衆議院

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第5号 平成17年10月21日(金曜日)

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平成十七年十月二十一日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 石崎  岳君 理事 大村 秀章君

   理事 北川 知克君 理事 長勢 甚遠君

   理事 宮澤 洋一君 理事 仙谷 由人君

   理事 山井 和則君 理事 福島  豊君

      新井 悦二君    井上 信治君

      上野賢一郎君    小野 次郎君

      大前 繁雄君    岡下 信子君

      加藤 勝信君    上川 陽子君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木村 義雄君    清水鴻一郎君

      菅原 一秀君    平  将明君

      戸井田 徹君    冨岡  勉君

      中山 泰秀君    長崎幸太郎君

      西川 京子君    橋本  岳君

      林   潤君    原田 令嗣君

      福岡 資麿君    松浪 健太君

      松野 博一君    松本 洋平君

      御法川信英君    吉野 正芳君

      内山  晃君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    菊田真紀子君

      五島 正規君    郡  和子君

      園田 康博君    田名部匡代君

      三井 辨雄君    村井 宗明君

      柚木 道義君    谷口 和史君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      笠井  亮君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           山井 和則君

   議員           園田 康博君

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中谷比呂樹君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十一日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     平  将明君

  清水鴻一郎君     小野 次郎君

  菅原 一秀君     松本 洋平君

  西川 京子君     松野 博一君

  原田 令嗣君     長崎幸太郎君

  福岡 資麿君     橋本  岳君

  御法川信英君     大前 繁雄君

  柚木 道義君     小川 淳也君

  古屋 範子君     谷口 和史君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     清水鴻一郎君

  大前 繁雄君     御法川信英君

  平  将明君     木原 誠二君

  長崎幸太郎君     原田 令嗣君

  橋本  岳君     福岡 資麿君

  松野 博一君     西川 京子君

  松本 洋平君     菅原 一秀君

  小川 淳也君     逢坂 誠二君

  谷口 和史君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     柚木 道義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 障害者自立支援法案(内閣提出第一一号)(参議院送付)

 障害者の自立の支援及び社会参加の促進のための身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、障害者自立支援法案及び山井和則君外五名提出、障害者の自立の支援及び社会参加の促進のための身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局長中村秀一君、社会・援護局障害保健福祉部長中谷比呂樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。

大村委員 自由民主党の大村秀章でございます。

 本日は、早朝から大変大事な障害者自立支援法の審議に入らせていただきます。ひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 私は、政府、そしてまた、今回民主党さんが法案を出していただいておりますので、政府及び民主党にそれぞれ質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今回のこの法案は、もう委員の先生方は御案内のとおりでありますけれども、今からちょうど三カ月前、七月の十三日にこの委員会を通過し、そして十五日に衆議院本会議をこれも通過し、参議院に送られました。そして、参議院で審議に入ったわけでございますが、八月八日、突如衆議院が解散になって、あわせてこの法案も廃案になったということでございます。

 そういう意味で、一生懸命こうして障害者施策を積み上げてきた、そういう審議を進めてきた、しかしながら、ここで廃案になってどうなるのか、そして、ことしの予算、来年度の福祉予算はどうなるのかということで、大変今後のことが案じられたわけでございますけれども、先月の衆議院選挙を経て召集されましたこの特別国会でまたこの法案が提出されて、そして参議院で可決をしてこちらに回ってきたということでございます。

 これは、改めて私が申し上げるまでもなく、障害者の福祉サービスを一元化する、そして財源的にも安定をさせていく、さらにその福祉サービスを広げていくという、私は大変意義のある、そして前進をさせる法案だというふうに思います。ぜひ、これをできるだけ早くこの国会で成立させて、そして来年四月の施行に向けてどんどん準備作業を進めていく、そういうことが必要だろうというふうに思うわけでございます。そういう観点から、今回は少し時間をいただきまして質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まずは、政府側の方にお聞きをいたしたいというふうに思います。

 一点、まずこの法案は、先ほど私申し上げましたように、障害の別なく三障害を統合していく、財源的に義務負担化をしていく、そして広げていく。さらにまた、障害福祉サービスに参入する方々にNPOの皆さんも含めてできるだけ入りやすくするということで、サポートするといいますか、支える基盤を厚くするという意味が私はあると思いますけれども、一方で、その御利用の負担についていろいろな御意見があるのも事実でございます。

 ただ、この点につきまして、やはり正確な議論を国民の皆様に伝えていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけでございます。どうもその部分、利用者の負担のところだけが強調されて、それもどうも不正確な情報がひとり歩きしているという気がしてなりません。そういう意味で、この点について政府にまずお聞きをいたしたいというふうに思います。

 今回見直しにおける利用者負担のあり方というのは、制度の入り口として定率の一割負担ということになっているわけでありますけれども、利用者サービスの一割分について、どこまでいっても一割分だということでは当然ないんですね。所得の状況に応じて、例えば生活保護の方は利用者負担はない、そして障害基礎年金二級相当の収入の方は月額一万五千円までといったようなことで、低所得の方に配慮をしている。さらに、個別の減免制度とか社会福祉法人の負担半減措置、そうした二重、三重の減免措置も講じているわけでございます。

 また、七月、ちょうど三カ月前に、私はここで大臣に確認的な御質問をさせていただいて、御答弁もいただきました。そういう中で、障害者の負担能力を考える上で、いわゆる御家族、親兄弟との所得とは切り離して見るということも制度として認めるんだということも確認をさせていただきました。そういうことで、二重、三重、いろいろな形でこの御負担の点について少なくしている、配慮しているというふうに私は思います。

 こういうふうに見てきますと、特に重度の障害があってサービス量の多くなる方については、そういう意味で、定率の負担というよりは実質的には定額の上限制だというふうに言った方が私は内容的には正しいというふうに思います。

 厚生労働省、この点について、確かにこの負担の減免措置は、いろいろ配慮をしてこうやってきたということもありまして非常に複雑になって、私もこのケースはどういうケースかなと思って資料をばらばらとめくってみて、ああそうか、これはここに当たるんだ、こういうことで、なかなかちょっとすぐにのみ込みづらいところがあるのは事実だと思います。そういう意味で、私は、PRをもうちょっとしていただかないと、現場で不安が先走っているんじゃないかという嫌いがあると思います。

 もう一度申し上げますが、重度の障害のある方でサービス量の多くなる方については、そのままどんどん負担がふえるのではなくて、定額上限制だということだ、負担率というのはその分ずっと低くなるということを、それが現実なんですよということをもっともっと説明する必要があると思いますが、この点はいかがでございましょう。

尾辻国務大臣 もう既にお述べいただいておりますので、そのとおりでございますと申し上げていいわけでございますけれども、お尋ねでもございますので、私からも改めて申し上げたいと存じます。

 今回の利用者負担の見直しでは、一割の定率負担と所得に応じた月額の負担上限を組み合わせた利用者負担をお願いすることとしておりまして、所得に応じた月額の負担上限を設定する際には、所得の低い方についてはより低い上限額を設定することといたしておるところでございます。

 具体的な額といたしましては、一般の方で四万二百円、低所得二の方で二万四千六百円、低所得一の方で一万五千円、生活保護世帯の方でゼロ円が上限額となっておりまして、事業費の一割が上限額を超える場合には上限額以上御負担をいただくことがない仕組みになっておるところでございます。

 このほかにも、在宅でホームヘルプサービス等を利用して暮らす方については、社会福祉法人減免によりさらに月額負担上限額が半額となるよう定率負担を軽減するなど、きめ細かな配慮措置を講じているところでございまして、サービスの利用量が多い方であっても、サービス利用量に応じて無制限に負担がふえるということはない仕組みになっておるところでございます。

 利用者負担の見直しにつきましては、今先生御指摘いただきましたとおり、定率一割負担という話のみが先行いたしておりまして、利用者負担の見直しの趣旨でありますとか上限額の設定等の各種の軽減措置について、十分に説明が行き届いていないと思われます。また、私どももいろいろなことを考えましたので、これも先生の御指摘のとおりでありまして、仕組みがかなり複雑になっておりますので、わかりやすいリーフレットの作成、配布、都道府県の担当課長会議等を通じた市町村や事業者への周知のお願いなどによりまして、利用者やその御家族によく御理解いただきまして、必要な方が適切な減免措置を受けていただけるよう引き続き制度の周知に努めてまいりたいと存じております。

大村委員 今大臣が言われましたように、もう一度申し上げますが、重度の方については定額上限制だというふうに思います。したがって、実質的に定率制となるのはサービス量がそれほど多くない方だということでございまして、そういう方々については、これまでの制度では、少ないサービス量であるにもかかわらずある程度の所得がある方、中程度以上の所得がある方は、例えば全額負担であったり、負担率がかなり高率になっていたというのが実態だと思うんですね。

 ですから、むしろ、今回の制度改正でそういった方々は負担が軽くなるということは事実だ、こういうふうに思います。

 そういう中で、先般、厚生労働省の社会保障審議会の障害者部会に、障害者福祉サービスの利用実態調査が報告をされたというふうにお聞きをいたしております。それについて、このホームヘルパーの利用実態におきまして、一番多くの方々が利用されているサービス量というのはどのくらいなのか。ここに一応資料がありますが、改めてお聞きします。

 それから、この方々の負担は、今回の利用者負担の見直しでどういうふうに変わるんでありましょうか。また、この調査では、ホームヘルプサービスの月額百万円、年間一千二百万円を超えるサービスを利用されている方々も、ここで区分上報告をされておりますけれども、その方々の利用者負担は幾らで負担率はどのくらいになるか、こういうこともあわせてお聞きをしたいというふうに思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ホームヘルプサービスでございますが、ホームヘルプサービスを使っている方の人数が一番多いところは月額三万円未満で、ホームヘルプサービスを利用されている方の四一・八%で一番多くなっております。この月額三万円利用された方の自己負担は一割負担でございますので三千円でございますが、今委員からお話がありましたように、平均的な勤労者の年収約五百六十万の方であれば、現行の支援費制度では三千二百五十円の御負担でございましたけれども、今申し上げましたように、それが三千円の御負担ということで負担減になる、こういう内容になっております。

 高額で利用されている方は、月額百万円のケースでは、定率一割負担であれば月十万円の利用者負担になるところでありますけれども、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、各種減免措置が講じられております。月額百万円、年間一千二百万円使っておられる方でも、一般世帯、課税世帯の方は頭打ち四万二百円でございますので、負担率は約四%。低所得者二の方は二万四千六百円で負担率二・四%ですが、社会福祉法人減免が適用される場合は一万二千三百円になりますので、この場合の負担率は一・二%。さらに、低所得一の方は一万五千円で負担率一・五%、社会福祉法人減免が適用される場合は七千五百円でございますので、一割負担ではなく負担率〇・七五%、こういう形になっておりますので、多くサービスを使われている方について、所得が低い方ほど、多くサービスを利用されるほど、負担率は低くなる制度になっております。

大村委員 今、大臣、局長からも御答弁いただきましたけれども、今回のこの定率負担といいますか、御負担の仕組みの改正につきましては、所得にかかわらず、だれでも障害者サービスを利用しやすい制度に変えようということだというふうに私は思います。

 そういう意味で、サービス利用量がそれほど多くない方々には、利用したサービス量に比例をして一割の御負担をいただくわけでありますけれども、サービスの多い方、重度の方には定額の上限制だということを、やはりもっともっと現場の方々にわかっていただく。別に難しいことじゃなくて、こういうことなんですという事実をそのままわかっていただくということでやはり努力していただかなけりゃいけないんだろうというふうに思いますけれども、この点について、もう一度大臣から御答弁いただきたいと思います。

尾辻国務大臣 私どもが申し上げておりますように、とにかくきめ細やかな仕組みにして低所得の方々に配慮しなきゃいけない、これを考えてまいりました。ただ、そういたしますと、どうしても仕組みが複雑になります。その仕組みをだれにでもわかっていただけるようにと思ってつくった紙がございますけれども、その紙を自分で見ながら、かなり複雑になっているなということは改めて思うわけでございます。

 ということは、これをまた御説明申し上げるというのは、大変それだけの丁寧さが求められるということでございますので、今後私どもは、丁寧に丁寧にこの御説明をしていかなきゃならないと考えておるところでございます。御理解いただくための努力を続けてまいります。

大村委員 ぜひ、その努力をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。また、引き続き我々もフォローをしていきたいというふうに思います。

 さて、お待たせをいたしました。民主党の案につきまして御質問させていただきたいと思います。

 今回、この障害者自立支援法に対しまして、民主党さんの方から対案という形で法案が、大変短い期間の中で大変御努力をされたということ、これは評価をしたいというふうに思います。こういう形で対案を出されて、そして、中身についてはこれから一つずつ申し上げたいと思いますけれども、こういう形で議論を進めていくということは、私は大変結構なことだろうと思いますし、そういう意味では、せっかくお出しいただいたものですから、少し中身を見させていただいて、きょうはぜひ山井委員と園田委員と、そんな肩に力を入れずに、ざっくばらんにいろいろ意見のやりとりができれば、そんなことで、ちょっと御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、マニフェストですね。この間の選挙の民主党のマニフェストとの関係について御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 この点については、補助金の全廃、もうほとんど生活保護費以外の全廃のことを言っている。それはまた後ほど御質問あろうかと思いますが。私はまず、この民主党のマニフェストの二十五ページの、「介護保険の適正化、障がい者福祉の拡充に取り組みます。」というところの項目の中で、「二〇〇五年の法改正で先送りされた被保険者と受給者の範囲の拡大(介護保険のエイジフリー化)を二〇〇九年度から実施します。」こう書いてあります。御存じのとおりですね。

 それで、民主党さんというのはマニフェストを、前回の国会での介護保険の議論のときもそうなんでありますけれども、常にエージフリー化というのを主張されてこられた。私も、個人的には何となしにそのことを申し上げてきたものでありますけれども、そういう中で、一貫して介護保険の対象年齢の拡大、その中で障害者福祉もやるんだということを主張されてきたんですね。

 だけれども今回は、今までの既存の法律をそのままにしている、そして支援費の制度をそのままにしている。それで御負担はどうなるのか、まあ、それは取らないということなんでしょうけれども、そういう民主党さんが今まで言われてきたこのマニフェストのことと今回の法案というのは、その方向が私は違うというふうに言わざるを得ないと思うのでありますけれども、その整合性という点はいかがでございましょうか。

山井議員 大村議員の質問にお答えいたします。

 まず、冒頭ですが、本当にこういう貴重な時間を使って対案に対して質問をしていただきましたことに、心より感謝を申し上げたいと思います。

 それで、今回私たち、対案を出させていただきましたが、冒頭に一言申し上げますが、非常に評判がよくて、多くの障害者の方々、団体の方々は、やはりこういう方がいいという声が圧倒的多数というふうに私は認識をしております。

 先ほど尾辻大臣からも、やはり丁寧に利用者、障害者の方々の声に耳を傾けて議論していきたいという話がありましたが、やはり通常国会と違ってこういう対案が出たわけですから、そういう選択肢が出たわけですから、じっくり、どっちがいいのかということを、まさにこれを決めるのは障害者の方々、現場の方々であると思いますので、そういう審議をしていきたいというふうに思っております。

 また、与党の議員さんにおかれましても、まだまだもちろん不十分な点はあるかもしれませんが、民主党の対案を出して、どちらがいいと思うということを、ぜひ地元の障害者の方々に聞いていただければと。

 それで、質問に答えさせていただきます。

 大村議員も、限られた時間なので、はしょっておっしゃったのかもしれませんが、私たちの対案の半分しかおっしゃっていないんですよね。当面支援費を続けて、来年四月から精神障害者も入れていくということを書いていますが、その後にちゃんと、二年間かけて包括的障害者福祉法制をつくっていくということは書いているわけでありまして、それで「検討」の中でも、年齢拡大を進めていくということもこの法案の附則の中に書いているわけでありまして、全く整合性はとれているわけであります。

 しかし、ここで非常に重要な部分は、政府・与党が言っている介護保険の普遍化、年齢拡大、エージフリーというものの定義と、私たち民主党が言っております定義が明らかに違うと思いますので、これは議論が混乱すると思いますので、私たち民主党が考えておりますエージフリー、ちょっと片仮名でわかりにくいので年齢拡大と言いますが、そのことの三原則をこの場ではっきりと申し上げて、大村議員の誤解を解きたいと思っております。

 まず一つ目は、あくまでも障害者福祉をよりよくしたい、障害者福祉により多くの財源を持っていきたい、そういう思いで介護保険を一部障害者福祉に活用できるところは活用したいというのが私たちの基本的な考え方でありまして、老人の方向けの介護保険に障害者福祉を統合する、無理やりくっつけるということでは全くありません。障害者福祉と老人の介護保険のニーズが全く違うのは明らかなわけですから、そこは、保険でできる部分は介護の部分でするけれどもそれ以外は税でやるということ。

 二番目は、当然、所得保障とセットでやるということ。

 三つ目は、これは一番重要なことです。あくまでも当事者の方々の御理解がないと制度改正なんかできないわけですから、やはりじっくり時間をかけて、二年間、私たち民主党は時間をかけて、どういう年齢拡大だったら当事者の方々が納得して安心してもらえるか、そのことをじっくり時間をかけてやりたいと思っております。

 そう考えてみると、まとめると、民主党は、介護保険をいいとこ取りして障害者福祉をよくするために年齢拡大をすべきと考えておりまして、障害者福祉のマイナスになるような年齢拡大、あるいは障害者の方々の理解や賛同を得られないような強引で性急な年齢拡大、そして所得保障を伴わない年齢拡大は行わないし、反対をいたします。

 最後に一言つけ加えますが、やはり今回のやり方は非常に強引でありまして、障害者の方々と政府が信頼関係を壊してしまったのではないかと私は思います。ですから、大村議員にお願いしたいと思います。もうこれで終わりますが、質問をされるときには、自民党はこのことについてどう考えているのかというのを言って、民主党に聞いていただきたい。私たちはマニフェストに入れて方向性は決めているんです。決めていないのは自民党なんです。そのことを最後に申し上げて、答弁を終わります。

大村委員 質問に正確にお答えいただきたいと思います。

 時間がありませんので、次に行きます。

 ただ、一点申し上げますが、今、山井委員が言われたこと、マニフェストにはそこまで書いていないんですね。介護保険の財源を使ってこちらであれするんだということは書いていないんですね。ただエージフリー化ということが書いてあるということ、これから見て、私は民主党のメンバーではありませんし、国民の皆さんもそこまであれしない。ですから、マニフェストには介護保険のエージフリー化と書いてある、その点について、今回のものとはやはり違うんだなということは指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、精神障害者に対する福祉施策についてお伺いをいたしたいと思います。

 民主党の対案というのは、現行の法制度をそのまま残している、特に精神障害者の保健福祉をそのまま残している、こういうことでございます。今回、精神障害も含めた三障害を一元的に取り扱うということをしております。これは、障害者基本法の理念からも三障害を一緒に扱いましょうということでこれまで進めてきている、そういうものとはやはり違うということ。そして、多くの方々は三障害を一つにするということは評価をされている、民主党さんもたしか評価をされておられたというふうに思うんですが、今回はこれを先送りされているということ。この点についてのお考えもお伺いしたいと思います。

 もう一つ、時間もありませんのであわせてお伺いいたしますが、今回、民主党さんの法案の十二ページの第三条でございますけれども、精神障害者の支援費の支給については、「別に法律で定めるところにより、平成十八年四月一日からこれを実施する」というふうに書かれております。特別国会はもうあと少しで、十日ぐらいで終わるわけでありますけれども、この「別に法律で定めるところにより、」というのは、では来年の通常国会にお出しになるのか、お出しになって来年の四月に施行するのかということなんですね。

 では、それを前提にして、制度も中身もよくわからないのにどうやって予算を組むのか、予算を確保していくのか、そして市町村とか都道府県、実際にこういう業務に、事業に携わる方々についてどういうふうな説明をされるのか、準備期間もないわけでございます。そういう意味では、地方自治体そしてまた現場に混乱を招くということになると思います。要は、本当にこれが現実的なことかというのは、これを見ればだれもそう思えないと思いますけれども、その点もあわせてお聞きをいたしたいと思います。

山井議員 大村議員、本当に私たちが一番訴えたいところを質問していただきまして、ありがとうございます。

 最初に申し上げますが、三障害一元化、そしてあらゆる障害を包括した法制をつくっていく、これは多くの人が賛成していることであります。しかし、大村議員、はっきり申し上げますが、多くの圧倒的多数の精神障害者の方々は、政府案のこの拙速な三障害一元化に関しては大変危惧を持って、多くの方が反対をしております。そのことを申し上げます。

 つまり、どういうことかといいますと、精神も一元化するという理念、このことに関してはだれも反対しないと思うんですね。問題は、まず一元化すると言いながら、その一方で精神障害者の方々にとって一番重要な一つである医療の部分の精神通院公費、三十二条の部分を打ち切ることになっているわけでありますね。これに対しては二十三万人の方が反対署名もしております。

 同時に、精神障害者も一元化すると言いながら、ホームヘルプに関しても小規模作業所に関しても通所利用者に関しても一割負担を入れて、精神障害者の方がサービスを受けにくくしている。

 そして、三つ目。これももう御存じだと思います、拙速に政府がやっている障害程度区分で、一次判定では、何と三人に一人の今既にサービスを利用している精神障害者の方が自立と判定されて、サービスが受けられない。二次判定を入れても五%の人がサービスを受けられない。

 だから、圧倒的多数の精神障害者関係の方々は、理念は賛成だけれどもこんな拙速にむちゃにくっつけられたらたまらない、だからもっとじっくりやってくれと。今、大村議員は民主党案は先送りだとおっしゃいましたが、逆に圧倒的多数の方々はもっと時間をかけてやってくれと。一元化の理念は方向性は正しいけれども、やはり今までばらばらだったものをやっていくためには、この認定の問題も、介護保険の認定で精神障害者の方がすぐにはかれるはずがないわけでありますね。そういう意味では、一元化という理念は政府案はすばらしいと思いますが、しっかり時間をかけてやるべきであると思っております。

 それと、次の質問に移りますが、来年四月から精神障害者の部分を支援費に入れるのを別の法律でつくるというのは時間もないし現場が混乱するのではないか、これも本当にすばらしい質問をしていただいたと思います。

 まず、私たちは、特別国会、もう終わろうとは考えておりません。やはり十一月もしっかり審議をして、やろうと思っておりますから、早急にこの法律はつくろうと思っております。自治体が混乱する、現場が混乱する、まさに皆さんに言いたい。二年半前に導入した支援費をこんな急に根本的に変える。大村議員、自治体が混乱するとおっしゃいますが、私たちは既にある支援費に精神を入れるわけですから、自治体にとっては今ある制度ですからそれほど大変なことではないんです、根本的に変える政府案の方がよっぽど今自治体は混乱しております。

 以上です。

大村委員 質問したことにお答えいただきたいというふうに思うんですけれども。

 一つは、今申し上げましたが、要は、もし四月からやるんだったら今出していただけばいいじゃないですか、そこのところ。出さないのにそれは国会が何か延長してどうのこうの、そういうことを言われても、とにかく今ないものを前提にというのはちょっと無責任だ、私はこういうふうに言わざるを得ないと思います。これはまさに現場は混乱をするということにならざるを得ないということを申し上げたいというふうに思います。

 それから、時間がどんどんなくなっていきますので、次に参ります。

 それでは次に、これはちょっと法案の内容についてお聞きしたいと思いますけれども、知的障害者福祉法の二十五条二項の第一号、ここのところにグループホームの支援費についてのことが書かれております。これは法律でありますから予算補助になっているわけでありますが、これを今回改正されて、二十五条にまた引かれております。

 この点について、要は民主党さんの案では、すべていわゆる在宅サービスなど他のサービスは義務的負担にする、しかしグループホームを除くと書かれているんですね。ということは、これはそのまま裁量的経費に残る、予算補助に残るということに法律上はなるわけでございます。また、児童福祉法の第五十五条の二につきましても、この「児童デイサービスに係るものを除く。」というものをそのまま引っ張っておられるわけでございます。ということは、これも除くということで、義務経費にすべて移すということで言われておりますけれども、この部分は裁量経費にそのまま残るわけでございます。

 これについて、これからグループホームはやはり障害者の福祉施策の中で大変大事だ、これはふやしていくということでやっていこう、そういう意味で義務化をしていくというのが政府案ということであります。一方で民主党さんの方は、これはそのまま置いてきぼり、残っているということでありますけれども、この点について、これはいわゆる法案のミスということでよろしいのでございましょうか。ちょっとその点についてだけお考えをお聞かせいただきたい。

山井議員 大村議員にお答えいたします。

 正直言いまして、私たち、この対案を三週間でつくりました。その中で、日夜いろいろな議論をする中で、一日でも二日でも一週間でも時間があれば、もっと完璧な法案にできるという思いで作業をしてきましたが、正直言いまして、国会審議は待ってくれませんので、時間的な制約があったことも事実であります。

 御指摘の知的障害者のグループホームの部分や児童デイの部分に関しても、私たちは法文の作成の際に議論し、大変悩んだ部分でありました。そして、その部分をきっちりとこれから力を入れていきたいという思いは、大村議員と当然思いを共有しております。

 しかし、確かに時間的な制約、技術的な制約の中で、今回の法律の中で積み残している部分があることは私は率直に認めねばならないと思いますが、その部分については、私たちの法案は二段階で、次の段階では包括的障害福祉法制というものを整備しておりますし、その中ではしっかりやっていきますし、また、大村議員あるいは与党の方々がお望みであれば、私たちはきっちりそういう修正協議も行ってまいります。与党のように修正協議に応じないというようなことは、もちろんございません。

大村委員 要は、二段階といったって、皆さんが考えている包括法というのはまだ四年先なんですね。だからこれはそのままずっと残してしまうということなんでしょう。積み残しと言われましたけれども、平たく言って、目こぼしをした、法案のミスだということなんですね。その点は指摘をしておきたいというふうに思っております。

 もうどんどん時間が参りますので、次に進んでいきたいというふうに思います。

 さらに申し上げますと、負担能力についてでございます。

 利用者負担につきましては、民主党さんではその点についてはさわっておりません。したがって、扶養義務者の負担能力を残したままということなんですね。例えば、身体障害者福祉法の十七条の四、居宅生活支援費の額というのを見るところで、その二項の二号で「身体障害者又はその扶養義務者の負担能力に応じ、」ということを、それはほかの法律にもすべて、知的障害者福祉法、こういうものに全部そういう扶養義務者の負担能力というのが書かれておりますが、それはそのままになっておる。

 本人以外の負担能力を勘案するということは、障害者の自立の観点からやはり問題が多いということを民主党さん自身が主張されてこられたというふうに私は認識をいたしております。そういった意味で、我々は、さきの法案審議の際に、特に親兄弟のところの負担能力とは切り離しましょうということも決めさせていただいたということだと思います。そういう意味で、今までの、本人の負担能力で見るべきだということを主張されてきた、そのことと、今回この点について一切さわっておられないということについて、今までの民主党さんの主張とはこれもやはり矛盾をするというふうに私は思いますけれども、その点についていかがお考えか、お聞きをしたいと思います。

山井議員 一言、先ほどの大村議員の理解に誤解があったのではないかと思いますので、つけ加えさせていただきますと、私たちは、与党の方々が知的障害者の部分、児童デイの部分を修正すべきというふうに合意してくださるならば、早急に合意する用意はございますので、四年間先送りということではございません。加えさせていただきます。

園田(康)議員 ただいま大村議員からお話がございました積み残しという部分でございますけれども、利用者負担の負担能力の積み残しという点でいけば、実は政府案の中にも、もう御承知だと思いますけれども、精神保健福祉法の保護者制度のあり方、これは参議院の附帯決議の中でも入っておりましたけれども、これを検討するという形で、本来ならばこの精神保健福祉法の中にも、ただいま御指摘のとおり保護者制度のあり方というものがそのまま残っていて、政府案でもそのままいっているという形になっております。

 したがって、もう少し丁寧にお話をさせていただきますと、まず、大村議員が確認答弁でもお話になったかというふうに私も確認といいますか理解をしておりますけれども、親兄弟は今回の扶養者義務から外したという形でおっしゃっておられるわけでございますけれども、これはあくまでも選択制という形で、選択できることを政府が認めたという形になっております。

 すなわち、この場合の税制上と医療保険上の扶養を決定するのは障害当事者であるのかという疑問がまず残ってまいります。どちらが有利か、負担が減るかということに関して勘案するのは、やはりこれは最終的には、障害者本人が選ぶというよりも親兄弟がそのまま判断するという形になりはしないかという危惧を持っております。

 同時に、現行の支援費制度におきましては、これは、範囲は確かにおっしゃるとおりで、法文では扶養者義務という形でそのまま残っておりますが、ただしその範囲においては政省令で定めるという形になっておって、その中においては親兄弟はそこから外したという経緯があったわけであります。子供とそして配偶者、ここに限定をしていた支援費制度を、今回は残念ながらその親兄弟を除いた部分も加味して選択制をとっているということが、私はどうも後退をしているというふうに指摘せざるを得ないところでございます。

大村委員 この点について、負担能力を考える上において、扶養義務者の位置づけというのは政府案ではどうなっているのかということを政府にお聞きしたいと思います。

 それから、先ほどのグループホームについて、予算補助に残る、ほかは義務化するんだけれどもこれだけは積み残してしまう、こういうことで本当に予算が組めてしっかり実行できるのか、この点についても、二つあわせて簡潔にお答え願いたいと思います。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 従来の支援費制度における費用負担については、本人のみならず一定の扶養義務者にも負担義務は課されておりましたが、今回の障害者自立支援法案では、扶養義務者の負担は廃止をいたしており、障害者本人、障害児の場合は保護者のみを法律上の負担義務者としたところでございます。

 グループホーム、児童デイサービスについてのお話がございましたが、十五年度、十六年度、大変、グループホーム三三%、児童デイサービス四二%の伸びを示しております。この財源が確保できないということが、支援費制度が行き詰まっており、今回障害者自立支援法を提出して義務負担とさせていただいたところでございますが、これが義務負担から外れているということは、今支援費制度が抱えている問題点をそのまま、そのままでありましたらその問題をグループホームや児童デイサービスについては抱えるということになるのではないかと思っております。

大村委員 時間がだんだんやってまいりました。締めくくりに入りたいと思います。

 また、民主党さんの基本的な考え方という一枚紙がございますけれども、これを本当は質問したかったんですが、ちょっと時間がありませんので指摘をさせていただきますと、この中に、モラルハザードで過剰な利用にならないようにするという言葉もございます。そういう意味で、モラルハザードになるということをもう想定されておられるのかということも、これは指摘をせざるを得ないのかなというふうにも思います。

 それからまた、民主党さんの法案、先ほど山井委員からも冒頭御発言がありましたが、検討規定ですね。結局、二年議論をして検討をして四年後に必要な措置を講ずる。要は四年間先送りをするということなのかなというふうに思わざるを得ないというふうに思います。

 そういう意味で、先ほど山井委員が、三週間で何とかやり上げたので、とにかく出さないかぬので時間の制約があってと正直に言われておりましたけれども、そういう内容なんだなということを指摘せざるを得ないのかなというふうに思います。

