、悪い影響は出ないというふうに考えております。

 年金改革に関する有識者調査というのをやっておりますが、この結果でも、給付と負担の関係を……(発言する者あり)

衛藤委員長 御静粛に願います。

竹本大臣政務官 説明した上で、保険料水準の限界について、経済界の分野の方の、こういうことなんでございますが、約六割が年収の二〇%まで負担もオーケーと回答しておられますし、一定の前提を置いて考えますと、保険料の引き上げによって人件費全体に与える影響は年率〇・〇九%と、決して大きいものではないというふうに我々は考えております。

 そして、そうはいうものの、経済は動くものですから、五年に一度、財政状況の見直しをしておる、こういうことでございます。(発言する者あり)

衛藤委員長 御静粛に願います。

枝野委員 きのうの参考人質疑は何のためにやったんですか。日本経団連の代表と連合の代表と、つまり被用者と雇用者の両方の代表が、一五%までしか耐えられないと。当事者が、この国会にわざわざお呼びをして、お答えになっているんですよ。それに対して、それは違うと言うんだったら、ちゃんと実証的な答えを出してくださいよ。

坂口国務大臣 枝野議員はもうよく御存じのことでございますけれども、これから年金の負担が、それが保険料であるか、あるいは税であるかは別にしまして、多くなっていくことだけは紛れのない事実でございます。

 保険料で上げますときには、先ほどから御議論がありますように、保険料は保険料としての影響というのを私たちも否定するわけではありませんで、それはそれなりに起こり得るというふうに思っております。しかし、それを税に変えれば何も起こらないのかといえば、これは、税は税としてまたその影響が出るわけでございます。

 例えば、消費税を導入いたしますときにも大変大きな問題になりましたけれども、消費税を導入する、消費税を上げることによる経済的な影響というのも大きいわけでございまして、それによって企業がどういう影響を受けるか、そうしたこともバランスにかけてこれは考えていかなければならない問題だというふうに思っております。(発言する者あり)

衛藤委員長 御静粛に願います。

枝野委員 それで、財務省に来ていただいています。

 我が国では過去に、消費税二回、ゼロから三へ、三から五へと上げています。消費税を上げた場合に、どれぐらい経済にマイナスの効果が出たんでしょうか。あるいは、財務省として、消費税を上げると経済にどういうマイナス効果が出るというふうに認識をされているんでしょうか。

山本副大臣 消費税率を上げた場合に、景気、雇用にどの程度の影響があるかにつきましては、具体的に、いつ、どのような形で税率を引き上げるのか、また、その時点におけるさまざまな経済活動の状況がどのようになっているかなどによって大変異なることでございます。これらの点が明らかでない中、仮定での御質問にお答えするということは大変困難であることを御理解いただきたいと思います。

枝野委員 まさに今のところ、つまり、保険料を上げた場合の雇用や経済に対する影響と消費税の場合の影響と、私が把握をしている経済の分析に基づけば、消費税の場合は、消費税が上がる前の駆け込み需要と上がった後の落ち込みとをならすと、基本的には、消費動向などには中期的には大きな影響を与えないというのが一般的な見方であるというふうに思っておりますので、その辺の議論をいよいよ煮詰めていきたいと思いますので、来週も時間をかけてしっかりと議論をしたいというふうに思います。

 以上です。

衛藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後八時十五分散会


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