衆議院

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第5号 平成17年3月11日(金曜日)

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平成十七年三月十一日(金曜日)

    午前九時十三分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    小渕 優子君

      大前 繁雄君    加藤 勝信君

      木村  勉君    木村 義雄君

      小西  理君    河野 太郎君

      菅原 一秀君    田中 和徳君

      中山 泰秀君    西川 京子君

      葉梨 康弘君    原田 令嗣君

      福井  照君    古川 禎久君

      保坂  武君    三ッ林隆志君

      御法川信英君    水野 賢一君

      宮腰 光寛君    吉野 正芳君

      渡辺 具能君    石毛えい子君

      泉  健太君    泉  房穂君

      大島  敦君    小林千代美君

      城島 正光君    鈴木 克昌君

      園田 康博君    中根 康浩君

      橋本 清仁君    藤田 一枝君

      水島 広子君    山花 郁夫君

      横路 孝弘君    米澤  隆君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      山口 富男君    阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      衛藤 晟一君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       伍藤 忠春君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 井口 直樹君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  中西 一善君     西川 京子君

同月十一日

 辞任         補欠選任

  青山  丘君     木村  勉君

  上川 陽子君     保坂  武君

  木村 義雄君     田中 和徳君

  西川 京子君     水野 賢一君

  森岡 正宏君     小渕 優子君

  泉  健太君     鈴木 克昌君

  藤田 一枝君     山花 郁夫君

同日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     古川 禎久君

  木村  勉君     葉梨 康弘君

  田中 和徳君     木村 義雄君

  保坂  武君     上川 陽子君

  水野 賢一君     西川 京子君

  鈴木 克昌君     泉  健太君

  山花 郁夫君     藤田 一枝君

同日

 辞任         補欠選任

  葉梨 康弘君     青山  丘君

  古川 禎久君     大前 繁雄君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     加藤 勝信君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     森岡 正宏君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 介護保険法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案及び介護保険法施行法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長瀧野欣彌君、厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君、社会・援護局長小島比登志君、老健局長中村秀一君、保険局長水田邦雄君、政策統括官井口直樹君、社会保険庁長官村瀬清司君、社会保険庁運営部長青柳親房君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山花郁夫君。

山花委員 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法の一部を改正する法律案について議論させていただきたいと思います。先日、本会議でも大臣とは少し議論させていただきましたが、改めて、まず、ちょっと細かな通告はしていないこともありますけれども、基本的なことについてお尋ねをしたいと思います。

 今回のこの国保の一部改正の法律案、これは、いわゆる政府の進めている三位一体の改革の関連ということで出てきたものと承知をいたしております。その上で、この三位一体の改革という言葉なんですけれども、つまりは、税源の移譲を行って、それとともに国庫補助負担金を削減し、あわせて交付税の改革を行う、これを三つ同時で行うという話でありますけれども、私は、これは先日本会議でも申し上げたとおり、あくまでも手段であると思っております。その目的は何なのかというのは、それをやれば何が起こるという話というか、目的としているところは、真の意味での地方分権というものを実現するために行う、地方分権を推進するために、いわば税源移譲、国庫負担金の削減、交付税改革というのはあくまでもその手段である、このように思っております。

 先日も申し上げましたけれども、この三位一体の改革というものについて、経済財政運営と構造改革に関する基本方針の二〇〇三、いわゆる骨太〇三ですけれども、経済財政諮問会議で決定する際に行われた内閣総理大臣の指示の冒頭でも、地方がみずからの創意工夫と責任で政策を決めるであるとか、あるいは地方が自由に使える財源をふやすであるとか、また地方が自立できるようにすることを目指すんだ、こういうことが述べられているわけであります。

 昨年は、当委員会ではどうであったかはよく承知をいたしておりませんけれども、総務委員会を初め地方の方では、もう本当にその三位一体の話に明け暮れた一年であったと思いますし、特に、八月二十四日、地方六団体が国庫補助負担金等に関する改革案というものを出しました。この改革案の取りまとめに当たりましては、六団体の中でもかんかんがくがくの議論があって、最後には採決までして決めるというようなことで出されてきたものであります。

 この中で、移譲対象補助金について、二期に分けまして、全体では例えば九兆、八兆ということになっておりますけれども、これについての案というものが出てまいりました。地方六団体、特に地方団体は、国もそうなんですけれども、財政状況が厳しい折に、今までのものを丸ごとよこせという話ではない、ただ義務的経費については十割ちゃんとよこしてくださいよ、裁量的な分はそれでももう我慢します、八割でいいです、こういうふうに痛みを分かち合うことも覚悟の上でということで出してきた改革案だったわけであります。

 国保の話だけではなくて全体的な話をしますけれども、地方団体からの案があって、これに対して厚生労働省としては、真摯にその案を受けとめたということにはなっているんでしょうけれども、一体どういう形で回答をされたのか。つまりは、六団体案はこうであった。金額にすると七千億程度でしょうか。これについて、例えば項目でいうと、この部分についてはちゃんとその言ったとおりの回答をしました、あるいはこの部分については違いますというような仕分けでいうと、一体どういう形の回答という位置づけになるのか、この点についてお尋ねをします。

尾辻国務大臣 冒頭おっしゃったように、大きくお尋ねだと思いますから、昨年、今お話しのように、地方の団体の皆さんが案をお出しいただいた、そして私どももまたそれに対して案を出した、その両方の案を出し合いながら、随分議論をいたしました。そのときの議論の一番の大きな部分でお答えをいたしたいと思います。

 私どもが言いましたのは、やはり社会保障ということの性格上、どうしても国と地方で役割分担をせざるを得ないと思いますよね、その役割分担がどうなるかということで議論をさせてくださいということを申し上げました。よく私はその議論の中で、オール・オア・ナッシングというものではないですよねという表現を使ったんですが、そういう言い方を私どもはいたしました。

 地方の団体の皆さんがお出しいただいた案というのは、事業ごとに、この事業を全部廃止しろとか、自分たちに任せてくれ、もう全部税源移譲だとか、そういう一般財源化ということをやってくれ、こういう御議論でしたから、私どもが言いましたのは、そういうふうに事業を一つずつ地方の方がおとりになるというものでは、個々の事業を積み上げて一つの体系をつくっておると考える私たちの立場からは、ここの部分をぱっと抜かれたり、積み木論で私はその議論を随分したんですが、一つの積み木をぽんと抜かれると全体が崩れてしまったり形がいびつになったりしますから、ぽこっぽこっと抜く発想ではなくて、全体をどうするかという議論をぜひさせてくださいというふうに申し上げたわけであります。

 この辺の議論をしていましたので、基本的に、そうしたところの認識が地方団体の皆さんと私どもの間にちょっと違っていたかなというのは、議論を振り返って思うことでございます。

 先生もきょうは大きな議論をしたいとおっしゃるので、まずは、そういう議論をしましたということをお答え申し上げて、また先生の御議論を待ちたいと思います。

山花委員 今のお答えは、多分、国と地方の協議の場でも、大臣の方からそういう話をされていたと思います。

 ただ、確かに、社会保障全体について、国の役割、地方の役割というのを、去年のでおしまいということではなくて、これから永続的にやっていくということは非常に大事なことだと思います。

 ただ、積み木の例えで言われていますけれども、ある意味、私は当事者ではありませんから、外から見ていて、そういうふうにとらえられるのも地方団体にはちょっと気の毒かなと思っていまして、といいますのも、もともと三兆というオーダーがあったわけですよ。その中でどうやってやりましょうかという議論の立て方だったものですから、そうすると、全体がどうだという形よりも、とりあえず何ができそうかという話になってしまうわけで、全く金額的なオーダーなしに議論があったのであれば、もう少し違った形になっていたのかなとも思います。

 また、厚労大臣に申し上げる話でもないのかもしれませんけれども、非常に話題になりました例の義務教育費の国庫負担金についても、中学校分と小学校分、論理的には何で中学校分だけなのかとかということはあるんですけれども、もともと、やはりあれについても、三兆という数字に合わせるためにはどうするかということで出てきてしまったというふうに思っております。また、今回のは三兆の枠ですから、六団体としては、全体としては九兆というのがあって、あくまでも、今回というか、去年の国と地方の協議の場で議論をされたことは、その第一期分であるということなわけであります。

 先ほどうなずいておられましたから、ちょっと確認をしたいんですけれども、国と地方との役割分担ということを、社会保障のあり方に関して永続的に今後も議論をしていく、そういうおつもりがあるということですね。

尾辻国務大臣 もうそれはそのとおりであります。そして、まずは生活保護をどうするかということを早速に議論しなきゃいけないというふうに思っております。

 そして、私がうなずいておりましたのは、先生がおっしゃった、最初に数字のオーダーがあったものですから、お互いに何となく数字合わせの部分があったということは否定できないところであったということは先生のおっしゃるとおりで、振り返ってみて、御指摘のとおりだなと思って、うなずいておったわけでございます。

山花委員 また、厚生労働大臣に伺うというよりも、やはり政治家としてという話になるのかもしれませんけれども、国のあり方として、分権を進めていくということは私たちは非常に大事なことだと思っております。

 つまり、中央の役所が、悪く言えば、本当に地方の自治体のはしの上げ下げまで指導しているということになるんでしょうが、実態をもうちょっと冷静に見たときにも、中央省庁の役所が地方のことについて細かにやっているそのマンパワーだとか、あるいはそれにかかるコストということを、もっと地方の方に任せて、本当に国でしかできないということを重点的にやっていくということが極めて大事なことだと私どもは考えているわけです。だからこそ分権をきっちりやっていこうじゃないか、こういうふうに思っているわけです。

 そして、今回のこの三位一体、全体の議論の中でも、どうも、ちょっと報道もそういうトーンで書かれていることもあるので気になっていたんですけれども、何か、補助金がなくなると事業そのものがあたかもなくなってしまうかのような書かれ方をしていたりとか、そういったような表現をする人もいたように記憶していますけれども、そうではなくて、今回のこの六団体についても、この人たちはこの補助金は要らないと言っているわけですよ。要らない、それで事業をやらないと言っているんじゃなくて、自分たちでやらせてくれという話をしているわけであります。

 個別のどの補助金がどうこうという話ではなくて、やはり今後の国のあり方としても、今、非常に中央集権的な体制に対して、いろいろな弊害が出てきている。かつてのように工業先進国になるんだという、明治二年に版籍奉還を行って、四年に廃藩置県を行って、それから近代的な国をつくっていくという意味では、すごく中央集権的なやり方というのが意味があったんでしょうけれども、もはや情報化の時代になってきますと、必ずしもその必要もない、むしろ地方の方に任せてあげることが大事なんだと思います。

 個別の補助金がどうこうという話ではありませんけれども、今後やはり地方に任せていく分野というのはどんどん出てきてよいと思いますけれども、それは、厚生労働省が持っている権限の中でもそういったものは今後整理していくと出てくると思いますけれども、そういった方向性についてどのようにお考えでしょうか。

尾辻国務大臣 まさに大きく申し上げますと、社会保障、国と地方が一緒になって頑張っていかなきゃいけないというのはそのとおりでありますが、では、その役割分担というと、まさに大きく言うと、制度をつくるのは国の役割だと思います。それはもう全国一律で、やはり社会保障というのはひとしく国民がサービスを受けるというのが望ましいことですから、そういうことになろうと思います。ただ、それを実施していただくのは地方の役割。一番大きく言うと、こういう役割分担になると考えます。

 そのときに、では、地方でやっていただくに当たって、よく言われる、はしの上げおろしまで国が言うじゃないか、これは改めるべきだと思います。今度も私どもはできるだけそういうものを改めようと思いましたから、言いましたのは、補助金から交付金化ということは随分努力をしたつもりであります。

 すなわち、補助金というのは、この施設をつくる、そして、この施設に対して半分補助しますとかというと、地方の裁量というのは、この施設をつくる、それで半分補助金をつけますということですから、もうほとんどない。それに対して、交付金で出してあげれば、地方の裁量で、その交付金の中でどういう施設をつくるかというのも考えていただける、こう思いましたから交付金化ということを考えたというのが一つであります。ですから、今先生がおっしゃるように、地方の裁量を高めようという努力を今度の中でもしたつもりでおります。

 まず、一番基本のところでお答え申し上げると、そういうことでございます。

山花委員 総務大臣と議論をしているわけではないので、分権の話は余り事細かなことは言いませんけれども。

 どうしても、地方分権の議論になりますと、伝統的な行政学の大陸系と英米系みたいな議論がされがちなんですけれども、今、大体、世界的な動向を見ていると、非常に分権の進んだ国では、むしろもうちょっと国が関与した方がいいんじゃないかという議論がされていたりとか、逆に、中央集権的な国ではもっと分権を進めようというような議論がされているように感じます。

 その中で、つまり、従来、分権というと、極端なケースでいうと連邦制の形を思い浮かべて、そこまで行くのかと。一方、大陸系、日本も大陸系という形で分類されているんでしょうけれども、これでいいのかというような、かなり極端な議論になりがちなのかなという印象を持っておりますけれども、最近、特に北欧なんかの国のやり方なんですけれども、基本的には地方に任せているんです。ただ、国の側はガイドラインを設定するだとか、要するに分権融合型と講学上いうようですけれども、そういうような形でかかわる。例えば生活保護についても、基本的に国の直接やる話ではなくて自治体にお任せをし、ただミニマムのところはこうしてくださいよという形で国がかかわるというようなやり方というのをやっているようでありまして、私はそういうのに非常に学ぶべき点があるのかなと思っております。これは意見として申し上げておきたいと思います。

 ところで、この国庫補助負担金等に関する改革なんですけれども、昨年の政府案の取りまとめの際に、これは九月三日の閣僚懇なんですけれども、内閣総理大臣の方から「三位一体の改革については、内閣官房長官を中心として、総務大臣、財務大臣、経済財政担当大臣をはじめ、関係各大臣が互いに協力し、政府一丸となって、十一月半ばを目途として全体像の取りまとめに当たってもらいたい。」「改革の検討に当たっては、地方からの改革案を真摯に受け止め、関係各大臣は、改革案の実現に向けて率先して、責任を持って、全力で取り組み、平成十七年度予算に最大限、活かしてもらいたい。」という発言があり、また、九月七日の三位一体の改革に関する大臣会合において内閣官房長官の方から、少し長いので全部は言いませんけれども、「検討に当たっては、地方からの改革案を真摯に受け止め、補助事業等の所管府省が地方の改革案を実現することを原則として検討をおこなってもらいたい。」こういう発言があったわけであります。

 このように、九月の段階では、総理も随分思い切ったことを言われるなと思って見ていたんですけれども、実際に出てきた厚労省の地方の改革案、計上ベースでいうと九千億ですか、これが、厚労省から出てきた案というのは交付金化等については三千億ぐらい。ただ、これについても申し上げたいことはいろいろあるんですけれども、廃止、縮減の対象内は九千四百億のうち七百億程度だと承知をしております。

 これは、真摯に受けとめとか、あるいは最大限生かしてもらった結果、本当にこんなものなのかなという思いがしてならないわけでありますけれども、この点についてどういう御所見をお持ちなのか、意地悪く言えば、総理と違う見解を持っているわけじゃまさかありませんよねということについて、御答弁いただきたいと思います。

尾辻国務大臣 真摯という言葉の受けとめ方もあろうかと思いますけれども、私どもは真摯に受けとめました。そして、私どもの案をつくり、その後、随分議論をさせていただきました。

 先ほどそういう御発言というか、お触れになったからあえて申し上げるんですけれども、その議論の中で私が、日本は連邦国家じゃありませんよねということを申し上げたような場面もあったり、そういう議論をずっとやったわけであります。したがって、非常に真摯に、そういう意味でまた議論もしたと思っております。その結果が私どもが申し上げた答えであり、また最終的な答えになっていったわけでございます。

 その間の議論の中身だとか、あるいはまた答えの中身については、余り細かくきょう申し上げる場面ではないだろうと思いますから申し上げませんけれども。きょうは最初から、先生も大きな議論をしたいとおっしゃるので、私もできるだけ大きくお答えをしよう、基本的な考え方をお答え申し上げた方がいいのかなと思いつつお答えを申し上げておりますので、今のお答えにさせていただきたいと存じます。

山花委員 ただ、この世界で真摯に受けとめというのは余りいい予感のしない話で、つまり、ちゃんとやるんだという話であれば、真摯に受けとめなんてあえて言わなくても、そのとおりやりますと言えばいいわけですので、懸念していたとおりのような結果になってしまったと思っております。

 ただ、その協議の場でも御議論があったようですけれども、地方六団体から出てきた補助金の廃止等の案というのは、割と児童、子供関係の分野が多くて、老人、お年寄りの関係は割と国でまだやってくださいという話だったという御認識もお持ちのようで、国と地方の協議の場では、

 例えば、児童福祉と高齢者福祉という分け方をしますと、どうしても高齢者福祉は国でやれと、それで児童福祉の方に目が行っておられるような気がする。今後の対象者の数の増減ということで言いますと、結局児童福祉の方は、どちらかというと負担が軽く済む方でありますから、ちょっと辛い方をやれと言われてもなという気がしますということを、率直に申し上げているわけであります。

このようにおっしゃっておられたわけです。

 つまり、今子供が減ってきていますから、そちらの数と、これから、これからじゃなくてもう既に進展していますけれども、高齢化の社会の中でどんどんどんどん、だんだん国保の話に入っていきますけれども、財政的にもつらくなっていく。子供だけやらせてくれといって、こっちは国でやれというのはちょっとしんどいよねということをおっしゃっていたわけです。

 ところが、今回出てきたこの厚労省としての話は、むしろ、そうやってつらい方をやれと言われても困るよねと言ったことを地方の方にやってくださいというような形になっていて、児童の分野についてはむしろ残しているというようなことになっているのではないか、このように感じるんです。

 そもそもの話でいいますと、この国民健康保険法の一部を改正する法律案、このような形で案が出てきたというのは一体どういう趣旨なのか。

 もっと言うと、地方六団体からは、今回八月二十四日付に出されているこの改革案の中でも「移譲対象補助金としない国庫補助負担金(廃止を提案しないもの)」とありまして、「社会保障関係の負担金のうち、格差なく国による統一的な措置が望まれるもの(生活保護、児童扶養手当など)や、制度全般の見直しの中で検討すべきもの(老人医療、国民健康保険、介護保険など)」ということで、国保については廃止を提案しません、そして、これについてはやらないでくれということを、むしろそのことを言っていたにもかかわらずこれが出てきたということについて、どういう趣旨であるのかということについてお願いをいたします。

尾辻国務大臣 まず、子供の話と高齢者の話がありました。議事録をきっちりお読みいただいているなと思って聞かせていただきました。

 確かに、私は議論の中でそういう言い方もいたしました。私どもが言いたかった一番のことは、今少子化対策というのは国を挙げての一番大事なことの一つである、だからこの少子化対策というのはぜひ国でまず体系的にあれしてください、この中の幾つかをとってやるというふうに言わないでくださいという意味が一番大きな意味でもあったということをぜひ御理解いただきたいと思って、あえて立たせていただきました。そういう意味で我々は言ったつもりであります。

 国保については、西副大臣から答えてもらいます。

西副大臣 お答えいたします。

 基本的なことはもう大臣お答えのとおりですが、今回、国保を都道府県にということで初めて導入いたしました。その理由は何かという御趣旨だというふうに理解しております。

 実は、平成十五年の三月に閣議決定をしておりまして、その内容といいますのは、「国、都道府県及び市町村の役割を明確にした上で、都道府県と市町村が連携しつつ、保険者の再編・統合を計画的に進め、」という一文がございまして、そのことを基本にして、関係の審議会等でも今議論をしていただいているところです。

 一方、おっしゃられるように、次期医療保険制度改革、これはこれからでございますが、その内容につきましても、保険者の再編統合、それから都道府県の役割をどう強化していくかというようなことをこれから議論していくところでございまして、そんな意味で、改革の第一歩として、この都道府県の体力強化のために、今回、この三位一体とあわせて、きちっと都道府県の方にも財源調整機能を移譲させていただく、そのことによって国保のさらに安定的な改善ができるであろう、こういう趣旨から提案をさせていただいたところでございます。

山花委員 ちょっとその都道府県の体力強化というのが、よくわからないところがあるんですけれども。

 それと、大臣、お言葉ですがという話です。

 去年の、国と地方の協議の場の第三回、第三回は恐らく出席はされていないのではないかと思うんですけれども、全国市長会の会長から、

 国庫負担の見直しという言葉がありますが、ここは補助金カットというものを含めておるのではないかと思います。我々は国民健康保険とか、介護保険とか生活保護とか、地方の自由に関わらないものは、今後の対象から外すという前提でやっていますので、そこは是非三位一体改革ということに焦点を絞って議論をしていますので、是非理解してほしいと思います。

と言っているのに対して、内閣官房長官は「わかりました。」というふうに発言をしているんです。

 つまり、国保については外すという前提でやっていますというふうに全国市町会の会長から振られたときに、わかりましたと官房長官が言っているにもかかわらずということは申し上げておきたいと思います。

 先ほど、まさか総理とか官房長官と見解が違うわけじゃありませんよねと言ったのは、つまり、こういったこともあったにもかかわらず出てきたということと、手続的にも、今回の話というのは、西副大臣からお答えいただきましたように、この国保の話というのは、平成十五年の閣議決定に基づいて、そしてまさに今、社会保障審議会の医療保険部会というところでこれから、これからというか、昨年の例えば七月の議事録もありますけれども、今後、都道府県の役割分担についてどうしましょうかという議論をまさにこれから始めようというような段階であったにもかかわらず、今回ぱっと出てきたというのは、非常に私は唐突な印象を受けるわけであります。

 もっと言えば、平成十五年の閣議決定ですよ。つまり、これは社会保障のあり方とか保険のあり方について議論を進めましょうという話がその段階から始まっていて、今回の三位一体改革の話とは私は基本的に関係のない話である、こういうふうに考えているわけであります。

 もちろん、保険制度のあり方として、例えば都道府県に保険者になってもらうとか、それがいいかどうかというのは、これから本当は社会保障審議会の医療保険部会の中で議論すべき話だと思いますけれども、保険制度としての議論としてはこういった形も、賛成するかどうかは留保しますけれども、あり得ると思います。ただ、あくまでもこれは、保険制度としてどうか、あるいは適正な国民健康保険のあり方はどうかという議論から始まっているはずであって、これをつまり地方の改革案に対するレスポンスとして出すというのは、ちょっと違うのではないかと思うわけであります。

 例えて言えば、八月二十四日の地方六団体案ということで政府にボールが投げられました。地方団体は、どういうボールを打ち返すのかなと思って見ていたら、いきなりサッカーボールをけられたような話であって、つまり、もともと案にもなかったものですし、この国保の話というのは、恐らく御答弁としては、それによって結果的に都道府県が調整交付金が入って裁量が広がりますよという話なんだと思いますけれども、いや、それは結果でしょうということを申し上げたい。つまり、都道府県の裁量をふやしていこう、都道府県の自由度を増していこうという今回の三位一体の改革の話の本筋の話ではないのではないかということなんですけれども、この点についてはどういう御説明なんでしょうか。

尾辻国務大臣 今お話しいただいたようなところが、また私は地方団体の皆さんと私どもの議論の大きな争点の一つだったと思っています。

 私どもはこう言ったんです。今度の三位一体の改革の中で、大きく社会保障をどうしようかということを今考えなきゃいけません、その中でいろいろなことを考えていますと。その大きく社会保障をどうするかということを考えている大きな流れの中の一つのものとしてとらえて、これに対応したいと思っているんです、こう言ったわけであります。その辺のところは、ちょっと、今先生がおっしゃるようなニュアンスが地方団体の皆さんにはあったと思いまして、そして、最初におっしゃった数合わせみたいなところがあったというところで、どうしてもお互いのその辺の考え方が若干違ったかなとは思っています。

 私どもが言ったのは、大きな社会保障をどうするかという流れの中で、医療保険をどうするかという流れの中で、三位一体の改革も一つの場所だ、そこでどういうふうにこれをとらえるかというふうにして議論させてください、我々もそういうつもりで提案をしていますということを言ったつもりであります。ただ、その辺が確かにお互いの感じ方が大分違っていたなというのは、議論の中で私も感じてはおりました。

山花委員 今回のこの国保の話は、保険制度の議論としても、今回出されるということは、ちょっと私はタイミングとして早過ぎると思いますよ。

 というのは、これは去年の七月二十八日に行われた社会保障審議会の医療保険部会、去年の七月の段階で、例えば、「都道府県が、私の理解では保険者になると思ったのですが、保険者になるのではなくて、言うならば国のかわりをするという意味なんですか。このあたりをちょっと教えていただけないでしょうか。」つまり、委員の中からも、今回出てくるような話というのはまだ去年の七月の段階でよく理解がされていなくて、例えば参考人からも、「これはすでに厚生労働省さんご案内のとおり、市町村国保の再編・統合の件が出てきたときに、都道府県は保険者にならないということで、はっきり意見を申し上げておきます。これは全国の都道府県知事の意見を踏まえたものです。」というような発言が去年の七月の段階であった。

 つまり、第九回で、その後、第十回、十一回と進んでいくわけですけれども、この段階でまだ当事者としてもそういう認識であって、今度は、その後に、こういった補助金改革の中で国保の話がぱあんと出てきた。

 だから、これは手続論ですけれども、本当は医療保険部会の方で、だって、こちらの方でもう医療制度とか社会保障制度の改革ということで、例えば十八年ぐらいまでに議論をして、二十一年でしたか、その結論を出しましょうと。つまり長いスパンで考えていて、その中で、例えば、都道府県がある程度国保に対して、あるいはもっと言えば住民の健康に対して責任を持ちましょう、それは大いにあり得る議論だと思いますが、そのことと、例えば広域行政の中で都道府県がいろいろな計画を立てたりとかやるという話と、都道府県そのものが保険者になるという話は、また別であります。

 その上で、今回のは保険者にということであって、つまりは、どういう役割を都道府県が果たしていくのかなということについて、しっかりと共通認識が中央の厚生労働省と都道府県との間で持たれた上で動かし始めないと、非常に現場としても混乱するでしょうし、当事者も当惑するのは、むしろ当然のことだと思うわけであります。

 つまり、今回のお話というのは、去年地方六団体案というのが出てきたから、ともかく何らかの税源移譲あるいは国庫補助負担金の縮減をしなきゃいけないということで、本当はもっとしっかり議論しなきゃいけないものを、慌てて出してきたというような印象がぬぐえないわけであります。また後日機会があれば議論させていただきたいと思いますけれども、例えば触法精神障害のあれの実施状況についても大変懸念するような、本当に大丈夫かしらというような状況であると聞いております。

 こういうことについて慌ててやると、慌ててやるとというか前のめりになってやってしまうと、つまりコンセンサスが十分にできていない状態でやると、これは大変なことになりますよということは申し上げたいと思いますが、この点について御答弁があればお願いします。

尾辻国務大臣 まず、今御質問いただいたような流れの話でありますけれども、健康保険をどうするかということに対する基本方針は、平成十五年の三月に閣議決定をまずいたしております。健康保険をどうするかという閣議決定を十五年三月にいたしております。