 そういう意味で、改革とか対案とか、こういうふうに言われまして、私は出されたことは評価をしたいと思いますが、出される以上は、もう少し中身を詰められないと、法案としてなかなか審議の対象にならないのかなという気がいたします。そして、四月から施行なのにもかかわらず、その法律は別途定める、これでは現場が実際に動かない、こういうことを申し上げておきたいというふうに思います。

 そういう意味では、この政府案、我々政府・与党でつくってきた案といわゆる比較対照するというのはなかなか難しい法案だと言わざるを得ないというふうに私は申し上げたいと思います。

 最後に、私は、この法律を一日も早く成立させまして、やはり政省令、運用等いろいろなところを詰めて現場でもしっかりワークする、そういう内容にしていかなければいけないというふうに思います。

 それで、制度ももちろんなんですが、一番大事なのはやはり予算の確保だというふうに思います。そういう意味で、今年度一月の予定が四月になるわけですが、今年度の予算の確保、そして来年度の予算の確保、そうした点について、新しい制度をワークさせる意味での、裏打ちをさせる意味での予算の確保について、これからが予算の議論でありますから、大臣の決意を最後にお伺いをして私の質問を終わらせていただきたいというふうに思います。

尾辻国務大臣 障害保健福祉関係予算の推移を見ますと、平成十五年度が六千六百五十九億円、平成十六年度が六千九百四十二億円、平成十七年度が七千五百二十五億円と着実に伸びております。

 今後とも、サービスに必要な財源を確保しながら、制度をより安定的に運営することが極めて必要でございます。障害のある方に必要なサービスを安定的に供給する体制をつくること、これが一番肝心なことと考えておりまして、今後とも、制度運営に万全を期しますとともに、必要な予算の確保に努めてまいります。

大村委員 ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、松浪健太君。

松浪(健太)委員 自由民主党の松浪健太でございます。

 さきの選挙で国政の場に復帰をさせていただきました。約二年ぶりにこうして国政の場で質問をさせていただきますことに、まずもって私の地元大阪十区の有権者の皆様にも感謝を申し上げたいと思います。また、初当選が補欠選挙でございましたので、三年で三回の選挙を経験いたしました。今後は政局が安定をし、そして四年で四回目の選挙などが起こらぬよう、しばらくじっくりとこの場で国家国民のために働かせていただきたいと思います。

 さて、今回の障害者自立支援法案をめぐりましては、本当に、全国的にも、また私の地元におきましても、多くの反対運動が起こったのは事実であります。私も、選挙中に地元の反対集会に、自民党の議員は余りそういうところに出ることがないそうでありますけれども、寄せていただきまして、この法案に、私も当選をさせていただきましたら取り組むということをお約束してまいったわけであります。

 今回、こうして勉強させていただき、多くの障害者団体の皆様、そして地元の当事者の皆様とお話をさせていただきますと、本当に皆様、ぎりぎりの生活の中で不安を抱えていらっしゃる、そんな実態に触れてきたわけであります。やはり、政府といたしましては、支援費制度で明らかになった不備を率直に反省いただいて、そしてこうした皆様の不安をできるだけ払拭するように今後の方針を明らかにしていただきたいと思います。

 確かに、先般の参議院での審議を踏まえまして、附帯決議では十一項目からさらに十二項目を加えましてより細やかな配慮がなされていると思います。しかしながら、こうした細やかな配慮が、細やかであるだけになかなか当事者の皆様に伝わっていないのが現状であろうかと思います。今回のこの審議を通じまして、こうした皆さんの不安にできるだけお答えをいただく、そうした質問にしていきたいと思います。

 さて、今回の法案では、障害ごとに分かれている施策や制度の一元化、また予算の義務的経費化などの点につきましては与野党とも異論がない、障害者団体や現場の皆様にも私は理解をされていると思います。しかしながら、問題は負担についてであります。

 さきの参議院の審議では、尾辻大臣は、本当に障害者の皆様に、払えない、そんな負担できない負担を強いることであったらこの法案を出してはいけない、そのようにおっしゃっております。また、現場を何度もごらんになった体験に触れられまして、工賃をそのまま出してくださいとは言えない、こういう答弁もされておるわけであります。

 いま一度、尾辻大臣にお尋ねいたします。障害者の皆様に負担できる負担といったものの定義について御説明をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

尾辻国務大臣 このたび御審議をお願いいたしております障害者自立支援法案におきましては、障害福祉サービスを契約に基づきだれもが利用できるものとして、他の契約による制度と同様に、利用者に対し受けたサービス量に応じた負担と食費等の実費負担を求める仕組みにいたしたところでございます。また、障害福祉サービスにかかる費用が増大する中で、その費用を皆で支え合うという観点から、利用者負担を見直し、サービスの利用者にも応分の負担をしていただくとともに、在宅サービスに関する国の負担を義務的なものにしたところでございます。

 ただ、その利用者負担を求めるに当たって、今お述べいただきましたけれども、御負担いただけない負担になってはならないわけでございまして、そうならないように、月額負担上限額を設けるほか、各般のきめ細かな負担軽減措置を講じておるところでございます。先ほど来申し上げておりますけれども、非常にきめ細かくいたしまして、そうなりますとどうしても仕組みが複雑になります。その分また御理解いただきにくい、いただけないとは言いませんが、いただきにくいところが出てくる。一種、私どももジレンマは感じるわけでございます。

 したがって、今後、その御説明を、きょうも再三にわたってそのことを申し上げておりますけれども、させていただく、御理解をいただく努力をしなきゃいけないというふうに考えております。その努力はいたします。

 工賃のこともよくお話しになりますけれども、工賃等の収入が少なくて重度の障害がある方でも、障害基礎年金と工賃等の収入で対応できる仕組みになっておりまして、これがお尋ねの、御負担いただけるというのはどういうことかということに対するお答えにもなるわけでございますが、そうした仕組みになっておりまして、これが障害者の皆様に負担できる負担であると考えておるところでございます。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。厚生労働省の今後の、施策だけではなくて、本当に血の通った温かい姿勢、対応を御期待するものであります。

 さて次に、障害程度区分の問題であります。

 新制度は来年四月から施行されるにもかかわらず、法案成立後の政令、省令に多くの部分がゆだねられていると思います。また、このことが、なかなか、情報がないないと、地元の方でも当事者の方でも、皆さんそういったことをお訴えになるわけでありますけれども、その分、サービスをお受けになるそのサービスの量を決定する障害程度区分の大きな不安材料になっているわけですね。

 また、介護の規定とこの障害種別の問題、非常に反りが合わない部分があると申しますか、皆さんがおっしゃるのは、服が着られるといっても、服は着られるのだけれどもどんな服か選べないんだと。そして、物は食べられるけれども栄養バランスは考えられないんだと。そんな細やかなニーズがあるわけであります。

 ですから、こうした障害の特性を踏まえる必要があるわけでありますけれども、この障害程度区分の今後の検討とその見通しについて御説明をいただきたいと思います。

中村政府参考人 障害程度区分につきましては、モデル事業も実施し、十月五日にその中間的な取りまとめを御報告したところでございます。

 今委員からお話がありました要介護認定基準の七十九項目に加えまして、障害種別の特性を踏まえた基準とするよう、知的障害の方の行動面に関する項目や精神症状に関する項目等二十七項目を追加した百六項目を用いまして、六十の自治体で試行をさせていただいたところでございます。その結果は、身体障害者で約九七%の方、知的障害者で約九八%の方、精神障害者で約九五%の方が二次判定を入れまして要支援と判定されましたので、おおむね障害の特性を把握できる内容であると考えています。

 ただ、第一次判定では現在七十九項目しか使えておりませんので、このモデル事業の結果を踏まえまして、市町村が実施しやすいよう、一次判定、コンピューター判定で二十七項目を組み込んで、一次判定で今申し上げましたような高い判定率ができないかということを今検討しているところでございまして、関係団体の方々や有識者の方々の御意見も伺いながら、年内に障害程度区分を設定していきたいと考えております。

 新制度を実施させていただきました後でも、またデータの集積を図り、必要がございましたら見直すことも重要であると考えておりまして、継続的に、より精度の高い障害程度区分のあり方の開発を進めてまいりたいと考えております。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、大臣もこれまで、定率負担とはいえ限りなく応能負担に近い、低所得者に配慮した減免措置をとっているとおっしゃっているわけでありますけれども、確かにこれは複雑です。そして、私なんかも一番よく受ける疑問の中で、生活保護を受給した方が有利なんじゃないかというような、そうした悲痛な声も聞こえてくるわけであります。そこで、利用者負担を行ったために生活保護とならないようにするための対策について、もう一度御説明をいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 利用者負担につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、各般の軽減措置を講じさせていただいておりますが、この軽減措置を講じましても、今回の自立支援法の負担によりまして生活保護を受けることになってしまうような場合には、生活保護に該当しなくなるまで負担を軽減するという措置を講ずることとしております。

 したがいまして、今回の利用者負担の見直しによりまして、生活保護の方に回ってしまうということがないような配慮をさせていただいているところでございます。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、障害者の御家族の皆様がよくおっしゃることなんですけれども、私の望みはこの子より一日でも長生きすることなんですよと非常におっしゃるわけであります。そして、こうした障害者の方々が身寄りがなくなった場合、本当にこれは一番深刻な状況だと思うんですけれども、こうした親などの身寄りのなくなった障害者の皆様への支援について、新制度のもとではどのように充実をされるおつもりなのか、お聞きをしたいと思います。

尾辻国務大臣 今回の改革では、いわゆる親亡き後も含めまして障害者が地域で自立した生活を営むことができるよう、必要な支援の充実を図ることを目的といたしております。

 具体的に申し上げますと、まず、サービスの内容や質の充実を図るという観点からは、地域で暮らしたい、もっと働きたいといった障害者の個々のニーズに合ったサービスが受けられるよう、地域生活や就労の支援を行う事業を創設いたします。それとともに、重度障害者でも地域で住み続けることができるケアホームの制度化など、居住支援サービスを充実いたします。

 さらに、今、質について申し上げましたけれども、サービスの量の方を一層充実させる観点からは、空き教室、空き店舗等の地域の社会資源の活用を認めまして、NPOなど運営主体の規制緩和を進めますとともに、市町村等にサービスの種類ごとに必要なサービス量を定めた障害福祉計画の策定を義務づけることといたしております。

 今回の改革によりまして、サービスの質と量を両方から上げるということを今申し上げたわけでございます。こうしたサービスの充実を図ることによりまして、障害者の方々が、親御さんが亡くなられた後においても、地域で個々のニーズに応じた適正なサービスが利用できるようになるようにいたしたところでございます。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 ぜひとも、こうした御家族の皆さんも、私がいなくなってもこの子らは大丈夫なんだと思えるような施策を今後も展開していただきたいと思います。

 次に、今回、障害種別ごとに分立した三十三種類の既存施設・事業体系を六つの日中活動に再編するということであります。

 地域に目を落としますと、地域の施設は、御家族の皆さんがお金を寄附したりバザーをしたりして必死に支えられているわけであります。そして、現在、支援費制度を利用して施設に通っている方が、こうした事業体系の再編によってこの子らがここに通えなくなるんじゃないか、そういう不安も非常に耳にするわけであります。そのようなことが決して起こらないように対応すべきだと考えるわけでありますが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 現在、支援費によりまして通所サービスを提供しております施設については、平成十八年十月より、新しい体系における施設や事業に移行していただくということになりますけれども、その際には、現に利用されている方の実情や地域におけるサービス基盤の状況を勘案いたしまして、一つまたは複数の事業を選択して移行することを想定いたしておるところでございます。

 このような新事業への移行につきましては、円滑な移行が可能となりますように、二十四年三月までの約五年の間に行うことといたしておるところでございます。五年間の間によく考えて移行してくださいということをお願いいたすことといたしております。

 障害者の通所施設の場合、高齢者のデイサービスなどと異なりまして、通常は毎日通う施設として位置づけられておりますことから、来年十月の時点で現行制度により通所施設を利用している方については、その施設が新体系に移行した後においても、二十四年三月までの約五年の間は引き続きその施設に通い続けることができるような経過措置を設ける方向で検討いたしております。

松浪(健太)委員 ぜひともこうした柔軟な対応をお願いしたいと思います。

 さて次に、移動支援についてでありますけれども、今回、重度の障害者の皆さん以外は移動支援が介護給付とならずに地域生活支援事業に組み込まれております。地域支援事業は市町村の裁量で実施をされるわけでありますけれども、これまでどおりのサービスが維持できるよう国としても必要な予算確保に努めるべきであると考えますが、お答えをいただきたいと思います。

中村政府参考人 移動支援につきましては、今委員から御指摘いただいたとおりでございます。市町村が必ず実施しなければならない義務的な事業として地域生活支援事業に位置づけております。その実施に関する事項については、市町村の障害福祉計画に盛り込んでいただきたいと考えております。その費用につきましては、国、都道府県が補助することができる旨の規定を設けております。

 御指摘ありましたように、地域生活支援事業の予算の確保は移動支援事業のためにも大事でございますので、必要な財源の確保に向けて最大限努力してまいりたいと考えております。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 特に目の見えない方等は、こうしたものが社会参加への最も大事な活動になりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 また、今回、精神障害者の皆さん、これは精神障害が組み入れられることによりまして、団体の皆様もよくおっしゃるんですが、精神障害者はこれまで主に都道府県が施策を行ってきたわけでありますけれども、新制度では相談支援事業なども市町村の事業として位置づけられるわけであります。市町村が適切に対応できるように国としてどのような措置を講ずるのか。特に声がありますのは、専門職員の育成をしてくれなんていう声まであるわけでありますけれども、国としての措置についてお聞かせをいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 精神障害の相談につきましては、これまで都道府県が中心に行ってまいりましたけれども、新制度では、できるだけ身近な場所で三障害の相談支援を行っていただきますよう市町村に一元化することといたしております。

 したがいまして、委員から今御指摘ございましたように、市町村の方でいろいろやらなければならないということで困難な場合も想定されます。まずは、新制度では、都道府県が市町村に対して積極的に支援を行うことといたしております。精神保健福祉士など相談支援に当たる専門職員を市町村の相談支援事業者に配置したり、都道府県みずからアドバイザーを置いて、地域の体制づくりや困難ケースの対応について御指導、助言するために市町村の方へ出向いてもらうなどの、そういった措置を検討することといたしております。

 人材の育成も大事でございますので、そういった点につきましては、都道府県が中心になって進めていっていただきたいと考えております。

松浪(健太)委員 ぜひともしっかりと行っていただきたいと思います。

 また、今回の新制度の導入につきましては、やはり経済的基盤の非常に不確かな小規模作業所の皆さん、小規模作業所の運営が立ち行かなくなるのではないかということを現場の一番の不安として聞くわけでありますけれども、このことについてどのように見直そうとしているのか、いま一度御説明をお願いしたいと思います。

中村政府参考人 現在、小規模作業所、全国に六千カ所ございます。今度の法律改正で、障害福祉計画に基づきまして計画的に今度の法律の体系のサービス、新事業の方に移行していただくことができるような形になっております。

 一つは、就労を希望する方に対して必要な訓練などを行う就労移行支援事業に移っていただくということ、また、就労継続支援事業もございますので、そのことも考えられます。また、地域の特性や実情に応じまして、創作的な活動や仲間づくりのための交流の場として地域活動支援センターを設けることとしておりますので、そこの担い手となるというようなことも考えられます。場合によっては、重度の方に対していろいろなお世話を行う生活介護の事業所に、そこの小規模作業所の性格によっては移行するというようなことも考えられると思いますので、そういった意味では、小規模作業所につきましては活動の幅が広がるというふうに考えております。

 今年度予算におきましては、こういった小規模作業所に対する経営セミナーの開催など、そういった意味での充実強化を図るための事業も始めておりますので、そういったことも含めまして、これからの小規模作業所が、自立支援法に基づく事業所に移行できるように、御希望されるところは移行できるように配慮してまいりたいと考えております。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 こうした地域に密着をして地道に活動している方々が、本当に活動していてよかったなと未来に希望を持てる、そんな施策をこれからもどんどんと充実をさせていただきたいと思います。

 そして、今回、新制度導入に伴いまして、確かに大きな不安を皆様持っていらっしゃることも事実でありますけれども、我々が障害者の皆様の自立と尊厳をしっかりと守って、そして安心をしてこの新制度に移行できることを皆様にお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

北川委員長代理 次に、福岡資麿君。

福岡委員 自由民主党の福岡資麿と申します。

 このたび、佐賀一区より初当選を果たさせていただきました。地方議会等も経験しておりませんので、議会における初めての質問ということでございまして、ふなれな部分もあると思いますが、精いっぱいやらせていただきたいと思いますので、よろしくおつき合いをいただきたいと思います。

 まず、PRというようなことについてお伺いをいたします。

 今回、私、厚生労働委員を拝命したこともございまして、数々の御要望を承るわけでございます。たくさんのメールであったり、また御要望書、そういったものが毎日私の手元のところに届くわけでございますけれども、やはりその多くの声というのが、障害者の方々、その家族の方々が今回のこの制度に御不安に思っているといった内容というのがその多くを占めるわけでございます。私自身も極力すべてに目を通すように努めているわけでございますけれども、皆様方、本当に真剣に考えていらっしゃる一方で、その中身を見ますと、完全に、この法案の中身について多少は誤解をされているような部分があるということも感じられる部分が多々あるわけでございます。

 そういった部分におきまして、例えば利用者負担におきましても、数々の減免措置が講じられているといったようなことが御理解いただけていなかったりといったことが感じられるわけなんです。厚労省の方にお聞きしましても、ホームページ等でそういった情報は開示しているということはおっしゃっておりますけれども、やはりもっと積極的に、来られた方にお見せするというのではなくて、積極的な情報発信というか、皆様方に御理解をいただくような積極的なPRといったものが必要ではないかというふうに思っておりますが、その点におきます大臣の御見解をお聞きしたいというふうに思っております。

尾辻国務大臣 この法案では、福祉サービスの体系や支給決定の仕組み、利用者負担、公費負担医療制度など、大幅に見直すことといたしております。すなわち、極めて大幅な見直しになっておるということが一つございます。したがいまして、実施主体となる地方自治体のほか、利用者でありますとか事業者、医療機関等に対して、改革の指針も含めて内容を正しく理解していただくことが極めて重要だと認識をいたしております。

 特に、今お話しございましたけれども、利用者負担の見直しにつきましては、その趣旨や配慮措置の内容について、確かに私どもの説明も十分に御理解いただいてないと思っておりますので、今般、改革の全体像や利用者負担についてわかりやすい資料をつくりまして、全国障害保健福祉関係主管課長会議を開催いたしまして、障害者やその家族の皆さんはもとより、現場で日々障害者の皆さんに接しておられる市町村や事業者の職員の皆さんへまず知っていただく、その周知をお願いしたところでございます。

 今後、こうした取り組みをさらに進めまして、改革の全体像をわかりやすく説明したリーフレットを作成いたしまして、地方自治体や関係団体等を通じて障害者等や事業者に配付をいたします。それから、リーフレットの内容等を厚生労働省のホームページにも掲載をいたしまして、これはもう既にお話しいただきましたけれども、障害者の皆さんが自宅からも手軽に情報を得られるようにいたしたいと思っておりますし、厚生労働省の担当者は御依頼がありましたら全国各地に説明に上がらなきゃいかぬと思っておりまして、そうしたこともいたしたいと思っております。

 今幾つか申し上げましたけれども、こうしたことを重ねまして、障害者の皆さんに改革の内容を正しく理解していただけるように引き続き努力をしなきゃならない、これは極めて大事なことだというふうに考えております。

福岡委員 ぜひ、今おっしゃられたとおり、わかりやすい情報開示に努めていただければというふうに思います。

 次の質問にまいります。

 今回、衆議院解散によりまして一回廃案になりましたわけでございますけれども、数々の方の御意見を聞いておりますと、そういった拙速な結論を求めるのはいかぬ、十分に時間を尽くせという声がある一方で、やはり、安定したサービスの確保であったり財源の確保という観点からは早期の成立を求める声が多いというのもこれまた事実でございます。しかしながら、来年の四月一日からの施行ということになりますと、あと半年余りしかないわけでございまして、実施主体となる市町村からは、来年四月一日からスムーズにスタートが切れるかというような不安の声もあるというふうに聞いております。

 やはり、こういった制度はスタートが大事でありまして、そういった円滑なスタートに向けて、国としてどのように県及び市町村に働きかけていくのかということにつきまして、御質問をさせていただければと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、実施主体であります市町村また都道府県が円滑に事業を実施し、現場で大きな混乱を生じなくしていくことが大変大事だと思っております。

 ちょうど新年度からの施行になるわけでございますが、かなり多くの市町村が十八年三月に市町村合併するなど、現場はいろいろな課題を抱えておりますので、私ども、法律が成立いたしましたら、緊急に自治体の皆さんに必要な情報をできるだけお示しをしていくということ、これは大臣からお答えを申し上げました、そういう努力をしてまいりたいと思います。

 特に、私どもとしては、自治体の施行準備に向けた問い合わせ等に対応するヘルプデスクも設けて対応してまいりたいと思いますし、できるだけ多く、御説明の機会を得ましたらそういったところにも出向いて説明するというような努力をしたいと思いますし、何しろ市町村、都道府県の施行に間に合うように、きちんと私どもとして必要な作業もさせていただきたいと考えております。

福岡委員 次に、行動援護について質問をさせていただければというふうに思います。

 これは、ホームヘルプサービスの一環としてことしの四月からスタートした制度でございますけれども、実際、この制度自体はすばらしいのだけれども、なかなか利用の促進が図られていないのではないかというような声というのを多く聞くわけでございます。私の地元、佐賀におきましても、実際このサービスを利用されている方が県内一人もいらっしゃらないというような状況だというふうに承っておるわけでございます。

 また、そのサービスを提供する事業所数、これは愛知県の例でございますけれども、知的障害だったり児童の居宅介護事業所数が約千六十三あるのに対して、行動援護を実施する事業所数が十八カ所、一・七%しかないというような状況であるというふうに承っておりまして、そういった部分も含めて、今後どのようにこのサービスの充実を図られるおつもりなのかということについて質問をさせていただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 行動援護は、今委員から御指摘ございましたように、行動上著しい困難を有し常時介護が必要な知的障害の方々に対しまして、行動に際し生じ得る危険を回避するために必要な援護や外出時における移動中の介護等を適切に提供するためのサービスであります。

 これはなかなか非常に難しいサービスでございますので、豊富な経験と専門性を必要とするため、事業を行うに当たりましては、サービス提供責任者については、知的障害や知的障害児の方の福祉に関する事業に五年以上従事した経験を持った方で、直接サービスを提供するヘルパーさんについても二年以上の経験をお持ちいただくということを要件といたしております。今委員から、千カ所近く事業所がある中で十八カ所程度しか指定されていないというのは、こういう十分な技量を持つ事業所が少ないということなども原因しているのではないかと思います。

 私ども、自立支援法に基づきます事業について検討させていただいておりますが、なかなか難しいサービスでございますので質を落とすというわけにはいかないと思いますが、どういうふうに工夫したら全国で、佐賀県でお一人もいないというのもまたいかがな事態かと思いますので、これからよく考えさせていただきたいと思います。

福岡委員 その行動援護に関しましてもう一点。

 その判断基準というのが厳し過ぎるのじゃないかという御指摘もあるわけでございます。これがその判断基準の表でございますけれども、十項目にわたりまして、項目ごとに零点、一点、二点ということで、二点掛ける十項目ですから二十点ということの中で、十点以上の方がそのサービスを受けることができるというふうになっているわけでございますけれども、特定の症状が極めて強い方とかについても、やはりそれは二点ということでしかカウントされないわけですね。

 特に、てんかんの発作をお持ちの方とかは常に付き添いの方に見ていただかないといけないような状況の中なんですけれども、この表でいくとそれが二点としかカウントされずに、十点という部分にははるか及ばない。いろいろな症状が組み合わされなければこのサービスを適用されないというような現状があるというふうに承っております。

 ですから、その十点という基準、点数が高過ぎるんじゃないかということも含めて基準が非常に厳しくてこの利用が促進されないんじゃないかという疑問の声に対して、どのようにお考えなのかお聞かせください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 行動援護の対象者の選定基準として、今委員からお話ありましたように、十項目についてそれぞれ二点で、十点以上それに該当した方について対象者になる、こういうやり方をしているわけでございます。二十点満点中十点以上、こういった判定基準がよいかどうかということにつきまして、専門家の方々の御意見もよくお聞かせいただいて考えてまいりたいと思います。

 私のところにも専門家の方が来られまして、そういう一つの項目について非常に重度のケースもあるので、一律十点以上というのはやや画一的に過ぎるんではないかというようなお話もいただいたこともございますので、よく検討させていただきたいと存じます。

福岡委員 せっかくこのようなすばらしいサービスを始められたわけですから、そのサービスを必要とされる方に、きちんとそのサービスが行き届くようにしなければいけないというふうに私自身思っております。ですから、より適切にサービスが提供されるように見直しに取り組んでいくべきだと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

尾辻国務大臣 行動援護でございますけれども、本年四月より制度化されたものでございます。もう十分御案内のところだと思います。

 したがいまして、まず一つありますのは、利用が少ないというお話で申し上げますと、四月より制度化されたばかりでございますので、実施間もない事業でありますので、どうしてもその内容とか重要性について十分周知がされていないということもあろうかと思います。しかし、今局長がお答え申し上げておりますように、それからまたいろいろ御指摘いただきましたように、制度の問題点もあろうかというふうに思いますので、せっかくつくった制度が利用されないというのはまずいことでありますので、両面から私どももまた努力をいたしまして、こうしたサービスが御利用いただけるように取り組んでまいります。

福岡委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いさせていただきたいと思います。

 次に、小規模作業所について御質問させていただきます。

 全国に約六千カ所あると言われておりますこの小規模作業所でございますけれども、やはり、この自立支援法の施行の場合にその扱いがどうなるのかということで、各地方、大変心配をされているというのも事実でございます。この小規模作業所が新制度においてどのように整理されていくのか、また、今利用されている方が不安定な状況に置かれることが決してあってはいけないというふうに思うわけでございますけれども、そういった明確な道筋をぜひ定めるべきではないかという点で御質問をさせていただければと思います。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 小規模作業所は全国に約六千カ所ございまして、さまざまな地域での障害を持った方々に対しまして、例えば複数の障害の種類を受けとめておられるケースですとか、重度の障害者の地域生活を支えられているケースでございますとか、就労支援を本格的になさっているケースなどさまざまでございますし、例えば設備の保有状況や法人格の有無などもさまざまであるという、非常に多様な形態になっております。いわゆる法定されたというか、言葉があれですが、いわば無認可の事業というふうに今なっておりますので、そういった意味では、今も独自に御活動いただいている作業所がかなりあろうかと思います。

 今度の自立支援法で生活介護でございますとかさまざまなサービス、事業体系を五年間かけて新たにつくっていくということでございますので、無理してそちらに移行してほしいというふうに申し上げているわけではございませんが、そういう事業に移行されたいという方々につきましては、それぞれそういった事業についての基準などを制定させていただきますので、就労移行支援でございますとか就労継続支援、地域活動支援センター、場合によっては生活介護の事業所の方に移っていただくことができるように、これは今度法律改正いたします。

 これまでは、こういった事業につきましては例えば社会福祉法人でなければできない、こういうような規制がございましたけれども、今度の障害者自立支援法でその規制も緩和されますので、良質なサービスを提供していただく小規模作業所については、そちらの障害者自立支援法に規定する事業も選択して実施いただけるということで、活動の幅が広がるのではないかというふうに考えております。

福岡委員 ぜひ取り組みの方をよろしくお願いしたいと思います。

 次に移らせていただきます。

 今回のこの自立支援法におきましては、利用者負担の引き上げについてばかり話題が集中しているわけでございますけれども、そもそも、障害をお持ちの方々の就労の支援を進めることでその所得水準の引き上げを図っていくということが本来のあるべき姿であるというふうに思っているわけでございます。

 私の知り合いの障害をお持ちの方も、市町村、県の窓口等に行かれても、障害福祉課と労働課、働く上での労働課との連携が悪くて、なかなか思ったように就労の支援が進まないというような苦情といいますか、御不満の声というのも聞こえるわけでございますけれども、せっかく厚生労働省ということで、厚生省労働省一体となって取り組むべき事項でございますから、そういった点において今後どのような施策の展開であったり組み合わせについて考えておられるのかということについて、お考えを厚生労働大臣にお聞きしたいと思います。

尾辻国務大臣 今お話しいただきましたように、障害者の皆さんに地域で自立をしていただくためには、雇用施策と福祉施策との連携を一層強化することが必要であると考えております。そして、まさにこれもお話しいただきましたけれども、厚生省と労働省が一緒になった、このよさをこういうときに生かさなければいけないというふうに考えておるところでございます。

 そこで、具体的なことでありますけれども、まず、ハローワークが福祉施設等と連携をいたしまして、就職を希望する障害者の方がおられますと、お一人お一人に支援計画に基づいて一貫して就職支援を行う仕組みづくりを考えております。それからまた、福祉施設がノウハウを生かしてより効果的な職場適応援助を行うことを目的といたしましたジョブコーチ助成金制度、これも新しくつくろうというふうに考えております。それから、就業面、生活面からの一体的な相談、助言を実施いたします障害者就業・生活支援センター、これは既にありますけれども、さらに増設をするということ。

 幾つか申し上げましたけれども、こういうことなどを行いまして、障害のある方に対して雇用施策と福祉施策の両面から一貫した支援を行うことにいたしておるところでございます。今後とも、一層こうした連携が進むように努めてまいります。

福岡委員 就労支援につきまして、もう一点御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 就労支援を進めていくに当たりまして、実雇用率を上げていくということも大変重要であるというふうに思っております。今、法定雇用が一・八%に対しまして実雇用率が一・四六%ということでございますけれども、そういった雇用の促進を図るためにどのような施策をとろうとされているのか。

 また、特に私の田舎のようなところにつきましては五十六人以上の従業員を抱えるような会社が非常に少のうございますので、法定雇用とは外れる中でも、そういった小さい人数の事業所、なかなか経営状況が厳しくて難しいというのもあるんでしょうけれども、そういったところでもぜひ雇用の促進を図っていかなければいけないのではないかというふうに思っていますが、そういったところの企業側の意識改革ということも含めまして、これらについての今後の取り組みをお聞かせいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 雇用率の達成についてでございますけれども、企業における障害者の計画的な雇用に向けた取り組みを促進いたしますためにハローワークが指導を行っておるところでございますけれども、先般の通常国会におきまして障害者雇用促進法改正法案を御審議いただきましたが、その際にも指導を強化すべきという御指摘をいただいております。そうしたことを受けまして、七月に各労働局に指示をいたしまして、雇用率未達成企業に対する厳正な指導の徹底を今図っておるところでございます。

 また、今お話しいただきましたように、障害者の雇用を進めるに当たりましては、各企業において、障害者がその能力を十分に発揮できるような仕事や環境を用意するという姿勢を持っていただくことが、これがまた極めて重要なことであるというふうに考えております。それにはまず企業トップの理解が肝要でございまして、ハローワークや労働局においては、所長それから労働局長が先頭に立ちまして、企業トップに対する働きかけを今行っておるところでございます。さらに、障害者と一緒に働いています上司とか同僚の理解と協力も欠かせないものでございますので、障害者雇用に取り組む企業の好事例の普及でありますとか、企業に対するさまざまな形での研修機会の提供によりまして意識啓発を行っているところでございます。

