衆議院

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第33号 平成17年7月8日(金曜日)

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平成十七年七月八日(金曜日)

    午前十時三十三分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 大村 秀章君 理事 北川 知克君

   理事 長勢 甚遠君 理事 宮澤 洋一君

   理事 五島 正規君 理事 三井 辨雄君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      青山  丘君    井上 信治君

      石崎  岳君    上川 陽子君

      木村 義雄君    小西  理君

      河野 太郎君    菅原 一秀君

      原田 令嗣君    福井  照君

      三ッ林隆志君    御法川信英君

      宮腰 光寛君    森岡 正宏君

      八代 英太君    山下 貴史君

      吉野 正芳君    渡辺 具能君

      石毛えい子君    泉  健太君

      小泉 俊明君    城島 正光君

      園田 康博君    津村 啓介君

      中根 康浩君    橋本 清仁君

      藤田 一枝君    水島 広子君

      横路 孝弘君    高木美智代君

      古屋 範子君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月七日

 辞任         補欠選任

  西川 京子君     八代 英太君

同月八日

 辞任         補欠選任

  中山 泰秀君     山下 貴史君

  大島  敦君     小泉 俊明君

  小林千代美君     津村 啓介君

  山口 富男君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  山下 貴史君     中山 泰秀君

  小泉 俊明君     大島  敦君

  津村 啓介君     小林千代美君

  高橋千鶴子君     山口 富男君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者自立支援法案を議題といたします。

 この際、本案に対し、八代英太君外二名から、自由民主党及び公明党の二派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大村秀章君。

    ―――――――――――――

 障害者自立支援法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大村委員 自由民主党の大村秀章であります。

 私は、ただいま議題となりました障害者自立支援法案に対する修正案につきまして、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、提案理由を説明いたします。

 修正案はお手元に配付をしたとおりでございます。

 以下、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。

 第一に、この法律の目的に、この法律が障害者基本法の基本的理念にのっとったものであることを明記することとしております。

 障害者基本法は、障害者の自立と社会参加の支援等を定めるすべての法律の基本となるものであり、その第三条には、基本的理念として、障害者の個人としての尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること、障害者は社会、経済、文化活動への参加の機会が与えられること、何人も障害を理由として差別すること等の権利利益を侵害する行為をしてはならないことが規定をされております。これらの基本的理念は、いずれもこの法案を貫くものであるとともに、法案及びその政省令の立案、施行に当たり常に念頭に置いておくべき重要な事項であることから、法案の目的規定にその旨を明記することとしております。

 第二に、自立支援医療の施行期日を平成十七年十月一日から平成十八年一月一日に改めるものであります。

 自立支援医療は、これまでの更生医療、育成医療及び精神通院医療の趣旨を継承した障害に係る公費負担医療制度として重要な役割を果たすものであり、その施行に当たっては、対象となる障害者等に十分な周知が図られることが必要であります。自立支援医療は、平成十七年十月一日からの施行としておりますが、現在の審議状況を踏まえると、法案が成立しても周知のための時間的余裕が十分にない状況であることから、その施行をこの法案に基づく障害福祉サービスの実施と同時期の平成十八年一月一日とすることとしております。

 第三に、この法律の施行後三年を目途とした検討について、障害者等の範囲が検討の対象となることを明記することとしております。

 この法案は、身体障害、知的障害、精神障害といった障害種別にかかわらず一元的にサービスを提供する仕組みを構築する画期的なものでありますが、今後さらに、難病や発達障害を含め支援を必要とするすべての障害者が障害福祉サービスを適切に利用することができる普遍的な仕組みとすることについて、真剣に検討をしていかなければなりません。このため、施行後三年を目途として、施行状況等を勘案してこの法律の規定について検討を加える旨の規定を修正し、障害者等の範囲に係る規定についても検討対象となることを明確にするものであります。

 第四に、就労の支援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策のあり方についての検討規定を追加することとしております。

 障害者の所得の確保については、この法案でも障害福祉サービスとして新たに就労関係の事業を創設するなど施策の強化が図られているところでありますが、障害者等が地域において自立した生活を送ることができるようにするためには重要な課題であることから、今後の施策の実施状況、障害者の経済的な状況等を踏まえ、就労支援を含めたさまざまな所得の確保に係る施策のあり方について検討を行う旨の規定を追加することとしたものであります。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。ありがとうございました。

鴨下委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君、保険局長水田邦雄君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島豊君。

福島委員 公明党の福島豊でございます。本日は、障害者自立支援法案、いよいよ審議も大詰めでございますけれども、何点かにわたって御質問をいたしたいと思います。

 障害者自立支援法案は、当委員会におきましてさまざまな指摘がなされてまいりました。さまざまな批判があるということも事実でございますけれども、現在の障害者福祉の現状の転換を図るためには、極めて大きな意義があるということは間違いないと私は思っております。

 平成十五年から始まった支援費制度で、障害者の福祉サービスの利用は大きく拡大いたしました。しかし一方で、財政的に行き詰まりを来した、これも率直なところ認めざるを得ません。

 支援費制度の始まりによりまして、障害者の福祉サービスは措置制度から契約制度へ転換し、このことによって、とりわけ居宅サービスが大きく伸びたわけであります。支給決定者数は十五年四月から約一年半で、児童の場合には二・四一倍、知的障害者では一・七七倍に増加いたしました。従来潜在的にあった障害者福祉サービスのニーズが顕在化をした、こういうことが言えると思います。

 しかし、こうしたサービス利用の大幅な増加によりまして、十五年度では、当初予算は十四年度予算額に比べて四・七%増の五百十六億円を確保したにもかかわらず、百二十八億円の不足、十六年度では、当初予算は十五年度予算額に比べて一六・七%増の六百二億円を確保したにもかかわらず、二百七十四億円の予算不足を招きました。これに対して障害者団体の方々が、厚生労働省を取り巻き、また座り込みという切実な運動をされたということも記憶に新しいところであります。ふやしたにもかかわらず潜在的な障害者ニーズの拡大に追いついていかないという実態をどう変えるのかということが極めて大切であります。

 また、居宅生活支援費や施設の給付と異なって、義務的経費ではなく裁量的経費であるために、補正予算も組むことができず、大変な努力をしてこの二年間予算の確保をしたわけであります。この事実は率直に認めなければいけないと私は思います。

 現在でも、知的障害者のホームヘルプサービスは地域差が二十三・七倍あります。障害児のホームヘルプサービスは四十四・四倍もの格差があります。日本の障害者福祉を前進させていくためには、この格差を是正するということが不可欠であります。そのためには、明らかなことでありますけれども、障害者福祉の予算をもっともっと伸ばしていかなければいけない、そのためにはどうするのか、このことが問われていると私は思います。

 今回、この障害者自立支援法案は、義務的経費とすることによって、将来の拡大、この格差を是正する、そのことに対して道筋をつけた、これはだれも否定できないことだと私は思っております。また、現に十七年度の予算は九百三十億円と、十六年度に比べて三百二十八億円の増額を確保しております。

 また第二点は、従来、精神障害者の福祉が身体、知的障害者に比べると大きくおくれていた、これを解消するということが一つの大きな課題であります。精神障害者福祉サービスは支援費の何と枠外に置かれていた、この事実もしっかりと我々は見詰めなければいけないというふうに思っております。精神障害者のホームヘルプサービスはどれだけ格差があるか。十一・六倍の地域格差があります。この格差を是正し、あまねく全国の精神障害者の方に福祉サービスを確保するためにはどうしたらいいか、このことを真摯に考えなければいけない、そう思っております。

 また、就労支援策の抜本的な見直しであります。全国に六千を超える小規模作業所があります。障害者福祉の重要な社会基盤であります。しかし、いまだにこれは法定外の位置づけでしかない、こうしたことが、いまだに低い水準の補助金に、地域によって大分差がありますけれども、とどまっているということにつながっております。経営が非常に厳しい、そこで情熱を持って働いておられる方は、大変な困難の中で頑張っておられるわけであります。現在も小規模作業所はふえ続けております。いかにそうしたニーズがあるのかということだと思います。

 今回の障害者自立支援法案は、就労支援のための施策体系、施設類型を抜本的に見直し、小規模作業所にも法定内の事業として位置づけを行う、そういう道を開いた、そういう意味では大変大きな意義があるわけであります。それだけではなく、従来の施設類型、なかなかこれは込み入っておりますけれども、抜本的に見直し、サービス体系を機能に着目して再編する、そういう大きな改革もありますし、そしてまた、市町村に障害福祉計画を策定させることにより具体的なサービスの数値目標を決めさせる、このことによって地域間格差を是正する大きな契機になるというふうに思っております。

 このように非常に大きな改革でありますけれども、しかし、関係者の方々から多くの意見が寄せられていることも事実であります。公明党も昨年来、何回にもわたりまして、関係者の方々から御意見をお聞きしてまいりました。負担が大きくふえる、このことについての心配であったかと思います。

 今回の改革で、利用者の負担は、サービス利用量に応じた定率負担と、所得に応じた上限限度額との組み合わせで構成されております。非常にサービス利用が多い方々にとっては、所得に応じた負担上限が課されるため、応益負担であるという一方的な指摘は私は当たらないというふうに思っております。

 一方で、同じ所得、同じ障害程度区分で、状況によってサービス利用に差がある場合に、サービス利用の状況に応じて負担をしていただくということも、一つの公平性を確保するという観点からは大事なことではないかというふうに思います。しかし、障害者の方々の所得水準が低く、また高齢の要介護者と異なり、資産の保有また年金水準も低いという現実を踏まえなければなりません。支援費制度の自己負担が措置制度のときよりも引き下げられたという経過もあり、利用者の方々の負担については十分な配慮が必要であります。

 こうした障害者の方々の負担のあり方については、この審議の中でも繰り返し政府に対して要請がなされてまいりましたし、私ども公明党も繰り返し要請をしてまいりました。ぜひとも政府には、適切な結論を政省令の策定に当たって下していただきたいと思っております。

 また、本日、与党として法案の修正を提案いたしました。修正をめぐっては民主党との間で協議がなされておりましたけれども、突如一方的に打ち切られたことは大変残念なことだというふうに思っております。政権与党として責任を持って障害者の方々の福祉を充実させるためにその声を真摯に受けとめなければいけない、そういう観点から、そしてまた、民主党から九つの点について要望があったわけでありますけれども、そうしたことも踏まえ、修正案を提案させていただいた次第でございます。次回の委員会で御審議をいただきたいと思っております。障害者福祉の将来を開くために、現実を踏まえつつ私どもは引き続き真摯に努力をしてまいりたい、そのように思っております。

 まず初めにお聞きしたいことは、障害者福祉施策の将来像についてでございます。

 ややもしますと、今回の自立支援法案の議論をめぐって、負担の問題にのみ議論が集中をしている。裁量的経費から義務的経費に変える、そしてそのことによって、格差がある障害者福祉サービスを全国あまねく水準を上げていく、そういう道筋を開くんだということこそが大事だというふうに私は思っておりますけれども、この点について政府から、将来こういうふうにしていきます、予算はこのように拡大させていくんだ、そういう決意がなかなか伝わってこないというような嫌いがあると私は思っております。障害者の方々に、この法案がそうした道を開くんだということを力強く訴えていただきたいと私は思いますし、また説明していただきたい、そのように思うわけであります。

 障害者の福祉、この委員会でも御指摘ありましたように、OECD諸国の中で、社会保障関係費の中で障害者福祉にかかわる費用というものの水準が諸外国に比べると低い、これは事実であります。これをどう打開していくのか、そして打開するためにはこの障害者自立支援法案がどのような役割を果たすのか、ここのところについて明確な政府の見解をお聞きいたしたいと思います。

西副大臣 お答えをいたします。

 先ほどからの福島委員の御意見をずっと拝聴いたしまして、政府・与党としての見解をきちっとお述べいただいたというふうに考えております。

 先ほどから若干説明がございましたけれども、障害者の福祉サービスにつきましては、平成十五年度から支援費制度という形で施行いたしておりますが、その中で在宅サービスを中心に予想を大幅に上回るサービスの利用が拡大をされた、このことにつきましては、障害者の皆さんにとっては非常によかったのではないかというふうに私は認識をしております。

 一方、しかし、先ほど御指摘のように、裁量的経費という側面もございまして、国といたしましては、財源の確保に大変な苦労をしながらも、その確保のために努力をしてまいりました。在宅サービスについて申し上げますと、先ほども若干御指摘ございましたけれども、平成十五年度、省内で苦労してその予算をかき集めた部分も含めて決算ベースで対前年比二七・八%の増、それから翌十六年度は同じく決算ベースで三七・三%の増、今年度はもう既に当初予算ベースで五四・五%の増ということで、精いっぱい予算の確保、増額を図ってきたところでございます。