 そこで国保について何と言っているかというと、「国、都道府県及び市町村の役割を明確にした上で、都道府県と市町村が連携しつつ、保険者の再編・統合を計画的に進め、」その後続くんですが、このくだりがあるものですから、これがまずもう政府の基本方針として決まっている、私どもはまずその基本方針に沿って進めていく、その進めていく上での今度の過程であったというふうに御理解いただきたいわけであります。それで私どもはそう言いました。

 ただ、今お話しの、都道府県を保険者にするというようなことまでが決まっているわけではありませんで、これは今の議論でございますので、そのように御理解いただきたいと存じます。

山花委員 済みません、その辺、ちょっと言葉が不適切な表現になってしまったかもしれません。

 ただ、今回のこの法案なんですけれども、いわば定率減税の縮減とも関係をする。つまりは、そちらで縮減をし、所得譲与税の形で回ってくる分を充てることによって都道府県調整交付金の方に回すであるとかいうこともあるんですが、その定率減税についても議論がございますし、また、そもそも、ちょっと関係が遠くなっていくかもしれませんが、平成十九年度に税制の抜本改正を行うんだという話が一方であって、ただ、私たちは定率減税の話もその中で議論すべきだというスタンスであります。また、それとあわせて言いますと、それの要するに財源の話とこの国保の話については、来年医療の改革の議論なども出てくるんだと思いますけれども、そういうこととパッケージにして出されるべき話ではないか。

 つまり、今回のこの法案というのは、恐らく一時的なものではなくて恒久的にこういう形でと考えておられるようでありますけれども、これについては、今まで申し上げたとおり、経緯としてはやはり私たちは急にぽっと出てきたなという印象は否めないし、本来であれば、そういう形で、社会保障審議会の医療保険部会での議論をもっと詰めていった上で出されるべきものであったと思います。

 時間がなくなりましたので、最後に申し上げたいんですけれども、つまり、国と地方との役割分担の中で、日本の場合は非常に、国もこの部分の面倒見ます、都道府県もこうやります、最終的には自治体ですというやり方が多くて、これはある意味、国も都道府県も市町村も責任を持ちますよというような形で、きれいな言葉で言うとそうなんですけれども、えてして、そういうことが責任の所在が不明確になって無責任な体制ができ上がってしまう、そういう懸念もあるということを表明いたしまして、質問を終わりたいと思います。

鴨下委員長 次に、大村秀章君。

大村委員 おはようございます。自由民主党の大村秀章でございます。

 本日は、貴重なお時間をいただきまして、国の補助金等の整理合理化に伴う国民健康保険法の一部改正法案、そしてまた介護保険法施行法の一部改正法案につきまして御質問をさせていただきたいというふうに思っております。なかなか我々、質問に立つ機会が少のうございますので、続いて立たせていただきましてありがとうございます。貴重なお時間でありますので、しっかりと質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この二法案に先立ちまして、社会保険庁改革につきましてお聞きをしたいと思っております。前回、一般質問におきましては、一番聞きたい社会保険庁改革が、おいしいものは最後に持っていこうと思ったら時間が足りなくなって失敗をいたしましたので、きょうは冒頭、まずたっぷりとお聞きをしたいなというふうに思っております。

 まず、今自民党の中でも、武見敬三先生を座長にいたしまして、社会保険庁改革のワーキンググループというものをやっております。これは衛藤副大臣もたびたび御出席いただいておりますので御存じのことだと思いますが、前回、前々回と、二月の二十五日、三月七日でございますが、そのときのワーキンググループに出された資料を見まして、正直申し上げまして私はびっくりをいたしました。そのときに出席をいたしました多くの同僚議員がやはり大変びっくりしたということだと思いますけれども、そこで出された資料は、要は、昨年年金改革が国会で議論になっていたときに、政治家の年金履歴に対して、個人情報に対して、社会保険庁の職員が業務外で閲覧をしていたというもののデータでございます。これは、業務外ということはどういうことかというと、いわゆるのぞき見と言われても仕方がないというか、まさにそういうことだろうというふうに思います。

 それで、一番多いのは、小泉純一郎さんに対しては、ここにありますけれども、二百八十七人の方がのぞき見をしていた。福田前官房長官は十一名。それから、この問題の一番のしょっぱなになりました江角マキコさんに対しては二十五名。どこのだれとかは書いてありませんが、いわゆる所属は、肩書はここに、この間出していただいたんですね。大変な大作業だったと思いますし、その点は御苦労は多としたいと思います。

 このことについて、まず、役所の中で、社会保険庁と言わず、厚生労働省、どちらでも結構ですが、役所の中でこの点はどういうふうに受けとめて、位置づけられておられるのか。違法なのか、不当なのか。これまでの経過、それからどういう処分をされたか、この点について改めて、厚生労働省、もちろん社会保険庁でも結構ですが、役所の方のお考えと対応をお聞かせいただきたいというふうに思います。

青柳政府参考人 お答え申し上げます。

 まずもちまして、ただいま御指摘のございましたような事案につきまして、この場をかりまして深くおわび申し上げます。

 その上で、経過及び考え方、対応についてお答えを申し上げます。

 昨年、小泉総理ほかの方々の年金加入状況の漏えいが疑われる事例が報道されました。これを契機に、オンラインシステムへのアクセス記録を私ども検索させていただきまして、そういった方々の年金個人情報を閲覧したと疑われる者に対して、閲覧したかどうか、それから情報の漏えいがあったかどうかという点について聞き取り調査をいたしました。

 この調査の結果、国民年金保険料の未納情報等への業務目的外の閲覧行為が判明いたしましたが、情報漏えいという事実は確認できませんでした。したがいまして、まずもって、今回の事象は、国家公務員法第百条に規定するところのいわゆる守秘義務違反には当たらないということを確認いたしました。

 また、調査の結果明らかになりました業務目的外の閲覧行為というのは個人情報保護法の違反行為に該当するかどうか、これもチェックいたしましたが、該当はしないということでございました。

 さらに、事案が発生いたしました時点におきます社会保険庁の電子計算機処理データ保護管理規程、これに照らしたわけでございますが、業務目的外の閲覧行為を禁止する規定が当時はございませんでした。このため、懲戒処分の事由にも該当しないというふうに最終的には判断をしたものでございます。

 しかしながら、これらの行為は、それらの規定に違反しなかったとしても、個人情報保護法の趣旨に反するものであることは明らかでありますし、適切さを欠いた行為であるということから、昨年の七月、業務目的外で小泉総理の年金個人情報の閲覧に関与した二百八十七名を含む三百二十一名の職員及びその監督者百九十二名、合計いたしますと五百十三名でございますが、この職員に対しまして、内規による処分として訓告及び厳重注意を行ったものでございます。

 この点、社会保険庁といたしましては、国民一人一人の情報を適切に管理するということは、年金制度への信頼にかかわる大変重要な事柄であるというふうに、この事態を大変重く受けとめております。そのため、まず再発防止対策ということで、以下のことを講じさせていただきました。

 まず、第一点。社会保険庁電子計算機処理データ保護管理規程を改正いたしまして、業務目的外の閲覧行為を禁止するということに明示させていただきました。

 それから二点目。社会保険オンラインシステム端末の操作に必要なカード番号の固定化、いわゆる一人一枚化ということをやらせていただきました。それから、本人識別のパスワードを導入いたしまして、管理責任を明確化するという対応をさせていただきました。

 三点目。被保険者記録へのアクセス内容を監視するためのシステムを開発し、監視体制を強化するという対応をさせていただきました。

 四点目。今さらながらというおしかりを受けるかもしれませんが、職員教育の徹底という対応をさせていただいたところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、今回の事案は年金制度への信頼にもかかわる大変重要な事案であるというふうに私ども受けとめまして、引き続き再発防止に努めてまいりたいと存じます。

 以上でございます。

大村委員 まさに今お答えのありましたとおりで、やはり年金業務で一番大事なのは、それぞれだれが幾らの年金保険料を払って幾ら受給しているか、そういう個人情報の、だって物があれしているわけじゃないんですから、個人情報をどう管理していくかということにそのシステムというのは尽きるんですよね。膨大なシステムのお金をこれまでかけてきまして、まだ年間一千百億円かけてやっている。やっているはなから、職員の方みずからがこういうことで、要はのぞき見をしている。そういうことが国民の皆さんにわかってしまった。それではこれで本当に信頼が得られるのか、だれが信頼してくれるんですかということに私はなるというふうに思っております。

 この点について、確かにその時点でこれを禁止する該当条項はない、いわゆる法律も内規でもなかったということで懲戒処分に当たらない。確かに、後で追っかけていって懲戒処分にするわけにはいかないのでそれはしようがないのかなという、規定上はそういうふうに理解いたしますけれども、それで適切さを欠いたということで訓告処分。訓告処分というのは、そんなこと言っちゃいけませんけれども、紙切れか口頭注意か、要は言葉だけの話にすぎないのだろうと思うんですね。そういうことで本当に国民の理解が得られるのかということを、私はこの際申し上げておきたいというふうに思っております。

 それから、私いろいろな場で再々申し上げておりますが、特に一番問題だったのは、やはり、この行為、システムにアクセスをするときの、それぞれのところで端末でシステムを起動させるときに、その磁気カードが、要はお一人お一人のカードではなくて職場での使い回しであったということ。去年の七月までですよ、七月の十六日でしたっけ、あの通達を出して変えたのは。それまで職場の使い回しだった。だから、いいや、いいや、だれが見たってわかりゃせぬわいということでやっていたということなんですね。

 その使い回しというのは、社会保険庁と労働組合との間で結んだ覚書、それに基づいて、一人一人にカードをくっつけたら労働管理強化になるからやらないという昭和五十四年の覚書から一切やっていなかったということですよね。この問題が起きなかったらずっとそういうことで、適当にといいますか、要はきちっとした管理がやられていない、そういう体制にあったということですよ、社会保険庁自体が。

 この四月から個人情報保護法は施行になりますよ。だけれども、この個人情報保護法はいつできたんですか。二年前の国会で審議をやって、去年のこの問題が起きる一年前には成立しているんですよ。一番まず率先して範を垂れなきゃいけない国の社会保険庁でこんなことが起きていた。それも、国会で我々与野党ともに年金改革で真剣な議論を積み重ねているこのときに、こういうのぞき見が横行していたということ、これは、まさに職員の方には当然、反省どころかとんでもないという、もう反省するところは過ぎたと思いますけれども、社会保険庁全体の体質だというふうに私は言わざるを得ないというふうに思いますよ。その点は十分反省、まあいいや、反省なんか、どうせ反省したって変わらないんだから。だから、そのことはそういうふうに国民が見ているということは、冒頭まず申し上げておきます。

 次に質問を続けさせていただきます。

 それで、さらにこの点について、自民党の改革ワーキンググループで、もっとあるだろう、もっとほかにも政治家にいっぱいアクセスしたのがあるんだろうということで、この間お示しをいただいたのが、さらに、昨年当時の総理、福田官房長官を除く閣僚、それから厚生労働副大臣、大臣政務官、それから衆参の厚生労働委員長、自民党の幹事長、総務会長、政調会長、三役について、社会保険庁の職員が業務外閲覧したかどうかを調べますということになったのでございます。ややちょっと時間はかかるようでございます。かかるようでございますけれども、これは当然しっかりとやっていただかなきゃいけないというふうに思いますけれども、これを調べる対象に、当時の厚生労働委員長がおられますので、衛藤副大臣、この点も含めまして、今回のこの件の一連の経過について、衛藤副大臣に率直な感想をお伺いしたいと思います。

 要は、あわせて、私、冒頭申し上げましたけれども、こんな状況の中で、本当にこの社会保険庁の改革が今の組織と人員を前提にしてできるんですか。私はできないというふうに思いますよ。ですから私は、そういう意味で、この点について、昨年まさに年金改革の渦中で本当に頑張られた衛藤副大臣、まさにその間にのぞき見を受けていたかもしれない。そのことも含めて副大臣の率直な御感想をお聞かせいただきたいと思います。

衛藤副大臣 先ほどお話ございましたように、個人情報保護の重要性について、これだけ法も整備されながら、しかし、庁内での規程がちゃんとしていなかった、教育をしていなかった。また、その原因が労働組合との問題であったということについて、こういうことまで労働組合の中での話し合いにゆだねられていたということについて、やはり、社会保険庁全体としての非常におかしかった部分だというぐあいに強く認識いたしております。それだけに、この結果につきましては大変遺憾な結果であるというぐあいに思っているところでございます。

 そういう中で、先ほどお話ございましたように、総理や福田官房長官、それから江角マキコさんについての個人情報は三百数十名の方によって見られていましたけれども、それだけでは足りないということで、今お話ございましたように、範囲が狭いのでということで、範囲を広げて再調査をいたしています。大変な人数になるのではないのかと思って、ある意味では心配もしているところでございますけれども、やっと省内の規程を変えて、こういうものに対してちゃんとした形で臨めるというぐあいにやり変えたところでございますので、そのことをちゃんとやっていきたいと思っております。

 また、このような形の社会保険庁の中で改革ができるのか、自己改善の能力があるのかということでございますけれども、これはまさに、昨年の七月に村瀬長官にも民間からお越しをいただいて、そして、その周りに大勢のスタッフの方にもお越しをいただきながら、今一生懸命、緊急対応プログラムということで、まず現時点においての改善すべきところをちゃんとやっているところでございます。

 それから、今後、社会保険庁をどうするかということにつきましては、私は現状のままの社会保険庁というのはあり得ないというように思っております。そういう意味で、有識者会議において今、官房長官のもとで議論されているところでございますけれども、その議論も見ながら抜本的な改革をやって、そして国民の皆さんの信頼を回復しなければならないというぐあいに思っている次第でございます。

大村委員 今、衛藤副大臣も、現状のままではあり得ない、抜本的な改革をやらなければいけないというふうに言われました。それは私はそのとおりだと思います。

 そこでお聞きしたいのは、そういう中でありますけれども、三月八日の新聞報道で、何紙かでありますけれども、社会保険庁改革で厚生労働省はということなんですが、年金庁にこれを衣がえする構想を検討していることが明らかになった、七日までに与党側に内々に示したという報道がございます。

 続いて、三月の九日の報道でございます。三月の九日の報道では、尾辻厚生労働大臣が、これは閣議後の記者会見でしょうけれども、社保庁の新組織について聞かれて、これまでのように国の機関とするかどうかについて、大きな流れとしてそういう考え方になりつつあるというふうに述べて、独法などではなくて国の機関とすることを明らかにしたというふうに報道されておりますけれども、この点について、これは事実でしょうか。お答えください。

青柳政府参考人 三月八日及び三月九日の新聞報道についてのお尋ねでございます。

 社会保険庁の組織のあり方につきましては、先ほど副大臣の方からも御紹介をさせていただきましたように、現在、内閣官房長官のもとに置かれました有識者会議におきまして、新しい組織のグランドデザインを三月中に整理した上で、最終的な取りまとめを五月にいただくということで検討が進められております。

 また、その報道の中にも一部御紹介がございましたように、与党自民党におかれましても、有識者会議に先行して、意見の取りまとめを行うべく御議論をいただいているところでございます。

 社会保険庁といたしましても、こうした御議論に対応するためにさまざまな検討を行っているところではございますけれども、三月八日の新聞報道にあるような、具体的な構想をお示ししたという事実はございません。

 また、三月九日の新聞報道に関しましても、大臣が社会保険庁の新組織を国の機関とするというふうに述べた事実はないというふうに承知をしております。

大村委員 いや、だから、事実はないといったって、それは報道されているんだよね。記者会見でこういうふうに、大きな流れとしてそういうふうに進む、そういうふうに言ったんでしょう。事実はないということですか。

 では、私がここで聞きたいのは、こういう年金庁構想というのが何となしに漏れ伝わってくるので、そんなことは検討していないんですね。お答えください。

青柳政府参考人 先ほど申し上げましたように、社会保険庁の組織の見直しにつきましてはさまざまな検討を行っているということは事実でございますが、これを具体的な構想として提示した事実はないというふうに御理解いただきたいと思います。

大村委員 では、検討しているんですね。

 だけれども、私が申し上げたいのは、あなた言ったじゃないですか、官房長官の有識者会議で今検討してもらっているということですよね。そこで大方針が出たものを事務的に詰めていくというのが、やはり厚生労働省、社会保険庁の役所としての役割だと思うんです。

 さらに申し上げれば、これは議院内閣制、政党政治なんですよ。それは政府の有識者会議が何を結論出したって、我々自民党で、ワーキンググループで決めたら、それに従ってもらうんだよ。関係ないんだよ、こんな有識者会議なんか。

 だから、そういう意味で、あなた方が自分たちで何か知らないけれども検討している。要は、まないたの上にのったコイが、自分で包丁を持って、料理人をおどして、こうやって料理しろというふうなことをやっているんじゃないかということを言う人がいるんですよ。そんなことは認めないということは申し上げておきたいというふうに思っております。

 ここでもう一つお聞きしたいのは、この新聞に、中でいろいろなことは検討しているということを言われましたけれども、その際、これも八日付の新聞報道にありますが、要は、年金庁なんという案を出してくることはまずないと私は思いますが、もし仮にそんなことがあったら、看板のかけかえじゃないか、何も変わらないじゃないかというふうに批判をされるというふうに思いますけれども、いかがお考えですか。

村瀬政府参考人 先ほどお話ありましたように、組織の関係につきましては、現在、有識者会議で組織のあり方の見直し、それから自民党のワーキンググループで組織のあり方について御議論をしていただいているということでございまして、大村先生おっしゃるように、今の段階においてはすべて白紙でございます。

 ただ、社会保険庁としましては、現在の業務をやはり効率的に効果的にやらなきゃいかぬということで、組織内改革は必要だろうというふうに思っておりまして、その部分については、先ほど副大臣からも話がありましたように、緊急対応プログラムにおきまして徹底的に業務の効率化を図っている、こういう現状でございます。

大村委員 組織のあり方の検討は検討なので、もちろん今組織は続いて業務はやっているので、今長官言われたように、とにかくそれを待って何もしないというんじゃ話にならぬので、やれることからどんどんやっていく、それはおっしゃるとおりなんです。そういう御努力は多としたいというふうに思いますよ。

 ただ、それはそれであって、やはりこの組織自体は、冒頭申し上げたように、そういった意味での、今までやってきた、言葉は悪いですけれども、惰性でやってきたというところはやはりあると思うんですね。

 そういう意味で、国民の信頼も、今の組織、人員を前提にして、そしてまた看板のかけかえなんて言われるようなことでは、私は信頼は回復できないというふうに思うんです。これまで一連の不祥事とかこれだけあって、そういう構想が出てくるということ自体が、私は事態の深刻さを認識していないというふうに思わざるを得ないと思うんですね。

 ですから、そういう意味で、私は、社会保険庁改革について、大臣おられませんが、副大臣、改めてこの改革に取り組む決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。

西副大臣 お答えいたします。

 先ほどからも委員から御指摘いただきましたように、不祥事案が昨年もまたああいう形で出てきまして、まことに申しわけないことだと思っております。その点につきましては深くおわびを申し上げたいと思います。

 この間のいろいろな議論の中で、社会保険庁の問題としては、真っ先に委員が指摘されたように、信頼を回復する、これが最大の課題でございます。同時に、サービス内容についてもこれはもっと向上させるべき。それから三点目には、やはりガバナンス、内部統制、いわゆる三層構造というふうに言われていますけれども、このことについても徹底的にやはりメスを入れていく、こういう方向性でやっていかなければならない、こう思っております。

 有識者会議に大臣とともに私も出席させていただいておりますが、その席上でも大臣は明確に、現行の社会保険庁の存続を前提としないで議論をいただきたい、これは大臣みずからおっしゃられた言葉でございます。私も全くそのとおりだと思いまして、今参加しております。

 国民の信頼を回復するために、これからどういう議論を積み重ねていただくか。たまたま二月には座長メモというものが出されまして、三月、それを議論し、五月ぐらいには皆さん方に本当に信頼していただける一つの方向性をこの場でまず出させていただきたい、こう考えているところでございます。

大村委員 ぜひ、西副大臣、衛藤副大臣のリーダーシップをお願い申し上げたいというふうに思っております。やはり、国民はみんな見ていますから、国民の目線で見て納得できるものを、その線をつくっていかなきゃいけない。それは両副大臣、尾辻大臣ももちろんでありますが、政治家として厚生労働省に入ってリードしていただいている先生方の責任は重大だと思いますので、もちろん我々も党でそういったものを議論する立場にありますから、これは真剣な議論を積み重ねて、やはり国民の目線に立って、納得していただけるものをつくっていきたいというふうに思います。そのことを、この点については申し上げておきたいと思います。

 続いて、ややトーンを変えまして、法律の点について何点かお聞きをしたいというふうに思っております。

 まず、介護保険法施行法の一部改正法案につきまして、若干お聞きをいたしたいと思います。

 この法案自体は、介護保険法施行以前に特養ホームに入所していた方につきまして、その負担軽減を図る、それを引き続き五年間延長するというものでございます。実態、現状を考えれば、これはやむを得ないといいますか、これは我々、何ら異存はないものでございまして、各党の御賛同をいただいて、できるだけ早くその成立をお願いしたいというふうに思っておりますが、この経過措置とは別に、今回、改めて介護保険法本体の審議を行うことになります。その際に、この介護保険につきましては、十分議論をし、着実に、これもできるだけ早い成立をお願い申し上げたいと思うわけであります。

 そのときにお聞きしてもいいんですが、せっかくの機会でございますので、まず、この点につきまして、衛藤副大臣にこの考えをお聞き申し上げたいというふうに思っております。

 衛藤副大臣、私、この厚生関係で最も尊敬する、敬愛する先輩でございます。大変迫力のある討論を自民党の部会でいつも重ねておられて、いや、すごいなと思っておりましたけれども、どうもやはり政府高官になると、やや最近おとなしいんじゃないかな、体の調子でも悪いのかなと思って、ちょっと心配になるときが時々あるのでございますけれども、たまたまきのう、自民党の法務部会で人権擁護法案の審議を聞いておりましたら、久しぶりに迫力のある衛藤節を聞いたので、やや安心をして、うれしくなりました。ぜひこの場でも、また副大臣としても、がんがんと今までの衛藤節でやっていただきたいと思うわけでございます。

 そこで、この介護保険法本体のことについてでございますが、これは衛藤副大臣が、院外というところで、制度の根幹にかかわることについていろいろな思いを持っておられるようでございます。いろいろとお聞きをいたします。

 私も、介護保険自体、前回、附則の話をお聞きしましたけれども、今回は、五年を経過してこれまでの五年間で軽い方がふえた、それをどうしていくか。介護予防を入れていく、そしてまた重点化をしていく、地域の市町村の役割をふやしていく、そういった五年間をにらんでの制度の補修ということで、私は現時点では、これはこれでやむを得ないかなと思っておるのであります。ただ、制度の根幹に触れるところは、前回申し上げました、障害者の介護等の問題、それから対象年齢、被保険者の範囲の問題等々で、今後を考えれば、やはり今の段階でも十分議論をして、多くの皆さんを巻き込んで議論をして、その負担と給付のあり方をやっていく必要があるというふうに私も思っております。

 その点についても、ひょっとしたらといいますか、多分衛藤副大臣も同じようなお考えを個人的にはお持ちじゃないかというふうに思います。政府のお立場はもちろんおありなので、ここでどこまで御答弁をいただけるかあれでありますが、その点はその点として、政府の立場は立場といたしましても、政治家衛藤晟一として、この介護の制度について、その根幹に触れる部分についてどうお考えなのか、ぜひここで御意見をお聞かせいただきたいと思いますけれども、よろしくお願いします。

衛藤副大臣 介護保険制度は、五年後の見直しという時期に当たりました。介護保険制度のスタートに当たりましては、昨日も参議院の方の民主党の山本孝史先生からもありましたように、非常に、今までの日本の社会保障制度の問題点を全部クリアしているような画期的な法律ではなかったのかという御指摘をいただいたところでございまして、そういう意味では、私も、介護保険制度については、まさに日本における社会保障制度の新しい分野を開いたのではないのかというぐあいに思っている次第でございます。自助努力をしましょう、それから保険という形で共助で助け合っていきましょう、また税も投入する公助という形で支え合っていきましょうと、まさにこれからの社会保障についての支え方を明らかに開いていったというぐあいに思います。

 その中で、五年後の見直しという時期に当たったわけでございますけれども、引き続き附則の方には、もう一回、「被保険者及び保険給付を受けられる者の範囲について、」ということについて、「平成二十一年度を目途として所要の措置を講ずる」というぐあいに書かれております。できれば今回の五年の中で見直しができればよかったのではないのかなと思っておりますけれども、まだまだ国民的な合意は得られないという状況の中で今あるんだろうと思います。

 その意味では、まずは被保険者につきましては、スタートしたときは四十歳からのスタートということは、国民の皆さんから、四十歳であれば恐らく合意していただけるだろう、全く世界でも珍しい、新しい制度であるから、どうしてもスタート時点で失敗することは許されない、そして確実に御理解いただけるのではないのかという形で、四十歳でスタートをし、そして国民の皆さん方の理解が広まっていき、もっと定着をしてくれば、それなりに、年齢が三十五歳、三十歳、二十五歳というぐあいまで拡大していけるんじゃないのか。そして、多くの方々によってこの介護保険は支えられる必要がある。

 また、介護保険料の方も、そういう意味ではいわゆる他の税金のような累進とは違って、できるだけ定額で、しかも低い額の意味の低額も込めて、できるだけ定額でいけるという形をやらなければ持続可能とならないということで意図したものでございますから、その支え方の範囲については、やはり国民的な議論を、ぜひ合意をいただいて検討する必要があるというぐあいに思っています。

 それから、障害者の問題、いわば範囲の問題についてでございますけれども、これも当初から議論されていたことでございました。そういうぐあいに年齢が拡大するということは、同時に、あらゆる方々の介護についてもちゃんと介護保険の中で見るべきではないのかという当初からの議論もございました。しかし、前回、五年前のスタートに当たりましては、とにかく高齢者介護という形に絞って、まずはスタートできるところからスタートしましょう、そしてそれを大きく育てたいということが願いであったというぐあいに思います。その意味で、これもまた国民的な御理解をいただいて拡大されるべきではないのかというふうに思っております。

 それから、障害者の問題は全部税でやるというのは、私は、やはりこの基本原則についても考えていいのではないのかと。もともと、福祉は全部税でという世界でありましたけれども、先ほど申し上げましたように、私どもはこれを、自助努力と、共助で保険という形で支え合っていく、お互いに助け合っていくということと、公助という税という形での、この三つの柱による支えをしていこうということで決めたわけでございますから、障害者福祉につきましても私は例外ではない、いわゆる障害者の介護につきましても例外ではないのではないのか。介護ということ全体として見れば、税でやるのが正当だとか、そういうぐあいには決して思っていない。やはり、この法の附則に書かれておりますように、検討しなければいけない課題だというぐあいに認識をいたしておる次第でございます。

大村委員 ありがとうございます。

 なかなか答えにくいあれでしたと思いますが、一つ一つ言葉を選びながらお答えいただきましたが、衛藤副大臣のお考えというか、お気持ちがよく伝わってきましたので、大変すばらしい答弁だったと思って、評価をさせていただきたいというふうに思います。これから引き続き、やはりいろいろな場でこうした議論は深めていきたいというふうに思っております。