 今後とも、企業トップへの働きかけを強めますとともに、さまざまな機会を通じての企業に対する意識啓発等によりまして、障害者雇用の一層の推進に努めてまいります。

福岡委員 ぜひ取り組みの方をお願いさせていただきます。

 私の考えでございますけれども、守らなかった企業にペナルティーを科すということも大切なのかもしれませんが、一方で、規定以上の雇用を図っているようなところをいかに社会的に認知して、そういった会社が社会に貢献して有益なことをしているかということで商取引上も有益な活動ができるようにする、やはりそういった前向きな取り組みというのもぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思っているわけでございます。

 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 さきの国会に続きまして、いま一度、自立支援法関係の審議をさせていただきたいと思います。

 さきの国会では尾辻大臣と一時間ぐらい議論をさせていただいたことを今思い出しておりますけれども、本日は、三十分の持ち時間でありますから、十五分ほど民主党の提案者に、そして残り十五分政府と議論したい、このように思っております。

 まず、山井先生初め園田先生、本当に御苦労さまです。限られた時間の中で対案をおつくりになった、まずは敬意を表したいと思います。

 私は、郵政の特別委員会でも対案に対して議論させていただきまして、何で前回出してくれなかったんですか、こう申し上げたわけでありまして、本当に前回出していただきたかったな、こう思っているわけであります。

 と申しますのは、対案の内容を見させていただきましたけれども、ますます民主党の障害者福祉に対する基本的なスタンスが私は見えなくなってまいりまして、とりわけ山井委員におかれては、いつだったでしょうか、どこかのシンポジウムで随分先生と一緒にパネリストとして出席をいたしまして、当時、私はまだ、自立支援法や障害の福祉と介護保険のリンクということについては大変慎重な姿勢を持っていた一人だったんですが、山井先生の弁舌を聞いて、説得をされて意識を変えた一人でありまして、そういう意味では、一体どうなっておるんだということを正直に聞きたいと思うんです。

 決して揚げ足をとるつもりでもありません。ここは国民の皆さんが見ていますから、対案をお出しになった基本的なスタンスを、小さい問題、先ほど大村委員との議論の中でいろいろ議論もありましたけれども、小さい、時間がなかったので十分でないというところは全部差っ引いて私は議論したいわけであります。

 思い出しますと、前回の国会で介護保険の改正の議論をいたしました。きょうは中村局長は後ろに座っておられますが、当時は介護保険のときに、山井さんや民主党と中村局長のやりとりを聞いていて、随分ひどいことを言うものだなと思って聞いていたんですね。特に介護予防、あの分野の話を徹底的にやられていましたね。恐らく反対だろうと私は理解しておりました。何で賛成になったのか、僕はいまだによくわからぬです、あのときの議論は。だけれども、賛成をされた、大人の対応をされたなということで、私を説得した山井さんの、なるほど、ここはやはりよくわかった対応だな、こう思ったんです。

 それで、支援費制度の議論になりまして、支援費制度も結構また激しいことをがんがんがんがんやって、自立支援法案に多分賛成されると僕は理解していました。きょうは時間がないから言いませんが、だって現行の支援費ではどうにもならぬということはお互いによくわかっているわけでありますから、だからここは賛成されるんだろうと思っておりましたら、反対をされた。何でそれに反対するのかというのは、僕はいまだに腑に落ちていないんですが。

 今回対案をお出しになると聞いて、なるほど、対案をお出しになるぐらいのお気持ちだったのか、こう思ったわけですが、出てきた対案を見て、裁量経費を負担金にしているのは結構ですけれども、その他は現行の制度をそのままやる、もちろん今から何年かかけて検討するというんですが、それはないだろうという正直な気持ちです。

 だって、現在の制度を残して、問題があるというのは十分皆さんも御理解されていると思いますから、そこを解決するための諸制度を、いろいろな仕組みを組み込んだ上でやっていくというんだったらわかるんだけれども、現行制度を続ける、負担金だけする。これでは、だって、山井さん、チャンスは今なんです、これだけおくれてきた障害の施策でありますから。介護保険はもう二巡目になっているわけですね、この前見直しまでして進んでいるわけでありますから。今始めないと手おくれになる。チャンスは前髪でという言葉がありますが、お気持ちはわかるけれども、この対案を見る限りチャンスを失ってしまう。私は、この激しい社会保障の制度の今の動きについていけないんじゃないかと。

 これはぜひ、多分そういう思いなんだろうというふうに僕は理解しているんですが、私の理解は違いますか。スタンスがよく見えないんです。御説明を簡単に、十五分ですから。

山井議員 桝屋議員の御質問にお答えをいたします。

 桝屋議員とは、障害者福祉をどうすればよくなるのか、介護保険はよくなるのかという議論を本当にずっと今までやってまいりまして、そういう桝屋議員から一番本当に重要な部分の御質問をいただいたことを、非常に限られた時間の中でこういうふうに民主党にも質問をしていただいて、感謝しております。

 それで、先ほどの大村議員の質問とも多少重なることがあると思いますが、お許しいただきたいと思っております。

 まず第一点は、私たちは永遠にこの対案で支援費を続けると言っていないことは、当然、あの対案を見たら御理解いただけると思います。二年間続けていって、そして包括的障害者福祉法制をつくっていくということであります。

 それで、まさに今問われているのは、介護保険の年齢拡大あるいはエージフリーと言うけれども、一体それは何なのかという議論の認識が、改めて申し上げますが、今の政府と民主党とでは違います。ですから、先ほど言ったような私たちの、介護保険のいいところの一部を障害者福祉に活用して障害者福祉をよくしていくという考えが、今回の対案のとおりなのであります。

 それで、先ほど桝屋議員が、今がチャンスだ、先送り、それはないだろうとおっしゃいましたが、そこの現状認識は私たち全く違っておりまして、多くの障害者の方々から聞くのは、支援費制度が入って、今まで施設にいたのが在宅で暮らせるようになった、あるいはグループホームで暮らせるようになった、よかったなと、はっきり言って大部分の方は喜んでおられるんですよ。これからグループホームをもっとふやしていこうというときに、一割負担導入か、応益負担導入か、それはないだろうというふうに私たちは認識をしているわけで、やはり支援費制度ができて二年半で急に変える方が当事者不在じゃないかなと私は思っております。

桝屋委員 そこは見解を異にする立場ですね。

 今、山井さんは、支援費が始まって喜んでおられるということをおっしゃったけれども、多少現場の声に引っ張られ過ぎていると思いますよ。確かに喜んでおられるところはあるけれども、実際に今の支援費ではどうにもならぬというさまざまな問題があるというのは、痛いほどあなたはおわかりになっているんじゃないですか。

 議論もしてきたし、何よりも私は、将来介護保険を利用する、あなたの言葉で言うと、介護保険を利用するという立場、僕も同じ立場ですよ、そう考えたときには、やはり、支給決定の手続であるとか認定の事務であるとか、あるいは、介護保険と違って障害者の世界というのは、さっきの議論にありましたように施設だけでもたくさんの施設がある、この体系の見直しをしなきゃならぬ。サービスの内容の見直しをしなきゃならぬ。何よりも、自立生活給付の中で、介護給付については体系をつくっていかなきゃならぬ。もう介護保険は動いているわけでありますから、私は、むしろチャンスを失うという立場だということを申し上げておきたい。いささか現場の声に引っ張られ過ぎているんじゃないか。

 それと、時間がありませんから、次のテーマに行きます。

 どうしても反論があれば、私は、本当に心配して申し上げているわけでありまして、もっと言いますと、では、これから二年やろうというのは、恐らく政府案の中でいいところは随分あるんだろうなと私は思っているんですが、それはそういう理解なんですか。できるだけ短く。

山井議員 わかりました。

 本当に、桝屋議員のおっしゃることに私も賛同する点はありますが、根本的な問題は、応益負担、一割負担を導入すると、やはり障害者の方々の自立生活、社会参加に大きくブレーキがかかっちゃうんです。だから、一元化の方向とか年齢拡大の方向性は、おっしゃったように、同じ思いのところはかなりあります。しかし、主人公は障害者の方々なんですから、障害者の方々が今のこの急な改革ではサービスを受けられなくなるという不安がこれだけ多いんですから、やはり慎重にやるべきだと考えております。

桝屋委員 そうすると、将来障害者施策が介護保険を利用するとして、一割負担の世界、介護保険は一割負担の世界ですよね、ここを変える、そこはだめだという発想ですね。そこはどうなんですか。

山井議員 まさにそこがポイントでありますが、一例を申し上げたいと思います。ドイツでは介護保険を全年齢でやっております。障害者を含んでおります。しかし、障害者福祉の部分は、自己負担ゼロでやっております。だから、介護保険とくっつくから一割負担がそのまま入ってくるという考えは私たち民主党は持っておりませんし……(桝屋委員「持っていないのね」と呼ぶ)持っておりません。所得保障ときっちりセットで考えてまいります。

桝屋委員 表と裏の議論、多分立場の違いだろうと思いますが、私どももこの自立支援法、障害者の皆さんが本当にお悩みになって迎えられているということは十分わかっていまして、だからこそ、何らかの手を打たなきゃならぬという思いで今日までやってきたわけでありますが、どうも制度に取り組む姿勢の違いではないかなと私は思っております。

 もう一つ聞きますと、今回、裁量的経費を負担金にするとされていますね。負担金にするというこの難しさ、簡単なことではないわけでありまして、それはお気持ちはわかるけれども、負担金にする以上、我々は単に財政当局を恐れているとかそういうことじゃないんですよ、本当に国民の皆さんに理解をしていただく……

 後ろで首を振るのはやめてくれないかな。だれだ、それ。真摯な議論をしているときに、何だ、その態度は。国会議員同士の議論をやっているんだ。どんな思いで僕らがやっていると思っているんだ。それ、下げてくださいよ。後ろに要りませんよ、サポートなんか。山井さん、要りませんて。あなたと私の議論じゃないか。(山井議員「はい。続けてください、続けてください」と呼ぶ)いや、不愉快なんですよ、後ろで。下げてくださいよ。(山井議員「いえいえ、ちょっと私もいろいろと資料を」と呼ぶ)何を言っているんだ。

 負担金にするということは我々だって大変に苦労があると思っています。障害者の皆さんもそうだし、やはりタックスペイヤー、税を負担されておられる皆さん方も、あるいは市民の皆さん方にも、とりわけ支援費を始めて大変に苦しんでいるわけでありますから。みんな見て悩まれているわけでありますから。

 したがって、私は、サービスの給付の手続であるとか、あるいは認定の事務とか、あるいは障害程度区分とか、まさに介護保険で始めたようなその手法というものを始めないと、それは自己負担の問題も含めてですよ、負担金にするということは容易なことではないというふうに思っているのであります。そのことを民主党の皆さんも理解されているんじゃないかな、私はこう思っているんですが、その点はどうでしょうか。

園田(康)議員 基本的な御認識を私もやはり皆さんと共有をさせていただきたいというふうに思っております。すなわち、今おっしゃっていただいた支援費制度そのものの評価というもので、いわゆる問題があったと。

 私たちは、当事者団体あるいは当事者の方あるいは家族、そういった方々の御意見をよくよく聞きながら、今日までこの施策といいますか取り組みをさせていただいたんです。その中で、やはり今までの措置制度、支援費制度が導入される前までのその措置制度であった時代の、いわゆる地域に縛られていた、あるいは施設に縛られていた、そういう形からどんどんどんどん外に出ることができる、社会参加もできるようになってくる、そしてその中で障害者基本法ができてきて、その中からみずからの権利意識が芽生えて、そして参加をするようになってきた。これが第一歩であったというふうに私は思っておりますし、それは、ここにいらっしゃる皆さんも一緒に制度を拡充していこうという方向になってきたのではないかと思っています。

 ただし、その段階において恐らく与党の皆さん方が一番御苦労されたのは、あるいは政府の皆さんも御苦労されたのは、その中での裁量的経費という部分に関して予算確保がなかなかままならなかった。そして、それがいわば足かせになってしまって、残念ながら、この支援費制度がスタートして二年たったときに、毎年毎年予算不足という形で、やはり私たちは、その点に問題があったのではないかということ、まずここの基本を押さえていただきたかったなというふうに思っているんです。

 そうしますと、確かにおっしゃるとおりで、私も、あるいは民主党としても、今回の政府案の中において、その支給決定の方法であるとか、あるいは障害程度認定の区分のあり方であるとか、そういった手法を考えるという部分に関しては評価をさせていただいておりますし、三障害一体としてやるというのは、これも当然のごとくやっていかなければいけないというふうに思っています。したがって、改革ということではなくて、これはいわば今までの、新しく支援費制度が導入されたときの制度の議論を思い出していただいて、それをしっかりと拡充していくという考えに基づいていただきたいわけであります。

 したがって、だからこそ、今回の障害程度認定区分であるとか支給決定のあり方の中において、確かにいわば介護保険の手法を取り入れるというのはいいのかもしれませんけれども、ただし、介護保険そのものを入れてくるというのは、これは少し私は違うと思っています。新しい制度をこの障害施策の中で取り入れて、取り入れてといいますかつくっていくわけですから、そうですよね、つくっていくということであるならば、それはしっかりとしたデータのもとの中で、あるいは障害当事者の皆さんが生活をしておられる実態に即してきちっとつくっておくべきである。

 そして、また後ほど、私も午後の議論の中で政府案のこの障害程度認定区分の中身をしっかりと明らかにさせていただきたいと思っておりますけれども、そういう形で拙速にやることがさまざまな混乱を生んでしまうということの危惧があるんだということで、私たちはまず、制度をきちっと拡充をしていく、改革ではなくて拡充をしていった上で、そして二年後の議論に基づいてしっかりとした総合福祉法を、きちっとした制度そしてシステムの中でつくっていこうというふうに申し上げているわけであります。

桝屋委員 介護保険が始まって、介護保険も走りながら考える、完全にでき上がったものではなくて、本当に現場で走りながらやってきている。それが、正直な話、私も苦しい思いで言っておりますが、我が国の福祉の現場だろうと思うんですね。

 そういう意味では、皆さん方は現場の声とおっしゃっているけれども、ぜひ理解していただきたいのは、我々も皆さん以上に、皆さんと同じように現場へ行って障害者の皆さんと懇談をしている、話をしてきて、あるいは市町村の現場へ行ってきて、相当な準備もできていて、これはもう今やらなきゃならぬ、もちろん問題がないということは言っていないですよ、多くの問題を抱えながらでも次の段階に行かなきゃいかぬ、改革のときが来ていると私は思っております。これは立場の違いだろうと思います。

 もう一点だけ。皆さん方のスタンスが僕はもう一つ見えなくなったのは、さっき大村議員も言われたけれども、マニフェストの中で、国と地方の関係で、生活保護以外は全部地方へ一括交付金として渡すんだと。その先でありまして、一括交付金と渡して、社会保障の分野は地方に任せようというふうに僕は理解しておりました。二十兆円のうち十八兆と書いてあったから、多分生保は一・九兆円ぐらいだから、この四千億ぐらいの支援費の部分はあのマニフェストをつくるときにはこの案のとおりになっていなかったんじゃないか。ここはむしろ、地方に渡すよりも、国の責任、生活保護と同じ世界に入れていくという発想ですよね。だから、そこは大きく変わったんじゃないかというふうに思いますが、どうですか。

山井議員 非常に重要な点を御指摘いただき、ありがとうございます。

 私たちのマニフェストでは、二十兆円のうち多くを一括交付金にするということは確かに書いてございますが、逆に、生活保護とか一部に関しては残していくということになっておりまして、それで、ここからが重要なんですが、御存じのように、今まさに厚生労働省もおっしゃっているように、障害者サービスの地域間格差というのはめちゃくちゃ大きいものがあります。これを早急にやはり底上げしていって、ある程度格差なくできていった時点において地方に任せないと、今から地方に任せたらだめだと思います。

 それと、もう一点だけつけ加えさせていただきますが、やはり認識の違いです。現場を回ったとおっしゃいましたが、先日も一万一千人の方が、今のこの自立支援法では自立できない、当事者抜きに当事者のことを決めないでということをおっしゃっていましたね。私もこの五カ月間で六十数カ所回りました。でも、圧倒的多数は、やはり今回の自立支援法では、申しわけないけれども、自己負担と応益負担で社会参加、自立生活にブレーキがかかるという声が多いんです。だから、私たちはやはり、この法案、今が非常にピンチだというふうに思っております。

 以上です。

桝屋委員 ピンチだからこそ、私どもは改革をという立場だと。政治は少し先を見て、痛みがあるかもしれないけれども、その痛みをどう克服するかという知恵を出しながら私は取り組んでいくと。残念ながら、皆さん方の対案は、この対案は山井さんの本音とは違うんじゃないかと僕は思っておりますが、我々と見解を異にするなというふうに言わざるを得ない、こういう思いがいたします。

 残された時間、ちょっと政府案に対して議論したいと思います。

 今の民主党の議論と続く話でありますが、今回負担金になるということで、今までは裁量的経費であったがゆえに現場の裁量というものがかなり自由にできた、これが負担金になりますから、大臣、この前も申し上げたかもしれませんが、昔、無認可の施設を例えば身体障害者福祉法や知的障害者福祉法の法の施設にすると、途端に運営がぐちゃぐちゃになって、四角四面になって、非常に現場はまさに利用者のニーズにこたえられないという経験を私はしたことがありまして、その実態を見てきたことがありますが、今回の改正がそうなってはならぬなと。とりわけ制度の移行期において、柔軟な対応というものを私は求めておきたいというふうに思います。

 そういう意味で、これは事務方に伺いますが、一つは、まず自立支援で重度の障害者の方々がどんな支給になるかということであります。障害程度区分ごとにこれからは単価も設定される、そして国庫負担金の基準が設定されるというふうに思っておりますが、重度障害者の実態から見ますと、それぞれ市町村において支援費においてはさまざまな工夫をしているわけでありまして、ここは、負担金になるからといって四角四面におやりになるのかどうか。流用とまでは僕は言いませんけれども、柔軟な対応が現場で求められるんじゃないかと思っておりますが、そこはそういう対応、運用が可能かどうかお尋ねしたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 負担金になった後の配分方法の問題だと思います。委員からお話ございましたように、新制度では、支援の必要度に合わせまして総合的に障害程度区分を導入いたしますので、基本的には障害程度区分ごとに国庫負担の基準を設定する、こういうことが基本になろうかと思いますが、今議論にもありましたように、全国的には大変大きな地域格差がございます。新制度に移行する場合に、当然、今そのサービスを受けておられる方々の現状に大きな変化が生ずるということはまさに一番大変なことでございますので、今委員からお話がございましたように、制度移行時の対応をどうするかについては、新たに定める国庫負担基準の水準、これは新しい基準を今定めようと思っておりますが、そういったことも踏まえながら、激変緩和については当然検討させていただきたいと思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。十分な検討をお願いしておきたいと思います。

 それからもう一点、今回の自立支援法の世界で行われる給付について、利用施設について、今までは、私も長い間現場におりましたけれども、月額単価で支弁されていた措置費の時代が長く続いてまいりましたけれども、今度は日割りになる、基本的に日割りだろうと。それはある意味ではいいことでありまして、日割りにすれば、恐らく定員以上の処遇も、お世話することも可能だろう、そこはそれで私はいいことだなと思っているんです。

 しかし、今、自立支援法の案を見て地方が心配していますのは、定員がオーバーしたときよりも、むしろ私の地元では定員が確保できない、障害者の皆さんでありますから、体の状態を悪くして入院をされたり、さまざまな状況がある、定員に満たないことがある、そうすると十分な運営費が確保されないということがあるのではないかという心配もしているのでありますが、この点は移行期においてどうでありましょうか。

中村政府参考人 二つ申し上げたいと思います。

 基本的には、日払い方式に改めるのを基本に置いておりますが、今委員からもお話ございましたように、障害者施設、それぞれの施設の利用者の方の特性に応じまして、キャンセルの問題ですとか入院や外泊の問題など、さまざま定員と実員の乖離が生ずるようなことがございますので、そういったことについて一定の配慮を行うことは、これは当然だろうということが第一点でございます。

 第二点は、それぞれの制度の施設がございますが、いわば措置制度に使っている期間が長い施設ほど月額払いが定着しておりますので、そういった施設については現にかなり定員を下回っておられながら運営されているところもありますので、一挙に日払い方式を適用されると本当に経営が破綻してしまうというおそれもあろうかと思います。激変措置を講じ、そういったことがないように軟着陸をよく考えていきたい。

 その二点でございます。

桝屋委員 それからもう一つ、現場でよく聞く声、山井さんに負けないぐらい私も現場を回ってきているつもりなんですが、現場に行きますとこういう誤解があります。

 自立支援法の第七条にこういう規定があります。これは、介護保険それから健康保険法等の他法の制度をまず優先して使いましょうねという規定、それとあわせて、国または地方公共団体の負担、特に地方公共団体の負担において自立支援給付に相当するものが行われたときはその限度において給付を行わないという条文であります。

 これは今までの制度の中にもあった規定でありますから私は安心をしておりましたけれども、現場に行ったらどういう話になっているかといいますと、この規定によって、例えば一つの、デイサービスにしても何にしてもサービスを実施する、それを地方自治体が上乗せをして実施するという場合、往々にしてあるわけであります、横出しじゃないですね、上乗せの部分、同じサービス、国のサービスと相当なサービスで上乗せをするという場合に、その上乗せの部分については、今度は自立支援法の世界では、この条文に基づいて何らかの調整がされるんじゃないか、地方自治体が単独で出している部分については、その分国庫負担金は削られるんじゃないかというような、誤解といいましょうか、そんな声があるのであります。私はそういうことがあってはならぬと思っておりますが、この点も確認をさせていただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 第七条の性格については委員からお話があったとおりでございまして、自立支援給付のいわゆる上乗せ、横出しとして地方自治体の単独事業として行うものについて、自立支援給付の給付の対象とは別のサービス部分に対して給付されるものでありますので、この規定の対象とはなりません。つまり、調整するというようなことは考えておりません。

桝屋委員 もっともっと伺いたいところがあるのでありますが、最初に民主党の皆さんと激しい議論になりまして、大変声を荒げて反省しておりますが、ただ、せっかく議員が、民主党の皆さん方が対案をお出しになった、懸命に私も議論したい、こう思った次第でありまして、御容赦をいただきたいと思います。

 きょう、本会議であるいは趣旨説明で元気いっぱいに提案をされたあの何とかさん、第二の山井さんのような方が来られて、厚生労働委員会も元気で明るくなるなと喜んでおりますが、本当は彼ともう一回議論をしてみたいな、こう思いながらも、最後に大臣に、今のような支援費の移行期におけるさまざまな取り扱い、さっき山井さんは御答弁の中で、まだまだ地域によって差がある、こうおっしゃった、僕もその認識は同じであります。したがって、そこは賛成なんでありますが、差があるということは相当進んでいる地域がある、相当進んでいる地域がやはり今回の自立支援法の新しい体系に入るときにはさまざまな苦労があるだろう、移行期における十分なる配慮を最後に大臣に求めたい、回答を求めたいというふうに思います。

尾辻国務大臣 まさに地域差がある、これを何とかしなきゃいけないという思いが今回の障害者自立支援法案をお願いしておる大きな理由でもあります。

 そこで、今度の自立支援法案にいろいろと御理解を十分いただいていないところがあるわけでありますが、その一つとして、今お尋ねいただきましたから申し上げますと、私どもは全体のレベルを上げようと思っているわけでありまして、予算の額を、総枠を同じようにして今の話をしますと、上と下があるわけですから、総枠が一定しているということになると、上が下がって下が上がって、こういうことになるわけでありますけれども、総枠をふやしながらこの制度を全体にかさ上げをしようというふうに思っておりますので、決して平均値に、上が下がって下が上がって落ちつくというようなことを考えているわけでもないし、今後の予算もそういうことで考えているわけではないということを申し上げて、上の方の水準は維持しながら下を上げてまいりますということを改めて申し上げておきたいと存じます。

桝屋委員 終わりますが、最後にどうしても山井さんともう一言。

 チャンスだと僕はさっき申し上げた。大臣も今言われたけれども、予算の確保、僕ら与党も全力を挙げます。ただ、ここ二、三年のうちに、恐らく、障害者の福祉施策の予算をどうするか、端的に言いますと消費税議論も始まると思うんです。私は、それを見越すと今から制度を開始しなきゃだめだ、こう思っているんですが、山井さんの御意見を伺って終わりたいと思います。

山井議員 本当に質問ありがとうございます。

 思いは共有をいたしますが、やはり応益負担、一割負担というのは世界にも例を見ない制度でありまして、障害者の社会サービス利用にブレーキをかけるわけなんですね。だから、これは正直言って私はやはり禁じ手だと思っております。

 以上です。

桝屋委員 大臣が御答弁になったように、限りない応能負担に近いところにまで今来ているわけでありまして、次の大きなる議論をしなきゃならぬときが来ているのじゃないか、チャンスを失ってはならぬということを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日のこの障害者自立支援法案は、ここにお集まりの委員の皆様はよく御存じのように、さきの国会で廃案の経過をとり、再び本日、衆議院での審議が始まっております。

 今週は半ばに冷たい雨が降りまして、その後少しお天気が回復したとき、私は国会の第一議員会館、第二議員会館の前を通過いたしましたときに、植え込みにお布団が干してございました。国会で見るお布団というのはとても奇異に映りましたが、その期間ずっと、障害のある方が国会周辺で寝泊まりしてこの審議を見守っておられるというほどに、先ほど桝屋さんと山井さんの伯仲した論議がございましたが、やはり最もこの問題に、もう本当に一つ一つに心を砕き、耳をそばだて、見守っているのは障害のある方だと思います。そしてまた、この利用対象となる方、あるいは御家族だと思います。そうした方たちにしっかりこたえられる国会審議を行っていくために、本日は、この委員会、衆議院では初めての、冒頭でございますので、骨格的な論議を大臣と行わせていただこうと思います。

 障害者問題は、先ほど申しましたように、外に詰めかける障害者の方、こういうのを国会周辺で見るというのはこれまでになかったことでしょうし、逆に言えば、国の政策の中で正面立ってがっぷり四つで取り上げられることが本当に少なかった分野だと私は思います。そういう分野をきちんと法案化し、また審議しようという厚生労働省並びに提出になった政府の御努力には敬意を表しますが、だがしかし、私は、この問題はボタンのかけ違いが大きく生じて、その成り行きのままに進んだら不幸になると思います。

 どういうことかと申しますと、これは厚生労働省の方が最も御存じでありましょうが、いわゆる介護保険との統合ということを念頭に改革のグランドデザインというものがつくられ、それが、障害者と御高齢者の統合がある時点で見送られるようになりました。それは恐らく去年の十二月ごろでしょうか。しかしながら、財政的にあるいは現実的にどうにかしなくちゃいけない、桝屋さんがおっしゃったとおりです。そこで、どんな方策があるんだろうということでこの支援法案が出てきたわけですが、しかしながら、大臣も御存じのように、高齢者施策と障害者施策においては、やはり国の取り組みにおいて、予算においても、また審議においても、そして現実のサービスの提供のあり方においても大きく開きがあると私は思います。

 その開きをつくったもの、これはよしあしではございませんが、例えば御高齢者の施策の場合は、平成元年に御高齢者のゴールドプランというものがつくられて、平成十二年に介護保険法というのが成立いたしました。事の順序は、ゴールドプランにおいて、一体どのくらいの御高齢者が現実にお暮らしで、どのくらいのサービス基盤が、国として把握し、提供され、それを支援するかということが十年先立って行われました。私は、この助走期間がなければ、介護保険、確かにいろいろ問題はあるがスタートできたわけです、そして今またその改正が論じられていますが、このきっちりしたプロセスというものは見逃しにできないと思うわけです。

 今回、中村前老健局長がこの担当になられましたので、そのことは私以上によく御存じだと思いますが。大臣、今障害のある皆さんがすごく不安でお布団を持って寝泊まりされる大きな理由の一つに、自己負担増という問題がございます。もう払えないじゃないかと。

 それ以上にかもしれません、サービスが提供される基盤が脆弱で、もともとみんな、例えば障害のある子のお母さんたちが一生懸命お金をかき集めて、家を借りていろいろなサービスを提供してきた。御高齢者の分野に比べればはるかに足腰が弱く、サービス提供基盤ということにおいて整備もされないばかりか、厚生労働省としての実態把握が進んでおらない状態で次のステップを踏み出せば、この社会が何によって動いているか、経済によって動いているわけですから、非常に脆弱な基盤でそれを市場にゆだねたとて、今でもそうです、多くの困難な部分のヘルプはNPOがやっておられます、手弁当です。

 そういうことでやっている中で、実は厚生労働省も、去年の八月、与党に対してのいろいろな予算の要求説明のときに、たしか時限で、期間を区切って、サービス基盤の整備に、それは何もでっかい箱物だけを言いません、サービス基盤の整備に予算を要求しようというお考えがあったのではないか。私はその点を大臣にお伺いしたいです。

 ここがもっと、今やるべきは何かと言われたら、私はそれだと思います。さっき桝屋さんと山井さんの本当にハードなバトルを聞いていました。意味があると思います、あの論争にも。そして、それ以前に、今緊急に、それは先ほど申しました御高齢者の政策におけるゴールドプランから介護保険にと、このステップをやはり障害者でも、今、障害福祉計画は確かにつくるように言いました、でも、それをサポートする財政支援もなければ物は進まないのです。参議院の参考人の与党側の方もおっしゃっていたと思います。

 大臣、長くなって済みません、昨年の八月段階の厚生労働省のお考えはいかであったか、それに対して与党はどうお答えになったのか、そして、なぜすこんと抜けてしまったのか、この点についてお願いします。

尾辻国務大臣 今、先生がお述べになりましたこと、私なりに理解してお答え申し上げたいと存じます。

 昨年の夏のお話、そして概算要求時点でのお話をいただきましたので、恐らく、この基盤整備についてどう考えるのか、まず基盤整備が大事だろう、基盤整備をちゃんとやるということを言ったじゃないかと、それに対してどういうふうに考えるんだというお話だと思います。そう理解してお答えいたします。

 まず事実から申しますと、昨年夏の段階で、自民党を中心に障害者福祉の基盤整備に関する特別立法の動きがありましたことは事実でございます。ただ、概算要求の資料とは、明記したりとか、関係なかったと、私は当時部会長でございましたので、記憶いたしております。特別立法の動きがあったということだけは事実であるということをまず申し上げたいと思います。

 それからまた、当然これは、今先生それをお述べになったわけでございますけれども、私どもも基盤整備を進めていく必要があるということは、十分そのとおりに認識いたしておりまして、昨年の骨太の方針でどう書いているかということを改めて申し上げますと、「障害者の雇用・就業、自立を支援するため、在宅就労や地域における就労の支援、精神障害者の雇用促進、地域生活支援のためのハード・ソフトを含めた基盤整備等の施策について法的整備を含め充実強化を図る。」と申しておりますから、これが政府全体の考え方でございます。

 私どもはこの考え方で進めていくべきと考えておりまして、そのためにもこの障害者自立支援法というのをお出ししたと。あるいは先生そこはちょっと飛び過ぎだとおっしゃるかもしれませんけれども、その考え方に基づいて自立支援法を出したというふうにお答え申し上げたいと存じます。