 これからも新たなサービス利用者の拡大が見込まれるということで、当然のごとく費用の増加が見込まれてまいります。新しい利用制度では、利用者の負担の見直しにあわせて、在宅サービスに関する国等の負担を義務的なものにするということによりまして、必要な財源を私どもが責任を持って確保する、こういう仕組みに変えさせていただいたところでございます。

 なお、将来に向けて計画的なサービス提供体制を整備するという観点から、自治体に対して、必要なサービスの見込みを定めた障害福祉計画の策定をこのたび義務づけをいたしました。国といたしましては、この計画を踏まえて障害者プランを見直すということでもって新たな障害者施策の出発としてまいりたいというふうに考えているところでございます。

福島委員 私は、先日来の委員会での質疑、阿部先生からも御指摘ありましたけれども、日本の社会保障における障害者の福祉サービスの比率を少なくともやはり倍増させる必要がある、私は倍増では足りないと思います。全国の地域間格差というものをよく見詰める必要がある、そのために道を開くのがこの自立支援法案だ、ぜひこのことを私は関係者の方々にも理解していただきたい、その中で、利用者負担の問題についてはきめ細かく対応する、この二つが両輪として進んでいくということが必要だというふうに思っております。それを踏まえた上で、幾つかの点についてお聞きしたいと思います。

 次に、障害者と医療の問題についてお聞きをしたいんです。

 自立支援法案では、自立支援医療ということで、新しい枠組みを育成、精神、更生医療について与えました。こうした新しい枠組みの中で、従来の負担が大幅にふえることがないよう適切な対応を求めたいと思いますが、私は、さらに進んで、一般の医療保険における障害者の位置づけについて政府の見解をただしておきたいと思います。従来余り議論されてこなかったところであります。

 一般の医療保険においては、高齢者と小児に給付が手厚いものとなっておりますけれども、それぞれに政策的な理由があると思いますが、まずそれを確認したいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします

 医療保険制度におきましては、先生御案内のとおり、医療を受けた方とそうでない方のバランス等をとる、こういう観点から、原則として、かかった医療費の七割を保険給付といたしまして、残る三割の一部負担金を求めるということとしてございます。しかしながら、七十歳以上の高齢者につきましては、一般に疾病リスクが高いということなどから原則として九割給付としておりまして、また三歳未満の乳幼児につきましては、少子化対策の一環として八割給付とするということによりまして、それぞれ負担の軽減を図っているところでございます。

福島委員 私は思うんですが、高齢者に関していえば、疾病のリスクが高いということと同時に、稼得能力を失う、年金生活に移行する、そういう所得にも着目した対応がなされているんだろうというふうに私は思います。ここのところは今局長がお触れになりませんでしたけれども。

 障害者の方々はどこが違うんだろうというふうに思います。これは、障害の種別もさまざまでありますし、その程度もさまざまでありますけれども、恐らく、私は、一定の範囲の方々は高齢者の方々と比べてリスクにおいても遜色がない、そして、まさに所得について言えば、高齢者の方々よりもより不利な立場に実は置かれているんじゃないかと。こういうことについて、一般の医療保険の給付はどうあるべきか、こういう議論がなされてこなかったということが私は若干不思議に思えるわけであります。

 来年は医療保険制度改革の大きな節目の年となります。こうした障害者の方々を一般の医療保険の中でどのように扱うことができるのか。従来、公費負担ということで一定の部分についてのみ育成医療や更生医療、精神医療で対応されてきたわけでありますけれども、ぜひこれは議論を喚起していただきたい。公平性の観点からそういう方々をどう考えるのか、そういうことをお聞きしたいわけでありますけれども、御見解を求めたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 障害者の方々に関する医療についてのお尋ねでございますけれども、これはまさに先生御指摘のとおり、個々の障害状態に応じた配慮を行う、こういう観点から、公費負担医療で対応する、公費負担医療によりまして負担の軽減を図るという取り組みを一つの整理として行っているところでございます。

 これに対しまして、今問題提起のございました疾病の状態あるいはそのリスクにかかわらずに障害者の負担軽減を医療保険制度で一律に行うことにつきましては、従来の考え方の変更にもつながることでございまして、これにつきましては十分慎重な検討が必要であるというふうに考えてございます。

福島委員 何も私は一律にと言ったわけではありませんで、そこのところはいろいろとあるだろうけれども、しかし、公平性という観点から医療保険の給付はいかにあるべきか、こういう議論をぜひ喚起すべきだ、こういうことを申し上げたわけであります。

 続いて、医療保険の自己負担の問題、これは健保法の改正のときにおきまして、医療保険と介護保険の自己負担を合算できる制度を検討すると私ども附則につけさせていただきました。これはそれぞれ制度が別々になっておりますから、それぞれの制度の中では自己負担はここまでだということで納得されたとしても、全部合わせてみるとこれは大変だという話になるので、こういうことをぜひ検討すべきだということを申し上げたわけでありますし、附則にもつけさせていただいたわけであります。

 今回の自立支援給付等の障害者福祉サービスにおける自己負担、これは医療を必要とする重度障害者の方々も多数おられるわけであります。当然、私は、自己負担ということを考えたときに、医療と合算ができるような仕組みを検討すべきだ、ですから、これは介護における負担、医療における負担、そしてまた自立支援給付における負担、こういうものはまとめて実は考えられるべきだと。厚生労働省の中では各局ごとの縦割りになっておりますけれども、負担をするのは一つに固まるわけでありますから、ぜひそういう検討をしていただきたいと思いますけれども、政府の御見解をお聞きしたいと思います。

西副大臣 委員御指摘のように、私どもの局の担当はそれぞれ変わるんですが、負担する側にとってみれば同じ財布から出るという意味では、大変重要な御指摘だというふうに思います。

 保険適用というか保険の制度ではない障害者の今の福祉サービス、それから医療保険の自己負担、これを一つの財布から出していただいているということから、合算をしてそして負担の限度を考えるということにつきましては、先ほどもお話がありましたように、次期医療保険制度改革において、まず医療保険給付と介護保険給付の自己負担額の合算が著しく高額になる場合の負担の軽減を図るという仕組みについて、これは議論は当然しなければならないわけです。その上で、別途、さまざまな課題があるということについてもまた事実でございますが、幅広く検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

福島委員 次に、個々の問題になるんですが、障害者の医療ということで、関連してお尋ねをしたいと思います。

 昨年、発達障害者支援法が成立をいたしまして、自閉症を初めとする発達障害の方々に対する支援の充実が進んでまいりました。一方で、医療の現場ではさまざまな課題が存在いたしております。それは、自閉症児者の場合に、これを受け入れ、適切な対応ができる医療機関が非常に限られているという問題であります。コミュニケーションに大きな困難がある自閉症児の場合、例えば歯科医療だけでパニックを引き起こして治療もままならない、こういうことがしばしばあります。

 こうした問題に対して、千葉県では、障害当事者やその家族、千葉県医師会、歯科医師会、教育関係者とともに受診サポート手帳、こういうものを作成し、活用しております。障害の程度や特性、また医療機関受診に当たって配慮していただきたい事項などをまとめてわかりやすく説明するものとなっております。こうした取り組みは、私は全国的に展開すべきだというふうに考えておりますけれども、政府の見解をお聞きしたいと思います。

塩田政府参考人 自閉症などの発達障害につきましては、他人とのコミュニケーションが難しいことから、あるいは特定の事柄にこだわりがあるなど、外見からはわかりにくい障害特性があります。したがいまして、医療機関などの専門機関におきましても、障害特性を理解し適切な医療を提供することが困難な場合があると認識をしているところでございます。

 御質問にありました千葉県の受診サポート手帳という取り組みですけれども、自閉症などの障害のある方一人一人の特性を事前に理解し、円滑に診療を行うためのものでありまして、発達障害を持つ方々がスムーズに医療機関を受診できるという面で意義あるものと考えております。

 今後、千葉県において行われております先進的な取り組み、あるいは今年度から発達障害者支援法の制定を踏まえまして発達障害者支援体制整備事業というのをやることにしておりますけれども、そういった結果も踏まえまして、医療分野のみならず、あらゆる分野において発達障害についての理解が進み、発達障害を持つ方々が安心して地域で生活できるようなさまざまな取り組みについて検討し、いい取り組みが全国に広がるように努力をさせていただきたいと思います。

福島委員 続きまして、補装具の問題についてお聞きをしたいと思います。

 補装具の給付に関しても定率負担が求められておりますけれども、その負担限度額を一体どう考えるのか、関係者の方からは心配の声が上がっております。一割の定率負担では非常に高くなる場合があり得るため、一定の負担上限が定められなければならない、このように思っておりますけれども、この検討状況について御説明いただきたいと思います。

塩田政府参考人 補装具の給付につきましても、今回の改革で一割の定率負担とすることにしておりますけれども、障害福祉サービスと同様に、所得に応じた数段階の負担上限額を設定することとしております。比較的高額な補装具の給付が必要な方であっても適切に御利用いただけるよう配慮してまいりたいと考えております。

 この負担上限額に関しましては、現在の補装具給付における費用負担の状況などを踏まえまして、負担が家計に与える影響を考慮して適切に設定をしていきたいと考えております。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

福島委員 次に、所得変化と自己負担限度額についてお尋ねをしたいと思います。

 低所得者への十分な配慮が必要であることは言うまでもありませんが、一つは、失業などが起こることによって所得が大きく変化した場合にどうするのか。私の地元の脊髄損傷の重度の方からお話がありました。この人は在宅で勤務を行っておったのでありますけれども、四月から個人情報保護法の施行によってそうした事業を在宅で任せるわけにはいかないということで失業してしまった。その場合に所得が大きく変わったんですね。今回の自己負担限度額については前年度の所得に応じてこれを決める、こういうことになると思うんですけれども、こうした事態に対して柔軟に対応できるような仕組みにしておかないと、本当にそのお支払いができないということになってしまうだろうと私は思います。

 住民税の課税についても、そのあり方を見直そう、こういうことが政府の中で言われているわけでありますけれども、今回の自己負担限度額の上限の決定についてどのような柔軟な対応をするのか、この点について政府の見解をお聞きしたいと思います。

西副大臣 お答えいたします。

 御指摘のように、今回の法案においては、自己負担限度額は基本的には前年度の所得ということになりまして、それに応じて軽減を行うということになっております。

 しかしながら、今失業ということを例に挙げられましたが、いろいろな災害が起こった、いろいろな事情によって、やむを得ない事情から極端に前年度に比べて経済的な状況が悪化する、こういう場合、一定所得以下に相当すると市町村が個別に認定した場合には負担を軽減することができるということになっておりまして、失業等により著しく収入が減少した場合にも軽減を認めるという方向で、今後きちっと検討してまいりたいと考えているところでございます。

福島委員 介護サービスの利用は先送りができないわけでありますので、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。

 また、北海道の福祉施設で働く方から、こういう御指摘がありました。

 今回の自立支援法案、いろいろな議論がなされているけれども、施設で働いておる職員の処遇も含めた事柄についてはどういう議論がなされているんだろうか、施設類型またサービス類型が大きく見直されても、現在でも施設の人員配置について改善すべきだ、こういう強い声もあるわけでありまして、そうしたことを踏まえながら、将来どういう絵を描いていくのか、そういうことをぜひ検討していただきたい。

 私も、今回の法案の審議に関連していろいろな施設を回らせていただきましたけれども、情熱を持って障害者福祉の世界に飛び込んでも、実際に長時間の勤務の中で燃え尽きてしまう、こういうような人も多いとも伺っております。また、そしてこうしたことが施設内の虐待につながっているのではないか、こういうような指摘もあるわけであります。

 小規模作業所で働いておられる方、大変低い所得の中で頑張っておられる方もおります。今回の施設類型、サービス類型の見直しの中で、施設の人員配置、そしてまた施設の職員の処遇、こういったことも含めて検討していただきたいと思いますし、そしてまた、この改革によって働き方が変わったな、ぜひこう言っていただけるような環境づくりをしていただきたい、そのように思うわけでありますけれども、御見解をお聞きしたいと思います。

西副大臣 お答え申し上げます。

 障害者の施策が今回抜本的に改正されようとしているんですが、その一つの大きな柱が、やはり基本的には人が人を育成していくといいますか、またお支えしていくわけですから、その中心である人材の質、量の充実というのは大変重要なことだというふうに考えております。