 それで、もう一問介護保険につきまして、この際、せっかくの機会なのでお聞きしたいと思いますけれども、介護予防についてお聞きしたいと思います。

 これは、今回の介護保険法改正の一つの大きな目玉といいますか、中心部分になっていると思います。その方向性はいいと思います。方向性は、軽い方がふえてきた、要支援、要介護一の方についてどういうふうにまた自立に戻っていただくか、自立の方にできるだけ自立でずっといていただくかというための介護予防という概念は、私は大変いいと思いますし、これはぜひ進めていきたいと思いますが、そういったことについて、その中身がまだ明らかになっていない。それから、その対象がどの範囲なのか、広いのか狭いのか、ちょっと狭いんじゃないか、絞られるんじゃないかというようなこと。

 それから、一方では、現行のサービスを受けられている方が、引き続きといいますか、サービスの見直しということがどうも大分宣伝されまして、要は、もう一切受けられなくなってしまうのじゃないかというような懸念が世の中に、御案内のようにお耳に入っていると思いますが、蔓延をいたしております。

 もちろん、限られた財源の中でそれをどういうふうにめり張りをつけてやっていくのかということは大事なことでありますから、その点について、限られた財源ということを考えれば、いろいろな意味で常にサービスのあり方、給付のあり方の見直しというのはあっていいというふうに思います。私も、今回は要支援のところを二つに分けて、要介護一とあわせて介護予防と今までのサービスとの間でめり張りをつけていく、これはやはりやっていくべきだというふうに思いますが、余りにもちょっと前宣伝が効き過ぎて、その辺のところの方、実際にサービスを受けている方も不安だし、サービスを提供している方のそういう施設も、在宅介護のいろいろな事業をやっておられる方も、相当不安が先立っているような感がございます。

 この法律が成立いたしますれば来年四月からスタートということでございまして、この一年が余りにも、一年も前からこんな不安だ不安だというような話になるとちょっとやはりよくないと思いますので、今現在どこまでというのはありますが、もちろん本体の議論のときにまたお聞きをしたいと思いますが、またそれと、我々自民党の中でも詰めていきたいと思いますけれども、今現在の状況をお聞きしたいと思います。

中村政府参考人 介護予防についての来年四月の実施に向けての検討状況、また、どういう考え方かということについてのお尋ねでございます。

 本体法案の方で骨格を示させていただいておりますが、要は、予防の対象になる方をどうやって選び出すかということ、それから、そういう対象の方にどういう予防サービスを提供するかというマネジメントの問題、今いろいろなサービスを受けておられます既存のサービスの評価と、予防重視の観点からそれをどういうふうに再編成していくか、また、効果のある介護予防サービスが、新たなものもあると言われていますので、それをどの程度取り込んでいくかということが課題になっていると思っております。

 私どもも、昨年来、専門家に集まっていただきましてそういう検討をしていただき、十二月末に中間的な取りまとめをいただきましたので、それに沿って法律案を提出させていただいたところですが、今先生からお話がありましたように、具体的にどうなるんだということにつきましては、十八年四月の施行に向けまして制度の具体化の作業を進める必要があり、その具体化のためには、もっと詰めますと、介護予防サービスについての基準や介護報酬を策定する必要があるというふうに考えております。

 そのためには、現在集積されております要介護認定等を通じた高齢者の状態像についてのデータや介護予防についての知見、また、今市町村で行っているモデル事業の成果を踏まえて組み立てていきたいと思っております。

 国会でこれから法案の御審議をいただきますので、国会の御審議を踏まえながら私どもも考えていかなければなりませんけれども、社会保障審議会の介護給付費分科会を再開いたしまして、見直しに向けまして予備的な審議もお願いしたいと考えており、報酬や基準の具体化に向けまして作業を進めてまいりたいと思っております。(発言する者あり)

大村委員 今、民主党の先生方からいろいろ御意見が出ておりますが、確かにおっしゃるとおりだと思うんですよ。

 要は、ここの議論じゃないんですよ、大事なのは。やはり現場の方がどれだけ理解をしていただいてうまく動いていくか、ワークしていくかということだと思うんですね。ですから、我々はもちろん党の方で、介護委員会の鴨下大委員長のもとでこの問題を詰めておりますけれども、それはまた引き続きといいますか、とにかく並行してどんどん詰めていきたいと思いますので、その点、ぜひよろしくお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 たっぷり時間があると思ったら、どんどん時間がなくなっているので、次に参ります。

 次に、国の補助金等の整理合理化に伴う国民健康保険法の一部改正法案につきまして御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 これは、三位一体改革、地方分権を進めていく上において大変意義深いものだと思います。補助金をカットし、税源を移譲し、そして交付税改革、これを一体的にやっていく、こういうことでございます。

 いろいろ御議論があったわけでありますが、第一歩としては、正直言ってこんなものかなという感じがいたします。その一環でございます、その第一歩であるということで、この法案もぜひ、十分審議をした上で、できるだけ早く成立をさせていただきたい、そのことをお願い申し上げたいと思っております。

 まず、国民健康保険に都道府県負担を導入するということにつきまして、これは前回も私申し上げたところでございますけれども、これは、今まで国保については国と市町村というのが財政面で責任を持ってやっていた。県はいろいろ、ちょこちょこっと物は言うけれども、何となしに、言葉は悪いですが、ちょっと人ごと、よそごとみたいな感じがあったということは否めないというふうに思うんです。

 そういう中で、今回いろいろな議論の中でこれが入った。そして、これから医療制度改革の中で、地域ぐるみでの健康づくり、それから、各県これだけ医療費の関係がばらばら、これだけ地域格差が多い中で、やはり県の役割、地域の役割で健康づくりをやっていくという方向からしても、私は、今回この都道府県負担を入れたということは大変意義深いと思っております。私も、党の場でも何回もこれはぜひやるべきだということを申し上げましたが、これは、今後一年間の医療制度改革の議論をにらんだ上で、大変大きな第一歩だというふうに思っております。

 この点について、今回の国保についての制度改正の意義と今後の展開方向につきまして、いま一度お聞きをしたいというふうに思います。

水田政府参考人 お答え申し上げます。

 国民健康保険制度におきまして、保険運営の広域化等を通じた財政の安定化を図り、その基盤、体力を強化する必要があると考えてございます。このためには、先ほど先生御指摘のとおり、医療費の適正化に大きな影響を及ぼします健康増進計画、医療計画、それから介護保険事業計画の策定権限、こうした政策ツールを持っている都道府県の主体的な取り組みということが重要であると考えてございまして、確実な財政措置が講じられる今回の三位一体改革の中で、都道府県に市町村間の財政調整権限の一部を移譲することによりまして、都道府県の役割の強化を図るということをいたしたものでございます。

 今回の改革は、先生御指摘のとおり、医療保険制度改革の第一歩と私どもも認識しておりまして、今後、市町村国保の保険運営の広域化を進めまして、都道府県単位の保険運営を目指しているものでございます。御指摘のように、保険者の再編統合の推進という今後の医療保険制度改革の方向に沿ったものでございまして、今後引き続きこの点については検討を進めていきたい、このように考えております。

大村委員 次に、あわせまして、今後の医療制度改革の中で、医療計画についてちょっとお聞きしたいと思います。

 これは、医療計画の機能を強化して、都道府県ごとに疾病や事業ごとにその改善目標や対策を明示していく、また、疾病ごとに診療ネットワークを構築するなどの方向で検討しているというふうにお聞きをいたしております。

 これも先ほど申し上げたように、地域ぐるみで健康づくりを行って医療費の適正化を図るということは大変結構なことでありますし、その際、地域、都道府県が大きな役割を果たしていくということは、これは私も本来あるべき姿だというふうに思っております。

 ただ、その方向はいいのでありますけれども、問題は中身でございまして、これまで正直言って余り大きな役割を果たしてこなかった県が、そんなことが本当にできるんですかと。体制はできるのか、人材はいるのか。また、医療計画自体がこれまでそんなに重きを置かれていなかったということで、そういうものをいきなりこうやってどんと、何か金科玉条といいますか、こういう立派なものに仕立て上げようといったって、そうそうはできないんじゃないか、無理があるんじゃないかというのをちょっと心配するわけでございます。

 それをやっていくためにも、やはり現場レベルでの意識改革とか体制整備、人材育成などなど、そういった面での体制づくりを、そういう制度改正を目指すのであれば、あわせて、今回財政面では都道府県に財政調整交付金というのを持ってもらうわけですから、そういった面もやはり都道府県、地域に対して厚生労働省はしっかり指導していかなきゃいかぬというふうに思いますけれども、その点についてお聞きをいたしたいというふうに思います。

岩尾政府参考人 先生御指摘のように、この医療制度改革の見直しは、都道府県に従来にも増して大変重要な役割を担っていただくものでございます。

 現在、医療計画の見直しの議論におきましては、都道府県の代表者に参加いただいております。御意見を伺うとともに、ことしの二月には、全都道府県の課長を集めまして会議を開催いたしました。この医療計画の見直しの方向性について説明をし、現場レベルへの浸透を図っているところでございます。

 今後とも、都道府県の意見は聞きまして、検討状況の速やかな情報提供、必要な技術的な助言あるいは研修、また人材の交流支援などを通じまして、都道府県が医療計画策定に当たっての目標達成のため十分に役割を果たしていただけるよう、厚生労働省として支援してまいりたいと思っております。

大村委員 今、岩尾局長からお答えいただきましたけれども、正直言って、都道府県が医療について、そういったことについて本当に、要はその体制が人材も含めてなかなかないといいますか、手薄だということを、多分一番よく御存じだろうというふうに思います。

 私の地元の県で聞いても、県会議員さんと話しても、そんなものわかっておるやつなんかおるわけか、こういう話をよく耳にいたしますので、その点、ぜひ、やはりこれからそういう面での体制づくりが本当に大事だと思いますから、それは十二分に、連絡とか情報提供ということよりもむしろ一歩踏み込んで、何か、指導といいますか、体制整備を進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 時間があると思いましたが、だんだんなくなってまいりましたので、絞って聞きたいと思います。

 都道府県の財政調整交付金の市町村への配分については、これはできるだけ、初めてのことでありますし、ぜひ関係者と十分協議をしていただいて、ガイドラインというのもできるだけ早く示して、現場で混乱がないようにしっかりやっていただきたい、これは質問ということじゃなくて、要望にしておきたいと思います。

 あと、いろいろな各種補助金を今回整理し、税源移譲に持っていくわけでございます。これは地方団体からの要望を受けてというものが多い、今回の制度、この法律の中でも多いわけでございまして、これはぜひ、そのことによって事務事業が滞らない、現場が混乱しないということでしっかりやっていただきたい。特に子育てについてちょっとお聞きしたいと思いましたが、母子保健法のことも含めて、やはり現場が混乱しないようにしっかりと詰めていっていただきたいというふうに思っております。

 そこで、今回の改正の中で一点お聞きいたしますが、今回、金目的には国保に次いで大きいんですが、これまでの目的別、事業別の補助金をまとめまして、地域介護・福祉空間整備交付金、それから次世代育成支援対策交付金というものを創設することになったわけでございます。これは、政策目的に沿って着実に施設整備を進めていくということ、それから一方で、地方側の自由度を増していくということでもございます。

 そういう意味で、これは、いずれやはりこれもしかし一般財源になっていくのかなという気はいたしますが、当面、そういった施設整備がまだまだこれから必要だ、特に、次世代育成といいますか子育てというものとか、また介護の関係、こういったものはまだまだ施設整備が必要だという状況の中では、これは私はやむを得ない選択だったのかなと思います。できるだけ地方自治体が、皆さん使い勝手がいいものにしていただきたいと思っておりますけれども、この点についての、この交付金創設の意義と、そしてこれを実際にどういうふうに運用していくか、この点についてお考えをお聞きいたしたいというふうに思っております。

中村政府参考人 次世代育成もございますが、私ども、介護関係もやっておりますので、あわせて御説明をさせていただきます。

 特に、少子高齢化が進展していく中で、介護サービスの基盤整備ですとか、次世代育成の基盤整備は大事になると思います。これらの施策は、できる限り住みなれた地域で、身近な生活圏域での基盤整備ということ。今先生からお話がありましたように、これまでの補助制度、さまざまな、使い勝手が悪いということを各自治体からいただいております。さらに、各自治体の裁量をもっと高める必要がある、加えて、私どもの補助金制度の事務の簡素化も図る、こういうことを基本的な考え方にいたしまして、しかし、基盤整備は大事でございますので、可能な限り財源を確保し、地域の実情に応じた子育てまたは介護の基盤整備を行うことが可能になるよう、自治体の意向を最大限に反映できるように運用してまいりたいと考えております。

大村委員 本当は、もうちょっと時間があれば、あと、生活保護とか児童扶養手当の今後、この秋までの結論についてもお聞きしたかったのでありますが、これはぜひ、地方自治体との意見の隔たりは大きいかもしれませんが、やはり地域間格差がこれだけあってはどうかなと思いますから、その点も含めてしっかり御議論をし、いい方向をつくっていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、この二法案、地方分権を進めていくこと、それからまた、介護保険の施行について大事な法案だと思います。十分議論していただいて、できるだけ早く成立をしていただければということをお願い申し上げたいと思います。

 また、大臣も本当に行ったり来たりでお疲れでございます。きょうは残念ながら時間がございませんで、御縁がございませんでしたが、おられない間に、村瀬長官にもせっかくお忙しい中来ていただいて、ちょっと声を荒げまして失礼をいたしましたが、改革を進めて厚生労働行政をしっかり前へ向けていきたいという思いは一緒でございますので、また引き続き議論を積み重ねさせていただければというふうに思っております。どうもありがとうございました。

 以上、終わります。

鴨下委員長 次に、小林千代美君。

小林(千)委員 民主党の小林千代美です。

 国民健康保険等の一部を改正する法律案に入る前に、質問通告していなかったんですけれども、大臣お戻りいただきましたので、大臣にお考え、御所見を一つお伺いしなければいけません。

 きのう、大変ショッキングな事件が起こりました。自民党の中西一善議員が現行犯逮捕されるというニュースが入ってまいりました。しかも、その罪名が強制わいせつ罪ということだったんです。しかも、厚生労働委員に所属をされている方です。私たちは国民から民意を負託されてこの場に立っていることができます。その国民の代表たるものがこのような犯罪を犯したというようなことについて、大臣のというよりも政治家としてこの問題をどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思いますし、実は私は法務委員会に所属をしているんですけれども、ことしは百年に一度の監獄法の大改正というものが今後出てくる予定になっておりまして、今の刑務所内での処遇の問題ですとか、あるいは今これだけ大きな問題になっております性犯罪者対策ですとか再犯防止、あるいは治安の維持に向けて、回復に向けてどのようにしなければいけないかということを国会の中で私たちは議論しなければいけません。そのような状況下にある中で、まさに女性の人権を侵害するような議員の行動があったわけでございます。

 まずは冒頭に、この件につきまして大臣の御所見を伺わせていただきたいと思います。

尾辻国務大臣 あってはならない恥ずべき事件が起きたと考えております。

小林(千)委員 それだけなんでしょうか。あってはならない、確かにあってはならないことですけれども、それ以外に大臣のお考えというものはないんでしょうか。

尾辻国務大臣 どういうふうにお答えしていいのかなと思いつつ再度立ちましたけれども、本当にもう、恥ずべき事件だとしか言いようがないところでございます。そのようにお答えを申し上げます。

小林(千)委員 人権の問題でもありますし、政治家としてよりも人間としてどのような意識を持っていかなければいけないかというのは大前提にあるわけでございまして、私たちは政治家として国民を代表してここにいる立場ということもありますし、やはりこれからの社会の中の安心、安全、あるいは人権擁護というものを国会として、あるいは内閣として築き上げる中で、こういった問題に対して大臣がどのように考えていらっしゃるか、ちょっと聞きたいところもあったのですけれども、そのような答えしか返していただけないことに対して、確かにあってはならない事件ですけれども、それはだれもが思っていることです。ちょっと残念に思います。

 質問に入らせていただきたいと思います。

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国保の一部改正案なんですけれども、先ほど山花委員の方からお話がありましたように、山花委員の方からは大きな、地方分権論といいますか、三位一体改革という内容について質問をいたしましたので、私はもうちょっとそれを突っ込んで、個別具体的に内容をお伺いしていきたいと思います。

 そもそも地方分権というのは、三位一体と言われておりますけれども、補助金改革、そして適切な規模の税源移譲が同時に行われる、そして地方の自助努力によって、自主努力を促せるような交付税改革というものを同時にしていく。しかし、これはあくまでも手段、道具であるわけでございまして、この道具を使って地方自治体がどのような自主、自立性を発揮していけるかということがその真の目的なのだと私も理解をしております。

 私たち民主党も、地方分権というものを推進しているところでございまして、今の二十兆円の補助金のうちの十八兆円を廃止する、そして大幅に税財源を移譲することにより、地方自治体の自主性、独自性というものが生かされる地方分権を行っていかなければいけないというふうに私たちは考えているところなのでございますけれども、政府の三位一体論、そして地方分権論の中で、一体この法律はどういった役割を果たすのかなということを思わざるを得ません。この法律を施行する、改正をすることによりまして、どれだけ地方の自主性と独自性というものが発揮される内容になるのだろうかということに疑問を抱かざるを得ないわけでございます。

 平成十七年度では、補助金廃止は一兆七千億円というふうに数字が出てきております。その補助金廃止と同時に、一方では、社会保障制度の見直しというものは、今現在、実際に行われているものでございまして、社会保障制度の見直しにつきましては、年金制度の抜本改革、これはイの一番に行わなければいけない。それと同時に、やはり医療制度改革についても同時に見直していかなければいけないことは、これは事実なわけでございますけれども、今同時進行で行われている中で一体この法案がどのような役割を果たすのかというのが理解できないところなわけでございます。

 平成十六年の六月に閣議決定をされました基本方針二〇〇四、この内容は、十七年度、十八年度の三位一体改革について書かれているわけでございますけれども、この中で、三位一体の改革を行う前提として、地方公共団体に具体案の取りまとめというものを要請されました。それによって、レスポンスが、返答が、提案が、地方六団体から改革案というものが出てきた、提示をされてきたわけでございますけれども、その中の、地方六団体の改革案で提示されたことをどのように真摯に受けとめて理解を、厚生労働省は、結局対案をつくられたわけなんですけれども、地方の意見というものをどのように把握されたのだろうかということを考えなければいけないと思うわけなんです。

 先ほども話が出ておりましたけれども、地方六団体は、これは廃止はしてはいけないというものの中に、ただの負担の転嫁になるものは補助金廃止をしてはいけないということを言ってきました。具体的に申し上げれば、生活保護あるいは児童扶養手当、これにつきましては「格差なく国による統一的な措置が望まれる」といった理由をつけまして、これを中に入れてはいけないよということを地方は言ってきたわけです。

 そしてもう一つ、国民健康保険。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、今実際に社会保障制度改革の真っ最中である、ですから、トータルの議論の中で見直しあるいは検討をされるべきでありまして、今回は入れるべきでないというふうな意見を提示してきたわけでございます。

 このような地方六団体の、これだけは移譲対象にしてはいけないよと言われた内容につきまして、なぜ今回、移譲対象に、はっきり一番最初に国保が出てきたのでしょうか。お伺いいたします。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

尾辻国務大臣 いろいろ言われましたけれども、最後が国保でございましたから、国保についてお答えをいたしたいと存じます。

 先ほど申し上げましたように、政府全体としては平成十五年の三月に閣議決定をして、健康保険全体の見直しを進めていくということを決めております。そして方針を述べております。その中で、国保をどうしようかということについては、先ほどお答えしたとおりでございます。

 ですから、そうした大きな流れの中でずっと議論してきた。しかも、その議論の中には、地方団体の代表の方ももう既に入っていただいて、かなり議論は進んできておるという一つのことがございます。私が申し上げたいのは、地方の方の皆さんももう議論に加わっていただいて、国保をどうしようかということについてはかなり議論は進んできておるということを申し上げたいわけであります。

 そうしたことを踏まえて、今度の三位一体の話が出てまいりました。この三位一体の話というのは、三位のうちの一つが税源移譲でありますから税源が移る、この税源が移るときに社会保障全体をどうするかという議論はぜひその中に加えていただきたい、そう思いましたから、今度のことを私どもは提案した、その中に国保が入っておった、こういうことでございます。

小林(千)委員 地方六団体の提案に対して、厚生労働省が対案を示されたわけでございます。その中に、審議会の中に地方の自治体の代表者の方も入っていらっしゃるという答弁だったと思うのですけれども、地方六団体の提案に対しての問題点ということを平成十六年の十月の十二日、厚生労働省の方で「三位一体改革について」ということで取りまとめていらっしゃいます。

 この中で、「地方六団体の提案の問題点」として、さまざま指摘をされているわけなんですね。まず一点目として、国民の安心と安全を守るべき社会保障については、これは結局ナショナルミニマムのことをおっしゃっているのだと思いますけれども、「一定水準のサービスをどの地域においても格差なく保障するという国の責任が果たせなくなる。」その次、全部で六点について問題点を挙げているわけなんですけれども、介護あるいは医療の給付につきましても、国は責任を果たせなくなる。少子化対策についても、国の責任が果たせなくなる。そういったふうに、国の責任が果たせなくなるから、地方六団体の挙げてきた九千四百四十四億円、これについては、ここの部分は受け入れられないよというような判断をされたのだと思うのですけれども、では一体、国の果たすべき役割は何なのかということをお伺いしたいと思います。

 憲法の二十五条では、これは国民の生存権そして国の社会保障の義務というものが書かれているわけでございまして、改めて言うものでもないですけれども、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」もちろんこれは、国はこれに対して義務を果たさなければいけないわけでございます。

 では、先ほど、地方六団体が入れてはいけないよと言っていたものが生活保護、つまりここの部分であり、母子家庭の方々の生活を守るための児童扶養手当であったりというものではないんでしょうか。ここで一番最初に挙げている、社会保障について一定水準のサービスを地域に格差なく保障する国の責任というのは、当然ここの中で果たされるものではないんでしょうか。

尾辻国務大臣 私どもが申し上げたのが、まさにその点でございます。

 憲法二十五条の規定をお話しになりましたけれども、そのとおりでございまして、私どもは、全国民に対して一定水準のサービスを保障するということをしなきゃいけませんし、したがって、社会保障の向上及び増進に努めるべき役割を担っている、それがまず基本であります。だから、そうしなきゃいけない。

 一方、地方はそれではどういうことになるかといいますと、住民の福祉増進を図る観点から、地域ごとに、実施になじまないものを除いて社会保障の実施主体としての役割を分担してきておる、これは先ほども申し上げましたけれども。したがって、国は全国一定水準のサービスを保障する、そして、今度はそれを実施主体として地方に役割を演じていただく、その大きな役割分担の中で今度もまた考えさせてくださいということを申し上げたわけであります。

 生活保護についても、そういう観点からお互いの役割をどうするかをぜひ考えたいということを御提案申し上げたところでございます。

小林(千)委員 今後の三位一体の改革についてということで、政府の中では、平成十七年度中に、以下について検討を行い、結論を得るというふうに書いているものの中に、生活保護そして児童扶養手当に関する負担金の改革というものを実際に挙げているわけでございます。これについては、十七年秋ぐらいまでに結論を得て、十八年度から実施するというようなことを書いているわけでございます。

 これが、本当に国として憲法で保障されている最低限の文化的、健康的な生活を保障するというものにそぐわないものであるのかどうなのかということが大変危惧されるわけでございまして、この十七年度中について、生活保護、児童扶養手当についているこの負担金の改革というものをどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

尾辻国務大臣 お話のように、生活保護費それから児童扶養手当の国庫負担のあり方については、昨年十一月のこの三位一体の改革に関する政府・与党合意において、地方団体関係者が参加する協議機関を設置して検討を行い、本年秋までに結論を得ることとされております。したがって、協議機関をできるだけ早く設置いたしまして、検討を早く開始しなきゃいけないと今考えておるところでございます。その協議の中でどういう御結論をいただくかということに尽きると思います。

 ただ、もう一つつけ加えさせていただきますと、よく申し上げておりますけれども、昨年の夏ぐらいだったと思いますけれども、指定都市の市長の皆さん方も、生活保護については既に制度疲労を起こしておるというお話を私どもにいただいております。ですから、これはもう生活保護を大きく見直さなきゃいけないんじゃないか、その制度を見直さなきゃいけないんじゃないかというのは多くの方々の御意見だと思います。

 そして、その指定都市の市長さん方の御提言の中に、かなり具体的に、こんなところを見直すべきだという御提言もございますから、ああしたところをぜひ今度の協議の中でも見直していただいて、結論を出していただければと思います。

 そうした中で、憲法の定める国の役割をどう考えるかというのも答えが出てくるんだと思っております。

小林(千)委員 その地方六団体の提案として、本当にさまざまな項目を挙げられて具体的に金額を挙げられてきていたわけでございますけれども、その中で、例えば少子化対策、これにつきましては、厚生労働省の考え方を読みますと、国を挙げてこれから取り組まなければいけないやさきに補助金を削減ということにしたら国が責任を果たせなくなるということをおっしゃっているんですけれども、私はこれは逆だと思うんですよ。

 先ほど山花委員からお話がありましたとおりに、補助金が削減をされるというのは、何もその事業をやらないというわけではないんです。やはり、それに見合った税財源の移譲というものが地方に対して行われて、その財源を利用して、使って、地方自治体が独自のこういった取り組みを行える。

 私は、例えば少子化対策なんかは、これは地方でやるべきではないかなというふうに考えております。市町村ごとによって状況もかなり違ってくるでしょう。例えば、うちの自治体は比較的専業主婦の方が多い、あるいはここの自治体は働く女性が多い、三世代同居の家庭が多いですとか、あるいは保育所が足りないというような地域事情というのはそれぞれあると思います。

 それをすべて、別に補助金を削減したからとして、やらないというふうに言っているわけではありません。ですので、私は、こういった地域の事情に即した内容こそ地方に任せられるべきであって、このように、国が責任を果たせなくなるからこの補助金を削減することはまかりならぬというふうにはならないと思うんですよ。

 それこそ先ほどのはしの上げおろしの話ではないですけれども、さまざまな具体的な項目に対して、これもやはり国がはしの上げおろしまでこうしろああしろということを地方自治体の方に言ってくるという内容になるのではないか。私は、ここの部分こそ分権を、税源移譲されるべきだというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今の御意見に対して、大きく二点言わせていただきたいと思います。

 その少子化対策でありますけれども、昨年はまだ、平成十六年度ということでいいますと新エンゼルプランのときでございます。この新エンゼルプランにかかわる分で計算をいたしましたら、これは私どもの計算でありますけれども、新エンゼルプランにかかわる事業が二千四百七十億円ございました、その二千四百七十億円で地方六団体が御提案のものを全部廃止対象として引きますと、実は九億円しか残らない、こういうことになりました。

 したがって、今、先生の御意見の中で、余りこの辺の数字の話ではありませんでしたけれども、私どもからすると、幾ら何でも二千四百七十億円から九億円しか残りませんと言われると、とてもそれは我々の責任が果たせなくなるんですということを言ったというのが一つでございます。