阿部(知)委員 いつも尾辻大臣は御丁寧な答弁でありますが、いわば自立支援法は介護保険法に当たる、一緒ではないです、介護保険法に当たる部分です。どのようなお金を用いて、どのような給付を行うか。

 大臣もおっしゃったように、当初、骨太方針やあるいは特別立法でやろうかと思ったところのものは、ハードやソフトの基盤整備でございます。この両輪がないと車は回らないのではないかという御指摘を私はいたしております。もしも今大臣のお気持ちの中に、ああそうだ、骨太のときもそうだった、与党も確かにそう思っていたというのであれば、何せ、本当に障害問題をめぐっては基盤は脆弱そのものであります、とてもとても御高齢者の比ではございません。これを、大臣が今おっしゃったようなハード、ソフトの基盤整備を。

 その前に、まず厚労省は現状を把握してください。私は、きのうも、本当に部局の方には恐縮だったけれども、遅い時間まで現状把握についていろいろとデータもお出しいただきました。しかし、本当を言えば、そもそも、こういう審議の中にきっちり出していただいて、ああ、このくらいは基盤整備されているんだと、ここはまだまだだと。そうなると、お金の枠だけつくっても、結局そのお金の枠が十分でなくなるということは、もうこれは本当に支援費で経験したことですからあり得るんです。そこを今一番障害の方は心配されるわけです。

 みんな苦労してつくってきたんです。これでもまだ足りない、もっと必要だろう、でも、それをサポートしてくれるものがなければサービスも受けられません。この両輪だということを御理解いただいて、ぜひ、特別立法という言葉がよろしくなければ、ハード、ソフトの基盤整備に、でもやはり立法が欲しいです、予算も欲しいです、そういう向きに検討していただけまいか。大臣、いかがでしょう。

尾辻国務大臣 これは何の施策でもそうでありますけれども、特に障害者福祉施策におきましても、これはハードとソフトの両面でやらなきゃならないのはそのとおりでございます。私もそう思っております。したがって、ハード、ソフトの両面から施策を進めていきたい、そのための努力、全力を挙げてやりますということを改めて申し上げたいと存じます。

阿部(知)委員 大臣ではなくて担当の方の方で結構ですが、ちなみに、精神障害関連のさまざまな、在宅でお暮らしになる場合に、例えば作業所とかあるいはグループホームとかそういうものの整備状況は、日本全国を見渡した場合にどのようになっておるかというデータはお持ちでありましょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者福祉サービスの利用の実態把握調査、十六年十月分の調査をさせていただきました。

 その結果によりますと、例えば精神障害の方のホームヘルプサービスでございますと、千二百三十四市町村で実施されているということで、四九・三%の市町村で実施されております。人口カバー、そこの市町村の全人口に対する割合は七九・七%である、そんなような状況でございます。

 通所施設関係の利用状況についての数字は上がっておりません。わずかに、精神障害者の方のショートステイは百五十八市町村、六・三%で実施されている。

 グループホームは六百七十八カ所、二七・一%の市町村で実施されているということです。

 障害者の方全体の居宅サービスについて言えば、身体障害、知的障害、精神障害、二十六万四千二百人使っておられる中で、私どもの調査では、精神障害者の在宅は一万四千五百人ということで、障害種別割合にしますと五・五%ということでございます。身体障害者、知的障害者、精神障害者のいわゆるトータルで六百万の数がおられるという中で見ますと、精神障害者の方の居宅サービスの利用状況は極めて少ない。これは、現行の支援費制度でも精神障害者の方がカバーされていないというようなことが大きな原因ではないかと認識いたしております。

阿部(知)委員 今の局長の御答弁は、やはりそういう答弁になるんですね。私はインフラ整備はどこまで進んだんですかと聞いたんですね、そうすると利用から他に比べて少ないよという御答弁でした。

 これは、なぜ少ないかというのを分析する際に、例えば、三千百二十六自治体、これは平成十六年四月一日現在でございますが、この自治体で、生活訓練施設、福祉ホーム、精神入所授産、精神通所授産、精神小規模通所、精神福祉工場、支援センター、このどれか一つでもある自治体を一と数えてです、今言った七つ全部じゃないんです、一つの市町村に一個でもある自治体を数えて、三千百二十六中五百七。本当に少ないのです。一六・二%。

 本当はどのメニューも必要なんです。今申しました、繰り返しまして恐縮ですが、生活訓練施設、福祉ホーム、精神入所授産、精神通所授産、精神小規模通所、精神福祉工場、支援センター、こうしたものが本当に全部一つの市町村にあってこそ選べるメニューです。そこからその人に見合った支援なりが、その人にしてみれば受けるということができます。

 これは精神の一つのデータですが、先ほどの中村局長のおっしゃった、人口当たりでこれくらい身体や知的であるだろうということも、実は人間は都市ばかりに集中して住んでおりません。田舎、過疎、面積に対してもきちんとどのくらいの提供があるかも必要です。そうでなければ地方で障害者は生きられなくなっていきます。本当に日本全国を見て、まず基盤整備、ゴールドプランとはそういうものだったと思います。全国を見て、基盤整備の必要性をきっちりと把握するまでは、そしてそれを提供するまでは国の責任です。ここをあやふやにして、地方に計画だけつくっていただいても、先ほど申しました両輪のお金もない、サービスも非常に手薄である、その中で支援が行われようもないという形になります。

 大臣、きょうの私のお願いは、ぜひ厚生労働省としてこういういろいろな福祉提供施設関連のマップをきっちりつくっていただきたい。どこで、どのくらいの人口と面に対して、どのくらいのものがサービスされているのか、それを把握した上で次のステップが出てくると私は思いますが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 阿部委員から、先ほど来ゴールドプラン、介護保険というお話が出ましたけれども、ある意味では、ゴールドプランは施設整備の計画とその施設に対して運営費を出す、ランニングコストをどう確保するか、その両輪から成り立ってきたんだと思います。そういったものの中で介護保険もできた。

 障害行政について見ますと、障害行政についても施設整備についての補助はございますし、支援費制度、今度は障害者自立支援法ということで、かかる経費についてお出ししていくという制度をつくろうとしているということで、その点では車の両輪を今持とうとしている。

 確かに、在宅サービスの利用者数は高齢者の十分の一、施設サービスの利用者数は八分の一、金額では一二%程度でございますが、私ども、今委員から御指摘ありました全国の整備状況、こういったものについてきちっとつくっていくことは大事ですが、大事なのは、やはりそういうニーズに対してサービスを行う、そういうサービスに対してきちんと財政基盤を確保する。

 そういったことが、鶏が先か卵が先かということがありますが、施設をつくっても、ランニングコストが出ないとできない。支援費の場合は、かなり支援費制度でサービスは拡大しましたけれども、財政負担が追いついていませんし、裁量的経費であるというネックもあったということで、今度の自立支援法は、そういった意味で、基盤整備の基本になります所要経費について国として二分の一負担していこうという制度でありますので、まさに先生がおっしゃっている、高齢者でいう一九九〇年から始まったゴールドプランのような意味での基盤整備が、こういう財政基盤の確保ができたということで、これから確実に進むのではないか、こういうふうに私どもは考えている次第でございます。

阿部(知)委員 今回の自立支援法のよい点でもあり、また欠けたる点でもあると思いますが、対個人に対して支援をする形をとったわけです。それがさっき桝屋さんのおっしゃった、日数計算で利用者でお払いすると。しかし、施設が運営できなきゃやれない。だから、中村さんは過渡的に施設への補助も行いますよとおっしゃったわけです。

 あくまでも、本当にハードとソフトは両輪です。そして、このハードがいかに少ないか。大事だと思いますとおっしゃったので、きっちり把握して厚労省としておつくりください。これは本当に大事なことですから。しかし、そちらはつくってみれば一目瞭然です、ああ、こんなに少ないかと。それは御高齢者の施設とは破格に、数が違うだけじゃなくて、破格に違います。そういう図をじっと見て、これを本当に育成していくためにどんな枠組みが必要か。それが、私は障害者自立支援法の骨格になると思います。

 山井さんにも、これは予告なしですが、民主党としてこういうサービス基盤状況ということはどうお考えであるか。私は、これまでお聞きした中では非常にすぐれた法案と思っております。例えば、医療は医療として現在の三十二条を残していく、あるいは応能負担、これも次にやらせていただきたいですが、応能負担、そして、本当に障害者が自分が望むことを決めていくという理念にのっとった施策。そして、もう一つ、やはりサービス提供状況ということを、それは山井さんも長年福祉の現場におられたから御存じでしょうが、それを持ち上げるために本当に何をすればいいとお考えで法案は提案されているのか。恐縮です、予告なしにごめんなさい。

山井議員 阿部議員、御質問ありがとうございます。お答えいたします。

 一つには、私たちの法案の中にも、地域福祉計画を市町村が策定するということを義務づけております。しかし、それと同時に、やはり現状認識の問題だと思いますが、支援費制度が導入されて、阿部議員御存じのように、この二年半の間、本当に多くの障害者の方々がサービスを利用して、施設から出て地域に出てこようとされていると思います。根本的な民主党案の考え方は、まさに今これだけ多くの障害者の方々がサービスを利用されたいというときに、それをもっとエンジンをかけていく、アクセルを踏んでいく、そういう考え方でありまして、それと同時に、先ほど言ったような市町村の福祉計画というのもつくっております。

 ところが、ここがまさに政府案との最大の違いなんですけれども、政府案はいろいろなことをおっしゃっていますが、ブレーキを踏んでいるわけですね。自立支援医療にしてしまったり、また応益負担を入れてしまったり、障害程度区分、まだ不十分なのに無理やり入れてしまったりということで、そういう意味では、政府案は、サービス基盤を整備すると言いながら、一方では応益負担とかいろいろなものを導入して、アクセルとブレーキを同時に踏んでしまっている、何がやりたいのかわからないというふうだと思っております。

阿部(知)委員 ここがまた障害者の皆さんの一番今不安なところで、応能負担ではなくて応益、この前から出ています、トイレに行くにもお金が要るようになったら、果たして十分なサービスが利用できるんだろうか。そこで厚生労働省は、いやいや、皆さん大丈夫、お金がなければ減免措置をいたしますよというのが厚労省のお考えですね。それに対して民主党は、今までの支援費のように応能で、何も負担していただかないと言っているんじゃないと、応能でその方の収入に応じて負担していただく方が、支援費の経験からいっても、もっと本当に必要なサービスがちゃんと出てくるだろうということであります。

 さて、この応能と応益負担のあり方について、実は、二〇〇〇年に、障害者福祉法の改正の時点で、それに先立って社会福祉法改正当時の合同企画分科会報告というのがございます。これは障害施策をめぐっての福祉法を改正するに当たって幾つかの論点整理をしてございますが、ここに、まさに今言ったような応能負担の考え方に基づき本人の所得等に応じた利用者負担とするか、二番目は、応益負担の考え方に基づきサービスの内容等に応じた定率の利用者負担とするかという二案が出されて、一九九九年当時の論議では、障害者の所得の状況などを勘案し応能負担だというふうに結論づけられています。

 さて、この四年、五年の中で、障害者の所得の状況は変わったんでしょうか。この当時の議論をもう一度蒸し返しというか、蒸し返し否定するまでの何か客観情勢は変わったでしょうか。応能負担から応益負担に変わるためには、このときの論議では、一つは新しい制度への円滑な移行に時間を持たせなきゃいけないということと同時に、障害者の所得の状況等を勘案し、引き続き現行の応能負担でという書き方になってございます。これは、この合同企画分科会の中を何度読んでもそのようになっております。この四、五年の間に、それをひっくり返すほどの論拠がおありなのか、障害者の所得状況が上がったか、実態を把握しておられるか、大臣、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 ぜひ御理解いただきたいと思いますことは、今回の私どもの改正といいますか見直しは、障害をだれにでも起こり得るものとしてとらえまして、すべての人が受けられる、このところユニバーサルなものというふうに表現しておりますけれども、そうしたものへと変革をさせたものでございます。したがって、すべての人が受けるサービスということでありますから、いろいろな方が、いろいろな方と私が言ったのは所得について言ったわけでありますが、いろいろな方がおられる、したがって、すべての人が受ける仕組みにすると、これはやはり定率で御負担いただくという考え方の方がよかろうというふうに思いました。

 ただ、今私がまず申し上げたのは、大きく全体のサービスというふうな立場で言ったわけです、それを前提にして言ったわけですが、今先生が言われるように、その中の低所得者の方だけに着目すると、これは、御負担いただけるようにちゃんとそれはしなきゃいけない、まさに応能負担の考え方というのを当然入れなきゃいけないと思って、私どもはそこは今いろいろ申し上げているようなきめ細やかな仕組みにしたところでございます。

 したがって、今先生が低所得者だけの部分でおっしゃると、別に、今の考え方をそのまま踏襲しておるわけでありますから、何かが変化したものではないというふうに考えておるところであります。

阿部(知)委員 私は二つ問題があると思います。時間の関係で前者だけ言わせていただきますが、これはもともと国の責任を二分の一きちんと固めようと、その意味で前向きだとおっしゃいます、そうだと思います。しかし、そうやって、基本的に国の責任というのは税ですよね、税でやられるもので定率負担なものはあったでしょうか。例えば救急車、利用すると、あなた応益負担だ、一回乗ったら幾らお払いなさいなんというのもないわけですよ。

 一方で、日本の社会福祉行政並びに医療行政の中で、医療の方が保険という仕組みが発達していますから、これは共助の仕組みですね、共助の中では定率負担ということはあり得るんですよ。また今度医療制度改革で負担を上げるとおっしゃっていますが、これは皆さんでお金をプールした中で、御利用になったもののある率を御負担いただくんです。しかし、もともと税で行われるものの中で定率負担のものはございません。

 例えば三十二条で、これまで公費医療の中で行われた五%というのは、もとの保険が二五%お払いで、その補完として出しているだけです。骨格から一割負担として、税が財源で、利用したら定率負担しなさいなんというのは今までの日本の体系にないんです、だから反対しているんです。ここは本当に厚生労働省として初めて踏み込むやり方だと私は思います。

 税というのは、例えば障害者問題では、国民がひとしく障害者の問題を支えていかなきゃいけない、基本法に書かれています、だからこそ、その方の障害が重ければ、重いことを軽減するべく税を使おうという考え方です。そこに多少の応能負担はあり得るでしょう。しかし、定率となると、その利用したサービスにかかっていきます。

 大臣のおっしゃった二点目は、恐縮ですが、次回私は言わせていただきたいのです。きょうは本当に考えていただきたい、税の中で定率負担で、サービスを利用したときに一定率出しなさいなんというものがおありでしょうか。いかがでしょう。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から引用のありました精神の通院医療は、百分の九十五は税金で出す、五%は御負担いただく、そういう意味では定率負担で、これは原則の制度になっております。医療保険の補完ではありませんで、医療保険が出る場合は医療保険がするということなので、そういう例がないわけではございません。

 また、諸外国でもサービス利用に応じた負担としている国は、イギリスもございますし、ストックホルム市における在宅サービスも介護の必要度と収入の多寡によって負担を決めているわけで、ある意味で応益制の負担がございます。

阿部(知)委員 今のは、細かい反論をすると時間がかかりますから。だから、もともと医療保険の中での、医療給付の中の補完であるということを申したまでです。次回にまた質問させていただきます。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。これから九十分のお時間をいただきましたので、大臣も含めて、質問をさせていただきたいと思います。

 私も、きょうは初めて答弁席という側に回らせていただいて、午前中はそちらの方から、また違った風景と、それからある種の緊張感を持たせていただきながらお答えをさせていただいたというところがございました。やはり、恐らく大臣がお座りになっている席というのは本当に重たい席なんだなというのをつくづく痛感いたしましたし、それだけ責任の重い地位でいらっしゃるんだなというところでございます。

 私も、先ほど午前中の議論の中では、大村議員あるいは桝屋議員ともども、いわゆる障害施策に関してある面共通をした部分はあったと思っております。すなわち、厚生労働委員会に所属をしていらっしゃる、少なくともここにいらっしゃる方々は、この審議を通じて、いかに我が国の障害施策が立ちおくれていたのかということと同時に、これを何とかしていかなければいけないと。

 あるところでは今がチャンスというお言葉もいただいたところでございますし、確かにそのチャンスを生かしていかなければいけないと思っておりますけれども、同時に、何が何でもチャンスだから周りを見ずにそのまま突っ込んでいっていいのかというと、少し違うんだろうと私は思っております。すなわち、いや、別に答弁ということではないんですけれども、やはりしっかりとやらなければいけないというのは同じ思いであるというふうに私も思っておりますし、と同時に、これは積み上げをきちっと丁寧にやっていくということが、私はこの政策の中には必要なことではないかというふうに思っていたところでございます。

 確かに、改革、改革という形は今般の流れの中ではうたわれているところでありますけれども、単なる改革という言葉だけで語り尽くせるものではないのかなという気がいたしましたし、そこには人がいて、そして日々暮らしていらっしゃる方もいて、さらには、その中においては、やはり自由に移動もできないあるいはコミュニケーションもとることができない、そういう方々がいらっしゃるというところに、では我々が、改革というのは何かというところの原点にもなってくるんだろうなという気がいたしております。ただし、やはり改革というのであるならば、積み上げをきちっとやっていっていただきたいなというふうに思うわけであります。

 先ほど午前中の一番最後の阿部委員の御発言にもありましたけれども、やはり実態におけるデータ、それを厚生労働省あるいは大臣も含めて皆様方がどれだけ御理解をいただいて、把握をしていただいて、それに対する今回の、この政府が提出していらっしゃる障害者自立支援法という法案であるのかということをぜひお示しをいただきたいわけなんです。

 先ほど大臣が少し御答弁の中で、私も隣でお伺いをさせていただいておりまして一つ気になりましたのは、応益応能負担の関係もそうでありますけれども、パイとしては、全体の障害福祉予算、これとしてはふやしていくんだ、これから大きくふやしていくんだということでありました。全体としては確かにそのようになっておりますし、その勢いというか意気込みというものは、私も予算編成の中をいろいろ見させていただきますと拝見できる部分はございます。

 ただし、いわゆる本当にきちっと必要なところにその予算が配分をされているのかというと、それはちょっと疑問があるのと同時に、これからいろいろお話をしていく中で、それもひとつ私から、御指摘といいますよりは御提案も含めてお話をさせていただきたいと思っているわけでありますけれども、法律の中身でいきますと、これだけしかお金を払いませんよという、やはり上限が決められている部分があるんですね。

 そうなりますと、ではなぜこれだけの予算がついたのかという積算根拠というもので、私は少し疑問に思っている部分があるんです。これだけのサービス利用があって、そしてそれをどんどん積み上げていって、さらに地域でまだサービスが全然至っていない部分、そういうところにこれだけの必要なサービスが需要としてありますよ、それに対する予算配分ですよという形で決められた総額ということであるならば、それは私も納得のできるものですし、それで大臣が常々御答弁でも言っていらっしゃるような、適正なサービス水準は確保できるという言葉に恐らくあらわれるのだろうなというふうに思うわけであります。

 実は適正なサービス水準の確保というふうに言ったときも、何が適正なのかというこの言葉も、私はできればこれから少し議論をさせていただきたいなと思っております。すなわち、障害当事者が思っている分、これだけの必要なサービス量ですよというふうに思っている量と、それからさまざまな今回出てきた支給決定の中における障害程度区分、そういうさまざまなマネジメントシステムの中で、いわば法律にかかわった適正なサービス水準というのは当事者から見たサービス水準ではなくて、当事者がニーズとして求めているそのサービス量と、それから法律上における適正なサービスというものには、やはりこれは少し開きが出てくるのではないのかなという危惧をいたしております。

 だからこそ、いわば私が申し上げておきたいのは、そういう形で頭ごなしにさまざまな基準を決めてというか、そういうふうに言ってしまうと、いやいやそんなことはありませんよというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、いわゆる当事者の方々の意見を踏まえながらの基準が策定をされているということは、実は私も自信を持って言えないのではないのかなというものがあります。

 したがって、きょうはそういう観点から、大臣に一つ一つお伺いをさせていただきたいと思っております。

 きょうは理事会の皆様にお許しをいただきまして、三枚ほど資料を配らせていただきました。その中で、いわば障害当事者の方々にとって支給決定がなされる、これによって介護給付におけるサービス、これが決まってくるわけでございます。これは政府が御提案をされている図でありますけれども、この「支給決定・サービス利用のプロセス」の全体像という形で、これは五月の分のものをつくって私が持っておりましたのでこれをお配りさせていただきましたけれども、これから少し変わっていたら、後で御指摘をいただきたいと思うわけであります。

 要は、アセスメントを行って一次判定を行って、そしてそこで非該当のものは二次判定に出て、そして障害程度区分がここで認定をされる。障害程度区分が認定をされれば、その後に当事者の方々のサービス利用の意向を聴取して、支給決定案の作成をここで行っていくという形になっております。そして最後に支給決定がここでなされるという形であります。

 そこで、私が一番危惧をしておりますのが、まず第一点目でございますが、二次判定における審査会でありますけれども、この審査会のいわば定義といいますか構成要件というものは、一体どういう形で定義づけられるんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 審査会は、障害者の方の心身の状態に関し専門的な見地から客観的な判定を行うとともに、市町村が作成した支給決定案の合理性、公平性について意見を述べることを業務とするものであり、その委員については、障害保健福祉の専門的な知見を有した中立公正な立場であることが求められると考えております。

 市町村審査会の委員については、したがいまして、身体障害、知的障害、精神障害の三障害を対象とすることを考慮し、これらの各分野のバランスを考慮した構成が望ましいと考えており、また、こうしたことを考えますと、人数は五名を基準とすることが適当ではないかと考えております。なお、人数については、政令で基準を定め市町村が条例で定めることとしており、また、具体的な人選については、市町村長が行うこととなります。

園田(康)委員 今御答弁をいただいた障害者の実情に通じた者が選ばれるようにすることという形で、これは参議院の附帯決議の八番目にも出されておりますけれども、その際に、「障害保健福祉の経験を広く有する者であって、地域生活に相当の実績を持ち、中立かつ公正な立場で審査が行える者」というふうになっておりますね。その場合だったらこの中に障害者が含まれるというふうな解釈にこの参議院の附帯決議ではなっているわけなんですけれども、まず、これで間違いがないかどうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 審査会の委員につきましては、今お話ございましたとおり、障害者の心身の状態に関し専門的な見地から客観的な判定を行う、こういうものでございますので、障害者の保健福祉に関する専門的な知見を有することが求められます。審査会の委員の方については、障害者の実情に理解のある方が委員となることが望ましいことから、有識者であって、中立かつ公正な立場で審査が行える方でありましたら、障害者を委員に加えることは望ましいと考えております。

園田(康)委員 その際に、障害当事者の方を迎えるということでありますけれども、地域でいろいろな活動をされておられる方がみえるわけでありますけれども、どういった方を想定されていらっしゃいますか。具体的に。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、具体的な選任は市町村長が行うことになりますが、六十の市町村でやっていただきました試行事業では、大学教授等の学識経験者、相談支援事業やサービス提供に携わっている者、あるいはそういったことに従事した経験のある方が選任されているということでございます。

園田(康)委員 後でお話をしようかなと思っていたんですが、今ちょうど、たまたま障害程度区分の認定のモデル事業のお話が出ましたのでここで確認をしておきたいんですが、審査会の委員としては総勢何名携われたのでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 審査会の委員としては、一審査会五名でございます。

園田(康)委員 そうすると、三百人がこの中で携わったということですね。三百十二人となっておりますのは、これは地域によって増減があったということでございますね。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございまして、三百十二人で、念のために申し上げますと、審査委員の職種としては、三百十二人のうち八十二名が医師、二六・三%、二番目が、その他の施設サービス事業者等関係者が一九・六、学識経験者が一〇・六、社会福祉士が九・三、福祉司等行政関係者が八・三などが主な職種になっております。

園田(康)委員 では、この中で、一番最初に私がお伺いをいたしました、いわゆる障害当事者の方は何名入っていらっしゃったんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 九名の方が該当されておりまして、例えば、NPO法人の理事長さんでありますとか、自立生活センターの事務の方、あるいは大学の社会学部の助教授の方、大学教授で障害福祉専門の方、あるいはピアカウンセラーの方、精神科医の方、福祉工場の施設長等々多種でございますが、いずれも障害をお持ちの方でございます。

園田(康)委員 そうしますと、六十カ所で九名ということは、恐らく、一カ所に五名ということですから、二カ所ないし九カ所になるかもしれませんけれども、その辺の内訳はもうおわかりになっていらっしゃいますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 九名でございますが、八自治体九名でございまして、一つの市でお二人の当事者の方が入っておられる市がございました。

園田(康)委員 そうしますと、今回行ったモデル事業の中で、六十自治体のうち八自治体の中の審査会の委員に九名の当事者の方がいらっしゃったということでございますね。

 そうしますと、やはり、いわば障害当事者に会ったこともない、確かに、医学的な知見を持った方というのがこの中で、後でもう一つちょっと詳しくお話をさせていただきたいと思うわけでありますが、医師の方が二六・三%、八十二名という形でおっしゃっておられたわけでありますけれども、残念ながら、医師も、精神科医の方だったら確かに精神障害の方に対するさまざまな症状というものはおわかりになっていただけますけれども、それ以外のところでいきますと、多少、これが本当の意味でのそういう公正あるいは公平な審査に果たしてくみするものであるのかというと、そうではありませんよね。

 したがって、恐らく、それを五名の基準という形を用いて、標準的な五名程度で行うという形を用いてさまざまな障害の症状に合わせた審査をするという形でしていらっしゃるんだろうなと思うわけでありますけれども、当然その中でも、いわば私が申し上げておきたいことは、これから審査会の決定に際して、再三再四私もこの委員会の中でさきの国会でも御質問をさせていただきましたけれども、その決定過程の中において当事者の意見を反映させてほしい、そこまではできるようになりましたですね、当たり前のことですから、これは。当事者の意見が当然この中に入ってこなければいけない。であるならば、当事者の意見を表明する場所というものをきちっとまずこの中で位置づけることが私は大切だということを常々申し上げてまいりました。

 ここで、本来ならば局長から御答弁をいただけるのかもしれませんけれども、その前に私は、ぜひ大臣にこの点をお伺いしておきたいんです。すなわち、このサービス決定の過程の中において、当然ですけれども、障害程度区分の認定がなされる際にも障害当事者の方々の意見というものは聞く、あるいは意見を表明する場というものが審査会の中にあってしかるべきものではないのかな、あるいはあってもいいのではないか、そう思うわけであります。

 ぜひ大臣、そのことを今までずっと私も御指摘をさせていただきましたけれども、そういう当事者の声というものはいかが受けとめていらっしゃいますでしょうか、もしよろしければ。

尾辻国務大臣 市町村がサービスの支給決定を行うに際しましては、障害者や家族から直接生活状況やサービス利用の意向を聞くことにより、障害者御本人やそれから御家族の意見が十分反映されるように配慮しておりますし、さらに、市町村の支給決定について不服がある場合には、都道府県に対して不服審査を行い、障害者自身が口頭で意見表明することができることになっております。

 こういうことで、制度的に障害者御本人の意見を表明していただく機会というのは十分に確保されていると私どもは考えておるところでございます。こうしたことから、市町村審査会におきまして、障害者や保護者からの求めに応じて意見を述べる機会を設けることを一律に義務づけることは今いたしていないということでございます。

 なお、障害者等の求めがあった場合に、市町村審査会の判断で意見を述べる機会を設けることは可能であるというふうにいたしておるところでございます。

園田(康)委員 局長、今大臣がこういうふうにおっしゃっていただいているんですけれども、これはちょっと確認をしたいんですけれども、障害当事者から求めがあったときには、程度区分の二次判定の審査会、ここでも審査会が判断すれば、求めがある場合はオーケーになるんですか。

中村政府参考人 大臣がお答えしたとおりでございます。

 障害程度区分認定は客観的な判定でございますので、中立公正な専門的な知見、見地から判定をするわけでございます。サービス利用に当たっては、当然当事者の方の御意見をよく市町村が聞くということでございますので、市町村審査会に意見を述べる機会を設けることを一律に義務づけるというようなことは考えていませんが、お求めがあった場合には、市町村審査会の判断で意見を述べる機会を設ける、こういうことでございます。

園田(康)委員 では、それは何らかの形で、通達なりそういったものが出ていくんでしょうか。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 法案が通りましたら、施行事務をしなければなりません。市町村審査会の運営につきましても、さまざまなことを市町村の方にやはりガイドライン的にお示ししなければならないと思っておりますので、施行通達なり、形式はもう一度全体で考えさせていただきますが、当然こういったことについて通達をするということになろうかと思います。

園田(康)委員 確かに一律に、でも私はできれば一律にやっていただければなと思うわけでありますけれども、それぞれに事情が、地域によって確かに事情は違うであろうというふうに私も思うわけであります。ただし、その当事者の方々が求めるという形があったら、それに対応するのはやはり行政の責任ではないのかなという気がいたしておりますので、ぜひその点をお願いしたいわけであります。

 実は、さっき大臣がおっしゃったように、確かに制度としてはそうなっているんですね。二次判定から支給決定、障害程度区分のところまではいわば一律な客観的な見地によって程度区分が認定される。その後にようやく本人の意向なりが出てきて、聴取をして、支給決定の案が作成されて、支給決定がなされる。それに対して、法文上にもありますけれども、最終的にそれでも不服がある場合は都道府県に申し上げて、審査会で意見を表明するという形になっているんですね。でも、そうなってからではどうしても時間がかかってしまうのではないか、すべて決定されてから最初からそれを覆すという形になると、大変な時間と労力をかけてしまうという思いが私は非常に強いわけなんです。

 したがって、その最終的な決定が出てから都道府県にようやく言って、審査会に言って、審査会の委員に対してみずからの意見表明をするという場の前に、できたらいろいろなところでどんどん入れていってほしい。できれば障害程度区分のところから、最初から入れるべきであるというのをこれから少しお話をしていきたいなというふうに思っております。

 では、このモデル事業でございますけれども、お手元にお配りした三枚目の資料にお目通しをいただきたいわけでございます。

 最初に少しお話をさせていただきましたが、障害程度区分を決定する際に、六十の自治体をピックアップいたしまして、それでモデル事業を行ったところでございます。

 先ほど少しお話がありましたが、介護保険における要介護認定の認定調査項目、七十九項目でしたね、これに対して、例えば多動やこだわりなど行動面に関する項目であるとか、話がまとまらない、働きかけに応じず動かないでいるなど精神面に関する項目及び調理や買い物ができるかどうかなどの日常生活面に関する項目というものを二十七項目足して、全部で百六項目の調査項目として試行事業を行ったところでございます。

 この結果が、ここにあらわれておりますように、すなわち介護保険の七十九項目、これがこの下に「(参考)一次判定結果」と書いてありますけれども、これが七十九項目のみで行った場合の結果でございましたね。上の「最終結果」というのがありますけれども、これが、いわば障害のそういった特性に応じて二十七項目をつくり、そしてこれに先ほどの介護保険の七十九項目を足して、最終的に医師の意見書であるとかそういったものを通じて、「最終結果」というものが上の段になっておりますね。