 今回の法案において、利用者のニーズ、障害程度に応じて適切なサービスが提供されるよう事業体系を見直して、そしてサービスごとに機能というものに着目して今回再編成をするということにしておるだけに、いかにサービスの質を上げていくかということが非常に重要な課題だというふうに思っております。

 その質を上げるために、まず、サービスごとに標準的な内容、それから利用者の障害程度の分布を勘案して、職員の配置基準を設定させていただきます。それから、事業者に対しては、研修機会の確保、教育の徹底を図って質の向上を目指す。それから、利用者の個別支援プログラムの作成をしたり、また継続的な評価を行う責任者をきちっと配置して適正なサービスをさせていただくということを、今回取り組もうとしているところでございます。

 その具体的なあり方につきましては今検討を進めているところでございまして、審議会また事業者団体等の御意見を伺いながら、秋までに結論を出したいと考えているところでございます。

福島委員 次に、ALSの患者さんについてお尋ねしたいと思います。

 先日、ALS協会の橋本会長を初めといたします代表の方々とお会いしました。

 在宅で人工呼吸器を装着したALSの患者さんが生活するためには多くの支援が必要であり、それを家族の努力に求めるのは不適切であると私も思っております。こうした方々の生活が継続できるような十分な配慮を求めたいと思います。

 それに関連しまして、このような御指摘がありました。たんの吸引、これはALSの患者さんの介護で大変なことでありますけれども、ホームヘルパーに認められたにもかかわらず、実際には吸引可能なヘルパーを派遣する事業者が余りにも少ない、使えない、こういう御指摘でありました。

 要望書にはこのようなことが述べられております。「患者が望むのは長時間滞在型のサービスである。しかし、長時間サービスが可能な日常生活支援の単価が安すぎて介護保険ほど収益があがらないため、行っている事業者は少ない。またヘルパーに医療行為をさせたくないからALSは引き受けないという事業者も多い。」幾つかの理由が述べられております。

 今回の改革の中で、せっかくホームヘルパーにたんの吸引ができるというような枠組みをつくったわけでありますから、現実の問題としてそれが機能していくように、いろいろな工夫をぜひ行っていただきたい、そのように思いますが、政府の見解をお聞きしたいと思います。

塩田政府参考人 たんの吸引をするホームヘルパーを派遣する事業者につきましては、ALS協会、患者の方々の努力によって徐々にふえつつありますけれども、現時点では、いまだ必要とする事業者が少数にとどまっております。また、訪問看護師によるALS患者への支援体制も、現状においては必ずしも十分ではない状況と考えております。

 こうした状況の中で、可能な限り必要なサービス体制を確保していくためには、訪問看護師と介護ヘルパーの連携により、より効率的で効果的な介護サービスの提供方法を検討していくことが極めて重要であると考えております。

 このため、現在、厚生労働科学研究、在宅重度障害者に対する効果的な支援の在り方に関する研究におきまして、ALS患者などの生活実態の把握、看護と介護の適切な組み合わせによる効果的な介護サービス、支援の方法などを明らかにするようお願いをしているところでございます。

 今後、こうした研究の結果も踏まえまして、障害者自立支援法案の施行にあわせまして、重度障害者にふさわしい福祉サービスのあり方、必要な支援体制の推進に努めてまいりたいと考えております。

福島委員 時間が余りありませんので、たくさん団体の方からこういう質問をというようにお寄せいただいたんですが、最後に一つだけお尋ねしたいと思っております。それは、精神障害者の社会復帰に関してでございます。

 当事者の方々の声をお聞きすると、地域で生活していく場合の最大の課題はやはり住居の確保だ、そしてその住居の確保のための保証人の確保ということが大切だと。そこのところが本当に、社会復帰を目指して頑張っておられる精神病院、今度精神科病院となると思いますけれども、関係者の方々は本当に努力しておられる。それに当たっては、やはり公的にこれがスムーズにいくような枠組みづくりが必要だ。

 この点について、厚生労働省及び国土交通省の御見解をお聞きしたいと思います。

塩田政府参考人 施設、病院から地域へという基本的な考え方に基づきまして障害者施策を進めていく中で、障害者の方々が地域で安心して暮らしていくためには、住まいの確保が非常に重要な課題であると認識しております。

 このため、御審議いただいております障害者自立支援法案におきまして、ケアホームなどの福祉サービスによる居住支援の充実を図ることとしておりますが、これにあわせまして、一般住宅などの住まいの確保が必要不可欠であることから、国土交通省とも議論を重ねてきたところでございます。

 そうした中で、後ほど御説明があると思いますが、国土交通省におかれまして、保証人がいないなどにより一般住宅への入居が困難な高齢者を対象とした入居支援を行っている家賃債務保証制度につきまして、今年度中に障害者を対象に加えるための改正を予定しておられると聞いているところでございます。

 厚生労働省といたしましても、一般住宅などへの入居を行う場合における福祉分野と住宅政策の連携につきまして、引き続き国土交通省と連携を密にしまして、障害者の居住支援の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

山本政府参考人 障害者が地域で安心して自立した生活を営むことを支援するために、賃貸住宅への円滑な入居を支援することは大切なことだと認識しております。

 公営住宅につきましては、従来より、一生懸命努力したにもかかわらず保証人が見つからないというような場合につきましては、事業主体の判断におきまして保証人を免除するといったような配慮を行っているところでございます。

 さらに今回、厚生労働省による地域の居住支援サービスの充実など、地域福祉における支援体制の枠組みづくりと連携を図りながら、民間賃貸住宅への円滑な入居を支援するために、高齢者居住支援センターにより行われております家賃債務保証制度を拡充しまして、障害者世帯もその対象に追加することとしております。

 今後とも、障害者施策と連携を図りながら、障害者の居住の支援について取り組んでまいります。

福島委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

宮澤委員長代理 次に、藤田一枝君。

藤田(一)委員 民主党の藤田一枝でございます。

 いよいよこの法案の審議も大詰めを迎えようとしているのかなというふうに先ほどから思いながら聞いておりましたけれども、けさ、与党の皆さんから法案の修正が示されました。確かに、原案を補強する、そういう内容であろうかとは思います。しかし、本当にこれで事足りるのか、障害者の皆さんの自己選択と地域生活を支援する法案となり得るのか。このままでは自立はできないという障害者の皆さんの声に本当にこたえているのかといえば、やはり私は違うと思います。少なくとも、民主党が与党に要望した修正九項目とはほど遠い内容だと言わざるを得ません。

 特に、利用者負担の問題であります。障害者の方々に負担を求めることの基本的な考え方というものが整理をされていないと私は思います。今回、公平という言葉だけが先行をして、本当に負担というものがどういう意味を持つのかということがきちっと明らかにされていない。軽減措置を加えることはもちろん大事でありますけれども、この基本的なところを整理しなければ、いつまた負担増になっていくのかわからない、そういう不安をぬぐい切れないということになるのだろうというふうに思います。

 この間、障害当事者の皆さんからの指摘はもちろん、そしてまたこの委員会においても、本当に多くの問題点や懸念が表明をされてきました。しかし、残念ながら、具体的には何も答えが出てこない、何を聞いても、指摘をしてもかみ合わない。かみ合わないどころか、余りにも実態を見ようとしてこなかった、当事者の声を聞いてこなかった厚生労働省の姿勢というものが透けて見えてくる。障害者の皆さんの地域での生活を支援していくための二十四時間の仕組みをどうつくっていくのかという、この議論が積み上げられていかないということは大変むなしい、そういう思いを私はしてまいりました。

 きょうもたくさん当事者、関係者の皆さんが傍聴席にお見えでございます。私は、この間、この委員会審議が障害者の皆さんからどういうふうに映っているのだろうかということを考えてまいりました。恐らく、直接みずからが審議に参加できないもどかしさ、悔しさ、そんなものを障害者の皆さんはたくさん感じてこられたのではないか、そういう思いを募らせてこられたのではないか、そんなふうに思います。

 大臣に改めてお尋ねをしたいと思います。障害者の皆さんが、この法案のどこに怒りを感じて、どこに懸念を表明されているというふうにお感じでしょうか。率直にお聞かせをいただきたいと思います。そして、私たちのことを私たち抜きで決めないでください、この言葉に端的にあらわされている障害者の皆さんの思いに対して、今回与党の皆さんが出された修正案も含めて、本当にこの法案でいいのか、障害者の方々の声にこたえているとお思いでしょうか。率直にお聞かせをいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 恐らく、御心配いただいておりますことの一つは、私どもが今回定率負担をお願いしておる、その負担のことであろうと思います。それからまた、それの裏返しとでもいいますか、所得保障がどうなってくるのか、そうしたことなどに対する御心配がおありなんだろうというふうに感じておるところでございます。そのことにつきましては、私どもも、この御審議の中でお答え申し上げているようなことをまたさらによくお話を申し上げて、御理解をいただかなければならないと考えておるところでございます。

 私どもは、この法案、繰り返し申し上げておりますように、障害者の皆さんの施策を前進させるために、そしてまた法律も整理をさせていただくために出させていただいたものでございますので、ぜひそういうことは御理解をいただきたいと存じます。

藤田(一)委員 今の大臣の御答弁だったらば、本当に全国の障害者の皆さんが、違うんだ、そういう声を発せられると思いますよ。

 私はやはり、施策を前進させる、そういう言葉だけで済む話ではない、本当に中身をしっかりと、実態というものをもっと見て、聞いて、受けとめていただきたいというふうに思うんです。

 この間の審議の中で、大臣がこの法案について障害者施策の方向性として骨格は間違っていないという御答弁をされました。今の御発言もそのお考えに基づいてのお話であろうというふうに受けとめましたけれども、私はやはりそこに一つ大きな問題があると思っています。

 特に、この間の我が国の障害者施策ということを振り返れば、本当に多くの問題がある、負の歴史という部分もやはりあります。それがやっと、国際障害者年を契機にして、ノーマライゼーションに基づく当事者主体、そして地域福祉の考え方のもとに進められてきた一連の施策の流れというものができ上がりつつあるわけです。非常に遅い歩みであったと思いますけれども、やっと措置から契約へ、そして選択へというふうに移行をしてきた。

 このことを考えれば、私は、自立支援法というのはもっと大胆に、障害者の皆さんの自己選択と地域生活を支援する、文字どおりの自立を目指す、そういう法案でなければならない、こういうふうに思っています。障害者の皆さんは、やはりそこに大きな期待と希望というものを寄せられてきているのではないかというふうにも思っています。そして、そういう意味から考えれば、この法案は、やはりその流れの中で、支援費制度の中で解決できなかった問題を解決していくということが立法化の前提になるべきであろうと思うんです。

 しかし、残念ながら、法案の目的に自立と社会参加すら明記をされていない、障害者基本法の目的との整合性を問わなければならない。きょう、与党の皆さんの修正の中に障害者基本法の理念にのっとりなんという文言がありましたけれども、こういうことをあえて言わなければいけないというこの法案は一体何なのかということであります。

 私は、最初、大変ずさんだ、ずさんというのは言葉が悪いかもしれませんけれども、粗っぽい、本当に雑な法案だというふうに思いました。この間の流れのどこに位置づけられる法案なのか、そして本当に問題を解決できる法案なのか、そのことをきちっと問いたいと思います。要するに、単に負担を強いるための法案ではないか、こういうふうに言いたくなるわけでありますけれども、大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 まず、目的についての、そしてまたその規定の仕方についてのお話がございました。このことにつきましては、これまでも審議の中で再三申し上げてまいりましたけれども、今回お願いいたしております障害者自立支援法案は、当然、障害者基本法の基本理念に基づくものでございます。そのことはいささかも変わりがないということを改めて申し上げたいと存じます。

 そうした中で、今、今度は支援費制度をさらに進めるべき方向ではないかと言っていただきましたけれども、私どもも、これまでの支援費制度の課題が幾つかございます、そうしたものを解決しながら、今回の、いわばそうした意味では見直しをして、さらにこの支援費制度のよさというものを、理念をもう一歩進めようということでこのたびの法律を提案させていただいたということでございます。

藤田(一)委員 先ほど西副大臣が、この法案は新たな社会保障の出発だという御答弁をなさっていらっしゃったのです。私は、やはり、新たな社会保障の出発ということではない、本当に新たな苦難の出発だ、そういう思いをしながらその御答弁を聞いていたわけでありますけれども。

 支援費の中でいろいろとぶつかってきた問題の中に、大臣が今言われたようなお話、そして財源問題、大変大きな問題としてあったということは十分承知をしています。そして、それをどう解決していくのかということで御苦労をされている部分も確かにあるのだろうと思います。でも、やはりやり方を間違ったらいけないのですよ。この問題というのは、本当にきちっと、問題を総合的に見ながら、多面的な角度から検討しながら財源の問題についても考えていかなければいけない。財源の確保、今回、確かに国庫負担分、義務的経費というものを明確にしたということはあります。でも、非常に中身的には制約的な部分もありますし、見返りに定率負担が導入をされている、応益という考え方を入れたということは余りにも時期尚早だと思いますし、やはり安易な解決方法だと言わざるを得ないというふうに私は思うんですね。