 それからもう一つは、では地方に行ったって地方がやるからというのがむしろ今の先生の御意見の御趣旨の方でございましたけれども、これはもう先生十分御案内のことでありますが、今度のことで、この辺の議論の中で非常に大きな部分を占めていたのは、結局、民間保育所のことをどうするかというのが大きな議論でございました。そしてまた、これが金額の上でも大変大きな部分を占めていました。したがって、議論はかなりここにもあったということはお認めいただけるだろうと思います。

 その話でいいますと、あれは平成十五年ですかね、一年前になるわけですから、とにかく公立保育所の一般財源化というのが先行しておりました。その公立保育所の一般財源化が先行してどういうことになったかということを見ますときに、かなりの公立保育所がなくなりました。それから、保育料が上がったりもいたしております。

 そういうことと考え合わすと、やはり私どもの責任ということを考えたときに、申し上げたように、国の責任というのが果たせなくなる心配があるというふうに言ったところでございます。

小林(千)委員 その一方で、地方六団体に対する提案の問題点のもう一つ、つまり国庫の負担金の割合の高いところについては具体案を示していませんということを指摘されていらっしゃるわけなんですね。

 具体的に申し上げますと、今の国庫の状況の中で、例えば国民健康保険については約三〇%近くを占めている。生活保護については一五%近くを占めている。その部分については何も、つまり、地方六団体はそこはいじくるな、手を出すなということを言っているわけなんですけれども、それに対して厚生労働省の方は、そういった部分については、高率な国庫負担金の部分については全く着手をしていないというところで問題意識を出されているわけなんです。

 それは確かに高率ですよ。今回の一兆七千億の税源移譲の中で、七千億円を国保の部分が占めている。ほかの部分は、大きいのは、義務教育の国庫負担をどうするかというのが今中教審でやっておりますけれども、これが約八千億近く。それを合わせると大体一兆七千億近いような数字になっているわけでございまして、この一兆七千億の中身を見てみますと、義務教がどうなるかはおいておくとして、国保というところが大変大きな割合を占めているわけなんですね。

 地方六団体が示してきた提案の中でも、九千億の分が、ほとんど七千億がこれで取ってかわられてしまったというのが六団体の感想なわけなんですけれども、これだけの数字を見てみますと、やはり最初に四兆円の削減ありきというのが先にあったのではないか。先ほど大臣も答弁の中で、やはり数字の前提というものがあったからこのような結果になってしまった、これがもしなければ、違う方向でひょっとしたら進んだのではないかなというような感じで受けとめましたんですけれども、本当に地方分権、地方の自主性、自立性を高めるための、もし四兆円という枠がなければ、こういうふうな案を出してきたのかなというような疑問を私は持たざるを得ないんですけれども、正直言ってどうでしょうか。

尾辻国務大臣 そういう御指摘というのは、私どもの方についても全くなしとしないわけじゃありません。先ほど申し上げた言葉の中にはそういう思いもありますけれども、むしろ、最初に数字がありきということで、結局、地方団体の皆さんも何か無理やりにいろんなものを集めてこられてお出しになったなという印象を非常に持っていますということを実は申し上げたつもりであります。

 ですから、そういうものがなければ、先ほど来の御議論のように、地方分権はどうあるべきかとか、そしてまた、今後の社会保障をどう考えましょうかという二つの大きなテーマがあるわけですから、このテーマをどうお互いに組み合わすことが一番いいのかなという、数字をおいておいての議論ができればもっとよかったかなというのは実は正直に思うものですから、申し上げておるわけでございます。私が申し上げている思いというのは、そういうことでございます。

小林(千)委員 数字を集めて集めて、何と何と何と何を足せば、やっと九千四百四十四億円になったというような地方六団体の考え方というのは、同じことが政府の方にもあるんじゃないかなと私は思うんですよ。ことしの一兆七千億円を達成させるために、ひいては十八年度までに四兆円というものを達成させるために、ああ、やっとここで国保七千億円がある、これは大きい、義務教育費は八千億円だ、これは大きい、そういったような数字合わせというのが先に残念ながらあった上での議論だったのではないかなというような疑惑と申しましょうかを持たざるを得ないわけなんですね。それでいい迷惑になるのは地方になると思うんですけれども、まあ、言わせていただければ、いい迷惑だと思うんです。

 地方の自治体にとって一番気になることは、本当に削減をされた分、お金が入ってくるのか、ちゃんと担保されるんだろうかということは、やはり運営をしていく自治体にとっては一番気になるところだと思いますので、ちょっとそこのところの確認をさせていただきたいと思います。

 今回、補助金が削減をされる分、そして税源移譲をされるというふうに言われております分が六千八百五十一億円。十七年度は少し小さいですけれども、十八年度になると六千八百五十一億円の補助金が削減をされて、かわりにそれが税源移譲されるというふうに言われておりますけれども、これは何をもってして税源移譲されるんでしょうか。そして、税源移譲されるとすれば、これは都道府県におりてくるわけなんですけれども、都道府県によってこれはどういうふうに配分をされるのか。総務省の方にお伺いしたいと思います。

瀧野政府参考人 税源移譲についての御質問ですので、お答えいたします。

 今回の三位一体の改革案に伴いまして、補助金の見直しに伴います税源移譲については、現在のところ、所得税から住民税というものを想定しておるわけでございます。

 どういう形で所得税から住民税に税源移譲するかにつきましては十八年度の税制改正に向けて検討をするということでございまして、その前段階といたしましては、所得譲与税という形で所得税の一部分を地方団体に譲与するということを考えてございます。所得譲与税につきましては、各都道府県に対しまして人口で配分するという考え方でございます。

小林(千)委員 そうすると、都道府県の人口規模によっても、あるいは、今回削減をされる補助金部分の七%と、あとは保険基盤安定制度の部分の二分の一、これはやはりそこの運営している市町村によっても格差はかなりあると思います。それにより、配分される部分と削減される部分とで、当然四十七都道府県ででこぼこは出てくるはずなんですよ。それはどこでちゃんと補てんをされるんでしょうか。確認をしておきたいと思います。

瀧野政府参考人 御指摘のように、所得譲与税を人口で配分いたしましても、従来の国庫補助負担金の額とは当然各団体一致しないわけでございますので、でこぼこが生じるわけでございます。

 そこのところにつきましては、一つには、交付税の中の基準財政収入額という計算がございますけれども、従来は所得譲与税等の税収につきまして必ずしも一〇〇%収入にカウントしなかったのでございますけれども、今回はきちんとした調整をしようということで、基準財政収入額に一〇〇%、所得譲与税をまずカウントいたします。その上で、交付税の計算は収入と需要との差し引きで行うわけでございますけれども、足りない分につきましては、基準財政需要額の算定を通じまして各団体に交付をしていこうというふうに考えてございます。

 その際、地方団体、こういう国民健康保険の仕事につきましては、補助金のあるなしで仕事をしなくてもいいということになりませんので、まず必要な額を全額交付税の中に算入いたすわけでございます。それによりまして、オール・ジャパンといたしましての額を交付税の中できちんと算定をいたします。

 その上で、各団体につきましては、従来の国庫補助負担金の配分を基準といたしまして、一定の交付税上の補正を加えまして、各団体にその需要額を割り振っていく、こういうようなマクロ、ミクロの考え方を通じまして、きちんとした形で財源を各団体に配分していくというふうに考えてございます。

小林(千)委員 では、今回補助金が削減をされる財政調整交付金の一%分、そして定率国庫負担分の六%、足して七%と保険基盤安定制度分の二分の一の部分は所得譲与税、そしてそのでこぼこ部分については交付税で担保するということで、これは間違いないですね。うなずいていらっしゃるので、間違いないということで確認をさせていただきました。

 問題は、この都道府県におりてきたお金の使い道です。そのお金を各都道府県がどのように使うのかということが問題なんですけれども、これは法案の方には記載をされております、七十二条の二のところですね。

 七%の財政調整交付金、そして保険基盤安定制度の四分の三というのは、各都道府県に義務づけられているわけでございまして、都道府県に来た大きな袋の使い道というものは、法律で明記されて義務づけられているわけでございまして、ここに都道府県の裁量というものは、余地は発生をいたしません。しかも、今、市町村国保というものは、どこの自治体でも大変経営が悪化している不安定な状態ですので、配分する際の弾力的な運用というものはどうやら望めないだろうというふうに言われて、現実的には困難なのではないかなというふうに思います。

 その中で、都道府県から各市町村へ、実際に市町村国保を運営している市町村へはどのように配分をされるのか。これは、削減される例の七%と四分の三、これがそのまま義務化されるわけではないですよね。どのような方向性を持って市町村に配分をされるんでしょうか。

水田政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県調整交付金の配分方法についてのお尋ねと解されますけれども、この配分につきましては、財政調整を行う各都道府県におきまして、県内市町村の意見を十分踏まえながら、県内の状況に応じまして、条例で自主的かつ主体的に決定していただくものと考えてございます。

 一方で、具体的な調整の手法の検討に当たりましては、専門的かつ技術的な要素が多いということもございますので、厚生労働省といたしましては、各都道府県における検討に資するように、いわば参考資料としての配分のガイドラインを作成したい、このように考えてございます。

小林(千)委員 この法案が通過するとすると、これは四月一日からお願いしますということですから、四月一日から、通れば行うことになるんでしょうか。各自治体は、都道府県は、条例を大急ぎでつくらなければいけないことになるわけですね。

 その中で、その配分方法については、都道府県の裁量に任されるといいますか、条例で定めなさいということになります、具体的な、テクニック的なこともあるでしょうから、ガイドラインというものは作成をするという内容でした。ガイドラインというものの中身はどうなっているんでしょうか。そして、このガイドライン、一体いつできて、それを自治体に配られて、自治体はそれで条例づくりをすることができることになるんでしょうか。

水田政府参考人 ガイドラインの内容について、あるいはその状況についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、現在、地方三団体、知事会、市長会、町村会でございますけれども、と総務、厚生労働両省によりまして検討の場を設けて作成することとしてございますが、現在は、全国知事会が中心となって、地方団体との間で策定に向けた調整を行っているということでございます。

 次に、このガイドラインの策定時期でございますけれども、当たり前のことでございますが、調整交付金の実際の配分までに都道府県で条例を制定していただく必要があるわけでございまして、ガイドラインにつきましては、こうした条例制定作業に間に合うように、また市町村において混乱が生じないように、できる限り早くお示ししていきたい、このように考えております。

小林(千)委員 実際に法が施行されるとする四月一日、そこから都道府県も運営に、これが通れば参加するということになるんですけれども、もちろん市町村国保というのは、市町村ごとで哲学を持って国保というものを各自治体で運営しているわけなんですね。老人医療費をどうしようですとか、あるいは乳児医療費をどうしようですとか、あるいは障害者に対して、あるいは母子家庭、父子家庭といったところに対してどのようなケアをしようというような哲学を持って実際にやっているわけでございまして、そこで、都道府県が条例をつくる、その配分方法を、都道府県ももちろんそれぞれの哲学を持って各自治体にそれを配分しようということになるんでしょうから、ぜひともこれは、ガイドラインに縛られることはないと思うんですけれども、やはりお早目に示していただかないと、実際に四月一日からどうなるんだろうかということは、これは市町村もあるいは都道府県も大きな関心事だと思いますので、ぜひこのガイドラインにつきましては、早い時期に方向性を示していただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 もしガイドラインができても、実際にどういうふうに配分をするかというものは、多分これは、都道府県も頭を悩ます問題になってくると思うんですけれども、各自治体とも、市町村国保も運営が大変厳しい、その中で、今まで国から来ていたものをどういうふうに配分するか。何も考えないところはと言っては都道府県に対して大変失礼なんですけれども、今までの七%と四分の三の削減をする部分を、そのままひょっとしたら行っちゃうんじゃないかなということも想像してしまうんですけれども、では、それが本当に地方分権なのかということは疑問を抱かざるを得ないわけなんですよ。ですので、本当にこの法案が分権に資するものなのかということをやはり申し上げておきたいと思います。

 具体的に、国保の今の現状、中身についてお話をさせていただきたいと思います。

 国保というのは本当に、各市町村が運営しておりますけれども、脆弱な財政基盤の上に成っています。ほとんどの市町村国保は、一般会計から繰り入れをされて、赤字経営を補てんしながら運営をしているのが現在の状況であります。何でこのような状況になったかというと、やはり今の国保の現状、中身というものが、制定当時の昭和三十三年、実行された三十六年時代からは、大きく社会が変化してしまったことにより、加入者も変化をしてきた、社会の状況も変化をしてきたことがこの原因に挙げられているわけなんですね。

 当時の昭和三十六年現在、日本の産業構造というものは今と全く違っておりました。この国保というのは、そもそもは第一次産業従事者と、そして自営業者のための制度だったわけなんですけれども、もちろん今それは大きく変化をしているわけなんです。

 当時、第一次産業従事者は、国保加入者のうちに四四・七%だった。それが現在は、平成十四年の数字ですけれども、四・九%になっている。それはもちろん、今の日本の社会を見て、一次産業従事者が少なくなっているからだということが言えるでしょう。自営業者も、当時二四・二%から、今は一七・三%までになっている。かわりにふえたのは何かといいますと、無職者が九・四%から現在は五一%、国保加入者の、被保険者の半分以上は無職者。そして、被用者というのもふえているんですね。被用者は一三・九%だった当時から、二四・一%までふえているというような現在の国保の加入者の状況になっております。

 無職者が何で今半分、五一%を占めているか。これは、今これだけ失業率が高くなってしまっている。今までは社保ですとか組合健保ですとか政管健保に加入をした人たちが、リストラをされ職を失うことにより国保に入ってきている。しかし、職がないから収入がないということですね。それだけではない。高齢化に伴いまして、退職者の方々の割合というものもふえているのが現状です。

 被用者がふえている。これについては、ちょっときょうは資料を用意させていただきました。配られているでしょうか。

 私、地元北海道なんですけれども、北海道新聞という地元の新聞の二月の二十八日の一面トップを飾ってしまったんですが、「規制緩和で「加入逃れ」」、皆保険制度というものが崩れ去っているという記事の内容なんですね。ここでトラック業界がどうのこうのというつもりは全くないんですけれども、業者が社会保険に加入をしていない、あるいは、この不況の御時世で、加入というのが従業員の選択制になっているんだけれども、所得が実際に減るということで加入をしていないという状況がここに載せられているわけなんです。

 これは、別にトラック業界だけではないと思いますね。ほかの業界でも同じようなことをして、例えば法の目をくぐって加入逃れ、あるいは未加入というような状況に今陥ってしまっていて、国民皆年金制度というものも既に崩れておりますけれども、国民皆保険制度というものも今崩れ去っていってしまっている。現在の国保のこの脆弱な財政基盤というものは、このような現状が原因になっているのではないかと思います。

 この国保という制度自体が、このような高齢化の波と産業構造の変化にまともに直撃の影響を受けてしまうという体質を持っているんですけれども、一方で、国保というものは、国民年金と同じように、国民にとっても最後の医療のとりでにもなっているわけなんです。しかしながら、その国保がこのような不安定な構造を持つ制度になってしまっている。今回の法改正は、残念ながら、ここにメスを入れるものでも何でもないんですね。

 今のこの国民皆保険制度、これをどういうふうに維持していって、国民全体が公平で公正な医療を受けられる体制というものをつくっていかなければいけないか、これは私たちの大きな責任だと思っていますし、最後のとりでであるこの国民保険、国保というものは、やはりこれは、国民年金と同じように、しっかりと国が守っていかなければいけない制度であろうというふうに考えておりますけれども、大臣、この点について、どのように国保についてお考えでしょうか。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

尾辻国務大臣 今国民健康保険が抱えております問題点というのは、先生がお述べになったとおりでございます。財政基盤が極めて脆弱、不安定であるということであります。したがって、だから国保をどうするかということを考えなきゃいけないという事態に今立ち至っておるわけであります。

 きょう先生のお話の中には出てきませんでしたけれども、やはり国保を考えるときに、どうしても老人医療保険をどうするかということと、これは極めて裏表というか、もう一体と言ってもいいぐらいの関係にあります。今申し上げているのは、私どもは、そうしたものにいろいろ検討を加えて、平成十八年度には健康保険全体をどうするかという案を出させていただきたい、そこまでしっかり検討をさせていただきますというのがきょうのお答えになりますけれども、私どもはそうした中での議論を十分に進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

小林(千)委員 国保の財政についても同じように今検討をしていらっしゃる最中だというふうに思うんですけれども、よくこの国保の財政基盤の赤字の原因として収納率低下ということが言われているんですが、実際には収納率低下だけでここまで赤字に陥ってしまうということではないと思うんですよ。先ほど申し上げたような構造変化というものが多分大きな原因を占めている。もちろん、収納率の低下というものもあるのかもしれませんけれども、高齢化によって医療費はどんどんと膨らんでいってしまっている、一方で、このような被保険者の変化、無職者がふえている、高齢者が、退職者がふえている、あるいは被用者から、大変厳しい労働環境の中で低所得者の方がふえているといったような内容で、保険料収入も減っている。ですから、赤字経営の原因というのは、収納率だけの問題ではないと考えております。

 私も、実際、地元の国保の状況はどうなのかなというふうに、地元の自治体、札幌市なんですけれども、政令指定都市ですので収納率も低いというような状況にあるんですが、そこの財政状況をちょっと伺ってまいりました。

 ここの市の抱えている国保の問題点として、やはりベッド数が多いということから高医療費市町村である。そして、加入者の所得が低い。移動率が、出たり入ったりというのが大変激しくて、三〇%以上次の年は人が入れかわってしまう。ですので、未収だった人をどこまで突きとめていって、捜して、首根っこつかまえてお金を払ってもらうか、保険料を支払ってもらうかということが大変厳しいというような環境になっている。そうやって、収納率が低くて、残念ながら八二%ぐらいで、国からペナルティーを受けているということなんですね。ですので、一般会計から繰り入れを入れざるを得ない状況になっているという御報告を地元でいただきました。

 この解消策として、地元の自治体はどのように思っているか。まず、もちろん保険料の収納の努力というものは取り組まなければいけない。一般会計からの繰り入れというのも残念ながらしなければいけない。そして、何よりも国の抜本的制度改革を望むというふうに言っているのが、地方自治体の、実際に運営しているところの声なのではないかなというふうに考えます。実際に、この国保等の運営というものを、これからどのように厚生労働省としてお考えなのかなというふうに伺いたいと思います。

 実際に、先日、本会議でこの法案が質疑されたときに、民主党の藤田一枝議員の方から大臣に質問をされておりまして、このような大臣の答弁がありました。

 国民健康保険改革の今後の進め方についてという質問をされたんですけれども、これからどういうふうにしていくつもりなのか。その大臣の答弁は、一昨年に閣議決定された基本方針において、都道府県単位を軸とした保険運営を目指すこととされており、市町村国保につきましては、今後さらに、当面は二次医療圏の区域を基本として、都道府県内の医療格差が大きくない状況にあれば、都道府県を単位に再統合を行うことが適当であると考えておりますというふうに、大臣は二月二十二日の本会議で答弁をされていらっしゃるんですけれども、これは具体的にどういったことをおっしゃっていたのか。今、保険者である地方自治体ですけれども、これは都道府県が保険者になるということを再編統合ということで考えていらっしゃるんでしょうか。

尾辻国務大臣 少なくとも、今の国保を、市町村単位で、保険者を市町村にして維持していけるかというと、きょう先生のお話のとおりでありまして、大変厳しい状況になってきておる。市町村が四苦八苦しておられるというのはお話のとおりであります。

 では、それをどうするかということでございますけれども、基本的には、国保をどうするかということは、最終の答えは十八年度にお示しをすることになるわけでありますが、それに至る議論の過程の中で、先ほどお答え申し上げたようなことを私どもは検討しながら進めていきますということで申し上げたつもりでございます。

 ただ、その中の大きなポイントとして、やはり、どうしてこういう言い方をしているかということについて申し上げておいた方がいいと思いますから申し上げるんですけれども、国保のことを考えるときに、どうしても老人医療保険の検討はセットの検討になる。今、これはもう申し上げるまでもない、御案内の数字でありますけれども、老人医療費というのが都道府県の全国平均が一人当たり約七十五万円、これにプラスマイナス十五万円で高いところから低いところが並ぶわけでありまして、先生の御地元などは高い方にあるわけでございます。そういう都道府県別の格差、そういう老人医療費についても非常に格差がある。

 そして、さっきベッド数のお話もちらっと出ましたけれども、医療計画をつくるのが、都道府県で今医療計画をつくっていただいておりますから、どうしても都道府県主体でそうしたことを十分御検討いただきたいという思いが私どもにあるという、そこのところが、先ほど「当面は二次医療圏の区域を基本とし、」という以下の、私どもの検討をしていく上での過程でまずこんなことを考えたいというところにあらわれておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

 したがって、こんな検討をしながら、最後、十八年度に答えをお示ししたいというふうに考えておるところでございます。

小林(千)委員 今、保険者である市町村の置かれている環境、北海道は全部で二百八の市町村があるんですけれども、全部赤字なんですね。ですから、例えば広域連合みたいなものができるのか、最終的にはオール道というか県になるのか。でも、赤字と赤字がくっついても赤字なんですよ。それは確かに事務的経費が多少削減をされるところはあるのかもしれませんけれども、基本的に脆弱な体質というものを変えるものでも何でもないわけなんですね、広域化をされるということになったとしても。

 ですから、広域化、二次医療圏、あるいは都道府県単位になるということで、国保の財政体質というものがどのようになると大臣はお考えでしょうか。

尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、それは老人医療保険をどう組むかということにかかわって、随分答えが違ってくると思いますということをまず申し上げたいと思います。

 それから、赤字と赤字を足せばというのは、おっしゃるとおりでもありますけれども、リスクの分散ということでいうと、大きくなる方がやはりやりやすいというところはあると思います。国保にある日突然に、このごろは高額医療というのが患者さんによっては生じますから、どんと来たりすると、もう担当の方は目の前が真っ暗になったというようなこともありますし、そうしたことは分散はできるだろうなと思いますけれども、それよりも何よりも、やはり老人医療保険をどう答えを出すかということの方が極めて大きなウエートを占めていると思います。

小林(千)委員 実際にこれから高齢化社会がまだ継続をするだろう、さらに進むだろうという中で、医療費が膨らんでいくということは十分考えられることですし、今の市町村国保というものの、先ほど申し上げたような、当時から構造がこれだけ変わってきているといったところを考えてみますと、例えばそういったリスクの分散ということをおっしゃられても、根本的な解決には実はなっていないわけでございまして、では、今回のこの法改正は一体国保をどういうふうにしたいんだろうかということを、本当に何の解決にもならないというふうに言いたいんですけれども、そんなことを思わざるを得ないわけなんです。

 最後になんですけれども、今回、都道府県が国保へ関与をしていくことになる、七%分と四分の三が都道府県の方に移譲されるということになりますけれども、三位一体の方向性にもなりますが、これからの国と地方の役割をどういうふうに考えていくか、あるいは、これからの医療制度改革がどのように行われていくかということにもよるんでしょうけれども、今回、補助金がカットされて七%が移譲された、それにより七%都道府県の責任というものが生まれたんですから、しっかりやりなさいよとなると、これからの地方分権がさらに進んでいくとすると、この七%という枠は拡大される可能性もあるんでしょうか。都道府県の役割、地方と国の役割というものが変化していく可能性もあるんでしょうか。

尾辻国務大臣 その辺は今後いろいろな議論が行われると思いますけれども、基本的に、保険料が半分、国費が半分、国の負担が半分という今の国保の大きな仕組みの中というのを変化させようなんというのを今私どもが考えておるわけでもありませんし、そうした中では、今の割合が変化するということを考えておるところではございません。

小林(千)委員 何よりもこの課題は地方分権だと思うんですけれども、これから地方分権をどういうふうにしていくかという問題が一つと、そして、少子高齢化、老人医療費がかさんでいく、この医療制度をこれからどのようにしていかなければいけないかという問題は、ともに取り組まなければいけない問題であります。

 そんな中で、この法案が今回出てきたことに対して、一体これが本当の地方分権になり、そして医療制度改革になるのかといった点では甚だ疑問が大きいということを最後に意見として申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

鴨下委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 理事の皆さんや委員の皆さんの御理解をいただいて、お時間をいただきました。一時間にわたって、日ごろ私が考えておる、今までの経験に基づいた、いろいろの角度で質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私は、地方の目線で今回ぜひ質問をさせていただきたい、このように思っておりまして、まず、私のところに友人の市長から一通の手紙が参りました。それをちょっと御紹介させていただいて、三ページにわたっていますので中は少し略させていただきますけれども、要点だけ申し上げたいというふうに思います。

  補助金の廃止・削減と地方交付税の見直しと税源移譲と一体の改革であってこそ「三位一体改革」であり、それならば地方は受け入れることができる。

中略。

  平成十七年、十八年度においても三兆円の補助金削減に対して三兆円程度の税源移譲としながらも、満足のいく税源移譲が実行されず、当市においては、平成十七年度の影響額はマイナス六億円程度となっている。他都市においても額に違いはあるものの、多額な影響を及ぼしている。国の動向に対して、まったく信用できない状況である。

  このような財源不足の状況の中で、今回国民健康保険における国の負担率の引き下げが行われる。

  現在、保険給付費(医療費)の伸びは近年特に著しく、国保税の引き上げを行わなければならない状況であり、当市においても平成十七年度医療費分として一一・七%の引き上げを行った状況である。

十六年が四十一億、そして十七年が四十七億ということでありまして、これは一一%という大変な引き上げになるわけであります。

  この医療費の増加に伴い、当然にして都道府県も負担増になる。

中略。

  今後医療費の伸びに見合う税源移譲などの確約がない場合には、県も財政状況が厳しい中、県の経費を圧縮し、その分市町村に負担転嫁をしてくることは明らかであり、国においても、さらに負担割合を下げてくることも想定される。

  都道府県は国から県内における調整権限が移譲されるとの事であるが、負担のみが大きくなり、地方の自由度は高まることはない。

  また、地方六団体の改革案に盛り込まれていない国民健康保険に関する国庫補助負担金の改革は、保険料二分の一、国庫負担二分の一という現行の基本原則を維持する限り一応了とすると地方は言っているものの、これをどこまで続けられるか疑問が残る。

  本来この件については、三位一体改革とは別の場で議論整理されるべきであり、仮に、今回見直しを行う場合にあっても、現在社会保障審議会で医療保険制度の改革について議論されている段階であることから見送るべきであると考える。

  国は将来負担増になると思われるものを地方へ押しつけていると考えざるを得ない。国民の健康生命は国が守るべきであり、国の負担を下げるということよりも、先に制度全体の中で考えるべきである。

  また、交付金として率をカットし存続するということは、国に権限と財源までも残していることであり、税源移譲にもつながらないものであり納得はできない。

  都道府県は負担の導入を受け、医療費の適正化等により抑制効果が表われた場合にはこの交付金(調整交付金)を削減し、国の財源を確保するということも考えられ、税源移譲という形でなく、交付金という形で存続している感もある。

  現在のところ、理論上は国保の負担が引き下げられたとしても市町村の負担は何ら変わりがなく、その影響はないわけであり、都道府県と市町村の立場は異なるが、将来的には前述したように、大なり小なりの市町村への負担転嫁は考えられる。