 この結果をごらんいただくとおわかりだと思うんですけれども、今さまざまな研究班のところで詳細は調査中だということでありますけれども、下でいきますと、例えば精神障害のところを見ていただきたいんです。全体では五百九十七名ですよ。そのうち非該当が百九十八名、要支援が二百三十一名、要介護一が百五十九名で、要介護二が九名、それ以降、三、四、五というのが全くゼロになった。対象者ゼロですね。これが介護保険の項目で調査をした場合はこういう結果になった。

 それに対して、二十七項目をつけて医師の意見書などをやったら、この上の段の精神障害者を見ていただくと、非該当が三十二、すなわち百九十八から三十二まで減りましたね。その分が上の要支援であるとか要介護一、こちらの方に流れているというか、いわばランクアップしたわけですね。つまり、本当だったらというか一次判定結果では非該当、すなわち程度区分には入らない方が、要支援あるいは要介護一、要介護二という形でランクアップをした、ここに該当をしていっているという形が出てきたわけであります。

 この点について、いわば一次判定から最終結果に至る経緯というものをできれば詳しくお話をいただきたいんですけれども、どういった要因といいますか、どういう理由で上の「最終結果」になったのか。一次判定から一ランク上がった方あるいは二ランク上がった方、さまざまな状況の方がこの中でいらっしゃると思うんですけれども、もし今の段階でわかっている範囲で、そのランクが上がった方の病態像といいますか状況はどういったものであったのかということをお聞かせいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からお示しいただきましたこのモデル事業の最終結果とされる第一次判定結果と二次判定結果の比較表は、十月五日にこの調査研究におきまして取りまとめたものをお出ししているものでございます。この違いは今委員がおっしゃいましたとおりでございまして、介護保険の七十九項目を使って実施しましたのが一次判定結果、それを二次判定で修正しましたのが最終結果でございます。

 相違点でございますが、二次判定におきましては、まず行動面や精神面等に関する二十七項目を追加してチェックしたということ、それから調査項目に特記されました事項、これは特記事項と呼んでおりますが、調査員の方が障害者の方にお会いしていろいろ調査申し上げたときに特別に記載した事項、それから医師の意見書を踏まえて、市町村の先ほど申し上げました審査会で判定した結果でございます。変更率は今委員からも触れられましたように五〇・四%でございまして、要支援以上と判定された方が八一%から九六%に、となっております。

 今三つの要素で変更と申し上げましたけれども、どういう要素でどれだけ例えば非該当から要支援なり要介護一に移ったのか、このことにつきましては、十月五日に審議会に報告いたしましたときも、その要因分析、当然のことながら必要だという指摘を受けておりまして、私ども今それの分析をし、審議会の方に報告をするという手はずになっておりますので、いましばらくそこの作業のところはお待ちいただきたいと思います。

 二つ目は、これからしなければならないこととしては、七十九項目の一次判定ではこういう状況になりますので、最終結果であります二次判定に近づけるように、今の二十七項目などのデータを分析いたしまして、一次判定の項目に二十七項目を追加させていただくという作業をし、その追加項目のウエートづけなどをきちんとすることによって二次判定結果に近づけるようなコンピューターソフトを開発し、いわば百六項目の一次判定ソフトというものを自立支援法で用いるようにしたいと考えております。

園田(康)委員 そうしますと、介護保険の項目を使った場合では一次判定の結果しか出ないということで、まずここの認識なんですけれども、いわば局長がおっしゃったのは、最初は変更率が五〇・四%で、最終的には該当率が九六%まで引き上げることができた、これで大体、二十七項目を足したものでそもそもの状態をあらわすことが、これによってコンピューターでもあらわすことができるようになったというふうに解釈しておられるということですよね。そうですよね。

 そうしますと、いわば一次判定結果というものは、ほぼこれはそうではないんだということを逆に認めてくださっているということでよろしいんでしょうか。すなわち、一次判定結果で使った七十九項目の介護保険の項目というものは、障害者にとってはいわば使えるものではないんだということで理解をしてよろしいんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 このモデル事業を行います前にも我々いろいろ研究事業をやっておりまして、その際、介護保険の要介護認定のツールだけでは障害者の方に十分ではない、こういうふうに認識しておりましたので、このモデル事業は、その一次ソフトを改めるための作業としてやっているモデル事業でございます。

 一次判定結果と二次判定結果を比べまして、一次判定結果では不十分でありますので、二次判定結果に近づける一次判定ソフトをつくらなきゃならない、そのロジックなどを開発するために今回のモデル事業をした、こういうことでありますので、これからの作業としてよく分析させていただいて、七十九プラス二十七、百六項目の一次判定ソフトでやれば今委員からお示しいただいた一次判定結果ではない一次判定結果になり、その結果が二次判定の結果にできるだけ近づくような一次判定ソフトをつくりたい、これが作業方針でございます。

 介護保険でも、例えばこういう作業をして一次判定ソフトをつくっているわけですが、御案内のとおり、介護保険の要介護認定においても、二次判定と一次判定とは若干の差はございます。若干といってよいのか二、三〇%といってよいのか、ございますが、それはまさに二次判定の意義でございまして、全国統一ソフトで当たりはつけますが、やはり個々の御事情なり個々の特性がございますので、そこは専門家が判断し、また主治医の意見書や調査員の方が書かれた特記事項を踏まえて、コンピューターはこう言っているけれどもこの方はこうではないかというのを判断するので、一次判定がどんなに完全と称するソフトができたとしても当然二次判定はやっていただいて、個々の事情をやはり地域の専門家で判断していただくというのが二次判定だと考えております。

園田(康)委員 局長、もう一点。局長は介護保険のスペシャリストでもあるというのは私もことしの審議の中で大変勉強させていただいた一人でありましたけれども、介護保険のときの例をちょっとお聞かせいただきたいんですが、この判定コンピューターをつくる際に、こういうモデル事業をやって、その後にもう一度そのコンピューターが適切なものであるかどうかというモデル事業を、試行事業といいますか、試しをやられたことはありますか。介護保険のときの。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険の例で申し上げますと、要介護認定作成事業をし、一次判定ソフトをつくり、最初でございますから随分トライアル・アンド・エラーをしてつくったという経過がございます。それで、つくった後、市町村の方にもなれていただくというようなことで試行事業みたいなこともしたという経過はあるかと思います。

 それから、介護保険の例でいきますと、そういったことで、平成十一年十月から要介護認定が始まりまして十二年四月の介護保険の施行にたどり着いたわけですが、実施後も、今の言葉で言いますと認知症の高齢者の方のものについては、一次判定、やや不都合があるということで、十五年だったと思いますが、認知症の高齢者の方の出方をよくするように、そこの、今は七十九項目になっておりますが、七十九項目の組みかえなりそれぞれのウエートづけの組みかえもし、統計上見るとかなり明らかでございますが、そのソフトの組みかえを行いましてから、認知症の方の、例えばグループホームの入居者の要介護度が目に見えて一、二ランク上がるというような結果は起こっております。

 やはりこの障害行政も難しいわけでございますので、障害程度区分判定、つくらせていただきますけれども、日進月歩だと思いますので、そういったことは、改めるところがあれば改めていかなければなりませんし、また障害者の方の範囲の拡大の問題も控えておりますので、そういったことが行われるのであれば、例えば発達障害の方をどうするかとか、今回対象になっておりませんが、児童の障害者の方をどうするかというような問題は、引き続き検討していかなければならない問題だと考えております。

園田(康)委員 そうしますと、介護保険のときも、確かに最初の導入時には大変時間がかかり、局長もお認めといいますか、思い出しながらおっしゃっていただいた、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら、あの認定項目というものがきちっとできてきたわけですよね。それをきちっとやっていく上においては、必ずやはり、モデル事業といいますか、そういう試行事業というものを行って、市町村の方になれていただくという表現をされましたけれども、やはり大臣、いわばこのシステムを、必ずしも介護保険のものをそのまま踏襲しているわけではないんですよね。今局長もおっしゃっていただきましたように、やはり介護保険の部分を使うと、どうしてもそれをきちっと今の障害当事者の方々に反映させるということが難しいというのが、まず第一次判定でおわかりいただけましたね。それで、あとは障害当事者の方のさまざまな症状を足して、ようやくこの上の最終結果という形になっていくんです。

 したがって、これから私がお願いをしたいことは、これでまず第一次的な試しの事業をやりました。そこでやってみたら大体こういうことがわかってきた。ここで、ようやくこの最終結果の上の部分のコンピューターをこれからつくろうというんですね。ここに合うようにこれからつくるんです。このコンピューターのソフトをつくった上で、そのコンピューターのソフトがちゃんとこの状態をあらわすものであるかどうかということを、もう一度試行事業をちゃんとしなきゃいけないんじゃないですか、本当だったら。

 だってそうでしょう。今、試行事業をやったのは、ただ単にどういう形になるかわからないから、とりあえず介護保険のものをモデルケースとして入れてみましたよと。入れてみてそれではきちっと出なかったから、二次判定の中でさまざまな意見書であるとか、そういったものを足した上で、この上の部分の結果が出てきたという形になってきたわけなんです。したがって、今これからつくろうと言っているのは、上の部分をつくろうと言っているんですね。下の部分をつくろうと言っているんじゃないです。この上の部分の最終結果のものをつくって、先ほど見ていただきました、二次判定の中の障害程度区分の認定という、ここに当てはまってくるんですね。

 ですから、ここの上の部分の結果というものを反映させるソフトがこれから開発されてつくられます。つくられたら、それを今度もう一度モデル事業を行って、それが本当に正しい結果が出せるかどうかということを、これはやはりちゃんとやっていくべき事業ではないのかなという気がするんですが、導入をする前にそれをやる御意思があるかどうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員に御説明いたしましたように、そのような新しい一次判定のコンピューターソフトをつくろうとしております。その結果、見直しましたコンピューターソフトを含めまして、新たに障害程度区分についても設定しなきゃなりませんので、そういったものについて、まずは、試行事業でサンプルデータが収集されておりますので、それをもとに検証を行いたいと考えますけれども、今委員から御指摘があった、具体的に現場でどのようにやればその検証になるのかといったことなんかにつきましても、有識者の意見もお伺いしながらやってまいりたいと思います。

 いずれにしても、この新しいソフトがきちんと動かないことには問題でございますので、私どももそれなりの覚悟でやらなきゃならないと思っておりますので、まずきちんとした検証をさせていただきたいと思っております。

園田(康)委員 実は今回認定調査の中で、実施をした自治体からのさまざまな意見というものが上がってきているんですね。

 まず、認定調査についてでありますけれども、調査員や意見書を記載していただく医師について、「調査技術や判断基準に差があり、定期的な研修やマニュアルが必要ではないか。」という御意見がありました。それから、「障害者の実態をできるだけ具体的に把握できるよう、概況調査や特記事項等の記入の仕方について調査員の研修が必要ではないか。」という御意見でした。それから、「認定調査に当たって、判断に迷ったり時間がかかった。」今もう一回繰り返しますよ。「認定調査に当たって、判断に迷ったり時間がかかった。」すなわち、まだそういう判断材料を、先ほど審査会のメンバーの方はそういうきちっとした障害保健福祉の経験を広く有する者であって、そして地域生活に相当な実績を持ちというような方であったとしても、こういう迷いというものが生じるわけなんですよ。

 したがって、まだそういうマニュアルが完全にでき上がっていない。その結果で、えいやと言ったのかどうかはわかりませんけれども、最終結果という形で出てきたものであって、このデータそのものが、本当に現場の声とともに一次判定から最終結果に至るまでの経緯で、だから先ほど私が聞いたんですが、何ランクアップしたのか、あるいはランクアップしたその理由なんですが、どういう基準で、どういう理由で、何が決め手となって例えば非該当の方が要介護一になったのか、あるいは要支援の方が要介護二になったのか、その基準があいまいになっていたんですね。

 したがって、あいまいになっているものを、今回、最終結果で何とかこういうふうに出してきた。これに基づいてコンピューターをつくるということですから、そもそも、今までやったモデル事業というものは、ただ単にこれをつくるためのモデル事業だったんですね、ここのレベルまで達するための。では今度、これが果たして本当に全国で使えるかどうかというものを、もう一度これを調査する必要があると思うんですよ。施行は来年の十月からですよね、この部分に関しては。十月からですよね。あと一年間あります。まだ一年間あります。

 であるならば、これができ上がるのが大体十一月から暮れだというふうに私は伺っておるんですが、そこから来年の四月までの間にもう一度このモデル事業をやる方針があるかどうか、あるいは、大臣がもしこれはやはりやった方がいいなというお気持ちがあるのであるならば、ちょっとその御意見をお伺いしたいと思います。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 介護保険のときのお話もしろということでありましたので、介護保険のときのお話もさせていただきました。あのとき市町村の方は、日本で、日本でというか世界で初めてこういう要介護認定を行うので、大変心配して始めたという状況でございます。

 そういった意味では、七十九項目ではなく百六項目になりますけれども、ある程度、障害者の十倍の数の四百万人を超える数の要介護認定を市町村はやった、全く違うものではありますけれども、全く初めてではないという点は、我々、少し前回とは違うとは思っております。

 しかし、いずれにしても、今委員おっしゃいましたように、これからその百六項目をつくるわけでございます。認定調査も障害の分野では初めてでございますし、これまで支援費では対象でなかった精神障害の方も入るわけでございますので、認定調査員や審査員に対して研修を行うこと等もいたしておりますし、マニュアルもつくりますし、何よりも、そのソフトについての検証も、全面実施するのは来年の十月でございますから、それに間に合うようにきちんとやってまいりたいと考えております。

園田(康)委員 その際に、局長、介護保険プラス、障害の認定項目の二十七項目がございますね。二十七項目を作成するに当たっては、ICFの基準であるとか、そういったものは参考にされたんでしょうか。

中村政府参考人 まさに、単に心身の機能の問題だけではなく、活動や参加ということがICFの基本理念でありまして、障害行政においてはそこの部分が、高齢者介護でも重要ですけれども、大事だと思っておりますので、まさにそういった意味で、コミュニケーションの項目ですとかそういったことというのは、そういった活動なんかの基本的な前提にもなりますし、私ども、障害行政すべてにおいて、ICFで示されている考え方、新しい障害観というものを踏まえて行政をしているつもりでございますので、そういう点についてはまさにその方向に沿って考えているということでございます。

園田(康)委員 必ずしも、このICFの項目といいますか、認定項目をまねしろというふうに私は申し上げているつもりはないんですけれども、それも確かに参考にしつつ、この我が国特有のといいますか、さまざまな参加形態あるいは地域生活というものがあるんだろうなというふうに考えておりますし、そういう基準づくりというものは、やはりしっかりと、現場のといいますか、当事者の意見を聞きながら、私はこの項目もつくっていく必要があるんじゃないかなという気がしているんですね。

 したがって、ぜひ大臣にはこれは御要望とお願いでございますけれども、これからさまざまな策定をしていくわけでありますけれども、まず、程度区分の策定がこれからどういったスケジュールで組まれていくかということと、それから、その策定過程においてはぜひ当事者の意見をこの中に取り入れながらやっていく、そういう機会を持っていただきたいんですけれども、その点、大臣いかがお考えでしょうか。

尾辻国務大臣 今まで局長からお答えいたしておりますように、この障害程度区分につきましては、現在試行事業の結果を分析いたしているところでございまして、年内に障害程度区分というものの検討を進めて設定をするということにいたしております。

 この障害程度区分は制度の骨格に関するものでありますから、障害当事者や有識者が委員になっている社会保障審議会障害者部会で議論をしていただくということにいたしておりまして、十月五日に、まず、今いろいろお話しいただいておりますような試行事業の結果速報を御報告いたしたところでございます。

 さらに、適切な障害程度区分といたしますために、障害者部会での検討にあわせまして、今先生がお話しになっておりますところの関係団体でありますとか有識者の御意見は伺ってまいります。

園田(康)委員 その策定の過程においては、当事者等交えながら決めていくのが私は理想的な進め方ではないかなという気がしていますので、ぜひその点お願いを申し上げたいと思います。

 それから、もう一点、二点、この関係で確認をしておきたいんですが、先ほどのこの「最終結果」の図の中で、全障害で六十五人が非該当という形になりました。すなわち、先ほどの図からいくと、二次判定で障害程度区分の認定に際してここで該当しなかった人がこの六十五人だというふうに私は理解をするわけなんですけれども、この非該当となった六十五人の方は、この自立支援法の法体系の中で一体どういうサービスが受けられるというふうにお考えでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害程度区分判定等試行事業の結果では、非該当の方が六十五人で、全体の四%になっているという御指摘のとおりでございます。

 非該当になった方々にどういうニーズがあるかというふうなことは個別に見なければなりませんけれども、例えば訓練等給付や地域生活支援事業において対応することが適当な方も含まれているのではないかと思いますので、四%の方について、どういう御事情があり、そういったときに地域として、お困りのことがあるとするとどういうサービスにつながるのか。そこは、地域、市町村の中で必要なサービスがあるのであれば、そういう地域生活支援事業などで対応していく、こういうふうになるのではないかと思っております。

園田(康)委員 恐らく、訓練等給付とそれから地域生活支援事業という形の中でサービス体系が用意されるということでありますけれども、残念ながら、では非該当となった方は、この支給決定に際してのサービス利用というものは受けられないということなんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 介護給付については、非該当でございますので受けられない、こういう形になります。

園田(康)委員 いろいろな法文を読ませていただきながら、いろいろ私も試行錯誤しているわけなんですけれども、例えば最終的な決定をする際に、それでももう一度、この決定がされた後に、区分認定がされた後に、それを不服としてどこかに訴えるという機関はあるんでしょうか、その時点で。

中村政府参考人 都道府県の方に不服を申し立てることはできます。

園田(康)委員 その際、もう一度都道府県の審査会の中で話し合いをされて、この人は非該当だけれども介護サービスの利用が必要というふうな判断がそこでなされたら、ちゃんと介護サービスは受けられるというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。

中村政府参考人 そのような形になりましたら救済しなければならないということなので、やり方として、ではもう一回その審査会で判定し直すとか、具体的なケースによるかと思いますが、まさに都道府県の方でそういう救済的な判断があれば、それに従うという形になります。

園田(康)委員 わかりました。

 そうしますと、あと、二枚目でございますけれども、支給決定のさらに中身の中で、障害程度区分が認定をされて、そして支給決定がされるまでの、今度は勘案事項という調査項目がございましたね。これも前回私が質問をさせていただいたわけでありますけれども、その後、この項目の中で新たに追加されているものはありますでしょうか。あるいは、今、現段階で想定し得るものは何でしょうか。お答えください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 当時と変わった点はないと考えておりますが、審査会が判定した障害程度区分、社会活動や介護者、居住等の状況、サービスの利用意向等の勘案事項と考えております。

園田(康)委員 はい、わかりました。

 そうしましたら、もう一度最終的な確認をさせていただきたいんですが、この障害程度区分認定のモデル事業に際しての審査会のメンバーの考え方でありますけれども、いわば介護保険の七十九項目を使ってというような話もありましたけれども、そして、先ほど御説明がありましたとおり……(発言する者あり)今、審査会委員の話をしています。審査会委員のメンバーの構成があるんですけれども、その審査会のメンバーが市区町村の介護保険の審査会のメンバーと同一であるということになるんでしょうか。

    〔委員長退席、石崎委員長代理着席〕

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 障害の審査会は、介護保険の審査会とは違いますので、全く別個のもの、こういうふうに考えております。

 しかし、介護保険の審査会の委員であっても、障害保健福祉の有識者であって中立かつ公正な立場で審査を行える者である場合には、こちらの方の障害の市町村審査会の委員になることを、兼務することを排除するものではありませんけれども、審査会自体としては全く別のものでございますので、介護保険の審査会とは別個に独立して当然のことながら設けていただくということになります。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 モデル事業を行った市町村からの意見の中を、もう少し私も実は今後見させていただきたいというふうに思っているんですが、その中でやはりこれでもまだばらつきがあって、しかも先ほど申し上げましたとおり、彼らにとってみればまだ初めてのケースですから、どういう形の人が要介護度幾つにすればいいという区分、まだ区分はできていないですね、要介護幾つに該当するかというふうに決めよう、決定しようと思っても、まだ判断材料が、なかなか判断に迷う部分が出てきているという形なんですね。

 したがって、それが今のままの状況で、全国の各市町村で、はい、ではやりましょうよというふうに言ったとしても、恐らく今の介護保険をそのまま流用した上での延長線上で判断せざるを得ないというのが現状ではないかというふうに私は思っているんですね。まだそういう危惧がある。

 したがって、この部分については来年の十月からの実際のスタートになりますから、先ほど大臣もおっしゃっていただいた、それまでにきちっとした調査をして、そしてマニュアルを策定する、その際には、障害の当事者の団体の方も含めて、いろいろ意見を聞きながらつくっていく、その手順をぜひしっかりと押さえていただきたいというふうに思っております。

 この点、もう一度いかがでしょうか。

中村政府参考人 これまで御答弁させていただいて、委員の方からも大変、御懸念も含めて御指摘がありました。私どもも、この障害程度区分はきちんと、しかも障害者の方にとっても、中立公正できちんとした判定ができ、また市町村が支援費と同様に給付の決定をするわけでございますが、この支給の決定の基準なり透明性、そういったことについては支援費ではなかったので、そこのところを明確にしていくということが自立支援法の一つの柱になっておりますので、ここのところに欠けることがないよう、きちんとやってまいりたいと思います。

園田(康)委員 支援費のときにはなかった透明性というふうにおっしゃったんですけれども、私から言わせれば、残念ながらこの二次判定の審査会も、確かに基準、プログラムというのはソフトでつくられるんでしょうけれども、ただ、最終的な医師の判断であるとか審査会でのさまざまな発言によって決められるという形になれば、ここもまだ若干、そういう透明性というものがすべて明らかにされながらの策定というか決定ということではないんじゃないかなという気はするんです。

 すなわち、本当の意味での透明性、本人を目の前にしてそういう決定手順を踏んでいくということであるならば、確かにそれは透明性が確保されたというふうに申し上げることができるんですが、残念ながらまだそういう形にはなっていないということからすれば、もし局長、これからもう一度改定をしていくということであるならば、例えば本人の同席を認めるとか、そういったことも勘案していただければありがたいなと思うんです。恐らくこれは答弁を求めても、今の段階ではだめだというふうなお答えしか出てこないのかなという気はしますが。

 そこで、ではなぜここまで私がこの程度区分の認定方法にこだわったかというと、この介護給付サービスにおいては、ここがすべてポイントになっているんだというふうに実は私は見ているんですね。したがって、この障害程度区分の区分によっては、今受けておられるサービスがこの自立支援法の中に入ったとしてもどれだけ受けられるのかというものが大体ここで見えてくるはずではないのかなと、僕は最初からこの部分に目をつけて、ずっと何度も何度もこの部分を伺っているわけなんです。

 したがって、この程度区分認定の今回モデル事業で出された区分と、それから今の支援費での利用時間との相関関係が見えてくれば、今当事者の方々が受けておられる、その方々の利用時間あるいはサービス内容が、こちらに移ったとしてもそれがある種、大体同じようなサービスを受けられるんだと。

 逆に言うならば、厚生労働省は、午前中もそうでしたけれども、誤解があって伝わっていない、伝わっていないということをおっしゃっているわけですよね。であるならば、その資料というものを早急につくって出していただくことが、当事者の方々からすれば、ああ、今私はこれだけ受けている、今度の新しいところでは程度区分が幾つに分かれるかわかりませんけれども、仮に要介護五から要介護一の五段階に区分が分かれたとしましょう、そして今の区分と同じような形で、私はこれぐらい受けているから、ここの恐らく要介護三だと。要介護三という区分に入ることができるということが自分で大体想像がつけば、今度は、ここの要介護三の方の利用時間と単価、そういったものがそこから積算が出てくるわけなんです。そうすると、これだけの利用をすればこれだけのお金を払うんだということが、ここで当然のこととして見えてくるはずなんですよね。

 それを実は私はきのうお願いをしたんですけれども、残念ながら、今回のモデル事業においては、今、研究班の方に投げてもっと詳しい内容を精査中だということでございました。その精査中がいつまでなのか、ひょっとしたら次にお答えいただけるかもしれませんけれども、その精査が終わった段階で、私が申し上げた今回モデル事業に際して、精神、知的、そして身体、そういう対象者の方々の、これは別に名前まで公表しろとは言っていません、全員の今の支援費サービスの利用実態と、その後その人がどういう形でどこの区分に入ったのか、振り分けられたのか。

 最終的には非該当となった方もいらっしゃったわけですよね、大臣、六十五人。非該当の方も、ひょっとしたら今の支援費制度の中で受けているサービス利用時間があったかもしれない。あったかもしれないけれども、それが今度非該当になったために介護給付は受けられない状況になってしまう事例があるかどうかというものを、その中から全部追っていけばわかってくるはずだと思うんですね。

 ぜひこれは出していただけるように、これは、何というんですか、年金や介護のときと同じように、それを出さないと審議、採決に応じないと私は無理に申し上げるわけではありませんけれども、これは出していただけますね、局長。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がありました、実際、対象者は千七百九十人の方でございまして、そういう対象者の方でございますし、大体三障害三分の一ずつというデータでございますので、今どういったサービスを使われているか、それから、例えばホームヘルプサービスの利用状況と今度の障害程度区分については、十一月中には結果を取りまとめることができるのではないかと思っておりますので、その結果についてはきちんとお出しをさせていただきたいと思っております。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 同時に、それを当事者の方々にもぜひ公表をしていただきたいと思うんです。そうすれば、大体の目安というものがここで明確になってくるはずであります。

 したがって、さまざまな、本来ならば、そういう形を一つ一つもっと早い段階からやらないと、本当に不安ばかりが出てきてしまって、きょうの午前中にもいろいろありましたけれども、大臣、私自身はこれをよしとはしていません、この法律自体を。しかし、よしとしていらっしゃる方々がそこまで頑張って言うのであるならば、それがちゃんと大丈夫だよということを、説明責任というのは、やはりこれはその法律をつくっていらっしゃる政府の側に、厚生労働省の方に責任があると私は思っていますので、ぜひそれを見せていただきたいというふうに思います。

 それではもう一つ。九十分で私、時間が長いのかなと思ったら、もう時間があと少しになってきてしまったので、もう一つの大きなテーマであります重度訪問介護とそれから重度包括支援の中に入っていきたいわけであります。

 この法律の五条の三項とそれから九項の二つの項に、それぞれ、重度訪問介護とは何々、そして重度障害者等包括支援というもの、この二つに分かれているわけなんですね。私から当初お伺いをしていたときは、この重度訪問介護と重度障害者の包括支援、これは、重度包括支援の場合は医療ケアを必要とされていらっしゃる方々ですよという御説明を受けていたんですね、ずっと。

 例えば、ではどういうようなものがありますかというと、ALS等を含めたという形で、五月に配っていただいた政省令の内容の中には、ちゃんと重度障害者の包括支援の中にはALSという方々の名前が入っていた。ところが、今度の特別国会からは、これが消えて、最重度な方という位置づけに変わっちゃっているんですね。言葉が消えているんです。

 これは何か意味があって消えているのかどうかということと、それから、改めてここで確認をさせていただきますが、重度訪問介護と重度障害者等包括支援との違いは一体何だというふうに規定されていらっしゃるんですか。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、重度訪問介護と重度障害者等包括支援、これは今度新たに給付類型をつくらせていただいたものでございますが、重度訪問介護は、ホームヘルプサービスのみを利用される場合に、居宅における介護だけではなく外出時の移動介護を組み合わせたサービスを提供することを想定しております。したがいまして、移動介護と、それからホームヘルプであって居宅における介護を想定しているわけでございます。

 重度障害者等包括支援は、ケアホームや通所施設など複数のサービスを併用される場合に、サービス責任者が責任を持ってこれらの複数のサービスを確保することとし、包括報酬とすることを想定しております。そういったものでございます。

 今、対象者のイメージということで御指摘がございましたけれども、重度障害者等包括支援を例にとりますと、人工呼吸器を装着されていたり、最重度の、知的障害の、いわば重症心身障害の方のケースのような場合、あるいは強度の行動障害、こういった方々が含まれるのではないかと考えているところでございます。

    〔石崎委員長代理退席、宮澤委員長代理着席〕

園田(康)委員 そうすると、極めて重度のというまくら言葉がついて、それぞれの身体の障害者であったり知的の障害者であったり精神の障害者であったりということなんですが、この重度障害者等包括支援を判定する判定機関なんですけれども、ここで書かれてある、専門機関が判定をするというふうになっていますね。この専門機関というのは何を指しているんですか。また、だれが判定をするんですか。

中村政府参考人 専門機関としては、更生相談所など、そういういわば障害についての専門機関を想定しております。それから、支給決定は市町村が行いますので、市町村が決定をする、こういうふうに考えております。

園田(康)委員 そうすると、本人が重度訪問介護を利用するのか、あるいは包括支援を利用するのかというその判断は、本人にはないということなんですね。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどの障害のいわば調査から認定、それから支給決定のプロセスのところで、勘案事項として、まさに御本人のサービス利用の意向というものがございました。サービスを決定する場合に、利用者からこういう希望があるということ、それから利用者の状況、介護者の状況ですとか利用者の住宅の問題とかさまざまな勘案事項を考えて市町村が利用決定することになります。

 そういった点でいえば、重度障害の方がここにおられるとすると、スタートは、やはり重度障害の方が、自分はこういうふうに暮らしたいんだ、こういうサービスを受けて暮らしたいんだというボタンがあって、それは多分そういった方は相談支援事業者の方に御相談されると思いますので、そういうことで具体的な御相談をしながら市町村の方に申請があって、市町村の方から利用決定がある、こういうプロセスだと思います。御本人の意向に反してということはないと思いますが、御本人の意向がそうであっても、市町村がいろいろ考えて、そのサービスはむしろ適切ではないのではないかということの意見のやりとりはあると思いますが、まず、サービス利用の意向というのは御本人の方から始まるんだと私どもは考えております。

園田(康)委員 そうしますと、恐らく、本人の意向があって、それを市町村が適切でないと判断した場合は、その利用が別のところに行くという形になるんだというふうに理解していいですね。

 局長、済みません、そういう場合もあるし、あるいは本人の意向があったとしても、受け入れ体制がない場合そのサービスが受けられないという場合もありますよね。つまり、市町村が判断をして、その方にとってみればそのサービスはちょっと違いますよという形で除く場合と、それから、いや、そのサービスは確かにつけてあげたいんだけれども、事業者がいないからつけることができませんね、したがって、本当はこの人は包括支援をやった方がいいんだけれども、包括支援ができないようなところは重度訪問介護だけでとどめておくという形になることも、可能性としてはあるんだというふうに理解していいですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 支援費もそうでございますが、自立支援法も市町村がサービスの種類、量を決定するという形になっております。それで、当然、決める場合に、御利用者の方、障害者の方の一番のいわば福祉を考えて、ウエルフェアを考えて決定するのが市町村だと思いますけれども、今委員から御指摘がありましたように、そこの地域にサービスがなければ提供できないわけでございますので、そういった場合には、御利用者が使いたい、市町村がそのサービスを使わせたいと思っても、サービスがない場合にはどうしようもないということは起こり得ると思います。そのときには、そういうサービスがなければ市町村はやはり決定できない、そういう事態は起こり得ると思います。