 改めて言わなくても大臣ももちろんわかっていらっしゃるというふうに思いますけれども、どうしても負担を入れたいというのであれば、やはり所得保障に対する考え方をきちっと出すということが筋であります。そのことをきちっと提起をした上で、それにのっとってどれだけの負担が可能なのかという議論をしていくということを抜きに、こういう話を幾ら言ったって、それは到底受け入れられる話にはなりません。

 障害者の皆さんの生活実態、これも、あえてここで改めていろいろ申し上げるまでもないというふうに思います。就労所得で生活できている方々は非常に少ないというのが現実であります。多くの方々は、年金であったり家族の支えがあったり、そういう状況の中で御苦労をされている。そして、それぞれが置かれている状況に応じた自立生活のプロセスというものを準備していく、そのことなくして、社会参加であるとかあるいは経済活動への参加ということはやはり望めないわけですよ。

 そのことをしっかり見ていって、どういう形でサポートをしていくのか、仕組みをつくっていくのかということがやはり問われている。負担に行き着く前の段階のところに、今やっと来ているということなんだろうというふうに思います。それを、一足飛びに負担に走っているということは、これは幾ら理解をしろと言われても、公平さの観点からと言われても、受け入れられるものではないということを改めて指摘をしておきたいと思います。

 そして、もう一つ、自立支援医療の問題、これも到底容認できる問題ではないわけでありますけれども、今回、その実施時期の三カ月の延長という話が修正案の中で出てまいりました。これは周知徹底を図るということで修正ということでありますけれども、御承知のようにきょうは七月の八日でございます。十月一日からスタートをさせるというのは、これは現実的な問題として、実務的に絶対無理だということは明らかではないでしょうか。

 既にこの間、いろいろな形で市町村、自治体の担当者が集まったところの会合の中でも、到底無理だ、延期をしてくれ、そういう要望が出ていたはずでございます。そういうことを考えれば、私は、本当にこの中身を考えるのであるならば、単に修正で三カ月の実施期間の延長ということではなくて、中身をしっかりと考え直すということがなければいけないというふうに思うんです。

 この間、指摘をされてきた、重度かつ継続の問題あるいは医療を必要とする者の範囲、自己負担のあり方、こうした検討をしっかりとやる、そういうお気持ちがあるのかどうか、もう一度お聞かせをいただきたいと思います。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

西副大臣 二点のお話があったかと思います。所得保障をまずやるべきではないかというお話が前半だったと思います。

 障害者の皆さんの所得保障、これは、自立した生活をそれぞれの地域で送っていただくということを考えた上で、大変重要な問題であるということの認識は十分持っているつもりでございます。年金制度それから各種の手当制度につきましては、これは現在の財政状況を勘案すると、非常に、すぐにということについては大変難しい面もございまして、大きく改善を図るということは容易ではないと言わざるを得ない状況でございますが、障害者の所得保障としては、障害者の皆さんの就労の支援も含めまして、総合的に検討をしていく課題であるというふうに考えているところでございます。

 それから、先ほどの与党の、今提案をいただきました問題でございますけれども、利用者負担の見直し、これについては一月からということでございますが、我々としては、法案の成立後、速やかに周知を図ったり、それから、そのために申請が一度に集中して事務作業が非常に滞ったりということのないように十分留意をしながら、今、円滑な施行に向けて努力をしていくつもりでおるところでございます。

 与党の今の修正案、これからの周知期間の確保、それからサービスの見直し時期との統一等の観点から御提案をいただいたものだというふうに考えておりまして、厚生労働省としては、その趣旨を踏まえて、関係省庁とともに十分にこの内容については検討させていただくつもりでございます。

藤田(一)委員 所得保障の問題、今副大臣、そういうふうに非常に、これは時間をかけていろいろ検討しなきゃいけない課題だというふうにおっしゃっておられたので、あえて申し上げますけれども、だから時期尚早なんです、負担を求めることは。そのこととあわせて検討しなければいけないということなんですよ。そこをしっかりと押さえなければ、これは到底容認できないということ、そこをやはりしっかり御理解をいただきたい。

 これはもう繰り返し繰り返し、いろいろな方々が言い続けたことだと思うんですよ。この期に至っても、まだそこのところをすとんと受けとめていらっしゃらない。私は、非常に残念だと思いますし、憤りを感じます。ぜひそこは、しっかりと受けとめていただきたいというふうに思うんです。

 それから、実施時期の延長の問題というのは、実務集中云々というよりも、市町村にとっても、この中身が非常にあいまいな部分があるということじゃないですか、この間、いろいろな質疑の中で。重度かつ継続の中身というのはどうなっていくのか、あるいはこの中でどれぐらいの方が対象になっていくのか、そうでない方たちはどうなっていくのか、こういうことが具体的にきちっと整理をされなければ、市町村だって実務をやっていく上で困るわけです。そういう意味で、とても三カ月間、これは三カ月延長したって、その辺が整理されるんだろうかとみんな心配をしているわけで、中身をどう整理していくのかということが問われていると私は申し上げているわけであります。

 その辺、もっと本当は具体的にお聞きをしたいわけですけれども、今申し上げた二点、しっかり受けとめていただけるかどうか、ぜひお答えをいただきたいと思います。

西副大臣 中身につきましても、御指摘の部分はあろうかと思います。これから省令等で定めるべき事項もございますし、その部分も含めまして、十分間に合うように、早急に審議会等とも、また関連機関、また関係省庁とも連携をとりながら、遺漏なきように努力をしてまいりたいと考えております。

藤田(一)委員 そしてもう一つ、この自立支援医療の問題で、前回の審議の中でも、阿部委員からデータの問題が指摘をされておりました。政府の考え方を検討していく審議会の場で使われる数字というのは、極めて大事なはずでございます。この間、私もいろいろな方々からお話を聞いている中で、審議会のあり方というところに大変問題があるのではないか、そういう印象を持ったわけでありまして、ちょっとお尋ねをしたいというふうに思うんです。

 きょう、資料を二枚お配りさせていただいております。資料一は、社会保障審議会障害者部会で、昨年十二月十四日と十二月二十七日、四月二十六日、少なくとも三回使われたデータであります。そして、資料二は、私どもがこの審議の過程で厚労省からいただいた分で、皆さんもよく御存じの表でございます。中身はほとんど一緒でございます。違うのは、左の上の方にある定率負担という表現と応益負担という表現の違いだけでありますけれども、ほとんど一緒の資料なのに、更生医療と育成医療の利用件数が大きく違うんです。これは一体なぜなのかということについて、きちっと御説明をいただきたいと思います。

塩田政府参考人 御指摘の公費負担医療制度の平均利用件数ですけれども、それぞれの制度ごとのレセプト、医療費の請求書でありますけれども、その件数につきまして、都道府県からの平成十四年度の実績報告をもとに、一月当たりの平均値を算出したものでございます。それが二枚目の資料で、国会に提出させていただきました。

 それから、一枚目の資料は社会保障審議会に出させていただいた資料でありますけれども、この資料は間違ったところがありまして、月平均利用件数としているにもかかわらず、更生医療と育成医療の件数は、誤って年間の数値が掲載されているということでございます。

藤田(一)委員 年間と月との間違いという、いわゆる数字の単純ミスをされたということですか。お答えください。

塩田政府参考人 そのとおりです。

藤田(一)委員 そうしたら、これは審議会でちゃんと説明をして、訂正をして、謝罪をして、正しい数字のもとに審議をちゃんとやり直したんですか。

塩田政府参考人 審議会の中では、公費負担医療を含めまして、いろいろな角度から御議論していただいたところでございますが、この資料の間違いについてはきちんと訂正の機会を持ちたいと思います。

藤田(一)委員 いや、ちょっと部長、ちょっと待ってください。持ちたいなんですか。されていないということですか。訂正もしていなければ、これについて改めてちゃんと説明をして、審議会の場で訂正して説明をして議論をちゃんと、これに対して意見のある委員の皆さんの意見を聴取していないということですか。

塩田政府参考人 この資料については審議会の資料として出させていただいておりますが、これについて、審議会の中ではこの部分について説明はしておりません。ということでございます。

藤田(一)委員 それでは伺いますけれども、部長、この数字の違いというのはいつの段階でお知りになりましたか。

塩田政府参考人 私自身は、この資料のこの部分の間違いについては、国会に出させていただく資料のチェックの際に承知いたしました。

藤田(一)委員 私は、きのう、厚労省のホームページからこの資料一をとりました。この資料一はホームページからとりました。きのうとりました。そのまま載っているんですよ。訂正されずにこの資料がちゃんと審議会の資料として載っているんですよ、この数字のまま。おかしいじゃないですか。

塩田政府参考人 審議会の資料として公表しておりますので、それはそれとして、その部分はそのままになっているということだと思います。

藤田(一)委員 いや、そんなことがあり得るんですか。間違った数字を出して、審議会の皆さんはそれをごらんになって判断をされて、そして、そのことについて訂正もしないまま、ホームページ上にもそのまま掲載をしている。これは説明も書いていない、何も書いていない、こんなことが許されるんですか。私はちょっと考えられません。

 大臣、いかがですか。こんなずさんなことをやっているんですか。

尾辻国務大臣 お答え申し上げましたとおりに、月の数字と年間の数字を間違えた。これは本当に単純なミスでございまして、その部分においては申しわけないと存じます。

 ただ、審議会でこうしたこと、この数字の部分については御議論がなかったというふうに聞いております。

藤田(一)委員 議論があったかなかったかということではないんじゃないですか。審議の前提として、厚労省の方が、政府がこういう資料を全部出して、皆さんに見ていただいているわけですから、そこで意見が出ようが出まいが、それが前提として進んでいるということじゃないですか。これはどう考えたっておかしいですよ。こういうことがほかにもあるんじゃないかというふうに疑いたくなっちゃうんですね。

 私、揚げ足をとる気はありませんよ。だけれども、本当にこんな大事な法案で、本当に障害者の皆さんが悲鳴を上げているのに、そういう大事なところのその審議の過程でこういうずさんなことが平気で行われて、しかも、部長は国会に資料を出す段階で数字の間違いは気がついたと言っている。気がついているのに、訂正もしないままにそのままにしている。これは物すごく私は重大なことだというふうに思います。

 このことを整理しないで、これ以上この問題の審議ができますか。すべての前提が違うんじゃないですか。きちっとお答えいただきたいです。

塩田政府参考人 法案を審議していただく国会の資料については、間違った部分をきちんと直して訂正をしておりますので、その正しい数値に基づいて御審議をしていただきたいと思います。(発言する者あり)

藤田(一)委員 いいですか。いいですか。怒っているんですよ、みんな。もうみんな本当に怒っているわけですよ、こんなことをやられていて。何なんだということでしょう。私たちのことは私たち抜きで決めないでくださいという、まさにそのことの象徴じゃないですか。

 おかしいじゃないですか。これは国会に出した資料が正しいということではないんですよ。審議会のところで出ているんですから。(発言する者あり)

鴨下委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 藤田君。

藤田(一)委員 到底私は納得いく話ではありませんけれども、きちっと、私に対する御答弁ということではなくて、本当に、傍聴に来られている障害者の皆さん、全国の障害者の皆さんに、謝罪の気持ちを込めてきちっとわかりやすくお答えをいただきたい、説明を後ほどいただきたい、このように思います。

 本当に私は何か先の質問を続けるのがつらくなるような思いがいたします。本当にこんな大事な法案の前提が、前回の阿部委員の質問のときのデータの問題もありますし……(発言する者あり)ちょっと待ってください、質問しているんですよ。

 こういうことが平然と行われているということは、とても私は許される話ではないと思うのですね。単なる事務方のミスでは済まないと私は思いますよ、大臣。そのことをしっかりやはり受けとめていただきたい。そうしなければ、どんなにこの法案に思いを込めて、一遍にはいいものをつくれない、ステップ・バイ・ステップだ、でも何とか前進させよう、多分大臣はそういうお気持ちなんだろうと思うのですけれども、その大臣のお気持ちは絶対伝わりませんよ。とんでもない話だ、何だ、自分たちをただ単に管理するだけか、こういう話にしかなっていかないんですから。

