衆議院

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第17号 平成17年4月20日(水曜日)

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平成十七年四月二十日(水曜日)

    午前九時二十分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    石田 真敏君

      梶山 弘志君    上川 陽子君

      城内  実君    後藤田正純君

      河野 太郎君    佐藤  勉君

      坂本 剛二君    菅原 一秀君

      谷畑  孝君    津島 恭一君

      寺田  稔君    原田 令嗣君

      福井  照君    三ッ林隆志君

      御法川信英君    宮腰 光寛君

      森岡 正宏君    山本  拓君

      吉野 正芳君    渡辺 具能君

      石毛えい子君    泉  健太君

      泉  房穂君    内山  晃君

      大島  敦君    小林千代美君

      城島 正光君    園田 康博君

      寺田  学君    中根 康浩君

      西村智奈美君    本多 平直君

      馬淵 澄夫君    水島 広子君

      横路 孝弘君    米澤  隆君

      高木美智代君    古屋 範子君

      桝屋 敬悟君    山口 富男君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            青木  功君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  古屋 範子君     石田 祝稔君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 祝稔君     古屋 範子君

同月二十日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     寺田  稔君

  木村 義雄君     石田 真敏君

  小西  理君     梶山 弘志君

  中山 泰秀君     坂本 剛二君

  原田 令嗣君     津島 恭一君

  橋本 清仁君     本多 平直君

  藤田 一枝君     馬淵 澄夫君

  水島 広子君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     木村 義雄君

  梶山 弘志君     後藤田正純君

  坂本 剛二君     谷畑  孝君

  津島 恭一君     佐藤  勉君

  寺田  稔君     井上 信治君

  西村智奈美君     水島 広子君

  本多 平直君     寺田  学君

  馬淵 澄夫君     藤田 一枝君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     小西  理君

  佐藤  勉君     城内  実君

  谷畑  孝君     山本  拓君

  寺田  学君     橋本 清仁君

同日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     原田 令嗣君

  山本  拓君     中山 泰秀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、介護保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案審査のため、去る十八日、高知県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員を代表して、私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、団長として私、鴨下一郎と、理事北川知克君、長勢甚遠君、五島正規君、山井和則君、委員菅原一秀君、泉健太君、中根康浩君、石田祝稔君、桝屋敬悟君、山口富男君、阿部知子君の十二名であります。

 現地における会議は、去る十八日、高知市内の高知新阪急ホテル会議室において開催し、まず、私から派遣委員及び意見陳述者の紹介等を行った後、高知市健康福祉部長澤本義博君、高知県老人クラブ連合会会長中平幹運君、高知大学医学部公衆衛生学教授大原啓志君、介護老人保健施設あったかケアみずき施設長和田節君、高知大学人文学部教授田中きよむ君の五名の方から意見を聴取いたしました。

 その意見内容につきまして、簡単に申し上げます。

 澤本君からは、高知市では高齢者が元気になれるメニューの開発等に取り組み、介護予防事業を推進してきており、予防重視型システムへの転換などを基本とする今回の改正案について賛意を表するが、既存の介護サービスの中で効果的な筋力向上トレーニングを行う必要性、要介護度が改善した場合のケアマネジャーに対する評価制度の導入、モデル事業を積み重ね地域の実情に合った介護予防手法の確立とともに、元気な高齢者も巻き込む、住民が支え合う町づくりが重要である旨の意見が述べられました。

 中平君からは、被保険者の年齢を原則二十歳以上に拡大し障害者も給付対象とすること、施設介護サービスへの営利企業の参入には反対であること、介護保険施設の個室、ユニットケア化の推進が図られる一方で、低所得者の施設入所に係る配慮も必要であること、また介護職員に係る医療行為の範囲を見直す必要がある旨の意見が述べられました。

 大原君からは、介護予防についてはハイリスク者のみならず高齢期の生活機能低下に対する中長期的な視野が必要であること、新予防給付で提供されるサービスの質の確保として、機能測定等の定時的な評価が必要であること、介護予防サービスの有効性について、研究論文の検証だけではなく、現場における実践経験等からその有効性が示されるべきこと、地域包括支援センターによるケアプラン作成等の機能の確保、強化が重要である旨の意見が述べられました。

 和田君からは、予防への取り組みとして認知症の高齢者等に対する疾病管理の重要性、施設給付の居住費、食費に対する低所得者への補足的給付における応能負担の徹底、ユニット個室化に伴う施設における人員配置基準の見直しの必要性、地域包括支援センターの役割の明確化、介護の重度化を招いている要因分析の重要性、被保険者の範囲拡大の必要性などの意見が述べられました。

 田中君からは、利用者負担増による社会保障不安や不信を増幅させる懸念、予防重視によって介護サービスの目標が身体機能の改善に偏る懸念、ケアマネジメントをサービス提供機関から分離する必要性、介護労働者の社会的評価の確立、介護予防効果の評価基準の確立の必要性などの意見が述べられました。

 意見の陳述が行われた後、各委員から、医療と介護の連携の必要性、介護保険で予防事業を行う妥当性、被保険者、受給者の範囲拡大の是非、施設給付の見直しに伴い行われる低所得者対策に関する見解、介護保険導入後における要介護認定者の在宅率の変動状況等についての質疑が行われました。

 なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。

 以上をもって報告を終わりますが、今回の会議の開催につきましては、多数の関係者の御協力により極めて円滑に行うことができ、深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告を申し上げます。

 お諮りいたします。

 ただいま報告いたしました現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

鴨下委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省健康局長田中慶司君、労働基準局長青木豊君、職業安定局長青木功君、社会・援護局長小島比登志君、老健局長中村秀一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。本多平直君。

本多委員 民主党の本多平直です。

 まず、法案の内容に入ります前に、私、実は、前回の質問をさせていただいている途中で、大臣の答弁に納得いかないということで質問を中断させていただいたという経緯があります。そのことについて一言確認をさせていただきたいと思います。

 きょうお出しをいただきましたモデル事業の分析、これを出せということで私は押し問答をしまして、質問時間をかなり使う結果になりました。私の質問の中では、大臣は出さない、出さないと。それは政省令をつくるときまでに出すからいいんだということで突っぱねられまして、私はそれで不満だということで審議が中断したということでございます。

 その後、我が党の長妻委員が質問に立って、その中で、ようやくきょうの委員会の審議前にこれを出すということを大臣から御答弁をいただけたわけなんですが、もちろんそのこと自体はよかったと思っておるんですけれども、あれだけ長い時間をかけて、ほかの質問事項を削って聞いているものに対して、後の委員のときに簡単にそうやってオーケーするものなら、事前にオーケーしてもらわないと、私の質問妨害なんですよ。そのことについてどうお考えですか。

尾辻国務大臣 今改めて前回の速記録を読んでおるのでありますけれども、出さないと申し上げてはいないと思います。ただ、できるだけ早く出させていただきたいということを申し上げたところでありますから、前回私が委員に対して、特別違うといいますか、あるいは失礼な答弁をしたとは思っていないところであります。

本多委員 余りこの話をしたくないんですが、政省令までに出すという答弁だったんですね。そんなことじゃ、つまり法案の審議のためにこれが要るんだと私は主張したんですよ。ところが大臣は、政省令の、つまり法案が通った後の政省令をつくるときにこれは参考にするんだから、分析はそれまでに委員会に出すと。それじゃ納得いかないということを言っていたんです。ところが、長妻委員との質疑の中では出てきたわけですよ。こういうふうに最初から出るものなら、ちゃんと答弁で私のときに出すと言うべきだったんじゃないんですか。

尾辻国務大臣 あのときの私どもの、こちら側といいますか省の方のやりとりを申し上げますと、委員からそういう御質疑がございましたので、私は、できるだけ早く出したいということは申し上げたつもりであります。ただ、それがいつまでかということでありましたから、いつまで出せるかなということをこちらでも、お気づきだったと思いますが、私どもも内部の話をしておりました。

 ただ、いつまで出せるという内部の自信がまだありませんでしたから、委員に対してあのようにお答えいたしましたけれども、だんだん詰めていって、できるだけ早く出そう、このぐらいでは出せるかなというところになったときに実は審議がとまってしまったものですから、委員に直接お答えできなかったということについては改めておわびも申し上げたいと思います。そこのところはおわびを申し上げます。

 ただ、そういう内部のやりとりのいきさつでそうなったということだけは、また御理解もいただきたいと存じます。

本多委員 実は、尾辻大臣から委員会の席でもそのような御説明を前回いただいておりまして、私もそのことは納得しておるんです。ですから、その大臣の御答弁で、そのとおりで結構でございます。

 ただ、私、実は、きょうこのことをなぜ聞いたかというと、問題にしたい方がそこの目の前におりまして、委員長なんですけれども、私がそのことに対して、大臣それはおかしいんじゃないか、私のときは出さないと言って長妻さんのときに出すと言ってという抗議に行ったわけですね、委員会が終わった後。そのときに、事もあろうに、そこにいらっしゃる委員長が何と言ったかと申しますと、政治家としての重みが違うんだよという発言をされたんですね。

 これはちょっと委員長にお伺いをしたいんですけれども、長妻委員は先輩ですし、大変質問の追及が鋭いことでも有名な方で、私も、自分に政治家としての重みなんかがまだついては困るので、そんなものがあるとも思っておりませんし、これから徐々に頑張ってつけていきたいと思っておりますけれども、政治家としての重みが違うと大臣の答弁というのは違っていいんですか、委員長。

鴨下委員長 委員長は答弁する立場にはありませんけれども、本多委員がそういう意味で大変ある意味で心証を害したということについて、これをおわびを申し上げます。

本多委員 おわびをいただきましたので、それは了としますけれども、与野党でこれだけ法案の審議である意味混乱もしている中で、委員長がそういう軽口をたたくということ自体が、委員長としての資質を私は疑いますし、別に自民党の中でも重量級という評判を聞いたことは私ございませんので、私が軽量級であることは認めた上で、委員長からだけはそういうことは言われたくなかったということだけ申し上げておきたいと思います。

 それでは、法案の中身に入りたいと思います。

 そういう経緯がありまして、ようやく出していただきましたこのモデル事業の中間報告でございますけれども、読ませていただきましてびっくりいたしました。つまりこれは、これで議論をするより、はっきり言って前回のこちらの生データを見た方がやはりわかりやすいんじゃないか。つまり、これはいろいろ統計学の手法を出されて平均値をとられているようなんです。平均値というか、改善した方が多いということはわかっているんですよ。私たちが問題にしているのは、悪化がいて、悪化の量が無視し得ないほどに大きいのではないかという点を聞いているんですね。

 これについて、大臣、どうお考えになりますか。

尾辻国務大臣 このたびのデータ、お出しをいたしました。そして、お求めでもございましたので、統計学的な分析も行ったところでございます。

 そうした中で、今回の報告というのは、筋力向上プログラムが介護予防に一定の効果を発揮することは改めて示唆された、こういう報告だというふうに理解をいたしております。(本多委員「悪化の多さを」と呼ぶ)

 ですから、人間ですから、何かやれば、よくなる人もあれば悪くなる人、悪くなるというか悪化する、そういう人たちがゼロにはならない、私はそう思っておりますので、まさに今おっしゃったように、その割合の問題ですが、今回の報告、一言で言うと、やはり一定の効果を発揮するという理解だというふうに考えております。

本多委員 例えば、筋力向上の方の全体のデータを見て、いろいろ項目はあるんですけれども、「日常生活機能(身体)」こういうところは大事だと思うんですよ。改善が八十二人いるのは認めます。ですから、その方が、国の事業としてじゃなく、こういうことを自主的にやられて改善したりすることは何もとめないんです。維持の方もまあ問題なしとしましょう。しかし、六十四人悪化しているんですよ。これは、悪化する責任をとれるんですか、事業としてやって。

 これが原因かどうかはもちろん精査が要ると思います。それこそ、もうちょっと時間をかけて調査しないといけないと思いますけれども、筋トレで悪化したとは言い切れないかもしれませんけれども、悪化している人が六十四人もいるんですよ。これはどう責任をとるんですか、国の事業としてして。

尾辻国務大臣 いずれにいたしましても、この介護予防サービスというのは、その目的や内容に基づいてより大きな効果が発揮できるようにしていかなきゃならぬわけでございます。

 そういたしますと、例えばこの本事業を通じて得られたデータも、サービスの対象者の選定手法とか提供方法とか、今後さらに検討も進めて、このデータをどういうふうに生かすかということはさらに今後の問題だとは思いますけれども、今回の結果は、申し上げたように、総じて言いますと、筋力向上プログラムが介護予防に一定の効果を発揮することは示されたものだというふうに理解をいたしております。

本多委員 一定の効果もある人がいるというふうに言いかえていただいた方がいいんじゃないですか。悪化している人がいるんですから。

尾辻国務大臣 ですから、サービスの対象者の選定の手法とか、さらに分析を深める必要はあろうかと思いますけれども、おっしゃったように、悪化した人がいることもまた事実でありますから、そのことを否定するつもりもございません。ただ、そうしたことを全体的にどう見るかという今後の判断だろうというふうに思います。

本多委員 対象者のこととか言わない方がいいと私は思いますけれども、これは実はモデル事業なんですよ。日本全国あまねく介護保険で事業化したときよりも丁寧にやっているわけなんですよ。人集めの段階からこれに向いている人を集めて、そして、それぞれトレーナーとかもきちんとついてやって、この結果なんですよ。

 ですから、これを本事業にしたときにこのデータがよくなるという推測はどういうところから出てくるんですか。

尾辻国務大臣 ですから、この事業を始めるといたしまして、すべての人にやってくださいということを申し上げるつもりもないわけですから、現場でその事業をやることが適切であると認められる人にやってもらうわけでありますから、そういう人をどういうふうに現場でまた判断してもらうかとか、そういうことにつながる話だということを申し上げているつもりであります。

本多委員 今回は適切な人を選んでやらなかったんですか。

尾辻国務大臣 ですから、モデル事業ですから、今回はいろいろな人にやっていただいた、こういうことであります。

本多委員 では、適切じゃない人にもやらせたんですか、いろいろな人という意味は。

尾辻国務大臣 今後の事業展開の参考にするためでございますから、もちろん、一定の基準に基づいてということはお願いいたしましたけれども、モデル事業でありますから、広く多くの方に試していただいた、こういうことでございます。

本多委員 では、今後こういうふうに、今回も私は適切な人をやってこういう結果だと思っていたんですけれども、適切じゃない人もやってのデータなんですか、これは。広くやったということでいいんですか、本当に。

西副大臣 お答え申し上げます。

 今回は公募された方をもとに編成したわけですが、その中で、今回やってみて分析の結果、この筋力向上プログラムにつきましては、例えば脳血管疾患の既往症、これがある方については、その他の疾患の既往症がある方に比べて有効性が低くなっているというようなことも新たにわかっております。そういうことを今後有効に、本実施する場合には考えていく大きな手だてになっていく、こういうふうに思いますので、初めからこの人は有利というか、効果があるとかいうことを必ずしもすべて前提にしたわけではないということを御理解いただきたいと思います。

本多委員 では、本実施のときには、大体、八十二人改善して、五十四人維持で、六十四人悪化だとしますよね、一つのデータを見たときに。これは、六十四人分ちゃんと除けるような仕組みをつくっていただけるという理解でいいんですか。

 国でやることなんですから、悪化、維持で、余り効果ないよねあの事業という事業はありますよ、国の中でも。それはなぜ我々が認めているかというと、プラスがあるからです。そして、悪化というのが極めて少ないから、いろいろむだだけれどもプラスもあるからということで、いろいろ国は事業をやっていますよね。それはしようがないんです。ただ、これは悪化が多過ぎるんです。これはちゃんと除けるんですか。除けるスキームをつくれるんですか。

西副大臣 まさしくこのデータだけがすべてではございませんけれども、今後、ケアマネジメントなどを通して、少なくとも向上が望みにくい皆さんについては除外するということを次の段階でやっていくということになります。

本多委員 このデータがすべてじゃないんだったらまた困るんですよ、話がもとに戻るんですよ。

 私たちは法案の審議をしているので、こういう介護予防というのが皆さん効果ある、効果あると言っていて出してきた例がこれなんですよ。それから、さっきからセレクトして広くやっていると言いますけれども、私たちはこれは逆だと思っていますよ。つまり、意欲あるお年寄りが結構参加しているわけです。それをどう大臣はとらえますか、大臣。

尾辻国務大臣 意欲ある方でないと、もちろん最初から参加なさらないというふうに思いますから、そういう意味で、意欲ある方が今度のモデル事業の対象になったということは、そういう傾向があるだろうということはそのとおりだと思います。

 ただ、意欲があるということと、筋トレという言葉が使われておりますから筋トレという言葉にさせていただきますと、では向いているか向いていないかというのはまた、こうしたモデル事業の中で判断できること、また新しくわかったこと、今、脳血管疾患の方についての話は副大臣からも申し上げましたけれども、そういうまただんだんわかってくることもありますから、そうしたことをさらに参考にして今後の事業をしていく、こういうことでございます。

本多委員 これは、皆さん、法律を通したときに、私はこんなことをやるべきじゃないと思っていますけれども、やるんだったら当然この悪化というところを極めて少なくしてもらわないと、人の命と健康にかかわることですから当然です。

 しかし、ここまで多いんですから、皆さんが幾ら施策を講じたとしても、悪化する人は残ると思います。そのときにはだれが責任をとるんですか。国なんですか、厚生労働大臣なんですか、それとも市町村長なんですか、それとも施設の長なんですか。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、最終的にはまさに現場での御判断でありますから、利用なさる方に一番いいと思われるやり方で、現場でお決めいただいてやってもらうということになるということを申し上げたいと存じます。

本多委員 国とか自治体には責任がない。こういう制度の枠組みをつくって、こういうメニューを出して介護保険の給付をするということを決めた国とかには責任がないということでいいんですか、個別の起こった悪化の事象に対しては。

尾辻国務大臣 ここで言っております悪化というのは、これは要介護度の話でございますから、何か容体があって、容体と言いましたのは例えば病気の容体という意味で申し上げましたけれども、そうしたものが悪化したというような話とはまた違う話でございますので、ぜひ、ここで言う悪化というのはそういう意味だというふうに御理解いただきたいと存じます。

本多委員 そういう項目もありますけれども、心の健康が悪化しているとか、体の痛みが悪化しているという項目もあるんですよ。痛みが悪化とか心の健康が悪化というのは、明らかに私は損害賠償の対象になるような話も起こり得てくると思いますから、今の施設にそういう責任を押しつけるということですから、これは当然、施設の方もこんなものを導入しても慎重にならざるを得なくなって、本当にこんなものが事業として成り立つのかどうかという疑問をしっかりと呈させていただきたいと思います。

 そして、この調査のそもそもの私の疑問なんですけれども、私も大昔、文系の人間ですけれども、理科を勉強したときに、こういう実験をやるときは、皆さんが責められているのを逃げ道があるとしたら、全然こういうことをしないお年寄りの群を使って調査をして、大体三カ月たつとお年寄りの健康というのはどうなるものなんだ、いろいろな体調の変化もあります、ですから、改善とか悪化とかいうのをそういう調査で出す。

 もしくは、こんなおかしな筋トレじゃなくて、普通の今デイサービスでやっているような散歩をするとかカラオケを歌うとか、そういうことで三カ月過ごしたお年寄りはどんな結果なのか、これを見せてもらわないと、対照群がない実験というのは実験じゃないというふうに私は化学や理科で習ったんですけれども、どうしてそういう対照群のない実験なんですか、これは。

尾辻国務大臣 こうした新しいメニューを加えようということで、そのメニューに対するモデル事業でございますから、そうした具体的な新しい事業についてまさにやっていただいた、モデル事業をしていただいた、こういうことでございます。

本多委員 世の中には、余り効果はないけれども悪化はしないような、若干効果があるという事業がたくさんあるんですよ。そういう事業でしたらこういう調査でいいのかもしれません。しかし、これだけ悪化が出ているんです。新聞にも、きょうお配りしましたけれども、一六%が悪化というような、大きく読売や産経さんに書いていただきました。こういうデータが出ているんですよ。(発言する者あり)いや、本当に笑い事じゃないんですよ、自民党支持者が多く読んでいる新聞ですから。これはどういう影響が出るんですかね、説明。

 ですから、対照実験しない理由をお答えください、もう一回。

尾辻国務大臣 まず、今のお話でありますけれども、一六%が悪化という話でありますけれども、これも、四三・九%が改善をされておるという改善の数字が出ております。

 それから、先ほど申し上げましたように、悪化といいましてもこれはあくまでも要介護度の話でございますから、その悪化はまたいろいろな条件もあろうと思いますし、今おっしゃるように、ほかと比較してこれをまた見るものというのとまたモデル事業のねらいというのは違うというふうに理解をいたしております。

本多委員 私は、そういう調査もしっかりとすれば、お年寄りの体調というものが三カ月でどう変化するのかという普通の場合というのがないと、これだけでは、効果があると言われても、これだけ悪化が多いということで、判断がしにくいということをしっかりと申し上げておきたいと思います。

 それでもう一点。私、この法案を見ていまして、特にここのところは明らかにおかしいと思いまして、何とかしてほしいと思っているんですけれども、百歩譲ると、私たちの党がずっと求めている年齢の拡大ぐらいしっかり入れておいてくだされば、ほかのところはいろいろ大変だけれどもという考えはあるんですよ。ところが、この附則の「被保険者及び保険給付を受けられる者の範囲について、」というところなんですけれども、馬淵委員と議論して、これは範囲の拡大だということは答弁いただきましたよね。もう一回確認をお願いします。

尾辻国務大臣 私どもが普遍化という言葉で申し上げてまいったもの、それはそういう意味を持っておりますし、それから、率直に私どもとしてそういうことを検討したことは事実でありますということを申し上げました。

本多委員 検討したのは事実なのは知っていますよ。この法の附則の意味が、範囲の拡大について検討を行い措置を講ずるという読み方でいいのですねと聞いて、それはイエスですよね。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、被保険者、受給者の範囲の拡大ということがずっと議論されたわけでありますから、そしてそのことは附則に述べられておるというふうに解釈をしておるということは申し上げたところであります。

本多委員 答弁を変えないでいただきたいと思います。

 これは範囲の拡大を示しているということで今答弁をいただいたと思いますが、だとしたら、きちんと範囲の拡大と書いたらいいんじゃないですか。書いたとしても、その後にだらだらだらだらまた見直しとか検討とか書いているのですから、お得意の先延ばしだってすることはあり得るのかもしれない。しかし、ここにはちゃんと、範囲の拡大ぐらい法文に書いてもいいんじゃないですか。それを書けない理由は何なのですか。

尾辻国務大臣 これは、申し上げておりますように、被保険者、受給者の範囲の拡大、そして制度の普遍化を図るということは、この介護保険の議論が始まったときからの大変大きな議論でありますから、ずっとこの議論は続いてきた、もう御案内のとおりであります、申し上げるまでもありません。このことについて、これも何回も申し上げましたように賛否両論ありますから、その賛否両論を踏まえて私どもはこういう附則の書き方にさせていただいたということでございます。

本多委員 範囲の拡大について賛否両論があるのですから、範囲の拡大についてさらに検討するということは何にもおかしいことじゃないんですよ。別に範囲についてなんて、そんなこと、範囲の拡大について賛否両論があるということはわかっていますよ。

 いろいろな事情があって、今回先延ばしにしたことはけしからぬですけれども、私は、このことをしっかりと法律の中に書き込んでいただくことが今後の議論のために重要だということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

鴨下委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 平成九年十二月にこの介護保険制度を導入されました。それまでは、介護は家族が支えるもの、特に介護の負担というものは女性の側に肩の荷が重くかかっていたと思いますし、また、平均寿命を考えますと介護をされる側も女性が多いということで、非常にこの介護の問題は女性にとって深刻な問題であったと言うことができると思います。それを、この介護を社会全体で支えるものとして、介護の社会化が大きく進展をしてきたと思います。

 また、高齢者は、支えるだけの立場ではなくて、保険料を払う制度の担い手としても位置づけられ、措置制度からサービスを選択できる制度として意識されるなど、制度に対する国民の評価も高まっていると考えております。

 要介護認定者数、介護サービス利用者数の飛躍的な増加に見られますように、介護保険制度は国民の間に定着しており、介護の社会化を進め、社会的支援を受けることへの抵抗感を少なくしたことなど、評価できると考えております。ですが、今後さらに高齢化が進み、要介護者が増大をする中で、この介護保険制度の安定運営が大きな課題となっていることも事実でございます。この制度の課題について、さまざま質疑がされた部分もございますが、確認の意味も込めまして順次質問させていただきます。

 今回の見直しでは、目的に尊厳の保持と、高齢者介護の基本に置かれるべき大切な理念としてこの尊厳の保持が位置づけられ、明確に規定をされております。人生の最後まで個人として尊重され暮らしていくことは、だれも望むことでございます。自分にとってもそうであります。認知症を含め介護を必要とする状態になったとしても、尊厳を持って生活を送ることができる社会の実現を目指していかなければいけないと考えております。

 そこで、この改正案では法律の目的として要介護状態となった高齢者の尊厳の保持を明示することとなっておりますが、この意義につきまして副大臣にお伺いいたします。

西副大臣 お答え申し上げます。

 そもそも、介護保険制度の目的は、介護を必要とする状態になっても、残された心身の機能を保持しながら尊厳を保ってそして自立した生活を送っていける、そういう社会を実現するためにできた、こういうふうに理解をしておりまして、そういう意味では、介護保険ができたときから、尊厳の保持ということにつきましては、もともとこの保険制度そのものに入っていたという考えでございます。

 ただ、これからさらに高齢化が増してまいります。また、その上に特に認知症の方も大勢これからまたふえてくる、こんなことを考えますと、本人の人格を尊重して、そしてその人らしさを支えていく、そういういわゆる尊厳の保持ということがケアの面でも大変大事になってくるということから、また、認知症高齢者だけではなくて高齢者介護全般についてこの考え方は大変基本となるものであるということで、今回、介護保険法の目的としてはっきりと尊厳の保持ということを明示したということでございます。

古屋(範)委員 確かに、この尊厳の保持ということがこの法の基本にあるということであると思います。

 その人がその人らしく、また生きがいを感じてこの高齢の社会を生きることができる、これが尊厳のある生き方であると思うわけですが、この介護保険制度が導入をされまして、家庭の中に介護のヘルパーさんが入る、あるいはデイサービス、さまざま、施設へ高齢者が行く、こういう中で高齢者の虐待というものが顕在化してまいりました。それまで家庭の中に閉じ込められた、潜んでいた問題が表面に出てきたということだと思います。高齢者の尊厳を支える社会の実現に、この虐待の根絶というものが欠かせないと思っております。

 高齢者に対する虐待には、介護疲れからストレスがたまり、したくなくともどうしても虐待に至ってしまうというケース、また疾病や障害など介護をする側が既になかなか大変な状態になっている、いろいろなケースが考えられ、また人間関係、経済的な問題、また今少子社会を迎えておりますが、非常に非婚の方々が多くなっているわけでありまして、家にいて、パラサイトシングルというような言葉もありますが、親が家事をしてくれている、長年そういう生活の中で、ある日親が体が動けなくなるあるいは認知症になってくる、そういった逆転の中で、密室といいますか、親と子、そういう中で、そういう高齢者を抱えたときにどうしても虐待という問題、これからますます多くなってくるのではないかと考えております。

 ことしの二月には石川県で八十四歳の女性が職員に虐待を受け死亡するという事件もございますし、また最近横浜市でも、娘が親を虐待する、そして死亡に至るというような事件も起きております。

 私たち公明党は、この高齢者虐待防止対策につきまして、昨年より取り組みを開始いたしまして、いち早くこの法案の作成に着手をしてまいりました。現在、与党プロジェクトを創設いたしまして、さらにこの法案の成立を目指し取り組んでいるところでございます。ぜひ、副大臣初め皆様にも御支援をちょうだいしたいと考えるところでございます。

 高齢者虐待は、身近なところで現実に起きている問題であり、どこの家庭でも起こり得る、我が身にも起こり得る問題でございます。こうした虐待防止の課題に、地域が、やはりコミュニティーといいますか、一丸となって取り組んでいかなければいけないのではないかと考えております。

 そのために、高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて、さまざまな新しいサービス体系を導入することとなっている今回の介護保険法の改正を、一刻も早く成立させるべきと考えますが、これについて副大臣にお伺いいたします。

西副大臣 確かに、委員御指摘のように、今家族構成が随分変わっていまして、親一人子一人といういわば閉鎖された社会の中で日々向き合っていくことによって、お互いが感情的にも随分ストレスが多くなってというケースも多かろうと思います。

 そもそも、今回の法律のねらいの一つでもあるんですが、できる限り住みなれたところで、その地域で暮らし続けるような仕組みをつくるというのが一つの今回の方向でございますが、その基本として、やはり一人一人が尊厳ということをきっちりと保った上でできるだけ自立をしていただく、こういうことが肝要かと思います。

 そういう意味で、今回の改正においては、一つは、地域密着型のサービスを提供する。特に、小規模多機能型サービス、それから、夜間も対応できる訪問介護というようなことを通して、できるだけそういう身近なところで過ごしていただく。それから、特に虐待防止に関しては、介護という仕事の側面からも非常に解決が難しい、困難な事例が多かろうと思いますが、そういうことに対しては、総合的な相談窓口として、今回、地域包括支援センターを通して解決を図っていくという仕組みも創設することになっております。こんなことの見直しをすることによって、日常的な生活圏域で小規模で柔軟なサービスを提供していけるようにということでございます。

 この改正法案につきまして、早期に成立をお願いするとともに、今後ともに、高齢者が尊厳を持って生活をすることができる社会を目指して、我々も全力で頑張っていきたい、こう思っております。

古屋(範)委員 副大臣の方からも、今、虐待防止に関しましても、地域包括支援センターの役割のことが出てまいりました。

 家族の介護負担の軽減策は急務であります。また、今地域密着というふうにおっしゃいましたけれども、やはりその人の生活をしている家庭、地域というものが非常に大切になってくると思います。そこの住みなれた地域での生活を二十四時間支えていく、これは実際には大変なことであると思いますけれども、この地域密着型サービスの創設をうたった改正案が成立することによりまして、介護者の負担やストレスが軽減をされ、虐待の防止また根絶につながることを大いに期待しているわけでございます。

 また、この虐待防止に関しましては、やはり地域の連携体制が大切であるというふうに感じております。私も現在横須賀市に住んでおりますが、横須賀市では既に高齢者虐待防止の事業がかなり整備をされておりまして、保健センターの中に高齢者虐待防止センターといって、担当者がお二人いらっしゃるんですが、ずっと家庭訪問事業を続けてきた。その上に立って、虐待防止の体制、マニュアルもしっかりとしたものができていまして、非常に、そういった相談がある、そうすると緊急性に応じて関係者がすぐにネットワークミーティングというものも開きまして、どうしていくことがこの方にとって、この家庭にとっていいことなのかというようなことをしっかり協議し、その対応をさまざまな形でしていらっしゃる。その事例も、年間相談件数も相当たくさんありまして、非常によくやっていらっしゃる。

 また、同じ神奈川ですが、大和市におきましては、保健センターが中心となりまして、在宅介護支援センターがそれぞれの地域の中心となりまして、やはり同じように専門家、関係者が集まりまして、それぞれの事例に対してしっかりとした対応を行ってくださっている。このような先進的な取り組みをしている地方自治体も既にございます。

 そこで、今回の改正案に盛り込まれております地域包括支援センター、この機関が、高齢者虐待防止の中核機関としての役割を位置づけていただきたい。これは大いに期待をし、また希望するところでございますけれども、この地域包括支援センターというのは、在宅生活全体のマネジメントを行う地域のセンターとして、従来の在宅介護支援センターの機能を強化したものであると理解をしております。

 社会福祉士またケアマネジャー、保健師等専門職の人材確保の問題、また、全国に約五千カ所の配置を予定しているこの地域包括支援センターと、全国に八千七百カ所実在をしている在宅介護支援センターとの兼ね合いをどうするかなどの課題があると思います。これらの点について御見解を伺いたいと思っております。

 またさらに、既存の在宅介護支援センターが包括的支援事業の実施の委託を受けるためにはどのような体制の整備をしていったらいいか、この点もあわせてお伺いをしてまいります。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域包括支援センターにおきましては、介護保険のみならず、介護保険の外のサービスを組みまして、高齢者や御家族に対します総合的な相談、支援を行うことといたしており、こういった観点から、高齢者虐待の問題にも大きな役割を果たすと考えております。地域の高齢者の方の実態把握、適切な支援機関との連絡調整を図るなどの援助になるわけでございまして、在宅介護支援センターとの関係で申し上げますと、その関連機関ということで、実態把握あるいはさまざまな連絡調整等、地域包括支援センターが中核になるというネットワークも組めるのではないかと思っております。

 いずれにしても、地域包括支援センターが高齢者虐待防止に関し中心的な役割を果たすことを、私どもも期待しているところでございます。

 二番目に、在宅介護支援センターが地域包括支援センターとなるべき要件のお話がございましたけれども、地域包括支援センターが担うべきただいま申し上げました総合相談、支援に加えまして、介護予防事業のマネジメント、それから、支援困難ケースへの対応などにつきましてケアマネジャーへの支援、この三事業を総合的に行うセンターでございますので、在宅介護支援センターには、この三事業に対応していただく専門職などの配置をお願いしなければならないと考えております。

 また、委託を受ける場合、どのような地域包括支援センターにつきましても市町村に運営協議会が置かれますので、その運営協議会のもとで公平中立な設置、運営を行っていただくということが必要になると考えております。

古屋(範)委員 そのようなさまざまな重要な事業を担う地域包括支援センター、自主的に、しっかりと充実をさせていただきたいと強く要望をいたします。

 次に、ケアマネジャーの見直しについて質問してまいります。

 高齢者それぞれにどんなサービスが必要か、その見きわめをするケアマネジャー、その対応次第で高齢者の生活も大きく変わってまいります。この重要な役割を担う、介護保険制度の根幹を支えるのがケアマネジャーではないか、そのキーパーソンであると考えております。

 現在、予防また予測を考慮したケアプランがつくられにくいのは、ケアマネジャーの研修が不十分なのではないかとの指摘もあります。ケアマネの力量また資質を磨くために、研修医のようなインターン制度を設けてはどうかとか、あるいは看護学校に通うような年単位の教育が必要ではないかというような意見もございます。専門性の高い職業として、教育訓練体制の確立を求める意見もあります。

 現場で役に立つケアマネジャーを育成する実習教育、また人材育成システムの充実について、具体的な取り組みをお伺いいたします。

中村政府参考人 ケアマネジャーの資質の向上は極めて重要だと考えております。

 ただいま御指摘のありました研修について申し上げますと、今度の改正によりまして、ケアマネジャーのいわば資格の更新制、五年を導入いたします。五年ごとに定期的に、資格更新する際に、専門知識の向上を図るための研修が義務づけられるということになります。もちろん、働きながらこういう研修を受けていただくということになりますので、働きながら研修を受けることの無理のない研修方式等は、私ども工夫してまいらなければならないと思っております。

 第二点は、ケアマネジャーさんは今一種類しかございませんが、次第にキャリアを積んでこられる方々、そういった方々の支援を図るため、事業所や地域包括支援センターなどにおいて中心的な役割を担うケアマネジャーさんを養成する制度、主任ケアマネジャーと私ども今仮称で呼んでおりますが、そのための研修制度の実施など、現行の研修体系全体の見直しを行ってまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 そのように今力量のばらつきが指摘をされているケアマネジャー、五年ごとの更新制度を導入し、また主任ケアマネジャーというような制度も導入されると今伺いましたけれども、今回の見直しによる資質向上の効果をぜひ明らかにしていただきたいと思っております。

 昨年秋、公明党におきましても、列島縦断フォーラム、全国主要都市におきまして、この介護保険改正に向けて多くの関係者の方々から御意見を伺うという場を設けまして、そこにもケアマネジャーの方に来ていただいたのですが、やはり勤務の状態、労働条件も非常に厳しい、どこの都市でもその意見は聞かれたところでございます。このケアマネジャーを含めた介護労働者全般にわたる労働条件にもやはり課題があるということは言わざるを得ないと思っております。

 そこで、ケアマネジャーの担当件数の見直し、また介護報酬等について、その具体的な見直しの方向性をお伺いいたします。

中村政府参考人 ケアマネジャーの介護報酬関係として指摘されておりますのは、一つは、今お話にございました担当件数の問題、もう一つは、中立性、公正性を高める、そういったことを可能とする介護報酬の設定ということが課題になっております。

 現在、私どもは、ケアマネジャー一人当たりの標準担当件数、これは現在五十人でございますが、審議会でも三十人程度というような議論も出ておりますので、標準担当件数は当然少なくする方向で見直しを行うとともに、独立性を高める方向、これにつきましては、ケアカンファレンスの実施でございますとか関係者との連絡調整、そういったことなどを行っていただいた場合により評価できるような方向での報酬の見直しを検討してまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 担当件数、そのほか透明性、公平性も含めまして、ぜひ改善の方向をよろしくお願い申し上げます。

 次に、施設から在宅への流れについて質問してまいります。

 介護保険制度がスタートをいたしまして、施設から在宅へ、自分が住んでいる地域、家庭という流れが示されたわけでありますが、この在宅生活を継続していくためのサービス体制がまだまだ十分ではないのではないか、施設重視のあり方が変わっていないとの指摘もございます。

 厚生労働省が特養の待機者を調査するのは、二〇〇〇年度、介護保険を導入してから初めてということでありますが、報道によりますと、特別養護老人ホーム、特養の入所待機者が全国で延べ約三十三万八千人に上ることが、この二月二十一日、厚生労働省の全国調査で明らかになっております。老夫婦二人で、介護する側も高齢である、そういうところに関しましては、確かに施設に入れたいというような希望もわからなくはないわけでありますけれども、介護保険は施設から在宅へを目標に導入したものですが、この調査からは、依然として施設への入所を希望する家族が多いということが明らかになっております。

 こうした現状についてどのようにお考えか、伺いたいと思います。

中村政府参考人 まず、現状についてでございますが、要介護度四の方の五一・二%の方が介護三施設に入所されております。また、要介護五の方の六〇・五%の方が介護三施設に入所されているということで、要介護度四、五、重度の方は半数以上、要介護五でありますと六割の方が施設サービスを利用されている。今、施設の利用の方は非常に重度の方の割合が高くなっているということでございます。

 一方、内閣府が調査いたしました世論調査によりますと、介護を受けたい場所としては、一番希望が高いのは、可能な限り自宅で介護を受けたいとする方が四割強、それから、自分の家族が介護が必要となった場合にどこで介護を受けさせたいかという問いに対しては、六割弱の方が可能な限り自宅で受けさせたいというお答えになっておりますので、重度の方は半分以上施設におられるわけですが、在宅希望も高いということでございますので、私ども、今後の高齢者介護の課題としては、中重度の要介護状態になっても、御希望される方についてはできる限り住みなれた自宅や地域で暮らし続けられるようにする、そのためにここの部分についてのサービスの充実が求められるのではないかと考えております。

 具体的には、夜間緊急時の体制の確保でございますとか、介護のほかに医療的ケアもございますので、そこの充実などが求められるということで、今回の改正でも、地域でできるだけきめ細かいサービスがお届けできるような地域密着型サービスの創設、それから、御自宅か施設かという二者択一ではなくて、今の御自宅で住み続けられなくなった場合でも、さらに新しい住まいというようなことで自宅生活が継続できるようなことができないか。繰り返しになりますが、中重度の方が自宅で暮らせるような医療と介護の連携を一層推進するということが課題ではないかと思っております。

古屋(範)委員 確かに、今の局長の御答弁にもありましたように、在宅で介護をしたいんだけれども、実際にはできないので施設を希望せざるを得ない、家族とすればそのような心情かと思います。さらにさまざまな、きめ細やかな、ソフトなサービスの体制というのが必要になってくると思っております。

 次に、この施設から在宅へという流れを加速させるために、また、今後の認知症高齢者の大幅な増加を踏まえ、今回、小規模多機能型居宅介護、また、認知症高齢者グループホーム、夜間対応型訪問介護など在宅介護支援サービス、また、施設と在宅の中間的なサービスを地域に整備することとなっております。この地域密着型サービスについてもお伺いをしてまいります。

 この地域密着型サービスは、新予防給付の創設とともに、介護保険法、制度改正の柱の一つとなっております。そして、介護が必要になっても住みなれた地域で暮らし続けたい、これが高齢者の切実な願いを実現するためのサービスとして注目を集めております。

 現在、保険料については、地域別にして最大三・三倍の格差があります。また、給付については、都道府県では一・七倍、市町村別では何と八倍もの差があると言われております。負担と給付をめぐってかなり地域間格差というものが大きいわけであります。この主な原因は、特別養護老人ホーム、老健、老人保健施設、また介護療養型医療施設など施設整備率の差、あればあるほど確かにこのサービスを受ける率が高くなってしまうということであります。この地域密着型サービスの創設により、市町村が計画的にサービス基盤が整備できるようになり、施設が所在する市町村の介護保険料が増加をするという問題の解決が期待されるところであります。

 この地域間格差の是正について、御見解を伺ってまいります。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域密着型サービス、これは、委員御指摘のとおり、今回の法改正で導入されるものでございますが、地域密着型サービスの指定は都道府県知事ではなく市町村長が行う、こういうことで、より地域の実情に応じた基盤整備が進むのではないかと考えております。

 それぞれ、市町村の方は、介護保険事業計画の中で地域密着型サービスを初めさまざまなサービスの見込み量を定めて整備をしていただくということになりますが、今回、私どもが期待しておりますのは、今御指摘のございました基盤整備がおくれているサービスについて、市町村が自分で判断できるわけでございますので、計画的な整備をさらに進めていただく、そういったことがございますし、他方、非常にサービス量が多くてこれ以上はもう市町村としては計画できないというところにつきましては、この地域密着型サービスについては計画の範囲内で、それ以上は指定もお断りできる、こういう制度をつくりましたので、かなりこのことで地域間格差の是正に役立つのではないかと考えております。

 また、このような市町村の取り組みを、国としても、先般可決していただきました地域介護・福祉空間整備等交付金の交付によりまして支援してまいりたいと思っておりまして、各地域におけるバランスのとれた介護基盤の整備を促進してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 次に、小規模多機能型サービス拠点の、質を確保しながら、自宅で暮らすための中心的なサービスとして発展するその取り組みについて、お伺いをしてまいります。

 現在、介護保険サービスの一つとして提供されている認知症の高齢者が入居するグループホームは、それぞれのプライバシーもある程度それぞれの部屋で確保されながら、家庭でいう居間といいますかリビングルームのようなものがあって、そこで集って食事をしたりいろいろなことができる、そういった家庭的な環境、また、顔なじみの職員の支援が受けられ、症状の改善が図られるとも言われております。実際、家庭的なケアにより症状が改善した入居者も少なくないと言われております。

 私は、重症の認知症の方であっても地域での普通の生活ができるようになるためには、この小規模多機能サービス拠点が、在宅生活を支える拠点として、二十四時間三百六十五日の安心を提供することが大事であると考えております。また、市町村がしっかりとかかわり、暮らしやすい地域を自分たちでつくろう、このような住民の自治にもつながり、地域発展の原動力にもなり得ると考えております。

 このように、今後の介護の改革に重要な意義を持つ小規模多機能サービス拠点が、質を確保しながら、また自宅で暮らすための中心サービスとして発展するためには、どのような取り組みが必要とお考えになるか、この点、お伺いいたします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の小規模多機能型サービスでございますが、先ほどの地域密着型サービスの一つと位置づけております。これは、現在は介護保険の制度ではございませんが、各地で制度外の宅老所とか先駆的な取り組みがございまして、そういった取り組みが介護保険の中で取り込んでやっていけるようにというものでございます。

 しかしながら、課題もかなり多いと思います。小規模であるがゆえに、閉鎖的な運営とならないような情報の開示あるいは外部の評価といったことも必要だと思いますし、それから、小規模でございますので、全部自分でサービスを、フルメニューを備えるということはできません。医療系のサービスを初めさまざまな他のサービスとの連携が図られる必要があると思います。そのためにもケアマネジメントの面の工夫が必要でございますので、適切なケアマネジャーによるケアマネジメントが求められると思います。

 また、こういった運営を可能とする運営基準や介護報酬の設定が当然課題になってまいると思いますので、これらの点について誤りのなきよう努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 ぜひともこの小規模多機能型、使い勝手がいい反面、また、そうした質の確保でありますとかその中身に関しまして、ぜひ拡充をお願いしたいというふうに思っております。

 次に、医療と介護の連携強化について伺ってまいります。

 昨年の十一月ですが、公明党の厚生労働部会におきまして、群馬県の訪問看護ステーションきらくな家という、気楽に来てくれというような意味があるそうなんですが、ここを視察に参りました。大変情熱を持って職員の方も取り組んでいらっしゃいまして、必要な方には本当に頻繁に御家庭を訪問してさまざまなケアをする、また、必要なときにはそこに来ていただくこともできるというような、非常に家族からも感謝をされている、そういうところでございました。

 ここでは、医療ケアが必要な高齢者を対象に、訪問看護ステーションを多機能化して、通所、短期入所も提供しているところでございます。いわば、高齢者が施設を訪れ、入浴や食事などのサービスを受けるデイサービスの看護版とも言えるところでございました。また、医師ともしっかりと連携をとっていまして、医師会の方も非常にバックアップをしてくれ、また、主治医との連携もしっかりあるということで、訪問看護の延長線上で顔なじみの看護師が対応するために、高齢者本人はもちろん家族も非常に安心をしていられると大変に好評でございました。そして、看護疲れなど家族の負担も軽くなると大変に喜ばれているところでございます。

 在宅で医療ケアを常時必要とするという人はたくさんいると思います。医療職の少ない通所介護や短期入所では受け入れてもらえないことが多く、また医療行為ができない。この訪問看護にも頼れず、介護する家族には大変大きな負担がかかっているという現状があります。

 在宅継続のかぎとしては、二十四時間対応とともに、やはり医療ニーズへの対応が必要ではないかと考えます。そのためには、在宅医療における訪問看護等に加え、通所機能を加えた看護サービスは極めて重要ではないかと考えますが、このような形での医療型の多機能サービスの必要性についてはどのようにお考えになるか、お伺いしたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありました医療型多機能サービスにつきましては、昨年の七月三十日の社会保障審議会介護保険部会の意見書でも、難病など医療ニーズと介護ニーズをあわせ持つ重度者への対応、また、在宅におけるターミナルケアへの対応の観点からは、訪問看護ステーションや地域に密着した医療機関を主体として、訪問看護や居宅療養管理指導といった訪問系の医療サービスに家族などの介護負担の軽減を兼ねた通所機能などを付加し、在宅療養をより一層支援していくことも一つの方向性として考えられるというふうに指摘されております。

 また、委員御指摘のとおり、先進的な事例も報告されているところでございますので、こうした現場における先駆的取り組みも踏まえながら、医療と介護の連携に留意して、医療ニーズの高い在宅重度者の方々のためのサービスについて、介護報酬改定での対応も含めて検討してまいりたいと思います。

古屋(範)委員 まさに介護と医療というのは、一人の高齢者にとってはどこからどこまでと、非常に密接な関係があるところでございます。

 厚生労働省は、平成十五年度から、各地の訪問看護ステーションでの国のモデル事業として、症状の重いケースの人を対象に医療型多機能サービスに取り組んでおられますが、適切なサービスの提供や家族負担の軽減などのメリットが多く、ニーズが高いということが予想されます。

 残念ながら、今回の改正の中に、法案の中に明記されるには至りませんでしたが、平成十八年度の介護報酬改定時にはぜひとも反映をさせていただきたいと思いますが、この点はいかがでございましょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 在宅の医療ニーズの高い方に対する医療型の多機能サービスの必要性については、指摘されておりますので、今御指摘の次期介護報酬改定での検討もさせていただきたいと考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございます。