  補助金の負担率の引き下げなど理念なき負担転嫁は行わず、補助金廃止と税源移譲の一体的実施をお願いしたい。

これが私の友人の市長から来た手紙でございます。ちょっと一部略しておりますので、御理解いただきにくい面もあったかもしれません。

 要は、ここにも書いてあります、まさに悲鳴のような、現在、社会保障審議会で医療制度の改革について議論をされておるじゃないか、そんな段階でこれをやることはない、それから、国は将来負担増になると思われるものを地方に押しつけておるんじゃないか、国民の健康生命は国が守るべきだ。これは、まさに今の地方の、全部とは言いませんけれども、私は市町村長の本当に切なる思いだというふうに思うんですよ。「補助金の負担率の引き下げなど理念なき負担転嫁は行わず、補助金廃止と税源移譲の一体的実施をお願いしたい。」これも全く本音だというふうに思います。

 この私の友人の市長の手紙をもとに今から私もいろいろな面で御質問をさせていただきたい、このように思っておるわけでございます。

 まず、社会保障制度改革、三位一体の改革の進め方についてというところでお尋ねをしてまいります。

 小泉さんが総理に就任して以来、四年がたちます。しかし、いまだに我が国の社会保障制度改革の姿は全く見えてきておりません。小泉内閣が社会保障制度改革の名のもとに行ったことは、医療費の三割の自己負担と保険料の引き上げ、また年金保険料の引き上げと年金給付のカットという当面の財政対策に終始してきたわけであります。その結果、社会保障制度改革は政府が言う一体的な改革の名のもとに先送りをされて、国民負担増だけが残ったわけであります。一方では、報道で明らかなように、雇用保険で、二〇〇二年から二〇〇三年度で雇用保険七十一億の不正受給が言われております。このことは別の委員から御質問があろうというふうに思いますので私は申し上げませんけれども。

 このような社会保障制度の抜本的な改革の姿が見えてこない中で、高齢化はますます進み、一方、少子化には何のブレーキもかかっていません。国民は一体政府は何をどうする気なのかと思い始めておるのが実情ではないでしょうか。

 そして、国民への負担の押しつけが批判を浴びると、今度は地方分権、三位一体改革の名のもと、地方への負担の押しつけを行おうとしております。社会保障制度改革がままならない中で、地方の意見を無視して三位一体の改革を進めようとしている小泉内閣と厚生労働省の姿勢にまず問題があると私は思いますが、いかがでしょうか。

 そこで、具体的にお伺いをします。

 地方六団体が昨年八月に総理の要請の求めに応じて提示した三兆二千億円の補助金削減案について、厚生労働省に関する削減要求額は幾らになるのか、また、要求された額のうち実際に削減した額は幾らか、お答えをいただきたい。

 そして、ついでに、削減要求に応じなかった補助金の名称は何があり、その理由はどのようなものか、具体的に御説明をいただきたいと思います。お願いします。

尾辻国務大臣 それではお答えをいたします。

 昨年八月に地方六団体案でお示しいただいたものの中で厚生労働省に関係のあるものにつきましては、四十七項目、約九千四百億円の提案がございました。これに対しまして厚生労働省としては、養護老人ホームの運営費への補助、生活支援ハウスの運営費への補助など十三項目、約八百五十億円の税源移譲を行うこととしております。

 なお、税源移譲を行った補助金以外についても、地方自治体の裁量性や創意工夫の余地を拡大する観点から、二十三項目、約三千百億円の補助負担金を再編し、地域介護・福祉空間整備等交付金、次世代育成支援対策交付金等、交付金化、統合補助金化を実施いたしました。

 市長までなさった先生でございますから、補助金から交付金化されたことによってどういう変化をしたというようなことについてはもう御説明は申し上げません。そういうことをしましたというお答えをまず申し上げたところであります。

 次に、もう一つ、要求に応じなかったのはなぜかというお尋ねがございました。

 まず、基本的に、これは先ほど来何回も申し上げておることでありますけれども、社会保障の分野では、これまでも国と地方の関係というのは、いずれか一方のみですべての責任を担うという、私が申し上げておりますオール・オア・ナッシングという関係ではなくて、重層的な形で協力、連携していくという考え方で私どもは今日までさまざまな施策を行ってまいったところでございます。まず基本的な私どもの考え方を申し上げました。

 しかし、その地方六団体の提案では、今後急速な少子高齢化が進み、ますます国と地方が連携して取り組むことが必要になってきておる中で、国家的事業として社会サービスを整備しなくてはならない、先ほど先生のお話の中にも出てきました、一向に進んでいないじゃないかという少子化対策等の国庫補助負担金が廃止されるなど、社会保障全体で国が求められておる一定水準のサービスを地域格差なく保障するという国の責任が果たせなくなるといった問題があると判断をいたしましたので、御提案のすべてを受け入れることは難しいという判断をいたしまして、代替案を私どもなりにお示しをしたところでございます。

 以上、お答えをいたしました。

鈴木(克)委員 今大臣は協力、連携ということを強調されたわけでありますが、実際に冒頭の手紙を読み上げさせていただいたのは、本当にそういう意味で真の地方との協力、連携そして信頼ができておるのか。私は、現段階では決してそうではないんじゃないか。お互いに何か押しつけたり押しつけられたりと、真の理解はまだ進んでいないということを申し上げて、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 続いて、医療保険制度改革、そして国保の再編統合についてお尋ねをします。

 我が国の医療保険制度を取り巻く状況は、年々厳しさを増しておるのは御承知のとおりです、先ほども申し上げました。とりわけ、市町村国保は、国民皆保険体制の基盤を担っていますが、近年、現役を退かれた年金生活者はもちろん、企業のリストラによる離職者、失業者、フリーターの増加など、社会的、経済的に弱い立場の方々を受け入れる宿命を担っています、先ほど小林委員もおっしゃいました。また、高齢者を中心とする医療費の増加とも相まって、平成十五年度における市町村国保の単年度経常収支は、約一千四百八十二億円の赤字との数値が公表されておりますが、赤字補てんを目的とした一般会計の繰り入れを除けば四千億円弱の赤字となります。これまで行われた医療保険制度の改正では、市町村国保の脆弱な財政体質は何ら変わっていません。

 そこで、以下お尋ねをさせていただきます。

 このような中で、近年、国民の健康の根幹である国保の保険料の未納が増加していると言われております。先ほど札幌は八二%というお話もありましたけれども、最近五カ年の国保の未納状況はどのようになっているのか、また未納が増加している理由は何か、大臣にお尋ねをしたいと思います。

西副大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、近年未納率が少しずつ増加をしていることは事実でございます。

 具体的に申し上げたいと思います。十一年度から五年間ということでございましたので、十一年度は九一・三八%、それから十二年度が九一・三五、十三年度が九〇・八七、十四年度が九〇・三九、十五年度は九〇・二一と、少しずつですが、確かに五年間で一・一七%減少ということになっております。

 原因は何かということでございますが、一つは、やはり依然として厳しい経済情勢、特に都市部、さらには若年の方、先ほどちょっと議論がありましたが、そういう方の納付意識の低下等もあってこういう状態になっているのではないかというふうに推測しております。

鈴木(克)委員 未納が、今この五年を御報告いただいたわけでありますが、七年間で二倍になっているんですよ。これは、やはり本当に放置できない問題だと、正直このように指摘をさせていただきます。

 そこで、このような収納率が低下する状況に対して、各市町村ではどのような対策を講じているのか。具体的な事例とその効果について御説明をいただきたいと思います。

西副大臣 お答えを申し上げます。

 未納の対策に関しましては、各市町村で御努力をいただいているんですが、振替口座を推進させていただいている、それから徴収員による徴収の強化をさせていただいている、これが一つ目でございます。

 それから、短期の被保険者証、資格証明書を活用したりという努力をさせていただいている。それから、徴収事務に関しましては、コンビニエンスストア等でお支払いできるように今努力を進めているところでございます。

 この収納率向上に向けたさまざまな取り組み、若干まだまだ地方によっては格差はあろうかと思うんですが、平成十五年度では、十四の都道府県でおかげさまで収納率の改善が見られたというところでございます。

 今般、国として国民健康保険に係る総合的な収納対策を取りまとめたところでございまして、今後、保険者において国保収納対策緊急プランというものをおつくりいただきまして、滞納対策の充実、確保を図っていくという予定になっているところでございます。

鈴木(克)委員 いろいろと私のところの地元でも、やはりコンビニでの振替をやったり、本当に各市町村一生懸命努力をされておるわけでありますが、そういう状況の中で、何か厚労省としてもっと積極的に対策を考えていく必要があるのではないかなというふうに思うわけであります。

 そこで、このままでは国民年金と同様に国保の空洞化が生じる危険があるのではないか、このように要らぬ心配をするわけでありますが、厚生労働省として、このことについてどのような認識なのか、国民年金と同様に国保の空洞化が起きてしまうのではないかということに対してどの程度認識をされておるのか、御答弁いただきたいと思います。

西副大臣 今、先ほども申し上げましたように、若干の収納率の低下を初めとした市町村の御苦労、確かにございます。そのことに関しましては、御答弁申し上げましたように、最大限努力をいたしまして、収納率の回復、これは第一の大きな課題だというふうに考えておりますので、この点については努力をさせていただきたいと思っております。

 ただし、大きな観点からいたしますと、高齢化がますます進展をしてくる、それから低所得者の皆さんの増加、それから財政基盤がそんな原因で脆弱化、不安定化しているということは大きな問題だというふうに思っております。

 この制度そのものが、先ほどからもずっと議論がございますように、規模が小さいがゆえに財政が極端に不安定になっているところがたくさんあるということは委員もよく御存じのことでございますが、例えば、事務処理が小さな規模でも、ある一定の人員を配置しなければならない、また、そんなことで十分な人的資源がなくて保険者の機能を十分発揮して収納等にも徹底することができないというような保険者が少なくとも存在をしているということもかんがみまして、これから新たな改革を私どもとしてはさせていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。

鈴木(克)委員 先ほども小林委員の方から、赤字と赤字が一緒になってもしょせん赤字ではないかという話もございました。しかし、そういうことは、やはり努力は私は続けていかなければならないというように思うんですが、財政基盤の安定化を図る、ここが最大の目的なわけでありまして、この国保の再編統合について、ただ統合するということではなくて、財政基盤の安定化という視点からいくとどんな方策を考えてみえるのか、御答弁をいただきたいと思います。

西副大臣 お答えを申し上げます。

 先ほども若干申し上げましたが、保険者の再編統合、委員おっしゃるとおり赤字同士では安定にならないじゃないかということでございますが、まず、そのことによりまして一つの安定化の出発をさせていただく。そのことによって保険運営の広域化が図られるわけでございまして、同時に、県が中心になってやっております医療圏域の中でのいろいろな計画を同時にしっかり策定をしていただいて、医療費の適正化それから保険料徴収の充実等、保険者の機能を充実させていくということをこれからやっていきたいと思っております。

 そのために、これらの改革を進めるために、今般、都道府県に財政調整機能の権限の一部を担っていただきまして、都道府県が保険運営の広域化それから医療費の適正化に向かって主体的に取り組んでいただく、そして都道府県が国の支援とあわせて、私どももそういう観点から保険者の支援、また地ならしをさせていただくと同時に、もう少し細かい目で県としてもその調整機能を発揮していただく、こういうことが今回の大きな私どもの考え方ということでございます。

鈴木(克)委員 先ほど御紹介した私の友人の市は、四億、十七年度で赤字補てんを一般会計からやっておるということで、これは本当に大変なことなんですよ。そういう意味で、財政基盤の安定ということをやはり何か制度論として別途考えていかないと、市町村は本当に立っておれなくなるのではないかなというふうに私は思うわけでございます。

 続いて、国保への都道府県の負担の導入とその効果についてお伺いします。これも先ほどから出ておったわけでありますが、一応私なりの目線で御質問します。

 今回の法改正では、三位一体の改革の名のもとに、市町村国保に対する国庫負担の割合を引き下げて、都道府県の負担を導入しようとしておる、これは御案内のとおりであります。平成十七年度においては経過措置としてまず五千四百五十億円が税源移譲の対象となり、十八年度にはさらに一千四百億円が加算され、総額六千八百五十億円程度の一般財源化を行おうというものであります。すなわち、これまでの国の定率負担分の四〇%のうちの六%と、財政調整交付金分一〇%のうちの一%と合わせて、そして国と地方が共同事業として行ってきた保険基盤安定制度から国が撤退し、その分を都道府県がすべて負担するという構図であります。

 そこでお尋ねをするわけでありますが、このような国保の都道府県負担導入について、地方は、医療保険制度改革の中でお互いにしっかり議論する姿勢を示しておったはずであります。それを無視して、地方が望んでいない国庫負担の引き下げを唐突に提案し、無理に押し通そうとするのか、なぜそういうことをするのか、これについてお答えをいただきたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 国庫負担の引き下げを行う理由は何か。都道府県にお渡しする理由は何か。今までも随分議論させていただいておりますが、今回の三位一体改革における国保の国庫負担の見直しにつきましては、御存じのように、都道府県にある一定分を担っていただくということにしておりますが、国庫負担と保険料負担、これをほぼ均等するという考え方を踏まえまして、都道府県が、保険料負担の軽減、それから公費負担、これは交付金で入るわけですが、この両面から今回は市町村を支援していただこう、こういう考え方でございます。

 そんなわけで、国の調整交付金の割合を考慮いたしまして、給付費の七%分を都道府県の調整交付金という形で導入したものでございます。

 また、国の調整交付金につきましては、これは国によって全国レベルの財政調整が必要であるということで、三位一体改革の趣旨にのっとりまして、国の財政調整権限の一部を移譲するということの必要もございまして、これは一%だけでございますが、一〇%から九%にさせていただいたということでございます。地方が七%、若干国の方がウエートが多いという意味で九%、こんなところでございます。

 その一方で、国保制度における公費負担につきましては、国保が社会保険であるということを考えますと、公費負担は最大五割までという考え方でございまして、これら国それから都道府県の調整交付金の割合を考えまして、今回、定率国庫負担を最後の残りの三四%ということにさせていただいたというのが経過でございます。

鈴木(克)委員 そのことは、先ほど来からの議論で私も承知をしておるわけです。

 私がここで特に申し上げたかったのは、医療保険制度改革の中で議論をする、そういう状況にあったわけですよ。にもかかわらず、なぜ唐突にこういう形にしたのかというところがどうしても私は、先ほど大臣は、協力、連携、信頼ということをおっしゃったわけですよ。だけれども、そうじゃないじゃないですか、やっておることは。ちゃんと話し合おうと言っておったにもかかわらず、なぜ一方的にこういう形をとったのか、そのところを特に私はお尋ねしたいわけです。

尾辻国務大臣 この議論は、先ほどもお答え申し上げましたけれども、地方の団体の方も入っていただいてずっと議論をしてきたと私どもは理解をいたしておるんです。ですから、もう議論の過程にあったと。それで、三位一体の改革というのが出てきたから、この機会に、議論もかなり進めてきておることであるし、そしてまた当然これは大きくやらなきゃならないことなんだから、この際このことも含めて三位一体の中で議論させてくださいと御提案を申し上げた、こういうことでございます。

鈴木(克)委員 まさに話をしてきたんだからこの際になんだ、こうおっしゃればそうかもしれませんが、私は、それは、やはり地方は裏切られたという思いにあるということをぜひひとつ御理解いただきたいというふうに思います。

 これも先ほど来から出ておる話ですが、先ほど私の友人の手紙にもあったように、今後地方の負担が増大していくんじゃないか。本当にここのところをやはり、まあ、これは政府を信頼していないからなんですよね、ですからあれなんですが。今後の都道府県の負担額の見通し、今後どうなっていくのかということについてもう一度確認をしておきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

西副大臣 地方の皆さんの将来に対する不安というお話でございました。

 今回の都道府県の負担につきましては、調整交付金として、先ほど申し上げましたように、保険給付費の七%を新たに負担する。ただし、十七年度は五%という暫定的な割合ですが、これが一点でございます。それから二点目は、低所得者対策である保険基盤安定制度におきましては、都道府県の負担割合を現行の四分の一から四分の三に引き上げさせていただいて、このことによって都道府県のさらなる役割を果たしていただきたい、こういうことが内容でございます。

 また、この税源移譲額につきましては、改革時における所要額を適正に見積もらせていただいて算出しているところです。したがいまして、今回のことできちっとした対応ができるものだというふうに考えている次第でございます。

鈴木(克)委員 将来、人口構造が変わって高齢者がふえていくという状況が当然考えられますね。そうすると、今回は総額六千八百五十億ですから約七千億程度の税源移譲なんですが、これを超えるというふうになった場合に国としてはどんな措置をとっていくのか、またそういうことを真剣に考えておるのかどうか、まずこれをお聞かせいただきたいと思います。

西副大臣 お答えします。

 今後、将来、人口構造が大きく変わるとか、そのことはいろいろな変化要因は確かにあると思います。今後、十八年度以降の実際の負担額、それから税源移譲額がどうなるのかということが先生のお尋ねの件だと思いますが、当然、医療費そのものが変わってくるわけでございます。また、経済情勢も同時に変わってくる。種々の社会情勢が生まれてくるわけでございますが、今回税源移譲させていただいた後に将来実際に都道府県がどれだけ負担をしていただくかということにつきましては、これは地方財政全体の中で適切に処置していかなければならないものだというふうに考えておりまして、今回のこの考え方につきましては、いわゆる恒久的な措置だというふうに私どもは考えているところでございます。

鈴木(克)委員 恒久的な措置と考えておるということでございますが、私は、七千億程度の税源移譲を超えるような状況というのは当然来るというふうに思っております。それで、将来、仮にこの法案が成立をしたということで、仮定の話でありますけれども、私は、また五年後には見直すのだというような見直し規定というのをやはりつけておくべきではないかなというふうに思っておりますが、この法案にはこれはついておりませんよね。その辺は、見直し規定というのはどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

西副大臣 委員御指摘のとおり、今回はこの法案に関しましては見直し規定はついてございません。いわゆる恒久的な立法ということで理解をしていただければというふうに思います。

鈴木(克)委員 それでは、ちょっとまた別の視点でお話をさせていただきたいと思いますが、都道府県負担の導入については、政府は昨年の十二月十七日、我が党の山花議員からの三位一体改革に関する質問主意書の答弁書の中で、先ほど紹介をしました医療保険制度改革の基本方針に基づく医療保険制度改革の動向を踏まえた恒久的措置と位置づけておるというふうに言われておるわけであります。

 私は、今、恒久的措置ということで非常にひっかかるわけでありますが、この恒久的措置とはどのようなものなのか。恒久措置でもなく暫定措置でもない。これを聞くと定率減税をすぐ思い浮かべるわけですよ。定率減税が恒久的減税と言われたわけであります。国民は、少なくとも恒久的減税ということであるから数十年ぐらいは続くのじゃないか、このように実は思っておったわけでありますが、国の財政が厳しいから、一部で景気回復の兆しが見えたからということで、恒久的減税を五、六年で減額、廃止しようとしておるのは御案内のとおりであります。

 都道府県負担の導入が同じ恒久的措置であるならば、国がいつ廃止するかわからない財政調整を都道府県に押しつけるものととらえられても仕方のないことではないでしょうか。先ほどは恒久だとおっしゃったわけでありますが、恒久なのか恒久的なのか、もう一度そこの確認をお願いしたい。

 特に、二月十七日に全国知事会議の国保制度改革に関する浅野私案、これはまだ宮城県の浅野知事の私案ですから知事会全体の総意ではありませんけれども、今回の都道府県負担導入は、医療保険制度の抜本改革までの暫定的措置とすべきと言っております、また、公費投入額について、国保財政の安定運営の観点から、財政調整交付金は一〇%、定率負担は四〇%に戻すべきというふうにおっしゃっておるわけですね。これがやはりある意味では地方の意見だというふうに思うんですが、こういう地方の意見を真摯に受けとめる、そういうようなお考えはないのでしょうか。まずそれについてお聞かせください。

西副大臣 今、浅野私案ということで具体的な御提示がございました。今回、都道府県の調整交付金を導入させていただいたのですが、これは、あらかじめ期間を限って負担をしていただくという暫定的な考えではないという意味では、先ほど来申し上げましたように恒久的措置だというふうに位置づけております。都道府県にはこれからさらに市町村国保の安定のために役割を負っていただきたい、こう考えております。

 他方で、財政調整交付金の配分のことでございます。このことにつきましては、これは将来において不変である、こういう方法は一切変えないということではございません。御存じのように、医療保険制度の改革が目前でもございますし、今後もまたいろいろな議論が続いていくことは間違いございません。そんな改革の枠組みの見直しに合わせてあり方について検討をしていくことは大変大事なことだというふうに考えておりまして、今後とも新たな配分方法はいかにあるべきかということにつきましては議論を続けていきたいというふうに考えております。

鈴木(克)委員 恒久的とか、何々等とか、これが本当に役所が最も得意とするところでございまして、国民の皆さんはよく「等」や「的」でだまされるということでございまして、先ほど来の御答弁を、私ももう一度よくきちっと議事録を読み直して、また状況が変わってくればそれに基づいてしっかりと質問させていただきたい、このように思っております。

 さて大臣、少子高齢化というか、私は少産多死の社会だというふうに思っておるんですが、いずれにしても人口減少社会が来ることは間違いありません。そして、社会保障制度改革、国と地方の行財政改革は進めていかなきゃならない、これは私も全く同感でございます。しかし、先ほどから言っておるように、国と地方がやはり本当に一体となって、協力し合って、信頼し合って進めていかなければ、私はやはり我が国の改革というのは進まないと思うんですよ。

 そういう意味で、今回の改革はまことに残念だというふうに思うんですよ。みんな中途半端です。一方で議論をしながらどんどん見切り発車をしていってしまうとか、こんなことを続けておって本当に三位一体の改革というのはできるんですか、そして本当に社会保障制度改革ができるんですか、これは私は本当に大臣に申し上げておきたいんですよ。やはり地方にきちっと理解をしてもらい、協力をしてもらい、そして信頼を重ねる中で、やはり国はこういうふうに進めていかなきゃならないんだ、したがって皆さんもぜひ理解してもらいたいということでなくてはならないと私は思うんです。

 先ほど来の手紙の話で恐縮ですけれども、これは本当に信頼していないですよ、私はそう思うんです。これが、さっきも言ったように、これは市ですから、千幾つかあるわけですけれども、八百幾つですか、その一人の市長の意見ではないと私は思うんです。やはり市町村長本当に全部がこういった思いでおるわけでありますので、ぜひひとつそういう意味であれしていただきたいと思うんですが、今ちょっとるる申し上げました、社会保障制度改革、三位一体の改革を今のような状況の中で本当に進める自信があるのか、もし自信があるとするならばそれはどういうところから自信があるんだということを、ぜひ大臣にお聞かせいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 まず冒頭に先生おっしゃいましたように、私たちは今、社会保障をどうするのか、これを大きな課題に取り組んでおるわけであります。そこで、社会保障を一体的に見直そうということで、いろいろな審議会もつくっていただいて御検討いただいておる、そうした中で進めていくべきときであります。それはまず何が何でも社会保障の一体的な改革を進めなきゃいけないということは大前提であります。それからまた、その中で三位一体の改革というのもある。これをうまくかみ合わせていかないと何の実効性も持ちませんから、双方かみ合わせながら進めていくということになります。

 そこで、確かに、今回の三位一体の改革の議論の中で、地方団体がお出しになった案と私どもが出した案がかなり違っていた、そこで議論もあったということであります。

 私は、この議論を振り返りまして、かなり激しい議論をいたしました。しかし、相当激しい議論をしたことによって、また改めてお互いを理解したといいますか、議論をしてけんかして、信頼関係と言うと変な言い方になるかもしれませんけれども、私は、逆に生まれた信頼関係もあるような気がいたしております。そして、それを大事にしたいなというふうに考えております。

 余りそんなことまで言うこともいかがかとも思いますが、あえて申し上げれば、浅野私案を出していただいた浅野知事は厚生省のOBでもありますし、日ごろ我々はいろいろな議論をしているわけでありますから、そうした議論は、絶えず積み重ねて、ただけんかして物別れに終わっているわけではない、こうした中から積み上げていかなきゃいけないんだということを今申し上げておるところでありまして、また、それはちゃんと進んでおる面があるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 したがって、私は、そうした議論をずっと積み重ねながら必ず進めていきますということを最後に申し上げておきたいと思います。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(克)委員 ぜひ地方の声を聞き、真摯に耳を傾けて、そして地方の心を御理解いただいた中でやはり進めていただきたいというふうに私も思っておるわけでございます。

 一つ、そういう意味で、地方との信頼関係を構築する絶好のネタを差し上げたいというのが、実は、生活保護の国庫負担引き下げの提案を取り下げる、これは私は、大臣と地方の関係を、信頼を構築する非常にいいネタになるのではないかなという視点で、ぜひ御提案をさせていただきたいと思うんです。

 国と地方との関係を悪化させている大きな要因に、厚生労働省が提案している生活保護の国庫負担割合の引き下げがあります。社会保障制度改革の一環として生活保護制度の見直しが議論されている最中に、三位一体の改革を理由にした国庫負担割合引き下げの提案は、言うまでもなく制度改革の手順を無視した、関係者の努力を無視した提案でありました。

 厚生労働省の説明では、生活保護費などの高率の補助金のうち、地方自治体における責任分担を通じて給付の効率化、適正化及び地域間格差の是正につながる国庫負担の見直しを行うこととしております。まず高率の国庫負担の引き下げありきであり、憲法で保障した国家責任による最低生活保障の原理を無視しようという姿勢であります。

 さらに、厚生労働省は、地方によって被保護率に格差があることを理由に、地方の自主性、独自性を生かした自立支援プログラムの導入を行うこととしており、このための地方への応分の負担と責任を押しつけようとしています。しかし、生活保護を受けている方の実情は、高齢で、単身となった、低い年金受給者の女性が多く、また、給付の額で見れば、その多くは医療扶助であります。この実情について、どれだけ厚生労働省側は真剣に考え、国庫負担の引き下げを提案しているのでしょうか。

 厚生労働省も、小泉総理が決めた三位一体の改革に踊らされていることはわかります。数字を出せと言われて仕方なくという部分もあるでしょう。しかし、生活保護の国庫負担引き下げは私はないというふうに思うんです。

 そこで、先ほど申し上げましたように、国と地方の関係改善の第一歩として、生活保護の国庫負担引き下げの提案を取り下げる、そのことをここで決断していただきたい。そうすれば、必ず地方との信頼は回復できるし、すばらしい状況に好転していくということを私は申し上げたいと思います。いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 まず、改めて、私どもがなぜそういう提案をしたかということから申し上げておきたいと思います。

 今、私たちが生活保護制度について一番問題だと思っておりますのは、保護率の地域格差が余りにも大きいということでございます。これは都道府県別に見ても、一番低いところと一番高いところで十倍以上の差があります。都道府県別でも保護率に十倍以上の差があるというのは、それはそれぞれの地域の事情があるということもよくわかるんですが、それにしてもやはり大き過ぎるという問題を一つ感じております。

 それから、これは先ほど申し上げましたけれども、指定都市の皆さんが生活保護が制度疲労を起こしておるというふうに言われまして、それに加えて、いろいろな具体的な制度上の課題、あるいはまた運用適正についての運用上の課題、いろいろなことを言っていただいております。その中で、まず真っ先に言っておられるのが、経済的給付に加えて自立・就労支援策を実施する制度に転換する方向で見直しを進めるべきだ、自立の助長としての機能が不十分だということを真っ先に挙げておられる。