 そこがやはり本当に、この間、ずさん過ぎると私は思いますよ。厚労省のこの対応というのはいろいろなところで余りにも問題が出過ぎている。そして、審議会の中でも当事者の声というものがなかなか届かないということは参考人質疑の中でも指摘をされてきているんですね。もう少しやはりきちっとその辺を考えていただきたいということを、強く申し上げておきたいと思います。

 その上で、時間がもう余りないんですが、まだまだ伺いたいことがいっぱいあるので、少し先に進ませていただきます。

 支援費の中で解決できなかった問題ということで、不十分だった点ということの中で、もう一つ非常に大事なのが、やはり市町村の居宅サービスの提供体制、そして実施体制の問題だというふうに思うんですね。

 御承知のように、市町村の居宅サービスの実施状況というのは五割台でとどまってしまっています。今回、実施主体を市町村に一元化した、これは当然必要なことだと私は思いますし、地域で暮らしていく、地域生活を支援するという意味では一番当たり前のことなわけですけれども、やはり市町村ごとに取り組みの格差がある、そして、利用できるサービスというものが余りに乏しくて、障害者の皆さんがサービスを選択するにはほど遠い状況というのがあるということであります。

 そして、特に重度者の生活を支える仕組みというものが決定的に不足をしている、これが実態だ、これもこの間の審議の中で繰り返し出てきた問題であります。移動介護を含めた居宅サービス提供体制の早急な整備ということがどうしても急務でありますし、居宅サービス提供体制の整備拡充と市町村の実施体制の強化というのはこの法案の土台となるべき部分だというふうに私は思っています。

 そういう意味で、先ほど障害者施策にかける今までの日本の国の予算の問題も話がありましたけれども、やはりきちっと、市町村財源の確保、そして国庫負担基準の見直し、これは大変重要になってきていますし、それだけではなくて、自治体間格差をなくしていくための市町村の体制整備のために、特に今回はケアマネジメントの専門性というものも求められますし、専任職員も必要でしょう。そして、こういったことをきちっとやっていく上での施行事務費ということも必要になってくる。交付税の基準財政需要額への所要額の算入ということも含めて、財源確保をきちっとやっていただかなければ絵にかいたもちになるということであります。

 その点について、大臣の御決意をお聞かせください。

西副大臣 御質問のとおり、今回のこの改正において、財源の確保、これは大変大きな課題だというふうに考えております。

 今までと違って、障害者の福祉サービス、これの実施主体を一番身近な市町村ということで一元化することに伴いまして、市町村の人的また施設の面でも大変重要な課題だというふうに認識しておりまして、私ども全力でこれに取り組んでいきたいと思っております。

 まず一点目は、市町村の事務の効率化をまず進めなければならないということで、特に小さな市町村では広域で審査会等を設けるということも想定させていただいております。また、支払い事務等につきましても、場合によっては国保連等に委託をしてもいいという形でお願いをすることとしております。

 それから、国や都道府県から市町村への支援といたしましては、特に小さな市町村でなかなか実施が難しいところは、地域生活支援事業、これそのものを都道府県がかわって行うことについても可能ということにいたしております。それから、研修等を通じて県が責任を持って人材の育成を行う。支給決定に要する事務費につきましても国が補助をするというようなきめ細かな体制を整えまして、すべての小規模の市町村も含めて適切にこの事業が実施でき、そしてそのことによって格差がなくなるように、私どもとしても全力で頑張っていきたいと考えております。

藤田(一)委員 時間がなくなってしまいましたので、また後ほど、先ほどの資料の説明をいただくときがあればお尋ねをいたしますが、先ほど西副大臣が新たな社会保障の出発とおっしゃられた。であれば、やはりきちっと必要な予算は確保するということを、その気概を見せていただかなければ、この法案、どこにも厚労省がこれから障害者施策を一生懸命やるんだなんという気概を感じられないわけですから、本当にそのことをしっかりとお願いして、一応今の時間の中での質問を終わらせていただきます。

鴨下委員長 次に、橋本清仁君。

橋本(清)委員 民主党の橋本清仁です。ただいまから障害者自立支援法案の質問をさせていただきます。

 今の藤田先生の質問の中にもありましたとおり、この法案は余りにもずさん過ぎる。けさ、与党から法案の修正案が出ましたけれども、目的に自立と社会参加を書き入れる、こういった目的の部分から直していかなきゃいけないという、こんな法案を提出してくること自体が私は許せない。

 また、当事者の声を全く聞こうとしない。今、傍聴席で声を出した方がいらっしゃいましたよ。しかし、日比谷野外音楽堂での集会でも声を上げて皆さんに申し上げている。しかし、何にも届いていないんですよ。だから、仕方なくあそこで声を出していらっしゃるという現実を、大臣、きちんと認識していただきたい。

 そしてまた、この法案の審議の中で、私たちが質問したとしますと、検討するとか、秋までに決めますとか、答えでそう言っておきながら、七月十三日水曜の採決、そういった話も聞こえてきますよ。

 こういった、データすらあいまいであり、また当事者の声も聞こうとしないこの法案に対してこういった時期尚早の採決を行うこと、大臣、どう思われますか。

尾辻国務大臣 採決につきましては、これは国会の方の委員会の御判断でございますから、私が申し上げることではございません。

橋本(清)委員 そういうふうにおっしゃるんでしたら、ただ、これは慎重審議するべきであるとお思いですよね、きちんとした、もっと時間をかけて。どう思いますか。

尾辻国務大臣 この法案に限らず、すべての法案はきっちり審議をすべきだというのは当然のことだというふうに考えます。

橋本(清)委員 これで七月十三日の採決。数字の前提もあいまいだし、また、この間の中根先生の話の、グループホーム入所者の定率負担のところの数字の○○とか△△とか、こういったところも決まっていないところで採決なんかされたくないですよ。本当に障害者の気持ちになってこれはやっていただきたいと思います。

 そしてまた、私が申し上げたいのは、民主党の障害者自立支援法案の修正協議断念について、六月二十三日、与党は非難する声明をお出しになりましたけれども、こういったことは与野党の立場のすりかえであって、また、このお粗末な法案を出してくる責任転嫁以外の何物でもない。与党みずからが、同法案は障害当事者の生活不安を増大させるものであるということを認識するのであれば、ちゃんと修正した上で、またデータもきちんとそろえた上で提出し直していただきたい。この法案によって障害当事者がこうむる被害というものをきちんと受けとめてくださいよ。我々民主党になすりつけるようなことをしないでくださいよ、本当に。

 それで、けさ修正案が出たわけですけれども、その前に一つちょっとお伺いしたいんです。

 私は、介護保険の法案で、大臣に本会議場で、政省令の数が余りにも多過ぎるんじゃないか、国会軽視甚だしいという質問をしたんですね。その答弁をいただいていないんですけれども、今回の障害者自立支援法案、政省令が余りにも多過ぎると思うんですよ。このこともあわせて大臣にお答えいただきたいと思います。政省令の多さ、国会軽視の厚生労働省の対応について、その点についてお答えいただきたい。

尾辻国務大臣 政省令につきましては、この法律に限らずいろいろな法律で、法律で骨格をきちんと定めて、そしてその先、政省令にゆだねるという部分はあるわけでございます。

 そしてまた、政省令の数というのは、多過ぎるという御批判もありますけれども、どうしても、いろいろな法律を見ますと、かなりの数やはり政省令で定めることということになっておりますので、今度のお願いしております障害者自立支援法案におきましても、まさに今介護保険の法律と比べておっしゃいましたけれども、やはり似たような数、大きく言えば似たような数ということになるわけでございまして、どうしてもそういう面が出てきますことだけは御理解いただきたいと存じます。

橋本(清)委員 本当に重要な数字とか、そういったものまで政省令にゆだねられますと国会審議自体が形骸化するということを、大臣、もう十分に認識なさっていると思いますけれども、こういった対応について、大臣みずからが厚生労働省を指導していただかないと、これからもこのままこれは続きますよ。そういったところをきちんと御理解いただきたいと思います。

 そして、この審議を四カ月ほどやっていますけれども、民主党の修正案、そしてこの与党の修正案、やっと出てきました。そして、日比谷野外音楽堂で一万一千人が集まった。もう今までの答弁の中で繰り返し言われていますけれども、一万一千人、月の収入の二カ月分を使ってまでここに来る、そういった方々の気持ち、きちんと酌んでいただきたい。我々民主党は、そういった方々の気持ちを伺って、九つの修正案を出させていただきました。それを前提に、今回の与党の修正案について申し上げさせていただきます。

 今回、この法案の修正、次の四点。法律の目的に自立と社会参加という言葉を入れる。精神医療の通院公費負担、育成医療、更生医療を自立支援医療、この延期をするという部分。そして、所得保障について就労支援、税制改正を含め幅広く検討するという規定を設けるということや、そして、発達障害、難病などもこの法律の対象となるように障害者の定義の検討をすると書いてあります。これを見ても、全部、検討するとか、そんな言葉ばかりなんですね。

 一番最初に申し上げましたけれども、法律の目的に自立と社会参加という言葉を入れるということ自体、これは全く当たり前のことであり、こんなの入っていないこと自体がおかしいんですよ。

 そしてまた、自立支援医療の三カ月実施延期。さっき藤田先生がおっしゃいましたけれども、これは完全に成立がおくれたから、そしてまた、もう無理だ、対応できないという現場の声からこういうふうになったのであって、本来だったらば、こういったものではなく、きちんと内容について詰めるような作業をした上でやらなければいけない。例えば、これは水島先生がおやりになりましたけれども、自己負担のあり方、現状の運用の課題、改めて医療を必要とする人の範囲、こういったところを詰めた上でないと、こういったものをやってもしようがないと思うんですよね。

 そしてまた、所得保障。これは、私たちも申し上げていますとおり、セットでなければ採決は応じられないと言っているんですよ、この所得保障とこの部分については。応益負担だけ先に行っても、これは障害者の生活にじかにかかわってくるところですから、順番を間違えないでいただきたい。最初に所得保障をやってから、そこからの話だと思いますよ、この応益負担の部分というのは。最初に所得保障をしなければ、もういつふえるかわからない不安な生活になるわけですよ。

 そして、障害者の定義の拡大についても、これは本当に当たり前の話ですから、わざわざこんなの修正したということ自体がおかしい。

 我々が提案してきた修正案についてはゼロ回答ということで、これは大臣、こういった部分、一万一千人集まった方々の本当に意見を酌んだ修正案とは思えないわけですよ。こういった修正案について、これは政府ですから、与党からの修正協議という話になるでしょうけれども、このままの修正で受け入れてそのまま採決ということはないようにお願いしたいと思うんですけれども、その点についてお答えいただきたい。

尾辻国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、採決につきましてはこの委員会の御意思でございますから、その御意思がそうであれば、そうであればというのは、修正どおりというふうにお決めいただきますと、これは私どもはそれを尊重しなければならない立場でございますので、私がそれを否定するということはできないところでございます。

橋本(清)委員 こういった中途半端な修正で、この紙にある、「このままの”障害者自立支援法案”では自立はできません!」ということであるものを、これはちょっと変えたからこのままじゃないだろう。そういったことで与党の皆さん考えていらっしゃるんでしたら、ちょっと考え直した方がいいと思いますよ。本当に、先ほどから叫んでいらっしゃる方々がいるわけですから、きちんとそういったことを肝に銘じながら、きちんとした修正を行っていただきたいと思います。

 そして次に、私、この修正案で欠けているところを質問させていただきたいと思います。

 移動介護の部分なんですけれども、今までも質問の中にあったんですけれども、移動できるというのは障害者本人の社会参加の根幹をなすものであり、支援費制度においてもこれは利用が激増したところである。これは、行動援護、重度訪問介護、日常生活支援以外の人の移動支援は、自立支援給付ではなく、市町村の地域生活支援事業となるみたいですね。

 こういったことを、これはそもそも個性がもともと強いんですから、そして支援費では居宅サービス体系の中に入っていたというこの移動介護自体が、なぜこの部分から切り離されて地域生活支援事業になったのか。障害者基本法第一条の目的に明記されているところの、自立及び社会参加の支援策として不可欠な移動介護の部分、これは個別給付が原則と思われるんですけれども、この部分について大臣の見解をお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 外出時の支援を行います移動支援につきましては、これは、障害者の皆さんの社会参加を促進し、地域での自立した生活を支える上で重要なサービスであると認識をいたしております。

 そこで、このたびの障害者自立支援法案におきましては、移動支援につきましては、地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な形態での実施が可能になるように、市町村の地域生活支援事業に位置づけることとしたところでございます。この際、その重要性にかんがみまして、市町村が必ず実施しなければならない義務的な事業として位置づけますとともに、その費用につきましても、支援費制度と同様に、国、都道府県が補助することができる旨の規定を設けることとしておりまして、より多くの自治体において必要なサービスが適切に受けられるようになるものと考えておるところでございます。