 現在、脳血管障害の後遺症、また、慢性的な複数疾患を抱え、医療器具を使いながら療養生活を送っている、また、生活の中で医療的ケアをする人がふえており、医療と介護の連携強化が緊急の課題であると思っております。特に、重度要介護者への対応、また、末期がん患者に対応した医療型多機能サービスは極めて重要な課題であると考えております。

 そこで、医療と介護の連携強化に向けた施策の一つとして、医療型多機能サービスについて、今後の議論の中でさらに検討を深め、早急に結論を出していただきたいと思います。

 現在、グループホームや特養などの施設には、訪問看護は入ることはできない仕組みとなっております。また、ターミナルケアの問題につきましても、病院のベッドで最期を迎えるよりは、生活をしてきた施設の方で最期を迎えたいというような希望をする方々もいらっしゃるわけでございます。

 そこで、施設における医療との連携強化に向けた政策について御見解をお伺いいたします。

中村政府参考人 グループホームのお話は先ほど委員から御指摘がございまして、グループホームに訪問看護をどう組み合わせるかというのは、かねて課題になっておりますので、今回も鋭意検討させていただきたいと思います。

 また、二点目の介護施設のターミナルケアの問題でございますが、特別養護老人ホームなど、入所者の方の重度化が年々進んでおられまして、特別養護老人ホームでは死亡を理由とする退所が七割を超えるということで、実質的なターミナルケア施設になっております。

 そこで、昨年取りまとめられました介護保険部会の報告におきまして、入所者の重度化への対応という観点から、ターミナルケアも含めた医療との連携を図っていくことが重要、こういうふうにされております。次期介護報酬改定は診療報酬改定と同時期に行われますので、そういった意味でも、介護と医療の連携が図りやすいタイミングではないかと思っておりますので、重要な課題として検討をさせていただきたいと思います。

古屋(範)委員 ぜひそのタイミングで、医療と介護の連携強化を強く要望したいところでございます。

 最後になりますが、施設給付の見直しにおける低所得者への配慮についてお伺いをいたします。

 施設における居住費また食費の見直しに当たりまして、施設入居者が必要な介護サービスを受けることができなくなるような事態を避けるよう、これまでも公明党としても、低所得者への軽減等、適切な運用を求めてまいりました。

 今回の改正では、所得に応じた低額の負担の上限額を設け、補足的給付を行うなど、その負担の軽減を図ることがうたわれております。また、こうした措置に加えまして、特に、低所得者の方については、月々のサービスの利用料一割負担についても、その負担上限額をより低くすることとしており、これにより、居住費、食費を含めた利用者の負担の合計額が従前よりもまた低くなる、そういう配慮もされております。

 しかしながら、本年度の税制改正において、住民税における高齢者の非課税限度額が廃止をされ、平成十八年度からは、これまで住民税が非課税であった高齢者の方々が課税になるという場合が出てまいります。

 介護保険料の保険料区分は、住民税の課税、非課税により変わりますし、また利用料についても、負担の上限額が保険料の区分と連動をしているため、この税制改正における影響は保険料また利用料双方に生ずることになります。

 今回の税制改正においては、税制の方でも、平成十八年度、平成十九年度の二年間の激変緩和措置が講じられております。介護保険制度においても、税制改正の結果影響を受ける方々に対して、保険料、利用料それぞれについて何らかの激変緩和措置が行われるべきと考えますが、この点、いかがでございましょうか。副大臣にお伺いいたします。

西副大臣 委員御指摘のように、今回の税制改正によりまして、個人住民税で高齢者の非課税措置が廃止されるということに伴いまして、非課税であった人が課税対象になるというケースは確かにございます。御指摘のとおりだと思います。

 その御指摘を踏まえまして、地方税上においては、これも御指摘のように、十八年、十九年と激変緩和措置が講ぜられるということでございますので、この介護保険の制度におきましても、保険料及びそれと連動している利用料について、それぞれ同様の二年間の負担軽減措置を講ずることとしたいと思っております。

 具体的に申し上げますと、保険料につきましては、個人住民税において経過措置の対象とされた方について激変緩和措置を講ずる。それから利用料につきましては、税制改正で生じる影響が保険料の段階と連動しているということでございますので、利用者の負担段階が一挙に二段階上昇する、こういう人につきましては、その上昇が一段階にとまるようにまず激変緩和措置をとらせていただく。それから利用者の負担段階が一段階上昇する方につきましても、これは社会福祉法人による減免措置を適用してその負担軽減を図るということを検討してまいりたいと思っているところでございます。

古屋(範)委員 時間でございますので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、福島豊君。

福島委員 本日、私は、介護予防の問題、そしてまた介護保険の普遍化ということについてお尋ねをしたいと思います。

 先ほど本多委員からいろいろと御指摘がありました。本多委員の資料を使わせていただきますが、本日の朝の新聞の各紙の報道、同じ厚生労働省の中間報告に基づいて、どうしてこれだけ記事の中身が違うのかと、私は甚だ疑問に思っておりました。

 特に個々の新聞を取り上げるのはいかがかと思うのでありますが、中身にかかわることですので、あえて取り上げさせていただきたいと思います。

 読売新聞の報道は、括弧書きで「「筋トレで悪化」一六%」、こういう大きな見出しがついておりました。私は、これは二重に間違いがあるというふうに思います。括弧書きで「「筋トレで悪化」」というのは、あたかもどこかにそういう記載があるかのような表現になっております。ほかの各紙のものは、そういうことは書いてありません。まず、そこが一点。

 そしてまた、「「筋トレで悪化」」というのは、筋トレが悪化を来す原因であるという書き方になります。そうした筋トレが原因となって悪化をもたらすということは、この資料を見る限り、どこを探してもそういうものはありませんし、科学的に考えたとしても、それはとても妥当な表現であるというふうに私は思えません。

 そして、その理由が先ほど明らかになりました。本多委員が、読売新聞と産経新聞に書いてもらったと言っておりました。読売新聞の報道は、民主党の意見を書いたということでこのような記載になったのかというふうに私は思っております。それは、本多委員の御指摘に基づいて私が考えたところであります。そのように先ほどおっしゃったのであります、書いてもらったと、明確に。(発言する者あり)

 いや、本多委員の発言ではそのような発言でありましたから、そのような事態であるとすれば、これはゆゆしきことであると私は思います。(発言する者あり)本多委員の発言を私は取り上げただけであります。(発言する者あり)いえいえ、本多委員の発言ではそのようなことでありますから、そのようなことであれば大変問題であるということであります。不規則発言はやめていただきたいと思います。

 そして、引き続いて私が申し上げたいのは、本多委員からもありましたように、こうした評価についてはコントロールスタディーというものが必要である、医学的な研究であれば当然のことであります。

 しかしながら、こうした要介護状態がどう改善するのかということであれば、これは一つ前提として考えるべきことがある。それは、高齢者の筋力でありますとかさまざまな生活能力でありますとか、何もせずに改善していくということは恐らく考えにくい、こういう前提があるわけであります。したがって、大切なことは、改善したということは、これはコントロールスタディーがなくてもかなり蓋然性が高いというふうにとらえることもできる。

 しかし、悪化について言えば、私は老人の内科医でありますけれども、これは老人の自然のコースとしてその能力というものが衰えていく。ということは、悪化したということについては、それが自然の経過でそうなったのか、それともそれ以外のことがあったのか、そこのところの分析が大切だということであります。

 むしろ、その筋トレで一六%、これは筋力向上でありますけれども、一六・三%、悪化した者の割合が上げられておりますけれども、これは、その数字を取り上げて筋力向上のトレーニングが引き起こしたということではなくて、自然の経過としてそのような数値は一体いかほどのものであって、それがいかほどの数値に抑えられたのか、ここのところの評価が大切であるということであります。

 それは、現に中を見てみればわかるのでありますけれども、注目すべきところはほかに多々あるのでありまして、例えば、要介護度、八ページ、九ページでありますけれども、筋力向上に関してマシンの使用がある場合とマシンの使用がない場合について、悪化した者の割合については、マシンの使用がある場合には一二・五%である。そして一方、これは母数が非常に少ないので評価が難しいわけでありますけれども、マシンの使用がないという場合は、悪化した者の割合は五〇%である。

 この委員会でも、そのマシンの使用がいかがかということがいろいろと取り上げられてきたわけでありますけれども、むしろこうしたものは、自然に悪化する者の割合というものが比較的高いということではないか、そのように考えた方が私はいいというふうに思います。それが冷静な判断であると私は思います。(発言する者あり)

 その指摘は、デイサービスと比べた方がいいということであれば、それはそれで一つの御指摘だろうというふうに私は思っております。しかしそれは、筋力向上トレーニングが、例えば要支援の方々について、これは十一ページにありますけれども、改善した者の割合が六三・六%、そして悪化した者の割合がわずか四・五%にとどまっている、こうした数字こそ取り上げられるべきであるというふうに私は思っております。そのようなことを私はこれを見ながら思いました。

 そして、注目すべきことはもっとたくさんありまして、例えば年齢別の要介護度一次判定について、七十五歳未満で改善四一%、七十五歳以上では改善四六%、七十五歳以上の者の数字の方が高いわけであります。これは、そうした方に対しての介入こそが非常に意味があるということが言えるのではないかというふうに私は思います。

 また、既往疾患別の改善については、脳疾患の既往がある場合には改善率が二八%と、その他に比べると低く出ております。ですから、これは対象が適切に選ばれなければならないということも示唆しているんだろうというふうに私は思っております。

 以上のようなことが、客観的に冷静にこの中間報告を読めばそういう結論にならざるを得ないというふうに申し上げたいというふうに私は思っております。(発言する者あり)そのようなことを申し上げているわけではありません。

 まず初めに、厚生労働省についてこの委員会で幾つか指摘があったわけであります。効果が果たしてあるのかどうか。そしてまた、閉じこもりで悪化した群が多かったのではないか、こういう御指摘もありました。そしてまた、三点目は、鼻出血、鼻血ですね、こういうことが起こった事例があるけれども、健康被害というものがどうだったのか、こういう御指摘もありました。今回の中間報告では、こうした個々の事例についてもデータが集められているようでありますので、厚生労働省から客観的な御報告を求めたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のモデル事業におきましては、報告書の六ページに分析結果を記載させていただいておりますが、筋力向上プログラムの場合、要介護度や握力などの身体機能、また日常生活におけるQOL等多くの評価項目で事業参加前後の値が統計学的に有意に改善しており、また筋力向上以外の事業においても同様の改善が認められたと考えております。

 二点目といたしまして、閉じこもり予防事業につきましてデータを精査いたしましたところ、参加者の四割で外出頻度がふえるなど、事業実施前後で一定の改善が見られたところでございます。

 それから、鼻出血の問題等でございますが、四十八ページから四十九ページにおきまして中断のケースについて記載してございます。

 鼻出血などの健康状況の悪化により参加を中断したケースについては、御指摘のありましたケースにつきまして個別に確認いたしましたところ、本人の既往症の悪化や配偶者の入院、介護等の事情によるためであり、筋力向上プログラム等との直接の因果関係は認められないとのお答えをいただいたところでございます。特に、鼻出血につきましては、鼻血の方は、在宅で鼻血を出し、体調不良を理由に中断したということで、尾花沢市の方からは事業との因果関係は認められないとのお答えをいただいております。

福島委員 引き続きまして御説明を求めたいことは、介護予防ということについて、本委員会については筋力トレーニング、筋トレがまさに介護予防とイコールであるというようなイメージで取り上げられてきたわけでありますけれども、それは私は間違った話であるというふうに思っております。全体としての介護予防サービスの一部にすぎないのかどうなのか、こういった点についても国民にわかりやすく説明をしていただく必要があると思います。

 そしてまた、あわせて、従来要支援者が受けていた住宅改修について、これは対象とならないのか、法律上の根拠とともにお示しをいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護予防サービスは、御審議いただいております法案による改正後の介護保険法第八条の二で定義をしているところでございますが、御指摘の筋力向上トレーニングを含む運動器の機能向上については、第七項及び第八項に規定する介護予防通所介護及び介護予防通所リハビリテーションの中の一つのサービスメニューとして位置づけていくことを考えているところでございます。

 また、その具体的内容や実施体制等については、同法第百十五条の三に基づき社会保障審議会介護保険給付費分科会の意見を聞いて策定される指定介護予防サービス事業者の基準の中で定めることといたしております。

 また、介護予防住宅改修費につきましては、第五十七条第一項の規定に基づきまして、予防給付として支給されることになります。

 したがいまして、新予防給付対象者は、ただいま申し上げました介護予防サービスや介護予防住宅改修費も含め、全部で十六種類のサービスの中から、ケアマネジメントを通じて自立支援に資するサービスを選択していただくこととなると考えております。

福島委員 ややもすると誤った認識が横行しがちでありますけれども、予防給付として提供されるサービス類型は、住宅改修や地域密着型介護予防サービスも含めて全部で十六種類ものサービスがあり、利用者がこの中からケアマネジメントのプロセスを通じて適切なサービスを選択できるということがわかったかと思います。この点を厚生労働省としても、国民に対してしっかりと説明をしていただきたいというふうに私は思っております。

 そして、引き続きましてお聞きをいたしたいことは、今回提出されましたモデル事業、これは筋トレや栄養改善、口腔ケアなど新たなサービスメニューが取り上げられております。これは新しく始めるということで、その客観的な評価というものが必要であるということで行われたというふうに理解をいたしております。

 しかし、このモデル事業の結果としてさまざまな結果も出てきているわけでありまして、今後の新たなサービス導入に向けて、この結果を踏まえ、どのように省としてさまざまな意見を反映させながら取り組んでいくのか、お考えをお示しいただきたいと思います。全体的な取り組みの流れをお示しいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の市町村モデル事業は、軽度の要介護認定の方に対しまして、国内外の文献等で効果が認められているサービスにつきまして具体的に市町村で実施していただきまして、実施上に伴うさまざまな課題、例えば、対象者の選定でございますとかプログラム内容、効果測定の方法、モデル事業を一般化していくための課題、プログラム終了後の取り組み、安全面の問題、そういったことを把握することを目的として実施したものでございます。実施市町村からの御意見を含め、今回市町村モデル事業で得られた成果につきましては、今後の具体的な事業内容の検討などに生かしていきたいと考えております。

福島委員 若干通告と異なるのでありますが、この中間報告を見ておりまして、データとしてやはり多少足りないなというふうに思う点も幾つかあります。例えば、筋力向上にしても、マシンを使った場合と使わない場合とどうなのか。使わない場合については、やはり数が少ないのではないかというような気がいたしております。そしてまた、基礎となる疾患についても、やはり脳疾患の後遺症の方というのはなかなかその効果が出にくいということもあるのかなとうかがえますけれども、そういうことについても、どのような方がやはり対象として適切なのかということについて、わかりやすい、市町村が使いやすい一つのガイドラインというものも示される必要があるというふうに思っております。

 そういうようなさまざまな論点があるわけでありますけれども、この委員会を通じて指摘をされたことについて、まとめてお聞きをいたしたいと思います。

 新しく介護予防というものを給付として導入する。これは、先ほどの要支援のところで示された中間報告でも、非常に大きな効果があると私は期待をしていいというふうに思っております。それが、その効果の持続可能性について御指摘がありましたけれども、持続可能性ということについても、これはどうすればその状態を維持できるのかということについて、改善できるというエビデンスは出たと思います、それをどう維持するか、そのためには市町村はどう取り組むべきか、こういうことについても積み重ねていく必要は当然あるわけであります。

 幾つか、委員会で指摘をされたことについて整理をしますと、一つは安全面の問題ですね。それは、先ほどもありましたような、一六%をもって筋トレで悪化というような単純な話ではないというふうに私は思っておりますけれども、その蓋然性ということは常にあるのでありますが、一般的に言って、高齢者の集団の特性として、自然に、ナチュラルコースとして衰えていくということを考えれば、どの程度その悪化を食いとめることができるのかというところに視点を置くべきであります。

 ただ、そうはいいましても、高齢者でありますから、安全面の課題というのは当然あると思います。いろいろなトレーニングをすることによって合併症が悪化するというようなことがあってはいけませんし、中断するというのは安全のことを考えれば当然であります。無理をする必要はありません。しかしながら、中断せずにできる人に介入をして積極的に機能を向上していただく、これは必要であります。中断する事例があるから介入することは不必要である、これは論理が転倒していると私は思います。

 そしてまた、実施に当たってのコスト面の問題、こういうものについてどう考えるのか。特に、例えば北海道のような非常に広い地域でありますと、実際に集めるだけでも大変コストがかかるという話は当然あるだろうというふうに私は思います。

 また、利用者の意欲の問題も当然あります。意欲をいかに喚起するのかということも大切でありますし、そういう意味ではコミュニティーの力ということも当然考えなければいけません。そしてまた、やりたくないというふうに高齢者の方を一方的に位置づけるということも私は大変失礼なことであろうというふうに思っております。

 四番目に、先ほど申しました効果の持続性の問題。これについて、効果を持続させるためにはどうするのか。

 こういう一つ一つの指摘について、厚生労働省としての考えをお示しいただきたいと思います。

西副大臣 お答えを申し上げます。

 四点にわたっての課題について御質問がございました。

 第一点目は、安全の問題ということでございました。今回は幸いにして重大な事故の事例が報告されているわけではございませんけれども、この問題に対しては、もともと、やはり高齢者でもあり、細心の注意を払っていくという必要があると考えております。具体的には、適切なスタッフの配置を含めた受け入れ体制をどう整備するか、利用者の健康状態をどう把握していくか、適度な運動の実施に努めて利用者に決して無理をさせない、それから緊急時の体制の確保等が安全面としては大事なことだと考えております。

 それから二点目は、コストの問題について御指摘がありました。マシンの費用を介護報酬において個別に評価するということは考えておりませんけれども、限られた財源の中で効果的な事業の実施に努める必要があるというふうに考えております。また、報告書の中でも意外に送迎のことについてのコメントが多かったように思いますので、その点についてもやはり考える必要があろうか、こう考えております。

 三点目は、利用者の意欲の問題についてお話がありました。これは、意欲を持ってサービスに参加していただくということが大変重要だというふうに指摘されておりまして、そのためにこの介護予防の目標を明確にして、そして必要性を利用者の皆さんに十分理解していただくとともに、サービスの利用について、将来こういうふうになるという新たな自分の姿をイメージを抱けるような工夫をできるだけしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

 最後に、効果の持続性というお話がございました。これは、終わった後も介護予防のための努力を継続していただくということが大変重要な課題でして、モデル事業に参加した市町村からも多くの意見が寄せられているところでございます。今後、地域のさまざまな社会資源を活用することによって自主的な取り組みが継続されるような環境づくりを進めていくことが大事だというふうに考えております。

 いずれにしましても、このモデル事業を通じて見えてきた課題について、今後、サービス内容を具体化していくということに努力をしてまいりたい、こう考えております。

福島委員 そのやり方にはさまざまなエビデンスを踏まえた客観的な見直しが必要だと思いますけれども、最終的に一人でも高齢者の方が要介護状態を脱することができる、また陥ることを防ぐことができる、それは国民にとってもプラスの価値であると思います。

 お金がかかるからという御指摘もありましたけれども、コストがかかってもそれはやっていいんじゃないかと私は思っています。それは、やっていいというのは、トータルとしてのコストの話であります。実際に介護状態になって介護給付をお支払いする、これも一つのコストであります。そして、介護予防によって陥らずにするためのコストもあります。両方の比較ということは当然あります。ただ安い高いという問題ではなくて、最終的には、どうしたらお一人お一人の高齢者がいかに元気で地域で過ごしていただけるか、こういうところに私は日本の福祉の目指すべき方向性があるのではないか。このことについて民主党の方がノーと言うのであれば、私はそれは賛成しかねるということであります。

 介護の普遍化の問題について申し上げたいというふうに思います。

 公明党としては、この問題については早くから普遍化の方向を目指すべきであると主張してまいりました。昨年の十二月九日に出した介護保険制度改革についての第二次見解においても、「障害者施策の抜本的な改革の実施及び、年金・医療・介護保険制度の一体的改革の検討、税制の抜本的改革の検討をふまえ、平成二十一年度までに普遍的な介護保険制度のあり方についての結論を得て所要の措置を講じることが適切であり、介護保険法改正案の附則にその旨の検討の規定を置くべきである。」というふうに提言をさせていただきました。この改正案の法案にもこの点が反映されているというふうに思います。

 今回の見直しでこの問題について検討規定にとどまったといろいろな御指摘があります。いろいろな御批判もあります。また、この委員会におきましても、大臣がそうした経緯について答弁になりまして、経済界の反対があったというようなこともおっしゃっておられます。

 ただ、経済界だけではありません。社会保障審議会の審議経過なども踏まえますと、最も大きかったのは、介護保険制度の保険者、当事者であるところの市町村、なかんずく市長会の反対ではなかったかというふうに私は思います。市長会が昨年十一月の決議において、今回の見直しでは絶対に行わないことという立場を明示したことは、今回の法案の形成において大きな影響を与えたと思います。介護保険を担っておられるところの各自治体の意見というものを無視するということはできません。

 そういう意味では、今回、この普遍化の問題について継続して検討することになったということは、自治体の意向を踏まえたという意味でも私は適切な判断ではなかったかというふうに思います。

 そこで、介護保険の保険者である市町村の介護の普遍化に対する見解とそれに対しての厚生労働省としての見解を改めて問いたいと思います。

中村政府参考人 社会保障審議会介護保険部会における市町村の見解でございますけれども、全国市長会を代表しております委員からは、保険料の負担を求めることについて若年の納得を得ることが難しいこと、若年者が要介護状態となる確率が低く、必ずしも社会保険になじまないことなどから、慎重を期すべきという意見が出されました。一方、全国町村会を代表する委員からは、制度の普遍化の方向を目指すべきという意見が出されたところでございます。

 被保険者、受給者の範囲を拡大することは、保険者である市町村の理解が不可欠であると考えております。附則にも書いてございますように、今後、議論をし、結論を得ていくということでございますが、保険者である市町村の御理解が必要であり、市町村における実務面にも配慮しつつ精力的に私どもとしても検討を行ってまいりたいと考えております。

福島委員 今御説明がありましたけれども、今後の検討の過程、決して先送りをするということにしてはならないと私は思っております。介護の普遍化をめぐる論点を明確化し、焦点を絞った議論というものを、国そしてまた地方を含め、進めていく必要があるというふうに思います。

 同時にまた、保険者であるところの市町村の御理解を得るためには、実質的に保険料を徴収していただくのは市町村でありますから、ここがしっかりできるというようなことでなければ到底納得していただけないというふうに私は思っております。実務上の課題についても、きちんとしたスケジュール化をもって対応していく必要があるのではないか、そのように考えております。

 そこで、介護の普遍化に向けて検討を進めていくための今後の制度上の課題、また実務上の課題として、特に要介護認定基準の見直しについては必要であろうというふうに私は思いますが、そうした点についても、調査研究等のスケジュールについて、厚生労働省としてどのように進めていくつもりか、現段階でのお考えをお聞きしたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 被保険者、受給者の範囲を拡大して、そして制度の普遍化を図っていく、このことは大変大きな課題でございます。老化に伴う介護ニーズにこたえるという現行の法制度の基本骨格を変更する重要な見直しだというふうに認識をしております。

 先ほど御指摘がありました制度上の課題でございますが、まず、若年者の要介護者を給付対象とする意義、保険料を負担する者の範囲、それから負担の水準がどうあるべきかという給付と負担のあり方に対する課題がございます。それから、先ほども御指摘がありました若年者の要介護の認定基準が新たに加わってまいります。それから、介護サービス以外のサービスも含めた若年要介護者に対するケアマネジメントなどの実務上の課題も、これは大きな問題として残っていると考えております。

 このような課題に対して、社会保障制度全般の検討との整合性も図りながら検討を進めるということになっておりまして、先日も大臣から答弁申し上げましたとおり、学識経験者や制度の費用負担者等をメンバーとする新たな検討の場を厚生労働省として設けていきたい、こう考えております。

 具体的なスケジュールといたしましては、十七年度、十八年度の社会保障制度全般にかかわる一体的な見直しとあわせて検討を行いまして、そして結論を得て、平成二十一年度を目途に所要の措置を講ずることというふうに考えております。

福島委員 着実に普遍化ということについて進めていっていただきたいというふうに私は思っております。

 そして、最後にまとめて発言をしたいのでありますが、種々、民主党の委員の先生方の御指摘をとらえて私は発言をいたしましたが、介護予防というものが本当にどういうふうにすればうまくいくのかということについて種々御指摘をいただくということは大変大切だというふうに私は思っております。

 これは先ほど申しましたように、高齢者の方が一人でも多く自立して生活していただく、そういう社会をつくり上げていくということは大変大切な課題であります。しかし、その道筋というものがまだ明確に一〇〇%示されているわけではないと私も思います。その中で客観的な検討というものを積み重ねて、さまざまな御指摘というものは真摯に受けとめて、そして見直すべきことは適切に見直しをして、しかしながら、そうした介護予防を通じて高齢者が元気で過ごせる社会をつくる、そういう目標だけは変えずにぜひ頑張っていただきたいと思います。

 大臣が戻られたようでありますので、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

鴨下委員長 次に、米澤隆君。

米澤委員 昔は、私は社会労働委員会というところに所属しておりました。新しく厚生労働委員会になって初めて質問の機会を得させていただきます。

 しかし、このごろ、寄る年波で認知症という病にかかったんじゃないかと思うような現象に、自覚症状があります。この自覚症状の特徴は、いらいらすると大きな声になるということですね。特に政府がとぼけた答弁をするとかなり大きな声が出るのではないか、あるいは乱暴な言葉遣いになるんじゃないかとちょっと心配しています。ですから、私がおかしいんじゃなくて認知症がそう言わしめておるというふうに御理解いただいてお聞きいただければと思います。

 まず最初に、まじめに介護保険の議論から始めたいと思いますが、本当は、尾辻大臣が就任されて以来、次から次に身内の不祥事が出て、席の暖まる暇もなかったんだろうと半分同情しています。次から次にどなりたいことがたくさんあるんですが、きょうはそれは抑えて、まじめな介護保険法の議論にしたいと思います。

 まず最初に、ことしで法施行五年目、そしてこの改革議論になっているわけでございますが、五年間運用してみて、制度全般にわたって一体どういう問題が浮上してきたのか。これは創設した段階での予想された範囲内であったのか、それとも予想を外れてとんでもない方向にいろいろな問題が噴出しているというふうに見るべきか。大臣として、そのあたりをどう認識されておるかをまずお伺いしたいと思います。できれば、重要な問題点から順々に五つぐらい上げて説明してほしいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 初めは、制度ができてもなかなかサービスがついていかないんじゃないかという議論から、おかげさまで五年間、この制度、順調に進んできたように思います。サービスの利用がふえまして、また世論調査等においても評価が高まってくるなど、この制度は高齢者の暮らしを支える制度として定着をしてきたというふうに考えております。その一方で、費用が急速に増大する、また、今後、本格的な高齢社会を迎えて将来にわたって安定した制度にしていくために、制度の持続可能性を高める、また、認知症の高齢者、ひとり暮らしの高齢者が増加している、こういうような新たな課題にも適切に対応していく必要がある、こういうふうに考えております。

 具体的な課題ということで御指摘がありました。四点ほど申し上げたいと思いますが、この五年間を通して急増している軽度の方を対象としたサービスをより介護予防に効果的なものとするために、マネジメントを徹底し、サービスの内容の見直しを行う必要がある。それから、在宅と施設の利用者がそれぞれいらっしゃるわけですが、それぞれの負担の不均衡を是正するために、今回、介護保険の施設入所者の居住費、食費の負担を見直しさせていただく。それから三番目に、認知症、ひとり暮らしの高齢者を身近な地域で支えるために地域密着型のサービスの普及を図っていって、そしてさらに住みかえの選択肢の拡大等も図っていきたい。四点目に、サービスの質を高めるために、介護サービスの情報の公表、ケアマネジメントの適正化、それから事業者の規制の見直しなどを課題として、今回、新たな改正法案を提出させていただいた次第でございます。

米澤委員 当初、介護保険の理念でもありました、最終的な自立支援、在宅重視という哲学は貫かれてきましたか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 五年前制度がスタートいたしましたときに、要介護認定を受けられた方が二百十八万人、百四十九万人の方が実際サービスを受けられております。今日、要介護認定を受けられた方が四百万人を超え、またサービスを受けている方も三百万人を超えるということで、そういった意味では非常にサービス利用がふえているということでございます。

 その中で、ふえましたのは在宅サービスの利用者でございまして、今、三百万人を超える利用者のうちの四人に三人が在宅におられる。そういった意味では、自立支援で在宅サービスが伸びているということは、一面では介護保険の当初ねらったことが達成されているというふうに評価ができると考えております。

 ただし、重度の方につきましては、半数以上の方、具体的には要介護認定四、五に該当する重度の要介護認定該当者の方は過半数の方が施設入所されている。こういうことから見ますと、中重度の方で在宅で支えるという点については、まだまだ課題があるのではないかと思っております。

 それから、全体として、要介護認定者が高齢者の方の十人にお一人から六人に一人になっているということは、介護保険制度としては定着したと言えますけれども、ある意味では、介護保険を利用されようとする、あるいは言葉があれかもしれませんが、依存される度合いがそれだけ高まっている、こういうふうにもとらえられるわけでございまして、その点は、やはり自立支援、支援はしなければなりませんが、自立という意味で問題がないかどうか、そこのところをよく考えていかなければならないと思います。

米澤委員 ということで、予防重視型システムへの転換というのが今回の改正の大きなテーマになっております。

 推移を見ますと、平成十二年の四月、特に、要支援、要介護一という軽度な方が八十四万人おられて、平成十六年の十月には一挙に百九十六万に伸びています。急伸していますね。介護が必要となるおそれのある状態の方を要支援と呼んで、いろいろと対策を打ってこられたが、そのために結局は、介護が必要となるおそれのある状態から脱却して介護が必要でないようにしようということで、予防のために介護予防しようということで、ホームヘルパーやデイサービスを保険給付の対象にしたというのが経緯ですね。

 ただ、そういう形で実施されながらも、所期の効果が得られていない理由は、制度にあるか介護を受ける本人にあるのか、どう御認識ですか。

中村政府参考人 委員御指摘のとおり、要支援、要介護一の人数につきましては、百万弱でスタートいたしまして、今日、四百万人のほぼ四八、九%でございますから、御指摘の数字になっております。

 現在の制度では、要支援の方につきまして予防給付が行われるということで、この委員会でもその評価につきましていろいろ御指摘いただいておりますが、こういう要支援、要介護度一の軽度の方につきましては、原因となった疾患などから考えますと、もう少し改善が図られてもよいのではないか、こういうふうに思っております。

 今、本人の問題かサービスの問題かというお話がありまして、なかなか切り分けはできないと思いますが、サービス面につきまして、これまでの予防給付の中で予防という観点が希薄であった、ここを反省しておりまして、今回、サービスの内容、それからケアプランの内容、それからサービスとケアプラン全体、ケアマネジメントであると思いますが、その方法を変えて、制度としては現在よりも予防の成績が上がるようにしていきたいということが、今回の予防重視型システムへの御提案でございます。

米澤委員 この介護に要する費用、平成十二年の時点では三・六兆あったんです。平成十七年度は、これは予算ですが六・八兆に上る。また、平成二十七年ぐらいになりますと、総人口の三割が、二十歳以上の三人に一人は六十五歳以上の高齢者となる、こういうことだそうでございますが、一番また大事な制度の維持という観点から、その時点では七十歳以上の後期高齢者も急速に拡大する、需要が拡大するということを前提に考えれば、制度の持続可能性というものはこれから非常に困難な面に直面するのではないかというのは常識だと思うんです。

 そういう意味で、この総費用の急激な上昇、それが結果として足を引っ張るかもしれないということがあり得るということを前提に、今後、厚生省としてはこの点、どのような展望を持っておられるか。簡単で結構です。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この五年間で、二〇〇五年度、平成十七年度は予算でございますけれども、三兆六千億から六兆八千億ということで、一・九倍に増加しているということでございます。今御指摘ございましたように、二〇一五年まで、高齢者人口が現在の二千五百万人弱から三千三百万人強というふうに急増するということ、また、現在、七十五歳以上の後期高齢者が我が国で一千万人おられますが、二〇二五年には二千万人に達するということを考えますと、介護費用については、このままでいきますと相当の増加が見込まれるということでございます。

 そこで、先ほど西副大臣から御答弁申し上げましたように、介護保険の五年間の実績を踏まえ、審議会でも最大の課題とされましたことは、制度の持続可能性の維持でございます。今回、予防や施設給付の見直しを御提案いたしておりますが、要は、給付の効率化、重点化を図るという御提案をさせていただいておりまして、費用は伸びますけれども、このままで申し上げますと、二〇一四年まで、これは三年ごとの介護保険の計画でいきますと、来年から始まる第三期、第四期、第五期、この第五期の終了まででございますが、第五期で十兆六千億円に、介護の給付費、これはそのほかに利用者負担が入るわけですが、保険料と税の給付費が十兆六千億まで膨らむ、今五兆五千億でございますので、倍増すると見込んでおります。

 ここを給付の効率化、重点化を図らせていただいて、八兆七千億ということで、約二割弱の給付の上昇を抑える、給付自体はふえますけれども、膨らむところの膨らみ方をできる限りスリムにしたいということが今回の御提案でございます。

米澤委員 おっしゃったようなことに対応するために予防重視型のシステムという命題が出てきたわけですね。

 それで、今までの審議の過程を聞いておりましても、一体、予防重視型システムというのは何物か、何が始まるのかという危惧の念を、今までこの介護の事業にお世話になった皆さん、あるいは介護する皆さん、非常に不安と疑心暗鬼と、何か複雑な感じでこの予防重視型システムというものに大きな関心を持っておられる。これは当然だと思うんですね。

 もともと、今、重点化なんというきれいな言葉は出ますけれども、結局、金の要らぬようにしようということでしょう、できれば。お年寄りは、元気で金の要らない年寄りになれ。そういう意味では、乱暴な言い方をすると、これから先は、いろいろな給付についても、余り使い過ぎる、やれることは自分でやれという思想が今から流れるわけですね。

 例えば、家事援助なんか頼んでも、介護の予防に資するように使えと。説明できますか、そんなこと。私が包丁を使うから、おまえは大根を持っておけ。これは介護の予防に資する使い方ですか。これはだれが決めるのかだな。ヘルパーさんが決めるの。おじいちゃん、おばあちゃん、あなた、そこにおりなさい、キャベツを切る練習しなさいと。そうすることが、えらい大げさに、介護予防に資するようにヘルパーを使ってくれと。言葉で言うのは簡単だよ。しかし、それを、現場に立ち会ったときに、けんかになるかもしらぬな、そんなのは。ヘルパーさんは本当に立ち往生するかもしれないね。

 そういうものがたくさん今から出てくるんですよ。そういうものがどれだけ介護費用の軽減につながっていくのか、甚だ私は疑問なんですよ。あれもだめ、これもだめ、これはこうするのと、家庭の中に入っていって後ろから監視しなければ指導できないようなことを制度化するんですよ。これは大変なことだと思うんです。

 ましてや、あなたが動かなければどんどん悪くなりますよ、あなたのためにこう考えるんですからと恩着せがましく言いながら、言葉は廃用性症候群だからね。尊厳がどうだといろいろ書いてありますが、尊厳どころじゃないよね。け散らすという感じだな、僕から言わせたら。そしてまた、筋トレみたいなものが突如入ってくる。

 結局、厚生省は、要介護者の皆さんを疑いの目で見る。使い過ぎじゃないの、自分でやったらどうなのという目で見る。回数減らせよという感じで物を言う。本人でなければわからぬことがたくさんあるんですね。それを、いかにもしたり顔で、わかり切った感じで、こうしなさい、ああしなさいと。強制じゃないと言いながら、話し合いで決めると言いながら、やはり雰囲気としては、実際この介護を受ける皆さんは相当の重圧を持って受けていかれるだろうということを考えねばなりません。

 だから、ちょっと手荒な質問ですが、介護予防の対象になる要支援、要介護一の皆さん、先ほど言った百九十六万人、こういう皆さんに、今から何をしようとしているの。介護予防という名前で何をするんですか。そして、どういう効果をねらうの。それで、どういう効果が実際に出るの。そこらを説明しないと、おろおろするばかりですよ。これはお年寄りの人もそう、ホームヘルパーさんなんかもそう、この介護事業に携わるみんなが不安という二文字で行方を見守っておる。

 私に言わしめれば、この状況は、尾辻大臣が牧童になって、竹の棒を持って、よたよたしながら歩く羊を追っかけて、あっち行くな、こっち行くな、これ食うなと追っかけ回す、何か牧場に来たような感じだね。決してそれは大げさな言い方ではないと私は思うんです。老いた羊を追いかけて、いろいろきれいな言葉で、あなたのためですよと言う。違うかもしれない。そのあたりの見分けが今のところわからないね、つかない。

 ただ、あなた方を見る目は、これは困ったものだと思っていると思う。今までどおりにしてくれたらいいのにな、みんな私が悪いんだろうか、こうなる。そういう絵が何か頭の中に去来するんです。

 牧童頭の大臣、どういう感じで見ておられますか。

尾辻国務大臣 今回、私どもがこの制度の見直しに当たって、まず、先生も言っていただいておりますように、予防ということを大きな見直しの考え方の柱にいたしました。これは、なぜそうしたかということについては、先生のお話の中にもございましたから、改めて申し上げることはいたしません。

 その予防ということを重視するために、では具体的なサービスをどうしようかということで申し上げますと、従来のサービスをなくすということは全く申し上げておりません。ただ、サービスの中身を少し変えますということは言っています。それからまた、新しいサービスを加えたいということも言っております。申し上げておりますように、今までのサービスを少し手直ししたいということと、新しいサービスを加えたいということをまず申し上げております。そして、それは予防ということを考え方の柱に据えて、そういうサービスの中身を変えさせていただきますということを言っています。

 ただ、その中で、基本的に必要なサービスをなくすということは全く言っておりませんから、必要なサービスは今までどおり受けられるもの、まずそういうふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

 そして、そういうサービスを決めるのは、まさに現場でケアプランをつくるところでお決めいただくわけでありますから、皆さんが相談なさって、もちろん利用者御本人のお気持ち、これも一番大事にしながら、そこでどういうものがいいかということを決めていただく。その利用者御本人の同意がなければこのケアプランというのは成立をしないわけでありますから、申し上げたように、利用者の方のお気持ちというのが一番大事にされるという中でそのサービスの具体的な中身というのが決まるわけでございますから、先生が言っておられるような御懸念というのは私はないものというふうに理解をいたしておるところでございます。

米澤委員 ということらしいですが、ならば、この新しい要支援一、二のサービスの限度額は現行の限度額から下げないんですね。

中村政府参考人 新予防給付につきましては、介護報酬、それぞれのサービスの基準、そういったものをこれから検討いたします。そういった中で給付限度額というようなことについても検討させていただきたいと思います。

米澤委員 今から議論されるのは私も承知しています。法律はみんな、政令で今から私たちが決めると書いてあるんだから。しかし、その価格を決める際に、今大臣はカットしないとおっしゃった。カットしなけりゃ一緒でいいですわね。それが証明ですわ。だから、今までと同様にいくんですねと聞いただけだ。

中村政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、給付限度額、今の給付限度額につきましても、想定されるサービス、その組み合わせ、そういったことをもとに給付限度額が決定されております。これから新予防給付ということで、要介護一、要介護二という類型をいわば現在の類型とは変える形で設定するわけでございますので、改めて検討はさせていただきたいと思います。

米澤委員 そういうふうに徐々にはがしていって新しく出てきたのが筋トレなんですね。何か筋トレが物すごく好きなような感じですが、どうしてですか、筋トレが。何か僕は、今までの厚生省のいろいろな事件を見るたびに、筋トレの器械を売りに来ているやつがおるんじゃないか。私が全国に紹介してあげます、紹介料下さい、まとめて酒でも飲もう。そういう体質が今まであったから、失礼かもしらぬけれども。介護に資する器械です、こういうものがあります、こういうものがあります、できれば全国に紹介してみてください。ひょっとしたらその裏には天下りの人がおるかもしらぬ。これはこれからいい話です、これを売ってくださったらマージン払います。そういう今までの厚生省の体質にぴたっとくるような営業マンが厚生省のあたりをうろうろしておるんじゃないですか。これは後からばれたら承知しないからね。打ち首だからね、もう。しっかり答えてください。

西副大臣 お答えいたします。

 私は筋トレのセールスマンではございません。

 今回のこの介護予防に関しましては、大枠、運動器の機能向上、運動器と申しますのは筋肉、関節等でございますが、これを向上させよう、それから栄養改善、口腔機能の向上、こういうことそれぞれについて実施をしていこうということで、モデル地域も選び、そのデータもとらせていただいたところでございます。

 その中で運動器の向上については、マシンを使ったところもございますし、また、なしのところもございます。マシンを使ったところ以外にも、弾力性のあるバンドそれからダンベル等の簡便な器具を使うトレーニング、体操、有酸素運動等の全く器械類を使用しないトレーニング、こんなことが行われておりまして、それぞれの有効性が認められていることでございます。

 さらに、今の議論の中では、例えば運動器の機能を向上するためにマシンを買っていただいても、そのために個別に介護報酬で評価するということはございませんし、また、運動器の機能向上のための特別な資格を設けようというようなことも考えておりません。

 先生御指摘のようなことについても今後注意しながら、社会保障審議会等において議論を踏まえて、検討を重ねてまいりたいと考えております。

米澤委員 何も私は筋トレのマシンが憎いんじゃないのです。一番心配しておるのは、介護予防という言葉を聞いたときに、介護予防という名前でまた保険財政が水膨れしていくんじゃないかという心配をしました。

 例えば、マシンを置いた場所、そしてそれをやりたいといって集まる人がおるかもしらぬ、使い出しますと、トレーナーが欲しい、医者も来てくれ、看護婦も欲しい、チェックする人も欲しい、だあっとこれは膨れますよ。そういうふうにして、各種マシンが置いてある場所を中心に、人気が出れば出るほど、あれも欲しい、これも欲しい、あれも欲しい、これも欲しい。だんだんこれはふえていくんだと思いますよ。

 マシンには介護保険から金が出ないんだそうですね。いいですか。では、民間の業者で買ったら買い損ということですか。そのかわり、いろいろな、トレーナーでも雇いなさいよと、またうまくあなた方、言うはずです。(発言する者あり)

 どういうことになっておるのですか。この介護ビジネスが、今後ろからやじがあるように、どんどんできておるんですよ、このためのトレーナーの養成とかね。何か我々が最初に心配したように、新しいものができると必ずそれに群がる人がおるのです。それがまた介護保険財政を食いつぶすシロアリになる可能性があるということを心配しておるのです。絶対にそんなことはありませんね。

中村政府参考人 先ほども副大臣の方からお答え申し上げましたように、運動器の機能向上におけるマシンの費用を個別に介護報酬で評価することとか、運動器の機能向上に係る新たな資格を創設することは想定していない、こういうことを申し上げました。そうしましたとき、委員から、それでは事業者の方が器械を置くのはどうしてなんだろうか、こういうお話になると思います。

 今、例えば一つ例をとらせていただきますと、通所リハビリテーションのところでいろいろなプログラムを提供されております。そういったプログラムの一つとして、事業者の方が、効果があり、また利用者の方の介護予防に資する、あるいは要介護度の維持、改善に有効である、そういった場合に、その事業所がマシンを置かれる、あるいはマシンではなく簡便な機器を使ってやる、そういう事業所のプログラムとして実施をされるということになると思います。それは現在の費用に付加されるものではありませんので、そういった意味で、そういうやり方でやれば、マシンということについて委員から大変御懸念をいただいておりますけれども、そういうことはないと思います。それが第一点でございます。

 第二点は、予防に費用はかかりますけれども、予防にかけた費用とそれの効果、要介護状態の維持、改善により重度の方の増加を少しでも減らすことができれば、そういった意味で社会的費用としてはプラスになる、改善効果がある、こういうふうに考えているところでございます。

米澤委員 一回回してみたらいろいろな現象が出てきますから、それはその際で、議論を先送りしなければならぬと思います。

 結局、新しい予防介護の給付に関連して、従来のホームヘルパーさんたちの仕事は、どういう形で参加できるんですか。彼らはひょっとしたら失業するんじゃないですか、仕事が減るんじゃないですか。あるとすれば、新予防給付は今までのヘルパーさんでも仕事にありつける形なんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護予防サービスの中に十二種類のメニューがございまして、その中に訪問介護でございますとか通所介護、そういったことが含まれている。それから、新たに地域密着型の予防サービスもございます。それに、住宅改修なり福祉用具の購入の費用のサービスなどもございますので、総計十六のサービスが今度新予防給付としてサービスになるということでございます。

 訪問介護につきましては、今ホームヘルパーさんが失業することになるのではないかという御懸念をいただきましたけれども、今ヘルパーさんがやられているサービスが、先ほどから話に出ておりますように、適切なケアマネジメントにのっとって必要なサービスが提供されているということであれば、それは、大臣からも御答弁申し上げましたように、利用が制限されるということではありませんので、通常、ヘルパーさんがこれで失業されるというような事態は想定されないと思います。

米澤委員 次は、介護労働者の労働条件というのかな、労働環境、皆さんもいろいろなところからいろいろなことが耳に入っていると思いますが、一口に言って大変らしいですな。労働省は、この介護労働者の状況をどう認識されて、何かためになることをやっておられますか。

青木(功)政府参考人 介護労働者の方々のお仕事をされている状況でございますけれども、一つは、介護労働者の方々全体でございますが、私どもの関係団体が調査をしたところによりますと、一年間に二二%ぐらいの方が離職をしています。そして、その八割の方が勤続三年未満というふうな調査結果になっております。

 これだけで決めるわけにいかないわけですけれども、これは委員も御案内だと思いますが、そういった入れかわりが激しい職場というのは、さまざまな働く環境面でほかの職場よりも問題があるというふうにまず一つ考えられるわけでございます。

 そういった観点から、二つのポイントがあろうかと思います。

 一つは、最低労働基準を守っていただくという問題でございます。このためには、平成十四年でございますけれども、介護労働者の働いておられる場につきまして、いわゆる労働基準監督行政の中で調査をいたしました。そして、労働条件の明示の問題であるとか、あるいは移動時間等につきましてどういうふうに賃金支払いが行われているかというようなこと等を把握いたしまして、この過程で労働基準法上の問題のある事業場が多数認められたということで、これを改善するための一体的な取り組みをしておるところでございます。

 また、雇用面で見させていただきますと、やはりこれからの労働市場のことを考えますと、介護の現場というのはこれからまた大勢の方々が参入をして頑張っていただかなければならない職場でありますので、そこで働く皆さんが誇りを持って働ける職場にしなければならないと思っています。

 この点につきましても、これは、一つはやはり事業者、経営者の方々がきっちりと意識を持っていただいて、そこで働く人たちのいわば誇りとモラールを高めるような活動をしていただかなければなりません。そういった考え方で、介護労働シンポジウムというようなこと、介護事業者の雇用管理研修とか、あるいは相談事業といったものを現在展開しているところでございます。

米澤委員 細かに言えば相当時間を食いますから、きょうの時間では消化し切れないような問題がありますが、少なくとも労働省は、働く皆さんがあしき環境にあるときは、頭を、知恵を絞って、あるいは行政の力を結集してしかるべき方向に導いていく、そのためにあなたは月給をもらっているというふうに御認識いただいて、御健闘を祈りたいと思います。