園田(康)委員 ごめんなさい。いろいろな可能性をちょっとここで探っておきたいんですが、例えばその市町村の中身では相談事業者が適当なところがない。では、その市町村を超えてもっと幅広いところで行けば利用できる事業者があった。それなら、それは、地域を超えて利用できるものなんですか。

中村政府参考人 そのとおりでございます。事業者が市町村に所在するということが別に条件でございませんので、そのような物理的に利用できる距離にあれば実際問題としては使えると思いますし、法律的な制約はそういうものがございませんので御利用になれます。

園田(康)委員 これは、そうすると、端的に大臣にお伺いをしたいんですが、全身性障害の方など二十四時間介護が必要な方が、重度包括支援あるいは重度訪問介護、どちらでも結構なんですが、ちゃんとこの自立支援法の範疇の中において、このサービスが利用可能になっていくというふうに理解をしてよろしいですか。

 今、現に利用されていらっしゃる方もそうですし、それから、これから、例えば私が聞いているところによれば、まだ青森県などはそういう事業者がないということで、支援費もALSの方でも利用できていない実態があるということも伝わってきているんですが、そういうところでも他県からでもこういう事業者が入って、しかも二十四時間その方がきちっと受けることができる制度設計として理解をしていいかどうか、大臣。

尾辻国務大臣 ただいま重度訪問介護や重度障害者等包括支援についてお尋ねをいただいておりますけれども、これらにつきましては国庫負担基準を設定していくことになります。そのときに、現在、月二十二万円という水準でございますけれども、特に重度の障害者の方々の全国のサービス利用実態なども踏まえつつ、この水準についてはまず上げる方向で見直してまいります。水準を今の水準よりも上げる方向で検討ということは、まずお約束を申し上げておきたいと存じます。

 そこで、さらに、こうした皆さんが地域でお暮らしになる場合に二十四時間通しての支援が必要となるケース、今お話しになった場合でありますけれども、そうしたケースも想定されますので、その場合は、今国庫負担基準を上げる方向で検討しますということを申し上げましたけれども、その検討にあわせまして、長時間のサービス利用という実態に即した報酬基準のあり方、それから、重度の障害者の地域生活を、より効果的、効率的に支えるための給付内容はどうあればよいか、こういったことについてきっちりと検討を進めまして答えを出します。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 ただ、サービス単価の部分ですね、報酬金額。この報酬単価が、御承知のように、身体介護とそれから今の支援費制度とでは大きな差が、開きが、この中にあるわけなんですね。

 したがって、今、大臣が本当に心強くというか力強くおっしゃっていただいたわけなんですけれども、今の支援費の介護サービスの部分に関しての報酬単価の、これはいわば同じように引き上げという形で私は期待をさせていただきまして、当然それがあってしかるべきものだというふうに思っておりますし、それが、先ほど一番最初に大臣がおっしゃっていただいていた、あるいはきょうの午前中でもおっしゃっていただいていた、サービスそのものをふやしていくんですよ、ふやしていくといいますか、この障害施策そのものをふやしていくんですよということに、私は、これは一番つながってくる部分だと思っております。

 ただ、先ほどおっしゃっていただいていた、この月の二十二万の百二十五時間というサービス水準の低下を招くことがないようにというお言葉なんですが、これが、ともすると全体の地ならしということが、まだどうしても私のこちらの右の脳の方にはあって、すなわち、地域間格差、先ほども申し上げた青森県などではまだおくれてそういうところに取り組みがなされていない部分があるわけなんですね。

 したがって、そういうところにお金を持っていかなければいけない。サービス水準の低下を招かないということは、すなわち、このまだやっていないところをやっている高いところ、ここまで押し上げるということを考えているのか、あるいは、これを平準化して国の水準はこうですよと。したがって、ここからすれば、この水準に対して、まだやっていないところの低い部分はここの水準まで上げることですよということを、この大臣の現行のサービス水準の低下を招くことのないという、それのまくら言葉として、適切な水準という言葉をよくずうっとこの委員会でも参議院の方でもおっしゃっておられたし、ほかの答弁される方もそのようにおっしゃっておられたんです。

 それは、今行われている水準を全部が全部引き上げていこうというふうに考えるのか、その水準、国庫負担基準を基準として、平準化して、そこに足りないものを上げていくだけの話であるのか、ここをきょうは実は私は明確にしておきたいんです。大臣、これをどのように私は理解をすればよろしいでしょうか。

尾辻国務大臣 サービスの量と質の問題があります。私どもは、量も質も落とさずに、特に今の支援費制度が持っておる質を落とさずにやっていきます。量はもう、支援費制度を今度変えようというそのものの中に量が不足しているというふうな思いがあるわけですから、地域間格差があって、今お話しのようにやっていないところなどがあるわけですから、そこをやってもらうということは量がふえるわけでありまして、それがねらいでもあります。いずれにしても、量と質、落とさずにやっていきたいということを申し上げておるところであります。

 そして、午前中も申し上げましたけれども、高いところと低いところがある。これを平均にして、高いところを落として低いところを上げてというふうに考えておるわけじゃありませんで、これは低いところを上げるという考え方でありますということも申し上げておりまして、私どもは、そのようにいたしますということをお約束申し上げておるところでございます。

園田(康)委員 いろいろ議論をしてまいりましたけれども、私は、本当に大臣の言葉というのは大変重いですし、そういう面では御信頼をしたいですし、そうさせていただくのが、いわば法案を審議していく上では唯一救いになっていくのかなという気はするんです。

 ただ、残念ながら、まだ実は移動支援のところもありまして、最後ちょっとここだけはあわせて聞いておきたいんですが、今のその大臣の言葉をかりるのであるならば、最初に話が出ていた地域生活支援事業という部分がございます。移動介護の場合は支援費などで個別給付で今まではやられていて、個別給付で、すなわち個人個人の求めに応じてそのサービス量を決定して支給をしていたんです。

 だからこそ、その障害当事者の方々にとってみれば、自分の求めに応じてさまざまなところに地域参加をすることができるようになった、これは本当にいい制度だったんですよ、こういう形にしたのが。ちゃんと国もそれに対してはお金を払おうという形をとっていた。ただし、予算としては確保できている段階での裁量的経費という形になっていたものだから、問題がその場で起きてしまった。でも、その移動をするという形に際してはちゃんと個別的に給付が出ていた。

 ところが、今回の予算形態の中においては、地域生活支援事業という形で、今までの個別給付からいわば地ならしの、地ならしの一端という言葉が正確かどうかはわかりませんけれども、個別給付ではなくて総額予算の中に入ってしまったんですね。すなわち、地域で、確かに必須事業としてはやりなさいよといって法定化をしましょうという形には持っていただいたんですけれども、しかし、それがその中身がちゃんと予算化、義務的経費化をそこまでされるのかというと、そうではないわけなんですね。

 ことしの概算予算で二百億円という予算がつきました。この全体で二百億円という予算がついたんですけれども、これが、果たして、今の移動支援を受けている方々が、ちゃんと、地域生活支援事業の中で皆さん方が受けているサービスをそのままこの二百億円で、全国の移動介護を求めている方々のサービスを低下させないようにこの二百億円で配ることができるんですかということと、それから、もしそれで足りなくなった場合は、これは二百億円以上の予算をさらに増すことが想定としてあるのかどうか、これを最後にちょっとお伺いしておきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域生活支援事業の中で、移動支援も含まれておるわけでございますが、十八年度の概算要求で二百億円要求いたしておりますが、これは半年分、十月実施でございますので、半年分でございますので、満年度にすると四百億円の規模を考えております。十九年度以降、この四百億円をさらにふやすことができればさらによいなというふうに考えておるところでございます。

 満年度ベースで四百億円の配分につきましては、人口規模に基づく基準もございますけれども、今それでやりますと、非常に地域格差がある状況でございますので、現在のサービスの実施状況も踏まえまして、そういうものを反映して配分をしてまいりたいと思います。

 私どもでは、この四百億円の予算で、移動支援も含め対応できるものと考えておりますが、十九年度以降さらに必要であればまた所要経費を確保できるように頑張ってまいりたいと思います。

園田(康)委員 頑張るという言葉をいただいているわけなんですけれども、ただ、それが本当に足りなくなったときに、要は、あとは市がこれを全部持たなきゃいけないという形になってしまうんですね、大臣。その点は危惧としてまだ、私は問題点として残ってしまうんじゃないかなという思いだけ最後に申し上げさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

宮澤委員長代理 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今回の障害者自立支援法案は、申し上げるまでもなく、前国会で次々と問題点が明らかになった中で、総選挙で廃案になって、今度は院の構成も変わって、そして出し直されたものであります。

 しかも、きょうの質疑でも、初めて法案審議に参加するという議員が午前中含めてございました。私も、かつて参議院におりましたけれども、この法案自身をやったのは今回もちろん初めて衆議院でやるわけでありますが、そういう意味では、継続審議ではなく、改めて趣旨説明もあって、そして民主党の提案も出されました。ですから、基本問題からしっかり時間をとって、参考人質疑そして公聴会という形で徹底審議すべき重要法案だと思います。

 今国会での参議院での審議を経ても、障害者や関係者の皆さんから怒りの声が上がって、廃案にして仕切り直せ、この声がますます高まっていることを重く受けとめるべきだと私は思うんです。

 そこで、最初に今国会に新たに提案された民主党提案の法律案について二点、端的に伺いたいと思います。

 まず、民主党案では、精神も入れて三障害に対して支援費制度を適用することになる。これは、義務的経費として国の財政責任を明確にして応益負担をしないということでありますけれども、なぜ応益負担がだめだというふうにお考えなのか伺いたいと思います。

山井議員 笠井議員にお答え申し上げます。

 そもそも応益負担といいますと、定率負担とも言いますが、障害が重いほど多くの自己負担を払うという制度であります。しかし、これはまさに福祉の理念に反しておりまして、世界じゅうを見ても、障害者福祉において障害が重いほど多くの自己負担を取るという応益負担の考え方を導入している国はありません。今回のこの法案が初めてであります。

 だれも望んで障害を持って生まれたわけではありません。なおさら、だれも望んでより重い障害に生まれたわけではありません。そういう方々からより多くの自己負担を取ろうとするこの応益負担という考え方は、福祉の理念に反すると思いますし、やはり改革という以上は、理念が最も重要でありますから、そういう理念の間違った政府案ではなく、私たちは、所得に応じた自己負担ということで、支援費の応能負担というものを当面続けようというふうに考えております。

笠井委員 ありがとうございました。私も、今山井議員が答弁された点は非常に重要な点だと思います。

 もう一つ伺いたいんですけれども、民主党案では、難病なども対象とした包括的障害者福祉法の検討というのがございますけれども、策定段階での障害者の皆さんの意見の反映という点についてはどのように担保をされているか、お考えを伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

山井議員 笠井議員の質問にお答えさせていただきます。

 今御質問いただきました障害者の声をいかに改革に入れていくかということは、最も重要なことであると思います。一番重要なのは、まさにこの制度の主人公は障害者の方々であるということです。

 そういう意味で、私たちは、まず何よりも時間をかける、今後二年以内に包括的障害者福祉法制を策定するというふうに書いておりますけれども、二年間じっくり障害者の方々の声を聞かせていただきたい、検討会をつくってやっていきたいと思っております。今御質問されましたように、難病や、また難病の中にもいろいろなケースもありますし、障害によってもさまざまな違いがあります。これを丁寧にやっていかねばならないと思います。

 一つだけ最後につけ加えさせていただきますが、今回の政府案の最大の問題点は、当事者不在、まさに利用される側の障害者の方々が障害者の声をもっとしっかり聞いてくれと言っているにもかかわらず、無理やり強引にこういう応益負担の制度を導入しようとしている。こういうやり方もやはり改革には決してなじまないというふうに民主党としては考えております。

笠井委員 ありがとうございました。私も同感です。よくわかりました。

 そこで、政府案について伺いたいと思うんですが、私、政府案の最大の問題点は、今お話もありましたが、障害者福祉を現在の収入に応じた応能負担から、サービス利用は障害者が利益を受けるということだとして応益負担に変えたことだと思うんです。

 大臣は繰り返し答弁の中で、きめ細かな配慮、激変緩和をつけるなど限りなく応能負担に近づけている、こうおっしゃったり、負担の軽減に努めていると言われたり、予算もふやしていると言われております。しかし、私、何とおっしゃろうと、こういうやり方というのは、従来の収入に応じた負担方式によって低く抑えられて、ホームヘルプや通所施設について言えば九五%が無料で利用できたものが、すべて一律に一割の定率負担とされて、手厚い福祉が必要な重い障害の方ほど重い自己負担で、サービスを利用しにくくする。大臣は、すべての人に受けられるようにと言われたけれども、まさにそれに逆行して、福祉を壊すスキームにほかならないと私は思うんです。

 そこで、中村社会・援護局長に伺いたいと思います。

 局長は、参議院の審議の中で、「今度の法律というのは、やっぱりサービスは買うものだと、みんな買う主体になると、」「それが新しい福祉の考え方」、こういうふうに答弁されましたけれども、私、これはおよそ福祉の考えからいったら信じがたい答弁だと思うんです。健常者でも、本来社会保障の負担というのは応能であるのが原則であるべきでありまして、ましてや障害者の方々に応益なんというのを持ち込んでくるというのはもってのほかだと思います。まさに障害者の皆さんはハンディキャップがあるからこそ、その差を埋めるということで、それを支援するというのが、それこそが障害者福祉ではないかというふうに思うんです。

 私、その担当責任者である局長の発言、重大だと思いますので、障害者のサービスは買うものだ、そういう発言については撤回していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 私の参議院での御答弁は、十月六日、福島みずほ議員に対して委員会でお答えした御答弁でございまして、その全容はそこでお答えしたとおりでございます。

 私の申し上げたかったことは、今回の自立支援法は、一割負担と言われておりますけれども、九割は国民の皆さんの税金で支え、サービスの九割についてはみんなで支え合う、そういった中で利用者である障害者の方も最大一割の御負担をお願いするというのを基本的な考え方としておりますけれども、所得に応じましてその一割部分についてもさらに上限を設けたりして、きめ細かな配慮をさせていただいている。

 サービスは買っていただくと申し上げましたのは、契約の主体として御負担いただける範囲内で費用をお支払いいただくということで、権利性も持ち、気兼ねなくサービスを利用していただいた方がこれからの障害者福祉にとって適切ではないかと考えた次第でございます。そもそも応能負担は、以前の高齢者介護がそうでありましたように、どうしても低所得を念頭に置いた制度でございます。我が国の社会保障の九割以上は社会保険で賄われておりますが、これはいわゆる応益負担ということでございまして、社会保障であるから応能負担ということでは必ずしもないと考えております。

 今回の改正は、大臣も申し上げておりますが、障害をだれにでも起こり得るものととらえ、障害福祉サービスを低所得者を念頭に置いたものからすべての人が受けられるユニバーサルなものに変革するものでございまして、むしろ、障害者イコール低所得者と決めつけるのではなく、障害福祉サービスを低所得者サービスと限定するものではなく、広く国民の方がそういう状態になったときには使っていただく、しかも、九割はみんなで支え合い、最大一割負担であるということ、しかも、低所得の方については上限を打ちますし、大変多くのサービスを使われる方については上限を打ちますので、サービスを多く使われる方、重度の方ほど一割負担ではなく負担率は下がる、こういう制度と考えております。

 そういったことを短い時間の中で一言で表現しなければならなかったので「サービスは買う」という表現になりましたけれども、その買うという表現が非常に不適切であるということであれば取り消しはさせていただきますけれども、私の考え自体はただいま申し上げたとおりでございますので、御理解賜りたいと存じます。

笠井委員 不適切で取り消すと言われました。私、全く不適切だと思うんですよ。

 それで、およそこの障害者福祉の分野で契約に基づくとかという話、全然もう考えが違う、根本から違うと思います。それから、今上限を打ってというふうに言われて、負担率は低所得の人には率が下がると言われたけれども、率は下がったって負担はふえるんですよ。それで生きていけない、暮らしていけない、これが現実でしょう。

 しかも、私、非常に今気になったんですが、応益負担になれば障害者の皆さんが気兼ねなくサービスを受けられる、応能負担だったら気兼ねしている、こんな話なんですか。とんでもない話ですよ。およそ障害者に対する基本的な理念と考えが欠けていると私言わざるを得ない。本当に今、怒り心頭になりました。とんでもない答弁をされた。普通に生活したい、社会に役立ちたい、そして人間らしく生きていきたい、それはまさに障害者の皆さんの尊厳であり、基本的権利、人権であり、そしてまさに生存権の問題で、根本問題です。今度の法案をつくった担当の責任者の方がそのことと全く違う考えでやっているなんというのは、私、ちょっと世界の中でも恥ずかしいと思います。

 国会でも、たくさんの障害者の皆さんや関係団体の皆さん、切実な訴えをされております。部屋にも来られました。きょうもたくさんの方が傍聴に来られています。先日、私、東京の東大和や立川やそれから昭島というところから来られた、現場でたくさんの声も伺ってまいりました。

 社会保障審議会の障害者部会の委員の福島東大助教授がこういうふうに言われているのを私、注目しました。重度障害者の多くは、個人レベルでの社会保障が脅かされている存在だ、まず、トイレやふろ、食事といった日常生活動作における支援のニーズは、まさに命に直結する、応益負担はいわば無実の罪で収監された刑務所からの保釈金の徴収に等しい、ここまで言われて、福島さんなりに厳しい批判をされているというふうに、私、文章を拝見しました。皆さんもそれはよく御存じ、大臣も御存じだと思うんです。

 障害者の社会参加や自立に必要なサービス、必要な医療というのは、特別の利益でもぜいたくでも何でもありません。障害からくる不利益というのは、本人や家族のせいじゃありません。しかも、これまでも所得に応じて費用負担をされてきたわけであります。

 局長に重ねて伺いますけれども、障害者の費用負担は健常者の場合とも違うというのは、これはもう世界でも常識だと思うんですよ。世界のどこに局長と同じような考えで、そして障害者に一割の応益負担を求めている国があるか、具体的に言ってください。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 その前に、委員は、障害行政では契約はとんでもないというお話でございましたけれども、措置から契約になったのは支援費制度でございまして、その支援費制度を継承して今度の障害者自立法も契約でございまして、契約を否定される方は少ないのではないかと思いましたので、ちょっとそこは気になりましたので申し上げたいと思います。

 先ほど来申し上げておりますように、今度の法律は、これから障害者の方々のサービスもふえる、精神障害の方も対象になるということで、これから福祉サービスはどんどんふえていく、そういった中で、みんなで税制度で支える方式をとっておりますけれども、みんなで支え合うわけでございますので、利用者の方にも応分の負担をしていただき、また、税を払っていただいている国民もある意味では当事者でございますので、もう一方の当事者の方々にも御納得いただける制度としていくという考えからつくったものでございます。

 よく、この定率負担については世界に例がないというような言われ方をいたしますけれども、例えば、サービスに応じて限度額を変えてある国はたくさんございまして、スウェーデンも利用者負担の上限は、週一、二回のホームヘルプサービスを使う人よりも二十四時間ホームヘルプを使う人は四倍以上の負担をいただいておりますし、継続的にホームヘルプまたは二十四時間介護を使う場合にはさらにその倍ということで、普通のホームヘルプを使う人の八倍くらいの負担をいただくというように、サービスの量に応じて高い利用料をいただくという国は、スウェーデンでもそうでございます。

 また、イギリスもサービス量に応じた費用の負担をお願いするということで、税でやっているからといって、そういう応益負担的な負担をしている国は皆無である、そういったことは必ずしもないということでありますし、逆に、応能負担をしている国、ドイツ、フランス、アメリカは、対象者を低所得者に限定した上で応能負担をするということで、ユニバーサルなサービスにはなっていない、こういうことであります。

 どの国でもいろいろ障害福祉制度の充実には心を配り、努力していると思いますけれども、そういった中で、やはり一定の御負担をお願いするということ、私が申し上げましたのは、応能だから権利性がないとかそういうことではなくて、必ずしもただがよいということばかりではないだろうということで、みんなで支えているわけでございますので、利用される方も、これから新たに障害福祉サービスを受けられる障害者の方も入ってくるわけでございますから、お払いいただける範囲で御負担願いたいとお願いしているというのが今度の障害者自立支援法でございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。

笠井委員 長々言われましたけれども、私もヨーロッパに三年ほどおりまして、スウェーデンも行ったことも何度もあります。それで、いろいろ聞いてきましたけれども、やはり日本みたいな、今話になっているような、こんな形で一割の応益負担なんということはやっていないですよ。

 しかも、問題は、今、さっきの私の何か言葉じりとらえたみたいなことを言われたけれども、これもひどいと思うんです。私が言いたかったのは、要するに、利益を得るなんという契約ということで障害者福祉をやるなんということはとんでもないという話をしたわけですよ。そこを問題にしているわけでしょう。

 局長はああいうことを言われましたけれども、そして、しかも納税者との関係を言われました。私、むしろ障害者福祉担当の責任を持っている局長であれば、そして政府であれば、納税者に対して、納税者の中からは確かに、いや、障害者の方からももうちょっと負担してほしいという声が出るかもしれない、そうしたときに、体を張って、障害者の立場に立って、いやいや、違うんです、障害者の皆さんはこういう状況なんだ、障害者としてやはり特別のハンディがあって、そして、なぜそれに対して障害者福祉ということでやってきたのか、応能負担でやってきたのか、これを納税者、国民に説得してこそ担当責任者でしょう。そういう立場に立てなかったら、だれが一体障害者を守るんですか。

 大臣、ちょっと伺いたいんですけれども、さっき局長は、適切でないとすれば取り消すと言われるようなことを言われて取り消されましたけれども、金で買うなんということを国会の場で答弁されたんですよ、参議院で。しかも、今納税者のことを考えたら応分の負担をしてもらわなきゃ、利益に応じてということを平気で言われている。私、こういう立場でこの法案をつくってやられたんだったら、これは本当に大問題だと思うんです。大体、障害者の皆さんへのサービスというのは益というほどのものか。決してハンディを埋める以上のものを要求などしていないわけですよ、求めていないわけですよ。

 昨日も、各議員室に、愛媛の中学校一年生の十三歳の前田俊彰君という、トシ君が回られて、私も直接会いました。車いすに乗られて来られて、衆議院議員の皆様といって、僕、定率負担、応能負担になるのは反対だよ、署名数五千四百筆といって、新しい法律になったらお金の負担が重くて困る、ほかの友達はトイレに行ったり外出したりするのはお金を払うことないのに、障害のある僕は利用料がかかるのはおかしいと言われました。

 トシ君は障害を持ちながらも明るく、そして吹奏楽部で部活をやっている、パーカッションをやっていると言っていました。五年たったらひとりで住んで、大学にも行きたい。まさに未来を担っていこうという意気込みを持って頑張っている彼が、やはりこの法案というのをそういう目から見ても反対だと言って、思い余ってやって、そして国会に来られた。胸を打たれました。彼の率直な訴えに多くの障害者、大人や若者が愛媛でも賛同して、二週間で千の目標の署名が五千四百集まったということでありました。

 大臣にもぜひ会いたいと言われていましたので、会っていただきたいと思うんですが。

 そして、こういうやはり一人一人の障害者の皆さんの思いと現実を、厚生労働省先頭になって、大臣先頭になって、納税者に知らせて、障害者を応援してこそ政治じゃないでしょうか。障害者にとっては直接命にかかわって、そして一生続く問題であります。

 大臣、そうしたことについて、今度それを放棄して障害者のサービスは買うものだというようなことを、取り消されたからいいですけれども、担当局長が言われるなんということで、こんなことでいいんでしょうかね。いかがですか。

尾辻国務大臣 まず、買うという表現についてのお話でございますけれども、これは本人が先ほどるる御説明を申し上げました。

 今回、私どもが障害者自立支援法を提案させていただくに当たってのいろいろな基本的な考え方がございます。幾つも局長自身も御説明申し上げましたけれども、そのうちの一つ、これは自立支援法になる前の支援費のときの考え方でありますけれども、契約という考え方がある。そして、支援費のよさは私どもは今度自立支援法にそのまま引き継ごうと思っておりますから、そうしたいい面は引き継いでおりますので、今度の障害者自立支援法案についても、契約という考え方はそのまま持ってきておりますということを言いました。

 今、私がいろいろ申し上げておりますのは、特に局長が買うということで表現したものの一番のポイントはその辺にあったのかなと思いますけれども、しかし、本人も、買うという表現、これは誤解を与えてまずかったとするならば訂正しますということを申し上げておりますので、そこのところはそのように御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。

 そこで、今度は、今度の支援法を取り巻くことについてのいろいろなお話がございましたけれども、私も、まず障害者の皆さんの御意見をどういうふうに聞くのかというところが、一つの今の先生のお話のポイントでもあろうかと思いますから申し上げるわけでありますが、これはもう随分前になりますけれども、障害者団体の方とお話を申し上げましたときに、自分たちはタックスイーターじゃなくてタックスペイヤーになりたいんだとおっしゃった。これは大変私は感動的に聞きましたし、以来、私の頭から離れない言葉であります。そして、これがやはり向かうべき姿だと思って、大臣になりましてからも、またこの障害者支援法を提出するに当たっても、ずっと頭の中にあったセリフであります。

 そして、できるだけ皆さんにお会いしなきゃいけないというふうに思いました。まず、大臣になります前に党の部会長でございましたから、そのころも障害者団体の皆さんとは勉強会をいたしておりまして、ずっと勉強会も続けておりました。ただ、大臣になりましてからその勉強会に出られなくなりましたけれども、そうした中でもずっと意見交換もさせていただきました。そして、申し上げたように、大臣になりましてからも、少なくとも十カ所以上のところにはお伺いをして、いろいろな御意見も伺ってまいりました。そうした中で、私はこの障害者自立支援法を出したわけでございます。

 その基本にありますのは、やはり再三申し上げておりますように、無理な御負担をお願いしちゃいけない、これは本当にそう思っておりまして、きめ細かく軽減措置をつくらなきゃいけない、それができなければ私も本当にこの法案は出さないつもりでおりましたけれども、あれだけのものができた。やはりこれは、みんなで支え合う制度として持続可能なものにしていく、先を見据えて持続可能なものにしていくためには、今回ぜひお願いしなきゃいけないというふうに思いまして、私はお願いをいたしておるところでございます。

 これは日本の障害者施策を大きく前に進めていく第一歩になるものだと私は信じて、この法案をお出ししているところでございます。

笠井委員 大臣からお話ありまして、私幾つか感じたことがありますが、一つは、契約に基づくということで、支援費制度を引き継いでいるんだと言われましたが、引き継いでいるというか、格段に今度はがらっと性格が変わったわけですよ。だって、今度は利益を得るということでそういう契約になるわけですから。引き継いでいるというのと全然これは性質が違うというふうに思います。

 それから二つ目に、大臣も、きめ細かにということで、午前中の質疑でも、非常に複雑なんだ、だからどうやって説明して御理解いただくかと言われましたが、私は、なぜこんなに複雑でわかりにくくなったかというと、これは応益負担をやったからだと思うんですよ。まさにそこに問題がある。

 そして三つ目に、持続可能な制度のためというふうに大臣も言われましたけれども、私はその言葉を聞いていつも思うんですが、その前に、持続可能な制度が残る前に障害者の家庭が破壊される、こういう叫びが上がっているんです。制度残って障害者が生きていけなかったら、これは何にもならないわけです。そういう問題として、私はこれは重大だと思います。

 政府がまず考えなきゃいけないのは、お金ではなくて人間です。働けるかどうか、まずそこが大前提としてある。コミュニケーションにしても、移動にしても、地域での生活にしても、これは利益じゃなくて権利です。それをやはりきちっと応援する、こういう立場に立たなかったら、大変な負担増が残るだけ。

 今度の法案でどれだけの障害者の皆さんの負担増になるか。改めて伺いますけれども、障害福祉サービスと自立支援医療に係る利用者負担というのは、平年度ベース、事業費ベースで合計幾らになりますでしょうか、満年度化して。端的に、数字だけお願いします。

中村政府参考人 今回の見直しで、福祉サービスの負担は、十七年度、満年度ベースでございますが二百六十億円となります。

笠井委員 事業費ベースで、自立支援医療も含めて、全部合わせて。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 福祉サービスの方で二百六十億でございまして、事業費ベースではその倍でございます。自立支援医療は九十億でございます。

笠井委員 ちょっと、そのぐらいはぱっと言ってほしいんですよ。合わせて七百億円になるでしょう。これはもう前にそういうような話も出ていましたから。そうですよね。

 大臣、これは障害者と家庭にとって負担軽減どころか大変な負担増を強いるだけなんです。それでなくても、生活保護より低くて生活できない、障害者年金二級の六万六千円ではとても暮らしていけないという現実がある。そういうところに応益負担をかぶせて、しかも、今それだけじゃなくて、医療費の負担増、それから控除をなくすとか、消費税増税とかいう議論があるわけですけれども、それこそ障害者が生きていけない、こういうことになってしまうと思うんです。

 日本の障害者福祉の現状というのは、日本の憲法の立場から見ても、国連で今到達している立場から見ても、はるかにおくれている。それをもっと後退させようとして、自立支援どころか妨げる法案だというふうに言わざるを得ないと思います。

 私も、実は身体障害者の母を今日まで十三年間介護してきております。国民だれもが、いつ障害を持つ身になるか、いつ障害を持つ家族になるかわからない。そして、なってみなければわからない。この社会というのは、バリアとハンディだらけだというのが実感でありました。だからこそ、徹頭徹尾、障害者と当事者の実態と意見を聞いて、その納得いく施策をやる。社会がみんなで支えて、国が応援する。障害者福祉というのはそういうものだと思うんです。

 私は、そういう原点を投げ捨てて、一層の負担ばかり強いる法案というのは、これは廃案にして、やはりちゃんと、本当に障害者の自立支援、そして社会参加を促進するという法案を国会が責任を持ってつくるべきだ、このことを強調させてもらって、第一回目の質疑になりますが、きょうは終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党・無所属クラブの柚木道義でございます。このたび、今国会三度目の質問を、障害者自立支援法の法案質疑としてさせていただくことになりました。

 冒頭、ここで私はある言葉を引用させていただきたいと思います。それは、ある障害者の方の言葉でもあります。私は障害を持って生まれたことを不幸とは思わないが、日本というこの国に生まれたことを不幸だと思う。そういう言葉がございます。

 今、GDP世界第二位とか国連常任理事国入りを目指すとか、それはそれで大変すばらしいことかもしれません。しかし、一方でほんの一握りの勝ち組だけが繁栄の益を享受し、一方で自殺者や失業者、生活保護を受けられる方々や少年犯罪を含む犯罪発生件数が増大し、所得格差に加えて教育格差までも拡大し、さらに障害者や子供やお年寄りが暮らしにくいこの国に生きる私たちは、果たして自身の未来に希望を抱くことができるのでしょうか。

 言うまでもないことですが、障害者の生きやすい、暮らしやすい社会は、子供やお年寄りにとっても住みやすい社会であります。ユニバーサルデザインやバリアフリーなどのノーマライゼーションの具現化に向けて、私たちはその歩みを緩めるわけには決していきません。また同時に、障害者の皆さんにとって住みにくい、暮らしにくい社会とは、子供たちやお年寄り、そして実は我々健常者にとっても大変息苦しい社会なのではないでしょうか。