 なお、重度の行動障害を有する方々等につきましては、移動の支援や身体の介護等をパッケージで行う個別給付のサービスメニューを新たに設けることといたしております。(発言する者あり)

橋本(清)委員 これは、中根先生とかもおっしゃっていますけれども、重度だけじゃなくて、きちんと対象者を拡大していただくのも重要なんですけれども、素朴な疑問として、これはきちんとこれまでの水準を維持できると大臣おっしゃれますか。

尾辻国務大臣 申し上げましたように、市町村の事業としてやっていただくということでございますし、これは事業自体は義務的にやっていただくということに定めておるところでございますから、市町村において、きっちりこのことは事業を行っていただけるものと考えております。

橋本(清)委員 この移動介護の部分で、もう既に利用時間の削減を当事者に言ってきている自治体もあるというふうに伺っているんです。きちんとこれまでの水準は維持されるのかというお答えで、義務的事業とするということでおっしゃっていましたけれども、これは本当にされるのか、私は本当に心配なんですね。

 だから、先ほども申し上げましたとおり、利用時間の削減をするというようなことを当事者に伝えてきているところもあるということを伺っているんですけれども、そういうことに対して、大臣、どうお考えですか。

尾辻国務大臣 申し上げておりますように、このことは支援費制度で行ってまいったところであります。

 支援費制度が地域間の格差を生んでいたりということもあって、今回の法律でまた見直しをしておるということがございます。そうした中で、この問題も今まで市町村間の格差があった、すなわち、この事業をやっていただいていたところ、いないところというようなこともございますので、そうした意味で、まず、数多くの、今までよりも多くの市町村にこの事業をやっていただける、そういう意味でサービスは拡大するというふうに存じております。

橋本(清)委員 この法案全体に関して言えるのは、お金が国にもない、そして地方にもないといった中で、その割を食うのは障害者なのかなというふうに感じられるんです。

 サラリーマン大増税とか、そういったものもちまたで騒がれていますよね。本当は削っちゃいけないところから削る、この障害者の法案なんかそうですよ、自立支援法案。最低限のところからさらに穴を掘って陥れるような、そういった法案であると私は思うんです。

 その一方で、中根先生いつも追及なさっていますけれども、社会保険庁の家賃の問題とか、あと、私は決算行政監視委員会に所属しているんですけれども、平成十七年度の概算要求ですか、これを見るとひどいですよね。私はこういう調査能力がないですから、先輩がつくったもので話をさせていただきますけれども、ポケットベル使用料、月二千九百円、三百十二カ所掛ける二台掛ける十二カ月、二千二百八十万一千円。これなんか、前田雄吉先生から伺ったんですけれども、十年間使っているところがないみたいなんですよね。十年前に一カ所、静岡かどこかの社会保険庁のところで一カ月間ぐらい使ったと。テレビ朝日が全部、すべての都道府県に電話したらしいんですよ。

 こういうむだ遣い、そして、あと六億円の綱引き大会、あとこの間、独法をつくって年金の施設を売り払うような、あれは幾らでしたか、五島先生が質問したものは。三百億。そういったところにむだ遣いするお金がありながら、こういった障害者に割を食らわすような法案を成立させるというのは、提出してくるというか、そういったものについて、大臣、どうお考えですか。

尾辻国務大臣 私どもが、国民の皆さんからお預かりした貴重な税金というものをむだ遣いなく使わなきゃいかぬということはそのとおりでございます。そしてまた、むだがあってはなりません。そのことは当然でございます。

 ただ、そういたしましても、今、極めて限られた財源であるということも事実でございます。その限られた財源をどう使うか、これは私どもに与えられた大変厳しい仕事でございまして、それを今、私どもも取り組んでおるところでございます。

 支援費制度にいたしまして、私が昨年大臣になりまして、この支援費制度がどうしても足らなくなっておる、どうするかということで随分悩みました。そして、結局、補正予算でこのことを何とかしのいだわけでございますけれども、毎年毎年、裁量的経費でこの支援費制度を見る中で、補正予算でしのぐなんということはとてもできない、こういうふうに判断をしたわけでございます。

 そうした中で、義務的経費にこうした障害者の皆さんに対する施策に要する費用というのを持っていかなきゃならない、このことで今回の法律もお願いしておるわけでございまして、そうした面はぜひ御理解いただきたいと存じます。

橋本(清)委員 今大臣、限られた財源をどう使うか、そして補正予算で何とかしのいだとおっしゃっていましたけれども、この限られた財源の中からむだ遣いをしているという状況について、大臣、どうお考えになりますか。

尾辻国務大臣 御指摘いただいたようなことにつきましては、一つずつ、むだ遣いにならないように今正しておるところでございます。

橋本(清)委員 大臣にお願いしたいのは、この支援費制度のところで、補正予算で何とかしのいだと、これは大臣の政治的判断、いつもおっしゃっていますよね。そういったところだと思うんですよ。できれば、さらなる政治的判断をお願いしたいんですけれども。

尾辻国務大臣 今おっしゃったことがよく私に理解できなかったので、どういう部分の政治的判断というふうにおっしゃったのか、もう一度言っていただければありがたいと存じます。

橋本(清)委員 こういった障害者に割を食らわすような法案を提出するというか、というより、この移動支援の部分についてもきちんと政治的判断で、全部出せとは言いませんよ、この部分についてお金を、予算をすることによって、この範囲を広くしたりとか、きちんと移動ができるような、そういった政治的判断をお願いしたいという話です。

尾辻国務大臣 この件で申し上げますと、先ほど来申し上げておりますように、まず市町村に事業としてやっていただくということは決めました。そして、それを義務的な事業として、必ずやってくださいということで決めたところでございます。

 ただ、この部分が裁量的経費になっておることは事実であります。先ほど、義務的経費にしたいと言いまして、いろいろな部分を義務的経費にいたしましたが、ここの部分が残念ながら義務的経費になっていない、裁量的経費であることだけは事実でございます。

 したがいまして、今私が言えますことは、そしてやらなきゃならぬことだと思っておりますことは、裁量的経費でありますから、ここの予算をできるだけ多くとって、予算化して、そして、より多くの方にこの事業が行われ、サービスが行われるという努力をしなきゃならぬ、このことは私は肝に銘じておるところでございます。(発言する者あり)

橋本(清)委員 石毛先生もおっしゃっていましたけれども、何で残念ながらなのかと。ちゃんと、個別給付できちんとしたこれまでの水準をできるようにしていただきたいというのが私の願いなんです。

 次に、定率負担の範囲。私、ちょっと定率負担の部分について質問いたします。

 介護給付等の額の特例、三十一条について、サービス費用負担を市町村の判断により減免する規定ですけれども、その理由として、「災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情」とはまずどのようなものであるか、そして、この「特別の事情」の中に、症状の悪化等により所得に変動が生じた場合、こういったものがどう勘案されるのか、そういったことについてお伺いしたいと思います。

塩田政府参考人 障害者自立支援法案におきましては、障害福祉サービスあるいは公費負担医療の利用者負担につきましては、住民税、所得税の状況に着目して負担上限額を定めることから、基本的には前年度の所得に応じて軽減を行うことになります。

 しかしながら、災害などのやむを得ない事情によって前年度から経済的な状況が大幅に変わった場合など、一定所得以下に相当すると市町村が個別に認定した場合には、負担を軽減できるということになっております。御指摘がありました障害状態の悪化、あるいは入院などによりまして著しく収入が減少した場合には、軽減を認める方向で検討したいと思います。

橋本(清)委員 この定率負担、先ほども申し上げましたけれども、きちんとした所得保障がなされなければならないというところが前提でございますのを繰り返して申し上げさせていただくとともに、この定率負担の範囲、これは、この法案において、利用者本人の所得、資産に応じたものとするべきであると考えておりますけれども、どうお考えですか。

西副大臣 お答え申し上げます。

 今までの支援費制度では、障害者本人のみならず一定の扶養義務者にも負担の義務が課されておりましたが、今回は、新しい制度、扶養義務者の負担を廃止して、本人のみ法律上の負担義務者ということにしております。ただし、その本人の負担の内容につきましては、世帯単位の所得に応じて負担の限度額を設けるということで、今の先生の御質問につながってくるわけでございます。

 経済的な面において、世帯の構成員がお互いに家族の中で、世帯の中で支え合うという実態を踏まえて、生計を一にする世帯全体で負担能力を判定するということを今回提案しているわけでございますが、この委員会でも、障害者の自立という観点から本人だけの所得で考えるべきだという要望がある一方で、生活がまさしく一体である配偶者についてまで、親兄弟と同様に本人と生活が別だということまでは言えないのではないかという御意見、それから、医療保険それから税制などにおいて被扶養者というようなことで事実上経済的な恩典を受けているにもかかわらず、この障害福祉の分野において特別な扱いをするということについて整合性があるのかどうかというような疑問が呈されている場合もございます。

 そんなことで、今回の利用者負担見直しの趣旨、また、この委員会での先生方の御意見を踏まえて今検討しているところでございまして、具体的な範囲やその基準を早急にお示ししたいというふうに考えているところでございます。

橋本(清)委員 きちんと採決までにそういったものを出してくださいよ。すべて、資料も何も出してこないという状況の中で、こんなの議論できませんからね。きちんと採決までに出すんですね。答弁してください。

西副大臣 関係諸機関、また、審議会等との議論もございますので、早くに議論を進めたいとは思いますが、精いっぱい頑張っていきたいと思っております。

橋本(清)委員 本当にそういったものを出していただかないと、採決の面でも、ちゃんとお答えいただきたいんですけれども、出してくださいね。

 委員長、理事会でお願いします。

鴨下委員長 その件につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきます。

橋本(清)委員 ありがとうございます。

 それでは、本当に、先ほどから申し上げているとおり、この前提となるデータとか基準自体がまず出ていない。また、誤ったデータで提出された資料、そういった中で採決を性急に急ぐことだけは、私は、本当に障害者の生活、生命がかかっている法案ですから、きちんとした議論をしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

鴨下委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先日、五日でしたが、日比谷野外音楽堂に一万一千人の障害者、関係団体の皆さんが集まり、国会請願行動を終日展開されました。大変暑さの厳しい中でありました。また、これまでも何度も雨の中の集会、デモを続けられて、本当に命をかけて私たちはここに来ているという叫びを受けとめ、本当に私たち国会の責務ということを痛感させられました。

 私は、地域で演説会があったときに、障害者の皆さんが全国でこれほどまでも立ち上がっている、そのことを率直に受けとめたいという演説をしたことがあったんですが、そのときに駆け寄ってきた二十一歳の青年が、自分は作業所に通って月六千円の工賃をもらっているけれども、それが丸々交通費で消えてしまう、それを今応益負担ということで利用料も取るのか、余りにもひどいと訴えられました。

 工賃が少な過ぎる、そういう問題ももちろんあります。そもそも、そういう条件の中でも、何らかの形で自分のできる範囲で社会にかかわりたい、自立を目指したい、そういう形でこれまで障害者の皆さんは懸命に頑張ってこられました。今そういう皆さんに対して応益負担を押しつけるということは、社会にかかわりを始めた、一歩でも二歩でも前進を始めた皆さんに対して、もう一度引っ込め、社会参加はしなくてもいい、そう言っているような法案だと私は指摘をせざるを得ません。まさにこの応益負担こそ障害者団体の皆さんが真っ先にやめてほしいと言っている問題であり、私もそのことを重ねて指摘したいと思いますし、採決の時期ではない、このことを改めて指摘したいと思います。

 そこで、きょうは、障害者の自立と社会参加、このことにとって必要と思われる問題について幾つか質問させていただきます。

 初めに、マンパワーの問題であります。

 障害者の自立と社会参加を実現するためには、障害者を支える人々、マンパワーが本当に重要な役割を果たしております。この方たちの献身的な働きと貢献によって今日まで障害者の自立と社会参加が進められ、今日の施策が維持されていると言っても過言ではありません。この点では大臣も異論がないと思われますが、大臣の認識を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

尾辻国務大臣 障害者の自立と社会参加を実現するためには、障害者を支える質の高い効率的な障害福祉サービスを確保する必要がございます。そのためには、障害福祉の一線で日々働かれる方々の質の向上と、それからもう一つ、量の面でも充実を図ることが非常に重要な課題であると私どもも認識をいたしております。