 問題は給料なんですね。これも皆さんいろいろなところから聞いておられると思いますが、やはり安いんですね。例えば、ではどれぐらいほかのところと変わりがあるか。皆さんのところに三枚資料をお配りいたしております。一つは経営主体別の一覧表、それから地方公務員のトータルの平均、訪問介護等でどれぐらいの金が払われているかという資料等、小さな字ですから、老眼の方は失礼します。

 要するに、「地方公務員給与の実態」「介護事業者経営実態調査」等を見ますと、地方公共団体の福祉関係の職員の平均給与と、民間も含めた介護事業従事者全体の平均給与との格差は約十万円です。月に十万の違いですから、年収にしたらまた相当の格差がある。地方公務員のホームヘルパーさんは平均基本給月額は三十一万七千九百九十五円、それに対して民間も含めたホームヘルパー全体の平均を見ますと約二十万。だから、月給で十万円の差がある。それから、日本介護クラフトユニオンという労働組合の皆さんがとったアンケート、登録型の二級ヘルパーさんが多いらしくて、給与は時給千円から千五百円ぐらい。

 労働の量や質に比べて妥当なものであるかどうか。自治体職員であったら民間で働く人よりも約十万毎月違う。何でこんな違うんでしょうかね。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員に配付していただきました資料でも、二枚目の「介護事業者経営実態調査」等が出ておりますが、地方公共団体立の訪問介護の事業者などで見ますと、これは数は極めて少ないわけでございますが、人件費の割合が収入一〇〇に対して一一六・三、こういうような形になっておりまして、非常に人件費率が高いというか、人件費だけで収入を上回るというような、地方公共団体立の介護事業所の実態及び、これは地方公務員の給与体系の問題が一方にあるかと思います。

 もう一方で、高齢者介護は主として民間事業者によって賄われておりますが、その民間事業者の実態も、雇用する事業所として見ると、一般的に経済界の事業所などに比べますと小さい事業所が多いというようなこと、かてて加えまして、私どもの介護保険部会の意見書でも出されておりますが、例えばホームヘルパーの実態といたしましては、登録型ヘルパーさんが多く直行直帰の形であるとか、さまざまな点で雇用管理のあり方について問題が指摘されておりますので、そういった問題等のすべてが反映しているのではないかと考えております。

米澤委員 それぞれ経営の実態というものがありますから、そうむちゃくちゃなことは言えませんが、でき得る限り、このような給与格差をどうしたらなくせるかという点等についても、皆さんの立場から強力な御指導や、うまく導いていただく行政指導が、ここには物すごくあるというふうに御理解をいただかねばなりません。

 先ほど話がありましたように、ホームヘルパーさんも定着率が本当に低いですね。あっという間に三分の一ほどやめていってしまう。資格のある就業者が定着率が低い原因は一体何なのか。

 労働基準監督局が去年八月二十七日に出された、八月二十七日、基発第〇八二七〇〇一号、これを読みましたものの、何でこんな難しいことが書いてあるんですかね。言葉の選択も説明の仕方も、何でこんな難しい言葉を書かなければいかぬのですか、役人というのは。わかりやすく書きなさいよ、何でも。こっちの頭が悪いからわからなかっただけかもしれませんが、ちょっと役人の文章というのは工夫の必要がありますね。わかってもらっちゃ困るようなことが書いてあるんですか、これは。

 まあ、それでも難解な文字をかき分けかき分け理解をしてみますと、例えば、利用者宅から利用者宅への移動時間、業務報告書の作成時間、待機時間、研修時間が労働時間に算入されない。賃金は実際のサービス提供時間ぎりぎり、その分だけしか払ってくれない。通勤、移動時の交通費が支払われない、実費相当額も支払われていない。利用者から急なキャンセルがあった場合に休業手当が支払われない。年次有給休暇が労基法によって付与されない。登録型のため、健康診断等が実施されていない。各種社会保険、厚生年金、健康保険、雇用保険、労災保険に加入していない。

 今回の改正で創設される見込みの地域密着サービスとして夜間対応型訪問介護、なかなかいいことだと僕は思うんですが、こういうハイカラなものが出てきますと、逆に今申し上げてきたようなものがどこかでオミットされてしまう、適切な労働管理がなされるかどうか大変懸念される。これはいいんでしょうね。夜間対応型訪問介護は、それらしく働く人のために環境整備される、それを約束しますと言ってくださいね、大臣。

尾辻国務大臣 介護需要が増大いたします中で、介護分野は雇用の場として非常に重要度が高まってまいります。介護労働者にとって魅力ある職場づくりを進めていくことが必要であると考えております。したがいまして、そうした中で、私どもも介護労働者の雇用管理の改善を図るための施策、幾つか取り組んでおるところでございます。

 例えて言いますと、介護事業者の雇用管理の担当者を対象として雇用管理に関する講習、それからまた、賃金、教育訓練等を含む雇用管理に関する相談や情報提供、こうしたものの実施を通じて、介護労働者が、お話しいただきましたように安心して働けるように、そしてまた、さらに申し上げると、魅力ある職場になるように取り組んでまいりたいと考えております。

 今具体的にお話がございましたようなことにつきましても、こうした私どもの考え方の中できっちり対応をさせていただきたいと考えております。

米澤委員 さて、今回は、予防介護、地域の保健事業ですかね、それを推進するために地域包括支援センターというのをつくるという提案があります。

 この地域支援センターというのは、運営主体は市町村でもよし、在宅介護支援センターの運営法人でもよし、その他市町村が委託する法人でもよしということになっております。その中身は、社会福祉士、保健婦さん等、主任ケアマネジャー、三者構成でこれからの介護予防のマネジメント等を扱う、相談にもあずかる等々、大変大事な、同時に大変難しい任務を担われるようにここには書いてあります。

 大臣、この三つの、法人あるいは自治体が主体性を持てると書いてありますが、では、どこが持ったら一番能率的で金の要らない、しかしちゃんと仕事はするという地域包括支援センターになるんでしょうか。

尾辻国務大臣 まず、地域包括支援センター、この設置について私どもが今回必要がありというふうに考えましたそもそものことから申し上げますと、ケアマネジャーがケアプランをつくるわけでありますけれども、今までどこかの事業所に所属しておる人も多かった。そうすると、どうしてもケアプランをつくるに当たって自分の事業所の仕事につながるようにと考える、これは人情でもあると思います。そうした面が出てきますので、そのことに対して、やはり公正中立にケアプランというのをつくっていただく、仕事をしていただくということが必要だというふうに考えたことがそもそもだということを申し上げたところであります。

 そこで、したがいましてといいますか、地域包括支援センターというのは、あくまでもその設置や運営については、市町村を主体者とする、市町村につくるということでございますので、公正中立性ということで市町村につくってもらおうということを今言っておるところでございます。

米澤委員 もう時間も終わりますが、結局三者が一緒になってセンターができるわけでございますけれども、この方々の身分がどこになるかによって、このセンターの経費は断然違ってきます。

 先ほど申しましたように、公務員ベースでやったならば、何か介護保険の方からもこっちには金を出すんだそうですが、介護保険とて無尽蔵に金を持っておるわけじゃありません。地方公務員型の方々がこの主体を担うとなれば、中立という意味では意義があるかもしれませんが、結構高い買い物になるんじゃないかというのが私の結論です。

 地域支援事業等、我が党の長妻氏の方からも話がありましたように、ここらが膨れると介護保険の財政も膨れていくんです。上限を決めるからいいなんというのんきなことをおっしゃっておりますが、三%ぐらいの上限はすぐ超えますね、これは。

 一センターに大体どれぐらいの金を要するというふうに目算した上で市町村が運営するとおっしゃっておるんでしょうか。私は、市町村は、センターの責任を持つ立場にあると同時に、何も運営主体でなくてはならないということではないのではないか、こう思うんですが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 人口二、三万人当たりの想定をいたしますと、市町村に先ほど大臣から申し上げました包括的支援事業をやっていただくわけでございますが、人口にもよりますけれども、一千四百万から二千百万円程度を想定いたしております。

米澤委員 三%が上限というのは、どれぐらい、一千八百億。人件費だけでも相当の食い込みがあるんじゃないですか。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 給付費でございますので、六兆円として、三%という数字でありますと一千八百億になります。

 それで、地域支援事業は、事業費的なもの、これは要介護該当されなかった方に対する介護予防事業の事業費がございますし、それから、ただいま委員から御指摘がございました地域包括支援センターで行われる包括的支援事業というものがございます。包括的支援事業は、総合相談でございますとか、ケアマネジャーの支援でございますとか、介護予防マネジメントを指しておるわけでございますが、その双方がございます。

 今委員御指摘のございました人件費という意味では、その包括的支援事業の事業が専門家によって賄われるという意味で、包括的支援事業の大部分は人件費になろうかと思います。

米澤委員 それがわかっているから、今文句言うておるところです。

 地域包括支援センターが、上限があるとはいえ、千八百億ぐらい、すぐなくなりますね、人件費で。とすれば、別にやる地域支援事業に回る金がないじゃないですか。これがないからもっとよこせといって、膨らんでいくんでしょう。それが意図されるところですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今議論になっておりますのは、地域支援事業について保険財源からお金が出る、膨らまないようにということで給付費ベースに限度額を置く、仮に全体の限度額を三%に置いたとしたらというお話をしております。

 例えば、さまざまな、地域支援事業というのは、今回御提案を申し上げております事業でございますが、今委員のお話がございました、例えば地方自治体が地域包括支援センターを設置し非常に費用が膨らむといったような場合、私どもは介護保険にその費用を持ち込むということは考えていない。上限の範囲内でございますから、もしそれ以上の事業を市町村が行おうとする場合は、これはあくまでも市町村事業でございますので、市町村がさまざまな財源を用意してやっていただく、そういう形になると考えます。

米澤委員 いろいろまだ言いたいことはありますが、時間も来ましたので、きょうはこれで引き下がりたいと存じます。ありがとうございました。

鴨下委員長 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石毛えい子君。

石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。

 早速質問に入っていきたいと思いますけれども、改めて申し上げるまでもなく、この介護保険法改正法案の審議の中で大きな焦点の一つが新予防給付、それに伴って、従来家事援助とされていたサービスがどのようになるのか、削減されるのかどうかというようなあたりが焦点の一つだったと思います。

 今回の改正法案を見ておりますと、第八条の二、これが介護予防サービスに関する部分でございますけれども、この条文の第二項など、数えてみますと大体八カ所ぐらい、九カ所あったかと思いますけれども、多くの項目に「厚生労働省令で定める期間にわたり」というふうに規定してございます。これは、私は当初から注目していたところですけれども、新予防給付の提供の仕方で、期間限定ともとれるような説明文書がございました。それが法文には「厚生労働省令で定める期間にわたり」と記載されてありまして、定める期間が終わったらサービスはカットされるのではないかという不安が大いにあるところでございます。

 したがいまして、私といたしましては、関係法文の中からこの記述は削除していただきたいというふうに考えるものでございますけれども、お考えはいかがでございましょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護予防サービスは、介護予防の効果を高める観点から、明確な目標と期間を設定し、短期間、集中的にサービス提供を行うことが必要であり、このため、改正法において、委員御指摘の予防サービスの定義に「厚生労働省令で定める期間」という文言を入れたところでございます。

 しかし、これは、厚生労働省令で定める期間ごとに、個々の利用者の状態像に応じた適切なサービスが提供されているかどうかを評価するという趣旨であり、この期間経過後にサービスが打ち切られるというものではございません。引き続きサービスが提供される場合には、新たな期間が設定されてサービスが提供されることになります。

石毛委員 局長の御答弁の中で、短期間、集中的にという御答弁は大変気になる部分でございます。老化の進行などによりまして家事遂行力が弱まってきている方に、例えば調理を手伝いながら一緒にするとか、あるいはその方の状態によっては代行するとかというような、そうしたサービスのたぐいは、短期間、集中的にというサービスではございませんので、そこのあたりは今の局長の御答弁ではそごしている部分ではないかと思います。

 評価を行って、必要だという期間を更新してサービスを提供していくという、ですから、サービスの提供は、よほどの不正、不適正なというようなことでもない限りきちっと継続していく、こういう確認でよろしゅうございますか。もう一度御答弁をお願いします。

中村政府参考人 そのとおりでございます。

石毛委員 前回少し質問を残しましたので、重ねて地域包括支援センターに関してお伺いしたいと思います。(発言する者あり)

 ということだそうでございますので。(発言する者あり)記録をとめてください、委員長。

鴨下委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 石毛君。

石毛委員 この国会に提出されている法案は、それぞれ皆意味を持ち、重要な法案なんだと思いますけれども、その法案の一つであります介護保険法改正案は、これから団塊の世代、まさに日本が高齢化社会のピークを迎える、そのときに向けてどのように安心できる介護、介護を含む社会システムをつくっていくかという、そのことの内容を確定している大変重要な法案だというふうに認識をしております。

 恐らくこれは与党の議員におかれましても同じだと思いますけれども、こんなに欠席が多いということに対して私は大変遺憾に思いますし、不信感を抱くと言っても言い過ぎではございません。恐らく、与党の議員の中にもたくさんこの法案の中身に関して疑問点もお持ちの方もいらっしゃいますでしょうし、政府が提出している法案は与党が確認して承認して出されている法案ですから、そのことは私も理解しないわけではございませんけれども、ここは立法府で、審議をしているところですので、委員会の進行にぜひ御協力をいただきたい、真摯に取り組んでいただきたいということを私から申し上げさせていただきたいと思います。

 質問を続けます。

 地域包括支援センターに関してでございますけれども、これのハードの部分に関しましては、地域介護・福祉空間整備等交付金に含まれております。通告いたしました質問を少し省略いたしますけれども、この予算の出どころにつきましては、一般会計から来年度については八百六十六億円が支出されるというふうに教えていただきました。また、地方交付税不交付団体にも交付されるということで、いずれ厚生労働大臣がお示しされます指針でしょうか、のっとりまして、申請のあったところに三年に一度というスパンで支出されていくというふうに理解をしておりますが、基盤整備は一般会計で行うという意味で、大変重要なポイントの一つかと思います。

 最終的に、日常生活圏域で、この地域介護・福祉空間整備等交付金の中に含まれておりますいろいろな施設あるいは機能等々が整備をされていくことになるわけでございますけれども、その日常生活圏域を最終的には厚生労働省としては幾つぐらいというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。そして、その整備に向けて、今後の基盤整備、これは国として責任を持って遂行していくというふうに立案されていると受けとめてよろしいものでしょうか。そこの点をよろしくお願いいたします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の交付金は、市町村が日常生活圏域を単位として策定する市町村の整備計画に基づきまして、今委員御指摘の国の基本方針に照らして評価を行いまして、評価の高い順に交付させていただくということといたしており、地方交付税の不交付団体に対してもこのルールが適用されて交付されるということでございますので、地方交付税不交付団体であるかどうかは交付に当たっての制約にはならないものでございます。

 御質問の日常生活圏域につきましては、市町村が計画で定めるということで、地理的条件、人口、交通状況その他の社会条件、介護給付費等サービスを提供するための施設整備の状況など、総合的に勘案して決めていただくということになります。今も、都道府県単位の計画、それから市町村の計画がございますが、その市町村の計画をさらに中で圏域に分けていただければ、その実情を踏まえて私どもも圏域ごとの計画に対して基盤整備をさせていただく、そういうことで予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

石毛委員 基盤整備でございますから、ここがきちっと整っていくかどうかというのが、前回触れましたけれども、入所三施設の入所率を下げて、地域で介護をしていくというシステムの方向性、これをとったわけでございますから、きちっと基盤整備をしていただかないと絵にかいたもちになるということは改めて申し上げるまでもありません。

 次でございますけれども、地域包括支援センターの職員は三人体制というふうに言われております。その人件費につきましては、午前中に米澤委員の御質問にも触れられておりましたけれども、今までの御説明を伺いますと、大体、三人体制、二千万円程度の介護保険からの支出になるというふうに理解してよろしいでしょうか。簡単に確認だけお願いいたします。

中村政府参考人 そのとおりでございます。

石毛委員 ぜひ充実して、地域包括支援センターが運営されることを希望したいと思いますけれども、恐縮でございますけれども、これに関連しまして、質問通告をしておりません質問を一問つけ加えることをどうぞ認めていただきたいと思います。

 今まで説明資料としていただいておりましたこの地域包括支援センター、これの記載に即した質問の方が、私の方の表現が的確かと思いますけれども、職員三人体制で、社会福祉士、それから主任ケアマネジャー、保健師等というふうになっていると思います。これの職員体制は「保健師・経験のある看護師、」というふうになっております。

 そこで質問でございますけれども、この図解の方で、保健師等はマネジメントに携わるという説明で、介護予防マネジメントの実施、アセスメントの実施、プランの策定、そして再アセスメントというような説明の記載になっております。

 そこで確認なんですけれども、新しく要支援一と要支援二になります方のまずは認定は、これまでの七十九項目のコンピューターにプログラム化された認定のシステムを使って、第二次審査会で認定するという、そこはよろしいですよね。そこで要支援一、要支援二というふうにスクリーニングされた方に保健師等がアセスメントを行って、予防という観点からプランをつくっていく、こういう説明なんだと思いますけれども、このプランをつくる方は保健師と経験のある看護師だけですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 前段の要介護認定は、委員御指摘のとおり、これまでの要介護認定のプロセスの中で新予防給付の対象の方を選んでいただく、そういう形になります。

 それから、地域包括支援センターに三種類の専門家が置かれますが、この専門家の方々について、それぞれ、この三種類を置く理由としてこの三つのお仕事があるということは御説明させていただいておりますが、三人が、できれば多職種協働ということで、さまざまな業務にも補い合って活動していただくということを考えているところでございます。

 しかしながら、新予防給付、介護予防事業、介護予防のマネジメントは主として保健師等が担うことを想定させていただいております。

石毛委員 その保健師等というところなんですけれども、等に含みますのは、上の四角で囲んであります経験のある看護師までですか。例えば左側に主任ケアマネジャーという図解がしてございますし、それから保健師、看護師という職能の方が携わるということもありでしょうけれども、場合によっては、違う地域包括支援センターの場合には、保健師等ということで、保健師、看護師が携わるアセスメント、ケアプランに、さらに、経験を積んだ、あるいは研修を受けたケアマネジャーが携わるということはあるのでしょうか、ケアプランをつくるという。そこは省令事項になっているんでしょうか。

中村政府参考人 失礼いたしました。

 地域支援事業などのマネジメントにつきましては、まず最初のお答えをさせていただきますが、ここで保健師等となっている意味は、委員の資料で御指摘のありました「保健師・経験のある看護師、」ここと同一でございます。

 地域包括支援センターで介護予防事業などの介護予防マネジメントをだれがするかということは、その地域包括支援センターで決めていただくことで、主任ケアマネジャーさんがそれに携わるということも、地域包括支援センターの内部の決定事項としてはあり得るものではないかと考えております。

石毛委員 ちょっと私が混乱しているのかもしれませんけれども、地域包括支援センターは、要するに、地域支援事業と、それから介護保険の予防給付の中の、個別給付としての予防給付を扱うわけですよね。要支援一、要支援二の方、そこまではよろしいですよね。そうしますと、地域支援事業としての、例えばグループで実施する転倒骨折のプログラムをつくるとか、そういうプログラムをつくるということもあるんだと思いますし、それから、要支援一、要支援二と認定された方の予防ケアプログラムをつくるということもあるんだと思います。

 私が主に今教えていただきたいと思っておりますのは、その要支援一、要支援二の個別プログラムを組まれる方のケアプランをつくれるのは保健師と看護師だけですかという、この確認でございます。

 私は、今までの議論の中で、予防給付というのは、午前中も再々御答弁の中にございましたように、運動器の機能向上等々を含んで、介護予防訪問介護ですとか、さまざまな生活全体を見渡したサービス給付もございますから、トータルに考えるのでしたらば、今までケアプランをつくるのに携わっていたケアマネジャー、つまり、新制度で要介護一以上のケアプランをつくられるケアマネジャーの方も、予防という観点についての研修が必要なのかもしれませんけれども、何かそういう要件もきちっと据えながら、要支援一、二の方のケアプログラムをこれまでのケアマネジャーの方がつくれて妥当ではないか、そのことをきちっと確認しておきたいというので質問になりました。

中村政府参考人 委員の御質問でございます。お答えを申し上げます。

 地域包括支援センターの介護予防のマネジメントは、委員御指摘のとおり、二種類ございます。一種類は、地域支援事業の介護予防のマネジメントでございまして、これは一つ。もう一つが、今委員御指摘の介護予防サービスについての介護予防支援というマネジメントになります。新予防給付の方ですね。要支援一、要支援二の方に対する個々のケアプランの作成は、介護予防支援ということで、地域包括支援センターの職員の方のうち、これは委員から御質問があったと思いますが、改正法の第八条の二の十八項で、地域包括支援センターの職員のうち厚生労働省令で定める者が、当該居宅の要支援者の依頼を受けまして介護予防サービス計画などを策定する、こういう構成になっておりますので、御質問のとおりでございます。

 私ども、この厚生労働省令では、先ほどの保健師等に当たる範囲を考えておりまして、現在考えておりますのは、保健師及び経験のある看護師というふうに考えております。そういたしますと、今まで軽度の方のケアプランをつくっておられましたケアマネジャーさんたちの関与ということになりますが、たびたびお答え申し上げておりますように、実際のケアプランの原案の作成とかそういった形で御協力できる余地があるのではないかと考えております。

石毛委員 その最後の部分がちょっと私にとってはよく理解できなかったんですが、ケアプラン作成の関与というのは、だれが作成してだれが関与するんですか。もう一度明確に御答弁をお願いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 ケアプランの策定につきましては、ただいま申し上げましたように、新予防給付のケアプランの策定につきましては、地域包括支援センターの職員の中で厚生労働省令で定める者とされておりまして、保健師等を厚生労働省令で定めたいと考えております。

 介護予防マネジメント全体、保健師等がアセスメントの実施、プランの策定、一連の行為につきまして責任を負っているわけでございますが、その中で、例えばプランの策定でございますとかそういった部分について、地域のケアマネジャーさんたちの原案の策定とか、そういった意味での御協力をお願いすることがあり得るわけでございまして、そういった意味で関与していただく余地があると申し上げました。

石毛委員 そうしますと、もう一度確認ですけれども、非常にシンプルに物事を整理すれば、今まで、現行の制度では、要支援一と要介護一のケアプランを現行制度の介護支援専門員、ケアマネジャーさんがつくっている。だけれども、今度の新制度では、要支援一、要支援二のケアプランは原則としては保健師、看護師がつくる、だけれども、実際にそのサービスの遂行に携わる事業者さんは、例えば介護予防訪問介護であったり、介護予防通所介護であったりするわけですから、そこの具体的なケアプランが必要になって、その具体的なケアプランは、今までと同じように、今までのケアマネジャーさんがつくれるけれども、そのつくる内容に関して保健師、看護師が関与します、こういう理解でいいんですか。

中村政府参考人 基本的には今の委員のおっしゃっているとおりでございます。

 最後、あくまでも最終的なケアプラン作成責任者は地域包括支援センターでございますので、そこのところの全責任というのは地域包括支援センターが置くということですが、現場の実態といいますか、実質的な作業と、だれが一番そういうことで原案をつくりという意味では、今委員がおっしゃったような状況になると考えます。

石毛委員 ここは非常に重要なポイントになろうかと思います。いろいろな意味で重要なポイントだと思います。

 一つは、ケアマネジャーさん、いろいろと問題点もあって、五年更新というような新しい制度ということにもなったのでしょう。私はそれに全面的にくみするものではないんですけれども、なった。だから、そういうプロセスを経て、当然、原則としてケアマネジャーさんが適切に仕事を遂行するというのは大前提のはずでございますから、適切に仕事をするケアマネジャーさんの今要支援、要介護一の仕事の部分が、丸々、地域包括支援センターの保健師、看護師のなさる仕事として移譲すると、その部分は仕事がなくなってくるということになりますから、ケアマネジャーさんの仕事の遂行量とすれば、例えば五十ケースを三十ケースぐらいに減らしていただいて介護報酬単価を見合うようにバランスしていただければ別かもしれませんけれども、そのことを一応わきに置くとすれば、これは仕事量がなくなるかどうかの大変重要なポイントになるところです。

 ここは、今局長は、最終的な関与といいましょうか監督といいましょうか、ウオッチは保健師、看護師にあるけれども、ケアマネジャーさんの仕事自体は継続をしていただく、こういう御答弁だったというふうに伺います。うなずいてくださっていますので、それでよろしいんですよね。

中村政府参考人 介護保険法の、今御提案しております法律の百十五条の二十一で、指定介護予防支援事業の基準というのがございます。指定介護予防支援事業というのが、今委員が議題といたしております新予防給付の要支援一、要支援二の人に対するマネジメントのお話でございます。この指定介護予防支援事業者と申しますのは地域包括支援センターでございますが、この三項で、指定介護予防支援事業者は、「指定介護予防支援」というのは今言ったことのケアマネジメント、「の一部を、厚生労働省令で定める者に委託することができる。」というふうになっております。

 したがいまして、私が申し上げていますのは、予防プランの原案の作成とかそういったことをケアマネジャーさんに委託することがこの規定によってできるということでありまして、したがって、委員がおっしゃったことについては、この規定に沿って、そのとおりでありますということを申し上げております。

石毛委員 明確な御答弁をいただいて、ありがとうございます。

 ただ、私は異論がないわけではございませんで、仕事の面では局長の御答弁に感謝いたしますけれども、このあたりは、ぜひ実施後一定の期間を経てサーベイしていただきたい。

 それはどういうことかといいますと、やはり介護の第一線の現場で、生活モデルから介護を組み立てていくか、どちらかといえば医療モデルから介護を組み立てていくかというのは、大きな論点になっているところだと思いますし、例えで申し上げることが一〇〇%普遍化できるというほど私も現場を熟知しているわけではございませんけれども、よく往診をされて自立支援に努力されていらっしゃる医師の方からお伺いしますと、やはりホームヘルパーさんの共感を呼び起こすサポートが自立を促進するというお話はよく伺うわけです。それを福祉的アプローチというふうに言っていいのかどうかという概念規定の問題もあろうかと思いますけれども、身体的、医学的なアクセスで自立に向けてサポートをするその方法と、それから福祉的なサポート、どちらも、長所もあれば足りない点もあるんだろうと思います。

 今回、地域包括支援センターでもしもプログラムを組むリーダーシップが専ら保健師、看護師という医療職に特定されていくと、恐らく私は、御高齢の皆様の生活実態あるいはお考え、気持ち等から、そごする部分というのはかなり出てくるのではないか、むしろ出てくるに違いないというぐらい強い思いもございますので、ただいまの局長の御説明は御説明として承りまして、ひとまずはよかったという思いでございますけれども、二年ぐらい実施した後で、サーベイといいますか検証をして、どちらがいい、どちらがどちらというわけではございません、よりよい方向性がとれるようにぜひぜひ工夫をしていただきたいということを申し上げたいと思います。

 次に、小規模多機能型居宅介護に関してお伺いいたします。

 これに居住機能をつけていないのはなぜでしょうかということを、まず第一点、端的にお答えいただきたいと思います。

中村政府参考人 端的にということでございますので、お答えさせていただきますと、居住部門を当初から、当初からという言い方は変かもしれませんが、もともとの施設として居住施設という部門をつけますと、まず入居ということから始まってしまうということで、そうでございますと、従来型の入所、入居施設と余り変わらなくなってしまうということを恐れ、あえて、この小規模多機能型サービスの拠点は、通所、通いということを中心に組み立てるという概念のもとでこういう構成をさせていただきました。

 それは、ある方が地域で、だんだんその方の要介護状態が変化していく中で、当初は御自宅におられて通所を中心とし、あるいは御自宅におられて訪問サービスを受ける、そういう形態からスタートし、その方が状況が変化する、重度になるにつれて数日の泊まりを行う、そういう介護というものを、一定の職員さんと利用者の方とのなじみの関係の中で組み立ててまいりたいと考えておりますことから、というのは認知症ケアなどを大変念頭に置いておりますので、この小規模多機能型居宅介護事業所につきましては、通所部門、訪問部門、それから一時的な泊まり部門の機能をモデルとしてサービスモデルを組み立てるというふうに考えたわけであります。

 ただし、グループホームや小規模の介護専用型の施設など、さまざまな、いわば入所、入居施設の併設ということも想定されるということで、委員御指摘の、もし入居、入所が必要になった場合は、そういう併設事業所で対応していただくということの方がよろしいのではないかと考えた次第でございます。

石毛委員 ぜひ、お泊まりが繰り返しになって入居というふうになる場合もあるということを、既に実践としてはそういう実践がございますので、近い将来想定していただきたいと思います。

 登録型というふうに伺っておりますけれども、実際問題は、通所のデイというのは選択して数カ所活用されている方がいらっしゃいますので、選択の自由が認められますかということを一言で御答弁いただきたいと思います。

中村政府参考人 なじみの関係でございますので、理想は一つのところとずっとということですが、その一つのところを選ぶ選択の自由はありますので、そういった意味でも選択の自由はあります。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

石毛委員 落ちつくまではぜひ認めていただきたいと思います。

 時間の都合がありますので、細かい質問を通告してございますけれども、少し省略させていただきまして、夜間対応型訪問介護に関してお尋ねいたします。

 これがきちっと成功するかどうかといいますことが、在宅生活を長らえていくかどうかの非常に重要な施策だというふうに認識しております。

 これは十年ぐらい前から、北九州市ですとか幾つかの自治体で先行的に実施されてきていると思いますけれども、その実施実績をどのように検証されて今回プログラムされたのでしょうか。そしてまた、モデル事業を実施しているということでございますけれども、介護報酬単価はどのようにこれから考えていくおつもりでしょうか。モデル事業を受けてくださっている自治体も幾つあるかというような程度までは教えていただければと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 夜間対応型訪問介護は、今回、地域密着型サービスということで入れさせていただいたわけですが、委員御指摘のとおり、従来、巡回型ホームヘルプということで、夜間、先進的な事業所では各地でやっておられました。残念ながら介護保険が導入されてからむしろそういうサービスが使われなくなったというか、介護保険のもとではどうもモデルに合わないということで撤退されているというような事例もよく聞いていたところでございます。

 そこで、私ども、中重度の在宅での介護する力を強めるためには、夜間の問題がありますので、夜間のホームヘルパーさんの定期的な巡回と、それから随時の訪問、これはセンターをつくっておりまして、センターに通報された場合にホームヘルパーさんが緊急時といいますか、スポットのニーズにおこたえするためにヘルパーさんを派遣する、こういう形の夜間対応型訪問介護を考えたわけでございます。

 モデル事業といたしましては、世田谷区とそれから新潟県の長岡市でモデル事業を行っていただいております。本サービスの実施の拠点として、夜間随時対応のためのオペレーターが詰める拠点などもございますし、ホームヘルパーとの連絡網の整備とか、そういった課題がどうかというようなことについて検討をしていただいております。

 今度制度化するに当たっては介護報酬を設定する必要があると思いますので、定期の巡回と随時の対応をあわせて提供することで御本人や家族の夜間の安心を確保するということでございますので、何回行ったかという出来高払いではなく、両部門、定期的な巡回と随時の対応を包括的に評価する方向で介護報酬を設定できないかということで、私ども、事務的にはそういうことで検討をしているところでございます。

石毛委員 夜間という大変な労働をされるわけですから、ぜひ働く方が継続できるような、そういう対価あるいは労働条件設定を大事にして決めていっていただきたいということを要望いたします。

 居住の場に関しまして、グループホームと有料老人ホームに関して質問通告してございます。

 今回の法改正で、介護専用型の二十九人以下の有料老人ホームと、それからグループホームなど、あるいは小規模特養もそうかと思いますけれども、市町村の指定、監督ということになりました。

 どのような体制を具体的に厚生労働省としては考えておられ、そして、どのような内容を満たしていれば指定をするのか、あるいは満たしていない場合は監督をされるのかという、施行の確実性というような視点を踏まえて御答弁いただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 有料老人ホームにつきましては、現在も基準がございます。ただ、今度、今回の法律の改正の中で、老人福祉法の方の有料老人ホームの規定も改正させていただいております。より利用者の方の保護を図るという観点から改正をさせていただきますので、有料老人ホームについての基準も今回見直しをしたいと思っております。

 ただ、今委員御指摘の、三十人以上、これは都道府県知事が指定する有料老人ホームになりますし、三十人に至らない介護専用型の有料老人ホームは地域密着型サービスということで市町村の指定になりますが、この基準という意味では、基本的には、三十人を超えるから、あるいは三十人未満だからといって差はないような状況でございます。

石毛委員 ちょっと御答弁いただいた視点がずれたかと思いますけれども、基準、例えば面積の問題とか職員の配置の問題とかあると思いますけれども、今回、地域密着型に関しましては市町村に指定と監督の権限というか責任が移っていくというか、あるようになる。でも、なかなか、今まで市町村はそういう事務をやっていたわけではございませんから、保険者としてどういう体制をつくって、そのときに指定したり監督したりするそのメルクマールといいますか、尺度は何に求めるというふうに厚生労働省は想定されていますかという質問です。

中村政府参考人 どうも大変失礼をいたしました。

 おっしゃるとおり、この方のお仕事は市町村に新たに生ずる事務になります。これは、今回の介護保険制度見直しの際、保険者である市町村からさまざまな御要望をいただきましたが、その一つとして、サービス面にもっと保険者として市町村が関与すべきである、そういう御要望、特に、身近なサービスについて市町村が指定権限がないのはおかしいというような御指摘も受けたことから、その御要望にこたえるという形で設定させていただいたものでございます。

 これまで保険者として逆に市町村職員の方がサービス面で手が出なかったという問題がありますので、そういった意味ではこの問題は解消されますが、委員御心配のとおり、新しい仕事であり、市町村の体制は大丈夫かという問題はあろうかと思います。

 私どもも、都道府県とも協力して、指定とか指導業務がスムーズにいくように、マニュアルづくりとかそういうことをさせていただきたいと思いますが、根拠となります基準は、まず、地域密着型サービスも私どもの方で基準をつくらせていただきます。ただし、地域密着型サービスについては、より市町村の裁量の余地を高めるということで、国の基準を最低のミニマムの基準として、市町村の方でいわば独自の基準設定なり、そういったことをする余地も今度の法律でつくっているところでございます。

石毛委員 有料老人ホームに関して、私は大変心配する部分がございます。

 と申しますのは、この間、東京近郊ですとか大阪近郊、恐らくさまざまな地域で課題になっていたんだと思いますけれども、都道府県知事指定の有料老人ホームが保険者である市町村から見れば知らないうちに設置されていて、知らないうちにという表現でいいんだと思いますけれども、要介護の方や要支援の方がふえていて、それが保険財政に少なからず影響を与えるという課題がありまして、特区指定をすべきだとか、いろいろな動きがここ数年あったと思います。それを受けまして、今回の法改正で、介護専用型の三十人以上の有料老人ホームの場合には住所地特例を設けて保険財政の負担を分散する、そういう仕組みをとられたんだというふうに理解をしております。

 それはそれで一定の政策的な前進であるというふうに私も思いますけれども、とても心配なのは、有料老人ホームといいますのは、一つは、三十人以上の都道府県知事が指定する介護専用型の有料老人ホームが今後ふえるのではないか。これがふえていった場合に、一応基準等々はあるわけですけれども、例えば介護保険入所三施設の減額制度というようなものとか、あるいは高額介護サービス費の適用の問題だとか、さまざまに、今の介護保険下の入所施設とは違った施設であることは言うまでもありません。

 それからもう一つ、私がよく理解できないなと思いますのは、例えば、介護専用型が二十床で、要支援の方が二十人で、自立という方が三十人で、七十人定員の有料老人ホームは、これは都道府県知事の指定になるというふうにきのう伺いましたけれども、これは市町村はわからないんですよね。それで住所地特例も働かせられない。まあ一応市町村の意見を聞いてというふうにはなっておりますけれども、指定権限は都道府県知事が持っておりますので、このあたりが非常にルーズフィットで動いていくのではないか。そうしますと、ここは政策の方向性の整理として非常に重要な部分だと思います。

 先ほどちょっと触れました小規模多機能型、そのブロックを地域でたくさん整備していくという、これは基盤整備をちゃんとやりますとさっき御答弁いただきました。それと、新しい居住のタイプとして前回御答弁いただきましたのが高優賃、高齢者賃貸の優遇の住宅、それと有料老人ホーム、あと、ケアホームとか、多少はありますけれども、そうすると、どこが伸びていくかというのは、今までの介護保険五年間の経緯を振り返ってみれば、営利法人による有料老人ホーム、これが、さっき申し上げました混合型とそれから介護専用型三十人以上と合わさって、もしかしたらここが一番ふえていくのではないか。政策的に想定されるというよりは、今後の推移として実態的にそういう動きになっていってしまうのではないか。

 それで、これは入所施設なのか居住なのかというのも定義の仕方によってはあるかと思いますけれども、介護保険下の介護三施設は、これから供給オーバーには絶対ならないわけです。供給不足の基調で多分いくんだと思います。地域の小規模多機能がよほど充実しない限り、介護保険の三入所施設は供給不足でいく。それで地域の在宅居住を補っていく在宅サービスの充実におくれがあると、その間を縫ってふえてくるのが有料老人ホームになる。そのおそれは、私は決して小さくはない、むしろ大きいだろう。だけれども、繰り返しになりますけれども、ここに対するいろいろな意味での施策というのは、介護保険下の入所三施設ですとかさまざまな介護保険下の在宅サービスと比べますと、施策は大変薄い。

 それで、一挙に私の申し上げたいことを飛ばしますけれども、この際、思い切って全部有料老人ホームに対する指定権限は市町村にしたらどうか。それが一番よく見える。今、市町村は二十九人以下という規定を置いて、混合型と三十人以上というのは都道府県、だからどうしても今後これから落差が出てくるだろう。グループホームは全部市町村の指定になるわけですから、ここは随分見えるようになるんだと思います。

 提案を含めて、質問兼提案のような形になりましたけれども、もう一つ重要な質問が残っていますので簡単に、本当に簡単にお答えいただけたらと思います。

中村政府参考人 多岐にわたる御提案と御質問でございますので、なかなか短くは難しいわけでございますが、今回やらせていただきましたのは、有料老人ホームと市町村の関係では幾つか問題がございました。

 大規模な有料老人ホームができる場合、御懸念のとおり、市町村の方では将来の介護費用の増大につながるということで、ここを何とかしてほしいということが市町村側からの大変強い御要望でございましたので、今回、大規模な介護専用型の有料老人ホームにつきましては、一つは住所地特例ということで、前の住所地の市町村が、介護専用型に入居される高齢者の分については介護費用を負担する、こういう制度をつくった点が一点でございます。

 第二点、三十人未満の有料老人ホームにつきましては……(石毛委員「説明は省略して、検討するかどうかということだけお答えください」と呼ぶ)はい、委員提案のとおり、市町村の指定としたということでございます。今回、残りの部分につきましては、つまり混合型の問題とかそういった部分につきましては、関係市町村に対して、都道府県の方が指定する際に、一定の期限を付して意見を義務づけたりしたということでございますので、私どもといたしましては、今回の措置でかなり市町村の御要望にはこたえられるものになったと思っております。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

石毛委員 また、需給のミスマッチ、供給のオーバーフローでごたごたとした介護保険法案改正というのを次やらないように、ぜひ市町村に権限は移していくという方向で検討してください。これは、後の方がまたどこかでと思いますので、終わります。

 最後に、一番重要な問題が、また時間がないのですが、ホテルコストの問題です。

 いろいろと自己負担水準設定の論拠とかをお尋ねしているんですが、それを伺っていますと質問時間がなくなりますので、この図の参考標準的なケースで、介護保険の一割負担以外の居住費が一万円、新型の特養、個室じゃない場合で一万円。それから食費が四万八千円ということですけれども、一万円は大体水光熱費ではないかというふうに伺っております。食費の四万八千円、この標準はいかにも高いのではないでしょうか。

 ちなみに、総務省が行っています家計調査で、一般家庭での、これは単純平均ですから正確ではないんですけれども、六十五歳から六十九歳までの方は二万二千八百円、それから七十歳以上の方は、一人平均で二万三千四百円です。ですから、これに調理コストを含めたとしても、四万八千円は高いのではないでしょうかということが一点。

 それから、これは標準的なケースと書いてありますけれども、標準的なケースで、四万八千円がいただく上限ではなくて、自由契約ですから、何かすごいお料理、高級なお料理をたくさん出して、食費は六万円でも、自由契約だったら自由契約でいい、ホテルコストも新型特養の個室で六万円というふうになっていますけれども、八万円でも九万円でもいい、そういうふうになるんですか。まず、そこのところを確認させてください。

 局長、済みません、間の答弁は全部抜いて、結論のところだけお願いいたします。

中村政府参考人 モデル的な食費負担の四万八千円の額でございますが、平成十四年三月の介護事業経営実態調査で、介護三施設の調理員等のコスト二万八千二百十一円、材料費等二万五百八十五円を勘案いたしまして、一月当たり月額四万八千円といたしたところでございます。

石毛委員 これは、通所介護施設の食費負担のときにも私は御指摘いたしましたけれども、訪問介護では必要というふうに判断されて、ケアプランで訪問介護の中に調理をするという家事サービスがきちっと位置づけば、その調理コストは介護給付に含まれるわけです。通所施設、入所施設は、利用する必要のある人が行っているわけで、それで調理コストが自己負担になるというのはおかしいのではないかという指摘をしておきます。

 それから、あと、もう本当に時間がなくなりました、この新第二段階、年金八十万円、ここで切っているということはいかにも、手持ちのお金が八十万円の方だと、多床室に入った場合でも手持ち残高がたしか一万九千円にしかなりません。ここからいかに割り引かれたといい、保険料を納めたりお医者さんにかかるお金等々で、一体その手持ち残高を幾ら残すのかという判断はされたのでしょうかということと、それからもう一つ、高齢御夫妻で暮らす場合に、うちに残る配偶者の方が最低限幾らあれば暮らせるというふうに判断されてこの負担上限額を設定されたのでしょうか。そのこととあわせて、八十万円で線引きする妥当性ということについて御答弁をいただきたいと思います。

中村政府参考人 今回、従来五段階でありました保険料段階を六段階にさせていただきました点は、従来の第二段階が生活保護受給者の方を除く市町村民税非課税の方全部をカバーするということで、相当幅があり、市町村の実態から見てもここのところはきめ細かい低所得者の方の対策を講ずる必要がある、こういうふうな御要望を受け、第二段階と第三段階、ここの第二段階と第三段階はほぼこの該当者の方も半分になる水準に該当いたしております。また、我が国の基礎年金の水準などを考えまして、基礎年金だけしかない方とそれ以外の層というグループ分けも一つの考え方ではないかということで、御提案をしているところでございます。

 そういった中で、第二段階の方、収入八十万円以下でというお話がございましたが、このほか、例えば預貯金の問題もあるでしょうし、一律にはなかなか論じられない点があるかと思います。私どもといたしましては、介護三施設に、特に特別養護老人ホームがこのケースになっておりますが、入居された場合、生活の万般に近い部分がサービスされておりますので、そういった意味では、今回、第二段階の方に個室でも御利用いただけるように、従来よりも利用者負担を軽減いたしておりますし、このことで、第二段階の方の個室の利用も含めて、施設入所、入居の支障があるということにはならないのではないかと考えております。

 また、高齢者御夫婦の方でお一人の方が入居された場合に、残りの生計という問題は、どのくらいがあればというお話がありましたけれども、個々の生活の仕方等々によってかなり異なるとは思いますが、私ども、施設に入居されることにより、残された配偶者の方が生活困窮に陥ることのないような工夫ということは必要ではないかと思っております。

石毛委員 今御入居の方について、サンプリングでもよろしいですから、実態調査はされた上での結論でしょうか。お尋ねします。

中村政府参考人 介護三施設に入居されておられる方の各段階の該当状況なり、そういったことについてはデータがございますので、こういう基準を考える際には、当然そういったことも念頭に置きながら考えさせていただきました。

石毛委員 先ほどの局長の御答弁で、配偶者のいらっしゃる方のお一人の生活費につきましてはお考えになられるということでしたので、その御答弁は私も歓迎したいと思います。

 しかしながら、入所施設に入っていれば生活万般は調うということはないと思います。例えば、医療にかかった場合の自己負担が免除されるわけでもありませんし、さまざまな費用が要るわけですから、そして預貯金がどれぐらいあるかということも必ずしも明確ではないと思います。これまでの議論の中で、八十万円というラインは、条件はいろいろあるにしても、変えてもいいということのお考えもあるやに伺ってまいりました。ぜひ、そうしたことも含めまして、ここの点は非常に慎重に結論を出していただきたいと思います。

 もちろん、特別給付をどうするかというのは大臣の告示事項だったというふうに思いますので、大臣、その点よろしくお願いいたします。最後に、一言お願いいたします。

中村政府参考人 御指摘のとおり、補足給付が、今回の、いわば第一、第二、第三段階の方の負担を軽減するために大事なポイントになっております。ここについては、介護保険における給付として設定させていただくわけでございますので、今の委員の御指摘なども踏まえ、その設定に遺漏のないように努めてまいりたいと思います。

石毛委員 大臣、一言お願いします。

尾辻国務大臣 今局長よりお答え申しましたとおり、私も努力をいたしてまいります。

石毛委員 ぜひ、ここは介護保険がきちっとワークするかどうかの大きなポイントでございますので、きちっと方向性を出していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、中根康浩君。

中根委員 民主党の中根康浩でございます。三十分いただきまして、精いっぱい質問してまいりたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 まず、資料を今配付させていただいております。前回にも少し申し上げましたけれども、この半年間、本当はもっと、一年間ぐらい調べたかったんですが、半年間でやってみました。NHKが介護保険について取り上げた番組、ニュース等です。ごらんいただけますように、かなりやはり数多くNHKも取り上げているんです。その内容も付記させていただきましたけれども、やはり筋トレということになっています。

 NHKが筋トレを取り上げ、電波に流しているということは、やはり国民の関心が、筋トレとはどういうものであるか、本当に効果があるか否かということに注目が集まっているということを意味しているのだろうと思いますけれども、西副大臣、このあたりのところはいかがでしょうか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 いきなりの質問でございましたが、NHKと私どもとが連動しているというようなことは、全く関係ございません。

中根委員 連動していたら、また別の問題として困るんですが、そういうことではなくて、NHKさんがこれだけ取り上げている、これが多いと見るか少ないと見るかはそれぞれ主観でしょうけれども、筋トレというものについて国民がかなり関心を持っているというふうに我々は見るんです。だから、この委員会でも再三再四にわたってそのエビデンスというものについて議論が繰り返されているわけなんですけれども、NHKがこれだけ取り上げているということは、やはりきちんと効果というものを検証していかなきゃいけないことだと国民も見ていると副大臣も思っていただけないでしょうかということなんです。

西副大臣 済みません、ちょっとほかのことを考えて、まことに申しわけありません。

 私もよく、こういう、例えば「クローズアップ現代」とか、具体的に言いますと、そんな番組がよく行っているようですが、実は結構見ております。特に、この立場になって、いろいろな番組の中で介護予防関係の番組があればできるだけ見るようにしておりますが、私は、やはり介護予防に対する国民の関心というのは高いんだろう、高齢化を迎えて、いつまでも自分の行きたいところに自分の足で行けるとか、自分の自立した生活が長く続くように思っているし、また家族の方も、いつまでもお元気で、おじいちゃん、おばあちゃんに頑張ってもらいたい、こういう思いがあって大変関心が高いんだと思います。そんな中で、やはりこういうマシンを使ったトレーニングなんかについても関心は高いのではないかというふうに見ております。

中根委員 やはり、NHKがこれだけ取り上げているように、筋トレというのは今度の改正法案の大きな柱なんですよ。だから、きっちり議論を深めていかなきゃいけないというふうに思って、中には、それは枝葉末節の話だから余りごちゃごちゃ言うな、このまま軽く賛成しておけばいいじゃないかというような御意見もちまたにはあるのかもしれませんけれども、そういうわけにはいかないということなんですね。