 こういう御意見があるものですから、私どもが最初に申し上げた保護率の格差が余りにも大きいというようなことなどもありで、ああいう提案をさせていただいたということをまず申し上げたところであります。

 そして、結局どうなったかというと、これも先ほど来何回も申し上げておりますけれども、昨年の政府・与党合意で、地方団体関係者が参加する協議機関を設置して検討を行い、来年秋までに結論を得るということになっておりますから、結局、ここで検討されて、地方の団体の皆さんも御参加をいただいて、協議機関をつくって結論を得るということになっておりますから、これはこの結論を待つというのが私どものとるべき立場だというふうに考えております。

鈴木(克)委員 わかりました。

 ぜひひとつ、地方との協議が調わない限りこれは実施しない、私は、この場でこういうふうに約束をしていただきたいんですが、大臣、いかがですか。もう一度申し上げます。地方との協議が調わない限り実施しないというふうに約束をしていただきたいと思います。

尾辻国務大臣 協議をお願いしますと言っております立場で、協議が調わない場合にというふうにお尋ねいただいても、ちょっと答えづらいことを御理解いただきたいと存じます。

鈴木(克)委員 いずれにしても、地方との信頼回復の一つのきっかけにということで、私は御提案をさせていただいておるところでございます。

 さて、質問の最後になるわけでありますが、介護施設等の補助金の交付金化、これについて少し御質問してまいりたいというふうに思います。

 介護施設等について交付金化するというのは御案内のとおりでございますけれども、どのような補助金を交付金化しようとしておるのか、まず最初にこの点をお答えいただきたいと思います。

西副大臣 今回の介護関連施設の整備につきましては、本年度まで、社会福祉施設整備費という補助金がございまして、特別養護老人ホーム等が入っております。もう一つは、保健衛生施設整備費という補助金がございまして、老人保健施設等が入っておりまして、それぞれ八百六十三億、それから老人保健施設が六十八億、こういうことになっております。

 この二つの補助金を使って整備をしてきたわけですが、今回、地域再生、三位一体改革という観点から、地方の実情に合わせまして、裁量、自主性を生かしながら介護サービスの基盤をつくっていっていただきたいということ、このことを支援するために、この補助金を交付金にさせていただくことになった次第でございます。

鈴木(克)委員 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、幾つかまとめて御答弁いただきたいと思いますが、今、そういうような整備費を交付金化しようということはわかったわけでありますけれども、国保の負担金を税源移譲の対象というふうにされておるわけですね。むしろ、これからの施設の補助金について、地方の自主性という観点から税源移譲にすべきではないか、これが一つ。それから、補助金から交付金に変えることによってどこがどのように変わるのかということですね。この二つについて御答弁をいただきたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 例えば特別養護老人ホームということを例にとって申し上げますと、これはかなり地域的に整備に差がございます。その整備がおくれている地域を中心に国としてはぜひとも重点的な支援をやっていきたい、こういう必要がございます。

 それから、整備した後、これは毎年この施設整備の補助が要るわけです。建てればそれで終わりというわけではございません。ほぼ設置するのに必要な同額、施設整備費に同額だけの毎年運営費がかかってくるということになります。この財源の実は六割程度が国費それから現役世代の保険料であるということから、国が関与することによって全国でバランスのとれた整備をぜひとも図っていきたい、こう考えておりまして、国による助成制度は引き続き維持をしたいというふうに考えているところでございます。

 それから、どのように変わるのかというお話がございました。

 今回、地域介護・福祉空間整備等交付金、こういう形で、地方の皆さんの創意工夫を生かしていただいて新しい施設整備に頑張っていただこう、こういうことでございますが、今回は、個々の、一つ一つの施設ごとに補助をさせていただく、設計を見せていただいてそれでオーケーと、こういう一つ一つをやるのではなくて、それぞれの自治体が作成する基本的な整備計画、これを総合的に評価させていただいた上で、計画全体としてお任せをして交付金としてお渡しをしよう、その後若干のいろいろな変更については、それは地方地方の責任でもって対応していただければ結構、こういうことになるわけでございます。

 そんなことで、例えば図面の審査等については、今後は、国で一々細かいチェック、はしの上げおろしまでという話がありましたが、これは行わない、不要になります。それから、計画に記載した事業の追加、廃止ということでなければ、施設の設置場所、設計が変更になっても、そのために一々協議をさせていただくということは今後はなくなるという意味では、地方の裁量に任せるということになるわけでございます。

鈴木(克)委員 まだ実はお聞きしたいことがあったのですが、時間がなくなってしまいました。またの機会にさせていただきたいと思います。

 最後に、厚労省所管の補助金のルールということについてちょっとお尋ねをしたいのですが、厚生労働省所管の補助金、助成金が独立行政法人等を通じて広く活用されておるのは御案内のとおりであります。一般的に、厚労省所管の補助金を独立行政法人を通して諸団体に提供する際に、補助金の使い方にはルールがあります。つまり、使途目的と公的な性質を持つ補助金、助成金としての性質を担保したルールが必要なんですが、そのルールが適用される範囲がどこまでなのかということでお伺いをしたいのですね。

 ちょっとなかなか御理解いただきにくいかもしれませんので、例えば、独立行政法人を通して全国あるいは地域の団体に助成金を出す場合、助成金を受けた全国あるいは地域の団体は、助成金の使い方についてルールが適用されると思いますが、近年、助成金を受けた全国あるいは地域の団体が事業を行っていくために業者に発注するという場合もあるのです。この業者に発注した場合のルールはどんなものなのか、助成金のルールは、助成金を受けた全国あるいは地域の団体から発注を受けた業者をも縛るのでしょうか。こういうことなんです。

 おわかりになりますかね。ちょっと具体例じゃないのであれなんですが、要は、厚労省から独立法人に助成金が行った、そして、それを受けたところが業者に発注をするというわけですよ。これは具体的な例でお話しするといいのですが、ちょっと今回はそれが、具体的例が出せないものですから、あえてこういう抽象的なことを言って、一般論でお伺いしたいわけであります。

 そうすると、業者に発注をする、まあ、わかりやすく言いましょう。例えば、一千万の補助金を出した。そうしたら、行政法人が業者に五百万で仮に出した。そうすると、当然、その残った五百万というのはもう目的外ですから返さなきゃいけないというふうに普通思うのですが、どうもそうではない実態があるような気がするのです。

 したがって、何が伺いたいかというと、そのルールというのは、要するにどこまで、下請、孫請まで行くかもしれませんけれども、どこまで監視、監督するあれがあるのか、このところだけちょっとお伺いをしたいわけであります。

西副大臣 お答えを申し上げます。

 国から独立行政法人に行き、それが各地方のいわば団体等に行き、団体そのものが事業を、例えば建物をつくるとかいう事業ができないことから、その団体が業者に建設を依頼する。この間に、いわゆるルールがどこまで適用されるのか、こういうお話かというふうに思います。

 補助金等の執行につきましては、これは補助金等に係る予算執行の適正化に関する法律という法律がございまして、その適用があります。この対象がどうなっているかということですが、補助事業者及び間接補助事業者ということになっております。また、補助事業者から補助金を受けた団体、これは間接補助事業者、いわゆる地方の団体がそういうふうになるという、当然ここのことにつきましても適用の範囲内でございます。

 さて、その下の業者がどうなるかということでございますが、これは、個別の事例ではございませんので、あくまでも一般的な事例というふうに考えていただきたいわけでございますが、一般論として申し上げれば、この間接補助事業者、地方の団体が契約によって民間の業者と通常の取引を行う、こういう場合、その業者にまで必ずしも法律が及ぶものではないというのが一般的な考え方でございます。

鈴木(克)委員 質問を終わります。

 なぜこういう質問をしたかという背景だけちょっとお話ししますと、結局、その業者に厚労省の関係者が直接口を出しているわけですよ。ここが問題なんですよ。まあ、具体例でまた機会をとらえてやらせていただきますが、そういうこともあるので、本当に、交付金とか助成金とか、それがちゃんと目的に沿って使われておるかどうかをやはり監視していく、そういう大きな使命感を持ってやっていただきたい、このことだけ申し上げて私の質問を終わります。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、橋本清仁君。

橋本(清)委員 民主党の橋本清仁です。介護保険施行法の一部を改正する法律案につき質問いたします。

 この法律案も、言うまでもなく、人生の最後を左右する大変重要な法律案であるということを肝に銘じて質問いたします。大臣そして副大臣、よろしくお願いいたします。

 介護保険制度が平成十二年四月一日に始まってから五年が過ぎようとしています。そして、この介護保険法附則第二条の規定により、五年経過後の見直しの時期を迎えています。当初約百五十万人だった利用者は、昨年度は約三百万人と二倍になりました。介護事業に係る総費用も約六・一兆円と二倍近くになっております。この急激な少子高齢化の中で介護費用は今後ますます増加し続けることが予想され、そして、少子高齢化に見合った制度への手直しは避けられないこととなっています。

 こういった状況の中で、介護保険施行法により、行政処分での特別養護老人ホームへの旧措置入所者に対して設けられた経過措置についてもまた、平成十七年三月三十一日をもって終了いたします。

 まず、この低所得者に対する自己負担額を軽減する制度自体、どのような趣旨において導入されたのかについてお答えいただきたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、本年、十七年三月末で一応期限が切れるということでございますが、その軽減措置の趣旨ということで御質問がございました。

 介護保険法の施行前から市町村の行政処分として入所いただいている、特別養護老人ホームに入っておられる方々がいらっしゃいます。この方々については、その時点において、措置から契約へということに一たんは介護保険制度ができることによって移行するわけでございますが、その利用者の負担、そもそもが措置としてお入りいただいたということもあって、不利益な変更は行わないということが原則だという考え方から、この措置に対する負担軽減措置が設立されたというふうに考えております。(発言する者あり)

橋本(清)委員 また、先ほど山井さんからも指摘がありましたけれども、五年で切るとかそういう話もありますが、低所得者の負担軽減措置の再延長をする理由についてお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 今のお答えの中にも入っておりましたけれども、要するに、介護保険法施行前に入所しておられた方というのは、これは措置で入所しておられる、行政処分で入所しておられる。これが契約に変わったからといって、そこの契約に変わったことにより不利益変更が行われてはならない、この不利益変更は行わないというのが一番の理由であります。

 私どもが今度御提案申し上げておりますのは、そしてまた、さらに申し上げますと、対象者が今なお六万八千人おられます。やはりこれだけの方がおられるということは、非常に多くの方に御迷惑をかけちゃいけないということもありますから、それは基本的には不利益変更を行わないということなんですけれども、もう一つつけ加えて申し上げるとそういうこともありますということを申し上げたわけであります。

橋本(清)委員 また、この再延長の期限、また五年というふうに区切られています。この理由について、介護の見直しが五年とか、特養に入っている平均年数が五年とか、いろいろ私、厚生労働省の方から伺ったんですけれども、主なる理由というのをお答えいただければ。

尾辻国務大臣 前回の介護保険法をつくりましたときに、これをどうするかということがありました。そこで、当然そのときも同じ理屈になるわけでありますけれども、不利益変更を行っちゃいけないということでそういう措置をとりました。そのときに、介護保険法全体が五年間で見直すということを決めておりましたから、したがって、五年後の見直しまでの間をちゃんとやりましょうということで五年間ということにしたわけでございます。これが今日そうしてきたということであります。

 今度、改めて五年後の見直しが来て、さあどうするのということになったわけでありますが、やはり時限立法で、五年というのにそれほどの意味があるかと言われるとそのとおりでもありますけれども、今日まで五年間、五年の時限立法でやってきた、この後またさらに五年延長するという考え方でこのたびの御提案を申し上げているところでございます。

橋本(清)委員 ここから少しややこしくなります。

 そういった低所得者に対する自己負担額を軽減する制度とともに、旧措置入所者で介護の程度が軽く、そして要介護非該当者が特別養護老人ホームからの退所を余儀なくされたりすることがないように、介護保険施行後も入所の継続を認め、保険給付を行ってきました。こういった入所継続措置における対象者数の変化と今後の対応につきお答えいただきたい。

西副大臣 介護保険制度の施行前に特別養護老人ホームに入所した人については、要介護認定で非該当または要支援、つまり、介護に該当しない、また要支援の段階というときにも、直ちに施設外に生活の場を確保することが困難だろう、こういうことで、本年三月末までの経過措置としております。おっしゃるとおりでございまして、この間引き続き入所することを認めてまいりました。

 その人数でございますが、この経過措置の適用を受ける者の数は、平成十三年の四月の時点で二千八百人おられました。徐々に減少してまいりまして、昨年十二月末、平成十六年十二月末には百九十一人ということになっております。この入所者に対しては、各自治体から退所後の受け入れ先の調整をお願いしてまいりまして、既に事実上大半の方が調整を終えているというところでございます。

 ただいま現時点で最終調整が済んでいない方は十四人というふうに聞いておりまして、三月末までにはきちっと無事に調整ができるようにしてまいりたい、こう考えております。

橋本(清)委員 適切な指導を行って、退所計画で受け皿となる施設への対応を早急に進めてきたというふうなことだと思います。

 しかし、ここにおいて疑問に思うことがあります。先ほど低所得者の負担軽減を行う理由を質問いたしましたときに、行政処分による入所措置が行われた者については不利益変更を行わないとおっしゃいました。要介護非該当者がそのままいた方が利益を得る場合もあるかもしれない。その場合、不利益変更を行わないならば、そもそも入所継続措置を解消するのではなく、そのまま残した方がいいんじゃありませんか。

西副大臣 先ほどのケースでございますが、介護保険法の施行前に既に特養に入所していた方で、そして要支援、非該当というふうな判定をされた方については、五年間の経過措置というのは先ほど人数等についても申し上げたところでございます。

 その後、約五年経過してきました。本来、非該当または要支援、こういう方は在宅等で基本的には生活していただくことが可能であるということ、また、ほとんどの場合はその方が望ましいのではないかというふうなことも考えております。

 それからもう一点は、平成十四年からは、特別養護老人ホームには要介護度が高い方から順に入所していただく、必要性に応じて入所していただくという仕組みを取り入れております。

 それからもう一つは、本経過措置の対象者はもうごくわずかとなっておりまして、その方々についても先ほど申し上げましたように受け入れを調整させていただいているということでございまして、旧措置入所者の利用者負担の軽減措置はさらに五年間この法律で延長させていただくということになっておりますが、この経過措置に関しましては今回で終了させていただくということでございます。

橋本(清)委員 答弁がありましたけれども、まさにこれは不利益になると思うんですよ。要介護非該当者であっても、入った側にしてみれば選択の余地がなく入れられたのだし、最低でも五年以上この中に入っているわけですよ。それなら、五年のぎりぎりになってこういったところからほうり出されるよりは、生活の基盤が確立されているところにいた方が幸せでしょう。勝手に入れて勝手に出すというのはあんまりといえばあんまりのような気がします。そういったことも含めて、現場での対応については十分に考慮して、期限ありきではなくて当事者の視点を持ってこういったものに対応していただきたいと思います。

 また、一方、軽い介護者の入所経過措置についての正確な現状把握がなされており、またその対応についても、入所計画を作成し、これに基づいて在宅サービスなどを提供する取り組みを推進し、ほぼ三月三十一日をめどに終わるとおっしゃっていましたけれども、だがしかし、それに対応して、低所得者に対する負担軽減措置について、その指導と現状の把握はきちんとなされているのかといった疑問があります。

 私、厚生労働省に伺ったんですけれども、年齢の分布、そういった調査もしていないということをおっしゃっていました。これは、実態も把握できないのに、それに対応することはできるんですか。五年後、何のこういった対処もとらずに、またすぐに延長する、こういう法案を出してくるんですか。

西副大臣 委員も御存じのことと思うんですが、該当しない皆さん、それから要支援の皆さん、この皆さん方は本来特別養護老人ホームに入る要件を整えておられないということが原則でございます。そんな意味で、平成十四年度からきちっとした対応をとるということになっておりまして、現実的に、今既に、昨年末では百九十一人という人数、それから現在では残り十四人ということになっておりますものですから、予定どおりの方向で、本年で終了させていただくことにさせていただきたいと思います。

橋本(清)委員 今言っているのは、入所継続措置の方じゃなくて、低所得者に対する負担軽減措置の方について言っているんですね。これは入れかわりに対比しながら言っているので、ちょっとごちゃごちゃになるかもしれませんけれども、その指導と現状の把握がなされていない。結局、低所得者に対する負担軽減措置の年齢の分布、そういった基礎的な調査すら行っていないのか、そういったことを厚生労働省に言ったら、やっていないと言うんですね。実態の把握すらしていないのに、こういったことの対応というのはできるんですか。そして、これは五年後になったらまたこの法案を出してくるんですか。

尾辻国務大臣 今確認をいたしましたが、全体の入所者の年齢分布はわかる、ただ、低所得者として対象になっている人の年齢分布まではわからない、こういうことでございますから、さらにもう少し調査をしてみます。

橋本(清)委員 これは、何のそういった現状把握もしないままに、結局五年間またやりますという法案の提出の仕方ですね。おかしいですよ。

 それで、また、こういったものに対して、自宅への復帰とかというのはないとかいうような話も伺っていたんですね。帰りたくてもいろいろな事情で帰れないお年寄りもたくさんいらっしゃるのを知っています。それならば、お亡くなりになるまでその数は減らないということですよ。それならば、当事者に関しては、五年ごとの延期ではなくて、ずっとこの変更はしないよ、不利益変更はしないと言うならば、こういったことをずっとやった方がいいんじゃないですか。

 現行の負担軽減措置を五年間としたのは、制度当初から時限的なものとする趣旨ではなく、附則第二条による介護保険制度の五年後の見直しの時点で措置を延長するか再検討するかの趣旨であると先ほど大臣がお答えになりましたけれども、不利益変更はしない、そして見直しもしないならば、何があるんですか。人数が少なくなったら、この見直し、なくすんですか。自分の居場所はどこになるのか、この五年の経過措置ごとにこの方々が考えて不安に思いますよ。そもそも、五年後の見直しではなく、ずっとやればいいのではないんですか。五年ごとの改正のたびに不安をこの高齢者はずっと感じていて、生き続けている間ずっと、自分の居場所というのはどうなるんだろう、そういった不安を覚え続けるんですよ。これはずっとやった方がいいんじゃないんですか。

西副大臣 先ほど来申し上げましたが、介護保険制度が始まる前から特養に入所しておられた人の人数がございました。それから、その皆さん方のこの五年間における減少の傾向を考えまして、現行法の期間設定と同じ、とりあえず五年間という期間を設定させていただいたということでございます。

橋本(清)委員 とりあえずというので法案を出されても困るんですけれども。きちんとしたもので出していただいて、説得力のある回答をしていただきたいんですよ。これはどこまでいっても同じ答弁になると思うので、次の質問をさせていただきますけれども、先ほどのものに関しましても、やはり入所させられた方々の視点を持ってこういったものに対応していただきたいと思います。

 そして、また別の話になります。

 介護保険制度の施行前において、在宅サービスについても、市町村の措置、行政処分によるものであった方々に対しましては、低所得者に対する配慮は法律上なされていなかったけれども、予算措置として訪問介護についての利用者負担軽減事業が実施されました。ただし、この事業は、最初の三年間は自己負担を三%に軽減するが、平成十五年七月からは六%に引き上げ、段階的に解消するもので、平成十七年三月末をもって解消することとしてあります。これに関して間違いありませんか。

西副大臣 お答えいたします。

 法施行後三年間三%、それから続く二年間が六%、それから本則どおりその後一〇%とするという方向で激変緩和措置を講じてきたということについては間違いございません。

橋本(清)委員 これも、先ほどと同様、おかしいのではないんでしょうか。

 先ほど質問いたしましたとき、低所得者の負担軽減を行う理由として、行政庁による行政処分による措置が行われた者については不利益変更を行わないとおっしゃいました。不利益変更を行わないならば、そもそも段階的に解消する必要はないんじゃないんですか。少しでも残すべきではないですか。そして、解消すること自体が不利益変更でしょう。そしてまた、二千八百六十七市町村で実行されていて、平成十六年度で実施率九一・八%となっています。これを独自に続けたいと言っている、そういった市町村に関してはあるんでしょうか。

西副大臣 介護保険施行時において旧措置入所者につきましては、不利益変更を行わないという考え方から、法的措置によって法施行後も自己負担がふえないようにする。一方で、自己負担ゼロのケースが多かった低所得者層の訪問介護利用者につきましては、予算措置によって、法施行後三年間が先ほどの三%、続く二年間が六%、その後は本則どおり一〇%ということでございます。

 これは、特養の旧措置入所者とそれから法施行時の訪問介護利用者を比較いたしまして、旧措置入所者は、これは市町村の措置によって自宅から特養へ生活の本拠を移していただいて、そして継続してそこに住まわれている人である。それから、訪問介護の利用者につきましては、利用開始に当たって措置という手続は一応踏んでおりますが、自宅等での生活を継続して、そしてみずからの判断で訪問介護の利用頻度等もその状態によって変えられる、そういう立場の人でございます。そういう意味で、両者の置かれている立場というのは大きく異なっているということを考えたものでございます。

 このような違いを踏まえまして、訪問介護利用者については、当初からの予定どおり段階的激変緩和措置を終了させて、そして一方の旧措置入所者については負担軽減措置を延長する、こういう立て分けをさせていただいたところでございます。

橋本(清)委員 今の答弁ですと、訪問介護の利用者と入所者の違いでおっしゃったと思うんですけれども、これは、三つ比べると、この理由自体が非常に矛盾を生じているということがわかるんですね。これはどこまでいっても矛盾が続くばかりですから、またこれは質問しますけれども、次の質問に移らせていただきます。

 最後に、さまざまな措置でこういった状況の中で入所させられた方々の視点を持って制度の運用なり変更をお願いしたい。そして、もちろん現場での対応もこういったものを考慮していただきたい。こういった方々にとって、こういった法律の変更というのは人生の最後を左右する本当に重要な変更なのですから、きちんとした対応、そしてきちんとした根拠を持って対応していただきたいと思います。

 さて、次に移ります。

 本年は、介護保険制度発足より五年が過ぎました。そして、介護保険法附則第二条の規定による五年経過後の見直しの時期を迎え、国会に提出された介護保険法改正案の審議があります。エージフリーの問題やホテルコスト、食費、筋トレなどの新予防給付の問題、さまざまありますけれども、まずここでは、この介護保険法施行法との関係について伺いたいと思います。

 現行の介護保険における一般的な低所得者対策との格差は、一体この制度が変わることによってどの程度解消されるのか、その点についてお答えいただきたいと思います。

西副大臣 介護保険制度におきましては、施行前から特養に入所されている方についても、制度施行後に入所した方についても、共通に二つのことが言えると思います。サービスを利用した際に払う一割負担について、所得に応じ負担の上限を設定していることでございます。もう一つは、食費について所得に応じた額の設定を行わせていただいているということでございます。低所得の方に対する負担軽減というのは、以上の二つでございます。

 ただし、この施行前に措置により特養に入所し現在も入所されている方に関しましては、制度施行後に入所した方よりも食費及び通常一割の利用者負担についての負担を軽減しているということでございます。

橋本(清)委員 この新しい介護保険のものが始まったとしても不利益変更は行わないということでよろしいんですね。この不利益変更を行わないということですね。

 そういったところで、この不利益変更は行わないという答弁をいただいたんですけれども、ホテルコストについてお伺いしたいと思います。

 政府案においては、ホテルコストの導入があります。介護保険と年金給付の重複の是正、施設と住宅の利用者負担の観点から、施設入居者の居住費用や食費に関しましては保険給付の対象外とすることが盛り込まれています。このホテルコストを導入するとして、さまざまな疑問がわいてきます。

 こういったホテルコストの導入において、老後の住空間として個室化を進めていらっしゃる、そういったところで、今回のホテルコストの導入により、その個室化の流れをとめてしまうんじゃないかという批判の声も聞かれますし、また、多床室の中には、プライバシーが十分に隠されず、劣悪な環境の中にいらっしゃる人たちもいるでしょう。本来ならば、多床室での住環境の向上をきちんと図った上でそういった導入の検討ということになるんでしょうけれども、こういったところの対応はどうなっているんでしょうか。

尾辻国務大臣 まず、今回ホテルコストを介護保険の給付から外すということは、これは何回も申し上げておりますから今さら申し上げることでもありませんけれども、どうしても施設と在宅の方、居宅の方との間の不公平感がある、その不公平感があるからホテルコスト、食費を御自身で持っていただきましょうということにしたところであります。

 その中で、どういうふうにして負担していただくかというのは、個室の場合と違う場合と、やり方というか負担していただく部分の計算の仕方を変えております。個室以外の方は光熱水道費だけ持ってくださいということですし、個室に入る方には減価償却費まで負担してくださいというお願いをしておるわけであります。

 そのことが、今おっしゃるように、個室化を進めている、その方がよりよいと思っているということに対して、それを妨げるんじゃないかというようなお話でありますけれども、これは、どうしても、お住まいになる条件といいますか環境が違う、そうするとやはり負担していただく分を変えさせていただくということに着目してその負担分をお願いしておるわけでありまして、必ずしもそれでもってまた個室化の話と、ある面連動するところはあるかもしれませんけれども、それはそれ、個室に入られる方にはその分より多くの負担をしてくださいというふうにお願いしておる、その考え方だということを申し上げたところであります。

橋本(清)委員 そして、これは介護の面からだけではなく、このホテルコスト、医療との関係ということもございます。医療療養型と介護療養型のホテルコストの有無、これは非常に重要な問題であります。

 これは、介護療養型だけでやったならば、医療療養型に逃げていくといったことはありませんか、ホテルコストがないですから。こういったものは、もし制度改正を行うならば、バランスをとった上でやるべきであると考えられるんですけれども、この点いかがお考えか、また、このことに関しまして何かしらの対応策を持っていらっしゃるのか。

西副大臣 医療の関係の療養病床とそれから介護施設とのホテルコスト、食費等についての関連の質問だというふうに受けとめさせていただきました。その間に不公平が生まれるのではないかということでございます。

 この二つにつきましては、まず、病床の性格が異なるであろう。それから、入院、入所する患者さんの状態がまず違うであろう。それから、医療保険における食費、ホテルコストの扱い等につきましては、医療保険制度の安定的運営の観点及び患者に対する適切なサービス提供の観点からどのような対応が適切かということにつきましては、これから幅広く検討していきたいと考えております。

 なお、今般の見直しに伴いまして、患者の状態にそぐわない形で病床の転換が行われるのではないかという御指摘がございました。

 このことにつきましては、既に都道府県を通じて、安易な病床転換は患者に対する継続的な療養の観点から適当ではない、それから、介護保険事業計画に定める入所定員総数との関係で、一たん介護療養病床の指定を辞退し、そして医療療養病床へ転換すると、介護療養病床の再指定が困難になることが予想されるということにつきましても、各都道府県に徹底させていただいているところでございます。