 私は、冒頭この言葉をぜひ皆様にお伝えさせていただきたいと思います。障害者福祉の先にこの国の未来が見える。障害者福祉の先にこの国の未来が見える、私はそう思います。その認識を本日答弁席のお一人お一人の方々と共有させていただき、私からの質問に入らせていただきます。

 基本的に今回の質問は、細部の専門的数値や詳細な法的根拠を問うべき部分を除きましては、本法案の重要性をかんがみましても、大臣に御答弁いただくように冒頭お願い申し上げます。

 さて、まず一番目に、本法の目的に、障害者基本法の目的に明記されている「自立及び社会参加」が文言として明記されていないのは、やはりどう考えても納得できません。いま一度大臣の御認識をお伺いいたします。

尾辻国務大臣 まず、本法における目的のところは、さきの衆議院における御審議の際で修正をされておりますので、私どももその修正に沿って今回はそのとおりにさせていただいております。

 今改めて、そして自立ということでございますが、私は、障害者に限らず、今日本の社会保障を取り巻くいろいろな施策、この中でやはり一番肝心な言葉の一つが自立支援だというふうに考えております。

 実は、大臣になりましたときに最初に言いましたことが、キーワード二つ、一つが自立支援、一つが予防だと言いましたことを今改めて思い起こしております。したがいまして、私は、この社会保障の中で、自立、自立支援と言った方がいいのかもしれませんけれども、このことは大変重要なキーワードだと思っております。そしてまた、障害者の皆さんのことを考えるときも、これは極めて重要なキーワードだと思っておるわけでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、私が大変記憶に残っております言葉の一つが、障害者の団体の方とお話をいたしましたときに、自分たちはタックスイーターじゃなくてタックスペイヤーになりたいんだとおっしゃった、まさに自立だとおっしゃった言葉もありました。今そのように申し上げておるところでございます。

 そこで、自立とは何だということにもなると思いますので申し上げますと、今回私どもが考えております自立というのは、何も経済的なことで言っておるつもりじゃありません。もっと大きく生活をしていかれる上での自立ということを考えておりまして、私はその辺のところを、尊厳を持ってその人らしく、人間らしく生きていくことであるというふうに考えておるところでございます。

柚木委員 私、今改めてお尋ねした意味というのをぜひ大臣にお考えいただきたかったんですが、今の御答弁の中に、大変大事なキーワードで自立支援のことをおっしゃられました。問題なのは、その自立支援という言葉じりはいいんですけれども、その中身が大変に問題があるということをこれまでの議論の中で指摘をされているわけです。

 私は、本法の目的は、障害者支援費制度、これがありましたが、その支援費制度の介護保険制度化にそもそもあったと思うんです。しかしながら、今の制度のもとでは、介護保険受給者より支援費支援を受けている障害者の方がより大きな介助を受けているというのが現状なんですよ。

 ここで、今大臣が御答弁の中で触れられましたように、障害者の皆様のまさに人権、尊厳をより尊重するということであれば、本来、介護保険制度の支援費制度化はあっても、その逆はあり得ないんじゃないんでしょうか。いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 質問の御趣旨を正しく理解したかどうかは私も自信がありませんけれども、介護保険と障害者の皆さんの施策をどうするかということで整理して申し上げますと、介護保険は介護保険でございます。ただ、その介護保険の今回の見直しの中で、普遍化という言葉で私どもが表現をした、年齢や受給者、被保険者の拡大ということをどうするかという議論はありましたけれども、とにかく、私どもが整理いたしておりますのは、障害者の皆さんで、介護を必要とする部分が当然あります、その介護を必要とする部分は介護保険でやってもらうのがいいと考えておりまして、何もそこをどっちかに取り込むとか、こっちがこっちの中に入っていくとか、こっちがこっちの中に入っていくとかというふうに考えておるものではありません。私どもはそのように整理をいたしておるところでございます。

 まずは、以上、お答えを申し上げます。

柚木委員 私が問題にしているのは、本来、まさに介護保険そのものは介護の社会化という理念の具現化だったと思いますが、今回の三障害の一元化、そのメリットを一番享受しなくてはならないのはまさにそれぞれの立場の方なんですね。それが実際、今回の三障害の一元化によって、この質問の中で申し上げましたように、支援費制度の状況の中で受けていたサービスの方がこの三障害を一元化して受けることになるサービスよりもよかったということが問題なんじゃないんですかということ、そういう事例が出てくるということを今申し上げているわけです。

 この次の質問にも関連しますから、そこであわせてお答えをいただきたいと思うんですが、それでは、大臣、本法案では、今まで行われている支援費制度と比較して、障害者の方々の自己決定が一体どれだけふえたと言えるんでしょうか。お答えいただけますか。

尾辻国務大臣 今回の改革では、先ほども申し上げましたように、支援費制度のよさというのは引き続き持ちながら、さらにというふうに申し上げておるところでございます。したがって、支援費制度の自己決定、自己選択、今お触れになった部分でありますけれども、理念は維持して、さらに質と量の両面における障害福祉サービスの充実を目指すものでございます。

 したがいまして、あるいはそれでお答えになっているのかと思いますけれども、もう少し具体的に申し上げますと、サービスの量についてであります。

 一層充実させなきゃいけませんので、例えて言いますと、空き教室でありますとか空き店舗などの地域の社会資源の活用を認めまして、NPOなどの運営主体の規制緩和を進めていく、これによって量がふえていくというようなこともありますし、それから、市町村等にサービスの種類ごとに必要なサービス量を定めました障害福祉計画の策定を義務づける、今まで市町村が自分たちの判断といいますかまさに裁量的な部分でやっていたことを、もう少しきっちりと福祉計画を策定してやってもらうというようなことをいたします。

 まず、これが量にかかわる部分でございます。

 また、次に申し上げますと、内容や質、これも充実させなきゃいけませんから、これにつきましては、障害者の個々のニーズに合ったサービスが受けられますように、地域生活や就労の支援を行う事業、自立訓練でありますとか就労移行支援事業などでございますが、こうしたものを新たにつくろうとしておるということでございます。

 幾つか具体的に申し上げましたけれども、こうした施策を通じまして、先ほど申し上げましたように障害福祉サービスの質と量が充実するということで、障害者の皆さんの選択肢ももっと広がりまして、ふえまして、結果といたしまして、自己決定の幅は当然、選択肢が広がるわけでありますから、幅が現在よりも広がるというふうに考えておるわけでございます。

柚木委員 今、サービスメニューが増加するという面についてお答えいただいたんですが、私は、内容は大いに疑問に思っておりまして、この後も質問させていただきますが、大臣、今おっしゃられたこと、本当にそうなんでしょうか。

 では、大臣、そのサービスメニュー、さまざま受けることになるメニューがありますが、その前提となる審査がありますね、その審査の妥当性そのものに私は疑問を抱いているわけですね。メニューの中身、またこの後言いますけれども、審査の妥当性、つまりモデル事業として試行的になされた障害者の皆さんの認定の第一次審査において、これは御存じだと思いますけれども、とりわけ精神障害者の方については約三割の障害当事者の皆さんが非該当とされてしまったんですよ。第二次審査では全体の九割以上が該当とされておりますが、障害の当事者の皆さんが、多くの方が自分も非該当になるのではと大変不安に思っていらっしゃるんですよ。

 さらに、そうした場合、今おっしゃられたようにメニューそのものはふえたけれども、実際の自己決定権自体は狭められていることになりはしませんか。

 よって、私はお伺いします。審査の方法を見直して、納得のいくものにしてから本法案を再提出すべきなんじゃないでしょうか。いかがでしょうか、大臣。

西副大臣 本日の議論でも若干この経過については局長等からも御答弁ございましたけれども、この試行事業でございますが、一次判定というのは、現行のいわゆる要介護認定基準の七十九項目を当てはめてコンピューターによって判定したものである、試行事業でございます。それで、第二次判定は、その上に、先ほどもお話ありました二十七項目の行動面、精神面の内容も入れ、それから特記事項もこれに追加し、医師の意見等も用いて、そして判定を行ったものでございます。その結果、一次判定の変更率が五〇%ということで、最終的には該当しないという結果が出たのが四%である、こういう結果が出ております。

 これは事実でございまして、このために、今後、この試行事業の結果をもとに障害程度区分の開発を最終的に行っていくわけですが、非常に貴重なデータが得られていると考えております。データの分析を詳細に行って、そしてこの一次判定の中に、一次判定というのはいわば本来の介護の部分でございますが、この中に二次判定において考慮した二十七項目の要素をどのような形で反映させていくかということがこれからの課題でございまして、関係団体のヒアリングをさせていただいたり、それから有識者の皆さんの御意見も伺いながら、年内には適切な形で障害程度区分ができるように今後やっていきたいというふうに思っておるところでございます。

柚木委員 今、私は、今の御答弁に大変、多分傍聴の方も一緒だと思いますよ、不安感を覚えましたね。

 そもそも私は、そういう審査の方法の中でさまざまな漏れやそごが出てくる、まさにそこを見直して納得のいくものにしてから法案を再提出すべきではないのかということを今御質問申し上げたんですよ。しかも、今おっしゃられたように、コンピューターで、いろいろな問題があればその都度対処するとおっしゃいましたけれども、仮にその上で、法施行後にさらに非該当、そういったケースが出てきた場合にはどう対応されるんですか。

尾辻国務大臣 まず、今、障害程度区分の認定の仕方、これについてのお話でございますけれども、これもそもそもというところからお話を申し上げますと、支援費制度で大変地域差が多い、この地域差は埋めなきゃいけない、この地域差がなぜ出てきたかということの一つに、私どもはやはり全国統一した基準がないということが一つの大きな原因になっている、したがって地域差を埋めるためには全国の統一した基準をつくることが必要だろうということで、まさに統一した基準としての障害程度区分ということを今言っておるわけであります。

 では、それをどういうふうにしてやるかということでありますので、これは午前中随分局長がお答えいたしましたけれども、私どもには介護保険の経験があります。そこで、介護保険の要介護度認定のために使ったものをまず使ってみる。そして、それでどうかなということを判断して、やはりそれではきっちりした判定にならないというので、二十七項目だったと思いますが、新たに二十七項目を加えて判定し直して、まあこれならよかろうという、まだ試行事業でありまして分析も済んでおりませんから今分析いたしておるところでありますが、これでやればいいと。あとはこれをきっちりしたコンピューターのシステムに仕上げていく、今その作業をしようとしておるわけでありますから、これは、私は、この精度をきっちり高めれば今後この問題はない、今御懸念のようなことにはつながらないというふうに考えておるところでございます。

柚木委員 大臣、精度を高めればという仮の話じゃ困るんですよ。これは、やはり私は、本当に皆さん不安に思っていらっしゃると思いますよ、高めればという前提ですから。そうではなくて、仮に非該当という形になっても最低限今と同レベルでの対応は維持されるという担保がなければ、そんなこと言われたら、どうやっていけばいいんだと不安に思っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるわけですよ。そこに対するまさに担保を、どこでこの自立支援法の中でやるのかということをお答えいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 ですから、これまでお答えしてまいっておりますように、まず基本的に支援費制度におけるサービスの量と質は落としません。質も落としませんと言っておるわけでありますから、そのところで御理解をいただきたいと存じます。

柚木委員 質も落とさない、それはもちろんのことですね。それは必ずそうしてもらわなきゃ困るんですよ。私は、今の点については必ずどこかで担保していただきたいと思うんですよ。これはぜひお願いしたいと思います。

 それで、たくさんきょう質問したいことがあるのでちょっと次に進みますが、では、大臣、この障害者自立支援法は障害者の皆さんだれもが経済的な自立をできるようにするための法律でありまして、就労支援や所得保障も本法の趣旨であると解釈をしてよろしいんでしょうか。まずこれを確認させてください。

尾辻国務大臣 これは先ほども申し上げましたけれども、障害者自立支援法案におきます自立というのは経済的自立だけを言っておるつもりはございません、それだけではありませんけれども、当然またそれも含まれておりまして、そうした幅広い概念で申し上げておるということは、申し上げておるとおりでございます。

 法案では、障害福祉サービスに係る給付を通して、就労支援でありますとか就労を通じた所得保障を行うことといたしております。なお、障害者自立支援法のみで就労支援でありますとか所得保障のすべての施策を行うわけではございませんで、他の法律の制度も含めて障害者の就労支援、所得保障の施策を行っておりますので、今後ともそのようにいたします。

柚木委員 就労支援、所得保障の中身についてもこの後質問させていただくんですが、その前段として、これはきょう委員会の中でも触れられた方いらっしゃると思いますけれども、私、この資料を見てびっくりしたんですが、これは皆さん御存じだと思いますよ。「利用者負担額の影響額」ですね。

 私、今、障害者自立支援法の目的は障害者の皆さんだれもが経済的自立をできるようにするための法律であるというのを申し上げましたけれども、これを見てみてくださいよ。たまたまきのうニュースでも同じ資料をやっていましたけれども、この資料によると、皆さん、これは利用者負担額の影響額が、居宅、通所施設、入所施設、それぞれ見直し前、見直し後の金額が算定してあるんですよ。その差額についても書いています。

 それで、これは、居宅の方が、見直し前十三億、見直し後七十三億で差額が五・六倍ですよ。通所施設は、同じく六億円、七十六億円、差額が七十億円で十二倍ですよ。ところが、入所施設になった途端に、二百十七億、三百四十七億で差額が百三十億、これは一・六倍でしかないんですよ。これはどういうことなんですか。

 自立支援法は障害者だれもが経済的自立と地域の中で自立して生活できるような趣旨であるはずなのが、この居宅と通所施設の方を見ていると、地域で暮らす障害者の方に負担が集中しているんじゃないんですか。これについてどうお考えになるか、御答弁いただけますでしょうか。

尾辻国務大臣 今お持ちの資料を見せていただきませんとお答えのしようがありませんので……(柚木委員「これは、厚労省の方から出していただいているんですよ」と呼ぶ)ですから、私どももいろいろな資料を出しておりますので、どれかお示しいただきませんと。ぜひお見せください。

柚木委員 今説明したとおり、居宅と通所施設の負担増は五倍や十二倍になっているのに入所施設の負担は一・六倍という、この倍だけでも考えてくださいよ。なぜ地域で暮らされる障害者の皆さんに負担が集中することになってしまうのか。ここはおかしいんじゃないんですか。入所施設の皆さんだけは一・六倍という負担増ですね、影響額が。なぜ、居宅や通所施設という地域の中でまさに自立した暮らしを送られようとする皆さんの負担がここまでふえるというのは、これは、そもそも自立支援法というのは全く中身が伴っていないことを数字上実証しているということになるんじゃないんですか。

尾辻国務大臣 マクロで私どもがお示しした数字はありますが、今お聞きしておりますと、これともまた数字がちょっと違うようでございまして、まずお手元にある資料がどういうものなのかお見せいただくと、それでお答えはさせていただきます。

 ただ、いずれにいたしましても、今お話しになっておりますのは極めて大きなマクロの話でありますから、負担が個々でどうなるかという話とは、またマクロの話と必ずしもつながるものでもございませんので、整理して御質問いただきますと、また私も整理してお答えを申し上げたいと存じます。

柚木委員 今の御答弁で皆さん納得されたでしょうか。これは大臣、やはりこの資料がなぜこの段階になるまで出てこなかったかということの方が問題なんですよ、本当は。やはりそこを真摯に皆さんに説明をいただく姿勢がなければ、この自立支援法案に対して不安を持つなと言う方が無理があると思うんですよ。

 では、影響額のところから個別の話に入ります。

 今回、収入に応じた負担について、個人単位から実質的に世帯単位に移行するというふうになっていますが、この法案が障害者の自立を趣旨とするならば、そもそも障害当事者本人だけの収支でまず考えるのが筋なんじゃないんでしょうか。

尾辻国務大臣 先ほどマクロの話でお尋ねありましたから、一点だけお答え申し上げておきたいと思います。

 施設とそれから在宅、居宅と大きく福祉のサービス、分かれるわけでございますけれども、私どもは、できるだけ、今回、施設から居宅の方に移っていただく、やはり自分の地域、住まいでやっていただくという方がいいという大きな考え方のもとに制度全体をつくったということだけは、マクロの話でございましたし、入所施設と通所、居宅の話で大きくお聞きでありましたので、まずはお答えを申し上げておるところでございます。

 そこで今度は、今利用者負担の世帯についての考え方でございますけれども、これは、従来の支援費制度における費用負担につきましては、障害者本人のみならず一定の扶養義務者にも負担義務が課されておりましたけれども、障害者自立支援法におきましては、扶養義務の負担を廃止いたしまして、障害者本人のみを法律上の負担義務者といたしたところでございます。今おっしゃいましたように、まず御本人という法律の仕組みにしてございます。まず本人ということであります。ただ、御本人に御負担いただくわけでありますけれども、これの軽減措置を考えるときにどうするかというときに、世帯単位の所得に応じた負担の限度額を設けることにいたしておるわけでございます。

 何回も申し上げますけれども、基本は御本人に負担していただく、ただ、これをどう軽減するかというときに、世帯単位の所得に応じての限度額は設けますということでございます。

 今度は、それに対して、同一世帯という、生計を一にするという考え方をどう理解するのか、これがまた議論になるわけでございますけれども、御夫婦といいますか配偶者といいますか、これはやはり生計を一にするというのは極めて常識的でありましょうから、そこはそのとおりということで申し上げておりますけれども、広く言いますと、介護保険制度などと同様に、生計を一にする世帯全体で負担能力を判定させていただきたいということで提案をさせていただいておるわけでございます。

 ただし、今般の御議論の中でもいろいろな御議論ございまして、御夫婦はというと、これは申し上げましたけれども、では、それを親の皆さん、兄弟の皆さんというふうに広げたときに、障害者と同一の世帯というのをどういうふうに見るかということがございます。

 それは、今回、私どもは、税制とか医療保険のいずれにおいても障害者を扶養していないときは、これは障害者本人及び配偶者、申し上げましたようにここは切れませんから、その所得に基づいて負担能力を判断する。それで、扶養というふうにしておられる場合は、そこで税制とか医療保険での扶養を前提にした何かを得ておられる場合には、これはやはり扶養しておられるわけでありますから、扶養するという立場をちゃんととっていただきたいということを申し上げておりまして、そして、このいずれを選択なさるかということはもう御判断にお任せします、御本人方の、そしてまさに御家族の選択にしてくださいというふうに言っておるわけでございます。

 本当に何回も申し上げることになりますけれども、障害者の皆さんの自立を図るという障害福祉制度の特性を踏まえて、こうした仕組みを御提案申し上げておるところでございます。

柚木委員 大臣、その軽減措置の、今いろいろおっしゃられましたが、私は、その方向性そのものが間違っていると思うんですよ。方向性そのものが間違っている。

 御存じだと思いますけれども、例えばヨーロッパの福祉の先進国とかでは、二十を過ぎたら、障害者介助は、個人や家族を超えて、社会全体で担うのが常識ですよ。私たちの国でも、介護保険導入自体も、そもそも老老介護や家庭崩壊の痛ましい現状を受けての介護の社会化にあったわけでしょう。何で今になってこんな、ノーマライゼーションに根本的に逆行するようなことをやろうとされるんですか。私はそれが本当に大きな疑問なんですけれども、これは納得のいく形で御答弁いただきたいと思います。

尾辻国務大臣 ですから、法律そのものは御本人ということでちゃんと仕組んでございます。ただ、軽減措置をつくるときに世帯という考え方を出すわけでありまして、それも、どうぞ選択してくださいと、御都合のいい方をおとりくださいと言っておるわけであります。

 例えば、その障害者の親御さんであるとする、それで障害者はお子さんであるとする、そして、その親御さんの方がその障害者たる自分の子供を扶養者として税制だとか医療保険のところで、そうした扶養家族としての特典といいますか、それを利用しておられるという場合には、やはりそれは、扶養しておられるということで恩典も得ておられるわけですから、扶養なさるという立場をちゃんととってくださいということを言っておるだけでありまして、極めて整理がついていると私は思っております。

柚木委員 私は、その説明には納得できないんですね。今、世帯と個人で選択できると言われましたけれども、私は、やはり社会全体で支える仕組みにしていかなきゃいけないと思うんですよ。そこのところをもう少し私としても細かい質問をさせていただきたいんですが、その前に、就労支援について私伺いたいので、そちらの方をやらせていただいて、時間があったらもうちょっとやらせていただきます。

 そういう理念がある中で、私は、今回のこの本法は、そもそも障害者の皆さんの自立支援は、経済的な自立なくしてはこれは成り立たないと思います。それは認識を一にしていただけると思いますね。その具体的な施策として私が幾つか御質問させていただきたいのは、例えば、障害者の皆さんの職と住、職というのは仕事ですね。そして住というのは住環境ですよ。この整備の問題なんです。

 例えば、愛知県のNPO法人で「ふわり」というNPO法人があります。ここは例えば、そういう障害を持たれている方の住環境と職環境というのを、一つのまさにNPOの活動の中でセットにして、暮らすこともできて、そして就労あるいは就労支援も行われるというような仕組みができ上がっているんです。あるいは、有名な北海道の「べてるの家」のような例もありますね。

 そういう職と住環境が一体となった整備というのを私は就労支援の実際的な中身として推進していくことが必要だと考えるのですが、実際にこれからそういう就労支援を行っていく場合に、具体的な施策として、どの程度厚労省の方でその事例を把握しておられて、今後それを推進されていかれようとしているのか、これをお答えいただけますでしょうか。

尾辻国務大臣 今お話伺って、私が理解いたしましたところでは、多分、私どもの考えておりますことと今先生がおっしゃったことは、ちょっと違うんだろうなと思います。

 私どもは、障害者の皆さんに自立していただきたいということを考えておりますから、職と住は分離する方がいい、職と住を分離する方がいいということを考えておりまして、すなわち、夜お休みになるところ、そういう意味での生活なさるところと、そこから昼間はどこかへお出かけになってという、やはりそういう方がいいというふうに考えておりまして、今度の障害者自立支援法案の中でいろいろ考えておりますことも、そういう方向に持っていきたいということを前提にして仕組みをつくっております。

 もし、私が今申し上げたこと、それから先生がおっしゃったことの理解でよろしければ、まずはそこまでお答えを申し上げたいと存じます。

柚木委員 事例はいろいろあっていいと思うんですよ、形態は。

 私が申し上げたかったのは、そういう具体的な就労支援、あるいは、それこそ月給が一万円でどうやって生活していくんだといういろいろな問題がありますね。給与の問題とか、具体的な中身をどういった形で今後取り組んでいくのかというのが重要になってくるんじゃないんですかということでちょっと一例二例申し上げたわけですから、その事例の中身についてはいろいろあっていいと思います。それを実際に調査していただいて、その普及に努めていただきたいというのが今の質問の中身です。

 その職場の中で、私、問題になってくると思うのは、障害者の方々の、当然法定雇用率等ありますけれども、実際に定着率を向上させていくための施策というのも重要になってくると私は思うんですね。例えば、職場のOJTの担当者が、ジョブコーチという言葉が今ありますね、そういうジョブコーチ機能を担うといったようなことを、厚労省の方から企業に具体的な指導等を求めるとかいったような内容を盛り込んでいくとか、そういう具体的な取り組み、これを示していただきたいと思うんですね。

 例えば、今のジョブコーチ機能などを担うことを企業がやっていくとすれば、これはその担当者がそういう機能を担っていくということですから、企業のコスト増大にもならない形で、しかも、障害者の方々の職場定着率向上や、ひいては企業の生産性向上にもつながる、そういうアイデアだと思うんですが、こういう具体的な取り組みに対して、今厚労省の方ではどういうお考えをお持ちなのか。これは中野副大臣の方にお伺いした方がいいんでしょうか。

中野副大臣 委員が今御指摘したとおり、障害者の雇用の安定のためには、就職後の職場定着を進めていくことが大きな課題だというのはおっしゃるとおりだと思います。

 この職場定着を図るためには、いわゆる障害者が働く職場にジョブコーチを派遣して、障害者に対して作業内容や職場のルール等を指導するとともに、事業主に対しましても、障害特性に配慮した雇用管理に関する助言等を行うジョブコーチ支援事業、これを厚労省として、全国約四十七カ所と思いましたけれども、地域障害者職業センターにおいて今実施しておるところでございます。

 さらに、障害者の職場定着をより一層推進するためには、先般の通常国会におきまして障害者雇用促進法を改正させていただきまして、ジョブコーチ助成金を創設いたしました。いわゆる就労支援の実績を有する福祉施設等が、そのノウハウを生かして行うところの職場適応援助、それから、先ほど申し上げましたけれども、事業主がみずからジョブコーチを配置して雇用する障害者に対して行う職場適応援助につきましては、助成金を支給することにしたところでございます。

 ジョブコーチ支援というものは、支援終了後六カ月を経過した時点で、現在、職場定着率が八三%になるなど、障害者の職場定着に当たっては非常に高い成果を上げておりますものですから、今後とも、これを積極的に活用することによりまして障害者の職場定着を一層推進してまいりたいと思っております。

 よろしくお願いいたします。

柚木委員 ありがとうございます。

 そういう施策の推進というのはぜひ行っていただきたいということを重ねてお願い申し上げます。

 そして、そういう施策を講じていただくことは大前提としてなんですが、次に質問させていただきたいのは、その就労対策を講じながら、働く場である授産施設などで利用料を徴収することが果たして本当に就労支援、就労対策になるのか、この矛盾についてどのようにお考えになられているか、答えてください。

尾辻国務大臣 今申し上げております就労移行支援事業でありますとか就労継続支援事業におきます活動といいますのは、お話しいただいておりますように、働くという側面もありますが、一方でまた同時に、福祉サービスの提供を受けておられるということもございます。この二面があります。したがいまして、福祉サービスを受けておられるということから、そこに着目をいたしますと、やはり一定の御負担をいただくということを今お願いいたしておるところでございます。

 ただ、工賃額が極めて少ない方や、それからまた働くことが困難な方がおられますことを踏まえますと、日中活動の利用者負担は、年金収入で御負担いただける水準で設定をいたしておるところでございます。

 具体的には、自宅から通所される方の場合は、社会福祉法人減免によりまして、定率負担部分は月七千五百円が上限でございますし、年金の範囲内で御負担いただけるという額になっておるところでございます。また、御負担いただくことによって生活保護水準を下回るような場合には、これはそこでとめていただくというところまで減免することにいたしておるところでございます。

 また、障害者の就労を支援するという観点から、グループホームを利用される方の負担の限度額を算定するに当たりましては、六・六万円、二級の年金でございますけれども、これを超える収入があり、それを超える収入が工賃である場合には、その他の収入である場合と比べてより低い上限額を設定するなど、特段の配慮を講じておるところでございます。

 この部分についていいますと、三千円まで引かせていただいて、残りの一五%ということで考えております。すなわち、一万円の工賃収入がある方でありますと、まず三千円引きます。残りが七千円です。この七千円の一五%でありますから千五十円になると思いますけれども、千五十円だけ利用料をお払いくださいというようなことをお願いする仕組みにしております。

 いろいろな配慮をいたしておるということを申し上げたところでございます。

柚木委員 そういう減免措置というのがあることももちろん承知しておりますし、その中においても大変な負担がふえていくということを御認識いただいて、その措置の本当に具体的な中身というのを、私はきょうここに、ちょっと手紙が幾つかあって、いろいろな声を聞いているんです。全部紹介したいんですが、時間がないので、そういう声の一例を紹介させていただきたいと思います。

 これは先ほどの委員の方で触れられた部分でもあるんですけれども、この資料、行っていますでしょうか、前田俊彰君の資料ですね。これは、先ほど触れられたので、私、実はそのまま五千四百人分お預かりしているんですね。これは実は、この後、衆議院、参議院の各議長に届けさせていただくことになっているんですけれども。

 先ほどの委員の方も触れられましたので私も重ねてになって恐縮なんですが、きょうもたくさん傍聴に来られていますけれども、もう御存じのように、この何日間、この国会周辺、議員会館の中の状況は、きょう、それぞれの議員の皆さんも御存じですよね、どういう状況になっているか。全国からそういうたくさんの障害をお持ちの皆さんがこの国会に押し寄せてこられているんですよ。

 それも、例えば、毎年の予算編成の時期の前に来られる陳情団の方々とかと切迫感が全く違うわけですね。本質が異なるわけですよ。なぜなら、皆さんは、こうした署名ですけれども、何も特定の団体に例えば何らかの予算配分を求めているとか巨額の予算分配を求めているとか、そういうことじゃなくて、あすの生活そのものですよ。極めて人間として当たり前の、本当に普通に食事をして、普通にトイレに行って、普通に仲間や家族の皆さんとの会話を楽しんだり、散歩に行ったり、一人の時間を持ったり、願わくは結婚して子供を授かって、普通に人生を全うしたい、そう願っているだけなんですよ。

 まさに、前田俊彰君の書いている中身を見たときに、先ほどの委員の方も言われましたけれども、これを持ってきていただいて、直接こうこうこうなんですよというお話をいただいたときには、正直、本当に私は涙が出ましたね。これはまさに、二週間で五千四百人の皆さんが賛同したというのは、そういう不安を十三歳の俊彰君に対してこの自立支援法が強いているということが、実は大問題なんだと思うんですよ。

 この五千四百人の署名が二週間で集まったことに対して、大臣、どういう御認識でいらっしゃるか、お伺いさせてください。

尾辻国務大臣 そうした御心配をいただいておりますことが、私どもが十分御説明を申し上げていない、それによっているものだと私は理解をいたしておりますので、今後とも、先ほど来申し上げておりますように、皆様方に御理解いただくようにしっかりと説明をしていかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。

柚木委員 私は、やはりもっともっとこれは切実だと思うんですよ。

 私も、きのう俊彰君から直接話を聞いて、書面で見るこの五千四百人の皆さんの重みも確かにありますよ。だけれども、私が本当に今大臣に心から申し上げたいのは、車いすに乗って来られましたよ。自分の言葉で話されました。十三歳の俊彰君が、自分が学校で友達と一緒に勉強して、トイレに行ったりする、こんな当たり前のことを、ほかの友達はそうじゃないのに、自分はお金がかかって、しかも定率負担、そういったことで日々悶々と悩まなければならない、その現実を、この自立支援法がこうした問題を引き起こしてもいるという紛れもない現実を、さらに、二週間で五千四百人、私なんかとてもよく集めませんよ。

 この署名が集まった、悲痛な叫びを大臣がいま一度どう認識され、その結果として、この段階で、いや、やはりこれは大変なことなんだ、事ここに至っては、やはり応益、定率負担というのを白紙撤回するつもりはないのか。どうですか、大臣、改めて御答弁いただけますでしょうか。

尾辻国務大臣 ずっと申し上げてまいりましたように、無理のない御負担でお願いしたい、本当にそう考えてまいりまして、私なりの表現で限りなく応能負担に近づけさせていただいたつもりですということを申し上げておるところでございます。

 したがいまして、どうぞそういう仕組みにしてあるということを御理解いただきたいと思いますし、これまたずっと申し上げておりますように、そうしたことを皆さんによく御理解いただけるように、私どももさらなる努力をしなきゃいけないというふうに考えるところでございます。

柚木委員 本当にそういう、形どおりの御答弁をいただいているわけですが、この俊彰君も大変な難病でいらっしゃるわけですけれども、では、大臣、私は同じような難病の、今回の自立支援法の中で、せめて次の質問にはぜひイエスとお答えいただきたいと思うんですが、育成医療の問題なんですよ。