 先ほど福島先生、僕は、福島先生と宿舎が一緒で、ほとんど毎朝のようにバスで一緒にここに来るものですから、福島先生は穏やかな方だというふうに、まあ穏やかな方なんですけれども、いつもにこにこして、いろいろバスの中でも教えていただけるんですが、筋トレということについて、先ほどとても厳しい表情で、厳しい、鋭い御指摘をされたものですから、また違った一面も拝見をさせていただいたということなんですけれども、やはりそれは、公明党さんは筋トレということに対してとても真剣に取り組んでおられるんです。我々以上に真剣に取り組んでおられるんですね。

 これは、公明新聞、四月十日付なんですけれども、公明党さんは紙芝居をつくられたそうですね、武部さんが郵政の問題でやったのと同じように。インターネットでダウンロードして使うということなんですが、新聞には一覧でこういうふうに出ているんですけれども。この十一こまの紙芝居のうち、筋力トレーニングに関するものが、四こま目から七こま目までの四枚とそれから十こま目ということで、十一分の五が筋力トレーニングに関することに言及された紙芝居をつくっておられるということで、やはり筋力トレーニングということについてはかなりの御関心を持っておられることは間違いないということなんです。

 今回、モデル事業を幾つかやって、この筋トレの効果というものは必ずしも明確に出ていない、エビデンスは明らかになっていないと我々は思っているんですけれども、例えば、公明党さんがこれだけ推進をしているということについて言えば、このモデル事業以外に、何か国民に推奨に足り得るようなエビデンスというようなものを持っておられるのかもしれないというふうに思って、もし持っておられるようだったら、ちょっと改めてここで教えていただきたいと思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。

西副大臣 公明党の福祉の関係の方にお聞きになったらいいんだと思うんですが、私自身は公明党の運動、活動については今全く関与しておりませんので、今どういう結果をお持ちなのか、そういうことについてはつまびらかには承知しておりません。

中根委員 この筋力トレーニングの本質的な部分、エビデンス、モデル事業関係についてはこの後小林千代美議員がきちんと質疑をさせていただくということで、私は大体枝葉末節担当なものですから、そちらの方で進めさせていただきたいと思います。

 前回も指摘をさせていただきました、お手元の資料の二ページ目、三ページ目、これはNPO法人日本介護予防協会というところなんですけれども、ここは、少なくとも私が前回質問した四月の六日、この時点ではNPO法人の認証を受けておりませんでした。受けておらないにもかかわらず、四月一日から既に介護予防指導士というものの資格認定講座を始めてビジネスとして利益を上げようとしているわけであります。このように、既に介護保険法の改正法案をめぐって、さまざまな事業者がこの法案がそのまま通るということを前提に動き始めているということなんです。

 まず、この、NPO法人ではないんですが、もしかしたらきょうの時点ではそうかもしれませんけれども、日本介護予防協会というようなところが認証を受けずして介護予防ビジネスを行う、詐欺的な商法ですよね、これは。こういうことが行われているということについてどのような見解をお持ちでしょうか。大臣、御意見を伺えないでしょうか。局長はちょっと答弁が難しくて、私は局長の答弁はわからないから、大臣にお願いします。

中村政府参考人 前回も委員から御指摘がございましたので、御指摘の団体、私どもとして、当該団体は存じ上げませんけれども、当該団体のホームページを経て得た情報といたしましては、この団体は、介護予防指導士という当該団体独自の認定資格についての講習等を実施しており、当該講習の講師としては、当委員会において先般参考人として意見陳述いただいた━━━━━━━━━━━━━━を初めとする有識者がかかわっておられることが確認できたところでございます。

 これまでも当委員会で申し上げているとおり、厚生労働省としては、現時点において介護予防サービスの実施に際して新たな資格を創設することは考えていないところでございます。

 なお、介護予防サービスを提供する事業者の基準について、今後、社会保障審議会介護給付費分科会における御議論を踏まえ、検討してまいりたいと思います。

中根委員 局長、これは、━━━━━━━はこの講師を途中で辞退をされておられるというふうに僕は聞いておりますが、この辺は確認をした方がいいと思います。もし間違っていたら、議事録からきちんと削除してもらった方がいいと思いますので、委員長、これはよろしくお取り計らいを願いたいと思います。

鴨下委員長 後刻協議をいたします。

中根委員 要するに、筋トレを含めた介護保険法、こういうふうにビジネスが動き始めているからもうとめることはできない、例えば我々がエビデンスが明らかでない筋トレを一時凍結してほしい、あるいは削除してほしいというふうに言っても、もうビジネスが動き始めているからとめられないという事態に至っているんじゃないでしょうか。尾辻大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 一言で申し上げますと、私は全くそうは思いません。ビジネスが始まっていようが始まっていまいが、これは、私どもが今度の介護保険を見直すに当たって、こうあるべきだ、こうした方がいいという考え方で、そのもとに行っておるものでありますから、こうした皆さんが自分たちのビジネスにつなげようとしている、そのことと私どもの判断とは全く関係のないところでございます。

中根委員 それでは四枚目、これは既にきのうから使われている新聞記事なんですけれども、ニチイ学館が〇五年度から七千二百人の、これは何という資格なんですかね、介護予防人員、ここでは資格名は特に特定されていませんが、七千二百人を養成する、〇七年度に売上高三十億円を目指すと。しかも、これは、前から言っている、厚生労働省が筋トレとして採用しようとしているCGT方式、三人の指導員をつけて四台の筋トレマシンを使う、こういう方式を既につくられている東京都の老人総合研究所の認定を受けた資格として事業を始めようとしている、講座を始めようとしていると。

 エビデンスが明らかでない、福島先生は先ほど明らかだと、ここは見解の相違もありますけれども、我々は、明らかではない、モデル事業をもし行うんだったら、明らかにするためには、モデル事業をさらに継続するなりなんなり、さらにエビデンスの追求をすべきだということを思っておりますので、その前提として申し上げますけれども、エビデンスが明らかでない事業で民間事業者が三十億円ももうけようということ、これは筋トレのためですよ。筋トレには、医療関係者が一人、理学療法士が一人、それから体育系の学校を卒業した運動予防士のような方が一人という三名がチームになって八名の利用者をお世話するということですので、これは筋トレのための資格なんですよ。

 エビデンスのないもので三十億円もうけようとしている、三十億円の売り上げを上げようとしている、こういったことについてやはり何かいかがわしさを感じないでしょうか、西副大臣。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 当方といたしましては、個別の事業者の経済活動についてお答え申し上げる立場にはございませんが、これまでも当委員会で申し上げていますとおり、厚生労働省としては、現時点において介護予防サービスの実施に際して新たな資格を創設することは考えておりません。

中根委員 新たな資格を創設することは考えていないとすれば、これは、社会がこういう動きをしているということに対して厚生労働省としては何らかのチェックを入れないと、消費者といいますか国民は、こういう改正法が通る、それで新しい筋トレが導入される、あちこち、例えばニチイ学館のように名の通った事業者が講座を開けば、それは何かオフィシャルなものとして、公的なものとして勘違いをして、高い受講料を払ってそれを受ける、受けて資格を認定されて喜ぶ、喜ぶけれども全く仕事がないとか、どこにも通用しないとか、そういったことにもなりかねないわけでございますので、新たな資格を設けるつもりはないというふうに言うだけでは無責任である。

 現実に社会の中でこういう動きがあるということを踏まえて、厚生労働省としては何らかの動きをすべきではないでしょうか。もしくは、本当に資格が必要であるならば、厚生労働省として統一したものを何かつくるとか、そういった方向にむしろ考えていくべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今のお話を伺いながら、何か考えなきゃいけないということは私もそのとおりだと思います。そう思いながらお聞きをいたしておりました。

 ただ、私どもがどういうふうにすればいいのか。極端に言ったら、こんなもの全く無視することの方がいいのか。あるいは、今おっしゃったように、我々はこういうことの資格を何か考えておるものでは全くないということをちゃんと言うのか。あるいはまた、オフィシャルという言葉を使われましたけれども、この資格がオフィシャルなものではないですよ、そんなものをオフィシャルなものにするつもりもありませんよというようなことを言うのがいいのか。どういうふうに私どもがメッセージを発するのがいいのか、これはよく考えてみたいと思いますが、変なことにならないように何か我々が考えるべきだというのはそう思いますから、私どもも検討して、行動をとらせていただきます。

中根委員 やはり大臣に答弁をいただかなきゃだめですね。大臣、いつも我々国民の立場に立った御答弁をいただけると、本当にいいなと思いますね。

 それで、資料には添付いたしませんでしたけれども、財団法人の日本スポーツクラブ協会というところが要介護予防運動指導者の認定制度をもう始めているわけですね。それから、財団法人の体力つくり指導協会というところが高齢者体力つくり支援士というものを始めている。それから、まだまだ私どもの知らないところでこういったことがいろいろあるんだろうというふうに思います。

 資料の五ページです。財団法人健康・体力づくり事業財団ですけれども、これは厚生労働省所管の財団ということでございます。先ほどの日本介護予防協会の受講料はたしか四万三千円だったと思うんですけれども、この体力づくり事業財団、健康運動指導士。健康運動指導士というのは前回御指摘を申し上げました札幌の外郭団体の財団が、要するに介護予防、筋力トレーニングのモデルケースのようなことをやった財団の責任者であった佐竹さんという方が持っている資格なんですけれども、健康運動指導士というものです。健康運動指導士が厚生労働大臣の認定事業として養成をされているということです。

 七ページを見ると、千七百七十二人の方が老人福祉施設や介護保険施設などで働いていらっしゃる。そして八ページ、これは、受講料二十万一千円で、最後の日、最終日に資格試験を行うということで受験料が一万三千円、登録料が二万四千円、五年ごとの登録更新料が二万一千円ということなんですけれども、ちょっと先へ行きまして、十ページと十一ページをごらんいただけるとわかるように、この財団の理事のうち五名は厚生労働省からの天下り、それから評議員のうちの四名は厚生労働省からの天下りということを確認させていただいています。

 厚生労働大臣認定の資格試験、厚生労働省所管の財団法人、しかもそこに多くの方が天下っている。介護保険法の改正に伴って、そういったところが認定をする資格者の職域が拡大をされていくとか、あるいはこの認定資格そのものに対して、受講料だけでも二十万円という、どこに根拠があるかわからないような高額な受講料を取って資格を与えている。天下り団体がこんなふうにもうけてしまってよろしいんでしょうか、大臣。

尾辻国務大臣 率直に申し上げまして、受講料二十万というのは高いなという印象を私も持ちます。したがいまして、この受講料を含めて、この財団のあり方、資格のことはもう一回私もよく調べてみます。

 ただ、私が今このことで聞いておりますことは、この資格と介護保険と結びつくものではないということだけは確認をいたしております。

中根委員 直接結びつくかどうかはこれからの話なんですけれども、先ほどから申し上げておりますように、もし都老研方式、CGT方式、これはCGTに限らず、今までの筋トレの説明の中でインストラクターが必要だということは明らかになっているわけで、そうでなければけがをする可能性もあるということも指摘をされておるわけでございます。そのインストラクターにこの資格の方が採用されていくということは、都老研とそれから札幌の佐竹さんとの関係、こういったことも含めて考えても、かなりそういうふうになるのではないかということは考えられますので、しっかりと監視をしていって、別にいけないというわけじゃないんですね、いけないというわけじゃないんですけれども、受講料の高さとか、そういったことを含めて、間違った方向に行かないように、採用することがいけないというわけじゃなくて、しっかりと監視をしていっていただきたいというふうに思います。

 それにしても、大臣の答弁はいいですね。やはり大臣ですよ。

 それから、引き続き、九ページ、これは今の財団についてのことなんですけれども、この財団というのは、今の資格認定の仕事はかなりこの財団にとっては大きな仕事の一つであると思うんですが、そのために、あえて言えば厚生労働省の優秀な方が再就職をして事務を取り仕切っていらっしゃるという善意の見方をするんですけれども、しかし、そういった優秀な方々がたくさんいらっしゃるにもかかわらず、この資格に関する事務を財団法人日本健康スポーツ連盟というところに丸投げをしているというか委託をしているわけなんですね。

 この日本健康スポーツ連盟というところにまた天下りの方がいらっしゃるかどうかということはまだ確認をしておりませんけれども、財団のあり方としては適当なものではないというふうに、委託、委託という形で、天下りとか職域の拡大というような形が往々にしていろいろなところで今までも散見をされるわけでありますので、こういった財団のあり方について改めて少し指導していただかなくてはいけないんじゃないかというふうに思います。いかがでしょうか。どなたでも結構です。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 健康運動指導士の講習会の事務の一部でございますけれども、これは、委員御指摘のとおり、日本健康スポーツ連盟に委託されているところでございます。

 内容を少し見てみますと、中核の部分は健康・体力づくり財団が実施しております。例えば、プログラムの設定とかあるいは講師の選定、あるいは試験に関しましては試験問題の作成とか、そういう中核の部分は健康・体力づくり財団が行っておりまして、一部事務を健康スポーツ連盟の方に委託しているというところでございまして、これらの委託に関しましては特段の問題があるというふうには考えていないところでございます。

中根委員 それでは続きまして、十二ページですね。こういう本があるんですけれども、の表紙のコピーなんですが、「介護予防研修テキスト」「厚生労働省老健局計画課監修 介護予防に関するテキスト等調査研究委員会編」ということで、三千二百円で株式会社社会保険研究所というところが発行をしております。株式会社社会保険研究所というのはいつも出てくるんですね、この会社。年金のときから国保のときから、いつもいつも、内神田あたりにあるこういった会社というのはよく出てくるんですけれども。

 まず、表紙にある介護予防に関するテキスト等調査研究委員会というのはどんなものなんでしょうか。

中村政府参考人 この委員会は平成十二年度に行った委員会でございまして、市町村職員向けのテキスト作成に関して調査研究を行うために設置されたものでございます。現在は研究会としては存続しておりません。

 当時のメンバーとしては、神戸市看護大学教授の岡本祐三先生を委員長として、介護予防に関する医療、保健、福祉分野の研究者、実践者等、二十五名で構成されていたものでございます。

中根委員 ここに見なれた言葉の「厚生労働省老健局計画課監修」というふうにありますけれども、これは社会保険研究所という株式会社から厚生労働省老健局計画課に監修料が支払われていたかどうか、事実関係を教えていただければと思いますが。

中村政府参考人 監修作業に当時の老健局計画課の職員はかかわっておりましたけれども、出版社からの監修料は一切受け取っておりません。

中根委員 このテキストが発刊されるに当たって、当時の老健局計画課長の山崎史郎さん、今の総務課長さん、今回の介護保険法の改正案の取りまとめといいますか、筋力向上トレーニングの導入に際してかなり御尽力をされたというふうに見受けておりますけれども、そういった方のごあいさつが載っております。

 そのごあいさつの中にチームアプローチということが書いてありますが、これはすなわち先ほどから申し上げておりますようなインストラクター関係のことだと思います。このことが、ビジネス界は機を見るに敏ですので、ビジネスチャンスとしてとらえて、資格商法がはびこるおそれがあるということにつながっているんだろうと思います。

 それから、政策評価をしっかり行うと。ここを改めてきちんと見詰めていただきたいんですけれども、今回、モデル事業を行って、要介護度が改善をした人、維持の方、あるいは悪化をした人、この検証作業をやはりきちんと行わなければいけないと、山崎課長も当時から訴えて指摘をしているわけであります。

 したがって、このモデル事業、改めてしっかりとしたエビデンスが明確に、だれが見てもこれは保険でやっても構わないということが実証されるまで、繰り返し繰り返し行う必要がある。そうでなければ、それまでの間は、筋力向上トレーニングの導入を一たん凍結するというようなことも含めて検討していかなければいけないということを、山崎当時の計画課長はおっしゃっているのではないでしょうか。いかがでしょうか。

中村政府参考人 申し上げましたとおり、これは委員会は十二年にできまして、介護保険制度がスタートして、市町村で介護予防の重要性があることからこの本をつくった。そのために、市町村にさまざまなノウハウを普及するということから、私ども監修作業もいたしましたし、当時の計画課長が「発刊によせて」というはしがきも書かせていただきました。

 チームアプローチのところを読みますと、柔軟な、健康面でなく生活面や環境面にも取り組んだアプローチを行う必要がある、それで特に重要なのが保健、医療、福祉が一体となったチームアプローチということでございます。そういった観点からつくられているものでございますし、政策評価をしっかり行うということは、当時から政府として政策評価を、漫然と事業を続けるのではなく、目標管理を厳格に行い、それぞれの事業成果を客観的に評価し、有効性のみならず効率性も指標とし、見直しに反映させることが重要である、こういうふうに山崎課長が述べているところでございます。

中根委員 それから、めくっていきますと、十四ページ、筋力トレーニングに使うマシンが紹介をされています。十五ページ、指導スタッフの構成の例が紹介をされております。やはりこれはお金がかかるんですよ、器械にしても、人件費にしても。

 また、改めて、厚生労働省がエビデンスとして示してきた、民主党にも示してきた一連の資料の中にも入っていた辻一郎さんが公明新聞の中でこういうふうにインタビューに答えておられます。初期投資を惜しんではいけないというふうに書いていらっしゃるんですね。

 これは、マシンとか人件費はどれぐらいだというふうに今見積もっておられるんでしょうか。大体の数字で結構ですので、お教えください。

 それと、少しめくっていくと、十七ページに条例ということにも言及をされているんですけれども、この筋トレマシンを、まあいいか、ちょっともとに戻します。

 このマシンと人件費のことについて、費用はどれぐらいだと見込んでおられるか、教えてください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村モデル事業の中で筋力向上を実施した五十一市町村の状況を確認したところ、事業展開によって価格に幅はあるものの、平均すると、トレーニングマシン購入の場合で一台当たり約七十六万円、トレーニングマシンレンタルの場合一台当たり月額一万八千円、こういうふうになっております。

 筋トレを行うための人件費はどのくらいになるかということでございますが、モデル事業においてマシンを用いるトレーニングを実施している市町村や、簡易な器具を用いるトレーニングを実施している市町村など、市町村によって異なりますが、筋力向上の実施に当たっての平均的な人員配置につきましては、四月十一日までに結果報告した市町村に確認したところ、おおむね参加者七、八人に対し、人員が四人でありまして、現行の通所介護における人員配置と同様な体制での対応が可能であるというふうに考えております。

 また、現に通所介護の事業所で筋力トレーニングを実施されているところ、現に通所介護事業者として、自分のところのプログラムでマシンを使った筋力トレーニングを実施している通所介護事業者さんがあることを考えますと、ああいう人件費の中でこういうマシントレーニングなどは実施できるものではないかというふうに推察いたしております。

中根委員 具体的な数字を求めたにもかかわらず、具体的な数字が出てきていないということに対して、改めてまたそのことは宿題としていただきたいということをお願いすることと同時に、もう時間がありませんので、資料の最後なんですけれども、千代田区のモデル事業の中で、西神田公園というところにこういう八種類の介護予防遊具というものを設置したんですね。これは私、実際に見に行きましたけれども、だれもやっていません。雨ざらしになって、ほこりをかぶっていました。

 こういうことにも保険料あるいは税金が、これから介護予防が大事だということの中で使われていくんでしょうか。まさに業者だけが喜んで、ほかにはだれも喜ばないというむだ遣いの典型的な例になってしまうということも、こういう例もあるということを警鐘を鳴らしながら、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、小林千代美君。

小林(千)委員 質問の前に、今、二十三分、二十二分でしょうか。私の持ち時間は三十分ですけれども、私の質問時間は何時まででよろしいんでしょうか。

鴨下委員長 大臣がQTで退席しますので、五十分まで御質問をいただいて、残余につきましてはその後にしていただく、こういうようなことで筆頭間で合意がいただいております。

小林(千)委員 承知いたしました。

 質問に先立ちまして、一言言わせていただかなければなりません。

 前回、私が質問をいたしまして、このモデル事業における報告書というものを提出してくださいということをお願いいたしまして、それにつきましては四月の十四日の日に提出をいただきました。ありがとうございます。

 ところが、六十九行った市町村のうち、期日までに到着したのは四十八の自治体でした。その後も何回も何回もこの場で審議がされておりまして、残りの提出していないところについては、いつ出てくるんだ、いつ出てくるんだということを、私たちも同僚の議員が何回も質問をいたしました。

 ところが、きょう、資料を見ましたら、十二日から十八日の間に、もう九つの自治体が報告書を出しているんですね。私はせっかくここで十メーター歩いて資料をいただいたんですよ。でしたら、まず、お願いした私にもデータをいただかないと、これは筋が合わないのでありませんか。私、きょうまでこれは知らなかったですよ、地元の到着していないところもありますけれども。これは言わないと出てこないんでしょうか、この場でお約束をしたものが。それじゃないと、私、毎日毎日厚労省さんに電話をかけますよ、まだですか、まだですかと。はい、きょうできましたといって戻ってくるんですか。

 この間、余りにもこういった取り組みについて不誠実な面が多々見られます。残りの未着の部分も、十二の自治体もあります。これは当然、国の予算を使って行っているモデル事業でしたから、今回、中間報告として出てきておりますけれども、これはやはり近いうちに最終報告というものを出していただけるんでしょうね。そして、私のところにも、各残りの二十一の未着の分、データをいただけるんでしょうね。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 前回、四月十一日までの到着分をお出しさせていただきました。また、それについての評価ということで昨日提出させていただきました。この間、市町村の方からも到着分が来ておりますので、大変小林委員には失礼を申し上げました。未到着分についても到着次第お届けをしたいと思います。

 また、六十九ございますが、できるだけ早く、到着いたしたものにつきまして、中間報告で行いましたような分析も加え、六十九全部の報告についても、当然全部そろいましたら直ちに六十九行いますし、その辺につきましては、あと十二でございますので、その十二の出方なども踏まえて対応させていただきたいと思います。

小林(千)委員 いつ出しますかということはきょうは申し上げませんので、よろしくお願いをいたします。

 さて、きのう私たちもこのモデル事業中間報告書というものをいただきまして精査をいたしました。まず、大臣、まだ途中の中間報告の四十八ですけれども、この分析結果をごらんになりましてどのような御感想をお持ちになったでしょうか。新聞では、けさの朝刊、各社一斉にこの件に関しまして記事が載っておりましたけれども、大臣の評価をぜひ伺いたいと思います。

尾辻国務大臣 今回の中間報告は、市町村から報告されましたデータを精査いたしまして、介護予防の効果について統計学的な分析を行いますとともに、事業の実施に関する市町村からのさまざまな御意見等も把握したものでございます。

 例えば、筋力向上プログラムにおきましては、要介護度、握力や下肢の筋力などの身体機能、また生活機能、QOL等の多くの評価指標において、事業参加前後の値が統計学的に有意に改善しているとの結果が示されております。

 こうした効果はさまざまな先行研究で既に実証されているものもありますけれども、今回の報告は、筋力向上プログラムが介護予防に一定の効果を発揮することを改めて示唆する報告と考えております。申し上げましたように、一定の効果を発揮するということを改めて示唆する報告と私は考えております。

 また、各市町村からいただきました意見を通じまして、一つには事業参加者の効果的な選定方法、次にプログラムを実施するに当たって工夫すべき点、さらに中断者の状況やその理由、四点目といたしましてスタッフ確保上の問題など、事業実施上の課題が一定程度把握できた、こういうふうに考えておりまして、今後、これらの課題を踏まえて、効果的な事業実施方法についてさらに検討してまいりたいと考えております。

小林(千)委員 この効果につきましては、私どもの党でもいろいろ言っておりますけれども、例えば、改善が四三・九%、維持が三九・八%、悪化が一六・三%、こういうふうに出ておりますけれども、それは確かに改善はある人はあると思うんですよ。私はすべて認めていないわけではありません。この事業を行って効果のある方も当然いらっしゃるでしょう。効果がなかなかあらわれない方も当然いらっしゃるでしょう。そういったことは認識をしております。

 ただ、この何%、何%と言っている数字の後ろに何があるかということも同時に考えなければいけないと思います。これは、母数は、分母は四百四十九名ですか。三カ月間実施したうちに中断した方はこの分母から抜けているのですよ。トレーニングを途中まで受けましたけれども何らかの理由により中断をした方というのが統計では一三%そのほかにもいるんですね。ですので、一三%が中断、途中でやめている、理由はいろいろあるでしょう。それから悪化というのがさっき言った一六%です。合計約三〇%は悪化なり中断をしている。それから、維持という方はここに書いてあるように約四〇%です。ですので、中断、悪化が三〇%、維持が四〇%で合計七〇%は変わらない、あるいは悪くなっている、あるいは途中でやめてしまった。効果があるのは三〇%だったのです。数字の裏にあるところも見なければいけないと思います。

 それと同時に、この数字だけ見てもぴんとこないのですけれども、これがモデル事業ではなくて広く一般事業として日本全国あまねく行われたときに、どのぐらいの方が参加をして、どのぐらいの方に改善効果があるのかということも当然このモデル事業を見ながら、検討しながら考えていかなければいけません。

 数字だけですとぴんときませんので、私はいろいろモデル事業を行った自治体のデータを一つ一つ見てみまして、日本全国を代表するような数字のあるところはないかなと思いましたらちょうどありました。一つ一つの自治体の報告書の中にあるのですけれども、山口県の平生町というところです。ここは人口が一万三千七百九十九人です。要支援と要介護一の方を合わせると百四十四名です。大臣、これを約一万倍してください。そうすると、日本の人口と、それから今回の新予防給付に当たる方は百五十万といいますけれども、その方々の数に大体当てはまるのですよ。ですので、わかりやすくするために、申しわけないのですけれども平生町のデータを使わせていただきます。

 平生町は、私、きょう資料でお配りをしておりますけれども、人口が一万倍すると日本の人口、約一億二千万、多少誤差はあるけれども見逃してください。それから、要支援、要介護一の今回の新予防給付に当たる方が百四十四万人と読み返すことができます。

 その対象者のうちどのぐらい今回の事業対象者となったか。二枚目、おめくりください。二番目の丸のところに「参加者数について」というところがあります。百四十四名の新予防給付の対象者の中から、今回スクリーニングを行いまして事業対象者として適当というふうに言われた方は百四名です。日本全国で考えると百四十四万人中百四万人が適当だったというふうに考えられます。

 これは、今回、スクリーニングを行っているのです。新予防給付に当たるであろう方の中でもエントリー除外要件というものがありました。例えば、最近六カ月以内に心臓発作、脳卒中を起こした方は除外、適用対象外。それから、糖尿病があり過去に低血糖発作を起こした方も適用外。血圧、上が百八十、下が百十以上の方も適用外。心臓病がある方も適用外。それから骨粗鬆症で圧迫骨折の既往がある方も適用外。このようなスクリーニングを行いまして対象者が百四十四万人分の百四万人ということになったと言えます。

 その百四万人のうち、その下の参加者数を見てください。八名、八万人です。これは、きっとここの町でも一生懸命人集めをしたんだと思います。オルグをして、来い来いと言ったのかもしれません。それから、ある自治体のを見たら、掘り起こししたと書いてありました。そういうことをして、ようやっとこの事業の人数、八人にこぎつけたんですね。こういうような状況です。その中でも、途中で中断した方が四名なんですよ。このような内容になっています。

 ですから、今回、四名最後までたどり着きましたけれども、四名の中の結果が今回のこの改善、悪化ですから、分母は四なんですよ。その中で、改善が四〇%だ、維持が四〇%だと言われましても、二万人なんです、四〇%と考えますと。日本全国の中で、先ほど申し上げました、受けるのが百四万人のうちに八万人、みずから行きたいといって受講する方が。八万人のうちに四万人は途中で中断した。最後まで行った方は四万人です。その方が評価を受けて、先ほどの、改善、維持、悪化というふうに割合で振り分けますと、改善は二人、日本全国で二万人ということになるんですよ。これは、全国二万人の改善を求めるために、このモデル事業じゃなくて、これからは一般事業化される筋力トレーニングということを行うんでしょうか。

 それからもう一つ、私は大臣にお伺いしたい。

 先ほど答弁の中で、悪化という方の中には適当ではない方が含まれていた、スクリーニングを行って、こういう方々は対象外とするというふうに、午前中の答弁の中でございました。ということは、今回のスクリーニングよりもより厳しい網をかけまして、ふるって、対象者を絞って、今回、新予防給付の新しいサービスを提供することになるんでしょうか。御答弁お願いします。

尾辻国務大臣 まず、山口県の一つの町を上げて、その一万倍でという計算をなさいました。ただ、今計算された町が日本の一万分の一、平均的にとでもいいましょうか、一万分の一の町であるかどうかというのは、これはどう言えるかなと思いながら聞いておりました。もし、そういう計算をするのであれば、今度集まりましたデータが四百幾つかという数字がありましたから、その四百幾つかを一億二千万にするには何倍すればいいかなとかいう計算をして数字を見てみるということが必要ではないかなと思いながら聞いておりましたので、そのことをまず申し上げて、改めて私どももそういう計算をしながら、今お述べになったような数字についても分析をしてみたいと思いますということをまず申し上げました。

 それから、どういう人がサービスを受けることになるかということでありますけれども、これはいつも言っていますように、ケアプランをつくるのも、現場の皆さんが、御本人を含めて専門家の方が集まって、御本人のためにどうすることが一番いいのかというケアプランをつくられるわけでありますから、その中で、このメニューを入れるということを判断なさるには、その判断があると思いますので、そのときに、このメニューを入れる、筋トレ、筋トレと言っていますが、筋トレということを入れるのがいいという専門家の御判断があれば、そこでそれがケアプランの中に入ってくるわけでありますから、そこでの判断になる。それが適切だと思われる方にそのプランがつくられるわけでありますから、それなりの方がまさにプランの中に筋トレが入ってくるんだ、こういうふうに理解いたしております。

小林(千)委員 大臣に対して、再質問を二点にわたってしたいと思うんですけれども、私も一番最初に申し上げましたとおりに、ここの、山口県の一つの町が日本の一万分の一の縮図だというふうにして申し上げたわけじゃない。乱暴な比較になりますけれども、一つの傾向としてわかるんじゃないかと思って一例を取り上げただけです。

 ただ、これが十倍も百倍も誤差があるかなというふうに感じます。これは、今現在出てきている四十八の自治体を全部足せばわかることですね。足すのは大変だからやっていないですけれども。それは、そういうふうにおっしゃるのでしたら、この中でちゃんとそういう検証をしてくださいよ、もととなる数は出ているんですから。それを見た上で、やはりそこで答弁をしていただきたいと思います。

 それから、もう一点私が伺いました、スクリーニングをこの事業の選定方法となるスクリーニングよりもさらに狭めるんですか、ふるいの目を細かくするんですかということについてはまだお答えをいただいていないと思いますが、ふるいの目を細かくするということは、この新サービスの対象者が少なくなるということですので、これについても御答弁お願いします。

尾辻国務大臣 実際のサービス提供というときには、今度のモデル事業とか、要介護一の皆さんを要支援にするのかどうかといったようなところで言っているスクリーニングという感覚とは、感覚というんでしょうか、やり方とはまた違う基準だと私は理解をいたします。

 実際のサービス提供というときには、そういうスクリーニングじゃなくて、その御本人、サービスを利用する方にとっていいか悪いかということを判断するわけでありますから、そのときのその判断の仕方と、今度スクリーニングと今言っているその基準とは違うものだと私は理解をいたしております。

小林(千)委員 そうすると、このモデル事業は何のためのモデル事業だったのかということを考えなければいけません。さまざまな、体に不都合を持った方も、病気を抱えている方もいらっしゃるでしょう、そういう方に対して危険度はないのか、例えばどれだけ人をつければ事業が成り立つんだですとか、そういったことも検討するためのモデル事業なんですよね。そこのところに、今回と対象の違う人もひょっとしたら入るかもしれませんよ。今の方をもっと絞るというんだったらわかりますけれども、これはさらに枠がふえていくんでしょうか、もう一度御答弁お願いします。

尾辻国務大臣 私が申し上げておりますのは、サービス提供というところで、その人に適切であるかどうかということを専門家の皆さんが判断なさるその判断と、今言っていますスクリーニングというのは、基準というか、そもそもが違う、そもそもという言い方はまた誤解を招いてよくないのかもしれません、基準が違うというふうに思っているものですから、そのとおりお答えをいたしておるところでございます。

小林(千)委員 それでは、もうちょっと違う方向から聞いてみたいんですけれども、今回の私のとても乱暴なやり方の、山口県のこの町のデータでいきますと、スクリーニングの結果、適用対象者は百四人、百四万人です。そうすると、今回、日本全国でこれを一般事業化されるとしますと、今の新予防給付に当たる百五十万人中何万人がこの新しいサービス対象適用者というふうに考えられるのでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員の資料の数字などのお話でちょっと誤解がありますので補足させていただきます。

 今回、モデル事業で今百四名の方が対象になっておりますが、この町の方百四名というのは、町の方では、要支援者は全員、それから要介護一の方が百三名おられたので、町が任意に選んだ半数ということで五十一名、これを足して百四名が町としては事業対象者と考えたということでございます。

 それから、今回の参加者が八名で、委員は百四名に対して八名と大変少なくなっているじゃないかということですが、私どもこのモデル事業でお願いしましたのは、参加人数を八人から十二人を目安としてやってくださいと、私どもで人数を絞ったので八名になっているということで、百四名に対して八名ではないということを御理解いただきたいと思います。

 そこで、委員のコピーしていただいた資料で百四名の上に触れられておりますけれども、この町で苦労されましたのは、対象者本人やケアマネの協力は不可欠でありますけれども、対象者本人、担当ケアマネ、あるいはその双方からの協力がなかなか得られなかった。そういう点で、人員を集めるのに苦労したというふうに考えております。

 そこで、これをもとに対象者についてはなかなか議論できないというふうに考えております。

小林(千)委員 私、質問して聞きたいのは、結局のところ、これで全国でどのぐらいの方が対象になって、それにより、厚生労働省の今回の目的でいいますと悪化予防一〇%ということを実現させるわけですね、将来的には。そういった方々に効果あるサービスというものを提供するためのモデル事業なんですよ。ですので、どのぐらいの方が対象になって、どのぐらい効果があるのか、また、費用対効果は残された十分で質問したいと思いますけれども、そういうことも考えなきゃいけないから今質問をしているわけです。

 残りの質問については後の時間にさせていただきます。

鴨下委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小林千代美君。

小林(千)委員 残り時間七分、よろしくお願いをいたします。

 大臣、やはり私、この間ずっと討論しておりまして、この法案はわからないことだらけなんですよ。例えば、新予防給付といったものが一体どういうものなのか、具体的にわからない。介護予防訪問介護というのはどういったサービスなのかがわからない。介護予防訪問入浴介護というのが、今まで来ていたおふろ、家に来てくれたのが、バスタブが変わるのかどうなるのか、全くもってわからない。そういう内容なんです。

 そして、今回の新しいサービス、筋力向上トレーニングにおきましても、先ほど、対象者はどのような方々になるのか、新予防給付に当たる百五十万人の中のどのぐらいの方々がスクリーニングをかけられ、対象者というふうになるのか、そしてそれは新予防給付を受ける方々の中の何割ぐらいなのかということが全くわからないんです。

 ぜひ、このスクリーニング方法と、対象者が百五十万人の中の何割ぐらいに該当するのかをお答えいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい新予防サービスの問題でございますが、モデル事業でも実施させていただいておりますように、要支援、要介護一の方の中から、特に要介護一の方につきましては、介護予防に適した方をということで、委員御指摘のとおり、約百六十万人程度というふうに御答弁をさせていただいております。

 今回の新サービスの対象者のスクリーニング方法ということでございますが、モデル事業でも、委員御指摘ありましたように、こういう方を対象にし、こういう方を除外にするというエントリー除外条件も設けさせていただいております。

 今回は八項目のエントリー除外条件でやらせていただきましたけれども、委員から再々お話ございましたように、今回の八項目の除外条件でやってみて、これでよかったのか、まだ改善すべき点があるのかどうか、そういったことにつきましても、モデル事業の結果を踏まえて、例えば改善につながった方々あるいは中断された方々などについて、除外条件を広げる必要があるのか、あるいはこの除外条件は必要でなかったか、そういったことについては、まさにモデル事業の結果、それから、委員からも御指摘ございましたように、全六十九市町村の結果も早目にお届けをし、分析もさせていただいて、それを踏まえて、もちろん専門家の議論、それから審議会の議論も踏まえ、決めさせていただきたいと思います。

 対象者数について、具体的なサービス利用がどのくらいになるかということは、まさに今委員御指摘のとおり、新予防給付についても十六種類のサービスがございますから、十六種類のサービスが利用者の希望に従って選ばれるということになりますので、かなりばらけるのではないか、こういうふうに考えております。

小林(千)委員 私は、新しいサービス、特に筋力トレーニング、栄養改善、それから口腔ケアについてお伺いをしたところです。ほかの介護予防サービスの中の、介護予防と名のつく幾つかのサービスのことに触れているわけではございません。

 それから、そちらからデータを出していただかないので、私たちも生のデータの、例の山口県のを使わざるを得ないんですけれども、この中でも、受講者八名ですが、とてもじゃないけれども参加が多過ぎて多過ぎて断ったというような状況じゃないらしいんですよ。それでも、この受けた方八人というのは、ほかの市町村のデータを見てみてもそうなんですけれども、意欲のある方がやはり一番最初には来ているんです。

 ですから、ここに、モデル事業に参加した方というのは、いわば選抜チームのやる気のある方々なんですよ。そういう方々が、モデル事業だと手厚い費用をかけて、人件費をかけてトレーニングを受けています。これが一般事業化されたときに本当にそれと同じだけの人手をかけられるのかというのは、できないと言っている市町村が圧倒的多数でした。それは、この中間報告の中にも述べられております。モデル事業ではできたけれども、これが一般事業化されてしまうと、とてもじゃないけれども今と同じような、人手を手厚くつけてというような環境のもとでは取り組めないという市町村の声がたくさん載せられておりました。

 そのような状況で、しかも人手をかけてやっていた、選抜チームでやっていた、その結果が今回の、新聞でいえばきょうの新聞の内容ですから、これが広く一般事業化されて介護保険の予算の中で行われるようになって、同じような効果があるというふうに、大臣、お考えでしょうか。

尾辻国務大臣 今回のモデル事業の出てきた結果についてどう分析するかということについては、まず先ほど申し上げました。

 私も、この改正に当たりまして、できるだけ現場も見たいと思って、筋トレというんでしょうか、筋力向上をやっておる現場を見に行きました。このことについては申し上げておりますけれども、本当に楽しそうにやっておられたんですね。ですから、これをメニューに加えることは、強制してやらすわけでも何でもないから、私はいいことだなと思って帰ってきたんです。

 そのイメージがずっとあるものですから、これをメニューに加えることがまた何で悪いのかなというのが率直な思いでありまして、今度のモデル事業の結果も決してそれを否定するものではないと私は考えておるところでございます。

小林(千)委員 確かに私も否定しているものではありません。確かに、とても生き生きと参加をされている方もいらっしゃいます。効果が全くないわけでもないでしょう。効果はあるというふうなデータも出ているんです。しかし、それで一体どのぐらいの方々にこの効果があるのかということを考えていただきたい。

 例の先ほどの山口県、何度も出して申しわけないですけれども、山口県、終了が四人ですよ。一万倍すると日本全国で四万人です。そのうちに四〇%改善があったとする。とすると、大きく見積もっても二万人が改善。日本の対象者百六十万人中二万人の改善の結果を出すためにこれだけの介護保険からの費用が使われることが、果たして保険の機能として正しいことなのかどうなのかということを聞きたいのです。

 湯水のようにお金を使えるんだったらいいですよ、いいことですからどんどんやってくださいよと言うことはできるかもしれません。しかし、介護保険の会計がこれだけ逼迫している状況にある。今回、かわりにカットされるようなものがたくさんあるんじゃないかというおそれもある。そして、若年者への年齢の拡大、介護の普遍性に対してはどこかへ行ってしまった。このような状況がある中で、これだけの、二万人、これは百六十万で割り返すと一%ぐらいですよ、一%の方の改善を求めるためにこれだけのお金を使っていいのか、片方でサービスをカットしながら。そういうことを私たちは申し上げてあるわけです。

 そういったところを両方てんびんに比べてみて、確かにこっちもいいんだろうけれども、果たして本当にこれが今の財政の中で必要なのかということを最後に申し上げたいと思います。

尾辻国務大臣 これも再三申し上げていますけれども、こっちをやったからこっちがだめだとか、二つ並べてどっちか選んでくださいとかというようなことを申し上げているわけではありません。そしてまた、筋トレをメニューの中へ入れたからこっちのサービスがうんと減るとかという、何か今言っておられることが、私、少し違うんじゃないかなと思いながら聞いていましたということだけを申し上げたいと存じます。

小林(千)委員 よくわかりません。

 この財政難の中に、どういうふうに効果的にこの介護保険の財政を使用していくのか、使っていくのかということを、やはり私たちは真剣に議論しなければいけないというふうに思います。かわりにカットされるもの、あるいは介護の普遍性というものがしっかりと担保されないまま、これだけが、いいことなんだから、改善効果があるんだからといって進んでいくことに大変大きな危惧を感じまして、私の質問を終了させていただきます。

鴨下委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 今回、初めて介護保険法の質問をさせていただく機会をいただきました。本当にありがたく思っています。

 今回、介護保険法の審議に当たって、いろいろと各委員の方の御意見あるいは御質問を聞かせていただき、また、私も厚生労働省を初め参考人の皆さんの御意見を聞くことができて、首都圏あるいは都市部の今後の介護のあり方がポイントかなと思いました。

 お手元にお渡しいたしました資料の中で、高齢化人口の上昇率、これは厚生労働省からいただいた資料なんですけれども、多分、皆さんの住まわれている地域によって、それぞれ感じが違うと思うんです。例えば、山形県のように、これから十年間たっても六十五歳以上の人口が九・一五%しかふえないところもあるかと思うと、埼玉県あるいは千葉県、神奈川県のように、埼玉県ですと五三・七九%もふえる地域もあるんです。ですから、それぞれの地域の中で、多分、審議されている国会議員の委員の皆さんも受けている印象が違うのかなと思っているんです。

 そうしますと、今回の介護保険法、なかなか私も介護保険に関しては詳しくなかったものですから、何回も読ませていただいて、おぼろげながら、全体像、こういうことかなということがつかめましたので、そこのところを確認させてください。

 まず、大臣に一般的な質問をさせていただきたいんですけれども、今回の介護保険で、ポイントというのは保険給付の範囲かなと思っているんです、保険給付。例えば、家事援助が保険給付に入るか入らないか。

 これは、池田参考人の意見を聞いたときになるほどだなと思いまして、保険給付というのは、支払いに対して、要は払った保険料に対して、皆さん一定のサービスを受けるというのが保険のあり方。例えば医療保険ですと、所得があるとかないとか、あるいは一緒に住まわれている方がいるとかいないとかによって給付は変わらないわけなんです。ただ、介護保険については、その点、例えば家事援助ですか、同居、一緒に住まわれている方がいるとそのサービスを受けられないというところは、保険給付の対象ではないというお話がございました。

 今回は、さらに拡大をして、地域支援事業ということで広範な事業を保険の給付の対象にしているのかなと私は印象を持っていまして、そこのそもそも論の議論が今回できていなかったのではないのかなと思っているんです。

 本音を言えば、恐らく、今後高齢化が進む中で財政が非常に大変になってきますから、重度の方に絞って介護保険をやっていくんだという意思を示すとか、あるいは、要介護と要支援のところを分けてめり張りをつけていくということ、だから、予防介護、予防給付ということも、保険制度にはなじまないから、その部分は違う財源でやっていくというお考えを明確に出された方が、今後、五年後、十年後の介護保険のあり方を考えたときには、多分道を誤らなかったのかもしれないなという思いがあるんです。

 ですから、まずはそこのところの大臣の御所見を聞かせていただければ幸いなんですけれども。

尾辻国務大臣 いきなりお尋ねいただきましたので、うまく答えられるかというか、整理して答えられるかどうかというのは自信がありませんけれども、今、そのお話を伺って私が思いますことを率直に申し上げたいと思います。

 民間の保険と違って、公的保険の場合には、今言われたような部分というのは大なり小なり、言われましたように医療保険もありますし、さまざまな保険がありますけれども、やはりそこが議論になる部分だろうなと思います。これが公的保険の場合には、保険料だけではなくて税金を投入するという部分もありますから、やはりそうしたことも加味しながらの議論になるし、今おっしゃったような問題が絶えず議論すべき問題としてあるというふうにまずは理解をいたすところでございます。

大島(敦)委員 冒頭からなかなか答えづらい質問で申しわけなかったと思うんですけれども、自分としては保険給付というのは絞るべきだと考えているんです。保険給付以外のところは、公的な、今大臣がおっしゃいました、公費を使って給付をすべきだと考えている。その方が制度設計がわかりやすいと思っているんです。ですから、今回はそこのところが混在していますから、恐らく、本当にここまで見ていいのか。

 確かに、いい事業もたくさんありまして、その地域の特性によって相当開きがあります。例えば、旧商店街、昔ながらの商店街のところは非常に高齢化率が高い。東京に通勤していた団塊の世代が住んでいるところは、今は若いんだけれども、これから老齢化が進んでいく。農村地域もある。それぞれ、皆さんがおっしゃるように、中学校区ごとに住まわれている年齢階層も違うし、所得階層も違いますから、それぞれの介護予防事業があって僕は当然だと思っているんです。ですから、そこのところは絞らないで、さまざまな試みをした方がいいかなとは思っているんです。

 ただ、それが保険給付の対象に入るかというと、私は入らないと考えている人間なんです。そこのところは明確に区別して、保険給付の対象とそれ以外の、これは福祉というんですか、福祉の対象に、保険と福祉は分けて考えた方が、この介護保険は、多分、持続可能性、非常にいい制度として残っていくのかなと思っているんです。

 ですから、今回は恐らく、五年目の見直しとしては、そこのところを政府としてどう考えるかという明確な意思を示すタイミングだったのかなと思っているんです。今回制度設計すると、五年後というのは団塊の世代が六十で定年退職を迎えて、そろそろ地域に戻ってきて、自分の問題として物事を考え始めるんです。そのときだと制度設計を組みかえることが遅いかもしれない。だから、今回は本当に皆さんが真剣に考えたのかどうなのかなというところは、ちょっと私としては意見を聞きながら疑問に感じてきたところなんです。

 その中で、素朴な疑問を幾つか聞かせてください。

 例えば、今回の地域支援事業、この事業というのは、僕は非常にいい事業だと思うんです。地域支援事業、例えば、私も今回介護保険法の審議をするものですから、週末、地元で、公民館であるさまざまな催しに参加というのか見させていただいて、御婦人の方と話すとこういうことを言っているわけです。だんなは家に引きこもりでなかなか出てこないというんですよ、一緒に出ようと言ってもなかなか家から出てこないと。ほかの御婦人は、きょうちょっとこの催しに来るのに、行ってきますと言ったら、また出かけるのかと言われたと。ある御婦人は、だんなとは旅行したくない、でも五回に一回ぐらいは行ってもいいよというわけなんですよ。

 こういうことというのは非常に大切なことなんです。介護予防、いや、引きこもり防止というのは、サラリーマン、団塊の世代の人たちにどうやって地域に参加していただくかという工夫をしなくちゃいけない。このアイデアは自分も持っていないんです、どうやれば出ていただけるというのが。皆さんは、団塊の世代のちょっと上の奥さんたちに伺いますと、カメラとか山歩きとか、趣味では出るというわけです。だけれども、自治会活動というのはなかなかおっくうになってしまうと。ある御婦人の方は、営業をやっている人とかはなかなかいいんだけれども、会社で管理業務をやっていたとか現業系の仕事をしていると、なかなか家を出ないというんですよ。