 このために、今回御提案申し上げております新制度におきましては、市町村が策定をいたします障害福祉計画において必要なサービス量を適切に見込むということとともに、都道府県が策定をいたします障害福祉計画に基づきまして、都道府県において、ホームヘルパーやケアマネジメントに従事される方々などの資質の向上のための研修を行うことというふうにしておるところでございまして、今申し上げたようなことに取り組んでいただくことによって、福祉サービスに従事する方々の育成、確保に努めてまいりたいと存じております。

高橋委員 大臣、今この方々の質の向上というところに一気に話が行ってしまって、そのために市町村が必要な計画をとるというお話でしたけれども、まず大前提として、一言で確認をしたいんですけれども、この方たちの果たしている役割、障害者の自立と社会参加にとってなくてはならない役割ということを十分お認めになりますか。

尾辻国務大臣 マンパワーの大切なことは十分認識をいたしております。

高橋委員 ありがとうございます。

 その上で、では、今回の大幅な改定に際して、障害福祉労働者の労働実態がどのような状態にあるのか調査をされたことがありますか、伺います。

塩田政府参考人 障害福祉サービスを実施する事業者につきましては、支援費事業経営実態調査事業というのを、ことしの三月時点の支援費サービスを提供する指定事業者あるいは指定施設に係ります支援費サービスの費用等の調査を行っているところでございます。

 この調査の中で、事業者がサービスを提供するに当たって必要な経費を把握するということが必要になりますので、その一環で、サービスに従事する方の給与でありますとか退職金の状況でありますとか、あるいは常勤、非常勤の別でありますとか、そういったことについて現在調査をして取りまとめ中でございます。

高橋委員 今、取りまとめ中ということでありました。本来ならば、この法案の大前提となるものでありますので、当然、実態調査がされて、それに応じて、必要なサービスがどうなるんだ、またそれを確保するために労働者にどう担保するんだということが示されるべきだった、そのことをまず指摘したいと思うんですね。

 東京都の福祉人材センターが、センターの紹介で福祉の職場に就職した人たちを対象に行った調査が発表されております。昨年九月から十二月にかけて実施をしたわけですけれども、それによると、就業後一、二年で退職して別の仕事についている方や、あるいは現在探している方などを合わせると、既に二割いらっしゃる。しかも、在職者の中でも、現在の職場で続けて働くと答えている方が四五・二%あるんですけれども、逆に、転職あるいは退職を考えている方が三五・五%いるということが指摘をされております。賃金の問題はもちろん、労働時間、勤務形態、忙しい割には給料が少ない、残業のない日がない、そうした意見が出されていることや、年収については半数近くの方が二百五十万から三百五十万未満で、二百万未満の方も七%もあり、正職員でも厳しい水準にあるということを紹介されています。

 この調査を担当した淑徳大総合福祉学部の下山教授が、利用者に十分なサービスを提供するためにも、労務管理を充実させ、仕事に意欲を持つ従事者が長く勤務できる魅力ある職場づくりに取り組む必要があると指摘をされていること、非常に重く受けとめる必要があるかなと思うんです。

 働く皆さんが、本当に、それぞれが持っている障害の程度に応じていろいろな気をかけながら支えていく、そういう難しい仕事をこなしているわけです。その方たちが、まともな給料とか、あるいは人間らしい労働時間、労働状態を求めれば、それがそのまま障害者にはね返ってくる、そういう構図ではなくて、しっかりとそこを、必要なものなんだと、支えるマンパワーは必要なんだという認識を今示されましたので、そういう立場での実態調査をし、サービスをしっかり提供していくということを検討されたいということ、ここはきょうは指摘にとどめたいと思います、次の質問がございますので。

 それで、障害者の施設整備の問題について、まだまだ足りないじゃないかということで指摘をしたいと思うんですが、二〇〇五年度でまず数字を伺いたいと思います。地方からの申請数が幾つで、採択件数が幾らなのか、身体、知的、精神別に数字で伺います。

塩田政府参考人 平成十七年度の障害福祉施設整備の補助金に関します全国の地方自治体からの申請の件数ですけれども、身体障害者関係施設が百二件、知的障害者関係施設が二百九十二件、精神障害者関係施設が八十九件、合計四百八十三件となっております。

 これに対しまして、現時点で国が採択した件数でありますが、身体障害者関係施設が二十七件、知的障害者関係施設が九十三件、精神障害者関係施設が六十三件、合計百八十三件でございます。

高橋委員 これを申請に対して採択された割合で見ますと、身体が二六%、知的が三二%、精神が七一%ということで、非常に驚く数字ではないかと思うんですね。二年前は身体障害、知的障害ともに一〇〇%採択をされていた、そのことと比べても驚く後退であります。

 しかも、これは、今割合で私お話ししましたけれども、件数としても非常に少ない。全体が少なくなっている。そういうことはまずお認めになりますよね。単純な確認です。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

塩田政府参考人 障害者関係の施設整備費の補助金は大変重要な役割を果たしておりますが、ここ数年、補正予算がないとかいろいろな事情で額の確保が非常に厳しくなっているところであります。そういった中で、ほかの分野の補助金は交付金化しましたが、私どもは、地方自治体の障害者関係の施設整備がおくれておりますので、何とか地方自治体を応援できる予算の確保に今後とも努めていく必要があると考えております。

高橋委員 財政のこと、当然おっしゃると思うんですけれども、今、努めてまいりたいと少しおっしゃいました。地方の要望に今現時点ではこたえられていない、そういう中で本当にこれをしっかりこたえて進めていくつもりがあるのか、もう一度確認をしたいと思います。

塩田政府参考人 障害者の分野は、高齢者等に比べて、特に市町村での地域生活の受け皿である施設の整備がおくれていると思いますので、障害者自立支援法案の目的である地域生活を実現する上でも、地方自治体でのハードの整備というのは必要不可欠でありますので、最大限、最優先課題として予算の確保に努力したいと思います。

高橋委員 最大限、最優先課題とおっしゃいましたので、そこはしっかり確認をさせていただきたいと思います。

 その上で、今ちょっとお話に出ました地域の問題になるんですけれども、厚生労働省の精神病床等に関する検討会が昨年八月に全国の精神病床の調査を行い、入院患者のうち、受け入れ条件が整えば退院可能な患者を約七万人といたしました。早期治療、早期退院、社会復帰を目指すことは当然のことであります。これを今後十年かけて解消するということを打ち出したわけで、言いかえれば、七万人を地域で支えていくということなんですね。

 問題は、それが本当に支え切れていくのかということなんですが、自立支援法では、精神障害者を少なくとも毎年七千人地域で受け入れ、社会参加を実現する、そういう支援体制の整備、当然織り込み済みだと思いますが、どのようにやっていきますか。

塩田政府参考人 約七万人と言われる社会的入院をされている精神障害を持つ方々が地域で暮らせるようにするということが、大きな政策課題になっているところであります。

 そのためには、三つの観点の対応が必要だと思っております。一つは国民の意識を変えていただくということがまずあると思いますが、もう一つは、医療の質を上げていただいて、病院から退院を促進するような医療内容にしていただきたいということでございます。三つ目が地域の受け皿をつくるということでございます。

 そういう意味で、今度の自立支援法案では新たに、精神障害者に対する福祉サービスについて、市町村がほかの障害等を含めて精神障害者も含めた福祉サービスに関する計画をつくっていただく、かつ、ほかの障害者に対する福祉サービスを精神障害者に対しても同じように提供できる仕組みをつくっていただく。そういう意味で、市町村に対する応援の仕組みを一つつくったと思います。

 それから、受け皿の整備については、先ほど来御指摘がある、予算を確保することが大前提になると思いますので、そういったことにも、先ほど御答弁申し上げましたが、七万人の方が計画的に地域復帰できるように最大限努力したいと考えております。

高橋委員 そうすると、今のお話で三つのポイントがあった。地域の受け皿の確保という点では、国としても責任を果たしていくということで確認をしてよろしいですね。

 その上で、やはりそうはいっても、地域が計画をするわけですから、その計画を積み上げていったら、足りて七万人まで本当にいくのかなと。いろいろな事情があるわけです、今現在も。そういう中で、では、その進捗状況を国として毎年公表するのか、それが著しくおくれていた場合などはどのように担保していくのか、考えを伺いたいと思います。

塩田政府参考人 全国的な数値の把握は三年に一度の患者調査ということになると思いますけれども、いろいろな形で施策の進捗状況についてはフォローしていく努力をしたいと思います。

高橋委員 具体的に今の問題についてですよ、総合的にじゃなくて。よろしいですね。公表していく。いいですね。

塩田政府参考人 何らかの形で、社会復帰がどう進んでいるかについては把握し、公表したいと考えております。

高橋委員 公表した上で、それがどうなっていくかということの責任が今問われてくると思うんですね。

 それで、少し話を具体的に進めたいと思うんですが、宮城県が、施設の解体を宣言し、障害者を地域へという取り組みを進めております。国が描くイメージというのがそこにあるのかなと思っておるんですね。私は、障害者の皆さんが地域で普通にみんなと一緒にかかわりながら暮らしたい、それをかなえるものであれば、それは大いに結構なことだと思っています。ただ同時に、さまざまな事情でそれがかなわない、施設を必要とする人もまた多いということがまず一つあります。ただ、支援の仕組みが整わないまま地域に行って、それがどうなっているかということが一つあるわけですね。

 解体宣言をした後で、宮城県の知的障害者更生施設が、現行の、まだ応益負担が始まる前の支援費制度のもとにおける利用者の平均的負担状況を試算している数字があるんですけれども、障害基礎年金一級の方で、年九十九万三千百円のうち、施設利用が月四万九千八百円、年間五十九万七千六百円かかる。国保税を引かれる、生活に最低限必要なものを引かれるとすると、どうしても十三万何がしの赤字が出る。これは医療費などは全然入れておりません。ですから、貯金がなければ施設サービスはもう受けられないということが現時点で指摘をされています。これは二級であるともっと下がるので、もっと負担がふえる。

 だけれども、これがグループホームに置きかえると、地域に出ていったんだけれども家賃が五万、六万という状況で、それに必要な経費、光熱費、さまざまなものを総合すると毎月毎月赤字で、持ち出しなんですね。だから、貯金がない人は絶対できない、それはもう絶対無理でしょうという話になっているし、これ以上は負担できないでしょうという中で、この試算をした方たちは、七、八年後には生活保護にせざるを得ないのかなと、少しむなしさも感じる、こういう指摘までしています。

 ですから、先ほど来随分問題になっている医療費の問題もありますし、地域へというのはいいことだけれども、負担だけがふえて地域に出されるということはとてもとてもできないわけですよね。そこを、あとは市町村で考えなさいと言われてもできない。そのことについてどう受けとめますか、それとも実態をどのように把握されていますか。

塩田政府参考人 障害を持つ方が施設から地域へということ、方向性は全く正しいと思いますけれども、地域で暮らすためにはいろいろな条件の整備が必要だという御指摘もそのとおりだと思います。

 住まいといったハードの受け皿も必要ですし、サポートをする人のソフトの受け皿も必要ですし、午前中もかなり御指摘がある所得保障の確立ということも大事だと思いますし、あるいは就労の場を地域でつくるということも大事だと思います。いろいろなものを一つ一つ積み上げていって条件整備をしていくというのが国の責任であり、都道府県の責任であり、最も身近な自治体である市町村の責任も大変重いので、市町村をどうバックアップするかというのが非常に大事だと考えております。

高橋委員 今最初に、もう時間が来ましたのであとは指摘にとどめますけれども、地域にというのは正しいと思うがという言い方をされましたけれども、国がそういう方向なわけでしょう。国が、地域でやりましょう、そして自治体でやりましょうと言っているわけですよね。だけれども、先ほど来言われているように、負担は大変、地域格差は大きい。そういう中で、裁量的経費だとなったら地方自治体で整備が進まないということが十分あり得るし、計画が絵にかいたもちになるか、あるいは十分な計画が持てない、そういうことになりかねないわけです。

 そのことをしっかり受けとめて、今、国の責任という言葉もありましたので、財政支援のあり方を、時限的、集中的にこのときやるべきだということをぜひ検討されたい、このことを要望して、終わりたいと思います。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 冒頭、きょう藤田委員が取り上げました、厚生省が社会保障審議会に配付された資料について、塩田部長の答弁を確認したいと思います。

 部長の答弁によれば、この藤田さんのお配りの一枚目の表は、このことを用いて審議会の審議は直接に行わなかったので、今後訂正するなりして新たな審議にかかるということでよろしいのですか。

塩田政府参考人 どういう形で政府として答弁するかについて、議場外で整理をされていると聞いております。その流れを私は承知しておりませんので、それを聞いた上で御答弁したいと思います。