 育成医療につきましては、現状のままの公費負担制度を維持してほしいという強い強い要望があることは御存じだと思います。例えば、心臓に病気を持ったお子さんは、大人になるまで三百万円から八百万円かかる手術を数回行う必要があるケースもありますね。そして、特に心臓病は手術しなければ命にかかわるケースなんですよ。

 ここに育成医療の具体的な事例について、これは厚労省さんからいただいている資料ですから、書いてあることをそのまま言うと、一定所得以上、所得税額三十万円相当以上の部分にこうあるんですよ。見直し前は五万二千三百円からの負担が、実際に見直し後には、定率負担額が十六万五千百円、プラス食費が七百八十円掛ける日数の負担がふえるわけですね。これは、単純に考えても年間で百万円以上の負担増になりますよ。

 こういう、まさに負担増になるような育成医療のこの現状に対して、私は本当に、今の俊彰君の話もそうですけれども、やはり現状を維持するということは、今回はとりわけ命にかかわるようなケースですから、これをぜひ、せめてこの部分はお願いしたいと思うんですけれども、これは大臣、いかがですか。

尾辻国務大臣 今は育成医療についてのお話でございますけれども、育成医療を含みます障害に係る公費負担医療制度につきましては、負担の公平化、制度の安定性、持続可能性を確保するという観点で、費用を皆で支え合う仕組みへ見直し、これは再三に申し上げているとおりでございます、そしてまた、医療費と所得に応じた御負担をお願いするということにいたしておるところでございます。

 この育成医療の御負担についても、随分、これは前回の御議論、特に衆議院での御議論の中でもいろいろございました。私も、その御議論は気にしながらお聞きをいたしました。そこで、上限額を、一万円、四万二百円だったと思いますが、そういうふうにさせていただいた経緯もございます。そういう、所得に応じて御負担をお願いするということにいたしておるわけでございます。

 さらに申し上げますと、育成医療につきましては、医療費を負担なさる保護者の方には、他の世代に比べて蓄えが少ない若い世代の方が多いわけでございますから、小さなお子さんをお持ちだということでありまして、世代もどうしても若い方になるということで、もちろん若い世代の方ですから蓄えも少ないという方が多いというふうなことに配慮をいたしまして、先ほど申し上げました中間的な所得層の世帯についても一定の負担上限額を設けて、激変緩和を図ることとしたところであります。具体的な数字につきましても、先ほど申し上げたとおりでございます。

 そこで、こうした激変緩和措置を講じましても、今まで以上の御負担をお願いせざるを得ない方もいらっしゃるのは事実でございまして、今までどおりというわけにはいきません、少しそれよりも負担の額が大きくなるという方がいらっしゃることは、これは事実でございますけれども、今回の改革は、育成医療を含む公費負担医療見直しだけでありませんで、障害に係る福祉から医療にわたる仕組みを見直しまして、可能な限り障害種別にかかわらない仕組みとして一元化をいたしまして、障害施策全体としてその充実を図ろうとするものでございますので、皆で支え合うということを御理解いただきたいと存ずるところであります。

柚木委員 私としましては、今大臣がお答えになられたように、そういう難病を抱えたお子さんたち、とりわけ心臓病の今の事例に対する育成医療については、今まさに対象者に若い世帯が多いということも踏まえていることをおっしゃられたわけですから、これはやはり上限設定じゃなく、現状維持ということをぜひ御検討いただきたいと思います。

 それとともに、この施策全体として、私は、次の重度障害者の問題にちょっと時間がないので進みますけれども、こちらの方も大変幾つか問題があるわけですね。

 一つ質問させていただきたいのは、重度障害者の方々への長時間介護サービスを行う事業者の問題なんですよ。これは、五、六種類のサービスを一体的に行える事業者だけが重度障害者の長時間介護サービスを実施できるように今回なってしまえば、現状では、病院以外に重度障害者の長時間介護サービスを実施できる事業主というのがなくなってしまうわけなんです。

 そこで、これも私は本当に切実な声を直接伺ったんですが、現状で障害者サービスを実施している事業者がNPO等を初めありますね。その事業者の方々が本法施行後も事業を継続できるように、現状の事業者の基準というのを変更すべきではないと考えますが、これは厚労省としてはどういうふうにお考えでしょうか。見解をお伺いします。

尾辻国務大臣 障害者自立支援法案におきましては、極めて重度の障害者の方であって、ケアホームや通所サービスなど複数のサービスを利用する方を対象といたします重度障害者等包括支援という事業を新しく創設する、つくるということにいたしておるところでございます。

 この重度障害者等包括支援では、一定の事業者が責任を持ってサービスの種類や量を設定いたしまして、その利用調整から給付管理まで一貫して行うことを想定いたしております。

 ただ、この場合に、重度障害者等包括支援の事業所は、みずからすべてのサービスを直接提供する必要はないと考えております。直接みずからが全部提供するというふうには考えておりませんで、むしろ豊富な知識と経験を有する人材を配置しておるということや、それから医療機関を初め他の地域資源と密接な連携が確保できる事業所であること、すなわちネットワークが組めればいいと私どもは考えておりまして、そういったようなことが必要でありますので、現在重度障害者の方にサービスを提供しておる事業者についても、こうした条件を満たしていただくならば、当然引き続き事業を行っていただくものと考えておるところでございます。

柚木委員 ありがとうございます。そのようにぜひよろしくお願いいたします。

 それで、そういう問題に関連して、病院への付き添いの問題、これも特にALSなどのコミュニケーションに障害を持たれている障害当事者の方にとって、病院に入院する際には、本来、常にヘルパーの方が付き添わないと意思疎通が全くできない状況にあるというのは御存じだと思います。

 病院に障害当事者が通院、入院する際には必ずヘルパーの付き添いを認めていただくべきと考えるんですが、この点についての見解はいかがでしょうか。

尾辻国務大臣 ヘルパーというふうに言われましたけれども、通院、入院の際のコミュニケーションの支援ということでいいますと、私ども聴覚障害者の皆さんなどの手話通訳等のことがまず思い浮かぶものですから、そういうことでお答え申し上げたいと存じます。

 意思疎通を図りますことに支障がある障害者の方々にとって、コミュニケーション支援施策は今お話しのとおりに極めて重要であると認識をいたしております。

 そこで、今般の障害者自立支援法案において、手話通訳者の派遣事業などのコミュニケーション支援施策を地域生活支援事業として、市町村が必ず実施しなければならない事業の一つとして位置づけたところでございます。

 これによりまして、意思疎通を図ることに支障のある障害者の方々が通院や入院などの医療サービスを受ける場合においても、必要に応じて適切に、申し上げております手話通訳等の利用が可能になるというふうに考えておるところでございます。

柚木委員 ありがとうございます。

 時間が来ているということなので、私、この後もう一遍グループホームの課題をどうしてもお伺いしたくて、ちょっと一点だけお伺いさせてください。

 これはグループホーム学会の方々なんかからもいろいろなお話も伺っているんですが、日払い制の問題、これ一点だけちょっとお答えいただきたいんです。

 実は、入所施設、通所施設ともに日払い方式に改めるという方向が出ていますが、グループホームに関しても現在厚労省では検討していらっしゃいますよね。実際にこういう事例があります。入居者が入院などで一時的にいなくなったとしても職員を配置しておく必要があり、仮に日払いになったら、例えば入院しがちな障害当事者は初めから入居お断りとせざるを得なくなるとか、あるいは、そういったことになってしまっては、障害の当事者にとっては大変使いにくいグループホームになってしまう。

 ですから、私は、実際に現場の方からそういうさまざまな声を伺っています、この日払い制度というものに関しまして、グループホームについて導入しないということを検討いただきたいと思うんですが、これについてはどういう見解を持たれていますか。

尾辻国務大臣 お話しのように、確かに、毎月一定額の報酬が保証されます月払い方式から、日々の利用実績に応じて報酬を支払います日払い方式に改めることといたしたところでございます。

 しかし、グループホーム等の利用者の実態ということを考えますと、一時的な外泊がありましたり、また入院などの事態も想定されますので、日払い方式の導入とあわせまして、利用者の不在が一定程度発生し得ることを勘案したところの報酬を設定することといたしております。そのことに対しては配慮しますということを申し上げているところでございます。

柚木委員 わかりました。その点についての配慮というのは本当によろしくお願いいたします。

 実際に、日払いになってしまうと、その間ヘルパーの方々が別の方に仕事を移ってしまうとか、せっかく入院していたのが帰ってきても、帰ってきたと思ったらなれ親しんだヘルパーの方がいらっしゃらないとか、いろいろな問題をはらんでいますから、そこはぜひよろしくお願いします。

 本当はもう少しグループホームのことを伺いたいんですが、きょう、実は、この質問に先立ちまして、資料の提出をお願いしていたんですよ。これは、実際に今回「障害者自立支援法 皆様のご疑問、ご心配にお答えします。」という厚労省の皆さんからお配りした資料に、ここに現場の障害者団体の皆さんの声が出ているわけですね。声が出ています。これを、実は、それぞれ私たちもお話を伺っているので、本当にみんなの集約された声なのかどうなのかという大きな疑問があるということで、これは何か理由があるんじゃないのかと。それぞれの立場によって同じ団体の方でも声が違うというのは何か理由があるのじゃないのかということで、それぞれの団体の皆さんの実際の役職、代表等はどういう方が務めていらっしゃるのかという資料の請求をお願いしたんですよ。

 そうしたら、個々の団体の、すべての、ほとんどの部分について資料公開をいただいたんですが、一つだけ、この法人の皆さんが何も問題があるわけではなくて、その資料の請求に対して、全日本手をつなぐ育成会の皆さんの評議員の一覧という、実際に資料請求をいただいたんですが、その各都道府県の代表者の役職を書いた資料というのは、これは厚労省では出せないと言われるんですよ。ほかの団体については全部出していただいているんですよ。何でここだけ出せないのかというのを何度も質問したんですけれども、そこには報告聴取義務がないというふうに答えられるわけですね。

鴨下委員長 柚木君に申し上げます。

 申し合わせの時間がもう既に……

柚木委員 わかりました。

 そういう出せない理由がどこかにあるんじゃないのかということが、私、問題だと思うんですよ。これを、では最後にお答えいただいて終わりにしますので、よろしくお願いします。

鴨下委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力お願いをいたします。

柚木委員 わかりました。簡潔に答弁をお願いします。

尾辻国務大臣 私、そのことについては承知いたしておりませんので、もし事務方答えられれば答えさせますが。知りませんか。それでは、後ほどお答えをさせていただきます。

柚木委員 ぜひ、委員長、本日中にも理事会にお諮りいただきたいと思います。

鴨下委員長 後刻理事会で協議をいたします。

柚木委員 質問時間を超過して大変申しわけありませんでしたが、ぜひそれをお願いしたいと思います。

 最後に、本当に今回……(発言する者あり)いや、もう結びですから、もう終わりますので。

鴨下委員長 柚木君、申しわけないけれども、もう既に……

柚木委員 わかりました。

 ぜひ、本法案は、大臣、ぜひこれは最後にお答えいただきたいんですが、同時代にこうやって今議論しているわけですよ、皆さんと一緒に。議論しているわけです。そういう議論をしている我々一人一人が、この傍聴をいただいている皆さんからの負託をいただいて、ここに、委員会に出てきている国会議員として、その中の厚生労働大臣として、ぜひ、この本法案が、こういう五千四百人の皆さんの思いとかいろいろな思いをもって今回議論されているということを重ねてお願いをして、重々なる配慮をいただくことをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。国民新党・日本・無所属の会を代表して、質問をさせていただきます。

 私は、この法案につきまして、福祉サービスの一元化、就労支援の強化など、従来の障害者福祉政策より一歩前進したものというふうに評価はしておるんですけれども、しかしながら、その一方で、きょうこのように傍聴にいらっしゃっている方々、障害者やその家族の方などから、応益負担とかそういうさまざまな制度変更に対する不安の声が少なからず聞かれているというのも事実だなと感じております。

 そこで、本法案に対して懸念される幾つかの点について、政府の考えをただしてまいりたいと思っております。

 議論に入る前に、障害者福祉サービスの利用状況についてお伺いをしていきたいと思います。

 今回の制度改正についてですけれども、障害者の方々が福祉サービスを利用しやすくする、あるいは利用数や中身が拡充するということがねらいだというふうに思いますが、身体、知的、精神の各障害者の福祉サービスの利用実態及び新制度移行後の利用状況の見込みというのはどういうふうになっておりますでしょうか。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十六年十月分のサービス利用の実態調査によりますと、ホームヘルプサービスや通所施設等の居宅系サービスを利用しておられる障害者が約二十六万四千人でございまして、内訳は、身体障害者八万五千人、知的障害者十二万二千人、精神障害者一万五千人、障害児の方四万三千人となっております。

 施設に入所しサービスを利用する障害者の方は十四万一千人で、身体障害者の方が四万人、知的障害者の方が十万二千人となっております。このほか、このサービスではとれておりませんが、精神障害、障害児の方で施設利用をされている方が別におられると考えております。

 法案成立によりサービス利用者がどの程度ふえるか、現時点においては具体的な確固たる見通しを立てているわけではございませんが、例えば十八年度予算につきましては、十六、十七年度の利用者の伸びを見込みまして、居宅サービスにつきましては約三割増の経費を計上しているところでございます。

 国全体としての利用の伸びの計画につきましては、自治体が障害福祉計画を今度定めることになりますので、そういった計画の策定状況を踏まえ、二十一年以降は積み上げた量が出てくる、こういうふうに考えております。いずれにしても、ガイドラインを作成いたしまして、地方の計画策定もお手伝いしたいと考えております。

糸川委員 この自立支援法の成立後、利用状況がどの程度になるのかというのが非常に見込みが難しいということも、やってみないとわからないという嫌いもあるんですけれども、円滑な実施に向けて、念には念を入れなければならないというふうに思っております。

 ちょっと大臣にお尋ねしたいんですけれども、福祉サービスの地域間格差についてお尋ねしたいんですね。

 私は、地元が福井でございまして、平成十五年の資料によりますと、地域間のサービス水準というのは県別に見ても大きな開きがあるんですね。例としまして、支援費支給決定者数というのが、人口一万人当たりでは、最多の滋賀県と最少の福井県では七・八倍の格差があるんです。このほか、知的障害者のホームヘルプ利用者数は県別比較で最大二十三・七倍、同じように、障害児ホームヘルプ利用者数は最大四十四・四倍となっているんですね。これは市町村からの報告をもとに県単位で集計したものですから、小さい村とか市町村単位で比較すると、もっと開きが出てくるのではないかなというふうに思っておるんです。

 そこで、この法案が成立すると、このような地域間格差がどうなっていくのか、本当に地域の水準の底上げになっていくのか、その辺をちょっと大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

尾辻国務大臣 今までお答え申し上げてまいりましたことの繰り返しになる部分もございますけれども、お許しいただきたいと存じます。

 現在の障害福祉サービスの現状を見ますと、障害問題に関する市町村の取り組み姿勢に差があることなどから、今非常に大きな格差のお話がございましたけれども、在宅サービスを実施していない市町村があるなどサービスが広く行き渡っていない、精神障害者が支援費制度の対象となっていないなど、サービスを受けられない障害者がおられるとともに、今お話しいただきましたように、極めて地域間の格差が大きいと認識をいたしておるわけでございます。したがいまして、こうした地域間格差を埋めるべく、今回の障害者自立支援法案を御提案申し上げ、御審議をお願いいたしておるところでございます。

 したがいまして、まずはサービス量の拡大を図りまして、お話しいただいておりますように、現在サービス水準が低い地域を中心にしてサービス水準を底上げしなきゃいけない、するべきだと思っておりまして、これは先ほど来の御議論にありますように、高いところを下げて低いところを上げて、平均化しながら上げますということを言っておるわけじゃありませんで、高い方の質をちゃんと維持しながら低い方を上げてということを言っておりますし、そういう意味での地域間格差をまずなくさなきゃいけない。それからまた、その質だけじゃなくて量も拡大していかなきゃいけない。

 自立支援法案というのは、そのことを目指すものでありますということを改めて申し上げたいと存じます。

糸川委員 ぜひ、これを機に底上げを図っていただきたいと思うんですけれども、その底上げに余り時間をかけないでいただきたいなというふうに思っております。

 これに関連して、私は、サービスを充実させていく上では、地域のNPOとか小規模作業所などの連携によって活性化を図ることというのが重要ではないかなというふうに考えておるんですけれども、こうした観点から、NPOや小規模作業所への支援策についてはどのような施策を考えておられますでしょうか、また現状ではどうなんでしょうか、今後はどうするのか、その辺をちょっとお答えいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 まず、現在でございますけれども、身体障害者と知的障害者の授産施設や更生施設等の通所型施設を経営する事業につきましては、第一種社会福祉事業と位置づけられておりまして、第一種でございますからその運営主体は、行政を除きますと事実上社会福祉法人に限定をされております。NPO法人は事業の運営は認められていないところでございます。これは、申し上げましたように、やはり第一種に位置づけられますと、どうしてもそうなるということを申し上げたところであります。

 また、小規模作業所は、全国で約六千カ所が活動しておりまして、現在は、これは法定外の施設でありますけれども、障害者の働く場、創作活動の場、社会参加の場として地域で重要な役割を果たしていただいておる、こういうふうにまた認識をいたしております。

 そこで、今回の法律におきましては、身近な地域でサービスが受けられるよう規制緩和を図りまして、NPO法人を初めとした多様な主体の事業参入を可能とし、現在サービス基盤が十分整っていない地域を含めまして、地域におけるサービス拠点を充実していくことといたしておるところでございます。

 具体的には、自立訓練や就労移行支援など、日中活動サービスを第二種社会福祉事業と位置づけまして、さっき言いましたように、一種にしますとやはり制約がございますので、第二種社会福祉事業というふうに位置づけまして、そうなりますと、社会福祉法人だけでなくてNPO法人なども参入できるようになりますから、そうする。それから、設備基準を見直しまして、事務室、運動場等必置としている設備を任意とする。それから、廊下幅などの最低基準を緩和する。そうしたことによりまして、空き教室でありますとか空き店舗など、既存の今あります社会資源を活用できるようにするといったような規制の見直しを行うことといたしております。

 こうしたことによりまして、NPO法人や小規模作業所が障害福祉計画に基づいて、計画的に法に基づく施設や事業に移行できるようになり、個別給付の対象となったり、地域活動支援センターとしての委託を受けることが可能となります。

 また、平成十七年度予算におきましては、小規模作業所に対する経営セミナーの開催など、小規模作業所の充実強化を図るための事業を新しくつくりまして、法定施設等への移行を支援することといたしておるところでございます。

糸川委員 さらに関連しまして、市町村の障害福祉計画の策定に向けた国としてのガイドラインをお伺いしたいと思います。

 このガイドラインは来年一月から二月をめどにまとめられるというふうに聞いておるんですけれども、間違いないでしょうか。

 私は、この中でも、地域間の格差是正の視点が不可欠だというふうに先ほどからもお話ししているんですけれども、また、地方と都市部というのは人口密度の違いなんかもあるんですね。私のいる福井では、もう二百人ぐらいしかいない村などもあるんですよ。すごく小さい村もあるんですね。一人しか障害者がいないところもあるんです。ですから、そういったところの対応なんかも変わってくると思うんですね。

 ですから、小さな町村なんかでは、計画策定の作業だけでもいろいろと苦労があると思うんですね。これはどういうふうにサポートする予定なのか、ちょっとその辺をお伺いしてよろしいでしょうか。

中村政府参考人 市町村には、高齢者のときも老人保健福祉計画というのをつくっていただいたことがありますが、そのときも大変地域差があるなと。それで、いろいろなタイプに応じた計画をつくっていかなきゃならないなというふうに思っているところですが、障害者の場合は数の点で高齢者よりもっと少ないので、今委員が御指摘のような問題があるかと思います。

 国の方では、市町村、都道府県のサービス量の見込みを定める障害福祉計画をつくっていただきますのでそのマニュアルはもちろんつくらせていただきますが、今お話しになったように、非常に小さな規模の町村においてはなかなか策定が難しいと思いますので、まず一つは、限られた職員の方でも比較的容易に計画策定の実務ができるきめ細かなマニュアルをつくらせていただきたいと思っております。二つ目は、障害者の方もお一人というお話がありましたけれども、そういったところでは単独ではなかなかサービスも計画もつくりにくうございますので、そこのところは広域的な対応をする必要がある。これは、福井の例でいえば、福井県の方とその町と協力してやっていただく、県がバックアップしていただく、こういうことは考えておりますので、そういう対応を私どもも県の方と御相談してやってまいりたいと思います。

糸川委員 ぜひ、そういう小さい村とか町なんかも助けていかれるようにしっかりと考えていただいて、切り捨て型というのは絶対避けていただきたいなというふうに思っております。

 次に、障害者の方の就労支援についてお伺いしたいなというふうに思っております。

 私、障害者の自立ということを考えるとき最も重要なのがこの就労支援だと考えているんですけれども、私の地元の福井県ではC・ネットふくいという社会福祉法人がありまして、食品加工とか農業などの地域の特性を生かしながら、知的障害者の就労支援に非常に活発に取り組んでいるところがあるんですね。知的障害者の皆さんが手に職をつけて、大体八万円ぐらいの工賃収入を実現しようとしているんですよ。大体これは今実現しているんですけれども、また、年金収入と合わせて自立していけるように頑張っていっているというふうに聞いているんです。

 私は、こうした障害者の皆さんと周りで支える人たちの努力を心から応援したいと思うんですね。また、国の政策として、こうした取り組みが全国的に普及するように支援していただきたいなというふうに思っておるんです。

 この就労支援について、今後、どのように取り組むお考えか、できるだけ具体的に尾辻大臣にちょっとお尋ねしたいなと思います。

尾辻国務大臣 私がお答え申し上げまして、もっと具体的にと、もしおっしゃいますと、局長からお答えをさせますけれども、まず私からお答え申し上げたいと思います。

 先ほど来、福井県内のお話もございました。そして、福井県に大変有名な、これは私、一遍ぜひ見せていただきたいと思っておったんですが、まだ機会がなくて見せていただいておりませんけれども、大変有名な法人もございます。主に知的障害者の自立と社会参加を支援するために、まさに就労支援を中心とした事業活動を積極的に行っておられるとお聞きをいたしておりまして、工賃も、何か大変高い工賃を頑張って払っておられるというふうにも聞いております。

 こうした非常に積極的に取り組んでおられるところがございますので、まず、私は、このような積極的に頑張っておられるところを支援いたしますと同時に、今度は、そうしたところが持っておられる経営ノウハウでありますとか工賃引き上げの成功事例を提供する、皆さんに知っていただくといったようなことをしながら、就労の支援、これはぜひ成功例でみんなに頑張っていただくというようなことをまず考えることも大変大きなやるべきことの一つだというふうに考えておるところでございます。

 そしてまた、法律におきましては、福祉サイドから就労支援を強力に進めますためには、福祉と就労というこの両方の作業をしなきゃいけませんので、就労を御希望しておられる障害者に対しまして、就労に必要な知識及び能力の向上のための必要な訓練などを行います就労移行支援、先ほど来申し上げております。それから、一般の事業所で雇用されることが困難な障害者に対しましては、就労の機会等を提供する就労継続支援、こういったような新しい事業を創設いたすことといたしております。

 こうした施策を通じまして、就労支援を積極的に推進してまいりたいと考えております。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

糸川委員 わかりました。ぜひ、そのように推進をしていっていただければというふうに思います。

 次に、障害者を持つ家族の方々への支援策についてお伺いいたしたいと思います。

 私は、障害者を持つ家族について支援をするということが今回の制度改正に伴って非常に大切な視点であると考えているんですけれども、家族の方々の介護負担の軽減や休息はもとより、さまざまな心配に対する心のケアということ、こういったことも含めて的確な対応が求められると思っておるんですけれども、こうした家族支援のあり方については今回の法案によってどうなっていくのか、今よりも充実するというふうに理解してよろしいのでしょうか。その辺をお伺いしたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 御家族を支援するというのは大変大事なことだと思っております。今回の自立支援法ではさまざまな介護給付がなされますが、そういったときに、いわば御家族の方の支援のためのサービス、例えば障害者の方に短期的に入所していただくような、そういうサービスもございますので、ある意味で御家族のレスパイトと申しますか、そういった点が一点でございます。

 また、委員から、御心配や御不安、心のケアというようなお話がありました。やはり御家族から身近な相談に応じて、さまざまな御助言も申し上げられる体制が重要ではないかと思っております。

 今般、相談支援事業も、地域生活支援事業の中で市町村が必ず実施していただかなければならない事業として位置づけ、また、従来市町村の相談事業でなかった知的障害や精神障害についても市町村が窓口を開いていただくということになります。こういう難しい領域については、都道府県のバックアップをいただきながら、また市町村に相談事業もやっていただきたいと思います。

 やはり、皆さん大変困難を抱えておられる障害者の当事者、御家族の方々の支援体制を地域で組んでいくということになろうかと思いますので、障害者自立支援法が、地域生活支援事業などを通じまして、この面でも前進が図られるものと考えております。

糸川委員 家族の中に障害者を持たれている方というのは非常に負担が大きいんですね。ですから、その辺をよくお考えいただいて、よりよくなっていくようにしていただければなというふうに思います。

 次に、地域生活支援事業に要する財源について、国から市町村への補助金の確保について確認をさせていただきたいというふうに思います。

 地域生活支援事業は、相談支援、移動支援を初め、障害者やその家族の生活を支える大変重要なものなんですね。この財源確保は実施主体となる市町村にとっても不可欠なものがありまして、これが十分に担保されないと、結局はサービスの低下を招いて、障害者の方々にしわ寄せが及ぶことになるわけです。

 さきの通常国会での議事録を拝見しますと、これら必要な補助金に関しまして、厚生労働省として、来年度予算編成で最優先で取り組む考えが示されておりましたけれども、夏の概算要求を経まして、現在どのような状況になっておりますでしょうか。大臣、お答えいただけますでしょうか。

尾辻国務大臣 今お話しいただきました地域生活支援事業を含めました平成十八年度の障害保健福祉関係予算につきましては、八月末に概算要求を行ったところでございまして、引き続き今鋭意折衝中でございます。

 地域生活支援事業の予算の確保は、既にお答えを申し上げておりますように、重要課題の一つであると認識をしておりますので、引き続き予算の確保に最大限の努力をいたします。

糸川委員 先ほどお話ししましたように、小さい村もありますので、本当にそういう財源の部分、しっかりと取り組んでいただければなというふうに思います。

 今回の制度改正について、周知徹底、広報面についてお伺いしたいなというふうに思います。

 これも先ほどからお話ししているように、小さいところにいる障害者というのは、なかなかそういう情報が伝わりにくいんですよ。ですから、そういうところについてお伺いをしたいと思うんです。

 本法案の中身や成立後の姿などについて、厚生労働省からさまざまな説明や資料を私も受けてまいったんですけれども、一口に申しまして非常に複雑なんですね。また、難解なんですよ。これは年金問題なんかもそうなんですけれども、今日、少なからず障害者の方や家族などの方が不安を訴えられているというのは、私の場合はどういうふうになっているんだろうということがわかりにくいというところが手伝っているんじゃないかなとも思っているんです。

 そこで、これから新しい制度に移行しますと、まず現場である市町村の担当者、例えば、本当に小さい村役場の役人の対応なんかが重要になると思っているんですけれども、地域の障害者の方々に丁寧にわかりやすく説明したり、問い合わせがあれば的確に答えられるようにしていくということ、その十分な研修とか、そういったことが必要になってくるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この点について政府としてどのように取り組むのか、お聞かせいただければと思います。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 まずは私ども行政の話でございますので、都道府県を通じ、また市町村の担当の方にきちんと情報が届くようにしていかなければならないと思いますし、その際、今委員から御指摘ございましたように、理解しやすくて、また住民の方に御説明しやすい資料なりそういった情報が必要ではないかと思いますので、その点につきましては心して作成をしてまいりたいと思います。

 また、法律が成立いたしましたとして、実施までに相当短い期間で準備しなければなりませんので、私どもさまざまな機会を通じまして、都道府県と連携を図りながら、市町村の方にお伝えをしていきたい。またそれ以外に、この事業は当然、利用者の方、当事者の方々によく理解していただく必要がありますので、そういったそれぞれのお立場の方が自分がどうなるのかというわかりやすい資料、それからサービスを提供される事業者の方々も大変大事でございますので、サービス事業者の方々に対してわかりやすい説明をしてまいりたいと考えております。

糸川委員 本法案については利用者負担の問題が先行しているという感もありまして、導入に向けては、障害者や御家族の理解を得られるよう、国、県、市町村を挙げて努力していただきたいというふうに思っております。

 また、地方や、特に過疎地ですね、私の地元なんかは本当に過疎地が多いんです、過疎地などでは、必要に応じて障害者宅への戸別訪問を行っていくとか、きめ細かな対応のほどよろしくお願いいたします。

 時間もなくなってまいりましたので、最後になりますけれども、ぜひ大臣にお答えいただきたいと思っております。

 本法案については、さきの国会で廃案となったものの、年末の来年度予算編成に向けてどうしても今国会で通さなければならないという事情があるということは一応承知はしているんですけれども、しかし、政治家としては、本当に障害者に負担を求める以外に道はなかったのか、今後参考人の質疑もあるんですけれども、できることならもっと障害者当事者の声を酌み取りながらの十分な審議が望ましいんじゃないかなというふうに思います。

 そして、就労支援などの充実、またサービス事業者や人材の育成などを並行させながら、周知期間が非常に短いということに対しても、周知期間については本当に十分ゆとりを持たせてから施行させてもいいんじゃないかなとも思っております。もっと審議時間をかけるべきなんじゃないかなとも思っているんです。せめて、新制度に移行する以上は、少しでも今までよりよくなった、障害者の方々に喜ばれるものであってほしいというふうにも思っているわけですね。

 大臣、僣越ながらですけれども、このような私の所感についてどのようにお聞きくださったかなというふうにちょっと思いまして、その辺をお答えいただいて、これで終わりたいと思います。

尾辻国務大臣 この法案、予算関連法案でございますので、私どもとしては一日も早く御審議いただいて通していただきたいと終始申し上げてまいりました。前国会、通常国会でございましたので、どうしても通していただきたいと願っておりまして、衆議院では可決をしていただいたところでありますけれども、衆議院から参議院に行って、参議院の審議のさなかで解散という不測の事態でございまして、廃案になってしまいました。

 そういうことで、引き続き今国会で御審議をお願いいたしておるところでございますけれども、その間、また時間がありましたので、いろいろ御議論いただいたことについては私どもなりに真剣に検討もさせていただいてまいりました。その幾つかについては、御答弁の中でも申し上げておるところでございます。

 こうした真剣な議論をしていただいておりますし、また私どももそれに対して真摯に対応させていただいておるつもりでございますので、そうした経過を踏まえてであるということだけは改めて申し上げて、そしてまた、それこそ改めて一日も早い御可決あらんことをお願い申し上げます。

糸川委員 予算ありきで法案を通そうとかということではなくて、本当に当事者の身になって、いろいろな議論を本当に時間をかけて審議して、できれば法案を通していただきたいなというふうに思います。

 きょうはありがとうございました。終わります。

鴨下委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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