 そういう特性を踏まえて、地域の中にしっかりと今いろいろな仕組みを埋め込んでいかないと、去年、年金法案が可決をいたしまして、専業主婦でも離婚時にこれは権利として半分半分をいただけるようになりました。このことは、ひょっとしたら離婚がふえるかもしれない、かもですからね、わかりませんけれども。だから、夫婦の間の関係とかいろいろなものがこれから地域の中で噴き出してくるのが、多分今はわかっていない五年後、十年後だと思っているんです。

 ですから、地域の支援事業の中でいろいろなアイデアがあるでしょう。どういうところまでが認められるかというところをちょっと局長に質問したいんですけれども、地域の支援事業、例えば、公民館があります。公民館をバリアフリーにするのは、今回、三月に通りました地域介護・福祉空間整備等交付金で公民館のバリアフリー化の予算はつけられる。その中で、引きこもり予防として例えばカラオケをやるとか、あるいは、なかなかこれはおもしろいものがないと人は出てこないわけなんです、例えば、公民館の中でマッサージをしてあげますと。

 今政府が言っている、これから要支援になるであろう五%の人たちを対象に、皆さんに関しては公民館でマッサージをやりますから、例えば十分間の足裏マッサージをしましょう、ですからそこに対して来てくださいよ、そういう事業を起こしたときに、今回の介護保険法の中の地域支援事業の予算としてそれが認められるかどうかというところをちょっとお聞きしたいんです。

尾辻国務大臣 後半の方の御質問に対しましては局長から答えさせます。

 ただ、冒頭の御質問に対して、私が十分御趣旨を理解できずにお答えをいたしまして申しわけなかったと思うものですから、改めて、先生の御趣旨を踏まえて今回の私どもの考え方だけはお答えを申し上げておきたいと存じます。

 先生おっしゃったように、保険をもう本当にぎりぎり保険の世界で考えるのか、そして福祉は税金でやろうと。これは、峻別という言葉がいいのかどうかわかりませんが、峻別した施策でやろうというのは一つの考え方だと思います。

 ただ、今回私どもが考えましたのは、今の介護保険のやり方でやっていこう、そして、これはもうどなたもお認めいただくように、持続可能なものにしていかなきゃいけない、財政的に破綻しないようにしたい。そのためにどうするかということでありますが、そこで私どもは、介護予防、予防ということに力を入れるべきだと。その予防を今度はどういう形で具体的にするかということを考えましたときに、今介護を必要としない、要支援でもない方々、その方々の、そこの水際のところで予防したいということを思ったものですから、地域支援事業をそこに入れて、そしてそれも介護保険の世界に取り込もう、これが私どもが考えたことでありまして、私どもがこう考えましたということだけを申し上げて、あと、地域支援事業の答弁は局長にさせます。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域支援事業で事業として市町村に期待されておりますことは、一つは、被保険者の方が、第一号被保険者でございますが、要介護状態などになることの予防とか、要介護状態等の軽減もしくは悪化の防止のために必要な事業をされることになるということで、市町村がその事業として正しいと判断されたものは、この地域支援事業の対象となり得ると考えています。

 そういった中で、再三議論されている運動器の機能向上でございますとか口腔ケア、栄養、こういったものは厚生労働省としてはエビデンスがあるというふうに考えておりますので、モデル事業などで、実施する場合の問題点などを今検証させていただいているわけですが、このほかまだ課題として、認知症の方に対する予防でございますとか、今委員から御指摘の閉じこもり予防、そういったことなどさまざまな課題があり、こういったものについては、私ども専門家に御相談している中では、地域支援事業の中でさまざまな取り組みが可能なのではないかという御示唆はいただいているところでございます。

 ただ、先ほど例に出たカラオケとかそういったものが具体的にそこにつながるかどうかということは、実施される市町村の方でよく御判断を願いたいと思っております。

大島(敦)委員 介護の予防給付に当たっては、よく言われているエビデンスという科学的な検証が行われたものを給付していくというのが介護保険。地域支援事業というのは、そこのところのエビデンスというんですか、科学的な検証がなくても、いいなと思えるものはやってみる取り組みかなと私は理解をしているんですけれども、そのような理解でいいかどうか、お聞かせください。

 もう一つ、これまで地域支え合い事業というのがありまして、その中ですと、皆さん、対象の老人の方というのか、六十五歳を超えた方が集まってお茶を飲むということでも、多分それは事業費として拠出の対象になっていたかと思うんですけれども、そのことを考えると、相当広範囲な事業を予定しているということでよろしいでしょうか。

中村政府参考人 委員御指摘のとおり、保険給付としてなされる新予防給付と地域支援事業は異なります。地域支援事業は市町村が行う事業で、保険給付という位置づけはされておりませんで、介護保険の財源は使いますが、従来、保健福祉事業、これは第一号被保険者の保険料だけ使うという事業だったわけですが、その考え方に税金も加え、二号保険料も予防事業については加えることができるということで構成をさせていただいたものでございます。

 従来補助金でやっております事業がございまして、かなり幅広く行われておりますが、そういった補助金の事業について、評価もなされていないとか、ばらばらであるとか、整合性、整合性と申しますのは、要支援の方に対する給付、いわば介護保険給付とそれ以外との連続性も整合性もないというふうなことを指摘されておりますので、私ども、委員御指摘のかなり幅広い補助金の事業とは違う、まさにやかましく今御審議いただいているわけでございますが、根拠のある、それから効率性の高い、またコストパフォーマンスのよい事業ということを強く市町村の方にもお願いしてまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 今述べた局長の考え方も一つはあるかと思います。

 しかしながら、制度として、供給者の側に立った施策と受け手の側に立った施策は、私は違うと思っているんです。やはり、まずは家から出てもらおうということが一番、結構大切なのかなと思っているんです。家から出るためには、ある程度出ようという意思が起きるようなものでないといけないなと思います。先ほど、我が党の中根議員が質問の中で使った一番最後のページにある、いきいきトリムコースというところを見に行ったらだれもいなかったというのは、僕はこんなものだと思うんですよ。こういう施策というのは、当たらない施策が結構多いのかなとは思うんです。

 ですから、やはりそこには楽しさというものがないと、なかなか人は寄ってこないんです。ですから、いろいろと試してみて、当たるか当たらないかわからないけれどもやってみるという柔軟性も必要だし、当たらなかったらやめるというのも必要だと私は考えているんです。

 このことというのは、地域においての、工場内での生産性活動運動と非常によく似ていると思っていまして、製造工場ではいろいろな生産性活動運動をやっていまして、JK活動、QC活動、TPM活動とか、いろいろと手をかえ品をかえ、いろいろなことをやりながら皆さんに関心を持ってもらうということが必要でして、多分、筋力トレーニングも、余りやっていると飽きちゃうから、また次のメニューに変えてということにはなると思うんですけれども、そういうことが私は必要だと思っています。

 ですから、余り、そこのところをもう一回答弁いただきたいんですけれども、ぎちぎちに縛ってやるのか、ある程度、最初やってみないとわからないわけですからやってみて、その結果を見てやるかどうか判断するのか、そこのところをちょっと、もう一度お考えを聞かせてください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御説明申し上げましたが、地域支援事業は市町村の事業、こういう位置づけでございまして、市町村が事業主体となって市町村の事業計画を立て、その市町村の事業計画の中で介護保険財政のことも考えて実施する事業でございますので、基本的に市町村のいわば地方分権的な制度として行われておりますことは基本の前提でございます。その上で、効果の上がる事業を目指していただきたいということを申し上げているわけでございます。

大島(敦)委員 今回の地域支援事業の財源の問題について触れさせてください。

 お手元の資料の二ページ目でして、これは私の手書きのスケッチでして、大分苦労して書いたんですけれども、今回の地域支援事業が加わります。これまでですと、介護保険の財源として、一〇〇%というのが今までの介護保険の財源です。例えば十億円というのを置いてあります。国が二五%、県が一二・五%、市町村が一二・五%、第一号被保険者一八%、第二号被保険者三二%。プラス、要は地域支援事業が加わるわけです、三%部分。ですから、十億円に対しては三千万円分、地域支援事業が加わってくるのかなと。

 先ほどもるるこれまでの答弁の中で述べておりますとおり、介護予防事業というのはこれまでどおりの負担だ。包括的支援事業、これは、包括的支援事業というのはマネジメントあるいは固定費、運営費部分だと思うんですけれども、ここのところは二号被保険者が抜けて、二号被保険者が抜けた分を国と県と市町村がそれぞれ負担していく、これが地域支援事業なんです。

 この地域支援事業の三%の予算というのは、消化しなくちゃいけないんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 これは義務とかそういうことではございませんで、市町村の事業計画、これに従って事業が組み立てられる、こういうものでありまして、消化とかそういう性格のものではございません。

大島(敦)委員 そうしますと、地域支援事業の三%部分については、全額使わない場合、残した予算というのはどういう考え方をすればよろしいんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、この地域支援事業の費用も、市町村の介護保険の財政から見ますと市町村の方の負担になるわけでございますので、結局、もし地域支援事業の額が少なければ、それだけそこの市町村の介護保険財政の規模が小さい、こういうことになろうかと思います。

大島(敦)委員 よくわからないんです。

 もう一度詳しく教えてほしいんですけれども、これまでは、一〇〇%、従来の介護保険財源というのは、これは各市町村の被保険者が使った、要は被保険者が介護保険の対象となる給付を受けた場合に、それ見合いで、多分、国、県、第一号、第二号が負担するという考え方かなと思うんです。こちらの三%部分の地域支援事業のあり方の財源のものについて、例えばここに三千万円と書いてありますけれども、三千万円を一千五百万しか使わなかったといった場合のほかに与える影響というのは、どういう影響があるんでしょうか。

中村政府参考人 市町村が地域支援事業で自分で持つ部分もございますし、それからほかの、ここでいいますと国とか県が持つ部分、第二号の持つ部分があるわけですが、そういったものが少ない分だけその部分も小さくなる、こういう形になるわけでございます。

大島(敦)委員 そうしますと、地域支援事業については、今の三%部分というのは独立をしていると。介護保険財源のこれまでの部分の、例えば十億円介護保険財源として要は拠出した、その十億円とはまた別に三千万円という上限があって、その三千万円の上限の中で市町村が一千五百万円しか使わなければ、その分だけ市町村の負担も、例えば介護予防事業でしたら、三千万円掛ける一二・五%ではなくて一千五百万円掛ける一二・五%で、各保険者も応分に負担するという考え方でよろしいわけですか。

中村政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

 もう一度申し上げますと、この三%分も含んで実際に地域の保険料も設定されますので、第一号被保険者の保険料の額を決める場合に、地域支援事業の額が少なければその分保険料は少なくて済む、こういう計算になります。

大島(敦)委員 今回は、保険料を、一〇〇%プラス三%を上限とした地域支援事業という考え方で地域支援事業の財源が確保されているわけなんです。

 これは政令でこの三%の幅を決めていくかと思うんですけれども、健康保険とかあるいは雇用保険とかさまざまな保険の仕組みの中で、今回のように、こういうような拠出を行う、地域支援事業として三%というのを決めるということについて、もう少し丁寧な議論が必要なのかなと。あるいは別建てで法律をつくってもいいのかなとは私は思うのですけれども、その点について大臣のお考え、こういう、制度で、介護保険の中で一項目条文をふやせば、地域支援事業が三%を財源として全国で二千億円分の財源が確保できるんですよというのか、あるいは別に法律建てをした方がいいと思うのか、ちょっとその点について伺わせてください。

尾辻国務大臣 このたびの地域支援事業の財源をどうするかということで、そして保険料から、では三%という上限を決めて、その中でというようなことにすると今御説明申し上げておるわけでありますが、具体的にはそうした形でやろうとしておる。そうしたようなことについて、では、どういうふうに定めるべきかということでありますが、やはり介護保険という大きな法律の枠組みをつくって、その中での政令で定めていくということは、私はその方法はそれでいいんだ、政令で定めるということは、そのやり方でいいというふうに思っていますということをまず申し上げるところであります。

 ただ、政令で決める、その決めるときに、各方面の御意見を聞いたり、特にこの件でいうと、市町村の御意見というのをよく聞いたり、あるいはまた関係の皆さんの御意見を聞いたりということは大変重要なことで、慎重に決めていかなければいけない。政令を出すに当たって、極めて慎重な検討が必要だ、それに基づいて政令を出すべき、こういうふうに考えます。

大島(敦)委員 先ほどの局長からの御答弁で、地域支援事業の内容というのは相当幅があるなと私は考えました。介護予防給付に関しては、ある程度の科学的な検証が行われて給付するわけですから、介護保険の財源として認め得るのかなと。ただ、介護保険の財源の中で地域支援事業まで含めることが、本当に介護保険の内容として正しいかどうかというのは、私は疑問なんです。ですから、もしも地域支援事業をやるのであれば、介護保険とは別建てで法体系をつくって、それで皆さんから拠出を仰ぐべきではないのかなと私は考えているので、あえてこのような図を用意させていただいたのです。

 ですから、これは介護保険の考え方とはちょっと切り離して考えて、同じ法文の中に入れるべき内容ではないのかなと思っているのですけれども、その点についてどうお考えなのか、伺わせてください。

中村政府参考人 大臣からもお答え申し上げましたように、この提案をいたしました際、保険者である市町村、それから第二号被保険者の保険料を負担しておられる労使、それから医療保険者、さまざま御意見をいただきました。

 他方、地域支援事業を行うことにより、ケアマネジメントの見直しや、軽度の方、要介護認定前の方の介護予防の市町村事業を実施し、要介護状態になることを防ぐ財政効果を考え、今回、この三%の地域支援事業の経費をかけますが、それを含んだ上で財政試算を公表させていただいておりますが、介護予防、新予防給付とあわせて、約一割程度の将来の給付費増を抑制する効果があるというふうに考えており、そういう御説明をし、関係団体の御理解を賜ったものと私どもは考えております。

大島(敦)委員 将来における一割の給付の削減ができるということで地域支援事業を認めていただいたということなんですけれども、その一割の内容というのは、恐らく明確には用意されていないのかなと推察をしております。

 それで、今回の地域支援事業なんですけれども、上の図の三%の中で、括弧ぐくりの中で、例えば三千万円という地域支援事業のトータルの予算規模があります。市町村が負担するのは一二・五%、介護予防事業、あるいは包括的支援事業で二〇・五%ですから、これは案分もあるのでしょうけれども、大体一七、八%が市町村の負担で、残りの八〇%を超えた八二、三%が恐らくは市町村以外の保険者及び国と県が負担することになるかと思うのです。

 私が考えるに、そうすると、地域支援事業のさまざまな事業を認められる、あるいは市町村がある程度自由度を持って運用できるといった場合には、皆さん丁寧に使うとは思うのですけれども、よく考えて使うということも私は必要なのかなと思うのです。

 これは私の、どう考えるかというのをわかりやすくしたのが下の図なんですけれども、例えば、上の十億円と三千万円を一括して、十億三千万円という予算を組む。市町村の中で一二・五%のうち三%程度、十億三千三百万円掛ける三%というのは残念ながら三千万円よりも若干超えるものですから、その三%程度を地域支援事業に充当するという考え方の方が、恐らく市町村の運営者としては丁寧にお金を使っていくはずなんです。

 その三%部分について、先ほど局長もおっしゃっていました、地域支援事業については三千万円、例えば介護保険財源が十億円であれば、その三%の三千万円を全額使わなくてもいいよというお話がございました。この三%部分について、市町村は全額使わなくてもいいというようなことにすると、ですから枠取りをし「充当する」なんですけれども、そうすると丁寧にその部分を、予算消化ではなくて、このままですと、やはり八割を使えるわけですから、予算消化的な圧力がかかっていくわけなんです。

 全額市町村の財源だ、使わなければ全額を使わなくてもいい、その分、残ったところは一般財源、残った部分というのはその部分市町村の負担が減るというふうにしておいた方が、全国で多分一千八百億円とか二千億円と言われている予算の使い方として、正しく、よりよく使われるのではないのかなと私は考えるのですけれども、その点についてお考えを伺わせてください。

尾辻国務大臣 お世辞を言うつもりもありませんが、先生のおかきになったこの図を見て、大変私も感服をいたしております。実は、私がここまでわかるのに随分時間がかかったものですから。ここまで理解するのに随分時間がかかったものをさっと先生が理解して、これだけ図示なさったというのに改めて敬意も表させていただきたい、こう思います。

 そして、実に細かく言っていただいたものを、今度は余りにも大きく理解するというか、ざっと理解してお答え申し上げるのもいかがかなと思いますけれども、結局、先生の今のお話というのは、市町村の一般財源にすれば一番わかりがいいだろう、そして節約するというインセンティブが起こるだろう、こういう御趣旨でのお話だと思うものですから、そう理解をさせていただいて、それに対するお答えにさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、八割ぐらいはよそからくるお金だ、こういうふうに先生言われて、それであれば、節約するというインセンティブがそれだけ弱くなるだろうというお話もありましたけれども、今の市町村の非常に財政の厳しい中で、そして介護保険の保険料も幾らにしようかという非常に悩み多い中で、二割分持っているという部分はやはり大きいだろうと思いますので、いずれにしても、一般財源にして全額というのと二割だけだからというのとで、そう大きな違いが出てくるかなというのは私はよくわかりませんというか、節約しようという市町村の思いがそう大きく変わらないのではないかなと思いますということをまず申し上げたいと思います。

 それからまた、これは先ほど局長がお答えしたわけでありますけれども、水際作戦という表現をいたしました。そのことがあって、私どもは保険料の中からと思いましたし、それから、局長がお答えした中でそういう表現をしておりませんでしたので、そう申し上げる方がわかりがいいと思って、あえて私が今改めて申し上げるんですけれども、この地域支援事業の中の包括的支援事業の中に、地域包括支援センターに係る分が入っています。

 これは、今度の介護保険の中でどうしてもやってもらわなきゃいけない部分でありますから、いわば今度の介護保険の仕組みの中でコアの部分と言ってもいいような部分でありますから、これをやっていただくということをいいますと、やはりどうしても保険の財源の中でということをお願いしたということもありますということを少しつけ加えて申し上げて、お答えにさせていただきます。

大島(敦)委員 一般財源ということではなく、保険の財源の中から、市町村の一二・五%の中の三%部分についてはもう市町村の事業としてやっていただく。大臣がおっしゃっておりました包括的支援事業の中のセンターについては、もちろんそこから出していただく。

 私のこれまでの会社の経験に基づいてこういうアイデアを出しておりまして、なかなか自分のお金ではないと厳し目には使わないというのがありまして、やはり市町村に保険者として責任を持って今後やっていただくという方針を国としては出しているわけですから、市町村が自由に使える財源をしっかり確保しておくというのも市町村に対する礼儀かなと思っているんです。そのことが多分これから各市町村の創意工夫に結びついていくと思いまして、ですから、今後もしも改正することがありましたら、私の考え方も踏まえて改正していただければなと考えております。

 次に、特定施設のことなんですけれども、今回の介護保険法の改正の中で、新しい住まいのあり方ということを皆さん考えていらっしゃいまして、私はこれをよくよく考えてみると、特別養護老人ホームをつくるための設備費、投資というのは結構な金額だと伺っております。聞くところによると、一つつくるのに十億円ぐらいかかるというお話もありまして、その財源がなかなか出せなくなってきているのがあるのかなというのが一つ。

 もう一つは、これから首都圏あるいは都市部の高齢化を考えると、今から地域の施設、要は介護状態が三から四から五になる方たちのための施設をつくった方がいい。

 今回の国のアイデアの中ですと、小規模多機能型居宅介護、恐らくこれから首都圏ではそこから始まっていくのかなと。まだ介護度が低い人たちが多いですから、まずは小規模の居宅介護でやっていただく。それを中学校区ごとに一つつくっていく。それが徐々に加齢とともに介護度が上がって、地域の中で、介護度が三を超え、四から五になって、結構大変になってくる。そうすると、今度はなかなか在宅というのは難しいと思うんです。やはり私の知り合いでも、介護状態が四あるいは五の御両親をみとられた方のお話を伺っていますと、在宅は大変だというお話を聞きます。そうすると、地域の中で施設を今から準備すべきだと私は考えているんです。

 なぜかというと、ここ十年間ぐらいはまだ日本の力はありますから、まだ今のうちは設備投資ができる時代なんです。これが、今の団塊の世代が十年後から十五年後になって皆さん年金の受給者に変わったときに、日本の力はそれほどないと思うんです。ですから、今地域の中でやっておくことは、将来に備えた設備投資をどうやるかということが必要なのかなと思っているんです。

 その中で、今回、特定施設についての間口を広げたわけです。今までですと、有料老人ホームとケアハウスについては特定施設だよと。今後はもう少し間口を広げる。例えば、伺うところによりますと、石毛議員が質問をされました高齢者向けの優良賃貸住宅もその対象になるかもしれないし、あるいは寮を改築したものも、社宅とかあるいは社員寮を改築したものも特定施設として認可するかもしれないし、非常に幅が広いと思うんですけれども、その点について、具体的な基準をどのように設けるか、方針が決まっていれば教えていただければ幸いです。

中村政府参考人 ただいま委員からお話のございました特定施設は、高齢者の住まいと介護サービスをあわせて提供するサービスでございまして、高齢者の世帯が増加する中で高齢期の住まい場所として重要な役割を果たしている、こういうふうに考えております。また、介護保険制度が導入されましてから、今委員御指摘のとおり特定施設は有料老人ホームとケアハウスだけでございますが、数はかなり急速に増加しており、この五年間で相当数有料老人ホームなりケアハウスが特定施設として認められた、こういうことでございます。

 今回の改正では、さらにこの特定施設を拡大するという観点から、委員お話のありました高齢者向け優良賃貸住宅などにつきましても、従来の対象施設である有料老人ホームと同様に、基準を満たしたものにつきましては特定施設の対象とすることといたしております。

 基準でございますが、介護者の配置の問題もございますが、施設そのものが、例えばバリアフリーであるとか、それから、やはり三百六十五日二十四時間、生活支援の体制が整っている、こういったことが基本的には基準になると思いますが、どこまで広い範囲で認めることができるか、これからさらに検討をさせていただきたいと考えております。

大島(敦)委員 ポイントとなるのは、介護度の低い方ではなくて、これは小規模多機能型居宅サービスでやるわけですから、介護度が重くなった重度の方が対象となるのが特定施設だと私は考えるんです。そちらの方で政策誘導をしていただきたい、そちらの方で準備しておくべきだと考えています。

 もう一つは、そうすると地域の中にさまざまなサービス提供者が出てくるわけです、小規模多機能型があり、グループホームがあり、特定施設があり。事業者として考えますと、これまでは施設に付随した事業者だったわけです。特別養護老人ホームの事業者、これが一つですね。これが幾つかまとまって、例えば十個持っている方とか、百とかいう単位ではなかったはずなんです。これからは、例えばわかりやすく言うと、国道沿いにあるファミリーレストラン、あれの形式というのは、店舗も含めてすべて要は地権者が建てるわけですよ。それを事業者がすべて借り受けて、賃借料を払っていくという形式なわけです。

 恐らく、これからの三十人以下の小規模のものも、あるいは特定施設も、一つの事業者がそれぞれのところと包括契約を結んでサービスを提供していくような業態が出てくるのかなと。そのことを考えている事業者も多いと思うんです。その点について、それは認めるのか認めないのか、お考えを伺わせていただければ幸いです。

中村政府参考人 先ほど、介護保険導入後、特定施設がかなり増加したというお話を申し上げました。また、小規模多機能のお話がございますが、認知症のグループホームは、介護保険に入れる前は二百六十六でございましたのが、六千を超えるというような形に急増いたしております。

 そういう状況の中で、今委員から教えていただきましたけれども、ある意味では、土地とか不動産を持っておられて、そのいわば活用と申しますか事業化というような観点からこの介護の世界に参入される方も少なくない。いわば一種の、そういった意味での介護ビジネスということが盛んになっている、こういう御指摘もいただいているところでございます。

 私ども、介護ビジネスであるから問題があるというふうに直ちにはならないと思いますが、問題を生じている事例もございますし、余り高齢者介護なり福祉、医療といったことに精通されていないでこういう事業を始められるというような問題もございますので、どういう形で私ども対処していったらよいのか、そこの点、片っ方では規制の緩和という御要請もある中で、きちんとやっていく必要があると思います。

 今委員御指摘のお話は今後も続く問題だと思いますので、今回の改正では、事業者の方に対する事後規制の強化でございますとか、それから情報開示の義務づけでございますとか、特に有料老人ホームにつきましては、定義の見直しもいたしまして、高齢者の方に入居していただいて生活サービスをする形態は、人数のいかんにかかわらず有料老人ホームということで届け出をしていただいて、前払い金の保全措置の義務づけなども講ずることとしておりますが、なお委員御指摘の点などもよく踏まえて検討させていただきたいと思います。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

大島(敦)委員 これまで、例えば介護労働者の労働条件を守るということで、本多委員から経営事項審査の項目についてのお話がございました。

 それは、介護サービスの情報開示の標準化をして、要は、介護サービスの受け手が事業者を選ぶときに経営事項を入れることも大切かもしれないけれども、国土交通省の、今皆さんのお手元に資料があります三枚目なんですけれども、経営事項審査というのは、もともとこの制度というのは公共入札があればこそ機能する制度なんです。公共入札があって、建設会社が入札をしたい、入札を落とすためにはこの内容に沿って自分の点数を上げておかないと入札ができないから、要は、この項目の四番なんですけれども、「その他の審査項目(社会性等)」において、「労働福祉の状況」とかいうのを考えてくるわけなんです。あくまで、受注するためとか企業にとってのメリットがないと機能しないんです。

 私は、今後、皆さんに取り組んでほしいのは、多分、介護ビジネスに大きい資本が入ってくるでしょう。そのときに、要は、ある一定の規模を超えたら何点以上じゃなければいけませんよという規定を設けてほしいんです。例えば、二十人ぐらいの小さな事業形態であれば登録型のヘルパーさんが多くてもいいでしょう。ただ、百人あるいは千人になって事業規模が大きくなってきたときには、そこにはしっかりとした退職金制度、あるいは社会保険にも入っていなければいけないとか、そういう縛りを設けることによって企業のインセンティブを働かせなくちゃいけないんです。

 その点について、しっかりと取り組んでいただけるかどうか、お答えください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険が施行されてから三年たちましたときに、平成十五年の四月に介護報酬の改定をさせていただきました。そのときに、例えば訪問介護など経営状況を見ますと、大変苦しい状況にあるということで、在宅については介護報酬の引き上げも図ったところでございます。

 その際、今委員から御指摘がございましたように、同じ訪問介護の事業所といっても設置主体によって、地方公共団体立であるか、社会福祉法人立であるか、医療法人立であるか、営利法人であるか等々によってもかなり差があるし、立地場所、都市、農村、そういった地域性もあるのではないかということで、要は、今、訪問介護を例にとりましたけれども、そういったきめ細かい事業者の状況を配慮した政策立案が課題である。こういうことは、十五年四月の介護報酬の改定の際にもかなり各方面から御指摘いただき、また、国会の御審議の中でもそういう指摘をいただいているところでございます。

 今、委員からは、具体的に、事業者の規模に応じてきちんとインセンティブを高めるような方策を検討すべきであるということで、公共事業のこの資料を見せていただきましたけれども、私ども、これも含めて検討の材料とさせていただきたいと思います。

大島(敦)委員 大臣、厚生労働省の方がこれまで相手にしているところは産業界ではないんです。公的なセクターが多いわけですよ、病院あるいは福祉とか。あくまでここに来るのは産業界の方たちが来るわけなんです。要は、産業界の人たちのマインドをしっかりと察知しながら施策を組んでいかないと、本当に特定のところが非常に巨大化してしまうということになってしまうんです。だから、今までの介護で、与党からも質問がありました、特定のところが非常に大きくなってしまうというのは、そういう観点での行政がなかったからなんです。

 このところはしっかりと、なかなか勉強してくれといっても感覚的につかめないですから、人事交流をするとか私たちの意見を聞いていただくとかしていきながら、いいものをつくってほしいんです。自分は予感できるわけです、こういうようになるというのが。自分がビジネスマンだったらこういうふうにしていくというのが見えるんですよ。だから、今から、しっかりとした、規模に見合った品のよさが必要だよということを事業者に言っておかないとだめなんです。だから、そこのところをぜひお願い申し上げます。

 時間もいつもながらなくなってきましたので、地味な質問をさせてください。

 「特別養護老人ホームの入所者における利用者負担の変化」という、皆さんがつくった資料で、第二段階と、あと新第二段階、新第三段階というのがありまして、ここについて、これまでも皆さんからいろいろと議論があったことをもう一回させてください。

 新第二段階なんですけれども、新第二段階ですと、年金が八十万円以下の方は、四万円が三万七千円に、三千円減るんだ、八十万円を超えてしまうと、四万円だったのが五万五千円になって、一万五千円上がるんだと。この新第二段階と新第三段階で、八十万円を超えるか超えないかでこの増減をとりますと、人によって一万八千円差が出てくるわけです。十二カ月ですと二十一万六千円が八十万を超えるか超えないかで差がついてくるわけなんです。結構な金額です、この二十一万六千円という金額は。

 今までですと、皆さんのいろいろな議論の中で、社会福祉法人の減免制度というんですか、聞きなれない言葉で、よく皆さんもわかっていない制度だと思うんですけれども、減免を利用して、社会福祉法人の好意でそこのところは面倒を見てもらうという話があったと思うんですけれども、社会福祉法人、特に特別養護老人ホームには減免の制度はありますけれども、ほかの二つの制度にはないはずなんです。ですから、本当に皆さんがおっしゃっていることは機能するのかどうか。

 今、特別養護老人ホームの経営者の方は、いや、介護報酬が減らされてしまったから大分経営も厳しくなっていると。その中で減免といって、好意でお金を出していただく、補助していただける人が本当にいるのかどうか。そこのところをちょっと御答弁していただければ幸いでございます。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございました社会福祉法人による利用者負担減免制度、これは、社会福祉法人の好意によって行うという制度よりも、実際には、特別養護老人ホーム入所者が市町村の方に減免申請をする、こういうことがスタートラインになりまして制度が動いている。こういう制度につきまして、社会福祉法人の方で利用者負担を減免すると費用がかかりますので、それにつきましては市町村が減免額のうちの一定割合を助成する、こういう仕組みでございます。

 今、こういう制度を行っております社会福祉法人さんは、特別養護老人ホームでいえば六割、減免の事業の実績があるということでございます。多分、一定額を超えないと市町村の方から助成金が出ませんので、その一定額の以内で減免されている社会福祉法人はさらに多いのではないか、こういうふうに考えているところでございます。

 今回、今委員から御指摘のございました、第三段階について相当幅がある、こういった御指摘もいただいております。その際、私ども、第三段階ということで、利用者負担につきましても補足給付によって上限の裏打ちをしているところではございますが、低所得の問題がある場合につきましては、社会福祉法人の減免制度の、今の制度でございますとちょっと運用上うまく動かないところもありますので、見直しをしていく必要があるのではないかと考えております。

大島(敦)委員 今のお話ですと、減免制度というのも市町村頼みの制度だと思いました。

 今、市町村はそれほど財源がないですから、そう簡単に、申請したから減免措置をされる市町村も少ないかなと思っています。ですから、この第三段階、第二から第三に上げるところにもう一段階つくるべきだったのかなと私は考えるんです。あるいは、年金の受給に関してはもう少し丁寧な制度もありますので、そういう制度を見習っていただいて、緩やかに所得あるいは年金の収入によって利用者負担が変わるような制度をもう一度考えていただけるかどうか、御答弁をお願いします。

中村政府参考人 今の御指摘の点で、市町村にやっていただいておりますが、この市町村の助成に対しまして、国が二分の一、県が四分の一、こういうことでさらに助成をしておりますので、市町村の方に対しても相当手厚い助成をさせていただいているのではないかと思います。

 今委員から御指摘のございました、よりきめ細かい対応が求められるのではないかということでございますが、今申し上げましたように、この社会福祉法人の減免制度につきましても、使いやすい制度にし、今回の見直しで、今御懸念いただいております新第三段階の所得の低い層の方々に対しまして、この措置が適用されるように見直しを行ってまいりたいと思います。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 在職老齢年金ですと本当にきめ細かい設定ができるようになっておりますので、今回のこの決め方というのはちょっと乱暴過ぎるのかなと思っております。ですから、今後ともよりよい介護保険をつくっていただくべく、皆さんには頑張っていただきたいなと思っております。

 ありがとうございました。

北川委員長代理 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 きょうは、昨日厚労省が提出いたしましたモデル事業にかかわる中間報告の問題と、それから介護労働者の問題についてただしてまいりたいと思います。

 まず初めに、新予防給付とモデル事業の問題なんですけれども、新予防給付の導入については、政府側は目玉として、既存のサービスについての見直しの問題、それから新たなサービスメニューを導入するということを上げています。

 この既存のサービスにつきましては、私は、百六十万人規模でサービスの抑制になるということについては、この場で繰り返し質疑してまいりました。

 きょうはこの新しいサービスの方についてただしてまいりたいんですが、老健局が私どもに説明に来る法案の説明の資料がありますけれども、これを見ますと、新たなサービスについては、「効果が明確なサービスについてモデル事業等を踏まえ導入」するということになっています。具体的内容としては、筋力向上、栄養改善、口腔機能向上などが示されております。

 それで、昨年度、全国六十九市町村が行った介護予防のモデル事業なんですけれども、これは厚労省自身が、効果的な介護予防給付のサービスメニューの検証や実証面での課題の分析を行うためということで実施したものです。それだけに、まだ中間報告ですけれども、昨日厚労省が出しましたこの中間報告は私は極めて重要な内容を提起したものだというふうに思いました。

 まず、尾辻大臣に確認しておきますが、先ほどの質疑の中でも、中間報告にかかわってこういうふうに答弁されました。筋力向上プログラムが一定の効果を発揮すると示唆するものと考える、恐らくそこに答弁書があるでしょうから、ほぼその文章だと思います。

 そこで、確認しておきたいんですが、これまで厚労省は繰り返し、効果が明確なサービスについてモデル事業等を踏まえて導入するんだというふうに言っていたわけですけれども、尾辻大臣は今回、この筋力向上のプログラムにつきましては効果が明確なサービスというふうに評価されたということなんですか。

尾辻国務大臣 おっしゃるように手元にもありますから、確認いたしますと、そのとおりに申し上げました。一定の効果を発揮することを示唆しておる、こういうふうに申し上げたのは事実であります。

 そう申し上げたのは、一つには、これは中間報告でありますから、この後まだ残りの報告も上がってきますし、全体の報告が上がってきて、そして全体の解析をきっちりした後で、また改めての私たちの評価、分析も申し上げなきゃいかぬと思っておりますが、きょう、中間報告でありますから、そういう一定の効果を示唆するという表現をさせていただいたものでございます。

山口(富)委員 そうしますと、尾辻大臣、確認いたしますが、今回の中間段階の報告で効果が明確なサービスと認めたわけではないということですね。

尾辻国務大臣 あえてそこまで申し上げると、先走るなと言われるかもしれませんけれども、私どもは、そういう分析になるまず第一歩といいますか、中間の報告でありますから、中間のところでこう申し上げておる、こういうことでございます。

山口(富)委員 中間、中間と言いますが、効果が明確なサービスということで認定したわけではないということが結論だと思います。それは、大臣が別にこれを決めるわけじゃありませんから。先走っては言わないというふうに言いましたけれども、井形さんたちのいわゆる評価の委員会の検討も経なきゃいけませんし、さまざまな手続が必要ですから。

 それで、私、ちょっと具体的にこの中間報告の中身についてこれからただしてまいりたいんですが、モデル事業で実施したサービスメニューというのは五種類あるんですけれども、一番多かったのはやはり筋力向上でした。

 それで、今回、新予防給付の対象と考えられている約百六十万人の方々は要支援と要介護一ということになっておりますので、私はこの中間報告から、筋力向上についてのみ、要支援と要介護一の方の状態の変化について、わかりやすい表にしてまいりました。

 それで、中村局長にお尋ねしたいんですけれども、まず要支援から始めたいんですが、これを見ますと、マシンの使用とマシンの不使用で区分けがされているんですけれども、マシンを使いますと、使わない場合よりも、生活機能の多数、それから身体機能ではほぼ全項目が悪化している。

 具体的に中身に入っていくと、例えば心の健康、二五・六%が悪化といいますから、四人にお一人ですね。この心の健康というのは「過去一カ月間、いつも神経質でゆううつな気分であった」ということです。活力も悪化しています。二四・四%。ですから、これも四人にお一人の方です。活力というのは「過去一カ月間、いつでも疲れを感じ、疲れはてていた」。それからもう一つ、身体の痛みというのがあります。二五・六%。これは「過去一カ月間に非常に激しい体の痛みのためにいつもの仕事が非常にさまたげられた」。

 局長にお尋ねしますけれども、なぜマシンを使うと、筋力向上といいながらこのような悪化するということが生まれてくるんですか。

中村政府参考人 大変申しわけありません。今、委員の資料、組み直しをしてあるのでうまく追えなかったところもありますが、マシンの使用、不使用の方の問題で申し上げますと、マシン使用なしの一次判定のデータがある方が三名のみでございますので、ちょっと参加前後の比較でも、マシン使用なしについては、本文の方を見ていただきますと、統計的な有意差なし、こういうような形が出ておるのではないかと思います。

 今回の中間報告でごらんいただきたいことは、改善、維持、悪化の傾向の割合の問題とともに、一定グループの方が事業参加前、参加後の測定値がどう変化し、その測定値について、グループ全員の方の変化について統計的な有意差があったかどうかというところも御確認いただきたいと思っておりますので、そこのことを申し上げさせていただきます。

 それから、今マシンを使用した場合の悪化の割合のお話が出ておりますが、マシン使用とマシン不使用との比較は、やはり、やや今回私どもモデル事業、マシン使用の方が数が多く、不使用の方がサンプル数が少ないというふうな問題もあるのではないかと思いますが、ここのところは私どもの事業の評価委員の先生方にもごらんいただいて、さらに踏み込んだ評価をしていただきたいと考えております。

山口(富)委員 私は厚労省が出した資料で質問しているんですから、もっとはっきり答えていただきたいんですが、要はわからないということですね、局長。

中村政府参考人 マシン使用あり、使用なしのそれぞれのグループの参加前後の測定値の比較につきましても、統計的有意差の有無の話等、きちんとしていく必要があると思います。

 また、委員御指摘の詳細な分析につきましては、私ども、これからさらにさせていただきたいと考えております。

山口(富)委員 それじゃ困るんだよ。あなた方の目玉の一つとして新予防給付を導入する、その中に入れているのがこの筋力の向上でしょう。ところが、聞いてみると、いや、分析はもっとこれからしていただくんだと。だめだよ。

 では、もう一つ聞きますよ。要支援で、要介護認定項目が七つあります。一次判定で六三・六%の方が改善されたということなんですが、そうしますと、こう考えてよろしいんですか。要支援状態にある方が筋力向上のプログラムを受けて改善する、そうすると、六四%といいますから十人に六人、五人に三人、これらの方々は現在の要支援の介護の援助から、生活援助から外される、そういうことですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 要支援の方が改善されて、六三・六%の方が次の要介護認定で非該当になるということになれば、介護保険の給付というものは非該当の方には給付がされませんので、そういった意味では、その段階で介護保険の給付は終わる、こういうことになると思います。

山口(富)委員 これは重大な問題なんですよ。要支援の方の六割を超える方々がこれまでの介護のサービスから外れちゃうというのがあなたの答弁。

 しかも、驚くべきなのは、先ほど私は七つの項目を上げましたけれども、生活機能や身体機能というのは全部悪化しているんですね。例えば生活機能でいいますと、身体機能が悪化、マシン使用、マシン使用していない人を含めて、マシン使用が二二・一%、マシン不使用で三四・三%の方が悪化しております。

 では、この悪化とは何か。この中間報告書にきちんと書いてあるんです。読み上げます。「健康上の理由で、入浴または着替えなどの活動を自力で行うことが、とてもむずかしい」。これは介護が必要な状態じゃないのか。どうなっているんだ。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今悪化の方のお話が出ましたが、そういった場合には、いわば要介護認定で該当されているわけでございますので、要介護認定に該当して、適切なケアプランのもとに、それに応じた、御利用者の希望に応じたサービスが受けられるものと考えております。

山口(富)委員 ですから、私が言っているように、これはマシンを使ったとしても使わなかったとしても、まだどういうことが起こっているのかわからないんですよ。しかも、今の要介護認定の項目でいくと、改善したのが六割になるんだけれども、実際には、体の痛みがあったり、入浴や着がえができないと言っている方が二割、三割といるのに、改善していると言う。だから、そのあたりをきちんと見ないことには、そう簡単に、筋力の向上、よろしいなんというわけにならないんだ、これは。

 では次に、私は要介護一を見たいんです。

 要介護一でなぜこうなるのか教えていただきたいんですが、マシン使用で一次判定で二七・九%の人が改善した。使っていない方でも四二・九%改善したということになるんですが、要支援と要介護一でなぜこんなに大きな違いが起きるんでしょうか。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 これがまさに今回のモデル事業の行った結果の一つでございまして、要支援と要介護一とを比較いたしますと、改善の程度について、要介護度によって差があるという結果が今回出たということでございます。

山口(富)委員 何だ、その答弁は。四月一日から当委員会で始まったけれども、あなた、一貫していますよ。質問者の答弁に、まともに答えないんだ。

 私が聞いたのは、要介護一と要支援で一次判定がこれだけ違うのはなぜなのかと。説明してください。

中村政府参考人 筋力向上につきましてもう一度御説明をさせていただきますが、要介護度について統計的に有意な改善が見られたわけでございます。

 これは、全体については四四%が改善している。それから、握力等の身体機能についてはほとんどの項目で改善が見られたと私どもは理解いたしております。

 それで、要支援につきましては、要介護一より改善する方が多かった、軽度者で改善の可能性が高いということがあったのではないかと考えております。それから、七十五歳以上の方の方が七十五歳未満より要介護度が改善した方が多い、こういうふうに考えられます。それから、脳血管疾患の既往症あり群は、脳血管疾患の既往症なし群に比べると改善した者が少ない。(山口(富)委員「もうそこまでで結構です」と呼ぶ)したがって、ここをお聞きいただきたいと思います。したがって、七十五歳未満、脳血管疾患ありの者は改善可能性が低いことが示唆されたということでございますが、要支援と要介護一の比較をすると軽度者の方の改善可能性が高いということでございますが、これは丁寧に分析してみなければわかりませんけれども、原疾患の違いによるということが相当あるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。

山口(富)委員 結局、あなたが今認めたように、わからないということじゃないか。

 しかも、私は資料の提出を求めたいんですけれども、この六ページに分析結果の概要が出ております。ここでは、七十五歳未満と七十五歳以上、いわゆる後期高齢者を区別して数字を出しているんですけれども、ところが、本文の方に参りますと、これは十九ページと二十ページに出ているんですが、これは残念ながら、マシンを使用しているか使用していないかという区分けはないんです、総数しか入っていない。

 今回の質疑の中でも、介護保険をめぐっては、総数だけで見るんじゃなくて、例えば施設と居宅を区別するとか、そういう区分けが大事だということで質疑をしてきたわけですから、これについては、次回の私の質問までに資料を提出していただきたい。

中村政府参考人 委員の御指摘の資料については、提出させていただきたいと存じます。

山口(富)委員 では、急いでその作業を進めてください。

 それで、先ほど局長は、筋力向上についても一定の前向きなものが見られるという話をしたので、私は重ねて聞いておきたいんです。

 老健局が最近、介護予防関係資料というかなり分厚い資料を配付しております。これの二十二ページを見ますと、「新たなサービスメニューの追加」というものがあります。これは、従来から我々に老健局が説明してきたものとほぼ同じですが、一つ大きな違いがあるんですね。筋力向上という言葉がなくなっちゃったんです。何という言葉か。「運動器の機能向上」、これを説明していただきたい。これは、筋力向上とあるいはこれまで議論してきたいわゆる筋トレとどう違うんだ。しかも、なぜ勝手に変えるのか。

中村政府参考人 私どももいろいろな検討会をさせていただいておりまして、その中で、一番最近の検討会の一つといたしまして、老人保健事業の見直しの検討会をいたしました。その際、いろいろ議論いただいた中で、筋力向上も含め、運動器の機能向上対策が大事だという御指摘もいただいているというようなことが一つ。

 それから、世界で今、骨、関節の十年ということが行われており、日本整形外科学会等、関係学会でも、運動器の十年、こういうことで専門家の方で方向性が示されている。こういうことがございましたので、私ども、筋力向上、これは骨や関節、筋肉の問題もあるということで、学会等で提唱されている運動器の機能向上という表現をこの説明資料で使わせていただいたところでございます。

山口(富)委員 私は、本会議でも質問に立ち、当委員会でもずっと質疑に参加しておりますが、そんな説明は一回もないですよ。事ここに至って、平然と説明を変えるんだから。

 大臣はこの問題を御存じだったんですか。今、筋力向上という言葉は使わない、運動器の機能向上なんです。大臣。

 いや、局長の答弁は要らないんです。私は、もうきょうは時間がないので、大臣に。

中村政府参考人 この資料は、三月三十日に、介護予防関係資料ということで御説明のために使わせていただいている資料でございますけれども、この国会の審議の中でも筋力向上というような表現は使われておりますし、私ども、勝手に変えているとか、そういったものではございません。

尾辻国務大臣 一つずつの表現については、今、ここの表現が変わったことは私も率直に知りませんでしたけれども、絶えず、私も説明を受けたりしながら、言葉遣いについて私が注文をつける場合もあります。

 記憶しておりますのでは、お年寄りの残存能力という言葉を使っていましたから、それはまずいんじゃないかと言って、少なくとも私のイメージとしてよくないから、その言葉、もう今後使うなとか……(発言する者あり)廃用症候群という言葉が今ありましたけれども、率直に言って、それも私が気になっている言葉の一つでもありまして、そういうふうに、やはり言葉を変えるように指示しましたり、お互いにできるだけいい表現にするような努力はその都度しておりますということを今申し上げたところであります。

山口(富)委員 結局、今度の新予防給付の大変大事な中身である言葉自身を平然と変えちゃう。しかも、それを主管の大臣である大臣にさえ報告していないというんですから、私は本当に驚きました。

 この中間報告は、きょう、いろいろ私が、ここはどう見たらいいのかと聞きましたけれども、基本的な答弁は、それはわからないということでした。

 大臣に、きょうの最初の質問と同じなんですけれども、とてもこの段階で、効果が明確なサービス、こういう形でいわば予断を持ってこの報告書を読むことがないように確認しておきたいと思います。

尾辻国務大臣 私も、そういう予断を持ってこれを読むまい、これはちゃんと努力をしたつもりですし、また今後もしてまいります。

 ただ……(山口(富)委員「それで結構です」と呼ぶ)いいですか、はい。

山口(富)委員 では、続きまして、きょうは介護労働者の問題を取り上げたいと思うんです、前回、質疑の最後にちょっと触れただけですから。

 それで、昨年の八月に労働基準局長名で通達が出ております。これはお配りした資料の三枚目に入っていると思いますが、「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」というものです。

 基準局長に端的に答えていただきたいんですが、一つは、なぜこのような通達を出したのか。もう一つは、特に、労働時間とその適正な把握について事業所に何を求めたのか、これを示していただきたい。

青木(豊)政府参考人 これは、平成十六年の八月に出しました「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」という通達でございますけれども、これにつきましては、訪問介護労働者について、例えば利用者宅間の移動時間でありますとか、そういった時間について労働時間として算定されていないとか、そういうようなことがありまして、労働時間、賃金等について労働基準法上問題のある事業場が認められましたので、労働基準関係法令の適用について、その徹底を図るためにこの通達を発出いたしました。