橋本(清)委員 最後に強調して申し上げたいのは、やはり当事者の視点というものを大事にしていただきたい。介護というのは、介護する側も大事ですけれども、介護される側という立場もあります。私の年代になりますと、父親、母親がだんだんと介護が必要な時期になってまいります。こういった状況の中、本当に人ごとではありませんから、一生懸命この問題について考えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

鴨下委員長 午後四時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後一時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三十二分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 金曜日の本当に遅い時間でありますが、三十分ほどしっかり、国庫補助負担金整理合理化等に伴う、いわゆる三位一体の改革の法律案について審議をさせていただきます。この後、野党の山井先生がおやりになるそうでありますから、さぞかし激しい議論があると思いますから、負けないように私も頑張りたいと思っております。

 この三位一体の改革については、私も、衆議院の本会議でも総理と一度議論いたしました。あるいは予算委員会でも議論いたしました。積み残しになっております部分を若干議論したいと思います。

 私、驚きましたのは、総理に三位一体改革の今までの経緯をお話しして、所感を伺ったところ、総理から、いやいや、国庫補助負担金の削減は大変に困難な作業だ、それから交付税の改革ももっと大変だ、税源移譲はさらに大変だ、こんな大変なものだからみんな三つ一緒にやるんですという御答弁をいただいて、目が点になりましたけれども、やはり小泉総理の真骨頂といいましょうか、今日まで積み残しになっておりましたさまざまな行政課題、今先送りできない、こういう決意かと私は伺ったわけであります。

 そうした大変な改革と同時に、今、二〇〇〇年に始まりました介護保険がいよいよ五年の見直しということでありまして、国民の皆さん、あるいはそのサービスを利用する皆さん、あるいは自治体の皆さんからすると、大変な変革が続いている中でしっかりと作業をしなきゃいかぬという、まことに今困難な時代だ、こう思っております。

 そんな感想を持ちながら内容に入りたいと思っておりますが、きょうは、この前の引き続きで、一つは交付金の改革について確認をしたいと思っております。前回、予算委員会では、地域介護・福祉空間整備交付金については一通り議論いたしましたので、次世代育成支援対策交付金、この創設について若干議論したいと思っております。

 この次世代育成支援対策交付金、ハード、ソフト両面にわたります国庫補助負担金を整理統合化するということでありまして、地方の自主性、創意工夫を生かした取り組みができるように改正をする、改革をする、こういうふうに理解をしておりますが、やはり一番気になりますのは、今までは国庫補助金あるいは国庫負担金という、当然ながら、補助金であれば補助率、通常であれば、国の施設整備、ハード面であれば二分の一は国が補助をする、あるいは負担金についても二分の一は国が負担をする、こういう概念といいますか、私なんかにもそういう思いがもう頭に植えつけられているわけでありますが、交付金になりますと、次世代育成支援の交付金、そうした国の負担の割合というものはどういう考え方になるのか、これは局長にお伺いをしたいと思います。

伍藤政府参考人 今回創設いたします交付金でございますが、できる限り自治体の創意工夫を生かしていただくという趣旨から、個々の事業ごとではなくて、各自治体が作成する計画全体に対して一括して交付金を交付するという仕組みに基本的には考えております。したがいまして、これまでのように個々の事業に対して二分の一とか三分の一を補助する、少なくともこういう考え方はなくなるわけでございます。

 ただ、こうした交付金の枠組みによりましても、引き続いて、今までと同様に、事業ごとの整備をどうやって進めていくか、あるいは地域ごとにどういうふうにどの程度の事業を進めていくかということはきちっと考えていかなければなりませんので、交付金の具体的な算定に当たりましては、従来からそうやって考えてまいりました考え方も基本に置きながら、できる限り自治体がこういった事業をこういった地域でやりたいということにそごを来さないように、できるだけ具体的に。

 でき上がった交付金が使いやすくなるということにおいては今回かなり前進だと思いますが、それから、個々の事業ごとの補助金の負担割合というものもなくなるということは事実でございますが、どういった地域でどういう事業をやりたいかということはきちっとくみ上げるような仕組みをできるだけ工夫していきたいというふうに考えております。

桝屋委員 予算委員会でもそうでありましたが、非常にお答えにくいような感じがいたします。それは、聞く方は非常に理解がしにくいということがあるわけでありまして、そこはしかし、制度の本質論でありますから、よく理解をしなきゃいかぬと思っております。

 今までのような負担率、補助率というものはなくなりますよ、ただし、事業としては執行しやすい交付金になりますよ、こういう御説明かと思いますが、市町村にとってみれば、執行の利便性といいますか、利用しやすさということと同時に、やはりどれぐらい財源が来るのかということはあわせて大事なわけでありまして、今、できるだけ今までの経緯も踏まえてと。

 この前、衆議院の予算委員会では、大臣は、できるだけ二分の一、今までやってきたようなレベルを確保しながら頑張りたい、こういう決意を伺ったので、そんなものだろうと私は理解をしておりますが、とりわけ十七、十八、移行期においては、地方もまだまだ混乱をしておりますから、そうした取り扱いが大事なんだろうと思っております。

 しかし、そうはいっても、交付金はやはり補助金と違いますよと。もちろん、部類としては、範疇としては補助金の範疇なんだろう、もちろん補助金の適化法の適用も受けるというふうに理解はしておりますが、そうはいいながら、負担割合というものは明確でなくなるということでありまして、地方から見ると、予算の範囲内でずるずるずるずる国が手を引いていくのではないか、あるいは薄まきされるのではないかという懸念を地方は持つわけであります。

 その議論に入ります前にもう一つ、私、党の総務部会長をいたしておりますから、地方の立場からいたしますと、地方の財政措置がどうなるかということが大事でありまして、やはり、それぞれの当該年度において交付金の事業を厚生労働省がお考えになる。全体で例えば一〇〇という事業をやるのであれば、そのうち例えば交付金は五〇来る、あとは地方の負担ですねということが明確でないと、当該年度の地方財政計画というのは立てられないわけでありまして、ここがあいまいだとなかなか難しいんだろうと思うんですね。

 当然ながら、次世代育成支援については、市町村の行動計画、あるいはその行動計画に基づきます整備計画というものを当然つくっていただくし、それを見ながら交付金を決定する、こういうことでありましょうから、そこは明確になるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。局長、もう一度答弁をお願いします。

伍藤政府参考人 地方財政措置との関連でございますが、基本的には、先ほど言いましたように、それぞれの市町村や都道府県から次世代育成支援計画に基づいた事業を事業計画として出していただきまして、私ども、それを計画全体としてどうかということを審査した上で、この程度のこういう事業内容だったら幾らということで一括して交付をするということであります。

 積み上げた全体、オール・ジャパンの全体としては、事業規模の二分の一程度を目安として私ども交付金の額を設定したいと考えておりますので、地方財政措置は、残りの二分の一程度を従来どおり地方財政措置をしていただきたいということで総務省にも要望しておるところでありまして、その点についてはそごがないというふうに思っておりますので、全体としては今までと、自治体に迷惑をかけるというようなことにはならないものというふうに考えております。

桝屋委員 私、そこまで答弁があるとは思っておりませんでしたけれども、これは局長、今の答弁は、十七年度、あるいは十八年度、あるいは十九年度も見据えた上での御答弁なんでしょうか。例えば全体の事業費があると、その二分の一は交付金で確保したい、そして二分の一は当然ながら、したがって地方の負担ですよ、それは地財措置がとられる、こういうことは本当に、そうおっしゃっていいんですか。もう一回、心配になりましたので、確認をさせていただきたいと思います。

伍藤政府参考人 来年、再来年という将来のことはわかりませんが、少なくとも来年以降、こういう基本的な考え方でということで、交付金を開始するに当たって基本的な枠組みについてそういう要望をしておるわけでございますから、私どもはそういう形でぜひともやっていきたいというふうに思っております。

桝屋委員 ありがとうございました。

 今のお答えは、しっかり私も命に刻み込んでおこう、こう思っております。

 それから、地域介護・福祉空間整備交付金なんですが、この前議論が、私、聞きたくて聞けなかったことをちょっと確認したいんですが、一つは、市町村の交付金に係ります、その前提になります整備計画でありますけれども、この整備計画については、法律では、市町村はその整備計画を策定することができるという規定ぶりになっているわけでありまして、私は当然義務規定だろうなというように理解しておりましたら、いやいや、そこは「できる」という規定であります。

 ここは何ゆえ義務規定ではないのか、この規定でいいのか。あるいは、当然ながら交付金、これがなければ交付金は多分交付されないのだろう、私はこう思っておりますが、これとの関係、あるいは市町村の介護保険事業計画との関係について、地方団体にわかりやすく、簡単に御説明いただきたいと思います。

中村政府参考人 ただいまの、交付金の基礎になります市町村の整備計画の策定についてお答え申し上げます。

 先生御承知のとおり、高齢者介護が市町村の責任、こういうことは、平成二年の老人福祉法等の改正以来、また介護保険制度となった今日に至るまでの基本原則でございます。

 介護保険制度におきましては、どのようなサービスを見込み、どれだけの保険料を負担していただくかは市町村が責任を持ってそこで組み立てていただくという、まさに地方分権の観点に立った仕組みであると理解いたしております。市町村の介護サービスが、どういう介護サービスの基盤整備をどのように行うか、これはまさに市町村の裁量でありますことから、市町村整備計画の作成については義務規定とはしていないものでございます。

 交付金は、先生からお話がございましたように、市町村が整備計画を策定し、国に提出した場合に、一定のルールに従って交付するものでございますので、交付金を申請されようとする場合には、当然、義務づけてはいなくても、そういう意向のある市町村の方は、計画を策定していただけるものと思っております。

 なお、今の整備費でございますけれども、老人福祉法で負担金が決められておりますが、これは公立の施設についての負担金でございまして、民間立の施設についてのものは補助金になっておりまして、財政的に申しますと、これもできる規定、補助できる規定でございますので、そういった意味での、国の責任の後退ということはないのではないかと思っております。

桝屋委員 わかりました。今の回答では、市町村が交付金を申請する場合は、市町村の介護保険事業計画のみならず、当然ながら、この整備計画もつくっておくということが前提だというふうに理解をいたします。

 そこでもう一つですが、現場を回りますと、大変な誤解がありまして、今度の新しい地域介護・福祉空間交付金は、一市町村、どうも一億円が限界らしい、上限があるらしいという話をよく聞くのでありますが、いやいや、それは、一律に一億円というのは市町村単位ではないはずだよと私も答えておるのでありますが、その部分。

 それからもう一点。一圏域、高齢者の生活圏域、日常生活圏域の中で交付金で事業を進める場合は、三年に一回というようにも伺っているのでありますが、この一億円、あるいは三年に一回という考え方をかいつまんで御説明いただきたいと思います。

中村政府参考人 先生から今お話ございましたように、市町村に対する交付金は市町村に対して出すわけでございますが、交付金の算定単位は、市町村の中の、市町村が考えられる区域ごとに設定していただく。ですから、人口の小さなところは一つであるかもしれませんし、大変大きなところは相当の数になるということが考えられると思います。

 計画は、基盤整備の計画でございますので、従来、補助金は単年度とかそういうことで使いにくいというお話もございましたので、一つの地域について三年間でどれだけ整備するかというような計画をつくっていただき、その一地域に一プロジェクト、三年、こういう形で考え、上限もある程度、全国の市町村からの御要望に対して限られた予算の中で対応するということで、一つのプロジェクト一億円が上限ではないか、一応そういうつもりで今考えているということでございます。

桝屋委員 一億円というのは私は勘違いしておりましたけれども、今の御説明では、あくまでも一つの計画、一つの圏域の中の計画として上限一億、こういうことだというふうに理解をさせていただきました。

 次世代育成支援も、それから地域介護・福祉空間も同じでありますが、地方財政措置の対応も含めて、交付金の事業に乗っかれば安心できるなというふうに大体わかりました。問題は、乗っかれるかどうかですね。

 やはり相当、国が交付金を採択するについて、やはり採択基準がともにあるのだろうと思うんですね。いろいろその基準をおつくりになって、もう既に全国に周知されているようでありますが、どれほど、全体として交付金の事業に乗っかれば、後は財源は大丈夫だ、こう言っても、入り口部分で計画に乗っけてもらえないと、これはある意味では全体として薄まきということにもなる、ここはなかなか悩ましいところであります。

 ここから副大臣にぜひ御忠告を申し上げたいと思っておりますが、今の時代、きょうの午前中の意見を聞いても、この地域介護・福祉空間交付金あるいは次世代育成の交付金も、やがてこれは一般財源化になるのではないか、税源移譲で地方に渡すということになるかもしれないという御発言もありました。リスクといいますか、その可能性というのは私は捨てられないわけでありまして、とりわけ市町村が、相当この事業が前に進みますと、進捗をしますと、当然ながら、三位一体の今の改革の議論からいきますと、もう一般財源化でいいんじゃないの、こういう話になる。ただ、今の整備状況から見ると、国がやはり、国の責任において、全体の計画の中でコントロールしなければいかぬという、その必要性は私は理解をしておりますが、ただ、これが進みますと、そういう可能性が出てくる。

 したがって、副大臣、恐らくこれから、十七年はそういうことであっても、十八年あるいは十九年、すぐに財源も厳しくなりますから、できるだけいろいろ理屈をつけて、結果的に薄まきになるんじゃないかと。今回の、ことしの三位一体改革でもそうでありましたが、大臣が来られましたけれども、補助率が低いところは、これは当然イの一番に一般財源化でねらわれるわけでありまして、そこはぜひとも私は頑張っていただきたいと申し上げたい。

 そして、何よりも、市町村あるいは都道府県、地方団体との信頼関係というものがこの改革期間においては私は極めて大事だというふうに思っておりまして、大臣、来られましたけれども、西副大臣に今忠告を申し上げているわけでありまして、ちょっと一言、御発言を。

西副大臣 お答え申し上げます。

 先日来の三位一体改革の議論はまさしく、この交付金化につきましては、全国でバランスのとれた整備、これをいかにやっていくか。それぞれ、介護関係も、それから次世代、いわゆる児童関係もまだまだそういうバランスのとれた状態ではないということから、地方の自主性も十分尊重しながら、かつ地方の計画をできるだけ創意工夫を生かしていただいて、この整備を完成させていくために、いわば国に交付金化という形で残させていただいたということでございます。

 今後とも、さらに少子高齢化が進行するという中で、各自治体との信頼関係が非常に大事だ、こう思っておりまして、これから介護、保育、それぞれの交付金を本当に重点的に配分できるように頑張っていきたい、それによってバランスのとれた整備が可能になるように、必要な水準をぜひとも維持していきたい、こう考えているところでございます。

桝屋委員 ぜひ、その方向でお願いを申し上げたいと思います。

 三位一体改革の中でいろいろな角度から議論されておりますが、私は、地方の団体にいたということもありまして、地方の立場で議論を進めたいと思っている一人でありますが、地方財政法のポリシーというのは、基本的には、国と地方の役割が明確であって、そして財源は地方にある、地方は自分のお金で自分の仕事はする、これが基本でありまして、国は、いやしくも地方の自律性を損なったり、あるいは地方に負担を転嫁するような、そうした施策をとってはならないというのが地方財政法の精神であります。

 また、国庫補助金、負担金は、地方財政法の規定では、やはり補助金というのは、真に必要な場合、必要性がある場合に出すんですよということでありまして、しかも、その補助金や負担金については、国の支出金の規模の積算根拠というものは明確でなきゃいかぬ、必要十分なものが確保される必要があるということが地方財政法の精神でありますので、私は、将来を見据えて、当分の、この二、三年の改革集中期間の取り組みをぜひお願いしたい、こういうふうに思うわけであります。

 それから最後、もう一つだけ。

 きょうは、国民年金、それから厚生年金の年金加入状況、あるいは年金見込み額の例の情報提供のサービスであります。いろいろ議論がありましたけれども、本年一月から、いよいよインターネットによって情報提供のサービスが開始されたと理解をしております。私もいろいろアクセスをしてみました。まだ全員じゃありません、とりあえず五十五歳以上の方々、年金見込み額は五十五歳以上の方々。私がまだ五十三でありますから、まだそこまでは見られない。

 やはり、既存のシステムを改修しながら対応しているものですから、対応に若干時間がかかるというようなことがあって、十七年度、さらにシステム改正に向けてお取り組みをされるというふうに理解をしておりますが、これからの十七年度の作業内容について確認をさせていただきたいと思います。

青柳政府参考人 年金個人情報についてのお尋ねがございました。

 ただいまお尋ねにもございますように、インターネットを活用して容易に御自分の加入記録等の年金個人情報を入手できるようにするということが、被保険者サービスを向上する上では大変重要というふうに考えております。

 このため、お尋ねございましたように、ことしの一月の末から、既存の電子申請の仕組みを活用してではございますけれども、年金の加入記録と見込み額の提供を行っております。

 この対象となる方でございますけれども、スタートということでございますので、加入記録の方は全年齢の方を対象にしておりますが、年金の見込み額の方は、スタート時点では五十五歳以上の方を対象ということにさせていただいております。ただ、平成十七年度中には、この対象年齢を五十歳以上に引き下げたいというふうに考えております。

 それから、お尋ねの新しいシステムについてでございます。

 ただいま導入しましたシステム、現状では、実は回答の作成は手作業で行っておりますために、回答までにおおむね一週間程度期間をちょうだいしております。

 これでは役に立たないじゃないかという御批判もございまして、年金加入記録について、回答までに要する期間の大幅な短縮を図りたい、即時で回答したいということで、今度は社会保険庁のホームページを活用して、新たなシステム開発をしたいというふうに考えております。これは、まず年金の加入記録からスタートをさせていただきますが、引き続き年金の見込み額についても同様の改善を検討してまいりたいと考えております。

桝屋委員 私は、去年の国会で、年金加入している、加入していないという議論があったときに思ったんですよ、青柳さん。携帯で自分の年金の加入記録ぐらいはすぐ、これほどの時代になぜできないのかな、こういうふうにいつも思っているわけでありまして、ぜひ、十七年度の作業をしっかりお願いしたいというように思っております。

 問題は、照会をする場合に、先ほども議論が出ました、人の情報を盗み見るというようなことがあるわけでありまして、一番難しいのは成り済ましをどう防ぐかということであります。その辺のことで、ID、パスワードで当面勝負しよう、こういうことのようでありますが、どうかなという気がしておりまして、ぜひ、私も、個人情報保護法の成立以来、住基ネットやあるいは公的認証制度、こうしたものをしっかり活用して、せっかく政府が取り組んでいるものでありますから、全体としてうまくマッチングできないのかな、こう思って見ているんですが、その辺はいかがでしょうか。

青柳政府参考人 ただいまもお尋ねございましたように、年金個人情報のシステムをどのように構築するかということにつきましては、片方で、被保険者サービス向上のためにはできる限り被保険者にとって利用しやすいものにするということがございますが、同時に、サービスのためということでございますので、年金保険料を財源として行わせていただいているという点もございます。

 私どもも、当初は公的個人認証サービスの活用というものも少し検討をしてみたわけでございますが、御存じのように、現時点では、そのために必要な住民基本台帳カードの普及状況が極めて限られている。承知しておりますところでは、十六年の八月末で三十六万枚、これは人口比で〇・三%というような利用状況と聞いております。

 したがいまして、こういったことを考慮させていただきますと、当面は、インターネットバンキング等で広く用いられておりますところのID、パスワードを用いての認証方式を活用するということが現実的ではないだろうかと考えた次第でございます。

 しかしながら、今後、住民基本台帳カードの普及状況というものを踏まえながら、委員のお尋ねにもございましたが、将来的な活用については引き続き検討してまいりたいと考えている次第でございます。

桝屋委員 住基カードはまだ普及していない、こういうお答えでありました。

 大臣、全然通告しておりませんでしたが、これが住基カードであります。大臣はお持ちですか。(尾辻国務大臣「持っています」と呼ぶ)そうですか。副大臣お二人は。何か聞かない方がいいような。持ってくださいよ。

 それで、今、ほんのちょこっとだからだめだというのはわかるけれども、それは自転車乗れるようになったら乗りますよという議論なんです。どうも厚生労働省は政府のe―Japan計画については、体がでかいということもあるんでしょうが、やれるようになったらやりますというんじゃ、やはりだめですよ。

 特に、年金なんかの情報は今やもう本当に、我が家でもそうでありますが、女房は全部インターネットで作業しているわけでありまして、ぜひそういう前向きな取り組みを、リーダーシップを発揮して取り組んでいただくようにお願いをしまして、ID、パスワードじゃちょっと寂しいなと。公的認証がせっかくあるんだから、この活用についてぜひ御検討を前向きにしていただきますようにお願いをして、質問を終わります。

 以上でございます。

鴨下委員長 次に、山井和則君。

山井委員 きょうは、介護保険の施行法の改正、そして、後半は介護予防についても質問をさせていただきたいと思います。

 夕方遅くまで委員の方も残っていただき、本当にどうもありがとうございます。

 この介護保険の施行法に関しましては先ほど橋本議員からも質問がありましたので、多少重なる面があるようでしたので、その分は当然割愛しまして、そういう関係で、橋本議員の後を継いで質問しますので、質問通告と多少違う面があるかもしれませんが、お許しいただければと思っております。

 私自身、二十六歳のときですか、熊本の老人ホームで一カ月実習をさせていただいて、それを皮切りに全国の老人ホームを回って、アメリカ、スウェーデン、イギリスと各国の老人ホームを回って、そんな中で、世界の老人ホームと比べて日本の老人ホームはやはり非常におくれているということが私が政治家を志した原点でありまして、世界じゅうの老人ホームのお年寄りとの出会いというのが私が政治を志した原点でありますので、この老人ホームのこと、非常に関心を持っております。

 今回の施行法の軽減措置の延長も、確かに、一見お年寄りに優しいことのようにも思えるんですけれども、公平性の観点からいくと、それでいいのかなという疑問が正直言ってありますので、質問をしたいと思います。

 私の知人の特別養護老人ホームに勤める職員さんも、かえって軽減措置を延長したら不公平ではないか、今まで軽減されていた人は貯金が百万、二百万たまっている人もいる、払えるんだったら払ってもらったらいいんではないか、逆の面の不公平になるんではないかということもおっしゃっておられました。

 そこで、まず西副大臣にお伺いしたいと思います。

 この経過措置を打ち切れば、払えなくて老人ホームを退所せねばならない人はいるのか、いるならどれくらいいるのか。いかがですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 経過措置を延長しなかった場合に入所を結果的には継続できないという人が何人おられるか、こういうお話でございました。

 確かに、そういう人がおられることは事実だと思います。その際に、結局入られないで生活保護、こういうことになるというふうに思われますけれども、生活保護は、先生ももう御存じのように、預貯金が使い果たしてもうない、資産もない、こういうことが前提でございまして、措置という行政処分によって入所した方に、そうした状況に陥るまで負担を強いるというのは、私どもとしては適当でないというふうに今のところは考えているところでございます。

山井委員 今のは答えていないんですよね。その方々は何人ぐらいいらっしゃるわけですか。これは六万八千人の経過措置ですが、そのうち何割ぐらいであって、でも、今、生保になってもらうのは申しわけないとおっしゃいましたけれども、在宅では、ホームヘルプを十分に利用できない、あるいは、貧しいがために生保になっても在宅で生活しておられる方はごまんとおられるわけですよね。

 改めてお伺いします。何人ぐらいですか、これ。要は、そもそも出る人はいないわけですね。

西副大臣 今の質問でございますが、負担軽減している皆さんのうちで生活保護が必要になってしまう、こういう人がどの程度いらっしゃるか、どの程度の割合いらっしゃるか、こういうお話でございますが、先ほど申し上げましたように、当該の皆さんの資産の把握の状況等もございまして、ただいまにわかに予測することは困難でございます。

山井委員 先ほどの橋本議員の答弁においても、実態調査もしていないと。今も、どれぐらい生保になるかもわからない、わからないけれどもとりあえず延長しておこうかというように聞こえるわけです。

 それでは、お伺いします。

 過去五年間、この経過措置で――ちょっと説明しておられるようなので待ちましょうか。

鴨下委員長 どうぞ質問を続けてください。

山井委員 過去五年間、この経過措置で幾らかかったわけですか。それでまた、今後、毎年あるいは五年間、これで予算が幾ら発生すると推計しているんですか。

西副大臣 軽減措置を実施するために必要な額というお話でございました。

 ごく粗い試算でございますが、平成十二年度から十六年度の間におきまして、国庫負担額が三百五十億円程度でございます。今後推計される額といたしましては、平成十七年度から二十一年度の額といたしましては、百ないし二百億円というふうに見込まれているところでございます。

山井委員 結局、今まで毎年七十億円ぐらいかかっていた、これからも毎年四十億円ぐらいかかるのではないかということで、かつ、正確なところはわからないわけですね。

 繰り返しますが、今までから軽減されているから、結局貯金がたまっている人が多いわけですね。百万、二百万、三百万貯金を持っている人も多いわけですね。考えてみてもらったらわかりますけれども、老人ホームに入っているということは、年金が入ってきているけれども余り使えないから、たまる一方なわけですよ。

 そこで、次に、尾辻大臣に同じ趣旨でお伺いしたいと思います。

 私が言いたいのは、払えなくて退所する人がいるんだったら軽減措置は必要ですけれども、今の西副大臣の答弁を聞いても、要は払えるわけですよ。ただ、払えるけれども生保になる方が一部いたりするのでよくないということなんですけれども、結局、実態調査もせず、年に数十億という費用を今後も使っていくということは、私は、ほかで非常に厳しい自己負担アップが続いている中で、公平性の原理なんかもおかしいと思うんですが、やはり絶対この自己負担アップという不利益変更はできないんですか、大臣。

尾辻国務大臣 まず、第一段階では生活保護の被保護者ということになっておりますから、今の先生のおっしゃるようなケースだとそもそも生活保護にならないというふうに考えられますから、対象者にならないと思いながら聞いておったんですが、その辺、どういうふうに先生が言っておられるのかお聞かせいただいた方が、また議論が進むというふうに思うのでありますけれども、どうでしょうか。

山井委員 資料をお配りしていますけれども、第二段階の中の、貧しい、所得が少ない方に関しても軽減措置ができているわけですから、その軽減措置がなくなっても払える方が多いわけなんですよ。だから、この措置を打ち切っても、出ていく人というのは理論上発生しないわけですよ、非常にこの額がそもそも少ないわけですから。にもかかわらず、経過措置を打ち切っても払えるにもかかわらず、なぜこの経過措置を延長するのか。それは、先ほどの橋本議員への答弁で、自己負担アップは不利益変更だから措置の人にはできないということだったんですけれども、払えるんだったら払ってもらったらいいんじゃないですか、不利益変更はどうしても入所の場合はできないんですかということを言っているんです。

西副大臣 今、実質的に、軽減の対象とされている人が大体六万八千人いらっしゃいます。その中で、生活保護の被保護者、それから、市町村民税の世帯非課税かつ老齢福祉年金の受給者、いわゆる生活が現実に困窮されている方が二万四千人現実にいらっしゃる。こういう事実から考えてみましても、非常に生活的には厳しい方が残っているということは事実だというふうに考えております。

山井委員 全然最初から質問に答えていられないわけですよね。厳しくても、これは経過措置を打ち切っても、出ないとだめという人は発生しないわけですよね。そうしたら、これはやっていったらいいと思うんです。