阿部委員 では、とめてください。今の私の質問権ですから。きちんと答えていただきたい。もしお答えがないのであれば、私、一時から年金会議ですし、お答えを待つわけにいきませんので、とめていただきたい。時間がむだです。

塩田政府参考人 審議会等の対応については、次回の審議会においてきちんと経緯を説明し、御理解を求めたいと思います。

阿部委員 塩田さんに私が確認したいのは、この資料は審議会に使わなかったから次回の審議会でよいというお考えですか、それとも、この資料は使ったのですか。その事実だけお願いいたします。この資料に基づいて審議会で御説明なさいましたか。

塩田政府参考人 審議会の資料として提出しておりますが、その点について、当局からその部分についての説明を行っておりませんし、委員の方からその部分についての御質問もなかったということでございます。

阿部委員 それでは、逆に、ここにはいろいろな問題があるのですが、順次いきたいと思います。

 せんだって私が塩田さんに、山口委員にお渡しになった資料が精神障害者本人の所得かどうかということをお尋ねして、御丁寧な文書の回答をいただきました。その回答によれば、これは御本人への聞き取り調査であったので、サービスニーズ調査ですね、御本人の所得について書かれたものであろうと。

 塩田さんに伺います。ここは何度も私が指摘していますが、ここに「世帯」とあります、「課税世帯割合」と。そうすると、この部分についても憶測にすぎないのですね。事実に基づいたものではない。御本人が自分の収入についてニーズ調査で記載されて、しかし、それをどこかで厚生省が類推、推計されるデータがあったのか。あるいは、同じ調査でどういうわけでここは「世帯」に変わるのでしょうか。

塩田政府参考人 精神障害者の医療に関するデータの把握というのは、プライバシーの問題もあって非常に制約があるということでございます。それから、他の育成医療、更生医療とは違って一律の定率負担の制度で発展してきたという経緯などがあって、データの把握自体が大変難しいということはまず御理解をいただきたいと思っております。

 それから、ニーズ調査も、初めての調査で非常に限界があって、調査票を私も見ましたけれども、御指摘のとおり聞き取り調査で、細かくどういう角度から記載するかもなかったということであります。資料のない中で、ぎりぎりのところで推計として出させていただいたということでございます。

阿部委員 だから、推定の根拠は何ですかと聞いているんです。それと、時間稼ぎの答弁をしないでください。世帯を推定させる何か根拠はあったんですか。今、塩田さんが言ったのは、本人の聞き取り調査でそれ以上データが出なかったと言ったんじゃないですか。そうしたら、どうしてこれが世帯になって変わるんですか。もうぐずぐずぐずぐずの答弁はやめていただきたい。うそならうそと言っていただきたい。

 私は、このために先回丸一回分と、きょうもこれをやりたいんじゃないんです。ただ、御本人の収入に着眼するか世帯の収入に着眼するかがこの法案の骨格部分にかかわっているわけです。ですから、私はこれがなぜ世帯という表現を使われたのかを聞いているわけです。この根拠。あなたに私はこの前も宿題したはずです。いまだに今の答弁では出せていません。そして、おまけに、私は、次回までに、この審議が採決に向かうまでに、どうやって世帯を推計したか、文書で結構です、必ず出していただいて、きちんと、本当にこの法案の大切な骨格を話したいと思います。

 もう一つ、私は、きょう、データにかかわるうそについて取り上げなければなりません。

 先ほど藤田委員の御質疑の中で、何度も恐縮ですが、この表は、実際にこの表に言及して使わなかったからということでありました。しかしながら、実は、社会保障審議会、十一月二十六日で、皆さんがお使いになった数値とデータに偽りがあります。事は、育成医療にかかわる方が何人おいでか、更生医療にかかわる方が何人おいでか。塩田さん、まず答弁してください。時間稼ぎだったらとめてください。

塩田政府参考人 レセプトに基づく数値ということで、月平均利用件数、平成十四年度でいえば更生医療が約八万件、育成医療が約一万件ということでございます。

阿部委員 私の質問に子供じゃないんだから正しく答えてください。

 今、育成医療を受給券を持って受けている方と更生医療を受給券を持って受けていられる方総体にかかわるんです。その方たちは一体何人おいでですか。データは持っているはずです。偽りの答弁をするんだったらとめてください。委員長、とめてください。そして、私は一時以降はいられませんので、この会は流してください。(発言する者あり)

鴨下委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

塩田政府参考人 平成十五年の福祉行政報告例による給付決定件数で申し上げますと、更生医療が約十七万件、育成医療が約七万件となっております。

阿部委員 万件じゃなくて、その場合は万人とおっしゃるべきですよ、塩田さん。何人それを利用しておられますかと聞いたんだから。

 混乱して、そして混乱だけなら許せます、しかし、うそのデータを審議会に出すということが私は許せないのです。そして、あなたの答弁では、実は、例えば藤田さんの示したこれは使わなかったからよいでしょう。では、あなた方が使ったデータの中にうそがあります。先ほど私が申し上げた十一月二十六日の審議会の資料五です。

 この中では、今、塩田さんがお答えになった――ごめんなさい、きょう急遽思いました、さっきから余りにずさんな答弁なので、私は資料を用意する時間がなかったのです。皆さんのお手元には違うものです。育成医療が六万八千四百八十人。これは手帳、育成医療証を持っている方。更生医療が十七万四千八十六人。さて、皆さんがお配りになった十一月二十六日の資料には、あるページには更生医療受給者数八十三万人。違いますよね。更生医療受給者数八十三万人。違いますよね。そして、塩田さん、ほかのページ、また変わっちゃうの。更生医療九十八万人、最近の人数の伸びをもとに推計。いいですか、最近の利用者の人数をもとに推計。あなたたちが十一月二十六日にお配りになった資料です。この資料をお使いになって、こんなにふえているからという御説明が北川企画官からありました。

 私が、きょう、今急に投げても塩田さんがチェックする時間がないのであれば、これは明らかに虚偽のデータを用いて、事実を歪曲して、いかにもそれを利用の人数がふえて、医療費も高騰してやっていられないという結論づけるためのお話と思いますが、塩田さん、御記憶にないですか。

塩田政府参考人 利用者の費用負担の分布がどうあるかということについてはレセプトからは推計できませんので、別のデータを使って推計をしているわけでありまして、そういう観点で、利用者負担の分布の根っこの数値、これは、ですから例えば更生医療でいえば、一人の方が一月から三月まで更生医療を使ったとすれば三件として数えられる、そういうデータに基づいて八十三万人という数字が出ております。

 それから、更生医療の八万件というのはレセプトの件数でありますので、それぞれのデータというか、何を作成するかによって用いているデータ、ないものではできませんので、それぞれ根っこのデータが違うときに違う説明をしているということでございます。

阿部委員 今の資料を配付させていただくことをお許しいただいた上で、塩田さん、件数と受給者数は違うんですね、その更生医療の対象者数。

 そして、あなた方は、私が今お配りしたのは十一月二十六日の資料ですよ、あるページでは更生医療受給者八十三万人。そして、下段に置いたのはその二ページ後の資料で、対象人数、最近の人数の伸びをもとに推計、七十万人、九十八万人、育成医療も十四万人。これで、一月の件数と書くならわかるんです。

 そして、これを使って、事もあろうに北川企画官の言葉、これがもう本当に、「対象人員が圧倒的な勢いで今増加しているということでございます。」十一月二十六日の配付資料の四ページ、五ページが今の下段です。それを用いて、四ページ、五ページは、前回お示ししたように、五ページは特に「対象人員が圧倒的な勢いで今増加しているということでございます。」という審議会での説明でした。

 うそのデータを出しても審議会で使わなければいいんだという当初の御答弁でした。うそのデータを出して審議会で使ったらどうなりますか、尾辻さん。

尾辻国務大臣 御審議いただくに当たっては、正しい数字を出さなきゃならないということは言うまでもないことでございます。

阿部委員 では、言うまでもないのであれば、これまで二十四回の審議会の中で、極めてデータが全部ずさんです、毎回変わる、あっ、間違っちゃった。しかし、人の命は一人一人です。いいですか、塩田さん、このことによって、かかわり、関係、影響を受ける一人一人が今不安だから、あれだけ来ているんです。

 大臣、この審議会のデータを全部洗い直してしかるべく、大体、二十四回目の審議会だって審議会の委員は非常に打ち切りに不満でした、介護保険との統合問題も含めて。しかし、今は、人数がむちゃくちゃに違っちゃうデータを平気で出して、それで誘導しているんです。こんな審議会のあり方がここの委員会に、私たちはそれを受けて国会で国民の意思を立法化しているわけです。きちんと原局と御相談の上、このデータの捏造と誤れる説明について、そして審議会の皆さんにどのようなおわびをなさるのか、そして正しい審議会をどう持つのか、この点についてお答えください。

尾辻国務大臣 今、捏造と言っておられますが、私が先生と部長との間のやりとりを聞いておりまして、捏造であるかどうかということについてはよくわかりません。部長は部長なりに根拠のある数字だというふうにお答え申し上げておりますから、部長からもう一回答えさせてよろしゅうございましょうか。

阿部委員 時間がむだなのです。私はさっき塩田部長に、更生医療の受給証を用いてお暮らしの方の数を伺いました。十七万四千八十六人です。そして、この資料の中では、これが先ほど何回も言って恐縮です、九十八万人となっております。万件ならまだしもです。そして、その下の育成医療十四万人も、先ほど六万八千四百八十人。そして、実に、あるページでは育成医療は五万人、それが上のデータです。

 めちゃくちゃ、ばらばら、うそ。あるときは自分たちが説明しやすいように過小なデータを用い、あるときは医療費の高騰が大変だからと過大なデータをごまかしながら用い、こんな形で審議会が行われたことはかつてないと思いますし、恥だと思いますし、重要なこの法案にあって大きな欠陥だと思います。

 塩田さん、今私がお配りしたデータ、これはあなた方が、私はきょうさっき持ってきてもらいました、余りにもさっきの藤田さんへの答弁がずさんだったから。あなたは使わなきゃいいと言いました。では、使ったデータでお話をさせていただきましょう。使ったデータでうそがあった場合はどう始末するんですか。お答えください。塩田さんが答えて、後、大臣にもしかるべく善処方法をお尋ねいたします。

 事実を確認するまでの時間が欲しいというのであれば、必ず採決前に、こういう審議会が持たれたこと、データに偽りがあったこと、それによって一人一人の障害者に影響が及ぶことについて、おのおのどうおわびなさるのか。審議会の委員だけではありません。対象者御当人の、当事者の問題であります。お願いします。

塩田政府参考人 公費負担医療の推計に当たっては、基本的にはレセプトをもとにした議論をすることが適当だと思いますが、所得分布の把握には、このデータしかないということで違うデータを使って資料を作成したということでございます。

阿部委員 塩田さん、頭を冷やしてちょうだい。所得分布の話を聞いているんじゃないんです。その対象人数が何人でしたかと聞いているんです。それが一人一人にかかわるんです。

 レセプト件数は、確かに一人で二枚、三枚上がることもあるでしょう。でも、この法案は何を審議しなきゃいけないかというと、そのことにかかわる一人一人の人権や生存や生活をこそ私たちは論議しているんです。五万人と六万八千人じゃ違う。十四万人ではもっと違う。

 大臣、このことに善処していただきたい。私は、ここでしかるべくお答えがない限り、とめさせていただきますので、委員長、よろしくお願いします。

尾辻国務大臣 今先生が言っておられるのは、きょうまず先生がお出しいただきました資料の一ページ目のこの数字がございますね、資料でお出しになっておられる一ページ、1と振ってある、この数字ですね。(阿部委員「違います、先ほどお配りした資料五という数字」と呼ぶ)いやいや、それで、後、今いただいた……(阿部委員「そう、それはニュー資料です」と呼ぶ)

 いや、私がまず申し上げたいのは、一ページ目の資料がありますね、それから、今いただいた資料の上段と下段の数字が違うということを指摘しておられるわけですね。(阿部委員「そうです」と呼ぶ)

阿部委員 それだけじゃなくて、その数値がまた、先ほど塩田さんが答弁された数値とも違うんです。三つばらばら、うそばっかり。それに基づいて審議会でお話をなさったんです、北川企画官の言葉、十一月二十六日に使った、こんなに人数がふえていますと。

 私たちはこんな審議はできない。ここでしかるべく、一時になりますので、とめていただきたい。(発言する者あり)

鴨下委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鴨下委員長 速記を起こしてください。

 阿部君。

阿部委員 では、この問題の究明がされない限り採決は行わないというお約束をいただいて、委員長、よろしいですね。究明をされるとおっしゃったんですから、筆頭理事。

 そして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 次回は、来る十三日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十八分散会


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