 特に、とりわけ労働時間につきましては、そういうことできちんと把握をしてもらいたいというのがまず前提でありますし、それから、なかなか実際のところで取り扱いが適正と思われないというような、今申し上げました移動時間でありますとか、業務報告書の作成時間でありますとか、あるいは実際に利用者宅の間で連続して間断なく仕事があるというばかりではありませんから、待機時間というようなこともありますので、そういったようなところについて特に留意をするようにということで発出をいたしました。

山口(富)委員 私のところにも介護労働者の方から随分たくさん意見が寄せられています。今局長が述べられたことと関連するんですけれども、ちょっと紹介いたします。

 夜間巡回のヘルパーとして一年になります。事務所に入るのが夜の十一時前、出るのは朝八時過ぎですが、四時間の勤務時間にしかならず、移動、書類記入のために時間は加味されていません。

 それから別の方、仕事をしていていつも思うのですが、移動時間がかかるのに対して、この部分について賃金がゼロということに疑問を持ちます。実働は五時間でも費やす時間は二倍くらいかかります。

 もう一人の方、サービス時間は実働六時間三十分ですが、拘束時間は八時間以上になります。公園やスーパーなどのいすに座って、昼の食事を十分や十五分ぐらいでされている方もいる、また家にも帰れず中途半端な待機時間を公園やスーパーなどでつぶしている方もいると。

 大臣は前回の答弁で、介護労働者の労働条件を改善していかなければ介護サービスの質の向上を図れないんだということはお認めになりました。私の手元にも来ているような、こういう介護労働者、特にヘルパーさんたちの労働条件の改善、これに取り組もうじゃありませんか、大臣。

尾辻国務大臣 先日も申し上げましたけれども、現場の方々の声を聞きましたときに、そうしたお話も私もお聞きをいたしました。そのことも申し上げました。それから、こうした介護サービスというのがとにかく人に頼るサービスでありますから、そこのところが基本になるということも日ごろ考えております。

 そうなりますと、あとは介護報酬をどうするかということになるんだろうというふうに思いますので、また適切な介護報酬の設定に私どもも努めていきたい、こういうふうに考えております。

山口(富)委員 その適切な介護報酬の中身が大事だと思うんですね。

 それで、資料の最後をごらんいただきたいんですけれども、これは介護労働安定センターの報告書ですが、これを見ますと、移動時間について支払っていない事業所が三三・九%、待機・準備時間は四二・〇%、多数ですね、書類作成時間は二八・七と。

 ここまで広がっている背景には、大臣がお認めになりましたように、現実の介護サービスに見合う報酬の設定がなされていないというところに最大の問題の一つがあるわけで、これをやらないと、労働基準局が通達を出して、いわば基準行政として労働時間の適正な把握をするように求めても、現実に報酬がそれに見合う形で事業所に入っていなければ、これは払えないわけですね。

 ですから、大臣、適切なというところに、介護労働の特別なあり方ですね、移動時間が長いとか待機時間があるとか、それから書類もたくさん書かされるんですよ。こういうものをきちんと労働時間と認めるような形での介護報酬の適正化、これを進めていただきたい。

尾辻国務大臣 まず、最初の局長の御答弁で申し上げましたように、少なくとも労働基準法上の問題がある、これはもう何をか言わんやでありますから、きっちり守ってもらわなきゃいけない。それを前提にして、そしてそれを守るべく、私どもなりに言うべきことを言っているということであります。まずそのことを申し上げたところです。

 その後の、今の、私どもが介護報酬を適切に定める、ここまでは私どもの仕事でありますから、適切に定める、これは当然のこととしてやらなきゃいかぬと思っております。

山口(富)委員 この適切に定めるという問題は、実は今度の介護保険の改正問題の大もとになっております社会保障審議会介護保険部会、ここが昨年の七月に出した「介護保険制度の見直しに関する意見」の中で大変強調されている点なんです。ですから、これは必ず、介護報酬の介護労働者の実態に見合う改善をしていただくように重ねて要請いたしまして、私の質問を終わります。

北川委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日も、長時間の御審議、御苦労さまでございます。

 冒頭、私は、今この委員会、介護保険のことで論議が進んでおりますが、年金問題について、予告外でございますが、大臣に二点お伺い申し上げたいと思います。

 この四月の一日から、特別障害給付金、障害をお持ちの無年金の方々、いわゆる無年金障害者に特別給付金という形で給付をするということが決まり、それが四月一日から申請を開始しております。

 ところが、実際に障害のおありの方で、そして無年金である方にどの程度広く周知、通知され、そして全国の窓口の受け付けの状況がどうかということになりますと、極めてこれが徹底されておらないと。もちろん、障害をお持ちの方ですから、御自身が窓口に行くのは大変で、そしてもう二十年も三十年も前のことですから、どういう状態で障害を負ったかということの書類も、調えるのも大変なのでございますが、それ以前の問題として、果たして、地方自治体、町村の窓口でございますね、自治体というよりは社会保険庁になってまいりましょうか、この窓口業務ということが周知徹底されていないのではないか、都道府県に四月中にきちんとした通達が行っておるのかどうか、行政の広報のおくれと、それから、窓口業務の実際の窓口実態というのがどうなっておるのかということで、障害をお持ちの、そしてこの給付金がやっと出ると思う方たちが非常に不安に思っておられます。

 大臣に一点目、お伺いいたしますが、私がいつも伺うのは、そういうふうに法律で定めた、それはやったんだけれども、実際の利用者に周知徹底されないとなると、使い勝手というか、生きた法律になってまいりません。厚生労働省として、この窓口への周知徹底ということがどの程度進んでおるかの掌握をぜひお願いしたいと思います。

 きょうは実は、年金の関係ではございませんので、実務サイドの皆さん、おいでじゃないと思いますから、大臣の方から実務サイドに、いわゆる特別障害給付金、どうなって、どう進んでおるかねという確認で結構でございます。実際に学生無年金問題を考える会などでも指摘されておりますので、一点、この点の御確認をよろしくお願いいたします。

尾辻国務大臣 すぐ調べて、御連絡を申し上げます。

阿部委員 実は、もう一つ問題が生じておりまして、これは私が以前に大臣にお伺いしたのですが、今のように、特に国民年金に二十になれば加入いたしますのですが、その後ずっと未納期間が長く続く、あるいは障害を受けるまでの期間の間の三分の二を支払っていないと、これがまた無年金障害者が発生するわけでございます。今現在もそのようでございます。

 この無年金障害者問題の給付金ができ上がりましてからも、実は、ある学生の方で、昭和二十八年十月の誕生で、昭和四十八年に大学に入学されて、その方が、実は昭和五十一年の十一月に受傷をされて、では、今度こういう給付金できたからと思って勇んで申請に行ったら、何とお父様が、この方は五十一年の四月の時点で一カ月だけ国民年金を払っておられたと。一カ月払ってしまったがゆえに、この給付金制度でも救済されないし、現在のシステムの中の三分の二納付ということにも当てはまらないので、またここにすき間の人が発生したわけです。

 私が前回の委員会で取り上げさせていただいたのは、現在のような国民年金の未納、未加入状態、実質納付率五〇%。未納率というと丸二年間納めていない方だけですけれども、実際に納付の額を積み重ねれば五〇%にしか満たないということは、やはり引き続いて無年金障害者というのは発生する、それからこの人も救済できない仕組みであります。

 この点について、大臣に、きょうすぐ、どうしますという御答弁は、予告もしていませんし、いただきたいと思っておりませんが、でも、現状でこのような方があるという認識をぜひ持っていただいて、今五党の年金論議も進められておりますが、とにかく無年金者を出さないということが社会保障政策中、なかんずく年金問題の最大の中核であると私は思いますので、今のように、逆に言うと、たった一カ月払ったばかりにこの給付金制度でも救われないという人が出ているという現状があることを、きょう私はお伝え申し上げましたので、大臣に引き続いて、無年金問題で御検討、善処、方策をお考えいただくという点に二点目の御答弁をいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 この問題は、もう一番よく御存じの方でありますけれども、まずは年金の仕組みの中で考えるのか、福祉で考えるのかという大きな議論がございまして、そして今の給付金という形で一つの仕組みをつくっていただいた、こういうことでございます。したがいまして、基本にこの議論があるということは申し上げなければなりません。

 ただ、そうした中で、せっかく仕組みができた、それでもその仕組みの谷間に落ち込んだ方がおられる、そのことを大変お気の毒だということはそのように思いますので、こうしたことが今後の課題であるということは認識をさせていただきます。

阿部委員 私は、こうした形で年金の保険料を納め切れない方たちが現在膨大にある、そうすると、事故に遭えば、これがいつでも、本当に同じ形で生まれてくるという認識をここであえて強調させていただくものです。

 そして、本来の、本日の討議に入らせていただきますが、この間の介護保険問題の審議は、私が何度も言わせていただきますように、残念ながら、非常に実り多いとは言いがたい、皆さんのたくさんのお時間をここで使い、この夕刻も六時を回ろうかという時刻までの御参集でございますが、しかしながら、ここ四年ないし五年やってきた介護保険のありさま、ありよう、利用者実態をきっちり把握して、政策を新たにどうするかということが本当に論議されているのかどうかというと、やはり私は、きょうもまた同じような落胆を持ちながら、御答弁並びに、委員の方は一生懸命質問されて、それへの厚生労働省側の答弁は、ある意味で正面から答えていないということを感じてまいりました。

 その指摘は、実は大臣が、先回私がお伺いした質問の中で、もう介護保険の五年後の見直しは当然予定されていたんだから、現場サイドはちゃんと準備しているであろうということでありましたが、私は、やはりそうでないからこそ、例えば中村老健局長に何度も何度も、そんなことでどうなるのかということで、あえて言えば批判をさせていただくわけです。

 私が思いますところ、現在、二点にわたって非常に実態、実情が把握されておらず、なおかつ恣意的な一部のデータを用いて政策変更に向かおうとしているゆえに、混乱は拡大し、この制度の真の持続性、改善が見えなくなっていると思います。

 大臣にまず一点目お伺いいたしますが、これは地方分権の試金石と言われた政策で、この間、各自治体、市町村、県からも、いろいろな介護保険五年目の見直しについての要望書というものが上がってきていると思います。

 大臣は、じかにそうした地方からの要望書の声、中身、ごらんになったことがおありでしょうか。それとも、中村老健局長からお聞きでしょうか。この点についてお願いします。

尾辻国務大臣 すべてとは思いませんけれども、幾つかのものは見せていただいております。

阿部委員 大臣がごらんになったものの中に、私の選出の神奈川県のものがあればいいなと思ってちょっと例示をさせていただきますが、神奈川県の介護保険推進会議というところが平成十六年の十二月にお出ししました要望書です。一番最初には、当然ながら、速やかに情報提供をして、どのような制度改革をしたいのかできるだけ早く確定してください。これは実施される市町村には当然のことですね。

 それで、二番目、はな、二番目に、新予防給付についてということがぽんと出てまいります。それだけ、先ほどどなたかの委員の御質疑にもありました、メディアでも取り上げられ、いろいろな意味でこの制度そのものの仕組みを変える。逆に言えば、予防の方に拡大し、現状で要支援並びに一の方についてはサービスが切られちゃうんじゃないかなという不安を国民的に抱かせている、いわば国民的課題、マターになりましたので、この新予防給付が一番に出てくるんだと思います。

 このことについて、まず市町村が第一に上げているのは、今でも大変な介護認定審査会がパンクしちゃう。二番目は、この新予防給付のためのスクリーニングは極めて困難である、ただ困難じゃない、極めて困難である。そして三番目、これによって給付費がかえって膨らんでしまう。四点目、私が先回指摘させていただきました事業所や介護予防拠点への新たな移動手段はどうするんだ、移動手段はどうやって確保するんだという問題。もしも移動しなければ継続できない、そういう状態であれば、移動のための送迎加算というようなものだって必要となるじゃないか。

 これは、そのほかの項目も多々ございますが、とりわけこの間、熱心に数日、ずっとこの審議でございます、新予防給付一色という審議の中で、しかし、現実に担う自治体が上げてきている疑問なりに、現在ここでの審議が、あるいは厚生労働省側の答弁が答えているかというと、私は残念ながらその確証を得られません。

 そこで、現在いろいろな修正協議も一方で熱心に進められておるということは承知しながら、果たして本当にこの新予防給付枠をこのような形でつくってよいのか。この点は、この制度が本当にわけわからないものになってしまいかねない重要な点だと思います。

 大臣、申しわけないですが、今五つ上げました、大臣がお気づきなだけで結構です、今私が上げたこれは自治体の声の比較的多くがこのようだと思います、この一つ一つに、もし可能であれば全部がよろしいですが、お気づきの点についてお答えをいただけますか。

尾辻国務大臣 まず、今回私たちが考えたことは、持続可能な制度にしなきゃいかぬ、今後とも介護保険制度というのは大事なものでありますから、破綻しないようにきっちりしていかなきゃいけない、そのためにどうすればいいかということを考えて、新予防給付ということも申し上げたわけであります。そこのところは御理解いただきたいと思います。

 五つ言われましたことで、私がまず一つ記憶いたしておりますのは介護認定の話であります。これは恐らく、要介護一のところを要介護一と要支援に分ける、そのところだと思いますけれども、あとは介護認定の仕方というのは今までと全く変化しないわけでありますから、そこのところだけをとらえて、そう煩雑になるとかなんとかというのは、御説明を申し上げれば御理解いただけるんじゃないかなというふうに思いました。

 その他幾つか思うことはありましたけれども、以上、お答えいたします。

阿部委員 今、市町村が上げておりますのは、新たな支援段階の区分以前にスクリーニング。だって、これは予防にするわけですから、ある集団をマスとしてとらえて、そこから、要支援以前の方も含めて、いわば母集団を見なきゃいけないわけです。そのようなスクリーニングの問題が一番大きいよと。そして、そういう手法はなかなか今のところないと。予防というと、どこまでが予防なのか、人生、生まれたときから死へ向かう、人は皆、死へ向かう旅人だ、介護も必要になる、どこからがスクリーニングの対象でというようなことも含めてのことでございます。

 恐縮ですが、この場では、大臣がもし幾つかの自治体の御意見をまだ十分にお読みでなければ、これはまだ次回ございますので、ぜひお目通しをいただきたいと思います。

 私は、この新予防給付というものは、むしろ現在の、例えば不正なサービスを行う業者の取り締まりとか、あるいは、もしあるとすれば、漫然としたケアプランというのがあるとすれば、そこへの質の、もう一度良好なものにしていくためのケアマネジャーさんの独立性とか、他の手段によって十分この本来の趣旨を生かせる制度になると思いますので、よろしく一点目、お願い申し上げます。

 二点目。この論議が見ていないもの、この国会が見ていないものは、いわゆるサービス利用者の実態でございます。私は、きょう、その点で、特に施設給付ということに関連して、サービス利用者の実態調査ということを行われたデータを皆さんにお示ししたいと思います。

 まず、皆さんのお手元にお配りした資料のうち、前三枚は保険料についてですので後ほど討議させていただきますが、後三枚は、いわゆるケースについての、皆さんへの、どういう方がどういうふうに生きていて、どういうふうに介護保険を利用しておられるかの、いわば、ここにお一人お一人来ていただけばその像は浮かぶわけですが、なかなかそうはまいりませんので、いわゆるケースの分析をしたもののうち、三例を挙げさせていただきます。

 ちなみに、このケース分析は、せんだって参考人としておいでいただきました労働者住民医療連絡会議の皆さんが、関連の、そこに所属する医療機関なり在宅介護支援センターなりにお願いして、そこのケアマネジャーさんが直接に、お一人お一人のサービス利用者にいわば相対してとった、記入したものでございます。全体、百十一件ですから決して多くはございませんが、先ほど来のマシントレーニングの方の母集団数と比べても遜色はないものと思いますので、この程度の数で話すということをあえてお許しいただきたいと思います。

 でも、私は、やはりこの審議の中で、本当に利用者さんの実態をどれほど厚生労働省が把握しておられるか、把握しようとしているか、その一番近い人物であるケアマネジャーさんからどんな実態像を入手しておるかが一貫して出てきませんでしたので、これは協力を得て、百十一人の、あえて言えば多少プライバシーもあることですので黒塗りしてございますけれども、示させていただきました。

 まず、ケース二でございますが、八十二歳の女性で要介護一でございます。この方の収入は七万円で、厚生年金でございます。住居は持ち家でございますので、光熱費、水道費が一カ月七千円でございます。この七千円という数字はよく覚えていただきたいです。これから私がお伺いいたします施設給付における光熱費をこれからはお取りになるということですから、その水準と比べるために、七千円はしっかりと記銘していただきたいと思います。

 次に、食事でございます。一日三回、毎日ほぼ食べていて、食費は二万円でございます。これは実は、これから皆さんの計画であれば、何も減免がなければ四・八万円を食費として、皆さんの利用者からいただくということでありますが、現状のおひとり暮らしのおばあちゃまで、残念ながら食費に四・八万円、五万円もかけられる人はおりません。

 皆さんの資料の中の五枚目を見て、この最後の紙、別紙一を見ていただくとわかりますように、ここには上に平均収入がございまして、平均収入一千万円以上の方であれば、食費に四万三千百八十二円かけてございます。一千万円以上の方で、お一人当たりの食費が四万三千百八十二円でございます。逆に、この七万円とか、もっと低い収入の方ですと、結局、どこを切り詰めるかといったって、もう食費しかないわけです、ぎりぎりのところ。

 そして、ここに出させていただいたケース二にお戻りいただくと、この方は一カ月に二万円。この方は訪問介護による家事援助をたった月二回お受けです。足がふらつくため掃除が十分にできないが、ヘルパーさんに手伝ってもらってやっているということでございます。今の在宅介護で何とかはやれているが、今後、子供や家族との同居の話もないし、ひとり暮らしは不安だが、介護施設の入所も、自分の現在の食事額とかを考えるととても負担だ、不安だ、だめだろうな、どうしようかなというのがケース二でございます。

 続いて、ケース三に移らせていただきます。ケース三は、七十七歳の、これは女性でございます。この方も要介護度一でございます。夫に先立たれた女性で、この方も収入は一カ月八万円でございます。この方が、借家でございますので一カ月のお家賃が三万円、そして光熱水道費は九千円でございます。七千円と、先ほどとそう変わることがない。そしてその下、食事です。毎日ほぼ三食食べて二万一千円。一日の食費は七百円でございます。

 もちろん、この方たちがどんなものを食べているかということも実はこの調査では聞き取らせていただいています。例えば、お昼は大根を菜飯のようにして、葉っぱを煮て御飯に食べる、そして夕方は、切り干し大根だったり、それと御飯とみそ汁、朝は食べないとか、もちろん理想的な食事からは遠い。でも、大体の、私が実際に臨床場面で出会ったおばあちゃんたちも、本当にそういう食事でございます。

 これは、一つはお金の問題、もう一つは、その昔の、今の七十代、八十代の方は、うちの母でもそうですが、たんぱく質、野菜、でん粉質、この三要素をうまく組み合わせてというふうになかなかならない、お茶漬けさらさらで済ませてしまうというような、両方の実態がございますが、でも、現実に幾ら食費にお使いかは、二万一千円でございます。

 この方も、週一回のヘルパー利用のみで買い物だけを手伝ってもらっている。今の厚生労働省のお話だと、例えば月二回とか週に一、二回でもヘルパーさんが来ると、これが廃用症候群になっちゃうと言われたら悲しいなと、このおばあちゃまだってきっと悲しいなと思います。この方は、白内障と猫背が進み、掃除もできない。おばあちゃま方は大体こうなってきて、本当に小さく小さく丸くなりますから、その状態でおふろの掃除もできないし、よっこいしょもできない。本人費用がかかるからと、もうこれ以上はサービス利用をしないで買い物の援助のみを頼んでいるということでございます。おふろは共同ぶろで一週間に三回、一人で入浴できなくなればもう大変だけれども、本人費用を考えるとサービス利用はこれ以上ふやせない。

 ついでに、ケース四でございます。七十五歳、大阪のおばあちゃんです。要介護度二、この方も、御連れ合いに先立たれて、一カ月八万円。この方たちは、ちなみに、今の女性のひとり暮らしの御高齢者の三万円から四万円という年金よりはこれでもやや多いと思います。でも、この方も、やはり家賃二万七千円に住み、光熱費七千円で、食費は何と一万五千円でございます。これでデイケアを週二回、ここでは食事が出ますので、私が思うに、そこで一挙に栄養補給ということだと思います。ヘルパーさんが週五日ということで、この方は疾病が多くて医療費もかかるため、周りからは生活保護を勧められているんだけれども、本人は、嫌だ、自分で自力でやっていくよという覚悟で臨んでいる方でございます。

 こういう実態というものはどの程度厚生労働省に把握されているのか。百十一名偏りなく見ましても、大体このような実態でございます。まず、大臣、印象をお聞かせください。

尾辻国務大臣 今の三つのケースを聞かせていただきまして、私が感じましたことを率直に申し上げますと、大変やはり皆さん、つましく生きておられるなという印象を持ちました。

阿部委員 私は、大臣は常に国民感覚というものを大事にされるし、今の御答弁はとても貴重だと思うんですね。何かあたかも、この介護保険の見直しの中で、甘えやあるいは自分がぜいたくに使うがために廃用症候群ができたりするというような言われ方で、厚生労働省側のこの五年間が総括されてしまうのであれば、私は、それはやはり根本が納得し得ない。そして、中村局長にいつも怒るのは、やはり利用者実態をちゃんと把握してくれと。それが国民の実態像です。今、大臣も御存じかもしれません、朝のスーパーマーケットの十時オープン前、だれが並んでいるか。ほとんどシルバーでございます。髪の毛の白い御高齢者たちが、十円でも二十円でも安い卵を求めて並んでございます。一方、パチンコ屋さんの開店前はニートの若者たち。私は非常に象徴的だと思っています。

 そして、この介護保険制度を本当に続くものにするために、例えば、これは次回になりますが、保険料負担の公正性、本当に公正な保険料負担であるのかどうかということも含めてきっちりと制度を見直さないと、今のままでは、私は、早晩、どんどんどんどん保険料が膨張していくに従って、払えない人、そして今、国民年金のみならず国民健康保険の空洞化も進んでいます。実は、介護保険は国民健康保険の上に乗っけて徴収しております。ここにもまた空洞化が来ると、制度不信は私は、今頑張らないとすごく取り返しがつかないと思います。

 ここでちょっと話を転じて、中村老健局長に、一体、今度の施設給付の中で、サービスの食費とあるいはホテルコストと呼ばれる居住費の算定根拠は何であるのか、教えてください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 居住費につきましては、居住環境を踏まえたものとし、個室ユニットケアの場合には減価償却費及び光熱水費相当とし、多床室の場合は光熱水費相当といたしております。具体的には、介護事業経営実態調査を踏まえ、個室ユニット型のモデル的な居住費は約六万円、多床室のモデル的な居住費用は約一万円としているところでございます。

 なお、減価償却費、光熱水費につきましては、事務所等の管理部門は含まれていない、こういうことでございます。

 それから、食費につきましては、介護三施設におきます食費費用の実態を踏まえまして、調理コスト及び材料コスト相当とするということでございまして、介護事業経営実態調査の介護三施設の平均、調理員等のコスト月額二万八千二百十一円、材料費等月額二万五百八十五円を基礎として、モデル的な食費負担といたしまして一人当たり四万八千円ということをお示ししているところでございます。

阿部委員 私は、そういうふうに減価償却費、税金で建てた建物のさらに減価償却費を利用者に案分して取り、そして、調理員の給与分ですよ、それも利用者にかけて取り、そういう形でスタンダードが計算されているということ自体がやはりおかしいと思います。生活実態調査を見るなり、あるいは生活保護で食費が幾らと算定されているのかを見るなり、きちんとほかの在宅と施設の方を比べる根拠は幾らもあるはずです。

 きょうは時間の関係でここにとどめて、次回、また私の時間で質問させていただきますが、とにかく、根拠薄弱、実態を見ていない、最悪の改悪だと私は思いますので、慎重審議をお願いいたします。

北川委員長代理 次回は、来る二十二日金曜日午前十時五分理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十七分散会

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

   派遣委員の高知県における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成十七年四月十八日(月)

二、場所

   高知新阪急ホテル

三、意見を聴取した問題

   介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 鴨下 一郎君

       北川 知克君   菅原 一秀君

       長勢 甚遠君   泉  健太君

       五島 正規君   中根 康浩君

       山井 和則君   石田 祝稔君

       桝屋 敬悟君   山口 富男君

       阿部 知子君

 (2) 意見陳述者

    高知市健康福祉部長   澤本 義博君

    高知県老人クラブ連合会会長   中平 幹運君

    高知大学医学部公衆衛生学教授   大原 啓志君

    介護老人保健施設あったかケアみずき施設長   和田  節君

    高知大学人文学部教授   田中きよむ君

 (3) その他の出席者

    厚生労働省老健局長   中村 秀一君

    厚生労働省老健局介護保険課長   藤木 則夫君

    厚生労働省老健局計画課長   川尻 良夫君

     ――――◇―――――

    午後零時三十分開議

鴨下座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院厚生労働委員長を務めております鴨下一郎でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつ申し上げます。

 皆様御承知のとおり、当委員会では、内閣提出の介護保険法等の一部を改正する法律案の審査を進めているところでございます。

 本日は、国民各界各層の皆様方から幅広い御意見を賜るため、当高知市におきましてこのような会議を開催させていただきました。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方から御意見をそれぞれ十五分程度でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 次に、派遣委員を御紹介申し上げます。

 自由民主党の長勢甚遠君、北川知克君、菅原一秀君、民主党・無所属クラブの五島正規君、山井和則君、泉健太君、中根康浩君、公明党の石田祝稔君、桝屋敬悟君、日本共産党の山口富男君、社会民主党・市民連合の阿部知子君、以上でございます。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 高知市健康福祉部長澤本義博君、高知県老人クラブ連合会会長中平幹運君、高知大学医学部公衆衛生学教授大原啓志君、介護老人保健施設あったかケアみずき施設長和田節君、高知大学人文学部教授田中きよむ君、以上五名の方々でございます。

 それでは、まず澤本義博君に御意見をお述べいただきたいと存じます。

澤本義博君 高知市健康福祉部長の澤本義博です。

 本日は、衆議院厚生労働委員会地方公聴会において介護保険法改正法案について意見を陳述する機会を与えていただき、感謝を申し上げます。介護予防事業を推進してきた自治体として、また介護保険の保険者でもありますので、そうした視点から意見を述べさせていただきたいと考えております。

 なお、これからの陳述につきましては、資料をお配りしておりますので、適宜御参照をお願いいたします。

 高知市は、人口約三十三万の中核市で、本年四月現在の高齢化率は、一九・九%とほぼ全国平均並みとなっております。本市の高齢者保健福祉に関する構造上の大きな特徴といたしましては、病院が非常に多いことが上げられます。病床数は全国平均の二・五倍です。このため、介護療養型医療施設の入所者も全国平均の三倍、高齢者人口の二・一%を占めております。このことが、第一号被保険者の保険料が四千三百六十三円と高額になっている大きな要因となっております。

 本市でも、介護保険開始以来、認定者が急増しており、新規認定者の七割が比較的介護度の軽い要支援と要介護一で占められる状態が続いております。また、介護保険開始後一年間におきまして、要支援の五割、要介護一の三割で介護度が重度化しており、介護保険サービスの利用が介護度の維持、改善に効果を上げていない状況が明らかになりました。

 このため、第二期の介護保険事業計画、高齢者保健福祉計画では、介護予防を最重点課題と位置づけまして、高齢者が元気になれるメニューの開発と普及、自立を目指したケアプランの作成のためのケアマネジャーへの支援事業について重点的に取り組んでまいりました。

 高齢者が元気になれるメニューの開発、普及施策として、まずパワーリハビリテーション事業を導入いたしました。現在、市内二カ所の医療機関に委託して、要支援から要介護二までの市民であれば、いつでも週二回、三カ月間送迎つきで利用できる体制になっております。昨年度は三百二十九名が利用されました。

 運動機能の改善はもちろんですが、介護度の維持、改善にも効果が出ております。要支援の場合は、次の認定更新時における介護度の悪化率は四%となっており、市全体の二八・四%に比較すると非常によい成績でした。要介護一でも、改善率四四%、悪化率六%となっており、市全体のそれぞれ一六・五%、二三・七%に比較して良好な成績でした。

 ただ、昨年度にパワーリハビリテーション事業を希望した者は、対象となる認定者の数%を占めるにすぎず、男性と若年高齢者に希望者が多く、女性と後期高齢者が少ない傾向となっております。

 この事業に続きまして、軽度の要介護者を対象に、パワーリハビリテーションと同等の運動機能改善効果がある、おもりを利用した体操、いきいき百歳体操を本市独自で開発しました。この体操は、現在、十カ所以上の通所系介護保険事業所において実施をされております。

 さらに、いきいき百歳体操の簡易版を開発いたしまして、パワーリハビリテーション事業終了後の受け皿として、また虚弱高齢者が元気になれる場として、市内の公民館など四十数カ所で、地域の高齢者がだれでも参加できる形で行われるようにまでなってきております。

 自立を目指したケアプラン作成の支援策としましては、基幹型在宅介護支援センターによる個別相談を中心に、研修会あるいは難病、認知症等の困難事例への相談窓口の開設、月二回の事例検討会の開催などを通じまして、ケアマネジメント力の向上と本市が推薦するケアマネジメントリーダーの養成に努めております。

 ただ、要支援の方の一年後の介護度の変化を居宅介護支援事業所ごとに見ますと、三八%の方が要介護一以上に悪化している事業所もあれば、一一%にとどまっている事業所もあり、居宅介護支援事業所間の格差が大きい現状となっております。

 次に、今回の介護保険法改正法案について意見を述べさせていただきます。

 まず、介護保険制度及び今回の改正法案に対する私の基本的な評価と認識について申し述べます。

 介護保険制度につきましては、制度創設の理念や目的、創設以来今日までの実績などから判断いたしまして、介護の社会化による家族介護負担の軽減や介護サービスの充実など、国民福祉の増進に大きく寄与してきたものと評価をいたしております。また、予防重視型システムへの転換などを基本とする今回の改正方針、改正内容につきましても、基本的に賛意を表するものですが、制度の運営なども含め、以下四点につきまして意見を申し述べます。

 一点目は、新予防給付についてです。

 本市のパワーリハビリテーション事業の経験では、筋力向上トレーニングは確かに多くの参加者の動作性を向上させましたが、それだけでは日常生活の活性化に必ずしも結びついていない事例が見受けられます。運動を継続しない場合は、多くのケースで再び身体機能が低下をしております。また、筋力向上トレーニングの成果は本人の意欲に大きく左右されます。本人ではなく家族などの強い希望で参加した場合は、余りよい結果は出ておりません。

 これらのことから判断しますと、新予防給付としては、筋力向上トレーニング単独のメニュー創設も必要ですが、予防通所リハビリテーションや予防通所介護など、既存のサービスの中で効果的な筋力向上トレーニングが受けられるようにすることがより重要と考えます。

 さらに、動作性の向上は介護給付の対象となる新要介護一から要介護五までの方にとりましても重要であり、介護給付においても筋力向上トレーニングなどが効果的に行われることが必要です。

 こうしたことが制度として実施され普及するためには、介護事業報酬に加算措置として十分な報酬を保障するとともに、施設ごとの実績を評価し、公表する仕組みが必要であると考えております。

 二点目は、ケアマネジメントの適正化についてです。

 ケアマネジャーが母体事業所の意向に縛られてケアプランを作成していることが大きな問題です。本市の自立を目指したケアプラン作成支援事業の経験でも、難しいケースなので母体事業所のサービスでは無理だから他の事業所にお願いするという発言をされるケアマネジャーも出てまいりましたが、一方で、介護度が改善して母体事業所のサービス利用が減るようなプランは組めないという本音も聞かれます。

 このような状況を改善するためには、今回の改正で進められておりますケアマネジャーの資格更新制や二重指定制の導入のみでは不十分で、介護度の改善を果たしたケアマネジャーの努力が報われ、評価される仕組みをつくる必要があると考えております。

 例えば、現在月八千五百円の居宅介護支援費を七千五百円に減額をして、認定更新時に介護度が改善されていたら月当たり二千五百円を、介護度が維持されていれば月当たり千円を、成功報酬として加算して支払うような仕組みを導入していただきたいと考えます。

 また、今回の改正で、介護サービス事業者にサービス内容や運営状況に関する情報の公表が義務づけられますが、居宅介護事業所の開示すべき情報に、利用者の介護度の変化の項目をぜひ入れていただきたいと考えております。

 三点目は、地域包括支援センターについてです。

 地域包括支援センターは、介護予防マネジメント、地域支援の総合相談、包括的、継続的マネジメントを担うものとして新設されるものですが、現在のところ、地域包括支援センターは、直営と委託のいかんにかかわらず、この三つの機能すべてを担わなければならないとされております。

 人口が少なく、直営による地域包括支援センターでこれらすべてを行える市町村であれば理想的な仕組みかもしれませんが、本市の場合、厚生労働省の想定比率で対象者を試算しますと、新予防給付が約五千人、介護予防事業が約三千人となり、新予防給付のケアマネジメントを地域包括支援センターだけで担うことは困難なため、現行の居宅介護支援事業所にケアプラン作成を委託するなど、協力を得なければならないと考えております。

 また、地域包括支援センターを委託した場合は、受託者は運営基盤を新予防給付のケアマネジメントによる報酬に頼ることが予想されます。そうなりますと、介護保険制度の発足の際に、在宅介護支援センターの委託料を減らし、そのかわりに居宅介護支援事業所との併設を可能としたことにより、在宅介護支援センターの地域活動が低下してしまったことの二の舞になるおそれが大きいと思われます。

 老人福祉法に在宅介護支援センターに関する規定が残されておりますが、これまで在宅介護支援センターが十分な効果を上げてこなかったという反省に立ち、地域包括支援センターが計画されたはずであります。両センターが並立するとなれば、混乱を招くおそれも考えられます。在宅介護支援センターを残す必要があるのであれば、地域包括支援センターの一つの類型とするべきであると考えます。

 また、地域包括支援センターについては、直営と委託したものとの間で事業の役割分担を可能とするなど、市町村の実情に応じて柔軟に設置できるようにしていただきたいと考えております。

 最後に、介護予防事業についてです。

 簡易で効果的なスクリーニングの手法、スクリーニングされたハイリスク者に対する効果的な介護予防マネジメントの手法、そして効果のある介護予防事業、そのいずれもが十分に確立されているとは言えない状態であります。平成十八年度当初から、想定されております高齢者の五%全体を対象に事業を展開していく状況にあるとはとても考えられません。

 また、スクリーニングを進めることが、逆に介護保険申請者をふやすおそれも心配されます。現状では、全国一斉に同一事業を展開するよりも、モデル事業を積み重ねながら、地域の実情に合った効果的な手法を検討し導入することが、より現実的と思われます。

 また、介護予防を進めるには、ハイリスク者に対するアプローチよりも、本市のいきいき百歳体操のように、元気な高齢者も巻き込んださまざまな活動により、住民が支え合って生きていく町づくりを進めていくことの方がより重要であり、効果があると考えております。

 介護予防事業につきましても、市町村が実情に応じて柔軟に進めていけるような制度とされるようお願いをいたします。

 以上、四項目について意見を述べさせていただきましたが、介護保険制度あるいは制度運営の改正において御配慮いただければ幸いに存じます。

 以上で私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)

鴨下座長 ありがとうございました。

 次に、中平幹運君にお願いをいたします。

中平幹運君 老人クラブの会長を務めております中平幹運です。

 老人クラブの会長としての陳述人に選んでいただきましたので、初めに、老人クラブと介護保険のかかわりについて考え方を述べさせていただきます。「介護保険と老人クラブの関わり」、別途お回しをしております資料を補足しながら申し述べますので、よろしくお願いします。

 老人クラブは、目と声の届く小範囲で組織した単位クラブ十三万と、会員八百四十三万人で構成をした全国唯一、最大のネットワークを持っています。高齢者二千五百万人の三五%を占めておりますが、その大部分は年金天引きで保険料納付を行っております。大部分と申しますのは、六十歳以上の方が老人クラブに入っておりますから、高齢者の分類としましては六十五歳でございますので、六十歳から六十五歳までの方がおおよそ五%いるという推定でここに大部分という表現を使わせていただきました。そういうふうな納付を行っておりますが、保健、医療、介護は、自分たちの最も身近な問題としていつも話題になっています。

 全国老人クラブ連合会は、アンケート調査等をしてニーズの把握に努め、政策委員会の議を経て、厚生労働省に意見陳述をし、都道府県、また、保健、福祉、介護それぞれの委員会においてクラブ会員の願いを訴えているところであります。

 以下の二件については、全国老人クラブの中で集約した内容でありますので、お聞きとめいただけたらと思います。

 一つ、「被保険者、受給者の範囲拡大について」。

 平成二十一年を目途に所要の措置を講ずるとの法律案が示されているようでありますが、老人クラブは、被保険者の年齢を原則二十歳、実際には二十五歳以上に拡大すること、並びに六十五歳以下の障害者にも介護サービスが活用されるよう要望をいたしたいと考えております。二十五歳と申しますのは、当然に学生諸君の階層がこの部類に多いからであります。

 次に、「福祉、医療への営利企業の参入」ですが、高齢者の施設介護サービスへの参入には反対です。理由は、福祉事業は営利の対象とすべきでない、なじまない。しかし、既に在宅介護サービスは認められておるわけでありまして、そういう意味でこのように集約をいたしました。

 次に、「健康づくりと介護の関わり」でありますが、全国の老人クラブには女性委員会という組織がありまして、五年に一回、基本的なモニター調査をしております。若干古いんですけれども、おおよそ四年前の平成十三年、老人クラブの会員の介護認定申請状況の調査をいたしました。これは介護がスタートをした翌年でございますけれども、申請者百七十万人のうちで非該当者百十万人、該当者三十五万人でありまして、会員の四%であったと記憶しております。

 その中でも、健康づくりを進めているクラブ、あるいは健康づくりを進めておる地域ほど、介護サービス受給率が低い数字となって全国各地であらわれております。転倒防止、口腔ケアなど、今回制度見直しの課題となっている予防重視型システムを先取りした成果があったと自負しています。

 急がば回れの例えのとおり、健康づくりに所要の投資を惜しんではなりません。必ず介護予防、そして医療予防に役立つと考えています。

 次に、「介護保険学習について」ですが、平成十二年に介護保険法がスタートいたしましたとき、老人クラブは全国の各地で積極的にこれら制度の学習を行いました。今回の改正については、筋力とか、どちらかというと一般には使われていない文言が使われています。高齢者にもわかりやすいテキストあるいは説明書をつくって、活用させてほしいと願いたいと思います。

 次に、「介護サービスの利用分析」でありますが、高知県の場合、認定を受けても、未利用者が二〇%ございます。これは、必要がないのか、あるいは必要があるけれども利用できないのか、何らかの理由があるはずです。詳しく分析の必要があろう、こう考えています。

 次に、私は、公立民営の社会福祉法人理事長を十数年やってまいりまして、現在も地域医療につきましてはいろいろな情報を寄せてくれておりますが、その中から、「施設、在宅介護サービスの問題点」について意見を申し述べたいと思います。

 まず、一と二は大変かかわりがあるわけですが、デイサービスあるいはヘルパーの利用者、それからケアハウスの要支援、要介護一の方のその後の生活はどうなるのか、これについては一定の不安を持っておるということが一つあります。

 それから、全室個室あるいはユニットケアの整備が進められておりますが、低所得者対策として施設の役割を考えるべきでして、全室個室あるいはユニットケアというのは無理がある。高知県では、十六年度の個室割合が一五%、二十六年度は七〇%を目標としておるようでありますが、低所得者対策としての多床室の考え方、これはやはり生かされるべきであろう、こういうふうに考えております。

 次に、居住支援のケアマネの報酬でありますが、これは低い。例えで申しますと、ケアマネが出向きまして、そしてこれの利用を訪問をして調査いたしましても、一回ですぐ適用するということではなしで、二回、三回やってようやく適用される場合があります。特に、山村僻地においてはそういう実態が出ております。そうしますと、適用になりません限り報酬になりません。ただ働き、ただ走りという実態が当然出るわけでありまして、そこらあたりについては実情に沿った報酬を考えるべきではないか、こういうふうに考えています。

 それから次に、保険料を支払っているのに希望する利用ができないということでありますが、これは、入居者の約一〇%が死亡をしております、一〇%以内なんですが。それで、そういうふうな死去に伴う新しい入居者というのは当然出てくるわけでありまして、そういう点では更新はできておるんですけれども、現実には、やはりそれがあっても利用しにくい、入りにくいという問題点が指摘されています。そこらあたりをどうするのかという課題が一つあろうと思っています。

 次に、在宅で家族ができる医療行為が、施設では介護職に認められていません。特別養護老人ホームでは、入所者の重度化に伴い、たんの吸引、経管栄養、褥瘡の処置など、医療行為を必要とする利用者がふえています。医療行為の範囲の見直しと、一定の資格保持者には医療行為が認められるよう制度を整えてほしい、こういうふうに考えています。

 具体的に例を申しますと、特別養護老人ホーム、五十人の定員のところで、看護師が二人、これは必要人員としてあるんですが、その二人で二十四時間の医療行為をするということは無理でありますから、その無理な分については介護職が当たらなければならない、こういうふうな問題点があります。それからもう一つは、例えば、非常に小さい行為ですけれども、耳かきであるとかつめ切り、これも現在の制度では介護職には認められていない、こういう問題点があります。やはりもう一度考えてほしい。

 最後に、地域包括支援センターは事業所として運営ができるのかどうか。これは先ほどの陳述人もちょっと疑問がありましたけれども、実際にこれは運営ができるかどうかというのは、運営主体に課せられた一つの大きな課題であるというふうに考えています。それらを含めて、来るべき法改正の中ではいろいろと御善処をお願いできれば、こう考えています。

 以上で陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)

鴨下座長 ありがとうございました。

 次に、大原啓志君にお願いをいたします。

大原啓志君 高知大学医学部の大原でございます。

 私は地域保健が専門なんですが、介護保険の導入がなされたときに、保険者としての市町村が予防とか一般福祉政策あるいは町づくり政策などを積極的に展開することによって、要介護の発生率だとか給付額の適正化、さらには保険財政の好転も期待できるといった議論があったことに関心を持ち、そのうちのかなめではないかと思いまして、介護予防に興味を持ち、市町村の取り組みに期待してきました。

 二枚目の資料の一という番号を振った部分なんですが、これは、平成十四年度に策定された高知県内の市町村の高齢者保健福祉計画から介護予防に関する記載を分類してみたものです。介護予防が政策目標として意識され、積極的な取り組みが考えられている市町村は必ずしも多くないという印象を持ちました。また、非常に内容は多岐にわたっておりますけれども、こういう結果になったのは、介護予防の趣旨が市町村レベルに十分に達していなかったせいだろうというふうに思います。

 この二年間、高知県では、先進的な取り組みの情報交換が活発になりましたし、県が介護予防を重点課題としたこともあって、市町村レベルでの積極的な取り組みがふえてきております。しかし、その取り組みの成果が要介護認定などで明確に見えるには至っていない状況ではないかと私は思っております。

 今回の見直しでは、要支援に対する新予防給付とともに、要支援、要介護になるおそれのある者、リスクの高い者に対するいわゆるハイリスク戦略の考え方に基づく方策が提言されております。現在までのところ、その内容は十分に示されていないので、詳細な検討ができないのですけれども、この戦略についても、これが成果をどのように上げるかについてはまだ明確な検証はないんだろう、そういった段階での提案だというふうに理解しております。

 そういう意味で、現在示されている資料を手がかりに、地域で試みられております取り組みについて、訪問調査等でつき合っている中から、課題になっている点について述べてみたいと思います。

 最初に、介護予防の課題として考えるときに、今回の提案が非常にハイリスク戦略に偏っているのではないかということです。

 三枚目の資料の三のところに、以前からたくさんある体系図なんですが、高齢者の健康状態別に見たときに、元気高齢者、虚弱高齢者あるいは要支援者、それから要介護者、それぞれに対して介護予防が対応する、そういう形の全体的な戦略がありますが、今回は、この二番目の虚弱高齢者、要支援者が突出した形で出てきているということになると思います。

 生活習慣病予防については検討予定だということを拝見したのですが、今回の見直しの中で指摘されている、例えば脳卒中モデルから廃用症候群モデルへといった場合の廃用症候群モデルに対する対策というのをどういうふうに考えているのか。年齢とともに生活機能低下が進むわけですから、それにどのように取り組むか。健康づくりや社会参加など、関連の保健福祉事業というのはこれまでも長年実施されてきたところなんですが、高齢期、特に後期高齢期の生活機能低下に対しても、これまでのやり方で十分なのか。地域支援事業による介護予防は高齢者人口の五%を対象としているということなのですが、この水際作戦と呼ばれるものとともに、残りの人々に対する中期的、長期的な視点による対策が必要ではないかと思います。

 これに関連して、少し視点が違うかもしれませんが、先ほど介護予防に対する市町村の受けとめについて触れましたけれども、介護保険の導入後の状況において、市町村に介護保険にすべてをゆだねる傾向が見られたという指摘があります。これを介護予防の立場から見ますと、介護保険という非常に大きな問題の中で、介護予防という概念は当初から示されましたが、その具体的な取り組みに対する説明や施策は十分でなかった、そういうことが現在の状況につながっているのではないかと思います。それを考えますと、今回は、ハイリスク戦略に偏った施策のために、ほかの重要な課題に対する視点そのものが特に市町村レベルで不十分になって、また後手に回るといったことが起こり得るのではないかということを懸念いたします。

 次に、今示されておりますハイリスク戦略による予防重視型システムについてなんですが、まず、私は、このハイリスク戦略については、比較的少数の対象者に対して効果が評価しやすい形で取り組むことができるという意味で、介護予防の具体的な方策の中核となってよいものだと考えてきました。その意味で、今回の提案は成果が上がる形で進展していってほしいと願っております。

 まず、今回提案されている要支援認定者に対する新予防給付につきましては、直接関係していないこともあって、余り具体的なイメージを持っておりません。ただ、筋力向上トレーニングなどをしている方々の話では、要支援、介護度一の方で最も効果が見えやすいというふうなお話を伺いますので、先ほども御指摘のあった実施方法について十分な配慮、あるいは、参加者の方、利用者の方に意欲を持ってもらえるということがうまくいけば、効果が期待される部分があるのではないかと思います。

 ただ、全体としては、成果が上がってくるかどうかが問題ですから、サービスの質の確保とともに、例えば、プログラムの中で、機能の測定など、そういったことが定時的に行われて評価が組み込まれているということが重要ではないかと思いますし、ケアマネジャーによるチェック、さらには市町村の保険者としてのチェック機能という意味では、施設ごとの実績が何かの形で公表され、それがフィードバックされるといった仕組みが必要なのではないかと思います。

 ただ、最後の場合、高知県のように、高知市を除くと非常に小規模な市町村でどのようなチェック機能が果たせるか、疑問なところもあります。そういう意味では、広域レベルだとか県のレベルでの支援体制が検討の価値がある問題ではないかと思います。

 次に、地域支援事業の中での介護予防サービスなんですが、これについては、もちろんサービスメニューの有効性がまず問題になりますが、そのエビデンスについて、資料でも研究論文による検証のものは幾つか出されましたけれども、むしろ普及版といいますか、実際に現場で実施可能な形でされた経験に基づく有効性だとかそのノウハウというのが非常に重要ではないかと思います。それを市町村ごとに、地域の状況に合わせながら取り組んでいくという意味で、余り一律的な実施ではなく、市町村が自由に選択しながら進められるという配慮が必要ではないかと考えております。