 それで、だから、要はそういう調査もしていないということなわけですけれども、次の二ページ目をお願いいたします。

 尾辻大臣にお伺いしますが、二ページ目、見てください。要は、先ほどから、入所の人に関しては自己負担アップはできないんだ、不利益変更はできないんだという答弁を重ねておられますが、二ページ目、三ページ目を見てもらったら、去年九月十四日の担当課長会議の資料においては、半年前においては、これを見てもらったらわかりますように、利用者負担の減免に関しては、「平成十七年四月からは1については、終了」となっているんですね。これは厚生労働省の課長会議の資料なんですよ。このときには終了となっているわけですよ。でも、きょうの答弁を聞いていたら、いや、不利益変更はできないとなっているんですよ。これはどっちが厚生労働省の見解なんですか。この時点では経過措置の延長をしないということになっているんですよ。大臣、いかがですか。

西副大臣 確かにこの時点では経過措置の終了ということになっておりますが、その後の検討経過がございまして、最終的に政策判断としては今回のような方向で決着したということでございます。

山井委員 でも、その答弁はちょっと不誠実じゃないですか。それだったら昼間の橋本議員の質問のときから、そういう選択肢もあったけれども考えた末にこっちになったという答弁をしないとだめなのに、最初からずっと、そんなことはあり得ない、不利益変更はできないと言っていたじゃないですか。さっきの答弁は違うんですか。違うんだったら一回撤回してくださいよ。

西副大臣 違うわけではございません。最終的に結論としてこういうことを決定したということで、その見解については一切変わりはございません。

山井委員 では、なぜ変わったんですか。

西副大臣 先ほども若干触れたように思いますが、もし、経過措置を延長しない、こういうことを考えますと、先ほど申し上げましたように、多くの入所の継続が困難となる人が生ずるおそれがあるということです。その際に……(山井委員「困難にはならないですよ、生保にだって入れられるんですから」と呼ぶ)

 御指摘のように生活保護を受けるということは、それは条件がございまして、預貯金等を使い果たした、先ほど申し上げたとおりでございますが、そういう形が前提でございますので、措置という行政処分によって入所をされた方に対して、そこまでの負担を求めるということは適当ではないというふうに考えているところでございます。

山井委員 聞いていると、全然答弁になっていないと私は思うんですね。出なければならない人はいない、生保にならなくても自己負担で耐えられる人が多いのではないか、実態調査もしていない、でも年間五十億ぐらいのお金はこれからも続けていくということで、今、これからも入所が困難な人がいるとおっしゃっていましたけれども、全然困難な人はいないんですよ、い続けられるわけなんですね。

 私はなぜこんなことを言っているかというと、今介護保険の財政が厳しいということで、みんな必死になっているわけですよ。これは与党も野党も関係ないわけですよね。そんな中で、これからいろいろなことを切っていかないとだめだということを提案するのであれば、一つ一つ、年間五十億でも、八割、九割の人は払えるんじゃないか、そういうことをきっちりやって、払えない人も多いというようなことがあればこういう判断をするのはいいですけれども、実態もわかっていない、でも延ばしましょうというのでは、私は非常に在宅との公平性ということでもおかしいのではないかと思います。いかがですか。

西副大臣 お答えを申し上げます。

 実態については、困窮されている、生活保護状態に近い方が大変多いということは先ほど申し上げたとおりでございます。結果的には、これはもう最終的には政策的な判断でございますけれども、生活保護に陥るということよりもむしろ介護の世界で見る方が適当であろう、こういう判断をした上で今回のような措置になったということを御理解願いたい、こう思います。

山井委員 非常にある意味で納得できないものが残ります。

 それで、不利益変更をしないということに関してなんですが、尾辻大臣にお伺いしたいんですが、このことに関しては障害者福祉も一緒ですか。一度措置をした人は自己負担アップなどはしないというようなことは、これは老人福祉だけじゃなくて障害者福祉でも同じでしょうか。尾辻大臣、いかがですか。

尾辻国務大臣 午前中の御議論を聞きながら私も随分気になったところでありますので、もう一回整理をちゃんとしろと言ってさせたんですが、結局、最終的には政策判断なんですね。ですから、最後は政策判断としてどうするか、こういうことだということなんです。

 ですから、低所得者の皆さんに対して特例措置を講ずるというのも、不利益なことをしてはいけないということが理由ですけれども、それを政策判断した、こういう整理になるわけであります。

 したがって、結局、やはりそれぞれ、何か起こるとその都度政策判断をしていく、どうするかというのはその都度決めていく、必ずこうなるというものではない、このことは御理解いただきたいと思います。

山井委員 そうしたら、もう先ほどの橋本議員に対する答弁というのは全く違うことを言っていたわけですね。というのは、あのときは、入所の措置の人は不利益変更はできない、できないからノーなんですと言ったのに、今は、政策判断でそうしただけであって、必ずしもそれがいつでもそうではないというようなことを言うんだったら、答弁が違うんじゃないですか。

尾辻国務大臣 ですから、不利益変更はできないという政策判断をした、こういうことを申し上げておるわけであります。

山井委員 だから、不利益変更ができない場合もあるし、できる場合もある、結局そういうふうなことになるわけですね。だから、本当に昼の答弁とまた全然違うなというふうに思います。

 それで、次に介護保険のことについて、ちょっとこの不利益のことと関係しますので入らせてもらいたいと思うんですけれども、結局、片や、こういう実態調査もせずに不利益変更をしないというような判断をしている。片や、訪問介護の家事援助の部分などに関しては、今現場では、非常にこの介護保険の改正が行われたら切られるのではないかというような不安が強まっているわけであります。

 今週も私、月曜日一日ホームヘルパーさんと一緒に回らせていただきましたが、例えば、家事援助のホームヘルプを利用して在宅で暮らしている百歳のお年寄りや、家事援助のサービスを受けてひとり暮らしを続けられているアルツハイマーの認知症の女性の家も訪問しました。そう考えてみると、もう訪問介護というのは命綱なんですね。それで、その方々の今一番の不安は、介護保険が改正されても引き続き今のサービスを利用できるかどうかなんです。

 そこで、尾辻大臣にお伺いしたいと思いますが、この資料、最近厚生労働省に文書で質問しましたら返ってきて、結局、生活能力を低下させる家事代行型は原則として行わないというふうにそちらからは答弁をもらっているんですけれども、具体的に、生活能力を低下させる家事代行型の訪問介護というのはどのようなサービスですか。そして逆に、どのようなサービスならこれからも受け続けられるのか。

 これは午前中の大村議員の質問とも似ておりますけれども、続けられる、あるいはカットされる訪問介護の基準というもの、あるいは具体例をお示しください。

西副大臣 介護保険におきましては、利用者も含めて、さまざまな専門家がかかわって、そして利用者の自立を支援するためにさまざまなサービスを行っていただいております。その内容について検証いたしまして、最も適切なサービスのプランを利用者の同意を得ながら策定していく、こういうことがサービスの利用に際しては最も必要なことではあろう、こういうふうに考えております。

 委員お尋ねのように、サービスの内容、家事援助の内容につきましても、それぞれの個々人のケアマネジメントを経て現場現場で決定していただくということでございますので、一律に不適正といいますか、サービスを、ここからここまでの範囲、ここからは適正だというふうに決めるわけには、なかなか難しい、こういうふうに考えているところでございます。

山井委員 質問に答えてくださいよ。私は、生活能力を低下させる家事代行型の訪問介護は原則として行わないとそちらが言っているから、それはどういう訪問介護ですかと聞いているわけです。

西副大臣 家事代行につきましては、お一人お一人の利用者に対するケアマネジメントを経てサービスが決定される、これは先ほども申し上げたとおりでございまして、問題は、要介護状態を減らす、または悪化させない、こういうことにつながらないサービスにつきましては控えさせていただくということが原則でございます。

山井委員 だから、それはどんなサービスかということを聞いているんです。このままではわからないから、答えてください。

西副大臣 お答え申し上げます。

 ただいまも申し上げましたとおり、適切なサービスによっていかに重度化を防ぐかという観点からこれはサービスを考えているものでございまして、このことによって介護状態が改善する、もしくは維持をされる、こういう可能性が残っているものが今後とも存続をし、それ以外のものについては次第に控えていただく、こういうことでございます。

山井委員 それではわからないんですよね、さっぱりと。

 これはどうなんですか。きょうは私はちょっと早く質問しているわけですけれども、法改正の審議のときもそういう答弁になるんですか。それで、これは法案審議まで基準を出さないんですか。そうしたら私たちは判断しようがないですよ、今の答弁じゃ。基準、いつ出すんですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 最終的には、いずれにしましても、今回の介護保険制度、五年前にできた制度の場合もそうでございましたように、詳細なガイドラインについては今後きちっと決めていくということでございます。

山井委員 今後きちっとというのはいつですか。今後というのはいつですか。もちろん法改正の審議の前ですよね。はい、答えてください。

西副大臣 十八年の四月一日をもって介護保険制度が変わるということでございますので、その時期までにきちっと改定させていただくことになります。

山井委員 ということは、法改正のときにはその基準は出ないということですね。もう一回答弁してください。

西副大臣 同じ時期に介護報酬についても改定が行われるわけでございまして、その時期と同じくしてこの内容についても決めるということを予定しているところでございます。

山井委員 これ以上やっても時間のむだですから、私は指摘しておきますが、原則として生活能力を低下させる家事代行型訪問介護はもう行わないと言っておいて、その基準は分科会で年末ぐらいに決めると。法改正のときには出てこないんだったら、こんな法案、それは審議できませんよ。判断しようがないじゃないですか、その基準がわからなかったら。

 それでは次、具体的にもう一度言います、わかりやすく。あえて具体的に言います。

 私の近所に八十九歳のひとり暮らしのおばあさんがおられます。それで、骨折して、今要支援です。自分で掃除をできないので、週一回、掃除を利用されておられます。そして、この方が、例えば今度新しく法が変わって筋トレなどをやれというふうに言われた場合、このおばあさんは非常に、実話ですけれども、筋トレだけは勘弁してくれと言っているんですね。筋トレというのは、ノーと言ったら拒否できるんですか。嫌がるお年寄りに強制されることはないですか。

西副大臣 今までの介護保険制度もそうでございましたけれども、今回の介護保険制度、また予防給付につきましても、サービスを提供するに当たっては、一方的ではございませんで、本人の選択が基本で、本人がケアマネジャーさんと十分相談をして決めていくということが基本でございます。

 先ほどの個別の問題、骨折のお話がございましたけれども、その様態様態に応じて、どういうサービスが必要かということは、回復の速度とかいろいろな要件が入ってくると思います。御自身で動きやすい状況になる……(山井委員「嫌がる人に強制するのかどうか聞いているんです」と呼ぶ)

 そのことにつきましては、これは先ほども申し上げましたように本人の選択ということになりますので、強制はできません。(発言する者あり)

山井委員 ということは、強制はされない。

 それで、今もお話がありましたが、では、今までから、例えば掃除の訪問介護を受けていた。それで、自分は体が弱くて掃除ができないということは、今までの受けられたその掃除のホームヘルプは受け続けられるということでよろしいですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 介護保険のサービスに関しましては、先ほども申し上げましたように本人の希望に基づいてサービスするということでございますが、利用者を含め、さまざまな専門家が自立を支援するという観点から、サービス内容については検証をし、最も適切なサービスプランを利用者の同意を得ながら策定するということが原則でございまして、その現場現場においてサービスが提供されるということで、そのように見直すことが必要だと考えております。

山井委員 本人の同意を得ながらという答弁が今ありましたから、そうしたら、本人が、これはもちろん自分で掃除とかできるのにやってくれというのはよくないと思いますが、できない場合には、希望すれば掃除のホームヘルプは今までどおり受けられると理解していいんですね。

西副大臣 例外的な問題だと思います。

 本人の同意を得てということでございますが、例外的にそういうことを行う場合においても、必要性について十分に厳格に見直した上で、期間や提供の方法等を本人とともに考えて、メニューとして採用するということになるわけでございます。

山井委員 その例外的というのは、何が例外なんですか。ホームヘルプの掃除を利用し続けられるのは例外的なケースということは、裏返せば、ほとんど利用できないということなんですね、今の答弁は。もう一回確認をお願いします。

西副大臣 介護保険制度の利用の原則は、その個人個人の皆さんが少しでも状態が悪化しないように、また現状を維持していただくということが根本でございます。そのことは、介護サービスする側も、また受けていただく側も当然のことだ、こういうふうに考えるわけでございます。

 そんなことを考えますと、要介護状態を軽減したり、または悪化するのを防止したりということにつながらないということにつきましては、今後、サービスは控えさせていただくということが今回の考え方でございます。

山井委員 だから、答弁を聞いていても全然わからないわけですよね。これは私が知りたいからじゃなくて、全国の多くのお年寄りや御家族の方やケアマネさんやホームヘルパーの方々は厚生労働省の文書ではさっぱりわからないと言うから、今質問しているのに、答えを聞いていても全然わからないじゃないですか。

 それで、これは尾辻大臣にお願いしたいんですが、もちろんこれは法改正の審議のときにきっちりとやりますが、尾辻大臣、一つお願いがあるのは、やはりきっちりホームヘルパーさんの現場に行ってほしいと思うんですよ。

 今、要支援、要介護一の方の、八十歳以上が六割以上です。半分がひとり暮らしです。二割が老夫婦です。この方々からこういうサービスを切ったら、もう命取りになりかねないんですね。ぜひともお願いしたいのは、そういうホームヘルプの行っておられる現場に行って、ホームヘルパーさんやお年寄り本人、御家族、さらにケアマネジャーさんの方に生の声を聞いてきてほしい。お願いばかりしてなんですけれども、尾辻大臣、いかがですか。

尾辻国務大臣 それはかねて必要なことだと思っておりましたから、必ず参ります。そのことはしっかりお約束して、やらせていただきます。

 そこで、今の議論のやりとりでありますけれども、一言私からも申し上げておきたいと思いますけれども、今回のことというのは、まず法律は、考え方、基本の考え方をまず示そうとしております。ホームヘルパーさんの問題も、結局、いろいろな御指摘がありました。一番端的な御指摘というのは、家政婦がわりに使っているんじゃないか、それはちょっとまずいだろうという御指摘もありましたし、またそのことが、自分はただ座って調理してもらうのを見ているだけだ、自分の体を動かさないから、自分の体を動かさないことによって予防ということと反対の方に行く、そんなことになってはまずいからというのが今回の法律改正でお願いしている基本の精神であります。

 あと、個別にどうなるんだという話は、先ほど来お答え申し上げておりますように、最終的には、介護の報酬を決める、そこの介護報酬の決定のところの場面になると思いますから、そこで個別の、こんな場合にはどうするのというのは決めさせていただきますということを申し上げておるつもりであります。

 ただ、最初のお話で、いろいろなことがあると思いますから、まず現場をしっかり見せていただいて、ホームヘルパーの問題もちゃんと対応をさせていただきます。

山井委員 大臣、やはり私、お願いしたいのは、家政婦がわりに使っているとか、ホームヘルプによってよくなっていないとか、そういうことを言うのは、私は慎重に言っていただきたいと思うんです。

 そういう話が大部分なのか、一割二割なのか、それによって全然違うわけですよ。多くの家事援助はお年寄りにとって命綱になっているわけですよ。そのために雨の日も雪の日も現場のホームヘルパーさんは汗だくになって、あるいは家に入って、本当にうんちまみれになりながらやっておられるホームヘルパーさんもおられるわけなんですよね。だから、日本のお年寄りの幸せを守る介護保険の責任者でもあるべき厚生労働大臣が、余り軽く今おっしゃったようなことをおっしゃるのは、私は非常に慎重に言っていただきたい。もちろん、一部そういうのがあるのは認めますよ。しかし、それがあたかもトータルであるような見方をされると、非常に失礼になるのではないかというふうに思います。

 次にお伺いをしますが、尾辻大臣、筋トレのメニュー、厚生労働省はどのようなものを考えておられますか。

尾辻国務大臣 筋トレの中身について……(山井委員「メニューですね」と呼ぶ)メニュー、余りうまく説明できないんですが、ごく普通に、この後御質問になるのかもしれませんが、私、現場を見ておりまして、お年寄りがちょっとした器械を使ってやっておられる、まさにそういう、普通にいう筋トレだと思っておりまして、それ以上うまく説明できないことをお許しいただきたいと存じます。

西副大臣 お答え申し上げます。

 その前に、私も、先ほど大臣に要望されました内容、必ずまた現場を見せていただきたいと思います。

 今回の新予防給付への導入、これはいろいろなことが議論されました。最終的には、先ほど大臣がおっしゃいましたような、いわゆる筋トレと言われる、器具を使った運動機能の向上のため、それからもう一つは、やはり年配になってきて栄養の改善もぜひやらなければいかぬ、それから口腔機能、こういう三つを考えております。

山井委員 それで、厚生大臣、先日、デイサービスで高齢者トレーニング、筋トレを視察されたようで、今のこともおっしゃっていましたが、そこで、ここにも書いてありますが、その筋トレマシンは幾らでしたか。

尾辻国務大臣 私は、そのマシンの値段は承知しておりません。

山井委員 厚生労働省にも一応聞きましたが、マシンの値段はわからないということです。でも、これは、今の議論をしていても、これからは介護予防だ、この介護保険改正の目玉は介護予防で、その中の一つの柱が筋トレだというときに、大臣が見に行くマシンが、果たして幾らのマシンで筋トレをやっているのかも大臣もわかっていない、厚生労働省も知らないというのは変な話だと思いませんか。世の中、介護予防でも筋トレでも費用対効果というのがあるわけですよね。

 それで、次に、筋トレのことで大臣にも申し上げておきますと、エビデンスがあるのかというと、ここの資料にあるように、例えば太極拳のエビデンスは外国の論文なんですよ。外国のお年寄りが太極拳をやって効果があったと。ダンベルもこれは外国の論文で、あと、セラバンドというものも外国の論文なんですよ。

 それで、私、厚生労働省に日本の論文が欲しいと。そうしたら、日本ではまだデータが出ていないと言うんですよね。そうしたら、エビデンスもないわけですよ。外国でやってよさそうだから日本に導入しようというのでは、目玉としては私は非常に不十分だと思っているわけです。

 それで、その筋トレマシンの価格についても教えてくださいといってお願いしたら、ここの資料にありますように、四ページ目、筋トレの方法については、「各種あると聞いているが、価格等詳細については承知していない。」と。

 先ほど大臣もおっしゃったように、大臣も見に行っている。大臣も、筋トレといえば機器だと思っている。そういうふうに厚生労働省がいろいろ推奨して、全国の現場も、筋トレマシンを買わないとだめなんじゃないかということになっていて、いろいろな業者が売りに行ったりしているわけですね。そういうことになっているのに、厚生労働省はそういう価格も知らない、こういうふうなことというのは極めて無責任じゃないですか。この価格表、ぜひすぐに出してほしいと思います、大臣。

尾辻国務大臣 まず、筋トレというのが、必ず器械を使わなきゃいけない、マシンを使わなければいけないものだという認識がまず私にはございませんでした。

 それから、見に行ったところも、これは専門家でないからわからないのかもしれませんけれども、そんなに高そうなものには見えませんでしたし、それから、バーというんですか、棒を一本横に流しただけのところで足を上げたり下げたりしておられるような、まあ、少なくともあの棒を一本引く値段はそう大した値段ではないだろうと思いましたし、私はそういう印象で帰ってまいりましたということを率直に申し上げるところであります。

山井委員 ちょっと、質問に答えてくださいよ。資料を出してくれと言っているわけですよ。その筋トレマシンについて、厚生労働省が持っている価格表。

 そして、続けますと、この八ページにもありますが、今、モデル事業を全国でやっているわけですよ、筋トレのモデル事業。私たちも法案審議する上で、モデル事業をやっているんだったら、どんな器械を使って、幾らかかって、人手がどうで、費用対効果はどうなのか知りたいと思うのが当然ですよね、大臣。

 私は三週間前から、幾らのマシンを使って、幾ら人手をかけて、どんなことをやっているのかと頼んでいるんですけれども、答えがまだ返ってきていません。大臣、この資料を見てください。それでやっと、あした質問しますよと言って、きのうの晩来た資料がこの資料です。高浜市、筋トレマシン、費用はなし、事業費もなし。

 私は、介護予防あるいは筋トレを全面的に否定するものじゃないですよ。ただ、それを判断する意味では、どんなマシンを使って、あるいはどんなマシンを使わずに、幾らで、どんな人手でやっているのか、そんな資料ぐらい出してもらわないと、こっちも審議しようがないじゃないですか。

 こういうふうな資料を速やかに、これは委員長にもお願いしますが、次の委員会までに出してほしいと思います。

尾辻国務大臣 申し上げましたように、筋トレそのものが必ず器械を使うものだとも思っていません。したがって、まず……(山井委員「器械じゃなくてもいいんですよ。かかっている費用を出してくださいと言っているわけですよ」と呼ぶ)

 いや、器械の値段をとおっしゃったので、そのことを申し上げておるわけでありますが、器械の値段を出すのは、調べて出せばいいと思いますけれども……(山井委員「調べて出してもらえるんですね」と呼ぶ)いや、逆に私が心配いたしますのは、そうすることによって、そんな器械を買うのが筋トレだというふうな逆の理解になるとまずいんじゃないかなとつい思ったりもしますから、正直に私、そう思うんです。

 そういう値段をお出しすると、厚生労働省が今度の法改正に当たって筋トレの器械の値段をこんな数字で出してきたというと、逆に、そういうものを買わなきゃいかぬのじゃないかという理解になったら困るなとつい思ったりするものですから、そこのところまでちょっと検討させていただければというふうにお答えしているつもりであります。

山井委員 平成十五年度の全国のモデル事業、ほとんど筋トレマシンを使っているわけですよ、厚生労働省のモデル事業がいろいろなところでやっているものを。そういう今までの経緯があるわけですよ。だから、厚生労働省がそういう姿勢だったから、全国が今、筋トレマシンを買わないとだめかなということになっちゃっているわけですよ。

 そう既になっているにもかかわらず、それを出すとそういう雰囲気になるというのは、逆に本末転倒なわけであって、とにかくデータを出してくださいよ。モデル事業でやって、そのモデル事業に基づいて介護予防をやるわけでしょう。大臣、これはちょっとちゃんと答えてください。ちゃんとコストと人手と、大臣、ちゃんと答えてください、それは。

尾辻国務大臣 モデル事業でやっていますから、モデル事業は今年度の事業としてやっていますから、今年度末できっちり締めて、そうもう長いことじゃありませんから、お出しをします。ただ、時間がちょっとずれますということを申し上げるわけであります。

山井委員 いつですか、それは。審議の前ですか、後ですか、介護保険改正法案の。ちょっとそれ言ってください。審議が終わってからだったら意味ないじゃないですか。大臣、ちゃんと今のは答えてくださいよ、それは。大臣、答えてください、今のをまず。

尾辻国務大臣 モデル事業ですから三月で締めてお出しをしますと言っているわけですから、そこは御理解ください。

山井委員 そんなことは聞いていないんです。報告書を出せと言っているんじゃないんですよ。ここに書いてある表で、幾らのマシンを使って、幾らの費用がかかっているか、これだけを出してくれと三週間前から言っているんですよ、報告書なんか言っていないんですよ。モデル事業終わらなくてもいいんですよ。それは出してもらえるんですね。

尾辻国務大臣 実施済みの十五年の事業がございますから、その数字はすぐに出させていただきます。

山井委員 なぜ今やっているのを出せないんですか。私こんなこと言いたくないですけれども、年金審議と一緒になりますよ。一本電話したらわかることじゃないですか、どんな器械を使っているかなんて。なぜその資料を出してくれないんですか、法案審議の前に。出せない理由があるんですか。大臣、答えてくださいよ。

西副大臣 今、モデル事業に関してというお話でしたので、そのことについては調べさせていただきたいと思います。

 なお、報告書につきましても、今年度いっぱいということですから、四月には出させていただきます。(山井委員「報告書のことは聞いていないですよ」と呼ぶ)

山井委員 ちょっと、関係ないこと横から答えないでくださいよ、そんなのだったら。

 大臣、その資料、これの項目の、幾らコストがかかっているか。自民党の皆さんも理解してくださると思うんです、公明党の皆さんも、皆さんも。介護予防や筋トレで費用が幾らかかっているか、それと効果がどうか、費用対効果を考えるのって当たり前ですよね。その費用が幾らかかっているか、何で出してもらえないんですか。ちょっと大臣、お願いします。それぐらい出してくださいよ。大臣、お願いします。

尾辻国務大臣 調べてお答えしますというふうに答弁したはずなんですけれども。私はそういうふうに聞きました。

山井委員 だから、来週水曜日の審議までということでいいですね、これは電話一本でわかることですから。報告書じゃないんですからね。報告書じゃないですから、この項目だけは、大臣、お願いします。大臣、お願いしますよ。三週間前から頼んでいるんですから。尾辻大臣、お願いします。

尾辻国務大臣 精いっぱい努力いたしますことだけはお約束を申し上げます。

山井委員 来週水曜日までに精いっぱい努力してもらえるということでいいですね。もう一回確認します。これは非常に重要なことですから。

尾辻国務大臣 多分、先生が求めておられるのはマシンの値段だと思うんですが、そういうふうに理解していいですか。

山井委員 ここに書いてありますように、マシンの値段と人件費でかかっているコストですね、コスト。

尾辻国務大臣 人件費のコストまで言われると、ちょっとかかるような気がします。絶対だめだとも言いませんが、今、事業実施中でありますから、年度で締めさせていただけば、それはきっちり、当然お答えすべきものでありますし、お答えしますが、人件費まで言われるとどうかなというのが、率直に思うものですから、申し上げているところです。

山井委員 だから、一月幾らかかっているかとか、そういうことで結構ですから、終わってからでなくて、今、PTさん、保健師さん、幾ら人件費がかかっているということと、この表にありますように、機器とか、セラバンドでもどんな機器でもいいですけれども、使っているか使っていないか、それの費用ということで、それ、いいですね。

尾辻国務大臣 とにかく、年度が終わったらきっちり出しますと言っているわけですから、隠すつもりも何にもありませんので、とにかくできるだけ早くお出しすることだけはお約束いたします。

山井委員 ちょっと、答弁後退しているじゃないですか。来週水曜日までにできる限りのことをお願いしますと言っているんですよ。

尾辻国務大臣 人件費までおっしゃったので、そこまで言われるとちょっとかかるだろうなと思ったので、今申し上げているだけの話でありまして、決して後退させているつもりもありません。

 最後に一言で言いますと、精いっぱい努力をして、できるだけ早く出させていただきます。

山井委員 そうしたら、来週水曜日までにぜひともお願いをいたします。

 とにかく、繰り返しになりますが、私たちは真剣に法案を審議したいわけですよ。きょう初めて言っているんじゃないんですよ、三週間前からこういうデータを欲しい欲しいと言って、出せない出せないと言っているわけですよ。本当にこれはお年寄りの幸せのためにも非常に重要なことでありますので、こういう資料の請求のこととか、また、先ほど言った基準のこととか、こういうのをきっちりとやはり出していただきたい。そうでないと法案が審議できないということを最後に申し上げて、質問を終わります。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国民健康保険法等の一部を改正する法律案審査のため、来る十七日木曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十七分散会


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