 特に、エビデンスについては、三カ月程度行われる運動教室などの終了後の機能が向上したかどうかということではなくて、参加後の機能の維持、参加者の生活状況と関連させた評価といったもののエビデンスが収集され、利用されるべきだというふうに考えております。

 もう一つ、介護予防事業については、資料にお示しした、二ページ目の下の二の表なんですけれども、市町村の関係者のワーキングで、このようなタイプ別の事業を考える必要性があるのではないかということが指摘されました。

 介護予防事業は、通常、昨年度のモデル事業でも見られておりますように、三カ月程度の期間による教室型で実施されます。しかし、教室終了後、向上していた機能が再び低下する場合が少なくありません。その受け皿が必要だということは、老人保健事業の機能訓練などでも問題になってきました。そういった意味で、頻度はともかくといたしまして、通年制の通所型の事業を考えてみる必要がある、位置づける必要があるということです。

 さらには、高齢者にとっての地域の生活、交流の場というのが介護予防の効果と大きくかかわります。そういう意味で、地域支え合い型の事業の位置づけというのも課題になるだろう。

 地域づくりや地域の再生というのは高齢者問題の重要なテーマですけれども、介護予防のハイリスク戦略の中でも重要なポイントになるのではないかと思います。介護予防サービスが、個々の事業で完結するのではなくて、高齢者の生活や生活の質確保を視野に入れた総合的な取り組みにつながっていくことが必要であり、これを促すような施策の提示をいただきたいと考えております。

 最後に、今回の地域支援事業の介護予防については、スクリーニングという概念が示されました。ハイリスク戦略である以上、基本的な手順としてスクリーニングが出てくるのは当然なんですが、現在のところ、具体的なイメージが示されていません。スクリーニングについては、特にヘルス分野以外の方から期待が大きいような感じがするわけです。疾病予防で健診が基本となってきたことから、これと重ねられているのだと思いますけれども、介護予防のスクリーニングでは、健診と高齢者実態把握というものの使い分けをする必要があると考えております。

 お手元の資料の三ページ目の四のスクリーニングのところに、高齢者実態把握と高齢者健診とを並立させて書きました。基本は、在宅介護支援センターの業務として上げられていた高齢者実態把握、あるいは、本人、家族、医療機関等からの情報というものだろうと思います。そういう情報がどのように集約されて、必要な方に対して介護予防事業の利用が勧められる、勧奨されることになるのか、その地域におけるシステムが非常に重要ではないかと思います。

 その意味で、在宅介護支援センターの役割が中核になると考えてまいったわけですが、介護保険の導入後、認定調査やケアプラン作成に時間をとられて、こういった機能が低下したということは多く指摘されているところであります。今回創設が予定されている地域包括支援センターの場合、総合相談、支援というのがこれに該当するかと思いますけれども、果たしてこういったスクリーニング上の機能が確保、あるいは、今在宅介護支援センターの方で低下しているとすれば再び強化することができるのか、それがハイリスク戦略のポイントの一つになるのではないかと思っております。

 なお、在宅介護支援センターの場合は、基幹型センターというのがありまして、これと地域型センターとの間で役割分担を行っていた。基幹型在宅介護支援センターの高齢者ないし家族の情報の集約という機能は、その結果を、地域の実態把握、地域全体の集団としての実態把握、あるいはそのデータを使っての施策に生かしていくということで、非常に重要な役割を持っていた部分もあったと思います。今回の構想ではそういった機能が見えてこないというところが、懸念するところの一つであります。

 最後に、スクリーニングの方法としての健診なんですが、高知県では、二年ほど前から高齢者健診としてこれを試みてきております。全国的にも、生活機能低下を把握するために、客観的な機能測定ということと、それから自主申告による生活機能アンケートを組み合わせて使っていくということが検討されていますが、高知県でのこの間のモデル的な取り組みを見ておりますと、その活用方法については、市町村ごとに次第に異なる実施方針や位置づけが出てくるように思います。

 今回私がいただいた厚い資料では、「生活習慣病予防・介護予防健診」というイメージ案がありまして、これが一つの参考になるかと思ったんですけれども、健診につきましては、今申し上げたように、対象者をどう設定するか、健診項目と実施方法をどうするか、事後措置をどう考えるかといったことでさまざまな活用法が考えられてくると思います。スクリーニングについて、健診がどういうふうに織り込まれるかはまだわからないところなんですが、採用されるにしても、先ほどの介護予防事業と同じように、地域の実態に即して、各市町村が効果的に選べる形が望ましいのではないかというふうに考えております。

 最後に、もう一つ申し上げたいんですけれども、最初に見ていただいた一の表で、介護予防について、その戦略全体が、体系が示されているものは五分の一ぐらいでしたのですが、なぜそうなったのかを考えてみると、介護保険の導入時に、予防を担当してきた保健、ヘルスというものの位置づけが弱かったことがあるのではないかというふうな感じがします。今回は、高齢者の健康問題に対応する事業の多くは介護保険の中に入ってくるというふうな状況だと理解しておりますけれども、公的な自治体の責任というものをどのような形で考えていくのか。先ほどの基幹型支援センターのところでも出てきましたけれども、市町村が、それぞれの実態を踏まえて、施策立案、その結果を評価していく、こういう機能をもう一度見直していただくような御配慮がいただきたいと思っております。

 どうもありがとうございました。(拍手)

鴨下座長 ありがとうございました。

 次に、和田節君にお願いいたします。

和田節君 では、今から意見を述べさせていただきます。

 私の立場は老人保健施設の施設長になっておりますけれども、片方で、在宅介護支援センター協議会の県の会長、それから高知市の居宅介護支援事業所の研修委員長という立場も通して、現状から意見を述べさせていただきます。

 介護保険の見直しは、基本的に私は必要だろうと考えております。見直しの最大の要件は、二〇一五年、十年先の団塊の世代が急速に高齢化してくる。特に、都市部において急速に押し寄せる高齢化の波は、社会構造変化とともに地域社会機能をも大きく左右するものとなるでありましょうし、さまざまな角度からの取り組みが必要と考えます。

 ただし、今回の見直しは、現場において非常に大きな混乱を招きかねない。

 混乱の原因の一つは、給付体系を二本立てにしたことに始まると思います。給付体系を二本立てにしたために、マネジメント機関も二本立てにせざるを得ない。そもそも、見直しのきっかけは、予想を超えて増加した要支援、要介護一への対策であったはずで、これを放置すると介護保険制度そのものを脅かしかねないとの判断から見直しが始まったというふうに承知しております。それを直視しようとせずに迂回して扱おうとしたところから、余計に状況を複雑化させ、混乱を招くような事態に今至っているのではないかと考えます。

 こうした問題の背景には、要介護状態になるおそれの概念のあいまいさと、それを介護保険の領域に組み込んだことが起因しているのではないかと考えます。高齢に伴う生活管理能力が低下するのは当然のことで、それを否定するものではありませんし、生活能力弱者への配慮は必要ですけれども、それを介護保険に求めるか否かは十分に検討すべきだろうと思っております。

 また、現行の認定基準では、六十五歳の層がふえるに従って、申請すれば、かなり多数の者が要支援の層に入っていく。入り口が多くなれば、要支援の層も比例的にふえてくるだろうと思います。

 今の現状で考えますと、何もかも介護保険に背負い込ませてしまって、介護保険そのものが身動きのとれない状態に陥りつつあるのではないか。介護保険は介護への保険であるべきだろうと思います。

 今から、各論で少し私の意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず一つは、予防への取り組みですけれども、予防への取り組みは今後の介護保険の行方を左右する重要なものであると考えておりますし、現状下での取り組みと将来に向けての取り組みの双方から、予防に対しては考えていく必要があるだろうと思います。

 現状下におきましては、自立支援を阻害する要因が活動性、行動力低下に伴う廃用性とするならば、リハビリ的取り組みは、いわゆるパワーリハを含めてですけれども、当然だろうと思いますが、それと同時に、疾患管理が不十分なために新たな合併症を引き起こして、それが結果として重介護状態を招いてしまう背景も見落としてはならないんじゃないだろうか。

 特に、独居の高齢者や認知症、これは後からまた述べさせていただきたいと思っておりますけれども、その高齢者にとっては、疾患管理が不十分なために健康や生活全体を脅かす状態に陥る危険性は無視できない。リスクに対する取り組みを十分なされないままに、廃用性の問題だけが突出してくるということに対しては、現場の感覚からは少し疑問に思わざるを得ないところがございます。疾患管理は予防対策の上で大きな意味を持つと思います。

 また、将来に向けての予防対策としては、次期高齢者となってくる団塊の世代に向けての取り組みを考えていくことが当然必要であり、そこにおいては、ヘルス事業との抱き合わせが一番重要視されるところだろうと思います。その際、今までの老人保健事業にどれだけの予防的な取り組みと成果があったのかは、十二分に検証していかなければならないのではないでしょうか。

 施設給付に関してですけれども、十月から導入される居住費、食費に対する低所得者層への補足的給付ということが上げられておりますけれども、この部分においては、応能負担の原則を徹底すべきではないだろうかと思います。特に、第三段階の八十万円から二百六十六万円未満の収入格差は三倍強となっております。月額で見ると、ここに十五万円の格差が出てきております。特に、第三段階においては、非常に応益負担の度合いが高いのではないかと考えます。

 また、平成二十六年に向けての施設に関するシミュレーションですけれども、介護施設の入所者層を重介護者に転化し、介護度四、五の入所比率を七〇%以上にするとうたっておりますけれども、三施設の同一化を目指しているのかどうか。表に上げましたが、現在の三施設の入退所先を見れば施設特性が明らかなわけですけれども、それを同一化する意味が一体どこにあるのだろうか。

 あわせて、これも資料につけてございますので参考に見ていただければと思いますが、施設の人員配置基準の見直しが必要なのではないだろうか。ここのところが今の介護保険の見直しの中では触れられておりません。来年の四月の報酬の中で見直しができるのかどうか、全くクエスチョンですけれども。

 例えば、現行の老人保健施設での人員配置基準は三対一となっておりますけれども、既に全国平均では二・三対一の割合で人員配置をしております。そこでの介護度平均は三・一です。それでも、介護現場での介護体制は決して満足な状況ではございません。まして、今後、重度化、重点化の方向に介護施設を位置づけようとするならば、大幅な人員増の配置基準が必要だろうと考えます。

 介護予防に関しては、今度の介護保険の見直しの中でもかなりの紙幅を割かれておりますけれども、重介護への配慮が欠如したままでのユニット個室化の問題は、介護現場の後退を招くことになってくるのではないだろうかと危惧しております。

 現に、特養におけるユニットの個室化では、個室の閉じこもりが家族の間でささやかれております。現場では、介護への責任が持てない状況が発生しているのではないかと心配しております。重介護への取り組みがおくれている現状にあるのではないでしょうか。

 また、最近は、施設でのターミナル介護、みとりが言われ始め、現にそれぞれの施設で取り組まれておりますけれども、医療との連携や医療行為についての評価は全く進んでおりません。老人保健施設における緊急時の加算をここに上げておりますけれども、こういった実情です。私どもの施設でも、ターミナルケアに入っているケースが何人かおります。みとりを行っておりますけれども、三日間のみ、五百点の点数でみとりをしていくという状況にございます。

 次に、地域包括支援センター構想についてですが、正直言って正体不明です。一体何をしようとしているのか、よくわかりません。

 ここに書きましたけれども、多様な事業を地域包括支援センターに投げ込んでみても、うまくいくとは思えません。むしろ、地域包括支援センターの主たる役割、任務をあれこれから見てみますと、ねらいは予防給付管理だろうと推測します。ならば、そこをはっきりとすべきではないだろうか。保険者が保険給付管理をすることは必要だろうと考えますし、介護保険が介護の保険として今後も存続するためには、管理運営がきちんとなされるべきだろうとは思っております。地域包括支援センターの主たる任務をはっきりさせた上で、他の事業展開をどこでどのようにすれば事業効果を上げることができ、なおかつ介護保険をサポートできるのか、ヘルス事業のあり方も含めて考えていく必要があるのではないかと思います。

 次に、サービスの質の確保についてですけれども、介護保険を動かしていくかなめはケアマネジャーであり、そこが十分に期待どおりに機能しているかどうか。介護の重度化予防が図られていないのではないか、つまりマネジメントができていないと言われてきております。

 そのために、ケアマネジャーの資質の向上に向けての研修は当然ですけれども、それとあわせて、介護の重度化を招いている要因について、その要因をきちんと把握する必要があるのではないだろうかと思います。

 サービスの提供だけの問題なのか否か。重度化の最大要因は廃用性だと言われておりますけれども、それが主たる要因であると言い切れるかどうかは、現場感覚からすれば疑問が残ります。介護の重度化を招く要因については、あらゆる角度からきちんと調査分析し、究明していく必要があるのではないでしょうか。資料の中に、件数としては非常にわずかですけれども、私の事業所の平成十五年三月と十七年三月の状態を追跡した事例を挙げておりますので、御参照ください。

 重度化の原因が究明できれば、多分幾つかの要因がそこには浮かび上がってくるだろうと思いますけれども、それが予防対策として反映され、効果的な取り組みになってくるであろうし、それに合わせての研修体制も組むことができるだろうと思います。

 そして、そこには、単にケアマネジャーの力量だけを問題視することでは解決できないものとして、関係者間の取り組みも当然必要になってくるだろうと考えます。

 大事なことは、生活全体をアセスメントできる能力をどう養っていくかにかかってくるだろうと思います。介護の重度化を招く原因がどこにあるのか、生活を脅かす原因はどこにあるのか、健康を脅かす原因はどこにあるのか等をアセスメントすることができて、それが関係者間での共通認識となれば、おのずから専門家を巻き込んでの連携も可能となるでしょうし、お互いの領域での協力関係もつくられていくでしょう。それを行う場は担当者会議となっておりますけれども、担当者会議そのものが、今まだ体をなしていないのが現状ではないだろうかと思います。

 簡単に、最近起こった事例で紹介したいと思うんですけれども、昨年末に私の施設に緊急入所で入ってこられた方がありました。よその事業所からの紹介です。

 三年間閉じこもりで、平成十六年の介護度が一でした。十六年の十二月にうちに入ってこられたときには、完全寝たきり、廃用性という形でした。その方が在宅で使っていたサービスは、二週間に一回の往診、毎日のヘルパー、週一回の訪問看護。褥瘡ができて寝たきり、要介護一の方が短期間にここまで来ております。廃用性という形でとらえられております。うちの施設に来る前には、救急病院に運び込まれています。二日間の入院で帰られています。その一カ月後に、年末に当たってサービスも入らないのでお願いしたいという形で来られました。

 来られたときに、これを廃用性というのかと。これほどにレベルが低下した原因が一体どこにあるのか、血液検査、すべて含めて全体を見させていただきました。血糖値三百八十五、カリウム一・八、トータルプロテイン五・五、医療に従事している者ならば、このデータが何を示しているかよくおわかりだろうと思います。これだけのサービスが入っていて一体何をしていたんだ。二週間に一回、医者も入っているわけです。救急病院にも運び込まれています。生活全体を見てくれる者はどこにもいなかった。

 担当者会議をたとえ行ったとしても、総合的にその人を見る能力がなければ、それで終わってしまいます。悪く言えば、これを全部ケアマネジャーの責任に持ってくるのか。医療の側の資質の問題も私は問わなければいけないだろうと思っています。高齢者の生活を見る意識を持った、プライマリーケアの意識を持ち合わせた医者が地域にどれだけいるのだろうか。認知症高齢者の場合、単身独居の高齢者の場合、何らかの形で医療機関に行っても、ほとんどが訴えを聞いていただけません。

 もしこの方がこの時点で「みずき」に来ていなかったならば、亡くなっていてもおかしくない。カリウム一・八というような状況で、よくぞ命がもっていたと思います。「みずき」に来て、私の施設に来て、二日目にすぐデータの結果を医療機関に送りましたけれども、その前に救急病院にも入っているわけですね。この数カ月でここまでの状態悪化に至った、廃用性になったということではなくて、疾患管理がきちんとできていなかったんじゃないか。

 介護の重度化の背景の中には、きちんと状態を見ていくアセスメント能力というのが当然必要だろうと考えています。予防の問題も当然必要ですけれども、生活全体を脅かすリスクに対する考え方が、介護重度化予防の中ではきちんととられないといけないだろうというふうに考えております。

 長くなりました。それ以外にも、平成二十一年に向けての継続課題として取り上げられております被保険者の適用年齢の問題は、私は、適用年齢を二十にまで下げて、介護が必要な状況に対しては介護保険を使っていく、介護の保険をきちんと整備すべきだろうと考えます。

 以上で終わらせていただきます。(拍手)

鴨下座長 ありがとうございました。

 次に、田中きよむ君にお願いいたします。

田中きよむ君 高知大学の田中と申します。よろしくお願いいたします。

 お手元にレジュメが配付されておると思いますが、それに沿ってお話しさせていただきたいと思います。

 今回の介護保険制度の見直しということなんですけれども、予防の意義というのは否定するものではないですが、やはり制度上いろいろ懸念されるべき点があるのではないかということをまずお話しさせていただきたいと思います。

 一つは、給付費の抑制ということがかなり目標として位置づいているという印象がどうしてもぬぐえないということから、サービスの切り詰めあるいは利用者負担の増ということが中心になっているために、どうしても、高齢者が安心して生きていく、生活する、そういったところに不安がかなり出てきているのではないかという点です。

 それからもう一つは、費用負担面で、施設の費用徴収ということで、施設に居続けることへの不安。それから、施設に入っている人も、今の老健施設などに入られている方の場合、施設に入っていてもそういう在宅の負担をされている人にとっては二重の負担になるという問題。あるいは、それぞれ別々に考えても、在宅に比べて施設コストの方が高くなるというような問題。

 それから、食事の全額徴収ということですが、食事というのは施設の利用者の個々の状態に応じてきめ細やかな配慮がされているということで、私は、介護の一環として位置づけるべきではないかと思っておりますが、これを外すということは、そういった側面が軽視されるのではないか。あるいは、全額負担すると、要介護の方で家事援助を受ける方と逆転現象も生じるのではないか。それから、通所の方で生活保護世帯の方でも食費全額負担などがあるというようなこと。

 それから、ホテルコストというふうに言われますが、介護に適した構造の施設が公費負担によってつくられているということから、ホテルコストというとらえ方にも疑問があります。

 それから、新たな第二段階の人は保険料が基準保険料の〇・七五倍から〇・五倍に緩和されるのですが、それでも、年収八十万円以下の人というのは保護基準以下の非常に低い所得の人であるということ。さらに、税制改正の影響で保険料の段階がアップする人がふえてくる。あるいは、さらに、居住費や食費の軽減措置がそれによって受けられなくなる人が出てくる。こういったことが、いわゆる負担貧困と名づけてもいいのではないかと思いますが、それによる不安や不信が増幅をされる懸念があります。

 それから、認定がさらにもう一段階ふえるということで、これまでの認定についてもいろいろ問題点が指摘されていることにさらに加えるということで、混乱や不安が生じないか。それから、先ほどもお話ありましたように、予防給付と介護給付を割り切ってしまうということですね、両方が必要な人への対応というのが、どちらか一方でないといけないという、切断されてしまうという問題が考えられる。

 それから、家事代行ということが制限されるという問題で、家事代行がマイナス的にとらえられてしまう一面的評価になっている。それから、例えばヘルパーと一緒にやるとしても、それをやることが困難な人、あるいはそれに時間や手間がかかる人などが、これは報酬のあり方にもよりますけれども、場合によっては敬遠されるおそれもある。

 それから、筋トレなどの予防なんかに持続的に取り組んでもらえるのかどうかということですね。先ほどの方の中でも、意欲的にやれば効果も出るというお話もありましたけれども、みんながそういう形で取り組み続けられるのかどうか。楽しみとか喜びが特に伴わない場合、持続性ということがちょっと懸念されます。

 それから、そういった居宅サービスを利用するから状態が悪化するといういわゆるモラルハザードの見方なんですが、これも国会論議でも明らかにされていますように、それによって要支援や要介護一の方が重度化になっている比率は低くて、むしろ状態維持に役立っているという調査もあります。そういうことから、そういうことの一般化の危険性、あるいは、それによって、家事代行が受けられないことによって生活意欲が低下する、この意欲というのが大事じゃないかと思っておりますが、生活意欲の低下がまた機能の低下に結びつく可能性があるということです。

 特に高知県の場合は、ひとり暮らしの高齢者の方あるいは夫婦の方が非常に多くなってきております。全国の状況と比べても単身世帯という方が多いですので、家事援助サービスを現実に必要としている人あるいは潜在的に必要な方が今後もふえていくということを考えると、かなり慎重さが求められるのではないかということです。

 それから、筋トレについても、これも国会論議の中でも明らかにされておりますように、モデル事業で、必ずしも改善している面だけではなくて、身体機能では改善しているようですが、生活機能では悪化もかなり出てきているというような状況が明らかにされております。そういったことからいうと、筋トレを制度的に一般化するということへの懸念があります。

 それから、そういうものがかなり重視されると、サービスが、身体機能を改善することが非常に目標視されるということです。つまり、身体機能をとにかく改善するように努めましょうということがかなり強くなって、生活支援という部分が希薄化するのではないかということですね。逆に言うと、身体機能が低下する人が肩身の狭い思いをしないかということ、低下することが悪いというような風潮が出てこないかということです。

 それから、そういう中で、利用者が筋トレなんかに出ていきたくないとかいう形で閉じこもってしまったり、それから体調悪化する場合も示されておりますが、そうなると、かえって逆効果、あるいは重度化、コストが高まるのではないかということですね。そうすると、持続性ということが言われますが、サービス利用の持続性ということが逆に問題になるかと思います。

 それから、在宅の利用者がそういう形で敬遠したり、あるいはこれから決まっていく報酬水準のあり方、それから施設などの利用料の設定、こういったものから、事業者から見ても不安という部分があるのではないか。事業の持続性問題ということですね。

 それから、どういう形で家事援助が制限されるのか。あるいは、先ほど来も出ていますように、支援センターとか予防マネジメント、ここら辺の不透明性ということが考えられます。

 それから、地域支援事業なんですけれども、給付費の三%を使うということですが、国の負担は三分の一ないし二分の一から四分の一に下げられる反面、保険料負担部分が半分という、介護保険サービスと同じような財源構成になるのです。そうすると、これが保険料引き上げ要因になる。同時に、保険料を負担しているけれども、その保険料財源で保険外サービスを賄う、こういう乖離が生じてしまうということですね。

 それから、そういう中で、レジュメの二枚目をごらんいただきますと、これは現在、私とほかに同僚何人かでやっていまして、私は福祉の部分でごく一部ですが、現在、四国四県で全市町村にアンケートをかけている途中なんですけれども、まだ中間集約の段階ですが、介護保険財政の収支見通しで、黒字、赤字、それぞれそのような状況が答えられています。

 それで、これは質問をそのまま書いておりますが、介護保険制度の見直し、費用徴収の見直しや新予防給付の創設などによって介護保険財政は改善あるいは向上すると思いますかという質問に対しては、明確に期待している市町村は少なくて、変わらない、わからない、あるいは悪化するということで、市町村もかなり、どう判断したらいいのかわからない、あるいは、そういった新予防給付によって改善するというようにはっきりと期待されている様子がないという、ある意味不安な状況があるのではないかと思われます。

 それから、今後、自立支援法案も現在審議されておりますけれども、さらにそれが統合していくという中で、高知県議会あるいは各市町村でかなり慎重意見の採択ということが出てきております。これは応益負担ということがあります。

 それに対しては、高知市の状況にもありますように、支援費の支給決定を受けている人あるいは要介護高齢者の八割前後の方が住民税非課税という低所得の状況にあるということを踏まえて、利用料負担のあり方はかなり慎重に求められるのではないかと思います。

 それから、三ページに、最後、今後の課題として考えられることとしまして、先ほどの皆さんの御意見もそうですが、このまま改正法の施行ということになると、混乱あるいは不信が生じないかということを恐れます。

 それからもう一つは、介護予防、介護予防ということがかなり言われておりますが、それをどのようなスケールで評価していくのかということですね。要介護度の低下とかあるいは筋力向上とかさまざまな側面が考えられると思うんですが、そういったスケールをどういうふうにして各市町村で考えていけばいいのか。いろいろやったけれども、それをどういうふうに評価していけばいいのかということをやはり確立していく必要があるのではないか。

 それから、予防は大事なんですけれども、これが強調され過ぎますと、先ほども申しましたように、予防絶対主義といいますか、重度化というのはある程度避けられないとは思っておりますが、重度化することが何か非常にその人に肩身の狭い思いをさせるということですね。

 つまり、逆に言えば、要介護状態になったとしても、あるいは要介護度で見て悪化したとしても、あるいは、さらに言えば病気を持っていたとしても、その人がその地域で本当に幸せな暮らしができている、生活に対する満足度というのが高まっているかどうか。つまり、病気の予防とか介護の予防とかいうことも大事ですけれども、仮に介護や病気の状態になったとしても、その人らしい生き方ができているかどうか、やはりこちらの方が本当は目標とすべき点じゃないかと思っております。

 それから、応能負担ということがやはり必要ではないかと思われます。二〇〇五年度から訪問介護の継続利用者の軽減措置も廃止されますが、私は、訪問介護だけじゃなくて、サービス全般について、低所得者への軽減措置というのは逆に一般化すべきではないか。

 それから、収入のみに着目した減免は不適当とされておりますが、やはりそれは私は認めるべきではないか。もっと言えば、ドイツのように保険料の定率負担化ということですね、負担の逆進性が生じないような措置が考えられていいのではないかということです。

 それから、ケアマネジメントということについては、サービス提供機関から切り離していくべきではないかということです。制度的に、一般的にサービス提供機関との分離を図るということですね。それによってさまざまな問題を排除していくということ、あるいはそこに認定業務というのを組み込んでいくべきではないかというふうに個人的には考えております。

 それから、やはり介護労働者の評価というのが今なお非常に低いという問題があります。本当に、介護労働者の専門性ということが仕事の大変さの割には報われていないのではないかということ。それが燃え尽き症候群になってしまう、あるいは施設やその他で虐待的な現象が生じる遠因にもなるのではないか。専門学校とか大学生にとっても魅力ある仕事場として、そこら辺を特に評価していったり、介護労働者に対するケアということも考えるべきではないか。

 それから、地域で暮らし続けられるということは私は大事だと思っておりますが、ただ、今の段階で費用徴収などをかなり強めてしまうと、まだ条件が熟していない中で施設から出ざるを得ない事態が生じると、いわゆる介護難民と言ってもいいような人たちが出てくるのではないかというのを心配しております。

 それから、選択、選択ということがよく言われますが、本当の意味での選択は、先ほども言いましたように、自分らしい生き方を選択できるということで、サービスの選択ということに矮小化されていないかということなどがあります。

 それから、保険料の地域間格差などを緩和する上で、調整交付金五%の引き上げなどが検討されてもよいのではないか。場合によっては、国の二五%分についても再検討の余地があるのではないか。

 それから、健康づくりや介護予防というのは、意義自体は否定しませんが、それを国が一律的にあるいは制度的に押しつけるよりも、やはり住民自身が地域の中で内発的に、自分自身が自発的に行えるような条件や環境を整える。これは細かいことは省略しますが、県内や県外、いろいろなところを見ておりますと、やはり住民が非常に主体的に取り組んでいるところほどいろいろな意味での効果があらわれているということがありますので、そういう自発性ということを大事にすべきではないかと思っております。

 介護だけじゃなくて、社会保障についていろいろ論議がありますが、どうしても不安感がいろいろな調査で出てきておりますが、やはり国政レベルの決定の前に、地方での協議会、これは党派とか議会を超えて、地方での協議ということを積み上げていくことが大事じゃないかと思っております。ということがあります。

 そういう意味では、公聴会というのも大事かもしれません、聞くというよりも、協議するといいますか、その地域のいろいろな人が協議して、それを積み上げていって国政での判断をするということも必要ではないかと思います。

 済みません、ちょっと超過してしまいましたが、終わらせていただきます。(拍手)

鴨下座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

鴨下座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅原一秀君。

菅原委員 自民党の菅原一秀でございます。

 きょうは、地元の福井照議員が公務のために、かわりに私が質問させていただくことになりましたので、よろしくお願いいたします。

 ただいま、五名の陳述人のそれぞれのお立場で、大変貴重な、そしてまた示唆に富むお話を賜りましたことを厚くお礼申し上げたいと思っております。

 私は、高知の空港におりまして、この高知市内まで車でやってきたわけですが、町並みを見ながら、大変自然あふれるすばらしい県だな、そう思うと同時に、県道沿いに大変多くの病院あるいは老人保健施設、特養、こういったものが並んでいる状況を拝見いたしまして、まさに、先ほども澤本部長さんからもお話ありましたように、医療先進県ともいうべく、非常に医療の面で尽力をされてきた、こういう背景を目の当たりにしたわけであります。

 そうした中で、先ほどお話ございましたように、高齢化率は全国平均ほぼ同じということでございますが、病院の病床数、これが人口十万人当たり全国平均の二・五倍、大変多い、これは全国一というふうに心得ております。また、そうしたかかわりの中で、介護療養型医療施設、これも全国平均の三倍、これまた大変な数字になっておりますけれども、こういったことが、実質的には、介護保険料、これが全国平均三千三百円とすれば約千円上回っているという、そうした意味で、高知県あるいは高知市の中でもそれなりの御苦労があるのではないかな、こんなふうに拝察をするわけであります。

 したがって、お話ありましたように、高知市としていろいろな取り組みを進めておるようでございまして、パワーリハビリテーション事業あるいはいきいき百歳体操、この名前、ネーミングだけでも非常に元気が出るようなすばらしい事業ではないかな、こんなふうに思っているところであります。実際、このパワーリハビリテーション事業は、利用者五十九名が昨年三百二十九名、五倍に膨れ上がっておりますが、この数が多いか少ないかは別といたしまして、こういった事業自体が、要介護度を上昇させない、極力抑止をしてきた、こういうことの説明もございました。

 実は、五名の陳述人の方からもそれぞれお話ございましたけれども、いわゆる今回の二本柱、新予防給付、それとホテルコストの見直しということの中で、介護予防、すなわち新予防給付、すなわち筋トレというような構図といいますか、一部のそういう御意見、あるいはマスコミが非常にこういった報道を先行させてしまっているような経緯があるように私は思えてなりません。

 したがって、筋トレも、しっかりやれるところにはやっていくことによって要介護度を上げていかない、そういう一つの証左もこの資料にはいただいているわけであります。この介護予防サービス、今回の法案で見てみますと、条文の八条の二を見ますと、介護予防サービス、ホームヘルプサービス、入浴介護から始まって十二あるんですが、このうちのいわゆるデイサービスあるいは通所リハビリ、ここの中に筋トレのカリキュラムが盛り込まれているわけであります。実際、利用者の方が筋トレを受けるかどうかは本人の自由意思であって、強制ではない、こういう状況があるわけですけれども、実際問題、新聞報道等では、今回の法案の柱が筋トレで、それこそ八十歳を超えた、今まで要支援、要介護一の方が、そういった今までの介護サービスを受けずして筋トレをやらなきゃいけないんだと。それだけは勘弁してほしいという声が当然圧倒的なわけであります。

 そういう論理ではなくて一つの選択制であるということも含めて、これまで高知市として老人保健事業の方でこのパワーリハビリテーション事業に取り組んでこられたと思うんですが、そういう実績を踏まえて、今回の改正案についてどのように市民の方にPRをしていくか、そういう基本的なことを澤本陳述人さんからお伺いをしたいと思います。

澤本義博君 市民に対するPRについての御質問をいただきました。

 高知市としましては、今回の改正を受けまして、新たな介護保険事業計画それから高齢者保健福祉計画を策定するという運びになります。そういう意味では、一つは策定段階におけるPR、そして策定後のPRという二つの局面が考えられます。

 一つは、策定におきましては、市民の公募委員さんにも入っていただいておりますし、最終段階では市民の方に多くの御意見をいただくパブリックコメント、これも実施していきたいというふうな形で、市民に御理解を得た事業計画ということにひとつ取り組んでいきたいと考えています。

 また、PRにつきましては、既に第一期、第二期におきましても、介護保険の手引を前後に配付いたします。これは、介護保険の内容とか手続、あるいはサービス内容とか事業者、そういったものの詳細を冊子にいたしたものであります。今回も同様にそのような措置が必要というふうに考えています。一般的な広報紙によるPRももちろんさせていただきますけれども、そういったことも同時に取り組みをさせていただきたい。

 それから、介護保険につきましては、関係する事業者、ケアマネジャー、サービスを提供される事業者、それからそれを受けられるいろいろな各種団体もございますので、そういった個々の場を通じまして、この介護保険の改正の内容、趣旨、それからそういった利点等につきましてもPRに努めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

菅原委員 どうもありがとうございます。

 介護予防でございますが、中平会長さんにお尋ねをしたいんです。

 広い意味で介護予防、これは、要介護認定を受ける方と非該当の方も含めて広い意味があろうかと思うんです。今回の法案の中では、この新予防給付の中で、先ほど申し上げたように一つのカリキュラムとして筋トレ等が出ているわけでありますけれども、本来は、先ほどの中平さんの資料にもございましたように、モニター調査では、申請百七十万人中、非該当百十万、該当が三十五万、会員の四%という本当にすばらしい数値を示しているわけでありますが、言ってみれば、本来、介護認定の申請をしなくてもいい状態をいかに長く維持するか、継続するか、これが非常に大切なことだと思っております。

 先般、私も厚生労働委員会で、要介護認定、実際何%なんだという質問をしましたらば、ほぼ一〇〇%近いんですね。申請をすれば、要支援、一、二、あるいは要介護五まで含めてどこかに当てはまる、この論はきょうはあえていたしませんけれども、実際、要介護認定を受ける。

 しかし、保険料を納めているけれども、第一号被保険者であるけれども申請をしなくてもいいような状態、これはやはり老人クラブの非常に大きな力があるのではないかな。いろいろな取り組みをこれまで進められてきたと思うのですが、全老連の見坊副会長さんが、やはり高齢者みずからが健康づくりをしていく、そしてまた本人が意欲的に社会活動に参加をしていく、これが要介護者をふやさない要諦であるというようなことを先般参考人質疑でもお話をされたわけであります。

 そういう意味におきまして、広い意味での介護予防を進めていくことが不可欠な状況にあると思うんですが、そういう意味での地域社会の担い手として、中平会長さんがこれまで取り組んできた事業といいますか取り組みといいますか、この辺についてお考えをお聞かせいただき、そしてまた、今後、この法案について率直に感じていらっしゃることをお尋ねしたいと思います。

中平幹運君 介護保険にかかわりまして、市町村が行う健康づくり事業については既に早くから制度化していただきまして、これは国、そして県、市町村が負担をしながら進めておったわけです。同時に、昨年ですか、各都道府県が行う健康づくりにもこの制度が適用されるということで、先ほどお話のありました全老連の見坊副会長を中心にしまして、私どもは、やはり老人クラブ活動の中では健康づくりというのは現在の世代で最も緊急かつ重要な課題だ、こういうふうな位置づけをしております。

 それで、かけ声をかけるだけでなくて、先ほどお話し申し上げましたように、老人クラブというのは、目が届く、それから顔が見えるという非常に小さい小社会でのクラブでございますので、やはり本当の行動はそこで行われなければならぬ、かけ声だけではだめだというふうな考えで、単位老人クラブでどう取り組むか。もう一つは、単位老人クラブは非常に組織が小さいわけですから、そこでできない事業については市町村で積極的に取り組むというふうなことで、意欲的に取り組んでおるわけです。

 ただ、残念なことに、市町村にも認識の度合いがありまして、私ども働きかけをいたしましても、必ずしもすべての市町村で健康づくりを行政の上でも取り上げてくれるというところまでは現在いっておりません。国にありましても計上いただいておる国費が十分使われていないというふうな指摘もございまして、私ども、そういう点については大いに反省をしてこなければならないし、とにかく、先ほど申しましたように、こういうふうな健康づくりが、介護予防、それからもう一つは医療の予防に極めて大きな役割をする。

 ただ、数字が具体的に出ないのは非常に残念に思っておるわけです。数字の出るものとして評価いただいておりますのは、実は交通安全運動、これについては老人クラブは積極的にやっておるんです。高知県の警察の場合も、現在、交通事故というのは約半数が高齢者が事故に遭っておりますけれども、その中でも、交通安全教室を十分に受けているクラブ会員の事故数というのは極めて少ないというふうな実態の数字が出ています。そういう形に数字が出れば非常にうれしいのですが、これはなかなか数字は出てまいりません。今後、重要な課題として取り組みをしたい、こう考えています。

 以上です。

菅原委員 貴重な生の声をありがとうございました。

 続きまして、大原陳述人さんと和田陳述人さんに同じ質問をお尋ねしたいと思うんです。

 先ほどお話し申し上げましたように、医療機関が非常に充実をしている、日本一の病床数を誇る高知県でありますけれども、先ほども和田陳述人さんの方で疾患管理の不十分さということの御指摘をされておりました。まことにもってそのとおりではないかな、こう思うわけであります。言ってみれば、介護と医療のはざまで、谷間で非常に苦しんでおられる、また実際のサービスをなかなか十二分に受けられない状態があろうかと思っております。これは、介護予防あるいはリハビリ、これが本来柱であるわけでありますけれども、介護は介護、医療は医療、その役割分担が非常に不明確な、しっくりいっていないという状況があると思うんですね。

 例えば脳卒中で倒れた場合、まず、当然病院で治療を受けて、そしてまた、例を言えば、長嶋茂雄さんが脳卒中で倒れられた後に、医療機関において、急性期あるいは回復期のリハビリを極めてスピーディーに、そしてまたしっかりやった。そういったことが非常に効果があって、結局退院して、老健には入っていないと思うのですが、現在、さらにリハビリをしていらっしゃる、本来の姿にまた戻りつつあることは非常に喜ばしいことなんです。

 実際問題、病院を退院した後、老健などの介護の場で、いわゆる維持期のリハビリの効果というものも、病院でしっかりリハビリをやっていればより効果的になるというのが本来の実態だと思うんです。逆に、医療機関の方でしっかりリハビリをしたとしても、退院後、老健なり療養型医療機関において維持期のリハビリの受け皿がないと、結果的にその効果は相乗効果をもたらさない、こういうのが実態だと思います。

 こういう中で、医療と介護の役割分担、そしてまた、今後どういうふうに連携をやっていくのが理想なのか、これを、大原陳述人さん、和田陳述人さん、それぞれお聞かせをいただきたいと思います。

 あわせて、時間がもうないのであれなんですけれども、医療ニーズが非常に高い方が、いわゆる退院後、地域でそれを介護というサービスの中でどういうふうに支えていくかということ、これが今回の論点で課題として残ってしまっているポイントなんですね。実際に、まだ医療ニーズが高い、しかし、社会的退院という言葉があるかどうかわかりませんが、退院後に、その受け皿の中で、介護保険の中で医療部分というものが非常に講じられていない、講じにくいという状況、こういった状況についてもどういうふうにお考えか、お知らせをいただきたいと思います。

大原啓志君 私の立場で全面的なお答えをするということができないんですけれども、特に、リハビリテーションを必要とする方の急性期、回復期、維持期、そういった連携について、一昨年、昨年あたり経験しておりますのは、地域リハビリテーションという施策がありますけれども、高知県の場合は、広域についてはそのセンターを保健所が担っております。その保健所が担っている広域地域リハビリテーション支援センター、その活動の中に、今おっしゃった、入院期の病院でのケアと地域におけるリハビリテーションというのをつないでいこうという活動があります。

 実際にやられていることは、例えば、どの施設がどのような形の活動をしているか、その窓口がどういうふうな形になっているかということを一つの地域の中でお互いが知り、それをPRしていくというふうなパンフレットといいますか冊子のようなものをつくっていく。それをつくるために、各施設のPT、医師、保健所のスタッフというような方々が集まって共同作業をしていくというふうなことが進んでおります。

 そういうものは、実際に、今おっしゃった課題に近づく方法として非常に有効なのではないか。そのような形で今後も進んでいくことが一つの大きな展開を見せることになるんじゃないかというふうな感じを持っております。

和田節君 二点ほどお答えいたします。

 急性期から維持期に対する移行期の中でのその占める役割分担を施設の中でどう考えるかということですけれども、医療機関の中にも回復リハビリというのはございますが、基本的に、医療費の抑えという形で医療入院期間は非常に短くなってきていると思いますので、その受け皿としては、今までの施設の特性としては老人保健施設があったかというふうに思っておりますし、入退所先の資料を出しておりますけれども、やはりそこにも、医療機関から入ってくる老健への入所の比率というのがございます。

 現在私どもでもやっております、非常にリハビリへの取り組みというのは強調されておりまして、配置しながらやっていきますと、急性期から、脳血管障害を起こして、命は取りとめたけれども生活障害を残したままで、そのまま在宅に帰れない人たちに対するリハビリは老人保健施設で十二分にやっていけますし、きちんとしたプログラムを立てればかなりの効果を上げることはできます。

 ただし、職員配置としては、私どももそうですけれども、効果を上げるためには、配置以上のPT、OTを置かざるを得ない。介護職員も配置以上置かざるを得ないし、そういうふうな専門職も配置以上のものを置いていって初めてその機能を発揮できる。きちんとやっていけば、その役割、任務としてはできていくだろうと思います。

 それから、在宅での医療ニーズの高さに関してですけれども、これもやはり先ほどの急性期と同じように、いつまでも医療機関というのはなかなか、そういう時代ではなくなってきただろう。特に、慢性期の疾患を持った高齢者が在宅にいらっしゃるわけですけれども、そのフォローをどうしていくのかというのは、私の中で申し上げましたけれども、介護保険のサービスのありようと、医療の中での連携をどう考えていくかということだろうというふうに思います。

 つまり、プライマリーケアを実践していく医療機関というものをきちんと地域の中に位置づけることができるかどうか。そうすれば、慢性期の疾患というのは在宅の中で十二分に管理できると思うんですけれども、単身高齢者ないし認知症の高齢者、高齢者夫婦においては疾患管理に関するリスクは非常に大きなものがございますので、そこはきちんとサービスの中で見ていかないといけないし、それをマネジメントしていくのは単なるケアマネジャーだけではないだろう、担当者会議の中でそれらを含めてやっていく必要があるのではないかと思います。

 以上です。

菅原委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

鴨下座長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔でございます。

 きょうは、意見陳述者の皆さん、それぞれのお立場からの貴重な御意見をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 この介護保険、五年を過ぎたわけですけれども、導入をするときに、本当に短い期間の準備だったと私は思ったんですが、これで本当にスタートして大丈夫なんだろうかという危惧を覚えたことも、今記憶に新しいところでございます。おかげさまで、それぞれの市町村の皆様の努力や、施設の方々、いろいろな方々の御努力で、当初心配しておった、保険あってサービスなし、こういう状態になりはしないかという危惧は払拭をされたと私は思っております。

 そういう中で、介護の社会化、今までの家族が本当に全面的に見ておったものを、核家族化等社会の変化に伴って、社会全体で支えていこう、こういうことがこの五年間で定着をしたのではないか、私はこういうふうに思っております。まず、介護保険制度をスムーズにスタートさせて、本当に社会で支えていくということ、そして、保険があってサービスも十二分にある、こういう体制で五年間それぞれ努力をされてきたと思います。

 それと同時に、その発足のときに、やはり介護の予防という考え方も私はあったと思うんですが、どうしても、まず介護の体制をしっかりつくるということに重点が置かれたのではないか。ですから、これから、五年たって見直しをする際に、さらに今度は予防という観点、これが大きく大事な問題として出てきたんじゃないか。介護をする方も、また介護を受ける方も、重度化というのはだれも望んでいないわけですので、この予防に対してこれから知恵を絞っていかなきゃならないというふうに私は思っております。

 それで、五名の方に、それぞれのお立場を代表されて来ていただいていると思いますので、率直に、介護保険の五年間の評価と、五年間やってみてこういう問題があるよ、その点をまず端的にお伺いいたしたいと思います。順次、五名の方に簡単にお願いしたいと思います。

澤本義博君 先ほど意見を陳述させていただきましたように、今御質問をいただいた内容で、この五年間につきましては、介護の社会化を含めて、一定前進をしたのではないかというふうに評価しています。

 高知市の場合は、先ほど医療機関のお話をさせていただきましたけれども、いわゆる医療の社会的支援の層が厚かったためにサービスの提供が非常にスムーズに移行できたということで、その面で全国的レベル以上にサービスが十分提供できてきたのではないかというふうに評価をしております。

 介護予防につきましては、今後も含めた課題ということで推進をしていきたいというふうに考えております。

中平幹運君 五年間の評価という点では、私は、一定定着した、こういうふうな見方はしております。

 ただ、この五年間を振り返ると、その中にさまざまな問題点も出てきておるわけです。先ほども申し上げましたような問題点があるわけですから、次期対策としては、既にお示しをいただいておるこの予防を含めて、これまでのより厳密な評価の上に次の活動の展開を図ってほしい、こういうふうな希望を申し上げたいと思っています。

大原啓志君 介護保険に関して、一定の定着をしている、一定の役割を果たしたというのは、それでよろしいのではないかと思います。

 ただ、介護予防という点から見ますと、先ほど申し上げたことと同じなんですけれども、要支援という形の予防給付を保険の中に取り込んで、それが十分な効果を上げずに新予防給付という形になったわけですが、そのある種のあいまいさということに対しては、やはりきちっとすべきではないか。介護予防について、介護保険が出発した時点で、議員もおっしゃいましたけれども、ちょっと急ぎ過ぎた、詰めが甘かったというところがあったのではないか。それは、今の時点でどういうふうに訂正していけるかというのは非常に難しい問題もありますけれども、一番大きな課題ではないかというふうに考えております。

和田節君 介護保険制度そのものは、やってみて、介護の実態、老人の生活の実態がかなり明らかになってきたと冒頭に上げました。

 ただ、医療費の抑制と介護保険との両バランスを考えていったときに、医療費抑制ということと介護保険というのがうまく結びついてはいないんじゃないだろうかというふうなことと、あわせて、大原先生も発言なさいましたけれども、介護保険の中に予防という概念を入れていったことのあいまいさというのが、やはり今論議している大きな問題の一つになってきているんじゃないかなと思います。そこは、きちんともう一回検討する必要があるのではないかというふうに考えます。

田中きよむ君 一つは、利用者の選択ということです。これも、かなり基盤整備は整っておりますが、やはり地域間格差とかいうことがあって、それが一定の地域差ということがあるという問題がまだ残っているかと思います。

 それから、選択ということあるいは契約ということが理念としてはうたわれているんですが、契約というのがかなり形式的になっていて、なかなか本人や家族の方が十分理解した上での契約というのが、実態を必ずしも伴っていないのではないかということがあるかと思います。

 それから、その選択ということについて、質の評価に基づく選択というのはまだこれからではないかということがあります。

 それから、選択というのが、先ほども申しましたように、サービスの選択というふうに少し矮小化されているのではないか。自分らしい生き方の選択ということが必要ではないか。

 それから、いろいろな事業所などの囲い込み的な現象がやはりあるのではないかということが、選択という趣旨に外れるのではないか。

 それから、いろいろなところでよく言われるのは、保険料格差がかなり開いていっているということに対する住民から見た不公平感を、どう是正していくのかということが問われるのではないかと思います。

 それから、先ほど申しましたように、保険料や利用料の逆進性の問題が残っているのではないか。

 それから、高知の場合、これから、独居の高齢者の方、特に女性の方が多くなっていくようですけれども、どうしても家族と施設の間が弱いのではないか。つまり、家族でぎりぎりまでいって、どうしようもなくなったら施設ということで、家族と施設の間の地域力というのがまだ不十分ではないかということで、地域で安心して暮らせるということが言われますが、それがやはりまだ実を伴っていないということがかなりあるのではないかと思います。だから、それはそれできちっとやっておく必要があります。

 ただ、それを、ちょっと負担を高めてという形で、施設から退去せざるを得なくなるような事態は厳に避けるべきではないかと思っております。

石田(祝)委員 先ほどの陳述に関してちょっと和田陳述人にお伺いをしたいんですが、私の受けとめ方が正しいかどうかわかりませんけれども、予防についてこの介護保険の中に入れたことが何かちょっと違うのではないかという御意見だったと思うんですが、それでよろしいのかどうか。また、具体的に予防という観点を、ではどこでやったらいいのか。この点について、和田陳述人からちょっとお伺いしたいと思います。

和田節君 予防ということですけれども、資料の中に入れさせていただきましたが、要介護状態になるおそれというところを介護保険の対象領域の中に入れていると思うんですね。そのことをもって予防と言いましたので、ちょっと予防のとらえ方があるかと思います。

 予防に関しては、二通りあるんじゃないかなと思うんですね。重度化への予防ということと、あわせて、ヘルスの事業で考える予防ですね。生活の支援の部分から考えていく、生活弱者に対する、要介護状態になるおそれというところをどう見ていくのかというのが、介護保険なのか否かというのはやはり検討していく必要があるのではないかなと考えております。

石田(祝)委員 済みません、和田陳述人にもう一度お伺いしたいんですけれども、例えば高知市の資料でも、三年後に要支援を維持できたのは四分の一以下であると。ですから、これが三年たったときの加齢に伴って必然的になるものなのか、それとも、もう少し努力をしていけば、四分の一ではなくてもうちょっと介護の重度化の進行を抑えられるのかどうか。このあたりは、現実に施設で日々接しておられるわけですから、要介護度が重度化しないという観点で、それだけに絞った場合に、この介護保険の中での予防という考え方、これについてはいかがでしょうか。

和田節君 先ほど申し上げましたけれども、後ろにも、私どもの資料は若干数が少ないのでこれだけでは言い切れないんですが、基本的に、これは通所に来ている人たちもそうですけれども、通常であれば、それほど大きく動くことはないだろうと思うんですね。

 例えば、片方で過剰なサービスが廃用性をつくってきたということだけをもって言えるのかどうか。むしろ私は、予防という視点からいったら、介護度がツーランク以上動いている場合には、私の感覚ですけれども、疾患というのがかなりそこに大きなウエートを占めているんじゃないかなと思うんですね。

 疾患とあわせて、生活上のリスクです。例えば、認知症の人の場合は、行動性、活動性が落ちてくるということになれば、それはリスクとしてリハビリもやっていかないといけないだろう。食事の管理がうまくできなくなってくれば、食生活の乱れが出てくれば、それへの対応も必要だろう。逆に、基礎疾患があって、その管理がうまくいかずに、先ほど事例で報告しましたけれども、そういう重度化を起こすようなものがバックにあるならばそれだろうということで、私は、介護予防というのは、逆に言えば、その人の持っているリスクというところをきちんと見ていくべきだろうと。

 それは、単にパワーリハだけではなくて、いろいろな側面があるだろうと思いますし、特に認知症の方の場合、高齢のひとり暮らしの場合は、あらゆる場面にリスクがあるということを含めて、それをどのように見ていくかというのは、アセスメントをきっちりしていく必要があるだろうというふうに考えます。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

 私も、先ほどから皆さんの御意見をお伺いしておって、介護保険でどこまでこれはやるべきなのか、どこまでやったらいいのか、ある意味での介護保険のカバーする範囲というんでしょうか。逆に、この五年間で、それぞれのお立場で頑張っていただいて、これは言葉がちょっと違うかもしれませんけれども、何でもかんでも介護保険だ、こういうふうな動きにちょっとなってきているのではないか。

 なおまた、医療と介護の境目というんでしょうか、その連携で、先ほどの和田陳述人でしたか、お話の中で、一年間でこんなに介護度が上がるということは考えられない、そこには疾患という問題があって、そういうものが私の印象では見過ごされて一年間でそれだけ大変な重度化をしたんだと。

 だから、介護は一体どこまでやるべきなのか、医療と介護の関係はどうあるべきか、この連携というところが、お伺いをしておりまして、もうちょっと工夫をしていかなきゃいけないところじゃないかな、こういうことを実は私は正直感じました。

 それで、高知市の場合も、これを見ますと、病院のベッド数が全国の二・五倍ある、そしてその上に、介護療養型医療施設の入所者も全国の三倍だ。ある意味でいえば、もともと介護保険を導入したときに、介護の社会化と同時に、病院の社会的入院というものもこれは防がなきゃならない、こういう観点があったと思うんですが、ベッド数も物すごく多いし、介護保険も金額が高いということは、それだけ介護を利用している人が多い。施設の数の問題ももちろんあると思いますけれども。

 これは澤本陳述人にお伺いをしたいんですけれども、現実に、社会的入院とかいろいろな観点から、いい意味での医療と介護の役割分担ができている、この辺の評価はどうなんでしょうか。

澤本義博君 全体的にどうかという判断を私はちょっとしかねますが、現実的に、高知市の場合は、介護保険に関しましても、介護医療施設、この割合が圧倒的です。一方、医療においても、療養型の医療機関、こういったことも確かに人口当たりの比率というのは多くなっております。

 医療につきましては、急性期あるいは急性期リハ、それから療養期、いわゆる慢性型、そういった形での機能分担というのが一方で全国的に進められておりますので、高知県におきましても、そういったことを念頭に、医療機関のある意味の機能分担、それと連携が進んでいっているというふうに認識はいたしております。

 それと、介護保険の三機関、療養型、老健それから特養、そういったことにも、一定特色を生かしながら連携をし、在宅との関係も、徐々にそういった制度趣旨を踏まえた形の対応が進んできているのではないだろうかというふうな認識はいたしております。

    〔座長退席、北川座長代理着席〕

石田(祝)委員 それから、これは引き続いて澤本陳述人にお伺いをしたいんですが、意見の中で、ケアマネジャーのいわゆる努力が評価をされる、報われる仕組みが要ると。これに、例えばということで、成功報酬加算制度、こういうことを書かれておりますけれども、これは、ここにお書きになっていらっしゃいますのである程度のイメージはあろうかと思いますが、具体的に、例えばこういう仕組みで高知市だったらできるな、全国に例としてできるのではないか、こういうお考えがありましたら、お伺いをいたしたいと思います。

澤本義博君 これも、例えで申し上げましたけれども、本来の趣旨は、ケースによると思いますが、介護度を維持あるいは改善していくというのが一つのケアマネジャーの大きな任務ではないだろうかというふうに考えたところです。そうしますと、その人に合った十分なケアマネジメントができて、そのサービスが提供できたときに、その状態と、それ以外に、ケアマネジメントがそれほど十分でなかったことによって、あるいはサービスが十分でなかったことによって介護度が重度化したという形を比較した場合に、一定、インセンティブとして、介護度を維持あるいは改善するという形に対して、成功報酬というふうな新たな加算制度を一つの例として採用していただく方が、全体としての介護度の重度化を防ぐ担保になるのではないだろうかというふうな発想のもとに、御提案をさせていただいたのであります。

石田(祝)委員 それでは、最後になりますが、今、高知県でも、また全国的にも、市町村の合併が進んできております。そういたしますと、必然的に面積が大変広くなる、この問題が私は出てくるのではないかと思うんです。

 特に、これは中平陳述人にお伺いをしたいんですが、今回、四万十市ということで高知県で一番広い行政区になった、こういうことでありますけれども、ということは、必然的に人口が、まばらと言ったらおかしいですけれども、面積の割には少ない。そうすると、一つの拠点までにある程度時間がかかるわけですね。そこのところは、今回新たに合併されたところとして、お住まいとしてどういうお感じなのか。時間がありませんので、申しわけないんですが、端的に教えてください。

中平幹運君 合併に伴ってさまざまな問題が出ています。例えば、合併の対象市町村で保険料の差があるとか、あるいは従来のサービスに差があるとか、いろいろありますけれども、現在合併をしておる県下の情勢を見ますと、決して大きな乖離のあるものではなしで、ほぼ共通したような保険料あるいはサービスが実行されておるところが仲よくなっておるというふうな実態が実はございますので、合併をして特にこれが障害になるということは出ていない、出ないだろうというふうに私は推定をしております。

石田(祝)委員 どうもありがとうございました。終わります。

北川座長代理 次に、五島正規君。

五島委員 民主党の五島でございます。

 本日は、陳述人の皆さんには、大変お忙しいところ、ありがとうございました。大変貴重なお話をお伺いしてまいったわけでございますが、早速でございますが、三、四点についてお伺いをしていきたいと思います。

 まず最初に、和田陳述人の方から、今回、新たに新予防給付という形で介護保険制度が二本立てになる、ここのところにマネジメント機関も二つ要るし、問題だというふうな御指摘もございました。

 一方で、なぜ二本立てにするかということについてはこれまでもさまざまな議論があったわけでございますが、一つ無視できないのは、高知市におきましても、例えばそれぞれの事業所が携わっておられます要介護の方々あるいは要支援の方々に対するケアサービスにつきまして、ある事業所では、八〇%の人が要支援、介護一である、そしてある事業所では、四〇%までが要支援、介護一、特に要支援の人は一〇%強という事業所もある。大変ばらつきがございます。

 また、老人施設の方にいたしましても、介護老人保健施設で見てみますと、平均的な介護度というものを見ました場合に、これは介護老人保健施設が一番軽いんですね、平均で三・〇三。特養の方で三・七二、介護療養型医療施設で四・一三ということですから、いわゆる老人保健施設が一番軽い。その中でも、ある施設の平均では二・二八、重いところでは三・八六と大変な格差があります。全国平均で見ますともっと両極端の広がりが見えるわけでございまして、これをどうするかというのは非常に大事な問題だろうと思っております。

 この保険制度をつくったときにも、お手伝いさん派遣法案になってはならないという議論は、当時さんざん皆さん方からもお伺いしたところでございました。そういうふうな経過の中で、私は、率直に言って、要支援、介護の一というものに対するサービスを抑制しないと介護保険料がもたない、ことしの七月に新たな介護保険料をそれぞれ市町村は決定されるんでしょうが、その抑制ということでもって二本立てを厚生労働省は出してきたんだろうというふうに思っています。

 そういう意味で、この二本立てにしたことについて、澤本陳述人の方に、このことについてはどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

    〔北川座長代理退席、座長着席〕

澤本義博君 介護給付の二本立てについてでございますけれども、確かに、私どものこの五年間の実績におきましても、要支援、要介護、先ほど陳述させてもらいましたように七割を占めるという状況がございます。その意味では、今回政府原案として出されております新予防給付あるいは介護予防マネジメント、そうしたものの意義というのは大きいものがあるのではないかというふうに基本的には認識をしているところです。

五島委員 そこで、今回、新予防給付という名前で、予防給付という名称になってまいりました。

 ただ、この新予防給付につきましては、これまで国会におきまして、政府側の説明は、軽症の方に対して家事代替サービスを提供することが実は介護の悪化につながるのではないかというふうなことまで総理自身が本会議で言われて、大変混乱して、現在に続いています。常識的に考えて、家事サービスがふえたからといっていわゆる要介護度が上がるというのは、よほどの例外のときでない限りあり得ない。しかし、現実に、お金をかけても介護度がそれほど改善しない、あるいは維持されずに進行しているという事実があるのは、これは事実でございます。これはやはりもう少し年齢別にもその様子を検討していかなければいけないというふうに思うわけです。

 きょう、和田陳述人の方から、介護度を二年間の間隔でとってみると、介護度の悪化について一番大きな要因は、出された資料から見ますと、いわゆる認知症の進行によって介護度の悪化が進んでいるというのが一つ、資料等を出されました。また、和田陳述人の方から、いわゆる基礎疾患を持っている人について、その疾患管理といいますか、基礎疾患管理が不十分なことによって重度化しているケースがあるという指摘をされました。私は非常に納得ができる話でございまして、実はそうなんだというふうに思っています。もちろん、これは前期高齢者と後期高齢者とに分けて検討しないと一律には言えない話かもわかりませんが、やはり基本的にこういう問題が大事なんだろうというふうに思っています。

 そこで、この予防という問題について、では一体何ができるのか。今、介護保険の議論でございますから、介護保険でやること、これは恐らく、来年の今ごろになって老人医療制度の議論になりますと、老人保健で何ができるかという議論、ばらばらの議論をするんだろうと思うんですね。

 先ほど大原陳述人の方からは、今回の予防の問題についても、いわゆる健診の問題の指摘をされたわけでございますが、ケアマネジャーにきちっと悪化の原因を調べていただければ、全国的に悪化の原因をチェックすることはそれほど難しくない。その上で、今、和田陳述人が言われたような問題があるとすれば、本当にヘルスの活動というもの、介護の段階、介護が必要かどうかという段階において行われる予防的なサービスの提供と、それからそれ以前からやられること、あるいは老人保健との関連においてなされなければいけない予防のサービス提供のメニュー、そういうふうなものはそれぞれ別々で検討していっても効果のあるものなのか、あるいはその辺はどうなのか、ぜひ大原陳述人にお伺いしたいと思います。

大原啓志君 別々に検討して効果があるかという点についてはよくわからないんですが、例えば、私が一つイメージをしておりますのは、先ほどもちょっと申し上げたように、今後、スクリーニングの中で、健診方式、生活機能測定というふうなものを持ち込む可能性が出てきていると思うんですけれども、対象者をどう置くかによって非常に違ってきますが、その生活機能測定の結果、リスクが高いと判断された者、片方でそうではないと判断された者が出ます。

 そういう方々に対して何ができるのかというのは、例えば、全く正常じゃなくて少し低下は起きているかもしれない、それは毎年変わってくるかもしれない。それから、幾つかのリスク、側面を機能測定ではかるわけですから、あなたの場合にどういうことが一つの、これからの生活の中で注意をしたらいい点ではないかというふうなことが出てくる可能性がある。そういうものは、具体的なおそれのあるもう一つ以前の問題として、取り組みの一つの可能性があるのではないかと思います。

 ただ、スクリーニングというのが、例えば先ほどちょっと申し上げた厚生労働省の資料の中では、まず、いろいろな情報でおそれがあることが考えられた人に対して、つまり五%の前の数字なんですけれども、そういう人に対してスクリーニング、健診をしましょうというふうになっていますから、そういう場合にそういうものが有効であるということと、それから、高知県の中でいいますと、例えば七十五歳以上の人々全体に対してスクリーニングないしアンケート調査をするというふうなことは広まってきておりますけれども、そういう場合に、非常にたくさんの本当に元気な方々が、先ほどのプロセスでいえば対象外で出てくる。そういう人たちにどんな形が、話ができるのかというのはまた別に考えていかなければならない。

 そういうふうな形では、順番に一つの体系というのを考えていけるのではないかと思いますが、現在の段階では、それぞれがどういうふうな形の効果をおさめるのかという検証がまだなされていない段階ではないかというふうに思っております。

五島委員 ありがとうございました。

 ただ、私は、どの人がその五%に入るかというチェックのためにお金をかけ、そしてそういうふうなチェック体制をするよりも、やはり、もっと広範な形で、若いときからのいわゆるヘルス事業というものをきちっとやっていく。そして、老人医療の中において、やはり医療の責任において、それぞれのお年寄りが要介護状態になっていく危険性についてもきちっとやり、そして各市町村におられる保健婦さんのところにそういう情報が本来なら集中すべき、ところが今していない。そういうふうなところをきちっと手直しをして、もう一度ヘルス事業というものを市町村の中に再構築し直すべきなんじゃないか、そこが一番大事なのではないかと思うわけなんですが、この点についてはいかにお考えでしょうか。

大原啓志君 おっしゃるとおりだと思います。そういう意味でのヘルス事業と、それからもう一つは、恐らく、地域づくりといいますか、高齢者にとっての生活できる地域の再生ということだと思いますが、それが一番大きな意味を持っているだろうと私も思います。

 ただ、現在の状態の中で、非常にヘルスの部分が縮小されてきている中で、どういうところに力を入れるのかということが少しあいまいになっている、そういうよりどころがなくなっているのが現在のヘルスの状態ではないか。一つの方式として、先ほど申し上げたようなことがあるのではないかというふうに位置づけております。

五島委員 ありがとうございました。

 もう時間がありませんので、次の問題に行きたいと思うわけです。

 今回、地域包括支援センターという問題が出されまして、これがどうなるのかという話があるわけですが、今、市町村の立場から見た場合に、いわゆる保険事業全体を保険者としてだれがどのような形でチェックしているのかという問題がございます。そのことと、それからケアマネージをやるということとは全く別だろう。今回の法案の中には、どういう関係かわからないけれども、これが交互に入ってきているわけです。同時に、相談業務というものがこれからますますふえてくるだろう、そういう相談業務というものもここのところでやるというふうになっているわけです。

 私は、これからも、高齢者、特に団塊の世代がふえてくる中で、保険料が将来的に大幅に急増する可能性が非常に大きい中において、保険者として、保険制度がきちっと運用できるためにむだを排除した形のチェック機能というものを持たないと、市町村はうまくやっていけない状況になってくると思うわけですが、澤本陳述人はこの点についてはどのようにお考えでしょうか。

澤本義博君 そういう意味で、市民の状態の把握ということでいえば、現に高知市でも、保健所所管の健康づくりサイドと、それから高齢者所管の福祉事務所、ここに二元化されているのが実態でございます。なお、それぞれの人々の状況を把握できておりますのは、一方では、福祉事務所では在宅介護支援センターにそういった機能を発揮していただきたいということも含めて言えば、三元的になっているのが実態でございます。

 それをすべて統括するというのが一つの方向としては選択肢としてあろうかと思いますけれども、それぞれの事業の目的とするところが違うというようなこと、それから対象者も必ずしも一致しないということから、もう少し情報の連携を十分にできるような仕組み、その意味では、今回提案をされております包括支援センターを、基本機能を市町村が持つということの意味は大きいのではないかというふうに考えております。

五島委員 中平陳述人にお伺いします。

 できるだけ介護保険の適用にならずに予防していけるという状況の中には、高齢者の地域コミュニティーが維持できているということは非常に大きい。事実、それが維持されておりますと、少々体のぐあいが悪くても、お年寄り同士、そしてそれを若い人たちが支えることによってうまくいっている事例というのは、高知県においても過去幾つかの町村で特徴的に見られていました。中平陳述人も長いこと村長さんをやられたわけですが、西土佐なんかも、介護保険ができる前から随分とやってこられたところだと思います。

 ところが、今のこの制度の中において、一番大事な高齢者のコミュニティーづくりを市町村にどのように協力してもらって再構築するかという点はないわけでございます。とりわけ、介護保険制度ができて、私自身も大変残念に思っているのは、それが絶対的なものではないわけですが、それまでたくさん存在しました各地のゲートボールクラブみたいなものが全部なくなってしまいました。そういう意味では、こうした高齢者の地域コミュニティーづくりというもの、これがやはり高齢者を支える一つの基盤ではないかと思うわけですが、その点についてどうお考えでしょうか。

中平幹運君 先ほど既にお話が出ましたけれども、やはり健康づくりが若年の時代からずっと構築されていくということが非常に大事。それからもう一つは、そういうふうなことがその世代に行われるとすれば、既に前期高齢者の時代に入りましてもそれは継続されるということです。

 それからもう一つは、先生今おっしゃったように、コミュニティーの形成、再構築というのは非常に大事でございます。私どもは、単にゲートボールを取り上げても、ゲートボールを好きという人もあれば、ゲートボールは嫌いだという人もおるわけですね。非常に多趣味な、多様化した現代の世相の中でどう皆さんのコミュニティー形成をするかというのは、非常に大きな課題になっておるというふうに思います。

 それから、もう一つ私が感じておりますのは、高知県の中でも、高齢者比率が三五%、つまり三人に一人は高齢者の世代の市町村があります。それから、そういう中でも、前期高齢者じゃなくて後期高齢者がその半数を占めておるというところもあるわけです。しかし、一方ではそういうところがありながら、介護保険についても、国が今おおよそとしてめどとされておる三千三百円の介護保険料で十分済んでおるところも現実にあるわけですね。そういうふうな実態を考えると、やはりさまざまな営みの中でいいものをつくり出していく、できるだけ費用負担のかからないような社会形成をしていくというのは、今後の地域社会で非常に求められるのではないか、こんな感じがしています。

五島委員 最後に、中平陳述人からは、年齢拡大をやるべしという御指摘でございました。

 中平陳述人以外の四人の方々、もう時間がございませんので、簡単に、二十一年からの年齢拡大についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

澤本義博君 現時点では、慎重な論議をいただきたいと考えております。

大原啓志君 基本的な考え方としては、二十歳以上が入ることの考え方でよろしいのではないかと思っております。

和田節君 私も大原先生と同様に、基本的に二十歳からの参加ということで検討を進めていっていただきたいと思います。

田中きよむ君 私は、高齢者介護サービスの基盤整備状況と支援費制度の障害者福祉サービスの基盤整備状況にかなり大きな格差があるという現実で、今、システムとして一緒にするにはまだ時期尚早ではないかと思います。

 それから、利用料の負担の仕組みが、もう既に自立支援法案が一割負担と、介護保険と同じ仕組みを想定しておりますが、これが、低所得の方などの負担が耐えにくいものになっているのではないかということで、かなり大きな負担増になるということから考えまして、制度の違いがかなり大きいということもありますので、慎重な検討が必要ではないかと思っております。

五島委員 どうもありがとうございました。これで終わります。

鴨下座長 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 きょうは、意見陳述者の皆さん、ありがとうございました。皆さんのお話をお聞きしながら、今回の介護保険制度の改正案につきまして、不鮮明である、不透明である、正体不明である、具体的イメージが示されていない、これだけの大きな改正提案であるにもかかわらず公聴会の場でそういう危惧が出たという点を、私は重く受けとめたいと思います。

 それからもう一点は、介護保険制度というのは、実際には、それぞれの自治体の方、それから施設の方、それから介護労働者の方々、皆さんが担っているわけですから、そこの皆さんの実際の意見を聞き、協議もしていただきたいという意見も、私は重く受けとめまして、これからの国会審議の中でただしてまいりたいと思います。

 さて、初めに田中さんにお尋ねしたいんですけれども、きょう意見の冒頭で、今回の改正案が財政的効率性の優位性がある、その懸念を持っているんだという話がありましたけれども、政府の側は、この制度設計をやると制度が持続するんだということを言っているわけですね。これについてはどういう意見をお持ちでしょうか。

田中きよむ君 私から見まして、財政の収支バランス、収支の帳じりを合わせていく、そういう意味での制度の持続性ということがどうしても自己目的化しているのではないかということが懸念されております。

 それで、その結果、サービス制限あるいは負担増によって、利用者の側から見た制度に対する信頼性、あるいは社会保障制度というものに対する、本来安心を担保するべきものに対する不安ということになれば、利用者から見た制度に対する不安感あるいは不信感、そういう意味での持続性というのが損なわれるおそれがあるのではないかということです。

 いろいろサービスが制限されたり、もう予防だけですという形で言われたり、あるいは費用負担によってサービスが利用しにくくなったり、利用するサービス量を減らしたりということになりますと、介護保険サービスに対する満足感というのが低下するおそれがあるのではないかということですね。

 そういったことからすると、制度に対する信頼感というのが一番持続性にとって基本だと思うわけです。保険の収支バランスの帳じりを合わせるという持続性以上に、まず、高齢者の方にとって信頼できる制度、安心できる、それによって生活が困らない、あるいは費用負担は心配しなくていい、そこがやはりベースにあるべきではないかと思います。

 それから、場合によっては、そういった新予防給付になじまない人などが閉じこもりなどをすると、財政的効率性からいっても、閉じこもることによって寝たきりや痴呆が進むとすれば、これは逆に重度化という意図せざる結果を生むのではないかと思っております。

 それから、事業者から見た制度の持続性ということも、そういった利用者の動向やこれから決まる報酬水準、これもトータルで見るとどうしても抑制されることになろうかと思いますが、そういったことなどから、あるいは利用料の設定水準などによって、事業者から見た制度に対する経営的な持続性、ここら辺も不安が感じられます。

山口(富)委員 次に、和田さんにお尋ねいたします。

 先ほど、施設給付の見直しのところで、応能負担の原則を取り入れるべきではないかという提案がありました。特に、今回、国の提案では、低所得者の対策をとっているというわけですけれども、第三段階の収入のところでいくと問題が多いという認識だと思うんですが、今度の国の低所得者対策をとりましたよという意見についてはどういう判断をお持ちなんでしょうか。

和田節君 応能負担の部分をここで書かせていただきましたけれども、介護保険でどこまで見るかという論議がまず一つはあるんだろうと思うんですね。

 居住費と食費に関しては、介護保険じゃなくて、生活にかかわるものとして自己負担の領域ということを持ってこられたんだろうと思うんですけれども、それはそれとして一定程度認めたとしても、そうすると、生活に抵触する部分の自己負担の領域においては、応能負担ということをもう少しきちんとすべきじゃないだろうか。

 だから、保険の領域は応益負担ですよ、全員が一割負担。だから、居住費と食費は生活にかかわるものだという形で保険と切り離した段階では、その部分を応能負担できちんと整理をすべきだろう。特に、第三段階においてのこの収入格差というのは、例えば八十万ですと月額七万円弱、二百六十六万ですと月額二十何万ですか、これは自己負担の領域からいっても非常に格差が大きいだろうというふうな感じでここに出させていただきました。

山口(富)委員 どうもありがとうございました。

 では、次に大原さんにお尋ねいたします。

 スクリーニングの問題なんですが、私もこれは国会で質問をやったんですけれども、結局残りましたのは、ハイリスクの方を五%程度に絞るということだけなんです。いわば目的だけですね。

 ところが、実際には、今やっているのは、老人保健法にかかわる健診の問題がありますし、今やっている一連の健診と今度介護保険で求められるものと、性格が違うわけです。非常に混乱と危惧が予想されるんですが、大原さんは、先ほど具体的にイメージが示されていないと厳しく指摘されましたけれども、どのあたりに問題を感じていらっしゃいますか。

大原啓志君 今、スクリーニングという言葉だけがあって、そこで何を見るのかが全然わからないという点を私は申し上げたわけです。

 私の立場からいうと、健診の話はしましたけれども、健診はあくまでも、例えば年に一回とかいうふうな時期だけの問題になりますね。それから、健診会場に来ることができる人だけが対象になる。極端に言うとそういうふうな話になりますから、健診が果たし得る役割というのは限界があるということは確認しないといけないと思います。

 その意味で、スクリーニングの基本は、先ほども申し上げましたが、地域からの情報、あるいは、私が考えていたのは在宅介護支援センターの高齢者実態把握のような機能なんですけれども、そこに置くということは明確にしておく必要があると思います。

 ただ、健診は、現在二年ぐらい、高知県だけではなくて、ほかの県でされているのも含めて、いろいろな有用な部分があるのは確かだと思います。健診を経ることによって、例えば実態把握のために訪問した在宅介護支援センターの方あるいは保健福祉の関係者の方が、何を見てくればいいかということが、生活機能の低下のリスクというところが少しはっきりしてきたというふうなところがある。

 あるいは、健診をある程度の範囲でやると、その地域でどういうふうな状況の方がどの程度いるかということが、これまでの情報把握で少しそれぞれの担当者によってばらばらだったものが、横断的なデータが出てくる。そうすると、自分の地域でどういうふうな方がどれぐらいいて、何を施策として考えなければならないかということが明確になりかけたところはある。

 少し本来の目的から違うところもあるかもしれませんけれども、そういういろいろな健診の要素というのを考えて適用させていくというのは、活用していくというのは、意味があるんじゃないかというふうに考えております。

山口(富)委員 続きまして、中平さんにお尋ねしたいんですけれども、介護サービスの利用分析のところで、高知県の例をお挙げになりまして、認定を受けても未利用者が二〇%いる、これについての詳しい分析が必要であるというお話だったんですが、中平さん御自身はどうお考えでしょうか。例えば、現実には、利用料の問題もありますから、認定を受けてもなかなかそのサービスを求められないという声も聞くんですけれども、どういう御意見をお持ちでしょうか。

中平幹運君 これは、単純に一つないし二つの原因ではない、非常に複合したものもある。

 今先生おっしゃったように、利用料がやはりかかるから、一割負担でもこれはなかなか負担できにくいというのも一つあると思います。それから、自分なり家族の好みのサービスが受けにくいというふうな課題もあると思います。それから、中には、認定は受けたけれどもそれほどでないから辛抱しようというふうな、いろいろな原因が複合してこういうふうになっておるわけです。

 私は、それぞれの市町村で、ケアマネの研修といいますか、もっと地についた実践の中で、ここらあたりの原因実態というものをもうちょっと把握すべきじゃないかなというふうな気がしておるわけです。

 以上です。

山口(富)委員 では、澤本さんにお尋ねします。

 地域包括支援センターなんですけれども、先ほど、推定として高知の場合は新予防給付で大体五千人程度になるのではないかというお話がありましたけれども、となりますと、皆さん方は支援センターを何カ所設ける予定なんでしょうか。

澤本義博君 現時点では、その数についてまだこれからの検討という状況でございますけれども、包括支援センターは、一つは市町村が基本的に持つという形ですので、その部分と、それから、完全にエリア区分にするのか、それとも基本型と地域型とを組み合わせたような形も許されるのか、そういったものは今後の国の方での論議を踏まえまして検討していきたいというふうに考えております。

山口(富)委員 では、澤本さん、聞き方がまずかったかもしれませんが、仮に五千人程度の新予防給付と考えた場合に、何カ所ぐらいの支援センターが必要になると考えられますか、つくるかどうかという計画のところは別にしまして。

澤本義博君 まず、今、この新予防給付についてはケアマネジメントが必要ということでございますので、現在の介護給付、これが五十人に一人という一つのケアマネジャーの目安がございます。そのままでいきますと、百人のケアマネジャーが必要ということになりますので、そういったことも含めて、何カ所かということについて検討課題になっていくというふうに考えます。

山口(富)委員 澤本さんは実際に仕事をなさっていらっしゃいますから、ここは大変苦しいところだと思うんですけれども、今述べられましたように、五千人程度を予想していて、現段階でもケアマネがケアプランをつくるのは一人の方について大体五十人程度、それでも多過ぎるから三十人程度までという方向まであるわけですね。

 ところが、実際には全国でつくられる支援センターというのは大体五千カ所から六千カ所と言われておりまして、となりますと、支援センターに置かれる保健師さんは一人ですから、一人で三百人程度見なきゃいけないという矛盾が生まれてくるんですね。

 それが、きょう澤本さんから言われました今現実にある居宅介護支援事業所の協力を得る必要があるんだという提案にもなってくると思うんですけれども、そのあたりは、今の政府の提案に対してどういう意見をお持ちなんでしょうか。

澤本義博君 きょう意見陳述をさせていただきましたように、現実のケアプランニング、この作成につきましては、新たに人員を構えて対応するというのは、高知市におきましてもとても非現実的ではないだろうかというような認識を持っていますので、そこにつきましては、きょうの時点では、既存の居宅介護支援センターのケアマネジャーにその作成に協力をいただかなければ、現実的に対応は困難ではないだろうかという認識を述べさせていただきます。

山口(富)委員 では、続きまして、再び田中さんにお尋ねしますが、まとめて二点お尋ねしたいんです。

 一つは、先ほどモラルハザードの話も出ましたが、今度の新予防給付を導入する一つの理屈として、特に軽度の介護者と言われる方々が、介護サービスを受けてもなかなか状態が維持、改善していないという一連のことを政府側が言ったんです。実際にはいろいろな資料からいってそうは言えないというふうに今はなってきていますが、このモラルハザード論についてどういう意見をお持ちなのかを示していただきたい。

 もう一つは、介護労働者、特にホームヘルパーなんですけれども、昨年の八月に労働基準局が通達を出しまして、ヘルパーさんも労働基準法に基づく労働者であるということをはっきりさせたんです。しかし、実際には、介護の現場を支えているにもかかわらず、労働に見合うきちんとした報酬を受けられずに非常につらい思いをされているという意見を繰り返し聞いております。これについてはどういう意見をお持ちなのか。

 その二点、お願いいたします。

田中きよむ君 モラルハザードというのはよく福祉経済で使われる用語なんですけれども、今回のことに関しまして、モラルハザード、あるいは家事代行を受けることによって心身機能が低下するといったことが実証されていない中で、そういった言葉が先行しているということはやはり問題があると思っております。

 しかも、モラルハザードのようなことが起こるとしても、例えば、サービスをもっと本人の意向以上に使ってくださいとか、あるいは、今問題になっていますような不正請求にありますように、どちらかというと、本人のモラルハザードというよりも事業者のモラルハザードという側面もかなりあるのではないかというふうに考えております。

 そういう意味から、最初に申しましたように、そこら辺はサービス提供というのとマネジメントというのは完全に分離していくべき、急には無理かもしれませんが、分離してやっていけるような体制を将来的には整えるべきではないかというふうに思っております。

 本人に関してそういったことがあり得るとしても、それは、制度的に割り切るということではなくて、本人に対して個別的に対応するとか、介護サービスあるいはホームヘルプサービスというものについて、きちんとした理解をしてもらうような機会をきちっとつくっていく。理解や啓蒙の場所といいますか機会をつくっていくということで対応すべきことではないかと思っております。

 それから、介護労働者というのは、私も毎年のように学生から福祉関係の仕事をしたいということを言われるんですが、どうしても、それはぜひ頑張ってそっちの方へというふうに積極的には言いにくいということがあるわけですね。やはり、生活を持っていく、仕事を安定した形でやっていくという上では、かなり不安定な職種と言わざるを得ない面があるわけです。

 それで、いろいろ間接的な労働時間につきまして国の通達は出されておりますけれども、現在の報酬のもとでは、それを実質的に労働対価としてきちっと出すような報酬水準にはなっていないということがありますので、それは指導だけで、そういった直接介護していない時間について、書類を作成したり、移動する時間とかあるいは研修する時間、こういったものを労働としてきちっとやはり見る必要があります。

 それから、いろいろ聞きますと、ヘルパーさんにしろケアマネジャーさんにしろ、それとは別の、間接的労働時間以外に、どうしても介護保険外の、いろいろ支援をしたり、相談したり、あるいは見守り的な、いわゆるただ働き的なことをやらざるを得ない側面、報酬に反映されない部分というのもあるということは、やはりしっかり見ていく必要があるのではないかと思います。

 それから、今回の法案に関しまして、社会福祉法人の介護職員さんに対する退職手当制度に対する公的助成が廃止されるということなんですが、そうなってくると、施設としては臨時やパートの職員をさらにふやしていくという方向にならざるを得ないんじゃないかということですね。

 ですから、サービス評価ということも言われて、その重要性は否定しませんし、それは大事だと思っていますが、評価も大事なんですけれども、本当に介護労働者として誇りを持っていけるような条件が不安定だとすると、サービスの質の向上と言われても、そのベースになるところが非常に不安定だと、質というのも崩れてしまいかねない側面があるのではないかと思っております。

山口(富)委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。

鴨下座長 次に、阿部知子君

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 参考人の皆さんには、本当に長時間にわたり、また貴重なお話を聞かせていただいて、ありがとうございます。

 実は、四月十二日に国会の方でも参考人をお願いしましてお話を聞かせていただき、そして、きょうはそれに次ぐ第二弾ともなるわけですが、正直言って、一言で言って、来てよかった。この介護保険制度というのは地方分権の試金石だと言われて導入されたのが五年前で、やはり各市町村の実際の声、現場に近い、そして取り組んでこられた声をこうやって伺うと、さらに問題点が明らかになりますし、通常の国会審議の中ではなかなか出てこないデータもまたきょういろいろ見せていただきましたので、そのことに感謝かたがた質問をさせていただこうと思います。

 まず、澤本参考人にお伺いいたします。

 きょういただきました資料、本当に参考になりますが、一点私が伺いたいのは、この介護保険制度が導入されますときに、この制度は、介護が必要になってもその人が望む場所で望むような生き方、暮らし方ができるということが第一の眼目でございました。

 そういう観点から見ますと、例えばこの高知市において、介護保険が導入されて、おのおの、介護保険の中で要介護一、二、三、四、五と段階分けされた方たちが在宅で過ごせる率はどのように上がってきたか。例えば、制度の導入当初、要介護度二の方の何%が在宅で可能であり、そして、五年目を迎えて今日、その在宅度が上がったか。要介護度四とか五ではどうであるか。この一、二、三、四、五に分けて、在宅率の年度変化と申しますか、少なくとも丸四年たちましたところの変化というものについて、データがおありであれば、ちょっと教えていただきたいと思います。

澤本義博君 済みません、ちょっとデータにつきましては申しわけないですが、ただ、基本的なことを申しますと、高知市の場合は、施設介護の枠につきましては、この五年間、六年間でございますけれども、変えておりません。在宅につきましては、その認定者、それから実際の利用者が急増しておりますので、在宅の占めるウエートというのは高くなってきております。そういった大きな傾向はございます。

阿部委員 できましたら、本当に高知県はよくデータをとっておありだと思うので、またお教えもいただきたいかと思います。

 引き続いて、いただきましたデータの中で、これも教えていただきたいと思いますが、要支援と要介護一の方々が三年後にどういうふうに変わったか。特に、悪化、死亡というところでデータが出ております。

 私はちなみに医者なのですが、私どもが経験的に感じますのは、先ほど和田参考人がおっしゃったように、やはり、基礎疾患を何かお持ちである、糖尿病とか高血圧とかそういう御病気をお持ちの方が悪化しやすいと思いますし、生活リスクを抱えた、例えば激変した、お連れ合いが亡くなるとか、そういう生活リスクの激変というものもあろうかと思うのです。

 このお示しいただきましたデータのうち、三年後に重度化、死亡、あるいは、逆に、要支援が三年後に三〇%程度重度化、死亡となっておりますが、この方たちの中で、そうした疾病リスク、環境リスクをお持ちの方の割合というものも、これも急に言って申しわけないのですが、でも、こういういいデータをいただきましたので、何かお考えがあれば、ちょっとお教えください。

澤本義博君 このデータ以上に、先ほど御質問のありましたような項目を加味した分析ということまではできておりません。

阿部委員 これもお願いで恐縮ですが、私たち、なかなか厚生労働省に言っても資料が出てこないので、ここを小さい声で言いますが、ぜひ現場から教えていただきたい。

 と申しますのは、なぜ悪くなったのかということがもうちょっとちゃんと分析されないと、例えば週二、三回訪問介護を受けたからといって、悪化など、廃用症候群などならないというのが私ども医療者の実感であります。毎日毎日ずっと上げぜん据えぜんでないわけですから、ここはきっちりと、本当に要因分析をしていただける最前線に実は皆さんがおいでだということで、お願いを申し上げます。

 あとは、疑問点を二つお伺いいたします。

 「高知市の介護予防の目標」というところに、「寝たきりの期間をできるかぎり短くする」、寝たきりという言葉があるのは日本だけの特徴と言われておりまして、寝たきりは逆に寝かせきりでもあるわけですが、ここの中で、介護の認定を受けてから亡くなるまでの期間を短くするという目標が立てられております。男性でしたら二十六カ月から二十一カ月へ、女性はなぜか強いとみえて、五十三カ月から四十五カ月へという目標設定です。

 これもちなみに、非常に医者の常識で恐縮ですが、私たちは、ケアすればするほど、ある意味では寿命を延ばし、御病気で病む、伏せる時間も長くなるということもあると思うのです。よいケアがターミナルの時間を短縮するということではないと思うのですが、このあたりでこういうふうに短縮という目標を立てられたところの真意。

 例えば、一生懸命肺炎予防をいたしますと誤嚥も少ないし、それこそ口腔内清拭もいたしますと実は肺炎になる率が下がるので、やはり長くその状態でおられると思うのです。そうなると、短縮するというよりは、パラドックスですけれども、延びてしまう。私はそれでいいと思いますが、短縮するということをあえて目標に掲げられた意味は那辺にありやということをお願いします。

澤本義博君 本来ですと、寝たきりあるいは痴呆にならずに元気に過ごしていただく期間というのを健康寿命というように呼んでおられるようですので、認定から亡くなるまでという期間ではなくて、要介護の高いところから亡くなるまでの期間を短縮という形も一つの目標ではあろうかと思います。

 もう一つは、目標値をどこかに定めて、そこを達成することというのが、第二期の介護保険事業計画の一つの大きな目標とさせていただきました。

 これは、先ほど御説明させていただきましたように、介護予防ということも重点課題として出したということとあわせまして、数値目標で、目に見えるような形で改善度を市民の方にも共有していただければということも含めての期間でございますので、厳密な意味でいえば御指摘のことがなるかもわかりませんけれども、少なくとも、介護保険を利用せずに元気に生きていくということもイコールのような形になりますので、一つはこういった目標を定めさせていただいたということでございます。

阿部委員 私は、高知市がパワーリハビリも含めて非常にいい取り組みをしていらっしゃると思うことを評価した上で、でも、介護が必要な状態になってからの期間を短くというのは、もう一度、ちょっと違う目で見ていただければなと思う次第であります。

 もう一点同じことがございまして、実は、利用者の介護度がよくなったことによって成功報酬を居宅介護事業者に設けてはどうかというのは、これも医療の世界でよく起こるのですが、治療成績を上げたいがために、困難で末期の患者さんは来てほしくないという形が、きょうの読売新聞でも出ておりました。

 となると、私は、居宅介護事業者が一生懸命介護予防に努力してくださる、そして、困難なケース、困難というのは、家族関係も複雑だし、本人も、悪いけれども余り言うことを聞いてくれないし、そういうケースはもうエネルギーを注いでも成果は果たして花が咲くかだめか、ぎりぎりだと思うのです。だから、こういうのが、成功報酬というか、うまく介護予防できたという概念に当てはまるのかどうかというのも、現場にいると、ちょっと違うんじゃないかという思いをするわけです。

 私はあえてさっきから批判的なことばかり言っているように聞こえるかもしれませんが、でも、これだけまとまってよい御提言を見たことがないので、逆に言えば、こうやって提言していただければ論議の俎上にのせることができるという意味で、前向きに私はこれをお伝えしていて、きょうの新聞の方は、読売新聞で、末期がんの患者さんががんの専門病院からも断られるという記事でした。これは、亡くなると治療成績が悪くなるから、リアルにあることですので、居宅介護における介護の成功というか、介護をうまくとどめられたかどうかという、そこだけではない要素があると思いますので、そのあたりはいかがでしょうか。

澤本義博君 御質問のように、一〇〇%ということではございませんが、一つ、ケアマネジメントに対する加算報酬ということで御提案をさせていただいたのは、二つぐらいの意味があるんです。

 まず、こういうふうにインセンティブを何らかの形で加味しなければ、この介護予防、制度としては幾つか、あるいは事業としては考えられておりますけれども、我々も考えていかなければなりませんけれども、そこの評価ということを一定やはり実際の報酬の方にも加味することが、そのインセンティブを働かすということにつながっていくのではないか。それはぜひ、実現云々よりも、何も一律という形ではなくて、結果によって報酬を加味していく、こういったものは、医療の世界では既に加算ということで報酬制度がありますので、介護の方にもそういったものを含めて検討されるということも今後課題としていただければなということで、御提案をさせていただいております。

阿部委員 よいケアマネジメントを求めるという気持ちは一緒でございますので、また御提案も受けとめさせていただきながら、私も考えてみたいと思います。

 引き続いて、中平参考人にお伺い申し上げます。

 実は、中央で参考人のお話を伺いましたときに、見坊さんにお見えいただいて、私はこの老人クラブ連合会というものがお持ちの広がりと実力と長い経験と申しますか、そういうものの蓄積に非常に心から期待する思いを強くいたしております。

 と申しますのも、やはり高齢社会というのは、そういう、みずから加わり、変革する、変えていく、支えていくという思いを抜きには、現実には何から何まで国がやり、自治体がやりというわけにはいかないものでございますので、そこでの御活躍や、またいろいろな見識を御発言いただけましたことをありがたいと思っております。

 私がきょうお伺いしたいのは、ここには述べておられませんで、でも一言ぜひお伺いしたいのは、今急増中のグループホームでございます。

 これも恐らく、御高齢者の中にお声を伺えば、もちろん、これからどのような形で発展してほしいかという思いが強いところかと思います。いただきましたレジュメの中では、「福祉、医療への営利企業の参入」というところは、施設については、「福祉事業は営利の対象とすべきでない。」というふうには書かれてございますが、現実に六千余になってまいりましたグループホームということに関して、お考えをちょっとお聞かせください。

中平幹運君 現実には、在宅の福祉については企業の参入は認められておるということは承知しておるわけですが、そういうふうな反面で、施設福祉についてはやはり認めるべきではないであろうというのが私たち老人クラブとしての一つの合意事項です。というのは、出資者のお金で運用をするという企業であれば、それはやはり福祉にはなじまないという基本的な考え方が底流にあるというふうに御理解いただけたら、こういうふうに思っています。

 以上です。

阿部委員 続いて、大原参考人にお願いいたします。

 この間、ホケンという字が二通りあって、みんなが掛金を掛ける保険と、それからいわゆるプライマリーヘルスケアという意味での保健と二つがあって、どうも、お金を自分で出す方の保険という方はある程度制度化されましたが、本来、おぎゃあと生まれてから亡くなられるまでの全体のトータルヘルスケアという意味の保健はややもするとちょっと霧散しがちだというのは、私も日ごろ、五島理事ともよく話しておるところでございます。

 そして、きょうも、いみじくもこの高知県にやってまいりまして、ここは昔から杉やヒノキの森林の伐採というか、それを業と、なりわいとされた方が多くて、振動病、白ろう病という病態が非常にあったというお話も伺って、私は、今のこの保健の取り組みを見ると、いわゆる職域、その方が企業にお勤め、あるいはお仕事をなさっているときと、それから地域に帰られたときがぷっつり切れてしまう。逆に言うと、糖尿病の問題にしろ職業労災病の問題にしろ、結局、一貫した、御高齢期まで尾を引くわけでありますから、そこを見通せる形の予防保健事業というのをこの少子高齢社会こそ一にすべきだと思っておりますが、先生がきょう保健事業のことで何点かお話しくださいましたので、その点についてお考えをお聞かせください。

大原啓志君 今のお話は、地域保健と職域保健の連携という意味ではないかと思うんですが、高知県では、地域保健の方では二つの側面で受けとめていると思います。

 一つは、今おっしゃった生涯の健康管理というものの一元化のようなお話、何かの形でつながっていくということ。それからもう一つは、高知県のような場合、小規模な事業所が非常に多いものですから、労働安全衛生法の方での労働者を守る活動というのが、どうしても事業者責任のもとでは手薄になるところがある、それを地域保健の方で支援できないかということで、数年前からそういうふうな事業をやっているわけですね。

 一元化の方については、厚生労働省の方からのモデル事業も二、三ありまして、努めたところなんですが、今のところ、はっきりしたというか、システム化できるようなところまで行っていないというのが現状だと思います。

 何が問題かというのは、例えば個人情報の問題になってきますと、そういうふうなこともひっかかってきますし、今、例えば喫煙対策について、地域保健のスタッフが職域の方に支援に出ていくというふうなことは実現していると思うのですけれども、その先のことが現在できていない。大きな課題だと思っております。

阿部委員 和田参考人と田中参考人には非常に詳細なレジュメをいただきまして、特に医療と介護の問題で、これから討議も十分にしていかなければいけないという思いを新たにいたしましたし、田中参考人にも、多岐にわたる御指摘をありがとうございました。

鴨下座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 意見陳述人の皆様方には、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しましては、深く御礼を申し上げたいと存じます。

 これにて散会をいたします。

    午後三時三十七分散会


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